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先輩「本を読む後輩と」 後輩「かもめの先輩」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/11/20(木) 21:31:11.22 ID:Mh+Jl+Ai0
このssには、女性同士の恋愛の表現が含まれます
あらかじめご了承ください

また、一部性的な内容があります
こちらも、あわせてご注意ください

何卒よろしくお願いします

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■ 萌竜会 ■ @ 2024/11/22(金) 07:18:35.89 ID:Vr506SRJo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1732227515/

■ 萌竜会 ■ @ 2024/11/22(金) 07:17:49.87 ID:t6dKBjAuo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1732227469/

■ 萌竜会 ■ @ 2024/11/22(金) 07:17:17.71 ID:/UbTl3Hgo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1732227436/

■ 萌竜会 ■ @ 2024/11/22(金) 07:16:22.54 ID:Un8tNByuo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1732227381/

ミア「歩夢・・・辛かったな・・・」ナデナデ歩夢「ミアちゃん・・・うぅ・・・」 @ 2024/11/22(金) 00:59:47.53 ID:w7bhdEV4O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1732204787/

ちんぽいぬ @ 2024/11/21(木) 22:13:45.60 ID:BuRqeSctO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1732194825/

無くても死にはしないけどある方が安心する気がしないでもない @ 2024/11/21(木) 02:19:47.82 ID:SZfofcdIo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1732123187/

2 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) :2014/11/20(木) 21:32:36.02 ID:Mh+Jl+Ai0





〜放課後・校舎 廊下〜


後輩「……」

後輩友「ちょっと後輩〜!」タタッ

後輩「あ、友ちゃん」

友「へっへっへ、お姉ちゃん、ひとりでどこいくつもりだい?」

後輩「図書館だよー。あと、私より友ちゃんの方がお姉ちゃんだよ! 私、八月生まれだから」

友「……いや、うん。そうね。私が悪かった」

後輩「?」
3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) :2014/11/20(木) 21:33:41.52 ID:Mh+Jl+Ai0
友「私も行っていい?」

後輩「うん! 友ちゃん、何か読みたい本あったんだ?」

友「いや、ただついていくだけ」

後輩「何それぇー」

友「しかし、あんたも好きだねぇ。毎日通ってるじゃん、図書館」

後輩「毎日じゃないよぉ。一昨日は行ってないもん」

友「一昨日は日曜だ」

後輩「うん」

友「うんじゃない」

後輩「えへへ……」
4 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) :2014/11/20(木) 21:35:17.96 ID:Mh+Jl+Ai0
友「そうだ、今日この後、ヒマ?」

後輩「私はこの後、部活行くよ」

友「えー。一緒に帰ろうよー」

後輩「んー……、でも、部活だし……」

友「どうせ、今日も誰もいないんでしょ、文芸部」

後輩「うん、多分……」

友「ひとり寂しく本読んで帰るだけなら、可愛い友ちゃんと一緒に帰って遊ぼうや、ねぇ?」

後輩「でも、部活はちゃんと出た方がいいと思うし……。それに、本読むの好きだから、私」

友「はぁ、真面目だねぇ……」

後輩「……あ!」

友「ん?」

後輩「と、友ちゃんは可愛いよ! そこは、うん、本当、そう思うっ」

友「あーもう! そこは拾わなくていいんだよぉー! 可愛いなぁーこのポンコツはぁー!」ワシャワシャ
5 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) :2014/11/20(木) 21:36:27.54 ID:Mh+Jl+Ai0
後輩「わっ、ちょ……もう、私は可愛くないからぁ……」

友「ポンコツの方はちゃっかり聞こえない耳はこれかぁー? うりうりーっ」グイグイ

後輩「うわわ、やめてよぉ! ほら、もう図書館つい――……」


ドンッ


後輩「ひゃっ」ヨロッ

友「ぎにゃっ!?」

後輩「……あっ」

先輩「……」

後輩「あ、あの……、すみません、ぶつかっちゃっ――……」

先輩「……」

後輩「……え、えっと」
6 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) :2014/11/20(木) 21:37:15.05 ID:Mh+Jl+Ai0
先輩「……入りたいんだけど」

後輩「え……」

先輩「邪魔」

後輩「あ……! ご、ごめんなさいっ」

先輩「……」プイ

後輩「……」

友「……」


ガラッ


パタン


後輩「……」

友「……」

後輩「……」

友「……うぁー、焦ったぁ……」

後輩「……もう、友ちゃん……」
7 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) :2014/11/20(木) 21:38:10.77 ID:Mh+Jl+Ai0
友「あっはは、ごめんごめん! ……っていうか、今の……やっべぇ、先輩さんじゃん。こわ……」

後輩「知り合い?」

友「いや、違うけど……ほら、有名じゃん」

後輩「有名?」

友「……あぁ、あんたは知らなそうだね、そういうの」

後輩「何それぇ」

友「うわさとか、裏話とか、そういう話しないでしょ」

後輩「そんなこと――……あるけど。うわさの人なんだ」

友「影の有名人ってやつ。……ちょっと、言えないことしてるんですって」
8 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) :2014/11/20(木) 21:39:04.10 ID:Mh+Jl+Ai0
後輩「ちょっと、言えないこと……、って?」

友「そりゃあ、ちょっと言えないッスよ」

後輩「本当に言えないことなら、そもそも、うわさにもならないと思う!」

友「あ、はい……、うん、そうッスね……」

後輩「……」ムフー

友「うぉぉ、その論破ぁ! みたいなドヤ顔やめて! 腹立つ!」

後輩「それで?」

友「いや、うん、うわさだけどさ……、ウリやってるんだって、学校で、あの人」

後輩「瓜」

友「ウリ! お金もらって、えっちなことすんの!」

後輩「えっえっえっ」

友「慌てすぎ」
9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) :2014/11/20(木) 21:39:59.70 ID:Mh+Jl+Ai0
後輩「お金で?」

友「うん」

後輩「えっ、えっちな?」

友「うん」

後輩「売春みたいなもんだよ、それ!?」

友「みたいな、じゃなくて、売春そのもの! 藤浪ばりの剛速球ど真ん中!」

後輩「え、いや……でも……」

友「何?」

後輩「犯罪じゃないかな?」

友「あー、もう! そうだよ! だから有名人なんだってば!」

後輩「あぁ、なるほど。……ん、でもでも、やっぱりおかしくない?」
10 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) :2014/11/20(木) 21:40:42.60 ID:Mh+Jl+Ai0
友「何が」

後輩「うち、女子高だよ?」

友「だぁーかぁーらーぁ!」


ガラッ


先輩「……」

友「女相手に、金もらって体売ってるから、ヤバい人だっつってんの!」

後輩「あ……」

友「ぎゃっ……!」

先輩「……」ジロ

友「……!」

後輩「……!」

後輩(こっち見た!)
11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) :2014/11/20(木) 21:41:51.62 ID:Mh+Jl+Ai0
先輩「……」

後輩「……」ドキリ

後輩(……うわ、正面からまじまじ見ると……)

後輩(すごい、きれいな人……)

先輩「……」

後輩(まつ毛、長い……)

先輩「……」

後輩(目、おっきくて……なんか吸い込まれそうな――……)

先輩「おい」

後輩「……ハッ」

先輩「なに見てんだよ」

後輩(こ……怖っ!)

後輩(男口調……!?)
12 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) :2014/11/20(木) 21:42:31.52 ID:Mh+Jl+Ai0
友「ちょ、ちょっとあんた! 何ガン飛ばしてんの!」

後輩「いいいいいえ! 私は別に、そんな……」

先輩「……」

後輩「あう……」

先輩「……」プイ

後輩「ぁ……」


スタスタ……


後輩「……行っちゃった」

友「うーぁー、もぉー、ビビッたぁー」

後輩「……」

後輩(……あれ)
13 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) :2014/11/20(木) 21:43:18.33 ID:Mh+Jl+Ai0
友「ちょっと、こら、あんたのせいでぶん殴られるかと思ったじゃないの」ウリウリ

後輩「……」

後輩(そういえば、あの人……、さっき持ってた本……)

友「……おい、おーい? 聞いてますかー、人の話ー?」

後輩「……」

後輩(あの本……、あれって――……)

友「もしもーし? 後輩たん? あの……、無視やめて? ねぇ、ちょっと……」




14 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga sage]:2014/11/20(木) 21:44:37.01 ID:Mh+Jl+Ai0
こんな感じです
saga忘れてた…
15 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/11/20(木) 21:49:54.74 ID:tKkgRHX30
すごく好き。続きはよ
16 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/11/20(木) 22:47:23.60 ID:WkuteA4DO
糞スレ。さっさと百合豚死 ね
17 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/11/20(木) 23:08:34.34 ID:jnSxmP0Qo
支援ですぞ
18 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/21(金) 21:15:04.88 ID:3StWXXl30





〜数日後・放課後、文芸部の部室〜


後輩「……」

後輩「……」ペラ

後輩「……」

後輩「……」ペラリ

後輩「……」

後輩「……ふぅ」

後輩「……」チラッ

後輩(……もう、こんな時間)
19 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/21(金) 21:15:44.90 ID:3StWXXl30
後輩「……」パタン

後輩(今日はもう、帰ろうかな)

後輩「……」ガサゴソ

後輩「……?」

後輩「……あれ?」ガサガサ

後輩「携帯ない……」

後輩「……あ、あれ? あれあれっ?」ガサゴソ

後輩「……」

後輩(落ち着け、私……)

後輩(こんなときは、落ち着いて……目を閉じて)
20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/21(金) 21:16:19.95 ID:3StWXXl30
後輩「……」

後輩(ゆっくり十秒、数えて――……)

後輩「……」

後輩(おもむろに目を開ける!)カッ

後輩「……」

後輩「……」

後輩「……やっぱりないよぉぉぉ」




21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/21(金) 21:16:54.52 ID:3StWXXl30





トタタタ


後輩「……はぁ、私ってドジだな……」

後輩「絶対、机の中だよ、もう」

後輩「……ぁー、外もう真っ暗だし」

後輩「早く帰らないと――……あれ?」

後輩「……教室」

後輩「電気ついてる……」トタタッ


ガララッ


先輩「……」

後輩「……」

先輩「……ん」

後輩「へ?」
22 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/21(金) 21:17:53.44 ID:3StWXXl30
後輩(あれ!? 教室間違えた!?)

後輩「……」キョロキョロ

後輩(……一年B組)

後輩「……あってる」

先輩「……何してんの」

後輩「ひゃい!?」ビクッ

先輩「きなよ、こっち」チョイチョイ

後輩「は、はい……?」


トテトテ


後輩(……っていうか、そこ私の席……)

先輩「ふぅん……」スッ

後輩「……?」


ギュッ


後輩「!?」
23 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/21(金) 21:18:21.95 ID:3StWXXl30
後輩(あれ!? 教室間違えた!?)

後輩「……」キョロキョロ

後輩(……一年B組)

後輩「……あってる」

先輩「……何してんの」

後輩「ひゃい!?」ビクッ

先輩「きなよ、こっち」チョイチョイ

後輩「は、はい……?」トテトテ

後輩(……っていうか、そこ私の席……)

先輩「ふぅん……」スッ

後輩「……?」


ギュッ


後輩「!?」
24 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/21(金) 21:19:11.05 ID:3StWXXl30
>>22はなかったことにしてください…
25 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/21(金) 21:19:55.56 ID:3StWXXl30
後輩(いいいいきなり、抱きしめられた!?)

先輩「……ちっこくて、可愛いじゃん」

後輩「なっ、なななななな!?」


ギュウ


後輩「えっ、あっ、えぇ!?」

先輩「……もっと、リラックスしろよ」

後輩(無理ぃ!)

