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魔王「魔王になりました」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 : ◆zbtxV3Y.uo [saga]:2013/03/13(水) 10:05:24.52 ID:vpQg9w17o
・魔王になりました

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木曜の夜には誰もダイブせず @ 2024/04/17(水) 20:05:45.21 ID:iuZC4QbfO
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いろは「先輩、カフェがありますよ」【俺ガイル】 @ 2024/04/16(火) 23:54:11.88 ID:aOh6YfjJ0
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2 : ◆zbtxV3Y.uo [saga]:2013/03/13(水) 10:09:09.60 ID:vpQg9w17o

俺はこれまでの人生いたって平凡だったし、これからも死ぬまでそんな感じでいくと思ってた。

それが当然であり普通であると。

だけどそれは間違いであった。


「えー、つきましては魔王様の新居でございますが……」


目の前で事務的説明をこなし続ける“非現実”を見ながら、どうせならもっと普通だった生活を楽しんでいれば良かった……と思っても後の祭り。


「聞いておりますか? 魔王様」

執事と名乗ったその“非現実”に話しかけられる。


魔王「え? あ、ああ。要するに俺は魔界に住めばいいのか?」

執事「はい、ご理解がお早くて助かります」

何故俺が魔界に住まなければならないのか。答えは簡単。


俺が魔王の魂を持つ生まれ変わりだからだってさ。

3 : ◆zbtxV3Y.uo [saga]:2013/03/13(水) 10:14:16.75 ID:vpQg9w17o


びっくりだよね。ずっとただの人間だと思ってたのに、突然家にやってきた人(?)に「あなたは魔王です」とか言われちゃったんだから。

魔王「あのさ、魔界ってとこに連れてかれるのはいいんだけど、その場合こっちの世界で行方不明とかにされて事件になるんじゃないの?」

執事「ご心配には及びません。魔王様がこちらの世界にいた痕跡は、跡形もなく消滅しますので」

魔王「そうか。なら学校の奴らに心配かける事もないから、安心だな」

執事「……うーん、随分あっさりと事が進みますねぇ。私正直、魔王様をお迎えするのはもっとてこずると覚悟して参ったんですが」

魔王「俺が駄々こねたら魔界に行かなくてよくなるのか?」

執事「そういう訳にはいきません。魔王様には是が非でも魔界に戻ってきてもらわねば」

魔王「ほらな。大体こういう強制イベントって抵抗しても無駄なんだよね、ゲームとかだと」

執事「……聡明なご判断、感謝いたします」
4 : ◆zbtxV3Y.uo [saga]:2013/03/13(水) 10:16:35.47 ID:vpQg9w17o

ぶっちゃけ俺だってちょっと驚いてる。何に驚いてるって、この強烈なファンタジーのノリを思った以上に受け入れている自分自身に。


執事「……それでは、こちらの世界に何かやり残した事などございますか?」

魔王「別に……あ、でもコレだけは譲れないから言うけど」

執事「はい」


魔王「姉さんは一緒に連れていくからな」

魔王「絶対」

執事「……え?」
5 : ◆zbtxV3Y.uo [saga]:2013/03/13(水) 10:20:11.04 ID:vpQg9w17o



俺の家は二年前に両親を事故で亡くしてから、ずっと姉さんと二人で暮らしている。

両親が死んだ時、いくつかの親戚が引き取り手になる事を立候補してくれた。

が、その場合俺と姉さんは別々の家に引き取られる事になる。

それを聞いた姉さんは、俺と離れるくらいなら誰の力も借りず二人で暮らす、と大勢の親戚の前で啖呵を切った。

結果俺達は親戚達から金銭面などの援助を受け、週に一度は生活の様子を見るという事で、二人で暮らす事を許されたのだった。

そんな中で俺が魔界なんぞに行ってしまったら、姉さんはどうなる?

この世界でたった一人ぼっちになってしまうじゃないか。

それだけはダメだ。どうしても魔界に行くというのなら姉さんだけは連れていく。

俺達の家族内情をわざわざ話す気もないが、かわりに目で訴えるようにして執事を見据える。
6 : ◆zbtxV3Y.uo [saga]:2013/03/13(水) 10:22:40.87 ID:vpQg9w17o


