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早川健「帝愛?」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/03/22(金) 19:49:51.65 ID:NeGjVcfY0
カイジ「くそっ……」

黒服1「オラァ、待ちやがれ!」ボゴォッ!

カイジ「うぐっ……」

黒服2「帝愛から金を借りておいて、逃げられるなんて思ってんじゃないだろうな!」

カイジ「だから、あれは……」

黒服3「保証人になったのはお前だろうが!そもそも……」

黒服3「船からの借金は正真正銘お前の借りた金!死んでも返してもらおう!」

カイジ「す、すいません……今度必ず……」

カイジ(クソ……あんなおっさん助けて無かったら……今頃……借金なんて……)

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ぶらじる @ 2024/04/19(金) 19:24:04.53 ID:SNmmhSOho
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旅にでんちう @ 2024/04/17(水) 20:27:26.83 ID:/EdK+WCRO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713353246/

木曜の夜には誰もダイブせず @ 2024/04/17(水) 20:05:45.21 ID:iuZC4QbfO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1713351945/

いろは「先輩、カフェがありますよ」【俺ガイル】 @ 2024/04/16(火) 23:54:11.88 ID:aOh6YfjJ0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713279251/

【MHW】古代樹の森で人間を拾ったんだが【SS】 @ 2024/04/16(火) 23:28:13.15 ID:dNS54ToO0
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こんな恋愛がしたい  安部菜々編 @ 2024/04/15(月) 21:12:49.25 ID:HdnryJIo0
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【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】Part2 @ 2024/04/14(日) 19:38:35.87 ID:kch9tJed0
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アテム「実践レベルのデッキ?」 @ 2024/04/14(日) 19:11:43.81 ID:Ix0pR4FB0
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2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/03/22(金) 19:51:00.49 ID:NeGjVcfY0
ジャーンジャーンジャーン……


黒服2「誰だっ……!?」

カイジ「ギ、ギター……?」

???「寄ってたかって一人をいじめるなんざ、男同士の喧嘩にしちゃあ情けないぜ、悪党さんよ」

黒服3「何ぃ!?誰だ貴様は!降りてこい!」

ヒュー スタッ

???「人に名を聞くのは紳士のやる事だ。お前たちみたいな悪党がやっていいこととは違うぜ。」

黒服2「貴様……ヤクザを舐めた罪はこの世で一番重い罪だ……情状酌量の余地無しだぜ……」

黒服3「まずこいつからやっちまえ!」

???「ハッ!トォッ!トイヤッ!」

ドゴッ!ボゴッ!ガスッ!

黒服達「うがぁっ……」

ジャーン(ギターの音)

黒服1「ううっ……」バタッ

ジャーン

黒服2「かはぁっ……」バタッ

ジャーン

黒服3「ごほぉっ……」バタッ
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/03/22(金) 19:51:51.60 ID:NeGjVcfY0
???「ヒュゥ。肩に埃がかかっちまったな」

カイジ「あ……助けていただき、ありがとうございます……あんたは……」

早川健「俺か……俺は、私立探偵、早川健だ。君の名前は?」

カイジ「お……俺、伊藤カイジって言います……」

早川健「カイジ君か。カイジ君はどうしてあんな連中に囲まれてたんだ?」

カイジ「えっ……?」

早川健「どうも、こいつらから血なまぐさい匂いを感じてね。いぶかしがってんだ」

カイジ「は、はぁ……その……帝愛に……」

早川健「帝愛か……」
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/03/22(金) 19:52:56.78 ID:NeGjVcfY0
???「貴様が早川健か!」

早川健「ほう。おいでなすったな。」

早川健「あんた、俺の名前を知っているんだな。俺もあんたのことは知っているぜ」

早川健「利根川幸雄。帝愛の幹部にして、人の心を読む腕は名人級の名人!」

利根川「ハハハ!よく知っているな!そのとおりだ!」


早川健「しかし!その腕前は……」



早川健「日本じゃぁ、二番目だ。」
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/03/22(金) 19:54:15.35 ID:NeGjVcfY0
利根川「なんだと!?じゃあ日本一はどこにいるというのだ!」

