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【咲-Saki-】トシ「うちにこないかい」京太郎「俺ですか?」【宮守】 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/08/29(木) 21:29:48.21 ID:hSE+iF3c0
タイトル通り宮守ssです。

更新遅めですがご了承ください。

また京太郎が主人公ですので苦手な方は見ないことを推奨します。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1377779388
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ぶらじる @ 2024/04/19(金) 19:24:04.53 ID:SNmmhSOho
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713522243/

旅にでんちう @ 2024/04/17(水) 20:27:26.83 ID:/EdK+WCRO
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木曜の夜には誰もダイブせず @ 2024/04/17(水) 20:05:45.21 ID:iuZC4QbfO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1713351945/

いろは「先輩、カフェがありますよ」【俺ガイル】 @ 2024/04/16(火) 23:54:11.88 ID:aOh6YfjJ0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713279251/

【MHW】古代樹の森で人間を拾ったんだが【SS】 @ 2024/04/16(火) 23:28:13.15 ID:dNS54ToO0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713277692/

こんな恋愛がしたい  安部菜々編 @ 2024/04/15(月) 21:12:49.25 ID:HdnryJIo0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713183168/

【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】Part2 @ 2024/04/14(日) 19:38:35.87 ID:kch9tJed0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713091115/

アテム「実践レベルのデッキ?」 @ 2024/04/14(日) 19:11:43.81 ID:Ix0pR4FB0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713089503/

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/08/29(木) 21:31:27.67 ID:hSE+iF3c0
京太郎中学時代ーー


もしかするとこれは俺の人生の転機なのかもしれない。


『あんた、麻雀部のマネージャーになるつもりはないかい?』


どこの高校に通うか迷っている最中、街をぶらついていてたまたま助けたおばさーーおばあさーーごめんなさい、言い直しますから耳を引っ張らないでください。

コホン、荷物運びを手伝ってあげたお姉様にもらった話。
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/08/29(木) 21:32:19.50 ID:hSE+iF3c0
岩手の宮守高校というところが来年度から共学化され、お姉様はそこの教師兼麻雀部の顧問らしい。


京太郎「しかしマネージャーですか…。しかも岩手……」

お姉様「不満かい?あんた、行きたい高校もなければ就職も考えてないんだろ?将来の選択肢にマネージャーの道を入れるのは悪くない話だと思うよ。きちんと働けばちゃんと道も用意する」


まぁ、確かにマネージャーっていうのも悪くないかもしれない。

このおばーーお姉様自身、昔麻雀のプロだったみたいだし。

でもなぁ……。
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/08/29(木) 21:33:05.35 ID:hSE+iF3c0

京太郎「その麻雀部って3人なんですよね?確か出場には5人が必要だったような……」

お姉様「そうだね。でも安心しな。一人は私が連れてくる」

京太郎「もう一人は?」

お姉様「分からないけど、あのマヨひがの娘が連れてくるよ」

京太郎「なんですかそのアバウトな答えは…。というかマヨひがの娘って知らないんですけど……」

お姉様「まぁいいじゃないかい。5人集まらなくても個人戦には出れる。わたしはあの娘達を見て一度全国に連れて行きたい、そう思ったんだ。その為にあんたの力、貸してくれないかい?」


なるほど。

この人にもこの人なりの想いがあるんだな。

そうか……。

だったらこの人に力を貸すのもいいかも。
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/08/29(木) 21:34:15.48 ID:hSE+iF3c0

京太郎「………気持ちは分かりました。ただ、一つ質問してもいいですか?」

お姉様「なんだい?」

京太郎「あの娘達」

お姉様「ん?」

京太郎「そう、言いましたね?」

お姉様「そうだけど……」


もしかするとーー


京太郎「皆、女の子ですか?」

お姉様「女子麻雀部だからねぇ」

京太郎「そうですか。……その」

お姉様「ほぅ。なるほどねぇ。いやぁ、残念。皆可愛い娘達ばかりなのに。ま、無理は言えないからね」

京太郎「その話待ったぁぁ!この須賀京太郎!岩手でも北海道でもロシアでも!どこにでもついていきます!」


ーーこれはかなりおいしい話なのかもしれない。


お姉様「いい返事だ。じゃあ合格したらここに連絡しな」つ名刺

京太郎「はい!お姉様!」










名刺

宮守女子麻雀部顧問:熊倉トシ

TEL ×××-●●●-▲▲▲▲




6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/08/29(木) 21:34:49.64 ID:yyI5BRaQ0
期待
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/08/29(木) 21:36:06.19 ID:Ygn3wH2V0
咲と清澄麻雀部はどうなるのだろう。
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/08/29(木) 21:37:23.43 ID:hSE+iF3c0



〜〜〜〜〜〜〜〜






あれから勉強しまくった。

なにせ秋から勉強を始めたものだから、追いつかないのなんのって。

休日祝日返上して。

食って、吐いて。

飲んで、吐いて。

勉強して、吐いて。

吐いて、吐いて、吐いて。

宮守でのハーレムの為に吐きながらも勉強に打ち込んだ。

そして、受かった。

そう、受かってしまった。

ーーーーーうひひ。


京太郎「ひゃっほぉぉぉーー!」


俺は宮守の山に向かって叫んだ。

受かった!

親を説得して合格ラインギリギリで受けた宮守高校に受かった!

ここから俺の夢の高校生活の始まりだ!!


ナニアレキモイ…

ウルサイソコ!

ウワーアンナヒトイルンダネ

ダル…


ま、まぁ出鼻を挫かれたっぽいけど問題ない。

俺は行く場所も目的も決まってるからな。

こ、これくらいじゃ泣かないぞ。

………少し寒いな。

やっぱ岩手だからかな。

高揚した気持ちを抑える為、透き通った岩手の空気を吸う。

うん、空気が美味い!

……まぁ、正直長野とあまり変わらない気もするけど、細かいことはいいや。
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/08/29(木) 21:58:13.72 ID:w84Wv+BAO
京トシを半裸待機
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/08/29(木) 22:03:26.13 ID:Ygn3wH2V0
豊音の故郷に拉致られる京太郎を正装(紳士)待機
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/08/29(木) 22:33:21.66 ID:JiNQE/9Go
支援
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/08/29(木) 22:51:40.96 ID:UmtBtI4J0
巡回するスレが増えたぜ 支援
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/08/29(木) 23:17:06.16 ID:hSE+iF3c0
なーんてテンション高めの入学式を終えた数日後。

俺は木造建築特有の香りが漂う校舎にいた。

その一角にある職員室。

古びた扉をノックしてドアノブをひねって戸を押す。


ガタ


……ドアノブをひねって戸を引いた。


ガタ


…………イラッ


ガタガタガタガタ!


京太郎「なんで開かないのこれ!?」

14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/08/29(木) 23:17:54.66 ID:hSE+iF3c0

スッ


先生「ん?どうかしましたか?」

京太郎「…いえ、なんでもないです」


ののの、ノブ付きスライドドアなんて珍しいから仕方ない!

気づかなくても何も恥ずかしいことなんてないぞ!

それより、そんなことより、だ


京太郎「熊倉先生はいらっしゃいますか?」


目的はこれだ。

まずは顧問に挨拶しないとな。

一応受かった時には連絡を入れたけど、その時は良かったねぇ、の一言だけだった。

勧誘したにしては素っ気ない…。

まさかあのおばさん、入学詐欺じゃないだろうな……。

そう思って改めて挨拶しようとこの職員室に訪れたというわけだ。


??「誰がおばさんだい。お姉様と言っただろ?」ギュー


なんて考えていると後ろから思いっきり耳を抓まれた。

こ、この感覚を俺は知っている!

手が少し温かくて後ろから若干漂う田舎のお婆ちゃんを思い出す匂い……!

ギュッと痛覚をピンポイントで押さえられて力を左程入れてないながらも少し持ち上げることで痛みを増大させるこの技…!

まさにあの時助けた、そして俺がここにいるきっかけとなった人のものだ!

ってか痛ぇぇぇ!?
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/08/29(木) 23:19:06.26 ID:hSE+iF3c0


京太郎「いててて!?す、すみません!すみませんでしたぁぁ!何で心の声が聞こえたのか分からないですけど!」

お姉様「年寄りなめんじゃないよ」

京太郎「自分で年寄りって言ってーーごめんなさい!なんでもないですからぁぁーー!」


こういうのを理不尽不条理というのではないだろうか。

言ってることが矛盾している。

自分で年を取ってるって言っておいてお姉様ってなんなんだ。

あ、ごめんなさい。

なんでもないですからその手を降ろして下さい。


お姉様?「まったく…。やっと来たね。早速だけど部室に行くよ。私の読み通り、きっちり5人揃った。あんたにはしっかり働いてもらうからね」

京太郎「は、はひ……。というか、熊倉先生でいいんですね…?」

トシ「そうだよ。次からは熊倉先生、トシさん、お姉様と呼びな」

京太郎「そ、その違いになにが……いや、最後は違うか」
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/08/29(木) 23:25:33.67 ID:hSE+iF3c0

トシ「何か言ったかい?」

京太郎「いえ!なんでもありませんお姉様!」

トシ「返事だけはいいね。それでどうだい。うちの学校は」

京太郎「正直、思っていたよりも数段いい学校でした」


長野の特に田舎のような場所に住んでいた俺の言えた立場ではないが、岩手県の田舎にある学校、なんて聞けばどうしてもそこまでいいイメージは出てこなかった。

しかしながら実際来てみると、とても落ち着いた雰囲気の外装で古びた、というより年代を感じる、という方がしっくりくる歴史ある学校というのが第一印象であった。

田舎であるのは間違っていなかったものの、そのお陰か人数が少ないため皆気さくでフレンドリーな人が多い。

クラスでぼっちにならないか心配していたが、入学式が終わった頃にはそんな心配もなくなった。


トシ「それはよかった」
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/08/29(木) 23:26:57.10 ID:hSE+iF3c0

男先生「そうですか。熊倉先生の見極めた生徒、どうなるか楽しみだ須賀」

京太郎「うぇ?俺の名前知ってるんですか?」

男先生「そりゃあこの学校は小さいから生徒の数が少ない分、一人一人の名前はすぐ覚える。特にお前に関しては熊倉先生のお眼鏡にかなったって聞いて一番に覚えたよ」

京太郎「おっ、ということは俺って有名人ですかね?」

男先生「有名人になるか、名ばかりになるか、それはお前の活躍次第だろうな。ま、名前だけならここの教師に通っているから悪行だけは働けないぞ〜」

京太郎「うわっ…。つまりすでに半分目をつけられてるってことっすか…」

男先生「そういうこった。とりあえず、須賀は麻雀部を全国に連れて行ってくれ。応援してるぞ」

京太郎「頑張らせていただきます!」

トシ「それじゃ、そろそろ部室に行くよ」

京太郎「ま、待ってください!失礼しました!」

男先生「頑張れよ〜」

18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/08/30(金) 00:37:54.41 ID:bGd+77w6O
今日は終わり?
乙ー
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/08/30(金) 00:48:26.71 ID:djzkyB//o
乙です
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/08/30(金) 00:49:10.45 ID:i3sR1mAvo
乙!期待してます
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/08/30(金) 08:21:23.84 ID:vIzmA9/AO
「マヨひが」が気になって気になって……
後流石にトシさんはおばあちゃん呼ばわりされても怒らなくね?
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/08/31(土) 20:57:02.94 ID:SlYGf+n70
マヨヒガですねσ^_^;

