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春香「私との約束だよ!」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/02/12(木) 10:25:22.17 ID:jN0jPSHEO
ある小さな街の広場にて
1人のアイドルがライブを行っていた

「みんな盛り上がってるぅ!?」

「イェーーーイ!!」

広場に集まった街の人達は祭りのように騒ぐ
人里離れたこの街では、アイドルが来たりするのは珍しいことだった

人気のアイドルだったこともあり、
なかには、遠い所からわざわざこの街に来る人も居た

アイドルは片手を上げるとぐっと拳を握った

「次の曲、いっくよぉ!」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1423704322
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少し暑くて少し寒くて @ 2024/04/25(木) 23:19:25.34 ID:dTqYP2V2O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1714054765/

渾沌ゴア「それでもボクはアイツを殺す」 @ 2024/04/25(木) 22:46:29.10 ID:7GVnel7qo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714052788/

二次小説の面白そうなクロス設定 @ 2024/04/25(木) 21:47:22.48 ID:xRQGcEnv0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714049241/

佐久間まゆ「犬系彼女を目指しますよぉ」 @ 2024/04/24(水) 22:44:08.58 ID:gulbWFtS0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713966248/

全レスする(´;ω;`)part56 ばばあ化気味 @ 2024/04/24(水) 20:10:08.44 ID:eOA82Cc3o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1713957007/

君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/

笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/

【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
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2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/02/12(木) 10:25:53.48 ID:jN0jPSHEO
親子連れで遠い所から来る家庭もあるなか、
小さな子供も一緒になって歌っている

歌詞は分からなくてもいるだけで楽しいのだ

アイドルは曲が鳴り出すと
声援に応えるように歌い始めた


………………

…………………………………
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/02/12(木) 10:26:39.75 ID:jN0jPSHEO
公園にて

ある少女が言った

「こうやって歌ってたんだよ!」

もう1人の少女は首をかしげる

「おうた…?」

「うん!こう…こんなふうに」

手を前に広げて歌ってみせ、
嬉しそうに笑う
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/02/12(木) 10:27:33.28 ID:jN0jPSHEO
ライブは終わり、時は次の日。

広場の近くの公園で、
2人の少女が話していた。

お互い会ったこともない2人は公園で偶然知り合い、1人の少女がライブのことを話していたのだ。

2人とも親に連れられてこの街に来た、ライブを見ていた客の1人だった。

1人は赤みがかった茶色の髪をぱっつんと前髪で切り揃え、1人は青みが強い黒っぽい長髪をしている。
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/02/12(木) 10:29:27.77 ID:jN0jPSHEO
元気に喋るのは赤みがかった茶色髪の少女だ。

「お歌楽しかったね!」

「ふーん…」

対する青みがかった黒っぽい色の長髪をした少女は、とても静かだった。

落ち着いているのは、元々静かだからというわけではない。
遠方から来た疲労でライブ中眠っていたのである。
はしゃぐ少女の話に、共感はできなかった。

左耳から右耳へと話が流れていき、
退屈に思った少女は公園の中を見渡した。
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/02/12(木) 10:31:08.68 ID:jN0jPSHEO
ぐるっと公園を一周させた少女の目がふと止まる。

ライブの話より興味深いものが少女の目に映ったのだ。

それはそれは大きな猫が木影に座っていた。
…まるまるとした体に、銀色のフサフサした毛、ダルマのように怒った顔をしていて、猫も少女をじっと見ていた 。


これは、猫…?


見たこともない猫に、少女の目は釘付けになった。

7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/02/12(木) 10:31:43.92 ID:jN0jPSHEO
「またお歌見たいね!」

「……」

「こう…わぁっと…」

元気に話す少女は暫く喋り続けていたが、やがて相手が話を聞いていない事に気がついた。

「…ねぇ?」

「……」

返事もせず、ずっとそっぽを向いている少女に問いかけた。

「…何見てるの?」
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/02/12(木) 10:32:50.33 ID:jN0jPSHEO
目線を追うと遠くに猫がいた。

「…わっ」

遠くからでも分かる大きさだ、
猫を見た少女はびっくりした。

(あの猫が気になるんだ!)

そう思った少女は、
わざと気が付いたふりをしてみせた。

「あっ…猫がいる!」

「………うん」

黙っていた少女も、返事をした。
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/02/12(木) 10:33:47.45 ID:jN0jPSHEO
(やっぱりあの猫が気になるんだね)

少女は笑みを見せるとこう提案した。

「もっと近くに行こ!」

「………えっ」

「ほら、行こうよ!」

少女は腕を掴むと、猫の方へと歩き出す。

相手は会ったばかりの知らない人だった。
猫が気になるなら猫の話をしよう

そう思ったのだ。

腕に引かれて抵抗することもなく相手は着いてきた。
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/02/12(木) 10:34:35.36 ID:jN0jPSHEO
やがて猫の側までやって来た。

