このスレッドはSS速報VIPの過去ログ倉庫に格納されています。もう書き込みできません。。
もし、このスレッドをネット上以外の媒体で転載や引用をされる場合は管理人までご一報ください。
またネット上での引用掲載、またはまとめサイトなどでの紹介をされる際はこのページへのリンクを必ず掲載してください。

上条「ただいまー」フィアンマ「おかえり!」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

1 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/01(金) 22:52:02.67 ID:EkXFTtwAO



◆H0UG3c6kjA改め◆2/3UkhVg4u1Dです。


・右方のフィアンマさんと上条当麻さんがほのぼのしたりいちゃいちゃ同棲する鬱スレ

・ホモスレ

・基本は会話文進行。時々地の文が入ります

・キャラ崩壊注意

・エログロがあるかもしれないです

・幼児退行ネタが含まれます



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1362145922
【 このスレッドはHTML化(過去ログ化)されています 】

ごめんなさい、このSS速報VIP板のスレッドは1000に到達したか、若しくは著しい過疎のため、お役を果たし過去ログ倉庫へご隠居されました。
このスレッドを閲覧することはできますが書き込むことはできませんです。
もし、探しているスレッドがパートスレッドの場合は次スレが建ってるかもしれないですよ。

佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713861164/

トーチャーさん「超A級スナイパーが魔王様を狙ってる?」〈ゴルゴ13inひめごう〉 @ 2024/04/23(火) 00:13:09.65 ID:NAWvVgn00
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713798788/

【安価】貴方は女子小学生に転生するようです @ 2024/04/22(月) 21:13:39.04 ID:ghfRO9bho
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713788018/

ハルヒ「綱島アンカー」梓「2号線」【コンマ判定新鉄・関東】 @ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713736565/

2 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/01(金) 22:53:22.38 ID:mBThJV0c0

第三次世界大戦。
酷いものだったな、と思う。
俺は北極海へ堕ち、どうにか助かった。
凍える身体でイギリス清教の魔術師に助けを求め。
そうして、学園都市へと戻って来た。
長く長く、平穏な日々は続いて。
ふと、俺は思うままに、インデックスをステイルとくっつけるように模索した。
自分のことを一番に考えてくれる人間と、インデックスには一緒に居て欲しかったから。
謝って、許されて、吹っ切れてしまった部分があったのかもしれない。
別に、負い目だけで彼女と一緒に居た訳では、ないのだけれど。
元元インデックスもステイルを嫌いではなかったから、その仲が深まるのは早かった。

『…私、本当に行っちゃうよ?』
『ステイルと仲良くやれよ?』
『それは、勿論。とうまに言われなくても、…そうするけど』
『じゃあ、またな。…時々遊びに来てくれよ』
『うん、…またね、とうま』

さよならをする日。
彼女は、悲しそうな顔をしていた。
だから、無理やり笑顔で送り出した。
俺の傍に居ることで、騒乱に巻き込んでしまいそうで、怖かったから。
そうして、彼女が居なくなった、一人ぼっちの、あるべきままの部屋で。
少しだけ泣いて、元気を出して、学校へ行った。

そして、春がやって来た。
俺は進級して、高校二年生になった。
インデックスが居なくなってからほぼ毎日。
空虚で、退屈で、つまらない日々が続いている。
それでも、時々インデックスが送ってくれる手紙の文面は、幸せそうな情景を思えるもので。
だから、戻って来て欲しいとは、不思議と思わない。

「やっぱ、スフィンクスは置いて行ってもらうべきだったかな……」

ぼんやりと、呟く。
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/01(金) 22:53:24.05 ID:EkXFTtwAO
+
4 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/01(金) 22:53:38.13 ID:mBThJV0c0

以前の自分は知らないけれど。
以前の自分が暮らしていたように、過ごす日々。
不幸、不運、友達、それから、不運。
思えば、俺は生まれた時(産まれた時じゃなくて)からずっと。
ずっと、インデックスと一緒に居たんだな、と今更ながらに思う。

そうして、路地裏で。

一人の男に、話しかけられた。

「やあ、幻想殺し」

振り返る。
そこには、一人の金髪の青年と。
昨年右手を切断した、赤髪の青年が居た。
ただし、後者の方は、自分が知る姿とはまるで違う。
どこか怯えるように。
まるで、人見知りな幼児が、大人に隠れるように。
金髪の青年の背後に隠れ、俺の方を窺っている。

「少し話をしても、良いかな」
「…あんたは誰だ」
「失礼、自己紹介が先だったね。…私の名はオッレルス。魔神になるはずだった男だよ」

魔神。
インデックスから、聞いた事がある。
具体的な想像は出来ないけれど、魔術を幅広く、強力に扱う魔術師のことだ。
僅かに警戒する俺に、彼は…オッレルスと名乗った青年は、苦く笑う。

「警戒しないで欲しい。とりあえず、話をさせて欲しいだけなんだ」
「…話…」
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/01(金) 22:53:39.21 ID:EkXFTtwAO
+
6 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/01(金) 22:53:58.40 ID:mBThJV0c0

オッレルスの後ろに隠れていたのは、右方のフィアンマ、その人だった。
彼等はとある目的により、共に行動していたらしい。
そうして目的を達成したところで、フィアンマに限界が来た。
限界、というのは身体的なものという意味合いではなく。
その真逆の、精神的な限界、というものだった。
具体的に説明すれば、過度のストレスにより、精神が幼児退行している。
心を病み、自分の年齢が分かっていないようだった。
常識や羞恥心も抜けているらしく、子供のように、他者へ甘える。
おおよそ敵意や疑いという概念を持たず、無邪気。

「……それは、…わかったけど」

彼の頼みは、大胆だった。
フィアンマを引き取ってもらえないか、ということだった。
俺は酷く頭を悩ませた。
話を信頼出来る根拠はどこにもない。
第一、フィアンマの正気がいつ元に戻るかもわからない。
確かに今の状態は幼児なのかもしれないが、それは精神的なものだけ。
見た目は立派に大人のそれであるし、学生といっても厳しいだろう。
精々大学生…或いは高校三年生と言って通用するか否か。
そのギャップは社会上、受け入れられにくいものだと思う。

「…彼を哀れに思うなら。まあ、無理は言わないよ」
「……どうして、俺なんだ?」
「噂に聞く通りなら、君だけは彼の味方になってあげられるかと思ってね」
「俺は聖者じゃねえよ」
「返答がノーなら、それでも構わない。…フィアンマ、病院に行こうか」
「びょういんやだ、注射きらい。お薬もきらい!」

不服そうに、目に涙を溜めるフィアンマ。
傲慢に、尊大に、圧倒的な力を振るっていたあの時とは、まるで違う。
理由は不明だが、右腕もないようだ。肩から切断されてしまっている。
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/01(金) 22:53:59.65 ID:EkXFTtwAO
+
8 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/01(金) 22:54:17.59 ID:mBThJV0c0

結局、良心の阿責に耐えかね、連れて帰ってきてしまった。
いいように押し付けられたのだろうとは思いつつも。
どうしてだか、見捨てる事が出来なかった。
こんな人間だからお人好しなんて評価をくだされてしまうのだろう、などと思いながら。
フィアンマは俺を見つめ、くい、と左手で袖を引く。

「何だよ」
「……名前」
「名前?」

覚えてないのかよ、と咎めそうになり。
記憶が無いのだ、と思い返した。
自分も記憶が無い以上、其の辺を問い詰めるのは酷だと身をもって理解出来る。
なまえなまえー、と言いながら、くいくいと引っ張ってくる。
本当に子供なのだな、と思った。
これが悪趣味な演技なら、ほんの少し位動揺の色が見える筈だ。

「上条当麻」
「…かみじょう」

上条、上条、と彼は何度か俺の名前を確かめるように舌先で転がした。
日本語が話せるのは、あくまで意味記憶一切合切が消えたのではなく、精神が逃避しているだけだから、だという。
フィアンマはしばらく俺の名前を繰り返し、そうして覚えたのか。
屈託の無い、純粋に子供のような明るい笑みを浮かべて呼ぶ。

「上条」
「はいはい、何だよ」
「どこいくんだ」
「お家ですのことよ」
「誰のおうち?」
「俺の。上条さんのお家」
「……」
「お前は今日から俺の家で暮らすの。わかったか?」
「…オッレルスお兄ちゃんは?」
「あの人は、…よくわかんねえ」

最初、トイレすら一人で出来なかったらしい。
教え込んだものの、一人ではやはり行け無いようだから夜中に起こされるかもしれない、との注意文句。
本当にペットか何かの譲渡かよ、と思いながら、家の中へ通した。
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/01(金) 22:54:18.64 ID:EkXFTtwAO
+
10 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/01(金) 22:54:35.49 ID:mBThJV0c0

「腹減ってるか?」
「すいてない」
「そっか」

適当にくつろいでくれ、と言ったのだが。
どうやらくつろげないようだ。
不安なのか緊張しているのか、きょろきょろとしている。
本当に、俺の知っている右方のフィアンマとは、正反対だと感じた。

「……かみじょう」
「ん? 何?」
「あれ、何」

す、と指さされた先。
そこには、開きっぱなしの参考書。
数学の参考書だった。

「数学の参考書だよ」
「すうがく? お勉強?」
「そうそう」

フィアンマは興味を示し、参考書に近寄った。
じー、と見つめ、難しい数式の羅列に眉を寄せる。
今の彼は、言語しか好き勝手に扱えない。
魔術は初歩的なものも扱えないし、一般的な勉強も出来ないらしい。

「……むずかしかった」
「…だろうな」

四歳程度、とあの魔術師は語っていた。
本当かどうかは怪しいが、幼い事は間違いないだろう。
見目に不釣り合いな、幼く不安げな表情を浮かべている。
そっと、右手を伸ばしてみる。
魔術の類が仕掛けられているのなら、反応するはずだ。
頭に触れる直前、俺の手を見たフィアンマが、肩を大げさなまでに上下させる。
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/01(金) 22:54:36.48 ID:EkXFTtwAO
+
12 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga !red_res]:2013/03/01(金) 22:54:57.22 ID:mBThJV0c0


「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!」

13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/01(金) 22:54:58.20 ID:EkXFTtwAO
+
14 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/01(金) 22:55:23.31 ID:mBThJV0c0

叫んで、フィアンマは自分を庇うように、左手で自分の顔を覆う。
一般的に、それは虐待された児童が行ってしまう反応だった。
俺に顔面を殴られた記憶があるから、では説明がつかない。

「…お前」
「……、…おかねは、ないけど、良い子にするから…な、殴らないで」

ぽた。
フィアンマの体は震え、カーペットが濡れた。
泣いているのだろう、必死にしゃくりあげるのを堪えている。
手を振り上げられる事が、イコール暴力のイメージへ繋がっていた。
罪悪感が、腹の底から俺の心をじわじわと侵食してくる。

「…殴ったり、しねえよ。大丈夫、ごめん」
「……ほん、とに?」

疑いではなく、確認の一言。
ぽたぽたと涙を零し、ぐしゃぐしゃの顔で。
プライドなど欠片も存在しない様子で、フィアンマは俺を見た。
恐怖か緊張か、はたまたその両方か、身体も声も震えている。
俺は無理矢理に笑みを形作って、微笑みかけた。
別に、殴るつもりはそもそもなかったんだ。

「大丈夫、殴ったりしない。約束する」
「……ん」
「ただ、少し触らせてくれ」

言って、右手でフィアンマに触る。
何の反応もなければ、変化も無い。
やはり、フィアンマの精神が本当に病んでいるようだ。
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/01(金) 22:55:24.28 ID:EkXFTtwAO
+
16 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/01(金) 22:55:37.54 ID:mBThJV0c0

あの後、泣き止ませるのに二十分程かかった。
泣き止み、落ち着いたフィアンマはというと、テレビを見ている。
子供向けの番組だった。低年齢層向けの。
フィアンマは、ふと自分の右肩に視線を向けて、ぼやく。

「…何で、…俺様には、みぎうでがないんだろう」
「……」
「…上条は、しらない?」
「知らないな」

本当に、わからないのだ。
最後に見た時、彼は五体満足だったのだから。
そっか、と相槌を打ち、フィアンマはテレビ画面を見つめる。
くぁ、と呑気に欠伸をする様は、猫か何かのようだった。

「……ごはん」
「ん?」
「…お腹すいた」
「…はは、じゃあちょっと作るから待ってろよ」

ややしょんぼりとした声で言うものだから、笑ってしまった。
台所へ移動し、卵を割って溶く。
炊いた米が有り余っているから、オムライスでも作ろう。
記憶、状態と同じように子供舌なら、喜ぶはずだ。
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/01(金) 22:55:38.64 ID:EkXFTtwAO
+
18 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/01(金) 22:55:54.87 ID:mBThJV0c0

料理を作っている俺に構われないのが、寂しかったのだろうか。
フィアンマは近づいてきた。
左手で、俺の服の端っこを掴む。
母親のご機嫌を窺う、幼い子供のように。

「…何、つくってるの?」
「オムライス」
「…おうむ?」
「オムライス…食べた事ないのか?」
「…おこめ食べたことない」
「そうなのか……お米を炊いて、痛めて、卵で巻いた料理な」
「…難しそうだな」
「失敗すると卵破けちゃうからな」
「……、」

俺の服を握ったまま、フィアンマは俺の手元を興味深そうに見つめている。
じー、と見つめているのは、よほど興味があるのだろうか。
手首を使って卵でライスを包むと、フィアンマの瞳がきらきらと輝く。
そうして俺を見て、目を輝かせたままに強請った。

「もういっかい、もう一回まいて」
「…ま、二人分作るからな」

何がそんなに面白いのか。
不思議に思いながらも、もう一度ライスを卵で包む。

くるん。

そして、皿によそう。
冷蔵庫から引っ張り出した残り少ないケチャップを絞った。
買い置きはもう無かった筈だから、明日辺り買いに行くべきだろう。

「はい出来上がり」
「…上条は、まほう使えるの?」
「使えねえよ。ただの料理」

魔法、という単語に、吹き出しそうになった。
誰より強力だった魔術師だったお前が、それを聞くのか。
どうしても、思ってしまう。
だって、見た目は右方のフィアンマのままなのだから。
フィアンマはスプーンを手にし、オムライスの皿を持っていった。
俺が運んで、席につくまで、律儀に待っていたらしい。
空腹の様子で、ちらりと俺を見てきた。

「んし、いただきます」
「……イタダキマスって何だ?」
「食事をいただきますよー、っていう挨拶」
「神様へのおいのりのようなものか」

なるほど、とフィアンマは呑気な笑みを浮かべる。
柔らかなそれに、揶揄の色合いは見えない。
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/01(金) 22:55:56.00 ID:EkXFTtwAO
+
20 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/01(金) 22:56:18.08 ID:mBThJV0c0

夜食にアイスを冷凍庫から出したら、やっぱり興味をもたれた。
百円程度の安いバニラアイス。
珍しくも何ともないそれに、フィアンマは興味を示したまま。

「…ジェラートとはちがうのか」
「違うな、アイスクリームだから」
「きいろい色」
「バニラアイスだからな」
「美味しいの?」
「まあまあ美味しい。食えないモンじゃないかな」
「………」
「お前も食べたいのか?」
「……上条が残すなら、ほしい」

やっぱり、コイツは虐待されていたのかもしれない。
甘えはするものの、我が儘は発揮しないらしい。
本当は食べたいのか、ちらちらと視線を寄越している。
スプーンで掬って、顔の前に出してみた。

「あーん」
「…ぁー、」

少しだけ迷って、フィアンマはスプーンを口に含む。
むぐむぐ、と口を動かし、幸せそうにふにゃんと笑みを浮かべた。

「美味しい。かみじょう、おいしい」
「…良かったな。これ食べたら今日はもう寝るぞ」
「うん」

素直に返事をして。
フィアンマは、もう一口だけ、とねだってくる。
何となく、インデックスと一緒におやつを食べていたときを、思い出した。

「なあ、」
「ん、む?」
「お前の事は、何て呼べば良い?」
「かみじょうの好きなよびかたでいい」
「じゃあ、……フィアンマって呼ぶな」
「…なんでフィアンマなんだ?」

きょとん、と首を傾げられる。
俺は、微笑んで言った。

「何となく。…今は、それでいいだろ」
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/01(金) 22:56:19.12 ID:EkXFTtwAO
+
22 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/01(金) 22:56:49.92 ID:mBThJV0c0

初回はここまで。
日常ネタなどありましたらお願いします(かき氷とか)
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/01(金) 23:46:18.70 ID:XwhzDfKM0
鬱スレかよ
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/01(金) 23:59:24.97 ID:o5vFQoLDO
…………今気づいた、>>1様の某上嬢さん安価のバイトスレ見逃した……
俺的に>>1様のフィアンマ×上条はホモでも片方女体化物も、全部サイコーです!
今回も期待してまーす
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/02(土) 08:13:39.37 ID:6E50YEnyO
乙です。
26 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/03(日) 19:53:24.15 ID:O6FNke1y0

>>23
本編ほのぼの、徐々に暗くなって鬱エンドを予定しております


>>24
ありがとうございます




投下。
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/03(日) 19:53:25.16 ID:WlqhUHfAO
+
28 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/03(日) 19:53:51.08 ID:O6FNke1y0

上条「風呂は入ったな。歯磨きして寝るぞ」

フィアンマ「……む」

上条「? どうかしたのかよ」

フィアンマ「…ミント、からいから嫌い」

上条「………」

上条(我が儘め)

フィアンマ「……」

上条「お前が思ってる程辛くないから大丈夫だって。な?」

フィアンマ「…でもペパーミントってかいてある」

上条(正直言って俺も泣きそうになる位辛いからな。しくじって買ったとはいえ、不幸だ)

上条「だけど、歯磨きしないと酷いことになるぞ」

フィアンマ「酷いこと?」

上条「今さっきアイス食べただろ? 甘くて美味しかったよな」

フィアンマ「…」こくん

上条「あの甘かったのが、今フィアンマの歯を全体的に覆ってるんだ。
で、歯磨きしないで放っておくと、バイキンに変わって、痛くなるんだぞ」

フィアンマ「…いたくなるのか」

上条「転げまわる程痛くなる」うん

上条(嘘は言ってないはずだ)

フィアンマ「……は、…みがき、する…」

上条(涙目になってる……)
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/03(日) 19:53:52.06 ID:WlqhUHfAO
+
30 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/03(日) 19:54:07.49 ID:O6FNke1y0

上条「……じゃあ、俺は風呂場で寝るから」

フィアンマ「……」がしっ

上条「うお、何だよ」

フィアンマ「…上条も一緒にねよう」

上条「ええ…一人で寝ろよ」

フィアンマ「…おばけ出るかもしれない」

上条「出ねえよ、この科学の街で」

フィアンマ「…悪魔とか」

上条(ガチ泣き三秒前っぽいな…あー、もう。
見た目が良い大人ってところが何とも言えねえ)

上条「わかったわかった、寝付くまでな」

フィアンマ「…あさまで」

上条「……、…わかったよ。朝まで、な」



上条「…」すー

フィアンマ「……」むにゃむにゃ

上条「…」くうくう

フィアンマ「……、ん」ぱちっ ゆさゆさ

上条「ん、ん? んん…」ぱち

フィアンマ「…上条、おきて」

上条「何だよ、寝てたんだろ…?」うとうと

フィアンマ「といれ行きたい」

上条「一人で行けってのそれ位…」

フィアンマ「……かみじょう」ぐす

上条「わかったわかった……」

上条(ガキだから仕方ない、ガキだから仕方ない……)のろのろ
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/03(日) 19:54:08.57 ID:WlqhUHfAO
+
32 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/03(日) 19:54:22.93 ID:O6FNke1y0

上条「……」

フィアンマ「ん…」むにゃ

上条(中途半端に起こされたせいで寝れない)ぐぬぬ

上条「……」ちらり

フィアンマ「んー…」すやすや

上条(…中身は四歳位、か)

フィアンマ「……」むにゃむにゃ

上条「………」ごろん

フィアンマ「う…」ぱち

上条(またトイレか? それとも喉渇いたのか?)ちら

フィアンマ「かみじょう、…居るか?」

上条「上条さんならここですよ」ぐでー

フィアンマ「…なら、いい……」すやぁ

上条(…なつかれたってことで良いのか、コレは?)

フィアンマ「……」

上条「…あの傍若無人が、嘘みたいだな。…お前、本当にあのフィアンマなのかよ」ぷに

フィアンマ「ぅー…」もぞ
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/03(日) 19:54:23.98 ID:WlqhUHfAO
+
34 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/03(日) 19:54:39.36 ID:O6FNke1y0


上条「
さて、飯も食ったし学校行くか」

フィアンマ「…がっこう?」

上条「あー…そうだな、俺の仕事みたいなモン」

上条(学生の仕事って学業だし、嘘はついてないよな?)

フィアンマ「……」しゅん

上条「…お留守番出来るよな?」

フィアンマ「…ひとりで?」

上条「一人で」

フィアンマ「…うー」

上条(駄々こねそうだな、どうするか…)

フィアンマ「…一人やだ」

上条「早く帰ってくるから」

フィアンマ「…なんじくらいにかえってくる?」

上条「夕方…四時半位かな」

フィアンマ「…早くない」

上条「…」

フィアンマ「はやくない!」

上条(インデックスより聞き分けねえな…)うーん

フィアンマ「………るすばんする」

上条「お」

フィアンマ「……」

上条「…じゃあ、良い子にしてろよ」なでなで

フィアンマ「ん…」こくこく
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/03(日) 19:54:40.54 ID:WlqhUHfAO
+
36 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/03(日) 19:54:56.03 ID:O6FNke1y0

上条「ただいま…って何やってんだよ」

フィアンマ「おなかすいた…」

上条(…全然考えないで昼用意しないで学校行ってたな、そういえば…。
……仕方ねえだろ、インデックスと違ってコイツ何でも出来そうな雰囲気というか、
まともな大人の見た目なんだから。…誰に言い訳してんだか)

フィアンマ「おなかすいたー」ごそごそ

上条「戸棚を漁っても増えるわかめしかねえよ、ほら離れる」

フィアンマ「…うー」

上条「おやつの類…は無いか」

フィアンマ「…晩御飯…」

上条「とりあえずお握り食べて我慢しとけ、今作るから」いそいそ

フィアンマ「…その金色のなに?」

上条「ごま」

フィアンマ「ピンクのは」

上条「しゃけ」

フィアンマ「…オニギリってなんだ」

上条「お米で具を包んで握ったもの。
サンドイッチ日本バージョン…はい一個目できた」っ鮭握り

フィアンマ「………」もぐもぐ

上条(インデックスは何でもいけてたけど、コイツは大丈夫か…?)

フィアンマ「…じゃりじゃりする」もぐもぐ

上条「それゴマだから。じゃりじゃりとか言うな、砂じゃねえんだから」はー
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/03(日) 19:54:57.16 ID:WlqhUHfAO
+
38 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/03(日) 19:55:10.17 ID:O6FNke1y0

上条「今日の晩飯何にするかな…」

フィアンマ「……」もぐもぐ←二個目

上条「昨日はオムライスだったし…」

フィアンマ「……」きょろ

上条「…お前、お味噌汁飲める?」

フィアンマ「…ミソシル?」

上条「外国だとミソスープっていう言い方が有名だな」うん

フィアンマ「…食べたことがないからわからない」

上条「正直でよろしい。…わざわざ地雷確かめる必要はねえよな」ごそごそ

フィアンマ「! ペンネ!」

上条「流石にこれはわかるか」よいしょ

フィアンマ「…トマト使わないの?」

上条「トマト家にないの」ぐつぐつ
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/03(日) 19:55:11.11 ID:WlqhUHfAO
+
40 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/03(日) 19:55:23.25 ID:O6FNke1y0

上条「歯磨きの時間ですよ」

フィアンマ「…やだ」

上条「じゃあ虫歯な」

フィアンマ「それもいやだ…」ぐす

上条「すぐ泣けば良いってモンじゃないんだぞ」はぁ

フィアンマ「…甘いのだったらする」

上条「そんなもの…」

上条(無くはないけど、売ってるけど)

フィアンマ「これ辛いからやだ」

上条「だめ」

フィアンマ「…うー」

上条「……きちんと歯磨きしたら、明日はおやつ買ってきてやるから」

上条(子供だまし…いける、か?)

