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女「おはようございます、先輩」先輩「……おはよ」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/12(水) 21:08:32.69 ID:ac4gEWd50
名前と地の文をつけて某所に投稿しようと思っていたものを、台詞だけにしてキャラ追加してストーリーを大幅にいじったものです。
三点ほど注意があります。
まず、「先輩」「後輩」という単語が何回も出てきますが、上下関係を示す意味として使う場合はひらがなで書きます。漢字で書かれているものは登場人物の一人です。
次に、性別としての女性を表す場合は「女の子」「女子」という言葉を使っていて、たんに「女」とある場合はすべて主人公のことを指しております。
最後になりますが、このお話は百合物です。

一応完結させていますが、少しずつ投稿していきます。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1371038912
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第五十九回.知ったことのない回26日17時 @ 2024/05/10(金) 09:18:01.97 ID:r6QKpuBn0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1715300281/

ポケモンSS 安価とコンマで目指せポケモンマスター part13 @ 2024/05/09(木) 23:08:00.49 ID:0uP1dlMh0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1715263679/

今際の際際で踊りましょう @ 2024/05/09(木) 22:47:24.61 ID:wmUrmXhL0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1715262444/

誰かの体温と同じになりたかったんです @ 2024/05/09(木) 21:39:23.50 ID:3e68qZdU0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1715258363/

A Day in the Life of Mika 1 @ 2024/05/09(木) 00:00:13.38 ID:/ef1g8CWO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1715180413/

真神煉獄刹 @ 2024/05/08(水) 10:15:05.75 ID:3H4k6c/jo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1715130904/

愛が一層メロウ @ 2024/05/08(水) 03:54:20.22 ID:g+5icL7To
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ハルヒ「最近わたしのss見かけなくなったわね」 @ 2024/05/07(火) 15:04:17.64 ID:FJQjQ6ct0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1715061856/

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/12(水) 21:11:32.11 ID:ac4gEWd50
○梅雨

女「今日は悪い天気ですね」

先輩「悪い天気? 晴れてるけど」

女「晴れてるから、ですよ。梅雨なのに」

先輩「雨好きなの?」

女「梅雨は雨が降らなきゃだめです。私たちは学校行ってるのに何休んでるんだって感じします」

先輩「なるほど」

女「でも濡れるのは好きじゃないなあ」

先輩「そりゃそうだ」

女「私、全部の天気が好きで嫌いで、全部の季節が好きで嫌いなんです」

先輩「ふうん」
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/12(水) 21:13:26.40 ID:ac4gEWd50
女「先輩は?」

先輩「私もそうかな。どれも良いところがあれば悪いところもある」

女「ですよねえ」

先輩「じゃあ学校着いたからこの辺で」

女「また放課後でーす」



友「おっはよー」

委員長「おはよう、女」

女「おはよ」

友「テンション低いね、どしたん」

女「別に」

委員長「不機嫌モード?」
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/12(水) 21:15:01.06 ID:ac4gEWd50
友「こんな晴れてるんだからさー元気出しなって」

女「晴れてるからやなの」

委員長「梅雨だもんねえ」

女「うん」

友「わっかんないよ!」

女「友みたいな人にはわかりっこないもん」

友「あー、あたし怒っていいのこれ」

委員長「だめですよ。許しません」

友「委員長さー、女にばっか甘いからずるいよほんと」

女「幼馴染だもんねえ」

委員長「うん」
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/12(水) 21:16:22.92 ID:ac4gEWd50
友「ぐれてやろっかな」

女「早く雨降んないかな」

友「濡れるから嫌だ。早く夏よこい」

女「夏はさあ、暑くないと夏じゃないよね。暑いの嫌だけど」

友「まあ、そうだな」

委員長「だから梅雨も雨じゃないとってこと」

友「なるほどわからん」

女「雨の中傘も差さずに帰ったらどうなると思う?」

友「濡れる」

委員長「怒られる」

女「だよね。今度やってみたいんだけどなあ」
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/12(水) 21:18:25.89 ID:ac4gEWd50
委員長「先輩と?」

女「先輩と」

友「女子高なのに?」

女「女子高なのに」

友「図書委員なんだっけ」

委員長「そうだよ」

友「なぜお前が答える」

委員長「女のことならよく知ってるから」

女「できたら日記に書くんだ」

友「日記なんて書いてるんだ」

女「二人ともやろうよ」
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/12(水) 21:20:01.04 ID:ac4gEWd50
友「お、交換日記?」

委員長「いいね、やろう」



友「何そわそわしてんの? トイレ?」

女「最低」

友「……ごめんなさい」

委員長「許します」

友「いいんちょー!」

女「もうすぐ、先輩と会えるから」

委員長「好き好きだねえ」

女「委員長、本借りてたでしょ。私が返すよ」

委員長「ほんと? ありがとう」
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/12(水) 21:21:34.18 ID:ac4gEWd50
友「もうすぐさー、期末テストじゃん。勉強教えてよ」

女「いいよ」

友「まじ?」

委員長「じゃあ私の家で」

友「友だちの家行くのって高校生になってはじめてだわ」

女「私が委員長の家に行くのはこの二ヶ月で五回ぐらい」

委員長「私が女の家におじゃましたのはもう、両手じゃ数えられないね」

友「今ちょっと傷ついた。お前らほんと仲いいな」

女「よしよし元気出しな」

友「ちくしょう」

女「じゃあ委員長、本渡しておいて」
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/12(水) 21:23:13.43 ID:ac4gEWd50
委員長「お願いねー」


女「こんにちは、先輩」

先輩「こんにちは」

女「まだ降らないんですかね雨」

先輩「そうらしいね。天気予報でも言ってた」

女「はあ、憂鬱ですねえ」

先輩「晴れてるのにね、おかしい。その本は」

女「委員長……幼馴染の借りてた本です」

先輩「へえ。いるんだったね、幼馴染」

女「その子と、あとは友っていう子といつも一緒にいるんです」

先輩「ふうん、そういえばそろそろ期末テストだったね」
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/12(水) 21:25:02.42 ID:ac4gEWd50
女「そうなんですよー。先輩勉強してますか?」

先輩「進学だからね。がんばってるよ」

女「三年生って大変ですねえ。私も二年後かあ」

女「期末テストなんですけどね、友が一緒に勉強しようって。委員長の家で集まることになりました」

先輩「……そういえば夏がくるね」

女「ですね。夏休みはいつも委員長の家に泊まるんですよ」

先輩「……」

女「どうかしましたか?」

先輩「別に」

女「そうだ、委員長たちと交換日記始めるんです。先輩もどうです?」

先輩「やんない」
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/12(水) 21:26:38.07 ID:ac4gEWd50
女「先輩のこと、書いてもいいですか?」

先輩「いいよ」

女「わーいやったあ! じゃあ、じゃあ、今度雨の日に一緒に帰りましょう」

先輩「わかった。今日は?」

女「今日も帰りましょう。でも日記に書くのは雨の日のことです。そう決めてます」

先輩「ふうん」

女「……」

先輩「……」

女「それ、何読んでます?」

先輩「小説。難しい」

女「うわーほんとだ。よく読めますねえそういうの」
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/12(水) 21:27:43.10 ID:ac4gEWd50
先輩「ぜんぜん理解できないよ。でも、そっちのほうがいい」

女「そういうものですか」

先輩「だってさ、わかんないほうがいいよ」

女「悲しくなりますね」

先輩「やるせないね」

女「先輩、来年の今頃はもう、ここにはいないんですね」

先輩「うん」

女「夏休み」

先輩「?」

女「どこか遊びに行きません? 二人で」

先輩「……いいと、思う」
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/12(水) 21:28:27.65 ID:ac4gEWd50
いったん投稿終了です。
14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/06/13(木) 01:50:48.63 ID:j/7gASNyo
百合に釣られたけど…あんまり萌えない…
会話がロボットみたい。もうちょっと音っぽい会話を書いてほしいな

あと、
>「先輩」「後輩」という単語が何回も出てきますが〜
このあたりがよくわからない。
3の「先輩は?」や6の「先輩と?」なんかは名前呼びしてるの?
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/06/13(木) 14:36:39.79 ID:28IK5dTi0
>>14
音っぽい会話、ですか。その辺りがよくわからないからこそ、ロボットのような会話しか書けないのだろうと反省しております。
書き上げたものを見返してみると、たしかに淡々としすぎていました。ただやっぱり、どうすればいいかわかりません。
百合と書いたわりには普通に想像されるような展開はないので、そこは申し訳なく思っています。

呼び方に関してはそれであっています。私が最初に書いたために余計混乱させてしまいました。
基本的に会話で出てくる「先輩」は「○○さん」としてしか使われておらず、「せんぱい」と書いたときにだけ本来の「先輩」という意味となります。ややこしいですね。
また敬称をつけることはありません。これも混乱させてしまった原因なのでしょう。上でも書きましたように「○○さん」のかわりとして「先輩」という言葉を使っているからなのですが、いっそ名前をつけてしまったほうがわかりやすかったでしょう……。

そういうわけで「さん」とか「ちゃん」という言葉も一切なく、これから先もただ淡々としたなんの面白みも萌えもないお話が続きます。
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/06/13(木) 15:11:58.45 ID:U8xIvTdeo
わかりやすい萌えが嫌いなのでこのくらいの方が好き
ちょっと鼻につく部分もあるけど続きが気になる
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/06/13(木) 15:12:47.61 ID:U8xIvTdeo
わかりやすい萌えが嫌いなのでこのくらいの方が好き
ちょっと鼻につく部分もあるけど続きが気になる
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/13(木) 21:06:33.88 ID:28IK5dTi0
 別の日

