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悪者「ここ例の王国か…」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 : ◆a/I.AxtdmY :2014/11/30(日) 23:37:44.29 ID:pzVb+24YO
山々に囲まれた国、『王国』

そんな山の綺麗な空気をはねのけるように歩く男


悪者「はあ、随分と歩かされたな…」

悪者「ん…? なんだこのボロ小屋は…」


しばし足を止めて、町の光と見比べる


悪者「こんなとこ泊まっても、余計に疲れるだけだ」

悪者「モンスター共もまだ昼寝の時間だ…どれ、もうひと踏ん張り」


ーーーーーーーーーーーー
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ぶらじる @ 2024/04/19(金) 19:24:04.53 ID:SNmmhSOho
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旅にでんちう @ 2024/04/17(水) 20:27:26.83 ID:/EdK+WCRO
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木曜の夜には誰もダイブせず @ 2024/04/17(水) 20:05:45.21 ID:iuZC4QbfO
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いろは「先輩、カフェがありますよ」【俺ガイル】 @ 2024/04/16(火) 23:54:11.88 ID:aOh6YfjJ0
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【MHW】古代樹の森で人間を拾ったんだが【SS】 @ 2024/04/16(火) 23:28:13.15 ID:dNS54ToO0
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こんな恋愛がしたい  安部菜々編 @ 2024/04/15(月) 21:12:49.25 ID:HdnryJIo0
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【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】Part2 @ 2024/04/14(日) 19:38:35.87 ID:kch9tJed0
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アテム「実践レベルのデッキ?」 @ 2024/04/14(日) 19:11:43.81 ID:Ix0pR4FB0
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2 : ◆a/I.AxtdmY :2014/11/30(日) 23:49:40.26 ID:pzVb+24YO
ーーーーー 王国 ーーーーーー


悪者「ここが例の王国か…」


すっかり暗い夜道には人影も少ない


悪者「チッ…シケたとこだな…」

悪者「飯がねぇな…お?」


商人「…ふわぁ…」


悪者「おい」


商人「ん…?お客さんかい? 悪いが店じまいの時間だ。また今度にしてくれ」

悪者「構わねえよ」

ドスン!


商人「グえっ!」ガク


膝蹴りを腹に食らい、もだえる


悪者「ふぅ〜んどれどれ…お、携行食糧か。これと…薬草も貰うか」

3 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/11/30(日) 23:53:04.13 ID:huRunkUw0
どうせ人情にほだされて、義賊まがいの事しちゃうんだろう?
4 : ◆a/I.AxtdmY :2014/11/30(日) 23:57:51.01 ID:pzVb+24YO
商人「…ぐっ…このクソヤロォ…!」

悪者「あ〜? 店じまいってんだからこっちから貰いに行ったんだぜ」

悪者「感謝ぐらいしてくれねぇとなぁ〜」ヘヘ


商人「だ、誰か…」


しかし、近くのものは皆目を伏せて通りすぎて行く


悪者「ま、そう言うことだ。代金は払うからよ」ククク

悪者「あばよっ!」

ゲシッ!

商人「づぁっ!」


代金以上の蹴りを顔にお見舞いして、寝床を探しに行く

5 : ◆a/I.AxtdmY :2014/12/01(月) 00:08:55.03 ID:2alsqDttO
悪者「よし、ここなら…」


細い道の隙間のような部分に腰を落とす



悪者「…にしてもこの国は」


人々の声が聞こえない

夜だからなのかと割りきってみる


悪者「…この国で、あの研究が…」

悪者「明日には動き出してみるか」


悪者「…チッ…」


空気に溶け込むように、男は目を閉じていった

6 : ◆a/I.AxtdmY [sage]:2014/12/01(月) 00:10:17.56 ID:2alsqDttO
>>3

取りあえず見てくれててサンクス
7 : ◆a/I.AxtdmY :2014/12/01(月) 09:21:30.47 ID:s2I25AggO
ーーーーー 朝 ーーーーー


騎士「強盗?」

兵士「はい…日没の頃、門の付近の商人が襲われていたと…」


騎士「…分かった。二十歳くらいの黒い羽織を着ていた男だな?」

兵士「はっ。間違いないであります」


この国の治安維持のためにも、騎士は日々情報を集める


騎士「よし、調査開始だ!」


兵士「はっ!」


ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーー
8 : ◆a/I.AxtdmY :2014/12/01(月) 10:31:43.20 ID:ruhmgfHsO
ーーーーーーーーーーーー


悪者「んだおらぁ!! 食いもんの一つくらい良いじゃねえかよぉ!」


ドスン!ドスン!!


果物売り「いっ!…こ、これで!許してくれ…うっ…」


悪者「そうそう、出しゃあ良いのよ出しゃあ〜」ハハハ



騎士「…奴か」

騎士「許せん…!」

ググッ…


剣を握る手には殺気が溢れる



9 : ◆a/I.AxtdmY :2014/12/01(月) 13:23:28.19 ID:w0GJEP77O
騎士「お前か…昨晩の強盗を働いたのは!!」


悪者「ぁあ? 誰だ?」

騎士「質問に答えろ!!」ジャキ


悪者「だからなんだよ…ったく」ボソ

騎士「…よかろう」


騎士の剣は悪者の体を振り抜いた

ーーーーーーかに見えたが


悪者「あんだよ、危ねえだろ」

騎士「…!? (今確かに斬ったはずだ!)」


10 : ◆a/I.AxtdmY :2014/12/01(月) 14:31:39.36 ID:w0GJEP77O
悪者「腕は良いが…人を斬るのをビビってる」クク

騎士「ッ!?…くそが!」


悪者は右手で剣を抜く


悪者「観客も居るようだし、イッチョやるか!」


騎士「…来い」


街の一角は静かな殺気に包まれた

11 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/12/01(月) 14:38:14.36 ID:4a7Cx6TcO
期待
12 : ◆a/I.AxtdmY :2014/12/01(月) 18:39:51.25 ID:NVRSqFrmO
ロング「…ん…」


民衆に紛れて戦いを覗く長髪の少女

その視線は全く動くこと無く一点を見つめている


悪者「へへ…来ないなら行かせて貰うぜ…!」

騎士「……」




ロング「…弱い、でも…違う…」

ロング「あの男…人…違う」



騎士「…」ジリッ

悪者「…… (さっきと表情が違う…何のつもりだ?)」

騎士「……どうした。来るんじゃないのか?」

13 : ◆a/I.AxtdmY :2014/12/01(月) 19:15:01.76 ID:NVRSqFrmO

悪者「…」グッ


ダッ!!


悪者の一歩は常人には分からぬほど速かった

騎士にはそれが見えるが、騎士の剣は全く刃先を前に向けないーーーーーーが


ガシィン!! ドスッ


悪者「…!」


剣を滑らすようにして悪者の腹部に拳が入る


騎士「こう見えても、受け側に関しては得意でね」

悪者「っ…フン、こんなもの!」
14 : ◆a/I.AxtdmY :2014/12/01(月) 19:22:49.88 ID:NVRSqFrmO
ーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーー


悪者「はぁ…はぁ…」

騎士「はぁ…くっ…」


悪者・騎士「(しつこいヤツめ…!)」


兵士達「あそこだ!!」


悪者「…! チッ…虫けら共のお出ましか」


ダッ!!


騎士「逃がすか!!」


ボンッ


騎士「ぐっ?!」


煙が辺りに広がり視界を奪って行く


兵士達「ゴホッ!エホッ!」

騎士「クソッ…あんなものまで持っているとは…」



15 : ◆a/I.AxtdmY :2014/12/01(月) 19:30:53.67 ID:NVRSqFrmO
ーーーーーーーーーーーー


悪者「ッはぁ…はぁ…ここまでは追ってこれやしねぇか…」


悪者「何てヤツだ…俺の速さに合わせて来やがった…」

悪者「…ふぅ…こんなことしてる場合じゃねぇのに…」


恐らくあの騎士は城の兵士であり、また自分と互角であると考える



悪者「…あそこに…あの城のなかに…」

悪者「煙幕もあれでおじゃんかよ…」

悪者「クソッ…!クソックソックソッ!!」ガンガン



ロング「……」


16 : ◆a/I.AxtdmY :2014/12/01(月) 19:38:40.63 ID:NVRSqFrmO
悪者「…はぁ…」


ロング「……ねぇ」

悪者「!? な、何だ!」

ロング「……?」


悪者「…チッ…ガキかよ…」

悪者「(この近さで気づけねぇとは…余程頭がやられてんのか?俺ぁ…)」


ロング「左腕…」


悪者「あぁ? 何だ? 殺されてぇのか??」


ロング「"ソレ"…押さえつけるの大変?」

悪者「な、はぁ!?!」


17 : ◆a/I.AxtdmY :2014/12/01(月) 19:48:30.02 ID:NVRSqFrmO
ロング「あなた、さっき喧嘩してたでしょ?」


悪者「っ…喧嘩だぁ? (何でこいつ、腕のこと…!)」


ロング「フフッ…あなた大変そうだったもの。二つも面倒見てて」クスクス


悪者「くっ…ヘラヘラと…! 殺されてぇのか!? (誰も知るはず無い…ましてやこんな小娘が…!)」

悪者「今てめぇとお喋り何かしたくねぇ!! 消えやがれ!!」


ロング「そうだったわ、隠れ家が要るわよね? あ、あと煙幕もかしら?」ウフフフ

悪者「ッ…チッ…」


ロング「どうせ私を脅して家を奪おうとしてたんだから、どうせならこっちから招待するわ」

悪者「(いったい何物だ…このガキ)」


18 : ◆a/I.AxtdmY :2014/12/01(月) 19:57:19.07 ID:NVRSqFrmO
ロング「……」


悪者「……」


ロング「………あなた弱いわね」


悪者「んッだとコラァ!!!」ジャキ

ロング「…」グッ


悪者「…ッ…ぐっ (動けねぇ…!)」

ロング「…フフッ…面白い人♪」フッ


悪者「…チッ… (まさか…呪術? 高位魔術師でも扱えるか分からんものまで… )」



ロング「ねぇ…いい加減答えてよ」

悪者「…あ?」


ロング「左腕の"ソレ"…何?」

19 : ◆a/I.AxtdmY :2014/12/01(月) 20:03:24.15 ID:NVRSqFrmO
悪者「……知らねぇ」


ロング「ふぅんそう、身近な人に付けられたんだ」

悪者「…!?!」


ロング「…しかも、そのせいで何かやらかしちゃっとか?」


悪者「…知らねぇよ (何でこいつ…まさか話の間だけで…)」

ロング「…まぁ、過去は消せないわ」

悪者「黙れ…クソガキ」


悪者「(どう話しても推測してきやがる…)」



20 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/12/01(月) 20:07:11.55 ID:kGts9/zC0
一体なにがどうなってるんだってばよ
21 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/12/01(月) 20:08:28.19 ID:4a7Cx6TcO
さあ?この先の展開でわかるだろたぶん
22 : ◆a/I.AxtdmY :2014/12/01(月) 20:10:14.75 ID:NVRSqFrmO
ーーーーーーーーーーーー


十八より若いだろうか

そんな少女に丸で脱がされるように、過去を見抜かれる

悪者でさえいささか畏怖する程だった



ロング「ここよ」


悪者「…ここは…」



悪者が以前目にした山小屋にたどり着いた



ロング「あら、前に来たことあったのね」


悪者「……はぁ」





23 : ◆a/I.AxtdmY [sage]:2014/12/01(月) 20:19:18.83 ID:NVRSqFrmO
>>20
>>21

思い付きだから割と話バラバラ
すんまそん
24 : ◆a/I.AxtdmY :2014/12/01(月) 20:36:37.71 ID:NVRSqFrmO
ーーーーーーーーーーーー


