このスレッドはSS速報VIPの過去ログ倉庫に格納されています。もう書き込みできません。。
もし、このスレッドをネット上以外の媒体で転載や引用をされる場合は管理人までご一報ください。
またネット上での引用掲載、またはまとめサイトなどでの紹介をされる際はこのページへのリンクを必ず掲載してください。

【咲 -Saki- ・安価】京太郎「麗しき人へ告ぐ」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

1 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/04(水) 18:46:15.64 ID:FToH6RwK0


そう、何ものも わたしの世界を 変えられはしない




SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1423043175
【 このスレッドはHTML化(過去ログ化)されています 】

ごめんなさい、このSS速報VIP板のスレッドは1000に到達したか、若しくは著しい過疎のため、お役を果たし過去ログ倉庫へご隠居されました。
このスレッドを閲覧することはできますが書き込むことはできませんです。
もし、探しているスレッドがパートスレッドの場合は次スレが建ってるかもしれないですよ。

【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713861164/

トーチャーさん「超A級スナイパーが魔王様を狙ってる?」〈ゴルゴ13inひめごう〉 @ 2024/04/23(火) 00:13:09.65 ID:NAWvVgn00
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713798788/

【安価】貴方は女子小学生に転生するようです @ 2024/04/22(月) 21:13:39.04 ID:ghfRO9bho
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713788018/

ハルヒ「綱島アンカー」梓「2号線」【コンマ判定新鉄・関東】 @ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713736565/

【安価】少女だらけのゾンビパニック @ 2024/04/20(土) 20:42:14.43 ID:wSnpVNpyo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713613334/

ぶらじる @ 2024/04/19(金) 19:24:04.53 ID:SNmmhSOho
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713522243/

旅にでんちう @ 2024/04/17(水) 20:27:26.83 ID:/EdK+WCRO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713353246/

木曜の夜には誰もダイブせず @ 2024/04/17(水) 20:05:45.21 ID:iuZC4QbfO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1713351945/

2 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/04(水) 18:48:49.45 ID:FToH6RwK0

――◆CONTENTS◆――


・咲×BLEACHとのクロスです。しかしBLEACHのキャラは出ません

・須賀京太郎が主人公です

・途中、選択肢・コンマがでます。皆様に安価でご協力頂けると助かります

・ステータスが存在します

・選択肢によってカルマ(善/中立/悪)が傾きますのでご了承ください

・キャラの暴力表現等ありますのでご注意下さい


――★ALL STARS★――

/須賀京太郎/

/宮永咲/

/原村和/

/片岡優希/

/X/

3 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/04(水) 18:49:22.44 ID:FToH6RwK0

スキル [Speech]
コンマ判定
コンマ/2

↓1
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/04(水) 18:51:12.73 ID:8DDJ9BkwO
5 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/04(水) 19:13:12.03 ID:FToH6RwK0

ありがとうございます。

京太郎のスキル[Speech]は【37】に決まりました。

話の中で、コンマ・チャレンジのある選択肢が登場します。
→選択肢の前に[Speech]と表示されます。

それを選択した際のコンマ値がスピーチスキル"以上"ならば、選択肢は失敗します。
失敗しても特に悪いことは起こりません。

6 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/04(水) 19:14:59.11 ID:FToH6RwK0

――


なんで

なんで行っちまったんだ

あんたは俺を助けてくれた 生きる術を教えてくれた

なのに どうして

あんたが居なくなったらどうすればいいかを 教えてくれなかったんだ

俺の手元に残ったのは もう 一つの首飾りのみ

あんたに貰ったこの サイコロの首飾り だけだ


――
7 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/04(水) 19:17:49.66 ID:FToH6RwK0

京太郎「ふうっ!」


須賀京太郎 15歳高1

髪の色 金 瞳の色 ブラウン

特技 ハンドボール

チャームポイント サイコロの首飾り


京太郎「こんなもんかな……っと」ごしっ

京太郎「我ながら、良い出来栄えじゃないか」

京太郎「お前もそう思うだろ? 咲」


咲「……もちろんだよ、京ちゃん」

咲「すごくかわいいよね、そのエトペンの絵……」


京太郎「ああ。何たって今日はあいつの誕生日なんだから、バッチリ決めないとな」にかっ

咲「うん。原村さんもきっと喜ぶと思う」

咲「あ。でもそのエトペンの絵はこっちに置いたほうが目立つかな?」かちゃかちゃ

京太郎「おお。なるほど……」

京太郎「咲の家だから、配置は咲に任せたほうがはやかったか」

咲「そ、そんなことないと思うけど……」
8 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/04(水) 19:20:58.50 ID:FToH6RwK0

咲「今日は原村さんの誕生日」

咲「昨日までに準備はしてたつもりだけど、こうやって最後にチェックすると結構手直しするね」

京太郎「ま、結局はあいつが気にいるかどうか・だけどな」

咲「うう……どうしよう。気に入ってもらえなかったら……」

京太郎「まあぶっちゃけ心配することねーだろ……和ならきっと」

京太郎「腕にプレゼント抱えながら『嬉しいです! ありがとうございます!』って笑ってくれるさ」

咲「……そうだね!」にこっ

咲「そういえば京ちゃんは、和ちゃんへのプレゼント何にしたの? 私はね〜」ごそごそ

咲「じゃん! エトペン柄のキーホルダー!」BA〜NG★

京太郎「……なんかすげえ適当っぽいな」

咲「ひ、酷いよ京ちゃん! そ、そんなことないんだよっ!? すっごくレアもので手に入れるのに苦労したんだから!」

京太郎「そ、そっか。まあ和なら気に入るだろうな……絶対」

咲「それで、京ちゃんは?」

京太郎「……えっと、秘密」

咲「ええー? そんなぁ。どうして?」
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/04(水) 19:22:48.55 ID:MfuLsLGm0
オサレポイントシステムじゃないのか(落胆)
10 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/04(水) 19:23:46.54 ID:FToH6RwK0

京太郎「別に。ただ……恥ずかしいからだよ」ぷいっ

咲「ふーん。えっと、恥ずかしいものを贈るの?」

京太郎「い、いや、そういうわけじゃ、ないんだけど……」そわそわ


がちゃっ!

「うおおおおおおおおおおおおお!!」どどどどどどどどど


咲「わぁっ!」


きききぃー すたんっ

優希「待たせてすまない! 本日の主役……片岡優希ここに登場!」ばばーん☆


京太郎「何だよ優希かよ……ピンポンも押さずに上り込みやがって。騒がしい奴だな」

咲「よ、良かったぁ……強盗だったらどうしようかと」

優希「おっとぉ、京太郎」

優希「呆れながら『主役はてめえじゃねーだろ』とか突っ込んでく役目は何処へ?」

京太郎「知らねぇよ。案内役の優希が来たってことは……」そわそわ

優希「おや? 今日の京太郎はちょっと緊張してるとみたじぇ」

優希「まっ、それも致し方なし、か。愛しののどちゃんの誕生日だもんな」

京太郎「案内役の優希が来たってことは、和ももうすぐ到着か」

優希「何故無視するのか」

咲「あはは……は、はい優希ちゃん。クラッカー」

優希「咲ちゃんありがとだじぇ。よーし、ぶちかましだじぇー!」ばし
11 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/04(水) 19:26:40.00 ID:FToH6RwK0


ピンポーン!


優希「きた!」がたっ


咲「原村さんだ。えっと……今開けるねー!」たたた

京太郎「……」そわそわ

たたたた

咲「ほら、こっちこっち!」

和「引っ張らないで下さい宮永さ……」


ぱんっ!! ぱぱんっ!!


和「わっ……」


優希「誕・生・日! おめでとう!!! のどちゃん!!!!」

優希「16歳!!!! きゃあああああああ!!!!!!」だだだっ

だきっ

和「ゆーき……」

京太郎「あはは。誕生日おめでとう、和」きりっ

和「須賀くん……」

咲「原村さん。これからもよろしくね!」にこっ

和「宮永さん……はい、これからもよろしくお願いします」にこ
12 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/04(水) 19:27:52.69 ID:FToH6RwK0

優希「よーし、じゃあ早速だが……」ちら

京太郎「あ、ああ。メシなら今からつくるんだ。ちょっと待っててくれ」

優希「はやくはやく!」ばたばた

京太郎「わかったわかった。すぐ作るから」

和「手伝いましょうか?」

京太郎「ばーか」にや

和「ば、ばかって……」

京太郎「今日の主役は和だろ。やるべきことは他の連中に任せとけって」

京太郎「和はただソファーを独占して偉そうにしてりゃいいんだよ」

和「……え、えっと」おろおろ

咲「じゃあ寛いどく?」

和「……はい。こうやって宮永さんの家に来るのは初めてなので、緊張しますね」

咲「えっ? い、いえいえ、そんな。お恥ずかしい……」


京太郎「っと、その前に、トイレ行ってくる」すたすた

咲「あ、場所は――」

京太郎「いや、前来た時に覚えたからいいよ」すたすた

がちゃん
13 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/04(水) 19:30:37.53 ID:FToH6RwK0

――


京太郎(いい感じだな……良かった。あとは料理失敗しないだけだ)ちょろちょろ

京太郎(それにしても和の呆けた顔、かわいかったなー)

京太郎(ベッドに連れ込んでいじめてやりたいね。まあ実際そんなこと出来ないんだけどさ……)

京太郎(全く。和を好きにできる男が何処にいるんだっての)

京太郎(そこそこ仲良くなったつもりだけど、向こうはまだ俺に壁ある感じだしなぁ)

京太郎(はぁ。女の子にモテる術があったら、もっと上手くいくのかなぁ……)かちゃかちゃ

京太郎(……ん?)




???「……成程、強い力を感じる」




京太郎(……どういうことだ? トイレの窓から見える裏の庭に、謎の女が立っている)

京太郎(そこは咲の家の敷地内じゃないか?)

京太郎(咲の家族……じゃねえよな。俺とはみんな顔見知りだ。なら、一体――)

京太郎「一体、何者なんだ――あいつ?」



???「――む」



京太郎「!!」

【謎の女はどんな風貌をしている?】
(清澄と一部は無効)
自由安価 ↓1

14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/04(水) 19:31:29.73 ID:qbj7HY0Oo
ポニテメガネの麗人
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/04(水) 19:32:05.51 ID:/icUYJ5Eo
無貌
16 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/04(水) 19:35:58.07 ID:FToH6RwK0

京太郎(俺に――気付いた!?)


ざりっ ざりっ ざりっ ざりっ


京太郎(近付いてくるぞ!? まずい!)

京太郎(まず流して)きゅるきゅる じゃー

京太郎(穿かなければ)かちゃかちゃ ずぼっ


ざりっ ざりっ ざりっ ざりっ


京太郎(よし。取り敢えず大丈夫だ)

京太郎(って大丈夫じゃない! 謎の女が――)


ざりっ


???「あの」


京太郎「!!!!」びくぅっ

どんどんどんどん

???「窓を開けて下さいませんか」どんどん

京太郎「窓を開けろ、だと?」

京太郎「ふざけんじゃねえ!」
17 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/04(水) 19:40:10.34 ID:FToH6RwK0

がちゃり

京太郎「おい。誰だか知らねーが、此処を誰の家だと思ってる?」

???「さあ。知ったことじゃありませんね」

京太郎「さっさと立ち退いて欲しいけど、一応訊いといてやるよ。何の用だ」


???「何の用か、ですか?」

???「解らないのですか、本当に?」


京太郎「はっ。言ってる意味が解らないな」


???「なら、その首に掛けてある賽は何でしょうか?」


京太郎「!」

京太郎「ああ。この首飾りのことか? 綺麗だろ? サイコロが水晶みたいでさ」

京太郎「小さい頃貰ったんだ。肩身離さず付けてるんだぜ。おしゃれだし、お守りって感じなんだ」


???「そうですか。ならば申し訳ありません。それを頂きますね」きっ


【どう返す?】
1. 盗らせるわけにはいかない。条件次第だ
2. うーん、これにどんな価値があるって言うんだ?
3. 嫌だね、失せな。ぺっ(顔面に唾をかける)

安価↓1

18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/04(水) 19:41:12.53 ID:E22ynCr90
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/04(水) 19:50:32.04 ID:VfBad0cw0
かしこまり!
20 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/04(水) 19:52:55.84 ID:FToH6RwK0

京太郎「何だと? 盗ろうっていうのか? いや……」

京太郎「あるんだろ? もちろん。何か俺にも旨い条件が」にやり

???「――成程。良いでしょう」

???「対価を支払います」

???「これを見て下さい」どさっ

京太郎「……なんだそりゃ。アタッシュ・ケースってやつか?」


???「中に一千万円入っています」


京太郎「へぇ……確かめても?」

???「勿論」

かちゃり 

京太郎(うわぁ。ただの紙が、凄く煌めいて見える)きらきら

京太郎(金って、すげえんだな)ごくり

ぺらぺら

京太郎「成程。質、量、全て確かめた。そして、これは本物って訳だな」

???「ええ。さて、それではいかがしますか?」


【どうする?】
1. 交渉成立だな 
2. [Speech37]うーん、話にならない金額だな。
3. いいか、金じゃねえんだよ。そんなんじゃ代えられないものがあるのさ。悪いな。


21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/04(水) 19:52:58.65 ID:plv/L24CO
そこはかとないオサレ、好き
22 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/04(水) 19:53:34.99 ID:FToH6RwK0

すいません。

安価↓1です
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/04(水) 19:53:47.01 ID:plv/L24CO
悪い、3で
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/04(水) 19:53:48.58 ID:/icUYJ5Eo
25 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/04(水) 20:29:40.81 ID:FToH6RwK0

ぱたん かちゃり

すっ

???「――どういうことです? ケースごと返すなんて」

京太郎「何、呆けた顔してんだ?」くくくっ

京太郎「いいか、金じゃねえんだよ」ぽん

京太郎「そんなんじゃ代えられないものがあるのさ。悪いな」にこっ

???「……馬鹿な」

???「にっ、二千万!! 二千万支払います!!」くわっ

京太郎「何だよ。えらい剣幕じゃねーか」

京太郎「けど無駄だ。言ったろ。金じゃ動かねえんだよ」

???「……まさか、その賽の"役割"を知っているのでは」

京太郎「役割? 役割なんてあるのか、こんな首飾りに?」

京太郎「でもこれ、何年も前から付けてんだけどな」

京太郎「まさかこのサイコロがダイヤモンドで出来てるとかって話か??」

???「……っ」

???「貴方の気持ちは、理解しました。大切な人からのプレゼントは、誰だって手放したくない」

???「ですが――」

???「恥を承知で、貴方に頼みます。それを譲って下さい――!!」

???「それがないと、いや……それが、"奴ら"の手に渡ってしまうと――!!!!」
26 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/04(水) 20:35:07.48 ID:FToH6RwK0




ばん!!!!!!!!!!!!

ぱらぱらぱら……




京太郎&???「「!!!?」」ぐりゅんっ

京太郎(なんだ!? ドアが蹴破られた! どうなってんだ!? 一体、何が――)



「なぁーにか、愉しそぉな話してるなぁ???」



京太郎「!!」


「おい男!! そのメガネに渡したくねえならあたしに渡しな!! そのサイコロをよぉ!!!」


京太郎(ここは咲の家だ。それなのに、この新しく出てきた金髪はトイレのドアを蹴破った)

京太郎(それはつまり――)


京太郎「おい」ぎろっ

「あん?」


京太郎「何もんだか知らないけど、取り敢えず表へ出ろ」


「はっ! このあたしに命令かよ! いいな!」

「そして私の名を知らねえなら、教えてやる!」


「門松葉子!! "最速"の門松葉子だ!!」


葉子「サイコロの許に一番に辿り着けなかったのは癪だが……」

葉子「まぁ、先手を取られたってわけじゃあなさそうだ」ちらり

???「くっ……」


京太郎「そうか。門松。外へ出ろ、いいな。ゆっくりとだ」

葉子「断る! さあ、そのサイコロを渡せ――」

27 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/04(水) 20:37:41.15 ID:FToH6RwK0


ぱしん!


葉子(!!? なっ――ネコダマシだと!?)ぱちくり

京太郎「は! 知らねえっつーんだよ!」

だだっ

葉子「あ! こんな隙間を逃げやがったなあの男!」だっ


???「待ちなさい」


葉子「……あん?」


???「あなたのような人たちには、あの塞を渡せないわ」


葉子「はん、そうかよ。だがそれを決めるのはてめえじゃねえだろ?」

葉子「決めるのはあの金髪の男だ!! 体をひれ伏しながら、首だけ傾けてあたしに献上するのさ!」

???「問答は無用、ですか。仕方ありませんね――」ふわっ


じゃらん!


葉子「……へぇ。持ってんじゃねえか。点棒」

葉子「そりゃそうか。ここに居る以上、てめえも"能力者"じゃないとおかしいもんな」

葉子「いいぜ。肩慣らしにまずは、てめえから葬ってやるよ」


――
28 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/05(木) 00:04:40.71 ID:qMEJS/fw0

――

京太郎「なんだ、これは」

京太郎「なんだってんだ、いったい――」

京太郎「いったい、何が起こったって言うんだ!!!」


咲・和・優希「「「……」」」ぐったり


京太郎「みんな、倒れてる。部屋も荒らされている……」

京太郎「どういうことだよ。ふざけんじゃねえぞ! ちくしょうめ!!」


咲「きょう、ちゃん……??」ぴく


京太郎「!! 咲!? 大丈夫なのか!!?」

咲「突然、なの……突然、あの金髪の人が現れて――」

咲「全然、何もわからないうちに……気付いたら、あちこちが痛くて」

京太郎「喋るな、咲!! クソ! 今、救急車を呼んでやるから――」

咲「だめ、だよ……京ちゃん」

咲「京ちゃんは……逃げて」にこっ



京太郎「――――――!!」



京太郎「うるせえぞ、咲。俺は逃げねえ」

京太郎「お前たちを放って逃げられるかよ!! 待ってろ、すぐに助けを――」

29 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/05(木) 00:06:02.63 ID:qMEJS/fw0

葉子「助けなら、来ねえ、さ……永遠にな」ぼろっ


京太郎「門松、葉子――!!」


葉子「何故なら、てめえらは……此処で、死ぬ、からだ」たらー

京太郎「てめぇが、やったのか……」

葉子「あん?」


京太郎「てめぇが咲たちをやったのかって、訊いてんだよ!!!!!」くわっ


葉子「ああ、そうだ。ここを通るときにね」

葉子「野次馬はつくらないのがあたしら能力者のポリシーさ。だからてっとり早く始末しただけ」

京太郎「この……」


ざんっ

???「落ち着いて下さい、少年」ぜぇ、はぁ


???「彼女は"能力者"です。ただの人間では――」

京太郎「そうかよ。」

京太郎「けどな……やられてるのは友達なんだ。引き下がるわけにはいかない」

???「ダメです!」

???「あなたが不用意に戦えば賽が壊れる可能性も――」


京太郎「知らねえよ。そういう心配は俺の知ったことじゃない」

京太郎「下がってろ」だだっ


???「ま、待って下さい! ダメです!」
30 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/05(木) 00:07:57.11 ID:qMEJS/fw0

葉子「ふん。雑魚が燥いでんじゃねえよ!」ぶんっ


じゃらん!


京太郎(何だありゃ?? 麻雀の……点棒??)

京太郎「はっ。そんなもんで男の力に勝てると思ってんのか?」

京太郎「第一、よく見たら、あんた……相当ガタがきてるように見えるぜ。メガネさんにやられたのかよ」

葉子「うるせえ! これは私の"雀士兵装"だ! 牌の加護を受けた人間に与えられし、聖なる力だ!」

葉子「そら、行くぞ男!」


京太郎「!!?」

京太郎(点棒の形状が変化して――弓になった、だと!?)


葉子「おらぁ!!」ぶん


がしゃん!


???「鈍い。刀で矢を撥ね退けられる程に。聖練を怠り過ぎでは?」どん

門松「ちっ」

京太郎「メガネさん……下がってろって言った筈だろ!」


???「素人は黙ってて下さい。これは私の仕事です」

くらっ

???(っ! 迂闊だった。体を痛めたかな――)


京太郎「なっ――」

京太郎「くそっ……おい門松!」
31 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/05(木) 00:09:09.46 ID:qMEJS/fw0

京太郎「てめえ……俺の首飾りが欲しいんだってな?」

門松「ああ。そうだ。くれる気になったか?」

京太郎「ふざけんじゃねえ。誰がやるかよ」

門松「何だと?」


京太郎「だったら俺とサシで勝負しろ!!」

京太郎「他の連中は関係ねえ! 俺を殺して奪ってみろよ!!!」


???「――!!」

門松「へえ。言ったな」

京太郎「……」ふるふる

門松(この野郎、震えてやがる)

門松(成程な。あたしの弓を見て怯える程度の正気は残って言ってんのか)


門松「いいな。じゃあお望み通り、殺してやるよ」

???「!! 莫迦者が――!!」


門松「ははぁ!!」だっ

だだだだ

京太郎(こい、能力者! ぶん殴ってやる!!)

だだだだ

だっ


どすぅぅっ!!!
32 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/05(木) 00:09:54.83 ID:qMEJS/fw0

京太郎「なっ……」


???「あぐっ……」けほっ

どたっ びちゃびちゃ……


京太郎「あ……」

???「貴方の力じゃ適わないと、言った筈です……あなたもそれを悟って、震えていたんでしょう……」

京太郎「悪かった……俺は、ただ……」

???「気にしないで下さい……と言いたいですが、どうやら私はここまでのようです」

???「このままでは全員……彼女の始末の対象になるのを待つばかりです……」

京太郎(みんな――)

京太郎(みんな死んじまう! 俺のせいで――!)

???「……」


???「友達を、助けたいですか……?」


京太郎「あるのか」

京太郎「……方法が」


???「一つだけあります。いや、一つしかないと言うべきか……」
33 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/05(木) 00:11:24.03 ID:qMEJS/fw0

かちゃ


京太郎(メガネさんは、少ない力を振り絞るように、俺に刀を向けた)

京太郎(その刀が、静かに――点棒へと姿を変えていく)



???「貴方自身が……能力者になるんです」



京太郎「なっ……そんなことが……」

???「出来ます。貴方がこの点棒を自分の胸に突き立て、そこに私が力の半分を注ぎ込むんです」

???「そうすれば貴方は一時的に能力者となり――彼女と戦える筈です」

京太郎「そんなことして大丈夫なのか?」

???「分かりません。貴方は賽の現保持者。その資質を見込んでの計画ですが、成功率は高くなく、失敗すれば死にます」

???「しかし他に方法はありません。迷ってる暇も」

京太郎「……」ごくり


和「須賀……くん」

和「どこ? 須賀くん……」


京太郎「……和、怖い夢でも見てるのか」


和「来ては、いけません……危ないです……はやく、逃げて……」
34 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/05(木) 00:12:16.02 ID:qMEJS/fw0

京太郎「――」


咲『京ちゃんは……逃げて』


京太郎(ちくしょう……)

京太郎(どうして俺の友達はどいつもこいつも)

京太郎(自分が死にかけてるときに俺の心配なんかしてんだよ……!)

京太郎(自分のことでビビッてる俺が――)

京太郎(バカみたいじゃねえかよ!!)ぐっ

京太郎「点棒を寄越せ、メガネさん。あんたの案に乗るよ」

???「ふっ」




???「"メガネ"じゃありません。"狩宿 巴"です」

京太郎「そうか……じゃあ狩宿さんだな。俺は須賀京太郎だ」




京太郎(点棒を握る俺と狩宿さんの手が重なる)

京太郎(そして――流れてきた。これが――)

35 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/05(木) 00:13:56.42 ID:qMEJS/fw0

――

巴「莫迦な……」

巴(半分のつもりが、力の全てを、奪い取られてしまった――!!)

巴(そして、須賀くんの点棒は――!!)


京太郎「ああ。しっくりくるぜ」

京太郎「こうやって形を変えるんだな」しゅううううう


じゃらん!


京太郎「これであいつと戦える」


巴(刀が、巨大すぎる――!! あんなもの、見たことがない――)

巴(彼の持っている賽の影響なの? そうとしか考えられないけど――異様すぎる!)


葉子「お喋りは終わったかぁ? じゃあかかってこいよ! 汚え肉片にしてやらぁ!!」

京太郎「ああ。そうだな。力が解るんだ。……あんた、門松って言ったな」

京太郎「せいぜい死なないよう、祈ってろよ――」すっ



どん!!
36 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/05(木) 00:15:23.13 ID:qMEJS/fw0

しゅううううううう

巴「一撃で……意識を断たせた――」

京太郎「峰打ちってやつだ。加減が難しかったぜ」

巴「須賀くん。あの子の胸に刀を突き刺して下さい」

京太郎「は、はぁ!? なに言ってんだ狩宿さん! そんなことしたら死んじゃうだろ!?」

巴「ふふ。死にませんよ。能力者は、変形した点棒で胸を突かれると、能力の全てを失うんです」

巴「彼女には一般人に戻ってもらいましょう。戦いの結末としてはそれで十分です」

京太郎「ほんとかよ。まあいいや。ここまで来たんだ。信じるよ、狩宿さん」


どすっ


京太郎「本当だな。血が流れない」

巴「でしょう? さて……」

巴「私は倒れた一般人の治療に移ります。須賀くんは休んで下さい」

京太郎「出来んのかよそんなこと。医者に見せれば――」

巴「私は、生まれた場所で一通りの治療術式を学んでいます。安心して下さい。それに――」

巴「本来、能力者は一般人を巻き込んではいけないんですから。彼女たちの怪我は、私に責任があります」

京太郎「そっか。じゃあ止めねえよ。でも……見てっていいか?」

巴「……ご自由に」


――

1. The True Gate

――

...To be continued 
37 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga sage]:2015/02/05(木) 00:22:18.94 ID:qMEJS/fw0

 √1 ルート・金の守人(中立)

 √2 ルート・全て真黒に染まる地獄(悪)

☆√3 ルート・救済者(善) 


基本ルートが制定されました。【ルート・救済者】
現在の称号【清澄の守護者】
所持金【50,000】

・スキル
[Speech] 37
[Strength] ??
[Gift] ??


猶、基本ルートの制定は最初の展開と所属のみに影響するのみで、その中で自由に振る舞うことができます。

今後、京太郎は様々な事情を抱える女の子たちと触れ合いながら、
時には敵対してしまったキャラと戦いながら、
賽に関わる真実を追求していきます。

選択肢によって、
展開、好感度、能力、カルマ(善/中立/悪)、キャラの運命が変動します。
カルマ次第で女の子との出会いや反応、選択肢外の振る舞いが変わるでしょう。
また、自由安価によって、登場する女の子が決まったりします。

その他のことについては、順次説明致します。

SS速報は初めてですので、仕来りに反する事等あればご指摘頂けると助かります。
今後ともよろしくお願い致します。
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/05(木) 00:23:10.82 ID:kJqw1dQ+o
乙ー
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/05(木) 00:25:47.28 ID:Q6UAEvXOO
乙です
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/05(木) 00:29:51.98 ID:VHb50L8HO
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/05(木) 00:29:55.35 ID:8DePnc3Mo
いいゾ〜これ
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/05(木) 00:31:51.74 ID:pqtX55E7o
乙です
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/05(木) 00:38:56.96 ID:c68Uyjz6O

ポエムとかオサレ要素をもっと出してもいいのよ?
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/05(木) 12:58:14.89 ID:FUyftURfO
これは期待
45 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/05(木) 13:34:48.34 ID:qMEJS/fw0




京太郎「……さて」

京太郎「あんた言ったな。このサイコロが争いの種になるんだろ」

巴「そうです。ですからそれを私に渡して――」

京太郎「じゃあもう要らねえわ」すとん

がん! がん! がん! がん! がん! がん!

さらさらさら……

京太郎「ほら、ハンマーでぶっ叩いたら簡単に砕けた」

京太郎「あとはティッシュに包んでゴミ箱にシュート!」ぽいー

巴「……えっ?」


巴「ええええええええ〜っ!!?」


巴「ちょっ……いきなり何してるんですか!?」

巴「それがどれ程の重要度を持ってるか知ってるんですか!? ああ知らないんでしたねご免なさい!」

巴「ていうかそんな簡単に粉々になっちゃうものなんですか!? 逆によく今まで保ってこれましたね!」

巴「第一、そんなに簡単に棄てられるものだったんですか!? 須賀くん! 思い出のプレゼントじゃなかったんですか! 大切な人の!」

巴「それより……!!」

京太郎「ははは、落ち着けよ、狩宿さん。騒いだって変わらねえぜ。これが現実だ」

巴「騒ぐに決まってますよ! だって……何故なら――……」


巴「これで私は帰ることが出来なくなったんですから――!」


京太郎「……何だと?」
46 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/05(木) 13:37:20.95 ID:qMEJS/fw0

巴「過ぎた事をとやかく言うつもりはありませんが――」

巴「本来、一般人への能力の譲渡は重罪なんです」

京太郎「重罪ぃ? 能力者にそんなんあるのかよ」

京太郎「なんていうか、バックパッカーみたいに一人や少数で自由に活動してるイメージあるんだけど」

巴「あのですね。個人で動く"能力者"は本当に希少なんですよ。私たち能力者が能力に目覚めるのは――」

巴「生まれつきです。そして大抵、どこかの誰かが知っている」

巴「だから能力者は"組織"に入れられる。抗う術など有りはしない」

京太郎「なるほど。そして組織の規律ってやつか。一般人に戦いを見せるべからず、とか?」

巴「はい。それもありますね。組織は大きく分けて二つありますが、私の所属する組織では、如何に緊急と言えど能力の譲渡は重罪なんです」

巴「だから、あの賽を持ち帰ることで、手柄とまでは言わないまでも、その罪を打ち消すことくらいはしてもらえた筈なのに――」

京太郎「俺が、壊しちまったから……」

巴「……はい」

京太郎「それは……悪いことをしたよ」

巴「いえ、いいんです。実際、あれを持ち帰ったところで争いは増えるばかりでしょうから」

巴「もしかしたら貴方は、誰もが掟と無知と倫理に縛られ出来なかった偉業を、成し遂げたのかもしれません」

京太郎「んなアホな。でも、帰れねえってなら狩宿さん、あんたこれからどうすんだ?」

巴「……」きっ
47 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/05(木) 13:39:03.53 ID:qMEJS/fw0

京太郎「え……なに?」

巴「決まってるじゃないですか……」


巴「責任の取り方くらい、わかってますよね?」


京太郎「ええええええええ〜っ!!?」



・〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇


2. Pierce The Chest!


〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇・



京太郎「と、いうわけで……」

京太郎「帰ってきました。俺の部屋に……」

巴「"俺と狩宿さんの部屋"に……でしょ?」

京太郎「ちくしょうめ……家族にどうやってバレずに過ごせってんだ」

巴「堂々とバラしちゃえばいいじゃないですか」

京太郎「よくねえよ! 絶対家族会議だバカ! そしたら追い出されるからなあんた!」びしぃっ

巴「それは……まずいですね」

京太郎(でも狩宿さんには借りがあるからなぁ……)

京太郎(でかい借りが)

京太郎(ったく。なんとかやってくしかねえか。はぁ……)

巴「でもほら、女の子と二人で同室生活なんて、これからないかもしれないんですから――」

京太郎「大きなお世話だ!」
48 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/05(木) 13:41:18.64 ID:qMEJS/fw0


――

誕生日を迎えた友達と、その親友と、あと京ちゃんを私の家に招き入れて、クラッカーを鳴らす。
ああ、今、どうやら誕生日パーティを開いてるんだな。
京ちゃんが用意したエトペンのおっきな絵。私が慣れないながらもテープやキラキラで装飾した部屋。
そんな中何をするでもなく、ただ原村さんとソファで寛いで、それから―― 


ぴりりりりり ぴりりりりり


咲「う、ん……」

咲「まだ、もう少し、寝かせて――……」

どたっ

咲「い、いたっ! いたた。あ、ベッドから落っこちちゃったんだ……」すりすり

咲「ふぁぁ〜〜いい朝。とは、言えないか、えへへ……」

咲「むにゃむにゃ。歯磨き歯磨き……」ととと

咲「……ん?」

咲「なにか……いい夢を見てた気がする……」

咲「……うーん……」

咲「……ダメだ。思い出そうとしたら忘れちゃったよ」
49 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/05(木) 13:42:03.15 ID:qMEJS/fw0

咲「そういえば……」じゃー

咲(昨日は酔ったお父さんがドアを蹴っ飛ばしたり、部屋を荒らしたりしたんだっけ)こしゅこしゅ

咲(仕方ないなあ、もう。それで原村さんたち呼べなかったんだから……あ)じゃー

咲(渡してないや、誕生日プレゼントのエトペンのキーホルダー。今日でも許してくれるかな?)ちーん

咲(……原村さん……昨日は京ちゃんと会っりしたのかな。まさかね……)もぐもぐ


咲「行ってきます」がちゃり


咲「うーん、やっぱり、何か、しっくりこないな……」

咲「夢の内容が、すごく気になるよ。もう覚えていないのに……」

咲「どうしてこんなに、忘れた夢の事が気になるんだろう?」

咲「……あ!」


京太郎「……はぁ〜」てくてく


咲「京ちゃん!」たたっ

50 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/05(木) 13:43:09.85 ID:qMEJS/fw0

――


京太郎「げっ……咲」

咲「え。げ、って何、かな……?」

京太郎「あ、ああいや! 別に何でもねーよ! 悪い悪い」

京太郎「おはよ。咲」

咲「おはよ。京ちゃん!」

京太郎「……」じー

京太郎(昨日、狩宿さんが――……)


〜〜

狩宿「私ほどの能力者であれば、一般人の記憶を消すなど造作もないこと」

狩宿「そして、別の記憶に差し替えることだって出来るんです」

狩宿「だからご安心ください。ここで倒れてる人たちは皆――」

狩宿「今日のことを忘れている筈ですから!」

〜〜


京太郎(――とか何とか言ってたけど、大丈夫だろうな……)そわそわ

咲「京、ちゃん? そんなに見つめて、どうしちゃったのかな……照れるよ」

京太郎「え? ……ああ! ごめんっ!」ぷいっ

咲「ふぅっ……」どきどき
51 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/05(木) 13:45:56.31 ID:qMEJS/fw0

京太郎(つーか、能力は失ったんじゃなかったっけ? 治療技術といい、わっかんねえよなぁ狩宿さんも)

京太郎「な、なあ咲。変なこと訊くけどさ――」

咲「うん?」

京太郎「昨日、家でなにしてた?」

咲「昨日? うーんと、お父さんが酔って暴れたせいで荒れた家を掃除してたかな……」

京太郎「お、お父さんが? マジで?」

咲「うん。お父さんはやってない、絶対嘘だ、って言ってるけど、酔ってたんだから信じられないよ」

咲「私の目で見たんだからね! まったくもう!」ぷんぷん

京太郎「そ、そうか」

京太郎(すまねえ、咲の親父さん……!)

京太郎「じゃあ、何だ。昨日は和の誕生日だったけど、祝ったりしなかったのか?」

咲「学校で少し祝ったじゃん。京ちゃんどうしたの?」

京太郎「お、おう。確認だよ確認! 別にいいだろ」

咲「ふぅーん……」


京太郎(なるほど。そういうことになってんのか。あ……そういや結局バタバタして)

京太郎(和に用意してたプレゼント、渡せなかったなぁ)


52 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/05(木) 13:48:40.26 ID:qMEJS/fw0


――教室


和「昨日はありがとうございました。嬉しかったです」

優希「そんな改まって言われたら照れるじぇ。教室でお菓子あげただけなのに……」

優希「美味しかった?」

和「ええ。帰って美味しく頂きました」

優希「本当はタコスが良かったんだが、京太郎程うまく作れないからな……」

和「ふふ。優希からのプレゼントに手の凝ったものは似合いませんよ。関係ないんですよ」

和「重要なのは心だと思うんです」

優希「……ばかにされたような気がするけど、まあいいじぇ」


がらがら

京太郎「うぃーす」

優希「京太郎!」

咲「みんな、おはよ……」ひょこ

和「おはようございます、須賀くん、宮永さん」


京太郎「……」じぃー

優希「おい! 何じろじろ見てる! 変質者め!」

京太郎「はいはい、悪かったよ」すたすた


京太郎(いつも通り。みんな怪我みたいなのは何もない。文字通り無傷だ)

京太郎(狩宿さんのおかげだな。良かった……)
53 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/05(木) 13:50:29.02 ID:qMEJS/fw0

優希「京太郎! 京太郎!」

京太郎「優希。どうしたんだ?」

優希「知ってるか? 今日、転校生がこのクラスに来るって話を!」


京太郎「はぁ、転校生???」


京太郎「くだらねー……この時期に来るかよ……ただの噂だろ……ん?」

京太郎(……そういえば)


〜〜

巴「あなたは能力者になってしまった」

巴「そして私は能力を失い、組織に連絡する気も起きない」

巴「また、長年の開発にわたりようやく完成された"賽の探知機"が、賽の破壊により何も読み取れなくなれば――」

巴「組織に感づかれるのも遠くない未来でしょう」

巴「とにかく、ここに"調査員"が来るのは免れません」

巴「どうすればいいか? わかりませんよ、私にだって」

巴「でも貴方は――この町を離れたくないんでしょう?」

巴「とにかく……重要なのは、安全面の話です」

巴「万が一に備え、私は貴方となるべく場所を離れないようにして、貴方を護衛しましょう」

〜〜


京太郎「まさか、あいつが――?」
54 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/05(木) 13:53:21.39 ID:qMEJS/fw0

和「どうしたんですか? 須賀くん」

京太郎「いや、何でもない……」

京太郎(ありえねえ話じゃねえ。狩宿さんならやりそうだ。でも手続きとかってすぐ済ませられるものなのか?)

京太郎(あいつは一般人の記憶を不用意に弄るような奴じゃなさそうだしな……うーん)


京太郎(けど……いつか、調査員だかが来て、狩宿さんと話したら)

京太郎(あいつは連れてかれて、裁かれるのか? そして俺は……変形した点棒で胸を刺されて)

京太郎(能力の全てと、記憶を失う――)

京太郎(考え過ぎか? いや)

京太郎(もしもの時の話を、もっと狩宿さんと煮詰めたほうが良かったな……)

京太郎(いざとなったら、この町だって――)


がらがら

担任教師「おはようございます皆さん! 席について! 今日は新しい友達を紹介しよう」

優希「ほらな! 言ったろ? 京太郎。転校生だじぇ」

京太郎「……ああ」

担任教師「入ってきていいぞー」


???「……はい」


京太郎(あいつは――!)


【だれだった?】
(清澄・巴・一部キャラ→無効 / 学年問わず)

安価↓1

55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sagasage]:2015/02/05(木) 14:11:26.65 ID:5hzXiEowO
ハオ
56 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/05(木) 14:26:10.49 ID:qMEJS/fw0

京太郎(お団子が印象的な、どこか神秘的な雰囲気の漂う少女だった)

京太郎「……」ごくり


???「ハオ・ホェイユーです。その……カタカナで覚えて下さい」

ハオ「留学で来ました。よろしくお願いします」ぺこ


咲「かわいい子だね……」

京太郎「お、おう、そうだな」

咲「京ちゃん? ちょっと見惚れてない?」

優希「発情犬だからな」

京太郎「う、うるせーよ!」

京太郎(かわいい子がいたら見るだろ! 仕方ないんだよ――ん?)


ハオ「……」きょろきょろ


京太郎(なんだ? なんか探してんのか……?)


ハオ「……」ぴた

ハオ「……」じぃ〜


京太郎(え? 俺を見てる……?)


ハオ「……見つけた」

京太郎「!!」
57 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/05(木) 14:27:18.27 ID:qMEJS/fw0

ハオ「……先生」

担任教師「うん?」

ハオ「私、あの金髪の少年の、隣の席に座りたいと思います」

ハオ「いいですか?」

担任教師「なんだなんだ? 須賀と知り合いなのか? 良かろう。クラスに馴染みやすくするのは教師の務めだ」


京太郎「えっ!? ちょっと待って下さいよ、そんな急に――」

ハオ「……」にやり

京太郎「!!」

京太郎(まさか……狩宿さんの言ってた"調査員"か!?)

京太郎(だとしたら迂闊な動きは危険だ! とにかくこいつに注意しないと……!!)


すたすた ぴたっ


京太郎(元々隣に居たクラスメ−トを移動させて、こいつ――ハオは俺の隣に座った)

ハオ「よろしくお願いしますね……須賀京太郎クン」

京太郎(そういってハオは右手を差し出してきた)


【どう返す?】
1. よろしく! ハオ!(握手)
2. 名乗った覚えは無いんだけどな(握手しない)
3. うわぁっ! 蛆虫が手についてるよ!(差し出された手を叩き落とす)

安価↓1

58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/05(木) 14:28:26.32 ID:rYvW8A/PO
1
59 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/05(木) 14:56:19.96 ID:qMEJS/fw0

京太郎「よろしく! ハオ!」ぐっ

ハオ「……はい」にこ


咲「あ、いいなあ……握手。私もしたいなぁ……」

優希「頼めばいつでもしてくれると思うじょ?」

咲「そ、そんな……! できないよぉ変に思われたくないし……」ふりふり

優希「そんなんだと京太郎どっか行っちゃうじぇ?」

咲「うう、そうかなぁ……どう思う? 原村さん」うるうる

和「知りませんよ。好きに振る舞えばいいんじゃないですか?」あきれ


京太郎「へぇ。じゃあ中国から来たって訳か」

京太郎「それにしては上手いんだな、日本語」

ハオ「勉強の賜物ですよ」


咲「もう、なんかちょっと打ち解けちゃってるよ〜……」

和「須賀くんは、言い方は悪いですが誰にでも慣れ慣れしいですからね」

和「私も最初戸惑いましたが、別に変なことする人じゃありませんから安心ですよ」

咲「でも、でも……」

咲「なんか、感じるんだもん……」

優希「何を?」

咲「わかんない」

優希「」ずこー

優希「咲ちゃんはもっとどっしり構えてたほうがいいと思うじぇ」

60 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/05(木) 14:58:04.88 ID:qMEJS/fw0

咲「うん……頑張る」

咲(でも、何かわかんないけど、本当に……)

咲(厭な予感がするよ……その、女の人)

咲(京ちゃん……!)


――


巴「……莫迦な」がさごぞ

巴「あれは組織の誰もが知る『星の十字結社』の重要人物……ハオ・ホェイユー」

巴「よもやあんな大物がやってこようとは……」

巴「双眼鏡を覗いてる場合じゃない。私もはやく現場に向かわないと……」

巴「須賀くん。気を付けて下さい――!」


――


ハオ(さて――)

ハオ(局の情報が正しければ、この須賀京太郎という男が"賽"の保管者の筈)

ハオ(けれど、まったくその力を感じない……)

ハオ(先に向かわせた門松葉子はその能力を消失させた)

ハオ(ならば、"賽"は敵組織に既に奪われたのか?)

ハオ(何れにせよ、もう少しこの男から情報を引き出さないといけないな)
61 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/05(木) 15:21:51.89 ID:qMEJS/fw0


きんこん かんこん 


京太郎(授業が終わり、放課後になった、か)

京太郎(ハオは結局、動きを見せなかった)

京太郎(仕草を見てると、悪い奴じゃなさそうだけど……一応注意しとかないとな)


ハオ「ふう……さて、須賀くん」


京太郎「おう、どうした」

ハオ「私、この町に不慣れです」

京太郎「そーだな」


ハオ「そこで提案があります。要するに、貴方が私に町を案内します」

京太郎「……何だって!?」


京太郎(きやがったな……! 罠かもしれない……)

京太郎(けど……今の俺は能力者。万が一でも戦えるぜ)

京太郎(……乗ってみるか?)


【誘いに乗る?】
1. いいぜ。放課後デートってやつだな
2. 悪いけど、先約があってね
3. そうやって誰にでもケツを振るのか? 阿婆擦れが

安価↓1
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/02/05(木) 15:25:44.35 ID:JUHbxoV00
2
63 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/05(木) 15:47:23.92 ID:qMEJS/fw0

京太郎「悪いけど、先約があってね」

ハオ「先約……」

京太郎「ハオみたいな子と出掛けるのは憧れなんだけど、約束を破るわけにはいかないだろ」

ハオ「無論です。それなら仕方ありませんね」

ハオ「またの機会に。今回は他をあたります」

京太郎「ああ。またの機会にな……」すたすた


ハオ「――成程」

ハオ「意外と用心深いんですね……須賀京太郎」じゃらっ


――


巴「はぁっ、はぁっ」

巴(生まれてはじめて知った……!)

巴("牌の加護"を受けていないと、走るだけでここまで息が切れるものなんだ……!)ぜぇぜぇ

巴(知識としては知ってたつもりなんだけど)


京太郎「で、マジでびっくりしたんだけどさ」

巴「うん?」

京太郎「教室出たら、一人だけ制服の違う女の子が居て? ちょっとした騒ぎになってると思ったら?」

京太郎「狩宿さんだったとは……」

巴「そ、それについては迂闊でした。急な事だったので校内に侵入したのですが、制服を用意してなかったので……」

京太郎「いや、まあ良かったよ。教員も来なかったしさ。あんたの手を引いて廊下歩くのは恥ずかしかったけど」

京太郎「それより、急な事って……」

京太郎「転校生の事か?」ごくり

64 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/05(木) 16:16:05.32 ID:qMEJS/fw0

巴「はい」

京太郎「……あんまり悪い奴には見えなかったけどな」

巴「個人の特性など関係はないんです。ただ組織が違うだけ」

京太郎「……」

巴「貴方には、説明してもいいでしょう」

巴「能力者にさせてしまった、貴方には――」

京太郎「……ああ」ごくり


巴「組織は大きく分けて、二つ。前にも言ったと思います」

京太郎「そうだっけ?」

巴「そうです。組織にはそれぞれ名があり――」

巴「『統制王族院』と『星の十字結社』」

巴「私が属しているのが『統制王族院』。そして、あの転校生の属しているのが――」

京太郎「『星の十字結社』ってわけか」

巴「――その通り」

巴「そして、この二つの組織の違いですが――」


【どうする?】
1. 待て。重要な事だけ話してくれ
2. 歴史の勉強は好きだ
3. うーん……(眠る)

安価↓1
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/05(木) 16:18:13.30 ID:lRuZXynvo
66 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/05(木) 17:44:15.02 ID:qMEJS/fw0


【京太郎のスキル[Intelligence]に初期ボーナス+10が付きます】


巴「そうなんですか! 私も好きなんですよ。歴史の勉強」

京太郎「面白いよな。先人の時代背景は興味深いし」

巴「ですよね。それで……この二つの組織の違いですが……」

巴「簡単に分類すると、"目的"と"能力"です」

京太郎「目的と、能力……」

巴「はい。『統制王族院』は、先人が私たち能力者を王族と見立てたことから始まりました」

巴「その中でも様々な役割がありますが……様々な規律や計画の取り決めを行う文官、文官が取り決めたことを現場で実行に移す武官が主ですね」

巴「武官の現代表は福路美穂子。文官と武官のそのさらに上の階級に何人かいるようですが、私のような平には詳しいことは教えられていません」

巴「『統制王族院』の生活は、変わりません。ただ、偉大な王の力であるこの能力を研鑽し続け、文明の裏でひっそりと、独自の社会を形成していくだけ」


巴「『星の十字結社』については、私は属していないので詳しい事は解りません。また、重要なのが……」

巴「統制王族院の文官の方によって教えられる情報ですので、少し偏ってしまってるかもしれない・ということで……」

京太郎「大丈夫だって。仕方ねーよ」

巴「ふふ、そうですね。この『星の十字結社』の目的は、"社会をひっくり返す事"だと言われています」

京太郎「そいつは大層な目標だな」

巴「ほんとですよ。彼らの組織形態は不明ですが、わかっている最高位は宮永照」

巴「彼女の主張は"馬鹿に寛容過ぎる社会をひっくり返し、我々の支配により喰らい尽くす"」

巴「実際に聞いたわけじゃないんですけどね。教科書にはそう書いてありました」

京太郎「おもしれえな」

巴「ええ? そうですか? 莫迦げてますよ」

巴「結局、彼ら『星の十字結社』は力があるから、好き勝手やりたいってことでしょう? 能力者が特別、虐げられるってこともないのに」

京太郎「どうだかな。まあとにかく聞いてる限りじゃ、何にも出来ねえほうがどんだけ平和だろうと思うぜ」
67 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/05(木) 17:47:38.40 ID:qMEJS/fw0

巴「そして恐らく、須賀くんいとってはこっちが重要かな」

京太郎「"能力"か」

巴「能力……源は同じなんです」

巴「能力者は"牌の加護"を纏って生まれてくる」

巴「物心ついたときには、自分が圧倒的に他より優れた体を持っていると気付くでしょう」

巴「"牌の加護"により、通常の人間より丈夫になり、ちょっとやそっとじゃ死ななくなります」

巴「そして、麻雀で遣う点棒を握ると、能力者は自分の中に"攻撃する力"が宿っていることを発見します」

巴「あなたも昨日、経験したことですよ」

京太郎「点棒が変形する……その現象のことか」

巴「飲み込みがはやくて助かります」


巴「私たち統制王族院は、点棒は必ず刀に変形します」

巴「特殊な能力が付与されてる刀もありますが……これはあまり関係ないでしょう」

京太郎「なるほど。あんたや俺みたいにな」


巴「そして星の十字結社は、とくに決まった武器の形はありません」

京太郎「門松は弓を遣っていたな」

巴「それは星の十字結社独特の、"雀士兵装"という枠組みの中の変形です」

巴「牌の加護と点棒をうまくつなげて、雀士兵装という特殊な武器を形成するようですね」

巴「弓のみならず、ボウガンや鑓、剣もあるでしょうね」

京太郎「おもしれえじゃねえかよ」

巴「こらこら興味持たないで下さいよ。困りますからね」
68 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/05(木) 17:49:06.71 ID:qMEJS/fw0

京太郎「で、一つ疑問があるんだけどさ」

巴「受け付けます」

京太郎「あんた。能力の全てを俺に渡したと言ったな」

京太郎「けどその割には、治療や記憶改竄なんて、能力染みたことやってんじゃねえか」

京太郎「どういうことだ?」

巴「確かに能力は渡しましたよ。須賀君に」

巴「ただそれは、生まれつき能力者が持っている"牌の加護"のこと」

巴「"牌の加護"と、点棒です」

巴「私が後天的に学んだ術式……能力者が編み出した特殊な技術で、鬼道といいますが」

巴「鬼道は、普通周囲のあらゆるものから漏れ出している微弱な"牌の加護"を吸収して発動するため」

巴「"牌の加護"がなくとも扱うことが出来るんです」

巴「牌の加護が無ければ、新たに学ぶことは難しいですけどね」

京太郎「ふーん、なんか難解な話だったぜ」

巴「後々体で覚えることになりますよ」

京太郎「ええ!? 不吉なこというなよ……」

巴「ふふ。すいません」
69 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/05(木) 17:56:18.46 ID:qMEJS/fw0

巴「まあとにかく、これで一通りだと思います」

巴「疑問に思ったことがあれば言って下さいね」

京太郎「じゃあ最後に」


京太郎「どうして両方の組織とも、あのサイコロを狙ってるんだ?」


巴「賽……実を言うと、よく解らないんです。ただ、上の命令であることと」

巴「統制王族院で保護しなければ、星の十字結社に奪われれば、大変なことになる。ということだけ」

巴「本当に申し訳ありません。貴方が狙われる元凶について、全然協力できなくて……」

京太郎「わかった。でもそれは狩宿さんがアタマ下げることじゃないよ。むしろこうして助けてくれてるんだ」

京太郎「ありがとな、狩宿さん」ぽん

巴「……どういたしまして」

巴「優しいんですね、須賀くん」

京太郎「そんなことねえよ」ぷいっ

巴「……ふふ」

巴「ごほん。それで、今現在の最も重要な案件である……」

巴「ハオ・ホェイユーについて……」

京太郎「……」ごくり
70 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/05(木) 17:57:47.48 ID:qMEJS/fw0

巴「統制王族院と星の十字結社は幾度も衝突しています」

巴「戦いあれば、名をあげる者もいる。福路美穂子や宮永照のように」

巴「戦いの中、ハオ・ホェイユーは圧倒的な実力で、統制王族院の能力者を無力化してきました」

巴「彼女の刃は多くの能力者の胸を貫き、次々と……」

巴「有名人なんですよ。とにかく恐ろしく強い!」

巴「私なんかでは、幾千挑もうが敵わないでしょうね……はは……」

京太郎「そう自分を下げるなよ狩宿さん」

京太郎「別に戦うのが絶対条件じゃねえんだろ」

京太郎「あの首飾り……賽だっけ? 賽は壊れました、って素直に言えば退いてくれるかもしれないしさ」

巴「……」

巴「緊急の案件ではありますが……」


巴「それについては、もう少し考えさせて下さい」


京太郎「え? まあ、狩宿さんがそう言うなら、待ってるよ」

巴「……ありがとうございます」

71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/05(木) 18:02:08.02 ID:q8Own3KYo
BLEACH特有の難解(に見えて単純)設定はやめロッテ!
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/05(木) 18:13:16.95 ID:LsGphQddo
BLEACH要素を所々入れたオリジナルストーリーっぽい?
今のところ王族院が護廷十三隊、十字結社が破面と見ればいいのかな
73 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/05(木) 18:30:30.24 ID:qMEJS/fw0

――


『首尾はどうかねー?』

ハオ「上々とは言えません。それより」

ハオ「局の情報をもう一度洗いなおしてほしいくらいです」

ハオ「須賀京太郎からはまるで賽の気配を感じ取れません」

『ふむ……実を言うとだねぃ』


『賽の探知機のレーダーが、全く反応を示さなくなったんだよねぇ〜』


ハオ「何、だっ……て……?」

ハオ「それじゃあ、賽の行方を完全に見失ってしまったということじゃないですか」

『その通り! わかんねー、全てがわっかんねー』

ハオ「帰っていいですか?」

『いやいや。仕事ならまだあるくね? わかるだろ?』

ハオ「……気が進みませんね」

『門松葉子が能力を消失させた。そして、その場所は――』

『宮永咲の自宅だという。これはこれは、須賀京太郎より"曰く付き"だと思わねぇー?』

ハオ「"宮永"……まさか」


『手荒な手段を遣っても構わん。何か手掛かりを持ち帰れ』


『返事はー?』

ハオ「……了解しました」

ハオ「……恨みは無い。けど、平和の為には滅すも已むなし」


   To be continued...
74 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/05(木) 18:31:31.54 ID:qMEJS/fw0

【カルマ上昇】
【スキル・[Intelligence]初期値+10付与】

現在の称号【清澄の守護者】
所持金【50,000】

・スキル
[Speech] 37
[Strength] ??
[Gift] ??
[Intelligence] ?? +10

初期スキル値についてですが、いいタイミングを探してましたが、ちょっと難しそうなので、
申し訳ありませんが上の3つを今、安価コンマで決めても大丈夫でしょうか?

75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/05(木) 18:33:39.41 ID:isgT6CrG0
ええよー
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/05(木) 18:36:49.14 ID:nEaM57gwo
いいんでない?
77 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/05(木) 18:37:49.36 ID:qMEJS/fw0
ありがとうございます
よろしくお願い致します!

安価↓1[Strength]   コンマ/2

安価↓2[Gift]     コンマ/2

安価↓3[Intelligence] コンマ/2 + 10

78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/05(木) 18:38:21.85 ID:q8Own3KYo
負かせろし!
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/05(木) 18:39:00.27 ID:nEaM57gwo
もい
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/05(木) 18:39:55.17 ID:CirZQGo00
そろそろまぜろよ
ステータスを見てるとfallout思い出す
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/05(木) 18:40:34.11 ID:nEaM57gwo
低かった さーせん
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/05(木) 18:41:31.50 ID:LsGphQddo
なんという脳筋
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/05(木) 18:42:55.81 ID:CDVLEZwvo
>>78のIDにKYOか
84 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/05(木) 18:51:06.12 ID:qMEJS/fw0
バタバタして申し訳ありません
協力ありがとうございます!

[Strength] 43
[Gift] 14
[Intelligence] 19

初期値が決まりました。
今後特殊な選択肢を選ぶ際、スキルチャレンジがあります。
最初の[Speech]と同じ要領で、その選択肢にしたレスのコンマ値がスキル値以上なら選択肢が失敗します。

>>80
思いきり影響受けてますね。
85 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/05(木) 23:45:42.84 ID:qMEJS/fw0




咲「るんるんらー……るんるんらー……」

咲「って、何調子乗ってるんだろ、私……でもいいよね」

咲「欲しかった本を手に入れたんだもん! 絶版だったけど図書室にあって良かったぁ〜!」

咲「あとは何処で読むか……家もいいけど」

咲「帰り道のあそこの公園ならひと気も少ないし」

咲「小鳥の鳴き声をビー・ジー・エムに、日差しの中読んだら気持ちよさそう……」

咲「よし!」


咲「……行こう!」
86 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/05(木) 23:46:32.38 ID:qMEJS/fw0






 Rages On Darkland



咲「あれ……?」



 3.




87 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/05(木) 23:48:30.12 ID:qMEJS/fw0

――


ぶんっ ぶんっ ぶんっ


京太郎「せいっ! はぁっ!」ぶんっ

巴「ダメです! 腰がなってません! もっとこう、肘を畳んで――」

京太郎「うす!」

京太郎「せいっ! はぁっ!」ぶんっ

巴「うーん……」

巴「でもセンスは良いですね……」こくり

京太郎「だろ? 結構体動かすの、得意なんだぜ」にこっ

巴「あ、こら! 手を動かしなさい!」

京太郎「いいじゃんいいじゃん。疲れたから休憩タイム!!」

どすっ

巴「もぅ〜仕方ないですね。はい、水」ひょい

京太郎「お、ありがとう」ごくごく

京太郎「ぷはぁっ!」ごしごし

京太郎「運動後の水分は美味えな!」にこっ

巴「わかります」にこにこ
88 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/05(木) 23:49:42.08 ID:qMEJS/fw0

京太郎「しっかし、わざわざひと気ない公園来てまで、こうして刀振る練習するのもダルいな」

巴「でも基本は重要ですよ? スピードに関係しますから。しっかり鍛えないと」

巴「ハオ・ホェイユーに捻り潰される可能性は出来る限り減らしたいですからね」

京太郎「そりゃあそうだな。じゃあ狩宿さんが練習相手になってくれよ」にやり

巴「なってるじゃないですか」

京太郎「違う違う。直に・だよ。鬼道とやらが使えるんだろ? 護衛をかって出るくらいだ、攻撃できる鬼道もあるんじゃねえのか」

巴「ありますが……それで演習するにはは早過ぎる!」

京太郎「いいのいいの。時間は待ってくれねえ。初めから戦闘に慣らしておきたい」ぽきぽき

巴「……まったく、仕方ありませんね」ことん

すたすた

京太郎(距離をとった……か)

巴「方法は問いません。防いでくださいね」すっ


巴「君臨者よ」

巴「血肉の仮面・万象・羽搏き・ヒトの名を冠す者よ」

巴「焦熱と争乱 海隔て逆巻き南へと歩を進めよ」


巴「破道の三十一・赤火砲!」かっ


ぼうっ

ごごごごごごごごごごごご


京太郎「おらあっ!」ぶんっ

ずさぁぁぁぁ!!


京太郎「……ふうっ!」どん!

89 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/05(木) 23:52:34.47 ID:qMEJS/fw0

巴「……成程」

巴「中級鬼道をこうも容易く"斬る"ことが出来るなんて……」

巴「やはり、見込んだ通り、才能には恵まれているようですね。須賀くん」

京太郎「向かってくる火の玉をよく見て、ビビらずに刀を振り下ろすだけだ」

京太郎「そうしたら炎が真っ二つになって消えてくれた」

京太郎「あんたからもらったこの力、結構切れ味がいいぜ」

巴「……ですが、これならどうでしょうか?」


巴「雷鳴の馬車 糸車の間隙」

巴「光もて此を六に別つ」


巴「縛道の六十一・六杖光牢」


京太郎(……なんだ? 光の杭が――向かってくる!)


どん!


京太郎「くそっ……動けねえ!」

京太郎(反応――出来なかった!)


巴「その程度です。所詮は」
90 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/05(木) 23:58:27.54 ID:qMEJS/fw0

京太郎「……っ!」

巴「この六杖光牢を自力で解くには、反鬼相殺等、それ相応の鬼道の才が必要ですが――不可能でしょう?」

巴「貴方は鬼道には不向きのようです。故に、避けるか弾けるようにしなければ」

京太郎「ちぇっ。自惚れるなって言いたいのか」

巴「貴方は確かに肉体は強い。斬術や白打には期待出来ます。それでも過信は破滅を招くのみです」

巴「……まあ、赤火砲くらいならいつでも撃ってあげますが、私もこれは疲れますから」

巴「どうしましょうかね……」


京太郎「……そういえば」

京太郎「狩宿さんは、ハオにサイコロが壊れたと伝えるのを躊躇ってたな」

京太郎「どうしてだ?」

巴「……私自身の保身の為です」

京太郎「保身……だと?」

巴「ハオ・ホェイユーにその情報が伝われば、なるほど、彼女自身は私たちを見逃してくれるかもしれません」

巴「しかし、統制王族院の方は違う」

巴「"賽が壊れた"などと伝われば、どういう動きに出るのか……解らない」

巴「私を解雇として処理し、見捨てて、捨て置いてくれるだけならいいでしょう」

巴「しかし私は、罪を犯している」

京太郎「一般人への能力の譲渡……」

巴「須賀くんが気に病むことでは、全然ないんですけどね」

91 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/06(金) 00:00:14.74 ID:jJzLQM070

京太郎「……」

巴「怖いんですよ。状況を変えるのが。私は」

巴「ハオ・ホェイユーが須賀くんと戦う可能性を考えて練習させているのに」

巴「私は、自分の保身のことばかり」

巴「愚かと蔑んでくれて構いません」

京太郎「……気にすんな。狩宿さんにはでかい借りがあるんだ」

京太郎「それにサイコロ壊したのは俺だ。力も貰って、狩宿さんには迷惑をかけまくってる」

京太郎「だから狩宿さんもかけろよ、迷惑」

京太郎「何とかハオはやり過ごしてやるからさ」ぽん

巴「すいません……」

京太郎「謝る事じゃねえよ」

巴「……ん?」

京太郎「どうした?」

巴「何者かの、気配がする……!」

92 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/06(金) 00:01:47.46 ID:jJzLQM070

京太郎「何だって!? ハオか!?」

巴「いや――……」


咲「京ちゃん、こんにちは!」


京太郎「うおおっ!!」

咲「えへへ。通りかかったら見つけちゃった」

京太郎「なんだよ咲かよ。脅かすんじゃねえよ!」

咲「ご、ごめん」

咲「京ちゃんは何してるの? こんな公園で」

京太郎「え? えーと……」

咲「あれ?」


巴「……」だんまり


咲「えっと……京ちゃん、知り合い?」

京太郎「う、うーん……」


【どう紹介する? #1】
1. えっと、命の恩人、かな……
2. ああ、友達の狩宿巴さんだ
3. えっと……(ちらっ)
93 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/06(金) 00:02:14.89 ID:jJzLQM070
安価↓1
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/06(金) 00:02:29.36 ID:ES4NFOVgo
3
95 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/06(金) 00:15:41.53 ID:jJzLQM070

京太郎「えっと……」ちら

巴「……私は、狩宿巴といいます」

巴「須賀くんとは、お友達の関係、かな……」

咲「あ、そうなんですか……友達……」

京太郎「そうそう友達! それが言いたかったんだよねー!」

巴「たまたま会って、話してただけですよね、須賀くん」

京太郎「そうそう! たまたま! たまたま会っただけ!」

咲「あはは……」

咲「ん、と……私は宮永咲っていいます。よろしくお願いします」ぺこり

巴「よろしくお願いします、宮永さん……」

巴(ん……? 宮永……?)

京太郎「で、お前こそ何でこんな辺境の公園に来てんだよ? 咲」

咲「うぇっ? そ、それは……」もじもじ

京太郎「……? あ、その抱えてる本か?」

咲「ば、ばれちゃった?」

京太郎「どーせベンチでカッコよく読みたかったとかそんなんだろ」

咲「そ、そうだよ。悪い?」
96 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/06(金) 00:23:17.12 ID:jJzLQM070

京太郎「いや、悪くねえよ。似合ってんじゃねえのそういう姿」

咲「そ、そうかな……?」てれっ

咲「絶版で読めないかなぁと思ってた本を手に入れたから、ちょっと燥いじゃったよ」

京太郎「ふーん。じゃあ読書の邪魔しちゃ悪いな。帰ろうぜ狩宿さん」

咲「えっ!? 帰っちゃうの!?」

京太郎「え? 居てほしいのか? いいけど」

咲「あ、いえいえ……っ! そんな、まさかだよ……!」

咲「京ちゃんも用事とかあるんでしょ? いいよいいよ、私の事なんか気にせず置いてっちゃってよ!」

京太郎「そっか。じゃあまた明日な、咲ー」ふりふり

巴「それでは……」ぺこり

咲「あ……うん、また明日ね、京ちゃん……っ! と、狩宿さん!」ふりふり


咲「ふう。どうせなら、居てもらえばよかったかな、私のバカ……」

咲「でもそれだと、どきどきしすぎて本の内容が頭に入って来ないかもしれないから、良かったのかも」

咲「さ。ベンチに座って太陽を浴びながら……この本を……」

咲「あれ……?」


咲「何で京ちゃん、あの狩宿さんって人と自然に、二人一緒に帰っちゃったんだろう?」

咲「……まあいっか」
97 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/06(金) 00:49:53.47 ID:jJzLQM070

――

京太郎「まさか咲と出くわすとはなぁ……」すたすた

巴「そう言えばあの子、最初に須賀くんと会ったときに一緒にいた子の一人でしたね」すたすた

京太郎「ん? ああ、狩宿さんは治療もしてくれたし知ってるか。そうだよ」

京太郎「咲の家で起こった、あの日のことが嘘みたいな回復ぶりだ。ありがとうな、改めて」

巴「どういたしまして、って、私にお礼いうコトじゃないですけどね。巻き込んだのは私ですから」

京太郎「それでも、だよ」

巴「……そうですか。仲、いいんですか?」

京太郎「……うん。まあな」

京太郎「元々俺と咲が中学からの仲でさ、そこそこ話したりしてたんだ」

京太郎「んで、優希ってちっこい奴と、和っていうアイドル級に可愛い子。この二人も中学からの付き合いらしい」

京太郎「同じクラスで、俺が和に話しかけまくってるうちに、この四人でつるむ事がいつのまにか多くなった感じだな」

巴「……へえ。なんかいいですね。そういうの」

京太郎「狩宿さんはフツーに学校通ったりはしないのか?」

巴「……一応、普通の学校の名簿に記載はされてますが、あまり行かないですね」

巴「それよりも統制王族院の教育機関で過ごすほうが多かったです」

巴「友もたくさん……とは言えませんが、まあいましたよ」

京太郎「……そっか」

巴「ちょっと。私のことを話すたびにそういう顔するのやめてもらえませんか」

京太郎「いや、なんか責任感じちゃってさ……」
98 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/06(金) 00:52:09.47 ID:jJzLQM070

京太郎(成り行きとはいえ、俺のせいでこいつは……友達にも会えねえのか)

巴「……やっぱり須賀くんって優しいですよね」

京太郎「そうか?」

巴「そうですよ。これでも私は、貴方のことを評価してるんです」


巴「……確信です」


巴「出会った日、友達をやられて激怒してる貴方を見て……」

巴「半分なら力を渡しても良いだろうって確信を得ました」

巴「ま・結果的に力は全部奪われちゃったんですけど」

京太郎「それは悪いな。ほんとに。俺も要領が掴めなかったんだ」

巴「……構いませんよっ」たたっ


巴「それでは私はこの辺で用事があるため失礼します。何かあれば電話で」


京太郎「おいおい。俺も一緒に行こうか?」

巴「いや、須賀くんは早く帰って休んで下さい。今日は疲れたでしょう」

巴「私は緊急事態に備えて清澄の制服を至急、用意してきますので」

巴「遅くとも夕方には帰ると思います」

京太郎「わかった。帰ってくるとき、間違っても玄関から入るなよ」

巴「私がそんなヘマをするとでも? ちゃんと須賀くんの部屋の窓をノックしますよ」

京太郎「よし。じゃ、また」

巴「ええ。出来るだけすぐに戻ります」
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/06(金) 00:55:06.16 ID:CNJkfymYo
巴さん大活躍スレになるとは・・・
100 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/06(金) 02:29:47.66 ID:jJzLQM070

――

京太郎「……」

京太郎「まだ、少し暑いな……」

京太郎「コンビニでも行って、アイスでも、買っていってやるか……」くるっ

京太郎「狩宿さん、何味のアイスが好きなんだろうな……」すたすた

京太郎「ああ見えて、苺ミルク味とか好きだったりしてな」ははは


うぃーん


コンビニ店員「いらっしゃいませー」

京太郎「さて、さっそくアイスアイス……」



ハオ「おや?」



京太郎「!!!」

ハオ「奇遇ですね。こんなところで会うなんて」

京太郎「ハオ・ホェイユー……!!」

京太郎「どうしてこんなところに……」じりっ…

ハオ「どうして? 家が近いからですよ」

京太郎「な、に……?」

ハオ「家というか、借りてる物件ですね」

京太郎「そういうことを訊いてんじゃ――」

京太郎(――いや)
101 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/06(金) 02:31:17.13 ID:jJzLQM070

京太郎(冷静になれ、俺)

京太郎(こんなところで騒いだら、多くの人を巻き込んでしまうかもしれない……)

京太郎「――そうなのか。知らなかったよ」

京太郎「しかし本当に奇遇だな。ハオ」

ハオ「そうですね」

京太郎「折角だし、どっかで話さない? それこそ」

京太郎「町を案内してやるよ。前に言ってたろ」

京太郎(受け身で居ちゃダメだ。襲われるのを待つだけになる)

京太郎(何とか俺からも、ハオの動向を掴まないと……)

ハオ「ああ……」

ハオ「いいですね。じゃあ買うものだけ買いますね」

京太郎「おう。外で待ってる」

ハオ「……貴方は何か買いに来たんじゃないんですか?」

京太郎「アイスを買おうと思って来たんだ」

京太郎「けど話してる内に溶けちまうだろ」

ハオ「食べながらでも、気にしませんよ? 私は」


京太郎「いや、人に買ってこうと思ったんだよね」
102 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/06(金) 03:16:21.84 ID:jJzLQM070

――


京太郎「ここの八百屋さんなら、いろんなものが新鮮だぜ」

ハオ「へぇ……」

京太郎「ジャンプが早く入荷して、売ってたりするんだ」

ハオ「ジャンプ?」

京太郎「知らないのか。ほらこれ。今日も売ってんじゃん」ひょい

京太郎「日本じゃ一番ポピュラーな雑誌だと思ってるんだけどな」

ハオ「そう……なんですか。それは勉強不足でした」

京太郎「ああ。全くだ。暇があるならこの俺おススメの漫画を読んでみるといい」ぱらぱら

京太郎「胸の奥を燃やしてくれる漫画だ」

ハオ「面白いんですか?」

京太郎「当たり前だろ。感じるんだよ、画面に込められた魂をな」

ハオ「それなら今度、単行本を手に取ってみますね」

京太郎「何なら貸してやるよ。明日学校に持ってきてやるから」

ハオ「いえ、その必要は……」

京太郎「遠慮すんなって!」がしっ

ハオ「は、はい。ありがたく読ませて頂きます……」
103 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/06(金) 03:17:57.87 ID:jJzLQM070

――


京太郎「ここが地元民だけの大通りだ。銭湯や飯屋があり、静かな町の中で、少しだけ賑わってる」

ハオ「成程……」

京太郎「……ん?」

京太郎「あれは……」

子供「ひっく……ひっく……」

ハオ「子供ですね……ですが、何か様子がおかしい」


子供「うえぇぇぇぇぇぇぇん」びえーん


京太郎・ハオ「「!」」


【子供が泣いています。どうする? #2】
1. [Speech37]ようしよしよし。良い子良い子〜〜(なでなで)
2. 坊主、どうしたんだ? 大丈夫か?
3. 次は良い喫茶店を紹介してやるよ(素通り)
4. ぶはっ。気持ち悪い泣き顔だな。ハオもそう思わねえ?

安価↓1
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/06(金) 03:23:34.74 ID:dGRBmngio
2
105 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/06(金) 13:18:06.31 ID:jJzLQM070

京太郎「……」すたすた

ハオ「あ……」


京太郎「坊主、どうしたんだ? 大丈夫か?」

子供「うう……うぇぇぇん」

京太郎「え、えっと……」おろおろ

京太郎「な、なんか、怪我でもしたのか? どうした?」

子供「ううぅううぅ」ふるふる


ハオ「よしよし……」なでなで


京太郎「!」

ハオ「よしよし、大丈夫だよ」ぐっ

子供「ひっぐ……」

京太郎(……)

ハオ「何があったのか、聞かせてごらん?」

子供「ひっぐ……あのね――」
106 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/06(金) 13:18:51.03 ID:jJzLQM070

――


ハオ「あの少年、良かったですね。はぐれたお母さんとまた会えて」

京太郎「ああ……迷子だったんだな……」

京太郎「でも、ハオすげーな」

京太郎「子供をあやすのは得意なのか? 俺なんて、全然上手くいかなかったよ」

ハオ「……得意というわけでは。ただ……」

ハオ「私は、迷いなくあの子の許へ向かった須賀くんに、釣られただけで……」

ハオ「須賀くんの、意外な一面を見ることが出来ました」

ハオ「優しいんですね」

京太郎「それはこっちの科白だ」

京太郎「あと、京太郎でいいぜ」

ハオ「え?」

京太郎「呼び方! そっちのほうがいいだろ」

ハオ「えっ、と……では」


ハオ「京太郎、と……」

京太郎「ああ。ハオ。これで俺たちは友達だな」

ハオ「友達……」


京太郎「少し疲れただろ。最後に喫茶店でも寄って帰ろうぜ」
107 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/06(金) 13:20:21.24 ID:jJzLQM070

――


京太郎「ここの喫茶、外の景色がよく見えていい感じだと思わないか?」

ハオ「確かに……寛ぐには良い場所だと思います」

京太郎「ああ。やっと座れたしな」

ハオ「……歩き疲れましたか?」

京太郎「そんなことねえよ。ただ、結構町を回ったしさ」

ハオ「感謝します。この辺のことがよく知れました」

京太郎「へへ、いい町だろ。静かで、緑が多くてさ……」

ハオ「……そうですね。この光景の中に自分も含まれていると思うと、不思議な気分です」

京太郎「すぐ馴染むさ。またすぐに転校するとかって、わけじゃ無いんだろ……?」

京太郎「留学生だから、いつかは帰るんだろうけど」

ハオ「……」

京太郎「……」かちゃ

京太郎(そろそろか……)ずず…


ハオ「変な事、訊いてもいいですか?」


京太郎「……何だ?」


ハオ「水晶のような、サイコロについて」


京太郎「……」


【どう答える? #3】
1. [Speech37] えっと、占いの道具か何かか?
2. し、知らない。聞いたこともない
3. 教えてもいいけど、その前に俺に渡してくれる金額を教えてくれないか
4. 砕いて門松って子に飲ませたよ(嘘) 

安価↓1

108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/06(金) 13:23:16.33 ID:Cr8BQnrJo
1
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/06(金) 13:50:34.77 ID:It0iPjv8o
成功か?
しかもゾロ目だ
110 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/06(金) 14:02:42.02 ID:jJzLQM070

[成功]


京太郎「えっと、占いの道具か何かか?」

ハオ「いや、そういうものではありませんが……」

ハオ「幼い頃、誰かに授けられた覚え、なんかはありませんでしたか?」

京太郎「……うーん。いや、覚えてないな」

ハオ「……ふむ、成程」

ハオ「それでは、京太郎」


ハオ「もう一つ訊かせて下さい」

ハオ「お友達の宮永咲について」


京太郎「なに……っ!?」どっ

京太郎「咲だって!? 咲の何を知りたがってるっていうんだ!?」ばんっ

ハオ「そう、声を荒げないでください」

ハオ「店内では静かに」

京太郎「……ああ」すとん

京太郎「それで、咲について何が知りたいんだ?」

京太郎「友達になりたいんなら掛け合ってやるけど」
111 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/06(金) 14:04:51.75 ID:jJzLQM070

ハオ「私が知りたいのは只、一つ」

ハオ「宮永咲がサイコロを保持しているか・どうか……」

ハオ「水晶のようなサイコロを宮永咲が、持ってるかどうか、知りませんか?」

京太郎「いや」

京太郎「見た事無いし、そんな話を咲から聞いた事も無い……」

京太郎「その、サイコロの在処を、どうしても知りたいのか?」 

ハオ「……どうしてもです、ワケは言えませんが」

ハオ「そして実を言うと、同じ質問を……」


ハオ「宮永咲本人に今現在、私の友人にさせている筈なんですが……」

ハオ「その友人から、まだ連絡が来ないんですよね……」

京太郎「――何だと!?」


ハオ「おっと、多弁は銀、沈黙は金。少々喋りすぎました、ご容赦を」

京太郎「咲にも誰かが、サイコロについて訊いてるってのか!?」

京太郎「どういうことだ……咲は関係ないだろう!?」

ハオ「……そうなんですか?」

京太郎「……くっ」

京太郎(迂闊なことは言えねえ。そんなことより……)


京太郎「金は置いておく!」ばんっ

ハオ「えっ?」

京太郎「急用が出来た! 先に帰るぜハオ! じゃあな!」だっ


ハオ「……まさか」

ハオ(いや。適当な予想は止めるべきか)
112 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/06(金) 14:06:52.80 ID:jJzLQM070


ハオ「須賀京太郎――一体何者なんでしょうかね」ことん


――


京太郎「はぁっ、はぁっ」だだだだだだだだだ

京太郎("牌の加護"ってやつのおかげか、走っても全然疲れない)

京太郎(咲はまだあの公園にいるか……!?)

京太郎(ちくしょうめ! 気を付けるのはハオ一人じゃなかったのか!)