早川健「ヒュゥ。チッチッチ……」

早川健「……!フフフ、ハハハハ!」

利根川「なんだと!ならば勝負してみろ!」

利根川「帝愛に楯突いた罪を思い知らせてやる!」
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/03/22(金) 19:55:22.65 ID:NeGjVcfY0
事務所

カイジ「帝愛の事務所……!薄気味悪い空気が充満してる……クソッ、息苦しく感じやがる……」

利根川「フン!吐いたツバを飲み込めない事に後悔するがいい!」

利根川「この勝負で貴様が負けた時!貴様の内蔵を売り飛ばして海の底へ……」

早川健「おっと。そういうことは勝負に勝ってから聞いてやる。今ベラベラ喋ることじゃぁないぜ。」

早川健「だが俺からも言わせてもらおう。俺が勝ったらカイジくんを連れて帰る。いいな?」

早川健「それより、勝負の内容を聞いてなかったな。」

利根川「簡単な勝負だ。ここに53枚のトランプがある。たった今封を切った、ガンカードなど無い。確認しろ。」

早川健「ふぅん。言うとおり、イカサマは無いようだな。」

早川健「ギャンブルか……懐かしいな。あいつともよくやったもんだ。どっちが昼飯を奢るかを賭けてな。」

早川健「だがな……そいつはお前たちみたいな金のことしか考えない連中に殺されちまったぜ……!」

利根川「バカが、何をほざいておる……このカードを53枚、シャッフルした後……伏せて並べる……!」

利根川「だが……おい、このカードを並べるとき、カードの面を一度見てから伏せろ……良いな……」

黒服4「はい……」

利根川「私はこの時の並べる彼の顔を見て……どこにどのカードがあるか予想することが出来る……」

利根川「貴様もよく見ていろ……!」
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/03/22(金) 19:56:31.13 ID:NeGjVcfY0
黒服4「……」スッ

シャッ……シャッ……シャッ……

スッ……スッ……スッ……

利根川「53枚すべてが並んだ……さぁ、ルール説明だ……」

利根川「心配する事は無い……一度聞けばすぐ解るようなルールだ……!」

利根川「この伏せられたカードを……最初にどのカードを当てるか宣言し……」

利根川「4枚ずつめくっていく……無論……一度でもミスをすればその時点で終了……敗北確定……!」

利根川「それだけだ……心配するな……見本替わりに私が先行に回ってあげよう……君は有利になるな……!」

8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/03/22(金) 19:57:42.61 ID:NeGjVcfY0
利根川「クク……私の選ぶカードは……ダイヤの2……スペードのJ……ハートの9……クローバーの3だ……!」

スッ……スッ……スッ……スッ……

黒服4「利根川様……見事です……!」

カイジ(馬鹿なっ……利根川……!的確に宣言した4枚を選んだ……!)

カイジ(早川さん……無茶だっ……こんなの……!)




利根川「これが私の実力だっ……!どうだ……!カカカカッ!」

利根川「次は貴様の番だ!早川健!」




早川健「それじゃ……まず、これが……」

利根川「貴様……最初に4枚宣言するんだぞ……!?」

早川健「どうせ当たるんだ……それに、49枚もいうのは面倒だしな……」

利根川「49枚だと……!?何を言っている!」

早川健「言葉通りさ。左上から行こう。」

早川健「これがスペードエース……ダイヤジャック……ハートクイーン……クローバーキング……」

早川健「……どうした、さっさとめくるんだな。」

黒服4「あ、あぁ……」
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/03/22(金) 19:58:54.88 ID:NeGjVcfY0

カイジ(す、すごいっ……!)

カイジ(利根川の当てた4枚を引いた49枚……それを……!)

カイジ(一度のミスもなく、全て当てた……!!)

利根川「何だと……!?貴様……!」

早川健「これが私の実力だっ……!どうだ……!カカカカッ!」

利根川「イカサマをしたな!暴いてやる!」

早川健「おっとぉ。イカサマをさせないように勝負を決めたのはそっちじゃあありませんか」

早川健「それじゃ、約束通りカイジ君を連れて帰るぜ」

利根川「お、押さえろ!」

黒服4「はいっ!」

早川健「っ……!」ドゴォッ!

