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吸血鬼「僕は、強くなりたかっただけなんだ……」 -
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1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/01/29(木) 23:38:21.43 ID:QYIC9Um6O
【異端】
僕には何もなかった。
力も魔力も……
何もかもが僕からそっぽを向いて、振り向いてくれはしない。
無力なまま、無価値なまま時は過ぎる。
止まったままだ。
ずっとずっと止まったまま……
成長して身長が伸びても、ちっとも変わりはしない。
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1422542301
1.5 :
荒巻@管理人★
(お知らせ)
[
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]: ID:???
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ぶらじる @ 2024/04/19(金) 19:24:04.53 ID:SNmmhSOho
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713522243/
旅にでんちう @ 2024/04/17(水) 20:27:26.83 ID:/EdK+WCRO
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713353246/
木曜の夜には誰もダイブせず @ 2024/04/17(水) 20:05:45.21 ID:iuZC4QbfO
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1713351945/
いろは「先輩、カフェがありますよ」【俺ガイル】 @ 2024/04/16(火) 23:54:11.88 ID:aOh6YfjJ0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713279251/
【MHW】古代樹の森で人間を拾ったんだが【SS】 @ 2024/04/16(火) 23:28:13.15 ID:dNS54ToO0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713277692/
こんな恋愛がしたい 安部菜々編 @ 2024/04/15(月) 21:12:49.25 ID:HdnryJIo0
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【安価・コンマ】力と魔法の支配する世界で【ファンタジー】Part2 @ 2024/04/14(日) 19:38:35.87 ID:kch9tJed0
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アテム「実践レベルのデッキ?」 @ 2024/04/14(日) 19:11:43.81 ID:Ix0pR4FB0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713089503/
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2015/01/29(木) 23:41:32.18 ID:QYIC9Um6O
僕は、僕のままだ。
何故この世界に生まれた?
蔑まれ、足蹴にされ……
価値無き命があることを知るためか?
僕は……
僕はそんなちっぽけな存在が実在するってことを……
それを証明する為に生まれ、己を恥じて死ぬのか?
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/01/29(木) 23:43:35.72 ID:QYIC9Um6O
踏まれる命なんて必要ない。
必要ない存在を証明するのが、僕なのか?
だとしたら何て残酷なんだろう。
せめて、せめて一つだけでも希望があるのなら。
僕はそれに賭けてみたい。
そう願いながら、今日も魔学書を読む。
「一つでいい、一つでいいんだ」
何でも良い、一つでいい……
そう願いながら読んでいる書物が、最後の一冊。
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2015/01/29(木) 23:47:25.36 ID:QYIC9Um6O
魔界図書館、最後の一冊。
一冊一冊を読む度に儚い願いを削がれる日々だった。
でもこれで終わり。
これで、最後……
頼む何か一つでいいんだ。
お願いだ。僕は強くなりたいんだ。
何か、何かヒントをくれ。
「結局全部同じ。受け継がれる血脈、血筋」
優秀な血筋か、羨ましいな。
「血筋、血脈……結局は血か……」
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/01/29(木) 23:49:14.30 ID:QYIC9Um6O
血液はあらゆる魔術に共通する。
どの書物に記載されていても何ら可笑しくない。
寧ろ血液が記されていない書物なんてなかった。
例えばコウモリ、トカゲ、ネズミ……
血液は様々な魔術に使われている。
しかし、【これ】は違った。
「えっ? 【人間】の、血?」
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/01/29(木) 23:53:34.52 ID:Ns8lD2/UO
ーー人間。
僕とは違う世界、異世界の住人。
詳しくは知らないけど、彼等の中にも魔術を使える者がいるらしい。
けれど人界との接触は原則として禁じられている。
「まるでもう諦めろって、そう言われてる気分だ」
いや待て、魔術に血が不可欠だとするなら……
血の力がそこまで重要視されているのなら……
「術師自身が血を飲めばどうなる?」
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/01/29(木) 23:57:25.64 ID:Ns8lD2/UO
そうだ。
血を術に使うのではなく、血を直接取り込めば、【得られる】のか?