後輩(っていうか、この人、私より華奢なんだ……)

後輩(なのに、抱きしめられると、すごく……)

後輩(力強くて、包み込まれるような……)

後輩(アンバランスな、感覚……)
26 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/21(金) 21:20:36.82 ID:3StWXXl30
後輩「……ぁ」

後輩(でも、何だか……、ずっとこうしていたくなるような――……)

先輩「……あんた、すげー抱き心地いいんだね」モゾッ

後輩「あっ……! ど、どこ触って――……」

先輩「……っふふ」

後輩「や、ちょ……んんっ!」ビクッ

先輩「っていうか、次からは教室じゃねーところにしてくれよな」

後輩「え……」

先輩「誰か来たら、困るだろ?」

後輩「ひ……ぁ、ぁ、なんの……ことですかぁ……」

先輩「何って、このメモ……」ピラッ

後輩「メモ……?」
27 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/21(金) 21:21:15.54 ID:3StWXXl30
先輩「あんたが書いたんだろ、この教室で、って……」

後輩「……?」

先輩「……?」

後輩「私、あの、携帯……、教室に、忘れて……、取りにきて……」

先輩「え」

後輩「それ……だけ……デス、ハイ」

先輩「ぁー……」

後輩「……」

先輩「悪い」スッ

後輩「あ……」

後輩(離れちゃった……)

先輩「……」ガタッ

後輩(……じゃなくて! 何考えてんの、私!)
28 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/21(金) 21:21:50.55 ID:3StWXXl30
後輩「……」

先輩「……何だよ」

後輩「い、いえ、そこ……私の席、でしてぇ……」

先輩「……」ガタン

後輩「っ……」ビクッ

先輩「……」スタスタ

後輩「……」

先輩「……」ガタン

後輩「……」
29 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/21(金) 21:22:22.32 ID:3StWXXl30
後輩(……あ、そうだ、携帯)

後輩「……」ガサゴソ

先輩「……」

後輩「……あれ、あれぇぇ」ガサゴソ

先輩「……」

後輩「……うぅぅぅ」ガサゴソ

先輩「……はぁ」パサッ

後輩「……あ」

後輩(あの本……)

後輩(この前も、持ってた……)
30 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/21(金) 21:23:21.26 ID:3StWXXl30
先輩「……」

後輩「あ、あのぅ」

先輩「……ん?」

後輩「その本って……」

先輩「……本?」

後輩「あぁ、やっぱり! 『かもめのジョナサン』!」

先輩「……?」

後輩「この間も、借りてましたよね、図書館で! ひょっとして、お好きなんですか!?」

先輩「いや、えーっと」

後輩「私もすごい好きなんですこの本! もう、何回も読んでて、読むたびに感動しちゃって!」

先輩「あのさ……」
31 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/21(金) 21:23:56.59 ID:3StWXXl30
後輩「嬉しいです、私! 同じ本を好きな人に会えて、本当に!」ニコリ

先輩「……あの、おい……」

後輩「特に好きなシーンが、やっぱり三章のあの、フレッチャーが岩に……」

先輩「お、おい、おいって……」

後輩「はい?」

先輩「……あのさ、わりーんだけど、私、読んだことねーから、この本。興味もねぇし」

後輩「そんな……、もったいないですよぉ! ぜひ、ぜひ読んでみてください! 損はさせませんからぁ!」

先輩「セールスマンかよ」

後輩「……って、あれ? じゃ、じゃあ何でこの本持って――……」


ガラッ


32 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/21(金) 21:24:35.19 ID:3StWXXl30
女生徒「……」

後輩「……」

先輩「あ」

女生徒「……は?」

後輩「?」

女生徒「ねえ、ちょっと、何これ。ダブルブッキング?」

後輩「え?」

先輩「はぁ……」

女生徒「はぁ、マジで? 信じらんないんだけど……」

先輩「ちげーよ。こいつ、知らない子」

女生徒「うそ。教室の外まで、話し声してたんですけど」
33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/21(金) 21:25:03.48 ID:3StWXXl30
今日はここまでです
34 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2014/11/21(金) 21:35:18.32 ID:QzhYk+M+0
35 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/11/21(金) 21:40:02.36 ID:/siSbkP5O

いいなぁ期待
36 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/22(土) 11:56:33.02 ID:avu6kxiy0
先輩「違うったら」

女生徒「ちょっと、あんた!」

後輩「わ、私!?」

女生徒「どういうつもりよ! ルール違反でしょうが!」

後輩「うぅ……、な、何のことですかぁ……」

女生徒「はぁぁ? とぼけるつもり!?」キッ

後輩「ひぅっ」ビクッ

先輩「おい、ちょっと……」

女生徒「……何よ」

先輩「揉めんなよ、こんなとこでさぁ」
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/22(土) 11:57:13.98 ID:avu6kxiy0
女生徒「だって――……」


ギュッ


女生徒「あっ……」

先輩「本当、知らないんだって……」モゾモゾ

後輩「!」カァァ

女生徒「あっ……ん」

先輩「な、分かってくれよ……」

女生徒「もう……、そんなこと言って……ぁんっ」

先輩「ん……」

女生徒「んっ、私……怒ってるんだからねぇ?」

先輩「悪かったって。今日は、サービスするからさぁ」モゾッ

女生徒「本当ぉ?」
38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/22(土) 11:57:46.85 ID:avu6kxiy0
先輩「マジマジ……、だから、さ……」チュッ

女生徒「もぉ、しょうがないなぁ」

後輩「……」

先輩「じゃ……場所変えてさ……」スタスタ

女生徒「ん……」スタスタ

後輩「……」

先輩「……」チラッ

後輩「……っ!」ビクッ


ガラッ

パタン


後輩「……」ドキドキ
39 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/22(土) 11:58:34.56 ID:avu6kxiy0
後輩「……」

後輩「……ぁー」

後輩「……あ、そうだ……、携帯……」


ピロリロリロリン♪


後輩「!?」ビクッ

後輩「……って、あ……」

後輩「ポケット……」ピロリロリロリン♪

後輩「……」

後輩「……あった」
40 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/22(土) 11:59:03.84 ID:avu6kxiy0
後輩「……」

後輩「……」ピッ


友『もっしもーし、後輩ー? 今何してるーん?』

後輩「……あー、うん」

友『?』

後輩「何してるんだろうね、私……」

友『え、何それ? 哲学?』




41 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/22(土) 12:00:09.90 ID:avu6kxiy0





〜夜・先輩宅〜


先輩「……」

先輩「……」ドサッ

先輩「はぁ」

先輩「……」ボフッ

先輩「つーかれたーぁー」

先輩「……」

先輩「……あの一年」

先輩「……」

先輩(変なヤツだったなぁ)
42 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/22(土) 12:00:53.02 ID:avu6kxiy0


後輩『私もすごい好きなんですこの本! もう、何回も読んでて、読むたびに感動しちゃって!』


後輩『嬉しいです、私! 同じ本を好きな人に会えて、本当に!』ニコリ



先輩「……」

先輩(そんなに面白いのか、この本……)

先輩「……」ペラッ

先輩「……」

先輩「……かもめって」

先輩(童話か?)
43 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/22(土) 12:08:23.46 ID:avu6kxiy0



すべてのカモメにとって、重要なのは飛ぶことではなく、食べることだった。だが、この風変わりなカモメ、ジョナサン・リヴィングストンにとって重要なのは、食べることよりも飛ぶことそれ自体だったのだ。その他のどんなことよりも、彼は飛ぶことが好きだった。



先輩「……」

先輩「……ふぅん」ペラッ

先輩「……」

先輩「……」ペラッ



ジョナサンは、<朝食の集い>に集ったカモメの群れのまん中を、弾丸のようにまっすぐ突き抜けていったのだ。時速三百四十キロのスピードで、目を閉じ、風と羽毛のまきおこす怒号のような金属音につつまれて。


先輩「……」

先輩「……はっ?」

先輩「……時速340キロっ!?」
44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/22(土) 12:09:13.04 ID:avu6kxiy0
先輩「……」

先輩「……」ペラ



ジョナサンの両翼のところに現れたその二羽のカモメは、星の光のように滑らかで、夜空の高みに優しく心をなごませるような輝きをはなっていた。



先輩「……は」

先輩「はぁぁ……!?」



そして、ジョナサン・リヴィングストンは、星のように輝く二羽のカモメとともに高く昇ってゆき、やがて暗黒の空のかなたへと消えていった。



先輩「……」

先輩「……」ポカーン




45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/22(土) 12:10:15.34 ID:avu6kxiy0





〜翌日・昼休み 図書館〜


後輩「……あっ」


先輩「……」


後輩「……」トタタッ

先輩「……」

後輩「あの……」

先輩「……」

後輩「あのっ、先輩……?」

先輩「あぁ?」

後輩「……っ」ビクッ
46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/22(土) 12:10:54.57 ID:avu6kxiy0
先輩「あぁ、あんた……」

後輩「はい。あの……、き、昨日は……すみませんでした!」ペコリ

先輩「別に、謝られる筋合いねーけど」

後輩「でも……、なんだか、ご迷惑おかけしたみたいで……」

先輩「別に」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……あう」

先輩「……あのさ」

後輩「は、はい?」
47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/22(土) 12:11:41.67 ID:avu6kxiy0
先輩「読んだんだけど、これ。かもめのジョナサン」

後輩「本当ですか!? どうでした!? 感動でしたよねぇ!」

先輩「いや、全然」

後輩「うぇぇぇ!?」

先輩「……おかしいだろって。何でかもめが340キロで飛ぶんだよ」

後輩「ハヤブサも、それくらいで飛ぶらしいですよ」

先輩「かもめはハヤブサじゃねぇよ!」

後輩「それだけ頑張ったんですよね、ジョナサンは……!」ジィィン

先輩「努力で済ますな! ……あと、何だあの……いきなり、光り輝く二羽のかもめが……あの……、何だあれ!」

後輩「感動のシーンですよね……」

先輩「おっかしいだろ!」
48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/22(土) 12:12:26.70 ID:avu6kxiy0
後輩「えぇ!?」

先輩「展開ぶっとびすぎて、本間違えたかと思ったわ!」

後輩「えぇー……、でもでも、考えてみてくださいよ! ある日、きらきらーってした人が、先輩の前に現れて」

先輩「おう」

後輩「貴方を迎えに来ましたー、って言ったら、どう思います?」

先輩「……宇宙人? って思う」

後輩「……先輩……」

先輩「な、なんだよ……」

後輩「意外と、ロマンチストなんですね……」

先輩「なんっで、そうなるんだよっ!」
49 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/22(土) 12:12:52.98 ID:avu6kxiy0
今日はここまでです
50 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2014/11/22(土) 12:19:09.13 ID:IKKS2RcX0
おっつん
51 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/22(土) 20:47:16.26 ID:avu6kxiy0
後輩「クスクス……」

先輩「何がおかしいんだ、この……」

後輩「すみません……、私、こうやって誰かと本の話したのって、はじめてで……」

先輩「……」

後輩「すごく、楽しくて」クスクス

先輩「……変なやつ」

後輩「あっ、そうだ!」

先輩「うん?」

後輩「部室、来ませんか? これから!」

先輩「部室?」

後輩「先輩なら、きっと気に入るんじゃないかなって本があって!」

先輩「いや、私は……」

後輩「ねっ」キラキラ

先輩「……ぁー」




52 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/22(土) 20:47:44.62 ID:avu6kxiy0





〜文芸部 部室〜


後輩「ささ、どうぞどうぞ!」

先輩「お邪魔――……って」

後輩「ちょっと座っててくださいね! ……えーっと、確かこの辺に……」ガサゴソ

先輩「……」

後輩「……あれぇ?」ガサガサ

先輩「……なぁ」

後輩「こっちかな? んー……、あ、はい? 何ですか?」

先輩「部室って……、誰もいねーけど……」
53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/22(土) 20:48:57.68 ID:avu6kxiy0
後輩「幽霊部員ばっかりですからねー。……あ、こっちか」ガサゴソ

先輩「……いっつも、こんななの?」

後輩「まぁ、大抵は」ドサドサドサ

先輩「……」

後輩「ちゃんとやりたい人は、文学研究会の方に行っちゃうらしいですからね、ウチの学校、伝統的に」

先輩「……へぇ」

後輩「文芸部は、ほとんど活動してないですねぇー」ガサガサ

先輩「……お前は?」

後輩「後輩です!」

先輩「名前聞いたんじゃねーよ。……後輩は、文学研究会? にしなかったんだ?」
54 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/22(土) 20:49:29.62 ID:avu6kxiy0
後輩「あはは、書くのは苦手なんで。読むのは好きなんですけどねぇ」

先輩「……」

後輩「あ、でも……私、部活好きですよ! 本読めるから」

先輩「読むって言ってもよ……、ひとりだろ?」

後輩「はい」

先輩「本読むだけ?」

後輩「はい」

先輩「……寂しいやつ」
55 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/22(土) 20:49:58.58 ID:avu6kxiy0
後輩「寂しくないですよぉ。本読んでますもん」

先輩「意味わかんねー。それが寂しいって言ってんの」

後輩「あっ!」

先輩「ん?」

後輩「あったぁ……」

先輩「……何?」

後輩「この小説、ぜひ先輩に読んでもらいたくて!」

先輩「私に?」

後輩「はい!」

先輩「……ふぅん」ペラッ
56 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/22(土) 20:50:31.72 ID:avu6kxiy0
後輩「最初は普通の恋愛小説なんですけどぉ、実はヒロインが宇宙人で――」

先輩「……」ポイッ

後輩「ああっ! 本を投げないでください!」

先輩「つまんなそう」

後輩「えぇー……」

先輩「……っていうか、お前すっごいサラッとネタバレする人なのな……」

後輩「あ、じゃあこっちはどうですか? 宇宙船の中に入って、色んな宇宙人と――」

先輩「……」ポイッ

後輩「ああっ!!」

先輩「いや、あのな、別にウチュージン大好き人間じゃないからな、私は」

後輩「……えっ」

先輩「えっ、じゃないんだよ、えっ、じゃあ」
57 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/22(土) 20:51:02.85 ID:avu6kxiy0
後輩「うーん……、じゃあ、こっち? いやいや、こっちの方が読みやすいし……」ブツブツ

先輩「……」

後輩「……いや、ここは敢えてここ?」ブツブツ

先輩「……」

後輩「むぅ……」ブツブツ

先輩「……あのさ」

後輩「はい?」

先輩「お前さ、あんまり私に関わらない方がいいよ?」

後輩「……?」

先輩「うわさ、本当だから」

後輩「……」
58 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/22(土) 20:51:36.99 ID:avu6kxiy0
先輩「昨日みたいなこと」