京太郎(どうして咲を狙ったんだ……俺の友達だからか? いや……)

京太郎(考えろ。何か、何かある筈なんだ……)

京太郎(連中が俺だけじゃなく、咲に狙いをつけた理由の、手掛かりが……)


きききぃっ


京太郎「着いた! 公園だ!」

京太郎(太陽はほぼ沈みかけて、辺りは暗い)

京太郎「……静かだ」

京太郎「暗くてよく見えないけど……咲はいるのか?」きょろきょろ

京太郎「試しに呼んでみるか……」
113 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/06(金) 14:13:56.58 ID:jJzLQM070

京太郎「咲!」ごうっ

京太郎「いるか、咲! いるなら返事をしてくれ!」


しーん


京太郎「いない、のか……?」きょろきょろ

京太郎「くそっ、じゃあ次は咲の家に行ってみるか……」くるり



咲「京、ちゃん……?」



京太郎「!!!!!!」

京太郎「咲……!?」

京太郎(声は、少し遠くから聞こえた。細くて、小鳥の囀りとなんら変わらない程小さな声だったけど……)

京太郎(咲の声は確かに聞こえた)

京太郎「咲、いるのか……無事か!?」

京太郎「くそっ! 何処にいる!?」



「ハァーーーーーイ。ワタシはココだよォーーーーー??」



京太郎「!!?」ぎゅるんっ

114 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/06(金) 14:47:05.45 ID:jJzLQM070

京太郎「誰だ、あんた……」

京太郎(背後から現れたのは、メガネをかけた、黒髪の女だった)

「うん? そんなことより知りたいことがあるんじゃなかったのか?」


「ほら、あんたも言えよ。私は此処だってよ!」ずりずり

ずさっ

ぼとん


京太郎「――」

京太郎「何、引き摺ってんだ、あんた……」

「わからない? あんなに何度も名を呼んでいたのに?」

「わからないのか? あんなに愛おしそうに、名を呼んでいたのに!?」

京太郎「咲……」

京太郎「……おい。咲に、何をした」


「かわいかったぜぇ? 助けて、助けて京ちゃん、って鳴く姿はよ!」

「こんな辺境の公園にいたせいで探すのに手間取ったストレスを」

「こんな具合に解消できるってのはいいものだね! はははは!!」



京太郎「――咲に何をしたのかって、訊いてんだよ!!!!!!」くわっ  



「ちっ。五月蠅えな」
115 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/06(金) 14:49:17.67 ID:jJzLQM070

「訊いてただけだ。このチビに、賽の在処を知らねえかってな」

「賽はこいつの家で反応を途絶えた。そして」

「私の同期も其処でやられちまった。何も覚えてねえんだと」

「それでこのチビに問い詰めてたんだが……口が堅いことで、何訊いても反応は一つ」

「そんなの知らない。助けて京ちゃん……ってよ」

「五月蠅えっつーんだよ? なぁ? あんたもそう思うだろ?」

「愛しの"京ちゃん"よぉ!!」


京太郎「咲から離れろ」


「嫌だね。情報を訊きだすまでは帰れねえ」

京太郎「そうかよ。じゃあ仕方ねえ」すっ


じゃらん!!


京太郎「あんたには眠ってもらう」


「能力者……だと!? どういうことだ……!」

京太郎「ごちゃごちゃうるせぇ! 抜けよ! あんたも能力者なんだろうが!」


「はっ……いいね。血が滾る」すっ

116 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/06(金) 14:50:40.26 ID:jJzLQM070


じゃらん!


「さぁ行くぞ、"京ちゃん"」




京太郎「その名で呼ぶんじゃねえ。俺の名は須賀京太郎だ」

「あっそ。私は田中舞だ」



舞「私の弓は強ぇからな」

舞「死んじまっても恨むじゃねえぞ!!!!」どっ


京太郎「互いにな!!!」どっ



 がきん!!



 ------------------

  To be continued...



117 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/06(金) 14:51:45.41 ID:jJzLQM070

【#1 → 好感度変動無し】
【#2 → カルマ上昇 好感度上昇(ハオ)】
【#3 → カルマ上昇 ルート・現場到着】

現在の称号【清澄の守護者】
所持金【49,000】

★スキル
[Speech] 39 (+2)
[Strength] 43
[Gift] 14
[Intelligence] 19

スピーチ・チャレンジに成功した為、値が2上昇しました。
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/06(金) 15:05:04.69 ID:U2avaOjOo
やっと使われたね(ニッコリ
119 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/06(金) 15:32:59.25 ID:jJzLQM070






びゅぉっ

ごおおおおおおお


がきん!!


しゅっ

だだっ


びゅおっ


がきん!!


舞「おらおらどうしたぁ! 逃げ回ってるだけかぁ!?」ぐぐっ

びゅおっ びゅぉっ

120 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/06(金) 15:33:44.96 ID:jJzLQM070



がきん!! がきん!!



京太郎「……うるせえよ」

京太郎(威勢の割には、大したことねえ)

京太郎(田中の矢は簡単に弾くことができる)

京太郎(そういえば、"牌の加護"を受けた人間は丈夫になるって話だったな……)

京太郎(さて、次は……)


【次はこっちの番だ。どうする #1】
1. [Strength43] 矢を掴んで投げ返す
2. 突進してぶった切る

安価↓1

121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/06(金) 15:39:24.09 ID:U2avaOjOo
1
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/06(金) 15:39:36.14 ID:bcBDhh3B0
1
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/06(金) 15:46:58.29 ID:+eCfEDt5o
なんか下手に触れたら危ない気もするけど2も2で罠がありそうで怖いという
124 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/06(金) 15:46:59.99 ID:jJzLQM070

[成功]


舞「おらあ! これが避けられるかよ!」ぶっ

びゅっ びゅっ びゅっ びゅっ

舞「四つの矢だ! 躱しきれねえよなぁ!?」


どぉぉぉぉおおおん……


舞「……全弾命中」


しゅっ ざくっ


舞「刀? 手放したのか……?」


しゅううううううううう


京太郎「失望したぜ」

京太郎「こんなもんかよ」ど ど ど ど ど ど


舞「何……」

舞(四つまとめて掴み切っている、だと……!?)


京太郎「何驚いてんだ! 鈍ぇぞ!」

舞「!!」


ぎ ゅ ぉ お っ

どすっっっ


舞「がはっ……」
125 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/06(金) 15:54:42.85 ID:jJzLQM070

ばたり


舞「ぐ……ぐぅ……」ぴくぴく


京太郎「勝負あったな」

舞「畜生……私の神聖滅矢(ハイリッヒ・プファイル)を」

舞「躱し・打ち払い・素手で投げ返されてしまう、とは……」

舞「強ぇな、てめー……」

京太郎「立てるか?」

京太郎「二度と俺の友達に手を出さねえと約束するなら、見逃すぜ」

舞「……生憎と」


舞「私ら星の十字結社にとって"勝負あり"とは、どちらかが能力を失うことを言うのさ」


京太郎「……そうかよ」


【田中舞の運命を決めろ #2】
1. じゃあ望み通り、止めを差してやろう
2. てめえらの仕来りなんか、知ったことじゃねえ
3. ……

安価↓1

126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sagasage]:2015/02/06(金) 15:56:05.79 ID:7elVN0JBO
2
127 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/06(金) 16:38:27.20 ID:jJzLQM070

京太郎「てめえらの仕来りなんか、知ったことじゃねえ」


舞「何……!?」

京太郎「俺は俺のルールで戦ってる」

舞「……俺のルール、だと?」

京太郎「そうだ」

京太郎「あんたが俺と約束出来るなら見逃す」

京太郎「出来ねえなら止めを差す」

京太郎「それだけのことだ」

舞「ちっ……出来ねえ、つっても見逃しそうなくらい、腑抜けた面構えしてるよお前」

舞「いいだろう……私は、今後お前の周りには手を出さない」

舞「敗けて永らえることは恥……けれど、責任持ってこいつにさせた怪我を治そう」

舞「でもそれだけだ。償いのつもりで治すんじゃねえぞ」

舞「私は勝負に敗けたから治すんだ」

京太郎「……御託はいい。始めてくれ」

舞「ちっ……」


ほわっ ぶんぶんぶんぶん


舞「宮永咲、だったな……済まねえことをした」

京太郎「あんたは仕事をしてただけだろ。それから俺と新たに契約した」

京太郎「許しはしない。だけど、憎みもしねえよ。今後次第だ」

舞「面白いな、お前」

京太郎「……そうか?」
128 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/06(金) 16:39:38.42 ID:jJzLQM070

舞「お前は何処の所属だ? 統制王族院のクソ共みてえな雰囲気じゃねえけどよ」

京太郎「無所属だ」

舞「何……!? 無所属だと!?」

舞「はっはっは! こりゃ驚いた。そりゃあ仕来りなんてどーだっていいわな」

舞「ほんとに面白いよ、お前。私、組織に使われてるのがバカバカしくなっちまった」


舞「もう賽なんか興味ねえ。これ以上探らねえよ」


舞「結社になんか戻らねえ! 私は自由だ!」

京太郎「おいおい、いいのかよ。組織を裏切るのか」

舞「いいさ。私が上に背いたからって、別段状況は変わらない」

舞「私も……いつか」

舞「いや。いいわ。じゃあな」

京太郎「なあ。組織以外に、あてがあるのか?」

舞「ねえよ。でもなんとかやってくさ」

舞「そうそう。一つ忠告。私の直属の上官であるハオ・ホェイユーだけど……」

舞「恐らくまだお前を狙ってくるだろう。戦おうなんて思うな。頑張って言いくるめることだな」

舞「お前がいくら強いとはいえ、あの人は別格だ」

京太郎「そりゃどうも。元気でな」ふりふり

舞(友達をやった奴にそうやって手ぇ振れるのも、お前くらいのもんだな)すたすた

舞(私もいつか、お前みたいに……)

舞「ああ。いい出会いだったよ……須賀京太郎」ぼそっ
129 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/06(金) 16:40:38.31 ID:jJzLQM070


京太郎(……ちっ。田中舞って言ったか。同期をやられたって話だったな)

京太郎(多分俺のやった門松のことだろうが……)

京太郎(敗けてあっさり退くなんて、なかなか潔い奴だったぜ)

京太郎「さて……咲を家まで運んでやるか」

京太郎「全く。また嘘みたいに治ってる」

京太郎「けど、次は絶対に……お前に怪我させる前に」

京太郎「……護ってやるからな」ぐっ




//////  4. Dirty Pride   //////




巴「……あれ?」きょとん

巴「部屋に居ない……? 電気もついてないし、家に居ない……?」

巴「まさか何か……」

巴「まさか、須賀くんの身に何か……!?」

巴「迂闊だった……離れるべきじゃなかった!」

巴「待ってて、須賀くん……今、行くから!」だだっ


ぼすんっ


巴「きゃぁっ!」どてっ
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/06(金) 16:45:19.68 ID:U2avaOjOo
モブの好感度を上げるタラシの鑑
131 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/06(金) 23:13:12.57 ID:jJzLQM070

京太郎「ど、どうしたんだ? 狩宿さん」

巴「いたた……須賀くん?」

京太郎「おう。大丈夫か?」ひょい

巴「ありがとうございます……って、何処に行ってたんですか!?」すたん

巴「心配したんですからね!」

京太郎「あ、ああ……悪い」

巴「……ん?」

巴「あ!」

京太郎「!」

巴「コンビニの袋……」

京太郎「あ、ああ。そうだ。アイスが食べたくなってさ」

京太郎「狩宿さんの分も買ってきた。イチゴミルク風味で良かったか?」

巴「全然いいですよ! ありがとうございます。気が利きますねー須賀くん」

京太郎「へへへ、だろ?」

京太郎「じゃあ部屋に戻ろうぜ」かちゃ


京太郎(狩宿さんに、今日のことを報告するか……?)

京太郎(別に知らなくたって差支えない事実だ。俺にとっても狩宿さんにとっても何も問題ないだろう)

京太郎(けれど、それが果たして恩人に対して誠実な態度と言えるだろうか……?)


【田中舞との騒動を報告する? #3】
1. なあ、実は今日、あんたと別れた後さ……
2. ……(報告しない) 
3. 狩宿さんが傍に居ないのはなんか違和感があったよ

安価↓1
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/06(金) 23:15:30.59 ID:+XZb70Dxo
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/06(金) 23:15:59.83 ID:1lYCmyzqO
3
134 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/06(金) 23:26:48.59 ID:jJzLQM070

――

京太郎「なあ。実は今日、あんたと別れた後さ……」

巴「どうかしたんですか?」もぐもぐ

京太郎「ハオに出会った」

巴「!?」ごくんっ

巴「〜〜……っ」

京太郎「だ、大丈夫か? 悪いな喰ってる時に」

巴「こほっ。こほっ。いえ、構いません……それより、大丈夫だったんですか!?」

京太郎「大丈夫じゃなかったらこんな悠長じゃないさ。問題無かったよ」

京太郎「あいつと色々話したんだ。なんかこっちを探ってるのがビンビン伝わってきて」

京太郎「最後に、サイコロについて知らないかって、訊かれた」

巴「……なんて答えたんです?」

京太郎「とぼけたよ。そして乗り切った。だけど今度は……」

京太郎「咲が狙われたんだ」

巴「!?」

京太郎「……この前、門松を倒した場所。あいつの家だっただろ。サイコロ壊したのもあいつの家だ」

京太郎「だから咲は怪しまれちまったんだと思う」

京太郎「ハオの部下らしい田中って女が、咲から情報を訊きだす為に……」

京太郎「……その、色々と暴力的な事をさ」

巴「……そんな」
135 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/06(金) 23:39:18.97 ID:jJzLQM070

京太郎「ハオが教えてくれたんだ」

巴「え?」

京太郎「ハオが、咲のところにも刺客を放ったってことを、伝えてくれたんだ」

京太郎「どういう思惑かは知らないけどな。もしかしたらただ単に口を滑らせただけかもしれないし」

京太郎「とにかくそのおかげで俺は現場に直行できて」

京太郎「田中の凶行を途中で止めさせることができた」

京太郎「……まあその時には、咲は既にボロボロだったんだけど、さ……」

巴「……」

京太郎「田中は、咲にした事以外はまあ、いい奴だったよ」

京太郎「ちょっとした戦闘があったんだけど、それで負かしたら咲を治療してくれたんだ」

京太郎「そして、あいつは組織を裏切ってどっか行っちまった」

京太郎「多分ハオに報告もしなかっただろうし、今後俺らの前には現れない筈だ」

京太郎「万事解決って訳だ。この件に関して言えば」

巴「……その、なんて言ったらいいか……」

巴「まず、第一に須賀くんが無事でいてくれて、本当に良かった……」

巴「うまく、やってくれたんですね……」

巴「護衛すると宣っておきながら……何にも関われなかった自分が情けないです」

京太郎「何言ってんだよ。俺もあんたに連絡しなかったんだ……自分を責めないでくれ」

巴「……」

巴「あの……ですが、記憶は?」
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/06(金) 23:41:47.10 ID:U2avaOjOo
あっ・・・
137 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/06(金) 23:57:55.08 ID:jJzLQM070

京太郎「……記憶?」

巴「宮永さんの記憶ですよ」

巴「その田中って女の人は、宮永さんの記憶については……」

京太郎「……まずいな。何にも触れてない……と思う」

巴「ならば、こうしてはいられません。はやく忘却させに行かなくては……」


京太郎「……」


京太郎(咲の記憶を、いじくるか、いじくらないか……)

京太郎(咲は今日、あの田中って女にめちゃくちゃにされた……)

京太郎(そんな記憶、トラウマになっちまうかもしれない。絶対に忘れさせるべきだ)

京太郎(それに、あいつのことだ。勘繰って俺のことを心配してしまうかもしれない)

京太郎(それは申し訳なく思う。あいつは関わらなくていいことに関わってしまった)

京太郎(だから記憶を消すのが正しいだろう)

京太郎(けど……)

京太郎(いいのか?)

京太郎(事実を捻じ曲げて、明日笑って登校してくる咲に、俺はどんな面して会えばいいんだよ?)

京太郎(咲のことは、俺自身の罪だ。それを消してしまうコトに激しい抵抗を感じている)

京太郎(自分勝手だけど、咲の記憶を消してしまったら、俺の感じた責任も消え失せてしまうそうで……怖い)

京太郎(……くそっ。俺が気に掛けてるのは結局俺自身ってことか……)

京太郎(どうする?)


【今回の件について、咲の記憶をどうする? #4】
1. ……そうだな。咲の家に案内するよ
2. 待ってくれ狩宿さん!! 

安価↓1
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/06(金) 23:58:56.80 ID:U2avaOjOo
2
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/06(金) 23:59:04.58 ID:R39B7Cuvo
140 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/07(土) 00:14:43.58 ID:yPBwE8cT0

京太郎「待ってくれ狩宿さん!」

巴「」ぴく

京太郎「咲の記憶を、消しに行かないでくれ」

巴「!? 何を……!」

巴「……いえ、訳を訊きましょう」

京太郎「咲の記憶を消したら、俺は……」

京太郎「俺自身の罪から目を逸らしちまいそうで怖いんだ」


巴「……戯れ言です」


巴「第一に優先するべきことは、宮永さん自身でしょう」

巴「貴方の話を聞く限り、宮永さんは見知らぬ人間にボロボロにされたそうじゃないですか」

巴「その記憶がトラウマになってしまったら、誰が責任を取るっていうんですか?」

巴「そして、何を怯えることがあるんです? まず貴方に罪はない。貴方自身の罪など存在しない」

巴「己の立つ場所を見誤らないで下さい。この騒動は、宮永さんが記憶を消失して全て終わる」


京太郎「それでもだ!!」


巴「!」

京太郎「そうだ。あんたが全部正しいだろうさ、狩宿さん」

京太郎「でも俺は、嫌だ……」

京太郎「嫌なんだ!!」

京太郎「あんたに初めて会った、あの日みたいに……」

京太郎「これ以上、咲から何も奪いたくないんだよ!!」

京太郎「……我侭だと、切り捨てて構わない」

京太郎「悪い。気が動転してるんだ。狩宿さんに判断は任せる。俺なんかよりよほど賢い」


巴「……」

141 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/07(土) 00:49:37.13 ID:yPBwE8cT0

巴「はぁ……」

京太郎「狩宿、さん……」

巴「私も、あてられてしまったのか……」


巴「やる気が失せました」


京太郎「……どういう意味だ?」

巴「宮永さんの記憶を消しにいくって気が、全然失くなってしまった・って言ってるんですよ」

京太郎「……狩宿さん!」ぱぁぁ

巴「もう……笑顔になる場面じゃないでしょ、須賀くん……」

京太郎「はは……」

京太郎「でも、その、言っといて何だけど、大丈夫かな?」

京太郎「色々、問題がおこったり……」

巴「起こるでしょうね。でもそれが何ですか?」

京太郎「え?」

巴「覚悟、決めて下さいよ、須賀くん」

巴「絶対に、後から問題の波がやってくる」

巴「その波から、宮永さんを護ってあげて下さいね」

巴「貴方なら……それができる」

巴「私も、そんな貴方に協力したいと考えています」

京太郎「ああ……そうだな」


京太郎「覚悟だ」


京太郎「罪から目を背けるような、くだらねー男にはなりたくない」

京太郎「背負ってやるよ。巻き込んだ連中は一人残らず護ってやる」

巴「その意気ですよ、須賀くん」
142 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/07(土) 00:50:54.47 ID:yPBwE8cT0

京太郎「あんたもだぜ、狩宿さん」

巴「えっ?」

京太郎「何呆けた顔してんだ? 言ったろ、巻き込んだ連中は全員だって」

京太郎「元はと言えば俺がサイコロぶっ壊したせいであんたのアタマ悩まさせてんだし」

京太郎「そして何より、あんたは俺を助けてくれた。俺を助けて……」


京太郎「俺に、みんなを護る力を与えてくれた」


京太郎「だから俺は、どんな問題でも戦って、あんたを護るんだよ」


巴「……」

京太郎「なんかもう、俺とあんたは一蓮托生だろ」

京太郎「図々しいって言っても聞かねえぞ。もう決めた。色んな面倒からあんたを護る」

巴「……あはは」


巴(そっか)

巴(これは――)


巴「ふふ。小っ恥ずかしい人ですね……」

京太郎「う、うるせえな。柄じゃない事言ったんだからもっと何かねえのかよ!」

京太郎「『私も同じ気持ちですー』とか『ありがとうございますー』とか」

巴「ふふ。それこそ図々しいですよ、須賀くん」

京太郎「へへっ……」


巴(――ありがとう。須賀くん……)

巴(私も、同じ気持ちだからね……)


――
143 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/07(土) 01:15:57.00 ID:yPBwE8cT0

――

舞「で、勢いで裏切っちまったはいいけどよ」

舞「ハオの手配した仮宿には戻れねーし」

舞「まあ何てこと無い顔して、裏切ったってことを無しにするのもいいけど……」


京太郎『てめえらの仕来りなんか、知ったことじゃねえ』

京太郎『俺は俺のルールで戦ってる』


舞「そんな気分に、微塵もならねーや……」


「どうしたの?」


舞「!!?」くるっ


「あはは、困ってるって顔ね」

「どっかの組織を裏切って、これからどうすればいいか解らないって顔してる」


舞「何だてめぇ!? 何もんだ!」


「そう声を荒げないでくれるかしら? 別にそんな怪しい者じゃないわよ」


「困った時はお互い様……お部屋、用意しましょうか?」


――

 To be continued...

144 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/07(土) 01:16:59.19 ID:yPBwE8cT0

【#1 → ルート・瞬殺】
【#2 → カルマ上昇】
【#3 → カルマ大きく上昇 好感度上昇(巴)】
【#4 → 好感度上昇(巴) ルート・memories of my own】

現在の称号【清澄の守護者】
所持金【48,600】

★スキル
[Speech] 39
[Strength] 45 (+2)
[Gift] 14
[Intelligence] 19
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/07(土) 01:21:23.71 ID:ldiU425Wo
乙乙
146 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/07(土) 22:55:53.56 ID:yPBwE8cT0



――


まだ 気を失ってない


知らないことを訊かれるのは辛いものだ

それを 知らないと言えば 

ぶたれるくらいに問い詰められるなんて なんて理不尽なんだろう

痛いよ

頭も体も心も痛いよ

こんなにぶたれたら死んじゃうよ

それは嫌だな このまま死んだら 会えなくなっちゃう

でも だからといって 私には何も出来ないよ

こんな気持ちを 人に与えたくないから

だから私は 縮こまってるだけ

でもやっぱり 痛いよ どうにもならないよ 助けて 


「咲!」





ううん 知ってる

私はこの声を知っている 


私の全てを満たしてくれるこの声は――

147 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/07(土) 22:56:54.72 ID:yPBwE8cT0

――


ぴりりりり ぴりりりり


咲「……」むくり

咲「ふぁぁ……朝、かぁ」

咲「……ん。やっぱりどこも痛くないし、怪我してない……」

咲「昨日のことは、夢だったのかな」


咲「ううん」


咲「夢じゃない」

咲「私を助けてくれたんだよね」





咲「――京ちゃん」






 5.




148 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/07(土) 22:57:52.60 ID:yPBwE8cT0



 microcrack.



――


京太郎「……」ごくり


京太郎「ふぅー……」

京太郎「あー……いや……でも……」

京太郎「うう……」そわそわ


優希「教室の前で、何を挙動不審になってるんだじぇ?」


優希「ただの変質者に見えるじぇ、京太郎」

京太郎「……優希」

優希「遅刻もしてないのに、教室に入るのを躊躇う理由でもあるのか?」

京太郎「わかんねえさ、優希、お前には。大人の気持ちってやつはな……」

優希「はいはい。言ってろ」

優希「京太郎のその手の弄りにはもう飽きたんだじぇ。さ、入るじぇー」ぐいっ

京太郎「うわわわっ」


がらがら……


京太郎「……っ」

京太郎(咲は……!?)きょろきょろ

149 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/07(土) 22:59:54.19 ID:yPBwE8cT0

咲「……」


京太郎(いた! 自分の席に座って、本を読んでる)

京太郎(どうする? 自分から話しかけに行くか……いやでも)

京太郎(あああ! ちくしょう! 何でこんなことで悩んでんだ俺は!)

京太郎(パッと様子を見に行くだけじゃねえかよ!)

京太郎(いやでも気まずい……なんか話しかけにくい!)

京太郎(俺のアホ。覚悟だ。こんなの簡単だ。咲に話しかけるのなんていつもやってんじゃねえか)

京太郎(ようし。いってやるぜ!)ぐっ


ハオ「おはようございます、京太郎」


京太郎「」どてっ

ハオ「あの、どうしたんですか? そんな気の抜けた顔になって」

京太郎「……別に、何でもねえよ。おはようハオ」

ハオ「昨日は楽しかったです。でも、あの後喫茶店の支払いのお釣りが残ったので渡しますね」

京太郎「え? いいよそんくらい。取っとけよ」

ハオ「そんな。悪いですよ」

京太郎「いいって! ハオのおかげで楽しい時間を過ごせたことのお礼だよ」

ハオ「楽しい……って」


優希「何だ何だ? 京太郎、昨日ハオちゃんとデートでもしたのか?」
150 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/07(土) 23:01:42.27 ID:yPBwE8cT0

京太郎「優希」

ハオ「そ、そんな。そういう類のものでは……」

京太郎「そうなのか?」

ハオ「ええっ? えーっと……」あせあせ

京太郎「じ、冗談だよ。でも楽しかったのは本当だぜ」

京太郎「暇があったらまた遊ぼうな」

ハオ「……はい。いいですね」


優希「だぁーかぁーらぁ、昨日はハオちゃんと過ごしてたのかって訊いてるのに、答えになってないじぇ」


京太郎「まあまあ。優希が気にすることじゃねーよ」

優希「むう……」

ハオ「答えてあげればいいじゃないですか。えっと……片岡さん」

優希「ゆうきでいいじぇ。ハオちゃん」びっ

ハオ「……優希。確かに昨日、京太郎と私は時間を共にしましたよ」

ハオ「本当に偶然会って、流れで少し話しただけなんですが」

優希「……そっか。良かったな咲ちゃん!」くるっ


咲「えっ? 呼んだ?」


優希「き、気付いてなかったのか……」
151 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/07(土) 23:03:03.18 ID:yPBwE8cT0

咲「……あ。京ちゃん」


京太郎「!!」

咲「おはよう!」

京太郎「あ、ああ。おはよう」

京太郎「……その、さ」

咲「ハオさんとのデート、楽しかった?」

京太郎「だからデートとかじゃないって……って聞こえてたんじゃねえか会話。なんださっきの茶番」

咲「えへへ」

咲「知らなかったなぁ。いつの間にか随分と仲良くなったんだね」

京太郎「そうか? まあ、ハオは悪い奴じゃねーよ。咲もすぐ仲良くなれるさ」

ハオ「……」

京太郎「きっと・な」

咲「あはは、そうだといいけど……」

咲(私、人見知りだから……)


きんこーん かんこーん


京太郎「やべ。鐘だ」

咲「あ……それじゃ、また、だね」

京太郎「うーす」すたすた
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/07(土) 23:04:23.75 ID:ldiU425Wo
咲さんかわいい
153 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/07(土) 23:04:55.12 ID:yPBwE8cT0


京太郎(ん?)

京太郎(……昨日のことについて咲に触れられなかったな)

京太郎(人前だから空気読んだんだろうか)


咲「……」


ハオ「……」

ハオ(……宮永咲に向かわせた、田中舞からの連絡は未だ来ず)

ハオ(仕方ない。宮永咲には私が直接出向くか……)



――



京太郎(結局――)

京太郎(放課後まで、咲から昨日のことは聞けなかったな)

京太郎(あいつなりに上手く折り合いつけてやってこうってことか?)



【放課後だ。誰と話す?】
1. 優希
2. 咲
3. ハオ

安価↓1
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/07(土) 23:05:17.49 ID:/+5uOF37o
1
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/07(土) 23:05:43.80 ID:ldiU425Wo
2
156 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/07(土) 23:20:51.81 ID:yPBwE8cT0

【#1 → 1. 優希】


京太郎「優希!」 

優希「うん?」くるっ

優希「京太郎か……今日も一日、疲れたな……」

京太郎「何言ってんだ。お前は授業中大抵寝てるじゃねーかよ」

優希「お? 授業中に私の方を見てるのかぁ?」つんつん

京太郎「色っぽい話は何もないから安心しろよ」

優希「ちぇっ。ノリの悪い奴だじぇ」

優希「そうだ。京太郎、放課後ちょっと付き合わないか?」

優希「近くのレストランに期間限定のメニューでタコスが追加されたみたいなんだじぇ」

優希「求道者たるもの、行かぬ訳にはいくまい!」

京太郎「いいぜ。俺もタコスは好きだしな」

優希「わかってきたじゃないか京太郎! そうと決まったらとっとと行くじぇ!」


157 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/07(土) 23:29:33.73 ID:yPBwE8cT0

――


咲「行っちゃった、か……」

咲(結局京ちゃんから何も、聞かなかったな……)

咲(私に心配をかけさせないように、してくれてるのかな)

咲(私に昨日のことは夢だったって。そう)

咲(体に傷跡すら残ってないもん。確かに、ふつう夢だ夢だで押し通せちゃうよね)

咲(でも、私は関わるよ、京ちゃん。私の記憶がそうしてと言ってる)


ハオ「宮永さん……少し、いいですか?」


咲「……いいよ」

咲「私もちょうど……ハオさんとは話してみたかったんだ」

咲「昨日は、京ちゃんと過ごしてたんだって?」

咲「その……具体的には何してたの?」


ハオ「その質問に答えたら、私の質問にも答えて頂けますか」


咲「え、えっと……それは、質問次第、かな……?」


ハオ「――良いでしょう」
158 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/07(土) 23:46:21.33 ID:yPBwE8cT0

――


???「……宮永さん。いざとなったら、私が」

???「でもその前に、貴方を試させていただきますね――須賀くん」


――



ハオ「京太郎には、この町を案内してもらっていました」

ハオ「私はこの町にやって来たばかりで、近くのコンビニくらいしか知りませんでしたから」

ハオ「京太郎が利用率の高い八百屋。少し賑わってる大通り。いい雰囲気の喫茶店……」

咲(予想以上に長い時間過ごしてたよ……いいな。羨ましいな……)

咲「……って、呼び捨て、なんだ?」ぴく

ハオ「はい。その……彼が言うには、私たちは既に"友達"……ですからね」

咲「へ、へぇ?」

咲「まぁ京ちゃんは人見知りとかしないし、すぐに誰とでも仲良くなっちゃうからね」

咲「そこが魅力なんだけど、だから友達自体は多いよね」

ハオ「そうなんですか。彼らしい話です」

咲「う、うん……」


ハオ「さて、私の答えには満足してもらえましたか?」


咲「……次はそっちの番ってこと?」

咲「うん。どうぞ」

159 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/08(日) 00:11:49.48 ID:jRwz4srM0


ハオ「"賽"について」


咲「さい?」きょとん

ハオ「水晶のように綺麗なサイコロですよ」

ハオ「売られてるものではありません。誰かから貰ったんじゃないですか?」

咲「ちょっと待って。私はそんなの持ってないよ?」

咲「昨日、同じ質問をメガネを掛けた女の子にもされたけど、そう言ったのにな……」


ハオ「――何だと?」


咲「っ」びくっ

ハオ「……失礼しました。驚きのあまり、少々言葉を乱してしまいました」

咲「う、ううん! 気にしてないよ全然……」

咲(今、一瞬ハオさんの雰囲気がまるっきり変わってしまったように感じて)

咲(本当の事を言うと、ちょっぴり怖かったけど……)


咲「でも本当だよ。サイコロなんて、触ることも少ないのに」

咲「水晶のようなサイコロ、だっけ。そんなの持ってないし、見たら忘れる筈ないもん」

咲「だから私は多分、見たこともないし、どこかで聞いたこともない……と思うよ」


ハオ「……わかりました」

160 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/08(日) 00:12:26.98 ID:jRwz4srM0

ハオ「ならばこれについては何かご存じで?」すっ


じゃらん!


咲「……えっと、何だっけ」

咲「そうだ! 麻雀で使う点棒だ! 懐かしいな〜昔……」

咲「あ、何でもない。ごめんね、気にしないで」ふりふり

ハオ「……」

ハオ(宮永さんの反応に裏を全く感じない……)

ハオ(ということは、本当に賽も知らない一般人ってこと?)

ハオ(なら……先日の門松の能力消失は一体……)

ハオ(私の頭では、これ以上――いや)


『手荒な手段を遣っても構わん。何か手掛かりを持ち帰れ』


ハオ(手ぶらで帰ることは出来ない。私の中にあるのは――)

ハオ(星の十字結社としての使命と矜持のみ)きっ

ハオ(宮永さんの家で何か起きたというのなら)

ハオ(そして、宮永さんに接触した田中に何か起きた、というのなら)


ハオ「――申し訳ありません、宮永さん」ぺこり

咲「……うえっ? ど、どうしたの? いきなり」


ハオ「先に、謝らせて下さい。一般人である宮永さんには、本当に申し訳なく思いますが」


ハオ「今からあなたに――撒き餌になってもらいます」


161 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/08(日) 00:44:08.57 ID:jRwz4srM0


――


優希「おおぉーっ!」


京太郎「……」

優希「タコスぢから、みなぎるううううううう」

ぴんぽん ぴんぽん ぴんぽん

優希「店員さん! もっと追加だじぇー!」

京太郎「頼むからもう少し静かにしてくれ……他の客の視線が気になってメシがまずくなる」

優希「それは済まなかったと言いたいところだが! 真のタコス・ファンなら目線など気にならないものだじぇ!」

京太郎「そーかよ……もう何も言わねえ。ぶっちゃけお前のそういうトコ、嫌いじゃねえしな」

優希「え? その言葉もう一回!」

京太郎「い、言わねえよ。ハイになってるクセにちゃんと人の科白は聞いてんだな……」


ぷるるるる ぷるるるる


京太郎「ん?」

優希「電話が鳴ってるじょ、京太郎。誰だ?」

京太郎「さあ……あ、和だ」

優希「ののののどちゃん!?」

京太郎「そんな和から俺に掛けてくる事なんて有り得ないみたいな反応するなよ……」

京太郎「ま・実際初めて掛かってきたんだけどざ」とほほ

162 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/08(日) 00:47:02.00 ID:jRwz4srM0


ぽち


京太郎「よ、よう。和か? 何の用だ? 珍しいよなお前が俺に――」

和『須賀くん。今、何処にいますか?』

京太郎「え? 学校近くのレストランだけど。あの、大通りの角にある――」

和『今すぐ学校に来てもらえませんか?』

京太郎「いや、悪いんだけど、食事中だ。って当たり前だな。わかると思うけど」

京太郎「あと一時間くらい待ってくれないか? 時間をつくるよ」

和『……私から、あなたに大事な話がある、と言ってもですか』

京太郎「なん、だって……?」

和『私は只、言ってるだけです。かねてから須賀くんに伝えたい――』

和『大事な話があるのだと。もう、自分を抑えられないんです』

京太郎「……へ、へえ。そうか」ごくり

京太郎「そいつは行かねえわけにはいかねえな。すぐ行く。ちょっとだけ待っててくれよ、和」


ぽち


京太郎「悪い優希!」

優希「……どんな電話だったんだ?」

京太郎「ふっふっふ……それはな――推して知るべし」きりっ

優希「はぁ?」
163 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/08(日) 00:52:16.86 ID:jRwz4srM0

京太郎「とにかく急用が出来て、すぐ学校に行かなくちゃいけなくなった」

ばん!

京太郎「悪いな。金はちょっと多めに置いておくよ。好きなだけ喰ってくれ」

京太郎「いやぁ、俺は今最高に機嫌がいいから、釣りとかは気にしなくていいからな! じゃあな!」がたっ

ぴゅー!


優希「あ、あっという間だったじぇ……」

優希「……あいつ。三千円も置いていったのか」

優希「京太郎のばか。流石にもう頼まないじょ」

優希「……へへ。お前が居ないと……タコスだっておかわりする気が起きないじぇ」

優希「……付いていったって、文句は言わせないじぇ……京太郎」


――


京太郎「いやぁ。これは俺にも春が来たってやつか!?」

京太郎「おっとぉ。そういや多分、狩宿さんが俺の近くに張ってると思うけど……」

京太郎「うぅぅぅーん。どうしよう」

京太郎「なんかあまり見られたくないな。恥ずかしいだけだけど、多分」


【巴を着いて来させる? 来させない? #2】
1. ま・いっか
2. ……悪いけど、ちょっと離れててもらうか
3. もしもし狩宿さん? 狩宿さんにしか頼めないことがあるんだ!

安価↓1

164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/08(日) 00:53:04.50 ID:lu8GtZJZo
2
165 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/08(日) 01:18:32.17 ID:jRwz4srM0


京太郎「……悪いけど、ちょっと離れててもらうか」


ぷるるるる ぷるるるる


巴『食事を中断してまで急いで何処へ行くんですか?』

京太郎「うおっ。やっぱり見られてたのかよ。流石だな」

巴『当然です。須賀くんの周囲に危険あれば、すぐに対処できるように準備してるんですから』

京太郎「そりゃどうも。そんな中悪いんだけど、少し離れててくれないか狩宿さん」

巴『はぁ? 何を莫迦なことを。このまえみたいに戦闘になったら――』

京太郎「その心配はねえよ。原村和。知ってるだろ。前話したもんな。そいつと少し会ってくるんだ」

巴『私が付いていってはいけない理由は?』

京太郎「あー……その、ちょっとな」

巴『え……?』

京太郎「事情は――推して知るべし」

巴『はぁ……?』

巴『……』

巴『もう。解りましたよ……ただし!』

巴『何か問題があるようでしたら、今度こそちゃんと連絡を下さいね!』

巴『見えないぎりぎりの範囲で待機させてもらいますから』

京太郎「わかった。場所は学校だ。校舎から少し離れてくれてると助かる」

京太郎「ただでさえあんたの時間を削って迷惑かけてるのに、色々注文までつけて悪いな」

巴『気にしないで下さい。それより無事を祈ります』

京太郎「だから心配すんなって。くすぐったいっての……でもま・ありがとな。じゃ」

ぷつん
166 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/08(日) 02:24:22.44 ID:jRwz4srM0


――


ハオ「……おや」


ハオ「貴方は優希とレストランに向かった筈」

ハオ「どうして此処に戻ってきたのか――」



ハオ「理由を教えてもらえますか? 京太郎」



京太郎「ハオ……!?」

京太郎(おいおい。和はここにいるもんだと思って教室に来たら、和じゃなくてハオが居たのか)

京太郎「いや、お前こそまだ帰ってなかったんだな。なんか居残りでもさせられてんのか?」


ハオ「……気づきませんか?」

京太郎「え……」


京太郎「……!!?」


ハオ「……気付いたようですね」



京太郎「どうして、どうしてハオが……咲のカバンを持ってんだ!!?」


167 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/08(日) 02:26:10.21 ID:jRwz4srM0

ハオ「さあ。何故でしょうか?」

京太郎「おい……!」

ハオ「……」

ハオ「今一度問います」


ハオ「賽の在処について、知っていることは本当に何もないんですか?」


京太郎「ああ。そうだな……」


京太郎(悪い、和。後で幾らでも謝ってやるよ)

京太郎(今、お前に構ってる時間はなさそうだ)

京太郎(――出来るなら先に帰っててくれるといいんだけどな)


京太郎「咲をどうしたのか……何処にやったのか、今無事なのか、返してくれるのか」

京太郎「俺に教えてくれるならその質問にも答えよう」


ハオ「……成程。残念です」

京太郎「……なに?」


ハオ「やはり嘘を付いていたんですね。あなたは賽について知っている」

京太郎「はっ。お互い様だろ。星の十字結社のハオ・ホェイユー」


ハオ「……」

ハオ「なんと。そこまで知っていたんですか……」

ハオ「猶更見過ごすわけにはいかなくなりました。本当に――」

ハオ「残念ですよ。須賀京太郎」

168 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/08(日) 02:27:25.73 ID:jRwz4srM0

京太郎「ふん。で、咲は無事なのか?」

京太郎「返答次第じゃ、友達っていってもお前を許すわけにはいかなくなる」

ハオ「……まずあなたが、賽の在処について知ってることを吐くのが筋では?」

京太郎「平行線だな」

ハオ「そのようですね。では」


ハオ「状況を変えてみましょうか……」ぶん


京太郎「!?」

京太郎(ハオの姿が、消えた!?)

京太郎「ハオ! 何処だ!」



ハオ「ここです」ぶん



京太郎「ハオっ……」くるり


京太郎「……と、優希……!!?」


優希「ば、ばれちゃったじぇ。ごめん、気になって付いてきちゃったんだ」

優希「ところできょ、京太郎。ハオちゃん。いったいこの状況は……」おろおろ

がしっ

優希「ハ、ハオちゃん? 何を……」ぐぐぐ

ハオ「優希。少し我慢して下さいね。少し我慢して……」


ハオ「京太郎との交渉材料になって下さい」


優希「ええっ!?」ぐぐぐ

京太郎「……てめえ」
169 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/08(日) 02:29:16.68 ID:jRwz4srM0

ハオ「飛廉脚……」

京太郎「何?」

ハオ「飛廉脚。我々結社の能力者が使う高速歩法です」

京太郎「……それで?」

ハオ「何も。ただ解説してあげただけです。知らないというのは辛いでしょう」

京太郎「別に。知らないのも悪い事ばかりじゃないと思うぜ」

ハオ「……京太郎」

ハオ「門松葉子をやったのは、あなたですか?」

京太郎「そうだ」

ハオ「田中舞をやったのも?」

京太郎「ああ。そうだ」

ハオ「何の為に?」

京太郎「何の為か、だと……?」

京太郎「本当にわからないのか、ハオ……」


京太郎「俺の友達に手ぇ出したからに決まってんだろうが!!!!」


京太郎「そして、ハオも例外じゃねえんだぞ」

京太郎「優希を放せ。そして咲を返してくれ。断れば――」

ハオ「力ずくで」

京太郎「そうだ。解ってんじゃねえか」

ハオ「私は譲歩するつもりはないですが、いいんですか?」

京太郎「それが答えか、ハオ。残念だぜ」すっ


じゃらん!


京太郎「出せよ、お前の点棒」

京太郎「喧嘩しようぜハオ。仲良くな」
170 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/08(日) 02:31:07.67 ID:jRwz4srM0

ハオ「……抜かせないで下さい。京太郎」

ハオ「私は平和的に物事を進めたいだけで……戦闘は望んでいません」

京太郎「はぁ?」

京太郎「ふざけたこと言ってんじゃねえぞ、ハオ」

京太郎「俺の友達に手ぇ出して、どの面下げて平和的だとか言ってやがる」

京太郎「お前の言う平和なんてのは、とっくの昔に壊れちまってんだよ」

ハオ「……」ぴく


ハオ「……それでは、申し訳ありませんが」

ハオ「ここで時間を浪費するのは得策ではないので」


ハオ「手荒な手段を取らせてもらいます」すっ


じゃらん!



ごおっ!!!!!!!!!!!!



ハオ「恨みは無い。けど、平和の為には滅すも已むなし」

京太郎「!!!!」

京太郎(――何だ、この……重圧は! とんでもない圧を感じる!)

京太郎(まるで、空気の上に海が乗っかってるような――!!)


ハオ「……成程。この圧の中でそこまで意識を保っていられますか」

ハオ「認めましょう。あなたは私が抜くに値する――敵だった」
171 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/08(日) 02:32:29.44 ID:jRwz4srM0

京太郎「……」

京太郎(何とか体は動かせる)

京太郎(話は決裂した。俺たちは戦う羽目になった)

京太郎(さて……)


ハオ「……」


京太郎(ハオは点棒を抜いたとは言え、優希を抱きかかえるように掴んだまま、一歩も動いていない)

京太郎(しかも、あいつは点棒を抜いたばかりで、俺みたいに変形させていない)

京太郎(余裕のつもりか? 一太刀目を俺に譲ろうってのか。舐めやがって)

京太郎(……どうするかね)


【どう行動する? #3】
1. 遠慮はいらねえ。ぶった斬って終いだ
2. [Strength45] まずは優希を掴んでる腕だな……
3. ななな、なあ。今更なんだけど、やっぱり話し合いが平和的だと思うんだよね
4. [Speech39] 賽について、秘密を共有したい

安価↓1

172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/08(日) 02:33:09.95 ID:7zUhHcJEo
4

通れ・・・!
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/08(日) 02:33:14.74 ID:1HJfcFS3o
2.
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/08(日) 02:38:15.88 ID:9CUYKko1o
通らないか?
175 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/08(日) 02:43:00.72 ID:jRwz4srM0


[失敗]


京太郎「なあ。今更だけどさ……」

京太郎「賽について、秘密を共有したい」

ハオ「ふっ……」

ハオ「素では私に敵わないと考え、魅力的な真実ってものを提案して心理的に揺さぶりを掛けて」

ハオ「私に隙を作らせるのが狙いでしょう」

ハオ「骨まで透けて見える気分ですよ」

京太郎「……ちくしょうめ」


【次の一手をどうする? #4】
1. 遠慮はいらねえ。ぶった斬って終いだ
2. [Strength45] まずは優希を掴んでる腕だな……
3. ななな、なあ。今更なんだけど、やっぱり話し合いが平和的だと思うんだよね

安価↓1

176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/08(日) 02:43:43.05 ID:7YuauHCBo
2
177 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/08(日) 02:50:58.00 ID:jRwz4srM0


[成功]


京太郎(さて。今までうっとおしいくらいに、ハオは強いと聞いてきた……)

京太郎(実際、とんでもねえ力を感じる。ぶっちゃけ勝てる気が沸いてこねえ)

京太郎(それでも俺は……約束したんだ)

京太郎(……はっ)

京太郎(まずは、優希を掴んでる腕一本)

京太郎(そこからいこうか!)にっ


ハオ(笑顔、だと?)


京太郎「ほら……何もしねえならこっちから行くぞ!」だっ

京太郎「おら! 喰らえ!」ぶんっ

ハオ「……」

京太郎(ハオは余裕のつもりだろう。動きが遅かった)

京太郎(――捉えたぜ! 貰った!)




がかん!!!!!!!







178 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/08(日) 02:56:43.22 ID:jRwz4srM0

京太郎(どういうことだ……)

京太郎(俺は思い切り、刀を振り下ろした筈だ)

京太郎(それが……)


ハオ「……」

京太郎(どうしてハオに傷一つ、付いてないんだよ!?)

京太郎(そして……)


ハオ「大丈夫ですか?」

京太郎「はぁっ、はぁっ……大きなお世話だ!」どんっ

京太郎(どうして俺の掌のほうが裂けてるんだよ!?)


ハオ「面白い」

ハオ「優希も掴んでる腕を狙うとは」

ハオ「この圧の中で、正気は失っていないようですね」


京太郎「……はぁっ、はぁっ。うるせえよ」


ハオ「そして、私を見る目の炎は失われていない」


ハオ「――見事です」

179 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/08(日) 03:11:37.86 ID:jRwz4srM0

ハオ「意気に免じて、優希は解放しましょう」

すっ

優希「わっ、わわっ……」くらっ

優希「あ、あれ……立てないじぇ」

京太郎「優希!?」

ハオ「心配無用です。私の圧にあてられているだけですから」

京太郎「だからって……!」わなわな


ハオ「貴方の覚悟に触れることができて光栄でした」

ハオ「――出来るなら、違う場所で出会いたかったくらいに」

京太郎「……」


ハオ「次は私の番です。構いませんね」

ハオ「次の一撃で……幕です」


京太郎「ちくしょう。ハオ……強すぎるぜ」

京太郎「どうやってそんな力を身につけたってんだよ」


ハオ「……陛下に頂いた力です。最後に教えておいて差し上げましょう」

京太郎(陛下……?)
180 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/08(日) 03:12:41.48 ID:jRwz4srM0


ハオ「私に与えられた"文字"は"I"」

ハオ「"鋼鉄"(ジ・アイアン)のハオ・ホェイユー」

ハオ「貴方を価値ある敵と見込み、名乗らせて頂きました」


ハオ「さて……少しの期間、松葉杖の生活になるでしょうが……」

ハオ「頑張って下さいね」ぬっ


京太郎(そして、ハオは右手を振り上げた)

京太郎(俺の脚を潰すつもりなんだろう。それから"拷問"にかけるってわけか)

京太郎(俺にやれることは……もうないんだろうか)



ぶんっ



京太郎「ちくしょうっ……!!」




181 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/08(日) 03:15:04.15 ID:jRwz4srM0







【その時、閃光と共に現れたのは―― #5】
1. ポニテメガネの麗人
2. ピンク髪の麗人






安価↓2

182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/08(日) 03:17:42.96 ID:7YuauHCBo
踏み台
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/08(日) 03:17:48.62 ID:7zUhHcJEo
2
184 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/08(日) 03:37:26.74 ID:jRwz4srM0




――びゅんっ



がきいっ


京太郎「――……」

ハオ「神聖滅矢(ハイリッヒ・プファイル)……?」


ざりっ


ハオ「おや……何かと思えば……」



「全く。此処を何処ぞの遊戯場と勘違いしてるんですか?」



京太郎「――えっ!? 和ぁ!!?」



和「此処は学校ですよ。燥いで遊ぶ場所ではありません」どん!



 ----------------

  To be continued...

185 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/08(日) 03:39:07.17 ID:jRwz4srM0


【#1 → 好感度上昇(優希) ルート・Invisible】
【#2 → カルマ下降 ルート・待て!】
【#3 → 失敗】
【#4 → 好感度上昇(ハオ) ルート・認められし敵】
【#5 → ルート・come to me The Pinkgirl】

現在の称号【清澄の守護者】
所持金【45,600】

★スキル
[Speech] 40 (+1)
[Strength] 47(+2)
[Gift] 14
[Intelligence] 19

・コンマに失敗しても、スキルは少し上昇します。
本日は遅くまでありがとうございました。


186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/08(日) 03:39:38.01 ID:coSerSMio
乙です
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/08(日) 03:41:23.02 ID:/Ezgvo5W0
乙です
188 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/08(日) 03:41:24.15 ID:7zUhHcJEo
乙、失敗しても上がるんだ
189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/08(日) 09:38:17.44 ID:9CUYKko1o
乙です!
失敗しても悪い影響があまりないなら、
スキルを使う安価をとっても行くのもアリだな
190 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/08(日) 12:07:11.17 ID:EwB0RaC8o


とは言え失敗しても大丈夫な状況下の判断がなんともだから怖いところでもある
191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/08(日) 12:21:36.82 ID:7zUhHcJEo
最初の説明見るとノーリスクじゃないかな
そもそも選択肢そのものが罠だったり成功するのがむしろ駄目だったりが今後出てくる可能性はあるかもしれんが
192 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/08(日) 20:28:16.93 ID:jRwz4srM0





和「全く。此処を何処ぞの遊戯場と勘違いしてるんですか?」

和「此処は学校ですよ。燥いで遊ぶ場所ではありません」


京太郎「和……!?」


和「……」


京太郎「どういうことだ。どうして和が此処に……」


和「忘れたとは言わせませんよ、須賀くん」

和「此処にあなたを呼んだのは誰だったか・を」


京太郎「……!」


和「訊きたい事は山ほどある・って顔してます」

和「ですが残念ながら、話し合ってる暇はないみたいですね」


ハオ「……」こぉぉぉ
193 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/08(日) 20:29:35.84 ID:jRwz4srM0

ハオ「面白い。どうやら私はとんだ魔境に迷い込んでしまったようです」

ハオ「清澄に私の存じぬ存在がこうも現れ……」

ハオ「私の道を妨げようとは」きっ

ハオ「確か……クラスで見た顔ですね」


和「自己紹介は未だでしたか?」

和「原村和。残念ながら能力者です」





和「私は、能力者を憎む」


6. AntiArcher Hates You





ハオ「私に放たれた神聖滅矢(ハイリッヒ・プファイル)。そしてその手にある銀嶺弧雀」

ハオ「星の十字結社の聖練を受けていなければ、発現できない力ですね」

ハオ「さて、一体何者です?」

和「……自己紹介なら今したじゃないですか」

和「私は原村和。能力者嫌いの能力者」

和「この力は永らく封印していました。あなたが現れ、宮永さんを狙うまでは」

和「あなたのせいで、この忌まわしき力を取り戻さねばならなくなってしまったんですよ」

ハオ「……」

194 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/08(日) 20:32:01.50 ID:jRwz4srM0

ハオ「それで、その原村和が私に何の用ですか?」

和「こうして現れたんです。此方の要求は予想がついている筈」

和「宮永さんの解放。並びに、二度と手出ししないという約束を取り付けたいのですが」

ハオ「……」


京太郎(和……)

京太郎(強がってるけど、足が震えている)

京太郎(きっと和も解ってるんだ)

京太郎(戦ったところでハオには勝てない・ってことを)


和「多くの羊は一匹の狼を追いやる」

和「学校でこのような事をするなんて、愚かすぎて笑えてしまいますね」


ハオ「……」

和「……」ごくり


ハオ「」ちら


――

巴「……此方を見た!? 気付かれた!?」

巴「タイミングを計り教員を呼んでいたのに……流石ハオ・ホェイユー。危機には敏い」

――


ハオ「……頃合か」むくり

195 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/08(日) 20:33:16.88 ID:jRwz4srM0



ハオ「……今回は退きましょう」



和「っ」ほっ

ハオ「私も少々昂ってしまいました。このような場所で戦闘行為などあるまじき失態」


京太郎「……ハオ」


ハオ「心配しなくても、宮永さんは無事です。別の教室で待機してもらってるだけですよ」

ハオ「そして安心して下さい。京太郎から言質はとれた。必要な情報はもう少しで揃う」

ハオ「もはや彼女を狙う理由は何もない。今後一切、手出しはしません」

ハオ「……その、彼女はいい子です。少し言いくるめればカバンだって持たせてくれる」

ハオ「私が言うのも烏滸がましい話ですが――大事にしてあげてくださいね」ひゅん

ざっ

ハオ「いや。すでにされているのか――」ふっ


京太郎「なあ、ハオ……」


【去ろうとするハオに一言だけ投げかけられそうだ #1】
1. [Speech40] 俺は、敵なのか?
2. ……謝れよ
3. 卑怯者め! 次に会ったら粉微塵にしてやる!

安価↓1


196 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/08(日) 20:33:59.52 ID:XYX2Kggxo
1
197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/08(日) 20:34:05.21 ID:PUsxYUlXo
1
198 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/08(日) 20:34:25.97 ID:UKMV4+0io
199 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/08(日) 20:45:50.38 ID:jRwz4srM0


[失敗] 


京太郎「俺は、敵なのか?」


ハオ「私の中にあるのは結社の一員としての使命と矜持のみ」

ハオ「それを侵害する者は――全て敵です」


京太郎「……そっか」


ハオ「さようなら、京太郎」

ハオ「次に会うときは、穏便に済むことを願います」かちゃり



ぶんっ



京太郎「行っちまったか……」

京太郎(なあ、ハオ……何でお前は……そんな淋しい顔をしてたんだ)

京太郎「……取り敢えず、咲んトコ行かなくちゃな……」

和「……」

京太郎「お前も来るんだろ、和。途中色々聞かせろよ」

和「断ります」

京太郎「ええっ? いいじゃねえかよ俺を救ってくれたんだろ?」

和「私が救ったのは宮永さんと優希のみで……」


優希「ちょ、ちょっと待つんだじぇ!!」

200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/09(月) 00:52:48.59 ID:A11OeaFgo
話すと力は本当に高くて良かった感がある
201 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/09(月) 02:06:20.02 ID:O+n/6OHd0

京太郎「……優希」


優希「京太郎。そして……のどちゃん」

京太郎「大丈夫……なのか」

優希「平気だじぇ。全然強く掴まれなかったからな」

京太郎「ああ。お前には悪かった。辛い思いをさせちまったな」

優希「そんなのどーだっていいじぇ。ただ……」

優希「私は京太郎とのどちゃんが心配だっただけで……」

優希「ハオちゃん、どうしちゃったんだ? 雰囲気だけで、背中を刺されたみたいな感覚だったじぇ」

京太郎「怖がらせたな……」

優希「……責任とって、どういうことか教えてくれ」

京太郎「……」


【優希は説明を求めている #2】
1. [Speech41] 悪い。今は言えない……(頭ぽん)
2. [Intelligence19] 特殊な能力を持った人間同士が、ある秘密を巡る争いを始めたんだ
3. ただの喧嘩だ。気にすんなって!
4. 勝手に付いてきたのはそっちだろ。この先も"勝手"するのは許さないぞ

安価↓1
202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/09(月) 02:09:38.30 ID:W0xeGHKPO
1
203 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/09(月) 16:47:57.71 ID:O+n/6OHd0


[成功]


京太郎「悪い……今は言えない」ぽん

和「……」

優希「なっ……」

優希「不思議なものを目撃した気がするけど、そんな事より」

優希「何か危ない事に首を突っ込んでるんだろ?」

京太郎「……」

優希「ハオちゃんと喧嘩してるのか……?」

京太郎「……」

優希「答えてくれないのか、京太郎……」

京太郎「優希……」


京太郎「心配すんな……ってのも難しいか。でも言わせてくれ。心配すんな」


優希「京太郎! ただ私は――」

くしゃくしゃ

優希「うひゃあっ、髪が……」

京太郎「お前が怒るのは当然だ。優希」

優希「べ、べつに怒ってなんか……」

優希「ただ私は――」
204 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/09(月) 16:49:17.08 ID:O+n/6OHd0

和「ゆーき」

優希「! のどちゃん……」

和「その……私からもお願いします」

和「今は何も訊かないでくれると……助かります」

優希「……っ」

京太郎「優希……」


優希「……そこまで言うなら」


京太郎「……悪いな」なでなで

優希「謝るな、京太郎。わかってるつもりだじぇ」




優希「剣を握らなければ お前を守れない」

優希「剣を握ったままでは お前を抱き締められない」




京太郎「なんだそりゃ?」

優希「とにかく私は理解のある奴だってことだじぇ」

優希「京太郎が嫌なら訊かない。京太郎は私を想って言ってる」

優希「それなら私は――納得しなくちゃいけないんだじょ」
205 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/09(月) 16:50:20.10 ID:O+n/6OHd0

京太郎「……ありがとな、優希」

和「ゆーき……いつか話せる時が来たら……」

ぽん

京太郎「ん? 何だ優希? 何を押しつけてる?」

優希「あげるじょ」

京太郎「これは――」

優希「……餞別だじぇ」


――


優希「……」

優希「……行ったか」

優希「納得したじょ。京太郎ものどちゃんも、私を心配してくれてる」

優希「でも私は、都合の良い女にはなりたくないんだじぇ」ざっ


――


京太郎「また、巻き込んじゃったな……」もぐもぐ

和「美味しいですか? それ」

京太郎「……うめえ」

京太郎「和の分は無いけどな」

和「別に構いませんが……」

京太郎「分けてやろうか?」

和「具が飛び出るのでいいです」
206 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/09(月) 16:51:31.79 ID:O+n/6OHd0

京太郎「さて。和と情報を共有したいんだけど」

和「気が進みませんね……」

京太郎「仕方ないじゃねーか。協力しようぜ」

和「私が協力する……?」

京太郎「え、ダメか」

和「利害が一致するなら考えない事もありません」

和「あなたは宮永さんが狙われてしまった理由を知ってるんですか?」

京太郎「……ああ」

京太郎「俺は、サイコロを持っていた」

京太郎「そのサイコロは幼い時にある人からもらったんだ」

京太郎「他に類を見ないようなタイプで、水晶みたいに綺麗な代物さ」

京太郎「このサイコロを持っていることが、どーもいけなかった事らしい」

京太郎「ちょっと、話が長くなるけど……」

和「構いませんよ」

京太郎「そっか。じゃあ話すけど、このサイコロってのが……」

207 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/09(月) 16:52:19.83 ID:O+n/6OHd0

――

和「そして貴方は狩宿さんという方に力を与えられて能力者に……」

和「壊れてしまったサイコロの情報は、私と須賀くんと、その狩宿さんしか知らない……」

和「そして、ハオさんはサイコロを欲しがってる」

和「ここまで私に話しても良かったんですか?」

京太郎「いいんだよ」

京太郎「和だって、間接的に狩宿さんを助けてる。あの人だって許してくれるさ」

和「……確かに貴方の誠意を受け取りました」

和「次は私の番ですか」

京太郎「話してくれる気になったのか?」


和「……私は、能力者が嫌いです」


京太郎「……どうしてだ?」

和「……嫌いなのに理由など要りません」

京太郎「……ふうん」

和「しかし私も忌々しい事に能力を持って生まれてしまいました」

和「故に私は、力を封印しました。特殊な術式を掛けて今まで封印していたんです」

和「ですが……私の誕生日だったあの日」

和「私は成す術無く倒され、地に這いつくばり……」

和「意識を失っていました」

京太郎「覚えてるのか……」
208 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/09(月) 16:53:48.65 ID:O+n/6OHd0

和「……その狩宿さんという方が、一緒に居た宮永さんや優希の記憶をいじったんでしょうが」

和「私には対抗スキルが在る為、通じなかったようですね」

和「誰が記憶をいじくったのかわかりませんでしたが、須賀くんの味方なら少しは安心しました」

和「――無論、記憶の改竄など、能力者の許し難い所業の一つには変わりありませんが……」

京太郎「……」

和「その夜、悔やみました。あの時私に力があったなら、誰にも怪我などさせなかったのに・と」

和「私は、それから力を取り戻す決意をしました」

和「友達を傷つける行為を許す訳にはいきません」

京太郎「!」

和「もちろん、私の周りに能力者の影が消えてくれる迄の一時的な決意ですが」


和「須賀くんが、能力者であることは解っていました」

和「私は会った人間の雰囲気を見れば、その人が能力者か否か分かる」

和「須賀くんは明らかに、あの日――私の誕生日以降から変わりました」

京太郎「そ、そうか? 別に態度変えたりしなかったと思うけど」

和「わかる人にはわかる。私は自分の同種を匂いで判別することが出来る――須賀くん」

和「知っていました。須賀くんはあの日能力者になり、戦いを始めたことを」

和「そう、全て知っていました。ハオさんが強力な能力者であり――」

和「宮永さんに狙いをつけた事も」

京太郎「……へえ」

和「解らなかったのは、何故能力者が転校してきて・何故宮永さんを狙い――」

和「それに対して能力者になった須賀くんが、どういった反応を見せるのか・というコトのみ」

京太郎「……疑問は解けたか」

和「……はい」
209 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/09(月) 16:56:18.10 ID:O+n/6OHd0

和「どうやら私とあなたは、歩む道は違えど目的は変わらないようです」

京太郎「……連中から友達を護って、友達に手を出す連中を許さない」

和「……須賀くんのこと、なんとなくわかってきました」

京太郎「そうか。俺もだよ、和」


和「さて、ハオさんは別の教室と言っていましたが、私は宮永さんの行方を監視していたので」

和「宮永さんがその後ふらふらと図書室に向かったのを知ってます」

京太郎「そっか。あいつはそこなんだな」

和「……ハオさんが最後に言ってた事が本当なら・ですが」

京太郎「大丈夫だろ。あいつは根は悪い奴じゃねーよ」

和「まったく。少し仲良くなったからって信用し過ぎですよ」

和「ハオさんは宮永さんと優希に手を出しました。確かにやりました。傷つけました。故に・彼女は明確な敵です」

京太郎「……それでもだよ」

和「……ふん。そうですか」

和「まあ、貴方がどう思ってようが、私たちのやる事に変わりはありません」

京太郎「……そうだな」


210 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/09(月) 16:59:12.42 ID:O+n/6OHd0


和「私は前線から退いていましたが、高度なレベルの術式を一通り扱えます」

和「今後宮永さんや優希の周囲に結界を張り、敵を牽制します」

和「力不足で、貴方と、狩宿さんというあなたの味方まではカバーできませんが」

京太郎「自分の身は自分で守るさ。狩宿さんも危機には敏いよ」

和「……わかりました。そして私は」

和「相手の出方を窺う程悠長ではありません」


和「こちらから攻める」


京太郎「出来るのか。そんなことが……ハオは強いぞ」

和「準備します。あのレベルの敵でも撃退できるほどの大規模な術式を――」

和「そのために必要なのは、あなたの協力と、少しの時間」


和「数日ほど、時間を稼がなくては」


京太郎「任せてくれ。能力者は一般人の関与を嫌う」

京太郎「あいつが今回退いたのは此処が学校だからだ。俺が一人にならなければあいつもそうそう手出しできない」

京太郎「でももし万が一、あいつが強硬策に出るなら、和の援護は待ってられないけど」

和「その時は私も、術式の構成を途中で放棄してでも向かいますよ」

京太郎「……出来れば和にも安全な場所で過ごしててほしいんだけど」

京太郎「一人で解決できないなら皆で頑張るしかないか」

和「はい。難しい事をお願いしますが、ほんの数日――」


和「時間を稼いで下さい。そうすればハオ・ホェイユーを撃退できる」


京太郎「……解った」

京太郎「俺は時間を稼ぐよ。準備が出来たら一緒に戦おうぜ」

211 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/09(月) 17:02:17.56 ID:O+n/6OHd0

――


ハオ「やはり当初の見立て通り、須賀京太郎が情報を握っているようです」

ハオ「あの門松の能力が消失した日現場に居た中で、宮永咲・片岡優希は本当に関係ない、一般人ということは確定しました」

ハオ「原村和については、雀士兵装を扱っていたことから、以前は結社の関係者だった可能性が高い。局の調査を依頼します」

ハオ「私は何とか、須賀京太郎から賽の情報を訊き出します」


『りょーかいー。引き続き仕事頑張ってねぃ』


ハオ「そして気になることが、一つ」

『ん?』

ハオ「須賀京太郎の背後に、統制王族院の能力者が一人います」

『まぁ向こうも向こうで仕事してんじゃね? 知らんけど』

ハオ「須賀京太郎の能力は、統制王族院が与えたと? それなら私たちは向こうの策略に嵌っているのでは?」

『……まぁねぃ』

『真実はわからん。それを調べるのも仕事の内だよ、ハオ』

ハオ「――解りました」

『忠誠心が高いのはよろしい。たとえ自分が――』

『――いや、言うまい』

ハオ「……」

『そんじゃ、頑張ってねぃ』ぷつん


ハオ「……解ってる。私などは所詮組織にとって都合の良い駒の一つでしかない」

ハオ「それでも他の道などありはしない――生まれた時から、私は星の十字結社の一員」


ハオ「私の中にあるのは、その一員としての使命と矜持のみなのだから」


212 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/09(月) 17:03:39.12 ID:O+n/6OHd0


――


京太郎「で、家に帰ってきてみたら……」

巴「須賀くん。一緒に食べましょう」


京太郎「なんだそのホールケーキは!?」


どどーーん☆


巴「小さい安物ですけどね。いいじゃないですか」

巴「今日はあのハオ・ホェイユーを一時的にとはいえ撃退したのですから」

巴「ご褒美くらいあって然るべし・とは思いませんか」

京太郎「そりゃこんなご褒美があったら緊張の糸も切れるだろーよ」

京太郎「金はどうしたってんだ」

巴「王族院を離れるときに渡された支給金です。二千万渡されてるので」

京太郎「そ、そういやそうじゃねえか! 全然気にしてなかったけどあんためっちゃ金持ってんじゃねーか!」

巴「ふふふ。横領してしまいましたね」

京太郎「あんまり楽しそうな話じゃないけどな……まあいいや」


京太郎「狩宿さん……その……」


【巴に対して一言言いたい気分だ #3】
1. 寂しかったよ狩宿さん……(スキル[Lady-killer]解放・初期値コンマ/2)
2. [Intelligence19] 新しい味方と、ハオへの対策案を練ったんだけど
3. まんまと和に嵌められて、あんたを遠ざけた自分が情けねえわ
4. お小遣いが欲しいなぁ
5. 何で助けに来てくれなかったんだ! もう少しで死ぬところだったんだぞ!

安価↓1
213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/09(月) 17:04:37.98 ID:A11OeaFgo
1
214 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/09(月) 17:15:40.06 ID:ToLbTJK4o
ほぼ最高値という
215 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/09(月) 18:15:29.03 ID:O+n/6OHd0


【スキル[Lady-killer]が解放されました。初期値は{49}です】


京太郎「その、寂しかったよ狩宿さん……」


巴「え、ええ?」

京太郎「和から電話があって、舞い上がっちゃってあんたを遠ざけたけど」

京太郎「あんたが近くにいないと思うと、どうもしっくりこなくてさ」

京太郎「寂しいな・って思っちゃった」

巴「そ、そうですか」

京太郎「だから今、狩宿さんの顔が見れて凄くいい気分なんだ」

京太郎「うん――やっぱり可愛い顔だぜ」にこっ

巴「は、はぁっ!? いきなり何を……莫迦にしてるんですかっ!?」かぁっ

京太郎「ほんとのこと言っただけでーす。前から思ってたけど、狩宿さんって可愛いよな」にやにや

巴「莫迦にするのも大概にして下さい。私なんかほんとに地味で――そんな可愛いだなんて」

京太郎「ちょっと照れてんじゃねーか」

巴「う、うるさい! よくそんな歯の浮くような科白をぽんぽん言えますね」

巴「急に変な事言うから調子崩れるじゃないですか……」じとっ

京太郎「あはは……」

巴「そ、その……私も」

京太郎「ん?」

巴「私も、離れててくれって言われた時、少し胸が痛くて――寂しいと感じましたよ」ぼそっ

巴「って、別に変な意味じゃありませんからね! 須賀くんみたいなジョークでもありませんけど!」ふりふり

京太郎「別にジョークで言ってるわけじゃないんだけどな」ぽりぽり
216 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/09(月) 18:16:58.90 ID:O+n/6OHd0

京太郎「でもなんか狩宿さんにそう言われると嬉しいな……ありがとう」

巴「〜っ……!」かぁ

巴「ほんとに、調子狂うんだから……」ぼそっ

京太郎「あ!」

巴「はっ、はいっ!」びくぅっ

京太郎「狩宿さん、敬語そろそろやめてくれよ」

京太郎「俺より年上なんだろ? 俺が敬語使ってないのにあんたは使ってる。変だろ?」

京太郎「今呟いたみたいに普通の言葉でいいじゃん」

巴「そ、そうですか? 別に気にしませんが」

京太郎「でもちょっと距離がある感じだしさ」

京太郎「きっかけはあれだけど、俺たち、結構仲良くなったと思うんだけどな」

京太郎「だから普通に話してほしい」


巴「……そこまで、頼まれては……」

巴「えっ、と……わかった。じゃあそうするね……須賀くん」

巴「って、なんか辱められてる気分……」

京太郎「……はは」

巴「ちょっと、何で少し笑ってるの?」

京太郎「いや、なんか俺もちょっと恥ずかしかった」

巴「……もう」

217 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/09(月) 18:18:33.04 ID:O+n/6OHd0

京太郎「へへ。こういうほわほわした空気は苦手だ」

京太郎「さ。買ってきてくれたケーキ、頂きますか!」

巴「うん。でもナイフだけ持ってきてくだ……くれるかな? 切り分けないと」

京太郎「あ、そうか。考えてなかった」

京太郎「食いながら色々話さなきゃいけないことでアタマ使ってたよ」

巴「話すことって?」

京太郎「和とか、ハオとか、いろんなこと! あんた現場いなかったしな」

巴「そっか。じゃあ私も色々考えとかないとね」

巴(一応ずっと見てたけど、確かに細かい会話までは聞こえなかったしね)

京太郎「サンキュ。じゃ、ちょっと待っててくれ。ジュースも持ってきてやる」かちゃ

すたすた


巴(……なんか、悪くない感じ、かなぁ)

巴(須賀くんには、色々と面倒を掛けちゃって……)

巴(状況も悪くなるばかりなのに……)

巴(……)


 ------------

  To be continued...

218 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/09(月) 18:19:08.85 ID:O+n/6OHd0


【#1 → 失敗】
【#2 → 好感度上昇(優希) ルート・RIGHTARM OF THE GIANT】
【#3 → 好感度大きく上昇(巴)】

現在の称号【清澄の守護者】
所持金【45,600】

★スキル
[Speech] 43 (+3)
[Strength] 47
[Gift] 14
[Intelligence] 19
[Lady-killer] 49


219 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/09(月) 18:26:43.09 ID:Du8vafUbO
霊圧が消える人のルートが開拓されたかな?
誰だろう
220 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga sage]:2015/02/09(月) 18:57:17.95 ID:O+n/6OHd0

時間に余裕ができたため、数字を整理しました。

カルマ【+14】

'好感度'
/咲/ 21
/優希/ 14
/和/ 2
/巴/ 31
/ハオ/ 6

・カルマの選択肢による値の変化は基本的に【+2】【+4】【-2】【-4】です。

・好感度の選択肢による値の変化は基本的に【-4】【+1】【+2】【+4】です。
 (-描くより破ることの方が容易くて、解くより結ぶことの方がずっと難しい-)
 但しキャラの運命を変える選択肢・ルートを取った場合、劇的に上昇・または下降します。

・説明不足でしたが、このスレは"京太郎にとって"のバッド・エンドは存在しません。
221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/09(月) 19:03:34.04 ID:A11OeaFgo
222 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/09(月) 19:45:05.55 ID:Nq9JjKudo
乙です!
223 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga sage]:2015/02/09(月) 20:01:24.43 ID:O+n/6OHd0



ほら、



押し潰すほどの青空が





おれたちの背骨を嘗めていく



224 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga sage]:2015/02/09(月) 20:02:33.68 ID:O+n/6OHd0


――学校


きーんこーん……


京太郎「ふぁぁぁ、授業終わったかぁー」うーん


優希「……」

和「……」


咲「お疲れ! 京ちゃん」


京太郎「うっす、咲。お疲れ」

咲「そう言えば前に言ってた小説まだ貸してなかったよね? 持ってきたよ」

京太郎「マジで? サンキュ。って意外と小難しそうだな……」

咲「京ちゃんでも読める本だよ」

京太郎「その・私にとっては簡単過ぎたけどね、みたいな言い草はやめろ。俺だって本くらい読むさ」

京太郎「お前のお蔭でこれでも詳しくなったつもりだぜ」

咲「それは何より、かな?」

京太郎「おう……」ちら


京太郎(結局、今日ハオは来なかった……)


咲「そう言えば、ハオさん来てないね」


225 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/09(月) 20:03:31.60 ID:O+n/6OHd0

京太郎「! そうだな」

咲「どうしたんだろう? 風邪かな?」

京太郎「さあな……」

京太郎「そういや昨日は大丈夫だったのか? 本当に」

京太郎「本当に何もされてないんだよな?」ぺたぺた

咲「しつこいよ。何もされてません!」

咲「ちょっとお話しただけ」

咲「うーん。ハオさんの落ち着いた雰囲気どうやったら出せるんだろう……」

京太郎「……少なくともそう言ってる内は無理だな」

京太郎(咲も十分落ち着いてると思うけど)


京太郎(さて……)


【放課後だ。何をする? #1】
1. さっさと帰って狩宿さんに戦闘指南を受けるか
2. 咲、学食行こうぜ!
3. 優希、学食行こうぜ!
4. って、なんで和は学校来てんだよ
5. この学校、そういや旧校舎の屋上にけったいな部屋があったなぁ

安価↓1

226 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/09(月) 20:03:56.21 ID:qsnnLStIo
2
227 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/09(月) 20:28:55.02 ID:O+n/6OHd0


+*■*+◆+*■*+◆+*■*+◆+*■*+◆*+


京太郎「咲! 学食行こうぜ!」ぽん

咲「うぇっ? こんな時間に?」

京太郎「人の少ないときこそ・だよ」


+*■*+◆+*■*+◆+*■*+◆+*■*+◆*+




7. ROCKIN' FUTURE 5




+*■*+◆+*■*+◆+*■*+◆+*■*+◆*+


ことんっ

咲「はい! レディース・ランチ!」

京太郎「放課後でも提供される」

京太郎「ってのがいいよなこの学校」

咲「タコスなんかも売ってるしね」

京太郎「いただきまーす」ぱくっ

咲「京ちゃん……この為だけに」

咲「私を連れてくるんだもん……」

京太郎「だめなのか?」

咲「い、いいけどっ!」ぷいっ


+*■*+◆+*■*+◆+*■*+◆+*■*+◆*+


228 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/09(月) 20:50:03.07 ID:O+n/6OHd0


和「カモフラージュの為に登校してみましたが……」

和「ハオさんも堂々と休んでいるなら、私もその必要はありませんでしたね」

和「帰って続きをしなければ……」すたすた


+*■*+◆+*


優希「あいつ、今日全然私のほうを見なかったな……」

優希「……バカにするなよ京太郎!」

優希「でもどうすりゃいいんだ?」

優希「取り敢えず帰ってタコス食べてから・だな!」


*+◆+*■*+


巴「あ……」

巴「雨が降ってきた……」

巴「須賀くん、傘持ってったっけ……って持ってってないよね」

巴「仕方ない。さりげなく置いといてあげるか」


229 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/09(月) 21:24:38.74 ID:O+n/6OHd0


――

京太郎「それでさ……」

咲「あ……」

京太郎「ん?」


ぽつっ ぽつっ


咲「雨……」


ざああ……


京太郎「……あちゃちゃ。傘忘れちゃったよ」

咲「天気予報とか見ないの? 私はちゃんと持ってきたけどね、折り畳み傘!」

京太郎「うわぁ。いいなぁ」

咲「……」

咲「う、うーんと……もしよければ……」もじもじ

京太郎「ん?」


【このまま帰ると濡れてしまいそうだ #2】
1. どうした? まさか入れてくれるのか?
2. まぁ濡れてもいっかあ……

安価↓1
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/09(月) 21:25:30.90 ID:wvra8MjQo
231 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/09(月) 21:36:53.59 ID:O+n/6OHd0

京太郎「どうした? まさか入れてくれるのか?」

咲「うぇっ!? う、うーん……」

咲「うんっ……」かぁ

京太郎「お、おう……サンキュな」

咲「全然っ。濡れちゃうよりマシだもんねっ」

咲「あ、あはははは……」


――


京太郎(で、いざ咲と傘をシェアしてみると……)

咲「ご、ごめんね? 傘小さくて……」

京太郎「いや、仕方ねーよ……」

京太郎(そう、傘が小さいのだ)

京太郎(咲のちっこい身体に合わせた傘だから仕方ないけど、本当に小さい)

京太郎(故に、めちゃくちゃ……近いのだ)

京太郎(雨が降ってんのに、咲の髪からシャンプーかなんかの匂いが漂ってきて……つ、辛い)かちこち

咲(ひぇぇ。京ちゃんが近い……)

咲(思い切ったことしちゃったなぁ……まともに歩けないよー……)

咲「……」ちらっ

咲(京ちゃんも、ぎこちない顔してる……ちょっとは意識してくれてるのかな? なんてね)

咲(京ちゃんのそういう反応、和ちゃんにしか見せたことないもんね……私ちんちくりんだから……)ずーん

咲(でもちょっと悔しいな……よし)

咲「あ、うわわっ」よろよろ

咲「地面が泥濘るんでて、足が……」ふらふら
232 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/09(月) 21:48:03.94 ID:O+n/6OHd0

京太郎「し、仕方ねえ奴だなぁ」ぐいっ

咲「!」どきっ

京太郎「……しっかり握ってろよ。離すんじゃねえぞ……」

京太郎(……仕方ないとはいえ、咲の手を掴んでしまった……これって)

咲(傍からみたら、相合傘で手を繋いで……って……)しゅううう

京太郎「お、おい咲。どうした!? 顔が茹蛸みたいになってんぞ!?」

京太郎「冷えたから熱出しちゃったのか?」

咲「うううん!? 違う違う! 安心して! 元気だから!」

京太郎「なんかテンションもいつもと違うし……やっぱり病気で……」

咲「ちちち違うよ! 恥ずかしいから赤くなっちゃうの!」

京太郎「恥ずかしい? 何が……あっ」

ぱっ

京太郎「わ、悪い。手ぇ掴むなんてデリカシーに欠けたな」

ぎゅっ

咲「……は、離すなって言ったの、京ちゃんでしょ……」にぎっ

咲(い、言っちゃった……)

京太郎「え……?」

咲「……」むく

京太郎「……っ」かぁ

京太郎(クソ! 何かおかしい! このぽわぽわした空気……)

京太郎(俺と咲の間には無い筈の空気だ! 調子狂うぜ……)どきどき
233 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/09(月) 22:43:51.28 ID:u6pcaBpwo
咲ちゃんかわいい
234 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/09(月) 23:43:26.12 ID:O+n/6OHd0

京太郎(空気を変える必要があるな)

京太郎「お。ち、丁度良いトコに喫茶店があるじゃねえか。行こうぜ咲」

咲「えっ? あ、あー……えっと……」

咲「私あんまりお金ない……」

京太郎「いいよ、俺が出すから」

咲「さっきレディースランチ注文したばかりなのに?」

京太郎「いいんだよ、さあ行こうぜ」


――


京太郎(対面して座り、息苦しさから解放された気分になりながら……)

京太郎「俺は軽くハンバーガーでも食べようかね」

咲「え。結構がっつり食べるんだ……さっきレディースランチ食べてたのに」

京太郎「男子高校生の食欲ってのはこんなもんだよ」

咲「ふーん……じゃあ私はオレンジジュースでも飲もうかな」

京太郎「別に遠慮しなくていいぞ?」

咲「そういう訳じゃないよ。ほんとに飲みたいの」

京太郎「そっか。わかった。店員さーーーん」

「はいお伺いいたします」

京太郎「ハンバーガー・コーヒー・オレンジジュース」

京太郎「以上お願いします」

「畏まりました」

京太郎「……で」
235 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/09(月) 23:44:32.11 ID:O+n/6OHd0

京太郎「最近どうだ」

咲「最近って?」

京太郎「いや、テストも近いしなーと思ってさ」

京太郎「お前は帰っても本読んでばかりで勉強しなさそうだし」

咲「失礼な。しますよ勉強だって」

咲「夏休み前のテストじゃ国語は学年10位だったんだから!」

京太郎「お、流石文学少女」

咲「えへへ。京ちゃんのほうが心配だよ」


京太郎「! 何がだ?」


咲「え? だからテストだよ。私より京ちゃんのが勉強しないでしょ、いっつも」

京太郎「あ、そ、そっちか」

咲「そっちって?」

京太郎「な、何でもねーよ。まあ俺の売りは勉学じゃないからな」

咲「もう、言い訳でしょ……売りって何?」

京太郎「まあ、体の強さとかかな! ほら、力こぶとかできるし」むきーん

咲「わっ。凄い!」

京太郎「だろう? これでも昔は運動部でブイブイ言わせてたんだぜ……って咲は知ってるか」

咲「うん。何で京ちゃん高校入って部活辞めちゃったの?」

京太郎「別に……特にこれといった理由はないけど、もうちょっと好きに遣える時間が欲しかったってトコか」
236 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/09(月) 23:45:23.46 ID:O+n/6OHd0

咲「そうなんだ……結構私、京ちゃんが運動してるの見るの好きだったよ」

京太郎「そ、そうか? 照れるな」

咲「……あっ。いや、変な意味じゃなくてね!?」

京太郎「わかってるよ心配すんな。お前は色っぽい話とは無縁だからな」

咲「む……」

咲「きょ……京ちゃんは、かかか、彼女とか! つくらないの!?」かぁっ

京太郎「自分で言って照れるなよ……無理すんな。咲に恋バナは早過ぎる」

咲「むむむ……」

京太郎「彼女なんかつくらねーよ。めんどくせぇだろーしな」

咲「あ、そうなんだ……原村さんのこと凄く追いかけてたのに」

京太郎「あいつは特別! 男なら誰しもお近づきになりたいって思うっしょ」

咲「ふーーん」じとー

京太郎「まあでも、無理だったね。頑張って話しかけてもまるで相手にされないあの感じ……」

京太郎「あいつのが余程鋼鉄の女だぜ」

咲「……」

京太郎「まあ俺なんて所詮彼女いない歴=年齢の冴えない男だけどな」

咲(……でも私は)

咲(私は、京ちゃんを見てるよって、言いたい……)

咲(けれど多分、早計すぎるよね……そんなの)

237 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/09(月) 23:58:57.80 ID:O+n/6OHd0

京太郎(……咲が黙ってしまった)

京太郎(流石に女の子の前でする話じゃなかったかぁ)

京太郎(……ちょっと沈黙が続いてしまうと)

京太郎(嫌でも考えてしまう)


京太郎(俺たちが触れない話題について)


店員「お待たせしましたー。ハンバーガー・コーヒー・オレンジジュースでーす」


京太郎「お、来たぜ」

京太郎「安い値段で意外と喰えるのがいいトコだ」

京太郎「てか、ほんとにオレンジジュースだけでよかったのかよ、咲」

咲「うん。私それ好きだし」

京太郎「じゃあいいけどさ」

咲「……」ちゅー

京太郎「……」もぐもぐ

咲「ねえ、京ちゃん」ごくん

京太郎「どうした?」もぐもぐ


咲「訊きたい事、訊いてもいいかな……」


【どう返す? #3】
1. ああ。本来俺から切り出すべき話題のことだろ
2. 世の中には知らないほうがいい事だってある
3. 訊いて、理解して、そして咲はどうするんだ?

