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魔法少女育成計画anchor - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 : ◆8XBv688BM7pK [sage]:2015/03/17(火) 19:20:51.62 ID:L5IZvmVWO
魔法少女育成計画とは?

☆初心者でも入りやすい簡単さ&熟練者を飽きさせない奥深さ!
★著名イラストレーターによって描かれた美麗なカード群!
☆まるでアクションゲームのように動きまくるキャラクター達!
★五百のキャラクタータイプに二千のアイテム!
☆どれだけプレイしても完全無料!課金一切無し!

魔法少女の皆さん、剣と魔法の世界へようこそ!
最高の魔法少女になるためのRPG。それが魔法少女育成計画です。
あなたは「魔法の国」から「世界の守護者」に任命されました。邪を砕き闇を滅する魔法を授かり、キュートでビューティー、ストロングでパワフルな「魔法少女」として悪と戦う事を宿命付けられたのです。

さあ皆さん、魔法少女の世界へ、出発!

※遠藤浅蜊原作のライトノベル「魔法少女育成計画」の安価スレです。
※地の文ありです。
※キャラは全部で十六人です
※安価でキャラを作りますが、キャラが多くて全部作ってると時間がかかると思うので、半分はこちらで製作済みです。
※人が集まったらやります

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1426587651
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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part6 @ 2024/03/16(土) 18:36:44.10 ID:H9jwDXet0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1710581803/

昔、スリに間違えられた @ 2024/03/16(土) 17:01:20.79 ID:TU1bmFpu0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1710576080/

さくらみこ「インターネッツのディストピアで」星街すいせい「ウィキペディアね」 @ 2024/03/16(土) 15:57:39.74 ID:7uCG76pMo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1710572259/

今日は月が……❤ @ 2024/03/14(木) 18:25:34.96 ID:FFqOb4Jf0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1710408334/

どうも、僕は「げじまゆ」をヤリ捨てた好色一代男うーきちと言います!114514!! @ 2024/03/14(木) 01:23:38.34 ID:ElVKCO5V0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1710347017/

アサギ・とがめ・新生活! @ 2024/03/13(水) 21:44:42.36 ID:wQLQUVs10
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1710333881/

そろそろ春だねー! @ 2024/03/12(火) 21:53:17.79 ID:BH6nSGCdo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1710247997/

【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part5 @ 2024/03/12(火) 16:37:46.33 ID:kMZQc8+v0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1710229065/

2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/17(火) 19:21:43.56 ID:gzeH9g0Lo
ん?
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/17(火) 19:28:29.42 ID:NiBj8drSO
期待
4 : ◆8XBv688BM7pK [sage]:2015/03/17(火) 19:28:58.53 ID:L5IZvmVWO
やろう

>>5から>>8まで名前の候補
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/17(火) 19:29:40.82 ID:nCkilubLO
俺島俺子
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/17(火) 19:33:01.97 ID:501dOnyro
帯 奈都
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/17(火) 19:33:34.26 ID:PYxeZ4890
桐条 飛鳥 
きりじょう あすか
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/03/17(火) 19:33:35.56 ID:b9EArpUVO
クレイスティア・フォン・アルベローザ
9 : ◆8XBv688BM7pK [sage]:2015/03/17(火) 19:37:20.03 ID:L5IZvmVWO
ここまで

俺島俺子
帯 奈都
桐条 飛鳥
クレイスティア・フォン・アルベローザ

言い忘れてたけど魔法少女に変身した時の名前で変身前の名前じゃないよ

>>10>>14
10 : ◆8XBv688BM7pK [sage]:2015/03/17(火) 19:38:18.45 ID:L5IZvmVWO
あ、引き続き名前安価です

安価↓
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/03/17(火) 19:38:33.38 ID:jskhr3dvo
クルエル
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/03/17(火) 19:39:09.08 ID:RJoAb6taO
アナスタシア
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/17(火) 19:40:14.30 ID:gzeH9g0Lo
マーファ
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/03/17(火) 19:44:57.38 ID:SHqJRWE0O
原作知らんけどつまりカタカナ横文字の名前ってことか
クロース
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/17(火) 19:45:57.51 ID:5qiTJOzAO
サクラ
16 : ◆8XBv688BM7pK [sage]:2015/03/17(火) 19:50:12.15 ID:L5IZvmVWO
俺島俺子
帯 奈都
桐条 飛鳥
クレイスティア・フォン・アルベローザ
クルエル
アナスタシア
マーファ
クロース

八人揃いましたので次は魔法少女の魔法を設定します。魔法少女は一人につき一つの魔法を持っています。

例1・困ってる人の声が聞こえるよ
例2・目の前の相手に何でも命令できるよ
例3・魔法の剣で刺した相手の考えを変えるよ
例4・猛スピードで空を飛ぶ魔法の箒を使うよ

このように書いてください

ではまず俺島俺子の魔法から安価↓1
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/17(火) 19:51:02.69 ID:gzeH9g0Lo
巨人化
18 : ◆8XBv688BM7pK [sage]:2015/03/17(火) 19:53:38.29 ID:L5IZvmVWO
俺島俺子
物凄く大きくなれるよ

帯 奈都の魔法安価↓1
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/17(火) 19:56:39.61 ID:87D7m8oP0
時を止められる銀時計を持つよ
こんな感じかね?
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/17(火) 19:57:15.86 ID:5qiTJOzAO
すっごく滑る油を出せるよ
21 : ◆8XBv688BM7pK [sage]:2015/03/17(火) 19:59:28.32 ID:L5IZvmVWO
>>19
そんな感じです

帯 奈都
時を止められる銀時計を持つよ

因みにあんまり強すぎる魔法は>>1の方で制限をつけさせてもらいます

桐条飛鳥の魔法安価↓
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/03/17(火) 20:00:42.70 ID:SHqJRWE0O
オーソドックスに雷撃
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/17(火) 20:01:37.68 ID:87D7m8oP0
欲張りでわるいが、これって一人一回までなのかね?
24 : ◆8XBv688BM7pK [sage]:2015/03/17(火) 20:03:29.91 ID:L5IZvmVWO
桐条飛鳥
電気でビリビリ痺れさせるよ

>>23
人も少ないし良いですよ

クレイスティア・フォン・アルベローザの魔法安価↓
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/17(火) 20:03:55.20 ID:501dOnyro
何でも仕舞ったりできるクローゼットを召喚できるよ
26 : ◆8XBv688BM7pK [sage]:2015/03/17(火) 20:05:14.54 ID:L5IZvmVWO
クレイスティア・フォン・アルベローザ
何でも仕舞ったりできるクローゼットを召喚できるよ

クルエルの魔法安価↓
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/17(火) 20:05:46.02 ID:87D7m8oP0
相手の毛皮を一瞬で剥ぎ取ることができるよ
28 : ◆8XBv688BM7pK [sage]:2015/03/17(火) 20:06:53.97 ID:L5IZvmVWO
クルエル
相手の毛皮を一瞬で剥ぎ取ることができるよ

アナスタシアの魔法安価↓
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/17(火) 20:07:51.65 ID:CKAnspi60
死体を操るよ
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/17(火) 20:08:07.75 ID:l27bEH/5o
氷を操る
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/17(火) 20:08:30.23 ID:87D7m8oP0
アンデット・・・
32 : ◆8XBv688BM7pK [sage]:2015/03/17(火) 20:09:57.30 ID:L5IZvmVWO
アナスタシア 死体を操るよ

マーファの魔法安価↓
クロースの魔法安価↓2

これやったらちょっと席はずします。魔法安価終わったら性格安価をとります
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/17(火) 20:10:34.27 ID:PYxeZ4890
なんでもくっつける
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/03/17(火) 20:10:37.00 ID:jskhr3dvo
一定時間無敵になれるよ
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/17(火) 20:11:00.79 ID:l27bEH/5o
バリア
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/17(火) 20:18:00.52 ID:87D7m8oP0
よく見たらもう安価終わってたよ・・・
37 : ◆8XBv688BM7pK [sage]:2015/03/17(火) 20:53:53.29 ID:6xFbtddoO
風呂上がったんで続きやります

俺島俺子 性格安価↓

三つまで書いて良いです

俺島俺子の見た目安価↓2

魔法少女は見た目によってステータスが延びたりします

例1・忍者やウサギをモチーフにした魔法少女は素早く動くことが出来る
例2・マジシャンをモチーフにした魔法少女は間接が柔らかく、縄脱けなどが行える

など。捌ききれなかった安価はずらします
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/17(火) 20:55:15.34 ID:501dOnyro
俺様系
豪快
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/03/17(火) 21:03:52.32 ID:m9lvCEPeO
昔懐かしの番長衣装
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/17(火) 21:04:02.33 ID:87D7m8oP0
筋肉質
男っぽい
41 : ◆8XBv688BM7pK :2015/03/17(火) 21:10:22.08 ID:6xFbtddoO
名前:俺島俺子
魔法:物凄く大きくなれるよ
モチーフ:番長風
性格:昔懐かしの番長スタイルな魔法少女。豪快な性格で人を後押しする。しかし少々強引なところがあるのが珠に傷。

俺島俺子完成。

帯 奈都
性格安価↓
モチーフ安価↓2
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/17(火) 21:10:55.76 ID:Wvxlw2760
お嬢様言葉を喋る
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/17(火) 21:19:26.92 ID:NiBj8drSO
マツコ
44 : ◆8XBv688BM7pK :2015/03/17(火) 21:28:57.41 ID:6xFbtddoO
ちょっと解りづらいんで再安価↓で
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/03/17(火) 21:29:45.50 ID:qU733ICxO
大正和風女学生
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/17(火) 21:29:49.71 ID:501dOnyro
クジャク
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/17(火) 21:29:51.29 ID:87D7m8oP0
お嬢様みたいなこ
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/17(火) 21:31:26.10 ID:Wvxlw2760
お嬢様言葉を喋る 努力家だがそれゆえに傲慢、親しい人には優しいが
49 : ◆8XBv688BM7pK :2015/03/17(火) 21:35:34.44 ID:6xFbtddoO
名前:帯 奈都
魔法:時を止められる銀時計を持つよ
モチーフ:大正和風女学生
性格:お嬢様口調なお嬢様。気高く少々プライドが高いが、仲間や友達には優しい。

帯奈都完成。

桐条飛鳥
性格安価↓
モチーフ安価↓
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/17(火) 21:36:21.46 ID:87D7m8oP0
杏子みたいな性格
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/17(火) 21:36:49.47 ID:PYxeZ4890
ニンジャ
52 : ◆8XBv688BM7pK :2015/03/17(火) 21:41:33.67 ID:6xFbtddoO
>>50
杏子ってまどマギの?
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/17(火) 21:45:22.19 ID:87D7m8oP0
>>52
せやね
54 : ◆8XBv688BM7pK :2015/03/17(火) 21:54:29.86 ID:rDHUkr4mO
>>53
了解

名前:桐条飛鳥
魔法:電気でビリビリ痺れさせるよ
モチーフ:忍者
性格:自分のためだけに魔法少女の力を使う主義。基本的に他人のためには動かず、自らの障害となる者には容赦しない。食い意地が張ってる

桐条飛鳥完成。

クレイスティア・フォン・アルベローザ(長いんで以下クレイスティア)の性格安価↓
モチーフ安価↓
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/17(火) 21:54:51.63 ID:Wvxlw2760
日本語が不向きの為和訳する辞書をいつも持ち歩いている、正義感が強い、
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/17(火) 22:01:04.84 ID:ZHiGC9uN0
マミさんみたいな服装
57 : ◆8XBv688BM7pK :2015/03/17(火) 22:05:16.05 ID:rDHUkr4mO
名前:クレイスティア・フォン・アルベローザ
魔法:何でも仕舞ったりできるクローゼットを召喚できるよ
モチーフ:正統派魔法少女(まどマギのマミ風)
性格:正義感が強く真面目な性格。海外出身なため日本語がまだ拙いが、和訳辞典を持ち歩きなるべく対応できるようにしている。

クレイスティア完成。

クルエル
性格安価↓
モチーフ安価↓
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/03/17(火) 22:06:02.61 ID:lxxE8CSuO
色々と狂ってて価値観も感性も一般人とは相容れない
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/17(火) 22:06:13.19 ID:PYxeZ4890
冷酷 
何ごとにも無関心
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/17(火) 22:06:13.42 ID:501dOnyro
暗い
優しい
口下手
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/17(火) 22:06:25.42 ID:87D7m8oP0
大の毛皮好き。女王様みたいな口調
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/03/17(火) 22:06:36.35 ID:jskhr3dvo
死神っぽい
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/17(火) 22:07:34.29 ID:ZHiGC9uN0
可愛いもの好きでクマの人形持ち歩いている、何故外人なのにかおばあちゃん言葉でしゃべる、仲間思いである
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/17(火) 22:08:52.59 ID:87D7m8oP0
これの元ネタってわかるかな・・・てか>>1さんsageてるのかー・・・まあいいけど。
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/17(火) 22:11:05.96 ID:PYxeZ4890
>>1に書いてあるだろ
66 : ◆8XBv688BM7pK :2015/03/17(火) 22:13:08.91 ID:rDHUkr4mO
名前:クルエル
魔法:相手の毛皮を一瞬で剥ぎ取ることができるよ
モチーフ:死神
性格:色々と狂っている魔法少女。価値観も完成も他人と相容れず、残虐な行いが平気で出来る。

狂エルこえぇ……

アナスタシア
モチーフ安価↓
性格安価↓2
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/03/17(火) 22:14:00.25 ID:jskhr3dvo
ローマ教皇みたいな
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/03/17(火) 22:14:11.79 ID:3dsORzEKO
没落貴族けれど心は大富豪のまま
そういう意味では傲慢不遜だが元貴族らしく礼節もわきまえている
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/17(火) 22:14:51.33 ID:501dOnyro
>>67
70 : ◆8XBv688BM7pK :2015/03/17(火) 22:17:28.51 ID:rDHUkr4mO
名前:アナスタシア
魔法:死体を操るよ
モチーフ:ローマ教皇風
性格:没落した貴族の一人娘。しかし態度や性格は尊大なまま。しかし元貴族らしく一応礼儀は弁えている。

アナスタシア完成

マーファのモチーフ安価↓
性格安価↓2
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/17(火) 22:18:55.31 ID:ZHiGC9uN0
ほむらみたい服
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/17(火) 22:19:47.56 ID:PYxeZ4890
自信満々
うるさい
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2015/03/17(火) 22:20:18.43 ID:501dOnyro
皆と仲良くがモットー
自分を殺してしまうことも
74 : ◆8XBv688BM7pK :2015/03/17(火) 22:23:14.87 ID:rDHUkr4mO
名前:マーファ
魔法:なんでもくっつけちゃうよ
モチーフ:学生服(ほむら風)
性格:自分に絶対の自信を持った女の子。少々うるさい所もあるが、自信があるだけあって能力はある。

マーファ完成。

クロースモチーフ安価↓
性格安価↓
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/03/17(火) 22:23:58.27 ID:jskhr3dvo
黒フード
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/03/17(火) 22:24:06.41 ID:qU733ICxO
抜け目がなく漁夫の利に走ろうとする
正々堂々は好きじゃなく、実力はあるがあんまり本気を出したくないめんどくさがり
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/17(火) 22:27:18.30 ID:2ek6V57d0
まほいくのSSなんて初めて見た

期待
78 : ◆8XBv688BM7pK :2015/03/17(火) 22:32:04.75 ID:xiuaUkVgO
名前:クロース
魔法:ちょっとの間だけ無敵になれるよ
モチーフ:黒フード
性格:魔法少女の中でも中々の実力者。しかし正々堂々を好まず、本気を出したがらない面倒くさがり。漁夫の利を狙って小狡く立ち回ろうとする

よし、全員完成。

>>1にも書いたけどもう一度言っとくね。

登場人物は全部で十六人だけど、全部作ってると時間かかると思うんで、残り八人は>>1のオリキャラだけど、それでもいい?
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/17(火) 22:32:20.65 ID:ZHiGC9uN0
良いよ
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/17(火) 22:33:25.11 ID:PYxeZ4890
おk
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/03/17(火) 22:34:56.64 ID:qU733ICxO
キャラ作るの好きだけど用意されてるなら
82 : ◆8XBv688BM7pK :2015/03/17(火) 22:35:40.93 ID:xiuaUkVgO
了解。張るからちょっと待ってて
83 : ◆8XBv688BM7pK :2015/03/17(火) 22:42:21.60 ID:xiuaUkVgO
名前:トト
魔法:声援を送って仲間をパワーアップできるよ
モチーフ:お姫様風
特徴:穏やかで温厚な性格。困っている人は見過ごせない達。自分の魔法でみんなが元気になってくれれば良いなと思っている。

名前:ランランラン
魔法:どんな場所でも凄いスピードで走れるよ
モチーフ:ランナー風
特徴:ショートカットの髪とブルマから覗く足が眩しい少女。破天荒で好奇心旺盛。何でも恐れず果敢に飛び込んでいく。

名前:ウルフハート
魔法:強くて格好いい狼さんになれるよ
モチーフ:狼風、狼耳、狼尻尾つき
特徴:責任感に溢れ堂々とした性格。仲間思いで情に暑く、決して後ろに引かない。長い銀髪と八重歯がチャームポイント。

名前:アルカ=グリード
魔法:人だけを確実に切れる剣を持つよ
モチーフ:西洋の騎士風
特徴:欲深い金の亡者。金のためなら何でもするタイプの悪人。金は自分を裏切らないと考え金しか信用してない。後ろめたい事だらけでむしろ堂々としている。

名前:ミニチュアール
魔法:手で触れた物を小さくするよ
モチーフ:モフモフしたひよこ風
特徴:付和雷同な風見鶏。強い人の味方をし、風向きが悪くなれば即寝返る。

名前:ジェラス
魔法:右腕の義手を好きな武器に変えられるよ
モチーフ:ヒーロー風
特徴:戦闘大好きなバトルマニア。クールでドライだが、常識や良識を兼ね備えていて、頼られると何だかん言って助けてあげる。すぐ熱くなり安い挑発にあっさり乗ったりする。

名前:マーブル
魔法:投げたものが必ず手元に戻って来るよ
持ち物:魔法少女風
特徴:魔法少女でいる事に不安を抱いている。割りと面倒見はいい方。

名前:DARKNESS娘
魔法:好きな物を暗いところに隠しちゃうよ
モチーフ:黒いドレス
特徴:名前に反してとてもポジティブで前向き。どんなことでも前向きに捉えて決して落ち込まないしくじけない。何も考えてないとも言う。
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/17(火) 22:46:54.55 ID:ZHiGC9uN0
名前がちょうと適当な気がするけど、まあ良いんじゃなでしょうか
85 : ◆8XBv688BM7pK :2015/03/17(火) 22:47:22.98 ID:xiuaUkVgO
以上、>>1作魔法少女

以下、安価で作られた魔法少女一覧

名前:俺島俺子
魔法:物凄く大きくなれるよ
モチーフ:番長風
性格:昔懐かしの番長スタイルな魔法少女。豪快な性格で人を後押しする。しかし少々強引なところがあるのが珠に傷

名前:帯 奈都
魔法:時を止められる銀時計を持つよ
モチーフ:大正和風女学生
性格:お嬢様口調なお嬢様。気高く少々プライドが高いが、仲間や友達には優しい。

名前:桐条飛鳥
魔法:電気でビリビリ痺れさせるよ
モチーフ:忍者
性格:自分のためだけに魔法少女の力を使う主義。基本的に他人のためには動かず、自らの障害となる者には容赦しない。食い意地が張ってる

名前:クレイスティア・フォン・アルベローザ
魔法:何でも仕舞ったりできるクローゼットを召喚できるよ
モチーフ:正統派魔法少女(まどマギのマミ風)
性格:正義感が強く真面目な性格。海外出身なため日本語がまだ拙いが、和訳辞典を持ち歩きなるべく対応できるようにしている。

名前:クルエル
魔法:相手の毛皮を一瞬で剥ぎ取ることができるよ
モチーフ:死神
性格:色々と狂っている魔法少女。価値観も完成も他人と相容れず、残虐な行いが平気で出来る。

名前:アナスタシア
魔法:死体を操るよ
モチーフ:ローマ教皇風
性格:没落した貴族の一人娘。しかし態度や性格は尊大なまま。しかし元貴族らしく一応礼儀は弁えている。

名前:マーファ
魔法:なんでもくっつけちゃうよ
モチーフ:学生服(ほむら風)
性格:自分に絶対の自信を持った女の子。少々うるさい所もあるが、自信があるだけあって能力はある

名前:クロース
魔法:ちょっとの間だけ無敵になれるよ
モチーフ:黒フード
性格:魔法少女の中でも中々の実力者。しかし正々堂々を好まず、本気を出したがらない面倒くさがり。漁夫の利を狙って小狡く立ち回ろうとする。

全キャラ集結。プロローグ書いてくるんで一時間ほどお待ちください
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/17(火) 22:48:39.90 ID:ZHiGC9uN0
了解
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/03/17(火) 22:49:04.04 ID:jskhr3dvo
待ってる
88 : ◆8XBv688BM7pK :2015/03/17(火) 22:49:58.62 ID:xiuaUkVgO
因みに原作は魔法少女を題材にしたバトルロイヤルものです。バンバン人が死にます
89 : ◆8XBv688BM7pK :2015/03/17(火) 23:39:19.47 ID:xiuaUkVgO
あ、後魔法少女達が変身する前の名前はもう決めてあるんでよろしく

では短いけどプロローグ投下。>>1でも言ったけど地の文ありです
90 : ◆8XBv688BM7pK :2015/03/17(火) 23:40:42.50 ID:xiuaUkVgO
正木真子は携帯電話を片手に困っていた。今自分がどこにいるかわからない。周囲の人々は悉く真子をスルーし、黙々と歩いていく。誰かに声をかけて道を尋ねる、という選択肢は引っ込み思案の彼女にはなかった。



場所は初めて来た街。自分の住むちょっと大きいだけの町の、2つ隣にある街だ。



しかし、都会と呼んで差し支えないレベルの大きな街だ。買い物をしに、ワクワクしながら出てきたのに、この様である。携帯で地図を調べても、目的地は検索されない。結構マイナーなお店なのだ。



携帯片手にあっちへうろうろ、こっちへうろうろ。意味のない行動を繰り返す内にさらによくわからない場所へ迷い混み、ますます混乱と焦りは増していく。


携帯の充電も残り僅かだった。
91 : ◆8XBv688BM7pK :2015/03/17(火) 23:42:05.93 ID:xiuaUkVgO
一旦携帯をしまい、キョロキョロ見渡しながら道を行く真子。しかし、前方不注意が祟って歩いていたサラリーマン風の男にぶつかってしまった。



顔を上げると、顔を赤く上気した男が真子を見下ろしていた。一目見ただけで怒っているとわかった。



気を付けろ!と怖い顔で怒鳴られ、反射的に謝る真子。しかし謝罪の言葉に耳を貸す事もなく、男は去っていった。



散々だなぁ……と思いつつ、やっぱり携帯を使おうとポケットを探る。が、ない。携帯がない。こっちのポケットにいれたか、それとも鞄の中か?大慌てで探すも、やはり携帯は無かった。



どうしよう、あれがないと道もわからないし電話もかけられない……。真子の心を絶望が満たした。
92 : ◆8XBv688BM7pK :2015/03/17(火) 23:44:11.06 ID:xiuaUkVgO
それでも、真子は努力をした。交番に行こう。そうすればお巡りさんが助けてくれるはず。もう、こうなれば恥ずかしいとか言ってられない。それに、お巡りさんなら怒鳴ったり起こったりしないはず。



しかし交番は見当たらず、お巡りさんの「お」の字も見えない。



警察官である父の姿が浮かび、助けてほしいと願った。しかし、それで父が来る筈もなかった。



誰も居ないような裏路地に移り、そこそっと腰を下ろす真子。顔を伏せると涙が出てきた。一度流れるともう止まらない。次から次へと涙は溢れていく。



携帯を無くしてしまった事へのショック、迷子になった事への不安、男に怒鳴られた事による恐怖。全てがない交ぜになって真子を包み込んだ。



もう、家にもかえれないのかなぁ……絶望の底へ落ち、いよいよ荒唐無稽な妄想にまで襲われる。降りた駅の場所も解らなかった。



と、その時だった。
93 : ◆8XBv688BM7pK :2015/03/17(火) 23:46:27.09 ID:xiuaUkVgO
「どうしたの?」

とても柔らかく、優しい声が聞こえた。それだけでなく、甘く、美しい。



顔を上げると、そんな美しい声を持つに相応しい、美しい少女がいた。肌はきめ細かで白く、ハリがある。顔には「怖くないよ」とでも言いたげな優しげな、しかしどこかぎこちない笑みを浮かべている。




しかし格好が少々派手だ。パッと見は学生服にも見えたが、アレンジが効きすぎている。少女の姿を見て真子が連想したのはアニメや漫画のキャラクターだった。




さらに、そこから真子はある存在を連想した。幼い頃、強く憧れていた、自分も大きくなったら彼女のようになるんだと周囲に宣言して憚らなかった、あの存在。




魔法少女だ。魔法少女がいる。美しい容姿、派手なコスチューム。優しい心。真子は確信した。
94 : ◆8XBv688BM7pK :2015/03/17(火) 23:47:15.31 ID:xiuaUkVgO
「困っている事があるなら教えてほしいな……。たとえば、道に迷った、とか。それとも携帯を落としちゃった、かな?」



両方だ。見事に当たっている。これが魔法少女の魔法なのだろうか。




真子が呆然としてる中、魔法少女は立ち上がり、ちょっと待ってて、と言いながらその場を立ち去った。そしてすぐに手に携帯を持って戻って来た。



手渡されたそれをじっくり眺める。数少ない友達と取ったプリクラが、今ではすっかり見なくなったガラケーの後ろに張ってあった。




「駅はここから歩いてい左、目的地のお店は、駅の向こう側を歩いて右の道を行くと見えてくるはずだよ」




携帯を見つけてくれただけでなく、更に目的地までの道まで教えてくれた。嬉しい。私のためにここまでしてくれるなんて。真子は感激にうち震え、勢いよく頭を下げて礼を言った。




どういたしまして…。その言葉を聞いて顔をあげた時には、すでに魔法少女はいなかった。
95 : ◆8XBv688BM7pK :2015/03/17(火) 23:49:03.37 ID:xiuaUkVgO
プロローグはここまで。明日第一話をやります

その前にどのキャラの視点で始めるか安価とります。

1【トト】
2【クロース】

安価↓
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/17(火) 23:52:44.42 ID:501dOnyro
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/17(火) 23:53:26.64 ID:Wvxlw2760
98 : ◆8XBv688BM7pK :2015/03/17(火) 23:54:01.08 ID:3uka0v8UO
では【クロース】視点で。ただしクロース自身が決して死なないという事はありません

今日はここまで
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/17(火) 23:54:41.63 ID:501dOnyro
おつ
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/18(水) 00:39:46.66 ID:+uLDmL+do
乙乙
101 : ◆8XBv688BM7pK :2015/03/18(水) 22:10:40.74 ID:LVslMNkxO
こんばんは。人がいたら始めます
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/18(水) 22:12:31.29 ID:5/mMcbVvo
いる
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/18(水) 22:13:10.13 ID:i3X5s8vho
きたか!
104 :投下します ◆8XBv688BM7pK :2015/03/18(水) 22:14:50.62 ID:LVslMNkxO
【クロース】

夜も更けた時間。



よく晴れた夜だった。空には爛々と星が瞬いている。丸い月が地上を優しく照らし、無愛想なコンクリートで舗装された道を歩く少女を照らす。



その少女は人気の無い道をのんびりと歩いていた。黒いフードを目深に被っているが、そこから覗く顔はとても美しく整っていた。



しかし、その美しい顔は今は苦々しく歪んでいる。



「……なんでこんな面倒な事を……」



少女の不愉快の原因は今から一週間前に遡る。
105 :投下します ◆8XBv688BM7pK :2015/03/18(水) 22:21:24.60 ID:LVslMNkxO
少女、クロースは魔法少女である。それもただの魔法少女ではない。そこそこの経験を積んだ魔法少女だ。



魔法少女とは、ソーシャルゲーム「魔法少女育成計画」のプレイヤーの中から選ばれ「魔法の国」から魔法の力を授かった少女のことだ。




クロース、もとい強木心もそのプレイヤーの1人だった。友達に誘われて自分も始めた事が出会ったきっかけだ。



最初は特に興味があったわけでもなかったのだが、これがやってみると中々面白い。普通のゲームと変わらない操作性やクオリティの高さ、ゲーム内のストーリーも凝っててやりがいがあった。ゲーム内で揃えられるアイテムも豊富でお洒落にアバターを着飾れるのも良い。なによりゲーム内で一切の課金をする必要がないのが一番のポイントだ。


この手のゲームは登録に料金がかからないというだけで、ゲーム内で課金しないと録に進むことが出来ないのだが、このゲームはそういうことが一切ない。どれだけプレイしても料金はかからない。正真正銘完全無料なのだ。



料金がかからないでこんなに面白いとは心も予想外で、結構はまった。



そんな中、ある噂を耳にした。




魔法少女育成計画は本物の魔法少女を生み出すゲームだ、というモノだ
106 : ◆8XBv688BM7pK :2015/03/18(水) 22:22:45.85 ID:LVslMNkxO
到底信じられない眉唾物の、笑い話にもならないホラ話だ。