フィアンマ「…おやつ?」

上条「ああ、おやつ。クッキーとかビスケットとか。
何なら作ったやつでも良いけどさ」

フィアンマ「……」うーん

上条「……」

フィアンマ「はみがきする」

上条「よし」はぁ
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/03(日) 19:55:24.25 ID:WlqhUHfAO
+
42 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/03(日) 19:55:38.72 ID:O6FNke1y0

上条「今日は休みだ」

上条(…コイツと過ごして一ヶ月、早いモンだったな。
結局、ほんの一瞬も正気には戻らないけど…。
俺にとっては、そっちの方が、もう都合が良いかもしれない)

フィアンマ「おしごとが?」

上条「学校な。仕事でもまぁ間違っちゃいないけど」

フィアンマ「じゃあ今日はお家にいる?」

上条「日がな一日家でぼーっとするのも暇だしな…出かける」

フィアンマ「俺様もいく」

上条「んー……じゃあウィンドウショッピングな」

フィアンマ「うい…ういんどう、」

上条「見て回るだけ。冷やかし冷やかし」



フィアンマ「……」きょろきょろ

上条「何か気になるものとかあるのか?」

フィアンマ「…たいやき」

上条「何か残念そうな顔してるけど、そもそもたい焼きは鯛を焼いた食べ物じゃないから」

フィアンマ「……む」
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/03(日) 19:55:39.58 ID:WlqhUHfAO
+
44 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/03(日) 19:55:54.86 ID:O6FNke1y0

上条「…やっぱりパン屋か。立ち止まる気はしてた」

フィアンマ「…抹茶ちぇりーぱん」

上条「あれはあんまり美味しくないと思うぞ」

フィアンマ「上条はパンきらいなのか」

上条「パン自体は好きだぞ、別に嫌いじゃない。キワモノじゃなければな」

フィアンマ「きわ?」

上条「どじょうパンとか」

フィアンマ「ど、」

上条「生きたままのどじょうを乗っけて焼き上げるとか正気の沙汰じゃねえよあれ…」

フィアンマ「いき…お、…オドリグイというやつか」

上条「…それは知ってるんだな」

フィアンマ「きのうテレビでいっていた」

上条「そっかそっか」

店員「焼きたてパンのご試食はいかがですか?」

上条「どうも」もぐ

フィアンマ「…もらっていいのか」

上条「この小さいカゴの中から、一つだけな?」

フィアンマ「……」もぐもぐ

上条「いちごみるくパンか。悪くないな」

フィアンマ「…ジャムすっぱい」

上条「……子供舌め」
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/03(日) 19:55:55.93 ID:WlqhUHfAO
+
46 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/03(日) 19:56:14.97 ID:O6FNke1y0

今回はここまで。
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/03(日) 20:51:27.12 ID:aXTEsxZo0
何このフィアンマさん
まじ天使
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/03(日) 22:18:19.88 ID:fTB7QioJ0
乙!
なんかこう自分の薄暗いところを刺激する可愛らしさで非常に良い
49 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/03(日) 23:11:04.45 ID:Ly4+p7Kc0

このスレのフィアンマさんの見た目は原作の状態の髪がちょっと伸びただけです。
一人じゃ何も出来ないけどいい子です。






投下。
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/03(日) 23:11:05.46 ID:WlqhUHfAO
+
51 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/03(日) 23:11:34.11 ID:Ly4+p7Kc0


フィアンマ「…ここは?」きょろ

上条「ペット屋さん」うん

フィアンマ「…ねこがいる」

上条「猫が好きなのか?」

フィアンマ「うまも好きだ」

上条「何でそこで馬が出てくるんだ…?」

フィアンマ「…にゃー」

猫「……」ちら

フィアンマ「…にゃあ」しゃがみ

上条(…昔は、やっぱり素直なガキだったんだろうな)

猫「みゃー」ごろん

フィアンマ「にゃー」にこにこ

上条(…ああなるまでに何かあったんだろうけど)

フィアンマ「猫がおへんじしてた」

上条「…そうだな。何て言ってた?」

フィアンマ「おなかすいたって言ってた」

上条「はは、そっか」

上条(……だから、お前は忘れたかったのか。
魔術も知識も全部捨てて、真っ白になったのか)
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/03(日) 23:11:35.41 ID:WlqhUHfAO
+
53 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/03(日) 23:11:53.77 ID:Ly4+p7Kc0

―――スーパー


フィアンマ「…う」

上条「? どうかしたのか?」

フィアンマ「おやつ食べたい」

上条「おやつって、」

フィアンマ「これ」

上条「…クッキーか」

フィアンマ「食べたい」

上条「…ダメ」

フィアンマ「……食べたい!」

上条「ダメだって」

フィアンマ「……、…ううう! おやつ!」じだんだ

上条(っ、視線が痛い…)

上条「わ、わかったわかった、おやつな。クッキーな? 買ってやるから」

フィアンマ「……ん」にへら

上条(我が儘を無理やり通してるだけで悪気は無いんだな…。
まぁ、確かにオッレルス曰わく『悪意や疑いを知らない、真っ白な状態』だし
当たり前といえばそれまでだな)

フィアンマ「……ねむい」

上条「時間…午後一時か。昼寝したいんだな」

フィアンマ「んー」こくり

上条「買い物したらすぐ帰ろうな」

フィアンマ「ん」こくこく
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/03(日) 23:11:54.72 ID:WlqhUHfAO
+
55 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/03(日) 23:12:17.38 ID:Ly4+p7Kc0

―――自宅


上条「もう寝ちゃっても良いぞ。
お昼御飯も終わったからな」

フィアンマ「上条はねないのか」

上条「…まだ眠くないしな」

フィアンマ「いっしょに寝よう」ぐい

上条「うおっ、…あーもう、本当に眠くないんだよ。本当に」

上条(左腕しか無いとはいえ、結構力は強いな…。
身体は大人だし、かといって精神は釣りあいとれてないから
力加減はうまく出来ないみたいだし、当たり前か)

フィアンマ「……上条」

上条「そんな顔したってダメ。
上条さんはこれから晩御飯作るんだから、先に寝てなさい。
お昼寝位なら自分で出来るだろ?」

フィアンマ「……一人じゃねれない」

上条「はぁ…」

フィアンマ「……ごめんなさい。おやすみなさい」しゅん とぼとぼ

上条(……肉じゃが作ったら添い寝してやるべきか?)うーん ことこと
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/03(日) 23:12:18.36 ID:WlqhUHfAO
+
57 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/03(日) 23:12:33.38 ID:Ly4+p7Kc0

上条「ふー、全部出来た…漬け物は冷蔵庫ん中にしまったし、もう問題ねえな」

上条「…もう寝てるよな?」ひょこっ

フィアンマ「…ん、…ん」むにゃ

上条「……よく寝てるな」ぺた

フィアンマ「う…? あ、上条…いっしょに寝よう」ぐいぐい

上条「…そうだな、一緒に寝るか」よしよし

フィアンマ「…、…上条」うとうと

上条「ん?」ぽんぽん

フィアンマ「さっき、…ゆめ、見た」

上条「夢? 怖い夢か?」

フィアンマ「よく、…わからない、けど…金色のそらがあって、…上条と喧嘩するゆめだった」

上条(戦争の時の、)

フィアンマ「でも、…勝っても、まけても…俺様は、やっぱりやるんじゃなかったって、おもう気がした…」

上条「そっか、…理由は?」

フィアンマ「…ゆめで、…俺様が、ひとりぼっちだったから……」ぐしぐし
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/03(日) 23:12:34.43 ID:WlqhUHfAO
+
59 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/03(日) 23:12:51.16 ID:Ly4+p7Kc0


僧兵一人置かれていない、孤独な城。
その玉座から立ち上がって、フィアンマは上条に殺意を叩き付けた。
世界を救うと口にするには、あまりにも歪んだ思考で。

『こんな世界で、想定していた量の悪意を収穫出来なかっただと?』
『冗談じゃない』
『それは悪意という言葉の本当の意味を知らん者の寝言に過ぎん!』

フィアンマは、自分を疑わなかった。
他者を疑い続け、罪悪感と使命感に縛られ追い立てられ、もがきながら努力をした。
心から微笑みかける事の出来る人間を一人も作れないままに、ただ、必死に。

きっと彼は、悪意というものをよく知っていた。
きっと彼は、悪意というものに晒されてきた。

人は生まれながらにして詐欺を知りはしない。
どこかで被った、痛い思いをした、辛い思いをした。
だから覚えた、だから他人に振る舞える。

誰かに手を差し伸べた事など有り得ず。
誰かから手を差し伸べられた事も無く。

そしてそんな彼を、誰も救ってやらなかった。

『…良いのか…?』
『何が』
『俺様は、世界の広さも分からん人間だぞ…?』
『そっか』
『なら、これから沢山確かめてみろよ』

上条は、フィアンマを救った。
それは、傍から見ればただでさえ苦しんでいる青年を、地獄へ突き落としたように見えたかもしれない。
自分の手柄とフィアンマの安息の為に放っておくか、或いは止めを刺してやらなかったのは、ある種の冷酷さを孕んでいた。

しかし、手を差し伸べた。

フィアンマは人生で、生まれて初めて、他人から手を差し伸べられた。
命を賭けて、助けてもらった。

『そうか。俺様は、今までそんな顔を、していたんだな』
『本当に世界を救うヤツは、そんな顔はしない』


(あの男が救った世界を、踏みにじらせてはいけない。いいや、これ以上踏みにじらせたくない)


だから、彼は一度だけ戦えた。
自分の為に命を張ってくれた人の為に、命を張れた。
規模の問題ではない。

上条に、"やり直す機会"を守ってもらった。
漫画に出てくるヒーローみたいに、聖書に出てくる神の子のように、守ってもらえた。

だから、フィアンマは"上条が守りたかった世界"を守ろうと思った。
勝てる勝てないの理屈の問題ではなく、感情の部分で、思った。
世界中をチェス盤に見立て、周囲の人間を駒として扱い、嘲笑う事をやめた。
右腕を切られ、血を流し、精一杯力を振るった。
もう、それは暴力と呼ばれる類の力ではなかった。
しかし、それが彼の限界だった。
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/03(日) 23:12:52.14 ID:WlqhUHfAO
+
61 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/03(日) 23:13:32.17 ID:Ly4+p7Kc0

限界が来て、文字通り"壊れた"。
まだ何も知らなかった頃に。
まだ悪意を知らない、真っ白だった頃に。
精神を白紙に戻して、人生に折り合いをつけた。
それは、即ち、精神的な自殺。
フィアンマが意識下で行ったのか、無意識下で行ったのかは、誰にもわからない。
だが、フィアンマは上条に倒され、全てを失ったあの日。
あの日あの時に、既に限界に一度達していた。
自分が間違っていると自覚したからこそ、耐えられなかった。
世界を確かめる覚悟を決めて、悪意に晒されて、耐え切れなかった。
そうして死んだ抜け殻の彼は、奇妙なことに上条の下へ。
何も知らない今のフィアンマにとって、上条は『上条お兄さん』であるだけ。
フィアンマには他者への悪意も嫌悪感も存在しない。
ただ怯え、ただ震え、身を守る術の一つすら持ち合わせていない。
上条がただ振り上げた手にさえ、殴られると思い、泣き叫んでしまう程に。

全てを捨て、庇護欲を煽るだけの存在になって。
一人ぼっちの、不安定な子供になった。
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/03(日) 23:13:34.37 ID:WlqhUHfAO
+
63 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/03(日) 23:13:51.96 ID:Ly4+p7Kc0

上条「……、」

フィアンマ「…ゆめの中の俺様は、せかいじゅうが大好きだと、思ってた。
…ちがった。…世界中が、大嫌いだった。だから、きれいにしようと思った」

上条「……」

フィアンマ「……上条とのけんかに負けて、しんじゃうのかな、って思って。
でも、諦めたから、すっきりしてた。仕方ないって、…神様が、俺様をみすてたんだって」

上条「……違うよ」ぎゅう

フィアンマ「?」

上条「……お前は、間違えた解答用紙を、誰にも採点してもらえなかったんだ」

フィアンマ「…かい、…答?」

上条「だから、一足す一がマイナス一だと思い続けてたんだ。
俺が止めるまで、ずっと。お前だって、周りに優しい人が居たら違ったよな。
俺の親父みたいに、どんな時でもお前を心配してくれる人間が居たら、違ったよな……」

フィアンマ「……上条、一たす一は二だよ」

上条「わかってる……、」

フィアンマ「……上条にくっついてると、あんしんする」うとうと

上条「もう一回寝たらすっきりするから、…おやすみ」

フィアンマ「ん、おやすみ……」
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/03(日) 23:13:53.01 ID:WlqhUHfAO
+
65 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/03(日) 23:14:06.04 ID:Ly4+p7Kc0

フィアンマ「……」ぱち

上条「お」

フィアンマ「…上条、ねなかったのか…?」ぐしぐし

上条「何となく、な」

フィアンマ「おなか、…すいた」

上条「今日の晩御飯は肉じゃがだぞ」

フィアンマ「あのじゃがいも煮たやつか」

上条「間違ってはいないんだけどな…何かズレてるような」

フィアンマ「〜♪」るんるん

上条「あ、今日はお箸の練習するぞ」

フィアンマ「……やだ」

上条「やだ、じゃねえよ」

フィアンマ「…おはし、手が痛くなるからすきじゃない」

上条「……じゃあ今から起きてボールペン握れ」

フィアンマ「うー…」のそのそ
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/03(日) 23:14:07.47 ID:WlqhUHfAO
+
67 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/03(日) 23:14:20.79 ID:Ly4+p7Kc0

上条「今日こそお風呂には一人で入ってもらうぞ」

フィアンマ「おばけでるからやだー!」ふるふる

上条「出ないって言ってんだろ!」

フィアンマ「か、みのけ洗ったらでる」

上条「出るって思うから出るんです!」

フィアンマ「……出るもん…」

上条「…ったく…」

フィアンマ「…かみじょうも一緒に、」

上条「……」

フィアンマ「い……いっしょ、に……」じわ

上条「だああ分かった! 分かったから泣くなよ馬鹿!」

フィアンマ「うぅ……」ぎゅう
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/03(日) 23:14:21.71 ID:WlqhUHfAO
+
69 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/03(日) 23:14:36.52 ID:Ly4+p7Kc0

フィアンマ「…お昼寝長くしてたからねれない」うう

上条「上条さんも寝れないけどな」ぐだ

フィアンマ「…うー」ごろごろ

上条「何かゲームでもするか?」

フィアンマ「げーむ?」

上条「トランプなら片手でも…口使えば出来るだろ」

フィアンマ「とらんぷ!」

上条「好きなのか?」

フィアンマ「タロットとおなじくらい」

上条「よくわかんない値だなそれ」いそいそ

フィアンマ「なにするの? 七ならべ?」

上条「んー…七並べにするか」ぱらぱら

フィアンマ「あ、7ぜんぶ俺様もってる」

上条(まあ、幸運なヤツと不運なヤツがやったらこうなるよな)

フィアンマ「かみじょうの番!」にへら

上条「……、…ああ。負けねえぞ」すっ
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/03(日) 23:14:37.73 ID:WlqhUHfAO
+
71 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/03(日) 23:15:00.11 ID:Ly4+p7Kc0

今回はここまで。
日常ネタ、ご希望などありましたらどうぞ。
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/04(月) 00:03:07.76 ID:63QxJpMDO
日常ネタというか時期的にはひな祭りとかですよねー
私的には何らかの理由でホワイトデーの内容を知ったフィアンマさんが上条さんとクッキー交換とか……?
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/04(月) 00:31:53.68 ID:eWr4d50SO
話の方向性がわからんからちょい何ともネタふりづらいな

試しに

アルバム

いびつ

ウェルカム

エチケット

オムツ
74 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/04(月) 11:51:20.55 ID:nU6+4Nt/0

>>72
ご提供ありがとうございます!

>>73
何というか、最終的には鬱エンドですけど、池沼状態のフィアンマさんと上条さんがいちゃいちゃする趣旨です





投下。
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/04(月) 11:51:21.54 ID:MMvZvh/AO
+
76 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/04(月) 11:51:47.95 ID:nU6+4Nt/0

フィアンマ「俺様のかち! やったー!」ふふふ

上条(手加減するまでもなくコテンパンにされた…)ぐったり

フィアンマ「…上条は、ばばぬきとジジ抜き、どっちがすき?」

上条「え? んー…ジジ抜きかな」

上条(どっちにせよ負けるけど)

フィアンマ「俺様もね、ジジ抜きの方がすき」

上条「何でジジ抜きの方が好きなんだ?」

フィアンマ「仲間はずれがでないから」

上条「……」

フィアンマ「あと、ばばぬきだと、俺様にはぜったいババがまわってこないから」

上条「……、」

フィアンマ「すぐかっちゃって、顔に出ちゃって、仲間はずれにされちゃうから」

上条「……」

フィアンマ「だから、じじぬきの方がすき」
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/04(月) 11:51:48.79 ID:MMvZvh/AO
+
78 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/04(月) 11:52:04.11 ID:nU6+4Nt/0

ジジ抜きは、最後の最後まで勝敗がわからない。
ジョーカーと違い、何が余りなのかわからないゲームだ。
ジョーカーを他者へ押し付けるゲームは、嫌いらしい。
イカサマで何度か手札に押し付けられても、誰かがとっていく。
そうして誰かが勝手にとって。
そうして、誰かがコイツに勝利を押し付けたクセに。
勝手に負けたクセに、その罪を全部コイツに押し付けた。
やがて仲間はずれにされるようになり、誰も遊んでくれなくなり。
だから寂しかったんだ、とフィアンマは笑ってみせた。
気がついたら、腕を伸ばして引き寄せていた。
ぐい、と強く引き寄せて、抱きしめていた。
俺の意思ではなかった。俺ではない、何らかの意思だった。
たとえるなら、それは『前の俺』の意思だったのかもしれない。
きっと、俺の想像出来ないような不幸な人生を送ってきた、俺の。

「…かみじょう?」

不思議そうに、フィアンマが首を傾げる。
そうして、くすぐったそうに甘えてきた。
泣きそうな気持ちになりながら、頭を撫でる。

「……お前を、仲間はずれになんて、させないからな」
「…?」
「俺が、守ってやるから」

言いながら、強く抱きしめる。
右肩の断面は当たると痛いのか痺れるのか、嫌そうに身じろいで。
フィアンマは安堵するポジションを見つけたのか、俺の肩へ頭をもたれる。

きっと。

インデックスを守ろうと決めた、以前の俺は。
今の俺に近い気持ちだったのかも、しれない。

「……ありがとう、上条当麻」
「……? お前、」

掠れた男の声に、思わず視線を向ける。
フィアンマはいつも通りの。
やっぱりのどかな笑みを浮かべていて。

「? どうかしたのか」
「…いや、何でもない。寝ようぜ」
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/04(月) 11:52:05.13 ID:MMvZvh/AO
+
80 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/04(月) 11:52:22.11 ID:nU6+4Nt/0

上条「おはよ」

フィアンマ「ふぁ、…ふ」ぐしぐし

上条「飯出来てるから食えよ」

フィアンマ「…おひるは…?」うとうと

上条「弁当作っておいたから、…電子レンジはわかるか?」

フィアンマ「…ちん?」

上条「そう、チンって鳴るやつ」

フィアンマ「なんかいぐりぐりしてスイッチ押したらいい?」

上条「少しだけツマミ回して押してあっためてくれ」

フィアンマ「ん、わかった」

上条「今度水族館行こうな」

フィアンマ「…す?」

上条「魚とか見れるところ」

フィアンマ「さかなやさんとは違うのか」

上条「生きてる魚が見られるから、魚屋とは違うな」

フィアンマ「…魚屋さんのもいきて、」

上条「ああうん、新鮮なのは生きてるけどさ……」
81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/04(月) 11:52:22.94 ID:MMvZvh/AO
+
82 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/04(月) 11:52:44.49 ID:nU6+4Nt/0

上条「じゃあ今日は補習だから…んー」

フィアンマ「?」

上条(バレなきゃいいが……)ぴんぽーん

土御門「はいはい、何だぜいカミやん」ひょこっ

上条「えっと、…知り合いの面倒看て欲しいんだけど」

土御門「知り合い? ははん、カミやんまた女の子を引っ掛け…おや?」

フィアンマ「…うー」ひしっ

上条「隠れきれてねえし隠れてないでご挨拶しなさい」

フィアンマ「しらないひと…」

上条「安心しろ、俺の友達だから」

フィアンマ「かみじょうの友達?」

土御門(…所謂知的障害の子かにゃー?)

