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娼婦「男さん、愛しています」 -
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1 :
名無しさん
:2014/05/25(日) 14:24:05.48 ID:RfQkQDIb0
胸糞展開あり、処女厨にはおすすめしない
立ったら書く
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1400995445
1.5 :
荒巻@管理人★
(お知らせ)
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バームくんへ @ 2025/06/11(水) 20:52:59.15 ID:9hFPsRzXO
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1749642779/
秘境 @ 2025/06/10(火) 00:47:53.81 ID:BDVYljqu0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1749484073/
【安価】上条「とある禁書目録で」鴻野江「仮面ライダー」【禁書】 @ 2025/06/09(月) 21:43:10.25 ID:qDlYab/50
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1749472989/
ツナ「(雲雀さん?!)」雲雀「・・・」ビショビショ @ 2025/06/07(土) 01:30:36.87 ID:AfN9Rsm0O
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1749227436/
【安価コンマ】障害走を極めるその5【ウマ娘】 @ 2025/06/06(金) 01:05:45.46 ID:RaUitMs20
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貴様たちの整備のお陰で使いやすくしてくれてありがとう @ 2025/06/04(水) 20:56:21.03 ID:QjuK6rXtO
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1749038181/
阿笠「わしの乳首に米粒をくっ付けたぞい」コナン「は?」灰原「は?」 @ 2025/06/04(水) 04:01:13.39 ID:ZjrmryLdO
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1748977273/
レッド(無口とか幽霊とか言われるけどまだ電脳世界) @ 2025/06/02(月) 21:21:00.13 ID:ix3UWcFtO
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1748866860/
2 :
名無しさん
:2014/05/25(日) 14:25:39.93 ID:RfQkQDIb0
男「娼館…ですか?」
先輩「そうそう。お前確か、まだ女知らないよな?」
男「ええ、まぁ…」
先輩「女はいいぞ?やわらかくてしっとりしてて、癒してくれる。俺らみたいな明日をも知れない奴らにとっちゃ、最高の存在だ」
男「でも、金が…」
先輩「今日だけおごってやるよ。ほら、行くぞ!」グイッ
3 :
名無しさん
:2014/05/25(日) 14:26:05.53 ID:RfQkQDIb0
ー娼館ー
受付「あら先輩ちゃん、お久ー。後ろの子はお連れさん?」