心はその噂を魔法少女育成計画のチャットで聞いた。



当然信じなかった。その時心はチャットに「現実見ろよ」とか「妄想乙」とか書いた覚えがある。回りも同調して叩いてた気がする。



そんな心が魔法少女に選ばれたのはなんとも皮肉極まる話だった。




ある日、魔法少女育成計画のマスコットキャラクター「リリ」が話しかけてきたのだ。




「おめでとう!あなたは魔法少女に選ばれましたの!」




イベントか何かな、とボタンを連打して説明文をスキップしていると、突然画面が強く発光し、心は眩い光に包まれて、気づけば魔法少女「クロース」になっていた。
107 : ◆8XBv688BM7pK :2015/03/18(水) 22:24:16.29 ID:LVslMNkxO
「え?」



思わず困惑の声を漏らす。そしてさらに驚いた。声質までちがう。とても耳に優しい声だった。



鏡の前にたってみると、そこには心が魔法少女育成計画で操作しているアバター魔法少女、クロースにそっくりな少女がいた。星がチャームポイントのフードまでそっくりそのまま再現されている。フードを下ろしてみると、金色の艶やかな美しい髪を持った美少女のポカーンとした顔が写った。




「え?」




右手を上げてみる。左足を上げてみる。鏡の中のクロースも同じように動いた。どうやら鏡の中のクロース=強木心である事は間違いないようだ。



と、その時背後から声がした。



「どうしたの?」
108 : ◆8XBv688BM7pK :2015/03/18(水) 22:25:44.42 ID:LVslMNkxO
驚き、振り替える。そこには何者の姿も確認できなかった。しかし、声の主に心当たりはあった。ベッドの上に投げ出したままのスマートフォンを取り上げる。



「何かお困りなの?」



マスコットのリリが口を開いていた。どうやらリリが心をクロースにしたらしい。



「元に戻して。このままじゃ困る」



顔を近づけて訴えた。実際このままだと日常生活に支障をきたす。心のビジュアルは良くも悪くも「普通」だ。それなのにいきなりこんな絶世の美少女になってしまって親や友人に何と言えばいいのか。



「おかしなこと言うの。クロースは魔法少女なんだから、戻れって思えば戻れるの」



戻れ、戻れ、戻れ。念を押しながら三回口に出して唱えた。確かに元の姿に戻った。というか、戻れ、と口に出す前に戻っていた。わざわざ口に出す必要はないらしい。
109 : ◆8XBv688BM7pK :2015/03/18(水) 22:26:28.77 ID:LVslMNkxO
元の姿を取り戻した所で心はひとまず落ち着いた。そして1つ深呼吸をすると、ふたたびリリに向き直る。



「……何のつもり?」



「?」



可愛らしく小首を傾げるリリ。



「何が目的?ドッキリか何か?」



問い詰めると、リリはブンブンと首を降った。



「違うの!リリはあなたに魔法少女として活動してもらいたいの!」



リリの説明によると、リリは心に魔法少女として人助けをしてほしいらしい。



「魔法少女には人間を遥かに凌駕する身体能力と、強い心。そして1つだけ魔法を持っているの。それらを駆使して町の平和を守ってほしいの」



お断りだった。誰がそんな面倒くさい事をやるものか。
110 : ◆8XBv688BM7pK :2015/03/18(水) 22:27:35.10 ID:LVslMNkxO
口に出してそう言ってやると、リリは目に見えて狼狽した。



「えー!なんで?!魔法少女だよ?マジカルでキューティーでプリティーなんだよ?!」



このマスコット、妙に推してくる。必死すぎて画面越しでもちょっと引くくらいだ。



「……人助けをする私にメリットがあるの?」



「………」



何でそこで黙る。



「魔法少女の活動は基本的にはボランティアで」



「じゃあやらない」



「えー?!」



少し辟易してきた。



「見返りはない、人助けだけしろって事でしょ?それ」



「乱暴に言っちゃえばまぁそうなんだけど……」



しょんぼりと俯いてしまった。今度は憐れみの感情が浮かんできた。その姿があまりにも情けなく写ったからだ。
111 : ◆8XBv688BM7pK :2015/03/18(水) 22:29:43.45 ID:LVslMNkxO
「……まぁ」



スマートフォンを起き、再び変身してみる。変身の仕方はわからなかった。取り敢えず心の中で「クロースになれ」と念じてみた。成功したので鏡の前に立つ。



フードを下ろし、鏡にウィンクしてみた。お次は投げキッス。さらには雑誌で見たポーズを取ってみる。全てが様になっていた。この美しい容姿を捨ててしまうのは何だか惜しい気がしてきた。



返信を解き、再びスマートフォンを取ってみる。



「私の……クロースが使える魔法は何?気に入ったらなってあげる」



顔に満面の笑みを浮かべたリリは生き生きと説明してくれた。それによるとクロースの魔法は「一定時間無敵になれる」魔法だそうだ。



気に入った。心はそういうチートじみた設定が好きだった。だって面倒な努力をする必要がないから。



結果、心はリリのお願いを受け入れ魔法少女クロースとなったのだった。
112 : ◆8XBv688BM7pK :2015/03/18(水) 22:33:07.45 ID:LVslMNkxO
その日からクロースの受難の日々が始まった。



最初の内は面白かった。細い腕なのにコンクリートの壁も砕ける腕力、しなやかで長いのに車より早く走れる足。三十秒間だけ無敵になれる魔法。



しかしそれらは人助けのために使わねばならない。コンクリートの壁を壊したらリリに「物を壊したらダメ」と起こられ、車より早く走ったら「ドライバーを驚かせるのはダメ」と怒鳴られてしまった。



そして行う人助けと言えば壁の落書きを消したり酔い潰れたサラリーマンを運んだりすることくらい。アニメや漫画のように悪の帝国や侵略者から世界を守るとか、そういう話もない。リリに言わせれば、「魔法少女はこういう地道な活動が大事なの」と言った。



面倒くさかった。人助けもなるべく人に知られる事なく隠れてやれ、との事だった。見返りがあるわけでもなく、人に感謝される事もなく、ただただ地味で面倒なボランティアを続ける日々。


クロースが一番嫌う活動だった。


ていうか想像と大分違った。もっとこう、悪の組織とか、そういうのは望まないからもっとメルヘンな感じにならないか。と思った。しかし願ってもそんな風にはならなかった。



もう辞めたかった。でも魔法少女を辞めると記憶も魔法少女育成計画のデータまで消されてしまうという。魔法少女としての記憶を消された後、魔法少女育成計画のデータを消されるのは嫌だった。
113 : ◆8XBv688BM7pK :2015/03/18(水) 22:35:52.05 ID:LVslMNkxO
最早諦めるしかないのか、と、だらだら嫌なボランティア活動を続けるなか、しかし、ある時妙案が思い浮かんだ。



メルヘンは諦める、魔法少女をやめるのも諦める。だからせめて見返りを貰おう。というモノだった。


この場合、見返りとは金品と感謝の言葉だ。


見返りがあれば少しは続けようという気にもなる。クロースはその手のの努力は惜しまない。


リリはクロースの活動を逐一チェックしている。しかしずっと監視の目を光らせている訳ではない。リリ曰く、他の魔法少女の面倒も見ているらしい。魔法少女はクロース以外にもいるのだそうだ。リリの管轄の魔法少女はクロース含めて七人。一週間に一度、他の魔法少女のところへ行くそうだ。だからリリの目の届かない日は必然的に魔法少女の活動をサボっていたのだが、これからは寧ろリリのいない間に魔法少女の活動をするようにした。



まず手始めにパソコンを使い「魔法のポスト」というタイトルのブログを立ち上げる。ただの日記でしかないが、狙いはそこではない。
114 : ◆8XBv688BM7pK :2015/03/18(水) 22:37:05.27 ID:LVslMNkxO
さらに、インターネット環境の整ってそうな人間を助ける。


不良に絡まれていた若者、迷子の学生、締め切り間近の漫画家のアシスタントまでしてあげた。


そしてそれらの人助けをこなし、感謝の言葉を貰い、それからこう言った。


「魔法のポストをよろしくね」


と。


魔法のポストとは何か、聞き返してくる前に立ち去るのがポイントだ。助けて貰った者は「魔法のポスト」とは何かを知るべく、自ら調査を開始するだろう。一番手っ取り早いのがネットで検索をかける事だ。「魔法のポスト」で一番に引っ掛かるのは心の立ち上げたブログであろう。


そして、ブログには予め可愛らしい女の子に助けて貰ったという内容の記事をアップさせておく。


その記事には助けて貰った者が書いたのであろうコメントが書かれた。


「同じ子か解らないけど、私も可愛い女の子に助けて貰ったよ!」


「道端で不良に絡まれてた所を助けてくれました!」


等々。それらが投下されコメント欄でそんな女の子が本当にいるのか、嘘ではないのか、などと議論がなされるなか、今度は「その女の子を再び目撃した」という内容の記事をアップする。
115 : ◆8XBv688BM7pK :2015/03/18(水) 22:38:49.25 ID:LVslMNkxO
噂を流し、時にはスマートフォンを使った自演行為も行い、更にはネット掲示板でも似たような行いをした。


噂がじっくり浸透した頃を見計らい、今度はこんな噂を流した。


「お礼とお願いを書いた手紙をいれた封筒を投下すればその女の子がお願いを叶えてくれる」


という噂だ。


更にポストが設置してある場所も仄めかしておく。これも噂が浸透するようにじっくり時間をかけて広めた。


また、噂には尾ひれがつくもので、マイナスなイメージの付きそうなものはすぐさま打ち消すよう印象操作し、プラスのイメージが付きそうなものは更に印象づけるよう支援した。


そんな涙ぐましい活動を続けること一年。


ラストに町の至るところにクロース特性のポスト―ポストと言っても、木を組み合わせて作っただけの簡単な物だが―を設置する。


ポストには簡潔に「困ったことがあったら頼ってね」の可愛らしい丸文字で説明を書いておいた。


目立つ所には置かない。古びた公園のボロボロのベンチの影、誰も寄り付かないような廃墟の一室など。


更には隣町にもいくつか設置し、クロースの住むJ県の隣にあるL県の比較的大きな町の裏路地にも設置した。これらの場所はネットで書いた「ポストがあると噂される場所」と一致する。
116 : ◆8XBv688BM7pK :2015/03/18(水) 22:40:25.46 ID:LVslMNkxO
そしてポストを設置してから一週間。やっとポストに手紙が投函された。


封筒には1000円札と、「いじめっこを凝らしめてほしい」と書かれた手紙が入っていた。ご丁寧にどこの学校のどこの生徒かも詳しく書かれてある。


さっそく、その仕事をこなした。それでも殴るとか蹴るとか、そんな直接的な暴力は使わない。評判が下がる。いじめの主犯を見つけ、直接話した。いじめは良くない、と説得すると、あっさりいじめの主犯はいじめを辞めると言ってくれた。主犯が男の子であった事もあって結構アッサリ解決した。


後日、ポストにお礼の手紙が統監されているのを確認した。ネットにも同じく「魔法少女にいじめから救って貰った」という情報が流れた。


そしてその日を皮切りに、ポストにはポストを見つけた者によって手紙が投函されるようになった。依頼の難易度も見返りの金品の量も大小様々で、「留守番してほしい」という簡単なものから「復讐してほしい」という重い内容の物もあった。
117 : ◆8XBv688BM7pK :2015/03/18(水) 22:41:56.39 ID:LVslMNkxO
そして実績を増やしていく毎に、ポストに投函されるお願いと現金の量も増えていく。クロースは沢山の見返りを得ることが出来た。


そしてそれを続けて早4年。ポストに物騒な依頼を投下されることも増えてきた。更に都市伝説の1つとしてテレビで考察番組が放送されるまでに至る。


ここまでリリには内緒で、ばれないよう慎重に慎重を重ねて行った。


行っていた、旨くいっていた。その筈なのに……。
118 : ◆8XBv688BM7pK :2015/03/18(水) 22:43:20.92 ID:LVslMNkxO
「……」


ポケットに突っ込んでおいた魔法の端末を手に取る。これは魔法少女になった日にリリから貰った。主にリリや魔法の国との連絡に使われる。


その魔法の端末にメールが届いたのだ。



「再試験通知」



と書かれたメールを開くと、「あなたは魔法少女に反する行為を行ったことにより、再試験を受ける事になりました」という内容の一文と、日程、集合場所が書いてあった。



クロースが何をした、とは書かれていなかったが、クロースには心当たりがあった。きっと「魔法のポスト」絡みの行いがばれたのだ。



メールによると、試験会場に来なかった場合、その時点で魔法少女としての能力と記憶を奪われてしまうという。



それは勘弁してほしかった。クロースには試験に参加しない選択肢はなかった。


そして現在。


ここまでの経緯を心の内で反芻しながら、クロースは集合場所へ向かう。
119 : ◆8XBv688BM7pK :2015/03/18(水) 22:46:24.94 ID:LVslMNkxO
夜の学校というものは不気味なモノだ。それが人のよりつかなくなった廃校であるならば、その不気味さはいっそう増す。



クロースはグラウンドに立ち、集合場所の廃校を見上げながらそう思った。



クロースの住む町の隣の隣の更に隣にある小さな海沿いの田舎の学校だった。三階建ての校舎がクロースを静かに見下ろしている。



顔を見上げると、誰もいない筈の校舎の一部屋に灯りが灯っているのが見えた。一般人が見たらきっと驚いて逃げるか通報することだろう。


しかしそれはあり得ないと思う。この学校の敷地内に入る前まで、あんな灯りは見えなかった。試しに外に出てみると、また灯りは消えた。入るとまた見えるようになる。恐らく魔法でカモフラージュしてあるのだろう。



風が吹いている。風にのって磯の臭いがした。海が近いのだろう。



磯の臭いに眉を寄せ、クロースは校舎に入っていった。
120 : ◆8XBv688BM7pK :2015/03/18(水) 22:47:31.04 ID:LVslMNkxO
二階の教室には既に幾人かの少女がいた。それぞれ用意された椅子に大人しく座っている。用意されていた椅子の数は十六個。そしてその内十五個が既に埋まっていた。


あたしが最後か。


そう思いながら椅子に座った瞬間。黒板の前におかれていた教卓が光を放った。いや、教卓が光ってるのではない。その上におかれた端末が光っているのだ。そう認識した時には既に魔法の端末の上にマスコットキャラが浮いていた。リリではない。見たことのないマスコットだ。赤と青で色分けされた半球状のボディに一対の羽がついている。


そのマスコットは暫くの間ふよふよ浮いていると、不意に口を開いた。


「初めまして!マスコットキャラのファムですもん!」


教室内が静まり返る。マスコットキャラ……ファムの声が存外間が抜けていて、これから魔法少女を続けるか辞めるかを決める再試験だというのに緊張感の欠片も感じられなかったからだ。変な語尾もそれに拍車をかけていた。
121 : ◆8XBv688BM7pK :2015/03/18(水) 22:48:37.77 ID:LVslMNkxO
「あれ?なにこの沈黙。もっと反応して欲しいもん」


そんなことより試験の説明をしろ。どこからかそんな声が聞こえた。


「こっちは再試験を受ける心当たりもねーのに来てやってんだよ。さっさと話しやがれ」


声を出したのはどうやら一番端の席に座っていた昔懐かしの不良スタイルの魔法少女のようだ。


机の上に足をのせ、鋭い目付きでファムを睨み付けている。


「心当たりがない?嘘言っちゃダメもん」


「あ?」


「ここにいる皆は、一人の例外もなく悪いことをして集められたぽん」


不良スタイルの魔法少女の反論を聞く前に、ファムは話を続けた。


「さて皆さん。今日はわざわぞご足労ありがとうございますぽん。これから皆さんには、魔法少女の再試験を受けてもらうぽん」


そこで区切り、更に続ける。
122 : ◆8XBv688BM7pK :2015/03/18(水) 22:51:26.13 ID:LVslMNkxO
「ここに集められた皆さんは、魔法少女に相応しくない行動をしたとして集められましたぽん。本当なら今すぐにでもやめて欲しいとこだけど、魔法少女はいつだって人手不足。あっさり止めて貰う訳にもいかないぽん。だから再試験を受けて合格し、正しい魔法少女として立派に再スタートしてほしいとファムは願ってるぽん!」


話に力が籠り、その拍子に羽が小さく震えた。半透明の羽が灯りを反射してキラキラ光る。


何だか随分勝手な気がした。恐らく「魔法少女の力を私利私欲の為に使うな」と言いたいのだろう。クロースは見返りを求めた。それが「私利私欲の為に魔法を利用している」と判断されたのだろう。


でも見返りを求めることはそんなにも悪い事なのだろうか。


それにクロースは見返りを手に入れる為に色々やったが、それにしても違法な行いはしていない。物騒な依頼を投下されることもあったが、それもなるたけ受けないようにしていた。勿論、報酬のお金も元の持ち主を特定して返却しておいた。見返りを求めるのが駄目なら魔法の国がもう少しその辺を配慮してくれればいいのに。


魔法の国にも現金をもらって働く魔法少女がいると聞いたことがあるがその辺はどうなのだろう。


クロースは静かに不満を抱いた。


そんなクロースの心情など知るよしもなくファムは続ける。
123 : ◆8XBv688BM7pK :2015/03/18(水) 22:53:59.92 ID:LVslMNkxO
「再試験はこのマジカルキャンディーをもっとも多く手にいれた者だけがクリアできるもん」


ファムの頭上に、ポンっと音を立ててキャンディーが出現した。それはシュルルルと音を建ててくるくると旋回しながら、ファムの出てきた端末に吸い込まれていった。



「皆さん、各自自分の端末をご確認くださいぽん。今端末をアップデートしましたぽん。これでマジカルキャンディーの受け取りが出来るようになりましたもん」


端末を確認してみると、確かにアップデートされていた。ホーム画面のメニュー一覧の一番下にマジカルキャンディーのアイコンがあった。


試しに開いてみると、「キャンディー数」「キャンディーの譲渡」と更に二つのメニューが出てきた。


(キャンディーの譲渡……?)


「試験は全部で5回のテストを行って、テストが終わる毎に総合成績をつけて、優秀な成績を修めた者にマジカルキャンディーを贈呈するもん。キャンディーは自動的に端末内に送られる」


なるほど。ならテストが終わった後、隙をついて端末を奪い、キャンディーを得たものからキャンディーを奪う、なんて事も出来る訳か。


でもそんなことしたらもっと評価が下がりそうだから止めとこう。
124 : ◆8XBv688BM7pK :2015/03/18(水) 22:55:00.41 ID:LVslMNkxO
「それで、第一回のテストは今日この場で行うもん」


教室内がざわめいた。


「今日?ちょっと急すぎない?」


アレンジの効いた学生服のような学校の魔法少女が声高に主張した。


「そんな……予習も何もしてないよ」


泣きそうな声を出しているのは隣に座るお姫様風の魔法少女だ。


そんな彼女たちを落ち着かせるようにファムは言った。


「心配しなくても大丈夫ぽん!別に鉛筆片手に試験問題を解きましょうって訳じゃないぽん。正しい魔法少女の知識とモラル、培ってきた経験を応用すれば簡単にクリアできるもん!」


それでは皆さん、グラウンドへどうぞもん、と締めくくり、ファムは教室から出ていった。


魔法少女達も釈然としないまま続いて教室を出た。
125 : ◆8XBv688BM7pK :2015/03/18(水) 22:56:08.33 ID:LVslMNkxO
グラウンドは強烈なスポットライトで照らされていた。ここだけ夜じゃなくて昼なんじゃないかというくらい明るい。


思わず目を覆うと、ファムが現れた。


「ちゅうもーく!さて!第一回のテストの内容を発表しちゃうもーん!」


そう宣言するファムのボディのすぐ真下に横に長い長方形が現れた。派手なイルミネーションに彩られたそれは電子看板のようだった。デデデデデデ……とどこからともなくBGMが流れた、と思ったらファムが自分の口で言ってるだけだった。


デン!とファムがBGMを止めると同時に、看板に文字が浮かび上がる。


『鬼ごっこ』と読めた


「は……?」


思わず間抜けな声がクロースの口から漏れた。驚いたのはクロースだけではないようで、他の魔法少女もざわめいている。


なんだこれは。子供の遊びじゃないか。


「と、言うわけで!第一のテストは鬼ごっこですぽん!」


その瞬間、グラウンドに何かが現れた。銀色に光るボディは流線型で、全長一メートルほどの大きさ。頭部と思われる場所にはネズミの耳がついていた。それが全部で8体いる。
126 : ◆8XBv688BM7pK :2015/03/18(水) 22:57:31.80 ID:LVslMNkxO
「皆さんが鬼役になってこのネズミロボットを捕まえて欲しいもん。ネズミを多く捕まえれば捕まえるほど、貰えるマジカルキャンディーの量も増えるもん。因みに、このテストでマジカルキャンディーを手にすることが出来なかった魔法少女も失格とみなすもん」


ならこのテストだけで半分の魔法少女が落ちるという事か。随分シビアだ。


「それではネズミロボットが逃げ出すもん。ネズミはグラウンドだけじゃなく校舎の中にも逃げるもん。皆さんは100数えたらネズミを追いかけるもん!」


と、ファムがここまで言ったとき、挙手があった。


「1つ質問が」


一昔の女学生のような格好の魔法少女だった。


「この学校の周囲には民家もあるし人も一定数います。私たちが魔法を使って近隣の人々に気づかれることはないのですか?」
127 : ◆8XBv688BM7pK :2015/03/18(水) 22:59:07.29 ID:LVslMNkxO
声やしゃべり方に気品があり、聞いてて惚れ惚れする。良いとこ出のお嬢様か何かかもしれない。


「それなら心配いらないもん。この学校は魔法の国で作られた結界発生装置で作られた結界で覆われてるぽん。完全防音でその上外からこの学校は普通の廃校に見えてるもん」


ファムの返答に満足したのか、女学生風の魔法少女は礼を言って下がった。


やがてネズミロボットが散り散りに逃げていく。そして1分と40秒が経過したとき、魔法少女達もネズミを追い始めた。


「さて……」

クロースはどうする?
1 ネズミを追いかける
2 ネズミを追いかけないで様子見

安価↓1
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/18(水) 23:00:32.28 ID:o7Hgnxqfo
2
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/18(水) 23:02:17.75 ID:XPCR4dTdo
ファムの語尾がぽんともんの二つあるのはなんなんだ
130 : ◆8XBv688BM7pK :2015/03/18(水) 23:02:56.18 ID:LVslMNkxO
>>129
ただのミスです。「もん」が正しいです。なんでもするんで許してください……
131 : ◆8XBv688BM7pK :2015/03/18(水) 23:09:53.81 ID:LVslMNkxO
「……」


月明かりとやたらと強いスポットライトが照らすグラウンドを、クロースは屋上から眺めていた。


グラウンドにいるのは今のところ一体。あの不良スタイルの魔法少女に追いかけ回されていた。


「……早いな」


不良スタイルの魔法少女ではない。ネズミロボットがである。車より早く動ける魔法少女なのに、それでも追い付けないのだ。


それでいてかなり小回りが聞く。校舎の壁にぶつかったり、転んだりすることは決してない。


総じてかなり高性能なロボットと云えるだろう。魔法の国で作られた物に違いない。
132 : ◆8XBv688BM7pK :2015/03/18(水) 23:22:18.42 ID:LVslMNkxO
しかし、その追いかけっこもすぐに終わった。ロボットになくて魔法少女にあるもの。それは魔法である。


不良スタイルの魔法少女が一旦立ち止まり、次の瞬間上体を大きく仰け反らせながら両腕を巨大化させたのだ。


「あれが彼女の魔法か……」


巨人のようなサイズの両腕がロボットへ迫る。ロボットが逃げないように手で包み込むように覆う。


しかし、ロボットは自分の小柄な体を利用し、指の間から逃げていった。不良スタイルが悔しそうに地団駄を踏んでいるのが見えた。


それを見てクロースも立ち上がる。ロボットの性能も分かった。手強いが捕まえられないほどじゃない。いろいろな依頼をこなす中で、クロースも応用や狡猾さを身に付けていた。


クロースも移動を始める。と、その時、屋上の扉からネズミロボットが飛び出してきた。
133 : ◆8XBv688BM7pK :2015/03/18(水) 23:31:00.38 ID:LVslMNkxO
好都合だ、と思ったが、しかしすぐに屋上のタンクの影に隠れた。ネズミロボットを追って走ってきた魔法少女がいたからだ。


「はっ!」


銀色の影が扉から飛び出してきた。それは日本では既に絶滅している狼の姿をしていた。美しい毛並みが月の光を反射して輝いている。


コンクリートで出来た屋上に華麗に着地すると、狼はロボットを追う。ロボットは素早い。しかし屋上は狭い。逃げれる場所も限られてくる。ここまで追い込んだのだろうか。


狼が強く屋上を蹴って跳躍する度にコンクリートの屋上に小さなクレーターをこさえた。ネズミを囲むように、逃げないように、包む混むように飛び回る。


その内ロボットは狼のこさえたクレーターに躓いてしまう。素早く動く狼に惑わされ足元のクレーターを見逃したのだろう。
134 : ◆8XBv688BM7pK :2015/03/18(水) 23:39:31.40 ID:LVslMNkxO
そしてついに、狼がロボットを捉えた。銀色のボディに食い付き、ひっくり返す。ロボットはタイヤで動いていたようで、剥き出しになった背面の四隅にちっちゃいタイヤが四つ付いていた。無駄な抵抗なのに動くタイヤがなんだか哀愁をさそった。


さらに真ん中には「押してください」と言わんばかりの巨大な赤いボタンがついていた。


その時、狼が身を震わせた。後ろ足で立ち上がりそのまま人の形に戻っていく。


あれが変身前の姿か。ピンと立った狼耳と銀髪に目を奪われた。ご丁寧に尻尾まで付いている。


「ファム」


狼の魔法少女がファムを呼ぶと、淡い光と共にファムが登場した。


「はいはいなんですもん?質問なら随時受け付け……ってもう捕まえたもん?!」


ファムは飛び回りながら大袈裟に喜んで見せた。


「すごいもん!流石ウルフハート、ネズミなんて目じゃないもん!」


「御託はいい。それよりどうしたらこれを捕まえた事になるのか教えろ」


狼の魔法少女……ウルフハートによれば、何度かボディに触れはしたが、それだけではロボットは止まらなかったそうだ。


「あーそれなら、その真ん中の赤いボタンを押せば捕まえた事になるもん」


ロボットの元へしゃがみながら、ボタンの上に手を這わせた。

「やはりこれか」


「分かったんならわざわざファムを呼ぶ必要なかったとおもうもん」


「確認のためだ」
135 : ◆8XBv688BM7pK :2015/03/18(水) 23:47:05.18 ID:LVslMNkxO
「どれ……」


ボタンを押そうとするウルフハートを見ながら、ファムは更に付け加えた。


「あ、ロボットを捕まえたら自動的に端末に記録がセーブされるもん。テストが終わったらその記録を元に成績をつけるもん」


それを聞いてクロースは考えた。ならウルフハートの端末を横から奪えばいいのではないか。と。


ウルフハートは見た所強い。ウルフハートを泳がせてキャンディーを集めさせて、たっぷり捕まえさせた所で端末を奪う。


テストが終わった後でキャンディーを奪えば後でどんな報復を受けるか解らないし評価にも関わるが、キャンディーでなく記録だけの端末だけ奪えれば、端末を失ったウルフハートはテストに落ち、記憶も魔法もなくしてただの少女に戻る。後腐れもなさそうだ。後は奪った事がばれなければいい。


よし、これでいこう。
136 : ◆8XBv688BM7pK :2015/03/18(水) 23:53:55.03 ID:LVslMNkxO
そう思った瞬間だった。


カチッという音と共に強い衝撃と熱がクロースを襲った。強い爆炎が屋上で踊る。タンクもクロースも吹き飛ばすほどの大爆発だが、クロースはなんとかフェンスに捕まり落下を免れた。



もうもうと揺れる黒煙が晴れると同時に目を凝らす。爆発は屋上を砕き、その下の三回の教室まで吹き飛ばしていた。


何が起きた?