フィアンマ「……う、…ふぃ、あんま、です」ひしっ

上条「ほら、俺特別補習入ってるからさ…頼めるか?
昼時に一回戻って、飯食ってまたお願いすることになるけど」

土御門「見た感じ大人しそうだしにゃー。構わないぜい?」

土御門(フィアンマ…右方のフィアンマ…。
いや、考え過ぎか。第一、フィアンマなんて苗字はイタリア辺りには溢れかえってる)

上条「じゃあ迷惑かけないようにするんだぞ。わかったか?」

フィアンマ「……うん」
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/04(月) 11:52:45.32 ID:MMvZvh/AO
+
84 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/04(月) 11:53:03.64 ID:nU6+4Nt/0

上条「ただいまー」

フィアンマ「おかえり!」

上条「ん? 何か甘い匂いするな」

フィアンマ「にゃーにゃーと一緒にクッキーやいた」

上条「にゃーにゃー…ああ、土御門な。
…って、焼いたのかよ。やけどしなかったか?」

フィアンマ「だいじょうぶ。…ホワイトデーあげる」

上条「どうも、…いや、バレンタインに何もあげてねえし。
今何月だと思ってるんだよ、五月半ばだぞ?」

フィアンマ「…いらない? クッキーきらい?」

上条「嫌いじゃないけど…まあいいか」

フィアンマ「かみじょうからもクッキー欲しい」

上条「…お前、土御門からホワイトデーについて何て言われたんだ?」

フィアンマ「クッキーこうかんするお祭り」

上条「うん、違うな。ちょっと待ってろ、とっちめてくる」がちゃ

フィアンマ「あう」しゅん
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/04(月) 11:53:04.52 ID:MMvZvh/AO
+
86 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/04(月) 11:53:18.33 ID:nU6+4Nt/0

上条「ただいま」

フィアンマ「おかえり」

上条「ホワイトデーはな、本来二月十四日のバレンタインに…」くどくど

フィアンマ「……」ふむふむ

上条「って訳で、別にクッキー祭りじゃないんだ」

フィアンマ「……」しゅん

上条「…クッキー欲しかったのか?」

フィアンマ「たべたかった」

上条「……じゃあ、明日帰ってくる時に買ってくる」

フィアンマ「! クッキー!」

上条「だから大人しく留守番しててくれよ?」

フィアンマ「うん!」

上条「晩御飯作るからテレビ見てて良いぞ」

フィアンマ「おてつだいする」

上条「じゃあじゃがいも…剥けるか?」

フィアンマ「…が、んばる」
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/04(月) 11:53:19.26 ID:MMvZvh/AO
+
88 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/04(月) 11:53:34.13 ID:nU6+4Nt/0

―――七月


上条「暑いー…」てくてく

フィアンマ「…すいぞくかん、まだ着かない?」

上条「まだ着かないな…」てくてく

フィアンマ「…かみじょう」

上条「んぁ?」

フィアンマ「俺様のて、ひんやりしてるからつなご」すっ

上条「……」

フィアンマ「……うー。はやく」

上条(ここで断ったら傷つくよな。
けど、受け入れて握ったら、絶対に変な目で見られる)

フィアンマ「……かみ、じょう?」

上条「…わかった、繋ぐか」きゅ

フィアンマ「…水族館いったらね、まんぼうが見たい」

上条「マンボウ? あいつ間抜けな顔してるよな」

フィアンマ「すぐしんじゃうんだよ」
89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/04(月) 11:53:34.97 ID:MMvZvh/AO
+
90 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/04(月) 11:53:47.80 ID:nU6+4Nt/0

例えば、着水時の衝撃で。
例えば、鳥につつかれて。
例えば、身体が裂けて。

あっという間に、実に簡単に。
簡潔に死を迎えてしまうのだ、とさみしそうに言うフィアンマは。
その彼が語るマンボウと同じように、すぐ死んでしまいそうに思えた。
実際、彼が言う通り、繋いだ手はひんやりと冷たくて。
夏の暑い日差しの中、その冷たさだけが異常だった。
身体が冷えているのか冷え性なのか。
はたまた、本当は死体なのだろうか。
仮にフィアンマが死体だと言われても、俺は驚かないで受け入れるだろう。
幸せそうに笑うその様子が、いつも、どこか抜けているから。

歪な幸福。

今の俺達の関係性は、その一言に尽きる。
フィアンマが異常であるが故に、手がかかるのに。
フィアンマが異常であるからこそ、俺は満たされている。
インデックスのことを思い、彼女と離れてから出来ていた、溝、或いは穴。
そこに、フィアンマという存在がだんだんと浸透してきている。
つまり、そう、俺は、依存しないと生きていけない人間だったのだ。

フィアンマはどこまでも純粋に俺を慕い。
俺は何も知らないかのように、優しく接する。

このまま長続きしますように。
91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/04(月) 11:53:49.17 ID:MMvZvh/AO
+
92 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/04(月) 11:54:18.00 ID:nU6+4Nt/0

上条「ほら、魚」

フィアンマ「……」じー

上条「…食べられない魚だぞ、コイツらは」

フィアンマ「……さかなは」

上条「ん?」

フィアンマ「ここにいる魚は、じぶんが水槽の中にいるって、わかってるのかな」

上条「……」

フィアンマ「……いきぐるしく、ないのかな」

上条「……」

フィアンマ「海の中でゆっくりすごしてたときに、もどりたくないのかな」

上条「海の中より、今の方が幸せに決まってんだろ」

フィアンマ「…上条?」

上条「海の中は危ないんだよ。だから、戻らない方が良い。
沢山の敵が居て、どこを見ても傷つけられるだけなんだ。
この水槽の中で、ずっと幸せに暮らしてるのが一番なんだよ。
どうせ海に逃げたって、誰にも受け止めてもらえないんだから。
……ずっと、水槽の中に居ればいい」

フィアンマ「……上条、おこってるのか」

上条「え? ……いや、別に怒ってねえよ」
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/04(月) 11:54:18.96 ID:MMvZvh/AO
+
94 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/04(月) 11:54:36.33 ID:nU6+4Nt/0

今回はここまで。
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/04(月) 13:32:14.10 ID:eWr4d50SO
乙。飼い殺しが幸せか、自由に自分で生きていくのが幸せかは本人にしかわからんような。寂条さん…
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/04(月) 13:33:51.93 ID:63QxJpMDO
まさかこんな時間に来ているとは………しかも作中だと5月過ぎだとは……
まぁ上条さんが2年生に上がりたてなんだからそりゃあ5月前後でしたよねー、すいません
乙でしたー
97 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/05(火) 13:03:05.88 ID:4FaeyE6A0

ほのぼのシーンって存外ネタが浮かばないものです。ぐぬぬ。







投下。
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/05(火) 13:03:10.43 ID:NrdyhZgAO
+
99 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/05(火) 13:03:27.65 ID:4FaeyE6A0

上条「行きは歩いたから帰りはバスな」

フィアンマ「ん」きゅっ

上条「満足したか?」

フィアンマ「黄色とくろのしましまのがすきだった」

上条「熱帯魚か。見た目面白いよな」

フィアンマ「たべられないけど」

上条「…あれ、食べたらどうなるんだろうな? 
何か毒があるのは除いて」

フィアンマ「…多分おいしくない」

上条「何か硬そうだよな、身が。
……顔色悪いけど、大丈夫か?」

フィアンマ「うー…ゆれる……」
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/05(火) 13:03:28.52 ID:NrdyhZgAO
+
101 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/05(火) 13:03:44.88 ID:4FaeyE6A0

生憎、手元にエチケット袋の類は無い。
ちょうど家の近くのバス停が近づき、バスを止め為、下車する。
僅かな揺れだったが、乗り物に乗り慣れ無かったのだろう。
すっかり乗り物酔いをしてしまったフィアンマは、ふらふらとかがむ。
一応頭の中で『道路にぶちまけてはいけない』位の考えは出来たらしい。
道路の排水口近くにしゃがみこみ、胃液を吐きだした。
びちゃびちゃ、という水音と、饐えた臭い。
俺はフィアンマに近寄り、出来るだけ優しく背中を摩った。

「は、…ぉえ、…う、う…」
「……全部吐いちゃって良いぞ。中途半端は辛いからな」

声をかけて、背中を摩る。
フィアンマは数回力なく頷いて、嘔吐物を吐き出す。
酸っぱい胃酸で喉が灼かれて痛かったのか、フィアンマは唇を噛み締める。
俺はポケットからティッシュを取り出し、広げ、口を拭いてやった。
頭を撫で、優しくとんとんと背中を叩く。
けほけほ、と噎せて、フィアンマは俺を見つめた。
ぼんやりとした表情。嘔吐は疲れてしまうものだ。

「大丈夫大丈夫、…お家帰ろう」
「かみ、じょう」
「ん?」
「だっこ…」
「はいはい」

苦笑いして、抱きしめる。
嘔吐物の臭いは若干したものの、もはや気にならない。
幼児の涎や女の子の涙で服が汚れても、気にならないのと同じだ。
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/05(火) 13:03:45.93 ID:NrdyhZgAO
+
103 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/05(火) 13:04:01.86 ID:4FaeyE6A0

上条「ただいま。口洗ってこい」

フィアンマ「んー」てくてく

上条「さて、晩飯の用意するかな…」いそいそ

フィアンマ「ただいま」

上条「早かったな」

フィアンマ「んっ」ぎゅー

上条「…晩飯作れないだろー?」よしよし

フィアンマ「かみじょう大好きー」すりすり

上条「…上条さんも大好きだぞー、はいはい」よしよし

フィアンマ「んー」にこにこ

上条「…今日の晩飯は焼きそばにするかな」

上条(それなら食べる直前に用意始めれば良いし)

フィアンマ「かみじょう、さっきこんな本みつけた」

上条「本? 何だそりゃ」
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/05(火) 13:04:02.84 ID:NrdyhZgAO
+
105 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/05(火) 13:04:17.58 ID:4FaeyE6A0

フィアンマ「これー」ぺら

上条「アルバムか…」

フィアンマ「…このしろいひとは?」

上条「ああ、…インデックスって、いうんだ」

フィアンマ「…いん?」

上条「インデックス」

フィアンマ「インデックス。…おぼえた」にへら

上条(そう、だよな。…利用した時のことなんて、覚えてる筈もねえか)

フィアンマ「これなあに」

上条「これ? ああ、すき焼きパーティーの時の…」

フィアンマ「…好き?」

上条「すき焼き。料理だよ」

フィアンマ「美味しい?」

上条「美味い。高級料理だけどな」

フィアンマ「俺様もたべてみたい」

上条「…今度、牛肉が安かったら作ってやるよ」なでなで
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/05(火) 13:04:18.54 ID:NrdyhZgAO
+
107 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/05(火) 13:04:34.31 ID:4FaeyE6A0

上条「…もう朝か…」ねむねむ

フィアンマ「…う」しゅん

上条「んぁ? …はよ、どうかしたのか?」

フィアンマ「…おこらない?」おず

上条「内容によるけどな」

フィアンマ「…しょ」ひそひそ

上条「?」

フィアンマ「…おねしょ、した」しゅん

上条「」

フィアンマ「……うぅ」じわ

上条「…オムツ買ってくるから待ってろ」

フィアンマ「ぐしゅぐしゅして気持ち悪い…」もぞ

上条「しばらく我慢しなさい」

フィアンマ「ごめんなさい」

上条「…ん、謝ったし、怒ってないから安心しろ」よしよし
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/05(火) 13:04:35.19 ID:NrdyhZgAO
+
109 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/05(火) 13:04:50.51 ID:4FaeyE6A0

上条「ただいま。…大人しく穿いてくれよ」いそいそ

フィアンマ「…ん」もぞ

上条「…敏感肌だったりするか?」

フィアンマ「びん…わからない」

上条「ん、そっかそっか」よいしょ

フィアンマ「ずぼん…」

上条「替えがあるからこっちな」

フィアンマ「んー」もぞもぞ

上条「夜はきちんとトイレ行けよ?」

フィアンマ「昨日はめが覚めなかった」ぐす

上条「わかったわかった、泣くなって…」よしよし

フィアンマ「おなかすいた」

上条「…マイペースだよな、お前…」
110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/05(火) 13:04:51.50 ID:NrdyhZgAO
+
111 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/05(火) 13:05:04.69 ID:4FaeyE6A0

上条「お昼も終わったし、皿洗いするから昼寝してて…ん? どうかしたのか?」

フィアンマ「かみ、じょう」ぎゅう

上条「どうかしたのか?」

フィアンマ「んん、…ん」ふる

上条「……」

フィアンマ「ふ、ぁ…」

上条「……人に抱きついたまま排尿するなよ、何か変態臭いだろ」

フィアンマ「ん、ぅ…へんたい、…って、何だ」

上条「説明するの面倒臭いからパスで」よしよし

フィアンマ「かみじょう」

上条「ん?」

フィアンマ「さらあらい、…する間、くっついてても、いい?」

上条「ああ、別にいいよ」なでなで

フィアンマ「…ん」にへら

上条「……お前甘えるの好きだよな」

フィアンマ「上条にあまえるのがすき」

上条「…そっか」
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/05(火) 13:05:05.82 ID:NrdyhZgAO
+
113 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/05(火) 13:05:27.79 ID:4FaeyE6A0

上条「はいおやつ」

フィアンマ「クッキーだ!」

上条「全然関係無いけど、ウェルカムドリンクって知ってるか?」

フィアンマ「…歓迎するのみもの?」

上条「まあ、合ってる事には合ってる」

フィアンマ「オモテナシー?」

上条「何か発音違うけど、そうそう」

フィアンマ「おいしいの?」

上条「気持ち的には美味しいかな」

フィアンマ「あいじょうがこもってるのか」

上条「どっちかっていうと友情とか思いやりだな」

フィアンマ「……うー」

上条「ちょっと難しかったか」

フィアンマ「かみじょうの話はときどき難しくてよくわからない」うーん
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/05(火) 13:05:28.74 ID:NrdyhZgAO
+
115 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/05(火) 13:05:42.71 ID:4FaeyE6A0

上条「今日から夏休みだ」

フィアンマ「おやすみ?」

上条「そうそう、長い休み」うん

フィアンマ「! 毎日おうちにいる?」

上条「割と居るかな。…補習も減ったし」

フィアンマ「やったー!」

上条(…去年の夏休みは、色々あったな……)

フィアンマ「んー……」ちょいちょい

上条(絶対能力者進化実験を食い止めたり、闇咲の大切な女性を助けに行ったり…。
後は何だっけ、そうだ、『御使堕し』……)

フィアンマ「ん、ん…わぶっ」どさっ

上条「って、何やってんだお前は!」

フィアンマ「布団ひっぱってたら落ちてきた」もぞもぞ

上条「…何やってんだか、…はは」

フィアンマ「んん、上条…」じたばた

上条「今助けるからじっとし…っと、」
116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/05(火) 13:05:43.65 ID:NrdyhZgAO
+
117 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/05(火) 13:06:01.35 ID:4FaeyE6A0

バランスを崩した。
フィアンマと同じように、なだれ込む。
白い布団の中。
間近に、整った顔がある。
赤みがかった髪は、肩程まで伸びていて。
金色の瞳には、あの日のような歪んだ光は無い。

「…かみ、じょう」

手を伸ばされる。
得体の知れない右手…は、もう無く。
俺と握りたがる、細い指の、左手。
ふに、と頬に触れられた。

「上条」

うっすらと笑みを浮かべる顔。
昔のフィアンマと、同じように見えた。
本当は、正気なのではないか。
気が違っているフリをするだけなのではないか。
疑惑が渦巻く中、俺も手を伸ばす。

やけに色気があるように思えたのは。
きっとコイツの顔が、中性的で。
きっと、白い肌をしているからだ。
そして、細い身体だからだ。

様々な言い訳を並べ立てて。
俺は上体を起こし、フィアンマの身体を組み敷いた。

正気じゃない。コイツは。
俺も、きっとコイツにあてられて。
夏の暑さに、浮かされていて。
正気なんかじゃない。
朱に交われば、というじゃないか。






「……フィアンマ、」
118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/05(火) 13:06:02.29 ID:NrdyhZgAO
+
119 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/05(火) 13:06:50.43 ID:4FaeyE6A0

今回はここまで。
このスレのテーマは『破綻』辺りだと思います。
ネタなどありましたらお願いします…あ、出来れば感想もお願いします。
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/05(火) 19:58:50.53 ID:jacPXVzDO
感想ですか?
感想は、ほのぼのシーンが浮かばなくて悩んでる>>1様が可愛いです!

ネタとしてはペットショップやぬいぐるみとかはいかがでしょう?
あとは幼い思考のフィアンマを服屋さんにつれてく…とか
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/05(火) 21:22:54.62 ID:ThfJ1LPN0
大きいままフィアンマさんがこんな事言ってると思うと胸が熱くなるな
122 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/05(火) 22:12:34.97 ID:LuioTIaM0

>>120 
ご提供ありがとうございます…>>1が可愛い、そげぶ


>>121
書きながら常にいろんな意味で胸熱です…






投下。
123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/05(火) 22:12:36.29 ID:NrdyhZgAO
+
124 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/05(火) 22:13:02.32 ID:LuioTIaM0

舌を這わせた。
少し乱暴にしていることを自覚しながら、服に手をかける。
甘い匂いはしない。女の子ではないのだから。
しかし、男臭さというものも感じられない。
まったくもって、良い匂いも、嫌な臭いもしない。
それが人形のようで、俺は堪らなく怖くなる。
恐怖に背中を押されるまま、舌を這わせていった。
鎖骨の窪みを犬のようにはしたなく舐めると、汗の味がする。
良かった、生きてる。生きた、普通の人間だ。
フィアンマはくすぐったいのか、小さく笑って身じろいで。
かり、と首筋に歯を立てた。犬歯を食い込ませる。
痛かったのか、身じろぎながら、フィアンマは泣きそうな声を出した。
頭を撫でてあやしてやり、そのまま口付ける。
自分でも、何をしているのか。自分の行動が、操作出来ない。
まるで自分という存在のコントローラを盗られてしまったかのように、自由が利かない。

「ん、」

口を離す。
長い唾液の糸が引いた。
フィアンマは、不思議そうに首を傾げ。
そして、やっぱりわかっていないだろう、何も。
不思議そうに笑って、俺の頬を撫でた。
布団の中は暑くて、汗がだらだらと流れて、くる。

このまま、ここにいたら。

子供のように笑う目の前の男を、犯してしまいそうだった。
125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/05(火) 22:13:03.46 ID:NrdyhZgAO
+
126 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/05(火) 22:13:19.00 ID:LuioTIaM0

上条(…何考えてんだ俺)

上条「フィアンマ、風呂入るか」

フィアンマ「おふろ?」

上条「お風呂」うん

フィアンマ「はいる。シャワーがいい」

上条「ぬるま湯にするか」

フィアンマ「なつかぜひかない?」

上条「多分大丈夫だろ」

上条(そんなに身体弱ってねえし)

フィアンマ「…上条」

上条「あん? 何だよ」

フィアンマ「ぞうさんじょうろ欲しい」

上条「だめ」

フィアンマ「…うー」
127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/05(火) 22:13:20.20 ID:NrdyhZgAO
+
128 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/05(火) 22:13:32.83 ID:LuioTIaM0

―――八月


上条「…っだぁあ暑い! 暑すぎる!」

フィアンマ「うちわいる?」

上条「うちわでどうこう言える暑さじゃないですのことよ…」はぁ

フィアンマ「そうめん食べてた時はすずしかったのに」

上条「そうめんは身体冷やすからな…」

フィアンマ「…あ、むぎちゃない」

上条「沸かすの怠いな……」

フィアンマ「んー」

上条「…何か食べたいものあるか?」

フィアンマ「……」きょろ

上条「……」

フィアンマ「かきごおり!」

上条(ちょうどテレビでやってたからだな…)

上条「かき氷な。じゃあショッピングモール行くか」

フィアンマ「ん!」
129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/05(火) 22:13:33.84 ID:NrdyhZgAO
+
130 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/05(火) 22:13:48.50 ID:LuioTIaM0

上条「やっぱ文明の利器だよなあ」ふー

フィアンマ「冷房、すずしい」へら

上条「でもずっと当たってると風邪引くから歩くぞ」

フィアンマ「かき氷ある?」

上条「この先のお店にな」

フィアンマ「…んっ」

上条「っと、急に立ち止まるなよ…何かあったのか?」

フィアンマ「くま!」ゆびさし

上条「…ぬいぐるみ専門店? またファンシーな、」

フィアンマ「くまー」ぐいぐい

上条「引っ張るなって……ああもう、」

フィアンマ「…くま嫌い?」

上条「そういう話じゃなくてだな、…かき氷はどうなったんでせうか!」

フィアンマ「後でたべる」

上条「……」
131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/05(火) 22:13:49.75 ID:NrdyhZgAO
+
132 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/05(火) 22:14:05.64 ID:LuioTIaM0

上条「…欲しいのはテディベアか?」

フィアンマ「んー、んー」きょろ

上条(悪目立ちっぷりがヤバい。出たい…)

フィアンマ「…うに」

上条「誰がウニだ誰が」

フィアンマ「んん、上条じゃなくて」

上条「ん? ……ウニの形のクッション……」

フィアンマ「かたくない」ふに

上条「そりゃ硬かったら怪我するからな」

フィアンマ「…うにぐるみ……」

上条「……もしかして、欲しいのか?」

フィアンマ「………」

上条「……」

フィアンマ「…うさぎ」

上条「あの時計兎か」

フィアンマ「…とけいになるよ」

上条「時計なら家にあるだろ、既に」

フィアンマ「……」しゅん

上条「………兎さんは、また今度。な?」

フィアンマ「…またこんど?」

上条「また今度。…今欲しいだけかもしれないから、一回目は我慢」

フィアンマ「……うん」きゅっ
133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/05(火) 22:14:06.71 ID:NrdyhZgAO
+
134 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/05(火) 22:14:24.52 ID:LuioTIaM0

上条「かき氷、何が良いんだ?」

フィアンマ「んー……」じー

上条「……」

フィアンマ「…かみじょうは?」

上条「俺? 俺は…んー、いちごミルク」

フィアンマ「…りんご、おいしい?」

上条「リンゴ? …おお、林檎シロップなんかあるのか」

フィアンマ「……」じー

上条「林檎が好きなら美味しいと思うぞ」

フィアンマ「このアイスのっかったのがいい」

上条「じゃあ、店員さんが来たら『林檎氷、アイス乗せ一つ』って言えるか?」

フィアンマ「…りん、ごおり…あいすひとつ?」

上条「そうそう。言えるか?」

フィアンマ「…多分」

上条「よし」
135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/05(火) 22:14:25.56 ID:NrdyhZgAO
+
136 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/05(火) 22:14:40.81 ID:LuioTIaM0

上条「林檎美味いか?」しゃくしゃく

上条(結局店員さんに勧められるままオプションで練乳かけさせちまったな…。
ま、財布的にはそんなにキツい値段でもないし)

フィアンマ「ん、おいしい!」

上条「そっか、良かったな」

フィアンマ「…あーん」すっ

上条「…いや、俺はいいよ」

フィアンマ「…うー。あーん!」

上条(あ、これ断ると駄々こねるパターンか)

上条「はいはい、いただきますよ…ん、」もぐ

フィアンマ「……」

上条(満足気な顔しやがって)

フィアンマ「…かみじょうのも食べたい」

上条「ん、……ほら」すっ

フィアンマ「ん…」むぐむぐ

上条(…インデックスは女の子だから、こんな風には、しなかったな。
あーんってやってあげたら、喜んだの、かもな。
…全部、今更だけど。俺は、インデックスの安全と、コイツを選んだんだ。
自分の意思と、自分の責任で)

フィアンマ「…上条、頭いたい?」

上条「え?」

フィアンマ「かき氷食べるとあたまいたくなる、ってテレビでいってた」

上条「別に大丈、」
137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/05(火) 22:14:41.79 ID:NrdyhZgAO
+
138 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/05(火) 22:14:57.84 ID:LuioTIaM0

左手を伸ばし。
ぺた、と俺の額へ。
グラスで冷えた冷たい手のひらが、触れる。

かつて、この手を恐ろしいと感じたものだった。
かつて、この手を憎らしいと思ったものだった。

『神の右席』以外にも、様々な術式を扱い。
俺を追い詰めながら、コイツは笑っていた。

『遠距離からでは精度が落ちる。…エリザリーナの所でも確認したことだったか』
『俺様は世界を救う』
『そのためにはもはや、お前は不要なんだよ』

『愉快だな』
『あの女が、本当に救われていたかどうか』
『俺様とあの女の意識が繋がる事もある』

ある意味。
俺よりも、"上条当麻"について、知っていたかもしれない。
俺の心理を読み、追い詰め、攻撃して。
それでいて敵意は無かったのだから、大したものだと思う。

「……フィアンマ」

顔だけなら。
あの日と何も変わらない。

笑顔から険が抜けた。
泣く顔は、庇護欲とやらを誘うものだった。

フィアンマは、ふにゃ、と柔らかな笑みを浮かべる。

「いたいのいたいの、とんでけー」
「………何だそれ」
「? 絵本でいってたよ、いたくなくなる魔法」

痛いの飛んでった? などと言いながら、フィアンマは首を傾げる。
幸せそうな笑顔はどこまでも晴れやかだった。

まるで、何の罪も背負っていないかのように。
139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/05(火) 22:14:59.18 ID:NrdyhZgAO
+
140 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/05(火) 22:15:14.49 ID:LuioTIaM0

フィアンマ「…んー」

上条「夏服だから沢山あるな」

フィアンマ「……む」

上条「…どうもお前が半袖着るイメージないんだけど」

フィアンマ「…タートルネック」

上条「夏に着たら死ぬだろやめなさい」

フィアンマ「…修道服じゃだめなの?」

上条「いや、まあ、いいけど…暑いだろ?」

フィアンマ「がまんする」

上条「……短い袖で、首元すっきりしてるやつで何か選べよ」

フィアンマ「…たんく…たん…」

上条「タンクトップな。欲しいのか?」

フィアンマ「……ほしくない」

上条「何か欲しいの無いのか?」

フィアンマ「……これ、これは?」ひょい

上条「浴衣かよ。…っつか女物だし」

フィアンマ「きらきらしてる」

上条「光り物って理由で選ぶな!」

フィアンマ「……うー」
141 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/05(火) 22:15:15.54 ID:NrdyhZgAO
+
142 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/05(火) 22:15:36.04 ID:LuioTIaM0

上条「ただいまー…結局薄手だけど長袖になったな…」

フィアンマ「新しいおようふく」にこにこ

上条「…機嫌良いな」

フィアンマ「きょうかいだとかってもらえなかったから」

上条「……」

フィアンマ「だから、新しい洋服、うれしい」

上条「…そっか」

フィアンマ「……っくしゅ」

上条「…夏風邪引いたか?」

フィアンマ「わからな、っくち」

上条「……」さすさす

フィアンマ「…寒い」

上条「夏風邪だな、完璧に」はぁ
143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/05(火) 22:15:40.27 ID:NrdyhZgAO
+
144 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/05(火) 22:16:07.23 ID:LuioTIaM0

今回はここまで。
145 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/05(火) 23:46:26.85 ID:jacPXVzDO
乙でしたー、ウニぐるみのくだりが良かった……俺も欲しい…

何度壊されようと……何度破られても……何度殺されたとしてもっ、この幻想だけは守り続けるっっ!!
>>1様は可愛いっ!
146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/06(水) 00:24:27.61 ID:3JHPXzxSO
乙オッさん遊びにくるとか戦犯フィアンマを殺りにくる新たなる光やら魔術結社やらとの戦とか
147 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/06(水) 10:55:50.60 ID:JoZ1UbS/0


>>145
…ぐぬぬ。

>>146
ご提供ありがとうございます!







