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まこ「京太郎だけか」京太郎「ええ」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2013/02/27(水) 15:39:11.72 ID:9JAMNU07o
まこ「ネト麻か?」

京太郎「久しぶりに絶好調ですよ」

まこ「どれどれ」

京太郎「東風ですけど1121の4連対で、これが5戦目です」

まこ「2位と12500点差の1位か。……口は出さんほうがええな?」

京太郎「そっすね。なんかまずいところがあったら終わってからお願いします」

まこ「あいよ」

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全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
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トーチャーさん「超A級スナイパーが魔王様を狙ってる?」〈ゴルゴ13inひめごう〉 @ 2024/04/23(火) 00:13:09.65 ID:NAWvVgn00
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【安価】貴方は女子小学生に転生するようです @ 2024/04/22(月) 21:13:39.04 ID:ghfRO9bho
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ハルヒ「綱島アンカー」梓「2号線」【コンマ判定新鉄・関東】 @ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
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2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/27(水) 15:41:54.85 ID:9JAMNU07o
京太郎「……」

まこ「……」

京太郎「……」

まこ「……」

京太郎「ぐあ……」

まこ「親の一気捲りか。惜しかったのう。まあそれでも連対は外しとらんし、ええじゃないか」

京太郎「そりゃそうですけどね……」
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/27(水) 15:43:03.56 ID:9JAMNU07o
まこ「続けるか?」

京太郎「いえ、誰か来るまでってやってましたしね」

まこ「それで東風じゃったか」

京太郎「ええ。お茶飲みます?」

まこ「貰おうかの」

京太郎「さっきのですけど」

まこ「うん?」

京太郎「口は出さんほうがって言った時です」

まこ「うん」
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/27(水) 15:44:24.95 ID:9JAMNU07o
京太郎「俺が捲くられそうってわかってました?」

まこ「わかっとった、とは言い過ぎじゃがの。嫌な表情ではあったよ」

京太郎「そっかあ……。良いなぁ」

まこ「ん?なにがじゃ?」

京太郎「嶺上開花、東場の高火力、悪待ち、超デジタル。そして卓の表情読み。そういう何かが俺にも……」

まこ「そういう話か」

京太郎「そういう話です」

まこ「ふむ」
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/27(水) 15:46:51.24 ID:9JAMNU07o
京太郎「……」

まこ「……」

京太郎「……」

まこ「……」

京太郎「……」

まこ「わしと同じじゃのう」

京太郎「え?」

まこ「彼女らのような力。それが自分にもあったら。そう思うのは、おんしだけではないってことよ」

京太郎「でも」

まこ「言いたいことはわかるわ。じゃがの、わしのは突き詰めれば誰でもできることなんじゃ。……それを言ったら、のどっちもなんかの?」
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/27(水) 15:47:45.59 ID:9JAMNU07o
京太郎「俺にはできませんよ?」

まこ「何を言うか。精度が違うだけでできておるわ」

京太郎「?」

まこ「例えばじゃの、対面の河を見ると索子と筒子がずらり。おまけに萬子を鳴いておる。そこへおんしは萬子をツモってきた。捨てるか?」

京太郎「捨てませんよ」

まこ「なぜじゃ?」

京太郎「染手が見え見えですし……」

まこ「その判断材料はなんじゃ?教本に書いてあるというのもあるが、経験じゃろう?」

京太郎「まあ、確かに」
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/27(水) 15:48:19.58 ID:9JAMNU07o
まこ「わしはその経験が深いという、ただそれだけよ。似たような場況を見たことがあるから、対応できるだけよ」

京太郎「……」

まこ「ただそれだけ。華も無く、本物に出会ったら蹴散らされるだけの……」

京太郎「……」

まこ「すまんの。場を悪くしたか」

京太郎「いえ、驚きましたけど、嬉しくもあります」

まこ「うん?」
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/27(水) 15:49:03.32 ID:9JAMNU07o
京太郎「弱音を吐いたところを初めて見ましたし。ね、新部長?」

まこ「ふん。おんしが普段から弱音を吐き過ぎなだけじゃ」

京太郎「お恥ずかしい」

まこ「部長……か」

京太郎「?」

まこ「今度の新人戦」

京太郎「秋の大会ですね」

まこ「わし個人としても勿論全力を尽くすつもりじゃが、部長としても某かを示せたら、そう思うんじゃ」

京太郎「……」
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/27(水) 15:49:45.00 ID:9JAMNU07o
まこ「だがそれが何かがわからんでな」

京太郎「団体戦はないし、あっても人数が足りませんしね」

まこ「うむ。個人戦もあやつらは心配あるまい。油断はできんが決勝に全員が残ることも十分あり得る」

京太郎「ドキッ!清澄だらけの決勝戦!ポロリもあるよ」

まこ「ドアホ。じゃが、あやつらの足りないところを見つけ、伸ばしたのは前部長じゃ。あやつらの成長にわしは部長としてなにも貢献しとらん」

京太郎「……」
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/27(水) 15:50:21.62 ID:9JAMNU07o
まこ「今となってはわしにできることはないじゃろ。これ以上の成長を望むならば、再び全国の魔物共とまみえるか、プロに揉まれるか……」

京太郎「……」

まこ「わしは……、何を示せるのじゃろうか」

京太郎「ありますよ」

まこ「?」

京太郎「染谷先輩が部長として示せるもの」

まこ「ほう」

京太郎「俺ですよ」

まこ「……」
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/27(水) 15:51:01.62 ID:9JAMNU07o
京太郎「麻雀初心者で、前の大会では一回戦負け。その後は女子の全国大会のサポートとして各種雑用をこなしていたために指導を受けることはなく弱いまま……」

まこ「……」

京太郎「自分で言って凹んできた」

まこ「よしよし」

京太郎「ともかく、そんな俺が部長が変わって新体制になった途端に実力を伸ばして大会で大活躍!どうです?」

まこ「言いたいことはわかるがの。嫌じゃ」

京太郎「どうして?俺も麻雀部の一員ですよ?」

まこ「ああ、そういうことではないんじゃ」

京太郎「じゃあ、どうして?」
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/27(水) 15:57:01.60 ID:9JAMNU07o
まこ「……」

京太郎「……」

まこ「……それだと、おんしを自分のための道具にしているみたいで、嫌なんじゃ」

京太郎「抱きしめて良いですか?」

まこ「駄目じゃ」

京太郎「ちぇっ。……気にしないでくださいよ。部で一番弱いやつを集中的に指導して全体の底上げをすることはおかしな事じゃないですよね?俺も強くなれるし、染谷先輩のお役にも立てる。良いことずくめじゃないですか」

まこ「勿論、おんしの強化は課題の一つではあったがの……。そうまで言ってもらえるならば甘えるとしようかの」

京太郎「ええ」
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/27(水) 15:57:40.62 ID:9JAMNU07o
まこ「今度の部方針でおんしの強化を重要課題として挙げてみる。反対があったらそれまでじゃがな」

京太郎「ええ」

まこ「これで次の大会でおんしが一回戦で負けたならば、わしの部長としての適性が疑われるということになるんかのう」

京太郎「え」

まこ「ふふん。質の悪い冗談だったかの。ま、結果は気にせず全力を尽くしてくれるだけでええよ」

京太郎「そのつもりですよ」

まこ「それにしても皆遅いのう」

京太郎「……」

まこ「ん?どうした?」
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/27(水) 15:58:18.17 ID:9JAMNU07o
京太郎「大会まで俺は今までで一番、受験なんかよりもずっと努力すると思います。大会でも全力を出します」

まこ「うん」

京太郎「それでも何もできずに負けたら、そう思うとちょっと怖いですね」

まこ「なにを言っとるか。おんしなど麻雀歴半年にも満たないペーペーじゃ」

京太郎「……」

まこ「今度の大会に出てくる者達の中で、最も経験も努力も少ない部類じゃぞ?負けて当然などとは言わん。じゃが、努力した者が勝つ世の中ならば、おんしは負ける」

京太郎「辛辣ですね」
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/27(水) 16:03:45.57 ID:9JAMNU07o
まこ「ああ。……さっきの冗談は悪かった。おんしはおんしの全力を尽くせばええ。それで負けても誰にも文句は言わせん」

京太郎「……」

まこ「おんしにはまだ先があるんじゃ。思い詰めるなよ」

京太郎「そう……、ですね」

まこ「納得はいかんか?」

京太郎「いえ、大丈夫です。焦ってたみたいですね、俺」

まこ「うん」

京太郎「才能があって、努力もしてて、強い皆に置いていかれそうで。置いていかれたら俺の居場所が無くなりそうで」

まこ「あやつらはそれほど狭量ではないよ。勿論、わしもな」

京太郎「そうですね」
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/27(水) 16:04:35.27 ID:9JAMNU07o
まこ「まあ、それでも負けて平気ではないじゃろ。泣きたくなったら胸くらい貸したるわ」

京太郎「じゃあ、その時はお言葉に甘えて」

まこ「おう」

京太郎「……」

まこ「……」

京太郎「……」

まこ「……今度はなんじゃ?」
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/27(水) 16:05:24.93 ID:9JAMNU07o
京太郎「前借りは有りですか?」

まこ「……」

京太郎「胸の」

まこ「……」

京太郎「……」

まこ「前借りって、負けるのが前提になるじゃろうが……」

京太郎「いや、あれです、優勝しての嬉し泣きですよ」

まこ「……」

京太郎「……」

まこ「……まあ、ええじゃろ」
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/27(水) 16:05:53.86 ID:9JAMNU07o
京太郎「!」

まこ「とりあえず膝から降りて向き合えばええかの」

京太郎「そうですね」

まこ「さ、どんとこい」

京太郎「では、失礼しまして」

まこ「……待て」

京太郎「はい?」

まこ「そのワキワキさせた手はなんじゃ」

京太郎「え」

まこ「普通胸を貸すと言ったら額を当てるとか、そんなんじゃろ」
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/27(水) 16:06:48.92 ID:9JAMNU07o
京太郎「……」

まこ「揉みしだくつもりか」

京太郎「……テヘ」

まこ「可愛くないわい」

京太郎「では、改めまして」

まこ「……お、おう」

京太郎「……」

まこ「……待て」

京太郎「なんです?」
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/27(水) 16:07:24.45 ID:9JAMNU07o
まこ「足音じゃ。走ってきとるの」

京太郎「え」

まこ「遅刻三人娘じゃろ」

京太郎「……」

まこ「部活の時間じゃ」

京太郎「……」

まこ「優勝して嬉し泣きじゃったな」

京太郎「……」

まこ「そん時までお預けじゃな」

京太郎「……」



終わり
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/27(水) 16:24:38.41 ID:iNJJ5ZwDO
> まこ「とりあえず膝から降りて向き合えばええかの」
!?
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/27(水) 16:38:38.13 ID:F9amZc2IO
>>膝からおりて
充電中だった!?
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/27(水) 16:38:42.30 ID:+c+wV7HAO
まこさん何処座って話してたの!?
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/27(水) 17:01:26.47 ID:zeLfqguB0
最後にドでけぇ爆弾落としていったなまこさん!?
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/27(水) 17:13:15.60 ID:VoTj0MFIO
何て大きい爆弾置いていくんだまこは…
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/27(水) 17:47:47.42 ID:Y03E1ag+0
これは続きが必要ですねぇ(ゲス顔)
おもしろかったです(こなみ)
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/02/27(水) 18:16:18.12 ID:/HYCUZ550
まこさんかっけえな
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/27(水) 20:19:03.60 ID:GY1LAjLao
久は前で先導するタイプ
まこは横に並んで一緒に進んでいくイメージやね
それはさておき
こういう雰囲気の会話大好きです
続きはよ
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/27(水) 20:48:34.51 ID:40HNUPfzo
おつ
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/27(水) 21:09:42.53 ID:yZwx2sTQo
ついに染谷先輩に光が!
乙!
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/27(水) 21:34:05.94 ID:VWJaCJOro

ついにぐう聖まこさんが陽の目をみた
32 :地の文付Ver. [saga]:2013/02/27(水) 21:45:48.43 ID:LPQqCAV9o
まこ「京太郎だけか」

京太郎「ええ」

部室に入ると、京太郎がパソコンの前に座っているだけだった。
ベランダかと思ったが、京太郎の返事からすると三人ともまだ来ていないようだ。

まこ「ネト麻か?」

ひょいと覗くと東4局も中盤に入ろうかという局面。

京太郎「久しぶりに絶好調ですよ」

画面を注視し、定期的にマウスの音を響かせる。
薄っすらと浮かべた笑みが調子の良さをうかがわせた。

まこ「どれどれ」

近づくと、心得たように京太郎は椅子を少し引く。
まこはマウス操作の邪魔にならないように、左手側に回ってからすっと膝に座る。
京太郎が画面を見やすいように頭は彼の左肩に。
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/27(水) 21:46:30.57 ID:LPQqCAV9o
京太郎「東風ですけど1121の4連対で、これが5戦目です」

今にも鼻歌を歌い出しそうな口調だ。
画面を見る。
東4局一本場
東:13500
南:25000
西:24000
北:37500
京太郎は北家。
2位の満貫ツモでも逆転はない。直撃を避けて軽い手での上がり、西家が2位狙いで軽く安手を仕上げてくるなら差し込んでも良い場面。
だが……、まこにはこの卓の表情はあまり好ましいものではなかった。

まこ「2位と12500点差の1位か。……口は出さんほうがええな?」

念のために確認をとる。

京太郎「そっすね。なんかまずいところがあったら終わってからお願いします」

京太郎の顔が曇る。まこがこう聞いてくるということは、あまり自分にとって良い状況ではないのだろう。
だが聞かない。何の兆候にも気づけない今の自分は聞くべきではないのだ。そう思う。気づけなかったことは終わってから教えてもらおう。