黒服4「げほぉっ……」バタッ
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/03/22(金) 19:59:38.90 ID:NeGjVcfY0
カイジ「あ、あの、見ず知らずの俺なんかを助けてもらって、ありがとうございますっ……なんとお礼をしたらいいか……」

早川健「なぁに、礼なんていいさ……」

カイジ「いえ……俺の気持ちだから……!何か、何かさせてほしいんですっ……!」

早川健「そこまで言うのなら……コーヒーの一杯でもご馳走になろうかな」

早川健「しかし帝愛か……前々から裏のある組織だと思っていたが、本性の一部を見ることが出来たな。」

カイジ「あ、あの、立ち話もなんですし、家、上がって行きませんか……?」
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/03/22(金) 20:00:48.09 ID:NeGjVcfY0
カイジのアパート


早川健「お邪魔させて貰うよ」

カイジ「は、はぁ……大したおもてなしもできないですけど……」

早川健「構うこたぁないさ、それより帝愛についてもっと詳しく教えてくれ」

早川健「なんせ、怪しい匂いこそ嗅ぎつけてはいたんだが、奴ら霧隠が上手くてな。」

早川健「カイジくんで初めてさ。帝愛と接点を持っている人間は。」

カイジ「はい……その、俺、借金の保証人になってしまって……」

カイジ「そしたら、帝愛の人が俺の所に来て……どうしても返せないってこと伝えたら……」

カイジ「膨れ上がった借金をチャラにしてくれるってんでそのギャンブルクルーズに参加したんですけど……」

カイジ「そこで……また余計に借金を背負う羽目になって……」
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/03/22(金) 20:02:02.80 ID:NeGjVcfY0
早川健「……船?それはいつの話だ?」

カイジ「えーと……○月△日の、午後☆時です……」

早川健「そうか……」

早川健「ありがとう、感謝するよ、これを基に調査してみるさ。」

カイジ「はい……ところで、早川さん、あんた何者なんだよ……」

早川健「ん?見ての通りの、私立探偵さ」

早川健「すまない、急用が出来た。しばらくしたらまた会いに来る。」
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/03/22(金) 20:02:51.61 ID:NeGjVcfY0
警察署


早川健「どうだ、東条。その日にその場所で船が出航した記録はあったか?」

東条「あぁ、それどころか、その日、その船を調査する為に別の部署が出動した記録すら残っている。」

東条「普通なら密航者の可能性も考えて船内を調査するハズだ……そんなことすればギャンブルクルーズなんて一発で摘発されるはずなんだが……」

東条「おかしい。その日を境に、パッタリ調査の手が止まっている。」

東条「ついさっき、帝愛の調査について上層部に掛け合ってみたんだが、一向に許可が降りん……不可解だ。」

早川健「そうか……」

東条「帝愛は日本でもトップの金を持つ金融会社だ……警察に金を渡してもみ消す程度、造作もないと考えれば合点がいく。」

東条「俺がこれから一人で調査をしてみる。今のところ警察から出せる情報はこれだけだ……すまん。」

早川健「蝙蝠みたいに暗闇でコソコソ動くのが好きな連中だな……だが……」

早川健「おそらく帝愛は船で借金を背負った人からさらに搾り取る為に近いうちにもう一度ギャンブルを開くだろう。」

早川健「そこを引っ捕えれば……」
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/03/22(金) 20:03:31.03 ID:NeGjVcfY0
兵藤「何……!?早川健じゃと!?」

利根川「そう、名乗っておりました……」

兵藤「ク……遂に嗅ぎつけてきおったか……」

兵藤「あの、日本各地で悪党を潰し回って旅をしているという私立探偵が……!」

兵藤「利根川……人間競馬の日程を二日繰り上げろ……見つからん内に済ませるのだ……」

兵藤「そして、なんとしても早川健を殺せ……!」
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/03/22(金) 20:04:22.57 ID:NeGjVcfY0
利根川「という訳だ……!早く前回の船で借金を持ったまま降りた連中を集めろっ……!」