投下。
148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/06(水) 10:55:51.81 ID:j/HeeuNAO
+
149 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/06(水) 10:56:17.36 ID:JoZ1UbS/0

上条「ほら、大人しく寝てろよ」

フィアンマ「うー…さむい…」

上条「ん、毛布足してやるから」

フィアンマ「……」

上条「……」とんとん

フィアンマ「……あったかい」

上条「ん……」


携帯<ブーッ


上条「ん? メール…御坂か」

フィアンマ「うー…」

上条「…スポドリとか買ってこないといけないしな。
すぐ戻るから、留守番してろよ?」

フィアンマ「あうー……」こくん
150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/06(水) 10:56:18.25 ID:j/HeeuNAO
+
151 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/06(水) 10:56:54.17 ID:JoZ1UbS/0

呼び出されるまま、御坂美琴と会った。
彼女は夏の暑さのせいか、顔を赤くしている。
買い物を先にした為、袋がやけに重く感じられた。
家に帰ったら、まず何をするべきだろう。
熱を計測して、高かったら、氷枕を作ってやらなければ。
後は冷えピタを額やら脇下やらに貼って。
冷やす程の熱ではなかったら、お粥を食べさせよう。
薬は嫌がるだろうが、それを予期して、薬を呑む為の甘いゼリーも買った。

「…アンタ、好きな子居るの?」

唐突な質問に、思考が遮られる。

好きな子。

恋愛的な意味、だと思われる。
考えた。考えてみる。
そして、俺は首を横に振った。
途端に、彼女は一抹の光を暗闇の中に見つけた少女のような表情を浮かべ。

「…ねえ、」

そして、おずおずと言った。

「アンタ、さえ良ければ。私と、付き合わない?」
「ごめん」

突発的に。
ほとんど瞬間的に。
考えるまでもなく、断った。
彼女のことは、憎からず思っていたはずだ。
しかしながら、受け入れる気分にはなれなかった。
断りの意思を込めて頭を下げる俺に、御坂は焦った様子を見せる。

「ちょ、ちょっと頭あげなさいよ」
「……ごめん。無理、だ」
「……参考までに聞くけど、…理由とか、あるの?」

理由。
はっきりとは、言えない。
しかし、御坂と付き合ったとしても。
きっと、御坂のことを考えてあげられない。
そして、そんな不誠実な思いでは、頷けなかった。

「お前を一番に出来ないから、ごめん」




結局、俺は誰かを愛せなくて。
誰かを守るという宣言と存在に依存する、愚か者なんだ。
152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/06(水) 10:56:55.11 ID:j/HeeuNAO
+
153 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/06(水) 10:57:13.58 ID:JoZ1UbS/0

「ただいま」

声をかけながら、家に入る。
フィアンマは荒い呼吸を繰り返していた。
熱が上がってしまったのだろうか。

「ほら、薬飲めよ」

袋の中身を適所へ片付ける。
ストロー式の水筒へ、スポドリを少し水で薄めて移した。
それを枕元に置いた後、身体を起こしてやる。
背中をさすりつつ、糖衣錠を三粒手に出した。
あぐらをかいて、その足で背中を支えてやりつつ、水筒を手にする。
そんな俺の腕を、フィアンマの手が掴んだ。

「…上条、当麻」

しっかりとした、男の声だった。
思わず、水筒から手を離しそうになる。

「……フィアンマ、…フィアンマ、だよな?」

フィアンマ、ではなく。
何となく、あの右方のフィアンマであるような気がした。
意識朦朧としているのか。
彼はぼんやりとした表情で、俺を見る。

「…上条」
「…何だよ」
「……あり、がとう」

俺の頬に触れる手は、酷く熱い。
やけどしてしまいそうな程に、ひどく。

「………俺様の、世話を看てくれて」
「………」
「…俺様が、…正気を保てる時間は、短い」
「……」
「…だから、お前には、迷惑をかける」
「……もう、諦めてるよ。別に迷惑でもねえし」
「……」
「…安心しろよ。お前が、おかしくなっても…俺は、お前を守ってやる」
「…そうか」

奇妙なヤツだ。

言って、笑って。
フィアンマは大人しく薬をスポーツドリンクで飲み込んだ。
飲み下し、そのまま支えを失わせてやれば、ゆっくりと横たわる。

「…おやすみ」
「……ん」
154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/06(水) 10:57:14.56 ID:j/HeeuNAO
+
155 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/06(水) 10:57:29.78 ID:JoZ1UbS/0

フィアンマ「…う」ぱち

上条「ん、起きたのか」

フィアンマ「…頭ぼーっとする」

上条「薬飲んだからな」

フィアンマ「うー…つめたいのたべたい」

上条「冷たいの、色々あるけどどれが良い?」

フィアンマ「いろいろ…?」

上条「アイスと、シャーベットと、ゼリーがあるぞ」

フィアンマ「あいす!」

上条「ん、わかった」よいしょ

フィアンマ「……」そわそわ

上条「ほら、アイス」

フィアンマ「ぁー……」

上条「ちょっと待ってろ、開けるから…よし、あーん」

フィアンマ「ん、んむ…」もぐもぐ

上条「美味いか?」

フィアンマ「おいしい」ぱあっ

上条「…そっかそっか」なでなで
156 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/06(水) 10:57:30.69 ID:j/HeeuNAO
+
157 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/06(水) 10:57:45.59 ID:JoZ1UbS/0

上条「五時間経ったな。薬飲めよ」

フィアンマ「…やだ」

上条「こら」

フィアンマ「やだ、お薬嫌い…」

上条「…そんなこともあろうかと、ほら」

フィアンマ「…うさぎ?」

上条「いちご味の薬品摂取補助食材」

フィアンマ「……」

上条「これ食べるだけで良いぞ」

フィアンマ「…おくすりは?」

上条「混ぜちゃうから目立たない」

フィアンマ「苦くない?」

上条「ちゃんと食べればな」

フィアンマ「…たべる」

上条「皿に空けてくるから待ってろよ」いそいそ
158 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/06(水) 10:57:46.69 ID:j/HeeuNAO
+
159 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/06(水) 10:58:02.29 ID:JoZ1UbS/0

上条「薬ちゃんと飲んだな」

フィアンマ「おいしかった」

上条「じゃあ次からあれ買うか…」

フィアンマ「うさぎしかないのか」

上条「くまもあったぞ」

フィアンマ「いちご?」

上条「いや、チョコ味」

フィアンマ「…チョコゼリー…」

上条「チョコプリンみたいな味だと思うけどな」

フィアンマ「んむ…」

上条「…薬も無事飲めたし、もう一回寝ろよ」

フィアンマ「……うん」くい

上条「…ん?」

フィアンマ「…かみじょうも、一緒に寝よう」

上条「…仕方ねえな。咳すんなよ?」
160 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/06(水) 10:58:03.22 ID:j/HeeuNAO
+
161 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/06(水) 10:58:18.00 ID:JoZ1UbS/0

フィアンマ「…ねれない」

上条「と、言われてもな…」

フィアンマ「…ねむくない」

上条「薬の効果でじきに眠くなる」

フィアンマ「うー…」

上条「……」とんとん

フィアンマ「…子守唄とかない?」

上条「子守唄? んー……」

フィアンマ「……」うとうと

上条「子守唄か…」うーん

フィアンマ「なんか……」
162 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/06(水) 10:58:18.92 ID:j/HeeuNAO
+
163 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga !red_res]:2013/03/06(水) 11:00:07.50 ID:JoZ1UbS/0


かごめ かごめ

籠の中の鳥は

いついつ出やる

夜明けの晩に

鶴と亀と滑った

後ろの正面だあれ……?

164 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/06(水) 11:00:10.18 ID:j/HeeuNAO
+
165 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/06(水) 11:00:30.54 ID:JoZ1UbS/0


上条「…あれ、もう寝たのか」

フィアンマ「……」むにゃむにゃ

上条「……大丈夫だ」

フィアンマ「……」

上条「…俺は、お前を守るから」

フィアンマ「……」

上条「…俺には、もうお前しか居ないから」

フィアンマ「……」

上条「たとえ、お前が世界中から追われていても」

フィアンマ「……」

上条「俺は守るし、」

フィアンマ「……」

上条「…助けに、行くから」

フィアンマ「……」

上条「『噂に聞く通りなら、君だけは彼の味方になってあげられるかと思ってね』。
……ちくしょう、完全に思い通りになってるな、俺」

フィアンマ「……」

上条「……お前は、俺が居ないと何も出来ないもんな」

フィアンマ「……」

上条「…だから、俺が守って、やる、から、」
166 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/06(水) 11:00:31.58 ID:j/HeeuNAO
+
167 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/06(水) 11:00:48.50 ID:JoZ1UbS/0

夜更け過ぎ。
雨が降り始めた。
御坂の傷ついた顔が、今更になって脳裏に浮かぶ。
泣きそうな顔をしていた。
俺が、傷つけてしまった。

「……」

視線を、フィアンマに向ける。
だいぶ熱は下がったようで、呼吸ペースは緩やかなものだ。
汗をかいていて、頬が上気していて。
生きているのだな、と思う。

「……何で、だろうな」

どうして、俺は。
フィアンマなんかを、守りたいんだろう。
右方のフィアンマが大切な訳がない。

でも。

フィアンマのことは、大事に思っているのかもしれない。

俺の手を引いて、無邪気に歩く姿が。

『俺様のて、ひんやりしてるからつなご』

俺の作った飯を食べて、美味しそうに微笑む顔が。

『もういっかい、もう一回まいて』

俺の怪我を見て、泣きそうな顔をするその表情が。

『…かみじょう、いたい…痛い?』

インデックスと重ねていないといえば、嘘になる。

「…もしかして、お前はそれを狙って…な、訳ねえか」

近寄る。
赤い髪が、長く伸びていた。
肩につく程か、過ぎる程か。
そっと撫でてみる。
別に、触り心地は良い訳でもない。

「…俺は、お前を助けたいんだろうな。きっと、救いたいんだ」

インデックスに嘘をつき続け、許された。
フィアンマが事を起こさねば、嘘をつき続けただろう。

だから、フィアンマを、"俺だけは"許してやりたい。

いいや、許してやらなければならない気がする。
特別な右手と、それに基づく人生に閉鎖的に狂った男を。
一歩間違えれば、かつての自分が辿っていたであろう運命を辿った男を。

全てを壊し、救おうとして、間違えた青年。
誰か、この世界でたった一人。


認めてあげても、いい。

この哀れな救世主のなり損ないは、もう、誰かに許されても、いい。
168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/06(水) 11:00:49.47 ID:j/HeeuNAO
+
169 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/06(水) 11:01:05.00 ID:JoZ1UbS/0

今回はここまで。
170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/06(水) 11:17:00.42 ID:wrW8FG8DO
今回のみこっちゃんは凄い素直だったなぁ、上条がフィアンマと一緒にいるのみたら病みそうだけど
てか最終的にフィアンマは幼いままなのか元に戻るのか…

まだ夏とか秋なら虫取りとか、虫を発見して興味を示すとか……
あとはお勉強?
171 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/06(水) 11:22:54.10 ID:YnpvB9HKo
そりゃ自分を即答でフった男が男同士でイチャコラしてたら病むだろw
しかも傍から見たらチャイルドプレイだぜ…?
172 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/06(水) 12:03:53.07 ID:JoZ1UbS/0

>>170
ご提供ありがとうございます!
ストーリー不安定なので断言出来ません…


赤ちゃん・幼児プレイは良いものだと思います。
このスレはプレイじゃなくてガチだけども。
ヤンデレールガンにしましたが汚れ役にはしません。





投下。
173 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/06(水) 12:03:56.05 ID:j/HeeuNAO
+
174 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/06(水) 12:04:18.71 ID:JoZ1UbS/0

上条「数日がかりだったけど、やっと治ったな」ふー

フィアンマ「おふろ入りたい…べたべたする」もぞ

上条「ん、自分で立てるか?」

フィアンマ「うん……」

上条「昼間なんだから一人で入れるよな?」

フィアンマ「……かみじょう」

上条「…わかったよ」

フィアンマ「えへへ」


上条「喉は痛くないか?」

フィアンマ「ん、大丈夫…」

上条「具合悪くなったらすぐ言えよ?」

フィアンマ「…うん」

上条「…どうかしたか?」

フィアンマ「…かみじょう、…おこって、ない?」

上条「? 何で俺が怒るんだよ?」

フィアンマ「…体調かんりがなってない、って」

上条「…誰かに怒られたのか?」

フィアンマ「…しんぷさまに」

上条「、……俺は、怒らねえよ。
どんなに気をつけたって、病気になる時はなっちまうんだから。
だから、大丈夫だよ。そんなことは、不安がらなくていいんだ」

フィアンマ「……ん!」にへら
175 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/06(水) 12:04:26.88 ID:j/HeeuNAO
+
176 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/06(水) 12:04:46.45 ID:JoZ1UbS/0

フィアンマ「…上条、」くいくい

上条「ん? 何だよ」

フィアンマ「脚がいっぱいあるのがいる」

上条「…足が?」チラ


ムカデ<カサカサ


上条「」

フィアンマ「…かみじょう?」

上条「あれは危ない虫だから触るなよ。絶対だからな?」

フィアンマ「う? うん…」

上条(殺すと増えるんだっけ…?)

上条「逃がすからちょっと窓開けてくれ」

フィアンマ「ん…」がらがら

上条「……よいせ」いそいそ

フィアンマ「ばいばいー」

上条「焦った…」

フィアンマ「さされるの?」

上条「ああ、アイツ刺すぞ。しかもすげえ痛い」

フィアンマ「…上条はさされたことあるの?」

上条「…多分無い。でも身体が覚えてる」

フィアンマ「?」きょと
177 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/06(水) 12:04:47.51 ID:j/HeeuNAO
+
178 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/06(水) 12:05:04.33 ID:JoZ1UbS/0

上条「あ、やべえ宿題放りっぱなしだった…」

フィアンマ「難しい?」

上条「まあまあかな…」

上条(さっぱりわかんねえ。何だこの数式は)

フィアンマ「…んー」ひょこ

上条「見るのは良いけど邪魔すんなよ?」

フィアンマ「しない」じー

上条「…公式どこかな…」かりかり

フィアンマ「………」

上条(…わかったり、しねえかな)ちら

フィアンマ「……」

上条「…何か気になる箇所があるのか?」

フィアンマ「…これ何てよむの?」

上条「ベータ」

フィアンマ「こっちは」

上条「タンジェント」

フィアンマ「……なにかいてるかわからない」

上条「安心しろ、上条さんも正直に言ってよくわからないから」

フィアンマ「魔法のじゅもんかいてあるの?」

上条「違うな。仮に魔道書だったら俺の右手で触った時点でアウトだし」

フィアンマ「まどうしょ?」

上条「……今のは無かったことにしてくれ」
179 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/06(水) 12:05:05.37 ID:j/HeeuNAO
+
180 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/06(水) 12:05:25.31 ID:JoZ1UbS/0

上条「疲れたけど何とか終わった…」ぐだー

フィアンマ「ひまー」くいくい

上条「暇ー、じゃねえよ…病み上がりなんだから大人しくしてなさい」

フィアンマ「…お外いきたい」

上条「外行ってどうすんだよ、暑いだけだぞ」

フィアンマ「お散歩ー」

上条「……はぁ…」



上条「陰になってるとこ歩いて行くか」

フィアンマ「…ねこがいる」

上条「ん? あぁ、野良猫だろ」

フィアンマ「ねこ、」

上条「ああもう走り出すなコラ!」ぐい

フィアンマ「ううー、猫ー……」
181 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/06(水) 12:05:26.39 ID:j/HeeuNAO
+
182 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/06(水) 12:05:41.98 ID:JoZ1UbS/0

黒猫を追いかけようとするフィアンマの力は存外強く。
無理矢理に引っ張られるまま歩くと、路地裏に入った。
その黒猫は、とある青年の腕に抱っこされていた。

「…お前、」

金髪の青年。
穏やかそうな見目の彼は、俺たちを見て柔らかい笑みを浮かべた。

「やあ、久しぶりだね」
「…オッレルスだっけか」
「オッレルスお兄ちゃんだ!」
「元気だった?」
「ん!」

フィアンマは黒猫目当てに、オッレルスに近寄る。
黒猫は人懐っこい野良なのか、ごろごろと喉を鳴らしていた。

「…おれさまおうち帰るの?」
「君が戻りたいなら、そうしても良いが…君は、上条当麻と一緒に居たいんじゃないか?」
「…んー」

猫を撫でながらの生返事に、腹が立った。
条件反射的に手を伸ばし、フィアンマの左手首を掴む。

「…かみじょう?」
「…フィアンマ」

知らず知らず、怒った顔をしていたのだろうか。
フィアンマはビクつき、俺を怯えた目で見ている。
そっと手を離すと、フィアンマは再び黒猫に触った。
183 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/06(水) 12:05:43.02 ID:j/HeeuNAO
+
184 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/06(水) 12:06:01.56 ID:JoZ1UbS/0

公園へ来た。
フィアンマは黒猫と猫じゃらしで遊んでいる。
猫の態度がふてぶてしいので、フィアンマが遊ばれているとも言える。
俺はというと、冷たいジュース缶片手に、ベンチに座っていた。
オッレルスは俺の隣に座り、冷たい缶コーヒーを持っている。

「…あんたの目論見通りだよ」
「ん? ああ、…可愛いだろう、純粋で」
「………」
「目論見という程の考えはないよ。ただ、彼の安全を考慮した結果が」
「俺の所だった、と」
「そうなるね。否定はしないよ」
「……少し前に夏風邪を引いただけで、…フィアンマは元気だ」
「…そうか。なら、良かった」

爪を引っ掛け。
開封した缶コーヒーを二口程煽り、オッレルスはフィアンマを見つめる。
フィアンマは黒猫の顎下をくすぐり、幸せそうな笑みを浮かべていた。

「…そうそう、ヤキモチを妬くのは結構だが、それを態度に出すなら彼ではなく、相手方のみにした方が良い」
「ぶっ」

口の中のジュースを、思わず吹き出した。
元々あんまり美味しくないので、損をした気持ちは少ない。

「だ、誰がヤキモチなんか、」
「さっき妬いていたじゃないか?」
「…あれは、…」
「自分が世話を看ているのに、盗られてたまるか。…そういった様子に見えたけど」
「………」
「まあ、彼は今、愛され易い性格をしているよ」

無邪気。
素直。
優しい。
無知。

かつての右方のフィアンマを、鏡に写したように正反対。
見目とのギャップさえ気にしなければ、愛されやすくはあるだろう。

……確かに、盗られたくないと思ったのは事実だ。

傷つけられたくない。
守ってやりたい。
一緒に居たい。
何も知らせたくない。
このままでいて欲しい。

その思いは、確かにある。

ぐ、と缶を握り締める俺に、オッレルスは小さく笑う。

「こうなってくれることを見越して、君に預けたんだ」
185 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/06(水) 12:06:02.73 ID:j/HeeuNAO
+
186 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/06(水) 12:06:19.38 ID:JoZ1UbS/0

夕方。
オッレルスと別れ。
黒猫を解放した帰り道。
フィアンマは俺の右手を握りながら、不安げな表情を浮かべた。

「…おこってる?」
「…怒ってないよ」

嫉妬と怒るのは、少し違うと思う。
不安にさせてしまったな、と苦笑した。
うまく説明出来ない。

「フィアンマ」
「…ん?」
「あの、さ。俺、」

多分、お前の事が。

瞬発的に言いかけて。
突然飛んできた電撃の槍に、咄嗟に手を離す。
左手でフィアンマを後ろに追いやり、右手を突き出した。

パキィイン。

ガラスの砕けるような音。

「……して」

攻撃を放ってきたのは。
俺が告白を断った、女子中学生だった。
彼女の拳は震えていて。
瞳には沢山の涙が溜まっていた。
187 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/06(水) 12:06:20.23 ID:j/HeeuNAO
+
188 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga !red_res]:2013/03/06(水) 12:06:42.59 ID:JoZ1UbS/0










「―――どうして、そんなヤツなのよ!!!」
189 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/06(水) 12:06:43.70 ID:j/HeeuNAO
+
190 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/06(水) 12:06:56.73 ID:JoZ1UbS/0

今回はここまで。
191 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/06(水) 14:28:27.81 ID:wrW8FG8DO
汚れじゃないみこっちゃん………綺麗なヤンデレールガン期待してる

乙でしたー
192 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/06(水) 17:29:39.48 ID:3JHPXzxSO
乙。>>1のヤンデレールガンがどこまでヤヴァイ事やらかしてくれるか楽しみだっぜ

ネタなら公園でちっさい子達と砂遊びに興ずる、どこか狂ったそら恐ろしいフィアンマさんの図とか、つっちー青ぴと遊びに行くとか(つっちーが遊びを通してフィアンマさんを見定めてたり)
193 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/06(水) 20:20:35.55 ID:P2M5qHrH0

ヤンデレールガンの割にそんなにやらかしませんでした。
そういう趣旨なので仕方ないですね…(言い訳)


>>192
ご提供ありがとうございます!
砂の城ベツレヘムの星…





投下。
194 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/06(水) 20:20:36.72 ID:j/HeeuNAO
+
195 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/06(水) 20:20:55.63 ID:P2M5qHrH0

一番に出来ないからと、断った。
黙って泣きそうな彼女を置いて、家に戻った。
きっと、恐らく、多分。
それが俺の罪で、こういうことになったんだろう。

「どうして、ソイツが一番なのよ!」

殺す気なのだろうか。
高出力の電撃の槍が、何度も投げつけられる。
瞬発的に幾度も右手で打ち消し、その勢いに僅かに後ずさる。

一発、受けてやるべきか。

思ったものの。
その流れ弾がフィアンマに当たったらと思うと、怖くて出来ない。

「わ、たしは!」

御坂の前髪が、紫電と共に跳ねる。
バヂバヂバヂ、という音が聞こえる。
辺りの砂から砂鉄を集めたらしく、砂鉄の大きな剣が空中に現れた。

「…上条」

ぎゅ、と服の端を掴まれる。
そういえば、お前もこんな攻撃をしてきたっけか。
エリザリーナ独立国同盟での戦い。
今となっては、遠い記憶。
196 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/06(水) 20:20:56.59 ID:j/HeeuNAO
+
197 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/06(水) 20:21:11.31 ID:P2M5qHrH0

目が覚めると、真っ白な天井が見えた。
また入院費か、と思って。
次に、フィアンマはどうなったのだろうと思った。
視線を、のろのろと横へズラす。
そこには、頭と左腕に包帯を巻かれ、見舞い客用の椅子に腰掛け、眠るフィアンマと。
フィアンマの隣で、軽くうとついている御坂美琴の姿。

「……御坂、」
「っ、あ……」

声をかけると、御坂はビクついた。
そして、俺を見て、視線を床に落とす。
掠れた声で、彼女はこう言った。

「……ごめん、なさい」
「…フィアンマの怪我は、…お前が、やったのか」
「………アンタに、ぶつけるところを、庇ったのよ。このひ、…この子が」

この人、と言わず。
御坂は、年上であるはずのフィアンマを、この子と呼んだ。
会話をして分かりあったのだろうか。
御坂は、既に冷静な状態を取り戻していた。
198 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/06(水) 20:21:12.33 ID:j/HeeuNAO
+
199 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/06(水) 20:21:43.28 ID:P2M5qHrH0
>>197 ×入院費 ○入院》


『かみ、じょう』

防ぎきれなかった電撃を受け。
その場に倒れた上条に、フィアンマは首を傾げた。
何も知らない彼には、状況分析というものが出来ない。
フィアンマは地面に膝をつき、上条を揺さぶる。

『かみじょう、…ここで寝ちゃ、ダメだよ』
『………』

美琴は、唇を噛み締め。
上条に向け、ゲームセンターのコインを指先にセットした。
彼女の代名詞である、『超電磁砲』を放つ為に。
相手が死んでしまうだとか、そんなことは考えられなかった。
自分をフった相手が、幸せそうに男と手を繋いでいた。
そのことが辛くて、悔しくて、苦しくて、それしかなかった。
憎いだと恨めしいだとか、そんなことを考える余裕すらなくて。