まこ「あいよ」

京太郎の返事を受け、あっさりと返す。
彼のこういうところがまこには好ましかった。
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/27(水) 21:47:28.24 ID:LPQqCAV9o
京太郎「……」

今までよりもずっと集中して対局を進める。

まこ「……」

相手の不穏な動きを見逃さぬように。

京太郎「……」

だが。

まこ「……」

まこは軽く目を閉じ、京太郎の左手に自分の手を重ねる。

『ツモ』
発声は親から。
8000オールの一本付。
倍満だ。

京太郎「ぐあ……」

終局の音楽に隠れるように京太郎から小さな呻きが漏れた。

まこ「親の一気捲りか。惜しかったのう。まあそれでも連対は外しとらんし、ええじゃないか」

重ねた手で優しく撫でる。

京太郎「そりゃそうですけどね……」

ちぇっと不満そうな呟き。目前まで迫っていた勝利を逃す悔しさは、まこにも十分理解できた。
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/27(水) 21:48:09.04 ID:LPQqCAV9o
まこ「続けるか?」

肩越しに尋ねると、京太郎は首を横に振る。

京太郎「いえ、誰か来るまでってやってましたしね」

ログアウトボタンをかちりと押す。画面はID入力画面へと戻った。

まこ「それで東風じゃったか」

京太郎「ええ。お茶飲みます?」

サイドテーブルに置かれた湯呑を見ると、中身はもう無い。

まこ「貰おうかの」

名残惜しいが膝から降りる。
まあよい。今日はまだ時間がありそうだ。

京太郎は、ネト麻をするよりもよっぽど手慣れた調子でお茶を二人分用意すると、お茶受けを漁ってからまこの元へと戻った。

サイドテーブルにお盆ごとお茶を置いて椅子に座る。
待ちかねたように近づいてくる彼女を見ると、京太郎から自然と笑みがこぼれた。
二人きりの時の、彼女の指定席。
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/27(水) 21:48:36.95 ID:LPQqCAV9o
京太郎「さっきのですけど」

まこ「うん?」

ズズッとお茶を啜っているまこに尋ねる。

京太郎「口は出さんほうがって言った時です」

まこ「うん」

お茶をお盆に戻しお茶受けのチョコレートを手に取ると、ポイッと口の中に放り込む。

京太郎「俺が捲くられそうってわかってました?」

ほうじゃのう……、もごもごと口を動かしながら言葉を選ぶ。

まこ「わかっとった、とは言い過ぎじゃがの。嫌な表情ではあったよ」

京太郎「そっかあ……。良いなぁ」

まこ「ん?なにがじゃ?」

ため息混じりに独りごちる京太郎の真意が読み取れず、まこは素直に問いかける。

京太郎「嶺上開花、東場の高火力、悪待ち、超デジタル。そして卓の表情読み。そういう何かが俺にも……」
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/27(水) 21:49:22.63 ID:LPQqCAV9o
ああ……。

まこ「そういう話か」

京太郎「そういう話です」

そういう話、か……。

まこ「ふむ」

慎重に。

京太郎「……」

まこ「……」

慎重に、言葉を選ぶ。

京太郎「……」

まこ「……」

京太郎を傷つけぬよう、自分が傷つかぬよう、慎重に。

京太郎「……」

まこ「わしと同じじゃのう」

選ばれた言葉。

京太郎「え?」

まこ「彼女らのような力。それが自分にもあったら。そう思うのは、おんしだけではないってことよ」
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/27(水) 21:49:51.75 ID:LPQqCAV9o
京太郎「でも」

言葉の真意を読み取れないのは、京太郎の番となっていた。

まこ「言いたいことはわかるわ。じゃがの、わしのは突き詰めれば誰でもできることなんじゃ。……それを言ったらのどっちもなんかの?」

あれはデジタル打ちの極地。真似ができるかと問われれば否定するしかないが、理論上は誰にでも到達できるはず。

京太郎「俺にはできませんよ?」

漫画であれば、京太郎の頭の周りには羽根の生えた疑問符が飛び交っていることだろう。

まこ「何を言うか。精度が違うだけでできておるわ」

京太郎「?」

まこ「例えばじゃの、対面の河を見ると索子と筒子がずらり。おまけに萬子を鳴いておる。そこへおんしは萬子をツモってきた。捨てるか?」

そう問いかけられた京太郎は、ほとんど間を置かずに返答した。

京太郎「捨てませんよ」

まこ「なぜじゃ?」

京太郎「染手が見え見えですし……」

混一、清一の役を知っている者ならば、大多数が狙いを看破するだろう。

まこ「その判断材料はなんじゃ?教本に書いてあるというのもあるが、経験じゃろう?」

京太郎「まあ、確かに」

そんな状況で多分大丈夫だろうと切った牌で何度も振り込んできた京太郎は頷くしかない。
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/27(水) 21:50:20.68 ID:LPQqCAV9o
まこ「わしはその経験が深いという、ただそれだけよ。似たような場況を見たことがあるから、対応できるだけよ」

京太郎「……」

まこ「ただそれだけ。華も無く、本物に出会ったら蹴散らされるだけの……」

俯く彼女は何を思うのか。
京太郎には、わからない。

京太郎「……」

だから彼女のお腹に当てていた左手で、そっと撫でることしかできなかった。

まこ「すまんの。場を悪くしたか」

わしは大丈夫じゃ、そんな笑顔。
つられて京太郎にも笑みが浮かぶ。

京太郎「いえ、驚きましたけど、嬉しくもあります」

まこ「うん?」

京太郎「弱音を吐いたところを初めて見ましたし。ね、新部長?」

いたずらっぽく笑いかける。

まこ「ふん。おんしが普段から弱音を吐き過ぎなだけじゃ」

京太郎「お恥ずかしい」

あはは……、と頬を掻く。
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/27(水) 21:50:56.78 ID:LPQqCAV9o
まこ「部長……か」

視線はベランダ。
前部長がよくいた場所だ。

京太郎「?」

まこ「今度の新人戦」

京太郎「秋の大会ですね」

まこ「わし個人としても勿論全力を尽くすつもりじゃが、部長としても某かを示せたら、そう思うんじゃ」

京太郎の左手を弄びながら呟くように心中を吐露する。

京太郎「……」

まこ「だがそれが何かがわからんでな」

綺麗な手だ。手タレにもなれるんじゃないだろうか。

京太郎「団体戦はないし、あっても人数が足りませんしね」

ふむふむと京太郎は頷く。

まこ「うむ。個人戦もあやつらは心配あるまい。油断はできんが決勝に全員が残ることも十分あり得る」

まこの脳裏に浮かんだ『全員』は、全国で目覚しい活躍を見せた後輩三人。

京太郎「ドキッ!清澄だらけの決勝戦!ポロリもあるよ」

一方、使い古された冗談を言う京太郎の脳裏に浮かんだ『全員』はまこを含めた四人。
それがわかって、まこは優しく微笑んだ。
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/27(水) 21:51:24.50 ID:LPQqCAV9o
まこ「ドアホ。じゃが、あやつらの足りないところを見つけ、伸ばしたのは前部長じゃ。あやつらの成長にわしは部長としてなにも貢献しとらん」

京太郎「……」

まこ「今となってはわしにできることはないじゃろ。これ以上の成長を望むならば、再び全国の魔物共とまみえるか、プロに揉まれるか……」

後輩が自分の手の届かない高みまで登っていく。

京太郎「……」

まこ「わしは……、何を示せるのじゃろうか」

誇らしさと、一抹の……。

そんなまこに京太郎は、力強く声をかける。

京太郎「ありますよ」

まこ「?」

京太郎「染谷先輩が部長として示せるもの」

まこ「ほう」

それはなんじゃと問うと、ぴっと右手の親指で自分を指し示しながら、

京太郎「俺ですよ」

声高に言い切った。
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/27(水) 21:51:53.21 ID:LPQqCAV9o
まこ「……」

京太郎「麻雀初心者で、前の大会では一回戦負け。その後は女子の全国大会のサポートとして各種雑用をこなしていたために指導を受けることはなく弱いまま……」

うんうんと頷きながら淀みなく語る京太郎。

まこ「……」

黙ったかと思うとがっくりと肩を落とす。

京太郎「自分で言って凹んできた」

まこ「よしよし」

肩越しに手を伸ばし、逆手で頭を撫でてやる。
くすんと言いながら撫でられるがままになる。

京太郎「ともかく、そんな俺が部長が変わって新体制になった途端に実力を伸ばして大会で大活躍!どうです?」

誇らしげな京太郎にゆっくりと否定の意を示す。

まこ「言いたいことはわかるがの。嫌じゃ」

京太郎「どうして?俺も麻雀部の一員ですよ?」

悲しそうな顔。

まこ「ああ、そういうことではないんじゃ」

言葉が悪かった。胸中で小さく反省する。

京太郎「じゃあ、どうして?」

まこ「……」

言い淀む。言葉を選んでいるわけではない。
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/27(水) 21:52:29.70 ID:LPQqCAV9o
京太郎「……」

まこ「……それだと、おんしを自分のための道具にしているみたいで、嫌なんじゃ」

ただ、口にするのが、恥ずかしかっただけ。

京太郎「抱きしめて良いですか?」

まこ「駄目じゃ」

まこには自分の顔が火照っているのがわかった。
京太郎にも伝わってしまっただろうか……。

京太郎「ちぇっ。……気にしないでくださいよ。部で一番弱いやつを集中的に指導して全体の底上げをすることはおかしな事じゃないですよね?俺も強くなれるし、染谷先輩のお役にも立てる。良いことずくめじゃないですか」

まこ「勿論、おんしの強化は課題の一つではあったがの……。そうまで言ってもらえるならば甘えるとしようかの」

彼の言い分は正当だ。

京太郎「ええ」

まこ「今度の部方針でおんしの強化を重要課題として挙げてみる。反対があったらそれまでじゃがな」

反対などあるわけがない。
皆、好意的に首肯してくれるはずだ。

京太郎「ええ」

京太郎にも、それはわかっている。
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/27(水) 21:53:06.57 ID:LPQqCAV9o
ふと意地悪な気持ちが湧き、いたずら気に、そのまま口にしてみる。

まこ「これで次の大会でおんしが一回戦で負けたならば、わしの部長としての適性が疑われるということになるんかのう」

京太郎「え」

まこ「ふふん。質の悪い冗談だったかの。ま、結果は気にせず全力を尽くしてくれるだけでええよ」

ニヤリと告げると、

京太郎「そのつもりですよ」

との力強い言葉が返ってきた。

まこ「それにしても皆遅いのう」

足をぶらぶらさせながら入口を見やる。
この時間が続くのは嬉しいが、そろそろ部活も始めたい。

京太郎「……」

京太郎は相槌を返さず、ぎゅっと手に力を込める。

まこ「ん?どうした?」

まこが顔を覗くと、いつになく真剣な表情の京太郎がそこにいた。

京太郎「大会まで俺は今までで一番、受験なんかよりもずっと努力すると思います。大会でも全力を出します」

まこ「うん」

少し言い澱むが続ける。

京太郎「それでも何もできずに負けたら、そう思うとちょっと怖いですね」
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/27(水) 21:53:33.32 ID:LPQqCAV9o
先程と打って変わって弱気な言葉。
弱気な笑み。
はぁっとわざとらしく大仰なため息は、まこから発せられた。

まこ「なにを言っとるか。おんしなど麻雀歴半年にも満たないペーペーじゃ」

右手をひらひらさせながらやれやれといった感じに告げる。

京太郎「……」

まこの言葉は続く。

まこ「今度の大会に出てくる者達の中で、最も経験も努力も少ない部類じゃぞ?負けて当然などとは言わん。じゃが、努力した者が勝つ世の中ならば、おんしは負ける」

京太郎が麻雀を始めてから続けた経験と努力。
それは認めるが、その量を比べるならば、京太郎よりも長く麻雀を始めた者の方がずっと多い。
そこを否定することだけは、麻雀歴を、経験と努力を武器にしているまこにはできなかった。

京太郎「辛辣ですね」

まこ「ああ。……さっきの冗談は悪かった。おんしはおんしの全力を尽くせばええ。それで負けても誰にも文句は言わせん」

京太郎「……」

まこ「おんしにはまだ先があるんじゃ。思い詰めるなよ」

京太郎はまだ一年。
彼のインターハイはあと二年あるのだ。
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/27(水) 21:54:00.07 ID:LPQqCAV9o
京太郎「そう……、ですね」

けれど、それはまこからの視点。

まこ「納得はいかんか?」

京太郎「いえ、大丈夫です。焦ってたみたいですね、俺」

京太郎にとって、まこと共に目指せるインターハイは、あと一年だけ。

まこ「うん」

聡いまこにも京太郎のその思いは伝わらなかった。

京太郎「才能があって、努力もしてて、強い皆に置いていかれそうで。置いていかれたら俺の居場所が無くなりそうで」

まこ「あやつらはそれほど狭量ではないよ。勿論、わしもな」

まこの笑顔。

京太郎「そうですね」

つられて京太郎も笑顔。
あと一年。どうなるかはわからないけれど、まこの笑顔は京太郎にこれまで以上の努力を決意させるに十分なものだった。

まこ「まあ、それでも負けて平気ではないじゃろ。泣きたくなったら胸くらい貸したるわ」

とんっと胸を叩く。

京太郎「じゃあ、その時はお言葉に甘えて」

まこ「おう」
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/27(水) 21:54:25.36 ID:LPQqCAV9o
京太郎「……」