安価↓1
238 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sagasage]:2015/02/10(火) 00:03:11.06 ID:gGJFts4AO
3
239 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/10(火) 00:18:25.65 ID:9mEWDsbC0


京太郎「訊いて、理解して、そして咲はどうするんだ?」

咲「……わからない」

京太郎「……」

咲「わからないけど、一つだけ言えるよ」

咲「京ちゃんが何に手を出して、何に悩んで、これから何をしていくのか」

咲「それがどんなものだっていいの。ただ私は」



咲「私はいつだって、京ちゃんが選ぶ道を歩みたい」



京太郎「……!」

咲「京ちゃんに悲しみがあるなら受け取るし、私に喜びあれば分け与えたい」

咲「道過てば怒る、過ちを犯したって許す、立つ瀬の無い時には――」


咲「――私が拠り所になるよ」


京太郎「……そうか」

京太郎「そっか」ふっ

京太郎「わかった」

京太郎「全部話すよ、咲」

京太郎「そして、ずっと俺の味方で居てくれないか」

咲「――うん!」にこっ

240 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/10(火) 00:47:16.20 ID:9mEWDsbC0

――


咲「……うん。訊いた。理解した。事情は掴めた」


咲「やっぱり京ちゃんは京ちゃんなんだね」

京太郎「何がだ?」

咲「京ちゃんはあの夕暮れの公園で、私を助けてくれた」

咲「ハオさんに捕らわれた優希ちゃんも助けた」

咲「そして、今は狩宿さんを護ろうとしてるんだね」

咲「だから良かった・って思ったんだ。京ちゃんは、私の信じた京ちゃんの何も変わらない道を選んでる」

京太郎「……」

咲「ハオさんは、悪い人じゃないって、言ったね」

京太郎「ああ」

咲「私もそう思う。ねえ、何で正直に『賽は壊れた。見逃してくれないか』って言わないの?」

京太郎「それは……」

咲「ハオさんならきっと見逃してくれる。そして京ちゃんは、もう戦わなくてよくなる」


京太郎「……そうかもしれないな」

京太郎「でも……」


【何故ハオに正直に話さないか #4】
1. 情報が伝われば、統制王族院の調査員がやって来て、狩宿さんのことに気付くかもしれないから、だ
2. 今和が準備してる術式が成功すればお前たちを傷つけたあの忌まわしきお団子に一泡吹かせられるんだぜ

安価↓1
241 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/10(火) 00:49:21.40 ID:MZN69FMIo
1
242 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/10(火) 00:51:31.13 ID:nwCUjsW7O
追加武装なかったっけ?
243 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/10(火) 00:52:07.16 ID:nwCUjsW7O
すまん
誤爆した
244 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/10(火) 02:38:23.64 ID:9kRV2Kiao
ひとまず乙?
しかし凄い更新頻度だな
体調には気をつけてねー
245 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/10(火) 12:33:28.21 ID:IZrAX9Aro
Giftちゃんはいつ使われるの?
246 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/10(火) 14:13:55.14 ID:9mEWDsbC0

京太郎「情報が伝われば、統制王族院の調査員がやって来て、狩宿さんのことに気付くかもしれないから、だ」

咲「うーん……」

咲「どうもしっくりこないよ」

京太郎「……えっ?」

咲「京ちゃんは狩宿さんを護ろうとしてる」

咲「罪を犯した狩宿さんが、統制王族院? ってところの人に捕まれば、どんな扱いをうけるかわからないから」

咲「それはわかってた。京ちゃんならきっと、仲のいい人を護ることの出来る道を選ぶ」

咲「でも、狩宿さんは組織にはもはや連絡をしていない。じゃあ組織は狩宿さんからの連絡が途絶えたことにとうに気付いてる筈」


咲「それならもう"調査員"って人が来てておかしくないんじゃないのかなって」


京太郎「……どういう意味だ?」

咲「その賽って重要なものなんでしょ? だからハオさんって強い人が狙ってきてる」

咲「ハオさんは健在。今も賽を狙う仕事をしてる。組織とも連絡が取れてる、と思う。だから追加人員はないんだろうけど」

咲「統制王族院って組織は……どうして追加人員を出してこないの?」

咲「連絡が途絶えたら、普通何か起きたと見るのが普通じゃないのかな。そして新手を用意するのが定石だよ」

咲「だから不思議だよね・と思っちゃって。それならハオさんに秘密がバレたって、一緒かなって思ったから」

京太郎「えっと、要するに……」

京太郎「統制王族院の動きが遅すぎる・って言いたいのか?」

咲「……うん」
247 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/10(火) 14:14:37.80 ID:9mEWDsbC0

咲「何かあるのかもしれない……」

京太郎「何かって……」

京太郎「まあ一応気に留めておくよ。ありがとな咲」

京太郎「でもハオには言わない。なるべくリスクを冒したくないから」

咲「でもそれって一時的なことでしょ? いずれバレるよ」

咲「たとえハオさんを退けても。京ちゃんが賽を持ってる可能性がある限り、次の刺客が来るだけ」

咲「狩宿さんを護るなら、清澄から離れて、本当に所在をくらます以外にないと思うよ」

京太郎「……そうかもしれないな」

京太郎「わからないんだ。俺にも」

咲「……ううん。ごめんね。私こそ適当言っちゃって」

咲「でも協力したいんだ。京ちゃんのやる事を手伝わせてよ」

京太郎「……ああ。ありがとな」

京太郎「お前の意見を聞けて良かった」

咲「でもびっくりした。前に公園で話してたあの狩宿さんがそんな秘密を持ってたなんて……」

咲「ハオさんは、何かありそうだなって思ってたけど」

京太郎「最近びっくりすることだらけだ。和だって同じだ」

咲「原村さんか……でも、やっぱり原村さんも味方なんだね」

京太郎「心強いことにな。本当に助かったぜ」
248 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/10(火) 14:16:03.83 ID:9mEWDsbC0

咲「……」

京太郎「どうした? 咲」

咲「ううん……何でもない」

咲(私も原村さんみたいに、京ちゃんと一緒に戦える能力があったらいいのに……なんて)

咲(京ちゃん……)


京太郎「さて。帰るか」

京太郎「あ。言っとくけど、咲にはもう危険はないんだから」

京太郎「ハオと一悶着起こさないようにしてくれよ」

京太郎「……ここまで話して、心配だけ増やすようで悪いんだけどさ」

咲「わかった。信じてるね」

咲「私に出来るのは、京ちゃんが無事でいられるのを祈って待つことだけだもん」

京太郎「……」


かちゃ

ざああぁ……


京太郎「やっぱり降り止まない、か……」

咲「……」もぞもぞ

咲「……はいっ」すっ
249 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/10(火) 14:17:03.22 ID:9mEWDsbC0


ばさっ


京太郎「!」

咲「はい、傘!」

咲「京ちゃん持って、お願い。身長差で私じゃ出来ないし」

京太郎「……えっと」

咲「はい!」ぽすっ

京太郎「お、おう! じゃあ……ほら」すっ

咲「!」

京太郎「手、繋いで帰ろうぜ」

京太郎「その……そういう気分だから」ぽりぽり

咲「う、うん……」にこ

ぎゅっ

咲「じゃあ……帰ろっか」


――自宅


巴「……それにしたって」

250 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/10(火) 14:17:36.74 ID:9mEWDsbC0


巴「良かったの? 宮永さんに事情を説明しちゃったけど」

京太郎「わかんね。でも、あいつの望む事に協力したかった」

巴「……強い子なんだね」

京太郎「ああ。ああ見えて芯が通ってる」


咲『――私が拠り所になるよ』


京太郎「……」

京太郎「きっと俺は、あいつに失望されたくないのかもな」

巴「……」

京太郎「狩宿さんは、そういう相手、組織にいたりしたか?」

巴「……私は」

巴「……」

巴「居たのかも。でも、私はもう裏切り者だから」

巴「……そういう子にも、既に失望させちゃったかな」

京太郎「……」

京太郎「……そっか」

京太郎「……」

京太郎「雨、なかなか止まないな……」
251 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/10(火) 14:18:45.28 ID:9mEWDsbC0

巴「まあ、天気予報だと五日程この天気が続くなんて言ってたしね」

京太郎「マジかよ。洗濯物部屋干しすんの嫌いなんだけどな」

巴「そんな主婦みたいな……って、そっか」

巴「私の服、干す時は全部須賀くんの部屋の窓の外か中だもんね」

巴「もしかしてくさいかな……?」

京太郎「そんなことねーけど……」

京太郎(落ち着かないんだよ……! 目に見えるところに女子の衣服があるってのは!)

巴「良かった。じゃあ私そろそろ寝るとするね」


がらがら


巴「おやすみなさい、須賀くん」

京太郎「……あんたも随分慣れてきたよな……」


京太郎「押入れの中で寝るの」


巴「そうかな? そうかも」

京太郎「ドラえもんみたいな事させて悪いな」

巴「でも、風紀上仕方のないことだから。万が一寝てる時に家族に部屋の中に入られても終わりだしね」

京太郎「ま・そうだけど。俺も寝るよ」

巴「おやすみなさい」

京太郎「おやすみ、狩宿さん」

京太郎「……こんな日が続くのを、祈ろうぜ」


 -----------------

  To be continued...

252 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/10(火) 14:19:48.78 ID:9mEWDsbC0


★☆★ here is the data of THE CHAPTER!! ★☆★

【#1 → 好感度+2上昇(咲)】
【#2 → 好感度+2上昇(咲)】
【#3 → 好感度+2上昇(咲) ルート・歩む道は同じ】
【#4 → ルート・咲の疑念】

◆現在の称号【清澄の守護者】
◆カルマ【+14】
◆所持金【44,000】

◇スキル
[Speech] 43
[Strength] 47
[Gift] 14
[Intelligence] 19
[Lady-killer] 49

◇好感度
/咲/  27 (+6)
/優希/ 14
/和/  2
/巴/  31
/ハオ/ 6

253 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga sage]:2015/02/10(火) 14:21:20.72 ID:9mEWDsbC0
>>245こんなに早々にスキルとして出しておきながら、清澄篇では中々使わないかもしれません。
    スキル[Gift]は鬼道系に関するスキルです。鬼道とはBLEACH用語で便利な魔法みたいなものです。
254 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/10(火) 14:57:24.33 ID:IZrAX9Aro
乙乙、なるほどさんくす
255 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/10(火) 15:25:45.02 ID:meNHGmzY0
咲から疑問提起されたのに巴さんに伝えなくていいのかね
256 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/10(火) 15:26:24.83 ID:9mEWDsbC0



――学校


京太郎「あれ。今日は和も休みなのか……」

京太郎(ハオもいない。和もいない)

京太郎(ハオは俺が一人になる機会を窺ってるんだろう)

京太郎(そして、和はハオに対する術式を構成してくれてる筈だ)

咲「原村さん、もしかして……」

京太郎「多分咲の思ってる通りだ。昨日話した事の準備をしてくれてんだろ」

咲「……学校、休んでやるくらい、大変なんだね……」

咲「……当たり前か」

京太郎「……そうだな」

京太郎(狩宿さんも近くで、見えないとこで俺をフォローしてる)


京太郎(じゃあ、俺はどうする?)


【今日は放課後何をする? #1】
1. さっさと帰って狩宿さんに戦闘指南を受けるか
2. 咲、テスト勉強に付き合ってくれよ
3. 優希、学食行こうぜ!
4. 和の様子が気になるな……
5. この学校、そういや旧校舎の屋上にけったいな部屋があったなぁ

安価↓1
257 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/10(火) 15:28:49.78 ID:IZrAX9Aro
2
258 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/10(火) 15:52:38.40 ID:9mEWDsbC0


――放課後


京太郎「咲、テスト勉強に付き合ってくれよ」

咲「……」まんまる

京太郎「な、何だよ。なんか面白い顔になってんぞお前」

咲「だ、だって……」

咲「京ちゃんから『テスト勉強しよう』だなんて言葉、初めて聞いたから……」

咲「京ちゃん大丈夫? このところ色々あったから疲れてるんだよね?」

京太郎「いやいや、大丈夫だって! 別にいいだろ、たまには」

咲「勿論いいよ。じゃあ何処でする?」

京太郎「……何処がいいんだ?」

咲「京ちゃんの部屋は……狩宿さんがいるんだっけ。じゃあダメだね」

京太郎「咲の部屋は?」

咲「わ、私の部屋はダメだよ。ごめんね?」

咲(京ちゃんに部屋なんて見せられないよ〜……)

咲「図書室行こう? 多分、色々本もあるから便利だよ」

京太郎「よっしゃ。そうと決まったらはやく行くか」

京太郎「テスト前の図書室なんて混雑しそうだしな」

咲「それが意外と、この高校は混まないみたい」

京太郎「マジ? そりゃ意外だな」

咲「でしょ?」
259 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/10(火) 16:06:14.41 ID:9mEWDsbC0

――図書室


京太郎「うへぇ。ここの雰囲気は好きだな」

咲「本も借りてよ京ちゃん」

京太郎「咲がおすすめする本があったら・な」

咲「じゃ、じゃあこれ読んでよ!」ひょいっ

京太郎「わあっ。図書室来ると、テンション上がるよなお前……」

咲「そそそそうかな? そんなことないと思うけどな……」

京太郎「その本はキープしとくとして、取り敢えず座って教科書広げようぜ」すたすた

咲「そうだねっ」とてとて


京太郎「さて……何から手をつけたらいいんだ……?」

咲「教科書と、授業中に取ったノート。あとは先生が用意してくれた問題プリントかな」

咲「この辺しっかりやっておけば、取り敢えずそこそこでやり過ごせると思う」

京太郎「成程な。それをやるか。わかんないとこあったら訊いてくぜ、咲」

咲「私は……そんなに勉強できる訳じゃないから、自信はないけど……」あはは


【コンマ・チャレンジ #2】
(安価先のコンマ値により、得られる恩恵が変化します)
[01〜50] [Intelligence]+1
[51〜80] [Intelligence]+2
[81〜00 or ぞろ目] [Intelligence]+4

安価↓1 コンマ判定
260 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/10(火) 16:15:07.50 ID:HNwFoHvLo
あい
261 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/10(火) 16:34:10.31 ID:9mEWDsbC0

京太郎「……」かりかり

京太郎「……」かりかりかりかり

咲「……」かりかり

京太郎「なぁ、この問題ってどうやって……」

咲「う、うーん……わかんない……」

京太郎「そうか……」かりかり

京太郎「教科書の文字見るのも疲れてきたな……」かりっ

京太郎「よしっ! 今日はもうこの辺でアガるか!」がたん

咲「え? もう?」

京太郎「え? 一時間も勉強すりゃ十二分だろ?」

咲「……まあ、京ちゃんのレベルに合わせないとね」

京太郎「うわー。咲の上から目線だぁー」

咲「い、いやいやそんなつもりじゃ!」

咲「私も丁度疲れてきたところだったし、そうだね、帰ろっか!」

京太郎「おう。今日は傘持ってきたぜ」

咲「……良かったね」
262 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/10(火) 16:41:44.94 ID:9mEWDsbC0


咲(ちょっと残念……なんて欲張りすぎか)




8. ROCKIN' FUTURE 5 op.2 "Blossom Of Lust"




巴「……」

京太郎「あれ? 狩宿さん。こんな道端で何を……」

巴「……こんにちは、宮永さん」

咲「あ……こんにちは」

巴「知って、しまわれたんですね……」

巴「私と、須賀くんの、現状について」

咲「……はい。京ちゃんから聞きました」

巴「私から、深くお礼を言わせて頂きます。ありがとうございます」

巴「宮永さんは、本来全く無関係の私にまで気を遣って頂きました」

巴「昨日須賀くんに、あなたからの有難い助言・だと言って聞かされたんです」

京太郎「そうだな。統制王族院の動きが遅すぎるって話だ」

京太郎「咲が言ってくれたんだ。疑問に感じて、俺に伝えてくれた」

巴「そのことについても、深く感謝しています」

咲「えへへ。大したことじゃないよ。何となく思ったことを口にしただけ」

263 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/10(火) 16:53:06.38 ID:9mEWDsbC0

京太郎「それで、実際どうなんだ狩宿さん」

巴「薄々、感じていました。確かに不思議なことです」

巴「何故私からの連絡が途絶えても組織は増員を出さないのか」

巴「真実はわかりません。組織が私の力を信用してくれているのか……」

巴「賽はやすやすと星の十字結社に渡ってもいい代物では無かった筈ですから」

京太郎「うーん……何とも言えないな……」

巴「……」

巴(もしかしたら……)

巴(……いや。浅薄な考えは止そう。こんなの……ありえない話だし)

巴(須賀くんには言わなくていいことかな……妄想レベルの不安なんて)


巴「それで、せめてものお詫びとして、宮永さん」

巴「何か美味しいものを食べにいきませんか?」

巴「私が払いますよ」

咲「ええっ!? そんな、悪いよ……」

咲「ほんとに何にもしてないんだもん」

京太郎「……いや。咲は十分やってくれてるぜ」

京太郎「俺の心を軽くしてくれたんだ。いいじゃねーか、貰えるもんは貰っとけよ」

巴「その通り。行きましょう宮永さん」にこ

咲「……は、はい。ありがとうございます。それじゃあ、遠慮なく……」とてとて
264 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/10(火) 17:02:35.93 ID:9mEWDsbC0

京太郎「こんな田舎にバイキングの店があるなんてな……」

咲「知らなかったの? 京ちゃん」

京太郎「知ってたけど入ったのは初めてなんだ。さて食うぞー!」がたっ

巴「バイキングなら宮永さんも遠慮しないと思いまして」

京太郎「だってよ。おいおい、はやくも少しキャラが読まれ始めちゃってるぞ、咲」

咲「え、えーっと……」

咲「私、お野菜取ってきます!」がたり

京太郎「あはは」

京太郎「皿落としたりするんじゃねーぞー!」

咲「しませんよーだ!」べー


巴「……須賀くんに対しては、かなり打ち解けてるみたい」

京太郎「咲か? 言ったろ。中学からの付き合いなんだ」

京太郎「俺にとって咲は、そして咲にとっても俺は、一番の"友達"の筈だ」

京太郎「自惚れてなけりゃ・だけどな」

巴「友達……」ちら


咲「えっと、トマト、ニンジン……」おろおろ


巴「ふふっ。なんだか微笑ましいな」

京太郎「危なっかしい奴だ。狩宿さんも見守ってやってくれよな」

巴「そうだね」ふっ
265 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/10(火) 17:12:23.73 ID:9mEWDsbC0

――


京太郎「――それで、咲と同じ高校を選んだんだ」

咲「地元だし、ね」

咲(京ちゃんと一緒に通うって事が、一番重要なポイントだったもん)

巴「そうなんだ。面白いなぁ、二人の話を聞くだけでも」

京太郎「まあ基本咲がおっちょこちょいをやらかして」

京太郎「俺がその面倒を見るって確率されたパターンがあるんだけどな」ぱくっ

咲「む! それについては異論有り・だよ京ちゃん」

咲「京ちゃんの行動も私をはらはらさせるばかりなんだから」もぐもぐ

京太郎「どの口が言うか、ポンコツお姫様。何回迷子になりましたかー?」

咲「え、えっと、そんなには」

京太郎「清澄高校ですら半年で7回・だ。どんだけ方向音痴なのよこの子」

咲「え、えーっと……」あせあせ

巴「わざわざカウントしてるんだ……」たら

咲「それは本当にごめん……」しゅん

京太郎「悪い言い過ぎたか? 気にすんなよ」

京太郎「別に悪い気分じゃないぜ。お前を探すってのは」

京太郎(見つけたら笑顔になって寄ってくる咲は、その、何と言ったらいいか……)

京太郎「そそるしな……」

咲「え?」

京太郎「な、何でもねーよ!」ぷいっ
266 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/10(火) 20:52:32.18 ID:9mEWDsbC0

――

京太郎「うーん。喰った喰った。腹いっぱいだぜ」

巴「それは良かった」

巴「宮永さんは満足して頂けましたか?」

巴「もっと食べても良かったのに」

咲「いえ。あれ以上食べたらもう動けなくなっちゃうので……」

咲「ありがとうございました、狩宿さん」ぺこり

巴「お礼を言うべきはこちらです。ありがとうございます」

咲「いえいえ、私なんて……」

巴「そんな謙遜しないで下さい」

京太郎「今後何回もありそうなやり取りだな……」

巴「じゃ、帰ろっか、須賀くん」

巴「それでは宮永さん。この辺で。今日は仲良くなれて嬉しかったです」

咲「こちらこそ……」

京太郎「おう。また明日な咲」

咲「……うん。また明日ね……京ちゃん」


咲(京ちゃんの後をつける狩宿さんを少しだけ、羨ましいと思った)

咲(なんてね。私も帰って、あの小説の続き読むかぁ……いやいや、勉強しなくちゃ)ぐっ


――


巴「雨、なかなか止まないね……」

京太郎「天気予報通りならまだ続くんだろ」

巴「そうだけど……」
267 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/10(火) 20:54:48.60 ID:9mEWDsbC0

巴(この、淀み切った空を眺めていると)

巴(私はいやに不安になってしまう)

巴(何か、大きなことが起こるんじゃないか・って)

巴(まるで、この淀んだ空の全てが――)


巴(押し潰すように私たちに向かって堕ちてくるんじゃないか・って――)


京太郎「しっかし動きを見せないなーハオも」

巴「確かに、凄い静か……」

巴「やっぱり見立て通り、こうして須賀くんが常にだれかと一緒なら」

巴「穏便に済ましたいハオさんは、やって来ないってことなのかな」

京太郎「それなら楽だな。和を待ってりゃいい」

巴「……」

巴「……私たちに」

京太郎「ん?」

巴「私たちに未来はあると思う?」


京太郎「……えっと」


【何か言わないと…… #3】
1. ……
2. え? 何いきなり?
3. [Lady-killer49] 不安か?

安価↓1
268 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/10(火) 20:55:31.79 ID:sM5kmn+Ko
3
269 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/10(火) 21:01:58.69 ID:9mEWDsbC0


[失敗]


京太郎「不安か?」

巴「……今は、いいんだけど……」

巴「私たちには暗い未来しか待ってないんじゃないか」

巴「ワケもなく、そんなことばかり考えてしまって」

巴「って、ごめんね。暗いよね」

巴「それに"私たち"なんて烏滸がましいか」

巴「実際に危いのは私だけで」

巴「須賀くんには、ちゃんと未来があるか」

巴「一緒にしちゃってごめんね」

京太郎「気にすんな……」

京太郎「俺はただあんたを護る。それだけだ」

京太郎「どんどん吐けよ、弱音」

京太郎「聞くくらいならしてやれる」

巴「……うん。ありがとう……須賀くん」


270 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/10(火) 21:03:00.69 ID:9mEWDsbC0


――


ハオ「……」じぃーーーーー

ハオ「中々一人になる隙を見せませんね……」

ハオ(どう出るべきか。こちらから働きかけるべきか……)




???「ハオちゃん」




ハオ「!!?」くるり


???「えへへ……来ちゃいました」


ハオ「……あなたは!!」

ハオ「あなたほどの方が、何故此処に!?」


???「あなたがもさくさして、私たちを焦らすからですよ」


ハオ「……賽のことですか。それなら心配要りません。いずれ……」


???「遅すぎます」


ハオ「……えっ??」


???「茶番は止めにしませんか」

???「一般人は巻き込めないだの、穏便に済ましたいだの……知ったことじゃないでしょう?」

???「たかだか賽一つに何を手古摺る事があるんです??」

???「疑わしい者。関わったもの。力の有る無しに拘らず――」
271 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/10(火) 21:04:21.99 ID:9mEWDsbC0










???「全て奪い去れば、それで終わることでしょう」








272 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/10(火) 21:06:07.08 ID:9mEWDsbC0

ハオ「……あなた"如き"がこの私に命令ですか?」


???「これは結社の命令です」


ハオ「……」


???「抗う術などあなたには無いでしょう」


ハオ「……………………」


ハオ「なら、あなただけで勝手にやってください」

ハオ「あなたが出るなら私が出しゃばる必要はない」

ハオ「出しゃばるくらいなら私は、見物させて頂きますよ――」



【人物"???"はだれ? #4】
1. 神代小蒔
2. 自由安価(一緒に人物を指定してください・一部無効有)

安価↓1


273 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/10(火) 21:09:23.16 ID:djdECrLdo
2 愛宕絹江
274 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/10(火) 21:13:47.90 ID:9mEWDsbC0







ハオ「――愛宕絹恵」


絹恵「……ご自由に」こぉぉぉぉぉぉぉぉおおおお







 ---------------

  To be continued...
275 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/10(火) 21:15:21.83 ID:9mEWDsbC0

★☆★ here is the data of THE CHAPTER!! ★☆★

【#1 → [Intelligence]+1 好感度+2上昇(咲)】
【#2 → [Intelligence]+1】
【#3 → 失敗】
【#4 → ルート・増員!!】

◆現在の称号【清澄の守護者】
◆カルマ【+14】
◆所持金【44,000】

◇スキル
[Speech] 43
[Strength] 47
[Gift] 14
[Intelligence] 21 (+2)
[Lady-killer] 49

◇好感度
/咲/  29 (+2)
/優希/ 14
/和/  2
/巴/  31
/ハオ/ 6
/絹恵/ 0
276 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/10(火) 21:28:17.12 ID:djdECrLdo
変換ミスってたorz
正しい名前で拾ってくれてありがとうございます
277 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/11(水) 04:03:55.27 ID:coO23S/ao


Lady-killerは失敗しても上がらないのん?
278 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga sage]:2015/02/11(水) 23:56:55.86 ID:gTdyjBhy0
>>277
失念していました
[Lady-killer]は【50】ですね
279 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/12(木) 01:49:54.04 ID:EoYU310R0




この世のすべては

あなたを追いつめる為にある




280 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/12(木) 01:50:21.13 ID:EoYU310R0




――学校


京太郎「……あれっ」

京太郎「お、お前……」


ハオ「……なんですか?」


京太郎「何で登校してきてんだよっ?」じりっ

京太郎「俺が一人になる機会を窺ってたんじゃねえのかよ」

京太郎「それとも……今ここで戦りてえわけか?」すっ

ハオ「逸らないで下さい京太郎。私が登校するのはおかしな話じゃないでしょう?」

ハオ「私も一人の高校生であり、清澄の生徒なのですから」

京太郎「……そうかよ」

ハオ「……狩宿巴」

京太郎「!!」

ハオ「彼女の気配を西に100mの地点に感じますね」

京太郎「……へえ」
281 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/12(木) 01:51:07.21 ID:EoYU310R0

京太郎「やるじゃねえか。そういうのがわかるのか?」

ハオ「意識しなければわかりません。あなたが能力者であることにも気づかなかった」

京太郎「そうか。で、狩宿さんの名を何故知ってる?」

ハオ「何故? 調べたからですよ。それ以外に何もないでしょう」

ハオ「そして実に容易い事でした」

京太郎「そうかよ。で、俺たちに今手を出す気はないんだな?」

ハオ「欲しい情報を訊いても教えてはくれないでしょう?」

京太郎「ごもっとも!」

ハオ「……」


がらがら


咲「……」とてとて

咲「……あ」

ハオ「……」

咲「……」ぺこり

ハオ「……」ぺこり

咲「……」とてとて

ひょこっ

優希「ハ、ハオちゃん……!」

ハオ「……優希」
282 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/12(木) 01:52:15.35 ID:EoYU310R0

京太郎「……」

優希「きょ、京太郎……」

ハオ「……」


京太郎「それで、お前どうせ昨日のプリント貰ってないだろ、ハオ」


ハオ「え?」

京太郎「昨日の数学のプリントだよ。今日の一限にも数学があるんだ。あれが無いと困るだろ」

ハオ「あ……そうかもしれません」

京太郎「そうかも・じゃなくてそうなんだよ。見せてやるって」

ハオ「……」

京太郎「さーて、テスト前だし気合い入れますか!」

優希「!!?」がたんっ

優希「テテテテッテッテッテッ……テスト!!?」ふるふる

京太郎「何だよ優希そのカオは。わかったぜ、今回も赤点濃厚なんだな」

優希「何ぃ!? それは貴様も同じだろう京太郎!」ずびっ

京太郎「ふふーん。それが、俺は昨日咲と一緒にめちゃくちゃ勉強したからな」

京太郎「今回のテストで赤点は回避濃厚なんだ」にしし

優希「な、な、な……」わなわな

優希「おかしいじぇ! 何か狂ってるじぇ! 京太郎からそんな言葉が出るなんて……」

優希「悪魔! 裏切り者ーー!!」

京太郎「ふっふっふ」

咲(勉強したのって、昨日の一時間だけじゃ……)あはは
283 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/12(木) 01:55:06.95 ID:EoYU310R0

京太郎「そういやハオがこっちでテスト受けるの初めてだよな」

ハオ「えっ……そうですね」

京太郎「ハオってアタマ良いのか?」

ハオ「どうなんでしょうか。一応……」

優希「ぜーーーーったいアタマいいじょ」じー

優希「そんな雰囲気してる人間がアタマ悪いわけ無いじぇ」つーん

ハオ「……え、えっと」

京太郎「おい優希。そんなこと言ってハオが実はあまりアタマよくなかったらどうすんだよ」

京太郎「可哀相だろうが。そういうことも考えろよな」

優希「そんな心配要らないと思うじょ」

優希「ここまで日本語話せるんだ。アタマ悪い方がおかしいじぇ」

優希「な、ハオちゃん!」

ハオ「……一応、前の学校では上から3位でしたが」

優希「ほら!!」

京太郎「あー、やっぱりかぁ。薄々思ってたんだけど……」

優希「結局京太郎もハオちゃんアタマ良いと思ってたんだな」

京太郎「ま・そりゃな。留学してくるような奴だぜ」

ハオ「……」


【会話を続けるか? #1】
1. お前も勉強することだな、優希
2. ハオの前の学校って……
3. さてと、朝の空いた時間は勉強が基本だよな(かりかり)

安価↓1

284 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/12(木) 01:56:15.41 ID:JppQLKCHo
2
285 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/12(木) 02:12:20.65 ID:EoYU310R0

京太郎「ハオの前の学校って……」

優希「中国か?」

ハオ「香港にある学校です」

ハオ「優しい人が集まっていました」

ハオ「みんな授業に熱心でしたし、互いを思い遣ることが出来た」

ハオ「おっと、昔話してしまいましたね。興味無かったでしょう」

京太郎「いや。我々日本人にとっては海外での生活の話はそれだけですごく興味深いものだけど。な、優希?」

優希「うーん。別に」

京太郎「裏切り者め……」

優希「それは酷い言い草だじぇ」

ハオ「……いいですね」

京太郎・優希「「え?」」

ハオ「あなた達みたいな関係が、羨ましかったりします」

ハオ「香港でも、やはりあなた達と似た人を眺めるのが好きでした」

京太郎「なんか切ない意味に聞こえるぜ。触れない方がいいのか?」

ハオ「ふふ、友達が居なかったわけじゃありません。ただ……」

ハオ「……いえ、何でもありません」

ハオ(私は、組織の人間だったから……)

ハオ(会う人には大抵私から勝手に、壁をつくっていました、なんて)

ハオ(京太郎たちに言えることでもない、か)

ハオ「……」ふっ
286 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/12(木) 02:20:08.69 ID:EoYU310R0

――放課後


京太郎(さて……)

京太郎(今日は珍しく寄り道せず帰ってるけど……)すたすた


京太郎「家まで付いてくるつもりか? ハオ」


ハオ「……やはりバレていましたか」


ハオ「いつから気付いてたんです?」

京太郎「えっと。今日登校してハオが居たときから」

ハオ「要するに最初から・ですか。大したものですね。見抜かれてしまってましたか」

京太郎「バレバレなんだよ。俺を近くで監視する以外に態々高校に来る意味が無え」

ハオ「成程。私もまだまだです。至らぬ点が見つかるのは、今後の課題が出来たということ。嬉しい話です」

京太郎「方針がぶれぶれなんだよお前は」


京太郎「狩宿さん、出てきてくれ」


しゅばっ

巴「……出てきたけど?」

巴「良かったの? 私のことはこの人知らないんじゃ……」

京太郎「知ってるさ。あんたのこともハオにはバレてる」

巴「!」

京太郎「名前だけ・みたいだけどな」ぼそり

巴「……成程」ごくり
287 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/12(木) 02:21:32.70 ID:EoYU310R0

ハオ「……それで、二人になって何のつもりですか?」

京太郎「俺一人じゃ危ないから、この狩宿さんと帰るんだよ」

京太郎「おかしくないだろ。ハオは俺を狙ってる。物騒なことにな」

ハオ「……」


ハオ「……狙っているのが私だけではないとしたら?」


京太郎「何の話だ」

ハオ「何の? ただの仮定の話ですよ」

ハオ「貴方が一人になるのを待っていたら、私はいつまでも情報をとれない」

ハオ「誰もが一般人を巻き込む事に、躊躇いを感じる訳じゃないって事ですよ」

京太郎「……つまり?」

巴「……まさか」

京太郎「どうした狩宿さん」


ハオ「それでは私は帰ります。自分の部屋に」


京太郎「え? 自分で言うのも何だけど、付いてこなくていいのかよ?」

ハオ「……もう、意味などありはしない」

ハオ「この仕事はもうすぐ終わるのだから」
288 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/12(木) 02:22:44.54 ID:EoYU310R0

京太郎「おい、待てよハオ。どういう……」

ハオ「正直なところ、私はこれを言いたかっただけだったのかもしれません」

ハオ「……京太郎。御無事であることを祈ります」ぽつり


ぶんっ


京太郎「消えちまったな……ほんと、不思議な奴」

巴「飛廉脚……迅い」

京太郎「えっと、星の十字結社の高等歩法だっけ?」

巴「うん。足許につくった牌の加護の流れに乗って高速移動する……」

巴「あれ程迅いとは……流石はハオ・ホェイユー」

巴「って、そんな話をしてる場合じゃなかった! 此処は危ない!」

京太郎「え、危ないって、何が……」

巴「今のハオ・ホェイユーの口ぶりからすると……」

巴「"新手"が来た可能性が高い!!」

京太郎「!!」



「そっ! 当たりや」



京太郎・巴「「!!!」」ぐりゅん


「あらあら……こらアカンなぁ」

289 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/12(木) 10:40:36.80 ID:5xRPnT79o
やっとおもちキャラが
290 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/13(金) 01:34:18.23 ID:Az72PkWI0


京太郎「……っ!」ぐぉっ



きゅおおお お お お  お   お 
 


京太郎(なんだ、この圧は――……!!)ぐ ぐ ぐ ぐ



お お お お お  お  お  お   お










ずぅぁぁぁぁあああ!!! 



「ふぅっ!」くいっ



京太郎「……!!」 

291 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/13(金) 01:35:12.91 ID:Az72PkWI0


ざりっ ざりっ ざりっ


ざっ………


「こんな腑抜けた顔した二人に手古摺ってるなんて、"鋼鉄"のハオ・ホェイユーも落ちたもんやな」


京太郎(現れたのは、特徴的なフレームのメガネをかけた、薄い青色がかった髪の毛の……女子高生だった)

京太郎「誰だ……てめぇ」



「私の名前? ええよ、教えたる」

「これから敗ける相手の、名も知らんのは屈辱やろ」



京太郎「……」ぐっ



「星の十字結社の"K"の聖文字(シュリフト)」

「愛宕絹恵ここに登場や!」くいっ



京太郎「……愛宕、絹恵……」ごくり
292 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/13(金) 01:36:36.04 ID:Az72PkWI0

巴「"K"のシュリフト……」ぞくっ

京太郎「知ってるのか? 狩宿さん」

巴「ううん。知らない。知らないけど……」

巴「星の十字結社では、卓越した戦闘能力を誇る能力者には"聖文字(シュリフト)"という文字が与えられているそうで」

巴「つまりあの愛宕という方も相当の手練れのかもしれないってこと……!」

京太郎「そういえば、ハオも自分のこと"I"だとか言ってたな……」

巴「……」


絹恵「どうしたん? 名乗ったんやからそっちも名乗って欲しいんやけど」


京太郎「須賀京太郎だ。知ってのとおり能力者だぜ」

巴「狩宿巴です」


絹恵「そっか」ざり


京太郎「……?」

京太郎「地面に手なんかつけてどうするつもりだ」


絹恵「……」にや


巴「……!!」
293 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/13(金) 01:37:29.60 ID:Az72PkWI0

――


咲「……ゆ」


咲「優希ちゃん……?」


優希「……」


咲「寝ちゃった?」

優希「……」

咲「……」そー

つんつん

優希「うひゃあっ!?」びびっ

咲「あ。起きた」にこっ

優希「なななな何を!?」

咲「シャーペンの先で頬をついただけだよ。寝てるのかなと思って」

優希「ううっ……そんな恐ろしい事よく平気で出来るな咲ちゃん」

咲「ご、ごめん」

優希「いや。私が元々眠っちゃったのが悪いんだじょ」

咲「優希ちゃん。京ちゃんに負けないんじゃなかったの?」

咲「だから私に『一緒にテスト勉強してほしい』なんて言ったんでしょ?」

咲「もっと頑張ろうよ」

優希「お、仰る通りだじぇ……咲ちゃん」
294 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/13(金) 01:38:37.47 ID:Az72PkWI0


優希「うーん。でもやっぱり気が乗らないじょ」

優希「やめやめ。こんな軽い気持ちで勉強するなんて口にすべきじゃなかったじぇ」

咲「あはは……勉強に対してどんなイメージもってるんだろう……」

咲「じゃあ、もう帰る? 私は別にいいけど」

優希「おう。そろそろ帰るじぇ」

優希「咲ちゃん途中まで一緒にかえろ?」

咲「うんっ!」


がらがら


ざぁぁぁ……


咲「うー。やっぱり降ってる。いつ雨止むんだろ……」

優希「ここまで続くと気も落ち込むじょ」

咲「濡れるの嫌だもんね……」


優希「ん?」


咲「どうしたの? 優希ちゃん」

優希「いや……何か変な気配を感じたんだが……気のせいだったみたいだじぇ」

優希「さ。かえろっ咲ちゃん!」がしっ

咲「う、うんっ」にこ
295 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/13(金) 01:39:35.31 ID:Az72PkWI0


――


和「……」びしゅんっ


びしゅんっ


びしゅんっ


和「……こんなものでしょうか」


かちゃ……



和「銀筒……」



和「能力をうまく操り牌の加護の力を放出し、溜めこむ道具……その名は銀筒」

和「うまく扱えるでしょうか……私も、彼も」

和「扱えないと困る訳ですが」

和「一通り……造ることは出来ましたね」

和「……先程から、厭な気配を感じますが」

和「……止まない雨のせいでしょうか」

和「おっと。作業に集中しなければ……」


――
296 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/13(金) 01:40:34.15 ID:Az72PkWI0


――


巴「まずい! "影"が――」

京太郎「影……?」

京太郎「!」

京太郎(地面につけられた愛宕絹恵の掌から、影が異様な長さに伸び――)

京太郎(空中に、拡張した――……!!)

京太郎「なんだ、ありゃ……」

巴「何を……あなたは何を考えているんですか!? 愛宕絹恵!!」


絹恵「……」にやり





絹恵「進め、聖兵(ゾルタート)」





297 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/13(金) 01:42:15.42 ID:Az72PkWI0


ぶちゅっ ぶちゅっ


京太郎「――……嘘だろ」

京太郎「影の中から、たくさんの連中が……降りてくる!!」



だだだだだだだだだだだん!!!!!!


聖兵「「「……」」」ずらっ



巴「聖兵(ゾルタート)……影から呼び出しましたか」

京太郎「ぞるたーと?」

巴「うん。星の十字結社の洗礼を浴びた能力者のことね」

巴「"聖文字(シュリフト)"持ちより遥かに劣るけど、戦士としては非常に優秀なの」

京太郎「何だと。そんな奴らが……」


聖兵「「「……」」」


京太郎「1,2,3,4……おいおい。一体何人いるってんだ……」


絹恵「驚いた? 結社自慢の聖兵(ゾルタート)や」

京太郎「……で? こいつらで何をするんだ?」

京太郎「あんたは俺たちを、こいつらにボコボコにさせたいのか?」

298 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/13(金) 01:45:39.02 ID:Az72PkWI0

絹恵「……"賽"の在処について、情報を持っている可能性のある人間が、何人かいる」

京太郎「……!」

絹恵「そのために用意した人数や」

京太郎「……成程な。要するに」

京太郎「咲たちに、そいつらを仕向けようって腹だ」

絹恵「正解(エサクタ)!」

京太郎「じゃあ俺たちのやる事は単純だ」

京太郎「なあ狩宿さん?」

巴「もちろん」

絹恵「というと?」


京太郎「通させねえさ」


絹恵「……出来ると思うんか?」

京太郎「試してみるかい?」にっ


絹恵「……やれ」

聖兵「御意」ぶんっ


京太郎「飛廉脚か!!」


【聖兵(1体)を倒せ #2】
1. [Strength47] ぎりぎりまで引き付ける
2. [Intelligence21] 背後を振り払う

安価↓1
299 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/13(金) 01:50:05.86 ID:OHaT6mxHo
1
300 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/13(金) 02:01:04.97 ID:Az72PkWI0


[失敗]


京太郎(俺の力じゃ、まだ目で追うことはできない……)

京太郎(なら、ぎりぎりまで引き付けて、気配を感じとり……)

京太郎(相手の刃が俺の躰を掠める前に、躱して斬る!!)


……ぶぉん


京太郎「……き」


ごっ!


京太郎「うがっ!!」

ごろごろごろごろ

どさぁああ

京太郎「……ぺっ」ゆらり

京太郎「喰らっちまったか」


絹恵「あはは。笑わせるで。そんな腕でよく強い言葉を遣えたな?」

京太郎「うるせえ。今のはまぐれだ」

絹恵「ふーん?」


巴「破道の三十三・蒼火墜!!」かっ


絹恵「!!」

301 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/13(金) 02:12:47.81 ID:Az72PkWI0

どぉぉぉぉぉおん……

聖兵「おおおおおお!!」ごぉぉぉぉぉ


絹恵「……」

絹恵「へえ。やるやないか」

巴「それはどうも」

絹恵「"詠唱破棄"」

絹恵「言霊の影響を無視した中級鬼道でここまでの威力とは」

絹恵「王族院でも中々強いほうやったん?」

巴「さあ。私以上などざらにいますから」

絹恵「そんな謙遜せんでいいと思うけどなぁ」

絹恵「ま・ええわ」

絹恵「他の連中の相手は我が聖兵で事足りる」

絹恵「あんたら二人は」

京太郎・巴「「!!」」
302 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/13(金) 02:13:51.81 ID:Az72PkWI0

絹恵「この私が相手をしたる」じゃらん!


京太郎「弓……!!」


絹恵「聖兵のみなさん。命じた通りの人間を狙って下さい」

絹恵「……死なない程度なら何しても構いません」

聖兵「「御意」」ざん!


京太郎「くそっ!!」

京太郎「通って良いと言ったかよ!!」だだっ


びゅんっっ


京太郎「!!」

京太郎「おらぁ!!」ぶんっ


がきん!!


絹恵「追ってもいいと言うたか?」


京太郎「……クソ」
303 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/02/13(金) 02:15:09.81 ID:Az72PkWI0


9.


ROCKIN' FUTURE 5


op.3


"CONQUISTADORES"



――


優希「うりゃ?」とてとて……ざりっ

咲「どうしたの優希ちゃん……って」ぴたっ

咲「えっ、と……」


聖兵「……」


咲「優希ちゃん。あの人……」

優希「ああ。なんだか雰囲気がおかしいじぇ」

優希「こっちをすごいガン見してきてるじょ」

咲「どうしよう?」

優希「なーに! 知らん顔して通り過ぎるだけだ!」すたすた

優希「咲ちゃんも!」ぐいっ

咲「わっ……」


聖兵「……」

304 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/13(金) 13:31:45.22 ID:t8ePKu59o
乙乙
305 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga sage]:2015/02/13(金) 20:49:20.31 ID:Az72PkWI0
明日よりひと月程海外に旅をしに行く為、その間更新が出来ないか・と思われます。
スレを開始したばかりにも拘らず私情でご迷惑をお掛けして申し訳ありません。
帰国次第、より精進して更新致します!
付き合って頂いた皆様、本当にありがとうございます。
時間が空いてしまいますが更新再開後も参加して頂けると非常に助かります!
306 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/13(金) 20:53:13.20 ID:t8ePKu59o
なん・・・だと・・・面白かったのに残念やがまあしゃーない
生きて帰ってきて続きが読めることを祈る
307 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/13(金) 21:00:15.02 ID:dqpKTe5u0
了解ー
待ってるよー
308 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/13(金) 21:09:17.97 ID:xurlpHzmO
おk
待っ照
309 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/02/18(水) 21:36:29.01 ID:IU0++tg9o
わたしまーつわ
310 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/03/01(日) 17:35:38.45 ID:2fX7/rZG0
a
311 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga sage]:2015/03/02(月) 19:06:30.50 ID:jOdlmVWO0
ひと月と言いましたが半月で帰国致しました。再開します。
よろしければおつきあい頂けると嬉しいです。
312 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/02(月) 19:08:17.63 ID:jOdlmVWO0


――


びゅんっ


聖兵a「……」すたっ

聖兵b「……」すたっ


ずん…


聖兵c「……情報(ダーテン)にあった通り、原村和の自宅を確認」

聖兵d「木造の一軒家……間違いないだろう」

聖兵e「突入を、開始する」


ざりっ


「そんなに固まって集まって、統一された同じ白い装束を着て」

「頭まで全部マスクで覆って、今日は近くで仮装大会でも開かれるんですか?」


聖兵「「「!!」」」


「会場で見れば一興もありますが」

「私の家の前で見てしまうと、その……少々薄気味悪く思ってしまいますね」


聖兵a「原村和……か。お初に、お目にかかる」

聖兵a「危機を事前に察知し、我々の背後を取るその姿勢は見事だ、と言っておこう」

和「……」ぴく

和「危機……ですか……」

313 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/02(月) 19:09:36.57 ID:jOdlmVWO0

和「何が危機なのでしょう?」

聖兵a「日々の安寧の終わりを、危機と言わず何と言う?」

和「……話が見えませんね」

聖兵a「提案しよう、原村和」

和「提案……?」


聖兵a「投降しろ」


和「何と……言ったんですか?」

聖兵a「投降しろ、原村和。そうすれば……」

聖兵a「無駄な流血を知らずに済む」

和「どうも、提案というより脅迫に聞こえますね」

聖兵a「……」

和「解せません。私を捕えることに何か意味があるんですか?」

聖兵a「答える義理は無い」

和「そうですか。それは良かったです。私も投降する義理などないですからね」

聖兵a「……問答は無用の様だな……やれ」


聖兵b「了解(アインフェアシュタンデン)。これより……原村和に攻撃を開始する!」じゃらん!


和(……来る!)

314 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/02(月) 19:13:12.64 ID:Wy7ej/hpo
マジお帰り
315 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/02(月) 19:27:17.66 ID:jOdlmVWO0

――



優希(何だ、これは)



咲「う……うぁ……」ぐ ぐ ぐ


優希(咲ちゃんが、白い服来た怪しい男に、首根っこを掴まれている)

優希(ただ私たちは、あの白い男の横を通り過ぎようとしただけなのに、急に前に立ちふさがってきて……)

優希(私は今、何を見てるんだ? 夢? いきなりこんなことになるなんて、想像もしてなかったじぇ……)

優希(って、目をぱちくりさせてる場合じゃないじぇ!)


優希「や……やめろ!」だだだ


聖兵f「疾(シ)ッ!」

ぶんっ

がっ

どたどた……

優希「う……あぐう……」ずきずき


聖兵f「容易い」


聖兵f「宮永咲、片岡優希両名へ告ぐ。抵抗は無意味だ」

聖兵f「大人しく従って、我々に着いてこい」
316 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/02(月) 19:29:42.56 ID:jOdlmVWO0


咲「嫌……です」ふるふる


聖兵f「……何だと?」

咲「ひっ……!」ぶるっ

咲(この人は、きっと京ちゃんの敵だ)

咲(だから怯えちゃダメだ。言いなりにならないようにしないと……)

咲「い、嫌だって……言って、るんですよ……」

咲「私たちは、あなたたちには……従わない」


聖兵f「ならば致し方ない。手荒な手段を取らせて頂く」


じゃらん!


咲「弓……?」

優希「咲ちゃん! 危ない!」

咲「ゆ、優希ちゃん……逃げて!」

優希「なっ」

優希「逃げないじょ! 咲ちゃん見捨てて逃げるなんて……」

聖兵f「そうだな。どの道逃げられん。だがまずは貴様からだ、宮永咲」ぐっ

優希「!!!」

優希(白い男が武器を構えた……! 助けなきゃ……!!)

優希「!!」

317 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/02(月) 19:31:22.67 ID:jOdlmVWO0

優希「……」ふるふる

優希(足が、竦んでしまってる)ふるふる

優希(何、もたついてるんだじょ。動け、私の足)

優希(相手は一人。そいつに咲ちゃんは捕まってる。動けるのは私しかいないんだ)

優希(動け! 私の足!)


――


京太郎「悪い。狩宿さん。咲たちを助けに行ってくれないか」

巴「なっ……何を言ってるの!?」

巴「貴方を一人で愛宕絹恵に対処させられないし、第一……」

巴「愛宕絹恵が私を行かせてくれるとは思えない!」

京太郎「俺が何とか、隙をつくる」

京太郎「だからお願いだ。狩宿さん、咲たちを助けてくれないか」

巴「断ります。須賀くん、まずは目の前の敵を何とかしないと」

京太郎「……頼む」

巴「で、でも……」

京太郎「俺は大丈夫だ。しぶといしさ」

京太郎「でも咲たちは違う。誰かが護ってやらねえと」

京太郎「お願いだ。ここは俺に任せて、やるべきことをやってくれ」
318 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/02(月) 19:32:56.82 ID:jOdlmVWO0

巴「……はぁ。須賀くんって人に指図するのが好きだよね」

京太郎「そ、そうか? でも止むを得ないからさ」

巴「それもそうなんだよね……宮永さんたちをほっとけない」

巴「わかった、須賀くん。此処は頼むね」

京太郎「お。急にどうした。信頼してくれるのか?」

巴「敗けても殺されはしないでしょ」

巴「っていうか、なんか……大丈夫な気がする。須賀くんなら何があっても」

巴「重圧を押し付けちゃうかな?」

京太郎「全然! 今は咲たちの心配でアタマが禿げそうだ。行ってくれ」

巴「うん!」しゅっ


絹恵「おっとぉ」ぶんっ

巴「!」

絹恵「すまんなぁ。行かすわけにはいかんのや」がしっ


巴「破道の三十一、赤火砲!」


絹恵「何やと!?」ぎょっ

絹恵(――莫迦な、この近距離でそんな鬼道を遣えば)

絹恵(自分にもダメージがいくんとちゃうんか!?)


ぼうっ!!!!


絹恵「っ」たたんっ
319 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/02(月) 19:41:28.92 ID:KqILAhKu0
待ってた
320 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/02(月) 19:46:56.08 ID:jOdlmVWO0

絹恵「――あいつは!?」きょろきょろ

絹恵「……今の鬼道は、目くらましの為やったんか……」

絹恵「自分にもダメージがいった筈やけど……こんなんで私の足は止められへんで」


京太郎「待てよ」


絹恵「……須賀京太郎」

京太郎「あんたの相手は俺だ」

京太郎「よそ見してる暇なんかない筈だぜ」

絹恵「……言うやないか。我が聖兵に一蹴された男の科白とは思えんわ」

京太郎「……ま、実際な。今も俺が隙をつくる予定だったのに、狩宿さん自分でやれちゃったし」

絹恵「……」ぴく

京太郎「始めようぜ、愛宕絹恵」


京太郎「俺とあんたの戦いを」


 -------------------

  to be continued...
321 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/02(月) 19:47:22.70 ID:jOdlmVWO0

★☆★ here is the data of THE CHAPTER!! ★☆★

【#1 → 好感度+2上昇(ハオ)】
【#2 → 失敗 [Strength]+1】

◆現在の称号【清澄の守護者】
◆カルマ【+14】
◆所持金【44,000】

◇スキル
[Speech] 43
[Strength] 48 (+1)
[Gift] 14
[Intelligence] 21
[Lady-killer] 49

◇好感度
/咲/  29
/優希/ 14
/和/  2
/巴/  31
/ハオ/ 8 (+2)
/絹恵/ 0

322 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/02(月) 19:58:39.11 ID:Wy7ej/hpo
323 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga sage]:2015/03/02(月) 20:03:43.11 ID:jOdlmVWO0
・戦闘にあたり、新概念【Endurance】が登場します。
 【Endurance】は体力です。初期値は【100】です。
 攻撃を食らうと減り、【0】になると京太郎の忍耐の限界に達し、敗北します。
 敗北すると、今歩んでるルートからだいぶ逸脱するでしょう。

・戦闘システムに関しては、かなり簡単で、単純なものになります。
 皆さんに安価で参加して頂けると本当に助かります。
324 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/02(月) 20:09:57.65 ID:Wy7ej/hpo
捕まっちゃったりするのね
325 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/02(月) 20:27:38.65 ID:UTcJ68bU0
待ってたよ、お帰り
326 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/02(月) 20:28:50.43 ID:CMGyBEXSO
よかった
327 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/02(月) 21:00:12.44 ID:jOdlmVWO0






だっ だっ だっ だっ


巴「はぁっ、はぁっ……」だ だ だ だ 


巴「……上手くいった、とはいえ」

巴「加護のない今の私の身体には、赤火砲のダメージは堪えるか……」

巴「急がなければ……」


巴「須賀くんも、宮永さんも、ほかの人も……」


巴「お願い。無事でいて……」だっ だっ


――


優希(動け! 私の足!)

328 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/02(月) 21:01:06.56 ID:jOdlmVWO0


優希(どうして、私の足は動かないんだ!?)


優希(……私が向かったところで、何の意味もないってことを、体の奥底で感じちゃってるからか?)


優希(確かに私が何か、抵抗してところで、あの白い男には通じないじぇ)

優希(さっきみたいに簡単に撥ね退けられて、おしまいだ)


優希(……たまらない気持ちだじょ)


優希(そんな考えに体が支配されて、動くのを拒むなんて、私はそんなに弱虫だったのか)

優希(咲ちゃんは、友達だじぇ)

優希(友達が、今、ピンチなんだ)

優希(それだけじゃ……私の体は動いてくれないのか)

優希「うっ……」ぽろ

優希(無力だじょ……)

優希(泣いちゃ、ダメだ。今は、やるべきことをやらないといけない時なのに)

優希(お願いだ……力がないと動けないというなら)

優希(誰か、私に力をくれ!)



ちかっ……



優希(……なんだ?)

329 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/02(月) 21:02:16.98 ID:jOdlmVWO0

優希(今、妙な気が……)

優希「……」がさごそ

ぱっ

優希「この……タコスからか?」


 ぴっかぁぁぁぁぁぁぁぁ


優希「!!?」

優希(タコスが……光ってるじぇ!)

優希(何だこれは……どういうコトなんだ!?)

優希「食べろ、ってコトか……?」ごくり


優希(そんな暇、ない筈なのに)

優希(私の口は、吸い寄せられるようにタコスに近付き)

優希(――がぶりついた)



優希「……」もぐもぐ



優希「――――――――ありがとう」

330 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/02(月) 21:04:36.03 ID:jOdlmVWO0

聖兵f「宮永咲よ。終わりだ」

聖兵f「まずは四肢を潰す」

咲「ひっ……」

咲(どうしよう……どうすればいいの!?)

咲(……って、あれ)


咲「優希ちゃん!?」


優希「……」こぉぉぉぉ


咲「優希ちゃんっ! はやく逃げて!」

咲「私のことなんて気にしなくていいから、はやく逃げて……」


聖兵f「他人の心配とは、余裕だな」

聖兵f「その余裕、今直ぐ崩してやろう」ぐっ


咲(構えた! 来る!)


咲「ううっ……」ぎゅっ

331 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/02(月) 21:05:39.37 ID:jOdlmVWO0

咲(思わず、目を瞑った)

咲(でも、予想した痛みはやってこない)


咲(やってこない――)


どたっ


咲「い、いたっ」

咲(あれ? でも想像してた痛みと全然違う)

咲(攻撃されたような痛みじゃない。これは地面に尻餅をついたときの痛みだ)

咲(……尻餅? おかしいよ、だって私は今、首根っこを掴まれて拘束されてる筈で――)

咲(あれ?)

咲(首の痛みがない。掴まれてる感覚もない。一体、何が――)




聖兵f「――莫迦な」




咲「……?」


聖兵f「莫迦な。どういうコトだ! いったいどういうコトなんだ!」

聖兵f「どうして、貴様が――」


聖兵f「どうして貴様が、そんな力を持っているんだ!!!!」

332 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/02(月) 21:07:02.89 ID:jOdlmVWO0

咲(誰か、助けに来てくれたの……!?)

咲(良かった! でも誰だろう? 京ちゃんかな? それとも狩宿さん……?)ぱち


咲「……あれ?」ぱちくり

咲(優希ちゃんしか、いない)

咲(悠然と佇む、優希ちゃんしか――)



優希「……」こぉぉぉぉぉ



聖兵f「何だ、その目は……!」

聖兵f「解せん! こんな力は情報(ダーテン)には無かった! まやかしに違いない!」

優希「……みっともない奴だじぇ」

聖兵f「何!?」

優希「怖いか?」

聖兵f「何が! 何も怖くなどない!」

優希「そうか。私は怖いじょ」

優希「友達を傷つけられるのが怖い……立ち向かって、自分が傷つくのも怖い……」

優希「でも、だからこそ――」


優希「タコスは私に力をくれた」


聖兵f「……!」
333 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/02(月) 21:08:33.92 ID:jOdlmVWO0

優希「傷つくのを恐れるからこそ、その傷を付けさせない為に戦え」

優希「私はタコスがそう言ってるふうに聞こえた」

聖兵f「戯言を……!」

優希「何とでもいえ。これが現実なんだじぇ」


優希「タコスを食べた瞬間、私の体に力が沸いた」

優希「お前の腕をはたいて弾き飛ばせるくらい、強い力が」


優希「これが私の"タコス・パワー"」


優希「さあ、かかってくるがいいじぇ!」

優希「咲ちゃんを傷つけるやつは、私がぶっ飛ばす!」




10. ROCKIN' FUTURE 5 op.4 "Sparkle [taco-power & flyleaf]"




聖兵f「う」


聖兵f「うおおおおおおお!!」だだだだ

だだだだ

優希「……」
334 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/02(月) 21:14:23.72 ID:jOdlmVWO0

優希「"タコス・パワー・パンチ"」


ばごっ!!


聖兵f「ぐおぉぉっ!」ごろごろ


優希「まだだじぇ。"タコス・パワー・ストンプ"」


ずん!!!


聖兵f「うがああぁっ!!」びたん びたんっ!!


優希「――止めだ」

優希「うぉぉぉぉぉ」じ じ じ じ じ

優希「喰らえぃ。これがタコス・パワーを結集した究極の――」



優希「"タコス・パワー・ハイパービーム"!!!!」



きゅぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおお  お





聖兵f「かはっ……」どたん
335 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/02(月) 21:23:16.15 ID:jOdlmVWO0

優希「決まった・じぇ……」


咲「優希、ちゃん……」


優希「咲ちゃん、無事か?」

咲「うん、大丈夫だけど……優希ちゃん、その力は一体……」

優希「正直、わからないじょ。ただ、タコスが光って見えて……」

優希「食べたら凄い力が沸いたんだ。それがこの結果だじぇ」

優希「そして私には、"タコスの意思"が伝わってくる」

優希「大切なことを、タコスが教えてくれるんだじょ」


優希「それによるとこの力はどうも――京太郎のおかげで生まれたらしいんだ」


咲「……えっ?」


聖兵f「ぐう……」


優希「まだ、意識があったか……しぶとい奴だじぇ」

優希「けどもう動けない筈だじょ」

聖兵f「クソ……」

優希「なあ、お前……」

優希「どうして私たちを襲ったんだ?」
336 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/02(月) 21:59:10.27 ID:jOdlmVWO0

聖兵f「答える義理があるか」

優希「つれない奴だじぇ」

咲「多分……京ちゃんの敵、なんだよね」

優希「咲ちゃん?」

咲「優希ちゃんは……京ちゃんの、味方だよね」

優希「へっ!」

優希「なーに言ってるんだじぇ咲ちゃん。味方に決まってるじょ」

優希「友達だからな!」にこっ

咲「……そうだね!」にこっ

優希「咲ちゃんは何か、この男が襲ってきたことについて、心あたりがあるのか?」

咲「……うん。多分、京ちゃんの関係者を捕まえたいんじゃないかな」

優希「関係者?」

咲「わかんないけど、京ちゃんは、賽っていうアイテムを持ってて、それが色んな人に狙われてるの」

咲「この白い服着てるのは多分、私の勘だと星の十字結社って組織の人かな」

咲「京ちゃんをどうにかしたいみたい」

咲「私たちを襲ってきたところをみると、多分、どんな手を遣っても」

優希「……よくわからないけど、京太郎がピンチなんだな?」

咲「間違いない……と思う」

優希「じゃあ、京太郎と合流しなきゃいけないじぇ……でも、何処に……」

咲「!」


咲「優希ちゃん! 危ない!」
337 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/02(月) 21:59:51.53 ID:jOdlmVWO0

優希「え……」


ぐさっ


優希「あぐっ……」ずさ

優希「な、何だじょ?」


聖兵g「全く」

聖兵h「情けない奴だ」

聖兵i「賽の保有者の周りの奴だ。気を抜いて相手するな」

聖兵j「さあ、捕獲を開始する」


優希「なんて数だ……」だら

優希「咲ちゃん、下がっててくれ。ここは私が」

咲「……っ」ぐっ

咲(私にも……力があれば……)

咲「わかった……」たたっ


優希「いくらでもかかってくるといいじょ。返り討ちにしてやる!」
338 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/03(火) 00:12:10.53 ID:vsNFJ9Zh0


――


巴「はあっ、はあっ」だっ だっ だっ

巴「二人とも家にはいなかった。じゃあ、何処に……」


「おや?」


巴「!!?」ぐりゅんっ


和「あなたは……」


巴「……あなたは、確か、原村和」

和「えっと、名乗った覚えはないのですが」

巴「そうですね。お互い初対面。とはいえ、共通の友人を介して存在を知ってる筈です」

巴「須賀くんから、あなたを能力者嫌いの能力者と聞いています」

巴「それから、ハオ・ホェイユーから須賀くんを助けて頂きありがとうございました」

和「ああ。狩宿巴さんですね。初めまして」

和「成程。確かに少し、纏ってる雰囲気が一般人とは違いますね」

巴「そ、そうですか? あの、折角会ってなんですが、挨拶してる余裕がないんです。またの機会に」

和「急ぎの用ですか? どちらへ?」

巴「……えっと、ちょっと野暮用が……」

和「そうなんですか。あの、差支えなければ一つ、教えてほしいことが……」

和「私は今、宮永さんと優希を探しています……居場所に心当たりはありますか?」

巴「……えっ?」
339 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/03(火) 00:12:48.62 ID:vsNFJ9Zh0

巴「私も探してるんですけど……」

和「あ、そうなんですか。偶然ですね」

巴「そうですね……」

和「ふふ。実をいうと……私の家に、聖兵と名乗る人たちが押しかけてきまして」

巴「えっ!? 無事だったんですか!?」

和「大したことなかったですよ。事情を訊いたら快く話してくれました」

和「なんでも、今愛宕絹恵という方が町に来ていて、須賀くん周辺の人たちを襲っているとか」

巴「……そうなんですよ。愛宕絹恵は須賀くんに任せて、私は宮永さんたちを助けにいきたいんですが……」

和「ならば目的は同じですね。私も宮永さんと優希を放ってはおけません。あの、一緒に行きませんか?」

巴「能力者は嫌いじゃなかったんですか?」

和「加護は失われてると聞きました。そして、それよりも」


和「大人数相手の戦闘なんてのは、背中合わせのほうが上手くやれるものでしょう?」


巴「……間違いありませんね」

巴「それでは行きましょうか。二人とも家にはいなかった。ならば次は……」

和「……学校ですね。急ぎましょう」

巴「はい!」
340 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/03(火) 00:13:52.88 ID:vsNFJ9Zh0

――


優希「はぁーっ、はぁーっ」だらり


優希(数が多すぎる、このままだと……)

優希(いや、弱気になっちゃダメだ。私が倒れたら咲ちゃんがどうなるか考えろ!)

優希「ようし! やってやるじぇ!」ぱしん


優希「……!?」


優希(体から、湧き上がっていた力が抜けていく……!?)

優希(タコスの力が消えかかってるのか!?)

優希(まずいじぇ……残りのタコスはもうない)

優希(敵は未だ残ってる……)

優希「……っ」


咲「優希、ちゃん……?」


優希「咲ちゃん。やばいことになったじぇ……」

優希「タコスの力が消えかかっていってる」

咲「!!」

優希「隙を見て逃げるしかなさそうだじぇ。走れるか?」

咲「頑張る! 逃げよう、優希ちゃん!」
341 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/03(火) 00:14:39.27 ID:vsNFJ9Zh0

聖兵g「迅(シ)ッ!」びゅっ


ぐさっ


優希「うがぁっ」

咲「ゆ、優希ちゃん!」

優希「大丈夫だ!」

咲「……っ」

優希「さ……逃げる、じぇ」

咲「……!」



咲(……このとき私は、信じがたいことに)

咲(戦いたいという欲求が、本能から湧き上がってきていた)

咲(それは今までとは圧倒的に異なる衝動だった)

咲(私を見た優希ちゃんは、もうかなりボロボロで)

咲(制服もあちこちが破けてて、新しいものに代えないと登校できないだろう)

咲(体に負ったキズが、痕になって残らないか心配だよ)

咲(優希ちゃんはそうまでして戦ってくれたんだね)

咲(ありがとう、優希ちゃん)

咲(今まで私を護ってくれて)

咲(ありがとう、優希ちゃん)

咲(ありがとう)

咲(……だから)
342 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/03(火) 00:16:03.95 ID:vsNFJ9Zh0

咲「大丈夫だよ、優希ちゃん」

咲「今度は私が……優希ちゃんを護るから」




 ふわっ

 びゅっ びゅっ びゅっ……

 びしゃああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ




聖兵g「!!?」

聖兵h「何だこれは!?」

聖兵g「インク・か……!?」



 どちゅ どちゅ……



咲「……」


咲「……ありがとう。私に力をくれて」

咲「京ちゃん……」


聖兵g「……お前か」

咲「……私はあなたたちを許しません」


咲「優希ちゃんを傷付ける人を、私は許さない!」

343 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/03(火) 00:18:28.64 ID:vsNFJ9Zh0

――


京太郎「っ!」びくんっ


絹恵「お? どうした? 何かあった顔やな」


京太郎「いや……わかんねえ」

京太郎「わかんねえけど、何か感じるんだ」

絹恵「えっと……何か感じてるのに、それがわからんの?」

京太郎「ああ……」

絹恵「まあわからんでもないで。確かにそういうのあるわな」

 ぴぴ ぴぴ

絹恵「ん?」

京太郎「どうした」

絹恵「通信や。ちょっと待っとってや」

京太郎「――絶好のチャンスってわけだ」

絹恵「うえーっ。卑怯な奴め」

京太郎「じゃあ通信を切ろうぜ」

絹恵「いや、通信しながらでも余裕で蹴っ飛ばしたるわ!」にや


 -------------

  to be continued...
344 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/03(火) 00:18:58.55 ID:vsNFJ9Zh0

★☆★ here is the data of THE CHAPTER!! ★☆★

 Same as previous chapter.

・今回は特殊で、行間のようなもので、京太郎の出番が無かったので安価はありませんでした。
345 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/03(火) 00:19:31.50 ID:vsNFJ9Zh0




ひょいっ 


ひょいっ 


ひょいっ


びゅんっ


がきっ!!


絹恵「お、矢弾けたやん」

京太郎「くそっ。舐めるなっ」


絹恵「あはは。でも結局、きみの攻撃は全然あたらんかったな」

絹恵「通信終わったで。正直、きみにとっては嬉しい報せやと思う」


京太郎「何だと?」
346 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/03(火) 00:19:42.96 ID:T5Ah1lrDo
乙乙
347 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/03(火) 00:20:23.16 ID:vsNFJ9Zh0



絹恵「用意したうちの部隊が……」

絹恵「狩宿巴・原村和・片岡優希・宮永咲相手に全滅した」



京太郎「――なっ!?」



絹恵「いや、驚いたわ。意識を失ってない聖兵が伝えてくれたんやけど」

絹恵「どうも、清澄を落とすのは一筋縄じゃいかないらしい」


京太郎(和は能力があるから、ある程度戦えるだろうと、そんなに心配してはいなかった)

京太郎(けど、咲や優希は?)

京太郎(狩宿さんが、間にあった・ってことか?)

京太郎(いまいちわからねえ。向こうの状況が気になるな……)

京太郎(だがまあ、無事なのは良かった)

京太郎「じゃ、あとはあんた一人で片が付くってワケだな」


絹恵「簡単に言ってくれるけど」

絹恵「出来るんか? きみ一人で」

京太郎「……」
348 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/03(火) 00:23:22.41 ID:vsNFJ9Zh0

絹恵「訊くけど、須賀」

京太郎「何だ」

絹恵「どうしてあのメガネの子を行かせた?」

京太郎「……」

絹恵「私の力見とらんかったんか? 感じんかったんか?」

絹恵「いくら絶望的な力の差があるとはいえ?」くい

絹恵「一人でやるよりよりも、二人でやる方が勝算があるように思うんやけど」

京太郎「別にお前を倒したいわけじゃねえ」

絹恵「……」ぴく

京太郎「俺の目的は友達を護ることだからだ」

京太郎「現に、聖兵とやらは全滅したんだろ。正しい判断だったぜ」

絹恵「同じや。私が健在でおる限り、常に危険な状況にあるのを忘れるなや」

絹恵「だから、私を頑張って二人で倒すほうが賢かったんじゃないか、と疑問なんや」

京太郎「……」

絹恵「そして、友達護りたいんなら、助けたいんなら、何で自分で行かん?」

絹恵「何で友達を他人に任す? メガネの子を此処に残さんと」

絹恵「あのメガネの子と、果たす役割が逆とちゃうんか」

絹恵「私の予想言ってええ? それはきみが……」


ぶんっ!!


絹恵「酷いな。話の途中で斬りかからんといてや」

京太郎「悠長にお喋りしてる暇はないんでね!」
349 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/03(火) 00:24:05.24 ID:vsNFJ9Zh0

▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽

11. ROCKIN' FUTURE 5 op.5 "The Unilateral Combat"

▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽

350 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/03(火) 00:24:41.89 ID:vsNFJ9Zh0

絹恵「威勢は良えけど、全然届いとらんで」

絹恵「弱者が不意を衝くのは有効な戦法やけど」

絹恵「きみは、気配もバレバレやし、何より速度が全く足り取らんのや」

京太郎「……」ぎりっ

絹恵「さて。次はこっちの番やな」

京太郎「!」

絹恵「暇がないのは此方も同じ」

絹恵「聖兵さん方が全滅してもうたんや」

絹恵「私もとっととこの場を片付けんとな……」ぐくっ

ぐいっ


 ぱしゅんっ ぱしゅんっ


京太郎(……矢が、飛んで来る!!)

京太郎(落ち着け、よく見ろ。よく見れば、躱せるんだ……)


【よく見ろ! #1】
01〜50 → う、うわぁぁっ(ぎゅっ)
51〜00 → ……見える!

コンマ判定↓1
351 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/03(火) 00:25:49.53 ID:k8mjMh9co
頼む
352 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/03(火) 00:33:58.17 ID:oV9Pp9lu0
>>351
すばらっ!
353 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/03(火) 00:40:04.44 ID:eusswIlao
お帰り
354 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/03(火) 00:46:50.63 ID:vsNFJ9Zh0


[成功]


がきん!!


絹恵「……ほぉ」


京太郎「何驚いてんだ」

絹恵「いや。何でも……」

京太郎「次はこっちの番か?」


【此方の番だ #2】【END100】
1. [Strength48] 斬りかかる
2. [Intelligence21] 様子を見る


^^^^CAUTION!!^^^^

・コンマ判定で失敗を受けた場合、今回#2の場合スキル値の分ダメージを受けます。
 例としては、【Strength48】の選択肢に失敗した場合、【Endurance(体力)100】から【48】が引かれ、【END52】となります。
 
・すいません。先程説明し損ねました。>>350でもし失敗していた場合、そのコンマ数のダメージを負います。
 もし#1の判定で【13】のコンマだった場合、【END87】になっていました。

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^


安価↓1

355 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/03(火) 00:49:56.88 ID:T5Ah1lrDo
1
356 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/03(火) 00:50:06.85 ID:eusswIlao
357 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/03(火) 00:56:58.75 ID:vsNFJ9Zh0


[失敗] 【END100】→【END52】


京太郎「うおおぉっ!!」だだだっ


ぶんっ!!



絹恵「遅い」



京太郎「ちっ!」

京太郎(背後に回り込まれた!)