超電磁砲を、放った。

手心が加わって、僅かに威力は落ちていた。
どちらかといえば、磁力狙撃砲に近かったかもしれない。
フィアンマは瞬発的に上条と御坂の間に立った。
そして、左腕にコインを受けた。

びちゃびちゃびちゃ。

腕をコインが抉り。
傷口から血液が溢れ、地面を汚していった。
あまりついていない肉は抉れ、痛々しい肉が剥き出しになっている。
痛みにボロボロと涙を零し、フィアンマはそれでも退かなかった。

『、…だめ』
200 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/06(水) 20:21:44.14 ID:j/HeeuNAO
+
201 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/06(水) 20:21:56.23 ID:P2M5qHrH0

『…退いて』
『……痛い、ことは、ひとにしちゃ、いけないって、上条が』

年齢と見目に釣り合わぬ頼りない声。
その言葉の揺らぎは、痛みだけのものではなく。
美琴はフィアンマの言葉を無視して、磁力を操り。
砂鉄の剣を弓矢のように跳ばした。
魔術を扱えないフィアンマに、抵抗や反撃する術はない。
だから、ただシンプルに。
痛みに耐えて、上条を庇い続ける。
砂鉄の剣が、彼の頭に打撃を与えても。

『…上条の、…ともだちじゃ、ないの?』

フィアンマの問いかけに。
御坂美琴は、ぴたりと動きを止めた。
そうして多量の血液を見て、思考が冷えていった。
冷静になっていき、次いで、とんでもないことをしたと、泣きそうになり。
震える手で携帯電話を取り出し、救急車を呼んだ。
202 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/06(水) 20:21:57.03 ID:j/HeeuNAO
+
203 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/06(水) 20:22:21.92 ID:P2M5qHrH0

上条の方が重傷だった為、フィアンマは手当を受け、上条の傍らに座っていた。
目覚める瞬間を、待って。
彼は美琴を見ても、敵意を表すことはなかった。
それもそのはずである、今の彼に敵意など無いのだから。

『上条、いつおきるかな』
『……ねえ、』
『う?』
『…アンタは、……コイツの、何なの』
『…わかんない。でも、上条はすきだよ』
『………』
『かみじょう、起きるといいな…』

フィアンマは、ぺたりと上条の頬に触れる。
首を傾げる様子は、あまりにも見目に不釣り合い。

『……ねえ、年齢、教えて』
『…? …たぶん、四歳くらい』

そう言って、フィアンマはのどかで純粋な笑みを浮かべた。

傷つけたのに。
痛い思いをさせたのに。
泣かせたのに。
上条を傷つけたのに。

まるで気にしていないような。
というよりも、わかっていない微笑み。
美琴はそんな笑みに毒気を抜かれ。
そして、上条が彼と手を繋いで歩き、咄嗟に守った理由を。
上条の中で、フィアンマが一番となった理由を悟った。
204 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/06(水) 20:22:23.35 ID:j/HeeuNAO
+
205 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/06(水) 20:22:42.98 ID:P2M5qHrH0

「…じゃあ、帰るわ。……本当に、ごめん。取り乱せば、何やってもいい訳じゃないのにね」

御坂は立ち上がり。
フィアンマを一瞥して、ドアへ歩み寄った。
立ち去ろうとする御坂を、つい呼び止める。

「おい御坂、」
「…アンタが、その子を一番にしてる理由は、わかった。
世話をしてる理由も含めて、全部」
「……」
「だから、…もう、こんな事しないわ。納得、したもの」

真面目な彼女の事だ、罪悪感はあるだろう。
しかし、彼女はまだ女子中学生で、15歳。
俺は許す気持ちで彼女を見送った。
納得出来るように説明しなかったのは、自分の落ち度でもある。
フィアンマはというと、起きた俺をじっと見つめている。

「? どうかしたのか」
「…上条、だいじょうぶ?」
「大丈夫」
「…ん」
「……」
「…俺様がつよかったら、まもれたのに」
「…いいよ。お前は、弱くていいんだよ」

強くなったら、きっとまた間違える。
だから、お前はそのままで、いいんだよ。
206 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/06(水) 20:22:43.89 ID:j/HeeuNAO
+
207 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/06(水) 20:22:56.93 ID:P2M5qHrH0

上条「それにしてもまた入院費が…」

フィアンマ「ニュウインヒってなに?」

上条「お金がかかるんだよ」

フィアンマ「んー」

上条「はあ…」

フィアンマ「いっぱい?」

上条「割といっぱい」

フィアンマ「うー」

上条「この分だと退院してからの飯はもやしだな」

フィアンマ「もやし嫌いじゃないよ」

上条「一週間位ずっとだぞ?」

フィアンマ「あんまり飽きないからだいじょうぶ」

上条「本当だろうな…」

フィアンマ「もやしオムレツたべたい」

上条「気に入ったのか? アレ」

フィアンマ「ん!」にへら
208 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/06(水) 20:22:57.87 ID:j/HeeuNAO
+
209 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/06(水) 20:23:11.27 ID:P2M5qHrH0

上条「一週間か…良かったな、もやしじゃなくて済みそうだぞ」よいしょ

フィアンマ「上条、ぜんぶなおった?」

上条「ああ、元通り完治しましたよ」うん

フィアンマ「良かった」へら

上条「……」

フィアンマ「…?」

上条「お前は、頭と左腕大丈夫なのか」

フィアンマ「あたまは冷やしたからへいき」

上条「腕は」

フィアンマ「…ちょっとだけ跡があるけど、だいじょうぶ」

上条「もう、痛くないんだな」

フィアンマ「ん!」

上条「…庇ってくれて、ありがとな」
210 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/06(水) 20:23:12.09 ID:j/HeeuNAO
+
211 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/06(水) 20:23:27.57 ID:P2M5qHrH0

上条が、先に俺様を庇ってくれたから。
庇って守るのは、当たり前だと。
フィアンマは嬉しそうに言っていた。
俺が、初めての家族だとも言った。

「……フィアンマ、あのさ」
「う?」
「あの日、言おうとしたことなんだけど、」






―――夏の蝉の騒がしい合唱が、俺の背中を押していた。
212 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/06(水) 20:23:28.50 ID:j/HeeuNAO
+
213 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/06(水) 20:23:42.54 ID:P2M5qHrH0

今回はここまで。
214 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/06(水) 20:31:34.00 ID:3JHPXzxSO
乙。ヤンデレールガンあっさり終わったなー…

みこっちゃんは迷惑かけたお詫びにご飯代出して料理つくったり上条さんちに泊まり込みで家事やったりフィアンマさんと遊んだりするべきではないだろうか…
215 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/06(水) 22:38:25.40 ID:XOy5rW4u0

>>214
あんまりグロやると取り返しがつかないかな、と。
鬱SSなのでブッ飛んでも良かったんですけどね…ご提供ありがとうございます。

何か今日は調子が良い。





投下。
216 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/06(水) 22:38:37.82 ID:j/HeeuNAO
+
217 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/06(水) 22:38:49.56 ID:XOy5rW4u0

上条「あの日、言おうとしたことなんだけど、」

フィアンマ「う?」

土御門「カーミやーん」ひょこっ

上条「うおわっ」

青ピ「退院したって聞いたけど、怪我はもう大丈夫なん?」

上条「…まあ、うん」

青ピ「そんで、この子がカミやんが面倒看てる子やったっけ?」

フィアンマ「…にゃーにゃーと…かみじょうのお友達?」ひしっ

上条「ああ、隠れなくても良いぞ。俺の友達だ。
土御門はわかるもんな?」

フィアンマ「ん」

上条「こっちは青髪ピアス。青ピで良いと思うぞ」

青ピ「よろしくなー」へら

フィアンマ「…うん」ひしっ
218 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/06(水) 22:38:50.99 ID:j/HeeuNAO
+
219 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/06(水) 22:39:04.05 ID:XOy5rW4u0

土御門(…右方のフィアンマの容姿について、報告は受けている)

上条「フィアンマ、それが気になるのか?」

フィアンマ「鈴カステラ」

青ピ「砂糖が塗してあるから甘いで」うん

フィアンマ「あおぴ、鈴カステラ好き?」ふにゃ

土御門(それと照らし合わせれば、…どうにも怪しい)

青ピ「あんまり食べへんけどね」

上条「青ピ的にはこれ、取れると思うか?」

青ピ「最近のはアーム弱いからなぁ…」

フィアンマ「たべたい」くいくい

土御門(だが、仮に本人だとして、この演技に意味はあるのか?
カミやんを殺害したいのなら、もっと早くタイミングは沢山あったはずだ。
…少しでも動揺の色や、無邪気さが無ければ、…演技と断定出来る)

青ピ「んー……よし、この青ピさんにお任せあれ」どや

フィアンマ「やったー!」

上条「あ、金なら出すぜ?」

青ピ「ええよええよ、最近ナンパうまくいかへんし、デート代予定だった金があるから」ちゃりーん
220 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/06(水) 22:39:05.09 ID:j/HeeuNAO
+
221 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/06(水) 22:39:33.31 ID:XOy5rW4u0

上条「とってもらえて良かったな」なでなで

フィアンマ「いっぱい入ってる」ぱあっ

青ピ「ゲーセン商品って大体お徳用やしね」ほのぼの

土御門(演技ではない、か。…となると、やはり精神を…?)

青ピ「つっちー、何や元気無いな」きょと

土御門「そんなことないぜい? ただほら、男ばっかで華が無いにゃー、と」

青ピ「それは納得やけど」しみじみ

フィアンマ「? はな?」

上条「女の子のことをことわざとかで花って言ったりするんだよ」

フィアンマ「…ひとだよ?」

上条「人だけどさ」

青ピ「何やかわええなあ。…元々ショタはいけるけどこういうのも、」

上条「フィアンマはダメだ」

青ピ「え、そういう関係なん?」

上条「……」

青ピ「カミやーん?」

上条「違ぇよバカ!」

フィアンマ「人にばかっていっちゃだめ」めっ

上条「……ん」ぐぬぬ

青ピ「傍から見たら腹筋ねじ切れそうなんやけど」

上条「おい」
222 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/06(水) 22:39:34.34 ID:j/HeeuNAO
+
223 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/06(水) 22:39:48.29 ID:XOy5rW4u0

青ピ「じゃあなー」

フィアンマ「ばいばいー」

上条「またなー」

土御門「フィアンマ君は、甘いものが好きなのかにゃー?」

フィアンマ「ん、クッキーがいちばんすき」にへら

土御門「そっかそっか」

土御門(…やはり杞憂、か?
一応報告はしておくべきか…)

フィアンマ「上条、あーん」

上条「ん、…すげえ砂糖の量」

フィアンマ「甘くておいしい」

上条「子供舌だからだろ…」じゃりじゃり

フィアンマ「おさとうきらい?」

上条「嫌いじゃないけどさ」

土御門(…だが、…カミやんの幸せをぶち壊してまですることでも、ないか……)

フィアンマ「にゃーにゃもあげる!」すっ

土御門「…ありがとにゃー」もぐ
224 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/06(水) 22:39:49.43 ID:j/HeeuNAO
+
225 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/06(水) 22:40:02.11 ID:XOy5rW4u0

土御門「じゃあ俺は用事があるし、失礼するぜい」

上条「おお、またな」

フィアンマ「んー」



上条「はいただい…あれ、御坂?」

美琴「……ん」

フィアンマ「みさかー」

美琴「…相変わらずね」

上条「…何しに来たんだよ?」

美琴「…、…その、」

上条「?」

美琴「…この間の、お詫び。御飯作りに来たのよ。材料は買ってきたわ」

上条「……」

美琴「アンタは無能力者だし、入院費で食費キツいかと、思って。
加害者である私が言う事じゃないわよね。
本当はお金だけ送ろうと思ったんだけど……。
アンタの性格を考えたら、突き返されそうだったから。
でも、これも迷惑だった、かな。ごめ、ん」

上条「……」ちら

フィアンマ「かみじょう、御坂重そうだよ。持ってあげないの?」

上条「……ん、入れよ」
226 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/06(水) 22:40:03.09 ID:j/HeeuNAO
+
227 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/06(水) 22:40:18.98 ID:XOy5rW4u0

美琴「お魚とお肉、どっちが好き?」にこ

フィアンマ「んー、んー…」

美琴「どっちも好き?」

上条(ちゃんと、幼児相手にするみたいな話し方してるな…)

フィアンマ「生だったらおさかなだけど、焼いたらお肉の方が…」

美琴「調理方法によって変わる、か。ん、じゃあちょろっと待っててね」いそいそ

上条「手伝うか?」

美琴「…うん、お願い」

上条「フィアンマ、大人しくテレビ見てろよ?」

フィアンマ「うん」

上条「すぐ戻ってくるからな。御飯できたら」

フィアンマ「…うん」

上条「よし」
228 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/06(水) 22:40:20.07 ID:j/HeeuNAO
+
229 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/06(水) 22:40:42.95 ID:XOy5rW4u0

自前のものだろうか。
薄ピンク色のエプロンを身につけた御坂は、丁寧にハンバーグの下ごしらえをしていた。
繋ぎはあまり入れない主義なのだろう、玉ねぎを沢山炒めて入れている。
ぐちゃぐちゃと丁寧に混ぜ合わせつつ、浅漬けを切ってくれと言われ、包丁を出す。
ざくざく、と小気味よい音と共に浅漬けのキュウリを輪切りにし、皿によそった。
御坂はうつむき、唇を噛みつつ言う。

「…ほんと、に。……ごめん」
「…もう、いいって。治ったしさ」
「……あの子、フィアンマっていうの?」
「ああ、…俺が付けた名前だけどな」
「………あのシスターはどうしたのよ」
「ん、…本国に帰した」
「…そう」

ハンバーグのタネに、醤油を回し入れている。
外泊許可を出し、アリバイを作ったらしい彼女は、暫く泊まり込みで家事をすると言った。
断ろうと思ったものの、お願い、と絞り出したような声で言われ。
フィアンマと一緒に風呂場で寝るかと思いつつ、頷いた。

「……ん、後は焼いたら出来上がりね」
「…御坂」
「…ん?」
「俺達は、お前を恨んではいないからさ」
「……」
「だから、…時々、遊んでやってくれよ。良かったら」
「…ありがと」

安堵に笑みを浮かべる彼女の笑顔は、愛らしいと分類されるものだろう。
けれど、俺の中では彼女の位置は、やはりフィアンマ以上には。

なって、くれなかった。
230 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/06(水) 22:40:43.96 ID:j/HeeuNAO
+
231 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/06(水) 22:41:00.56 ID:XOy5rW4u0

上条「フィアンマ、ごはんだぞ」

フィアンマ「ハンバーグだ」ぱあっ

美琴「ハンバーグは好き?」

フィアンマ「ん、すき。…あんまりたべたことないけど」

美琴「……」

上条「…いや、コイツが来てまだ間もないからだから。
別にひき肉位なら買えるし、そこまで逼迫してねえから!」

フィアンマ「今日はもやしいり?」

美琴「もやしってアンタ、」

上条「仕方ないだろ! かさ増しは大事ですよ!?」

フィアンマ「みさかが作ったのか?」

美琴「…ええ、…口に合うかどうかはわからないけどね」

フィアンマ「おいしそう」

美琴(…目がキラキラしてる。何か、私と話してる時の黒子みたい)ふふ

上条「じゃあ食べるか」

美琴「…いただきます」
232 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/06(水) 22:41:01.56 ID:j/HeeuNAO
+
233 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/06(水) 22:41:23.53 ID:XOy5rW4u0

御坂をベッドに寝かせ。
俺はフィアンマを連れ、風呂場へ来た。
風呂場で眠るのは久しぶりだ。
インデックスが居なくなってから、ずっとベッドで眠っていたから。
のびのびとベッドで寝ていた頃。
寂しい、としか思えなかった。
フィアンマと一緒に眠る事は、もう変わらないのだが。

「俺が先に座るから、フィアンマは俺の上に座れよ」
「ん……、…こう?」

水気をしっかり拭き取った浴槽の中に、座る。
その俺の上に、フィアンマが座った。
体重がさほど無い為、辛いとは思わない。
しかし身長と脚の長さ故か、フィアンマはやや窮屈そうだった。
だが、如何に精神が幼児とはいえ成人男性と女子中学生を同じベッドで寝かせる訳にはいかない。
加えて、フィアンマが御坂と一緒に寝るのが、純粋に嫌だと感じた。
俺に背中を向けているフィアンマを抱きしめて、目を閉じる。
脂肪も筋肉もさほどついていない腹部に、腕を回して。
そんな俺の左手に、フィアンマの左手が重なった。
体温は低い方なのか、毛布にくるまっていている今この状況で、フィアンマの体は冷たい。

「…眠れそうか?」
「…おばけでないかな」
「俺が寝る前に寝ちゃえばな」
「…でたらおこしていい?」
「いいよ」
「…みさか、一人で寂しくないかな」
「大丈夫だよ。皆が皆さみしがり屋じゃないんだぞ?」
「上条は?」

問いかけに、唇を舐める。
苦笑して、囁くように呟き答えた。

「……寂しがり屋以外の、何者でもないな」

言うと。
フィアンマは、ふふ、と小さく笑って。

「じゃあ、…俺様が、ずっといっしょにいるね」
234 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/06(水) 22:41:24.61 ID:j/HeeuNAO
+
235 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/06(水) 22:41:35.65 ID:XOy5rW4u0

今回はここまで。
236 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/06(水) 23:46:37.04 ID:3JHPXzxSO
乙。様子見にきたヴェントがフィアンマさんに甘えられておねぇちゃん属性が暴走、甘やかしまくりとか…
237 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/06(水) 23:58:34.40 ID:wrW8FG8DO
乙。様子見にきたアックアがフィアンマさんに甘えられてボーイズラブ属性が暴走、色々犯しまくりとか…
238 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/07(木) 12:09:40.17 ID:0DFPJFyV0

>>236-237
ご提供ありがとうございます!


…ボーイズラブ…属性…? 





投下。
239 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/07(木) 12:09:41.24 ID:MlSud9eAO
+
240 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/07(木) 12:10:14.51 ID:0DFPJFyV0

上条「ん…」ぱち

フィアンマ「……」もぞ

上条(何か良い匂いするな)うとうと

フィアンマ「……」くうくう

上条(今日は休日、だし…)うつらうつら

フィアンマ「んぅ…」

上条(もうちょっと寝て…いや…)

上条「…フィアンマ、起きろー」ゆさゆさ

フィアンマ「ん、なに、お、おばけ?」

上条「出ねえよ。もう朝だから」

フィアンマ「んん…」ぐしぐし

上条「朝ごはん出来てるっぽい雰囲気だから食べに行くぞ」

フィアンマ「みさかの朝ごはん?」

上条「多分な」がちゃり
241 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/07(木) 12:10:15.47 ID:MlSud9eAO
+
242 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/07(木) 12:10:29.06 ID:0DFPJFyV0

上条「おはよ」

美琴「ん、…おはよ。ごはん出来てるわよ」

上条「ハムエッグとサラダ?」

美琴「嫌いなメニュー?」

上条「いや、…悪いな」

美琴「良いわよ、別に。…罪滅ぼしなんだから」ぼそ

上条「フィアンマ、今日はサラダがあるぞ」

フィアンマ「…これなに?」

上条「紫玉ねぎ」

フィアンマ「たまねぎ、…からくない?」

美琴「塩もみしたから大丈夫よ」

フィアンマ「ん」

上条「良かったな」

フィアンマ「ん!」へら
243 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/07(木) 12:10:29.99 ID:MlSud9eAO
+
244 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/07(木) 12:10:42.96 ID:0DFPJFyV0

上条「ごちそうさま。皿洗いはやるから、フィアンマの相手頼めるか?」

美琴「良いわよ」うん

フィアンマ「…何してあそぶの?」

美琴「これなんてどう?」

フィアンマ「ん、と…ぎゅうにゅうパズル?」

美琴「立体パズルよ。パズルは嫌い?」

フィアンマ「んん」ふるふる

美琴「じゃあやってみましょうか。よいしょ」ばらばら

フィアンマ「…ぎゅうにゅうの箱の中にまとめればいいの?」

美琴「そうよ。出来そう?」

フィアンマ「んー…」かちゃかちゃ

美琴(…本当に幼児なのね)

フィアンマ「できたー!」

美琴「…良い子良い子」なでなで

フィアンマ「ん…」にへら
245 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/07(木) 12:10:44.00 ID:MlSud9eAO
+
246 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/07(木) 12:11:01.48 ID:0DFPJFyV0

美琴「…それじゃ、帰るわね。洗濯は干しておいたから、」

上条「ああ、…じゃあな」

美琴「…じゃあね」

フィアンマ「…みさか帰っちゃうの?」

上条「ん、だからばいばいしような」

フィアンマ「ばいばいー」

美琴「バイバイ…」にこ

上条「御坂、」

美琴「…何?」

上条「…ごめん」

美琴「…謝るんじゃないわよ。
それは、アンタの台詞じゃない」てくてく

フィアンマ「…上条、ケイタイデンワーがぶるぶるしてる」

上条「んぁ? あ、本当だ…もしもし」

小萌『もしもし上条ちゃーん、補習ですよー』

上条(げっ)

上条「はーい、今すぐ用意しまー……あれ?」

上条(……フィアンマが、居ない?)
247 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/07(木) 12:11:02.45 ID:MlSud9eAO
+
248 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/07(木) 12:11:17.95 ID:0DFPJFyV0

フィアンマ「猫さんどこいくの」

猫「みゃー」

フィアンマ「あう、」

猫「にー」とてて

フィアンマ「ん、…こっち、公園?」てくてく

幼児「おにーちゃんだれ?」

フィアンマ「う? えーっと…フィアンマ」

幼児「くろろのおともだち?」

フィアンマ「くろろって誰?」

幼児「この子」

猫「ふみゃー」

フィアンマ「んん、追いかけてきたの」

幼児「そうなんだ。あ、いっしょにどろだんごつくる?」

フィアンマ「どろだんご? お団子?」

幼児「たべられないおだんご」にへ

フィアンマ「食べられないんだ…」しゅん

幼児「でもね、たのしいよ!」

フィアンマ「…あっ、俺様おしろつくれるよ!」どやー

幼児「すなのおしろー♪」
249 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/07(木) 12:11:18.85 ID:MlSud9eAO
+
250 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/07(木) 12:11:35.19 ID:0DFPJFyV0

右方のフィアンマが発見された、という風の噂。
それに従って、私は学園都市へやって来た。
もう二度と来ないつもりでは、あった。
しかし、フィアンマが生きているのなら。
ぶち殺してやろう、と思って、やって来たのだ。
どこに居るだろうか、と視線を巡らせつつ歩く。
姿を隠している恐れは非常に高いのだが。

「ふぃあんまー、ばけつとってー」
「んー」

何か奇妙な声が聞こえた。
そろそろと、恐る恐る視線を向けてみる。
そこには、フィアンマが居た。
紛れもなく、右方のフィアンマ本人だった。
純粋に瞳を輝かせ、幼い子供と共に砂で城を作っている。
遊びに付き合ってやっている、という様子ではない。
そもそも、ヤツは子供の遊びに付き合うような性格はしていない。

「…どういうコト…?」

無邪気にはにかみ、フィアンマはバケツに砂を詰めている。
どう見ても、知的レベルに問題のある様子だった。
殺す気が、みるみる内に失せていく。
近づき、声をかけた。

「…アンタ、何やってんの?」
「……?」

フィアンマは、砂場にしゃがんだまま、私を見上げる。
その瞳が真っ直ぐで、驚愕と恐怖を覚えた。
狂気が宿っている。何だ、この幼子のような態度は。




「…だれ?」




問いかけて、赤き青年は無邪気に笑ってみせる。
251 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/07(木) 12:11:36.13 ID:MlSud9eAO
+
252 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/07(木) 12:11:51.24 ID:0DFPJFyV0

街中を探し回った。
けれど、フィアンマは見つからず。
運の悪い事に、偶々遭遇した小萌先生に連行されるまま、補習へ連れ込まれた。
良い理由が浮かばなくて、結局時間を割く他なく。
二時間で切り上げてもらい、再び街の中を走って探す。