先輩「最近、新人がはいったって聞いてさ。こいつも初めてだから、頼むよ」
受付「了解。先輩ちゃんはいつもの売れっ子ちゃんよね?」
先輩「もちろん。じゃあ男、後でな?」ヒラヒラ
男「あ、ちょっとま…」
男「(行ってしまった…)」
4 :
名無しさん
:2014/05/25(日) 14:27:15.80 ID:RfQkQDIb0
男「(俺達軍人は、いつ死んでもおかしくない。戦友は増えては減り、減っては増える)」
男「(故郷に恋人がいても、独り身でも、誰にでも死は訪れる)」
男「(もちろん、この俺だって……)」
娼婦「……あのー、大丈夫ですか?」
男「!? わ、あ!」ビクッ
娼婦「あ、ごめんなさい。部屋に来ないから、迎えに来たんですけど…」
男「すいません、考え事してて……、」
男「(その瞬間、俺は思わず息を呑んだ)」
男「(目の前に立つ、華奢で儚く、異国の色彩の繊細な外見をした少女)」
男「(鈴を転がしたような声は心に沁み、庇護欲をかき立てる)」
男「(娼館の趣味なのか、身にまとう白い質素な服が、より少女の儚さを引き立てていた)」
5 :
名無しさん
:2014/05/25(日) 14:27:43.81 ID:RfQkQDIb0
娼婦「……?お客さん、大丈夫ですか?」
男「! す、すいません、娼館とか初めてで、緊張してて…」
娼婦「ふふっ、大丈夫ですよ。私も、ここに来たばかりですから」ニコッ
男「(苦し紛れの言い訳に、少女が微笑んでくれたことに心底安堵した。それと同時に、今まで感じたことのない胸の高鳴りが起きた)」
6 :
名無しさん
:2014/05/25(日) 14:28:41.35 ID:RfQkQDIb0
男「(部屋まで案内され、ベッドの上に座らされた。早速しゃがみこんで俺の前をくつろげようとする彼女を、俺は必死に制止した)」
男「ちょ、ちょっと待って!ください!」アタフタ
娼婦「え? も、もしかして何か、不手際でもありましたか?」アセアセ
男「そうじゃないです!でも待って、離れて、待って!」ガサゴソ
娼婦「え、え?」
7 :
名無しさん
:2014/05/25(日) 14:29:12.70 ID:RfQkQDIb0
男「(しばしの混乱の後、少女を少し距離を置いてベッドの上に座らせる。少女も混乱が解けたのか、申し訳なさそうな顔をしていた)」
男・娼婦「「あの…」」
男・娼婦「「!!」」
男「ど、どうぞ」
娼婦「いえいえ、お客さんがお先に」
男「……えっと、じゃあ俺から」
男「あなたは……えーっと…」
娼婦「あ、娼婦です。私の名前」
男「…娼婦さんは、ここに来たばかりって言ってましたよね」
娼婦「はい。あ、もしかしてそれが原因ですか?ですよね、もっと経験豊富な人のほうが……」ショボン
男「あっいや違っ、ただの世間話でっ」アセアセ
娼婦「ふふっ、冗談です。お客さんも初めてですよね」ニコッ
男「は、はい」ドキッ
8 :
名無しさん
:2014/05/25(日) 14:29:41.17 ID:RfQkQDIb0
男「(ふたたび感じた胸の高鳴りは、自分の彼女に対する思いを自覚するには十分だった)」
男「(しばらくの雑談をし、時に致そうとする彼女を止め、また雑談をする)」
男「(彼女をもっと笑わせたい、ずっと笑顔でいて欲しい。そう思った俺は、彼女に向き直って言った)」
男「あの、俺、男って言います」
娼婦「男さん、ですか。いいお名前ですね」
男「その、よかったら、また来るんで、今日みたくお話しませんか?」
娼婦「お話……ですか?」キョトン
男「い、嫌ですか……?」
娼婦「…ふふっ、そんなこと、ありませんよ。是非、待ってます」ニコッ
男「よかっ…!!」パァア
男「(彼女の言葉に夢見心地になった俺は、その後どうやって帰ったか覚えていない)」
男「(帰り際渡された彼女の名刺を大切に仕舞い、その夜は眠った)」