友「ここが委員長の部屋かー!」

女「ゆっくりしていって」

友「なんでお前がそれを言うし」

委員長「半分、女の部屋だからねえ」

友「で、先輩ってさー、ぶっちゃけどうなの?」

委員長「女と逆みたいな人かなあ」

友「明るくておしゃべり?」

委員長「女以外にはそう。女といると、おとなしくなる」

女「あー、やっぱ先輩、私以外にはそうなんだ」

委員長「女だってそうじゃん」
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/13(木) 21:07:53.02 ID:28IK5dTi0
友「え、何それ」

委員長「女は先輩にだけは、元気な女の子してるの。だから先輩とは逆な人」

友「まじそれ、本気? 知らなかったんだけど。ショックなんだけど!」

委員長「まあ私と二人なときもわりと元気だけどね」

友「……泣いていい?」

委員長「だめ」

女「だってさあ、先輩に合わせようと思って明るく振舞って、疲れちゃうんだもん。友とかには別に、てきとうでもいっかなあって」

友「普通そういうこと本人の前で言うか!」

女「どうせ許してくれるんでしょ?」

友「まあ、別にいいけどさ」

女「だから気楽なわけ。先輩とは、会える時間もそんなにないし、いい印象持っててほしくて」
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/13(木) 21:09:29.96 ID:28IK5dTi0
委員長「女の子だねえ」

友「女の子って面倒だよな、あたしも女の子だけど」

友「ま、それはいいとして。ここ教えて」

委員長「いいよー」

女「あーだるいー」

友「もうお前何しに来たんだよ!」

女「遊びに」

委員長「これで女は中学のとき学年でも上位の成績なのです」

友「まじで」

女「まじ」

友「このやろう」
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/13(木) 21:10:48.20 ID:28IK5dTi0
女「ねえ何か本貸して? 漫画でも小説でもいいから」

委員長「女の子同士のものでも?」

女「いいよ」

友「いいのかよ! ていうか持ってるのかよ!」

女「口より手を動かしなよ」

友「かーっ、すっげー腹立つ」

委員長「テストで見返そう!」

友「いいなそれ。見てろよ?」

女「こうして友にモチベーションを与えるのが私の役目なのであった」

友「こいつ!」

女「……」
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/13(木) 21:11:58.97 ID:28IK5dTi0
友「……」

委員長「……」

女「うわ、うわー」

委員長「なになに?」

女「ちょっと過激じゃありませんかねこれ」

委員長「そうかなあ、普通だと思うけど」

女「へえ」

委員長「ドキドキする?」

女「するねえ」

友「……」

女「やっぱさ、いろいろ、難しいね」
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/13(木) 21:13:24.21 ID:28IK5dTi0
委員長「そうだね」

女「でもさ、好きなんだからしょうがないよ。先輩の代わりなんているわけないし」

友「……」

女「よし!」

友「あーもう、ちったあ静かにできないのか!」

女「友、今年の夏休み、ここに泊まりにきなよ!」

委員長「いいねえ」

友「なぜお前がそれを言う」

女「半分私の部屋みたいなものですから」

友「そういうキャラなのね先輩には」

女「友がかわいそうだから、もうちょっと私のこと知ってもらおうと思って」

友「その優しさも悲しいわけだが」
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/13(木) 21:15:00.91 ID:28IK5dTi0
委員長「お泊まり、楽しみだね」

友「まあな」

女「でさ、前に交換日記するって言ってたけど、誰からする?」

友「決めてなかったのかよ……」

委員長「実は私が一日分書いてきたのでした」

女「おー、準備いいね」

委員長「次は友!」

友「言いだしっぺが最後か。まいいや。てきとうでいいんでしょ?」

女「二人の日記見るの楽しみだなー」

友「あたし、別に作文得意じゃないし。あんま期待しないでよ」

女「前の人のにコメントも書こうよ」

友「うえー」

委員長「はやく回ってこないかなあ」
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/13(木) 21:16:47.65 ID:28IK5dTi0
六月_日(_曜日)晴れ
委員長

 記念すべき一ページ目は私が書きます。なんだか緊張するね。こういうの、やったことないんだあ。
 えと、こういう無駄な言葉とかも書いちゃっていいよね、うん。
 そうだ。友は今度はじめてうちに来るんだし、せっかくなのでここで家族を紹介します。勉強しに来たときに言えなかったし。
 私の家は三人家族です。お父さんとお母さんと私。
 お母さんは料理が上手で、女はいっつもおいしいおいしいって言ってくれます。だからお母さん、女が来るの楽しみにしてるんだよ。
 お父さんは女のこと、もう一人の娘みたいに見てます。まあ私と女はいつも一緒だったから、姉妹みたいなものなんでしょうね。
 とにかく、みんな優しいので楽しみにしててね。
 あ、これだけは言っておくけど、ちゃんと夏休みの宿題は持ってくること。
 遊ぶだけじゃなくって、宿題をきちんと終わらせることも目的だから。女もだからね?
 宿題を忘れるなんて私が認めません。
 あとゲームとか漫画とかも持ってきたほうがいいよ。趣味合わなかったら大変だし。
 私たちの昔話とかは、さすがに長くて書ききれないので直接教えます。それも楽しみにね?
 あとは何書こうかな。
 うーん、最初だしこのくらいでいいかな。それじゃあ友、次はよろしく。
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/13(木) 21:17:43.24 ID:28IK5dTi0


 字、きれいだね。正直うらやましい。書道とかやってた?
 文の頭を一マスあけててなんじゃこりゃって思ったけど、そか、これ作文のアレなんだね。ふーん、字数かせぎにちょうどいいね。
 読書感想文があったら使わせてもらおう。って、使わなきゃだめかふつう。
 このコメント、どのぐらい長ければいいんだ? 一行でもいいよね、それじゃかわいそうだからやんないけど。
 家族の紹介ありがとう。まあ委員長の家族なんだしいい人に決まってるだろうけど、ちょっと安心した。
 あたしもちょっとは自分のこと知っててほしいし、その日は昔の写真を持ってくよ。じゃあね。
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/13(木) 21:19:23.99 ID:28IK5dTi0
六月_日(_曜日)くもり

 大変なことに気づいた。
 これこのままだとあたしが女のに、女は委員長のに、委員長はあたしのにコメントする機会がない。
 直接言えばよかったんだけど、それじゃここに書く話題ないからさ。この問題はあとの二入に任せた。
 これで終わり、は、ちょっとそっけなさすぎるよね。
 女にいいしらせがある。明日からまた雨が降るらしい。ちゃんと放課後になっても降ってるかはしらないけど、欺待していいんじゃないかな?
 女の記念すべき一回目に先輩のことが書けるなんてよかったじゃないか。
 ただし、もしも雨が降らなかったからってあたしのせいにするんじゃないぞ。しったことか。
 もう少し何か書こうかな。
 そうだ。ゲームの話なんだけど。あたしあれ得意だよ。四つくっつけたら消えるやつ。五連鎖できるんだぜ、どうだ。
 今度ぼっこぼこにするから待っておくといい。
 最後に女。
 今日のこの日記には一つだけ間違った漢字を仕込んでおいた。あてられるものならあててみろ!
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/13(木) 21:20:30.62 ID:28IK5dTi0


 へえ、友もあのゲームするんだ。実は私と委員長もするんだよね。
 ちなみに二人とも十三連鎖できます。ぼこぼこにされるのが今から楽しみです。
 それから、間違った漢字は見つけました。
 「人」と「入」だよね。それから「期」と「欺」も含めて二つも間違ってるよ。あとで消されないようボールペンで上書きしておきました。
 委員長、このことは友の手にこれが渡るまで内緒だよ。そして思いっきり笑ってやろう。
 友、他人を欺こうとしたらツキがまわってこないよ?
 なんちゃって。これで漢字覚えたよね。今度から間違えないように!
 先輩とのこと、心配してくれてありがと。
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/13(木) 21:21:45.58 ID:28IK5dTi0
先輩「何書いてるの?」

女「交換日記です」

先輩「あー、やるとか言ってたね。見ちゃだめ?」

女「まだ始まったばっかですし、あんまり見てほしくない、かも」

先輩「そ」

女「……」

先輩「雨、降ってるね」

女「梅雨ですから」

先輩「昨日までの天気が嘘みたい。天気予報なんてずっと傘マークついてたよ」

女「ですねえ」

先輩「よかったね」
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/13(木) 21:22:52.16 ID:28IK5dTi0
女「でも、降ったら降ったで嫌ですね」

先輩「ほんと」

女「……」

先輩「静かだね、今日は」

女「そうですか?」

先輩「うん」

女「……」

先輩「……あのさ、今日一緒に帰らない? 傘忘れちゃって」

女「私も忘れちゃいました、傘」

先輩「いいかもね、たまには雨にうたれるのも」

女「まじですか」
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/13(木) 21:24:12.27 ID:28IK5dTi0
先輩「だって日記に書くんでしょ?」

女「私、もう一着制服持ってるんです」

先輩「私も。じゃ安心だね」

女「かばん置いていきましょう。で、明日一番早く登校して」

先輩「なんかわくわくするね」

女「しますします」

先輩「帰ろっか」

女「はーい!」
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/13(木) 21:26:05.97 ID:28IK5dTi0
六月_日(_曜日)雨