 ぱしゅんっ


ぐさっ

京太郎「ぐっ……ああああああああああああ!!!!!」


絹恵「……」

京太郎「はぁーっ、はぁーっ」きっ

絹恵「……難儀な話やね」

絹恵「どうして無駄に抵抗する?」

絹恵「何やその目は?」

絹恵「未だ私に勝つ気でおるんか?」


絹恵「解らんのか、この差が」

絹恵「きみには万に一つも勝ち目なんか無いんや」
358 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/03(火) 01:03:31.90 ID:vsNFJ9Zh0

京太郎「だから、何だよ」

絹恵「?」

京太郎「勝ち目がないから、黙って降参しろって言うのか?」

京太郎「冗談じゃねえ」

絹恵「何……」


京太郎「じゃああんたは何だ!」


絹恵「っ」

絹恵「なんや、急に大声張り上げて。びっくりするやないの……」

京太郎「逆にあんたはそれだけの力がありながら、未だ俺を倒せてねえな」

京太郎「いいのかよそれで」

絹恵「……」ぴくっ


【何という? #3】【END52】
1. [Speech43] ……本当は、優しい子なんじゃないか
2. [Strength49] 次の一撃で、幕だ

安価↓1
359 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/03(火) 01:04:43.33 ID:LGwOQuDeO
2
360 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/03(火) 01:17:51.81 ID:vsNFJ9Zh0


[成功]


京太郎「次の一撃で……幕だ」

絹恵「幕……やと?」

京太郎「おう……俺も、もう力があまり残ってなくてね」



絹恵「……ええやろう」

絹恵「ならばその幕、私の弓で引くまでや」くいっ



京太郎「はっ」

京太郎「幕を引くのは、俺の剣だ!!」がしゃ



京太郎「おおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」


絹恵(……来る)

絹恵(動きは鈍重極まりなく、構えから攻撃の予測がつく)

絹恵(実に容易い。私はただ、飛廉脚で攻撃を躱して、背後から神聖滅矢を撃つだけで勝てる)

絹恵(でも……なんやろな。この感じ)

絹恵(こいつと戦うんは、いつも戦うてるのとはだいぶ違う気がするわ)

絹恵(須賀京太郎……)

絹恵(きみとは正面から……向かってみたい!)ぐいっ


 ぱしゅんっ

361 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/03(火) 01:18:46.99 ID:vsNFJ9Zh0








がきんっ!!






362 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/03(火) 01:19:24.41 ID:vsNFJ9Zh0



絹恵(――弾かれた!!)


絹恵(まずい!)



ぬっ



京太郎「よう。こんなに近づいて話すのは初めてだな」


絹恵「!!」


京太郎「女を斬るのは凄く気持ちがわりいんだ……峰打ちでいくぜ」

京太郎「愛宕絹恵」


ぶんっ!!!!!!


どごっ!!!!!!





363 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/03(火) 14:19:52.12 ID:HWfCMZHsO
おかえり乙
364 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/03(火) 14:22:34.95 ID:feWdEsx1o
勝ったか
365 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/03(火) 18:54:14.96 ID:vsNFJ9Zh0


絹恵「……」


京太郎「どうだ? ちょっとは痛ぇだろ? 散々バカにしてくれた俺の剣でも」

絹恵「……ふ、ふふ」

京太郎「何、笑ってんだ」

絹恵「いや。ほんとに、おもろかったんや」

絹恵「久々に、きみみたいなしょぼいのから一撃貰ってもた」

京太郎「なんだよ、まだバカにすんのか?」

絹恵「ごめんなぁ。勘違いさせてもうて。別にバカになんかしとらんよ」

絹恵「結社の幹部様がこないなふうに、まさか一撃貰うとは誰も想像せんやろ」

京太郎「そーいうのをバカにしてるって言うんだよ」

京太郎「で、俺の強さへの考えは改めたか? 好き放題言いやがって」

絹恵「うーん。どうやろ」


すっ


絹恵「この腕みてみ」

京太郎「あ、痣が無い……!?」

絹恵「そ。きみは確かに私に一撃を下した。でも、私には何のダメージにもなっとらんのや」

京太郎「そんな、ウソだろ……なんだその――腕に浮かんだ模様は?」

366 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/03(火) 18:54:53.40 ID:vsNFJ9Zh0


絹恵「静血装(ブルート・ヴェーネ)」


絹恵「結社の能力者が聖練の果てに得られる、特殊な技術や」

京太郎「……」ぽかん

絹恵「牌の加護を血管に流して、さらに身体的な能力を向上させる」

絹恵「静血装を纏った私の身体は、並大抵の攻撃じゃ傷付かない」

絹恵「わかった?」

京太郎「ちくしょう。理不尽すぎるぜ……」

絹恵「戦いってのは、そんなもんや」

絹恵「……理不尽が生み出した怪物やな」


絹恵「……」

絹恵(実を言うと)


絹恵(私は、動揺が顔に出てないか、この須賀という男に動揺を悟られないか)

絹恵(そんなんばかりを気にしていた)


絹恵「……」ごそ

 ずきずき

絹恵「……っ」

絹恵(さっき須賀には、私にダメージはいってないと言った)

絹恵(それは、嘘や)
367 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/03(火) 18:56:12.44 ID:vsNFJ9Zh0



絹恵(痛い……)ずきずき



絹恵(どうしてや? 私の静血装(ブルート・ヴェーネ)は確かに発動していた筈や)

絹恵(須賀はただでっかい剣を発現させただけの普通の能力者で、私は星の十字結社の選ばれし幹部の一人)

絹恵(その須賀の斬撃を受けたって、蚊が止まった程度の衝撃しか感じへん筈やった)

絹恵(じゃあ、この痛みは何や? どう説明したらいい?)

絹恵(痣になってない。血も流れてない。見かけは、変わってないのに――)


絹恵(明らかに、剣という鈍器を振り下ろされた強烈な痛みが、神経を支配してる――!)


絹恵「……はぁっ」

絹恵(血装の強度調整を、陛下に進言せんとあかんか? いや、こないなことを正直に言えば――)

絹恵(くっ……)


京太郎「……」


絹恵(何なんや、この男は――!)ぎりっ


京太郎「……あんた」

絹恵「! 何や」びく

368 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/03(火) 18:59:15.74 ID:vsNFJ9Zh0

京太郎「戦いが嫌いなのか?」

絹恵「……はぁ」

絹恵「別に、好きな奴なんてそうおらんと思うけど」

京太郎「そうなのか? どうも、あんたは戦いが嫌いなように思えてさ」

京太郎「実際、俺とはとろとろ戦ってるし、あんたが使う言葉は俺に降参してほしいって感じるもんばかりだった」

絹恵「妄想の激しい奴やな」

京太郎「う、うるせえよ」

絹恵(……逆に、私には)


絹恵(この男は、戦いを好むように見える)

京太郎「……」


絹恵(直感が、この男は戦いが好きだと告げている……)

 ぞくっ

絹恵「……?」 

絹恵(……なんや、今の感覚は)

絹恵(意味が解らん。ちょっぴしダメージ喰らったとこで、私とこいつの差は依然として明らかやんか)

絹恵(どうして今、寒気なんか感じたんや、私は――)

絹恵(調子狂うわ。厭な予感がする)

絹恵「まぁ、実際嫌いやで。よーわかったな。お見事お見事」ぱちぱち

絹恵「で、きみのほうこそ戦いは嫌いなん?」

京太郎「嫌いに決まってんじゃん! 平和が一番だぜ」


絹恵(……嘘を吐け)

369 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/03(火) 19:01:09.32 ID:vsNFJ9Zh0

京太郎「……で、戦い嫌いのあんたがまた何でこんな作戦に出てきたんだ?」

京太郎「何だっけ。まあいいや。その、みんなを襲うなんて大仰な作戦をさ」

京太郎「他の、好戦的な奴が来るもんじゃないのか」

絹恵「あんなあ。私たちの組織ってのは暇じゃないねん」

絹恵「みんな仕事があるんやて。私もたまたまや。たまたま手が空いて……志願した」

絹恵「今回の件に、私を向かわせてほしいって志願したんや」

京太郎「わざわざ?」

絹恵「うん。手柄が欲しくて……」

絹恵「って、おっと。部外者に喋りすぎてもた」

京太郎「いいじゃん、もっと話せよ」

絹恵「うーん。そういうわけにはいかんわ。そろそろ仕事戻っていい?」

京太郎「おいおい。俺の剣で幕を引いた筈だぜ。俺の勝ちだろ?」

絹恵「何言うとんねん。そんなわけないやろ」

京太郎「約束したのに……次の一撃で幕だって」

絹恵「そ、それはその場のノリってやつや。フツー仕事が優先やろ」

京太郎「酷い奴だな」

絹恵「ううっ……って、その手の話にはのらんからな。ほら、離れて」

絹恵(厭な予感の種は、早々に払拭するに限る――!)


絹恵「それじゃ、悪いけど、本気出して仕事するわ」


370 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/03(火) 19:03:13.00 ID:vsNFJ9Zh0


 ざりっ 



「あーあーあーあー!」



京太郎&絹恵「「!!」」ぐるんっ


優希「せーっかく人が心配して駆けつけてきてみれば」

優希「何だ。思ってたより元気そうだったじぇ、京太郎!」


京太郎「優希!!?」


和「遅くなってごめんなさい、須賀くん」

和「此方は片付きました」


京太郎「和……」


咲「間に合った……のかな?」

巴「そのようですね。さて……助けに来たよ、須賀くん」


京太郎「咲に……狩宿さんも!」

371 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/03(火) 19:04:27.35 ID:vsNFJ9Zh0

京太郎「何だよ皆……合流してたのか!」

巴「ま、私の出番は殆どなかったけどね」

巴「この子たちの活躍で」ちら

咲「え、えへへ……」

京太郎「???」


絹恵「何や何や……ぞろぞろと」

絹恵「面倒くさくなってきたなぁ」


巴「流石のあなたもこの人数はしんどいでしょう?」


絹恵「抜かさんといて。大して変わらんわ」

絹恵「払う埃が一つでも二つでも、目に見えるほどの違いはない」


ざりっ

和「言ってくれますね。あなたが強い事は認めますが」


優希「私たちも戦えるしな!」

京太郎「はぁ?」

優希「安心しろ。タコスは途中で買ってきたじぇ」

京太郎「はぁ……なんか、癒されるわ。おまえのアホくせー声聴いてると」

優希「な、なにをぅー!? 私はタコスを食べると凄い力がでて……」

京太郎「はいはい。そりゃすげえな」

京太郎「お前と咲はとにかく下がっててくれよ」

優希「ふ、ふん。見てろ。私の真の実力を見て、慄く京太郎の姿が目に浮かぶじぇ」


京太郎「さて……和、術式はまだ完成してないんだろ?」

京太郎「どう戦う?」

和「そうですね……まず……」

和「!」

372 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/03(火) 19:05:30.60 ID:vsNFJ9Zh0


絹恵「だから言うたやろ」


絹恵「本気出して仕事するって」ぶん

絹恵「作戦会議の時間は無いんや。ごめんな」


京太郎「――なに」

和「飛廉脚――! 迅い!」

巴「でもわざわざ、私たちに囲まれるような位置に移動してくるなんて――迂闊ね、愛宕絹恵!」


絹恵「そう思うか?」


とん


京太郎(愛宕絹恵は、ゆっくり地面に手をおいた)

京太郎「何だ、また例の……何だっけ?」

巴「聖兵?」

京太郎「そうそう。ゾルタート。あいつらを呼び出そうってか?」


絹恵「あはは、ちゃうちゃう」

絹恵「これはただの構えやで」


京太郎「構え? 何の……」


絹恵「全員蹴っ飛ばして、終いにするための・や」


がっ

373 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/03(火) 19:06:30.12 ID:vsNFJ9Zh0



絹恵「"痺蹴り(キック・ト・ペトリファイ)"」



 どっ



優希「あぐっ……」




優希「こ、ここまでとは……」どさ


京太郎「ゆ……優希!!?」

絹恵「よそ見してる暇なんてないで」

京太郎「なっ……」

京太郎(迅い! 背後に回り込まれたのにも気づかなかった――)


 ばごっ


京太郎「ぐあっ……!」


どさっ


京太郎「うああ……」ごろごろ
374 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/03(火) 19:08:15.65 ID:vsNFJ9Zh0

京太郎(何だ? 今のは)

京太郎(愛宕絹恵は、弓を構えた訳じゃなかった)

京太郎(ただ単に、足を振り上げて、俺の身体を――)

京太郎(足?)

京太郎(俺は――蹴られたのか?)

京太郎「とにかく……動かねえと」

京太郎「って……動けない」


絹恵「動けんやろ? そういうふうに"蹴った"」

絹恵「私が今履いているこのワークブーツが、私の雀士兵装の"一つ"」

絹恵「このブーツには、陛下から賜った"K"の"聖文字(シュリフト)"の、加護を纏わせ様々な能力を付加出来る」

絹恵「今の蹴りには『蹴った対象の、四肢を麻痺・硬直させる』という能力を付加させたんや」

絹恵「喰らったら最後、丸一日は汚い地面を這いずり続けるしかないで」

京太郎「……そんなんアリかよ」

絹恵「そんなんアリやから、きみはそこに転がった訳やけど」

京太郎「……くそ」


絹恵「さて、気付いとるか、須賀」

京太郎「何にだ……」
375 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/03(火) 19:14:18.44 ID:vsNFJ9Zh0



絹恵「既にきみのお仲間も全員、汚い地面に寝転がった事に」



京太郎「なっ――!!」


巴「う、うう……」ぐた

和「不覚でした……」だらん

咲「……」ごろん


京太郎「バカな……早すぎる!」

絹恵「いやあ。そんな褒められると照れるわ」

絹恵「仕事の堅実さと早さが売りやねん。そうやって評価を上げてきた」

絹恵「……お姉ちゃんに、認められるまでになった」

京太郎(お姉ちゃん……?)


絹恵「さて、あとは持ち帰るだけやな……一人じゃしんどいねんけど」

絹恵「"影の領域(シャッテンベライヒ)"を出す」


びゅっ


京太郎(目の前に現れたのは、景色をそこだけ塗り潰したような……漆黒の空間だった)

絹恵「ほんまは、この影は選ばれし者しか隠さんのやけど、まあこういうケースはな、例外や」

絹恵「ほな、行こか」

京太郎(嘘だろ……さっきまで普通に戦えてた筈なのに、向こうがその気になれば、こんな簡単に……)

京太郎(このまま……このまま、動けず何も出来ないまま、連れ去られちまうのか、みんな)


【四肢をつぶされて動けない #4】
1. [Speech43]お姉ちゃんって誰だよ
2. ……(何もしない)
3. へ、へへ。あんた、金に困っちゃいないか……? 

安価↓1
376 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/03(火) 19:15:03.70 ID:T5Ah1lrDo
1
377 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/03(火) 19:22:36.08 ID:vsNFJ9Zh0


[失敗]


京太郎「お姉ちゃんって誰だよ」


絹恵「……えっ?」

京太郎「いや、あんたが言ったことだぜ」

京太郎「『お姉ちゃんに認められるまでになった』ってな」

絹恵「……口、滑らせてもうたんか」

絹恵「とことん迂闊やな、私も」

京太郎「で、誰なんだ?」

絹恵「教えるわけないやん。何で言わなあかんの」

絹恵「ええか? 男が女にそうやって家族のこと質問すんのはキモイで。気ぃ付けーや」

京太郎「辛辣だな……」

絹恵「辛辣結構! 無駄口叩いてないで、行くで!」


京太郎「……」

絹恵「そう悲しげな顔せんといてや」

絹恵「話聞いたら帰らすって」

京太郎「ちくしょうめ……」

京太郎(何も、出来ねえ……)

京太郎(四肢を潰されて、俺にはもう何一つ、出来やしない――)
378 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/04(水) 22:37:13.76 ID:R0UoS41l0


京太郎(万策尽きた……)


 くいっ


京太郎(愛宕絹恵の手が、俺の制服を掴んで、影に引きずり込もうとしている)

京太郎「」

京太郎(俺は、頭が真っ白になって目を閉じた)





巴「……」


 -------------

  to be continued...

379 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/04(水) 22:38:12.31 ID:R0UoS41l0

★☆★ here is the data of THE CHAPTER!! ★☆★

【#1 → 成功 好感度上昇+2(絹恵)】
【#2 → 失敗】
【#3 → 成功 好感度上昇+4(絹恵)】
【#4 → 失敗 好感度上昇+1(絹恵)】

◆現在の称号【清澄の守護者】
◆カルマ【+14】
◆所持金【44,000】
◆END(max)【100】

◇スキル
[Speech] 44 (+1)
[Strength] 51 (+3)
[Gift] 14
[Intelligence] 21
[Lady-killer] 49

◇好感度
/咲/  29
/優希/ 14
/和/  2
/巴/  31
/ハオ/ 8
/絹恵/ 7 (+7)
380 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/04(水) 22:38:48.67 ID:R0UoS41l0




絹恵「ふう。やれやれ……」


絹恵「このつまらん仕事も、ようやく幕引きかぁ」

絹恵「きみは私に手も足もでえへんかったけど……」

絹恵「それにしては中々おもろかったで、きみ」

絹恵「……お姉ちゃんが会ったら、気に入ると思う」


 くいっ


京太郎(愛宕絹恵は、俺の制服を掴んで、漆黒の空間に引き寄せた)

京太郎(万事休す、か……)

絹恵「そう悲しげな顔せんといてや」

絹恵「局の方の機嫌が良ければ、自白剤だけで堪忍するやろ」

絹恵「ほんで話聞いたら、あとはその手掛かりを元に賽を回収して」

絹恵「きみらをおうちに帰すだけやからな」

京太郎「……ちくしょうめ」
381 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/04(水) 22:40:07.07 ID:R0UoS41l0






巴「待って、下さい……」





京太郎「狩宿、さん……?」

絹恵「何や。王族院の犬(ワン)コロが」


巴「私は……もはや、統制王族院の者ではありません」


絹恵「……何やって?」ぴく

巴「私が統制王族院という組織を、裏切った、罪人だからですよ」

絹恵「……抜かせ。能力者の共通指名手配のリストには"狩宿巴"の名は無い」

絹恵「その狩宿巴が賽の保有者と共に行動しとるとなれば、そこに統制王族院の思惑が透けて見える」

絹恵「なんや、使命感強そうな雰囲気しとるし、忠誠誓った組織の為になんとかこの場を凌ごうとしとるんやろう?」

絹恵「自分がピンチと見て、私に揺さぶりをかけてきとる訳や」

絹恵「そんなん、私には通用せんよ」ひらひら
382 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/04(水) 22:41:34.14 ID:R0UoS41l0

京太郎(揺さぶり? 違う。今あいつに言ったのは、狩宿さん自身が俺にも言ってたことだ)

絹恵「何か知らんけど、話なら向こうで聞く」




巴「今此処で、賽の情報についてお話する、と申し上げてもですか?」




絹恵「――!?」

京太郎「狩宿さんっ!?」ばっ

和「……」


絹恵「どういうつもりや」

巴「どういうつもりも何も、あなたがたが知りたがってる情報を」

巴「今、此処で、教えるって言ってるんですよ」

絹恵「そやから、何で急にそないなこと……」

絹恵「!」

巴「……」

絹恵「成程」
383 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/04(水) 22:43:03.03 ID:R0UoS41l0


絹恵「ええやろう。言ってみ」


京太郎「!」

京太郎「か、狩宿さん、どういうつもりだよ!」

巴「ふ、愛宕絹恵と同じ質問……?」

京太郎「いやでも……」

京太郎「!」

京太郎(そうか。もしかしたら狩宿さんは)

京太郎(適当な場所に賽を隠した・とかなんとか言って)

京太郎(愛宕絹恵がこの場から離れてくれるのを狙っているのかもしれない!)

京太郎(それなら俺が迂闊に騒ぐ訳にはいかないな……)

京太郎「……」

巴「……どうしたの?」

京太郎「いや、何でもねえよ。あんたに任す」

巴「……」


絹恵「ほら。話してくれるんやろ。賽の情報を」

絹恵「あんまり待たせんといて」


384 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/04(水) 22:44:24.02 ID:R0UoS41l0



巴「賽は……もう、この世に存在しません」



絹恵「……何」

京太郎「!?」

京太郎(狩宿さん!?)ぎょっ



巴「ちょっとした衝撃で、粉微塵に破壊されたからです」



絹恵「ふぅん」

京太郎「……か、狩宿さん」


巴「故に、今あなたがたがしていることは何の意味も無い」

巴「私たちを縛り上げ、答えを訊き出しても」

巴「返ってくるのは、賽は破壊され、もうこの世に存在しないという事実のみ」

巴「さて……」

巴「私たちを解放して頂けませんか?」

巴「動けないので、出来るならみんなを須賀くんの家まで運んでくれると嬉しいんですが」

絹恵「……」ぽりぽり

385 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/04(水) 22:45:32.49 ID:R0UoS41l0


京太郎「狩宿さん!」


巴「なに?」

京太郎「よ、良かったのか……? その秘密を教えちまっても」

京太郎「それなら何のために俺らは戦ったってんだ?」


巴「……ごめんなさい」


巴「でも、仕方ないことだと思うんだ」

巴「敵の組織に連れ去られたら、どんな扱いを受けるか……」

巴「須賀くんだって嫌でしょ。友達だって巻き込みたくない筈」

巴「実際、こんなの喋っちゃえばそれでお仕舞いなんだから」

巴「そうとう楽な解決方法だと思わない?」

京太郎「……狩宿さん」

京太郎「で、でも……」

巴「言ったよね、私」


巴「賽が壊れたと、ハオ・ホェイユーに言えないのは」

巴「私自身の保身の為だ・って」


京太郎「……ああ」

巴「自分の処罰がどんなものになるかわからなくて怖いから、真実を隠しておきたいって」

巴「私は、あなたに能力を全て渡すという罪を、犯しちゃったからね」

巴「それは、私がこの町に留まり、あなたの家に転がり込んだ――」

巴「確かに最初の動機だった」

巴「でも、そんなのあまり意識していない事に、ある時気付いたんだ」


京太郎「……?」


巴「いつだと思う?」にこ

京太郎「……クイズをしたい訳じゃないんだけど」

巴「もう。つれないなぁ」
386 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/04(水) 22:46:59.46 ID:R0UoS41l0

〜〜


京太郎「だから俺は、どんな問題でも戦って、あんたを護るんだよ」


〜〜


巴「……私は、その時から」

巴「いずれ来るこの時の事を考えていた」

京太郎「……」

巴「賽の情報を晒してしまえば、私は王族院の追っ手に身柄を捕えられて」

巴「然るべき裁きを受ける」

巴「でもそれは……」


咲・優希・和「……」ごろん


巴「皆を巻き込んで、これ以上傷つけてまで……怖れることなんかじゃない」


京太郎「……!」


巴「今の有様じゃ、遅かったのかもしれないけど……」

京太郎「……そんなことねえさ」

巴(……最後の手段にしたかったのは)

巴(あなたと過ごす生活を、出来るだけ続けていたかったなんて)

巴(あえて言うような事じゃないか)ふふっ

京太郎「何だよ、急に笑って……」

巴「ううん、何でも?」


巴「さて、愛宕絹恵さん。話は聞いていたでしょう?」

巴「見逃して下さいませんか?」

巴「何故ならもう、私たちをあなたの組織に連れ帰る意味なんて――」

387 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/04(水) 22:48:11.92 ID:R0UoS41l0



絹恵「ある」



巴「……えっ?」


絹恵「えらく芝居がかって説明してくれたけど」

絹恵「それ、嘘かもしれんやろ」

巴「う、嘘なんかじゃ……!!」

絹恵「ていうか、信じられるか? 今、この状況で、そんな言葉」

巴「そ、それは」

絹恵「どっからどう見たって、苦し紛れの大嘘やんか」

絹恵「第一、あんたの言うとおり賽が本当に壊れてもうてるんなら、はなっからそう言うやろ」

絹恵「ハオがあんたらに接触した、その時に!!」

巴「……っ」ぎり

絹恵「残念やったな」


絹恵「他に、何か言いたいもんはおらんか?」


 しーん


絹恵「よしよし。そんじゃ、今度こそ行こか」
388 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/04(水) 22:49:37.73 ID:R0UoS41l0

京太郎「い、いや、マジだぜ! 愛宕絹恵!」

絹恵「はあ。いや、もうええわ。もうこのやり取りは飽きたんや」


京太郎「本当なんだって! 俺が最初に、あんたらの手先の門松って女に襲われた日――」

京太郎「咲と優希と、それから和で、和の誕生日パーティを開いてたんだ!」

京太郎「同時に来てたこの狩宿さんが、襲ってくる門松に対処してくれて……でも狩宿さんも重傷負っちゃってさ」

京太郎「代わりに俺が、狩宿さんから能力を受け取って、戦って門松を倒したんだ!」

京太郎「そのあと、こんな争いが起こるならいっそって、俺が賽をぶっ壊したんだよ!!」

京太郎「そうして粉々になった賽をゴミ箱に捨てて、今頃は処理場で炭になってる筈なんだ!!」

京太郎「これがあんたらが散々欲しがってた、賽の情報の全てだよ!!!」


絹恵「はいはい。辻褄が合った話を用意すれば私が納得するとでも?」

絹恵「退かんで。どっちにしろ、向こうに連れ帰って」

絹恵「自白剤飲ませたらそれで終了なんや。それですべて解ること。方針は変えん」

巴「そんな……」

京太郎「く、くそ……!」

京太郎(折角、狩宿さんが覚悟決めて話したってのに――)


京太郎(その思いが、無駄になっちまう――!!)
389 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/04(水) 22:50:21.17 ID:R0UoS41l0







「そこまでです。愛宕絹恵」






390 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/04(水) 22:51:55.46 ID:R0UoS41l0



京太郎「!!」

和「……」

巴「あ……」

巴「あなたは……!!」



絹恵「……なんや。急に出てきたと思ったら私の腕掴んで」

絹恵「どういうつもりやねん」




絹恵「ハオ」



ハオ「――……」
391 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/04(水) 22:52:40.02 ID:R0UoS41l0


京太郎「ハオ!?」


ハオ「……京太郎」

ハオ「ものの数時間で、随分と様子も変わられましたね」

ハオ「可哀相に。傷が痛むでしょう」

京太郎「おまえ、自分の家に帰ったんじゃ……」

ハオ「それは、すいません。嘘をつきました」

ハオ「今回の戦いを全て、私は影からずっと見物していましたので」

京太郎「マジかよ……」

ハオ「中々の戦いぶりでしたよ、京太郎」

京太郎「嬉しくねえな」

絹恵「で……ハオ。私はどういうつもりやって訊いてんねんけど」

ハオ「どういうつもり?」

ハオ「何がどういうつもりか・なのですか?」

ハオ「あなたの腕を掴み、京太郎たちに触らせないことに、何か疑問が?」

絹恵「そ、そりゃあるやろ。今仕事してんねん。何で邪魔するんや」

ハオ「その仕事は……」
392 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/04(水) 22:54:32.37 ID:R0UoS41l0


ハオ「その仕事は、もう終わったからですよ」


絹恵「!?」

絹恵「何言って……!」

ハオ「そうでしょう?」

絹恵「いや、私は今からこの人たちを連れてこうと……」

ハオ「その必要はありません」

絹恵「何でや! まだ賽の在処を訊き出してへんで!?」

ハオ「賽は壊れてしまったのでしょう?」ちら

京太郎「ああ。そーだよ!」

ハオ「当の保有者……だった者、がそう言ってますが」

絹恵「そんなん、嘘かもしれんやろ!」

ハオ「それを判断するのは、あなたじゃない」

絹恵「それも、そーやけど……」

絹恵「ほ、本気か? ハオ」

ハオ「本気も何も、私たちに課せられた命令自体は忠実にこなしましたので」
393 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/04(水) 22:57:38.70 ID:R0UoS41l0

絹恵「けど、手ぶらで帰るんは、ハオ、あんたの言う星の十字結社としての矜持に反するんとちゃうんか?」

ハオ「手ぶらじゃありませんよ」

ハオ「確かにこの手に賽は無い。しかし」

ハオ「本人の口から捻りだした立派な情報があるじゃないですか」

ハオ「賽は跡形もなく壊れてしまった・という情報が」

ハオ「情報を結社にそのまま伝えれば、それで済むだけの話です」

ハオ「私たちに与えられた仕事もそこで終わり」

ハオ「故に、彼らを結社に連れて行くのは無益というもの」

絹恵「……」ぽかん

ハオ「さて、帰りますよ。愛宕絹恵」

絹恵「……ちぇっ」

絹恵「ハオにそこまで言われてもうたらなぁ……」

絹恵「けどな、ハオ。陛下に怒られてもしらんで?」

ハオ「むしろ、一般人を巻き込む事こそ陛下の怒りを買いそうですが」

絹恵「……ま、正直、それもそうやな」

絹恵「腑に落ちんけど、しゃーないな……」

絹恵「じゃ、そんな訳でさよならや、人間諸君」


京太郎「ちょっ……待てよ!」


【思わず呼び止めてしまった。何と言う? #1】
1. ハオ。もしかして助けてくれたのか?
2. 愛宕絹恵……うちの連中に手ぇ出した事、忘れねえからな?
3. ふざけるなぁ! この状態のまま置いて帰るってのか!? 責任取って家まで連れていけ!

安価↓1
394 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/04(水) 22:58:17.05 ID:+wFLu8bD0
1
395 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/04(水) 23:03:47.22 ID:3QIET8xAo
3
396 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/04(水) 23:19:35.32 ID:R0UoS41l0


京太郎「ハオ。もしかして助けてくれたのか?」


ハオ「」ぴく

ハオ「助ける……?」

京太郎「……」

ハオ「……私が、あなたたちを、助けた」

ハオ「京太郎。あなたはそう感じてるんですか?」


京太郎「ああ」

ハオ「……!」


ハオ「……それは、残念ながら、全くの見当違いですよ」

ハオ「私は、ただ……仕事はちゃんと済ませたので」

ハオ「あなたたちをわざわざ結社に連れて行く、なんて手間を省こうとしているだけです」

ハオ「私の中にあるのは、常に星の十字結社の一員としての使命と矜持のみ」

ハオ「組織にとって手間で無益になることはしない」

ハオ「……ただ、それだけです」

ハオ「他の思惑など……何もない」

ハオ「ましてや……この私が、あなたたちを助けるなどと」


京太郎「……そっか」

ハオ「……」


【#2】
1. でも、ありがとな
2. じゃあ、さよならだな

安価↓1
397 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/04(水) 23:20:29.54 ID:eH1jgczvo
398 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/04(水) 23:20:32.29 ID:8YWOXWKJo
2
399 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/04(水) 23:23:54.95 ID:R0UoS41l0


京太郎「でも、ありがとな」


ハオ「……!」


京太郎「おまえのお陰で、救われた」

京太郎「ありがとう、ハオ」


ハオ「……」

ハオ「……そ、そんな」

ハオ「お、お礼なんて……」


 ぐいっ


ハオ「……愛宕絹恵」

絹恵「そろそろ行くで、ハオ」

絹恵「そんなら、私らはここで失礼しますわ」

巴「待って下さい!」

絹恵「なんや? まだなんかあるん? 勘弁してーな」

400 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/04(水) 23:33:15.11 ID:R0UoS41l0


巴「勘弁してほしい? それは此方の科白ですよ」

巴「あなたの蹴りのお陰で、私たちは動けないんですけど」

巴「責任の取り方くらい分かってますよね?」


絹恵「あ、あはは……そやなぁ」

ハオ「それでは愛宕絹恵、少し残業していきましょう」

ハオ「動けない彼らを見て、他の一般人に騒がれても困りますから」

絹恵「うん。仰る通りやね」

巴「ほっ……」


――


絹恵「なあハオ。今更やけど……」

絹恵「清澄高校で過ごして、彼らに情でも沸いたんか?」

ハオ「……まさか」

ハオ「ありえませんよ。私を誰だと思ってるんですか?」

絹恵「"鋼鉄"のハオ・ホェイユー」

絹恵「……まあそれなら、ええんやけど」

絹恵「あんまり普段、見ない顔しとったから、びっくりしてな」

ハオ「え?」

絹恵「何や自分、気付いとらんかったんか?」
401 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/04(水) 23:34:48.92 ID:R0UoS41l0


絹恵「ハオが須賀たちを見送る顔」

絹恵「学校とかで友達と別れるのと同じ表情やったで」


――


巴「ふーっ……」


巴「帰ってきたね、この殺風景な男の子の部屋に」

京太郎「余計なお世話だ」

巴「……なんとかみんな、意識を回復できて良かった」

京太郎「四肢が動かせなくて、結構辛いけどな」

巴「そのへん不便だよね。愛宕絹恵はこの技を自由に解除できないって言うし」

巴「致命傷になるような傷は、みんな受けてなくてそこは安心したって感じかな」

京太郎「そうだな。疲れは寝てりゃとれる」


京太郎「……でもさ、俺が気になってんのは」

巴「うん?」
402 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/04(水) 23:51:31.33 ID:R0UoS41l0


京太郎「あんた自身の事だ、狩宿さん」


巴「……」

京太郎「言ってたろ。賽が壊れた、なんて情報が伝われば」

京太郎「調査員だかなんだかが来て、それが事実だって解ったら」

京太郎「あんたは罪人として処理される・って」

巴「うん……」

京太郎「大丈夫か?」

巴「……覚悟はできてる」

京太郎「俺に何か、出来ることはないか?」

巴「……出来ること、かぁ」

巴「それは須賀くんが今後も普通に、高校生活を送ってくれることかな」

京太郎「……」

巴「あなたの能力は、王族院が所有するのを許さないと思うから」

巴「胸を衝かれて消失させちゃうと思う」

巴「でも、記憶までは奪ってしまわないよう、私もお願いしてみる」

京太郎「……狩宿さん」


【#3】
1. 今までありがとな
2. ……(納得いかねえ)

安価↓1
403 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/04(水) 23:52:43.19 ID:rJq5UJHu0
2
404 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/04(水) 23:56:24.42 ID:8YWOXWKJo
ですよねー
405 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/05(木) 00:02:21.57 ID:iLGGgIn90


京太郎(……納得いかねえ)


京太郎(狩宿さんが罪人として処理される、だと?)

京太郎(罪状は確か、一般人への能力の譲渡、だったな)

京太郎(それは、あの時俺が……威勢を張って、敵を挑発したせいだろ)

京太郎(狩宿さんは俺を庇って、負わなくていい傷を負って)

京太郎(それでも俺に、俺の願いを汲んで、護る力を与えてくれたんだ)

京太郎(じゃあそれは、狩宿さんの罪じゃない)

京太郎(――俺の罪だろうが!)ぎりっ


巴「……」


京太郎(何だよその顔、狩宿さん)

京太郎(そんな、罪も裁きも、全て受け入れるみたいな)

京太郎(そんな諦めたような顔……なんであんたがそんな顔するんだ)


京太郎(納得いかねえ――!!)


京太郎「狩宿さん……」

巴「どうしたの?」
406 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/05(木) 00:40:46.43 ID:iLGGgIn90

京太郎「勝手に、いなくなったりしないでくれよ」

巴「えっ……?」

京太郎「もしさ」

京太郎「俺に迷惑が掛かるんじゃないか・とか」

京太郎「俺に余計な心配を掛けさせないでおこう・とか思って」

京太郎「一人で調査員だかなんだかと接触して」

京太郎「俺の知らないうちに物事をひっそり終わらせよう・だとか考えてるなら」

京太郎「その考えを改めてくれ」

巴「……!」

京太郎「もしそいつらと接触するなら、俺とあんた、二人でだ」

京太郎「そいつらと話をするのも、俺たち二人で並んでしよう」

京太郎「狩宿さん。忘れないでくれ」


京太郎「俺はあんたと一緒にいる」


巴「……須賀くん」

407 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/05(木) 00:42:17.94 ID:iLGGgIn90

巴「考え、読まれちゃってたか……」

京太郎「そうだな。俺があんたなら多分そうしてたからだ」

巴「ええ?」

京太郎「付き合いは短いけど、なんとなくわかったことがあって」

京太郎「狩宿さんと俺は、どっか似てるとこあるんじゃないかってさ」

京太郎「そう思わない?」

巴「……どうだろ」

京太郎「ま、なんとなく思っただけだけど。でもあながち間違いじゃないと思うぜ」

京太郎「そうじゃなきゃ、こんなに……」

巴「?」

京太郎「……あー」

京太郎「いや、何でもねえよ……」


京太郎(ただ、忘れないでくれ、狩宿さん)

408 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/05(木) 00:43:24.74 ID:iLGGgIn90



京太郎(俺は、あんたと一緒にいる)



  12.

  ROCKIN' FUTURE 5



  op.6 "I'm with you."



 --------------

  to be continued...
409 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/05(木) 00:43:56.74 ID:iLGGgIn90

★☆★ here is the data of THE CHAPTER!! ★☆★

【#1 → 好感度上昇+2(ハオ)】
【#2 → 好感度上昇+4(ハオ)】
【#3 → 好感度上昇+4(巴) カルマ上昇+2 ルート・I'm with you】

◆現在の称号【清澄の守護者】
◆カルマ【+16】
◆所持金【44,000】
◆END(max)【100】

◇スキル
[Speech] 44
[Strength] 51
[Gift] 14
[Intelligence] 21
[Lady-killer] 49

◇好感度
/咲/  29
/優希/ 14
/和/  2
/巴/  35 (+4)
/ハオ/ 14 (+6)
/絹恵/ 7
410 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/05(木) 01:19:08.49 ID:Or/8HyJzo
乙?
411 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/05(木) 10:44:08.40 ID:hORueUJeO
412 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/05(木) 15:37:39.75 ID:iLGGgIn90






『――それでは次のニュースです』

『先日長野県・●●市で発見されたクレーターについて専門家の意見では――』


京太郎「あぁ……今、何日だっけ」

巴「えっと……11月の……」

京太郎「あれからもう一週間も経ったんだなぁ……」

巴「そうだね……」

京太郎「"調査員"だなんてもう来ないんじゃないか?」

巴「そ、そんな筈は……」

京太郎「咲が言ってたよな。たとえ秘密がばれてなくたって、追加人員が来るのが遅すぎるって」

巴「うん……」

巴「逆に不気味になってきちゃった……」

京太郎「……それはわかる」

京太郎「けど、びびってる割には来ないから、拍子抜けしてるぜ」

巴「油断は禁物だよ。何事にもね」

京太郎「おお。さすが狩宿さんは言う事が違うな」

京太郎「あ、そうだ」
413 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/05(木) 15:38:34.89 ID:iLGGgIn90

巴「どうしたの?」

京太郎「おふくろがロールケーキ買ってきてたの思い出した」

京太郎「二人で食べない?」

巴「サイズによるかな」

京太郎「丁度二人分のサイズだよ。持ってくるな」すたすた

 がちゃ がちゃん

巴「……」

巴「こうして須賀くんの部屋から出られないのは、わかってるけど少し不便かな」

巴「かぴーちゃんにも、会えないしね……」

 がちゃ

京太郎「あれ? 狩宿さん意外と気に入ってたのか? かぴーのこと」

巴「も、戻ってくるのはやいね……」

京太郎「別に律儀にこの部屋に閉じこもってないで」

京太郎「家族が仕事行ってる間は家の中うろついてたって何も問題ないけど」

巴「ま・私はプロだから。無暗に痕跡を残すようなことはしないんだ」

京太郎「いい顔で言うな……かぴー連れてくる?」

巴「ううん、いい。それより……」ちらっ

京太郎「ははは。そんな目で見なくたってわかってるって。んじゃ食おうぜ」

京太郎「狩宿さんも甘いもん好きなんだな」

巴「い、いけない?」

京太郎「そんなこと言ってないだろ」ことん
414 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/05(木) 15:39:31.27 ID:iLGGgIn90



 そう 愛宕絹恵の襲撃のあった日から

 既に一週間が経っていた 



 ハオは転校したらしい

 あの日から三日後の朝 その報せを教員に聞かされた

 寂しくないと言えば嘘になる

 けどあいつはあいつの居場所に帰っただけだ

 元気でやってるといいけどな



 みんなは怪我も治って調子を取り戻したけど

 信じられないことに 狩宿さんに聞いた話だと 

 優希と咲が"特殊な能力"に目覚めたそうだ

 点棒が発現していない 見たことも無いタイプの能力者だと 狩宿さんが言っていた

 それはともかくあいつらが能力に目覚めただなんて なんか不思議な気分だ

 それを使う機会なんて もう二度と訪れないだろうけど 



 そして

 俺と狩宿さんがびくびくしてる

 統制王族院の調査員は

 未だ

 姿を見せる様子はない

415 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/05(木) 15:40:31.99 ID:iLGGgIn90

――学校


 きーんこーん……


優希「うぅぅーん! 日差しが暖かくていい気分だじぇー……」のびー

優希「のどちゃん! 一緒に帰ろうじぇ」

和「優希……」

和「あ……その、ごめんなさい」


和「今日は、用事があるので……」


優希「……そっか」

優希「それなら仕方ないな!」

和「ごめんなさい」ぺこり

優希「謝ることじゃないじょ」ぱしぱし

和「……優希、さっきのテスト、昨日勉強したところが出ましたね」

優希「え、えええええーと……」ちらちら

和「もう。大丈夫ですか? 心配ですが、用事があるので……」

和「お先に失礼しますね。ちゃんと家帰っても勉強するんですよ?」つん

優希「うっ……はぁい」

和「それでは」すたすた

 がちゃん

京太郎「……」

416 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/05(木) 15:41:22.77 ID:iLGGgIn90

京太郎「和って基本、俺たちの誘いは断らないけど」


京太郎「たまに……用事があるって言って、断る時があるんだよな」


京太郎「何の用事か訊いたとき、普通に教えてくれる場合と」

京太郎「適当にはぐらかされて教えてくれない場合があるんだよなあ」

京太郎「何か腑に落ちねえよなぁ」うーん

京太郎「優希は和のその辺の事情知ってたりすんのか?」

優希「ばかもの! 知ってても京太郎には教えられるものか!」

優希「何が腑に落ちない・だじょ。そのストーカーみたいな考え気持ち悪いじぇ」

京太郎「だれがストーカーだ! このタコス!」

優希「……実際、私も知らないんだじょ」

優希「のどちゃんがどんな用事で、たまにいなくなっちゃうのか」

優希「でもそんなの、いちいち気にするようなことか?」

優希「のどちゃんにはのどちゃんの事情があるんだじょ」

優希「そんなの気にするなんて、やっぱり京太郎ってストーカーの素質に恵まれてるようだじぇ」

京太郎「言うじゃねーか……タコス女がよ」

京太郎「お前の為に、今度チリ入りの美味しいタコスをつくってきてやるよ」にや

優希「ほう? それは楽しみだじぇ」にや

咲「ところで二人とも……」
417 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/05(木) 15:42:29.56 ID:iLGGgIn90

咲「テストはどうだった?」

京太郎「……テスト?」

咲「定期テストだよ。今日は数学と地理と……」

京太郎「ん? 咲は何を言ってんだ? 優希」

優希「さぁ……皆目見当もつかないじぇ」

京太郎「だよな。何だテストって? 俺たちそんなの受けてないよな」

優希「受けてないじぇ」

咲「……」じとー

京太郎「そんじゃ、帰ってゲームでもするかぁ」んー

優希「一緒に帰ろうじぇー」

京太郎「おう! 途中でタコス食ってくか?」

優希「おおっ? 金は大丈夫か?」

京太郎「まあ余裕があるからな」

優希「じゃあこの前行ったとこもっかい行こうじぇ! 私も未だお小遣い余裕あるからな」

京太郎「賛成!」


咲「……それで、テスト勉強はいいの? 明日は化学と……」


【#1】
1. なあ。咲はさっきから何言ってんだ? 寝言か?
2. いいのいいの! 咲、今更どうにもならないんだよ!(ぽん)
3. 宮永様……

安価↓1
418 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/05(木) 15:42:44.78 ID:N15hN+F9o
3
419 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/05(木) 16:46:00.06 ID:iLGGgIn90

京太郎「宮永様……」


咲「うぇっ?」びく

京太郎「宮永様ぁ……」うるうる

咲「え? え?」

京太郎「お助けー!」にぎっ

咲「ちょ……ちょっと!?」ぎょっ

咲(京ちゃんに両手を包むように握られちゃってる……)かぁ

咲「どうしたの京ちゃん!?」

京太郎「おれ、おれぇ……」

京太郎「頭悪いんだよ……」

咲「そ、そんなことないよ……」

京太郎「流石、宮永様は優しくあらせられる……でも、これが事実だ」

京太郎「なあ優希?」

優希「私はアタマ悪くなんか……」

京太郎「認めるんだ優希」

優希「うっ」びくぅ

京太郎「俺たちは仲間だ、優希!」

京太郎「いつもいつも、同じ教室で同じ科目の補習という名の地獄を」

京太郎「共に耐え、乗り越えてきた仲間だろ……!」

優希「きょ、京太郎……!」
420 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/05(木) 16:49:47.73 ID:iLGGgIn90

咲「えっと……で、だから?」

京太郎「辛いんだ……俺はこれ以上、放課後の自由が奪われて」

京太郎「再試験に合格するまで、何度も何度も、教員共による補習を受けさせられる……あの日々を送るのかと思うと」

京太郎「そうだろ……優希」

優希「まあ……その通りだじぇ京太郎」

京太郎「俺は今日、現実逃避してた。認めるよ。テストは確かにあったし、俺は確かにほとんど白紙のまま終わっちまった」

京太郎「俺の目には、全科目、補習と再試験という地獄の未来が視えている」

優希「そうだじぇ。このままじゃ……」

京太郎「それが、このままなわけないんだ」

京太郎「その耐え難い未来は、捻じ曲げられるんだ、優希」

京太郎「今、俺たちの前に居る、宮永咲様のご指導によって……」

咲「え、えええっ!?」

京太郎「宮永様!」

咲「ちょ、ちょっと止めてよ……! 私だってそんなに頭良くないし……」

咲「今から必死に勉強したって明日には……」

京太郎「そんなぁ……心配してきたのは咲の方だろ? 責任取ってくれよ」

咲「責任取れって……」

優希「京太郎、時には諦めも肝心だじぇ。咲ちゃんも困ってるじぇ」

京太郎「そうなのか? 咲……」じっ

咲「うっ……」

421 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/05(木) 16:50:33.53 ID:iLGGgIn90

咲「わかった! わかりましたよ!」

京太郎「咲……」

咲「京ちゃんと優希ちゃんだけだと、絶対勉強サボっちゃうだろうから」

咲「私がそうならないように見てあげるね」

京太郎「咲……いいのか」

咲「でも最低限しか教えられないけど……私もあんまり頭良いってわけじゃないから」

京太郎「十分だよ……咲」

京太郎「ありがとう。喫茶店でいいか?」

咲「う、うん」

京太郎「優希、お前も行くぞ」ぽん

優希「や、やだ」

京太郎「何言ってんだ。ダメだ。行くぞ」ぐい

優希「な、何で急にやる気になっちまったんだじぇ京太郎……」

優希「帰ってゲームするんじゃなかったのか?」

京太郎「赤点取ったらさらに勉強する羽目になるんだからな。それを意識したらな」

咲「無理してこなくてもいいよ、優希ちゃん」

優希「う……わかった。のどちゃんにも言われてるしな……」

優希「嫌だけど、仕方ないか……」

京太郎「よく言った優希。じゃあ行こうぜ、三人で」がたっ
422 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/05(木) 16:51:21.11 ID:iLGGgIn90

――


すた すた すた すた


がちゃ


 きぃぃ……


和「……」


 がちゃん


すた すた すた すた


和「……」

和「……こんにちは」

和「花瓶の花を、差し替えに来ました」

がさごそ

和「それにしても、良い太陽の光が差し込んでますね」

和「あなたにとっても、心地よければ良いのですけど」

和「……今日は、学校でテストがありました」

和「心配せずとも、私は自信を持って提出できましたよ。これも、あなたの指導のおかげです」

和「それよりも、優希のほうが心配で。あの子もやればできるんですが……」

和「あなたもあの子のことは心配でしょうから……私がもっと見てあげればいいんですけど……」

和「今、微笑みました? そんなわけ、ありませんか……」

和「また来ます。お休みなさい……」

423 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/05(木) 16:52:56.08 ID:iLGGgIn90




和「お父さん……」




13. Is this our only Fate?


――


京太郎「休憩! 休憩しようぜ!」

咲「京ちゃん? まだ始めて20分だよ」

優希「京太郎に賛成だじょ」

咲「も、もう! 二人とも……赤点回避したいんじゃなかったの!?」

咲「だから私と勉強してるんだよね、京ちゃん、優希ちゃん?」

咲「ほら、まだ例題プリント残ってるよ」

咲「さ、やろう?」びっ

京太郎「お、おお……咲がスパルタだ」

優希「珍しいとこ見たじぇ」

咲「聞こえませーん」ぷい

京太郎「そうだよな……咲にも悪いし、ちゃんとやるよ」かりっ

咲「京ちゃん……」
424 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/06(金) 12:58:45.63 ID:Kc1+uoBV0


 からん からん


巴「私も教えましょうか?」ひょいっ


京太郎「か、狩宿さん!?」

優希「あの時の人!」

咲「どうしてこんなところに?」

巴「まあちょっと色々と・です」


巴「それよりも、テスト勉強してるんでしょ? 協力しようか、須賀くん」

京太郎「狩宿さんって頭良いのか?」

巴「悪そうに見える?」

京太郎「いや、めっちゃ良さそうに見える」

巴「それはどうも」にこ

巴「これでも学年二つ上だから、大抵の事は教えられると思うよ」

京太郎「え。そうだったのか。学年二つ上って」

巴「言ってなかったっけ?」

京太郎「初耳だよ。年上だとは思ってたけど……」

優希「でもそんな人が教えてくれるなら心強いじぇ」

咲「良いんですか?」

巴「構いませんよ」

咲「えっと……ありがとうございます」ぺこり

巴「頭を下げることじゃないですよ、宮永さん」ふりふり
425 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/06(金) 12:59:35.27 ID:Kc1+uoBV0

――二時間後


京太郎「……流石に疲れたな。もう頭に入らねえわ」

咲「京ちゃんにしては保ったね」

京太郎「うるせーよ……優希なんか頼むか?」

優希「いや、お茶だけでいい……」

京太郎「そ、そっか」

巴「優希ちゃん凄い頑張ってたね……」

優希「お姉さんのおかげだじぇ。ありがとう」

巴「いえいえ。後は実際に試験でどうなるか・だね」

優希「考えたくないじぇ……」

巴「あはは……」


咲「二人が勉強してる影響なのか、私自身も普段より勉強できた気がするよ」

咲「やっぱり、みんなで勉強すると心強いね」にこ

京太郎「そうだな。慣れないことだけど悪くねえよ」

京太郎「和も呼べば良かったかな」

京太郎「……って、用事があったんだったな」

咲「明日誘ってみる?」

優希「その案乗った!」びっ

京太郎「和はレベルが違いすぎて、逆に足を引っぱっちまいそうだけどな」はは

優希「のどちゃんに対してそんな心配は要らないじょ」

優希「のどちゃんは……」
426 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/06(金) 13:00:12.06 ID:Kc1+uoBV0


優希「自分の世話は、自分で出来るんだ」


――


すたすた すたすた


京太郎「ふうっ。勉強会も終わって久々に外の空気を吸えたぜ」

京太郎「すっかり暗くなったな」


咲「結局あれから、また二時間も勉強したもんね」

咲「お店の人に悪かったかなあ……」

巴「ちょくちょく注文したし、気にしなくたって大丈夫ですよ」

咲「それならいいんですが……」

咲「京ちゃん、優希ちゃん。明日のテスト頑張ろうね」

優希「おう! 明日の科目は咲ちゃんより点数上回る自信あるじぇ♪」

京太郎「調子乗るなよ。俺たちは赤点回避がせいぜいだ」

優希「ちぇー」ぷい

京太郎「ありがとな、咲。今日は無理言って」

咲「ううん。言ったでしょ? 私自身も普段より勉強出来たって」

咲「むしろこっちがお礼言いたいくらいだよ」

京太郎「そっか、それなら良かった」
427 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/06(金) 13:01:19.82 ID:Kc1+uoBV0

巴「須賀くんは、帰ってからも勉強だからね」

京太郎「……マジ?」

巴「うん」にこ

京太郎「嘘だろ……って言いたいけど、有難いのは確かだよ」

京太郎「学年上の人に勉強見てもらえるのは部屋貸しの特権だな」

優希「……」

優希「それにしても、とんでもない話を聞いたじぇ」

優希「だいいち、事情が事情とは言え、二人で生活してるなんてことがもはや、とんでもないじぇ」

京太郎「生活自体は二人ってか、普通に俺は家族とだけどな」

京太郎「狩宿さんは俺の部屋で隠れて居候してるだけ。ま、ペットみたいなもんかな」

巴「……須賀くん? 私がいつペットになったの?」じと

京太郎「ご、ごめんなさい」

巴「居候の立場上、何にも言えないんだけどね……」

優希「うーん……お姉さんは、この発情犬に襲われたりしないのか?」

京太郎「おい! 優希やめろよ、狩宿さんの前でそういう言葉遣うの」

巴「須賀くんが言えたこと?」

巴「大丈夫だよ優希ちゃん。須賀くんはそういう方面には紳士なタイプだったし」

京太郎「うんうん」

優希「お姉さんがそう言うなら、問題ないか……?」

優希「咲ちゃんはどー思う?」

咲「えっ!?」

428 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/06(金) 13:02:01.97 ID:Kc1+uoBV0

優希「としごろの男と女が二人一緒の部屋で生活してるなんて……」

咲「わ、私は……」

咲「大丈夫だよね……? 京ちゃん」

京太郎「大丈夫だよ!」

咲「大丈夫だって、優希ちゃん」

優希「……いや、咲ちゃんの気持ちを訊いたんだが……」

京太郎「なあ、いつまで続くんだこの話題は。気まずくなるだろうが、もうやめようぜ」

京太郎「変な心配すんな優希」

優希「わ、わかったじょ」

巴「……」


巴「あれ?」


京太郎「どうした? 狩宿さん」

巴「いや……あれ――」


巴(……道の先に、ピンク色の髪の毛をした子が見えたような……)

巴(多分、原村和さんだよね……?)

巴(でも、もう見えなくなっちゃった……)


巴「私の気のせい……じゃあないよね」

429 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/06(金) 13:04:37.89 ID:Kc1+uoBV0

――


和「ふぅっ……」

和「……流石は狩宿巴さんです」

和(完全に気配を消したから・と油断して近づいた私の)

和(暗がりでの姿を肉眼で確認出来るなんて)


和「流石は統制王族院で鍛えられたプロの能力者・といったところですね」


和(……あなたには恩義を感じています)

和(ですが、それとは別に、新たな脅威が生み出されてしまったのは残念です)

和(宮永さんと優希は、一般人でした。能力とは無縁の生活を送る、ただの一般人でした)

和(しかし、今はもう違う)

和(変わってしまいました、何もかも)

和(今の宮永さんたちは、不運にも能力者の末端)

和(何らかの原因で能力が発現してしまった今、何処かの組織が彼女たちに狙いをつける恐れは――高い)

和「……」ぎりっ

和(それならば私は、彼女たち自身に発現した能力を、そのままにしておく訳にはいきません)

和(今ならまだ間に合いますよね……宮永さん、優希、許して下さい)

和(でも、こうする以外に道などありません)


和(その能力、封印させて頂きます)


和「時間の猶予はありませんが……この夜の中で、宮永さんと優希がそれぞれ一人になるのを待たなければ」
430 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/06(金) 13:05:22.19 ID:Kc1+uoBV0

巴「こんばんは」しゅたっ


和「!!?」


巴「一週間ぶりですね、原村和さん」

和「狩宿巴さん……」

巴「こちらを見ていた気がしたので、様子を窺いに」

和「成程。流石です」

巴「他の皆も呼びましょうか?」

和「……どうしましょう」

巴「何か考え事でも?」

和「……」

和「あなたには、話しておいてもいいでしょう」

巴「?」

和「正直に答えて下さい」

巴「は、はい」


和「宮永さんと優希を、能力者のままにしておくべきでしょうか?」


巴「!」

巴「……難しい問題ですね」

和「……」ぴく
431 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/06(金) 13:06:14.22 ID:Kc1+uoBV0

和「難しい?」

和「何が難しいんですか?」

和「むしろ簡単な問題でしょう?」

和「宮永さんたちが能力者のままであるデメリットは明確です」

巴「須賀くんは……」

和「彼はまた、事情が異なってます。私の触れる領分じゃありません」

巴「……」

和「ですが、宮永さんたちは違う」

和「自分たちが窮地に陥り、どこかに眠っていた才能が喚び起されたのでしょう」

和「不運にも能力を発現させてしまった」

和「いえ、その時は良かったんです。そのおかげで自らの身を護る事が出来たのですから」

和「でも今は、能力者に襲われる心配など、何処にもありません」

巴「……」

和「組織に属していたあなたなら解る筈です」


和「能力者は野良猫のままでは居られない」


巴「それは……」

和「改めて問います、狩宿さん」


和「私はこれより、宮永さんと優希の能力を、封印しますが……」

和「賛成、して頂けますか?」
432 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/06(金) 13:07:13.43 ID:Kc1+uoBV0

巴「原村さん」

和「はい」

巴「そのようなこと、私に訊かれても困ります」

和「……」

巴「そういうつもりなら」


巴「本人たちに直接、訊くのが筋というもの」ざっ


 ざりっ ざりっ


和「……!」


 ざりっ…


咲「原村さん……」


和「宮永さん。優希……」

優希「……」

京太郎「どうしたんだ和」

京太郎「ずいぶん浮かない顔してるじゃねーか」

京太郎「話は聞かせてもらったぜ」

京太郎「咲たちの能力を封印したいんだって?」

和「……はい」

咲「!」

京太郎「そうか。わかった」


【#2】
1. 当然だな。頼む、和
2. 咲、優希。お前らが決めろ
3. お前自身はどうするんだ?

安価↓1
433 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/06(金) 13:09:11.04 ID:6xDiPuOJo
3
434 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/06(金) 13:48:20.22 ID:Kc1+uoBV0


京太郎「お前自身はどうするんだ?」


和「……私自身、ですか?」

京太郎「そうだよ」

京太郎「狩宿さんに昔聞いたハナシじゃ、能力者ってのは何処かの組織に所属してんのがフツーらしいな」

京太郎「じゃあ和が、咲たちの能力を消失だか封印だか、したがるのにも理解は出来る」

京太郎「バレたら組織に入れられちまうんだもんな」

和「……その通りです。なればこそ――」

京太郎「じゃあお前はどうする?」

和「……」

京太郎「咲たちの能力を封印した後、和は和自身の能力を、また封印するのか?」

和「……それは」


和「いえ、私自身にはまだ封印を施しません」


京太郎「……」

京太郎「どうして?」

和「何故か……ですか?」


和「本当に危険が去った、と言えるのは、狩宿さんがこの町を去った後だから・ですよ」


巴「!」

京太郎「……」
435 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/06(金) 13:49:17.83 ID:Kc1+uoBV0

和「組織に所属している能力者が、狩宿さんを見つけるためにこの町に来訪します。これは確実です」

和「その時、宮永さんや優希に能力があれば、近くにいるのですから、嗅ぎ分けられてしまうかもしれないですし」

和「例え能力が無くとも、関わってしまった以上危険が無いとは言い切れません」

和「それは以前の襲撃が証明している事です」

巴「……」

和「だから私は、その危険から宮永さんたちを護るために――」

和「自分の能力を封印するわけにはいかないんですよ」

和「未だ・ね」

京太郎「……成程」

京太郎(……ハオや、愛宕絹恵は、帰って星の十字結社に報告した筈だ)

京太郎(清澄には、無所属の能力者が数人居るってことを)

京太郎(……それなら)

京太郎「でも和」

京太郎「その組織からの能力者が、"和に狙いをつける"可能性を考慮してるのか?」

京太郎「ありえない話じゃないだろ。むしろその危険も無視出来ない」

和「……心配ご無用です」


和「自分の身は、自分で守れます」


京太郎「……言うじゃねえか」

和「私がそう思うのは不遜だ……と、まるでそう言いたげな顔ですね」


【#3】
1. そんなことないさ。和は俺より強いだろうしな
2. ああ、そうだよ!
3. え、えーと……

安価↓1
436 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/06(金) 13:50:16.10 ID:9VYaXXfHo
437 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/06(金) 14:01:03.03 ID:Kc1+uoBV0


京太郎「ああ、そうだよ!」


和「何……」

京太郎「聞こえなかったか? そうだって言ったんだ」

京太郎「自分の身は自分で守れるだと?」

京太郎「思い上がるなよ、和」

和「思い上がってなどいません!」むっ

京太郎「そうか?」

京太郎「ハオの前でブルッたり、愛宕絹恵に一撃でノされたりした奴の科白とは思えないな」

和「……」ぎり

和「あなただって……」

京太郎「そうだ、同じだな」

京太郎「でも思うんだけど」

京太郎「そういう、俺らじゃどうにもならない、敵わない相手っているだろ」

京太郎「そういう奴が来たら、和、お前だって終わりだぜ」

和「そ、そんなこと……」

京太郎「そうなんだって」

京太郎「一人で何とかならねえなら、皆で何とかするしかないだろ」

和「それは――」

 たっ
438 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/07(土) 15:59:16.79 ID:MPFJIxmN0


巴「待って。須賀くん。どうするの?」


京太郎「どうするって……何がだ? 狩宿さん」

巴「だって、能力を持ってれば、組織に狙われる可能性があるんだよ」

巴「須賀くんは、私が向こうに行く時、その能力を消失させる約束だからいいけど……」

京太郎(そんな約束したか?)

巴「宮永さんたちはどうするの?」

巴「点棒が加護の媒体じゃない、見たことの無い能力者」

巴「胸を衝けば、能力が消える。なんて常識が通用しないかもしれない」

巴「不思議がった組織の能力者が、宮永さんたちを連れ去ってしまうかもしれない」

巴「ここで能力を封印しとくのは、彼女たちの意思を無視すれば最善に思えるけど」

京太郎「あ、あんたまでそう言う事いうのかよ、狩宿さん」

巴「でもそういう懸念も無視できないでしょ?」

巴「ごめんなさい。須賀くんに訊くなんて卑怯だったね」

京太郎「そ、そんなこと……」

京太郎「……まあ俺は、あいつらに任すよ。この問題は」

京太郎「あいつら自身が決めればいい」


和「……無責任ですそんな――」


 ざりっ


和「!」
439 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/07(土) 16:01:49.20 ID:MPFJIxmN0


優希「のどちゃん」ぽん


和「優希……!」

優希「……」じっ

和「っ」じり

優希「私たちに、なんで凄い力が沸いたか知ってるか?」

和「え? それは自分が窮地になって――」

優希「違う。護りたい・って思ったからだじぇ」

和「……」

優希「咲ちゃんが、あの変な白い服着た男に襲われた時……」

優希「私は黙って見てることしか出来なかった」

京太郎「……」

優希「まったく、情けない奴だじょ……自分にがっかりだじぇ」

優希「友達を助けたくても、力が無けりゃ何も出来ない……」

優希「私は、弱虫だって」

和「……仕方ないですよ。それは――」

優希「仕方ない? 私はそんな簡単に諦めたくなかった」

優希「でも最後には、お祈りすることしか出来なかったんだじぇ」

優希「咲ちゃんを泣かす奴と一緒に、私の弱虫も吹っ飛ばせるような、力を貸してくれ……って」

優希「そして、その想いに、私の中の力は応えてくれた」

優希「護らせてくれたんだ。咲ちゃんも、私自身も」

和「……」

優希「未だ、のどちゃんは」

優希「私たちを"不運"って言うか?」じっ
440 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/07(土) 16:02:45.38 ID:MPFJIxmN0

和「……っ」

和「そんな……」

和「友達を護りたいと思ったから、能力が目覚めた……?」

和「そんな筈ありません。能力はそんなものじゃありません」

和「能力とは、そんな想いに応えてくれるようなものじゃありません!」

和「そんなオカルト――」


咲「原村さん」


和「宮、永、さん……」

咲「原村さん」

 ぎゅっ

和「!」


咲「お願い」


和「……っ」

優希「そう不思議がらなくても、私も咲ちゃんも、何かあったとき戦いたいだけだじょ」

優希「のどちゃんが私たちを心配してくれてるように、私たちも京太郎やあのお姉さんと――」

優希「のどちゃんを、心配してるんだから」

和「! そういう、ことでしたか」

優希「まっ、心配すんなっ! のどちゃん!」ぽん

優希「私も咲ちゃんもそんなにヤワじゃないじぇ」ふん


和「……」ぐっ

和「――解りました」

和「宮永さんも優希も、力を手放す気は無いと。そう言ってるんですね」

咲「うん」


和「ならば、試して差し上げましょう」

優希「じょ?」
441 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/07(土) 16:03:20.64 ID:MPFJIxmN0





和「覚悟です」


和「宮永さん。優希」


和「あなたたちが本当に、能力を持つに値する覚悟があるかどうか――」




 じゃらん!




和「私に直接、確かめさせて下さい」こぉ…




442 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/07(土) 16:04:13.72 ID:MPFJIxmN0


咲「!?」

優希「……ほう?」


優希「つまり、"試合"すればいいってことか?」

和「そうですね」

和「私と戦って、あなたたちが私を負かせば」

和「認めて差し上げましょう」


和「あなたたちの、覚悟を」


和「そして今現在の段階で封印するのは諦め――」

咲「ちょ、ちょっと待って原村さん!」

咲「私たちそんなつもりは――」

 しゅっ
 
優希「……」

咲「ゆ、優希ちゃん……?」


優希「咲ちゃん。別に私たちは血を流し合うわけじゃない」

咲「ちっ……!?」ぞく

優希「スポーツの試合のように、流すのは汗のみだじぇ」

和「勿論です。私も加減しますから」

優希「……加減、か」
443 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/07(土) 16:04:15.36 ID:6Eh60UX4o
京太郎結構イケメン選択肢選んでたから和の好感度上がって欲しいな
444 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/07(土) 16:06:18.74 ID:MPFJIxmN0

優希「それはどうかな?」にや

和「……?」

優希「"加減する"のはこっちの方だと言いたい」にや

和「へぇ……」

優希「……ちらっ」ちら


京太郎「……!」


優希「……」にっ

優希「のどちゃんの方こそ、私たちに認めさせてくれ」


 すっ


優希「本当に、私たちと並んで戦えるかどうかを……!」


 ぱくっ




優希「……」ごおっ!




京太郎「す、すごい……これが優希の……」ぶるっ
445 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/07(土) 16:07:29.84 ID:MPFJIxmN0

咲「きょ、京ちゃん」ふるふる

京太郎「ん?」

咲「いいの? 二人が喧嘩しちゃうよ……!」

京太郎「……喧嘩?」

京太郎「ははっ」


京太郎「そうかもな」


咲「それなら止めなきゃ……!」

京太郎「何言ってんだ、咲」


京太郎「お前も混ざってこいよ」ぽん


咲「えっ?」ぎょっ

ざり

巴「宮永さん。あなたは、力を持ち続けたいですか?」

咲「……はい」こくり

巴「聞けて良かった」にこ

巴「でも、それなら……あの頑固な原村さんを倒して認めさせるんですよ」

巴「力ずくで、あなたが能力者で在り続けられる事をね」

巴「それが出来ないなら、私もあなたが能力を持つことを許しませんよ?」

巴「私もどちらかと言えば、原村さんに賛成する心の方が強いですから」にや

咲「か、狩宿さん……!」ぶるっ

京太郎「そうだ。見せてくれよ咲」

京太郎「お前の、覚悟ってやつを」


咲「……うう」
446 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/07(土) 16:08:06.98 ID:MPFJIxmN0


〜〜



咲「リンシャンカイホー?」



「麻雀の役の名前だよ」

「『山の上で花が咲く』って意味なんだ」

咲「咲く?」


咲「おんなじだ! 私の名前と!!」


「そうだね。咲」


「森林限界を超えた高い山の上」

「そこに花が咲くこともある」



〜〜


 おまえもその花のように

 強く――


咲「……わかったよ」

咲「でも、怪我しない範囲でだからね」


京太郎「心配無用だ。怪我しても狩宿さんが治してくれるさ」

咲「そういう問題じゃないよっ」む
447 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/07(土) 16:09:50.99 ID:MPFJIxmN0


 ざりっ


和「……宮永さん」

咲「原村さん。私、原村さんと戦います」きりっ

和「……」ぴりっ


和「約束ですよ。あなたたちが勝てば、私は今この時間に於いて、あなたたちの能力を封印しません」

和「でも私が勝てば、能力の封印に、文句は言わせません」

和「ルールは、そうですね……喉許に手、もしくは武器を衝きつけた方が勝ち、そういうことで」


優希「タコスうまー」もぐもぐ

咲「うん。わかった」


咲「えっと……楽しく、試合しようね」ぐっ


和「たの、しく……?」ぴく

和「あまり、私は楽しくありませんよ……」ぼそっ



和「そうやって友達が、能力者の空気に染まる姿を見るのは……」



――
448 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/07(土) 16:11:39.08 ID:MPFJIxmN0


優希「準備は整ったな? なら……」

優希「――先手必勝だじぇ!」だだっ


 だだだ だだだだだだ


和(一週間前の襲撃の時。私たちと優希たちが合流してからも、聖兵(ゾルダート)の残兵は襲って来ました)

和(その時に四人一緒に戦って、私は宮永さん、優希、二人ともの能力を知っていましたが――)

和「確かに迅い。でも……その程度ですか」ぶんっ


優希「消えた!?」

京太郎「飛廉脚だ!」


【#4】
1. 優希、後ろだ!
2. 和いけぇぇー! 頑張レ!(ふりふり)
3. まあ、この戦いに俺が口出しするのもな……
 
安価↓1
449 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/07(土) 16:11:52.58 ID:TN6a7upao
3
450 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/07(土) 16:12:29.74 ID:6Eh60UX4o
2
451 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/07(土) 19:44:08.51 ID:MPFJIxmN0


京太郎「まあ、この戦いに俺が口出しするのもな……」


巴「……へぇ」

京太郎「な、何だよ狩宿さん」

巴「どっちかの陣営にアドバイスでも送るのかと思ったけど」

巴「そんな事はないんだ」

京太郎「……まあな」

京太郎「これはあいつらの戦いだ」

京太郎「俺はただ、見守るだけさ――」


――



 ひゅぅぅぅぅぅ



優希(後ろか!? しまった! 間に合わ――)



咲「嶺上開花(リンシャンカイホー)」



 ぶちゅっ…… 


 どどどどどどどどどどど



 ぱ く っ


和「!!?」

和(優希の、背中にぎりぎり接さないくらいの空間から)

和(白い花が飛び出して、その花弁が矢を包んだ!?)びく

452 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/07(土) 19:46:22.40 ID:MPFJIxmN0

咲「ふう……危なかったね優希ちゃん!」

優希「咲ちゃん!?」


和「今……一体何をしたんです?」


咲「"嶺上開花(リンシャンカイホー)"」

和「……麻雀用語ですか?」

咲「『山の上で花が咲く』って意味なんだって。素敵だよね」


咲「今はね、私は"山"を"優希ちゃん"と定義してたんだ」

咲「要するに今起こったのは、嶺の花が優希ちゃんの意思を感じて」

咲「優希ちゃんの身を護る為に、その背から自分を咲かせ、迫る矢を捕食した……」

咲「それだけのことだよ」


和「定義……? 一体どうやって……」

和「はっ! まさか……」


和「その手に握ってる栞ですか!?」


咲「流石原村さんだよ〜……隠してたけど、すぐ解っちゃうんだね」えへへ

 ぴっ

咲「うん。その通り。これは正確には栞じゃないんだけど……いっか」ひらひら

咲「この栞はね、対象に触れれば"自身を挟む"事が出来るんだよ。その挟んだ対象に――」

咲「――"種を蒔く"事が出来るの」


和「――……!!」


咲「私はただ、優希ちゃんが特攻していく直前に、この栞で優希ちゃんの背中をゆるりと撫でただけ」

咲「賢い原村さんなら、もう解るよね」


和「……っ」
453 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/07(土) 19:49:45.51 ID:MPFJIxmN0



咲「私のこの"フライリーフ"に挟まれた人・物は、花の咲く場所に変わる」



和「花の咲く場所……ですか?」

咲「そう、遥か高く山の頂・にね。その嶺からどんな花が咲くかは……私の心次第」

和「!」ぞくっ

優希「咲ちゃん……私は大丈夫なのか?」

咲「大丈夫。効果が続くのは短くて……ほんの数分だもん」

咲「取り敢えず、えっと……今優希ちゃんには、"盾の花"の種を蒔いてあるよ」

咲「危なかったら今みたいに守ってくれるはず」

優希「よしっ……それなら今の私は無敵ってことだじぇ」

優希「心置きなく特攻できるというもの!」だっ


和「……来ましたか」


和(差し当たり、優希は無視でも構わないでしょう。まずは厄介な能力を持つ宮永さんに対処します!)

和「成程! 宮永さん、それは確かに強力な能力です!」

和「しかし栞にさえ触れなければ、どうということはありません!」


和「こうして遠距離から矢を放てば、勝つのは容易い!」くいっ


ぱしゅん!


 ひゅぅぅぅぅぅぅ…


咲「……」

優希「咲ちゃん! 危ない!」
454 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/07(土) 19:51:58.52 ID:MPFJIxmN0

咲「大丈夫。優希ちゃん。そのまま原村さんに狙いを付けていて」


 ふわっ…


和「!?」

和(白かった栞の表面に、インクのようなものが染み出すように現れて、赤く――)


咲「フライリーフ。蓋(おお)え!」ひらっ


 びしゃぁぁぁぁぁああああああ


和「なっ……」

和「栞から……インクが空中に飛び散って……!」


咲「"嶺上開花(リンシャンカイホー)"」


 びしゅんっ びしゅんっ がきんっ!


和「!」たっ たっ

和(飛び散るインクが花に変わった――これは、この前見たことがあります!)たっ
 
咲「気を付けて」

咲「フライリーフに付着させた液は花壇と同じ。その花壇を飛び散らせたよ」

咲「そこには"刃の花"が咲き、散りゆく無数の花びらに触れれば肌を裂く!」

咲「――当たらないようにちゃんと避けてね、原村さん!」


和「まずいっ……でもこの程度なら、避けきれ――」たたたっ

455 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/07(土) 19:55:48.92 ID:MPFJIxmN0


 たんっ


優希「もらったぁ!」 がっ


和「! しまっ――」

和(優希の拳……迅い! 避け切れない!!)ぎゅっ



 ぴた



和「」ぎゅうううう


優希「そんなに強く目を閉じなくても」

優希「ちゃんと寸前で止めてるじぇ? 拳」

和「!」


どん!


優希「勝負ありだじぇ」にやり


和「そっ、そんなっ、嘘です――」


京太郎「いや、勝負ありだ」ざりっ…


和「須賀くん!」


京太郎「勝利条件は、相手の喉許に手か武器を衝きつけること……」

京太郎「確かに、条件は満たされた」


和「……っ!」ぎり
456 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/07(土) 20:04:23.31 ID:MPFJIxmN0

京太郎「っていうか、和おまえ、普通に矢を射ってたけど、当たれば怪我するとか考えてなかったのか?」

巴「おや。見えてなかったんですか? 須賀くん」

京太郎「え?」くる

巴「原村さんが放った矢の先端には、このようにふわふわが括り付けられていました」ひょい

京太郎「拾ったのか。確かにほんとだ。耳かきの梵天みたいな厚い"ふわふわ"がある」

京太郎「これなら当たっても痛くなさそうだ。せいぜいびっくりして動きが鈍るくらいだろう」


和「……」ぽけ


京太郎「おい、どうした和? 呆けた顔して」

京太郎「まさか自分が負けるなんて思いませんでした、って顔してるぜ」

京太郎「気分はどうだ?」


和「……」ぎりっ


優希「ま! これでのどちゃんにも認められて、晴れて私たちも能力者だじぇ」

優希「咲ちゃん大活躍だったじぇ♪」ぱしぱし

咲「えへへ……」

咲「そ、それじゃあ原村さん。これで――」


和「嫌、です……」むくり


咲「え?」
457 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/07(土) 20:06:58.58 ID:MPFJIxmN0


和「私は、宮永さんや、優希に、能力者になって欲しくありません……!」


咲「!」

京太郎「そう俯いて言うなよ。勝負は決まっただろ」

優希「のどちゃん。認めてくれないのか……?」


和「違います……確かに優希たちに覚悟と実力があるのは解りました。認めましょう」

和「良い事です。目も当てられぬ程に!」

優希「っ!」

和「そんな事とは別に……差し迫る危険なんかとも別に……」


和「私は! 友達に純粋に」むくっ

和「能力者になんか、なってほしくなかったんです!」つー…


巴「泣いてる……」

京太郎「の、和」


和「」はっ

和「」ごしごし

和「」つん


京太郎「和……」


【#5】
1. ……(すっとハンカチを差し出す)
2. 泣き顔もかわいいなぁ(ほわぁ〜)
3. [Speech44] 能力者が嫌いだって、言っていたな

安価↓1
458 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/07(土) 20:07:17.89 ID:LqzXGRZho
2
459 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/07(土) 20:17:13.72 ID:MPFJIxmN0


京太郎「泣き顔もかわいいなぁ」ほわぁ〜


和「っ!」びくん

和「」ぷいっ


京太郎「おいおい。もっと見せてくれよそのカワイイ泣き顔をよぉ」にやにや

巴「ち、ちょっと……意地悪いよ須賀くん」

優希「ふっ」ぽこ

京太郎「あてっ」すりすり

優希「全く。目も当てられない程趣味の悪い男だじぇ」やれやれ


咲「原村さん……」

咲「良かったらこれ……」すっ

和「あ、ありがとうございます。宮永さん……」きゅっ


咲「……大丈夫?」

和「何がですか? 何も心配されるようなことありませんっ」ぷい

咲「あはは……」

和「……私は」

和「私は、愚かで、未熟者ですね……」

咲「そんなこと……」
460 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/07(土) 20:33:58.12 ID:MPFJIxmN0

和「どうして、私がこんなふうに戦闘を始めたか……」

和「私は、宮永さんたちに、怖いって思ってほしかったんです」

和「今の、戦闘を。失敗してしまいましたが」


優希「ええ? 今のって、そもそも戦闘なんかじゃなかったじぇ。ただのじゃれあいだじょ」

和「……」


〜〜

「今のが戦闘? ちがうちがう、違うよっ」

「あんなん、ただのじゃれあいだって!」

〜〜

〜〜

「随分夜更かししてたみたいじゃないか」

「解っているとは思うが、"遊び"は程々にしておきなさい」

〜〜


和「……」

和「能力者にとっては、そうなのでしょうね」

咲「……?」


和「所詮私などでは、運命の歯車を止めるなど、到底叶わぬ事だったんですね……」


京太郎「おい、和――」
461 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/07(土) 21:23:17.72 ID:MPFJIxmN0






【#6】
1. 運命だと? らしくない言葉を遣うんだな
2. ……どういう意味だ?