ウルフハートがスイッチを押した。それと同時に……。


「ロボットが爆発した……?」


呆然と呟くクロースの視界のすみに、爆発を諸に受けてぶっ飛んでいくウルフハートの腕と、驚愕に歪む表情を張り付けた頭部が映った。
137 : ◆8XBv688BM7pK :2015/03/18(水) 23:55:08.51 ID:LVslMNkxO
今日はここまで。1を選んでたらクロースが死んでました
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/03/18(水) 23:58:29.47 ID:RW/8XFZKo
ひえっ…割りと無慈悲に死んでいく
139 : ◆8XBv688BM7pK :2015/03/19(木) 00:02:32.45 ID:rT2pQMDZO
あ、感想くれると嬉しいです
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/03/19(木) 00:06:23.86 ID:S6CqwPhDO
乙主人公も容赦なく殺していこうとするスタイル嫌いじゃない
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/03/19(木) 00:08:02.92 ID:8xjeOPsOo
選択肢で二分の一で死ぬと考えると主人公の死亡確率高くね
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/03/19(木) 01:03:07.27 ID:oY15Gc7PO
割りと卑怯なクロースちゃんかわいい
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/19(木) 11:24:23.12 ID:7YPav7Wfo
キャラクター性はまほいくっぽいな

ラノベと違って絵がないからキャラを16人も覚えるのは大変だし
原作みたくスパッと死なせていくのは間違ってないと思う
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/19(木) 11:29:46.99 ID:7YPav7Wfo
あとおせっかいかもしれんけど投下のたびにキャラ一覧みたいなの最初に載せるとわかりやすいかも
145 : ◆8XBv688BM7pK :2015/03/19(木) 19:53:52.62 ID:0R1BjXVwO
>>144
了解です。今回から張るようにします。


今日は10時過ぎた頃に始めようかと
146 : ◆8XBv688BM7pK :2015/03/19(木) 22:04:32.95 ID:0R1BjXVwO
人いたら始めます
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/19(木) 22:05:28.12 ID:DgsO6Ju1o
ほい
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/19(木) 22:09:03.47 ID:4SuewZCx0
了解
149 :では開始 ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/19(木) 22:12:33.86 ID:0R1BjXVwO
トト
ランランラン
ウルフハート【retire】
アルカ=グリード
レイジ
ジェラス
マーブル
DARKNESS娘
俺島俺子
帯 奈都
桐条飛鳥
クレイスティア・フォン・アルベローザ
クルエル
アナスタシア
マーファ
クロース
150 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/19(木) 22:18:42.06 ID:0R1BjXVwO
「……」


これはどういう事なのだろう。


フェンスを乗り越え屋上に降り立ち、先程までウルフハートが立っていた、ウルフハートが生きていた場所を暫しの間呆然と眺めた。


ショックから立ち直ると、大声でファムを呼び寄せる。ファムはすぐにすっ飛んできた。ウルフハートと一緒に爆発に巻き込まれたようにも見えたが、ファムは無事であったらしい。


ちゃっかりしているようにも見えたが、赤と青で色分けされた顔は青ざめ青一色になっていた。どうやらロボットの爆発はファムにとっても想定外だったらしい。


しかしそんなことはお構いなしに問い詰める。なぜロボットが爆発したのか、これは事故なのか、試験はどうなる?


そして、ウルフハートは……


つい先程まで利用してやろうと画策していた相手を想う。爆発でバラバラになった死体が脳内を霞め、クロースは不愉快そうに眉をひそめた。


クロースは人の死の瞬間を初めて見た。中々に気分が悪いモノである。多分今のクロースの顔はファムと同じくらい青ざめてる事だろう。


「ちょ、ちょっとお待ちくださいもん。すぐにマスターと連絡をとるもん」


と、ファムは言い残しすぐさま立ち去る。それと入れ違いに、爆発を見たのであろう数人の魔法少女達も屋上へ集結した。集まった数は13人。ほぼ全員だ。二人足りなかった。
151 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/19(木) 22:20:35.12 ID:0R1BjXVwO
真っ先にこちらへ向かってきたのはあの不良風の魔法少女だった。あの爆発が何なのか、とクロースの胸ぐらを掴み上げながら問い詰められた。しかしクロース自身もよく解らない、今ファムにマスター―恐らくこの再試験の主催者なのだろう―に確認と連絡を取りに行っていると弁解したら、すぐに手を離した。


それと、クロースの見た出来事を説明しておく。魔法少女ウルフハートがネズミロボットを捉え、背面のスイッチを押したところ、ロボットが爆発を起こした、と。そしてそれに巻き込まれてウルフハートが死亡したことも。


その場にいた魔法少女は目に見えて狼狽えた。


「ちっ、なんなんだよ。事故か何かか?」


忍者をモチーフとした魔法少女が不愉快極まるといった風に溢した。その隣にいたヒヨコのような衣装を着た魔法少女も、忍者に追従するように疑問を口にする。


「試験、どうなっちゃうんでしょう……」


と、その時だ。ファムが戻ってきた。


「……マスターに、確認を取ってきたもん……」


ファムは沈痛な面持ちでいった。真っ青な顔色もあわさり、とても大変な事が起きていると予感させた。
152 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/19(木) 22:21:45.13 ID:0R1BjXVwO
「マスターは、あれは事故ではないと言ってるもん…」


「なんですって?」


あのその場にいた学生風の魔法少女が聞き返す。当然の疑問だ、あれが事故じゃない?冗談を言うな、人が一人死んでいるんだぞ?


あちこちから抗議の声が上がった。しかしそれは次のファムの言葉で全て打ち消された。


「あの爆発は、元からロボットに組み込まれていたシステムの1つだそうだもん……」


意味が解らなかった。
153 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/19(木) 22:22:40.11 ID:0R1BjXVwO
なら、主催者は初めからクロース達魔法少女を……殺すつもりでいる、ということか?


魔法少女達がファムに詰め寄った。今度は先程よりも勢いが強い。怒号が波となってファムを包んだ。


ふざけるな、なら死ぬか魔法少女を辞めるか、どちらか2択という事か。これじゃ再試験など無意味じゃないか。


「で、でも!マスターは言ってたもん!皆がそれぞれ知恵と勇気を振り絞ればこの試験はクリアできるって」


「さっきからマスターマスターうるせぇぞ!ていうか、そのマスターはどこにいやがる!?」


それもそうだ。こんな無茶苦茶な試験をセッティングしておきながら、本人は出てこないでファムに連絡役を頼むとはどんな神経をしているのか。
154 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/19(木) 22:23:29.60 ID:0R1BjXVwO
「ま、マスターは皆の前には出られないって……」


いよいよ不良風の魔法少女がファムに掴みかかろうとした時だった。


「お待ちなさい」


静かで、しかしそれでいて凛とした力強い声だった。


見れば先程まで無言だった魔法少女が口を開いていた。


見れば彼女はグラウンドでファムに質問していた、あの育ちのよさそうな魔法少女だった。


「……奈都?」


不良風の魔法少女が、彼女の顔を見ながら言った。恐らく、彼女の名前なのだろう。名前を知っていたのは元から面識があったからか。


「「皆がそれぞれ知恵と勇気を振り絞ればこの試験はクリアできる」。貴方の言うマスターはそう仰ったのですね?それは誰も命を落とさず安全に試験をクリアできる、という意味ですか?」


ファムは頷いた。


「多分……そういう意味だと思うもん」


「そうですか」
155 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/19(木) 22:25:17.87 ID:0R1BjXVwO
同時に、奈都は魔法少女達に向き直り、こう持ち掛けた。


「皆さん、我々は同じ試験を受け競い会う、言わば敵同士です。ですが今はそのような事を言っている場合ではありません。主催者が我々を本気で殺める気でいるのなら、皆で一致団結し、これ以上の死者を出さぬようにしませんか?」


その提案に、真っ先に従ったのは不良風の魔法少女だった。


「乗るぜ、相棒」


やはり二人には面識があったようだ。それもかなり信頼しあっているようである。


「俺子さん……」


「気にすんな、あんたとあたしの仲だろう?」


片や野蛮そうな不良、片や上品そうなお嬢様の間にどんな物語があってそんな深い仲になったのか気になる所であったが、今聞いても教えてはくれなさそうである。
156 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/19(木) 22:30:21.34 ID:0R1BjXVwO
更に不良に続いて、忍者も手を上げた。忍者が手をあげるのを見てヒヨコ魔法少女も手をあげる。彼女らも顔見知りなのか。でも奈都と不良のような信頼しあう相棒といった雰囲気ではなかった。


「あたしも賛成。あたしの魔法だけじゃクリアできそうにねぇしな」


「わ、私も、同意件」


奈都が同意してくれた相手に嬉しそうに礼を言うと、そっぽを向いて「今回限りだからな」と付け加えていた。


それからは他の魔法少女も続いて手を上げた。姫様風、ランナー風、正統派魔法少女風、エトセトラ。


「ちょっとあんた、そんな風に言うけど本当に大丈夫なの?大体試験に合格できる人数たって限られてくるのに協力しろって言う訳?」


声高に主張したのは魔法少女風にデコレーションされた学生服を着た少女てあった。ビシっ、と奈都指差し、鋭い目線で奈都を睨む。


「ご心配には及びません。そこもちゃんと考えておりますので」


奈都はそんな少女にも臆することなく、自信を持って答えた。


「ふーん……そう、じゃあその作戦次第では協力してやってもいいわ」


学生風魔法少女も同意した。


大方の魔法少女が奈都の意見に従った後、奈都とクロースの目があった。


「あなたはどうされます?」


クロースは……


1 一緒に行動する
2 一人で動く
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/19(木) 22:32:04.29 ID:7YPav7Wfo

158 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/19(木) 22:36:08.29 ID:0R1BjXVwO
「私はいい。一人で動く」


答えは拒否。初めて出た意見だった。


クロースはまだ奈都を信用してはいなかった。何か裏があるのかもしれない。先程までクロースが考えていたように、隙を見て端末を奪い自分だけがテストに受かる気なのではないかと思うと、クロースはどうしても賛同できなかった。


「そうですか……残念です」


「私も断らせてもらおう」


同じく共闘を拒否したのは西洋の騎士風の魔法少女であった。右手には波打った刃が特徴的な大振りの剣―フランベルジュというらしい―が握られていた。
159 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/19(木) 22:39:16.88 ID:0R1BjXVwO
「……人数は多ければ多いほど良いのですが」


「お前の都合など知らない。私は私の都合で動く」


クロースも同意件だった。騎士の魔法少女はそれだけ言うと屋上から立ち去ろうとする。


「あ、その前に1つ、聞いてもよろしいですか?」


騎士風の魔法少女は煩わしそうに振り向いた。


「マーブルという魔法少女を知りませんか?私と、そちらの俺子の友人なのですが」


俺子と奈都には、どうやらもう一人お仲間がいたようである。しかし、そのマーブルは今この場にいないそうである。そういえば一人足りないなと思っていた。


奈都の質問に対し、騎士の答えは大変簡潔なモノであった。


「知らん」


質問にだけ答えて、騎士はさっさと去っていく。
160 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/19(木) 22:40:54.16 ID:0R1BjXVwO
「私もあなたと手を取る気はないわ」


続いて一際派手な衣装の魔法少女も手を上げた。ローマの教皇のような姿の、小柄な少女は威厳たっぷりにいう。


「あなたたち平凡で貧しい庶民と手を取って助け合う気はない。このアナスタシアに使えるに相応しい者もいないし」


それに、なんだかあなたは気に入らない、と魔法少女アナスタシアは奈都を睨み付けながら言った。なぜか対抗心を燃やしているようである。


対する奈都は、そうですか、と意に介さない。こちらは特に残念だと思ってもなさそうだった。


アナスタシアはそんな奈都の態度に腹を立てたのか、キーキー喚きながら出ていった。
161 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/19(木) 22:41:41.74 ID:0R1BjXVwO
「はいはーい、私も騎士とさっきののおねーちゃんにさんせーでーす」


間の抜けた、ふざけくさった答えを出したのは魔法少女の中にいた死神風の魔法少女だった。大勢の注目を集めるなか、死神風の魔法少女はケタケタ不気味な声で笑いながら自分の意見を述べた。


「私もどっちかってーと多人数でわいわいマルチプレイするより一人でソロプレイに勤しむ方が好きなんだよねー」


なんとこの魔法少女、生きるか死ぬかの瀬戸際で完全にゲーム感覚であった。一体どんな神経をしていればそんな返事ができるのだろう。クロースは純粋にそう思った。


「あ、そーいえばマーブルちゃん、だっけ?その娘ももう死んでんじゃね?」


なんと死神は仲間を想う二人の前でそんな台詞を口にした。いくらなんでも無神経過ぎるのではないか、と流石のクロースも思った。


「ほら、マーブルちゃんもネズミを捕まえたけど、爆発しちゃって、とか。有り得そうじゃね?」


それはいくらなんでも有り得ないだろう。爆発すれば誰でも気づく筈。爆発はこれまで1つしかなかった。


そんな極めて無神経で、的はずれな台詞にキレた俺子が掴みかかろうとするが、死神風の魔法少女はそれをヒョイと避けて屋上から飛び降りて去っていった。


去り際にあの不気味な笑い声と「私もマーブルちゃんは知らないよー」という台詞を残して。


クロースと先程の三人以外の反対意見はないようで、それを見計らいクロースも去っていった。


勿論、クロースもマーブルという魔法少女の所在を知らなかった。
162 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/19(木) 22:48:02.52 ID:0R1BjXVwO
さて、どこを探そうか。


クロースは屋上から離れ三階に降り立ち思案する。


ネズミは残り6体。早く捕まえねばなるまい。


それにロボットの爆発ならクロースの魔法を使えばどうとでもなる。


クロースは魔法を発動すると30秒の間だけ全身を虹色の光が包み、光に包まれてる間のみ無敵になれる。


その間はいかなる攻撃もクロースには聞かない。斬撃、銃撃、勿論爆撃にも耐えられる。1度魔法が溶けたら30分は魔法を使えないという欠点があるが、それでもネズミ一匹くらいなら仕留められるだろう。


問題はどこにネズミがいるかだが……。


1 三階を探索
2 二階を探索
3 一階を探索

安価↓1
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/03/19(木) 22:48:16.91 ID:WX3JuawPO
1
164 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/19(木) 22:58:09.73 ID:0R1BjXVwO
そのまま三階を探索する事にする。


特に理由はない、完全に当てずっぽうだ。


三階には教室がいくつかある他、理科室、コンピューター室、調理室などの特別な教室がある。勿論、トイレも備わっていた。


クロースは耳をそばだてながら廊下を進み、手始めに一番近い場所にあった教室に入った。


教室は閑散としている。ネズミどころか机や椅子といった備品さえ無かった。どうやら机と椅子があったのは最初にクロース達が集められた教室にしかないようで、他の教室からは全て撤去されてしまっているようである。


他の教室も似たようなモノであった。調理室は調理台がそのまま残っており、もしかしたらロボットが影に潜んでいるかも、と期待をかけたが、その期待は見事に裏切られた。
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/19(木) 23:00:10.29 ID:7YPav7Wfo
ハズレ引くと時間が足りない感じなのかな
166 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/19(木) 23:03:00.33 ID:0R1BjXVwO
調理室を出て、次に向かったのはトイレだ。女子トイレから入り一つ一つ個室を調べていくが、やはり居ない。


トイレに備わっている水道の下、更にはタンクの中まで調べてみたが結局見つからない。


男子トイレも同じだった。


当てがはずれたか。舌打ちしながら三階を降りた。
167 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/19(木) 23:12:35.88 ID:0R1BjXVwO
さて、次はどこにいこう。


そう思案しながらふとグラウンドをみると、すでにグラウンドでは追いかけっこが再開されていた。


ネズミを追い回しているのはどうやら先程の奈都の意見に乗った者達であるようだ。


服数人でネズミを追い、それぞれの魔法を組み合わせてネズミを追い詰める作戦らしい。


「そこよレイジ!」


あの学生服の魔法少女がヒーロー風の魔法少女に指揮をしているのが見えた。よほど大きな声を出しているのか、声は三階まで届いた。


「まかせろマーファ!」


学生服がマーファ、ヒーロー風がジェラスらしい。


ターン、ターン、と銃撃音が聞こえた。音の発信源はジェラスらしい。見ればジェラスの右腕が銃に変形していた。多分彼女の魔法だろう。随分物騒である。


ネズミは直接撃たず、ネズミの向かう方向やタイヤを狙って撃っているように思えた。ウルフハートのようにまず動きを止めてからスイッチを押す作戦らしい。
168 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/19(木) 23:23:16.04 ID:JjzOU5wsO
と、ついにジェラスの銃弾がネズミのタイヤを撃ち抜いた。速度が落ちたところで更に二発、三発、と残りのタイヤも撃ち壊していく。


ネズミが動かなくなったところで右腕を元の形に戻し、ネズミを引っくり返した。スイッチが露になる。


そう、問題はそこからであった。どうやって爆発に巻き込まれないでスイッチを押すのか。


その疑問は次の瞬間氷解した。


グラウンドに新たな魔法少女が現れる。忍者に付き添うようにいた、あのヒヨコ魔法少女だ。


「頼むよミニチュアール」


彼女はミニチュアールと言う名らしい。


あんな頼りなさそうな魔法少女で何をするつもりなのか。眺めているとミニチュアールが引っくり返したロボットに触れる。するとロボットは瞬く間に小さくなっていった。もうこの距離からは見えない。


なるほど、やはり魔法か。物体を小さく縮める魔法といった所か。あそこまで小さくされたら爆発も小規模なモノに出来るだろう。


かくして、グラウンドのチームは怪我を追うことなくネズミの捕獲に成功したのだった。


また、他の場所からも爆発音が聞こえた。爆発はどうやら校舎の一階で起きたようである。他の魔法少女がネズミを捕まえたのだろうか。


でも爆発に巻き込まれて平気なのだろうか。いや、恐らく無事だろう。先程の爆発も恐らく奈都の味方のチームが起こしたのだろう。多分怪我もない。その証拠に一階からはネズミを捕獲した歓喜の声が聞こえてきた。


初めから一階に行くか、彼女らについていけば良かったかもしれないと、早くも後悔しはじめたクロースだった。
169 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/19(木) 23:24:08.98 ID:JjzOU5wsO
今日はここまで。また明日続きをします

でも土日は更新できそうにないです…
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/19(木) 23:25:21.27 ID:4SuewZCx0
乙。
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/19(木) 23:25:39.03 ID:7YPav7Wfo


こいつらみんな悪いことして集められた連中みたいだしつるむのは時期尚早かと思ったけど
やっぱり徒党を組んだほうがよかったっぽいか
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/03/19(木) 23:45:06.84 ID:8xjeOPsOo
乙一階から三階で正解あるならヒント的なものが欲しい
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/03/19(木) 23:46:14.26 ID:OiAkr+cQO
乙死神ちゃんには場をかきみだすのを期待してる
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/03/20(金) 01:27:18.00 ID:3sCZMM65o
おちゅ
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/20(金) 08:37:15.35 ID:g9571FqLO
原作みたいに、コロコロ視点変わるのかと思ってた
基本的にクロース視点?
あと幸薄(無印スノーさんとかペチカとか)と黒幼女と変態居なくね?
176 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/20(金) 09:38:42.78 ID:XI2SqVeRO
>>175
基本的にはクロース視点だけど途中から視点を変える機会があります。後クロースが死ねば別のキャラに視点を変えて進めます

今日も10時過ぎくらいにやる予定
177 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/20(金) 22:25:35.73 ID:6tAZiATYO
>>167
訂正。

「そこよレイジ!」×
「そこよジェラス!」○

うっかり名前を没キャラの名前と間違えてしまった……

人いたらやります
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/20(金) 22:28:56.79 ID:0wAsD53fo
いるよ

>>177 正直そこは疑問に思ってた
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/20(金) 22:29:06.82 ID:yMJ1XnE90
とりあえず一人
180 :では開始ー ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/20(金) 22:29:38.24 ID:6tAZiATYO
トト
ランランラン
ウルフハート【retire】
アルカ=グリード
ミニチュアール
ジェラス
マーブル【retire】
DARKNESS娘
俺島俺子
帯 奈都
桐条飛鳥
クレイスティア・フォン・アルベローザ
クルエル
アナスタシア
マーファ
クロース
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/20(金) 22:29:39.97 ID:yJP9uqLzo
いますよー
>>177
伏線だとおもってた
182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/20(金) 22:31:27.79 ID:fxEBYJLB0
いるよ
183 :では開始ー ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/20(金) 22:38:35.84 ID:6tAZiATYO
【???】


この世に存在する悲劇は全て、運と間の悪さによって引き起こされるものだと、少女は考えている。


例えば、ウルフハートだ。


ロボットが爆発することを知らなかったばかり死んでしまった。もしウルフハートよりも先に別の魔法少女がロボットを爆発させていたら、いくらウルフハートが後ろに引くのを好まない性格でもロボットに突っ込んでくような無謀は犯さなかったはずだ。


そして、ここにもう一人間が悪かったばかりに死んでしまった哀れな少女が一人。既に意識を失い人間の姿に戻っているが、この少女は「マーブル」という魔法少女だった。


少女とファムの会話を偶然聞いてしまった。少女は聞かれたからマーブルを殺した。


マーブルが少女達が会話をしているタイミングに鉢合わせなければ、少女にマーブルの存在を気づかれなければ、きっとマーブルはもう少し生きていられただろう。


バレては困る。少女はファムのマスターで、再試験を受けている魔法少女に紛れて試験を観察している。


カメラで撮った映像をモニターで眺めるでも良かったのだが、やはり自分の目で見たかった。


彼女達が魔法少女を続けるに相応しいかどうかを。


彼女たちはテストにどう立ち向かうか。自己犠牲の精神で死を覚悟しながら立ち向かうか、知恵を働かせ仲間と共にネズミを捉えるか。


「……」


それとも、悪知恵を働かせて不正を働くか。


そういう魔法少女は死ねばいい。少女はそう思った。
184 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/20(金) 22:41:16.04 ID:6tAZiATYO
【クロース】


さて困ったぞ。


クロースは顎を手で触りながら思案した。どうもクロースの選択した道は間違いであったようである。


そして今こうしている間にまた爆発音が聞こえた。これで残るロボットは4体。早く見つけないと試験に落ちる。


しかし当てずっぽうに探し回るのでは効率が悪い。クロースは一人だ。奈都の一派のように大人数なら探索も容易だろうが、クロース一人ではそうもいかない。


さてどこに向かおうか。


そういえば、とクロースは思いつく。思い付いた事柄について質問するためファムを呼び寄せた。


クロースの質問はずばり「体育館はどこにあるのか」というモノだ。廃校になったとはいえ体育館は残っているだろう。


ファムは体育館は校舎の裏手にあると答えた。体育館の横にはプールもあるそうである。


ファムに礼を言うと、ファムはすぐに去っていった。


これで新たに2つの選択肢が出来た。体育館と、プールだ。体育館は広い、ネズミの一匹くらい潜んでそうであった。


プールには更衣室があるだろう。そちらにもネズミが隠れているかも知れなかった。


校舎の2階はどうしよう。いるかもしれいが、奈都の一派と鉢合わせするかもしれない。


どうする?
1 校舎の2階を探索
2 プールを探索
3 体育館を探索

安価↓1
185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/20(金) 22:42:05.55 ID:yJP9uqLzo
2
186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/20(金) 22:47:37.81 ID:0wAsD53fo
選択肢にないけど校舎の一階って探索したっけ?
187 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/20(金) 22:52:11.50 ID:6tAZiATYO
「……」


プールへ行ったのも間違いかもしれない。クロースはそう思った。


プールは閉校した時と同じ状態でそこにあった。中の水も当時のモノだろう。すっかり緑色に変色しテラテラと気色悪くテカっていた。虫の死骸や髪なども浮いていて気持ち悪さに拍車をかける。


「グロ……」


水くらい抜いておけよと思うクロースだった。


プールサイドを見渡してもネズミはいない。更衣室はもぬけの殻だった。


解ったのはクロースの直感は頼りないという事だけである。


もうプールからは離れて別の場所へ行こうか、とも思い始めた頃だった。


チャポン、と音が聞こえた。


「?!」


とっさに振り向く。プールのドロドロした水面は静かであった。


あまり考えたくなかったが、クロースは口にする。


「もしかしてあの中にネズミが……?」


プールへ逃げ場所を探しに来て、そのままプールにドボン。ロボットの構造上上がる事も出来ずプールの中で動き回っている……と。
188 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/20(金) 22:54:34.19 ID:6tAZiATYO
>>186
校舎の一階は前回の正解安価だったんで今回は外しました
189 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/20(金) 23:00:19.59 ID:6tAZiATYO
「う……うーん……」


まさか……いやいやありえないだろう。ネズミは結構頭がいいし精密に動ける。意図的に転ばせない限りは転ばないように出来ていた。そんなロボットがプールに落ちるなどありえるだろうか。


でも実際音はした。もしかしたら本当にいるのかもしれない。


でもあの中に入るのはごめんだ。プールの中は見通しが悪いからきっと潜ることになるだろう。考えただけで寒気がする。


「……」


でも今はそんなことを言っている場合ではない。テストに落ちれば魔法少女を止める事になる。


どうする?

1 入る
2 近づいてみるだけでも
3 引き返して別の場所へ(その場合は体育館か校舎の2階かも選択)
190 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/20(金) 23:01:38.50 ID:0wAsD53fo
3で体育館

こういうのはトラップだと相場が決まっている
191 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/20(金) 23:09:53.36 ID:6tAZiATYO
「よし」


クロースは心を決めた。ぐっと拳を握りしめ、風に煽られ揺れるプールの水面を見据える。無駄にでかいガマカエルが泳いでるのが見えた。それも三匹くらいいる。家族だろうか、心なしか仲良さそうに見えた。


……


「よしいない。じっくり見たけどいない。次行こー」


取り合えず見ただけで判断しすぐさま踵を返す。心の内でだって先客いたしカエル達の一家団欒邪魔しちゃ悪いしそれにネズミがいないのに探し回っても時間の無駄だと言い訳を並べ立てながら。多分さっきの音もあのカエルが立てたに違いない。


クロースは早足に立ち去り、プールへ向かった。
192 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/20(金) 23:24:27.07 ID:6tAZiATYO
【クルエル】


「あれー行っちゃった?」


死神風の魔法少女、クルエルはプールの水面から上がりながらそう呟いた。緑色の粘液を引きながら、手にガマガエルの家族を携えプールから上がる。


口に入ってしまった何とも言いがたい味の水をゴクリと飲み込みながらクルエルは逃げるように立ち去るクロースの後ろ姿をみた。多分今飛び出して行っても追い付けないだろう。最早彼女は走っている。


「うーん残念だなー」


ガマガエルの体を弄ぶように引き裂いて、クルエルは呟く。この程度はクルエルにとって戯れにもならない。


「てかここ全然人来ねー……待ち伏せアタックかますならもっと別の場所でやった方がいいかなー……」


クルエルはテストの結果など興味がなかった。第一に考えるのは自分が楽しめるかどうかである。
193 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/20(金) 23:36:58.25 ID:6tAZiATYO
クルエルは「真面目にテストを受ける魔法少女を邪魔してやるのは面白そうだ」と考えていた。しかし


「……やっぱやーめよ。ここ人来ねーし、何より待ち伏せとか私のキャラじゃねー」


やはり正面切って襲うことにしよう。その情景を想像して楽しそうだとクルエルは思った。


クルエルの魔法は相手に強い苦痛を与えてやれる魔法である。最初は「生き物の毛皮を剥ぎ取れる」しか能の無い魔法だった。それで犬や猫の毛皮を剥ぎ取ってやるのも楽しかった。毛皮の裏側の匂いを嗅ぐのもクルエルは好きだった。動物の毛皮は少々獣臭いが、それくらいは気にしなかった。


そして、そのように動物の皮を剥ぎ取っていく内に、クルエルの魔法も成長していった。魔法も一定数の訓練を重ねれ強くなっていく。対象の範囲が広くなったり、制限時間のある魔法は制限時間が短くなる。


クルエルの場合は人間に対しても魔法を使えるようになれた。


人の皮を剥いてやるのは獣の皮を剥くのよりも楽しかった。獣より感情豊かなのも良い。


精一杯怖がらせてから「今からお前の皮を剥ぎ取る」というと彼らは実に多種多様な反応を見せた。命乞いをするもの、理性を失うもの、様々であった。それらはクルエルを楽しませてくれた。


動物の皮の匂いを嗅いだ時と同じように皮の裏側の匂いを嗅ぐと、動物と違い獣臭さが全然しない。人間の皮が気にいったクルエルは積極的に人を襲うようになった。
194 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/20(金) 23:39:53.95 ID:6tAZiATYO
「そーいやー」


魔法少女の皮はまだ剥ぎ取った事なかったっけ。


クルエルは残ったカエル達の皮をひっぺがすと、その皮を鼻に当てながらプールを去っていった。


狙うはグラウンドの魔法少女だ。弾ける血肉、飛び交う悲鳴、それらを想像しながらクルエルはニヤリと、とうてい魔法少女とは思えない笑みを浮かべるのであった。
195 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/20(金) 23:47:51.12 ID:6tAZiATYO
【クロース】


体育館に踏み入れた時、クロースが最初に抱いた感想は「埃っぽい」だった。


見れば床はうっすらと埃が積もっている。しかし、クロースはその埃の上にあるものを見つけた。


「……!」


そう、ロボットが走った後である。埃の上にうっすらと描かれた細い二本の線は体育館創庫だと思われる二枚の扉の向こうに吸い込まれていった。


みれば体育館創庫の扉もうっすら開いている。


これは間違いない、当たりだ。


しかし慌ててはいけない。ドタドタ走ってネズミに逃げられでもしたら台無しだ。こっそりと音を立てないよう慎重に歩く。


とても静かで、静寂が耳に痛いくらいだった。
196 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/20(金) 23:56:37.45 ID:6tAZiATYO
時間をかけゆっくり進む。


そして、とうとう倉庫の前にたどり着いた。そっ、と扉の中を除き混む。


「……あ」


その中に確かにロボットはいた。しかし、タイヤを地面に着けてはいなかった。なんと逆さまにひっくり返っている。タイヤには埃が付着していた。


「……」


なんでこんなことになってるのか、クロースは倉庫の中を見渡す。一歩踏み出すと、床がミシミシと音を立ててしなった。体育館はそうとう老朽化が進んでいるようである。


倉庫内には跳び箱やマットなどの備品がそのまま放置されていた。引き取り手がいなかったのだろうか。


クロースは備品の中にロイター板があるのを確認した。ロボットが勢いよく走っていたところ、あれに乗り上げてひっくり返ってしまったのだろうか。
197 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/21(土) 00:03:40.16 ID:hJNwj/JHO
まぁなんにせよ好都合だ。クロースはロボットに近づく。


まずクロースは自分に無敵化の魔法をかけた。全身が虹色に輝く。これでクロースは一切の攻撃を受け付けない。絶対無敵だ。核シェルターの中にいるよりも安心できる。


そしてクロースはロボットに一思いに近づくと、スイッチを押した。


凄まじい爆発音が耳に突き刺さるが、鼓膜が破れる事もない。爆風に包まれるが、吹き飛ぶことさえなかった。黒煙に視界を塞がれながら、あぁいくら魔法少女が強靭な体を持っててもこれを食らえば一溜まりもないだろうと思った。


爆発は体育館倉庫を跡形もなく吹き飛ばしたが、クロースは無傷だった。


「……ふぅ」


光が消え魔法が溶ける。もう魔法は三十分間使えないが、それでも良かった。ネズミの捕獲には成功したのだ。


と、その時である。
198 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/21(土) 00:06:00.63 ID:hJNwj/JHO
強い殺気と共に声が聞こえた。


「後ろががら空きだ」


「!」


とっさに跳ねるようにして体育館倉庫の跡地から外へ飛び出る。しかしそれでも避けきれず、クロースは襲撃者の一撃を喰らうことになってしまった。
199 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/21(土) 00:06:27.34 ID:hJNwj/JHO
今日はここまで。土日は出来ないので月曜日にやります
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/21(土) 00:08:02.13 ID:B+ndiNmWo


生き残れるといいなあ
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/03/21(土) 00:08:20.78 ID:blllBjbJO
乙クロースちゃんが死ぬか生き残るかドッキドキ
202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/03/21(土) 00:08:48.37 ID:+8VaAdapo
クルエルのキャラ好きよ
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/21(土) 00:09:16.58 ID:QZvDvpl50


主人公生き残れるかなあ・・・・・・
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/21(土) 00:42:05.80 ID:/NRywjF5O
205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2015/03/21(土) 03:17:38.94 ID:tPHiW894o
後ろから不意打ちしてるのにわざわざ声かけてるし多分殺す気はないだろ
206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/03/21(土) 03:21:47.39 ID:C7Kmo26gO
30分使えないのは痛いな
チート能力だし仕方ないけど
207 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/21(土) 14:46:59.91 ID:B+ndiNmWo
無敵系でチート臭くはあるけど原作だともっと扱いやすい無敵系のキャラが四人いてそのうち3人死んでるんだよな
208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/21(土) 17:19:47.89 ID:tPHiW894o
無敵が単に一切ダメージ受けないってだけなら
1回30秒で30分使用不可とか原作と比較するとかなりショボい部類の魔法だしな
もっと身体能力もそれこそ無敵って言えるぐらい向上するとかあっても問題ないレベルの制限
209 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/22(日) 12:03:15.65 ID:KVyJhaZdO
4人?