 今日は先輩と手をつないで帰ったよ。雨の中。
 雨ってきもちいね。先輩の手は柔らかかったし。濡れた先輩はすごくかわいかった。ドキドキしたよ。
 もう梅雨はいいや。早く夏になればいいのになあ。



委員長

 風邪をひかなくて安心したよ。
 友の件はわかった。でも笑いをこらえるのは大変そうだよ。
 なにせあのゲームで私たちをけちょんけちょんにしてくれるらしいし。これ書きながらにやにやしちゃう。
 それじゃ友、楽しみにしてるからねー!
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/13(木) 21:26:55.34 ID:28IK5dTi0
友「これまじ? ちょっ、消えないんだけどこれー!」

友「まじにボールペンじゃないかちくしょう女のやつ!」

友「いやああああ、あの笑いはこういう意味だったのかよ! 教えてくれよ!!」

友「くそっ、このー。消えろよ! やだああああああ」

友「……国語勉強しよ」
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/06/13(木) 21:29:46.05 ID:28IK5dTi0
いったん投稿終了です。
この日記みたいなのは読みにくいと思いますが、なんとなくやってみたかったものです。
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/06/14(金) 01:35:20.03 ID:Ms4hqbhDO
素敵やん
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/06/14(金) 02:49:15.41 ID:4ECRUPcco
読点多用だから読み難いのかも。あと、倒置法の多用も気になるかな
半音に出来る文字はぁぃぅぇぉ使うとか、三点リーダとかもうちょっと使ってみては?
まぁ好みだと思うけどね…
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/06/14(金) 17:16:58.98 ID:TDkwgi1bo
あんま気にならねーけど。
友がかわいいわ
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/06/14(金) 20:21:01.39 ID:CuiITjkL0
>>36
読点の多さは自分でも気になっていた。やはり減らしたほうがいいですよね。
「ぁぃぅぇぉ」はあまり好きではないのですが、普通に「ー」を使えばよかったかもしれません。
倒置法の多さは自分では気づくことができませんでした。指摘していただきありがとうございます。
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/14(金) 21:24:14.95 ID:CuiITjkL0
○夏

友「ああ、この波の音。あの青い空! 夏だー海だー!」

女「そうだね」

委員長「波の音って心地いいよね。それにこの部屋涼しいし」

友「ってなんでやねーん! ちくしょー、なんで夏なのに海に行かないんだよ。しかも」

友「クーラーきかせた部屋で波の音入ってるだけのCD流すって。そんなんで夏気分味わおうをするな」

女「だって外暑いし」

友「夏は暑いから夏なんじゃないのか!」

委員長「それとこれとはー」

女「べつ」

委員長「この音癒されるねえ」
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/14(金) 21:25:16.73 ID:CuiITjkL0
友「お泊まり会っつうからもっと楽しいものかと思ってたけど、だらだら過ごしてるだけじゃん」

女「そういうもんでしょ」

委員長「そういうものだよねえ」

友「ひまだー!」

女「じゃあゲームしようよ」

委員長「あれしよう、友が私たちを負かせてくれるやつ」

友「うぇっ、まだ覚えてるのかよ……」

女「負けるのが怖いんだ。あんだけ余裕そうな態度だったのに」

友「む」

委員長「やめなよ女。友だって私たちの実力を知ってればあんな無謀なことは書かなかったよ」

友「ちょっと待て。私が一ヶ月以上前のままでいると思うなよ? 進化した私を見せてやる!」
41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/14(金) 21:26:10.87 ID:CuiITjkL0
女「のぞむところだ」

友「……」

女「……」

友「あ、おいじゃまするなよ」

女「そういうゲームですから」

友「……」

女「……」

友「おい、返してくるなよ!」

委員長「……」

友「ちくしょう勝てない」

女「話にならないね」
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/14(金) 21:27:12.70 ID:CuiITjkL0
友「終わり! もうやだ! なーどっか行こうよ」

委員長「どっかって?」

友「どこか」

委員長「もっと具体的に」

友「目的なく歩く」

女「暑いから却下」

友「雨の中ずぶ濡れで歩いたんだろー? だったら暑い中でも余裕だって」

女「やだよう」

友「こいつ、背高くてきれいなのになんで性格はこんななんだ」

委員長「昔からだからねえ」

友「よくつきあってこれたな……」
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/14(金) 21:28:11.98 ID:CuiITjkL0
女「お隣だもん」

友「じゃあ女の家に行こう」

女「だーめっ」

委員長「散歩しようか」

女「いいよ」

友「……なんなのこの差」



友「あっついー」

女「だからやだって言ったのに」

委員長「日焼け対策ばっちり!」

友「委員長が日傘差してるとお嬢様っぽいな」
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/14(金) 21:29:10.77 ID:CuiITjkL0
委員長「うふふ」

友「そうそうそんな感じ」

女「わかる」

友「ね。あたしらには似合わないもん」

女「友はこんな日も普通に走り回ってそう。あ、これ褒めてるから」

委員長「女は汗一つかかなそう」

女「だらだらだよ」

友「だらだら?」

女「うん」

先輩「……あっ」

女「あっ……」
45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/14(金) 21:30:11.81 ID:CuiITjkL0
友「え?」

委員長「先輩だよ、ほら」

友「へえこの人が」

女「こんにちは先輩、奇遇ですね!」

友「うわキャラ違う」

先輩「……こんにちは」

委員長「私は委員長でこっちが友です」

先輩「どうも」

友「ども」

女「先輩はどちらに?」

先輩「ちょっと出かけようと思って」
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/14(金) 21:31:14.88 ID:CuiITjkL0
女「もしよかったら一緒に散歩しません?」

先輩「え、それは……」

友「なあ見られてるぞ。あたしたちじゃまか?」

委員長「数は多いほど楽しいですよ。どうぞお気になさらず」

先輩「……じゃあ、いいよ」

女「やったー!」

友「うわー女のテンションが……。なんか見ちゃいけないもの見てる感じ」



先輩「どこに向かっているの?」

女「さあ、適当ですよ」

先輩「そうなんだ。へえ」
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/14(金) 21:32:15.00 ID:CuiITjkL0
委員長「先輩はどこへ出かけるつもりだったんですか?」

先輩「いや、その。暇だったから散歩しようと思って」

友「あたしらと一緒だ」

女「だー!」

友「……やりにく」

委員長「じゃあてきとうなとこまで行っててきとうに帰ろうか」

女「いいねてきとう。ってあれ、先輩が友と話してる」

委員長「嫉妬する?」

女「んー別に。じゃましちゃ悪いよね」



先輩「ちぇっ」
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/14(金) 21:33:13.77 ID:CuiITjkL0
友「いやー女の相手よくしてられますね」

先輩「いつもだし。というかやっぱ他の人と話すときは静かなんだ」

友「先輩は逆らしいじゃないですか」

先輩「ばれてるんだ……」

友「そりゃばれますって。ていうか普通に今みたいに話せばいいのに。そのほうが見た目に合ってますよ」

先輩「だってさ、しょうがないじゃん。ギャップ萌えっての狙ってるんだから」

友「女もそうなのかなー」

先輩「ところであの二人どういう関係?」

友「幼馴染らしいっすよ」

先輩「そうじゃなくて。もしかしてできてる?」

友「男子高校生ですかあなたは! 別に、そんな風には見えませんけど」
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/14(金) 21:34:23.78 ID:CuiITjkL0
先輩「そうだよねそうだよね」

友「古い付き合いらしいっすからね」

先輩「へえ」

友「いってもあたしなんて出会って四ヶ月も経ってないですから。そこまで深くは知りません」

先輩「……私三ヶ月ちょっと。負けた」

友「知るかっ!」

先輩「私さあ、どうしたらいいんだろ」

友「先輩は女のことどう思ってるんですか?」

先輩「好き、だけどさ」

友「そういう意味で?」

先輩「うん。女から何か聞いてない?」
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/14(金) 21:35:14.35 ID:CuiITjkL0
友「言いません。先輩のことも女には言いません」

先輩「ほう。いい子だね」

友「それだけがとりえですから。今度、家に誘ってみては?」

先輩「ふうむ考えておくよ。ありがとう」

友「いえいえ」

先輩「難しいなあ」

友「そりゃ女の子同士ですからね。うち女子高ですけどそんな話なんてまったく聞かないし」

先輩「普通隠したがるもんねえ」

友「でもあたし応援してますよ。女は友だちですし」

先輩「お、頼りになるね。アドレス交換しようよ」

友「いいですよー」

先輩「……じゃあそろそろ帰ろうかな」
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/14(金) 21:36:20.47 ID:CuiITjkL0
友「女とは話さないんですか?」

先輩「だって正直ちょっといにくいし。どうせ家に来てもらうから今日はいいや」



先輩「じゃあね、三人とも」

委員長「さようなら」

友「またでーす」

女「さよーならー!」

女「で、何を話してたの?」

委員長「あててみましょう。ずばり内緒です」

友「正解」

女「ひどい」

友「まあ言える範囲のことは日記に書いておくから期待しておきなさい」

女「期待、してますからね」

友「そこ強調すんなし」
52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/14(金) 21:37:09.17 ID:CuiITjkL0
八月_日(_曜日)晴れ


