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女「我がソフトボール部は永久に不滅です」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :オリジナルの物語です。登場人物の名前は適当です ◆r8LI79sLRg [saga]:2014/08/29(金) 00:25:15.52 ID:7KEtKXBB0
阪枕中学校

ピヨピヨ…


「……相も変わらず木ばっか生えてるなあ、ここ。日本中の木を盗んだような所だ」トコトコ…

私、田中将子は四月がすっかり暮れた倨仁中学校にいた。
少し前に入学してきて、晴れて一年生には為ったが。
何せ、人生二回目の入学式だ。感動も薄い。
私はそういう人間だ。

将子「部活、どうしようかな。周りの子は阿呆みたいにバド部に興味を示してるけど」

将子「……ふぅ。無いんだよね、興味が」

将子「本当。どうしよっかなー」


ボンッ!


将子「え? なに今の…」

将子「校庭から…?」

私は興味を惹かれた。
力強いものが何かに収まる、そんな音に。



そしてそこには。


将子「……?」ヒョコッ


女「どうよ、今の!!」

捕手「……痛い、としか」

女「しょうがないわねー。んじゃ、もういっちょ!」

捕手「ひぃ…!」



「「それェーッッ!!」」ブオンッ!


バッシュウウゥーッッッ!



化け物が、居た。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1409239505
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笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
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トーチャーさん「超A級スナイパーが魔王様を狙ってる?」〈ゴルゴ13inひめごう〉 @ 2024/04/23(火) 00:13:09.65 ID:NAWvVgn00
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【安価】少女だらけのゾンビパニック @ 2024/04/20(土) 20:42:14.43 ID:wSnpVNpyo
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ぶらじる @ 2024/04/19(金) 19:24:04.53 ID:SNmmhSOho
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2 : ◆r8LI79sLRg [saga]:2014/08/29(金) 00:28:36.25 ID:7KEtKXBB0





#1
『螺旋回転との出会い』




3 : ◆r8LI79sLRg [saga]:2014/08/29(金) 00:37:45.62 ID:7KEtKXBB0
将子「な、何あれ…」

私は驚いた。
速い、とかそういう次元じゃない。
下投げで何故あんな音がするのか、あの人は何なのか、女子なのか、人間なのか。
ともかく。凄く驚き、そして…


女「ふぅ。今のは!」


将子 (カッコイイ…!)ジュン


濡れた。
違う、憧れてしまったのだ。ソレに。


捕手「あー、なんか。はい、『凄み』が感じられました」

女「なんだそれは清原ーッ!」

清原と呼ばれた捕手「うちは菅原ですよ!!」

女「どっちでもいいでしょー! それよりまだまだ肩が慣れないんだけど!」

菅原「やめてくださいよ…もう…」

女「でもうちの部活って捕手が清原ちゃんしかいないしねえ…」

菅原「そ、それは…!」

菅原 (っく、近くに身代わりは…!)キョロキョロ


将子「……!」

将子 (こっち見た…!)