ロング「ただいま〜」


占い師「おかえり…むむ?」

悪者「…」


シワの寄った老婆が目を細めて覗きこむ


ロング「ねっ? ちゃんとつれてきたでしょ?」

悪者「はぁ???」



占い師「うむむ…」


悪者「…もう好きにしやがれ…」ハァ


25 : ◆a/I.AxtdmY :2014/12/01(月) 21:51:23.36 ID:k5uA3imY0
ーーーーーーーーーーーー


悪者「…占い師だぁ?」


占い師「そうじゃ」

悪者「このババアがか?」


ロング「そうよ」

悪者「……グ」

悪者「…ップ…ハッハッハッハ!!!」バンバン

占い師「…何じゃ?」


悪者「あー、悪い悪い…ヒッ…ハッ」

悪者「あーあ…」


ロング「…」


悪者「……んなもんいるわけねぇだろーが!!!」ガン


26 : ◆a/I.AxtdmY :2014/12/01(月) 22:00:05.76 ID:k5uA3imY0
占い師「…なぜじゃ?」


悪者「俺が来るのが分かってたみてぇに言ってるが、ただ単にソレっぽいヤツ捕まえただけだろーが!!」

占い師「そんなことをして、ワシになんの特がある?」


悪者「知るか!! んなもん! てめぇらの頭がおかしいだけだ!!」


ロング「…はぁ」


悪者「さっきのこいつだって、ただの妄想に過ぎねぇ!」

占い師「ふむ……そうか」ホッホッホ


悪者「何だよ…気持ちわりぃ…」


占い師「では、やはりその左腕は何かを抱えているのだな?」

悪者「な?!」


ロング「ぷっ…」


27 : ◆a/I.AxtdmY :2014/12/01(月) 22:11:46.24 ID:k5uA3imY0
占い師「…それに、あの城に用があるのは知っておる」

悪者「…フン。だったら何だ!」


占い師「…地下に研究者達が、闇の研究をしておる」

悪者「…っ…なんの関係がある」


占い師「お前にとってはただの復習かもしれん…じゃが」

占い師「お前の決断により、世界の運命が決まる…」


悪者「…(復讐…そうだ、復讐だ)」


憎しみと悲しみの記憶が甦ってくる

思い出したくもない記憶ーーーーーー
28 : ◆a/I.AxtdmY :2014/12/01(月) 22:25:11.10 ID:k5uA3imY0
ーーーーーーーーーーーー


「あの子の腕…みた?」

「気色悪いわ…」



「こっちにくるな!くろうでやろう!」

「うわーん!! こわいよー!!」



「…お前を生かすためには、こうするしか…すまなかった」



「たかが悪魔の契約だぞ! それにあの子はちゃんと人の心を持ってるじゃないか!」



「あなた…!もうやめてお願い!!」

「うルセぇえエエえ!!!クワセロォオオ!! 」

ーーーーーーーーーーーー

悪者「……」

悪者「みんな…しんじゃった…」

悪者「おなかすいた…」

悪者「ナンカ…おいしソウ…!」

ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーー

29 : ◆a/I.AxtdmY :2014/12/01(月) 22:52:35.70 ID:k5uA3imY0
悪者「俺をこんな姿にした…」

悪者「こんな"異常"な人間にした奴らを…」


悪者「[ピーーー]んだ…!! 」


悪者「ぶっ殺してやるんだぁぁああ!!!!」


ーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーー


占い師「聞いておるか…?」


悪者「…!」ハッ


占い師「…少しは真面目に聞けるようになっかのぉ?」

悪者「……」


占い師「復讐…お前が何をしたいかまでは分からぬ…」

占い師「…じゃが、この先のそなたの運命…ワシらも助けを出す」


悪者「…何でそんな面倒なことすんだよ…」



30 : ◆a/I.AxtdmY [sage]:2014/12/01(月) 22:58:56.48 ID:k5uA3imY0
あら、避けられなかった…
まあ良いか
31 : ◆a/I.AxtdmY :2014/12/02(火) 00:37:57.33 ID:+KbibNzM0
占い師「…人類の危機じゃしのぉ…」


悪者「…チッ…まあいい」

悪者「とにかく俺は、情報を元にあの城の地下へ向かう」


悪者「あんたらがなんと言おうと知らん」


占い師「それで構わんよ…ワシらとて何が正しいかまでは分からん…」




ロング「…ちょっとはましになった…かな?」フフ

32 : ◆a/I.AxtdmY :2014/12/02(火) 00:52:48.51 ID:+KbibNzM0
ーーーーーーーーーーーー


小屋をあとにして、再び王国を目指す


悪者「…何だってんだ…ホントに」



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



悪者「少なくともあの国で俺はお尋ね者だぜ?」


占い師「大丈夫じゃ…その娘を連れていきなされ」


ロング「はぁーい♪」

悪者「…チッ…こんな小娘に何が」


ロング「…あなたよりは強い自信ならあるよ?」


悪者「…フン」

ロング「やっぱり〜? 勝てないと思ってるよね〜」

悪者「あぁん!!?」


占い師「その娘に、魔術に関しては誰も勝てはせんじゃろう…」

悪者「…チッ…」

ロング「どーもー」



占い師「先ずは闇の力の根元をあばくのじゃ…恐ろしく禍々しい気を感じる…」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


33 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2014/12/02(火) 02:41:06.84 ID:Z3ZQBlN80
規制はメール欄にsaga入れれば防げるよ

殺すぞって出来る
34 : ◆a/I.AxtdmY [sage]:2014/12/02(火) 09:25:03.82 ID:6vLsx9x4O
>>33

あざます!
35 : ◆a/I.AxtdmY :2014/12/02(火) 12:45:07.33 ID:S4TwrqWEO
ロング「…暇よね〜…」


悪者「…」ブツブツ


ロング「……わっ!!」


悪者「……ぁあ?」


ロング「…城の内部は魔翌力が制限されるから、そこから先は一人で頼むわよ?」

悪者「あ、あぁ…」


ロング「(…まぁ、城につく頃には元に戻りそうね…)」




山の獣たちは丸で猛獣が通るかのように、二人を見張っている

その気はどちらのものであろうと、恐ろしいことには変わりない


36 : ◆a/I.AxtdmY :2014/12/02(火) 12:56:38.11 ID:S4TwrqWEO

ーーーーーー 王座 ーーーーーー


王「騎士よ…賊を逃したときいたが…」


騎士「はっ…その通りでございます…」

王「珍しいこともあるものだな…」ハッハ


騎士「…っ」ギリッ


王「まあよい…だが、くれぐれも城のなかには通すなよ?」


騎士「申し訳ありません…次は必ず…!」


王「よし、下がれ」

騎士「失礼いたします」


バタンッ


王「……フン」

王「(あやつも所詮は人間…頼りにはならぬな)」


王「…事を急がねばならんな」


ーーーーーーーーーーーー
37 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage saga]:2014/12/02(火) 12:57:54.26 ID:fS6Cy6qkO
sagaねsag"a"

あと魔力とかも間に翌が入っちゃうよ
38 : ◆a/I.AxtdmY [sage saga]:2014/12/02(火) 16:40:36.96 ID:FMWg1N9YO
>>37

あ、分かった上で下げたんす
すまそ
39 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/02(火) 17:00:28.71 ID:FMWg1N9YO

騎士「……」ソワソワ


騎士「(あの輩…片腕であの強さ…)」

騎士「……」スクッ


兵士「騎士兵長、どちらへ?」


騎士「しばらく門番を頼む…用事を思い出した」

兵士「し、しかし、国王命令でここを見張れと」

騎士「心配するな…」ガシャン


騎士「すぐに戻る」



またヤツは街で悪さをするに違いない

門の前で棒立ちしていては防げるものも防げない

騎士は悔しさとともに商店街へと足を運んだ


40 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/02(火) 20:50:15.41 ID:Cf1airR1O

ーーーーーー 街の入り口 ーーーーーー



悪者「こんなとこから入ってどうすんだよ…俺は目ぇつけられてんだぞ?」


ロング「大丈夫よ。このタイミングなら」


悪者「… (まあ別に、その辺の兵士くらいは数には入らんか)」

ロング「いい? 何があっても一直線に向かうのよ?」


悪者「元よりそのつもりで来たしな…」


ロング「まっすぐに進めば、道は間違わないわ」

悪者「はぁ…ガキじゃあるめえしよ…」



悪者はまだこの時の言葉の意味を理解していなかった


41 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/02(火) 23:22:19.63 ID:8CNpKT0BO

騎士「…どこに身を隠したんだ?」


明るい内にと、細い路地裏にて悪者を探していた


騎士「(あの様子であの山を越えていったとは思えない…)」

騎士「どこにいる…」



一方、街では


悪者「…?」

ロング「…何?」


悪者「いや…何でもねぇよ」

悪者「(偶然か…? 人の目線が丸でこちらを向かない)」


ロング「ふーん…」

ロング「(老人…右へ…肩がぶつかる…女性の視線、右へ…子供を転ばせ声をあげさせる…周囲の視線を左へ…五歩二時の方向へ前進…)」

ロング「…それならいいけど〜」




42 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/03(水) 00:08:58.56 ID:uff3/d5jO
騎士「…うーん」

騎士「(やはり商店街で情報を集めた方が良いか…)」


騎士「…行こう」



ーーー 一方こちらは



悪者「…」

ロング「あれが城門だよ…あのデカイ赤いヤツ」

悪者「わあってるって…っせぇなぁ」


悪者「(あの先に…俺の目的が…!)」グッ


ロング「あとは頼んだわよ! …捕まったら一生牢屋か、即処刑だからね?」フフ


悪者「…チッ…なめ腐りやがって」



魔術が得意ではないぶん、体術には自信しかない。こんなところでぶっきらぼうが役に立つとは

悪者の顔はほくそ笑んでいるようにも見えた



43 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/03(水) 08:17:52.42 ID:SRaxORQBO

ロング「さて…あとは"喧嘩仲間"を取り抑えないと…」


ロング「…ッフフッ♪」



地下に眠る秘密ーーーーー

それが何かは分からないがきっと面白いものなのだろう

彼女にとっては退屈しのぎのつもりだった




騎士「…そうか」

女性「はい…そのような人は…」


騎士「足を止めてすまなかった、ありがとう」


女性「いえ……では」



騎士「…… (やはり逃げたのか?)」





44 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/03(水) 12:58:55.64 ID:wTdkpsJcO
ーーーーーーーーーーーー


スタッ…


悪者「…ふぅ」

悪者「(だいぶ進んだが…どこだ…?)」



見張りの目をかいくぐり、地下への道を探す



悪者「……」スッ


兵士「ん…?」ピクッ

悪者「…(チッ…あんまり"跡"を)」




45 : ◆a/I.AxtdmY [sage]:2014/12/03(水) 13:00:36.88 ID:wTdkpsJcO
誤爆失礼
46 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/03(水) 13:07:03.02 ID:wTdkpsJcO


スタッ…


悪者「…ふぅ」


悪者「(だいぶ進んだが…どこだ…?)」


見張りの目をかいくぐり、地下への道を探す


悪者「……」スッ

兵士「ん…?」ピクッ

悪者「… (チッ…あんまり"跡"を残したくないが…)」


スパッ!


