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モバP「アイドルたちの奇妙なお話」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/05/20(月) 23:42:26.99 ID:I96lWZFz0
同じ趣旨のスレあるのは知りつつ、自分でも書きたくなったので立てました
ようは「世にも奇妙な物語」っぽい話をモバマスアイドル主役でやってみようというものです

以下注意点

・地の文あり。嫌い・苦手な方はスルーでどうぞ
・鬱展開あり
・本家には程遠いクオリティ。オチのやられた感とか特にないです
・投下が不定期。仕事・他趣味との兼ね合い


今の予定3つ

・ワタシキレイデショウ?
・提供バック
・ウサミン星人になる日

ストーリーテラー:高垣楓

ネタが浮かんでは消えていくので変更あるかも
では以下から早速投下

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1369060946
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君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
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笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713861164/

トーチャーさん「超A級スナイパーが魔王様を狙ってる?」〈ゴルゴ13inひめごう〉 @ 2024/04/23(火) 00:13:09.65 ID:NAWvVgn00
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713798788/

【安価】貴方は女子小学生に転生するようです @ 2024/04/22(月) 21:13:39.04 ID:ghfRO9bho
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ハルヒ「綱島アンカー」梓「2号線」【コンマ判定新鉄・関東】 @ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
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【安価】少女だらけのゾンビパニック @ 2024/04/20(土) 20:42:14.43 ID:wSnpVNpyo
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ぶらじる @ 2024/04/19(金) 19:24:04.53 ID:SNmmhSOho
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713522243/

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/05/20(月) 23:43:18.92 ID:I96lWZFz0
【ワタシキレイデショウ?】


楓「♪」

子猫「ミャア♪ミャオン」

楓「かわいい子猫です。かわいくて仕方がないので、少し意地悪をしてみましょうか。この鏡で」

子猫「??? ミャウ? ミャッ♪」

楓「ふふ、いい反応です。このように子猫の前に鏡を置くと、子猫は鏡に映った自分の姿を不思議そうな顔で眺めるものです」

楓「鏡に映る自分を自分と認識できずにじゃれようとしたり、おどおどしたりする様子に、人は微笑ましいという思いを持ちます」

楓「ああ、微笑ましい。かわいらしい。そう思うのは、子猫の認識が間違っているから」

楓「人はそこに疑問を持ちません。『鏡とは今の自分の姿を映すもの』。その認識が正しい、と信じているのです」

楓「……少々話は変わりますが、本来鏡ではないものが、鏡の役割を果たすことがありますね」

楓「パソコンのディスプレイ、スマホの画面、よく磨かれた床。そして……夜の電車の窓ガラス」

楓「予期せずガラスに映り込んだ自分の姿を見て、一瞬それが自分ではないような感覚を抱いた。そんな経験はないでしょうか」

楓「『姿見』と表現を変えるなら、鏡は私たちの暮らしのあらゆる場面で、密かに私たちを映しており」

楓「むしろ私たちは絶えず『鏡に映されている』。そうとも言えるのかもしれません」

楓「今からご紹介する奇妙な世界は、そんな鏡の幻術に絡め取られた美しいアイドルの物語」

楓「美しさゆえにいっそう際立つ、ある悲劇の形です」

子猫「ミャウン♪」
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/05/20(月) 23:44:42.05 ID:I96lWZFz0
「はいッ今ので今日の撮影は終了ッ! 今日もいい絵たくさんいただきました!」
 
 不必要に意気のいいカメラマンのその一言で、しんと張り詰めていた部屋の空気が一気に緩む。その空気の変化から一呼吸
遅れて、被写体としてレンズを向けられていた彼女はホッとひとつ、安堵の吐息をついた。その弛緩を待っていたようなタイ
ミングで、Pは彼女のもとに駆け寄る。

「久美子、お疲れさん! ほら、水飲むか?」
「あ、P。ふふ、いつも絶妙のタイミングね。ありがと」

 Pからペットボトルのミネラルウォーターを受け取ると、控えめにこくんと一口。だが緊張して喉が渇いていたのだろう。もう
一度ペットボトルに口をつけ、こくんこくんともう一口。脈動する喉のラインは美しく、またどこか扇情的な香りも漂う彼女。

 松山久美子。CGプロ目下売り出し中の新人アイドル。類稀な美貌を持って生まれ、またいつもキレイの探究を忘れない
努力家の彼女は、今回のような水着グラビアもこなす一方、女優や化粧品のCMといった方向でも露出を始めた売れっ子である。

「ねえP。今日の私はどうだったかな。前よりよくなってたと思う?」
「ん? ああ、まあ……そうだなあ……うーんと」
「何? あまりよくなかった? はっきり言ってくれるほうが嬉しいわ」
「いやまあその……とりあえず、まずは着替えようぜ? 久美子」