魔を、力を、得られる。
魔を使う者から血を得れば魔力を得られる?
直接血を飲めば、そのものの力を得られるのか?
だとすれば魔術は回り道してることになる。
魔力を得るには、更に高い魔力を持つ者の血を得ればいい。
術そのものを身に宿すことが出来るのなら、過程は必要ない。
完成された術を奪えばいい。
完成された魔術を持つ者の血を……
「……いや、こんな考えは馬鹿げてる。もう帰ろう」
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2015/01/29(木) 23:59:40.37 ID:Ns8lD2/UO
寝ますら
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/01/30(金) 00:13:44.77 ID:Sg7fUpiKo
きたい
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/01/30(金) 10:17:22.31 ID:DzTOHGWhO
おもしろそ
きたい
11 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/02/01(日) 20:38:57.65 ID:ov87Ly3qO
結局、方法を見出すことは出来なかった。
僕は何も得られないまま終わるのか?
【何もない】を証明する為に……
これからを生きて行かなくちゃならないのか?
僕には、強くなろうとすることさえ許されないのか。
ーー鐘が鳴った
そろそろ閉館の時間だ……
兄さんも心配するだろうし、急いで帰ろう。
12 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/02/01(日) 20:40:11.85 ID:ov87Ly3qO
「ああ君、待ちたまえ」
この人……
ああそうだ。確かこの図書館の館長さんだ。
今まで一度も話したことないのに、どうしたんだろう。
いよいよ怒られるのかな、いつも閉館ぎりぎりまで粘ってたし。
一度も借りたことないし、閉館間際に来て少しだけ読んで帰ったこともある。
でもいいや、もうこの図書館に来ることはないんだから……
「私がこの図書館の館長になってから、君ほど熱心な子は見たことがない」
13 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/02/01(日) 20:42:27.44 ID:ov87Ly3qO
「えっ?」
怒られるばかりと思っていたから、その言葉はかなり意外だった。
いつも顰めっ面で機嫌悪そうだから、凄く怖いお爺ちゃんなんだとばかり思ってた。
「私から見て、ただ読むのではなく学んでいたのは君くらいなものだ。
それに読む調べると言っても、大体は出題された一文を調べる程度……」
「は、はぁ、そうなんですか」
「君には伝わらんだろうが、私とてもは感動している。
こんなにも膨大な数の書物から必死で学ぼうとしてくれた」
「(必死か。そりゃそうだ。この図書館は僕の希望『だった』んだから)」
「それで、君は望む物を得られたかね?」
「……いえ、何も得られませんでした」
14 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/02/01(日) 20:44:45.30 ID:ov87Ly3qO
「では、学んだことはあるかな?」
「それなら沢山あります」
「ふむ、良ければ一つだけでも訊かせてくれるかな?」
「……それは我々を魅了魅惑し、果ては道を誤らせ狂わせるだろう」
「誘惑に打ち勝ち、欲望を断ち切れる者こそ、真の力を得るに相応しい」
「我々は知らなければならない……あっ、すいません」
「いいや大丈夫。そのまま続けて」
「……我々は力に支配されてはならない。我々は力に屈してはならない」
「強い意志を持つのだ。決して、力に身を委ねてはならない」
「我々(魔族)は、力の為にあるのではない……以上です」
15 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/02/01(日) 20:48:06.66 ID:ov87Ly3qO
「いやはや素晴らしい。
その歳でそこに至るとは想像しなかったよ」
「そんな、偉そうに好き勝手語っちゃってすいません。
でも、嬉しいです。ありがとうございます」
「……もし君が良ければの話しだが、いいかね?」
「はい、何でしょう?」
「良ければ、明日からも来てくれないか。
急で申し訳無いが、君を助手として雇いたい」
「助手って、本の整理や何かですか?
僕にはそれくらいしか出来ませんよ?」
「それもあるんだが……
いや、今日はもう遅い。詳しい説明は明日にしよう。
そこで君が納得したら、助手になって欲しい」
「えーっと……はい、分かりました。
じゃあ明日また来ます。ありがとうございました」
16 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/02/01(日) 20:49:30.81 ID:ov87Ly3qO
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