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男「ちょっとまって」後輩「どうしましたか?」 -
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1 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/05(日) 21:22:54.22 ID:40jnaLYU0
関連作
男「ちょっとまって」幼馴染み「え?」
男「ちょっとまって」委員長「何ですか?」
毎夜、投下していきます
またよろしくおねがいします
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1412511764
1.5 :
荒巻@管理人★
(お知らせ)
[
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もし、探しているスレッドがパートスレッドの場合は次スレが建ってるかもしれないですよ。
旅にでんちう @ 2024/04/17(水) 20:27:26.83 ID:/EdK+WCRO
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713353246/
木曜の夜には誰もダイブせず @ 2024/04/17(水) 20:05:45.21 ID:iuZC4QbfO
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1713351945/
いろは「先輩、カフェがありますよ」【俺ガイル】 @ 2024/04/16(火) 23:54:11.88 ID:aOh6YfjJ0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713279251/
【MHW】古代樹の森で人間を拾ったんだが【SS】 @ 2024/04/16(火) 23:28:13.15 ID:dNS54ToO0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713277692/
こんな恋愛がしたい 安部菜々編 @ 2024/04/15(月) 21:12:49.25 ID:HdnryJIo0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713183168/
【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】Part2 @ 2024/04/14(日) 19:38:35.87 ID:kch9tJed0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713091115/
アテム「実践レベルのデッキ?」 @ 2024/04/14(日) 19:11:43.81 ID:Ix0pR4FB0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713089503/
エルヴィン「ボーナスを支給する!」 @ 2024/04/14(日) 11:41:07.59 ID:o/ZidldvO
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713062467/
2 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/05(日) 21:25:03.75 ID:40jnaLYU0
――――天文部部室
男「ここに行こうか、ここで星見よう」
後輩「……岐阜の、高山ですか」
男「これから夏に入って暑くなるからさ。ここは避暑地だし、しかも空気がいいから綺麗に星が見えるんだ」
後輩「へー、いいところじゃないですか!いいですね!」
男「それに、観光地でも有名だからな。昼とかには街に出ればいいし」
後輩「分かりました!ここに決定しましょう!」
男「え、そんな簡単に決めていいのか?」
後輩「なんでですか?」
男「後輩にも、行きたいところの候補があったんじゃないか?」
後輩「あーと、まあありましたけど、この高山の方が好きになってしまいました」
男「良かったのか?」
後輩「先輩が選ぶところならどこでも!」
3 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/05(日) 21:26:04.04 ID:40jnaLYU0
――――数日後
後輩「せんぱーい!こーんにーちは!」
後輩「って、部室いない」
後輩「?珍しい、先輩が遅れるとは」
後輩「いつも私より早いからなー先輩」
後輩「たまには遅いこともあるか」
後輩「さてと……ん、メール来てる」
後輩「先輩から『今日は部活なし』ってえええぇぇ!部活なしとは!」
後輩「先輩と会えるのを楽しみにしてる私にとってなんという仕打ち」
4 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/05(日) 21:26:54.82 ID:40jnaLYU0
後輩「とりあえず電話を」プルルルガチャ
後輩「もしもーし。先輩ですか?」
男『後輩、悪いな。いきなり変更になって』
後輩「それは許さないですけど、なんで変更に?」
男『許さないですけどって……。幼馴染みが風邪でさ』
後輩「幼馴染みさんが風邪、ですか」
男『ああ、だからお見舞い行くから今日はなしな』
後輩「先輩は、気をつけてくださいね」
男『大丈夫大丈夫。心配すんな』
後輩「もし先輩が移ったら絶対お見舞い行きますから!」
男『なんか後輩がくると悪化しそう』
後輩「えー、ひどい」
男『大丈夫だって、そう簡単には移らないから』
5 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/05(日) 21:28:26.16 ID:40jnaLYU0
後輩「明日は絶対きてくださいよー!私先輩がいないと退屈なんで」
男『お前は退屈しのぎに俺と話してるのか』
後輩「やだなぁ、そんなはずないじゃないですか」
男『くそっ、どっちか分かんねぇ!』
後輩「で、幼馴染みさんは大丈夫なんですか?」
男『お、幼馴染みの心配してんの』
後輩「いえ、早く治して先輩と会いたいなーと」
男『全然違った』
後輩「私が敵である幼馴染みさんの心配をするわけないじゃないですかー」
男『ひどいな!お前!つか敵って!』
後輩「私の退屈しのぎを奪ったんですから」
男『やっぱ退屈しのぎじゃねぇか!』
男『あ、悪いもう着くから切るな』
後輩「はい。移らないようにしてくださいね」
男『ああ、当然。じゃあな』ガチャ
後輩「…………」
後輩「敵というより、恋敵ですかね」
6 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/05(日) 21:29:22.81 ID:40jnaLYU0
――――翌日
後輩「先輩はバカですか」
男『…………悪い』ゴホッ
後輩「私があんなにあんなに心配してあげたのに……」
男『…………ごめん。てそんなに心配したっけ?』ゴホッ
後輩「大体先輩はいつも唐突で考えてないです。だからこういうことになるんです」
男『…………返す言葉はないです』ゴホッ
後輩「さて、それではお見舞い行きますね!」
男『…………断れない』ゴホッ
7 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/05(日) 21:30:17.42 ID:40jnaLYU0
――――家
男(あー…………)
男(クラクラする…………)
男(これは後輩のテンションについていけないぞ…………)ゴホッ
男「今日は静かだといいんだけど…………」
ピンポーン
「せんぱーい!来ましたよー!」
男「…………来てしまったか」ゴホッ
男「…………はぁ……」ゴホッ
ガチャ
後輩「どうも!先輩!」
男「…………」
後輩「まさかの無言」
8 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/05(日) 21:31:11.51 ID:40jnaLYU0
男「…………じゃ、寝るから」ゴホッ
後輩「えー、何ですかそれつまんなーい」
男「……お前は……何しにきたんだよ」ゴホッ
後輩「もちろん、お見舞いですよ。ということで、何か作りましょうか?」
男「…………料理できるのか?」ゴホッ
後輩「まー、大体のことは」
男「……本当に大丈夫……なんだろうな」ゴホッ
後輩「先輩に対して不味いものなんて作りませんて」
男「…………じ、じゃあ頼む」
後輩「おっまかせください!」
9 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/05(日) 21:32:19.97 ID:40jnaLYU0
後輩「はい、先輩。簡単ですけど、お粥と、リンゴを切りました」
男「……へぇ、本当に作れるんだな」ゴホッ
後輩「もちろん。私の家でよく作ってますから」
男「…………複雑な家庭……なのか?」ゴホッ
後輩「そんな複雑じゃないですよ。ただお金持ちってだけで。」
男「……は?」ゴホッ
後輩「見たことありますかね。あの大通りの突き当たりにある家です」
男「…………えええぇぇ!」ゴホッゴホッ
後輩「ちょ、先輩そんな驚きますか。って風邪もひどくなってますし……」
男「そりゃ驚くわ!え、あれお前んちだったの!?」ゴホッゴホッ
後輩「これでもお嬢様です」
男「…………なんであの高校に?」ゴホッ
後輩「私は頭悪かったので、あの高校がちょうど良かったのと、近いからですね」
男「…………世の中は分からん」ゴホッ