 撮影用のビキニにパーカー一枚羽織っただけの姿でPに真面目に迫っていたことに気づき、久美子は赤面しながらいそいそ
と着がえに走る。その後ろ姿をPもまた赤面しながら見送った後、ムダに元気なカメラマンやスタッフと今日の撮影について
ひとしきり歓談しながら、久美子の着がえが終わるのを待つことにした。
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/05/20(月) 23:45:37.81 ID:I96lWZFz0
「久美子、今日の撮影、スタッフの人たちみんな褒めてたよ。もちろん俺もよかったと思う」
「あ、本当? 前よりよくなってたかな」
「ああ。やっぱり水着の撮影は、これまで少し表情が固かったんだ。でも今回はかなりいい顔してたと思うよ」
「……へえ。グッときた?」
「グ、グッと!? おわっあぶねっ!」

 二人が乗るワンボックスカーの車体が、一瞬大きく対向車線へとはみ出す。すぐにハンドルを切り返してことなきを得て、
P安堵のため息。「運転中にそういう冗談はやめてくれ」と、力ない怨嗟を呟くのが精いっぱいだ。その情けないぼやきに
久美子は隣で「ごめん」と謝りながらも、その肩を小刻みに震わせている。彼女の中で、Pの動揺っぷりの面白さは命の危
険にも勝るらしかった。

 撮影の仕事の帰りである。アイドルを仕事場から家まで車で送る、というのがプロデューサー業に含まれるのかは定かで
ないが、Pは受け持つアイドルについては誰でもそうしている。律義といえば律義、面倒と言えば面倒な男だ。だがそうさ
れて本気で煙たがるアイドルなどいないのもまた事実で、だからPは担当アイドルの誰からも好かれ、信頼されているらしい。

「外すっかり暗いね。今日は朝からずっと仕事してた気がする」
「気がするじゃなくて実際そうだよ。最近はずっとこんな感じだな」
「……なんか不思議。少し前までは朝からずっとレッスンしてたよね」
「ああ、そうだな。最近はレッスンの時間が減って、仕事詰めだよな。……久美子、疲れてないか?」
「え? いきなりね、どうして?」
「いや、最近まとまった休みもあげれてないしさ。売れ出した今は大事な時だけど、体も大事にしないとってさ」

 舗装された道路の上でもたまに起こるゆるい揺れを心地よく感じながら、久美子はPの親心あふれる台詞に耳を傾けていた。
 心配性。そう文句を言ってやりたい意地悪な心と、ありがとう。素直にそう返したい乙女の気持ち。ないまぜに
なった気持ちを隠すように、久美子は運転席のPにそっぽを向く。目に入るのは車の窓ガラス。そこに映り込む自身の顔。

 前より。昨日より。キレイになれてるかな。鏡を見るたび、久美子はそれを考える。それはまた無意識のうちに、「Pと
出会ってから」という風に変換されていく。一番近くで、毎日のように見てくれる人がいる。キレイになっていく自分を
もっと見てほしい。そのためにキレイになる。いつからか、そう思うようになっていた。

「私は、全然大丈夫。まだまだ頑張れるって感じてるから」

 Pの言葉からかなり間を空けて、久美子は短くそう返す。窓ガラスに揺れる彼女の姿は、長い仕事の疲れなど感じさせない
瑞々しさと活気に溢れていた。
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/05/20(月) 23:46:09.22 ID:I96lWZFz0
「じゃあ久美子。気をつけてな。明日は打ち合わせだから、事務所で」
「はいはい気をつけても何も、もうマンションすぐそこだから。本当心配性なんだから」
「はは、悪い悪い。じゃ、また明日な」
「うん、ありがとうP。また明日ね」

 車に揺られて十数分で、久美子の自宅であるワンルームマンションに到着。過保護気味なPに軽く文句を言いながらも、
素直な感謝を表して車を降り、マンションのエントランスへ。

 ポストをチェック。新聞などはとっていないので、入っているのは大抵どうでもいい広告の類ばかり。今日もその例に
漏れなかったようで、久美子は面倒くさそうにチラシ専用のゴミ箱にまとめてぽいと投げ捨て……ようとした、その時。

 悪寒が走った。

 何か、奇妙なものが見えた。どこに、と言えば、そのゴミ箱の上に設置されている大きな鏡に、である。
 そこに映ったのは、どうでもいい広告を今まさに捨てようとしている女性。もちろん久美子自身である。

 そのはずである。いや、「はず」ではない。久美子以外あり得ない。

 現に、今その鏡に映っているその姿は紛れもなく久美子そのものだ。流れるようなブラウンのストレートヘア。きめ細かく
透けるように繊細で瑞々しい肌。シンメトリーの均整の取れた顔立ち。艶のあるふっくらした唇。きれいを求め、きれいを手
に入れた新人アイドル。松山久美子そのものなのだ。ぱっちりとした黒く大きな瞳が、久美子を見返している。久美子の心の
中を表すような、不安に揺れているような瞳。