まこ「……」

京太郎「……」

不思議な沈黙。

まこ「……今度はなんじゃ?」

まこの問いかけに堂々とした返答。

京太郎「前借りは有りですか?」

まこ「……」

何を……、

京太郎「胸の」

まこ「……」

言っとるんじゃ、こやつは……。

京太郎「……」

わしは、負けて泣いたらの話をしたんじゃぞ……。

まこ「前借りって、負けるのが前提になるじゃろうが……」

京太郎「いや、あれです、優勝しての嬉し泣きですよ」

うんうんと頷きながら。
こういう時にはよく回る口だ。
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/27(水) 21:54:51.42 ID:LPQqCAV9o
まこ「……」

ふと気づく。
京太郎の左肩につけている頭に伝わる彼の鼓動。

京太郎「……」

いつもより、ずっと速い。
彼なりに、目的はともかく、勇気を振り絞ったのだろう。

まこ「……まあ、ええじゃろ」

ため息と共に告げる。

京太郎「!」

京太郎にとって良い意味で裏切られた展開だ。

まこ「とりあえず膝から降りて向き合えばええかの」

京太郎「そうですね」

膝から降りたまこと向き合うように京太郎も椅子から立ち上がる。

まこ「さ、どんとこい」

手を広げて胸を張る。
その動作によって、後輩の一人とは比較にもならないが、少なからぬ膨らみのあるまこの胸が強調される。
ほんのりと紅い頬。
夕焼けにはまだ早い。
あの紅は、まこの恥じらいの色だ。
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/27(水) 21:55:18.12 ID:LPQqCAV9o
京太郎「では、失礼しまして」

京太郎はドキドキしながら手を伸ばす。
その手を止めたのはジト目になったまこの一言だった。

まこ「……待て」

京太郎「はい?」

まこ「そのワキワキさせた手はなんじゃ」

右手で指し示すと、京太郎は不思議そうに首を傾げる。

京太郎「え」

わざとらしい、疑問符。

まこ「普通胸を貸すと言ったら額を当てるとか、そんなんじゃろ」

京太郎「……」

まこ「揉みしだくつもりか」

ジト目のまま、指を眉間に突き付ける。
観念したのか、京太郎は肩をすくめると小さく舌を出した。

京太郎「……テヘ」

まこ「可愛くないわい」

デコピンを食らわす。
痛いと眉根をしかめるが、今日の彼はそんなことで引き下がるつもりはないようだった。
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/27(水) 21:55:46.04 ID:LPQqCAV9o
京太郎「では、改めまして」

いつになく真剣な面持ちで、すっと両手をまこの腰に添える。

まこ「……お、おう」

気圧されるまこ。

京太郎「……」

ゆっくりと京太郎の額が胸に近づいてくる。
その時、まこの耳は廊下に響く音を捉えた。

まこ「……待て」

額に手をやって制止する。

京太郎「なんです?」

耳を澄ますと、ドタドタと騒がしい足音が複数。

まこ「足音じゃ。走ってきとるの」

当てた手に力を込め、ていやっと京太郎を引き剥がす。

京太郎「え」

呆然とする京太郎を捨て置き、入口へと向き直る。
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/27(水) 21:57:59.40 ID:LPQqCAV9o
まこ「遅刻三人娘じゃろ」

京太郎「……」

まこ「部活の時間じゃ」

未だ呆然する京太郎に告げられる蜜月の終わり。
後輩の一人が犬と言うのも頷けるような、餌を食べる直前で待てを言いつけられた子犬のような表情。

京太郎「……」

おお、そうじゃった、とわざとらしく。

まこ「優勝して嬉し泣きじゃったな」

京太郎「……」

まこ「そん時までお預けじゃな」

――ムードを知らぬバカモンには良い薬じゃ。

京太郎「……」

ニヤリとした小悪魔的な笑顔に、京太郎は乾いた笑みを返すことしかできなかった。


終わり
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/27(水) 22:01:05.26 ID:+D+BekGxo
思っていたよりイチャイチャしていた件
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/27(水) 22:04:23.08 ID:F9amZc2IO
地の分付きだとこんな感じになるのか
もっと見たいなー(チラッ
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/27(水) 22:06:27.70 ID:LPQqCAV9o
需要があるかはわからなかったけど、地の文付も書いたので投下。
情報量は増えるけど、会話文だけのほうが想像の余地があって面白いと思うんだ。
今回のは自分で読み比べてみて、会話文Ver.の方が好みだった。
会話文Ver.は先輩後輩の会話に見せかけて……、だけど、
地の文Ver.は単なるバカップルだしね。
本当、死ねばいいのに。
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/27(水) 22:10:51.16 ID:Y03E1ag+0
結構破壊力高くてやばい
まこニキ最高や
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/27(水) 22:24:35.36 ID:oFpAuq0Jo
乙です

京太郎を気遣うぐう聖まこ先輩とキンクリ畜生ワカメは別人。そもそもキンクリをしたリッツさんサイドに問題があるのではないか
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/27(水) 23:03:34.14 ID:WjVLYS3K0
あ^?、京マコ最高なんじゃ
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/28(木) 00:25:40.48 ID:gVFH51mmo
まこが可愛いと思った(小学生並の感想)
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/28(木) 10:11:26.68 ID:NLOcQXCBo
僕は、本年度のベスト まこニスト賞を目指す。
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/28(木) 10:12:10.06 ID:NLOcQXCBo
僕は染谷先輩に近づくと、おもむろにスカートを捲り上げた。

「……何をしとるんじゃ」

僕は叫ぶ。
最近の盗撮報道にはうんざりなんです!
どうして好きでもない女性のパンツを、こそこそと覗き見て、あまつさえ写真に収めたりするんですか?
僕は!好きな女性のパンツを!堂々と!記憶に、心に刻み付ける!

染谷先輩から与えられるものならば、両手に刺された千点棒の痛みすら愛おしい。
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/28(木) 10:12:54.93 ID:NLOcQXCBo
僕は染先輩に近づくと、おもむろに胸を揉んだ。
一揉み毎に手の甲に五千点棒が突き刺されていくが、僕は構わずに揉み続けた。
僕の手が剣山の様になった時、ついには動かなくなった。
僕は痛みよりも、染谷先輩の胸を揉めなくなったことに絶望し、そっと涙を流した。
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/28(木) 10:14:15.46 ID:NLOcQXCBo
僕がどれほど染谷先輩を愛しているか、その半分でも良い。
染谷先輩に伝えたい。

イイコトオモイツイタ!

僕は対局中の染谷先輩の前に飛び出すと、一糸纏わぬ姿になり自分のナニを指し示す。
見てください!これが僕の染谷先輩への愛の大きさです!
染谷先輩はこちらを一瞥すると、真顔のまま言い放った。

「なんじゃ、おんしのわしへの愛はその程度か」

違うんです、違うんです!
染谷先輩への愛はこんなもんじゃないんです!
僕はそう叫ぶとナニを天へと届けと引っ張った。
引っ張って、引っ張って、引っ張り続けると、ついにはブツリとちぎれて取れた。
薄れ行く意識の中、染谷先輩のゴミを見るような視線を全身に浴び、僕は幸せの頂へと達した。
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/28(木) 10:15:07.67 ID:NLOcQXCBo
僕は染谷先輩の前に立つと、両手を合わせ、深々と頭を下げた。
お願いします、お願いします、何も聞かずに僕のお願いを一つ叶えてください、お願いします。
土下座しかねない僕の勢いに染谷先輩は困惑する。

「とりあえず、そのお願いとやらを言うてみい?」

天使のような笑顔。
焦ってはいけない。
僕は誤解のないように一字ずつ区切ってゆっくりと伝える。
染谷先輩のおま……
そこまで言ったところで僕の口は一万点棒で縫い付けられた。
何と勘違いしたのだろうか。
耳年増な染谷先輩も可愛い。
僕は渡せなかった安産祈願の御守を鞄にしまい、帰路へとついた。
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/28(木) 10:15:38.80 ID:NLOcQXCBo
対局中の染谷先輩へ近づくと、僕は叫ぶ。
染谷先輩からの愛の囁きを聞くことができないのなら、僕はこんな耳なんていらない!

僕は聴覚を失った。
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/28(木) 10:16:24.14 ID:NLOcQXCBo
二月十四日、僕は女子から貰ったチョコが入った紙袋を手に部室へ向かう。
部室へ入ると、中にいるのは染谷先輩だけだった。

「そりゃあ、全部チョコか?」

染谷先輩は驚きに目を丸くしながら僕の手にある紙袋を指差す。
ええ、持ち切れないんで紙袋に入れてもらいました。
ひょいっと肩をすくめる。

「まあ、おんしは顔はええからのう」

でも、一番好きな人から貰えなかったら意味ないですよ。
僕の言葉に染谷先輩は何か言いたそうにもごもごと口を動かしたが、結局は何も言わずにため息が漏れただけであった。
無言のまま染谷先輩は鞄を漁ると、可愛いラッピングがされた小箱を投げてよこした。

「ぎ、義理じゃぞ?部活の先輩後輩じゃしの……」

そう言う染谷先輩の頬は、季節外れの桜に彩られている。
受け取った僕はというと、あまりの事態に思考が停止し、裏返った声で、家宝にしますと叫んだのみであった。

僕はこの特別なチョコを他のチョコと一緒になんてしたくなかったし、絶対に失くしたりもしたくなかった。

イイコトオモイツイタ!

僕はズボンごとパンツをずり下ろすと、ナニと下腹部の間にチョコを挟み、満足そうに一つ頷いた後、パンツとズボンを履き直した。
これでよし。
笑顔で染谷先輩を見ると、染谷先輩は顔を歪めて涙を流していた。
そして、そのまま何も言わずに部室から走り去ってしまった。

僕は悪くない。
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/28(木) 11:15:38.85 ID:NLOcQXCBo
対局中の染谷先輩へ近づくと、僕は叫ぶ。
染谷先輩を見つめることが許されぬのなら、僕はこんな目なんていらない!

僕は視覚を失った。
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/28(木) 11:17:01.37 ID:NLOcQXCBo
色褪せた世界の中で、唯一美しき色を保ち続けるこの桜。
綺麗ですね。
傍らに佇む染谷先輩はにこりと笑う。
白と黒の世界。
映える薄紅色。
知っていますか?
美しく咲く桜の木の下には人間の死体が埋まっているんだそうです。
人間の死体が、桜をより美しく咲かせるのだそうですよ。
傍らに佇む染谷先輩はにこりと笑う。
僕は懐から抜き身の短刀を取り出す。
本来であれば銀に輝くその刀身も、この世界にあってはただの白と黒であった。
切先を左胸へと向ける。
軽く触れさせるとそれだけで皮は裂け、黒い血が流れていった。
怖くはなかった。
傍らに佇む染谷先輩はにこりと笑う。
僕もにこりと笑う。
倒れ伏した僕は、永久に染谷先輩と共に在れることを願い、この世界に別れを告げた。
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/28(木) 12:40:18.15 ID:mZp6zSeXo
イイハナシダナー
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/28(木) 13:30:57.85 ID:ZMKCvzee0
これは俺ですねぇ・・・間違いない(確信)
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/28(木) 13:37:40.69 ID:nrdlLhpso
まこがま○こに見えてエロい
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/28(木) 14:03:56.81 ID:eMjn1JGco
まこさんマジぐう聖
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/28(木) 14:45:28.47 ID:tLvqzfWAO
>>1なのかそうでないのか判断がつかん
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/28(木) 15:01:03.07 ID:WSKQQYWoo
いきなり変態向けに…
74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/28(木) 15:11:16.48 ID:NLOcQXCBo
全部、僕。
清濁入り混じったまこ愛は誰にも止められない。
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/28(木) 15:13:04.10 ID:NLOcQXCBo
まこ「京太郎だけか」

京太郎「ええ」

まこ「ネト麻か?」

京太郎「いつも以上に絶不調ですよ」

まこ「どれどれ」

京太郎「4444444444の10連続4位です。……そしてこれが11戦目です」

まこ「……棒点即リー全ツッパの初心者でも10回に1回くらいは1位になるぞ」

京太郎「もう何をしても裏目ですよ」

まこ「麻雀を打っていればそういうこともあるわい」

京太郎「そうなのかも知れませんけどね」

まこ「まあ、そういう話はあとじゃ。対局に集中しんしゃい」

京太郎「おっす」

まこ「お茶いるか?」

京太郎「あ、すみません。いただきます」
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/28(木) 15:14:08.38 ID:NLOcQXCBo
まこ「……」

京太郎「……」

まこ「……」

京太郎「……」

まこ「……」

京太郎「ぐあ……」

まこ「親被りで4位転落か……」

京太郎「ぐぬぬ……、もう一戦」

まこ「もうやめとき」

京太郎「何で勝てないんだー」

まこ「おんし、負けが続いて何か原因があると思ったじゃろ」

京太郎「ええ」

まこ「それは間違ってはおらんのじゃがの」

京太郎「じゃあ何が駄目だったんですか?」
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/28(木) 15:14:55.57 ID:NLOcQXCBo
まこ「何か原因があるから、打ち方を変えてみよう」

京太郎「……」

まこ「図星か」

京太郎「ええ、まあ」

まこ「それが間違いなんじゃよ。おんしの打ち方はデジタル寄りじゃけえ、打ち方を変えるんとは相性が悪いわ」

京太郎「デジタルは効率を最重視しますからね。効率的な打ち方を変えちゃったらそりゃ非効率にもなりますね」

まこ「一流どころは状況に応じて最も効率が良い打ち方を変えることができるがの。おんしはそこまでいっとらん」

京太郎「そこまでの実力が身につけられたらいいんですけどね」
78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/28(木) 15:15:35.20 ID:NLOcQXCBo
まこ「それとな、おんし1位を狙っておったろ」