9 :
名無しさん
:2014/05/25(日) 14:30:14.21 ID:RfQkQDIb0
ー数ヵ月後ー
男「しょ、娼婦さんお願いします」キョロキョロ
受付「あら、男ちゃん。このごろよく来るわねぇ。もしかして、惚れてるの?」
男「!!」ドキッ
受付「相変わらず素直ねえ。そんなんじゃ、すぐ騙されちゃうわよ?」カラカラ
男「受付さん…!///」キッ
受付「やーね、すぐ赤くなっちゃって。娼婦ちゃんでしょ、待ってるわよ」
男「え?」ポカーン
受付「そろそろ来る筈だって、さっき念入りに身づくろいしてたのよ。おアツいことね」
男「いっ、行ってきますっ!!!///」ダダッ
受付「行ってらっしゃ〜い。そろそろ、キスぐらいしてみたら〜?」
受付…「…聞いてないし。まったく、いつまで青臭いことやってんのかしら。もっとガバッとイっちゃえばいいじゃない」
先輩「男にそんなの無理だよ、分かってんでしょ?」
受付「あらま、先輩ちゃんじゃない。どうしたのその顔、男前が増してるわよ」
先輩「ははは、姫の機嫌を損ねてしまってな。思いっきりやられた」ボロッ
受付「どーせまたヘンなことやったんでしょ。売れっ子ちゃん、単純だから」
先輩「否定はしない」
10 :
名無しさん
:2014/05/25(日) 14:30:56.80 ID:RfQkQDIb0
男「し、失礼します…」ギィィ
男「(何度も訪れ見慣れた部屋に、今日は少しだけ違うところがあった。窓際の花と、かすかに香る甘い匂い)」
男「(どちらもほとんど自己主張をしない、大人しい感じがこの部屋の住人に合っていた)」
娼婦「あ、男さん!いらっしゃい、待ってましたよ」ニコッ
男「娼婦さん、こんばんは。お花、買ったんだ」
娼婦「はい。今日、通りで見かけて。綺麗ですよね」
男「確かに。娼婦さんに似て、綺麗だ。名前はなんていうの?」
娼婦「あ、ありがとう…/// えと、名前はわからないんです」テレテレ
男「そうなんだ。どこで買ったの?」
娼婦「5歳くらいかな、籠にいっぱい入れて売ってたんです。それで、いっぱい買いすぎちゃって、他の部屋にも…」
男「へえ…やっぱ娼婦さんは、優しいね」
娼婦「そんなこと、ないです/// 偶然見かけたってだけで…」
男「でも、優しいよ。そうだ、昨日先輩が話してたんだけど……」
男「(彼女と過ごす時間はゆるやかで、ぬるま湯に浸るような心地よさがあった)」
男「(どんなにつらいことがあっても、この瞬間だけは全て忘れて、笑うことが出来た)」
11 :
名無しさん
:2014/05/25(日) 14:32:32.28 ID:RfQkQDIb0
ー戦場ー
ドガーン...パラララ...
友人「ぐぁああああっ!!!」
男「友人!くそっ、友人が腕をやられた!誰か衛生兵を呼んでくれ!」
同期「そんな余裕ねえよ、今こん中飛び出してったら、あっという間にミンチだ!」
男「…っ!仕方ない、応急処置だけでも…」
友人「いいよ、男。どうせ無駄だ」ゼーハー・・・
男「友人?無駄なんてことはない、今手当てすれば…」
友人「両腕がお釈迦になったんだ、これ以上戦えねえ。貴重な薬を無駄遣いするくらいなら、しないほうがいい」ググッ
男「、友人……」
友人「…なあ、誰か爆弾持ってるか?あったら、一個くれ」
同期「お前、もしかして……」
友人「最後くらい、一花咲かせてーんだよ、協力してくれや」ニカッ
男「……故郷の妹はいいのか?最後の家族だろう?」
友人「…いいんだよ、もう。それに、こんな腕じゃ抱きしめることも出来ねえ」
同期「…分かった。 ……寂しく、なるな」ポイッ
友人「さんきゅ。じゃあ、逝ってくるか。あ、それと男」
男「……?」
友人「俺の妹は、お前に惚れてる。俺の代わりに幸せにしてやってくれ」
男「友人……!!お前、」ハッ
友人「じゃーな、お先に向こうで待ってるぜ」ダッ
ドーン...