遠藤「はい……」

利根川「お前たちは早川健を見つけ出し、殺せ!」

黒服「はい……ですが、ヤツは……」

利根川「ならこれを使えっ……!秘密裏に入手しておいたウルトラマイトを利用した爆弾だ……!」

利根川「これは衝撃を与えれば爆発……!その爆風で人間の一人や二人、一瞬で粉みじんよ……!」

黒服「これがあれば……!」

利根川「ククク……早川め……この私を平然と侮辱した罪……死によって償うが良い……!」
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/03/22(金) 20:05:51.14 ID:NeGjVcfY0
カイジのアパート

遠藤「生還おめでとう、カイジ!」

遠藤「お前にとって、実に良い話を持ってきたぞ。一晩でお前の借金がチャラになる……!」

遠藤「来週の土曜、ギャンブルのパーティーがある……上手くいけば一晩で二千万……」

カイジ「いい加減にしろ……!誰がそんな手に……!」

佐原「お願いしますっ……!僕を参加させてください!こういうチャンスをずっと待っていたんです……!」

カイジ「バカ、やめるんだ!これはお前の考えているような話じゃねぇっ……!」

佐原「きっとこれしか突破口なんか無い……解ったんですよ……カイジさん……」

カイジ「いいからやめろ!お前にはまだチャンスがある!まだ俺たちは途中なんだよ……!」

カイジ「それに、もう少しすればこいつらは……!」

遠藤「来るかっ……そんなもん……何の確証もなく無責任な綺麗事をよく言うぜ……!」

遠藤「いい加減目を覚ませよっ……それになんだ……?あの早川とかいう男が帝愛を潰すとでも思ってんのか……?クズが……」

遠藤「あんな何の後ろ盾もないただの私立探偵が帝愛に楯突いた所で沈むのが関の山だ……いや、もう沈んでる頃かもしれないがな……」

カイジ「くっ……」

遠藤「お前の船の借金およそ670万……どうやって返すつもりだ……?」

遠藤「お前が不可能だと言っても俺たちは取り立てるけどな……!」

遠藤「カイジ……お前のこの手は何の為についている……?何かを掴む為、道を拓く為にあるんだろっ……!」

遠藤「掴めっ……!迷うことは無いっ……!掴めっ……!」

遠藤「明日……午後9時……スターサイドホテル……!」

遠藤「来たれ、星の下へ!……お前の未来を掴むんだ!」

カイジ「くそっ……!」


17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/03/22(金) 20:06:35.73 ID:NeGjVcfY0
遠藤「それじゃ、俺は帰るぜ……!あばよ……!」

佐原「俺も、参加できるよう、お願いします……!」

ブロロロロロ……

遠藤「次は石田のジジイんとこか……ったく」

遠藤「ちょっと深い事を言うだけでホイホイ釣れるぜ……これだからクズは……」

18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/03/22(金) 20:08:35.90 ID:NeGjVcfY0
黒服5(見つけたぞ……早川健!)

黒服6(始末してくれる!)




早川健「少し情報が少なすぎるな……」

早川健「直接乗り込むか……だが、帝愛のトップである兵藤和尊を抑えなければ意味が無い……」

早川健「……! っ!」ダッ!

ズギュンッ!ズギュンッ!ズギュンッ!

黒服5「外したか……」

早川健「真昼間からわんわん飛んで来るとは随分元気のいい蛆虫さん達だな!」

黒服6「何とでも言え!お前はここで死ぬ!」

早川健「丁度いい、俺も聞きたかった事があったんでね!」

黒服5「ククク……威勢の良いのはここまでだ!これでもくらえ!」ピンッ

ヒュッ!……ドゴォォォォン!