居ない。
居ない。
居ない、居ないいない…。

IDに関してはオッレルスが用意したものがあるから、身分証明は問題ない。
警備員に捕まったのなら、何の問題もない。
きっと家に帰されるだけか、俺に連絡が入るだろう。
だが、もし侵入してきた魔術師に捕まったとしたら、どうだろう。

処刑されるかもしれない。
私刑にかけられるかもしれない。

フィアンマは反撃の手段を持たない。
『聖なる右』一つ振るえない。
俺が居なければ、おつかいすら出来ない。

「…クソ、……」

死なれたくない、傷つけられたくない。

迷って悩んで走って捜して。
見つからず、俺は家まで戻って来た。

『にゃー』
『…あんまり構っちゃダメよ』

無邪気な男の声と。
笑い混じりの若い女の声が、聞こえた。
253 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/07(木) 12:11:52.10 ID:MlSud9eAO
+
254 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/07(木) 12:12:13.99 ID:0DFPJFyV0

上条「……」がちゃ

フィアンマ「! かみじょうお帰り!」

ヴェント「お帰り」しれっ

上条(フィアンマが猫拾ってきた、それはわかる。
合鍵使って家に入った、それもわかる。
……何でヴェントに頭撫でられてんだよ)いらっ

フィアンマ「あのね、砂遊びしてたらね、このお姉ちゃんにおうち送ってもらった」

上条「…そっか」ちら

ヴェント「猫は返してこなくてよかったの?」にこにこ

フィアンマ「あした返すの。にゃーん」にへら

猫「みゃーん」

ヴェント「そう。じゃあ明日返しに行こうね」にこ なでなで

上条「…ちょっと待て」

ヴェント「あん?」

上条「…ヴェント、ちょっと話をしようぜ」

ヴェント「…良いケド?」

フィアンマ「だいじなお話?」

上条「ちょっとな。テレビ見てて良いぞ」

フィアンマ「んー」
255 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/07(木) 12:12:14.99 ID:MlSud9eAO
+
256 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/07(木) 12:12:30.87 ID:0DFPJFyV0

「何しに来たんだよ」

警戒心が先に立つ。
ヴェントの事情は、俺だって知ってる。
エリザリーナ独立国同盟では助けてもらった。
だからこそ尚更不安に思った。
フィアンマを殺しに来たんじゃないか、と。
俺の予想に漏れず、ヴェントはその問いかけに首を縦に振った。

「気が変わったケドね」
「……」
「そんな疑いの目で見るんじゃないわよ。
……アイツの様子を見たら、殺す気も失せる」
「……もう、アイツは右方のフィアンマじゃないんだ。
ただの、何の肩書きもないフィアンマなんだよ」
「わかってる。というよりも、分かった。
…だから、殺しはしない。会話の中で、記憶が無いコトもわかったしね。
様子見に来ただけよ。すぐ帰るし、…手は出さない」
「…そうか」

安堵に、体の力が抜ける。
ヴェントはそんな俺を見て、小さく笑った。

「…完全に保護者の顔ね」
「……実質保護者なんだから仕方ないだろ」
「かみじょう、にゃんこ飼いたい」
「ダメです」
「…ぷっ」
「笑うなよ!」
257 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/07(木) 12:12:31.93 ID:MlSud9eAO
+
258 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/07(木) 12:12:47.37 ID:0DFPJFyV0

今回はここまで。
259 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/07(木) 15:46:02.80 ID:yG2fVaFSO
乙。ヴェントおねぇちゃんや上条お兄ちゃんはもっと甘やかしたっていい
260 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/07(木) 17:43:35.06 ID:xMtpRNbI0

鬱とは何だったのか。







投下。
261 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/07(木) 17:43:37.98 ID:MlSud9eAO
+
262 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/07(木) 17:43:57.97 ID:xMtpRNbI0

ヴェント「…さて、感づかれる前に逃げるか」

上条「もう帰るのか?」

ヴェント「殺しに来ただけだしね。殺さないなら、居る必要もないし」

フィアンマ「…む」くい

ヴェント「…ん?」

フィアンマ「…かえっちゃうの?」しゅん

ヴェント「…上条当麻、物は相談だケド、」

上条「フィアンマを連れて行きたいってことなら俺は全力で止めるぞ」

ヴェント「チッ」

フィアンマ「……」しょんぼり

ヴェント「…また遊びに来るから、沢山遊ぼうね」にこ

フィアンマ「! うん」へら

ヴェント(…ホント、別人だ)

ヴェント「今度はお菓子持ってきてあげる」

フィアンマ「おかし? おやつ?」きらきら

ヴェント「美味しいお菓子持ってきてあげるわ」にこにこ

フィアンマ「ん! また来てね!」

ヴェント「それじゃあね」ぱたん
263 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/07(木) 17:43:58.90 ID:MlSud9eAO
+
264 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/07(木) 17:44:13.83 ID:xMtpRNbI0

上条「その猫は何処から拾ってきたんだよ」

フィアンマ「こうえん」

上条「ああ、この近くの、か?」

フィアンマ「ん。おともだちもできたよ」

上条「友達?」

フィアンマ「いっしょにどろだんごつくった」

上条「…そっか」

上条(多分幼児だろうな)

フィアンマ「にゃー」

猫「みー」

上条「明日、ちゃんと返しに行くんだぞ?」

フィアンマ「うん」

上条「後、急に何処か行かないこと。わかったか?」

フィアンマ「ん!」こくん
265 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/07(木) 17:44:14.79 ID:MlSud9eAO
+
266 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/07(木) 17:44:30.13 ID:xMtpRNbI0

―――翌日


上条「じゃあ俺は学校行くけど、フィアンマはどうするんだ?」

フィアンマ「ねこ返しにいく」

上条「公園と家以外に行っちゃダメだぞ」

フィアンマ「ん、だいじょうぶ」

上条「じゃあ行ってきます」

フィアンマ「いってらっしゃい」にへら

上条(本当に大丈夫かな……)



フィアンマ「んっ、返しにきた」

幼児「くろろー」よいしょ

フィアンマ「おとなしかった」

幼児「ひとなつっこい、ってせんせいが。
きょうもあそぶ?」

フィアンマ「んん、きょうは帰る」

幼児「そっか。またね!」

フィアンマ「またね」へら
267 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/07(木) 17:44:31.10 ID:MlSud9eAO
+
268 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/07(木) 17:44:44.24 ID:xMtpRNbI0

フィアンマ「…どっちだっけ」きょろ

フィアンマ「…うーん」てくてく

フィアンマ「……」きょろきょろ

フィアンマ「……」きょと

フィアンマ「……」てくてく

フィアンマ「…?」

フィアンマ(…俺様、まいごになってる?)

フィアンマ「…う」じわ

フィアンマ「んー…わぷっ」こつん

アックア「…む」

フィアンマ「……う、…ご、ごめんなさい」あせあせ

アックア「…もしや、フィアンマであるか」

フィアンマ「? なんで俺様のことしってるの?」

アックア「……」うーん

フィアンマ「…あのね、俺様のおうちさがすの手伝って」にへら

アックア「……む」
269 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/07(木) 17:44:45.10 ID:MlSud9eAO
+
270 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/07(木) 17:44:58.27 ID:xMtpRNbI0

フィアンマ「わー、ついたー」はー

アックア(…私が知るヤツとはまるで違うな)

フィアンマ「…おれいにおやつあげる」くい

アックア「だが、」

アックア(本人だとは思うが、…この様子からして、最早危険性は無い。
となれば、私刑にかける理由も存在しないのである)

フィアンマ「あげるー」くいくい

アックア「…わかった。邪魔するのである」

フィアンマ「んー」



上条「ただいまー」がちゃ

フィアンマ「おかえり!」

上条「……あれ?」

アックア「久しいな」

上条「お前、アックア…」

フィアンマ「道でぶつかったからいっしょにお家捜してもらった!」

上条「迷子になったのかよ」はぁ
271 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/07(木) 17:44:59.18 ID:MlSud9eAO
+
272 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/07(木) 17:45:18.07 ID:xMtpRNbI0

アックアの目的は、ヴェントと同じ。
視察、様子見、暗殺、私刑。
しかし、ヴェントと同じく気が変わったようだ。

一つは、フィアンマに戦時中の記憶が無い事。
一つは、精神性に遅滞傾向が見られる事。

もはや見目が似ているだけの別人を殺す理由は無い。
罪が無い人間を無意味に傷つける必要もない。
だから殺さない、とアックアは首を横に振った。
フィアンマはというと、無邪気にベッドでごろついている。
アックアに懐いているらしく、引っ付いた。

「…無邪気であるな」
「んー」

わしわし、と頭を撫でられ、フィアンマがはにかむ。
どうしようもなくイライラする。理由はよくわからない。

「あっくあおっきいー…ん、」

右腕が無い影響で、フィアンマがバランスを崩した。

「…フィアンマ、アックアから離れろ」
「…青いな、少年」
「うるせえ!」
「かみじょう、何でおこってるの?」
「嫉妬である」
「…Shit?」
「少々違うな」
「おいアックアやめろ抱きしめようとすんな俺は勝算関係なしに殴るぞ」

そんなこんなで、アックアを帰した。
何だか慌ただしい、と思う。
273 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/07(木) 17:45:19.02 ID:MlSud9eAO
+
274 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/07(木) 17:45:34.46 ID:xMtpRNbI0

上条「…もう知らない人家に入れちゃダメだぞ」

フィアンマ「じこしょうかいしたよ?」

上条「……とにかく、お家に人を入れちゃダメだ」

フィアンマ「…ん、わかった」

上条「後、やたら人に触るのも禁止」

フィアンマ「かみじょうにも?」

上条「俺は良いけど」

フィアンマ「んー」

上条「…わかったか?」

フィアンマ「…はーい」

上条「じゃあごはん作るか」

フィアンマ「じゃがいもむく」

上条「今日はカレーだぞ」いそいそ

フィアンマ「やったー」にへら
275 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/07(木) 17:45:35.61 ID:MlSud9eAO
+
276 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/07(木) 17:45:48.04 ID:xMtpRNbI0

「お前は、さ」

ふと。
気になって、そのままに尋ねてみる。
フィアンマは剥き終わったジャガイモを水に浸け、俺を見やった。

「ん?」
「俺と暮らしてて、楽しいか?」
「うん」

一瞬の迷いもなく、フィアンマは頷いて幸せそうに微笑む。
どこまでも無邪気な笑顔に、俺は心から安堵していることを感じ取る。

俺はやっぱり、フィアンマが好きなのかもしれない。
いいや、好きなんだろう。
きっと、今やインデックスよりも。

「……俺は、…フィアンマが、好きだよ」
「おれさまも上条だいすき」
「…何か違うんだよな」

噛み合わない。
だが、それが良いのかもしれない。
苦く笑って、俺はカレーに蜂蜜を溶かす。
277 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/07(木) 17:45:48.86 ID:MlSud9eAO
+
278 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/07(木) 17:46:02.08 ID:xMtpRNbI0

今回はここまで。
279 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/07(木) 23:29:49.47 ID:yG2fVaFSO
乙。一方さんに預けられるフィアンマさんとか
280 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/08(金) 07:39:49.81 ID:lk7Elg7DO
乙でしたー
アックアさんとヴェントと上条さんがフィアンマを取り合う……とか?
281 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/08(金) 09:37:56.75 ID:qYz+CWeIo
完全にホモ条さんじゃないですかーやだー

もっとやれ
282 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/08(金) 16:33:31.72 ID:7ZynA6BE0

>>279-280 
ご提供ありがとうございます!



ナチュラルにホモ。






投下。
283 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/08(金) 16:33:32.99 ID:e23fJmHAO
+
284 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/08(金) 16:33:50.87 ID:7ZynA6BE0

気がつけば、九月になった。
残暑はまだまだ厳しいものの、フィアンマは割と元気だ。
休日を使い、俺はフィアンマと一緒に遊園地へ来た。
空間が空間の為、手を繋いでいても目立たない。

「はぐれんなよ」
「んー。…アイス、」
「お腹壊すぞ」
「…おなかは壊れないよ?」
「そういうことじゃなくてだな」
「かんらんしゃー」
「聞けよ!」

初めて見る物ばかりだからだろうか。
きらきらと目を輝かせて、フィアンマは俺の手を引っ張る。
食べ物よりもアトラクションに惹かれるらしい。
ちなみにジェットコースターは乗せようとしたら泣いた。

「上条」
「んー?」
「たのしい」
「そっか」

上機嫌に、フィアンマの左手が俺の右手を引く。
多分の金を失ったものの、この笑顔が見られたから、それで良いかな、とも思う。
285 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/08(金) 16:33:51.77 ID:e23fJmHAO
+
286 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/08(金) 16:34:03.65 ID:7ZynA6BE0

上条「ただいま、…………で、何しに来たんだよ」

ヴェント「もちろん」

アックア「フィアンマに会いに、であるが」

フィアンマ「お姉ちゃんとあっくあだ」にへら

上条「……」

ヴェント「ねえフィアンマ、私達と一緒に来ない?」

フィアンマ「う?」

アックア「旅に出ないか、という誘いである」

フィアンマ「…んー」ちらっ

上条「……」わなわな

ヴェント「毎日美味しいおやつ食べさせてあげる」

アックア「頷くだけで良いのである」

フィアンマ「…」ちら

上条「……」ぐい

フィアンマ「わう、」

上条「絶対渡さねえぞ」じろ

ヴェント「ちっ」
287 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/08(金) 16:34:04.65 ID:e23fJmHAO
+
288 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/08(金) 16:34:17.39 ID:7ZynA6BE0

上条「…っていうかフィアンマを誘いにだけ来たのか?」

ヴェント「片手間に警護も兼ねて、ね。たまに視察に来るわ」

アックア「フィアンマの居場所が我々以外にバレるのも時間の問題であるからな」

上条「…なるほどな」

ヴェント「……魔術も何も扱えないんでしょ?」

上条「ああ、…何も」

アックア「初歩的なものも理解出来ないようであるな」

上条「ありがとな」

ヴェント「別に礼なんざ言われる筋合い無いケド」

上条「でも、フィアンマを守りに来てくれたんだろ?」

アックア「戦場で弱者が命を張る必要は無い」

上条「…ん」

フィアンマ「…なんの話?」

上条「ちょっと大事なお話」なでなで
289 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/08(金) 16:34:18.44 ID:e23fJmHAO
+
290 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/08(金) 16:34:31.85 ID:7ZynA6BE0

フィアンマ「あっくあ達忙しいのかな」

上条「時間の合間を縫って来てるって言ってたぞ」

フィアンマ「…じかんってぬえるの?」

上条「…何か、…何ていうか、日本語って難しいな…」

フィアンマ「ゆうえんち楽しかったね」

上条「ああ。また機会があったら行こうな」

フィアンマ「…でもおばけやしきはもう入りたくない」

上条「そんなに怖かったか?」

フィアンマ「ばさーって」

上条「暗幕落ちてきたのは事故だから、いつもああじゃないから」

フィアンマ「でも、」

上条「ん?」

フィアンマ「かみじょうが居たから、つらくはなかった」にへら

上条「……そ、っか」わしわし
291 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/08(金) 16:34:32.64 ID:e23fJmHAO
+
292 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/08(金) 16:34:45.73 ID:7ZynA6BE0

上条「今日は何するか」

フィアンマ「おさんぽ」

上条「…迷子になるなよ?」

フィアンマ「だいじょうぶ」



上条「…あれ、一方通行?」

一方「…あン?」

打ち止め「お久しぶりってミサカはミサカはご挨拶してみたり」

上条「おお、打ち止めか。久しぶり」

フィアンマ「かみじょうのお友達?」

上条「そうそう、俺の友達」

一方「友達になった覚えはねェよ」

上条「まあ、そう言うなよ…ん」ごそ

フィアンマ「ほしゅう?」

上条「みたいだな。…悪い、一方通行…フィアンマの面倒頼んで良いか?」

一方「あ? …ガキじゃあるまいし、面倒なンざ看なくても」

打ち止め「あなたもゲコ太の良さがわかるの? ってミサカはミサカは首を傾げてみたり」

フィアンマ「まるい」ぷにぷに

一方(…知能はガキ…ってことか?)

一方「…仕方ねェな」

上条「ありがとな! それじゃ、後で連絡して迎えに行くから」だっ
293 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/08(金) 16:34:46.64 ID:e23fJmHAO
+
294 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/08(金) 16:35:02.90 ID:7ZynA6BE0

打ち止め「ただいまー、ってミサカはミサカは元気よく言ってみたりー!」

一方「…入れよ」

フィアンマ「…おじゃまします?」

一方(何で疑問形なンだよ)

番外「お帰りおチビ、それとモヤシ一位」

一方「……芳川は留守か」

番外「大学の方で講義だってさ。
…で、その後ろに居るのは誰?」

一方「知り合いの…、ガキだ」

番外「ガキには見えないけど? ミサカ視力落ちちゃったかにゃん?」

フィアンマ「…あう」ひしっ

打ち止め「人見知りさんみたいね、ってミサカはミサカはなでなでしたみたり」よしよし

フィアンマ「んー…」へら

一方(敵意は…ねェな)
295 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/08(金) 16:35:03.85 ID:e23fJmHAO
+
296 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/08(金) 16:35:17.42 ID:7ZynA6BE0

番外「ふっふーんミサカ大勝利いい!」ぽちぽち

打ち止め「ぬおおお負けてなるものかとミサカはミサカはああああ」かちゃかちゃ

フィアンマ「…なにしてるの?」くい

一方「アイツ等ならゲームだろ」

フィアンマ「それ何?」

一方「缶コーヒー」

フィアンマ「おいしい?」

一方「…俺にとってはな」

フィアンマ「コーヒー……」じー

一方「…飲みたいンかよ」

フィアンマ「んー」

一方「……ほら」すっ

フィアンマ「…どうやってあけるの?」うーん

一方「…手ェかかるなオマエ…」ぱかっ

フィアンマ「わ、ありがと」にへら

一方「……ン」
297 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/08(金) 16:35:18.38 ID:e23fJmHAO
+
298 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/08(金) 16:35:30.33 ID:7ZynA6BE0

フィアンマ「…にがい」うる

打ち止め「お砂糖入れる? ってミサカはミサカは問いかけてみたり」

番外「ガキだって言った相手に普通ブラックは渡さないよねえ」

一方「……チッ」

フィアンマ「おさとうほしい」

打ち止め「コップに空ける? ってミサカはミサカはお姉さんぶってみる」

フィアンマ「ん」とぽとぽ

番外「ミサカとしてはガムシロの方が良いと思うけど?」

打ち止め「じゃあガムシロたっぷりね、とミサカはミサカは方向転換!」からんからん

一方(それ、もうカフェオレじゃねェか)

フィアンマ「…もうにがくない?」おず

打ち止め「きっと大丈夫だよ、ってミサカはミサカは微笑みかけてみる」すっ

フィアンマ「ん、ん…おいしい」ふにゃ

打ち止め「良かった、とミサカはミサカは安堵してみたり」にこにこ

フィアンマ「ありがとう」くい

番外「……どーいたしまして」

番外(…ミサカ、こういう善意とか無邪気さの塊きらーい…っ)ぷいっ
299 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/08(金) 16:35:31.23 ID:e23fJmHAO
+
300 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/08(金) 16:35:43.70 ID:7ZynA6BE0

上条「フィアンマ、迎えに来たぞ」

フィアンマ「かみじょう」たたたっ

上条「良い子にしてたか?」

フィアンマ「ん!」

上条「じゃあ一方通行にお礼言おうな」

フィアンマ「ありがとう」にこにこ

一方「…あァ」



上条「何かコーヒーの匂いするんだけど」てくてく

フィアンマ「かんこーひーのませてもらった」

上条「苦くなかったか?」

フィアンマ「らすとおーだーにガムシロップいれてもらった」

上条「アイスカフェオレだな、それ……」

フィアンマ「上条」

上条「んー?」

フィアンマ「ずっと、一緒にいてね」

上条「……当たり前だろ。何だよ、急に」

フィアンマ「んーん」にこ
301 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/08(金) 16:35:44.54 ID:e23fJmHAO
+
302 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/08(金) 16:36:09.51 ID:7ZynA6BE0

手を引いて歩く。
不意に、フィアンマが身体を預けてきた。
甘えてきたのだろうか、と振り返る。

その薄い唇の間から。
血液が、滲んでいた。

「……、…」
「…フィアン、マ?」

ひどく、喉がかわく。

状況が理解できない。
指が震える。
フィアンマの腹部には、何かが突き刺さっていた。
完全に貫通している。槍のようだった。

「退くが良い、幻想殺し」

冷徹な女の声。
声の元に目を向ける。
長い銀髪の、見た事の無い長身の女が居た。
恐らく、フィアンマへ個人的に恨みを持った人間だろう。

「ご、っ、……ぼ、げほっ、」
「フィアンマ!!」

長槍を腹部に受けたまま、フィアンマが地面に膝をつく。
血だまりが際限なく広がっていく。
周囲にまるで人気が無いのは、『人払い』というやつだろう。

このままだと、フィアンマが死ぬ。

死のイメージに、身体が震える。
拳を強く強く握り締めた。

「……テ、メェ」
「私の目的はただ一つ。第三個世界大戦最大の戦犯たる右方のフィアンマを殺害することだ」
「させるかよ」

何も知らない。
何も覚えていない。

なら、それは本人のやったことじゃない。

だから、殺して良い理由になんてならない。

「戦争が起きたのは、コイツ一人のせいじゃない」

たとえ、世界の流れを掌握し、そのように持っていったとしても。
戦争が起きたのは、フィアンマ一人の責任なんかじゃない。
上条は拳を握り締め、手を離す。背にフィアンマを庇い、魔術師と対峙した。

『俺様は免罪符だ』
『本当はやりたくなかったけど、どこかの誰かに命令されたから』
『理由さえあれば、人はどこまでも残酷な生き物になれる』
『人間の心がそこまで綺麗なものだと信じたいのか!』

『……上条とのけんかに負けて、しんじゃうのかな、って思って。
でも、諦めたから、すっきりしてた。仕方ないって、…神様が、俺様をみすてたんだって』


世界に絶望して消えるしかなかった男の形見を、壊させたくない。
何より、自分を無邪気に慕うこの青年を、死なせたくない。







――――戦いが、始まる。
303 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/08(金) 16:36:10.42 ID:e23fJmHAO
+
304 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/08(金) 16:36:52.86 ID:7ZynA6BE0

今回はここまで。
闇条さんか病み条さんか迷う。
305 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/08(金) 18:42:51.11 ID:je8a0ZSOo
>>1おつ!
闇条さんの病み条さん
どっちもあっていいじゃない
306 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/08(金) 18:59:49.13 ID:f1aBiWrSO
乙。病条ならほのぼの、闇条なら鬱エンドへ宅急便かね?面白く斬新ならどっちでも


いつの間にか住み着くヴェントとアックア、時折テッラ(故)の幽霊が上条さんちに出没(笑)、遊びにきて驚愕するみこっちゃんと一方さんとか
307 : ◆2/3UkhVg4u1D [sage]:2013/03/09(土) 00:55:50.81 ID:3vikL+AAO
>>302

×第三個
○第三次

第三個世界大戦って何だよ…
病み闇フィア条さんでいこうと思います
308 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/09(土) 21:02:11.10 ID:b60I4kR60

>>306
ご提供ありがとうございます!