とりあえずパッと思いついたので6人、条件付の無敵2人
どっちにしろ生存率は絶望的
210 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/22(日) 18:23:41.71 ID:LCPKcL5do
アリスとテプセケメイは無敵系っていうと違和感があったから外したよ
グリムハートは生死不明系だと思って死者からは外した
211 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/03/22(日) 18:28:34.66 ID:wqvM9V3zO
(これ軽くネタバレしてね?)
212 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/23(月) 22:13:39.19 ID:xpqvmykzO
誰かいるかな?いればやる
213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/23(月) 22:14:06.68 ID:8PEq8AVYo
214 :では開始 ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/23(月) 22:18:38.14 ID:xpqvmykzO
【トト】

オォォォォーン……


どこからか物寂しげな犬の遠吠えが聞こえた。今や時刻は午前3時。普通ならとっくに眠っている時間である。


しかし今は普通な時ではない。異常な時である。数時間前、ウルフハートが死亡した。それだけでなく、主催者はトト達魔法少女を殺すつもりで試験を進めている。


最初に聞いた時は怖かった。死にたくない、痛いのは嫌だと怯えた。


しかし、今は違う。頼れる仲間がいる。奈都が授けてくれた作戦もあった。


ポケットの中の端末を見ながら、数時間前の事を思い出す。


一端教室に戻り、作戦会議を開いた。奈都に同意した魔法少女は10人。内四人は反対し別行動、内一人は既に死亡、内一人は行方不明だ。


教室ではまず自己紹介から始まった。これからの事を考えると仲間の名前を知らないのは良くない。数分で手早く自己紹介を終えると、その内の一人……マーファが口を開いた。
215 :では開始 ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/23(月) 22:20:43.21 ID:xpqvmykzO
「それで?あんたの作戦とやらを教えてもらおうじゃない」


奈都の語る作戦とは案外簡単なものだった。


作戦と聞いて何か難しいものをイメージしていたトトにはありがたかったが。


奈都が言うには、マジカルキャンディーはネズミロボットを捕まえた人物にしか与えられない訳ではない、と言うのである。


「そうなのか?」


ジェラスが口を開く。一見しただけで魔法少女と言い当てられる人物は少ないだろうジェラスのコスチュームはヒーローをモチーフにされていた。


「ええ。だってファムは『優秀な成績を修めた者にマジカルキャンディーを与える』としか言ってませんもの。ネズミを捉えた者にしか渡さないとは一言も言ってはおりません」


「それは私も気づいてたけど…それがどうしたの?」


これはマーファの問だ。


「なら話は簡単です。皆で優秀なの成績を修めれば良いのです」


奈都は「一人でネズミを捉えるのではなく、他の魔法少女と連携して皆でネズミを捕まえましょう」とも言った。


そうすればネズミを捉える為に協力した魔法少女にも、少量だがマジカルキャンディーが与えられるとのこと。因みにネズミを捉えた者には多くマジカルキャンディーが与えられるらしい。


ファムにも既に確認住みだそうだ。
216 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/23(月) 22:22:20.20 ID:xpqvmykzO
「なるほど……」


感心したようにマラソン選手風の魔法少女、ランランランが呟いた。


更に言えば、テストの合否にキャンディーの数は関係ない。最終的な試験の合否にキャンディーの数が関係してくる、というだけである。このテストは取り合えずキャンディーを一つでも手に入れられれば受かるのだ。


「ふーん。ならある程度みんなが持てるキャンディーの数を操作できるって訳ね。ロボットを捕まえられる魔法少女は多く持てるけど、ロボットを捕まえられない魔法少女は多くは持てない」


そうでしょ?という問いはマーファのモノである。結構我の強い性格らしい。トトとは正反対だ。


「えぇ、そうなります」
217 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/23(月) 22:24:47.67 ID:xpqvmykzO
と、今度は魔法の端末を取り出した。端末には既にマジカルキャンディーを譲渡できる機能が備わっている事を説明される。


トトは気づかなかった。トト以外にも気づかないものは数人いた。説明のあとすぐにテストに入ったからだろう。


「この機能を使ってキャンディーの数を統一します。試験が終わるまでに皆のキャンディーの数をならして同率一位を目指すのです」


トトは感嘆した。これなら誰も落ちる事なく試験に合格できる。魔法少女を続けられる。


しかしここでトトは自分の思った事に矛盾を感じた。


「あ、あの……」


それがどうしても気になって、初めてトトは挙手した。こういう状況で自分の意見を述べるのは初めてかもしれない。


「なんでしょう?」


奈都の物を含め、複数の視線が突き刺さる。やっぱり何でもないですと言いかけたが、しかし奈都が先を促した事で引けなくなった。
218 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/23(月) 22:26:07.94 ID:xpqvmykzO
「えと、私たち以外の魔法少女達は……どうするんですか……?」


屋上にて、奈都の誘いを断った魔法少女達の事だ。


彼女達は仲間ではない。でもそれで割りきるのは、見捨てるようで後味が悪いような気もした。


トトの我儘とも取れる質問に、奈都はやんわりと返した。


「彼女達とも同率一位を取るのは難しいでしょう。しかし、彼女達も一人で行動するからには策があるはずですから。きっとこのテストには受かるはずです」


そうなった時には、また仲間になってもらうよう誘ってみましょう、と奈都は笑顔で言ってくれた。
219 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/23(月) 22:28:01.32 ID:xpqvmykzO
その後は特に質問もなく、それからチームを組んでネズミを探し始めた次第である。


そして現在。すでにネズミを校舎一回で捕獲したトトとそのチームメイトは、再び校舎内を散策していた。


奈都と俺子から「捕獲したチームは可能な限りで良いからマーブルを捜索してほしい」と頼まれていたからである。


ジェラス、ミニチュアールを従えリーダーをマーファに据えたマーファチームと、トト、ランランランと共に動くクリスティアのチームは、行方知れずのマーブルの捜索を始めていた。


「マーブルサーン?!どこデスカー!いたらお返事クダサーイ!」


なんだか日本語が怪しいのがクリスティア・フォン・アルベローザことクリスティアである。黄色を基調としたコスチュームは豊満な胸を強調していて、変身前も変身後も体の起伏に乏しいトトとしては羨ましい限りであった。


「んー……でもどこにいっちゃったんだろう。もしかしたらもう帰っちゃったんじゃないかな?」


ボーイッシュな雰囲気の魔法少女、ランランランはそんな憶測を口にする。三時間前のミーティングで奈都が「結界はファムが説明した以外にも機能があって、魔法的なモノを一切通さない」と説明したことは既に忘れてしまっているようである。いや、聞いてなかっただけかもしれない。
220 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/23(月) 22:28:35.49 ID:xpqvmykzO
つまり魔法少女はこの学校から出られない。変身を解除してからなら出れるかもしれないが、その場合は端末がどこかに落ちているはずである。


マーファチームと一度合流し、捜索場所を分担したが、未だ連絡はない。


マーブルさん……どこにいってしまったんだろう、と、トトがあったこともない仲間の仲間に想いを馳せるのと、二ヶ所で爆発が起きたのは同時だった。
221 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/23(月) 22:29:53.48 ID:xpqvmykzO
【アナスタシア】


「きゃっ」


突然の爆裂音に驚きそうになったアナスタシアはすぐさま自らの口を両手でふさいだ。


いけない、私は高貴なるクリスティア家の娘。これくらいで驚いてはいけない。


自分を叱咤するために心中で何度も唱えるが高鳴った心臓の音は中々落ち着いてはくれない。これではまるでビビってるみたいだ、とアナスタシアは思う。実際ビビってる事は維持でも認めない。


落ち着くために、現状を整理してみる。今の爆発で残りのネズミは2体になった。残り一体は必ずこのアナスタシアが見つけて見せる、と思っている内にまた爆発が起きる。
222 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/23(月) 22:33:04.22 ID:xpqvmykzO
軽く涙目になりかけるが、維持で引っ込めた。


いけない。いくら没落したとはいえ私は高貴なるクリスティア家の血を引いているんだ、これくらいで一々恐れてはダメ、そんなんじゃ一族の復興なんてとてもできない。


アナスタシアを置いて逃げた使用人を見返す為に、そして何よりも暗殺されてしまった父の為に、大好きだったのに自ら命を絶ってしまった母の為に、だ。


試験に落ちるわけにはいかない。まだまだ魔法少女でいる必要がどうしてもある。こんな所で躓くなんてあってはならないのだ。


魔法少女は色々と使える。まずアナスタシアことアリス・クリスティアは幼い。まだたったの7つだ。七歳の年端もいかない少女にできることはとても限られている。


しかし魔法少女の姿だと見た目だけなら高校生くらいになれる。高校生くらいで、更に魔法少女であれば、出来ることは無限大に増える。


高い身体能力と魔法もこれから使う予定でいる。
223 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/23(月) 22:34:01.53 ID:xpqvmykzO
しかしまずい。これでネズミは残り一体だ。ネズミは以外と隠密性が高く、その上すばしっこいから中々捕まらない。


恥を忍んで仲間になるべきだったとは思わなかった。アナスタシアには秘策がある。自分の魔法がそうだ。アナスタシアの魔法は死体を操れる事が出来る。それでネズミを捕まえさせるのだ。その場合はキャンディーは死体の物になるかもしれないが、それなら端末だけ頂いていけば良い。


そんな風に考えて、最初はウルフハートの死体を利用してやろうと思った。高貴なるクリスティア家の復興に使われるのだから感謝されるべきだとも思っていた。


しかし、予想以上にウルフハートの死体の損傷は激しく、その場に居合わせた魔法少女曰く頭部と腕を残して吹き飛んでしまったとの事であった。


当てが外れたアナスタシアは、仲間に誘われたのを拒否して校内をさ迷う。しかしそう都合よく死体があるわけでもないのだった。
224 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/23(月) 22:35:20.26 ID:xpqvmykzO
こうなれば覚悟を決めて自分から捕まえにいく、というのも無理な話。そもそもアナスタシアは一般人に比べれば遥かに強いが、魔法少女と比べるとそこまで強いという訳でもない。


ネズミが残り一体というリミットも加わり少しずつ焦りが生まれてくるアナスタシアの思考は空回りするばかりだった。


「……うっ……」


堪えた涙がとうとう流れていく。


泣くな。あせるな。惨めな姿をさらすな。頭の中のアナスタシアが叱咤するが、アナスタシアの涙は止まりそうに無かった。


どうしてもダメだ。復興も出来そうにない、魔法少女も続けられない。残るのはクリスティア家の生き残り、アリス・クリスティアだけだ。


その時浮かんだのは心優しい母の笑顔と、強かった父の言葉だった。


諦めてはいけない、前を向け。そうれば道は開ける。


父がいつもアナスタシアを慰める為に使っていた言葉だ。そうだ、諦めてはダメ。私は高貴なるクリスティア家の、唯一の生き残りなのだ。


アナスタシアは不振な臭いを嗅いだ。


これは……腐乱臭?


その臭いにつられ、アナスタシアは動く。そして見つけた、教室の中で横たわるマーブルだった者の死体を。
225 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/23(月) 22:40:01.87 ID:xpqvmykzO
【クロース】


背中が焼けるように痛い。どうやら刃物で切られたようである。


刃物と言えば、クロースには心当たりは一人しかいない。


「次はもっと背後に気を配るべきだな」


そんな言葉を投げ掛けながら現れたのは西洋風の騎士だった。青と銀色を基調とした鎧、胸元には大きな十字架があった。兜はないが、眼鏡を書けていた。金色の髪が風になびく。


「それとネズミが倒れているのを見たら罠かどうかを疑うべきだ」


騎士の台詞は聞き流して用件だけ訪ねる。


「……いきなり、なんの用?」


「端末を渡せ」


手を差し出しながらそう言った。


「私の魔法ではネズミを捉えることは出来ない。だからこうして頼んでいるのだよ」


なるほど、考えてることはクロースと変わらない。


「死んだ魔法少女……ウルフハートと言ったか?彼女の端末を見つけられれば良かったのだが、どうも見つからなくてね」


屋上には無かったようである。
226 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/23(月) 22:41:02.51 ID:xpqvmykzO
もう一度繰り返した。端末を渡せ、と。


「そうすれば助けてやる」


同時にフランベルジュをクロースの首筋に当てる。完全に脅していた。


わざわざ喋りかけながら切ったのは、恐らくこの交渉の皮を被った強請を円滑に行う為だろう。


試験に落ちて生きるか、ここで切り殺されるか選べ。とのことだった。


クロースとしてはどちらもごめんだ。折角ネズミを捉えたのに端末を渡してしまうのは嫌だ。殺されるのはもっと嫌だ。


「……私としても無益な殺生はしたくない」


有益なら殺るということか。フランベルジュを握った手に力が籠るのがわかった。


どうする?
1 大人しく渡す
2 遠くに投げる
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/03/23(月) 22:42:36.45 ID:VK79JX3dO
2
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/23(月) 22:43:15.96 ID:CDZFAzIUo
2
229 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/23(月) 22:51:10.26 ID:xpqvmykzO
「……解ったわ」


渋々、と言った感じでポケットの端末を探すふりをする。


「早くしろ」


「折角渡してあげるんだから「ありがとう」の一言くらいくれてもいいんじゃない?」


「感謝する」


「すごい棒読みね」


会話しながら素早く、それでいて気づかれないように視線を巡らす。どこに投げるか、思考を巡らす。


決めた。端末を取り出すと、すぐさま校舎の向こう側の校庭に向かって投げた。
230 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/23(月) 22:55:24.99 ID:xpqvmykzO
端末は綺麗に弧を描きながら校舎を飛び越える。


ざまぁみろ、と言わんばかりに唇を歪めると、騎士は凄まじい形相でこちらを睨んだ。フランベルジュを振り上げるが、それはクロースの体を切る事はなかった。


「いいの?あたしの相手をしてる内に別の誰かに取られちゃうかもよ?」


躊躇し、そして思案するように視線が動く。


最後に悔しげな声を漏らしながら、フランベルジュを下ろし、「姑息な手を」と捨て台詞を残して端末を追った。
231 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/23(月) 22:56:10.74 ID:xpqvmykzO
コンマ判定↓1

10以下で……
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/23(月) 22:56:33.30 ID:/zAghuWgo
ぽう
233 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/23(月) 23:04:43.21 ID:xpqvmykzO
【トト】


「いたっ」


探索場所を校庭に移したクレイスティア一行。トトは自分の後頭部に少しダメージを受けた。何者かの攻撃かと一瞬身構えてしまう。

「マーブルが?!」


「ヘーイ!どこデスカー!?」


どうやら二人は「痛い」を「居た」と勘違いしたようである。なんだか申し訳ない気分になりながら、トトは勘違いを訂正。


ややこしい事するなと少し怒られて、更に申し訳ない気分になった。


「?何デショウ、コレ」


クレイスティアが拾い上げたのはどうやら魔法の端末らしい。なぜ端末が?この三人の中の誰かの物かとも思ったが、違ったようである。


「空から端末が?」


これが頭に当たったらしい。


突然表れた端末はクレイスティアが預かる事にして、一行は探索を続けた。
234 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/23(月) 23:05:14.16 ID:xpqvmykzO
今日はここまで。また明日10時くらいに来ます
235 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/23(月) 23:06:10.48 ID:MlGLV910O
236 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/03/23(月) 23:06:55.65 ID:FfRlM+9Qo
乙乙
237 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/23(月) 23:07:07.68 ID:CDZFAzIUo
238 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/23(月) 23:11:13.87 ID:3njnh28+0


アナスタシア7才……魔法少女育成計画的に死亡フラグじゃあ
239 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/24(火) 07:22:12.16 ID:SnIxKUqAO
あの世界は出番=死亡フラグだから7歳とかあんまり関係ない。
240 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/24(火) 09:27:55.11 ID:ojcbdw3WO
むしろ黒幕フラグ?
あの世界の幼女は大体黒い
241 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/24(火) 20:59:27.83 ID:k7W8HWQz0
ああすまない、年齢というより○○○(外国ではどうだか知らないが)という時点で死亡フラグだと思ったんだ。

誤解を与えていたら悪かった。
242 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/24(火) 22:25:10.87 ID:iXV5/DOiO
今日は特に安価は無いです。

投下始めます。
243 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/24(火) 22:25:41.85 ID:iXV5/DOiO
トト
ランランラン
ウルフハート【retire】
アルカ=グリード
ミニチュアール
ジェラス
マーブル【retire】
DARKNESS娘
俺島俺子
帯 奈都
桐条飛鳥
クレイスティア・フォン・アルベローザ
クルエル
アナスタシア
マーファ
クロース
244 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/24(火) 22:26:09.97 ID:iXV5/DOiO
【クロース】


最悪だ。


騎士に切り裂かれた背中を庇いながら、クロースは校舎の周囲を探索する。背中の傷からはどろどろと血が流れ、それでもクロースは意識を保っていられた。元々クロース本人の耐久力が高いお陰だろう。


それでも痛いモノは痛いのだ。表情を歪め、フラフラと歩き続ける。


あの状況では端末を手放すのは仕方ないと言える。死ぬか渡すかなら、当然渡す。
245 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/24(火) 22:26:50.90 ID:iXV5/DOiO
そしてタダで渡すのとタダじゃ渡さないなら、タダじゃ渡さないを選ぶまで。


騎士を退かす事はできたが、それの代償に端末を失ったのは大きい。


しかし、それでもクロースには当てがあった。


投げた端末を、騎士以外の魔法少女が拾ってくれる可能性だ。結構自信を持って言える。グラウンドには奈都の一派が居たはず。彼女達が拾ってくれれば万々歳だ。


しかし、誰が拾ったのか解らなければ意味がない。返してもらえないと更に意味がなくなる。


奈都の一派が都合よく拾ってくれるとも限らない。もしかしたら、いち早く駆けつけた騎士が既に拾っているかもしれないし、奈都の意見に反発した残り二人の魔法少女が拾っている可能性もあった。


クロースにはどうか良い人が拾ってくれと願いながら、重い足を引きずる。


だからか、校舎の影から飛び出した魔法少女との激突を避けられなかった。


「きゃっ!」


思わず倒れてしまう。無様に地面に倒れたクロースをみて、相手は怒鳴る前にクロースの傷を確認し、クロースを抱き抱えた。


クロースは最後に端末を奪われたことをかろうじて伝えると、意識を手放した。
246 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/24(火) 22:27:38.28 ID:iXV5/DOiO
【アルカ=グリード】


最悪だ。


「このっ!」


右腕に握りこんだフランベルジュを真横に凪ぐ。しかし敵はそれを地面を蹴って跳ねることで避ける。

「you!遅いですネー!」


警棒片手に優々と舞う魔法少女―クレイスティア―が、アルカに向かって言い放つ。


「ちっ……」


忌々しげに舌打ちするアルカ。そもそもあの女が大人しく端末を渡していれば、こんなことにはならなかった。
247 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/24(火) 22:28:51.48 ID:iXV5/DOiO
放り投げられた端末を追いかけグラウンドに向かったアルカが出会ったのは、奈都の一派であった。手元には端末が握られているのが見てとれた。


よし、なんとかなりそうだ。


とクレイスティア達に近づき、それは私の物だから返してほしいと頼んだものの、クレイスティアが予想以上に切れ者であった為に端末を手にいれる事が出来なかったのである。


本当にこれは貴方のモノなのか、何で大切な端末を投げるような真似をしたのか、詰問されてなんとかはぐらかす事は出来たものの、次の質問はかわせなかった。


「youのnameは?」


どのみち答えなければ怪しまれる。


「アルカ=グリードだ」


端末に名前が書かれてる訳でもない。名前くらい大丈夫。その認識が甘かった。
248 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/24(火) 22:29:34.65 ID:iXV5/DOiO
「そデスか……なら端末の通信履歴、見せて貰ってもよろしデスネ?」


すっかり失念していた。端末はなにもキャンディーを保管しておく機能しか無い訳ではない。それは今日はじめてついた機能であり、元々はマスコットや魔法の国との連絡に使われるモノであった。


当然、元々は別の魔法少女のモノだった端末にアルカ=グリードの名があるはず無かった。
249 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/24(火) 22:30:18.60 ID:iXV5/DOiO
という事で武力行使に出たアルカであったが、これまた予想以上に苦戦を強いられていた。


アルカは自他共に認める戦闘のエキスパートである。しかし、それでもなおクレイスティアに押されている。


原因はアルカの頭上にあった。クレイスティアを鼓舞するかのように、応援歌が響いていた。耳に心地いい声であった。


これが魔法少女トトが持つ固有魔法である。応援で仲間を強化できるのだ。


対象にできるのは一人まで、その代わり対象が身に付けている物体も強化してやれる。この場合、クレイスティアのコスチュームの耐久度、クレイスティアの持つ警棒の威力と頑丈さ、そしてクレイスティア本体の身体能力などが向上していた。


アルカ本人はこの事を知らないが、こうだろうと推測を建てることは出来た。
250 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/24(火) 22:31:41.65 ID:iXV5/DOiO
だからと言ってトト本人を狙うのも難しい。現在トトは空中を駆け回るランランランに抱かれている。


ランランランはどんな場所でも走り回れる。地上はもちろん、空中でも海中でも海底でも、その気になれば大気圏を突破して真空の宇宙空間でさえ走り回れる。


そして、動き回る物体を地上のアルカが打つのはいくら何でも難しい。


再び意識をクレイスティアに戻す。フランベルジュを上段から降り下ろし、バックステップで避けられる。クレイスティアも負けじと警棒で突きを入れてきた。フランベルジュで受けることは出来ない。突きを鎧の胸で受け、衝撃を殺すために後ろへ大きく跳ぶ。


アルカのフランベルジュは防御を無視して本体の人間だけを確実に切り殺す事ができる。


どんなに硬い鎧も、どんなに強い盾も、無敵になれる魔法さえも、全て無視して本体だけ傷つけられる。物体は透過していく、特別なフランベルジュだ。


故に、物体は傷つけられない。フランベルジュで防御も出来ない。アルカの武器は「防御不能」であると共に「防御不可能」でもある。
251 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/24(火) 22:33:27.98 ID:iXV5/DOiO
防御できない武器を持つ為に、鎧は元々頑丈にできていた。アルカ本人の瞬発力や反応速度も早い。アルカ本人を傷つけるのは難しい。


距離を取って相手が気を抜いている所に突きを入れる。フランベルジュはかなりリーチが長く、クレイスティアにまで届いた。


しかし傷は浅い。胸元が薄く切れ、血が滲むがクレイスティアは気にも止めない。


再び前進。懐に入るとフランベルジュを真横に振るうが、ふわりと避けられる。しかしそれは計算済み、なにもアルカの攻撃手段はフランベルジュだけではない。避けられたフランベルジュを引き戻すと同時に拳を握りしめて殴りかかる。


狙いは頭。手は硬い手甲に包まれている。怒り任せの一撃はクレイスティアの目に直撃した。しかし、トトの魔法によって強化された体にはダメージは少ない。それは勿論アルカにも解っている。


いくらパワーアップしてるとはいえ、衝撃を受ければよろけるだろう。そこが狙い目だ。案の定、クレイスティアはバランスを崩した。後ろに倒れかかる。


アルカは笑みを浮かべながら確信した。
252 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/24(火) 22:34:22.68 ID:iXV5/DOiO
もらった!フランベルジュを大きく振り上げる。多少無理な体勢になるが致し方あるまい。そう判断した。


しかし次の瞬間確信は霧散する。


「?!」


アルカの正面に巨大な障壁ができていた。いや違う。障壁ではない。二枚の扉がついたクローゼットであった。しかも全体にハートがあしらわれている。二枚の扉も、クローゼットの形もハート型であった。


どう考えても魔法少女の魔法によって表れたモノだった。


アルカのフランベルジュはむなしくクローゼットを通過していく。クローゼットを切断することはない。


クローゼットの上に器用に乗ったクレイスティアがアルカを見下ろしているのか、頭上から声が聞こえた。


「checkmate」
253 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/24(火) 22:34:51.24 ID:iXV5/DOiO
そして、二枚の扉は既に開いていた。大きく降ったフランベルジュも空振り、今度はアルカがバランスを崩した。


どっ、と背中に衝撃が走る。地上に降りたクレイスティアがアルカの背中を蹴ったようだ。


アルカの体が真っ暗なクローゼットの中に飛び込んでいく。暗闇の中にアルカの姿を確認できなくなった所で、クレイスティアは素早くクローゼットの扉を閉めた。
254 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/24(火) 22:35:34.60 ID:iXV5/DOiO
【クルエル】


「〜♪」


血塗られた魔法の端末を右手に、クルエルは上機嫌であった。巨大な校舎を背もたれにし、右手にもった魔法少女の皮の匂いを堪能していた。


もっとも、既に変身は解けていたのだが。


しかしクルエルにとってそれはさほど問題ではない。魔法少女だった事実が重要なのだ。


スンスンと臭いを嗅いでも常人には違いが解らないだろう。ただ血生臭いだけ。しかし狂人であるクルエルには違いがわかる。
255 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/24(火) 22:36:47.38 ID:iXV5/DOiO
「良い匂い……」


大好きな匂い。甘くて豊潤で、野良犬やホームレスの物とは段違いに良い。


この皮の持ち主は名を俺島俺子といった。それだけは俺子が死ぬ前に聞き出せた。自宅に帰ったら名前を刺繍して保存するためである。


うっとり頬を緩ませながら、皮に頭を突っ込む。大きく深く深呼吸しながら、クルエルは思う。


この魔法少女はがさつで乱暴だった。それでもそのイメージに反して良い匂いがする。俺子の隣にいた上品そうな魔法少女や、他にいた大人しそうな雰囲気の魔法少女の皮はどんな匂いがするんだろう。


想像しただけで胸がうち震える。幸福感に包まれるクルエルの耳に爆発音が届いたが、本人の意識には届かない。


皮を魔法の国製のずだ袋に押し込むと、クルエルは眠りに落ちた。
256 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/24(火) 22:37:17.08 ID:iXV5/DOiO
【クロース】


目が覚めた時にはすべてのネズミが捉えられた後だった。


最初の教室に集まり、クロースは机の島の上で寝かされていた。強い光に思わず目を背ける。


「トトとあたしに感謝することね」


マーファと名乗った魔法少女は顔を背けながらそう言った。


マーファの魔法は手にしたチョークでマークを書いた物同士をくっつける魔法、トトは応援による強化ができるそうだ。


怪我をしたクロースと鉢合わせたマーファが魔法で背中の傷口を塞ぎ、トトの魔法で生命力を高めた事で一命をとりとめた、とのことだった。


素直に有り難かった。礼を言うと、どちらも照れ臭そうに顔を赤く染めた。
257 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/24(火) 22:38:00.18 ID:iXV5/DOiO
しかし、クロースはすぐに違和感に気づいた。人数が少ない。


クロースの目の前で死んだウルフハートと行方知れずのマーブルの他に、後二人の魔法少女の姿が見えない。


「おっと、忘れてマーシタ」


パチン、と指をならしたのは魔法少女クレイスティアだった。右手にはなぜかあの騎士が持っていたフランベルジュがあった。


指をならすと同時に、巨大なクローゼットが召喚された。これがクレイスティアの魔法か。と思っていると、クレイスティアはクローゼットの扉を開き、中を探る。


再び引き抜かれたクレイスティアの手には首根っこを捕まれた騎士の姿があった。
258 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/24(火) 22:38:31.67 ID:iXV5/DOiO
今一状況を把握しきれていない騎士に、クレイスティアが説明する。試験が終わり、落ちる事が確定した騎士は諦めたようにバタンと背中から倒れた。


「人の端末をとろうとするからデース!」


自分も同じことを考えてた事は言えそうになかった。
259 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/24(火) 22:39:11.92 ID:iXV5/DOiO
他には、あの奈都が忍者の魔法少女、桐条飛鳥の膝の上で眠っているのが気になった。いや、眠っているというより気を失っているという方が正しいのか。


飛鳥や回りの魔法少女が説明してくれた。俺島俺子が、他の魔法少女の手にかかり死亡した事を。


起きたばかりなのに驚愕の事実を突きつけられ、クロースは愕然とした。


魔法少女が、同じ魔法少女を殺した?