早川健「っ!?  ぐぁあああっ……!」

ゴォォォォ……

黒服6「このウルトラマイトを利用した爆弾に巻き込まれれば、もうヤツは粉みじんだ!」

黒服7「確認するまでもないな!ハハハハっ……!」



19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/03/22(金) 20:09:19.17 ID:NeGjVcfY0
遠藤「そうか……早川とかいう奴の始末は完了したか……」

黒服「はい……安心して、参加者を集めることが出来ます……!」

遠藤「それは良かった……が……日程は繰り上がったまんまなんだな……!」

遠藤「チッ……融通の効かないジジイだぜ……」
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/03/22(金) 20:10:13.05 ID:NeGjVcfY0
スターサイドホテル

黒服「こっちだ……」

カイジ「おっさん……!」

石田「カイジくん……嬉しいよ……!また二人、頑張ろう!二人で!」

カイジ「佐原、お前もだ……!」

佐原「わかってますよ、んなこたぁ……それじゃ……」


黒服「お待たせしました……皆様を会場へご案内します……が……」

黒服「諸事情がありまして、皆さんいっぺんにというわけには行きません、最初の12人を選ぶので挙手を……」
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/03/22(金) 20:10:53.12 ID:NeGjVcfY0
カイジ「っ……!こいつらっ……!賭けてやがる……!」

「おらー!さっさと走れーっ!十番!俺はお前に賭けてんだよ!さっさと走れっ……!」

「おら!行けいけ!」

カイジ「人間競馬……!俺たちが賭けられる側かよっ……!落ちたらどうなる……?」

カイジ「くそっ……だが期待などするな……他人に……99%人は他人を救わない……!」

カイジ「他人の為に自分の手を汚すような人間は……まずいない……」

カイジ(早川さん……あんた今頃、どうなっちまってんだ……)
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/03/22(金) 20:11:52.66 ID:NeGjVcfY0
カイジアパート前

早川健「くっ……」ヨロヨロ

早川健「はぁ……はぁ……」

早川健「奴ら、まさかあんな兵器まで持ち出してくるとはな……早いうちに勝負をつけなければ……」

早川健「カイジくん……いるか……?」コンコン

早川健「留守か……?ドアの鍵が開いているが……」ガチャッ

早川健「……おかしい。まるで慌てて出て行ったような」ペラッ

早川健「これは……?今日午後9時、スターサイドホテル……?」

早川健「来たれ……星の元へ……帝愛の連中がもう第二のギャンブルを始めたのか……!」

早川健「うぅっ……」バタンッ ガクッ

23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/03/22(金) 20:13:17.19 ID:NeGjVcfY0
スターサイドホテル屋上

利根川「諸君らは勝者っ……!誇り高き勝者であるっ……!実に素晴らしいっ……!」

利根川「チケット換金のタイムリミットは……あと二時間弱……場所はスターサイドホテル……!」

利根川「だがこのホテルはオープン前で……エレベーターは作動していないっ……!非常階段は閉ざされたまま……!」

利根川「換金部屋へ行く事は出来ん……だから我々が便宜を計り……道を通した……!」

カイジ「鬼がっ……!」

利根川「見ての通りだ……!」

佐原「なんだよこれ……ばかやろう……!終わったはずだろ、こんなことは……!」

利根川「あんな戯言で金を渡せるかっ……!あんなもんで二千万なんて大金を渡せるかっ……!」

利根川「さぁ渡れっ……!ためらうな……!」


カイジ「二着のチケットを俺に渡せっ……!それなら渡るっ……!」


利根川「勇気のある若者だっ……歓迎するぞ……!」

利根川「他は不参加か……締め切ろう……」

佐原「くそっ……やるよ……やりゃあ良いんだろっ……!!」
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/03/22(金) 20:14:04.39 ID:NeGjVcfY0
病院

早川健「……!」

東条「早川、気がついたか。お前がアパートの玄関先で倒れていると通報を受けてな……」

早川健「こんな所にいる場合じゃぁない!東条、帝愛が、今日もう一度借金の負債者を集めてギャンブルを開くかもしれないんだっ!」

東条「だが早川、そんな体で無茶をするな!俺が上層部と掛け合って調査の許可をとるまで待て!」

早川健「時間が無い!」ダッ!
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/03/22(金) 20:14:44.44 ID:NeGjVcfY0
鉄骨の上