 先輩のメールアドレスをゲットした。
 あの人けっこう気さくに話してくれるんだね。まるで先輩と話しているときの女のよう!
 女だったらなんか違和感あるけど、先輩なら普通に話せるかな。女は今のままでいてくれ。
 これから先輩と仲良くなってやるよ。あ、でも安心しな。あたしにそっちの趣味はない。
 話は変わるけど、二人ともあのゲーム強すぎ。やっぱ頭のよさとか関係あるのかな?
 絶対リベンジしてやるから覚悟しとけな。
 とここまで書いたけど、委員長の家にみんな泊まってるんだから書く意味なくないか?
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/14(金) 21:38:05.09 ID:CuiITjkL0
委員長

 こうして紙に書くのと声にするのとではだいぶ違うんじゃないかな。
 だって友、先輩との話は日記に書くって言ったときにやついてたもん。
 隠し事してあとからばらすのってけっこう楽しいのかもね。
 言いたいけど言えないってときの感覚って不思議だよね。だから片思いってドキドキするのかな。
 ね、どう思う?
 ちなみにあのゲーム、頭のよさはあんまり関係ないみたい。
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/14(金) 21:39:08.13 ID:CuiITjkL0
委員長「こんにちは」

先輩「こんにちは。本の返却? こんな日なのに珍しいね」

委員長「出校日の放課後ですもんね。やっぱりぜんぜん人がいないです」

先輩「私としては楽でいいけどね」

委員長「あとどのくらい開いてますか?」

先輩「三十分ぐらいかな」

委員長「じゃあ少しお話ししましょう」

先輩「いいけど……」

委員長「……」

先輩「あのさきみ、委員長、女とはどういう関係?」

委員長「気になります?」
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/14(金) 21:40:10.63 ID:CuiITjkL0
先輩「まあ、ね」

委員長「女とは幼馴染です。家が隣なんですよ」

先輩「それだけ?」

委員長「それだけとは」

先輩「ないならいいけどさ」

委員長「あ、でも私の好きな人って女なんです」

先輩「っ!」

先輩「へ、へえそうなんだ」

委員長「はい」

先輩「それはその、どういう意味で?」

委員長「ご想像にお任せします」
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/14(金) 21:41:09.70 ID:CuiITjkL0
先輩「むむ。じゃあ私の都合がいいほうにとらえるよ」

委員長「ご自由に」

先輩「女ってさあ、昔はどんな子だったの?」

委員長「友に対する女と先輩に対する女の中間ぐらいの性格でしたね」

先輩「バランスよさそう……」

委員長「先輩はどうして女と喋るときはおとなしいんですか?」

先輩「ギャップ萌えを狙ってたり」

委員長「難しそうな小説を読んでいるのも?」

先輩「それも少しある」

委員長「ふふっ。女に言ってみたらどうですか、好きだって」

先輩「どうせ私は三月に卒業する。つきあえたって悲しくなるだけだよ」

先輩「だから女も遠慮してる、と思う」

委員長「そうでしょうか」
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/14(金) 21:42:20.73 ID:CuiITjkL0
先輩「どの道離れ離れになるんなら、片思いってことにしておいたほうがいい思い出になるさ」

委員長「言わないほうがいいことってありますもんね。ドキドキしますし」

先輩「おっ、わかってるじゃん」

委員長「……でも、寂しいですね」

先輩「まあね。いつか笑い話にできるさ。女に面と向かって『実は昔お前のことが好きだったんだ』なんて」

委員長「私はたぶん笑えないと思います」

先輩「……お互い、大変だね」

委員長「私は女には笑っていてほしい。せめて高校生のうちは、ただ悲しいだけの別れをさせたくありません」

委員長「おせっかいかもしれませんけど二人のこと全力で応援しますから。ちゃんと向き合ってください」

先輩「……善処はするよ。そろそろ閉めるから出よう」

委員長「はい。さようなら」

先輩「今日はいろいろ話せて楽しかったよ。ありがとう」
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/14(金) 21:43:34.16 ID:CuiITjkL0
八月_日(_曜日)晴れ
委員長

 今日は二人に先に帰ってもらったよね。あのあと図書室に行ったの。先輩と会った。
 いろいろ話したけれど、思っていたより話しにくい人じゃなかったね。
 大変なんだね、みんな。私もこれでけっこう大変です。
 私は女と先輩のこと応援してるからね。
 夏休みも半分を過ぎようとしているけれど、二人は宿題終わった? 私は終わりました。
 これからどうやって残りの休みを過ごそうかな。
 またうちに遊びに来てね。
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/14(金) 21:44:13.93 ID:CuiITjkL0


 宿題終わらせるの早いね。私はもう少しかな。
 委員長の家もいいけど、友の家にも行ってみたいよね。なんかいろいろすごそう。
 そっか、先輩と話したんだ。まあ詳しいことは聞かないよ。どうせ教えてくれないだろうし。
 いいさ。今度先輩の家に遊びに行くことになったから。ふふん、向こうから誘ってくれたんだよ。
 今から楽しみ!
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/14(金) 21:45:11.83 ID:CuiITjkL0
女「おじゃましまーす」

先輩「どうぞ。私の部屋はこっち」

女「緊張しますね」

先輩「実は私も、けっこう緊張してる」

女「わあ。ここが先輩のお部屋ですか。いいですね」

先輩「ありがと」

後輩「あの、こんにちは!」

女「え……こちらは?」

先輩「あー私の妹の」

後輩「後輩です。来年お姉ちゃんの高校に入学する予定です」

女「へえ……。よろしくね」
61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/14(金) 21:46:12.81 ID:CuiITjkL0
後輩「よろしくお願いします! 挨拶だけしたかったので私はこれでっ!」

先輩「ちゃんと閉めていきなよ」

後輩「はーい」

女「……私の、一つ下かあ」

先輩「私からもよろしく頼む。あれでけっこう恥ずかしがりなんだ。だからさっさと逃げてった」

女「かわいいですね」

先輩「自慢の妹だ」

女「本、たくさんありますね」

先輩「難しそうなのばっかでしょ?」

女「どのくらい読んでます?」

先輩「半分ないくらい。しかもぜんぜん理解できないよ」
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/14(金) 21:47:13.69 ID:CuiITjkL0
女「ですよねえ」

先輩「ほんっと難しい。文字読むの苦手なのかも」

女「図書委員なのに?」

先輩「そ。しかも三年連続なのに」

女「おかしいですね」

先輩「……夏休みもさあ、そろそろ終わりだね」

女「はい」

先輩「そしたらさ、勉強も超がんばって、試験受けにいって。結果がどうあろうと三月には卒業」

女「もう、半年しかないですね」

先輩「休日とか除いたら……」

女「寂しくなります」
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/14(金) 21:48:11.89 ID:CuiITjkL0
先輩「四月からは妹のことよろしく」

女「……」

先輩「なんか今日、喋らないね」

女「先輩はよく喋りますね」

先輩「なんかさ、寂しいんだよ。だからもっと女と話していたいなって思って」

女「私も寂しいです。だけど話したいことがありすぎて何を話せばいいのかわかりません」

先輩「いつもと逆だ」

女「ですね」

先輩「よーしじゃあ何して遊ぼうか。そだ、あのゲームしよう。私超強いよ。十連鎖とかできるし」

女「いいですね。力の差を見せてほしいです」
64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/14(金) 21:49:12.93 ID:CuiITjkL0


先輩「つよっ。女って上級者?」

女「ネットでは私ぐらいが初級者って扱いらしいですよ」

先輩「こわい」

女「妹とされてるんですか?」

先輩「そうそう。ちょっと呼んでくるよ」

先輩「おーい妹!」

後輩「呼んだ? あ、女せんぱい」

女「せんぱい?」

後輩「はい。来年から私もそこなので、女せんぱいって呼びます。いいですよね」

女「いいけど、じゃあ私は普通に後輩って呼ぶね」

後輩「……なんだか照れます」
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/14(金) 21:50:19.95 ID:CuiITjkL0
先輩「む。こらそこ!」

女「は、はい」

先輩「妹はもう帰りなさい」

後輩「えーお姉ちゃんが呼んだから来たのに」

先輩「お姉ちゃんの言うこと聞くの!」

後輩「ちぇ」

女「あ、あの。ちょっと三人で写真撮ってもいいですか? 友や委員長に送りたいので」

後輩「いいですよ!」

先輩「……まあ女の頼みなら」

女「じゃいきますよ。……ほいっと」

後輩「それでは女せんぱい、来年からよろしくお願いします!」
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/14(金) 21:51:09.75 ID:CuiITjkL0
女「こちらこそ」

先輩「……」

女「……怒ってます?」

先輩「別に。怒ってないもん」

女「あはは……」

先輩「よし、今日は朝まで寝かせないから」

女「泊まっていいんですか?」

先輩「女がよければ」

女「じゃあ親に連絡しときます」

先輩「このゲームで女を絶対に倒す!」

女「ふふん、やってみてください」
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/14(金) 21:52:24.69 ID:CuiITjkL0
八月_日(_曜日) 晴れ


