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とある道中の夢 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 : ◆Te.96pQiKM :2013/05/02(木) 20:22:57.78 ID:LKrgbDEP0

とあるの二次創作です

設定は十九巻が終わるころの、上条当麻です。

本編の穴埋めと思ってください。

開始します

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1367493777
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2 : ◆Te.96pQiKM [sage]:2013/05/02(木) 20:24:18.19 ID:LKrgbDEPo
ロシアへ行くためにヒッチハイクなどを繰り返すこと数十回。

ロシアの国境まで、あと少しのところまで来ていた。

「国境まで、あと二時間くらいだから寝てていいよ。毛布は後ろにあるから、勝手に使って。」

「あ、すいません。」

おそらく最後のヒッチハイク。乗せてくれたのは日本語のうまいロシア人の男性だった。

彼は家族といっしょに、別の国に避難したそうだ。

今は家に忘れ物を取りに行くらしい。その片道で乗せてもらった。

(あぁ、眠い・・・・。)(´Д⊂ヽ

車の振動が、疲れた体に心地よく響く。

寝るのに時間はかからなかった。
3 : ◆Te.96pQiKM [sage]:2013/05/02(木) 20:26:02.40 ID:LKrgbDEPo
目が覚めると、そこには見たことのない天井だった。

カエル顔の人が入ってきた。医者だそうだ。

彼は言った。

「君は記憶がないんだ。」

最初、何を言ってるのかわからなかった。

ただ、医者は聞かせてくれた。何故、こうなったのか。

それは一人の少年が必死になって、一人の女の子を助けた話。


魔術師という言葉が出てきても、わからなかった。

その少女が誰だか、わからなかった。

その少年が誰だか、わからなかった。
4 : ◆Te.96pQiKM [sage]:2013/05/02(木) 20:27:05.14 ID:LKrgbDEPo
「あの、記憶は戻るんですか?」

「・・・・・君の記憶は戻らない。忘れている、ではなく、完全に無くなっているんだ。」

医者は歯を食いしばって、悔しそうに言った。

もう、思い出せない。

「えー・・・・・・、俺は、どうすれば?」

「・・・・バンクには、君の記録は残っているから日常生活は大丈夫だ。ただ・・・、」

記憶がないことが、何よりも大きなハンディキャップになる。

「・・・・・・そうですか。」

「・・実は君に、面会者が来ている。」
5 : ◆Te.96pQiKM [sage]:2013/05/02(木) 20:27:56.69 ID:LKrgbDEPo

「え・・・・」

「いや、正確には一緒に来た、かな? 帰っていいと言っても聞かないんだ。」

「・・・・・・・・」

今、記憶がなくなってる自分には、その人が誰なのかわからない。

それなのに会っていいのか?

自問自答を繰り返した。

「まぁ、今の君と会ったら彼女もショックだろうからね。会うときは君の状況を一通り話しておくよ。」

分からなかった。その人と出会っていいのか。

「どうする?」

だけど、会ってみたい。そう思った。

「・・・お願いします。」

さまざまな感情が混ざった、返事だった。
6 : ◆Te.96pQiKM [sage]:2013/05/02(木) 20:28:37.65 ID:LKrgbDEPo
医者が出ていったあと、さっきの話を何度も反芻した。

それでも、何もわからなかった。

そもそも、面会者がどんな人なのかすら分からない。

右手を見た。

酷使され、ボロボロになった右手。

それは、どう見ても、ふつうの右手だった。

一人の少女を救ったなどと言われても、信じられなかった。

分からない、どんなふうにすればいいのか。

自分が、どんな人間だったのか。

しかし、時間は待ってくれなかった。

ノックがした。

返事をした。

少しの間があって、病室のドアが開いた。
7 : ◆Te.96pQiKM [sage]:2013/05/02(木) 20:30:00.94 ID:LKrgbDEPo
ドアの前には一人の女の子が立っていた。

白い修道着に包まれた、銀髪で碧眼の少女だった。

明らかに日本人離れしたその恰好に、思わず、言ってしまった。



「あなた、病室を間違えてませんか?」
8 : ◆Te.96pQiKM [sage]:2013/05/02(木) 20:32:29.30 ID:LKrgbDEPo
少女の表情が固まった。

視線が下を向いた。

今、自分が言ったことに恥ずかしがっているのではと、少し不安になる。

「あのう?」

彼女が顔を上げた。

しかし、その顔についていた笑顔は、

痛々しかった。

「あの、大丈夫ですか? なんか君、すごく辛そうだ。」

少し心配になってきた。いくら『知らない人』だからといっても、何かあったのかもしれない。

彼女は息を吐きながら、体をふるわせ、

「ううん、大丈夫だよ? 大丈夫に、決まってるんだよ。」

だした声は震えていた。

まずい。もしかして知り合いだったか?
9 : ◆Te.96pQiKM [sage]:2013/05/02(木) 20:33:06.04 ID:LKrgbDEPo
「・・・・・・。あの、ひょっとして。俺たちって、知り合いなのか?」

