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青空の下、ゾンビ少女たちのダンスホール -
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1 :
◆pJfUcGPPU.
[sage saga]:2013/03/07(木) 21:54:20.78 ID:lQ29+tSNo
ネクロニカというTRPGのSSです
原作がR-15ですので、15歳未満の閲覧はお控え下さい。
グロ要素、厨二要素、自己満足などが多々含まれていることがありますし、かなりの下手文です。
そして書く速度もゆっくりです。ご了承の上でお読み下さい。
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1362660860
1.5 :
荒巻@管理人★
(お知らせ)
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君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/
笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/
【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713861164/
トーチャーさん「超A級スナイパーが魔王様を狙ってる?」〈ゴルゴ13inひめごう〉 @ 2024/04/23(火) 00:13:09.65 ID:NAWvVgn00
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713798788/
【安価】貴方は女子小学生に転生するようです @ 2024/04/22(月) 21:13:39.04 ID:ghfRO9bho
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713788018/
ハルヒ「綱島アンカー」梓「2号線」【コンマ判定新鉄・関東】 @ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713736565/
【安価】少女だらけのゾンビパニック @ 2024/04/20(土) 20:42:14.43 ID:wSnpVNpyo
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713613334/
ぶらじる @ 2024/04/19(金) 19:24:04.53 ID:SNmmhSOho
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713522243/
2 :
◆pJfUcGPPU.
[sage saga]:2013/03/07(木) 21:57:34.42 ID:lQ29+tSNo
少女は、ぱち、とまぶたを開いた。
綺麗。なんて美しい。
少女は、燃えるような夕焼けを目にする。
まるで絵画のような、柔らかなそよ風が吹く、心地よい夜の始まり。
オレンジ色の太陽は、少女の目を焼くことは無かった。
まっすぐに陽を見つめてもその目は何も感じないのだ。
しばし、少女は空に目を奪われる。
ああ、綺麗だなあ。それにしても
「ここは……どこ?」
不安感に駆られた少女は身を起こす。
瞬間、絶対にありえないものが目に入る。
絵画の世界には入ってはいけないもの。
3 :
◆pJfUcGPPU.
[sage saga]:2013/03/07(木) 21:59:41.06 ID:lQ29+tSNo
「……ッあ…」
――――死体だ。
おびただしい血と臓器と骨と肉。
真っ赤になった首だけの少年は、笑みを浮かべているようにもみえた。
「ひっ……ああああ、いっ、嫌ああああ」
気持ち悪い。怖い。怖い。
銃、刀、鉄球、分厚い金属片、コード。
血に濡れた、人の形をした獣の死骸。
巨大な蟷螂の頭。
「ああああああああ、あああ、ああああああああっ」
4 :
1
◆pJfUcGPPU.
[sage saga]:2013/03/07(木) 22:01:48.26 ID:lQ29+tSNo
少女は涙をこぼさんばかりの表情でそれらから遠ざかろうと尻を引きずり後退る。
脚が、おかしい。軽い。
なんだか、とても速く動いてるような。何だろう、これ。
多脚戦車だ。
少女の腰から下は多脚戦車にすげ代えられていた。
きりりり、という音と共に駆動し始めた脚は、惨状から逃れるのをやめる。
少女はしばし、鋼鉄の幾本もの脚をかしゃかしゃ、と動かす。
蜘蛛のような脚。自らの意のままに動くその脚に少女は腹の底が震えるような嫌悪と恐怖を覚えた。
少女は、幼いアラクネのようなものに成り果てていた。
ううう。なんでこんな身体になっちゃったの?
わたし、これからどうしたらいいの?
嫌。嫌。寂しい。怖い。嫌、嫌、嫌ああああああ
「いやっ、いや、いやいやいやいやいやああああああああああああっっっっ!!!!」
5 :
1
◆pJfUcGPPU.
[sage saga]:2013/03/07(木) 22:04:20.46 ID:lQ29+tSNo
蜘蛛の脚を器用に操り少女はその場から逃げる。
陽に照らされてオレンジ色になったコンクリートは、どこまでも続いている。
ここはなにやら巨大な建物の屋上。
ぶちまけられた惨状が途切れてもなお少女は走り続けた。
6 :
1
◆pJfUcGPPU.