カイジ「これほど違うのかっ……落ちたら即死という状況では……これほどっ……!嫌な気分だ……」

「うあああああっ……!やめれば良かった、こんなバカな事……生きたいっ……生きたいっ……!」

カイジ「中山ぁぁぁぁあああ!!!」

「うあああああああ………」

石田「うぅうううううああああああああ!!!!落ちるぅぅううう!!!!」

「いやあああ!!!!あああああ……!!!!」

カイジ「くそっ……まるで死神が一人ずつ殺していくみたいに……くそっ、くそっ!」

石田「カイジ……くん……」

カイジ「石田さんっ……石田っ……気をしっかり持て……!!大丈夫、行ける……!」

石田「うぅ……あぁあ……」

石田「カイジくん……カイジくんに……このチケットを託す……」

石田「虫のいい話なんだが……このチケットを今も借金に追われて暮らしている……俺の家族に……渡してくれっ……!」

カイジ「だったらなおさら……!自分で……!」

石田「カイジくんは芯の強い人間だ……カイジくんなら出来る……!俺の家族にこれを渡してくれ……!」

石田「お願いだ……カイジくん!早く……早くっ……!!」

カイジ「くっ……石田さんっ……!」

石田「俺に構わず行ってくれ……もう振り返らないでくれ……!ただ前だけを見て進むんだ……!」

カイジ「石田さんっ……石田さんっ……!!うぅっ……!」

26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/03/22(金) 20:15:32.30 ID:NeGjVcfY0






黒服「おめでとう…・完走おめでとう……コングラッチュレーション……おめでとう……!」

カイジ「何が、何処がめでたいっ……!?何人死んだと思ってんだっ……!さっさと金を出せ……!」

カイジ「石田さん……佐原……!」

利根川「残念ながらそのチケットはもう効力を失ったっ……!お前が言ったのだぞ……?お前は自ら権利を放棄したのだぞ……?」

カイジ「ふざけるなてめえっ……!んな事通じるか……!なんの為に……なんの為に……許せるか……!許せるかっ……!」

カイジ「殺すっ……!利根川……!」

兵藤「まぁ……カイジくんの言う事も一理ある。カイジくんの願いを聞き入れなさい……」

兵藤「Eカードでな……Eカードがいい……」

カイジ「なんだこいつ……こいつが帝愛のトップか……!?」

27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/03/22(金) 20:16:10.58 ID:NeGjVcfY0
スターサイドホテルフロア

利根川「カイジくんにはこちらを装着してもらう。視力か聴力を賭けてもらうっ……!」

利根川「一ミリごとに十万……!一ミリずつ賭ければ全敗しても安全だ……!」

利根川「危惧する事は無い……安心すぎるっ……」

利根川「ノーリスクで百万程拾わせてやろうという会長の慈愛のゲームだ……」

カイジ「ふざけるなっ……お前たちに慈愛などないっ……!お前たちは見殺しにしたんだ……!」

カイジ「そんなお前たちに慈愛などある訳がないっ……!」
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/03/22(金) 20:17:17.11 ID:NeGjVcfY0
鉄骨の下

早川健「スターサイドホテル……ここにカイジくんがいるという事だな……」


ヒュー……ドサッ……

早川健「何だ今のは!?……人だ!人が落ちてきたんだ!」

石田「うぅ……」

早川健「おい!しっかりしなさい!気を確かに持つんだっ!おいっ!」

石田「カイ……ジ……くん……うっ……」ガクッ

早川健「……死んでいる……!?この人だけじゃない!何だこのおびただしい数の死体は……!?」

早川健「あれは……鉄骨……!?帝愛め……人の命をコマにして賭博をしていたという事だな……!!」

黒服8「チッ……会長の気まぐれには気が滅入るぜ……死体掃除をするのは誰だと思っているんだ……」

早川健「貴様っ……!!」

黒服9「早川健っ!?殺されたはずじゃ……ぎゃあっ!」ドゴォッ

黒服8「がぁっ!」ドゴッ

早川健「……」ゴソゴソ

早川健「これか……スターサイドホテルに潜入出来る鍵は……!」


29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/03/22(金) 20:18:35.54 ID:NeGjVcfY0
スターサイドホテルフロア