後輩「……」

先輩「しょっちゅうしてるから」

後輩「……」カァァ

先輩「お前まで」

後輩「……」

先輩「そーいう目で、見られるかもって……」

後輩「……先輩は」

先輩「……ん」

後輩「優しいんですね!」

先輩「……はぁ?」
59 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/22(土) 20:52:09.50 ID:avu6kxiy0
後輩「はい、どうぞ」

先輩「お、おい……」

後輩「これ、私のオススメです。かもめのジョナサンの次くらいにおすすめ」

先輩「……」

後輩「あの、私、き……昨日みたいなのは……」

先輩「……」

後輩「あ、あんまり、よくないかも、って……思いますけど……」

先輩「……」

後輩「でも、えっと……、なんていうか……、うまくいえないんですけど……」

先輩「……」

後輩「先輩とは、もっとお話、してみたいなって……」

先輩「……」
60 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/22(土) 20:52:39.38 ID:avu6kxiy0
後輩「……あの、うぅ……」

先輩「……はぁ」

後輩「す、すみません……」

先輩「変なやつ……」

後輩「うぅ……っ」

先輩「……これ」

後輩「あ……」

先輩「借りてく」

後輩「は、はい!」




61 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/22(土) 20:53:28.05 ID:avu6kxiy0





〜夜 先輩宅〜


先輩「……」

先輩「……」



後輩『意外と、ロマンチストなんですね……』



先輩「……はぁ」

先輩(何なんだ、あいつ……)

先輩「……」

先輩「……ま、どうでもいいや」
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/22(土) 20:54:04.80 ID:avu6kxiy0
先輩「『お客』でもない他人と」

先輩(今さら……)

先輩「……馴れ合ったところで……」

先輩「……」

先輩「……」



後輩『すみません……、私、こうやって誰かと本の話したのって、はじめてで……』

後輩『すごく、楽しくて』クスクス


後輩『……先輩は』

後輩『優しいんですね!』



先輩「……」
63 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/22(土) 20:54:36.37 ID:avu6kxiy0
先輩「……」

先輩「……本」

先輩(……ま、適当に読んで)

先輩(んで、明日つき返して、それで……)

先輩「……」

先輩「……」ペラッ

先輩(……それで……)



後輩『先輩と、もっとお話、してみたいなって……』



先輩「……」ペラ

先輩「……」

先輩「……」ペラッ




64 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga sage]:2014/11/22(土) 20:55:03.95 ID:avu6kxiy0
今日はここまでです(二回目)
65 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/11/22(土) 23:13:29.98 ID:3Svhf797O
66 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/23(日) 13:01:39.97 ID:APVdA9H30





〜三日後 放課後・文芸部 部室〜


後輩「……」

後輩「……」ペラ

後輩「……」

後輩(先輩……)

後輩(やっぱり、来てくれない、かぁ……)

後輩「……」

後輩「……」ペラッ

後輩「……はぁ」


ガラッ


先輩「おっす」

後輩「……?」
67 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/23(日) 13:02:31.90 ID:APVdA9H30
先輩「……?」

後輩「……先輩っ!?」

先輩「反応にぶっ! カメか」

後輩「人間です!」

先輩「知ってる」

後輩「あ、あの……、今日は……」

先輩「……これ」

後輩「あ……」

先輩「読んだ」
68 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/23(日) 13:03:09.52 ID:APVdA9H30
後輩「……ど、どうでした?」

先輩「まぁ……、かもめのやつよりは、面白かったんじゃねーかな」

後輩「……!」パァァ

先輩「読書なんてさ、したことねーから、よく分かんねーけど……」

後輩「……! ……!」ガサガサガサッ

先輩「まぁ、暇つぶしには十分……って、後輩?」

後輩「せんぱぁい!」ドサドサッ

先輩「うぉっ」

後輩「こ、これ! これがその作家の代表作で! こっちがこれに影響を受けた日本の作家の! それでこれが――、これとこれと――」

先輩「はしゃぐな」ベシ

後輩「ぷひゃ」

先輩「……ぷっ」
69 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/23(日) 13:03:46.81 ID:APVdA9H30
後輩「ぶったぁ……」

先輩「あはは、ぷひゃ、ってなんだよ、ぷひゃ、って……」ケラケラ

後輩「……先輩」

先輩「くっく……、ん?」

後輩「笑った顔、初めて見ました……」

先輩「な、何だよ、見るなよ……」

後輩「え、何でですか」ジィーー

先輩「やめろったら」

後輩「いいじゃないですかぁ、見せてくださいよ。にこーって、ほら、にこーって。はい、1たす1はー?」

先輩「見せもんじゃねー!」
70 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/23(日) 13:04:19.56 ID:APVdA9H30
後輩「あ、じゃあ変顔しますね、私。絶対笑うやつ」

先輩「いいからそういうの!」

後輩「……」ムィィィーーン

先輩「ぶふっ」

後輩「わぁぁ……」

先輩「あっははは! み、見んなばか!」

後輩「……」ムィィーンン

先輩「あっはははは! あはははは!」ベシッベシッ

後輩「ぷひゃぁ」




71 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/23(日) 13:04:58.12 ID:APVdA9H30





後輩「……」


後輩(あれから……)

後輩(先輩は、よく部室に来てくれるようになって……)


ガラッ


先輩「おーっす」

後輩「いらっしゃーい」


後輩(先輩のこと、色々……知ることができて……)

72 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/23(日) 13:05:42.21 ID:APVdA9H30

後輩「どうでした、この間の?」

先輩「あー、私ダメ。挫折した」

後輩「えぇー、読みやすいと思ったのになぁ……」

先輩「暗いんだよ、話が」


後輩(悲劇よりも、明るい話が好きなこと……)


先輩「……ま、かもめのジョナサンよりは、マシかな」

後輩「……、先輩、ジョナサン駄目ですよねぇ……」

先輩「あれは駄目だ。ムカつくもん」

後輩「感動なのに……」


後輩(『かもめのジョナサン』は、好きじゃないこと……)

73 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/23(日) 13:06:23.41 ID:APVdA9H30

先輩「だいたい、他のかもめを見下してるんだよ、ジョナサンは」

後輩「そんなことないですよぉ」

先輩「自分が好きなことしてるからって、そうじゃない連中を、ばかにしてるんだ」

後輩「でも、『他人を愛することを学べ』って、サリヴァンから教わったから……」

先輩「それはチャン長老のセリフだ」

後輩「……」


後輩(……もしかしたら、本当はちょっと、好きなのかもしれないこと……)

74 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/23(日) 13:07:03.01 ID:APVdA9H30
後輩「……」

先輩「……」ペラッ

後輩「……」

先輩「……うぉ」

後輩「……」ビク

先輩「……」ペラッ

後輩「……」

先輩「……あぁ、やばいって」

後輩「……」


後輩(読みながら、独り言が出ちゃうこと……)
75 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/23(日) 13:07:34.63 ID:APVdA9H30

先輩「飲みもん買ってきたー」

後輩「……な、何です、それ?」

先輩「購買ちゃんソーダ、アボカドバター味」

後輩「……」

先輩「新発売!」

後輩「……底に何か、溜まってます」

先輩「アボカドだろ」


後輩(意外と、新しいもの好きなこと……)

76 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/23(日) 13:08:11.67 ID:APVdA9H30

先輩「じゃあ次いくぞー、……火星探査車」

後輩「火星たんしゃしゃ」

先輩「ブフッ……」

後輩「むぅ……、火星たんささ! 火星しゃんさしゃ! 火星ちゃん……」

先輩「あっはははは! 全滅! 全滅かよ!」

後輩「かしぇー……っ! うぅ……」

先輩「あはははは! あはははは!」バンバン


後輩(よく、笑うこと……)

77 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/23(日) 13:08:49.10 ID:APVdA9H30

先輩「……んー」ノビー

後輩「……あ、読み終わりました?」

先輩「おう」

後輩「その本、続きありますよ、後日談みたいなの」

先輩「あー……、読む」

後輩「あ、私の家だったかも……」

先輩「そっか、じゃあ明日に――……」


後輩(それから……)


ピリリリリ♪ ピリリリリ♪

78 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/23(日) 13:09:21.55 ID:APVdA9H30

ピリリリリ♪ ピリリリリ♪


後輩「……あ」

先輩「……」


後輩(携帯のアラームが鳴ったら……)


後輩「……」

先輩「……じゃ、今日はもう行くわ」

後輩「……はい」


後輩(誰かと……『約束』の、時間で……)

後輩(それから……)

79 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/23(日) 13:10:01.06 ID:APVdA9H30

ガラッ


先輩「じゃな」

後輩「……またです」


後輩(それからは……)

後輩(誰かと……)


バタン


後輩「……」




80 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga sage]:2014/11/23(日) 13:10:55.12 ID:APVdA9H30
今日はここまでです
81 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/11/23(日) 18:10:18.56 ID:b+BOlqK40
おつ
82 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/11/23(日) 18:11:00.24 ID:dvx8gFwmO

あらあら
二人とも相手のこと気になり出してるんだな〜
いいなぁ続きはよ
83 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/24(月) 21:24:09.73 ID:9iPk3GNy0





〜数日後 教室〜


後輩「……」

後輩「……」ボンヤリ


後輩(いけないことだとは、思うけど……)

後輩(先輩にとっては、きっと大事な……、必要なことなのかもしれない……)

後輩「……」

後輩「……」

後輩(ゾラの『ナナ』とか……いや、あれは悲劇だっけ? じゃあ『ファニー・ヒル』とか……)

後輩(吉行淳之介……は、読んだことないや)

後輩(色んな小説の、体を売る女性たち……)

後輩(特別な人たちじゃなくて……、私と同じように、考えたり、悩んだりする……)
84 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/24(月) 21:24:49.94 ID:9iPk3GNy0
後輩「……」

後輩「……なんて」

後輩「本で読んだだけなんだけどさ……」

後輩(読んだだけの――……)


先輩『……あんた、すげー抱き心地いいんだね』


後輩「……っ!」カァァァ

後輩(忘れろ! 忘れろ私……!)

後輩「……!」ワタワタ

友「後輩ぃー?」

後輩「ひぃう!」

友「なーにしてんの?」

後輩「べ、別に何も……」

友「……ふーん」

後輩「……」
85 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/24(月) 21:26:42.95 ID:9iPk3GNy0
友「……むぅ」ジィー

後輩「な、なに?」

友「後輩さぁ、最近ちょっと、雰囲気変わったよね……」

後輩「え、そう……かな……」

友「うん、なんか、明るくなった気がする」

後輩「自分では分かんないけど……」

友「と思ったら、さっきみたいにボンヤリしてることも増えたし」

後輩「そ、そんなことないよぉ!」

友「あと挙動不審」

後輩「挙動不審!?」

友「なーんか、ひとりでワタワタしてたりするしー?」

後輩「わ、ワタワタって何っ? 私、そ、そんなこと……」ワタワタ

友「それだよ、それそれ」
86 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/24(月) 21:27:28.67 ID:9iPk3GNy0
後輩「……あ、うぅ……」

友「後輩……、もしかして」

後輩「え」

友「……ははーん」

後輩「え、え……、何それ」

友「はぁっはっはぁーん!」ズムムム

後輩「いや、本当に何それ! 何そ……それ何! すごいよ友ちゃん!」

友「好きな人、できたんでしょ」

後輩「えぇっ……!」

友「図星っしょ」
87 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/24(月) 21:28:09.68 ID:9iPk3GNy0
後輩「えぇぇぇ!? 違う違う! わ、私は……!」

後輩(先輩のことは……)

後輩「そ、そういうのじゃなくて……!」

友「ふぅん?」

後輩「一緒にいると、楽しいとか……、その……そういうので……」

友「……」

後輩「だから……いや、でも、何考えてるのかとか、もっと知りたいなって思うけど……」

友「……」

後輩「で、でもでも、それは気になるといえば、気になるってだけで……、だから、好きっていうのとは……その……」ワタワタ

友「……ぁー、はいはい。甘酸っぱそうで何よりッスねーっ」カーッペッ

後輩「友ちゃん?」




88 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/24(月) 21:28:54.66 ID:9iPk3GNy0





〜放課後・文芸部 部室〜


後輩「んー……、じゃ、これなんてどうですか?」

先輩「ツルゲ……? 何人だよ」

後輩「ロシアの人です」

先輩「難しそ……」

後輩「大丈夫ですよ! 結構読みやすいですよ? 薄いし」

先輩「んー、じゃあ……読む」

後輩「どうぞどうぞ!」

先輩「さんきゅー」

後輩「……」
89 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/24(月) 21:29:31.63 ID:9iPk3GNy0
先輩「……」ペラッ

後輩「……」

後輩(たとえば、今……)

後輩(先輩が何考えてるのか、私には分からないけど……)

先輩「……」ペラッ

後輩「……」

後輩(でも、そもそも、そんなことを考えている、私自身のことが……)

後輩(自分でも、よく分かってなくて……)

先輩「……しかし」

後輩「……」ピクッ

先輩「本当に誰も来ねーんだな、ここ」

後輩「そ、そうですね! あ、でも……」
90 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/24(月) 21:30:07.23 ID:9iPk3GNy0
先輩「……ん?」

