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雪歩「ちく、たく」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 : ◆km.GW4AuOk [sage]:2014/12/24(水) 19:04:24.98 ID:zzL/XR4Qo
レス間そこそこ空くと思いますがご了承ください

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■ 萌竜会 ■ @ 2024/11/22(金) 07:20:24.33 ID:WpWM+xYMo
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■ 萌竜会 ■ @ 2024/11/22(金) 07:18:35.89 ID:Vr506SRJo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1732227515/

■ 萌竜会 ■ @ 2024/11/22(金) 07:17:49.87 ID:t6dKBjAuo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1732227469/

■ 萌竜会 ■ @ 2024/11/22(金) 07:17:17.71 ID:/UbTl3Hgo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1732227436/

■ 萌竜会 ■ @ 2024/11/22(金) 07:16:22.54 ID:Un8tNByuo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1732227381/

ミア「歩夢・・・辛かったな・・・」ナデナデ歩夢「ミアちゃん・・・うぅ・・・」 @ 2024/11/22(金) 00:59:47.53 ID:w7bhdEV4O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1732204787/

ちんぽいぬ @ 2024/11/21(木) 22:13:45.60 ID:BuRqeSctO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1732194825/

無くても死にはしないけどある方が安心する気がしないでもない @ 2024/11/21(木) 02:19:47.82 ID:SZfofcdIo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1732123187/

2 : ◆km.GW4AuOk [saga]:2014/12/24(水) 19:08:22.67 ID:zzL/XR4Qo
白。


“白”のなかに、私は居た。
3 : ◆km.GW4AuOk [saga]:2014/12/24(水) 19:09:30.98 ID:zzL/XR4Qo
手を伸ばし、触れてみる。


さく、と音を立てて“白”が削れた。
4 : ◆km.GW4AuOk [saga]:2014/12/24(水) 19:10:28.85 ID:zzL/XR4Qo
ふらり、立ち上がって、周囲を見渡す。


胸元で金属の触れ合う音。


懐中時計が鎖に繋がれて、首に掛かっている。
5 : ◆km.GW4AuOk [saga]:2014/12/24(水) 19:11:29.23 ID:zzL/XR4Qo
手に持ち、盤を見つめる。


先程まで動いていなかった針が、かちこちと秒を刻み始めた。


途端、心に強い意志を得たかのように、顔が前を向く。


一歩、踏み出す。
6 : ◆km.GW4AuOk [saga]:2014/12/24(水) 19:22:34.14 ID:zzL/XR4Qo
歩く。一歩。



アイドル事務所に入った。


弱虫で、臆病な自分を変えられたら。



歩く。一歩。


ちく、たく。


時計の針が進む。
7 : ◆km.GW4AuOk [saga]:2014/12/24(水) 19:37:44.04 ID:zzL/XR4Qo
歩く。一歩。



彼と出会う。


男性が苦手だと言った私に、彼は優しく微笑んだ。


…やっぱり、どういう風に何を話していいか分からなくて、緊張する。



歩く。一歩。


ちく、たく。


時計の針が進む。
8 : ◆km.GW4AuOk [saga]:2014/12/24(水) 19:39:38.26 ID:zzL/XR4Qo

“白”を削る足が、2つから4つに増えた。


隣で一緒に歩く彼は、私の歩調に合わせてくれていて。
9 : ◆km.GW4AuOk [sage]:2014/12/24(水) 19:41:45.14 ID:zzL/XR4Qo
ごはんー
10 : ◆km.GW4AuOk [saga]:2014/12/24(水) 20:34:34.65 ID:zzL/XR4Qo
歩く。一歩。



彼が机に突っ伏している。


…見かね、お茶を淹れて彼に出した。


とても喜んでくれて、嬉しい。



歩く。一歩。


ちく、たく。


時計の針が進む。
11 : ◆km.GW4AuOk [saga]:2014/12/24(水) 20:36:58.13 ID:zzL/XR4Qo
歩く。一歩。



デパートの屋上でミニライブ。


なかなかお客さんを集められなくて、ステージの途中で泣きそうになる。


けれど、遠くから彼が見てくれているのを発見して…。


最後までステージから逃げずに、歌いぬく。



歩く。一歩。


ちく、たく。


時計の針が進む。
12 : ◆km.GW4AuOk [saga]:2014/12/24(水) 20:38:43.16 ID:zzL/XR4Qo
歩く。一歩。



……レッスンをサボってしまった。


彼からの着信もメールも、最初の一回以外は無視している。悪い子。



暫くの小休止。


ちく。たく。


それでも、時計の針は進む。重くゆっくり。
13 : ◆km.GW4AuOk [saga]:2014/12/24(水) 20:53:25.88 ID:zzL/XR4Qo
歩く。一歩。