それとトシさんは別に怒ってるわけではなく、楽しんでるという感じに捉えてもらえれば幸いです
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/08/31(土) 20:57:30.44 ID:SlYGf+n70
木造校舎の西館。

主に文化部が使っている校舎の1階の再奥に女子麻雀部の部室はあった。

手書きの『麻雀部』という即席感満載の木札がぶら下がっているところがまた何とも。

熊倉先生はそんなプレートの下がった戸を押し開け部室に入る。

……なるほど、ここは押し戸なのね。


トシ「練習はしっかりしてるかい?」

??「トシさん。しっかりやってますよ。まぁ私は今抜けてますけど」


扉の向こうに居たのはお団子ヘアの女の子。

こう、なんというかエロい。

格好が、ではなく身体が。

主に腰。

そしてモノクルを付けているところがお姉さん感を出している。

可愛いとも綺麗とも取れる、間違いなく美少女である彼女は熊倉先生の後ろに立つ俺に気がついた。
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/08/31(土) 20:58:34.01 ID:SlYGf+n70
??「新しい子?男の人連れてくるなんてどうしたんですかトシさん」

トシ「あぁ、この子は麻雀部に入れようと思って連れてきたんだよ」

??「入部?トシさん、男子も5人集めるんですか?」

トシ「違うよ。部員としてじゃない。マネージャーとして入れるのさ」

??「マネージャー……ですか?」

トシ「そうだよ。あんたらの負担を少しでも減らしてあげようと、あたしが見てきた中で一番マネージャーの素質がありそうな子を連れてきたんだ」


へぇ、そうなのかぁ。

俺ってば、素質があるって思われて引き抜かれたのか……。

そうかぁ……。


京太郎「どうも、素質のある男、須賀です」

??「ど、どうも……」

トシ「調子に乗るんじゃないよ。塞がひいてるだろ」

塞「べ、別に引いてるわけじゃないんですよ。ただノリについていけなかっただけで」

トシ「それを世間ではひいたと言うんだよ」

京太郎「トシさん、せっかく隠してくれたものを暴く必要は無かったんじゃ……」

トシ「うるさいよ」

塞「あはは…。とりあえず、自己紹介しておこっか。私は3年の臼沢だよ。よろしくね」

京太郎「一年の須賀です。よろしくお願いします」

塞「一年生かぁ。まだ初々しいね」

トシ「塞が初々しいなんて言ってるんじゃ私はなんて言えばいいのかね」

京太郎「ですよね。熊倉先生にしてみれば30代で初々し……あ、冗談です」

トシ「……次はおまけはないからね」
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/08/31(土) 20:59:20.68 ID:SlYGf+n70

おぉ……。

慈悲深きイエローカード。

………というかそれよりですね。

臼沢先輩。

さっきからじぃーっと俺の顔見てますけど。

めっちゃ真剣に俺の顔見て何を考えてるんですか。

俺心臓爆発しそうなんですけど。

美少女に見つめられる慣れないシチュエーションにテンパる。

これってあれですか、期待してもいいやつですか。

『ひ』からはじまって『とめぼ』経由で『れ』で終わるあれですかね。

今から頬がぽっと赤くなるパターンですか。


塞「須賀君、どっかで見たような気が……」

京太郎「ももも、もしかすると臼沢さんの初恋の人に似てるとかじゃないんですかね!?」ドキドキ

塞「うん、それはないから安心して。私恋したことないし」

京太郎「さいですか……」

塞「だいぶ前とかそんな話じゃない気が……胡桃〜〜!この子どっかで見たことない〜?」

胡桃「うるさい塞。今いいところなのに……」トテトテ


臼沢先輩に呼ばれて卓からトテトテと歩いて来た幼女。


胡桃「そこ!私は幼女じゃないよ!」


もとい、女子生徒。

くそっ……。

なぜ俺は心の声が読まれる……。

顔に出やすい性格なのか…。
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/08/31(土) 21:00:12.42 ID:SlYGf+n70
臼沢「一応、3年だからねこの子」

京太郎「マジすか……」

胡桃「一応じゃない!歴とした三年生!」


確かに今臼沢先輩のことを呼び捨てにしてたけども。

どうみても中学生ーーいや、小学生でも通るな。


胡桃「むむっ、また変なこと思われてる」

京太郎「はははっ、気のせいですよ」

胡桃「まぁいいけど……。それよりどっかで見たって私男の子の友達なんていない……あぁ!そうだ!」

塞「おっ、心当たりある?」

胡桃「この間の朝変質者!」

京太郎「変質者!?」


誰だよ朝っぱらから叫んでた変質者って!

そんなのいたらドン引きだぞ!
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/08/31(土) 21:00:51.84 ID:SlYGf+n70

塞「あ、そういえばそうだ」ポンッ

京太郎「物騒ですねぇ。変質者だなんて。ここいい人多いからそんな変質者いないと思ってたのに」

胡桃「いやいや君だよ!」ズビシッ

京太郎「?」クルッ

塞「うん、後ろに誰かいるわけないよね。というか今須賀君の話してたじゃん」

京太郎「あぁ、そういえば。…って俺!?it's me!?」

塞「そうそう君。須賀君」

京太郎「俺そんなことした覚え……いやあるかも…」


入学初日にテンションが上がってそんなことをしたようなしていないような……。

まぁほら。

俺ってかこに囚われない人間だし。

そんな闇歴史っぽいことなんて忘れたし。


胡桃「ほら黒!塞、変質者に無闇に近づいちゃダメだよ!」

トシ「私の人を見る目も衰えきたってことかねぇ……」


そしてこの須賀京太郎株の大暴落っぷりである。

俺まだ部室に来て5分も経ってない気がするんですけど……。

熊倉先生と女子生徒にジト目で睨まれている最中(なんか目覚めそう)臼沢先輩だけは俺に手を差し伸べてくれた。


塞「まぁいいんじゃない?去年まで3人しかいなかった部室に人が増えるのは私は歓迎だし」

京太郎「臼沢先輩……!」


天使だ!ここに天使がいる!
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/08/31(土) 21:01:24.87 ID:SlYGf+n70

塞「本性現せば追い出せば問題ないってことで」

京太郎「分かってました。分かってましたよえぇ……」


根本的信頼はないってことですね……。

まぁ仕方ないけどさ……。


胡桃「ちょ、ちょっと待って!?この人うちに入るの!?」

塞「うん、そうだよ。須賀君はトシさんが連れてきたうちのマネージャー。コキ使っていいんだって」

京太郎「え、そんな話聞いてなーー」

塞「だよね、須賀君」ニコッ

京太郎「はい!この須賀にお任せあれ!」


はっ!しまった!

臼沢先輩の笑顔に思わず反応しちまった!


トシ「ま、そういうことさね。大丈夫だよ胡桃。私がいる限り問題は起こさせないよ」

胡桃「ま、まぁトシさんがそういうなら……」

塞「そーゆーことだから、ほら胡桃。自己紹介」

胡桃「い、言われなくても分かってる!鹿倉だよ。さっきも言ったけど3年生だからね!」

京太郎「わ、分かりました。以後気をつけます」


鹿倉先輩、相当身長のせいで年相応に見られないことを気にしているらしい。

やはり背伸びしたいお年頃なのだろうか。



29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/08/31(土) 21:19:54.89 ID:P5KdFVhDO
no more BUNKATSU
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/08/31(土) 23:17:01.90 ID:D1MLHmNe0
ふむふむ、続きをお願いします
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/09/01(日) 00:10:02.96 ID:EWw//uuSo
おつなの?
32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/09/01(日) 01:31:15.48 ID:/snFeM490
宮守きた!
現状、唯一の宮守じゃね?
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/09/01(日) 01:37:38.66 ID:PllTV1AYo
胡桃先輩√に期待するね
34 :以下、新鯖からお送りいたします [saga]:2013/09/02(月) 21:50:29.83 ID:ifXVnmlJ0
京太郎「それでですね鹿倉先輩」