後輩「たまに、生徒会長来ますよ。ほんとたまにですけど……」

先輩「会長ぉ? 何でぇ?」

後輩「いえ、何でも、放課後は校舎の見回りしてるらしいですよ、自主的に」

先輩「何だそりゃ」

後輩「色んな部活の様子とか、残ってる生徒が何してるとか、チェックしてるらしいですよ」

先輩「はぁ……」

後輩「そうそう、結構前なんですけど――……」




91 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/24(月) 21:30:51.03 ID:9iPk3GNy0





後輩『さて、部活部活……あれ?』


チョットー

アハハハ


後輩『……あっ』ガラッ

幽霊部員1『……あ?』

後輩『あ、あの……! ここ、文芸部の部室で……、その……』

幽霊部員2『は? あんた何?』

幽霊部員3『っていうか、ウチらも文芸部だし!』

部員1『ねー』

後輩『でも……、本を……』

部員2『はぁ? だから何なの』

部員3『って言うかこいつ、1年じゃん。ウザッ』

部員1『邪魔なんですけどー。”部活”しないなら、帰ってくんない?』


キャハハハ


後輩『うぅ……』グスッ
92 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/24(月) 21:31:32.46 ID:9iPk3GNy0
会長『――ふむ、ならば君たちは、それが文芸部の正式な活動だと?』

後輩『……!』

部員1『げっ……』

部員2『会長……!?』

会長『私には、ただ部室を占拠して、無駄話をしているだけにしか、見えないのだがね』

部員3『は……はぁ? 勝手に決め付けないでよ』

部員1『そ、そうよ……!』

会長『しかし、あんまり目に余るようであれば、生徒会としても、黙っていられない。分かるかい?』

部員1『……』

部員2『……いこーよ』

部員3『チッ……』
93 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/24(月) 21:32:18.40 ID:9iPk3GNy0
後輩『……』ポカン

会長『……ふふっ、あっさり引き下がって……。生徒会程度、そんな権限があるわけないのにな』

後輩『あっ、あの、会長……』

会長『ん?』

後輩『ありがとうございましたっ!』ペコリ

会長『いやいや、気にすることはない。好きでやってることだからね。それに……』スッ

後輩『……』

会長『キミのような、真面目に部活に取り込む子の力になれて、私としても嬉しいよ』ナデナデ

後輩『あっ』カァァ

会長『ふふっ――……』ニッコリ




94 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/24(月) 21:32:56.56 ID:9iPk3GNy0





後輩「……って」

先輩「うっげ……」

後輩「うっげ、って……。先輩、会長さん苦手です?」

先輩「苦手ってか……、キザくせーし、何だかんだ偉そうだしよー」

後輩「えぇー、カッコいいじゃないですかぁ」

先輩「あと口調が変」

後輩「それは……先輩が言っちゃ駄目なんじゃ……」

会長「――おやおや」ガラッ

後輩「あっ、会長……!」

先輩「げっ……」
95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/24(月) 21:34:05.17 ID:9iPk3GNy0
会長「うわさされるのは構わないが、陰口はご免こうむりたいね」

後輩「す、すみません……」

会長「いやいや、キミのことではないよ。私が言ってるのは……」チラッ

先輩「……はぁ」

会長「……部員でもないキミが、どうしてここにいるのかな? 先輩クン?」

先輩「ほっといてくださーい」

会長「いいや、放っておくわけにはいかないね。特にキミのような生徒は」

先輩「……」

会長「どういうつもりで、文芸部に近付いたかは知らないが……」

後輩「か、会長、違うんです! これは私が……」

会長「心配ないよ、後輩クン。すべて私に任せたまえ」ニッコリ

後輩「あう……」

先輩「ケッ」
96 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/24(月) 21:34:39.00 ID:9iPk3GNy0
会長「きなさい、先輩クン。キミとはじっくり、話し合う必要がありそうだ」

先輩「……へいへい」

後輩「先輩っ」

先輩「心配すんなって。お前は大人しくしてろ」

後輩「でも、うぅ……」

先輩「大丈夫」

後輩「……」

先輩「またな」

後輩「……」コクン




97 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/24(月) 21:35:15.57 ID:9iPk3GNy0





〜廊下〜


会長「……」スタスタ

先輩「……どこ行くんだよ」スタスタ

会長「ずいぶんと」

先輩「ん?」

会長「なつかれたんだな」

先輩「……変なやつだろ」

会長「キミが言うか」

先輩「ほっとけ」

会長「……意外だった」

先輩「ん?」
98 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/24(月) 21:35:57.45 ID:9iPk3GNy0
会長「先輩クンが、あんな風に、誰かと打ち解けているところを、見れるなんてな」クックッ

先輩「うるせ」

会長「他人なんて、どうでもいいってタイプだろキミは、ええ?」

先輩「どうでもいい他人は、どうでもいいんだよ。あんたとかな」

会長「すると、彼女はどうでもよくはないと」

先輩「……」

会長「……ふふっ」

先輩「ちげーからな」

会長「……まさか、本気になったわけじゃ、ないだろうね」

先輩「よせよ。ちげーって言ってるだろ」

会長「ふん?」
99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/24(月) 21:36:51.19 ID:9iPk3GNy0
先輩「そんなんじゃねーから。ただ、暇だから寄り付いてるだけだ」

会長「そう……。まぁ、そうだろうねぇ、生来のクズだものなぁ、キミは」

先輩「うるせーよ」

会長「何かに興味を持ったり、本気になったり、そういうことがうまくやれない、がんばれない、そんなどうしようもない――……」

先輩「……なぁ」

会長「うん?」

先輩「説教なら、ちゃっちゃと済ませてくれねーかな。私この後、大事な『約束』が――……」

会長「心配ない」

先輩「あ?」
100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/24(月) 21:37:25.22 ID:9iPk3GNy0
会長「今日の『お客』は、私だ」ニッコリ

先輩「……あー」

会長「ふふ……大事な『約束』か。嬉しいねぇ、そんなに気にかけてもらえて……」クックッ

先輩「……あのさ」

会長「何かな」

先輩「私も大概どうしようもねーけど、あんた本当にどうしようもねーな……」

会長「知ってるよ」




101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/24(月) 21:38:15.22 ID:9iPk3GNy0
今日はここまでです
102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/11/24(月) 22:11:02.31 ID:4zsMIqER0
103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/11/24(月) 22:40:11.98 ID:Dps9+qv1O
104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/11/24(月) 22:53:40.73 ID:tLBT3vGio
続き楽しみ
105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/25(火) 22:01:13.39 ID:k0Cg2c200





〜日暮れ過ぎ〜


先輩「……」トボトボ

先輩「……はぁ」


先輩(やっと解放してもらえた……)

先輩(あいつ……会長の相手は)

先輩(どうも、苦手なんだよな……)


先輩「……」

先輩「……ん?」チラッ

先輩(あそこ……部室? まだ電気ついて――……)

先輩「……」

先輩(あいつ……、まだいるのか? もしかして、何か……)

先輩「……」

先輩「……」タッ




106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/25(火) 22:01:56.24 ID:k0Cg2c200





〜文芸部 部室〜


ガラッ


先輩「……」

後輩「……」スピー

先輩「……」

後輩「……」プフー

先輩「……」

後輩「……ムニャ」

先輩「……うーん」
107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/25(火) 22:02:36.46 ID:k0Cg2c200
後輩「……」zzz

先輩「腹立つくらい安らかな寝顔だなぁ……」

後輩「……ンヘヘ」ゴロン

先輩「寝相わりー……」

後輩「……」zzz

先輩「……」

先輩(こいつ……)

先輩(意外と、あるんだよなぁ……)

後輩「……んっ」

先輩「……」

後輩「……」スピー

先輩「……」ムラ
108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/25(火) 22:03:31.38 ID:k0Cg2c200
先輩(やばい……)

先輩「……」

先輩(まだ、さっきの熱が……)

先輩(引いてないのかも……)

先輩「……」ナデ

後輩「……」zzz

先輩「……」ムニュ

後輩「……ふ、ぅ」

先輩(体温高い……、柔らかい……)
109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/25(火) 22:04:10.41 ID:k0Cg2c200
先輩「……」モミ

後輩「ん……」

先輩「って、いやいやいや!」

先輩(何してんだ私!)

先輩(……落ち着け、落ち着け)

先輩「……おい、起きろ、こら」ユサユサ

後輩「……」グゥ

先輩「起きろってーの」グニー

後輩「むにゃ……、ふぁい……?」

先輩「ふぁい、じゃないんだよ」
110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/25(火) 22:09:58.50 ID:k0Cg2c200
後輩「……? ……!? ……先ぱっ……!」ガバッ

先輩「なーに寝てんだ、ばか」

後輩「だっ、だだだ大丈夫だったんですか!?」

先輩「当たり前だろ」

後輩「でも、でもでも……!」

先輩「……、……部員、なったから、私。文芸部」

後輩「え……」

先輩「部員なら、部活に出ても問題ないって、あいつも……」

後輩「うわぁ……!」ガシッ

先輩「お、おい」

後輩「良かったですねぇ!」ギュッ
111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/25(火) 22:10:50.84 ID:k0Cg2c200
先輩「……」

後輩「嬉しいです、私!」

先輩「……」

後輩「また一緒にいれますね、先輩!」

先輩「……」



会長『……まさか、本気になったわけじゃ、ないだろうね』



先輩「……」

後輩「……先輩?」

先輩「ま、飽きるまではな」

後輩「えぇー、そんなぁ……」

先輩「ほら、帰るぞ。正面玄関、もう閉まってるから、裏口行くぜー」

後輩「え? うそ、もうこんな時間!? えっ、なんで!? 病気!?」

先輩「ばーか」




112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/25(火) 22:11:30.61 ID:k0Cg2c200





〜夜・帰り道〜


先輩「――だから、心配ないって言ったろー」

後輩「無理ですって、本当に心配したんですからぁ」

先輩「嘘つけ、ぐっすり寝てたくせに」

後輩「ぐっすりではないです! 眠り浅かったです! 半端に寝たから、今も若干ダルさが……」

先輩「知らねーよ……」

後輩「もう……」

先輩「……」

後輩「……」
113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/25(火) 22:12:10.36 ID:k0Cg2c200
先輩「……」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……はぁ」

先輩「……」

後輩「……寒い」

先輩「……なぁ」

後輩「はい?」

先輩「ウチくる?」

後輩「え?」

先輩「……いや、もう割と遅いし……」

後輩「んー」

先輩「寒いし」
114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/25(火) 22:12:38.75 ID:k0Cg2c200
後輩「ん、でも大丈夫ですよぉ、まだバス、ありますし」

先輩「そっか」

後輩「はい! ……あ、私バス停、こっちなんで」

先輩「おー、そんじゃな」

後輩「はい! また明日ぁ!」

先輩「気が向いたらな」

後輩「もう、またそんなこと言ってぇ!」

先輩「はいはい」ヒラヒラ

後輩「おやすみなさーい」ヒラヒラ


タタッ…


先輩「……」
115 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/25(火) 22:13:16.89 ID:k0Cg2c200
先輩「……」

先輩「……はぁぁ」

先輩(なーんで、誘っちゃったんだろうなぁ、私……)

先輩「……しかも、断られるし」

先輩「……」

先輩「……」

先輩(本気なわけじゃない……)

先輩(ただ、何か……)


後輩『また一緒にいれますね、先輩!』


先輩(あいつ……)

先輩(どう思ってるんだろうな、私のこと……)




116 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/25(火) 22:13:55.66 ID:k0Cg2c200





タッタッタッ


後輩「〜♪」タッタッ

後輩「……」タッ…

後輩「……」

後輩(さっきのって……)


先輩『ウチくる?』


後輩「……」ピタリ

後輩(私、もしかして……)

後輩(誘われてた……!?)

後輩「いや、いやいやいや!」

後輩「……」カァァァ
117 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/25(火) 22:14:25.69 ID:k0Cg2c200
後輩(そ、そんな変な意味のわけないじゃん!)