利根川「ということだ……ルールは理解できたかな……?」






ジャーンジャーンジャーン






利根川「誰だっ!?」

早川健「スターサイドホテル……来たれ星の元へ……」

早川健「しかしその実態は……人の生き血を啜る吸血鬼どもが蔓延る……狂宴の館!」

利根川「な……何ィ!?貴様、まさか……!?」


早川健「お察しの通り……早川健だよ……!!」

兵藤「生きておったか……そのまま尻尾を巻いて逃げれば良かったものを……わざわざ出向いてくるとは、感謝にすら値するな……」

兵藤「ほれ……何をしておる……早く殺しなさい……!」

黒服10「はっ……!」タタッ

早川健「ハァッ!トォッ!」

黒服10「ぐはぁっ!」





利根川「フフ……まぁ早川健くん……これを見なさい……」

カイジ「えっ……!?」

利根川「カイジくんの耳に装着してあるこの装置……私がリモコンを操作すれば針が進む仕組みになっておる。」

利根川「貴様がこれから一度でも楯突けば……カイジくんの耳の穴から脳をぶち抜くことにしよう……!」

カイジ「てめぇっ……卑怯だぞっ……!」
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/03/22(金) 20:19:32.02 ID:NeGjVcfY0
早川健「……」

利根川「さぁ!やれ!」

黒服11「おらぁっ!!!」

ドガッ!バキッ!ボコッ!

早川健「くっ……」

カイジ「窓に追い詰められた……!このままじゃ落ちて死ぬっ……!ダメだ……逃げろ、早川さんっ……!」

黒服12「ククク、拳銃で脳天を打ち抜いてやるっ……!」

黒服13「死ねっ……!」

バキューン!バキューン!バキューンッ!

早川健「ぐあああああああああっ………」

バリーン……ヒュゥゥゥゥゥウウウ……
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/03/22(金) 20:20:16.45 ID:NeGjVcfY0
兵藤「カカカッ……随分面白いピエロだったのう……」

利根川「無様な最期だ……さて、カイジくん……気にせず始めるか……」

カイジ「早川さん……!早川さんまで……」

カイジ「ぐぅっ……うぅっ……どうしてっ……どうして貴様らはそんな涼しい顔して……人を殺せるんだ……!?」

利根川「夜が開けぬうちに早くあの男の死体を掃除しておけ。一般人に見つかるともみ消すのが面倒だ。」

黒服13「はい……」




ゴゥゥウウウウウン……
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/03/22(金) 20:21:23.26 ID:NeGjVcfY0
黒服13「な、何だあれはっ……!?」





『フライトスイッチ!オンッ!』



ガシャァァアアアンッ!


スタッ……




兵藤「何者じゃっ……!?」
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/03/22(金) 20:22:30.95 ID:NeGjVcfY0
「ハハハハハ……」


「ズバッと参上!ズバッと解決!人呼んでさすらいのヒーロー!」


「快傑……ズッバァーット!!」




利根川「快傑ズバットだと!」



ズバット「人々を借金地獄に陥れ、金を奪い!あまつさえ人の命を玩具のように弄ぶ兵藤和尊!許さんッ!」


34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/03/22(金) 20:23:20.83 ID:NeGjVcfY0
兵藤「やれっ!」

黒服「っ……!」

バキューン!バキューン!バキューン!

ズバット「ゼーット!ゼーット!ゼートッ!」

カキンッ!カキンッ!カキンッ!

黒服13「拳銃を弾いただと!?」

ズバット「ズッバーット!」

シュビンッ!シュビンッ!

黒服11「ぎゃあっ!」

黒服12「ぐはぁっ!」

黒服13「げほぉっ!」
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/03/22(金) 20:24:33.69 ID:NeGjVcfY0
利根川「おのれ……動くな!カイジの耳に装着してある装置は絶対に外す事は出来ん!少しでも動けば……」

カイジ「利根川ぁ……」

ズバット「ズバットのムチに出来ぬ事は無いッ!」

シュビンッ!グシャァッ!

カイジ「うぅっ……?そ、装置が……!!」

利根川「な、何だと、そんなハズは……!?」

ズバット「ゼーット!」ドガッ

利根川「ぐはぁっ……」

ズバット「君は逃げなさい!」

カイジ「は、はい……!」
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/03/22(金) 20:25:34.12 ID:NeGjVcfY0
兵藤「役立たず共め……!」

ズバット「ゼーット!」

シュルルルル……

兵藤「ぎひぃっ!?」

ズバット「二月二日!飛鳥五郎という男を殺したのは、貴様だな!!!」

兵藤「ち、違う!そんな男知らん!わしはその日、グアムに旅行で……」

ズバット「なんだと!?では誰が殺したというんだ!言え!」

グォンッ!ドガァンッ!

