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女剣士「死に場所を求めて……」 -
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1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/03/27(金) 23:26:42.58 ID:+ue7O4wKO
私は飢えていた。
命を投げ出した試合。
命を『私』を晒け出した死合いに飢えていた。
そう、言わば全てだ。
己の持ちうる技術、存在そのものを賭けて戦える存在を求めていた。
しかし、そんな相手に簡単に出逢えるものではない。
私は日のある内から酒場で『それ』を捜す。
兵は時間を選ばない、紛い物もいれば本物がいることもある。
今まで『本物』と思った者と戦ったが、全ての試合に勝利した。
しかし今日は違った。
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1427466402
1.5 :
荒巻@管理人★
(お知らせ)
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君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713885444/
笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713869982/
【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1713861164/
トーチャーさん「超A級スナイパーが魔王様を狙ってる?」〈ゴルゴ13inひめごう〉 @ 2024/04/23(火) 00:13:09.65 ID:NAWvVgn00
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【安価】貴方は女子小学生に転生するようです @ 2024/04/22(月) 21:13:39.04 ID:ghfRO9bho
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ハルヒ「綱島アンカー」梓「2号線」【コンマ判定新鉄・関東】 @ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
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【安価】少女だらけのゾンビパニック @ 2024/04/20(土) 20:42:14.43 ID:wSnpVNpyo
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ぶらじる @ 2024/04/19(金) 19:24:04.53 ID:SNmmhSOho
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1713522243/
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/03/27(金) 23:34:48.32 ID:+ue7O4wKO
自称用心棒、自称賞金稼ぎ、その他諸々……
そんな彼等とは明らかに毛色が違うモノがいる。
見るからに未成年。
振る舞いからして店の客寄せ、又は従業員でもなさそうだ。
酒場に似付かわしくない存在だ。
だというのに、誰もが彼を認めている様子。
正直気に入らない。
小僧一人に呑まれる客と私自身に腹が立つ。
しかし私は苛立ちとは逆に彼を見て確かに感じた。
肌、皮膚、肉と精神、五感が感じた。
『彼』。
いや、この場に似付かわしくない『あの少年』こそ……
真の兵だと……
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2015/03/27(金) 23:40:36.59 ID:+ue7O4wKO
画像貼れるのか……ふーん…
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/03/28(土) 00:09:20.08 ID:OHcgKg/XO
期待
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/03/28(土) 01:13:28.26 ID:j+wVzMb3o
うむ
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/03/28(土) 14:22:42.69 ID:DLoEUIxZO
肉が強張り脚は震えているが不思議と迷いはなかった。
私が何を目的に立ち上がるのかを察したのか、賑やかだった店内が静まり返る。
席を立った時の椅子の音だけが響く。
そののちに鳴った音と言えば私自身の足音くらいだ。
求めるモノに近付く、体は何とか拒否しようとしている。
私はそれを抑え込み重い一歩を踏み出す。
床の軋む音さえ骨に響くようだ……
客の視線全てをこの身に浴びているが嫌悪感はない。
それは『女』としてではないからだろう。
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/03/28(土) 14:25:16.27 ID:DLoEUIxZO
無謀な挑戦者か、或いは死にたがり。
そう思われているに違いなかった。
私の腰にある剣を見ては溜め息を漏らす者ばかり。
時間が酷くゆっくりに感じられた。
「やあ、何の用だい?」
正面に立ち席に着いた私に、まだ幼さが残る笑みで問う。
何の用かだと……笑わせるな。
目的など初めから分かっているのに何を言うか。
そう言ってやりたかったが小僧相手にむきになりたくはなかった。
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/03/28(土) 14:27:32.00 ID:DLoEUIxZO
「この酒、珍しい色してるだろ?