後輩(そう、あの先輩だもん! あんなの、あいさつ程度の……)

後輩「……」

後輩(そう……)

後輩「……」

後輩(あいさつみたいに……、誰にでも……)

後輩「……」

後輩(先輩……)

後輩(どう思ってるのかな、私のこと……)




118 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/25(火) 22:15:18.99 ID:k0Cg2c200





〜翌日 休み時間・1年教室〜


ブー ブー


後輩「あ、メール……」カチッ

後輩「……」


『今日部活行かないよー(乂'ω')』


後輩「えぇー……。『来て下さいよ』っと……」カチカチ
119 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/25(火) 22:15:56.68 ID:k0Cg2c200

ブー ブー


『アレなんだよ』


後輩「あー……」カチカチ


『お大事に』


『うん (o´・_・`o)ノシ』


後輩「……」

後輩(……っていうか、顔文字可愛いんだけど)

後輩(まぁ、どうせ色んな人に使ってるんだろうけど――って)

後輩「……」

後輩(……私、何考えて……)

後輩「……」

後輩(昨日から、私……変だ……)
120 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/25(火) 22:16:26.98 ID:k0Cg2c200
今日はここまでです
ちなみにEカップです
121 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/11/25(火) 22:18:58.77 ID:6+Q5Bd7yO

進展しだして、今のこの中途半端な関係が堪らん
両方の心情が見えるからニヤニヤしちゃう
122 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/11/25(火) 22:33:50.20 ID:G/Fh8VZ7o
先輩はスレンダーな印象だからEカップは後輩の方かな
123 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/26(水) 21:55:40.24 ID:Kv8dZQ3a0
友「後はーい!」

後輩「友ちゃん?」ビクッ

友「見て見てー! さっきの授業中、がんばって似顔絵描いたんだー!」

後輩「……誰?」

友「阪神の上本」

後輩「ごめん、分かんない」

友「えぇー、似てると思うんだけど……。あ、そうそう、後輩、今日一緒に帰らない?」

後輩「友ちゃん、部活は……」

友「サボる!」

後輩「はぁ……」
124 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/26(水) 21:56:34.14 ID:Kv8dZQ3a0
友「いいじゃん、たまにはさぁ! 息抜きだよ息抜き、後輩も部活休んで――……」

後輩「……うん、いいよ」

友「そう言わないでぇ、今日くらい――って、えぇ!?」

後輩「一緒に帰ろっか。部活休んで」

友「……」

後輩「……友ちゃん?」

友「……後輩」

後輩「うん」

友「の、ニセモノ!?」

後輩「ち、違うよぉ!」
125 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/26(水) 21:57:12.80 ID:Kv8dZQ3a0
友「本物の後輩が、部活サボるはずがないっ」

後輩「本物だってばぁ」

友「どうかな……、本物の後輩なら、ものすごい変顔ができるはずだ!」

後輩「……」ムィィーーンン

友「あはははははっ! あっははははっ!」バンバン




126 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/26(水) 21:57:59.72 ID:Kv8dZQ3a0





〜放課後・市街 書店〜


先輩「……」

先輩(うーん……)

先輩(部活行かない日も、本屋寄ってるとか……)

先輩(なんか、感化されてるな、私……)

先輩「……」ウロウロ
127 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/26(水) 21:58:36.83 ID:Kv8dZQ3a0
先輩「……ん?」

先輩「これ……」


『かもめのジョナサン 完全版』


先輩「完全版……」

先輩(ジョナサンのくせに生意気な……)

先輩「……」

先輩(あいつは……)

先輩(喜びそうだな……)
128 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/26(水) 21:59:16.17 ID:Kv8dZQ3a0





後輩『えっ、これって……! すごい! 幻の第四章を収録!?』

先輩『これ、やるよ』

後輩『ええぇっ!? 本当にっ? いいんですか先輩!?』

先輩『おう』

後輩『ありがとうございますぅ!』パァァ

先輩『いいってことよー』







先輩「……」

先輩「……よし」
129 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/26(水) 21:59:58.80 ID:Kv8dZQ3a0
先輩「……」ヒョイ

先輩「……あ」

先輩(でも……)

先輩「でも……、後輩……」







後輩『でも……、先輩……』

先輩『うん?』

後輩『この本を買ったお金って……』

先輩『……』

後輩『誰から、もらったお金なんですか?』
130 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/26(水) 22:00:54.96 ID:Kv8dZQ3a0
先輩『……』

後輩『何をして、稼いだお金なんですか……?』

先輩『……』

後輩『……そんなお金で、プレゼントされても……私』

先輩『……』

後輩『困ります……』







先輩「……」

先輩「……」

先輩「……」ハッ
131 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/26(水) 22:01:28.96 ID:Kv8dZQ3a0
先輩「……いやいや」

先輩(あいつはそんなこと言わねーだろ)

先輩(言わねー、けど……)

先輩「……」

先輩「……うぅーん」モンモン




132 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/26(水) 22:02:25.04 ID:Kv8dZQ3a0





友「――っていうかさぁ」

後輩「うん?」

友「なーんで本読む部活サボって、本屋に来ちゃうかなー!」

後輩「えへへ、まあまあ」

友「まったくぅー」

後輩「あとでゲームセンターにも付き合うから、ねっ」

友「約束だよぉー」

後輩「……」

友「……後輩?」

後輩「あっ、うん。そうだね、約束……――あれ」
133 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/26(水) 22:02:52.67 ID:Kv8dZQ3a0
友「……どしたの?」

後輩(あそこにいるのって……)

友「どしたー? うんこかー?」

後輩「……友ちゃん、ちょっと待っててね!」ダッ

友「あっ、ちょっとぉ!」




134 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/26(水) 22:03:33.96 ID:Kv8dZQ3a0





先輩「……」

先輩(やっぱり……やめておこう……)

先輩「……はぁ」

後輩「せーんぱい?」

先輩「うひゃあぁ!?」ビクーッ

後輩「あはは、びっくりしました?」

先輩「後輩!? おま……、何でここに……」

後輩「偶然ですよぉ。たまたま寄ったら、先輩見かけたから……」
135 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/26(水) 22:04:15.45 ID:Kv8dZQ3a0
先輩「……部活は」

後輩「えへへ、サボっちゃいました」

先輩「お前なぁ……」

後輩「それより、これ!」

先輩「あっ……」

後輩「完全版ですよね! 私も買って読みましたけど、もぉ……すっごいよかったですよ!」

先輩「……ぁー」

後輩「四章で、もうすっごい泣いちゃって、一週間くらい引きずっちゃってー!」

先輩「……」

先輩(そ、そっか……)

先輩(そうだよな……、冷静に考えれば)

先輩(こいつが、買ってないわけないよな……)
136 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/26(水) 22:05:18.84 ID:Kv8dZQ3a0
先輩「はは……」

後輩「でも先輩、どうしてこの本を? かもめのジョナサン嫌いだって、言ってたのに……」

先輩「あー、いや……、それは……だな……」

後輩「あっ、ははーん……、分かりましたよ!」

先輩「……っ」ドキッ

後輩「ふふ……、先輩もようやく、ジョナサンの面白さに気付いてくれたんですねぇー!」ニッコリ

先輩「……はぁ?」

後輩「そうですそうなんです! 何回、何十回と読んで、初めて分かる”味”っていうんですか!? そういう、”深み”が! ”コク”が!?」

先輩「ちげーし! そんなんじゃねーから! っていうかコクって何だ!」
137 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/26(水) 22:06:00.99 ID:Kv8dZQ3a0
今日はここまでです
138 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/11/26(水) 22:25:55.81 ID:tWBMMZ5OO
139 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/11/27(木) 00:38:53.67 ID:pEpeTQFW0
おつおつ
140 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/27(木) 20:55:08.77 ID:q7tkj8vi0
後輩「もう、素直じゃないんですからぁ……、……あれ、確かここに……」ガサゴソ

先輩「ちげーって言ってんだろー」

後輩「あった……! はい、先輩!」ズイッ

先輩「うぉ……」


『かもめのジョナサン 完全版』


先輩「……」

後輩「んふふ、言ってもらえれば、すぐ……本当にもう、その場ですぐお貸しできたんですからぁー」

先輩「常に持ち歩いてんのかよ、お前は」

友「ちょっと、後輩ー!?」

後輩「あ、友ちゃん!」
141 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/27(木) 20:55:40.25 ID:q7tkj8vi0
先輩「……」

友「うにゃ……っ!?」ビクン

後輩「じゃ、先輩! 私行きますんで」

先輩「いや、お前、これ……」

後輩「しばらく借りてていいですよー! 私まだあと四冊持ってるんでー!」

先輩「何でだよ! 怖ぇよ!」

後輩「また明日ーっ」ヒラヒラ

先輩「……」

先輩「……」

先輩「……何やってんだ、私は……」




142 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/27(木) 20:58:40.43 ID:q7tkj8vi0





後輩「〜♪」

友「ねえ、後輩? さっきのって……」

後輩「ん?」

友「先輩さん、でしょ? あの、『うわさ』の……」

後輩「あ、うん……まぁ……」

友「何であんたと先輩さんが?」

後輩「ま、まあ、色々あって……」

友「……まさか、あんた……」

後輩「えっ、何?」
143 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/27(木) 20:59:21.89 ID:q7tkj8vi0
ポワワーン


後輩『先輩……私、教えてほしいんです、物語やおとぎ話だけじゃ、分からないこと……』

先輩『ふふっ、やれやれ……困った子猫ちゃんだ……』

後輩『ああっ、しぇんぱぁい……』

先輩『大人の階段のぼる……、キミはまだシンデレラさ……』


ポワワワワーン



友「幸せはだれかがきっとぉぉーんっ↑」クネクネ

後輩「ちちち違うもん! あと先輩は子猫ちゃんとか言わないっ」
144 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/27(木) 21:00:05.19 ID:q7tkj8vi0
友「違うのぉー?」

後輩「違うったら! 先輩は、文芸部に入ってくれて……」

友「それで?」

後輩「それで部室で、よく話すようになっただけ!」

友「……それだけ?」

後輩(それだけ……)

後輩「それだけだよ!」

後輩(たったそれだけ、なんだ……)

友「でも、あの先輩でしょ? やばい人じゃ……」
145 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/27(木) 21:02:40.74 ID:q7tkj8vi0
後輩「そ、そんなことないよ。口は悪いけど、気のいい人だよ」

友「ふぅーん……」

後輩「あ、でもすぐぶつかも。チョップとか。あのチョップ、意外と痛くてさ……」

友「……後輩」

後輩「ん?」

友「そんないい顔で、笑うんだねぇ、あんたは……」

後輩「な、何それ友ちゃん」

友「私ゃ心配だよ、あんたのこと……」

後輩「もう、大丈夫だって。本当に優しい人で――」
146 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/27(木) 21:03:30.12 ID:q7tkj8vi0
友「そうだとしてもさー」

後輩「……」

友「あんたや私とは、違いすぎるでしょ」

後輩「……」

友「このままだとあんた、きっと痛い目に会うから……」

後輩「あはは、やだな友ちゃん、どうして私が痛い目なんて――……」

友「だって」

後輩「え?」

友「好きなんでしょ、あんた。あの先輩さんのこと」




147 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/27(木) 21:06:14.45 ID:q7tkj8vi0





〜翌日・文芸部 部室〜


先輩「……」ペラ

後輩「……」

先輩「……おぉ」

後輩「……」

先輩「……ふーん……」ペラ

後輩(まずい……)

後輩(私、めちゃくちゃ意識しちゃってる……)

後輩(友ちゃんめ……)
148 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/27(木) 21:06:54.20 ID:q7tkj8vi0
先輩「……」

後輩「……」チラ

先輩「……」ペラッ

後輩(でも、そっか……)

後輩(先輩が来てくれて、嬉しいとか……)

後輩(先輩といると、落ち着くとか……)

後輩(この気持ちは……)

後輩「……」ジッ

先輩「……」ペラッ

後輩(そうなんだ……)

後輩(きっと、最初から私は――……)
149 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/27(木) 21:07:58.56 ID:q7tkj8vi0
後輩「……」

先輩「……ん?」

後輩「……」ボケー

先輩「……何見てんだよ」

後輩「ひゃい!? あ、わっ、べ、別ににゃにもっ!?」

先輩「あっはは、なーんだにゃにもって」

後輩「うぅ……」

先輩「顔の筋肉がねーから、噛むんだよ。ひょーじょーきん」ズイッ

後輩「な……っ」

先輩「ほーら、やーわらけーの」ムニムニ

後輩「あっ、あっ……」カァァァ
150 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/27(木) 21:08:52.04 ID:q7tkj8vi0
先輩「あっはは、何赤くなっ……」

後輩「……」カァ

先輩「……」

後輩「……」モジモジ

先輩「……ぁー」

後輩「……」

先輩「……わり」

後輩「……いえ」

先輩「……」ペラッ

後輩「……」

先輩(な、何だよ……あの表情……)

先輩(あんな顔、されたら……)
151 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/27(木) 21:10:01.60 ID:q7tkj8vi0
先輩「……」チラッ

後輩「……っ!」ハッ

先輩(目が合った……!)

後輩(目が合った……!)

先輩「……」プイ

後輩「……」ドキドキ

先輩「……」

後輩「……」

先輩「……し、しかし、あれだなー!」

後輩「は、はいっ!?」
152 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/27(木) 21:11:02.30 ID:q7tkj8vi0
先輩「か、完全版って言っても、大して変わらねーもんだなぁ!」

後輩「あ、え……、ああ! 読んだんですか!?」

先輩「途中で投げた」

後輩「えぇー、せっかく貸したのにぃ」

先輩「だって駄目だ、あのかもめ。40年経っても何の成長もねぇ」

後輩「そんな無茶言わないでくださいよ!」

先輩「だってよ――……」


ピリリリリ♪ ピリリリリ♪


後輩「……っ!」

先輩「……」
153 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/27(木) 21:12:02.60 ID:q7tkj8vi0
ピリリリリ♪ ピリリリリ♪


ピッ


後輩「……」

先輩「……ぁー」

後輩「……」

先輩「……じゃ」

後輩「……」

先輩「……行くわ」

後輩「……」ズキリ

先輩「またなー」

後輩「……」キュッ

先輩「……後輩? 離して――」
154 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/27(木) 21:12:40.15 ID:q7tkj8vi0
後輩「……あの」

先輩「……」

後輩「今日だけは、もうちょっと……一緒に……」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「……お前」

後輩「……」スッ

先輩「あ」

後輩「……な、なんちゃってぇー……」

先輩「……」

後輩「あはは……」
155 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/27(木) 21:14:13.99 ID:q7tkj8vi0
先輩「……はぁ」

後輩「……」

先輩「ばーか」

後輩「……すみません……」

先輩「……じゃ」

後輩「はい……」

先輩「……」


ガララ

パタン


後輩「……」

後輩「……」

後輩「……」




156 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/27(木) 21:14:57.40 ID:q7tkj8vi0





〜廊下〜


先輩「……」

先輩「……」タッ

先輩「……」タッタッタッ

先輩「……っ!」ダッ


先輩(やばいやばいやばい……!)