[sage saga]:2013/03/07(木) 22:09:59.67 ID:lQ29+tSNo
大きな直方体が生えている。
少女は泣きべそをかきながら、歩んでいた。
近づくとそれは、階下への階段であることが分かった。
…怖い。嫌だよ。もう嫌。
もう、こんな場所は嫌。でも、この先はきっと、怖いものしかない。
はやく、夢なら覚めてよ。
蜘蛛の少女「………」
それでも、こんなところは嫌。あんなものが見えないところに行きたい。
少女がドアノブに手をかけると。
がちゃがちゃがちゃ。どんどんどん。
突如ドアが音を立てる。
戸惑う少女はノブから手を離して―――
7 :
1
◆pJfUcGPPU.
[sage saga]:2013/03/07(木) 22:12:03.16 ID:lQ29+tSNo
ドギャン!
ドアと共に蹴り飛ばされ、吹っ飛ぶ。
少女「ひゃぁっ!?」
「おわぁ!?ごめんなさい!?」
声の主は少女であるようだった。
蜘蛛の少女より、5つほど年上だろうか。
8 :
1
◆pJfUcGPPU.
[sage saga]:2013/03/07(木) 22:13:31.67 ID:lQ29+tSNo
今日はここまでにします
書き溜めが尽きたわけではありませんが
9 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/07(木) 22:21:01.77 ID:7l7sAtw/O
乙ー
ダンスホールが一瞬ダンボールに見えたのは俺だけでいい
10 :
NC
◆pJfUcGPPU.
[sage saga]:2013/03/08(金) 13:18:16.70 ID:BMXPz0Bdo
始める前に、名前を変えたのだけ報告します。(NC・・・ネクロニカのGM。ネクロマンサーの略。)
>>9
やっ、やめて!そう見えてくるから!
それでは始めさせていただきます。
11 :
NC
◆pJfUcGPPU.
[sage saga]:2013/03/08(金) 13:20:19.04 ID:BMXPz0Bdo
「…ほんとに外だわ……!ああ、疑ってごめんなさい、セリム!」
もうひとり、少女の声。こちらはセリムと呼ばれた少女よりはいくばくか幼い声である。
セリム「いえ、私もなんとなくこっちが外だと思っただけでしたから……それより、大丈夫ですか!?」
一人の足音が倒れ伏す蜘蛛の少女へ駆け寄る。
蜘蛛の少女「だ、大丈夫……」
自分と共に吹っ飛ばされてきた元ドアを押しのけ、蜘蛛の少女は立ち上がる。
蜘蛛の少女「ちょっと、びっくりしちゃって」
セリム「ごめんなさい、建物の中から出ようと急ぐあまりつい……」
蜘蛛の少女「ううん、いい。こんなところじゃ…怖いもの」
セリム「こんな、ところ…?」
蜘蛛の少女「あっ」
セリム「え?」
12 :
NC
◆pJfUcGPPU.
[sage saga]:2013/03/08(金) 13:22:52.39 ID:BMXPz0Bdo
「きゃああああああっ……!?」
蜘蛛の少女が気づくと同時に、先ほどのもう一人の少女が悲鳴を上げる。
セリム「ミズホさん!?どうしたんですか!?」
蜘蛛の少女「だ、だめ!そっちは見ちゃだめ!」
先ほど蜘蛛の少女が歩いてきた方向にミズホはへたりこんでいた。
どうやら惨状を目の当たりにしたようで、ひっ、ひっ、と泣き出しそうな声を上げている。
蜘蛛の少女「だめ、あんなのは…!みちゃ、絶対に、だめ」
セリム「……!あ…っ、み、ミズホさん、大丈夫、大丈夫ですから、私が、ついてますから」
駆け寄った少女たちもまた、恐怖に震える。
無意識だろうか、少女たちは抱き合う。
13 :
NC
◆pJfUcGPPU.
[sage saga]:2013/03/08(金) 13:31:17.56 ID:BMXPz0Bdo
しかし、一人ではないのだ。肩を寄せて抱き合っているうちに、
ミズホ「もう、大丈夫よ…」
蜘蛛の少女「……うん」
セリム「はい、私も大丈夫です…」
14 :
NC
◆pJfUcGPPU.
[sage saga]:2013/03/08(金) 13:33:32.85 ID:BMXPz0Bdo
扉の吹っ飛んだ、直方体の中。
その中はすぐ階段の踊り場であり、薄暗かった。窓が無いのだ。
冷たく堅いコンクリートの床に座り、ミズホは口を開いた。
ミズホ「貴女、お名前は?みたところ、私たちと同じような存在のようだけど…」
そういう彼女の右目は義眼である。どうやら機械仕掛けの目のようで、きゅん、きゅいん、と忙しく音を立てている。
蜘蛛の少女「名前、か。うまくは思い出せないけれど。うーん…あっ、プーケ…そう、プーケ。わたし、プーケって呼ばれてた気がする」
セリム「プーケさん、ですか!私はセリムといいます。こっちの頭はフィリア」
15 :
NC
◆pJfUcGPPU.
