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垣根帝督「はぁ? 俺はオタクじゃねえぞ」

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535 :>>201「ゴーグルに渾身のデレをかます垣根」 ◆q7l9AKAoH. [ saga]:2015/11/01(日) 02:41:45.82 ID:Pjr5JOri0

※キャラクターイメージを大いに損なう恐れがあります。くれぐれもご注意ください
※ネタをネタと(r



「あれ……ここ、どこだ?」

ベッドの上からぼけぇ〜っとした声が上がる。
間抜けなセリフの主は、寝癖だらけの頭をぐしゃぐしゃと掻いて首をひねった。
彼のことは某組織での呼び名で仮に『ゴーグル』の少年としておく。
ゲーム機とアニメグッズだらけの自室とは似ても似つかない場所で目覚めた彼はちょっとした浦島太郎気分でぼんやりしていた。
思わず口にした疑問はまだ解決していない。
見たことのない部屋だった。大きなベッドと真っ白なシーツ、広い部屋はどこかのホテルみたいだった。
確か昨夜は寝落ち寸前までゲームをしていたが、こんなところにきた記憶がない。
どうしたものか、とりあえずその場に正座してまぶたをゴシゴシしていると。
白い部屋のドアが開いた。
そこから入ってきた人物にゴーグルはねぼけ眼を大きく見開いた。
一発で目がさめるどころか、うっかり心臓が口から出そうなくらいびっくりした。

「おう。目ぇ覚めたか」

暗部組織『スクール』のリーダー、垣根帝督がにこやかに入ってきた。
朝から「ご機嫌なリーダー」なんて言う激レアに遭遇したゴーグルは、その後ろのドアをじっと見つめた。
心理定規や下部組織のやつらがベタなプラカードでも持ってきて「寝起きドッキリ大成功!」みたいなのを期待したが。
垣根は黙って後ろ手にドアを閉めてしまった。
何やら片手にトレイを持って、垣根はベッドの前まで歩いてきた。
ぼさっとしているゴーグルのだらしない格好を見るとしょうがねえなあ、って顔をして眉を寄せた

「ったく、遅く帰ってきてゲームすんならちゃんとしろっつったろ。ソファーで落ちてたから俺が運んだんだぞ。ほら」

そう言われてもさっぱりわからないし、なんでそんなことをされたのかも覚えてない。
じゃあここは垣根の部屋なのか? なんでそんなところで寝てた?
ますます状況が読めなくなる彼の前にマグカップが差し出された。

「あ……なんかわざわざ、すんませ……え」

ペコッと頭を下げてゴーグルは差し出されたマグカップを受け取った。
トレイに残っていたのはソーサーに乗ったティーカップだった。
白く華奢な造りのそれと、自分の手の中のアニメプリントのカップを見比べて少年は反射的に垣根を見返した。

「片方淹れてる間に支度は済む。ついでだ」

ベッド横の椅子に掛けると垣根は足を組んだ。
いちいち絵になる様でカップを口元へ運ぶ。

「紅茶のついででカフェオレっスか」

「コーヒーいれんならお湯は九〇度以下、紅茶の方は沸かしたてに限るだろ。んなことより。味」

なんで全然種類が違うんだろうと思わずつぶやいたが垣根はこれぐらい当然だろ、と言う風にお茶の知識を披露していた。
そして、カップを持ったままぼけっとしていたゴーグルに目を向けてくる。
慌ててゴーグルもコーヒーをすすった。
焦って口をつけた瞬間、火傷を覚悟したのだが。
ちょうど飲み頃な温かさだった。

「なんスかこれ……メッチャうまいっス」

軽く感動しながらそう言うと、垣根は得意げに目を細めた。

「そうだろうな。ま…隠し味が違うからよ」

「だ、『未元物質』っスか?」

「お。お前も違いがわかってきたな」

冗談のつもりでそう聞いたのだが、垣根は特に否定もしないでうなずいている。
まさかの当たり、ガチでしたか? それは口にしても大丈夫なのでしょうか。
ごくん、とカップの中身を飲み込んでから固まるゴーグルの少年。
それを見ていた垣根は愉快そうに笑った。

「ばーか。冗談だよ。俺がちょっとその気になりゃこんなもん楽勝だっての。どうだ? コーヒーメーカーの買い替えは、無期限延期だろ」

「こーひーめーかー?」

「もう忘れたのか? いつまで頭が寝てんだお前」

一体なんの話だろう。
ゴーグルの少年が首を傾げている間に。
垣根は空になった食器を持って部屋を出て行ってしまった。
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