先輩「はっ、はっ……!」ダッダッ
157 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/27(木) 21:15:37.30 ID:q7tkj8vi0
先輩(その気に……)

先輩(その気になるな私……っ!)


先輩「はぁ……はぁ……っ!」タッ


先輩(駄目だ……)

先輩(もう限界だ……)

先輩(これ以上踏み込んだら、あいつは……)

先輩(私も……っ!)




158 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/27(木) 21:16:33.18 ID:q7tkj8vi0





〜夕暮れ過ぎ・三階空き教室〜


会長「恋はまことに影法師」

先輩「……」

会長「こちらが逃げれば追ってくる、こちらが追えば、逃げていく……」

先輩「……いや、何言ってんだ」

会長「シェイクスピアさ。読んでないかい、文芸部?」

先輩「……あのさ、親切で言うけど、あんたマジでやめた方がいいって、そういうの。将来絶対後悔するから。マジで」

会長「ふふ、放っておいてくれたまえ」

先輩「いやいや」

会長「いいんだよ。意外とモテるんだ、このキャラ」

先輩「……あー、そうですか」
159 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/27(木) 21:17:02.09 ID:q7tkj8vi0
今日はここまでです
160 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/11/28(金) 01:36:41.68 ID:gb0uZw+UO

友ちゃんの言う「好き」と二人が意識してる「好き」が別物だったんじゃないかなと個人的感想
けど、その一言がいいきっかけに。そんな感じで読んじゃったw
161 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/11/28(金) 08:31:50.14 ID:n63wKnV+o
これが 天然誘い受け……!
162 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/11/28(金) 08:41:48.57 ID:vnkksdm5o
会長wwww痛い子wwwwww
163 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/28(金) 22:42:42.33 ID:sbpnf9Ww0
会長「それにしても……、ふふふ、どうしたのかな? 髪が乱れている」ナデ

先輩「別に」

会長「まるで走ってきたみたい……、いや、逃げてきたみたいじゃないか」クックッ

先輩「……」

会長「んふふ、そんな顔をするなよ」スッ

先輩「……もう、おしゃべりはいいだろ」

会長「まぁ、焦りなさんな。ところで……、ちょっときてごらん」

先輩「……」

会長「この空き教室からは、向かいの西棟の様子が、よく見える」
164 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/28(金) 22:43:18.94 ID:sbpnf9Ww0
先輩「……」

会長「ほら、あそこの……、2階のところだ」

先輩「……ぁ」

会長「キミたちの部室だ」

先輩「……」

先輩(窓際に……、後輩の姿が見える……)

先輩(あいつ、まだ本読んでるし……)

先輩「……」

先輩(私がいないと、ずっとああしてるのか……)

先輩(ひとりで……)
165 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/28(金) 22:44:15.52 ID:sbpnf9Ww0
先輩「……っていうか」

会長「うん?」

先輩「あんた、まさか見てたのか、ここから! 今日も……!」

会長「はは、いやいや、まさか」

先輩「おい、こら……」

会長「本当だって。出歯亀の趣味はないさ」

先輩「……ちっ」

先輩(後輩……)

先輩「……」

会長「……ふふ」ギュッ

先輩「……! おい……、ちょっ……やめっ」

会長「何故?」
166 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/28(金) 22:44:56.17 ID:sbpnf9Ww0
先輩「なぜって……」

会長「ふふふ、あの子がこちらを向いたら、見られてしまうかもねぇ……」プチ プチ

先輩「ふざけっ――あ……っ」

会長「……」モゾッ

先輩「っ……、や、うぅ……っ!」

会長「――いいじゃないか、見てもらえば」

先輩「やめ……あっ、い……いい加減……あぁっ、んっ!」

会長「キミのその表情も、この薄い胸も」キュゥ

先輩「やだっ……、ばかっ、やめろぉ……」ピクン
167 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/28(金) 22:45:52.69 ID:sbpnf9Ww0
会長「キミの本当の姿も――」

先輩「あぁぁっ!」ビクッ

会長「どうしたんだ? いつもより敏感じゃないか……」

先輩「やだ、やだぁっ! 分かったから、もぉ……う、んぅぅっ!」

会長「見られるかもしれないのに、興奮しているんだろう」クチュッ

先輩「やめてっ、ねえ、お願……やっ、あぁっ!」

会長「――……」クニュ

先輩「あっ、あ、あぁっ! うぁぁっ!」ガクガクッ

会長「……これが、本当のキミだろ? このあばずれめ」

先輩「っくぅ、いや……もう、やなの……っ、っあぁ!」
168 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/28(金) 22:46:50.23 ID:sbpnf9Ww0
会長「周りのみんなのように、誰かと上手くやれない……、普通にできない……」

先輩「んっ、んんっ!」フルフル

会長「まともにやろうとしたことも、あったんだろう? 何度も。……駄目だったんだろう」

先輩「あぁっ、そこ、もう……っ」

会長「ばかで、間抜けで……、こういう風にしか、他人と接点を持てない、頭のおかしい女の子だ、キミは」

先輩「あぁっ、あっ、っ……! くぅぅぅっ!」ビクッビクッ

会長「……あの子は、いい子だな」

先輩「はぁ……はぁ……」

会長「キミみたいな人間には、もったいない」

先輩「……」
169 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/28(金) 22:47:52.57 ID:sbpnf9Ww0
会長「そうは思わないかい?」

先輩「……」

会長「……指が汚れてしまったな」

先輩「……」

会長「舐めてくれよ」

先輩「……、……」チュ

会長「そうだ、それでいい……」

先輩「……っふ……ん」

会長「それでいいんだよ、先輩クン」




170 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/28(金) 22:48:31.44 ID:sbpnf9Ww0





〜数日後 放課後・文芸部 部室〜


後輩「……」

後輩「……」ペラッ

後輩「……」

後輩(あの日から)

後輩(先輩は部室に来なくなって……)

後輩「……」

後輩「……」ペラッ
171 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/28(金) 22:49:07.53 ID:sbpnf9Ww0
後輩(以前と、同じ)

後輩(独りぼっちの、静かな時間……)

後輩「……」

後輩(いなくなって、心から思い知った)

後輩(どれだけ大切に思っていたか……)

後輩(先輩との、時間を)

後輩「……うぅ」

後輩(私が、壊したんだ……)

後輩「……」
172 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/28(金) 22:49:46.13 ID:sbpnf9Ww0
後輩(どうして、あんなことを、してしまったんだろう……)

後輩(どうして、我慢できなかったんだろう……)

後輩(どうして……、我慢できないんだろう)

後輩(この気持ちを、どうして……)

後輩「……」

後輩「……先輩」



先輩『……寂しいやつ』

後輩『寂しくないですよぉ。本読んでますもん』



後輩「先輩……」
173 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/28(金) 22:50:36.30 ID:sbpnf9Ww0
後輩(私は……)

後輩(寂しいです……)



後輩「……」



友「さぁぁみ゛しい子はい゛ね゛ぇぇぇがぁぁぁ!!」ガラララバターン!!

後輩「!」ビクーン

友「電撃部活見学だーっ! 後輩ー! おーっす!!」

後輩「……なんだ、友ちゃんか」

友「何だとは何よぉ」

後輩「別に……」

友「むぅぅ」
174 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/28(金) 22:51:33.76 ID:sbpnf9Ww0
今日はここまでです
175 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/11/29(土) 09:46:11.32 ID:KK6qellWO

あの会長、悪い奴だなー
傷心のタイミングで来てくれる友ちゃん。惚れちゃうぞw
176 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/11/29(土) 10:09:54.08 ID:S8gjjzzz0
177 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/29(土) 13:38:48.44 ID:dY9e9jf80
後輩「……」

友「……はぁ」

後輩「……」

友「……あんた、まだ引きずってるの」

後輩「……」

友「もう、忘れちゃいなよ……」

後輩「……無理だよ」

友「……」

後輩「忘れるなんて」

友「……」
178 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/29(土) 13:39:17.50 ID:dY9e9jf80
後輩「……」

友「……まったく」

後輩「……」

友「……私さ、後輩のこと、好きだよ。大事な友達だと思ってる」

後輩「……」

友「だから、これは、本当は教えたくなかった。けど……」

後輩「友ちゃん?」

友「後輩……、よく聞いてね?」

後輩「……」




179 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/29(土) 13:39:50.03 ID:dY9e9jf80





友「……」

後輩「……」

友「……」

後輩「……友ちゃん」

友「……」

後輩「……ありがとう」

友「はぁ……、あーあ……」




180 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/29(土) 13:40:36.82 ID:dY9e9jf80





〜さらに一ヵ月後 放課後・三階空き教室〜


先輩「……」

先輩「……」ペラッ

先輩(文芸部に行かなくなってから、ずいぶん経った)

先輩(……要は、前と同じに戻っただけ)

先輩(後輩と出会う前の……)

先輩(なんの抵抗もなく、そんな毎日に戻っていて……)

先輩(……やっぱり、どうしようもないやつだ、私は)

先輩(でも……)
181 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/29(土) 13:41:14.77 ID:dY9e9jf80
先輩「……」

先輩「……」チラリ

先輩(空き教室から見える、部室)

先輩(後輩の姿は……ない)

先輩「はぁ……」

先輩(いつからだったか)

先輩(後輩は、文芸部に顔を出さなくなっていて……)

先輩「……」

先輩「あのばか……」ボソッ
182 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/29(土) 13:41:43.19 ID:dY9e9jf80
先輩(……構うな)

先輩(これでよかったんだ)

先輩(これで……)

先輩「……」スッ


ガララ

パタン




183 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/29(土) 13:42:15.40 ID:dY9e9jf80





〜図書館〜


先輩「……」

先輩(この学校の図書館には……)

先輩(なぜか、『かもめのジョナサン』が二冊、置いてあって――……)

先輩「……」スッ

先輩「……」

先輩(そのうちの一冊は、辞書のコーナーに、ひっそりと置かれていて……)

先輩(その、100ページ目――……)

先輩「……」ペラッ
184 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/29(土) 13:48:11.83 ID:dY9e9jf80



『ぼくなんかにかまうなんて、時間の無駄ですよ、ジョナサン! ぼくは駄目なやつなんだ! どうしようもない間抜けなんだ! 何度やったって、どうせものになりゃしませんよ!』



先輩「……」

先輩(そのページに、メモが挟められている――……)

先輩「……」


『12/13 十九時 東棟三F 空き教室 5』


先輩「……」

先輩「五千かぁー……」

先輩(日時と、場所と……、金額を示す、符丁)

先輩「……ま、いっか」

先輩「……」

先輩「……今日じゃん」
185 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/29(土) 13:48:53.05 ID:dY9e9jf80
先輩(いつ、誰が作ったのかも、分からないルール)

先輩(『約束』のためのルール……)

先輩「……」

司書「……」チラ

先輩「……これ、お願いします」

司書「ここに、名前書いてね」

先輩「……」

司書「どうも」

先輩「……」

先輩「……行くか」




186 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/29(土) 13:50:40.75 ID:dY9e9jf80





〜空き教室〜


先輩「……」

先輩(あいつの大好きな、この本は)

先輩(私にとっては、ただの目印で……)

先輩「……」

先輩(私は、結局……、勝手にやってるつもりで……)

先輩(誰かのルールに、乗っかっているだけで……)

先輩(中途半端な私には、お似合いだけどさ)

先輩「……はは」


ガラッ


先輩「……っと、いらっしゃ――……」

後輩「……」
187 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/29(土) 13:51:40.09 ID:dY9e9jf80
先輩「……ぁー」

後輩「……」

先輩「教室、間違ってるぞ」

後輩「……先輩」

先輩「……ま、間違ってるってば……」

後輩「……五万円、あります」スッ

先輩「……」

後輩「……」

先輩「……おま」
188 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/29(土) 13:52:12.92 ID:dY9e9jf80
後輩「あ、あれっ? 足りませんか!? だったらまだ――……、あれ……あった! まだありますから!」

先輩「いや……、いや、お前な……」

後輩「先輩、だから、先輩……!」グイッ

先輩「……っ」

後輩「して、ください……」ギュ

先輩「……冗談やめろよ」

後輩「冗談じゃないもん……」

先輩「怒るぞ」

後輩「『お客』に?」

先輩「っ!」

後輩「……友達が、教えてくれたんです。やり方」
189 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/11/29(土) 13:52:44.10 ID:dY9e9jf80
先輩「……」