胡桃「ん?なに?」


さっきから気になっていることが一つある。


京太郎「出来ればずっと俺を見てる後ろの人、紹介してくれませんか?」

胡桃「うおっ!?豊音!?急に後ろに立たないでよ……。びっくりしちゃった」

豊音「ご、ごめんね胡桃。楽しそうにお話してたから誰かな〜って気になっちゃって…」


ずーーっと鹿倉先輩や臼沢先輩と話す俺を見つめていた人。

俺はまぁまぁ背が高い方ではあるがそれとは比にならないくらい大きい。

胡桃先輩の後ろに立っていたため余計それが際立っている。

軽く幼児一人分くらいはあるのではないか。

服装もてっぺんからつま先まで真っ黒に染めていてどうみても怖い人そのものである。

ただ、俺を見る紅い目は小さな子が興味深々にものを見る目で悪い人じゃなさそうだなぁ、という感じがヒシヒシと伝わる。


胡桃「まぁいいけど。塞、エイちゃんとシロも呼んでまとめて紹介したら?一々言うの面倒でしょ」

塞「それもそうだね。エイちゃん!シロ!ちょっとこっちにきて!」

エイスリン「ドウシタノサエ?」


臼沢先輩に呼ばれて色白の、耳にペンをかけてホワイトボードを持った女の子だった。

カタコトで話しているところから外国の人だろうか。

宮守はビジネス校だし、海外からの留学生なのかも。


塞「エイちゃんだけ来た……。もうシロっ!こっちに来て!」


確かにさっき臼沢先輩は2人の名前を呼んだのに一人しか来てない。

臼沢先輩が声をかけると、椅子でダラけていた人が首だけこちらを向けて一言放った。


シロ「ダルい……」


だ、ダルいって……。

ちょっと数歩歩くだけなのに……。


塞「またそーゆーこと言う…。もういいや。シロ、そこでしっかり聞いててね」

シロ「うん……」


本当に面倒なのか、ボーッとした表情で頷きすらしない。

見ようによってはこちらに向けた首すら面倒で戻したくなさそうだ。


塞「じゃああっちから。ダル〜いって言ってるのが小瀬川。見ての通り筋金入りの面倒臭がりだから」

京太郎「えぇ。見て取れます」

塞「それでこっちが……あ、どうする?自分で自己紹介する?」


35 :以下、新鯖からお送りいたします [saga]:2013/09/02(月) 21:51:39.44 ID:ifXVnmlJ0

エイスリン「ウン!Aislinn Wishartデス!ヨロシク!」

豊音「私も自分でするよー。姉帯って言います!よろしくねー」

京太郎「こちらこそ。ここのマネージャーをやらせてもらいます須賀です。これからよろしくお願いします」

シロ「マネージャーか……」

塞「……シロ、楽できるなーとか考えてたでしょ」

シロ「…楽にならないの?」

塞「まぁなるっちゃなるけど……。須賀君だって一年生なんだから私達が教えなくちゃいけないこともあるの」

シロ「ダル……」

塞「ダルダル言わないの。トシさん、他になにか言っておくことってありますか?」

トシ「そうだねぇ……。特にないけど……あぁ、そうだ。塞、あんたは須賀に麻雀を教えてやっておくれ。牌譜を取らせるから麻雀を覚えさせないといけないんだよ」

塞「了か……え?」

トシ「どうかしたかい?」

塞「いやいや、須賀君は麻雀できないんですか?」

トシ「出来ないだろ?」

京太郎「はい、まったくもって」


だって麻雀なんて生まれてこのかたしたことないもの。


トシ「そういうことだ。1年の面倒を見るのも3ねんの仕事さ。塞次第で須賀の活用度合が違ってくるからしっかり頼むよ」


塞「まぁ、打ちながら教えたらいいしいっか……」



ご迷惑おかけします。


麻雀のマネージャーが麻雀出来ないのは致命的だろうから、やはり教えてもらわないと困る。


まったくの素人に麻雀を教える苦労を見越してか、臼沢先輩から零れたため息はそれはそれはとても大きなものであったとここに記しておこう。




36 :以下、新鯖からお送りいたします [saga]:2013/09/02(月) 21:58:24.66 ID:ifXVnmlJ0



塞「ロンだね。須賀君、これは何点?」



臼沢先輩がくるっとこちらを向いて手牌を指差す。



京太郎「えっと…。親タンヤオ三色ドラなしの2翻。順子だけの両面、鳴きロンだから20符。これだと1翻40符と同じだから2000?」



覚えたばかりの符点表を頭に思い浮かべて点数を計算。


算出した点数を言うと臼沢先輩はにやにやしながら両手でバツを作った。



塞「ざーんねん。鳴き平和は基本30符計算だからザンクの3900だよ」



うへ……。


そういえばこの形は特殊な符点計算になるんだっけ……。



京太郎「しまった…そうだった…。すみません……」



あれから臼沢先輩の麻雀を見て2時間。


和了の形から始まってチー、ポン、カン、面前と教わり頻繁に使われる基本的な役とその翻数、そして点数計算、符点計算を教わった。


この臼沢先輩、スゴく俺に教えることを楽しんでいる気がする。


さっきのバツマーク然り、俺が間違えると嬉しそうに笑って解説してくれる。



胡桃「なんかさー。塞、解説をしたがってるよね」


塞「え?そう?」


胡桃「うん。生徒に教えることを生きがいにしてる先生みたいな」


豊音「ちょー楽しそうだよー」


塞「うーん。まぁ最初は乗り気じゃなかったけどいざやってみるとね。自分は知ってるんだぞーっていう優越感がね」



にししっ、と悪ガキのような笑いを零す。


こちらとしてはそんな臼沢先輩を見ながらご指導を受けれるためとてもすばらなことである。



胡桃「いいなー。私も教えたい!」

37 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/02(月) 21:59:37.24 ID:ifXVnmlJ0
読みにくいと思ったので行間空けましたがもし余計に読みにくいのでしたら言ってください
38 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/02(月) 22:02:08.44 ID:SPCpTCt2o
行間は今までぐらいでもいいから投下開始と終了のレスをつけるようにして下さい
39 :以下、新鯖からお送りいたします [saga]:2013/09/02(月) 22:04:08.49 ID:ifXVnmlJ0



塞「だめー。須賀君の世話は私が任されたの!」


胡桃「えー?いいじゃん!」


塞「いーやーでーすー!」


胡桃「塞のけちー」



……あ〜。


この状況、『二人とも、俺のために争うのはやめてください!』って言いたいけど、そんなこと言ったらドン引きされるんだろうなぁ。



塞「だいたい胡桃は先輩風吹かせたいだけでしょ?」


胡桃「まぁそうだけどさー」



先輩風か……。


偉そうにしてドヤ顔で胸を張る鹿倉先輩が頭に浮かぶ。


………ありだな。



塞「さて、今日の練習はこれで終わろっか。片付けするよ〜」


京太郎「あ、それなら俺やります。先輩方は先に帰って構いませんよ」


塞「初日なのに大丈夫?」


京太郎「はい。休憩時間に熊倉先輩から洗牌を教えてもらいましたし、後は掃除と部屋の整理ですよね?」


塞「まぁそうだけど……任せるのは申し訳ないというか……」


京太郎「何のためのマネージャーですか。問題ありません」


塞「う〜ん…。でもなぁ…」



気持ちは嬉しいが、これはある意味俺の存在理由だろう。


まだ麻雀をちゃんと覚えていない俺に今できることなんてこれくらいなんだし、ここはやらせてほしいのだが。



シロ「須賀、家はどの方向?」


京太郎「家ですか?」


40 :以下、新鯖からお送りいたします [saga]:2013/09/02(月) 22:05:12.94 ID:ifXVnmlJ0



ずっとぼーっと椅子に座っていた小瀬川先輩が突然質問をぶつけてきた。


一体なんだ?



京太郎「えっと、遠野北小学校ってのがある方向ですね」


シロ「ならちょうどいい。塞、私もうちょっとこうしてたいからついでに須賀を見ておく」


塞「遠野北小ならシロの家の方向と一緒だもんね。じゃあ今日は任せようかな」



へぇ。


小瀬川先輩と家の方向が一緒なのか。



シロ「うん、ダルいけど任せて」


塞「じゃあ須賀君、よろしくね。胡桃、豊音、エイちゃん帰るよ」


胡桃「よろしくね!また明日!」


姉帯「また明日だよー」


エイスリン「シロ、スガ、ジャアネ!」



手を振る絵を持ったエイスリン先輩を最後に、4人は部室を出て残ったのは俺と小瀬川先輩だけになる。



京太郎「本当に良かったんですか?残るのダルいんじゃ」


シロ「別にいい。今動きたくないし。それに一人で帰るのは暇でダルいから」


京太郎「だったらいいんですけど……」



とりあえず臼沢先輩達も帰った今、小瀬川先輩が帰るつもりはないみたいだ。


41 :以下、新鯖からお送りいたします [saga]:2013/09/02(月) 22:05:51.63 ID:ifXVnmlJ0


まぁもしも詰まった時は色々聞けるし助かるんだけど。


俺は小瀬川先輩を帰らせることを諦め、洗牌を始める。


こうやっていざ牌を持つと牌一つ一つって結構重いんだよな。


タオルで牌を包むように持って磨く。


これ、案外時間かかるかもな……。


4×34
42 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/02(月) 22:07:58.16 ID:ifXVnmlJ0
投稿ミス

訂正です↓
43 :以下、新鯖からお送りいたします [saga]:2013/09/02(月) 22:09:45.25 ID:ifXVnmlJ0


まぁもしも詰まった時は色々聞けるし助かるんだけど。


俺は小瀬川先輩を帰らせることを諦め、洗牌を始める。


こうやっていざ牌を持つと牌一つ一つって結構重いんだよな。


タオルで牌を包むように持って磨く。


これ、案外時間かかるかもな……。


4×34
44 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/02(月) 22:10:36.80 ID:ifXVnmlJ0
上手く投稿されない…orz
45 :以下、新鯖からお送りいたします [saga]:2013/09/02(月) 22:11:36.43 ID:ifXVnmlJ0


まぁもしも詰まった時は色々聞けるし助かるんだけど。


俺は小瀬川先輩を帰らせることを諦め、洗牌を始める。


こうやっていざ牌を持つと牌一つ一つって結構重いんだよな。


タオルで牌を包むように持って磨く。


これ、案外時間かかるかもな……。


4×34
46 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/02(月) 22:13:08.48 ID:ifXVnmlJ0
荳頑焔縺上>縺九↑縺縺ョ縺ァ蟆代@譎る俣繧帝幕縺代∪縺冦(_ _)m
47 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/02(月) 22:13:41.68 ID:0dJFxDnHo
日本語でおk
48 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/02(月) 22:20:09.58 ID:v1zxH67co
多分イコール記号で引っかかってるんだと思う
49 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/02(月) 22:20:13.60 ID:q/6l8DM5O
ワロタ
50 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/02(月) 22:21:25.06 ID:5FvfzPKhO
もう普通に何分掛かったか書けばいいんじゃ…
51 :以下、新鯖からお送りいたします [saga]:2013/09/02(月) 22:26:00.00 ID:ifXVnmlJ0



まぁもしも詰まった時は色々聞けるし助かるんだけど。


俺は小瀬川先輩を帰らせることを諦め、洗牌を始める。


こうやっていざ牌を持つと牌一つ一つって結構重いんだよな。


タオルで牌を包むように持って磨く。


これ、案外時間かかるかもな……。


4×34の136枚を1セットに、自動卓だから2セットしなくてはいけない。


骨の折れる作業だ。



シロ「須賀、ちょっといい?」


京太郎「はい?」



2つ目の牌を手に取ろうとしたところで小瀬川先輩から声がかかった。



シロ「それ一つずつやってくつもり……?」


京太郎「え、違うんですか?」



2〜5個くらいをまとめてするのだろうか?


でも熊倉先生は牌が傷つかないようにって言ってたからやっちゃいけないんじゃ……。



52 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/02(月) 22:27:22.59 ID:ifXVnmlJ0
いけました!

ありがとうございますm(_ _)m
53 :以下、新鯖からお送りいたします [saga]:2013/09/02(月) 22:30:05.57 ID:ifXVnmlJ0




シロ「はぁ……。トシさんわざとしたな……ダル…」


京太郎「え、え?」


シロ「気にしないで。あの人のことだからこうなることを分かって教えなかったんだろうし」



ダルそうに少し離れたソファーのイスから立ち上がってぶつぶつと何かを言いつつ雀卓のイスに座り直す。



シロ「こういうのはこうしてするんだよ」



俺の持っていた牌を取ると卓上にある牌を次々と並べて行く。


基本の積み上がと同じ、17列に牌を並べ17×8の形に牌を並べ終えるとタオルでまず一拭き。


てっきりただの予備だと思っていたもう一枚のタオルでもう一度拭き上げる。




54 :以下、新鯖からお送りいたします [saga]:2013/09/02(月) 22:30:59.62 ID:ifXVnmlJ0



京太郎「そんな大雑把に拭くんですか?」


シロ「こうやって並べ直して全面拭けば問題ないから」



そういいながら、ひょいひょいと牌を列毎に倒していく。


す、凄ぇこの技……!