京太郎「そりゃもちろんそうですけど」

まこ「今回の負けが込んだ原因じゃがの。単純に相手が好調で、おんしが不調だっただけよ」

京太郎「はあ」

まこ「納得がいかん顔をしとるのう」

京太郎「いや、だって、ねえ?」

まこ「ええか?4人の状態が、絶好調、好調、不調、絶不調じゃったとする。おんしがしとったんは絶不調の者が絶好調の者に勝とうと、そういうことじゃ」

京太郎「……」

まこ「絶不調の者が絶好調の者に正面からぶつかったとするじゃろ。どうなる?」

京太郎「そりゃ負けますね」
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/28(木) 15:16:09.25 ID:NLOcQXCBo
まこ「ほうじゃろ。じゃが、絶不調の者が不調の者にぶつかったとしたら?」

京太郎「ああ、さっきよりもずっと勝てる可能性が高いですね」

まこ「単純に言えばそういうことじゃ。おんしは4位を脱出するために1位を目指しとった。それが間違いじゃ。まずは3位を狙えばよかったんじゃよ」

京太郎「ふむ」

まこ「勿論、大会などで1位抜け条件であればそんなことも言ってられんがの」

京太郎「今回のはそうじゃないですしね」

まこ「3位になれたんなら次は2位じゃ。好調の者が絶好調の者に挑んでおれば隙ができる。その隙を突けば2位も狙えるわ」
80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/28(木) 15:16:49.60 ID:NLOcQXCBo
京太郎「なるほど。2位になれたなら次は1位ってことですね」

まこ「そうじゃと言いたいところじゃがのう。なんとも言えんな」

京太郎「どうしてです?」

まこ「結局、麻雀は運が絡むゲームじゃき、ほんに調子が良い者はどうしようもないわい」

京太郎「鶴賀のあの人とかですか」

まこ「ぐぬぬ……」

京太郎「本当に相性悪いですよね」

まこ「あやつは天敵じゃ」

京太郎「まあ、染谷先輩も来たし、終わっておきますよ」

まこ「ほうか」
81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/28(木) 15:17:29.75 ID:NLOcQXCBo
京太郎「あの三人から連絡ありました?」

まこ「いんや、わしの方には何もきとらん」

京太郎「こちらも同じく、です」

まこ「ほうか」

京太郎「ええ」

まこ「……」

京太郎「……」

まこ「……」

京太郎「そういえば」

まこ「あん?」
82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/28(木) 15:18:01.88 ID:NLOcQXCBo
京太郎「染谷先輩の家って雀荘なんですよね」

まこ「そうじゃよ」

京太郎「……メイド雀荘」

まこ「まあ、の」

京太郎「先輩も着るんですか?」

まこ「……」

京太郎「メイド服」

まこ「……」

京太郎「着るんですね」

まこ「……」
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/28(木) 15:18:32.49 ID:NLOcQXCBo
京太郎「今度の日曜、家の手伝いでしたね」

まこ「……」

京太郎「遊びに行きますね」

まこ「はあ、……ええよ」

京太郎「やった」

まこ「ただし、わしはバイト中じゃ。来るなら客としてじゃぞ。幸いうちはレートが乗ってない健全な雀荘じゃき、高校生でも打てるわ」

京太郎「わかってますって」

まこ「ほうか」
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/28(木) 15:19:16.05 ID:NLOcQXCBo
京太郎「お土産いります?」

まこ「いらんわ。雀荘に何しに来るつもりじゃ」

京太郎「スーツで行ったほうがいいですかね?」

まこ「いらんわ。じゃからおんしは何しに来るつもりなんじゃ」

京太郎「なはは」

まこ「まあ、おんしにはちょうどええかもしれんの。おんしはわしら以外と打ち慣れておらんし」
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/28(木) 15:19:48.51 ID:NLOcQXCBo
京太郎「そうなんですよね。何気に俺って部活仲間の家に行くの初めてなんですよ」

まこ「話がつながっとらんわ。……ほうなんか、幼馴染言うからてっきり」

京太郎「中学からですしね。家の前まで送ったことはありますけど、部屋までは」

まこ「待て待て待て」

京太郎「まあ、多分本だらけで面白くなかっただろし、どうでも良いんですけど」

まこ「待てっちゅうとろうが」

京太郎「?」

まこ「はて、じゃないわ。おんしが入るのは店のところじゃぞ?部屋にはあげんぞ?」

京太郎「……」
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/28(木) 15:20:28.31 ID:NLOcQXCBo
まこ「この世の終わりみたいな顔するでないわ。そもそも客として雀荘に来るのになんでわしの部屋まで入るんじゃ」

京太郎「だって、俺の初めては染谷先輩に捧げたいですし」

まこ「気色悪い言い方すな」

京太郎「痛い……」

まこ「そもそもわしはバイト中じゃ。店から離れるわけにはいかん」

京太郎「一日中ってわけじゃないんでしょう?」

まこ「本当なら午前中だけじゃったんじゃがの。一人来れなくなって午後もなんじゃ」

京太郎「えー……」

まこ「じゃから諦めい」
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/28(木) 15:20:59.11 ID:NLOcQXCBo
京太郎「いいこと考えた」

まこ「却下じゃ」

京太郎「なんで!?」

まこ「どうせ碌なことじゃないき、却下じゃ」

京太郎「せめて聞いて!」

まこ「……言うてみい」

京太郎「染谷先輩が店番し」

まこ「却下じゃ」

京太郎「最後まで聞いて!?」

まこ「聞くまでもなく碌でもないわ」

京太郎「ちぇっ」

まこ「まったく……」
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/28(木) 15:22:52.12 ID:NLOcQXCBo
京太郎「……」

まこ「……」

京太郎「……」

まこ「何時から来るつもりなんじゃ」

京太郎「朝一から」

まこ「……やはりか。やめとき。来るなら夕方からじゃ」

京太郎「えー」

まこ「えー、じゃないわい」

京太郎「どうして夕方からなんです?」

まこ「……」

京太郎「……」
89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/28(木) 15:23:24.83 ID:NLOcQXCBo
まこ「夕方からなら……」

京太郎「……」

まこ「ひょっとしたら晩御飯が一緒に食べられるかもしれんじゃろ……」

京太郎「……」

まこ「……」

京太郎「夕方から、行きますね」

まこ「……おう」
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/28(木) 15:24:03.91 ID:NLOcQXCBo
京太郎「……」

まこ「……」

京太郎「……」

まこ「……」

京太郎「足音」

まこ「うむ、来たようじゃの」

京太郎「……」

まこ「……」

京太郎「今日もがんばりますか」

まこ「おう」


終わり
91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/28(木) 15:26:56.43 ID:NLOcQXCBo
誰にも止められないはずの僕のまこ愛を止めたのは社会そのものであった。
真面目に仕事しろ!仰るとおりで御座います。
僕はその言葉には逆らわない。
賢しい大人だからね。
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/28(木) 15:31:57.50 ID:TdBGcNcqo
まこ愛を止めるつもりはないっつーかむしろもっとやれ的な気持ちだが
それはそれとしてトリップ付けた方がわかりやすいよね、という話じゃね?
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/28(木) 15:35:49.26 ID:H7e8sflIO
>>1酉をつけよう!
誰のあなたのまこ愛は止められない
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/28(木) 15:45:23.61 ID:+/AMh0b10
>>1は明らかに変態だが書くまこさんはかわいい
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/28(木) 15:52:41.50 ID:ZMKCvzee0
さっぱり系乙女まこさんかわいい
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/28(木) 16:55:56.94 ID:tLvqzfWAO
先の奴もマジで>>1だったのかwww

その愛は是非止めずに突っ走って下さい
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/28(木) 17:55:04.83 ID:VOgsDk2I0
>>1さん! 酉をつけよう!
98 : ◆nWvtlcp.cc [saga]:2013/02/28(木) 18:50:09.94 ID:NLOcQXCBo
仕事中に投下してたら見つかって怒られたんだ。
読まれなかったのが幸いだった。
社会的に死ぬところだったよ。

酉付けたけど、染谷まこ激ラブじゃないから試さないでね。
絶対だよ。
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/28(木) 19:09:52.58 ID:gVFH51mmo
自分はまこ好きだと思っていたが、どうやらこの>>1には勝てそうもない
100 : ◆nWvtlcp.cc [saga]:2013/02/28(木) 21:18:58.00 ID:7Mi9UDK+o
恐るべきは染谷まこを愛する僕の変態性である。
変態だから、染谷まこを愛するのか。
染谷まこを愛するから、変態なのか。
しかして真に恐るべきは、変態純愛全てを許容し、受け入れることができる染谷まこ、その人である。
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/02/28(木) 21:19:28.80 ID:7Mi9UDK+o
僕は叫ぶ。
悔しいんです、悔しいんです、染谷先輩はこんなにも可愛いのに、こんなにも努力しているのに、こんなにも一所懸命なのに!
認められないのが、悔しいんです!
僕はうずくまり、拳を地面叩きつけながらぽろぽろと涙をこぼした。

「ええんじゃ」

そんなぼくに染谷先輩は微笑みかける。

「わしは皆に認められんでもええ。おんしさえ、わかってくれておるなら、それでええんじゃ」

染谷先輩はそう言うと、ふっと両腕を広げる。
僕は縋るようにその腕の中へと飛び込んだ。
染谷先輩、染谷先輩、染谷先輩!
優しく抱かれ、ぽろぽろと涙をこぼしながら、叫び続ける。
染谷先輩、染谷先輩、染谷先輩!

目を覚ますと部室の仮眠用布団の上であった。
ずきりと全身が痛む。
日課である染谷先輩への愛の叫びをしていたら、皆にぼこぼこにされたんだった。
頬に手をやると濡れている。
夢を見ていた。
悲しい夢だったのか、嬉しい夢だったのか、今となっては覚えていない。
体を起こすと誰かの上着がかけられていたことに気付いた。
丁寧にたたんでテーブルの上に置く。
鞄からペンと紙を取り出し、ありがとうとだけ書いて上着にのせた。
ずきずきと痛む後頭部をさすりながら、僕はふらつく足取りで家路についた。
102 : ◆nWvtlcp.cc [saga]:2013/02/28(木) 21:20:05.48 ID:7Mi9UDK+o
僕は頭を抱える。
どうしたら僕の染谷先輩への思いが一欠片でも伝わるのだろう。
悩んで、悩み抜いて、思い至る。

イイコトオモイツイタ!

僕は校庭に出ると文化祭用の資材を使って、巨大なキャンプファイヤーを組み上げた。
躊躇なく火をつけると、服を脱ぎ捨て、一糸纏わぬ姿になる。
荒々しく踊り狂い、火の周りをぐるぐると動きながら、染谷先輩への愛を高らかに叫び、一枚ずつ服を火にくべていく。
崇め、崇め、奉れ、奉れ、染谷先輩を、この地に降り立った女神を!

ふと気付くと遠くから近づくサイレンの音。
畜生、僕と染谷先輩を引き離す悪魔が来やがった!
僕は一糸纏わぬ姿のまま校門を飛び越え、走る。
どこまでも走り抜くんだ。
どこででも愛を叫ぶんだ。
僕は、風になった。
103 : ◆nWvtlcp.cc [saga]:2013/02/28(木) 21:20:31.88 ID:7Mi9UDK+o
染谷先輩は尽くすタイプだと確信した僕は、お願いしてみることにした。
お願いします、お願いします、何とか僕に尽くしていただくことはできないでしょうか、なにとぞ、なにとぞ、なにとぞ、なにとぞ。
あまりのしつこさに堪忍袋の緒が切れた染谷先輩は、僕に罵詈讒言の限りを尽くした。
思いもよらぬ、まさに僥倖と言うべき展開に、僕は幸せの頂へと達した。
それに気づいた染谷先輩は、さらに激しく僕を罵った。
僕は結局、都合三度幸せの頂へと達した。

僕は悪くない。
104 : ◆nWvtlcp.cc [saga]:2013/02/28(木) 21:21:02.90 ID:7Mi9UDK+o
備品である麻雀セットから、一万点棒が一本紛失したらしい。
他の部員と共に、染谷先輩も一所懸命に探しているが見つからないようだ。
なんとか染谷先輩の力になりたい!
その思いで、必死に考えて、考えて、閃く。

イイコトオモイツイタ!