 写真見た? 私と先輩と、先輩の妹だよ。後輩っていうんだって。
 来年うちに入学するらしい。合格したらだけど。女せんぱい、なんて呼ばれちゃった。
 先輩は写真にうつるのが嫌いなのか、ちょっと怒っていました。こんなにかわいいのにね。
 家で何をしていたかというとあのゲーム。お泊まりして朝までずっとやってたんだ。すごく楽しかったよ!
 もうすぐ二学期が始まるね。夏の終わりってなんだか切なくなるね。
 体育祭があって中間テストがあって文化祭があって期末テストがあって、なんだかあっという間に冬になってしまいそうでこわい。
 私たちがここに入学してから、もう少しで半年が過ぎようとしているんだね。もう、私たちが一年生でいられるのは半年しかないんだね。
 そう考えるとなんだか寂しい気持ちになります。
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/06/14(金) 21:53:32.34 ID:CuiITjkL0


 後輩かー、たしかに先輩とちょっと似てるとこあるね。いい子そうだ。
 あたしも先輩とのメールのやり取りで妹がいるってのは知ってたんだけど、見たのははじめて。実際に会ってみたいな。
 今度先輩の家におじゃましちゃおうかな。
 それとさ、女。こんなことあたしが言うのもなんだけどさ。
 先輩とのこと、はっきりさせたほうがいいと思う。
 お前が怖いのもさみしいのも全部、来年には先輩と別れるからだろ。
 私たちと別れるときに自分がどんな顔してるか、知ってるか? そうやってずっとおびえてたってだめだ。
 あたしらがついてるから安心しなって。
 なーんて、おせっかいだよな。面と向かっては言えないからここを使わせてもらう。
 あたしらに返事しなくていいし先輩とどうなったかの報告もいらない。
 決めるのはお前だぜ。
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/06/14(金) 21:55:59.61 ID:CuiITjkL0
ここまでで半分です。残り半分は遅くても明後日中に。
しかしここから先は「お前何言ってるんだ」状態になってあれなので、sageでの投稿となります。
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/06/14(金) 23:21:00.62 ID:yWkId3hlo
お前何言ってるんだ状態、全然OKだと思うけど。
頑張ってな
71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/06/15(土) 01:08:10.86 ID:2f+Y8mrbo
おつおつ
いいじゃーんすごく良いかんじじゃーん
72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/06/15(土) 01:42:19.14 ID:lmOYC7TDo

読点減ったようなすごい読み易くなった
となると先輩が可愛く見えてきたわww
73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/06/15(土) 15:37:29.03 ID:SjPx27Ml0
○秋

女「先輩のところは文化祭何するんですか?」

先輩「歌って踊る」

女「アイドルですか」

先輩「……というのは冗談」

女「ですよね」

先輩「劇するとか。引退した元演劇部がはりきってた。これが最後だからって」

女「……先輩は主役ですか」

先輩「脇役も脇役。たぶん見たって気づかないよ」

女「残念です」

先輩「女のとこは?」
74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/06/15(土) 15:38:29.97 ID:SjPx27Ml0
女「メイドカフェです」

先輩「お」

女「女子しかいない学校でメイドカフェってどうなんですかね」

先輩「女子しかいないからこそなのかもよ。男の子がいたら絶対できないもん」

女「あーあ。委員長ならともかく私や友なんて似合いませんよね」

先輩「そんなことないよ。女はできるメイドって感じするもん。友は普通に人気出そう」

女「先輩、来てくれますか? サービスしますよ」

先輩「本番前の練習抜け出してでも行くよ」

女「それはみんな困ります」

先輩「あはは。三割冗談だよ」

女「七割本気ですか」
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/06/15(土) 15:39:17.94 ID:SjPx27Ml0
先輩「そ」

女「先輩あの」

先輩「ん?」

女「あの……絶対来てくださいね」

先輩「ああ、行くよ。何せ最後だから」

女「……」

先輩「女もちゃんと見てね。私はただの脇役だけどさ。みんなしてがんばってるから」

女「最後だから、ですか」

先輩「うん」

女「どうして、どうしてそんなこと普通に言えるんですか? 寂しくないんですか?」

女「……私は寂しいです」
76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/06/15(土) 15:40:17.73 ID:SjPx27Ml0
先輩「みんなそうさ。でも割り切ってる。そういうもんだって思ってる」

女「先輩も?」

先輩「もちろん」

女「うそですよね」

先輩「私がどう思おうとその間ずっと時間は進んでる。受け入れるしかないよ」

女「私にはできません」

先輩「女だって、あと二年もすればわかる」

女「……帰ります」

先輩「そ……。気をつけてね。文化祭楽しみにしてるから」

女「はい。さよなら」

先輩「またね」

先輩「……はあ。いっそ嫌ってくれればいいのに」

先輩「私だって、嫌だよ」
77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/06/15(土) 15:41:18.56 ID:SjPx27Ml0
十月_日(_曜日) 雨


 雨って嫌だね。文化祭は晴れるといいね。天気予報だと大丈夫らしいけど。
 今日ね、先輩にメイドカフェするって話をしたよ。絶対来てくれるって。
 委員長は似合うけど私と友はどうだろうって言ったら、みんな似合うって言ってくれた。嬉しい。
 先輩たちのクラスは劇をするらしくて先輩は脇役だそうです。
 二人とも見に行こうね。
 ところでさ、二年後の自分って想像できる?
 私はできない。一年後すら無理だよ。
 昨日の私と今日の私は似たようなことを考えていて、一昨日の私と昨日の私もそうで、そうやってずっとつながってるって思ってた。
 でもね、今の自分が一年後や二年後の自分につながっているとは思えないの。だからぜんぜん想像できない。
 二年も経てばいろんなこと割り切れるようになるのかなあ。
 だとしたらちょっと、寂しいね。
78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/06/15(土) 15:42:49.42 ID:SjPx27Ml0
委員長

 私にもわからないよ。でも二年経とうが十年経とうが、私と女が幼馴染っていうのは変わらない。
 友も含めた私たち三人の関係もそんなに変わらないと思う。今より仲良しにはなってるかもしれないけど。
 あのね、先輩とどういう話をしたのかはわからないけれど、世の中って割り切れないことだらけらしいよ。
 先生たちが私たちに聞かせる話の大半は割り切れなかったことの一部ばっかり。
 この交換日記だってそう。ここには私たち、直接口には出せない「余り」をたくさん書いてるの。
 女も先輩も、同性なのに好きになって。たぶんそれは、いつまで経っても忘れられないことだと思う。
 女が先輩に告白して返事が聞けても聞けなくても。告白しなくても、ずっとずっと、心に残る。割り切れたりなんてしない。なくなったりなんてしないよ。
 そういう恋をしちゃったんだよ。
 なんて。こんなこと書けるのは、私自身そういう恋しちゃってるからなんだよね。
 どうすればいいと思う? 一つ例を見せてあげようか。ちょっと緊張するけど。友も見ちゃうし。まあいいや。
 女。
 ずーっと前から、あなたのことが好きです。
79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/06/15(土) 15:43:59.36 ID:SjPx27Ml0
友「文化祭だー!」

女「友も委員長もメイド服似合ってるね」

委員長「女もかわいいよ」

女「……そ、そう」

委員長「うん、すっごく」

友「こらーあたしを置いてくな!」

女「にしてもこの格好で校内を歩き回るのってやだね」

友「しょうがないじゃん宣伝なんだしさ。お、手を振られてるぞ。ふふ」

女「早く先輩のクラスの劇始まらないかなあ」

委員長「脇役だったんだよね。どんな役だろ」

友「あの人ちょうかわいいからすぐ見つけられるさ。あたしらもこの姿なら目立って見つけやすいし、このまま行く?」
80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/06/15(土) 15:45:05.52 ID:SjPx27Ml0
女「冗談はやめて」

委員長「そういうのなくても、あの人ならすぐ女がどこにいるかわかると思う」

友「どうして?」

委員長「勘だよ」

友「ふうん」

女「……」

友「なーんてうわさをすればあそこに先輩だ」

女「えっ?」

友「おーい先輩!」

女「ちょっと友!」

先輩「ん? ああどうも」
81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/06/15(土) 15:46:12.65 ID:SjPx27Ml0
委員長「おはようございます」

女「おはようございます」

先輩「おはよ。へえ、三人ともメイド服似合ってるね」

友「ふふん。おかえりなさいませご主人様! なんちゃって」

先輩「おー……ところでこんなとこで何を?」

委員長「宣伝です。私たちのクラスはメイドカフェやってますよーって」

先輩「ふうん。みんなこっち見てるね」

友「大人気ですよ。これは間違いなく売り上げが伸びる」

委員長「先輩もあとでどうぞ」

先輩「劇が終わってからね」

委員長「これから最後の確認ですか?」
82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/06/15(土) 15:47:34.39 ID:SjPx27Ml0
先輩「うん」

友「楽しみにしてますからね!」

先輩「脇役だけどね」

友「絶対見つけますって。なっ女」

女「え……うん、はい。がんばってください」

先輩「ありがと。じゃあ私はこれで。女、ほんとに似合ってるから」

女「はい……」

委員長「途中までご一緒していいですか?」

友「……」

先輩「別にいいけど……。一人で?」

委員長「はい。二人で話したいことがあるんです。いいよね二人とも」
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/06/15(土) 15:48:22.89 ID:SjPx27Ml0
女「……」

友「はあまったく、好きにすればいいさ」

委員長「じゃ行きましょうか」

先輩「あ、ああ……」



先輩「それで話って」

委員長「私は女が好きです」

先輩「っ!」

委員長「この前告白したんです。好きだって」

先輩「……それを、どうして私に」

委員長「ふられちゃいました。他に好きな人がいるそうですよ」
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/06/15(土) 15:49:27.62 ID:SjPx27Ml0
先輩「そうなんだ」