これ実は俺が無理言って作らせて貰ったんだ。
あんたも一杯飲むかい?」
「いらん。酒を飲みに来たわけじゃない」
生意気にも酒を嗜む姿に腹が立ったが何故か様になっている。
腰に差す物から見ても、ただの小僧ではなさそうだ。
「そんなに斬り合いがしたいのかい?」
「ああそうだ。私と試合いして欲しい」
汗が頬を伝い、膝は情けなく震えている。
事実、私は臆している。
にもかかわらず、口から出たのは逆の言葉だった。
目の前でゆったりと酒を飲む異様な雰囲気の小僧を、私は心底怖れている。
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/03/28(土) 14:31:14.60 ID:DLoEUIxZO
「その前に一つ訊きたいんだけどいいかな?」
「何だ」
「俺はあんたを斬り殺した後で全て奪うが構わないな」
喉元に刃を突き付けられたような心地がした。
汗から熱が抜け、冷水が首筋を伝っていくようだった。
「どうした。答えろ」
先刻までのおどけた表情や『子供らしさ』は完全に消え失せた。
その異様さ、体感したことのない圧力が私を包む。
『物の怪』
ふと、そんな言葉が浮かんだ。
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/03/28(土) 14:38:59.93 ID:DLoEUIxZO
「ふふ、俺が怖いのか?まあ無理もないけどな」
「黙れ……いいだろう、私が死んだら好きにするがいい」
当たり前のことだ。
試合ったなら者なら誰しもそうする。
試合いに勝つ度私もそうしてきた。
敗者。死体に権利などない、命を含め全てを奪われる。
そんなことは分かり切っていたはずだ。
だと言うのに……
面と向かって改めて訊かれて血の気が引いた。
遠くから声が聞こえる。
彼等は何やら賭けをしているようだ。
途切れ途切れだが、無謀な挑戦者が何分立っていられるかなどと言っている。
「相変わらず喧しい連中だ。さあ、外に出ようか」
それが私のことだと気付くまで、暫く時間が掛かった。
11 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/03/28(土) 14:43:52.94 ID:DLoEUIxZO
「ふふ、俺が怖いのか?まあ無理もないけどな」
「黙れ……いいだろう、私が死んだら好きにするがいい」
当たり前のことだ。
試合った者なら誰しもそうする。
試合いに勝つ度私もそうしてきた。
敗者。死体に権利などない、命を含め全てを奪われる。
そんなことは分かり切っていたはずだ。
だと言うのに……
面と向かって改めて訊かれると血の気が引いた。
遠くから声が聞こえる。
彼等は何やら賭けをしているようだ。
途切れ途切れだが、無謀な挑戦者が何分立っていられるかなどと言っている。
「相変わらず喧しい連中だ。さあ、外に出ようか」
それが私のことだと気付くまで、暫く時間が掛かった。
12 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/03/28(土) 20:24:41.04 ID:81J5eOvGO
※※※※※
「あんたの好きな時に斬りかかって来ていいぞ?待っててやる」
剣も抜かず無防備な小僧相手に、何も言い返すことが出来ない。
嘗めるな小僧と言ってやりたかったが、唇は微動だにしない。
遠巻きに見る群集の声など気にならなかった。
目の前に立つ者が何なのか、私には最早分からなくなっていたからだ。
身長や筋力は私の方が圧倒的に有利なはずだ。
そう思ってみるものの、試合の後に自分が立っている姿が想像出来ない。
「お、来た。思ったより速いな」
相手が何者か分からぬまま、気付けば走っていた。
13 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/03/28(土) 20:30:35.73 ID:81J5eOvGO
いつも通り、上段に構え真っ直ぐに間合いを詰める。
あっという間に私の間合いだ。
勢いの乗った剣を叩きつけるように振り下ろす。
ここで初めて動いた。
小さな体は私の懐に入り込むと同時、柄を握る手を両手で包んだ。
圧を強め潰そうとするも無駄に終わり、剣の勢いは完全に止められた。
別に驚きはしない、初撃を止められたことなど多々あったからだ。
ただ、死合う相手の『姿』が小僧だということだけだ。
「あんた、生きたいとは?」
「……戦いの最中に死にたいとは思う。が、生きたいと考えたことはない」
とは返したものの、言葉とは裏腹に体は生きようとする。
14 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/03/28(土) 20:43:21.08 ID:81J5eOvGO
汗一つない、涼やかな顔だ。
よくよく見れば可愛らしい顔をしているな。
私はどうだろうか?
きっと見るに耐えない酷い面をしているに違いない。
「中々に重いが、終わりか」
「ああ、次で終いだ」
元々は生き延びる為、勝つ為に身に付けた技術。
掴まれた手を力任せに解き、左手で背にある短剣を抜く。
後は腹に短剣を突き立てるだけだ。
いつもなら、これで終わる。
「うん。止めたわけだが……続けるか?」
容易く腕を取られ、突き刺すには至らない。
初見で看破されたことに不思議と怒りや驚きは一切なかった。
私は冷静だ。後は残る一つの仕掛けを作動させるだけだ。
「……これ、あんたの手造り?」
「ああ、そうだ」
15 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/03/28(土) 20:48:04.67 ID:81J5eOvGO
柄から離れた刃は腹部に刺さったが、さほど勢いはなく傷は浅い。
更に深く押し込むべく、右足がいち早く反応した。
刃が深く突き刺さる。
しかしそれだけでは止まらず、私の足の甲を貫いた。
全身に痺れに似た痛みが走る。
ああそうか……
あの一瞬で刃を抜き、私の足裏に向けたのか……
何をされたのか理解した時、私は体勢を崩し小僧の姿をした物の怪を見上げていた。
一つの言葉が浮かび、口にした。
「……怖い」
16 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2015/03/28(土) 20:54:55.16 ID:81J5eOvGO
「それは死ぬことが?」
「いや、お前という存在がだ」
呑み込まれそうな、夜の海のような不気味さ、怖ろしさ。
知らないから怖ろしいだけなのかもしれない。
姿や所作を見れば実力を測ることは出来るが、この物の怪には通じない。
何も知らずに戦ったのは、これが初めてかもしれない。
しかし私には、どうしても同じ人間だとは思えなかった。
「俺もあんたが怖いよ。
死を前にして平気でいられるんだから。」
「私が怖い?ふん、物の怪が何を言う。」
「ふふ、俺は物の怪かあ。
面白いけど……『死人』に言われたくはないかな」
17 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2015/03/28(土) 20:57:15.94 ID:81J5eOvGO
つづく
18 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/03/28(土) 21:56:26.69 ID:OHcgKg/XO
乙!
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