僕は染谷先輩の前に飛び出すと、一糸纏わぬ姿になり、染谷先輩への愛ではち切れんばかりの自分のナニを指し示す。
ここにあります!お探しの一万点棒はここにあります!
染谷先輩はこちらを一瞥すると、真顔のまま言い放った。

「それは一点棒じゃろう」

違うんです、違うんです!
今から一万点棒になるんです!
僕はそう叫ぶとナニを天へ届けと引っ張った。
引っ張って、引っ張って、引っ張り続けると、ついにはブツリとちぎれて取れた。
薄れ行く意識の中、染谷先輩のゴミを見るような視線を全身に浴び、僕は幸せの頂へと達した。
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sagesaga]:2013/02/28(木) 21:34:32.87 ID:iuSI+IMj0
どうあがいてもこの人には勝てない、そう思った(小波)
106 : ◆nWvtlcp.cc [saga]:2013/02/28(木) 21:38:43.65 ID:7Mi9UDK+o
いつものベンチに腰掛ける。
僕が彼女の秘密を知ったのは三日前。
それでも僕は彼女の友人であり続けた。
染谷まこ。
今、彼女は僕の隣にいる。

僕が彼女の秘密を知ったのはちょっとしたことからで、それを知っても態度に変わりない僕に彼女は興味を抱いたようだ。

「おんしはわしから離れていったりはせんのか?」

うん。

「ほうか」

それから一ヶ月もした頃、僕は彼女から頼み事をされた。
彼氏の振りをしてくれ、と。
彼女はその外見から、非常に、男性に好意を持たれやすかった。
そういった輩を振り払うのにも疲れたのだろう。
僕は快諾した。

僕が彼女の仮初の彼氏となって、二ヶ月が過ぎようとする頃、学内に口にするのも憚られるような彼女の噂が広まった。

「すまんのう、ゆるしてくれ」

僕が噂に巻き込まれたことに罪悪感を覚えた彼女は、本当に申し訳なさそうな顔をしていた。
気にするなとだけ伝えて、僕は彼女の隣にい続けた。

僕が彼女に謝罪された日から三ヶ月が過ぎた頃、彼女は姿を消した。
僕に届いたメールは一言だけ。

「すまんかった」

電話をしてみるが、繋がらない。
アドレスは変えられており、メールはむなしく戻ってくるだけであった。
彼女の下宿先は引き払われており、学校にもすでに籍はなかった。

いつものベンチに腰掛ける。
僕が彼女の秘密を知ったのは半年前。
それでも僕は彼女の友人であり続けた。
染谷まこ。
今、彼女は僕の隣にはいない。
目を瞑ると彼女の姿が浮かぶ。
染谷まこ。
僕の愛しい人。
107 : ◆nWvtlcp.cc [saga]:2013/02/28(木) 22:21:08.42 ID:7Mi9UDK+o
上は緑、真ん中は水色、下も水色、その中は白、これなーんだ。
最初は取り合ってくれなかった染谷先輩も、127回目の問いかけでようやく放っておいたほうが鬱陶しいという事実に気づいたようで、なんじゃろうなと考え出した。
しばらく悩んでも答えは出なかったようだ。

「降参じゃ」

残念、答えは染谷先輩でした!

「……どうしてその謎々の答えがわしになるんじゃ」

上は緑、これは先輩の髪の色。
真ん中は水色、これは先輩のブラの色。
下も水色、これは先輩のパンツの色。
今日は上下セットの下着なんですね。

「……とりあえず下着の色を知っていることはあとで詰問することにしてじゃな。その中は白ってなんじゃ」

ほら、白って麻雀で白板ですよね。
だから先輩のパイ、痛いですよ、暴力は反対です。

「喧しい!ちゃんと生えとるわ!」

そう叫んだ染谷先輩は、勢いに任せて自分が何を叫んでしまったかを理解して、顔を真っ赤に染め上げて部室から走り去っていった。

僕は悪くない。
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/28(木) 22:28:18.32 ID:C7o36EXxo
>>107
これやばい
めっちゃかわいい
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/02/28(木) 22:48:57.73 ID:gAyLhPBwO
>>107
やばい頭おかしい(褒め言葉)
110 : ◆nWvtlcp.cc [saga]:2013/02/28(木) 23:58:56.14 ID:7Mi9UDK+o
僕は投下した時には>>65を超えるものは今日は出ないと思っていたんだけど、最後に>>107が持っていった。
111 : ◆nWvtlcp.cc [saga]:2013/03/01(金) 00:23:53.01 ID:ke3ca6X1o
僕が書生としてこの地に来てから、半年が過ぎた。
始めの頃は勉学に勤しむ事こそ我が本分とばかりに勉強していたが、気の合う学友が増えるにつれ、そんな気持ちは何処かへ飛び去ってしまった。
僕達の間で流行っているのは麻雀という、簡単に言えば絵合わせげえむなのだが、これが中々に奥が深い。
その深みに皆嵌ってしまい、麻雀は夜を徹して行われることも珍しくなかった。
さて、そんな僕達であるが書生という立場上、麻雀をしている姿ばかりを家主様に見せる訳にはいかない。
持ち回りで実施していたが、どうにもこうにも開催が難しくなった辺りで、雀荘へ行かないかとの提案が発せられた。
以前から興味はあったが金銭的な面で尻込みしていたのだ。
お金がかかるんじゃないか?
いやいや、そこは学生にも良心的な設定でな、四人組で行けば場代以外はかからんのよ。
であればと、早速その足で雀荘へと向かうこととなった。
ところで、その店の名はなんというんだい?
ええと、確か、天の頂、だったかな。
112 : ◆nWvtlcp.cc [saga]:2013/03/01(金) 00:24:22.97 ID:ke3ca6X1o
店名が書かれた看板。
天の頂と読める。
ここが目的の雀荘であるようだ。
思っていたよりも、もだんな佇まいに尻込みしたが、意を決して入店する。

「いらっしゃいませ」

店員から声がかかる。
ああ、すみません、四人で場を借りたいの……です……が……。
僕の言葉はしりすぼみに消えていく。
視線は店員へと固定されて動かない。
洋装で白いふりるは、噂に聞くどれすかとも思ったが、だんすに用いるにしてはずっと落ち着いている。
黒を主体にところどころにあしらわれた白いふりる、裾の長いすかあとはふんわりと広がっている。

「この服ですか?」

僕の反応は珍しいものではなかったようで、彼女は慣れた様子であった。

「これはめいど服と言うのですよ。西洋の女中さんの制服だそうです」

幾分照れたような彼女の笑顔に僕は目眩を覚える思いであった。
お名前は、そんな気の利いた言葉が出てくるはずもなく、盗み見るように胸元を覗くと、そこには染谷との刺繍が施されていた。
113 : ◆nWvtlcp.cc [saga]:2013/03/01(金) 00:25:19.16 ID:ke3ca6X1o
「では、簡単に当店のご利用方法をご説明いたしますね」

簡単に説明を受け、卓についたが、気もそぞろ。
そんな状態でまともに麻雀ができるわけもなく、その日は僕の一人負けとなった。

なるほど、噂になるだけあって書生の懐にも優しい値段設定で、毎日毎夜とはいかないが、頻繁に足を向けれるものであった。
となれば僕達は足繁く通い、彼女に見惚れながら麻雀を打つ僕が負け続けるという日常ができあがった。

「麻雀、あまりお強くないのですか?」

僕達の間では負けた者がゲーム代を持つという取決めができており、となれば当然負け続けている僕が精算の担当となる。
常連となっていた僕達のその取決めはすでに彼女の知るところとなっており、毎日精算をする僕を見かねてそう声をかけたのであろう。
いえ、あの、弱くはないと思うんですが、今は調子が悪いというか……、いえ、やっぱり弱いんでしょうね、すみません。
しどろもどろな僕に彼女は少し驚いた様子を見せたあと、くすくすと笑い出した。
透明な鈴音のような、綺麗な笑顔であった。

「よろしければ、お手伝いいたしましょうか?」

彼女のその提案に、僕は一も二もなく飛びついた。
是非、お願いします。
勢い余って差し出してしまった手を、引っ込めようかと逡巡していると、彼女はすっと僕の手をとった。

「染谷まこと申します。よろしくお願いしますね」
114 : ◆nWvtlcp.cc [saga]:2013/03/01(金) 00:25:51.09 ID:ke3ca6X1o
彼女に教えてもらえるようになってから、僕の一人負けはなくなった。
それも当然のことで、彼女を探して視線を彷徨わせ、卓上に集中できないということがなくなったのだ。
なにせ、彼女はきちんと指導できるようにと、暇を見つけては僕の側に来てくれる。
勿論、そればかりではなく、彼女の教え方は非常にうまく、僕がどんどんと上達していったということもある。
打ち手としてもかなりの腕前なのではなかろうか。

彼女といえば、郷里は遠く広島なのだそうだ。
国訛りが抜けぬらしく、標準語で話そうと努めてはいるものの、ふとした拍子に出てくるそうな。
国訛りが出ると慌てて標準語で言い直す彼女は可愛らしく、それを指摘したときに、ぷくりと頬を膨らませ拗ねる素振りを見せる様などは、もはや筆舌に尽くし難い。

彼女の指導を受けるようになり、半年が過ぎようという頃、僕はある決心をした。
彼女を店の外へ誘おうと、はいからに言うのであれば、でえとに誘おうというのである。
これまで異性を誘った経験などなく途方に暮れた僕は、すっかり僕の恋心を知るところとなっていた友人達に助言を求めてみたのだが、誰もがそういった経験はないとのことであった。
当たって砕けろとの皆の囃子に煽られ、勢いに乗って天の頂へと来てみたものの、彼女を前に、ええとあのそのなんでもないですを繰り返す置物と化した次第であった。
そんな僕を彼女は苦笑しながら見守っていたのだが、閉店が迫ろうというときに僕のところへ来ると、ほんのりと頬を染め、こう尋ねたのだ。

「あの、明日、お時間ありますか?」

まったくもって不甲斐なくも、初でえとの約束を取り付けた僕は、お洒落したくもどうしたら良いか皆目見当もつかず、結局入念に寝癖を直しただけで待ち合わせ場所へと向かった。
115 : ◆nWvtlcp.cc [saga]:2013/03/01(金) 00:27:08.14 ID:ke3ca6X1o
彼女はめいど服は着ておらず、小奇麗な和装となっていた。
尋ねてみると、あれはお店のお洋服ですからところころ笑った。

「似合いませんか?」

滅相もない。
慌てふためき、その装いが十二分に彼女に似合っていることを言葉を尽くして伝えると、彼女はまたころころと笑った。
最近できたという洋風の茶屋で軽く腹ごしらえをし、ふらりふらりと街を歩く。
いくつかの店を冷やかし、評判の庭園を散策していると、雲に朱が混じり始めた。
もう夕暮れも近い。

「お話があります」

天の頂にて下宿している彼女を送り届ける帰り道、彼女は深刻そうな面持ちとなっていた。
116 : ◆nWvtlcp.cc [saga]:2013/03/01(金) 00:27:39.48 ID:ke3ca6X1o
「私、近日中に実家へ帰るんですよ」

そう、なんですか。
彼女が今日僕を誘ってくれたのは、この話のためだったのだろう。

「もともと、そういう約束だったんです」

実家に戻って、何を?

「特に何をというわけではないのですよ。でも、いずれ親が決めた相手へと、……嫁ぐことになるのでしょうね」

どくんと心臓が跳ね上がる。
彼女が、誰かの元へ。
鼓動は際限なく速く強くなり、耳に痛いほどだ。
そう、なんですか。
下手な相槌を打つだけで、気の利いたことが言えない自分が今は恨めしい。
彼女はそれ以上何も言わなかった。
きっと僕の言葉を待っているのだ。
でも、僕は何も言葉にできなくて、ただ黙って彼女の少し後ろを歩くだけ。
そのまま沈黙に満ちた帰路を続け、天の頂の目の前まで来ても、僕は何も言えなかった。

「ここまでで、結構です」

そう言った彼女は、それではまた、とゆっくり歩いていった。
天の頂へと入る直前、彼女はくるりとこちらへ向き直り、寂しげな笑顔を見せた。

「わし、おんしのことが好きじゃったわ」

その言葉を残し、彼女はそのまま店の中へと消えていった。
117 : ◆nWvtlcp.cc [saga]:2013/03/01(金) 00:28:09.81 ID:ke3ca6X1o
後日、友人達と天の頂へと足を運んだが、すでに彼女は郷里へと旅立っていた。

僕は彼女を思い出す。
最後に見せたあの寂しげな笑顔は、きっと僕の心を見抜いたからなのだ。
僕は彼女がどこぞへと嫁ぐと言ったあの時に、言うべきだったのだ。
あなたが好きですと、僕と一緒になりましょうと。
だが、僕は、書生である自分を考えてしまった。
書生として勉学を収め、いずれは学問で身を立てる未来と、彼女に手を差し伸べる今を比べたのだ。

彼女が最後に国訛りで、なんら飾ることなく僕に告げた最後の言葉、その心中を思うと、僕は何かに押しつぶされそうになりうずくまった。
だが、あの時、彼女に何を置いても手を差し伸べることができなかった僕には、彼女を失って泣く権利などない。
彼女が幸せであるよう、祈るだけ。
僕に許されるのは、ただそれだけなのだ。
118 : ◆nWvtlcp.cc [saga]:2013/03/01(金) 00:58:20.55 ID:ke3ca6X1o
僕はひょっとして染谷先輩に好かれてはいないんじゃないかという衝撃の事実を思い立ち、いてもたってもいられなくなって、ベランダで日向ぼっこをする染谷先輩のもとへ向かった。
染谷先輩、染谷先輩、染谷先輩!
染谷先輩は僕のこと好きですか?