なんか牌が手についてるみたいだ。


牌を並べ変えること5回。


これで全面拭き終えた。



シロ「牌の扱いの練習にもなるから、慣れるまで頑張って」



拭いた牌を雀卓に流し込み、ボタンを押すと再び新しい牌が上がってくる。



シロ「じゃあこっちは任せるから。私はまた休んでおく」


京太郎「はい。ありがとうございます」



やっぱり先輩がいて助かった。


おかげで作業が楽になった。


さて、小瀬川先輩の真似をしてまずは牌を……



ガシャン



……もう一度



ガシャン



…………もう一度



ガシャン



京太郎「小瀬川先輩……!」ウルウル


シロ「ダルいから泣きそうにならないで……」ハァ…



結局洗牌は小瀬川先輩にやってもらいました。

55 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/02(月) 22:32:27.74 ID:ifXVnmlJ0
とりあえずここまでです
56 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/02(月) 22:36:13.86 ID:SPCpTCt2o
乙です
57 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/02(月) 22:37:31.34 ID:vZxxbGKlo
58 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/02(月) 22:39:03.02 ID:RuSHIp+3o
59 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/02(月) 23:13:20.86 ID:LVFcMjy60
60 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/02(月) 23:16:59.62 ID:Q4XczQbJo
おつ
61 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/02(月) 23:36:12.61 ID:bynbFBoSO

シロが残った理由は間違いなくアレ目当てだなww
62 :以下、新鯖からお送りいたします [saga]:2013/09/04(水) 21:19:52.30 ID:iq1lfXU30
投下します
63 :以下、新鯖からお送りいたします [saga]:2013/09/04(水) 21:21:03.82 ID:iq1lfXU30

京太郎「ふぅ。お待たせしました。終わりましたよ」


シロ「ん、お疲れ様」



あれから30分。


洗牌を小瀬川先輩に任せて俺は部室の掃除を終わらせた。


ぼーっと黄昏る小瀬川先輩に見惚れ……ゲフンゲフン、気を取られながらの作業。


二人きりの状況にドキドキしていたが小瀬川先輩は気になってないらしい。


人が目に入らないくらいだるーんとしてるんだろうな、きっと。



京太郎「えっと…帰らないんですか?」


シロ「もうちょっと……」ダルーン



もう7時ですけど……。


外も真っ暗ですよ……。


そう言いたかったが、小瀬川先輩を見ていると何故か言えなかった。


なんというか、この人の好きにさせてあげた方がいいなと感じたのだ。


仕方ない。


俺も腰掛けて小瀬川先輩の気が済むまで待つか。



…。


……。


………。


…………。



チクタクチクタクチクタク



無言の空間で掛け時計の針が進む音だけが脳内に響く。


あー、なんか小瀬川先輩の気持ちが分かるかも。


この雰囲気落ち着いて好きだわ。


無駄な雑音が聞こえず、時に身を任せているような感覚。


何も考えない事がこんなにも楽で心地よいものだなんて。
64 :以下、新鯖からお送りいたします [saga]:2013/09/04(水) 21:21:53.62 ID:iq1lfXU30


このままずっとこうしていたい……。



京太郎「……」ボーッ


シロ「……」ボーッ



初日から何やってんだろうな。


なんで初っ端から部室で先輩とダラけてるんだよ。


………あぁ、もうそれすらどうでもいいや。



シロ「気分はどう?」


京太郎「ん〜……なんかいい感じです」


シロ「そう。須賀には素質があるかも」


京太郎「なんのですか?」


シロ「…………さぁ?」


京太郎「分からないんですか……」


シロ「ダルいから細かいことは気にしない」


京太郎「………ですね」



ピンポンパンポーン


『8時を過ぎました。間も無く鍵を掛けるので、まだ残っている先生、生徒の皆さんは急いで校舎から出てください』


65 :以下、新鯖からお送りいたします [saga]:2013/09/04(水) 21:22:39.89 ID:iq1lfXU30



シロ「………」ダルーン


京太郎「………」ダルーン


シロ「………」ダルーン


京太郎「……小瀬川先輩」ダルーン


シロ「……なに?」ダルーン


京太郎「今なら、動きたくない気持ちが分かります」ダルーン


シロ「それはよかった」ダルーン


京太郎「まぁでも、そろそろ出ましょ。閉じ込められるのはシャレにならないですから」スクッ


シロ「ダルい……」


京太郎「いや、そこは流石に立ちましょうよ……」


シロ「……ま、いっか」スクッ



おおっ…。


ようやく小瀬川先輩が腰を上げた。


重い腰を上げるってこういうことを言うんだろうな。



京太郎「では、ダルいんでしたらお手を拝借。お連れしますよお姫様」スッ


シロ「そういうのダルい…」スタスタ


京太郎「冗談ですからそんなにひかないでくださいよ……」



くそっ……。


これか噂に聞く塩対応というやつか……!

66 :以下、新鯖からお送りいたします [saga]:2013/09/04(水) 21:23:37.76 ID:iq1lfXU30


京太郎「あれ、熊倉先生もまだ残ってたんですか?」



部室の鍵を返しに職員室によると、そこにはお茶を啜っている熊倉先生の姿があった。



トシ「当たり前だろ。部室の電気が点いてるんだ。どうせあんたが初めての片付けに戸惑ってたんだろ」


須賀「ご、ご名答です……」


トシ「気にすることはないよ。最初から出来てた方が気持ち悪いんだからね。それよりシロ、そこにいるんだろ?顧問に顔くらいみせたらどうだい」


シロ「ばれてた…。ダルい…」



待ってると言っていた小瀬川がため息を吐きながらひょこっと顔を出す。


お、恐るべし熊倉先生……!


透視能力でもあるのか……!



トシ「久々の洗牌はどうだったかいシロ」


シロ「ダルかった……」


トシ「あれを須賀が出来るようになるまで教えるのがあんたの役目だよ」


シロ「えぇ〜……」


トシ「文句を言うんじゃないよ」


67 :以下、新鯖からお送りいたします [saga]:2013/09/04(水) 21:24:11.25 ID:iq1lfXU30


京太郎「あれ、熊倉先生もまだ残ってたんですか?」



部室の鍵を返しに職員室によると、そこにはお茶を啜っている熊倉先生の姿があった。



トシ「当たり前だろ。部室の電気が点いてるんだ。どうせあんたが初めての片付けに戸惑ってたんだろ」


須賀「ご、ご名答です……」


トシ「気にすることはないよ。最初から出来てた方が気持ち悪いんだからね。それよりシロ、そこにいるんだろ?顧問に顔くらいみせたらどうだい」


シロ「ばれてた…。ダルい…」



待ってると言っていた小瀬川がため息を吐きながらひょこっと顔を出す。


お、恐るべし熊倉先生……!


透視能力でもあるのか……!



トシ「久々の洗牌はどうだったかいシロ」


シロ「ダルかった……」


トシ「あれを須賀が出来るようになるまで教えるのがあんたの役目だよ」


シロ「えぇ〜……」


トシ「文句を言うんじゃないよ」


68 :以下、新鯖からお送りいたします [saga]:2013/09/04(水) 21:24:43.39 ID:iq1lfXU30


京太郎「あれ、熊倉先生もまだ残ってたんですか?」



部室の鍵を返しに職員室によると、そこにはお茶を啜っている熊倉先生の姿があった。



トシ「当たり前だろ。部室の電気が点いてるんだ。どうせあんたが初めての片付けに戸惑ってたんだろ」


須賀「ご、ご名答です……」


トシ「気にすることはないよ。最初から出来てた方が気持ち悪いんだからね。それよりシロ、そこにいるんだろ?顧問に顔くらいみせたらどうだい」


シロ「ばれてた…。ダルい…」



待ってると言っていた小瀬川がため息を吐きながらひょこっと顔を出す。


お、恐るべし熊倉先生……!


透視能力でもあるのか……!



トシ「久々の洗牌はどうだったかいシロ」


シロ「ダルかった……」


トシ「あれを須賀が出来るようになるまで教えるのがあんたの役目だよ」


シロ「えぇ〜……」


トシ「文句を言うんじゃないよ」


69 :以下、新鯖からお送りいたします [saga]:2013/09/04(水) 21:25:15.72 ID:iq1lfXU30



小瀬川先輩が面倒事を押し付けられたみたいな顔してる。


好意でしてくれたのに余計なとこ見られちゃったな、小瀬川先輩。


………ん?あの時熊倉先生っていなかったような……



京太郎「く、熊倉先生見てたんですか?」


トシ「いるわけないだろ。職員室にいたんだから」


京太郎「えぇ!?じゃなんでそれを!?」


トシ「無駄に生きてるわけじゃないんだよ。あんたらが何をどうするかくらい少し考えりゃわかることだ」


京太郎「なにそれこわい」



未来予知能力とか凄すぎじゃないですかね!?


さっきもだけどよくまぁ小瀬川先輩が残るってこと予想できるよな……。


そういえば臼沢先輩が熊倉先生には敵わないって言ってたけど、そんな気がする。


絶対にこの人に勝とうなんて思わないでおこう。



トシ「さて、終わったならさっさと帰りな。私も暇で長居してるわけじゃないんだから」


京太郎「は、はい。それじゃさようなら」


シロ「さようなら」


トシ「はいよ。それとシロはある程度は自重しなよ」


シロ「善処する」



俺が職員室を出た後に聞こえた熊倉先生と小瀬川先輩の会話。


自重ってなんのことだろ?



