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穏乃「個人戦、見学していくんですね!」【咲ーSaki-】 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/04/21(火) 23:23:47.17 ID:K4iOIM1NO


穏乃「楽しみですね!」


灼「羽目を外しすぎないように……」


晴絵「信用してるけど、問題起こさないようにね」


「「「はーい」」」




前々スレ:晴絵「個人戦は見学していくからね」http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1405084782/

前スレ:灼「個人戦は見学して行くから……」http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1412412627/

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1429626227
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ミア「歩夢・・・辛かったな・・・」ナデナデ歩夢「ミアちゃん・・・うぅ・・・」 @ 2024/11/22(金) 00:59:47.53 ID:w7bhdEV4O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1732204787/

ちんぽいぬ @ 2024/11/21(木) 22:13:45.60 ID:BuRqeSctO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1732194825/

無くても死にはしないけどある方が安心する気がしないでもない @ 2024/11/21(木) 02:19:47.82 ID:SZfofcdIo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1732123187/

阿笠「KAT-TUN以降のジャニーズはよく分からんのう」 @ 2024/11/21(木) 00:04:50.40 ID:a8SYark2O
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1732115090/

(安価&コンマ)思春期を殺した少年少女達の・・・(ガンダムW) @ 2024/11/20(水) 23:17:22.83 ID:I72L6dC90
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1732112242/

年中 @ 2024/11/20(水) 08:24:27.00 ID:9YUTh0GSo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1732058666/

■ 萌竜会 ■ @ 2024/11/20(水) 07:19:44.97 ID:8NGj5DR1o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1732054784/

■ 萌竜会 ■ @ 2024/11/20(水) 07:19:04.43 ID:3CqDwHBKo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1732054743/

2 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/04/21(火) 23:24:51.19 ID:K4iOIM1NO
咲SS

・阿知賀キャラ+他校キャラ

・短いのをちょこちょこ投下するスタイル

・のんやり進行

・安価は出しませんが、リクは常時受け付け中。全て拾って書けたものから順次投下します

引き続きよろしくお願いします
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/22(水) 00:21:20.90 ID:8KZt6m89O
立て乙です
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/22(水) 00:21:53.84 ID:DXDiFwt50
立て乙

灼和優希由暉子で不思議生物同盟組ませよう
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/23(木) 14:39:09.35 ID:F/sSsyfAO
>>4
其処にはやりんとちゃちゃのんと弘世さんを混ぜて牌のお姉さんの成り方講座を開いて欲しいですね♪
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/23(木) 19:17:07.49 ID:Lbx0G3xn0
前スレ埋め乙です

>>5
余計なお世話かもしれんけど人のリクにキャラや展開勝手に付け足すとかせんほうがいいよ
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/23(木) 20:11:11.25 ID:74hoONDFO
立て乙です

前スレのラストの続きぽい感じですが、傍観?していた灼、玄、宥、揺杏に、仲間を増やそうと穏乃がジャージやはだけ巫女服、NAGANOスタイルを着るようにせがむってのはどうでしょうか
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/23(木) 21:28:58.25 ID:7iEyxjMrO
>>6
そいつアレだから……
9 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/04/25(土) 23:43:50.11 ID:nGxJDIeaO
弘世様生誕記念日です。すみたんイェイ〜

慕ちゃんと一緒に運動(意味深)
小学生ぺろぺろされてる(意味深)
ふとましい憧ちゃんかわいい
日和のキャラ説明、憧ちゃんのとこ「とても頭のよい女の子です」って書いてあるけど日和を読んでる限りそうは見えないなぁぜn

先日は前スレの埋め立てありがとうございました。近いうちに前スレ>>1000の投下からスタートするので今後ともよろしくお願いします
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/26(日) 00:25:32.56 ID:Krt+7xlv0
待ってるのよ〜
11 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/04/28(火) 01:18:19.43 ID:28kNLaCJO
咲日和ってやっぱり最高ですわ。水鉄砲バトルのお話書きたい

投下します
12 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/04/28(火) 01:21:04.22 ID:28kNLaCJO

いちご「お姉ちゃんは、なんにする?」

宥「んと、あったかいお紅茶で……」

いちご「また、あったかいのかい……ほんと、大変じゃなあ……夏は自販機にあったかーいのもなくなるしのう」

宥「ねー……この制度はやっぱりおかしいと思うんだよね……」

いちご「いやいや、さすがにおかしいのはお姉ちゃんの方じゃろ……」

宥「えー……そうかなぁ…………そうだねぇ……」

先日、知り合ってからはたまにこうして……時には泉ちゃんや誠子ちゃんを交えて会っている

いちごちゃんは――何度か会ううちに、名前で呼ぶようになった――私には今までいなかった麻雀を打つ同い年のお友だちで、会うときはちょっとうきうきする

あ、もちろん他の子と会うときもうきうきしてるんだけどね?

いちご「……こういうところに来ると、ついついケーキとか食べたくなるんじゃが……いいお値段じゃし、敗退してからやけ食いもしてもうたから……うむむ……」

宥「気にしなくても、充分細いと思うけど……」

いちご「外からわからなくてもちゃちゃのんにはわかるんじゃし、気になるじゃろ?」

宥「……まあねえ」

いちご「はぁ……これも泉のせいじゃ! この間のお好み焼き大食い勝負のせいでこんな……!」

宥「……それは、自業自得なんじゃ」

いちご「いいや、絶対泉が悪い! だいたいあいつ一年の癖に生意気なんじゃ! 先輩に向かってため口聞きよるし、変な改造制服着とるし、そもそも関西弁も気に食わんし……」

宥「そんなこと言って、仲よしさんじゃない……」

いちご「べ、別にそんなこと……!」

宥「あるでしょ?」

いちご「……ふ、普通じゃし」

宥「普通かぁ……」

いちご「そう! 普通じゃ、普通!」

宥「ふーん……」

13 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/04/28(火) 01:22:17.22 ID:28kNLaCJO

宥「……ほんとは好きなくせに」

いちご「す、好いてないわ! 別に、あんなやつ!」

宥「本当に?」

いちご「別に、嘘つく必用ないじゃろ!」

宥「じゃあ、嫌いなの?」

いちご「…………ふ、普通」

宥「普通?」

いちご「……うん、普通」

別に、意地を張らなくてもいいのに……

喧嘩するほど……な感じだし、素直に認めるのも……ってところなんだろうけど

それでも嫌いと言わないあたり、優しくて素直ないちごちゃんらしい

宥「泉ちゃんは、いちごちゃんのこと好きだと思うけどなぁ」

いちご「はぁ!? へ、変なこと言うんじゃないわ! 気持ち悪い!」

宥「顔、にやけてるよ?」

いちご「えっ!? う、うそじゃろ!?」

宥「えへへ、うそだよー?」

いちご「……なんじゃ! もう! もう!」

宥「ふふ、なんだかんだ言ってうれしいんじゃない」

いちご「むー……お姉ちゃん、意外と意地悪じゃな!」

14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/04/28(火) 01:23:12.46 ID:28kNLaCJO

いちご「お姉ちゃん、はじめて会ったときはもっとお姉ちゃんお姉ちゃんしとっていかにもお姉ちゃんじゃったのに……」

宥「それは、泉ちゃんと誠子ちゃんがいたから……」

いちご「なんじゃそれ……」

宥「だって、私の方がお姉ちゃんだもん」

いちご「お姉ちゃんはちゃちゃのんよりよほどお姉ちゃんじゃろ……」

宥「同い年だし、変わらないよー」

いちご「ほうかのう……」

宥「そうだよー……っていうか、同い年なのにお姉ちゃんはおかしいよー」

いちご「でもお姉ちゃんじゃろ?」

宥「そうだけど……」

そもそも、姉妹で大会に参加しているから他校の人からすると松実姉妹の姉の方……そういう認識を先に持たれているだろうから仕方ないのかもしれない

……というか、麻雀部入ったのも玄ちゃん繋がりだったしなぁ

いちご「ま、ええか……あ、宥ちゃん後ろ。 注文来とるよ」

宥「えっ……あ、うん」

いちご「……どうした?」

宥「……別に、なんでも!」

いちご「? ほうか?」

宥「うん!」

15 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/04/28(火) 01:24:12.36 ID:28kNLaCJO

いちご「……なんじゃ、急にご機嫌じゃなぁ」

宥「えへへ、なんでもないよー」

店員さんから受け取ったあったかいお紅茶を一口飲んで一息つく。 外はともかく、お店の中は冷房が効いていて私には少々冷えるのだ

せっかくお外はお日さまぽかぽかのいい天気なのに……

宥「……あ」

いちご「んー?」

宥「お店の外……」

獅子原さんと真屋さんだ……どうやら向こうも気づいたらしい。 獅子原さんが笑顔で大きく手を振ってくる

うれしくなって、こちらも手を振り返す

いちご「ありゃあ、北海道の……知り合いなんか?」

宥「お友だちだよ〜」

いちご「宥ちゃん意外と顔広いのう……」

宥「普通だよ、普通」

いちご「……むぅ」

あ、ちょっとふくれてる……とはいえ、かわいいだけで全く怖くない

16 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/04/28(火) 01:25:03.12 ID:28kNLaCJO

いちご「やっぱり、意地悪じゃ……」

宥「ごめんごめん……拗ねないでよ」

いちご「ふん! もう知らん!」

爽「お、なになに? 喧嘩?」

いちご「おわぁ!?」

宥「獅子原さん……」

爽「やっ! 相席していい?」

いちご「もう座っとるじゃろうが! なんじゃあんた! 返事ぐらい聞かんか!」

由暉子「どうもすみません……宥さん、お隣よろしいですか?」

宥「どうぞ〜」

いちご「ちょ、宥ちゃん……」

宥「ダメだった……?」

いちご「……ええけど」

爽「なんだよ、ちゃちゃのん元気ないなぁ……まだへこんでるのか? 早く気持ち切り替えないと個人戦に響くぞ?」

いちご「初対面でとてつもなく失礼なやつじゃな!? ひっぱたくぞ!?」

爽「うぉ! こぇー」

由暉子「すみません佐々野さん、こういう人なので」

いちご「諦めろってか!?」

17 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/04/28(火) 01:25:57.34 ID:28kNLaCJO

いちご「なんなんじゃもう……」

爽「ユキ、好きなの頼んでいいぞ! 奢ってやるよ、先輩だし!」

由暉子「そうですか? じゃあコーヒーと、一番高いケーキを」

爽「容赦ない!?」

いちご「……普通遠慮するんじゃないんか?」

由暉子「そうなんですか? おとなしく高価なものを奢られる方がいいのかと思ってました」

爽「こっちの懐事情を考えるとか、そういうのは……」

由暉子「? それなら最初から言わなければいいじゃないですか? 先輩として見栄を張りたいから奢るとかいう話になるんですよね?」

爽「言われてみればたしかに……ん!? 私が悪かったのか!?」

宥「そう言われると、そんな気もするねぇ……」

いちご「こりゃあ、真屋の言い分に一理あるわな」

由暉子「まあ、そういうことなら私はお冷やで充分ですので……」

爽「極端だな!? いいよそれで! 払うから! おねーさん注文!」

由暉子「どうも、ありがとうございます爽先輩」

爽「おう! まかせとけちくしょう!」

いちご「ちくしょう言うとるし……」

宥「無理しなくても……」

爽「無理してないから! 全然平気だし! くそっ!」

18 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/04/28(火) 01:27:09.20 ID:28kNLaCJO

――――――

由暉子「それにしても、宥さんは顔が広いですね。 佐々野いちごさんともお友だちなんですね」

宥「うん! 仲よしだよ〜」

いちご「まあのう」

爽「ちゃちゃのんだぞちゃちゃのん! ユキ、ライバルだぞ!」

由暉子「はぁ、ライバルですか……」

いちご「……まあ、ライバルじゃな」

爽「ほほう? その感じ、自分の立ち位置をよくわかっているようだな……」

いちご「最近、泉のおかげで開き直れたんでな……正直、これ以上かわいいアイドル系雀士出てこられてもその枠は大渋滞なんじゃ。 悪いが諦めてな」

由暉子「出きる限り頑張るつもりですが、まあ現時点で先輩方と競り合うのは……」

爽「悪いがこっちの台詞だ! こっちは打倒はやりんを目指してるんだぜ? むしろちゃちゃのんに構ってる暇なんてないね!」

いちご「なんじゃと……?」

爽「そう! ちゃちゃのんは所詮通過点……言うなれば中ボス!」

いちご「ちゅ、中ボス!?」

爽「そうだ! いいか、ユキ! ちゃちゃのんごときに負けるなよ! ラスボスのはやりんにやられるたとしてもパワーアップイベントだとでも思えばいい! でも中ボスのちゃちゃのんごときに負けたら……」

いちご「ちゃちゃのんごときとはなんじゃ! ごときとは! 好き勝手言いおって!」

由暉子「はぁ……まあ、全力を尽くしますが」

宥「わわ……喧嘩はよくないよ〜?」

19 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/04/28(火) 01:28:16.34 ID:28kNLaCJO

いちご「ぽっと出の新人に蹴落とされるつもりはないんでな……だいたい、打倒はやりんじゃと? 百年早いわ!」

爽「ふふん……目標は高く持つべきだぞ? アイドル雀士のトップと言えばはやりんだ! そのはやりんを倒さずしてどうする!?」

いちご「そもそもはやりんどうこうより、まずはインハイじゃろうが!」

爽「宮永照か? はっ! あいつもその内倒すからいいんだよ! それに、ユキはまだ一年生なんだからこれから国麻に世界ジュニア、それ以降も目立てる場面はいっぱいあるからいいんだよ!」

宥「ちょ、ちょっと落ち着いて……」

由暉子「公共の場で騒いだら迷惑ですよ」

いちご「む……すまん、ついヒートアップしてもうて……」

宥「あったかーい?」

由暉子「そこは反応するところではないのでは……」

爽「……まあ、うちのユキもたしかにまだまだ未熟なところはあるがな。 今後パワーアップを果たした暁には……」

由暉子「ああ、そういえばこの前ダンベル買ってきましたよ」

いちご「パワーアップして打倒はやりん(物理)!?」

爽「だから筋力アップじゃないって! 歌って踊れる……」

宥「あ、トレーニング関係なら穏乃ちゃんが得意分野で……」

由暉子「それは興味深いですね」

爽「話聞けよ!?」

20 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/04/28(火) 01:29:23.64 ID:28kNLaCJO

爽「いいか? 今後パワーアップを果たした暁にはゾウに乗ったはやりんにも勝てるぐらいの実力をつけて……」

いちご「ゾウ!? なんでゾウ!?」

爽「え……ほら、ゾウって大きいし、強そうだし……」

いちご「ってやっぱり物理なんか!?」

爽「だから違うって! えっと、ほら! ライブでゾウに乗って登場するなんてこともあるかも……」

いちご「それは無理じゃろ!? 白馬に乗って……とかは聞いたことあるけれども!」

由暉子「ゾウってどうやって倒せばいいんでしょう?」

宥「うーん……さすがに素手じゃ無理なんじゃないかなあ……」

爽「だから物理的に戦わないって! なんだよ、好戦的だな!? だから、歌って踊れるアイドル雀士にパワーアップしてだな……!」

宥「……っ!」

いちご「なんじゃ、雀士じゃなくってアイドルで成功したいんか? そんな技能あっても……宥ちゃん、どうしたん?」

宥「い、いや……ちょっと、うん。 気にしないで」

由暉子「……? まあ、私としては先輩方にはたくさん恩もありますし、なんでも頑張っていく所存ですが」

爽「さすがに歌って踊れる雀士ともなるとライバルは少ないからな! プロまで拡大しても驚異になるのははやりんぐらいで、同世代のライバルも少ないし!」

いちご「ライバル? ちゃちゃのんや宮永照……清水谷とかか? 歌や踊りはどうなるんか知らんけど……」

爽「今のところ歌と踊りができるのは……情報の限りでは白糸台の弘世様ぐらいだな!」

宥「ぶふぅ!?」

いちご「おわぁ!? ゆ、宥ちゃん大丈夫……って弘世!? 弘世様って、弘世菫か!?」

21 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/04/28(火) 01:30:27.12 ID:28kNLaCJO

爽「白糸台の弘世なんて、あいつぐらいだろ?」

いちご「えぇ……だいぶイメージと違うんじゃが……去年とかも大会で二言三言なら言葉も交わしたけど、真面目でお堅い感じじゃったぞ?」

爽「実際の性格とスキルは関係ないだろ?」

由暉子「とはいえ、岩館先輩に話を聞いただけで実際の映像は目にしてないのですが……」

宥「……わ、私……持ってるよ、弘世様の歌って踊ってる動画……」

いちご「はぁ!?」

爽「あっ! そっか! そういや大元は灼ルートの情報だったな!」

由暉子「……ちょっと、いや、かなり気になります」

爽「ライバルの研究はしておくべきだな! 宥姉ちゃん! 頼む!」

宥「うん……えっと、ほら……」

菫『はやや〜☆』

いちご「……弘世、はやりんのファンなんか」

爽「これは……面白い以上に相当の実力! ユキ、強敵だぞ!」

由暉子「……はやりんのコピー、完璧ですね」

爽「まあ、はやりんのかわいらしいイメージに対して弘世はイケメン系だからな……路線的にはこっちの方が有利なはずだ!」

由暉子「はやりんとは違った方向で女性人気も取り込めそうですよね」

いちご「真面目に分析しとる!?」

22 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/04/28(火) 01:31:50.90 ID:28kNLaCJO

爽「ん? 当然だろ?弘世に競り勝って、はやりんにも勝つんだからな! 真面目にやらんでどうする!」

いちご「打倒はやりん、本気なんか……」

由暉子「……正直、今の段階ではダンスは勝ち目がありませんね……運動はあまり得意ではありませんし、正直体力もあまり自信が……」

宥「それじゃあ、やっぱりトレーニングかなぁ? 穏乃ちゃんにお願いしてみるよ」

爽「それはありがたいな! ユキの当面の敵は弘世様……同じ一年生なら長野の原村だな。 準決で直接対決もあったし、タイプも似てるから比較されることも多いだろうし」

いちご「ふむ…………」

爽「……ああ、安心しろって! ちゃちゃのんは中ボスだから! ちゃんと倒してやるから!」

いちご「そんなこと考えとらんわ! くぅ……獅子原! ちゃちゃのんは絶対に負けんぞ!?」

爽「ふふ……言ってるがいいさ……最後に勝つのはうちのユキだ!」

由暉子「……どうして私より爽先輩が盛り上がってるんでしょうか?」

宥「きっと、それだけ後輩思いなんだよ〜」

由暉子「……なるほど。 ちょっと照れますね……」

爽「でもさ、実際今のちゃちゃのんはヤバいだろ? 役満振ったのはさすがにさぁ」

いちご「ぐ……」

爽「あれは警戒しなきゃダメだって。 いくら可能性が低いと言っても相手はあの……なんだっけ? 大阪の面白いやつ……」

宥「姫松の、愛宕洋榎さんですよ」

爽「そう、それそれ! あいつあんまユキをプロデュースする過程で絡みそうにないから名前覚えれてなくてさぁ」

由暉子「とんでもなく失礼ですね」

23 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/04/28(火) 01:33:39.94 ID:28kNLaCJO

爽「っていうか、マジで気づかなかったの? あれぐらいの選手だと……なんつーか、気が凄いしさ、ヤバげな手を張ってるときはぐいぐい来ない? 背筋っーか、こうムズムズとさぁ」

いちご「む……う……」

爽「そりゃあ、いい手張ってたし攻めるタイミングだったかもしれないけど……」

宥「……愛宕洋榎さんの名前は覚えてないのに、卓の状況は覚えてるんですか?」

爽「だって、ちゃちゃのんはユキのプロデュースにおける中ボス的ポジションだし」

由暉子「むしろなんでそれで愛宕洋榎さんの名前覚えられないんですか?」

爽「うっさい! とにかく、ちゃちゃのんはあんなんじゃせいぜい中ボスがいいところで……」

いちご「……ふぇ」

爽「!?」

いちご「うぅ……そんなん、ちゃちゃのんだってわかっとるんじゃ……ちゃちゃのんの不用意な打牌が原因で逆転されて……ひっぐ……」

爽「え、あ! その! ちょ、えぇ!?」

宥「いちごちゃん!」

いちご「う、うちのっ、副将も、大将も頑張ったけど、結局す、末原に、抑えられてもうて……」

爽「その……泣くのは反則だろ!?」

由暉子「いや、どう考えても爽先輩が悪いですよ?」

宥「…………」

爽「怖い! 宥姉ちゃんもそんな顔するんだね!? 睨まないで!?」

24 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/04/28(火) 01:34:44.06 ID:28kNLaCJO

爽「いやその……ちょっと言い過ぎたっていうか、余計なこと言ったっていうか……悪気はなかったんだよ! マジで!」

いちご「うぐ……うっ……ええんじゃ、どうせ、ちゃちゃのんが悪かったのは本当じゃし……」

宥「……今のは、謝ったって言わないよね」

爽「ひぇ……」

由暉子「すみません、佐々野さん……デリカシーのない人なんです。 だからと言って許されることではないですけど」

いちご「うっ……ぐすっ……」

爽「ごめん! ほんと、そっちの気持ちも考えずに好き勝手言って!」

宥「本当だよね」

爽「ひぃぃぃ!? 宥姉ちゃんがマジで怒ってるぅぅぅ!?」

由暉子「爽先輩、自分が見えてるものが他人も同じように見えてるなんて思わないでくださいよ……爽先輩にしか見えないものもあれば、爽先輩にも見えないものはあるんですから……」

爽「例えば?」

由暉子「……爽先輩、だいたいのことは見通せてますね」

爽「だろー?」

宥「人の気持ちはわからないみたいだけどね」

爽「だから怖いってば! ごめんなさい! 本当に反省してるから!」

25 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/04/28(火) 01:35:51.16 ID:28kNLaCJO

爽「ほんとごめん……ちゃちゃのん、さっき私が注文したいちごのケーキあげるから……」

いちご「……ケーキ……?」

爽「そう! ほら、おいしそうだろ? こんなにおっきいいちごが乗ってるし!」

いちご「おいしそう……」

爽「な? ほら、たくさん食べていいから!」

いちご「……そうやってちゃちゃのんを太らせるつもりなんじゃな!?」

爽「え!? キレるの!?」

いちご「ちゃちゃのんがいちご大好きなのを知ってのことじゃろ!?」

爽「自分大好きみたいだな!?」

由暉子「共食い感ありますね」

いちご「名前でいじるのやめんか! というかなんだかんだ言われてもけっこうかわいい名前だと思っとるんだがどうじゃろ!?」

爽「ほんとに自分大好きか!?」

宥「いちごちゃんに合っててかわいいと思うよ〜」

由暉子「たしかに名前からしてかわいいですからね、佐々野さん」

いちご「いやあ、それほどでも……」

爽「なんだよ! もう元気じゃんか!」

いちご「知らん! 涙も女の武器なんじゃ!」

爽「嘘泣きかよ!」

いちご「マジ泣きじゃ! 悪いか!」

爽「ゴメン……」

26 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/04/28(火) 01:36:40.20 ID:28kNLaCJO

いちご「ふん……ケーキは返さんからな」

爽「……太るぞ」

いちご「やっぱりそれが狙いなんかっ!?」

爽「そっちがさっき言ってたんだろ!? 嫌なら食べるなよ!」

いちご「食べるに決まっとるじゃろ! 目の前にいちごのケーキじゃぞ!?」

爽「だからなんで怒るんだよ!?」

いちご「え……なんでじゃろ……あんたのこと嫌いだから……?」

爽「なんか嫌われてる!?」

由暉子「嫌われていたとしてもそこに疑問を挟む余地がないですよね?」

宥「仕方ないんじゃないかな」

爽「心なしか宥姉ちゃんも冷たい!」

宥「あったかくない!?」

爽「いやむしろ暑そうだけどな!?」

由暉子「暑くないんですか?」

宥「あったかいよ〜」

爽「……宥姉ちゃんマジで大丈夫なん? 寒がりってレベルじゃないよ?」

いちご「ほら、宥ちゃんはあんたと違って心があったかいから」

爽「私だってあったかいよ!? 熱いよ! 燃えてるよ!」

27 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/04/28(火) 01:38:07.62 ID:28kNLaCJO

宥「あったかい?」

爽「おう!このインハイを通してユキを売り出すことに情熱を注いでるんだよ、私は!」

由暉子「それはどうも」

いちご「はぁ……ちゃちゃのんも燃え尽きてないで個人戦に向けてやる気出さんとな……」

爽「そうだよ! 腑抜けに勝ってもつまんないしな!」

いちご「……今から勝った気になっとるんじゃないわ。 ちゃちゃのんは個人戦で結果出してプロに行くんじゃ! 負けられん!」

爽「プロ入りが決まれば受験勉強しなくていいしな!」

いちご「しょうもない理由を上乗せするんじゃないわ!」

爽「プロ入りすれば懐も……」

宥「あったかくなる!」

いちご「……まあ、お金も魅力のひとつかもしれんが、そういうことではなくて……」

爽「あ、お金といえば今気づいたんだけどさー」

いちご「そっち!? そっちに広げるん!? ちゃちゃのんの麻雀に対する情熱とか! 栄光と挫折のストーリーとか! そういう話をさせてもらえるんじゃないんか!?」

由暉子「そういう話はプロ入りしてからした方がいいんじゃないんですか?」

宥「どうしたの?」

爽「財布忘れた」

宥「えっ……奢るって言ってたのに?」

由暉子「さすがに先輩の株大暴落ですよ?」

爽「……頼むぞ、ちゃちゃのん!」

いちご「なんでちゃちゃのん!?」

爽「私のケーキ全部食べたし……」

いちご「そらそうじゃけども!」

28 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/04/28(火) 01:40:15.76 ID:28kNLaCJO

爽「だってほら……ね?」

いちご「いやいや意味わからんのじゃが」

爽「私は実質お茶だけだし! ティーだけだし!」

由暉子「仕方ないですし、自分の分は出しますよ」

爽「それはダメだ! 奢るって言ったんだから後輩に出させるわけにはいかないだろ!」

いちご「妙なプライド発揮せんでも……」

爽「金貸してくれよ! 3000円くらい!」

いちご「リアルな額で貸しづらいわ! 初対面じゃぞ!?」

爽「……仕方ないか」

爽「……よし、逃げるぞユキ!」

由暉子「あっ」

宥「えっ」

いちご「!?」

爽「ちゃちゃのん! ここは借りにしといてやるぜ! 個人戦で返してやるから覚悟しろよ!」

いちご「お金で返すとこじゃろ!?」

宥「っていうか普通に借りだよ!?」

由暉子「どうもご迷惑をおか「バイビー!」」

宥「バイビー!?」

いちご「足早っ!? え? マジで逃げよった!?」



宥「……とりあえず、支払っておこうか」

いちご「そんなん考慮しとらんよ……」


カン!

29 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/04/28(火) 01:44:02.09 ID:28kNLaCJO
※爽→揺杏→灼→宥→いちごルートで無事返済されました

言葉のせいかちゃちゃのんが染谷先輩になりそうになる。具体的には一人称がわしになる。危ない

30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/28(火) 01:52:12.62 ID:Dk7K9vOlo
広島弁枠も大渋滞じゃな

それにしても爽先輩ほんと面白いな。話がポンポン進んでく
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/28(火) 01:54:50.04 ID:sA4R/0mXo
おつ
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/28(火) 06:20:27.79 ID:6IuPmg+Ho

ややこしい返済の仕方だなww
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/28(火) 08:41:40.32 ID:ELbge454o

ユキは弘世様にダンスと歌を習おう
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/28(火) 08:48:26.40 ID:FNvWpSZDo
乙です
露出狂トリオがユキちゃんにアレな服を勧める話が見たい
反応が気になる
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/28(火) 09:10:07.05 ID:J3PGjZTW0

爽は本当に空気読めない発言しそうだよなー
大将戦楽しみやわw
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/28(火) 09:29:09.60 ID:QzqDo3XAO
乙です…
>>34
其れをのどっちさんが見て二人して「有りですね…」と言う…か…
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/04/28(火) 11:13:54.20 ID:rcsty2E/o
乙です
38 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/05(火) 00:21:02.32 ID:0cfbtY35O
まこたんイェイ〜
書き溜めてたのに間に合わなくて吐きそう

爽くんって小学生男子とすこやんを足して割った印象です。親被りで削るぐらいなら自分であがったほうがいいじゃんってなかなかすごい考え方。そんな簡単に和了れたら苦労しないよっていう

咲日和PVも出てきてころたんイェイ〜やアラサーだよ!確定してテンション上がりますね
投下します
39 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/05(火) 00:21:55.48 ID:0cfbtY35O

爽「いつになるんだ?」

灼「……なにが?」

爽「打倒はやりんに決まってんだろ?」

灼「いや、そんなこと言われても……」

爽「ええい、手筈はどうなっておるのだ岩館博士!」

揺杏「ははっ! 現在計画を進めております故、しばしお待ちを……」

爽「これ以上は待てんと言っておるのだ! バシッ!」

揺杏「ぐわあっ! は、ははー!」

灼「その小芝居必要なの?」

爽「必要ではないけど退屈だからな……」

憧「……それ、灼さんが言うの? いつも揺杏とやってるじゃん……」

爽「え!? 揺杏と灼っていつもヤってるの!? そんなに堂々と!?」

揺杏「ヤってるとかやめろよ! 私と灼は清い関係だよ!」

憧「ふきゅ!?」

灼「ちょっとふたりとも、憧が興奮するからやめてよ」

憧「こ、興奮なんてしないわよ!」

揺杏「なに興奮してんだよー」

憧「興奮しないし! してないし!」

爽「まあまあ、落ち着けよ。 そういう年頃だもんな、仕方ないって。 気にすんなよ」

憧「なにを納得してるんですかね!?」

40 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/05(火) 00:22:30.65 ID:0cfbtY35O

憧は、からかい甲斐がある。 最近はそこら辺がよくわかってきた

揺杏は前からだけど、爽もそこら辺にはすぐに気づいたみたいだ

爽「ほら、そういうのはさ……彼氏作ってからリアルで励めばいいじゃん? かわいいんだからさ、そんな不毛な妄想の世界に羽ばたかなくても……」

憧「そんなこと考えてませんから!!」

揺杏「そんなことって?」

憧「え、あ、だから……ほら、そ、そういう……アレ的な……」

灼「アレ?」

憧「あ……う……」

爽「なんだよこの子、ドスケベだな」

憧「ち、違うし! 誤解を招くようなこと言わないでくれます!?」

揺杏「んー……ちょっと、玄ちゃん! お忙しいところ悪いけどちょっといい?」

玄「え? なぁに?」

揺杏「こう……玄ちゃんに素敵な彼氏ができたとして……」

玄「えぇ!? 素敵な、か、彼氏……?」

爽「なに赤くなってんだよー」

揺杏「誰を想像した? ん?」

玄「べべ、別に誰も! それで!?」

揺杏「その素敵な彼氏とするそういうアレ的なことと言えば!」

玄「えぇ!? そ、そういう、アレ的なこと!?」

爽「お、更に赤くなったぞ?」

揺杏「さぁ、なにを想像した? ん? ん?」

玄「そ、そんな……恥ずかしくて言えないよぉ……」

憧「ほ、ほら! 玄だって!」

41 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/05(火) 00:23:16.10 ID:0cfbtY35O

爽「いいからいいから、恥ずかしがらずに言ってみ? さっき憧ちゃんもその話したから」

玄「そ、そうなの? それなら、まあ……」

揺杏「おう、頼むよ。 参考までに」

玄「えっと、えへへ……やっぱり初デートは映画とか、そういうのもいいと思うんだけどピクニックとかもいいかなって。 ほら、吉野は自然に囲まれてて……あ、でもあっちもけっこう自然の多いところみたいだし……いや、むしろどっちの土地でも使えるプランってことだよね! それでそれで、ふたりでお話ししながら歩いて……て、手とか、繋いじゃったり……きゃっ! もう、もう! 恥ずかしいなぁ……えへへ……それで、手作りのお弁当を食べてもらうの! あ、ただ食べてもらうんじゃなくってふたりで作ってきて交換して食べるのもいいかも! 私の腕前なんてまだまだだけど料理は愛情って言うし……あ、愛だって! もう、ふふふっ……それでその後は「あ、もういいですありがとうございます」え? そう? まだまだこれからなのに……」

灼「……私があっちで聞いてあげるから」

玄「うん、わかった!」

爽「…………」

憧「…………」

揺杏「…………」

爽「……ほら、玄ちゃんは健全だったし……」

憧「アレはアレでどうなのよ!?」

揺杏「まあ、ちょっとウザかったよな、うん」

爽「でも同じ妄想癖があるにしても、憧ちゃんがドスケベなのは証明されてしまったな」

憧「されてないから!」

揺杏「じゃあ、憧ちゃんの言うそういうアレ的なことってなによ?」

憧「え? そ、それは……その……」



憧「ふきゅ」

爽「なにこの子面白い」

揺杏「喜ぶからいじってあげてなー」

憧「喜ばないから! 余計なこと言うな!」

42 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/05(火) 00:24:05.07 ID:0cfbtY35O

憧「だいたいあんたたちは……」

爽「うわ、あんただって」

揺杏「先輩には敬語使えって習わなかったのかよ〜」

憧「あんたらは既に敬う対象から外れてんのよ!」

揺杏「ひっでぇ」

爽「つーか灼にもタメ口じゃん。 敬ってないのかよー」

憧「え? いや……それは、その、違うでしょ!?」

揺杏「屁理屈言うなー」

爽「何が違うんだよー」

憧「うっさいわね! いいの! 灼さんは特別なの!」

爽「特別だって」

揺杏「妬けるね」

灼「照れる」

いや、実際ほんとに照れちゃう。 玄と宥さんとの繋がりで麻雀部に入って、憧とは出会って一年も経ってないし……うれし

憧「うわぁぁ灼さんいつの間に!?」

灼「いや……玄が満足するまで聞いてあげようと思ってたんだけど砂糖吐きそうだったから……」

爽「健全乙女玄ちゃん、そこまでか……」

灼「清純派過ぎてダメージ受けた……」

なんかさ、自分が汚れてるような気さえしてくるよね

揺杏「……玄ちゃんは心なしか満足げな顔してるね」

灼「多少は満足してくれたみたいで……」

43 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/05(火) 00:24:37.45 ID:0cfbtY35O

揺杏「あ、ユキ〜? この衣装、胴回り直したからちょっと着てみてくれる?

由暉子「わかりました」

憧「あ、着替えるなら隣の部屋使いなよ。 ここ、玄もいて危ないし」

玄「えぇ!? どういうこと!?」

憧「そういうことに決まってんでしょ」

爽「玄ちゃんに当たるなよー」

憧「当たってないから! 正常な判断だから!」

宥「鍵開けるから、こっちにどうぞ〜」

由暉子「すみません、ありがとうございます」

玄「この扱いはおかしいよ……!」

憧「妥当でしょ……つーか、なんでわざわざうち来てまでその作業やってんの?」

揺杏「えーと、ほら、いつもと違う環境がインスピレーションをなんたらかんたら……」

憧「最後まで頑張りなさいよ!?」

爽「まあ、退屈だからだな……」

憧「そんな理由で巻き込まないでくれる!?」

穏乃「ちょっと憧! さっきからうるさいってば! 崩れたらどうすんのさ!?」

誓子「……よし! 行った!」

成香「素敵です!」

憧「あ、ごめ……なにしてんの?」

穏乃「ジェンガ!」

憧「また懐かしいものを……」

44 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/05(火) 00:25:04.25 ID:0cfbtY35O

憧「あんたはさ、ああいうおもちゃばっか持ってきて……東京までなにしに来たのよ」

爽「決まってるだろ? はやりんを倒しに来たんだ!」

憧「あ、そうですか」

爽「……本当は、強い奴と戦いに来たんだ! 個人戦を控えてオラワクワクしてきたぞ!」

憧「へー」

爽「実を言うと、神の教えを広めるために……」

憧「ふーん」

爽「……珍しいおもちゃを買いに」

憧「なるほど」

爽「納得するなよ!?」

揺杏「え? 私もちょっと納得しちゃったんだけど」

成香「違ったんですか?」

爽「麻雀だろ!? そしてユキだろ!? なに言ってんの!?」

誓子「むしろ爽はそっちを忘れてるのかとさえ思ってた……」

爽「忘れないよ!? そりゃあ、団体戦終わってからは遊んでる時間多かったけども!」

由暉子「まあ、最近は遊んでばっかりですよね」

揺杏「お、ユキ! どう? サイズ大丈夫?」

由暉子「完璧ですよ」

45 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/05(火) 00:25:39.25 ID:0cfbtY35O

宥「遊んでばっかりなのもどうかと思うよ? 素直にいけば今後受験もあるし……」

爽「私、勉強あんま好きじゃないし……」

揺杏「バカだもんな、爽は」

宥「それは知ってるけど……」

爽「辛辣!? 宥姉ちゃんまだちょっと怒ってる!? っていうかバカって言うほどバカじゃないし!」

宥「……お金ぐらい自分で返しに来なよ」

爽「だってちゃちゃのんの連絡先知らないし……宥姉ちゃん怒ってて怖かったから……」

誓子「それ、ちゃんと謝らないから怒ってるんでしょ……」

成香「普段穏やかな人ほど怒ると怖いです……」

玄「お姉ちゃんも怒るんだ……」

穏乃「……今まで宥さんに怒られたのなんて、せいぜい『めっ!』とか、そういうレベルだったんですけど……獅子原さん何したんですか……?」

爽「いや……うん。 聞かないで……また怒られるから……」

揺杏「そんなことより、はやりんの話しようぜ!」

憧「はぁ?」

灼「酷い話題転換の仕方……」

爽「いいじゃん! はやりんの話しようぜ! はやりんの話!」

誓子「またはやりん?」

玄「また?」

由暉子「最近暇なのもあってかはやりんの話ばっかりしてますよね」

爽「彼を知り己を知れば百戦殆からず。彼を知らずして己を知れば、一勝一負す。彼を知らず己を知らざれば、戦う毎に必ず殆し!」

穏乃「え?」

46 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/05(火) 00:26:20.38 ID:0cfbtY35O

灼「孫子……まあ、自分の戦力と敵の戦力を把握してれば負けないよって感じの……」

爽「ユキをアイドル雀士として売り出すためにもやっぱり大成功例の研究は欠かせないからな!」

玄「ふぅ〜む……なるほどなるほど、なるほどー」

揺杏「爽、かなり本気で研究してるからな」

爽「いやぁ、ライブのBlu-ray集めたり店舗特典狙いで新曲CD複数買いとかなかなかお金がかかって……」

憧「へぇ……けっこうマジでやってんのね」

爽「でも、本当なら生でパフォーマンス見たいよな! ライブのチケットなんか人気でなかなか取れないしさー……つーかはやりん! 生はやりん見てぇ!」

憧「……ん?」

爽「仕方ないけど北海道ってのもハンデあるよな……全国ツアーでもなかなか来ないし……解説とかで会場でニアミスしないかなーとか思ってたけどやっぱり関係者通路とかはガード厳しくて忍び込めないし出待ちするにしても……」

爽「あ! っていうか準決勝の前日のスポーツニュース見た!? はやりんが出てるやつ! うちらの名前出しててさ! こう、はやりんが私と言う存在を意識してくれてる? みたいな? 超うれしいよなーやっぱ!」

憧「……ただのファンじゃん!!」

爽「ばばばバカ言ってんじゃねーよ私はただはやりんを倒してユキを二代目はやりんとでも言うべき存在に昇華するために研究してるだけで別にそういうんじゃないですから!」

誓子「研究のためって言ってはやりんの出てる番組とか全部チェックしてるよね」

成香「雑誌も買ってきてますよね」

揺杏「当然、そこら辺ではやりんの着てる服もチェックしてますよー」

爽「研究! 研究だから!」

玄「でも、はやりんかわいいよねー」

爽「だよな!」

憧「やっぱり好きなんじゃん!」

爽「……客観的な事実だし! 別に好きとかじゃないし!」

47 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/05(火) 00:26:55.99 ID:0cfbtY35O

灼「……なんか既視感が」

穏乃「ああ……たしかに、なんかどこかで……」

揺杏「……憧ちゃんってさ、純のこと好きだよね」

憧「はぁ!? なな、いきなりなに言ってんの!? 意味わかんないんですけど! すす、好きとかじゃないし!」

揺杏「これだな!」

灼「納得した」

穏乃「獅子原さん、はやりんが好きで真屋さんをはやりん系にしようと……?」

爽「違うよ! はやりんにドはまりしたのはユキのために研究はじめてからだから!」

由暉子「やっぱりドはまりしてるじゃないですか」

爽「しまったぁ!? なんという誘導尋問……!」

誓子「ただの自爆でしょ」

爽「なんだよ! くそっ! いいだろ、はやりん!」

玄「いいですよね! ふへへ……」

宥「玄ちゃん、顔……」

成香「不気味で怖いです……」

揺杏「うわぁ……清純派乙女とは思えない顔してる……」

灼「玄はこれさえなければね……」

憧「というか、玄ははやりんが好きなんじゃなくておっぱいが好きなだけでしょ」

48 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/05(火) 00:27:49.30 ID:0cfbtY35O

爽「そうか、玄ちゃんはおっぱいが好きなのか!」

玄「えっ? えへ、いやまあそれほどでも……」

灼「できれぱ否定してほしいんだけど……」

爽「もしかしたら玄ちゃんの好きな人もおっぱいが好きかもしれないぞ! 共通の話題があれば会話も盛り上がるぜ!」

玄「えっ!? 本当に!?」

宥「し、獅子原さん! やめてあげてよ! 相手の人にドン引きされちゃうから!」

揺杏「……本当にこれさえなけりゃうまくいくんじゃないの? 正統派清楚系お嬢様なのに……」

憧「もったいないわね……周囲にクセある人が多いから案外受け入れてもらえる気もするけど……」

爽「ま、おっぱいが嫌いな男なんていないだろ! ちょっと触らせてやれば……」

玄「む、むむ無理だよそんなの! いきなりそんな! 恥ずかしいし!」

成香「……男性に胸の話題振るのは平気なのに、そこはさすがにダメなんですね」

誓子「むしろその手があったか! みたいな反応されても困るって……」

揺杏「色仕掛けとか効きそうもない相手だし、素直にアピールしてって告った方がいいと思うんだけどな……」

憧「とにかく、玄は早く乳離れしなさいよね」

宥「ちょっと意味が違うような……いや、合ってるのかなあ……」

爽「おっぱいなぁ……はやりんは、でかいよな。 だからユキもその路線で攻めようと思ったんだけど」

由暉子「胸がでかすぎても良くないって聞きますけど」

爽「はやりんは売れてるからなんとでもなるってことだろ? あー! はやりんに会ってみてぇー!」

憧「……私、会ったことあるけど」

爽「はぁ!?」

49 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/05(火) 00:28:28.08 ID:0cfbtY35O

憧「瑞原プロ、ハルエの友達だし」

爽「マジ!? レジェンドすげぇ! レジェンド赤土レジェンドすげぇ!」

憧「っていうか、話したし。 握手したし」

爽「えっ!? 右手!? 左手!?」

憧「どっちも!」

爽「憧ちゃん握手! 間接握手!」

憧「写真も撮ったし! ツーショットで! サインも! 憧ちゃんへ☆ って名前入りで!」

爽「ズルい! 私も欲しいんだけど!」

憧「ライブのチケットももらったぁ!!」

爽「くれ!!」

憧「やだ!!」

爽「譲ってくれ! 頼む!」

憧「無理!!」

爽「こ、殺してでもうば「やめなさいって」あだっ! なにすんだよチカ!」

誓子「爽こそなにする気よ……」

成香「ヒートアップしすぎです……」

穏乃「……憧、はやりん好きだったっけ?」

憧「いや……正直、前はないなって思ってたけど……はやりんヤバいわ……好き、尊敬」

爽「なー! 正直私も前はちょっと……って感じだったけど実際ヤバいわ。 はやりん超かわいい」

50 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/05(火) 00:29:06.56 ID:0cfbtY35O

揺杏「……なんかもう隠す気なくなってきたね。 身内にはバレバレだったけど」

爽「うるさい! はやりんを好きでなにが悪い!」

灼「弘世様並の感想」

爽「いや、正直弘世様はすごいね! 私ははやりんになれないしユキをそっち系にするって決めてるけど! 弘世様はアレだけキャラ性に違いあるのにほぼはやりんだからね! 心がはやりんだもんね!」

穏乃「おお……よくわかんないけど熱い!」

爽「つーかはやりんは!? 来ないの!? レジェンド監督は!?」

灼「ハルちゃんは隣の部屋……プロチームの人が来て話すって……」

憧「あ! はやりんが前に来たときもスカウトの話だった!」

爽「マジで!? じゃあもう隣にはやりんいるかもしれないじゃん! 突撃だ!」

玄「えぇ……その、はやりんが来てるとも限らないし邪魔になっちゃうんじゃ……」

爽「玄ちゃん! あとで恋の相談乗ってあげる! 私のプロデュース力さえあれば成就確実だぞ!」

玄「行ってらっしゃいませ!」

宥「玄ちゃん!?」

成香「あの、さすがにそれは……」

爽「成香は黙ってろ! 揺杏が一に作った服着せるぞ!」

成香「勘弁してください……」

誓子「……見なかったことにしてジェンガの続きをしましょう!」

穏乃「わーい!」

揺杏「……チカセンぶっちゃけ遊びたいだけっすよね?」

灼「……心配だし、一応追いかける」

揺杏「……まあ、ほっとくのもな……つーか、それで交渉台無しになったりしたら悪いってレベルじゃ済まないし……」

51 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/05(火) 00:29:36.12 ID:0cfbtY35O

――――――

爽「うおおおぉぉぉぉ! はやりーん! は、はーっ、はやアアーッ!! はやアーッ!!」

晴絵「おわぁっ!? な、なんだ!?」

はやり「はやっ!?」

爽「えっ?」

憧「あっ」

灼「うわ」

爽「…………あ、ども……」

はやり「……こんにちはっ☆」

あ、一瞬で立て直した。 プロってすごい

憧「す、すみません瑞原プロ! 邪魔しちゃって! やめろって言ったんですけど聞かなくって!」

爽「おい!? 裏切り者っ! ノリノリだったじゃん!」

憧「本当に瑞原プロいるとは思ってなかったのよ!」

晴絵「おーい……私、一応真面目なお話ししてるって言ったと思うんだけど……」

憧「今はハルエのことはどうでもいいの! 瑞原プロの話してるんだからちょっと静かにしててよ!」

晴絵「え、私が悪いの? ごめん……」

揺杏「こんちゃーっす……うぉ……マジではやりんいるし……」

はやり「有珠山高校の、獅子原さんと岩館さん? ……憧ちゃん久しぶり! 鷺森さんははじめましてだねっ☆」

灼「ど、どうも……ハルちゃんがお世話になってます……」

揺杏「は、はじめまして……おい、爽! 固まってないで挨拶ぐらいしろよ!」

爽「……うおおおぉ! はやりんだ! 本物の! 超綺麗! 超かわいい!」

はやり「ありがとうっ☆」

憧「だから挨拶しなさいよ!」

52 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/05(火) 00:30:05.58 ID:0cfbtY35O

爽「し、失礼……つい、取り乱して……」

揺杏「珍しいな、爽がテンパってる……」

爽「あ! おい、揺杏! み、みんな! 連れてきて! 早く!」

揺杏「え、自分で行けばいいじゃん」

爽「揺杏は衣装担当! 私はユキの総合的なプロデュース担当! 私の方がはやりんと相対してプラスが大きい!」

揺杏「……いや、爽ははやりんと話したいだけだろ」

爽「そうだよ! さぁ、行ってこい!」

揺杏「いや、でも私だって……」

爽「行け! 隣なんだしすぐじゃん! それに揺杏よりも私の方が絶対はやりんのこと好きだから! 私優先! 行け!」

揺杏「わかった、わかったよもう……横暴だなぁ」

爽「……わ、やべぇ! どうしよう! はやりんだ! 本物だぜおい!」

灼「いた……背中叩かない……いたっ……ちょ、爽……やめてって!」

爽「あ、ごめんつい……なんか、もう……どうすればいいんだろうね!? おっほほ! はやりんだ! うわー!」

晴絵「……弘世様もだけど、瑞原プロのファンって、こう…………げ、元気な子が多いよね」

憧「精一杯気を遣った!?」

はやり「はやりがみんなに元気をあげられてるならうれしいなっ☆」

爽「うわぁぁぁ! はやりんのお蔭で元気になるぅぅ!」

憧「そろそろうマジでうるさいから!」

爽「あいたっ! ごめんなさい!」

53 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/05(火) 00:30:37.39 ID:0cfbtY35O

爽「は、はやりんがこんなところに何を?」

晴絵「こんなところ!?」

はやり「はるえちゃんとの交渉に……もうずっと勧誘してるのになかなか首を縦に振ってくれなくて……」

爽「こらレジェンド! はやりんを困らせるなよ!」

晴絵「レジェンドはやめて!」

憧「そういえば、阿知賀に戻って来た頃にも瑞原プロからプロ入りの話来てたんだよね?」

晴絵「え? それ言ったっけ?」

憧「こないだお姉ちゃんから聞いた」

晴絵「あー……まあ、うちはインハイも終わってるしいいか……」

灼「大宮じゃダメなの?」

晴絵「ダメってことはないけど……まあ、いろいろ考えたいというか……みんなだって進路考えるときは悩んだろ?」

灼「小学校からずっと阿知賀だし……」

晴絵「……おう、私もそうだったわ」

爽「私は別に……」

晴絵「君はそろそろ悩みなよ!? 今高三だろ!?」

憧「私は阿知賀と晩成でかなり悩んだけど……」

晴絵「そういう答えがほしかった! ひとつの違いでも大きく環境は変わるから!」

はやり「たしかにね……はやりもけっこう悩んだし……」

爽「そうなの? ……じゃなくて、そうなんですか?」

54 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/05(火) 00:31:26.74 ID:0cfbtY35O

揺杏「爽、みんな呼んできたよー」

由暉子「本物のはやりん……」

誓子「おお……やっぱりオーラある……」

成香「テレビで見るよりも素敵です!」

穏乃「すごい! はやりんだ! トッププロだ!」

宥「わぁ……すごーい……」

玄「おもち!」

憧「玄、ちょっと外出てようか?」

玄「どうして!?」

爽「つーかお前らみんな出てけよ! はやりんと話せないだろ!?」

揺杏「爽が呼んでこいって言ったんだろ!?」

爽「知らん! 先輩命令!」

灼「こんなときだけ先輩風吹かせて……」

はやり「こらっ! 後輩いびりなんてカッコ悪いぞっ☆」

爽「ごめんなさーい」

誓子「うわ……爽がこれまで覚えがないほどのだらしない顔してる……」

成香「そんなにはやりん好きだったんですか……」

55 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/05(火) 00:32:00.62 ID:0cfbtY35O

爽「でも、ちょっと静かにしててよ! 今はやりんの話聞くところだったから!」

はやり「ふふふ……そんなに面白い話じゃないと思うけど……」

爽「いやいや是非! ほら、私も高三ですし! 参考までに!」

晴絵「ちなみに私は……」

爽「あ、今そういうのいいんで。 はやりんと話してるんで」

晴絵「…………」

灼「ハルちゃん! 私はハルちゃんの話聞きたいかなーって……」

晴絵「いいよ無理しなくて……私の話なんて面白くないし……所詮阿知賀のレジェンドなんて世界のはやりんとは格が違うし……」

憧「ま、そりゃそうよね」

晴絵「なんだよもう! 泣くぞっ!」

爽「レジェンドの話は灼が聞くからとりあえずはやりんの話を……」

晴絵「あ、爽くんは聞いてくれないんだね……」

はやり「んー……はやりは……なんというか、医療とかそっちの系統の研究をするか、牌のお姉さんになるかですっごく悩んでたんだけど……」

成香「研究職ですか? あまりイメージじゃないです……」

誓子「っていうかすごい二択ですね……」

はやり「友だちにも『なんだその意味不明な二択』って言われたなぁ……『はやりちゃんが本当にやりたいことをやりなよ!』 とも言われたけど……」

56 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/05(火) 00:32:43.62 ID:0cfbtY35O

由暉子「それじゃあ、はやりんはアイドルになりたかったんですか?」

はやり「うん……そうだね。 正確にはちょっと違うけど」

揺杏「そういう研究の方が……なんか、立派っぽいイメージありますよね? 反対とかされなかったんですか? アイドルとか、牌のお姉さんなんて……長く人気出てる瑞原はやりに言うことじゃないかもですけど、安定しないし飽きられたら終わりじゃないですか」

はやり「反対はされなかったかな……家族は、はやりが牌のお姉さんにずっと憧れてたのも知ってたし」

爽「小学生の頃からミニライブとか、そういう仕事もしてたんですよね? デビュー曲の『時にはHAYARIに流されて』ははやりんのお母さんが作詞したって……」

はやり「はやー……詳しいねぇ」

爽「三年前ぐらいのライブのディスクの特典映像で初出の情報でしたよね! いやー初回限定探すのに苦労して……」

灼「……ガチ勢」

揺杏「ちょっと古いやつとかすぐプレミアつくから集めるの大変だったらしいよ……」

はやり「ふふ……ありがとっ☆ 爽ちゃん! ちょうどその頃……小学生の低学年の頃にある人と出会って……それで、その人みたいになりたいって思ったのが牌のお姉さんになりたいって思ったきっかけだったんだけど……」

憧「あ! それって前に言ってた……」

はやり「うん……えへへ、よく覚えてたね憧ちゃん」

憧「そ、それはまあ……」

爽「なにそれ! その話知らない!」

はやり「どこの取材でも言ってないもん……これ、オフレコだぞっ?」

爽「はーい!」

憧「大丈夫です!」

由暉子「どんな方だったんですか?」

はやり「当時の牌のお姉さんで……」

爽「えっと……二十年ぐらい前だから……春日井真深! でしたっけ?」

灼「ほんとに詳し……」

爽「ユキを次代の牌のお姉さんにするのが目標だからな! はやりんだけじゃなくって牌のお姉さんについても勉強したぞ!」

穏乃「おぉ! 燃えてますね獅子原さん!」

爽「もち!」

57 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/05(火) 00:33:15.33 ID:0cfbtY35O

はやり「そう……春日井真深さん。 まふふだよ〜? 知ってる?」

宥「わ、私が物心ついたときにはもう別の人だったような……」

誓子「たまーにテレビで先代牌のお姉さんーとかって名前を聞いたことぐらいはあったような……」

爽「なんか、横浜アリーナででっかいライブやった後に電撃引退してそのまま姿を消したとかなんとか……」

成香「ミステリアスな感じですね」

爽「普通にデキ婚でもして引退したんじゃないかとか妖精の世界に帰ったとかまふふは天使だから天界に帰ったに決まってるだろ! とか諸説あって……」

憧「なんで諸説のうちからそれを選んだの!?」

爽「結局ホントのところは!?」

はやり「さぁ……はやりから言えるとしたら」

爽「したら!?」

はやり「かわいい女の子っていうのは、たくさん秘密を持ってるんだぞっ☆」

爽「んもうっ! はやりんったら! まふふもミステリアスガールなんだからっ!」

誓子「爽が本格的にキモい……」

成香「テンション高すぎて怖いです……」

はやり「はやりは、その真深さんみたいな人になるのが子どもの頃からの……今もそれが夢で……やっぱり、それが今の道を選んだ決め手かなっ☆」

玄「ふぅ〜むなるほどなるほどなるほどー」

憧「今真面目な話してるからさ、手をわきわきさせるのやめてくれる?」

宥「玄ちゃん……お姉ちゃんとして恥ずかしいよ……」

玄「そんなに!?」

はやり「爽ちゃんは、何かないの? 夢とか、目標とか……」

爽「私? うーん……」

58 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/05(火) 00:34:05.52 ID:0cfbtY35O

爽「とりあえず、今はうちのユキを一人前にすることですね。 最終的にははやりんを越えるアイドル雀士にしたいんですけど!」

はやり「はやっ!?」

穏乃「宣戦布告!?」

憧「それ本人に言う!?」

はやり「……やっばりはやりを意識してたの?」

誓子「まあ、恥ずかしながら……うちの麻雀部そこからスタートしたんで」

揺杏「改造制服! 私が作ったんですよ!」

爽「どうです!? かなり完成度高いっしょ!? 戦いたくないでしょ!?」

はやり「あはは……もう慣れてるけど、若い子と比べられるのはちょっと辛いかな……」

晴絵「瑞原さん! ファンの子の前だから! へこまないでください!」

はやり「おっと、はやりはいつでも元気だぞっ☆」

爽「かわいい! はやりんかわいい!」

揺杏「このテンションマジでげろい」

灼「イラッとくるね」

爽「まあ、私はこの調子でユキを売り出していきたいんですけど! どう思います!?」

はやり「うーん……ユキちゃんはその素材としては申し分ないと思うよ?」

由暉子「そうでしょうか?」

爽「あ! そうだ! ひとつ質問いいですか?」

はやり「ん〜? いいよ〜?」

爽「おっぱい「おもち!?」「黙ってろアホ玄!」…………」

憧「ごめん! 続けて!続けていい話題か微妙だけど!」

宥「くろちゃー…………」

59 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/05(火) 00:34:43.92 ID:0cfbtY35O

爽「胸、でかいと牌のお姉さんにはアレだって聞くんですけど……まあ、はやりんはおっぱいでかいけど……実際どうなんですかね? ユキが牌のお姉さんになろうとすると不利だったり?」

はやり「あぁ……はやりも子どもの頃にその話を聞いて胸、大きくなるなーってお祈りしたなぁ……」

灼「憧、そんな怖い顔しないでよ」

憧「……してないもん!」

はやり「……まあ、それでも高校生の時はユキちゃんほどのサイズではなかったかな? というか成長期終わってからも胸だけ大きくなっていったというか……」

灼「まだ希望あるって。 元気だしなよ」

憧「……べ、別にうれしくないから!」

はやり「まあ、なんにせよ努力し続ければ可能性はなくならないと思うなっ☆」

爽「なるほど! 私も頑張ります!」

成香「この場合頑張るのはユキちゃんなんじゃ……」

はやり「それ! はやりも聞きたいことがあるんだけど、いいかな?」

爽「なんでもどうぞ!」

はやり「……ね、ユキちゃん」

由暉子「私ですか?」

爽「…………」

誓子「うわっ……爽がやっべーはやりんに話しかけられる質問されちゃうどうしようやったぜひゃっほい! って顔から視線で人殺しそうな顔になった……」

揺杏「これくらいのことで妬くなよ……」

爽「うるさい! 私の……この、溢れ出るエモーション! どうすれば……!」

揺杏「いや、泣くなよ……」

60 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/05(火) 00:35:37.54 ID:0cfbtY35O

はやり「ユキちゃんは、牌のお姉さんに……アイドルになりたいの?」

由暉子「え……?」

はやり「さっきから、爽ちゃんからばっかりだから……ユキちゃんはどうなのかな? って」

由暉子「……あまり、考えたことがなかったです」

爽「え? そうなの?」

由暉子「私は、先輩たちにたくさんお世話になって……お蔭で、いろいろと変われましたから。 みなさんと居るのも楽しいですし、もっと先輩たちに喜んでもらえる自分になりたいと……」

誓子「おお……なんか感動話っぽく聞こえる……」

成香「爽さんの悪ふざけみたいなところからスタートしたのに……不思議です」

穏乃「あれ……感動しちゃいけないところなんですか?」

揺杏「まあ、ユキにとっていいことだったんなら良かったよ、うん」

はやり「ユキちゃんは、牌のお姉さんに限らなくても麻雀でプロになるとか、アイドルになるとか、そういう方面に関してはすっごく恵まれた才能があると思うけど……」

由暉子「……はい」

はやり「……ちょっと厳しいこと言うよ?」

はやり「ユキちゃんは、爽ちゃんたちに全部まかせすぎじゃないかな? 主体性を感じないよ?」

由暉子「…………」

はやり「ユキちゃんの言う、爽ちゃんたちに喜んでもらえるような自分って、どんな人?」

由暉子「それは、先輩たちの言う通りにして……」

はやり「あくまでも、はやりの考えだけど……このまま爽ちゃんたちに言われるがまま『なにか』になって、それでユキちゃんは満足できる? こうなって良かったって思えるかな?」

由暉子「それは……」

はやり「誰かの言う通りにするのは楽だけど、それだけじゃダメだと思うよ? ユキちゃんがちゃんと自分でも考えなきゃ」

由暉子「…………」

揺杏「……今まで、ユキは抵抗しないから楽だ、ってけっこう好き勝手やってきたよな」

爽「……素直でかわいい後輩だと思ってたけど」

61 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/05(火) 00:36:14.65 ID:0cfbtY35O

はやり「はやりは、今のユキちゃんじゃ牌のお姉さんにはなれないと思うし、なってほしくもないかな」

由暉子「!」

はやり「はやりは自分が牌のお姉さんなのもあるけど、それ以上に特別な思い入れがあるから……人に言われたからなります、なんて子は絶対に認めないよ。 ちゃんと、牌のお姉さんになってなにをしたい、っていうのがある子になってほしいな」

由暉子「牌のお姉さんになって、なにをしたいか?」

はやり「そう。 だって、牌のお姉さんがゴールじゃないでしょ? 牌のお姉さんのお仕事って一口で言っても、子ども向け番組で麻雀教室をやったり、歌やダンス……アイドルみたいなことをしたり……」

爽「……はやりんやまふふはアイドルとして大成功してるから、アイドルのイメージが強いけど……もともとは麻雀教室とかがメインだもんな」

玄「お姉ちゃんと一緒によく見てたよね……」

宥「懐かしいなぁ……」

はやり「はやりは、牌のお姉さんになって……真深さんみたいに、たくさんの人のために、みんなを元気に、笑顔にしたいって……それができる人間になりたいって思ってるから……」

由暉子「もう、そんな人間になれてるんじゃないんですか?」

爽「全体的な売り上げだってまふふよりはやりんのが上じゃないの?」

はやり「はやりは、今の自分に全然満足してないよ? そりゃあ、CDとかの売り上げなら……もう、真深さんよりもはやりの方が活動期間も長くなっちゃってるし、上かもしれないけど……」

はやり「それでも、はやりよりも真深さんの方がずっとずっとカッコよかったと思ってるし、勝ってるなんて思えないよ」

はやり「……爽ちゃんの言う、はやりを倒すって言うのは、CDとかグッズの売り上げのことなの?」

爽「む……それは、ひとつの指標にはなるかなーと……」

はやり「……正直、はやりはアイドルとしては年齢も高いし、ユキちゃんが本気で取り組むならすぐに……とは言わなくても、ユキちゃんはかわいいし、いずれははやりを越える売上を出すことだってできると思うよ?」

はやり「でも、そういう……売れるアイドルって、はやりが目指してるところとは違うからなぁ……それで『負けた』としても、どうでもいいかも」

爽「どうでもいいの!?」

はやり「はやりはたくさんの人に元気になってもらえるように頑張るだけだし、はやりが負けたとしても……はやりよりもたくさんの人を元気にしてくれるなら……それは望むところだよ」

62 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/05(火) 00:36:50.43 ID:0cfbtY35O

はやり「……ユキちゃんは、アイドルになりたいのかな?」

由暉子「……まだ、わからないです」

はやり「そっか……でも、それでいいと思うよ? よく考えて、自分が本当になりたい自分を目指してほしいな」

由暉子「…………」

はやり「……ユキちゃんは、さっき自分を変えてくれた先輩たちに喜んでもらえるようになりたいって言ってたよね?」

由暉子「はい」

はやり「お世話になった人に恩返しをしたいって気持ちはすっごく大事だし、素敵な考え方だと思うんだ。 そういう気持ちになれるのは、アイドルの才能のひとつだと思う。 でも、もしアイドルを目指すなら……身近な人だけじゃなくって、もっとたくさんの人に喜んでもらえるように、って気持ちを持ってほしいかな」

由暉子「……勉強になりました。 肝に銘じておきます」

はやり「うん……あぁ、ダメだなぁ……年を取ると説教臭くなっちゃって……はやり、もしかしてイメージダウン?」

爽「そんなまさか!」

成香「素敵でした!」

憧「ハルエよりも瑞原プロの授業受けたいんですけど」

晴絵「どうせ私の話はためにならないよ!」

灼「は、ハルちゃんは数学の授業とかできるし……」

晴絵「瑞原さんは私よりも圧倒的に頭いいんだよ!」

はやり「アイドルのイメージも押しつけがましいよね……当然、人気者になりたい! ってアイドルを目指す子もいるんだし……はやりの中ではやっぱりアイドルの頂点は真深さんだからなぁ……」

爽「まふふのCDとかネットとかで探せば出てくるかな?」

揺杏「いや知らんって……」

誓子「でもここまで言われると気になるよね、まふふ……」

玄「まふふも大きかったのかな?」

穏乃「玄さん!これ以上胸の話すると憧が怒りますって……!」

憧「もう遅いわよ!」

玄「ぐえっ」

宥「話の流れだと大きくはなかったんじゃないの……?」

63 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/05(火) 00:37:26.99 ID:0cfbtY35O

はやり「うぅ……自己嫌悪が止まらない……」

晴絵「ほら! しっかりしてくださいよ! みんなに見られてますよ!?」

はやり「よく言われるんだよ……牌のお姉さんを神聖視というか、大きく考えすぎって……それでもはやりにとってはとっても大切な、真深さんの、憧れの象徴なんだよぅ……」

晴絵「あーもう! 解散! 今日は解散! ほら出てった出てった!」

爽「そんな! 横暴だ! レジェンドのアホ!」

憧「アホ! レジェンド級のアホ!」

晴絵「なんでこんな扱いなの!? おかしいよね!?」

はやり「活動する上ではそんなに牌のお姉さんには拘ってないつもりだけど……それでも、中途半端な子には譲りたくないし……」

晴絵「落ち着いてくださいって! もういいじゃないですか生涯現役の牌のお姉さんで!」

はやり「もう牌のおばさんとか陰口叩かれてるのに!?」

晴絵「心ない中傷ですよ! ……ほら、お前らはいいから出てけって! こっちは元々プロチームとの契約交渉してたんだから!」

穏乃「それを言われると……」

誓子「す、すみません! すっかり忘れてました!」

晴絵「……桧森さんも、なかなかのなかなかだよね」

揺杏「そりゃあ、うちの部長ですからね」

灼「この説得力」

憧「なにも言えない」

はやり「あっ! ユキちゃん!」

由暉子「は、はい!」

はやり「ごめんね、偉そうなことばっかり言っちゃって……はやりは、ユキちゃんが爽ちゃんたちに喜んでもらえるようになれたら、っていう気持ちを否定したい訳じゃないの! ただ、もっと自分でどうなりたいのか考えてほしいって思って……」


はやり「漠然と言われた通りにするんじゃなくって、ちゃんと夢と目標を持ってほしいな」

由暉子「夢と、目標……」

はやり「ちっちゃな目標をひとつずつクリアしていって、大きな夢を叶えられるように……これは、ユキちゃんだけじゃなくってみんなにも言えることだけど、まだ高校生でしょ? 今から何にだってなれるし、どんな風にもなれるんだよ」

64 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/05(火) 00:38:09.04 ID:0cfbtY35O

――――――

揺杏「……真面目な話をされてしまった」

誓子「ほとんど☆も飛んでこなかったよ……」

穏乃「これからなんにでも、どんな風にもなれるって!」

憧「ちゃんと頑張ればね……自分で目的意識を持って努力しよう! ってところでしょ?」

爽「…………私、ユキに押しつけてたのかな?」

由暉子「そんな風には思ってませんよ。 ただ……考えさせられる話ではありました。 確かに、先輩方に言われるがままで自分でものを考えていなかったように思います」

成香「……嫌だったら、やめてもいいんですよ?」

宥「いやいややっても、きっと身が入らないんじゃないかな?」

揺杏「それこそ、私の作る衣装だってちょっと露出高めだったり……着替えるときには爽がべたべた体触るし……」

玄「ほんと、けしからん……羨ましい話だよ」

穏乃「最初ので合ってましたよ!?」

灼「言い直して本音が漏れた……」

由暉子「別に、嫌なわけではないんです……そうですね、ちょっと考えてみましたが……」

爽「……どうだ?」

由暉子「……今まで、アイドルと自分のイメージがあまり結びついていなかったのですが……先輩たちの言う通りにしていれば失敗することもないだろうと思ってましたし」

憧「普段の爽と揺杏見てたらどうしてそういう風に思えるのか不思議でならないんだけど……」

揺杏「今まで、ちょっとやり過ぎたかな? って思ってもユキは全然乗ってきたしな……」

爽「え? もしかしてやり過ぎてたの?」

成香「え? 気づいてなかったんですか?」

誓子「ほら、爽は悪ノリの塊みたいなとこあるじゃない」

灼「こわ……」

爽「まさかそこまで言われるとは……」

65 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/05(火) 00:39:06.54 ID:0cfbtY35O

由暉子「……とにかく、アイドルはちょっとよくわからないですけど……はやりんはカッコいいと思います」

憧「でしょ!」

爽「否定する要素は特にないな!」

由暉子「それに『Whirlwind』とかカッコいいですし!」

穏乃「わかる!」

灼「……そこ?」

揺杏「うわぁ……またはじまった……」

由暉子「私、麻雀も好きですし、アイドルとプロ雀士の両立っていうのも素敵だと思います」

成香「なかなかできることではないですし、たしかに素敵だと思います!」

由暉子「それに、プロ雀士になるとカッコいい称号ももらえますし!」

穏乃「いいですよね、アレ!」

由暉子「そうですね、私なら『輝きの一手』『†Shining winner†』とかがいいです!」

穏乃「強そう! カッコいい! ね、玄さん!」

玄「え? あ、うん……」

灼「どこからともなく表れる短剣符」

誓子「……も、もともとは聖歌における小休止の符号だって言われてるし有珠山高校的にギリギリセーフ……」

憧「いや、完全にアレな方じゃないんですか……? っていうか真屋さんって、ちょっとアレな人?」

揺杏「見ての通りですが」

爽「うちは私を筆頭にアレなやつの集団だぞ!」

成香「自分で言いますか……」

誓子「仲間にしないでよ!」

66 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/05(火) 00:39:50.70 ID:0cfbtY35O