安価↓1




462 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/07(土) 21:24:04.75 ID:Bc+SKZuwo
463 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/07(土) 22:00:58.42 ID:gPFVqpqj0
良い雰囲気のSSだな
464 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/08(日) 01:35:52.48 ID:uOcNaGbU0

京太郎「どういう意味だ?」


和「……」

和「どういう意味か、ですか?」

和「それは、いずれ解ります」

京太郎「満足出来ない返答だな」

和「満足させたい訳じゃありません」

京太郎「……教えてくれ、和。運命の歯車ってのはどういう意味だ」

和「……」

和「教えて欲しいのは、こっちなくらいですよ……」ぽつり


和「これが、私たちの唯一の運命なんでしょうか……?」


和「"過ぎたる炎は我が身すら灼く"」

和「私のお父さんは、能力者に殺されました」



京太郎「……」

京太郎「……えっ?」



和「……」


〜〜〜〜〜〜〜〜


たっ たっ たっ


和「はぁっ。はぁっ」たっ


がちゃ


和「ただいま帰りました、お父さん」きり

和父「……和か」
465 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/08(日) 01:37:20.49 ID:uOcNaGbU0


和父「ふん」

和父「その様子を見ると、また"彼女達"と遊んできたようだな」

和「……!」

和「はい……」ぎゅ

和父「"聖練"の程はどうだ」

和「ぼちぼち、です……」

和父「……」はぁ

和父「いいか、和」

和父「"彼女達"は確かに、私達と同じ能力者だ」

和「そうです。お父さん」

和父「だが忘れるな。能力者だからといって、"同類"という訳ではないんだ」

和「???」


和父「いいか、和。能力者の友達なんかつくるな」


和「!」きっ

和父「……」

和父「"一般人"と遊びなさい。能力とは無縁の、一般人と」

和「……しかし、お父さん。それなら疑問があります」

和「お父さんは何かと能力者を――蔑むかのような事を言いますが」

和「私に対してはたくさんの聖練を課して、まるで立派な能力者にしようとしているふうなのは、何故なんですか?」

和「そんな私に、一般人の友達など出来よう筈もないでしょう」つん

和父「……」

和父「済まない。それは教えられん」

和「……」ぎゅ

和父「だが、時が満ちれば、自然とお前にも解る筈だ」
466 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/08(日) 01:38:38.09 ID:uOcNaGbU0


ぽん


和「!」びく


なでなで



和父「能力者で在り続ける事はいつか我が身を滅ぼす」

和「!」

和父「更に悪い事には、知ってる者全てを――」

和父「地獄の業火で焼き尽くしてしまう事になるだろう」



〜〜〜〜〜〜〜〜


――

――――

―――――――――――



かつっ かつっ かつっ かつっ


 かつん…


「……戻ったか」



絹恵「はい」くいっ

467 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/08(日) 01:40:54.80 ID:uOcNaGbU0

絹恵「愛宕絹恵、ハオ・ホェイユー両名、ただ今銀架城(ジルバーン)に帰還致しました」

絹恵「……宮永照最高位(グランドマスター)」




照「……おかえり」




ハオ「最高位。陛下は今……」


照「陛下は御寝になられている」

ハオ「……そうでしたか」

照「御寝を妨げる事は罷りならぬ」

ハオ「……心得ています」


照「そう。それならいい」


照「さあ、二人ともソファに腰かけて」



照「平和の為の、報せを聞こう」



 -------------

  To be continued...
468 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/08(日) 01:42:40.84 ID:uOcNaGbU0

★☆★ here is the data of THE CHAPTER!! ★☆★

【#1 → 好感度上昇+2(咲、優希)】
【#2 → 好感度上昇+2(和)】
【#3 → 好感度上昇+4(和) 好感度上昇+1(咲、優希)】
【#4 → 好感度上昇+2(巴)】
【#5 → カルマ下降-2 好感度上昇+2(和) 】
【#6 → 好感度上昇+1(和) ルート・heart of pink】

◆現在の称号【清澄の守護者】
◆カルマ【+14】
◆所持金【44,000】
◆END(max)【100】

◇スキル
[Speech] 44
[Strength] 51
[Gift] 14
[Intelligence] 22 (+1)
[Lady-killer] 49

◇好感度
/咲/  32 (+3)
/優希/ 17 (+3)
/和/  11 (+9)
/巴/  37 (+2)
/ハオ/ 14
/絹恵/ 7

・訂正があります。
前までの話で、聖兵という単語の読みをゾルタートと表記していましたが正しくはゾルダートです。
469 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/08(日) 02:00:32.16 ID:6pzMmPN9o
470 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/08(日) 02:22:13.24 ID:ApUUyHjGo
おつなのよー
471 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/08(日) 05:50:20.56 ID:QzoeFfx9o
乙ですー
このっまのどっちの好感度育てていきたいな
472 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/08(日) 14:54:47.33 ID:uOcNaGbU0




ぼくは ただ 君に

さよならを言う練習をする




473 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/08(日) 14:56:02.93 ID:uOcNaGbU0








絹恵「どうですか」


絹恵「長野で買うた金鍔の味は」

絹恵「洋菓子以外は好まれませんか」



照「甘いものは好き……」ぱく



絹恵「ほっ……お土産に選んで良かったです」

照「うん。ありがとう」

絹恵「いえいえ。皆にも配ろう思うてるんで……」

照「それは良い考え」

絹恵「でしょう?」

ハオ「……あの、そろそろ本題に」

絹恵「……」ごくり

照「……それは今し方、あなたに聞いた」
474 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/08(日) 14:57:23.09 ID:uOcNaGbU0



照「賽は、須賀京太郎の手により破壊された」



ハオ「はい。極めて信憑性が高く――」

絹恵「とはいえ、誤った情報を掴まされただけかもしれません」

絹恵「お望みなら、彼らを囚えて、局に任せても――」

照「いい。絹恵」

絹恵「……よろしいのですか?」

絹恵「賽が真に破壊されたというならば、言葉だけで片付けてしまうのは――」

照「……」

絹恵「……失礼しました」

照「そう畏まらなくてもいい。絹恵」

照「賽の管理者は、須賀京太郎だった」

照「……ハオ」

ハオ「はい」


照「ハオは、須賀京太郎の言葉を信ずるに値すると思った」


照「それなら良い。私もハオを信じよう」

ハオ「……ありがとうございます」

照「……」じっ

ハオ「……?」
475 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/08(日) 14:58:21.08 ID:uOcNaGbU0


照「面白い」


ハオ「な、何故私を見て面白いと……」そわ

照「気にしないで」

ハオ「えっと……そうします」

照「これから忙しくなる」

ハオ「!」


照「蜘蛛(スパイダー)に情報を咬ませて」

照「統制王族院の人達も動き出すと思うから」


ハオ「――了解しました。最高位(グランドマスター)」


――――

―――

476 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/08(日) 15:00:40.57 ID:uOcNaGbU0


――



京太郎「殺された……だと!?」



和「……」

和「正確に言うと、私の父は死んではいません」

和「ただ、病院の暗い一室で、寝たきりの状態が続いているだけ」

京太郎「それって……」


和「声も祈りも届かない闇の中ただ眠り続けるその姿を――」

和「"死んでいる"と言わず何と言うんですか?」


京太郎「っ……」

和「だから私は、能力者が憎い」

和「父を殺した能力者という、"仕組み"そのものが――!」


【#1】
1. ……どうして、寝たきりに
2. 仕組みっていうのは?
3. [Speech44] "過ぎた焔は我が身すら灼く"

安価↓1
477 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/08(日) 15:01:52.64 ID:358ey4L0o
3
478 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/08(日) 15:39:59.73 ID:uOcNaGbU0

[失敗]


京太郎「"過ぎた焔は我が身すら灼く"」


和「……その通り」

和「よく聞いてるんですね。私の言葉を」

京太郎「泣いてる奴の言葉を聞き逃しゃしねーよ」

和「口だけはウマいようです」

京太郎「うるせーよ」

和「そして、勘も悪くない」

京太郎「……そりゃどうも」

和「"過ぎた焔は我が身すら灼く"」

和「私の父が、よく言っていた言葉です」

京太郎「……」

京太郎「どういう意味の言葉なんだ?」


和「秘密です」にや


京太郎「へぇ」

京太郎「謎の多い女には魅力があるって言うしな」

京太郎「無理に訊きゃしねーよ」

和「それは良かった。私の話など聞いたってつまらないですから」
479 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/08(日) 15:41:43.07 ID:uOcNaGbU0


和「それでは帰りましょうか。すっかり夜も遅い」


京太郎「おいおい。気になる事を言うだけ言って帰るのか」

和「口を滑らせすぎましたね。みっともないところをお見せしてすいません」

京太郎「いいけど……もういいのか?」

和「何がです?」

京太郎「咲たちが能力を持つことに、納得してないんじゃなかったのか?」

和「納得させられましたからね」ちら

和「ただ、二人とも約束して下さい。危なくなったら逃げること。逃げて……」

和「私の許に駆け込むことを」にこ

咲「うん!」

優希「了解だじぇ!」


京太郎「……そっか」

京太郎「まあ和がいいなら、いいや」

京太郎「じゃ、皆、帰るか!」ざっ


京太郎「……」

 すたすた すたすた

京太郎(去りゆく和の背中に、訊きたかった)

京太郎(親父さんの事とか、色んな事を)

京太郎(でも、そういう事は話したくなさそうだしな)

京太郎(俺はただ、告げるだけだ)

京太郎「和!」


【#2】
1. 気を付けて帰れよ
2. [Lady-killer49] お前は俺にとって憧れだ

安価↓1
480 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/08(日) 15:42:09.97 ID:bYTHUqu+0
2
481 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/08(日) 15:42:19.98 ID:QFeuTWaoo
482 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/08(日) 15:59:44.43 ID:oUlcufVFo
アコチャンダー
483 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/09(月) 21:25:26.18 ID:s0IJe5GJ0


[失敗]


京太郎「お前は俺にとって憧れだ」


和「えっ?」くる


京太郎「……あー」

京太郎「恥ずかしいから、あんまり言いたくなかったんだけどな……」ぽりぽり

和「?」

京太郎「別に。それだけ!」ふん

和「……」

和「そうですか。変な人ですね、須賀くんも」

京太郎「ウルセェよ」

京太郎「ただ見習うべきところが多いと思ってね」

京太郎「さっきの"試合"で、矢の先にふわふわを取り付けたり……」

京太郎「そういう心遣いとかもさ」

和「……別に、普通の事をしたまでです」

 すたすた


京太郎「……じゃあな、和」

京太郎「"過ぎた焔は我が身すら灼く"……か」ぼそり
484 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/09(月) 21:32:03.32 ID:s0IJe5GJ0


――翌日


優希「お、おおお……」ふるふる


咲「ゆ、優希ちゃん?」

京太郎「放っとけ。テストの出来が思いの外良いか悪いかで気が動転してるんだろ」

咲「どっちなんだろう……」

京太郎「ふぅーっ……」

京太郎「取り敢えず、今日の科目は終わったかぁ……」ぐく…

京太郎「良い手応えだ……昨日たくさん勉強したおかげかね」

京太郎「今回のテストは、今までと全然違う感じだぜ」にっ

優希「タコスぢからフルチャージで挑んだおかげでもある」

京太郎「それはお前だけだよ」

京太郎「咲はどうだった?」

咲「おかげさまで、私もいい感じだったよ」

京太郎「そっか」

京太郎「何にせよ、努力の形がこんな簡単にあらわれるってのは爽快だな」

京太郎「今日もやりますか、テスト勉強!」


和「それは何よりですね」ざりっ…


京太郎「和」
485 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/09(月) 21:33:40.94 ID:s0IJe5GJ0

京太郎「和はテスト、どうだった?」

和「まあ……そこそこです」

優希「つまり満点って意味だじょ」

和「違います」

京太郎「……定期テストは週末まで残ってんだ」ちら

京太郎「俺たちは今日、集まってまだまだ勉強しようって考えてるけど……」


【#3】
1. 和。参加する気はないか?
2. おっと悪い。和を誘うとかえって邪魔になっちゃうな、ははは

安価↓1
486 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/09(月) 21:34:23.86 ID:hBCRX0Mbo
2
487 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/09(月) 21:46:23.48 ID:s0IJe5GJ0


京太郎「……おっと」

京太郎「悪い。和も誘おうか・なんて思ったけど」

京太郎「お前にとっちゃ、かえって邪魔になっちゃうな、ははは 」


和「はぁ。そんなことありませんが」

京太郎「まあ、こっちが逆に気を遣っちまうんでね」

京太郎「勘違いするな。仲間外れにしたい訳じゃ無いぞ」

和「分かってます。お勉強頑張ってくださいね」

京太郎「言葉に棘があるな。やっぱり寂しいか?」

和「べ、別に……寂しくなんかありません!」ぷいっ

すたすたっ


優希「行ってしまったか……」

京太郎「じゃあ俺たちも行くぞ」

京太郎「昨日の喫茶店で良いよな? 咲」

咲「……もちろん」

咲「狩宿さんはどうするの?」


【#4】
1. あの人もどうせ暇なんだし勿論呼ぶよ
2. 帰ったら嫌と言うほど面倒見させちまうし、今は離れさせとくか

安価↓1
488 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/09(月) 21:46:40.25 ID:vk88OTSto
489 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/09(月) 22:07:30.63 ID:s0IJe5GJ0


京太郎「あの人もどうせ暇なんだし勿論呼ぶよ」


咲「……そっか」

咲「京ちゃんが家に帰ったらさ、もう夜だけど」

咲「狩宿さんは京ちゃんに、遅くまで付きっきりで勉強教える事になるだろうし」

京太郎「昨日もそんな感じだったな。まるで家庭教師みたいに」

咲「昼間も私たちに付いてちゃ、自由な時間が無くて疲れちゃうかなと思ったけど」

咲「京ちゃんが呼びたいなら仕方ないか」

京太郎「お。そういう見方もあるか」

京太郎「へぇ……咲」

京太郎「そんな気遣い出来る奴だったなんてな」うりうり

咲「出来ない人だって思われてたのかな……」

がちゃ すたすた すたすた…

490 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/09(月) 22:10:04.19 ID:s0IJe5GJ0


――


和「……行きましたか」じっ

和「あの優希まで張り切って勉強するなんて、思いもしませんでしたが」



 それは 淀み無く廻り続ける

 私達はその上で けして立ち止まることはない

 だけど いつか悚れを知り 振り返る時が来たならば



和「……悪くない変化ですね」




 私達は それを運命と呼ぶだろうか




491 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/09(月) 22:22:56.38 ID:s0IJe5GJ0





 ぴりっ…





和「――……!」ぞく

和「この感覚……まさか――……」


14. Prelude to shooting stars


――――

―――
492 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/09(月) 22:24:49.51 ID:s0IJe5GJ0


【六番隊隊長】
1. 石戸霞
2. 自由指定(一部キャラ無効)

安価↓1


【六番隊副隊長】
1. 薄墨初美
2. 滝見春
3. 自由指定(一部キャラ無効)

安価↓2


493 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/09(月) 22:26:15.05 ID:vk88OTSto
494 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/09(月) 22:28:08.09 ID:Y+NzZpz2o
495 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/09(月) 23:54:38.39 ID:s0IJe5GJ0


――


「座軸はどうかしら?」


 ぽりっ…


「此処で確定」ぽりぽり


「――ふんふむ……」

「確かに、この辺りに強い牌圧を感じるわね……」

「出ましょうか。地獄蝶を放ってくれる?」


「了解」

「……変わってるかな」ぽり…



「あの子のことかしら? 大丈夫よ」

「私たちの歩む道は同じだと信じてるもの」にこ



 -------------

  To be continued...
496 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/09(月) 23:55:55.76 ID:s0IJe5GJ0

★☆★ here is the data of THE CHAPTER!! ★☆★

【#1 → 好感度上昇+1(和)】
【#2 → 好感度上昇+1(和)】
【#3 → 好感度上昇+2(咲)】
【#4 → 好感度上昇+2(巴)】

◆現在の称号【清澄の守護者】
◆カルマ【+14】
◆所持金【44,000】
◆END(max)【100】

◇スキル
[Speech] 45 (+1)
[Strength] 51
[Gift] 14
[Intelligence] 22
[Lady-killer] 50 (+1)

◇好感度
/咲/  34 (+2)
/優希/ 17
/和/  13 (+2)
/巴/  39 (+2)
/ハオ/ 14
/絹恵/ 7
497 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/10(火) 00:27:27.71 ID:Pnk7hoSeo
おつ?
498 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga sage]:2015/03/10(火) 00:43:12.75 ID:1q2e78ta0
こんなスレでも見てくれる人には本当に感謝しています。
今夜はもう少しだけ続きます。
499 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/10(火) 00:44:24.16 ID:1q2e78ta0







 がちゃ


?「あら。久しぶりにこの喫茶店に来たけど」

?「やっぱりあなた似合うわね、その制服」


??「……茶化さんで良い。解っとるじゃろうに」

??「"奴ら"が、来とるぞ」


?「その話……」

?「テ・タレを飲んだ後でいいかしら?」


――――

―――
500 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/10(火) 00:45:32.71 ID:1q2e78ta0

――


「見つけた……」


「それじゃあ捕えましょうか」

「その前に、春ちゃん」


春「ん」ぽり


「解ってるわよね?」

春「勿論」

「あのお優しい総隊長の命令では、問答無用で捕えて、との事だったけど……」

春「"彼"に対しては、私が直接"様子を見て"」

春「"価値無し"と判断すれば……」


「そうね。殺してあげなさい」


春「……」ぽりぽり

春「変わってるかな……」

「あの子のことかしら? そんなに心配?」

「例え"罪人"でもやっぱり友達だものね」

春「……」ぽりぽり

「大丈夫よ。私は信じてるもの」

「あの子はずっと、私たちの許で暮らして来たのだから」

501 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/10(火) 00:46:59.80 ID:1q2e78ta0




「私たちの歩む道は同じだと、信じてるもの」にこ




 15. Nice to meet you, I will beat you.




和「この、感覚は――……」

和「……っ」


和(間違いありません)

和(強者の能力者が、町に侵入した――……!)ごくり

和(こうも堂々と、牌圧を隠さず町に来たとなると……)

和(恐らく接触はすぐ!)

和(ならば――……!)だっ


――


京太郎「いやー……この喫茶店、昨日に続いてまた来た、はいいけど」

京太郎「店員さんに引き攣った笑顔させちゃったよ……」

京太郎「また何時間も居座るんだろうな〜とか思われてんのかな〜俺たち」

巴「気のせいじゃない? 昨日と同じ店員さんだったの?」

京太郎「ああ」


【#1】
1. 胸の大きい人は一度見たら忘れない性質なんだ
2. 多分。ていうかあの制服、巴さん似合いそうだよね

安価↓1
502 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/10(火) 00:47:56.00 ID:tnoe6mdo0
2
503 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/10(火) 01:06:46.52 ID:1q2e78ta0


京太郎「多分。ていうかあの制服、狩宿さん似合いそうだよね」


巴「えっ……?」

巴「……」ちら


巴「あ、あのメイド服……みたいなやつ?」ぴく


京太郎「そう!」にっ

京太郎「あんなふうに長いスカートとエプロンを着て」

京太郎「頭にあのひらひらを付けた狩宿さんに接客された日には……」ぽわわ

京太郎「きっと俺は……」ぐぐぐ

巴「妄想もその辺にしといてくれるかな? なんだか怖いんだけど?」

京太郎「あはは、ごめん。でも、似合いそうなのは本当だぜ」

京太郎「着てみたくない?」ずいっ

巴「うーん……メイド服かぁ……」

巴「ちょっと恥ずかしいけど、一回なら……」

京太郎「別に恥ずかしくないと思うよ。ミニスカのタイプじゃないんだし」

京太郎「俺の目には、実際着てみたらまんざらでもなさそうにしてる狩宿さんの姿が見えるぜ」

巴「そうかなぁ」じとー

巴「……メイドと言えば、須賀くんの執事姿も見てみたい気がするな」ふふ

京太郎「うぇっ、俺の!?」
504 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/10(火) 01:09:47.09 ID:1q2e78ta0

巴「うん。きっと似合うと思うよ」にこ

京太郎「いやいや、ないない」ふりふり

京太郎「そういうのが似合うのは、俺よりもっと身長高くて黒髪のイケメンだけっすよ」

巴「え?」

京太郎「?」

巴「……」じー

巴(須賀くんを上回るって、だいぶ厳しい条件だね……って、何考えてんだか私)

巴「でも着てみたくない?」

京太郎「まあ、一回くらいは」

巴「ふふ。私と同じだ。やっぱり一回くらいそういうのも着てみたいよね」

京太郎「お、おう。なんか急に余裕出してきたな……」


咲「京ちゃんの執事姿かぁ……」ほわほわ

優希「もし京太郎が執事を目指すなら、私に仕えさせてやらんでもないじょ」


【#2】
1. 誰がお前に仕えるか!
2. さ、咲……?
3. 狩宿さんがメイドで俺が執事なら完璧じゃない?

安価↓1
505 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/10(火) 01:12:44.74 ID:Pnk7hoSeo
3
506 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/10(火) 01:31:01.10 ID:1q2e78ta0


京太郎「狩宿さんがメイドで俺が執事なら完璧じゃない?」


巴「えっ、と……」

巴「何が完璧なのかわかんないんだけど……」

京太郎「いや、何かすっげー富豪とかにさ、俺と狩宿さんが仕えてたとするじゃん?」

優希「私じゃなくてか?」

京太郎「お前が富豪になったら仕えてやるよ」ぽん

京太郎「で、俺が紅茶を淹れて、富豪の少し後ろで狩宿さんがほほ笑んでて……」

京太郎「そういうのが中々、良い画になると思わない?」

巴「……」

巴「私が、失敗ばかりする須賀くんのお目付け役、といったところかな?」

京太郎「いやあ、それはどうなんだろ」

巴「でも……」

巴「そうだね……良い画……かも、しれない」

優希「そして秘伝のタコスを提供して、共に頂く、と……確かに良い画だじぇ」

京太郎「どんな画なんだ」

巴「あはは」

巴「じゃ、そろそろ何か頼んで、勉強しましょうか」

巴「店員さんもこっちを見てるような気がするしね」
507 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/10(火) 01:51:01.82 ID:1q2e78ta0

――――

―――

――


春「神経適合率100%……」かちゃ

春「確かに、あの赤毛のポニーテール……」

春「狩宿巴本人で間違いない」ぽりっ


「そうねぇ」

「少なくとも見かけは変わってなくて安心したかしら?」


春「別に……」


「でも、周りに何人か取り囲んでいるわね……」

「あの金髪の子が須賀京太郎くんね?」

「そしてちっちゃい子が片岡優希ちゃん、大人しそうな子が宮永咲ちゃん……」

「あらあら。リストにある子全員じゃない」

「でも今は……」


春「必要なのは、須賀京太郎と狩宿巴のみ」


「その通り」

「さて……自然と引き離れてくれるものなのかしらね」


春「……私に案が」ぽりぽり……


――――

―――
508 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/10(火) 01:52:31.02 ID:1q2e78ta0


――


咲「はっ……」


咲「そうだ、勉強しに来てたんだったよ……」

咲「あまりにも執事姿の京ちゃんが良さそうすぎて……」

咲「って、何でもない! 何も言ってないからね京ちゃん!」


京太郎「で、三角関数のこの例題は――」

巴「ああ。これはね……」


咲「……うん。集中してるのは良い事だよね」

優希「ん? どうした咲ちゃん?」

咲「な、何でも」


京太郎「……ん?」

京太郎「……」


 ぶぶぶぶぶぶ


京太郎(携帯の着信……)


京太郎(非通知、か……)
509 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/10(火) 02:23:05.70 ID:1q2e78ta0

京太郎「わりっ……」

巴「須賀くん?」

咲「どうしたの?」

京太郎「ん……いや」

京太郎「ちょっと厠に行ってくるわ」がた…


すたすた…


優希「勉強も始まったばかりだっていうのに、水を差す奴だじょ」

巴「まあまあ……」

咲「京ちゃん携帯見てた……多分着信あったんだよね」

咲「誰だったんだろう……?」


優希「だが京太郎が居ないおかげで機会が出来たじぇ」

咲「機会? 何の?」

優希「狩宿のお姉さん!」びっ

巴「えっ? な、何?」

優希「訊くけど……」
510 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/10(火) 02:25:30.24 ID:1q2e78ta0


優希「お姉さんは、京太郎のこと好きなのか?」


巴「っ」ぼふっ ← 紅茶を噴き出す音


巴「……」ぼたぼた

巴「は い ?」


優希「ていうかぶっちゃけ今京太郎とどういう関係?」

巴「どうって……友だ」

咲「ちょっと優希ちゃん! その訊き方ストレートすぎるよ……!」あせあせ

優希「咲ちゃんが気にしてるくせに訊けてないから私が代わりに訊いてあげてるんだじぇ」

咲「わ、私は別に……」

巴「……」ふきふき


優希「で、結局のところどうなんだ?」

優希「お姉さんこっちに来てからずっと京太郎と暮らしてるようだが!」

優希「それで京太郎のこと、特にどうこうってワケじゃないのか?」


巴「……」ふき…

巴「須賀くんは……」


511 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/10(火) 02:26:52.85 ID:1q2e78ta0



巴「ただのお友達だよ」にこ



 好きだの

 嫌いだの


 面倒なことだ



優希「え……マジで?」

巴「うん」

優希「恋愛感情ないのか……?」

巴「うん」

優希「これっぽっちも……?」

巴「小指の甘皮ほどもないよ」


 思慕の情など 面倒なことだ


咲「そっか……」

512 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/10(火) 02:28:09.65 ID:1q2e78ta0

咲「なぁーんだ……あんなに近い距離で話してたから……」

咲「勘違いしちゃった……」

優希「そんなに近づいて話してたか?」

咲「実際の距離じゃなくて……」

巴「……」



 いずれ離れねばならぬ場所ならば

 それは枷にしかならない


 思慕の情など


 本当に 本当に 面倒なことだ



咲「心の……距離だよ」

巴「……」




 まして それを 羨む感情など




513 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/10(火) 02:56:19.56 ID:1q2e78ta0


 どれも能力者には 必要のない感情だというのに――


巴「――……」

巴「少し、こちらの世界に長く関わりすぎたかな……」



「流石。よく解ってる」



巴「……」


巴「…………」



巴「……………………」





巴「!!!!!?」きょろ きょろ





咲、優希「……」zzz...


巴「宮永さん。優希ちゃん!?」がばっ

巴「そんな……莫迦な! 今、ついさっきまで普通に話してたのに……」


巴「今は机に附して、眠っちゃってる……どうして」がくぜん


 きょろきょろ


巴「見渡せば他の客も全員眠っちゃってる……一体これは……」


巴「一体これはどういうことだって言うの!!?」

514 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/10(火) 02:57:25.81 ID:1q2e78ta0



かつ かつ かつ かつ 


 かつ かつ かつ かつ



  かつん……



「せっかく、他のお客さんにはぐっすり眠ってもらったのに」

「あなたがそんなに声を荒げたら、可哀相」


「皆を夢から、醒ましてしまう」


「そうでしょ。巴さん」ぽりっ…



巴「あなたは――……!」

巴「春……滝見春ですか!!?」



春「……」ぽりぽり



すたすた すたすた

すたっ…


巴「……どうして」
515 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/10(火) 02:58:21.92 ID:1q2e78ta0


春「……」ぴく


春「統制王族院の追っ手が迫ってたっていうのに……」

春「此方が声を掛けるまで気が付かないなんて……」

春「いくら能力を失ったからと言って、気が弛みすぎ」ぽりっ


巴「……っ」


春「"人間への能力の譲渡"は重罪」ぽりぽり

春「その処刑を刑軍じゃなく私たちに任せたのは上なりの優しさだと思う」

巴「!」


巴「私たち――……!?」


巴「っ……!!」

巴(この牌圧は――……!!)


春「そうだよね……"石戸霞隊長"」

516 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/10(火) 02:59:34.75 ID:1q2e78ta0







霞「……」

巴「――……」





517 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/10(火) 03:00:16.15 ID:1q2e78ta0





巴「霞……さん……!!」



霞「巴ちゃん……」にこ




518 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/10(火) 03:02:21.64 ID:1q2e78ta0

春「……」

 ぽり!

巴「っ!」


春「焦らされるのは好きじゃない……」


春「出てきて」


春「様子を窺ってるのは分かってるから」

春「須賀、京太郎」




京太郎「……へぇ」ざりっ…




巴「須賀くん……!」

京太郎「流石、統制王族院の調査員って奴らだな。気配がバレバレらしい」

春「調査員……? 違う」

京太郎「じゃあ何だってんだ」

春「六番隊副隊長滝見春」

春「こちらの大きいほうは同隊隊長の石戸霞」


霞「よろしくお願いしますね、須賀京太郎くん」にこ


京太郎「……」


【#3】
1. 丸腰の女の子相手に能力者が二人……見ててあまり気持ちの良いものじゃないな
2. よ、よろしくお願いします!(じぃー)

安価↓1
519 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/10(火) 03:02:39.00 ID:LVXcbIrlo
2
520 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/10(火) 03:32:03.79 ID:1q2e78ta0


京太郎「よ、よろしくお願いします!」じぃー


春「どこを見てるのか……」ぽりぽり

京太郎「お、おっと、いけないいけない」

霞「あらあら……面白い子ね」


京太郎「……それで」

京太郎「この状況は何だ?」

京太郎「どうして皆眠ってる?」

京太郎「咲たちに何をしたんだ!」


霞「安心して大丈夫よ。須賀京太郎くん」

霞「少し鬼道で眠ってもらっただけ……」

霞「電話を掛けたら都合良くトイレに行ってくれたあなた以外、全員ね」

霞「人体に何も害はないし、数分経てば目覚めるようにしてあるわ」

霞「私たちが話し合うのに邪魔だと思ってね」

京太郎「邪魔……ね」

京太郎「話し合いと言ったな。何を話したい」

京太郎「俺は話したいことなんか特に無いぜ」

521 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/10(火) 03:49:20.22 ID:1q2e78ta0


霞「本当にそうかしら?」


京太郎「……」

霞「星の十字結社に襲われたのは……一度や二度ではないそうね」

霞「なんとかその場凌ぎで退けているようだけど……」

霞「正直、辛いんじゃないかと思ってね」

京太郎「……」

京太郎「何が言いたい?」


霞「魅力的な提案があるの」


京太郎「何だと? 提案?」

霞「でも、本当に須賀京太郎くんが、その"提案"をするに値する"能力者"かどうか」

霞「テストをさせてくれないかしら?」

京太郎「テストね……悪いけど今、高校はテスト週間でね」

京太郎「能力を試されるのにはもううんざりなんだ」

霞「拒否権は無いわ」

京太郎「……そうかよ」ぎり
522 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/10(火) 03:51:57.75 ID:1q2e78ta0

霞「春ちゃん」


春「ん」ぽり


京太郎「……」

霞「今から、この春ちゃんと……」



霞「戦いを始めてくれないかしら?」



京太郎「――なるほど」

京太郎「それがテストか」

霞「御名答」

霞「春ちゃんに勝てば、私からあなたに魅力的な提案をさせて頂くわ」

霞「でももし負けたら……残念ね」


霞「そのまま死んでもらう。致し方ない」


京太郎「……」ぞくっ

京太郎(クソ……何ビビってんだ俺は……)
523 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/10(火) 03:52:57.79 ID:1q2e78ta0

京太郎「いいぜ。乗った」

霞「良い返事ね」

京太郎「拒否権は無いんだろ?」

霞「わかってるじゃない」にこ


巴「だ、ダメ! 須賀くん!」


京太郎「狩宿さん」

巴「言ったでしょ。約束したよね。私が罪人として向こうに行って」

巴「須賀くんは此処で――」

京太郎「ああ。でも」

京太郎「どうやら向こうが許してくれないらしいぜ」


霞「そうね」

霞「予想が外れたかしら……巴ちゃん」

霞「でも……ただあなたを連れ帰るだけじゃ、総隊長さんが満足しないみたいでね」


巴「……!」

京太郎「取り敢えず、向こうの話に乗ってみるしかねえ」

巴「でも、春ちゃんと戦うなんて……」


 ぽり!


春「いつまで待てば良い?」ぽりぽり…
524 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/10(火) 03:53:47.89 ID:1q2e78ta0

霞「あらあら……」

春「早く始めたい」ぽりぽり

霞「疼いちゃってるわね……仕方ない子」


京太郎「待て。その前にこっちの頼みを一ついいか」

京太郎「場所を移したい」


春「……良いよ」ひゅっ



 ざんっ!!!



京太郎「迅いな……」

巴「瞬歩(しゅんぽ)ね……王族院の能力者の高速歩法」

京太郎「へぇ……」

霞「表に出てすぐ左を曲がった、大広場に行っちゃったみたいね」

霞「人払いの鬼道はかけておくから、安心して暴れていいわよ、須賀京太郎くん」

京太郎「そりゃどうも」すたすた

 がちゃ

525 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/10(火) 03:55:03.58 ID:1q2e78ta0


 ひゅおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ…


春「改めて言う」

春「滝見春。六番隊副隊長。それが私」


京太郎「何だ急に?」


春「別に。ただ……」ぽりぽり

春「自分を倒した相手の名前くらいは知っておきたいだろうから」ぽりっ


京太郎「へぇ」


【#4】
1. その黒糖、美味そうだな
2. 気に喰わねえ奴だ

安価↓1
526 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/10(火) 03:56:52.20 ID:1k0XjUdAO
527 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/10(火) 04:14:08.24 ID:1q2e78ta0


京太郎「その黒糖、美味そうだな」


春「!」

 ぽり…

春「……その距離から、これが何か良く判った」

京太郎「俺もよく食べるものでね」

春「……!」

春「そうなんだ……」

春「もしもの、話だけど……」


春「あなたが勝てたなら……この黒糖、分けてあげる」


京太郎「……へえ、いい事聞いた」

京太郎「じゃあ俺も、名乗んなくちゃな」

春「!」


京太郎「須賀京太郎!」

京太郎「お前を倒す男だ! よろしく!」


 -------------

  To be continued...
528 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/10(火) 04:14:38.10 ID:1q2e78ta0

★☆★ here is the data of THE CHAPTER!! ★☆★

【#1 → 好感度上昇+2(巴)】
【#2 → 好感度上昇+2(巴)】
【#3 → 好感度上昇+2(霞) カルマ下降-2】
【#4 → 好感度上昇+4(春)】

◆現在の称号【清澄の守護者】
◆カルマ【+12】
◆所持金【44,000】
◆END(max)【100】

◇スキル
[Speech] 45
[Strength] 51
[Gift] 14
[Intelligence] 22
[Lady-killer] 50

◇好感度
/咲/  34
/優希/ 17
/和/  13
/巴/  43 (+4)
/ハオ/ 14
/絹恵/ 7
/霞/  2 (+2)
/春/  4 (+4)
529 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/10(火) 04:54:26.90 ID:Pnk7hoSeo
霞さんのは牌圧と言うよりパイ圧…いやなんでもないです
530 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/10(火) 06:10:27.47 ID:zhfyuV+Lo

春好きだから嬉しい
のどっちの好感度はまだまだだなあ、もっとあげたい
531 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/10(火) 07:53:37.28 ID:IqW3/jzro
乙です
532 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/10(火) 12:23:20.98 ID:tChjqe3ro
乙ー
533 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/10(火) 12:30:20.38 ID:g2RPLYSVo
乙乙
534 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/10(火) 18:08:19.13 ID:1q2e78ta0







じゃらん!


京太郎「ふぅ……ん?」


春「……」


京太郎「何驚いてんだ? 滝見春」

春「……いや」


春「随分と大きい刀だ、と……そう思っただけ」ぽりぽり


京太郎「なんだ、やっぱりでかいのか、俺の刀」

京太郎「何しろ今まで比べる相手がいなかったもんでね」

春「……」ごそ…


じゃらん!


京太郎「……確かにあんたの刀は普通のサイズだな」

春「……」かちゃ
535 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/10(火) 18:10:08.46 ID:1q2e78ta0



 だん!



京太郎「来い!」


 がっ


京太郎「止めたぜ! 斬撃!」

春「……」ぎぎぎぎ


ぶんっ

がっ

がっ



 がちゃん!



がっ ががががががががががが




京太郎「テストだと言ったな。じゃあこの状況はどう見るよ」ががが

京太郎「互いにこうして刀を振るって、受け止め合いをしている。つまり……」がががが

京太郎「俺はあんたの動きについていけてる・ってことだぜ……悪くない感じだろ」がが

春「そう思う?」きんっ
536 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/10(火) 18:11:33.91 ID:1q2e78ta0

京太郎「決めるぜ……おらぁっ!」ぶんっ


 ごっ


京太郎(地面に振り抜いた……)

京太郎(躱されたか……瞬歩ってやつだな)


こうっ


京太郎「――! 後ろか!」


春「……」かちゃ

京太郎「わかってるぜ。来いよ。返り討ちにしてやる」がちゃ…


 ぶんっ!


【#1】【END100】 
01〜49 → 春の刀が通る
50〜00 → 京太郎の刀が通る

コンマ判定↓1
537 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/10(火) 18:12:36.68 ID:gupW1dP2o
いよっ
538 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/10(火) 18:23:03.77 ID:1q2e78ta0


[成功]


春「……!」


 びゅっ!


たったったっ……

ざり…


京太郎「退いたか……」

京太郎「痛かったか、なんて心配はしねえぞ。あんたらが仕掛けた戦いだ」


春「わかってる」つー


京太郎「通ったな、俺の刀が」

春「……」

春「こんな人に……」

京太郎「こんな人だ?」ぴく

京太郎「どうやら俺如きに一撃貰ったのが気に喰わないみたいだけど」

京太郎「油断して掛かったのか、それとも、これがあんたの実力なのか……」

春「……」ぴく

京太郎「何にせよ、これが現実だぜ。受け止めるんだな」

春「……」ぽりぽり

春「だって……あなたの刀」

春「大きいばかりでみっともないことこの上ない」ぽりっ

京太郎「……何だと?」
539 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/10(火) 18:34:18.90 ID:1q2e78ta0

春「言ってるだけ。あなたは、その刀に纏っている……」

春「"牌の加護"を御しきれてないのが丸見えだって」ぽりっ

春「訊くけど、須賀京太郎」


春「その刀の名は何という?」


京太郎「……え?」

京太郎「名前!?」

京太郎「ね、無えよそんなモン……」

京太郎「ていうか刀に名前なんか付けてんのか、あんたは!?」


春「やっぱり」ぽりっ


京太郎「……?」ぴく


春「自分の刀に名も訊けない」

春「そんな人がこの私と対等に戦おうなんて……」


春「二千年早いよ」



 ずあっ……


540 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/10(火) 18:37:26.14 ID:1q2e78ta0


京太郎「!!?」


京太郎「刀の形が変化した!!?」



春「……」ぽりぽり


 ぽりっ



京太郎「!」ぞくっ



【春の唱えた解号は……】
1. 吼えろ
2. 打っ潰せ
3. 面を上げろ
4. 弾け
5. 刈れ
6. 唸れ
7. 潰せ
8. ぶっ手切れ

安価↓1

541 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/10(火) 18:41:19.93 ID:3dd0OOHco
542 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/10(火) 18:50:31.22 ID:g2RPLYSVo
咲日和かな?
543 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/10(火) 19:01:16.16 ID:1q2e78ta0


春「刈れ」





春「風死(かぜしに)」





京太郎「――……!!」



 ひゅん ひゅん ひゅん ひゅん


 ひゅっ


 がっ!



春「……」ぽりぽり

京太郎「……」
544 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/10(火) 19:03:05.41 ID:1q2e78ta0

京太郎(あれが刀……!?)

京太郎(長い柄の先端に二枚の刃が付いた、どちらかと言うと鎌に見えるぜ)

京太郎(その鎌の柄の後ろのほうに鎖があって、もう一つの同じ鎌を繋いでいる)

京太郎(二本の鎌……あれが刀と呼べるのか?)


京太郎「それが……刀、だって?」


春「そう。これが私の刀」

春「『風死』」ぽりっ

春「あまり好きじゃ、ないんだけど……」


京太郎「? どういう意味だ……」


春「別に。そのままの意味」

春「私はこの刀の、形が気に入らない」

春「だって見て、この形」

 すっ……

545 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/10(火) 19:03:53.99 ID:1q2e78ta0






春「命を刈り奪る、形をしてるでしょ?」






京太郎「――……!!!」ぞくぞくっ



 び ゅ っ 



【#2】【END100】
1. [Strength51] 読み切るしかねえ……動きを!
2. [Lady-killer50] 怖ぇ……!(半歩退がる)

安価↓1
546 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/10(火) 19:04:15.50 ID:g2RPLYSVo
2
547 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/10(火) 19:05:39.52 ID:3dd0OOHco
以上失敗だったっけ
以下成功だったっけ
548 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/10(火) 19:23:35.93 ID:1q2e78ta0


[失敗] 【END100】 → 【END50】


 ご ぐ ん!


京太郎「……〜〜っ!!」


 ぶしゃああぁぁぁ……

 どくん どくん



 ひゅん ひゅん ひゅん ひゅん



春「……」

京太郎「ぐあ……」

春「ごめんね、須賀京太郎」

春「でも、これが"力の差"。あなたの言う、これが現実」

春「能力者の刀は持つ者の牌圧によって力も大きさも変わっていく」


春「この刀が私の、力の姿」がちゃ


京太郎「……」

春「一つ、訊きたい……」

春「どうして、半歩退がったの?」


【#3】
1. 怖かったから……
2. 刀の軌道を読もうとした結果だ

安価↓1
549 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/10(火) 19:24:16.01 ID:zAZTawmyo
2
550 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/10(火) 19:30:58.11 ID:1q2e78ta0


京太郎「刀の軌道を読もうとした結果だ」


春「……そう」

春「それは頑張ったね」

春「残念な程に」

京太郎「……」

春「そろそろ片付けて、帰らせてもらう」ぽりっ



巴「……」



巴(初撃で、力の差を思い知る)


巴(そうすれば自分の力量では敵わぬことを悟り)

巴(傷の浅いうちに退いてくれるのではないか)

巴(そう願っていた)

巴(けど、須賀くんはきっと、そんな理由で退きはしない)

巴(そのことも、わかっていた気がする)


春「……」ざりっ…


巴(まだ動ける? 須賀くん)

巴(動けるなら今からでも良い、逃げて)

巴(はやく)

巴(お願い)

巴(はやく)

巴(逃げて!)
551 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/10(火) 20:06:44.81 ID:1q2e78ta0


がしっ


春「……っ!?」

巴「……」


春「巴さん……何のつもり?」

春「放して」

巴「逃げて須賀くん!」

巴「立ち上がって、逃げて!」

春「っ……この……」



 がっ!!!!!!



春・巴「「!!」」


京太郎「……」がちゃ


春「まだ動く力が残ってたんだ……」
552 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/10(火) 20:07:30.32 ID:1q2e78ta0

春「丁度良い。ただ死にかけの人に止めを差すのも気が引けてたところ」

春「まだ動けるなら……」

春「斬り合った上で、敗けて欲しい」ぽりっ


ごうっ!


巴「須賀くん! 立てるなら早く逃げて!」

巴「すがく……」ぴく




京太郎「……」




春「……?」

春「来ないなら此方から行かせてもらう」

京太郎「……」ちりっ ちりっ

553 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/10(火) 20:08:08.16 ID:1q2e78ta0





京太郎「……」こぉぉぉぉぉおおおおおおおお




春「!!?」

春(何、この牌圧の上がり――!!)





【#4 これで決着だ】【END50】
01〜50 ……(突進する)
51〜00 敗ける気が全然しねえっ!

コンマ判定↓1
554 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/10(火) 20:08:22.78 ID:3dd0OOHco
555 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/10(火) 20:13:24.57 ID:1q2e78ta0


[成功]


春(動きが……読め――……)


 だんっ!


春「!」

 ぷしゃっ…

春「何……」


とん とん とん

京太郎「……」にや


春「この……っ」ひゅっ






 どん!!!!!!!!!



春「あぐっ……」ずさぁぁ

春(莫迦な……風死が受け止めきれなかった――!?)けほけほ
556 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/10(火) 20:17:34.82 ID:1q2e78ta0

春「……」かちゃ

春(……どういうこと?)

春(何? この人の牌圧は……)

春(さっきまで、私の風死をもろに受けて、死にかけてた筈なのに……)

春(どっからこんな力が沸いている……!?)


京太郎「どうした?」

春「!」


京太郎「えらく動きが鈍くなったじゃねえかよ、急によ!!」



春(違う! あなたが迅くなっただけ!)



京太郎「はっ」

京太郎「何でだかよくわかんねえけど」

京太郎「良い気分だ! 今!!」

京太郎「傷の痛みもねえ!」



京太郎「あんたに敗ける気も」

京太郎「全然しねえっ!!」



春「……!」びりっ びりっ


春(この人……!)

春(喋るだけでメチャクチャな牌圧が飛んでくる……!)

春(重いっ……!)びりっ…

557 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/10(火) 20:19:34.70 ID:BhoDdNGQo
おおお熱い
558 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/10(火) 20:20:58.57 ID:1q2e78ta0

霞「……」


京太郎「終わりにしようぜ」


春「!」ぞくっ



京太郎「俺が勝って……」

京太郎「終わりだ!」



 ぞく ぞく ぞく


春「〜〜っ!!」ぴりっ


 だだだ だだだ

 ぶんっ

 ごおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ 


春(まずい……!)ぎゅ


 ぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおお




559 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/10(火) 20:24:08.79 ID:1q2e78ta0





 お





京太郎「!?」

京太郎(何だ……?)ぎょっ



京太郎(刀身が――消えた!!?)



京太郎「っ」ちら

春「……」あぜん

京太郎(違う。あの子は何もしてない)

京太郎(ってことは……)


京太郎「……!!」ぎゅるん!


霞「……」


京太郎「な……」ごくり
560 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/10(火) 20:25:34.91 ID:1q2e78ta0


 どっどっどっどっどっどっどっど


霞「……」


京太郎(……折れた俺の刀の刃を、掴んでいやがる……)どっ

京太郎(じゃああの人が!? まさか! 家屋二つ分の距離があるんだぞ!)どっどっ

京太郎(あんな間合いから、何も出来る筈がねえ!!)どっどっどっど…


霞「……」すっ

 かちゃん


京太郎(折れた刃を、地面に落とした……)


霞「……」


京太郎(自分の刀に手を伸ばすか? ……なら)

京太郎(来るか!!?)ごうっ


霞「……」ちき

561 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/10(火) 20:26:21.34 ID:1q2e78ta0




霞「……」


京太郎「――……」



562 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/10(火) 20:26:48.28 ID:1q2e78ta0


京太郎「え……」



 ずしゃあああぁぁ



京太郎「ぐふっ……」ふらっ





 なんだよ これ?


 やられたのか? 俺


 後ろから刺されたのか 前から刺されたのかも わからねえ


 俺に見えたのは ただあの人が俺の隣を 通り過ぎる姿だけ



 痛え




563 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/10(火) 20:27:29.85 ID:1q2e78ta0


霞「鈍いわね」


京太郎「――……」




霞「倒れることさえも」




巴「!」

巴「霞さん!!」

春「……」ぐっ…


 どっ


京太郎「ちくしょう……」



 ど さ っ



564 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/10(火) 20:30:44.78 ID:1q2e78ta0


霞「"合格"」


京太郎「……」ぴく


霞「テストには"合格"と、告げておくわ」


京太郎「何だと……」

霞「よくやったわ。あの春ちゃんの"風死"の攻撃をも凌ぎ……」

霞「それどころか、逆に春ちゃんを押してさえいた」

霞「文句の付けようもないわ。流石――」

霞「総隊長さんが目を付けるだけはあるといったところかしら」


京太郎「……何言ってんだ」



霞「それじゃあ、私から提案と……慈悲を」

霞「あなたに、"選択肢"を与えましょう」にこ




16. 名も訊けぬ子供


 -------------

  To be continued...

565 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/10(火) 20:34:05.05 ID:1q2e78ta0

★☆★ here is the data of THE CHAPTER!! ★☆★

【#1 → 好感度上昇+2(春)】
【#2 → 好感度上昇+1(春)】
【#3 → INT+1】
【#4 → 好感度上昇+4(春) 好感度上昇+2(霞)】

◆現在の称号【清澄の守護者】
◆カルマ【+12】
◆所持金【44,000】
◆END(max)【100】

◇スキル
[Speech] 45
[Strength] 51
[Gift] 14
[Intelligence] 22
[Lady-killer] 51 (+1)

◇好感度
/咲/  34
/優希/ 17
/和/  13
/巴/  43
/ハオ/ 14
/絹恵/ 7
/霞/  4 (+2)
/春/  11 (+7)
566 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/10(火) 20:49:05.74 ID:g2RPLYSVo
567 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/10(火) 20:52:31.24 ID:ylD8Qd9Lo
おつー
568 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/10(火) 20:56:48.91 ID:AQJBOji60
乙乙
はるる、かなり上がったな
569 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/10(火) 21:03:52.62 ID:NbBoJh8do
乙です
570 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/11(水) 01:06:53.47 ID:hMZeNEx50







春「……」


春(久々に見た)


春(やっぱり、霞さんは凄い……)

春(剣を抜いた瞬間も)

春(収めた瞬間さえ見えなかった)

春(私でこの様じゃ……)

春(この人には何が起きたのかも、理解出来てないだろうな……)ちら


京太郎「」ごろん


春「……」

春(それにしても……)

春(さっきまでの、この人の異常な牌圧は一体……)
571 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/11(水) 01:09:55.21 ID:hMZeNEx50

霞「あら」

霞「どうしたの? 春ちゃん」

春「……いや」

春「別に……この程度の人」

春「わざわざ霞さんが手を下さなくても、私一人でもやれた」ぽりぽり

霞「……」

霞「そう言わないで」にこ

霞「私だって、いつも見物してばかりじゃ腕が錆びちゃうわ」


春「……」

春(違う……霞さんは……)


巴「す……」

巴「須賀くん!」だっ


霞「……」

春「私が」ざりっ

霞「ええ」こく
572 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/11(水) 01:12:58.81 ID:hMZeNEx50


ざりっ


巴「!」


春「何をしようとしてるの。巴さん」


巴「春ちゃん……」ぎりっ

巴「お願い。其処をどいて」

巴「須賀くんが……」

春「どかない」ぽり…

春「心配無用。霞さんが手を下したんだから、加減を間違える筈が無い」

春「あの人はまず生きているし、斬撃は致命傷にもなってない」

春「そしてあなたが駆け寄ったところで、出来ることなんて何も無い」

春「むしろ今あの人に触れれば、あなたの罪が二十年は重くなりかねないのに」ぽりぽり

巴「それが……何?」

春「……?」


巴「須賀くんは……私が巻き込んだ」

巴「私の所為で怪我を負った」

巴「私の所為で倒れた人の傍に、私が駆け寄って何が悪いの?」じっ

春「……!」


霞「成程ねえ……」

霞「例え我が罪が重くなろうとも……」
573 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/11(水) 01:15:52.43 ID:hMZeNEx50


霞「駆け寄れずにはいられない、というわけね」

霞「この子供の許へ」


巴「――霞さん……」


 がしっ


霞「あら……」

霞「裾の辺りに感触があるから」

霞「何か虫でも止まったか、と思って見てみれば……」


京太郎「はぁー……はぁー……」がし…


霞「未だ意識を失っていなかったのね、須賀京太郎くん」

霞「流石ねえ。此処に来て更に株を上げられようとは」

巴「須賀くん!」ぱぁ


京太郎「株を上げるだの、更に罪が重くなるだの……」ひゅー… ひゅー…

京太郎「俺の居ねえところで、勝手に話を進めてんじゃねえよ……!」に……


春(この人……まだ動けるの……!?)

春(ありえない。何なのこの生命力……)ごくり


霞「話が出来るなら問題ないわね」

霞「其処に伏してでも構わないなら」

京太郎「はっ……上等だ」
574 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/11(水) 01:19:49.64 ID:hMZeNEx50


霞「"合格"」


京太郎「……」ぴく


霞「テストには"合格"と、告げておくわ」


京太郎「何だと……」

霞「あなたはよく戦った。あの春ちゃんの"風死"の攻撃をも凌ぎ……」

霞「それどころか、逆に春ちゃんを押してさえいた」

霞「それは、私の中で想定していた幾つかのパターンの内でも……」

霞「完璧に近いと言ってもいい勝利だった」

春「――!!」ぐっ

霞「……」ちら

霞「故にあなたの実力、素質、覚悟には……疑念の余地が無い」

霞「これには流石に、総隊長さんが目を付けるだけはある、といったところかしら」


京太郎「……何言ってんだ」


霞「……ふふ、喋りすぎてしまったわ。ごめんなさいね」

ぴっ

霞「それじゃあ、私から提案と……慈悲を」

霞「あなたに、"選択肢"を与えましょう」にこ

575 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/11(水) 01:22:53.87 ID:hMZeNEx50


京太郎「選択肢……だと?」


霞「その通り」

霞「今、あなたの運命を握っているのは、見ての通り私だけれど……」

霞「私には、その運命を変える選択肢の用意がある・と」

霞「そう、告げているのよ」


京太郎「……いいだろう」

京太郎「ならその選択肢を提示してくれ」

霞「……」


霞「一つ」

霞「春ちゃんに勝利する程、能力者として優れた実力を持つあなたが……」


霞「統制王族院の"護廷十三隊"という組織に加入する、というもの」


巴「!?」ぎょっ

霞「【護廷十三隊の一員】として、王族院の為にこつこつ【仕事】をすれば……」

霞「【巴ちゃんの刑期を徐々に減らす】ことができるわ」

京太郎「……成程」

霞「あなたが更に、目紛るしいような活躍をすれば――」

霞「巴ちゃんの罪を、"無かったこと"にも出来る」

京太郎「!」

霞「どう?」

霞「私たちのトップ、福路総隊長の慈悲深い処断よ」

霞「この上なく魅力的な提案だとは思わないかしら?」
576 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/11(水) 01:25:19.07 ID:hMZeNEx50

京太郎「確かに……そうかもな」

京太郎「俺がどういう働きをするかに左右される、ってのが癪だけど……」

霞「心配しないで。無理な事は何もさせない」

霞「普通に、他の能力者と同じように、入隊して、与えられた仕事をこなしていく」

霞「それだけよ」

京太郎「成程ね……確かに現実的な条件だ」


京太郎「なら……二つ目の選択肢は……?」


霞「此方は、さらに現実的な条件よ」

霞「まず、あなたの胸を衝いてその【能力を消失させる】」

京太郎「!」

霞「次に、巴ちゃんを統制王族院に連れて帰り……」


霞「【罪を償わせる】」


京太郎「……」

霞「古来からの指示書通りの、正当な手順ね」

霞「あなたが実力も何もない、ただの能力者モドキだったなら……こっちの手段を取っていたわ」

霞「そう。"テスト"に失格していたら、問答無用で能力者としてのあなたを殺していた」

京太郎「そういう腹だったのか……」
577 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/11(水) 01:30:09.73 ID:hMZeNEx50

霞「私が用意した選択肢はこの二つ」

霞「さて、あなたはどちらを選ぶ?」

霞「願わくば、私たちの仲間になって」

霞「統制王族院の為に働いて……」

霞「私たちの友達の巴ちゃんを、救ってあげて欲しいなぁって、思うんだけれどね」にこ


巴「……須賀くん」

京太郎「狩宿さん……」

巴「今まで……ごめんなさい」

巴「私の所為で、色んな面倒に巻き込んじゃったね……」

京太郎「俺が望んだことだ……」

巴「そう言うと思った」ふふ

巴「でもこれからはもう違う」

巴「私の為に、自分の運命をねじまげる必要なんて、もうない」

巴「私なら大丈夫だから」

巴「どうせ少しの間、『牢獄で生活するだけ』だもんね。きちんと罪を償ってくるよ」

巴「だから須賀くんには、自分の人生を生きて欲しい」

巴「今までありがとう……須賀くん」

巴「二番目の選択肢を選んで。そうして……あなたは自分の人生に戻れる」



京太郎「……」

京太郎「ああ……解った」


578 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/11(水) 01:35:48.15 ID:hMZeNEx50



【#1 京太郎たちの運命を決めろ】
1. あんたらの許で働くよ
2. 俺の胸を衝いてくれ

安価↓2



579 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/11(水) 01:36:08.94 ID:lpHiRs1Vo
1
580 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/11(水) 01:36:25.62 ID:fAMgJWe4o
581 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/11(水) 01:56:37.78 ID:hMZeNEx50






京太郎「あんたらの許で働くよ」






巴「――……」


霞「賢明な判断ね」

春「……」ぽりぽり


京太郎「上等だよ。働いてやるさ」

京太郎「いくらだってあんたらに使われてやる」

京太郎「そして狩宿さんの罪をゼロにして帰してやるよ」


春「……須賀、京太郎」

春「礼を言う……巴さんは、私たちの……友達だから」

京太郎「はは……なんだ、先に言っとけよ」

京太郎「今から俺たちは同僚だな。春」

春「っ」びく

春「ど、どうして急に呼び捨てに……」ぽりぽり

京太郎「いいだろ。もう同僚なんだし」

春「でも、私は副隊長。階級は私が上……」ぽりぽり

京太郎「いいじゃねえか。刃を交わし合った仲だろ俺ら」

春「……きょ、京太郎」

京太郎「ああ……」
582 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/11(水) 01:57:51.91 ID:hMZeNEx50

春「はい……」

 すっ

京太郎「!」

京太郎「これは……黒糖?」


春「約束だった……私に勝てたらこの黒糖」

春「あなたにも分けてあげる……って」


京太郎「いいのか?」

春「勿論……」

京太郎「じゃ……有難く頂くよ」


【#2】
1. [Lady-killer51] しまった……この状態じゃ自分で食べられないな……
2. 美味いな、コレ!(ぱくっ)
3. はぁ〜でも、糖尿病になんなきゃいいけどなぁ〜

安価↓1
583 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/11(水) 01:58:08.71 ID:cxUM6xuao
春かわいい
584 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/11(水) 01:58:41.95 ID:lpHiRs1Vo
3
585 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/11(水) 01:58:50.23 ID:K6QHOi9AO
586 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/11(水) 02:03:59.53 ID:hMZeNEx50
安価下で大丈夫でしょうか?
>>583の方いらっしゃったら指定して頂ければ助かります
587 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/11(水) 02:06:07.86 ID:cxUM6xuao
もし自分が選んでたら1だけどこの場合は↓の3かな
588 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/11(水) 02:11:12.03 ID:aZpkEXXWo
かぶっちゃったりしたときは確認とかせずに安価下で進めちゃって大丈夫だと思うよ
589 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga sage]:2015/03/11(水) 02:13:05.15 ID:hMZeNEx50
ありがとうございます。
今後もこういった場合、安価下で進める方針にしますので、ご了承ください。
590 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/11(水) 02:25:10.42 ID:hMZeNEx50


京太郎「はぁ〜でも、糖尿病になんなきゃいいけどなぁ〜」


春「む……」

春「糖尿病の原因は過剰摂取……」

春「京太郎……は普段から、甘いものばかり食べてるの?」

京太郎「そういう訳じゃないけど」

春「じゃあ大丈夫……はい」

京太郎「おう……」ぱく

京太郎「ん〜イケるね、これ……」もぐもぐ

春「それは良かった」ぽりぽり


霞「さっそく、うちの副隊長と仲良くなれたようで何よりだわ」にこ

京太郎「えっと……」

霞「石戸霞(いわと かすみ)。護廷十三隊の六番隊。その隊長を務めさせて頂いています」

京太郎「偉い人なのか?」

春「京太郎じゃ想像も出来ないくらい……」ぽりぽり

京太郎「ふーん……」

霞「それにしても本当に良かった。須賀くんが仲間になってくれて」

京太郎「え?」
591 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/11(水) 02:29:21.43 ID:hMZeNEx50

霞「だって須賀くんが居なければ、巴ちゃんを救えなかったでしょ?」

霞「今だから言えるけど……」

京太郎「?」



霞「巴ちゃんに下された判決は、死刑よ」



京太郎「!!?」

霞「……」

京太郎「な、何言って……」

京太郎「あんた、騙したのか!!?」

霞「騙してなんかないわ。あなたに言った事に嘘はない」

霞「あなたがちゃんと、見合う働きをすれば……減刑されるでしょうね」

京太郎「おい……ふざけんな」

京太郎「そうなってもらわなきゃ困る! 本当に減刑が叶うんだろうな!?」

霞「たかだか一隊長である私に、そこまで問い詰められても……」

京太郎「〜〜っ!」

霞「でも、福路総隊長の言葉には、他の誰の言葉より重みがある」

霞「あなたに対するこの処断は、福路総隊長が下された」

霞「果たした義務にはちゃんと恩義で応えるお方よ」

霞「安心して構わないわ」

京太郎「……ちくしょうめ」


【#3】
1. 信じるよ、"隊長"さん(皮肉)
2. [Lady-killer51] よろしくお願いします!!!!!!(ぺこり)
3. だがまあ、やったるしかねえか!

安価↓1
592 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/11(水) 02:31:14.98 ID:aZpkEXXWo
1
593 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/11(水) 02:49:31.10 ID:hMZeNEx50


京太郎「信じるよ、"隊長"さん」


霞「……」ぴく

霞「面白い子ね……皮肉のつもり?」

京太郎「別にそんなつもりじゃないっすよ」ぷい

京太郎「ところで、俺はいつまでこの状態でいればいいんだ?」

京太郎「動けなくて辛いんだけどな」

霞「あら……ごめんなさい。失念していたわ」

霞「春ちゃん」

春「了解」すっ


ぽわ ぽわ


京太郎(春は、倒れた俺の傍に座ると)

京太郎(その手から光を発して俺の体の傷に近付けた)

京太郎「これは……」

春「回道(かいどう)。治療用の鬼道のこと」

春「施術の最中は、あまり動こうとしないで」

春「痛むだろうから」

京太郎「わかったよ先生(ドクター)。ありがとな」

春「……どういたしまして」

霞「……」
594 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/11(水) 02:58:37.72 ID:hMZeNEx50




 すたすた すたすた すとん




巴「……須賀くん」




京太郎「狩宿さん」


京太郎「どうした? 何が知りたい?」

京太郎「あんたと初めて会った時……」

京太郎「俺はあんたに命を救われた」

京太郎「その借りをまだ返してねえ」


京太郎「あんたは、会ったばかりの俺と」

京太郎「俺の友達を守るために」

京太郎「自分の能力を俺にくれた」


京太郎「その所為であんたは捕まって、処刑されようとしてる」



京太郎「そいつを見殺しにするような、つまんねえ男にはなりたくねえんだよ、俺は!」



巴「――……」

京太郎「だから俺は統制王族院で働くことにした。働きゃあんたの減刑が叶うらしい」

京太郎「まだ気になる事があるか? 俺の選択に何か疑問が?」

巴「……無いよ……」

京太郎「じゃ、そんな顔すんなよ……」
595 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/11(水) 03:22:39.91 ID:hMZeNEx50





巴「してないよ……!」ぽろぽろ





京太郎「……そうかい」


霞「ちょっと、離れましょうか、巴ちゃん」ぽん

巴「……」すたすた


京太郎「いてえ……」

春「だから言ったのに……」ぽわ ぽわ

春「ちょっと動いたから……」ぽわ ぽわ

京太郎「悪い悪い……」


京太郎(言ったろ……狩宿さん)



京太郎(俺は、あんたと一緒にいる……って)





――


霞「……」

巴「霞さん……」

霞「何?」

霞「私を責めたい? いいわよ」

霞「彼には殆ど動けなくなるくらいの重傷を負わせてしまったんだし……」

霞「それに、運命を捻じ曲げてしまった」

霞「本来……能力者で無かった子だったのにね」

巴「責めるものですか……それは私とて同じ事ですから……」

巴「ただ、霞さん。私……」
596 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/11(水) 03:39:27.98 ID:hMZeNEx50


巴「不思議と……もう救われた気分になってるんです」


霞「あら? まだ何の減刑も叶っていないのに?」

巴「いえ……実際にはそうですが……」

巴「もっと、別のところで……」

霞「?」

巴「その……私の、心というか……」

霞(ふんふむ……)

霞「……彼との出会いは、良い出会いだった?」にこ

巴「はい」こくり

霞「頷けるなら本当ね」


霞「向こうに帰れば、おそらくあなたには窮屈な思いをさせてしまうけど……」

霞「耐えられる?」

巴「耐えられますよ」ふっ

巴(須賀くんが一緒にいる……)

巴(その事実だけで……)


巴「何事も、どうってことないですから」


霞「……」

霞(これは……)

霞(流石に驚いたわ……)
597 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/11(水) 03:42:00.84 ID:hMZeNEx50


霞(組織で育った本物の能力者が……)

霞(ただの人間だった者に、ここまで心を預けてしまっていたなんて――……)


――


京太郎(……)

京太郎(何か、妙な気分だ)


京太郎(何か、違和感がある)


京太郎(石戸さんは、狩宿さんは死刑だと、言っていた)

京太郎(同時に、だから救ってほしかった、とも)

京太郎(俺が統制王族院の下で働けば、狩宿さんの罪を減らすって、そこの総隊長が処断を下して……)

京太郎(石戸さんたちが、それを実現させるために、俺を捕えに来た)

京太郎(そして最初したことは何だ? テスト……だったよな)

京太郎(俺は……何に違和感を持ってるんだろうか)


京太郎(ダメだ……回道ってやつの影響か、眠たくなってきた……)

京太郎(自然と瞼が、降りる……)

京太郎(……)


京太郎「……」すー すー


春「あ……眠った」

 す…

霞「可愛い寝顔ね……」すたすた

春「霞さん」

春「……それ程?」ぷい

霞「何で顔を逸らしちゃうのかしら?」にこ

春「気まずいだけ。霞さんがそういうコト言うから……」

霞「ふふ」
598 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/11(水) 03:43:35.53 ID:hMZeNEx50

霞「おやすみなさい、須賀くん」


霞「……願わくば」

霞「本当に、巴ちゃんを救ってあげてね……」






 17. the broken coda






和「……どうやら」がさごそ

和「狩宿さんは罪人として統制王族院に帰還し……」

和「須賀くんがその組織の下で働くという事で、話がまとまったみたいですね……」じー

和「それなら私は……」
599 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/11(水) 04:22:01.79 ID:hMZeNEx50




?「『それなら私は』、どうするの?」ひょい




和「!!?」ぎゅるん

和「誰ですか!?」

?「やっ」

和「あ、あなたは確か――……!」


和「生徒会長!?」


?「ん? あなた程の子でも把握してなかったのかしら」

?「清澄では生徒会長じゃなく学生議会長ね」

?「竹井久よ。"今後ともよろしく"」


和「……えっと」


久「意味が解らないって顔ね」

和「……」

久「別に恥ずかしがることじゃないわ」

和「何故此処に……」

和「此処には、人払いが――……」

久「その言葉、迂闊よ」

久「私が一般人だったらどう説明するのやら」
600 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/11(水) 04:34:48.31 ID:hMZeNEx50

和「……自分が一般人じゃないと、あなたはそう言ってるんですか」

久「そうだけど?」

和「なら、能力者ですか……」

久「そうかもね」くす

和「っ……」

和(一般人なものですか。能力者に決まってます!)

和(一般人が人払いを破れるわけがありません!)

和(この辺りには、統制王族院の能力者が仕掛けた人払いがありました……)

和(私ほどの能力者なら、そんな鬼道の結界の中にだって、気付かれずに侵入するくらいは、容易いこと……)

和(目の前にいる、この人も、同じようにこの結界に気づかれずに侵入したというなら……)

和(そして牌圧察知能力に長けた私に、今日まで自分の存在を悟らせなかったのが、真にこの人の仕業なら……)

和(私と同等以上の強者である可能性が高い――……)

和(全く……私の誕生日のあの日から、物事は随分変わってしまいましたね……)

和(宮永さん……優希……)

和(あなたたちは私が必ず護ります――……)

久「考え事は終わった?」

和「!」びく

久「それで、教えてくれない?」


久「これからあなたはどうするの?」



 -------------

  To be continued...
601 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/11(水) 04:37:39.80 ID:hMZeNEx50

★☆★ here is the data of THE CHAPTER!! ★☆★

【#1 → 好感度上昇+4(霞、春) 好感度上昇+20(巴) カルマ上昇+2 ルート・統制王族院の能力者篇】
【#2 → 好感度上昇+1(春) カルマ下降-2】
【#3 → 好感度上昇+1(霞) INT+1 カルマ下降-2】

◆現在の称号【護廷十三隊入隊希望者】
◆カルマ【+10】
◆所持金【44,000】
◆END(max)【100】

◇スキル
[Speech] 45
[Strength] 51
[Gift] 14
[Intelligence] 24 (+1)
[Lady-killer] 51

◇好感度
/咲/  34
/優希/ 17
/和/  13
/巴/  63 (+20)
/ハオ/ 14
/絹恵/ 7
/霞/  9 (+5)
/春/  16 (+5)

・前16話の【#3】で【INT+1】とありましたが、
それが前16話のここの、スキル欄の[Intelligence]の数値に反映されてませんでしたので、訂正しました。
602 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/11(水) 04:49:29.38 ID:FvSUPevlo
603 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/11(水) 04:58:23.83 ID:dvRH4heco
おつなのよー
604 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/11(水) 14:20:37.69 ID:LIIbryrko
乙です
605 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/11(水) 14:21:34.97 ID:viRIu+ico
乙乙
606 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/11(水) 16:23:02.06 ID:hMZeNEx50







霞「一日よ」


京太郎「一日?」

霞「統制王族院には本拠地があるの」

霞「あなたも仲間になるというなら、其処に住んでもらわなければいけないわ」

京太郎「マジかよ!?」

霞「大マジね」

霞「明後日の朝には移り住んでもらいたいから、面倒な手続きはこちらで済ませておくけど……」

霞「明日の一日の内に、友達や家族に……済ませてきて頂戴」

霞「訣れを」

京太郎「……」
607 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/11(水) 16:25:08.49 ID:hMZeNEx50

巴「須賀くん……」すっ

京太郎「大丈夫だ」

京太郎「解ったよ石戸さん」

霞「よろしい」

霞「明後日の早朝、あなたの家に迎えに上がるわ」

霞「呉々も軽挙は、慎むようにね」にこ

京太郎「ああ……」

春「それじゃあ……」くる すたすた

京太郎「……春。治してくれてありがとな」

京太郎「すこぶる調子が良い。春のおかげだよ」

春「……どういたしまして」ちら


――


京太郎「行っちまったか……」

京太郎「一瞬のことだったな……嵐みたいに去って行きやがって」

巴「そうだね……」

京太郎「さて……何かもう、テスト勉強って気分でもなくなっちまったな」

巴「……」

京太郎「喫茶店に戻って、あいつら起こして帰ろうぜ」

巴「……うん」
608 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/11(水) 16:26:00.53 ID:hMZeNEx50


18. blank.

609 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/11(水) 16:28:35.02 ID:hMZeNEx50


――翌日


 がらがら
 
京太郎「うーす」すたすた


優希「お! 来たな」たっ

優希「京太郎! 昨日はちゃんと勉強したか!?」

優希「私は帰ったらタコスを食べるのに忙しくてしてないがな!」

京太郎「いい顔で言うな。タコス食うのに忙しいも何もないだろーが」ぺし

京太郎「ま……俺もしてないんだけどさ」ぽりぽり

咲「狩宿さんに見てもらわなかったの?」

京太郎「ん……ああ。まあ、最近疲れてるみたいだから帰ってすぐ休んでもらったよ」

咲「ふーん……」

咲「それにしても、昨日は途中で寝ちゃってごめんね?」

咲「何でだろう、あの時すごく眠たくなっちゃって……」

京太郎「気にするな。疲れてたんだろ」

咲「そうかなぁ?」


和「お早うございます。須賀くん」ざりっ


京太郎「和」


【#1】
1. そうだ……お前に話があるんだった
2. お、お早う……(顔背けながら)

安価↓1
610 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/11(水) 16:30:59.13 ID:gxRWW4a2o
1
611 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/11(水) 16:37:58.14 ID:hMZeNEx50


京太郎「そうだ……お前に話があるんだった」


和「話……ですか?」

優希「貴様。よからぬ事を考えているわけではあるまいな!」

京太郎「……」

京太郎「どうかな?」

優希「じょっ!?」

京太郎「ははは、なんてな。考えてねーよ、何も」

京太郎「お前は今日食うタコスのことだけでも考えとけ」

優希「お主もそうするが良い」

京太郎「残念ながら俺の主食はタコスじゃないもんでね」


和「その話……」

和「テストの前と後、どちらにします?」

京太郎「……後で」

和「わかりました」

和「それではまた声を掛けて下さい」

京太郎「ああ」

京太郎「頑張れよ……テスト」

和「其方こそ」にこ
612 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/11(水) 16:42:24.61 ID:hMZeNEx50

京太郎(テスト、か……)

京太郎(どうせ明日には学校に来ないんだ。全くやる気が出やしねえ)

京太郎(この始業前の時間にも、勉強なんかする気も起きねえ)


京太郎「はぁーあ。こんな朝っぱらの、テスト直前にアタマ詰め込んでも仕方ねえよなぁー!」ぐぅ〜…

京太郎「リラックスしたほうが本番じゃ調子出る気がするぜ!」

京太郎「お前もそう思うだろ?」


【#2】
1. 咲!
2. 優希!
3. 和!

安価↓1
613 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/11(水) 16:46:51.04 ID:sTrSEKEuo
1
614 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/11(水) 17:02:15.81 ID:hMZeNEx50


京太郎「咲!」


咲「うぇっ……?」ぴた

京太郎「あ、勉強してたか。大丈夫だった?」

咲「うん……大丈夫。むしろ京ちゃんの言うとおりかもしれない」

咲「他にすることないから、やってるだけだもん」

京太郎「だよなぁ」

すた

京太郎「咲はさ……」

京太郎「もう大丈夫だよな」

咲「え、何が?」

京太郎「うーん……何か、昔は色々と危なっかしいトコあったし……」

京太郎「今でも、側に居ねえと不安になるような奴じゃあるんだけど……」

京太郎「今は和とか優希とかも居るしな」

咲「な、何、急に」

咲「面と向かってそう言われると、こしょばいよ……」

京太郎「ごめんごめん。ほら……最近色々あっただろ」

京太郎「聖兵(ゾルダート)の時やら、和の時やら……」

京太郎「俺の居ないとこでも、咲は上手く立ち回れてたようだし……」


【#3】
1. [Lady-killer51] 咲にはもう、俺は必要ないと思ってね
2. 中学から見てる身としちゃあ、立派になったもんだと、感傷的になっちゃうワケよ
3. つってもまだまだポンコツか

安価↓1
615 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/11(水) 17:03:35.73 ID:fEt+wkAN0
1
616 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/11(水) 17:29:33.32 ID:hMZeNEx50


京太郎(咲にはもう、俺は必要ないと思ってね)


京太郎(って、言ってみたかったね〜……)

京太郎(でもちょっとキモイとか思われそうだよなぁ〜……)

咲「京ちゃん?」

京太郎「おっと」

京太郎「何でもない。ただまあ、最近の出来事を思い返してただけだよ」

咲「確かに色々あったもんね……」

咲「でも、過ぎてみたら案外悪くない思い出ばかりだよ」

咲「その時その時は、本当にどうして物事がもっと静かに回らないんだろうって思ってたけど……」

咲「私も、変わり始めてるのかな」

京太郎「なーに言ってんだ、お前なんかまだまだポンコツだよ」

咲「む」

咲「京ちゃんは、自分が変わったって、思わないの?」

京太郎「どうだろうな……」


京太郎「わかんねえよ、自分じゃ」


――――

―――
617 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/11(水) 18:27:48.70 ID:hMZeNEx50


――


 きーんこーん……


京太郎「放課後か……」

京太郎(妙な感じがした。違和感がねえ)

京太郎(そりゃそうか。俺はただの高校生)

京太郎(明日から俺がいなくなったって、世界は正しく回転するんだ)


京太郎「和」


和「須賀くん」

京太郎「話。あるって言ったろ」

京太郎「場所を移すぜ」

和「いいでしょう」


和「それなら……旧校舎の屋根裏の部屋なんてどうでしょうか?」


――


京太郎「へぇ……こんなところにも部屋があったんだな」

和「そうですね。今はもうない麻雀部の部室だったみたいです」

和「綺麗でしょう? 不思議と掃除はされてるんですよ」

京太郎「確かに……」

和「……」
618 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/11(水) 20:07:44.97 ID:hMZeNEx50

和「それでは、聞かせてもらいましょうか」

和「話とは一体何ですか?」


京太郎「俺は明日から学校に来れなくなった」


和「……」

京太郎「狩宿さんが俺に能力を渡したことは、統制王族院の法じゃ罪にあたる……そう話したな」

京太郎「それで、昨日王族院の使いがやって来てね、俺に言ったんだ」

京太郎「"統制王族院の為に働けば、成果に応じて狩宿さんの罪を打ち消していく"って」

和「それであなたは、従うコトにした」

京太郎「流石和。勘が鋭い」

和「そこまで話せば誰にだってわかりますよ」

和「お人よしが過ぎますね。組織の為に普通の高校生という身分を捨てるなど」

京太郎「いらねえさそんなモン」

和「投げやりですね……」

和「……あなたが組織に迎合してしまわないことを祈りますよ」

京太郎「やっぱり今でも能力者は嫌いなんだな」

和「当然です。能力者も、組織も、嫌いです」

京太郎「咲たちもか?」

和「み、宮永さんや優希は別です」おろっ

京太郎「それならいいんだ」
619 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/11(水) 20:10:17.10 ID:hMZeNEx50



京太郎「咲と優希を、よろしく頼む」じっ…



和「!」

京太郎「お前にしか頼めないんだ。俺はもういなくなっちまうから」

京太郎「もしあいつらに危険が迫ったら……お前が護ってやってくれ」

京太郎「そんでキツかったら、俺に電話してこい。飛んでいく」きっ


和「……」

和「初めからそのつもりです。あなたに言われるまでもない」ふっ

和「安心して下さい。護りますよ」

和「如何なる奸佞邪智の敵が現れようと、宮永さんたちに指一本触れさせません」きり

京太郎「そうか……それを聞けて、安心した」


京太郎「……ったく、けど情けねえな。俺は以前お前に言ったのに」

京太郎「敵わない相手が来たら、終わりだって。今でもそれは……」

和「わかっています。あの時の言葉は憶えていますよ」



〜〜


京太郎「自分の身は自分で守れるだと?」

京太郎「思い上がるなよ、和」


〜〜
620 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/11(水) 20:12:26.77 ID:hMZeNEx50

和「"一人で何とかならないなら、皆で何とかするしかない"」

和「護りたいんでしょう、自分の手で。実際、あなたはそう、決意していたんでしょう」

和「私も無理そうならあなたに助けを求めますが、距離が離れてしまえば易々とは来れない筈……」

和「だから私に、託しに来てくれたんでしょう」

和「あなたの代わりは私が務めるしかないと信じて」

和「今度は……無責任だなんて言いませんよ」

京太郎「……」


和「あなたの決意、確かに私に託されました」


京太郎「……ありがとう」

和「お元気で」

和「此方の事など、私に任せておけばそれでいいんです。須賀くんはちゃんと」

和「狩宿さんを、助けてあげて下さいね」

京太郎「――ああ!!」

 ぐっ

京太郎(和と、誓い合うかのように握手を交わす)

京太郎(俺の心は、ぐっと軽くなった気がした――……)


――――

―――
621 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/11(水) 20:15:13.11 ID:hMZeNEx50


――


和「……いかがでしたか」



ざりっ

ざりっ ざりっ

 ざりっ…


久「うん。ありがとう。やっぱり思ってた通り……」

久「須賀くんは面白い子だったわ」


和「たかだかあれだけの会話で、一体何がわかるというのか」

久「解ったわよ。十分な程に」

和「……あなたは出てこなくて良かったんですか?」

和「彼が二人で話す機会を欲していると知って」

和「私にわざわざ、彼をこの部屋まで連れてこさせたというのに」

久「だって今更、あの子を混乱させたくないもの」

和「それは気遣いなのか、それとも別の思惑なのか……」

久「やーねー、気遣い以外のなにものでもないでしょ?」

和「……」

和「とにかく……」


和「これで、教えて頂けるんですね……」

久「モチロン♪」


久「能力者の牌圧を完全に隠す方法……ちゃんと"皆"に伝授してあげるわ」にこ


――――

―――
622 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/11(水) 20:21:14.04 ID:hMZeNEx50


――



京太郎「眩しい……こんなふうに朝陽を浴びるのも新鮮だな」



巴「あの……須賀くん。別に、今から引き返したって……」

京太郎「だからいいって。その話は終わったんだよ。もう俺の心は決まってんだ」

京太郎「システムオールグリーン。世界は正しく回転してる」

京太郎「だから狩宿さんは部屋の端っこから『私の為に汗水流して働けー! 奴隷のように!』とでも言っときゃいいんだよ」

巴「なにソレ」くく

京太郎「久しぶりに笑ったな」

巴「い、いや、今のは……」ちら

京太郎「お、来たみたいだぜ」


 ざりっ ざりっ ざりっ




 ざりっ…


春「……殊勝な事」ぽりぽり…

春「予め家の前で待機してくれているなんて……」




京太郎「礼儀正しいだろ? これからは俺も上に媚び諂っていかなきゃいけないんでね」

春「そんなつもりないくせに」くす

京太郎「まあな!」にっ
623 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/11(水) 20:28:30.08 ID:hMZeNEx50

京太郎「今日はいないのか? あの……身体の一部分に稀有な脂肪が付いてる感じの……」

巴「……霞さんのこと?」じとー

京太郎「そうそう。忘れねえぜ。俺を斬ったあの隊長さんだ」あせあせ

春「霞さんは来てない。忙しい身分だから」

春「お出迎えは私だけ」

春「道案内役が私一人じゃ……心許ない?」

京太郎「まさか! 行こうぜ!」

春「……わかった」ぽりっ



 ずっ…


春「開錠」


 がきん!