70 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/04(水) 21:27:02.49 ID:iq1lfXU30
途中変な連投してすみませんσ^_^;
71 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/04(水) 21:27:44.47 ID:iq1lfXU30
少ないですが今日はここまで。

もしかすると深夜にもう少し落とすかもです
72 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/04(水) 21:30:34.26 ID:RmttwKUUo
乙です
73 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/04(水) 21:32:05.31 ID:FrxzhnnqO
一旦乙ー
74 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/04(水) 21:35:10.71 ID:bPYRi3yZ0
乙ー
75 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/04(水) 21:47:09.44 ID:Sdrds4Bdo
乙ですー
76 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/04(水) 23:06:34.73 ID:HBJiGh59o
77 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/05(木) 00:56:21.18 ID:9zOmd3ha0
乙っすー
78 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/07(土) 22:12:10.36 ID:mexQZVVb0
投下します
79 :以下、新鯖からお送りいたします [saga]:2013/09/07(土) 22:15:26.82 ID:mexQZVVb0



外に出ると、もう4月だと言うのに少し肌寒かった。


校門にある時計はすでに7時半を回っている。


道にあまり街灯がないためか、部室で見ていた時よりも辺りは断然暗かった。


学ラン着てるのに寒いって余程だよな……。


暗さのせいで余計そう感じてるのかもしれないけど、春って感じはしない。


うへぇ……。


この中を30分以上歩いて帰るのか……。



京太郎「暗くなりましたね。少し寒いですけど小瀬川先輩は大丈夫ですか?」


シロ「これくらいなら私は大丈夫だから。それよりもここから歩いて帰る方が遥かにダルい」


京太郎「まぁ小瀬川先輩ならそうですよね」



たった一日だけど、この人のことはなんとなく掴めた気がする。


いろんな条件とか、環境とかすっ飛ばしてすべてをその場の流れーー今がダルいかダルくないかで行動する人だ。



京太郎「ここから家はどれくらいかかるんですか?」


シロ「三十分ちょっと…かな」


京太郎「へぇ。だったらうちと結構近いんですかね」


シロ「かもしれない…」


京太郎「じゃあ帰りは小瀬川先輩にとっては大変ですね〜」


シロ「うん。けど、大丈夫。タクシーで帰るから」


京太郎「え、タクシーですか!?」



り、リッチだなぁ……。


タクシーって相当お金かかるんじゃ……。


せめてバスとかにすればいいのに…。


って、一人で帰るのダルいとか言ってたのにタクシー?



京太郎「……俺タクシー代とかないっすよ?」

80 :以下、新鯖からお送りいたします [saga]:2013/09/07(土) 22:16:15.55 ID:mexQZVVb0


シロ「?なんでお金を出すの?」


京太郎「え?じゃあおごりっすか?」


シロ「?」キョトン


京太郎「いやいや、なに言ってるの?って感じに首を傾げられても……」


シロ「乗るのは須賀タクシーだからなんの問題もない」


京太郎「須賀タクシーですか。誰か小瀬川先輩の知り合いがやって……須賀タクシー?」


シロ「うん、須賀タクシー」モチロン


京太郎「それ、俺関係してないっすよね?」アセダラダラ


シロ「してる。須賀タクシー、それは須賀におぶってもらうということ」


京太郎「やっぱりか!長野でも似たようなことあったからヤバイと思ったんだよ!」


シロ「だめ?」キョトン


須賀「そんな風に聞かないでください!」



一々可愛いなもう!


断りにくいじゃないかよ!



京太郎「はぁ……。小瀬川先輩、これ狙って残りましたね…?」


シロ「当然」ジャナイトダルイシ


京太郎「くそっ……。熊倉先生の言ってたのってこれのことか……。もっと早く気づくべきだった…」



自重しろって言ってたときからなんかおかしいって思ってたんだよ…。


だいたい熊倉先生も気づいてるなら言ってくださいよ…。



京太郎「でもですね小瀬川先輩。普通異性におんぶを頼む時にはある程度仲のいい人じゃないと…うおっ!?」



突然背中に重圧が……!



シロ「そういうのダルいからさっさと運んで。須賀だから関係ないでしょ」


京太郎「(′・ω・`)」



いや、なんか背中の柔らかい重圧が凄くてすばらなんですけどね……

81 :以下、新鯖からお送りいたします [saga]:2013/09/07(土) 22:17:06.74 ID:mexQZVVb0


でも俺も男だってことくらい意識してくれてもいいんじゃないですかね……



京太郎「うぅ…。分かりましたよ…。負けました…」


シロ「後輩はそうやって素直に受け入れるべき」


京太郎「この人完全に俺を使い倒す気だ……」


シロ「なんのことだかわからない」

京太郎「はぁ…。そうですか。……あの、全体重かけるのやめません?こういうのもなんですが小瀬川先輩重いです…」


シロ「いやだ」グデーン



なんて人だよ…。


普通女の子ってのは重たいとか言われたら気にするもんじゃないのか?


……ダメだ。


小瀬川先輩にそんな普通を求めるのは無駄ってさっき悟ってたじゃないかよ……。


……こうなりゃ地味な嫌がらせするしかないか?



京太郎「あー、重いなー。つらいなー。後輩にここまでやらせる先輩なんているかね普通ー。いや、いねーよなー」


シロ「聞こえない」ダルーン


京太郎「この人容赦ねぇよ……」


シロ「人間諦めも肝心」


京太郎「調子がいいなぁ…。で、どっちなんですか小瀬川先輩の家は」


シロ「たぶん右」


京太郎「自分の家なのにたぶん!?」



結局、無気力な小瀬川先輩を背負って帰った結果(ちょっと迷った)俺は行きの倍の時間かけて家に帰るはめになった。


めげるわ……。

82 :以下、新鯖からお送りいたします [saga]:2013/09/07(土) 22:24:14.52 ID:mexQZVVb0
ちょっとしたおまけーー



京太郎「あの…小瀬川先輩」


シロ「なに?」ダルーン


京太郎「先に俺の家着いちゃったんですけど……」


シロ「………で?」


京太郎「いやいや『で?』じゃないでしょ。もうここで降りてくださいよ」


シロ「……私の家は後5分歩く」


京太郎「そこまで送っていけと!?」


シロ「だって…」


シロ・京太郎「「ダルいし…」」


京太郎「ですよね…。もういう言葉決まってるじゃないですか…。ったく……このまま真っ直ぐでいいんですね?」


シロ「うん」


京太郎「はぁ……。ダルいって言いたいのはこっちなんだけどなぁ…」


シロ「(といいつつ歩くのか。あの人も面白い子を拾ったんだね)」



83 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/07(土) 22:36:22.53 ID:G9A9Pbm/o
乙・・・でいいのかな?
84 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/07(土) 22:43:20.42 ID:ZnVWjXfjo
シロかわいい
85 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/07(土) 22:45:32.58 ID:Jz7NJL15o
乙ー
86 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/07(土) 22:53:22.16 ID:kPlM0m+fo
87 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/07(土) 22:53:48.96 ID:fspJW6Sgo
乙ですー
88 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/08(日) 00:56:19.10 ID:gqYeQlmQ0
乙っす、もはや京太郎はだれかの世話をしなければ生きていけない天命を背負っているのか
ま、シロと仲良くなって次は誰かな?
89 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/08(日) 03:17:46.56 ID:MgA/RXWno
おつ

しかしシロが喋りすぎてて違和感だな……
90 :以下、新鯖からお送りいたします [saga]:2013/09/09(月) 20:41:13.77 ID:4ZqSxSjG0
投下します
91 :以下、新鯖からお送りいたします [saga]:2013/09/09(月) 20:42:54.96 ID:4ZqSxSjG0



京太郎「ニッキュウザンクヨンパーゴッパーチッチークンロクピンピンロクマンガンマンガン…」ブツブツ


「…須賀、何をいってるんだ?」


京太郎「これか?麻雀の点数だよ」



学校の昼休み。


おれはクラスの友人と購買に行く途中、昨日教えて貰った簡易点数表の語呂を唱えていた。


やっぱこういうのは少しでも早く覚えないとな。



「麻雀か。そういやお前、麻雀部に入ったって言ってたな。楽しいか?」


京太郎「ん〜、楽しそう、って感じだな。まだ入ったばっかでルール覚えてるとこだし」


「ふ〜ん。結構すんなり決めてたからてっきり麻雀やってたのかと思ってたよ」


京太郎「全くのド素人だ。とはいえ、宮守には麻雀部に入るために来たんだけどな」


「マネージャーのスカウト…だっけ? 素人スカウト顧問も顧問だけど、知らないのに行くって決めたお前もお前だよな」


京太郎「どうせ目標とかなかったからな。だったらやること決めて高校入った方がいいかと思って」


「にしてもわざわざ長野から来るかね、普通」


京太郎「それが須賀クオリティーなのさ」


「……それ相当ダサいぞ」


京太郎「うん、言った後物凄く反省してる……」



自分でも思うけどさ。


今こうして岩手にいる自分の行動力って凄いなと。


一年前に今自分がこうなってるとか想像つかないぞ。


むしろ牌すら触ったことのない男が麻雀部のマネージャーになるのなんてどう予想すりゃいいんだ。



「でも麻雀部かぁ。聞いた話だとめっちゃ美人な人ばっかって噂だけど、どうなんだ?」



92 :以下、新鯖からお送りいたします [saga]:2013/09/09(月) 20:44:49.14 ID:4ZqSxSjG0



京太郎「美人…っていうより、可愛い人が多いな。ほんと、困るくらいに」


塞「何に困ってるの?」ヒョコ


京太郎「ううう、臼沢先輩!?」



売店の列に並んでる後ろから声をかけてきた臼沢先輩。


その突然さに思わず声が裏返る。



塞「そ、そんなに驚く…?」



そりゃ驚きますよ!


先輩達が可愛いって話してたときに入ってきたんだから!


本気で心臓止まるかと思った……。



塞「で、何に困ってたの?」


京太郎「い、いや、そのですね……」



よもや本当のことを言えるはずもない。


気まずさと後ろめたさから目を逸らすが、逸らせば逸らすほど臼沢先輩がんん〜?と顔を覗いてくる。


あの…近いっす、近いっすよ先輩……。


冷汗が頬を伝う。


93 :以下、新鯖からお送りいたします [saga]:2013/09/09(月) 20:46:06.57 ID:4ZqSxSjG0



塞「先輩にも言えないことか〜?」ギュー


京太郎「い、いひゃいへしゅ!いいひゃす!いいひゃすひゃら!」



顔が!近い!


頬を引っ張ってグイッと寄せるもんだから、目の前に臼沢先輩の顔がきた。


この人には恥じらいはないのか!?


それとも小瀬川先輩同様男として見られてない!?



塞「よろしい。先輩はどどーんと相談しなさい!」


京太郎「えっとですね…あれですよ。麻雀の点数表覚えるの大変だなーって」


塞「……」ジー



うわー……。


すげー疑いの目で見てる…。


絶対信用してないよこの人。


まぁ嘘だから仕方ないんだけどさ……。



京太郎「な、なんですか?」ダラダラ


塞「……怪しい」


京太郎「あ、怪しくなんかないっすよ…」


塞「君、須賀君の言ってることはほんと?」


「おお、俺!?は、はい。本当ですよ。さっきから必死に唱えてましたから」



ナイスだ!


よく空気を読んでくれた!