委員長「何かあったんですよね。交換日記をしているので知ってます。内容は知らないけど、何かあったって」

先輩「まあね。諦めたって言った」

委員長「本気ですか。がんばるって、言ってくれたじゃないですか」

先輩「善処はしたよ。でもだめ。だめなの」

委員長「何、を……」

委員長「何もやってなんか、ないじゃない……。ずっと逃げてるくせに……」

委員長「女は伝えようとしてたんじゃないですか。あなたはそれを聞いてしまう前に、そんなこと言ったんでしょ!」

先輩「返す言葉もないね」

委員長「……先輩がそんなうそをつく人だなんて思ってませんでした」

先輩「私もさ」
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/06/15(土) 15:50:21.76 ID:SjPx27Ml0
委員長「ずるいです。ここまできて聞きたくないなんて」

委員長「女は私の言葉をしっかり受け止めてくれました。その上でごめんなさいって。そっちのほうが絶対にいいです」

先輩「私と女は違う。このままでいいさ」

委員長「このままなんてありません。来年の三月には先輩は卒業して、遠いところに行っちゃいます」

委員長「もう半年もないんです。もう一度考えてください。どうすれば悲しいだけの別れにならないか」

先輩「……考えておくよ。それじゃ私はこの辺で」

委員長「はい。あの、さっきは言葉を荒げてしまってすみませんでした」

先輩「きみもあんな風にできるんだね」

委員長「先輩たちの劇、三人で見に行くので探してください」

先輩「わかった」
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/06/15(土) 15:51:40.97 ID:SjPx27Ml0
十月_日(_曜日) 晴れ
委員長

 文化祭お疲れ様でした。楽しかったね。
 私たちのメイドカフェの利益が今回一番多かったんだって。これも全部宣伝したおかげだね。
 女も友も本当によく似合っていたよ。
 特に友なんて一番女子人気が高かったとか。すごいね。私はちょっと恥ずかしかったけれど。
 三人で撮った写真は送っておきました。
 十一月までもう少しだね。そしたら十二月なんてあっという間で、冬休みになってさ。
 そのときはまた二人でうちに泊まりに来てね。両親が楽しみにしてるから。
 友の家でもいいけどね。前に行ったときは散らかっていたから、ちゃんと掃除しておきなよ?
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/06/15(土) 15:52:38.04 ID:SjPx27Ml0


 もう大丈夫だ。いつ来られても平気なよう掃除はばっちしだからな。
 うちの親も驚いてたよ。あたしが掃除したってことと、そこから出てきたゴミの量に。
 あとさ、そこまで露骨に先輩の話避けてると逆に気になるぜ?
 まー空気の読めるあたしは「いったい何があったんだ」なんて聞かないけど。
 写真は見たよ。
 ほんと、女も委員長もすげーな。いったいみんなはあたしのどこがいいのかさっぱりだ。
88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/06/15(土) 15:53:57.08 ID:SjPx27Ml0
友「どもーおじゃまします」

先輩「いらっしゃい」

友「ほんとにあたし一人ですか?」

先輩「うん、安心して」

友「むしろそっちのほうが安心できないんですけど」

先輩「あはは……そうかもね」

友「それで用ってのは」

先輩「委員長にさ、嫌われちゃった」

友「……やっぱそうですか」

先輩「何か言ってた?」

友「いえ。先輩の話を避けるようになっちゃってて」
89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/06/15(土) 15:54:52.85 ID:SjPx27Ml0
先輩「あの子らしいね」

友「何があったか聞いてもいいですか? まあ女のことだとは思いますけど」

先輩「うん。あのさ、友は、誰かを好きになったことってある?」

友「そりゃありますよ。小学生のときなんてみんなに好きだ好きだ言いまわってましたからね」

先輩「ふふっ」

友「まあでもつきあいたいとかそういう意味で好きっていうのはありません」

先輩「そっか」

友「先輩は今、女のことどう思ってるんですか」

先輩「好きだよ」

友「あたしや委員長は?」

先輩「好き。でも女への好きとは違う」
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/06/15(土) 15:56:03.74 ID:SjPx27Ml0
友「ふうむ……。たぶん女に聞いても同じこと言うと思うんです」

友「何がだめなんですか?」

先輩「離れるのが寂しくなる」

友「わかんないなー」

先輩「体も心も、離れちゃうんだよ」

友「女が先輩以外の人を好きになるなんて考えられませんよ」

先輩「私だってこんな気持ちになるのは女がはじめてで、たぶんもう二度とないと思う」

先輩「でもそれはただの思い込みで願望なだけなのかもしれない。それがこわいの」

友「それでも言っちゃえばすっきりするじゃないですか」

先輩「友はすごいね」

友「どうも。やっぱあたしにはわからないです。難しいですね」
91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/06/15(土) 15:57:00.05 ID:SjPx27Ml0
先輩「ほんと、難しいよ」

友「委員長が日記に書いてたんです。世の中割り切れないことだらけだって。みんなその『余り』を抱えてるんだって」

友「毎日毎日どれだけ捨てようと、それを超えるスピードでできあがってきて。どうすればいいと思います?」

先輩「わかんない」

友「あたしもです。でも最近、ちょっと答えに近づけた気がするんです」

先輩「それが日記?」

友「共有するんです。ただ捨てたり誰かに押し付けたりするんじゃなくて。たとえば交換日記とか」

友「そしたら何か変わるかもって、委員長見てたら思いました」

先輩「あの子を?」

友「たぶん委員長はこの交換日記がなければ告白なんてしなかったでしょうし。で、ふられはしたけどなんかすっきりしたみたいですよ」

先輩「私にはできないよ」
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/06/15(土) 15:58:12.91 ID:SjPx27Ml0
友「ちゃんと話すんです。あたしと委員長に話してくれたこと、全部女に」

先輩「できない」

友「やらなくちゃだめです。思っていることを共有できれば、離れることなんてちっとも怖くありません」

先輩「こわいよ」

友「あたしは女や委員長とは一年も一緒にいないですけどね。これから先どんなに離れてもこの関係は変わらないってわかるんです」

友「思い込みでも願望でもなく、絶対そうなんだってわかります。先輩だってきっと」

先輩「……でも、私は」

友「あたしから言えるのはそのぐらいです。どうするか決めるのは先輩と女ですから」

友「でも先輩は、もっと先輩と女の関係に自信を持っていいと思いますよ」

先輩「ありがと。ほんと、いい子だね」

友「それがとりえですから。さあゲームしましょうよ! 先輩もこれやってるって聞いたんですよ。あたしちょう強いです」

先輩「……そう? 私もけっこう強いけど。じゃあ勝負しよっか」

友「女と委員長に負けてから特訓したんです。その成果をお見せしましょう!」

先輩「私だってかなり練習したからね……!」
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/06/15(土) 15:59:24.16 ID:SjPx27Ml0
十一月_日(_曜日) くもり


 大変だ聞いてくれ。
 今日はじめて対戦で十四連鎖できた。
 先輩ちょーおどろいてたぜ。ふふん。
 今ならお前らと互角にやりあえる自信がある。冬休みを待ってろ。
 よーしまだまだがんばるぞ!
 それと頼みがある。
 期末テストがあるから勉強教えてくれ。
94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/06/15(土) 16:00:13.83 ID:SjPx27Ml0


 十数回に一度十四連鎖ができるくらいで喜べる友がうらやましいよ。
 わかった。前は手を抜いてたけど次は全力で潰しにかかるから。
 今の私の楽しみはね、絶望した友の顔を想像することだよ!
 いらないものが四つ集まったら消えればいいのにね。
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/06/15(土) 16:01:01.43 ID:SjPx27Ml0
夜にも投稿します。
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/06/15(土) 17:43:12.79 ID:c/wshzibo
乙。先輩頑張れー
97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/06/15(土) 22:27:45.62 ID:SjPx27Ml0
○冬

女「冬だねえ……」

委員長「……寒いね」

女「冬は寒くないと」

委員長「女といると暖かい」

女「……」

委員長「私ね、やっぱり女のこと諦められない」

女「……そっか」

委員長「ふられてすっきりした。私はもう自分の気持ちを隠さなくていいんだって。女にもおすすめする」

女「ありがと。機会があったらやってみるよ」

委員長「先輩のどこがいいの?」
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/06/15(土) 22:28:43.08 ID:SjPx27Ml0
女「全部」

委員長「具体的には?」

女「外見と中身」

委員長「ほんとに、全部なんだ」

女「なんでかわからないけどいつの間にか好きになって。半年以上一緒にいても、気持ちが強くなるばっかで」

女「……先輩はたぶん、私に嫌われようとしてるんだ」

委員長「わかるの?」

女「最近ひどいこと言うようになったもん。でも本当はそう思ってないんだってわかるから、嫌いになんてなれない」

女「ただ悲しくなるの。だって、もうすぐ別れるんだって考えがそのときに強く思い浮かぶから」

委員長「複雑だね。私じゃ、だめ?」

女「委員長は委員長だもん」
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/06/15(土) 22:29:48.82 ID:SjPx27Ml0
委員長「だよね。私は先輩みたいにはなれない。あの人がうらやましいよ」