「……やっぱり、結構疲れてるのかな」

 鏡に映る自分を見ながら軽く呟く。鏡の久美子は同じように口を動かし、久美子をシャドーイングする。その様子に
納得したようにため息をつき、久美子は広告をぞんざいに丸めて捨てた。
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/05/20(月) 23:46:51.68 ID:I96lWZFz0
 部屋に帰り着いて、ようやく本当の意味でほっと一息。ソファに半ば倒れるように座り込み、今日一日の仕事を思い返す。
 何ができたか。何ができなかったか。進歩しているのか。がっつりとではなくぼんやりと、そんな風にその日の仕事を
回想する。たいがい疲れきってはいるのだが、久美子はこの時間が好きだった。

 充実してるってことだから。そう考えている。疲れきって家に帰ってきても考えてしまうくらいに楽しいし、達成感とか
満足感とか実感できてるってことでしょ。それはとても幸せなことだと、彼女は実感していた。キレイを求め、磨き、それが
確かに結実していっている。それは彼女にとって大きな喜びだった。

「……いけない寝ちゃいそう。最低でもメイクは落とさなきゃ」

 まどろみを感じ、無理矢理身を起こす。化粧をしたまま寝るのは言語道断だ。メイク落としを手にいそいそと洗面台へ。
急ぎ気味だったその足はしかし、徐々に鈍くなっていた。洗面台に近づくにつれて。何か、逡巡するように。

「さっきのあれって、なんだったんだろ」
 脳裏によぎる、エントランスでの奇妙な出来事。
 あの時鏡に映り込んだ、何か。奇怪、と言っても差し支えない、得体の知れない何か。

 それは久美子自身でしかあり得ないはずだった、なのに得体の知れない何か。

「……ちょっと疲れてるだけだよね」
 かすかに寒気さえ感じながらも、メイクを落とさないわけにもいかないという気持ちが勝ったようで、久美子はきりっと
した顔つきで洗面台へと歩き出した。

 洗面台の大きな鏡。意思の固まった久美子はもはや臆することもなく、ずんずんと進んでその前に立ち、真正面から
鏡に向き合う。
 そして露骨に安心。何のことはなく、いつも通りの美しいアイドルがそこに映っていた。

「私、きれい……よね?」
 確認するように一言、そう呟いた。今まで鏡を見ながらこんなナルシストな台詞を吐くことはなかった久美子だが、なぜか
この時、そうせずにはいられなかった。だが答えを返す者のいないその問いかけは、ひどく虚しく空々しく、久美子の中に響いた。
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/05/20(月) 23:47:40.49 ID:I96lWZFz0
「やだ……吹き出物?」
 明くる朝。久美子は朝から洗面台を前に鬱鬱としていた。難しい顔で鏡に映る久美子のおでこには、ひとつ大きく赤いできも
のが見える。
 日ごろのケアは怠っていないし、それは昨日の夜だって同じことだった。おかげで目立つ肌荒れやできものとは久しく無縁
だったのだが、それゆえに久美子のショックは小さくなかった。

「なんかすごく赤いけど、触った感じ腫れてはいないかぁ。これならまあ誤魔化せるけど……」
 なんか変なの。心の中でだけそう付け足した。というのも、鏡の中のおでこにできてしまっている吹き出物は、確かな立体
感を伴っている、ようは腫れて盛り上がっているように久美子には見えていた。しかしそこを触ってみると、特に腫れは
感じない。それに痛みもない。

 「まっ、誤魔化すの楽だしいいんだけどね」
 結局、深くは考えないことにした。吹き出物ができるのも久しぶりなのだ。痛くない吹き出物だってあるだろう。見た目大きいが、
触ってみると意外にボリュームのない巨乳アイドルだってざらにいる。それと同じなのかもしれないと、やや飛んだ理論で久美子
は自身を納得させる。一応他の鏡でも確認してみたが、当然というべきか、おでこに吹き出物をいただいたアイドルが映るだけだった。

「……カバーする技術も学んでいかなきゃいけないしね」
 久美子は前向きな女性である。キレイを売りにする以上肌のトラブルは大きなマイナスだが、上手にカバーしてきれいを
演出できるのならそれもまた、間違いなくきれいへの努力なのだ。久美子はまだまだ若いが、人間は必ず年を取っていく。
誤魔化す、という技術は必ず必要になるものだと、彼女はわかっている。久美子は前向きで、そして現実的な女性だ。

 現実的だから、彼女は信じた。今朝のこの肌荒れという変化は、多分に日常的なリアリティを持っていた。いかに人並み
以上のケアをしていようと、何かきっかけがあれば肌荒れくらいはする。私は肌荒れなんてしませんよ! 私はきれいなので!
というような若さゆえの自信をふりかざすほど、久美子は自信過剰ではなかった。

 比して昨晩のあの出来事は、あまりに非現実的だった。だから彼女はそれを錯覚や疲れの表出として処理し、もう深く考える
ことはなかった。現実的な変化を前にしては、そんな現実感のない出来事など霞んでしまう。そういうものらしかった。
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/05/20(月) 23:48:39.23 ID:I96lWZFz0
ひとまずここまでで。
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2013/05/21(火) 03:09:55.09 ID:MbWmIJ2r0
おつおつ

ちょっと読みづらいかも
もう少しスペース空けてもらえると嬉しい
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