由暉子「幸い、はやりんも私には才能が、素質があると仰ってましたし……今までみたいに言われたことをするだけではなくて、自分でも努力してみようと思います」

爽「ユキ……! よし、任せろ! 私も今まで以上にサポートできるように頑張るよ! 私もさ、ちょっと間違ってたかなって思うところもあってさ……」

爽「最初は系統近いし、はやりんより売れるアイドルにして、一番売れてるアイドルにすればいいって思ってたんだけど……はやりんも言ってたけど、金とか、そういうところだけがアイドルじゃないよな……」

揺杏「うわ、爽が殊勝なこと言ってる……」

成香「怖いです」

爽「私をなんだと思ってるんだよ!? ……とにかくだな、私がはやりんを好きになったのも……今思えば、はやりんがみんなを楽しませたいって、元気になってほしいって本気で思ってるのがこっちに伝わってくるからだと思うんだよ」

爽「そういう……気持ちの部分の作り方が私たちにはできてなかったんだ。 ユキが本気ではやりんを目指すんなら、麻雀もアイドルも両立できるように全力でやる!」

灼「打倒はやりんから、目指せはやりん?」

爽「おう!」

由暉子「そうですね!」

爽「でも、だからと言って目標を捨てた訳じゃないぞ?」

由暉子「今は、はやりんみたいにカッコいい人になりたいと思ってますけど……やっぱり目標は高く持ちたいですから」

爽「やっぱり最終的には、はやりんを越えたい! ゾウに乗ったはやりんにも勝てるように! ユキ! 今日から特訓だ!」

由暉子「では、当面の目標はベンチプレスで自分の体重を持ち上げられるぐらいで……」

揺杏「だから肉体強化じゃないだろ!?」

爽「歌とダンスと麻雀だろ!?」

由暉子「まややっ☆」

爽「ゆききっ☆だろ!」

誓子「この子たちなんとかして!」

灼「無理」

成香「自由すぎて怖いです……」


カン!
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/05(火) 00:41:08.29 ID:ff0k3bBwo
乙!
68 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/05(火) 00:42:10.25 ID:0cfbtY35O
有珠山の愉快な仲間たち。
次回はカラーらしいし大将戦楽しみです
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/05(火) 00:55:36.79 ID:ePhTgaaCo

アコチャーのおもちは成長してる大丈夫
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/05(火) 00:56:58.33 ID:IwFhbcfFo
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/05(火) 01:02:23.20 ID:m6frnXmRO
乙です
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/05(火) 01:11:02.89 ID:/3tCoINCo

NAGANO STYLEの成香に興味あるから露出狂トリオが成香とついでに誓子にNAGANO STYLEを勧めまくる話をリクエストしてみる
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/05(火) 01:20:13.15 ID:G5xUWorjo
おつー
このはやりんがちゃちゃのんのことをどう思ってるか気になるな
あとちゃちゃのんの目的意識みたいなのも

>>72
+とうとう揺杏自身にもガチで矛先が向いて狼狽するなんてのも見たい
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/05(火) 09:06:07.11 ID:5hC1rJWAO
>>73
はやりんとハルちゃんが二人して次期牌のお姉さん候補について語り合うなんて如何でしょうか?
75 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/08(金) 01:52:21.36 ID:7zisYRg1O
なんか、ワハ衣とか書いてみたい。不幸にならないやつ
>>7>>72辺りで、投下します
76 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/08(金) 01:53:56.26 ID:7zisYRg1O


新子憧をハイセンスファッションに鞍替えさせようの会


77 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/08(金) 01:54:25.78 ID:7zisYRg1O

穏乃「憧は、なかなか私たちのすすめる服を着てくれないですよね」

一「やっぱりセンスの違いっていうのはいかんともしがたいのかな……」

初美「穏乃ちゃんの親友ですし、巴ちゃんとも仲良くしてくれてるみたいですから……私としてもうまくやっていきたいのですがー」

穏乃「……これはまずいですね」

一「え? なにが?」

穏乃「憧対策会議、話題がループしてますよ!」

初美「む……たしかにそうですよー」

一「なにか新しい作戦を考えないと……」

穏乃「うーん……いったいどうすれば……」

初美「……それでは、外堀から埋めてくってのはどうでしょうか?」

一「ふむ……なるほど、周囲から攻めてくんだね」

穏乃「それ、いいかもです! 憧は流行に敏感……つまり、周囲の人がみんな同じ格好をしていれば『これが今は流行なのね!』 ってなるかも!」

一「さすがですね、薄墨さん」

初美「ふふーん、最年長メンバーとしてはこういうところで頑張らないとですからねー」

78 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/08(金) 01:54:59.72 ID:7zisYRg1O

穏乃「というわけで、どうでしょうか!」

一「一応ボクの服を持ってきたんですけど……」

宥「え……え? えぇ……?」

初美「どうですかー?」

宥「む、むむ……無理だよぉ……」

穏乃「無理?」

一「嫌とかじゃなくってですか?」

宥「だって、その……えーと、ちょっと……ろ、露出が大きいっていうか……」

初美「大丈夫大丈夫! こんなのまだまだ普通ですよー」

宥「普通!?」

穏乃「そうですよ! これなら宥さんも……」

宥「ごめん! し、穏乃ちゃんのお願いなら聞いてあげたいんだけど……その、体質的に……不可能って言うか……」

一「そうか……宥さん、極度の寒がりだから……」

宥「そ、そう! その、い、命の危機が……」

一「生命レベル!?」

初美「それなら仕方ないですねー……」

79 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/08(金) 01:55:26.38 ID:7zisYRg1O

灼「……なんか、今あからさまにホッとした顔で部屋に入ってく宥さんを見たんだけど……」

穏乃「ホッとした? 残念そうな顔じゃなくってですか?」

一「宥さんは辛いよね……体質のせいでハイセンスファッションを着こなせないなんて……」

初美「健康な自分の体をこれほどありがたく思ったことはありませんよー」

灼「…………なるほど、だいたいわかった」

穏乃「それじゃあ、そういうわけで灼さんもどうですか?」

一「鷺森さんなら絶対に似合うと思うな!」

灼「……そう言ってくれるのはうれしいんだけど…………」

初美「ダメですかー?」

灼「3人の言うことも、まあ、わかるけど……私の好みからは……うん、少しだけ、外れてるし……」

灼「それに……一応、中立的立場として……えと、あまり穏乃に肩入れすると憧がかわいそうだし……」

穏乃「……わかりました! たしかに、ここで灼さんにお願いするのはちょっとずるいかもしれませんね……すみませんでした!」

灼「ん……あと、その……勧誘活動? どれくらいやったの?」

初美「さっき宥ちゃんにお声かけをしたんですが、体質的に不可能だということで……」

灼「……うまく逃げたな…………」

一「ん? なにか言った?」

灼「なにも……」

穏乃「それじゃあ、今度は玄さんですね!」

灼「! ……し、穏乃!」

80 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/08(金) 01:55:55.04 ID:7zisYRg1O

穏乃「なんですか?」

灼「え……えー……そう! こ、ここでやってて憧に気づかれたら効果半減だと思……」

初美「なるほど……たしかに、自然に流行してるってパターンの方が効果はありそうですねー」

灼「うん。 そゆわけで、とりあえず玄は置いておいて……」

玄「あ、国広さんに初美さん! こんにちは! いらしてたんですねー」

穏乃「玄さん!」

初美「ちょうどよかったですよー! 玄ちゃん、とっても大切な話があるんですけど、時間ありますかー?」

玄「はい! 大丈夫ですよ!」

一「ここじゃちょっと……とりあえず、ボクらの宿の方に移動しようか」

灼「く、玄……」

玄「灼ちゃん! なんだか大切なお話があるみたいだからちょっとお出かけしてくるね!」

初美「それじゃあ早速行きますよー!」

穏乃「灼さん! アドバイスありがとうございました! いってきます!」

灼「え、あ……いってら……」

灼「…………」

灼「……まあ、いくら玄でも大丈夫……かな……?」

灼「……もしもし? 揺杏? ちょっとお願いが…………」

灼「うん、うん……たぶん……前に行った、龍門渕の……玄が…………ん。 よろしく……」

灼「…………」

灼「まあ、面白くはなりそ……」

81 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/08(金) 01:56:23.52 ID:7zisYRg1O

――――――

玄「それで、大切なお話って……?」

穏乃「……玄さん! 私たちのようなハイセンスでファッショナブルな服に興味はありませんか!」

玄「……え?」

一「そう、玄さんは……清楚なお嬢様ってイメージがあるけど、逆にボクたちみたいなファッションを着こなすことで意外性とかも出てくるんじゃないかな?」

初美「アレですよ! いわゆるギャップ萌えってやつですよー!」

玄「え? え? ちょ、ちょっと待って! 近い、近いよ!」

穏乃「あ、すみません……つい熱が入ってしまって……」

玄「う、うん……えっと、それで……うん、お誘いいただけたのはうれしいんですけど、私は、ちょっと……」

一「……ダメ、かな……?」

玄「あ、その……ダメとかじゃなくって!」

一「ほんとうに!? やったぁ!」

玄「え、あ……ち、違……その……」

初美「違うんですか……?」

穏乃「く、玄さん……」

玄「な、泣かないで! その、嫌とかじゃないから!」

初美「そうですか! それじゃあ早速お着替えですよー!」

穏乃「さ、玄さん! 脱いで脱いで!」

玄「ひぇ……ちょ、ちょっと待って! …………うぅ……泣き落としなんてずるいよぉ……」

82 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/08(金) 01:56:58.48 ID:7zisYRg1O

玄「そ、そのぉ……やっぱり、ちょっと肌の出る面積が大きいし、ちょっと恥ずかしいかなーって……」

初美「大丈夫ですよー! これくらいなら普通ですから! 宥ちゃんと違って玄ちゃんは寒がりってわけでもないですし!」

玄「えぇ…………そっか、お姉ちゃんはその手で逃げたんだ……」

一「それに、さっきも言ったけど玄さんがこういう服を着るなんてみんな思ってないから! 意外性で気になるあの人のハートもグッと掴めるはずだよ!」

玄「え……」

穏乃「そうですよ! もしかしたら玄さんの好きな人もこういうファッションが好きかもしれませんし!」

玄「……そ、そうなのかな?」

一「玄さんの好きな……あ、いや、参考までに! あくまでも男性の一例として龍門渕のお屋敷で執事をしている萩原さんの話をさせてもらうけど……」

玄「!」

一「前に、ボクたち三人で服の交換をしたことがあったんだけど……ボク、巫女服姿を萩原さんに褒められたよ!」

玄「!!」

穏乃「そうでしたね! 国広さんの巫女服姿、セクシーすぎましたもん! 萩原さんだってメロメロでしたよ!」

初美「あ、もしかしたらアレですかね? 萩原さんは巫女服属性ってやつなんですかねー?」

玄「み、巫女服属性……?」

初美「なんか、そういう人たちがいるらしいですよー? 巫女服が好きで、巫女服を着ている女性に魅力を感じる男性っていうんですかー?」

穏乃「へぇ……そういう人がいるんですね」

一「まあ、玄さんの好きな人もそうとは限らないけど? ……まあ、無理にとは言わないよ。 玄さんの気持ちもわからなくはないし……」

玄「あ、あの!」

一「どうしたの?」

玄「……み、巫女服なら、それほど肌も出てないような気もするし……穏乃ちゃんたちのお願いなら、ちょっとぐらい着てみてもいいかな……?」

83 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/08(金) 01:57:31.71 ID:7zisYRg1O

玄「……ど、どうかな!?」

穏乃「似合ってますよ! 玄さん!」

初美「私の予備なので若干サイズが小さいですが、まあ問題はないですねー」

一「すっごくかわいいよ!」

玄「そ、そう? そうかな?」

一「それじゃあ、早速行こうか」

玄「え?」

一「ちょっと離れた部屋だけど、この時間なら萩原さん部屋で待機してると思うから……」

玄「え?えぇ!? で、でも……」

初美「いいじゃないですかー……玄ちゃんはそのために着替えたんでしょう?」

玄「い、いや! その、は、萩原さんは関係なくって! し、穏乃ちゃんや国広さんや初美さんが言うから……」

穏乃「もう、照れなくてもいいじゃないですか! とりあえず行くだけ行ってみましょうよ!」

玄「ちょ、ちょっと待って! 大丈夫? 本当にかわいいかな? 髪とか乱れてない? この格好、はしたないって思われないかな?」

穏乃「はしたない……? よくわかんないけど、玄さんはとびっきりかわいいですよ!」

初美「はしたない……? 髪の毛もちゃんと整ってますよー」

一「はしたない……? 大丈夫だと思うよ? それに玄さんはスタイルもいいんだし、玄さんを嫌がるような男性はいないって!」

玄「そ、そうかなぁ……」

初美「さ、覚悟は決まりましたかー?」

穏乃「行きましょう、玄さん!」

玄「う、うん!」

84 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/08(金) 01:58:09.69 ID:7zisYRg1O

一「萩原さん、今ちょっといいですか?」

ハギヨシ「国広さん? ええ、今開けますので少々お待ちください」

玄「……ど、どうしよう……き、緊張するよぉ……」

穏乃「大丈夫です、今日の玄さんはいつも以上に魅力的ですから!」

初美「落ち着いて、自信を持ってください!」

ハギヨシ「失礼、お待たせ、しま……し、た……」

玄「は、萩原さん! こ、こんにちは……」

ハギヨシ「」

一「は、萩原さんが固まってる……」

初美「これは見とれてますねー! 間違いありませんよー!」

穏乃「今日の玄さん、犯罪的なかわいさですからね!」

一「潤んだ瞳、赤く染まった頬、艶やかな黒髪……」

初美「白く細い肩、美しい鎖骨にはち切れんばかりの胸元!」

ハギヨシ「いや、なんの実況ですか!? というか、玄さんになにをやらせてるんですか! これは完全に犯罪ですよ!?」

穏乃「やった! 玄さん、完全犯罪級のかわいさですって!」

玄「そ、そんな……わ、私は、その……えへ、えへへへ……」

ハギヨシ「都合の悪い部分は聞こえないようになってるんですかね!?」

一「というかー、萩原さんが玄さんのこと名前で呼ぶのってちょっとあやしい感じですよねー」

初美「もしかして萩原さんも玄ちゃんのこと……」

玄「え!? えぇぇぇ!?」

ハギヨシ「松実さん、だとお姉さんもいらっしゃるじゃないですか! 他意はありませんよ!」

85 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/08(金) 01:58:42.12 ID:7zisYRg1O

玄「あ、ああぁぁあ、あの! は、萩原さん、その……」

ハギヨシ「……玄さん、とりあえずこれを……」

一「脱いだっ!? 萩原さんが脱いだっ!」

初美「ま、まさかこんなところでいたしちゃうんですかー!?」

穏乃「だ、大胆すぎですよ! いくら玄さんがかわいいからって!」

ハギヨシ「何を言ってるんですか違いますよ人聞きの悪い! 私の上着で申し訳ありませんが、羽織っていてください。 いろいろまずいので!」

玄「は、はい!」

穏乃「いろいろまずい……?」

初美「アレですね。 セクシー過ぎて襲っちゃう的な」

玄「お、おそっ……!? あ、あわわわわわ……」

ハギヨシ「襲いませんよ! いいですか!? あなた方みたいに正々堂々とされるとこちらもなにも言えませんけど、恥じらわれると完全にアウトの服装なんですよ! こちらとしては守ってさしあげないと……」

一「つまり、玄さんを守ってあげたいと……」

玄「え、あ……そ、そんな……やだ、もう……えへ……えへへ……」

ハギヨシ「あ、これ私発言しない方がいいんですかね!? なにを言ってもダメなやつですね!?」

穏乃「普段冷静な萩原さんがここまでヒートアップするとは……」

初美「一ちゃんと親しくなって何度かお会いしてますけど、動揺してる姿自体珍しすぎですよー」

ハギヨシ「…………」

一「あ、もう……黙ってないで相手してくださいよ……ほら、玄さんも『あ……萩原さんの匂い……ぽっ』とかやってないで……」

玄「ほわぁ!? し、しし、してないよそんなこと!!」

初美「え? これは殿方の上着を羽織って『まるで抱き締められてるみたい……ぽっ』ってやつじゃ……」

玄「そ、そそそそれもやってないから!!」

86 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/08(金) 01:59:11.50 ID:7zisYRg1O

ハギヨシ「……とにかく、玄さんはもとの服に着替えましょう。 何かあっては事ですので、部屋まで送りますから……」

玄「は、はい……あ、あの!」

ハギヨシ「はい? どうかされましたか?」

玄「だ、ダメでしたか……? わ、私の、巫女服姿…………」

ハギヨシ「…………」

ハギヨシ「えっ?」

穏乃「そういえば、感想を聞いてませんでしたね」

初美「巫女服フェチの萩原さんとしては私たちのナイスプレイに感謝しきりでしょうねー」

ハギヨシ「どうして私が巫女服フェチなんて話になってるんですかね!?」

一「ほら、ちゃんと答えてあげてくださいよ」

ハギヨシ「え、視線のプレッシャーキツすぎませんか?」

玄「…………や、やっぱり私なんかじゃ……」

ハギヨシ「あ、いえ、そんな……素敵でしたよ、はい」

玄「……ほ、ほんとうですか?」

ハギヨシ「……ええ。 しかし、私としては普段お見かけするようなお姿の方がよくお似合いだと思いますので……変にそのような格好はされない方がよろしいかと……」

玄「は、はい! わかりました!」

初美「えー……巫女服、とってもよかったと思うんですけど……巫女服フェチなんでしょう?」

ハギヨシ「そのような事実はありませんから! 当然のように言わないでください!」

穏乃「あ! 実は制服フェチだったとかですか!?」

ハギヨシ「どうしても私をなんらかのフェチにしたいんですか!?」

一「でも、萩原さんだってちょっとドキドキしたでしょう?」

ハギヨシ「…………黙秘させていただきます」

87 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/08(金) 01:59:43.07 ID:7zisYRg1O

揺杏「お、いたいた……おーい!」

爽「あれが噂のイケメン執事かー」

誓子「こら、失礼でしょ」

成香「素敵です」

由暉子「失礼します」

穏乃「あ、岩館さん! どうしてここに?」

揺杏「灼が穏乃ちゃんがなんかやってるから見に行ってやれって……暇だったからみんな連れて、来ちゃったん……だ、けど……」

ハギヨシ「……これは、岩館さん以外の方はお初にお目にかかりますね。 私は龍門渕家で執事を勤めている萩原と申しま「し、執事さんが半裸の玄ちゃんを部屋に連れ込もうとしてる!?」はい!?」

爽「お!? 事案!? 事案か!? 通報するか!?」

揺杏「バカ野郎! あの人が玄ちゃんの想い人だから合意の上だよたぶん!」

玄「な、ななな何言ってるの岩館さん! お、想い人だなんて、そそ、そんな……」

成香「年上の執事さんが恋人だなんて……漫画みたいで素敵です!」

玄「こ、こここ恋人だなんて! 告白もまだなのに!!」

誓子「玄ちゃん、おとなしそうな顔してなかなかやるわね……」

玄「だ、だからまだそういうのじゃ!!」

由暉子「執事さんってやっぱりアレですか? なんでもできちゃったり悪魔で執事だったりしちゃうんですか!?」

ハギヨシ「この方はいったい何を仰っているんでしょうか!?」

一「まあ、実際萩原さんはなんでもできるけどね」

88 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/08(金) 02:00:16.91 ID:7zisYRg1O

――――――

ハギヨシ「……とりあえず、誤解も解けたと思いますし……私は職務に戻りますので……何かありましたらお気軽にお声かけください」

由暉子「消えた!? 凄いです! やっぱり執事さんって完璧な上になんでもできるものなんですね!」

一「あのレベルなのは萩原さんぐらいだと思うけどね……」

玄「わ、私も着替えてくるよ」

穏乃「え……玄さん、じゃあ……」

玄「えへへ……制服とか、いつもの私服の方がいいって言われちゃったし……ふふ、ごめんねしずちゃん」

穏乃「く、玄さん……」

一「むぅ……まあ、これは仕方ないかぁ……」

初美「まあ、充分楽しませてもらいましたから……」

揺杏「くそっ! もっと早く来ていれば……!」

爽「惜しいことしたなぁ……チカがマリカ最後のコースまで回るって言うから……」

誓子「ラストのコースで一位取れば私の逆転だったし! あそこでやめてたら罰ゲームだったでしょ!?」

成香「結局チカちゃんの負けでしたけどね」

爽「罰ゲームはあとで決めるからな! なかったことにはしないからな!」

揺杏「で、なんで玄ちゃんはあんなぱつぱつのエロい巫女服着てたの?」

穏乃「今回はもともと憧を説得する一環の作戦で……回りから浸透させて流行に敏感な憧を自然にこういうファッションにする、って作戦だったんですけど……」

初美「萩原さんが巫女服属性だから、そこら辺と絡めて説得したんですよー」

爽「マジかよ!? くそっ! こないだ恋愛相談乗るって話もしてたし一枚噛みたかった!」

誓子「たいした経験もないのになんでそんな自信満々なのよ……」

爽「成功するかはともかく、絶対に面白くする自信はある! 玄ちゃん騙されやすそうだし!」

由暉子「騙す前提ですか……」

成香「玄さんはたまったもんじゃないでしょうね……」

揺杏「つーか、玄ちゃんはたぶん騙されてあの服に着替えたんだよな……」

一「失礼な……大成功だったよ! 萩原さんからの玄さんへの好感度はうなぎ登りだよ!」

揺杏「え……マジで……?」

成香「謎の自信が怖いです……」

89 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/08(金) 02:01:03.24 ID:7zisYRg1O

穏乃「しかし、これで阿知賀は全滅ですね……」

一「玄さんはこちら側に取り込めたと思ったんだけどね……」

初美「あ、それでは揺杏ちゃんたちもどうですかー?」

揺杏「え゛っ」

穏乃「あ、いいですね! それ!」

一「そっか! 岩館さんは憧ちゃんにも作品を提供してるんだから、有珠山のみんなを仲間にできれば……」

成香「ちょ、ちょっと待ってください! 待って! 怖いです!」

爽「じゃあチカの罰ゲームこれな」

誓子「はい!? な、何を言ってるの!? 正気!?」

爽「まあまあ、私だって鬼じゃない…… スタイリッシュジャージとはだけ巫女服とNAGANO-styleから好きなの選ばせてやるから……」

誓子「どれも選択肢にならないんだけど!?」

穏乃「どれも選べないだなんて、まあ気持ちはわかりますけど……」

初美「どれも素晴らしい出来ですからねー」

一「桧森さんが一番だと思うものを選んでいいんですよ?」

誓子「わぁ、なんてポジティブなのかしらこの子たち! 羨ましい!」

揺杏「……まあまあ、これは罰ゲームだし! チカセンも腹括って選んでくださいよ! おなしゃーす!」

誓子「揺杏も他人事だからって……! …………ちょっと、ちょっと待って……どれならギリギリセーフか考えるから……」

成香「どう見ても全部アウトですけど……」

由暉子「ちゃんと選ぶ辺り、誓子先輩は律儀ですね」

誓子「罰ゲームだし……」

穏乃「これが罰ゲームだなんてとんでもない!」

初美「やっぱり爽ちゃんは優しいですねー……内容が完全にご褒美ですからー」

一「桧森さんも楽しそうに選んでるし! そんなに悩まれるとやっぱりボクたちも最先端を走ってる甲斐があるよね……」

誓子「いやー、舐めてた。 ほんと甘く見てた……思ってた以上に恐ろしい環境にいるらしいわね……」

90 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/08(金) 02:01:35.80 ID:7zisYRg1O

誓子「ぬぬ…………巫女! 巫女服で! 一番いろいろ隠せる気がするし!」

穏乃「くっ……玄さんに続いて桧森さんもかぁ……」

一「今日は薄墨さんのひとり勝ちだね……流石だよ」

初美「いやあ、大人気で照れちゃいますよー」

爽「とはいえ、チカじゃそんなに隠せないだろ……玄ちゃんはなんとかおっぱいで引っ掛かってたけどチカのサイズじゃ……」

誓子「うるさいわね! 手で隠すからいいの! 」

揺杏「まあ、玄ちゃんは玄ちゃんでくっそエロイことになってたけどな……はっちゃんさんのサイズの着てたからもうほぼ見えそうだったし……萩原さんの身長だと上から丸見えだったんじゃねーの?」

成香「あ……身長と言えば、チカちゃんの身長だと胸隠すとこまで丈が足りないんじゃ……」

誓子「……ジャージも合わせて着ちゃダメかな……?」

爽「アウトー! アウトでーす! まあ照れんなよ! 女しかいねーし!」

誓子「爽ってたまにぶん殴りたくなるわ……」

爽「こわっ! チカったら暴力的なんだからもう!」

由暉子「いちいち煽らないでくださいよ、爽先輩……あとで大変なんですから」

初美「まあ、チカちゃんが巫女服を着ると決まったところで次ですね!」

成香「……つ、次?」

初美「はい! あと二種類残ってますから!」

爽「……ど、どうする?」

揺杏「マジやべぇ……」

91 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/08(金) 02:02:18.81 ID:7zisYRg1O

爽「いや、今の感じからしてあと二人を生け贄に捧げれば二人は無事に帰れるんだよな? な?」

揺杏「普通に着せられる気もするけどそうだと信じたい。 信じよう、うん」

爽「……ユキ!」

由暉子「は? 嫌ですよ」

揺杏「完全拒否!?」

爽「そ、そんな……あんなに素直だったユキが……反抗期?」

由暉子「いや、先輩たちも嫌がってるじゃないですか。 私が嫌がっても不思議じゃないでしょう」

爽「アイドル活動にはああいう衣装は必須だろ!」

由暉子「水着とかならともかく、あんなの着てるアイドルなんて見たことありませんけど」

爽「……ユキが……ユキがグレた……」

由暉子「自分で考えた結果です。 まあ、国広さんのはかわいいと思いますけどサイズが合いませんし……」

一「えへへ、わかる?」

由暉子「はい。 かわいいじゃないですか……適正サイズの衣装だったら着てみたかったのですが」

揺杏「……かわいいはかわいいでわかるんだ……やっぱりユキってどっかズレてんなぁ……」

爽「……じゃ、じゃあ一のは後にユキが着るってことで……」

一「え? 今日は真屋さんが着れないんだから別の人が着てくださいよ……せっかくですし」

爽「くそっ! ユキがこの場の危機を逃れただけじゃないか!」

92 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/08(金) 02:03:20.90 ID:7zisYRg1O

爽「……そ、そういえば! 私は前に一回穏乃のジャージ着てるんだよ!」

穏乃「えっ!? そうなんですか!?」

爽「前に玄ちゃんがうちの宿に来てたときにちょうど罰ゲームでな……揺杏が作ってたのを試着したんだよ! だから今日のところは揺杏と成香に譲るぜ!」

成香「えぇ!? そんな!」

揺杏「は!? ずっけぇ!」

穏乃「それで、どうでしたか!? 感想は!」

爽「え? あー……おう! よかったぜ! やっぱり、時代の最先端のさらにその先って言うか? わりと着心地もよかったし?」

穏乃「そうですか!」

揺杏「……じゃあ、せっかくだし今日も着てみろよ! やっぱり爽は経験者だしこなれてる感じがあるから憧ちゃんの説得にも向いてるだろうし!」

穏乃「あ、それもそうですね! 憧の説得がメインの作戦ですもんね!」

爽「はぁ!? え……はぁ!? ちょ……おい! なんだそれ!?」

成香「そ、それもそうですよね! 爽さんは口も上手いですし! 適材ですよね!」

一「じゃあ獅子原さんがジャージかぁ……」

爽「え!? 待て……待ってよ! 決定事項にしないでよ!」

揺杏「なんだよ、さっきジャージ褒めちぎってたじゃん!」

成香「そ、そうですよ! 遠慮しないでいいですから!」

爽「ぐうぅぅ……! 裏目ったかぁ……!!」
93 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/08(金) 02:04:19.11 ID:7zisYRg1O

一「じゃあ、ボクのはどっちが着てくれるのかな?」

揺杏「…………!」
成香「…………!」

揺杏「……いやいや、ここは成香に任せるよ! 着たそうな顔してるし!」

成香「なにを言ってるんですか! だいたいこれらの服を作ってるのも揺杏ちゃんでしょう!? 作り手が着る側の気持ちになれないでどうするんですか!」

爽「なるほどなぁ! そうだよな! 揺杏が着ないでどうするんだよなぁ!」

誓子「私も揺杏が着た方がいいと思うなぁ……」

揺杏「う、裏切り者ぉ!」

誓子「知らないもんっ」

爽「揺杏が先にやったんだろ?」

揺杏「……ゆ、ユキ! なんとか言ってくれ!」

由暉子「いいんじゃないですか? かわいい衣装ですし」

揺杏「おい! おいおいおい!?」

由暉子「まあ、私はおふたりのどちらが着てもいいと思いますけどね」

穏乃「たしかに、岩館さんには私たちの気持ちになってほしいですね!」

一「それに、岩館さんがこういうファッションによりはまってくれればボクらにとってもプラスだよね!」

初美「いやぁ、本内さんはいい着眼点をしてますねー!」

揺杏「あ……ああ……待って……待ってください……」

爽「く、くく、ゆ、揺杏が……な、泣きそう……ふっ、ふひひひ……!」

誓子「……私もいい気味だと思ったけど爽の笑い方は最悪だと思う」

94 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/08(金) 02:05:21.17 ID:7zisYRg1O

一「大丈夫大丈夫! 岩館さんなら絶対に似合うから!」

揺杏「ま、待って! ……そ、そう! サイズが! 私と一の身長差だと……」

穏乃「大丈夫ですよ! 国広さんのファッションなら身長はそんなに関係ないですから!」

初美「胸囲もたいして変わらないから大丈夫ですよー」

揺杏「くっそう!! なんで私はまな板なんだ!!」

爽「あはは! あははははははは!! ひー……ひー……」

由暉子「なにがそんなに面白いんですか?」

成香「……爽さんってわりと人の不幸は蜜の味タイプですよね……」

誓子「まあ、胸の無さをあそこまで本気で嘆ける場面って滅多にないよね……」

一「まあ、遠慮しないでよ! 着てみたらわかる良さってものが絶対にあるからさ!」

初美「そうそう! 新しい自分を見つけましょう!」

穏乃「岩館さんもこっち側に来ればわかりますから!」

揺杏「嫌だ! そんなもんわかりたくない! そのラインは越えない!! ダメ絶対!!」

成香「そんなに拒否しなくてもいいじゃないですか。 揺杏ちゃんもきっと作品に幅が出ますよ」

揺杏「うるさいよ!」

爽「ふ、ふふっ……成香のどや顔……たまらん……くっくくくく……」

95 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/08(金) 02:05:59.84 ID:7zisYRg1O

揺杏「ん? 作品……待てよ……うむむ……」

穏乃「ほらほら、着替えましょうよ岩館さん!」

初美「はやくはやく!」

一「ほら、ここに服もあるから!」

揺杏「……待ってくれ!」

爽「な、なんだよ……まだ抵抗すんの……? ふふっ……」

誓子「爽いつまで笑ってんの?」

揺杏「そう、私はたしかに穏乃に一、はっちゃんさんに作品を提供する立場にある……三人の衣装を着た方が作品のクオリティを上げることができるかもしれない……!」

穏乃「おお……!」

初美「わかってくれましたかー!」

成香「……なんか語り始めましたよ?」

由暉子「……これ、切り抜けたとしても後々墓穴ですよね?」

揺杏「しかし! 私にはもうわかっているんだ……三人の衣装の持つ素晴らしいポテンシャルが……!」

一「わかってくれてるなら話が早いね!」

穏乃「尚更着てみてみましょうよ!」

爽「そりゃそうなるわな! うっひひひ……!」

誓子「爽、下品だからその笑い方やめてよ……」

96 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/08(金) 02:07:18.52 ID:7zisYRg1O

揺杏「だがしかし! 私がこの服を着ることでその素晴らしさに改めて目覚めてしまったとしよう!」

一「うんうん」

揺杏「私は恐らくその魅力に魅入られてしまうだろう……! そうしたら私の夢はどうなる!?」

初美「夢ですかー?」

揺杏「そう! 素晴らしいファッションデザイナーになるという夢だ! 私の作品の幅は狭まり大成することはできなくなるだろう……!」

爽「ぶっははは! 揺杏なに言ってんの! バカなの!?」

揺杏「そうなったら三人が流行らせたいこのファッションも日の目を見ることは無くなるぞ!」

穏乃「!?」
一「!?」
初美「!?」

揺杏「そういうわけで! 私がファッションデザイナーとして大成するまでこれ系の服を着るってのは無しで!」

穏乃「……そ、そういうことなら仕方ないですね……」

初美「揺杏ちゃんの夢の障害にはなりたくありませんし……」

一「うん……いつもありがとう岩館さん。 いつか夢を叶えてファッションの新時代を築いてくれるのを楽しみにしてるよ!」

爽「な、なんでその服の時代が来るって信じてんの……!? もうダメ……腹が痛い……」

一「それじゃあ、これは本内さんに着てもらおうか」

成香「……えっ?」

穏乃「早速着替えましょう!」

成香「ちょ、え!? ど、どうしてそうなるんですか!?」

爽「そりゃそうなるだろうよ……」

誓子「まあ、今回は揺杏にしてやられたわね……なるかも諦めなさいって」

初美「それじゃあ、三人とも! こちらが衣装ですよー!」

爽「あっ」
誓子「あっ」

由暉子「……おふたりとも、自分が着替えるのちょっと忘れてましたね?」

揺杏「ほらほら、さっさと着替えてこいよ〜」

爽「……揺杏、覚えてろよ」

誓子「……次のゲームで揺杏をビリにしちゃえばいいんだから、うん……罰ゲームで地獄に落としてやればいいのよ……」

成香「うぅ……こ、こんな服……怖すぎです……」

97 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/08(金) 02:08:18.49 ID:7zisYRg1O

誓子「…………着替えてきたけど」

初美「おお! チカちゃん似合ってますよー!」

誓子「いやいや……そんなまさか……」

揺杏「いいっすねー巫女服似合ってますよ誓子せんぱ〜い」

誓子「こ、このっ……!」

揺杏「あっ! ストップストップ! ぶたないでくださいよ〜手ぇ離したら見えちゃいますよ〜?」

誓子「くっ……くぅぅぅ…………!」

揺杏「そんな、目尻に涙を溜めて顔真っ赤にされると……チカセンいいっすよ! エロエロっすよ!」

爽「おお……チカのくせにセクシーだな……」

誓子「ふたりとも黙ってなさい!」

揺杏「……そういう爽は色気の欠片もねぇな」

穏乃「いいですね! ジャージをもう自分のものにしてますね!」

爽「うん……なんかさ、普通にジャージだって思えば別にいいかなって! 外歩き回るのは無理だけど部屋にいるならこれ超楽だし!」

穏乃「そこはほんとジャージの利点のひとつですからね! 小鍛治プロも認めるジャージの有用性ですよ!」

爽「小鍛治プロジャージ族なの!?」

成香「うぅ……」

由暉子「かわいいですよ、成香先輩」

一「うん、似合ってるよ! 本内さんはかわいい系だからタイプもあってるし……」

成香「あ、このファッションの中でもタイプ分けがあるんですね……」

穏乃「興味あるんですか!?」

成香「ありませんよぅ……」

初美「ほらほら、そんな隅っこでちっちゃくなってないで!」

成香「でも、見えちゃったらどうするんですか……恥ずかしすぎます……」

一「見え……? そんな、なにも見えないよ。 そういう風にできてるからさ!」

成香「意味不明で怖いです」

98 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/08(金) 02:08:49.40 ID:7zisYRg1O


一「それで、どう? 感想は!」


成香「もうお嫁にいけません……」


カン!
99 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/08(金) 02:13:21.32 ID:7zisYRg1O
有珠山って禍根がギリギリ残るか残らないかにエグイ罰ゲーム繰り返してそう

近々憧ちゃんのお誕生日もせまってるしお祝いするキャラを募集したい所存ー
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/08(金) 02:14:32.04 ID:lbW38Mjbo

ユキはさっそくはやりんのアドバイスを生かして危機を回避したわけかさすが
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/08(金) 02:16:43.18 ID:ZXsh49aho

エロ衣装を着たなるちかの画像うpよろ
誕生日は揺杏とさりげなく呼び捨てにされてる爽で
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/08(金) 02:19:52.31 ID:G/UiFyWVo
乙です
揺杏をはじめとした今回上手く逃げ遂せたキャラ達をいつか涙目にしたいww

アコチャーバースデーはまずは純君がいないと話にならないぜ
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/08(金) 08:41:18.30 ID:j+ZgTrrPo
おつだけどちょっと参考画像がないと想像できないですねー
ということで画像はよ
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/08(金) 09:16:24.84 ID:DeWbKTDAO
先ずは乙です…


>>102
ふんふむ…
此処は思い切って愛宕一族の皆さんとはやりんと戒能プロとのどっちさんとユキちゃんと穏ちゃー達と豊音さんとメガンさんと純くんで如何でしょうか?
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/08(金) 09:33:45.39 ID:s4qNUev90

今のとこ玄の恋路が一番うまくいってるな
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/08(金) 10:07:23.22 ID:9AjtV/3No
乙です
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/08(金) 10:48:58.21 ID:XQU0FfHK0
はやりん、有珠山、いいですね
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/09(土) 11:06:56.41 ID:+/Lb7xS8O
憧玄純ハギのダブルデートとか見てみたいと思ったけどまともにデートできる気しないな
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/09(土) 11:12:53.18 ID:tOBSctRi0
憧の誕生日プレゼントにアレな服を純君からの贈り物ってことにすれば簡単に着てくれそうじゃね?
110 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/10(日) 00:41:51.31 ID:lhkszdGzO

怜「……おはよ」

宥「……うん、おはよう」

怜「……また、寝ちゃったなぁ」

宥「……寝ちゃったねぇ」

怜「最近、あったかくなってきたしなぁ」

宥「天気もいいし……窓際の席だとぽかぽかしてついうとうとしちゃうんだよねぇ」

怜「これは、アカンなぁ……」

宥「アカンねぇ……」

怜「ノート、誰かに写させてもらわなきゃなぁ」

宥「そうだねぇ……」

大学生活が始まってまだ一ヶ月しか経ってないと言うのに、既にサボりぐせがついてきてしまっているんじゃないかと心配になる

隣にいるのは、園城寺怜さん……去年のインターハイで覇を競った名門千里山のエース選手で、今は私のお友だちだ

怜「やっぱりこれは、アレやな……お姉ちゃんがねむねむオーラ出すから……」

宥「えぇ……園城寺さんだっておねむ光線出してるじゃない……」

怜「ウチ、病弱やから……」

宥「そんなこと言ったら、私だって……えっと……あったかくなってきたから、仕方ないんじゃないかな……」

怜「せやなぁ……あったかくなってきたから仕方ないなぁ……そりゃあ眠くもなるわ……」

111 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/10(日) 00:42:21.22 ID:lhkszdGzO

怜「ふわぁ……ねむ……アカン、これ……ねっむ……」

宥「ふぁ……んん……うん、これは、うん……眠いねぇ……」

……こんな風に、ただただ惰眠を貪っているように見えても園城寺さんはプロ入りを有望視されていたとてもすごい打ち手なんだけど……体が弱いのを理由に、プロ入りは断ったらしい

とはいえ私たちの通う大学は大阪府内でもかなりの強豪麻雀部を擁しており、私と同じく麻雀には積極的に取り組むつもりらしい

……プロになればよかったんじゃないの? って聞いたことがある。 というより、キャンパス内で会ってわりと早いうちに聞いちゃったんだけど……

怜『ん……まあ、そりゃまあそうなんやけど……プロの対局スケジュールは体力的に辛いからなぁ……のんびり学生やって、体が良くなりゃええなーって』

宥『そっかぁ……』

怜『それに、私の実力なんてまだまだやしな……』

宥『……そんな、謙遜しなくても……あの千里山のエースだったんですよ?』

怜『んー……実際、ちょっとズルしてるようなもんやから……プロになれるとしたら、もうちょっと自信つけてからにしたいねんなー』

……よくわからなかったけど、あまり自信がないらしい。 園城寺さんなら、きっとプロに行っても通用すると思うんだけどなぁ

園城寺さんのチームメイトだった江口セーラさん、清水谷竜華さんのふたりは実際にプロになり、少しずつ公式対局にも出場をし始めている

江口さんはデビュー戦では区間トップの活躍だってし、清水谷さんだって多くの名のあるプロと互角に渡り合っているし……

園城寺さんも、期待の新人として部内でも歓迎されている……ちょっと自慢話になっちゃうけど、私も期待されているらしい

私なんか去年のインターハイ以降の公式戦にしか出場してないのに……まあ、けっこう成績よかったしね

インカレでも、活躍できたらなぁって思う……阿知賀のみんなも応援してくれているし、プロの世界に足を踏み入れた赤土先生の弟子の一人としても、やっぱりちゃんと結果を出したいと思う

怜「なぁ、宥ちゃん宥ちゃん」

宥「んー? なぁに?」

怜「今日の講義って、さっきの……寝て過ごした、二限だけやんなぁ?」

宥「うん……寝て過ごしちゃった二限だけだよ……」

怜「……とりあえず、ご飯食べよっか?」

宥「うん……そうだねー」

112 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/10(日) 00:42:48.34 ID:lhkszdGzO

キャンパスの中庭まで移動して、園城寺さんとベンチに並んで腰掛け、お弁当を広げる

普段はこうして、お外でのんびりお弁当を食べることが多い

怜「今日も玄ちゃんのお弁当? 相変わらずおいしそうやなぁ」

宥「えへへ……良くできた、私にはもったいない妹です」

……よくよく考えると、高校に通っていた頃から玄ちゃんの作ったお弁当か、食堂で買うかの二択だったけれど……すごく大変なんじゃないかな? 私は朝はいっつもゆっくりしてたし……

……うん、お姉ちゃんなんだし、もうちょっとしっかりしよう

怜「私のお弁当なんて、栄養バランスがどうのって、面倒でなぁ……もっとこう……肉とかいっぱい食べたいわ。 いっぱいなんてどうせ食べれへんけどな」

宥「園城寺さん、少食だもんねぇ」

怜「これで栄養はバッチシらしいけどなぁ……やっぱりあんま食べた気しないわ。 あ、宥ちゃん、それ一口ちょうだい」

宥「うん、いいよ〜はい、あーん」

怜「あーん……んぐんぐ……」

宥「どう?」

怜「うん、おいしいで……ええなぁ。 私も料理の上手な妹とかほしいわ……玄ちゃん私にくださいな」

宥「えぇ? ダメだよ、玄ちゃんは私の妹だもん」

怜「けちけちせんでよ〜 じゃあ、ほら、ぜひとも私の嫁さんに……」

宥「結婚は無理だよ、女の子同士だもん」

怜「うん、こっちとしてはもっと鋭い突っ込みを期待してるんや。 次はもっと……ビシッと! 頼むで」

宥「う、うん……わかった。 頑張るよ」

113 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/10(日) 00:43:22.33 ID:lhkszdGzO

怜「はぁ……やっぱり、ええな! おいしいご飯を食べると元気になるわ」

宥「そう言ってもらえると玄ちゃんも喜ぶよ」

怜「……なあ」

宥「んー?」

怜「玄ちゃんって、絶対モテるやろ?」

宥「……どうなんだろうね?」

怜「え? そんなもんなん? いかにもモテる要素詰め込んだ感じな気がするんやけど……というか、私はお弁当のおかずだけで胃袋掴まれてもうてるし」

宥「ずっと女子高だし、男の子のお友だちなんて……ご近所さんも年の離れた子ばっかりで……」

怜「ふぅん……竜華なんて、よくナンパされとったけどなぁ」

宥「あぁ……清水谷さん、綺麗だもんねぇ」

怜「乳も太もももたまらんしな! 玄ちゃんだって……」

宥「吉野は、だいたいの人が知り合いだから……」

怜「……大阪って、都会なんやな」

宥「うちが田舎なんだよ〜」

怜「……インハイとか、東京行ったときはそういうのあったやろ? 私すら声かけられたことあるで?」

宥「まあ、あったみたいだね……特に憧ちゃんと玄ちゃんは……」

怜「あぁ……わかるわ。 あのふたりは声めっちゃかけられてそうやな……お姉ちゃんもあったやろ?」

宥「私は、そんな……なくはないけど、だいたい誰かと一緒の時だったから、後ろでおどおどしてるばっかりで……」

怜「あはは……宥ちゃんらしいわ。 まあ、私や竜華の時もセーラが全部追い払ってくれたんやけどな」

114 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/10(日) 00:43:55.00 ID:lhkszdGzO

怜「……お姉ちゃん、膝かして」

宥「ん、どうぞ〜」

怜「それじゃあ、失礼して……」

ごろん、と園城寺さんが私の膝の上に頭を乗せる。 膝枕がお気に入りらしく、今までは清水谷さんにしてもらっていたらしい

怜「はぁ……やっぱりこれやな。 最高や」

宥「そんなに?」

怜「うん。 なめ回したいくらいええ太ももや」

宥「なめまわす!?」

怜「半ば冗談やから気にせんでええよ」

宥「半分本気!?」

怜「おっ、ええな。 そういう突っ込みがほしかったんや」

宥「え? あ、うん……どうも?」

怜「はぁー……いやぁ、しかしこうしてると竜華の太ももが懐かしいわ……そりゃあ、お姉ちゃんの太ももも竜華とはまた違ってええんやけどな? やっぱり膝枕ソムリエとしてはいろいろあるねん」

宥「そんな資格があったんだ……」

怜「……ごめんな、無免許なんや。 つーかそんな資格ないわ」

宥「……そりゃあそうだよね」

115 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/10(日) 00:44:21.87 ID:lhkszdGzO

怜「…………」

宥「…………風が気持ちいいねぇ」

怜「……せやなぁ」

宥「…………」

怜「……ふぁ」

宥「……ねむい?」

怜「ん……ちょっと……」

宥「いいよ? 少し眠っても……」

怜「んー……いや、今寝たら、絶対宥ちゃんも寝ちゃうやん……」

宥「……それは、うん……起きていられる自信はないね……」

怜「せやろ……?」

宥「んー……」

怜「…………」

宥「…………」

怜「……あ、今ちょっと危なかったわ」

宥「…………ん」

怜「……お姉ちゃん、ダメやって。 起きてー」

宥「んー…………」

116 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/10(日) 00:44:49.43 ID:lhkszdGzO

怜「……なあ」

宥「うん…………」

怜「実はな、私、今日誕生日なんよ」

宥「そうだったの?」

怜「うん……なんかな、言ったらプレゼント要求してるみたいで嫌やったんやけどな……祝ってもらえないのも、それはそれで寂しいな……って」

宥「それは、そうだよねぇ……」

怜「……今までは、ずっとな? 竜華とセーラがおったから、こう……わーって、祝ってもらえてん」

宥「うん……私も、玄ちゃんや憧ちゃんがお祝いしてくれたなぁ……」

怜「……私は学生で、竜華とセーラはプロで……当然、仕方ないんやけどな。 あの二人がいないともなると、なんや……ちょっと、寂しいなぁ……」

宥「……なんとなく、わかるかも……中学、高校と……いっつも私だけ先に上がって、玄ちゃんたちとちょっと離れて……それでも、私はいつでも会えるけど……」

怜「あのふたりとは、そうもいかんからなぁ……」

宥「……ねえ、園城寺さん」

怜「はーい」

宥「今日はさ、どっか遊びに行こっか?」

怜「……麻雀部、サボってええの?」

宥「……今日は、悪い子の松実宥なのです」

怜「そっかー……それなら、仕方ないなぁ」

宥「そう、仕方ないのです……」

怜「それじゃあ、私も今日は悪い子の園城寺怜やな……」

117 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/10(日) 00:45:15.55 ID:lhkszdGzO

宥「どこか、行きたいところある?」

怜「んー……松実館」

宥「……うち?」

怜「おっきい旅館なんやろ? 見てみたいなーって」

宥「……お金払わないと、施設は利用できませんよ?」

怜「やっぱりそこら辺は厳しいかー」

宥「おうちの方なら平気だけど……なにもないよ? あ、こたつはあるけど……」

怜「もう五月やで!?」

宥「私がこたつないとダメで……」

怜「はぁ……宥ちゃん、おうちやとなんもしてへんやろ……?」

宥「…………お恥ずかしい限りです」

怜「まあ、私も家では寝てばっかりやけどな……じゃあ、今日は宥ちゃんのおうちにお呼ばれするわ」

宥「……うちでいいの?」

怜「ダメ?」

宥「……いいよ?」

怜「じゃあ、行く」

宥「うん、わかった」

118 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/10(日) 00:45:45.01 ID:lhkszdGzO

怜「よい、しょっと……あぁ……宥ちゃんの太ももから離れるの辛いわ……」

宥「ふふ……またあとでね」

怜「ええの? やった!」

宥「……急に元気になったね?」

怜「うん。 なんか、眠気も覚めたわ。 人生の半分を病院で過ごしてる私にとっては、お友だちのおうちにお呼ばれするとかなかなかの大イベントやねん」

宥「……そっかぁ」

怜「あ、アカン……ちょっと興奮してきた……ヤバい! めっちゃテンション上がってきた!」

宥「……大丈夫なの?」

怜「ちょっと、元気なうちに行こ! このまま貧血になったりしたら困るし!」

宥「そんなに!? ちょっと落ち着いて行こうよ……」

怜「うん……うん、そやな。 クールダウンクールダウン……ふふっ、アカン……なんか、笑えるわ……」

宥「なんにもおかしいこと言ってないよ……?」

怜「箸が転げ回ってもおかしい年頃やからな……」

宥「転げ回ってたら誰が見てもおかしいよ?」

怜「……せやな」

119 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/10(日) 00:46:31.99 ID:lhkszdGzO

怜「ま、ええわ! さ、行こ! はよ行こ!」

宥「急いだって電車の時間とかもあるし……それに、ケーキとか買って行こうよ」

怜「……ケーキ?」

宥「今日、お誕生なんでしょ?」

怜「……ああ、そんな話もあったなぁ……ちょっと、テンション上がりすぎて忘れてたわ……」

宥「ふふ、もう……園城寺さんったら」

怜「へへ……まあ、年に二回ぐらいしか食べれへんケーキやし、期待させてもらうわ」

宥「まかせてよ! おいしいの買っていこうね!」

怜「おう! ……ふふ、テンションと一緒に血糖値も上がってきたわ……!」

宥「もう上がってきちゃったの!? 体は大丈夫!?」

怜「……ボケにボケ重ねるとか、上級者やな」

宥「え? ボケ?」

怜「……知ってはいたけど、天然気味やな」

宥「えぇ……そうかなぁ……」

怜「養殖の天然とか本気でイラっとくるから、お姉ちゃんはそれでええんよ」

宥「んー?」

怜「よくわかってないなぁ……ま、ええか……っ! ……とと……ふう」

宥「大丈夫? つまずいた?」

怜「大丈夫大丈夫。 今日は宥ちゃんち行くって決めてるからな? 帰らんよ?」

宥「……もう、園城寺さんが平気ならいいんだけど……無理しないでね?」

120 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/10(日) 00:47:02.67 ID:lhkszdGzO

宥「はい」

怜「……なに?」

宥「手、出して」

怜「……はいな」

宥「よしっ」

ぎゅっ、と手を握る

怜「……なに、これ?」

宥「また、つまずいたら大変でしょ?」

怜「……んっふふ、恥ずかしいけど、まあ、たまにはええかー」

宥「今日は誕生日だから、特別だよー」

怜「……せやな。 特別だからな、今日は。まあ、ええか」

宥「……ふふ」

怜「……ふふふ」

宥「……ね、園城寺さん」

怜「なぁに、宥ちゃん」

宥「お誕生、おめでとう」

怜「ん、ありがとうな」


カン!
121 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/10(日) 00:50:34.19 ID:lhkszdGzO
唐突にときたんイェイ〜
メインに怜据えたことって今までないなと思いつつ、まあいいよね
そんなことよりおじさんの誕生日SSください(慕並感)こうたんイェイ〜


あと一週間あるしのんびりあこたんイェイ〜する準備します
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/10(日) 00:52:06.07 ID:DjpmxmS/o
乙です
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/10(日) 00:53:16.59 ID:eDC4Jdpbo

すばらだった
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/10(日) 01:03:01.22 ID:YUSIoLiAo
乙です
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/10(日) 01:13:44.45 ID:IUWGjaC80


続きはどこに行けば読めますかね?
126 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/17(日) 07:49:43.67 ID:PL7vEzcG0
あこたんイェイ〜
ちょっと忙しいので投下が明日にずれ込みそうなのでその報告に…あこちゃーすまぬ
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/17(日) 08:45:55.27 ID:oMXhqj3yo
しゃちくおつ
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/17(日) 10:02:39.02 ID:+uNUtuq4o
待ってる
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/17(日) 13:25:13.97 ID:kmhCorjH0
あこちゃー今日だったのか

把握&あこたんイェイ〜
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/17(日) 18:57:50.90 ID:v6HRRjMAO
>>126
ふんふむ…
明日誕生日の越谷女子の八木原景子さんと憧ちゃーが絡む話ですかね?
楽しみにして居ます♪
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/19(火) 00:24:13.61 ID:B0+aM+eW0
明日って昨日さ!
132 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/19(火) 23:24:29.85 ID:21EKNXzg0
時間を守れる人間になりたいですね。今更ながらのあこたんイェイ〜
133 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/19(火) 23:28:02.44 ID:21EKNXzg0
1

――――五日前

憧「――ちょっと、しず!」

穏乃「あ、憧」

憧「な、なな、なんなのよこれっ!」

穏乃「ごめん、ちょっと今電話中だから後でいい?」

憧「あ、うん……ごめん……」

穏乃「ああ、すみません……いや
、なんか憧が……あはは! そうですね!」

憧「…………」

こう、しずが電話してるとろくなことがない気がするのよね、最近

穏乃「いえ、そんな……はい……それはもちろん! メグさんは……」

あ、メグさんか。 珍し……くもないか? 国際電話ってけっこうお金かかると思うんだけど平気なのかな……

しかし、相手がメグさんだと言うことは……今回の問題の原因は手が空いてるということだ

一回こっちからも連絡してみて……

灼「どしたの? そんなに興奮して……」

憧「……とりあえず興奮してるって言い方やめてよ! なんか嫌だから!」

灼「それは、ごめ……」

玄「なにかあったの?」

憧「……揺杏が、服を送ってくれたんだけど」

灼「……それになにか問題が?」

憧「内容物に問題しかなかったの!」

134 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/19(火) 23:28:46.72 ID:21EKNXzg0

憧「ほら、これ! 見てよ!」

灼「……いつもの、アレだね……NAGANO-style」

憧「前から気になってたんだけどそのブランド名に決定してんの!? 長野に酷い風評被害起こしてるしやめなさいよ!」

玄「じゃあ、国広スペシャルとか?」

憧「必殺技かなんかなの!?」

灼「布きれ」

憧「全くもってその通りだと思うけどファッションを自称するならネーミング頑張ろうよ!?」

灼「まあ、冗談はおいといて……穏乃に言っても仕方がないでしょ。 揺杏に言いなよ」

憧「言ったわよ! そしたらしずや一さんに言われたからって、それしか言わなくて……!」

灼「……へらへらしてたでしょ」

憧「それも心底楽しそうにね!」

玄「いつも通りな気もするけど……」

灼「うん、いつも通りだよそれ」

憧「それはわかってるけど! 私としてはこんなもの押しつけられても……!」

玄「……それなら国広さんに聞いてみたら? 穏乃ちゃん、まだお電話してるし……」

憧「そうね……」

憧「……はぁ」

灼「どうしたの、ため息なんかついて」

憧「……普段ならまともでしっかりしたお姉さんって感じなのに、服のことが絡むと途端にアレな人になっちゃうから……この用事で電話するの嫌なのよ……」

灼「あー…………」

憧「……まあ、仕方ないか……何らかの意図があるんだろうし……」

135 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/19(火) 23:29:39.33 ID:21EKNXzg0

憧「もしもし、一さん?」

純『おう、久しぶり! どうしたー?』

憧「ふきゅ」

純『わりぃな、今国広くん手が離せないとかなんとか……なにも電話来たの確認してからトイレ行かなくてもいいのにな?』

どうしてこう、要らん気を回すんだあの人は! 急にそういうことされるとテンパるんだってば!わかっててやってるんだろうけど!

純『……憧? どうした、憧ー?』

うわあなんかめっちゃ名前呼ばれてるよちょっとうれしいっていうかドキドキするっていうかもしかしてこれずっと黙ってたらずっと名前呼ばれ続けるんじゃ

純『あれ? 電波わりぃのかな……とりあえず切って……』

憧「わあ! 待って! 聞こえてます! すみません!」

灼「……あれ、どしたの?」

玄「井上さんが出たんじゃないかな……? 私もね、一ちゃんに電話するとたまに萩原さんが出るんだよー」

灼「……国広さんは、そういう気の回しかたするよね……それにしても憧は相変わらずだね。 そろそろ慣れてもいいのに……」

玄「ふふ……恋をするとね、ちょっとしたことでもすっごくドキドキしちゃうんだよ」

憧「ちょ、玄! な、なに変なこと言ってんのよ! わ、私は別に、なにも……!」

灼「憧、電話電話」

憧「え、あ……」

純『大丈夫か? どうした?』

……よし、とりあえず落ち着こう。 不意をつかれて焦ったけど、別に焦る場面じゃない。 今や下の名前で呼び合う仲なんだし、電話で話すくらいどうってことない、うん

136 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/19(火) 23:30:21.26 ID:21EKNXzg0

憧「……すみませんなんでもないです。 なんか、一さんから荷物が届いたんですけど……」

「おはようございまーす」

「あ、すみません。 先輩方お電話中ですか」

灼「憧が彼氏と電話中だから静かにしてあげて」

憧「ふきゅ!?」

「わ、新子先輩やっぱり彼氏いたんですか!」

「どんな人なんですか!?」

灼「某有名校の先鋒で帰国子女。 憧のいっこ上で身長180越えのイケメンだよ」

憧「あ、あああ灼さん! なななに言ってんの!?」

灼「だいたい合ってるし……」

憧「一番大事なところが間違ってるでしょ!?」

玄「いやあ、うちも新入生が入って賑やかになったねぇ」

穏乃「ですよね! 聞いてくださいよメグさん! 私もとうとう先輩ですよ、先輩!」

ああもうっ! 灼さんは本当に揺杏たちから
悪い影響受けすぎっ! 後輩たちが変な勘違いするでしょうが!

純『おーい、国広くんがどうしたって?』

憧「あ、ああ、あのですね……届いたのが、服で……」

純『……ああ、あの…………え、着るの?』

憧「着ませんよ!?」

純『だよな……あー驚いた……あ、国広くん、ほれ』

一『あらら見つかっちゃった……こんにちは、憧ちゃん。 純くんとちゃんと話せた?』

憧「いやいやいや! いろいろありすぎて無理ですよ! とりあえずなんなんですか、あの服!」

一『かわいいでしょ?』

憧「そういうことを言ってるんじゃないんですけど!?」

137 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/19(火) 23:31:14.40 ID:21EKNXzg0

一『ほら、憧ちゃんさ、今週末誕生日でしょ? 穏乃ちゃんから聞いたよ?』

憧「そうですけど……いや、あんなの贈られても着ませんよ!?」

一『あんなのって……酷いなぁ』

「彼氏にエロ下着でも贈られたんですかね?」

「さすが、進んでるなぁ……」

憧「ふきゅ!?」

灼「新子先輩進んでるー」

憧「ちょ、灼さん!! 誤解解いておいてよ!?」

灼「でも、あんなのエロ下着みたいなもんじゃ……」

憧「なんでアレ下着ですらないんでしょうね!?」

灼「怖い」

玄「ねー」

憧「あんた一回薄墨さんの巫女服着たらしいじゃん! 知ってるんだからね!? しずが玄さんも着たから! って何回も何回も……!」

玄「あ、あれは……気の迷いというか、恋は盲目というか……」

「松実先輩も彼氏いらっしゃるんですか!?」

「やっぱり全国区の雀士にもなるとモテるんですね!」

玄「えぇ!? いや、違うよ、私は片想いで……」

灼「……あの言い方だと、憧は両想いみたいだよね」

憧「ふきゅ」

一『いやあ、なんかそっちは楽しそうだねぇ』

138 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/19(火) 23:31:58.50 ID:21EKNXzg0

憧「と、とにかく! どういうつもりなんですか!?」

一『いや、憧ちゃんが着てくれないかなーと思って』

憧「だから着ませんってば!」

一『それを着てくれるなら、純くんとのバースデーデートをセッティングするよ』

憧「へぁ!?」

一『ちょうど今週末に東京で獅子原さんの所属チームが対局あるの知ってる? 揺杏ちゃんと話してたんだけど、それなら久しぶりに会いたいし一緒に見に行こうって話しててさ……』

一『そうしたら、透華もプロの対局とか、イベントも好きだしみんなで見に行こうってなってて……』

憧「……それ、どうせで、でーと、とかじゃなくって、みんなで試合応援しに行くってだけでしょう!?」

一『時間かなり取ってるからさ、ボクは揺杏ちゃんとも話す時間あるし……そしたら、純くんをはじめとしてみんなもフリータイムがけっこうあるんだよ』

憧「え、いや、でも……」

一『ボクも憧ちゃんたちにも会いたいし……あ、玄さんいる? ちょっと替わってもらえるかな?』

憧「……いいですけど……玄、ちょっと」

玄「え? あ、うん……」

……なんで玄? まあいいや、それよりも一さんの提案をどう取るか……で、デート……いやいや! だからってあんな服……ともいえない服を着るなんて……!

玄「えぇ!? ……うん……うん……はい! わかりました! おまかせあれ!」

憧「……玄?」

玄「憧ちゃん、一回着てみようよ」

憧「嫌」

玄「そう言わず! 大丈夫だよ、私も似たようなの一回着たけど、反応そんなに悪くなかったと思うし……」

憧「そういう問題じゃないから! 急になに言い出してんのよ!」

玄「だって、その……えへへ……」

あ、私と同じようなこと言われて釣られたな……

玄「親友を助けると思って、ね?」

憧「助けてあげたいけど人としての尊厳は捨てたくないの!」

139 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/19(火) 23:32:34.49 ID:21EKNXzg0

一『まあまあ、とりあえず考えといてよ。 新幹線ならこっちで用意してもいいからさ』

憧「あ、東京行くのは決定なんですね……」

一『行かないの?』

憧「そりゃ、行きたいですけど……っていうか、出してもらっちゃっていいんですか?」

一『いいんじゃない? 透華はその気みたいだけど……』

……ただで東京行った上に、プロの試合を観戦して、しかも……で、デートが付いてくる……?

憧「……そ、それでもこれは着ませんよ!? 絶対着ませんよ!?」

一『そっか……じゃあ、デートに誘うのは自分で頑張ってね』

憧「べ、べべべ別に頑張らなくても私だってそれくらいはなんとかできますし!?」

一『誘うには誘うんだね』

憧「ふきゅ」

一『うん、頑張って! いやあ、直接会うのも久しぶりだし楽しみだね』

憧「ま、まあ、それは……はい、そうですね」

一『あ、後で人数だけ教えてよ。 宥さんは来れるのかな? 後輩の子たちとかも……』

憧「そ、そこまでお世話になるのも……」

一『ちょっと増えたところでたいして変わらないって』

憧「うぅ……すみません。 後でまた連絡します」

一『うん、それじゃあまたね……服のことは、よく考えておいてね』

憧「考えませんから!」

140 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/19(火) 23:33:25.53 ID:21EKNXzg0

憧「……というわけで、東京行けるって。 みんな週末の予定はー?」

穏乃「え、龍門渕さんたちと東京に?」

『リューモンブチ!!』

穏乃「おわぁ!? メ、メグさんちょっと落ち着いて……!」

玄「ど、どうしたのかな……?」

灼「…………たしか、対局経験があったはず」

憧「……一昨年のインハイだよね? メグさんが合浦女子トバして終わらせた……」

穏乃「はい、はい……そうです、龍門渕透華さんも……え? 日本に来る? 急に大丈夫なんですか? ……え、誕生日だし無理が効く? ……えっと、いいチームですね!」

……自由なチームだな。 お国柄? そりゃあ新人一人抜けたぐらいじゃそこまで影響もないだろうし……ん? 今開幕してすぐなんて新人としちゃ大事な時期なんじゃないの? 大丈夫なの?

ちなみに、後輩たちはただで東京行けるってはしゃいでる。 こう、プロの試合とか龍門渕さんたちを見てちゃんと麻雀への気持ち作ってくれるといいんだけど……

灼「揺杏たちも……楽しみだね」

玄「えへへ……そうだね。 龍門渕に有珠山のみんなに……それに……ふふ、楽しみだなぁ」

憧「……県予選も近いんだから、みんなもうちょっとしっかりしてよね! 玄も色ボケしてないで……」

玄「い、色ボケなんて、そんな……あ、憧ちゃんが言わないでよ!」

憧「私は色ボケなんかしてないでしょ!?」

灼「どっちもどっちだと思……」

141 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/19(火) 23:34:15.02 ID:21EKNXzg0

――――――

結局、遊ぶ時間も取りたいってことで前日には東京に行こう、という話になって土曜日の新幹線を取ってもらった……宿まで手配してくれたらしい

ほんとにいいんですか? お世話になりすぎじゃないですか? って聞いたら、誕生日プレゼントだとでも思ってくだされば……だって。 金持ちってすごい

憧「……それじゃ行ってくるね、お姉ちゃん」

望「はいはーい、せっかくなんだし楽しんで来なさい……日曜のうちに帰ってくるのよね?」

憧「うん、月曜学校あるし」

望「ケーキは? 焼いとく?」

憧「うん、食べたい。 お姉ちゃんのケーキ」

望「帰ってくるの夜中でしょ? 太るわよ〜」

憧「余計なこと言わないでよ! お姉ちゃんのばか!」

望「ごめんごめん……ね、憧」

憧「なに?」

望「実は、彼氏とのお泊まり旅行だったりとかは……」

憧「そそそそそんなわけないでしょ!? な、なに言ってんの!?」

望「……そこまで動揺されると心配になるんだけど」

憧「麻雀部のみんなも一緒だし! 本当にみんなで知り合いの試合見に行くだけだから!」

望「だからそこまで必死にならないでよ……」

憧「必死になってないから!」

いや、嘘はついてないし! 別にみんなで遊びに行く仲間にちょっと……き、気になる人がいるだけだし! いや、しかも女の子だし! なんも後ろめたいことはないけど!?