女「ちゃんと話したい。ちゃんと、私の気持ちを伝えたいよ」

委員長「そうしたほうがいいよ。友もきっとそう思ってる」

女「……好きなんだもん」

委員長「知っているよ」

女「でももうすぐ卒業しちゃうの。遠くに行っちゃうの」

委員長「寂しいね」

女「そしたら、そしたら先輩のいない学校生活に慣れて、いつか忘れちゃうのかな」

委員長「そんなことない。女がそんな人じゃないって私は知ってる」

女「好きって気持ちが溜まりすぎて、もうだめだよ」

委員長「爆発させちゃえばいい。女がどれくらい先輩のこと好きか、全部教えてあげればいいよ」
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/06/15(土) 22:30:53.09 ID:SjPx27Ml0
女「ありがとう。ごめんねこんなこと」

委員長「……うん。正直、けっこうきついね。でも友じゃなくて私に言ってくれたこと、嬉しかった」

女「がんばるから。私」

委員長「応援してる。でも私だってさっきも言ったけど完全に諦めたわけじゃないから」

女「うん」

委員長「覚悟しとかないと私に惚れちゃうよ」

女「……うん」
101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/06/15(土) 22:31:30.79 ID:SjPx27Ml0
十二月_日(_曜日)晴れ
委員長

 今日は何か書くだけの気力が残っていません。
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/06/15(土) 22:32:16.61 ID:SjPx27Ml0


 ごめんなさい。
 ありがとう。
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/06/15(土) 22:33:24.93 ID:SjPx27Ml0
友「今年も終わるんだなー」

女「思ってたよりずっと早かったね」

友「ほんと。のわりにはさ、なんかあたし女と委員長とはすげー仲良くなれた気がする」

女「まだ一年もつきあってないのにね。もっと前からの友だちみたい」

友「お互い思ってること言い合えたし書き合えたからね」

女「そうだね」

友「そういやなんで交換日記なんて始めたんだっけ?」

女「うーん忘れちゃった」

友「えっと、一ページ目は委員長か。初々しいなー。おお、私の字きたなっ」

女「ほんとだ。今はかなりきれいになってるよね」

友「比べてみるとこんな違うのな。委員長は相変わらずきれい」
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/06/15(土) 22:34:34.49 ID:SjPx27Ml0
友「漢字もいろいろ習ったし、昔よりいろんな字を書けるようになったよ」

女「がんばったんだね」

友「女と委員長がしっかり勉強教えてくれるからさ。先生は『余り』をあたしらに押し付けるのに忙しいらしい。授業は変な話ばっか」

女「きっとそうでもしないとだめなんだよ」

友「ああいう人見てると寂しいね。大人かー……」

女「私たちのこと誰も待ってくれないんだよね。こうしてる間にも、少しずつ少しずつ私たちは」

友「あーあー聞きたくない!」

女「……始めた理由、書いてなかったね」

友「なんとなくなのかなー。まあきっかけなんてなんとなくでいいのかもな」

女「そうかな」

友「どんな理由であれあたしらは今日までやってきたんだし、このままもやってけそうじゃん。それでいいやって」
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/06/15(土) 22:35:41.97 ID:SjPx27Ml0
女「……そだね」

女「私さ、今度先輩と話そうと思うの。ちゃんと、全部。委員長に励ましてもらった」

友「……なるほどそういうことね」

女「あのね。こんなこと私が言える立場じゃないけど」

友「いい、わかった。委員長はあたしに任せときなって」

女「ありがとう。ごめんね」

友「いいって。よしそれじゃああのゲームで勝負だ。強くなったあたしを見せてやろう!」
106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/06/15(土) 22:36:34.40 ID:SjPx27Ml0
十二月_日(_曜日)くもり


 とうとう女に勝った。
 次は委員長、お前だ。
 夏休みにぼこぼこにされた恨みを晴らせると思うとわくわくする。
 にしても寒いな。なんでも来年になったら雪が降るらしい。まあ寒い冬は許せるね。暑い夏は絶対許さないけど。
 寒すぎてシャーペン動かすのが嫌になる。
女、がんばれよ。
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/06/15(土) 22:37:49.06 ID:SjPx27Ml0


 がんばるよ。
 それにしてもよくあそこまで強くなれたね。素直に感心する。
 委員長気をつけてね。友かなり強くなってるから。
 私も寒くて書く気が起きないや。
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/06/15(土) 22:39:13.76 ID:SjPx27Ml0
女「あけましておめでとうございます」

先輩「あけましておめでとうございます」

女「……残り少しですがよろしくお願いします」

先輩「……こちらこそ」

女「初日の出見ました?」

先輩「テレビで見たよ。女は?」

女「寝てました」

先輩「もったいないね」

女「眠気には勝てませんでした」

先輩「せっかく一年に一度しかない日なんだからさあ」

女「どんな日だって、一年には、一度っきりです」

先輩「……そうだね」
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/06/15(土) 22:42:00.52 ID:SjPx27Ml0
女「話があるんですよね」

先輩「大事な話がある」

女「その前に私の話を聞いてください」

先輩「嫌だって言ったら?」

女「それでも言います」

女「私は先輩のことが好きです」

先輩「ありがとう」

女「……それだけですか?」

先輩「それだけ」

女「どうして……」

先輩「私からの話ってのはそのことなんだけどさ」

女「聞きたくないです」

先輩「それでも言うよ」
110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/06/15(土) 22:44:57.43 ID:SjPx27Ml0
先輩「ごめん。全部忘れよう」

女「なんで、ですか」

先輩「言えるときに言っておこうと思って」

女「なん……で」

先輩「無理だよやっぱり。私はさ、何も言わずに離れるのが一番って思ってた」

先輩「でもそれじゃだめだって。じゃあどうしろっていうのか考えて」

先輩「それで結局、お互いきれいさっぱり忘れるのがいいんじゃないかって」

女「本気ですか」

先輩「ずっと考えてた。これが私の答えだよ」

女「そうですか。先輩が言うなら……。泣いてもいいですよね」

先輩「うん。ごめんね」

女「私……がんばったのに」

先輩「ごめん」
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/06/15(土) 22:46:16.19 ID:SjPx27Ml0
女「先輩のばか、うそつきっ! 忘れられるわけないじゃないですか!」

女「先輩だけ私のこと忘れればいいんだ。私絶対、先輩のこと覚えてますから!」

先輩「……」

女「いいですもう。帰ります。さよなら」

先輩「……さようなら」

後輩「ちょっと大きな声したんですけど……女せんぱい!? どうしたのこれ、どういうことお姉ちゃん」

女「おじゃましました!」

後輩「あの!」

先輩「いいんだ」

後輩「お姉ちゃん女せんぱいに何言ったの。なんで泣いてたの!」

先輩「妹には関係ないよ」

後輩「関係あるよ! だって、だってお姉ちゃんだって泣いてるじゃん……」
112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/06/15(土) 22:47:12.99 ID:SjPx27Ml0
一月_日(_曜日)雪


 先輩はずるいよ。全部忘れようって。
 そんなことできるわけないのに。
 私は絶対忘れない。
 がんばるよ私。
113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/06/15(土) 22:48:17.34 ID:SjPx27Ml0


 がんばれ。



委員長

 私も応援してる。
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/06/15(土) 22:49:17.95 ID:SjPx27Ml0
友「勝ったー!」

委員長「ほんとに強くなったねえ友は」

友「へっ、恋愛に勉強にがんばってるお前らとは違うからな!」

委員長「かわいそうに……」

友「何をぅ!」

委員長「先輩、ひどい人だね」

友「女だって十分ひどいやつだけどな」

委員長「……私だって女を困らせた」

友「まあみんなそれぞれがんばってるのさ。でもさ委員長、そこまで力まなくていいじゃん」

委員長「え?」

友「泣きたいときぐらい泣いてもいいと思うよ」
115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/06/15(土) 22:51:03.29 ID:SjPx27Ml0
委員長「ばれてる?」

友「うん、すっげー泣きたそうな顔してる。心配だよ私は」

友「なんつって。さ、どーんとあたしの胸を借りな」

委員長「ちっこいのにね」

友「うるさい!」

委員長「……女、先輩のこと好きなんだって。私じゃだめ……って」

友「辛かったよな、がんばったよ委員長は。女も聞いてくれて嬉しかったと思う」

委員長「……うん」

友「好きってなんなんだ?」

委員長「わかんない。いつの間にか二人でいると嬉しくなって……。もっと、ずっといたいって思って……」

友「やっぱそういうもんなんだろうなー。いてて、そんな強く抱きつくな!」
116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/06/15(土) 22:52:32.62 ID:SjPx27Ml0
委員長「悔しいんだもん! 私のほうがずっとずっと女と一緒だったのに!」

友「……そっか。なんか話したいことある?」

委員長「うん。いっぱいあるよ。あのね、昔のことなんだけど――」



委員長「――ごめんなさい。こんなこと聞いてもらって」

友「すっきりした?」

委員長「かなり」

友「ならよし!」

委員長「優しいね」

友「惚れそう?」

委員長「ううん。私はやっぱり女に一直線だよ」
117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/06/15(土) 22:53:43.77 ID:SjPx27Ml0
友「安心した。今ならなんでも言えそう?」

委員長「うん」

友「よかった。……実は呼んでるんだよね」

委員長「誰を?」

友「っと連絡来た。じゃあ今から連れてくるから」



先輩「……どうも」

委員長「先輩!?」

友「さっき委員長が泣いてる間にひそかに呼んでたわけ」

先輩「どうして私を?」

友「少し話したいなーって思いまして」
118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/06/15(土) 22:55:05.72 ID:SjPx27Ml0
先輩「何を」