 きぃ… がぁぁぁぁぁ…



京太郎「こりゃ驚いた……何だこの門は」

春「鬼道で空間に通行門を開いた。私たちの城までの、近道をつくってくれている」

春「この中に入って私の後ろを付いてきて」

春「ものの数分で私たちの暮らす――」

春「統制王族院、その廷内に出るから」

京太郎「了解!」
624 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/12(木) 01:23:43.29 ID:6HmKP8qw0


――


 すたすた すたすた


京太郎「……この通路、中は真っ暗なのか」すたすた

春「この空間は広いけど、そこにはただ細い道が一本あるのみ」すたすた

春「特殊な鬼道で照らさなければ、その道も浮かび上がらない」

春「道を踏み外さないように気を付けて」

春「もし踏み外したら、奈落の底へと堕ちて死ぬから」

京太郎「そういう大事な事は最初に言っといてくれよ……」

巴「……特殊な鬼道が必要なのは、星の十字結社の人をこの門の中に侵入させない為なの」すたすた

巴「あそこの能力者に、この門を通らせて統制王族院の宮廷に行かせるわけにいかないからね」

京太郎「成程な……」

春「……」ぽりぽり

京太郎「しっかし本当に真っ暗だよな。足許の道以外」

京太郎「出口もなんも見えやしねえ」

春「もうすぐ」

京太郎「出口か?」

春「……」こくり

巴「出口も分からないように暗くしてあるんだよね」

春「そう」ぽりぽり

春「今、出口を開ける」ぽりっ


 ぽわ…


春「さあ……開いた」ぽりぽり

625 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/12(木) 01:26:03.71 ID:6HmKP8qw0

春「此処が私たちの棲み処――天朋廷(てんほうてい)」

春「私たち能力者、即ち天の王の一族の住まう場所……」


京太郎「――……」


京太郎「目の前のデカい街が……その天朋廷ってやつか」

京太郎「……周りには、木と土しか見えない」

京太郎「此処は山奥かなんか……か?」

巴「うん。多分……」

京太郎「山奥を切り開いた土地に、よくこんな派手な建物を連ねられたもんだな」

京太郎「日本の何処だ?」

春「……それは、分からない」

春「例え知っていたとしても、教えることは禁じられている」

京太郎「へぇ……」


京太郎「異世界に来たみたいだ……」


巴「これからはもっとそう思わされるよ」

巴「何せ、此処で暮らしているのは全員能力者」

巴「彼女たちはその、少し……一般人とは常識が違うからね」

京太郎「俺もその一員になるのか……」


春「……それについて、告げなければならないことがある」


京太郎「?」
626 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/12(木) 01:27:34.80 ID:6HmKP8qw0

春「……あなたの刀」

京太郎「俺の刀? 何か問題があるのか?」

春「大アリ」ぽりっ

春「一般の能力者には知らされてないけど、一応あなたは総隊長殿の推薦で此処へやってきてる」

春「あまりみっともない刀を振り回し続けられると、困る」

京太郎「じゃ、どうしろって言うんだ? あんたみたいに名前でも付ければいいのかよ」

春「名とは、そう易々と付けていいものじゃない」ぽりっ

春「刀の名に対しては、その刀自身と対話して、訊き出すのが世の道理」

京太郎「えっと……? 対話……?」

春「私の言葉が解らないのも仕方ない……先日能力者になったばかりじゃ」

春「でもあなたには最低限、刀の名を知って、恥じない実力を付けてもらう」

京太郎「……わかったよ」


春「其の為に、此方で講師を用意した」


京太郎「……はぁっ!? 講師!?」

春「あなた専属の先生という事。あなたはその人に、能力者としてのいろはを教わる手筈になっている」

春「有難く思って。並の待遇ではないのだから」ぽりぽり

京太郎「お、おう……でも、講師って」

春「もう、来てるよ」ぽり…

京太郎「えっ?」

 ひゅ…
627 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/12(木) 01:31:18.31 ID:6HmKP8qw0



ひゅぉぉぉおおおおおおおおお



 ざりっ ざりっ

  ざりっ ざりっ



 ざざんっ!!



「……」こぉ…



京太郎「っ……」びり びり

京太郎(凄え……)

京太郎(並大抵の圧じゃねえな……この人が俺の師に……)



春「この金髪が、話してた須賀京太郎……」

「……ナルホド」



【須賀京太郎の師はだれだった?】

自由指定安価↓2(一部無効キャラ有)




628 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/12(木) 01:32:21.47 ID:bQV3sem4o
いくのん
629 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/12(木) 01:32:44.07 ID:56ct7LiFo
うたたん
630 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/12(木) 01:54:02.27 ID:6HmKP8qw0


「少年よ、そこへなおれ!」びしっ


京太郎「!!」びく


すた すた すた すた


京太郎(扇子を扇ぎながら、その人は此方に歩いてきた……)



「そっかそっか、この子がねー……」



京太郎「……あんたが、俺の師になる……って人か」

「如何にも」ひゅっ





「何か知らんけどこの私が、キミの先生役を任されちまった――……」

「三尋木咏(みひろぎ うた)」ひらり





咏「ヨロシクぅ」ひゅっ

京太郎「――……」



【#4】
1. よろしくお願いします!!!!!!
2. ……小っちぇえなあんた……
3. チェン……(言いかける)

安価↓1
631 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/12(木) 01:54:51.37 ID:8t+69YIio
3
632 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/12(木) 02:07:50.08 ID:6HmKP8qw0


京太郎「チェン……」


 ひゅっ!!


京太郎「!!?」ぐっ

京太郎(今……あの人が扇子を扇いだのか!? その風圧だけでとんでもない威力だ!)


咏「おう〜い」ぐい


京太郎「うおっ!」ぐぐぐ……

京太郎(なっ……小さい体の何処に、俺の服を掴んで引き寄せる力が……)たら

咏「んん? キミ、私を見て最初に何を思ったか、言ってみな」

咏「おねーさん怒らねえからさぁー……」

京太郎「チェ、チェン……」

咏「んん?」ぐいっ

京太郎「す、素敵なお姉さんだなぁと思いました……」

咏「よろしい」ぱっ

京太郎「わっ……」ふらふら

京太郎(何だこのちっこいの……!? お、おっかねえ奴だなー……)ぜぇぜぇ


咏「さて、次はキミが自己紹介する番だぜ」ひらり


京太郎「何だと? 名前は知ってるだろ?」

咏「例え知ってても挨拶すんのは社会人としての常識だよ。これから長い付き合いになるんだからねぃ……いや、知らんけど」

京太郎(知らねえのかよ……)


【#5】
1. 須賀京太郎。いつかあんたを倒す男だ
2. 須賀京太郎っす、よろしくお願いしゃっす
3. ふーん。そんな常識知らんけど(にや)

安価↓1
633 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/12(木) 02:08:39.57 ID:ImpkAECNo
3

うたたん無効にならなかったのか・・・これはどっちなんだ
634 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/12(木) 02:22:24.87 ID:nUga2GRy0
咏って師匠キャラが結構似合う気がする
635 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/12(木) 02:24:32.02 ID:6HmKP8qw0


京太郎「ふーん。そんな常識知らんけど」にや


咏「ヘェ???」ぴく

咏「まーた随分面白い子を連れてきたんだねー……はるる」

春「こ、これは大変無礼を……普段はこのような人間では無いんですが……」ちらっ


春「きょ、京太郎……!」こそこそ

春「しっかりして……」

京太郎「お、おう……悪い」こそこそ

京太郎「でも……この人が俺の師だと? 悪いが、イイトコ中学生にしか見えないぜ」


咏「聞こえてるよ、少年」

京太郎「うげっ……」

咏「でもわっかんねーな……最後のほうが聞き取れなかった。中学生が……何だって?」

京太郎「ち、中学生が憧れそうな、美貌とセンスをお持ちの方だと……」ふるふる

咏「そっかそっか。いやーそりゃあ照れるねー」ひらひら

京太郎(な、何なんだこの人……!)


咏「はいはーい。いつまでもこんなトコに居てもラチがあかねえ……」

咏「ついて来なよ」すたすた


京太郎「……」

巴「行くしかないね……須賀くん」ざ…

636 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/12(木) 02:40:35.64 ID:6HmKP8qw0


咏「おっとぉ」


 だだだだだん!!!!


「「「……」」」ずん!


巴「!?」

京太郎「何だ……? 変な頭巾を被った連中が現れたぞ」

咏「ノンノン。ついて来るのはその少年だけ」

咏「メガネちゃんがついて行くのは違う奴ら」

咏「この鬼道衆の奴らだよ」


鬼道衆「「「……」」」


巴「……!」

京太郎「どういうつもりだ!」

咏「おや……? 忘れてるのかな?」

咏「このメガネちゃんは罪人だってこと。いや、わっかんねーけどさ」

春「巴さん」ざりっ…

春「私の先導は此処まで。あとは彼ら鬼道衆の方々が、巴さんを牢まで連れて行く」

京太郎「春……!? 牢ってどういうコトだ!?」ぎょっ

春「京太郎の働き次第で減刑されるとはいえ、巴さんは今はまだ紛れも無い罪人」

春「故に、囚人に身を堕とさなくちゃいけない」

京太郎「……っ」
637 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/12(木) 02:54:30.69 ID:6HmKP8qw0


巴「解りました」


京太郎「!」

巴「連れて行って下さい。私を、牢獄まで」

咏「おーう……」

咏「良い子だ。聞き分けが良いね」にや

春「……」

京太郎「狩宿さん……」ぎりっ

巴「解ってるって須賀くん。そんな顔しないで」


巴「待ってる」


京太郎「…………ああ」


鬼道衆「御手を。この"鎖"で繋がせて頂きます」かちゃ

巴「お願いします」すっ

 かちゃん…


巴「それじゃあね、須賀くん」すたすた


京太郎「――……ああ」

京太郎(待っててくれよ……)


咏「ほぅ」


京太郎「!」びくっ

京太郎「なっ……」

京太郎(この人、いつの間に俺の隣に――……)
638 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/12(木) 03:18:24.58 ID:6HmKP8qw0

咏「わかるぜ、少年……」

咏「あの子を助けたいんだろ?」

京太郎「……」

京太郎「ああ」


京太郎「そのために来た」


咏「良いね」

咏「良い覚悟だ」

咏「流石――……賽の保有者だっただけはあるね」

京太郎「? 関係あるのか?」

咏「わっかんねー」

京太郎「おいおい……」


咏「わかってるのは、キミがこのままじゃいけないってコトだよ」びし

京太郎「!」


咏「さ、改めてついて来なよ」すたすた

咏「この私が直々に鍛え上げてやっからさ」にやり


京太郎「……わかった」

京太郎(なんだか掴めない人だけど……ついて行くしかねえか……)すたすた

すたすたすたすた

京太郎「って、歩くのはやくねえか!? そんな体してんのに」

咏「えー? わかんねー」すたすたすた

京太郎「何がわかんねーんだよ、わからねーわけねーだろあんたが歩いてんだから」

咏「いやサッパリ」

京太郎「そーかよ」じと
639 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/12(木) 03:19:14.65 ID:6HmKP8qw0


――


春(行っちゃった……)


春「……」ぽりぽり


春(それにしても、どうして三尋木咏のような人材が、指導役に選ばれたんだろう……)ぽりぽり

春(気を付けて、京太郎)ぽりっ…

春(三尋木咏は、優秀な能力者だけど――……)


春(何をしてくるか、わからないから)


 -------------

  To be continued...
640 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/12(木) 03:20:12.25 ID:6HmKP8qw0

★☆★ here is the data of THE CHAPTER!! ★☆★

【#1 → 好感度上昇+4(和) カルマ上昇+2】
【#2 → 好感度上昇+2(咲)】
【#3 → 失敗 好感度上昇+1(咲)】
【#4 → 好感度上昇+1(咏) カルマ下降-2】
【#5 → 好感度上昇+2(咏) カルマ下降-2】

◆現在の称号【護廷十三隊入隊希望者】
◆カルマ【+8】
◆所持金【44,000】
◆END(max)【100】

◇スキル
[Speech] 45
[Strength] 51
[Gift] 14
[Intelligence] 24
[Lady-killer] 52 (+1)

◇好感度
/咲/  37 (+3)
/優希/ 17
/和/  17 (+4)
/巴/  63
/ハオ/ 14
/絹恵/ 7
/霞/  9
/春/  16
/咏/  3 (+3)
641 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/12(木) 03:38:45.41 ID:FGnkAeijo
うたたん中の人的には織姫だっけか
642 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/12(木) 04:49:38.46 ID:zWeCg1Aeo
乙乙、敵か味方かうたたんたん
643 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/12(木) 09:04:53.67 ID:V3/KTMioo
乙です
644 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/12(木) 17:10:05.67 ID:STcT8mLR0
カルマ下がりまくってんな
645 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/12(木) 22:11:22.59 ID:0zNPtUKO0
面白い、実に鰤っぽい
しかし巴さんがこんなにしっかりヒロインポジなスレは珍しいな
646 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/13(金) 17:20:50.24 ID:/79eKXev0







咏「さぁ……」


咏「着いたね。此処が"勉強部屋"」

 ど ん

京太郎「……」

咏「天朋廷より少し離れた、山奥の洞窟」

咏「その奥の奥、キミの為に拵えた場所だ」

咏「いいだろう? この"勉強部屋"は、暴れるのには十分過ぎる広さだ」

京太郎「統制王族院に着いて最初にやることが、こんな洞窟で能力のお勉強か」

京太郎「……まあいいや。さっさと始めちまおうぜ」

咏「そうだねぃ。面倒なコトは抜きにしよう」


咏「少年、学ランのままじゃ動きづらいんじゃないのー? 知らんけど」

京太郎「……そんな事ねえさ」

咏「まあまあそう言わず、着替えなよ。統制王族院・護廷十三隊の羽織りだけでも袖を通してさ」

しゅっ

京太郎「うおっと」ぽすっ
647 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/13(金) 17:25:34.43 ID:/79eKXev0

咏「学ランの上からでも良いよ。それを羽織っておかないと、統制王族院の能力者と思われないからね」

京太郎「面倒な事だな」

咏「面倒でもまずは見かけから・だよ。うちに溶け込みたいならね」

咏「いやまー……知らんけど」

京太郎「知らねえのかよ……まあでも、そうだな……よし」ふっ


京太郎「これでいいか? 別に着たからって心が引き締まるワケでもなかったけどな」きゅっ


咏「わかんねー」

京太郎「あんたが言った事だろうが!」

咏「でも良い雰囲気になってきたんじゃないかな、少年」

咏「それじゃ……」

咏「まずは、私たちと一緒に勉強する、お仲間を紹介しよう」

京太郎「お仲間???」


咏「待たせたね。出ておいでよ」ひらり


京太郎「!」


 すたっ


「……」

京太郎「だ、誰だ?」


咏「八番隊の隊長である私を、補佐する能力者だよ」

咏「要するに、うちの隊の副隊長さ」

咏「今回私と一緒に、キミのお勉強を見てあげるようお願いしてある」

咏「この子の名は――……」


【だれ?】

自由指定安価↓1(一部無効キャラ有)
648 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/13(金) 17:26:56.27 ID:voV07VTdo
愛宕洋榎
649 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/13(金) 17:29:08.93 ID:Tznr6MHFo
上重漫
650 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/13(金) 18:30:35.61 ID:/79eKXev0


咏「愛宕洋榎(あたご ひろえ)」


咏「この組織の中で、私が最も信頼している部下だよ」

京太郎「そうか……よろし……ん?」


洋榎「……」もぐもぐ


京太郎(な、何か食べてる……)

洋榎「……」もぐ

ぴっ

洋榎「ごちそうさんでした」

京太郎「……」じとー

京太郎「六番隊の春と言い、あんたらの組織の副隊長ってのは何か食べてなきゃ気が済まないのか?」

洋榎「ん? いきなり何ボケたこと言うてんねん」

洋榎「丁度腹が減っとってな。腹が減ったからあるもんを喰った。当たり前の流れや」

洋榎「あの黒糖ちゃんと一緒にしてもろたら困る」

京太郎「そうかよ」

洋榎「それにしても、なんやなんや」

京太郎「?」

洋榎「うちの貴族趣味隊長が、わざわざ稽古つけたい奴がおる言うて燥ぐから」

洋榎「どないな原石が牌圧を潜めてやって来たかと胸躍らせて来てみれば」


洋榎「なんてこたない、ただの羽虫か」ぴっ


京太郎「……何だと?」


【#1】
1. [Lady-killer52] 羽虫なのは、どっちだ?(ぎろっ)
2. その認識を改めてくれるよう頑張るよ
3. ……ちぇっ、いきなり何だよこの女……

安価↓1
651 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/03/13(金) 18:30:54.95 ID:MhFbYOe+0
1
652 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/13(金) 18:31:06.86 ID:Tznr6MHFo
1
653 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/13(金) 18:59:41.15 ID:/79eKXev0


[失敗]


京太郎「は、はむ……のは……っち……」ぼそぼそ


洋榎「???」

京太郎「羽虫なのはでょっちだ!」ぎょろっ

洋榎「……」ぷるぷる

洋榎「ぷっ、はははっ、だ、大丈夫かいな? 無理せんでええで」にやにや

京太郎「う、うるせえ……」

洋榎「なー隊長! ほんまにこいつが例の"原石"で合っとんのかい!?」くるっ

咏「……またまた」


咏「洋榎ちゃん程の子が、気付かない筈なくねぇ?」にや


洋榎「……ふん」


洋榎「おい。金髪。いつまでもビビってんなや」

京太郎「だっ……誰が! 初めからビビってねえよ誰も何にも!」

洋榎「そか。ならええわ」



洋榎「刀、出し」



京太郎「……」

京太郎(空気が変わった……)

京太郎(さっきはちょっとこの女の圧にのまれちまったが……)

京太郎(この空気は悪くねえ……)
654 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/13(金) 19:01:09.04 ID:/79eKXev0

京太郎「わかった」


じゃらん!


洋榎「……ほー」


京太郎「みっともねえんだろ? いいぜ言わなくて。もう春に言われたからな」

洋榎「いやいや」

洋榎「"牌の加護"を御しきれず、剥き出しになったままの刀とはいえ」

洋榎「刀身から放出されてる牌圧は中々の重さ」

洋榎「これは見誤ったんとちゃうか、六番の副隊長が」

京太郎「な、なんだよ急に褒めて……」

洋榎「アホ。褒めたわけちゃうわ」

洋榎「あくまでただの能力者にしては・や」

京太郎「……」


咏「そう。この少年には才能がある」

咏「けどそれを遣う術はあまりに拙い……」

咏「だから私たちが教えてあげなくちゃなんねーのさ」

咏「刀の、遣い方ってやつをね」


京太郎「……」


【#2】
1. 余計なお世話だと思うんだけどな
2. わかった。とっとと始めようぜ

安価↓1
655 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/13(金) 19:04:50.30 ID:MhFbYOe+0
1
656 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/13(金) 19:06:24.72 ID:Tznr6MHFo
Lady-killerがここまでまるで成功してなくてワロタ
657 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/13(金) 19:21:52.75 ID:/79eKXev0


京太郎「余計なお世話だと思うんだけどな」


咏「余計なお世話か。笑わせるねー」

咏「余計なお世話かどうかは……」


咏「キミの刀が決めることだ」


京太郎「……」

咏「……少年、聴こえないか?」

京太郎「何が?」


咏「キミの刀の、悲鳴だよ」


咏「悲しいんじゃねーのー? 短いとはいえ、苦楽を共にしてきた相棒が」


咏「自分の名も知ってくれない、じゃあねぃ」


京太郎「!!」


咏「ま、知らんけどさ」

京太郎「……いや、確かにそうだな」

咏「お?」

京太郎「刀に名なんて、馬鹿馬鹿しいと思ってたけど……今はあんたの言う通りだと思う」

咏「ふむ」

京太郎「教えてくれ。俺は今から何をすればいい?」

咏「……決まってるだろう?」
658 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/13(金) 19:26:22.13 ID:/79eKXev0


咏「自分の刀に、名を訊くんだよ」


京太郎「……」

京太郎「……どうやって」

咏「洋榎ちゃん」

洋榎「わかっとる」たっ


 だん!


洋榎「おい! 金髪の」ずかずか

京太郎「……何だよ」

洋榎「刀の名を訊くのに小難しいことなんか、何一つない」

洋榎「刀が心を開くのは……」


洋榎「常に戦いの中、や」


京太郎「つまり……」

洋榎「おっと。勘違いしたらあかん。うちと戦うとでも思うたか?」

京太郎「違うのか?」

洋榎「違うわ。まあ、自分が窮地に立たされる・という点では……」

洋榎「同じなんやけど」にや


 ぴっ


京太郎「……それは」

洋榎「そう。串カツの串、や」
659 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/13(金) 19:57:58.86 ID:/79eKXev0

京太郎「はぁ……」

京太郎「それで、その串カツの串がどうした?」

京太郎「まだ腹が減ってるからもう一本欲しいってアピールか?」

洋榎「今の話の流れでこの串を見て浮かんだ疑問がそれかいな……ええ性格しとんなぁ」

洋榎「まあええわ。ほれ、金髪」

洋榎「刀こっち向かし」

京太郎「? わかった……」すっ

 がしゃ!

京太郎「これでいいか? 構えちまったけど」

洋榎「おう。バッチシやで」

京太郎「で、次は? どうすんだ?」


洋榎「こうする」すっ…





 ばしゅぅぅぅぅぅううううう!!!!!!





京太郎「――なっ!?」ぎょっ

京太郎(串を投げやがった!? こっちに向かって!)

京太郎(いや、串の先端の方向は俺じゃなくて――……)
660 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/13(金) 19:58:30.85 ID:/79eKXev0

京太郎「刀か!!?」


洋榎「……」にやり



 ぴしっ……



京太郎(串が、刀身に思いっきりぶつかった……)


 ちゃらんちゃらん…


京太郎(けど、案の定串が勢いを止めて、真下に落ちただけだ)

京太郎(何だよ。この串が俺の刀を貫いてくるんじゃねえかってビビっちまったじゃねえか)

京太郎(ま、冷静に考えたらそんなこと、あるわけねーわな……)


洋榎「金髪の。何安堵しとんねん」

京太郎「え?」



 ぴ し っ



京太郎「――……」
661 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/13(金) 19:59:31.22 ID:/79eKXev0

京太郎「嘘、だろ……」



 がしゃ…がしゃ…


 しゃ ら  ん


 ぱぁあん…



京太郎「俺の、刀が……」ふるふる


京太郎「砕けた……」


洋榎「どういうことかわかるか?」 

京太郎「……」くる

洋榎「たかだか串カツの串如きが、金属の刀の刀身を粉微塵に砕く」


洋榎「名も知らん刀の強度なんて、そんなもんっちゅうことや」


京太郎「何だと……」

洋榎「まだやで、金髪」ひゅん

京太郎(! 背後に回られた――……!)

京太郎(今度は何をする気だ――……)

洋榎「砕けた刀の破片の前に蹲って、相棒殺した自分の不甲斐なさを悔いて来い」すっ

京太郎「!」



 ばちゃあ!!!!


662 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/13(金) 20:24:59.43 ID:R7Fc0YNto
串カツの串に耐えきれず砕ける程度の強度の刀を砕けず受け止め合いをしていた春ェ……
663 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/13(金) 21:24:58.99 ID:t2Budccr0
>>662
原作の一護からしてその時のテンション?で霊圧とかがやたら上下したりしてるから…
664 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/13(金) 21:25:38.80 ID:/79eKXev0


――――

――――

――――


京太郎「いてて……」

京太郎「あの関西女、地面に散らばった刀の破片に向かって、俺の頭を思い切りぶつけやがって……」

京太郎「何してくれんだよ!」がばっ


京太郎「って、あれ、いない……」きょろきょろ

京太郎「っていうか……」ぎょっ



京太郎「ここ、どこだ……!!?」



京太郎(俺の目に見えているのは、青空と、コンクリートとガラスで構成だれた奇妙な地面だけ…)



京太郎「どこだよ、ここ……」

京太郎「さっきまで俺は、洞窟の中であの変な奴らと"勉強会"をしてた筈なのに……」





 「聞こえる 京太郎」





665 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/13(金) 21:26:46.03 ID:/79eKXev0


京太郎「……?」







 「こっち」







京太郎「ああ……」

京太郎「誰だ? あんた……」


666 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/13(金) 21:28:10.95 ID:/79eKXev0







【声の主は誰?】
1. 赤土晴絵
2. 小鍛治健夜

安価↓3







667 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/13(金) 21:29:39.55 ID:Tznr6MHFo
2
668 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/13(金) 21:30:36.72 ID:FAyIQG1No
669 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/13(金) 21:30:45.87 ID:MhFbYOe+0
670 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga !inaba_res]:2015/03/13(金) 21:47:45.13 ID:/79eKXev0


 「誰だ……って?」

 「何を言ってるの……?」



 「私だよ だよ」



京太郎「……?」

京太郎(聞こえない……)



 「そっか……あなたにはまだ届かないんだね……悲しいことだけど……」

 「一体、幾度声を嗄らせば私の声はあなたに届く?」


 「あなた以上に私を知る者なんて……」かつ…

 「この世の何処にも居はしないのに!」かつん…



京太郎「???」

京太郎「何言ってんだ?」

京太郎「悪いけどあんたみたいな知り合いはいねえん……」

京太郎「――!!」

京太郎「おい、あんたソレどうやって――……」
671 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/13(金) 22:13:13.04 ID:/79eKXev0

京太郎(黒い髪をした、大人しそうな少女は……)

京太郎(地面から飛び出た細長い棒の"側面"に立っていた――)

京太郎(ウソだろ、そんなとこに平然と立ってるなんて、重力を無視しすぎだろ!? 足の裏がこっちに向いてるなんてありえねえ!)


 「驚いた……」
 
 

 「どうしてそんな処に座っていられる?」



京太郎「!!!」


京太郎「なっ――」ぎょっ

京太郎「地面の方向が……っ」

京太郎(俺が地面だと思って座っていた、コンクリートとガラスは……)

京太郎(本当は、天に向かって聳え立つ巨大なビルだった……!)

京太郎(俺は、今まで"ビルの側面に座ってた"ってことか? ありえねえのは俺の方だったってのか! でもどうやって……いや、そんなことより)

京太郎(やばい!! 気付いたらもうダメだ――……落ちる!!)ぐぐぐ… ぐ ぐ


 ざああああぁぁぁぁぁっ


京太郎「お」

京太郎「うおぉぉぉぉぉおおおおお!!!!」じたばた


 「凄い余裕……絶叫なんて頼もしいね」


京太郎「高い空から落ちてんだ! これの何処が余裕に見えるんだ!!」ひゅぉぉおおお
672 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/13(金) 23:54:07.17 ID:/79eKXev0


 「そう。この世界の大気中に無数に飛び交う"牌の加護"さえも」

 「足許に固めれば踏み台とすることができる」


京太郎「聞いてんのかアンタは!?」ひゅぅぅぅ


 「知るんだよ、京太郎」

 「"自分自身の力"を」


京太郎「!!」


 「狩宿巴によって引き摺り出された"京太郎自身の力"は……」

 「先程、愛宕洋榎の攻撃によって、京太郎の魂の奥底へと隠れてしまった……」 


ぴきっ

 がらららら…


京太郎(! ビルが、音を立てて崩れ始めた……!)ひゅぅぅぅ


 「さあ、捜そう、京太郎」

 「隠れ去った"京太郎自身の力"を捜し出せる時があるとすれば……」

 「それは、この世界が崩壊を始めた今を於いて他にない」


 「今、降ってきている無数の匣」

 「この中のたった一つだけに、"京太郎自身の力"が隠れている」

 「それを見つけ出して!」

673 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/13(金) 23:56:17.04 ID:/79eKXev0

京太郎「ム、ムチャクチャ言うなよ……どうやって……!」ひゅおおお


 「言い訳はきかない」

 「時間が無い」

 「この世界が完全に崩れ去る前に見つけなければ――……」



 「二度と刀はなおらず――……」

 「京太郎は元の世界に帰れなくなるんだから!!」



京太郎「!!」

京太郎「まずい、地面が見えてくる――……!!」


 ど ぼ ん…


京太郎(上空から落下して、本当の地面に衝突した……)

京太郎(……と思ったら、俺は水の中に居た)こぉぉ…

京太郎(どうなってるんだこの世界は……いや、そんなことよりも)


京太郎(どうすりゃ良い?)


京太郎(崩壊したビルの破片、こんな中からたった一個、"俺自身の力"が入った匣を見つけ出す?)

京太郎(ムチャクチャだそんなの) 
674 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/13(金) 23:57:34.15 ID:/79eKXev0

京太郎(でも、やるしかないんだよな……)

京太郎(狩宿さんによって、引き摺り出された"俺自身の力"……か)

京太郎(思い出せ……)

京太郎(俺は、今までどうやって……自分の力を遣ってた?)


京太郎(思い出せ――……)


【#3】
1. 自分の力に誇りを感じた時の事を
2. 自分の力に悦びを感じた時の事を

安価↓1 
675 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/13(金) 23:58:08.39 ID:MhFbYOe+0
1
676 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/13(金) 23:58:08.96 ID:1RB2DnPLo
677 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/14(土) 00:47:19.47 ID:fTN3xOM50


京太郎(自分の力に、誇りを感じた時の事を――……)


〜〜


咲「京ちゃんは……逃げて」

和「来ては、いけません……危ないです……はやく、逃げて……」


巴「友達を、助けたいですか……?」


〜〜

〜〜


舞「宮永咲、だったな……済まねえことをした」


〜〜

〜〜


ハオ「貴方の覚悟に触れることができて光栄でした」

ハオ「――出来るなら、違う場所で出会いたかったくらいに」


〜〜
678 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/14(土) 00:48:28.36 ID:fTN3xOM50

〜〜


優希「京太郎が嫌なら訊かない。京太郎は私を想って言ってる」

優希「それなら私は――納得しなくちゃいけないんだじょ」


〜〜

〜〜


咲「京ちゃんに悲しみがあるなら受け取るし、私に喜びあれば分け与えたい」

咲「道過てば怒る、過ちを犯したって許す、立つ瀬の無い時には――」


咲「――私が拠り所になるよ」


〜〜

〜〜


巴「わかった、須賀くん。此処は頼むね」

巴「なんか……大丈夫な気がする。須賀くんなら何があっても」


〜〜

〜〜


春「約束だった……私に勝てたらこの黒糖」

春「あなたにも分けてあげる……って」


〜〜
679 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/14(土) 00:50:17.72 ID:fTN3xOM50

〜〜


和「今度は……無責任だなんて言いませんよ」

和「あなたの決意、確かに私に託されました」


〜〜

〜〜


巴「解ってるって須賀くん。そんな顔しないで」

巴「待ってる」


〜〜


京太郎(……そんなもん)



京太郎(数え切れねえよ――……)



京太郎(はっ……まずい。時間が――……)

京太郎「!!」

京太郎(何だ……ありゃ)

京太郎(無数に近い匣の中、一つだけ、色が違うものがあった)

京太郎(何色なのかわからねえ……光ってるのか、濁ってるのか……ただ、明らかに他とは違う匣を見つけた)

京太郎(迷ってる暇はない、か……あれに――賭ける!)ぐい


 こぽ… こぽ…

 ぐいぐいぐいぐい


 がっ!!!


京太郎(掴んだ!)

京太郎「これだぁ!!」
680 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/14(土) 00:56:10.43 ID:fTN3xOM50


 ぱこっ…


京太郎「!」

京太郎「匣が開いた……中から出てきたのは……」




京太郎「刀の、柄……?」




 「そうだよ、京太郎」

 「あなたの刀が折れたって、あなたの誇りはあなたの力を憶えてる」




京太郎「……」




 「――……よく……」

 「見つけてくれた――……」




京太郎「!!!」

681 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/14(土) 00:59:33.86 ID:fTN3xOM50


 「次こそは――……」



 「私の名が……京太郎の耳に届くといいな――……」




  19. Just know me




京太郎「――……あんた」



京太郎「もしかして――……」

682 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/14(土) 01:07:01.46 ID:fTN3xOM50


 ずっ…


京太郎「!」


 「何をしてるの?」

 「崩れちゃうよ!」

 「はやく私を引き抜いて!」


京太郎「くそ…カテぇ……」ど ど ど ど ど 


ど ど ど ど ど 

 ど ど ど ど ど 



 ずおおおおぉぉぉぉぉぉん……



――
 

 ず ん


洋榎「……なんや? 地震か?」

咏「……!」
683 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/14(土) 01:26:19.47 ID:fTN3xOM50


京太郎「……」ぴく


洋榎「お……動けるようになったみたいやな、こいつ」

洋榎「どや? あん中で刀と対話してたんやろ? 訊けたか? 刀の――……」


京太郎「名前なら、訊けてねえ……」ざりっ…


洋榎「うへぇ……マジかい……」

洋榎「隊長どーしましょーかー? 折角うちが刀と対話させたってんに」

洋榎「このザマじゃ話んならんわ。隊長代わってくれんか」

咏「そうだねー」びっ

咏「まあ名は訊けなかったとしても、向こうの世界で色々少年も疲れただろうし……しらんけど」ひらひら

京太郎「いや、疲れたぜ」

咏「そっかそっか。それならどうだい少年、このまま……」

京太郎「このまま、何だ? このまま取り敢えずメシ休憩でも――……」


 ひゅっ…


京太郎「!」

咏「このまま……レッスン2ってのは?」

京太郎「……」


【#4】
1. 上等!!
2. えー。腹が減ってちゃレッスンなんて出来ないっすよ
3. 愛宕洋榎! さっきはよくもやってくれたな。俺は決めてたんだ。あそこから出られたら、まずはあんたをブッ飛ばすってな(ぴきぴき)

安価↓1
684 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/14(土) 01:26:57.19 ID:aVR9N8g40
1
685 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/14(土) 01:27:16.43 ID:DiDm0BU5o
2
686 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/14(土) 02:10:45.40 ID:fTN3xOM50


京太郎「上等!!」


咏「良い返事だね、少年」

咏「刀はそのままだけど大丈夫かー? しらんけど」

京太郎「そうだな。柄だけは無事だけど、刀身は砕かれたまんまだ」

京太郎「でもいいぜ。問題ねえさ。そっちに不都合が無けりゃな」

咏「わかんねー」

京太郎「いや、わかれよ」

咏「手厳しいねぃ……レッスン2はなんと」

咏「時間無制限!」

 さっ

咏「"刀を遣って"、私に一太刀浴びせたら」

 ごぉぉぉ

咏「クリア――……」ぴく


 どっ!!!


咏「へぇ……いきなり斬りかかってくるとはせっかちだねぃ」

京太郎「……」ごぉぉぉぉ
687 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/14(土) 02:11:51.52 ID:fTN3xOM50

咏「けどまぁ、折れた刀でここまでとは……流石だねー、しらんけど」

京太郎「当たり前だ。本気出せばこんなもんじゃないぜ」

京太郎「時間無制限だなんて悠長なこと言ってねえでよ!」

京太郎「5分くらいでカタ付けようぜ!!」くいっ

咏「わかんねー、何でそんな自信あるのかわっかんねー」

咏「けど……そうだね」



咏「そんじゃ5分で、カタを付けてみようか」すっ…



 -------------

  To be continued...
688 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/14(土) 02:13:05.54 ID:fTN3xOM50

★☆★ here is the data of THE CHAPTER!! ★☆★

【#1 → 失敗 好感度上昇+1(洋榎)】
【#2 → 好感度上昇+2(咏) カルマ下降-2】
【#3 → カルマ上昇+4】
【#4 → 好感度上昇+2(咏) 好感度上昇+1(洋榎) 】

◆現在の称号【護廷十三隊入隊希望者】
◆カルマ【+10】
◆所持金【44,000】
◆END(max)【100】

◇スキル
[Speech] 45
[Strength] 51
[Gift] 14
[Intelligence] 24
[Lady-killer] 53 (+1)

◇好感度
/咲/  37
/優希/ 17
/和/  17
/巴/  63
/ハオ/ 14
/絹恵/ 7
/霞/  9
/春/  16
/咏/  7 (+4)
/洋榎/ 2 (+2)
689 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga sage]:2015/03/14(土) 02:57:08.22 ID:fTN3xOM50
今日、明日の土日は私用で恐らく更新出来ません。
次の更新は月曜日になると思います。よろしくお願いします。
690 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/14(土) 03:13:17.14 ID:ycB2RUyro
おつおつー
舞ってるよー
691 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/14(土) 04:15:48.91 ID:PN7fe7p20

これアラフォーが若返る可能性が微レ存…?
692 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/14(土) 10:09:20.56 ID:DiDm0BU5o
乙です
693 :sage :2015/03/14(土) 12:51:40.45 ID:JbSciJ4x0
千年前のアラフォーの姿が……
694 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/14(土) 21:00:26.15 ID:6G1LORWro
解号は「嫁げ」かな
695 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/14(土) 22:37:17.95 ID:uVQ0g6kPo
>>694
ワロタ
696 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/16(月) 14:48:10.54 ID:FHxlIuNg0







春「……」すたすた


「何処へ行くの? 春ちゃん」


春「霞さん……」

霞「そっちは天朋廷の外へ繋がっているけど」

霞「何か、出なければならない用事でも?」

春「……そう。用事」

春「総隊長より下された、正式な任務」

霞「あら……聞いてなかったわ」

霞「それはどんな任務なのかしら」

春「……"彼"に、伝えに行かなければ……」
697 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/16(月) 14:52:41.25 ID:FHxlIuNg0

霞「伝えに……? 何を?」

春「……」

春「……"彼"が、十三隊のうちの、どの隊の所属になったか」

霞「……成程ねぇ」

霞「それで一体、彼は何番隊に決まったのか……聞かせてくれる?」


――



 ひゅっ

 きんっ! 


京太郎「うお……っと」ひょいっ

咏「どうした少年? 言ったろ、このレッスンのクリア条件は私に一太刀浴びせること」

咏「はやく私に近付いて、斬りかかってきなよ」

咏「5分でカタ付けたいんだろ?」

京太郎「わかってるよ!」

京太郎(あんたが近付けさせてくれないんだろ……っ!)

咏「はやくはやくー」ひゅっ ひゅっ

 きん! がきん!

京太郎(三尋木さんが手に持ってる扇子)

京太郎(あの人があれで空気を扇ぐと、重たい風が、カッターみたいな形になって飛んでくる)

京太郎(俺の折れた刀で弾けるってことは、食らったらダメージになるってことだろうし)

京太郎(間髪を容れずに飛んでくる風の刃に阻まれて、あの人に全く近付けない……!)ぎりっ


【#1】【END100】
1. [Strength51] いや、今の俺なら……強行突破出来る!
2. [Gift14] ……流れだ

安価↓1
698 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/16(月) 14:53:35.42 ID:TvaTr+Q9o
2
699 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/16(月) 14:59:54.05 ID:4ve9e3xco
初登場
700 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/16(月) 15:17:56.86 ID:FHxlIuNg0


[失敗] 【END100】→【END86】


京太郎(……流れだ)


京太郎(冷静に考えて、扇子で扇いだくらいのただの風が、こうまで重くなるわけがねえ)

京太郎(きっと、能力者としての力を使ってるんだ)

京太郎(三尋木さんは刀を発現させてねえ。ってことは、何か別の力を使ってる筈だ)

京太郎(狩宿さんもよく使ってた……確か鬼道っていうんだったな……牌の加護を操って、特殊な術式を作りあげる……)

京太郎(よく見ろ。扇子から放たれるあの風を)

京太郎(俺も能力者なら、その中に見える筈だ……牌の加護の、流れが)


京太郎「……」ぐぐぐ

京太郎「……〜〜っ! くそっ、迅ぇっ! じっくり見させてくれる暇はないらしい!」かちゃ


 がきん!


京太郎「ふぅー……」

咏「……」

咏「うーん。どうやら来れないみたいだねぃ」

咏「それなら仕方ない」


咏「こちらから行くとしようか」しゅっ

じゃらん!


京太郎「! 刀を出したな……」

京太郎「扇子を使わないなら都合が良い。接近戦ならいける!」

咏「そっかそっか! 威勢の良い子は嫌いじゃないぜ!」かちゃ

京太郎(……来る!)

京太郎(まず三尋木さんの一振り目を……受け止めて、防いでからだな)


【#2】【END86】
01〜49 受け止めきれない
50〜00 受け止める

コンマ判定↓1
701 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/16(月) 15:19:44.84 ID:7K4epiIWo
702 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/19(木) 16:19:31.73 ID:CaIR98Cmo
703 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/21(土) 22:49:21.98 ID:U3ZJLpA40


[成功]


 がきんっ……!


洋榎「おぉぉぉ……!」びりっ
 

洋榎「隊長の一振り目を受け止めてもた」

洋榎「あんな折れた刀でようやるわ、あの金髪」

洋榎「成程。黒糖が見誤る訳や」じっ…


咏「……いいね、少年」

咏「何時ぶりになるかな……私の一振り目を防いだ奴は」

京太郎「興味無えよ」

咏「つれないね……これでも褒めてるつもりなんだけどっ」

京太郎「そりゃどうも!」ぶんっ


咏「押し返したかっ! カタいねっ」ぐいっ


京太郎「刀身が折れてなければ当たってたんじゃねえか!?」にや

咏「さあ、どうかな……?」にや

咏「折れてなければ当たってたってことは、折れたままじゃ当たらないってことじゃねーの? 知らんけど」

京太郎「折れたままじゃ、当たらない……だと?」

京太郎(最もな話だ。けど、今はこれであの人を叩っ斬るしかねえ)

京太郎「試してみなきゃわからねえだろっ!」だっ
704 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/21(土) 22:51:04.61 ID:U3ZJLpA40

咏「分かるさ、今すぐにでもね」

咏「さあ、行くよ……」


 ちゃき…


洋榎「!!」


洋榎(あの構えは……戦いの構えやないか)

洋榎(戦いを始めると決めた隊長が見せる構えや)

洋榎(本気かいな、隊長。その金髪、殺してまうで)

洋榎(まぁでも、観てるこっちにとっては面白くなってきた、ってのは間違いないな)

洋榎(あんたの力、見せてくれや、金髪)


咏「……少年」ちりっ…


 ごうっ!


京太郎「!!」

京太郎(なんだ……三尋木さんから、今までと少し違う空気を感じる)

京太郎(圧のでかさが変わったわけじゃねえ。桁違いに重いのはそのままだけど……これは何か)

京太郎(刺すような、射抜くような……)

京太郎(もっと何か、攻撃的なものに変わったような――……)


咏「何を考えてる?」

705 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/21(土) 22:53:46.93 ID:U3ZJLpA40


京太郎「!!」


咏「戦いの最中に、考え事はそうそうするものじゃあないよ」

咏「それは、命取りになるからだ」

咏「今だってほら、こうして手を伸ばせば」すっ…


咏「きみの心臓に届きそうだ」ぴた


京太郎「なっ……」

京太郎(迅い! これが三尋木さんの本気の動きか! 立ってた位置から消えた瞬間すら見えなかった)ぞわっ

京太郎「すげえな! 何時の間にこんなに接近したんだ? 俺の胸に手を置ける距離までさ。全然気が付かなかったぜ!」だだだっ

咏「おいおーい。情けない事言うね」

京太郎「褒めてるつもりなんだけどな!」にや

咏「そりゃどーも」

咏「でもさ、少年。どうしてそう距離を取る?」

咏「きみから言ったんじゃなかったっけ? 5分でカタ、付けるってね」

咏「そろそろ5分じゃねーのー? 知らんけど」

京太郎「……」


だっ


咏「さて……」かちゃ

咏「今度は私の剣、受け止められるかなっ?」ちり…ちり…


【#3】【END86】
01〜49 受け止めきれない
50〜00 受け止める

コンマ判定↓1
706 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/21(土) 22:54:24.80 ID:9cQvVIXco
あい
707 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/21(土) 23:04:57.59 ID:mkoJ+QHao
やりおる
708 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/21(土) 23:05:09.24 ID:K8d27LaIO
流石
709 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/21(土) 23:15:52.93 ID:U3ZJLpA40


[成功]


京太郎「止めるさ、何度だってな」


咏「!」


 がきんっ!


洋榎「ほぉぉ〜」

洋榎「あの隊長の剣を、一度ならず二度も受け止めよったで……」

洋榎「センス高すぎやろ、あの金髪!」

洋榎「もうちょい強けりゃ、うちの刀の錆落としくらいはさせてくれそうやな」わくわく


咏「……参ったね、どうも」

咏「そんな"おもちゃ"で調子に乗ってる少年には、ちょっと痛い目見てもらいたかったんだけど……」

咏「手加減したとはいえ、二撃目まで防がれちゃ面目が丸潰れだね。いや、わかんないけどっ?」

京太郎「手加減か」

咏「うん……少年。確かきみは立派な事に、あの眼鏡の女の子……狩宿巴ちゃんを助けたくて、この統制王族院にやってきたんだったね」

京太郎「ああ。そうだ」

咏「じゃあ、助けた後はどうする?」

京太郎「助けた後……?」

咏「そうだよ。助けた後さ」

咏「わかるだろ? 一度能力者になったんだ。此処に残ってもいいし、能力を手放して、日常へ帰ってもいいだろう」

咏「……"他の道"だって選べる筈だ。そう、きみならね」

京太郎「そんなの……」


【#4】
1. わっかんねーよ。来たばかりで、そんなの今悩む事じゃねえからな
2. [Lady-killer53] あんたは、どうしたらいい思う?

安価↓1
710 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/21(土) 23:16:28.31 ID:9cQvVIXco
711 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/21(土) 23:16:30.18 ID:okpfBMg10
2
712 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/21(土) 23:17:07.30 ID:Hxo6pXaX0
2
713 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/21(土) 23:38:14.76 ID:U3ZJLpA40


[成功]


京太郎「あんたは、どうしたらいいと思う?」


咏「そうだねー……」

咏「ふふふふ」

京太郎「な、何だよ急に笑い出して……」

咏「いや、ちょっと仮定をしたら面白く思っちゃってね」

京太郎「仮定?」

咏「そう。きみは、私とのこのお勉強を経て強くなり、統制王族院の仕事をこなすうちにさらに強くなる」

咏「死刑なんてもんをぶち壊すくらい功績を上げるんだ。その時には、想像もつかない程逞しくなってる」

咏「そんな逞しくなった少年が……」


咏「私と道を同じくするという、仮定をね」


京太郎「お。俺なら狩宿さんを助けられるって言ってくれてんのか?」きらきら

咏「そう受け止めて貰って構わないよ。知らんけど」

京太郎「おお、嬉しいな! って」

京太郎「道を同じくするってのは???」


咏「私について来る気はないかい?」ぴっ


京太郎「え?」

咏「……」

京太郎「どういう……」

咏「……なんてな」

咏「いきなり言われても、そんなの知らんけどって感じだよね。悪い悪い」

京太郎「???」

咏「ただ、覚えときなよ」
714 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/22(日) 00:25:17.83 ID:2QUMLxKIo
うたたんイェイ〜
715 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/22(日) 00:27:35.23 ID:43mowXQnO
もしかしてレディキラー初成功か?
716 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/22(日) 01:06:12.55 ID:MpjJyy1q0


咏「きみが望めば、"その時"には私はきみを、導いてやれるって事を」


京太郎「よく意味がわかんなかったけど……俺を認めてるってことでいいんだろ?」

咏「さあ? わからんしそんなん」

咏「ってか、認めるとか認めないとか、そんなん未だじゃねー? 一太刀入れてないじゃん、だって。未ださ」

京太郎「はっ。それもそうだったよ」

咏「じゃあ少年、認めさせてくれるかい?」

咏「今、此処で!」にっ

京太郎「もちろん!」じゃきっ


 だだだだだだだだだだだっ


京太郎(刀を二回、受け切ったからか知らないけど)

京太郎(三尋木さんは、俺を認めてくれた)

京太郎(本人は認めてないって言ったけど、少なくとも俺が成功する未来を想像してくれた)

京太郎(そして俺に、狩宿さんを助けた後の事を、考えさせてくれたんだ)


京太郎(――自信だ)きっ

717 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/22(日) 01:07:35.83 ID:MpjJyy1q0

京太郎(刀を二回も受け止めて、そして相手に認められることが、こんなに自信になるなんて知らなかった)

京太郎(勢いでここまで来た。必死で、ただ狩宿さんを助けたいって想いだけで俺はここに来た)

京太郎(けど、今の俺には自信がある)

京太郎(狩宿さんを助けて、新たな未来を切り拓く自信が!)


京太郎「さあ行くぜ三尋木さんっ!!」ぐっ

京太郎「これが俺の剣だ!!!」


咏「……」ちゃき


 ごうっ!


京太郎(くそっ! やっぱり凄ぇ圧だ)びりっ

京太郎(あの人の、俺の剣を受け止めて、お返しに俺の体を斬ってやるっていう気合いが、びりびり伝わってくる……!)ぶるっ


 かたかた


京太郎(何だ? 今更ビビってんじゃねえよ俺)かたかた

京太郎(あの人の剣、ずっと受け止めてこれたじゃないか。何で今更……)

京太郎(自信だってついた筈なのに……)


 「――まだだよ」


京太郎「!」
718 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/22(日) 01:15:00.74 ID:MpjJyy1q0


 「まだあなたは、私を呼んでいない」


京太郎「この声は……」


 「自信がついて、なんだか急にいい顔になったね」

 「でも、自信がつくからこそ生まれるものだってある」


京太郎「自信がついたからこそ生まれるもの……?」


 「恐怖だよ」


京太郎「恐怖だって? まさか」


 「あなたは、狩宿巴を助けたいって気持ちが強すぎるあまり、目の前の物事に集中できていなかった」

 「狩宿巴が死刑だと聞かされて、この地へ着いて、強制連行されるところまで見せられて」

 「あなたの心には少なからず焦りがあったから」


〜〜


洋榎「砕けた刀の破片の前に蹲って、相棒殺した自分の不甲斐なさを悔いて来い」すっ


〜〜


 「その心の隙を衝かれて、愛宕洋榎に容易く私を壊された」 


京太郎「……済まねえことをしたな」
719 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/22(日) 01:20:33.22 ID:MpjJyy1q0


 「いいよ。気にしないで」

 「ただ前を向くの」

 「自信がついて、前を向く余裕ができたでしょ」


 「急に震え始めたのは、その余裕が三尋木咏の力を正しく認識させたから」

 「だからその恐怖は、決して間違った感情じゃない」

 
京太郎「そうか……」

京太郎「けど、その恐怖に打ち克つにはどうすればいいんだ? "相棒"」


 「……京太郎」


京太郎「?」


 「私があなたの名を呼ぶように」

 「あなたにも、私の名を呼んでほしい」

 「京太郎が私の名を呼んでくれるなら、私は京太郎に取り付く、どんな恐怖も取り払うよ」


京太郎「!」


 「あなたの耳を塞いでいたのは、取るに足らない焦りだけ」

 「今の京太郎になら、聞こえる筈だよ」


 「さあ……叫んで。私の名は――……」


【#5】
1. ……私の名は???(自由指定 / 『小鍛治健夜』等本名無効)
2. 斬月!!

安価↓2
720 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/22(日) 01:22:33.13 ID:UNd2n9NYo
ksk
721 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/22(日) 01:34:41.62 ID:Xk1FUJrK0
叢雲
722 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/22(日) 01:35:48.88 ID:2il6Ht/Oo
1 荒鎖愛
723 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/22(日) 01:53:25.27 ID:2QUMLxKIo
駆逐艦かな?(すっとぼけ)
724 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/22(日) 02:01:15.04 ID:MpjJyy1q0










京太郎「叢雲!!」がしっ









725 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/22(日) 02:01:59.35 ID:MpjJyy1q0






 どうっ!!!!!!!!!!!!!!!!






ざああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!


どぉぅ…

どぉぅ…


 どどどどどどどどどど

 どどどどどどどどどどどどどど



洋榎「これは、まさか……!!」


 どどどどどどどどどどどどどどどどど


咏「……」



 どどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどど



726 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/22(日) 02:02:50.67 ID:MpjJyy1q0





京太郎「……」 ど ん





 ひゅぅぅぅ…


どどどどどどどどどどどどどどどどど



ざっ…

727 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/22(日) 02:03:32.25 ID:MpjJyy1q0
20. THE BLADE AND ME
728 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/22(日) 02:04:07.54 ID:MpjJyy1q0


洋榎「な……」


洋榎「なんや……あれは」ごくり

洋榎「どうなっとるんや……」


【刀の形状は?】
1. 柄も鍔もない
2. 自由指定(燃え盛っている、木で出来ている、鎌のよう、身の丈程の大剣、刀身の色が青い等、大きさや形)

安価↓1
729 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/22(日) 02:04:42.03 ID:ptYtRnr80
2見えない
730 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/22(日) 02:19:56.42 ID:MpjJyy1q0



洋榎「何も、見えへんやないか……!!?」



洋榎「ウソやろ……」

洋榎「牌の加護の流れで、微かにそこにあるのは感じ取れるんやけど……」

洋榎「構えてないと、握ってるのかどうかも判らん……」

洋榎「マトモな刀の形しとらんやんか……!」



京太郎「……」ちゃき



咏「……成程」

咏「"それ"がきみの刀だね? 少年」

京太郎「そうみたいだ」

咏「全然、刀本体が見えないねっ」

咏「ほんとに握ってんのー?」

京太郎「とぼけないでくれよ三尋木さん。見えてなくたって感じてる筈だぜ」

京太郎「この"叢雲"の、"剣圧"が」こうっ…

咏「……うん」


【特殊能力(技)はある?】
1. 今は他に無い(見えないだけ)
2. 自分の牌圧を喰って、刃先から放出する
3. 自由指定(伸びる、刀身が桜のように分かれて散る等)

安価↓1

731 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/22(日) 02:20:31.49 ID:2il6Ht/Oo
1
732 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/22(日) 02:43:48.24 ID:MpjJyy1q0

京太郎「だろ?」

咏「それじゃ、刀の名も知ったところで改めてレッスン2始めよっか」

咏「何でか知らないけど、きみ向かってくる途中で立ち止まっちゃったからさ」

咏「ほら、斬りかかってきな――よ……」



京太郎「悪ぃな! これで終いだ!」だんっ!



咏(――……迅い……)

咏(切り替えるしかない!)ちりっ…


ぶんっ




 ざしゅっ!!




咏「うぐっ……」ぶしゃぁぁぁ


京太郎(決まった……勝った!)

京太郎(一太刀入れたぞ……やったぜ叢雲! って)
733 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/22(日) 02:48:18.24 ID:MpjJyy1q0

京太郎「だ、大丈夫か三尋木さん!!」たたっ

咏「は、はは……まさか、刀の名を知っただけで、速度まで上昇していたとはね……わっかんねーな、やっぱりきみは……」

咏「そして、刀身が見えないおかげで、受け切れなかったよ……」

京太郎「お、おい愛宕洋榎! 手当が……!」


洋榎「必要ないんとちゃうか?」


京太郎「何だって?」

咏「洋榎ちゃんの言う通り」

咏「ほら」ぽわ


 ぽわん ぽわん


京太郎「三尋木さんの傷がみるみる治っていく……」

咏「私ほどになれば上級の回道だって遣えるからねー」

咏「知らんけどっ」にゃはは

京太郎「はー……凄ぇな三尋木さん……傷を負っても自分で治せちまうのか」

咏「まあねー……」


咏(やれやれ……)

咏(直前で発動させた、私の"静血装(ブルート・ヴェーネ)"が無ければどうなっていたやら……)

咏(まさか、この私にこれを使わせるまでとはね……)

咏「少年。きみは恐ろしい子供だ……」

京太郎「それ、褒めてんのか?」

咏「それは――」

京太郎「知らんけど……って?」

咏「はっ」
734 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/22(日) 02:49:55.40 ID:MpjJyy1q0


咏「よくわかんないけどレッスン2、クリア!」

京太郎「わかんねえのか……」


咏「どうだ? 少年」


京太郎「? 何が?」

咏「刀の名を知ったんだ。きみは名実ともに統制王族院の一員となったってわけだね」

京太郎「……」


咏「感じるだろう? 今のきみには、此れ迄とは別次元の牌圧が宿ってる筈だ」


京太郎「……! これは……!」


【コンマ値分、END上昇】

判定↓1
735 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/22(日) 02:51:19.69 ID:vRJkvuCZo
ほい
736 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/22(日) 03:06:25.66 ID:MpjJyy1q0


【END(max)100】→【END(max)169】


京太郎「おお……!」ぞわり


京太郎「すげえ。体の奥から力が湧いてくるみたいだ……!」ぞくぞく

咏「少しでもそれを感じられてるなら良し」


咏「さ。刀の名を知る・という当初の目標は達成したことだし」

咏「総隊長に謁見でもしに行くかっ? それとも休憩する?」

京太郎「行くよ。俺も早く仕事回して欲しいからな」

咏「んじゃ決まりだねー」



 ざりっ

「……」ぽりぽり



「「「!!!」」」


京太郎「お前は……」


春「……」ぽりぽり


京太郎「春!」

春「京太郎」
737 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/22(日) 03:07:19.39 ID:MpjJyy1q0

洋榎「はーっ。相も変わらず甘そうなもん食っとんなぁ」

洋榎「分けて分けて〜」すすす

春「……」ささっ

洋榎「ええやん一つくらい」

春「仕方ない……」すっ

洋榎「サンキュー!」ぱく

洋榎「美味しー!」ぽりぽり

春「……」ぽりぽり

京太郎「はは……」


咏「それで、六番隊副隊長殿が何の御用で、こんな洞窟まで?」


春「それは……」

春「京太郎の、所属する隊が決まった」


咏「!」

洋榎「ん?」ぽりっ

京太郎「所属する隊?」
738 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/22(日) 03:17:23.50 ID:MpjJyy1q0

洋榎「新参の金髪のためにうちが有難く説明したるわ」

洋榎「統制王族院の武力は、護廷十三隊って組織が基本になっとるんや」

洋榎「能力者の数は千人を超えとる大組織やで。十三の隊に分かれて各々業務にあたっとる」

洋榎「うちと、この三尋木隊長が所属するのが八番隊。黒糖は六番隊や」

洋榎「隊毎に微妙に特色がちゃうんやけど、明確なのはエリート揃いの一番隊とか、戦闘狂揃いの十一番隊とかやな」

京太郎「ふうん……」


京太郎「それで、俺は何番隊になったんだ? 春」


春「京太郎は……」


【#6 『一〜十三』のうち何番隊? 『一』『六』『八』以外は隊長の名前を併記】

指定安価↓1
739 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/22(日) 03:18:14.30 ID:2il6Ht/Oo
八番隊
740 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga sage]:2015/03/22(日) 03:21:47.68 ID:MpjJyy1q0
指定有難うございます! すいません。今夜はここで更新を切ります。
遅くまで御付き合い頂きありがとうございました。
741 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/22(日) 03:26:22.20 ID:2il6Ht/Oo
乙乙
742 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/03/22(日) 03:27:12.66 ID:QWSO+kau0

オサレ感があって読んでて楽しい
743 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/22(日) 03:27:38.47 ID:QWSO+kau0
下げ忘れすまぬ
744 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/22(日) 04:00:55.30 ID:2QUMLxKIo
おつなのよー
745 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/22(日) 18:14:44.85 ID:MpjJyy1q0


春「八番隊」


京太郎「八……っていうと」

ぽん

京太郎「お?」


洋榎「おう」ぐっ


京太郎「お、おおう」

洋榎「ん」すっ

京太郎「ん?」

洋榎「いや、手ぇ出しとるやんけわかるやろ」

洋榎「親愛の握手っちゅうやつや」

京太郎「そうか……八番隊は、あんたらの隊か」

京太郎「よろしく……でいいのかな」ぐっ

洋榎「入隊おめでとさん」

洋榎「うちの下はキツイで。扱いたるから覚悟しとき」

京太郎「……ま、まあ知ってる奴がいる隊で有難いぜ……」

洋榎「知り合ったのは今日やけどな」

咏「なんだよー。そう残念そうな顔すんなよー」

京太郎「してねぇよ……」

746 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/22(日) 18:17:43.62 ID:MpjJyy1q0

洋榎「で、黒糖はん、この金髪はあんたの言う通り中々筋がええわ」

洋榎「席官でもええと思うけど、どうなん?」

洋榎「隊の中の序列も、聞いてたりするん?」

京太郎「春の言う通りって……」

京太郎「春、俺のこと話したのか?」

春「話した、というより……」

春「隊長格には、仕来りとして仕事の内容は報告しなければいけないから……」

咏「興味深かったねー。戦闘ではるるが仕留められなかったって聞いて、たまげたものだったよ」

京太郎「そうか……なんか恥ずかしいな」

洋榎「それでそれで、どうなんや? こいつの隊の中での序列は……」

春「勿論、聞いてる」

春「京太郎の隊の中での序列は……」


【#7】
01〜30 一般平隊士
31〜70 第二十席十五名の一人
71〜00 第三席

コンマ判定↓1
747 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/22(日) 18:18:28.42 ID:xfvqJgI0o
はい
748 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/22(日) 18:33:30.14 ID:MpjJyy1q0


春「第二十席」


洋榎「おお〜……!」

洋榎「まあまあええやん! 入隊してすぐ席官入りやで!」

ぱしっ

京太郎「???」ぱしっ

京太郎「何だ? 一体……」

咏「それぞれの隊の中でも、強い奴弱い奴で、序列があるんだよ」

咏「私は一番強いから隊長。洋榎ちゃんは二番目に強いから副隊長、といったふうにね」

咏「第二十席は十五名もいるから、誰々が何番目に強いとかはよくわっかんねーけど」

咏「入隊早々席官入りなんて、そうはないことだ」

咏「才能が認められてる。もしかしたら少年は出世頭かもね……知らんけど」

京太郎「実感がないな……何にも仕事はしてないぞ」

洋榎「あんたは隊長の剣を何度か受け止めた。それどころか一太刀浴びせたんや」

洋榎「そんな芸当が出来る奴は、隊の中じゃうちだけや」

洋榎「むしろ低すぎるって怒っても文句言う奴はおらんで」

京太郎「……な、何か急に褒めてきてるのは意図でもあるのか……?」びくびく

洋榎「人が折角褒めたってんやから素直に受け取らんかい!」

咏「それじゃあ、少年」すっ……

京太郎「!」


咏「早速だけど、仕事、お願いできるかな」


京太郎「……」ごくり

京太郎「ああ、こちらからもお願いするよ」
749 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/22(日) 18:50:21.52 ID:MpjJyy1q0


咏「きみにはまず、第一歩として……」


京太郎(どんな仕事がくる……?)

京太郎(緊張するぜ……)

京太郎(この人のことだ。どうせ破天荒なものに違いない……)


咏「隊舎の掃除をしてもらう」


京太郎「……」ずっ

京太郎「掃除……だと?」

咏「うん」

咏「やり方は他の隊員に聞けばいいよ」

京太郎「……な、なんか」ぽかん

京太郎「意外だな……もっとへんてこな仕事をさせられると思ったぜ」

咏「何を言ってる。新人はまず隊の仕来りや隊舎の設備を憶えないとね」

洋榎「うんうん。そんならうちらは先に帰っとくからな金髪。行きましょ隊長」

咏「そうだねー……じゃあ新人くん、サボるんじゃねーぞー」

京太郎「え? ま、待て! 俺はまだ隊舎の位置がわかんねーぞ! こんな洞窟に置いてかないでくれよ!」

咏「おっとぉそうだった。天朋廷にも足を踏み入れたことはなかったね」

洋榎「そんなら案内役が要るな」

京太郎「……」


【#8】
1. 春、頼むぜ
2. 愛宕洋榎。案内役はあんただ
3. 三尋木さん、置いてかないでくれ
4. 皆の手を煩わせるわけにはいかないよ。やっぱり自分で探すわ

安価↓1
750 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/22(日) 18:52:42.07 ID:ptYtRnr80
4
751 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/22(日) 19:02:00.35 ID:MpjJyy1q0


京太郎「皆の手を煩わせるわけにはいかないよ。やっぱり自分で探すわ」


洋榎「お、ええ度胸やな」

洋榎「一人で大丈夫か?」

京太郎「まあ何とかなるさ。先に帰っといてくれ」

洋榎「そこまで言うなら、言葉通り帰らせてもらうわ」

洋榎「また隊舎で会おうや」びゅんっ

咏「じゃあね〜」びゅんっ

京太郎「迅い……あれは瞬歩(しゅんぽ)か」

春「京太郎ならきっと、すぐに憶えられる」

春「……」すっ

京太郎「お。黒糖……くれるのか?」

春「……」こくり

京太郎「サンキュー」ぽりっ

京太郎「やっぱ美味いな」

春「それじゃ、頑張って」びゅんっ


京太郎「ああ……」


――
752 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/22(日) 20:52:46.40 ID:MpjJyy1q0


――


京太郎「やっと洞窟を出られた……」

京太郎「周りには森しかないな……」きょろきょろ

京太郎「うーん……」

京太郎「こっちだっけ?」てくてく

京太郎「ま、歩いてりゃ辿り着くだろ!」


???「……」じぃ〜


京太郎「!」

京太郎「誰だ!」


???「!」

???「っ」さっ


京太郎「……?」

京太郎「気のせい、か……?」


京太郎「確かに視線を感じたんだけどな……」

京太郎「まあいいか。今はただ前に進むのみだ」てくてく


ひょこ

???「……」じぃ〜

すすす…


 -------------

  To be continued...
753 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/03/22(日) 20:55:40.61 ID:MpjJyy1q0

★☆★ here is the data of THE CHAPTER!! ★☆★

【#1 → 失敗 GIF+1】
【#2 → 成功 好感度上昇+2(咏、洋榎)】
【#3 → 成功 好感度上昇+2(咏、洋榎)】
【#4 → 好感度上昇+4(咏) LAD+2】
【#5 → ルート・叢雲】
【#6 → 好感度上昇+1(咏、洋榎)】
【#7 → 好感度上昇+2(咏、洋榎)】
【#8 → ルート・CHAPTER 1[Mysterious girl]】

◆現在の称号【八番隊第二十席・新人隊士】
◆カルマ【+10】
◆所持金【44,000】
◆END(max)【169】

◇スキル
[Speech] 45
[Strength] 51
[Gift] 15 (+1)
[Intelligence] 24
[Lady-killer] 55 (+2)

◇好感度
/咲/  37
/優希/ 17
/和/  17
/巴/  63
/ハオ/ 14
/絹恵/ 7
/霞/  9
/春/  16
/咏/  18 (+11)
/洋榎/ 9 (+7)
754 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/22(日) 21:01:58.76 ID:aHDJsnzhO
カルマいい感じ
755 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/22(日) 21:02:01.05 ID:oc9fDKsao
乙、うたたん急上昇
756 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/22(日) 21:06:42.44 ID:LWWCKjJ6o
おつなのよー
八番隊入ったしうたたんが巴さんを捉えたか…?
757 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/23(月) 00:17:04.73 ID:iTSvBdPE0
巴さんはしばらく囚われの姫状態?
じゃあうたたん有利だな
鰤知らないからどのくらいオサレ要素があるかよくわかんないけど楽しめてる

758 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/24(火) 02:58:52.92 ID:dZY4jNkao
乙乙
759 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/31(火) 08:26:51.11 ID:1YgjfC1eo
おもしろい
760 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/04/05(日) 17:14:40.21 ID:wEgpSLXA0
a
761 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/07(火) 23:23:14.43 ID:7ttHmCjTo
続きが読みたいです・・・
762 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/04/25(土) 01:36:48.59 ID:mLm6MAot0
a
763 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/04/27(月) 20:58:22.94 ID:btEXeK7/0







きゅっ きゅっ

ごしごし

さっさっ さっ


きゅっ


京太郎「よし……! まぁ、こんなもんだろ」

京太郎「一仕事して流す汗は悪くねえ……」くい

京太郎「なんだかだんだん、この生活にも慣れてきた……って感じかな」にこ
764 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/04/27(月) 21:01:12.03 ID:btEXeK7/0

京太郎(俺は、訳あって『統制王族院』という、能力者の組織に加わった)

京太郎(そしてこいつらの本拠地である『天朋廷』にやってきてから、今日、一週間が経っていた)

京太郎(今日の俺の仕事は、八番隊舎の掃除だ)

京太郎(統制王族院……その組織に所属する能力者が住まう天朋廷)

京太郎(施設がたくさんあって、とにかくだだっ広く、八番隊舎だけでも俺の通ってた清澄高校の、倍以上の面積はある感じだ)

京太郎(掃除は一人でやるわけではなく、何人かで分担して行うから楽な作業ではある)

京太郎(問題は……)


京太郎(もう一週間近く、こんな雑用だけで一日を終えてるってことだ)

京太郎(任される仕事は、他にない)


京太郎(三尋木さんたちとの"勉強"は、最初にここへ来た、あの日以来行われていない)

京太郎(せっかく刀の名を知ることが出来たのに、俺はこれからどうすればいいのか、あの人たちは全く道を標してはくれなかった)


京太郎(今日も、日が暮れてきた)

京太郎(掃除は終わったし、これから報告書にチェックを入れて、自分の部屋に戻って、メシを喰って寝るだけだ)

京太郎(普通新入りの立場で自分の部屋なんて貰えないらしいが……俺は一応第二十席……お偉い立場の能力者ってことで優遇されて、自分の部屋を与えられている)

京太郎(とは言っても)


「おい新入りぃ!」


京太郎「はっ、はいっ!!」びっ


「このシミは何だぁ!! 私の草履が汚れちまったじゃねえか!」

「乾拭きが行き届いてねえぞしっかりやれぇ!!」


京太郎「りょっ……了解しましたー!!」だだっ
765 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/04/27(月) 21:02:44.06 ID:btEXeK7/0

京太郎(体感じゃ優遇されてる感じは全くしねえ)

京太郎(ちぇっ……ちょっと拭き損ねたくらいでうるせえ上官様だよ……)

京太郎(第二十席ってのは隊じゃ二十番目に偉い奴って話だが、どうも特別扱いはされないらしい)

京太郎(席官と言えど新人には変わりないってことだ)

京太郎(まあ、だから何だって話だけどさ)

京太郎(とにかく、また雑巾を取ってこなきゃいけないな)


京太郎(でも……)


京太郎(俺、こんなことしてていいのかな……)

京太郎(掃除ばっかりしてて、本当に狩宿さんの減刑が適うのかよ……?)

京太郎(時間があとどれだけあるかも、わからないのに……)

京太郎(ああ……夜の帳が、降りてくる……)

京太郎(……ん?)


「須賀京太郎第二十席とお見受けする」


 ぴたっ

京太郎「えっと……」くる

京太郎(下っ端の子か? 見ない顔だが……俺を呼び止めて、何の用だ?)

京太郎「そうだけど……何か用か?」


「三尋木隊長のお達しであがりました」


京太郎「!!」

京太郎「……続けてくれ」
766 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/04/27(月) 21:04:36.13 ID:btEXeK7/0


「須賀京太郎、八番隊第二十席」

「以上の者を、三尋木八番隊隊長の執務室へお連れするよう、御命令を受けております」

「よろしいか?」


京太郎「……断る理由はなさそうだ」


「それは、快諾と受け取ってよろしいか」

京太郎「ああ。そう言ってんだ」

京太郎(三尋木さんが俺に何の用だ? 仕事でも回してもらえるのか?)

京太郎「けど、執務室だったな。実は場所が解んねえ。連れていってくれ」

「もとよりそのつもり。それでは御一緒願います」


――



京太郎「ここが、あの人の執務室か……」



「それでは私は、これにて失礼します」

京太郎「わかった。連れて来てくれてありがとな」


京太郎「……思えば、あの人とはあの日以来、顔を合わせてねえ」

京太郎「悪い報せじゃなけりゃいいけどな」

京太郎「んじゃ、入るか……っと。その前にノックしとかなきゃな。常識だよな」

 こんこん


「お、誰だ?」


【#1】
1 俺だ! 呼ばれたから来た!
2 須賀京太郎です。召喚に応じ参りました

安価↓1

767 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/27(月) 21:05:58.02 ID:Sqxf1M4H0
1
768 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/27(月) 21:09:11.30 ID:h842R6eyo
わぁい
769 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/04/27(月) 21:22:05.15 ID:btEXeK7/0


京太郎「俺だ! 呼ばれたから来た!」


 だだだだだだ


京太郎「ん?」

京太郎(部屋の中から急にでかい音が……)

京太郎(近付いてきてんのか!?)


 がらららっ!


 どん!

洋榎「おう、新入り。此処が何処だか知らんのかい?」にや

洋榎「此処は隊長の執務室。無礼者はお断りや」

洋榎「ほなな」


 がらがら ぴしゃん!!


京太郎「……ちょ、ちょっと待ってくれ! 何がいけなかったんだ!?」

京太郎「開けてくれー!」がんがんがん


 がらがら


洋榎「うるさいわボケ! そう何度も強く扉叩くなや!」

京太郎「わ、わりぃ。愛宕洋榎」

京太郎「でも三尋木さんに呼ばれてきたんだ。入れてくれないか?」

洋榎「ふん。しゃあないな」

洋榎「本来無礼者は通したかないねん。そやけど心の広い我が隊ちょ……」

京太郎「失礼しまーす」すたすた

洋榎「……スルーしなや」
770 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/04/27(月) 21:25:03.39 ID:btEXeK7/0



咏「よっ」



京太郎「三尋木さん」

咏「相変わらず元気そうで何よりだ、少年」

京太郎「そりゃどうも」

洋榎「ふん」

咏「もう隊には慣れたかな?」

京太郎「ぼちぼちってトコロかな」

咏「ふーん。どうでもいいけど」

京太郎「なら訊くなよ……」

咏「まあまあ。さて、今日きみを呼んだのは他でもない」


咏「仕事の話だ」


京太郎「……」きっ


咏(……いい目だ)

咏(仕事と聞くと、目の色が変わる。やはり強い目的意識のある人間は――)

京太郎「どうした? 続きを聞かせてくれ」

咏「……そうだね。続きを話そう」

咏「やはり、雑用の仕事は飽きてきたかい?」

京太郎「別に。言われたことはやるさ。仕事にゃ変わりない。けど、こんなんで狩宿さんの減刑は適うのかよ?」

咏「そりゃ無理だろうね」きっぱり

京太郎「なっ……」

咏「ま、落ち着きなって。仕方ないんだ。あまりきみを贔屓すると他の隊員達に要らぬ軋轢を生む」

咏「わかってくれとは言わないが、我慢してくれ」
771 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/04/27(月) 21:29:03.22 ID:btEXeK7/0

京太郎「……なかなか厳しい事を言うんだな」

咏「そうかな? これでも君を贔屓して、待つのは七日にしたんだけどね」

咏「よく耐えた。他の隊士からの評判もいいよ」

京太郎「そんなん知らんけど……」

咏「ははは」

咏「さて。きみに仕事を回したい」


京太郎「……」ごくり


咏「そう身構えなくていい」

咏「ちょっとした内輪揉めを、解決して欲しいんだ」


京太郎「内輪揉め?」

咏「そう」

咏「この護廷十三隊が、各隊毎に特色があるのを知っているかな」

京太郎「……前に聞いた」

咏「マジで? 知らんけど」

京太郎「……」

咏「一番隊はエリート部隊。四番隊は救護専門」

咏「で、十一番隊は戦闘特化。気性の荒い奴らが集まってる」

咏「どうも八番隊……うちの隊士が、彼ら十一番隊の隊士にちょっかいを出されてるみたいでねぃ」

京太郎「十一番隊……」

京太郎「ちょっかい、というのは」

咏「うちの、ある隊士がちょっとしたミスをしてね」

咏「十一番隊の連中はそれに因縁を付けてきて、それ以来ずっと小間使いみたいに扱ってるそうだ」

772 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/04/27(月) 21:31:35.53 ID:btEXeK7/0

京太郎「ひでえな……」

咏「こんなの日常茶飯事さ。弱みがあると、そこにつけこんでくる隊士があそこには多い」

京太郎「大体わかってきた。その十一番隊の奴をふっ飛ばして、八番隊の奴を護ればいいんだな?」

咏「その通り。単純な話だろ?」

咏「元々、私が相談を受けたんだ。該当するうちの隊士にね」

咏「本来私が出て、喝でも入れてやればそれで済む話なんだけど……」


京太郎「……」


咏「丁度、仕事に飢えてる奴がいたのを思い出してね」

京太郎「そりゃどうも」

京太郎「じゃ、さっそく取り掛かればいいのか?」

咏「うん。今もそのうちの子が、十一番隊の隊士に扱き使われてるんじゃないかな」

京太郎「じゃ、現場に行ってとっちめればいいって訳か」

咏「知らんけど。やり方は問わない。きみの好きにやっていいよー」


咏「とにかく【被害にあってるうちの子が、私に『もう大丈夫です』と言ってくる】事になれば、仕事を遂行したと見なそう」


咏「それじゃあ、任せたよ。私としてもうちの隊士が酷い扱いを受けるのは、良い気分じゃないからね」

京太郎「……ああ!」

773 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga sage]:2015/04/27(月) 21:33:36.22 ID:btEXeK7/0
今日は終了です。更新に間が空いて申し訳ありませんでした。
774 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/27(月) 21:36:47.68 ID:h842R6eyo
775 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/27(月) 21:38:05.80 ID:Sqxf1M4H0
お帰りー
776 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/28(火) 02:32:13.39 ID:K6A+YDXzo
乙です
777 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/04/28(火) 14:15:45.20 ID:I+fuL2HU0


――


すっ…

京太郎「……」じっ…

京太郎(俺は十一番隊隊舎の外れに来ていた)

京太郎(ここが三尋木さんの言ってた『現場』で、八番隊の子が十一番隊の連中に、酷い事をされてるらしいが……)


「またてめえの一人負けだなぁ、八番隊の!」

「なにぃ手持ちがないだと? なら生み出さんかい! うちらの手足になって、ゼニの分働くんだよ!」


京太郎「……あれか」

京太郎(何だありゃ……賭け事をしてんのか?)