穏乃「あーこー! 望さんも、おはようございます!」

望「おはよう穏乃ちゃん。 気をつけて行っておいでね」

穏乃「はいっ! ほら憧、行こっ! 行ってきます!」

憧「う、うん……行ってきます」

望「いってらっしゃい」

142 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/19(火) 23:35:01.11 ID:21EKNXzg0

憧「……で、全体的にどういう予定になってるの?」

灼「ん……お昼過ぎに東京着いて、龍門渕のみんなと合流。 揺杏もちょっと遅れて合流できるから、お昼は遅めにしてみんなで食べよって……」

穏乃「メグさんもすぐに合流するって! 夜は辻垣内さんの実家にお世話になるって言ってたけど……」

玄「辻垣内さんも対局で東京にいるんだよね? 辻垣内さんと獅子原さんが直接打ったりすることになったら面白いんだけどねー」

今回の旅は、全部任せっきりだ。 誕生日だから、どっかでサプライズとか適当に入れるだのなんだの言ってたし……うん、それ言わない方がよかったんじゃないかと思ったけどしずだから仕方ないよね。 予定の方は灼さんに任せとけば安心だろうし、変につまずくこともないだろう

……辻垣内さん、高校時代の活躍からもわかるように同世代ではトップクラスの雀士なんだけど……なんか、プロ入りに際して実家の事情でかなりもめたとかなんとか噂を聞いた

うん、なんか深入りしちゃいけない予感しかしないのよね。 会う機会もあるかもしれないし、しずがうっかり余計なこと言わないといいけど……

後輩たちは、一昨年のインハイで話題をさらった天江衣を擁する龍門渕やプロ雀士の辻垣内智葉や獅子原爽、アメリカのメガン・ダヴァンと親しく付き合っている様子に興味津々らしい。 興奮した様子で質問して回っている

玄「…………ね、憧ちゃん」

憧「…………なに?」

玄「……えへへ、楽しみだね、東京」

憧「……あんた、楽しみなの東京じゃないでしょ」

玄「えー? えへへ、そんな、そんなことないよ〜……でも、憧ちゃんだってさぁ……」

憧「……べ、別にそんなことないし……せ、せっかくだから爽の試合見に行ってやるだけだし……」

玄「……実はさ、井上さん風邪引いて今日は来れないって……」

憧「えぇ!? ちょ、そんな、じゃあ東京行っても……」

玄「…………」

憧「…………」

玄「嘘だよ?」

憧「……あんた、最近ちょっと変な駆け引き覚えてきてイラっとするわね」

玄「私も、最近改めて気づいたんだけど、憧ちゃんって意外と単純だよね」

うん、玄にだけは言われたくない

143 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/19(火) 23:35:53.47 ID:21EKNXzg0

しずと灼さんは後輩たちにメグさんの話をして盛り上がっている……世界ジュニアでも目立ってたし、わかるんだけど、しずを国際的でカッコいい雀士とか、調子乗るからそういう持ち上げ方しないでほしいんだけど

……いや、純粋な子たちだから本気ですごいと思ってるんだろうけど

玄「……なんかさ、久しぶりに会うから緊張するよね」

憧「…………うん、まあ……ちょっと……」

玄「やっぱり、ちょっと恥ずかしいから……直接連絡とか取れなかったし……その、一ちゃんからたまに様子聞いてみたりしてたけど……」

憧「あ、うん……それは私も……」

というか、聞かなくても話してくれるし……わざわざ電話してきてくれたりとか

しずとも異常に仲がいいし、一さんは阿知賀のみんなと割合結びつきが強い

……そういえばこの前偶然見えちゃったんだけど、灼さんは沢村さんとふたりっきりで『衣ちゃんかわいい』とかいうLINEグループを作ってやり取りをしてた。 なんだろう、灼さんの好きな謎生物的な扱いなんだろうか。 そりゃあ天江さんかわいいけども

玄「ど、どうしようかな……なんか、その……本当に、き、緊張してきちゃった……ちゃんとお話しできるかなぁ……」

憧「……だ、大丈夫でしょ……電話では、ちゃんと……ちゃんと話せてるし!」

ちゃんと話せてる、うん……話せてるったら話せてる

玄「う、うん! そうだよね! 電話ではちゃんと話せてるし……」

憧「えっ?」

玄「え?」

憧「な、なんでもない……」

ちゃんと話せるのか……すごいな、玄のくせに

憧「……っていうかさ、一さんと連絡とったときに萩原さんが急に出たりするんでしょ?」

玄「うん……一ちゃんが、急に用事でーって言って、少しお話しさせてもらったりして……」

憧「それで、どんな話したりすんの?」

萩原さんって大人だし……執事とか、立場が特殊すぎるから玄とどんな会話すんのかちっとも見当つかないんだけど……

144 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/19(火) 23:36:36.67 ID:21EKNXzg0

玄「別に、普通に世間話したりとかだけど……」

玄「萩原さんが、長野の……龍門渕のみんなや清澄のみんなのお話をしてくれたり……」

憧「へぇ……それは面白そうね。 和たちの主観でしか話って聞けないし」

玄「お料理のレシピ教えてもらったりとか……」

憧「いいじゃないの、それ! 共通の趣味? いや、萩原さんはお仕事の一環なのかな……それにしても萩原さん、なんでもできるみたいだしね」

萩原さんの料理といえば、優希がタコス好きだからって須賀くんがタコス作り習ってる……って話を夏に聞いたな。 長野のみんなとの練習に混ざってたときに出してもらって、意外とおいしかった記憶がある

玄「他には、私からも……」

憧「あ、一応聞いておくけど胸の話とかしてないでしょうね」

玄「し、してないよ! お姉ちゃんも絶対しちゃダメって言ってたし!」

宥姉さすが……っていうか宥姉が言わなかったらしてた可能性があるの? やっぱり玄ってちょっとアホだわ

玄「普通に、近況とか……みんなと一緒に何をして、楽しかったとか、うれしかったとか……」

憧「……普通」

玄「だって、そんな……すごい話題とかないし……」

……つーか、本当に普通すぎてただの遠恋みたいになってんじゃん

…………おっぱいについて熱く語ってちょっと引かれちゃえばいいのに……

……なんか、萩原さんだとそれすら普通に受け止めてくれそうだけど。 余裕のある大人ってカッコいいわよね

玄ってしっかりしてるけど、ところどころアホで抜けてるし、ああいうしっかりしてて余裕のある人がついてあげてた方がいいのかもしれないわね

というか正直、ちゃんとした人がついてないと心配の種が尽きないんだけど

145 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/19(火) 23:37:18.96 ID:21EKNXzg0

――東京までは、あっという間だった

玄と作戦会議……って程のものでもないけど、うん、まあ、コイバナしてたらすぐに着いちゃった

しずと灼さんが後輩たちを釘付けにしてたし、心配せずに色々話せたし……

……なんか、意味わかんないぐらい盛り上がってたからなんの話してたのかすごい気になるんだけどね

憧「…………」

灼「……? ああ、安心して。 憧はああ見えて超奥手であがり症ですぐにテンパって顔真っ赤にしてわけわかんないこと口走ってるとか、そういう話は私は一切してないから」

憧「ちょっとぉ!?」

灼「だからしてないってば……」

穏乃「いやー、それで憧ったら話しかけられただけで顔真っ赤にしてさー」

「えー、ほんとですかあ?」

「意外ですねー」

灼「穏乃はしてるけど」

憧「しーずー!! ちょっと、変なこと吹き込まないでよ!!」

穏乃「あはは、心配しないでよ! 変なことなんて吹き込んでないってば! 全部ほんとのことだし!」

憧「それをやめてって言ってるんだってば!」

灼「やっぱり、身内の話の方が盛り上がるよね」

玄「あはは……まあ、直接知ってる人の話の方がねぇ」

146 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/19(火) 23:38:18.47 ID:21EKNXzg0

透華「お久しぶりですわね」

灼「ども……今日は、いろいろとありがとうございます」

透華「お気になさらず……友人のお祝い事ともなればこの程度のこと当然ですわ」

憧「あ、ありがとうございます……」

……この程度、が一般的な範囲からだいぶ逸脱してるんだけど……まあ、気にしても仕方がない。 値段的なこと気にしてると胃が痛くなるし、もう気にしないことにしよう

一「久しぶり、普通の格好で来たね」

憧「当然ですよ! 着ないって言ったじゃないですか!」

穏乃「いやー何回も説得したんですけどね……」

純「あんなん着るの国広くんたちぐらいだって……」

憧「そ、そそ、そうですよね! あ、あんなの普通は着ませんって!」

……も、もしもの時のために一応持ってきてるのは黙っておこう、うん……いや、当然着る予定はないけど! ないけど!!

純「にしても、よかったじゃんか。新入生入ったみたいだし……夏も全国で会えるといいな」

憧「そうですねー……はい、まだ時間はありますし、あの子たちもしっかり鍛えてあげないと……」

……よし、とりあえず落ち着いて会話できてる。 大丈夫。 私しっかりしてるし。 声かけられただけで顔真っ赤にしたりしないし。

ちなみに、当の後輩たちは灼さんに連れられて天江さんに挨拶……かわいいかわいい言って怒られてる。 真面目に紹介してあげなさいよ……

灼「かわいい後輩です……よろしくしてあげてください」

智紀「かわいい衣と合わさり最強に見える」

透華「うちの衣が一番かわいいですわね」

……龍門渕さんは、アレか、親バカポジションでいいのかな?

憧「……あれ、そういえば龍門渕は新入部員とかは……」

純「ん? ああ……」

147 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/19(火) 23:39:27.04 ID:21EKNXzg0

一「うちはね、ゼロだよ」

穏乃「ゼロ? でも、龍門渕って前から麻雀で有名なのに……」

純「今の、オレらの麻雀部は透華が衣のために作った……ちょっと、特別な場所になってるからなぁ……」

一「一回、元からあった麻雀部潰しちゃったしね……たぶん、ボクらが卒業したらまた新しく麻雀部が作られるんじゃないかな」

憧「潰した!?」

一「そうそう、全員麻雀で倒して解散させちゃったんだよ……懐かしいなぁ」

純「もうちょっと手応えあるかと思ってたんだけどな」

穏乃「すごいですね! 漫画みたい!」

憧「……そういう問題じゃなくない?」

……やっぱり、あの龍門渕さんが集めただけあって、みんなどっかおかしいんじゃないかな

純「実力的にはそこそこだったけど、特別変な打ち手はいなかったんだよな……玄や、宥さんみたいなさ」

一「そういえば、今日は宥さんダメだったんだね。 残念だよ……」

玄「お姉ちゃん、今日は園城寺さんと大阪の方の試合見に行く予定が入ってて……」

今日は大阪の会場で清水谷さんと江口さん、ふたりの所属してるチームを含む対局カードが組まれていて、かなり前からその予定になっていたらしい

……宥姉からは、妙にテンションの高いハッピーバースデーのデコメが送られてきた。 あんなのどこで覚えたんだろ……園城寺さん絡みなのかな? なんにせよ大学生活は楽しんでいるらしい

一「……っていうか、どうしたの? そわそわして」

玄「……そそ、そわそわなんて、してないよ?」

純「わかってて聞く辺り国広くんもいい性格してるよな」

憧「……まあ、ほんといい性格してますよね」

一「そんなにほめられると照れるなぁ」

148 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/19(火) 23:40:10.35 ID:21EKNXzg0

そわそわと落ち着きのない玄は、龍門渕さんの後方に控える萩原さんを視界に捉えてからますます落ち着きなくキョロキョロしている

……控えめに言っても挙動不審だ

一「ほら、話しかけてくればいいじゃない」

玄「えっ……で、でも、その……」

純「攻めなきゃ落としようがねぇぞ?」

玄「あの、えっと……」

穏乃「なんなら私が呼んできますよ! はぎ「わわっ! 待って待って! 自分で、自分で行くから!」

てけてけと小走りで玄は萩原さんに駆け寄り……あ、つまずいた。 呆れるほどにあざとい……いや、玄が天然ものなのは知ってるけど、なんか、やっぱりちょっと……ずるい。 私ああいうのできないし

…………つーか、なんであの距離あのタイミングで抱き止められるんだろ、萩原さん

一「……は、萩原さ……きゃっ!」

純「……お怪我はありませんか、玄さん? 」

一「だ、大丈夫です! 好きです! 結婚してください!」

純「よろこんで!」

ハギヨシ「雑なアテレコするのやめてくれませんか!?」

玄「はわわ……け、けけ、っこ、こけっ……」

穏乃「ニワトリの真似ですか?」

憧「……むむむ」

なんか、玄ばっかり……こう、ランダムイベントで当たり引いてるっていうか、なんか……楽しそうだな、くそぅ……

149 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/19(火) 23:40:57.51 ID:21EKNXzg0

揺杏「おーい! ひっさしぶりぃ!」

灼「揺杏!」

揺杏「灼ぁ!」

ひし、と固く抱き合うふたり。 ……仲いいのはわかってるけど、ついさっきまで沢村さんと一緒ににやにやしながら天江さんを撫で続けていた時とテンションが違いすぎてどうすればいいのかわからない

憧「……っていうか、ひとりなの? 桧森さんとか本内さんとかユキは?」

揺杏「ん? ああ……それな……当然、爽の試合ってのもあって声かけたんだけどさ……」

揺杏『東京まで爽の試合見に行こうぜ!』

由暉子『はい? 急に言われても予定組めるわけないじゃないですか。 もっと早め早めに言ってくださいよ』

成香『思いつきで言われても困るんですけど……飛行機とか旅費とかいろいろと都合もありますし……』

誓子『テレビで見ればいいんじゃない? もっと近くでやるときに見に行くとか……』

揺杏「大不評だよ! もっと早めに用意しとけばよかった! 結局マジでみんな都合つかなかったし!!」

憧「いや、ユキや本内さんの言うことはもっともだと思うんだけど、桧森さんちょっと冷たくない!?」

揺杏「ああ……チカセンに話したとき、爽とゲームでオンライン対戦してぼこぼこにされた後だったからな……」

憧「それで不機嫌だったの!? 子どもか!」

灼「……爽、プロになったのにゲームとかしてていいの?」

透華「まあ、息抜きも必要ということでしょう」

揺杏「爽は人生息抜きみたいなもんだけどなー」

智紀「言い得て妙」

衣「麻雀だって楽しい遊びだと思うがなぁ」

150 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/19(火) 23:41:36.26 ID:21EKNXzg0

爽「そうだよな! 麻雀って楽しいよね!」

ダヴァン「早速打ちまスカ? 私もそれを楽しみに日本に来たんデス」

揺杏「お、爽にメグ! 来たか!」

穏乃「メグさん! 会いたかったです!」

ダヴァン「私もデス、シズノ! ……そして、リューモンブチトーカ!」

透華「ふっふふ……私とて一昨年のインターハイで貴女の前に敗退したのは忘れていませんわよ! 雪辱を晴らしてくれますわ!」(英語)

ダヴァン「あ、英語喋れるんですね。 発音も綺麗です。 素晴らしい!」(英語)

透華「元から嗜んでいましたが、貴女に英語で啖呵を切るために相当な鍛練を積みましてよ! さあ、一勝負参りましょうか!」(英語)

ダヴァン「ふふ……いい度胸です! 今度こそ正面から打ち破って見せます!」(英語)

穏乃「え……え? なに? 何語?」

憧「そりゃあ英語でしょ」

揺杏「……憧ちゃんわかるの?」

憧「…………いや、メグさん英語圏の人だし」

爽「偏差値70系女子のくせに話の内容わかんないの?」

憧「……受験英語とはまた違うし。 なんとなくはわかるけど……」

一「純くんならわかるんじゃない?」

純「ん? あー……『ブッ殺す』『やんのかコラ』ってとこだな」

ハギヨシ「……その翻訳はどうかと思いますが」

純「英語に限らず外国語なんてなんとなくで通じるからいいんっすよ。 ニュアンスは合ってますし」

151 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/19(火) 23:42:14.78 ID:21EKNXzg0

玄「井上さん、外国語できるんですねー」

純「つっても、ドイツ語と英語ぐらいで、たいしたことねぇぞ?」

揺杏「十分すぎるだろ……憧ちゃんだって惚れ直すレベルだぞ」

憧「なななななに言ってんのよそりゃあ何ヵ国語も操るとかカッコいいとか思わなくもないけど別にそれぐらいで改めてどうとか別にそんなこと……」

一「それに透華はもっとたくさんの言語を話せるからね!」

純「オレは別に張り合う気ねぇけど……」

ダヴァン「それにしても、日本人はドイツ語好きですヨネ」

透華「そうなんですの?」

揺杏「うちのユキは大好きだぞ?」

智紀「…………ドイツ語_かっこいい……?」

ダヴァン「それデス! 言語センスの違いなんですカネ……?」

純「とは言っても、みんながみんな好きってわけでもないだろ……ドイツ語知ってるか?」

玄「ば、ばーむくーへん……?」

純「腹減ってんの?」

穏乃「クーゲルシュライバー!」

純「必殺技みたいだけどボールペンだからな?」

爽「ベルリンの赤い雨ー!」

純「それは必殺技だけどドイツ語ではねぇよ」

灼「ん……Guten Morgen」

純「急にまともになったな……おはようございます」

憧「……Ich liebe Sie」

純「憧らしいチョイスだな……君を愛してる」

憧「ふきゅ」

152 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/19(火) 23:42:55.15 ID:21EKNXzg0

一「今の狙ってたよね」

灼「……憧は偏差値70オーバーの頭脳派だから」

智紀「溢れる頭脳派(笑)オーラ」

揺杏「つーか、実は遠回しな愛の告白?」

憧「ねね、狙うもなにも!? こ、ここ、告白とかじゃないですし!? し、知ってるドイツ語言っただけですけど!?」

そりゃあちょっとは期待してたけど!? 別にいいじゃん、これぐらい! 誰にも迷惑かけてないし!

衣「というか、ひとつ気になっていることがあるんだが……」

透華「どうしましたの?」

衣「いや……そこの、獅子原のことなんだが……」

爽「ん? 私か? なんだ? 獅子原爽さんの強さの秘密を知りたいとか? プリンス戒能に師事して仕込まれた48の麻雀殺法と52の……」

憧「なによ麻雀殺法って……爽ってバカなの?」

灼「今さら?」

爽「私もちょっと傷ついたりするんだぞ、ん? 久しぶりなのに冷たいなー」

揺杏「……新生活はどうだ? フロティーラ楽しい?」

爽「おう、楽しいぜ! 戒能良子みたいな化物もいるしな! 変幻自在のプレイスタイルから学ぶことも多いし……年の近い後輩ってことで可愛がってもらってる」

ダヴァン「たしかに、トップクラスの打ち手からは学ぶことが多いデス……日本も、小鍛治健夜以来世界での評価も高いですシネ」

純「十何年前にか、当時の世界王者のニーマンが来日したとき非公式戦で日本人に負けたんじゃねーかって噂もあったらしいぜ? 眉唾だけど日本もそこそこのレベルになってるってことだろ」

爽「ま、世界なんてまだよくわかんねーけどさ……ユキのプロデュースにもしばらくは付けないわけだし、プロの世界で力つけとくさ」

衣「いや、お前……だからプロなのだろう? ダヴァンと混ざって自然に入って来たがどうしてここにいる? 普通はチーム単位で行動するんじゃないのか?」

爽「………………ん? なんか言った?」

153 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/19(火) 23:43:37.53 ID:21EKNXzg0

揺杏「お前なぁ……」

憧「アウト! 完全にアウトじゃん! なにやってんの爽!?」

爽「いや、チームで移動して東京まで来るだろ? で、駅でメグメグ見つけて……声かけたらちょうどこれから合流だって言うから……一緒に来たんだよ! 悪いか!?」

憧「悪いに決まってんでしょ!?」

揺杏「まぁたフラフラと抜けてきたのか……」

灼「社会人としてどうかと思……」

爽「だって! 私だって久々に揺杏たちに会いたかったし!」

揺杏「そう言ってくれんのはうれしいけどねえ……」

ダヴァン「プロとしての自覚がたりませンネ」

一「日本来ちゃってるダヴァンさんが言っちゃうの?」

純「もういいんじゃねーの、こいつバカだろ?」

智紀「バカだから何をやってもいいというわけでは……」

衣「バカだから仕方ない……上がそう思ってくれればいいのだがな」

爽「バカバカ言うなよ! バカって言ったやつがバカなんだぞバーカ!」

灼「ふーん……ところでお腹も空いてきたしそろそろお昼にしよ……」

爽「突っ込んでよ!?」

154 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/19(火) 23:44:17.67 ID:21EKNXzg0

透華「実際、どうなんですの? 許可を取っていないのならばさすがによろしくないでしょう?」

爽「あー、その……うん、なんとかなるんじゃないかな……?」

憧「根拠は?」

爽「良子お姉さまがなんとかしてくれる!」

穏乃「無いんですね!」

揺杏「とりあえず帰っとけよ、うん」

爽「そんな! せっかく頑張って抜け出してきたのに!」

透華「頑張りどころを間違ってませんこと?」

揺杏「……やっぱさ、今まで私らと好き勝手やってた頃とは違うんだしさ……これが原因で爽が明日試合出れなかったりとかしたら嫌だぜ、私」

爽「あー……そうだな、ごめん。 とりあえず帰るわ。 道に迷ったとでも言っときゃなんとかなるだろ」

憧「……それで通じるわけ?」

爽「私、バカだと思われてるからな……ま、明日は憧ちゃんのバースデーだし? 頑張ってホームラン打つから手術受けるって約束してくれ!」

憧「なんの試合に出る気なのよ!? 別に病気でもないし!」

爽「恋の病だろ?」

憧「ふきゅ」

爽「あはは、近くに特効薬もいることだしなんとかなるかー」

一「猛毒にもなり得るんだけどねー」

憧「だ、だから、そういう……あーもう! いいからさっさと行きなさいよ! わざわざ応援しに来てやったんだから、しっかりやりなさいよね!」

爽「ま、これだけの友人兼爽くんファンクラブのメンバーが応援に来てくれてんだから無様な対局は見せられないっしょ! 大活躍してやっからちゃんと見とけよ!」

揺杏「頑張れよ! 明日は飯ぐらい一緒に食おうな!」

穏乃「頑張ってください!」

灼「ま、爽なら心配いらないと思うけど……応援してるから」

爽「まかせろ! また明日な!」

155 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/19(火) 23:45:08.08 ID:21EKNXzg0

衣「……嵐のように去っていったな」

揺杏「まあ、元気そうで安心したけどなー」

ダヴァン「サワヤ、なかなか面白い人でシタ……どうせならユキコも来ていればよかったんですガネ」

揺杏「ああ、メグ的にはやっぱり直接打ったユキが気になるかー」

ダヴァン「それはモウ! 彼女も面白い打ち手でシタ……一番はトーカですけドネ」

透華「ほほう! ほうほう! さすが、よくわかってらっしゃる!」

純「うるさくなるからあんまり褒めんなって……いいから飯にしようぜ」

衣「衣はハミレスがいい!」

透華「では、いつものファミレスに行きましょうか」

……後方でおとなしくしていた後輩たちがあからさまに落ち込んだ表情を見せているのが気になるけど……いや、まあ落ち込みもするか。 旅費ほとんど出してもらってるしご飯にも期待するよね、うん

揺杏「……まあ、あんないかにもな金持ちがファミレス大好きファミレッサーだとは思わないよなぁ」

憧「ファミレッサー!? また変な単語作んないでよ……」

穏乃「私はファミレスもけっこう好きなんですけどね」

純「微妙に高い上にそれほどおいしくもないステーキとかつい頼んじゃうんだよな」

智紀「割高のデザートが無性に食べたくなったり……」

一「揺杏ちゃんたち、絶対ドリンクバー混ぜてたでしょ?」

揺杏「もちろんですとも! どこまでなら混ぜてもおいしいか研究したり……」

透華「あらあら、みなさんもなかなかのファミレッサーですわね……」

憧「……語感で意味はわかるけどすっごくモヤモヤする……!」

156 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/19(火) 23:45:53.79 ID:21EKNXzg0

――――――

衣「ハンバーグエビフライ!」

穏乃「タルタル別付け!?」

一「前に色々あってね」

純「……すっかり顔覚えられてるってことだよな」

透華「目立ってるってことですわね!」

灼「……あんまいい目立ち方じゃないんじゃ」

玄「このファミレス、よく来られるんですか?」

ハギヨシ「一昨年のインターハイ以来、東京に来た際には通っておられますね」

智紀「それでも年に片手で足りるぐらいしか来ないのに……」

ダヴァン「わざわざ通うとなるとなにか特別いいファミレスなのでスカ?」

純「そういうわけじゃねーんだけどな」

揺杏「まあ、相当個性的なメンバーだし目立つよな……子どもと「衣は子どもじゃない!」イケメンと「オレは女だ!」あはは、怒んなって冗談だよじょーだん」

憧「いちいち余計なこと言うのやめなさいよ……」

「女……?」

「あの、井上さんって新子先輩の彼氏なんじゃ……」

憧「ふきゅ」

純「オレは龍門渕の先鋒だよ! 女子団体戦出てたろうが!」

憧「そ、そそそそうよ! ちゃ、ちゃんと全国区のチームのことぐらい勉強しときなさいって言ったでしょ!」

揺杏「面白いね、灼んとこの新入生」

灼「某名門校の先鋒で帰国子女、イケメン……特徴が完全に一致してるから間違っても仕方ない」

一「憧ちゃんの彼氏の特徴にちゃんと女って追加しといてあげてよ」

純「だから彼氏じゃねえから!」

憧「まま、まだ付き合ってないし!!」

穏乃「まだ?」

智紀「意外と強気……」

憧「あ、いや! こ、ここ、これは! 言葉のあやというか!? 」

157 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/19(火) 23:47:13.75 ID:21EKNXzg0

ダヴァン「フム……察すルニ、アコはジュンが好きなんでスネ」

憧「ふきゅ」

憧「わわ、私は別にそういうアレじゃ……」

透華「……いまだに誤魔化せると思ってる辺りすごいですわね」

一「というかさ、純くん的にはどうなの?」

純「……どうって、どれが?」

一「どれって言われても……そりゃあ……」

憧「ちょ、一さん! 待って! 心の準備が……!」

智紀「じゃあ、女の子からモテることについては?」

純「別に……今さらなんだよな。 昔からだし……」

衣「微妙に複雑そうな顔をしているな」

純「食べ物もらったりとか、得もしてるからな……」

衣「ちょっと待て純! 何をこっそりと! 衣はタルタルを分けてやるとは一言も言ってないだろ!」

純「いいじゃねーかよこれだけありゃ余るだろ」

衣「ああっ!」

透華「意地汚いですわよ、純」

一「はぁ……衣をいじめないでよお父さん。 あ、口のとこタルタルついてるよ」

純「ん? おぉ、わり」

衣「衣のタルタルを無駄にしおって……!」

一「……あ、ごめんね憧ちゃん。 ソースついてるわよチュッペロッする機会奪っちゃって」

憧「!?!?!?」

揺杏「この一瞬で顔真っ赤にするのってもはや一種の芸だと思うんだよな、私」

灼「面白いよね」

158 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/19(火) 23:47:49.91 ID:21EKNXzg0

憧「な、ばっ……は、一さ……ふきゅ」

純「落ち着けよ……それじゃあ身がもたないだろ」

一「純くんが原因でしょ」

純「いや、国広くんのせいだろ……」

揺杏「責任量的には五分五分じゃねーの?」

穏乃「憧が落ち着きないだけじゃないですか?」

憧「しずには言われたくないんだけど!?」

玄「…………」

ハギヨシ「……私の顔に、なにかついてますか?」

玄「……その、えっと……ついてたらよかったなって……えへへ、その、なんでもないです……」

灼「さすがに萩原さんがおべんと付けてたりはしないでしょ……」

智紀「……発想の逆転」

一「ともきーさすが! つまり、逆に玄さんがつけてみる……」

玄「えぇ!? それはさすがに「玄さん、ご飯粒どうぞ!」うわぁ!?」

揺杏「お、唇真ん中につけちゃう? 攻めるねぇ穏乃は……」

ダヴァン「シズノの積極的な攻めの姿勢は見習うべきでスネ」

衣「実際に戦ってるのは玄ではないのか?」

憧「結局、他人事だから好き勝手できるのよ……!」

穏乃「違うよ! 私は玄さんを応援しようと思って……」

一「まあまあ、ここは静かに見守ってあげようよ」

灼「……玄を応援してるのか、萩原さんをおちょくってるのか……どっちなんでしょうね?」

ハギヨシ「…………鷺森さんは、それを私に言う辺り楽しんでらっしゃいますよね?」

159 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/19(火) 23:48:50.69 ID:21EKNXzg0

玄「…………」

ハギヨシ「…………」

玄「…………」

ハギヨシ「…………」

灼「膠着してますね」

揺杏「これは難しい勝負になりますねぇ……」

灼「岩館さんの見立てでは?」

揺杏「これは、萩原さんがどこまで耐えられるか……という勝負になりますね」

灼「と、言いますと……?」

揺杏「まず、玄ちゃん自体が相当高いスペックを持っている、というところですねー。 少し特殊な嗜好を持っていますが、美少女でスタイルもよく家事全般もこなす高い女子力も備えています」

揺杏「しかも女子高生ですから! 男性にとっては相当魅力的に違いないですよ! これは、そこら辺の男なら速攻手を出してお縄にされててもおかしくないですよ!」

灼「萩原さんの強靭な理性を玄がどう打ち崩すかに今後の行く末がかかっていますね……」

衣「……むしろ灼は積極的におちょくってるよな?」

憧「息ぴったりで煽ってるわね……」

ダヴァン「……まざりタイ」

穏乃「楽しそうですよねー」

揺杏「いや、しかしこれはチャンスですよ! 玄ちゃんのみんなに見守られるなかのアピールタイム……当然、萩原さんに『早くちゅーしろよ』『そろそろ気づいてない体で話を進めるのやめろよ』的な視線が集まりますからね」

灼「目は口ほどに……とも言いますから、プレッシャーは大きいでしょうね」

ハギヨシ「…………」

衣「大丈夫か、ハギヨシ? 頭を抱えて……」

ハギヨシ「はい、お気遣いありがとうございます……」

160 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/19(火) 23:49:36.78 ID:21EKNXzg0

ハギヨシ「……あー、その、玄さん」

玄「!? は、はは、はいっ! な、なんですか!?」

ハギヨシ「その、口元に、ご飯粒が……」

玄「…………!」

憧「玄のキス顔かわいすぎるんだけど」

揺杏「これはちゅーしちゃいますわ」

透華「衣は見ちゃダメですわっ! 純!」

純「はいはい」

衣「なんだ!? 何故目隠しする!?」

ハギヨシ「……失礼します」

ダヴァン「ここでハンカチ使っちゃいまスカ……」

智紀「えー…………」

一「がっかりだよ! これじゃあ玄さんも……」

玄「えへへ……すみません、萩原さん……」

一「すみません、これはこれで満更でもなさそうでした!」

憧「…………」

灼「……どしたの?」

憧「やっぱりこう……釈然としないのよね。 そりゃあ、応援はするけど……玄のやつばっかり……! ずるくない!?」

揺杏「僻むなよ……憧ちゃんも努力しなさいって」

憧「私もご飯粒つけろってこと!?」

揺杏「そういうことじゃないだろー」

161 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/19(火) 23:50:34.04 ID:21EKNXzg0

純「つーか、既についてるぞ?」

憧「へ?」

純「ほら、ここ」

憧「ふきゅ!?」

透華「どうして手で取っちゃうんですの!?」

純「いや、それが普通だろ……」

揺杏「なんだよ、やる気満々じゃんか」

憧「ち、違っ……今のは素だから!」

灼「素でご飯粒つけてる女子高生ってどうかと思うけど」

穏乃「憧ってしっかりしてると見せかけてけっこう抜けてるとこありますからねー」

一「そういうとこかわいいと思うけどね。 ね、純くん」

純「ん? おう、かわいいよな」

憧「ふきゅ」

玄「よかったねぇ憧ちゃん」

憧「う、うう、うるさいわね! 玄は自分のこと頑張りなさいよ!」

玄「え、えーと……灼ちゃん!」

灼「……私? えー……玄はちょっと残念なところもありますが、そゆとこもかわいいと思いますし……」

ハギヨシ「え、あー、はい…………」

穏乃「玄さんは炊事洗濯なんでもできますし普段からおうちのお手伝いもすっごく頑張ってて……」

ハギヨシ「は、はぁ……そのようですね……」

憧「……人に頼ってないで自分で頑張りなさいよ……」

玄「そ、そんなの憧ちゃんだって同じじゃない」

憧「私は自分でなんとかするもん!」

162 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/19(火) 23:51:30.15 ID:21EKNXzg0

そう、このタイミングで助けを求めるとなると……

一「……なに? ボク?」

憧「あ、いえ……なんでも」

……アレを着ないといけないってことだもんね。 さすがに……ないわ。 うん、ない

しかも一さんたちの言う着るって確実に一回着替えるとかじゃなくってあの格好で外出るってことだろうし

たとえ、デートがセッティングされたとしてもあの格好で行かされるとしたらどうやっても無理。 ありえないし!

純「つーか、萩原さんは玄じゃダメなんすか?超優良物件だと思うんだけど……実は別にいい人がいるとか?」

玄「えっ……」

ハギヨシ「いえ……特定の女性がいるというわけでは……」

玄「ほっ……」

純「じゃあ付き合っちゃえよー」

一「ボクもそれがいいと思うなー」

透華「玄さんならばなにも問題はありませんわね……龍門渕グループと松実館との提携も視野に入れて……」

衣「めでたい話の時ぐらい商売の話は抜きにしてもよかろう」

智紀「おめでとう」

ハギヨシ「あの、もう少し落ち着いてお話を……」

揺杏「玄ちゃん嫁入りの準備しなきゃだぜ?」

玄「え、あ、その……急展開過ぎて……」

穏乃「でも、松実館は……」

ダヴァン「簡単なことデス。 婿にとればいいんでスヨ」

灼「萩原さんが松実館に……?」

穏乃「すごく繁盛しそう……!」

衣「ふむ……しかしハギヨシが取られてしまうとなるとこちらも大変なのではないか?」

透華「では、お二人の間に子どもができたら次代の家宰として龍門渕の邸にいただきましょうか」

玄「こ、子ども!? わ、わわ、私と、は、萩原さんの!?」

ハギヨシ「お待ちください! 話が飛びすぎです!」

163 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/19(火) 23:52:31.65 ID:21EKNXzg0

憧「……なんかさ、玄ばっかり応援されてない? 私は散々からかわれてるだけな気がするんだけど……」

灼「気のせいだと思……憧、こっちからなんか振ってもすぐテンパるしチャンスを活かせてないだけじゃ……」

憧「……なるほど」

納得しちゃったよ、ちくしょう

透華「とりあえず、このあといったん宿に向かって荷物を置いたら自由行動ということにいたしましょう」

衣「うむ。 人数も多すぎるしそれもよかろう」

透華「それで、ハギヨシは玄さんとデートでもしてくればよろしいでしょう。 明日にはみんなで試合を見に行くわけですし……」

ハギヨシ「!?」

玄「で、ででで、でーと!?」

……なんだかんだ言っても、萩原さんは龍門渕さんには逆らえないし、結局このあとデートするんだろうなぁ……ズルいなぁ……

一「ちょっと、憧ちゃん? チャンスだよ? なにボケッとしてんのさ」

憧「はい?」

一「いや、だからこのあと自由行動になるんだって。 純くんに声かけなくていいの?」

憧「え、あ……それもそうよね……」

ハギヨシ「え、あの、お嬢様……「それでは、さっさとぱっぱと行きますわよ! 時間がもったいないですわ!」

揺杏「あらたー! このあとどうする? どこ行く?」

灼「適当にブラブラして……」

智紀「行きたいところがあるなら調べる。 なんならデートコースも……」

玄「えっと、その、私は……あわわ……」

ハギヨシ「……お、お気遣いなく」

純「よかったな、玄のためにデートコース考えてくれるってよ」

玄「そ、そういうことなの!? えと、その……えへへ……」

ハギヨシ「…………」

164 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/19(火) 23:53:18.80 ID:21EKNXzg0

――――――

……結局、みんなして玄を……いや、むしろ萩原さんか。 からかうのに全力になっちゃって話すタイミング逃しちゃった……

穏乃「あこー? どしたの?」

憧「あ、いや……別に」

穏乃「私、これから龍門渕さんの部屋で麻雀打ちに行くけど、一緒に行く? メグさんと打つ機会なんてとうぶん無いしさー」

憧「ん……いや、ちょっと……あとで行くかもだから、先行っててよ」

穏乃「うん、わかった! ……話ぐらい聞くよ?」

憧「……なんとかするから、大丈夫」

穏乃「そっか……頑張って! よぉし、後輩の指導に天江さんに龍門渕さん、メグさんと打つんだ! ギア100速で行っくぞー!!」

しずがバタバタと部屋を出ていく……二人部屋をいくつか取ってくれていたらしく、私はしずと相部屋にした。 まあ、これが一番無難よね

メグさんも龍門渕さんも相当燃えてたし、麻雀の方も盛り上がってるだろう……混ざってもいいけど、しずがメグさんと会う機会がほとんど無いように、私だってあんまり直接会う機会は無いわけだし……

……というか、スルーしてたけど龍門渕さん自動卓持ち込んでるのか。 金持ち流石だな

まあいいや、とりあえずどうするか……荷物でも整理しながら考えよう。 ……誘うなら、服とかちゃんとした方がいいわよね

憧「……あ」

……一さんの送ってきた、NAGANO-style衣装……いやいや、一応持ってきたけど、さすがに……

でも、ひとりで声かけて誘うのは……ちょっと、うん……一さんの力を借りればすぐだろうけど、いや……これは……どうしたものか……

憧「ぐぬぬ……」





165 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/19(火) 23:54:16.73 ID:21EKNXzg0

純「憧、入るぞー」

憧「えっ?」

純「…………邪魔したな」

憧「まっ、待って! 違っ……違うんです! ほんと……き、着替えるから、ちょっと待って!! 話を聞いて!!」

死ぬ。 死んだ。 考えに考えた末に……ちょっと、着てみたのを、見られた

あぁ……頭のおかしい変態だと思われてたらどうしよう……なんで鍵かけてなかったんだろう油断してた……しずもなんで鍵かけていかないのよ! いや、私が部屋いるからだろうけど!

っていうかこれやっぱ服じゃないわ。 もうほぼ裸じゃんこれ!? ……あれ!? 実質裸見られた!? いや、前に松実館の温泉みんなで一緒に入ったけど! なんか……それとはやっぱり違うじゃん!

というか早く着替えないと! あぁもういいや! 上から服着ちゃおう! 下着みたいなもんだし!

憧「純さん! すみません入ってどうぞ!」

純「お、おう……あー……その、うん……なにがあったのかは知らないけど……」

憧「だから誤解ですって! 違うんですよ! 気の迷いっていうか!?」

純「いや、うん……憧はかわいいし? なに着てても似合うと思うぞ、うん」

憧「ふきゅ!? え、えーと、その……じゃなくって! とにかく今のは違うんですって! ……あ、その! そういえば、どうしてここに!?」

純「ん? いや、このあと自由行動になったろ? 一緒にどっか出かけようぜ」

憧「ふきゅ」

166 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/19(火) 23:55:22.46 ID:21EKNXzg0

純「実際滅多に顔会わせらんないだろ? 穏乃は透華やダヴァンたちと打つって言ってたし、玄は萩原さんとデート、灼は智紀や揺杏と出るって言ってるしさ……憧だけ予定聞いてねぇなーと」

憧「つ、つまりそれでデートのお誘いに!?」

純「デートって……いやまあそれでもいいけどな。 智紀たちと出るのもいいなーと思ってたんだけど」

憧「あ、まあ、そうですよね……打つ選択肢は?」

あ、っていうかデートでもいいの!? マジで!?

純「ダヴァンは気になる打ち手だけど、せっかく東京出てきたのに部屋に籠って麻雀打つのももったいねぇだろ? 麻雀打つだけならオンラインでもいいわけだし」

憧「た、たしかにそうですね……」

え、マジでデートありなの? え、嘘……逆にどうしよう……ふ、ふたりきりでうまく立ち回れるかというと正直難しいんだけど!?

憧「え、えー……と……あ、一さんは?」

純「透華んとこに残って打ってるってよ。 まあ、穏乃も残るんだしそうなるだろーよ」

考えろ……考えろ……! これは千載一遇のチャンス……! うまいことやれば純さんとふたりで東京デート……!

純「どうする? なんか予定とか、行きたいとことかあっか?」

憧「わ、私は…………」





揺杏「憧ちゃんさぁ……マジでなにやってんの?」

灼「どうしてヘタレたし」

智紀「もったいない」

憧「…………おっしゃる通りで」

167 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/19(火) 23:56:15.96 ID:21EKNXzg0

――――――

結局、せっかくの機会を棒に振ってしまった……いや、みんなで遊び行くの楽しかったけど! 阿知賀のメンバーだと微妙に趣味とか合わないから地元で一緒に服とか買いに行く仲のいい友達って初瀬くらいだし……

灼さんは相変わらず……あー、面白いセンスだったし、純さんは超カッコよかったし! 男一人に女四人扱いされて微妙な顔してたけど!

憧「ふぁ…………んー、さすがにちょっと疲れたなぁ……」

ブラブラして、買い物して、ご飯を食べて……帰ってきたら、十時前。 のんびりお風呂に浸かっているうちに、そろそろ日付も代わろうかというお時間だ

同室のしずは、一さんのところに行ってしまった。 灼さんと揺杏も一緒らしい……なんの話してるのか、ちょっと怖くて想像したくないけど

……灼さん、なんか揺杏の作ったらしいすっごいかわいい着ぐるみ……じゃなくって、うさぎの……例のうさギドラがモデルの、パジャマ着てたんだけど……なんだったのアレ。 かわいすぎて萌え死ぬかと思った

揺杏ってやっぱりセンスいいわ。 あの変な……服? っぽいものを作るのに付き合ったり、バカだとは思うけど……普段は普通にセンスいいし今回のみたいな色物もしっかりかわいく作れるんだもん。 すごいわ、バカだけど

憧「…………あー」

せっかくの旅行だってのに、ひとりでいるのも寂しいな……

いや、楽しさとか、後悔とか……いろいろ振り返りながら長風呂してたから一人になって当然なんだけど

……龍門渕さんに天江さん、それにしずはメグさんと散々に打ちまくってご満悦だった……巻き込まれた後輩たちが死にそうな顔してたけどそこはもう気にしないことにする。 いずれは全国区の化け物たちと打たなきゃいけないんだしね。 いい経験になっただろう

憧「……ハルエがいればもうちょっと大会も楽なんだろうけどなぁ」

やっぱり、ちゃんとした指導者がいないっていうのは辛い。 晩成に勝って全国に行けるかは正直五分五分だろうし……こっちの手の内もバレてるから辛いよなぁ

168 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/19(火) 23:57:24.90 ID:21EKNXzg0

憧「…………むむ」

ひとりでいるとついつい後ろ向きにいろいろ考えちゃうなぁ

玄なんて帰ってきてからずっとにこにこにやにやしてたし……デートってなにしてたんだろ

萩原さんが手を出すとは思えないけど、そうとう楽しんできたんだろう。 玄って待つのばっかりでけっこう消極的だったと思うんだけど、最近はかなり積極的に攻めてるような気がする……まあ、みんなも後押ししてるし心境の変化もあったんだろう。 それに……

純『いいじゃん、とりあえず、唾つけとけば?』

ハギヨシ『面白半分で適当なこと言わないでください……だいたい、高校生に……あー、そのようなことをするのは、倫理的にも法的にも……』

一『え? じゃあ卒業したら付き合ってもいいってことですか?』

玄『はぇ!?』

ハギヨシ『揚げ足取りはやめてください……』

……出掛ける前にそんなやり取りがあった

玄だって、そりゃあアレでチャンスがありそうだって思ったんなら攻めるだろう

帰ってきたときなんて顔真っ赤にしつつもご満悦な表情で萩原さんの腕に抱きついてたし……萩原さんだって困ったような顔してたけど正直満更でもないと思うのよね。 玄ってかわいいし……胸でかいし

憧「…………なによ、玄のやつ! 破廉恥よ! 男の腕を胸で挟んで!」

別に巨乳が羨ましいとかじゃないし! いやほんとに! 私は挟めるほど無いけど! それは関係ないし!

別にしずも灼さんも揺杏も龍門渕さんも一さんも無い……いや、控え目、控え目だけどたぶんなにも損してないし! それに咲とか優希とか……それでも全然かわいいしなんの問題もないから! 胸がなんだってのよ! くそっ!

憧「……まだ、ちょっとは成長してるし」

そのはずだ、うん

169 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/19(火) 23:58:15.31 ID:21EKNXzg0

純「おーい、入っていいか?」

憧「どーぞー」

純「よっ! 起きてたか?」

憧「って純さん!? どど、どうしたんですか!? もしかして夜這い!?」

純「夜這っ……あのなぁ……国広くんに実質追い出されたんだよ。 相部屋だったんたけど、穏乃たち来て盛り上がってるからさ……」

憧「……そりゃあキツいですね」

純「あの会話朝まで聞いてたら頭おかしくなるわ……隣のベット使うぞ? 穏乃いねぇし」

憧「ふきゅ」

純「ん? ダメか?」

憧「いいいい、いいえ、ぜぜん! どど、ど、どぞう!!」

あ、ああ、相部屋!? ここ、これは、アレか!? チャンスなのか!? いや、でもほら、別にその、そういうアレ的なことは……え、いいの!? むしろこっちから行け的な!? 神の与えてくれたチャンス!?

憧「……ん? LINE……」

穏乃『作戦通り! 頑張れ!』

一『ボクのあげた服を使えばイチコロじゃないかな』

揺杏『R指定入る? 有料コンテンツ? よいこは見ちゃダメ?』

灼『ほどほどでよろしく』

憧「ふきゅ」

純「?」

170 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/19(火) 23:59:14.30 ID:21EKNXzg0

神じゃなくって仲間たちの与えてくれたチャンスだったああああ! ど、どうする? なにもしないんじゃ女が廃るっていうか揺杏のアホは何を言ってんのよぉぉぉぉぉ!?

そ、そんな、それじゃあ私がなんか、そういう……うわあああああ!? ちょ、ちょっと想像しちゃったじゃないのよ!? なによもう! もう!!

純「おーい、憧? どしたー?」

憧「なな、なんでもないですよ!?」

純「そっか? それならいいけどよ……」

落ち着け……落ち着けぇぇぇ! べ、別に問題ないし? この状況……特に、そんな、特別なことはする必要ないし? ふ、普通に……普通に一晩一緒にいられるってだけで……一晩中一緒に……一晩中ふたりっきりで一緒に…………

憧「ふきゅ」

純「……ほんとに大丈夫なのか?」

憧「え、ええ、そりゃあもう! 大丈夫過ぎてヤバいですよ!?」

純「お、おう……とりあえずヤバそうなのはわかってるけどよ」

な、なにも! 特に、そういう方向に行かなくてもいいのよ! 普通に、普通に! 一晩話してより親しくなるチャンスっていうか!?

変なこと考えなくていいのよ! 別に! そういうんじゃないから! そういうんじゃないから!

揺杏『萩原さんって一人部屋だよね? 玄ちゃんそそのかして夜這いでもかけさせよーぜ!』

灼『高校生として節度を持ったお付き合いをしよう』

穏乃『どこまでならセーフなんですかね? 手を繋ぐ?』

灼『……ほっぺにちゅーとか?』

一『当人同士合意の上ならいいんじゃない?』

揺杏『憧ちゃんも今ごろお楽しみ中だろうしさー』

憧「ふきゅ!?」

な、なな、本当になんの話をしてんのよ!? あんたら同じ部屋にいる……あ! 私をからかって遊んでんのか!? わざとか! くそっ! 揺杏のアホ! 爽のこと言えないぐらいわよあいつは!

純「…………あこー?」

憧「は、はいっ!? な、なんですか!?」

171 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/20(水) 00:00:06.66 ID:21EKNXzg0

純「……いい加減、そんなに緊張しなくてもいいだろうがよー……最初の頃は平気だったじゃんか」

憧「う……ま、まぁ、それはそうなんですけど……」

だって、こう……ねぇ? こっちとしても心境の変化というか……いろいろあったわけだし

純「まあ、慣れてるけどさ……オレ、女にそういう……緊張されんのはよくあるし」

憧「…………むぅ」

やっぱりライバルが多い……? ってことはもっと本気で攻めないとマズい……いやいや、そういう話じゃなくて……

純「……憧はさー」

憧「は、はい」

純「……やっぱやめ。 なんでもねーわ」

憧「……はーい」

……なんだろ、気になる……けど、なんか聞くのもちょっと……ねぇ? アレだし……うん、アレだアレ

純「あ」

憧「?」

純「誕生日」

憧「へ?」

純「日付変わったからさ。 おめでとな」

憧「あ……ありがとうございます!」

純「ほしいもんとかあるか? オレが用意できるもんならなんでもいいぞー」

憧「な、なんでも!?」

な、なんでもって、ちょ、その、それは、アレ的なことでもいいってことなんじゃ……い、いや、その、そういうアレは、いや、あの! え? えぇ!?

172 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/20(水) 00:00:58.68 ID:+Lki+czb0

純「明日、プロの試合だし物販系にするか? ああいうの妙に高いよなー」

憧「え、えーと、その……」

純「あ、そういや今年プロになったやつでももうグッズ出てるやつもいるみたいだな。 宮永照なんか出てきて早々活躍してるし……」

憧「あ、あの!」

純「んー?」

憧「あ、あの……そ、そっち行っていいですか……?」

純「へ?」

うっわあああああ! 言った! 言ってやったぞ!! おっほほほほほほほ!! やっばい! なんか、もうやばい!! 死ぬ! 私なに言ってんだろうね!?

純「別にいいけど」

憧「いいの!?」

純「ベット狭いぞー?」

憧「え、あ、いいんですよ別に! 私、その……えーと、家のベットじゃないと慣れなくて……その、寂しくて寝れない的な!?」

純「そりゃ大変だな……ふぁ……ねみ……」

憧「い、いやー! そうですね! さすがに疲れて眠いですね!」

純「……オレの目にはすげー元気そうに見えるけど……」

憧「あはは、気のせいですよ、気のせい!」

え……いいの!? これは、いいの!? オッケーなの!? 誘ってんの!? うわ、どうしよう……どうしよう!?

純「なんか、人恋しいときってあるよな……オレも親元離れてるしさ……別に、寂しいってわけじゃねーけど」

ひ、人恋しいの!? やっぱりオッケーなの!? いいの!? ああでも灼さんも節度を持ったお付き合いをって言ってたし……えっと、その……手を握ってほっぺにちゅーぐらいまでなら許されるんだっけ!?

173 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/20(水) 00:01:45.52 ID:+Lki+czb0

純「衣なんかもさ……やっぱ両親もいないしよ。 たまーにあるぜ、一緒に寝たり……あいつちっせぇからちょうどいい抱き枕だけどさ」

憧「だ、だきまくら!?」

純「そうそう、オレ、ああいうのあった方がよく寝れんだよな……あ、衣に言うなよ? また怒るからさ」

こ、これはつまり、私は今日純さんに、だ、抱き締められて……!? ち、力一杯抱き締められて眠るわけ!? そんなん眠れるか! すでにいろいろ限界突破してるっつーの!!

純「ま、いいから来るなら来いよ。 明日も早いしさっさと寝ようぜ」

憧「ね、ねる!?」

純「寝ないのか?」

憧「い、いい、いいんですか!? いろいろアウトじゃないですか!?」

純「いや、寝るだけなのにアウトもなにもないだろ……」

憧「と、特殊なプレイがなければセーフってことですか!?」

純「なんの話をしてんだよ!?」

憧「はぁ……はぁ……いえ、すみません……ちょ、ちょっと取り乱しました……」

純「お、おう……大丈夫か? 鼻息荒いぞ?」

憧「だ、大丈夫ですよ!? 少し興奮しすぎたっていうか!?」

純「なんで興奮してんだよ!? 落ち着けって!」

174 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/20(水) 00:03:12.43 ID:+Lki+czb0

純「……ま、いいか。 電気消すぞ?」

憧「は、はは、はい……ふ、ふつつかものですが!?」

純「落ちつけ、目ぇ回すなって……」

憧「む、無理言わないでくださいよ!!」

純「逆ギレされた!?」

うわ、うわ、ち、近っ! 顔近っ! ベット狭い! ありがとうございます!!

な、なんかいい匂いするし……っていうか、けっこう逞しいと思ってたけどけっこう柔らかいな……うっへへへ……

純「……おい、コラ。 胸を揉むな、胸を。 玄かお前は」

憧「ふきゅ!? す、すみません、つい……」

純「お前なぁ……やられたままで終わると思うなよ……っと!」

憧「へ? ……あ、きゃっ……んっ……やんっ……」

純「……へ、変な声出すなよ」

憧「……す、すみません」

純さんの手、おっきいな……私の、む、むね、手に収まっちゃうぐらいには……私の胸がちっちゃいわけじゃないから! 純さんの手がおっきいの!

……それに、これは私悪くないし!? あ、元はといえば私がやったから私が……

ん!? やったらその分やり返される!? そ、それじゃあ、か、仮に……仮によ!? セーフ(のはず)の、ほ、ほっぺにちゅーとかしたら……



憧「ふきゅ」

純「……今度はなんだよ?」

憧「あ、その、な、なんでも……」

175 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/20(水) 00:04:04.95 ID:+Lki+czb0

純「……憧ってさー」

憧「な、なんですか?」

純「……オレのこと、苦手だったりする?」

憧「はい?」

純「ん……いやさ、オレ男っぽいし……去年の夏に最初顔合わせたときなんて付き合ってとか言われたしさぁ」

憧「ふきゅ」

アレは、正直あまり思い出したくなかった記憶だった……いろいろ恥ずかしすぎるし

でも、純さんは……正直、男だったら完全に好みのタイプだし、というか、女だけど好みのタイプだし……最近は思い出して勝手に悶えてることも多いけど

純「憧、かわいいけど男あんま好きじゃなさそうだし……いや、たとえ冗談だとしても付き合ってとか、ベット入ってきたりするんだから嫌われちゃいないんだろうけど……」

いや、むしろ好きなんですけど……?

純「……オレさ、憧のことかなり好きだし」

憧「ふきゅ!?」

純「なんだかんだでけっこう気も合うし、麻雀のスタイルも似てるとこ多くて互いに学ぶところも多いだろ? もっとこう……な? 仲よくやりたい……わけよ」

わ、私ももっと親しくしたいんですけど!?

純「だから、あー……あんまり緊張されっとちょっと居心地わりぃっつーかさ……」

憧「あ……」

176 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/20(水) 00:05:06.12 ID:+Lki+czb0

憧「そ、それはその、すみません……でも、嫌いとか、苦手とかじゃなくって……ちょっと、あがり性なだけですから!」

純「……ほんとにちょっとか?」

憧「う……それは、その……純さんは、やっぱり……ちょっと、特別なんで」

純「……オレが、男っぽい……から?」

憧「ち、違いますよ! その……」

いや、そりゃあ、男っぽいから……ってのはあったかもしれないけど、それは、直接の原因じゃないし……

純さんも言ってたけど、麻雀のスタイルだって似てて参考にしてる面もあるし、普段から趣味もわりと合う……私も昔からしずと組んでるでだけあって体を動かすのだって好きだしね

ちょっと不器用だけど優しいし、少々がさつなのもワイルドっていうか……別に、嫌じゃないし

まあ、結局……アレよね

憧「…………ら」

純「……ん、なんだ……?」

憧「…………す、好きだから……」

純「…………」

憧「純さんのこと、す、すす、好きだから……や、やっぱりちょっと、あがっちゃうっていうか……」

純「…………」

……い、言っちゃった……言ってしまった……言ったぞ、ちゃんと……!

……は、反応がないんだけど……? も、もしかして引かれた? いや、純さん、女の子にモテにモテるから慣れてるって言ってたし……あ、もしかしてそういう問題じゃない!? っていうかもしかしてもなにもないのか!? 引かれて当然!?

純「…………」

憧「ふきゅ!?」

177 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/20(水) 00:06:02.25 ID:+Lki+czb0

だ、だだ、抱き締められて……えっ!? あれ!? これってもしかしてもしかしなくても憧ちゃん大勝利!?

わ、わわ、わあああああ!? え、なに!? マジで!? 悪いわね、ハルエ! 一足先に幸せ掴んじゃったけど! 掴んじゃったけど!!

い、いやあ、やっぱり? 勇気を出して? 自分から攻めていくのが大事っていうか? へへ、えへへ、なによ、もう! ふふ、もうアレなんじゃない? 玄も萩原さんの部屋に突撃して? 思いの丈をぶつけてくればいいんじゃない?

ふ、ふふ、ふぅ……よ、よし、ちょっと落ち着いてきた……へへ、やっぱり人の体温ってちょっと落ち着くわ……ふふん、私だってね、別に、年がら年中テンパってるわけじゃないのよ。 やっぱり、こう……いざというときの勝負強さが麻雀でも活きてくるっていうか?

……っていうか、純さんからのアクションが止まってんだけど。 なに? アレ? わ、私から来い的な? ちょ、ちょっと恥ずかしいっていうか……わ、私としてはやっぱり、その、あ、あっちから……その、ね? ねぇ?

憧「……そ、その……純さん?」

純「…………」

憧「え、えっと、その……」

純「…………」

憧「…………」

憧「……寝てるじゃん!!」

うっわあなんだよそれちくしょう!? 寝つきいいなぁ!! あっははは! 笑えねぇっつーの!!

純「んー……」

憧「ふきゅ」

だ、だから近いってば! か、顔! 近い! なんっ……なんなのよ、もう! もう!!

憧「…………むぅ」

……まあ、いいか。 その、そういう意味じゃないけど、仲よくしたいって……す、好きって、言われちゃったし……

うわ、なにこれもう! そうよ、なんか、す、好きって、さっき言われちゃってる!? あ、やば……ちょ、また、ドキドキしてきた……

178 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/20(水) 00:06:40.57 ID:+Lki+czb0

……その、何がどうとか、具体的にはなにかしてるわけじゃないけど、距離は確実に縮まってるよね……? っていうかほんと近い。 物理的に近い。 ヤバいこれマジでちょ、どうしよ、え? なに? いいの? なんかしちゃっていいの!?

……い、いやいや、落ち着こう……ね、寝込みを襲うとかさすがに……ね、寝込みを、お、襲っ……

憧「ふきゅ」

…………よ、よし、落ち着こう。 大丈夫。 そういうのは、よくないです。ひ、卑怯だし、うん

…………ほ、ほっぺならセーフなんだっけ?

憧「…………」

ね、寝よう。 寝ましょう。 ちょっと、なんか、これ以上は、心臓がもたないし……顔さっきから真っ赤だわこれ……頭痛くなってきた

明日は……えっと、そう! 爽の試合もあることだし……うん、ちょっと忘れそうになってたけど。 うん、応援だし。 早起きしなきゃ。 うん、寝よう……

純「……ん、んん…………」

憧「ふきゅ」

と、吐息が! 顔が! っていうか寝相! めっちゃ抱きついてくるんだけど!? く、苦し……い、いや、全然アレだけど! いいんだけど!

憧「…………ね、ねむれない」


カン!
179 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/20(水) 00:09:27.45 ID:+Lki+czb0
忙しかったんだけどどうしても当日に投下したくてキャラ削って文量削って準備して結果投下できないという。イベント物弱すぎてメゲるわ…
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/20(水) 00:12:16.11 ID:+bjD0vxMo

今のアコチャーのおもちなら挟めると思うんだ
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/20(水) 00:13:34.35 ID:Dej2gFg7o

ころたんがしっかりしてて大人に見えるな
182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/20(水) 00:15:10.58 ID:8Lwglv9Po

和や咲さんがいないのは少し寂しいけど楽しいね
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/20(水) 00:39:26.78 ID:f9Ms1DfJo
乙です
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/20(水) 00:44:37.44 ID:8NErER67o

テンパりやすくて暴走する憧ちゃーかわいいなあ
185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/20(水) 00:50:50.04 ID:usfvfHSP0

憧ちゃーそのうちふきゅ死してしまいそうやなw
穏乃が部屋に戻ってきたあとどうなったんだろう
186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/20(水) 00:51:45.85 ID:6/3zn19AO
乙です…
阿知賀バースデーシリーズ面白いです♪
次は誰でしたっけ?
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/20(水) 09:56:22.83 ID:uE4DDpwJO
6月にレジェンダリィな誕生日が
188 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/20(水) 22:52:31.65 ID:+Lki+czb0
>>185
1、国広くんと語り明かした(そもそも帰ってこない)
2、なんの疑問も持たず自分のベットで寝た(純憧穏で固まって寝た)
3、憧に声をかけてから憧のベットで寝た(穏乃「おめでとう!うまくいったね!」憧「ふきゅ」)
好きなものを選ぼう!
>>187ハルちゃんは6月22日ですね!玄穏イェイ〜はスルーしちゃってるので、こないだの宥怜みたいに別キャラの時にでも補填したいっす

次回はため込んでるとこから…たかみーとか美子とか行きたいですね。それか各校の監督たち辺りで…>>108とかもいい…
まあ、無計画です
189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/20(水) 23:10:22.98 ID:ojjSdYkJO

末原、灼、船Qの指導者談義が見たいです
190 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/28(木) 00:23:28.01 ID:F1xfmtEFo
今日ははっちゃん誕生日だしまた一穏初トリオでなんかこないかな
191 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/28(木) 18:21:02.76 ID:/CnmLX5lO
はったんイェイ〜
2500とかになると思いますが短いの投下する予定です
192 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2015/05/28(木) 19:59:30.29 ID:1Oim4eep0
マジか。
まっとく。
193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/28(木) 21:12:25.37 ID:vwIvtkxUO
待ってる
194 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/29(金) 01:37:32.87 ID:6nHNMhgQ0
遅くなりましたがぼちぼち投下しますー
2530だからセーフ…
195 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/29(金) 01:38:58.49 ID:6nHNMhgQ0

一「来ちゃったね」

穏乃「来ちゃいましたね」

一「遠かったね、鹿児島」

穏乃「初美さん、元気にしてますかねー」

一「揺杏ちゃんに託されたこの新しい服、届けないとね」

穏乃「揺杏さんも来れたらよかったんですけどね……」

一「まあ、北海道からじゃ遠いよね……仕方ないよ」

穏乃「みんなも来たがってたんですけどね……」

一「普通に平日だからね……しかも県予選も来週からだし……穏乃ちゃん大丈夫だったの?」

穏乃「そ、そういう一さんこそ……」

一「…………まあ、一日ぐらいね! 友情を取ってもね!」

穏乃「……そ、そうですよね! なんとかなりますよね! そ、それに永水の人たちと打って帰ればいいですし!」

れ、練習はこっちでもできるし、授業は……憧にノート借りればいいし……

あー、なんかすごい悪いことしてる……学校サボって小旅行なんて……うう……

……まあ、やっちゃったもんは仕方ないしね! せっかくだから楽しんで帰ろう! 永水の人たちの様子も写真とっておくってあげよう! お土産も買ってって……

196 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/29(金) 01:39:46.79 ID:6nHNMhgQ0

一「それにしても、すごいね……霧島神宮……まだ先なのにけっこう人もいるし」

穏乃「すごいですね……初美さん、ここでお手伝いしてるんですよね」

一「石戸さんと狩宿さんもだよね……やっぱり忙しいのかなぁ」

穏乃「とりあえず覗いてみますかー」

一「うん……電話してみたら出るかな? ちょっとボク、電話してみるよ」

穏乃「そうですね……お願いします!」

……それにしても、こっちの山もいいなあ。 私一人で、初美さんの誕生日じゃなければがっつり登りたかったんだけど……

……ん? あれ? ……なんだ、ここ? なんか、変な……

一「あれ? なんか圏外になっちゃった……どうしたんだろ、故障かな?」

穏乃「一さん……ここ、さっきまでこんな道でしたっけ?」

一「え? ……あれ? なんか、雰囲気変わった?」

穏乃「さっきまで霧島神宮の方に……あれ? 迷った?」

一「おかしいなぁ……」

穏乃「でも、ここら辺なんですよね? 初美さんたちのいるとこ……」

……どうなってるんだろう? なんか、急に道が、変わった? 普通なら、そんなわけないけど……

なんか、視界も悪いし嫌な感じだなぁ……登山の真っ最中なら遭難かと思うところだけど、険しい山にいたわけでもないしなぁ……

一「……あ、あそこ! おっきいお屋敷があるよ! 行ってみようよ、話してるうちに曲がるところ間違えちゃったのかもしれないし、道聞いてみよう?」

穏乃「……そうですね! 適当に歩くよりも確実ですし!」

197 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/29(金) 01:40:37.78 ID:6nHNMhgQ0

穏乃「ごめんくださーい……あれ? あそこ、初美さんたちじゃないですか?」

一「え? ……あ、ほんとだ」



初美「はー……こう、高校卒業してから暇ですねー」

霞「小蒔ちゃんに春ちゃん、明星ちゃんに湧ちゃんも学校だしねぇ」

巴「暇って……そんなこと言うならちょっとはハッちゃんもお仕事手伝ってよ……はい、お茶淹れましたよ」

霞「あらあら、ありがとうね、巴ちゃん」

初美「まあ、今日ぐらいいいじゃないですかー……また、一足先に私が少しお姉さんになりましたねー」

霞「ふふ、お具合はどうですか、初美お姉さん?」

初美「霞ちゃんの膝枕で巴ちゃんの淹れてくれたお茶をいただくなんて最高の贅沢ですねー……ちょっとおっぱいで圧迫感ありますけど」

霞「あらあら、ごめんなさいね……私も、これだと初美ちゃんの顔が見えなくって……」

巴「はぁ……もう、ふたりとものんびりしすぎですよ。 姫様たちが帰ってきたら今晩のパーティー用にケーキとか買いに行ってきますから、お掃除とかはしておいてくださいね?」

初美「ケーキなんて久しぶりですねー! 私、いちごがたくさん乗ってるのが食べたいです!」

霞「しかも、初美ちゃんはお誕生日だからチョコのプレートもついてくるわよ」

初美「わぁ! 本当ですかー? 豪勢ですねー!」



一「……意外と暇そうだね」

穏乃「それでも、元気そうでよかったです!」

198 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/29(金) 01:41:38.93 ID:6nHNMhgQ0

巴「……む、珍しいですね。 人の気配が……迷い人でも……って、穏乃ちゃんに一ちゃん?」

初美「えぇ!? 本当ですかー!?」

穏乃「初美さん! お久しぶりです!」

一「こんにちは! 三人とも変わりなさそうですね」

初美「わぁ! こんなところにどうしたんですかー?」

穏乃「初美さんに会いたくて来ちゃいました! お誕生日おめでとうございます!」

一「おめでとう! これ、ボクたちから……ケーキ買ってきたのと、こっちは揺杏ちゃんから、新しい服渡してくれって」

初美「えへへ……すっごくうれしいですよー! びっくりしました、もう!」

巴「……あれ? 平日ですよね? 学校は……」

穏乃「…………」

一「…………」

霞「あらあら、悪い子ねぇ」

初美「それにしても、前もって連絡してくれればよかったのに……なんにもおもてなしの用意がありませんよー」

一「そんな、気にしなくていいよ。 ボクたちがいきなり来たのが悪いんだし……」

穏乃「サプライズです! へへ、ほんと急ですみません……」

巴「鹿児島まで来てくれたんですよね……大変だったでしょう? 連絡してくれれば近くの山までお迎えに行けたのに……」

穏乃「へ?」

霞「こっちから招待すればすぐだったのにねえ」

初美「でも、その手を使うと夢か現かってなっちゃいますからねー……やっぱり鹿児島まで来てもらうのが一番……」

一「どういうこと?」

初美「あ、気にしなくていいですよー? ちょっと説明も大変ですし……」

199 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/29(金) 01:42:52.95 ID:6nHNMhgQ0

巴「ところで、憧ちゃんたちは元気? さすがに来れなかったんだね」

穏乃「……が、学校ありますからね……」

巴「あ、ごめん……そういうつもりじゃ……」

穏乃「ま、まあ元気にしてますよ! 最近は後輩も入ってきて麻雀部も楽しいです!」

霞「そういえば、インターハイの地区予選も近いわねぇ」

一「ボクのところはメンバーも変わらないし今までとそんなに変わらないけど……永水の方はどうなんですか?」

初美「人数が足りないので個人戦だけですかねー」

霞「利仙ちゃんも卒業してプロに行っちゃったし、きちんと調整すれば個人戦の地区予選は小蒔ちゃんがもらえそうかしらねえ」

巴「団体出れないのは明星ちゃんと湧ちゃんも入ってきたのに残念ですね……阿知賀と龍門渕はどう?」

穏乃「晩成の壁はやっぱり厚いですかね……私たちは対戦経験もあるけど、赤土先生もいないし後輩たちが心配です……まあ、奈良県は出場校数的にシード枠もないですし、どこで当たるかですかね」

一「うちは清澄と風越がなぁ……鶴賀も人数揃ったみたいだし、けっこう大変かも」

初美「晩成はやっぱり地力が違いますし、長野もけっこう力のある子が多いですからねー」

霞「国麻の時なんか、見ていてすごかったものねぇ……清澄の宮永さんなんて、インハイで打ったときよりも更に伸びていたし……」

一「まあ、それでも負ける気はないんだけどね。 最後のインターハイだし、穏乃ちゃんには悪いけど長野の団体戦は龍門渕がいただきかな」

穏乃「ふふ、和たちだってそう簡単にはやられないと思いますよ? それに個人戦もあるし……」

一「……はは、それを言われると……たしかに、宮永さんと直接対局して勝つのはボクにはちょっと難しいかなあ……」

巴「原村さんも個人戦の成績は細かくプラスを刻んでいきますからね……個人戦は荒れそうだね。 天江さんに龍門渕さん、宮永さんに原村さんに……」

初美「原村さんなんかは、私的にはまだ与し易い相手なんですけどねー」

穏乃「はは……去年の副将戦、和は初美さんの四喜和ガン無視でしたもんね……そこがらしいんですけど」

200 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/29(金) 01:44:13.26 ID:6nHNMhgQ0

初美「……なんだか、話していたら打ちたくなってきました! 卓を用意するので一緒に打ちませんかー?」

穏乃「是非! 望むところです!」

一「あはは……サボっちゃった分、ボクらも打っとかないとマズいしね……」

霞「それじゃあ移動しましょうか……奥の部屋に卓があるから……」

巴「それじゃあ、二人の持ってきてくれたケーキはしまって……いや、食べちゃいましょうか。 どうせあとで買ってくる予定だし……」

初美「いっぱい食べられるのはうれしいですねー」

霞「ふふ……小蒔ちゃんたちには秘密ね」

巴「ケーキは明星ちゃんと湧ちゃんに頼んで学校帰りに買ってきてもらいましょう。 お小遣いも少しあげて……うん、予算内でなんとかできるね」

霞「卓は私と巴ちゃんで用意するから初美ちゃんは穏乃ちゃんと一ちゃんとゆっくりしてて。今日の主役なんだもの」

初美「ありがとうございます、霞ちゃん!」

巴「準備ができたら呼びますから、のんびりしていてください」

初美「それでは、いったん私の部屋に行きましょうか! なにもないところですが、ついてきてくださいねー」

穏乃「お邪魔します!」

一「ごめんなさい、ありがとうございます」

巴「いいよ、そんな……こんな遠いところまではっちゃんのために来てくれたんだもの。 ちゃんとおもてなしさせてもらわなきゃ」

霞「そうだ、とっておきのおかしも出してきましょう! ふふ……六女仙以外の子と打つのは久しぶりだし楽しみねぇ」

初美「神境へのお客様自体滅多にありませんしねー」

巴「基本は迷い混んだ人を送り返すぐらいだからね……」

穏乃「……?」

一「……だから、どういうことなのさ?」

巴「あはは、気にしないで」

霞「説明が大変なのよねえ」

初美「まあ、その……そうですねー……そのうちお話ししますよー」

201 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/29(金) 01:45:19.28 ID:6nHNMhgQ0

――――――

初美「では、どうぞいらっしゃいですよー」

穏乃「失礼しまーす!」

一「意外と片付いてるね」

初美「ちゃんと片付けないと巴ちゃんや霞ちゃんが怒るので……んん? 意外ってどういう意味ですかー!?」

一「他意はないよ、他意は」

初美「まあそれなら……あっ! それってそのまんま片付けのできない子だと思ってたってことですねー!?」

一「気のせいだよ、気のせい」

穏乃「それにしても、初美さんの部屋広いですね」

初美「ああ、土地は有り余ってますからねー……それぞれの部屋もそこそこ大きいんですよー」

穏乃「……あれ? 初美さん、ここにかかってる服のポケット……おかしが入りっぱなしですよ?」

初美「ああ、それは隠してあるだけですから気にしないでください。 うちはおやつの時間も決まってますし間食もそれ以外でほとんど取れないので……」

巴「じゃあ、それは没収ですね」

初美「ひゃあ!? 巴ちゃん!? どうしてここに!?」

巴「穏乃ちゃんと一ちゃんにお茶も出してなかったから……もう、ダメでしょはっちゃん! 姫様や湧ちゃんたちが真似したらどうするの!」

初美「す、すみません……もうやらないので今回ばかりは……」

巴「だーめっ! これは没収です!」

初美「そんなぁ……ひどいですよー……」

巴「このあとケーキもあるんだから我慢して! もう……一番のお姉さんがそんなんじゃあ困っちゃうわ」

初美「むー……それを言われると弱いですね……では、これは諦めるとしましょうか……」

穏乃「ふふふ……巴さんの方がお姉さんみたいですね」

一「あ……その没収したおかしはどうなるのかな?」

巴「……えっ?」

初美「……もしかして巴ちゃん、自分で食べてたり……」

巴「そ、そんなわけないじゃないの……ちゃんと台所の棚に……」

初美「戻されてるの、見たことがないような……」

巴「…………き、気のせいじゃ、ないかな?」

202 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/29(金) 01:46:10.85 ID:6nHNMhgQ0

初美「あー! もう、これ絶対黒ですよー! ずるっ子です! 巴ちゃんずるっ子ですよー!」

巴「……うー……な、なによ! 先にずるしてるのははっちゃんじゃないの! ひとつだけチョコバーとかあっても喧嘩になっちゃうから私が食べるぐらいでちょうどいいの!」

初美「そんないいわけって無いですよー!」

巴「ぽ、ポテトチップスとかのみんなで食べられるやつは戻してるもん! あってはならない分を処理してるだけだもん! 最初っから違反がなければこんな事態は起こらないの!」

穏乃「ま、まあまあ……落ち着きましょうよ! せっかくの楽しい誕生日に喧嘩してたらもったいないじゃないですか!」

一「その……とりあえずそれは半分こするなりなんなりしてさ、ここは矛をおさめようよ」

初美「むぅ……まあ、ここは二人の言う通りですね……巴ちゃんのずるっ子には目をつぶりましょう」

巴「はっちゃんが上から言うのはおかしいでしょ、もう……とりあえずこれは棚に戻しておくからね? 今日はケーキがあるからまた今度にしましょう?」

初美「それはまあその通りですよねー」

巴「うん、それじゃあ私は霞さんと卓の用意してくるから……」

初美「お願いします、巴ちゃん」

穏乃「…………なんか、意外ですね」

初美「なにがですかー?」

穏乃「いや、巴さんがあんな……おかしで熱くなるなんて……ですよねえ?」

一「まあ、お姉さんとはいえボクらとそう年も変わらないしね……意外だったけど、不思議ではないかな」

穏乃「なるほど……」

そういえば、灼さんや咲との繋がりで良くしてもらってる照さんもおかしが大好きだったっけ

おかしばっかり食べてたし、話題も半分くらいおかしのことだったし、プロになって日が浅いのに「あの宮永照も認めるおいしさ!」とかってなんかのおかしのCMもやってたし……

……あれ? おかしちょっと食べるくらいならたいしたことないじゃん! 照さんに比べたらむしろ食べなすぎるくらいだもんね!