10 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/05(日) 21:33:56.31 ID:40jnaLYU0
後輩「そんなことより、先輩のベッドの下とかなんかないんですか?」
男「それはだめだ!お前何考えてんだ!」ゴホッゴホッ
後輩「あ、成程。つまり本棚の中と」
男「何探そうとしてんだよ!てか勝手に漁るな!」ゴホッゴホッ
後輩「まーまー、先輩は寝ててくださいよ」
男「嫌だよ!お前は何する気だよ!」ゴホッ
後輩「ん?これはこれは……アルバム?」ペラ
男「ん?……おお、懐かしいな。って勝手に読むな」ゴホッ
後輩「ぶはっ!先輩ちっさ!かわいい!」ペラ
男「小さいのは当然だろ!あと、かわいいは止めろ!反応の仕方がわからん!」ゴホッゴホッ
後輩「へー……先輩、小学生くらいから一緒に写ってるこの子は?」ペラ
男「あー、それ幼馴染み」ゴホッ
後輩「……そんな前からの知り合いでしたか」ペラ
11 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/05(日) 21:34:59.57 ID:40jnaLYU0
男「あん?もっと前だぞ?物心ついたときから一緒にいた」ゴホッ
後輩「…………」ペラ
男「……な、なんでそんな真剣に見るんだ後輩」ゴホッ
後輩「……先輩の過去が分かるなぁと思って」ペラ
男「はぁ?俺の過去とかなんもないぞ?ただ普通に人生送ってきただけだしな」ゴホッ
後輩「……そうなんですか」スッ
男「え?それは普通じゃおい待て勝手に写真を抜き取るな!」ゴホッゴホッ
後輩「ふふん、これ、持っときますね」ペラペラ
男「しかもなんでよりによってプールの時の写真なんだ!もうちょっといい写真があったろ!」ゴホッゴホッ
後輩「唯一先輩が裸になってる写真ですからねこれ」ジー
男「じっくり見るな!やっぱ返せ!」ゴホッゴホッ
12 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/05(日) 21:36:05.73 ID:40jnaLYU0
――――夜
後輩「では、私はこの辺でお暇させていただきます!」
男「はぁ……はぁ……早く帰れ」ゴホッゴホッ
後輩「先輩冷たすぎです」
男「マジで悪化した……だろこれ」ゴホッゴホッ
後輩「あー……少しはしゃぎましたかねー」
男「少しどころじゃねぇ……」ゴホッゴホッ
後輩「あ、そうだ。先輩にお土産を」ガサゴソ
男「先に渡せよそれ」ゴホッゴホッ
後輩「どうぞ!」スッ
男「……のど飴……」ゴホッ
後輩「あんまり咳してると喉痛めますから。少しずつ食べてください」
男「……まさか後輩がまともなものをくれるとは」ゴホッゴホッ
後輩「何ですかその言い草は。とりあえず早く良くなってくださいね。私、一人だと寂しいので」
男「ああ。……ありがとう」ゴホッ
後輩「……はい!」
13 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/05(日) 21:37:26.04 ID:40jnaLYU0
――――後輩の家
ガチャ
後輩「ただいま」
使用人「おかえりなさいませ。お嬢様」
後輩「……お父様とお母様は」
使用人「出張でございます。戻るのは明後日になると」
後輩「……部屋で待ってる」
使用人「夕食の準備ができ次第お呼び致します」
14 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/05(日) 21:38:22.78 ID:40jnaLYU0
――――後輩の部屋
後輩「…………」ボスッ
後輩「……ベッド、ふかふかだぁ……」
後輩「…………」
後輩「……」
後輩「…………楽しみ、だなぁ」
後輩「…………」
後輩「…………」スー
15 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/05(日) 21:39:26.52 ID:40jnaLYU0
続きは明日で
16 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2014/10/05(日) 21:55:30.70 ID:+DrXCOe3o
おつおつ
これって過去作と繋がってたりする?
17 :
◆QbejV3Yk9I
[sage]:2014/10/05(日) 22:24:54.44 ID:Wi2fun3T0
>>16
繋がってます
なので、初見なら
>>1
に書いてある作品を上から順に見た方がいいよ
検索したら出てくると思う
まだ関連は2作品だけだからすぐ見えるし
18 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/06(月) 21:01:40.69 ID:UYRBdpGj0
15分から投下するよ
よろしくね
19 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/06(月) 21:18:45.37 ID:UYRBdpGj0
使用人「お嬢様」ガチャ
後輩「…………」スースー
使用人「……寝てますか?」
後輩「…………」スースー
使用人「すごい幸せそうな顔で寝てますね……」
使用人「お嬢様、夕食ができましたよ」ユサユサ
後輩「ん…………」スースー
使用人「ちぇすとっ!」ビシィッ
後輩「痛ぁいっ!え?え?何」ガバッ
使用人「やっと起きましたか、夕食のご用意が出来たので呼びにきました」
後輩「え、あ、そう。いやちょっとまって、今何やったの?」
使用人「ですから呼びにきたと」
後輩「そっちじゃない!何か首が痛いんですけど」
使用人「ああ、それはお嬢様を起こしただけですよ。それがなにか」
20 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/06(月) 21:19:42.52 ID:UYRBdpGj0
後輩「いやいや!今使用人さんがっ!…………はぁ、まあいいや」
使用人「ところで、今日は何かあったのですか?」
後輩「え?何で」
使用人「先程からニヤニヤされていまして少々奇妙かと」
後輩「あー、まあちょっといい事があって……え、奇妙?」
使用人「いい事?とは」
後輩「先輩の過去を少しだけ知れた、かな」
使用人「先輩というと、男さんですね」
後輩「うん。だけど、同時に残念なこともあったからなぁ」
使用人「残念、ですか」
後輩「恋愛において一番怖いのは、『年月』だから」
21 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/06(月) 21:20:50.44 ID:UYRBdpGj0
後輩「いただきます」
使用人「いただきます」
後輩「あ、来週に部活で遠出するんだけど」
使用人「聞いております。岐阜に行くと」
後輩「ああ、うん」
使用人「ご主人様に聞いたところ、そこに別荘があるから使っていいとのことで」
後輩「!え、本当に!?あとで先輩に電話しとこ!」
使用人「はい。こちらがその鍵でございます。先日預かりました」チャリン
後輩「ありがとうございます!……え、先日?」
使用人「先日です。お嬢様が電話で話されていたのを偶然耳にしまして」
後輩「あ、あー。聞こえてたのか……」
22 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/06(月) 21:21:48.25 ID:UYRBdpGj0
後輩「それじゃ、明日デパートに行ってくる」
使用人「デパートですか」
後輩「来週の準備もしないとだし」
使用人「大抵の家具などはあちらに揃っていますが」
後輩「んー、あんまり使わないと思う。二泊三日だし」
使用人「そうですか。では、明日は私も行きます」
後輩「あ、いや。使用人さんは大丈夫だよ。家にいてて」
使用人「……そうですか」フッ
23 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/06(月) 21:22:44.55 ID:UYRBdpGj0
男『へぇ、別荘があったんだな。運がいい』
後輩「そうなんですよ。ついさっき知らされました」
男『じゃ宿取る必要なかったか。もう取っちゃったんだけどな』
後輩「えっ、そうだったんですか。すいません、もっと早く伝えてられていれば」
男『ああ、いいよいいよ。大丈夫、キャンセルしとくから』
後輩「ほんとにすいません」
男『それよりも、その別荘ってどこにあるの?』
後輩「あー、当日のお楽しみってことで」
男『……はいはい。楽しみにしとくよ』
後輩「私もどんなものなのか楽しみなので」
24 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/06(月) 21:23:34.07 ID:UYRBdpGj0
――――夏休み、デパート
後輩「……使用人さん」
使用人「はい、何でしょうか?」
後輩「今日は一人で良かったのに……ただ来週の荷物を集めに来ただけなのに」
使用人「大丈夫です。私も手伝いますので」
後輩「そういう意味じゃないんだけど……」
使用人「さて、何が欲しいのですか?か?」
後輩「まず使用人さんはいらないんだけど……」
使用人「そういうひどいことを言わないでください。結構傷つくのですが」
後輩「はぁ……」
25 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/06(月) 21:24:33.40 ID:UYRBdpGj0
――――デパート三階、ファッションコーナー
使用人「服、ですか」
後輩「やっぱり新しい服で行きたいし」
使用人「まあ、確かに好きな人には勝負服で行きますよね」
後輩「そうそう。…………あれ、言ったっけ?好きな人って」
使用人「いえ、直接聞いてないですが、あんなに男さんの話を聞かされると流石に誰でも分かります」
後輩「うそ、そんなに話してたっけ」