[sage saga]:2013/03/08(金) 13:37:46.65 ID:BMXPz0Bdo
セリムはおもむろに左側頭部の金色の髪をかきあげる。
セリムのショートカットの黒髪は、左耳があるはずのところで異様にふくらみ、金色の長髪に変わっていた。
かきあげたその中には、少女の顔。瑕ひとつ無い、美しい少女の顔があった。
よくよくみれば、左肩からも細い、白い腕が余分に一本生えている。
プーケ「なっ……あっ…」
セリム「フィリアさん、起きてください。あなたの分まで自己紹介するのは大変なんです」
セリムはちょんちょん、と、もともと生えていたと思われる左手で【よぶんなあたま】の頬をつつく。
フィリア「ふう、もう、起こさないでよ。どうせ会話は筒抜けなんだから」
16 :
NC
◆pJfUcGPPU.
[sage saga]:2013/03/08(金) 13:39:10.66 ID:BMXPz0Bdo
セリム「そんなわけにはいきません。あなたのことは私には分からないんですから」
フィリア「はぁ、分かったわよ。……はじめまして。私はフィリア。気づいたらこんなところに移植されていたわ」
セリム「こんなところとは何ですか?フィリアさん、あなたの顔面殴るのは痛くないってさっき分かっちゃったんですからね」
プーケ「あっ、あっ、その、プーケです、よろしくおねがいします」
セリム「はい、よろしくお願いしますね」
フィリア「まあ、よろしくね。じゃ、私はまた寝るわよ」
そういうとフィリアは目を閉じる。
17 :
NC
◆pJfUcGPPU.
[sage saga]:2013/03/08(金) 13:44:15.19 ID:BMXPz0Bdo
ミズホ「私の名前はミズホ。よろしくね。プーケ、貴女はその……、記憶、何か思い出せるかしら?」
プーケ「ん……さっき、名前と一緒に、その」
ミズホ「どうしたの?」
セリム「ミズホさん、まさか、プーケさんも」
ミズホ「!……そうかもしれない。プーケ、その……それって」
プーケ「……怖いこと、思い出しちゃって」
ミズホ「ああ、やっぱり……!」
18 :
NC
◆pJfUcGPPU.
[sage saga]:2013/03/08(金) 13:45:39.76 ID:BMXPz0Bdo
少女たちは皆、名前と一緒に断片的な記憶をひとつ思い出している。
それは、破局の記憶。
血の海の中、自分は立ち尽くしていた。周りに散らばるのは、とても大切だったヒト。
おかしいな、と思い出しながら自分は思う。なぜなら記憶の中の自分は、凶器を手に持ち、緩んだ顔で。
―――笑みの形に口を歪めていたから。
19 :
NC
◆pJfUcGPPU.
[sage saga]:2013/03/08(金) 13:51:47.43 ID:BMXPz0Bdo
諸々自己紹介―――といっても殆どはここまでの経緯だったが―――を終え、セリムは言った。
セリム「プーケさん、ミズホさん、私達、これからどうしたらいいんでしょうか?」
ミズホ「私は、この建物が何なのか知りたいわ。私達がなぜここにいるのか、とか。疑問は尽きないわ。この建物の中を探索しましょうよ」
好奇的な口調である。すっかりショックから立ち直ったようである。
プーケ「わたし、早くここから出たい。ねえ、早く出口探そうよ。またあんなもの見るの、嫌だよ」
対照的に、不安気な表情でプーケは訴える。
セリム「うーん、ここから出るにしても、この建物内を探索する必要はありそうですねぇ……」
プーケ「怖い……」
ミズホ「大丈夫よ、プーケ。私達が一緒なら、何も怖いことはないわ」
20 :
NC
◆pJfUcGPPU.
[sage saga]:2013/03/08(金) 13:53:33.14 ID:BMXPz0Bdo
ミズホ「大丈夫よ、プーケ。私達が一緒なら、何も怖いことはないわ」
セリム「とはいっても、このまま何事も無く進めるとはいえませんよ。何か、身を守るものがあればいいのですが」
ミズホ「そうね、危険でないはずが無い。覚悟はしてるわ。」
セリム「武器として使えそうなものを取ってくる、というのはどうでしょうか」
プーケ「い、いやだ!わたし、あんなところに二度と行きたくない!」
セリム「そ、そうですか……でもやはり、武器なしでは危険ですし……」
ミズホ「私、プーケと一緒にここで待っているわ。セリム、貴女とフィリアさん、二人で行ってとってくる、というのはどうかしら。
その後で私が一人で取ってくる」
21 :
NC
◆pJfUcGPPU.