僕の問いかけに、染谷先輩はあんぐりと口を開ける。

「今までのおんしの所業を思いだせい」

それが染谷先輩の答えのようであった。
染谷先輩、染谷先輩、染谷先輩、僕は染谷先輩のことが好きで好きで全てを理解したいと思ってはいますけど、基本的に馬鹿なので簡潔に言ってもらわないと何も理解できません。
僕の言葉で頭を抱えた染谷先輩は、難しい顔にり、

「好きではないわ」

そう告げた。
僕はその言葉で雷に打たれたように、びくりと身を一つ震わせると、そのまま動けなくなった。
ただ、ぽろぽろと涙をこぼし続けた。
僕のただならぬ様子にぎょっとした染谷先輩は、難しい顔にさらに苦虫を噛み潰した顔をブレンドしたかのような不思議な表情を見せた。

「好きではないが、……まあ、嫌いでもないわ」

その言葉で僕の体は全てから解き放たれた。
染谷先輩、染谷先輩、染谷先輩!
叫びながら染谷先輩の胸めがけて飛びつくと、染谷先輩は、うわっと一言発し、僕を避けた。
僕はそのまま、ベランダから地面まで落ちることとなり、結果、入院した。
僕の病室には、僕のことを嫌いではない染谷先輩が数日に一回の頻度でお見舞いに来てくれる。

僕は幸せだ。
119 : ◆nWvtlcp.cc [saga]:2013/03/01(金) 01:02:18.73 ID:ke3ca6X1o
僕のまこ愛も眠気には勝てないのか。
誤字脱字乱文が増えてきた。
気づくと気になるけど、直せないのが辛い。
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/01(金) 01:23:30.92 ID:hWvcQRKgo
まこ愛がすげえ
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/01(金) 01:49:43.85 ID:t+5dEEyK0
これからもそのままの君であってほしい
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/01(金) 01:51:49.84 ID:i4YYUDpx0
スレ立てるにはこれほどの愛を抱いていないといけないのか
123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/01(金) 02:00:48.02 ID:zMFa3HgG0
こういうのを鬼才とか奇才って言うのかもしれない……
124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/01(金) 04:37:18.32 ID:GSb+VZnno
なんだこれは(驚愕)
125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/01(金) 08:26:15.18 ID:A7/jRBCZo
彼は狂っていた(誉め言葉)
126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/01(金) 08:42:00.32 ID:hXzRLL7AO
よく京まことか書けたな、>>1的にはNTRっぽそうなのに

あれか、相手が幸せならそれでいい的なやつか
127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/01(金) 09:15:16.21 ID:ADZUiGceo
僕って誰だよ
128 : ◆nWvtlcp.cc [saga]:2013/03/01(金) 09:37:52.32 ID:varsQ6v5o
僕は染谷まこが幸せであるならばそれで良い。
彼女が幸せになれると言うならば、ダイオウグソクムシとディープキスだってしてみせる。

ここに出てくる「僕」は特定の誰かではないよ。
言い訳にしかならないけど、初SSで、最初の形式以外で誰かに固定することは、僕の技量では難しかったんだ。

だからこの「僕」は、京太郎かもしれないし、架空の部員かもしれないし、貴方かもしれないし、勿論、僕かもしれない。
好きに想像してもらえたらそれで良いよ。
129 : ◆nWvtlcp.cc [saga]:2013/03/01(金) 10:27:06.25 ID:varsQ6v5o
今日は四月一日、エイプリルフールだ。
だから僕は嘘をつく。
染谷先輩を愛する心に、嘘をつく。

最初は不審がっていた部員の皆も、真面目に部活をこなすだけの僕を見て、安堵の表情を覗かせた。
一欠けなら僕が入りますよ。
愛の叫びをするでもなく、真面目に打つ僕に染谷先輩が声をかける。

「おんし、何かあったんか?」

え?何がです?
普段であれば染谷先輩に語りかけられた耳を千切り取って家宝にせんばかりの僕が、素っ気なくそう返すと、染谷先輩は、なんでもないわと黙ってしまった。

さすがの僕も染谷先輩と同卓していると、染谷先輩への愛を抑えることが難しくなってきたので、疲れたので抜けますねと仮眠用布団に横になることにした。
気を紛らわせるために、特に興味もない本をめくり続ける。
禁断症状のせいか、登場人物が全部染谷先輩に見えてきた。
エッチなシーンがある本はないだろうか。
僕が本棚を漁っている間、染谷先輩はちらりちらりとこちらに視線を送っていた。

部活も終わって皆が帰宅すると、部室に残ったのは僕と染谷先輩だけになった。
帰り支度をしている染谷先輩に、鍵は僕がやりますからと声をかけ、登場人物が染谷先輩だけになった本からエッチなシーンだけを読む作業に没頭した。

染谷先輩は戸に手をかけたところでこちらを振り向いた。

「本当に、何もないんじゃな?」

そう言う染谷先輩に、ええ、とだけ答えた僕は、挨拶をしていなかったことを思い出した。
さようなら、染谷先輩。
それを聞いた染谷先輩は寂しげに顔を歪めて、何も言わずに部室から出ていった。

一人になった僕も、エッチなシーン探しは切り上げて、帰ることにした。
今日は、疲れた。
明日は今日の分も愛を叫ぼうと決意し、染谷先輩を思いながら帰路についた。

明くる日、僕の愛の叫びを受けた先輩が、なんで昨日はと問うてきたので、エイプリルフールの件を説明すると、涙目でぼこぼこにされた。

僕は悪くない。
130 : ◆nWvtlcp.cc [saga]:2013/03/01(金) 10:34:29.08 ID:varsQ6v5o
同僚の目を掻い潜り、まこ愛に満ちたSSを書いて投下する行為に、僕は興奮を禁じ得ない。

それはそうと、いきなり本日の会心の一作となってしまった。
今日、これを超えるものを書ける気がしない。
131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/01(金) 12:36:14.71 ID:hXzRLL7AO
エイプリルフールは午前中だけ……無粋なツッコミか
132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/01(金) 13:15:18.77 ID:BtiMNra4o
うりょっちボイスで脳内再生するともっとかわいい
このイッチは尊敬に値する
133 : ◆nWvtlcp.cc [saga]:2013/03/01(金) 15:03:12.00 ID:varsQ6v5o
午前中だけの国も、終日の国もあるみたいなんだ。
話の構成的に終日を選んだけれど、午前中だけの方が一般的なのかな。
そもそもこの「僕」は、馬鹿だからエイプリルフールの意味も取り違えているよ。
まあ、結局何が言いたいかって、どう足掻いても染谷まこは可愛いってことなんだ。
134 : ◆nWvtlcp.cc [saga]:2013/03/01(金) 15:04:01.79 ID:varsQ6v5o
僕は警報の鳴る街を歩く
危険の接近を報せているが、僕は気にすることはない。
なぜなら、僕こそが、接近する危険そのものなのだから。
僕の歩み、腕の動き、視線ですら、僕の全ては破壊へと繋がる。
後ろを見ると、そこは廃墟。
生きるものは何も無い、瓦礫の山だ。
前を向き直り歩みを続ける。
全てを壊す。
それこそが、今の僕の生きる意味だ。
ふと、目の前に一人の少女が現れる。
染谷まこ。
僕の最愛の人。

「もう、よすんじゃ」

染谷先輩は震える声で言う。
僕はかぶりを振って自分の意思を伝える。

「もう、十分じゃろう」

染谷先輩は手を僕に差し出す。

「わしを、わしの全てをおんしに捧げる。だから、……だからもうこの世界を許してやってはくれんか?」

僕は、

ピピッ
ニア A:染谷先輩の手を取る
ニア B:世界を壊す

ピッ
A:染谷先輩の手を取る
ニア B:世界を壊す

すみません、染谷先輩。
僕はもう止まれないんです。
僕は世界を

がばりと跳ね起きると、僕は頭を壁に叩きつける。
馬鹿か、お前は!
染谷先輩と世界なら、比べるべくもなく染谷先輩だろうが!
あのまま染谷先輩の手を取っていたら、僕のリーチ棒でリーチを、ひょっとしたらダブルリーチをしてもらえたかもしれないんだぞ!
馬鹿め、馬鹿め、やり直せ、選択肢からやり直せ!
頭を壁に叩きつけ続けると幾度目かで僕の意識は薄らいできた。
これでやり直せる。
僕は薄っすらと笑みを浮かべながら、そっと意識を手放した。

病院のベッドで目を覚ますまで、僕が夢を見ることはなかった。
135 : ◆nWvtlcp.cc [saga]:2013/03/01(金) 15:06:17.24 ID:varsQ6v5o
僕は警報の鳴る街を歩く
危険の接近を報せているが、僕は気にすることはない。
なぜなら、僕こそが、接近する危険そのものなのだから。
僕の歩み、腕の動き、視線ですら、僕の全ては破壊へと繋がる。
後ろを見ると、そこは廃墟。
生きるものは何も無い、瓦礫の山だ。
前を向き直り歩みを続ける。
全てを壊す。
それこそが、今の僕の生きる意味だ。
ふと、目の前に一人の少女が現れる。
染谷まこ。
僕の最愛の人。

「もう、よすんじゃ」

染谷先輩は震える声で言う。
僕はかぶりを振って自分の意思を伝える。

「もう、十分じゃろう」

染谷先輩は手を僕に差し出す。

「わしを、わしの全てをおんしに捧げる。だから、……だからもうこの世界を許してやってはくれんか?」

僕は、

ピピッ
ニア A:染谷先輩の手を取る
ニア B:世界を壊す

ピッ
A:染谷先輩の手を取る
ニア B:世界を壊す

すみません、染谷先輩。
僕はもう止まれないんです。
僕は世界を

がばりと跳ね起きると、僕は頭を壁に叩きつける。
馬鹿か、お前は!
染谷先輩と世界なら、比べるべくもなく染谷先輩だろうが!
あのまま染谷先輩の手を取っていたら、僕のリーチ棒でリーチを、ひょっとしたらダブルリーチをしてもらえたかもしれないんだぞ!
馬鹿め、馬鹿め、やり直せ、選択肢からやり直せ!
頭を壁に叩きつけ続けると幾度目かで僕の意識は薄らいできた。
これでやり直せる。
僕は薄っすらと笑みを浮かべながら、そっと意識を手放した。

病院のベッドで目を覚ますまで、僕が夢を見ることはなかった。
136 : ◆nWvtlcp.cc [saga]:2013/03/01(金) 15:07:10.01 ID:varsQ6v5o
文字化けしてたから再投稿したんだ。
締まらないのが僕なんだ。
137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/01(金) 17:15:04.75 ID:t+5dEEyK0
『』つけてしゃべりだしそうだわそのうち
138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/01(金) 19:12:50.24 ID:WUtY+yoOo
狂気狂気アンド狂気
139 : ◆nWvtlcp.cc [saga]:2013/03/01(金) 20:58:16.58 ID:jvFXmbuOo
各話にはメモ段階だとタイトルが付いているんだけど、そういうのも需要があったりするんだろうか。
140 : ◆nWvtlcp.cc [saga]:2013/03/01(金) 23:14:40.06 ID:ke3ca6X1o
残業とかひどいよね。
とりあえず>>138のフレーズが気に入ったので。
141 : ◆nWvtlcp.cc [saga]:2013/03/01(金) 23:15:53.41 ID:ke3ca6X1o
八月二日、雲一つない快晴、眩い日差しで目を覚ます。
いつもより、少し早く起きた僕がテレビをつけると、占いのコーナーだった。
今日の運勢、ラッキーアイテム、目を引く内容でもないのだろうが、起きるのが遅くあまり見る機会がない僕には新鮮だった。
さて、ご飯を食べて学校へ行こう。
懸命に食べようとするけど、どうにもうまくいかない。
ああ、そうか。
お尻には歯がついてないのだ。
ジューサーでドロドロにして流し込む。


ブーツと、手袋と、念のためにゴーグルをつけ、傘をさして外へ出る。
今日も暑いな。
服は勿論着ていないため、貼るカイロは地肌に付けることにした。
しかし、傘をさしているとブリッジでは歩き辛い。
首に巻いていた荒縄を解き、それで傘を僕のリーチ棒に括りつけると両手が自由になった。
これは良い。
僕は意気揚々と歩き始める。
ぽたりと朝ご飯が垂れて、地面に染みを作った。


学校が見えてこようかというあたりで、見目麗しい、絶世の美少女を見つけた。
この世界に舞い降りた天使、世界一大美女の染谷先輩だ。

やあ、おはようございます。
僕の挨拶に、染谷先輩は笑顔でおはようと言いかけて固まったかと思うと、僕の胸倉を掴もうとして服を着てないことに気づき、首を掴んで物陰に引きずり込んだ。
痛いですよ、何をするんです。

「痛いですよ、じゃないわ!おんし、その格好はなんじゃ!」

ああ、これですか。
朝の占いで言ってたんです。
人と違うことをすれば好きな人に構ってもらえるって。
僕がそういうと、染谷先輩は悲しそうに眉尻を下げ、小さくかぶりを振った。
理由はわからないけれど悲しそうな染谷先輩を元気付けようと、僕は精一杯の笑顔を作って言う。
でも、占いって当たるんですね。
好きな人と、こうして朝からお話できる。
それを聞いた染谷先輩は顔を手で覆い、ぽろぽろと涙を流した。

ああ、どうか泣かないで。
僕もぽろぽろと涙を流しながら、そう願った。
142 : ◆nWvtlcp.cc [saga]:2013/03/02(土) 00:08:55.59 ID:Dg8VAuaio
>>141は即興にしては良い出来だった。

寝る準備もできたし、のんびりと、まこ愛を形にしていこうと思う。
143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/02(土) 00:10:11.73 ID:/41IkkUBO
このスレ怖い(渾身の褒め言葉)
144 : ◆nWvtlcp.cc [saga]:2013/03/02(土) 00:18:59.49 ID:Dg8VAuaio
染谷先輩、染谷先輩、もし僕が三人に増えたらどうします?