後輩「……『お客』だったら、して……くれるんですよね、先輩は……」ギュウ

先輩「……あっ」

後輩「だから……」

先輩「……っ、……だめ」グイッ

後輩「どうして……!」

先輩「……ばか」

後輩「……」
190 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga sage]:2014/11/29(土) 13:54:00.86 ID:dY9e9jf80
今日はここまでです
いつも読んでくださる方、ありがとうございます
コメントくださる方、とても嬉しいです
書き溜めがここに来て尽きました(報告)
191 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/11/29(土) 14:32:09.74 ID:SgyM1CGLO
頑張れ
読んでるから
192 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/11/29(土) 14:43:33.00 ID:S8gjjzzz0
後輩がいじらしくて辛い……
193 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/11/29(土) 15:00:43.40 ID:+OWQSpmgo
似たようなの書いてるけどこっちが面白すぎて辛くなる
でも読みたくなる魅力があるわ……
194 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/11/29(土) 15:06:51.54 ID:KK6qellWO

あれからもウリ止めようとはしない先輩
なんか悲しいな
195 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/12/01(月) 22:43:34.05 ID:ExB2045W0
後輩「……」

先輩「お前は……、違うだろ……」

後輩「……」

先輩「私みたいな駄目なやつとは、違うじゃん……!」

後輩「先輩……」

先輩「だから、やめろよ、こんな……」

後輩「……」ヌギヌギ

先輩「って、聞け! 脱ぐな!」

後輩「先輩は駄目じゃないです!」
196 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/12/01(月) 22:44:36.89 ID:ExB2045W0
先輩「……」

後輩「……っていうか、駄目でもいいんです!」

先輩「どっちだよ……」

後輩「私にとっては、先輩と一緒に入れないことの方が、ずっと、ずっと駄目なんです!」

先輩「お前は、こんな馬鹿なこと、していいやつじゃないだろ!」

後輩「私はこんなやつなんです!」ズイッ

先輩「ま、待て……」

後輩「先輩のせいで、馬鹿になっちゃったんですからぁー!」ガシィィ

先輩「ひっつくなぁー!」グイッ

後輩「せんぱぁぁぁいぃぃ!」ギュゥゥゥ
197 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/12/01(月) 22:45:47.64 ID:ExB2045W0
先輩「はーなーせぇぇぇー! 脱がすなぁぁぁ!」グイグイ

後輩「やーぁー……」


ガララッ


生徒1「そしたらさー、あいつ、西岡は外側走ってたとか言い出してぇー」

生徒2「うそー! それってありえな――……」


先輩「あ」

後輩「あ」ギュゥゥゥ


生徒1「……」

生徒2「……」
198 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/12/01(月) 22:46:32.73 ID:ExB2045W0
先輩「……」

後輩「……」

生徒1「……」

生徒2「……」


カラカラ


パタン


先輩「……」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……先輩」

先輩「……」

後輩「……部室、行きますか?」

先輩「ぁー……」




199 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/12/01(月) 22:47:09.43 ID:ExB2045W0





〜部室〜


先輩「……部室も久しぶりだな……」

後輩「本当ですよぉー……」シャッ

先輩「カーテン閉めんな!」

後輩「……」プチ プチ

先輩「脱ーぐーなー!」

後輩「先輩……」

先輩「い、いいから! いったん座れ! 落ち着け、な!」

後輩「どうして、してくれないんですかぁ……」
200 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/12/01(月) 22:47:52.47 ID:ExB2045W0
先輩「だから、それは……」

後輩「先輩は、私のこと……、嫌い……?」

先輩「ちが……っ!」

後輩「……」

先輩「……ちげーよ」

後輩「先ぱ……」

先輩「私だって、お前のこと……」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「……うん」

後輩「言ってよぉぉ!」

先輩「あーもう、うるせーうるせー!」
201 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/12/01(月) 22:48:28.52 ID:ExB2045W0
後輩「うん、ってなんですか、うんって!」

先輩「どうせ! どうせ好きだって言っても!」

後輩「……」

先輩「うまくいかないんだ! お前だって、きっと私に、愛想つかして……!」

後輩「どうして、そう思うんですか」

先輩「……だってさ、私、ダメだし……」

後輩「さっきも聞きました」

先輩「性格悪いし……」

後輩「私は好きですよ」
202 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/12/01(月) 22:49:08.75 ID:ExB2045W0
先輩「お前と本の趣味、合わないし」

後輩「その方が、面白いじゃないですか」

先輩「……性欲強いし」

後輩「うっ……、そ、それは、がんばります……」

先輩「お前の……」

後輩「……」

先輩「知らない誰かと……」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……もし、それが」
203 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/12/01(月) 22:49:47.22 ID:ExB2045W0
先輩「……」

後輩「先輩にとって、大切なことなら……」

先輩「……」

後輩「私、構いません」ニコリ

先輩「お前……」

後輩「『お客』でも、構いませんから……」

先輩「……」

後輩「それで、先輩と一緒に入れるなら――……」

先輩「……ていっ」ベシッ

後輩「あうっ」
204 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/12/01(月) 22:50:30.88 ID:ExB2045W0
先輩「……本当、お前は……。見てて心配になってくるわ」

後輩「ぶったぁ……」

先輩「そのうち、悪いヤツに騙されて、のこのこついて行きそうな……」

後輩「……今まさに、そんな感じですけどね」

先輩「……」ベシッ

後輩「うっ! じょ、冗談です、冗談」

先輩「……後輩」

後輩「お、怒らないでくださいよぉ」

先輩「本当に……」

後輩「……」
205 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/12/01(月) 22:51:09.47 ID:ExB2045W0
先輩「いいの?」

後輩「……」

先輩「私で」

後輩「先輩がいいんです」

先輩「……」

後輩「大丈夫ですよ、先輩」

先輩「……」

後輩「きっと、大丈夫です、私たち」

先輩「後輩……」

後輩「はい……」

先輩「ありがとう」

後輩「……」

先輩「好きだよ、私も。大好き」
206 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/12/01(月) 22:51:52.93 ID:ExB2045W0


207 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/12/01(月) 22:52:45.73 ID:ExB2045W0





〜帰り道〜


先輩「……」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「……寒くなったな」

後輩「……ですね」

先輩「……」

後輩「……」
208 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/12/01(月) 22:53:27.24 ID:ExB2045W0
先輩「……」

後輩「……」

先輩「……そういやさ」

後輩「はい?」

先輩「お前、あんな金、どうしたの」

後輩「バイトしました! 一ヶ月、ずっと!」ムフー

先輩「……あー、それで部室に……」

後輩「何です?」

先輩「い、いや、別に別に。で、何のバイト?」
209 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/12/01(月) 22:54:09.44 ID:ExB2045W0
後輩「清掃業」

先輩「せーいそうぎょおぉー?」

後輩「な、何ですか何ですか!」

先輩「お前……、華の女子高生が、アルバイトしますー、って言って、便所掃除するかぁー?」

後輩「便所掃除って言わないでくださいよ!」

先輩「便所掃除だろ」

後輩「便所掃除ですけど……」

先輩「……あはは」

後輩「……ふふ」

先輩「……」

後輩「……」
210 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/12/01(月) 22:55:02.95 ID:ExB2045W0
先輩「……」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……あの」

先輩「ん?」

後輩「…………手」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「……」ギュ

後輩「……あ」

先輩「さみいなー」

後輩「……はい」
211 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/12/01(月) 22:56:49.78 ID:ExB2045W0
先輩「……あのさ」

後輩「はい」

先輩「……私も、がんばるから」

後輩「え?」

先輩「後輩と、一緒にいれるように、がんばる」

後輩「……そうですね」

先輩「おう」

後輩「……そうです! 大切なのは、研究と練習! ジョナサンもそう言ってました!」

先輩「それはチャンのセリフだ」

後輩「……そ、そうでしたっけ」

先輩「はは」

後輩「……」

先輩「……」
212 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/12/01(月) 22:57:45.00 ID:ExB2045W0
先輩「……」

後輩「……」

先輩「……ゆっくり」

後輩「……」

先輩「ゆっくり帰ろうな」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……はい」

先輩「……」

後輩「ゆっくり帰りましょう」





213 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/12/01(月) 22:58:10.66 ID:ExB2045W0



214 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/12/01(月) 22:58:46.91 ID:ExB2045W0
〜おわり〜
215 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga sage]:2014/12/01(月) 23:00:39.49 ID:ExB2045W0
これで、このお話は終わりです
お読みくださった方、ありがとうございました
216 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2014/12/01(月) 23:01:07.89 ID:fSbBEbQH0
おい大事な部分キンクリしやがった馬鹿野郎はどこだ
217 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/12/01(月) 23:03:01.14 ID:NO/gPnf9O

ここで終わりかー
付き合うまでも好きだが、付き合ってからが読みたかったー

でも、すごいよかった。更新が楽しみだった
218 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga sage]:2014/12/01(月) 23:06:36.56 ID:ExB2045W0
コメントくださった方、ありがとうございます
本当に励まされました
後日談とか、またちょっと、今度、書こうと思いますので、その後でhtml依頼します
219 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/12/01(月) 23:07:03.60 ID:WNhMJcEjo
終わっちゃうのかー、寂しいなぁ

でもまぁ長引かせすぎるのもよくないか、おつかり
220 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/12/01(月) 23:10:41.84 ID:NO/gPnf9O
おぉ後日談期待!
221 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/12/01(月) 23:25:38.35 ID:otHwPmk9o
乙です
以前も先輩後輩モノ書いてた方かな?
222 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/12/02(火) 00:29:07.68 ID:o3M7TMaZ0
おつ
すごく良かった。後日談待ってる
223 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/12/02(火) 02:03:06.91 ID:h7JhQ2gc0
素晴らしい、乙!
ところで、>>206がどうなってるのか分かりづらいので詳しく描写して頂けませんかねえ?
224 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/12/03(水) 18:30:37.71 ID:G1/QhOez0





〜アフター1〜


先輩「……ふぅ、終わったぁ」ノビー

後輩「何読んでたんですかー?」

先輩「オースター」

後輩「あぁ、いいですよねー!」

先輩「おう、かなり面白かった。犬がさー、可愛くてさー」

後輩「先輩、犬好きなんです?」

先輩「好きー。飼ったことねーけど」
225 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/12/03(水) 18:31:13.43 ID:G1/QhOez0
後輩「……うち、犬飼ってますよ」

先輩「マジで」

後輩「見に来ます?」

先輩「見たい見たい」

後輩「じゃ、今日うちどうですか?」

先輩「おー、行くー」

後輩「了解ですー」
226 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/12/03(水) 18:31:41.06 ID:G1/QhOez0
先輩「かわいい?」

後輩「滅茶苦茶かわいいです」

先輩「撫でていい?」

後輩「撫でていいですよー」

先輩「そっかぁ……、えへへ……」




227 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/12/03(水) 18:32:20.05 ID:G1/QhOez0





〜後輩の家〜


犬「……」ズゥゥン

先輩「……」

犬「……」ズムゥゥン

先輩「……」

先輩(……でけぇ!)

後輩「どうですか、先輩! かわいいでしょ!?」

先輩「いや、ちょっ、いやっ……、でけえ!」
228 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/12/03(水) 18:33:02.75 ID:G1/QhOez0
後輩「うん」

先輩「いや、うん、じゃなくて……、え、犬? これ犬?」

後輩「犬ですよー」

先輩「熊じゃなくて?」

後輩「犬です」

先輩「……」

犬「……ヘッヘッ」

先輩「熊だろ?」

後輩「犬です」

先輩「……」

後輩「えへへ、いっぱい撫でてあげてくださいー」
229 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/12/03(水) 18:33:46.15 ID:G1/QhOez0
先輩「……」オソルオソル

犬「……ガオウ」

先輩「うぉぉ!?」ビク

後輩「そんな緊張しなくても大丈夫ですよぉ」

先輩「いや、ガオーって言った! ガオーって言ったから!」

後輩「あはは、あんまり怖がってると、逆にパクッといかれちゃいますよ」

先輩「あははじゃねぇよ怖ぇよ! パクッといかれてたまるか!」

後輩「ザムザー、おすわりー」

先輩「名前やめてやれよ! 虫になったらかわいそうだろ!」

犬「……ガウ」

先輩「ほらガオーって言ったぁー!?」ビクーッ




230 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/12/03(水) 18:34:48.12 ID:G1/QhOez0





〜後輩の部屋〜


後輩「はい、お茶どうぞ」

先輩「わりぃね」

後輩「よかったですね、ザムザ、先輩に懐いてました」

先輩「慣れたらかわいいもんだなぁ」

後輩「でも、先輩が犬好きなの、ちょっと意外ですね」

先輩「何でだよ」

後輩「……何となく、猫っぽいし、猫派かな、って」

先輩「あはは、それ言ったらお前は、犬だな」

後輩「犬!? っぽいとかじゃなくて!」

先輩「あはは、ほーら、よしよし」ワシャワシャ

後輩「わっ、もう、髪ぼさぼさになっちゃいますー!」
231 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/12/03(水) 18:35:22.78 ID:G1/QhOez0
先輩「嬉しいくせにー、ほれほれー」ワシャワシャ

後輩「あはは、わんっ! なんちゃってー……」ギュッ

先輩「はは……」ナデ

後輩「先ぱ……」

先輩「……」ギュ

後輩「あっ……」
232 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/12/03(水) 18:35:57.97 ID:G1/QhOez0
先輩「……あのさ」

後輩「……、いいですよ……」

先輩「……」ドキドキ

後輩「……」ドキドキ

犬2「……」

先輩「……」

犬2「……キャン!」

先輩「うわぉ!?」ビク-ッ
233 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/12/03(水) 18:36:42.81 ID:G1/QhOez0
後輩「……何ビックリしてるんですかぁ、ずっといたじゃないですか、この子」

先輩「い、いや、ぬいぐるみだとばかり……」

後輩「座敷犬です」

犬2「ヘッヘッヘッ」フリフリ

先輩「……かわいい」

後輩「ポチー、おいでー」

先輩「ザムザと大分ネーミングに差が」

犬2「キャン! キャン!」ペロペロ

先輩「わっ、あはは、おい、そんな舐めんなよー」

後輩「ふふっ……」
234 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/12/03(水) 18:37:23.57 ID:G1/QhOez0
犬2「クゥーン」ペロペロ

先輩「ははっ、めっちゃ舐めてる。そんなに美味しいかー、私の指ー、ほれほれー」ナデナデ

犬2「キャン!」

先輩「あは、かーわいいー」ワシャワシャ

後輩「……!」ハッ


後輩(あれ……)

後輩(私、犬に負けてる……!?)