[sage saga]:2013/03/08(金) 13:55:52.54 ID:BMXPz0Bdo
>>20
最初の行はなしでお願いします……
用事が入ってしまいましたのでちょっとストップさせて下さい
22 :
NC
◆pJfUcGPPU.
[sage saga]:2013/03/08(金) 14:50:47.51 ID:BMXPz0Bdo
そのとき、唐突にフィリアが目を覚ます。
フィリア「ちょっと口を挟ませてもらうと、プーケ、貴女は武器なんて必要ないわ。貴女のその右手。そのハサミで十分戦える」
プーケは嫌悪に眉をしかめ、体の陰に隠していた右手をさっと左手で覆う。
彼女の右手は隠しきれないくらいの大きさの人工のハサミ(【シザーハンズ】)に変わっている。
フィリア「一番幼い貴女が一番近接戦闘向きだなんて。プーケ、貴女が戦闘において一番前に立たなければならない。やらなければならないのは貴女ね」
ミズホ「そんなこと、させない……プーケが動く前に、私が全部やってしまうわ」
ミズホは自分に言い聞かせるようにぼそり、と呟いた。
23 :
NC
◆pJfUcGPPU.
[sage saga]:2013/03/08(金) 14:52:10.66 ID:BMXPz0Bdo
セリム「大丈夫、私だって一緒に前線に立ちます。全部庇うつもりでプーケさんを守りますから」
フィリア「ま、私だって少しくらいは戦うわよ、一緒に潰されちゃ堪らないもの」
セリム「それじゃ、フィリアさん。武器を取ってきましょう」
フィリア「ハァ、私は起きていなければいけないのよね?流れ的に」
セリム「当たり前じゃないですか、いくら私が年長だからって、一人であそこに行くのは不安なんです」
フィリア「まったく……さっさと行くわよ」
セリムたちは立ち上がり、ドアのあったほうへと歩いていった。
24 :
NC
◆pJfUcGPPU.
[sage saga]:2013/03/08(金) 14:55:04.99 ID:BMXPz0Bdo
20分ほど後、彼女達はゆったりとした足取りで戻ってきた。
セリム「はい、武装完了です」
セリムの脚には少しごついブーツが履かれている。
血でかなり汚れており、足踏みをするたびぼろぼろと固まった血が剥がれ落ちる。
セリム「これ、ただのブーツかと思いきや」
セリムがぎゅっ、とつま先に力を込めると、つま先とかかとから15センチほどの鋭い刃が飛び出した。
セリム「【仕込みブーツ】だったんです。これで、前線でプーケさんを守りつつ戦えますよ」
フィリア「私はこれ」
フィリアのものと思われる白い腕には、【マシンガン】が握られている。
弾薬はセリムのポケットからはみ出んばかりに詰められている。
フィリア「立ち位置には気をつけなさいよ、広範囲に撃つつもりだから」
プーケ「わ、わかった」
ミズホ「プーケを撃ったりしたら、セリムに殴ってもらいますよ、フィリアさん」
フィリア「冗談よ、絶対にあなた達を傷つけさせない。セリム、信用しているわよ」
セリム「あったりまえです!絶対に皆さんを守りますから!」
25 :
NC
◆pJfUcGPPU.
[sage saga]:2013/03/08(金) 14:58:07.02 ID:BMXPz0Bdo
ミズホ「それじゃ私、取ってくるわ」
プーケ「ミズホ、一人で大丈夫なの?」
くす、と笑顔を作り、プーケの頭をやさしく撫でて立ち上がると、ミズホは言った。
ミズホ「大丈夫。貴女を守るためなら、どうってことないわ」
そうして彼女は外へ歩き出す。
ふと見ると、外の空はもうオレンジを通り越して紫色になっていた。
10分ほど後。ミズホはがちゃがちゃ、と騒がしい音を立てつつ戻ってきた。
彼女の肩には大きな【ショットガン】がかかっているが、更に目を引くのは両手に抱えた【対戦車ライフル】の方であろう。
26 :
NC
◆pJfUcGPPU.