203 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/29(金) 01:47:00.52 ID:6nHNMhgQ0

初美「さぁて……それでは、話も一段落したところで……とっても気になっていた物があるのですが!」

一「ああ……そうだよね。 そこはボクも一緒だよ」

穏乃「気にならないわけが無いってぐらいのものですからね……!」

初美「それでは、その揺杏ちゃんからの包み……開けてみましょうかー!」

穏乃「おー!」
一「おー!」

初美「いやあ、本当に楽しみですよー! 揺杏ちゃんが私たちの期待を裏切ったことなんてありませんからねー!」

穏乃「どんなのが入ってるんですかね! やっぱり初美さんにだし改造巫女服でしょうか!」

一「いや、むしろ全く別のデザインで攻めてくる可能性も……」

穏乃「灼さんの誕生日にはすっごいのが送られてきたんですよ! えっと、画像画像……」

一「ああ、この前……憧ちゃんの誕生日の時に持ってきてた!」

初美「えっ? なんですかそれはー! 仲間はずれは酷いですよー!」

穏乃「ああ、すみません……東京に出てった時があって……あ、これです初美さん! すごくないですか!? 灼さんのうさギドラパジャマ!」

初美「え……わぁ! なんですかこれ!? すごいです! かわいすぎますよー!!」

一「揺杏ちゃんは真の意味で天才だよね……!」

初美「ふふ、そうですねー! なにが出てきても外れがないでしょうから安心ですよー! ……さあ、行きますよー!」

204 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/29(金) 01:48:20.18 ID:6nHNMhgQ0

穏乃「おお……!」

一「巫女装束で来たね……!」

初美「む……これは、メッセージカードですねー」

揺杏『いろいろ悩んだ末、やはりここは巫女装束にしたよ! やっぱり、せっかく着てもらうならはっちゃんさんの仕事着でもあり普段着でもある巫女装束の方が取り回しもいいかと思って! 無事に届いたら感想と写メでも送ってくれ!』

初美「……さすが、腕が一流だと気の遣い方も一流ですねー」

一「たしかに、いつでも着れるのはうれしいよね」

穏乃「早速! 早速着てみてくださいよ!」

初美「お、行っちゃいますかー? 早速着てみちゃいますかー? 恐らく本日のメインイベントですよー? ケーキ越えちゃいますよー!?」

一「初美さん、溜めますねぇ……ボク、もう我慢できないよ……!」

初美「それでは、着替えてきますね!」

205 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/29(金) 01:49:06.67 ID:6nHNMhgQ0

――――――

初美「じゃーん! どうですかー!?」

穏乃「……これは、今までの揺杏さんの作品の集大成って感じですね……!」

一「……すごい、すごいよ! 袴が更に攻めた丈になっている上に極限まで攻めきったスリット! ユキちゃんの改造制服のスカートに使ってた手法だね!」

穏乃「こんな袴があったなんて……! いえ、もうこれぞ真の袴って感じですね! これは歴史を変えましたよ!」

一「上の方もますますお洒落になってるよ!」

穏乃「やっぱりこの袖が余ってるのかわいいんですよねぇ……」

初美「いやー……私もこの進化した衣装には感動しきりですよー! もう、どこから褒めればいいのかわからないくらい褒めどころがありますからねー!」

穏乃「本当にすごいです! やっぱり揺杏さんはファッション界の風雲児ですよ! 革命者ですよ! レボリューションですよ!」

一「レボってるね! これは本当にレボってるよ!」

初美「あ! 写真! 写真撮ってください! 揺杏ちゃんに送らないと!」

穏乃「任せてください! ……うわあ! 初美さんヤバいです! セクシー過ぎます!」

一「過激で素敵だよ! これは……もう、本当に言葉がないよ! すごいとしか言えないよ!」



霞「初美ちゃん? 卓の用意できたけど……どうしたの? すっごく盛り上がってるわねえ」

初美「霞ちゃん! これ、見てくださいー! どうですかー?」

霞「……え……?」

206 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/29(金) 01:49:59.33 ID:6nHNMhgQ0

霞「……その、えっと……また、いつものよりもすごいわね……?」

初美「そうなんです! すごいんですよー! 揺杏ちゃんはやっぱり天才です! これだけお世話になっちゃうと感謝の言葉だけでは言い表せませんねー!」

穏乃「本当ですよね! 揺杏さんが困ってるときにはどんなことをしてでも助けないとですよ!」

一「服、自分の練習にもなるからって無償で提供してくれるんだもんね……感謝してもしきれないよ……何かあれば、それこそ常識の範囲内で透華の力も借りて……」

霞「……常識の範囲内、ねえ」

一「……? ボク、なにか変なこと言いましたか?」

霞「あ、いえ……言ってることは至極まともだと思うわよ? 受けた恩は返すべきよね……」

初美「そうですよね! 流石は霞ちゃんわかってますよー……あ! そうだ!」

霞「どうしたの、初美ちゃん?」

初美「たいへん厚かましいことですが、霞ちゃんも揺杏ちゃんにお洋服のお願いをしてみたらどうですかー?」

霞「えっ……」

穏乃「それは素晴らしいことですよ! 揺杏さんの信頼感はそこらのブランドを軽く越えますよ!?」

一「どんなリクエストも思いのままの腕前なんですよ」

初美「霞ちゃん、いっつもおっぱいのせいで、サイズが大変じゃないですかー? 」

霞「そ、それはそうだけど……私は、あんまり初美ちゃんたちみたいなのは……岩館さんにも迷惑だろうし……」

初美「大丈夫ですよー! 霞ちゃんはかわいいから絶対に似合いますから! 私とお揃いで作ってもらいましょうよ!」

霞「……初美ちゃんとお揃いで?」

初美「はい! それで一緒にお出かけしましょう!」

霞「…………ま、まあ、頼んでみるだけならいいかしらね……?」

207 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/29(金) 01:51:01.47 ID:6nHNMhgQ0

巴「霞さん正気ですか!?」

霞「きゃっ!? と、巴ちゃん……どうして……?」

巴「なかなか戻ってこないから見に来たんですよ……もう一回、よく考えて? そしてよく見てみて?」

穏乃「う?」

一「なぁに?」

初美「どうしたんですかー?」

霞「……やっぱり、ちょっとこれは無理よね……?」

巴「でしょう?」

初美「ぶー……巴ちゃん、邪魔しないでくださいよー! 私は霞ちゃんとお揃いのデザインの服でお出かけしたいんですよー」

霞「あ……初美ちゃんがそこまで言うなら……」

巴「いやいやだから! ……もう、そうやって初美ちゃんにべったりなところは変わらないね、霞ちゃんは……」

霞「べ、べったりなんて……そんなことないわよ?」

巴「どの口が言うのよ……だいたい霞ちゃんは昔っから……」

霞「あ! そういえばもうケーキの準備しちゃったんだったわ! 早く食べないと味が落ちちゃうわ!」

穏乃「それは大変ですね! 早く行きましょう!」

初美「ケーキ、いちごのやつですかー?」

一「うん、たくさん乗ってるやつを用意してきたよ? 透華に頼んで龍門渕御用達のお店で頼んできたから味は心配しないで!」

霞「あ、あの龍門渕グループ御用達の……?」

巴「……たしかに、見た目からしておいしそうだったよね」

霞「巴ちゃんもつまみ食いしそうになるぐらいですものね」

初美「えー? 巴ちゃんそれ本当ですかー?」

巴「し、してないよ! はっちゃんのバースデーケーキに先に手をつけたりしないよ! 味見したくなるぐらいはおいしそうだったけど!」

一「ふふ……巴さんがそこまでしそうなぐらいなら、いいものを用意してきた甲斐があったね!」

穏乃「はい! ろうそくも用意してありますよ!」

霞「19本立てないとね……私たちももうすぐ20なのねえ」

初美「時の流れは早いですね……霞ちゃんが神境にお呼ばれしてから10年以上も経ってるんですねー」

208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/29(金) 01:51:28.60 ID:sa6KH6TUo
頼むならユキタイプの服を…
209 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/29(金) 01:52:00.73 ID:6nHNMhgQ0

一「……よし、準備オッケーだよ」

巴「飲み物、お皿にフォーク、ろうそくも完璧だね」

霞「それじゃあ、小蒔ちゃんたちには悪いけれど……一足先にお祝いしちゃいましょうか」

穏乃「それじゃあ、一さんもいることだし……龍門渕流でいきましょうか!」

初美「はい! ぜひともお願いしますよー!」

一「それじゃあ……さん、はいっ!」



「「「「はったんイェイ〜」」」」



初美「ありがとうございますー!」



カン!
210 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/29(金) 01:54:19.05 ID:6nHNMhgQ0
改めてはったんイェイ〜
準備したのが今日なんで短いのはご勘弁
近いうちにたかみーってかほぼ白糸台だけど投下しに来ますー
せめて週一投下のペースは保ちたい…
211 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/29(金) 02:03:46.27 ID:44Y/35e2o

はっちゃんとお揃いの霞さんとかやべーっす見てーっす
212 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/29(金) 02:07:09.27 ID:9vlwTD/yo
213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/29(金) 03:47:01.72 ID:l0JpFXueO
乙ー やっぱ霞さんとはっちゃんはいいなー
後、 玄ちゃんの恋愛は年齢差だけが心配だったけどハギヨシは20才にもなってないから大丈夫だな
214 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/29(金) 06:50:15.26 ID:2J0JLeUHO
ハギ玄まさかの2歳差?でいいのかな
215 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/29(金) 08:04:16.52 ID:6nHNMhgQ0
>>211 12巻だったかな?メロンの特典のブックカバーとかいうアウトなものが…
>>213ー214立ブログ更新気づいてなかったんで文字通り飛び起きて確認してきました。ハギヨシさんは23±2ぐらいで考えてたんでいろいろと修正していかないと…顔は結構幼いんだけどすごい大人なイメージがあるんですよね。たぶん声のせいですわ

どうでもいいけど別に書き溜めてた萩原(26)設定の過去捏造含めたはぎすこはお蔵入り決定ですね…流石にこれだけ年齢に誤差が出ると…
今回の情報で萩原さん除いて特に気になったのは全国編Vitaですかね。検索したけどやっぱり追加情報とか見当たらないし…どうせ早くて冬、最低でも来年の夏あたりまでは延期されるんでしょう…?
ゆーき部長は意外でもなんでもなかったし、清澄書いてるときは久→まこ→ゆーきの流れを想定してたからむしろやりやすい感じも

よっしゃハギ玄書こう
216 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/29(金) 08:04:30.67 ID:zodP9RJzo
217 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2015/05/29(金) 11:00:30.23 ID:J6c61fND0
乙。
はったんイェイ〜
218 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/29(金) 11:02:59.72 ID:XFMMDhEG0
お蔵入りなんてもったいない!
219 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/29(金) 11:10:26.45 ID:97tT17I+o
乙です
220 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/29(金) 11:54:17.26 ID:W/Sejbj6O
それより小林立先生自ら弘世様って呼んでるんだけど…ここ読んだ?
221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/29(金) 11:56:54.39 ID:4cun60E5O
>>220
むかしから弘世様のことは弘世様って呼んでるよ
222 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/29(金) 13:02:50.17 ID:z5FA1JsV0
今までハギ玄はちょっと犯罪的な匂いしてたけど同じ10代とわかって一気に健全な感じになったな
223 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/05/29(金) 15:49:56.06 ID:l0JpFXueO
弘世様はお金持ち設定も出来て本当に勝ち組だな
このssの弘世様はきっと有り余るお金ではやりんグッズを買いまくったんだろうな
親にバレて勘当されなきゃいいんだけど…
224 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/30(土) 13:57:44.12 ID:0NST6YLL0
>>220弘世様に限らず爽くん、新道寺の政治家さん等、立先生はキャラを気になる呼び方けっこうしてるんですよねー
>>222ニ歳差で十代同士とか健全なお付き合いからの幸せな結婚不可避で困る。歳の差シチュ好きだから19歳確定はうれしいような残念なような…まあ、わかればわかったでいろいろできるからいいんですけど
>>223むしろ家追い出されたら追い出されたで部屋に隠さずにグッズ置き放題じゃないか!とか思ってそう

投下しますねー
225 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/30(土) 13:58:48.04 ID:0NST6YLL0

照『ケーキ、クレープ、白玉ぜんざい』

灼「……なんですか、急に」

相変わらず突拍子のない人だ。 電話で開口一番にこれでは意味がわからな……いや、わかるけど。 食べたいだけだろうけど

照『どれ?』

そして相変わらず言葉が足りない。 どれ? って言われても……

灼「……白玉ぜんざい……?」

照『わかった。 今時間あるなら一緒に食べに行こう。 白玉ぜんざいから』

灼「……から?」

結局聞いただけで全部食べるのか。 順番決められなかっただけなのか

灼「…………あの、念のため聞いときますけど、個人戦前ですけど練習はいいんですか?」

照『…………おかし分が不足して、練習に参加できない』

灼「頭大丈夫ですか?」

照『大丈夫じゃない。 だから糖分摂らないと……』

灼「…………」

……これ、絶対電話の先でうまいこと言った! みたいな顔してるな。 得意気な顔が目に浮かぶ……それが脱走しておかしを食べる正当な理由になるとでも……思ってるんだろうな

照『それじゃあ今から抜け出すから……』

菫『そうか、それは大変だな』

照『!?』

226 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/30(土) 13:59:32.92 ID:0NST6YLL0

あ、弘世さんだ……

電話からはドタバタと揉み合う音と照さんの言い訳にもなっていない言い訳が聞こえてくる

灼「…………」

晴絵「ん? 灼どうしたー? 電話いいのか?」

灼「……なんか、うん……なんでもないよ」

晴絵「大丈夫なのか?」

灼「うん、しょうもないことだから……」

菫『くそっ……よし、もしもし?』

灼「あ、弘世さん……ども」

菫『鷺森か! すまないな、またうちのバカが迷惑を……』

灼「いえ、こちらこそすみません……今日はこれから練習ですか?」

菫『ああ。 ……午前10時頃といえば照のおかしタイムだからな。 こそこそと部屋を出て行った時点でつけてたんだ……個人戦まで取りこぼすようなことになったらどうするんだ、まったく……』

照『おかしが食べたい。 灼に会いたい。 仕方がない』

菫『……それで通ると思ってるのか?』

照『ダメ?』

菫『当然だろ!』

灼「…………」

本当に、仕方のない人だ

とはいえ、会いたいって言ってもらえるのはうれしい。 私は咲とも仲がいいから、ちょっとややこしいところはあるけれど……照さんは仲のいい友だちだと思ってる

インターハイが終わってしまえばなかなか会えなくなるわけだし、弘世さんともうまくやれそうなんだから親交は深めておきたい

227 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/30(土) 14:00:25.74 ID:0NST6YLL0

灼「……あの」

菫『どうした?』

灼「そちらの都合がよければ、おかし持って会いに行くので……」

照『灼……!』

菫『いや、照が抜け出さなくなるのはありがたいが、練習がだな……』

灼「……うちは、個人戦の選手がいないので。 問題がなければみんな連れていきます」

菫『……ああ、なるほど……わかった、監督の許可を取る。 あとで私から折り返そう』

灼「ん……了解です」

照『待ってる』

灼「はい……三時のおやつには間に合うように行きます」

照『待ってる!!』

……私よりおかしの方が大切なんじゃないか? ってぐらいの食いつきっぷりだな……まあ、いつものことか

晴絵「弘世様……じゃなくって、菫ってことは白糸台だよな? 一応私も引率でついてくぞ?」

灼「うん……よろしく。 みんなも呼んでくる……」

晴絵「おー……生徒主導で対外試合もしっかり組めるし、私がいなくなっても安心かな?」

灼「ん……ハルちゃんが安心してプロに行けるように、頑張るから……」

228 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/30(土) 14:01:37.53 ID:0NST6YLL0

――――――

菫「ようこそ。 たいしたおもてなしもできませんが……どうぞ、案内します」

晴絵「なんの、うちの生徒たちはやっぱり経験が足りないからね。 強い相手と打てるのはありがたいよ。 今日はよろしく、弘世さん」

菫「こちらこそ、阿知賀女子相手に打てるとあれば助かります。 私と宮永はともかく、二年の二人に大星は実践経験も多いとは言えませんから……できるだけ多くの強敵と打たせておきたいのはこちらも同じです」

晴絵「監督さんは? 挨拶したいんだけど……」

菫「すみません、今日は出ているんです。 何分急な話だったものですから……」

晴絵「ああ、それはこちらも申し訳ないことを……」

菫「いえ、虎姫や校内の他チームと打つよりも他校の生徒と打つ方が……」

白糸台の宿舎に到着し、弘世さんの案内で廊下を進んでいく……みんなが黙っているのは、緊張しているからだろう

いや、これが普通に迎えられたのならみんなここまで萎縮しなかったんだろうけど……

さすがに、廊下の両脇に女生徒がズラっと並んで頭を下げているのはちょっと……

穏乃「……こ、この人たちが噂の弘世様親衛隊ですかね?」

宥「た、たぶん……」

憧「龍門渕さんとこでもこんなんになってないわよ……」

玄「ちょっと……その、威圧感あるね……」

灼「なんでハルちゃんと弘世さんは平然と……」

あ、慣れてるのか……それがいいのかどうかはともかく……

229 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/30(土) 14:02:31.91 ID:0NST6YLL0

照「白玉ぜんざい!」

灼「……持ってくるのは無理そうだったので、かわりにお饅頭を買ってきました」

照「おまんじゅう!」

誠子「はぁ……すみません、いらっしゃいです」

宥「お邪魔します……誠子ちゃん、大丈夫?」

誠子「ちょっと胃痛が……あ、いや! 全然大丈夫ですよ!」

玄「……大変そうですね」

誠子「いやいや、いちいち気にしてたらもたない……もたないんですよね……ふふ……」

菫「……頼むから少し落ち着いてくれ。 大切な後輩が潰れるぞ」

照「……気をつける」

尭深「お饅頭に合いそうなお茶、淹れてきました」

照「ありがとう!」

菫「…………はぁ」

誠子「…………」

尭深「大丈夫?」

誠子「尭深のお茶があるからやってけるよ……」

宥「あったかーい」

230 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/30(土) 14:03:23.73 ID:0NST6YLL0

晴絵「まあ、時間に限りもあることだし始めようか」

菫「そうですね……ハルちゃんも打ってくれるんですよね?」

晴絵「当然! 菫や照は来年には私のライバルになるかもしれないし、せっかくだから直接打っときたいね」

照「ふふ……あの小鍛治プロに一太刀浴びせたハルちゃんと打てるなんてね」

菫「ふっ……阿知賀のレジェンドのお手並み拝見といきましょうか」

……いや、ハルちゃんって……白糸台の人たちと仲良くなりすぎでしょ

白糸台と、新道寺の人たちとカラオケ行ったんだっけ? 弘世様事件が起きた……

灼「……っ!」

玄「……どうしたの?」

灼「いや、ちょっと……思い出しただけ……」

穏乃「……というか、気になっていたんですが」

菫「どうした、高鴨?」

穏乃「その、ひとり足りないような……」

淡「気づくのがおっそーい!!」

憧「ふきゅ!?」

灼「……どうしてクローゼットの中から」

淡「驚かしてやろうかと思って!」

誠子「くだらないことやってないで卓につけって……」

淡「なによー! くだらないことって! 反応薄くてつまんない!」

玄「……あの、憧ちゃん……?」

憧「べ、別にびっくりとかしてないから! してないから!!」

穏乃「ま、せっかくだから打ちましょうよ! 大星さん!」

淡「んふ、仕方ないなぁ……相手してあげる!」

231 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/30(土) 14:04:32.81 ID:0NST6YLL0

―――――――

尭深「お茶、淹れますか?」

宥「ありがとう、渋谷さん」

尭深「尭深でいいですよ……鷺森さんも、どうぞ」

灼「ありがと……私も、灼でいいから」

卓を囲むと三人余る。 三麻を打っても……ということで、とりあえず休憩枠と言うことで適当に回している

……手土産のお饅頭は最初に外れていた照さんがひとりで半分食べた。 人数に対して食べる量がおかしい

まあ、買ってくる量を増やしても同じだけ照さんの食べる量が増えるだけだから関係ないんだろうけど

尭深「誠子ちゃんがお世話になってるみたいで……」

宥「そんな、お世話なんて……」

宥さんは、ふらふら〜っと散歩に出て行っては交遊関係を広げて帰ってくる

なんだろう……犬猫を拾っちゃう感じ? ちょっとへこんでる子たちばっかりなのがまた宥さんらしいというか……

尭深「いえ、最近は……宥さんと会ってから、ちょっと元気も出てきたみたいですから」

灼「……さっき打ったときも、すごい気迫だった」

尭深「直接対決もあったし、やっぱりライバル意識はあるみたいだから」

灼「ん……秋季や国麻……来年まであるしね。 今年は……宥さんが引退したら団体出れなくなるからわからないけど……」

尭深「あ……そっか、人数が…………ああ、それと、誠子ちゃん……たぶん、来年は部長だし」

宥「へぇ……そうなんだ。 誠子ちゃんすごいなぁ」

灼「部長同士ってこと?」

尭深「うん……お饅頭、いただきます」

灼「どぞ……尭深は、部長とかあまり興味ない?」

尭深「……事務的なことはともかく、みんなを引っ張ってくのはあまり……あまりしゃべる方じゃないし、行動で示すタイプでもないから……」

灼「……私も、口数多いわけじゃないけど」

宥「灼ちゃんはけっこう行動派だもん。 しっかりしてるし……私よりも、よっぽど」

灼「……宥さんがしっかりしてないわけじゃないと思いますよ」

宥「ふふ……ありがとう、灼ちゃん」

232 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/30(土) 14:05:20.32 ID:0NST6YLL0

尭深「……それに、なにより淡ちゃんが……」

灼「?」

尭深「虎姫以外の子、見下してるし……」

灼「あー……」

尭深「次期エースがチームメイトと連携とれなくなっちゃうと……今後は淡ちゃんが戦力の中心になるだろうし……」

宥「……それだけなら、尭深ちゃんでもいいんじゃないの?」

尭深「私か誠子ちゃんなら、誠子ちゃんになりますよ……信頼されてますから」

宥「誠子ちゃん、真面目でいい子だもんねぇ」

灼「……いい人というか、人がいいというか……それはすごくわかるけど」



晴絵「ツモ! 4000オール!」

淡「へぇ……やるじゃんレジェンド! ただの面白いおばさんじゃなかったんだ!」

晴絵「おばっ……!?」

誠子「すみません! おい、淡! お前はすぐにまたそういう……!」

穏乃「親しき仲にも礼儀あり、ですよ?」

淡「どういう意味?」

穏乃「え? いや、だから仲が良くても礼儀正しくするべきっていう……」

淡「ふーん……まあ大丈夫大丈夫! そんなに仲良くないし!」

穏乃「それなら尚更ですよ!?」

誠子「淡! おい!! すみません赤土さん!」

晴絵「私もさすがにショックだよ!? そりゃそうかもしれないけどさぁ……」



灼「……なんか、いつも謝ってるよね」

宥「お姉ちゃんしてるねー」

尭深「子守りって言った方がいい気もしますけど……」

233 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/30(土) 14:06:05.41 ID:0NST6YLL0

尭深「まあ、人数が多いとそれはそれで大変なんですよ」

灼「白糸台の方式だと余計にそうかもね」

尭深「人望ある人がトップに立たないと……今は、弘世先輩……弘世様というカリスマがまとめてますけど」

宥「……ここに来たとき、びっくりしちゃったよ」

灼「あれ、弘世様がやらせてるの?」

菫「まさか、あれはあいつらが自発的にやっていることだ」

灼「あら……対局終わったんですか?」

照「勝った」

憧「あー……玄、あんたほんとインハイ頑張ったわね」

玄「またやられちゃったよ……」

宥「お疲れさま…………あれ、やめさせないんですか?」

菫「別に邪魔になってるわけじゃないしな。 やりたいならやらせておいてもいいだろう」

尭深「というか、弘世先輩気に入ってますもんね」

菫「…………別に、そんなことはないぞ?」

灼「今の間」

憧「気に入ってるんですか……」

照「菫はああいうの好きだよね」

菫「…………別に、好きとかでは」

灼「だからその間」

玄「好きなんですね」

尭深「ファンの子に傅かれるのを楽しんでますよね」

菫「……別にいいだろ! ちやほやされるのうれしいだろ! お姫さまみたいで!」

憧「……どちらかというと王子的な扱いされてませんか?」

菫「そういうことは言わなくていいんだよ! 私は楽しんでるんだから余計なこと言うなよ!」

灼「やっぱり楽しんでる……」

234 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/30(土) 14:06:51.29 ID:0NST6YLL0

玄「それにしてもよく……なんというか、統制がとれてますよね。 指示してるわけでもないのに」

菫「こういうものは統制がとれていてしかるべきだ。 そうでなければ大変なことになるだろう?」

憧「そりゃまあ……」

菫「たとえば、はやりんが横浜アリーナでライブをするとして……収容人数は約17000人だ。 その人数が統制もとれずにはやりんに殺到してみろ! はやりんはどうなる!?」

尭深「急に興奮しないでください」

菫「それに、はやりんだけじゃない……押し合い圧し合いの末に怪我人でも出たら! イベントが中止されるなんてことになってしまうかもしれないし、なによりはやりんが心を痛めるだろう……!」

照「ひとりで盛り上がらないでよ」

菫「ええい! 許さんぞ! はやりんを悲しませるなどと!!」

宥「あ、あの……」

尭深「放っておいていいですよ。 よくあることなので」

灼「やっぱり弘世さんも大概だよね」

菫「ああ……はやりんのライブ行きたいなぁ……やはり、お金を貯めてハートビーツの株を買うしかないか……! 特別ライブとか、株主優待の座席とか、そういう話もあるんだよ」

灼「語られても」

菫「というか! もう私がハートビーツに入団してチームの優勝に貢献するしかないよな!? 優勝パレードとかライブとか! 本当にすごいんだよ!」

憧「へぇ……」

菫「なんだ、新子ははやりんに興味あるのか?」

憧「え、あ……ま、まあ……」

照「あっ」

菫「なんだ! それならもっと早く言ってくれればいいじゃないか!」

憧「でも私、ニワカだし……」

菫「そんなこと気にするな! 誰だって最初はニワカなんだから! CDも映像ディスクもなんでも貸してやるから……ああ、傷はつけるなよ? 牌のお姉さん以降の映像媒体はだいたい揃えてるし言ってくれればなんでも……」

灼「……あれ、しばらく捕まるやつ?」

照「菫、今日はもう打たないんじゃないかな」

尭深「虎姫には本気のはやりんファンいませんからね」

玄「はやりんの映像……それはもしかしておもちが」

宥「玄ちゃん、自重しようね」

玄「はーい……」

235 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/30(土) 14:07:57.33 ID:0NST6YLL0

弘世さんが憧相手に独演会を始めてしまった。 ……まあ、ふたりとも楽しそうだしこれはこれで放っておいてもいいだろう

……玄のあれにはいちいちつきあってられないし、宥さんに任せるとしよう。 別に、ちょっとアレな発言を繰り返したとしても致命的な傷を負う場面ではないし

尭深「……あ、すみません。 ちょっとはずします」

灼「? ……どぞ」

照「じゃあ、私も……おかし取ってくる」

灼「…………どぞ」

照さんとおかしに対して突っ込んでも仕方がないよね。 切っても切れない関係だし。 弘世さんがはやりんの話をしている間に補給を……あ、また踊ってる……もうなんなんだろう。 酷く自由な空間だな。 無法地帯か

……対局の邪魔するのもなんだし、仕方ないから玄の方でも……

宥「いい? お姉ちゃんは玄ちゃんのためを思って言ってるんだよ? 玄ちゃんが、その、女の子の胸のお話ばっかりしてたら、きっと玄ちゃんの好きな人だって変な子だなって思うし……」

玄「おもち……おもちが……」

宥「あ、あの、玄ちゃん……」

玄「大丈夫だよ、お姉ちゃん! お姉ちゃんのおもちも大変よいものですから!」

宥「お姉ちゃんのお話聞いてた!?」

……うん、やっぱりあそこには混ざりたくないな。 ああなった玄はどうしようもないし、付き合うだけ時間の無駄だ

最近は落ち着いてたと思ったんだけど……なんだろう、反動? 石戸さんや真屋さん、原村さんにはしばらく近づかない方がいいとでも連絡しておこうか……

玄「あ、灼ちゃんはおもちはないけど大好きだから! 心配しなくていいよ! おもちはないけど!」

灼「…………うん、ありがと」

そんな、二回も言わなくても……うん、ハルちゃんたちの対局を見に行こう。 こういうときの玄は宥さんに任せるのが一番だ

……面倒だから丸投げする、とも言う

236 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/30(土) 14:08:46.28 ID:0NST6YLL0

誠子「ツモ、1000・2000です」

淡「むー……また親流された……」

穏乃「……赤土先生、わざと鳴かせてます?」

晴絵「淡のこれ、破るの面倒だろ? 攻撃力も高いから連荘されるとキツいし、誠子にパスしてやればきっちり流してくれるしな」

誠子「サポートありきとはいえ、淡相手にここまでポンポン和了れるとなんか怖くなりますね……」

晴絵「自信持ちなよ。 誠子も虎姫のメンバーなんだからさ」

誠子「……そうですね、ありがとうございます」

淡「……ふん! そーいうレジェンドは偉そうなこと言っても亦野先輩使ってるだけじゃん! 自分で和了らなきゃ勝てないよ!!」

晴絵「じゃあ、和了ろっかなー」

淡「はぁ?」

晴絵「はい、ツモ! 4000・8000で逆転な?」

淡「はぁぁぁぁ!?」

晴絵「面倒だとは言ったけど、破れないとは言ってないぞ?」

穏乃「やっぱり赤土先生強いなぁ……さすがは阿知賀のレジェンドだ!」

晴絵「やめろって」

淡「もう一回! もう一回勝負!! えー!? なに、今の!? 何したの!?」

晴絵「さぁなんだろうな? じゃあ次もやるから見破れるようになー……淡は強いけど、相手を侮ってかかるのは悪い癖だ。 直しとかないとまた痛い目見るぞ?」

淡「言われなくても公式戦では本気出しますーぅ! ほら、シズノも亦野先輩も準備して!」

誠子「ちょっと待てよ。 淡が打つのはいいにしても宮永先輩か弘世先輩に入ってもらわないと意味が……あれ? 宮永先輩は?」

灼「おかし補充タイムだよ」

誠子「……弘世先輩は?」

灼「……はやりんタイムだよ」

誠子「…………どうなってんだろうな、うちは」

237 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/30(土) 14:09:39.86 ID:0NST6YLL0

尭深「誠子ちゃん、お茶淹れてきたよ」

誠子「尭深……ありがとう」

尭深「みなさんも、どうぞ」

晴絵「サンキュ」

穏乃「ありがとうございます! いただきます!」

淡「ありがとたかみー」

灼「ども……大変だね」

誠子「ほんとだよ……淡がアレなのはともかく、どうしてあの二人が……」

淡「私がアレってどういう意味!?」

誠子「ん? あー、ほら、麻雀も強いしかわいくて頼りになるってこと」

淡「んー? んっふふ、まあ私はそういうとこあるけど! ほら、打つよ! 早く!」

晴絵「はいはい……玄! おっぱいの話は今度にして卓入れー」

玄「はーい」

宥「玄ちゃん頑張れ〜」

晴絵「誠子はちょっと休んでな。 顔色悪いよ?」

誠子「……心労ですかね」

尭深「……誠子ちゃんが気にすることないよ。 言ってどうにかなることでもないし」

誠子「…………どうして言ってもどうにもならないんだろうな……あの人たち先輩だろ……? しっかりしてくれよ……」

灼「……おっしゃる通りで」

238 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/30(土) 14:10:33.69 ID:0NST6YLL0

淡「亦野先輩抜けたらレジェンドも私の親流すの大変じゃないのー?」

晴絵「たしかにめんどくさいんだよなぁ……ところでさ、淡はカンで裏ドラ乗せて打点上げるじゃん?」

淡「うん! すごいっしょ!」

晴絵「玄が居ても乗るのかなぁ」

淡「えっ」

晴絵「基本複合しないからダブリーツモのみだよね」

淡「……ドラ乗せるもん! こんなやつに負けないもん!」

玄「こ、こんなやつって……」

晴絵「はっはっは! 頑張れ頑張れー」

穏乃「赤土先生……楽しんでますよね」

晴絵「子どもと打つのやっぱ楽しいなーって……麻雀教室を思い出すよな」

穏乃「大星さん高校生ですからね!?」

淡「しかも実力的には高校100年生だからね!?」

穏乃「…………」

晴絵「淡はかわいいなぁ」

淡「ふっふーん、そんなの言われなくても知ってるけど!」



灼「……大星さんってさ、超かわいいよね。 バカだけど」

宥「かわいいねー」

誠子「うん……かわいい後輩だよ。 バカだけど」

尭深「淡ちゃんはバカだけどほんとかわいいよ……誠子ちゃんの数少ない癒しだよね」

誠子「うん……まあ、淡のせいで受けるストレスが数倍あるんだけどな……」

239 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/30(土) 14:11:27.94 ID:0NST6YLL0

誠子「はぁ……やっぱり癒しは尭深と宥さんだけだよ……」

宥「えへへ……そうかなぁ」

尭深「誠子ちゃんの力になれてるならうれしいよ」

灼「ふたりは仲いいね」

誠子「学年も同じで虎姫も一緒だしね……鷺森だって松実……玄さんと仲いいだろ?」

灼「もち」

玄とは……忘れがちだけど元々幼馴染みだし、小中高と一緒でクラスも同じで仲はかなりいい……

…………なんですぐに麻雀部誘ってくれなかったんだろ……

いや、それを言うのは筋違いか。 そもそも当時は乗り気じゃなかったわけだし……

玄は優しい子だ。 ハルちゃんのこともあって私が麻雀から離れてたのも知ってたわけだし、そっとしておいてくれようとしたんだろう

…………別に、忘れられてたとかじゃないよね?

灼「…………」



玄「最近気づいたんだけど、大星さんもなかなかのなかなかだよね……」

淡「気づくのが遅い! っていうか私は100年生級の実力だから! あんたよりも強いし!」

玄「あ、そっちじゃなくっておもちが……」

淡「おもち?」



…………忘れられてたのかな? 私、胸ないし……

灼「…………ろん、仲いい、はずだけど……うん、私は玄のこと好きだけど……」

誠子「え、なに? なんでそんな複雑な感じに!?」

灼「……私、胸ないし」

誠子「胸!? 胸は関係ないんじゃないの!? 男の話とかじゃないだろ!?」

240 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/30(土) 14:12:08.11 ID:0NST6YLL0

尭深「私は胸ないけど誠子ちゃんのこと好きだよ」

誠子「……なんかさ、胸ないけど、の一言でうれしさ半減どころじゃないね」

宥「関係ないよ〜」

灼「……本当に関係ないですかね? 普通ならともかく、玄ですよ?」

宥「……か、関係ないよ……?」

灼「目をそらさないでください」

宥「……直接聞いてみればいいんじゃないかな?」

尭深「それはまあ、そうですよね」

灼「……玄」

玄「んー? なぁに、灼ちゃん?」

灼「私のこと、好き?」

玄「大好きだよ! 灼ちゃんは? 私のこと好き?」

灼「好きだよ」

玄「……普通の好きなの?」

灼「……大好きだよ?」

玄「えへへ……私もー」

灼「……さっき聞いた」

241 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/30(土) 14:12:44.54 ID:0NST6YLL0

誠子「……やっぱり仲いいじゃないか」

灼「…………今さらながら、今のやり取りバカップルっぽくて怖気が……恥ずかしすぎ……」

玄が天然だからスルーもできないし……今のも流すと本気で落ち込んで泣きそうだしなあ……

……っていうかほんとアレだな。 気持ち悪いな。 自分で言っといてなんだけど、私のこと、好き? って……恋人か。あんなの目の前でやられたらまず間違いなくいちゃいちゃすんなよって思……思われたのか。 うわ、やっぱ恥ずかし……

穏乃「灼さん!」

灼「……なに?」

穏乃「私も灼さんのこと大好きですよ!」

灼「……ありがと」

だから、恥ずかしいんだけど……

尭深「大人気だね」

宥「灼ちゃん、しっかりしてて頼りになるから〜」

誠子「二年で部長やるだけあって信頼されてるんだな」

灼「別に、そんな…………そっちはどうなの?」

誠子「……弘世先輩からは、任せることになると思うから覚悟はしとけって言われてるけど……あまり自信が……」

尭深「誠子ちゃんなら大丈夫だよ。 みんなも協力してくれると思うし……私もいるから」

誠子「尭深……ありがとう! 私、頑張るよ!」

242 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/30(土) 14:13:26.73 ID:0NST6YLL0



照「ただいま。 おかし5000円ぐらい買ってきたけど部費でおりるよね?」



菫「おい! はやりんのCD持ってきたぞ! 曲かけていいよな!? やっぱりはやりんの歌は元気が出るよな! はっはっは! はやりんに元気をもらって麻雀も頑張るぞ! はややーっ☆」



淡「ツモーっ! 3000・6000に実力の高校100年生をかけてさんじゅーまん・ろくじゅーまん! 私の勝ちー!!」



誠子「………………ごめん、やっぱりちょっと無理かも……」

尭深「……これは、さすがにフォローしきれないんじゃ……」

宥「が、がんばって! 大丈夫だよ、大丈夫!」

灼「…………」



私、阿知賀の部長でよかった


カン!
243 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/05/30(土) 14:16:13.11 ID:0NST6YLL0
ポンコツの吹き溜まり白滝糸こんにゃく
白糸台も別に立ててやりたいネタあるけどそんなにいろいろ書く時間もないという
244 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/30(土) 14:57:07.04 ID:DdVLYFCjo

色んな意味で楽しい方達
245 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/30(土) 15:10:31.69 ID:xt4wqGvVO
ドラッグストアでいつもの胃薬の人って呼ばれてそう
246 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/30(土) 16:22:45.78 ID:XlKuUfwAO
乙です…
この話での菫さんは良い意味で開放的ですよね…
247 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/30(土) 16:30:04.21 ID:JBVfkALAO
乙でー
またのんは苦労人だなぁ
248 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/30(土) 17:58:45.75 ID:B3CMUOFpo
なにかと周りと衝突しそうな淡が今まで楽しく麻雀部やってこれたのも、またのんが各方面で頭を下げ続けたおかげなんじゃないかと思う
249 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/30(土) 18:12:50.36 ID:TP59aqMwo
乙です
250 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/30(土) 20:55:34.45 ID:JZQwZN/x0
地味にというかやはりレジェンドの指導スキルは高いんだなぁ
阿知賀は来年レジェンド抜けるのが一番痛いと思う
251 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/30(土) 21:36:26.04 ID:a/nuhpjj0
原作レジェンドは後付けの有能感がなあ。
菫のくせや淡の能力を見抜いといて怜について何も知らんのはびっくりですよ。
252 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/30(土) 21:37:28.58 ID:jWa9Vp30o
指導者と一番安定してる選手が抜けるってめちゃくちゃ痛いよな
253 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/30(土) 22:10:13.68 ID:wyJTIJWq0
>>251
原作というよりはアニメで無能描写追加されまくったからな
レジェンドだけに留まらず、アニメ中盤頃の阿知賀はsage方向のテコ入れが辛かった
板違いな話題だったらスマン
254 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2015/05/31(日) 10:07:38.88 ID:YSaVgtNC0
乙。
お菓子5000円とか部費で降りる訳ないだろ!
これ照のお菓子代で部費の8割消えてるんじゃ…。
来年度は部費駄々あまりだなこれは。
255 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/31(日) 20:59:21.10 ID:HOfPLVHAO
>>250
事後を誰に託すか…って言うのも気に成りますね…
私的には望さんに託すのでは?と思って居ますが…
256 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/07(日) 03:40:15.70 ID:My2vvro20
>>253まったりペースだしここと公式の咲シリーズに関してはいくらでも雑談していただいても構わないですが公式に関してはポジティブな話題を振ってくれた方がうれしいかなーと。その方がネタにするにも拾いやすいので。>>255とか好きです。望さんは表には出てこないんじゃないかなーと思いつつ望さん好きだしもうこれでいいんじゃないかと思います。これで行きます

ハギヨシさん(19)をうけてイメージ修正も兼ねて投下。気を抜くとくっつくから困る
257 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/07(日) 03:41:47.04 ID:My2vvro20


いい女には秘密がつきもの、なんて言うけど……男の人にも当てはまるのかな?

……私の好きな人は、謎が多い


258 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/07(日) 03:42:47.20 ID:My2vvro20

透華「ツモ!2000・4000ですわ!」

灼「む……親被り」

久「あらら……綺麗にやられちゃったわねぇ」

透華「ふふ……どうされましたの? しっかりしないと個人戦が思いやられましてよ?」

美穂子「そうね……でも、これでいいのよ? トップの鷺森さんとの差は詰まってるもの」

透華「む……そのような言われ方をするといかにも私が手のひらの上で踊らされているようで気にくいませんわね……」

美穂子「あら、ごめんなさい……でも、他家を使うのも立派な戦術だもの」

久「美穂子はそういうの得意よねぇ……県大会のときもうちの優希が……」



純「チー」

憧「ポン!」

純「あ、それポン」

華菜「……鳴かれて手番飛ばされるのって嫌だよなー」

憧「仕方ないじゃないですか……井上さんが鳴き始めたら追っかけないと速度的にも……」

華菜「……普段からそれくらい積極的に追っかけた方がいいし」

憧「ふきゅ」

咲「あ、それカンです! 嶺上開花!」

憧「うげっ……」



和「ロン、3900です」

穏乃「うわ……もう張ってたかぁ」

衣「やるなののか!やはり、お前たちと打つのは楽しいぞ!」

未春「えぇ……? この卓キツすぎるよ……」

259 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/07(日) 03:43:40.57 ID:My2vvro20

今日は、個人戦に向けて長野のみんなの練習に参加させてもらっている

鶴賀のみんなも蒲原さんのおばあさんのおうちから車で来ると聞いているけど……うん、来たとしてもしばらく動けないだろうし……ゆっくり休める環境を整えておいた方がいいかな?

それに、朝イチから練習始めてるし……よし! ちょうど手も空いてるしなにか軽食を用意して……

ハギヨシ「失礼します。 軽食とお茶を用意して参りました」

あ……

透華「ありがとうございます、ハギヨシ。 助かりますわ」

優希「タコス! タコスはありますか!?」

ハギヨシ「ええ、こちらに……それに、須賀くんがまた追加で持ってきてくれますよ」

優希「ありがとうございます! やったじぇー!」

ああ……出遅れちゃったかあ……さっきまで打ってたから萩原さんが準備に出てったの気がつかなかったよ

……タイミングが合えば、一緒にお料理とかもできたかもしれないのに……

美穂子「すみません、本当なら私が……」

ハギヨシ「福路さんは個人戦があるでしょう? 練習に集中してください。 そのために私がいるのですから」

……うん、ちょっと反省しよう。 和ちゃんに咲ちゃん、福路さんが真面目に練習してるんだから! あんまり浮わついた気持ちでいたらダメだよね!

まこ「そうそう……そういうんはわしらにまかせときんさい。 なんか食べたいものとかあれば用意して来るけぇね」

優希「タコス!」

宥「追加が来るって言ってたよ……?」

久「玉子焼き! 甘いやつね!」

まこ「はいはい……というかあんたらは個人戦の選手じゃないじゃろうが」

透華「ハギヨシに任せればフランス料理のフルコースでも満漢全席でもなんでも用意できますわよ?」

咲「麻雀しながら食べれないんじゃ……」

和「お料理を並べるスペースも……」

一「突っ込むところそこなんだ?」

まこ「そんなんわしらで手伝えんわ……」

ハギヨシ「ふふ……本日は大所帯ですし、追加でなんでも用意しますよ。 リクエストがあればこちらに連絡してくれればすぐにお持ちしますから」

灼「ども……はい、玄持ってて」

玄「え? あ、うん……」

あ、萩原さんの連絡先だ……ど、どうしよう……もらっちゃっていいのかな?

灼「ここ、龍門渕さんいるし」

なるほど〜……え、あ、じゃあ、これからは、は、萩原さんにで、電話とか、メールとかしちゃっても……でも、私用で使うのも……うう……いいのかなあ?

260 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/07(日) 03:44:36.86 ID:My2vvro20

京太郎「タコス持ってきましたー」

優希「おう、ご苦労!」

京太郎「だから、お前がもりもり食ってどうすんだよ!?」

優希「むしろ私が食べないでどうすると言うんだ!」

智紀「この量は片岡さんが食べないと余る」

ハギヨシ「では、私は厨房の方に行きますので……」

京太郎「あ! 俺も手伝います!」

純「あ、オレも行くわ……代わりに入れよタコス娘」

優希「まかせろっ! タコスぢから全開だじぇー!」

憧「あ……行っちゃうんですか?」

純「腹へったからつまみ食いついでに……あ、いや、料理の手伝いもするぞ?」

憧「そ、そうですか……」

華菜「……だから気になるなら追いかけろって!」

咲「えと……あ、宥さん! 憧ちゃん抜けるんでこっちお願いできますか?」

宥「うん! 卓入るよ〜」

憧「うぇ!? ちょ、ちょっと!」

咲「がんばって!」

華菜「新子の趣味はよくわからんし……ほら、さっさと行った行った!」

憧「う……うん……ほら、玄もぼやぼやしてないで行くわよ!」

玄「あ……うん! そうだね!」

憧「……わ、私、料理とかほとんどできないし、フォローしてよ?」

玄「おまかせあれ!」

まこ「青春しとるのう……ほんじゃ、行こうかね」

261 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/07(日) 03:45:30.17 ID:My2vvro20

純「……でさ、実際どうなのよ」

玄「はえ?」

純「最近、うちの執事さんとはさぁ」

玄「えぇ!? べ、べべ、別になんにもないよ!?」

まこ「さっきひっそりと連絡先ゲットしてたのう」

玄「そ、それはそうだけど……でも、それだけだし……」

そう、それだけだ。 連絡先は手に入れたもののよくよく考えてみれば萩原さんのことはほとんど知らない

そりゃあ、容姿とか、人柄とか、そういうところはともかくとして……下の名前も年齢すらも知らない

……好きな人の名前すら知らないってどうなんだろう。 少女漫画とかだと一目惚れして〜とか、なくもないけれども

……とりあえず、聞いてみようかな?

玄「……萩原さんって、下のお名前なんていうんですか?」

純「そこからかよ!? ……ああ、でもオレも知らねぇな」

玄「……年齢とか」

純「さあ……? おっさんではないけど、大人っぽいよな?」

憧「じゃあ、好きな女性のタイプは? 傾向と対策ぐらい練れたらいいんだけどね」

玄「う、うん……」

純「さあな……いまんとこ女はいねぇと思うけど。 あの人いつも透華か衣に付いてるし……」

まこ「結局、なんにもわからんのう」

純「オレが知ってんのはあの人はなんでもできるってことぐらいだな」

まこ「それはたぶんみんな知ってるじゃろ……」

262 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/07(日) 03:46:38.59 ID:My2vvro20

純「……とりあえず、探り入れてみっか。 オレも気になってきたし」

玄「え……」

憧「えぇ!?」

純「……いやいや、違うって。 そういう意味じゃなくってただ気になるなってだけだから。 一応身内だし」

まこ「ふたりしていろいろと忙しいのう……ふむ、あれなんてどうじゃ?」

玄「あれ?」

まこ「ほれ、あれを見てみんさい」

厨房の中に目をやると、萩原さんと須賀くんがなにやら楽しそうにお話をしている

まこ「うちの京太郎が東京出てきてからだいぶ世話になってるようでのう……よく話もしとるようじゃし、わしらよりは知っとるんじゃないかのう」

純「あー……たしかに、よくふたりで話してるみたいだな。 萩原さんがプライベートな知り合い作ってんの始めて見たから驚いたわ」

憧「なるほど……じゃあ、善は急げって言うし……ちょっと、須賀くん!」

京太郎「ん? 新子さん?」

憧「玄が話あるっていうからちょっとこっち来てくれる?」

玄「え!? ちょ、ちょっと憧ちゃん!?」

憧「なによ、せっかくの機会なんだから……」

玄「え、でも……そんな急に……」

京太郎「お……おお……!」

263 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/07(日) 03:47:46.72 ID:My2vvro20

京太郎(…………萩原さん!)

ハギヨシ「はい? どうしました?」

京太郎(こ、これはアレっすかね? 俺の時代が来たんですかね!?)

ハギヨシ「……?」

京太郎(なにキョトンとしてるんですか!? これはもう、完全にアレっすよ!? 女の子が親友に背中を押されて告白するパターンっすよ
!)

ハギヨシ(はぁ……そうなんですか?)

京太郎(いや、もう確実っすね! このあと絶対松実さんがもじもじしてるのを後ろで新子さんが応援しながら告白するやつですから! やったぜ!)

京太郎(そんでもって告白されて俺が驚いてるうちに新子さんが「ほら、玄があんたのこと好きって言ってんでしょ! なんとか言いなさいよ!」とか言われて! ひゃっほう! 美人で巨乳の彼女ゲットだぜ! ピッピカチュウ!)

ハギヨシ(……須賀くん、前に玄さんはなんかダメですとかなんとか言ってたじゃないですか……)

京太郎(こうなれば話は別っすよ! だって元々松実さん超好みのタイプだし! 麻雀部に入ってよかった!)

ハギヨシ(…………)

京太郎(なに複雑そうな顔してんすか? こう、俺の幸せを一緒に喜んでくださいよ!)

ハギヨシ(……おめでとうございます?)

京太郎(あざーす!)

憧「……ちょっと! なにしてんのよ! 来るの? 来ないの?」

京太郎「あ、はい! 行く行く! 行きます!」

まこ「……テンション高いのう」

京太郎「そりゃあもう! 生きる活力が満ち満ちてますから! すみません萩原さん! ちょっと外しますよ!」

ハギヨシ「ええ、どうぞ」

264 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/07(日) 03:48:31.71 ID:My2vvro20

――――――

京太郎「……そ、それで? 話ってなんすか?」

憧「ほら、玄!」

玄「えぇ……でも、こんなこと、恥ずかしいよ……」

京太郎「しゃあ!」

憧「ふきゅ」

玄「な、なに?」

京太郎「あ、いえ! なんでも! なんでもないです!」

まこ「……京太郎、たぶんあんたの思っとるのとは……」

京太郎「いやいや! 大丈夫です! わかってますから! まかせてください! きっと期待に応えてみせますから!」

まこ「…………ほうか」

憧「ほら、こう言ってるしさ……だいたいこうして一緒にいられる時間も限られてるんだから……インハイ終わったらそうそう会えないのよ? 奈良と長野って気軽に行き来するのはちょっと無理だもん。 学校もあるし……」

京太郎「そうですよ! 新子さんの言う通り!さあ、どうぞ!」

玄「え、えっと……そのぉ……」

京太郎「はい!」

純「……お前さっきからうるせーよ」

京太郎「あだっ! す、すみません……なにも蹴り入れなくても……」

純「男が小さなことでグダグダ言うなよ。 軽くだろ、軽く」

憧「ほんと、井上さんの方がよほど男前よね」

京太郎「……このコメント、井上さん的にははどうなんすか?」

純「……言われなれてるし、別に気にしてねーけど」

玄「あ、あのっ! 須賀くん!」

京太郎「はい! 須賀くんです!」

玄「その、萩原さんって……どんな女の子が好きなのかなぁ……?」

京太郎「俺ですか!? そうですね、俺、は……」

京太郎「…………」

玄「…………あ、あの……?」

京太郎「知ってたよちくしょう!!」

玄「きゃ!」
憧「ふきゅ」

265 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/07(日) 03:49:45.67 ID:My2vvro20

純「だからうっせーんだよお前は」

京太郎「いってぇ! 二度も蹴った! 親父にも蹴られたことないのに! でもそれ以上に心が痛い!」

まこ「……だからさっき言ったじゃろうが」

京太郎「そうですよね! いや、わかってました! わかってましたよ!? 松実さんが萩原さんに好意を持ってるのは! でもね!? 話があるって! 恥ずかしいって! 男ならちょっと期待するじゃないですか!? ねぇ!?」

純「オレに同意を求めんなよ! オレは女だぞ!?」

京太郎「はいはい! 出た出た! 女子はわかってないんだよ! 男心を! お前、そんな……バレンタインとかに呼び出しといてこれ、嫁田くんに渡してもらえる? とか! ふざけんなよ! 自分で渡せよ! 余計な期待させんなよ!」

まこ「……なんかトラウマ抉ったみたいじゃのう」

憧「あー……でも、さっきから言動みてると須賀くんってモテなそうよね」

京太郎「だからそういうこと言わないでもらえますかね!? 事実だとしても!」

玄「で、でも、女の子から須賀くんの話を聞くこともあるし……」

京太郎「マジすか!? 和とかなんか言ってました!? 須賀くん素敵! とか、頼りになる! とか!?」

玄「あ、和ちゃんは別になにも言ってなかったけど」

京太郎「はい知ってた! 知ってましたとも!」

憧「優希が言ってたわよ? あいつはバカでスケベでどうしようもないやつだ、って」

京太郎「どうせ話をするならいいところを話せよあいつはぁ!」

玄「咲ちゃんも似たようなこと言ってたよ?」

京太郎「付き合い長いのに酷いな!? ちょっと、染谷先輩からなんとか言ってくださいよ! 俺のいいところ! 松実さんや新子さんが俺を好きになりそうなエピソードを!」

憧「ここまでの流れでもう絶対彼氏にはしたくないんだけど」

まこ「まあ、京太郎にもいいところはたくさんあるんじゃぞ? 長くなるから割愛するが……」

京太郎「ちょっと!? そこ大事なとこですよ!?」

まこ「見ての通り、ちょっとアレじゃが良いやつなんじゃ」

京太郎「そのまとめ方で良いところ省いたら残る印象はただのちょっとアレなやつじゃないですか!?」

純「合ってるじゃねーか」

京太郎「この流れだと言い返せねぇ!」

266 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/07(日) 03:50:26.78 ID:My2vvro20

京太郎「くそぅ……俺だって松実さんとか新子さんみたいなかわいい彼女ほしいのに! 東京まで来てせっかくかわいい女の子と知り合う機会があるのに!」

憧「そういうの口に出すからでしょ……それに、人によるかもしんないけど……私はそうやってかわいいだのなんだのすぐに言う軽い男は嫌いだから」

京太郎「ぐむ……そう言われても、こういうこと言っちゃだめならどうすりゃいいんだよ? 本当にかわいいと思っても言っちゃいけないのか?」

純「実際、オレから見ても新子かわいいしな」

憧「ふきゅ」



憧「そ、そそ、そんな! か、かか、かわいいとか! え、あ、え……く、口説いてるんですか!?」

京太郎「っておいいいいいい!? ちょっと待てえええぇぇぇ!!」

憧「な、なによ!? 今こっちは大事な話をして……」

京太郎「話が違うじゃねーか!? 即落ちかよ!? めっちゃ照れてパニクってんじゃねーか!? かわいいじゃんか!!」

憧「うっさいわね! あんたみたいなのにかわいいとか言われてもどうでもいいのよ!」

京太郎「出たよ! ただしイケメンに限る! ほんっとふざけんなよ!男がどの子がかわいいみたいな話してるとすぐにサイテーだのなんだの言うくせに結局それかよ!?」

憧「なっ……そんなの! あんただってブスに道聞かれたら教えるだけか最悪無視するけど、美人に道聞かれたら目的地までついていった上にお茶とか誘うんでしょ!?」

京太郎「それもそうだな! 仕方ないか!!」

まこ「納得するんかい……」

京太郎「うっかり納得しちゃったけど納得できねえええ!! つーか井上さん男ですらないし! 俺負けてんの!?」

憧「は? 勝ってるとでも思ってんの?」

京太郎「ガチでキレられた!? つーか身長すらちょっと負けてる!?」

純「須賀も180はあるし充分でけぇだろ」

267 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/07(日) 03:51:14.09 ID:My2vvro20

玄「あ、あの……」

憧「あ、ごめんごめん……で? 実際どうなのよ? 男同士そういう話しないの?」

京太郎「……俺だって萩原さんとの付き合いは東京来てからだし……つーか、萩原さんがそういう話するタイプに見えるか?」

純「……あの人が女の話してるとこなんて想像つかねぇな」

京太郎「でしょう? ……そういや、いろいろ話聞いてもらったりはするけど、萩原さん自身の話ってあんまり聞いたことないな……」

玄「そっかあ……」

京太郎「ん……?つーかこれだけ世話になってんのに本名すら知らないぞ!? すげえ大人っぽいし、たぶん二十代半ばぐらいだと思うけど年齢も知らないし!」

純「なんだ、お前も知らねぇのかよ」

京太郎「え!? 龍門渕の人すら知らないんすか!? どうなってんすか! 下手したらすべてが謎の不審者ですよ!?」

玄「萩原さんは不審者なんかじゃないよ!」

まこ「龍門渕に雇われてる時点で身元はしっかりしとるじゃろ……しかも御令嬢の付き人じゃぞ?」

京太郎「そんなのわかってますって! 本気じゃないですよ、もう!」

憧「はぁ……結局須賀くんは役に立たなかったわね」

純「ああ、そうだな……須賀は使えなかったしなんか考えねぇとな」

京太郎「え!? 俺!? 俺が悪いの!?」

まこ「まあ、わしらじゃ聞き出せんことも京太郎なら聞き出せるかもしれんじゃろ? なにより男同士じゃしな」

京太郎「あ、結局俺が使われる流れですか……別にいいですけどね? 俺も萩原さんのこと気になりますし……」

憧「はぁ!?」

玄「ら、ライバルだったの!?」

京太郎「どうしてそうなるの!? おかしいよね!? 気になるをそういう意味で取るのはおかしいよね!?」

268 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/07(日) 03:53:07.59 ID:My2vvro20

――――――

京太郎「ただいま戻りましたー」

ハギヨシ「おかえりなさい……タコスの下準備、終わってますよ」

京太郎「あ、ありがとうございます……すみません、ご迷惑を……」

ハギヨシ「いえ、気にしないでください……それで、どうでしたか?」

京太郎「あ、いや……はい、聞かないでいただけると……」

純「残念だったな……んじゃ、オレも手伝うんで……あ、あとで染谷や新子に松実……玄の方も手伝いに来るんで」



まこ「京太郎を送り込む作戦、うまくいくかのう……?」

憧「井上さんもついてるし……萩原さんもわざわざ聞いてくる辺り、玄のことちょっとは気にしてるんじゃないの?」

玄「え!? そ、そうかな……?」

まこ「いや、言っちゃ悪いかもしれんが……ただ単に友人の京太郎のことを気にしているだけの可能性も無くはないからのう……楽観は禁物じゃ」



ハギヨシ「……それは、残念でしたね」

京太郎「ええ、本当に……! ……萩原さん、本当にそう思ってます?」

ハギヨシ「他ならぬ須賀くんのことですから」



玄「…………やっぱり、私のことなんてどうでもいいのかなぁ」

まこ「友人がフラれたのに良かったとは言わんじゃろ? そんなに気落ちすることないわ」

玄「? フラれた?」

まこ「……ああ、なんでもないわ。 気にせんでええよ」

憧「むぅ……萩原さんってあんま表情に出ないし……見ててもあまりわからないですね」

269 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/07(日) 03:54:50.85 ID:My2vvro20

京太郎「はぁ……かわいい彼女がほしい……」

純「お前、さっきからそればっかな」

京太郎「高校生ならそんなもんでしょう? つーか井上さんだって彼女ほしいでしょ?」

純「……オレは女だ」

京太郎「知ってますけど」

純「…………」

京太郎「あっ! だから無言で蹴りいれないでくださいよ!」

ハギヨシ「危ないですよ、井上さん。 包丁等もありますから……」

純「……うす、すみません」

京太郎「というか! 萩原さんだってほしいですよね!? 彼女! 」

ハギヨシ「ふふ……そうですねえ」



玄「……あれは、どうなんだろう?」

まこ「適当に合わせとるだけにも見えるが……」

憧「……それよりも、井上さん完全に男枠で混ざってない? いいのかしら……?」

まこ「……あんたがそれを言うんかい」

玄「普段から憧ちゃんが一番男扱いしてない?」

憧「べ、別に!? 男扱いっていうか、か、かか、かっこいいなって思ってるだけだし!? 」

270 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/07(日) 03:56:32.65 ID:My2vvro20

京太郎「あ! じゃあ、萩原さん的にはどんな子が好みですか? ほら、インハイなんかかわいい子いっぱい居たじゃないですか!」

ハギヨシ「ふむ……そうですねぇ……」

京太郎「俺は和や福路さんがめっちゃタイプなんですけど……」

純「お前の好みめっちゃわかりやすいな……」

京太郎「いや、それこそ松実さんなんかど真ん中なんすけどね……はぁ…………よその、見た目だけなら……鹿児島の、咲と打ってたおっぱいでかい子とか、優希と打ってたおっぱいでかい子とか!!」

純「さらにわかりやすくなったな……」



憧「…………サイッテー」

まこ「……まあ、一応フォローするなら萩原さんの話を聞くために自分の……いや、判断基準が胸に偏ってるのは庇いようがないのう……」

玄「須賀くんもおもち愛好家かあ……」

憧「……あんた、その話で盛り上がろうとするのはマジでやめときなさいよ……?」



京太郎「あ、じゃあ井上さんはどうです? かわいい子いました? 参考までに!」

純「だからオレは…………まあいいや。 そうだな……たしか、人気あるのは千里山の清水谷とか鹿老渡の佐々野とかだよな? かわいいところ……あとは、チャンピオンとか荒川とか……新子とか?」



憧「ふきゅ」

玄「よかったね、憧ちゃん」

まこ「新子さんは女子の目から見てもおしゃれでかわいいからのう」

憧「え、あ、う……へへ……ありがとうございます」

271 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/07(日) 03:57:31.90 ID:My2vvro20

京太郎「で? 萩原さんはどうですか? ひとりやふたりくらいいいなーって子いたでしょう?」

ハギヨシ「ええと……」

京太郎「いいじゃないっすか! 男同士で照れなくても! 俺だって言ったんだし!」



まこ「京太郎のやつ、なかなかうまいのう」

憧「言わなきゃいけない感じに誘導してますね」

玄「…………ど、どうしよう……」

憧「まだ何も言ってないのに慌ててどうするのよ……とりあえずおとなしく待ってなさいって」

玄「そうは言っても……」



ハギヨシ「とはいえ、面識のない方がほとんどですし……」

京太郎「またまたー! そんなこと言って……聞きましたよ? 巫女フェチなんでしょう?」

ハギヨシ「……はい?」

京太郎「国広さんが優希たちと話してましたから! いやー以外でしたよ! 萩原さんにもそういうところがあるんだーって……」

ハギヨシ「……別に、そういうわけではないのですが……」

京太郎「あ、永水の子なら誰が好みですか? おっぱいでかい子三人と、国広さんの仲間のヤバい服装の人と……なんか、普通の人いたじゃないですか?」

純「……おっぱい好きすぎだろ」

京太郎「男はみんなおっぱい大好きですから! ね、萩原さん!」

ハギヨシ「…………決して否定はしませんが……須賀くんにはもう少しいろいろ考えて話をすることをおすすめしたいですね」

272 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/07(日) 03:58:18.22 ID:My2vvro20

ハギヨシ「……まあ、永水の選手の方ならば薄墨さんと狩宿さんとはお話ししたことがありますが……」

京太郎「あ! そういうのいいですから! 適当に褒めて終わらす気でしょう? そういうのじゃなくって誰が好みかって話ですから!」

ハギヨシ「…………はい」



まこ「京太郎……ノッて来たのう……萩原さん相手にあそこまで強気に……」

憧「……女の価値は胸じゃないから! だいたいなによ! 巴さんのこと、なんか普通の人って……!」

玄「は、萩原さんも、おもちは嫌いじゃないって……」

憧「だからその話を振りに行ったらダメなんだってば! いい加減にしなさいよ!」



ハギヨシ「……そうですね、先鋒の神代さんでしょうか」

京太郎「その心は?」

ハギヨシ「去年、今年とインターハイでお見かけしていましたが……対局中に寝てしまうなど、いろいろと危なっかしくて……」

純「世話焼きの萩原さんらしいな……透華や衣の世話見るみたいな感じ?」

ハギヨシ「……それは私の職務ですからまた違いますが……まあ、性分ですかね」



玄「じ、神代さんだって……」

憧「だ、大丈夫よ! 玄ってしっかりしてて世話焼く側だけどけっこう抜けてるし! 充分アホっぽいからお世話してもらえるって!」

玄「あ、憧ちゃん……ちょっと悪口入ってない……?」

憧「……そ、そんなつもりないわよ?」

まこ「永水の選手の中からって限定条件も付いとるし、そこまで気にせんでもええよ。 玄さんも良いところたくさんあるんじゃから」

273 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/07(日) 03:59:10.54 ID:My2vvro20

ハギヨシ「ああ……しかしこうして思い返してみると、巫女服フェチというわけではありませんが……和装は好きかもしれませんね」

純「……龍門渕なんて和風というよりは完全に外の感じじゃないっすか」

ハギヨシ「ええ。 ですから、普段見慣れないからこそかもしれません」

京太郎「お、いいっすね! 萩原さんもちょっとノッて来ましたねー」

ハギヨシ「龍門渕は女系の家ですし、昔から周囲に同性の友人が少なかったものですから……ふふ、こういう話をするのも、たまには良いかもしれません」



玄「わ、私! 初美さんに連絡してくる!」

憧「ちょっと待った! 待ちなさい! そっちで攻めるのは良いけど薄墨さんに服借りるのはやめなさい! 私が巴さんに連絡してあげるから!!」

まこ「……玄さんも、本当にちょっと危なっかしいのう」



純「んー……じゃあさ、さっきは面識ないからーって言ってたけど、逆に面識ある奴等からならどうです?」

ハギヨシ「……こちらで知り合った方たちということですか?」

純「そうそう……長野組とか、阿知賀の奴等に……岩館とか、余所の奴ともいくらか会ってるでしょう?」

京太郎「え!? なんすか、萩原さんこっちで女の子の知り合い作ってるんですか!? ズルいじゃないですか! 紹介してくださいよ!」

ハギヨシ「いや、面識があるだけで特に連絡先がわかるというわけでもないのですが……」

274 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/07(日) 04:00:02.61 ID:My2vvro20

憧「む……井上さんが一歩踏み込んだわね……玄、ここであんたの名前が出れば……」

玄「え、ちょ、ちょっと……まだ心の準備が……」

まこ「こればっかりは聞いてみてどうかって話じゃからのう……どっしり構えてりゃええんじゃ」



ハギヨシ「……そうですね、長野の方ですと……宮永さんですとか妹尾さんですとか……」

純「あー」

京太郎「え……咲ですか? いやいや……それはないでしょ……」

ハギヨシ「ふふ……いえ、宮永さん、いまだにこの宿でも迷子になられているでしょう?」

純「そういうのが好きなのな」

ハギヨシ「そうですね……かわいらしいじゃないですか」

京太郎「はぁー……そういうもんなんすかねぇ」



玄「わ、私ちょっと迷子になってくる!」

憧「なに言ってんの!? アピール方法が迷子になってるから!」

まこ「……恋は盲目ってやつなんかのう」



純「……で?」

ハギヨシ「……で? とは……?」

京太郎「わかってるくせに……ここまで話したんだから言っちゃいましょうよ」

純「なんとなーく誤魔化せてるつもりだったのかもしれないけど、場数が足りねぇんすね……もう、メインディッシュ感しかないっすよ?」

ハギヨシ「…………えー、つまり、どういうことでしょうか?」

京太郎「阿知賀の子、誰が好みなんですか?」

純「素直に吐いちゃってくださいよー」

275 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/07(日) 04:00:58.19 ID:My2vvro20

玄「……あ、阿知賀! 阿知賀からだって!」

まこ「わくわくするのう」

憧「……むしろこっちまで緊張してくるんですけど」

まこ「ああ……新子さんは名前呼ばれる可能性もあるんか」

玄「ふぇ!?」

憧「べ、別にそういうことじゃなくって! 玄のことだから……ってだけで他意はない……ないからそんな泣きそうな顔で見ないでよ!」

玄「で、でもぉ……」

よ、よく考えたら……私の名前が出なかったら、それはつまり阿知賀のみんなの中の誰かの名前が挙がるってことで……

穏乃ちゃん、憧ちゃん、灼ちゃんにお姉ちゃん……あ、赤土先生も入るのかな?