このテストの主催者も、集めた魔法少女を殺す気でいた。しかし、それも間接的にであり、直接殺す真似は主催者も今のところしていない。


曰く、マーブル捜索中に俺子が単独で行動した事があったそうだ。相方の奈都も俺子の能力や魔法の強さは知っていた。だから一人でも大丈夫だろうと行動させたそうだ。


その認識の甘さが、悲劇を招いたのだ。俺子は全身の皮膚を剥がされると言う惨すぎる最期を遂げていたらしい。
260 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/24(火) 22:40:26.14 ID:iXV5/DOiO
「ショックでこの有り様って訳さ」


「……可哀想っす」


こちらは黒いドレスを着た魔法少女、DARKNESS娘だ。飛鳥とDARKNESS娘、そして奈都と俺子の四人組で動いていとのことだった。


そしてマーブルもどうやら死亡したらしい。しかも、魔法少女アナスタシアの手で利用されたそうだ。


最後のネズミを捉えたのはアナスタシアだそうだ。しかしアナスタシア本人は全くの無傷。そしてアナスタシアの魔法は死体を操作する魔法だと、アナスタシア本人が自慢げに教えてくれた。


ウルフハートの死体は使えない。なら、死んだのは必然的にマーブルだろう。
261 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/24(火) 22:40:52.44 ID:iXV5/DOiO
他に気になる事と言えば、あの死神のような魔法少女が教室の隅で寝ている事くらいだ。彼女は校舎に寄りかかって眠っている所を運んできたそうだ。


そこまで説明された所でファムが飛んできた。


簡単に成績発表して、「マスターに安全面で配慮してもらうよう頼み込んでみる」と言っていた。ぜひそうしてもらいたかった。
262 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/24(火) 22:44:02.38 ID:iXV5/DOiO
【成績】

トト(1個)
ランランラン(16個)
ウルフハート【retire】(16個)
アルカ=グリード【retire】(0個)
ミニチュアール(16個)
ジェラス(1個)
マーブル【retire】(0個)
DARKNESS娘(1個)
俺島俺子【retire】(0個、端末紛失)
帯 奈都(16個)
桐条飛鳥(1個)
クレイスティア・フォン・アルベローザ(1個)
クルエル(1個)
アナスタシア(16個)
マーファ(2個)
クロース(16個)
263 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/24(火) 22:44:28.32 ID:iXV5/DOiO
今日はここまで。明日はできたらやります
264 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/24(火) 22:47:55.56 ID:k7W8HWQz0


四分の一が脱落か
265 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/03/24(火) 22:51:52.53 ID:HASCfICwO
乙乙
266 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/24(火) 22:57:10.38 ID:Cjf/ddzEO
267 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/25(水) 03:31:03.30 ID:bOHhHgHAO
出番=死亡フラグ
出番なし=やっぱり死亡フラグ
正しく育成計画だな。
268 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/25(水) 19:55:58.81 ID:Y4R3rekvO
今日はちょっと出来そうにありません。明日はやります
269 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/03/25(水) 20:03:53.37 ID:ncGo2/t4O
待ってる
270 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/25(水) 20:15:20.76 ID:Ir/+40++0
了解
271 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/26(木) 22:24:11.64 ID:1Q/i03PvO
やろうかと
272 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/26(木) 22:25:21.90 ID:0ZuazpKI0
273 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/26(木) 22:25:51.65 ID:1Q/i03PvO
トト(1個)
ランランラン(16個)
ウルフハート【retire】(16個)
アルカ=グリード【retire】(0個)
ミニチュアール(16個)
ジェラス(1個)
マーブル【retire】(0個)
DARKNESS娘(1個)
俺島俺子【retire】(0個、端末紛失)
帯 奈都(16個)
桐条飛鳥(1個)
クレイスティア・フォン・アルベローザ(1個)
クルエル(1個)
アナスタシア(16個)
マーファ(2個)
クロース(16個)
274 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/26(木) 22:26:49.93 ID:1Q/i03PvO
【???】

魔法の国には死刑制度はない。


犯罪を犯した魔法少女が捕まったら、大抵の場合魔法少女の力と記憶を奪ってそれで終わりだ。


ただし、それだけやっても危険だと判断された場合は刑務所に投獄される。


記憶と力を奪っても、再び魔法少女の力を手にいれれば記憶は元に戻る。そうならないための処置だ。


しかしそれだけでは甘い。と少女は思う。少女は目の前に横たわる女性の死体を見てそう思った。グラウンドの砂と血でドロドロに汚れた死体。


この女はアルカ=グリードという魔法少女だった。強欲で、他人を思いやれず、人が嫌がることを平気でやって悪びれない屑だった。


そして少女はそんな魔法少女が大嫌いだ。
275 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/26(木) 22:28:51.80 ID:1Q/i03PvO
「マスター……いくらなんでもやり過ぎもん!何も殺すことはないもん?!」


横でマスコットキャラクターのファムが騒いでいるが、気に止めない。ぶんぶんと羽音が五月蝿かった。


「ファムは悪い魔法少女を炙り出して更正させるための試験だって聞いたからあんたに協力したんだもん!」


魔法少女による犯罪は年々増加していると、少女は考えている。いや、そもそも魔法少女は犯罪なんておかしてはいけない。私利私欲のために動き私腹を肥やす魔法少女などあってはならない。


そんな魔法少女は死んでしまえばいい。


と、大義名分を掲げる少女であったが、少女の真の目的は別にある。


勿論、屑の魔法少女は駆逐されるべきだ。しかしそれ以上に大切な目的が少女にはあった。


それに、悪いことをしている自覚は少女にもある。いくら相手が救い用のない屑でも、殺すのはよくない。罪を償わせたり、和解したり、方法はあったはずだ。


しかし敢えて少女は殺害するという道を選んだ。
276 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/26(木) 22:29:49.63 ID:1Q/i03PvO
「やっぱり魔法の国に連絡するもん!あんたは危険だもん!」


喚くファムに武器を突きつけた。アルカ=グリードの持っていた、人しか切らない魔法のフランベルジュだ。


そろそろうっとうしい。


一応危険人物としての自覚はあったが、面と向かってそう言われれば腹が立つ。


マスコットキャラクター相手でも切れるのか、試してみたいところだ、とファムを脅す。


「……いいもん、切ればいいもん。でもそうしても必ず魔法の国や正しい魔法少女があんたを裁くもん!」


大した口を利くマスコットキャラクターだ。少女は口の端を釣り開けて笑う。


「何がおかしいもん?!」


何も知らない哀れなマスコットキャラクターに教えてやった。魔法の国への連絡はすでに取れなくしてある、どこにも逃げ場などない、と。


「そんな……」


呆然と呟くファム。落胆しているのを見て少し気分が落ち着いた。


今日のテストだって本当はもっと沢山死んでもらう予定だったのに。狡猾な魔法少女はゴキブリ並みにしぶとい事を学んだ。


しかし次はこうならないようにしなくては。
277 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/26(木) 22:30:46.42 ID:1Q/i03PvO
フランベルジュを下ろし、ファムに背中を向ける。帰る、といえばファムには黙ってついてくるしか出来ない。


再試験を行うに当たってファムには「マスターに関することを魔法少女の前で喋れない」機能を付け加えてある。


ファムとは合意の上でつけた機能だ。ファムが少女の目的を知ったあとに喋れないようあらかじめつけておいて正解だった。


横ではファムがぶつぶつと何か呟いている。とても耳障りだった。
278 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/26(木) 22:31:14.15 ID:1Q/i03PvO
【クロース】


「ん……」


母親の呼ぶ声で目が覚めた。ベッドの枕元に置いてある目覚まし時計は昼12時を指している。今日が日曜日じゃなければ遅刻だなんだと大騒ぎしてた所だろう。


全身がだるい。不快な倦怠感に包まれて最悪な気分だった。


ほぼ徹夜でのテストだった。終わって帰る頃にはすでに日が昇る時間帯だった。


魔法少女でいれば疲労は感じないが、それでも変身している間の話で、クロースである心は常に変身しているというわけにもいかない。心には日常があるのだ。


変身を解けば疲労が押し寄せて来る。それで今まで眠っていたのだ。
279 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/26(木) 22:31:58.28 ID:1Q/i03PvO
それでも体は満足していない。手で肩を揉みほぐし、瞼を擦ることで目は冴えてきた。


部屋に入ってきた口うるさい母を適当にあしらってから追い出すと、再びベッドに潜る。


目を瞑ると昨日の惨状が頭に浮かんできた。バラバラに弾けとんだウルフハート、全身の皮をはがされた俺子、特にその二人の顔は特にはっきりと浮かんだ。


それらが過ぎ去った後に浮かんだのは、最悪の想像。


もし自分がネズミをとらえていたら。


テストの時はあまり考えてなかった。でも一歩間違えればネズミの爆発で死んでいたのはもしかしたら心の方だったのかもしれない。


魔法があれば死なないが、爆発することを知らないでいたら、きっと魔法は使わなかっただろう。
280 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/26(木) 22:32:24.42 ID:1Q/i03PvO
もし自分が他の魔法少女に殺されてたら。


実際一度殺されかけた。今は無いが、背中を切られた時の痛みははっきり覚えている。


それに、俺子やマーブルを殺した魔法少女の問題もある。ネズミにはあんな芸当は出来ない。


特に前者に関してはかなり残虐な方法で殺しているのだ。全身の皮を剥がす。そんな事が出来るのは魔法少女ぐらいのモノだ。


いや、魔法少女にも出来るかわからない。殺して皮を剥がす真似が、元々が人間の魔法少女に出来るだろうか。いたとすれば間違いなくそいつは狂ってる。


そして、それはあの中に間違いなくいる。そう考えると怖くなる。
281 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/26(木) 22:32:54.29 ID:1Q/i03PvO
不意に、スマートフォンからメールの着信音が鳴った。


思わずビクリと体を震わす。


「脅かすな」と毒づいてから端末をとる。連絡は奈都からだった。


昨日のテストが終わり解散する前に、目か覚めた奈都と連絡先を交換しておいたのだ。


フラフラして見てて痛々しいくらい憔悴してたが、それでも連絡先を交換し、「何かあったら助け合おう」と言って力なく笑った奈都の顔が思い浮かぶ。


文面には、明日皆で話し合いをしないかという誘いが書いてあった。待ち合わせ場所はカラオケボックス。少し遠いが行けない距離ではない。


次のテストは明日から2日後にある。時間はあまり無い。俺子やマーブルを殺した魔法少女や、これからのテストの事、話し合う事は沢山あるだろう。


でも今はベッドから出たくない。とにかく休みたかった。


どうしよう
1 行く
2 行かない
282 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/03/26(木) 22:34:43.02 ID:6fvg5AiSo
1
283 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/26(木) 22:35:26.17 ID:1Q/i03PvO
「……」


手短に了承の返事を書き、送信。元あった場所にスマートフォンを置くと、再びベッドに潜った。


とにかく今日一日は休みたい。


そう思って瞼を閉じると、心は緩やかに眠りに落ちた。
284 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/26(木) 22:37:30.08 ID:1Q/i03PvO
【桐条飛鳥】

コンビニの帰り道。桐条飛鳥である三田雷果は額に青筋をたてながら歩いていた。


両手に大量のビニール袋を抱えて歩く道は中々にしんどい。


中身は全て食料である。弁当から歌詞まで種類は豊富であった。


いつもなら手荷物をミニチュアールに持たせるところだが、今はいない。


ミニチュアールは既に雷果の元から去ってしまっていた。元々風見鶏で日和見主義だったミニチュアールが雷果に見切りをつけて奈都の元についたのである。


あの恩知らずめ。と、心の中で毒づく。


雷果は魔法少女の力を利用して何でも屋のような仕事をしていた。盗みから殺人まで、汚れ仕事などを多く請け負っている。そちらの方が報酬額が多いので、喜んでやっていた。罪悪感も少なかった。


ある日とある勢力から敵勢力の幹部を、手段を問わず殺害してほしいという依頼を請け負ったのだが、その時幹部の護衛に魔法少女がいた。それがミニチュアールだった。
285 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/26(木) 22:38:30.18 ID:1Q/i03PvO
どんな縁でミニチュアールがそんな仕事をしていたのかは知らないし、別に興味もなかった。


もしかしたら飛鳥に教えてくれていたかもしれないが、覚えていなかった。


ただ、ミニチュアールはその場所においてもオドオドと不安そうにしていたのは記憶に残っている。


仕事は手早く終わった。運転手と幹部とミニチュアールしか乗っていない車を強襲。更に車をスクラップにしてやった後、持っていた銃で一生懸命抵抗を始める幹部を魔法で丸焦げにしたやった。


運転手は気絶していたのでそのまま放っておいた。多分責任を取らされた事だろう。


残ったミニチュアールはというと、開戦そうそう車から飛び下り道路の端に隠れていた。


幹部を殺害した後、気を見て出てきたミニチュアールは「私を仲間にしてください」と自らを売り込んできたのだ。


話を聞くと、ミニチュアールは結構使える魔法の持ち主だ。荷物持ちくらいには使えそうだと、飛鳥はミニチュアールの頼みを聞き入れたのだった。
286 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/26(木) 22:38:57.63 ID:1Q/i03PvO
ミニチュアールは常に強い者の味方をする。それだとまるで雷果より奈都の方が優れていると言われてるようで、そこには腹が立った。


あいつ今度あったら覚えとけよ、と心の中で毒つきながら苛立ち紛れに歩調を上げた。


築四十年のボロアパートの、二階の角部屋。そこが雷果の寝床である。


ギシギシと不安な音を立てる階段を上り、ちょっと強くぶつかっただけで壊れそうなドアを足で開ける。


散らかり放題の部屋は雷果しか住んでいなかった。
287 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/26(木) 22:39:51.54 ID:1Q/i03PvO
居間を通りすぎ、狭苦しい台所に入ると、レジ袋の中身を取り出していく。


理の必要がない弁当やカップラーメンから出していく。


ヤカンに水を入れて沸騰するのを待つ間、弁当を電子レンジにいれる。可能な限り重ねて詰め込む。


暖めてる間、レジ袋の中からスナック菓子や菓子パンを取りだし口に運んだ。


雷果は食べることが大好きだ。食べてる間は苛立ちを忘れて幸せな気分に浸れる。そして沢山食べれれば食べれるほどいい。そういうわけで仕事で稼いだ金は大体食費に消えていく。


レンジから温め終えた弁当を取りだし、更に沸騰したお湯をカップラーメンに注いでいく。同時進行で両方食べて、食事は三十分ほどて終わった。


満腹感と幸福感に包まれながら、ソファに横になった。


幸せな時間が過ぎたら、今度は考える時間だ。
288 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/26(木) 22:40:28.21 ID:1Q/i03PvO
次回のテストの事もそうだが、何より考えるべきはあの奈都という魔法少女の事だ。


あのときは自分とミニチュアールだけでは手に余ると判断したから協力したが、雷果は奈都の事を信用していなかった。連絡先を交換しようと言われたときも断った。


それにファムも言っていた。ここに集められたのは皆悪いことをして集められたのだと。


なら奈都もそうではないのか。奈都が本当に正しい魔法少女で、なんの裏もないのなら、奈都はそもそもあの場にいなかった筈だ。


悪いことをして再試験を受けることになった魔法少女が、ただで知識を与えてなんの得がある?


それが正しい魔法少女なら別に違和感はないが、それが間違った魔法少女ならどうだろう。


こう考えるとますます奈都が怪しい。


しかし今は手掛かりも情報も、わかることも少ない。


奈都には注意、と結論付けて、ソファの上で目を閉じた。
289 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/26(木) 22:40:56.93 ID:1Q/i03PvO
ここまで。また明日やります
290 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/26(木) 22:41:54.66 ID:0ZuazpKI0
291 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/03/26(木) 22:42:02.96 ID:6fvg5AiSo
これは話し合いに行くのは失敗だったか…?
292 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/26(木) 22:50:37.79 ID:Nyh2MGkxo
そんなもん死ぬまでわからんよ
293 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/27(金) 22:16:04.92 ID:EGDBv1FAO
明日やるとか言っといてなんだけど今日出来そうにないです……すいません
294 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/27(金) 22:17:46.39 ID:k4UF+26C0
了解

次回楽しみにしています
295 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/03/27(金) 22:24:42.21 ID:5qpLESUPO
未来で待ってる
296 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/27(金) 23:00:37.08 ID:QJ4V+S+F0

待ってる。
けど本編の魔法少女の出番あるかな?直接じゃなくても影だけでも出演欲しいな。
297 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/28(土) 14:22:09.53 ID:To9uDLsaO
追いついた
すげえ、面白いな
クロースの活動の話なんかまさにまほいくの魔法少女って感じでたまらんわ
298 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/28(土) 21:19:12.77 ID:gf7TQQCSO
>>296
一応プロローグの魔法少女がスノーホワイトです

>>297
そう言ってもらえると嬉しいです

今日は11時過ぎた頃に投下だけします
299 :予告通り投下だけ ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/28(土) 23:12:17.19 ID:gf7TQQCSO
トト(1個)
ランランラン(16個)
ウルフハート【retire】(16個)
アルカ=グリード【retire】(0個)
ミニチュアール(16個)
ジェラス(1個)
マーブル【retire】(0個)
DARKNESS娘(1個)
俺島俺子【retire】(0個、端末紛失)
帯 奈都(16個)
桐条飛鳥(1個)
クレイスティア・フォン・アルベローザ(1個)
クルエル(1個)
アナスタシア(16個)
マーファ(2個)
クロース(16個)
300 :予告通り投下だけ ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/28(土) 23:12:57.87 ID:gf7TQQCSO
【トト】


歌井応は迷っていた。


先日の事である。再試験を終えて自宅に帰り、疲労で1日眠りこけた後で奈都からのメールに気づいた。


メールには話し合いの事について書いてあった。勿論話し合いの事については賛成である。行きたいとも強く思っている。それに、これからのテストの事を考えると不安な気持ちが込み上げてくる。


また昨日のテストみたいに、主催者の殺意に満ちたテストだったらと思うと、恐怖で背筋が凍えた。


それに、相談したいことが1つあった。前回のテストでは色々とあって結局言えなかったのだが、やはり話しておきたかった。
301 :予告通り投下だけ ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/28(土) 23:14:21.88 ID:gf7TQQCSO
しかし、少々場所が離れている。応が住む町の、2つ隣にある町だ。


応は今年進学したばかりの中学一年生。両親が過保護なのもあり、応の行動はかなり制限されている。


集合時間は一応学校が終わった後だが、そんな時間にカラオケ店に行きたいと両親に言っても許可してくれないだろう。


それどころか何かあったのかしつこく追及してくる可能性もある。魔法少女の事がバレるのはどうしても避けたい。


行くなら必然的に親に内緒にしていく事になる。が、そうは言っても親に隠し事や嘘などしたことがない。上手くいくかどうかは分からなかった。


それに、人目の問題もある。見られたら通報されてもおかしくない。魔法少女が警察に追われるなど笑い話にもならない。


一応ルートがない訳ではない。路上ではなく建物の上を伝って移動するのだ。それでも気づかれることはあるだろうが、路上を爆走するよりはよっぽど目立たないだろう。
302 :予告通り投下だけ ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/28(土) 23:14:52.29 ID:gf7TQQCSO
問題があるとすれば応は高いところが苦手という所だろう。四階以上の高さだとどうしても足がすくむ。それが魔法少女の時でもだ。建物の上を跳び、駆ける自分の姿を想像して、早くも足が震えてきた。テストの不安も手伝ってさらに恐怖は増していく。


「……」


しかし、それでもやっぱり行かなければならない。親がどうとか、高いところが嫌だとか、言ってる場合ではないのだ。


おもむろにトトに変身する。トトは鏡の前にたつと、静かに自分へのエールをかけた。


トトの魔法は応援による強化だ。身体能力の向上の他、精神が安定し心を落ち着ける効力もある。自分への応援は他人への応援ほど効力がないが、それでも少しは落ち着けた。


「よしっ!」


頬をぴしゃりと張り、自らを奮い立たせる。


高いところがなんだ、親がなんだ。応はもう中学生で、立派な魔法少女の一人なのだ。そんなことで怖じけずいてはいけない。ただ仲間と話をしてくるだけなのだ。恐れる事はない。


大声でそう言うと、母がすっ飛んできて何が起きていたのか詰問されそうになったが、なんとか誤魔化した。
303 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/28(土) 23:15:33.16 ID:gf7TQQCSO
翌日。


その日は授業の内容もほとんど頭に入らなかった。昨日は魔法のお陰で精神が安定したことでぐっすり眠れたが、起きた時には既に魔法が切れていた。


休み時間のときもう一度使おうとも思ったが、あまり頼りすぎるのも良くないと思いとどまった。


教師に指された時も返事が遅れ、友達からはいつもよりボーッとしてると言われる始末。


しかし、なんとか乗りきれた。
304 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/28(土) 23:16:22.04 ID:gf7TQQCSO
そして放課後。


いつも一緒に下校する友達には先に帰るよう言っておいた。両親には、今日は友達の家に泊まると言っておいた。


幼い頃からよく一緒に行動する親友の名前を出しておいたので、特に怪しまれる事もなくのりきれた。


トイレに隠れて時間を待ち、タイミングを見計らって出てくると丁度五時だった。


春先とはいえまだまだ肌寒い。コートを羽織り、マフラーをまいて学校を出た。


誰にも見られないよう注意して学校から出て、町のデパートに向かう。その屋上がスタート地点だ。


誰もいないことを確認し、助走を付けて、隣のビルの屋上へ飛ぶ。


トトは魔法少女の中で比べれば弱い方だか、それでも人間とは比べられないほどの身体能力がある。後は気持ちの問題であった。


下は見ない、下は見ない、そう考えている内に隣のビルに着地。しかしバランスを崩して転んでしまった。落ちはしなかったが。


なんだ、簡単じゃない。よろよろと立ち上がり、次のビルの屋上を見据える。
305 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/28(土) 23:17:05.77 ID:gf7TQQCSO
よし、いこう。トトは改めて気を引き締めた。


しかし、飛んでいく内に新たな問題が発生した。ビル群を抜けて住宅街に入ってしまったのだ。


遠回りすればまたビル郡に入れるが、そうした場合カラオケ店に間に合うか分からない。かといって住宅街を走れば人目につく。


と、ここでトトは妙案を思い付く。そっと載っている建物から降り、建物の陰に隠れて変身を解く。


更に着替えができる場所を探した。公園にがあったので、そこのトイレを使わせてもらう事にする。


公園のトイレと言えば汚いイメージがつくが、この公園は小まめに掃除されてるらしく、清潔さに満ちていた。
306 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/28(土) 23:17:31.58 ID:gf7TQQCSO
まず羽織っていたコートを脱ぎ、便座の蓋の上に置く。少し汚い気もするが、我慢する。マフラーも外してコートの上に置いた。


そこまでやった後トトに変身。衣服を着たまま変身すれば衣服も魔法少女が着ているコスチュームに変わってしまうが、予め脱いで置いとけば消えることはない。


再びコートを羽織りマフラーを巻く。自画自賛するようで変な気分だが、トトはかなりの美少女だ。トトだけでなく魔法少女は全員美少女なのだが、それでも見た目麗しい事にはかわりない。マフラーは少しでも顔を隠せるようにするために。コートはお姫様風のド派手なコスチュームを隠すためだ。


トイレから出て周囲を確認。誰も見てないと知るとさっさとトイレから出ていく。


今度は住宅街を走る事になるが、なるべく家々の影を走るように努める。


そしてそうすること数十分。ついに街を抜けて目的地の街にたどり着いた。待ち合わせ場所につく前に一度変身を解いておき、コートを予め脱いでおくのを忘れてたせいで少し寒い思いをしながらカラオケ店に直行。


店員に話しかけ、指定されていた十番室へ。再び周囲に注意を払いながら変身し、薄くドアを開けた。


「失礼します……」


小声で挨拶しながら入ると、中には奈都がいた。


奈都は入室してきたトトに笑顔を向け、本日はご足労有り難うございます、といった。
307 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/28(土) 23:18:11.20 ID:gf7TQQCSO
【桐条飛鳥】


魔法少女の外見は本人の能力や性質と無関係ではない。例えば騎士がモチーフなら剣術を得意とし、狼がモチーフなら鼻が聴くなど、五感が優れる。


忍者がモチーフの桐条飛鳥は隠密能力に長けている。


コートを羽織って顔を隠し、こそこそと動く魔法少女を尾行するのくらい簡単にできる。


閑静な住宅街を動く魔法少女の影を見たのは今から数分前。顔を隠していたが、それでもトトだと解った。


トトとはあのテストで初めて対面した。同じ街に住んでいたのなら一度くらい顔を会わせていても不思議ではない。


しかしこれまでトトと飛鳥は会ったことがなかったから、きっと飛鳥とは別の町に住んでいるのだろう。
308 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/28(土) 23:18:38.66 ID:gf7TQQCSO
そんなトトが何の用でこの町に?