使用人「毎日聞いてます」
後輩「そっか。私もそんなに好きなのか」
使用人「お嬢様自身も分からないのですか?」
後輩「私にとって先輩は好きな人以上だから」
使用人「好きな人以上、ですか」
後輩「あの人といるときだけ、寂しいのを忘れることができるの」
26 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/06(月) 21:25:47.33 ID:UYRBdpGj0
使用人「服はもういいのでは?」
後輩「あと寝間着が欲しい」
使用人「寝間着もですか?もしや襲うのですか」
後輩「多分」
使用人「……随分と積極的ですね」
後輩「そうじゃないと、勝てないから」
使用人「勝てない」
後輩「うん。意外とライバル多いんだよ?先輩」
使用人「……なんとなく想像はつきますね」
後輩「多分それ以上だと思う」
使用人「ならば、こちらの服は」
後輩「!それいいかも!」
27 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/06(月) 21:26:40.72 ID:UYRBdpGj0
――――夏休み、デパート一階、雑貨店
使用人「すいません。私も少し別行動をしたいのですが」
後輩「え、使用人さんも買いたいものがあるの?」
使用人「はい。では」スタスタ
後輩「……あの人にも、好きな人がいるんだよね……」
後輩「私は知らないけど、あの人も、恋愛をするんだなぁ」
後輩「さてと、私も」
後輩「……あ、先輩からメールが」
後輩「『来週、なんかいる?』って、ん?」
男「さて、なんか見るか」
後輩「あれ、先輩?」
男「え、後輩?」
後輩(やっぱり)
後輩「久しぶりですね、先輩」
後輩(私は運がいいな)
28 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/06(月) 21:27:46.58 ID:UYRBdpGj0
後輩「先輩、さようならー」
使用人「あの人が、男さんですか。いい人ですね」
後輩「ん?使用人さん、いつの間に」
使用人「ついさっき来ました」
後輩「そう。…………ふふ」
使用人「嬉しそうですね」
後輩「そりゃ嬉しいよ。だって、先輩に会えたから」
29 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/06(月) 21:28:43.70 ID:UYRBdpGj0
――――出発前日
後輩「さてと、後は寝るだけ」
使用人「お嬢様」ガチャ
後輩「……ノックくらいしてよ……」
使用人「申し訳ありません。ノックしても反応することが少ないので大丈夫かと」
後輩「反応する前に入ってくるんでしょ……。で、何?」
使用人「明日はどこの駅から行くのかと」
後輩「……ん?あれ?何で言う必要があるのかな?」
使用人「私もご同行しようかと」
後輩「いやいや!もう先輩に二人って言っちゃったから!」
使用人「成程、つまりお嬢様は留守番と」
後輩「いつから使用人さんは行くことになった?」
30 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/06(月) 21:29:48.29 ID:UYRBdpGj0
使用人「ほう、つまり私は行くことができないと」
後輩「いや元々そうだったんだけど。ていうか先輩知らないでしょ」
使用人「私はここに一人で居ろというのですか!」
後輩「……?良かったんじゃないの?」
使用人「寂しいです」
後輩「…………そんな真顔で言われても……我慢してほしい」
使用人「…………そうですよね。大丈夫です」
31 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/06(月) 21:31:09.44 ID:UYRBdpGj0
男「さーてと、じゃ、寝るかな」
妹「お兄ちゃん」ガチャ
男「ん?どーした妹」
妹「明日から出かけるんだよね」
男「そうだけど」
妹「バイトとかって、大丈夫なの?」
男「おう、それなら店長さんに既に連絡してあるから大丈夫」
妹「そ、そうなんだ」
男「……?それがどうかしたか?」
妹「い、いや別に……」
男「?まあいいけど」
32 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/06(月) 21:32:13.20 ID:UYRBdpGj0
男「あ、明日から一人にして悪いな。多分大変になると思うけど」
妹「だ、大丈夫。一通り出来るから……」
男「……何か変だぞ妹。いつもなら早く寝ろって怒るのに」
妹「う、うん。そうかな?」
男「あ、あれか。寂しいのか?」
妹「っ!そっそんな訳ない!」
男「ふふん、バレバレだ妹。それは嘘だと」
妹「っ!」
男「俺の前にツンデレは通用しねぇ!」
妹「…………う」
男「寂しいならそう言え。無駄に嘘ついても、兄妹だから分かるし、たまに俺の方が辛い時もあるし」
妹「…………」
男「……まあ、あれだ。寂しいなら幼馴染みでも呼べ。あいつならどうせ暇人、いや暇神だろうし」
妹「いや、それは幼馴染みさんに悪い気が。てか、言い方が酷い」
33 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/06(月) 21:33:27.05 ID:UYRBdpGj0
――――当日、駅
後輩「せんぱーい!お待たせしましたー!」
男「おう、後輩。荷物多いな」
後輩「女子にはなにかと用意が必要なんですよ」
男「そういうもんか」
後輩「ところで、電車はどれに乗るんですか?」
男「昨日メールしたろ。途中まで普通。そこから特急」
後輩「では、早く行きましょう、先輩!」
男「行けねぇよ。電車なんだから時間まで待て」
後輩「そうでした」
34 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/06(月) 21:35:09.21 ID:UYRBdpGj0
――――特急列車内
後輩「おー。すごい座席じゃないですか!」
男「そうか?大体こんなもんだと思うが。って、そうか。後輩の家は金持ちなんだよな……」
後輩「大抵は新幹線ですかねー」
男「金持ち羨ましい」
後輩「でも、それも最近はあまり乗ることがないんですけどね」
男「そういうもんか。お、ここらへんだ、席」
後輩「人があんまりいないですね。ラッキーです」
男「ほれ」スッ
後輩「え、どうしたんですか手なんか出して。手でも握りますか?」スッ
男「違う!荷物だ荷物。上に置いてやるから。それとも自分で置けるか?」
後輩「残念……ではお願いします。ちょっと重いですよ」
男「おう、だいじょってマジ重い」
後輩「……ん?」
男「ん?どうした?」
後輩「……いや、何でもないです。なんか懐かしい感じがして」
男「そうか」
35 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/06(月) 21:36:15.81 ID:UYRBdpGj0
後輩「……綺麗な景色ですね」
男「山の方だからな。もうすぐ着くぞ」
後輩「やっぱり、空気おいしそうですね。先輩はよく来るんですか?」
男「毎年夏にな。一人で星見に来てる。高山は久しぶりだけど、他のところならこの列車経由して色んなとこ行くから」
後輩「そうなんですか。先輩は昔から星好きなんですね」
男「まあな。伊達に天文部入ってない。そういえば、後輩は部活は何やってたんだ?」
後輩「私は、部活やってなかったんですよ」
男「なんで?」
後輩「私、まあお嬢様なんで、高校に入る前までずっと習い事とかやってたんです。おかげで家事とかできますし、楽器もいくつか演奏できますよ」
男「へぇ、それは凄いな。俺の周りは家事すらできない奴もいるしな」
後輩「幼馴染みさんですね」
男「よくすぐにその名前が出たな」
後輩「まあ、色々知ってるんですよ」
男「怖ぇ」
後輩(敵の調査ぐらいはしますよ)
36 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/06(月) 21:37:33.76 ID:UYRBdpGj0
――――駅
後輩「おお!空気がおいしい!」
男「久しぶりだなぁ。あの店失くなってるし」
後輩「周りが建物と山ですね。これは凄い!」
男「ここはまだ市街だから、ちょっと出ると周りが山に囲まれるぞ」
後輩「さて、ではまず昼を食べましょう!」
男「おお、そっか。もうそんな時間か」
後輩「ということで、何かおすすめは!」
男「おおう、いきなりがっつくな。まあ、有名なのは飛騨牛だろうけど高いからなぁ」
後輩「払えますよ!」
男「いや流石に女性に払わせるのは……」
後輩「では、他のですか?」
男「じゃ、ラーメン行くか」
後輩「高山ラーメン、ですね」
男「なんだ、知ってたの?」
後輩「あ、あるんですか?高山ラーメン」
男「当てずっぽうかよ」
37 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/06(月) 21:38:41.41 ID:UYRBdpGj0
――――別荘への道
男「……こっちで、合ってるのか?」
後輩「大丈夫です。多分」
男「多分かよ……。人通りも少なくなってきたし」
後輩「あ、ありました!」
男「え、どこ?見えないけど。もしや心が汚い人には見えない的な?」
後輩「それもいいですね」
男「え、なにそれ。ほんとに俺の心が汚れてるみたい」
後輩「嘘です。そんな家があるわけないじゃないですか。先輩は面白い人ですね」
男「くっそ微妙にむかつく……。……で、別荘は」
後輩「あったのは別荘じゃないですよ」
男「……え?」
後輩「この山です。別荘は、上ですよ。この山の」
男「……え?」
38 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/06(月) 21:39:50.63 ID:UYRBdpGj0