兵士「かはっ…」

悪者「おっと」ガシ


喉元を切り裂き声をふさぎ、兵士を通路の死角にそっと隠す






47 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/03(水) 16:23:43.26 ID:Chxk0zG9O

悪者「(急がねぇとマズいな…)」

悪者「…ん?」チラッ



通路の隅で死角になっていたのか、古ぼけた扉がある



悪者「(そうだ…いままで必ずどの扉の前にも兵士がいた…)」

悪者「間違いねぇ…!」


ためらう事も忘れ扉に手をかける



ゾワッ…!



悪者「…っ!?」ビク

悪者「(この感覚…まさか…!)」


懐かしい左腕の感覚ーーーー


悪者「こんなときに…くそっ!」グググ



食欲に近い"何か"が襲ってくる


48 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/03(水) 16:37:34.81 ID:Chxk0zG9O
悪者「ぅぐっ……アァア…!!」ガン!


兵士「む… (うなりごえ…?)」



兵士がこちらに向かってくる

足音からすると数十秒で辿り着くだろう



悪者「…うぁ…はぁ…っはぁ…」

悪者「(クソが…一旦離れるしかねぇか)」


兵士「…!! (血痕…?)」

兵士「侵入者だぁぁああ!!!」


悪者「チッ…クしょう…!」ダッ



叫び声に反応してどんどん兵が集まってくる

今の状態で戦えば勝敗は見えている



悪者「力を使えば…!!」


ーーーーー力を使えば


悪者「こんなやつら…ぐッ…」ギリッ


ーーーーーひと思いに


悪者「ッ…よし…大丈夫だ (…何とか抑えたか)」



ーーーーーー喰ッテヤルノニ
49 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/03(水) 16:45:38.64 ID:Chxk0zG9O

「っ!?…誰か殺られてるぞ!!」

「何!? 急いで探せ!!」


悪者「(逃げようにも、行き止まりでどこにも行けねぇ…!)」


「騎士兵……どこ……!」

「先ほどから……!…!」



悪者「…? (なん…だ? 声が遠くて……)」



「……な時に!……国王に……!」

「……!…!……………」



悪者「(力が…入…らねぇ)」グラッ



………ドサッ…………………


ーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーー

50 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/03(水) 21:00:14.17 ID:TpkF2QelO
ーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーー



悪者「…う…ん…」

悪者「(ここは…)」



ガシャン!


悪者「…!」



腕に絡み付く金属

意識がはっきりして目の前に檻が見えた

焦りと戸惑いが無意識に体を動かす



悪者「っ…くそッ…!」ガシャガシャ


見張り「静かにしろ!!」ガン

悪者「うるせぇ!! 俺ぁこんなところで呑気にうたた寝してる暇は…」ガシャガシャ

見張り「…ぷっはっはっは!!」


悪者「黙れ虫けらが!!」


見張り「お前さん…ここに来たからにはな…死刑しかねぇんだぜ?」

悪者「……!?」


見張り「精々、処刑台まで歩く準備運動でもしとくんだな!」

見張り「ぎゃーっはっはっはっは!!!」



ひげ面で寝巻きのような服装の男にバカにされた屈辱より、悪者はただ焦りで言葉を失った

51 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/03(水) 23:58:04.47 ID:akxicY7pO

ーーーーーーーーーーーー


悪者「…チッ…」

悪者「(どうにかして抜け出さねぇと…)」


悪者「…」チラッ



左腕を覗き込むと、前の状態より明らかに悪化している


悪者「… (何だってあんな大事なときに…!)」


見張り「ンゴォー……ムニャムニャ…」


悪者「………」



ーーー …そなたに助けを出す ーーー

ーーー あとは頼んだわよ! ーーー



悪者「…ハッ!」

悪者「(クソッ…!…何を期待してやがる! 自分の力で這い出るっきゃねぇだろ!)」ブンブン


ガチャッ…


悪者「!!」


思わずした期待

そんなところには思わぬ客がやって来るもの



52 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/04(木) 08:29:06.24 ID:gA4CAdY9O

「おらっ、さっさと歩け」


見覚えのある影が目に写った


騎士「……」

悪者「…なっ…!?」


自分を裁きに来たのかと考えた

しかし、騎士は丸で囚人のような服を着て、体には何ヵ所かアザが見える


見張り「…んごぁ?…」

見張りの代り番「お〜い、連れてきたついででなんだが交代だぞ〜」

見張り「おおぅ、ありがてえ…」ヘヘ




騎士「……」



ガシャン!…カチッ



悪者「…… (何がどうなってやがる…)」



隣の檻でただ呆然と下を見る騎士を見て、悪者は再び言葉を失った



53 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/12/04(木) 14:40:19.88 ID:pz0CqgsMO
さてどうなるんだろ…
54 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/04(木) 16:42:50.33 ID:7/SQNS7OO

見張り2「ちょっくら便所でもいくか……」


ガシャン



騎士「…っ!…」ガン!


悪者「おい…なんでてめえが…」

騎士「黙れ!!」

悪者「…!…」


騎士「貴様のお陰で、今やお前の参謀者だ…」


悪者「… (拷問の跡か…でもなぜ…)」


騎士「…何が目的だ…」


悪者「………」

騎士「なぜあの場所に忍び込んだと聞いている!!?」ガン!


悪者「……」



悪者は混乱した話を整理すべく、ある行動に出た



55 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/04(木) 16:51:08.85 ID:7/SQNS7OO

悪者「…良いだろう。答えてやる」


騎士「当然だ!!…俺をこんな目に合わせておいて…!」

悪者「ただし!」

騎士「……」


悪者「俺からの質問を答えてからだ…」



頭を使うのは正直苦手だ

だが今は体の自由がきかない


悪者「…なぜ…お前が疑われているんだ…」



どうにかして確かめたかった



騎士「それはっ……」



この国のどこまで"侵されている"のか

そして

ーーーあの扉の先に、本当に秘密は眠っているのか
56 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/04(木) 16:57:55.54 ID:7/SQNS7OO

騎士「俺は…貴様を捕まえに街に出たんだ…」

悪者「…それで?」


騎士「…? (嫌に冷静だ…前とは明らかに違う…)」


騎士「俺は城門の番を任されていた…いつもなら貴様のような輩は、即捕まえてくるのが鉄則のはずなのに…」

悪者「余計なこと抜かしてる暇はねぇ…! 見張りが帰ってくる前に済ませるんだ」


騎士「…!……わ、分かった」



処刑される身で、なぜこんなにも真剣な表情をするのか

騎士はこの男が何かを知っていると感じた


ーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーー
57 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/04(木) 17:14:24.29 ID:7/SQNS7OO

〜〜〜〜 数時間前 〜〜〜〜


騎士「…うーむ… (普段からここにいる人間に聞かなければなるまい…)」キョロキョロ


ロング「… (二秒後…足を止める…周囲で一番目につくところは…!)」ダッ


騎士「…む」ピタッ



ロング「はぁ〜…暇ねぇ…」


騎士「(彼女に聞いてみるか…)」

騎士「すまない…ここらで強盗があったのを知っているか?」


ロング「えっ…ええ、それが何か…?」


騎士「何処にいるとか、噂を耳にしていたら教えてほしいのだが…」

ロング「あら、私その現場にいたんです。確かこっちの方に…」


騎士「く、詳しく教えてくれ! (こんなところでなんといい情報を…!)」

ロング「ええ、もちろんご案内いたします (…チョロいわね)」ニコッ





58 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/04(木) 17:22:40.10 ID:7/SQNS7OO

悪者「で、その少女に付いていったと…」


騎士「ああ…あんな軽率な行動さえしなければ…!」

悪者「… (少女…まさかな…)」


悪者「でも、それだけでお縄にかけるなんて変だぜ?」


騎士「いや、その先が重要なんだ…」




一度は命を奪い合った相手

それを忘れて話してしまうほど、騎士にとっては悔しい出来事だった


悪者も同じく、自らの目的に我を忘れ話に聞き入ってしまう




59 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/04(木) 21:48:12.59 ID:uDUxdPZ4O

ロング「確かこの辺で…誰かと話してて…」


騎士「う…うむ (随分とつれ回すな…)」


ロング「あ! あの山の南方まで歩いていきましたよ!」

騎士「そうか! 感謝する!」ダッ


ロング「い〜え〜…」


ロング「……何だか、真反対のようで…」フフ



ーーーーーーーーーーーー

ーーー 日の入り時 ーーー


騎士「… (あの少女の話が本当だとすると、取り逃がした線が大きいか…)」



日中に出来るだけ歩き回ったが、もう限界だと悟り足を王国に向けた




60 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/05(金) 08:27:47.01 ID:e6rjSPATO

ーーー 王国 ーーー


ザワザワ……


騎士「(皆が城に向かっていく…?)」


兵士「…! 兵長!! どこに居られたのですか!?」ダッ

騎士「何だ、何が起きている!?」



ーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーー




王「…ほう、それで輩を追い回しているうちに王国を出たと…」

騎士「…っ…」


王「…貴様になんと命令した!!」バン!


騎士「はっ……城の前の門番をと……」


王「… (こいつも中々に扱いが難しくなってきたな…仕方あるまい。これで…)」


王「……貴様も参謀者か…!」

騎士「っ!?…け、決してそのような事は」


王「……こやつを"死罪の牢屋"へ連れて行け!!」


騎士「…な…あ……」ガク



絶望と怒り

しかし自らの過ちだと認めるしかない騎士は、悲しそうな兵士たちの視線を浴びつつ鎧を剥がされた




61 : ◆a/I.AxtdmY [sage ]:2014/12/05(金) 08:40:12.81 ID:e6rjSPATO

あかん
厨二病パワーが切れてきた
62 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/12/05(金) 08:44:50.16 ID:nSmGV/wKO
俺の(厨二)力を受け取れェーッ!
63 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/05(金) 08:53:33.00 ID:e6rjSPATO

悪者「…」


騎士「…俺はただ忠誠を尽くしてきた…それだけなのに…!」

悪者「そうか… (やはり妙だ…)」


悪者「(俺が犯人だってのに、俺を追いかけて"城を空けた"ことか、もしくは"命令に逆らった"ことを罪の理由にしてやがる)」


悪者「(あるいはその両方か…いや"そうだった"としても)」



騎士「…さぁ、貴様のほうも教えてもらおう。理由も知らずには死ぬにも死にきれん」


悪者「あぁ…そうだったな。話してやる…」


ーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーー






64 : ◆a/I.AxtdmY [saga sage]:2014/12/05(金) 08:57:49.98 ID:e6rjSPATO
>>62

ふっ…貰っておこう

あざす
65 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/05(金) 12:06:28.05 ID:ZRUBdgwdO

ーーーーーーーーーーーー



すべて正直に話した

正直という行動をしたのはいつ振りだろうか

ーーーーーただ左腕の"ソレ"を除いて



悪者「…俺はそこに用があって来ただけだ」


騎士「…王の命が狙いではない…だと?」

悪者「別にそんなもん要らねぇ……が」

騎士「……?」


悪者「いや… (もしかしたら"国ぐるみ"で動いてるとしたら、黒幕は恐らく…)」


悪者「何でもねぇ……」


騎士「…フン…まぁいい。精々それを尋問の時に話すのだな」


悪者「…チッ…」



武器を取られていたことは当然だ

しかし、この皮膚に密着するような左腕の手袋ははずされずにいた

悪者にとってこの事はとても大きかった



66 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/05(金) 16:44:52.37 ID:1vtw0uFoO

ガチャン!