…………か、勝てる気がしないよぉ

私なんて、ちょっと家事ができるぐらいで特に取り柄もないし……麻雀だって、宮永さんや園城寺さんにやられっぱなしだったし……



京太郎「いや、でも阿知賀ってみんなレベル高いですよね! 新子さんとかも胸無いけどめっちゃかわいいし!」

純「でも傾向的には松実姉妹とか好きっしょ?」

ハギヨシ「え、ええ……まあ……」



憧「……ほんとに優希の言う通りね」

まこ「京太郎、外でわしらが聞いてるのもう忘れてるのう……」

玄「……い、いま! いま、松実姉妹って!」

憧「まあ、そういう流れでしょ……問題はここからよね」

まこ「宥さん、つい世話焼きたくなるとこあるからのう」

憧「染谷さんも世話焼きですもんねぇ」

276 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/07(日) 04:01:49.66 ID:My2vvro20

もう! どうして憧ちゃんも染谷さんもこんな他人事みたいに……あ、他人事かぁ……

でも、どうなんだろう? わ、私のこと……その、いいなって、思ってもらえてるのかな?

…………お姉ちゃんの方がかわいいし、おもちだし……やっぱり勝てる要素がないよぉ……

玄「うう…………」

憧「なに泣いてんのよ……」

玄「だって……」



京太郎「で? で? どっちですか? 姉? 妹?」

純「好みは姉の方だろ? 介護したくなる系女子じゃんか。 というか萩原さんに染谷に福路に……集まりゃこぞって世話しにかかるしさぁ」

ハギヨシ「介護は言い過ぎなのでは……たしかに、こう……放っておけない人ですよね」

純「ほっとくと凍死しそうだしな」



玄「や、やっぱり……お姉ちゃんの方が……」

憧「そ、そんなに落ち込まなくてもいいじゃないの! 大丈夫よ、玄と宥姉似てるし! 同じ雰囲気あるし!」

まこ「それに、そんなに落ち込まんでもまだ話しとるぞ?」

玄「え……?」



純「……それでもさ、玄の方が好きだろ?」

ハギヨシ「…………ええと」

京太郎「いやあ、いろいろ聞きましたよ? あれからずっと、俺の預かり知らぬところで、松実さんにアピールされてたとか……」

ハギヨシ「……須賀くん? 顔が怖いですよ……?」

277 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/07(日) 04:02:47.81 ID:My2vvro20

京太郎「だって! ズルいじゃないですか! どうして俺じゃなくって萩原さんに!」

純「いや、自明の理だろ……オレだってお前よりは萩原さんだわ」

京太郎「いや、男に好かれても……」

純「オレは女だ!」

京太郎「あ、そうでしたっけ? 違和感なく混ざってるから忘れてましたよ……」

純「お前なぁ……!」

京太郎「そんなことより! 国広さんが優希たちに自慢気に語ってたの聞いたんですからね!? 松実さんに! あの体の松実さんに! ドスケベ巫女服で迫られたんでしょう!?」

ハギヨシ「え、あ、あの……はい、その、薄墨さんテイストの……その言い方ではいろんなところに語弊があると思うのですが……」

京太郎「え!? いやいや! 語弊もなにもそれでなにもなかったってことはないでしょう!?」

ハギヨシ「いえ、なにもありませんでしたが……」

京太郎「嘘だ! それで耐えられる男がいるもんか!!」

ハギヨシ「嘘だと言われましても……」

京太郎「襲うだろそんなの!」

ハギヨシ「襲いませんよ!?」



憧「…………」

まこ「……京太郎のためにはそろそろ止めてやった方がええんかのう……?」

玄「ま、待って! まだお話してるし!」

まこ「……まあ、元々そういう作戦なわけじゃし、京太郎が悪いんじゃろうが……後でフォローしてやらんとなぁ……」

278 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/07(日) 04:05:07.98 ID:My2vvro20

純「まあ、松実妹はなにするのにも一生懸命でいいよな。 たまにやり方間違えてるけど……オレは好感持てるわ」

ハギヨシ「……そうですね。 私もしっかりと努力することのできる人間は好ましく思いますよ」

京太郎「頑張ることは大事ですよねー……やっぱり、インハイの時のみんなかっこよかったし……」

純「ほんとにな……やっぱり、あそこで打ってるやつらはみんなかっこよかったわ」

純「……オレはさ、見てて羨ましかったし悔しかったよ。ドイツにいた頃は何してても退屈で……スリルを求めて、正直あんまりよろしくねぇ場所で麻雀とか……いろんなゲームやってさ」

京太郎「……パッとイメージできすぎて突っ込み辛いんですけど」

純「うっせ! 茶化すなよ……まあ、そんでどっかから噂を聞いた透華がわざわざドイツまで勧誘に来てさ、最初はただのバカかと思ったもんだ……衣の友達を探すついでにインハイで優勝するためのメンバーを揃えるとか言ってたんだぜ?」

京太郎「インハイがついでですか……」

ハギヨシ「それも、透華お嬢様の良いところですよ」

純「まあな。 ……そんで、衣に国広くんに智紀って仲間もできて……みんな、なんでも全力で、本気で打ち込む透華に惚れてんだよな……オレも本気で麻雀やろうって思えて……マジで人生変わったぜ」

純「オレを選んだ透華をまた全国の舞台に連れてってやりてぇし、オレ自身またあそこで打ちたいんだよな」

純「……こういう風に思えるのも、やっぱ透華が本気で努力して、そういうとこにみんなが惹き付けられてるからだと思うんだよな」



憧「ほ、惚れっ……り、龍門渕さんに、惚れ……っ! 惹き付けられるって……!」

まこ「いや、そういう意味じゃないじゃろ……」

玄「憧ちゃん落ち着いて! 裏カジノでチップ荒稼ぎして不適な笑みを浮かべる井上さんとか想像してた方が幸せだよ!」

憧「え? …………」

憧「ふきゅ」

まこ「…………ふたりとも、さっきから楽しそうじゃなあ」

玄「恋ってそういうものだよ〜」

まこ「そういうもんかのう……」

279 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/07(日) 04:06:30.76 ID:My2vvro20

京太郎「まあ、すごくいい話だったんですけど」

純「おう」

京太郎「それはとりあえず置いといて」

純「おい」

京太郎「いや! 今大切なのは萩原さんがどうすんのかってことでしょ!? メインはそっちでしょ!? いや、マジでいい話だったしその内聞きたいですけど! 萩原さんが松実さんと何事もなく終わるのか! それとも付き合っちゃうのか! 付き合った上でいろいろとムフフなことをしちゃうのか!」

ハギヨシ「井上さんのいい話台無しですよ!?」

純「……なんかマジで話したのすげえ恥ずかしくなってきたんだけど……」

京太郎「いいから! どうなんですか!? 松実さんに言い寄られて悪い気はしないっていうかうれしいでしょ普通は! 男なら!」

ハギヨシ「……それは、その……たしかに、ええ、はい……」

京太郎「なんすか! その煮え切らない感じ! で、好きなんですか!? 嫌いなんですか!?」

ハギヨシ「そ、それは……好きか嫌いかと言われたら、好きですけれど……」

京太郎「はいはい! いるよいるよこういう奴! なに恥ずかしがってんの!? いいじゃん照れなくても!」

ハギヨシ「あ、あの、須賀くん? もう少し落ち着いていただけると……」

京太郎「これが落ち着いていられますかってんだ! 付き合うんですか!? 付き合わないんですか!?」

ハギヨシ「え、いや、ですから……」



玄「す、好きって! 今! わた、わ、私のこと! 好きって言ってた!?」

まこ「ちょっと微妙な言い方じゃったが、言ったのう」

憧「ああもう! 今は萩原さんの話はどうでもいいから井上さんの話を……!」

まこ「……新子さん、気持ちはわからんでもないが趣旨からずれとるよ」

280 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/07(日) 04:07:05.82 ID:My2vvro20

純「……で? どうなんです? 付き合っちゃう? 付き合っちゃえば? いいでしょ? 松実なら全然アリっしょ? かわいいしスタイルいいし性格もいいし文句なしだろ?」

ハギヨシ「……井上さんもそのテンションに戻るんですね」

純「恥ずかしいからなかったことにしたんで」

ハギヨシ「……そうですか」

京太郎「それで!? どういうつもりなんです!?」

ハギヨシ「あ、それは……その……つ、付き合いませんよ……?」

京太郎「はぁ!?」

純「マジで!?」



憧「え!? 嘘!? この流れで!?」

まこ「……まさかの……いや、うーん…………玄さん?」

玄「」

憧「く、玄? 大丈夫……?」

玄「ふ、ふぇ……」

憧「あ……その……」

玄「う……あぅ……う、うう…………」

憧「……その、な、泣かないで……ま、まだフラれたわけじゃ……」

玄「か、かん……完全に、フラれてるよぉ……つ、付き合わないって、言ってたもん……」

まこ「あー……その、あ、あまり気を落とさずにじゃな……」

玄「そんなの、む、無理、だよぉ……」



透華「あら、こんなところで何をしてますの?」

玄「りゅ、龍門渕さん……?」

281 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/07(日) 04:07:50.51 ID:My2vvro20

憧「り、龍門渕さんこそ、どうしてここに!?」

透華「私ですか? 私は原村和が料理の腕前も素晴らしいなどという話を聞いたのでこれは腕前を見せるしかないかと!」

まこ「へぇ、料理できるんか」

透華「いえ、一度もやったことはございませんけど」

憧「……どうしてそんな自信満々に…………」

透華「あなた方はどうして厨房に入らないのです? 竹井さんなど首を長くして待っていましてよ?」

まこ「ん、あ、あー……そうじゃな、でも入るのは一旦待ってもらっても……」

透華「それに! どうされたのですか? そんなに涙を……どこかお怪我でもなされたのですか?」

玄「あ……いえ、その……なんでも……」

透華「遠慮することはありませんわ! 少しの怪我でもよからぬ菌などが入りでもしたら大変ですもの!」

玄「だから、その、怪我ってわけじゃ……」

透華「ハギヨシ! 少しよろしいですか? 玄さんを看てあげてくださいな」

ハギヨシ「透華お嬢様…………く、玄さん?」

玄「あ、あう……」

ハギヨシ「…………」

純「……そ、そんな顔しないでくださいよ」

京太郎「そうですよ! 俺なんてすっかり忘れてたんですから!」

まこ「なにを自慢気に言うとるんじゃ……」

282 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/07(日) 04:08:39.79 ID:My2vvro20

京太郎「それより! 萩原さんのせいですよ!? 松実さんこんなに泣かせて!」

透華「あら……ハギヨシが玄さんを泣かせたんですの? それはいけませんわ! 女性をこんなに……」

ハギヨシ「も、申し訳ございません……」

純「とにかく! 付き合わない理由は!? 理由聞かないと納得できませんって!」

憧「そ、そうですよ! 玄のなにがいけないんですか!」

ハギヨシ「それは……玄さんはまだ高校生ですし……」

京太郎「…………熟女フェチ!?」

玄「そ、そんなぁ……あと十何年も経たないと圏外なの……?」

ハギヨシ「違いますよ!? 倫理的な問題です! 私とて龍門渕の執事として仕える身で、なにか問題が起きては……」

京太郎「はい!? なんすかそれ!? 女子高生とか最高じゃないですか! 枯れてんの!? いくつですかあんた!」

透華「ハギヨシは今年で19ですわよ?」

純「……ん? ああ! 29ね! 聞き間違えか!」

京太郎「マジですか!? いやあ、二十代半ばぐらいかと思ってましたよ! 童顔だなーとは思ってたけど……っておい!? さすがに若すぎでしょ!?」

ハギヨシ「いえ、ですから今年で19になりますが……」

「「「……………………」」」

憧「じゅうきゅう!? その年でそんな落ち着いてるとかあり得ないでしょ!?」

京太郎「嘘だろ!? 俺、将来は萩原さんみたいな大人になりたいと思ってたのに! 萩原さんもまだ子どもな年齢じゃんか!!」

純「え!? は!? ……ってことはオレの2個上!? マジで!?」

ハギヨシ「なぜか年相応に見られることがないんですよね……」

京太郎「なぜかじゃないでしょ!? 当然でしょ!? 萩原さんみたいな十代いませんよ!?」

まこ「……玄さんとも二歳差なら、問題はないんじゃないかのう? ふたりとも十代じゃろ?」

玄「…………え?」

ハギヨシ「そういうものでしょうか?」

憧「あ! っていうか玄とふたつしか違わないの!? そこにまず驚きなんだけど!? 私のみっつ上!?」

京太郎「みっつ上!? あと三年で萩原さんみたいになれるわけねぇだろ!!」

憧「何年経ってもあんたが萩原さんみたいになれるわけないでしょ」

京太郎「夢ぐらい見させてもらえません!?」

283 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/07(日) 04:10:49.84 ID:My2vvro20

まこ「……どうなんじゃ? 雇用主としての立場は……?」

透華「? 愛があるのならそれでいいのでは?」

京太郎「あっさりと!?」

純「まあ、透華らしいけどよ……」

透華「当然ですわ! 家族と友人の幸せが第一ですもの……ああ、ハギヨシと玄さんが結婚したらまた家族で友達が増えますわね! 衣も喜びますわ!」

玄「けっ……!?」

ハギヨシ「透華お嬢様!? スタート前にゴールインは気が早いです!」

まこ「萩原さんはスタートする気があるんかのう?」

玄「!?」

ハギヨシ「え、あ、えー……と……」

玄「……! ……!」

憧「ちょ、ちょっと、私の後ろに隠れないでよ……」

玄「だ、だって……その、でも……あうぅ…………」

憧「か、隠れてないでアピールしなさいって! 相手のご主人様はアリだって言ってるんだから!」

玄「え、でも……え……その……は、萩原さん……?」

ハギヨシ「な、なんでしょう……?」

玄「そのぅ……わ、私……! は、萩原さんのこと…………」

ハギヨシ「!!」

京太郎「消えた!?」

憧「はぁ!? 何事!?」

純「逃げたのか!?」

玄「……うぅ……逃げるほど嫌だったのかなぁ……」

まこ「そんな風には見えんかったがなぁ……」

透華「ハギヨシ、あれで意外と照れ屋さんでしてよ?」

284 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/07(日) 04:11:36.79 ID:My2vvro20

――――――

衣「……む? ハギヨシではないか。 どうした、このようなところで?」

ハギヨシ「…………そういう衣様はなぜ? 対局の方は……?」

衣「衣は少々花を摘みにな……どうした? 質問に質問で返すなどとはハギヨシらしからぬ…………顔が赤いぞ? 体調が悪いのか?」

ハギヨシ「いえ……その、これは……衣様」

衣「……ふむ、衣でよければ聞いてやるぞ?」

ハギヨシ「……私は、これまで龍門渕に仕える身として恥ずかしくないよう自身を磨いてきたつもりです」

衣「うむ! 透華との出会いはハギヨシとの出会いでもあったな……あの頃から、ハギヨシは誠心誠意、龍門渕に……透華に仕えていたな」

ハギヨシ「……何事であっても、作法は心得ていたつもりです。 職務の中では、どのようなことでも、お嬢様の満足がいくようにこなせていたと思います」

衣「それは衣が保証しよう! ハギヨシの仕事に手落ちがあったことはないぞ!」

ハギヨシ「……そ、それが、まさかここまで…………」

衣「……どうした? まさか、なにか失策をしたのか? 透華はその程度のことでは……」

ハギヨシ「いえ……その……客人を、女性をエスコートすることだって、手抜かりなくこなす自信がありましたが……まさか、プライベートな話題になっただけで、ここまで……」

衣「……どういうことだ? 話が見えんぞ?」

ハギヨシ「…………あまりにも恥ずかしくて、逃げてしまいました……」

カン!
285 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/07(日) 04:13:51.75 ID:My2vvro20
今後は職務を離れると不器用な少年ハギヨシを模索する方向性で。少年ハギヨシって違和感しかない
あと、なんだかんだやっぱり京太郎好きですわ
286 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/07(日) 05:57:08.94 ID:lqlIgzdgO
乙です
くっついちゃえばいいじゃん!(いいじゃん!)
そして、他のキャラに砂糖を吐かせればいいと思
京太郎…(´・ω・`)
京太郎にも咲ちゃんといい事あるよね?(おもちは無いけど)
287 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/07(日) 07:13:57.53 ID:IglVR7pAO
先ずは乙です♪
ハギヨシさんと玄ちゃーは二人とも早生まれですからね…
288 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/07(日) 07:43:47.35 ID:/eR2PWbSO
おつ
ハギヨシかわいいよハギヨシ
289 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/07(日) 08:46:49.76 ID:WKt9RdwSO
おつー
変な語尾勢(のよー、でー、もー、だしっ)が会話してるのとか見てみたい
阿知賀からは……ですのだ(言ってない)かな?
290 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/07(日) 08:53:27.17 ID:WKt9RdwSO
だじぇ!もいたな
291 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/07(日) 10:52:57.88 ID:ehRIMniJo
乙です
292 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/07(日) 10:55:00.08 ID:/kUEuC2So

前半で池田が池田のくせにいいこと言ってるな
293 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/07(日) 13:14:26.46 ID:VhfX5Dheo
ここまで女だらけの環境で男一人生きていける京太郎の精神は強靭だよな
294 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/07(日) 23:38:26.99 ID:IglVR7pAO
>>293
ハギヨシさんって言う先輩が良い影響を与えて居ると思いますね…
あ…
雅枝監督の勝ち組的自慢を聞く郁乃監督とすこやんとはやりんとのよりんと赤土監督と藤田プロと三尋木プロと久保コーチが見たいです♪
295 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/08(月) 21:24:27.27 ID:xBcM4vjU0
りゅーたんイェイ〜
あ、なにもないですすみません

>>286僕京タコ派なんで(小声)次点は京咲ですけど。それでも京太郎絡みは優希と染谷先輩しか書いたことないなぁ…
個人的に最近はアニメとか見直したりしてると京タコ(友達)が最強な気がしてます
>>289玄ちゃんが阿知賀で一番特徴的な言い回ししてるとは思うけど言ってないですのだ
>>292華菜ちゃんもとから名言いっぱいあるし!咲シリーズで名言一番多いのは池田かな?ってぐらいのイメージ

いまだにハギヨシショックから立ち直れてないというかテンション下がってないというか…龍門渕関係がしばらく続くかもしれなくもないです
そろそろハルちゃんのお誕生日準備もはじめるのでキャラ指定あればある程度拾います
296 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/08(月) 21:31:32.62 ID:L0WmZBkBO
そりゃハルちゃんといえば哩さんは欠かせないな
297 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/08(月) 22:11:45.07 ID:PTGqTpgAO
>>294
を書きましたが…
如何でしょうか?
298 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/08(月) 22:41:02.38 ID:+QpFQEoY0
ハルちゃんといえば阿知賀こども麻雀倶楽部関連でなんかあれば
299 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/10(水) 17:47:09.47 ID:J5grIWyWo
はやりんを呼ぼう
300 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/13(土) 12:10:43.26 ID:r4CI+kpCO
レジェンゴとトシさんのからみを見てみたい
いつもの先生として顔ではなく、指導される側の顔をみて、阿知賀組はどう思うのだろう
301 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/15(月) 23:29:59.98 ID:FA3muf+AO
あ!宮守女子の面々(トシ監督含む)&新道寺女子の面々(野依プロ含む)と一緒に成って赤土先生にサプライズバースデーパーティーを仕掛けるって言うのは如何でしょうか!?
302 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/19(金) 14:55:38.29 ID:AydvN9JNo
爽が予想以上に強そうな件
ただの遊び人じゃなかった
303 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/21(日) 13:09:19.65 ID:JZtD4HfB0
>>302大将戦本当にテンション上がりますわ。なにもかもが楽しみです

全国編Vitaも確定したし咲日和OVAまで一ヶ月ですし咲へのモチベが高いのになかなか時間作れないのが悔しい。ハルちゃんの前に一本ぐらい投下したかったんですけど…
フライングもアレなんで明日の20時頃に投下しに来ます

304 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/21(日) 15:10:47.22 ID:0h5jBPRGO
ハギ透(唐突)

萩原家は、龍門渕家に代々腹心として仕える家柄である
ハギヨシは、自身の父が龍門渕の当主に仕えているように元々は透華の母親に仕えていた
父のように立派な執事になることを望まれ、また自身もそれを志し、幼い頃から教育を受けて当主の娘の側に置かれていた少年ハギヨシ。いつしか主であり姉でもある優しく美しい女性に、それが許されないことであると知りながらも心惹かれていた
しかし、唐突な当主の病死。家の存続のために婿を取ることを余儀無くされた龍門渕の娘。ただの使用人であり、子どものハギヨシにできることはなにもなかった
そしていつしか娘は子を産み、透華と名付ける。が、以前より身体の弱かった娘は出産の負担に耐えられず少しずつ弱っていった
『透華のこと、よろしくお願いしますわね……』
ハギヨシは、部下として、兄として、透華を支えることを誓い、自身の慕う主人の最期の願いに応えるべく更なる修練を積んだ。

そして時は流れ、ハギヨシが若くして立派な執事として成長した頃には、赤子であった透華も美しい娘に成長していた。

ハギヨシを最も頼れる腹心だと位置づけながらもどこか心の奥底で兄のように慕う気持ちもある透華。
何があっても自分を守ってくれるという絶対の信頼と安心感、そして幼い頃からの淡い憧れと仄かな恋心……それを龍門渕の次期当主としての責任感や主従・家族としての関係性が壊れることへの潜在的な恐怖から気持ちを抑えつけて過ごしていた
透華は、龍門渕家のために若くして婿をとった母親に似て、時を重ねるごとに美しく成長していく
ハギヨシは透華が隠している好意を感じながらも、気づかぬ振りをしながらいつも通りに接していたが、ふとした瞬間に透華の中に彼女の母親の面影を重ねてしまう自分がいることに気づく

憧れの女性に託された透華。使用人としての立場。 透華に対して彼女の母親の姿を重ねてしまう後ろめたさ。 複雑な感情が絡み合い、ハギヨシは透華の築いた『龍門渕』という家族の中でも部下として接することしかできなくなってしまう

透華は自分との距離を取り始めたハギヨシに対して不安を覚えはじめ……

とか9-10歳差の前提で考えてたけど二歳差だと成り立たないので
とりあえず吐き出してスッキリした
305 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/22(月) 09:55:56.56 ID:mPIPljSX0

そしてハルちゃんイェイ〜
306 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/22(月) 20:10:22.29 ID:ei+AzaAK0
ハルたんイェイ〜
投下します
307 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/22(月) 20:11:39.75 ID:ei+AzaAK0

菫「赤土さん、お疲れさまです」

晴絵「お疲れさん……だからいいって、そんな他人行儀じゃなくって……ここじゃ同期だし、もともと友達だろ?」

菫「……ありがとう、ハルちゃん」

晴絵「気にすんなって……気を張ってばかりだと大変だろ? そろそろ慣れた?」

菫「いや……プレッシャーには慣れているつもりだったんだが、プロの空気は高校の時とはまた違って……日本リーグで打ってただけあってハルちゃんは余裕そうですね」

晴絵「余裕ってわけじゃないけどな……私もプレッシャーには慣れてるし、普通に打てるつもりだったんだが……例のアレのせいでどうにも、ね」

菫「まあ、アレは……そうですね、自分だったら絶対に考えたくもない事態ですね」

晴絵「高校時代に阿知賀で打ってたときは楽しんでたし、実業団時代はうれしいことだったけど……ここまで、余計な……と言ったら悪いけど……変に注目されるとなあ……」

菫「私はまだまだ楽な方ですよ……高校上がりの新人なんて……こう言うのは悔しいけど、いきなり通用する奴はなかなかいない……今年はそこまで期待されていないのもわかってますから……」

晴絵「……ヘコむなって。 なんの慰めにもならないけどさ、照みたいなのは特別だよ。 あいつは十一年前の小鍛治さんに近い……比較してると辛いよ」

菫「……照が、あいつが普通じゃないのは三年間側にいた私はよくわかってます……とはいえ、今年の新人はそこそこ結果を出してる奴が多いからどうにも……」

晴絵「ああ……関西組は特に勢いがあるな。 江口セーラは開幕から二ヶ月、勢いに衰えはないし、愛宕洋榎も清水谷竜華も安定してて大負けはないね」

菫「それに比べて、私は……」

晴絵「だからいいんだよ、今は比較しなくて……菫の持ち味は狙い撃ちだろ? 総合的な収支で多少マイナスが出ていても、その技は通用してて勝敗を決めた時だってあるんだからさ。 一年やってみりゃ菫の方が活躍してるかもしれないぞ?」

菫「……私は、環境に恵まれていますね。 ハルちゃんもいるし、憧れのはやりん……瑞原プロもよくしてくれてる……今は、自分にできることをやっていくしかないですかね」

晴絵「それでいいさ。 余計なことは考えなくていいよ」

菫「……ハルちゃんも、余計なことは考えない方がいいですよ?」

晴絵「…………この規模になっちゃうと、ちょっとなあ……やっぱり、アレがね」

菫「アレは……まあ、ですよね……」

308 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/22(月) 20:12:42.48 ID:ei+AzaAK0

『アレ』は、去年の夏の終わりごろに起こった

一時は世界ランク二位にまでなり、永世七冠の称号を持ち未だ国内最強の呼び声高い小鍛治健夜が第一線への復帰を明言したのだ

心境の変化が……とか、当初はその程度の説明しかなかったが、復帰の意思を聞いた古巣の恵比寿が小鍛治健夜獲得に乗り出し、その他のチームも名乗りを上げ……

そんな中、事件は起こった

軽快なトークと小鍛治弄りで好評だった『ふくよかすこやかインハイレディオ』はインターハイ終了後も『ふくよかすこやか麻雀レディオ』と名を変えて、プロから学生の大会まで幅広く取り扱う麻雀情報番組として存続していた

――ある日のオープニングトーク

恒子『――で、すこやんはさぁ、なんで急に第一線に復帰するとか言いはじめたわけ? やっぱり地上最強の力を見せつけて頂点に君臨したくなったとか?』

健夜『なにがやっぱりなの!? そんな願望ないよ!』

恒子『えー? じゃあなんだろ……つくばの年俸が気に入らない? 私の価値に釣り合いません的な?』

健夜『私自分からつくば行ったんだよ!? お金の問題じゃないよ! それにこれまで散々稼いだからお金にも困ってないし!』

恒子『ナチュラルに自慢したねー……じゃあ、つくばが持ち直したから? 移籍するつもりはあるの? 世間を騒がせてるけど!』

健夜『うーん……たしかに、チーム自体はかなり持ち直したから私が抜けても普通にやっていけると思うけど……私はつくばが好きだし、対局に余程影響が出たりしない限りはこのままやっていきたいんだけど……』

恒子『じゃあお金とかじゃなくって麻雀打ちたいんだね! 今年のインハイで熱くなった? 宮永照ちゃんとか凄かったもんね! U-18代表入り、プロ入りは確定って騒がれてるし! でもすこやんなら負けないでしょ?』

健夜『まあ、彼女は凄かったね……たしかに、まだ負けはしないと思うけど』

恒子『あ、他にも咏ちゃんとは対局経験無かったよね? どっちが日本最強か! なーんて決着つけようの無い不毛な議論がネットとかでは毎日のように繰り広げられてるよ?』

健夜『ああ……咏ちゃんとは打ったことないね。 たしかに一回ぐらいは打ってみたいなぁ』

恒子『……その口ぶりだと忘れてた? それじゃあ、はやりんとか理沙ちゃん目当てかぁ……二十年前のインハイで『十年多いよ!!』 あーごめんごめん。 とにかく、打ったんだよね? 今年のインハイの個人戦前にプライベートで打ったって言ってたし、そこら辺がやっぱりでかいの?』

健夜『そうだね……やっぱり私のなかでも思い出深い一戦だったし、またみんなで打ちたいっていうのが大きいかな……赤土さんもプロ目指すって言ってたし……』

恒子『なーんだ、やっぱりハルちゃんがお目当てかぁ……学生時代にすこやんに唯一一発入れたのもハルちゃんだもんね……どうだったの、その対局? 未だに結果教えてくれないよねー』

健夜『いい勝負だったよ……あの時赤土さんが和了ったときには流石に私も…………ってこれラジオだよ!? プライベートなことはいろいろ喋らせないでよ!?』

恒子『はいはい、それじゃあ今週のリーグ戦とタイトル戦の日程だけど……』

309 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/22(月) 20:14:02.30 ID:ei+AzaAK0

『小鍛治健夜が第一線に復帰するのは赤土晴絵と打つため』

そんな話がインターネットを中心に広まり、地元奈良や実業団時代に拠点としていた福岡を中心に赤土晴絵のファンが盛り上がりはじめ、気がつけば週刊紙やらテレビやらでも取り上げられる始末

私自身のプロ入りに関しても、尾ビレに背ビレに鱗に翼に角まで余計なものが付きに付いて、結局客寄せになるとの判断か多くのチームから声がかかったり、記者に追い回されたり……いろいろと面倒が重なった結果、長いこと勧誘も受けていたし恩義もある瑞原プロの大宮と契約することになった

ずっと世話を焼いてくれていた熊倉さんは、あんまり話題になりすぎたせいで私を使っていろいろと企んでいた計画に支障が出たのか出直すといっていた

U-22の監督でもやるかねぇ……とかなんとか言って、今はインカレの方を中心にいろいろ探っているみたいだ

……代表の監督ってそう簡単になれるもんなのか? あの人ならたしかになんとでもしそうだけど……

とにかく、去年面倒を見ていた宮守のメンバーは全員進学しているようだし……弟子たちを使って数年後にまた旗揚げでもするんだろう。 また声かけるよ、とか言ってたけど……うん、どうしよう……まあ、それはその時に考えればいいか

まあ、その話はさておき……小鍛治さんは冬頃から個人で参加できる大会には軒並み参加、個人タイトル戦にも復帰……したものの、ここ数年はずっと地方リーグに籠っていたせいで順位はほとんどランク外まで落ちている

日本最強の呼び声高い小鍛治健夜が各タイトル戦の一次予選やら二次予選に顔を出して新人や中堅どころを轢殺していくという恐ろしい事態が発生

上の方は上の方で、小鍛治健夜の復帰で火が着いたのか対局への入れ込みようが一段違う。 特に、現在の日本代表エースでもあり、これまた日本最強の呼び声高い三尋木咏は実質『三尋木より赤土と打ちたい』発言により燃えに燃えていた。 持ち味のその火力で横浜ロードスターズの優勝を決め、小鍛治健夜を名指しで宣戦布告。 プロ麻雀界は、今までにないくらい……それこそ、数年前に小鍛治健夜が九冠を達成した時以上に荒れている

晴絵「…………はぁ……なんか、疲れるなあ……」

菫「ふふ……気にしちゃいけないんでしょう? 自分のペースでしっかり打ってくださいよ。 誕生日に地元で対局、公式の場での十一年越しのリベンジ……燃えるじゃないですか」

晴絵「まあなぁ……とはいえ一次予選で全国中継だぞ? やっぱりおかしいって……マスコミは宿命のライバルだのなんだの好き勝手に騒ぎ立てるし……いや、ライバルだと思ってるけどさあ……」

別にビビってるわけじゃないけど、やっぱり小鍛治さんは強い。 圧倒的に強い……そりゃあ勝つつもりだけど、プロ入り早々にここまでやられると……やっぱり、プレッシャーだ

気持ち的には早くて二年先、遅くても四、五年先にタイトルを争えれば上々だと思っていただけに……数ヵ月間で多くのタイトル戦(予選だけど)で争うことになるなんて……

小鍛治さん、どんだけ地方に引きこもってたんだろ……
310 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/22(月) 20:14:58.57 ID:ei+AzaAK0

はやり「どうしたの? ふたりしてちょっと暗いぞっ☆」

晴絵「瑞原さん……お疲れさまです」

菫「お疲れさまです、瑞原プロ! 今日も素敵でしたっ!」

はやり「ありがとっ! すみれちゃんも今日の対局よかったよっ☆」

菫「は、はいっ! ありがとうございますっ!」

晴絵「ほら、菫はちゃんと仕事できてるからいいんだよ。 自信持ちな」

菫「はい……ハルちゃんも、いっそ小鍛治プロを倒しちゃえばいいんですよ。 そうすれば今の……過大評価が気持ち悪い、なんて状況でもなくなりますから」

晴絵「他人事だと思って簡単に言うなよな……あの小鍛治健夜だぞ?」

はやり「はやりや理沙ちゃんはプロ入り当初から散々やりあって勝ててないから……打倒小鍛治健夜の期待は、はるえちゃんとうたちゃんに集中してるみたいなんだよねー」

晴絵「一撃入れたとはいえ惨敗してるんだけどなぁ……」

菫「わ、私は瑞原プロだって小鍛治プロに充分対抗できると思ってますよ!?」

はやり「ふふふ……はやりも当然負けないつもり……ううん、勝つつもりだけどねっ☆ 対戦の機会の多いはるえちゃんが羨ましいなぁ」

晴絵「はは……たしかに、対戦の機会に恵まれてるのはうれしいですけどね。 小鍛治さん相手なら、どっかで一回でも勝てればヒーローだ」

はやり「……もう! 忘れちゃダメでしょ? はるえちゃんは阿知賀のレジェンドなんだから!」

晴絵「う……だからそろそろレジェンドは勘弁……」

はやり「いいから聞きなさい! 憧ちゃんや灼ちゃんたちをはじめとして……それ以外のファンのみんなにとっても、はるえちゃんはもうヒーローなんだよ? そんな風にどこかで勝てたら……なんて気構えじゃ応援してくれる人たちにも失礼だし、はるえちゃん自身のためにもならないぞ? これからすこやちゃんと当たる対局、ぜーんぶ勝つつもりで臨まなきゃっ☆」

晴絵「……瑞原さんと話してると、しっかり頑張らなきゃって思いますよ、本当に」

はやり「そう言ってもらえるとうれしいなっ☆」

菫「はやりんと同じチームで本当に幸せです……! ハートビーツに入れて良かった……!!」

はやり「ふふふっ……もう、大袈裟なんだから」

菫「大袈裟だなんて、そんなことは……!」

はやり「でも、はやりもすみれちゃんがハートビーツに来てくれてうれしいよっ☆ これからも一緒に頑張ろうね!」

菫「――――――」

晴絵「瑞原さん、菫が昇天しちゃうんでその辺で……」

はやり「はや〜?」

311 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/22(月) 20:15:47.34 ID:ei+AzaAK0

はやり「すみれちゃん、大丈夫?」

菫「は、はい……幸せです……死にます……」

はやり「冗談でも死ぬなんて言っちゃダメっ! それに、もしすみれちゃんがいなくなっちゃったら……はやりは寂しいな……」

菫「す、すみません! 生きます! はやりんのためにも生きます! 」

晴絵「…………瑞原さん、わざとやってるんですか?」

はやり「はやっ?」

晴絵「……なんでもないです。 まあ、菫も幸せそうだしいいか……」

のぼせて倒れた菫が、瑞原さんの膝を借りて休んでいる……台詞の通り、今すぐに昇天しても後悔の無いような幸せそうな表情で

はやり「あっ! はるえちゃん写メ撮って! ブログに載せるから! チームメイトのすみれちゃんと仲良しだよっ☆ って!」

菫「は、はやりんと仲良し……私が、はやりんと……!」

晴絵「……はい、じゃあ撮りますよー」

……瑞原さんは、アイドルとしてもプロ雀士としても大人気だ。 ブログなんかもマメに更新していて、ふたつの顔の宣伝に使う以外には友人やチームメイトとの出来事を書くことが多い。 最近は、もともと繋がりがあった私や、世話を焼いている新人の菫が登場することが多くなっている

……そして、蕩けきった表情で瑞原さんに膝枕をされている菫は……今ではすっかり人気者だ

…………その、そういう、アレ的な意味で

312 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/22(月) 20:17:26.32 ID:ei+AzaAK0

ハートビーツに入団が決まった菫は、王者白糸台の部長らしくしっかりと挨拶をし、期待の新人として世間でも期待されていたのだが……



はやり『……あれ? すみれちゃんなにしてるの?』

菫『応募したチケット当選していたので! お願いします!』

はやり『うん……いつも来てくれてうれしいけど、これからはたぶん、いつでも会えるのに……』

菫『ファンなので! イベントには来たいじゃないですか!』



ハートビーツ期待の新人弘世菫、はやりんの握手会に並んでいる姿が目撃される

これをきっかけにインターネット上で『今までもはやりんのイベントで見かけたことがある』だとか『ライブの時物販ですごい量買ってたのたぶん弘世菫』だとか次々と目撃情報が寄せられ、後半にはネタなのかなんなのかわからない情報まで書き込まれる始末

しまいには白糸台には弘世菫のファンクラブが存在し、弘世様と呼ばれて慕われている、なんて情報まで出てきてしまい……

いつの間にか、弘世菫のネット上の立ち位置は『王者白糸台を率いていた期待の新人』から『はやりんファン代表兼任選手弘世様』になってしまっていた

団体リーグ開幕から約三ヶ月経った今では、実際にヒーローインタビューやチームの主催するイベントなどで発言する機会があると、はやりんファンなのがわかってしまう発言もちょくちょく見られるし、団体戦で瑞原はやりがオーダーされた日に出番があると仕事をする率が上がるというデータがあること(まあ、これは単純にエースの瑞原さんが稼いだ後に出番が来ると狙い撃ちも活きるという単純な話……いや、そりゃあ対局室入る前に『頑張ってね、任せたよすみれちゃんっ☆』なんて言われてテンションは上がってるだろうけど)……こういう要素が積み重なって一部のプロ麻雀ファンから完全におもちゃにされている

……まあ、例を上げれば小鍛治さんがアラフォーの大魔王……みたいな、そういうネタの類いとしてキャラ付けされてしまったということだろうけど……ちょっと、いやかなりかわいそうだ

まあ、プロになった以上こういうのは多少は仕方がないんだけどね……私自身、十一年前のインターハイのことが話題になったせいで、準決での死にそうな顔してる画像とか出回ってネタにされてるみたいだし……

…………こういうのは考え出すとキリがないし、やめとくか

晴絵「……はい、撮りましたよ」

はやり「ありがとっ!」

菫「あ、ありがとうございます……一生の宝にします……」

晴絵「……菫はここ最近で一生の宝増えすぎだろ」

菫「充実した日々を送っています!」

晴絵「……だろうね」

……菫は、元来目立つのも嫌いじゃないみたいだし、はやりんファンであることを隠さなくてもよくなってしまったことで……もしかして、むしろストレスから解放されたんじゃないか?

麻雀に関係ない場面ではいつも楽しそうだ。 本当に充実しているんだろう

…………それにしても、菫はすっかり弘世様として大人気だし、照は照でデビュー戦……灼の誕生日にやらかして、白糸台の新エース淡は雑誌の取材でアホがバレて……白糸台にはアレな奴しかいない、なんて噂になってるけど大丈夫なんだろうか……? 誠子の身体が心配だ……尭深がしっかり支えてやってくれてるといいけど

313 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/22(月) 20:18:18.57 ID:ei+AzaAK0

晴絵「……ああ、それじゃあ私はそろそろ行きますね。 明日は奈良なんで」

菫「前日入りですか? ……ああ、地元ですしね」

晴絵「うん、世話になった人たちもいるしさ……挨拶してくるよ」

はやり「明日は雀聖戦の一次だよね? はやりはイベントで応援行けないけど……頑張ってね! すこやちゃんにもよろしくねっ☆」

菫「はぁ……はやりんのイベントと対局が被るなんてついていない……」

晴絵「なんで行く気満々なんだよ……菫は明日は首都圏だから移動は無しか」

菫「はい名人戦の一次リーグです。 瑞原プロと明日は会えないのが残念です……」

はやり「もう、すみれちゃんは寂しがり屋さんだなぁ……それじゃあ、イベントが早く終わったら会場まで応援に行くね?」

菫「頑張って対局長引かせます!!」

晴絵「いや、頑張って勝てよ……」

はやり「あ、試合が終わって時間があったら一緒にご飯食べに行こっか?」

菫「速攻で対局終わらせます!!」

晴絵「……うん、狙い撃ちが得意なんだから最下位をトバしちゃえばいいんじゃないかな……一次予選ならそこまで圧倒的に強い奴もいないだろ」

菫「……ハルちゃんや小鍛治プロがいるんですがそれは」

はやり「てるちゃんとか、新人さんも今年はすごいからねー」

晴絵「新人組で菫と相性悪いのは愛宕洋榎とか福路美穂子とか、そこら辺か……まあ、インハイで顔も会わせてるし対策は考えてあるだろ?」

菫「嗅覚や観察力の強いところは狙いを察知してきますからね……まあ、当たったら当たったでなんとかしますよ。 それができなければ、この先は無いですし……」

はやり「うんうん……はやりもいつでも特訓付き合うからね!」

菫「!!」

晴絵「…………菫はハートビーツにいる限りモチベの維持が簡単だから伸びるだろうなぁ……」

314 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/22(月) 20:19:16.43 ID:ei+AzaAK0

――――――

望「おかえり。 運ぶよ」

晴絵「ただいま。 悪いな、助かるよ」

望「足にするつもりで連絡したくせに……で、どう? 勝算は?」

晴絵「んー……こっちまで来る間に牌譜とか見直してたけどさ……小鍛治さん、やっぱ化物だわ」

望「インハイの時は余裕で倒すとか言ってたのにねぇ」

晴絵「あの頃は、実際勝てるつもりだったんだけどな……」

望「世間も盛り上がってるわよ? 楽しいでしょ?」

晴絵「そこそこねー……いや、プロ初対決が地元とかさすがにプレッシャーだけどな」

望「後援会の人とか、麻雀クラブの子とか、みんなうちに集まってるから顔出してってね」

晴絵「もとから挨拶するつもりだったから大丈夫だって……明日対局だし、飲まないぞ?」

望「ま、大一番が控えてるからねぇ……おじさま方は残念がるでしょうけど」

晴絵「小鍛治さんに勝ったらまた宴会でも開いてもらうさ……憧たちはどうしてる? 麻雀部はどうだ? 望がいろいろ手ぇ回してたんだろ?」

望「晴絵が抜けたせいで私にお鉢が回ってきてね……結局、今は地区予選前から外部からのコーチ扱いで麻雀部見てるわよ……晩成に勝ったのは知ってるでしょ? なんとか地区大会は抜けたけどどうなることやら……」

晴絵「ほんと、ギリギリだったみたいだね……牌譜見たけど、巽さんは怖かったね。 しずの支配が効く前に一回ひっくり返されたもんなぁ」

望「それに、玄ちゃんががっつり対策されてたのもキツかったわ……そこら辺は流石の晩成って感じ」

晴絵「手牌の偏り大きいからね……初見から一年だもんな、そりゃあ対策されるわ」

望「最悪、ドラ切りも視野にいれてって作戦だったけど、切ったら切ったで辛くなるからね……スイッチが目に見えてるのも難しいわ……基礎力も高いからなんとかなると思ってたけど、晩成やっぱ強いわー」

晴絵「去年は情報の勝利だったからね……やえはよく初見で玄に対応したよ」

望「小走さん……あの子も今はプロだもんねぇ……成績も新人としてはかなりいいわよね」

晴絵「同じチームに照がいるから霞んでるけどな……それでも、あの子は凄いと思うよ」

315 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/22(月) 20:20:27.80 ID:ei+AzaAK0

世間話を交わしながら望の運転する車にしばらく揺られる

数ヵ月前までここで生活していたのに、随分と久しぶりに感じるのはそれだけプロとして麻雀に打ち込んでいた毎日が充実してたと言うことだろう……年取ったとかじゃないよな、うん

望「……みーんな楽しみに待ってるからね、赤土先生が帰ってきて小鍛治プロ倒すーって」

晴絵「いきなりプレッシャーかけんなよ……」

望「穏乃ちゃんも桜子ちゃんたちもすっごい盛り上がってるからさ……大歓迎されるから、覚悟しといてよ?」

晴絵「わかったよ……ま、望むところさ。 明日のためにもみんなに元気をもらっとくわ」

望「しっかりね……はい、到着」

晴絵「どーもっ」

望「大部屋の方は宴会してて……昔、憧や穏乃ちゃんに麻雀教えたりした部屋覚えてる? あっちの方で子どもたちは打ってると思うわ」

晴絵「忘れるわけないだろ? 望の家なんて私の家みたいなもんだ」

望「卓もあるし入り浸り立ったもんねぇ……」

晴絵「んじゃ、先に挨拶だけして子どもたちのとこ行くよ。 長居すると飲まされそうだし」

望「対局明日なのに気が早いわよねぇ……ま、それだけ期待されてるってことだから」

晴絵「だからプレッシャーかけんなって!」

望「もとからプレッシャーには強い方でしょ? グイグイかけとかないと緊張感でないかなーって」

晴絵「はぁ……ま、どのみち小鍛治さんと相対したらとんでもないプレッシャー喰らうから今のうちから慣らしとくかぁ」

望「みんなの期待背負ってるんだから、そういうの再確認しときなさい? 心の支えは多い方がいいわよ」

晴絵「……あの時は折られちゃったけどさ、今度は大丈夫だよ。 心配すんなって」

望「それなら、ちゃんと安心させてよね」

晴絵「明日の対局で存分に安心させてやるさ」

望「……そうやって自信満々の方がカッコいいわよ、阿知賀のレジェンド」

晴絵「…………やっぱり、一生言われるんだろうなぁ」

望「ここらの雑誌とかでも、小鍛治プロを倒して阿知賀のレジェンドに新たな一ページが刻まれるのか! とか書かれてたわよ?」

晴絵「……プロ麻雀カードの撮影の仕事来たけどさ、称号はやっぱり阿知賀のレジェンドだったよ……」

望「あははっ! まあ、既に浸透しちゃってるから仕方ないわねー」

晴絵「仕方ない、よなぁ……」

316 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/22(月) 20:21:39.80 ID:ei+AzaAK0

――――――

晴絵「すみません、それじゃあ子どもたちのところにも顔出してくるんで……」

「おう! 明日は頑張れよ、ハルちゃん!」

「期待してるぞー!」

「みんなで応援行くからな、ハルちゃん!」

晴絵「ありがとうございます! 今度こそ勝って見せますから!」

新子家には、相当な人数が集まっていた……神社よりもいっそ松実館の広間でも借りた方がよかったんじゃ……ってほどだ。 私が勝ったら松実館で宴会するらしいけど。 うん、みんな気が早いよ……

因縁の小鍛治さんとの対局を控えているだけあって、地元のみんなもそうとう気合を入れて応援の準備をしてくれていたようだ

高校時代……いや、それこそ小学生の時に露子さんに麻雀を教えてもらって……全国大会に出場した頃から、ずっと応援してくれてる地元の人たちだ

特別な相手との対局を地元で戦えるというのは、正直ありがたい……無条件で応援してくれる味方がこんなにいるなんて、やっぱり心強いよな

渡り廊下を歩いて宴会場の喧騒が遠退くと、今度は子どもたちの声が聞こえてくる

綾「ここはこっち切りであってますよね、新子先輩?」

憧「あってるけど、新子先輩は気持ち悪いって。 昔通りでいいから」

穏乃「礼儀正しいのはいいことだけど、私たちにまでかしこまらなくていいってば」

綾「そ、そう……?」

よし子「っていうか憧ちゃん阿太峯OGだよ? 後輩の面倒見てくださいよ新子せんぱーい」

憧「はいはい……まあ、みんな小学校は一緒だから先輩は先輩だけどね」

ひな「先輩って呼ぶの、なんか違和感ー」

桜子「憧ちゃんは憧ちゃんだし玄ちゃんは玄ちゃんだよねー」

玄「まあ、今さらだよねぇ」

宥「……なんだか、ちょっと寂しいね」

灼「こればっかりはどうしようも……」

凛「別に、宥さんも灼さんもみんなと変わりないですって!」

春菜「阿知賀でインターハイ行った自慢の先輩だしねー」

未来「レジェンド二世だもんね!」

みんな仲良くやってるみたいだな……灼も宥も、麻雀教室やってた頃の生徒たちともしっかり溶け込んでるみたいだし……

317 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/22(月) 20:22:23.78 ID:ei+AzaAK0

穏乃「お! カッコいいじゃんレジェンド二世! 五人いるけど誰が名乗る?」

憧「……カッコいいかぁ?」

玄「部長の灼ちゃんでいいんじゃない?」

灼「え……うん、それじゃあ……うん……」

宥「複雑そうな顔するね……」

灼「……ハルちゃんはカッコいいけど、阿知賀のレジェンドはちょっと……」

綾「ですよね……」

あ、これ言われると辛い。 私も思ってるだけに辛い。 別に自分で名乗ったわけじゃないんだぞ? マジで……いや、ほんとマジで

桜子「私はカッコいいと思うよ! レジェンドだよレジェンド!」

穏乃「ね! レジェンドだよ、レジェンド! 伝説だよ!?」

憧「いや、しず……それ何一つ情報増えてないし説得力増してないから」

……なんか、このままレジェンド談義が始まったら出ていきにくくなりそうだし早いとこ声かけ……

桜子「あっ! 赤土先生!!」

灼「えっ?」

あ、見つかった

晴絵「……よっ! 久しぶりだなみんな、元気してたか?」

「ハルちゃ「土先生「ルエ久しぶ「えりなさ「せんせー!!」

晴絵「全員で一斉に喋るなって! あ、こら! 飛びつくな! 登るな! お前ら、直に中学……うぉ重っ……ぐえっ!?」

灼「…………だいじょぶ?」

晴絵「…………な、なんとか……って言うかしずまで飛びつくなよ……いくらちっこいとはいえ……」

穏乃「あはは……すみません、流れに乗りたかったというか、ついテンション上がっちゃって……」

318 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/22(月) 20:23:14.27 ID:ei+AzaAK0

晴絵「まあ、元気そうで安心したよ……インハイ出場も決まったな、おめでとう!」

玄「ありがとうございます! ……とはいえ晩成戦は、私全然だったんですけど……」

灼「そんなことない、玄は頑張ってくれたよ」

玄「灼ちゃん……!」

憧「まあ、稼げてはいなかったけどね」

玄「はぅ……」

憧「いいのよ、対策されるのも折り込み済だったんだし……結果的にはギリギリとはいえ勝ったんだもん」

桜子「穏乃ちゃん、かっこよかったよ!」

穏乃「へへ……そう? いや、巽さんの気迫には正直ちょっとビビったけどね……春の時よりも強くなってたし……!」

宥「燃えてるねぇ、穏乃ちゃん」

穏乃「そりゃあ、奈良代表として巽さんたちの分まで背負って行くわけですから! 今年こそ全国優勝しますよ!」

憧「当然! わざわざ負けに東京行ってらんないからねー」

玄「今年は、ちゃんとエースの仕事しないと……」

灼「後ろに私たちもいるんだし、気負わなくていいよ……頼りにしてるけど」

晴絵「……やっぱりインハイは青春って感じするよなぁ」

宥「そうですね……私は去年の一回だけだったから、残念です」

晴絵「とかなんとか言いつつ、大学生だって充分青春できるだろ? インカレだって出てるし……楽しいか?」

宥「はい……園城寺さんも一緒ですし……勉強も、遊ぶのも、麻雀も……とっても充実してます」

晴絵「……彼氏とかできた?」

宥「あ、いえ、私はそういうのはちょっと……」

晴絵「あらら、そりゃ残念……」

319 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/22(月) 20:24:03.65 ID:ei+AzaAK0

宥「……私、昔からちょっと籠りがちというか……そういう子だったから、阿知賀で麻雀部に入ってからすごく世界が広がったんですよ」

宥「うーん……だから、今はお友だちと遊んだり麻雀したり、そういう方をもっとしたくて……男の人とかは、もうちょっと後かなぁって……」

晴絵「……私から言えるのは、あんまり後回しにすると後悔するぞ、ってことだな」

宥「あー……肝に銘じておきます…………」

学生の時はちょこちょこそういう話もあったけど、熊倉さんに誘われて福岡行ってからはひたすら麻雀で、今も麻雀最優先だしな……今さらこの生き方も変えられないというか……うん

憧「でも、もったいないよねー」

宥「え?」

憧「宥姉、園城寺さんとだいたい一緒にいるんでしょ? なんとなく属性被ってるけど……そういうの好きそうな男めっちゃ集まってきそうだし」

宥「う、うん……その、よく声はかけられるんだけど……こう、グイグイ来る人はちょっと怖いし、苦手かなって……それに、怜ちゃんが結構そういうの躱すの上手で、逃げ回ってるというか……」

憧「一回ぐらい付き合ってみりゃいいのに」

晴絵「……憧はほんっと、人のことになると慣れてる感出してくるな」

穏乃「彼氏いたことないでしょ」

憧「う、うっさいわね! いいでしょ別に!」

晴絵「じゃあ、宥はともかくとしてみんなはどうなの? そういうお話聞かせてくれよ〜」

憧「なっ……! そ、そういうハルエはどうなのよ!?」

晴絵「……なんもないよ。 なんもないよ、うん」

憧「……ごめん」

320 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/22(月) 20:25:25.04 ID:ei+AzaAK0

未来「凛ちゃん、この前告られてたよね」

桜子「あー……あったねそんなこと」

晴絵「へ?」

凛「あー、あれね……ちょっとガキっぽくて趣味じゃなかったからフッたー」

春菜「同い年くらいの男子ってほんと子どもだよねー……ただ遊ぶ分にはいいけどさー」

ひな「そういえば綾ちゃん、こないだの……」

綾「だからあれは本当にそういうんじゃなくって、小学校卒業ぶりにたまたま会った男子と話してただけで……」

よし子「綾は昔からモテるじゃん……相手はそういうのかもよー?」

晴絵「……今どきの小中学生って進んでるな……おい、お前らはなんかないの?」

穏乃「ないです!」

灼「そういう話にはあまり縁が……」

晴絵「あ、そう……で?」

憧「な、なな、なんでこっち見るのよ!?」

晴絵「いや、順番?」

穏乃「順番だね!」

灼「憧と玄、どっちから?」

憧「わ、わわ、私は、その、べ、別に……く、玄! 最近どうなのよ!?」

玄「え、その……えへへへ……」

憧「え、なにその笑いは……? ……し、進展してるの!? 私を差し置いて!?」

灼「いや、そりゃあ憧よりは圧倒的に障害少ないし当然だと思」

穏乃「うまくいってるんですね!」

宥「そういえば玄ちゃん、最近よく電話してるよね」

玄「あ、それは半分くらい灼ちゃんだけど……」

憧「関係ないんかい!」

灼「県大会前に作戦いろいろ練りたくて……」

憧「……え? 玄と相談してたの?」

玄「え、ちょっと、なんで不思議そうな顔してるの?」

憧「いや、だって……ねぇ?」

穏乃「こっちに振られても困るんだけど……」

321 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/22(月) 20:26:05.86 ID:ei+AzaAK0

晴絵「まあまあ……気持ちはわからなくもないけどな」

玄「赤土先生まで!?」

晴絵「で? 逆に言えば電話のもう半分は灼じゃないんだろ?」

憧「……ってことはもしかして!?」

玄「その残りのうちの半分は憧ちゃんや穏乃ちゃんが相手だけど……」

穏乃「他愛もない話よくしてますもんねー」

憧「もう電話関係ないじゃん! なんだったのこの時間!?」

晴絵「あー……ほら、残りのもう半分ぐらいなんだろ?」

玄「えー? ふふ、その……えへへ」

憧「ああもう! なんなのよ! もったいぶらないで最初から話せばいいじゃないのよ! 聞いてほしいなら聞いてあげるから!」

玄「いや、別に……本当に、ちょっと電話してお話しするくらいだから……」

憧「今までとたいして変わってないじゃん!」

灼「いや、玄から直接電話するようになったならだいぶ進歩したと思……」

穏乃「前は一さん中継してましたもんねー」

憧「……とはいえ、世間話して終わりなんでしょ」

玄「まあ、そうなんだけどねー……えへへへ」

憧「だからそれじゃあ変わってないでしょ!? にやにやするのやめなさいよ! なんか負けた気分になるから!」

322 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/22(月) 20:27:54.14 ID:ei+AzaAK0

玄「でも、最近は萩原さんからも連絡くれるんだよ?」

憧「えっ」

玄「毎週火曜日と金曜日の夜九時に……」

宥「ああ……それで毎週その時間になるとにこにこしながら部屋に戻ってたんだぁ」

穏乃「規則正しいなぁ……」

灼「時報かなにか?」

憧「ってちょっと!? な、なんでそんなことになってるわけ!?」

玄「その……勇気を出して電話してみたら、結構ちゃんと話せてね? 最初は月に一回電話するぐらいだったのが、ちょっとずつ回数が増えていって……」

晴絵「今はどんくらいの頻度なの?」

玄「んと、週に二、三回ぐらいですね……それで萩原さんが、『いつもお電話をいただいてばかりでは心苦しいですから』って……」

憧「そんな……私、メールとかならともかく……電話なんて週単位で数えると一さんが急にトスしてくれる電話でぐらいしか純さんと話せてないのに……」

玄「国広さん優しいよね……私も週に一回ぐらいはそれで萩原さんとお話ししてるよ〜」

灼「……ね、気になることがあるんだけど」

玄「なぁに?」

灼「それってほぼ毎日連絡取り合ってない?」

323 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/22(月) 20:29:12.30 ID:ei+AzaAK0

穏乃「え? ……あ、ほんとだ! 最低週五回ペースですね!」

憧「もう! なによもう! 付き合ってるようなもんじゃん!」

玄「え? えへ、そんなこと……えへへ……ないよー? ふふふ……今はお友だちだもん……えへへ」

憧「くそぅ……当然応援はするけど……なんでこう、こう……」

晴絵「……とはいえ、聞いた感じ綾とか凛たちの方が進んでそうだけどな……」

宥「……憧ちゃんは、どうなの?」

憧「え!?」

穏乃「だから順番だってば」

玄「私は正直に話したよ〜?」

憧「……わ、わわ、私は……その……」

晴絵「…………」

今まで、お洒落で頼りになるお姉さんの枠だっただけに、中学生以下の年少組たちもひっそりと注目している……憧は既に軽くテンパってて気づいてないみたいだけども

……さっきまでこっちの話を聞きながら「そんなもんかー」「玄ちゃんらしいよねー」なんて話をしてた辺り、どう考えても玄よりも経験値は高そうだ

……私の頃とは時代が違うんだなぁ……小学生の頃とか、男子と……うん、外で遊んでたくらいだな。 しかも三年生の後半辺りには松実館で露子さんに麻雀教わってたし

憧「わ、私は! この間の誕生日にベッドを共にしてるから!!」

324 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/22(月) 20:30:00.34 ID:ei+AzaAK0

憧の衝撃発言に年少組が沸く

綾「おぉ……さすが、大人だ……」

凛「憧ちゃんすごいなぁ」

ひな「詳しく聞いてみたい所存ー」

憧「なな、なに言ってんのよ! あんたたちにはまだ早いわよ!」

晴絵「……また変に見栄を張って」

灼「一応事実らしいよ」

晴絵「……マジで? いろいろ大丈夫なのか?」

穏乃「とはいえ、抱き枕にされてただけですよ? 朝方部屋に戻ったら純さんにがっつりホールドされてて……」

玄「あー……なんか、あの日の試合見てる間憧ちゃんずっと眠そうだったよね」

灼「というか途中寝てたよ。 せっかくのプロの試合観戦だったのに……」

穏乃「一睡もできなかったみたいですから……私は一さんと話してるうちに眠っちゃって……目が覚めて部屋に戻ったら憧が純さんに「ちょ、しず! な、なに言ってんのよ私はなにもしてないわよええしてませんともしてないったらしてないわよ!!」

宥「……憧ちゃん、なにしてたんだろ……」

玄「さぁ…………?」

灼「どうせ、寝込みを襲うチャンスだなーとか「おおお、思ってないし!」……キスぐらいできるんじゃないかとか「そそそそんなことするわけないでしょ!!」……思っただけで結局なにもできなくて「できなかったんじゃなくてしなかったの!」……抱き締められるがままに純くんの「なな、なんにもしてないってば! ちょっと抱き返したりとか匂い嗅いだりとかそういうのも一切無いから!!」

灼「……これはアウトですね」

晴絵「憧……お前なあ……」

憧「な、なによ! なんもしてないって言ってるじゃん!!」

穏乃「そうそう、それくらいにしといてあげてくださいよ……憧だってあの日は興奮して眠れなくて大変「こここここ興奮とかしてないから!!」……今も興奮してるじゃん」

……それにしても、自分で聞いたはいいものの……こう、虚しいなぁ……

楽しそうにやっててなによりだけど、私はそういうの無かったし……今も無いし

325 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/22(月) 20:30:45.33 ID:ei+AzaAK0

憧「そ、そんなことより! ハルエは調子どうなのよ!? 小鍛治プロとの対局でしょ!?」

憧があからさまに話を逸らしにかかってくる……まあ、あんまりいじるとかわいそうだし乗ってやるか

晴絵「ああ……調子はかなり良いぞ? 小鍛治さんとの対局は相当意識してるからなあ……プロ入り初の直接対局だし、勝つために調整してきてるつもりだよ」

綾「頑張ってくださいね、赤土先生!」

桜子「横断幕も作ったから、みんなで会場まで応援に行くよー!」

ひな「絶対に勝ってほしい所存ー」

晴絵「ま、勝つつもりで行くからさ……応援頼むよ」

穏乃「もちろんですよ! みんなで声出す練習もしたしね!」

凛「ばっちり完璧だよね!」

憧「対局室には届かないけどね……」

玄「気持ちの問題だよ〜」

未来「赤土先生見てください、ほら! こっちの雑誌には小鍛治健夜の宿命のライバルって……」

よし子「こっちには小鍛治プロを倒す候補の筆頭って……」

春菜「すごい盛り上がってますよー!」

晴絵「……うん、それは盛り上がってるというか話盛ってるというか……」

宥「……そういえば、こうやって世間が盛り上がってるわりには……瑞原プロみたいな売り方はされてないですよね?」

晴絵「ああ……勝手に騒がれてるからむしろメディア露出抑えて……って方針なんだと。 隠しとけば、世間は今みたいに好き勝手に想像して盛り上がるからね……」

灼「……そういう売り方で行くんだね」

晴絵「明日の小鍛治プロとの対局日からグッズとか売り出すらしいんだけど……」

灼「それは知ってる。 貯金下ろしてきた」

晴絵「……うれしいけどさ、別に要らなくないか? こうやって会って普通に話もしてるんだしさ……」

灼「私はハルちゃんのファンだし、それとこれは別だから」

晴絵「そういうもんかぁ……?」

灼「弘世様「あ、うん、すごいわかったわ。 サンキュー灼」

326 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/22(月) 20:31:39.25 ID:ei+AzaAK0

晴絵「……とにかくさ、これって実質チームからすごいプレッシャーかけられてるんだよな……わざわざ初対局地元に合わせてグッズの売り出しも合わせて……」

宥「……負けられない感じになってますねぇ」

穏乃「勝っちゃえばいいんですよ!」

晴絵「そりゃそうだけど……簡単に言うなよなー」

憧「……真っ向勝負するの? 正直、ハルエでもけっこうキツいと思うけど……」

望「まあ、真っ向勝負しないで勝ってもちょっと盛り上がりに欠けると思うわよ〜?」

憧「あ、お姉ちゃんおかえりー」

望「ただいま……はい、みんな飲物」

玄「あ、すみません、ありがとうございます」

望「いえいえ、お気になさらず……で? どうすんの?」

晴絵「……小鍛治健夜は国内無敗。 他家をトバすなりなんなりして勝っても充分だとは思うけど……」

灼「そもそも、それが難しい」

晴絵「そそ……小鍛治健夜のいる卓でそんなことする余裕があるのかって話だ……それに、卓を囲むのは四人のプロ。 簡単にやられてはくれないさ」

穏乃「明日の面子もなかなか豪華ですよね……赤土先生に小鍛治プロ、藤白プロに白水さん……白水プロですもんね!」

憧「……最近は麻雀の中継見ると顔見知りが打ってること多くてちょっとビビるわよねー」

宥「私、藤白プロに会ったことあるよ〜」

灼「……ああ、園城寺さん繋がりですか?」

宥「うん、千里山の方で……とは言っても、怜ちゃんが一年生の時は三軍だったから藤白プロとはあまり親しくはなかったみたいだけど……」

玄「あれ、藤白プロってまだ一次予選にいたの? 他のタイトル戦は三次とか決勝リーグに出てるよね?」

晴絵「去年の雀聖戦、海外遠征で欠場してたんだよ……三年前に千里山でエース張ってて、プロ入りしてからも結果出してる……愛宕元プロの教え子だし、牌譜もかなりあるから事前情報はバッチリだけど油断はできないな……」

327 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/22(月) 20:32:31.85 ID:ei+AzaAK0

玄「白水さんはどうでしょう?」

晴絵「哩とは久々に顔会わすんだよなぁ……開幕してすぐは緊張してたのか空回ってたけど、最近は持ち直してきたみたいだし……打つのが楽しみだよ」

晴絵「……対局相手としては……まあ、この面子だと一番与し易い相手ではあるかな。 何回か打ってるってのもあるけど」

穏乃「去年のインハイ見てるだけに白水さんが与し易いなんて信じられないなぁ……」

晴絵「比べると、って話だよ。 十全に力を発揮すれば中堅どころまでなら互角に戦える力はあると思う」

灼「哩さんはハルちゃんのファンだし……気合いれてくると思」

玄「むしろ緊張して打ちづらくなったりしないかな?」

灼「ん……やっぱりいいとこ見せたいだろうし……でも、言われてみるとたしかに序盤は緊張して崩れちゃうかもね……」

憧「あれ? っていうか灼さん白水哩と仲良かったっけ?」

灼「……その、いろいろあって……エバーグリーンズ時代の情報やグッズ貰ったり、奈良時代のあれこれの話をしたり……」

宥「憧ちゃんがいつのまにか弘世さんと仲良くなってたみたいな感じかぁ」

玄「一緒にはやりんのライブ行ってたね」

憧「……菫さんに、また今年の夏のライブ一緒に行かないかって誘われたんだけどさ……」

穏乃「本格的にただのファンだね……」

玄「同じチームなのに……」

灼「気持ちはわかる」

晴絵「いつも楽しそうだぞ、あいつ」

憧「はやりんといつも一緒だもんねぇ……羨ましい」

穏乃「憧もいつの間にかすっかりはやりんのファンだねぇ」

望「憧がアイドルにガチハマりするとは思ってなかったからびっくりしたわよ……しかも、あのはやりんに」

桜子「はやりんかわいいよねー」

綾「いや、三十路手前でアレはキツいでしょ……」

憧「はやりんはキツくないわよ!」

綾「ご、ごめんなさい……」

328 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/22(月) 20:33:26.72 ID:ei+AzaAK0

灼「はやりんファンにキツいは禁句……」

憧「っていうかほんとにキツくないから! 会えばわかるわよ!」

綾「う、うん……ごめんね憧ちゃん……」

よし子「……憧ちゃんはああ言ってるけど、実際どうなんですか?」

晴絵「ん? 瑞原さんか? ……私のふたつ上とは思えないほど若いし、はやりんも……アイドル用のキャラ作りとかじゃなくって根本の部分は素だしなぁ……私がやるならキツいと思うけど、瑞原さんなら全然行けるんじゃ……というか行けてるしな」

憧「はやりんは天使だから!」

晴絵「はやりんファンはみんなそう言うんだよな〜」

宥「……なんだか、赤土先生慣れてます?」

晴絵「そりゃ、そのはやりんと同じチームに居るんだからファンを見る機会も多いし……なにより、同期の仲間にファン代表兼任選手がいるからな」

穏乃「あはは……弘世様、すごいことになってますよね」

灼「高校時代に格好いいキャラで人気だったとは思えない扱い……」

玄「女性ファンも多いみたいだけど……」

晴絵「まあ、黙ってキリッとしてりゃイケメンだしな」

灼「照さんみたいな……あ、哩さんもけっこうそんな感じだよね」

晴絵「…………というか、今年の新人はそういうタイプ多いな」

憧「ハルエだって似たようなもんでしょ」

晴絵「急に素になるのやめてくれない?」

望「言われちゃったわねぇ」

晴絵「まあ、あんま言い返せないけどさ……」

329 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/22(月) 20:34:11.14 ID:ei+AzaAK0

灼「ハルちゃんはカッコいいよ」

晴絵「おう、ありがとうな……」

灼「お世辞じゃないってば」

穏乃「そうですよ! 赤土先生は超かっこいいですよ!」

綾「先生自身がどう思ってるかはともかく、地元の星なんですから」

桜子「みんな赤土先生の教え子なのを誇りに思ってるんだよー?」

宥「去年、みんなでインターハイに行けたのも先生のお陰ですし……」

玄「そもそも、赤土先生がいてくれなかったら麻雀部自体なかったもんね」

憧「……まあ、みんな大なり小なりハルエのこと尊敬してるんだからさ……しっかりしなさいよね」

望「ほら、憧までこう言ってるわよ?」

晴絵「珍しいな……熱でもあるのか?」

憧「茶化さないでよ! なによ、たまには褒めてやろうかと思ったのに……」

晴絵「悪い悪い……まあ、私だってお前たちの前でくらいカッコつけたいからな……お前たちが、赤土晴絵の弟子であることを誇れるような試合をするよ」

灼「……期待してるから、頑張って」

晴絵「任せとけって! 期待は裏切らないよ……今度こそ」

330 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/22(月) 20:35:24.12 ID:ei+AzaAK0

――――――翌日

望「おはよっ。 送ってこうか?」

晴絵「おはよ……いや、いいよ。 電車とか乗り継いでくわ……なんか、そういう気分」

望「ふふ……ま、そんなこともあるわよね」

晴絵「交通費も出るしなー」

望「もう……そういう問題?」

晴絵「そんなもんだって……わざわざサンキュな」

望「いいわよ、気にしなくて……それじゃ、会場までみんなで応援行くから無様な姿は見せないよーに」

晴絵「言われなくても……んじゃ、またあとでな」

望「いってらっしゃい……あ、これあげる」

晴絵「っと……なんだこれ、お守り?」

望「うちのやつだから、ご利益ないかもしんないけどね……ま、誕生日プレゼントってことで」

晴絵「……効き目があるって、証明して見せるさ」

朝っぱらからわざわざ迎えに来てくれる辺り、やっぱり心配かけてるんだろう

望との付き合いは長い。 私が勝ち続けて来た時も……負けて、折れた時も……その後、立ち直って来たのも……全部望は見てきたし、世話にもなってる

小鍛治健夜は、望にとっても大きな存在のはずだ……私たちが、青春に幕を下ろした原因のひとつなんだから

晴絵「……負けられないよな、やっぱり」

私が折れて、当時も人数ギリギリだった阿知賀は団体戦に出場することができなくなった

望だって、もっと打ちたかったはずなんだ。 私が心のどこかで求めていたのと同じように……

私が今、また多くの人の前で牌を握れるのは教え子たちの……そして、望のお陰だ

あいつらに恥ずかしい闘牌を見せるわけにはいかない。 恩に報いるためには、勝利しかない

331 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/22(月) 20:36:38.00 ID:ei+AzaAK0

「ハルちゃん!」

「頑張れよー!」

「応援行くからね!」

晴絵「ありがとうございます! よろしくお願いします!」

町中を歩けば、知らない人にも声をかけられる……会場に近づけば、近づくほどその頻度は増えていく

……インターミドルやインターハイに出場したときもそうだった

みんな、応援してくれる。 期待してくれている。

あの時は応えられなかったけれど……今度こそは……!