聞かずにいられなかった。彼女の顔は、必死になって何かを抑えているようだった。

彼女はうつむくと、

「うん・・・・。」

と、小さく答えた。
10 : ◆Te.96pQiKM [sage]:2013/05/02(木) 20:33:36.17 ID:LKrgbDEPo
「とうま、覚えてない? 私達、学生寮のベランダで出会ったんだよ?」

分からない。

「――――俺、学生寮なんかに住んでたの?」

少女は続けた。

「・・・・・とうま、覚えてない? とうまの右手で私の『歩く教会』が壊れちゃったんだよ?」

何のことか、分からない。

「――――あるくきょうかいって、なに? 歩く教会・・・散歩クラブ?」

少女は続けた。

「・・・・・・・・とうま、覚えてない? とうまは私のために魔術師と戦ってくれたんだよ?」

誰なのか、分からない。

「――――とうまって、誰の名前?」

少女は、続けた。

「とうま、覚えてない?」

少女は、少し間をおいて、尋ねた。

11 : ◆Te.96pQiKM [sage]:2013/05/02(木) 20:34:34.44 ID:LKrgbDEPo






「インデックスは、とうまの事が大好きだったんだよ?」





12 : ◆Te.96pQiKM [sage]:2013/05/02(木) 20:35:19.63 ID:LKrgbDEPo




少年には、それが誰なのか分からなかった。





13 : ◆Te.96pQiKM [sage]:2013/05/02(木) 20:36:24.81 ID:LKrgbDEPo



だから

「ごめん・・・・・。」

と、謝ることしかできなかった。

自分のことが、『とうま』だとは分かった。





しかし、

「インデックスって、何? 『人の名前じゃないだろうから』、俺、犬か猫でも飼ってるの?」
14 : ◆Te.96pQiKM [sage]:2013/05/02(木) 20:37:13.47 ID:LKrgbDEPo
彼女の顔が凍った。

怒りではないと、すぐにわかった。

一瞬、崩れかけた表情。

彼女はそれを、すぐに笑顔になおした。

ボロボロの笑顔。

それを見て、
15 : ◆Te.96pQiKM [sage]:2013/05/02(木) 20:37:46.11 ID:LKrgbDEPo




彼女には、泣いてほしくないと、思った。




16 : ◆Te.96pQiKM [sage]:2013/05/02(木) 20:38:21.44 ID:LKrgbDEPo
それからは、知ってのとおりだ。

俺は、嘘をついた。

さっき聞いた話から、頭をフル回転させて、嘘をついた。

絶対にバレてはいけない。

彼女のために。

絶対に。
17 : ◆Te.96pQiKM [sage]:2013/05/02(木) 20:39:07.57 ID:LKrgbDEPo

「おーい、着いたぞ。」

運転席からの声で目が覚めた。

目的地に着いた。

「一応ここまで来たけど、ロシアにいくんだろ? こっからどうする?」

「あー、何とかします。」

「・・・そうかい。ワケありなんだな。」

「えぇ、まぁ・・・・。」

そういうと、男はこっちに防寒具をくれた。

「そんなんじゃ死んじまう。これを下に着なさい。あとこれも。」

「え、いいんですか?」

「せっかくここまで連れてきて、死なれたらたまらんからな。」

学生服、ズボンの下に防寒着を着て、マフラーと手袋も着けた。

「温かいですね。」

「もちろん、国産品だからな。むしろその服がすげぇだろ。さすがメイドインジャパンだな。」

「あはは・・。」
18 : ◆Te.96pQiKM [sage]:2013/05/02(木) 20:40:18.89 ID:LKrgbDEPo


男の人とはそこで別れた。彼にも守らなければならないものがある。

手を振り見送ると、向きを変えた。

眼前に広がるのは、白銀の世界。

宿敵が待つ、戦場。

『上条当麻』は最初の記憶を、思い出す。

わがままで、食いしん坊で、暴れん坊。

だけど、何よりやさしく、人のことを思う奴が、

誰にも助けを求められずに、苦しんでいる。

迷いは、ない。

覚悟は、ある。

「・・・・まってろよ。」

ただ、一言。

彼は、一歩、踏み出した。





上空には、とある飛行機。



近くには、とある貨物列車。



大切なものを守る戦いが始まった


19 : ◆Te.96pQiKM [sage]:2013/05/02(木) 20:41:33.87 ID:LKrgbDEPo

以上です。

大変短かくすいません

またいつか来ます
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/05/06(月) 19:38:38.06 ID:PoHL8XM0o
いいよいいよ
21 :お送りしますにゃー :2013/05/21(火) 01:11:49.44 ID:PFdE7kks0
22 :1じゃない 歯麻ヅラだ [sage]:2013/06/02(日) 18:00:32.54 ID:28bxMbB60
鈴科百合子「いいねっいいねっさいこうだねっ」
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