悪者「…来やがったか」


兵士は悪者の意識が戻ったのを確認すると、話をすぐに切り替えた



兵士「貴様への尋問を行う…立て」


悪者「へいへい…よっこらしょ…」スクッ


騎士「……」

兵士「…兵長」


騎士「罪人に話しかけるな!」

兵士「…っ!」


騎士「任務をまっとうしろ」

騎士「…俺のようになりたくなければな」



騎士はただ、その哀れむような目で見られることが耐えられなかった



見張り2「あースッキリした、ハイハイ交代ねぇー…あら?」


悪者「ふぁーあ…」

兵士「……」

騎士「……」


見張り「…あ、つ、ついでに便所掃除でもして来るかなー…あはは〜…」



67 : ◆a/I.AxtdmY [saga sage ]:2014/12/05(金) 16:46:14.68 ID:1vtw0uFoO
見張り→見張り2
68 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/05(金) 21:43:54.49 ID:NMhZrvXJO

ーーーーーーーーーーーー


悪者にとって処刑されることはさほど怖くなかった

死に近づけば近づくほど、"ソレ"は制御できなくなる

いずれにしろ自らの意思では死に至れないのだ



質問者「…では、財宝を探しに来たというのかね?」


悪者「ああ、金になるし…何より目立つだろ?」ハハハ


質問者「…はぁ…」



そして悪者にはある策略がひとつ浮かんでいた

かなり危険な賭けだが、ただ呆然と暴走するより遥かに希望があった

ーーーーーーーーーーーー
69 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/05(金) 23:18:08.85 ID:1vtw0uFoO

ーーーーー 山小屋 ーーーーー


ロング「…ホントにこれでいいの?」


占い師「ああ…心配はいらんよ…」ホッホッ



占い師「…光と闇。互いに対をなす存在…」


占い師「あやつらはまだ己の形を理解していまい…」


占い師「そのためには…光は闇を照らし、闇は光を写し出さなければならない…」


占い師「……まだ、距離が遠すぎるのじゃ……」


ロング「…ふーん」

ロング「でも取りあえず助け船は出さないと、不味いんじゃない?」


占い師「見ておればよいよ…彼らの運命はまだ始まったばかりじゃ…」ホッホッ


ロング「……迎えにいけってことね?」

占い師「…まったく…お前は歳をとるたびに可愛げが無くなっていくのぉ…」


ロング「ふーんだ。おばあちゃんより可愛いげあるもんっ」







70 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/06(土) 11:40:09.76 ID:g39jmWmIO

ーーーーー 牢屋 ーーーーー


ガチャッ…



騎士「…」

悪者「……」


ギィィ…ガチャン!……カチャッ



悪者「……よお」

騎士「まだ死んではいなかったか…」


悪者「…あったりめーだろ」



見張り3「……んむにゃ………」スヤー



悪者「…話がある」


騎士「……」



さっそく悪者は"行動"を開始した



71 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/06(土) 11:52:54.12 ID:g39jmWmIO

ーーーーーーーーーーーー


悪者「ーーーーってワケだ」


騎士「な…し、しかしそんなことが…」

悪者「…怪しいと思わねぇかよ」

騎士「…?」


悪者「お前を殺す理由なんてどこにもねぇんだぜ?」

悪者「ましてやこの状況…お前に汚名返上させてもおかしくねぇ」


悪者「お前を消す理由…それは…」


騎士「…私に知られたくない秘密がある…」

悪者「……」

騎士「… (確かに最近の国王はなにかおかしい…)」


騎士「(昔に比べて明らかに兵を城から出さなくなった…)」

騎士「(それに…どちらにしろ…)」


悪者「まあ、テメぇもこんな形で死にたくはねえだろ?」


騎士「……」



核心を突かれた

今まで長い間国に尽くしてきた自分が、皆の前で犯罪者として殺される

正直許しがたい事だった



72 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/06(土) 18:14:46.50 ID:pmW63N4bO

ーーーー 数時間後 ーーーー


バァン!


見張り3「うわわっ!!」


悪者「… (よし! やっぱり…!)」


兵士「…悪者とやら…国王陛下がお急ぎでお呼びだ…立て」

騎士「っ… (まさか…そんな…)」ビク


兵士「…兵長… (何て酷い顔を…)」


騎士「…… (コイツが言った通りなら…!)」ブルブル


悪者「あいよ〜…」チラッ



悪者は騎士を睨み付けるようにその場をあとにした

騎士はこれから起こることに対して怖じけづく

しかし"これ"以外、生き延びる道はないのだ



73 : ◆a/I.AxtdmY [saga sage]:2014/12/06(土) 18:20:19.74 ID:pmW63N4bO
読み返して気づいた

>>52

隣の檻で→檻の隣で

だった

読んでる方いたらもうしわけねぇっす
74 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/07(日) 09:40:08.29 ID:Zfn+kDpeO

ーー 拷問室 ーー


王「……」

悪者「おいおい、俺と二人きりなんて大丈夫なのか?」


悪者「…襲っちまうぜ?」ケラケラ


王「…何故知っている…」

悪者「ぁあ?」


王「答えろ!!」バン!


悪者「ん〜…答えてやってもいいけど、取りあえずこれ、外してくれないと答えらんねぇかもなあ」ヘヘ

王「貴様…ただでは済まさんぞ」



悪者が仕掛けた作戦

それは尋問の時から始まっていたのだ

そしてこれはある意味すでに成功しているも同然なのだ


75 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/07(日) 11:27:59.88 ID:iX3pzOFeO

ーーー 尋問中 ーーー

質問者「では、これで終わりにする」

悪者「…王様に伝えといてくれや」


質問者「む…?」


悪者「"公開処刑の時、この国の地下に眠る秘密を人々に知らしめる"…とな」


質問者「なんのことか知らんが、国王陛下のお怒りに触れるだけだぞ?」


悪者「だといいな…」クックッ




ーーーーーーーーーーーー
76 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/07(日) 22:17:31.43 ID:7O6q3Hgx0

ーーーーーーーーーーーー


悪者「どうせ殺すんだろ? 言っても得ねぇし〜」ブラブラ


王「答えないのならば…こうだ!!」


バシバシ!!


悪者「っ…っ!……」



ほぼ無抵抗で何度も鞭を喰らう

だが悪者の顔は薄ら笑いを浮かべる



王「はぁ…はぁ」

悪者「っはぁ…ヘヘッ…一つだけ…教えておくか」ククク

王「フン…所詮盗賊かぶれか…さっさと話せ!」



悪者は息を整え言い放った



悪者「今回の黒幕は…騎士…アイツなんだ」

王「!!」

王「やはりか…! クソ!」





77 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/07(日) 22:25:44.28 ID:7O6q3Hgx0

悪者「アイツも…ここへ連れてこい。俺となら腹を割って話すはずだ」


王「…クッ…! おい!!」ゴンゴン!


ガチャッ


「はっ!お呼びでしょうか」

王「もう一人を呼んでこい!!早急にだ!」


「兵長を…ですか」

王「雑用係にも及ばんあの輩をだ!」


「か、かしこまりました」


ダッ!




悪者「… (上手くやれよな…あの野郎)」

悪者「(でもまあこれで、もう寝返りはしねえだろ)」ニヤリ




78 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/09(火) 01:09:56.09 ID:wBsnJyQK0

騎士「ふぅぅ……」



貧乏ゆすりをして何とか落ち着いてみる



騎士「…裏切り…それとも…摘発?」


騎士「……どうすれば」


ガチャッ…


騎士「…!」

兵士「兵長…国王陛下がお呼びです」


騎士「あぁ…わかった」


騎士「(元より今は罪人…ならば…)」



「ーーーーーーやるしか…ない」





79 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/09(火) 12:50:21.52 ID:03WSLfigO

ーーーーーーーーーーーー




兵士「……」

騎士「…」



城の地下にある牢から、葬式のように出てきた二人

もっとも、それより酷い仕打ちではあろうが



兵士「…兵長」

騎士「……なんだ」


兵士「本当に…あの物の手助けを…?」


騎士「…」



これ以上、部下たちに情を向けられる資格などない


騎士「ああ…その通りだ」


もうこれからは自分の命の為に生きるのだ


騎士「…たった今からな」




80 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/09(火) 12:58:52.93 ID:03WSLfigO

ーーーーーーーーーーーー


兵士「っ…」



騎士「すまない…もう俺は…」


バタッ…


兵士「兵…長…」ガク


騎士「罪人だ…」



この程度の叩き方なら時期に目が覚める

そのときこの兵士はきっと私のことを皆に言いふらすだろう

でも、これでいい



騎士「良いのだ…これで」



騎士は手錠の鍵を奪い、自由を奪い返した


騎士「罪人の武器や服は確か…」



タッタッタッ………

81 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/09(火) 16:25:46.27 ID:276ebkaOO

王「…遅い…何をやっておる!」


悪者「…… (まさか逃げ出しちゃあいねぇよな…)」


王「そうだ…それより貴様、あの男と剣を交えたそうじゃないか」

悪者「…!! あ、あぁあのお芝居ねぇ」ハハハ


王「…何でも商人を襲い品を奪ったのを許せなかったらしいが…」

王「それもあやつの芝居だと言うのか…?」


悪者「フン、それがどうした? (まずい…感づかれたか?)」


王「…あやつは遠方と連絡を取るのは、親類のみだ…それが」

悪者「……」

王「貴様とどう繋がったのか…」


悪者「… (早くしやがれ…! あの野郎!)」

82 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/09(火) 16:51:56.02 ID:276ebkaOO

……グアッ……………ドサッ



悪者「…!」


王「む? 来よったのか?」



コンコン



王「よし…貴様も早くここに」カチャッ


騎士「…申し訳ありません」

王「!?」ドスン


完全装備をした騎士を目にして、王は思わず尻餅をつく


王「なっ、何故貴様は…!?」

騎士「…私は、あなたを信じていました」

騎士「ですが…どうやら変わらなければなりませんね」


王「貴様ぁぁあ!!!」


83 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/09(火) 17:05:13.82 ID:276ebkaOO

王「うぁああ!!」ブゥン


闇雲に鞭を振り回す

しかし、騎士は子どもの縄跳びに混じるかのように王に近づく


騎士「しばし、ご休息を…」


ガン!…


王「うっ…」


ドサッ…


騎士「…はぁ」

悪者「ヒューゥ、かぁっくイイねぇ!」


騎士「……いま鎖を…」

悪者「どーれ、よっこいしょ…」スタッ


騎士「!?…さては図ったな!」

悪者「は?…最終確認だよカ・ク・ニ・ン」


騎士「なに!?」


悪者「…ホントに俺の話を信じたのか…な」

騎士「くっ…」

悪者「この程度なら、縄脱けくらいで何とかなるもんだぜ?」ハハッ



騎士はこの男のあくどさに呆れつつもあった




84 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/09(火) 17:14:13.62 ID:276ebkaOO

〜〜〜 牢屋にて 〜〜〜


悪者「お前は城のなかに詳しいだろ?」

悪者「俺がお前を呼ぶ。したら兵をふりきり武器やら取り返してこっちまで来やがれ」


悪者「なにぃ?…今さらあいつを信じるのかよ…」


悪者「兵士どもはお前の信頼も厚そうだし、以外と信じてくれるんじゃねぇか?」


悪者「…ああ、いいぜ? もしここでまず俺が呼ばれなかったらおとなしく死んでやる」

悪者「だか呼ばれたら…いまのことを実行しろ…いいな?」



…………………………………………


バァン!