小鍛治健夜……国内無敗、元世界ランク二位、永世七冠の称号を持ち数々の栄光を掴んだ最強の雀士

今でも、はっきりと思い出せる……あの、十一年前のインターハイ

教え子たちのインターハイの後にも打ったけれど、衰えるどころかそのプレッシャーは増していた……当然だよな。 私がしばらく麻雀から離れているうちに、あの人は最前線で戦い続けていたんだから

復帰してからの牌譜を見ても圧倒的だ

復帰後も変わらず負け無し。 トッププロとの対局がまだ無いとはいえ、圏外にまで落ちていた個人戦のランキングはもうトップグループに食い込もうとしている……鬼神のような強さだ

……私に勝てるのか?

――――――いや、勝つんだ

私だってあの頃とは違う。 小鍛治さんがあの頃より強くなっていても、私だって成長している

あの時は一撃しか入れられなかった。 麻雀バーでの一局の時は……いや、アレだって過去の話だ。 今の私なら、もっと……

332 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/22(月) 20:37:40.70 ID:ei+AzaAK0

「ハルちゃん!」

晴絵「――っと、おう、今日は応援よろし……」

哩「ここ、こんにちは! お、おお、お久しぶりです!」

晴絵「……久しぶりだな、哩。 ……あー……一応聞くけど、なにやってんだ?」

哩「あ、その、は、ハートビーツ! 今日から物販でハルちゃんのグッズが売り出されって……」

晴絵「なんで行列並んでんだよ!? お前選手だろ!?」

哩「え、でも……今日買うとかんと、限定のグッズばあるって聞いとるけん……」

晴絵「いや、それにしても人に頼むとかさ!?」

哩「!?」

晴絵「え、なんでその手があったか! みたいな顔してるんだよ!?」

哩「き、気づかんかったばい……」

晴絵「…………はぁ」

…………なんか、こう……対局に向けて上げてきたテンションが、うん……気勢が挫かれたなぁ

哩「あ、その、ハルちゃん! よかったらまた握手とか……」

晴絵「おーい、私は今日の対戦相手だぞー?」

哩「関係なか! ファンはファンやけん! だいたい、そぎゃんこと言ったら弘世ん奴は「あ、うん。 悪かった。 ごめん」

333 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/22(月) 20:38:41.98 ID:ei+AzaAK0

哩「おお…………」

晴絵「……おーい、いつまで手ぇ握ってんだよー」

哩「あ、すみせん……つい……」

とりあえず、行列から引き剥がして選手控え室まで哩を引っ張ってきたけど……今度は手を離さない

……大丈夫なのか、こいつ……?

晴絵「……で、最近どうだ? やっと持ち直してきたみたいじゃないか」

哩「ああ……はい、そうです、ね……最初は緊張してなかなか……最近、なんとか、ちゃんと打てるように……」

晴絵「……なんでそんなにぎこちない喋りなんだ?」

哩「あ、いや……ハルちゃんば……の、前で緊張しと……してるのもあるけん……あるけど、言葉を、なんとかしないと……と、思って……」

晴絵「え、どうしてだ? ……方言かわいいのに」

哩「かわっ……!? あ、その……プロ入りしてから、子ども相手の麻雀教室なんかのイベントにも参加させてもらっ……て、るん、です、けど……」

哩「その……訛りが酷うて、なに言ってるか、わからないって……」

晴絵「…………大変だな」

哩「ううぅ…………」

……ちょっと泣いてるし

哩「……ああ、いや! 最近やっと標準語にも慣れてきたけん、今後は……」

晴絵「いやいや、また訛ってるぞ」

哩「おああー!?」

……なんだろう、こっちの戦意を削ぐ作戦…………なわけないか

334 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/22(月) 20:39:51.25 ID:ei+AzaAK0

哩「ま、まあとにかく! 今日の試合楽しみに、してたんです! ハルちゃんと小鍛治プロとのプロ入り後初の直接対決! しかも、ハルちゃんの……」

晴絵「ん? 私がどうかしたか?」

哩「は、ハルちゃん! 誕生日おめでとうございます!」

晴絵「お、おう……さんきゅ……」

哩「あ、なんか渡そうと思ってたんだけど、その、対局もあるしマズいかなって……決して忘れてたわけじゃ!」

晴絵「いや、いいよそんなの……気にすんなって。 それに、言う通り哩も対局の面子だろ? 他人事みたいに言うなよ、私と小鍛治さんの対局を楽しみにしてたなんてさ」

哩「……もちろん、私が面子に加わってること自体もうれしいんです。私だってハルちゃんとのプロでの初対決……ここまでちょっとうまく打ててなかったけど、ハルちゃんに無様な姿は見せられん」

哩「面子的にも、私が一番格下やけん……失うもんもなか。 とにかく、私ん全力ば見せるけん……ハルちゃんも本気ん本気で相手してほしかよ」

晴絵「ふふっ……この面子で手を抜けるわけないだろ? 私だって小鍛治さんや哩との対局、楽しみにしてたんだぞ? 胸を借りるつもりで……なんて言わない。 私たちはライバルなんだからな……全力でかかってこいよ?」

哩「ふふ……ファンを舐めない方がよかね。 牌譜だって隅から隅までチェックしとーとよ? 今日の私は今までの私とはひと味違うけん……闘牌で度肝を抜いたるけんね」

晴絵「ふっ……これは、対局がますます楽しみだな」

哩「期待しといてほしかね……そいぎ、私もそろそろ自分の控え室行くけん……対局室でまた……」

晴絵「ああ、哩。 ひとつ言っとくことがあるんだが……」

哩「?」

晴絵「また訛ってるぞ」

哩「おああー!?」

335 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/22(月) 20:40:41.04 ID:ei+AzaAK0

――――――

晴絵「……………………」

晴絵「…………むぅ」

すっかり和んでしまった。 まあ、緊張をほぐしてもらったと前向きに考えようか

……リラックスしすぎた気もするけど

とりあえず、対局開始まで時間もそう長くはない……気休めにしかならないけど、牌譜のチェックしておくかな

晴絵「…………」

一人になると嫌でも緊張感が戻ってくる。 哩がいなくなってだいぶ静かになってちょっと寂しいような気さえしてくる

晴絵「…………」

なんとなく落ち着かなくって、備え付けのモニターをつけてみたりする

『本日は阿知賀のレジェンドと称される赤土晴絵選手が……』

地元のローカル局では今日の対局について大きく取り上げているようで、会場周辺の様子が映し出されている

晴絵「はは……タイトル戦みたいな盛り上がりだな」

こうしてテレビで見てみると、やっぱり異常な盛り上がり方をしているような気もする。 他人から見ると、それだけ私に対する期待が大きいのだろうか

……それとも、やっぱり小鍛治健夜が最強であることが証明されるのを心待ちにしている人間が多いのか

麻雀は、一回の対戦で強い弱いの格付けができる競技ではない……それでも、国内で無敗を誇る小鍛治健夜の話となれば最初に土をつけるのは誰か、ということにはおおいに注目が集まっている

小鍛治さんも変に盛り上がっててやりづらかったりするんだろうか? それとも、世界戦やらなんやらでこんなことには慣れっこなのかな……





『赤土先生ー!!』

晴絵「ん……?」

336 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/22(月) 20:41:22.20 ID:ei+AzaAK0

桜子『赤土せんせー!!』

春菜『がんばれー!!』

凜『ファイトー!!』

よし子『小鍛治プロ倒せー!!』

未来『レジェンドー!!』

綾『勝って日本一ですよー!!』

ひな『かっこいいとこ見たい所存ー!!』

晴絵「…………おいおい、マジかよ」

なにやってんだあいつら……いや、そりゃあ目立つよな。 小学生から高校生まで幅広いの女の子が集まってでっかい幕掲げて……

宥『え? あ、私たちは赤土先生の教え子で……』

灼『ハルちゃんがんばれー』

穏乃『赤土先生、今日こそ小鍛治プロを倒して雪辱ですよ!』

灼『ハルちゃんがんばれー』

玄『勝って素敵な誕生日にしましょうね! でっかいケーキ用意してますよー!』

憧『いや、今言っても試合前だしハルエ見てないでしょ……』

灼『ハルちゃんがんばれー』

憧『灼さんうるさいってば!!』

……なんで漫才してんだあいつら

っていうか見てるよ。 ごめんね、試合前にテレビとか点けてて。 真面目にやってないわけじゃないんだけどね

玄の用意してくれたケーキは楽しみだな……やっぱり、どうせなら勝って食べたいね

337 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/22(月) 20:42:17.48 ID:ei+AzaAK0

晴絵「ったく、あいつらは……ほんと……」

晴絵「…………」

晴絵「……そろそろ行くかぁ」

対局室に入れば応援の声は届かない。 モニター、点けてみてよかったな……

画面からは教え子たちの声が聞こえる……どっかの誰かさんのせいで緩んだ気持ちも引き締まってくる

……私、集中力切れてんのかなぁ……締まったり緩んだり大変だ

疲れが溜まっているのかもしれない。 まあ、ここ数日……いや、プロ入りが決まってからはずっと小鍛治さんとの対決を意識していた……

肚はもう括った……世間にも注目されてる。 大いに結構。 誰よりもこの戦いを待っていたのは私自身なんだから……

見せてやればいいさ、私が小鍛治健夜を倒して新たな伝説を……

晴絵「っておいおい……テレビに毒されてるな……」

なんだよ、伝説って。 恥ずかしい。 ガキの頃じゃないんだから……

プロになった以上、そういう……派手なキャラ付けとかも必要になるってのもあるし、目立つのは嫌いじゃないけど……

……何を考えてんだろ、私

晴絵「……やっぱり、ちょっと浮かれてるのかなぁ」

気持ちがフワフワしてる感じはする……かなり興奮してるなぁ

冷静にならないと勝てるものも勝てないんだけどねぇ

でも、やっぱり……


晴絵「……こう、直に対峙すると……やっぱり、抑えられないなぁ……!」



健夜「……やっと会えたね、赤土さん」



338 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/22(月) 20:43:17.60 ID:ei+AzaAK0

晴絵「ええ……本当に会いたかったですよ、小鍛治さん。 楽しみにしてたんですから……」

健夜「ふふ……うん、私も楽しみで昨日はなかなか寝付けなくって……お母さんが電話してくれなかったら危うく寝坊するところで……」

晴絵「遠足前日の子どもか!?」

急にボケんなよ……危うく高まった闘志を根こそぎ奪われるところだった……この圧力が無ければ

晴絵「…………んんっ、あー…………」

晴絵「……ずっと小鍛治さんのことばっかり考えてたんですよ」

健夜「奇遇だね、私も……赤土さんのことばっかり考えてた」

健夜「……世間がちょっと騒ぎすぎてて、嫌なんだけどね」

晴絵「はは……小鍛治さんでもそうなんですか?」

健夜「プロの世界にいる以上、強い弱いの話をされるのは仕方がないけど……ライバルの赤土さんとの対局を、一回で終わった感じにされちゃうのは嫌だから……これから何回も打つし、赤土さんは本当に強いし」

晴絵「……そうですね」

一回打てば、自分が勝つ

そういうニュアンスだよな……負けたことがないから、そういう感じの物言いになるのも仕方がないのかもしれないけど……

……ライバル、か

晴絵「ふふっ……一応言っておきますけど、負ける気はないんで」

健夜「…………ここ最近は、そう言ってくれる人もいなかったからね、うれしいよ……早くランク上げて、はやりちゃんや理沙ちゃんとも打ちたいな……」

晴絵「直に打てるようになりますよ……今日のところはランキングは諦めてもらいますけどね」

健夜「…………やっぱり、卓で赤土さんと会えてうれしいよ」

晴絵「こちらこそ……ずっと探してた恋人に会ったような気分です」

健夜「あはは……恋人なんていたことないからわからないけどね」

晴絵「えっ?」

健夜「え?」

晴絵「…………」

健夜「……?」

晴絵「……いえ、なんでもないです」

339 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/22(月) 20:44:06.39 ID:ei+AzaAK0

なんとなく気まずくなって、場決めの牌を拾う

晴絵「縁起がいいな……起家貰いますよ」

健夜「赤土さんの起家かぁ……」

晴絵「小鍛治さんは?」

健夜「北家だよ」

晴絵「ラス親小鍛治さんですか……」

それはちょっと……いや、関係ないか。 小鍛治さんならどこからでも殺しに来る力があるし

晴絵「…………」

健夜「…………」

晴絵「…………」

健夜「…………ああ、そういえば」

晴絵「なんです?」

健夜「誕生日だってね。 おめでとう」

晴絵「そろそろうれしくないですけどね……ありがとうございます」

健夜「なにかご飯でも奢ろうか?」

晴絵「……小鍛治さんと打てるってだけで、充分すぎるプレゼントですよ」

健夜「そう? ふふ……今日は、いい麻雀をしようね」

晴絵「そうですね……ちゃんと、楽しませてあげますよ」

340 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/22(月) 20:44:54.32 ID:ei+AzaAK0

教え子たちが見てる

地元のみんなも、私に期待してくれている

瑞原さんにも言われたけど、私はここではヒーローなんだ

レジェンドなんて、やっぱり大袈裟だと思うけど……背負っている以上、無様な姿は見せられないよな……

入口からは、哩と藤白プロが入ってくるのが見える……対局の時間だ

晴絵「……それじゃあ、よろしく」

七実「よろしくお願いします」

哩「……よろしく、お願いします」

健夜「…………よろしくね」

卓に着くと、小鍛治さんからのプレッシャーが更に増す

だけど、もう怯えも恐れもない

望や瑞原さん、他にも多くの人に支えてもらって、ここまで来た

大切な教え子たちは、私が越えられなかった壁の向こう側まで連れていってくれた

後は、私が勝つだけだ……!

341 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/22(月) 20:45:49.26 ID:ei+AzaAK0

試合が始まって、どこかスイッチが入ったらしい……神経が鋭敏になり、思考が冴え渡っていくのがわかる

対局相手のちょっとした動作から息遣い、目線の動きまで……よく視える

小学生の頃、露子さんに教わった麻雀

情報の蓄積。 観察と洞察。 一瞬の隙を衝く疾風の攻めに鉄壁の守り……私の麻雀

それに、今はそれだけじゃない

しず、憧、玄、宥、灼

あの子達が見せてくれた、熱い闘牌

視界に捉えた強敵の横顔……いつまでも涼しい顔をされているのも癪だ

初っ端から、こんな風に打つのはらしくないかもしれないけど……

深く、息を吸い込む

もう逃げない。 折れない。

……貴女を、倒す!

闘志と決意を込めて、牌を握る



健夜「…………!!」



晴絵「――――リーチだ!」



カン!
342 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/22(月) 20:47:03.65 ID:ei+AzaAK0
ハルちゃんの戦いはこれからだ!シノハユはよ!
拾えなかった分はまたの機会に…
343 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/22(月) 20:52:04.65 ID:95Ud0yFNo

原作でも見たいような恐ろしくて見たくないような展開だなww
344 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/22(月) 20:58:16.45 ID:i2w8oF88o

レジェンド頑張れ超頑張れ
345 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/22(月) 21:02:25.31 ID:kchAHW5io

涙あり笑いありノロケありシリアスありとすばらだね
346 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/22(月) 21:06:08.77 ID:xaO68tPrO
乙です
347 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/22(月) 21:25:36.93 ID:JW2dO99vo


そういえばさすこやんは高校1,2年の間は麻雀やってなかったことが発覚してたけどさ
花のjk時代を2年も無駄にしといて縁が無かったのを麻雀のせいにはできないよね
348 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/22(月) 21:44:51.96 ID:/bpD2vfAO
ひとまず乙です…
>>347
其処はすこやんも女子校出身ですから…
雅枝監督みたいには行かんでしょう…
って雅枝監督も女子校出身か?
解らん!
349 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/23(火) 21:42:30.20 ID:U13cD9kno
すこやんって麻雀関係以外は目立たない印象がある
350 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/26(金) 01:52:58.72 ID:c8g14XoZ0
日和のハギヨシさんのボケっぷりは透華や衣に合わせてるだけなのか天然なのか悩んでましたがどうもド天然っぽいですね。最近ハギヨシさんがすごくかわいい子に見える…
シノハユも安定して面白い。スペクタクル感

>>347すこやんって出歩かなそうだし女子高だから本気で出会いなかったんだろうなーって
>>348母校に戻るのが定番な気もするから個人的には千里山出身かなーとは…洋榎が姫松に行ったのは
1、母親が監督やっている千里山に行くのを嫌った
2、セーラが千里山に推薦をもらったから別の学校を選んだ
3、姫松の方が家に近かった
どれでもあまり違和感はないです
>>349卓外でオーラ全くないタイプですよね。高校時代も教室の端っこでずっと本読んでそう

次回>>108予定です
351 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/28(日) 02:32:14.85 ID:0+cDiZd50
忙しかったり全国編vitaだったりに釣られてすっかりカツ丼さんスルーしてしまった。好きなのに…無念
7月は頭から揺杏にはやりんにといろいろあるけどどこまで触れるのか…しばらくは短めでも投下回数増やしていきたいです
投下します
352 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/28(日) 02:34:14.47 ID:0+cDiZd50

憧「萩原さんに避けられてるぅ?」

玄「う、うん……どうしようお姉ちゃん……」

宥「う、うーん……気のせいだったりしない? 萩原さん、そういうことしなそうだけど……」

玄「でも、話しかけようとすると『すみません、仕事が……』ってすぐにどこか行っちゃうし、今までは目が合うと笑いかけてくれてたのに目を逸らされちゃうし……」

灼「意識してるんじゃない?」

玄「えぇ!? そ、そそ、そんなこと、あるのかなぁ……?」

穏乃「こうなったら初美さんから服を借りて……」

憧「余計なことしないの!」

穏乃「でも、さる情報筋によれば……」

憧「国広さん情報でしょ!? しずのチームのアレな服に対する過信はなんなのよ!?」

憧「ごほん……とにかく! ここは私に任せておきなさい! 」

玄「憧ちゃん……」

憧「なんとかしてちゃんと萩原さんと話す機会を作ってあげるわ! こういう時こそ私の頭脳の見せどころよね!」

灼「……ちょっと、不安なんだけど」

憧「むぐっ……まあ、言いたいことはわかるけど……こっち方面なら私しかいないでしょ?」

宥「うーん……まあ、このメンバーなら憧ちゃんだよね……」

憧「ほら! 宥姉もこう言ってるし! とりあえず龍門渕の……国広さんは方向性がとっ散らかりそうだし……い、井上さんに、で、電話して……」

灼「不安なんだけど」

憧「だ、だだ、大丈夫よ! 別に、今回は私のことじゃないし! 玄のことだし!」

穏乃「もしもし、国広さ「やめなさいって言ってるでしょ!?」

灼「もしもしともきー? ちょっと相談が……」

憧「ちょっとは信頼してよ!?」

353 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/28(日) 02:35:00.19 ID:0+cDiZd50

――――――

憧「あ、あの……萩原さん?」

ハギヨシ「こんにちは、新子さん」

挨拶をすると、微笑みかけられてちょっとドキッとする

ハンサムで所作もスマートで超ハイスペックだし、夢見がちな玄がコロッとやられちゃった気持ちもわかる……人のことは言えないかもだけど

にしてもこれで十代とか……なにがあったらこんな風になるんだろうか

憧「…………」

ハギヨシ「……?」

憧「あ、す、すみません……その、実はですね……」

おっと、今はそんなことを考えている場合じゃなかった

作戦はシンプルで簡単。 私が……その、井上さんと? で、でで、デートしたいっていう体で……あくまでも体面上ね? 私が動いてるのは玄のためだし? ……とにかく、協力してもらう体で萩原さんを誘きだしてそこで玄と接触させるという、沢村さんの考えた一石二鳥の作戦……べ、別に私がどうとか関係ないしなにが一石二鳥なのか全然……全然わかんないけど! と、とにかくそういう作戦だから!

ハギヨシ「……ええ、構いませんよ。 それでは明日の午前の買い出しの時に井上さんにお手伝いをお願いしますから……そうですね、十時半ごろにショッピングモールの方で落ち合いましょう」

憧「あ、ありがとうございます!」

ハギヨシ「ふふふ……頑張ってくださいね」

やったぁ! これで私も……あ、いや、違う違う……玄! あくまでも玄のためね? そもそも、沢村さん通して井上さんにも協力取り付けてあるし! なんかつい喜んじゃったけど!

……あ! く、玄のためにもちょっとぐらい探りを入れといた方がいいかしらね……?

憧「あ……あの、萩原さん?」

ハギヨシ「はい、なんでしょう?」

憧「その、この間から、玄とは……?」

ハギヨシ「え、あの……その、特には……」

憧「…………」

ハギヨシ「……し、失礼します。 仕事に戻りますので!」

憧「……また逃げられた?」

……マジで意識してるだけなんじゃないの? なんか、頬染めちゃってちょっとかわいい……いやいや! なに考えてんの私!? 私はそんな軽い女じゃなくって井上さんひとすじ……

憧「ふきゅ」

…………と、とりあえず落ち着いて、明日に備えましょう

354 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/28(日) 02:36:07.24 ID:0+cDiZd50

――――――

玄「あ、憧ちゃん……ほ、本当に大丈夫なの……?」

憧「知らないわよ。 でも、ちゃんと話できるようにはしてあげるから……頑張って。できる限りフォローはするから」

玄「う、うん……」

憧「そろそろね……ほら、あそこ! 見て!」

人混みの中でも、長身の二人が並んでると目立つ……美形が二人なので余計に。 振り返る女性も多数見られる

玄「やっぱりかっこいいね、萩原さんと井上さん……」

憧「うん……めちゃくちゃ目立ってるわね……」

まあ、萩原さんの衣装はなにもしなくても目立つだろうけど。 コスプレにしか見えないけど仕事着だもんね……あ、写真撮られてる

玄「……声、かけに行こっか」

憧「う、うん……そうね、見てても仕方ないし……」

……って言うか、思いっきり声かけられてるしあの二人。 逆ナンってやつかぁ……勇気あるなあ

私だったら、街中で見た人にいきなり声かけるなんて……って萩原さん捕まりかけてる!?

憧「あの! な、なな、なにしてるんですか!?」

ハギヨシ「ああ、新子さん……いえ、道を尋ねられたので……」

純「わりぃな、連れが来たからさ」

二人組の女性が残念そうに去っていく……あ、舌打ちされた……うん、アレには勝ってるわね、さすがに。 心が醜いわ……それに、私たちの方が若いし

純「道を聞くとか、ナンパの常套手段っすよ? 適当にあしらってくださいよ……」

ハギヨシ「いえ、しかし道案内しながら買い出しに行くぐらいは……」

純「ヨッシーが言うと普通にこなすのか分身でもすんのか怪しいからやめてくれ……」

憧「……そういう井上さんは慣れてますね?」

純「まあ、よくあるからな……女だって信じさせるより、適当にあしらった方が早いし……証明しても女でもいい! って言われたこともあるし……」

ハギヨシ「……井上さんも大変ですね」

うーん、まあ、そこらの男よりもかっこいいから仕方ないような気も……ん? 女だって証明ってなにしたんだろ……な、なにを……

憧「ふきゅ」

純「どうした?」

憧「いいい、いや! な、なにも!!」

355 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/28(日) 02:37:04.58 ID:0+cDiZd50

純「……つーかなにしてんだよ、そんなところで」

ハギヨシ「はい?」

玄「あ、その……こ、こんにちは……」

ハギヨシ「あ……え、えー……わ、私はこれで……」

純「はい、ストップ! 逃げない逃げない」

ハギヨシ「う……あ、新子さん……これは、どういう……」

憧「……こ、この前のは酷かったと思います! 玄だって一生懸命……最近はちょっと避けてるみたいだし……」

ハギヨシ「そ、それは……その……」

玄「そのっ! ……め、迷惑なら言ってください……そうしたら、私……」

ハギヨシ「迷惑だなんて、そんな……私は、ただ……その……」

純「……なんすか?」

ハギヨシ「……いえ、見られてるとちょっと話しにくいと言いますか……」

純「二人にしてこの前みたいに逃げられたら困るしな?」

憧「そうですねー」

ハギヨシ「…………」

純「ほら、続きをどうぞ」

憧「どうぞどうぞ」

ハギヨシ「…………く、玄さん」

玄「は、はい」

ハギヨシ「……その、決して迷惑とか、そういうことではなくてですね……私は……私も……」

356 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/28(日) 02:38:05.80 ID:0+cDiZd50

純(お、これもしかしていけるんじゃねぇの?)

憧(そ、そそ、そうですね!?)

近い近い近いってば! いや、いいんだけど! ちょっと玄どころじゃなくなっちゃうんで! 少し離れてもらった方が……いや、言わないけど!

ハギヨシ「玄さん! わ、私と……」

玄「!!」

ハギヨシ「私と……お、お付き合い……」

玄「!?」

純(おおおおおお! マジか!? マジでか!?)

憧(え!? 嘘!? 本当に!? そこまで進展しちゃう!?)



ハギヨシ「…………わ、私とのお付き合いは、お友だちからということで……」

憧「ってへたれちゃうの!?」

玄「は、はい! よろしくお願いします!」

純「松実もそれでいいのかよ!?」

憧「ちょっと待って! ストップストップ! 緊急会議! 玄! こっち来なさい!」

玄「え? な、なに!?」

純「萩原さんも! ちょっと!」

ハギヨシ「は、はい……どうかしましたか?」

純「どうかしましたか? じゃないですよ! なにへたれてんすか!!」

ハギヨシ「い、いや、しかしですね……まだ出会って日も浅いですし、なにもそんな、いろいろと急がなくても……」

純「いやいやいや! いいじゃないっすか! 付き合ってから互いのことを知っていけば! なぁ!?」

憧「そ、そそ、そうですよね! 愛に時間は関係ないですよね!?」

ハギヨシ「な、なにもそんなにくっつけたがらなくても……」

純「人のコイバナなんて楽しまなきゃ損でしょうが!」

ハギヨシ「それが本音ですか!?」

357 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/28(日) 02:39:01.16 ID:0+cDiZd50

憧「って言うか玄も玄よ! お友だちでいいわけ!?」

玄「き、嫌われてるんじゃないんなら……」

憧「なんでそう受けと言うか待ちの姿勢なのよ!?」

ハギヨシ「ま、まあ、こういうことは人それぞれのペースというものが……」

純「二人してゆっくりしすぎだろ!? 今どき小中学生の方がよっぽど進んでるぞ!?」

憧「今行けたじゃん! 玄がもう少し押せば行けるってば!」

玄「え、えぇ!? で、でも、そういうの恥ずかしいし、やっぱり男の人から素敵な告白されたいし……」

純「ほら! 聞きましたか!? 頑張ってくださいよ!」

ハギヨシ「な、なにをどうやっても井上さんたちに囲まれてるシチュエーションではご期待に沿えないのではないでしょうか……?」

純「そういう言いわけとかいいから……ん? ちょっとタンマ!……もしもし! 智紀か? なんだよ、今取り込み中……」

智紀『そこら辺でやめておいた方が……』

純「あ? つーかなんだよ、見てたのか?どこにいるんだよ?」

智紀『アドバイスしたし放っておくのもと思って……状況を把握するために純に盗聴器を……』

純「お前なにしてんだよ!?」

智紀『なんなら、新子さんに受信機あげるけど』

憧「ななななに言ってるんですかありがとうございます!」

純「お前もなに言ってるんだよ!?」

智紀『とにかく、あんまり突っついて拗れたら申し訳ないし……今のままなら放っておいても……』

純「…………」

憧「…………」



玄「ど、どうしたんですかね」

ハギヨシ「さ、さあ……なにかあったのでしょうか」



憧「なんかふたりしてもじもじしてるし……」

純「…………たしかに、もうほっといていいか。 めんどくせぇ」

智紀『そういうわけで、今日はそのままダブルデートでもしてくるといい』

憧「デデデデデートですか!?」

純「は? ダブルデート?」

智紀『……いや、ほっとくにしても、放置しとくと進展しなそうだし……多少はフォローしてあげて』

純「ああ、なるほどな……了解了解。 それくらいはしてやるか」

358 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/28(日) 02:39:56.93 ID:0+cDiZd50

純「……さてと、んじゃあこのままどっか遊び行くか」

ハギヨシ「そうですか……それでは私は買い出しに戻りますので」

純「あんたも一緒にだよ! わざとなのか!? そんなんまた今度でいいから!」

ハギヨシ「わ、私もですか? し、しかし……」

純「実は同年代なことも発覚したし! たまには一緒に遊びに行きましょうよ! ほら、松実とか新子とかかわいい女の子もいてうれしいでしょう?」

憧「かっかかかかかわいいってなんですかもう別に私は……なんなんですかもう! もう!」

純「……意外と初心だよな、新子って……で? なに黙ってんすか?」

ハギヨシ「う……いえ、私は、その……」

玄「あぅ……え、えっと……」

萩原さんが、ちらと視線を玄にやり、目があった玄はポッと頬を染める

ハギヨシ「…………は、はい。 そう、ですね……」

玄「え!? あ、う、私、私も……その、は、萩原さんと、一緒で……う、うれしい、です……」

ハギヨシ「…………そ、そう、ですか」

玄「は、はい…………えへへ」

……なんかもう、勝手にやってろって感じ

純「……なあ、やっぱりこいつらほっといてオレらはオレらでどっか行かね?」

憧「ふきゅ」

憧「え、あ!? そ、そそ、そんな! の、望むところですけど! でもそれってやっぱりちょっとマズいっていうか!?」

純「そうか? なんかもうほっといていい気がすんだけどな……」

いや、あっちがどうこうと言うよりもふたりで遊び行くとかデートじゃん!? ちょっと、そんな、急に……こ、ここ、心の準備ができてないって言うか!? 心臓がもたないって言うか!?

純「うーん……まあ、仕方ねぇし……積極的にちょっかいだけかけてくかぁ」

359 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/28(日) 02:40:50.68 ID:0+cDiZd50

純「はぁ……とりあえず、ちょっと早いけど飯でも食いに行くか? それともゲーセンとか行く? 別にボウリングとかダーツとかなんでもいいけど」

ハギヨシ「そういう若者らしい場所には今まであまり縁がなかったので、私からはなんとも……」

憧「萩原さんも若者ですよね!?」

玄「でも、私たちも灼ちゃんのとこに遊びに行くぐらいで基本は麻雀ばっかりだよね……」

憧「私は中学の頃に初瀬たちといろいろ行ったけど……」

純「別に雀荘でもいいぞ? 萩原さんも相当打てるしな」

玄「え? そうなんですか?」

ハギヨシ「そうは言ってもインターハイで活躍されている皆さんほどでは……」

純「とか言いつつ、この人普通にオレらと……衣とも打ってるからな?」

憧「……それってかなりできる方なんじゃないですかね?」

玄「萩原さん、麻雀もできるんだぁ……」

憧「……萩原さんに関してはそんなことでいちいち惚れ直してたらキリがなさそうだけど」

玄「ほ、ほほ、惚れ直すなんてそんな……そういう憧ちゃんこそ……」

憧「な、なによ!? わ、私は別に、そんな……そりゃあよく素敵だなーかっこいいなーって思うけど! 別にそういうんじゃないから!」

玄「それがそういうのじゃなかったらなんなの……?」

ハギヨシ「……井上さんは、しっかりと新子さんのエスコートをしてあげてくださいね」

純「ん? ……ああ、松実は任せろって? なんだ、けっこうやる気あるじゃないっすか」

ハギヨシ「な……! その、そういう意味で言ったのでは……」

純「照れんな照れんな! 応援してるからさ、その調子で頑張ってくださいよ!」

ハギヨシ「は、はぁ……?」

360 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/28(日) 02:42:09.64 ID:0+cDiZd50

純「ほら、手ぐらい握っちゃえば?」

ハギヨシ「な!? そんな、女性の手を握るなんて……」

憧「そこから!? ちょっと倫理観古すぎるでしょ!?」

玄「手を!? い、いきなりそんな……」

憧「って玄もなの!?」

純「つーか、普通に家の事情で透華が出る場面ではエスコートしたりしてるじゃないですか……」

ハギヨシ「それとこれとは別物ですよ! それは仕事ですしそれが必要な場面じゃないですか!」

純「あー……友だちなら手ぐらい握りますよ! な? ほら!」

憧「!?!?!?!?!?」

てっててててててて、て、手を! 手をにぎ、握られて! 握られたったたた!?

うわぁ手はおっきいけど指は細くて長くて意外と綺麗だしって言うか手! 手! 手をにぎられてるぅわあああはあああ!?

純「ほら、これくらい普通っすから! ヨッシーもこう……勇気を出して?」

ハギヨシ「え、いや……新子さんの様子が尋常ではないのですが……」

憧「えっ!? えへへへへへへ! な、なっななな! 全然普通ですけど!? 手、手を握るぐらい! 普通ですし!? えへっえへへ」

玄「どう見ても普通じゃないよ憧ちゃん……」

ハギヨシ「それに、井上さんが国広さんや沢村さんと手を繋いでいる所なんて見たことありませんよ……?」

純「えっ!? あ、いや……それは、その……えー……お、オレとあいつらは……」

あ、井上さん困ってる……フォローしないと……!

憧「は、萩原さんの見てないところで……」
純「友情という絆で繋がってるから……」



純「わり、オレが恥ずかしいやつみたいになったから今のナシな」

憧「は、はい……ごめんなさい……」

361 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/28(日) 02:43:13.78 ID:0+cDiZd50

純「とにかく! いいから手ぐらい繋いじゃってくださいよ! 萩原さん、龍門渕勤め長すぎて常識ないんじゃないですか? やっぱり金持ちの感覚って違うし」

ハギヨシ「そのようなことは、無いと思うのですが……」

純「いいからいいから! とりあえず? こういう若者の間の常識から身に付けてってくださいよ! ヨッシーがミスったら恥かくのは透華や龍門渕の家なんですから!」

ハギヨシ「むっ……そう言われてしまうと……で、では、玄さん……お手を……」

玄「ふぇ!? え、ええ!? は、はい……」

ハギヨシ「し、失礼します……」

玄「あぅ……ど、どうぞ……」

顔を見合わせて手を握りあうふたり……いつもならちょっとからかってやりたい所だけど井上さんいつまで手ぇ握ってんのよもうこれちょっとぉぉぉぉ!?

純「…………なあ、これさ……もしかしてオレが新子とハグしてさ」

憧「ふきゅ」

純「これくらい友だちなら当然っすよ! とか言ったら萩原さん騙されるんじゃね?」

憧「え、あ、え!? あ、あはは! そ、そうかもしれませんね!?」

は、はは、ハグ!? ハグってアレよね!? こう、ぎゅっと……

純「あっ、ヨッシーヨッシー! これ、次の段階ね。 こう、ぎゅーっと松実のこと抱きしめてみてよ」

憧「ふっきゅぁ!?」

だっだだだだ抱きしめられてるぅぅぅ!? なっなん……なんなんでしょうかね今日は!? いつも苦労してる私へのごほうびなのかな!? かな!?

ハギヨシ「し、しかし、それはさすがに……」

純「普通ですから! 友だちなら! なっ!」

憧「へへ、えへへ……そ、そうですよ! そうなんですよねもう! えへへ……へへへ……」

玄「あ、憧ちゃん……」

憧「な、なによ! 玄のためでしょ!? これが普通なのよ! 普通! へへへ……ほら、
普通って言えば当然この後……」

玄「…………!?」

362 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/28(日) 02:45:09.11 ID:0+cDiZd50

ハギヨシ「いえしかし、さすがに抱き合うなどと……」

純「オレも透華も衣抱きしめたりするじゃないっすか! 普通なんすよ! な、松実?」

玄「ふぇっ!? あ、でも、その、私も灼ちゃんやしずちゃんと結構……」

ハギヨシ「……本当に普通なんでしょうか?」

玄「え、あう……その、えっと……」

玄「…………ふ、普通、です」



純「おー……よく言ったな松実。 頑張った頑張った」

憧「へへ……そうですね、玄も頑張りましたね……えへへ……」

もう、なんかもうどうでもいいや……玄も頑張ってるし、自分でなんとかするでしょ……わ、私もこのまま……えへへへ……井上さんいい匂いするなぁ……

ハギヨシ「こ、こうでしょうか……?」

玄「ひゃう……は、はい…………その、えっと……ど、どうですか?」

ハギヨシ「ど、どうって……その……や、柔らかい、ですね……」

玄「え……あ、やだ、もう……恥ずかしいですよぅ……」



純「あ、やっぱりオレちょっとイライラしてきたわ……」

憧「えー? そうですかぁ? へへ……いいじゃないですか、玄も萩原さんも楽しそうだし……うふふふ……」

純「……なんで新子が一番楽しそうなんだよ?」

363 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/28(日) 02:46:14.06 ID:0+cDiZd50

純「はぁ……それにしても、こうなると萩原さんも心配になってくるな……天然で騙されやすい……似た者主従か……」

憧「えへへ……ここまで来るとどこまで行けちゃうのか気になりますねぇ」

純「あ? ああ、そうだなぁ……なんだろ、オレと新子でキスして、それが普通だって言ったら騙されんのかなぁ……?」

憧「きっききききききききき!? き、キスですかぁ!?」

純「いや、冗談だよ……嫌だろ? さすがにやらねぇって」

憧「いいいいや!! いや、ぜぜん、ぜぜん平気ですけど!? く、玄の! 玄のためですし!?」

純「え? マジで? ふーん……あ、ヨッシー次は……」

ハギヨシ「き、聞こえてますよ!? な、なにをやらせようとしてるんですか!? き、キスだなんて、そんな……さすがに!」

玄「え、えへへ……キスだなんて、そのぅ……ま、まだ早いよ……」

ハギヨシ「け、結婚までは!」

純「結婚!?」

憧「さすがに遅すぎでしょ!?」

純「ヨッシーさ……もしかして、新子どころじゃなく初心な子だったり?」

ハギヨシ「い、いえ、ですから……こういうことは人それぞれにペースというものが……」

純「それを初心って言うんじゃねぇの!?」

憧「……しかも、そのわりにはさっきから手を握ってみたり抱きしめてみたり……」

ハギヨシ「あ、あなた方がやらせたのではないですか!?」

純「まあ龍門渕や透華のためならなんでもするし、できる人だからな……ちなみにどうだった?」

玄「え? その……えへへ……萩原さん、おっきくて優しくってあったかくって……」

純「わり、もういいわ。こうあからさまにのろけられるのもうぜぇ……」

364 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/28(日) 02:47:04.39 ID:0+cDiZd50

ハギヨシ「な、なんてことを……と、年若き女性の手を握った挙げ句、だ、抱きしめてしまうなんて……」

純「そ、そんなに気にしなくてもいいと思いますけど……つーか松実喜んでるし……」

玄「よ、喜ぶだなんて……そ、そんなはしたないこと……えへ、えへへ……」

純「あからさまに喜んでるよな!?」

憧「そうですよー……えへへ……玄も全然嫌がってないですし……ふふ」

ハギヨシ「新子さんもいつまで井上さんに……いえ、なんでもないです。 よかったですね」

憧「はい! へへ……萩原さんも、そんなに気になるなら責任とってあげてくださいねー」

ハギヨシ「せ、責任……?」

純「男が女に対して責任を取るって言ったら、そりゃあ……なぁ?」

憧「へへへ……萩原さんには、覚悟を決めていただいてー」

ハギヨシ「な、それは、つまり……」

純「結婚だな」

ハギヨシ「…………け、結婚……!?」

玄「はわっ!?」

憧「玄のこと、よろしくお願いしますね」

玄「えっ!? え……えっ!?」

ハギヨシ「く、玄さん! その、やはり結婚というのは人生における大きな転機でもありますし、これからよく考えて、高校を卒業してから……」

純「真面目か!? 冗談の通じない人だな!?」

365 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/28(日) 02:48:48.07 ID:0+cDiZd50

玄「あ、あの! 萩原さん!」

ハギヨシ「はい、玄さん……どうも、すみませんでした……私の軽率な行動で……」

玄「いえ! いいんです! でも……萩原さんの言う通りですから、よく考えてみます!」

憧「……? なにを?」

玄「だから、私もいつかは結婚したいし……でも、お母さんとお父さんの……もっとずっと前から大切に守ってきた松実館を私も守りたいし……」

純「うん?」

玄「いや、だから、私も素敵な人のところにお嫁にいきたいって思ってるけど……やっぱりお婿さんを取るのが現実的なところがあるし……」

ハギヨシ「なるほど……私も龍門渕に、透華お嬢様に仕える立場もありますし……」

玄「よく考えていかないといけないですね……奈良と長野って距離もありますし……」

ハギヨシ「そうですね……」



純「……なあ、あいつら付き合ってないんだよな? なんで結婚の相談してんだ?」

憧「えー? へへ、まあいいじゃないですか……仲良くやってるんならー」

純「……そうだな。 もういいよな……やっぱりあいつらほっといて遊び行こうぜ……付き合ってらんないわ」

憧「へへ、お供しまーす」

純「……今日、ご機嫌だな?」

憧「えっへへ、ちょっといいことあって……」

純「ふーん……? どっか行きたいとこあるか?」

憧「んー? へへ、とりあえず適当にフラフラして考えましょうよ〜」

純「おう。そうすっか……しゃ! 行くぞ!」

憧「はーい!」



この一日、手だけはずっと握ってた

カン!
366 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/06/28(日) 02:53:16.16 ID:0+cDiZd50
>>108
案の定まともにデートしなかったけど想定とは違う感じに
結婚を前提とした(お友だちとしての)お付き合い

なんで姫松だけ新規イラストないのか…久まこは同じポーズだったりいろいろと不安も…
主要キャラはフルボイス!って事と次第によっては暴動ものですがマジで大丈夫なんですかね
367 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/28(日) 02:57:22.90 ID:6LE2Eu0Xo

デートのことを透華に報告したらすぐに式の日取りまで決めそうww
368 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/28(日) 02:58:19.83 ID:TAOaarB5o

若いっていいなぁ
369 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/28(日) 12:38:37.74 ID:/b6ijfHPO
乙です
370 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/28(日) 12:41:17.33 ID:p+PjDwzu0
松実館がもんぶち傘下のグループ会社になりそう
371 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/02(木) 00:06:31.23 ID:7GCm2hS70


携帯を眺めながら、メールでいいかなーとか、久しぶりに声を聞きたいなーとか、ちょっと考える

一応夜中だし……寝てるってことは無いだろうけど、なんとなく躊躇われる

……まあ、こんなこと深く考えても仕方がないし……話してみてからでいいかな

……元気にしてるといいけど

通話のボタンを押して、コール音を聞きながらなにを話すか考える

とりあえず、用件と……あとは……適当に世間話でもすればいいか



灼「……あ、もしもし?」

372 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/02(木) 00:07:27.97 ID:7GCm2hS70

揺杏『県大会、負けた!』

灼「……うん、知ってる」

揺杏『つーかさ、勝てるわけないよな! 爽も抜けちゃったし! ついでにチカセンも! ユキはともかく私と成香じゃさ!』

灼「……琴似栄、強かったしね」

揺杏『まあ? ユキは個人戦なんとか抜けたから夏は東京行くけど! 応援もあるし、灼たちにも会えるぜ!』

灼「うん、それはうれし……」

揺杏『うんうん……私も楽しみだ! 楽しみ……だけど……』

灼「……うん」

揺杏『…………』

揺杏『…………やっぱさ……悔しいな……』

灼「……揺杏は、頑張ったよ」

揺杏『…………うぅ……くっそぅ……負けちまった……』

揺杏『てきとーやってたうちも麻雀部っぽくなってきてさ……それに、去年のインハイ見て……うちに来てくれたって子もいたわけよ……』

揺杏『私も、足引っ張りたくないからさ……けっこう、マジで練習して……』

灼「…………」

373 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/02(木) 00:08:18.64 ID:7GCm2hS70

――――――

揺杏『いやーわりぃわりぃ! せっかく電話くれたのに愚痴っちゃってさ! ちょっとスッキリしたわ!』

灼「ん……それならよかった。 ……誕生日おめでと」

揺杏『あ、そっか! それが用件か! あはは、忘れてたわ! そっちこそ県大会突破おめでとう!』

灼「ん……ありがと」

揺杏『いや、ほら……本当はもっと早く言おうと思ってたんだけどさ……なんか、自分の方うまく消化しきれなくってさー』

灼「……それだけ本気でやったってことだよ」

揺杏『おー……最初からこうやって全部吐き出しちゃえばよかったのかもしれないけどさ……後輩たちの前で泣くのもちょっとアレだし、かといって成香相手ってのもなー』

灼「ふふ、ちょっと酷……爽とか、桧森さんじゃダメだったの?」

揺杏『付き合い長すぎて逆にな……ほら、あのふたりはふたりで今それぞれ頑張ってるわけだし……』

揺杏『まあ、結局灼から電話来たからつい……直で顔会わせてたらやっぱ無理だった気もすっけど』

灼「揺杏は、けっこうそういうの隠すよね」

揺杏『だって恥ずいじゃん……あー! もう! つーかマジで恥ずかしくなってくるからあんま突っ込むなよ!』

灼「ふふ、ごめ……」

374 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/02(木) 00:09:00.75 ID:7GCm2hS70

揺杏『うー……もうその話はいいからさ! あー……そうだ、当然なんか送ってくれたんだろ? 誕生日プレゼント! なにをくれるんだよー?』

灼「グローブ」

揺杏『は? グローブ?』

灼「鷺森レーンの刺繍も入ってるから……」

揺杏『ボウリングの!?』

灼「宣伝よろしく……」

揺杏『いや、チェーン店とかじゃないっしょ!?』

灼「使ってね」

揺杏『いや、使うけど……それにしてもマイボールとかマイシューズはまだ聞くけどグローブってなかなか聞かないぜ?』

灼「私とお揃いだから」

揺杏『おそっ……んー? ふっふーん……なんだよーそういうことかー』

灼「……なに?」

揺杏『いやあ、そんなに私のこと好きならもっと好き好きオーラ出してくんないとさー』

灼「…………べ、べつに」

揺杏『なんだよ照れんなよー! もっとわかりやすく? 玄ちゃんぐらい!』

灼「…………それはさすがに無理……キャラじゃないし……」

揺杏『えー? アレくらいやったら絶対かわいいと思うけど……』

灼「そりゃ揺杏のことは好きだけど……」

揺杏『え……』

灼「……どしたの?」

揺杏『い、いや、べつに……』

灼「……なにも照れなくても」

揺杏『そんな、急に……さらっと言われるとさぁ……ちょっとドキッとしたぜ』

灼「……そ」

揺杏『……なんでそっちまで照れてんだよー』

灼「そっちが照れるから……うつった」

375 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/02(木) 00:09:54.66 ID:7GCm2hS70

揺杏『…………』

灼「…………」

揺杏『だ、黙るはのやめようぜ……なんか、ほら、ね? マジっぽくなるじゃん?』

灼「う、うん……友情だから、友情」

揺杏『わかってるって……親友だもんな、私たち!』

灼「…………それはそれで恥ずかし」

揺杏『うん、私も思った……』

灼「…………」

揺杏『…………』

揺杏『えっと、その……県大会! けっこうギリギリだったじゃんかよー』

灼「あ……うん……さすがの晩成だった。 穏乃がなんとか抑えてくれたよ」

揺杏『映像見たけどさ、晩成の大将めっちゃ怖かったな』

灼「ん……去年はうちが持ってったし、巽さんは去年も大将戦で穏乃と打ってたから因縁も……」

揺杏『いや、顔が』

灼「顔って…………まあ、相当気合入ってたから……優しい人だよ?」

揺杏『晩成ってことはやえ姐さんの後輩だよな? 私と違ってきっちりしてんだろうなぁ』

灼「晩成自体かなり厳しいとこだから……」

揺杏『……私と違っては否定してほしかったんだけど』

灼「それなら自分で言わないでほし……」

揺杏『そりゃまあそうだけどさー』

灼「……意外と揺杏はきっちりしてると思うけど」

揺杏『うーん、微妙なフォロー』

376 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/02(木) 00:10:53.53 ID:7GCm2hS70

灼「……晩成といえば、こないだやえさんと爽打ってたよね」

揺杏『おう、見た見た! 爽打ちにくそうで去年の夏の準決思い出したわ……ほら、末原先輩?』

灼「ああ……たしかにあのふたり似てるかもね。 事前の研究しっかりしてるし、想定外の手にも対応力も高いし……ハルちゃんに近いかも」

揺杏『実際とんでもねーわ……王者横浜で新人が試合出てんだもんな……照ちゃんもだけど』

灼「照さんは……すごいよね」

揺杏『いろいろな……あのふたり、王者横浜の新人王者コンビって評判で……』

灼「……やえさん、高校生王者と奈良県王者で並べるのやめろって怒ってたけど」

揺杏『あはは! たしかに並べられる側としては複雑だろうなー』

灼「悔しいけど自分は照には及ばないし、って……」

揺杏『いちいちマジで受け取っちゃって……なんつーか、律儀だよね』

灼「やえさん、根は素直だから……」

揺杏『端から見てそれがわかるからあの人かわいいんだよなー……ついからかいたくなるっつーか』

灼「もう……揺杏も爽もそればっか」

揺杏『昔からこんなんだからしゃーねーって! でも、実際けっこういいコンビだよな? 照ちゃんとやえ姐さん』

灼「照さんが抜けてる分やえさんがしっかりしてるからね……」

揺杏『姐さん居なかったら放送事故の回数倍になってただろうなー』

灼「……やえさんがいてもそこそこ事故ってる現状が怖いんだけど」

揺杏『照ちゃんも高校時代はしっかりしてるように見えたのにな……一回崩れてから取り繕う気もないよね』

灼「…………まあ、一応締めるとこはしっかり締められてるし」

揺杏『きっちりやるのが苦手なわけじゃないんだよなー』

灼「毎回きっちりやってくれないと……やえさんが心配」

揺杏『真面目だからねぇ……楽しそうに漫才してるけど』

灼「照さんはね」

揺杏『照ちゃん楽しそうだからいいんじゃない?』

灼「世話焼きのやえさんは大変……弘世さんは高校時代よく世話見てたと思」

揺杏『……あれは、実質亦野が世話焼いてたんじゃないの?』

灼「…………そういう説もある」

揺杏『最有力だよな?』

灼「……うん」
377 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/02(木) 00:11:34.82 ID:7GCm2hS70

揺杏『弘世様と言えば大宮も盛り上がってるねよねー……ほら、もう少しするとはやりんも誕生日だし! はやりんの公式ブログと弘世様のTwitter超盛り上がってるぜ?』

灼「ああ……弘世さんのはやりんバースデーライブの宣伝すごいよね……」

揺杏『公式より盛り上がってるし……宣伝部長だもんな!』

灼「……非公式だけどね」

揺杏『さすがはやりんのファン代表! チケット抽選通った!って最近めっちゃテンション高いよなー』

灼「弘世さん、ライブが近づくにつれて対局の成績も上がっていってるのが……」

揺杏『意外とテンションに左右されるタイプなのなー……それに、レジェンド先生も最近すごいじゃん! 小鍛治健夜との連戦、見応えあるしつい見ちゃうんだよなー』

灼「ハルちゃんほんとカッコいいよね!」

揺杏『うわ、急にテンション上がったね』

灼「ごめんつい……うまく打ち回して直撃取ったりしてるけど、なかなか勝てないのだけが残念……」

揺杏『いや、小鍛治プロから直撃取ってる時点で大概化けもんだろー……グッズも売れ行き好調らしいじゃん?』

灼「全部買った! ユニフォームに阿知賀のレジェンドTシャツに各種ストラップやステッカー、ハルちゃんのためにハートビーツのファンクラブにも入ったし……」

揺杏『お、おう……さすが、気合入ってんな』

灼「まあね……揺杏も爽の応援するのにフロティーラのファンクラブ会員になればいいのに」

揺杏『んー……そう言われても、海越えなきゃでマメに試合見に行ったりできないしなぁ……本拠地も遠いし、グッズは……まあ、売れなかったらかわいそうだからちょっとぐらいは買ってやってもいいけど』

灼「ふふ……素直じゃないね」

揺杏『……うっせ』

378 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/02(木) 00:12:18.48 ID:7GCm2hS70

揺杏『そういや、爽の方も元気にやってるみたいだぞ? 戒能プロに引っ付いて面倒見てもらってるらしいし』

灼「そういえば、五月に会ったときにそんなこと言ってたね……戒能プロも爽も多彩な打ち筋だし参考にするにはちょうどいいのかも……」

揺杏『そうそう……まあ、戒能プロがはやりんと仲いいからくっついてるだけなんじゃねーかとも思ってんだけど』

灼「…………ま、まあ、さすがに麻雀がメインの理由でしょ」

揺杏『爽だしちょっと怪しいぁ……って思ったろ?』

灼「ノーコメント」

揺杏『ノータイムでその切り返しはちょっと……』

灼「まあ……でも、爽も最近ちょっとずつ成績に繋がってきてる」

揺杏『うん、それは……なんつーか、やっと本気になってきたんだろ。 開幕してすぐはそこまで気持ち入ってなさそうだったから……なんつーか、お遊び気分が抜けたのかな』

灼「そういうムラッ気はあるよね……戒能プロにくっついてたのは正解なんじゃないかな。 若手のトップだし、側で学ぶことも多いだろうし」

揺杏『うん……あいつがマジでやりはじめたんなら今年の新人王にも絡めるんじゃねぇかな』

灼「本命は……まあ、照さんだろうけど……」

揺杏『対抗は智葉先生や愛宕洋榎辺り? まだまだわからないけどねー』

灼「……もう、誰を応援すればいいのか……」

揺杏『スゲーわかる……知り合い多いとちょっとな……みんな応援してるけどみんなが勝てるわけじゃないしねー』

灼「……そのうち、ハルちゃんと照さんが打ったりすることもあるだろうし……」

揺杏『複雑だよなー』

379 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/02(木) 00:13:07.33 ID:7GCm2hS70

揺杏『……ま、今年のインハイは阿知賀を……灼を応援するからさ!』

灼「揺杏……」

揺杏『地元を応援するものかもしれないけどさ……ここはやっぱり? 親友の応援を? しちゃうかなってー』

灼「……照れるぐらいなら言わなきゃいいのに」

揺杏『うっせ! うっせー! 私だって、こう……うー……ちょっと待って!』

灼「ん」

揺杏『あー……うー……だから、その……』

揺杏『……灼』

灼「うん」

揺杏『やっぱさ、一応今年最後だったわけで……私は私なりに本気だったわけよ』

灼「……うん」

揺杏『去年は爽も居て、なんとかこうとか……ギリギリだったけど県大会優勝して東京まで行ってさ……やっぱ、これが高校生活でも一番のイベントだったなーって思うわけよ』

灼「うん……私も、そうだよ。 みんなと、ハルちゃんと一緒に頑張って……いろんな人と会えた……揺杏とも」

揺杏『おう……私も灼たち阿知賀のみんなに一やはっちゃんさん、弘世様とか……面白いダチもたくさんできて……だからさ、やっぱり託すならそーいうやつらっていうか……』

揺杏『……ったくさー……恥ずかしいからあんま言わせんなよなー』

灼「ふふ……それは、ごめ」

灼「……あのさ、揺杏」

揺杏『んー? なんだよー?』

灼「うちも、ハルちゃんや宥さん抜けちゃって大変だけど……目標は優勝」

揺杏『ん、そりゃそーだよな』

灼「だから……うん、まあ……まかせて」

揺杏『……ふふっ、なんだよー? それじゃあ、まかせちゃおっかなー』

灼「ん……その、戦うから。 揺杏の分も」

揺杏『へへっ……頼んだぞー? 仇討ってくれなー』

灼「ん……当たるかわかんないけど」

揺杏『そこはまかせろ! でいいじゃんかー』

灼「ふふふ……これは、性格だから」

380 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/02(木) 00:14:07.16 ID:7GCm2hS70

灼「……ま、全部倒せば実質仇討ちになると思」

揺杏『お、いいねー強気だねー』

灼「負けられない理由が増えたから……その、親友との約束、だし……」

揺杏『……照れるなら言わなきゃいいじゃんかよー』

灼「それは、揺杏が言ったから……私だけ言わないのも、なんか……」

揺杏『灼も変に律儀だよなー……んじゃ、頼んだぜ親友! 仇討ちついでに優勝しちゃってくれよ!』

灼「ん、おまかせ……夏、会えるの楽しみにしてる」

揺杏『こっちこそ! みんなのために新しい服も作ってくからなー』

灼「うれし……ありがと。 揺杏の服が一番好きだよ」

揺杏『……なんだよ! もう! テンション上がるじゃん! へへっ、そっちの方はまかせてくれよー』

灼「ん……じゃあ、こっちの方はまかされた」

揺杏『よーし! へっへへ! 私のインハイは終わっちゃったけどさ……今、できること頑張るから! そっちも頑張ってくれよ、灼!』

灼「うん……それじゃあ、夏にね。 誕生日おめでと」

揺杏『あ、それ、もう忘れてたわ! 成香にケーキ奢らせっかな…………じゃ、夏に! おやすみ、灼』

381 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/02(木) 00:14:52.01 ID:7GCm2hS70

灼「…………」

インターハイにかける人の思いは、強い

去年の夏に存分に思い知ったけれど……多くの人の期待や責任、多くのものを背負って戦う場所だ

去年に続いて、二回目のインターハイ

今年は、背負っていくものがちょっと増えたけど……それも戦う上で励みになるし、支えにもなる

プロとして戦い始めたハルちゃん、一足先に卒業した宥さん、今も昔も阿知賀の麻雀部を支えてくれている望さん……巽さんたち晩成の選手、吉野の人たち……他にも、たくさん

そして今、大切な友だちが……私に、想いを託してくれた

灼「…………うん、頑張ろう」


カン!
382 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/02(木) 00:24:01.50 ID:/14ggOUNo

揺杏かわいいよ揺杏
383 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/02(木) 00:26:17.12 ID:lCtOwc0to

悪友と親友の間みたいな感じがいいね
384 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/02(木) 00:28:54.71 ID:7GCm2hS70
ゆあたんイェイ〜

>>367「それで、式の日取りはいつにしますの?」とかって真顔で聞いてきそう
>>370吸収は松実姉妹が嫌がりそうだし過剰な支援が行われるぐらいに落ち着きそう。龍門渕グループの社員旅行先に奈良が追加されるのは必定

次回は前スレのどっかで出てた衣と魔物巡りか各校監督たち辺りで…はやりん誕生日もなにかしら間に合わせたいところ
385 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/02(木) 00:32:35.08 ID:+VSK9A1ZO
乙です
386 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/02(木) 00:33:36.29 ID:lYF7h4/oo
387 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/02(木) 00:45:21.70 ID:dhP/USgro

この頃レジェンドはすこやんと死闘を繰り広げているのか…
388 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/03(金) 17:53:21.69 ID:BkNmpBD/O
アラフォーがそこまで振り込んだりするようには思えないけど
やっぱりブランクと晴絵への苦手意識もあるのかな
もちろんレジェンドが阿知賀の監督を通して精神実力両方揃ったっていうのもあるだろうけど
389 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/08(水) 12:06:42.22 ID:RIUl7ree0
>>388半荘複数回あれば一回直撃取るぐらいの力はあるイメージです。そしてすこやんはその一回で大騒ぎされてしまうイメージ

ゲーマーズの特典がしんどうくんという衝撃の展開。今回は何セット買えばいいんだろう…
Vitaの方も鶴賀、新道寺参戦という事で阿知ポまでのキャラは出番ありそうですね。一安心

お昼ですけど投下。
390 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/08(水) 12:07:26.25 ID:RIUl7ree0

衣「麻雀が打ちたい!」

透華「……? 今、こうして打ってるではないですか?」

衣「それはそうなんだけどそういうことではなく……そうだな、咲や穏乃はインターハイで多くの魑魅魍魎共と鎬を削り合い、その多くを屠ってきたであろう?」

咲「う、うん……その言い方はちょっと気になるけど」

穏乃「すごい人たちとたくさん打てて楽しかったです!」

衣「それだ! 衣は県大会で……咲や華菜、ゆみと打って満足したから個人戦に参加しなかったが……みなの団体戦を見て、そしてこうして打っているうちにどうにもこうにも血が疼いてな……」

灼「……私たち同様、龍門渕のみんなも個人戦の選手じゃない。 対局することに問題はない」

和「私がこうして穏乃や憧、玄さんと打てるのもそのお陰ですね」

美穂子「反対に、私は宮永さんや原村さんとは打てないんだけど……」

久「仕方ないけど不便よねぇ」

衣「福路は不憫だが……しかし、衣はつまらん規則に縛られることなく各地の強者と打つことができるんだ!」

憧「まあ、この制度のお陰で私たちもけっこういろんな人と打ててるもんね……練習相手作るの大変だからーって……姫松なんかはプロ呼んだりして練習してるって聞いたけど」

晴絵「金のある名門校は羨ましいねぇ……天江さんはもう私には飽きちゃった?」

衣「む……そんなことはないぞ? 伝説と呼ばれるだけあって何度打っても退屈しない……でも、その……」

純「あぁ……なるほどね。 こいつ、新子たちがいろんなやつと打って……友だち作ってきてんのが羨ましいんですよ」

晴絵「ほほう?」

衣「なっ!べ、別に衣は……!」

一「大丈夫大丈夫。 わかってるよ、衣……とりあえず薄墨さんにでも声かけて……」

衣「は、はじめっ!」

智紀「別に、素直になればいい……せっかく東京まで来たんだから……友だちを作ってくるのも悪くはない」

穏乃「それじゃあ、私たちが友人を紹介しますよ!」

衣「い、いいのか……?」

穏乃「もちろんですよ!」

391 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/08(水) 12:08:19.49 ID:RIUl7ree0

一「薄墨さん、来てくれるって」

穏乃「やったあ! これで早速打てますよ、天江さん!」

衣「う、うん……ぁ、ありがとう……」

一「いいよ別に……衣はかわいいなぁ」

ハギヨシ「それでは、おもてなしの準備をしなくてはいけませんね」

玄「お茶菓子、追加で買いに行きましょうか?」

透華「そうですね……手落ちがあってはいけませんわ。 よろしくお願いしますわね、ハギヨシ、玄さん」

ハギヨシ「? お茶菓子ならば私一人でも……」

玄「あ! い、一緒に行きます! ありがとうございます龍門渕さん!」

透華「いえいえ、頑張ってくださいまし」

智紀「……衣も、せっかく東京まで来たんだから、友だちだけじゃなく恋人を作ってみるとか……」

透華「そんなのっ! 衣にはまだ早いですわっ!」

衣「衣を子ども扱いするなっ!」

ハギヨシ「さ、沢村さん? 私は、別に、そのような……」

智紀「わかってますから」

一「燃えるような一夏の恋……素敵じゃないかな?」

ハギヨシ「いえ、ですから……」

透華「一夏などと……ハギヨシは誠実です! 最後までしっかり責任を持ちますわ! 玄さんも安心してくださいまし!」

宥「よかったね、玄ちゃん」

玄「うん! ……え、あ、いや、その! お、お友だちですから! お友だち!」

ハギヨシ「……そ、それでは少し外しますので」

玄「あっ! ま、待ってください!」

392 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/08(水) 12:09:08.65 ID:RIUl7ree0

透華「……式の日取りはどうしましょうか」

純「いくらなんでも気が早いって……」

透華「早く孫の顔が見たいですわ!」

和「どうやってもあの二人からは龍門渕さんの孫は産まれませんよ!?」

透華「ではどこから……?」

咲「どこから!?」

透華「あっ! ダメですわ! そんな、衣が結婚なんて許しませんわよ!!」

久「過保護なお母さんねぇ」

美穂子「愛されてるのね」

衣「おーい、透華は衣の母上ではないぞ?」

まこ「いちいち突っ込んでたらキリがないけぇ、ほっときんさい」

華菜「ほら、龍門渕ー? せっかく他所から客が来るんだし全国区で目立つチャンスだぞー」

透華「!!」

未春「あ、反応しちゃうんだ……」

透華「たしかに……! 個人戦に参加せずとも全国の強者たちと打つせっかくの機会! 大会に出ないで個人戦の強者を影で打ち倒す美少女雀士なんてまさしくアイドル!」

一「そうなのかな?」

純「つーか県予選で敗退しただけで参加してないわけじゃないだろ……」

透華「だまらっしゃい! ええい、原村和!」

和「は、はい?」

透華「今度こそ誰が全国一のアイドルかわからせてあげますわ! 勝負です!」

和「あ、アイドル……? まあ、龍門渕さんと打つこと自体はなんら問題ありませんが……」

灼「そういうことならうってつけの相手が……」

宥「えーと、それじゃあ私も……」

393 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/08(水) 12:10:12.43 ID:RIUl7ree0