兵藤「ぐひぃぃぃ!!」
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/03/22(金) 20:26:30.96 ID:NeGjVcfY0
ビコーン……ビコーン……

ズバット「ムッ!あと一分しか無い!」

ズバット「ズッバーット!」ヒュンッ



ズバット「ズバット!アターックッ!!!」


ドゴォッ!


兵藤「ぐひゃっ……」ガクッ



ビコーン……ビコーン……


カシャンッ!

早川健「……」ヒュッ

ザシュッ





『この者 
           
       


         極悪賭博殺人犯人!!』
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/03/22(金) 20:28:03.42 ID:NeGjVcfY0




スターサイドホテル下



カイジ「早川さん……早川さん……なんで早川さんまで帝愛に殺されなきゃ……」

カイジ「佐原ぁ……石田さんっ……中山……こんなことでみんな報われるなんて思えないけど……」

カイジ「でも……仇討ちは……みんなを縛っていた帝愛は……兵藤は消えたんだ……」

カイジ「石田さん……もう、あんたの家族は借金に追われなくて済むんだぜ……安心して眠ってくれ……」

カイジ「佐原……俺が、俺に付き合わせちまったばっかりに……佐原……佐原……」

「カイジさん……」

カイジ「……? ま、まさか……!?」

佐原「カイジさんっ……!」

カイジ「さ……佐原あああああああ!!!!ゆ、夢じゃないよな、これ……!?」

佐原「現実……現実っすよ……カイジさん……!」

佐原「吹っ飛ばされたあと……地面に激突寸前って所で……変な帽子を被った男の人が俺を助けてくれて……!!」

カイジ「うぅ……佐原……良かったよぉ……佐原……うぅ……」

佐原「カイジさんっ……二人でやり直しましょう……!もう、自分に言い訳なんかしないで……」

カイジ「あぁ……地道に行こう……俺たちは開かれたんだ……未来へと……」
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/03/22(金) 20:29:05.19 ID:NeGjVcfY0


警察署

東条「帝愛が崩壊してからまる三日。金の切れ目が縁の切れ目とはよく言ったものだ。ようやく上層部も帝愛の調査に乗り出すことになった。」

東条「調べれば調べる程埃が出てくる。ギャンブルクルーズなど氷山の一角に過ぎなかった。」

東条「地下の強制労働施設に捕らわれていた人たちは開放されたが……日本に限らず世界中に同じような地下施設がある可能性も否定できん。」

東条「引き続き調査を続ける。」

早川健「そうか……それはよかった。」

早川健「東条、あとはお前たちに任せるぜ。」

東条「そうしてくれ。だが珍しいな。お前が人に頼みごとをするなんてのは」

早川健「ハハハ……悪いな、一つの場所に留まってるのはどうも性に合わなくてね」
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/03/22(金) 20:30:29.92 ID:NeGjVcfY0









早川健「赤い……夕日に……燃え上がる……君と……誓った……地平線……」

早川健「あぁ愛しても……憎んでも……ルルル……ルルル……」

早川健「かえらない……君と二人……」

早川健「はるか……果てない……地平線……」


早川健「飛鳥……この街にもお前を殺した犯人はいなかったよ」

早川健「いつか必ず、お前の敵を……!」
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/03/22(金) 20:33:40.04 ID:NeGjVcfY0
youtubeの東映チャンネルでズバットが配信されたのを見て勢いだけで書いた
ズバットはなかなかレンタル店でも置いてないし見る機会も少ない特撮だけど、名作だから是非見て欲しいです
あとズバットの真似は大変危険ですから絶対にマネしないでくださいね
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/22(金) 20:44:03.28 ID:DSzHT2JTo

43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/03/23(土) 04:22:00.58 ID:BCwaG+Mso

特撮系のSS、もっと増えて欲しいな
次も期待しています
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