始めて、事務所への近道を使ってみる。


存在は知っていたけれど、犬がいるかどうかの確認が出来ていなくて使っていなかった。


そして…案の定、大きな犬が。声も出せず固まっていると、後方から私を呼ぶ彼の声…と、悲鳴。


どうやら、彼も犬が苦手らしい。2人で、ぎこちなく脱出。



歩く。一歩。


ちく、たく。


時計の針が進む。
14 : ◆km.GW4AuOk [saga]:2014/12/24(水) 21:01:50.01 ID:zzL/XR4Qo
歩く。一歩。



今日は、ダンスレッスン。彼が付いてきている。


動作が間に合わず、悔しくて穴を掘ろうとした私を、彼が宥める。


今は失敗すればいい、悔しい思いをすればいい。
だけど、それをきちんと受け止めて、ほらもう一回。


涙を拭い、手を足を動かす。



歩く。一歩。


ちく、たく。


時計の針が進む。
15 : ◆km.GW4AuOk [saga]:2014/12/24(水) 21:11:26.29 ID:zzL/XR4Qo
歩く。一歩。



新曲を貰った。『First Stage』。


片想いをしている、内気な女の子の歌。


私に重なるところもあって、笑みが零れる。



歩く。一歩。


ちく、たく。


時計の針が進む。
16 : ◆km.GW4AuOk [saga]:2014/12/24(水) 21:20:36.89 ID:zzL/XR4Qo
歩く。一歩。



彼と収録スタジオに向かっているところで、ファンに遭遇。


興奮した様子で声を掛けられ、身体が固まる。


彼が対応している時間が、無限のように長く思われた。



歩く。一歩。


ちく。たく。


時計の針がゆっくり進む。
17 : ◆km.GW4AuOk [saga]:2014/12/24(水) 21:35:33.76 ID:zzL/XR4Qo
歩く。一歩。



彼とカフェで打ち合わせ。


珈琲は飲めないのだと言って、ココアを注文している。


そういえば、珈琲を飲んでいる姿を一度も見たことがない。


お茶請けの話で過ぎてゆく時を想いつつ、日本茶を淹れることが出来て良かったと思う。



歩く。一歩。


ちくたく。


時計の針が跳ぶように進む。
18 : ◆km.GW4AuOk [saga]:2014/12/24(水) 21:44:12.08 ID:zzL/XR4Qo
歩く。一歩。



私の初めてのライブステージ。


袖から、観客席を覗き込む。


大丈夫。もう怖くない。



歩く。一歩。


ちく、たく。


時計の針が進む。
19 : ◆km.GW4AuOk [saga]:2014/12/24(水) 21:53:24.75 ID:zzL/XR4Qo
歩く。一歩。



わあああ、と歓声が私を包む。


閉じていた目を開けて、そして。


大丈夫。


光の波が、私を後押ししてくれる。



大丈夫。一歩、踏み出す。


ちくたく。


時計の針が鼓動のように弾む。
20 : ◆km.GW4AuOk [saga]:2014/12/24(水) 21:58:17.53 ID:zzL/XR4Qo

隣で、共に歩いている彼に笑いかける。


けれどそこには、元から誰も居なかったかのように、何もなくて。


必死に“白”のなかで目を凝らす。



見つからない。


足が、止まる。
21 : ◆km.GW4AuOk [saga]:2014/12/24(水) 22:01:39.51 ID:zzL/XR4Qo

どうしたらいいか分からなくて、座りこんでしまう。


“白”が、空へ舞った。


ずっと、どこまでも続いていた“白”は、いつの間にか暗闇に変わってしまっていて。


ぽろぽろと涙が“白”に落ちる。
22 : ◆km.GW4AuOk [saga]:2014/12/24(水) 22:13:13.30 ID:zzL/XR4Qo

暗闇のなか、俯きながら彼の言葉を思い出す。


失敗したっていい。
時を戻せるわけじゃないけど、でも、終わりではないのだから。

ほら、笑って。
23 : ◆km.GW4AuOk [saga]:2014/12/24(水) 22:14:38.72 ID:zzL/XR4Qo

涙を零しながら、けれど確かに笑う。


彼に褒められた笑顔。


ぽたり、新たな涙粒が“白”に吸われていった。
24 : ◆km.GW4AuOk [saga]:2014/12/24(水) 22:15:04.42 ID:zzL/XR4Qo

瞬間、涙の粒は光の筋へと変わり…、暗闇の先を示す。


かちこちと聞き慣れた針の音。


時計を目の高さに上げて盤を見遣り、思わず目を見開く。


ずっと、動いていた。


私が歩みを止めていた間も、この時計は、ずっと。
25 : ◆km.GW4AuOk [saga]:2014/12/24(水) 22:15:36.61 ID:zzL/XR4Qo

立って、少し、歩いてみる。


ちょっとだけ、振り向く。


ずっとずっと続いている、足跡。


“白”の上に残っている、私と彼が歩いてきた足取り。



一歩。歩く。


ちく、たく。


心なしか重かった針が、軽快に進む。
26 : ◆km.GW4AuOk [saga]:2014/12/24(水) 22:16:08.56 ID:zzL/XR4Qo

もう一度、振り返る。


手をついて転んだところも。


焦って、方向も定めぬまま、がむしゃらに進んでいたところも。


座って、休んでいたところも。


先を確かめながら、ゆっくりと歩いていたところも。


全部全部、ちゃんと“白”に刻まれていて。


大丈夫。
踏み出せた。


大丈夫。
歩いてゆける。
27 : ◆km.GW4AuOk [saga]:2014/12/24(水) 22:17:11.39 ID:zzL/XR4Qo
歩く。一歩。


そして、また、出会う。


また、二人で。


まだ、一歩ずつ。


ちく、たく。


時計の針が進む。
28 : ◆km.GW4AuOk [sage]:2014/12/24(水) 22:17:39.45 ID:zzL/XR4Qo
お粗末様でした

クリスマスプレゼントにチクタク雪歩ソロください

雪歩、誕生日おめでとう

それでは
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2014/12/24(水) 22:20:23.55 ID:FT+A09Fdo
乙です
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2014/12/24(水) 22:57:14.45 ID:CxAuQspuO
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2014/12/25(木) 00:25:36.47 ID:0ORF/0eBo
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2014/12/25(木) 15:20:08.92 ID:efd7HR5B0
おっつおっつ
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