男「(友人の妹は、その知らせを聞いたとき、兄似の笑顔をくしゃくしゃに歪めて泣き喚いた)」
男「(叩きつけるような、人殺し、という一言が忘れられない)」
12 :
名無しさん
:2014/05/25(日) 14:33:05.98 ID:RfQkQDIb0
ーー
ーーー
ーーーー
娼婦「男さん?」
男「、あ、な、何?」
娼婦「…何か、つらいことでもあったんですか?」
男「! そ、それは…」
娼婦「……無理に話さなくてもいいですけど、私に何か出来ることがあったら、何でも言ってください」
娼婦「男さんのこと、心配ですから」ニコッ
男「娼婦さん……」
13 :
名無しさん
:2014/05/25(日) 14:34:36.69 ID:RfQkQDIb0
男「(彼女は、俺が軍人であることを知らなかった)」
男「(聞けば彼女は、戦争で家族を失い、生きるために娼館に来たという)」
男「(戦火の中、身一つで生きてゆくことを選んだ彼女は、誰よりも気高く、美しかった)」
男「(そんな彼女に、自分が人殺しであることを、人を殺して稼いだことを明かす勇気は俺にはなかった)」
14 :
名無しさん
:2014/05/25(日) 14:35:02.35 ID:RfQkQDIb0
ー宿舎ー
先輩「よお、最近娼婦ちゃんとうまくいってる?」
男「先輩こそ、売れっ子さんとは仲直りしたんですか?」
先輩「ぐっ、な、なぜそれを・・・!」
男「受付さんがものすごい笑顔で言いふらしてましたよ」
先輩「うわああ、受付ちゃんの薄情者!あと、仲直りはしたよバーカバーカ!」ダッ
男「あ、いっちゃった……見かけによらず、打たれ弱いよな、あの人…」
同期「男、今何話してたんだ?先輩が傷だらけで泣きながら走ってたんだが…」
男「あー、実はかくかくしかじかで…」
同期「なるほど…。なあ、お前これから時間あるか?」
男「どこか行くのか?」
同期「…友人の、墓参りだよ」
15 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2014/05/25(日) 14:40:35.99 ID:PY+BcCKQo
この感じは……あれ
期待
16 :
名無しさん
:2014/05/25(日) 14:41:08.04 ID:RfQkQDIb0
男「(友人の遺体はばらばらで、唯一勲章と手足の破片、顔の上部が回収できたくらいだった)」
男「(それでもまだ、判別が出来ただけマシだろう)」
男「(念入りに手入れがされた友人の墓は、寂れた墓地でひときわ目立っていた)」
同期「新品の花に、立派な供え物。あいつ、本当に愛されてたんだな」
男「……ああ」
同期「…俺たちも、いつかはこうなるんだろうか。安らぎとは程遠い戦場で、悼む暇もないまま、はらわたぶちまけて」
男「……」
同期「…まずは、近況報告でもするか。あの後、俺達は勝ったよ。お前のおかげで」
同期「お前が主力のところを叩いてくれたから、敵方も総崩れで、戦果を収めることが出来た」
同期「……いつか、勲章つけたいって言ってたよな、お前」
男「……」
同期「でももう、つけらんねぇや……」ポタポタ
17 :
名無しさん
:2014/05/25(日) 14:42:03.71 ID:RfQkQDIb0
男「(その後、友人にいくつか話をして、来る途中買った花を置いて、墓地を後にしようとした)」
男「(その途中、見知った影を見かけた)」
男「娼婦さん…?」
男「(寂れた墓地の隅に一人たたずむ彼女は、どこか神聖な空気を放っていた)」
男「(その手には小ぶりの花束があり、彼女も誰かの墓参りに来たのだと推測できた)」
18 :
名無しさん
:2014/05/25(日) 14:47:21.90 ID:RfQkQDIb0
娼婦「……あ、男さん。こんにちは」ニコッ
男「こんにちは。娼婦さんもお墓参り?」
娼婦「……はい、そんな感じです」
娼婦「男さんは、これからどうします?」
男「どうするって…特に用はないかな。娼婦さんは?」
娼婦「私、このあと暇なんです。それで、よろしかったら、お散歩でもしませんか?」
男「い、いいんですか?///」
娼婦「勿論。ちょっと、一緒に行きたいところがあって」
19 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2014/05/25(日) 15:43:31.61 ID:howpbfLOo
期待
20 :
名無しさん
◆eVlHnK6hAI
:2014/05/25(日) 15:57:25.70 ID:RfQkQDIb0
今日はもう落ちる
見てくれてありがとう
21 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2014/05/25(日) 16:03:45.10 ID:3JV/oTnIo
他の男とはやってるというのがたまらない
22 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2014/05/25(日) 16:16:57.75 ID:onQd6Gbxo
まあ娼婦なんですし
23 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2014/05/25(日) 17:03:35.73 ID:ETXIuIGZ0
前の男の行方よりも、貴方の未来気になります
24 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2014/05/25(日) 17:09:24.93 ID:JCI16lOAO
バッドエンドしかない組み合わせだが
気になるよね
25 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
:2014/05/26(月) 19:21:19.69 ID:/KgkQ94No
以下のURLから登録すると、漏れなく500円分のポイントが手に入ります!