猫は依然としてまるまるとした体を座らせていた。
その姿は、まるで腹を満たしたライオンのようだった。

少女は、わぁっと呟きながら言った。

「大っきいね!」

相手は黙ったままだった。
聞こえたのか、そうでないのか目をまじまじと開いて、興味深そうに猫を眺めていた。

繋いだ手は握ったままだ。

反応がないので、少女は自分も一緒に猫を眺めることにした。
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/02/12(木) 10:35:24.30 ID:jN0jPSHEO

猫は根元に体をもたらせ、
周囲に散る葉は家来のように囲っている。

近くで見るとより銀色のフサフサした立派な毛で身を纏い、少女を上から見下ろすような目でじっと睨んでいた。


ダルマのように怒った顔は王様のようだ。
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/02/12(木) 10:36:20.61 ID:jN0jPSHEO
少女も次第に興味が湧き始めた。
フサフサした毛に自然と手が伸びていく。

「…触ったら暖かそうだね」

…と、その時

「わっ!」


猫が物凄い勢いで立ち上がった。


「フゥーー…!」

「うっわぁ…!」

少女は目を輝かせた。
裕福な毛は、一変して針になった。
隣の少女は驚いたように後退る。
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/02/12(木) 10:37:19.37 ID:jN0jPSHEO
猫は尾を見せ、ゆっくりと走り出した。

(こんな猫見たことない…!)

少女はそう思った。

「行こ!」

「えっ……いい」

「なんで、逃げちゃうよ!」

「…お母さんが公園から出たらダメって、わぁっ!」


少女は繋いでいた手を引っ張る。

青い髪がふわっと舞った。
少女は手を強く握りしめ、猫を追いかけた。

14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/02/12(木) 10:40:12.09 ID:jN0jPSHEO
猫は公園の出口を出て行った。

少女も、公園の外へと足を踏み出す。

「お母さん…」

振り返る少女の目先では、
母が知らない人と話していた。

道に出ると、
猫は茂みへと入っていくのが見えた。

「いいよ、少しくらい!」

元気に少女が言う。

「すぐ戻るから平気だよ、猫見たくないの?」

「……」

少女は黙っていた。

15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/02/12(木) 10:41:54.93 ID:jN0jPSHEO
元々猫が気になっていた。
今見失ったら二度と見れないかもしれない。
そう少女の頭を過ぎる。

走る足が、少しずつ速くなった。

「いこっ!」

目の前に茂みがあった。

少女は頷いた。

この時にはもう母のことも忘れていた。
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/02/12(木) 10:42:43.63 ID:jN0jPSHEO
茂みを掻き分けて進む途中、
無口な少女は躓きそうになった。

雑草は少女の頭まで届きそうな程伸びていた。

手入れがされておらず、
自由に育った草葉が先に続いていた。

少女は、やっとの思いで走った。
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/02/12(木) 10:43:36.29 ID:jN0jPSHEO
茂みを抜けると足場は軽くなった。

少し茂みを走っただけだが、
何度も躓きかけたせいか疲れたように少女はうな垂れる。

それに気がついた様子もなく、元気に少女が言った。

「猫、どこ行ったかな」

少女は全く疲れていなかった。
立派な毛を逆立てる猫のことで頭はいっぱいだった。

必死になって周りを見渡す。

…が、次の瞬間、少女は身構えた





18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/02/12(木) 10:44:33.08 ID:jN0jPSHEO

(………………迷路?)


先は、一歩踏み出せば道を失いそうな草道が続いていた。

高々と伸びた木々、生い茂る葉々。
しーん…と静まり返った真夜中を思わせる静けさのなか、ポツ…ポツ…と水滴が落ちる音が聞こえる。
陽は木に遮られ、中は暗い世界が広がっていた。

少女はぶるっと身震いした。

そのなかに、ポツリと遠くでこちらを睨むものが居た。
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/02/12(木) 10:47:11.96 ID:jN0jPSHEO
「………あっ」

睨むものは、猫だった。

銀色の毛は不気味に光り、
さっきまでとは違う雰囲気が漂っている様に見えた。

少女は猫に向かって足を動かした。


じわ…じわ…

猫が毛を逆立てて威嚇する。

「フゥー……!!」




……そのとき、

少女の腕を、 もう一人の少女が引き止めた。
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/02/12(木) 10:47:46.38 ID:jN0jPSHEO
「えっ、どうしたの?」

「……もういい」

少女は泣きそうな顔で首を振る。

「…お母さんのとこに帰りたい」

少女の力は強く、
なかなかその場から動こうとしなかった。

少女は思った。

(せっかくここまで来たのに?)

不満そうな顔で猫を見る。

だが、その背景に広がる暗闇を見て
少女はまた、身震いした。

21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/02/12(木) 10:48:39.59 ID:jN0jPSHEO

暗闇は、まるで少女を迷路へと誘いこむように悶々と漂っていた
このまま歩いたら迷いそうだった。

幼い少女にも、それが分かった。

「…帰る?」

「……………うん」

二人はゆっくりと元来た茂みを歩き始めた。

躓きかけた少女も、
今度は足場をしっかり保って歩く。



その様子を見張るように
遠くで猫がじっと見ていた。
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