悪者「ほうら…お出でなすったぜ?」ケケケ



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
85 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/09(火) 21:50:18.03 ID:yXmqOtM8O

……ッタッタッタッ!


騎士「はぁッ…はぁ」

悪者「どっちだ!?」


騎士「確かこの辺は古い排気口があるはず…」


悪者「さっさと思い出せ!!」



「あそこだ!! 捕まえろ!!」

「応援を要請しろ!!」



騎士「くっ…こっちだ!」ダッ


悪者「ったく頼むぜ〜?」ダッ



せっかく逃げ出しておいて捕まるわけにはいかない

出口まで一目散に城内を駆け抜ける





86 : ◆a/I.AxtdmY [saga ]:2014/12/09(火) 22:01:37.61 ID:yXmqOtM8O

悪者「あれか?!」

騎士「…!! 早く進め!!」



「どこへ逃げた!?」

「国の入り口を封鎖しろ!! 一人もも外へ出すな!!」


タッタッタッ………


騎士「…っ…」ゴク

悪者「……ふぅ、なんて数だい…」


騎士「ここから下水道まで行き、外へ出れば…樹林の付近に出るはずだ…」

悪者「おっ…乗ってきたか?」ヘヘ


騎士「フン…貴様のためではない。己の為だ」


悪者「あーら偶然、俺も俺の為にしか生きたことねぇや」ハハ


騎士「…外道め!」



光の入らないホコリだらけの通路を進むと、少し広い通路に出る




87 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/09(火) 22:46:27.02 ID:2wSwklzxO

悪者「おぉ臭せえ…」


騎士「昔は機能していたが…王が街の整備に目を向けなくなってから…」

悪者「愚痴は出てから聞いてやるって」ケッ



異臭を放つ暗い道

わずかに漏れる光と水の音だけが聞こえる



騎士「まぁ…今はそれが幸いしているな」

悪者「…この中で外への出口がどれだか分かるのかよ?」


騎士「一番奥にある物だ。すぐわかるはずだ…」



外からの光がそれぞれの出口から入っている

今、頼れるのはそのいく筋かの光である


88 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/10(水) 08:20:12.08 ID:Z3k9oiHzO

しばらくして、悪者も口数が減ってきた頃



騎士「……」スタスタ


悪者「…! 止まれ!」ガシッ

騎士「なっ」

悪者「シッ!…何かいるぜ…」


騎士「…?」



悪者の視線の先には、うめき声のようなものを上げる何かがいた



悪者「… (人か…? 何故こんなところに……)」


??「ウゥゥ……」

騎士「獣型のモンスターじゃないか?早く倒して先に…」



…………ワセロ……ニク…イ………



悪者「……?」


89 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/10(水) 08:30:33.20 ID:Z3k9oiHzO

??「…ゥア"!!!!」ブゥン!

騎士「!?」


ザクン!!


悪者「なっ!?」



その"何か"は腕を急激に伸ばし、騎士に襲いかかった

間一髪でかわした騎士の横の壁には、"腕だった物"が突き刺さっている



騎士「ッ…! (危なかった…何だこれは…!)」


悪者「…コイツ…どっかで…」

??「……クワセロ…ハラヘッダ……」ギロッ


悪者「(やはり…人間だ)」



90 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/10(水) 08:40:57.69 ID:Z3k9oiHzO

騎士「何をしている! 斬りかかれ!!」

??「グウォア!!」ブン

騎士「ふっ!」サッ


ガシャアァァン!!



騎士「俺が囮になるとは…クッ…」


悪者「(何か言っやがる…よく聞き取れない…)」

騎士「寝ぼけているのか!!!」

悪者「はっ…! クソッ…!」ダッ



スパンッ


??「ウィイイィィ……ムアァァ…」シュウウ



悪者は綺麗に胴体を二分した

しかし、斬り口から徐々に再生していく



騎士「何だ…これは…!」



91 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/10(水) 14:36:08.50 ID:TPKlDK9KO

悪者「…! やっぱり…」

悪者「おい!! 出口まで走れ!!」


騎士「し、しかし…!」


??「…ァァアア!!!!」ダッ


悪者「黙って走れ!!」



不気味なうめき声が響きわたる

騎士は戸惑いつつも走り出す



悪者「くっ…!(日が暮れる前に出れるか…?)」ダッ


ーーーーーーーーーーーー


92 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/11(木) 17:49:31.54 ID:IzhW6rm1O

騎士「あそこだ!!」


薄く光が差してきているが、草木などで塞がれている

川に繋がっているのか水の音も聞こえる


??「ガァッ!!」ガシッ

騎士「うわっ!!」


ドゴォン!!


悪者「チィッ…! ウスのろまが!」


??「…ウゥ…イダダク…」アーン



捕まった騎士は、「これまでか…」と諦めかけた



悪者「ゥォおらアア!!」ブン


ズバンッ!


??「グゥゥ…アトチョッド……」ギリギリ

騎士「…く…」


悪者はソレの腕を断ち切った


93 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/12(金) 08:54:47.75 ID:HVyi6b8VO

悪者「おい!! 外への穴を開けろ!」

騎士「わ、わかった…」フラッ


??「アァァァァア!!!」



無我夢中で草木を掻き分ける

うなり声はすぐそばまで来ている



バサァッ!!


騎士「よし! 早く外に逃げ…」



ピシッ……

94 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/12(金) 09:22:50.08 ID:HVyi6b8VO

??「ウゥゥ…ウァ?」シュウウ


悪者「…こんなところに…」



強い光に当たると、ソレは突然白い煙をあげて消えはじめた



悪者「闇の…研究が……」

騎士「な…消えていく…?」


??「ア…ァ……」ジュウウ



しばらくすると、跡形もなく消え去ってしまった



悪者「…… (もう既に犠牲が…)」





95 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/12/12(金) 12:11:31.00 ID:jt6GTvU5O
96 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/13(土) 00:23:48.81 ID:DU6tgQwuO
ーーーーーーーーーーーー


騎士「…説明をしてもらおう」

悪者「…チッ…」



森林への見事脱出に成功した二人

しかし、尚も重々しい空気が続いていた



悪者「…前に見たことがあった…それだけだ」

騎士「それだけで何故弱点まで知っている!」


騎士「それに…さっきは…!」

悪者「…あ?」


騎士「… (何故俺を助けたんだ?…自分だけ逃げられたはずだ…ましてやコイツが…)」

騎士「いや……黒い獣のような…あれは何だ?」


悪者「…あのクソみたいな闇の研究…あれの産物だ」

騎士「牢屋での話か? あれは兵器開発と言うことでは…」

悪者「兵器だ」

騎士「…?」


悪者「…詳しくは落ち着ける場所を探してからだ」





97 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/13(土) 11:35:58.67 ID:1HQlVIFpO

ロング「…やっと来た〜。二人そろって遅刻ね」フフ


ロング「えいっ」スッ



少女は木の枝を魔術で飛ばした

かなりの距離を飛び、それは悪者の頭をコツンと鳴らす



悪者「…ん?」



枝は突然生き物のように動きだし、器用に文字を書き始めた



騎士「む…追っ手か?」ジャキン

悪者「…」

騎士「これほど器用に文字を書けるほどの遠隔魔法を…何者だ」


カッカカッ…カッカッ…


悪者「いや…待て」



"南西の山道より追っ手あり 東に山を登ると美 少女の歓迎あり"



悪者「……しゃあねぇ。またカクマって貰うとするか」

騎士「…??」

98 : ◆a/I.AxtdmY [saga ]:2014/12/13(土) 17:54:02.76 ID:BFGQD0qkO

〜〜〜〜〜〜 王国 〜〜〜〜〜〜


王「それで…逃したのか…?」


代理兵長「はっ…及ばずながら…」


王「……ふざけるな!!!」バン!


兵士達「!!」

代理兵長「し、しかし、まだそれほど遠くには…」


王「それではいかんのだ!!」

代理兵長「…はっ…」


王「…くっ… (今は城を空けるわけには…!)」

王「もうよい!!下がれ!!」


兵士達「……」

代理兵士「はっ…失礼いたします…」スッ


王「…はぁぁ…」イライラ


研究者「まあ…そうカッカなさらずに…」

王「…! 聞いておったのか…」

研究者「あまりに大声が聞こえたもので…つい」クス






99 : ◆a/I.AxtdmY [saga ]:2014/12/13(土) 18:45:53.41 ID:bq/7DsNhO

研究者「何でも…騎士さんが盗賊と駆け落ちしたとか…」クックック


王「あのデクの棒め…! 少し剣技が上手いからと兵長に任命したが…しくじったわい」


研究者「なに…もうすぐにでも完成致しますよ…」

王「!…本当か!」


研究者「ええ…この国単位ではなく、世界の国々を従えられる"力"を…手にできますよ」


王「うむ。しかし…あやつらが他の国に知らせたら…」


研究者「フフ…。彼…盗賊さんはきっとこの力の意味を知らないでしょう」

研究者「どこで仕入れた情報か知りませんが…普通の人間があの力に触れれば…」

王「……」


研究者「…少なくとも今は人の形をしていないでしょうね…」クックッ


王「では…」

研究者「ええ…普通は見たものは消されるか…暴発して死に絶えます…つまるところ彼は…」


研究者「数年前の"あの村"での災厄を知るもの……もしくは」

王「もしくは…?」


研究者「… (あの子供…唯一力を制御できた人間…)」

研究者「いや…何でもありませんよ」フフ


100 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/13(土) 18:58:40.97 ID:bq/7DsNhO

〜〜〜〜〜〜 山道 〜〜〜〜〜〜


騎士「…む、あの娘…」


ロング「おーい! こっちこっち〜」フリフリ


悪者「チッ…ホントに居やがったか」



少女が二人のもとへ駆け寄る



ロング「あら、騎士さん。良かったですね見つかって!」ニコ

騎士「…君は…こうなる事を知っていたのか?」


悪者「あー、そいつと話さない方がいい」

ロング「何よ〜。嫉妬してんの〜?」クスッ

悪者「テメエと話すと胸がムカムカするんだよ!」

ロング「ひどぉい。目的を手伝ってあげたのに〜」シクシク


騎士「まさか…グルだったのか?」


悪者「だーれがこんな奴と組むかよ!!」


ロング「おばあちゃんにサトされて思わず心動かされちゃった癖に〜」プッ

悪者「テンめぇはぁぁあ!!!」ブン


スカッ


ロング「わー危なーい。アハハハハ」ケラケラ


騎士「… (仲がいいな…この二人)」







101 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/13(土) 19:06:39.07 ID:bq/7DsNhO

悪者「チッ!…オラ、とっとと案内しやがれ」


騎士「な、ちょっと待ってくれ。どこへ行くんだ??」


ロング「私のお家よ?」ウフフ

悪者「なっ…国からちけぇだろ。追っ手がカクマってねぇか聞いてくるぞ?」


ロング「フフッ…その点は大丈夫よ」

ロング「あの小屋におばあちゃんがちょっと細工をしてあるの。来ればわかるわ」

悪者「…ったく。頼むぜ?」


やや賑やかな会話を挟み、以前悪者が訪れた山小屋へ向かう

―――ただ一人の疑問を残して



騎士「な…?え…??」




102 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/14(日) 19:10:16.77 ID:4xpuPTl3O