――――別荘
男「……つ……いた……」
後輩「なんか凄い森の中。結構広いですね」
男「……なんで……そんな……飄々と……」
後輩「これでも体力あるんですよ!お嬢様舐めないでください」
男「……俺体力ないんだなぁ……流石文化部」
後輩「鍵は……と、せんぱーい!入りますよー?」
男「おう……ちょっと待って……」
39 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/06(月) 21:40:56.64 ID:UYRBdpGj0
後輩「ひろーい!」
男「別荘というより普通の家だな」
後輩「普通の家よりは広いと思いますけど」
男「あー、まあ確かにそうかも。俺ん家より広いかな」
後輩「え、私の家の別荘より狭いんですか先輩の家は」
男「喧嘩売ってんのか。てか、来たことあるだろ」
後輩「行ったことありますね」ペラペラ
男「あっ、てめっその写真返せ」パシ
後輩「あー、取られちゃった……」
男「まったく……で、部屋どこ?荷物重い……」
後輩「あー、そうですね。えーと、どこでもいいですよ」
男「な、なんか適当だな。大丈夫なのか?」
後輩「私もここに来たのが初なので、多分大丈夫かと」
男「あ、部屋に番号がついてるな。うーん、じゃ二号室で」ガチャ
後輩「では私は一号室使いますね。夕食の時間になったら呼びに行きますね」
男「おう」バタン
40 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/06(月) 21:42:27.21 ID:UYRBdpGj0
後輩「さてと、」ガチャ
使用人「お帰りなさいませ。お嬢様」
後輩「…………え?」
41 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/06(月) 21:44:18.85 ID:UYRBdpGj0
今日はここまで
また明日
42 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2014/10/07(火) 04:14:29.92 ID:5Ald0jw90
乙
43 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/07(火) 21:03:44.73 ID:YRkqxJHy0
30分から投下
よろしく
44 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/07(火) 21:38:02.07 ID:YRkqxJHy0
後輩「な……なん……で……?」
使用人「申し訳ありません」
後輩「なんでここにいんのっ!?」
使用人「もう少しお静かに。お嬢様」
後輩「静かにできないよ!二人だけって言ったじゃん!」
使用人「ご主人様からお守りを頼まれ」
後輩「なんっで!あの父親め!」
使用人「お嬢様、口調が」
後輩「うるさい!」
男「だ、大丈夫か後輩。なんか凄い音が」コンコン
後輩「へ、あ、だ、大丈夫です!」
後輩「と、とりあえず使用人さん、ここに隠れて!」ガチャ
使用人「あら、私はいいのですか?」
後輩「殺すぞ!」バタン
男「え、今殺すって」
後輩「大丈夫ですから!」
45 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/07(火) 21:39:12.86 ID:YRkqxJHy0
ガチャ
男「うお、後輩大丈夫だったか?」
後輩「はぁ……はぁ……」
男「す、すげぇ息切れてるけど」
後輩「ちょ、ちょっと虫が出て」
男「あー、そういや虫嫌いだったな」
後輩「そうですそうです。だからもう大丈夫です!さっき殺したんで」
男「そ、そうか。まあなんかあったら呼べよ」
後輩「はい!」
バタン
後輩「…………はぁー」
使用人「もうよろしいので?」ガチャ
後輩「……特急の……懐かしい感じって……」
使用人「やはりお嬢様も乗ってらしたのですか」
後輩「…………命令」
使用人「はい?」
後輩「この部屋にいること!先輩に会わないこと!明日帰ること!いい?」
使用人「…………仕方ないですね。分かりました」
46 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/07(火) 21:40:24.32 ID:YRkqxJHy0
――――夜
男「もう八時か。そろそろ行こうかな」
後輩「お、行きますか?準備は出来てますよ」
男「そうなの?早いな」
後輩「さっきやっておきましたので」
男「へぇ、まあ、俺はまだ準備してないから、ちょっと待ってて」
後輩「はい!」
47 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/07(火) 21:41:58.22 ID:YRkqxJHy0
ガチャ
使用人「あら、お嬢様」
後輩「今から先輩と行ってくるから、待ってて」
使用人「行くとは、どこにでしょうか?」
後輩「天体観測。大体二時間くらいで戻ってくるから、その間なにかしてていいよ」
使用人「ならば、夕食を食べても?」
後輩「うーん、自分で作れるなら
……って、作れるか。じゃあ、ちゃんと片付けておいてね」
使用人「もちろんです。行ってらっしゃいませ。お嬢様」
後輩「うん」
48 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/07(火) 21:43:11.72 ID:YRkqxJHy0
――――夜、別荘前
後輩「うわー、星がキレイですね!」
男「ああ、やっぱここら辺は綺麗だな」
後輩「天の川見えますよ!」
男「ハハハ、はしゃぐな。後輩」
後輩「だって、こんな綺麗な星空を見たのは初めてです!」
男「そうなのか。俺はもう慣れたからかな」
後輩「あれは!夏の大三角では!」
男「違うよ。大三角はあっち。ベガと、デネブと、アルタイルだ」
後輩「おお、やっぱ先輩はよく知ってますね」
男「まあな。さて、それじゃちょっと行くぞ」
後輩「もしかして、この山の上ですか?」
男「おう。結構いい高さっぽいから。しかも近いし」
後輩「あれ、先輩。背中の大きな荷物は?」
男「ああ、これ?着いてからの秘密だ」
49 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/07(火) 21:44:33.28 ID:YRkqxJHy0
――――頂上
後輩「…………うわあ」
男「おお、今年はいいな」
後輩「…………ひろい、ですね」
男「そりゃ、空だし」
後輩「そういう意味じゃないですけど」
男「ん、ならどういう意味で」
後輩「教えません」
男「はぁ、まあいいけど」カチャ
後輩「あ、その荷物は」
男「おう、家から持ってきたんだよ」カチャカチャ
後輩「天体望遠鏡、ですね」
男「ああ、毎年これで見てるんだ。ちょっと待ってて」カチャカチャ
50 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/07(火) 21:45:45.52 ID:YRkqxJHy0
男「あとは、角度を……よし。できたぞ」
後輩「おお、立派ですね」
男「だろ?奮発して、高いのを昔買ったんだよ」
後輩「覗いてみて、いいですか?」
男「ああ、いいよ。もう設定してあるし」
後輩「設定?」
男「まいいから、とりあえず覗いてみな」
後輩「では、失礼して」ソッ
男「……どうだ?見えたか?」
後輩「これは…………」
後輩「土星、ですか?」
51 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/07(火) 21:47:21.24 ID:YRkqxJHy0
男「正解。夏のうちに見たかったからな」
後輩「……すごいです。土星を生で見るなんて、初めてで……」
男「そうか。よかった」
後輩「ちゃんと輪っかも見えますね」
男「土星といえば輪っかだしな。俺も初めて見えたとき、すげぇ興奮した」
後輩「……先輩」
男「ん?なんだ?」
後輩「……ありがとうございます!」
52 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/07(火) 21:48:23.73 ID:YRkqxJHy0
男「地面に寝そべって上を見るのも、やっぱ違う感動があるな」
後輩「そうですね。気を抜くと、寝ちゃいそうです」
男「あー、よくある」
後輩「…………先輩」
男「ん、なんだ?」
後輩「なんていうか、星が降ってくるみたいですね」
男「君の知らない物語か?」
後輩「なんですか?それ」
男「あーいや、知らないならいいんだが」
後輩「……先輩はなんでも知ってますね」
男「別になんでもじゃないよ。俺にだって知らないことはあるし後輩しか知らないこともある」
後輩(…………)
後輩「私、先輩のこ……」
男「……ん?どうした?」
後輩「……先輩の事見直しました」
男「ちょっとまて、お前見直したって……今まで何を思ってたんだ……」
後輩(今はまだ、言えないですね)
53 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/07(火) 21:49:30.29 ID:YRkqxJHy0
――――別荘
後輩「はぁー、いい気分でした」
男「そうだな。今年は結構いい星だったな」
後輩「そうなんですか!ラッキーですね!」
男「まあ、俺もここで見るのは初めてだったから、いいスポットなのかな?」
後輩「そういえば、先輩写真撮ってましたけど、星って写らないんじゃ」
男「ああ、だからこれはちゃんとした星空用のカメラ。これも家から持ってきたんだよ」
後輩「なんか、先輩って意外とセレブですよね」
男「後輩にだけは言われたくないな」
54 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/07(火) 21:50:30.35 ID:YRkqxJHy0