[sage saga]:2013/03/08(金) 15:02:05.64 ID:BMXPz0Bdo
セリム「ミズホさん、そんな大きな銃の撃ち方分かるんですか?」
目を丸くしてセリムが尋ねると、
ミズホ「ふふん、試し撃ちをしたときにピンときたわ、大丈夫よ」
言いつつミズホは奇妙な感覚に襲われる。
私はこの銃の撃ち方なんてまったく知らなかった。でも、私は狙ったものに確実に撃ち抜ける。【子守唄】を歌いながらでも撃ち続けられる。
自信を持って言える。何故かしら……。
27 :
NC
◆pJfUcGPPU.
[sage saga]:2013/03/08(金) 15:04:40.98 ID:BMXPz0Bdo
>>26
狙ったもの「に」でなく、狙ったもの「なら」です、すみません
書き溜めが尽きましたがこのまま書いていきます、スピードは格段に落ちます。ご了承のほどお願いします
28 :
NC
◆pJfUcGPPU.
[sage saga]:2013/03/08(金) 15:13:52.95 ID:BMXPz0Bdo
そして今日はここまでにします
29 :
NC
◆pJfUcGPPU.
[sage saga]:2013/03/09(土) 16:30:01.97 ID:co1+pYJso
再開します
セリム「さて、これで一通り武器は揃ったことになりますかね」
ミズホ「そうね、これで何も怖いことはないわ」
プーケ「う、うん」
ミズホ「それじゃ、行きましょうか」
少女たちは各々立ち上がると、武器を担いで階段を降り始めた。
30 :
NC
◆pJfUcGPPU.
[sage saga]:2013/03/09(土) 16:46:40.75 ID:co1+pYJso
何も無い階段を、ただひたすら下りてゆく。
何を話すわけでもなく、ただひたすら少女たちは降りていった。
重々しい違和感。暗く湿った、それでいて生温い空気と新しい建物の匂いが、余計にそれを際立たせる。
暫く降りた踊り場。半分ほど割れていながらも、灯る四角い明かりには、【10F】と書かれていた。
下り階段はそこで途切れており、代わりに10階への入り口が開いていた。
もう既に外は夜なのであろう、上からの光は少しも届かない。
セリム「むぅ、何で一番下まで直通じゃないんでしょうか」
ミズホ「さぁ……屋上へ続いているからかもね」
プーケ「ここから先に、何があるんだろう?」
ミズホ「分からないことばかり、ね……ここで考えても仕方がないわ。行きましょう」
31 :
NC
◆pJfUcGPPU.
[sage saga]:2013/03/09(土) 17:10:15.82 ID:co1+pYJso
ミズホ、セリム、プーケの順で暗い通路を進んでゆく。
響く3人の足音が、大きな空間であることだけを悟らせた。
真っ直ぐ伸びる廊下の全貌はまったく分からない。
一人には見えているようだが。
プーケ「何もないのかな」
セリム「こう暗くては、何も分かりませんねぇ」
プーケ「明かりがなくちゃ、みえないよぅ」
ミズホ「そう、かしら?今、右への曲がり道が見えているわ」
セリム「その右目、暗視機能までついてるんですか……便利だなぁ」
ミズホ「遠視機能は失われるみたいだけど。廊下がどこまで続いているのかは分からないわ」
プーケ「ほかに、何か見えるものある?」
ミズホ「ふむ……」
ミズホはゆっくり、その場で周りを見渡した。
32 :
NC
◆pJfUcGPPU.
[sage saga]:2013/03/09(土) 17:13:03.01 ID:co1+pYJso
ミズホ「前方は相変わらず長い廊下のようだわ。左は大体3メートルくらい先で壁になっている。何も無いわ。
右はさっき言ったとおり、分かれ道がある。そちらの通路はこの廊下よりは細い道みたい」
33 :
NC
◆pJfUcGPPU.
[sage saga]:2013/03/09(土) 17:38:35.53 ID:co1+pYJso
今日はここまでにします
今月いっぱいは一日一回更新のペースを保つつもりです。
また、完結はさせるつもりです。
読まれている方に質問です
このSSは当初TRPGセッション用に書いていたものなのですが、
そのために行動をプレイヤー任せにしているところが有ります。
私一人でそのあたりを決めても良いものか、と感じたのです
そこで、
行動などを安価で決める安価スレ方式をとるべきか(もちろん破綻しないために選択肢は用意します)
今日まで通り普通のSSで行くべきか、お聞きします。
つくレスがあるのか分かりませんが、次回更新(3/10/16:30くらい)までについたレスで多数決とさせていただきます。
34 :
NC
◆pJfUcGPPU.