ロング「…この辺ね」



木々の目の前で立ち止まる少女に騎士は問いかける



騎士「…何にもないぞ?」

ロング「…待ってて」スッスッ


悪者「さっさとしてくれ…疲れてるんだ… (魔方陣か…?)」



木の一部に持っていた針のようなもので削ってゆく

さらさらと描き上げると、少女は目を閉じた



ロング「よっ…と」ググッ


メキッ…メキメキッ…


騎士「!! (これは…!)」

悪者「…んだこりゃあ…」



ねじれてゆく木は、やがて家の形に変形していった




ロング「ほら、これならバレないでしょ?」


悪者「…」

騎士「(何という魔術…この少女はいったい…)」




103 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/14(日) 20:51:00.38 ID:6Wz5GfAr0

〜〜〜〜〜〜 小屋 〜〜〜〜〜〜



占い師「よく来なさったな…若き騎士よ」


騎士「いや…はぁ…」


悪者「…で、何でまたここまで連れてきたんだ?」


占い師「ホッホッホ……分からぬか?」


悪者「ここが安全とは思えねぇ…例え隠れているとしても」

占い師「まぁまぁ…先にそこの騎士さんに状況を説明してやらなくては…」


騎士「そ、それはありがたい…是非頼みます」


ロング「私から簡単に言うわ。おばあちゃんが話すと長くなっちゃいそう」


占い師「ううむ、仕方ない…任せよう」





104 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/14(日) 21:09:12.47 ID:6Wz5GfAr0

彼女の説明はとてもまとまりがあり、ものの数分で騎士をうなずかせた



ロング「まあ、つまり貴方は私とこの人の被害者って訳ね」

騎士「なるほど…確かに」


悪者「んまぁ、何でもいいけど…ここに来た理由には繋がられねぇぜ?」


占い師「それは…ワシから話させてもらおう」

占い師「どれ…よいさっと…」スク



占い師はとても重そうに腰をあげた

その時支えに使った杖が、騎士には少し気にかかった



騎士「ん…? (気のせいか…見たことのある形だ)」


占い師「ふむ…」ヒョイ

占い師「……これでよし。扉を開けてみなさい」


悪者「何だぁ? 子供騙しは効かねぇぞ?」


ガチャッ…


悪者「…?」



出た先は山の中だった

しかし、ある異変に気づく





105 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/14(日) 21:28:43.94 ID:6Wz5GfAr0

悪者「ここ…俺が最初に通った道じゃ…!」


占い師「この小屋はの…あの国を囲むすべての山のどこかに、入口があるのじゃ」

悪者「(そうだ…二回目に来たときも…)」



悪者は今までの景色を思い出してみる



悪者「(…この小屋に気づいたのも"小屋本体"を見たらじゃねえか?)」


ロング「…少なくとも、あなたは3ヶ所の入口を知っている事になるわね」

悪者「…最初に近づいたとき、人の気配なんか有りっこなかった…」


占い師「…入口は1ヶ所にしか出ない。それ以外は空き家のような物じゃ…」

占い師「外からは、鍵となる"魔術式"を知るものしか"ここ"には入れん」


騎士「何と高度な…あなたはどこかで高位魔導師を…?」


占い師「なぁに…年の功じゃよ…」ホッホッ

ロング「じゃよじゃよ〜」アハハ


悪者「… (そんな簡単な魔術式だったかよ…)」





106 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/14(日) 21:49:32.79 ID:6Wz5GfAr0

話も切りがよくなり、騎士は題を移した



騎士「ところで…そこの盗賊が"闇の研究"について調べている事は、お二人はご存じで?」

悪者「誰が盗賊だオラァ… 俺にだってちゃんとした名前があんだよ」


騎士「あぁ、悪者…だったか? 牢屋で耳にしたが…まぁそれはいい」

悪者「…チッ…」



実のところ悪者も、この話題になることを望んでいた

一旦退くことにしたようだ



占い師「ワシらは勿論、この男…そして、この男に話をした"者"もこの国の研究を知っておる」


悪者「…! 知ってるのか、アイツを…」

占い師「ホッホッ…ワシは占い師じゃぞ? …まぁ、それとは別に知ってはおるがの…」




悪者が情報をつかめた理由


自らの悲劇からいく年か経ち、ある噂を聞きつけた悪者は、一人身でそこへ向かった



――――――――――――――――――
――――――――――――――――――


107 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/15(月) 17:23:12.64 ID:Ud/qyyUwO
――――――――――――――

悪者は自らの運命を壊した者を探す旅に出た

しかし、孤立しかけていた村で育ったため地理にも乏しく、ある洞窟に迷いこんでしまった




悪者「う…イテテ…ここは…?」



洞窟の穴に落ち、気を失っていた悪者

そこはかつて"竜神"という、人の思考を持ったモンスターが居た所だ



悪者「…? 何だ…この地面…」


グニュッ…


悪者「うわっ!?」


《騒がしいぞ…小僧…何の用だ》

悪者「っ…!だ、誰だ! どこにいる!!」ジャキン


《お前の下に死んでいるだろう…》


悪者「なっ…そんなわけッ…」


《はぁ…仕方あるまい。しばし待たれよ》



スゥーッ………


悪者「(な、何だ…意識が…)」フラッ













108 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/16(火) 13:01:18.42 ID:yS4UOAGMO

悪者「…ん…っ!?」


竜神『…これでよし…さあ小僧、何の用だ?』

悪者「なっ…ここは…?」



いつの間にか椅子に対面して座っていた

目の前の小さなテーブルには暖かそうな飲み物がある



竜神『…ここは私が作った"仮想現実"だ』



どこか気品のある男が語りかけてくる

その声は先ほどのものと同じだ




竜神『ここに来る者は皆、何か使命を負ったもの…そして何かを求めている』

竜神『お前は…何を知りたいのだ…?』


悪者「…俺は…」


「――――を探している」



――――――――――――――――
――――――――――――――――


109 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/16(火) 13:16:41.32 ID:yS4UOAGMO

騎士「……」

ロング「何を…探しているって?」


悪者「知らん…忘れた…」


占い師「その者は神の一種じゃ…その名を」

騎士「"竜神"…」


占い師「ホッホッホ…名前まで聞いておったのか」


悪者「リュウジン…?あの幻術使いのおっさんがか?」


占い師「世界における"使命を課せられた者"だけが、その姿を知る…」

占い師「そして…その者の願いを叶える。が……」


騎士「が…?」




占い師「その者は…願いを忘れ、"使命をまっとうする意志"だけを持たされる…」





110 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/16(火) 17:12:08.40 ID:lSshqSvnO

ロング「どうやら二人とも会ってるみたいね…竜神さんに」


悪者「…お前も…会ったのかよ」

騎士「…兵士になる前に、物凄いモンスターに出会った…倒した記憶は愚か」


騎士「竜神に訊かれて言った願いも…覚えていない」


騎士「俺が覚えているのは…自分の産まれ故郷が何者かに"破壊"されたことだ」


悪者「…チッ…」

ロング「……?」


占い師「竜神とは…いつ頃会ったのじゃ?」


騎士「4年前か…そこらかと」

占い師「ふむ…ロングや、悪者さんと席を外してくれやせんか…」


悪者「ぁあ?…何で今さら」

ロング「ほーらいいからっ!外に出る!」



バタンッ!



騎士「いったい…何が起こっているんですか?」


占い師「…真実を知れば、今までの過去を疑う事になるじゃろう。覚悟して聞くとよい…」


111 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/16(火) 22:41:11.34 ID:Kg9U+NprO

今の騎士には信じられないこと

自分の背負った運命

そして


あの悪者との関係



騎士「伝説やおとぎ話でしか聞いたことがない…」


占い師「竜神はこの世界を調和するために存在する者…」

占い師「つまりは人の前に現れたということ…これは重要な事じゃ」


バタンッ…


悪者「おう、便所借りんぞ」


騎士「(アイツと俺が…世界の運命を握っている)」ジー

悪者「…あんだよ。文句でもあるってのか?」


ロング「行くなら行く!」グッ


悪者「うわっ!分かった!や、やめねぇかこのくそアマ!!」スタスタスタ



112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2014/12/17(水) 14:10:36.22 ID:FP9SQ2ZrO
いいねえすごい好きな展開だわ
113 : ◆a/I.AxtdmY [インフルってしまった >>112 サンクス]:2014/12/18(木) 08:28:42.01 ID:hYR+F9AmO
〜〜〜〜 外 〜〜〜〜


ガチャッ


悪者「ふぃー…スッキリしたぜ」


ロング「お帰り〜」

悪者「へいへい。…ん、何だそれ?」


ロング「あ…これ?」



少女は不思議な色の石を握っていた

その色はどこか懐かしいような暖かいような

不思議な色



ロング「大切な人に…貰ったんだ」


悪者「…そんな石ころよか、飯の方が良いだろうに…」


ロング「…ううん…これがいい」ギュッ


悪者「前から思ってたけど…」

ロング「…?」


悪者「やっぱ薄気味悪りぃな、お前」


ロング「…あっそ〜」















114 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/18(木) 09:04:49.39 ID:5THFmyGkO

〜〜〜〜 小屋 〜〜〜〜



占い師「よし、二人とも揃ったかのぉ?」


悪者「見りゃわかんだろ? それとも見えねえのか?」

騎士「……」


悪者「…はぁ…んで、何だよ」


占い師「明日の朝、再び城に向かい…"凶兆"を叩くのじゃ」


悪者「マジかよ…今の城の警備で行くのは、ちょっと狂ってると思うぜ?」


騎士「それに…追っ手が来ないと言うことは、ほぼ全ての兵が城を守れと命ぜられてるはず…」


ロング「そこで、私に考えがあるのよ」


悪者「また囮みてぇな事でもすんのか?」ヘッヘッ


ロング「……」


悪者「…ぁ、ぁあ?」




作戦が告げられ、全員が寝床に就く


115 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/19(金) 09:23:33.21 ID:j9TVA5bIO

キィィ…


騎士「…あ」


占い師「おや…眠れんのか?」


騎士「…いや…」


占い師「……今まで国の一員だった者にとって厳しいのは分かる…じゃが…」


騎士「……竜神に会ったとき、夢だと思っていました」

騎士「しかしその頃から…国の全体像が歪んで見え始めたんです」


占い師「うむ…運命には逆らえん」


騎士「分かっています。あの……ところで」


騎士「あの少女は…どういう…」


占い師「…気になるかね?」



116 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/19(金) 12:22:50.31 ID:FDqVFHGPO

占い師「あの娘の住み処は…"闇"に襲われたのじゃ」


騎士「それって…まさか!」


占い師「…そなたの村かもな……じゃが、あの研究による被害は数えきれん。もしかすると…」

騎士「……」


占い師「……ふむ…」

騎士「…え…と」


占い師「まあ、あの娘はその生き残りじゃ…」

騎士「そ、そうですか…」




死角になる壁に寄りかかり話を聞いていた

他人事に思えず男は顔をゆがめた



悪者「……」




生き残りなど考えられない惨状だった

やはり繋がる人間は――――いない

――――はず




117 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/21(日) 11:41:31.02 ID:yYBVI7v5O