後輩「ごちそうさまでした!」
男「ごちそうさま」
後輩「先輩、料理上手いですね」
男「まぁ、家で一人で作ってたからな」
後輩「一人で……ですか」
男「家、両親が仕事で遅いからさ。妹も居たけど、部活でバテバテだったし」
後輩「…………そうなんですか」
男「そういや、後輩も上手かったよな、料理。やっぱお嬢様だな。料理上手いのもそのせいか」
後輩「いや、私は……先輩と同じ感じですかね」
男「?」
55 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/07(火) 21:51:39.31 ID:YRkqxJHy0
後輩「では、先にお風呂頂きますね」
男「え、いつの間に沸かしたの?」
後輩「さっき、夕食を食べる前ですよ」
男「気づかなかった」
後輩「先輩、料理してましたから」
男「あ、そういやそっか」
後輩「あれです。役割分担てやつですよ。明日は私が料理しますので」
男「あ、そういえば、後輩ってキッチン使った?」
後輩「?なんでですか?」
男「いや、なんか使った感じがあってさ。もしかして、最近まで誰か使ってたか?」
後輩「っ!……あ、あー。ちょっと天体観測行く前に洗ったんですよ。ホコリかぶってたので」
男「え!そうだったのか。すまん」
後輩「いやいや!大丈夫です」
後輩(使用人さんめぇ)
56 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/07(火) 21:53:11.37 ID:YRkqxJHy0
後輩「それより、もうこんな時間ですね」
男「ん、まあそうだな」
後輩「後で宿題見てくださいね」
男「え、今からかよ……もう疲れて眠いんだけど……」
後輩「お風呂に入ってからですよ」
男「あーはいはい。さっさと行ってこい」
後輩「はい!」
後輩「…………覗きますか?」
男「お前は何を言っているんだ」
57 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/07(火) 21:54:14.40 ID:YRkqxJHy0
後輩「お願いします、先生!」
男「先生とか……ちょっと照れるな」
後輩「じゃあ先輩」
男「すぐにランクが下がった!まあ、そっちの方がいいんだけど」
後輩「お願いします!」
男「えーと、英語だけだよね。まあそれならなんとか」
後輩「はい。ほんとは数学も教えて欲しいところですけど」
男「そんなには無理だ」
後輩「ですよねー」
58 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/07(火) 21:55:12.44 ID:YRkqxJHy0
後輩「ありがとうございました!結構進みました!」
男「そっか。まあ並行して俺も英語やってたからな。ほんとは最後までやりたかったが」
後輩「でも先輩のおかげで高二の英語も教えてもらって、ありがとうございます」
男「でも難しいだろ」
後輩「はい……」
男「来年は頑張れよ。俺も受験シーズンで忙しいし」
後輩「で、でも部活は来ますよね?」
男「部活……は分からんなー。まあ、入部希望を増やすしかないかな」
後輩「…………」
男「ん?どうした?」
後輩「……先輩は、人の心を察してくださいよ」
男「あれ、お前も言うのかそれ」
59 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/07(火) 21:56:59.89 ID:YRkqxJHy0
後輩「おやすみなさいです。先輩」
男「おう、おやすみ。また明日」ガチャ
後輩「はい、また明日。…………襲ってもいいですよ?」
男「早く寝ろっ!」
バタン!
男「ったく、冗談なのかほんとに言ってるのか分からんな」
男「明日は、どこに行こうかな」
男「お、メール」
男「『そちらはどうですか?』委員長からか。そうだった、しまった。バイトの事忘れてたな……」
男「『お陰様で楽しいよ。バイト、サンキューな』っと」
男「『こちらのことは心配しないで、楽しんできてください』相変わらず、委員長は優しいな」
男「『ありがとう。戻ったらすぐ頑張るから、待ってて』と」
男「『気をつけてください』か。委員長らしい」
男「俺は、委員長に助けられてばかりだな」
60 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/07(火) 21:58:03.90 ID:YRkqxJHy0
後輩「使用人さん」
使用人「はい?もう就寝ですか?」
後輩「うん。使用人さんは押し入れで寝てね」
使用人「それはひどいです」
後輩「でも、場所ないし……」
使用人「他の部屋に行きますよ」
後輩「いやそれはダメ。ここにいてよ。命令」
使用人「…………仕方ないですね。青いたぬきの如く、押し入れで寝ますよ」
後輩「どこでもドアでも出してさっさと帰ってよ」
61 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/07(火) 21:59:10.70 ID:YRkqxJHy0
後輩(あの星空を思い出す)
後輩(天の川、夏の大三角、そして、先輩の横)
後輩(何もかも初めてで、いつでもドキドキしていた)
後輩(私は先輩が好きだ)
後輩(先輩といると落ち着いて、優しくて、私に構ってくれる)
後輩(私の親と違って)
後輩(両親は私を一人にした)
後輩(私は、今まで)
後輩(寂しかったんだ)
後輩(先輩といる時が、何よりも楽しいんだ)
62 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/07(火) 22:00:33.05 ID:YRkqxJHy0
――――朝
男「ふわぁ」
男「んー眠い」ゴシゴシ
男「…………知らない天井だ」
男「そうだそうだ。後輩の別荘にきてんだった」
男「はー、って、結構早朝だな。ちょっと散歩でもしようかな?」
男「そうなるとあれだ。後輩も呼ぶか?」
男「先に着替えるか」
63 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/07(火) 22:02:07.45 ID:YRkqxJHy0
男「後輩?」コンコン
ガタッ
男「お、後輩、起きてんの?」ガチャ
男「…………え?」
使用人「…………見つかってしまいました」
男「…………えっと、どちら様で?」
使用人「ふむ、ここで話すとお嬢様を起こしてしまいますね」
男「ん、え?お嬢様?」
使用人「少し場所を変えましょう。散歩がてら、事情を話します」
男「え、あ、はい」
64 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/07(火) 22:03:38.11 ID:YRkqxJHy0
――――外
使用人「もう早朝は少し暖かいですね」
男「あ、はい、そうですね。って、いやいや!なんで知らない人と話してるんだ俺」
使用人「これは申し遅れました」
男「遅れすぎでしょ」
使用人「私はお嬢様、つまり彼女の家で働いています、使用人と申します」
男「使用人さん、ですか。俺は男です。えーと、後輩と同じ部活で」
使用人「はい。お嬢様から噂は聞いています。いつも、お嬢様がお世話になっています」
男「いや、そんな」
使用人「お嬢様はいつもお帰りになられてから男さんの話をしていまして」
男「あいつ何話してんだ」
使用人「悪い噂は聞いていませんよ」
男「それならいいんですけど」
65 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/07(火) 22:05:04.76 ID:YRkqxJHy0
使用人「男さんは、お嬢様とお付き合いをされているのですか?」
男「ぶはっ!そ、そんなわけ無いですよ!」
使用人「そうですか。お嬢様もまだまだですね」
男「ん?まだまだ?」
使用人「男さんにだけ言っておきますけど」
男「!…………」
使用人「お嬢様をあまり一人にさせないで下さいね?」
男「……え、それはどうして、ですか?」
使用人「やはり、まだ話されていなかったですか」
男「話されて?それはどういう」
使用人「お嬢様に代わって、私が話しましょう」
使用人「お嬢様の今までも含めて」
66 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/07(火) 22:06:04.73 ID:YRkqxJHy0
今日はここまで
続きは明日
67 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/08(水) 18:29:56.33 ID:WVBYPzfV0
ちょっと投下
68 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/08(水) 18:32:17.81 ID:WVBYPzfV0
使用人「お嬢様が産まれてから、彼女は親に代わって私が育ててまいりました」
使用人「御主人様、つまりお嬢様のお父様は仕事で忙しく、お嬢様に会うことはあまりありませんでした」
使用人「お嬢様は、御両親を既に他人として認識しています」
使用人「私が、お嬢様の親代わりになったのです」
使用人「お嬢様が小学校に入学してから、御主人様から習い事を始めさせるように言われました」
使用人「お嬢様は習い事のおかげで多くのことができるようになりました。が、お嬢様が家に友達を呼ぶことは一度もありませんでした」
使用人「また、御主人様の仕事の関係上、転校も多かったのです」
使用人「転校に次ぐ転校により、お嬢様は友達との別れを嫌がり、ついに一人で過ごすことを選びました」
使用人「お嬢様は、いつも一人でした」