[sage saga]:2013/03/10(日) 21:35:22.82 ID:rzFxAwOu0
「一日一回」と言った舌の根も乾かぬ内に更新できず申し訳ないです
35 :
NC
◆pJfUcGPPU.
[sage saga]:2013/03/11(月) 18:08:07.73 ID:dO5bHylvo
再開します
質問に対しての回答はこのまま受け付けることにします
36 :
NC
◆pJfUcGPPU.
[sage saga]:2013/03/11(月) 18:25:39.16 ID:dO5bHylvo
セリム「細い分かれ道、ですか」
ミズホ「ええ」
セリム「部屋があるんじゃないでしょうか?このフロアにひとつも部屋が無い、というのは考えにくいです」
プーケ「あかりになるものがあるといいんだけど」
ミズホ「そうね、私もそう思う。だから、そちらへいっても……構わないわよね?」
プーケ「うん」
セリム「そうしましょう、何があるかは分かりませんから、十分に用心しましょう」
ミズホ「じゃ、行くわよ!とりあえずこのまま先頭は任せて頂戴」
セリム「お願いします」
37 :
NC
◆pJfUcGPPU.
[sage saga]:2013/03/11(月) 18:50:37.42 ID:dO5bHylvo
真っ暗闇の中、前を行く背中を頼りに進む。
通路をしばらく進むと、、大きなホールのような空間に出たことが分かった。
通路を出た左手にはドア。右手にもドアが見て取れる。
ミズホ「みんな、広い場所に出たわよ」
ミズホ「それから、左右にドアがひとつずつある」
セリム「どっちから入りましょうか?それとも、この空間を探索します?」
プーケ「部屋……かな。明かりになるものがないと探索のしようもないよ」
ミズホ「そうね……じゃあどっちの部屋に入るか、だけど……これはもう」
セリム「勘、で行くしかなさそうですねぇ……」
プーケ「左かなぁ、なんとなくだけど」
ミズホ「それじゃ、左で良いわね?」
セリム「はい、戦闘準備しておきます……っと、フィリアさん」
フィリア「分かってるわ」
各々武器を構え、息を呑む。
ミズホ「それじゃ、開けるわよ……」
がちゃ。
何の抵抗も無く、ドアは開く。
38 :
NC
◆pJfUcGPPU.
[sage saga]:2013/03/11(月) 18:51:39.32 ID:dO5bHylvo
今日はここまでにします。
39 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/12(火) 09:40:56.69 ID:8udiNEjZo
乙 個人的にはこのままでもいいと思うけど
40 :
NC
◆pJfUcGPPU.
[sage saga]:2013/03/12(火) 14:24:35.88 ID:5YSIFTt6o
>>39
ご意見ありがとうございます。
しばらくはこのまま通常のSS形式を取らせていただきます。
この後少し用事があるので、少しだけ投下します。
41 :
NC
◆pJfUcGPPU.
[sage saga]:2013/03/12(火) 14:25:34.39 ID:5YSIFTt6o
やはり闇。
プーケ「……なにも、ない……?」
ミズホ「入るわよ!」
言い放ってミズホは銃を構え、ドアの中へ。
セリム「あっ……」
ミズホの足音が遠ざかると同時に、スポットライトが当たったかのようにミズホの後姿が浮かび上がった。
あっけに取られているうち、視界はどんどん明るくなってゆく。
ぱっ。ぱぱぱぱぱっ。
暖かい光が、天井の照明器具からどんどん投げかけられていく。
ミズホ「えっと……?」
思わず立ち尽くすミズホに、プーケとセリムは駆け寄る。
セリム「大丈夫、みたいですね」
プーケ「なんだろ、ここ……」
フィリア「妙に生活臭がするわ」
42 :
NC
◆pJfUcGPPU.
[sage saga]:2013/03/12(火) 14:37:58.15 ID:5YSIFTt6o
そして用事行ってきます
43 :
NC
◆pJfUcGPPU.
[sage saga]:2013/03/15(金) 15:15:02.46 ID:dcHKWNz+o
再開します
予想以上に忙しくなってしまったので更新の頻度1日1回はちょっと難しそうです
申し訳ありませんが、ペースを落とさせてください
44 :
NC
◆pJfUcGPPU.