「死ぬ」

死ぬほど嬉しいって意味だろうか。
145 : ◆nWvtlcp.cc [saga]:2013/03/02(土) 00:29:35.56 ID:Dg8VAuaio
今日は五月五日、染谷先輩の誕生日だ。
全身全霊を持って御祝いをしなければならない。
勿論、授業など受けてはいられない。
僕は朝から大量の荷物を部室に運び込む。
これらは貯金を切り崩して揃えた。
染谷先輩のためなら、安いものだ。
部室を盛大に飾り付け、豪華な料理を並べる。
次は、ケーキの準備だ。
僕は一糸纏わぬ姿になると、僕のリーチ棒に蝋を垂らしていく。
垂らして、垂らして、垂らし続けると、ついには天井に届かんばかりの高さになった。
満足した僕は、形を整え、一万点棒を模して飾り付ける。
これでよし。
すでに僕のリーチ棒からは、じんじんとした嫌な痛み以外は何も感じられなくなっていたが、染谷先輩が喜ぶ姿を思えば、それはどうでも良いことだった。
最後に全身にスポンジと生クリーム、色とりどりの果物を乗せ、部室の真ん中に横たわる。
さあ、準備は整った。

日が暮れ、夜の帳が降りる頃、僕はようやく今日がこどもの日で、国民の祝日で、学校が休みだということに思い至った。

ハッピーバースディ、染谷先輩。
あなたが幸せでありますように。

僕はにこりと笑い、横たわったまま、静かに涙を流し続けた。
146 : ◆nWvtlcp.cc [saga]:2013/03/02(土) 00:39:34.29 ID:Dg8VAuaio
染谷先輩、染谷先輩、染谷先輩は赤ちゃんプレイに興味はあります?

「……」

ああ、僕が赤ちゃんのほうです。

「……」

いえ、染谷先輩が望むのなら、染谷先輩が赤ちゃんのほうで良いですよ。

「……」

僕の場合、おっぱいは出せないんで、僕のリーチ棒からミルクを吸ってもらうことになりますけど、勿論、僕は望むところです。

「……」

突き刺さり続ける侮蔑の視線に、僕は新しい何かに目覚めそうだった。
147 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/02(土) 00:57:28.81 ID:nxd/HKTDO
このスレ見てると狂気に侵されそうになる(誉め言葉)
148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/02(土) 00:59:27.33 ID:0b9VpK+Mo
俺達が新しい何かに目覚めそうになるわ
149 : ◆nWvtlcp.cc [saga]:2013/03/02(土) 01:00:44.58 ID:Dg8VAuaio
僕は染谷先輩の眼鏡が少し汚れていることに気づいた。
染谷先輩、染谷先輩、眼鏡が汚れていますよ。
そう声をかけ、僕がぺろりと染谷先輩の眼鏡から汚れを舐め取ると、染谷先輩は、ひぃっと小さく悲鳴をあげて、涙目になりながらティッシュで眼鏡を拭い始めた。

僕が舐め取ったから、もう汚れは付いていませんよ。
僕が言っても、染谷先輩は涙目のまま眼鏡を拭い続け、他の部員達からは罵声と共に牌を投げつけられた。
備品は大切にしなきゃ。
そう言いながら投げつけられた牌を拾い集めると、国士無双ができあがっていた。
今日は良いことがありそうだ。
150 : ◆nWvtlcp.cc [saga]:2013/03/02(土) 01:17:38.07 ID:Dg8VAuaio
期末テストがもう間もなくという頃、僕は染谷先輩と一緒に勉強しようと思い立った。
染谷先輩、染谷先輩、一緒に期末テストの勉強をしましょう。

「学年が違うじゃろ……」

大丈夫ですよ、僕だって先輩に教えてあげられることもあります。
訝しげな顔をする先輩に、僕だってやればできるってところを見せるチャンスだと思い、服を脱ぎ捨て一糸纏わぬ姿になる。
ほら見て、よく見て、地理の時間だよ。
僕は僕のリーチ棒とサイコロを指し示し、スカンジナビア半島と叫んだ。
ここがノルウェー、ここがスウェ

僕は数え切れないほどの点棒が突き刺さった僕のリーチ棒とサイコロをなんとかパンツの中に仕舞い込み、一人試験勉強を始めた。
窓の外は一面の星空。
何気なく見ていると、流れ星が一つ。
染谷先輩がテストで良い点数が取れますように。
151 :1/5 ◆nWvtlcp.cc [saga]:2013/03/02(土) 01:49:51.02 ID:Dg8VAuaio
京太郎「染谷先輩だけですか」

まこ「おう。……見りゃわかるじゃろ」


京太郎「いやあ、いつも聞かれるほうなので」

まこ「もうちょいで一区切りじゃき、まっとれ」


京太郎「麻雀の本ですか?」


まこ「いんや、おんしの幼馴染から借りたのよ」


京太郎「うげ」


まこ「うげってなんじゃ」

京太郎「だって、あいつから借りたってことはお堅い本ですよね」


まこ「あやつは文学少女を自称しとるが、活字であればなんでも良いようじゃぞ?ほれ」

京太郎「……恋愛小説」


まこ「うむ」

京太郎「……」


まこ「……」

京太郎「……」
152 :2/5 ◆nWvtlcp.cc [saga]:2013/03/02(土) 01:50:17.55 ID:Dg8VAuaio
まこ「そのにやけ面はなんじゃ」

京太郎「いやあ、染谷先輩もそういう本を読むんだなぁと思いまして」

まこ「ほっとけ」

京太郎「乙女だなぁ」

まこ「……」

京太郎「痛い、痛い、ごめんなさい!叩かないで!」

まこ「ふん」

京太郎「悪かったですって」

まこ「ふんだ」

京太郎「あれ、もう良いんですか?」

まこ「おんしのおかげで読む気分じゃなくなったわい」

京太郎「ありゃ」

まこ「……」

京太郎「隣、良いですか?」

まこ「おう」

京太郎「……」

まこ「……」
153 :3/5 ◆nWvtlcp.cc [saga]:2013/03/02(土) 01:50:49.33 ID:Dg8VAuaio
京太郎「今日は良いんですか?」

まこ「なにがじゃ?」

京太郎「指定席」

まこ「……」

京太郎「……」

まこ「ここでええ」

京太郎「……」

まこ「残念か?」

京太郎「少し」

まこ「ほうか」

京太郎「……」

まこ「……」

京太郎「さっきの本ですけど、どんな内容なんです?」

まこ「ん?」

京太郎「恋愛小説」
154 :4/5 ◆nWvtlcp.cc [saga]:2013/03/02(土) 01:51:20.07 ID:Dg8VAuaio
まこ「……」

京太郎「……」

まこ「羞恥プレイか」

京太郎「そういうつもりでもないんですけどね」

まこ「……」

京太郎「……」

まこ「内緒じゃ」

京太郎「そうですか」

まこ「うむ」

京太郎「そろそろ行かないと、映画の時間ですね」

まこ「こうやって公園のベンチでのんびり会話もええがの」

京太郎「そうですね」

まこ「チケットも買ってあるし、行こうかの」

京太郎「はーい」

まこ「……」

京太郎「……」

まこ「……」
155 :5/5 ◆nWvtlcp.cc [saga]:2013/03/02(土) 01:51:56.82 ID:Dg8VAuaio
京太郎「……」

まこ「……」

京太郎「……」

まこ「……手」

京太郎「え?」

まこ「……」

京太郎「……」

まこ「……手じゃ」

京太郎「……」

まこ「……」

京太郎「では失礼しまして」

まこ「おう」

京太郎「……」

まこ「……」

京太郎「さっきの本にこういうシーンがあったんですか?」

まこ「やかましいわ」


終わり
156 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/02(土) 01:53:17.58 ID:QmpOqtgK0
いいぞいいぞ もっとやれ
157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/02(土) 06:14:19.43 ID:QMStMDFxo
愛が重すぎてえぐい
158 : ◆nWvtlcp.cc [saga]:2013/03/02(土) 07:57:28.34 ID:Dg8VAuaio
>>137
某週刊誌の某箱の某先輩かな。
もし染谷まこがいなかったら、僕の初SSは彼だったかもしれない。
そんな世界は御免だけどね。

スレって複数立てても良いんだっけ?
大丈夫なら迸るまこ愛の合間に書いてみよう。
159 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/03/02(土) 08:09:18.14 ID:lIn99FrdP
天才
160 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/02(土) 14:01:57.02 ID:VE+235x80
スレ立ては自由じゃない?
ただ乱立がだめなだけで
161 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/02(土) 19:33:38.08 ID:9UeaOxhCo
才気と狂気を感じる
162 :1/4 ◆nWvtlcp.cc [saga]:2013/03/02(土) 23:12:53.49 ID:Dg8VAuaio
ロン、僕が手配を倒すと、彼女は言った。
「そりゃあ、嫌味か……」

どういうことです?
手配を見る。
何の変哲もない役牌混一。
僕が首を傾げていると、彼女はぽつりと呟いた。

「紅孔雀」

ああ、そういうことですか。

「わしが一番好きな役の対極じゃ」

そういえば彼女の一番好きな役は緑一色だった。
わざとじゃないですよ。
笑いながらそう言うと、ほうか、とだけ、くすりと笑いながら彼女。

「おい、点数申告くらいせんか」

ああ、すみません、ええっと……。
……待ってくださいね、……あれ?
それが気づいた切っ掛け。
始まりはきっと、もっとずっと前。

それから、僕は時間を忘れ、思い出を忘れ、そして彼女以外の全てを忘れた。
163 :2/4 ◆nWvtlcp.cc [saga]:2013/03/02(土) 23:13:22.30 ID:Dg8VAuaio
彼女が泣いている。
僕はどうしたら良いかわからない。

「大丈夫じゃ、心配せんでええ。おんしの面倒くらいわし一人でも大丈夫じゃき……」

不安そうな僕に彼女はそう微笑む。
でも、今の僕にも彼女が大丈夫じゃないことはわかるんだ。
僕は言葉を紡ごうと、必死になって言葉を集めて、ぼろぼろと言葉がこぼれていって、それでもがんばって、がんばって言葉を紡いで。
僕を、施設に入れてください。
そう彼女に伝えた。
彼女は肩を震わせ、静かに涙を流した。
僕と彼女は学生時代に同じ部活に入っていて、その部活仲間達と約束していたそうだ。
僕がもう一度、施設に入ることを願ったら、叶えてあげよう、と。
最後の願いを叶えてあげよう、と。
僕が彼女にそれを願ったのは、これで十一度目だったそうだ。
164 :3/4 ◆nWvtlcp.cc [saga]:2013/03/02(土) 23:14:28.02 ID:Dg8VAuaio
施設に入った僕は、施設に置かれていた全自動雀卓が指定席となった。
座るのは四人だったり、三人だったり、二人だったり、僕一人だったり。
てんでばらばらにツモったり、捨てたり。
点数はおろか、役すらもなく、何もかもがでたらめで、好きな牌を集めては、笑う。
そんな日々だった。

ある日、僕の頭は珍しくはっきりとしていた。
気分よく麻雀をしていると、対面に女性が座った。
やあ、久しぶりの対戦相手だ。
じゃらじゃらと牌をかき混ぜ、手を進めていく。
揃った。
僕が誇らしげに手配を倒すと、女性は笑顔でどれどれと僕の手を見る。

「……緑一色」

女性がそう呟くと、僕の口から言葉が漏れた。
僕の大好きな人が、好きだった役です。
漏れた言葉の意味は、僕にはわからない。
女性は輝くような笑顔を見せ、ほうか、と頷いた。
165 :4/4 ◆nWvtlcp.cc [saga]:2013/03/02(土) 23:14:54.65 ID:Dg8VAuaio
しかし、その女性は改めて僕の手を見て顔を曇らせた。

「少牌……しとるの」

しょうはい。

「ええと、牌が足りないってことじゃよ」

そう、足りないんです。
僕から大切な何かが欠け落ちて、僕はその欠片を探すべきなのに、何が欠けたのかもわからないんです。
また僕の口から自然と漏れ出た言葉を、今度はなんとか理解しようと、僕は目を瞑って頭の中で反芻してみることにした。

目を開けると、対面に女性が座っている。
女性は手で拭うこともなく、流れるに任せて涙を流している。
僕はどうしてその女性がそこに座っているのか、どうして泣いているのか、わからなかった。
何もわからないまま、ただ緑色の牌を集め続けた。
166 : ◆nWvtlcp.cc [saga]:2013/03/02(土) 23:26:43.70 ID:Dg8VAuaio
僕はもっと、もっともっと、染谷先輩を理解したい。
そう願った僕は、考えに考えて、考え抜いた。

イイコトオモイツイタ!

僕はこんなこともあろうかと用意していた染谷先輩と同じメーカーの下着を身に着ける。
そして、こんなこともあろうかと用意していた染谷先輩とお揃いの制服を着た。
まだ、これじゃ足りない!
大丈夫、こんなこともあろうかと用意しておいた染谷先輩を模して作ったカツラをかぶり、染谷先輩と度数まで同じに合わせたメガネをかける。
うん、完璧だ。

僕は部室の真ん中に仁王立ちする。
何度か他の部員が部室に入って来たが、僕の姿を見て何も言わずにドアを閉めて去っていった。
しばらく待つと、部室に染谷先輩が入ってきた。
僕は声高に叫ぶ。
わしは緑一色が好きじゃきい!
染谷先輩は、何も言わず、ただ、一粒の涙をこぼして、去っていった。
僕は跪き、天上からもたらされたその甘露にそっと口づけをした。
167 : ◆nWvtlcp.cc [saga]:2013/03/02(土) 23:37:13.23 ID:Dg8VAuaio
日課の一日一まこができたから、某週刊誌の某箱の某先輩スレも作ってみたよ。
あっちではまこ愛は控えめにする分、こっちで限界突破するかもしれない。
あんまり飛ばしすぎないよう、がんばって抑えようとは思うんだ。
168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/02(土) 23:39:26.18 ID:c0mbsNNCo
抑えてこれなのか?やべぇよ
愛が溢れてて辛い
169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/02(土) 23:41:04.86 ID:wCKz3MpAo
こっちじゃなくて某週刊誌の某箱の某先輩スレでは抑えるってことだろ
170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/02(土) 23:41:52.29 ID:c0mbsNNCo
なるほど
こっちはアクセル全開なんだな安心した
171 : ◆nWvtlcp.cc [saga]:2013/03/02(土) 23:45:22.80 ID:Dg8VAuaio
違うよ、あっちで抑える分、こっちで溢れちゃうかもってことなんだ。
とりあえず、あっちを一区切り付けちゃうよ。
172 : ◆nWvtlcp.cc [saga]:2013/03/03(日) 00:30:00.44 ID:Scm28Ur3o
僕はもっと、もっともっと、染谷先輩を理解したい。
そう願った僕は、考えに考えて、考え抜いた。

イイコトオモイツイタ!