気になって変身し、後をつけている所だ。


追っている内に、飛鳥の住む町を抜けて隣町のカラオケボックスに変身を一度解いて入っていった。


「……カラオケか」


友達と歌うために来たのではないだろう。それなら友達と一緒に来ればいいし、あそこまでコソコソする必要はない。


何かきな臭いモノを感じていると、直後にミニチュアールが入店していった。
309 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/28(土) 23:19:04.51 ID:gf7TQQCSO
それを見て、飛鳥は店内に侵入していく。


表口から、こそこそと店員に見つからないよう入る。勿論監視カメラに映るのうな愚は犯さない。


ドアプレートに「10」と書かれた部屋にミニチュアールが入っていくのを見て、飛鳥はその隣の11番室に入った。


入るとすぐさま壁に耳を当てる。カラオケボックスの部屋とは大抵の場合防音加工がなされてる物だが、魔法少女の聴力にかかれば声が聞こえなくもないのだ。


隣の部屋からは、トトとミニチュアールの他に、奈都の声が聞こえた。


どうやらこれからの事について話し合うらしい。他の魔法少女も来るそうだ。


これは丁度いい。魔法少女の動向や、奈都の事も聞ける。


飛鳥はひそかにほくそ笑み、盗聴を続けるのだった。
310 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/28(土) 23:19:30.43 ID:gf7TQQCSO
今日はここまで
311 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/28(土) 23:22:50.86 ID:edi9cWSUo
312 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/28(土) 23:25:19.15 ID:k+0V1EaT0
313 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/28(土) 23:35:06.62 ID:To9uDLsaO

次も楽しみに待ってる
314 : ◆8XBv688BM7pK [sage]:2015/03/29(日) 22:17:33.21 ID:wRBbpRyOO
本日も投下だけやります
315 : ◆8XBv688BM7pK [sage]:2015/03/29(日) 22:18:23.35 ID:wRBbpRyOO
トト(1個)
ランランラン(16個)
ウルフハート【retire】(16個)
アルカ=グリード【retire】(0個)
ミニチュアール(16個)
ジェラス(1個)
マーブル【retire】(0個)
DARKNESS娘(1個)
俺島俺子【retire】(0個、端末紛失)
帯 奈都(16個)
桐条飛鳥(1個)
クレイスティア・フォン・アルベローザ(1個)
クルエル(1個)
アナスタシア(16個)
マーファ(2個)
クロース(16個)
316 : ◆8XBv688BM7pK [sage]:2015/03/29(日) 22:19:06.88 ID:wRBbpRyOO
【クロース】

心の住む町は広くもなく狭くもない。コンビニくらいならあるし、小さい本屋もある。図書館だってある。


しかし娯楽が圧倒的に少ない。心やその友人達には読書の習慣もない。


どこか遊びに行こうとなると、必然的に別の町まで出ることになる。


心がこれから向かう場所は、心もよく利用しているカラオケ店だ。


昨日来たメールに添付されていた地図を改めて見てみると、偶然にも心がよく利用しているカラオケ店だった事に驚いた。しかし、よく知っている場所であった事で少なからず緊張も解れた。
317 : ◆8XBv688BM7pK [sage]:2015/03/29(日) 22:19:47.99 ID:wRBbpRyOO
今日は月曜日で学校もあったが、集合時間は丁度学校が終わる時間帯だったので、そのまま向かう。


改札を通り、ホームに入ると丁度電車が来た。乗車率は低く、かなり席が空いていた。


適当な席に座り、電車の窓から外の景色を眺める。


魔法少女の脚力でならもっと早く走れるが、敢えて電車を使うことにした。なんとなく今は魔法少女になりたくない。それに夕暮れとはいえ、少女が電車より早く動く様を目撃されるのは不味い。この上なく目立つ。


数分で駅に到着する。駅から出ると見知った光景が目に写った。


よく友達と来る町だ。道程もちゃんと知っている。
318 : ◆8XBv688BM7pK [sage]:2015/03/29(日) 22:21:59.27 ID:wRBbpRyOO
まっすぐ寄り道せずに歩く。駅から十分ほどの距離にあるカラオケ店はくすんだ自動ドアや所々染みのある壁に年期を感じる。


入店し、待ち合わせ場所の部屋のドアを開けると、中には魔法少女が5人いた。クロースも合わせれば6人である。


「あ、クロースさん」


室内で扉の近くに座っていた奈都が頭を下げる。こちらも軽く頭を下げて入室した。想像に反して室内は中々楽しそうな雰囲気であった。


奈都が寄ってくれたのでそこに座らせてもらう。
319 : ◆8XBv688BM7pK [sage]:2015/03/29(日) 22:23:11.88 ID:wRBbpRyOO
「……随分緊張感が薄いですね」


想像したものと随分違っていたので、思わず質問した。


「濃ければ良いというモノでもありませんから。堅苦しい雰囲気で話し合いを始めるのもどうかと思いましてね。皆で交流を深めた後でなら良い意見も出ると」


それに、と続ける。


「どうもわたくしの事で気を使わせてしまうようで……」


思い出した。奈都は先日のテストで従来の仲間二人を失っているのだ。ならなおさら無神経なのでは無いかと思ったが、どうやら違うらしい。


「マーブルや俺子の事は残念でしたが……それで回りまで気に病む事はありません」


実際集まった頃はもっと雰囲気が沈んでいたそうである。


「これからの事も、皆で協力してかなければなりません。それに、俺子とマーブルの命を奪った償いは私の手で必ずとらせます。ですから、皆さんは気にしないで笑っていて欲しい」


なるほど。この和やかさは奈都が考えてやっているのか。
320 : ◆8XBv688BM7pK [sage]:2015/03/29(日) 22:23:46.30 ID:wRBbpRyOO
納得すると同時に奈都は強い魔法少女だと、クロースは思った。仲間の死を乗り越え、周囲の士気を高める。と同時に交流を深めさせていこうと言うわけだ。


奈都はクロースと違い、間違いなく善良な魔法少女だと思った。


しかし、何故だろう。今一つ引っ掛かりを覚える。それが何か、クロースには解らなかった。
321 : ◆8XBv688BM7pK [sage]:2015/03/29(日) 22:26:22.22 ID:wRBbpRyOO
室内では日曜朝に放映されていた魔法少女アニメ「マジカルデイジー」のOPテーマが流れていた。熱唱しているのはDARKNESS娘とクレイスティアだ。


DARKNESS娘はともかくクレイスティアは日本語のアニソンを歌えるのかと思ったが、一応歌えていたようである。


彼女たちが歌う横で座るランランランは合いの手を入れている。あまり自己主張をしないトトもノリノリであった。二人ともファンなのだろうか。


逆に興味がなさそうなのがミニチュアールとマーファだ。ミニチュアールは先程から喋りもせず、奈都の横で小さくなりながらオレンジジュースをちびちびと飲んでいた。


いや、興味がないというより歌いたくても歌えない、という感じであった。


その証拠に、楽しそうに歌うマーファとDARKNESS娘をチラチラと見ていた。ただ単にみんなの前で歌うのが恥ずかしいのかもしれない。
322 : ◆8XBv688BM7pK [sage]:2015/03/29(日) 22:27:45.41 ID:wRBbpRyOO
マーファと言えば少々鬱陶しそうに眉根をよせていた。この手の作品が好きじゃないのかもしれない。


少女が魔法少女になる理由の多くは「魔法少女が好きだから」と聞くが、マーファはそうでないのか。


それとも、話し合いに来てみたら魔法少女二人がノリノリで歌っているのを見て腹を立てたのか。クロースももっと緊張感に溢れたものを想像していたのだが、蓋を開けてみればこの様子だ。緊張感の欠片もない。


マーファだってこの和やかさは奈都の作戦である事は知っているだろうが、それでも不機嫌そうであった。


「真面目にやれ」と言いたいのかもしれない。
323 : ◆8XBv688BM7pK [sage]:2015/03/29(日) 22:29:20.51 ID:wRBbpRyOO
クロースはといえば、どちらかと言えば興味がない。


というかマジカルデイジーという作品自体が好きじゃなかった。


マジカルデイジーは魔法少女モノとは思えないリアルな路線で人気をはくした作品だ。魔王が何だとか悪秘密結社がどうだとか、そういう話は出てこない。これを見ていたクロースは当事10才。


その頃のクロースは「魔法少女はマジカルな存在でなければならず、そこにリアルな存在を介入させてはならない」と、一丁前に持論を建てていた。


まぁ実際には麻薬取引だのが絡むリアルな話に幼い頭がついていけなかっただけなのだが。
324 : ◆8XBv688BM7pK [sage]:2015/03/29(日) 22:29:55.36 ID:wRBbpRyOO
OPテーマが止まり、歌いきった二人には拍手が送られた。


一応クロースも拍手する。実際二人のデュエットは中々うまかった。


「よしっ、次はEDテーマっす!」


「ドンと行くデース!」


「あ、私も、その、ちょっと歌いたいなって」


「待ってよ皆。ほら、クロースが来たよ」


ランランランに言われて今頃気づいたのか、DARKNESS娘とクレイスティアもこちらに挨拶をする。

325 : ◆8XBv688BM7pK [sage]:2015/03/29(日) 22:30:29.88 ID:wRBbpRyOO
「オー…ワタシとした事がうっかりしてマシタ」


「気にすることないっスよクレイスティアさん。次に気を付ければ良いんッス」


と、ここでマイクをズイっと押し付けてくるクレイスティア。


「ユーも歌いたいんダネ?!」


「え?」


困惑するクロース。別に歌いたい訳ではない。話し合いがしたいのだ。


「さぁ盛り上がるっス!トト、どうぞッス」


「あ、ありがとうございます」


マイクを手渡されて立つトト。いつの間にか歌う流れになっている。


こうしてクロースは好きでもないアニメのエンディングテーマを歌う羽目になったのであった。


しかし、つまらなくはないな、と満更でもなかった。
326 : ◆8XBv688BM7pK [sage]:2015/03/29(日) 22:30:56.02 ID:wRBbpRyOO
短いけどここまで。明日やれたらやります
327 : ◆8XBv688BM7pK [sage]:2015/03/29(日) 22:31:33.96 ID:wRBbpRyOO
>>321
訂正


室内では日曜朝に放映されていた魔法少女アニメ「マジカルデイジー」のOPテーマが流れていた。熱唱しているのはDARKNESS娘とクレイスティアだ。


DARKNESS娘はともかくクレイスティアは日本語のアニソンを歌えるのかと思ったが、一応歌えていたようである。


彼女たちが歌う横で座るランランランは合いの手を入れている。あまり自己主張をしないトトもノリノリであった。二人ともファンなのだろうか。


逆に興味がなさそうなのがミニチュアールとマーファだ。ミニチュアールは先程から喋りもせず、奈都の横で小さくなりながらオレンジジュースをちびちびと飲んでいた。


いや、興味がないというより歌いたくても歌えない、という感じであった。


その証拠に、楽しそうに歌うクレイスティアとDARKNESS娘をチラチラと見ていた。ただ単にみんなの前で歌うのが恥ずかしいのかもしれない。
328 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/29(日) 22:34:31.64 ID:wRBbpRyOO
ずっとsageたままだったのに今気づいた……
329 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/29(日) 22:40:58.16 ID:/q7Nnu+No


このスレ最近の楽しみになってるよ
330 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/29(日) 22:42:40.52 ID:5ShcMLaj0


そういえば設定としては時間は本編の無印あたり?
331 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/29(日) 23:03:08.80 ID:BRJ5wMSNo


本編読み返したくなってきた
332 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/29(日) 23:05:37.09 ID:00eJw+fAO
確かに
白雪さんか修羅雪さんかどっちだろ?
333 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/29(日) 23:09:02.01 ID:wRBbpRyOO
>>330
>>332
一応無印終了後restart開始前です
334 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/30(月) 21:10:17.12 ID:2DfWNl1iO
投下は明日します
335 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/30(月) 22:34:46.96 ID:Z3Ksv3cR0
了解
336 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/31(火) 21:49:44.98 ID:W6SiwES1O
そろそろ投下。安価取るとこまでやります
337 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/31(火) 21:52:26.83 ID:W6SiwES1O
トト(1個)
ランランラン(16個)
ウルフハート【retire】(16個)
アルカ=グリード【retire】(0個)
ミニチュアール(16個)
ジェラス(1個)
マーブル【retire】(0個)
DARKNESS娘(1個)
俺島俺子【retire】(0個、端末紛失)
帯 奈都(16個)
桐条飛鳥(1個)
クレイスティア・フォン・アルベローザ(1個)
クルエル(1個)
アナスタシア(16個)
マーファ(2個)
クロース(16個)
338 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/31(火) 21:53:05.44 ID:W6SiwES1O
【クロース】


交流会はマジカルデイジーのEDからキューティーヒーラーのOPとEDを歌い、そろそろ六時を回ろうかというところでお開きになった。


交流会が終われば今度は話し合いの始まりだ。クロースも忘れかけてたが、本日はこちらがメインである。


「みなさん、本日は会合に参加していただき、ありがとうございます。進行は私、帯奈都が勤めさせていただきます」


先程とは打って変わって皆大人しい。しかし、そこに張り積めた空気は無かった。


この場にいないジェラスは私用のため欠席、アナスタシアと飛鳥はそもそも連絡先を教えてくれなかったそうだ。
339 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/31(火) 21:53:35.94 ID:W6SiwES1O
「では……まず、今起きている事の整理から始めましょう」


「悪いことして、みんなが集められて、で、再試験してる」


「でも主催者であるファムのマスターは参加者を殺す気満々」


ランランランとマーファだ。大まかに纏めると大体そんな感じだ。


「あと、参加者の中に……殺人鬼が混じってる」


おずおずとクロースも口にした。
340 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/31(火) 21:54:05.68 ID:W6SiwES1O
「……マーブルと俺子ね」


「俺子はともかくマーブルはアナスタシアのせいで木端微塵にされちゃったから……」


せめて死体の状態を見ることが出来れば手懸かりになっただろう。体を斬られた、とか首を絞められた、とか。


「マーブルさんも皮を……あー……盗まれた、のかな?」


「取られた」といいたいのか。辞典を片手にクレイスティアは言った。試験中や歌った直後は持っていなかった。日本語がまだまだ怪しいから使えるときにはなるべく辞書で調べるようにしているのかもしれない。


「そこも含めて解んないから厄介よねぇ」


「……俺子ってどうやって殺されたんだと思う?」
341 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/31(火) 21:54:34.38 ID:W6SiwES1O
ランランランが言った。


「どうって……その、皮を剥がされて、死んだんじゃ……ないんッスカ?」


「そうだね。でもそれが直接の死因って訳でもないんじゃない?」


「どういうこと?」


「殺してから皮を剥がしたっていいたい訳?」


「うん」


「それは無いでしょう」


否定したのは奈都だ。
342 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/31(火) 21:55:09.19 ID:W6SiwES1O
「皮だけ持ちさった後の遺体に傷はありませんでした」


「そうなの?」


「はい」


「なら……どういう事なんだろ?」


「魔法でしょう?」


そんな皮だけピンポイントで狙う魔法があると言うのか。ありそうだ。魔法少女の魔法の中には使いどころの解らない微妙な魔法がある。


「ならその魔法を使うのは誰かって事よね」


「私たちは、お互いの魔法を知ってるし……」


一同の目線がクロースを向いた。
343 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/31(火) 21:55:46.61 ID:W6SiwES1O
「そういえば、あんたの魔法が何かまだ私たちは知らないわね」


そういえばそうだった。一緒に行動せず、試験が終わった後に再開したので、クロースは皆に自分の魔法を教えていない。


「クロースさん。あなたの魔法、見せてもらえませんか?」


しかし、手の内を晒すのは少々躊躇いがあった。


クロースの魔法の弱点を知られるのは躊躇される。無敵になれる時間は30秒、さらに使ったあとは二時間魔法が使えない。もしかしたら自分の魔法は結構ショボいんじゃないかと思えるくらい縛りがキツい。


それに、殺人鬼がここにいる可能性もある。


俺子とマーブルを殺した二人。それは一緒に歌を歌ったトトなのかもしれないし、陽気なクレイスティアやDARKNESS娘かもしれない。


マーファや、奈都の横で小さくなっているミニチュアールである可能性も十分にある。
344 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/31(火) 21:56:45.30 ID:W6SiwES1O
いや、もしかしたら奈都がマーブルと俺子を殺した張本人なのかもしれない。


奈都が殺人鬼で、自らを容疑の外から出すためにリーダー役を買い、悲劇のヒロインを演じているのではないか?


しかし、彼女達は一緒にチームに別れて行動してたそうだからアリバイがあるはず。奈都を犯人だと思うのは早計か。


いや、もし殺人鬼が単独犯ではなく複数犯なら、アリバイは簡単に作れる。皮を剥がす作業も楽だろうし、大勢でかかればより俺子を殺害するのが簡単になるだろう。


クロースはそう思い始めた。そう考えると、奈都だけでなく、ここにいる皆が怪しく思えてくる。ますます手の内を晒すのは躊躇われた。


それにしても、あれだけ楽しく歌った後で、しかも悪くないと思いながらも疑いを捨てられない自分に少し失望した。先程まで楽しんでいた、 回りもだ。それなのに自分は疑っている。


それでもやっぱり信じきれない。
345 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/31(火) 21:57:12.31 ID:W6SiwES1O
「どうかなさいました?」


奈都が答えを急かしてくる。奈都も疑っているわけではない。ただ確かめようとしてるだけなんだろう。


そこにも裏がありそうだと思うクロースはますます自己嫌悪が募る。


勿論、クロースではない。そこは堂々としていればいい。


そうだ、魔法の特性を一部伏せるのはどうだろう。好きなときに好きなだけ無敵になれると言えば、弱点を伏せられる上に相手も簡単には手を出してこなくなる。


打算が生んだ結果だった。疑ってこの上嘘まで吐こうとしてる。


交流会がなければきっと迷わず嘘を吐いていただろう。クロースはここにいる皆に愛着を持ちつつあった。


どうする?
1 嘘を吐く
2 正直に話す代わりに他の魔法少女の魔法を教えてもらう
346 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/31(火) 21:59:57.17 ID:Oybk4zrc0
2
347 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/03/31(火) 22:02:37.61 ID:W6SiwES1O
今日はここまで

明日から仕事なので、更新頻度が下がるかもしれませんがエタらせる事はしません
348 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/03/31(火) 22:06:57.42 ID:BrlUj/lIO
349 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/03/31(火) 22:21:40.37 ID:+RdtJrBeo
乙楽しみに待っとく
350 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/04/04(土) 22:58:38.56 ID:VU1sP0BUO
出来れば明日やります。できなかったら月曜日の夜くらいに投下だけ
351 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/04(土) 23:02:21.96 ID:4e0vBqgN0
了解、待っています
352 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/04/05(日) 22:07:07.58 ID:iNbSK2XGO
明日の10時頃投下します。遅筆ぶりがこれから加速してくかもですが見守っててもらえるとありがたいです
353 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/05(日) 22:22:20.97 ID:SS/3WKsAO
了解
自分のペースで頑張ってけれ。
楽しみにしとく。
354 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/04/06(月) 22:21:14.05 ID:qr3z2I/RO
では投下します
355 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/04/06(月) 22:21:40.74 ID:qr3z2I/RO
トト(1個)
ランランラン(16個)
ウルフハート【retire】(16個)
アルカ=グリード【retire】(0個)
ミニチュアール(16個)
ジェラス(1個)
マーブル【retire】(0個)
DARKNESS娘(1個)
俺島俺子【retire】(0個、端末紛失)
帯 奈都(16個)
桐条飛鳥(1個)
クレイスティア・フォン・アルベローザ(1個)
クルエル(1個)
アナスタシア(16個)
マーファ(2個)
クロース(16個)
356 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/04/06(月) 22:22:48.62 ID:qr3z2I/RO
「……私の魔法は、好きなタイミングで無敵になれる魔法だよ」


おぉ、と周りから感嘆の声が上がった。


「でも弱点がある。30秒経ったら魔法が解ける上に連続使用できない」


実際にやってみせた。虹色の光がクロースを包み、そして30秒で消えた。


「これでもう二時間魔法は使えない」


結局嘘は吐けなかった。後ろめたさが強くなったからだ。


「なるほど……ありがとうございます」


「代わりといっちゃ何だけど、みんなの魔法も見せてよ。皆は互いの魔法を知ってるだろうけど、私は一部の人しかしらない」


クロースの要望はあっさり通った。
357 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/04/06(月) 22:25:53.32 ID:qr3z2I/RO
各々が自慢げに魔法を紹介していく。


トト、マーファ、そして隠れて覗き見たミニチュアールの魔法は既に知っているが、他の四人は魔法を知らなかったので丁度よかった。


まずやたらとテンションの高いDARKNESS娘から教えてくれた。


彼女は暗闇に空間を作って物をしまえる魔法を持つそうだ。実際にテーブルの下の影でやって見せてくれた。


テーブルの影にコップを置くと、そのまま闇の中へと沈んでいく。なんとなく怖い魔法だとクロースは思った。


「ま、戦闘系じゃなくてサポート系なのが惜しいっすねー……」


闇の中からコップを取り出しながら自嘲気味にいった。


DARKNESS娘はどうやら前線で戦いたいらしい。小声で小さく「折角技名考えたのに」と言っているのが聞こえた。
358 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/04/06(月) 22:26:55.22 ID:qr3z2I/RO
仕舞えるのは生き物でも良いらしい。


中は真っ暗で何も見えないがDARKNESS娘は中に何があるか、中に誰がいるかなどが分かるそうだ。ただし、物をしまえる量は有限で、テーブルの下の影だと最大で人一人を隠すのが限度だそうだ。


しかし、それは暗闇の規模が大きければ大きいほど仕舞える量が増えるという事でもある。真っ暗な夜なら地面を全部落とし穴にしたり出来るそうだ。


まぁあの夜はスポットライトでほぼ全ての場所が照らされていたから出来なかっただろうが。
359 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/04/06(月) 22:29:54.27 ID:qr3z2I/RO
クレイスティアは何でも仕舞える魔法のクローゼットを召喚できる魔法だ。


「ちょっとDARKNESS娘の魔法と被ってマスケド……それデモ盾に使ったり武器を自由に取り出せたり使い道は多いデス!」


DARKNESS娘の魔法は隠せる物の大きさや量を増やせるが、クレイスティアの魔法はそういう事もない。


しかし、その代わり運搬に利用できる利点がある。 入れられる物はクローゼットに入れる程度の大きさなら何でも入れられ、さらに量は無限だ。


クレイスティアはクローゼットの中に武器を入れていた。警棒、スタンガン、目潰しのスプレーなどである。魔法少女相手なら意味がないだろうが、普通の人間を相手にするには十分だろう。


他には魔法の国製のアイテムがいくつかあるらしい。が、こちらは秘密との事だった。
360 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/04/06(月) 22:32:11.46 ID:qr3z2I/RO
「私の魔法はこれです」


懐から銀時計を出した奈都。アイテム系の魔法らしい。ぐねぐねと波打った時針と分針が重なりあって6時30分を示していた。普通の時計としても使えるらしい。


「簡単に言えば時間を止められます。強力にも見えますが、多くの制約があり使い勝手が悪い魔法です」


止められる時間は五分まで。それ以上止めようとすれば時計が壊れるそうだ。一回壊した事があるのだろうか。ならどうやって直したのだろう。


最後にランランランの魔法を教えてもらう。


その後で、やはりクロースの無敵になれる魔法は使い勝手が悪いと思った。効力と縛りがあまりに釣り合っていない。


「さて、話を戻しましょう。人殺しが誰か、という話でしたね」


しかし、答えはもう出たような物である。
361 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/04/06(月) 22:33:12.68 ID:qr3z2I/RO
「あの死神風の魔法少女ね」


この場にいる全員が既に各々の魔法を知っており、その特性で皮を剥ぎ取る事はできないと考えている。この場にいないアナスタシアは死体を操る魔法。飛鳥は、奈都によると雷を操る魔法だそうだ。


こうなると使う魔法が解らないのは死神の魔法だけだ。


後解らないのはマーブルの事だけだ。マーブルだけは死体すら残らなかったので皮をとられたかどうかさえ解らない。よって、マーブルの件はマーブルの死体を唯一見れたアナスタシアに聞くという事で話が纏まった。彼女が答えてくれるかは解らないが。


「では、次にテストの対策について話し合いましょう」


「いや、ちょっとまってよ」
362 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/04/06(月) 22:33:43.28 ID:qr3z2I/RO
ランランランだ。


「次のテストの内容なんて解んないんだし、やっても無駄じゃない?今回は鬼ごっこだったけど次回も運動系とは限らないし」


「なるほど……それもそうですね」


割りとあっさりランランランの意見を聞き入れた。自分の意思より話し合いを円滑に進めたい思いの表れだろう。


「さて、では次に……」


と、ここで誰かの携帯が鳴った。メールの着信音らしく、無機質な音が響いた。


「あら、私の携帯からです」


失礼、と断ってからスマートフォンを取りだし、そして次の瞬間にカラオケボックスから飛び出して行った。


突然のことに呆然とするクロース達。床に落ちたスマートフォンにはジェラスからのメールが届いていた。文面には短く、一言だけ。


「助けて」
363 : ◆8XBv688BM7pK [saga]:2015/04/06(月) 22:34:10.17 ID:qr3z2I/RO
今日はここまで。また投下するときにはアナウンスしますので
364 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/06(月) 22:35:15.90 ID:mRdC6fdN0
365 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/04/06(月) 22:46:28.50 ID:7E6MdGXfo
乙乙
366 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/07(火) 23:06:54.15 ID:DMx1k0220
乙!
367 :マスコットキャラのリリ [saga]:2015/04/12(日) 21:46:49.27 ID:6m93r2OxO
明後日の10時以降に投下予定です
368 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/04/12(日) 21:48:16.27 ID:6m93r2OxO
あ、やっちまった。新しい酉はこっちです
369 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/04/14(火) 21:46:11.88 ID:4KD5syTpO
ちょっと早めだけど投下だけ
370 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/04/14(火) 21:46:37.20 ID:4KD5syTpO
トト(1個)
ランランラン(16個)
ウルフハート【retire】(16個)
アルカ=グリード【retire】(0個)
ミニチュアール(16個)
ジェラス(1個)
マーブル【retire】(0個)
DARKNESS娘(1個)
俺島俺子【retire】(0個、端末紛失)
帯 奈都(16個)
桐条飛鳥(1個)
クレイスティア・フォン・アルベローザ(1個)
クルエル(1個)
アナスタシア(16個)
マーファ(2個)
クロース(16個)
371 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/04/14(火) 21:47:19.34 ID:4KD5syTpO
【ジェラス】

絶対絶命とはこういう状況を指すのだろう。ジェラスは森林の大樹を背にそう思った。


「かくれんぼかなー?私が鬼なの?それともジェラスちゃん?」


森を徘徊するクルエルがジェラスを探してさ迷い歩く。


ふざけた声音で砕けた口調で話す様が、ジェラスには不気味に感じて仕方がなかった。


化け物め、と毒づく。ただし心の中でそっと、だ。死神に気づかれてはまずい。
372 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/04/14(火) 21:49:11.62 ID:4KD5syTpO
ジェラスは共に再試験を受けたライバルである帯奈都の頼みで、奈都の屋敷にいた。


今回行われる会合で、盗み聞きに来る不届き者がいないとも限らない。いればその場で始末するが、もしその曲者が奈都の屋敷までやって来たら、戦闘能力が低い奈都はやられてしまうかもしれない。


そんなときの為に、奈都はジェラスを屋敷に呼び寄せたのだ。


ジェラスは奈都に考えすぎだろうと言った。しかし、どうしてもと言うので、結局断れず引き受けてしまった。自分でもお人好しが過ぎると思っている。


そして奈都の屋敷が襲撃されたのが今から一時間前だ。まだ会合の途中であった筈の時間帯だった。


魔法少女の事情を知っている執事から案内を受け、奈都の自室に待機させてもらい、本を読んで時間を潰していた時に襲撃者はやって来た。怒号や悲鳴、物が壊れる音が一階の方から聞こえた。


奈都の部屋から飛び出し、階段を駆け下りて一階につくと、既に辺りには血の臭いが充満していた。


鼻をおさえ、最早悲鳴しか聞こえない大広間へと赴くと、そこには頭が半分ちぎれかかった執事の亡骸があった。それを踏みつけてニタニタと気持ち悪い笑みを浮かべていたのは、あの死神風の魔法少女だった。
373 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/04/14(火) 21:49:43.72 ID:4KD5syTpO
「あれー?おかしーな、ここは俺子ちゃんのお友だちの家だと思ったんだけどなぁー」


間違えちゃった?と、砕けた態度でジェラスの放つ弾丸を避ける死神。


「……」


死神を睨み付けながら、生き残っていた使用人たちへ逃げるよう言い放つ。逃げていく使用人達には目もくれず、死神はジェラスを見ていた。


死神のコスチュームであるボロボロのコートは反り血に染まり、肉片が付着していた。できれば目を背けたいが、そうもいかない。


その間も、死神はへらへらと笑っている。
374 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/04/14(火) 21:50:09.51 ID:4KD5syTpO
「へへへー、そんな怖い顔で睨まないでよー。折角の可愛い顔が台無しだよ?」


「お前に言われても嬉しくない」


「つれないなー」


ヒヒヒ、と不気味な笑い声を発する死神。背中にゾワゾワと気が走る。


「そーだ、貴女のお名前は何て言うの?あ、人に名前を聞くときは自分から名乗るのがれーぎなんだよね?ごめんごめん。私、クルエル。貴女の名前は?」


右手で自分の胸を指し、左手でジェラスを指差す死神、基クルエル。


「……生憎だが」
375 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/04/14(火) 21:50:52.52 ID:4KD5syTpO
人殺しに名乗る名など無い!そう叫び後ろへ跳躍。弾丸を放ちながら後退し、大広間の壁を突き破り廊下へ出る。クルエルはそれらをものともせず追ってくる。


廊下を突き破り、外へと逃げながら、ジェラスは考えた。なぜクルエルが俺子の名前を知っている?クルエルが俺子と話す機会は無かった筈だ。


あるとすれば一回だけ。俺子が殺された時だろう。ならば俺子を殺したのはクルエルか。


「……チッ」


あのような残虐な方法で殺された俺子を想う。それと、先程殺された使用人達や執事。沸々と込み上げてくるのは恐怖ではなく怒りだった。


「はははは!こんな豆鉄砲いくら撃っても無駄だって!」


解っている。どんなに撃ってもクルエルは弾丸を避け、時には弾き、あるいは受け流して進んでくる。


だから別の手を使うことにしよう。
376 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/04/14(火) 21:52:11.76 ID:4KD5syTpO
銃に変形していた義手を一度元に戻し、直ぐ様別の武器へ。間を置かずに筒上に変形した腕から弾を放った。


「無駄ッ!」


クルエルはきっと先程と変わらない弾丸だと思ったのだろう。しかし、弾は先程のものとは比べ物にならないほど大きい。


それはクルエルの体にぶつかると、そのまま炸裂。辺りに煙が発生した。ジェラスが使ったのは発煙弾だったのだ。


間髪入れずに右手を変形。今度は剣だ。煙の中へ突っ込み、狼狽える影へ向かう。クルエルがこちらに気づくのと同時に、剣がクルエルの体を切り裂いた。


「あ゛あ゛あ゛あ゛ああああああ!!」


獣のような悲鳴。飛び散る鮮血。手応えは大きかった。


バタリと膝をつき、そのまま悲鳴もやんだ。


煙が晴れると、そこには倒れ伏したクルエルがいた。しかし、まだ僅かに息があるようである。


「冥土の土産に教えてやる……私の名前はジェラスだ」


覚えておけ、と剣を振り上げる。と、そこで気づいた。
377 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/04/14(火) 21:52:43.16 ID:4KD5syTpO
「……?」


笑ってる?誰が?