69 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/08(水) 18:33:50.98 ID:WVBYPzfV0
使用人「中学生になってから、彼女は心を開くことが無くなりました」
使用人「お嬢様は御主人様に振り回され、この時期に他人と認識しました」
使用人「お嬢様は、私ともあまり話さなくなりました」
使用人「習い事は続けていましたが、程なくして辞めました」
使用人「既に、お嬢様は手に負えなかったのです」
使用人「しかし、高校生になる直前のことです」
使用人「お嬢様に、突然変化が見られました」
70 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/08(水) 18:35:45.05 ID:WVBYPzfV0
使用人「お嬢様はいつもと違って私と話してくれました」
使用人「その日、お嬢様は高校の見学に行っていました」
使用人「何があったのか、話を聞くと」
使用人「『高校で、面白い人に会った』とのことでした」
男(それ俺だ)
使用人「詳しい話は聞きませんでしたが、お嬢様が心を開いてくれて、とても嬉しかったのです」
使用人「高校に入り、新しい部活に入って、そして」
使用人「男さんに会ったのです」
71 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/08(水) 18:36:44.65 ID:WVBYPzfV0
男「…………」
使用人「私は、あなたに感謝しています」
使用人「お嬢様が変わったのは、ほとんどあなたのおかげだと思っています」
使用人「きっと、お嬢様も感謝しているでしょう」
男「後輩は、俺で良かったんですか?こんな俺で」
使用人「少なくとも、私はあなたで良かったと思います」
男「!」
使用人「優しくて、頼りになって、落ち着くと、お嬢様が言っていました」
男「う、え?」
使用人「私も実際に会って、なんとなく分かりました」
使用人「あなたは、とてもいい人ですね」
男「……ありがとうございます」
72 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/08(水) 18:37:50.79 ID:WVBYPzfV0
使用人「さて、もう話すことはないので、ここにいる理由もないですね」
男「ここにいる理由?」
使用人「御主人様に頼まれたのです」
男「え?」
使用人「お嬢様のことを見守れ、と、お嬢様の友人を見てこい、と」
男「え、でも後輩のお父さんは」
使用人「どんな親でも、一人娘のことはとても気になるものですよ」
男「は、はぁ」
使用人「しかし、あなたはとてもいい人なので、見守る必要も無いですね」
男「…………」
使用人「男さん、お嬢様をよろしく頼みます」
男「……はい」
使用人「それと、この話は他言無用、特にお嬢様には、お願いします」
73 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/08(水) 18:39:22.64 ID:WVBYPzfV0
後輩「ふわぁ」
後輩「あー、よく寝た」
後輩「使用人さん、服」ガチャ
後輩「って、そうだ。別荘にきてたんだ」
後輩「あれ、でも使用人さんいないし、もしかして帰った?よかった」
後輩「そうだ、先輩が」
後輩「せんぱーい!朝で……あれ?」ガチャ
後輩「いない?」
後輩「せんぱーい?」
74 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/08(水) 18:40:24.25 ID:WVBYPzfV0
男「お、後輩起きたか。もう朝食の準備はしてあるから、ゆっくり食べな」
後輩「先輩早いですね!」
男「ああ。やっぱ違うベッドだと早く起きちゃうな」
後輩「って、朝食もう食べたんですか」
男「ん、いや。まだ食べてないよ。後輩待ってたから」
後輩「そ、それはすいませんでした」
男「後輩は、朝弱いのか?」
後輩「違うベッドだと、遅く起きちゃいますね」
男「俺と正反対だな」
後輩「別に起こしてくれても良かったんですよ?」
男「いや、そうしようと思ったんだが、し…………」
後輩「し?」
男「あー、いや、なんでもない」
後輩「?」
75 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/08(水) 18:41:30.01 ID:WVBYPzfV0
後輩「今日はどこに行くんですか?」
男「まあ、せっかく来たから高山の街巡りを」
後輩「それは知ってますよ。どこに行くんですか?」
男「宮川朝市と、その周辺だな」
後輩「朝市、ですか?」
男「ああ。この朝市は全国的に有名で、多くのテレビに出てる。赤い橋は聞いたことあるか?」
後輩「んー、いやあんまり……」
男「聞いたことは無くても、見たことは多分あるな」
後輩「そうですか?」
男「東海だと、朝の天気予報で背景に映るんだよ。特に春とかだと、桜と赤い橋っていう光景が多いかな?」
後輩「へぇー、そんな所行くんですか」
男「朝市だから、出来るだけ朝から行かないとね」
後輩「でも、もう九時ですよ?」
男「大丈夫だ。まだやってるから」
76 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/08(水) 18:42:31.56 ID:WVBYPzfV0
――――宮川
後輩「うわー!人多いですね!」
男「まあ、有名だし、地元の人もくるし。大体このくらいだろ」
後輩「あ、あれが赤い橋ですね?」
男「おう。結構有名なものだ」
後輩「へぇー、綺麗ですね」
男「確かにな。さて、じゃあ、行こうか」
後輩「はーい」
77 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/08(水) 18:44:04.37 ID:WVBYPzfV0
後輩「いっぱい店がありますけど、何かおすすめとかはあるんですか?」
男「来て毎年食べるのが飛騨牛の串焼きかな。お、ちょうど見えた。ちょっと買ってくるよ。後輩もいるだろ?」
後輩「え、いいんですか?」
男「大丈夫」タッ
後輩「…………飛騨牛って、高いんじゃ」
男「ほい、お待たせ」スッ
後輩「うわ、すごい美味しそうで」
男「うん!美味いね。ほら、後輩も食べなよ」
後輩「は、はい」パク
男「どう?」
後輩「……美味しいです!」
男「よかった」
78 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/08(水) 18:45:25.69 ID:WVBYPzfV0
後輩「……先輩たくさん買いましたね」
男「まあね、安いからつい」
後輩「ん、あれは?」
男「お、おわら玉天だな。食べるか?」
後輩「はい。ちょっと食べてみたいですね」
男「俺は久しぶりだな。ほれ」
後輩「熱っ、いただきます。……美味しいです!甘くてふわふわして」パク
男「だろ?でも後で冷やしても美味いよ。ちょっと買ってくか」
79 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/08(水) 18:47:07.67 ID:WVBYPzfV0
後輩「えっ、何ですかこれ!飛騨牛の、寿司?」
男「ここでは有名だぞ。結構高いけど」
後輩「食べてきます!」タッ
男「お、おう。行ってこい」
男「……食欲旺盛だなあいつ」
後輩「おぉー!これは……美味い!」
男「ハハハ、大事に食えよ」
後輩「先輩も、どうぞ!」
男「え、いや俺はいいよ。それ後輩が買った物だろ?」
後輩「今日のお礼です!私は先輩に買ってもらったのに、先輩は嫌なんですか?」
男「う、あー、まあそうだな。ありがとう」
後輩「はいっ!」
80 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/08(水) 18:48:20.28 ID:WVBYPzfV0
後輩「いつの間にか昼ですね」
男「お、もうそんな時間かよ。早いな」
後輩「でも、あまりお腹へってないですね」
男「まあ、結構食べ歩きしたしなぁ、戻るか?」
後輩「戻って軽いものでも作って食べましょう」
男「了解」
81 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/08(水) 18:49:49.80 ID:WVBYPzfV0
――――別荘
男「何ていうか今日、いやここに来てからか?」
後輩「?」
男「後輩、静かだな」
後輩「どういう意味ですか?」
男「学校じゃ、いつもうるさかっただろ。それがここに来てから静かに…………なんか企んでるのか?」
後輩「企んでるとは失礼な……。ここでは退屈じゃないからですよ」
男「まだ俺を退屈しのぎと言っているのか?」
後輩「うるさい方がいいですか?」
男「スルーかよ……いや、うるさいのは嫌いじゃないんだ。俺も楽しいし」
後輩「ほう!」
男「…………なんか調子狂うな」
後輩「ではもう少しうるさくしますか?」
男「……んー。悩むところ」
後輩「わっかりました!」
男「俺の答えは無視か」
82 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/08(水) 18:51:02.00 ID:WVBYPzfV0
続きは夜
83 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/08(水) 20:51:12.30 ID:Gx+E7FE50
投下
84 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/08(水) 20:53:23.63 ID:Gx+E7FE50
後輩「私は、まあ何ていうか舞い上がってたんですかね」
男「舞い上がってた?ならもっとうるさいんじゃ」
後輩「舞い上がってたから抑えてたんですよ」
男「そうなのか」