戦闘描写苦手なの忘れてました。






投下。
309 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/09(土) 21:02:14.38 ID:3vikL+AAO
+
310 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/09(土) 21:02:32.08 ID:b60I4kR60

槍が飛んでくる。
しかし、その槍の速度は遅いものだった。
美琴の放つ雷撃の槍よりも、よほど。
上条はしゃがんで避け、右拳を握り締めたままに走る。

間合いへ素早く入り込み。

まず、女性のみぞおちへ拳を叩き込んだ。
げほ、と空気を吐きだしたのを見届け、その途中で蹴りを入れた。

「ご、ァ」

長身とはいえ、細身の女性だ。
魔術師とはそもそも普通の人間である。
細身の女性が、一般の男子高校生の手加減無しの拳と蹴りを受けるとどうなるか。
想像に難くはない。

唇を噛み締め、女性は懐から拳銃を取り出す。
彼女の目標はあくまでフィアンマの殺害だ。
上条に構っている暇はない、とばかりに銃口がフィアンマへ向いた。
拳銃と魔術を併用する魔術師。レイヴィニア=バードウェイとの戦闘を思い返せばおかしさは無い。

「ッ、」

上条は咄嗟に銃側面を手のひらで叩く。
叩き落すまではいかなかったものの、銃口は下を向き、コンクリートを砕き撃ち抜いた。
魔術師は上条を見やり、やはりこちらを先に無力化してしまおうと思索する。
上条は命の危機を感じながらも、しかし、自分と違い既にダメージを受けているフィアンマを思い。
怯えている場合ではないと自らを奮い立たせ、右拳を彼女の顔面にめり込ませた。

ぐしゃ。

鼻の骨が曲がったか、折れたか。
どちらにせよ、ひどく嫌な感触が、上条の手の甲に伝わる。
311 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/09(土) 21:02:33.03 ID:3vikL+AAO
+
312 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/09(土) 21:02:54.59 ID:b60I4kR60

強い打撃に、女性が銃を取り落とす。
そして、上条は迷わなかった。
素早く銃を拾い上げる。
敵意の中に、微かな殺意が芽生えていることを知覚した。

「けほ、」

粘り気の多い咳をする声。
上条は、背後のフィアンマの咳であると判断した。
そして、その判断は決して間違いではない。

「っ、何故庇う」

魔術師が間合いをとり、顔を手で押さえながら、上条を睨んだ。

「…何でだろうな」
「……、」
「でも、死なせたくないんだ」

上条も、何故フィアンマを守るのかと問われると、はっきり理由を答えられない。
理由が沢山あり過ぎるのか、それともその内容が抽象的で言葉に出来ないのか。
恐らく、その両方で。

「…あんたは、」

上条は、握っている拳銃の重さに唇を噛む。
一度も撃った事はない。シューティングゲームもさほど経験は無い。

「フィアンマに、家族や誰かを殺されたのか」

それならば、仕方がない。
上条はうっすらとそう思い、彼女を見やった。
対して、彼女はようやく顔から手を離し、答えた。

「……いいや。私の所属している組織の命令だ」
「そうか」


『本当はやりたくなかったけど、どこかの誰かに命令されたから』
『理由さえあれば、人はどこまでも残酷な生き物になれる』


上条当麻から、迷いと容赦が消えた。
313 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/09(土) 21:02:55.69 ID:3vikL+AAO
+
314 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga !red_res]:2013/03/09(土) 21:03:08.64 ID:b60I4kR60


ぽた、ぽた。

びちゃびちゃびちゃ。
315 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/09(土) 21:03:09.56 ID:3vikL+AAO
+
316 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/09(土) 21:03:28.90 ID:b60I4kR60

風船の破裂音。
それに、よく似ていた。
銃声というものは。

「は、…」

魔術師の両太ももが、撃ち抜かれていた。
上条が引き金を引いたから、ただそれだけだ。

「……俺たちに近づくな」

上条は、静かに言い放つ。
弾数の無い拳銃を、放る。
カチャリ、という無機質な音と共に、それは女性の足に当たった。
うずくまり、拳銃を拾い上げて逃亡を始める女性に目もくれず、上条は背を向ける。
フィアンマはというと、激痛に耐え、震えながら泣いていた。
力なく伸ばされた左手を握ってやり、上条はもう片手で救急車を呼ぶ。

「い、たい…痛い、よ…かみ、じょう」
「ん、すぐ病院行こうな、良くなるから……」

上条は手を伸ばし、フィアンマの頭を撫でる。
救急車が到着する間際、右手で槍に触れた。
パキィン、というガラスの砕けるような音と共に、霊装たる槍が破壊された。
途端、栓を失ったフィアンマの身体から、多量の血液が溢れる。
医療従事者に促されるまま、上条は救急車へ同席することにした。
317 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/09(土) 21:03:29.95 ID:3vikL+AAO
+
318 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/09(土) 21:03:52.11 ID:b60I4kR60

手術を終えて。
上条は、麻酔が抜けずに未だ眠るフィアンマを見つめていた。
体重を軽く背もたれにかけると、パイプイスがギシリと軋む。

「…すぅ、…」
「………今なら、…お前の気持ちが、わかる」

ぽつり。
呟いて、上条は右手を伸ばした。
ぺたん、とフィアンマの頬に触れる。
穏やかな呼吸を繰り返している様を見ていると、上条も落ち着くようだった。
病室があまりにもしんと静まり返っているので。
静かに、やや掠れた声で、上条は独り言を投げかけた。

「初めて会った時のこと、…覚えてないよな」
「………」
「イギリスで、…お前は、笑ってた。
沢山の人を傷つけて、穏やかさを裂いて」
「………」
「それで、…俺は、インデックスを助ける為に。
お前を、ロシアまで追いかけていった」
「………」
「お前は、何度も何度も、俺と自分が似てるって言ってたな」
「………」
「俺は否定したし、お前も違うと思っただろうけど」
「………」
「…多分、お前は"以前の俺"と似てたんだと思う」

免罪符。
お前のせいで。
疫病神。
誰かに言われたから。
誰かに命令されたから。

仕方なく、仕方なく。

全部お前のせいだ。


上条には、インデックスと出会う前の記憶は無い。
もう思い出すことすら出来ないけれど、『御使堕し』での父親の言葉から予想は出来る。
一切合切自分のせいにされ、以前の自分はどれだけ苦しい思いをしただろうか。
それを思えば、フィアンマの絶望が今一度理解出来る。
319 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/09(土) 21:03:53.08 ID:3vikL+AAO
+
320 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/09(土) 21:04:08.00 ID:b60I4kR60

「ぅ、…ん?」

三時間程して。
右方のフィアンマは、目を覚ました。
傍らでは、上条が眠っている。
待って、語って、待ち疲れたのだ。

「………、」

右方のフィアンマは手を伸ばし。
そうして、上条の髪に触った。
ツンツンとした髪は、存外柔らかい。

「……、…」
「すー……」
「上条当麻か。…病室、……」

右方のフィアンマは手を引き。
そうして、自分の腹部を軽く撫でた。
術後のそこは、ズキズキと痛んでいる。
思わず顔を歪め、右方のフィアンマは唇を噛み締めた。

正気を保てる時間は、本当に短い。

何があったかはわからない。
しかし、様子から見て察することは出来る。
右方のフィアンマは手を伸ばし、ベッドサイドのタンスを探る。
病院の備品だろう、簡素なメモ帳とボールペンを発見した。

かりかり。


僅かに書いて、目を閉じる。
恐らく、聞き届けてはくれないだろう。
傍らの男は優しくて、馬鹿で、どうかしている残酷な人間だから。
321 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/09(土) 21:04:08.96 ID:3vikL+AAO
+
322 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/09(土) 21:04:22.95 ID:b60I4kR60

「……ん」

入れ替わりに。
上条は目を覚まし、メモ帳に気がついた。
綺麗で細かい筆跡だ、と思う。
フィアンマはぐちゃぐちゃの平仮名が精々書けるだけだったはずだが。

「……、」

メモの内容は、簡素に二言。

『死にたくないのなら俺様を見殺せ。
それから、ありがとう』

「……まあ、お断りだけどな」

別人のような筆跡に、上条は薄く笑んだ。
これは、自分がよく知る右方のフィアンマが書いたものだろう、と判断して。
だけれど、見殺しになんて出来る筈もなくて。
上条はメモを破り、二つに折りたたんでポケットへしまいこむ。

何だかんだで彼も、我の強い男である。
323 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/09(土) 21:04:23.92 ID:3vikL+AAO
+
324 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/09(土) 21:04:36.62 ID:b60I4kR60

フィアンマ「…んー」ぱち

上条「おはよ。つっても夜だけどな」

フィアンマ「…ねむい」

上条「寝続けてたからだろ」

フィアンマ「ごはん…」

上条「腹怪我したのに食べられる訳ないだろ」

フィアンマ「……うー」

上条「…一週間位で退院出来るってさ」

フィアンマ「ん…」

上条「退院してお家帰ったら御飯いっぱい食べて良いぞ」

フィアンマ「オムレツたべたい」

上条「ん、いっぱい作ってやるよ」

フィアンマ「…上条、けがしてない?」

上条「俺は大丈夫」

フィアンマ「ん、よかった…」へら

上条「………」
325 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/09(土) 21:04:37.51 ID:3vikL+AAO
+
326 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/09(土) 21:04:48.35 ID:b60I4kR60

今回はここまで。
327 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/09(土) 22:58:01.30 ID:xl21wOZDo
乙ー
328 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/09(土) 22:59:19.96 ID:VfwDQIz50
何か切なくなってきた…
329 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/10(日) 13:09:02.79 ID:wkJtwr0SO
330 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/10(日) 15:10:12.73 ID:xEYMApf20

そろそろ暗くなってきます。







投下。
331 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/10(日) 15:10:13.73 ID:Xj+6WA2AO
+
332 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/10(日) 15:10:30.40 ID:xEYMApf20

上条「ただいま」

フィアンマ「ただいまー」

上条「じゃあオムレツ作るから、大人しく待ってろよ?」

フィアンマ「ん、おとなしくしてる!」

上条「すぐ出来るからな」



フィアンマ「かみじょうー」

上条「んー?」

フィアンマ「おばけでたー」

上条「はぁ!?」

フィアンマ「こわくないおばけ」

上条「ちょっと待て…」
333 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/10(日) 15:10:31.28 ID:Xj+6WA2AO
+
334 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/10(日) 15:10:46.36 ID:xEYMApf20

テッラ『久しいですね、上条当麻』

上条「」

フィアンマ「透けてるよ。おばけ」

上条「………そんなことがあってたまるか…」

フィアンマ「?」

上条「ここは学園都市だぞ…」ぷるぷる

テッラ『随分と様変わりしてしまいましたねー、フィアンマ』

フィアンマ「…俺様のこと、しってるの?」

テッラ『ええ、勿論。貴男は、』

上条「…良いぜ、テメェがフィアンマに余計なことを吹き込むってんなら。
ぶち殺す」

テッラ『そんな性急な、』

上条「……」がっ

フィアンマ「あ、きえた」

上条「…無かったことにしような、フィアンマ」にこ

フィアンマ「……かみじょう、こわいよ?」

上条「大丈夫大丈夫」

フィアンマ「……うん、なかったことにする」
335 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/10(日) 15:10:47.24 ID:Xj+6WA2AO
+
336 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/10(日) 15:11:08.56 ID:xEYMApf20

フィアンマ「かみじょうはすごいなぁ」

上条「んー? 何が」

フィアンマ「あくりょうばらい」

上条「…ああ、さっきのな」

フィアンマ「かみのこといっしょ、すごいみぎて」にへら

上条「……」

フィアンマ「…どうかしたのか?」

上条「いや、…なんでもない」

フィアンマ「…こわいものは、みーんな上条がやっつけてくれるね」

上条「…腹刺された時の話か?」

フィアンマ「それも、そうだけど。それだけじゃなくて」

上条「……」

フィアンマ「…うまくことばに出来ない」

上条「…そっか」なでなで
337 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/10(日) 15:11:09.36 ID:Xj+6WA2AO
+
338 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/10(日) 15:11:55.78 ID:xEYMApf20

上条「…時に、知ることよりも知らぬことの方が意味を持つ。
処女性には神聖が宿る…って知ってるか?」

フィアンマ「…う?」

上条「難しいか。…覆水盆に還らず、は?」

フィアンマ「ばしゃーんしたら戻らないこと?」

上条「そうそう」

フィアンマ「…?」

上条「知ることは出来るけど、忘れることは難しいんだ」

フィアンマ「…そうなの?」

上条「そうなの」

フィアンマ「…うーん」

上条「…骨が折れたらどれだけ痛いのかは、折れてみないとわからない」

フィアンマ「……」

上条「でも、一度折れたら、折れた痛みを知ったら、折れる前の、痛さを知らない状態には戻れない」

フィアンマ「…うん」

上条「だから、……好奇心は猫をも殺すって言って。
……昔の話をされそうになったら、聞かなくて良いからな」
339 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/10(日) 15:11:56.93 ID:Xj+6WA2AO
+
340 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/10(日) 15:12:13.29 ID:xEYMApf20

「おれさまは、わるいことをしたの?」

質問に。
そんな、問いかけに。
息が詰まった。呼吸が、止まる。
心臓が止まったり、激しく動いたりを繰り返しているような。
錯覚を覚えつつ、俺はフィアンマを見やる。
金色の瞳は不思議そうに俺のことをじっと見ている。
槍で刺され、戦犯だの何だのといった言葉が聞こえていたのだろうか。

本当は、教えるべきなのかもしれない。

全て教えて、罪を自覚させるべきなのかもしれない。
でも、俺はそんなことはしたくなかった。
だから、嘘をついた。

インデックスに嘘をついたように。
俺は、何度でもフィアンマに嘘をつく。

今、決めた。

「…何も、してねえよ」
「……でも、」
「皆、お前のそっくりさんが悪い事したから、勘違いしてるんだ」
「…ほんと…?」
「本当だよ。お前は、悪く無い」

嘘をついた。
きっと、右方のフィアンマなら、俺を嘲笑っただろう。
また嘘をつくのか、と好きなだけ嘲笑しただろう。

それでも。
もう、傷ついて欲しくない。知って欲しく無い。

「だから、大丈夫だよ」


俺は、何度でも、嘘をつく。

知らないことは、時として、知ることに勝る。
341 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/10(日) 15:12:14.60 ID:Xj+6WA2AO
+
342 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/10(日) 15:12:26.86 ID:xEYMApf20

上条「今日は何するか」

フィアンマ「おうちにいる」

上条「…そうだな」

上条(また散歩して、襲われたらたまんねえしな)

フィアンマ「…む」ごそごそ

上条「ん?」

フィアンマ「めろんぱんのもと!」

上条「ああ、ホットケーキに混ぜて焼くやつな」

フィアンマ「んー…」

上条「……」

フィアンマ「しょうひきげん、切れてない」

上条「…食べるか?」

フィアンマ「めろんぱん味、たべたい」にへら

上条「じゃあ今日の昼飯な」

フィアンマ「うん!」
343 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/10(日) 15:12:27.75 ID:Xj+6WA2AO
+
344 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/10(日) 15:12:43.93 ID:xEYMApf20

上条「一ヶ月はメロンパン食いたくねえ…」ぐでー

フィアンマ「おいしかった」

上条「ん、良かったな」

フィアンマ「かみじょうー」のし

上条「うお、何だよ…重いって」

フィアンマ「すきー」

上条「…俺も好きだよ」

フィアンマ「だいすきー」

上条「…ん」ぽんぽん

フィアンマ「上条」

上条「んー?」

フィアンマ「…かみじょうは、」

上条「何だよ?」

フィアンマ「…おれさまのことを、昔から、知ってるの?」
345 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/10(日) 15:12:45.00 ID:Xj+6WA2AO
+
346 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/10(日) 15:13:31.59 ID:xEYMApf20

「知ってるよ」

昔じゃなくて、前から。

お前がどんな風に笑って。
お前がどんな風に怒って。
お前がどんな風に苦しんで。
お前がどんな風に怯えたのか。

全部、理解(わか)ってる。
どうして世界を救おうと思ったのか。
大体の予測はついたから、もう怒りは無い。
どれだけの犠牲を出しても成功させたかった理由。
そして、自分の過ちに気づこうとしなかった理由も。

本当は、右方のフィアンマがどんな人間だったのか。

俺は理解した。
間違いを認めないその精神性を、きちんと理解した。

「わかってる」

誰かを、何かを完全に理解するということは、受け入れること。
だから、俺はもしかすると、お前が欠けさせた部分を持っているんだろう。
『右方のフィアンマ』が魔術師の就く職業でなくただの称号なら、俺はそれを引き継いだ。

だって、俺とお前は、似ているんだから。
お前がそう言ったんだ。何度も否定を否定したんだ。




「…だから、俺が、お前の免罪符になってやる」
347 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/10(日) 15:13:32.70 ID:Xj+6WA2AO
+
348 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/10(日) 15:13:46.46 ID:xEYMApf20

今回はここまで。
349 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/10(日) 17:35:21.03 ID:P/ni1oYto
乙ー
テッラさん出番短いwwwwww
350 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/10(日) 20:03:26.25 ID:JyH0XipDO
乙でしたー

スキルアウトに絡まれるフィアンマさん
番外個体と仲良く一方さんにイタズラするフィアンマさん
見た目は幼くないが精神が幼いためにあわきんに目をつけられるフィアンマさん

351 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/10(日) 20:30:39.75 ID:wTO0IOkn0

>>349
良いやつだったよ…

>>350
ご提供ありがとうございます!





投下。
352 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/10(日) 20:30:40.84 ID:Xj+6WA2AO
+
353 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/10(日) 20:31:56.14 ID:wTO0IOkn0

フィアンマ「らいげつはハロウィンがあるね!」きらきら

上条「お菓子欲しいのか?」

フィアンマ「かぼちゃのキャンディーほしい」

上条「袋にいっぱい入ったやつ?」

フィアンマ「ううん、これくらいの」

上条「拳大…いや食べきれねえだろ!」

フィアンマ「だめ?」

上条「ダメ」

フィアンマ「…むう」

上条「…だめだからな」

フィアンマ「じゃあいたずらする」

上条「悪戯か…何するんだよ?」

フィアンマ「ひみつー」

上条「…そうかい」はー
354 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/10(日) 20:31:57.23 ID:Xj+6WA2AO
+
355 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/10(日) 20:32:10.46 ID:wTO0IOkn0

―――十月


上条「今日はカボチャが安いのか…」うーん

フィアンマ「…かうの?」

上条「悩んでる。食べたいか?」

フィアンマ「んー…」

上条「旬のもの、ってことで結構食べてるしな…」

フィアンマ「くりたべたい」

上条「栗か…」

フィアンマ「くりごはん」

上条「甘いから好きなだけだろ、それ」

フィアンマ「ん」にへら

上条「…お、ケーキ半額だってさ。食べるか?」

フィアンマ「モンブランたべたい」くい

上条「じゃあ買おうな」
356 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/10(日) 20:32:11.34 ID:Xj+6WA2AO
+
357 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/10(日) 20:32:23.62 ID:wTO0IOkn0

上条「…十月十七日、か」

フィアンマ「? どうかしたの?」

上条「いや、何でもない」

上条(ブリテン・ザ・ハロウィン、か…)

フィアンマ「………」

上条「…どうかしたのか?」

フィアンマ「……ううん、何でもない」

上条「何だよ、気になるから言えよ」

フィアンマ「…だいさんじせかいたいせんって、なに?」

上条「……、…」

フィアンマ「………」

上条「…戦争だよ。去年始まって、去年、終わった。
……ただ、それだけだ」

フィアンマ「…ん」

上条(…思い出しそうに、なったのか?)
358 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/10(日) 20:32:24.89 ID:Xj+6WA2AO
+
359 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/10(日) 20:32:37.13 ID:wTO0IOkn0

上条「ただいま」

フィアンマ「ただいまー」

上条「今日は栗ご飯と…煮物か?」

フィアンマ「おさかな…」

上条「あ、サンマあったの忘れてた」

フィアンマ「ごりごりしないの?」

上条「大根おろし? 大根はあるけど…」

フィアンマ「……」

上条「…結構面倒臭いし」ぼそ

フィアンマ「じゃあ俺様やる」

上条「怪我するからやめろ」

フィアンマ「しないもん」

上条「…そもそも片手だとズレちゃっておろせないだろ」

フィアンマ「じゃあかみじょうが押さえて俺様がごりごりする」

上条「……わかったわかりました、上条さんがやりますよ」

フィアンマ「もみじおろしにならないようにね」

上条「怖い事言うなよ!」
360 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/10(日) 20:32:37.93 ID:Xj+6WA2AO
+
361 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/10(日) 20:32:50.39 ID:wTO0IOkn0

フィアンマ「んー…んー…」

上条「骨なら取るから貸してみろよ」

フィアンマ「…でも、上条がたべるのおそくなる、」

上条「どちらにしても気にかかっちゃうからやるって」

フィアンマ「じゃあまかせる」

上条「慣れればすぐだしな…はい」

フィアンマ「おお」

上条「…やっぱ左手じゃ箸使い辛いか?」

フィアンマ「…がんばる」

上条「でも油断するとグー握りになるよな」

フィアンマ「あう」

上条「…その内上手になるだろ。多分。な?」

フィアンマ「…うん」
362 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/10(日) 20:32:51.22 ID:Xj+6WA2AO
+
363 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/10(日) 20:33:03.85 ID:wTO0IOkn0

フィアンマ「おさらあらいてつだう」

上条「落とさないで拭けるか?」

フィアンマ「ん、大丈夫」

上条「じゃあキッチンペーパーで拭いて、棚にしまってくれ」

フィアンマ「ん!」

上条「……」

フィアンマ「……かみじょう」くい

上条「ん?」

フィアンマ「…上条は、」

上条「……」

フィアンマ「…むかしと今、…どっちの俺様がすきなの?」

上条「……どっちだと、思う?」
364 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/10(日) 20:33:04.88 ID:Xj+6WA2AO
+
365 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/10(日) 20:33:19.37 ID:wTO0IOkn0

はっきりと答えられなかった。
別人だと区別しているつもりで、実際は出来ていないから、だろう。

俺の右腕を切断し、世界を混沌へ貶めた男と。
隣りで無邪気に首を傾げる男と。

それは、結局同一人物で。
何だか、都合の良い時だけ思春期の子供を子供扱いしたり、大人扱いしている大人の気分だった。

「…いまだとうれしい、けど」
「…けど?」
「…もし、まえの俺様のほうがすきなら、」
「……うん」
「びょういん、がまんしていく」

自分が病気だと、わかっているから。

ぽつりと呟くその姿が、ひどく寂しそうで。
俺はほとんど条件反射的に首を横に振った。

「お前は、今のお前のままで良いよ」

お前が、そうなりたいと願ったのだから。
このまま真っ白でいさせてあげることが優しさだと、思う。
366 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/10(日) 20:33:20.26 ID:Xj+6WA2AO
+
367 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/10(日) 20:33:33.96 ID:wTO0IOkn0

上条「皿洗い終わり。……大体、フィアンマは薬嫌いだろ」

フィアンマ「……」

上条「…別に、フィアンマはおかしくない」

フィアンマ「…でも、」

上条「誰が何と言っても、おかしくないんだよ。安心しろって」

フィアンマ「…うん」

上条「……怪我以外で病院行ったら注射されちゃうんだぞ」にやにや

フィアンマ「ちゅうしゃきらい」ふるふる

上条「あ、こんなところに注射器が」

上条(注射器型ボールペンだけど)

フィアンマ「」

上条「……」

フィアンマ「…ふぇ、」

上条「…ごめんごめん、意地悪したのは謝るから泣くなって」よしよし

フィアンマ「うぅ、うぇう…」ぐすぐす
368 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/10(日) 20:33:34.84 ID:Xj+6WA2AO
+
369 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/10(日) 20:33:44.77 ID:wTO0IOkn0

今回はここまで。
370 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/03/10(日) 21:29:58.84 ID:X4xWDy5J0
371 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/10(日) 22:10:23.05 ID:wkJtwr0SO
乙。天井くンち、木山てんてーんちとかにハロウィンやりにいくとかないんだろうか…
372 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/10(日) 23:47:19.27 ID:JyH0XipDO
乙でしたー
373 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/11(月) 11:29:14.84 ID:W4N/l1HH0

>>371
原作世界の延長なので天井くンは…お察しください





投下。
374 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/11(月) 11:29:16.08 ID:uXqE7ojAO
+
375 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga !red_res]:2013/03/11(月) 11:29:40.55 ID:W4N/l1HH0

十月三十日。

上条当麻が、右方のフィアンマから全てを奪った日。

右方のフィアンマが、やり直す機会を与えられた日。
376 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/11(月) 11:29:41.66 ID:uXqE7ojAO
+
377 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/11(月) 11:30:00.31 ID:W4N/l1HH0

フィアンマ「十月三十一日。はろうぃん!」

上条「そんなキラキラした目で見られても」

フィアンマ「おかしおかし」

上条「う……」

フィアンマ「……」

上条「…とりあえず一方通行のところ行くか?」

フィアンマ「ん、いく」

上条「お菓子貰えると良いな」

フィアンマ「うん!」
378 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/11(月) 11:30:01.21 ID:uXqE7ojAO
+
379 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/11(月) 11:30:14.33 ID:W4N/l1HH0

一方「…ン」

フィアンマ「こんにちは」ぱあっ

一方「オマエか」

フィアンマ「トリックオアトリート」

一方「…オマエもかよ」はぁ

番外「この人お菓子持ってないよ、悪戯し放題。ぎゃは☆」

一方「……」

番外「一緒に悪戯しない?」

一方「被害者の目の前で言ってンじゃねェよ」

フィアンマ「いたずらする!」

一方「するのかよ」

番外「ふっふん、こっちへ来るが良い」
380 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/11(月) 11:30:16.92 ID:uXqE7ojAO
+
381 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/11(月) 11:30:32.96 ID:W4N/l1HH0

番外「はい、プレゼント」

一方「箱?」

フィアンマ「はこ!」

一方(びっくり箱…また古典的な…)

一方「…」ちらっ

番外「……」にやにや

フィアンマ「……」きらきら

一方「…チッ」ぱかっ 

一方「あン? …ぐ、」ぼかっ

番外「ぎゃははは! 一瞬間を置いてからパンチなんて古典的なのに!
ふ、くっふふふふ、無様だね第一位ぃ! あはははは!」

一方「………」

フィアンマ「…だいじょうぶ?」

一方「…問題ねェよ」

フィアンマ「あのね、したの方にメッセージカードあるから、読んであげてね」

一方「メッセージカード?」

フィアンマ「うん。ミサカワーストがいっしょうけんめい書いてた」

一方「…そォかよ。菓子はねェが、カフェオレやる」

フィアンマ「にがくない?」

一方「これは苦くねェ。保証する」
382 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/11(月) 11:30:33.89 ID:uXqE7ojAO
+
383 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/11(月) 11:30:48.80 ID:W4N/l1HH0

フィアンマ「ただいま」

上条「お帰り。ん、カフェオレか?」

フィアンマ「にがくないって」

上条「…これすんごい甘いメーカーのやつだしな」

上条(…フィアンマにあげる為に…いや、考え過ぎか。打ち止め用くれたのかな)

上条「ちゃんとお礼言ったか?」

フィアンマ「ありがとうっていってきた」

上条「そっか、よしよし」

美琴「そこで何してんの?」

上条「お、御坂」

フィアンマ「トリックオアトリート!」

美琴「なるほど、ハロウィンね。はいお菓子」

フィアンマ「らむね?」

美琴「苦手? 結構甘いわよ、それ」

上条「やっぱ女の子ってお菓子持ってるモンなんだな」

美琴「後輩から言われるから持ってるだけよ。護身用」

上条「なるほどなー…」
384 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/11(月) 11:30:49.69 ID:uXqE7ojAO
+
385 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/11(月) 11:31:07.10 ID:W4N/l1HH0

上条「良かったな」

フィアンマ「うん。…あまい」

上条「そっか」


上条「なあフィアンマ…って、あれ?」

上条(フィアンマが居ない…迷子か…?)