友「女のことです」

先輩「……いいよ」

友「だってさ。何か言ってやれ委員長」

委員長「えっえっ。……あ、あの。女がすごく怒ってました」

先輩「そうだろうね」

委員長「先輩は女のこと、嫌いになったんですか?」

先輩「好きだよ。ずっと好きだった」

友「じゃあどうして」

先輩「いろいろ考えた。けどやっぱりだめなんだよ」

委員長「私にはそうは思えません」

先輩「私はそうとしか思えないの」
119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/06/15(土) 22:56:38.30 ID:SjPx27Ml0
委員長「じゃあ最初からそう言ってくれればよかったんです! そうすれば女だってきっぱり諦められた」

委員長「なのにあなたは今だって女のことが好きだって顔して。それで忘れてなんてそんなのずるい!」

先輩「そうだね。私は卑怯者だ」

委員長「ちゃんと向き合ってください。先輩の気持ちを伝えてあげてください」

先輩「……私は」

委員長「私から女を奪っておいて泣かせるなんて、絶対許しませんから!」

友「あっ、ちょっと!」

先輩「……帰っちゃったね。もっと嫌われちゃったかな」

友「そんなことないと思いますよ」

先輩「え?」

友「先輩は、委員長の好きな人が、好きな人だから」
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/06/15(土) 22:58:06.16 ID:SjPx27Ml0
先輩「……すごいねきみたち」

友「それほどでもありません」

友「そっちは本当にそれでいいんですか?」

先輩「もう決めたから」

友「後悔しますよ」

先輩「ずっと後悔してるよ」

友「……女が今のままでいると思いますか?」

先輩「どういうこと?」

友「あなたが好きになった女は、あなたを好きなった女っていう人間は、今ものすごく怒ってます」

友「これから先どうなろうと時間を戻すことなんて絶対にできないんです」

先輩「……」
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/06/15(土) 22:59:10.77 ID:SjPx27Ml0
>>106でとうとう恐れていたミスが起きてしまいました。
明日の夜に最後を投稿します。
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/06/16(日) 03:06:54.05 ID:l9Sh92Axo
おつ
すごく…良い…
123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/06/16(日) 07:12:29.08 ID:nnE7MsVno
乙です。先輩いいい
124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/06/16(日) 21:15:28.05 ID:DlLHuKJ60
○春

女「おはようございます、先輩」

先輩「……おはよ」

女「卒業おめでとうございます。それと試験も合格したそうですね。お祝い、言ってませんでした」

先輩「いいよ。こうして二人で会うのは久しぶりだし」

女「一月のあの日以来ですね」

先輩「……そうだね。もうすぐ引っ越すんだ」

女「会えなくなりますか」

先輩「うん」

女「会いたいって言ったら、会ってくれますか」

先輩「……」
125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/06/16(日) 21:16:22.30 ID:DlLHuKJ60
女「好きです」

先輩「ありがとう」

女「大好きです。ずっと好きでした」

先輩「うん」

女「答えてください。先輩は私のこと、どう思ってますか」

先輩「……」

女「なんで言ってくれないんですか」

先輩「寂しくなるから」

女「私はこのまま別れたほうがずっとずっとずーっと寂しいです」

先輩「言いたいこと、終わった?」

女「まだまだたくさんあります。今日は先輩から返事を聞くまで帰りません」
126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/06/16(日) 21:17:20.07 ID:DlLHuKJ60
女「あの日からずっと、今日この日に心が折れないよう考えてました」

先輩「……」

女「私は先輩のことが好きです!」

女「いつからかとかどうしてかとか、そんなこと忘れました。でもいつの間にか好きになって……今、先輩のことがすごく好きなんです」

女「どこが好きかならいくらでも答えられます。だって先輩のこと、全部好きだから」

先輩「……なんで」

女「教えてください先輩。私のこと、嫌い?」

先輩「なんで今ごろそんなこと……そんな風に聞くのさぁっ!」

先輩「今さらそんなの言えるわけないよ。言いたくないよ! だってそしたら、忘れられなくなる……」

先輩「今言ったら、もっと前に言えばよかったって、ずっと早く言っておけばよかったって思っちゃうから!」

先輩「そんな思いを抱えながら離れたくなんてなかった!」
127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/06/16(日) 21:19:03.89 ID:DlLHuKJ60
女「だから……あんなこと」

先輩「私だっていつからかわからない。いつの間にか女のことをそう思うようになって。言えなくてずるずる引っ張って」

先輩「それを、もう。言えるわけないよっ!」

女「会おうと思えば会えます」

先輩「でも、会えない日が多すぎて考えると寂しいよ。それに」

女「私は先輩以外の人を好きになったりしません」

先輩「でも……でもっ」

女「先輩の通う大学、私も受けます。二年経ったらまたいつでも会えるようになるはずです」

先輩「……二年も、寂しいよ」

女「メールもできますし電話だってあります」

女「手紙も書きます。交換日記じゃあれなので交換週記です。私と先輩だけで」
128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/06/16(日) 21:20:01.92 ID:DlLHuKJ60
女「私がんまりますからっ!」

先輩「……うん」

女「バイトもします。月に一回会いましょう」

先輩「……私も、がんばる」

女「それでも寂しかったら呼んでください。学校抜け出してでも行きます」

先輩「それはだめ。みんな困るよ」

女「三割冗談です」

先輩「七割も本気?」

女「はい」

女「先輩……先輩は私のこと、好きですか」

先輩「……」

女「私は先輩のこと大好きです」
129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/06/16(日) 21:21:01.44 ID:DlLHuKJ60


先輩「……やっぱり、抑えてなんかいられないね」

先輩「私も女のこと」

先輩「大好き」
130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/06/16(日) 21:23:37.98 ID:DlLHuKJ60

女へ

 きみと離れてからこの手紙を書く日までがとても待ち遠しく感じられた。入学式まで手紙は書かないなんて言うものじゃないね。連絡は毎日取り合っていたけれど、こうしてきみを想いながら文字を書くのはメールなどとは違う不思議な心持ちがするよ。
 今度のゴールデンウィークにきみとまた会えること、今からとても楽しみにしてる。そのときもしよければ少しだけ手をつなぎたい。去年の梅雨に雨の中を二人で帰ったことを覚えていると思うけれど、そのときつないでいたきみの手の感触がどうしても忘れられないんだ。ああいうこと、あのときしかしなかったから。
 思い返してみると当時はすでにきみに好意を抱いてた気がする。きみは入学して二ヶ月と少ししか経っていないというのにすっかり制服を着こなしていて、あんな背の高くてきれいな女の子に笑顔で話しかけられては、いくら同性の私でも意識してしまうものだ。
 そして私の気持ちをはっきりさせたのが、たぶんあの雨の降る日のきみの手のひらだった。
 早く会いたいね。
 きみからの返事がくるのは来週。私がまた手紙を書くのは再来週。その間のことを思うとたまらない。交換日記ならぬ交換週記、さっそく私の楽しみとなったよ。
131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/06/16(日) 21:24:47.40 ID:DlLHuKJ60
終わりです。
ちょっと最後の見た目が悪いですね。てきとうなところで改行してもう一度投稿します。
132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/06/16(日) 21:29:24.17 ID:DlLHuKJ60
女へ

 きみと離れてからこの手紙を書く日までがとても待ち遠しく感じられた。入学式まで手紙は書かないなんて言うものじゃないね。
 連絡は毎日取り合っていたけれど、こうしてきみを想いながら文字を書くのはメールなどとは違う不思議な心持ちがするよ。
 今度のゴールデンウィークにきみとまた会えること、今からとても楽しみにしてる。
 そのときもしよければ少しだけ手をつなぎたい。去年の梅雨に雨の中を二人で帰ったことを覚えていると思うけれど、そのときつないでいたきみの手の感触がどうしても忘れられないんだ。
 ああいうこと、あのときしかしなかったから。
 思い返してみると当時はすでにきみに好意を抱いてた気がする。
 きみは入学して二ヶ月と少ししか経っていないというのにすっかり制服を着こなしていて、あんな背の高くてきれいな女の子に笑顔で話しかけられては、いくら同性の私でも意識してしまうものだ。
 そして私の気持ちをはっきりさせたのが、たぶんあの雨の降る日のきみの手のひらだった。
 早く会いたいね。
 きみからの返事がくるのは来週。私がまた手紙を書くのは再来週。その間のことを思うとたまらない。交換日記ならぬ交換週記、さっそく私の楽しみとなったよ。
133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2013/06/16(日) 21:31:41.40 ID:DlLHuKJ60
以上ですべて投稿が終了しました。
最後がちょっと駆け足気味でありきたりな終わり方でしたが、ハッピーエンドにできたので私は満足です。
お読みくださった方とアドバイスを下さった方にはとても感謝しております。
134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/06/16(日) 22:57:03.70 ID:cBGC2SKXo
乙でした。

友と委員長が尻切れな感じになっちゃったのは残念だけど、概ね面白かったよ。

先輩頑張った!よかったよかった!
135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/06/17(月) 01:11:25.20 ID:43yzx755o
おつです!

女ちゃんが大学に入学したあたりをな…ちょっとだけでもプロローグでくれたら…それはとっても嬉しいなって…
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