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計2000円分のポイントが手に入ります!!
26 :
名無しさん
◆eVlHnK6hAI
:2014/05/26(月) 20:06:06.55 ID:Kg4jo/Z10
女の子「あ、おねーちゃん!さっきはありがとう!」ニコッ
娼婦「私こそ、綺麗なお花をありがとう」
男「(通りを歩いていると、一人の少女が声をかけてきた。口振りから察するに、件の花の子らしい)」
男「(少女の持つ籠には少し空きが出来ており、彼女の花束と同じ種類の花が詰まっていたから、彼女はここで買ったのだろう)」
27 :
名無しさん
◆eVlHnK6hAI
:2014/05/26(月) 20:06:43.49 ID:Kg4jo/Z10
女の子「お姉ちゃんの隣の人、彼氏さん?デート中なの?」
男「え!?えっと…」
娼婦「ふふっ、そうよ。お姉ちゃんたち、ラブラブなの」
男「(そういって彼女は、イタズラっぽく笑って俺の腕に手を回す。少女が顔に手を当てて、指のすき間からのぞいた目と目が合った)」
男「しょ、娼婦さん!?///」アタフタ
女の子「ふぁあ、ラブラブなんだね〜…/// 邪魔しちゃって、ごめんね?」
娼婦「そんなことないわよ。じゃあね?」ニコッ
女の子「うん、彼氏さんもまたね〜」フリフリ
男「あ、うんまた…///」フリフリ
娼婦「じゃ、行きましょうか、彼氏さん?」ギュッ
男「ぅあっ! は、はい…///」
28 :
1
◆eVlHnK6hAI
:2014/05/26(月) 20:07:18.53 ID:Kg4jo/Z10
男「(そのまましばらく歩くと公園が見え、彼女はようやく腕を開放してくれた。適当なベンチに座り、飲み物を買いに走る)」
男「(腕がいいのか軽食屋は大繁盛で、行列で散々待たされてから戻ると、彼女はベンチのそばの花壇に見入っていた)」
29 :
1
◆eVlHnK6hAI
:2014/05/26(月) 20:08:03.41 ID:Kg4jo/Z10
男「娼婦さん?」
娼婦「あ、男さん。すいません、勝手に離れちゃって」パッ
男「いや、それはいいんだけど……。この花を見てたの?」
娼婦「ええ、元は私の故郷に咲いてた花らしいんです。昔、戦争が起きる前に持ち込まれたそうで」
男「へえ…。変わった形の花弁だね。でも、どこかで見たような…」
娼婦「まあ、花屋でも普通に売ってますからね。それより男さん、お飲み物いくらでした?」
男「え、いいよいいよ。俺が好きで買ってきたようなものだし」
娼婦「でも…」ショボン
男「じゃあ代わりに、娼婦さんの故郷の話を聞かせてよ。興味がわいてきてさ」
娼婦「……いいですよ、今日はお勉強の時間ですね」ニコッ
男「(彼女が故郷について話す姿は、とても生き生きとしていた)」
男「(いつもどこか悲しげな目をしている彼女は、故郷の話の時だけ子供のように目を輝かせた)」
30 :
1
◆eVlHnK6hAI
:2014/05/26(月) 20:08:53.34 ID:Kg4jo/Z10
娼婦「…あ、もうこんな時間。そろそろ帰らなきゃ、ですね」
男「ほんとだ。よかったら、送っていくよ」
娼婦「いいんですか?ありがとうございます」
男「これでも一応、力に自信あるからね」
娼婦「ふふっ、頼りにしてます」ニコッ
31 :
1
◆eVlHnK6hAI
:2014/05/26(月) 20:09:28.51 ID:Kg4jo/Z10
男「(彼女を娼館に送り届けるまでの間、とりとめのない話をいくつかした)」
男「(売れっ子さんの初恋の話、鬼の部隊長が実は愛妻家な話、受付さんが髭をそり忘れたときの話)」
男「(しばらくたつと会話も途切れて、微妙な沈黙が漂った)」