京太郎(けれどどうも、十一番隊のデカいのがイカサマして、好き勝手やってるようだな)

京太郎「……ん? 八番隊の子の様子が、おかしいぞ」


ぽすん

「あん? 何やってんだてめえ」


京太郎「!」

京太郎(八番隊の子が……点棒を抜いた!)

京太郎(まさか、やる気か!?)


「おい、何だその点棒は。喧嘩売ってんのか?」

じゃらん!

「こいつ、刀に……」

「オイオイオイ、困ったモンだな。気でも狂ったか」


京太郎(そうか……あの子)

京太郎(三尋木さんに相談したから、何かあっても助けてもらえると思って)

京太郎(勇気出して反抗しようとか、思ったのかね)
778 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/04/28(火) 14:18:39.06 ID:I+fuL2HU0

京太郎(随分と人望が厚いじゃねえかよ、三尋木さん)

京太郎(さて……じゃあ俺は? 俺はどうする?)


ぶんぶんぶん

「は! 腑抜けた剣だなオイ! そんな剣で俺ら戦闘特化の十一番隊を、斬ろうだなんて笑わせる!」

ぶんっ

がきん!

「随分と軽い剣だなぁ。どっかの稽古と勘違いしてんじゃねえか? 解ってねえなら教えてやる、これは喧嘩だぜ」しゅっ

「いや、悪い。嘘だ。喧嘩にすらなってなかったな! こんなカスの剣じゃぁなぁ!」げらげら



 ざりっ



「「!!!」」ぎゅるん


京太郎「……」ざりっ ざりっ ざりっ…

ざりっ!

京太郎「……よう」


「何だテメェ!? どこから現れた! いや……」

「その手に握った点棒は何のつもりだ!」

「まさかこの八番隊のカスを、助けに来たとでもいうつもりか!?」


京太郎「そうだな……」ちゃき…


【#2】
1 喧嘩がしたいのか? それなら俺が相手になってもいいぜ
2 袴を根こそぎ切り落としてやったら、そいつはもっとイイ声で鳴くだろう

安価↓1
779 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/28(火) 14:31:56.83 ID:s6koDkNIo
780 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/04/28(火) 15:11:30.63 ID:I+fuL2HU0


京太郎「喧嘩がしたいなら、俺が相手になってやってもいいぜ」


「……」ぽかん


京太郎「おっと、悪い。嘘だ。喧嘩にもならねえかもしれないな」

京太郎「俺の剣と、お前ら如きの剣じゃあな」にやり


「……いっ」

「言ってくれるじゃねえか、ガキがよ! おい、てめえらやっちまえ!」

「上等だぁ、ぶっ殺してやらぁ!」

「おおお……」どどどどどどどどど


どどどどど

どどど





京太郎「『叢雲』」





 きぃ ん…





「……え?」

京太郎「悪いな」
781 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/04/28(火) 15:16:28.07 ID:I+fuL2HU0

京太郎「俺の剣と言ったが……」

京太郎「そんなものどこにも、見当たらなかっただろ」


ぷしゃぁっっ


「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

「莫迦な……うちらが全員、一瞬で……」

「く、くそ……」ばたり


京太郎「ん、全員終わりか?」

京太郎「一振りでやられてるようじゃ、これはやっぱり喧嘩とは呼べなかったな」


「……クソ」


京太郎「これに懲りたら八番隊の子には今後手ェ出さないでくれよ」

「……けっ」

「やっぱり助けに来たって事かよ。くだらねえ」

「誰がてめえの指図なんか受けるかよ」

京太郎「……どうやら、仕置きが足りないらしいな」

京太郎「うちの連中に手出した罪を思い知れ」すっ…




 がっ!




京太郎「!!?」ぴた

京太郎(何だ!? 振り上げた俺の腕が、掴まれたのか!?)ぎょっ

京太郎(けど、こんなに接近するまで気付けなかったなんて……一体誰なんだ!?)くるり



「……驚いたな」
782 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/04/28(火) 15:24:01.04 ID:I+fuL2HU0




「十一番隊副隊長であるこの私が、知らないほどなのに」

「あなたは、他隊(よそ)の子を裁けるほど偉い人なのかな?」




京太郎「……!」びりびり

京太郎(副隊長――……!!)

京太郎「……誰だか知らないけど、先ずこの手を離してくんないか」


「ナルホド」

「さては田舎者のようだ。名を名乗るなら……自分からでしょ」ぐっ


京太郎「ちっ。痛ぇな……」

京太郎「俺は……須賀京太郎。八番隊第二十席だ」




「私は十一番隊副隊長――……」




【誰?】
自由安価↓1(一部無効)
783 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/28(火) 15:25:35.85 ID:s6koDkNIo
亦野
784 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/04/28(火) 15:48:59.87 ID:I+fuL2HU0




「亦野誠子」




亦野「ヨロシク」

京太郎「……」

亦野「連れないな。ヨロシクと言ったんだけど?」

京太郎「そうだな。取り敢えずこの手を離して欲しいんだけど」

亦野「おっと。掴み過ぎていた」ぱっ



「お、おい、ありゃあ……」

「亦野さんだ……」

「よっしゃあ! 亦野さんが来てくれたぞ!! 俺たちの仇を討ちに来てくれたんだ!!!」

「これであいつもお終いだ!!」

「亦野さん! そのいけ好かねえ金髪野郎をめちゃめちゃにしてやってくだせえ!!」



亦野「五月蠅い!!!!」かっ



「ひっ……!」びりびり

亦野「仇討だと? 何トボけた事言ってんだよ。みっともない事してる自覚はなかったのか?」

亦野「他隊(よそ)の奴を虐めて愉しんでるような奴らは……いつかきっと、痛い目を見るもんだ」

亦野「それが今だ」

亦野「其処に伏して、暫く自分たちの愚行を悔いていろ」ぎろ

「す、すいませんでした……!!」ふるふる

亦野「けどまぁ」
785 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/28(火) 16:45:03.05 ID:OgXCBcue0
待ってました
786 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/04/29(水) 20:37:09.43 ID:kV1E002v0


亦野「意見には同意だな」ふっ


京太郎「……何?」

亦野「八番隊第二十席……聞いた事だけならある」

亦野「その地位に、総隊長が目を付けた新人が就任したと」

亦野「入隊と同時に席官の座が用意されてるなんて、とんでもない新人だと思ってたけど」


京太郎「……」


亦野「実際こうして会ってみれば、総隊長がそのような配置をされたのにも納得がいくよ」

亦野「うちの隊士たちも、簡単にやられちゃったしね」

亦野「そうだな……牌圧だけなら三席四席……ってレベルはあるか。それでも二十席なのは他の隊士への義理立てかな。総隊長らしいことだ」

京太郎「そう褒めるなよ。変な気分だぜ」

亦野「やっぱり田舎もんか、須賀。褒めてもらったらありがと・だよ」

京太郎「へいへい。そりゃどうも」

亦野「ふふん。どうかな、須賀」

亦野「ここで会ったのも何かの縁だ。私と戦(や)ってみないか?」


787 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/04/29(水) 20:43:22.37 ID:kV1E002v0

京太郎「……何だと?」

亦野「満足してない筈だ思ってさ。折角刀まで解放したのに、一振り二振りで決着がついたんだから」

亦野「私には須賀のその腕、疼いて仕方ないように見える」

京太郎「……はっ。俺は、うちの人間を助けに来ただけだ」

京太郎「悪い奴らもとっちめたし、仕事はもう終えてるんだよ」

京太郎「それなのにわざわざ俺たちが戦う理由なんて、どこにもねえだろ」

京太郎「あ。でも二度とうちの人間に手ェ出してこないよう、そっちの奴らにはちゃんと指導しといてくれよ」

亦野「優しいね。それについては、うん、任された。でも私は今、須賀と戦いたくてうずうずしてる」

亦野「理由なんて他に要るか? 久しぶりに戦えそうな奴が現れたんだ」


亦野「斬ってみたい……!」


京太郎(何だ、コイツ……戦いが好きなのか?)

亦野「須賀は私を斬ってみたくはないのか?」にや

須賀「……」


【#3】
1 [Lady-killer55] へへ、同意見だな。一振り二振りで死ぬんじゃねえぞ?
2 別に斬りたくねえけど、そんなに言うなら少しだけ相手になってやる
3 [Speech45] 折角の誘いだけど、時間がないんだ。また今度な

安価↓1
788 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/29(水) 20:43:52.13 ID:SEEBnTnvo
3
789 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/04/29(水) 21:04:55.82 ID:kV1E002v0


京太郎「折角の誘いだけど、時間がないんだ。また今度な」


亦野「……」

亦野「ちぇっ……そっか」

亦野「ほんと連れないなぁ……」ぽりぽり

亦野「まあ、いい。無理強いはしないよ。面倒な事になるのは御免だから」

亦野「でも憶えておいてほしいな、須賀」

亦野「戦いたければ私がいつでも相手になってやれる」にやり

京太郎「ってか、どんだけ戦いたいんだよ……戦いが好きなのか?」

亦野「当然だ。戦ってないと、力を持て余して仕方ないんだよ」

京太郎「ふーん……何だかすげえな」

亦野「どうも……今回は、うちの隊士が面倒を掛けて悪かった」

京太郎「あんたが謝るコトじゃないさ……じゃ、また」くる

京太郎「ほら、君も立って、隊舎に帰るぜ」ぐいっ

すたすた…


亦野「行ったか……斬ってみたかったのにな」

亦野「須賀京太郎か……憶えておくか」


――


咏「……」

咏「……そろそろかな」

洋榎「ん、何がですか?」
790 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/04/29(水) 23:56:33.57 ID:kV1E002v0


こんこん


洋榎「!」

咏「ほら来た」

咏「開けてやって、洋榎ちゃん」

洋榎「はい」すたっ

洋榎「そやけど、その前に……」

洋榎「おーい! そこの、何もんや?」


「須賀京太郎だ! 開けてくれ!」


洋榎「……」がらっ

京太郎「サンキュ」すたすた

洋榎「おう」

ふわっ

洋榎「!」くんくん

洋榎(血の匂い――成程な)


京太郎「帰ったぜ。あんたに言われた仕事、終わらせてきた」

咏「おう。良くやったね。こんなに早く終わらせてくるとは思わなかった」

咏「一先ずは御苦労、と言っておこうか」
791 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/04/29(水) 23:59:31.11 ID:kV1E002v0

咏「で、被害に遭ってた子は?」

京太郎「疲れてるだろうから、先に眠るように、部屋に戻らせたんだけど……連れてくるか?」

咏「まーいんじゃね? 彼女には明日にでも話を聞けばいいしね」

京太郎「良かった。会うたびに感謝されそうな勢いだったからな」

咏「何だよ。その子にとっちゃそれだけの事なんじゃねーの? 知らんけど。まぁ照れなくていいんだぜ少年」

京太郎「って言っても大したコト何もしてないからな。三尋木さんに言われたコトやっただけで」

咏「……それで、十一番隊の連中には、何をした?」

京太郎「まあ、問題の奴らはちょっと……斬って。そんで、向こうの副隊長にそいつらの事任せてきた」

咏「誠子ちゃんか。それは安心だね」

咏「お仕事お疲れ様」

咏「私の負担を軽減してくれてありがとう。さて、報酬が要るね」ごそごそ

 ぴらっ

 すっ

京太郎「ま、万札!」がしっ

咏「やるよ。嬉しいか?」

京太郎「……狩宿さんの減刑の件とは、別なんだよな?」

咏「もちろん。働いた分金は出す。狩宿巴の減刑も検討される」

咏「この契約には私の承認が必要だからね」

京太郎「よろしく頼む」

咏「うん……お金を受け取ったんだ。もう少し嬉しそうにしたらどうだ?」

京太郎「まあ使い道わかんねーし」

咏「そんなら私になんかいいもん買ってきてくんねー?」

京太郎「そうだな……考えとくよ」

洋榎「うちのも頼むで!」ひょい

京太郎「か、考えとく……」


咏「さて、じゃあ次の仕事だ」

792 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/04/30(木) 00:02:50.78 ID:FnKMzZNf0


京太郎「!」


京太郎「……いいだろう。内容を言ってくれ」

咏「おや」

咏「もう休ませてくれー! とか言わねーの?」

京太郎「言わねえよ。仕事があるなら貰ってく」

咏「うへぇ、お仕事熱心だねぃ」

京太郎「あ、あんたがそれらしく次の仕事だって言ったんだろ!」

咏「えー? あはは」

咏「まあ今日はもう寝なよ。明日の朝、またこの執務室に来な」

咏「その時に、次の仕事内容を教えてやっから」

京太郎「……わかった」

咏「そう焦んなよ。私がサポートしてやってんだ、ドンと構えてろ」

京太郎「サンキュな、三尋木さん」

咏「どういたしまして」にや

京太郎「それじゃあ、失礼します」すたすた


がらがら

ぴしゃん


洋榎「……誠子とは斬り合ったんかな」ぼそ

咏「もしそうならこうも早くは戻れないんじゃねーの? 知らんけど」

洋榎「あぁー……血の匂いがしたから気になったんやけど、それもそうですね」

咏「……洋榎ちゃん、相談があるんだけど」
793 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/04/30(木) 00:05:19.45 ID:FnKMzZNf0

洋榎「はい?」

咏「明日の京太郎への仕事内容……実は考えてないんだよねぇ」

洋榎「マジですか」

咏「マジマジ」

咏「候補は幾つかあるんだ。元々、色んな連中から私に頼まれてきた仕事なんだけど」

咏「めんどいからあいつに代わってもらうことにした。はいこのリスト」ぽい

咏「洋榎ちゃん決めてくんね?」

洋榎「はぁ、そりゃえぐいコトされますなぁ……って、こりゃぁ多いな」

洋榎「ほんまにうちが決めていいんですか?」

咏「いんじゃね?」

洋榎「じゃ遠慮なく。そうやな……」


【#4】
1 総隊長主催の茶会に出席する
2 "蛆虫の巣"の監査
3 "アート"を造って提出する
4 応急薬の補充
5 星の十字結社への対策
6 "現世"の巡回
7 七番隊副隊長と一緒に書道教室に出席する
8 洋榎ちゃんとお出かけ
9 "天朋廷通信"の取材を受ける
10 下級隊士に剣の稽古をつける
11 不届き者の始末
12 "技術開発局"で実験の協力
13 十三番隊隊長に茶菓子を届ける

安価↓1
794 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/30(木) 00:06:11.90 ID:Z+VYMQ6Uo
8
795 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/04/30(木) 01:09:51.04 ID:FnKMzZNf0


洋榎「あのー……お尋ねしてもよろしいでしょうかー……」そるそる


咏「うん? どうした」

洋榎「リストにあるこの、『洋榎ちゃんとお出かけ』っていうのは……」

咏「文字通り、京太郎と洋榎ちゃんがお出かけするんだよ。二人で、この天朋廷の中でね」

咏「それにしたんだねぇ」

洋榎「してないですけど」


咏「異論は聞かない。決定!」


洋榎「!?」

洋榎「そ、そんな、メチャクチャやな、隊長。うちに決めさすって言った癖に……」

咏「そうかな? でも隊長命令だからねぇ」ひらひら

洋榎「……」

洋榎「ってか、お出かけって言っても何すんねんって話ですが」

咏「知らねー。勝手に決めれば?」

洋榎(……これ、ほんまに仕事なんかい)

咏「……京太郎と洋榎ちゃん、まあ仲が悪い訳じゃないけど、普通に仲良くなって欲しいと思ってね」

洋榎「なんですか、それ。なんか気持ち悪い感じするわ……」

洋榎「まぁ、要するに馴れ合いしろってコトやんな。須賀が明日、これ聞いて文句言う姿が目に浮かびますわ」

咏「まぁまぁ、そう言わずに。同じ隊の席官同士、仲を深める良い機会じゃね?」

洋榎「……突っ込むべきじゃなかったわ……まあ、ええか」

洋榎「隊長が仕事や言うなら仕方ない」

洋榎「明日は須賀で日頃の鬱憤を発散したるで!」

咏「……おっとぉ、目的通りちゃんと仲良くしなよ?」

洋榎「当然! 任して下さい隊長!!」にっ

咏「……わっかんねー」



796 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/04/30(木) 01:13:07.57 ID:FnKMzZNf0


――



京太郎(今日で、統制王族院の一員になって、七日が経過した……)


京太郎(三尋木さんもああ言ってくれたし、気が楽だ)

京太郎(なんだか割と上手くいきそうな気がするぜ)

京太郎(そういや、咲や優希たちは元気してるかな)

京太郎(多分あいつらに何も言わずにこっちきた気がする)

京太郎(悪い事しちまったかな)

京太郎(和がいるから大丈夫だろうけど)

京太郎(でも、とにかくすぐにこんな日々を終わらせて、清澄に戻らねーとな……)

京太郎(狩宿さんを連れて)

京太郎(ん……ねむ……)ふぁぁ

 すう すう
 

21. The Starter 



 -------------

  To be continued...
797 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/04/30(木) 01:14:27.47 ID:FnKMzZNf0

★☆★ here is the data of THE CHAPTER!! ★☆★

【#1 → 好感度上昇+2(洋榎)】
【#2 → カルマ上昇+2】
【#3 → 成功 好感度上昇+1(誠子) 好感度上昇+2(咏) SPE+2】
【#4 → ルート・gentle?】

◆現在の称号【八番隊第二十席・新人隊士】
◆カルマ【+12】
◆所持金【54,000】
◆END(max)【169】

◇スキル
[Speech] 47 (+2)
[Strength] 51
[Gift] 15
[Intelligence] 24
[Lady-killer] 55

◇好感度
/咲/  37
/優希/ 17
/和/  17
/巴/  63
/ハオ/ 14
/絹恵/ 7
/霞/  9
/春/  16
/咏/  20 (+2)
/洋榎/ 11 (+2)
/誠子/ 1 (+1)
798 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/30(木) 03:07:00.62 ID:wfoqvrPFO
おつなのよー
799 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/30(木) 03:17:08.01 ID:Z+VYMQ6Uo
乙乙
800 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/30(木) 19:05:02.07 ID:2g3/UkS8o
801 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/01(金) 16:33:09.78 ID:A4d1vPDGo
蛆虫の巣とかなつかしいなあ
802 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/05/02(土) 22:49:26.90 ID:nsmc3lSh0







がこん!

がらがら…


「できた!」


「できたで! おねーちゃん!」ぱたぱた

洋榎「……おお! 凄いやん! さすが絹、センスあんなぁ〜……」ほー

洋榎「よっしゃ、うちも負けてられへんな……!」

洋榎「いくで! 洋榎流ドライブシュート!!」どがん

ひゅううう…

「ちょっ……どっか遠くに飛び過ぎて星になってもうたやん」

洋榎「威力は抜群!」

「あはは……うち、ボール探しに行ってくるわ」

がしっ

洋榎「いや、うちのボールはうちが探すで大丈夫や。絹はここで練習続けとり」

「おねーちゃん……うん、わかった」

「はよぅ帰って来てね。一人でやっててもおもろないから」

洋榎「モチロン!」
803 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/05/02(土) 22:51:32.71 ID:nsmc3lSh0


――――――

――――

――


 ぱちん!


洋榎「お……」

洋榎「……夢か」

洋榎「ふぁぁ……ねむ……もっかい寝よ……」

 ぴりりりりりりりり

洋榎「って……なんや、もう朝かい」

洋榎「……」

洋榎「もうちょい寝させてくれても良かったんに……」

洋榎「空気読めてへん目覚ましやわ」すっ すっ

 ぴりりり りっ

すたっ

くいっ くいっ

洋榎「んんー……」ぐい

ばしゃばしゃ

洋榎「ふうっ! 目ェ覚めたで!」きりっ

洋榎「さて……今日はなんかあったかな……ああ、そういや隊長になんか頼まれてたんやったか」

洋榎「……取り敢えず着替えよか……」
804 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/05/02(土) 22:54:05.48 ID:nsmc3lSh0


――


すたすた

「おはようございます愛宕副隊長!」

「おはようございます!」

「おはようございます!」

洋榎「ん。お早う」すたすた

洋榎「!」ぴく



「昨日の話聞いた? 須賀第二十席が、十一番隊に絡まれてた子を助けたんだって!」

「須賀第二十席って言うと、最近入隊したあの金髪の? へぇ〜」



洋榎(おお。噂になるのは早いもんやな。昨日の話やってのに)すたすた

洋榎(まあこんな時期にいきなり入隊して、第二十席やもんな。インパクトはあいつ、元々強かったか)すたすた

洋榎(……ん。この角を曲がれば執務室や。もうこんなとこまで来てたか)すたっ

 すた…

洋榎「お」


京太郎「あ」ばったり

805 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/05/02(土) 23:01:12.69 ID:nsmc3lSh0


洋榎「えらい早ぅ来たな、金髪」

京太郎「早く来たっていうか、今執務室から出てきたとこだ」


京太郎「あんたを探そうとしてたから、丁度良かったよ」

洋榎「探す? なんでや?」

京太郎「三尋木さんに聞いた」


京太郎「愛宕洋榎。どうもあんたに天朋廷を、案内してもらうのが今日の仕事らしい」


京太郎「よろしく頼むぜ」

洋榎「案内? そうか……成程な」

京太郎「仕事と呼べるのかどうか……って話だと思ったけど、報酬も貰えるようだし、経験としちゃ悪くない」

京太郎「天朋廷を廻る機会も無かったからな」

洋榎「そんなら今日は天朋廷ツアーって訳やな。とは言え一日じゃ廻りきれんと思うけど。疲れるし」

京太郎「そんなもんなのか?」

洋榎「そんなもんや。案内か……全然考えとらんかったわ。あー、めんどくさ」

京太郎「……」

洋榎「おっと、気を悪くせんといてや。仕事なんやからちゃんと案内したるで。どっか行きたいとこあるか?」

京太郎「……うーん。つっても天朋廷に何があるか、まだよく分かってないしなぁ」

洋榎「基本何でもあるけどな。じゃ、適当に歩いてくか。そうすりゃ適当なトコも廻れる」

京太郎「全部適当っすか……で、取り敢えずはどこに?」

洋榎「取り敢えず? そやなぁ……ほな取り敢えず」


洋榎「こっから一番近い処……九番隊舎やな」
806 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/05/02(土) 23:02:11.61 ID:nsmc3lSh0


【九番隊 隊長】
自由安価↓1

【九番隊 副隊長】
自由安価↓2

(一部キャラ無効)

807 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/02(土) 23:04:54.17 ID:8caWSguRo
シロ
808 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/05/02(土) 23:05:22.98 ID:tAotYDlr0
豊音
809 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/02(土) 23:05:52.87 ID:sUy6/zQLo
810 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/05/02(土) 23:17:35.13 ID:nsmc3lSh0


――

――九番隊舎



京太郎「へぇ……」


京太郎「八番隊以外の隊舎は、初めて見るな」

洋榎「何感慨深そうにしてんねん。そう変わらんやろ」

京太郎「外観的にはな。中はどうなんだろう」

洋榎「……入ってみる?」

京太郎「いいのか?」

洋榎「うちを何やと思ってんねん。副隊長やで」

洋榎「たかだか隣の隊舎にお邪魔するくらいで注意してくる奴なんて、誰一人としておらんわ」

洋榎「ほら入るで」てくてく

京太郎「へぇ〜」すたすた


「あれー? ……珍しいね。あなたがこんな処に来るなんて」

「いらっしゃい、愛宕さん」


洋榎「うへえ。会いたくない奴と遭遇してもた」

京太郎「会いたくない奴って……」


「ええっ……? ひ、酷いよー。私、嫌われているのかな……?」うる


洋榎「なんてな、冗談や。お勤めご苦労さん、○○」

「よ、良かった〜……えへへ……あ、今日は私非番なんだけどね……って、あれっ?」

「隣にいるのは、どちらさん?」

洋榎「ああ。こいつは……」

京太郎「……」


【#1】
1 須賀京太郎です。今期より入隊しました。以後お見知り置きを
2 須賀京太郎だ。よろしく
3 ……(黙っている)
4 マ、マブいっ!

安価↓1
811 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/02(土) 23:18:09.82 ID:sUy6/zQLo
3
812 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/05/02(土) 23:18:18.19 ID:tAotYDlr0
1
813 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/05/03(日) 00:06:08.52 ID:ToXKM5l/0


京太郎「……」


洋榎「須賀京太郎。うちの隊の新人や」

洋榎「仲良くしてやり」

豊音「! そうなんだ、この子が……」

豊音「よろしくねー、須賀くん」

京太郎「あ、ああ……」

京太郎(な、なんだこの人……デケェ……強そう……)


豊音「あ! 私名乗るの忘れてたね」


豊音「姉帯豊音(あねたい とよね)と申します。以後お見知り置きのほどを…」ぺこり

京太郎「姉帯豊音……」ごくり

豊音「それで、今日はこんなところまで、何か用があって来たのかな?」

洋榎「いや、なんも」

豊音「え?」

洋榎「新人の須賀に、天朋廷を案内してやってんねん。それでふらっとな」

豊音「そうなんだー……」

豊音「それにしても、新人さんが副隊長に連れられてるなんて、厚い待遇だよね」

京太郎「そうなのか?」

豊音「うん。普通はあり得ない事だと思うけどー……」
814 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/05/03(日) 00:18:29.64 ID:ToXKM5l/0

豊音「でもでも、須賀くんの噂は聞いているよ。何でも、春と対等に斬り合ったんだって?」

京太郎「! それ、本人に聞いたのか?」

豊音「うん、そうだよー。普段は口数の少ない子だけど、このことは結構色々話してくれたんだー」

豊音「だから須賀くんの厚い待遇にも納得がいくよね。えっと、第二十席だったかな?」

京太郎「そうだ。よく知ってるな」

豊音「そりゃ、有名人だもん。入隊する前から席次が決まってるって凄い人だなって、普通印象に残るものだよー」

豊音「それに、春と対等に斬り合えたならむしろ、第二十席だなんてのは過小評価まであるよねー」

豊音「三席四席に置かれても不思議じゃないよねー」

京太郎「はは、それは……」

洋榎「黒糖娘の事は副隊長以上しか知らんやろし、それは義理立てやろ。総隊長らしいことや」

京太郎「そもそも……俺は全然、春と対等になんか戦えてなかったよ」

京太郎「最後は石戸……えっと、石戸隊長にも邪魔されちゃったし」


「「!」」


洋榎「須賀……それ……」

豊音「そそそ、それ、ほんとっ?」ぐいっ

京太郎「え? あ、ああ。そうだよ。情けない話、その時は何が起きたかすら解らなかった」

京太郎「倒れてからぼんやりと、ああ、あの人に斬られたんだな……って解ったくらいでさ」

京太郎「ったく、強すぎるよなぁ、あの人」

豊音「……」

洋榎「豊音……」

豊音「総隊長は勿論だけど、三尋木隊長もなかなかどうして、慧眼だねー」ぼそっ

豊音「九番隊に欲しかったくらいだよー」

洋榎「羨ましいやろ。やらんで」ぼそっ

豊音「まあ私たちに須賀くんをどうこうする権利はないけどねー」

洋榎「はっ。それもそうやな」
815 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/05/03(日) 00:23:52.75 ID:ToXKM5l/0


豊音「そうだ須賀くん!」ぐいっ


京太郎「は、はい?」びくっ

豊音「実は私ね? 天朋廷で大人気の機関紙『天朋廷通信』の副編集長なんだけどー……」

京太郎(て、天朋廷通信??)

豊音「あ! 編集長はうちの隊長さんだよー」

豊音「でねでね、須賀くんに折り入って、お願いがあるんだけどー……」


洋榎「……どうせ、謎の新人に直撃インタビューとか、そのへんやろ」


豊音「あたりっ!」ぴっ

豊音「だって王族院のみんな気になってるよ? 須賀くんのこと、どんな人なんだろって」

豊音「入隊して即・二十席の有望株! 謎の少年須賀京太郎の正体とは! みたいなねっ」

豊音「須賀くんのこと、そんなふうに記事にしたいんだけど……どうかなー? ちょっとだけ質問させてもらっても大丈夫かなー?」

京太郎「ああ。その程度なら別に――」

洋榎「まあ待ちや。それはまた今度でええやろ。時間も掛かるし」

京太郎「え? 別にいいんじゃねえの少しくらい」

豊音「そうだよー。時間は取らせないよー?」

洋榎「そう言うて、騙されへんで」

洋榎「この前十番隊の天才児が隊長に就任した時も、あいつに時間は取らせない言うて一日中拘束してたの知ってるで」

豊音「うっ……」どき

豊音「それは、なんか話が弾んじゃってー……たまたまそうなっただけっていうかー……」あせあせ

洋榎「どっちにしろ、先約が入っとるからな。また今度で頼むわ」すたすた

京太郎「あっ、置いてかないでくれよ! え、えと……って訳で、悪いな、姉帯さん」すたすたっ

豊音「ううんっ。全然気にしてないよー。また今度ね? 約束だよ?」ふりふり

816 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/05/03(日) 01:24:48.31 ID:ToXKM5l/0


――


 すたすた

 すたすた
 

京太郎「九番隊の人、穏やかだったなぁ」すたすた

洋榎「あそこは平和主義の人間ばっかしや。気楽に訪ねられる唯一の隊と言ってええやろう」すたすた

京太郎「へぇ〜。まあ確かに、姉帯さん取っつき易かったしな、見かけによらず」

洋榎「見かけによらず、か。あの図体にビビりよったか? このこの」にや

京太郎「はは……最初はな。だって俺よりデカい女って初めて見たぜ。迫力ありすぎっていうか……」

洋榎「まあなー。でも本人は多分割と気にしとるから、あんま突っ込んでやらんでな」

京太郎「……そっか、わかった」

京太郎「ところで、次はどこ行くんだ? この流れなら十番隊舎か?」

洋榎「……いや、あそこは少し遠いし、癖の強い隊長格とまた顔合わせんのはしんどい」

京太郎「でもあんたも相当癖強いよな、はは」

洋榎「なんやてー? うちのどこが癖強いんや言うてみー」

京太郎「えっと、す、すいません何でもありません……でも、じゃあどこに行くんだ?」

洋榎「腹減らへん?」

京太郎「え?」

洋榎「おなか、すいとらへん?」

京太郎「いや、別に……」

洋榎「うちはお腹ペコペコやで。実は朝から食ってないねん」

京太郎「そうだったのか……」

京太郎「あ、じゃあどこかメシ食える場所行こうか?」

洋榎「惜しいな。もうちょい早ぅその言葉が出てほしかった」

京太郎「あんた俺に何を求めてんだよ……」じー
817 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/05/03(日) 01:33:38.44 ID:ToXKM5l/0

京太郎「で、なんか食いたいもんあるのか?」

洋榎「団子食べたい……あんこいっぱい付いてるやつ」

京太郎「そういうのって、どっかに店とかあるのか?」

洋榎「あるで。天朋廷にも市はある。飲食街もな。そこに店がようけ集まっとんねん。行ったことないか?」

京太郎「いや……」

洋榎「なんや意外やな」

洋榎「……いうて、来たばっかで身の回りの事で忙しかったやろし、中々そんな暇もあらへんか」

洋榎「隊長は仕事言うてたけどな、今日は考えようによっちゃ休暇みたいなもんや」

京太郎「……」

洋榎「連れてったる。奢るで。昼飯にはちと早いけど、天朋廷のウマいもん、食べ歩きと行こうや」くいっ

京太郎「お、奢り!? これから愛宕さんと呼ばせて頂きます……!」きらきら

洋榎「え? その程度なん。様とかやなくて?」

京太郎「いや、様はないっすね」

洋榎「もっと敬意込めぇや」

京太郎「だから何求めてんだよって……愛宕さん」

洋榎「うへへ」

京太郎(うへへて……)じとー


――


京太郎「すげえ。天朋廷にこんな屋台通りみたいなトコあったんだな」

洋榎「夜はもっと賑わうで。道にも机と椅子が出て、客寄せも激しくなる」

京太郎「ふぅん……」きょろきょろ
818 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/05/03(日) 01:41:16.50 ID:ToXKM5l/0


京太郎「ん? あの屋台……」すたすた


京太郎「何だろう、これ?」

洋榎「竹菓子やな」ひょい

京太郎「竹菓子???」

洋榎「小分けされた竹の筒に、米粉やパーム糖を入れて形をつくる、伝統的な菓子や」

洋榎「美味いで、食ってみ」

京太郎「緑色で得体が知れないけど、物は試しか……」

京太郎「あの、店員さん。これ下さい」びっ


――


京太郎「……」ぱくっ


京太郎「美味い!」

洋榎「せやろーせやろー?」

洋榎「この通りには得体の知れない美味いモンがいっぱいや。遠慮せず買って食べてええからな」

京太郎「マジで感謝です! 愛宕さん!」

洋榎「うちはやっぱり、このあんこたっぷりついてる団子が好きやな」ぱくぱく

京太郎「それも食べていいかな?」

洋榎「いいで。一本やるわ」

京太郎「サンキュ! どれどれ……」ぱくっ

京太郎「うーん、美味いっ!」

洋榎「せやろーせやろー?」

洋榎(なんや。ええ顔で食べるやっちゃな……)


――


洋榎「……」ぱくぱく

京太郎「……」がつがつ

てくてく

京太郎「……」もぐもぐ

洋榎「ごちそうさん。うちはもう一杯や」

京太郎「あ、実は俺ももう……」

洋榎「ほぇー。須賀って意外と小食なん?」

京太郎「……」


【#2】
1 いつもは食べるよ。でも今日は胸が一杯で。愛宕さんとのお出かけで緊張しちゃってさ
2 実はそうなんだ
3 え? 結構食べたけど……
4 嘗めるなよ? 俺とフードファイトするか?

安価↓1
819 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/03(日) 01:42:00.46 ID:JdilWi0qo
1
820 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/03(日) 01:42:45.07 ID:BuUSCsuv0
1
821 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/05/03(日) 03:06:53.17 ID:ToXKM5l/0


京太郎「いつもは食べるよ。でも今日は胸が一杯で。愛宕さんとのお出かけで緊張しちゃってさ」


洋榎「……うぇ?」ぴく

京太郎「?」

洋榎「な、何やいきなりらしくない。はっ。もしかしてうちを口説いてるんか?」

洋榎「でもうちはもうちょい強い男が好みやねんご免な」

京太郎「そ、そうかよ……」ぴくぴく

京太郎「まあでも腹も膨れたし、そろそろ行くか」

京太郎「愛宕さん。御馳走様でした」

洋榎「……」

京太郎「愛宕さん?」

洋榎「あっ。そ、そうやな……」

洋榎「次に行く場所やっけ。考えてへんかったな……」

洋榎「えーっと、ここから近場でどこかないかどこか……」


洋榎「そや!」


京太郎「わっ。急に大声出さないでくれよ」

洋榎「お、おう、すまん。でも、次行く場所決めたで」

京太郎「マジで? どこだ?」
822 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/05/03(日) 03:09:54.31 ID:ToXKM5l/0

洋榎「……発表の前に」

洋榎「今日、須賀を見ていて改めて思ったんやけど……」

洋榎「やっぱり、天朋廷ん中でその学ランは違和感あるわな」


京太郎「え、そうかな?」くいっ くいっ


洋榎「自分で気づいとらんかったんか? 須賀、道行く連中に好奇の目で見られてたで。割と本気で」

京太郎「マジか……まあ正直、みんな着物みたいなの着てる中、俺だけ学ランってのは浮いてると思ったけどよ」

京太郎「一応最初の日に三尋木さんにもらった、この白い羽織着てるから大丈夫かと思ってたぜ」

洋榎「大丈夫じゃないな。確実に」

京太郎「うへぇ」

洋榎「ここの奴らは皆、『麻覇装(まはくしょう)』っていう黒い袴を着てるやろ? あれが統制王族院の正装なんや」

洋榎「今須賀が学ランの上に羽織ってるのは貴族が着るような高級品やけど、正装ではない」


洋榎「と! いうわけで! 次に行くのは……装飾店や!」

洋榎「須賀には今から、統制王族院の能力者として、恥ずかしくない格好になってもらう」


京太郎「ああ。わかった」

洋榎「この近くに安くて質の良い店があんねん、そこ行くで」

京太郎「安くて……あれ、これはもしかして、自腹か?」

洋榎「当たり前やん。昨日貰ったんやろ、お金。使い時やで」

京太郎「そっか……仕方ねぇか、必要経費だ」

洋榎「安心しや。正装言うてもただの袴や。そう高いモンじゃあない」


――――

――
823 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/05/03(日) 03:16:52.89 ID:ToXKM5l/0


「仕立て! 終わりましたよ須賀京太郎さん!」

「お会計! 三着で\100,000です!」


京太郎「ぁ……ぁ……」ぱくぱく

京太郎「嘘だろ……」

洋榎「え。その反応、まさか……」

京太郎「……足りねぇ」がさがさ

がたっ

洋榎「嘘やん! 昨日お金貰てたやんけ!」

京太郎「それでも足りねえんだよ! 元々手持ちが少なかったもんでね!」

洋榎「マジかぁ……」

京太郎「ああー最悪だ。採寸までして、能力だか何だかで一瞬で作ってもらった袴だってのに……」

洋榎「な、なんか、申し訳なかったな……須賀が元々普通の高校生やったってコト、忘れてたわ。うちの基準で考えてた」

京太郎「いや、値段を最初に訊かなかった俺が悪いさ……」


「えっと……お金が用意できるまで、この麻覇装はこちらで預かっておきますが……」


京太郎「……」


【#】
1 仕方ないか。そうして下さい
2 愛宕さん。絶対返すからちょっと貸してくんない?
3 [Lady-killer55] 愛宕さん……俺……ずっとこの格好で過ごさなきゃいけないのかな……(ちらり)

安価↓1
824 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/03(日) 03:18:51.81 ID:1dhEveWgo
3
825 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/05/03(日) 03:29:02.55 ID:ToXKM5l/0


【失敗】


京太郎「愛宕さん……俺……ずっとこの格好で過ごさなきゃいけないのかな……」ちらり


洋榎「う……」

洋榎(そんな目で見んといてや……なんか母性本能的なのが刺激されるやんか……)

洋榎(な、なんてな。ここでうちが払ったら須賀の為にはならんやろ)


洋榎「そんなことないやろ。須賀の働きっぷりならすぐに買えるようになる」


京太郎「そうかなあ……」

洋榎「ちなみに、今幾ら持っとん?」

京太郎「\54,000くらいかな」

洋榎「なんや。半分はあるやん」

洋榎「\100,000は三着での価格なんやし、取り敢えず一着でも貰っとき」

京太郎「……店員さん。一着だけでもいいでしょうか?」

「大丈夫ですよ。お会計は\34,000です!」

京太郎「よし。払えるな……」

京太郎「じゃあ一着だけ買います。残り二着は余裕が出来たら取りに来ますので、ご迷惑お掛けしますが……」

「いえいえ。畏まりました。預かっておきますね」

京太郎「ありがとうございます」


洋榎「……よし。早速着替えよか」

京太郎「じゃあ試着室を借りるか。愛宕さん、覗くなよ?」すたすた

洋榎「キモイこと抜かすなや。誰が覗くかい……」

京太郎「ははは」しゃしゃー
826 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga sage]:2015/05/03(日) 03:40:25.30 ID:ToXKM5l/0
今回の更新は終了です。
度々誤字等があり申し訳ありませんが、訂正を始めるとキリが無くなってしまいそうなので、致命的なもの以外は基本的に訂正しませんのでご容赦下さい。
今夜は御付き合い頂き有難うございました。
827 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/03(日) 04:00:19.94 ID:1dhEveWgo
乙です
828 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/03(日) 10:50:02.34 ID:J4B2IhDmo
乙です
脳内補完余裕なので気にせずどんどん書き続けてください
829 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/03(日) 16:33:13.36 ID:VPFDUz6go
830 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/04(月) 02:05:01.85 ID:T9gnWOQBo
誤字とか全然気にしてなかった
831 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/05/05(火) 18:28:44.88 ID:RIav1Lj/0
832 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/05(火) 18:49:35.42 ID:5EBAjHamo
乙乙
833 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/05/12(火) 21:08:36.82 ID:zW2depZD0
834 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/05/19(火) 21:06:52.51 ID:bsmuln/f0
まだか
835 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/05/24(日) 21:30:42.96 ID:AFjPu8v90
まだか
836 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/05/25(月) 15:02:34.77 ID:3Lo485080


――


京太郎「着替えたぜ」びしっ

京太郎「黒い袴か。自分で言うのも何だけど、結構カッコいい正装だな」


洋榎「へぇ」

洋榎「――これでようやく、サマになってきたな」

京太郎「へへ、そうか?」にや

洋榎「仕事にもより一層、熱が入ることを祈っとこうか」

京太郎「仕事か……そういえばさ」

京太郎「普段、統制王族院の人たちはどんな仕事してるんだ?」

京太郎「俺が今までやってた雑用ばっかりって訳じゃないんだろ?」

洋榎「知りたいか?」

京太郎「この先やってく上で参考になればと思ってね」

洋榎「そやな……まあ、普通の人間とあんまり変わらんけどな」

洋榎「この仕立て屋の姉ちゃんかてフツーに能力者やしな」

洋榎「じゃあその辺知るためにも、もうちょい見てまわるか」

京太郎「――ああ。わかった」
837 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/05/25(月) 15:06:32.94 ID:3Lo485080

――


京太郎「……ここは」

洋榎「書店や」

京太郎「しょ、書店って……こんな浮世離れした場所に書店なんてのがあるんだな」ははは

洋榎「浮世離れか。確かにこの街は統制王族院の管轄で、能力者しか住んでいない。存在も伏せられている」

洋榎「けれど人の営みは変わらへんやんな。ほら、この雑誌」ひょい


京太郎「なんだ? 『天朋廷通信』?」


洋榎「さっき豊音に会うたやん。言うてたやろ。天朋廷通信の副編集長やって」

京太郎「そういえばそんなような事を言ってた気が……」うむむ

洋榎「記念や。買うとけ」

京太郎「ええっ? 嫌だよ。興味無いし」

洋榎「……チクッたろ。豊音に、須賀が雑誌にキョーミ無い、ちり紙にもならん、って言うてたって」

京太郎「そこまで言ってねえよ! べ、別にいいだろ。買わなくたって……」

洋榎「豊音落ち込むやろなぁ……いたたまれへんわ……」

京太郎「わ、わかったよ。買うよ! 別に、読むとは限らねえけど」

洋榎「いや、読んどき。実際、天朋廷について知りたいと須賀が思っとるんなら、いいアイテムになる筈や」

京太郎(愛宕さん……ちゃんと俺の事考えて……)

京太郎「そうだな、読もう。一字一句読み込んで、天朋廷博士になってやるぜ」

洋榎「ふ、ははは。たかだか週刊誌読み込んで博士だなんて、大層な夢のある奴や」

京太郎「……」ぐぐぐ
838 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/05/25(月) 15:08:39.92 ID:3Lo485080


――


「はっ、ふっ」ぶんっ

「セイ! セイ!」ぶんっ

「腰を入れろ腰をォ! そんな剣では結社の連中は斬れんぞォ!」

「はい!」ぶんっ


京太郎「ここは道場か? これは……」じぃー

洋榎「昨今、星の十字結社との戦いは過激さを増してる。稽古も勿論仕事のうちや」

京太郎「……」

洋榎「須賀もどうや? 基礎から鍛えるのもええやろ」

京太郎「そうだな……愛宕さんに稽古つけてもらえるなら考えてもいいかもな」

洋榎「なんやエラそーに。まあええけど」

京太郎「えっ!? いいのかよっ?」

洋榎「須賀の牌圧濃度や入隊の経緯と目的を考えると、うちが教えたほうが効率が良い」

京太郎「そうなのか? 才能を認められてるってことでいいのかな?」

洋榎「どう取って貰っても結構やけど」

京太郎「マジで? いやぁ、嬉しいぜ。最初のあの日以来まともに剣を合わせてなくて、うずうずしていたところだ」

京太郎「なあ、ほんとに頼んでもいいか?」

洋榎「……フ。ま、そのうちな」
839 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/05/25(月) 15:11:30.19 ID:3Lo485080


――――――

――――

――


洋榎「――さて」


洋榎「廻れるだけは廻ったか。能力者がどういう仕事してるかわかってきたか? 須賀」

京太郎「うーん。まだいまいち……」

洋榎「そうか。基本的なスタンスとして、天朋廷は能力者としての文化を守っているだけの、ただの日本の一つの都市や。非公式ではあるけどな」

洋榎「特別な能力があるってこと以外、普通の人間と何にも変わらん」

洋榎「政治を行う機関――中央四十六室があり、治安を守る十三隊があり、町があってみんな何かしら働いとる。それだけや」

京太郎「成程ね……」

洋榎「ただ、まあ、最近はなぁ……」

京太郎「?」

洋榎「最近は、星の十字結社が台頭してきたおかげで、平和な仕事ばかりじゃなくなった」

京太郎「戦い……」ごくり

洋榎「今、能力者界隈はぶっちゃけ戦争中と言ってもええかもな」

洋榎「以前から、統制王族院からハグれた能力者の集団と、戦闘状態になるのは珍しくなかったんやけど……」

洋榎「星の十字結社は、規模も力も、それまでの能力者集団とは桁違いや。洗練されとる」

洋榎「最近は奴らと戦うてるのが主な仕事って感じや」

京太郎「へぇ……まったく、星の十字結社の目的ってなんなんだ? 思えば、手の早い奴ばかりだったけど」

洋榎「さぁな。わかってるのは統制王族院をぶっ壊そうとしてるってことと、その為に力を集めてるってことや」

京太郎(ってことは、"賽"の件もそうなのか。力ね……)
840 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/05/25(月) 15:14:14.25 ID:3Lo485080

京太郎「物騒なハナシだな」

洋榎「他人事じゃないで、須賀」

京太郎「え?」

洋榎「聞けば、知り合いの罪人の刑を軽くする目的で、この組織に入って仕事を求めてるらしいけどな……」

洋榎「それを実現しようと思ったら、高いリスクを伴う仕事もせなあかん」

洋榎「要は戦いが増えるってことやで。星の十字結社との戦いに、その身を投じる事になる」

京太郎「……」

洋榎「ルーキーには荷が重いんとちゃうかそういう仕事は」

京太郎「誰が……」

京太郎「……承知の上だよ」

洋榎「……そうか。その意気や良し」ぱんっ

洋榎「うしっ」たんっ

洋榎「そろそろ夕暮れも近い。長かったこの天朋廷ツアーも幕引きといこうか」


洋榎「最後にうちのおススメの、とっておきの場所に連れてったるで」


京太郎「とっておきの場所?」


――


京太郎(連れられてきたのは、天朋廷の中じゃ唯一だという大きな川だった)

京太郎(川辺の少し開けた空間に、芝生が生えていて)

京太郎(愛宕さんが芝生の上に座ったのにつられて、俺も座った)すとん

京太郎(長閑だ……)
841 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/05/25(月) 16:02:10.32 ID:3Lo485080

京太郎「ここ、風が気持ちいいな……」

洋榎「そうやろ? この場所は『天宮の渡し』言うて、川の向こう側には貴族たちが大勢住む区画、俗称『金色地区』ある」

京太郎「貴族って……おいおい、そんな大それた身分が現代にあるのか? 天朋廷はただの日本の都市のひとつじゃなかったっけ?」

洋榎「人が集まれば格差も生まれる。同じ能力者でも、天朋廷の中で権力を持って、いい暮らしをしてるのは貴族と格組織の上位数人くらいや」

洋榎「須賀も席官やから貴族とほぼ同等の地位があると思ってええで。嬉しいやろ」

京太郎「嬉しくはないけど……はぁ、そんなもんなのか?」


洋榎「統制王族院に所属する方法は二つある」


洋榎「ほんまの一般人の普通の家庭に、たまたま能力を持って生まれた子供が、組織の刺客に攫われる・か……」

洋榎「能力者同士の子供として生まれてきて、自然な流れで組織に属す運命になる・か……や」

京太郎「はぁ……」

洋榎「能力者同士の子供はほぼ確実に能力者やからな」

洋榎「不埒な輩の出現を防ぐために、婚姻には貴族か席官クラスの"格"が必要だったり、厳しい条件がいろいろあるんやけど」

洋榎「正式に認められれば、金ぴかの家に忠実な従者。卓を囲めば豪勢な食事。貴族の仲間入りや」

洋榎「他所から拾われてきた"平民"は、実力で成り上がらんとみーんな、質素な暮らしをし続ける」

京太郎「ふーん……じゃあ俺はどっちかって言うと平民なのかな」

京太郎「愛宕さんは貴族の出なのか? それとも平民なのか?」

洋榎「……」

洋榎「お、知りたいか?」

京太郎「知りたいっていうか、気になってさ」

洋榎「須賀はどっちやと思う?」


【#4】
1 貴族
2 平民
3 どっちでもない

安価↓1
842 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/25(月) 16:06:23.81 ID:kDuSxjO1o
3
843 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/05/25(月) 18:38:17.40 ID:3Lo485080


京太郎「案外、どっちでもなかったり?」にや


洋榎「!」ぴく

洋榎「……何でそう思った?」

洋榎「貴族と平民以外、何があんねん」

京太郎「いや、わかんないけど……何となく」はは

洋榎「は、なんやそれ、テキトーか。変なやっちゃ」

洋榎「でも……当たりかも。自分が貴族か平民か、なんて……」

洋榎「実際、うち自身もよくわかってないんやし」

京太郎「え?」


洋榎「だって天朋廷には、捕虜として連れてこられたもんやから」


京太郎「……何だと?」

洋榎「まあ、人質に近いんかな」



洋榎「うちは元々、星の十字結社の子供だったんや」



京太郎「!!」

京太郎「どういう意味だよ……」

洋榎「そのままの意味や。母親も父親も能力者。けれど生まれた場所は星の十字結社の領地の内側で」

洋榎「統制王族院との小さな戦いに負けた星の十字結社は、まだ幼いうちを捕虜として差し出した」

京太郎「……」

京太郎「そんな……」
844 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/05/25(月) 18:48:30.99 ID:3Lo485080

洋榎「なんや。そんな顔もするんやな、京太郎」にや

京太郎「……辛くはなかったのか?」

京太郎「捕虜ってことは、家族とは別れたんだろう? それとも……」

洋榎「死んでへんで。多分今もピンピンしとる。結社でな」

京太郎「そうか……家族に会いたいとは思わないのか?」

洋榎「……はっ。まさか」


洋榎「おかんがうちを差し出した。会いたいなんて微塵も思うものか」


京太郎「!!」どくん

洋榎「……昔、小さな戦いがあった。統制王族院から派遣された能力者の一団が、星の十字結社のキャンプを見つけて始まった」

洋榎「拮抗した戦いやなかった。結社は劣勢で、全員殺されるんが誰の目にも明らかやった」

洋榎「そこで、その場を率いてたおかんは――娘であるうちを、統制王族院に差し出した」

洋榎「おかんは結社の中では大層な実力者でな。王族院の連中は満足して、その場におった結社の仲間は虐殺を免れた」

洋榎「うち一人の犠牲で、統制王族院は撤退したんやと」

洋榎「……で、それはええけど、だから何やって話やんな。おかんにはもう、二度と会いたくないわ」

京太郎「愛宕さん……」

洋榎「須賀。うちに辛くないか、と訊いたな」

洋榎「答えは否や。辛いなんて、欠片も思ったことはない」

洋榎「算数も解らん頃から、天朋廷で育てられてきた。能力も作法も生き方も、ここで教わった。うちは、統制王族院の人間なんや」

洋榎「そしてうちの母親は……あいつやない。三尋木咏や」

京太郎「な、何? 三尋木さんがどうして?」

洋榎「捕虜として連れてこられたんや。周りの目がどんなもんか、須賀の頭でもまあ想像出来るんとちゃうか」

京太郎「……」

洋榎「そんな、王族院で浮いてたうちを導いてくれたのは三尋木隊長や。隊長が、うちの親代わりやった」

京太郎「……年の差的に親と言うより、姉と言った方が良いんじゃないか」

洋榎「姉……」

京太郎「だってそうだろ? 三尋木さんまだ若いじゃねえか」

洋榎「まあ、細かいところは気にせんでええやん」

京太郎「……そうだよな。悪い」
845 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/05/25(月) 18:54:30.23 ID:3Lo485080

京太郎「でもさ、やっぱり家族には――」

洋榎「もうやめよか。つまらん話したな。眠たくてしゃーないやろ」

京太郎「いやそんなこと――」

洋榎「とにかく、うちは貴族でもなけりゃただの平民でもない。まあ分けるとしたら平民やろうけど」

洋榎「疑問は解けたか? 須賀」


京太郎「……ああ」



 22.



洋榎「そりゃ良かった」

洋榎「須賀。ここに連れてきたのは、こっから見る夕陽の眺めが、言葉にし難い程綺麗やからなんやで」

京太郎「……」

洋榎「ほら見てみ、もうお日様が落ちかけてる」

京太郎「……そうだな……確かに綺麗だ。川の水に夕陽が反射して、天朋廷を黄金色に照らしてる」

洋榎「せやろ? なんか幻想的で心が癒されへん?」

京太郎「わからなくもないな」

洋榎「せやろせやろ? またここ来てええで。うちの専用の場所やったけど」

京太郎「専用ぅ? ただの川辺だろ」じと

洋榎「まぁまぁ、ロマンやんか!」


京太郎(愛宕さん――……家族の話をするとき、険しい顔してたな)

京太郎(辛いと思った事はないって言ってたけど、本当なんだろうか……)

京太郎(……)


――――――

――――
846 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/05/25(月) 18:56:02.45 ID:3Lo485080


 Walking with Watchers


――


すたすたすた

がらっ!


咏「――戻ったか」


京太郎「おう!」

洋榎「うぃー」

京太郎「どうだ三尋木さん。買ったぜ。麻覇装!」びっ

咏「おっ。カッコイイねぇ」

京太郎「だろう?」にや

洋榎「須賀。あんま燥がんとき。ここは執務室やで。弁えんと」

咏「ん? 気にしないけどね私は」

洋榎「まあ隊長はそう言うやろけどなぁ……」

咏「それで、どうだった? 京太郎。天朋廷は」

京太郎「思ってたより普通かな。もっとお菓子の家とか空中に浮いてる奴とか想像してたけど」

洋榎「かわいい頭しとるなお前……」

京太郎「う、うるせえよ。みんな能力者なら何があったって不思議じゃねえと思っただけだ」

咏「うん。だからこそ好き勝手能力を使うのは良識に反すると思わねー? マナー違反ってやつさ」

京太郎「へぇ……」
847 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/05/25(月) 19:00:06.80 ID:3Lo485080

咏「さて、何事もなく任務を終えてきたんだ。ほい。報酬の一万円だよ」

京太郎「あざっす!!」きらきら

咏「うん。これからも励むように」

咏「また仕事が欲しかったら此処に来なよ。ただ今日はもう休めばいい」

京太郎「わかった。じゃあお休み、三尋木さん、愛宕さん」すたすた

咏「ああ、お休み」

洋榎「またなー」


がらっ… ぴしゃっ


咏「……」

咏「どうだった? 彼は」

洋榎「……まあ」

洋榎「相変わらず、面白い奴ではあったんですけど」

咏「ほう?」ぴく

洋榎「そういえば今度、稽古してくれって頼まれました」

咏「ナルホド! その手もあったか!」

洋榎「はぁ?」

咏「仕事だよ。彼の戦闘能力も高めてあげないといけないからねえ。うん、丁度いい」

咏「京太郎の牌圧濃度を考えても並の指南役じゃ務まらねーだろうし。洋榎ちゃんは適任だね」

洋榎「うちも暇やないんですけど……」

咏「いいじゃんいいじゃん。減るもんじゃないし。頼まれたら受けてあげなよ」

洋榎(……まあ、約束はしてるしな)くりくり


 -------------

  to be continued...
848 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/05/25(月) 19:01:12.24 ID:3Lo485080

★☆★ here is the data of THE CHAPTER!! ★☆★

【#1 → 好感度上昇+2(洋榎) 好感度上昇+1(豊音)】
【#2 → 好感度上昇+4(洋榎)】
【#3 → 好感度上昇+1(洋榎) LAD+1】
【#4 → 好感度上昇+4(洋榎)】

◆現在の称号【八番隊第二十席・新人隊士】
◆カルマ【+12】
◆所持金【29,500】
◆END(max)【169】

◇スキル
[Speech] 47
[Strength] 51
[Gift] 15
[Intelligence] 24
[Lady-killer] 56 (+1)

◇好感度
/咲/  37
/優希/ 17
/和/  17
/巴/  63
/ハオ/ 14
/絹恵/ 7
/霞/  9
/春/  16
/咏/  20
/洋榎/ 22 (+11)
/誠子/ 1
/豊音/ 1 (+1)
849 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/25(月) 19:17:49.77 ID:kDuSxjO1o
850 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/05/25(月) 19:30:24.47 ID:3Lo485080







ちゅんちゅん


京太郎「ふー、良い朝だ」


京太郎(天朋廷にやって来て二週目)

京太郎(部下の子を助けたり、愛宕さんに天朋廷を案内してもらったり、いろいろあったけど……)

京太郎(今日は何をしよう???)


1 三尋木さんの執務室へ行き仕事を貰う
2 愛宕さんに稽古をつけてもらう
3 雑用で日銭を稼ぐ

安価↓1
851 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/25(月) 19:37:04.00 ID:IXLwwvzno
852 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/05/25(月) 20:09:55.43 ID:3Lo485080

京太郎「三尋木さんに仕事貰いにいくか……欲しけりゃ来いって言ってたしな……」


――


こんこん


咏「お、来たね少年」

京太郎「ああ。仕事貰いに来た」

咏「良い事だ。さ、このリストを見てみ」

ざっ

京太郎「何だコレ?」

咏「お仕事候補のリストだよ。出来そうなのを纏めたんだ。好きに選ぶといい」

京太郎「わかった。うーん……」


1 総隊長主催の茶会に出席する
2 "蛆虫の巣"の監査
3 "アート"を造る
4 応急薬の補充
5 星の十字結社への対策
6 "現世"の巡回
7 七番隊副隊長と一緒に書道教室に出席する
9 "天朋廷通信"の取材を受けにいく
10 下級隊士に剣の稽古をつける
11 不届き者の始末
12 "技術開発局"で実験の協力
13 十三番隊隊長に茶菓子を届ける

安価↓1
853 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/25(月) 20:10:51.54 ID:kDuSxjO1o
2
854 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/25(月) 20:11:07.96 ID:3vT2D9Wbo
7
855 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/05/25(月) 20:27:45.71 ID:3Lo485080


京太郎「"蛆虫の巣"の監査……???」


咏「お? 興味を持ったね?」

京太郎「なあ三尋木さん。蛆虫の巣ってのは何だ? ま、まさか」

洋榎「その名の通り、無数の蛆虫が巣食う洞窟や。定期的に中に入って、直に具合を確かめないとあかんねん」

京太郎「う、嘘だろっ!!? これだけは絶対ヤだね!」ぞっ

咏「それにけってーい♪」

京太郎「おい、聞いてなかったのか!? 絶対嫌だ! 断固お断りする!」

咏「やれやれ……この程度の仕事にも難色を示すんだ、京太郎は。呆れたものだね」

咏「そんなものだったのか? 京太郎の決意ってやつはさ……」

咏「狩宿巴を助けたいんじゃなかったのか? なんだか私ガッカリだよ」ふぅー

京太郎「う、うううう……」


京太郎「わ、わかったよ! やりゃいいんだろやりゃ!」ずいっ


咏「……決まりだね」にや

洋榎「くくく……」

京太郎「な、何笑ってんだ、チクショウめ……まさかこんなことになるなんて……大体何でそんなものが……」ぶつぶつ

咏「じゃあ、はい。この委任状を持って二番隊舎まで行くんだ」ひょい

京太郎「? どうしてだ?」

咏「蛆虫の巣は我々八番隊の管轄じゃなくてね。二番隊の管轄なんだ」

咏「だから京太郎は一度二番隊に行ってもらって、仕事をすることになる」

京太郎「……わかった」
856 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/25(月) 20:39:34.93 ID:pX93oyJ20
油断すると洋榎がひよりに変換されそうになる…
857 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/05/25(月) 20:51:13.52 ID:3Lo485080



【二番隊 隊長】
自由安価↓1

【二番隊 副隊長】
自由安価↓2

(一部キャラ無効)


858 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/25(月) 20:54:19.78 ID:XGTXjasdo
859 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/25(月) 20:56:46.00 ID:IXLwwvzno
860 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/25(月) 20:56:46.29 ID:rsrknbLAo
エイスリン
861 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/05/25(月) 21:12:59.69 ID:3Lo485080

――

――二番隊舎


京太郎「そうは言われて来てはみたが……」

京太郎「誰にこの委任状見せりゃいいのか訊きそびれたな……」

京太郎「どうすりゃいいんだ???」

 こんこん

京太郎「……反応は無し、か」

京太郎「ん???」




 びしゅんっ!!!!!!




京太郎「!!?」ぎょっ

京太郎(背後に何か迫ってくる――!)

京太郎(危険!)きっ


【#1】
01〜20 避けきれない
21〜00 避ける!

コンマ判定↓1
862 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/25(月) 21:14:01.73 ID:IXLwwvzno
863 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/25(月) 21:14:43.51 ID:rsrknbLAo
サッ
864 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/05/25(月) 21:25:53.57 ID:3Lo485080


[成功]


京太郎「おそいっ!」かくん!


どっ!


京太郎「避けられたようだな。良かった」

京太郎「それにしても、なんだこれ? ナイフか何かの刃か……?」

京太郎「こんなものを背後から投げてくるなんて、一体どんな輩なんだよ?」くるっ



「嘘……やろ……? 背中にも目あるんかこの人!?」たじっ



京太郎(そこにいたのは、麻覇装の袖を根元から切り取ってノースリーブにしてるのが目立つ少女だった)

京太郎「何だよ、俺に何か用か? このナイフ、投げてきたのお前だろ?」

京太郎「驚いてるところ悪いけど、速度が全然足りてなかったぜ。三つ目じゃなくともありゃ誰だって避けれる」


「だ、誰でもって……そんなわけないやんか……」ぷるぷる

「くっ……入隊同時に席官入りを果たしたルーキーがいると聞いて試してみたけど、ここまでとは……」ぶつぶつ


京太郎「?」
865 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/05/25(月) 23:32:02.92 ID:IwtMwEVI0
誰だ
866 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/26(火) 03:55:36.33 ID:XtlssG4z0
高一最強さん……
ここだと高一かどうかはわからんけど
867 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/05/26(火) 18:23:46.81 ID:eIxsSCrx0


すたすたすた


「はは……いやぁ、参りましたわ」すたっ

「いくら本気出しとらんかったとはいえ、副隊長であるうちの放ったあれを避けるなんて凄いやん、流石噂の新入り」

「うちはあんたを認めるで」


京太郎「な、なんだ一体? 誰だよ、あんた」



「長い十三隊の歴史の中で、入隊して一年足らずで副隊長になったんはごくわずか」

「うちはそのごくわずかや。二番隊副隊長。名は二条泉。どうぞよろしゅう」



京太郎「あ、ああ。よろしく……へぇ、凄いんだな」

泉「うーん、まあ、そこまででは……あるかも」にや

京太郎「あるのかよ」

泉「でもまあ須賀くんやって、華々しい経歴しょってきてるんやし、十分凄いと思うよ」

京太郎「あれ? 俺の名前――……」


泉「うん? 須賀京太郎やんな?」


京太郎「あ、ああ。そうだ」

泉「知ってる知ってる。十三隊に入隊すると同時に席官なった有名なルーキーやん。金髪でその図体や。誰でも判る」
868 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/05/26(火) 19:04:30.64 ID:eIxsSCrx0

泉「うちも入隊と同時に……ってわけやなかったけど、入隊してすぐ名を上げて、一年足らずで今、副隊長やねん。うちらの経歴、どこか通ずるトコロない?」

京太郎「……ないわけじゃないな。まあ、俺は席次にはあんま興味無いんだけど」

泉「む。それは聞き捨てならへんよ須賀くん。護廷隊士は出世してなんぼや。うちはまだええけど、そういう事口にしてたらいらんトコから反感買うかもしれへんで」

京太郎「え、マジか。肝に銘じておくよ。ありがとう……ええと、二条さん」

泉「泉でええよ。期待の若手同士、仲良くしよや」

京太郎「期待の若手? 自分で言うか〜?」

泉「え、ええやん別に。それくらいの意気ってことやん」

京太郎「は、それもそうだな、泉」

泉「……ところで八番隊の人間が何でまた、わざわざ二番隊舎まで?」

京太郎「実は仕事でね。二番隊舎にはその件で来たんだ」

泉「……はぁ。おかしいな。それなら報告ある筈やのに、何も聞いてへんよ、うち」


京太郎「コレを見て欲しい」ひょい


泉「これは……委任状?」ぱし

泉「ふむ……」じっ

泉「なるほど。事情は掴めたわ。三尋木隊長の代理で来たってことやんな」

京太郎「そうなるようだな」

泉「そんならよろしゅう頼みます。それと……さっきは無礼を働いて申し訳なかったですわ」

京太郎「別に気にしてないよ」

泉「そっか……仕事にはお茶でも飲んでからとりかかろうか? 急ぎでもないんやし」

京太郎「いや。すぐ始めちまおうぜ。変に落ち着くと折角心の準備してきたのに崩れちまうかもしれないからな」ごほん

泉「???」


泉「まあええか。そんなら立ち話もこの辺にして、早速行きましょか。『蛆虫の巣』に」

869 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/05/26(火) 19:09:10.61 ID:eIxsSCrx0



23. Cheating Chain



――


ざりっ ざりっ ざりっ ざりっ


泉「……」ざっ ざっ

京太郎(随分入り組んだとこに来たな……)ざっ ざっ

京太郎「っていうか、泉が同行してくれるんだな」



泉「『檻理隊』」



京太郎「……?」

泉「隠密機動・第三分隊『檻理隊』。うちはそこの部隊長でもあるからな」

泉「監査で来た須賀くんと同行するのは自然な流れや」

泉「主な業務は、天朋廷内で罪を犯した者を投獄・監督する事」

京太郎「えっと……つまり?」

泉「看守って事」ぴん

京太郎「看守……」

京太郎(もしかして……狩宿さんの事も知ってるかもしれないな)

京太郎「……ん? 主な? 他にも仕事があるみたいな言い方だな」


泉「……まあ」
870 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/05/26(火) 19:11:25.78 ID:eIxsSCrx0


泉「檻理隊にはもう一つ、特別檻理と呼ばれる仕事がある」


泉「それは護廷隊に入隊したものの……」

泉「思想や行動に於いて、他の能力者に危険を及ぼす、又は隊の業務に支障を来す恐れがあると判断される隊員を」

泉「調査・捕縛し監視下に置くこと――……」

京太郎「……???」

京太郎「俺の頭じゃ、ちょっと意味が……簡単に言うとどういうことだ?」

泉「要するに」ぴっ


泉「護廷十三隊の中の危険分子を、捕まえて閉じ込めとく仕事や」


京太郎「!」

泉「その為の施設があるのが、この二番隊舎」

泉「隊舎敷地内北西、幅三十間の巨大な堀の奥に、その施設はある」

泉「『地下特別檻理棟』」


泉「通称――」



泉「『蛆虫の巣』」



871 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/05/26(火) 19:16:35.62 ID:eIxsSCrx0


――


 ぴちゃん…


かつ かつ かつ


京太郎「何だよ。中は完全に洞窟だな」

京太郎「こんなとこにほんとに人を閉じ込めてるのか? 地下牢じゃねーか」

京太郎(っていうか、三尋木さんと愛宕さん。知ってて嘘ついてやがったな。何が蛆虫の巣だよ。まったく……)

京太郎(あの二人、帰ったらどうしてやるか……)ぐっ

泉「まあ、酷い話やんな」

泉「でも地下牢ってわけでもあらへんで。ホラ」がちゃん


きぃ…


京太郎「!!」

京太郎(洞窟の奥にある扉の先。その中では、白い袴を着た連中が、おのおの自由に過ごしていた)

京太郎(寝てる奴や、大きな声で話してる奴、札遊びをしてる奴もいた)

京太郎(どいつもこいつも一癖ありそうな奴ばかりだが……)

泉「この人たちは中から出る事は出来へん。そやけど施設内での行動は制限されてへん」

泉「気を付けてな。急に襲い掛かってくる人もおるから」

京太郎「こいつら……一体何したんだ……」きょろきょろ

泉「何も」

京太郎「!?」

泉「ゆうたやろ。この人たちは何も悪さはしてへんのや」
872 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/05/26(火) 19:23:29.63 ID:eIxsSCrx0


泉「この人たちは、王族院の定めた規定で、危険分子であると判断された人たちや」


泉「罪を犯したわけやないから裁くことはできない」

泉「だけど野放しにしておくと危険"かもしれない"」

泉「だからここに閉じ込めとくんやって」

京太郎「なんだそれ!? そんな話があるかよ、何もしてないってのに……」

泉「……」

泉「須賀くん。うちはココの部隊長を任されたときからずっと思っとる事があってな……」

泉「まあそりゃ、ここの人たちは危なっかしい人ばっかしやん」

泉「それでも」

泉「その能力を活かせる環境さえ与えてあげれば、その"危うさ"を大きな力に変えられる人もいるんやないか・って――」

京太郎「泉……」


「ウ」


京太郎「!」



「ウアアアアアアアア!!!」どうっ



京太郎(一人、我を忘れてるのか俺に飛び掛かってくる奴がいた――……!)ぎょっ

京太郎「クソッ、刀を……」じゃら…
873 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/05/26(火) 19:27:44.30 ID:eIxsSCrx0

京太郎「!!?」

京太郎「点棒が変形しない!!?」

京太郎「まずい――……!」




 がんっ!!




京太郎「――……」

泉「スミマセン。言い忘れてもた。特別檻理棟の中は特別な鬼道が掛かってる。ここじゃ点棒を刀に変えることはできへん」

泉「そやから、檻理隊の部隊長に求められる絶対条件は」

泉「この人たち全員を――」



泉「素手で制圧できること」

 こぉっ…!



京太郎(す、すげえ……)

京太郎(飛び掛かって来た奴は、自分の何倍もありそうなサイズの巨体)

京太郎(そんな奴を、泉は片手一つで抑え込んでいやがる)

京太郎(これが、二番隊副隊長・二条泉――……)


「ふー、ふー、ふーっ」じたばた


泉「……ひどいですよ」

泉「まだうちの顔憶えられへんのですか? こんなに構ってあげてるのに……」
874 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/05/26(火) 19:34:49.73 ID:eIxsSCrx0


――


かつん… かつん…


京太郎「ふう。大体ここでやってることはわかったよ」

京太郎(今のところ、俺はただ見学してるだけだけど)

泉「そっか。それなら良かった」

京太郎「で、どこに向かってるんだ? どんどん奥に行ってるけど」

泉「……須賀くんには最後にもう一箇所、確認するべき項目があるはずやけど?」

京太郎(そうなのか? とは言え三尋木さんに何も聞かされてないしな)

泉「あんまし会わせたくは、ないんやけどね」はは

京太郎「……?」


 かつん…


泉「ほら見て」

泉「此処でただ一人、檻の中に入れられている"危険分子"や」

京太郎「……」


「……二条泉か」


泉「――おはよう」



【檻の中には誰が居た?】

自由安価↓1

(一部キャラ無効)
875 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/26(火) 19:36:20.83 ID:mPT1Mhbgo
ガイトさん
876 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/26(火) 19:36:36.36 ID:mWJbSotEO
かじゅ
877 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/05/27(水) 16:27:11.93 ID:skXqdvRD0


泉「――おはようございます。辻垣内さん」






智葉「……」






智葉「……ふん。余所余所しく『辻垣内』と呼び捨てにしろといつも言っているだろう」

泉「イヤやなぁ……呼び捨てなんか恐れ多くて出来る訳ないですやん」

智葉「……相変わらず不愉快な女だ、君は」


京太郎「な、なんだ……この人……」

京太郎(足を鎖で繋がれて、檻に入れられてこそいるが……)

京太郎(とんでもない牌圧だぞ――!?)