――――――

爽「お前、そんな! アイドルと言ったらうちのユキだろ!」

透華「ふん……真屋さんでしたか? 貴女、ぶっちゃけ原村和とキャラ被ってますわ! その時点で私の敵ではありませんわ!」

由暉子「なんか好き勝手言われてますけど怒っていいですか?」

一「ごめんね、悪気はないんだよ」

純「いちいち怒ってるとキリねぇぞ?」

菫「そもそもアイドルと言ったらはやりんだろ! 何言ってるんだお前らは!」

爽「弘世様!? 弘世様だ!」

智紀「生弘世様……」

透華「様付け!? なにごとですの!?」

爽「しっかし聞き捨てならないなぁ……アイドルと言えばはやりん! これには迷わず同意するけどユキがキャラ被ってるなんて認めないぞ! むしろ原村が被ってるんだよ!」

和「被ってるとか被ってないとかどうでもいいので! はやりんの話をしましょう!」

まこ「賛成じゃ! その方が建設的で実があるからのう」

由暉子「そうですね。 はやりんの話でいいですよ」

憧「さ、賛成……」

菫「なんだ、話のわかるやつがいるじゃないか!」

爽「ふふん……会いたかったぜ弘世様! 同じはやりんのファンとして!」

菫「獅子原っ……お前……!」

爽「おい! 弘世様ははやりんの曲、どれが好きなんだよ!」

菫「全部好きに決まってるだろ! 選べるわけあるか!!」

爽「だよな!」

和「当然ですね」

透華「ちょっと!? 麻雀! 麻雀はどうなりますの!? 勝負しに来たんじゃないんですの!?」

菫「最高のアイドルははやりんだ!」

爽「意義なし!」

和「論ずるまでもありませんね」

透華「なっ……なんなんですの!? なんなんですの!?」

憧「まあ……そもそもこの面子じゃ個人戦あるから卓囲めませんし……」

まこ「打ったら大会失格じゃから……はやりんの話するしかないのう」

透華「そんな……そんなバカなっ……!」

394 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/08(水) 12:11:38.05 ID:RIUl7ree0

いちご「……ちゃちゃのん、こいつらと同じ枠で呼ばれたんか?」

宥「あー……ご、ごめんね?」

衣「せっかく来たんだ! 衣と打とう!」

宥「……和ちゃんたちはいいの?」

衣「……衣は世情に疎くて……はやりんの話にはついていけないんだ……」

灼「あそこにいるのはファンの集団だから、仕方な……」

いちご「獅子原がアレなのはともかく、弘世は……本当に弘世か? そりゃ、例の動画は見たけど……未だに信じられんわ……」

久「え……あの、あれ? あれ誰?」

灼「……白糸台の弘世菫さんですけど」

久「……え? なに? 誰だって?」

灼「……気持ちはわかりますけど」

久「えー…………うーん…………」

美穂子「あ、あの……久? ちょっと失礼なんじゃ……」

久「まあ、面白そうだからいいか!」

美穂子「あらら……」

華菜「はやりんは熱狂的なファンも多いしなぁ……」

穏乃「ちなみに池田さんはどうなんですか?」

華菜「妹たちと一緒に牌のお姉さんの番組は見るけど……まあ、それくらいだなー」

菫「なんだと!?」

華菜「にゃ!? な、なんだし!?」

395 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/08(水) 12:13:10.40 ID:RIUl7ree0

菫「なんだ、君は!? 自分が何を言っているのかわかっているのか!?」

華菜「いやいや、そっちこそ急に何事だし!?」

菫「牌のお姉さんの番組を見ていて……それだけだと!?」

爽「こっち来な猫娘! はやりんの魅力を教えてやるよ!」

華菜「え゛!? い、いや……その、遠慮するし……」

和「大丈夫ですよ、池田さん。 はやりんの素晴らしさは一言では表せませんが……聞けば必ず理解できるはずです!」

憧「人生楽しくなりますよ!」

まこ「はやりんはええぞー?」

由暉子「たしかに、素敵でしたよ」

華菜「え、なんかみんな怖いんだけど……」

菫「いいから! さあ、来い!」

華菜「ひぃ!? キャ、キャプテン! みはるん! ……た、助け……にゃあ!?」

未春「か、華菜ちゃん……」

美穂子「華菜……ごめんなさい……私の力ではどうにも……」

久「生きて帰れるのかしらねぇ……?」

衣「……随分と楽しそうだな、竹井」

久「そりゃあ……ねぇ?」

咲「あはは……」

灼「……頑張れ、華菜」

396 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/08(水) 12:15:18.82 ID:RIUl7ree0

いちご「……はやりんのファンは怖いのう」

宥「そのぅ……熱心なファンなんだよ、みんな」

衣「……いつになったら衣は麻雀が打てるんだ?」

いちご「これだけ居れば卓は囲めるじゃろ? ちゃちゃのんもあんたと打ってみたいと思っとったんじゃ」

衣「本当か!?」

智紀「よかったね、衣」

優希「では! この私も卓に着こうではないか!」

衣「おお、優希! 帰ってきたのか!」

優希「たった今な! いやぁ、東京タコス巡りは最高だったじょ!」

京太郎「なぜ俺の奢りで……って! なんかかわいい子がいっぱい増えてる! しかもすげぇ盛り上がって……」



「はやりんが「はやりんの」「はや「はやっ☆「牌のお姉さんが「麻雀「ライブの」やりんの歌は」はや「素敵で「かっこいい」

華菜「…………やめて……わかったから、うん……はやりんすごいなぁ……ははは……」



京太郎「…………」

京太郎「はじめまして! 清澄の須賀です! 付き合ってください!」

いちご「は? 急になんじゃこいつは……」

京太郎「しまった! つい心の声が!」

優希「そりゃあフラれるじぇ……」

衣「随分と間の抜けた奴だな」

咲「というかよくあれスルーしたね……」

灼「触る方が危険だと思」

咲「……たしかに、それもそうかぁ」

397 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/08(水) 12:16:09.56 ID:RIUl7ree0

玄「ただいま帰りました!」

ハギヨシ「永水女子の方たちをお連れしました」

小蒔「本日はお招きいただきありがとうございます!」

初美「一ちゃん、穏乃ちゃん! みんなで来ましたよー!」

一「いらっしゃい!」

穏乃「こんにちは! 玄さんたちと一緒だったんですね!」

霞「おみやげを買っていこうとしたらお店でばったり会ってしまって……」

巴「というか、すごい人数ですね……量足りないなぁ」

春「私は黒糖があるからいらない……」

巴「どちらかと言うと黒糖をみんなに分けるとか、そういう方向性の発言が欲しかったんだけど……」

京太郎「……ちょっと、萩原さん?」

ハギヨシ「ああ、須賀くん……お帰りなさい。 片岡さんとのデートはどうでした?」

優希「アツアツの一時だったじぇ? ねー? ア・ナ・タ♡」

京太郎「外は暑くてお前はタコスに熱くなってたけどな!? つーかデートじゃないですし! 」

京太郎「というか! そんなんどうだっていいんですよ! ちょっとこっち来てください!」

ハギヨシ「はい……? なんですか?」

京太郎「なんですか? じゃないですよ! 察するに松実さんとデートに行った挙げ句……永水の巫女さん方まで引き連れて! はぁ!? ハーレム状態を楽しんでたんすか!? 許しませんよ!?」

ハギヨシ「い、いえ……ただ、買い出しに出て……その買い出し先で永水の方たちに出会っただけですよ?」

京太郎「そんな建前の話は聞きたくないですよ! あんな……あんなおっぱいに囲まれて! 羨ましい! ズルい!」

ハギヨシ「いや、そう言われましても……」

京太郎「楽しかったでしょうねぇ!? おっぱいパラダイス! しかも萩原さん巫女フェチだし!」

ハギヨシ「巫女フェチではないですから! それと、女性ばかりの場所で……その、そういうことを言うのはやめてください。 視線が痛いです……」

398 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/08(水) 12:17:03.82 ID:RIUl7ree0

いちご「男って……しょうもないのう」

玄「うへへ……それにしてもやっぱり石戸さんのおもちはすごいなぁ……」

いちご「ってあんたもか!? 石戸の名前が出ただけでおもちが何を指してるのかすぐわかるわ!」

宥「玄ちゃん、だからそれはやめた方が……せめて萩原さんのいるところだけでも……」

灼「今のは……お取り込み中だからたぶん聞いてなかったけど、さすがに……」

玄「え、あ……うん……つい……」

霞「あらあら? 今、呼ばれたかしら?」

玄「あ、い、いえ! ただ石戸さんのおもちが……」

灼「おっと手がすべった」

玄「きゃあ!?」

京太郎「ぐえっ!? な、なんだぁ!?」

灼「あ……狙いが逸れた……」

ハギヨシ「いや、危ないですから止めるにしてももっと穏便に……というか狙いが逸れたっていったい何を……」

灼「あ、聞こえちゃってたやつ……そりゃあ、玄を突き飛ばしてあわよくば萩原さんに抱きつかせてあげようかと……一石二鳥?」

ハギヨシ「…………玄さん、大丈夫ですか? お手をどうぞ」

玄「あ……ありがとうございます……」

京太郎「お、俺は放置っすか……?」

ハギヨシ「女性が優先です……というより、私の手が必要なのですか?」

京太郎「いや、いらないですけど! ちょっとないがしろにされてるような……ねぇ?」

玄「え? う、うん……?」

399 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/08(水) 12:17:51.76 ID:RIUl7ree0

霞「ええと……?」

衣「石戸! お前は個人戦の選手ではなかっただろう? よかったら、衣と……」

霞「うふふ……そのために来たんだもの。 私でよければお相手するわ」

衣「うん!」

いちご「天江衣に永水の石戸、清澄の一年エースが相手か……なかなか骨じゃのう」

優希「むむむ……のどちゃん以上のおっぱいの持ち主! いくら私でもキツいじょ……」

初美「ふっふーん! おっぱいにおいて私の霞ちゃんの右に出る者はいませんよー?」

霞「麻雀に胸は関係ないんじゃないかしら……?」

小蒔「あの! 私、私も皆さんと打ちたいです!」

巴「姫様は個人戦の選手ですから、対局の面子には気を付けてくださいね」

初美「衣ちゃんが打ってくれるみたいだから半荘一回終わったら佐々野さんと交代してもらうといいですよー」

いちご「かまわんよー? ……というか、思った以上に他校の個人戦選手集まっとるのう……これは、あまり手の内を見せるわけにも……」

衣「だからと言って手加減などする余裕があるのか? ロン!12000だ!」

いちご「はい!? まだ三巡目じゃぞ!?」

優希「そういうのは私の専売特許なんだが……早速親まで流されちゃったじょ」

霞「あらあら……大変な一局になりそうねぇ」

宥「いちごちゃん、天江さんはかわいい見た目に反して麻雀の方は……」

いちご「凶悪じゃな……去年のインハイで知っとったのに……つい油断してもうた」

透華「ふふん、戦いの場で油断するなどと……そのようなことではアイドル対決を勝ち残れませんわよ!」

いちご「……別に、アイドルを目指しとるわけじゃないんじゃが…………」

衣「おお、トーカ! 復活したのか!」

透華「へこんでいては目立てませんもの! 神代さん? 衣が空くまで私の相手をしてくださいまし!」

小蒔「…………」

春「あ、寝た……」

透華「寝た!? ついさっきまでやる気満々だったではないですか!?」

巴「天江さんの気に当てられちゃったみたいですね……」

400 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/08(水) 12:18:53.84 ID:RIUl7ree0

透華「どうなってますの!? 私の計画が……名のある選手をギッタギタに叩きのめして名を上げる計画が……!」

智紀「衣が楽しそうだからいいと思う」

透華「それもそうですわね!」

初美「切り替えの早い人ですねー……まあ、私でよければお相手しますよー?」

透華「薄墨初美! そういえば貴女、今年も役満和了りまくりでアホみたいに目立ってましたわね!? この私を差し置いて!」

初美「え……? いやいや、差し置いてもなにも龍門渕さんは県予選で……」

透華「なんですの!?」

初美「……その、派手に散ってしまったじゃないですかー?」

透華「まあ、そんなこともありましたけど!」

純「……若干うれしそうにすんのやめろよ」

智紀「派手に散ったって別に褒めてないから……」

初美「……一ちゃんに聞いてた通りで……その、扱いやすい方ですねー」

一「ふふ、かわいいでしょ?」

穏乃「それに、龍門渕さんはかっこいいですよね! こう……ビシッと決まってて! しかも美人ですし!」

透華「もっと! もっと遠慮なく言っても構いませんのよ!」

一「ボク、透華のいいところならいくつでも言えるよ!」

穏乃「それじゃあ私も! 龍門渕さんのいいところもっともっと探しますよ!」

純「……うるせーから、あっちで卓囲みながらやってろよ」

透華「よろしい! さあ、打ちますわよ!」

初美「ちょっと、この集団に投げ込んだ上で隔離するのやめてくれませんかー……?」

智紀「むしろ集団的には透華が心配……服的な意味で」

純「おだてられてノせられて……容易に想像が……まあ、ヤバそうならヨッシーが止めるだろ……」

智紀「……そういえば、その萩原さんは?」

純「あ? さっきまでそこで松実と須賀とじゃれてたろ?」

401 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/08(水) 12:20:05.79 ID:RIUl7ree0

優希「ん? どうした?」

京太郎「あー……いや、俺も全国レベルの対局を見て勉強しようかと思ってな!」

玄「わ、私も……」

優希「ふっ……そういうことなら存分に勉強するがいい! 京太郎には高度すぎて参考にならんかもしれんがな!」

京太郎「ん……おう、そうだな……」

玄「うん、すごいなぁ……」

衣「そうか? そんなにすごいか?」

いちご「天江さんは実際とんでもないじゃろ……なんで個人戦出なかったんじゃ? もったいない……」

衣「いろいろ考えるところがあってな……」

霞「まあ、大会に出るだけが全てではないわよねぇ……」

優希「うむ、全てはタコスだ! おねーさんたちも食べるといいじょ!」

霞「あらあら、ありがとうね」

いちご「む、なかなかいけるのう」

春「それじゃあ、私の黒糖と交換で……」



智紀「……須賀くんと松実さんはそこで片岡さんの手を見る振りをしながら対面の石戸さんの胸を見てるけど」

宥「うぅ……玄ちゃん……」

咲「は、恥ずかしいなぁ……もう……」

巴「まあ、男の子は気になるよね……霞ちゃんと町を歩くとほんとに視線がすごくて……」

純「…………まあ、アレだけでかいとオレも気になるし……男なら尚更だろうな」

憧「でかい方がいいんですか!?」

純「うぉあ!?」

智紀「文字どおり飛んできたね」

純「あーびびった……お前さっきまで弘世たちとはやりんの話してたろ?」

憧「ちょっと飲み物を取りに離れてて……それより! で、でかい方がいいんですか……?」

純「なんで泣きそうなんだよ!? いや、石戸レベルだとむしろ不便だろ……オレは新子ぐらいでちょうどいいと思うぞ」

智紀「ちょうどよくて好きだって」

咲「よかったね、憧ちゃん」

憧「ふきゅ」

巴「……好きとは言ってなかったよね?」

402 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/08(水) 12:20:55.86 ID:RIUl7ree0

ハギヨシ「失礼します……狩宿さん、少しよろしいですか?」

巴「あ、はい! なんでしょう?」

ハギヨシ「神代さんがお休みになられているようなので、隣の部屋にお布団を準備したのですが……」

巴「あ、すみません! 気を遣わせてしまって……」

純「……いつ部屋出たんだよ、あの人」

智紀「そこら辺は今さら気にしても仕方ない」

純「……ま、そりゃそうだけどよ」

ハギヨシ「それで、神代さんを……」

巴「ああ……すみません、お願いしてもいいですか?」

ハギヨシ「はい……それでは、失礼します」

咲「うわ……眠ってる人間を軽々と……」

巴「いいなぁ……お姫様だっこって憧れるよね」

憧「ですよねぇ」

咲「夢がありますよねぇ」

智紀「……純ならできるんじゃない?」

純「ん? んー……まあ、女の一人ぐらいは抱き上げられるんじゃねぇか? 」

灼「よかったね」

智紀「おめでとう」

憧「な、なんですか!? 別に何も言ってないじゃないですか!?」

403 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/08(水) 12:21:50.97 ID:RIUl7ree0

憧「そ、その……そんなことよりも! ちょっと玄! あんたそれでいいの!? 状況把握してる!?」

玄「うん……ほら、牌をツモったり切ったりする度におもちが……」

京太郎「すげぇ……マジですげぇ……」

宥「く、玄ちゃん……」

咲「……京ちゃんと友だちやってることが恥ずかしいよ……」

憧「あ、あんたねぇ……油断してて誰かに取られちゃっても知らないわよ?」

玄「え? なんの話?」

憧「……もういい。 なんでもない」

宥「あ、諦めないであげて……」

灼「玄……今、萩原さんが神代さん抱き上げて隣の部屋のお布団に……」

玄「えぇ!?」

京太郎「なんだとぉ!?」

巴「え、誤解を招く言い方やめてよ……なんか不安になっちゃう」

智紀「萩原さんに関してはそういう間違いがあるとは思えないけど」

純「つい最近、仕事や人助け以外じゃ女の手も握れないことが判明したしな」

京太郎「いや! 例えそうだとしても「京ちゃん、お願いだから少し黙っててくれないかな?」 これが黙っていられ「黙ってて?」……おう」

玄「ど、どうしようお姉ちゃん……」

宥「え? わ、私? えーと、どうしよう……?」

いちご「え、そこでちゃちゃのんに振るんか? 対局中じゃし妹さんの置かれとる状況がわからんのじゃが……」

衣「ささの! 対局に集中しろ! 今は衣と遊んでるんだから!」

いちご「おお、すまんすまん……宥ちゃん、そういうわけで相談はあとでええか?」

宥「あ、うん……こっちこそごめんなさい」

404 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/08(水) 12:22:48.98 ID:RIUl7ree0

衣「まったく! ささのは集中力散漫だぞ! 最初にもそれで衣に振り込んでるじゃないか!」

いちご「うぅ……それを言われると……」

霞「あらあら、やきもち妬いちゃって……」

衣「な、何を言ってるんだ! べ、別にそんなんじゃ……」

霞「うふふ、ごめんなさいね天江さん……それじゃあ、お詫びに飴でもどうぞ?」

衣「衣を子ども扱いするな!」

優希「いらないのか?」

衣「……いらないとは言っていない」

霞「ふふっ……はい、どうぞ」

衣「……ありがとう」

霞「どういたしまして……片岡さんに佐々野さんもいかがかしら?」

優希「ありがとうおねーさん!」

いちご「ちゃちゃのんはいちご味がええのう」



灼「天江さんかわいい」

智紀「うん……仲良くやれてるみたいでよかった」

玄「それは本当によかったけど……よかったけど……うぅ」

純「だからあの人に限って寝込みを襲うとかねーって」

京太郎「いや、男は狼! なにがあるかなんて……」

咲「あのさ、京ちゃんじゃないんだから……」

京太郎「ばーか! 俺だってそんなことする度胸ねぇから!」

咲「……うん、そうだね」

純「自慢気に言うことでもねぇだろ……」

405 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/08(水) 12:23:36.70 ID:RIUl7ree0

玄「それに、萩原さん……前に神代さんは好みのタイプだって……」

巴「……ね、ねえ、本当に大丈夫? うちの姫様に何かあったら……」

純「そんなに目に見えて慌てんなよ……大丈夫だって」

智紀「無事だと保証できるけど……そこまで心配なら確認してもいいと思う」

巴「うーん……とはいえこっちではっちゃんたちがなんかやっちゃっても困るし……」

灼「……信用ない?」

巴「……だってほら、はっちゃんは穏乃ちゃんと一ちゃんと……憧ちゃんが……」

灼「……納得しました」

巴「……よし! ねえ、春ちゃんよかったら……」



久「相変わらずおいしいわねぇ」

まこ「ほほう……これはこれは……なかなかの……」

美穂子「意外と食べやすいのね」

春「自慢の一品」

未春「これはもしかして……3/5で胸にいってるから……わ、私もいただいても!?」

春「どうぞ」

まこ「黒糖、黒糖……蒸しパンにしたり、豆乳のプリンとか……」

美穂子「クッキーとかにしてみても……」

春「!?」

久「身近にお料理上手がいるとお得よねぇ」

春「是非よろしくお願いします」



巴「……ちょっと、姫様の様子見てくるね」

智紀「いってらっしゃい」

406 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/08(水) 12:24:28.91 ID:RIUl7ree0

衣「ふむ……先ほどから、なにやら外野も盛り上がっているな」

優希「うちの阿呆が恥ずかしい限りだじょ……」

いちご「まあ、多かれ少なかれ男なんてあんなもんじゃろ……表に出すか出さないかの違いはあれども」

優希「……もう少し隠せるようになってもらわんとなぁ……おねーさんにも申し訳ないことをしたじょ」

霞「……その、慣れてるから……気にしなくていいのよ? 片岡さんがなにかしたわけじゃないんだし……」

優希「うう……そう言ってもらえるとちょっとは気が楽だじぇ」

霞「……それにしても、そちらの部長さんたちに春ちゃんがお世話になってるみたいだし……ありがとうね? あの子、あんまり喋る方でもないからちょっと心配で……」

衣「母親みたいなことを言うのだな?」

霞「……よく言われるのよねぇ……小蒔ちゃんや、みんなのことも見ないといけないと思って……本当は、私よりも巴ちゃんの方がよっぽどお母さんみたいなんだけどねぇ」

いちご「……見た目の印象の問題じゃないかのう?」

優希「おっぱいおっきいからだな!」

衣「本当に大きいな……衣も母上のことを……」

いちご「……どうしたん?」

衣「いや、衣の母上はどちらかと言うと……いや、どちらかと言わずとも胸は無かったな。 トーカとたいして変わらなかった……それでも、なんとなく母上のことを思い出す」

いちご「石戸は母性の固まり的存在じゃからな」

優希「うん、おっぱいだな!」

霞「……その、胸のこと、あんまり言われるとちょっと恥ずかしいのだけれど……」

優希「おっと、こいつは失礼したじぇ」

いちご「ついのう」

衣「……ごめんなさい」

霞「あ、そんな、いいのよ? そんなにしょんぼりされると私も困っちゃうわ」

407 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/08(水) 12:24:47.28 ID:+9EL9Xz8O
純憧いいな
408 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/08(水) 12:26:06.18 ID:RIUl7ree0

――――――

衣「海底撈月!」

優希「むぅ……結局逆転手が入らないまま終わっちゃったじょ……」

いちご「さすがの去年の大会MVPじゃな……」

霞「宮永さんも凄かったけれど……やっぱり長野は激戦だったのねぇ」

衣「そういう石戸は咲と打った時のアレは使わなかったではないか」

霞「あらあら、ごめんなさいね? アレは……ちょっと、後の処理が面倒なのよね……私たちの宿で打ってたのならともかく、他所でとなるとちょっと……」

衣「ふむ、そうなのか……それは、こちらこそすまなかったな。 衣は、石戸やささの、優希と打てて満足したぞ! 楽しかった!」

優希「そう言ってもらえるとこっちもうれしいじょ!」

いちご「次は負けんからな! ちゃちゃのんも個人戦でいい成績出さなきゃプロ行きは厳しいしのう……」

霞「ふふ、アレと打ち合いたいのなら、今度は天江さんが遊びに来てちょうだい?」

衣「……いいのか?」

霞「もちろんよ! 小蒔ちゃんも……寝ちゃったけど、天江さんたちと打ちたかったみたいだし……私もまた打ちたいわ」

衣「……うん! 今度は衣がそっちに遊びに行くぞ! トーカやみんなと一緒に!」

霞「ええ、待ってるわ」

409 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/08(水) 12:27:12.85 ID:RIUl7ree0

灼「なごむ」

智紀「衣がうれしいと私たちもうれしい」

純「ほんと、なんなんだろうな……まるで娘を見ているかのような……」

灼「お父さん……」

純「……オレは女だって」

智紀「……そろそろツッコミも面倒になってきた?」

純「それでも突っ込まなきゃ言われたい放題だろうがよ」

智紀「まあね」

宥「でも、本当に今日はみんなを呼んでよかったよ……天江さんもよろこんでくれたみたいだし……」

智紀「……他のみんなもそれぞれ親交を深めてるみたいだしね」

衣「智紀! 純! 今度は衣が遊びに行ってもいいって!」

純「聞いてた聞いてた」

智紀「よかったね、衣」

衣「うん!」

灼「……よかったら、また誰か紹介する」

宥「知り合い、阿知賀のみんなで合わせればもっともっとたくさんいるから……」

衣「……本当に? 衣と打ってくれる者がまだいるのか?」

宥「きっと、みんな天江さんみたいな強い子と打ちたいんじゃないかなぁ?」

灼「もしかしたら、天江さんと同じくらいすごい人も紹介できるかも……」

410 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/08(水) 12:28:36.33 ID:RIUl7ree0

初美「あ、そっち終わったんですかー? それなら私も天江さんと打ってみたいですよー」

爽「なんならこっち来るか? ん?」

菫「はやりんの素晴らしさを教えてやろう」

いちご「……麻雀打たないではやりんの話するぐらいなら、ちゃちゃのんがリベンジしたいんじゃが……」

爽「なんだよ、もちろん麻雀でもいいんだぞ? 天江衣っていや有名人だしな!」

菫「天江クラスの打ち手との対局は私だって望むところだ」

初美「ちょっとちょっと! 順番は守ってくださいよー!」

宥「……ほら、みんな天江さんと打ちたがってる」

灼「人気者だね」

衣「…………」

純「……ほら、行ってこいよ」

衣「ふにゃ……撫でるな、バカ」

純「はいはい、悪かったな」

智紀「ふふ……ほんと、素直じゃない」

衣「うるさい! ……よし! 衣がまとめて相手するぞ! 鏖殺だー!」

初美「鏖殺!?」

爽「こえーよ!」

衣「撫で斬りにしてくれる!」

菫「それ、意味変わってないだろ!?」

いちご「そんなん考慮しとらんよ……」


カン!
411 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/08(水) 12:30:01.14 ID:RIUl7ree0
個人戦の縛りってしょうがないけどちょいと面倒。今後は気分で衣と一緒に他校に乗り込みます。
412 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/08(水) 13:16:11.89 ID:Gy/Pu0RUo

透華が味方だと心強いねクロチャー
413 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/08(水) 13:37:15.75 ID:v4ygG5OPo
乙です
414 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/08(水) 14:20:13.02 ID:To/1cODEo

ちゃちゃのんが個人戦前に再起不能にならなくてよかったー
415 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/08(水) 22:00:52.23 ID:QiHVD3PAO
衣お姉さんと豊音さんの再会を赤土先生と熊倉先生に演出して欲しい!
其れから…
はやりんのお菓子作り講座も是非!
416 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/08(水) 22:26:40.72 ID:oG3HEgTOO
ここはやはり荒川軍団に乗り込んでいってもらいたいですね
もことの絡みが見たい
417 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/09(木) 01:02:19.61 ID:9sB8PUeA0

灼が菫は呼んで自分が呼ばれなかったことに激しく落ち込むテルーが容易に想像できるなw
418 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/09(木) 03:26:12.97 ID:WTxZ7I3M0
>>417


菫「アイドル対決……だと……?」

灼『はい』

菫「なんだ、それは? 対決するまでもないだろう……優勝ははやりんだ」

灼『……そうですね』

菫「ふっ……龍門渕透華か……相手にとって不足はない! はやりんの素晴らしさを存分に思い知らせてやる! すぐに行くから待たせておけ、鷺森!」

灼『りょーかいです……あと、よかったら照さんと代わっていただけると……』

菫「ん? ああ、わかった……おい、照! 鷺森だ、代われ」

照「灼? うん、代わる」

菫「ほら……よし、亦野! 私はちょっと出るから頼んだぞ!」

誠子「え……いやいや! なに言ってるんですか!? 今日は個人戦に向けて他校の有力選手の牌譜のチェックをして対策を……」

菫「すまんな、はやりんの名誉がかかっているんだ……ファンとして見過ごせん!」

誠子「最近ほんとどうしちゃったんですか!? 団体戦で優勝逃したショックで頭おかしくなったんですか!?」

菫「バカなことを言うな! ほんのちょっとだけ自分に正直になっただけだ!」

誠子「これでほんのちょっと!?」

淡「ちょっと! 菫先輩ばっかりずーるーいー! 私も遊びに行きたーい!」

菫「ふざけるな! 遊びじゃない! 本気の戦いだ!」

誠子「弘世先輩こそふざけないでくださいよ!?」

菫「私がはやりんのことでふざけるわけがあるか!! 大真面目だ!!」

誠子「す、すみません……」



419 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/09(木) 03:27:00.84 ID:WTxZ7I3M0

菫「とにかく! 遊び気分のやつを連れていくわけにはいかん! 留守番してろ!」

淡「えーなんでよー! 私もけんきゅーとか面倒だし遊びに行く! ほら、そういうのは亦野先輩がやってくれるし?」

誠子「自然に押し付けるなよ!?」

尭深「淡ちゃん……誠子ちゃん、淡ちゃんがいなくなったら寂しいって」

淡「えっ? ……ふっふーん? そうなの? 淡ちゃんいないと寂しい?」

誠子「……寂しいなー淡のこと大好きだから出掛けちゃったら寂しいなー」

尭深「私も淡ちゃんがいないと寂しいな」

淡「んふふ、もう! 仕方ないなぁもう! 亦野先輩とたかみーが寂しくって死んじゃうから残ってあげるかぁ!」

尭深「やったー」

誠子「うれしいなーあはは…………ありがと尭深」

尭深「……無理しないでね、誠子ちゃん」

淡「ねーねー! ほら、淡ちゃんが遊んであげるからー! ねね、うれしい? うれしい?」

誠子「うれしいうれしい……でも遊ぶのよりも研究なー」

淡「えー? なんでー? つまんないじゃん!」

誠子「つまらなかろうとなんだろうと……淡には個人戦でいい結果だしてほしいからな……」

尭深「淡ちゃんのためだよ」

淡「なにー? もう! へへへー……ふたりとも私のこと好きすぎでしょ! 仕方ないなーけんきゅーぐらい付き合ってあげるかー!」

420 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/09(木) 03:28:10.73 ID:WTxZ7I3M0

照「なに? アイドル対決? ……なにそれ?」

灼『なんか、集まって……長野の龍門渕さん主催で……お高いお菓子が出るみたいですけど』

照「行く! 今すぐ! どこに行けばいい?」

灼『宿……その、龍門渕さんたちの泊まってる……清澄と、風越と一緒の……』

照「……………………清澄」

灼『…………はい』

照「……………………」

灼『……………………』

照「…………ごめん、今日は……やめておく……」

灼『ん…………すみません』

照「ううん……ありがとう。 機会があればまた誘ってほしい」

灼『もち…………あの、照さん……その……』

照「……まだ、ちょっと時間がかかるかもしれないけど……」

灼『…………はい』

照「……………………あの子、元気?」

灼『ん…………元気ですよ』

照「……そっか」

灼『…………誰かさんと、話したそうですけど』

照「……………………そっか」

灼『…………頑張って』

照「…………うん、ごめん。 ありがとう」

照「…………あの、灼?」

灼『なんですか?』

照「お高いお菓子っていうのはいったい……」

灼『……そこはそこで気になるのね』

カン!
421 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/09(木) 03:31:34.75 ID:WTxZ7I3M0
テルーは咲ちゃんいるから一応ね…
黒糖を貪る一回照書いちゃったし危なかった
422 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/09(木) 04:24:31.45 ID:70op+Pty0
みんなが弘世様リサイタルで盛り上がっている横で
覆面から赤毛が少しハミ出てて白糸台の制服着てる奴が無言で一心不乱におかしむさぼり食ってそう
423 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/09(木) 07:20:57.53 ID:a5qQ2KPAO
淡ちゃんはチョロかわいいなぁ
424 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/09(木) 10:36:38.31 ID:1kN8mAPeo
乙です
425 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/09(木) 12:13:23.31 ID:qdSY++Nbo
この照だとプリン勝手に食べちゃった説が現実味をおびてくる
426 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/09(木) 15:47:51.16 ID:WCaDFSl40
>>390で衣のセリフだからレジェンドじゃなく伝説って言うのは理解できるけど真面目に伝説って言われるとクスッと来るなww
427 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/10(金) 00:27:38.63 ID:E/73ZMwAO
はやりん直伝のスィーツを弘世様が照姉さんに振る舞う…
目に浮かびますな♪
428 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/12(日) 02:43:43.42 ID:7nbWmW/50
雅枝たんイェイ〜(26時)
特に誕生日用というわけではないけど投下
429 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/12(日) 02:44:31.31 ID:7nbWmW/50

雅枝「今年は、ダメダメやったな」

郁乃「内容は悪くなかったんやけど……やっぱり、結果も出さんとですからね〜」

雅枝「あんたんとこはむしろよかったやろ? 特に大将の末原なんかは……」

郁乃「……もう、相変わらずいけずなんやから〜素直に娘さんのことも褒めてあげればええのに〜」

雅枝「うっさいわ! ふん……まあ、絹は格上相手によう頑張ったわ」

郁乃「……それだけ〜?」

雅枝「洋榎のやつは褒めると調子乗るからな」

郁乃「本人いないんやから褒めたってもええのに〜照れ屋さんやなぁ」

雅枝「……誰に向かって口きいてんや、郁乃?」

郁乃「やんもう……ちょっとからかっただけやないですか〜」

雅枝「はぁ……なあ、千里山はあんたから見てどうやった?」

郁乃「せやなぁ……正直、決勝進出は固いと思ってたんですけど……」

雅枝「うちとしては白糸台を二回殺すつもりでチーム作りしとったからな……まさか準決勝でやられるとは……相手を甘く見たつもりは無かったんやけど」

郁乃「阿知賀が予想以上に伸びたんですよねぇ……二回戦と準決勝の間でどんな手を使ったんだか」

雅枝「そこら辺がうちとの差だったんかもな……課題も多く見つかったし、ただの負けにはせぇへん」

郁乃「夏のインハイ逃しちゃいましたし……秋冬の大会に国麻辺りはうちら関西で優勝旗貰わんとですねぇ」

晴絵「……あ、あの」

雅枝「なんや?」

郁乃「どうしたん?」

晴絵「いや、なんか……すみません」

雅枝「なんで謝っとるんや?」

郁乃「そんなに緊張しなくてもええやんか〜? お隣さんなんやし、十年前にはインハイで覇を競った仲やんか〜」

430 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/12(日) 02:45:30.05 ID:7nbWmW/50

晴絵「う……それは、まあそうなんですけど……なぜ私を?」

雅枝「別にええやろ? なんや、迷惑だったか?」

晴絵「あ、そういうわけでは……」

郁乃「雅枝さんも、そんな威圧せんでもええやんか〜? ただただ仲良くしたいだけなんよ? あわよくば関西圏の……いわゆる雅枝組の一員として迎え入れたいってだけで〜」

雅枝「おい、なんやそれ、雅枝組って……初耳やぞ」

郁乃「雅枝さん、関西の雀士に幅きかせすぎやから〜陰でそんな風に呼ばれてますよ〜?」

雅枝「…………なんか、アレやな。 ヤの字みたいやな」

郁乃「……あれ〜? 傷ついてます?」

雅枝「……いや、だって……私、別にそんな……なあ?」

郁乃「威圧感あるから誤解されやすいんですよ〜」

雅枝「……私、怖いんか?」

晴絵「え……いや、そんなことは……」

雅枝「いや、そりゃあちょっと目付き悪いかもやけど……これは生まれつきで……」

郁乃「……そんなにへこまんでも」

晴絵「ほ、ほら! 愛宕雅枝と言ったらやっぱりスター選手ですし? ちょっと緊張するって言うか! 別にビビってるわけじゃないですって!」

雅枝「……そ、そうか? ならええんやけど……」

431 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/12(日) 02:46:33.09 ID:7nbWmW/50

雅枝「……とにかく、最近は……宮永照が出てきてからというもの、関東もんに大会持ってかれっぱなしやからな。 生徒たちは阿知賀さんを中心に交流深めとるようやし、指揮を執るうちら監督陣も……」

郁乃「まあまあ、難しいこと言わんでもええじゃないですか〜? 仲良くご飯でも食べよーってぐらいに思ってもらえれば〜」

晴絵「は、はぁ……それにしても、隣だって言うんならうちよりも晩成の監督さんとか……」

雅枝「ん? ああ、声はかけたんやけどな? 赤土晴絵の顔見たら殴りたくなるからやめとく言うてたわ」

郁乃「赤土晴絵は晩成には鬼門やもんね〜」

晴絵「あはは……」

地元のヒーローだのなんだのと言われていても、晩成関係の……特に大人にはやっぱり随分と嫌われているらしい……冗談なんだよな?

……それにしても、愛宕雅枝監督……前に生徒たちが練習試合組んで……宥と二条さんだったか? まあ、その時に話した感じともまた印象が違って……

郁乃「ほら、麻雀を切り離してってのはうちらじゃ無理やけど……今日はほら、気持ち的にオフなんよ〜」

晴絵「なるほど……」

っていうか、アレだな。 やっぱり単純にファンだし緊張するな

晴絵「……ってあれ、私声に出してました?」

郁乃「え? なにが〜?」

晴絵「…………いえ、なんでも」

……なんだろう、ちょっと怖い……見通されてる?

いい人なんだけど、どうにもつかみどころがなくて底が見えないんだよなぁ……

雅枝「まあ、今日は私の奢りやから好きなもん食べぇや」

郁乃「ファミレスですけどね〜」

雅枝「一美も来るなら飲み屋よりも……と思ったんやけど、無理やったか……実際、体調の方はどうなんや?」

郁乃「最近はある程度落ち着いとるみたいなんですけど……団体戦見に来たり、出歩いたりが続いてたから……今日は大事をとって……というか、疲れてそうやったんで無理矢理病院に押し込んで来ました〜」

晴絵「……善野さん、準決勝の時に会場まで来てたから良くなったのかと……」

郁乃「よくはなってるみたいやで? あんまり話してくれないんよね〜……もう私とも十年以上の付き合いなんやから、少しくらい頼ってくれてもええんになぁ」

雅枝「あいつ、あんまり自分のこと話さんしな……」

432 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/12(日) 02:47:36.67 ID:7nbWmW/50

――――――

雅枝「それにしても、アレやな。 阿知賀はええのが揃っとるな?」

晴絵「そう言ってもらえるとうれしいですね。 手塩をかけて育てた弟子たちですから」

郁乃「松実姉妹に鷺森さんは特徴的で強力な打ち筋持っとるし、新子ちゃんは一年生としては相当技術高いし……それに、高鴨ちゃんは本当にええですよね〜?」

雅枝「ああ。 あの子は好みや……メンタル強くてブレがない……うちの泉はダメやったな。 準決では園城寺が倒れたりいろいろあったけど……小賢しいとこが出てもうたな。 白糸台二回殺せって言うといたのに……」

郁乃「アレはアレで勝ちたいって気持ちの表れやないですか〜……にしても、羨ましいです〜うちはインハイで使えるレベルの一年生もおらんかったし……」

晴絵「その分今年のメンバーは良かったでしょう? 末原に真瀬、マイナス無しのスーパーエース愛宕洋榎……上級生は特に安定してて……愛宕監督も自慢の娘さんでしょう?」

雅枝「……あんなんまだまだや。 調子乗るからあんま褒めんといてや」

郁乃「……雅枝さん、顔、にやけてますよ〜?」

雅枝「え、嘘やろ!?」

郁乃「嘘ですよ〜?」

雅枝「……郁乃、あんたちょっと表出ぇや」

郁乃「やん、怒らんといてくださいよ〜」

晴絵「はは……娘さんを褒めるのは照れ臭いですか?」

郁乃「というか、そもそも雅枝さんはあんまり人を褒めないんよ〜……こう、お酒とか回ってくるとそれはもう娘や生徒の自慢話ばっかやけど……」

雅枝「郁乃! ちょっと黙っとき!」

郁乃「は〜い」

……仲いいよな、この人たち

433 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/12(日) 02:48:21.67 ID:7nbWmW/50

アレクサンドラ「まあ、末原は本当によかったね。 私は上重みたいな未完成な子を育てるのも好きだけどな」

郁乃「漫ちゃんはまだまだ伸びしろあるし、じっくり育ててあげたいんよね〜……末原ちゃん見てあげられる時間が少ないのは残念やけど〜」

アレクサンドラ「プロなり大学なりで今後も打つんだろうが……今のうちにちゃんと仕込んどかないと後悔するよ? 教え子が取られた上によそ者に染められるの見ると悔しいぞ」

雅枝「……おい、どっから出てきた」

アレクサンドラ「外から姿が見えたので……あ、お姉さん注文いい? ドリンクバーとハンバーグステーキとライス大盛……あ、サラダも追加で」

雅枝「おい!」

アレクサンドラ「ごちそうさまです愛宕監督」

雅枝「おい!!」

アレクサンドラ「ああ、赤土監督ははじめましてだね。 臨海女子で監督やってるアレクサンドラ・ヴィントハイムだ」

晴絵「あ……どうも。 赤土晴絵です。 阿知賀で監督やってます」

アレクサンドラ「あなたの牌譜は小学生時代から博多の実業団で打ってた頃のまで確認してる。 私のものにならないか?」

晴絵「はい!?」

郁乃「アレクちゃんは〜なんて言うの? 人材オタク?」

晴絵「あ、ああ……そういう……」

雅枝「おい!!!」

アレクサンドラ「なんです? イライラして……更年期?」

雅枝「殺すぞ?」

アレクサンドラ「冗談ですよ」

434 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/12(日) 02:49:11.23 ID:7nbWmW/50

雅枝「……今日は関西麻雀界の未来のための会合や」

アレクサンドラ「そうなんですか。 私も今後の世界の麻雀界の将来を憂いています。 日本の麻雀も近年は成長著しいですし、関西の学生はレベルも高い。 私も混ぜてくださいよ、問題ないでしょう? グローバルな視点で雀界の活性化を……」

雅枝「臨海で監督やってるあんたはお呼びじゃないんや。 今日のところはな」

アレクサンドラ「そうですか……じゃあかわりに二条とか上重とかくださいよ」

雅枝「じゃあの意味がわからんわ!」

アレクサンドラ「ほしくなっちゃって」

雅枝「やれるか! アホ!」

郁乃「智葉ちゃんと交換なら〜」

晴絵「トレードしちゃうの!?」

郁乃「うふふ〜まさか、冗談に決まってるやんか〜」

アレクサンドラ「ふむ……じゃあ松実をくれ。 妹の方なら来年のインハイでも使えるし……」

晴絵「いやいや! 無理ですよ!?」

アレクサンドラ「仕方ないな……それじゃあ、話には参加しないのでご飯だけいただいて帰ります」

雅枝「厚かましいやっちゃな!?」

アレクサンドラ「もう注文しちゃいましたし」

郁乃「アレクちゃんのそういうとこ、雅枝さんは意外と気に入ってるんよ〜」

アレクサンドラ「なんだ、私のこと好きだったんですか? 素直じゃないですね」

雅枝「…………頭痛くなってきたわ」

晴絵「……自由ですね、あなた方」

郁乃「えー? 私、こう見えてすっごく真面目なのに〜」

アレクサンドラ「うちは国際色豊かだしな。 教育方針も締めるところは締めるが基本的に自由なんだ」

晴絵「いや、教育の話とかではなく……」

435 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/12(日) 02:50:02.69 ID:7nbWmW/50

アレクサンドラ「いや、それにしても……洒落にならないんですよ。 ここ数年は優勝旗取り逃しててそろそろ私もクビが飛ぶんじゃないかと」

雅枝「あんたんとこ、今年はアホみたいに優秀なの揃えてきたもんな……」

郁乃「まあ、ここ三年は宮永照ちゃんが圧倒的だったし辛いのはどこも一緒やろうね〜」

アレクサンドラ「まあ、正直クビになっても仕事はすぐに見つかるだろうが……今の仕事は気に入っているんだ。 人の金で好みの子の物色し放題で……」

晴絵「言い方! ヴィントハイム監督言葉を選んで!」

アレクサンドラ「……ヴィントハイム監督って言いづらくないか? もっと呼びやすく好きに呼んでいいぞ? 赤阪なんてアレクちゃんだぞ?」

郁乃「えー? 好きに呼べって言ったやん……かわいいからええやんか〜」

アレクサンドラ「うんまあ、私はどう呼ばれようと構わんけどな。 よほど酷くなければ」

晴絵「あー……アレックスさん、でいいんですかね」

アレクサンドラ「普通」

晴絵「ダメ出し!? 奇抜な呼ばれ方されたいんですか!?」

アレクサンドラ「いや、むしろ安心した。 阿知賀のレジェンドなんて名乗ってるからどんなあだ名をつけられるのかと……」

晴絵「自分で名乗ってるわけじゃありませんから!!」

雅枝「嫌なら最初から言わなきゃええやんか」

アレクサンドラ「好奇心が勝ちまして」

436 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/12(日) 02:50:58.24 ID:7nbWmW/50

郁乃「かっこええやん、阿知賀のレジェンド〜」

雅枝「あんたが言うとマジなんかギャグなんかわからんな」

アレクサンドラ「どうなんだ、赤土監督的には?」

晴絵「素面では恥ずかしくて無理です……」

郁乃「なるほどなぁ……対局の前後はハイになってるからついノッちゃうんやね〜」

晴絵「…………はい」

雅枝「やめたれや、郁乃……ダメージ受けとるやんか」

郁乃「?」

晴絵「いや、いいですから……そっとしといてください……ほら、赤阪監督のカレーきましたよ」

郁乃「やった〜それじゃあ雅枝さん、ごちそうさまです〜」

雅枝「おう、たらふく食えや」

アレクサンドラ「……赤阪、いつもカレー食べてないか?」

郁乃「え〜? そんなことないやろ〜? 靖子ちゃんやあるまいし〜」

晴絵「藤田プロの代名詞ですよね、カツ丼……赤阪監督はカレー好きなんですか?」

郁乃「そりゃあ好きやけど……いつも食べてるってほどじゃ……ん〜おいしい〜」

雅枝「郁乃はうまそうに飯食うなぁ」

アレクサンドラ「……うまそうだな。 一口分けてくれよ」

郁乃「もう、アレクちゃんってば欲張りさんなんやから〜」

437 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/12(日) 02:51:59.95 ID:7nbWmW/50

郁乃「はい、あ〜ん」

アレクサンドラ「ん……うまい。 もう一口」

郁乃「どうぞ〜」

アレクサンドラ「もう一口」

郁乃「え〜? どんだけ食べるんよ〜?」

雅枝「……アレックス、あんた自分で注文したやろが」

アレクサンドラ「人の食べてるものってすごくおいしそうに見えません?」

雅枝「あんたなぁ……ちょっとは我慢せぇや」

アレクサンドラ「いや、ついね……ほしくなると我慢できないんですよ……赤阪」

郁乃「もう……あとでアレクちゃんのハンバーグステーキ分けてね〜? そしたらハンバーグカレーや〜」

アレクサンドラ「お、それはうまそうだな……よし、それでまた貰うとしよう」

郁乃「……あれれ〜?」

晴絵「気持ちはわからなくもないですけど……」

雅枝「そんなに食べてばっかいると太るで?」

アレクサンドラ「私、いくら食べても太らないんで」

雅枝「……三十路過ぎてそれは羨ましいなぁ」

郁乃「ほんと、アレクちゃんはスレンダーよねぇ」

アレクサンドラ「いくら食べても肉がつかないんだ……ついてほしいところにも」

晴絵「……いや、それだけ細ければ十分……」

アレクサンドラ「ああ、別に慰めなくてもいいぞ? この年になると乳尻の肉付きなんてたいして気に……ならない……」

晴絵「……へこんでるじゃないですか」

雅枝「今のは年の方で自爆したな」

438 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/12(日) 02:52:59.14 ID:7nbWmW/50

アレクサンドラ「はぁ……愛宕監督は四十路とは思えないほど若いですよね。 羨ましい」

雅枝「あんただって十分若いやろ……というより、年の話はやめんか? 」

郁乃「私もそろそろ三十手前で「年 の 話 は や め ん か ?」……ごめんなさ〜い」

晴絵「…………」

……やっぱり迫力あるな、愛宕雅枝……というか、あれで二人の子持ちか……ほんと若いな

雅枝「晴絵、年の話はやめやって言うたよな?」

晴絵「な、なにも言ってないですよ!?」

雅枝「ん? 気のせいか……」

……なんというか、本当に勘がいいというか……娘にも受け継がれてるけど、これが雀士としての武器だったよな、愛宕プロ

アレクサンドラ「自分で気にしてるから被害妄想が出てくるんですよ……いいじゃないですか、四十路過ぎには見えないほど若いんですから」

雅枝「殺すぞ?」

アレクサンドラ「怖い怖い」

晴絵「ま、麻雀の! 麻雀の話しましょうよ! せっかく集まったんですし!」

雅枝「……せやな」

郁乃「そうやね〜」

アレクサンドラ「どの生徒ならもらえます?」

雅枝「やらんわ!」
晴絵「あげれませんって!」
郁乃「トレードなら〜」

雅枝「するんかい!?」

郁乃「冗談ですってば〜」

439 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/12(日) 02:55:14.79 ID:7nbWmW/50

郁乃「ん〜……それじゃあ、逆にアレクちゃんは誰がほしいん〜?」

アレクサンドラ「大会出てた奴は大体ほしいぞ」

晴絵「それ、話終わっちゃいますから……」

アレクサンドラ「……阿知賀なら、高鴨だな」

晴絵「……意外と人気ですね、しず」

アレクサンドラ「ハートが強い奴はいい。 打ち筋の特性も好みだ。 攻撃的ではないし派手さもないがいろいろとできるぞ、アレは」

郁乃「まだ一年生やから、伸びしろも育てがいもあるもんね〜」

雅枝「阿知賀は本当に面白いのが揃っとるからな……高鴨以外も一回手元に置いてみたいなぁ」

アレクサンドラ「千里山なら二条。園城寺も育ててみたいね。 ください」

雅枝「やらん言うとるやろ!」

郁乃「私やったら浩子ちゃんも欲しいんやけどな〜」

雅枝「……うちの親戚揃えてどうするつもりや」

郁乃「いやあ、来年は末原ちゃんいなくなってまうし〜? 私、ああいうタイプの雀士好きなんですよ〜」

晴絵「二条は、こう……これからが楽しみな子ですよね」

雅枝「今年の敗戦はあいつにはいい経験になったやろ……今後もビシビシ鍛えてうちのチーム引っ張れるようになってもらわんとな」

郁乃「というか、怜ちゃんなんや? セーラちゃんとかの方が好みなんかと思っとったわ〜」

アレクサンドラ「江口は大好きだな。 来年以降も使えるなら是非ほしいんだが……園城寺は一回手元に置いてみたいね、あいつはまだまだ伸びる感じがするんだよな」

雅枝「ああ……あいつは春先辺りから急に伸びてきてな……それまでは三軍にいたんや」

アレクサンドラ「へぇ……なにかしらを切っ掛けに目覚めた感じですか。 自力の方をもっと伸ばしてやれば……」

雅枝「あいつ、体弱くてあんまり鍛えてやれんかったんや……これは大きな心残りやな」

440 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/12(日) 02:56:27.19 ID:7nbWmW/50

アレクサンドラ「末原がほしい」

郁乃「だーめ! 私のお気に入りやもん」

アレクサンドラ「……じゃあ、上重」

郁乃「……アレクちゃんは漫ちゃんのこと評価してくれてるみたいやけど……なんというか、不発弾やで?」

アレクサンドラ「うちの智葉とアレだけ打ち合えるならいいだろ。 ああいうまだまだな子を自分色に染めるのが好きなんだよ、私は」

雅枝「……臨海だとそれもなかなかできんやろ?」

アレクサンドラ「そこなんですよね。 結局、結果を出すのが仕事だから……日本の外から一定以上完成されたのを引っ張ってこないといけなくなる」

アレクサンドラ「……しかも、あいつら出稼ぎに来てるようなもんだからな。 私とも、生徒同士でも仲良くやっているがこと麻雀となるとなかなか手の内を見せたがらないし……」

晴絵「……日本のインターハイよりも、出身国の大会や国際戦を主戦上にしてる子が多いから仕方ないんでしょうけど……それは少し寂しいですね」

アレクサンドラ「まったくだ……はぁ……智葉も今の段階から改めて教えるようなことはほとんどないしな……」

雅枝「辻垣内は根性あってええな。 去年の個人戦も宮永と真っ向勝負したんはよかったわ。 結果三位やったけど評価高いで」

アレクサンドラ「ええ、本当に……私も去年の大会は評価してますよ。ただ、好みの雀士だが育てる楽しみがないんですよね……私も子どもでも産んで一から仕込みましょうかね……姉の方なんて現役の時の貴女にそっくりだ」

雅枝「……別に、たいしたことはしとらんよ。 勝手に覚えたんや」

郁乃「絶対嘘ですやん〜」

晴絵「まあ、あの子ならたしかになにも教えなくても勝手に吸収していきそうですけどね……勘のよさは生来のものでしょうし……というかアレックスさん、結婚されてるんでしたっけ?」

アレクサンドラ「? いや、これから適当にいい男見繕って……」

晴絵「……そ、そんな簡単なもんなんですかね……?」

アレクサンドラ「男なんて捕まえようと思えばどうにでもなるだろ?」

晴絵「は、はぁ……そういうもんですか」

441 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/12(日) 02:57:24.68 ID:7nbWmW/50

アレクサンドラ「愛宕監督の娘さんなら、妹の方もなかなか……」

雅枝「おう、あんたんとこのダヴァンともよう打ち合ったわ。 二回戦も永水の薄墨なんかを相手に……」

郁乃「やっぱり娘の自慢話したいんですやん〜」

雅枝「自慢とちゃうわ! 客観的に見てやな……」

晴絵「多少贔屓目に見ちゃうのは仕方ないんじゃないですか? 自分のチームでオーダー組むのにそれだとまずいですけど、他校の、終わった大会ですし……私もBブロックの試合なんかつい原村贔屓で見ちゃいましたし」

郁乃「教え子やもんね〜気になるのはしゃあないわ〜」

アレクサンドラ「愛宕絹枝は中学ではサッカーをやっていたと聞くし……私もメグがあそこまで手こずるとは思ってなかったんでね」

雅枝「……まあ、姫松で団体戦メンバーなんやから、ある程度はな?」

郁乃「照れ屋さんなんやからもう〜絹枝ちゃん褒められてうれしいくせに〜」

アレクサンドラ「別に恥ずかしいことではないでしょう? 本人がいるわけじゃないんだから……素直になればいいと思いますよ、私のように」

雅枝「あんたは欲望に素直すぎやろ……」

郁乃「アレクちゃんは我慢できないタイプやもんね〜……気がついたら、私のカレー全部食べてもうたし……」

アレクサンドラ「うまかったぞ」

晴絵「そりゃおいしかったんでしょうけど……」

雅枝「……遠慮しないでもう一品ぐらい頼んでええぞ、郁乃」

郁乃「……ありがとうございます〜」

アレクサンドラ「それじゃあ私は……」

雅枝「あんたはちょっと遠慮せえ!」


カン!

442 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/12(日) 03:01:53.60 ID:7nbWmW/50
迷子になり始めたし眠いのでこの辺で。
アレクサンドラさんとか赤阪監督とか好きなんですけどなかなか絡んでくる話書いてなかったのでそこそこ満足

どうやら最初に立ててから一年経ったみたいで。一年で2.5スレ消費となかなかののんびりペースですがまあ今後もよろしくお願いしますという事で

はやたんは根性で間に合わせたいです
443 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/12(日) 03:52:19.33 ID:WY8up9HOo
乙です
444 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/12(日) 04:04:33.03 ID:oM9tQ0DWo

シラフじゃない雅枝さんに興味が
445 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/12(日) 08:28:01.85 ID:ftZwYZUn0
この人たちの雰囲気いいなあ
おつ
446 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/12(日) 09:19:18.68 ID:eiHp05T4o
乙です
447 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/12(日) 10:49:21.88 ID:E9Nrw3Q9o

大人組おもしろいな
ペースはそんなにゆっくりかな途中で作者が行方不明になるSSも多い中続いてるだけで充分だわ
448 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2015/07/12(日) 12:51:45.35 ID:c4Rnn3Q70
乙です。
自由すぎだろアレクよ。
この人30超えているのか意外やわ。

もはや週刊連載気分だからペースは気にならない。
むしろこれくらいがちょうど良いです。
449 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/12(日) 23:05:07.23 ID:l7YEbyGF0

プロ勢じゃなく監督達集まってしゃべる清澄評ってあんまりみたことないからみたいなあ
450 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/13(月) 21:39:28.55 ID:FJtuldYb0
>>448ハギヨシさん年齢公開と同時に34歳だと発表されてました。ハギヨシ十代の衝撃の影に隠れてあまり注目されてなかったっぽいですね

イベント事のたびに準備間に合わなくて後悔しつつ投下する悪癖を何とかしたい。はやたんイェイ〜
451 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/13(月) 21:40:18.27 ID:FJtuldYb0

晴絵「どうも……お邪魔します」

はやり「いらっしゃい、はるえちゃん! ちょっとバタバタしてるけどゆっくり……は、していけないかぁ」

晴絵「このあと対局なんで……せっかくだから見ていきたかったんですけどね、ライブ」

はやり「はるえちゃんのためならいつでも歌っちゃうよ?」

晴絵「それはそれでうれしいですけどまた違うじゃないですか……お誕生日おめでとうございます」

はやり「ありがとうっ☆」

晴絵「花とか相当届いてますね……やっぱり私もなんか持ってきた方が……」

はやり「いいよいいよ、はやりが大丈夫って言ったんだし……大事な対局前に寄ってくれただけでもうれしいなっ☆」

はやり「……そういえば、すみれちゃんは?今日は会場に来るって行ってたけど……」

晴絵「ああ、会場までは一緒に来たんですけど……外でファンに囲まれてますよ。瑞原さんと自分のファンに……楽屋行かないのか? って聞いたらライブ前に行ったらそのまま昇天しそうなので終わってから会いに行きます、って言ってました」

はやり「そっかぁ」

晴絵「外、結構見知った顔もいましたよ……インハイで見かけた子なんかも多くて……」

はやり「やっぱりはやりは牌のお姉さんからスタートしてるし……ちょうど今高校生ぐらいの子たちが番組見てくれてたと思うから」

晴絵「憧や和もなんとかこうとかチケット取れたって聞いてますから……会場のどこかに居ると思いますよ」

はやり「本当に? それじゃあ、歌いながら探してみるねっ☆ ……もうじきインハイで関東出てくるのに、何回も行き来することになっちゃって大変だろうなぁ」

晴絵「あの子らは大変だなんて思ってないですよ。 すごく楽しみにしてるみたいなんで、素敵なライブをお願いしますね」

はやり「もちろんっ! はやりはいつだって全力だよっ☆」

452 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/13(月) 21:41:35.64 ID:FJtuldYb0

「はやりちゃん、入りますよー……っと、赤土選手いらっしゃい」

晴絵「あ、マネージャーさん……どうも、お邪魔してます」

「今日の流れとかは頭入ってると思うけど一応確認に……衣装の方も全部準備OKよー」

晴絵「おっと……さすがに忙しいですよね? 私は対局の会場の方向かいますね。 お邪魔しました……頑張ってください、瑞原さん」

はやり「はるえちゃんも頑張ってね! 来てくれてうれしかったよっ☆」



「……赤土選手も、こう……立派になりましたねぇ……」

はやり「……そっか、ずっと私に付いてもらってたからはるえちゃんのことも昔から知ってるんですよね」

「はやりちゃんとは小学生の頃からの付き合いですからねー……よくもまあ立派になってくれちゃって……誕生日おめでとう。 もう三十手前かぁ……」

はやり「ありがとうございます ……そう言われると、私ももう真深さんよりも活動期間長いんですね……」

「感慨深いわー……横浜アリーナでのライブももう何回目だか……飽きない?」

はやり「いやいや、飽きるわけないじゃないですか……」

「あはは、冗談だってば」

はやり「……私が見た、最初で最後の、真深さんのおっきいライブ……ここでやってたんだもん」

「……あのライブは最高だったね。 今でも鮮明に思い出せるよ……はやりちゃんも差し入れ持って来てくれてさ」

はやり「うん、本当に最高だった! 未だにあれを越えるライブはできてないんじゃないかってぐらい!」

「ふふ……もっと自信持ってよ! 何回も言ってるけど、数字的な話ならもうはやりちゃんの方が上なんだから」

はやり「何回も言ってますけど、こればっかりは数字じゃありませんから」

「頑固だねぇ……ま、本当のこと言えば私にとって真深もはやりちゃんも……ふたりとも誰かと比べられるようなもんじゃないんだけどさ」

453 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/13(月) 21:42:30.13 ID:FJtuldYb0

「……じゃあ、あと一個準備があるから……本番前に最後に一息ついといて。 そろそろいつものも来るでしょ?」

はやり「ふふ、いつものって……ああ、来ました、いつもの」

「うん、それじゃあまたちょっと離れるね。 お疲れさま」

はやり「お疲れさまです!」

はやり「……もしもし? はやりだよっ☆」

『うるせーな。 気持ちわりぃから電話でまで☆飛ばすんじゃねぇよ気持ちわりぃ』

はやり「二回も言わないでよ……チケット、届いてるよね? ちゃんと来てくれた?」

『なんでこの私がお前のクソみたいな歌聞きにわざわざ横浜まで行かなきゃなんねーんだよ! ふざけんなバーカ!』

はやり「……あんまり汚い言葉使っちゃダメだよ? 女の子なんだから……」

『もう女の子って年でもねーだろ……お前だって今日をもって29だぞ? 三十路にまた一歩近づいたな? 誕生日おめでとう! はっはっは!』

はやり「ありがとう! ……楽しそうにしてるけど、そっちだってはやりと同い年でしょ?」

『あと一月は私の方がひとつ若いからな!』

はやり「そりゃあ、まあ……そうだけどさあ……」

『ああ、それにしてもアレだな。 お前んとこの新人面白いな。 ほら、弘世とかいう……』

はやり「え? すみれちゃん?」

『おう、会場の回りでお前のファンに囲まれてなんかやってんぞ? はやりんはやりん言って……いい年して恥ずかしくないのかねぇ』

はやり「……会場まで来てなかったんじゃ……」

『ん? ……あ、お前、バカ! あー……そう、その、ネット! ネットで見てるんだよ! お前のファンとかがライブ前だからってなんか盛り上がってるから!』

はやり「はやりのライブの情報とかチェックしてくれてるんだ?」

『バッ……! 違うよ! 暇だから……たまたま暇だからチェックしてただけだから! 勘違いすんなよ!?』

はやり「ふふっ……はいはい、わかりましたよ」

『なに笑ってんだよ!』

454 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/13(月) 21:43:32.12 ID:FJtuldYb0

はやり「ごめんごめん……それで、わざわざ電話してくれたのはなにか用事があったのかな?」

『お前に用なんかあるかよ! 退屈だったから! 暇潰しだよ!』

はやり「……おっきなライブの前はいつも電話くれるよね」

『べべべ、別にお前が心配だとか! そういうんじゃないからな!? えっと、その……そう! 集中力でも乱してやろうかと思って……!』

はやり「心配してくれてるんだ? 実はいつも電話くれるのすごくうれしいんだよね……緊張もほぐれるし……」

『だ、だから心配とかしてねぇから! 強いて言うならお前のクソ歌聞きに来てるファンがクソ歌聞いて体調崩さないかが心配だね! ただでさえクソ歌なんだからちゃんとベストの状態に整えてからステージ立てよ! この前のライブなんかMCちょっと噛んだだろ!? かわいく誤魔化してたけどな!』

はやり「……あれ? この前のライブは時間会わなくて来れなかったって言ってなかった?」

『え、あ、その……アレだ! ネットニュースで見たんだよ! うるせーな!』

はやり「あはは、そっかあ」

なーんて、いつもいつも素直じゃない……会場まで来てくれてるなら顔出してくれればいいのに

ステージに立ってても、探そうと思えば見知った顔は探せるものなんだからね? そもそも、はやりがチケット送ってるから席だって知ってるし……たまに、送ってない時だって見に来てくれてるのは知っている……それを言うと、またまたあっちが照れちゃうから言わないけれど

……とにかく、どんなにおっきな会場でも……奥の席のお客さんまで、みんなの顔はよーく見えるし、見ないとダメだと思ってる

ちゃんとみんなが楽しんで、元気になってくれてるか確認しないとだもんね

455 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/13(月) 21:45:40.15 ID:FJtuldYb0

はやり「……うーん」

『あ? なんだよ?』

まあ、今日はせっかくの誕生日なんだし……ひとつくらいワガママを言っちゃってもいいよね?

はやり「……あのさ、本当は今日、来てくれてるんでしょ?」

『なっ! おまっ……そんな、えーと……あぁ!? なんだよ! 文句あんのか!? わざわざお前のクソ歌聞きに来てやったんだぞ! 何が来てもいいようにちゃんと全曲予習してきたし物販だってちゃんと……!』

はやり「え? そこまでしてくれてるの!? えへへ……すっごくうれしいなぁ」

『うっせーうっせー! だいたい予習だってしなくてもお前のクソ歌ぐらい全部知ってんだよ! 毎日聞いてるし!』

はやり「本当に? ありがとう!」

『え? あ……くそっ! なんだよもう! ちげぇよ! 違うから! 別にお前のクソ歌が好きとかじゃねぇから! あんまりクソみたいだから……ほら、逆に!?』

はやり「なにが逆なのか全然わかんないけど……とにかくさ、せっかく来てくれてるなら、今日のライブが終わってから会おうよ! 最近は顔合わせる機会もなかったしさ……ね? お願い!」

『ちっ……仕方ねーな! お前がどうしてもって言うから仕方なくだぞ? 仕方なく! 私も暇じゃねーんだからな!』

はやり「ありがとう! 会いに来てくれるだけでも最高の誕生日プレゼントだよ〜」

『ふん……ま、この私が会いに行ってやるんだから当然だな』

『…………お前もさ、たまにはこっち顔出せよ。 忙しいのはわかるけどさ……次、いつ戻ってこれるんだ?』

はやり「うん……今日のライフが終わったらまたしばらく対局漬けで、インハイの解説のお仕事で夏の間は東京にいるから……八月末から九月の頭ぐらいになっちゃうかな?」

『さっさと予定開けて旅館予約しとけよ? お得意様のダチでも急に部屋取ったりお友だち料金にまけたりとかはしねぇぞ、あいつは』

はやり「そりゃあ、実家の商売だもん。 当然だよ……うちだっておかし屋さんだけど特には……」

『美月さん、よくおまけしてくれるぞ?』

はやり「……まあ、旅館とおかし屋さんじゃあちょっと違うよね……って言うか、よくうち来てくれてるんだ?」

『……たまたまだよ、たまたま! 近いし! お前のクソ歌と違って美月さんの作るもんおいしいし!』

456 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/13(月) 21:47:02.05 ID:FJtuldYb0

『つーか、そっちもおっさんとはたまに会ってんだろ? 仕事で』

はやり「あ、うん……音楽関係の記事書いてるし、こっち出てくるときには……っていうかおっさんって……やめてあげなよ」

『いやいや、そりゃあ私らが小学生の時はおっさんもおっさんって年じゃなかったけどよ……もう完全におっさんだろ。 私らだってそろそろおばさんだぞ?』

はやり「……うーん、そっかあ……それもそうなのかあ」

『アイドルなんかやってるとおばさん呼ばわりはキツいか? お前はしょっちゅうキツいって言われてるけどな』

はやり「まぁ……はやりはアイドルとしては若いなんて口が裂けても言えないけどさ……それでも、続けたくて続けてることだから……はやりがみんなを元気にしてあげられる限りは続けるよ」

『相変わらずだな……ま、お前はそうでなくちゃな』

はやり「えへへ……あとでライブの感想聞かせてね?」

『まかせとけよ。 歌からダンス、MCまで全部隅から隅までダメ出ししてやる。 クソ歌聞かせやがったら容赦なく扱き下ろすからな』

はやり「ふふ、はやりのライブ一番楽しんでくれてるのってもしかしたら『た、楽しんでねぇし! ほら、そろそろ始まるだろ!? 切るぞ!』 ……うん、またあとでね! ありがとう!」

……もうちょっと素直になってくれるとうれしいんだけどな。 小学校の頃からの付き合いなのにずっとあんな感じで……まあ、ああいうところがかわいいところでもあるんだけど

…………やっぱり、ちょっとはいいところ見せたいし……今日はいつもよりも、もっともーっと頑張らなくっちゃ!