占い師「普通は…あの被害では生き残れん…」

占い師「じゃが…恐らく、それがあの娘の力の現れだったのかもしれんな」


騎士「…何か特別なものが?」


占い師「いいや…特別なものなどではない」


占い師「記憶・判断・想像…どの部類においても、異常な発達を見せている…」

騎士「じゃあ…いわゆる…」


占い師「うむ…"天才"と呼ぶべきであろう」




悪者「…… (異常過ぎるとは思うがな)」




占い師「ワシの魔術書を、小さい頃に面白がって見ていたのじゃ…」

占い師「どれ…この辺に」ヒョイ



スゥーッ…パサッ



騎士「なッ…こんなものを? 私ではとても…」


占い師「最初は子供なりに遊んでおるのか…そう思っておった」




118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2014/12/22(月) 02:11:21.24 ID:pGvGfgIq0
119 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/22(月) 21:03:10.99 ID:tjPLpTu8O
――――――――――――――
――――――――――――――



幼「……」ペラッ


幼ロング「…ねぇ、おばあちゃん」


占い師「何じゃね?」

幼ロング「このあかいとこ、"アブないから使うな"っていみ?」


占い師「ふむ…その通りじゃ。お前は頭がいいのぉ…」


幼ロング「えへへ……。でも、こんなにかんたんに使えるのに、何であぶないのかな…」


占い師「ん…? 使えるではなく"読める"の間違いではないのか?」


幼ロング「ん〜…おばあちゃん、ちょっといい?」

占い師「む…?」




ググッ…グイッ




占い師「…っ!?」バタバタ

幼ロング「よっ…アハハッ」ニコ




スタッ




占い師「っ……な、なんと…」ハァハァ


幼ロング「…大丈夫?」


占い師「…ロングや…少し話をしようか」



――――――――――――――――
――――――――――――――――

120 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/25(木) 14:22:27.72 ID:uPTOGf6bO

占い師「あの娘にはとんでもない力が眠っておる…しかもそれを制御するだけの頭脳も…」


騎士「…なるほど、それは騙される訳ですね」ハハハ


占い師「ホッホッ…そうじゃったな」




悪者「… (チッ…情けねぇ)」




占い師「…じゃが、あの娘は過去に恐ろしい目にあった衝撃で…少し記憶が消えておる」


騎士「……」


占い師「悲しい記憶は心を乱す。良かったら、目を配っておいてくれ…」


騎士「…はい」



悪者「… (戻るか…)」サッ





121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2014/12/26(金) 01:18:53.86 ID:0X940hg30
122 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/27(土) 10:02:12.62 ID:4cRredlrO

寝床へ帰る途中、少女の顔が目に入った



ロング「…」スヤスヤ


悪者「……」




どうにも性に合わない

でも、何か繋がる部分を感じる

悪者は過去の自分と重ねてしまった




悪者「…はぁ…」


ロング「ヘックシ!」


悪者「…けっ、誰かに噂されてむず痒いか」ハハ




孤独に生きてきた

それが今は、くしゃみひとつで笑ってしまう


少し暖かな夜がふけていく



123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2014/12/27(土) 22:14:02.19 ID:t0uYOLj50
124 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/28(日) 23:29:00.09 ID:9tqrHwdvO

〜〜〜〜 城の地下室 〜〜〜〜



研究者「…これで、だいぶ集まりましたね…」フフ


人間の山「」グチャァ


研究者「…それにしてもあの連中…少々気になりますね」

研究者「まあ来たところで、"彼ら"の一員になるのでしょうけどね…」



王「」クタ



研究者「フフフ…ねぇ、国王陛下?」


研究者「明日の朝には…素晴らしい力を手にいれますよ?」



研究者「…"闇"の力を…ね」



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜








125 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/28(日) 23:39:03.37 ID:9tqrHwdvO

朝日が昇ると、悪者は王国の門の前にたどり着いていた



悪者「…チッ…気に食わねえけど、効率は良いしな」

悪者「俺が一騒ぎ起こせば充分だろ」




そこには門番らしき者たちがいる

悪者は遠くから声をかけた



悪者「おーい、おはようさーん!」フリフリ


門番1「なっ…?!お、おい!応援を呼べ!!」

門番2「よし、行ってくる!」ダッ



悪者「はぁあ、間抜けみたいじゃねえか…」


門番1「くっ…何の用だ!!」ジリジリ


悪者「… (こいつらも大概だがな)」





126 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/30(火) 15:42:04.09 ID:SUySnoYcO

悪者「いやぁ、ちっと忘れ物しちまってよ…」


門番1「ふ…ふざけるな!! 貴様には殺してもいいと命令が出ているのだ!」

悪者「…ん〜…そりゃあまずいな…」ポリポリ


悪者「… (マジでコイツら殺さずに戦えってか?)」チラッ



しげみから騎士と少女が目を光らせる



ロング「…めッ…」バッテン


悪者「…あ〜、兵は城の前に居るのか?」

門番1「だ、黙れ!!誰が言うものか!」




騎士「…やはり…ここは任せて逆側から」

ロング「いいえ、ダメよ…」


「逆側の門を閉鎖しろー!!」


騎士「うむ…」

ロング「必ずスキはできるわ…」

127 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/30(火) 16:03:25.03 ID:SUySnoYcO

悪者「…あ〜、そんじゃあ…どけ」ダッ

門番1「クソッ!とりゃあ!」ブン!


…サッ…

ドゴッッ!!


門番1「グはっ!……ここは持ちこたえねば…!」ヨロッ


悪者「チッ…さっさとしやがれ…」



門番2「はぁッ…はぁ…」ゼェ


悪者「…一人じゃん」


門番2「し、城から応答がない…門の回りの兵で食い止めるしか…!」


騎士・ロング「…!?」


門番1「くっ…見張り台も降りてこい!」ガシャン



悪者「…よくわかんねぇけど、こんくらいの人数なら…」ポキポキ

悪者「…手加減効くかは知らねえけどよ!」ダッ



騎士「またと無いチャンスだ!今の内しかない…!」

ロング「……」


騎士「…どちらにしろ、乱戦は避けられん」


ロング「…ええ、そうね。行きましょう」




二人は、悪者が兵たちの目を引いたスキに王国内に入り込んだ




128 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2014/12/30(火) 21:46:42.75 ID:tiY6Rk+8O

……ワヤワヤ………ゴウトウガ……カエリマショウ……



ロング「…今よ」


騎士「よし…」スタスタ


ロング「…」グッ



トントン…



野次馬「んっ?」クルッ

野次馬「…あれ?今誰か…」キョロキョロ




騎士「皆…気づかないのか?」

ロング「…待って」


騎士「…」



おばちゃん「やぁねぇ…あの騎士さんもいないんでしょう?」

オバサン「そう言われれば、お城から誰も出てこないわねぇ」


おばちゃん「最近の国王様、何かへんよねぇ…」



ペチャクチャ…………ネェー……………………



ロング「……後は頼むわね」


騎士「…」コク




城の前に兵士がいない

先程の騒ぎに駆けつけたのか


――――あるいは


129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2014/12/31(水) 02:21:10.84 ID:i1Cg6NWs0
130 : ◆a/I.AxtdmY [あけおめ]:2015/01/01(木) 00:08:36.90 ID:04C46ad9O

…………スタッ…



騎士「…?」キョロキョロ


騎士「(誰もいない…気配すら…しない)」



騎士「…こっちの角の方だと言っていたな」




不気味な静けさの城内

目指すは"隠された扉"



騎士「… (おかしい…兵たちはここに居なければどこにいる)」


騎士「…ふぅ」グッ




手汗が剣の柄ににじむ

慎重に。慎重に




131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage ことよろ]:2015/01/01(木) 01:48:16.08 ID:043DiQ/W0
132 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2015/01/03(土) 15:13:17.51 ID:EyYMswxOO


騎士「…これか…」



普段は誰も通らないような場所

古ぼけた扉はこちらに姿を見せた



騎士「…よし」



ガチャッ…



騎士「…っ!? ゴホッ…オホッ…」



突然として異臭が鼻をつく



騎士「クッ… (この臭いは)」


騎士「…(動物の死骸…?)」



謎の異臭の正体

歩みを進めるとそれが何か分かった



騎士「これは…!」



大量の剣と鎧が散乱している



騎士「誰がこんな…まさか、国王陛下が…」



「やあ、よく来たね」


騎士「っ!?」バッ


研究者「いらっしゃい」クク




133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/01/04(日) 11:32:32.40 ID:7LxVbCUW0
134 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2015/01/05(月) 12:02:33.22 ID:QI3727hDO

〜〜〜〜 城門付近 〜〜〜〜


門番1「っ…あっ…!」ガクッ



ドサッ…



悪者「ふぃー…これでよし」


悪者「どれ、手助けに向かうか」


ロング「急いで」

悪者「うぉっ、そこにいたのかよ…」


ロング「何かおかしいわ…この城全部が」


悪者「それを探りに来たんだろ? テメエらしくねぇなぁ」ケケ


ロング「…とにかく、行くわよ」



悪者「…チッ…なんでぇ…」



周囲の怯える目を浴びながらも、二人は急ぎ足に城に向かった



135 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2015/01/06(火) 12:28:02.67 ID:pdVS82mDO

〜〜〜〜 地下室 〜〜〜〜



騎士「貴方は…研究所の…!」


研究者「おや、犯罪者殿に知られているとは…嬉しいものですねぇ」フフ


騎士「…なぜ、こんな真似をした…」


研究者「…なぜ?」

研究者「そこにいる"お方"が、力を望まれたのでね…」



王「…ウゥゥ…」



騎士「…!? 国王陛下!?」


研究者「国一つだけでは物足りなかったご様子でねぇ…」

研究者「"この力"がふさわしいかと…」クックッ



威厳のあった姿も、今は獣のような唸りを上げ檻の中に閉じ込められている



騎士「…国王陛下の様子がおかしくなったのも、貴様のせいか!」グッ
136 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2015/01/06(火) 15:19:04.71 ID:rWhBObCHO

研究者「…少なくとも今はね」フフフ


騎士「こんなことをして…何をするつもりだ!」


研究者「ここまで来たら、分かるだろう?」

騎士「……」


研究者「単純なことだよ…」



研究者「…この弱々しい世界を支配する為。それだけさ」


騎士「くっ…!」


研究者「丁度いい! 君が"こいつら"の実験台になってもらおうか…!」



兵士達「…ヌァァア…!」ゾロゾロ



騎士「ナメるなよ…これでも兵達を従えてきたんだ!!」



内心は震えている

前人未到の力を前に、一人で戦い勝てなければ


――ただ犯罪者としての"死"あるのみ


137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/01/07(水) 01:06:16.63 ID:ySDywPFR0
138 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2015/01/07(水) 08:30:48.49 ID:EbTGZ9BsO

兵士「…ギィィイィィ…!」ブン!


騎士「…ハアッ!」



スパッ!



兵士「ウブワァァ!…ガァァ…」ブシュッ

騎士「ん…っ!?」



シュルルッ…シュゥゥゥ……



騎士「こ、こいつは…あの時の…!」


研究者「おや…この力をご存じとは」フフ

研究者「でも、残念ながらここは特別頑丈でねぇ…光は届かんのだよ」クックック


騎士「っ… (やはり、脱獄したときの…)」


研究者「この力の真髄を見るがいい…!!」




139 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2015/01/07(水) 08:57:46.78 ID:EbTGZ9BsO

〜〜〜〜 城内 〜〜〜〜



悪者「…なんだこりゃあ…」


ロング「……」


悪者「おい、どうなってやがる」

ロング「…した」


悪者「ぁあ?何をしたって?」


ロング「下の方に…何かいる」

悪者「下って…そりゃあオメェ地下室だろ?」



少女の顔にいつもの余裕が見られない



悪者「それよかこの城の守りはどうなってんだ?」


ロング「恐らく…内部に反逆者がいたのね」

ロング「それに魔力の制限も…かかってない」


悪者「おっ、ラッキーじゃんかよ!」


ロング「ええ… (そこまでの内通者…?)」



140 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2015/01/09(金) 08:24:27.93 ID:4OHv5O9ZO

〜〜〜〜 地下室 〜〜〜〜



騎士「はぁ…はぁ…」


兵士達「…ァァアアァ」ゾロゾロ


騎士「ッ… (何故死なない…!首だけでも再生するなんて…!)」



研究者「クックッ… (この力の真髄…)」


研究者「… ("生命力、活力は死からの距離に反比例する")」



騎士「はあっ!!」ブン


スパンッ!!