僕はこんなこともあろうかと用意していた染谷先輩と同じメーカーの下着を身に着ける。
そして、こんなこともあろうかと用意していた染谷先輩とお揃いの制服を着た。
まだ、これじゃ足りない!
大丈夫、こんなこともあろうかと用意しておいた染谷先輩を模して作ったカツラをかぶり、染谷先輩と度数まで同じに合わせたメガネをかける。
うん、完璧だ。

僕は部室の真ん中に仁王立ちする。
何度か他の部員が部室に入って来たが、僕の姿を見て何も言わずにドアを閉めて去っていった。
しばらく待つと、部室に染谷先輩が入ってきた。
僕は声高に叫ぶ。
わしは緑一色が好きじゃきい!
染谷先輩は、何も言わず、ただ、一粒の涙をこぼして、去っていった。
僕は跪き、天上からもたらされたその甘露にそっと口づけをした。
173 : ◆nWvtlcp.cc [saga]:2013/03/03(日) 00:53:27.05 ID:Scm28Ur3o
どうして僕はまったく同じものを2回投下したんだろうか。
ひょっとしたら、早くも溢れ出しかけているのかもしれない。
174 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/03(日) 19:20:17.31 ID:7zDCJwhCo
とんでもないスレに出くわしてしまったようだな(歓喜)
175 :普段の行い ◆nWvtlcp.cc [saga]:2013/03/03(日) 21:08:02.43 ID:Scm28Ur3o
試験期間中、部活は休みなのだが、部室に忘れ物をしていたことを思い出し、部室棟へ足を向けた。
部室へ入ると、当然のごとく誰もいなかった。
どこへ置いたかな、そんなことを呟きながら探していた時、僕はそれを見つけてしまった。
これは染谷先輩の……。
ごくりと唾を飲み込む音が部室に響き渡った。
僕は一糸纏わぬ姿となり、僕のリーチ棒で白一色をツモる作業を始めた。
幸せの頂まであと一向聴となったとき、部室に誰かが入ってきた。
染谷先輩だ。

「そりゃ、わしの牌譜か?」

染谷先輩は試験勉強の息抜きに昔の牌譜を見直そうと思ったらしく、部室に牌譜を取りに来たそうだ。
どうやら僕の作業には気づいていないようだ。
どうぞと渡すと、染谷先輩は、おうと受け取り、

「ほいじゃあ、試験期間後にまたのう」

と帰ってしまった。
幸せの頂に達することはできなかったが、一糸纏わぬ姿でいることについて、何も言われることはなかった。
普段から一糸纏わぬ姿でいることが功を奏したのだろう。
侮蔑の視線を向けてもらえなかったことを少し残念に思いつつ、僕は家路についた。
176 :別れ ◆nWvtlcp.cc [saga]:2013/03/03(日) 21:15:02.13 ID:Scm28Ur3o
僕は道端で一つの蕾を見つけた。
ある暑い日、蕾は強い陽射しを浴びて、萎れていた。
僕はこの体で陽射しを遮った。
蕾は涼やかに揺れた。
ある風の日、蕾は強い風に煽られて、折れんばかりになっていた。
僕はこの体で風を遮った。
蕾は軽やかに揺れた。
ある雪の日、蕾は多くの雪に積もられ、埋まりかけていた。
僕はこの体で雪を遮った。
蕾は嬉しげに揺れた。
ある雨の日、蕾は恵みの雨を甘受していた。
僕は蕾の隣で共に雨を浴びた。
蕾は楽しげに揺れた。
ある日、蕾は美しい花を咲かせた。
僕はその美しさを心に刻み、旅立った。
花は悲しげに揺れた。
花の名は、染谷まこ、と言った。
177 :another ◆nWvtlcp.cc [saga]:2013/03/03(日) 21:55:45.00 ID:Scm28Ur3o
私は彼がまだ来ていないことを確認して、皆に提案した。
いつも彼にしてやられているので、少しでも良いからやり返したい。
ロッカーに隠れて、彼が来たら驚かせてやろうと思うのだが、どうだろう。
皆の賛成を受け、私はロッカーに隠れた。
しばらくすると、廊下を走る音と共に、染谷先輩との叫び声が響いてきた。

「染谷先輩、染谷先輩、染谷先輩、……あれ?染谷先輩?」

後輩の一人が、まだ来ていないよと言うと、そんなはずは……、と言いながら、鼻をひくつかせ始めた。
その場で匂いを嗅いでいたかと思うと、真っ直ぐにこのロッカーへ向かって歩いてきた。

なんで!?

私が焦っていると、別の後輩が面子が足りないから入れと彼を誘った。
彼はしばらく私の入っているロッカーを見つめていたが、向きを変え、麻雀卓へと歩いて行った。
ほっと一息ついて、彼の様子を窺う。
彼は麻雀を打ちながらもちらちらとドアの方に視線を向け、時折、

「染谷先輩、まだかなあ」

と呟いていた。
何度か足音がして、その度に後輩の誰かが、染谷先輩じゃない?と言うが、彼はその度に、あれは染谷先輩の足音じゃないよと返していた。
彼の耳はどうなっているのだろうか。

やがて彼も諦めたのか、対局に集中しだした。
談笑を交えながら行われる感想戦。
穏やかな時間が流れていた。
さて、そろそろとロッカーを出ようとしたが、ふと止まる。
私が出ていけば、彼はいつもの彼に戻るだろう。
それは、この素敵な部活の雰囲気を壊すことになるのではないだろうか。
結局、私は彼がお疲れ様でしたと部室を出ていくまで、ロッカーから出ていくことはなかった。

ロッカーから出て窓の外に目をやると、ちょうど彼は校門から出ていくところだった。
後輩達がどうして出て来なかったんですか、と聞いてくる。
私は先ほど思ったことを口にする。
私が彼の暴走の引き金となって、部活の皆の邪魔になっているのではないだろうか。
後輩達は顔を見合わせると、笑い出した。
そんなことは気にしないで良いですよ。
そうですよ、悪いのは彼ですし。
それに直接こっちに被害がこないなら、面白いですし、気にしてませんよ。
笑いながらそんなことを口々に言う。
それなら良いけれどと私が答えていると、廊下を勢いよく走る音と共に、染谷先輩との叫び声が響いてきた。

「染谷先輩、染谷先輩、染谷先輩の声がした!」

輝くような笑顔の彼がドアを開け、部室へと飛び込んできた。

「まったく……、おんしの耳はどうなっちょるんじゃ」

彼の笑顔につられ、私も笑顔になって、そう言った。
178 : ◆nWvtlcp.cc [saga]:2013/03/03(日) 21:57:24.63 ID:Scm28Ur3o
迸るまこ愛を形にするだけのこっちと違って、あっちはとても手こずる。
誰か、助けて。
具体的には、まこさん、助けて。
179 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/03(日) 22:07:33.22 ID:wuZuNI8to
頑張れ
どっちも面白いから
180 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/03(日) 22:58:13.54 ID:7zDCJwhCo
もっと迸ってもええんやで
181 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/03(日) 22:59:03.88 ID:UCszv77Lo
もっと己を解放しよう
182 :有無を言わさず ◆nWvtlcp.cc [saga]:2013/03/03(日) 23:15:32.13 ID:Scm28Ur3o
イイコトオモイツイタ!

僕はぼこぼこにされて部室の外に叩き出された。
183 :愛の雫 ◆nWvtlcp.cc [saga]:2013/03/03(日) 23:16:05.61 ID:Scm28Ur3o
染谷先輩、染谷先輩、こんにちは染谷先輩!
ある夏の日、僕が部室にいくと染谷先輩がペットボトルでジュースを飲んでいた。
近くに座り、僕もジュースを飲む。
今日も暑いですね、おう、との会話を楽しんでいると、僕のジュースが空になった。
染谷先輩、染谷先輩、僕はこの容器いっぱいになるくらい、先輩からの愛の雫を溜めたいです。
僕がそう言うと、染谷先輩は、なんじゃそれはと笑った。

「わりゃあ、詩人にでもなるつもりなんかの」

具体的には、愛液ください。

僕はぼこぼこにされて部室の外に叩き出された。
184 :愛の雫 ◆nWvtlcp.cc [saga]:2013/03/03(日) 23:30:25.02 ID:Scm28Ur3o
>>176>>177のあとに>>183が書けた自分を褒めてあげたい。
185 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/04(月) 00:22:21.76 ID:FTakX5wto
へ、へんたいだー(棒)
186 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/04(月) 00:24:13.18 ID:bRwhzA08o
愛が重いとかそういう領域を超えてる
187 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/04(月) 01:29:05.47 ID:d3hfkuZHo
勝てる気がしない
188 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/04(月) 04:00:17.72 ID:dVW3rE+5o
というか勝ちたくない
189 : ◆nWvtlcp.cc [saga]:2013/03/04(月) 09:16:20.81 ID:2BLHfBVBo
同僚に、お前もWBC日本代表を応援しろよって言われたんだ。
そんなに興味はないんだけど、僕も日本人だし、日本を応援するにやぶさかではないんだ。
応援するだけならタダだしね。
だから応援する意味を込めて野球を題材に即興で作ってみたんだ。

皆も、気が向いたら応援してあげて。
190 :麻雀部の矜持 ◆nWvtlcp.cc [saga]:2013/03/04(月) 09:16:54.71 ID:2BLHfBVBo
ある日、僕が校舎を出ると、遠くに染谷先輩の姿があった。
染谷先輩、染谷先輩といつものように駆け寄ろうとしたとき、どこかから、あっと叫び声がした。
見ると、高校球児達の夢が詰まった白球が、世界遺産、人間国宝すら真っ青な人類の至宝であらせられる染谷先輩を撃ち抜かんとする狂気の弾丸と化し、迫りくるところであった。
僕は危ないと叫ぶ間も惜しんで、一糸纏わぬ姿になると、染谷先輩のもとへ飛び込んだ。

野球部はバットでボールを打ち返す。
では、麻雀部は?
そうだね、その通りだ。
麻雀部は、リーチ棒で打ち返す。

僕は大切な僕のリーチ棒を失ったけれど、何も後悔はない。
僕の愛しい染谷先輩が、無事でいるのだから。
僕は染谷先輩に微笑みかけ、意識を手放した。
191 : ◆nWvtlcp.cc [saga]:2013/03/04(月) 09:19:31.32 ID:2BLHfBVBo
ちなみに、人間国宝っていうのはその人ではなく、その人の持つ技術に対して指定されるものなんだ。
何が言いたいかって、そんな約束事を超越して、個人そのものが人間国宝に指定されかねない染谷まこは、可愛いってことなんだ。
192 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/04(月) 09:24:23.14 ID:TCZSQ9vV0
「僕」がマジキチなのはそろそろいいのでまこさんかわいいをどうぞ。
193 : ◆nWvtlcp.cc [saga]:2013/03/04(月) 09:51:34.90 ID:2BLHfBVBo
ごめんね、ごめんね、スレタイ形式は作るときに地の文まで考えながらやるから意外と時間かかっちゃうんだ。
向こうの話に時間を取られて書けないだなんて、染谷まこを愛する会の会員として失格だったね。
向こうは適当に終わらせちゃって、こっちに集中するよ。
194 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/04(月) 10:02:49.15 ID:PLUUW4XWo
野球要素がボールだけなんだよなぁ…
195 :名無しNIPPER [sage]:2013/03/04(月) 14:57:30.93 ID:o3RGKyZDO
どうでもいいからさっさと京まこを書けよ……
196 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/04(月) 16:08:59.94 ID:e7gmLYA0o
むしろ京まこと僕まこでスレ分けした方が良かったのでは
197 : ◆nWvtlcp.cc [saga]:2013/03/04(月) 16:24:15.99 ID:lmSKIGUVo
まったくもってその通りだね。
スレタイ詐欺にも程があったよ。
ここはhtml化してもらって、ひっそりとやり直すことにするよ。
198 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/04(月) 16:35:25.11 ID:pBJvRAZco
このスレは終わっちゃうのか残念 おつー
199 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/05(火) 23:24:53.29 ID:S5CD6xuso
僕まこを別に建てれば(いいじゃん)
200 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/06(水) 18:53:06.00 ID:3DoYDKzNo
さすがに僕まこ京まこ球磨川の3つはきついんじゃね
201 : ◆nWvtlcp.cc [saga]:2013/03/08(金) 18:07:54.92 ID:WSu8BrzCo
なかなかhtml化ってされないんだね。

僕まこは新しく立てました。
スレタイ:咲の登場人物であるところの染谷まこに関する千夜一夜物語

京まこはこのスレが落ちてからゆっくり立てます。
202 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/08(金) 21:13:10.20 ID:hhWN5rejo
依頼出した?
203 : ◆nWvtlcp.cc [saga]:2013/03/08(金) 21:38:07.91 ID:jXt3iegVo
出しました。
同時期に依頼が出てるスレもまだ残っているようなので、のんびりと待ちます。
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