「くっ、くふっ、ふふふ」


クルエルが、だ。


「あはははははははははははははははははははは!!!良いね良いね良いよジェラスちゃん!強くてかっこよくって可愛らしくて!君の皮がますます欲しくなってきたよ!」


倒れた格好から四つん這いの姿勢になり、床を蹴り大きくジャンプ。天井に
達したところで天井を蹴りジェラスの真後ろへ跳ぶ。


「なっ」


しかし、余りの素早さにジェラスにはその一連の行動が視認できなかった。気づいた時には右腕を捕まれていた。


「良いよ良いよ、どんどん抵抗して!そっちの方が殺り甲斐あるし!俺子ちゃんも強かったけどジェラスちゃんも負けてない!」


でも、と掴んだ手に力を込めて、クルエルは続けた。


「こっちも手加減しないから♪」


楽しげなクルエルの台詞と共に、グシャリと音をたててジェラスの義手が握りつぶされた。
378 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/04/14(火) 21:53:09.58 ID:4KD5syTpO
ここまで
379 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/04/14(火) 21:56:44.06 ID:wi+a02DGo
場をかきみだすのにクルエルはうってつけだの
380 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/15(水) 02:22:09.74 ID:lBHCp7kd0
乙!
381 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/21(火) 10:03:15.04 ID:meouyzi+O
明後日か明明後日くらいに投下できると思います
382 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/04/21(火) 10:04:03.60 ID:meouyzi+O
おっと酉忘れ
383 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/21(火) 23:26:35.21 ID:IcAX47F/0
待ってる
384 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/04/24(金) 20:15:01.62 ID:YqETYfu7O
すいません、ちょっと投下できそうにありません。日曜日まで延期させてください
385 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/04/24(金) 20:22:55.33 ID:EWRK4tQKo
待ってる
386 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/24(金) 20:43:50.76 ID:8YhtSpCyo
はよ
387 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/24(金) 21:56:27.28 ID:3NqL0xMI0
了解、待ってるよ
388 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/04/26(日) 22:01:44.99 ID:2Hc51mMWO
今回は終わりの方で選択安価あるけど人はいるかな
389 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/26(日) 22:06:56.98 ID:Mbz5Ruhc0
いるよ
390 :よしやろう ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/04/26(日) 22:09:37.74 ID:2Hc51mMWO
トト(1個)
ランランラン(16個)
ウルフハート【retire】(16個)
アルカ=グリード【retire】(0個)
ミニチュアール(16個)
ジェラス(1個)
マーブル【retire】(0個)
DARKNESS娘(1個)
俺島俺子【retire】(0個、端末紛失)
帯 奈都(16個)
桐条飛鳥(1個)
クレイスティア・フォン・アルベローザ(1個)
クルエル(1個)
アナスタシア(16個)
マーファ(2個)
クロース(16個)
391 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/04/26(日) 22:10:36.11 ID:2Hc51mMWO
ボタボタと義手が接続していた部分は既に止血が終わっていた。クルエルは義手ごと接続部を潰しており、激しい痛みにと出血に見舞われたが、どうにかクルエルから逃げおおせる事が出来た。


あの後、死に物狂いで走り、屋敷を抜け、たどり着いた場所は屋敷からそう遠くない森だった。


大樹の影に一旦身を隠し、急いで袖を破って出血部に強く巻き付けた。止血すると、すぐさま携帯を取り出す。しかし、クルエルの足音が聞こえたので、「助けて」としか打てなかった。


そして現在に至る。
392 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/04/26(日) 22:11:23.53 ID:2Hc51mMWO
クルエルはジェラスを見つけるのに手間取っているようであった。


木々が生い茂る森の中では、流石の魔法少女でも捜索は難しいだろう。手懸かりとなる血も、既に止まってるからこれ以上は追うことも出来ない。


しかし、こちらも下手に動けば見つかる。武器の義手は無く、右腕も無いから戦闘力は大幅に下がる。武器は所持してない上、利き手じゃない左手と身体能力だけでクルエルを撃退出来るとは到底思えなかった。


しかし、クルエルを倒す手が無い訳でもなかった。
393 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/04/26(日) 22:12:07.97 ID:2Hc51mMWO
「はー……まーだっかなーどーこっかなー、ジェーラースーちゃーん」


クルエルはまだジェラスの義手を持っている。ジェラスの魔法は義手の変形だが、義手から切り離された今、魔法は使えない。しかし、クルエルから義手を奪い返せれば、義手を変形させて戦えるようになる。


しかし、それはリスクが圧倒的に高い。先程も考えたが、左腕1つでクルエルに戦いを挑むのは自殺行為。武装無しで人間が猛獣に挑むのと同義だ。


だがクルエルを倒す手はこれしかなかった。あまりにも少ない可能性にすべてをかける事になる。


「ここかなー?……違った。くーやしーぃー」


逃げるのも難しい。戦うのも無理。そうなるとやはり助けが来るのをここで待つことしか出来ない。しかしその助けが来るのだって何時になるか解らない。
394 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/04/26(日) 22:12:39.88 ID:2Hc51mMWO
奈都の屋敷は人気のすくない郊外にひっそりと立っている。これは当主が変わり者で人付き合いを避けた結果だと聞いたが、それが災いして会合場所であるカラオケボックスのある町からかなり離れている。


その間にみつかれば、命を落とす可能性は非常に高い。


悔しくて、思わず唇を噛んだ。クルエルは憎い敵だ。罪無き人や、俺子を殺した張本人。しかし、今の自分ではクルエルを倒すのは難しい。


絶体絶命とはまさにこの事だった。
395 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/04/26(日) 22:13:56.06 ID:2Hc51mMWO
しかし、なんだかんだと思いつつ、心のどこかで楽しんでいる自分もいた。


ジェラスは戦いが大好きだった。ルーツはまだジェラスがジェラスではなく、ただの東雲あいだった頃まで遡る。


初めての戦いは四歳の時、公園で苛められていた少年を助けた時だった。その時から正義感が強く、困ってる人を見過ごせない質だったあいは、その少年を苛めていた三人の少年の前に立ちはだかり、舌ったらずな声で弱いもの苛めはやめろ、と叫んだのを覚えている。


そこからはあいも無我夢中だった。ヘラヘラ笑いながら手を出してきた下っ派に歯を立てて噛みつき、悲鳴を上げた男の横で呆然としているリーダー格の少年を蹴り飛ばし、ぶっ倒れた所で馬乗りになって更に殴打してやった。もう一人の下っ派はその間に逃げてしまったが、関係ない。とにかく殴って殴って殴りまくった。


と、そこで噛みつかれて悲鳴を上げた下っ派が復活し、あいに挑みかかってきた。タックルを諸にくらって、まだ小さいあいの体は簡単に吹っ飛んだ。しかし直ぐに立ち上がれたので、追撃からは免れた。
396 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/04/26(日) 22:14:22.35 ID:2Hc51mMWO
よろよろと立ち上がったリーダー格と、下っ派が二人がかりで襲いかかる。あいはそれに真っ向から立ち向かい、拳を振るい、脚で蹴りつけ、それから更に数分後、その場に立っていたのはあいだった。足元には泣きながら許しを乞う二人の男の子が泥だらけで倒れていた。顔は涙と血でグショグショに汚れて、これを自分がやったのだと思うと、奇妙な嬉しさに包まれたものだった。


しかし、その嬉しさは数時間後には消えてしまった。この大喧嘩を聞き付けた両親から説教をくらい、挙げ句外出禁止令が出されてしまったからである。


あいは反省した。親からは、散々「人様の子を傷つけてはならない」と言われ、一旦はそれに従う事にした。


しかし、戦いが楽しかったのは事実だった。またあの高揚感を味わいたい、他人の体を殴りたい、蹴りたい、反撃したり、反撃されたい。その欲求は時が経つにつれて大きくなっていった。
397 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/04/26(日) 22:15:09.65 ID:2Hc51mMWO
しかし、あの日以来監視の強くなった親から隠れて戦うのは難しい。門限も中学生になった今でも夜6時で固定されているから、戦いの相手を探す暇もない。学校は喧嘩も争いも虐めも無く、極めて平和で、あいのストレスは日に日に強まっていった。


しかし、そんなときに魔法少女育成計画と出会うことが出来た。友人の誘いで始め、ストレス解消の為にやりこんでいたのだが、ある日魔法少女に選ばれ、こうして魔法少女ジェラスになることができた。


魔法少女の活動はあいの想像とは違ったモノだったが、それでも戦いの相手を見つける機会が出来たのが有り難かった。


町民を困らす荒くれ者の不良や、罪なき人々を脅かすヤクザとの戦いは心が踊った。不満があるとすれば、魔法少女の力が強すぎて少々手加減を加えないといけない所か。
398 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/04/26(日) 22:16:52.05 ID:2Hc51mMWO
しかし、時々魔法の国から直々に依頼されて悪い魔法少女の討伐を請け負う事もあった。あの戦いは忘れられない。魔法少女として、始めて全力で戦えた。あのときの興奮は今でも思い出すと胸が震えてくる。


そうだ、あのときの興奮をもう一度味わえる。クルエルは強い。その上残虐で、手加減を知らない。きっとあのときの魔法少女以上に楽しい戦いが出来るはずだ。


だが、その考えはジェラスの心の中の声が押し止めた。自分の最大の武器を失った事を忘れたか、戦いは楽しいがそれは自殺行為だ、助けを待って隠れるべきだ、大体命が惜しくて助けを呼んだんじゃないのかと。


しかし、それを本能が押し返す。こんな機会は滅多にあることではない。魔法少女討伐の依頼もあれ以来無い。これを逃したら次はいつ戦えるか分からない。助けを呼んだのはいざというとき時の保険だ。


クルエルの足音が近づいてきた気がした。ジェラスの気配に気づいたのかもしれない。


どうする?

1 心の声に従う
2 本能に従う
399 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/04/26(日) 22:18:31.85 ID:nuEaP5aao
1
400 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/04/26(日) 22:19:50.86 ID:2Hc51mMWO
今日はここまで
401 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/26(日) 22:21:37.24 ID:Mbz5Ruhc0
402 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/04/26(日) 22:29:13.17 ID:nuEaP5aao
おちゅ
403 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/28(火) 11:46:51.47 ID:9sk1QJIlo
魔法少女育成計画に出会うってどういうことだよ
404 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/28(火) 12:48:33.69 ID:k3OXoIVAO
>>403
ネタ元の魔法少女育成計画に出てくるソーシャルゲームの名前が「魔法少女育成計画」で、そのゲームが魔法少女勧誘の窓口になってる。
405 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/28(火) 14:05:25.26 ID:9sk1QJIlo
>>404
それ無印の試験のみの設定じゃなかったか
406 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/04/28(火) 15:10:04.45 ID:cxs6vTZHO
>>405
この世界観でも魔法少女育成計画を使った試験を導入してる感じです
407 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/28(火) 16:23:52.66 ID:9sk1QJIlo
あぁすまん序盤の方飛ばし飛ばしで読んでたわ
408 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/05/06(水) 08:53:24.09 ID:GYQ+T51tO
日曜日くらいには投下できるかなと
409 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/06(水) 16:56:36.17 ID:RuilgZbu0
期待
410 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/05/10(日) 19:57:38.04 ID:LmbQ7frnO
10時過ぎに投下します
411 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/05/10(日) 22:15:58.93 ID:LmbQ7frnO
いつにも増して短いけど投下
412 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/05/10(日) 22:16:34.70 ID:LmbQ7frnO
トト(1個)
ランランラン(16個)
ウルフハート【retire】(16個)
アルカ=グリード【retire】(0個)
ミニチュアール(16個)
ジェラス(1個)
マーブル【retire】(0個)
DARKNESS娘(1個)
俺島俺子【retire】(0個、端末紛失)
帯 奈都(16個)
桐条飛鳥(1個)
クレイスティア・フォン・アルベローザ(1個)
クルエル(1個)
アナスタシア(16個)
マーファ(2個)
クロース(16個)
413 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/05/10(日) 22:17:16.95 ID:LmbQ7frnO
【帯奈都】

これはどういう事だ。戦いがあっただろうと予測される森を練り歩きながら、ジェラスを探すこと一時間。どこにもジェラスの姿が見当たらない。端末に連絡を入れてみても応答しなかった。


薙ぎ倒された木々、所々に付着した血痕、そして千切れたジェラスの義手は見つかったが、肝心のジェラス本人がどうしても見つからない。


「ジェラスさん!どこに居るのです?」


こうして声を上げたのも何度目か解らない。奈都の声だけが空しく響いた。


もうこの森には居ないのだろうかという考えが奈都の脳裏を掠めた。


そうなると考えられる可能性は二つ。


一つはジェラスが死んでしまったというネガティブな可能性だ。死んでしまえば応答も何も無い。死人は口を利けないのだ。


しかしそれだと死体が無い理由が解らない。襲撃者が持ち去って行ったのか。なら襲撃者はクルエルだろうか。
414 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/05/10(日) 22:17:59.50 ID:LmbQ7frnO
何も襲撃者がクルエルであるとは限らないが、襲撃者は十中八九クルエルだと奈都は予想した。


まず奈都が仲間に率いれたクロース、トト、ランランラン、DARKNESS娘、クレイスティア、マーファ、ミニチュアールにはアリバイがあるので容疑から外せる。


こうなると容疑者は飛鳥とアナスタシア、そしてクルエルの三人まで絞り込める。


飛鳥は電撃を使える魔法少女だ。その性質上魔法を使えば必ず痕跡が残る。この森には雷に当たったと思われる木や草は無かった。


そしてアナスタシアだが、彼女はそもそも本人の戦闘能力が低いため、自発的に他人を襲うことは無いと思われる。


死体を手にいれたかったから襲ったとも考えられるが、それならわざわざジェラスを襲う必要も無い。魔法少女は死ねばどうせ元の人間に戻るのだから、それならその辺の一般人を殺して操る方が手っ取り早い。


このような消去法から、襲撃者はクルエルだと推理できる。魔法少女の皮を狙っていて、ジェラスと渡り合えるのはクルエルぐらいだ。
415 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/05/10(日) 22:18:25.07 ID:LmbQ7frnO
クルエルが襲撃者だと推測できたが、それだと新たな問題が発生する。


クルエルが持ち去るのは殺した者の皮だけだ。皮を剥ぎ取ったなら中身が何処かに落ちている筈だが、それさえ無い。それにそうすれば大量の血が出るはずだ。少量の結婚なら見つかっているが、人間一人分の血液など見掛けていない。


なら殺して死体だけを持ち去ったのだろうか。今回はテストの時とは違い行動が制限されている訳でも無いので、住みかにでも持ち去ってそこでゆっくり皮を剥ぎ取っているのかも知れない。


しかし、ジェラスがまだ生きていて、ここから更に別の場所に逃げおおせた可能性もある。


そうなると今だジェラスは逃走の真っ最中となる。それなら端末に応答がないのも頷けた。


死んでいると決めつけて何もしないより、生きていると信じて捜索を続ける方が良いだろう。


既に日は落ちて暗いが、魔法少女には問題ない。カラオケ店に置いてきてしまった仲間達も呼びつけようと、奈都は端末に手をかけた。
416 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/05/10(日) 22:19:10.79 ID:LmbQ7frnO
ここまで。短い……慣れない仕事で忙しくて書けないの本当どうにかしたい
417 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/10(日) 22:26:25.06 ID:xA17P5qv0
418 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/05/10(日) 22:41:22.65 ID:CfU3ZjZ5o
乙乙
419 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/10(日) 22:53:04.59 ID:345ZOFD/o
おつおつ
420 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/11(月) 07:04:18.35 ID:+rs5cgmAO
乙乙乙
421 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/13(水) 00:11:23.24 ID:d0ml6pyV0
乙!
422 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/05/21(木) 21:15:43.55 ID:s3o6lwESO
生存報告。まだ投下できそうにないです
423 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/05/21(木) 21:18:14.95 ID:FonY4i+Wo
まってる
424 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/06/04(木) 12:25:04.09 ID:NAbM7SvLO
まだ忙しいけど来週の今ぐらいに投下できるかと
425 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/05(金) 01:43:34.54 ID:pVuLWZuoo
まってるよ
426 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/06/11(木) 17:17:44.60 ID:d6dhnzR7O
今日投下できるか少し怪しいけど出来たらやります。出来なかったらまた報告するので
427 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/11(木) 18:34:59.10 ID:Oz4I3seAO
期待
まぁ、まったりとどうぞ。
428 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/06/11(木) 22:15:52.33 ID:zrz3dYs5O
投下は今日できないっぽい

明日は必ずやります
429 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/11(木) 23:19:08.83 ID:DE39jpLt0
了解、待っているよ
430 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/06/12(金) 20:38:58.85 ID:tWO5MWWmO
零時に投下だけします
431 :投下します ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/06/13(土) 00:42:15.69 ID:WQB/Tr+FO
トト(1個)
ランランラン(16個)
ウルフハート【retire】(16個)
アルカ=グリード【retire】(0個)
ミニチュアール(16個)
ジェラス(1個)【missing】
マーブル【retire】(0個)
DARKNESS娘(1個)
俺島俺子【retire】(0個、端末紛失)
帯 奈都(16個)
桐条飛鳥(1個)
クレイスティア・フォン・アルベローザ(1個)
クルエル(1個)【missing】
アナスタシア(16個)
マーファ(2個)
クロース(16個)
432 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/06/13(土) 00:42:49.01 ID:WQB/Tr+FO
前途多難とは今この状況を指すのだろう。少なくともクロースにはこの言葉がぴったりだと思っている。


あの話し合いの途中で突然発信されたジェラスからの救難信号。先に駆けつけた奈都曰く、どこにもジェラスと襲撃者の姿が見えないらしい。


その場の全員が驚き、そして必死に捜索したが、努力も虚しく見つかることはなかった。


残されたのは義手のみで、捜索向けの魔法をもつ者もいなかったのでジェラス捜索の糸口はほぼ閉ざされてしまったと言える。


結局、その日は悲嘆にくれながら一度解散となった。
433 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/06/13(土) 00:43:15.52 ID:WQB/Tr+FO
クロースはまだ奈都の一派に加わると完全に決めた訳ではないのだが、いざというときに頼れる味方が減るのは痛かった。


そして今日。今回のテストも夜に行われる。今回は時刻は同じだが、実地場所が違った。


「寂しい場所だな……」


辺りを見渡すと、最早人間の居住は不可能であろう家々が目に入った。打ち捨てられた建物は雨風にやられてすっかり老朽化している。屋根には穴が開き、外れかかった扉が風に揺られてギィギィ音を建てていた。


雑草は生え邦題でその中を虫が跳ねている。今回のテストはそんな廃村で行われる。


足を踏み入れると人の気配がした。魔法少女のモノに違いない。端末を取りだして開く。メールに添付されていた昔役所として使われていた場所を目指した。集合場所はそこである。


今回は早めに来たので、一番最後に着く事は無いだろう。
434 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/06/13(土) 00:44:14.91 ID:WQB/Tr+FO
「……」


それにしても明るい。前回同様、廃村はライトで照らされていた。


虫のような羽の付いたライトが上空から廃村を余すところなく照らしている。ふよふよと浮かぶライトはなんだか少し不気味であった。魔法の国で作られた製品なのかもしれないが、ブンブンと羽音がうるさい。


視線を空から反らし、端末を開く。メールではかつて役所として使われていた建物を待ち合わせ場所として指定していた。


そこに向かうと、前回の舞台であった廃校同様、その役所だけ電気がついていた。毎回どこから電気を持ってくるのだろうとクロースは不思議に思う。


パッと見は只の日本家屋の様相であった。その辺に建っている家より少し大きい程度の差しかない。これも他の建物と同じくボロボロだった。
435 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/06/13(土) 00:44:45.64 ID:WQB/Tr+FO
引戸に手をかけると、バタンと戸が外れて取れてしまった。


「ちょっと、折角直したのに倒さないでよ!」


音を聞き付けたのか、飛び出しながらそう怒鳴った魔法少女がいた。改造した女学生風の制服を身に纏い、長い黒髪を振り乱してこちらを恨みがましく睨みつけている。


「え、えーと……マーファ、さん?」


何をしてるんです?と問いかけたかった。


右手に箒、左手に塵取りを持ち、長い黒髪を埃から防護するためにつけたのであろう三角巾とエプロンが、普段のコスチュームに追加されていた。


それが顔に出ていたのか、聞くまでもなくマーファは答えてくれた。


「何って、掃除よ掃除。こんな汚い場所に呼びつけて腹立たしいったらありゃしないわ」


そう言いながら再び建物の中へと引っ込んでいく。


役所はやはり普通の民家に少し手を加えただけの物らしかった。外れた引戸の向こうには広い土間が見える。
436 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/06/13(土) 00:45:18.57 ID:WQB/Tr+FO
取り敢えず、引戸を完全にはずして壁に立て掛けて置き、マーファに続いて中に入っていく。


床は思っていたよりずっと綺麗だった。マーファが掃除をしてくれたお陰だろう。土足で上がるのは良くないと思い、靴を脱いでから上がった。しかしいくら綺麗に掃除してあっても床の老朽化までは流石になおせない。歩く度に床がギィギィ鳴った。


土間を上がって廊下を歩き、奥の右手にある部屋からマーファの声が聞こえた。他の魔法少女の声も聞こえる。もう既に何人か集まっているようだ。


「あのーこれどこに置いとけば」


「うわっ、ゴキブリ?!」


「えっ嘘どこどこ?!」


「ダーク、それはCockroachじゃなくてbeetleの雌ネ」


穴だらけの襖の隙間から大広間が見えた。外観は普通の民家だったが、案外広い。一面が畳で、その上を魔法少女達が忙しなく歩いている。


マーファ以外に既に四人の参加者が、いずれも掃除をしていた。マーファにやらされているのか、自主的にやりだしたのかは解らない。


早めに来たのが完全に仇になってしまった。ここにいると自分も掃除の手伝いをさせられそうだと思ったので、こっそりと待避する事にした。


しかし、結局は捕まってしまう。ギィギィなる床を恨めしく思いながら、渋々雑巾掛けを行うクロースであった。
437 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/06/13(土) 00:45:45.45 ID:WQB/Tr+FO
【アナスタシア】


ここは豚小屋か何かだろうか。集合場所の役所を見てそう思った。豚小屋にしては少し大きい気もするが、それにしてもこんな場所に呼びつけるなんて、とアナスタシアは内心腹立たしくてしょうがなかった。


「どいつもこいつも馬鹿にして……」


怒りたっぷりに吐き捨てる。こんな場所一刻も早く立ち去りたかった。


しかしそういうわけにも行かない。このテストはアナスタシアが魔法少女を続けられるかどうかが関わっているのだ。一族復興のため、そして死んだ家族の為なら多少の屈辱には目を瞑らなければ。


外されて床に横たわる戸のすぐ横を通って中に入る。


建物の中は意外と綺麗だった。このアナスタシアが来ると知っていたから、建物の中を綺麗にしておこうと考えたのかもと思うと、少しだけ気分が晴れた。
438 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/06/13(土) 00:46:24.01 ID:WQB/Tr+FO
しかし、ここで妙な事に気づいた。


「この臭いは……?」


建物の中に妙な臭いが漂っていた。既に到着している魔法少女でもこの臭いには気づかないだろう。これはアナスタシアにしか嗅ぎ分けられない臭いである。


「死体の臭いがする……?」


アナスタシアは「死体を操る」という魔法を有する。それ故か、死体の在りかを臭いで察知できる能力を持っていた。


前回のテストで、死んでからそれほど時間の経っていないマーブルの死体を探し当てられたのもこの能力のお陰である。


また、臭いでその死体の状況や種類もある程度知ることが出来る。その気になれば犬や猫の白骨死体の臭いを嗅いで探し当てる事も可能だ。
439 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/06/13(土) 00:47:03.37 ID:WQB/Tr+FO
そして、この臭いから察するに、人間の女性の死体が四体、この建物の内部にあることが解った。それに混ざって動物の死体の臭いが幾つもする。動物の方は臭いが混ざりすぎて解らないが、大量にいるのがわかった。


動物の死体は兎も角、人間の死体が、それも女性の物が四体もあるとは大事である。尊大で世間知らずのアナスタシアでもそのくらいの分別はついた。


しかし、同時にその死体を利用できれば、とも考えた。今回のテストの内容によっては使えるかもしれない。攻撃の盾にしたり、逆に攻撃させたり、使い道は多岐に渡る。


利己心と良心を天秤にかけ、あっさりと利己心が勝った。


臭いのする方向へ向かう。集合場所の部屋の、一つ手前にある階段を上がり、踊り場にたつ。壁から臭いが漂っていた。軽く押してみると、壁が向こう側に倒れて階段が現れた。


どうやら地下があるらしい。


ギシギシ音がなって抜けるんじゃないかと不安になったが、死体の臭いが濃くなってきたのでそちらに集中した。
440 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/06/13(土) 00:48:04.90 ID:WQB/Tr+FO
地下へ下り、廊下を歩く。一番奥にある部屋以外に空間は無いようである。調度魔法少女達の集う大広間の真下に位置する部屋だった。しかし広さはこちらの方が狭い。


引戸に手をかけ、思いきって横に引く。その光景に絶句する。


「……?!」


引戸の向こうはなんと氷室だった。普通の日本家屋、それも廃墟とは無縁の部屋である。


思わず一度引戸を閉じた。目を丸くして、引戸を見つめる。木製の、何の変鉄もない引戸だ。


もう一度開ける。ぶわっと冷気がアナスタシアの体を包んだ。この部屋が氷室なのは揺るぎない事実らしい。


中央には四つの袋があった。そこから人間の死体の臭いがする。しかし、どう考えても大きすぎた。二メートル近くあるそれをみて女性が入っているとは考えられなかったが、臭いは女性の物であった。


更に、周囲には切り刻まれた動物の死体が山ほど置いてあった。


大きなヒグマの死体は兎も角、ライオンや虎の死体はどこから持ってきたのだろう。


更に死体に紛れて剣や銃などの武器も見えた。戦車の主砲、小型のミサイルまであった。


余りにも場違いで、混沌とした光景であった。そこに死体とは全く別の危険な臭いを感じとる。死体以前に恐怖が込み上げてきた。


引戸を勢いよく閉め、振り替えると廊下を走った。兎に角明るい場所へ出たい。その一心で必死に走った。
441 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/06/13(土) 00:48:31.88 ID:WQB/Tr+FO
ここまで。続きは一週間語に投下できたら
442 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/13(土) 02:52:29.33 ID:OulPaSWAO

死体使い的には美味しそうな場所だけど、そんなとこ居たくないよな。
443 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/13(土) 09:04:51.09 ID:Ff6bz9Zzo
乙改造でもしてたのかな
444 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/06/13(土) 15:53:39.89 ID:NfK06K9fO
オリジナル魔法少女の公募企画が始まっててワクワクがヤバイ

このスレの魔法少女送ってみようかしら
445 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/13(土) 16:44:31.68 ID:Ff6bz9Zzo
いったい誰を送るのか気になります
446 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/13(土) 18:53:26.32 ID:OulPaSWAO
クルエルさんは良さげだな。
447 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/06/13(土) 20:53:53.41 ID:NfK06K9fO
クルエルかクロースで送ってみようかなと
448 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/13(土) 21:00:45.10 ID:QbwQXEBUO
クルエルの名付け親からしたら実に嬉しい
449 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/18(木) 07:09:27.52 ID:Wny/P/vAO
採用されたら強力な生存フラグになるな。
450 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/06/21(日) 19:45:26.41 ID:XoWnuurEO
一週間後にやるって言っときながら結局できなかった上に報告まで忘れた無能がいるらしい

すいませんもう少し時間ください
451 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/24(水) 21:48:56.56 ID:2ejbKyGT0
最近見つけて一気に読んだけどめっちゃ面白かった
続きまったり待ってます

…帯奈都さんの読みはおび なつでいいんだろうか
452 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/06/25(木) 17:33:05.85 ID:jHh1ZrD9O
>>451
それで正解です

本編の方は多分土日位には投下できる筈なのでよろしくお願いします。安価とる予定です
453 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/06/28(日) 17:04:45.77 ID:tvJMdQNuO
今日の夜十時からやろうかと。安価ありです
454 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/28(日) 17:42:39.29 ID:vKPMzFOv0
期待
455 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/06/28(日) 22:04:29.34 ID:5wrjNZ16O
やるでー
456 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/06/28(日) 22:05:11.03 ID:5wrjNZ16O
トト(1個)
ランランラン(16個)
ウルフハート【retire】(16個)
アルカ=グリード【retire】(0個)
ミニチュアール(16個)
ジェラス(1個)【missing】
マーブル【retire】(0個)
DARKNESS娘(1個)
俺島俺子【retire】(0個、端末紛失)
帯 奈都(16個)
桐条飛鳥(1個)
クレイスティア・フォン・アルベローザ(1個)
クルエル(1個)【missing】
アナスタシア(16個)
マーファ(2個)
クロース(16個)
457 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/06/28(日) 22:05:39.27 ID:5wrjNZ16O
【クロース】
1


掃除が終わる前に時計の針が予定時刻十分前を指した。ボーンボーンと不気味な音が部屋に響く。


「あら、もう時間?」


「ていうかここ時計もあるんスね」


口々に喋りながら掃除用具を片付ける。途中から参加した奈都は手に雑巾を持っていた。コスチュームのスカートが汚れていて、どうやら膝まずいて畳を拭いていたようだ。それも結構綺麗に掃除されていて、意外なスキルの持ち主だと感心した。


奈都と行動を共にするミニチュアールといえば、汚れた水の一杯になったバケツを運んでいた。やはり奈都と一緒にいたのだろう。


そういえばミニチュアールの様子がおかしいことに気づいた。何故だか不安げにキョロキョロと辺りを見回している。何か不安でもあるのかもしれない。まぁ命が懸かっているテストだ、不安がるのも無理はない。