[sage saga]:2013/03/15(金) 15:34:25.69 ID:dcHKWNz+o
人の匂い、とでもいうのだろうか。
目覚めてから生きた人間と触れていないせいか、少女たちにはそれらの放つ生気のようなものがはっきりと感じ取れた。
突き動かされるように、中を探索する。
少しさかのぼって上階での、自己紹介の折。
セリムは、少し沈んだ口調で呟いた。
セリム「……プーケさん、ひどい目に遭ってたんですね」
プーケは自らの脚を隠すように左手を動かし。
プーケ「ん……でも、みんなはどうなの?自分の体が変になっていること」
ミズホ「私は目だけだからさほど気にならなかったけど……セリムははじめて会ったときはびっくりしたわよ」
セリム「わたしは、全然気にならなかったんです。フィリアさんも、割と早めに順応してました」
プーケ「そっか……わたし、何でこんな脚になっちゃったんだろう」
ミズホ「誰かが私たちの体を弄った、としか考えられない。人工物なんて、自然につくものじゃないわ。……それに」
セリム「それに?」
ミズホ「わたしたちは、“生きて”いるのかしら?」
セリム・プーケ「「!」」
45 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2013/03/17(日) 00:33:51.10 ID:/FX7Ya9to
定期的に来てくれるだけでも嬉しいと思っています
ネクロニカらしい雰囲気を出そうとするとどうしても時間が掛かるだろうし
46 :
◆pJfUcGPPU.
[sage saga]:2013/03/19(火) 06:41:10.06 ID:ni+U/SSh0
>>45
お読みいただきありがとうございます
今日午後8時くらいに更新するつもりですので
今しばらくお待ち下さい
47 :
◆pJfUcGPPU.
[sage saga]:2013/03/19(火) 20:33:20.85 ID:ni+U/SSh0
それでは少しだけですが再開します
48 :
NC
◆pJfUcGPPU.
[sage saga]:2013/03/19(火) 21:06:14.16 ID:ni+U/SSh0
それは、この場の誰もが疑問に思い、また答えも誰もが勘付いている事。
それでもミズホは問いかけた。
ミズホ「こんなに傷ついた身体でも、何の支障もない。それどころか、眩しい太陽を見つめても平気。こんなおかしな事があり得るのかしら?」
セリム「そう、ですよね……おかしい、ですよね……わたし達、こんな身体で生きてる訳がないんですよ…?」
プーケ「うぅっ……!」
少女達は自らの存在に亀裂が入るのを感じる。
疑問によって入ったひびは、確認されることで大きな亀裂となったのだ。
プーケ「わたしたちをこんな身体にしたやつに、わたしたちが死ぬ原因があったんだとしたら……わたしはそいつを許さない」
セリム「何のつもりがあってこんなことをしたんでしょうか…どんな理由にせよ、聞き出さなければいけない」
49 :
NC
◆pJfUcGPPU.
[sage saga]:2013/03/26(火) 19:06:33.69 ID:22nIm4Yro
ちょっとだけでも更新します
50 :
NC
◆pJfUcGPPU.
[sage saga]:2013/03/26(火) 19:07:04.96 ID:22nIm4Yro
そして家の中。
つい先ほどまで生きた人間が暮らしていたような、そんな気配に少女たちは戸惑う。
しかし、人の姿は見当たらず、代わりに倒れた棚や落ちた照明、瓦礫が散乱していた。
ミズホ「荒らされてるわね……しかも、こんなに荒れるだなんて」
プーケ「こ、これ」
プーケが指差す先の壁には、大きな溝。
およそ常人では付け得ないような、深い切れ込みがコンクリートの壁に入っていた。
セリム「これって……かなりの力でついたものですね」
ミズホ「……人間業じゃないわ。それこそ怪物や、機械……それでなければ私たちみたいな存在が付けたんだと思う」
フィリア「【斧】みたいな肉厚の、刃のあるものね……これでやられたら私たちといえど簡単に切り刻まれてしまうかも」
ミズホ「こんなことを出来るようなものに心当たりって、ある?」
セリム「むー……」
フィリア「……」
プーケ「あ、あの……」
ミズホ「ん?何か、分かったの?」
プーケ「わたし、上で目が覚めたとき……その、大きな蟷螂を見たの……頭だけになってたけど」
セリム「か、かまきり、ですか……」
ミズホ「なるほど、蟷螂ね……どのくらい大きかったのかしら?」
プーケ「頭だけだから、全体はわかんないんだけど……頭なら、その」
プーケはそこにあった人間の胴くらいのスポーツバッグを指す。
プーケ「バッグくらいあった……かな」
51 :
NC
◆pJfUcGPPU.