菅原「……ふっ」ニヤッ
4 : ◆r8LI79sLRg [saga]:2014/08/29(金) 00:51:27.27 ID:7KEtKXBB0
ムクッ

女「おおう。急に立って…ってまさか清原ちゃん、逃げる気!?」ガシッ

菅原「違いますよ! 逃げませんし私は菅原道子という名前です!!」

菅原「それよか女さん、向こうの陰に人がおりますよ」

女「ん? あっ、本当だ」


こっちをあの速い球の人が見た。
思わず私は、

将子「あっ、ども…」ペコリ

頭を下げた。今までよりも深く…


女「うわあ、あの子体柔いねェー! 頭が地面にくっついてる!」

菅原「いやいや女さん。違うでしょ」

女「え?」

菅原「女さん、あの子に捕手をやらせましょうよ!」

女「え、い、いやそれは! いきなりそれは危ないって…!」

菅原「違うんです女さん。これは勧誘です」

女「勧誘…?」

菅原「見たところあの子はこの春入った一年です。女さん、これはアピールです! あの子に女さん特有の『アレ』を捩じ込んで、虜にしてしまいましょうよ!」

女「……良いね。乗った!」

菅原「ソフトボール部に部員がきっと一人増えますよ、きっと!」ニヤニヤ


将子「……立ち去るにも去れない、この空気」


田中将子、12歳。
空気に拘束される。
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/08/29(金) 01:06:16.75 ID:xTIfYGOpo
期待
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/08/29(金) 01:20:58.83 ID:WGM/l8qnO
ライザーフェニックス投げれるようにならないとな
7 : ◆r8LI79sLRg [saga]:2014/08/30(土) 00:14:14.04 ID:u3w7C74N0
女「ねえねえ君!!」トコトコ

将子 (うわっ、こっちきた…!)

女「ソフト。興味あるの?」

将子「そ、そふと…?」

女「あー…いや。まずそれはいいや!」

菅原「……ウププッ」

将子「…?」

女「とりあえずこっち来てさ。球ァ、受けてよ! ね?」

将子「でも私、野球なんて…」

菅原「うくっ、だ、大丈夫。グローブはめて構えてくれればいいよ…」ウププ

将子「……でも」

グイッ

将子「!? わ、わちょっ…!」

女「でもも大正デモクラシーも、関係ない! いいからさっさとこれ、つけて!」グローブズイッ

将子「は、はい…ってくさっ!」プーン


私、田中将子の捕手デビューの思いでと言えば。
この不必要に笑う先輩と、

菅原「うぷぷー!」

グローブの使い込まれたモノ特有の悪臭と。
そして…


女「よーし…! 張り切っちゃうゥー!」ブオンブオン


気合い充分の。笑顔が素敵な化け物しか、無いわけで。


『いくよーーーーッ』
8 :中学校名を間違えるという痛恨のミス。阪枕固定で ◆r8LI79sLRg [saga]:2014/08/30(土) 00:24:41.52 ID:u3w7C74N0



ーーギュルルルル




ズッパァンッッッ!




将子「ーーーーッ!?」ジンジン


女「……へっへ!」





阪枕中学校、早朝8時のグラウンド。
空は快晴、雲ひとつない突き抜けた青空に。

135km/hは、私を真っ直ぐ貫いた。
綺麗な螺旋を華麗に描いて…。




女「ストライーック!」

将子「痛いーーーーッ!」ジンジン

菅原「うぷぷ。ストライク、キャッチャーアウト!」

将子 (この先輩後で、絶対泣かす。すぐ泣かす)


ピヨピヨ…
9 : ◆r8LI79sLRg [saga]:2014/08/31(日) 01:19:23.42 ID:62y8qYMs0
保健室


将子「いったァ…」

保険医「はいはい。包帯で、ぐるぐるっと」マキマキ

目の前で左手首に巻かれていく、白いものを見ながらも。
私は、

将子 (……凄かったなあ。あれが野球なんだ)

懲りてなかった。
いやむしろ、惹かれた。あの豪快で素直な、球に。

保険医「よし。これでオッケーっていうもんよ」

将子「ありがとうございました」

菅原「大怪我って訳じゃあ無いですよね?」

保険医「そ、そうだけどもね。女ちゃんの球をいきなし捕らせるっつーのはね…」

女「あの…ごめんね」

そう言って少し小さくなった先輩は、私に頭を下げた。
いやいや、とんでもない。

将子「いや。全然、気にしてないですよ」


将子「次はちゃんと、『捕ります』!!」


「「……へ?」」


将子「…?」
10 : ◆r8LI79sLRg [saga]:2014/08/31(日) 01:32:14.98 ID:62y8qYMs0
将子「え?」キョトン

菅原「い、今君は…」

女「何て言った…!?」

将子「いや、また女さんの球を…」

将子「『ソフトボール部員』として、受けたいなって」

菅原「ま、まじかこいつ!」

女「おっほほォ! これは勧誘成功だよ清ちゃん!!」ダキッ

菅原「清ちゃんって何ですか!」

将子「ええと…?」

部員不足だったのか。
それにしてもこの喜びようは…


ガシッ


将子「!」

女「ふふっ! ようこそ、我がソフトボール部へ!」

菅原「ようこそ!」

菅原 (本当はただその場を凌ぐためだけに使っただけ、だなんてね。言えないねー)