兵士「グゥァア…! ゴロ…ス」ブシュウ




研究者「フフ… (そして、より強い"闇の力"の持ち主に服従する…)」


研究者「フフフ…ハッハッハ!」




141 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2015/01/12(月) 00:34:27.53 ID:3qQ2uvsYO

〜〜〜〜 地下室前 〜〜〜〜


ロング「…これね」


悪者「あぁ、これで間違いね…ぇっ!?」ビク


ロング「…?」




突然顔色を変えた悪者に、少女は思考を巡らせる



ロング「…隠し事はやめてよね」


悪者「あぁ? 少し古傷が痛んだだけだ」

ロング「……」


悪者「ボーッとしてる暇はねぇだろ!…行くぞ」


ロング「ん…」コク


悪者「… (またこの感覚…何で大事なとこで…!)」




むず痒さのような感覚を抑える悪者

しかし、今の少女は扉の先への意識が強い


悪者の異変の原因を理解できないままでいた

142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/01/12(月) 04:34:02.80 ID:gPnqEXXf0
143 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2015/01/12(月) 12:22:55.49 ID:3+KxC1rnO

ガチャッ……


騎士「ぐはぁっ!!…うっ……」ドサッ


悪者「なっ…」

ロング「!?…何よあれ…」



大量の兵士がひしめくなか、一人の男が話しかける



研究者「やあ、遅かったね。"犯罪者"殿」クックック


悪者「んだテメェは…?」


研究者「…今から消える者に答える義理は無いですね」


悪者「…よくわかんねぇけど、ぶっ殺す!!」

ロング「任せて!」グッ


研究者「…おやおや、呪術ですか?」グイ

ロング「!?」



目の前で軽い体操をして見せる男



研究者「…私はこの力そのものを身体中に巡らせている」


少女「…この人たちにもそれをしたのね」


研究者「…どうやら君は、見た目とはかけ離れた"中身"をお持ちだ」



144 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2015/01/12(月) 22:00:48.41 ID:5tfxTQbBO

研究者「でも…この力には勝てはしないな」フフ


研究者「…さあ、殺れ」



悪者「…っ!」クラッ


ロング「(きっとある…何か打開策が…)」


騎士「…を…」

ロング「…えっ…」


騎士「…日の光を…ここへ…グフッ……」


ロング「…!」



地下に造られた薄暗い研究所

少女はある結論を導き出した



ロング「この広さなら………爆発せよ!!」グッ


ボオォオオオン!!!!!


研究者「ムゥッ…! (凄まじい威力だ…だが)」グキ



兵士達「ウゥゥ…ァア」ジュゥゥ


研究者「ここの魔力抑制を解錠したことにより、今や"闇の力"こそ最強! 無駄なことだ!」ジュゥ


ロング「…」スゥゥ


ロング「防壁ッ…!!!!」ググッ


145 : ◆a/I.AxtdmY [saga ]:2015/01/12(月) 22:12:05.84 ID:5tfxTQbBO

…ゴゴゴゴゴ!!!



研究者「…!支柱を!」


ロング「…ッ… (最大限に上方へ開けば、外まで届くはず…!)」


騎士「さすが…だ」ニコ


悪者「っ…あっ…!」フラフラ

騎士「…?」グッ



悪者のもがく姿が目に入った騎士

敵からの攻撃を受けたようには見えない

かろうじて立ち上がる騎士



騎士「…っ…どうした…何をそんなに…」


ロング「気をつけて!!揺れるわよ!!」


騎士「あ…あぁ、分かった」



やがて、城は崩れ始めた

146 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2015/01/13(火) 12:55:30.08 ID:CEwVRJDxO

〜〜〜〜 街の中心部 〜〜〜〜




……ォゴゴゴゴゴ!!




「きゃっ!!」


「…何?なんの揺れ?」



「今…城が傾かなかったか?」

「何言ってんのよ…どうやったらあんな大きな物…」


「ママぁ〜、お城が揺れたよ〜?」


「…お…おい!! 見ろ!!」



ゴゴゴゴゴッ!!

ピキィィィン…………



「城が……」


「何と…崩れおったわい…」


「あの真ん中の白い光…何かしら…?」




147 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2015/01/14(水) 17:05:01.34 ID:oh53oUMPO

騎士「う…ん」


ロング「ふぅ…」



ォオオオオオオオォォ……



騎士「…兵達が…消えて行く」


ロング「あれはもう人ではないわ…諦めなさい」


悪者「…っつあ、痛てて………って、なんだこりゃあ!?」


ロング「あら、もとに戻ってる」

騎士「貴様は…さっき何をもがいていたのだ?」


悪者「あ、あぁ?…チッと古傷がよぉ」


ロング「…取り合えず小屋まで戻りましょう。あの男が下敷きになったとは思えないわ」


騎士「…良かろう」


悪者「…チッ…クソッたれ…」



148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/01/15(木) 00:11:23.23 ID:7ZrYUakf0
乙乙
149 : ◆a/I.AxtdmY [sage]:2015/01/15(木) 00:36:10.25 ID:/czWnY8MO
>>148

いつもあんがとな

こんだけ書いてまだ3割来てないッツ( ´_ゝ`)
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/01/15(木) 13:26:29.51 ID:N6OVQBPno
なんだって
どうみても七割くらいかいてるだろ・・・
151 : ◆a/I.AxtdmY [sage ]:2015/01/15(木) 16:42:28.41 ID:yI8Oe8GdO
>>150


物語の3割←×

スレッドの量←○


相変わらずの説明下手さwww


152 : ◆a/I.AxtdmY [saga ]:2015/01/15(木) 17:22:55.52 ID:yI8Oe8GdO

〜〜〜〜 小屋 〜〜〜〜



占い師「…では、どうなったのじゃ?」


騎士「…兵士達が…皆、その男の手下に…」


ロング「とても不気味だったわ…」


悪者「…チッ…」



占い師「ふむ…どうやら、その男の侵略は"一時的"には食い止めたようじゃな」


ロング「やっぱり…まだ生きているのね」

騎士「あれに巻き込まれてまだ……恐ろしい力だ」


占い師「…して、ロングや…」


ロング「…ううん」


占い師「……そうか、まだじゃったか」


騎士「…?」


153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/01/15(木) 19:41:30.18 ID:7ZrYUakf0
154 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2015/01/16(金) 22:58:00.47 ID:Qzo/yg0MO

ロング「じゃあ、話してもらいましょ?」

騎士「何をだ?」


悪者「…」


占い師「ロング…お前は大方の予想はついておろう?」

ロング「…半分くらいかな?」


悪者「…わぁったよ…見せた方が早そうだな」ヒュル



そう言うと悪者は手袋を外し左腕を晒した

忌まわしき力を受けた兵達と、同じ色の腕を



騎士「…っ!?」

ロング「これ…あいつらと一緒の?」


悪者「…たぶん…いや、ちげぇねぇか」


騎士「しかし…お前はこの国には居なかったはず……」


悪者「……俺は…ガキの頃に、死に至る毒をこの腕に受けた」

悪者「数日も経てば、身体中に回っちまうヤツだったらしい…」



――――――――――――――――
――――――――――――――――
155 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2015/01/19(月) 17:43:51.59 ID:6UTDimewO

悪者父「…何とか…ならないでしょうか…」


??「…方法はありますよ」

悪者父「!!」


??「ただし…少々のリスクと後遺症は残るでしょうね…"アレ"は」




悪者は扉越しに聞こえる声を密かに聞いていた




幼悪者「…こうい…しょう?」

幼悪者「なんだろう…こわいな」


ズキッ!!


幼悪者「ううっ!!」ガク


悪者父「っ!?どうした!?」


幼悪者「だ…だいじょうぶだよ…ちょっといたかった…」


??「…どうなさるんですか?」


悪者父「っ……」



――――――――――――――
――――――――――――――

156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/01/20(火) 18:52:44.16 ID:+YKnLMQp0
157 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2015/01/21(水) 08:29:03.32 ID:wtgl9zqSO

ロング「……」


悪者「俺は生き延びた……でも、死にたいくらいに虐げられた…」


悪者「…この腕を持ったせいで」グッ



力を入れると、それはより黒く光った



悪者「だがな…親父はこの力の正体を知った」

騎士「それが原因で…」


悪者「いや……親父は…」


悪者「この力に…闇に取り付かれやがった」



悪者「周りの奴ら…仲の良かった奴らを殺し、そして…」


悪者「家族までも…!」



――――――――――――――――
――――――――――――――――

158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/01/21(水) 11:38:03.80 ID:0IdHplSb0
ドラゴンクエストの新作でないかな
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/01/22(木) 06:32:18.35 ID:9OMv7bWMO
黒龍破はでないのてすか?
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/01/22(木) 20:39:45.74 ID:X0mYRmRU0
161 : ◆a/I.AxtdmY [saga 再開〜]:2015/01/26(月) 08:32:45.83 ID:1DOKL3d/O


悪者父「………ゥゥ…」


悪者「…親父…なにしてんだよ…!!」


悪者父「お前が…弱いカラ…いじめられるんだろォ!!」


悪者「だからって殺すなんて…」


悪者母「あなた…どうして…」

悪者父「ぁあ?…なんダヨ…」


悪者母「……牢獄のある国まで連れていきます」


悪者父「…ゥゥ……!」

悪者父「フッざけるなぁ!!」ブン



ガツンッ!!



悪者「っ!?」


悪者母「…ぅっ……」グタァ


悪者「そ…んな…」




――――――――――――――
――――――――――――――

162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/01/26(月) 22:21:22.29 ID:m0ziA83X0
163 : ◆a/I.AxtdmY [saga]:2015/01/27(火) 00:05:51.67 ID:FLO2inoA0

悪者「記憶にあったのはそこまでだ…」


占い師「村が滅んだ理由…そなたの力ゆえか」


悪者「……ホントに、アホみてぇだった」

悪者「気づきゃあ目の前が半遺跡状態だぜ?」



自分の体はこの左腕の物

運命はいつだって左手が握っている



騎士「…でも、それはお前にとっての"正義"の為だったのだろう?」

悪者「…?」


ロング「怒った理由は間違ってないってさっ」


悪者「…でも」


騎士「その力が感情の起伏に呼応して動くとしたら…」

騎士「普段から苛つき通しのお前が、その力を抑えられるわけが無い」


騎士「お前にも…人らしい所はあったと言う訳だ」ハハ


悪者「…んだぁ?黙って聞いてりゃあ言ってくれるじゃねぇか」


ロング「フフフ…」クスクス



少女は優しい笑顔を見せた

久しい友人と出会ったような

そんな笑みを

164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/01/29(木) 23:40:20.13 ID:Xu1ywfFT0
乙だよ
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