片付けが終わり、各々が適当な場所に腰を下ろす。綺麗にしたお陰で不快感などは無かった。
458 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/06/28(日) 22:06:49.54 ID:5wrjNZ16O
と、ここであることに気づいた。人数が足りないのである。今ここにいるのはクロース含め七人。後二人、いや四人足りない。


と、思っていたらアナスタシアがドタドタと駆け込んできた。余りの慌てぶりに何かあったのかと問い詰めたが、アナスタシアは結局何も言わなかった。遅れた理由については、掃除など庶民のやること、高貴なアナスタシアのやることではない、とのことであった。


ふん、と鼻をならして一番隅に腰を下ろした。プリプリ怒ってはいるが何も言わずに腰を下ろしたのを見る限り、掃除した部屋は気に入ってくれたのだろう。


あとは桐条飛鳥と、行方不明のクルエルとジェラスの三名である。前者は兎も角、後者二人は来れるかどうか解らない。


「……ジェラスさんは、今日の試験にこれるのかな」


トトが不安げに言った。仲間の安否が心配なのだろう。


「きっと来てくれますよ。ジェラスは強いですからね」


励ますように言ったのは奈都だった。隣に腰を下ろし、トトに寄り添う。クロースには気休めにしか聞こえなかったが、トトは少し気が紛れたらしい。
459 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/06/28(日) 22:07:38.67 ID:5wrjNZ16O
「はっ、アタシにとってはライバルが減って好都合だけどな」


突然天井から声が降ってきた。


「よっと」と天井から降りてきたのは桐条飛鳥であった。赤い髪を靡かせ音もなく畳の上に降り立つ。クロースは驚く前に流石忍者だと感心してしまった。何せ気配さえ感じることが出来なかったからだ。


「飛鳥さん」


立ち上がりかけた奈都を手で制す。


「おっと、仲良しこよしの馴れ合いごっこは前回ので終わりだ。今日は協力するつもりはねぇ」


そういえば前回のテストで「これっきりだ」と言っていたような気がした。キャンディーを口に加えながら、更に続ける。


「それに、お前らに味方しちまうとそいつぶちのめせねーだろう?」


視線の先にはミニチュアールがいた。途端に震え出す小さな体は見てて情けなくなるほどであった。


「え、えと、あ、あの、こここ、これはね、?そ、その」


「良いわけなんざ要らねぇよ。お前がそういうキャラなのは知ってたかんな」


その場に座って胡座をかく。ガリガリっとキャンディーを噛み潰して残った棒を吐き出すと、再び睨む。

460 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/06/28(日) 22:08:14.70 ID:5wrjNZ16O
「ま、知ってても裏切ったことは許さねぇ。容赦はしねぇぞ?ミニチュアール」


声にドスを効かせて言った。思わず関係のないクロースまでゾクりとさせられる。その悪意を直に向けられているミニチュアールの恐怖は相当なモノだろう。


「ひっ……」


「お止めください飛鳥さん。我々は敵同士ではありません。争うなら味方とでなく、黒幕と」


「うるせーな、てめーには関係ねぇ話だろうが」


奈都の言葉を遮るように言葉を紡ぐ。一触即発といった雰囲気だ。次に何を言っても飛鳥は暴れだす。そんな予感が、なんとなくした。


思わず腰が浮き上がる。本当に飛鳥が暴れだしたりしたら。


そうしたら、自分は逃げるのか、それとも止めるのか。どっちだろうか。
461 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/06/28(日) 22:08:40.61 ID:5wrjNZ16O
「……そこまでもん。二人とも」


と、沈痛な声が聞こえた。その場所へ目を向けると、赤と青で色分けされた球体がいた。マスコットキャラクターのファムである。


「……」


「おっと。とうとうお出ましかい」


ファムの登場により、一旦離れあう二人。しかし、発散される敵意は依然二人を取り巻いていた。


今回のテストは荒れそうだ、と、クロースはそう思った。


462 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/06/28(日) 22:09:07.60 ID:5wrjNZ16O
ファムは一応はこの死の試験を改善するよう努力してくれたらしい。しかしファムのマスターは聞く耳をもたなかったようだ。


罪悪感で一杯なのだろう、体を縦に揺すって謝罪の意思を示した。


「いえ、ファムさんは悪くありません。あなたは黒幕の……あなたのマスターに騙されていたのでしょう?」


黙って体を縦に振るファム。


一回目のテストでの慌てぶりから、ファムは主催者から何も聞かされていなかったと思われていた。そしてそれは当たっていたようだ。


「ファム、私たちにあなたのマスターが誰か教えていただけませんか?私たちと協力し会いましょう。こんな試験は無意味なのですから」


しかし、途端にファムは黙り混んでしまった。いや、黙り混んだというよりは喋りたくても喋れない、といった感じである。


「マスターとやらに、改造でもされたんでしょ」


マスコットは高度な知能を持つとはいえ所詮は人工物。知識があれば自分の好きなように作り替えられるという事か。用意周到なモノである。
463 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/06/28(日) 22:09:43.85 ID:5wrjNZ16O
「それはそうと、さっさと試験内容を教えろよ」


飛鳥だ。


「主催者が誰かなんてどうでも良い……。あたしが勝ち残れればそれでいい」


「飛鳥さん、あなたはなんて……」


「身勝手さ。知ってるよ」


露骨に嫌悪を露にする奈都。どうやら二人の溝は決定的に深まってしまったようだ。今後味方になることは無いだろう。


「……ファム。早く試験を始めましょう」


険悪な雰囲気を立ちきりたいが為に、マーファが急かした。


「……今回の試験は……これもん」


前回とは撃って変わって看板を提示するだけに終わった。その文章を読み上げる。


「『隠れんぼ』……」
464 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/06/28(日) 22:10:14.51 ID:5wrjNZ16O
「これまたふざけた試験だなぁおい」


飛鳥が苦笑しながら言った。クロースは呆れて声も出ない。主催者はクロース達を馬鹿にしているのだろうか、それとも遊んでいるつもりなのか。


「今から三十分間各自受験生達はこの廃村の中で隠れる場所を探してもらうもん。三十分後に鬼が放たれ皆さんを探し出すもん。見つかった者から……」


「落第。今回も失格=死なんでしょう?」


マーファの問いに対する答えは沈黙だった。肯定と受けとる。


「で、でも、もし見つかっても鬼に触られる前に逃げれば捕まった扱いにはならないもん。そこを覚えていてほしいもん」


なるほど。所謂「隠れ鬼」に近いルールのようだ。周囲を見渡すと各自腕を伸ばしたり屈伸運動をしている。


やるしかない。皆理解しているのであった。
465 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/06/28(日) 22:10:41.23 ID:5wrjNZ16O
「あ、あの!」


と、その中から声が上がった。先程から傍観していた魔法少女、トトである。


「え、えっと、ジェラスさんはどうなるんです、か……?」


そうだ、ジェラスとクルエルの事があった。あの二人はどう対処するのだろうか。


ファムによれば二人は現在行方不明で捜索している。今回にのみ限り特別に試験を免除するものとした。


「マスターは今回だけで今後例外は一才認めないと言っていたもん」


ならば、タイムリミットは次の試験までということになる。短い期間で見つけなければ失格となるようだ。不安をよせる周囲を他所に、奈都は確信と自信をもって必ず見つけ出すと宣言した。
466 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/06/28(日) 22:11:08.24 ID:5wrjNZ16O
「で、では、試験スタートもん!」


質問や意見などが二三交わされ、そしてついに試験が始まった。さっそく奈都の一派が中央に集まる。


回りを見れば、飛鳥、アナスタシアの二人は既に出ていったようである。


ひっそりと耳をそばだてて聞くと、今回も奈都の一派は幾つかのチームに別れて行動するようである。


クレイスティアとDARKNESS娘の魔法を使えば楽勝なのではないだろうかとも思っていたが、前者の魔法は外からクローゼットの中へ入れても、クローゼットの中から外へ出ることは出来ないらしい。


後者の魔法は、村全体を照らす証明のせいで全員分隠す闇が無いようである。建物の中なら闇があるという主張も出たが、建物がボロボロである為色んな所から光が漏れてしまい、十分な広さの闇を確保できないそうだ。


ならば二人一組になって隠れ、見つかりしだい逃げるなり迎撃すればいい。という結論に落ち着いた。


さて、自分はどうしようか。今回は奈都の一派につこうか。


いや、どうせかくれんぼなのだから単独行動をとる方が良いのかもしれない。しかし逃げる要素もあることを考えると、仲間がいた方がいいとも考えられた。


回りを見れば既に幾つかのチームが作られているようである。
467 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/06/28(日) 22:11:48.23 ID:5wrjNZ16O
ランランランがトトの肩を叩いて鼓舞しているのが見えた。恐らく二人で組むのだろう。


ミニチュアールはずっと奈都にくっついて離れない。


あの話し合い以来仲が良さそうなクレイスティアとDARKNESS娘は既にどんな場所に隠れようか話し合っていた。


唯一、マーファだけは誰とも組まないようである。単独行動が好きなのだろうか。マーファと組むのもいいかもしれないが……。


どうする?

1 奈都の一派と行動する(その場合は誰のチームに入るか、誰と組むかも指定)
2 単独行動
468 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/06/28(日) 22:14:50.42 ID:5wrjNZ16O
今日はここまで

安価下
469 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/28(日) 22:15:51.27 ID:vKPMzFOv0
2
470 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/28(日) 22:17:39.85 ID:vKPMzFOv0
あ、乙です
471 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/28(日) 22:35:05.11 ID:rCAjFhYko
472 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/28(日) 22:57:26.29 ID:7j1xrrEa0
乙でした。
473 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/28(日) 23:27:39.74 ID:ZN0zJ4Eq0
474 : ◆Og3LtLVi5H27 [sage]:2015/07/05(日) 20:47:55.37 ID:ljy/OKPvO
来週の月曜くらいにできるかと
475 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/07/05(日) 20:48:21.33 ID:ljy/OKPvO
おっとage忘れ
476 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/13(月) 20:26:12.33 ID:f7zykfKRo
もう月曜だぞ
477 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/07/13(月) 20:30:48.94 ID:qNBmN4BpO
出来るかなー……
478 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/07/13(月) 20:36:52.24 ID:qNBmN4BpO
まぁやるとしても今回は投下だけなので……

12時までには投下しときます
479 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/07/14(火) 00:02:44.05 ID:M36iDffDO
なんとか出来ましたので、短いけど投下します
480 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/07/14(火) 00:03:17.72 ID:M36iDffDO
トト(1個)
ランランラン(16個)
ウルフハート【retire】(16個)
アルカ=グリード【retire】(0個)
ミニチュアール(16個)
ジェラス(1個)【missing】
マーブル【retire】(0個)
DARKNESS娘(1個)
俺島俺子【retire】(0個、端末紛失)
帯 奈都(16個)
桐条飛鳥(1個)
クレイスティア・フォン・アルベローザ(1個)
クルエル(1個)【missing】
アナスタシア(16個)
マーファ(2個)
クロース(16個)
481 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/07/14(火) 00:04:15.68 ID:M36iDffDO
【クロース】

「……」


奈都の一派を眺め、思案する。やはり誰かと組むべきだろうか。


チームを作るメリットは、何と言っても助け合う事ができるという点だろう。今回は鬼がどんな姿か提示されなかったが、前回のようなネズミ型で無いのは確かだ。きっと戦闘用に作られているだろう。クロースは戦闘はそこまで得意でもない。もし襲われても協力して撃退できるかもしれない。


そして励まし合い、協力しあい、逃げる恐怖心と苦しみを共有できる仲間がすぐ近くにいるというのは肉体的にも精神的にも負担が軽くなるだろう。


単純に手数が倍になるので、複数の鬼に見つかっても旨いこと対処できるはずだ。


デメリットは、裏切られるかもしれないというリスクだ。組んだ相手が必ずしも敵に立ち向かってくれるかは解らない。自分だけ置いて逃げる可能性もあるのだ。


それどころか、後ろから襲われて端末を、キャンディーを奪われでもしたら。そこで自分はお仕舞いである。


と、ここでクロースは思わず笑いそうになった。それは正しく自分の事ではないか。


その光景がありありと浮かんだ。仲間を置いて逃げ去る自分、こそこそ隠れて仲間が死ぬのをただ眺めている自分、後ろから仲間を襲ってキャンディーを奪う自分。
482 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/07/14(火) 00:05:41.43 ID:M36iDffDO
我慢して笑いをこらえていたが、ついに我慢の限界に達し、吹き出してしまった。


口を押さえて奈都の方を見る。いきなり笑いだして不振に思われないか不安だったが、気づかなかったようである。


そうだ、異常事態で忘れかけていた。自分の本質が卑劣で矮小な小物である事を。小狡く立ち回って楽して勝ち残ろうとしてた卑怯ものであることを。


自分の本質を彼女たちが知れば、きっと彼女たちは自分を拒絶するだろう。隠し事はいつか必ずバレてしまう日が来る。どんなに隠しても光が当たって明かされる。それを回避することはどんなに神経を張り積めて気を付けても出来ないのだ。


いつかバレて敵対することになるなら、今仲間にならなくても同じだ。
483 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/07/14(火) 00:07:26.34 ID:M36iDffDO
「クロースさん」


と、声をかけられた。奈都である。笑っているのを見られていないか、心配だったが確認する術は無い。


「あなたはどうされますか?マーファさんがコンビを組む相手がいないので彼女と組んでほしいのですが」


「ごめん、今回もパスで」


最後まで言わせずキッパリ答えた。


「……悪いけどやっぱ一人で動く方が性に合ってるみたいでさ」


「悪いけど」とつけたのは相手に悪い印象を与えないためだ。本当に悪いとは思っていない。


「……そう、ですか」


奈都な釈然としないといった感じで下がった。それと同時にクロースも部屋を出ようとする。
484 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/07/14(火) 00:08:10.96 ID:M36iDffDO

「ですが困りました、これではマーファさんが一人で……」


「奈都、私も今回は一人で動くわ」


奈都の台詞はまたも遮られた。


「マーファさん?」


「ちょっと気がかりな事があってね」


「気がかりな事とは?」


「あのチビの事よ」


「……アナスタシアさんの事ですか?」


アナスタシアは「あのチビ」で通じる程体格が小さい。そのアナスタシアに何か用があるのか、気になったので立ち去る前に聞き耳を経てる。


「あいつ、試験が始まる前に大慌てでここに来たでしょ?それに何かに怯えてる風だった」


「それは遅刻しそうだったから早めに来ただけでは?」


「大慌てで来たのはそれで説明できるかもしれないけど怯えてるのはそれで説明できない」

485 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/07/14(火) 00:08:56.28 ID:M36iDffDO
「テストで緊張してた……とか?」


腰巾着のミニチュアールが珍しく発言した。しかし相変わらず声は小さい。目はキョロキョロと動き一点に定まらない。


「前回のテストでも気丈に振る舞ってたのに?あり得ないわ」


「で、ですよね、すみません……」


すごすごと引き下がるミニチュアール。


「だから直接話が聞きたいの。一対一の方があいつも色々話せるだろうし。いいでしょ?」


しばらく沈黙が降りた。思案しているようで、手で顎に触れながら奈都は俯いている。やがて結論かでたのか、顔を上げた。


「わかりました。では、アナスタシアさんの方はよろしくお願いします」


笑顔でそう言った。


「で、でも大丈夫なんですか?隠れてないと……」


不安そうにマーファを気遣うトト。


「大丈夫よ。立ち向かう敵は全員なぎ倒せばいい。私の魔法は戦闘向きじゃ無いけど、何も魔法だけが私の武器じゃないわ」


自信たっぷりにそう言う。彼女なら大丈夫、そう思わせ、聞くものを安心させる台詞であった。


しかし、トトはそれでも不安らしく、「無理はしないでください」と最後まで気遣いを見せた。マーファも肝に命じとくと言ってトトの言葉を心に留めたようである。


じゃ、決まりね、と言いながら出ていこうとする。


「どいて」


出入り口の前で立っていたクロースに鬱陶しそうに言葉を投げ掛ける。さっと退くと、何も言わず早々に去っていった。
486 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/07/14(火) 00:09:30.66 ID:M36iDffDO
それに続いて奈都の一派もゾロゾロと出ていく。クロースに言葉を投げ掛けていく者も、何人かいた。


「あの、一人は不安かもしれないですけど、頑張ってください」


トトが声援を送ってくれた。


「困ったことがあればすぐよんでくだサーイ!scramble駆けつけるネ!」


「正義は必ず勝つッスよー!」


クレイスティアとDARKNESS娘が元気一杯に声を弾ませる。


最後に奈都と二、三言葉を交わし、全員が去った。


さて、自分も行こう。外に出ようとする。どこに隠れようか、どうすれば一番自分に有利か、考えながらだったからか、突然かけられた声に思わず飛び上がった。


「あ、す、すいま、せん。お、驚かせ、ちゃいました、か?」


ミニチュアールだった。てっきり奈都に付いて出ていったかと思っていたのに。


驚いた気恥ずかしさを誤魔化すために、語気を強めてミニチュアールを睨む。


「なに?」


それがいけなかったらしい。竦み上がったミニチュアールは体を小さくして、蚊の鳴くような声で「何でもありません」と言ってそそくさと去っていった。


何だったのだろう。しかし直ぐに興味が失せたので、クロースも彼女たちの後に続く形で出ていった。
487 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/07/14(火) 00:10:35.09 ID:M36iDffDO
【マーファ:廃村、南部】


ブブブ、と空を舞うカメラが鬱陶しい。一人廃村を歩きながら思った。


マーファはファムに頼んでアナスタシアを廃村南部に呼んでもらうよう頼み、自身もそこへ向かう途中である。


また、マーファと同じ南方にいるのはトトとランランランのコンビである。


一旦役場から出て、再度打ち合わせた結果、四方にバラバラに動くことになったのだ。その結果がこれである。


二人は付き添おうかと言っていたが、丁重に断った。一対一の方が話しやすいし相手も変に気を張らなくても良いだろう。


それでも心配そうだったので、何かあれば大声を上げて助けてくれと言っておいた。それで一旦は引き下がってくれた。


「……」


ここに来てくれと指定した大きな倉にはまだ誰も来ていなかった。先についてしまったらしい。
488 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/07/14(火) 00:11:02.40 ID:M36iDffDO
来いと言ったのは自分だ。大人しく待つとする。


立ち止まって目を瞑ると、静寂が降りた。聞こえるのは風の音と生え放題の雑草が揺れる音、虫が奏でる音色くらいの者で、そこに不振な気配は何もなかった。


壁に寄りかかる。外で待っているよう指定したので、中に要る、何てことは無い筈だ。実際寄りかかった壁の向こうに魔法少女の気配はない。人の気配も、鬼の気配も。


うっすら目を開ける。満点の星空が地上を照らしていた。マーファの変身前の故郷はそこまで大きい町ではないので、都会のように星空が見えない訳ではないが、この廃村の方がずっと星は輝いている。


このまま静かに天体観測と洒落こみたい所であったが、今はテスト中である。あまりボンヤリしてはいけない。
489 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/07/14(火) 00:12:44.90 ID:M36iDffDO
すると、心地いい静寂を切り裂いて無愛想なサイレンが鳴り響いた。気づけば皆と別れてから三十分を過ぎていた。となるとこのサイレンが開始の合図らしい。


先程聞いたファムの声が続けて流れる。


『それではスタートもん!これから二時間、逃げ切れたものにキャンディーを贈呈するもん。皆、武運を祈るもん!』


ファムの台詞を聞いたあと、静かに舌打ちした。できれば開始前に片をつけたかったのだが不可能だったようだ。これから鬼が解放される。


アナスタシアがここまで無事にたどり着けるか、自分の身よりそちらの方が今は不安だった。
490 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/07/14(火) 00:16:29.08 ID:M36iDffDO
ここまで。ついでに他キャラの現在地を開示しときます

トト(1個)【廃村、南部】
ランランラン(16個)【廃村、南部】
ミニチュアール(16個)【廃村、北部】
帯 奈都(16個)【廃村、北部】
クレイスティア・フォン・アルベローザ(1個)【廃村、東部】
DARKNESS娘(1個)【廃村、東部】
クルエル(1個)【missing】【?】
ジェラス(1個)【missing】【?】
アナスタシア(16個)【廃村、中央部】
マーファ(2個)【廃村、南部】
桐条飛鳥(1個)【廃村、南部】
クロース(16個)【?】

では次はクロースの行動安価からスターとする予定です。では
491 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/14(火) 01:08:45.77 ID:0ZP4vZl4o
乙乙
492 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/14(火) 07:15:35.02 ID:2bf1xvEx0
493 : ◆Og3LtLVi5H27 :2015/07/26(日) 14:30:05.47 ID:40OOBqZlO
生存報告。もう少々お待ちを
494 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/08/03(月) 14:31:12.36 ID:3SScWMHxO
投下予告です。一週間後くらいになるかと
495 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/08/10(月) 12:53:33.62 ID:SCt2/XFhO
予定通り今日の夜やります
496 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/08/10(月) 23:10:12.53 ID:yp8u3A4aO
人いるかなー……いなくても安価のとこまでだから投げとくだけ
497 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/08/10(月) 23:10:39.28 ID:yp8u3A4aO
トト(1個)
ランランラン(16個)
ウルフハート【retire】(16個)
アルカ=グリード【retire】(0個)
ミニチュアール(16個)
ジェラス(1個)【missing】
マーブル【retire】(0個)
DARKNESS娘(1個)
俺島俺子【retire】(0個、端末紛失)
帯 奈都(16個)
桐条飛鳥(1個)
クレイスティア・フォン・アルベローザ(1個)
クルエル(1個)【missing】
アナスタシア(16個)
マーファ(2個)
クロース(16個)
498 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/08/10(月) 23:11:06.19 ID:yp8u3A4aO
【クロース:中央部、村役場】

さて、単独行動をするのは良いが、どこに隠れようか。


奈都の一派はそれぞれのチームでバラバラに隠れるらしい。クロースは一人だ。好きな場所に隠れれば良いが、村全体を使ったかくれんぼなので、隠れる場所に迷ってしまう。


それに、隠れると言っても鬼に捕まりさえしなければ逃げ回って巻くことも出来るのだ。逃げるときの事も考えなければならない。逃げ足には自信があった。こそこそ隠れるのも得意分野だ。


取り敢えず役場の屋根に上って村を見渡してみる。魔法少女の目は良い。それに、ブンブン五月蝿い証明が村を照らしてくれるお陰で色んなものが見える。
499 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/08/10(月) 23:11:43.21 ID:yp8u3A4aO
じっくり観察し、その結果、以下のような事が解る。


まず、どの方角にも大体民家がある。数はそこまで多くない。壁や穴に大穴が空いて隠れる事もできなさそうな民家もおる。


そうでなくてもどれもこれもボロボロだが、隠れるだけなら問題無さそうだ。


南部には大きな倉が見えた。何を入れていたのかは解らないし興味も無かったが、中に入れば隠れる場所もあるかもしれない。


が、そちらにはマーファがいるらしい。話したいことがあるそうだが、鉢合わせて巻き込まれるのは嫌だ。面倒くさい。それに、やっとわかってきた。マーファはクロースの苦手なタイプだ。


大きな声で回りを叱咤し、喚起して引っ張るリーダータイプ。


今回はリーダーは奈都だが、もし奈都がいなければ彼女がリーダーとして引っ張っていっただろう。今回だってそうだ。誰もやらなさそうな廃墟の掃除など、彼女がやらなければ誰もしないだろう。
500 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/08/10(月) 23:12:14.65 ID:yp8u3A4aO
それに、リーダーでなくても意見ははっきり言うし、自分の意思もしっかり伝える。回りに流されない個を持った魔法少女だ。


それだけに、クロースとは敵対する可能性は高いだろう。クロースは前回未遂とはいえ不正を働こうとした。今回もそれを目論んでいる。


不正行為がマーファの怒りに触れたとしたら、彼女はクロースを糾弾するだろう。発言力があるだけに回りも同調する可能性が高い。敵は無駄に増やしたくなかった。


だからと言って味方になるのも躊躇われる。クロースの分析は飽くまで表面上から見ただけの評価だ。裏では何を考えているか解った物ではない。裏切られるのは死ぬより嫌だ。


だからマーファは苦手だ。
501 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/08/10(月) 23:12:42.38 ID:yp8u3A4aO
南部から目をそらし、東部へ目を向ける。


東部には目だった建物は見当たらない。しかし、少々東部は異様な光景が広がっていた。民家が他の建物よりボロボロなのである。どうも昔大規模な火事でもあったようで、真っ黒く変色した家々が今にも崩れそうであった。


というか幾つかは崩れてもはや建物の形ですらない。あそこに隠れる場所を見つけるのは骨がおれそうだ。


やるとしても地面に穴を掘ってそこに隠れるくらいしか隠れる方法は無さそうだ。でも障害物が少ないので逃げ回るのには適しているかもしれない。
502 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/08/10(月) 23:13:23.31 ID:yp8u3A4aO
続いて北部に目を向ける。


北部には大きな寺が見えた。これもやはりボロボロだが、軒下などに隠れれば案外見つからないかもしれない。


寺と言えば神様を奉る場所だ、こんなときだからこそ神頼みの1つや二つ、してもいいかもしれない。と、冗談半分に思った。


クロースの願いを聞き入れる神様がいるならこんな状況にはなってないだろうとも思った。自嘲気味に笑う。
503 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/08/10(月) 23:13:56.95 ID:yp8u3A4aO
最後に西部。こちらは特に目立った建物もない。強いて言えば比較的民家が綺麗で保存状態が良いことくらいだ。


まぁ人が住めない廃墟と比べてなので、どちらにせよボロボロではある。


「あれ……?」


目をそらしてそろそろ降りようかと思ったとき、あるものが目に入った。そこにはいない筈の人物、一瞬しか見えなかったが、コスチュームに見覚えがあった。


「……ジェラス……?」


ヒーロー風の格好の人物がヨロヨロと歩きながら、建物に入っていくのが見えた、気がした。本当に一瞬だったので、確信は持てない。


あれがジェラスなら、なぜここにいるのかと言う疑問が沸く。いや、参加者だから試験に参加するのは別に普通だ。


しかし不自然な気もする。途中参加だとしても仲間に顔見せするのが筋では無いのか?いや、仲間を探してさ迷っているだけかも知れないが。
504 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/08/10(月) 23:14:41.69 ID:yp8u3A4aO
もう一度、その民家を注視する。と、扉が開いて、中からヒーロー風の魔法少女が現れた。やはり見間違いではなかったようである。


少し俯き気味に右手でドアを開けて出てきたジェラスは、左右を見渡して今度は別の民家へ入っていく。この時クロースの疑問は氷解した。やはり仲間を探しているのだろう。


それにしてもファムも気が利かないと思った。途中参加者が出たならアナウンスの1つでも流せばいいのに。






さて、大体こんなものだ。どこに行こうか。

どうする?↓
1 南部へ(倉がある、マーファが待ち合わせ中)
2 東部へ(更地、建物が少ない)
3 北部へ(寺がある、ご利益があるかも?)
4 西部へ(ジェラスがいる?【まだジェラスだとは確定してない】)
505 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/08/10(月) 23:15:32.07 ID:yp8u3A4aO
ここまで

そういえば新刊の情報が出たようでうれしい。でもシャッフリン死亡するの確定っぽくて悲しい
506 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/10(月) 23:22:07.45 ID:lFGmJ6eao
1
507 : ◆Og3LtLVi5H27 [sage]:2015/09/09(水) 23:02:29.94 ID:YOlRjybeO
大分時間開けちゃったけど生存報告。

ところで自分のせいとはいえ大分人も少なくなっちゃったしこれからは安価無しで進めても大丈夫ですか?
508 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/09(水) 23:05:24.00 ID:cHLq40eTo
大丈夫よ
509 : ◆Og3LtLVi5H27 [saga]:2015/09/09(水) 23:08:24.28 ID:YOlRjybeO
ありがたい。次の投下はまだもう少し先になるけど気長に待ってもらえればと
510 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/09(水) 23:09:42.21 ID:1l2BX+QTO
うい
511 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/10(木) 00:10:36.66 ID:vSEYoI8r0
一気読みしてしまった おもしろいな

安価無しでも次が楽しみだ
512 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/10(木) 22:49:39.71 ID:l3ncv1rn0
楽しみにしているよ
513 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/21(月) 20:21:04.37 ID:5ENOPLbE0
期待して待機
514 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/19(月) 09:43:56.79 ID:KdtnnrCAO
そろそろ1ヶ月なんで保守っとく
515 : ◆Og3LtLVi5H27 [sage]:2015/10/19(月) 11:00:57.19 ID:npACPEDvO
流石に待たせ過ぎました、申し訳ありません

金曜日くらいに投下します
516 : ◆Og3LtLVi5H27 :2015/10/19(月) 11:01:27.19 ID:npACPEDvO
age忘れた
517 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/31(土) 07:16:46.05 ID:jySt6ltAO
大丈夫。来週も金曜日はあるから(;_;)
518 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/16(月) 21:50:30.45 ID:6p0sdn5AO
519 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/05(土) 14:20:08.51 ID:qVEZBASDo
520 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/05(火) 07:36:03.30 ID:6bAWdnkAO
保守
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