塞「ふ〜ん。そっか。ありがとね」



一応は信じてくれたみたいだ。


あ、危ねぇ…。


後少しで詰んでたぞこれ……。
94 :以下、新鯖からお送りいたします [saga]:2013/09/09(月) 20:46:37.60 ID:4ZqSxSjG0



塞「まぁ点数表のことならまた放課後でもいっか」


京太郎「そ、そうしてください。それより臼沢先輩もお昼購買なんですか?」


塞「違う違う。私は毎日弁当持参だよ。胡桃とエイちゃんと豊音と学食で食べててね。私だけ弁当だから飲み物買いに来たの」


京太郎「あれ、小瀬川先輩は?」


塞「シロは相変わらずダルいって言って教室から動かずじまい」


京太郎「ああ…納得」



普通誘われたら行きそうなものだがあの人ならやりかねない。


断る姿が安易に想像できてしまう。



塞「よかったら須賀君も来る?」


京太郎「え、いいんすか?」


塞「別に断る理由もないし。それにさっき豊音が須賀君ともっと話してみたいって言ってたから」


京太郎「じゃあ遠慮なく」


塞「じゃあ先に行ってて。多分入ったらすぐ豊音が見つかるだろうし」


京太郎「分かりました」



これはなんたるラッキーイベント。


よもや先輩達と昼を一緒に食べることが出来ようとは。



「お、おい須賀!あの人めっちゃ綺麗じゃねぇか!羨ましい!爆発しろ!」


京太郎「ふっふっふっ!じゃあ友よ!俺は学食におさらばするぜ!」


「あぁ!てめぇ裏切んなぁぁ!」



こんなチャンス逃すものか。


安心しろ。今度ジュースの一本でも奢ってやるよ。



95 :以下、新鯖からお送りいたします [saga]:2013/09/09(月) 20:47:36.47 ID:4ZqSxSjG0


宮守高校の食堂は本校舎とは別に隣に建てられ、共学化の際立地面積を増やすついでに改築し、現在小洒落たカフェテリアのようになっている。


その広々とした空間で人を探すというのは通常大変なのだが、臼沢先輩の言うとおり姉帯先輩はすぐに見つかった。


入った瞬間に一人だけ背が抜きん出ているのが丸わかりなのだ。



京太郎「どうも」


豊音「あ、須賀君だ!」


京太郎「臼沢先輩に誘われて来ました。一緒にいいですか?」


胡桃「私は別にいいよ」


エイスリン「ワタシモ!」グッ


豊音「勿論大歓迎だよー」


京太郎「ありがとうございます」


ちょうど丸テーブルでエイスリン先輩の隣と鹿倉先輩の隣が空いていたが、鹿倉先輩の席の隣には弁当箱が置いてあったのでエイスリン先輩の隣に座る。


きっと鹿倉先輩の席の隣に置いてあるピンク色の弁当箱は臼沢先輩のだろう。



鹿倉「……で、その須賀君がもってるエゲツなさそうなのはなに……?」


京太郎「これですか?これは唐揚げカツエビ天三色卵とじドリーム丼ですけど」


胡桃「……それって地雷じゃないの?」



俺が持つトレー上の丼をまるでゲテモノを見るかのような目で見る。


ラーメンの器に盛られたそれはその名の通り唐揚げ、カツ、エビ天を卵で閉じた男子学生にしてみれば夢のようなコラボ丼だ。



京太郎「失敬な。そんなわけないじゃないですか」


胡桃「そう…? 唐揚げとカツはまだわかるけどエビ天までまとめて卵で閉じてるってどうよ……」


96 :以下、新鯖からお送りいたします [saga]:2013/09/09(月) 20:49:01.15 ID:4ZqSxSjG0


エイスリン「ゴウカイ!」


豊音「美味しそうだねー」ゴクリ


京太郎「ですよね、姉帯先輩。美味そうじゃないっすか。一石三鳥って感じで」



引く鹿倉先輩、目を輝かせるエイスリン先輩、喉を鳴らす姉帯先輩。


三者三様のリアクションだ。


塞「ただいま〜ってうわ…。なにそのエグいの……」


京太郎「臼沢先輩まで…。そんなにですか?」



帰ってきた臼沢先輩は鹿倉先輩と同じ反応を見せる。


そこまで変かなぁ、これ。



塞「いや、ボリュームありすぎでしょ…。太る太る」


京太郎「男はこれくらいじゃないといけないんすよ。これって共学に合わせてつくられた男子用メニューなんすよ?」


塞「でも…」


胡桃「どうみても…」


塞・胡桃「「地雷……」」


京太郎「そんなことはない!見ててください。男子の食欲舐めんな!」イタダキマース


エイスリン「ガンバ!」


豊音「応援してるよー」



これくらい余裕だ。


そんな3段のとび箱に挑むような気持ちで目の前のラーメン丼を引き寄せた。


10分後、人生最大の地獄に立ち会うとも知らずに。



97 :以下、新鯖からお送りいたします [saga]:2013/09/09(月) 20:50:07.29 ID:4ZqSxSjG0

〜〜〜〜〜〜



10分後



京太郎「もう…無理っす……」ウプッ


塞「言わんこっちゃない……」ハァ…



吐きそうだ。


目の前の丼にはまだ半分以上も残っていた。


揚げ物と卵。


いい組み合わせと思ったのだが、卵に変に衣がついて油っこい。


ご飯も汁を吸うもんだから食べれど食べれど減らないのだ。



塞「エビ天になんてまだ一口もつけてないじゃん」


京太郎「不甲斐ないばかりです……」


胡桃「でもどうするのこれ…?」


京太郎「どうしましょっか……」



もはや見るだけ吐きそうになる量の丼に目をやる。


これだけの量を捨てるのはちょっとなぁ……。


とその時、側でそわそわしている姉帯先輩が目に入った。



京太郎「姉帯先輩、どうかしましたか?」


豊音「え!?な、なんでもないよ!別にそれ欲しいなーとか思ってたわけじゃないし!」



………なるほど。


なんて分かりやすい人だ。



京太郎「…よかったら食べます?見た通り食べかけですけど」


豊音「い、いいの!?」パァ


京太郎「えぇ。もう俺には手に負えませんから」


豊音「ありがとー!こういうの一度でいいからちょー食べてみたかったんだよー!」

98 :以下、新鯖からお送りいたします [saga]:2013/09/09(月) 20:51:55.24 ID:4ZqSxSjG0




うわー……。


凄い笑顔。なんかめちゃくちゃ罪悪感が芽生えるんだけど……。



胡桃「豊音さっきカツカレー食べてたばっかりなのに……」


塞「まぁ豊音は食べた分上に伸びてるからね。ほんと、太らないなんて羨ましい……」


京太郎「臼沢先輩は太ってないじゃないですか」


塞「そりゃ気を使ってるからね。バランスよく。それと、女の子の前で体重の話はNG!」


胡桃「そうだね。デリカシーがない!」


京太郎「う、臼沢先輩が始めたのに……」



つまりその話の時は俺に話すなと……?



京太郎「いいですよ…。俺はエイスリン先輩がうどん食べてる姿でも眺めてますから……」


エイスリン「?」チュルチュルモキュモキュ



やっぱ小動物みたいで可愛いなぁ、エイスリン先輩は。



エイスリン「」ゴクン


エイスリン「スガ、ボッチ?」


京太郎「一体どこでそんな言葉覚えたんですか……」


99 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/09(月) 20:52:26.86 ID:4ZqSxSjG0
今日はここまでです
100 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/09(月) 20:53:11.04 ID:6R8zMAQLo
乙やで〜
101 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/09(月) 20:53:47.45 ID:hJ/AMpTHo
乙 ボッチじゃないよ〜
102 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/09(月) 20:54:09.23 ID:RHx4n1lPo
乙ー
ぼっちだよー
103 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/09(月) 20:54:19.31 ID:unY1RYAPo
あぁ〜宮守は癒されるゥ


104 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/09(月) 21:00:24.82 ID:iL0cIuxIo
乙です
105 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/09(月) 21:03:11.46 ID:AnYkKLVro
106 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/09(月) 21:12:44.92 ID:GaeSkJUwo

ドリーム丼……ちょっと食べてみたいな
107 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/09(月) 21:25:59.87 ID:p9+dOP4lo
オッツ
普通の大盛り用の器ならまだしもラーメンのどんぶりとは……
容量的に3人前くらいにはなりそうだな
108 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/09(月) 21:39:41.57 ID:9ECRT/5go
おつー

いったいこのどんぶりいくらするんだろうな…
109 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/10(火) 01:33:55.22 ID:WUWU6etIo
110 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/11(水) 16:29:51.67 ID:EgRA6ivx0
量が無駄に特盛りじゃなければ普通に美味しそうではあるんだが
111 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/11(水) 20:36:21.99 ID:BXG+hGAUo
天ぷらの玉子とじ丼ってあるしな
112 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/11(水) 20:38:40.82 ID:y4cIavoYo
某弁当屋はそれを季節限定にせずにいつも置いてくれと言いたい
113 :以下、新鯖からお送りいたします [saga]:2013/09/15(日) 21:40:23.71 ID:yyyjuFYJ0
投下します
114 :以下、新鯖からお送りいたします [saga]:2013/09/15(日) 21:41:55.92 ID:yyyjuFYJ0



京太郎「そういえば俺、一つ気になってることがあるんですよね」


塞「なに?」


京太郎「うちの部長って誰なんですか?」



昨日の自己紹介じゃ誰も部長って名乗ってなかったし、熊倉先生も言ってなかった。


部員として部長が誰かくらい知っておかないとと昨日気づいたのだ。



塞「………誰か知ってる胡桃?」


胡桃「いや、知らない」


京太郎「……え?」



いや、部長が誰か知らないって……


そんなことあっていいのか……



塞「う〜ん。まぁ豊音とエイちゃんは後で来たから部長は私か胡桃かシロなんだろうけど」


胡桃「実はね、麻雀部作ろうって言い出したのってシロなんだ」


京太郎「小瀬川先輩ですか!?」



あ、あの人が麻雀部を……?