智葉「……おや」

京太郎「!」びく

智葉「隣にもう一人いるな。初めて見る顔だが」

京太郎「……須賀京太郎だ」
878 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/05/27(水) 16:29:03.71 ID:skXqdvRD0

智葉「須賀……京太郎?」

泉「八番隊第二十席です。今回蛆虫の巣の監査ということで、私に同行してもろてるんですよ」

泉「本来三尋木隊長の任務でしたが、彼が代理することになりまして」

智葉「……ほう」じっ

京太郎「?」



智葉「……」じぃ〜

京太郎(な、何だ?)じりっ



智葉「くっくっく……」

京太郎「!?」


智葉「成程」


智葉「となると三尋木咏がこの小僧を寄越したのか……ふ。やはり面白い御方だ」

京太郎(三尋木さんを知ってるのか……いや、ここにいるのは皆、元は護廷隊って話だ。そりゃ知ってるか)

智葉「二条泉。君に提案がある」

泉「はい?」


智葉「彼と二人にしては貰えないか」

879 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/05/27(水) 16:31:20.73 ID:skXqdvRD0

泉「えっ……いや、それはちょっと……」

智葉「どうした。別に何もしやしないさ。この鎖が見えないか? できないんだ。わかってるだろう」じゃりん…

泉「そうかもしれへんですけど……」ちら

京太郎「……どうしてだ?」

智葉「何。少し話がしたいだけさ。三尋木咏が寄越した男に興味を持ってね。不思議な話じゃあるまい」

智葉「いいだろう? 毎日身動きがとれなくて、私も退屈してるんだよ」

泉「……」

泉「須賀くんはどう思う?」

京太郎「いや、何とも……」

泉「……はぁ。まあどうせ何も出来やせえへんし、ええか」

京太郎「いいのか?」

泉「辻垣内さんかて別に悪い人やないからね」

泉「ほな、私は離れてますわ。少ししたら戻ってくるんでごゆっくり」

智葉「気遣いに感謝しよう」

京太郎「……」


智葉「……さて」
880 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/05/27(水) 16:34:49.25 ID:skXqdvRD0

智葉「いつまで其処に突っ立ってるつもりだ? 須賀京太郎」

智葉「腰掛け給えよ。足が疲れるだろう」

京太郎「いや……腰掛けるもんがないだろ? 椅子もなにもないじゃねえか」

智葉「何を頓狂な事を。地面に御誂え向きの突起があるじゃないか。台形で座りやすい。それともちゃんとした椅子以外には座りたくないとでも?」

京太郎「……わかったよ」

ぽすっ

智葉「――やはり、良い顔つきをしている」

京太郎「何だそれ。口説いてるのか?」

智葉「そう思ってくれてもいい」

京太郎「なっ――!?」たじっ

智葉「何だ……こんなことで照れてるのか? かわいい奴め」

京太郎「べ、別に照れてねえよ……」

智葉「だが先が思いやられるな。天朋廷は君のような男には刺激が強すぎるだろう」

京太郎「何だと?」

智葉「能力者はどういうわけか容姿に優れた女が多い。天朋廷は能力者の楽園だ。その中で君の様な男は気が移って大変じゃないかと思ってな」

京太郎「全然。そんなん思った事ねえし……」

智葉「本当か? ほら、正直に言ってもいいぞ。二条泉も狙っているんだろう?」

京太郎「ね、ねら……!? 何も考えてねえよそんな事!」

智葉「でもかわいいとは思ってるだろう?」

京太郎「へ? ま、まあ見かけは悪くないんじゃないか……って、変な事言うなよ。そんなんじゃねえからマジで」

智葉「私の前で取り繕う必要などないんだがね……やれやれ、どうも君は見かけによらずカタい人間らしい」

京太郎「ふんっ。あんたこそ見かけによらず俗っぽいんだな」

智葉「ふ。そう思うか」
881 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/05/27(水) 16:38:25.04 ID:skXqdvRD0

智葉「……ところで、八番隊第二十席と聞いたが、随分と早い昇進だ」

智葉「君は護廷隊に加入してから日が浅いだろうに」

京太郎「! ……昇進はしてない。入隊と同時に二十席だからな。天朋廷に来たのだってその時だし」

智葉「それは良い。才能に恵まれているようだ」

京太郎「けど、俺が護廷隊に入って日が浅いって、どうしてわかった?」

智葉「二条泉は義理堅い女だ。身分に拘らず、先達には必ず敬語を遣う」

智葉「その二条泉が君に敬語を遣っていないということは、君は彼女より遅れて入隊したのだろう」

京太郎「へえ。よく見てるんだな」

智葉「こんな空間にずっと居ると、物や人の機微にも敏感になってしまってね」

智葉「僅かでも変化があれば気付く」

京太郎「そ、そうか……」

京太郎(怖い人だな……)

智葉「天朋廷に来てから日が浅い、か。まさかその年で能力に目覚めたのか?」

京太郎「目覚めたというか、借り物だけどな。元は狩宿さんの力だ」

智葉「狩宿巴か」

京太郎「知ってるのか!?」がばっ

智葉「おお。何だ、急に燥ぐな。驚いたぞ」

智葉「だが残念ながら知っているという程知ってはいない。名前と顔だけ以前見たことがあるだけだ」
882 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/05/27(水) 16:43:07.30 ID:skXqdvRD0

京太郎「そうか……」

智葉「借り物ということは、君は狩宿巴から力を受け取ったのか?」

京太郎「そうだ。けど……その所為で、狩宿さんは……」

智葉「捕まった、か」

京太郎「ああ……処刑が決まった」

智葉「……莫迦な。重罪とは言え、一般人への力の譲渡程度で首を切られる等聞いたことがない」

京太郎「そうなのか? けど、俺の働き次第じゃ減刑が適うそうでさ。今頑張ってんだ」

智葉「……」

智葉「それは御苦労な事だ……だが、ふむ……」

智葉「面白いものだな。君の働き次第では……か」

智葉「それではまるで、彼女は人質か何かのようだと思わないか?」

京太郎「……何だと?」

智葉「言っているだけだ。狩宿巴の牢に塞がれるその姿は――……」


智葉「決して交わる事の無い組織と君を繋ぎ留める、鎖に似ている・と」


京太郎「ふざけたこと言ってんじゃ……」

智葉「……おっと。部外者の分際で差し出がましかったな。許して欲しい」
883 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/05/27(水) 16:48:18.07 ID:skXqdvRD0

智葉「そろそろ二条泉が戻ってくる頃合いかな。本題に入ろうか」

京太郎「本題か。悪いがそろそろ帰っていいか」

智葉「おや。機嫌を損ねてしまったかな」

京太郎「当たり前だろ。適当な事言いやがって。狩宿さんは鎖でも何でもねえよ。じゃあな」ざりっ

智葉「まあ待ち給え。話は終わりじゃあ無い」

京太郎「別に俺は聞きたかねえ。聞く必要もない」ぴく

智葉「先程私は、二条泉を義理堅いと言ったな」

京太郎「か、勝手に話し始めやがった……」

智葉「だが私はさらに義理堅い」


智葉「私をこの檻から出してくれたなら、どんな事でも君に協力しよう」


京太郎「!」

京太郎「……」

京太郎「どういうつもりだ」

智葉「何も疚しい事を考えているわけではない。ただ、檻の中の生活には飽いただけだ」

京太郎「……けど、俺には無理だよ。権限が無いんだ」

智葉「野心の無い男だな。権限か。隊長格にのし上がろうという気はないのか?」

京太郎「ああ、全くない。俺の目的は狩宿さんを牢から出す、それだけだからな」

智葉「ならば猶更だ。本物の罪人を救い出すんだ。私一人、物の序でだろう」

京太郎「……」


【#2】
1 ……考えておく
2 あんたにそれだけの価値があるのか判らない
3 嫌だね。あんたにはソコがお似合いだぜ

安価↓1
884 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/27(水) 16:49:27.12 ID:CVpLTgsLo
2
885 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/05/27(水) 17:54:32.33 ID:ynb+UJZV0
1
886 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/05/27(水) 18:16:04.54 ID:skXqdvRD0


京太郎「あんたにそれだけの価値があるのか判らない」


智葉「……そうか」

智葉「受け入れるだけの愚者でなくて何よりだ。だが、そうとは言え冷酷だな」

智葉「悪さも何もしていない人間が檻に入れられてるのを、無条件で許せない人間ではないらしい」

京太郎「何とでも言えよ。確かにあんたは不憫だ」

京太郎「だけど、リスクは負いたくない。王族院が何て言うかも、あんたにどれだけの影響力があるかも判らないだろ?」

京太郎「別にあんたに見返りを求めたいわけじゃないし、それに……」

京太郎「何の力もない俺なんかに、檻から出せと言ってくる意味が解らねえ」

智葉「随分と、謙虚な事だ」

智葉「だが君が自分をどう思おうとも、私は君に興味がある。何故なら――」


かつんっ…


智葉「……」


泉「時間です。お話は終わりましたか」ざりっ


智葉「……」

智葉「そうだな。満足したよ。礼を言う、二条泉、それと……須賀京太郎」

京太郎「……ああ」

泉「ほな、行きましょか須賀くん。もう陽も落ちる」すたすた

京太郎「わかった」ざ…

智葉「……」
887 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/05/27(水) 22:55:04.06 ID:skXqdvRD0


ぴた


智葉「……!」

京太郎「辻垣内智葉と言ったな」

智葉「……」

京太郎「最後に訊いておきたい。どうして他の奴と違って檻の中で鎖に繋がれてるんだ?」

智葉「さあな。大方、私の力を怖れて鎖に繋いでいるんだろうが……無意味極まりないとはこの事を言う」

智葉「何もする気など、ないというのに」

京太郎「……そうか」

京太郎「泉が、あんたは悪い人じゃないと言ってた」

京太郎「だけど、今の俺には余裕が無いんだ。助けなら他をあたってくれ」

智葉「……そうだな」

智葉「もう行け。君には目的があるのだろう」

京太郎「ああ」

智葉「だが憶えておけ。私は君に期待しているぞ」

京太郎「だからその気はないっての。悪いけどな。そんじゃあな」

智葉「ああ……また会おう」


――


ざりっ ざりっ ざりっ


京太郎「ふぅー。外の空気は美味いな……」
888 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/05/27(水) 22:59:50.36 ID:skXqdvRD0

泉「ん? 蛆虫の巣は居心地悪かった?」

京太郎「いや。そういうわけじゃないけどさ」

泉「ふーん……大丈夫? 辻垣内さんに何か変な事吹き込まれへんかった?」

京太郎「ん……別に。面白い人ではあったけどな」

泉「あはは、面白いか。確かにおもろい人やんな」

泉「……」ざりっ ざりっ

京太郎「……」ざりっ ざりっ


京太郎「……なぁ」


泉「?」

京太郎「狩宿巴って知ってるか?」

泉「かりじゅくともえ?」

泉「……あー。そういや……はいはい」

泉「そういや最近連行されてた人にそんな名前があったなあ」

泉「どうも一般人に能力渡した罪で捕まったらしい」

京太郎「! じゃ、じゃあ……」

泉「けどまあ、何だってそんな事したんやろな」

泉「どれだけ自分が不利な状況だったとしても、一般人に助けを乞うなんて能力者として情けない事や」

泉「それどころか自分の能力、牌の加護さえ一般人に譲渡するなんて、うちには全く理解の外や」

京太郎「っ!」ぴく


【#3】
1 そ、そんな言い方ないだろ!
2 (……まあこいつには関係ないか)

安価↓1
889 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/05/27(水) 23:01:12.17 ID:ynb+UJZV0
1
890 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/05/27(水) 23:13:10.62 ID:skXqdvRD0


京太郎「そ、そんな言い方ないだろ!」ずいっ


泉「わ、ちょっと近い近い、近いって!」たじっ

京太郎「お、おお、わるい」す…

京太郎「でもよく知らない奴の悪口なんて感心しないぜ」

泉「……そ、そうやな。ごめん……」

泉「……」

泉「でも、須賀くん意外と熱い人なんやな。罪人にもそう言えるなんて」

泉「何て言うか……感心したかも」にっ

京太郎「……」

京太郎「……どうかな」


――


泉「ようやっと隊舎の門まで戻れたな。今日はお勤めお疲れさんっした」

京太郎「互いにな」

泉「……今度の非番が被ったら」

京太郎「?」

泉「うちら期待の若手同士で、愚痴りに食事でも行かへんか?」

京太郎「愚痴って、何を愚痴るんだよ。俺は入隊してから不満なんか特にねーぞ」

泉「いやいや、そこは何でもええやんか。まあ、気に留めといてよ」

京太郎「はっ。わかった。仕事がないようなら誘いに行くよ」

泉「うん。待ってるで」

泉「ほんなら、また機会があったらヨロシク」たたた

京太郎「おう。またな」すたすた


――――――

――――
891 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/05/27(水) 23:15:51.91 ID:skXqdvRD0

――


咏「……お。そろそろかな」

洋榎「相変わらず気配の察知が上手いですなぁ、隊長」


がちゃっ

ばんっ!


京太郎「……」ずかずか


咏「よ。京太郎」

京太郎「戻ったぜ、お二人さん」どん

洋榎「おう。おかえり、須賀」

洋榎「どうだった? 蛆虫の巣は」にや

京太郎「愛宕さん……」

洋榎「?」


【#4】
1 よくも騙してくれたな!
2 何て言うか、みんな独立してたな。けど部隊長もしっかりしていたから内輪揉めの心配もないだろう
3 奴らの物真似をしよう。蛆虫の巣で受けた手荒い歓迎の再現だ

安価↓1
892 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/27(水) 23:16:37.51 ID:pJF+ptF0o
893 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/05/27(水) 23:52:55.85 ID:skXqdvRD0


京太郎「何て言うか、みんな独立してたな。けど部隊長もしっかりしていたから内輪揉めの心配もないだろう」


洋榎「お、おう。そうか……」

咏「ちゃんと見てきたんだね。えらいえらい」

京太郎「まあ仕事だからな。中には俺に襲い掛かってくる元気な奴もいたぜ」

咏「へぇ〜」

咏「つーか泉ちゃんに案内してもらったのかよ。いい身分だねぇ」

京太郎「部隊長だって言ってたぞ。当然じゃないのか」

咏「ま〜そうかも知れんけど。でも部隊長本人が同行するのも珍しいんじゃね? 京太郎、泉ちゃんに気に入られたか?」

京太郎「認めたとは言ってたかも」

咏「いいねいいね。彼女、護廷隊に入隊してまだ一年経っていないそうだよ。それで副隊長だって。努力したんだろうね。知らんけど」

咏「彼女みたいな先達がいると手本に困らんね、京太郎」

京太郎「へへ、そうだな」

洋榎「……」じー

京太郎「どうした? 愛宕さん。こっち見てるけど」

洋榎「うぇ? いや? 見てへんけど?」

京太郎「安心しろ……俺は二十席。弁えてるさ……」

洋榎「お、おう……? な、なんか逆に心が痛うてしゃあないわ……どーもすいませんでした嘘ついて!」ぱんっ

京太郎「……嘘? 何の事だか、覚えてないな……何だっけ」じとー

洋榎「わ、結構マジで怒っとるやんけ。す、すまん。悪気は無かったんや。ほんと許してや〜」ぺこぺこ

京太郎(……別にもう怒ってないけどな。こんな愛宕さん新鮮だからこのままにしておこう)


 -------------

  to be continued...
894 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/05/27(水) 23:54:09.11 ID:skXqdvRD0

★☆★ here is the data of THE CHAPTER!! ★☆★

【#1 → 好感度上昇+4(泉)】
【#2 → 好感度上昇+2(智葉)】
【#3 → 好感度上昇+4(泉)】
【#4 → 好感度上昇+2(咏) INT+2】

◆現在の称号【八番隊第二十席・新人隊士】
◆カルマ【+12】
◆所持金【29,500】
◆END(max)【169】

◇スキル
[Speech] 47
[Strength] 51
[Gift] 15
[Intelligence] 26 (+2)
[Lady-killer] 56

◇好感度
/咲/  37
/優希/ 17
/和/  17
/巴/  63
/ハオ/ 14
/絹恵/ 7
/霞/  9
/春/  16
/咏/  22 (+2)
/洋榎/ 22
/誠子/ 1
/豊音/ 1
/泉/  8 (+8)
/智葉/ 2 (+2)
895 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/05/28(木) 00:01:31.88 ID:WFlEWLS+0







ちゅんちゅん


京太郎「ふー、良い朝だ」


京太郎(天朋廷にやって来て三週目)

京太郎(今日は何をしよう???)


1 三尋木さんの執務室へ行き仕事を貰う
2 愛宕さんに稽古をつけてもらう
3 泉と食事に行く
4 雑用で日銭を稼ぐ

安価↓1
896 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/28(木) 00:02:49.73 ID:R4CH1MSGo
897 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/28(木) 00:03:01.50 ID:/SwXCxM1o
3
898 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/05/28(木) 00:03:02.61 ID:YY6K3lO40
2
899 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/05/28(木) 00:12:03.00 ID:WFlEWLS+0


京太郎「今日も三尋木さんに仕事貰いにいくか……欲しけりゃ来いって言ってたしな……」


――


こんこん


咏「お、来たね少年」

京太郎「ああ。仕事貰いに来た」

咏「良い事だ。さ、このリストを見てみ」

ざっ

京太郎「またこのリストか」

咏「そう、お仕事候補のリストだよ。出来そうなのを纏めてある。好きに選ぶといい」

京太郎「わかった。うーん……」


1 総隊長主催の茶会に出席する
2 刑軍のお仕事のお手伝い
3 "アート"を造る
4 応急薬の補充
5 星の十字結社への対策
6 "現世"の巡回
7 七番隊副隊長と一緒に書道教室に出席する
9 "天朋廷通信"の取材を受けにいく
10 下級隊士に剣の稽古をつける
11 不届き者の始末
12 "技術開発局"で実験の協力
13 十三番隊隊長に茶菓子を届ける

安価↓1
900 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/05/28(木) 00:12:24.84 ID:YY6K3lO40
9
901 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/28(木) 00:14:27.61 ID:/SwXCxM1o
12
902 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/05/28(木) 00:55:14.40 ID:WFlEWLS+0


京太郎「そうだな。"天朋廷通信"の取材を受けに行くよ」


咏「りょーかい。理由を訊こうか」

京太郎「まあ、そこの副編集長? だかと約束してたからな」

咏「なに? いつのまに豊音ちゃんと知り合ったんだよ?」

京太郎「いつでもいいだろ。じゃ、さっそく行ってくるわ。九番隊舎に行けばいいんだろ?」

咏「あ、ああ……そうだけど……場所を教えないとねぇ」

京太郎「いやその必要はない。もう知ってる」

咏「え」

京太郎「んじゃ、行ってきます!」たたっ


がちゃ

ばたん


咏「……何だよ。少し淋しいじゃんか」

洋榎「すんません隊長。うちが九番隊のコト教えました」

咏「む。何だ、洋榎ちゃんの仕業か〜。京太郎にうんうんわかったそうだったのか・とか言わせるの好きなのに。わかんだろ??」

洋榎(わっからへんわ……)
903 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/05/28(木) 00:57:32.49 ID:WFlEWLS+0


――


豊音「ようこそ須賀くん! 九番隊舎・執務室へ!」


京太郎「お、おう……」



24.



豊音「さあさあ須賀くん。お椅子を用意したので、座ってねー」ぽんぽん

京太郎「ああ……なんか、すげえ高そうな椅子だけど、いいのか……」がた…

豊音「はい、紅茶だよー」すっ

京太郎「おう、ありがとう……めっちゃ良い香りするな……」

京太郎「ま、まさかこんなに歓迎してくれるなんて思ってなかったよ」

豊音「え?」


豊音「とうぜんだよっ」ぐい


京太郎「わっ」

豊音「取材を受けてくれる大事なお客様なんだし、寛いでもらえるようにおもてなしするのは当然だからねー」

京太郎「そ、そうなんだ。どうもありがとう……」



  Uncover, Unaware



京太郎「それで、取材……だったっけ。俺は一体、何に答えれば……」
904 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/28(木) 11:34:11.11 ID:WxEqdWxzo
気になるところで切りおる
905 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/28(木) 11:35:36.65 ID:k+N0MY6aO
確かに
906 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/05/29(金) 16:34:56.90 ID:+VEClCAw0

豊音「えーと、ちょっと待ってね……」ごそごそ

京太郎「……」

京太郎「え。何それ……」


豊音「何って……レコーダー?」


京太郎「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくれ。何、もしかしてコレ録音されんのか!?」

豊音「……ダメだったかな? 後で文字起こしというか、やっぱりお話には集中したいからねー……」

京太郎「い、いや、別にいいけど……緊張するな」ぴしっ

豊音「大丈夫大丈夫。普段通りで万事オッケーだよー」

豊音「それとー……」がさごそ

豊音「発見っ。私の取材ノート」どん

豊音「予め、どういう取材をしたいかをこのノートにまとめてあったんだ。ようやく使う時がきたよー」

京太郎「……用意周到だな」

豊音「うん、まあね。じゃあ早速だけど、始めていくね」

豊音「えー、こほん。それではまず、須賀くんの略歴から確認していきます」

豊音「あ。なにかツッコみたいとかあったら、おかまいなしにツッコんでいいからね」

京太郎「おう」
907 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/30(土) 18:20:21.95 ID:ndqxQYnto
908 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/30(土) 19:10:10.12 ID:TP59aqMwo
乙ー
909 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/03(水) 17:25:23.53 ID:/th/R8gW0
a
910 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/06/03(水) 18:06:37.10 ID:WEpLcYc40

豊音「通常・護廷隊に入隊するには、王族院管轄の能力者大学を卒業しなければなりませんが……須賀くんは、まずそこから飛ばしてる、と」

京太郎「へえ、学校なんてあるのか。初耳だな」

豊音「……そして八番隊に第二十席として颯爽と現れるまで、誰もその存在を知りませんでした」

京太郎「まあそうだな。知られてても気味が悪い」

京太郎(……一部、賽の関係で知ってる奴はいるだろうが)

豊音「席官として上げた功は未だ無いけれど、今後の活躍が注目されています」

豊音「……略歴としては、こんなところなのかなー。やっぱり情報が全然無いね。皆気になってるのに」

京太郎「そうなのか?」

豊音「うん。突如現れた席官に期待する人訝しむ人、須賀くんの動向に目を光らせてる人は多いよ」

豊音「当たり前の事だもん。席官は誰だって、その立場なだけで周囲の目を引くものだし、略歴が分からない人なら尚の事」

京太郎「ふーん……護廷隊士の目、か。全然、そんなふうに感じたことないけど」

豊音「おお。当の本人は周りの目は全く気にしていないと」

京太郎「全くって程じゃないが、まあ……」

京太郎「仕事しにきてるだけだからな。周りの目ってのを意識したことはそうない」

豊音「仕事熱心なんだねー。そういうトコ、いいと思うな」

豊音「ところで、能力者大学を卒業してないのに、護廷隊に入隊できたってことは……」

豊音「特例なんだろうけどー……天朋廷に来る前までは何をしていたの?」

京太郎「普通の高校生だったよ」

豊音「???」

京太郎「意味が解らねえって顔だな」
911 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/06/03(水) 18:09:16.16 ID:WEpLcYc40

豊音「う」

京太郎「安心しろ。俺自身正直意味が解らねえ」

京太郎「俺は普通の高校生だったけれど……」

京太郎「ある事が切欠で能力に目覚めて、あれよあれよという間に王族院に……」

豊音「うーん。ある切欠って? あれよあれよって??? くわしく訊きたいな」

京太郎「内緒だ」

京太郎(狩宿さんの事はあまり言いふらさない方が本人の名誉の為だろう)

豊音「ええーっ。そこが聞きたいのにー」

京太郎「答えたくないことだってある」

豊音「ううー……しかたないかー。須賀くんの意思を尊重するね」

豊音「じゃあ、入隊の経緯は秘密ってコトなんだー」

京太郎「ああ。済まない」

豊音「いいよいいよ! 喋りたくないことは誰にだってあるもん」ふりふり

豊音「じゃあじゃあ、次いくね!」

豊音「護廷隊の中で尊敬してる人、目標としてる人……などはいますか?」

京太郎「ううむ……難しいな……」


【#1】
1 三尋木咏
2 愛宕洋榎
3 石戸霞
4 滝見春
5 姉帯豊音
6 亦野誠子
7 二条泉
8 そんなものはいない

安価↓1
912 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/03(水) 18:16:55.10 ID:/th/R8gW0
5
913 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/06/03(水) 18:40:31.75 ID:WEpLcYc40


京太郎「姉帯豊音」ぼそっ


豊音「え?」

京太郎「姉帯さんだ」

豊音「!!?」

京太郎「意味が解らねえって顔だな」

豊音「だ、だって……急にそんな事言われても……」たじたじ

京太郎「質問に答えただけ……なんだけど」

京太郎「はは……面と向かって言うのもアレだけどな」

豊音「う、ううー……」

京太郎「……何でノートで顔隠してるんだ?」

豊音「須賀くんの所為だよー……」

豊音「……でもでも、どうして私なんか尊敬してるの?」


【#2】
1 見た目や雰囲気がアツいから
2 客に対する姿勢……とか?
3 尊敬というか、興味がある

安価↓1
914 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/03(水) 18:43:22.71 ID:ml+Zigh+o
3
915 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/06/05(金) 16:46:16.91 ID:ba3AT5Hz0


京太郎「尊敬というか、興味がある」


豊音「興味……?」

京太郎「ああ」

豊音「どういう意味……?」

京太郎「そのままの意味だよ」

京太郎「何で、"天朋廷通信"なんて、発行してるんだ?」

豊音「何でって……王族院の情報が載った雑誌の発行は、代々九番隊が受け持つのが仕来りだからねー」

京太郎「成程な」

豊音「どうしてそんな事を?」

京太郎「言ったろ。興味があるってな」

京太郎「俺はこっちに来てまだ日が浅い。尊敬してると言うには、姉帯さんのことをよく知らない」

京太郎「けれど、姉帯さんの佇まいを見てると、心が軽くなる気がする。ふわふわした空気っていうのか……表現が難しいな」

京太郎「とにかく、妙な気分なんだ。悪くない」

京太郎「だから俺はあんたに興味があって、もっと、姉帯さんを知りたいって思ったんだ」

豊音「あ……えと……」ぽかん

京太郎「質問に沿った返答かどうか、微妙で悪いけどな」


豊音「話が長くてよく聞いてなかった……」てへ

京太郎「」どたーん


京太郎「ひ、ひどいな……」

豊音「えへへ、ごめんね?」
916 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/06/05(金) 16:49:24.22 ID:ba3AT5Hz0

豊音「……」


豊音(ほんとは聞いてたけど……聞いてないことにしちゃった……ちょー恥ずかしいよー)かぁぁ

豊音(今の、褒められたのかなぁー……)


京太郎「?」

京太郎(姉帯さんが俯いて黙ってしまった……)

京太郎(聞き逃したこと気にしてるのかな?)


京太郎「い、いや、謝る必要ないって」

京太郎「どうせレコーダーで記録されてんだろ。全然問題無いと思うぜ」

豊音「そ、そうだねー」

豊音「……」

豊音(レ、レコーダーかぁー……)

京太郎「?」



 がちゃり

 きぃ…



京太郎・豊音「「!!」」


 ざりっ… 


京太郎(誰か、入ってきた……)

京太郎(九番隊舎の隊長の執務室にノックもなしに立ち入るなんて……一体誰だ!?)
917 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/06/05(金) 16:53:46.94 ID:ba3AT5Hz0


シロ「……」てくてく


京太郎(執務室に入ってきたのは、白い髪をした、女の子だった)

京太郎(目つきが印象に残る子だな)

豊音「あ、シロだー」ぴく

豊音「隊首会はどうだったー?」ふりふり

シロ「……ぼちぼちかな」てくてく


がたっ

きぃ…すとん


京太郎(シロ……そう呼ばれた女の子は、部屋の奥の格式高そうな椅子に座り、背もたれに体を思い切り寝かして、天井を眺めるように首を逸らしている)

京太郎(な、何しに来たんだろう)じっ

京太郎(この人、隊長羽織を着てるな……石戸さんや、三尋木さんも身に着けてた――…)

京太郎(隊首会って聞こえた……ってことは、じゃあ、隊長か。九番隊の……)


シロ「……客人か」


京太郎「!」

豊音「そうだよー。今、取材してる須賀京太郎くん」

シロ「須賀京太郎……? ……ああ、隊首会で三尋木隊長が言っていた……」

京太郎(俺に反応するの遅いな……てか、顔は俺に向けないままなんだ)


【#3】
1 俺の事を知ってるのか?
2 隊長か? よろしく
3 うわ、すっげえ美人だ

安価↓1
918 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/05(金) 16:56:52.92 ID:WSsLVjWio
2
919 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/06/05(金) 17:32:21.47 ID:ba3AT5Hz0


京太郎「隊長か? よろしく」


シロ「……」ちら

シロ「よろしく」


京太郎「……」


京太郎(あれ)

京太郎(他にはなにもないのか……?)

京太郎(まあそんなもんか……今までやたら話してくる連中ばっかだったから新鮮だぜ)

豊音「それじゃあ、須賀くんに取材再開するねー」


シロ「待って」


豊音「? どしたのーシロ」

シロ「いつ頃終わる?」

豊音「うーん……昼には」

シロ「前もそう言って一日拘束してた時あったけど……」

豊音「う゛」

シロ「……いや、別に構わないけど」

豊音「でもでも、どうしてそれが気になるの?」

シロ「まあ、ちょっとね……」
920 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/05(金) 20:49:03.23 ID:0cEwPeKsO
乙です
921 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/06(土) 21:44:22.63 ID:35K8KmUho
乙乙
922 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/06/07(日) 00:00:07.94 ID:AvnZcb7C0


豊音「……そっか……だったかー……」

シロ「……」

豊音「じゃあ早めに終わらせないとだねっ」


京太郎(何を話してるんだろう)

京太郎(……それにしても)

京太郎(この人が三尋木さんや石戸さんと同じ、王族院を取り仕切る護廷隊の『隊長』か……)

京太郎(やっぱり隊長ともなると雰囲気が違うな……まあ、あの二人とは少しオーラ違うけど)


シロ「……どうかした」

京太郎「!」


京太郎「い、いや、何でもないよ……」

京太郎(やべえ、見過ぎてたか?)

シロ「そう」

豊音「あ、そういえば須賀くんはシロのこと知らなかったっけ?」

京太郎「まぁ……」

豊音「九番隊隊長、小瀬川白望。みんなはシロって呼んでるから、須賀くんもシロって呼んであげてねー」

京太郎「はは。おいおい、フランクだな。隊長に対する敬意ってものはないのか?」

シロ「……」

シロ(敬意とかそういうのとは、無縁に見えるけどなぁ……)じー

京太郎(こ、こっち見てる……何を思われてるんだろう……)

京太郎「じ、じゃあお言葉通り不躾だけど、シロさんって呼ぶよ」

シロ「うん」ぐたー

京太郎(今度は机に突っ伏した……寝不足か? 疲れてるのか?)

豊音「あ。シロはいっつもこんなんだから気にしなくていいよー」

京太郎「こんなんって……ああやって机に突っ伏してるのがか?」

豊音「かわいいよねー」

京太郎「……」

豊音「取材、続けていいかな?」
923 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/06/07(日) 00:33:28.23 ID:Oq4Q5GQ30

京太郎「勿論だ」

京太郎(あの人の生態が気になるけど、取り敢えず頭から追いやっておくか)

豊音「ほんとはお昼まで時間取りたかったんだけど、ちょっと用事出来ちゃって、ささっといくね?」

京太郎「わかった」

豊音「それじゃー……」

豊音「誌面に載せたい情報として、あとは……」


豊音「えー、須賀くんは彼女とかっていますか?」


京太郎「カ、カノジョ?」

豊音「とかとかー……どうなのかなー」

京太郎「なあ、それ、ほんとに誌面に載せたい情報なのか?」じとー

豊音「うん」

豊音「……あっ! か、勘違いしないでねっ。私が個人的に気になるんじゃないからねっ」ぱたぱた

京太郎「わ、わかってるよ。そこまで自惚れちゃいねえよ」

豊音「天朋廷通信のお便りコーナーで、某・八番隊隊員の子から、須賀くんにそういう存在がいるかどうか」

豊音「取材するなら訊いて欲しいってのがあったからねっ」

京太郎「某・八番隊隊員って……げ。まさか……」

豊音「もちろん、三尋木隊長や愛宕さんじゃないよー」

京太郎「あ、そうなんだ。絶対からかいにきてるんだと思ったけどな」

豊音「うーん。なんでも、須賀くんに恩がある子みたいだねー。私よく知らないけどっ」

豊音「これ以上は個人情報になっちゃうから、私の口からはちょっとぅ……」

京太郎「い、いいよ言わなくて。答えりゃいいんだろ答えりゃ」

京太郎「いねーよ。彼女なんて。そんな浮いた話は生まれてこのかた無縁なんだ」どん

豊音「ふーん……」
924 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/06/07(日) 00:38:08.83 ID:Oq4Q5GQ30

京太郎(欲しいけどな)

豊音「ふむふむ……須賀くんは『彼女募集中』と……」

京太郎「ま、待って。そんなこと言ってないんだけど」ひくひく

豊音「ちょっと脚色加えたほうがいいかなと思って……」

京太郎「いや、加えなくていいから。心の中まで読み取らないでくれ」

豊音「心の中では思ってるんだー」に

京太郎「う゛」

豊音「書いちゃおーっと♪」

京太郎「ちょ、ちょっと。俺の意思尊重してくれるんじゃなかったっけ?」

豊音「仕方ないなぁ……わかったよー」

豊音「誌面には載せないね。でも……」

豊音「むー。須賀くんなかなか欲しい言質を取らせてくれないよー」もそもそ

京太郎「欲しい言質って何だよ」

豊音「読者が喜ぶようなことだよー。有名人の裏事情はやっぱり皆気になるからねー」

京太郎「……全く、能力者ってのも変わらねえな」


――


京太郎(その後、数個の質問に答え……)

豊音「じゃあじゃあ、これで最後っ」

京太郎(やれやれ、ようやくか……)ふ


豊音「最後に。護廷隊の一員として、その抱負をお聞かせください」


京太郎「!」

京太郎「抱負、か……」


【#4】
1 ある人の"解放"を成し遂げる
2 与えられることを精一杯頑張るだけだ
3 統制王族院を牛耳りたい。俺が王だ
4 女の子……ごほんごほん。みんなと仲良くしていけたらなぁと思ってまーす

安価↓1
925 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/07(日) 00:39:46.92 ID:uXSpUI4Ko
2
926 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/06/07(日) 01:17:06.91 ID:Oq4Q5GQ30


京太郎「与えられることを精一杯頑張るだけだ」


豊音「おお。流石だねー」

京太郎「へへ、そうか?」

豊音「うん。やっぱり仕事熱心なのっていいと思うよー」

京太郎「まあな。俺はこっちにきて日が浅い。わからないことだらけだ」

京太郎「けど俺には仕事をくれる人がいるし、それをがむしゃらにこなしていけたらなと思ってる」

京太郎「それ以外にないな、今は」

豊音「なるほどなるほど」

豊音「うんっ。いいお話が聞けたっ」

京太郎「これで俺は解放されるのか?」

豊音「解放って……そんな言い方酷いよー」

京太郎「はは、ごめんごめん」

豊音「でもそうだねー。あとはこっちで編集して、もう来週には今日のお話載ってると思うよー」

京太郎「マジで?」

豊音「うん。ぜひぜひ、天朋廷通信! 購読してねっ」

京太郎「おう!」ぐっ


――


豊音「それじゃ、また機会があったら遊びに来てねー」

京太郎「ああ。九番隊舎は近いしな。また寄るよ」ふりふり

 すたすた…

豊音「じゃあねー……」ふりふり
927 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/06/07(日) 01:21:02.19 ID:Oq4Q5GQ30

豊音「……さて、とー」ざりっ…


――

―― 一週間後


咏「見たぞ〜。京太郎」

京太郎「見たって、何を?」

咏「決まってんだろう? 天朋廷通信だ」ひょい

京太郎(げっ。そういや俺の取材が載るんだっけな)

咏「まったく京太郎は真面目だねー。精一杯頑張ります。俺は仕事の鬼です。みたいな」

咏「あのさ、こういう取材っていったらさ、どっちか片方がボケなきゃ。いや知らんけど」

京太郎「本当に知らねえよ。無理だから。キツいこと言わないでくれ」

咏「大体、尊敬する人が豊音ちゃんってどういうことだぁ? 全然関わったことないクセによーこのこの」ぐいぐい

咏「肝心の尊敬してる理由も書いてないし。箇条書き的に"尊敬する人・姉帯豊音"って書いてあるだけで」

咏「何て言ったんだよー聞かせろよー」

京太郎「ヤだね」

咏「ちぇっ」

京太郎「……もしかして三尋木さんって言ってほしかったのか?」にや

咏「は、ははーん。そんなん知らんし。どうでもいいし。自惚れるなよ小僧め」

咏「別に京太郎から尊敬されたくて面倒見てやってるわけじゃねーしー」くるくるー

京太郎「へいへい、そうだな」


咏「――あ、そういえば、京太郎に話があるんだった」ぴた


京太郎「……話?」ぴくっ

咏「きっと、興味のわく話だと思うよ」にや


――――――

――――
928 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/06/07(日) 01:24:54.05 ID:Oq4Q5GQ30

――


 かつん… かつん…

  かつん… かつん…



 かつんっ



照「――来たか」

照「あなたを呼んだのは、他でもない……」


照「西方で、『王の遺物』が観測された」



「……!」ごくり



照「これよりあなたに、命を下す」

照「聖兵(ゾルダード)を率いてへ西方へ侵攻し、『王の遺物』を回収せよ」

照「星十字騎士団(シュテルンリッター)『J』の文字、"監獄(ザ・ジェイル)"の――…」


【誰?】

自由安価↓1

(一部キャラ無効)
929 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/07(日) 01:28:46.77 ID:Hn+XbRfB0
竹井久

無理ならモモ
930 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/07(日) 01:29:28.69 ID:uXSpUI4Ko
浩子
931 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/06/07(日) 01:38:38.92 ID:Oq4Q5GQ30

照「星十字騎士団(シュテルンリッター)『J』の文字、"監獄(ザ・ジェイル)"の――…」



照「東横桃子(とうよこ ももこ)」



 ひゅ…

ゆら ゆら 

ゆら ゆら

 

 どろんっ



モモ「――はいっす」ゆらっ



照「王族院の人たちも動き出す筈」

照「蜘蛛(シュピンネ)から、関係した情報(ダーテン)も届いている」

照「出立前に、よく読んでおくように」

モモ「もちろん、心得てるっすよ」に

照「それなら良い」

照「吉報を、期待している」


モモ「――畏まりましたっす。グランドマスターさん」ゆら…


 どろん…


 -------------

  to be continued...
932 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/06/07(日) 01:42:36.08 ID:Oq4Q5GQ30

★☆★ here is the data of THE CHAPTER!! ★☆★

【#1 → 好感度上昇+2(豊音)】
【#2 → 好感度上昇+4(豊音)】
【#3 → 好感度上昇+2(シロ)】
【#4 → カルマ上昇+2 好感度上昇+2(豊音)】

◆現在の称号【八番隊第二十席・新人隊士】
◆カルマ【+14】(+2)
◆所持金【29,000】
◆END(max)【169】

◇スキル
[Speech] 47
[Strength] 51
[Gift] 15
[Intelligence] 26
[Lady-killer] 56

◇好感度
/咲/  37
/優希/ 17
/和/  17
/巴/  63
/ハオ/ 14
/絹恵/ 7
/霞/  9
/春/  16
/咏/  22
/洋榎/ 22
/誠子/ 1
/豊音/ 9 (+8)
/泉/  8
/智葉/ 2
/シロ/ 2 (+2)
933 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/07(日) 07:40:12.93 ID:uXSpUI4Ko
934 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/07(日) 10:21:25.11 ID:+durasL6O
おつ
935 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/07(日) 10:43:19.10 ID:ehRIMniJo
乙です
936 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/06/08(月) 00:40:24.58 ID:XZvgo4Hw0







ちゅんちゅん


京太郎「ふー、良い朝だ」


京太郎(天朋廷にやって来て四週目)

京太郎(今日は何をしよう……いや、決まっていたか。大事な仕事だって言ってた)

京太郎(三尋木さんのトコ行かねえと)


〜〜


京太郎「……話?」ぴくっ

咏「きっと、興味のわく話だと思うよ」にや
937 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/06/08(月) 00:46:16.57 ID:XZvgo4Hw0

京太郎「勿体ぶるなよ。続きを聞かせてくれ」


咏「明日、京太郎には……」

咏「『現世(げんせ)』に向かってもらう!」びびんっ


京太郎「……」ぽかん

京太郎「……現世ぇ?」

京太郎「なんだぁそりゃ」


咏「能力者とは関わりのない、普通の社会のことだよ」

咏「天朋廷に来るまで、京太郎が暮らしてた世界のことさ」


京太郎「……」

京太郎「……しっかし、現世って言い方だと、まるでここが死後の世界かなんかみてえだな」

咏「まあまあ、気にするなよ。区別の為に言ってるだけっしょ」


咏「重要なのは、明日、京太郎にはその『現世』に行って、任務をこなしてもらうってことだ」

京太郎「任務……だと?」


咏「詳細を話そう。『王の遺物』と聞いて思い出すものはあるかな? 京太郎」


京太郎「おうのいぶつ? さあ……初めて聞いた単語だ」

咏「そうだろうね……でも、京太郎は知っている」

京太郎「? いやいや。だから初めて聞いたって言ってるだろ。知らねえって」

咏「いいや、知ってる。記憶を辿れば思い出せる筈だ」
938 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/06/08(月) 00:52:30.20 ID:XZvgo4Hw0



咏「きみがかつて保有していた、『賽』の事をね」



京太郎「!!!」

京太郎「賽……だと……? 何言ってんだ……」

咏「『王の遺物』とは、伝承にある能力者の始祖……始まりの王の遺物のことだ」

咏「"王"が身に着けていたもの、使っていた道具には不思議な力が宿っているという」

咏「世界を塗り替えよるような、強大な力が、ね」

咏「ただの言い伝えだと信じない者もいるが、どちらにせよ、『王の遺物』は能力者文明に於いて歴史的な価値があるものと見なされていてね」

咏「『王の遺物』を手に入れることは、王族院のお偉いさん方の悲願だった」

咏「しかし残念な事に、王の死によって世界中に散らばった『王の遺物』は、これまで探される事はなかった」

咏「当然の話さ。どれだけ欲しかろうが、手がかりも何もない状態で一から探すのは不可能に近いからね」

咏「けれど最近、事情が変わった」


咏「"観測機"が、開発されたんだ」


京太郎「……」

咏「これが、世界中に散らばった『王の遺物』の在り処を、時間を掛けて特定できる、優れた機械でね」

咏「お偉いさん方も大喜び。最初に観測された『王の遺物』を、探すように命令されたのが――この二ヵ月程前のことだ」

京太郎「……」

咏「京太郎? おーい」


【#1】
1 ハナシが長ぇ!
2 成程。要するに俺のかつて持っていた『賽』は、『王の遺物』の一つだったと言いたいわけか
3 ……zzz(ねむる)
 
安価↓1
939 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/08(月) 00:57:33.65 ID:5ABtOzymo
940 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/06/08(月) 01:23:08.18 ID:XZvgo4Hw0


京太郎「成程。要するに俺のかつて持っていた『賽』は、『王の遺物』の一つだったと言いたいわけか」


京太郎「『王の遺物』が王族院にとって重要なのは、なんとなくわかった」

咏「理解が早いようだ。知らんけどっ」

咏「話を戻そう。その『王の遺物』が昨夜また、観測されたらしくてね」

京太郎「と、なると……俺にその話をした理由は一つだな」


咏「勿論だ。現世に行き『王の遺物』を回収してきてくれ」


京太郎「わかった」

咏「……お? 意外と快諾するんだね。もうちょっと迷うかと思ったけど」

京太郎「別に。それが俺の仕事だろ」

咏「……」

咏「それと、回収にはきみ一人で行くわけじゃないよ」

京太郎「え、そうなのか?」

咏「うん。もともとある副隊長に委託された仕事なんだ」

咏「その副隊長が、従者として連れさせる隊員に、信頼できる能力者として京太郎をご指名したんだ」

京太郎「副隊長か……誰だ?」


咏「当日の、お楽しみさ」


〜〜


京太郎「来たぜ。三尋木さん。俺の準備は出来てる」

咏「それは良い。ちょうど、彼女もこっちに来ていたトコロだ」


「……」ざりっ


京太郎「! あんたは――……」


【#2】
1 二条泉
2 滝見春
3 愛宕洋榎
4 姉帯豊音
5 亦野誠子

安価↓1
941 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/08(月) 01:26:17.49 ID:jOZICdJTO
1
942 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/08(月) 01:33:16.65 ID:2LxsPYBqo
副隊長最強だからね、当然だね
943 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/06/08(月) 02:07:32.20 ID:XZvgo4Hw0


泉「おひさっ」ぴっ


京太郎「二条、泉――…!」

泉「久しぶりやね、須賀くん。メシ食ってよく寝て元気してた?」

京太郎「お、おう……で、泉と一緒に行くのか?」

泉「期待のルーキー同士、仲良くいこうや」がし


咏「うーん。不安だなぁーうまくやれるんかねー」

京太郎「何、その棒読み……心にもない事言うなよ」

咏「失礼な、心配してやってんだぜっ? 京太郎」

泉「ご心配おかけしませんので、隊長はゆっくり休んでください」

咏「ほら京太郎! これが模範解答だよ。期待のルーキーというならこれくらい言えてほしかったね」

咏「わっかんねー、わっかんねー、京太郎は人の心遣いがわっかんねー」にゃはは

京太郎「う、うるせえよっ。余計なお世話だ! さ、泉、もう行こうぜ」

咏「じゃ、元気で。またあとでー」ひらひら

京太郎「おう!」だっ


――


泉「行く場所わかっとる? 須賀くん」

京太郎「現世だろ? わかってるさ」
944 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/08(月) 06:00:36.53 ID:McI18lXlo
乙?
945 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/08(月) 08:23:40.07 ID:DQHs/Y5K0
946 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/08(月) 11:37:54.19 ID:bMzgaSlCo
乙です
947 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/06/08(月) 20:13:00.60 ID:XZvgo4Hw0

泉「ははは……そういう事訊いてんのとちゃうよ」

泉「天朋廷と違って、現世に能力者はいない。少なくともありふれた存在じゃない」

泉「そんなら、あまし目立ったらかんちゅーことや」

泉「人の目に付かんように、こっそり移動するんが基本や」

京太郎「わかった。気を付ける」

泉「信用しとるで、須賀くん」

京太郎「……信用か。そりゃありがたいけど、そこまで信用されるようなことした覚えないけどな」

泉「またまた。謙遜か、本当に気付いとらんだけか……」

泉「初対面の時、うちの投げたナイフを躱せたやん。それだけで信用するに足る実力はあると思っとる」

泉「今回同行を頼んだのも、補佐の能力より万が一の時に背中預けてられるかどうか・を判断基準にしたんやから」

京太郎「……そりゃ、責任重大だ」

京太郎「期待外れでないようにしなくちゃな」

泉「その意気や、須賀くん」

泉「さ、現世への門を開くで」



 ずっ…


泉「開錠」


 がきん!

 きぃ… がぁぁぁぁぁ…



京太郎「立派なもんだな……相変わらず」ざっ
948 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/06/08(月) 20:14:44.71 ID:XZvgo4Hw0


――


 すた

 すたすた すたすた


京太郎「この道通るのも久しぶりだな……真っ暗なのは変わらずか」

京太郎「道を踏み外すと死ぬんだっけ? こんな闇の中で足許が不安なのは怖い事この上無いな」

泉「須賀くんは案の定鬼道は苦手やったか。でもはやく鬼道で足許照らせるようにならないと、しんどいやろ」

京太郎「ああ。そのうち練習しなくちゃな……」

泉「あ」


泉「来たな。現世や」


京太郎「!」

泉「準備はええか?」

京太郎「とっくに出来てるさ」

泉「――よしっ。出ようか」


 ぽわ…


 ががががん!!

 ずぁぁぁ…



 ざりっ



泉「侵入、成功……」

泉「ふう……やっぱこっちの空気はいつ来てもおいしい」ざっ

京太郎「……変なトコに出たな」ざっ
949 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/06/08(月) 20:19:32.69 ID:XZvgo4Hw0

京太郎「さっきの話のおかげで身構えてたけど、どうやら周りに人はいないみたいだな」

京太郎「そりゃそうか。ここ、明らかに山の中だもんな」

京太郎「土、森に岩か。天朋廷のあるトコとそう変わらねえから、現世に来たって実感が薄いな」

泉「勿論、こんな門を人目につく場所に出現さす訳にはいかへんから。座軸はちゃんと考えてあるんや」

京太郎「へぇ……けど、人の目に付かないようにわざわざ注意する必要ってあるのか? こんな人のいなそうな山の中でさ」

泉「確かになぁ……まぁでも、目立たないよう行動するのは基本中の基本やから」

京太郎「そうだな」

京太郎「それで、その……王の……何だっけ」

泉「『王の遺物』」

京太郎「そうそうそれだ。『王の遺物』のある場所はわかるのか?」

泉「そりゃ、わからんかったら来ぃへんやろ。資料は貰ってある。『王の遺物』の在り処は――」


泉「この先の洞窟の中、らしい」


――


 ずん…


泉「ここか。洞窟ってのは」

泉「こん中に『王の遺物』が……なんか、そわそわしてきた」にや

泉「『王の遺物』を王族院にちゃんと持ち帰れたら、うちら出世間違いなしやで! 須賀くん」

京太郎「はいはい」にやにや
950 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/06/08(月) 20:31:50.50 ID:XZvgo4Hw0

京太郎「けど、この洞窟……入ったら死ぬ、とでも言いたげな雰囲気が入口から漂ってるぜ」

京太郎「猛獣でも棲んでそうだ」にや

泉「も、猛獣……」

泉「いいや、猛獣なんか、取るに足るものか。うちらは能力者や! 先に入るで須賀くん」すたすた

京太郎「わ、そう急ぐなよ。一緒に行こうぜ」たたっ


――


 ぴちゃん… ぴちゃん…


すたすた すたすた

泉「第一猛獣なんかそういてたまるかって話やんな……ただの洞窟やん、びびらすこと言わんといて」すたすた

京太郎「冗談だって」はは

京太郎「しっかしここは暗いな。洞窟の中にはライトも何もないのか。当たり前だけど」

京太郎「泉が鬼道で光の球をつくってくれなかったら、絶対入れなかったな」

京太郎(泉の左前に、バレーボール程度の大きさの光の球が浮いていて、暗い洞窟の中を照らしていた)

泉「光の球なんて初級中の初級やし、ちょっと勉強したらすぐ出せるようになるよ、須賀くんも」

京太郎「そうか? 今でもやり方聞いたら出来る?」

泉「出来んこともないかも知れへん。須賀くんの牌圧なら……でも、どちらにせよ今は無理や」

泉「うちは教えるの苦手やねん。悪いけど勘弁してな」

泉「決して教えるのがメンドいわけちゃうからな、決して……」

京太郎「! 待て、泉。止まるんだ」ざっ

泉「?」ぴた

泉「え、どないしたん?」


京太郎「前に、何かいる……」
951 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/06/08(月) 20:34:45.66 ID:XZvgo4Hw0

泉「! よう気ぃついたな……」

泉「確かに、この先に強大な気配を感じる……」

京太郎「ちょっと照らしてみてくれないか、泉」

泉「言われなくてもや」ぽわっ


 ぽわ… ぽわ…


泉「……」

京太郎「……姿が見えてきたぞ」



「グルォォォォォオオオオ……!!!!」



京太郎「!!」

京太郎「クソ、猛獣だ!!」

泉「ひっ、も、猛獣〜!? ほんまにおったんか〜っ!」


猛獣「ォォォォ……!」ぎらっ


【#3】
1 [Strength51] 退がれ、泉! ここは俺が!
2 ひとまず逃げるぞ!!
3 おお、可愛い小熊じゃないか。よしよしこっちにおいで

安価↓1
952 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/08(月) 20:37:30.43 ID:SBPj1wzMo
1
953 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/08(月) 20:38:13.95 ID:2LxsPYBqo
3
954 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/06/08(月) 20:59:24.52 ID:XZvgo4Hw0


[成功] 


京太郎「退がれ、泉! ここは俺が!」ざりっ


泉「須賀くん!?」ぎょっ

京太郎「猛獣が何だ、俺らは能力者だぜ!」じゃらん!

京太郎「よう、デカいの。喧嘩を売る相手を間違えたようだな」ちゃき



 25. Creeping Shadows



京太郎「オラァッ!」ぶんっ


 どがぁっ! 
 

猛獣「グワァァァ!!」

京太郎「さらにもう一発!」ぶんっ


 どがぁっ!


猛獣「グ……ァァァ……」ばたん

京太郎「ようし。動けなくなったみたいだな」
955 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/06/08(月) 21:02:24.16 ID:XZvgo4Hw0

泉「す、須賀くん……」

京太郎「そう心配そうな顔するなよ、泉。ちゃんとみね打ちしてる」

京太郎「猛獣だからって流石に切り刻んだりしねえって」にっ

泉「いや、それは結構やけど……」


泉(体長2メートルを超えてそうな猛獣に対して、躊躇なく攻撃を……)

泉(凄いな、須賀くんは……)


京太郎「それにしても」ちら

京太郎「熊、か? こいつは。なんか、随分とデカいけど……」

泉「わからん……ここまでデカい熊なんか、見たことあらへんから」

泉「とにかく、助かったわ、須賀くん。礼を言わせて欲しい」

京太郎「期待には応えられそうか?」

泉「……はっ。十分や」にっ

泉「うちも副隊長らしいトコ見せよう思ったけど、代わりに須賀くんの度胸見させてもらったわ」

京太郎「こえーこえー。ヘマしなくて良かったぜ」

泉「……へへ。先、進もか」
956 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/08(月) 21:58:19.65 ID:SBPj1wzMo
乙乙
957 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/09(火) 05:54:12.12 ID:WW6oBoQ5o
958 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/09(火) 13:01:49.96 ID:/Fue8Tc2o
乙です
959 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/06/09(火) 17:47:15.75 ID:JO/0brh40


――


 すたすた すたすた


京太郎「なんか……」

京太郎「奥へ進むにつれて、どんどん寒くなってきてないか?」

泉「せやなぁ……温度が下がってる感じはする……体が冷えてまうわ」

京太郎「……そういや、なんで泉は麻覇装の袖が無いんだ??」

泉「カッコええやん」

京太郎「……それっていいのか?」

泉「ほどほどなら改造したってお洒落したって怒られへんよ。みんな同じ服着てんねからどっかで個性とか出したくならへん?」

京太郎「べっつに……ただ、袖無しだと、ここじゃ余計寒いだろうと思ってさ」

泉「それはある」えへへ


 ひゅうっ


泉「ううっ……さむ!」ぶるっ

京太郎「急に風が強くなったな……」

泉「も、もうそろそろ最奥の筈や……そこに『王の遺物』があるはず……」

京太郎「……確かに」

京太郎「狭かった道が、拡がってきたな。大きな空間があるみたいだ」


 ざりっ


京太郎「ここは……」ざっ
960 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/06/09(火) 18:02:10.69 ID:JO/0brh40


京太郎(洞窟内の大きな空間。奥の壁の穴から滝のように水が湧き出ていて、泉をつくっている)


京太郎「泉、か」

泉「呼んだ?」

京太郎「違う違う。湧水のほうの泉だよ。なあ、ここで行き止まりくさいぜ」

泉「確かに……もう通れる場所はないみたいやな」

泉「局から送られてきた『王の遺物』のある座軸とも一致する。この空間のどこかに眠ってる筈や」

泉「しっかし、どう探せば……」


京太郎「!!」


京太郎「泉、退がるんだ!」たたっ

泉「!」たたっ


 ざぱぁぁぁ!!!

 どすん… どすん…


京太郎「何だ!? 水の中から、怪獣みてえなもんが出てきやがった……!」

京太郎「クソ、デカすぎる……!」

泉「きっと、この洞窟の主や!」



怪獣「キシャァァァァァ……!!!」ばばーん



【#4】
1 [Strength53] 俺が相手だ! 来いよ!
2 泉。出番だぜ

安価↓1
961 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/09(火) 18:07:28.23 ID:0kZjyuvGo
1
962 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/09(火) 18:27:25.85 ID:SDBzvnw8o
主人公してるなぁ
963 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/06/10(水) 21:06:24.29 ID:2X1y+NYo0


[成功]


京太郎「俺が相手だ! 来いよ!」ちゃき


怪獣「ヴ」ぎゅるん

怪獣「キシャァァァァァ!!!!」どすん どすん どすん どすん

どすん どすん どすん どすん

京太郎「……」


どすん どすん どすん ぐわっ



京太郎「遅ぇっ!」ぶるんっ!



どっ…!!



怪獣「ウ、ウギャァァァァァ……!」ばたん



泉「よしっ! 倒した!」ぐっ

京太郎「楽勝だぜ」ちゃき…

泉「流石、須賀くん。一撃やったな」

京太郎「へへ、だろう?」

京太郎「しかしまったく、どうなってんだこの洞窟は? 変なのばっか湧きやがってよ……」
964 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/06/10(水) 21:13:55.04 ID:2X1y+NYo0

泉「異常なんは間違いないな。こんな化けモン、見たことあらへん」

泉「全く。天朋廷に持ち帰る情報が増えそうや」

京太郎「……」

泉「さて。とんだ邪魔が入ってもたけど、『王の遺物』探し。再開しよか」

京太郎「必要ねえ」

泉「!? ソレ、どういう意味……」

京太郎「……」ざっ ざっ


ざっ…



京太郎「コレだ」ひょい

 きらっ



泉「!!」

京太郎「怪獣の腕についてたんだ。この『腕輪』」きらきら

京太郎「感じるんだ。明らかに普通の腕輪じゃない。これこそが『王の遺物』に違いない」

泉「……見してみ」ひょい

泉「うん。クリスタルみたいに透き通ってキラキラしてる。局の資料とも一致する。確かにコレで間違いなさそうや」

泉「この腕輪こそ、探していた『王の遺物』やな」にっ

京太郎「へっ。回収成功だな」

泉「お手柄やん、須賀くん! けど、どうしてわかったん?」
965 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/06/10(水) 21:19:32.48 ID:2X1y+NYo0

京太郎「さあ、それは俺にも……」

京太郎「……でも、何となくこの腕輪が、呼んでる気がしたんだ」

泉「?」

京太郎「いや、何でもねえ。直感だよ直感。あんな怪獣が腕になんかつけてたら目立つだろ」

京太郎「それで、もうここに用は無えんだろ? とっとと帰ろうぜ」

泉「うん。まさかこうも早く、こうも簡単に回収出来るとは思ってへんかったわ」

泉「須賀くんが思った以上に頼りになって、助かった」

京太郎「そう褒めるなよ。面倒なことは泉が全部やってくれた。俺はただ、邪魔してくる奴を倒しただけだ」

泉「あはは、ま、お互い様ってコトで!」


泉「ほんなら、帰りますか! 任務完了や!」

 
 ゆら


泉「……?」くる

京太郎「どうした? 泉。急に後ろ振り向いたりなんかして」

泉「いや……ごめん。何でもない」

京太郎「そうか」



 ゆら



泉「須賀くん、今何かした?」

京太郎「? 何が?」

泉「何か、変な気配が……」

京太郎「おいおい、まだ何かいるってのか?」

京太郎「冗談じゃねえ。とっとと帰っちまおうぜ。泉、天朋廷への門を開けてくれ」

泉「せやな。こんな薄気味悪い洞窟からはとっととオサラバや」ぽわ…
966 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/06/10(水) 21:22:15.07 ID:2X1y+NYo0




 びしゅっっ……!!!!!!




泉「あ、が……っ!!」ふらっ




京太郎「!!!!?」


京太郎(今、何が……!? いや、それより)

京太郎「泉!!」だっ

 がしっ

泉「ぐ……」

京太郎「! 肩に……矢が……」

泉「心配あらへん……けほっ、大した傷やない……」

京太郎「でも、血が……!」

泉「……それよりココ、やっぱり何かいる! 気を付けて……!」

京太郎「!」



「……気付かれちゃったみたいっすね」



京太郎「!!」ばっ

京太郎(どこだ……どこから声が……!?)きょろきょろ


「ドコ見てるっすか」

「ここっすよ」

967 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/06/10(水) 21:26:10.50 ID:2X1y+NYo0





「 ここ 」





京太郎「――…!!?」ぎょっ

京太郎(そいつは、俺の真後ろに突然現れた)

京太郎(そして笑いながら、俺の肩に手を乗せていた――…)

京太郎「このっ……」


「ほ〜ら、また見えなく……」


泉「しっ!」ぶんっ

「わわっ!」ひょいっ


泉「ちっ。躱されたか……」

京太郎「泉!!」

泉「大丈夫やった? 須賀くん」

京太郎「ああ。助かった」

泉「気を張り巡らせや、須賀くん。また消えてもた」

泉「どこから攻撃がくるか……」


 びしゅんっ


泉「鈍い!」がきん!

京太郎「泉。動けるのか」ごく

泉「えへへ、当然やろ。こんなん掠り傷や」

泉「それで……不意打ちをかます陋劣な輩は、どこのどいつや?」

泉「隠れてないで、出てこい!」
968 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/06/10(水) 22:08:26.69 ID:2X1y+NYo0


 ゆらっ


「やれやれっすね……」ゆら


京太郎・泉「!!」

「この洞窟の主さんから、『王の遺物』をどう回収しようか迷っていたら?」

「あなたたちが現れて倒してくれたもんすから、ラッキーと思って登場したっていうのに……」

「どうやらこちらも、とんだ猛獣さんだったみたいっすね」

泉「現れたな……何を名乗れ!」ちゃき

「私は『J』」


「"監獄(ザ・ジェイル)"の東横桃子」


泉「――…!」

泉「星の十字結社か……!」

泉「目的は、何や」

モモ「……その質問に、答える必要あるっすか?」

モモ「さっき言った事が、全てっす」にや

泉「……それもそうやな」

モモ「今一度、言うっすよ」



モモ「その、『王の遺物』を置いて……」

モモ「ここから立ち去ってくれやしないっすかね?」

969 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/06/10(水) 22:36:08.52 ID:2X1y+NYo0

泉「やっぱり、星の十字結社も『王の遺物』を狙っとったか……」

泉「けど、ごめんなぁ。渡す気はないねん」

モモ「何でっすか?」

泉「それがうちの任務やからや」

モモ「任務っすか。それなら仕方ないっすね。交渉は決裂っす」

モモ「でもこちらも任務なもんで、それを渡してくれないと困るんすよ、袖無しさん」

泉「うちの名は二条泉。護廷十三隊の二番隊副隊長や。この機に憶えて帰るんやな」

モモ「知ってるっすよ。最高位(グランドマスター)からの情報(ダーテン)に、あなたのことが書いてあったっす」

モモ「護廷隊に入隊して一年足らずで副隊長。凄いっす。類稀な才能と努力を、そのキャリアだけでびんびんに感じるっすよ」

モモ「でも、残念っすね。私に出遭ったばかりに……」


モモ「そのキャリアも、此処で終わることになるんすから」にや

泉「言ってくれるやないか……!」に


京太郎「待てよ」ざりっ

京太郎「勝手に話、進めてんじゃねーよ」


泉「……京太郎」

泉「相手は星の十字結社の幹部格。強敵や。退き下がってても文句は言わへんよ」

京太郎「何言ってやがる。それじゃ俺がここについてきた意味がない」

京太郎「強敵なら、なおさら二人で戦うべきだと思うぜ」

泉「……えへへ、よく言った。それでこそうちの見込んだ男や」

泉「構えぇ。動きをよく見て、隙あらば挟撃するで」

京太郎「わかった」ちゃき
970 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/06/10(水) 22:39:37.30 ID:2X1y+NYo0


モモ「やれやれ、物騒な相談っす」


京太郎「……」ちゃき

京太郎「東横だとか言ったな。俺の名は……」

モモ「ああ、名乗らなくていいっすよ」


モモ「あなたのことも知ってるっすから。須賀京太郎さん」


京太郎「!」

モモ「その身に纏ってる装束は……王族院の麻覇装っすね?」

モモ「情報(ダーテン)にはあなたのこと、消息不明ってあったっすけど……成程、王族院にその身を堕としてたんすね」

京太郎「……」


モモ「どうやら、この戦いを終えた後は……」

モモ「最高位(グランドマスター)へ御報告が増えそうっす」


京太郎「さっきから言ってる、そのグランドマスターってのは誰なんだよ……」

モモ「それも答える必要の無い質問っすね。それを訊いて何をするっすか?」

 ぴぴぴぴ

モモ「……!」す…
971 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/06/10(水) 22:42:55.77 ID:2X1y+NYo0

モモ「……ふむふむ。わかったっす」

京太郎(何だ……? 東横が耳に手を当てた……)

京太郎(耳についてる機械で、誰かと通信してるのか?)

 ぴっ

モモ「さて、須賀京太郎さん」

モモ「その最高位から"此処であなたを全力で倒すように"とのお達しが、今し方入ったっす」

モモ「つまりあなたは此処で死ぬってことっす。私たちの情報を手に入れる意味なんてない」

モモ「さあ、ご覧に入れるっすよ」

モモ「この私の、力を!」ざっ


京太郎「そうかよ」だっ


モモ「!」


 だ だ だ だ 

京太郎「先にお前の懐に入っちまえば、その力なんてのを出す暇も無いだろ!」ちゃき

 だ だ だ だ 

モモ「わわわ……」ゆらっ…

京太郎(――捉えた!)ぶんっ



 すかっ!



京太郎「!!?」
972 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/06/10(水) 22:46:04.56 ID:2X1y+NYo0

泉「――莫迦な」

泉「完全に捉えていた筈の須賀くんの斬撃が、躱された!?」ごくり

京太郎「また、東横の姿が消えている――…」

京太郎「クソッ。あいつは一体、どこに行きやがった!」ぎりっ


「捉えた、と思ったっすか?」


京太郎・泉「!!」

「無理っすよ。そんなことは絶対に無理っす」

「私は"消える能力者"東横桃子。一たびステルスモードを解放すれば」



「私の存在は、あなたたちの視界から」

「完全に消えて」




「無くなる」




 -------------

  to be continued...
973 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/06/10(水) 22:49:04.33 ID:2X1y+NYo0

★☆★ here is the data of THE CHAPTER!! ★☆★

【#1 → 好感度上昇+2(咏) INT+1】
【#2 → 好感度上昇+2(泉)】
【#3 → 成功 好感度上昇+4(泉) カルマ上昇+2 STR+2】
【#4 → 成功 好感度上昇+4(泉) カルマ上昇+2 STR+2】

◆現在の称号【八番隊第二十席・新人隊士】
◆カルマ【+18】(+4)
◆所持金【29,000】
◆END(max)【169】

◇スキル
[Speech] 47
[Strength] 55 (+4)
[Gift] 15
[Intelligence] 27 (+1)
[Lady-killer] 56

◇好感度
/咲/  37
/優希/ 17
/和/  17
/巴/  63
/ハオ/ 14
/絹恵/ 7
/霞/  9
/春/  16
/咏/  24 (+2)
/洋榎/ 22
/誠子/ 1
/豊音/ 9
/泉/  18 (+10)
/智葉/ 2
/シロ/ 2
/モモ/ 0
974 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/06/10(水) 23:16:10.71 ID:2X1y+NYo0







京太郎「……」zzz


巴「須賀くん! 須賀くん!」ゆさゆさ


京太郎「ううん……」もぞもぞ

京太郎「狩宿さんか。起こしてくれたのか、おはよう……」ちら


[AM 3:54]


京太郎「……って、おい、まだ深夜じゃねーか。どういうことだ?」

巴「あはは、すいません。でもどうしても一緒に見たくて」

京太郎「見たい? 何をだよ?」

巴「知らないの? 予想されてるのは今日らしいよ」

京太郎「だから何がだよ?」


巴「流れ星!」
975 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/06/10(水) 23:17:27.77 ID:2X1y+NYo0




 番外篇


 -1. 夜明けの流星群



976 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/06/10(水) 23:20:23.10 ID:2X1y+NYo0

京太郎(星が見たいという狩宿さんに連れられて、俺たちは家の近くの丘に来ていた)

京太郎(とにかく暗い……懐中電灯が無ければ、転びまくっていただろう)


巴「うんっ……街頭も月明かりもほとんどない」

巴「ここからなら、星がよく見える」

京太郎「……」

京太郎「つーか、狩宿さんって星とか好きだったのか。意外だな」

巴「な、なに? ……似合わないかな」

京太郎「お星さまが好きなんて、ロマンチストなんだな」

巴「えぇ? もう、全く。からかうんだから」

巴「まあ、実際好きなんだ。同じ空の下で、こうして並んで星を見るのが」

京太郎「……」ぴく

巴「すっかり忘れてたんだけどね。今日が久しぶりに有名な流れ星が観測される日だってこと」

巴「でも気付いて良かった。予想時間までにちゃんと間に合ったし」

京太郎「それは良かったな」ざり…

巴「わっ……!」びく

京太郎「!?」
977 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/06/10(水) 23:23:27.25 ID:2X1y+NYo0

京太郎「ど、どうした? 何かあったか?」

巴「う、ううん!? 何でもないよ……」


巴(暗くて気付かなかったけど……思ったより近くにいるんだね、須賀くん……)

巴(暗がりで聴覚が敏感になってるのか、須賀くんの声が胸まで響いてきて、ぞくっとしちゃった……)


京太郎「そうか? ならいいけど」

京太郎「さて、どこか座れる場所があればいいんだけどな……」

京太郎「懐中電灯の灯りだけじゃ探すのもしんど……あ」

京太郎「あるじゃねーか、御誂え向きのベンチが」

巴「本当? じゃあそこに座ろっか」

京太郎「ああ……こっちだ。ついてこい」すたすた

巴「うん……」すたすた

 がっ

巴「って、わわっ……」ふらふら

京太郎「どうした!? だ、大丈夫か狩宿さん?」くるっ
978 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/06/10(水) 23:25:39.86 ID:2X1y+NYo0

京太郎「……躓いたのか?」

巴「う、うん……視界が悪くて石ころに気付かなかったみたい……」ふらふら

京太郎「まったく仕方ねーなー狩宿さんも……ほら、手」ひゅ

巴「えっ?」

京太郎「俺の手掴んでれば大丈夫だろ」

巴「そう、だね……」そろ…

ぎゅ

巴「……」

京太郎「どうした? 固まってるみたいだけど」

巴「な、何でもないよ」

京太郎「よし、じゃあ行くぞ」

巴「う、うん……」どっ どっ

すたすた

がっ

巴「わわっ……! また石ころにっ! ご、ごめんなさーい!!」ふらっ

京太郎「やべえ、つられて俺も……っ!」ふらっ


 どたーん!☆


京太郎「っ……痛って〜……まあ怪我はしてないか」ぱっぱっ
979 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/06/10(水) 23:28:39.88 ID:2X1y+NYo0

京太郎「狩宿さんは大丈夫だったか? 擦り剥いたりしてないか?」

巴「……」

京太郎「狩宿さん?」


巴「だ、だだ、大丈夫!」


京太郎「?」

巴(全然、大丈夫だけど……ある意味大丈夫じゃない……!)どくんどくん

巴「す、須賀くんっ……乗ってる……」

京太郎「?」


巴「も、もう! 須賀くんが私の上に馬乗りになってるの!」かぁ


京太郎「!!」

京太郎「あ、ああ! わわわわわるい!!」ざざざざっ

京太郎「気付かなかったんだ……済まねえ」ぺこぺこ

巴「う、ううん! 元は私が転んだのがいけないんだし気にしないで!」どっ どっ
980 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/06/10(水) 23:30:17.68 ID:2X1y+NYo0

京太郎「それで、け、怪我はしてないか?」

巴「ううん、掠り傷一つしてないよ」ぱっ ぱっ

京太郎「……良かった」


京太郎「あ、やべ」


巴「どうしたの?」

京太郎「懐中電灯落とした……」ずーん

巴「あ……でも灯りが付いたままの筈だから辺りを見渡せば……え。あれ? 灯りが見えない」きょろきょろ

京太郎「多分転んだ拍子に電源切っちゃったんだと思う。わるい」

巴「ううん、謝らないで。仕方ないことなんだし」

巴「勢い余って須賀くんも道連れにしちゃった私が悪い」

京太郎「……ははっ。狩宿さんって意外とドジなのか? しっかり者だと思ってたんだけどな」

巴「う……べ、別にドジなんかじゃ……暗がりじゃ転んじゃうのは誰だって……」ぶつぶつ

京太郎「そうだな。暗がりじゃ仕方ない」にやにや

巴「……な、なに、その目? 侮辱する気?」むー

京太郎「はは、冗談だって」

巴「わかってますよーだ」
981 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/10(水) 23:31:01.32 ID:nJP/e108o
BLEACHクロスを読んでいたと思ったらいつのまにかToLOVEるクロスを読んでいた
982 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/06/10(水) 23:32:11.46 ID:2X1y+NYo0

京太郎「……さて、灯りもないし、ベンチまでは辿り着けないな。ここで座って待ってようぜ」

京太郎「星が流れる瞬間を」

巴「……そうだね」くす


――


巴「……」

京太郎「……」


京太郎「おそいな……」ふぁぁ


巴「うん……だいぶ時間が経っちゃったね。空も明るくなってきちゃった……」

京太郎「ほんとに今日であってるのか? 日にち間違えたりは?」

巴「してない……筈、だけど……」

京太郎「自信無さげだな」

巴「だって、明け方なら予想時間はとうに過ぎてると思うから……間違えちゃったかなぁ私」

京太郎「……」
983 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/06/10(水) 23:35:29.95 ID:2X1y+NYo0

京太郎「ふぁぁ……」ごろん

巴「急に寝転がってどうしたの?」


京太郎「体勢変えたくてね……上向いて待ってるのも疲れるだろ」

京太郎「狩宿さんも寝っ転がろうぜ」


巴「……わかった」ごろん

京太郎「素直だな。汚れるから断るかと思ったけど」

巴「気にしないタイプなの。それに……」

京太郎「それに……何だ?」

巴「……それに」す…

京太郎「ん?」ぴく


京太郎「って……」ぎょ


京太郎「お、おい! 見てみろよ!」とんとん

巴「え?」ぱち

巴「あ……!」



きらっ… きらっ…

ざぁぁ…



巴「流星群が、降り出した……!」

京太郎「すげえ! 綺麗だ……」

巴「うん……!」
984 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/06/10(水) 23:37:38.53 ID:2X1y+NYo0

巴「予想時間をとうに越して、今になって漸く見られるなんてね」くすっ

巴「でもなんだか夜明けに見る流星群ってのいうも、いいものだと思わない?」

京太郎「……ああ、そうだな」


巴「……友だちが、いたんだ」


京太郎「……?」

巴「今みたいに草むらに並んで横たわって、星を眺めるのが好きだった」

巴「だから寝転がって汚れるのに抵抗なんてないんだ」

京太郎「そうだったのか……」

巴「でももう、あの頃には戻れないんだよね……」

京太郎「……あのさ」

巴「! ……あ、ご、ごめんね? 暗い思い出話なんかしちゃって……」

京太郎「いいんじゃねえか。友だちなんて、生きてりゃそのうち、また会えるさ」

巴「……そうかな」

京太郎「そうだよ。きっとまた会える」

京太郎「離れてたってお互いが想い合えるなら、いつか再会できる日がくる」

京太郎「俺は、そう信じてるんだ」

巴「……須賀くん」

巴「ありがとう……」


ぎゅ


京太郎「! 狩宿さん、ててて、手が……」
985 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/06/10(水) 23:39:12.18 ID:2X1y+NYo0

巴「……嫌だった、かな。離すね……」

ぱっ

京太郎「あっ……」

京太郎「……」


ぎゅっ


巴「!」

京太郎「べ、べつに、嫌じゃないし?」ぷいっ

巴「……そう、なんだ」どくん

巴「〜〜っ」ぎゅぅぅ

京太郎「ちょ、つよいつよい!」

巴「ごご、ごめんっ!」ぱっ

巴「あ、また離れちゃった……」

京太郎「う、うん……」

巴「……くすっ」
986 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/06/10(水) 23:40:11.02 ID:2X1y+NYo0


巴「あはは! あはははは!」


京太郎「……」ぽかん

京太郎「な、何だよ、急に笑い出して……」

巴「あはは、ふーっ……な、なんだかおかしくって」

巴「ごめんごめん。気持ち悪かった?」

京太郎「……へへ。そんなことねえよ」



 私たちは 流星群のようだ

 流れ、輝いて そして必ず 

 散り散りになって 離れていく

 

京太郎「手、つなぎなおすか」

巴「うん!」ぎゅっ



 ならばせめて その時が来ても

 私たちは流星のように消えることなく

 輝いていよう

 いつまでも


 
-1. おわり
987 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/06/10(水) 23:53:06.53 ID:2X1y+NYo0


Saki BLEACH Fanmade Fiction "BREATHING OUT mixed by KYOTARO"


 tracks.

1. The True Gate
2. Pierce The Chest!
3. Rages On Darkland
4. Dirty Pride
5. microcrack.
6. AntiArcher Hates You
7. ROCKIN' FUTURE 5
8. ROCKIN' FUTURE 5 op.2 "Blossom Of Lust"
9. ROCKIN' FUTURE 5 op.3 "CONQUISTADORES"
10. ROCKIN' FUTURE 5 op.4 "Sparkle [taco-power & flyleaf]"
11. ROCKIN' FUTURE 5 op.5 "The Unilateral Combat"
12. ROCKIN' FUTURE 5 op.6 "I'm with you."
13. Is this our only Fate?
14. Prelude to shooting stars
15. Nice to meet you, I will beat you.
16. 名も訊けぬ子供
17. the broken coda
18. blank.
19. Just know me.
20. THE BLADE AND ME
21. The Starter
22. Walking with Watchers
23. Cheating Chain
24. Uncover, Unaware
25. Creeping Shadows

 bonus track.

-1. 夜明けの流星群


☆CONTINUED ON VOLUME☆
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1433947465/

988 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/11(木) 00:07:37.84 ID:Necxn7EOo
乙乙
989 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/06/11(木) 00:11:18.59 ID:Wn/MyYHE0



 びゅんっ

モモ「よしっ。ここが『王の遺物』の在り処っすね……」すたっ

モモ「それにしても随分と薄気味悪い洞窟っすね……」

モモ「まあ気にせず、お宝探しするっすよー……!」だっ

モモ「ん? 奥に泉があるみたいっすね……怪しいっす……」

モモ「きっとあそこに『王の遺物』があるに違いないっす! 行ってみるっす!」


怪獣「キシャァァァァァ!!!」


モモ「うわ〜っ!」ずざざざざっ

モモ「な、何すか、この猛獣さんはっ……!!? まさか洞窟の主!?」

怪獣「……」ずどん

モモ「ひっ! ず、随分とでかいっすね……」

モモ「私に、帰れって言ってんすか……? 『王の遺物』は渡さないと……!?」

モモ「上等っす! 私の全身全霊をかけてお相手してあげようじゃないっすか!!」ぶるぶる


怪獣「……?」グルル


モモ「ど、どうしたっすか!? ビビって私に近付けないっすか!?」ぶるぶる

モモ「ふ、ふふふ……それなら致し方なし! ここは見逃してあげるのが情けってもんっすね!」ぶるぶる

モモ「感謝するっすー!」だだだだ


――


モモ「うう……回収、し損ねたっす……どうすれば……」ずーーん


 26. omake カンッ
990 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/11(木) 00:11:56.57 ID:C6ukijzd0
991 : ◆d4L6jAW8JQKU [saga]:2015/06/11(木) 00:16:40.57 ID:Wn/MyYHE0
本編は次スレ以降で始まります。
埋めネタのリクエスト等あれば是非お願いします…

安価↓1
992 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/11(木) 00:20:32.45 ID:C6ukijzd0
京太郎が強すぎた場合
993 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/11(木) 00:40:13.12 ID:/8PiHn4FO
1000ならキャップとの絡み
994 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/11(木) 00:42:33.82 ID:C6ukijzd0
995 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/11(木) 00:49:10.91 ID:C6ukijzd0
うめ
996 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/11(木) 00:49:42.15 ID:C6ukijzd0
うめ
997 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/11(木) 00:50:18.11 ID:C6ukijzd0
うめ
998 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/11(木) 00:51:00.06 ID:C6ukijzd0
うめ
999 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/11(木) 00:52:04.96 ID:C6ukijzd0
うめ
1000 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/11(木) 00:56:55.74 ID:Zhe+8MiD0
1000なら十字結社所属IF
1001 :1001 :Over 1000 Thread
          | |\                /| |
          | |::.::.\.________./.::.::| |
          | |:::.::.:.:.| ⊂⊃      ⊂⊃ |.:.:.::.:::| |
          | |:::.::.:.:.l∧_∧   ∧_∧|.:.:.::.:::| |  NIPは誰でもウェルカム
          | |:::.::.:.:.|,, ´∀`)  (・∀・ ,,).:.:.::.:::| |
          | |:::.::.:⊂   つ  (     つ .::.:::| |
          | |:::.::.:.:.| ヽノ____Y  人|.:.:.::.:::| |                     SS速報VIP(SS・ノベル・やる夫等々)
_____| |:::.::.:.:.|,_,)       (__),_|.:.:.::.:::| |_____               http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/
          |_|,.. '"              "'  .,|_|

1002 :最近建ったスレッドのご案内★ :Powered By VIP Service
智絵里「たった一つのクローバー」 @ 2015/06/11(木) 00:56:54.87 ID:dgdUi1bDO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1433951814/

モバP「検非違使さっちゃん @ 2015/06/11(木) 00:34:29.44 ID:eI99A+5k0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1433950459/

【咲〜Saki〜】 ???「逃がさないんだから・・・」???「絶対に・・・」 @ 2015/06/11(木) 00:30:40.78 ID:AE3Mp0CS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1433950230/

戦刃「三人に」舞園「勝てるわけ」霧切「ないでしょう」苗木「」 @ 2015/06/11(木) 00:23:52.35 ID:YhKkaqj7O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1433949832/

ニセコイSS「アマザケ」 @ 2015/06/10(水) 23:53:21.61 ID:hmOpeVVI0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1433947991/

海未「小説を書きましょう」 @ 2015/06/10(水) 23:46:28.53 ID:1x6Yt+K20
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1433947578/

【Saki・安価】京太郎「麗しき人へ告ぐ」巴「二告目」 @ 2015/06/10(水) 23:44:35.25 ID:2X1y+NYo0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1433947465/

【視聴者】P「ウチのアイドルより毒舌なヤツいんの?」【対決型SS】 @ 2015/06/10(水) 23:32:02.71 ID:FHvJkqwL0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1433946712/



VIPサービスの新スレ報告ボットはじめました http://twitter.com/ex14bot/
管理人もやってます http://twitter.com/aramaki_vip2ch/
Powered By VIPService http://vip2ch.com/

631.86 KB   
VIP Service SS速報VIP 専用ブラウザ 検索 Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)