女「それで、ええとね。まずは仮入部からだけど」

将子「あ、はい。さっそく今日紙を書いて明日にでも…」

女「うんっ。待ってるからね、えーと…?」

将子「田中将子です」

女「分かった、将子ちゃん!」

菅原「それじゃま、行きますか女さん」

女「そ、そうだね。授業に遅れちゃうって!」


それを聞いて私は。
ようやっと事の重大さに気がついた。


キーンコーンカーンコーン…


将子「はっ!」ダダーッ


保険医「ぜ、全力ダッシュ!?」
11 : ◆r8LI79sLRg [saga]:2014/08/31(日) 01:45:26.22 ID:62y8qYMs0
その日の放課後


将子「……今朝はギリギリ間に合って。本当に良かったなあ」

「将子が遅刻なんてェー。珍しい!」

将子「いや。ギリギリだったって言うてるやん?」イラッ

このショートカットのいかにも元気っ娘は、
私の中学校生活、最初の友人である。

名を鈴木一子。
私より先にソフトボール部に入部希望を出した、女子だ。
小学校時代はリトルで野球をやっていたらしい。

一子「変わんないってー」

将子「いやいや。コンマ一秒でも間に合えば、それは完全に遅刻ではない、言えるでしょ?」

一子「一秒ぐらいなら変わんないって!」

こんな風に、性格は真逆である。
比較的几帳面な私に対して、一子はずぼらである。

将子「……まあ、いいや。それよりさ、一子」

一子「ん?」

将子「私、ソフトやるから」

一子「なっ…なんだとォーーーーッ!」

そこまでのリアクションが本当に必要なのか。

一子「まじか! 将子!」

将子「う、うん…」


ダキッ


一子「……一緒じゃん。将子…」ボソッ

将子「み、耳元で喋るな!」

一子「いやー、ついね!」

将子「ついって…」

人は感極まると人に抱き着くものだが。
一子は、そんなに嬉しかったのか…
どうも一々反応が大きくて困る。熱い。
12 : ◆r8LI79sLRg [saga]:2014/08/31(日) 02:02:19.80 ID:62y8qYMs0
一子「そっかー。将子がソフトかあ…」

将子「似合わないかい?」

一子「うん。だって将子は陸部に入るものとばかり思ってたから…」

将子「陸上ね…」

確かに私は、脚が速い。
といってもそれは学年で三番目というだけで、飛び抜けた逸材という訳ではない。
所謂、『地味に』というやつだ。

一子「やっぱりソフトの方が面白そう! って感じちゃったわけ?」

将子「うん。今日とある先輩の球を受けて、迷いがスッキリ晴れちゃったんだ」

将子「ああ、私はこれがしたいって!」

一子「ほうほう」

一子「……私とおんなじだわ」クスッ

将子「んー?」

一子「いや、ね? 最初は私ってお母さんにピアノ習えーって言われてたんだ」

将子「うん」

一子は、ぼんやり遠くを見つめて語りだした。


一子「それで、その教室体験に言った帰りにさ。凄いものに出会ったんだ!」

将子「凄いモノ…?」

一子「うん…! 当時の私はそれでイチコロだったんだ! 通りがかった電気屋のテレビに映った…」


一子「『野球』ってやつにさ…!」


将子「……野球」

一子「そっから私は親に無理言って、野球漬けの生活だよ」

一子「いやぁ、本当。野球は人に夢を与えるね」

将子「夢、ね…」

確かに野球は人に夢を与える。一子の言う通りだ。
一度カッコいい、自分もその場に立って投げたい打ちたい捕りたい、と憧れてしまえば。

自分はそこで『一番』になれるんだ、と幻想を抱いてしまうものだ。
そしてそれを現実にするがため、人は必死になる。

あの野球ボールには、魔法が掛かっている。
人を惹き付けてやまない、強力な魔法が…!
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