てっきり臼沢先輩と鹿倉先輩が無理矢理引きずって入れたのかと思ってたのに……。
115 :以下、新鯖からお送りいたします [saga]:2013/09/15(日) 21:43:05.76 ID:yyyjuFYJ0




塞「気持ちは分かるけど一番驚いたのは中学の時からシロを知ってた私と胡桃だよ。まさかあのシロが部活に誘うなんてね」


胡桃「まぁ私達自身断る理由もなかったから麻雀部に入ったんだよね。けど、シロがあんな風だから部長なんて決めてないよ」


京太郎「こういっちゃなんですが小瀬川先輩が部長ってのもなんか変ですしね……」


塞「部長いない部活ってのは変だけど、うちらしくて私は今更決めなくてもいいかなって思ってるんだけどね」



そ、そんな裏話があったとは……。


じゃあ今うちの部活って部長不在でやってるのか。



豊音「ごちそーさまー。ちょー美味しかったよー」


塞「はやっ!?もう食べ終わったの!?」


豊音「うん。須賀君、ありがとねー」


京太郎「い、いえ。お礼を言うのは俺の方っすよ」



宮守麻雀部創設の話を聞いている間に姉帯先輩が残った丼を食べ終えた。


は、早い……。


カツカレー食べた後に食したスピードじゃねぇよ……。



豊音「お腹いっぱいでちょー満足だよー」ツヤツヤ


胡桃「と、豊音がツヤツヤしてる……」


エイスリン「ゴチソウサマ!」パンッ



うん、エイスリン先輩はマイペースですね。


にしても、素うどん食べてたエイスリン先輩より姉帯先輩の方が早かったのか……。


姉帯先輩、恐ろしい子っ!


116 :以下、新鯖からお送りいたします [saga]:2013/09/15(日) 21:46:29.86 ID:yyyjuFYJ0



胡桃「食堂が新しくなってよかったね。まさかデザートまでメニューに加わるなんて」



姉帯先輩が丼を片付けた後、鹿倉先輩がプリンを食べていた。



エイスリン先輩「ウン、オイシイ」ズズズ



いやいやエイスリン先輩。


味噌汁はデザートじゃないですから……。



豊音「須賀君は長野から来たんだよね。私も岩手から来たんだよ!」


京太郎「そうなんですか。お互い遠い場所からーーってここ岩手ですよね……?」


塞「気にしなくていいよ。豊音ってちょっとあれだから」


豊音「酷いよ塞!?」ガビーン


塞「冗談だよ。岩手は岩手でも、豊音は山奥の村から来ててね。結構来るのに大変だったんだよ」


豊音「トシさんのおかげでこうして学校に通えてるんだよー。今は須賀君と一緒で一人暮らししてるんだー」



姉帯先輩のことは熊倉先生から聞いている。


あの人曰く、人生で一番苦労したそうだ。



豊音「だから私は村にいる時からやってみたいことを高校でやりきるつもりなんだよー」


京太郎「そうなんですか。それってだいたいいくつくらい?」


豊音「んーとねー、どれくらいだろ?とりあえず片っ端から!」


京太郎「それがどのくらいかを聞いたんですけどね…」


塞「ふふっ。豊音はミーハーだからね。数えきれないくらい、だよね?」


豊音「うんっ!」



ん〜、やっぱり子供みたいだ。


遊び心を忘れていない純粋な人。


なんというか、見守りたくなる感じだ。



豊音「でも今一番したいことは麻雀部の皆で全国優勝することかな!」

117 :以下、新鯖からお送りいたします [saga]:2013/09/15(日) 21:48:11.24 ID:yyyjuFYJ0



塞「…なんてこと言うんだよ豊音。まだ私達他校と練習試合すらしたことないのに、夢が大きいよね」


豊音「夢じゃないよ!目標だもん!」


京太郎「目標、ですか」


豊音「絶対に達成することだからね。ちょー頑張るよー!」


胡桃「そのためにはまずポーカーフェイスを覚えなよ豊音」


塞「そうだね。そんなに感情豊かにやってたらバレバレだよ」


豊音「そ、そこは今から頑張るよー」



まるではしゃぐ子供を見守る親だな。


けど、臼沢先輩も鹿倉先輩も満更でもなさそうだ。


口では夢って言ってても、気持ちは姉帯先輩と同じなのだろう。



豊音「須賀君もトシさんに連れてこられたんだよね。やってみたいこととかあるの?」


118 :以下、新鯖からお送りいたします [saga]:2013/09/15(日) 21:48:38.96 ID:yyyjuFYJ0


塞「豊音、須賀君が一年とはいえ豊音と一緒にしちゃダメだよ」


豊音「さっきから塞が酷いよー!?」ガビーン


京太郎「あはは…。でも俺にも目標、ありますよ」


豊音「ほんと!?なになに!?」ワクワク



純粋な瞳に見つめられ変に緊張する。



京太郎「麻雀部の全国大会出場です」


豊音「須賀君もなんだ!奇遇だね!」


京太郎「奇遇じゃないですよ姉帯先輩。俺はそのために来たんですから」


塞「へぇ。言ってくれるね〜」


京太郎「とはいえ、するのは皆さんのサポートですし先輩方とは違って現実味がないんですけどね…」


胡桃「まだ麻雀覚えたてだもんね」


エイスリン「スガ、マダショシンシャ!」


京太郎「はい。だから俺に全国の実感が湧くのは先輩方次第ですね」


塞「ほほぅ」ニヤッ


京太郎「あはは…。ちょっと偉そうですね」ポリポリ


塞「いや、面白そうじゃん。いいよ。須賀君にも全国優勝を一緒に目指して貰おっか。そのために今日の放課後からビシビシいくから覚悟しておいてね!」


胡桃「おおっ。塞のやる気ゲージがMAXに!」



放課後から本格指導か。


俺もめちゃくちゃやる気出てきた!


119 :以下、新鯖からお送りいたします [saga]:2013/09/15(日) 21:50:51.32 ID:yyyjuFYJ0




今日は朝から運がいい。


自販機に100円玉が残されていたり、宿題をし忘れていた授業がたまたま潰れたり、昼に臼沢先輩から食事に誘われたり、風が吹いてクラスの女子のスカートがめくれたり……etc


とにかく運が俺に向いている。


きっとこの運は今日中続くのではないか。


あまりの良さに歌を歌いながらスキップまでしちゃうぜ。



京太郎「ケミカルアンカーダダッダ!へいっ!」ガチャ


エイスリン「!?」ビクッ



勢いよく扉を開けると、部室には先にエイスリン先輩がいた。


突然の事に驚いたのかエイスリン先輩は持っていた分厚い本を膝の上に落とす。


ぐへへ。ビクついて怖がるエイスリン先輩可愛いっす!


ーーな〜んて下心、見せちゃいけない。



京太郎「あ、すみませんエイスリン先輩。驚かせちゃいましたか…?」



ここは慎重に対応する。



エイスリン「チョットダケ……。デモダイジョウブ」



先輩として後輩を気遣ったのか冷静を装うエイスリン先輩。


膝の上に落とした本を拾った。



京太郎「先輩、何してるんですか?」


エイスリン「コレヲミテベンキョウチュウ」



なになに?



『小鍛冶健夜、美しき打ち筋大全100〜配牌から和了まで〜』



120 :以下、新鯖からお送りいたします [saga]:2013/09/15(日) 21:52:59.14 ID:yyyjuFYJ0




あ、あれか…。


こっちに来た時に少しでもと思って麻雀本を買いに行った時あまりの分厚さに敬遠したあの本か…。


凄い本読んでるな…。



エイスリン「スガモヨム?」


京太郎「え?あ〜……」



正直なところ、あれを読んだところで理解できる気がしないんだよなぁ。


まだ打ち方とかきちんと習ってないってのに。


だけどーー



エイスリン「ヤメトク?」



うん、こんな機会逃すわけないだろjk



京太郎「いえ、お言葉に甘えて」



エイスリン先輩が本をソファー前の机に置いたので俺は適当な場所にカバンを置き、その対面に椅子を持っていく。



エイスリン「ソファー、スワラナイ?」


京太郎「え?」


エイスリン「ミヅライ、チガウ?」


京太郎「ま、まぁそうっちゃそうですけど……」


エイスリン「スワレバ?」ポンポン



大 天 使 降 臨 !


これが天使か…!


自分の隣をポンポンと叩くエイスリン先輩が可愛いすぎる!


121 :以下、新鯖からお送りいたします [saga]:2013/09/15(日) 21:53:42.33 ID:yyyjuFYJ0



エイスリン「…?ドウシタノ?」



……だけどこの人は純粋な気持ちで言ってるんだよな。


うし、落ち着け須賀。


お前は英国紳士だろうが!※違います



京太郎「いえ、やっぱりいいです。牌譜なら逆からでも充分ですから」



ここはエイスリン先輩には申し訳ないが断っておこう。


下心を構えた俺は座るべきではない。



エイスリン「ジャア、マズハココカラ」



さっと指差すページのタイトル



『日本代表決定戦東3局4本場 トドメの清老頭』



……タイトルからしてエグいんですけどそれは…


清老頭ってあれだよな。


1・9牌だけで作った役満だよな。


配牌は……

111199m19s111p東西 ツモ9s



京太郎「やめましょうエイスリン先輩。たぶんこれ読んでも何の役にも立ちませんよ」



これは酷い。


昨日習ったばかりの俺ですら分かる。


こんな配牌普通じゃないだろ!


どう積みこめばこうなるんだ!

122 :以下、新鯖からお送りいたします [saga]:2013/09/15(日) 21:54:27.92 ID:yyyjuFYJ0


エイスリン「モウチョットミテミル」


京太郎「まぁ先輩がそういうなら…」



捨て:1m


ツモ:9m


捨て:東


ツモ:9p


捨て:西


ツモ:9s


捨て:1s←聴牌


ツモ:北


捨て:北


西家捨て:9p


ロン



京太郎「やっぱりこれは見るのやめましょ」パタン


エイスリン「アゥ…」



くっ…!エイスリン先輩の物欲しげな目が……!


でもダメだ須賀!


これは絶対に役にたたないタイプの麻雀本だ!