男・娼婦「「あの…」」
男・娼婦「「!!」」
男「ど、どうぞ」
娼婦「…なんか、前にもこんなことありましたね」クスッ
男「…そうですね。じゃあ今度は、娼婦さんからどうぞ」
娼婦「あ、はい…男さんは、ここで生まれたんですよね?」
男「あぁ、うん…。娼婦さんは確か、北の生まれだっけ」
娼婦「はい。男さん、ご家族はいらっしゃいますか?」
男「いるけど…。え、何?どうしたの?」
娼婦「実は最近、私の家族が生きているかもしれないって聞いたんです」
男「!! ってことは…!」
娼婦「……はい。無理を承知でお願いします。男さんに、私の故郷に行ってもらいたいんです」
32 :
1
◆eVlHnK6hAI
:2014/05/26(月) 20:09:57.15 ID:Kg4jo/Z10
男「(彼女の故郷とこの国は、数年前開戦してからずっと、互いに渡航禁止状態にある)」
男「(唯一許可されているのが、運び屋と一部の政府関係者のみ。それ以外は、下手すると殺されかねなかった)」
男「(以前彼女に職業を聞かれ、咄嗟に運び屋と答えた俺は、彼女が縋るに相応しい存在だった)」
33 :
1
◆eVlHnK6hAI
:2014/05/26(月) 20:11:00.84 ID:Kg4jo/Z10
男「リキノ村、か…」
男「(彼女の故郷であるリキノ村は、戦争が始まって真っ先に侵攻された村だ)」
男「(今は半植民地化していて治安も落ち着いているが、少し前は本当にひどかったらしい)」
男「(勿論運び屋でもなんでもない俺が、任務に関係のないところに赴くわけにも行かず頭を抱えていると、思いがけない話が転がり込んできた)」
34 :
1
◆eVlHnK6hAI
:2014/05/26(月) 20:16:18.34 ID:Kg4jo/Z10
同期「男。お前、リキノ村って知ってるか?」
男「えっ!?あ、ああ」
男「(ちょうど考えていたことを言われ、勢いよく跳ね起きる。それに驚いたのか同期は目を丸くした)」
35 :
1
◆eVlHnK6hAI
:2014/05/26(月) 20:16:54.97 ID:Kg4jo/Z10
同期「いやなんかな、リキノ村にいくみたいなことを部隊長が言っててさ。しばらく目立った戦闘もないから、上層部が戦果を欲してるらしい」
男「なるほど…。でも、なんでリキノ村なんだ?あそこは、確かもう随分前に降伏しただろ」
同期「それがなんかさ。ずっと別の戦場に出てた奴が帰ってきて、そいつを旗印に決起したんだと」
男「ああ、なるほど。でも、どうせろくな戦力もないから現地の奴らで十分だろ?」
同期「それがさー。窮鼠猫を噛むっつーの?ジリ貧だからこそ逆に強くてさー。そこで俺達精鋭部隊に白羽の矢が立ったってことだ」
男「後半はよく分からんが、そうするにやばいんだな。まああそこは割りと早めに降伏してたから、締め付けもゆるかったしな」
同期「あ〜あ、やんなるよ。友人に続いて、今度は俺の番かねぇ」
男「縁起でもないこと言うなよ。じゃあ、俺は外行ってくる」
同期「あ、お前あれか!例の彼女だろ!?ずりーなー、ずりーよお前ー!」
男「羨ましかったら、お前も真似ればいいだろ。金ならあるだろ?」
同期「チクショー!童貞仲間がまた一人減ったー!!」
男「(同期の悲痛な叫びを背に、足早に娼館に向かって歩く。頭の中には、先ほど言われたことがぐるぐると渦巻いていた)」
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[sage]:2014/06/22(日) 09:29:07.05 ID:ad/5/n6Go
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