[sage saga]:2013/03/26(火) 19:12:09.80 ID:22nIm4Yro
セリム「……うっ……」
ミズホ「そ、そんなに大きいの!?じゃ、じゃあ、本体の大きさは……」
フィリア「だいたい……」
セリム「ままま待ってください!い、言わないで!お願いします!」
セリムは言葉を遮る。必死の形相に、その場の全員は思わず顔を上げる。
セリム「こ、怖いんです……蟲、想像するだけでも頭がおかしくなりそうなくらい」
フィリア「………」
ミズホ「そうだったの……ごめんなさい、セリム」
プーケ「セリム、大丈夫?」
セリム「すいません、私、入り口で待ってます。ここにいると、おかしくなりそうで」
フィリア「少しでも、休ませてあげて。この娘、まずいかも」
ミズホ「分かったわ。フィリア、セリムをお願い。プーケ、貴女は大丈夫?」
プーケ「うん、大丈夫だよ」
ミズホ「それじゃ、さっさと探索を終わらせましょう」
52 :
NC
◆pJfUcGPPU.
[sage saga]:2013/04/02(火) 20:13:03.25 ID:pJ9vISYB0
しばらくたった後。
ミズホはぐったりとしたプーケをお姫様抱っこで抱えて玄関に現れた。
ミズホの表情は暗い。
セリム「プーケさんっ!?ミズホさん、プーケさんどうしちゃったんですか!?」
ミズホ「……」
セリム「……ミズホさん?」
ミズホ「わからない……プーケがいきなり、私に向かって怒り出して……途中でひどく苦しみだして倒れてしまって。それから眠ったままなのよ」
セリム「っそ、その内容っ!その内容しっかり聞きました!?」
ミズホ「えっ、プーケのセリフ?まぁ…だいたいは」
セリム「どんな事言ってました!?詳しく聞かせて下さい?」
セリムは急にテンションを上げ、ミズホに詰め寄る。
その唐突な行動に戸惑いつつ押し切られ、ミズホはぽつりぽつりと語り出す。
ミズホ「んー、埃が積もってないわね……それに血痕も無い……本当にここは襲われたのかしら」
ばさ、とプーケがファイルを取り落とす。
彼女の顔は心なしか蒼白だ。
それは多分に、表情のせいであろうが。
ミズホ「……プーケ?どうかした?」
プーケ「う、ぅ、ううン?何でモなイけど?」
53 :
NC
◆pJfUcGPPU.
[sage saga]:2013/04/21(日) 18:29:37.98 ID:elqTadiA0
間がかなり空いてしまいました
続けるつもりですので、今しばらくお待ちください
54 :
NC
◆pJfUcGPPU.
[sage saga]:2013/04/21(日) 19:44:57.36 ID:elqTadiAo
ミズホ「本当にそう?すごく、顔色が、悪い…」
プーケ「ナんでモナい、何もなイィんダヨォ、ダカら、心ン配しなクて大ジョう夫だかラ、寄ルナ……」
手を振るプーケの目はくるり、と裏返り、口が開いて舌がだらり、とだらしなく垂れる。
がく、がく、と【キャンサー】の脚が震え、プーケはその場にくずおれる。
ミズホ「プーケっ!?しっかりして!」
ミズホはプーケの肩を抱き、揺さぶる。
プーケはなおも、痙攣のような吐息を繰り返し、時々掠れた声で「大丈夫、寄るな」と呟く。
ミズホ「プーケっ!プーケっ!しっかり……しっかりして!プーケ!」
不意に、プーケの【めだま】が元に戻り、不自然な痙攣が治まる。
少しずつプーケの体に力が入っていき、すっかり元の状態に戻ったようだ。
ミズホ「良かった……大丈夫?いったい何があった……の……?」
プーケ「……」
プーケはゆらり、と立ち上がり、座っているミズホを見下す。
その眼には、微かに憎しみの色がこもっている気がした。
ミズホ「プー……ケ?」
プーケ「何で生きてるのよ?あんたは、私がくびり殺したのよ?死んでなきゃならないのに」
ミズホ「え……!?」
プーケ「はは、あぁ、そ。そーいうこと。アンデッドか……なんだってあんたと一緒に居るんだか知らないけどさ、もう、恨むのも無意味よね……
どうせあの人も死んでるんだろうし」
セリム「ちょっと待ってよ!プーケ、プーケよね!?何でそんなこと言うのよ、誰なの、あの人って」
プーケ「あーあーうるさい、面倒くさい、んじゃ、私はもう存在する意味も無い。ってことで、元通り死ぬわ」
セリム「待って……」
どさっ。
プーケは再び崩れ落ちる。
静かな顔で、まるで安らかに眠っているかのようだった。
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