京太郎「ちょうど昨日、小瀬川先輩に借りた麻雀本がありますから、こっちを読みませんか?」



ここぞとばかりにカバンから『三尋木プロのわっかんね〜麻雀教室』を取り出す。


タイトルこそあれだが内容はちゃんとしたものだ。



京太郎「俺、ちょっと卓拭いてくるんで先輩一人でどうぞ」


エイスリン「ン、ワカッタ」コクン



あぁ、抱きしめたい。

123 :以下、新鯖からお送りいたします [saga]:2013/09/15(日) 21:55:34.07 ID:yyyjuFYJ0
とりあえずここまで。


もう少し後にまた投下します
124 :以下、新鯖からお送りいたします [saga]:2013/09/15(日) 22:01:42.83 ID:SvBC71Vv0
乙!!待ってた
125 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/15(日) 22:02:18.64 ID:+nNLzUrbo
乙です
126 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/15(日) 22:08:48.41 ID:7hSkX2zgo
127 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/15(日) 22:11:30.02 ID:dXZ4ZiSNo
128 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/15(日) 22:14:26.36 ID:TcNggwuk0
129 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/15(日) 22:16:14.25 ID:dHJQzA/zo

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.            斗<二二|:l:|_,ノ ':::\:::::::. _\∨:::::::::::|´
          <二二|:::::|::::::|从 _ \:::\:::\刈|∨::::::: |
      ∠二二二二|:::::|l:::l:|_/γ心` \::i\:::\|::l∨:::: ト.
      --――━━┥::八从^ 乂ツ   ,\ \:::\:::::::::|:::.
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         /:::::|ニニニ{ ´ ィ^'´              |{ヽ  ∧ニ|:|::::::::::::::.
.        /:::::: |ニニ/∧   」                  |{  /ニ}ニ|:|:::::::::::::::|
       /::/:::: lニニiニニニ二|_________|ニニニニ{ニ|:|::::::l::::::::|
.      /::/:::: : lニニl二二二二二\二ニ∨ニ二二二二二二〉ニ::|::::::l::::::::|
130 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/15(日) 22:16:15.65 ID:pHoTLkNoo
131 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/15(日) 22:30:55.80 ID:4+NFclzA0
アラサー・・・

132 :以下、新鯖からお送りいたします [saga]:2013/09/15(日) 22:33:47.54 ID:yyyjuFYJ0



豊音「ポポポポーー!」


京太郎「ぎゃーーーー!?」


エイスリン「ワーーー!!」



ドタバタドドドドーー



塞「………なにやってんの?」


京太郎「あ、臼沢先輩」



ピタッと止まって先輩の方に振り向く。


卓を拭き終わった直後、姉帯先輩が来たのでエイスリン先輩を含めた3人で遊んでいた。



京太郎「尺八様ごっこですよ。臼沢先輩もやります?」


塞「うん、違うよね。私はなんで部室で尺八様ごっこやってるのか聞いたんだけど…」


京太郎「暇だったからです!」


塞「そこまで堂々と言うのか……」


京太郎「まぁ、聞かれたんで」



嘘はキライな性分だ。



塞「エイちゃん、シロは?」


エイスリン「タブンキョウシツデネテル」


塞「本当にあいつは何してんだか……」


京太郎「小瀬川先輩ですから」


塞「一日で納得するところまで来たんだね……」


京太郎「小瀬川先輩もですけど、鹿倉先輩はどうしたんですか?」


豊音「胡桃は学級委員やってるから集まりで遅れるって言ってたよ〜」


塞「あと30分くらいで来るんじゃないのかな」


京太郎「ちっちゃいのに頑張りますねー」

133 :以下、新鯖からお送りいたします [saga]:2013/09/15(日) 22:34:13.67 ID:yyyjuFYJ0
言うの忘れてたf^_^;)

投下します
134 :以下、新鯖からお送りいたします [saga]:2013/09/15(日) 22:35:28.21 ID:yyyjuFYJ0



塞「それ胡桃に聞かれたら怒られるよ……」


京太郎「大丈夫です。怒ったら怒ったで可愛いでしょうし」


塞「須賀君ってロリコン…?」


エイスリン「yesロリータnoタッチ!」


京太郎「違います!」


塞「え〜?どこが?」


京太郎「俺はロリコンなわけじゃない!ロリ“も”いけるだけですから!」


塞「分かった。じゃあとりあえず退部届出そっか」


京太郎「ええっ!?何でですか!?」


塞「よく須賀君以外女子しかいないここでその台詞を言って平気だと思ったね……」


135 :以下、新鯖からお送りいたします [saga]:2013/09/15(日) 22:36:11.21 ID:yyyjuFYJ0



何がいけなんだろう。



塞「流石にそれは冗談だけどさ…。場を弁えようか。今の須賀君女子なら誰でもいいって感じの変態だから」


京太郎「誰でもいいわけないじゃないっすか!可愛い人がいいに決まってます!」


塞「ごめん。場を弁えるじゃなかったね。とりあえず黙ってて」


京太郎「ういーっす」


エイスリン「サエ、レンシュウドウスル?」


塞「普通に3人で3麻してもいいけど……」チラッ


京太郎「?」オクチチャック


塞「折角だし須賀君もやる?」


京太郎「!」コクコク


塞「……やっぱり口開いていいよ。一々ジェスチャーされるの面倒だし」


京太郎「も〜。臼沢先輩はワガママだなぁ」


塞「ねぇ豊音。須賀君を一回殴ってもいいかな?いいよね?」


豊音「お、抑えて塞!」


エイスリン「イケサエ!」


豊音「エイスリンさん煽らないで!?」


塞「まぁいいよ。麻雀の厳しさとルールを覚えるのは実践が一番早いからね。ボコボコにしてあげるから早く卓について」



ふふふっ。


これでも昨日麻雀本を読んだんだ。


俺だって少しはやってみせるぜ!



136 :以下、新鯖からお送りいたします [saga]:2013/09/15(日) 22:36:59.08 ID:yyyjuFYJ0


塞「ロン。8000だね」



うん知ってた。


勝てるわけないよね。


だって役しか教えてもらってないんだもん。


というか3人とも聴牌するの早すぎです……。



京太郎「の、残り1900点しかない…」


塞「リーチかけるだけの点数は残ってるのか。ま、次で潰すよ!」



くそぉ……。


このままで終わるのか!?


焼き鳥で終わっていいのか!?


いや、終わっていいわけがない!逆説!



京太郎「いいですよ!次挽回してみせます!」


豊音「うんうん、その意気だよー」



気合を入れて配牌を捲る。


こ、これは……!


いいぞ!いい手配だ!


好配牌から回ること12巡。


ツモもよく組換えつつ聴牌までこぎつけた。


ここで立直をかけた場合確認出来る役はメンタンピン三色一盃口ドラ2


さっき8000点取られたことを考えると……。


ふふふ!
137 :以下、新鯖からお送りいたします [saga]:2013/09/15(日) 22:37:31.45 ID:yyyjuFYJ0



京太郎「見ててください!やられたらやり返す!倍返しだ!」トオラバリーチ!



決まった!



エイスリン「ロン!」


京太郎「ですよねー」



なんとなくそんな気がした。


倍返し宣言した時点で死亡フラグの匂いがプンプンしたんだ。



ガチャ



胡桃「ごめん遅れた!って須賀君入れて4人で打ってたんだ」


塞「あ、大丈夫だよ。須賀君今飛んだから」


胡桃「え…?うちのクラスのHRが終わってから30分しか経ってないのに…?須賀君何したの?」


京太郎「倍返しです」キリッ


塞「速攻で失敗したけどね」



こうして俺の初闘牌は幕を閉じた。


138 :以下、新鯖からお送りいたします [saga]:2013/09/15(日) 22:38:33.47 ID:yyyjuFYJ0
短いですが終了。


また書くのでもしかすると後一回投下するかもしれません。
139 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/15(日) 22:43:45.39 ID:K+/fD1hxo
尺八とかいやらしい...
八尺様でしょうに...
140 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/15(日) 22:49:04.36 ID:6e/NaL7yo
いやらしくないよ!少なくとも原義は・・・

派生した語句がちょっとアレなだけで
141 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/15(日) 23:03:23.40 ID:4+NFclzA0
尺八様(意味深)って捕まるとどんな目に遭うのだろう(ドキドキ)
142 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/15(日) 23:04:52.77 ID:tZOuAHTZO
乙ー
倍返しだ!
143 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/15(日) 23:11:35.69 ID:NpHfVNzIo
乙ー
144 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/15(日) 23:43:11.99 ID:yyyjuFYJ0
ミスですねf^_^;)

八尺様です……
145 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/15(日) 23:47:20.97 ID:NDfizq3Lo
>>141
そらもう、ぽぽぽ(意味深)よ
146 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/16(月) 10:20:27.13 ID:muPox0U80
ブレイク工業には誰も突っ込まなかったんだね
147 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/16(月) 17:52:48.86 ID:LoyaDvyFo
もう知ってるのも少ないんじゃね?
148 :以下、新鯖からお送りいたします [sage]:2013/09/16(月) 18:09:18.72 ID:vZx1GlWVo
大天使がきょとんとしてたから、ツッコむのは野暮かと思った
149 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/09/26(木) 15:10:34.11 ID:RxPhIdko0
次の更新まだかなー?
150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/10/07(月) 22:03:22.90 ID:xdkModoo0
宮守ってやっぱり書くの難しいのだろうか……。
151 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/10/09(水) 16:41:05.94 ID:jIOBqjMk0
更新待ってるぞ
152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/10/10(木) 00:57:17.98 ID:DBOTMS5/0
続き楽しみにしてます
153 :以下、新鯖からお送りいたします [saga]:2013/10/10(木) 20:22:25.39 ID:xWbVwK/F0
応援してるよ
154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/10/10(木) 22:49:03.57 ID:taVNaE/c0
最初からマネージャーだとして入部するなら、清澄みたいな仕打ちはなかったんだろうなあ
155 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [sage]:2013/10/13(日) 01:43:51.08 ID:c1s3p+Yr0
応援してます。続き期待してますね
156 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/10/14(月) 19:58:48.54 ID:z3nBwvcJo
おい!そろそろ1カ月だぞ!
157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/10/21(月) 20:48:08.75 ID:lV5vSWA5o
これはエタった
158 : ◆kcaKXaqzoQ [sage]:2013/10/22(火) 02:40:25.48 ID:mG/XDnpoo
エタらせねえぜ
159 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/10/22(火) 22:53:04.66 ID:84EA6mIHo
来てる!?
160 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/10/22(火) 23:05:52.30 ID:AuX7yu3ho
>>159
残念、ここの1は酉付けてないので158は1じゃないです
161 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/10/22(火) 23:07:28.84 ID:ejZv8rMUo
やはりエタる運命か
162 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/10/23(水) 00:10:34.07 ID:KFRqnK+To
残念
163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [sage]:2013/10/25(金) 00:44:10.55 ID:+3UPMdZ10
そろそろ終わりか・・・
164 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/11/02(土) 17:10:05.90 ID:D9Cv660jo
今存在を知ったのにエタりそうだなんて悲しい
京豊の参考にしたかった
165 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/11/15(金) 00:08:49.85 ID:4j2E1oQSo
2ヶ月か…
166 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [sage]:2013/11/16(土) 19:51:33.44 ID:R/KELpdB0
惜しいな
良い感じだったのに
続きが読みたかった
167 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/11/21(木) 19:08:13.99 ID:87tig5FNo
ウーン…
168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/12/07(土) 23:30:48.89 ID:wmX2KSPVo
>>158
この現状を見てもう一回行ってみろ
169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/12/22(日) 08:11:58.53 ID:uIHk+tAIo
>>158
エタってるじゃねぇかよしねくそ
170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/12/24(火) 01:13:26.75 ID:63BfBSPy0
作者酉つけてないだろ、お前ら無能過ぎ
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