―――路地裏


スキルアウト「…チッ、金がねえな」

スキルアウト2「適当に狩りますかね」

フィアンマ「…あれ? ここどこだろ?」きょと

スキルアウト「いいとこに標的発見」

スキルアウト2「おい、殴られたくなきゃ金出せ」

フィアンマ「あう、…おかねはもってなくて…」

スキルアウト「一円も持ってねえってことはねえだろ」

スキルアウト2「仕方ねえ、多少痛い目見てもらうか」

フィアンマ「う……」
386 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/11(月) 11:31:07.94 ID:uXqE7ojAO
+
387 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/11(月) 11:31:35.31 ID:W4N/l1HH0

結標「大丈夫?」

フィアンマ「うー……」

結標(さっきはツンツン髪の少年と一緒に居たけど、話し方からして…精神遅滞よね?)

フィアンマ「……」つんつん

スキルアウト「」

結標(身体は大人だけど、中身がショタ…悪くないわ。老けショタと思えば全然悪く無い)

フィアンマ「……」ぷにぷに

スキルアウト2「」

結標「…ねえ」

フィアンマ「う?」

結標「私のお家に来、」

上条「フィアンマ、大丈夫か?!」

結標「……」むすっ

フィアンマ「このひとがたすけてくれた」

上条「あ、そうなのか。ありがとうございます」ぺこ

上条(この人、あの時の…)

結標「…い、いえいえ、いいのよ別に」にこ
388 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/11(月) 11:31:36.16 ID:uXqE7ojAO
+
389 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/11(月) 11:31:51.99 ID:W4N/l1HH0

フィアンマ「きえちゃったね」

上条「空間転移系だったんだろ」

フィアンマ「…怒ってる?」

上条「離れるなって言ったよな、俺」

フィアンマ「…ごめんなさい」

上条「……」

フィアンマ「…ごめんなさい…」

上条「……」

フィアンマ「…ご、めん、なさい…」ぐす

上条「…わかったならいい」

フィアンマ「……ん…」
390 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/11(月) 11:31:52.95 ID:uXqE7ojAO
+
391 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/11(月) 11:32:16.70 ID:W4N/l1HH0

家に帰ってきて。
喧嘩のようにぎくしゃくした空気をほぐして。
そうしてフィアンマは、やっぱり諦めきれなかったのか。
俺をじーっと見つめて、『トリックオアトリート』と言った。
しかし、生憎俺の家には砂糖しかない。
そして、砂糖をあげただけでは恐らく納得はしないだろう。

「わかった、じゃあ悪戯して良いぞ」
「いたずらするー」

呑気に言って。
フィアンマは、体重を使って、俺をベッドへ押し倒した。
そっと顔を近づけ、俺の頬と鼻頭に軽く口付ける。
こそばゆさに、目を細めた。
ぐり、と股間を股間に押し付けられ、思わずのけぞった。

「フィ、アンマ……?」
「……かみじょう」
「…悪戯するんじゃなかったのかよ?」
「…だから、イタズラする」
「イタズラってお前、どこでそんなこと、」

左手が、俺のズボンのベルトにかかった。
吐息のかかる距離で、フィアンマはそっとベルトの金具を外した。
整い過ぎた顔が、俺の瞳を見つめている。

「好き、だから」



今から俺と性行為をしようとしているお前は、果たしてどっちなんだろう。
392 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/11(月) 11:32:17.51 ID:uXqE7ojAO
+
393 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/11(月) 11:32:36.38 ID:W4N/l1HH0

今回はここまで。
394 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/11(月) 11:37:15.48 ID:l7+OiukDo
ガタッ
395 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/11(月) 16:49:09.37 ID:P/F28mLSO
乙。戻り始めてたりするんだろうか。…ということは最終的に…
396 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/11(月) 17:47:03.85 ID:La9sxCct0

そろそろ終わります。






投下。
397 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/11(月) 17:47:04.93 ID:uXqE7ojAO
+
398 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/11(月) 17:47:23.61 ID:La9sxCct0

昨年よりも伸びた赤い髪に、指先を通す。
女の子のようにさらさらとはしていない。
どちらかというとふわふわしている。
触り心地は少し良くなったような気がする。

「ん、…ん」
「…はっ、…ん」

唇が重なる。
お菓子を食べていたからか、唾液は甘い。
あのラムネ菓子のような甘さ。
くちゅ、という唾液の音がした。

「は、」

左手が、まとめて俺のとフィアンマのモノを合わせる。
そのまま、拙い動きでゆるゆると扱いた。
カリ同士が擦れ合って気持ちが良い。

「ん、ぅ、」
「あ、っ」

ぐりゅぐりゅ、と肉の感触が伝わる。
十分程で、俺は射精した。
手を伸ばし、未だ達せていないフィアンマのモノを強めに扱く。
精液に濡れた左手が、俺のシャツを掴んだ。

「あ、っぁ、ぁっ…」

甘い声と共に、びちゃびちゃと手が汚される。
射精して疲れたのか、射精後特有の倦怠感からか、フィアンマはうとうととしながら俺に寄りかかる。
後片付けは押し付けるつもりらしい。もっとも、そこまで考えていないような気もする。
399 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/11(月) 17:47:24.63 ID:uXqE7ojAO
+
400 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/11(月) 17:47:45.88 ID:La9sxCct0

上条「…それでイタズラは済んだのか?」

フィアンマ「ん」

上条「気が済んだんだな?」

フィアンマ「…うん」

上条「ああもう、ここで寝るなって…片付けしてから」

フィアンマ「ん……」

上条「ほら、手ぇ洗えって」

フィアンマ「…上条」

上条「ん?」

フィアンマ「…ねむい」

上条「見れば分かる」

フィアンマ「…ねていい?」

上条「片付け終わったらな」

フィアンマ「…ん」こくん
401 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/11(月) 17:47:46.78 ID:uXqE7ojAO
+
402 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/11(月) 17:48:00.13 ID:La9sxCct0

フィアンマ「…かみじょう」

上条「ん? 寝るんじゃないのか?」

フィアンマ「いっしょに寝よう」

上条「…仕方ねえな」

フィアンマ「んー」

上条「……」ぽんぽん

フィアンマ「……」うとうと

上条「……」

フィアンマ「上条」

上条「ん?」

フィアンマ「おきる、まで、いっしょにいてね」

上条「…ああ」

フィアンマ「……」すや
403 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/11(月) 17:48:01.06 ID:uXqE7ojAO
+
404 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/11(月) 17:48:13.57 ID:La9sxCct0

上条「おはよ」

フィアンマ「おは、よう」ぐしぐし

上条「俺、学校の都合でイギリス行かなきゃいけないんだけど…来るか?」

フィアンマ「いぎりす?」

上条「ああ、イギリス」

フィアンマ「ひこうきのる?」

上条「そのつもりだけど」

フィアンマ「……、」

上条「飛行機、嫌いなのか?」

フィアンマ「…おとうさんとおかあさんがしんだから、すきじゃない」

上条「…そっか。じゃあ、一方通行のところ行くか?」

フィアンマ「…うー、やだ」

上条「…どうする?」

フィアンマ「…いっしょにいく」

上条「ん、わかった」
405 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/11(月) 17:48:14.41 ID:uXqE7ojAO
+
406 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/11(月) 17:48:29.41 ID:La9sxCct0

学校から手紙が来ていた。
イギリスへ行け、という内容だった。
成績の悪い俺が、留学生に選ばられる筈もない。
となれば、学園都市上層部の考えなんだろう。
イギリス清教にフィアンマを引き渡したいのかもしれない。

もう、それならそれで構わない。

ただし。

「フィアンマ、一人で生きるのと、俺とずっと一緒、どっちがいい?」
「う? んー…かみじょうといっしょにいきるのがいちばんいい」
「そっか」
407 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/11(月) 17:48:30.34 ID:uXqE7ojAO
+
408 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga !red_res]:2013/03/11(月) 17:48:58.65 ID:La9sxCct0















今度はもう、お前を一人で逝かせない。
409 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/11(月) 17:48:59.58 ID:uXqE7ojAO
+
410 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/11(月) 17:49:16.57 ID:La9sxCct0

今回はここまで。
411 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/11(月) 17:54:39.50 ID:P/F28mLSO
乙。どんな終局の形を迎えるやら
412 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/12(火) 00:08:10.20 ID:1HOgSCLDO
もうそろそろ終わってしまうんですね、残念ですー
乙でしたー
413 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/12(火) 11:47:05.59 ID:1Q2t9I620

とりあえず、正気じゃないエンドを。











投下。
414 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/12(火) 11:47:07.10 ID:S9EKZBBAO
+
415 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/12(火) 11:47:24.98 ID:1Q2t9I620

フィアンマ「…きないしょくっておいしいの?」

上条「まあまあかな」

フィアンマ「たべたことないの?」

上条「…何だかんだでない気がする」

フィアンマ「コーヒーだ…」

上条「あれは苦くないと思うぞ、良いコーヒーだから」

フィアンマ「…ほんとに?」

上条「でも熱いのは火傷したら危ないからダメ」

フィアンマ「あう」

上条「林檎ジュースにしなさい」

フィアンマ「…うん!」

上条(そっちの方が好きなだけだろ)
416 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/12(火) 11:47:25.80 ID:S9EKZBBAO
+
417 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/12(火) 11:47:40.23 ID:1Q2t9I620

イギリスに到着して。
インデックスと、ステイルに会った。
二人は、フィアンマを見て。
そして、俺を睨んだ。
当たり前の反応だ、と俺は思う。

「とうま、…どうして?」
「君は、何を考えているんだ」
「…ステイルならわかるよな。本当に好きな子のために、世界を敵に回す覚悟があるって言葉の意味」

インデックスの不安げな表情に、ステイルがすぐさま動いた。
通信系の術式を使ったのだろう、次々と魔術師が集まってくる。
『人払い』が撒かれたらしく、辺りに一般人は居ない。
俺の事は傷つけなくても、フィアンマの捕縛は確実だろう。

「……かみじょう」

きゅ、と服が握られた。
不安げな声が聞こえた。

インデックスは、ステイルと一緒に居て、やっぱり幸せそうで。
もういいや、と踏ん切りがついた。

「…大丈夫だよ、フィアンマ」
418 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/12(火) 11:47:41.13 ID:S9EKZBBAO
+
419 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/12(火) 11:47:56.04 ID:1Q2t9I620

フィアンマの左手を左手で握って、走り出す。
投げた荷物バッグは誰かに当たってしまっただろう。
それすらも気にしていられない。ただ、走る。
背後から飛んできた炎を右手で打ち消す。
息を切らしながら、フィアンマは俺を見つめた。

「どこ、いくの、」
「海、」

強く握り、決して離さないように。
やってきた港、船着場を乗り越えて走る。

「ずっと、一緒に居ような」
「……? うん」

じゃぼん、と海水に浸かった。
洋服がみるみる内に水を吸う。
左腕でフィアンマの細い身体を抱き寄せた。
洋服が海水を吸い、ずっしりと重くなってくる。

「どこ、までおよぐの?」
「泳げる所まで」

言いながら、泳ぐ。
後ろから攻撃は来ていたが、あまり気にならなかった。
420 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/12(火) 11:47:56.89 ID:S9EKZBBAO
+
421 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/12(火) 11:48:30.99 ID:1Q2t9I620

やがて、身体が疲れて、力が抜ける。
無理やり力を振り絞って、フィアンマの身体を抱きしめた。
重い服に引きずられ、身体が沈んでいく。
冷たい水が、俺たちの体温を奪っていった。
段々と思考が薄れてきた。
フィアンマは、状況がわからないまま、笑っていた。
薄く優しい笑みを浮かべ、俺に抱きつく。

ぶくぶく。

呼気が泡となって、上に昇っていく。
息が苦しくなってきた。
もう、攻撃は降ってこない。

「ずっと、一緒だぞ」
「……、うん」

ひどく体温が下がって、寒くて。
抱き合っている部分だけが温かくて、安堵した。
422 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/12(火) 11:48:31.94 ID:S9EKZBBAO
+
423 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga !桜_res]:2013/03/12(火) 11:49:13.79 ID:1Q2t9I620






俺達が笑って生きるには、この世界は寒すぎた。





424 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/12(火) 11:49:15.53 ID:S9EKZBBAO
+
425 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/12(火) 11:49:49.79 ID:1Q2t9I620

おわりです。
需要があったら別ver.(正気・グッド?)エンドも書きます…
426 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/12(火) 12:01:57.58 ID:+6o+CdLH0
入水自殺か…次は飛び降りか飛び込みか…
はたまた練炭か…
427 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/12(火) 12:30:56.79 ID:2kvvc+I+o
>>425
乙でした

別verも是非!
428 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/12(火) 12:34:51.04 ID:1HOgSCLDO
需要はあるのである
429 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/12(火) 14:11:15.90 ID:bNQjGshDO
ぷりぃず
430 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/12(火) 15:54:12.72 ID:KdZtWhzSO
乙。どうせ、書くなって言われても書くんだろぅ?(ゲス顔)

面白いのを頼むぜ
431 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/12(火) 17:35:19.74 ID:fwNX4ULk0

レスありがとうございます。
>>419から分岐です。








投下。
432 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/12(火) 17:35:20.80 ID:S9EKZBBAO
+
433 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/12(火) 17:35:44.39 ID:fwNX4ULk0

フィアンマの左手を左手で握って、走り出す。
投げた荷物バッグは誰かに当たってしまっただろう。
それすらも気にしていられない。ただ、走る。
背後から飛んできた炎を右手で打ち消す。
息を切らしながら、フィアンマは俺を見つめた。

「どこ、いくの、」
「どこが、いい?」

強く握り、決して離さないように。
息切れを感じながら、ひたすらに足を動かした。

「ずっと、一緒に居ような」
「……? うん」

十一月。
秋の空気は冷たくて。
曇り始めた空が、我慢の限界とばかりに泣き出してきた。
温暖前線というやつか、緩やかな雨だった。
まだ走れる、まだ動ける、まだ。

「かみ、じょう?」
「ん、息切れ大丈夫か?」

服がびちょびちょに濡れていた。
フィアンマの胸元のリボンタイが、不安定に揺れる。
その表情は不安げで、抱きしめてやりたいと、思った。
434 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/12(火) 17:35:45.45 ID:S9EKZBBAO
+
435 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/12(火) 17:35:57.22 ID:fwNX4ULk0

ビルに入り、階段を駆け上る。
廃ビルだったらしく、人は居ない。

「っあ、」
「ッ、」

バランスが崩れ、フィアンマが転んだ。
階段で転んだ為、転落は免れたものの、足に負担がかかり。
端的に言えば、フィアンマの足首に全体重がかかった。
元々、フィアンマの脚の骨は決して太くはない。
あっという間に折れてしまうのは、自然なことだった。

「っ、い…たぃ、」
「フィアンマ、ほら」

前の段に膝をついて、腰を下ろす。
きょとんとするフィアンマを急かし、その身体をおぶった。
モタモタしていれは、間に合わなくなる。
お前を一人で死なせたりしないと、そう決めたんだ。
それだけはどうしても守り抜きたい。

「…こう?」
「そうそう」

左腕が、俺の肩を掴む。
不安だからだろう、強く握られた。
436 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/12(火) 17:35:58.38 ID:S9EKZBBAO
+
437 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/12(火) 17:36:13.26 ID:fwNX4ULk0

階段を上がり、ドアを開けた。
屋上に出て尚、未だ雨は降り続けている。
インデックスのものだろうか、制止の叫びが聞こえた。

「ごめんな」

呟く。
選んだ結果は、もう変えられない。
フィアンマを降ろし、抱きしめた。
同じ位の身長。
昨年は、俺の方が小さかった筈なのに。

「…フィアンマ」
「……なに?」
「痛いの、耐えられるか?」
「注射よりいたい?」
「ちょっとな」

高いところは怖い、とフィアンマは目を瞑った。

抱きしめたまま、抱っこして、歩く。
転落防止用のネットや柵は、幸いにして無かった。
438 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/12(火) 17:36:14.19 ID:S9EKZBBAO
+
439 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/12(火) 17:36:27.75 ID:fwNX4ULk0

足元を蹴る。
強く蹴り、俺達の体は重力に沿って空中へ投げ出された。
結構な高さだな、と思いながら、手を握る。
飛び降りで死ぬ人間は、空中で意識を失うという説がある。
だとすれば実際に死ぬのはそろそろだろうか、と感じた。

ふと、視線を向ける。
フィアンマは、困った顔をしていた。
僅かに口元に薄い笑みが浮かんでいる。
無邪気さの無い、大人の表情だった。

「…何故だ」
「お前、」
「……俺様を見捨てろと、伝えただろう」
「無理だった」

俺の口元にも、笑みが浮かんでいた。
最初は、面倒だと思ったはずなのに。
お前に懐かれて、一緒に過ごして。
気づいたら手放したくないと、渡したくないと、傷つけられたくないと思っていた。

「俺は、お前と一緒に居たかった。お前を、処刑されたくなかった。
ただ、それだけで、それ以外の理由はねえよ」
「そうか。…やはり、お前はどうかしているな」

地面が、近づいてくる。
440 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/12(火) 17:36:28.71 ID:S9EKZBBAO
+
441 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga !red_res]:2013/03/12(火) 17:36:46.29 ID:fwNX4ULk0

グチャッ
442 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/12(火) 17:36:47.26 ID:S9EKZBBAO
+
443 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/12(火) 17:37:20.78 ID:fwNX4ULk0

予想していた程の衝撃はなかった。
意識もある。
衝撃に備えて閉じていた目を開く。
赤いような、もやの様なものが、俺の身体の下に敷かれていた。

「……なん、だ、これ」
「…『聖なる右』だよ。弱体化、しているが、」
「っな、」

俺を守る方に力の比重を置いたのか。
フィアンマは衝撃を殺しきれず。
地面にぶつけた頭からだろう、血液が流れ。
じわじわと、その赤黒さが、コンクリートを侵していた。

「フィアンマ、お前、」
「……俺様に付き合って、死ぬな」
「……」
「そんな、バカバカしいことに、命を捨てるな」

繋いでいた左手が、離れる。
血液に汚れた地面を伝い、俺の頬まで届いた。
赤いもやの様なものが、霧散する。
指先が、俺の頬を僅かに引っ掻いて。

「俺様は、…間違えたんだ。みとめる。それを、お前に教えてもらった」
「……、」
「……数ヶ月。…ありがとう」
「………フィアンマ、」
「どうしてあの魔道書図書館がお前と一緒に居たがったのか、わかった気がする」

濃厚な鉄の臭いに、噎せそうになる。
444 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/12(火) 17:37:21.73 ID:S9EKZBBAO
+
445 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/12(火) 17:37:38.51 ID:fwNX4ULk0



「……お前と見る世界は、…悪くなかったよ」






さよなら。
446 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/12(火) 17:37:39.48 ID:S9EKZBBAO
+
447 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/12(火) 17:38:10.32 ID:fwNX4ULk0

病院の個室に、一人の青年が入院していた。
少年がゆっくりとドアを開け、近寄る。
パイプ椅子を取り出し、ぱかりと開いて。
腰を下ろし、腰掛けると、ギシィ、という金属音が鳴った。

「フィアンマ。…イギリス清教との話し合い、済んだよ」
「………」
「マフィアみたいな脅し方された」
「………」
「恩積と、私刑の代替で見逃してやるって言われたからさ」
「………」
「…やっぱり、世界は歪んでるんだろうな。それで、悪意ばっかりだ」

彼の左目には、眼帯がされていた。
医療用の、白い眼帯だ。
少年は手を伸ばし、赤髪の青年の唇に指先で触れる。
ふふ、と小さく笑った。邪気のある笑みだった。

「これでさ、俺も、お前と同じだな」
「……ん、」

ぱち、と青年が目を覚ました。
彼は脳へ著しいダメージを受けた為、これまでの生きてきた記憶が一切無い。
ゆっくりと目を開け、青年は少年を見上げた。
不思議そうに首を傾げ、問いかける。

「…誰、なんだ…?」
448 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/12(火) 17:38:11.25 ID:S9EKZBBAO
+
449 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga !蒼_res]:2013/03/12(火) 17:38:49.62 ID:fwNX4ULk0






「右方のフィアンマ。悪意に殺されたヤツの称号を引き継いだ、男」




450 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/12(火) 17:38:50.70 ID:S9EKZBBAO
+
451 : ◆2/3UkhVg4u1D [saga]:2013/03/12(火) 17:39:19.71 ID:fwNX4ULk0

本当に終わり。
お付き合いいただき、ありがとうございました。
452 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/12(火) 17:52:14.54 ID:KdZtWhzSO
乙!いーい終わり方だったな!面白かった
453 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/12(火) 21:59:10.58 ID:1HOgSCLDO
そこまでの鬱エンドではなかったですね、乙でしたー
もう非安価スレは立てないんですか〜?
454 : ◆2/3UkhVg4u1D [sage]:2013/03/12(火) 22:18:41.65 ID:S9EKZBBAO

皆様のご想像次第ではハッピーエンドですね
非安価は立てないか、立てても短いものだと思います…
455 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/13(水) 00:49:18.01 ID:CTMd8juMo
>>1おつ!
良い上フィアを読ませていただいた
186.80 KB   
VIP Service SS速報VIP 専用ブラウザ 検索 Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)