先輩「ほーれ、しっぽしっぽー」

犬2「キャンキャン」フリフリ

後輩「……」

先輩「あはははー」ケラケラ

後輩「……」ニッコリ


後輩(まぁ……)

後輩(いいか……)




235 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/12/03(水) 18:38:14.43 ID:G1/QhOez0





〜アフター2〜


友「……でさー、そしたら妹が、『えぇっ、カメルーンなの!?』って」

後輩「あはははっ、ははっ、カメしか合ってないよぉー!」ケラケラ

友「でしょー、そんで結局、リクガメひっくり返ったまんまでー」

後輩「あっはは、ぜってーありえねーだろってー!」ケラケラ

友「!!」

後輩「あははは、はぁー……、あれ、友ちゃん?」
236 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/12/03(水) 18:38:44.84 ID:G1/QhOez0
友「こ、後輩が……」

後輩「え、な、何」

友「後輩が不良になったぁー……」ウルウル

後輩「えぇっ!? あ! い、今のは! 違うの、先輩のがうつっただけで……」

友「私の後輩がぁぁ……」ウルウル

後輩「ち、違うってばぁ! あと友ちゃんのものじゃないから私!」

友「おのろけだぁぁぁ……」シクシクシク

後輩「ちげーっての! あ……」

友「あぁぁぁ……」シクシク

後輩「あぁぁ……」




237 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/12/03(水) 18:39:22.93 ID:G1/QhOez0





後輩「……と、いうわけで、ですね」

先輩「うん」

後輩「先輩の言葉遣いを直そうキャンペーン」

先輩「ほっとけよマジで……」

後輩「放っておいたら、そのうち私、完全に先輩の口調がうつっちゃいますよ! いいんですか!?」

先輩「いいんですかと言われても……」

後輩「あ、もうだんだん、それっぽくなってきた。あー、ッべー、まじッべーですー」

先輩「お前の中の私ってそんななん?」
238 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/12/03(水) 18:40:03.91 ID:G1/QhOez0
後輩「……っていうか、おしとやかな先輩が見てみたい……」

先輩「んなこと言われたってよー」

後輩「それ」

先輩「お」

後輩「そこは『そんなこと言われましても……』で」

先輩「マシテモ!?」

後輩「ちょっと大げさなくらいでいいんです! ショック療法ですよ」

先輩「そうな……の、かしら」

後輩「おぉ、その調子ですよ!」

先輩「絶対間違っている気がしますわ……」

後輩「大丈夫です!」
239 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/12/03(水) 18:40:53.89 ID:G1/QhOez0
先輩「ふふっ、後輩さん、ごきげんよう」

後輩「お、お嬢様っぽい!」

先輩「あら、後輩さん、タイが曲がっていてよ」クイッ

後輩「はわー……」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……」

先輩(コレジャナイ感すげぇ……)

後輩(コレジャナイ感すごいな……)




240 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/12/03(水) 18:41:51.44 ID:G1/QhOez0





〜アフター3〜


先輩「……」

後輩「……」ペラッ

先輩「……」

後輩「……」ペラ


ピリリリリ♪ ピリリリリ♪


後輩「……」

先輩「……ん」
241 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/12/03(水) 18:42:37.41 ID:G1/QhOez0


ピリリリリ♪ ピリリリリ♪


ピッ


後輩「……」

先輩「時間だ……」

後輩「……」

先輩「……」ペリペリ

後輩「……」

先輩「……」パキッ

後輩「……」

先輩「いただきます……」

後輩「……」

先輩「……」ズゾッ ズルル

後輩「……」

先輩「……ハフハフ」
242 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/12/03(水) 18:43:20.99 ID:G1/QhOez0
後輩「……」

先輩「……」ズルルル

後輩「……」

先輩「購買ちゃんラーメン、ブルックリン味噌味」

後輩「……」

先輩「新発売!」

後輩「……」

先輩「……ハフハフ」

後輩(味噌くさいな……)

先輩「……」ズゾゾー





243 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/12/03(水) 18:44:21.95 ID:G1/QhOez0





〜アフター4〜


先輩「〜♪」トタタッ

先輩「人間はもう〜おわりだ〜♪」

先輩「……〜♪ ……ん?」

後輩「………………」

先輩「おーっす、後輩。どうした、部室入らねーの?」

後輩「せ、先輩ぃ……」ウルウル

先輩「おいおい、どうしたよ」

後輩「これぇ……」ウルウル

先輩「あん? 何この張り紙……、えーと、なになに……?」
244 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/12/03(水) 18:44:54.11 ID:G1/QhOez0


『連絡

文芸部は12/1をもって廃部となります

部員は各自、部室の私物を処分のこと

生徒会』


後輩「先ぱぁい……」

先輩「……」ポカーン




245 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/12/03(水) 18:45:41.22 ID:G1/QhOez0





〜生徒会室〜


先輩「かぁぁぁいぃぃ長ぉー!」ガララッ!バシーン!

会長「……おや、誰かと思えば、先輩クンじゃないか。久しいな」

先輩「それどころじゃねー! なんだあの張り紙はぁー!!」

会長「張り紙……? ああ、文芸部の廃部のことかい?」

先輩「それだよ! なんだ廃部って! どーいうことだよ!」

会長「私に言われてもな……。決めたのは先生方だ」

先輩「でも、生徒会の名前が……!」

会長「たかが生徒会、決定事項には従うしかないさ。学校が決めたことに、口出しできるわけないだろう?」
246 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/12/03(水) 18:46:31.81 ID:G1/QhOez0
先輩「むぅぅ……!」

会長「そもそも、何の活動もしない、ただ本読んでるだけ、なんて部活がある方が、おかしいのだからね」

先輩「う……、それは……」

会長「学校が用意した部室を使っているんだ、然るべき活動実態が必要に決まっているじゃないか」

先輩「……」

会長「それを、キミらふたりで占有して、日暮れすぎまでイチャこらイチャこらと……、はんっ、別に羨ましくなどないがねっ!」ペッ

先輩「……」

先輩(おぉ……、会長様が荒んでらっしゃる……)
247 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/12/03(水) 18:47:19.81 ID:G1/QhOez0
先輩「……って、ていうか、別にいちゃこらなんて、してねーし!」

会長「はっはっは、じゃあシッポリの間違いだったな? グッチョリでもネットリでもいいぞ?」カーッペッ

先輩「だーかーらー! 何もしてねぇって言ってるだろ!」

会長「……?」

先輩「な、何だよ……」

会長「え、いや、ほ、本当に?」

先輩「う、うん……」

会長「何もしてないの……?」

先輩「……」コクリ

会長「いや、いやいや……、キミら、つ、付き合ってるんだろう?」

先輩「……」コクン
248 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/12/03(水) 18:48:08.79 ID:G1/QhOez0
会長「いやいやいや、キミみたいなヤツが、何もしてないなんて、そんなわけ……」

先輩「……」

会長「え、逆になんで? なんで何もしてないの?」

先輩「……とき……――まり…………」ゴニョゴニョ

会長「ふんふん、『いざというとき、あんまり手馴れすぎてて』?」

先輩「……でる……ずか……ぃ……」ゴニョゴニョ

会長「『遊んでると思われたら恥ずかしいし』?」

先輩「……」コクン

会長「……ば〜〜〜っかじゃないのかキミは!?」

先輩「うっ……うるせーうるせー!」
249 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/12/03(水) 18:48:55.59 ID:G1/QhOez0
会長「なーにが、『遊んでると思われたら恥ずかしい』だ! 遊んでるじゃないか! 遊びすぎて真っ黒じゃないか!」

先輩「誰が真っ黒だっ! 全然きれーな色してるっつーの!」

会長「内面! 内面が真っ黒なんだよ! 完全に汚れきってるだろうが!」

先輩「汚れてないですー! 処女ですー! 理論上は処女ですうぅー!」

会長「処女! 言うに事欠いてショジョ! ガバガバのくせに、ガッバガバのくせに! どれだけ厚かましいんだこのビッチは!?」

先輩「だだだ誰がガバガバだっ! この腹黒ヅカモドキ!!」

会長「はははは腹黒ヅカモドキぃぃ!? キミぃ! 言って良いことと悪いことが――!」


ギャーギャー


ワーワー




250 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/12/03(水) 18:49:44.50 ID:G1/QhOez0





先輩「……」ハー ハー

会長「……」ハァハァ

先輩「……あーもう、分かったよ! アンタには頼まねぇ!」

会長「……」

先輩「はぁ……、邪魔したな」ガラッ

会長「……先輩クン」

先輩「ん」

会長「私は……、私は反対したんだ。伝統ある部活動だからって……」

先輩「……」

会長「ちゃんと、真面目に取り組んでいる生徒もいるって、反対したんだ! だけど……!」

先輩「いいよ、会長。分かってる」
251 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/12/03(水) 18:50:17.42 ID:G1/QhOez0
会長「……」

先輩「ありがとな」

会長「……キミは……」

先輩「んじゃな」


ガララ


パタン


会長「……キミは、変わったな」

会長「……」


会長(……私も)

会長(恋人探すか……)ハァ




252 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/12/03(水) 18:50:56.18 ID:G1/QhOez0





〜帰り道〜


後輩「はぁ……」トボトボ

先輩「元気出せよ。別に、本が読めなくなるわけじゃねーだろ」

後輩「それは、そうですけどぉ……」

先輩「……」

後輩「文芸部、好きだったのに……」

先輩「……そうだなー」ナデナデ

後輩「うぅ……」

先輩「……あー、それじゃあ、さ……」

後輩「……?」
253 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/12/03(水) 18:51:37.11 ID:G1/QhOez0
先輩「ふたりで、プチ文芸部、やる?」

後輩「ふたりで?」

先輩「放課後にさ」

後輩「……」

先輩「わ、私のウチ、とかで……」

後輩「……!」

先輩「……」

後輩「……あ、あの」カァァ

先輩「いや、べ、別に変なアレじゃなくて――」
254 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/12/03(水) 18:52:27.05 ID:G1/QhOez0
後輩「先輩!」

先輩「お、おう……」

後輩「よ、よろしくお願い……します……」

先輩「……」カァァ

後輩「……」カァァァ

先輩「……後輩」

後輩「……」

先輩「行こっか」

後輩「はい」





255 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga]:2014/12/03(水) 18:53:01.94 ID:G1/QhOez0




〜アフター おわり〜
256 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga sage]:2014/12/03(水) 18:54:41.51 ID:G1/QhOez0
これで、このssは本当に終わりです
お読みくださった方、ありがとうございました
お付き合いありがとうございました
257 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) [saga sage]:2014/12/03(水) 18:56:13.26 ID:G1/QhOez0
>>221
以前も書いたことはあります
でも、1年近く前の話なので、おっしゃっているものとは違うやつかもしれませんです
258 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/12/03(水) 20:15:22.11 ID:wGAoTt8mO

面白かった!本当に終わりか〜
寂しいけど楽しかったです。

まだ手出してないんだ。前回の意味深な……はww
259 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2014/12/03(水) 20:26:17.78 ID:W11rgdrB0
よければ前作も教えて欲しいな
260 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) :2014/12/03(水) 21:39:57.26 ID:G1/QhOez0
コメントありがとうございます

>>259
前作では『真澄「柚子……柚子……」クチュクチュ』
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1414941301/
というssを書きました
遊戯王アークファイブの二次ssです
よろしければ、ぜひお読みください
先輩・後輩ものだと『後輩「先輩より胸が大きくなってしまいました……」 』
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1382277650/
というssも書いています
こちらも、お読みいただけたら、とても嬉しいです
261 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga sage]:2014/12/03(水) 21:52:28.88 ID:W11rgdrB0
ああ!それの人だったのか!
あれも面白かったよ。うどん屋がすごくいいキャラしてた
262 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/12/03(水) 22:01:03.17 ID:Kihs5NDmo
やっぱり!
先輩後輩の前作がとても好きで、いつか次のを現行で読みたいと思ってたよ
263 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/12/04(木) 01:33:11.29 ID:KUnMp0tH0

購買ちゃんシリーズ、あれは美味しいのだろうか……
264 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/12/04(木) 20:57:41.38 ID:I+6ajppbo
最高だった
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