後輩「まー、先輩もOK出したので今日はうるさく行きますけど」
男「……この話しなけりゃ良かったかなぁ……」
後輩「ふふん、今更遅いですよ」ダキッ
男「うおっ!い、いきなり抱きつくなよ!」//
後輩「あれ、先輩赤くなってますね。今までそんなことなかったのに…………なにかありました?」
男「な、何かって……」//
―――― 幼馴染み「だから、それまでよろしくね、男!」
男「……まあ、あったにはあったけど。てか、離れろ」
85 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/08(水) 20:55:48.47 ID:Gx+E7FE50
後輩「……誰ですか」
男「お前目怖ぇよ!その目やめろ!」
後輩「……仕方ないですね。まあ、それは私でなんとかしますけど」
男(この後輩怖ぇ)
後輩「結局、何かあったんですね」
男「……悪いが、そこからは俺の問題だ。後輩が関わることはない」
後輩「……先輩は、変わりましたよね」
男「変わった……かな」
後輩「高校見学の時は面白い人でしたけど」
男「ああ、うん。忘れて」
後輩「今の先輩は……」
男「な、なんだよ。気になるだろ」
後輩「……いえ、秘密です」
男「くっ、すげぇ気になる!」
86 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/08(水) 20:58:11.45 ID:Gx+E7FE50
後輩「そんなことより、何しますか?昼からは暇ですよ?」
男「勉強」
後輩「えぇー」
男「えぇーってお前まだ終わってないだろ」
後輩「でも、こんな所に来て勉強するっていうのはちょっと」
男「……まあ、そうだけど」
後輩「ということで寝ましょう!」ダキッ
男「ちょっ!またかよ!」
後輩「んふふ」ギュッ
男「……はぁ」
87 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/08(水) 21:08:17.71 ID:JJqbK5bQ0
後輩「…………」スースーギュッ
男「こっの後輩は……離してや」
後輩「…………ふふ」ニヤ
男「……ほれ」スッ
後輩「……む」プニッ
男「ははは、柔けぇ」
男「まさかこんな短時間で寝るとは」
男「俺は抱き枕か……」
男「……いつも抱き枕みたいな扱いだけどな」
男「…………」
男「こんな時間も、楽しいな」
88 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/08(水) 21:10:41.09 ID:JJqbK5bQ0
男「…………ん」パチッ
男「うわ、いつの間にか寝てた」
後輩「…………」スースーギュッ
男「……後輩も寝てるし……てか抱きついたままとか」
男「後輩、起きろー」トントン
後輩「…………ん」
後輩「むー、ん?しぇんぱい?」ゴシゴシ
男「ちゃんと喋れてないから。先輩だから」
後輩「……ん、ふわぁ」ノビー
後輩「……おはようございます、先輩」
男「おう、おはよう。って早くないけど」
後輩「いつの間にか、寝てしまいましたね」
男「俺も寝てたわ」
後輩「もっかい寝ましょーよ」ギュッ
男「もう寝ないから。夜だから。あと離れろ」
後輩「むー、さっきは赤くなったのに」
男「さっきはさっき、今は今だ。そろそろ行くぞ」
後輩「はい。あ、ちょっと準備してきますね」
男「俺も準備するから、十五分後な」
後輩「分かりましふぁ」
男「まだ眠いのか」
89 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/08(水) 21:11:52.45 ID:JJqbK5bQ0
――――頂上
男「げ」
後輩「あ」
男「あちゃー。雲かかってやがる」
後輩「天の川、全然見えないですね」
男「んー、どうしよ。これじゃなんも見えないな」
後輩「戻りますか?」
男「まあ、なんもやることないしなあ」
後輩「少し、お腹へってきました」
男「お、そうか。そういえば俺も……」
後輩「今日は私が作りますので!」
男「昨日言ってたな。じゃあ、今日はよろしく頼むな」
後輩「おっまかせください!」
90 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/08(水) 21:13:27.07 ID:JJqbK5bQ0
――――別荘
後輩「どうぞ!」ゴトッ
男「……すげぇ」
後輩「料理だけは自信ありますよ」
男「へぇ、やっぱお嬢様だなー。お前の親も嬉しいな。立派に育って」
後輩「……いや、それは……分からないですけどね」
男「あ……そ、そっか……」
後輩「!……な、何ですかその反応は……!」
男「!」
男(しまった!後輩は俺が使用人さんに会ったこと知らな……!)
後輩「……!も、もしかして!先輩、使用人さんに会ったんですか!」
男「うっ」
後輩「あの使用人さん!先輩に、は、話して!……っ!」ダッ
男「!ま、待って!」
後輩「来ないでくださいっ!」
男「っ!」
―――― 幼馴染み「来ないでっ!」
男「……また、俺は……!」
91 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/08(水) 21:14:26.89 ID:JJqbK5bQ0
男(また、俺は失敗を繰り返した)
男(これじゃ、幼馴染みの時と同じだ)
男(あれから、全く変わってない)
男(でも、後輩は変わったと言っていた)
男(彼女の言葉に嘘はないはずだ)
男(きっと何かしら変わったことはある)
男(このままだと、彼女の言葉が嘘になってしまう)
男(だから、俺は)
男(変わらなければ、ならない)
男「……!待てっ!」ダッ
92 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/08(水) 21:15:31.87 ID:JJqbK5bQ0
――――外
後輩「……はぁ……はぁ……!」タッタッ
男「……はぁ……はぁ……!待って!」タッタッタッ
後輩「い!……嫌です!来ないで……ください!」タッタッ
男「だ……ダメだ!……はぁ……!」タッタッタッ
男「……!捕まえた!」ガシッ
後輩「ひゃ!」グイッ
男「!危なっ!」ギュッ
ドサッ
後輩「……!」
男「……ふぅー、危なかった」ギュッ
後輩「せ、先輩。なんで!」
男「何でって、後輩が逃げたから」
後輩「こ、来ないでくださいって、言ったじゃないですか」
男「ああ、言ったな」
後輩「なら、なんで」
男「俺は、待てって言ったよな」
後輩「!そ、それは」
男「お互い様だろ?」
後輩「…………はい」
93 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/08(水) 21:17:32.31 ID:JJqbK5bQ0
男「で、なんで逃げ出した」
後輩「…………先輩、使用人さんと会って、何を話したんですか?」
男「それは、お前の想像している内容だと思うけど」
後輩「……私のことですか」
男「ああ」
後輩「…………ひどい、ですよね。私」
男「そうか?」
後輩「自分から、人間関係を絶ってたんですよ?せっかく話しかけてくれた人も、近寄ろうとした人も、私から拒絶したんです」
後輩「全て親の都合のせいにして、私は、周りを否定したんです」
後輩「だけど、私は日に日に寂しさが増えました」
後輩「勝手に拒絶して、勝手に寂しくなって、勝手に自滅してったんです」
後輩「私の自業自得ですよ」
後輩「そして、先輩に気を遣わせちゃって、私はひどい人です」
男「……そうか?少なくとも俺は気を遣ったことは無いぞ?」
後輩「……え?」
94 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/08(水) 21:20:25.15 ID:JJqbK5bQ0
男「後輩をひどいとか思ってないし、今の話を聞いて引いてもない」
男「それに、使用人さんと話したのは朝だったけど、今日、俺は変だったり、気を遣ってたか?」
後輩「……あ……ない、です」
男「鋭いところを見抜く後輩だって、変とは思ってないだろ?」
男「俺は後輩のイメージについて、何にも変わったところはない」
後輩「…………はい」
男「だから、心配すんな」
後輩(……これは、聞いたことがある)
後輩(ちょうど、半年前の)
後輩(高校見学の時だった)
95 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/08(水) 21:21:40.33 ID:JJqbK5bQ0
――――半年前
後輩「…………」スタスタ
後輩(高校見学なんて、行かなければよかった)
後輩(中学の行事で、なんでこんな事を)
後輩(皆で列になって行くなんて、つまらない)
後輩「…………!」スタスタ
後輩(……屋上への階段……)
後輩「…………」タッ
96 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/08(水) 21:23:41.95 ID:JJqbK5bQ0
――――屋上
ガチャ
後輩「…………うわぁ」バタン
後輩(綺麗な眺めだ)
後輩(私の家は、あそこに見える)
後輩「…………お父様、お母様」
後輩「…………使用人さん」
キーンコーンカーンコーン
後輩「!確か四限が終わりそうだったっけ」
後輩(私も、早く戻らないと)
ガチャ
男「……ふぅー、危ねぇ危ねぇ」バタン
後輩(!来ちゃった……高校生)
男「ったく、友のやつ、今日も……ん?」
後輩「あ……」
後輩(見つかっちゃった)
男「…………ん?あれ?えーと、中学生……かな?」
後輩「…………」タッ
男「あ!ちょっと!」
97 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/08(水) 21:26:03.13 ID:JJqbK5bQ0
後輩(早く戻らないと!)