魔王「……」

執事「……分かりました。いいでしょう」

さして悩む素振りも見せず、執事は承諾した。


魔王「何だ。あんただって随分あっさり事を進めてくれるじゃないか」

執事「いえ、それこそここで拒否するのは時間の無駄というものでしょう。魔王様の目を見ればそのくらい察せます」

どうやら目の訴えは通じていたらしい。

執事「それに、説得さえ出来るのであればお姉様を連れていく事ぐらいは割と容易い事です」

魔王「説得は……いいよ、俺がする」

7 : ◆zbtxV3Y.uo [saga]:2013/03/13(水) 10:25:40.94 ID:vpQg9w17o






魔王「俺さ、魔王なんだって。だから魔界に住まなければいけない」

魔王「姉さんを巻き込む事になっちゃうんだけど……ごめんな」

執事「……」

姉「……」



瞬きもせず俺の話を聞いていた姉さんは、一呼吸置いた後、

姉「私は……弟くんと一緒なら、どこでもいいよ?」

と言ってニッコリ笑った。



執事「なんて簡単に納得する姉弟なんだ……!」

隣で驚く執事の声を聞いて、確かに、と他人事のように思った。

8 : ◆zbtxV3Y.uo [saga]:2013/03/13(水) 10:28:21.07 ID:vpQg9w17o






執事「着きました。ここが魔界です」

姉「なんだか……思ったより普通なんですね」

魔王「ああ……雰囲気としては元々住んでいた世界とあまり変わらないような」


ゲームとかだと魔界というのは、モンスターが至る所に徘徊しており、自然が雄大に広がっている……みたいなのが鉄板だが。

俺達が連れてこられたのは、巨大な都市の入り口だった。

周りには、猫耳とかエルフ耳になってるのがちらっとは見えたが、露骨に怪物だって見た目の奴はいない。みんな人間フォルムだ。



……どうやって魔界にきたかって?


分からん。

何か執事が空間に穴開けて、その穴見てたら急に意識が飛んで、気が付いたら今の場所に立ってた。
9 : ◆zbtxV3Y.uo [saga]:2013/03/13(水) 10:32:24.03 ID:vpQg9w17o




執事「こちらが魔王様とお姉様がお住まいになる城でございます」

魔王「うおー……でっけぇ」

姉「大きいねぇ……」

流石は魔王が住む城。ここは俺の持つイメージと違わず、無駄に壮観にそびえ建っていた。



『お帰りなさいませーっ! 魔王様!』


巨大な扉を開けると待ち構えていた沢山の使用人らしき人達が、俺達をお出迎えしてくれた。


うひゃー……すっげぇな。まるで王様になった気分。

……あ、王様なのか。

って事は……うーん。
10 : ◆zbtxV3Y.uo [saga]:2013/03/13(水) 10:36:38.17 ID:vpQg9w17o

魔王「あーっと……執事……さん」

執事「私の事など呼び捨ててくださいまし」

魔王「じゃあ、執事……聞きたい事……つか、明らかに面倒臭そうだからあえて聞かなかった事があるんだけど」

執事「はい? 何でしょう?」

魔王「俺……魔王って事は、この魔界を……統べるって……事だよな?」

執事「おっしゃる通りでございます」

魔王「じゃあさ……この世界の政治の事とか……そういう難しい事もやっていかなきゃなんないんだよな?」


自慢じゃないが俺は頭が良くない。

担任からはよく「お前はやればできるんだ。だから頑張れ」と激励を受けていたが、そういう事じゃない。

俺は「やらないからできない」のだ。そもそもやる気がないので。

しかし、魔王という肩書きを持つ事になればそうも言ってられなくなるだろう。

先の事を考え内心優鬱になっていると、執事からは思いもよらない返答がきた。



執事「いえ、しなくて結構ですよ?」
11 : ◆zbtxV3Y.uo [saga]:2013/03/13(水) 10:40:27.50 ID:vpQg9w17o


魔王「……えっ?」

執事「あ、勿論魔王様が積極的に国政に関わっていきたいだとか、そういった希望があるのでしたら最大限勉学の支援等させていただきますが」

魔王「いやいや! 全然そんな事したくないけどさ! ……いいの?」

執事「ええ。魔王様には私のように優秀な部下がおりますので、それらがやるべき事はやるのですよ」

自分で自分の事を優秀と評価するあたり、意外にしたたかな人なんだなと思いつつ、俺は疑問を投げ続ける。

魔王「え、じゃあ“魔王”って何のためにいるの? わざわざ俺を異世界まで連れてくるくらいなんだから、何か役目があるんだろ?」


執事「勿論ですよ」

執事「魔王様には、その優秀な部下を生みだす作業をしてもらいます」
12 : ◆zbtxV3Y.uo [saga]:2013/03/13(水) 10:43:17.89 ID:vpQg9w17o

魔王「優秀な部下を……生みだす作業?」

優秀な部下というのは、俺のかわりに手となり足となり難しい事をやってくれる奴の事を言ってるんだろうが、それを俺が生みだす?

魔王「一体どうやって……」

執事「簡単な事です……」


頭使う難しい仕事じゃないんなら何でもいいや……そう安心しきっていた俺は、次の執事の言葉に面食らった。









執事「気にいった女性と性交渉をしていただくだけです」




魔王「…………はぁ!?」


13 : ◆zbtxV3Y.uo [saga]:2013/03/13(水) 10:45:45.92 ID:vpQg9w17o
こんだけ更新

魔王ってなってますが勇者とかはでてきません多分
のんびりと趣味全開でやっていきたいと思います
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/13(水) 11:27:10.25 ID:2pLasXBJo
なるほど、美少女文庫のノリだな、期待
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/13(水) 22:00:34.63 ID:ZdKfm7tdo
なぜかドラクエとかよりさきに○マ思い出した。支援
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/18(月) 12:49:21.98 ID:cLORBaSRo
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