後輩「…………」ガチ
後輩「!……え?」ガチガチ
男「げ、友のやつ、閉じ込めやがった!」
後輩「…………嘘」
男「だ、大丈夫?中学生」
後輩「…………」
後輩(今は、不可抗力)
後輩「…………」コク
男「えーと、確か今日は高校見学だったっけな……そっか、はぐれたのか」
後輩「…………」コク
男「うーん、ちょっと電話して助けを求めるから、待ってて」
後輩「…………」コク
男「し、喋らないの?」
98 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/08(水) 21:28:02.32 ID:JJqbK5bQ0
男「おっけ。もうすぐ来るって」ピッ
後輩「…………」
男「……なんか言わないのか?」
後輩「……え?」
男「せっかくこっちが話しかけてんのに、反応なしだったらすげぇ悲しくなる」
後輩「…………でも、知らない人とは話さないって」
男「い、いやまあそうだけど……」
後輩「…………ありがとう」
男「!……おう。もうすぐでくるから」
男「心配すんな」
後輩「…………うん」
男「お、ちゃんと反応してくれた」
後輩「……暇だから、遊んで」
男「え、あ、遊ぶ?ここで?何で」
後輩「知り合い、だから」
男「!」
後輩「遊んだら、友達に、なれるから」
男「…………もしや、友達いないのか?」
後輩「っ!」バシッ
男「いたっ!マジで蹴りやがった!」
99 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/08(水) 21:29:31.27 ID:JJqbK5bQ0
――――現在
後輩「……先輩は、いつまで経っても優しいですね」
男「どうした?いきなり」
後輩「せ……先輩」
男「?なんだ?」
後輩「少し……胸を借りますね」
男「なんで」
後輩「……先輩に……顔が……見せれ……ないので」ジワッ
男「……ああ、いいよ。どんだけでも」ナデナデ
後輩「――――――――っ!!」
100 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/08(水) 21:30:45.29 ID:JJqbK5bQ0
後輩「あの、ありがとうございます」
男「うん、なんか、すげぇ濡れてるね」
後輩「い、言わないでくださいよそんなこと……」//
男「ははっ、早く帰ろうか」
後輩「…………せ、先輩っ!」
男「ん?なに?」
後輩「……私にとって、先輩は、太陽みたいな人です」
男「…………」
後輩「私は、月みたいに自分では輝けないし、先輩がいないと暗いままです」
後輩「先輩」
後輩「私は、先輩が好きです」
後輩「先輩は、どうですか?」
101 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/08(水) 21:31:49.40 ID:JJqbK5bQ0
男「ごめん、後輩。今は応えることができない」
後輩「……」
男「俺にとって、後輩は大事な後輩だ」
男「それは、これからも変わらない」
男「でも、それ以上になることは、多分無いと思う」
男「だから、それには応えられない」
102 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/08(水) 21:34:03.35 ID:JJqbK5bQ0
後輩「……ですよね」
男「…………悪いな」
後輩「いえ、大丈夫です。まだ、可能性はありますよね」
男「本当に…………え?」
後輩「だって、先輩多分って言ってましたし」
男「えっ、そうだけど」
後輩「可能性があるなら、私は諦めないですよ!」
男「…………そうだった、後輩はそういう奴だったな……言う事間違えたかも」
後輩「あ!先輩先輩、あれ見て下さい!」
男「あれ?……へぇ、やっぱ、後輩に似てるな」
後輩「ですよね!さっきまで雲が空を覆いつくしていたのに」
後輩「綺麗な満月ですね」
103 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/08(水) 21:35:02.08 ID:JJqbK5bQ0
――――別荘
男「じゃ、寝るか」
後輩「寝れますか?」
男「……そんなこというな。寝なければならないんだ」
後輩「もし寝れなかったら、こっち来ていいですよ」
男「何言ってる。寝れるよ。ちゃんと」
後輩「……寝れなかったらそっち言っていいですか?」
男「…………はぁ」
後輩「今呆れましたね。私はちゃんと本気ですよ」
男「…………何もしないならな」
後輩「分かりました!」
104 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/08(水) 21:36:03.99 ID:JJqbK5bQ0
男「…………」
―――― 後輩「私は、先輩が好きです」
―――― 後輩「先輩は、どうですか?」
男「…………また」
―――― 幼馴染み「私はさ……男が……好きなんだ」
男「……俺は」
男「……ダメだ。考えるのは今度にしよ」
男「はー、」
男「マジで眠れねぇ…………」
105 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/08(水) 21:37:56.07 ID:JJqbK5bQ0
男「…………」スースー
カチャ
後輩「せーんぱい」
後輩「見事に寝てますね」
後輩「……私、諦めないですよ」
後輩「どんな手でも使うので」
後輩「待ってて下さいね」
後輩「…………顔」
後輩「…………」チュッ
後輩「……――――――っ!!」////
後輩「……ぅぁ……」////
後輩「……これは、手強いですね……」////
後輩「せーんぱい、横失礼しますね」//
後輩「ふふ、せーんぱい」ダキッ
後輩「…………ありがとうございます」
106 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/08(水) 21:39:14.79 ID:JJqbK5bQ0
――――朝
男「…………こいつはまた」
後輩「…………」スースー
男「…………」ソッ
男「……おやすみ」
107 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/08(水) 21:40:29.60 ID:JJqbK5bQ0
――――駅
男「あー、疲れた」
後輩「先輩、寝れましたか?」
男「それは、お前が一番知ってるじゃないか?」
後輩「そーでした。すいません、私、寝れなくて」
男「変なことしてないだろうな」
後輩「してないですよ。して欲しかったんですか?」
男「そっ、そんなこと言ってな」
後輩「なんで動揺してるんですか?はっ、もしや本当にして欲しかったのでは……」
男「ちげぇ!誤解だ誤解!」
後輩「まあ、先輩に限ってそんなこと思わないですよね」
男「うっ」
108 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/08(水) 21:42:02.30 ID:JJqbK5bQ0
後輩「さて、帰りましょうか」
男「……切り替え早いな」
後輩「切り替えないと、ずっと話しますからね」
男「ま、いいけど。次は冬かな」
後輩「あ、やっぱ冬にもあるんですか」
男「当然。冬と夏は星が違うからな」
後輩「じゃあ、また来ますか?」
男「違う場所でもいいぞ」
後輩「では、その時のお楽しみで」
109 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/08(水) 21:43:56.03 ID:JJqbK5bQ0
――――特急車内
後輩「…………悲しいですね」
後輩「三日間が、あっという間に過ぎ去っていきましたよ」
後輩「私は、これでよかったんでしょうか」
後輩「ねぇ、先輩」
男「…………」スースー
後輩「全く、この先輩は」
後輩「…………」
後輩「…………ふふ」
後輩「帰ったら、反省ですね」
後輩「あと、使用人さんをやらなければ」
110 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/08(水) 21:45:07.50 ID:JJqbK5bQ0
後輩「やることは、いっぱいありますね」
終
111 :
◆QbejV3Yk9I
[saga]:2014/10/08(水) 21:46:14.87 ID:JJqbK5bQ0
ありがとうございました
日常系ハーレムは流行らないすかねぇ
個人的に好きなんだが……
112 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2014/10/08(水) 22:55:19.60 ID:3yLBDiY7o
最初からハーレム状態だと誰かと付き合う道を選んだ時
他の子全員を悲しませることになるのが辛い
分岐イベント中のフラグで初めて好かれるならいいんだがな
……って事情で、おもしろいと辛いが混在して純粋に楽しめない、ってのはある
まぁ最初幼馴染SSかと思って読んでたがなんかハーレムになってきて
このSSが妹と+αのルートのあとどこに着地するか気になるから読んでる
おつ
113 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
[sage]:2014/10/09(木) 18:37:54.65 ID:dJRjjHxAo
乙
61.22 KB
[ Aramaki★
クオリティの高いサービスを貴方に
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