もちろん、今まで手を抜いたことなんてないけどねっ



「はやりちゃん、ちょっといい?」

はやり「はーい! もう出ますか? 少し早くない?」

「いや、こっちの準備ができたからさ……私からの誕生日プレゼント?」

はやり「え?」

457 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/13(月) 21:47:48.35 ID:FJtuldYb0

「やっ! 久しぶり、誕生日おめでとうはやりちゃん!」

はやり「真深さんっ!? 来てくれたの!?」

「いやあ、そりゃあ来ちゃうでしょ……かわいい愛弟子のバースデーライブ! こいつが呼んでくれたからタダだし」

「タダじゃなかったら来なかったかのような言い種だな……」

「いやいや、お金払ってでも来たかったし! つーか抽選漏れ? はやりちゃんのライブいっつも大人気だから見に来るのも大変でさー」

はやり「そんな、言ってくれれば毎回チケット送るのに……」

「いや、そんなズルするのも他のファンに悪いだろ? 私はこうやって直に会いに来れるわけだしさ」

「……それにしてもはやりちゃんも三十手前だってのに相変わらず若いなぁ……肌とか十代の時とほとんど変わってないんじゃない? 羨ましい」

はやり「そんな、真深さんだってずっと綺麗でカッコいいままで……」

「そんなことないって! もうおばさんだし! 今日だって久々にはやりちゃんに会うんだと思ったらあんま年食ったとこ見られたくないなーって気合い入れて厚化粧しちゃったし!」

「それで厚化粧? あんたやっぱりアイドルだわ……美人のまんまでムカつくわー」

「酷いな。 昔のパートナーが変わらず綺麗なことを喜んでくれよ……」

はやり「真深さん、本当に変わりなくてうれしいですっ!」

「ほら、やっぱりこうしてはやりちゃんが慕ってくれてる以上? 私も簡単に老けられないっていうかさー……トレーニングも欠かしてないよ? またステージに立つのは難しいかもしれないけど……いつかはやりちゃんとパフォーマンスできることを夢見て!」

「おっ! いいな、それ……絶対売れる! あんたの体が大丈夫なら考えてみよっかね」

はやり「ふふふっ……どうしよう、なんか、すっごくテンション上がっちゃった!」

「お、そいつは私もうれしいぞ? その勢いでライブの方も頑張って! 私も見てるからさ」

はやり「はい!」

「ほんと……はやりちゃんにはいつも元気をもらってるからさ。 歌もダンスも最高! しっかりね!」

はやり「……うん!」

458 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/13(月) 21:48:36.84 ID:FJtuldYb0

「……っておい、どうしたどうした、泣くなよ〜」

はやり「だって……その、真深さんにそう言ってもらえるのが一番うれしいから……」

「ちょっと、うちの子泣かせないでよねー……はやりちゃんも本番前なんだから! メイク落ちちゃう!」

はやり「あっ! その、ごめんなさいっ!」

「ほら、笑顔笑顔! アイドルの基本!」

はやり「はいっ!」

「それだっ! かわいいぞっ☆ はやりちゃん!」

はやり「えへへ……真深さんも、かわいいですっ」

「さんきゅっ! 私も四十越えたけどまだまだいけるってことだな!」

はやり「真深さんなら余裕ですよっ!」

「こらこら、いちゃついてないで準備して! そろそろ本番行くよー」

「マジか。 それじゃあ終わってからまた話そっか? つーか打ち上げ混ぜてよ」

「はいはい……まあ、どうせいつも大宮の選手だとかいろいろ混ざってるし大丈夫でしょ」

「お、言ってみるもんだな……」

はやり「……あの、真深さん!」

「おう! どうしたー?」

はやり「今日は、楽しんでいってください! ……私……」

はやり「ちょーがんばるから!」


カン!


459 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/13(月) 21:51:30.24 ID:FJtuldYb0
はやりん好きになったきっかけがシノハユだから寄っても仕方ないという言い訳。
これならがっつり準備して三倍ぐらいの文量にして別に立てた方がよかった気も…まあ、すみませんでした
弘世様の今後の活躍にご期待ください!(打ち切り感)
460 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/13(月) 21:52:51.47 ID:CI2o+aPQo

実際にこんな未来が来るといいが…
461 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/13(月) 21:57:52.21 ID:wxRN1GyGO
乙です
462 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/14(火) 18:57:36.62 ID:NW57HCqAO
先ずは乙です!
シノハユでの繋がりも書くとは思いませんでした♪
面白かったです!
463 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/14(火) 19:02:18.19 ID:doGSK/lRO
おお まふふ生きてたルートか

…シノは…、うん
464 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/15(水) 01:12:03.95 ID:P6fZOckdo
シノはドイツでおじさんと暮らしてるから…(震え声)
465 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/15(水) 04:34:32.44 ID:qgYKQA4Q0
カンナちゃーは相変わらずファンやってんのなw
菫と勝負させたらどっちに軍配が上がるのか
466 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/17(金) 01:34:36.33 ID:J19ssooX0
>>463どこか遠くにいる(天国)真深さんとか認めないから!元アイドルの春日井真深は生きてるから!といいつつ慕には触れられない感
>>464ドイツでおじさんと一緒に(意味深)説強くて笑う。ドイツと言えば純くんはよ!って気持ちが強いですけど…
世界編が現実に来るとしたらドイツの選手と顔見知りだったりして出番が増えたり、デジタルオカルト両面の解説で活躍したりしてくれるのだろうか
>>465閑無ちゃんは年季が違うから…はやりんがデビューした小学生当時からの一番のファンだから…クソクソ言うから対立しそうだけど

ハギヨシさんの給料はそれなりらしいですけど立先生っていろいろ感覚ずれてそうだしやっぱりたくさんもらってる気もする
暇なときに咲を見直すたびに池田と龍門渕の株が上がる現象ってなんなんですかね?ただ好きなだけ?
467 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/17(金) 01:35:18.55 ID:J19ssooX0

灼「それでは、今日は私たちが……」

穏乃「ご案内します!」

衣「穏乃! 灼! 感謝至極だ!」

透華「衣のためにありがとうございますね……ところで、今日はどのような方を紹介してくださいますの?」

穏乃「高校麻雀界の王者です!」

透華「王者!? この私を差し置いて王者ですって!?」

灼「しかも集団」

透華「王者の集団!? この私がいないのに!?」

灼「……よければ、一緒にどうですか?」

透華「まあ、せっかくですから行ってあげないこともないですけれど! 保護者がいないというのも心配ですし!」

衣「トーカ! 衣を子ども扱いするなって言ってるのに!」

穏乃「でも、龍門渕さんも一緒に来てくれるなんてうれしいです!」

透華「ええ、そうでしょうそうでしょう! それでは、私は衣と一緒に出てきますがあなた方はどうしますの?」

智紀「……あんまり大人数で押し掛けても迷惑」

一「うーん……それじゃあ、今日のところはボクも遠慮しておこうかな。 こっちの様子見てるのも十分面白そうだし」

智紀「同意する」

衣「こっち?」

468 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/17(金) 01:36:19.95 ID:J19ssooX0

純「お、松実料理上手いな。 これめっちゃおいしいわ」

玄「ありがとうございますっ! ……じゃなくて、その、井上さん! こっちの方はいかがですか? 憧ちゃんがつくったんですよ〜」

憧「あ、ちょ、玄! 待ってよ! その、やっぱりまだそんなに上手くなってないし……」

純「なんだよ、遠慮しないで食わせろよ……料理の特訓するから試食してくれって言うから来たのにさ」

憧「うう……それだって、まだ練習中なのに玄が……」

純「ん? いやいや、全然うまいぞ? いつでも呼んでくれよ。 付き合ってやるからさ」

憧「つ、つつつ、付き合ってくれるんですか!?」

純「おう、毎日でもいいぜ」

憧「ま、ま、毎日!? つまり、その、わ、私と付き合って毎日手料理を食べてもらえるんですか!?」

純「任せとけって。 オレ、好きだからさ「ふきゅ」食べるの」

憧「す、好き!? え、あ、わ、わわ、私も! す、すっすすす、す、好きです!」

純「マジで? じゃあ今度一緒に飯でも行くか」

憧「ふきゅ」

玄「よかったね、憧ちゃん」

ハギヨシ「……会話の方、微妙に噛み合ってなさそうですがよろしいのですか?」

玄「好きな人とお出かけするんですから、すっごくうれしいと思いますよ?」

ハギヨシ「そういうものですか」

玄「そうですよ〜」

玄「…………」

ハギヨシ「…………?」

玄「…………なんでもないです」

469 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/17(金) 01:37:28.75 ID:J19ssooX0

一「いや、萩原さんもそこはどこか誘うとかさ……」

智紀「まだまだそこまで求めるのは酷」

宥「憧ちゃんはあったかそうだねぇ」

一「純くんは食べるの好きだし、食べ物をくれる子も好きだから……と思ってアドバイスしたんだけど、これはハマったみたいだね」

灼「……それだと玄の方が好感度上がってそうだけど」

智紀「純はわりとなんでもおいしいおいしいって食べるから、これから上手になれば平気」

宥「龍門渕さんのお屋敷で生活してたら舌も肥えそうだけど……」

智紀「いいもの食べてるから味の違いには敏感だけど……もう、食べること自体が好きだから」

一「食べれればいい。 おいしければもっといい。 みたいな感じかな? まあ、純くんあれで優しいから、友だちが一生懸命作ったものをマズイとかは言わないと思うよ……余程じゃなければ」

宥「さすがに我慢できないラインはあるんだ……」

穏乃「それにしても……まったく、憧も仕方ないなぁ……全部自分の都合のいいようにしか聞こえないんだから」

灼「……似た者同士だと思」

穏乃「そうですか? へへ、やっぱり長年親友やってると似てくるんですかね?」

透華「……褒められてはいないと思いますわよ?」

衣「トーカも似たような所があるだろう」

穏乃「私と龍門渕さんが似てるってことですか? やっぱりすごく褒められてるじゃないですか!」

透華「あら、たしかにそうですわね!」

衣「……まあいい、衣は早く遊びに行きたいぞ!」

灼「ん……それじゃあ、行きますか」

470 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/17(金) 01:38:19.56 ID:J19ssooX0

――――――

衣「邪魔するぞ!」

もこ「!?」

灼「あ……天江さん、ちょっと危ないから下がって」

衣「?」

もこ「…………!」

灼「驚かせてごめ……怖くないよ」

もこ「……! …………!」

灼「うん……ほら、ちっちゃくてかわいいでしょ?」

衣「おい、まさか衣のことではあるまいな?」

透華「衣のことに決まっているではありませんか。 一番ちっちゃいのも一番かわいいのも衣ですもの」

衣「衣は子どもじゃないぞ!」

灼「……ほら、天江さんは体は小さいけど、人間が大きいっていうか」

衣「そうか? ふふん、そうだろう!」

穏乃「もこ! みんなは?」

もこ「…………」

穏乃「そっか! もう集まってるんだ……待たせちゃって申し訳ないなぁ」

471 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/17(金) 01:39:05.37 ID:J19ssooX0

やえ「ちょっと! あんたなにやってんのよ!」

照「? おかしを食べてる」

やえ「そんなん見ればわかんの! なんで全部食べちゃうのよ!? 灼たち来るのよ!?」

照「? 全部……? あれ? おかし、もうない?」

やえ「あんたが全部食べたからね」

玉子「いい食べっぷりであったぞ? 見ていて気持ちがいいのである!」

照「それほどでもない」

やえ「玉子もいちいち照を持ち上げないの! あーもう、どうすんのよこれ!」

照「……最初からなかったということに」

灼「……ごめんなさい、もう来てます」

照「あ……灼、違う。 これは、その、誤解。 心の赴くままにおかしを手に取っていたらいつの間にかなくなってて……」

やえ「誤解もなにも我慢できずに全部食べただけでしょ!」

照「人聞きの悪いこと言わないで。 やえの意地悪……」

やえ「私が意地悪なんじゃなくってあんたが意地汚いのよ!」

玉子「まあまあ、そこまで言わなくてもよいではないか。 おかしならまた買ってくればいいのである!」

照「それは名案。 早く買いに行こう」

やえ「いい加減にしろっつーの!」

もこ「…………」

穏乃「はは、もこは相変わらずキツいなぁ」

472 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/17(金) 01:40:17.87 ID:J19ssooX0

透華「あら、見知った顔の多いこと……鷺森さん、紹介してくださるかしら?」

灼「ん……こちら、去年の長野代表で活躍した龍門渕透華さんと天江衣さん」

衣「うむ、今日はよろしく頼むぞ!」

透華「よろしくお願いいたしますわ」

灼「こちらから順に、王者白糸台エースの宮永照さん」

照「元王者だけどね……よろしく」

灼「奈良の強豪、王者晩成エースの小走やえさん」

やえ「去年は対局の機会がなかったわね……よろしく」

灼「埼玉代表、越谷女子部長の宇津木玉子さん」

玉子「よきにー」

灼「東海王者の対木もこさん」

もこ「…………」

透華「……さっきからなんですの?」

灼「ちょっと話すのが苦手な子なので……慣れるまで少し……」

穏乃「龍門渕さんも天江さんもいい人だから警戒しなくていいよ、もこ!」

もこ「…………」

透華「なんなんですの? はっきりしない子ですわね……言いたいことがあるならはっきり言いなさいな」

もこ「……………………!」

透華「なるほど、わかりませんわ!」

灼「……もこ、ほどほどにしてね」

473 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/17(金) 01:41:05.62 ID:J19ssooX0

透華「まあいいですわ……本日はお忙しいなかわざわざありがとうございます。 これはお土産ですわ、どうぞお食べくださいな」

照「!!」

もこ「!」

やえ「落ち着きなさいよ! 恥ずかしい……」

照「だ、だってやえ! こ、こんな……あ、あからさまに高そうな包装が……!」

灼「……萩原さんがどこからともなく取り出したのは見たけど、いったいどれくらいの……?」

透華「そんな、値段を言うなんて下品なことはしませんわ。 まあ、私たちの行きつけのお店から取り寄せたもので味も保証できるとだけは言っておきましょう」

やえ「悪いわね、気を遣わせて……ほら、あんたたちもちゃんと……」

照「おいしい」

もこ「……! …………!!」

やえ「ちゃんとお礼ぐらい言いなさいよ!」

玉子「はは、やえも異なことを言う……照の前に甘味を置いたら食べるに決まっているではないか」

やえ「あんたはなんでいっつもどっしりと構えてられるわけ!?」

玉子「部を率いる者として、当然のことであるぞ?」

やえ「……私が落ち着きないって言いたいわけ?」

玉子「はは、まさか! このメンバーだとやえがいないと収拾つかないのである! それに、人の上に立つ者としても集団の率い方はそれぞれであろう?」

穏乃「ああ! 例えば、龍門渕さんは強いカリスマ性とリーダーシップで引っ張るタイプですよね!」

透華「高鴨さんはよくわかってらっしゃいますわね!」

玉子「私はお飾りの王として、こうして王冠帽子をかぶったり、見た目からして努力しているのである!」

やえ「お飾りって……あんたねぇ……」

玉子「はっはっは! 実務はソフィアに任せっきりである! 飾り物でも恥ずべきことではないであろう? できることとできないことがあるのだから、回りを頼った方が余程良いのである」

灼「……そういうとこ、玉子さんはやっぱり部長だなって思うけど」

玉子「そうであるか?」

474 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/17(金) 01:41:56.73 ID:J19ssooX0

照「龍門渕さん」

透華「あら、どうされました?」

照「おいしかった。 ありがとう」

もこ「…………」

透華「お気になさらずとも、これから元を取らせていただきますわ。 私たちと打ってくださるのでしょう?」

照「もちろん、それがお礼になるのなら……毎日付き合ってもいい。 むしろ毎日やりたい」

もこ「……!」

衣「そうか! それはこちらとしてもうれしいことだ!」

やえ「それにしても、そんなにおいしかったわけ? もこが一瞬で懐くなんて……ってちょっと、照?」

照「なに?」

やえ「…………さっきまで、このでっかい箱の中いっぱいにいろいろ入ってたと思ったんだけど」

照「え?」

やえ「……また全部食べたわけ?」

照「……ち、違う。 今度はもこも一緒に食べた」

やえ「なにも違わないでしょ! あんたさっきなんで怒られたか忘れたわけ!?」

照「あ……う、その……話してるから要らないのかと思って……ね、もこ?」

もこ「…………」

穏乃「いや、食べたかったから食べただけって……」

もこ「…………!」

灼「……まあ、たしかに食べなきゃ照さんが全部食べただろうけど……というか、全部食べちゃったけど」

照「…………あの、やえ? 怒ってる?」

やえ「呆れてるのよ」

照「よかった、怒ってない」

やえ「怒ってるわよ!」

照「……ごめんなさい」

やえ「う……」

照「ごめん、やえ。 許して……?」

やえ「……ふん、次はないわよ? 高三にもなって何回も同じことで怒られてんじゃないわよ!」

照「うん、ごめんなさい。 ……やえは優しいから好き」

やえ「……な、なに言ってんのよ、このバカ!」

475 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/17(金) 01:42:39.99 ID:J19ssooX0

灼「いちゃいちゃするならよそでやってほし……」

やえ「な、なにがいちゃいちゃよ! そんなことしてないっつーの!」

照「妬いてる?」

灼「妬いてる」

照「じゃあ、なでなでしてあげるからこっちにおいで」

灼「ども……今日は機嫌いいですね?」

照「ご機嫌です。 龍門渕さんのお土産おいしかった」

透華「半端な物は用意できませんもの……宮永さんも対木さんも、まだあるので存分に食べてくださいな」

照「まだあるの!?」

透華「鷺森さんから多目に用意した方がいいとうかがっていたものですから」

衣「ほら、今度はみなで一緒に食べよう!」

照「いただきます!」

やえ「待ちなさいよ! あんたまた考えないで食べるんだから! 人数分に分けてから……!」

玉子「では、今度は私もいただくとするのである」

もこ「…………!」

透華「な、なんですの? 急に引っ付かないでくださいな」

もこ「……! …………、……!」

やえ「……本気で懐かれたわね。 ったく、なんで食べ物なんかで……」

透華「そうなんですの? ……ふむ」

もこ「?」

透華「……透華お姉さんと呼んでも構いませんわよ?」

もこ「…………」

透華「……なんとまあ、かわいらしいこと!」

もこ「…………!」

476 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/17(金) 01:43:31.75 ID:J19ssooX0

照「私も龍門渕さんちの子になる」

やえ「何を馬鹿なこと言ってんのよ!」

照「とーかお姉さん……」

やえ「あんたの方が年上でしょ!」

照「龍門渕さん……いや、透華、私のことはお姉ちゃんと呼んでも構わない」

やえ「いつまでふざけたこと言ってんのよ!」

衣「むぅ…………トーカ! せっかく来たんだから早く打とう! お前も離れろ!」

もこ「……………………!」

透華「衣! 怒鳴ってはいけませんわ、対木さんが怖がっているではないですか…… 衣の方がお姉さんなのですから、優しくしてあげなさいな」

衣「う……でも、その……」

もこ「…………!」

透華「対木さん? そんなに強くしがみつかなくても、衣はいい子ですわ。 怖くありませんわよ? ほら、衣」

衣「む…………その、ごめん……なさい」

もこ「…………」

衣「あっ! トーカ! そいつ今ニヤッてした! 勝ち誇った顔で!」

透華「えっ?」

もこ「…………?」

透華「もう、衣ったら……そんな嘘をついてはいけませんわよ? こんなにかわいい子がそんなことするはずがないではないですか」

もこ「…………」

衣「こ、こいつ……!」

477 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/17(金) 01:44:16.54 ID:J19ssooX0

穏乃「いやあ、よかった! もこもすぐに龍門渕さんや天江さんと慣れてくれたみたいで!」

灼「……龍門渕さんに懐いたのはともかく、天江さん煽りまくってるのはどうかと思」

穏乃「ふたりとも龍門渕さんのこと好きなんですね! きっと仲良くなれますよ!」

灼「……もれなく取り合ってるけど」

衣「対木! 早く卓につけ! トーカ! トーカも一緒に打とう! 衣と打とう!」

もこ「…………! ……!」

透華「あらあら、ふたりともそんなに引っ張らないでくださいな……それでは、個人戦参加の方が入れますので宮永さんか小走さん、お相手していただけますか?」

照「私が打つ。 よろしく、透華お姉さん」

やえ「やめなさいって言ってんでしょ!?」

灼「……高価なおかしで照さんも龍門渕さんに懐いちゃってるんだけど」

穏乃「照さんって麻雀打ってるときはあんなにカッコいいのに、意外とかわいらしいところがありますよね!」

玉子「チャンピオンと言っても私たちとそう変わらないのである!」

灼「……照さんは普通よりもちょっとアレな感じですけど」

やえ「優しいわね、あんたら……照はちょっとどころじゃなくアレでしょ」

照「おかし……じゃなかった、卓についたことだしおかし……じゃなくて、サイコロをふっておかしを……えっと、起家を……」

透華「……その、宮永さん? 私の分を差し上げますので……」

照「ありがとう透華お姉さん」

灼「…………照さん」

やえ「……どうしようもないわね、あいつ」

478 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/17(金) 01:45:00.75 ID:J19ssooX0

――――――

照「ツモ。 300・500」

照「ツモ。 500・1000」

照「ツモ。 700・1300」

照「ツモ。 2600オール」

透華「…………流石ですわね、インターハイチャンピオン」

もこ「…………」

衣「ふん……面白い! 対木ともども打ち斃してくれる!」

もこ「……、…………! ……!」

衣「黙っていろ! お前なんか衣の敵じゃない!」

もこ「…………! ……、…………!」

衣「負けた方が土下座する? ふん、言ったな? 跪かせてやる!」

もこ「…………!」

衣「トーカは衣の家族で友達だ! お前なんかにやるもんか!」

透華「……! もしかして、これはアレですの!? 私のために争わないで! ってやつですの!?」

透華「なんというヒロイン力! やっぱり私こそ高校麻雀界一のアイドル!」

照「ツモ。 4200オール……おいしいおかしのお陰で調子いい」

穏乃「やっぱり照さんカッコいいなあ! 流石チャンピオン!」

やえ「…………どいつもこいつもちょっとアレね」

玉子「みんな楽しそうでなによりである!」

灼「……うん、楽しそうだしいいんじゃないかな、どうでも……」

479 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/17(金) 01:46:12.31 ID:J19ssooX0

衣「ツモ! 3600・6600!」

照「む……速さで負けた……?」

衣「ふふん……衣だって、昼過ぎでもちょっとやる気を出せばこんなものだ! これから世界が暗れ塞がると共におまえたちの命脈も尽き果てる!!」

もこ「…………」

衣「なんだと!? 衣は高二だ! 中学生じゃない!」

穏乃「……? 中二病ってなんですか?」

灼「……天江さんみたいなやつ?」

やえ「……もこだって人のこと言えないでしょうに」

玉子「照! 一口分けてやるから頑張るのである! インハイ連覇の実力を見せてやるのである!」

照「玉子! ありがとう! まかせて!」

やえ「……あんたも照を餌付けするのやめなさいって」

透華「しかし、ここまでよろこんでいただけると私としてもうれしいですわ。 追加で持ってこさせようかしら……」

照「是非! 透華お姉さん!」

灼「……すっかり餌付けされてる」

やえ「あんたプライドとかそういうのないわけ?」

照「プライドじゃお腹はふくれない」

やえ「いくら食べてもふくれてないじゃないのよ……」

照「甘いものは別腹」

やえ「甘いものしか食べてないでしょ!」

照「……ほんとだ」

照「……やえ、それじゃあしょっぱいものも食べるからポテチかなにか買ってきてほしい」

やえ「ふざけんなっつーの! なんで私があんたのパシりしないといけないのよ!」

照「……パシり小走?」

やえ「張っ倒すわよ!?」

やえ「……で? なに味がいいのよ? ちょうど喉渇いてきたからついでに買ってきてやるわよ」

照「……やえ、やっぱり優しい」

やえ「ついでだって言ってんでしょ!? 勘違いしないでよね! 別にあんたのために行くわけじゃないんだかんね!?」

灼「綺麗なツンデレいただきました」

玉子「わかりやすすぎてむしろ素直なんじゃないかと思えてきたのである……」

480 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/17(金) 01:47:01.73 ID:J19ssooX0

衣「……ところで、宮永よ」

照「? なに、天江さん?」

衣「貴様、透華お姉さんなどと……」

照「あ……それは安心してほしい。 天江さんから龍門渕さんを取ったりしない。 おかしは貰うかもしれないけど……なんなら、天江さんがお姉さんでいい。 衣お姉さん」

衣「それは本当か!? ……じゃなくって!」

もこ「……、…………!」

衣「誰がチビだ! 貴様だってたいして変わらんではないか!」

灼「ふたりともちっちゃくてかわいいよ」

衣「衣はちっちゃくない!」

穏乃「…………あ、あの」

灼「あ、ごめん……もちろん、穏乃もかわいいよ」

穏乃「あ、そうですか? えへへ……」

透華「そういう鷺森さんだって身長で言えば高鴨さんとたいして変わらないのでは……?」

照「灼もかわいい」

灼「…………ども」

玉子「はは、灼もそんなに照れなくてもよかろうに」

もこ「…………」

穏乃「もう、また喧嘩になっちゃうよ? そういうことは言っちゃダメだってば」

衣「まったく、不愉快な奴だ……」

481 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/17(金) 01:47:51.29 ID:J19ssooX0

衣「……ではなくて! 宮永!」

照「? なぁに、衣お姉さん?」

衣「え? へへ……その、もう一回……」

照「衣お姉さん」

衣「えへへ……なんという甘美な響き……」

灼「……衣ちゃん、用件忘れてるよ」

衣「ちゃん付けするな! ……ああ、そうだ、だからな?」

照「うん」

衣「透華お姉さんだの衣お姉さんだのと言う前に……いや、衣は衣お姉さんと呼ばれること自体に忌憚はないのだが……」

照「それで? 衣お姉さん……」

衣「へへへ……うん、だからな?」

照「衣お姉さん」

衣「うん! えへへ……」

透華「衣が楽しそうでなによりですわ!」

やえ「照! あんたいい加減にしなさいよ! 話が進まないでしょ!? ……ほら、のり塩とうす塩とコンソメと……あんたどんだけ食べんのよ!?」

照「たくさん」

穏乃「……突っ込むぐらいなら最初から買ってこなければいいんじゃ」

灼「やえさん優しいから……」

やえ「うっさいわね! ほら、天江も話があるならさっさと言ってやんなさいよ!」

衣「あ、うん……ほら……詳しい事情も知らんのに言うのは躊躇われるが……友のためにも言わねばならん」

照「?」

衣「……姉妹ならば、本当の妹がいるだろう? 会ってやるわけにはいかないのか?」

照「…………」

482 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/17(金) 01:48:41.20 ID:J19ssooX0

灼「天江さん、それは……」

衣「…………すまん、余計なお世話かもしれんが……これだけは言わせてほしい。 家族という近しい存在だとしても、別れというのは唐突に訪れるものでもあるんだ……何かあってからでは遅い。 後悔してほしくはない……照にも、咲にも」

照「…………ありがとう、天江さん」

穏乃「…………」

灼「……どした?」

穏乃「……やっぱり、みんなもいろいろあるんだな、って……私は、また会えたけど……天江さんは……」

灼「……ん、そだね」

穏乃は、人の痛みをわかってあげられる子だ。 私は昔のことは知らないけど……それでも、誰よりも別れに敏感な子だってことはわかってる

咲と照さん、天江さん……それぞれの事情も何となくしか知らないけど、一緒に傷ついてしまう穏乃は優しい子だ

灼「…………」

穏乃「……へへ、すみません」

たた撫でるしかできなかったけど、ちょっとは元気になってくれたみたいだ

いつも元気いっぱいな穏乃が落ち込んでると、私も何となく元気がなくなる気がするから……やっぱり、穏乃には笑顔が似合っている

もこ「……、…………!」

穏乃「ってもこ!?」

灼「そりゃあもこには訳がわからないかもしれないけど……」

衣「真面目な話をしてるんだ! 茶化すな!」

やえ「……っていうか、あんたも真面目な話できたのね」

照「私はいつも大真面目」

玉子「照はおかしに関しても真面目に相対しているだけであるぞ?」

照「そう。 それでいつもおかしのことを真面目に考えている」

やえ「やっぱりおかしのことしか考えてないじゃないのよ……」

483 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/17(金) 01:50:00.73 ID:J19ssooX0

透華「まあ、なんにせよ……家族は大切にするものですわ。 ねえ、衣?」

衣「うん! 衣は透華のお陰で……家族もたくさん増えた。 大事な家族が……」

照「龍門渕さんのお陰……? ま、まさか!?」

透華「なんですの?」

照「産んだの!?」

透華「はい!?」

やえ「んなわけあるか! 黙ってなさいよこのアホ!」

もこ「…………」

灼「こら、そんなこと言ったら照さん傷つくよ? 友だちも大切にしなきゃ」

穏乃「まあ、友だちだからこそ言えることもありますけどね」

玉子「そういう友だちがいることも、それ自体がいいことであるな」

透華「……ふふ、みなさんも何かあれば私を頼ってくださいな。 大切な友人は家族と同じですわ」

もこ「…………、………………!」

衣「こら! だからあまり透華にくっつくな! 」

透華「ふふ、お友だちなんですから仲良くしてくださいな」

照「……それじゃあ、龍門渕さん。 早速で悪いんだけど、ひとつ頼りたいことが……」

透華「……ええ、お任せくださいな。 貴女の妹さんならば……」

照「……それは、私が何とかする。 私が何とかしないといけないことだから……」

透華「……それもそうですわね。 余計なお節介でしたわ。 では、なにを?」

照「……その、言いづらいんだけど」

透華「あら、私これでも器の大きい方でしてよ? 友の頼みとあらばなんでも聞いて差し上げますわ!」

照「……それじゃあ」

484 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/17(金) 01:50:51.06 ID:J19ssooX0


照「さっきのおかし、またもらってもいい?」


灼「…………照さん」


やえ「……予想通り過ぎて突っ込む気も失せたわ」


カン!
485 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/17(金) 01:53:15.02 ID:J19ssooX0
もころも。荒川にしようかと思ってたけどてるてるしたくなったので

かすみたんイェイ〜(26時)
毎日のように訪れる咲キャラバースデーに手が回りきりません
486 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/17(金) 02:09:58.01 ID:7AFkUrlzo

もう全部おかしだけでいいんじゃないかな
487 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/17(金) 08:51:34.94 ID:buowOtOi0

穏乃は世渡り上手だなあ
これを素でやってるんだから恐れ入る
488 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/17(金) 11:54:34.39 ID:h2qVHub8o
乙です
489 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/18(土) 00:42:25.69 ID:xVYyaUNAO
そんなお菓子命な照姉さんがはやりん特製スィーツと出逢うのは何時なんでしょう?
490 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/22(水) 20:18:13.18 ID:eoHyKr3sO
そい
491 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/22(水) 20:19:29.17 ID:eoHyKr3sO
ごめんなさい誤爆です
492 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/07/25(土) 21:50:12.71 ID:1SLTLHTL0
今日は咲祭りですが投下はないです。すみません
日和が正直期待以上だったのでとってもうれしいのですわ
14巻も一言程度のメモでも想像の余地が広がってたいへんありがたいのですわ
まふふは生きてたしハギヨシさんは案の定今年で20でしたね

次は>>189か衣日和in宮守とか予定中ですがその前に清澄の短いの立てて投下するつもりなんで気長にお待ちください
493 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/25(土) 22:30:35.06 ID:QNLnZzpAO
>>492
ふんふむ…
宮守in衣お姉さんですか…
其処に阿知賀女子フルメンバー&赤土さん+純くんは入るのでしょうか?
そして…
宮守にトシ監督は居ますかね?
494 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/26(日) 01:30:39.71 ID:UJkJIkun0
>>492
個人的に一言メモで一番驚いたのが灼だわ
後ころたんイェイ〜を含む歌とアラサーだよが声ありで聞けて嬉しかったなあ
495 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/26(日) 14:45:43.75 ID:arKqlt0c0
俺的には美子の身長が意外と大きいのが驚き
あと、宥ねえに暑いという感覚があることにもっと驚き
496 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/27(月) 01:15:54.45 ID:myiMgJMAO
>>492
今年って言うか…今年度かと…(ハギヨシさんは3月生まれ♪)

後…雅枝監督の若さと…
新子夫妻の頑張りには…
497 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/29(水) 18:41:08.82 ID:L7AATPeqo
新刊やっと読めた…シノリチャかなりキテた…いいわぁ…
498 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/01(土) 03:22:05.78 ID:tSZhM4650
>>494声付くだけでやっぱりテンション上がりましたね。今回出番ないとこもOPでいいシーン拾ってくれててうれしかったです
>>497シノハユほんと面白いんですよね。清澄も不定期に投下してるけどシノハユもまたなんか書きたいっす

投下。衣お姉さんと宮守
499 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/01(土) 03:22:45.95 ID:tSZhM4650

玄「それじゃあ、行きましょうか?」

衣「うん! 今日はどこに連れていってくれるんだ?」

憧「岩手の宮守女子のみなさんを紹介しようかと……胡桃さんに連絡とったら快諾してくれたので 」

純「あー……あのちびっこ。 それに馬鹿でかい女のいる……」

憧「……胡桃さん怒りますよ?」

智紀「それも純が言う?」

一「ほら、純くんは「オレは女だ!」おお、反応早いね、まだ言ってないのに……純くんもせっかくだから一緒に行ってくれば? 新子さんも一緒に行きたそうだし」

憧「へ!? な、なんですか急に!」

純「ん? まあ、どうせ暇だしな……一緒に遊び行くかー」

智紀「休日に子どもの世話をするのも父親の仕事」

衣「衣は子どもじゃない!」

純「だからオレは女だって!」

透華「そういうことなら今日は衣と純と……ハギヨシ!」

ハギヨシ「ここに」

透華「衣と一緒に行ってあげてくださいな。 手土産も忘れないように」

ハギヨシ「かしこまりました、透華お嬢様」

透華「頑張ってくださいましね!」

衣「うん! 友だちたくさん作ってくる!」

憧「が、頑張るって別になにも私は……」

玄「えへへ……ありがとうございます」

穏乃「龍門渕さん、テキパキしててかっこいいなぁ」

宥「気遣いも忘れないし……」

灼「……少しあからさますぎる気もするけど」

500 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/01(土) 03:24:35.95 ID:tSZhM4650

晴絵「熊倉さんとこ行くなら車出そうか? 私もちょうど用事あるし」

憧「ほんとに? ありがとハルエ」

ハギヨシ「それならば運転は私が……」

晴絵「そんな、いいですよ、いつもうちの子たちがお世話になってますし」

衣「衣は助手席がいい!」

純「子どもだな」

衣「なんだと!」

玄「まあまあ、せっかく遊びに行くんだから喧嘩は無しにしましょうよ」

一「ここは大人になって、ね?」

衣「! ここは松実と一に免じて許してやろう。 衣は大人だからな!」

純「……はいはい、どーもありがとう衣お姉さん」

晴絵「で? 一応聞くけど何人で行くわけ? さすがに全員乗せてくのは……」

穏乃「今日は国広さんとデートなので!」

一「服買いに行くんですよー」

憧「え、ちょっとそれは待って……!」

一「純くん、今度ハンバーガー奢ってあげるから新子さん捕まえといてよ」

純「マジかよ! お安いご用だぜ!」

憧「!?!?!?」

一「動けないように! できるだけ強く抱き締めて!」

純「ポテトとドリンクも付けろよ!」

憧「ふっきゅぁ!?!?!?」

灼「……あんまり憧で遊ばないであげてほし……興奮しすぎて死んだら困るし」

一「まあまあ、新子さんもうれしそうだしいいじゃない」

501 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/01(土) 03:25:28.46 ID:tSZhM4650

晴絵「……憧は楽しそうでいいな……で、そっちは?」

灼「ともきーと咲と本屋に……」

智紀「好きなシリーズの続編が出まして」

透華「それでは、私は原村和と勝負ですわ!」

智紀「……アポなし?」

透華「どうせ暇してますわ!」

宥「……個人戦前だし練習してるんじゃ」

透華「ならば麻雀で勝負ですわね! 宥さんも一緒にいらっしゃいな」

宥「……いいんですか?」

透華「? ダメな理由がありまして?」

宥「……えへへ、それじゃあお供させていただきます」

晴絵「こっちの五人でいいんだな? それじゃあ……おい、あこー? 大丈夫か?」

憧「はぁ……はぁ……だ、大丈夫だけど!? 別にこれぐらい全然へっちゃらで……」

一「純くん! もっと強く!」

純「ナゲット追加だ! 全部Lサイズな!」

憧「ふきゅっ……い、いいい、井上さん! その、あの!」

純「わりぃな新子! でも絶対に離さねぇぞ!」

憧「ぜ、ぜぜ、ぜったいにはなさな……ふきゅう……」

灼「……憧には刺激が強すぎ」

一「今のうちに行こっか!」

穏乃「はーい! それじゃあ行ってきますね!」

玄「行ってらっしゃい、穏乃ちゃん、国広さん」

晴絵「……純くん、ちゃんと憧連れてきてよ?」

純「あはは、新子軽いから余裕っすよ」

智紀「……まさか本当に抱き上げられるとは」

憧「」

灼「死んだ」

憧「……い、いきてりゅから!」

玄「呂律回ってないよ憧ちゃん……」

502 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/01(土) 03:26:12.33 ID:tSZhM4650

――――――

玄「こんにちは!」

白望「いらっしゃい」

豊音「わー!わー! すごーい! 天江さんだー! 超かわいいよー!」

衣「な、なんだ! やめろ! 抱き上げるな! 回るな!」

純「うわ……やっぱりマジででけぇなこの女……」

胡桃「純くんがそれ言う? ……っていうか憧ちゃん大丈夫? なんか顔真っ赤だけど熱でもあるんじゃ……」

憧「だ、大丈夫です……いろいろありまして……ふきゅ」

晴絵「……ひとりぐらい突っ込み要員連れてくればよかったな……こんにちは、熊倉さんは?」

塞「奥でカップ麺作ってますよ」

晴絵「……入るね」

エイスリン「ドウゾ!」

ハギヨシ「失礼します。 今日はお世話になります……こちら、みなさんでどうぞ」

塞「あ、これはどうもご丁寧に……」

白望「……誰?」

ハギヨシ「これは失礼いたしました。 私、龍門渕家の執事をしております、萩原と申します。 本日は衣様の付き人としてこちらに……」

胡桃「……執事とか本当にいるんだね」

エイスリン「セバスチャン!」

ハギヨシ「執事がみなセバスチャンと言う名前なわけでは……」

503 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/01(土) 03:27:30.23 ID:tSZhM4650

豊音「天江さん、井上さん! はじめましてで厚かましいですが……サインください!」

衣「一回会場ですれ違ったことがあるぞ?」

豊音「えー!? 本当に!? 気がつかなかったよー!」

純「ちっちゃくて見えなかったんだろ」

衣「衣はちっちゃくない!」

純「ちっちゃいだろ……つーかオレも?」

豊音「地区大会も見たけど、先鋒戦で他校トバしちゃうなんて超かっこいいよー!」

純「……予選だし、たいしたことねぇって」

胡桃「いや、さすがにそれはたいしたことあるでしょ」

塞「っていうか豊音、男子の試合もチェックしてたんだ?」

純「……オレ、女な」

塞「……マジ?」

豊音「龍門渕高校先鋒の井上純さんだよー?」

塞「……ごめん、てっきり新子さんの彼氏かなんかかと……」

憧「ふきゅ」

純「どうしてそんな発想になるんだよ?」

塞「入ってきたときから新子さん引っ付いて離れないし……」

憧「ちょ、ちょっと……腰抜けちゃって自立できなくて……」

胡桃「何かあったの?」

純「さぁ? なにもねぇけど……」

憧「な、なな、ナニって!?」

胡桃「少し落ち着く!」

白望「……ダルい」

504 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/01(土) 03:29:11.77 ID:tSZhM4650

衣「これでいいのか?」

豊音「わぁ……! ちょーうれしいよー! ありがとうございます!」

純「名前いれる?」

豊音「わぁ、サービスいいよー! 豊音ちゃんへ、でお願いします!」

純「はいよー」

エイスリン「ジュン、ナレテル?」

ハギヨシ「井上さんは学校の方でも大変人気者でして……」

衣「純は女生徒に囲まれては食べ物貰ったりしてるぞ」

塞「あー……わかる。 モテそう」

胡桃「見た目はいいもんね」

純「見た目は、ってなんだよ?」

憧「…………な、中身の方だっていいと思いますけど……」

塞「ん? あれあれ? まさか……」

憧「い、いやいや! べ、別に私はそういうアレ的なソレではなくてですね!?」

塞「へぇー? ほぉー? なるほどねぇー?」

白望「……塞、ダルい」

エイスリン「ダルイ!」

玄「臼沢さん、憧ちゃん照れ屋さんだから……あんまりからかわないであげてくださいね」

塞「ん、わかった! 新子さんが井上くんを好「ちょっ! ちょっと! 臼沢さん!!」 あっはっは!」

衣「? 随分と楽しそうだな?」

塞「恋バナ嫌いな女子高生はいないからね!」

胡桃「含めていいの?」

玄「いいと思いますけど……」

505 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/01(土) 03:30:22.53 ID:tSZhM4650

白望「はぁ……塞、そういうのどうでもいいからお茶ぐらい出してよ……お客さん来てるし」

玄「え、あ、そんな気を遣わなくても……」

胡桃「シロが飲みたいだけでしょ……言ってることは正しいけど」

塞「あ、今用意して来るから……」

ハギヨシ「いえ、お茶ならばこちらに」

塞「どこからそのティーセット出したんですか!? しかも高価そうだし!」

エイスリン「カンセイヒンガレンジノナカニ?」

豊音「ちょーすごいよー! 手品みたい!」

純「なに驚いてんだよ?」

衣「ハギヨシならばこれくらい当然だ!」

玄「ですよねぇ?」

胡桃「感覚麻痺してるよ!?」

白望「ほら、塞……お茶菓子ぐらい出してよ」

胡桃「だからシロが食べたいだけだよね!?」

玄「あ、私クッキー焼いてきたからよかったら……」

エイスリン「オカシモデテキタ!」

豊音「お客さんにおもてなしされてるよー」

塞「……なんか、すみません」

ハギヨシ「いえ、これくらい当然のことですから」

玄「みんなに喜んでもらえるならこれくらい全然ですよ〜」

憧「……こういう人たちなんで」

506 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/01(土) 03:31:37.21 ID:tSZhM4650

――――――

トシ「――それじゃあ、久しぶりに打つかい?」

晴絵「ええ、生徒たちも打ち始めてる頃でしょうし…………ん?」



玄「お茶、お注ぎしますね〜」

ハギヨシ「お菓子の方もご希望がありましたらすぐに用意を……」

白望「……ん」

ハギヨシ「ああ、小瀬川さん……失礼します、お口許にチョコが……」

玄「あ、小瀬川さん手元気を付けて……」

白望「……超快適」

塞「やめて! それ以上シロを甘やかさないで!」

胡桃「完全に怠惰モードに……いや、通り越して堕落モードになってるよ!?」

エイスリン「ドウシテトメルノ?」

豊音「シロ、ちょー楽しそうだよー?」

塞「シロは呼吸すらめんどくさいと思ってるような人間だよ!?」

胡桃「このままじゃひとりで生きていけない体になっちゃうよ!」

純「……それは元から無理っぽくね? 要介護だろ?」

衣「ハギヨシも生き生きとしているな! 今日は供をさせてよかった!」

憧「玄も萩原さんも人のために何かするのを喜びや生き甲斐にしてるから……」



晴絵「……なにしてんの?」

憧「……介護?」

トシ「シロ、だらけるのはいいけどその分は個人戦で取り戻すんだよ」

白望「んー…………じゃあ、今日は一日こんな感じで……クッキー」

玄「あーんしてくださいねー」

白望「あー」

塞「クッキーぐらい自分で食べなよ!?」

507 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/01(土) 03:32:40.79 ID:tSZhM4650

胡桃「もう! 今日一日ずっとそれで行くつもりなわけ!?」

白望「……逆に聞くけど、動かないで済むのに私が動くとでも?」

胡桃「……天江さん、今日は私たち四人でお相手するから!」

憧「さっくり諦めましたね!?」

胡桃「無理! シロはこうなったら梃子でも動かないから!」

塞「付き合い長い分さ……この……あ、コレはもう無理だわ……っていうのがわかるんだよね……」

純「……大変だな、お前らも」

豊音「わーい! 天江さんみたいな有名人と打てるのちょーうれしいよー!」

エイスリン「ハイ! ワタシモウチタイデス!」

衣「よーし! 今日はいっぱい衣と遊ぼう!」

晴絵「私も交ぜてよ、天江さん……この様子だと玄も打てなそうだし……」

トシ「天江衣さんねぇ……随分と強い力を持ってるみたいだけど……最近は山の子ばっかり見てたから水の子ってのも久しぶりでワクワクするわねぇ」

衣「……! ふむ、貴様……ただ者ではないな? 面白い……!」

トシ「こらこら、年長者は敬うもんだよ。 子どものうちからしっかりしとかないと大きくなると苦労するよ」

衣「衣は子どもじゃない! 今年でもう十七歳なんだぞ!」

トシ「私の三分の一も生きてないじゃないか……ほら、飴ちゃんいるかい?」

衣「わーい! ……って! ち、違う! 衣を子ども扱いするな!」

508 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/01(土) 03:33:18.01 ID:tSZhM4650

晴絵「んっふふ……いやー、やっぱり麻雀楽しいなぁ……熊倉さんの生徒さんもみんないい打ち手ですし」

トシ「あんたもすっかり立ち直れたみたいだねぇ」

晴絵「最近は……打たなかった時期の分も、麻雀の楽しさを噛み締めてますよ」

衣「うむ、晴絵の言うことはよくわかる……衣も、最近ようやく自分の麻雀を楽しめるようになったんだ」

豊音「えへへ、私は熊倉先生がみんなを紹介してくれるまで麻雀打つ相手もいなかったからたくさん打てるのすっごく楽しくてうれしいよー」

エイスリン「マージャン! オモシロイ! モットモットウチタイ!」

塞「はぁ……うん、みんな……はぁ、はぁ……楽しそうで、なにより……」

憧「……臼沢さん、大丈夫ですか?」

塞「いや……その……さっき天江さん塞ごうとしたら……一気に……体力持ってかれて……」

胡桃「ちゃんと休んできたら?」

玄「お布団引いてきましたよ!」

ハギヨシ「お飲物をお持ちしました」

胡桃「うちの宿なのにすっかり玄ちゃんと萩原さんのホームみたいになってるね!? 」

白望「……塞、無理しないで休んできて」

塞「……し、シロ……珍しいね、心配してくれるなんて」

白望「早く玄ちゃんと萩原さん返して」

胡桃「結局自分のため!?」

塞「……うん、知ってた…………知ってたよ……」

エイスリン「アハハ! ヒドイ! シロヒドイ!」

憧「……大爆笑してるエイスリンさんもどうかと思いますけど」

509 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/01(土) 03:33:59.81 ID:tSZhM4650

トシ「まったく……無理しちゃダメだって言ったろ? 日中だからよかったもののこれが夜中だったりしたら……」

衣「む……貴様、衣のことを……」

トシ「今年も出てくると思ったから研究してたんだけどねぇ……」

衣「心配せずとも秋以降にまた会える……楽しみにしているがいい」

胡桃「うち、みんな三年だからもう引退だけどね……」

豊音「うぅ……もう引退なんて寂しいよー…………」

純「ま、公式戦出れなくても麻雀は打るじゃねえか……オレたちだって相手すっからさ、な?」

憧「そ、そうですよ! 連絡取り合っていつでも…………その、東京いる間なら……」

胡桃「奈良と岩手じゃそう簡単にはいかないよね……」

塞「まあ……仕方、ない……でしょ…………」

エイスリン「……サエ、ダイジョウブ? ネテキタラ?」

純「……イラストの臼沢、永眠してねぇか?」

胡桃「エイちゃん意外とブラックなの投げてくるから……」

豊音「大変だよー! このままじゃ塞が……塞が元気になるようなお話ししないと!」

エイスリン「シロ!」

白望「え……私? ダルいんだけど……じゃあ……」

白望「私の将来の夢なんだけど……」

玄「わぁ、前向きで素敵なお題ですね!」

胡桃「……嫌な予感しかしないんだけど」

510 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/01(土) 03:34:48.22 ID:tSZhM4650

白望「まず、働きたくない」

晴絵「あはは、そりゃいいなー」

胡桃「ちょっとそこ! 教員がそういうこと言っていいんですか!?」

豊音「夢ってそういうことなの? お嫁さんになりたいよーとか、そういうのじゃないの?」

白望「ああ……それ。 じゃあそれで……」

憧「適当すぎません!?」

塞「……シロでも結婚したいとかあるんだ?」

白望「理想は……そう、結婚して家庭に入って仕事はしない。 働かない」

トシ「主婦は主婦で大変なんだよ?」

白望「理想の夫は、私を養えるぐらい一人で稼いだ上で家事全般をこなしてくれる人」

胡桃「それ家庭に入ったって言わないから! 家にいるだけの人だから! だいたいそんな人……」

純「そこにいるな」

ハギヨシ「……はい?」

白望「結婚しよう」

ハギヨシ「はい!?」

玄「ええぇぇぇ!?」

白望「具体的な話をしよう。とりあえず私の高校卒業と同時に籍を入れて……あ、年は? 住居は? お給金は?」

衣「ハギヨシは龍門渕の屋敷に住み込みだぞ。 三月には二十歳だ……給金の方は……詳しくは言えんがそこらの企業よりは出ているぞ?」

白望「最高。 年の差もちょうどいいね。じゃあそのまま一部屋もらうから……」

衣「一部屋どころか家ごと用意してやってもいいぞ! ただし毎日衣と遊ばないとダメだ!」

白望「うーん……まあ、それぐらいなら条件としては破格か……」

ハギヨシ「え? あ、あの? ま、待ってください! あまりのことに話についていけないのですが!?」

胡桃「シロがテキパキしてる!?」

塞「大丈夫なの!? 本物!?」

エイスリン「ツッコムトコロ、ソコ?」

511 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/01(土) 03:35:46.99 ID:tSZhM4650

玄「え……あ……あぅ……」

憧「……いや、なにも泣かなくてもいいでしょ……冗談に決まってるじゃん」

胡桃「憧ちゃんはシロを舐めすぎ! 動くのは嫌いだけど未来の怠惰のためには全力を尽くす女だよ!? 少なくとも結婚できたらラッキーぐらいの気持ちはあって言ってるからね!?」

晴絵「でもたしかにいいよなぁ、萩原さん……容姿性格文句なしで家事全般こなせる上に勤め先龍門渕って……」

豊音「そう言われるとちょーすごいよー……龍門渕グループなんて田舎者の私でも知ってるし……」

晴絵「あはは! 超優良物件だな! 萩原さん、よかったら私と結婚する? やっぱり若い子の方がいい?」

ハギヨシ「え!? あ……え!? え……あー、あ……?」

純「あーあ、フリーズしちまった……ヨッシー冗談通じないから……」

塞「というかその反応……玄ちゃんもしかして? もしかしてそういうあれだったり?」

玄「え? え、あ、その……えへへ……ひ、秘密ですよ?」

憧「あんた隠してるつもりだったわけ……?」

塞「新子さんも隠せてないけど隠してるつもりなの?」

憧「ふきゅ」

白望「…………塞、元気になってる」

豊音「よかったよー!」

エイスリン「ヨカッタ!」

純「おいおい、どうすんだ松実? ライバル出現だぞー?」

玄「う、あ、その……」

胡桃「煽るなそこ!」

トシ「あんたに合いそうな男、紹介しようか?」

晴絵「え? あー……そうですね、そのうち……」

トシ「……そんなんじゃいつになっても結婚できないよ」

512 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/01(土) 03:36:24.89 ID:tSZhM4650

玄「……あ、あの……こ、小瀬川さん……?」

白望「なに……?」

玄「そ、その……えっと……ほ、本気で……?」

白望「……わりと?」

玄「あぅ…………」

白望「……ああ、これ……ダル……んー……ちょいタンマ」

豊音「シロ、何か考え込んでるけどー?」

エイスリン「ワカッタ! アカルイカゾクケイカク!」

豊音「いいねー! 私はひとりっ子で寂しかったし子どもは野球チーム作れるくらいほしいよー!」

トシ「それは楽しそうだねぇ」

塞「家族で三卓ぐらい囲めちゃうね」

衣「それは退屈しないで済みそうだ! 」

憧「まだ高校生なのに気が早いなぁ……」

純「そこまで具体的に考えてるわけでもないだろ……今はガキよりも犬とか飼いたいな」

憧「いいですね! 私動物好きなんですけどなかなか飼ったりは……将来的に家出たら……」

塞「ふたりで飼えば?」

憧「ふ、ふふ、ふた、え、そ、それはどういう……ふきゅ」

胡桃「大きいお屋敷って犬とかつき物なイメージあったんだけど……」

衣「カエルなら飼ってるぞ?」

胡桃「カエル!?」

豊音「カエルって飼うものだったんだー……」

塞「金持ちのセンスはわからん……」

エイスリン「イミフメイ!」

513 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/01(土) 03:37:00.66 ID:tSZhM4650

白望「…………!」

胡桃「なんか思い付いた?」

白望「……私は天才かもしれない。 みんなが幸せになれる方法を思い付いた」

豊音「本当に!? ちょーすごいよー!」

塞「いやいや……そんな方法なかなかないっしょ」

白望「まずは……」

エイスリン「フクヲヌギマス!」

豊音「脱いじゃうの!?」

胡桃「そういうのどこで覚えてくるの!?」

白望「あ、じゃあ玄ちゃんには脱いでもらって……」

塞「本当に脱ぐの!?」

玄「しかも私が!? どうしてですか!?」

白望「……萩原さんを誘惑するため?」

玄「はわっ!? え、あう……ど、どれくらい……?」

憧「脱ぐな脱ぐな! 落ち着いてってば!」

ハギヨシ「な……! い、いけませんよ、女性がそんな、はしたない!」

白望「……脱がす方が好き?」

ハギヨシ「そういう話ではなくてですね!?」

514 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/01(土) 03:37:47.11 ID:tSZhM4650

白望「とにかく、玄ちゃんと萩原さんには結婚してもらって……」

ハギヨシ「!?」

玄「け、結婚!? は、萩原さんと、わわ、私が……!?」

胡桃「もう最初と話変わってるじゃん!」

白望「よく考えてほしい……玄ちゃんも萩原さんも類稀なる才能を持ってる。 私の面倒を見る才能を……」

胡桃「ふたりのスキルはシロのためのものじゃないから!」

白望「住まいは龍門渕の屋敷でも松実館でもいい。 どっちも快適だろうし…… 」

玄「あ、あの……うちに来ても旅館のスペースで生活できるわけでは……」

白望「じゃあ龍門渕のお屋敷で」

豊音「ふたりの住まいとシロは関係なくないかなー?」

白望「私がふたりの養子になる」

塞「は?」

エイスリン「バカナノ?」

白望「ほら、玄ちゃんは萩原さんと結婚したいかもしれないけど私は面倒見てもらいたいだけだから……」

胡桃「バカなんだね?」

白望「? 玄ちゃんと萩原さんに面倒見てもらえるなんて最高でしょ?」

515 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/01(土) 03:38:24.00 ID:tSZhM4650

塞「……それでみんな幸せになるわけ?」

白望「玄ちゃんは萩原さんと結婚できて幸せ。 萩原さんも玄ちゃんほどのお嫁さんをもらえれば幸せ間違いなし。 私はふたりの下で幸せに暮らす」

豊音「新婚生活のお邪魔じゃないかなー?」

白望「天江さんも私という遊び相手ができて幸せ。 新子さんも玄ちゃんに会いに行くって口実で龍門渕の屋敷に出入りしやすくなるし……」

衣「たしかに、衣は遊び相手が増えればうれしいぞ!」

憧「わ、わわ、私は別に……!」

純「長野まで来るのが大変だろ……まあ、いつでも歓迎だけどな。 オレだってうれしいし」

憧「ふきゅ」

白望「そして赤土監督はタイトルホルダーになり、いい男を捕まえて幸せに暮らしました。 めでたしめでたし」

晴絵「え、そんなことになるの? あはは、さっさと結婚してよ!」

玄「え……そ、その……し、します……か……?」

ハギヨシ「え!? あ、いや、例え私たちが結ばれたとしても赤土監督の成績や結婚には関係がないのでは……」

胡桃「真面目か!」

衣「それは美点だろう? 真摯で誠実、ハギヨシ以上に信頼の置ける者などいない」

ハギヨシ「ありがたきお言葉です」

玄「わ、私も! そ、そういうところ、とっても、その、素敵だなって……」

ハギヨシ「……あ、その……ありがとうございます」

純「ひゅーひゅー!」

塞「ちゅーしろ! ちゅー!」

ハギヨシ「……やめてください」

白望「……塞、元気になったのはいいけど……」

エイスリン「ウザイ!」

憧「……ほんと、はっきり言いますよね。 いい笑顔で」

516 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/01(土) 03:39:21.24 ID:tSZhM4650

豊音「でもでも! いいよねー! 私も大きくなったら素敵なお嫁さんになるのが夢なんだー」

純「え、お前まだでかくなんの?」

豊音「そういう意味じゃないよー!?」

塞「ちなみに豊音の理想のタイプは?」

豊音「えー? えへへ、恥ずかしいんだけどー……やっぱり、優しくてーかっこよくてーどんな時でも助けに来てくれる王子様がいいなー」

胡桃「……豊音らしいね」

豊音「あとあとー、やっぱりお姫様だっことかちょー憧れるよー!」

純「……いや、男でもそれはなかなか厳しい条件だろ……」

憧「……なーんか、どっかで聞いたことあるような……」

玄「?」

晴絵「へぇ……なるほど、じゃあ萩原さんとか好みなんじゃないの?」

豊音「……えへへ、実はちょっと素敵だなーって思ってたけどー」

塞「へぇ! なるほどなるほど!」

ハギヨシ「!?」

玄「!?!?!?」

純「いいっすね、モテモテじゃないすか」

ハギヨシ「え、えー……その……ありがとうございます……」

衣「ハギヨシならば姉帯を抱き上げることも造作ないだろう? どうだ?」

ハギヨシ「む……どうかと仰られますと……」

豊音「わわ、そんなに見られるとちょー恥ずかしいんだけどー……」

ハギヨシ「し、失礼しました……衣様、不可能ではないと思いますが……」

純「マジで? ヨッシーすげぇな……さすがに自分よりでかいもん持ち上げんのはキツいぞ……」

エイスリン「チカラモチ! スゴイ!」

白望「私も抱えてくんないかなー……経済的に」

胡桃「こら! いい加減にする!」

517 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/01(土) 03:40:10.06 ID:tSZhM4650

塞「えー? ちょっとやってもらいなよ、お姫様だっこ」

豊音「え!? い、いいのかなー?」

衣「ハギヨシ、それくらい構わんだろう。 衣も姉帯にたくさん遊んでもらったしな」

ハギヨシ「……衣様がそう仰られるのでしたら」



玄「……あ、あわわわ…………ど、どうしよう憧ちゃん……」

憧「ど、どうしようって言われても……天江さんは姉帯さんに好意的だし、そしたら萩原さんだって無下にはしないだろうし……」

晴絵「頑張れ頑張れ! 玄なら大丈夫だって! あはは!」

純「いやぁ、ちょっと面白くなってきたよな?」

塞「いやいや、ちょっとどころじゃないですよ井上くん」

エイスリン「シュラバ! アハハ! シュラバダ! ヒルドラダネ?」

トシ「若いっていいねぇ……私だって昔はそれはもう……」

塞「え、マジですか?」

晴絵「あ、私熊倉さんの若い頃知ってて……っても十年前ぐらいだけど、そりゃもう美人で……」

憧「……みんなすっかり他人事なのね」

玄「あうぅ……あ、姉帯さんかわいいし私なんかじゃ……」

エイスリン「……トリアエズ、ヌグ?」

胡桃「エイちゃんはなんでそう脱がせたがるの!?」

518 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/01(土) 03:41:06.31 ID:tSZhM4650

白望「……いいんじゃない? 暑いし……カーディガンぐらいは脱いでも……」

玄「で、でも……その、シャツの下……透けちゃうし……」

白望「……ほら、そしたら萩原さんの視線も釘付けに……」

玄「え……! あ、いや、でも! さ、さすがに恥ずかしいですし……」

白望「頑張ってお母さん」

胡桃「まだ言ってるの!?」

憧「……というか、玄が脱いだら自分の上着かけてくれるのが萩原さんだから……」

純「お色気攻撃は効果ないってことはないだろうけど……まあ、それでどうにかなるかと言うとどうにもならないんじゃねーかな」

晴絵「とりあえず試してみたら?」

塞「ボタン二個外しぐらいで……」

胡桃「赤土監督教育者でしょ!? 塞も余計なこと言わない!」

塞「まあまあ……ほら、エイちゃん図解してあげてよ」

エイスリン「マカセナサイ! ンー……デキタ!」

エイスリン「クロチャン、カーディガンヌギマス。 クロチャン、オッパイオオキイ! ミズイロノシタギモスケスケ! ハギワラサンドキドキデス!」

玄「ちょ、そ、そんな大声で下着の色言わないでくださいよぉ!」

純「にしても、相変わらず絵うまいな……」

エイスリン「ジュンハヘタダネ!」

純「……うん」

憧「えっと、えっと! 私は井上さんの絵、味があっていいと思いますよ!?」

純「……なんだよ、優しいな新子。 惚れたらどうすんだよ」

憧「ふきゅ!? え、あの、え!? つ、つっつつつつ、つき、付き合いますか!?」

胡桃「憧ちゃんは落ち着く! 純くんも憧ちゃんを口説かないの!」

純「?」

胡桃「不思議そうな顔しない!」

519 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/01(土) 03:41:51.33 ID:tSZhM4650

衣「ハギヨシ? 顔が赤いぞ? 大丈夫か?」

ハギヨシ「……はい。 問題ありません」

衣「そうか! ならば、姉帯を……」

豊音「あっ! あの、天江さん! ちょっと待ってもらってもいいかなー?」

衣「? どうした?」

豊音「えっと、その……今日のところは遠慮しておこうかなーって……」

衣「なんでだ? 衣、なにか悪いことしちゃったか……?」

豊音「ち、違うよー! どっちかと言うと私が悪いかなーって言うか……せっかく東京でできたお友だちと複雑な感じになりたくないし……」

玄「あ、姉帯さん……そのぅ……」

豊音「玄さんも気にしなくていいんだよー? 私にもいつか運命の王子様が現れるから!」

純「……姉帯を抱えあげられる人間が王子様って言葉と結びつくとは思えねぇんだけど……」

エイスリン「ムキムキオウジ!」

豊音「筋肉質でもそれはそれで頼りになるからいいんじゃないかなー?」

ハギヨシ「……あの、玄さんは友人で、特別な関係というわけでは……」

憧「萩原さん、そういうこと言わなくていいですから。 いろんなとこに誤解与えそうですし……」

純「別に、松実より姉帯のが好みだってんならいいと思うけどな」

ハギヨシ「あ、いや、だから、その……姉帯さんも松実さんも大変可憐でいらっしゃって……」

憧「そういう優しさはね、要らないんですよ……私だってすぐに勘違いしちゃって……」

胡桃「それは憧ちゃんがせっかちなだけだよね」

塞「うん、たぶん新子さんが悪いよ」

憧「で、でも! ぃ……井上さんすぐに私にかわいいとか言うし、そりゃうれしいんだけどなんていうか他意が無さすぎっていうか……」

純「ん? なに睨んでんだよ?」

憧「え!? あ、いや、その、別に……見てただけです……」

純「なんだよ見てただけって? オレのこと好きなの?」

憧「ふきゅ!? え、あ、あの、そそその、すっ、すす……好、好きっていうかなんていうか、あ、あわわわ……」

胡桃「憧ちゃんテンパりすぎ」

塞「新子さんがこんなに面白い子だとは思ってもみなかったよ」

520 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/01(土) 03:42:37.43 ID:tSZhM4650

衣「ふむぅ……しかし、それでは衣ばっかり遊んでもらってしまって……なんだか悪いな」

豊音「そんなことないよー! 私、天江さんがたくさん打ってくれてちょーうれしかったし楽しかったよー!」

衣「わっ! こら、だから抱き上げるなと……うわ、すごい高い!」

豊音「たかいたかーい! えへへ、よぉし、このまま肩車しちゃうよー!」

衣「わっ、わー! すごい! すごいぞ! 見ろ、純! 純よりも高いぞ!」

純「おー……すげぇな」

衣「ふふん……ちび!」

純「…………」

塞「あ、ちょっとイラッとしてる」

純「こら、衣……オレにチビだなんてよくも抜かしやがったな!」

衣「わわっ! 逃げろ姉帯!」

豊音「わー! あははっ! 豊音号発進だよー!」

純「ははは! 待ちやがれっ!」

白望「……あのさ、気をつけないと…………」

衣「ふぎゃ!?」

ハギヨシ「こ、衣様!」

白望「頭ぶつける……」

胡桃「注意するならもっと早くしてあげなよ!?」

白望「……ダルくて」

豊音「ご、ごめんね天江さん! 大丈夫!?」

純「ぷっ……くく……だ、大丈夫か?」

衣「う、うぅ……平気だ……なんと言っても……衣は天井に頭をぶつけるほど大きくなって……うう……」

豊音「えと、えーと、い、痛いの痛いのとんでけーっ!」

衣「子ども扱いするな!」

豊音「ご、ごめんなさい……」

521 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/01(土) 03:44:14.01 ID:tSZhM4650

晴絵「……面白い生徒を持ちましたねぇ……両方の意味で」

トシ「あんたのところも同じだろ? ……あの子達も、みんなあんまり楽しそうに打つもんだから……勝たせてやりたかったんだけどねぇ」

晴絵「……宮守はみんな三年生ですもんね……来年以降はどうするんです?」

トシ「仕事の話ならいくつも来てるからねぇ……ある程度見て回って一番面白そうなとこに行くつもりだけど……またあんたを見てやるのも面白そうだ」

晴絵「はは……これ以上はお世話になれませんって……一回お話もお断りしちゃってますし」

トシ「あんたこそ、どうするんだい?」

晴絵「今年は阿知賀で教師やりながらアマの出れる大会いくつか出てみようかと。 プロチームからもいくつか話は来てますし、打ちながらじっくり考えてみるつもりです」

トシ「うん、それでいいと思うよ……大事なことだからね。 じっくり考えなさい」

白望「……先生、ちょっと」

トシ「ん? どうしたんだい? やる気出したのかい?」

白望「はい……将来的に働かなくていい算段がついたので」

塞「え? なに言ってんの?」

白望「新しい両親ができたから……」

胡桃「勝手に結婚させた上に寄生しない!」



カン!


522 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/01(土) 03:48:11.19 ID:tSZhM4650
世間的には夏休みらしくてうらやましい。忙しいけどできるだけペースを上げるつもりはあるのでよろしくです
全国編vitaも情報少しづつ出てきたしそろそろ予約する店舗決めないとですかねー
523 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/01(土) 04:37:34.15 ID:RpzYwg850

塞さんは常識人だと思ってたのに…
524 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/01(土) 08:01:02.40 ID:SNbgeU26o

塞さんがアレだと胡桃たそに負担が
525 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/01(土) 08:56:26.15 ID:6Dtlx7Qoo
乙です
ツッコミ役ができるアコチャーはポンコツ化してるしなww
526 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/01(土) 11:52:38.79 ID:Ca9gwAlfO
乙です
527 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/01(土) 12:22:05.02 ID:NtWQVQwco
おつ
でも塞さんは悪乗りできる状況だと普通に悪乗りしそうだよな
528 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/08(土) 02:26:44.48 ID:7fgIqigZ0
>>527これ。塞さんって常識人、苦労人、芸人って三拍子そろってるイメージあるんですけど…結構普段からテンションおかしい子じゃないですか?かかってくるがいいよ…!とか。大好きですけど
最新話もいろいろすごくて楽しいです。次号休載。
投下します
529 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/08(土) 02:28:28.92 ID:7fgIqigZ0

灼「ん……めずらし……」

浩子「あら、どうもです」

恭子「別に珍しくもないんやけどな。 浩ちゃんとはよく情報共有しとるから……鷺森こそ、なかなか珍しい組み合わせやないか?」

灼「……そうですね」

やえ「まあ、こっちとは今日が初対面だし」

智紀「よろしく」

浩子「その面子だと目的はこっちと似た感じですかね」

灼「ん……やえさんの個人戦に向けて、団体戦で得たデータを引き継いでる」

智紀「灼に手伝いを頼まれて……」

恭子「龍門渕の沢村さんやんな? 姫松の末原です、どうぞよろしく」

智紀「これはご丁寧にどうも……」

やえ「あんたらはふたり? うっさいのは?」

恭子「うるさいから置いてきたわ」
浩子「騒がしいんで今日は遠慮してもらいましたわ」

灼「……うん、通じちゃうんだね。 わかるけども」

恭子「絹ちゃん連れてこようかとも思ったんやけど、そしたら必然的に主将も……」

浩子「セーラ連れて来なきゃ洋榎おっても平気やろうけど……そうなると後で絶対うるさいですしね」

恭子「逆もまた然りや……なんで浩ちゃんに会うだけでこない気ぃ遣わないとあかんのやろ……」

やえ「バカばっかりだと大変ね」

530 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/08(土) 02:29:41.26 ID:7fgIqigZ0

浩子「それにしても、阿知賀では鷺森さんがデータ管理しとるん?」

灼「いや、ハルちゃ……基本は赤土監督が……」

浩子「ああ、やっぱりですか。 赤土監督ってそういうの得意な打ち手でしたし」

恭子「監督が管理しとるんか……って、まあ普通はそうか」

浩子「私らは自分でやりたい性分ですからね……まあおばちゃん……もとい監督もちゃんと情報下ろしてくれますし」

恭子「赤阪監督は普段要らんお節介まで焼くわりにこっちが気づくまであまりいろいろ言わないんよなぁ……私が自分で気づくの待ってる節あるけど」

やえ「あんたも結構頑固だし、善野監督が休職してる間は反発したりしてたじゃない。 口出ししづらいんじゃないの?」

恭子「……今は、そこまで反発しとるつもりも無いんやけどな」

智紀「指導者がいるというのは少し羨ましい。 データ管理や分析は好きでやっていることだけど、大変は大変だし」

恭子「あんたらの代で急にチームカラー変わったもんな、龍門渕は」

浩子「前からいた人ら追い出したってマジなんですか?」

智紀「マジ」

やえ「……おとなしそうな顔してとんでもないわね」

智紀「リーダーが透華だから……この間、会いましたよね?」

やえ「……やりかねないと思わせるのがすごいわ」

531 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/08(土) 02:30:25.95 ID:7fgIqigZ0

……データに関しては、学校によって様々か

ハルちゃんがプロ入りすることになったら当然うちの監督でもなくなるわけだし、そういう情報管理とか分析の仕方もちゃんと勉強しといた方がいいかもしれない

今後のことも考えたら憧と一緒に……

やえ「で? 今日は?」

浩子「各校の指導者のデータまとめてたんですわ。 雀士としてのデータがあればそれもまとめて、そこから読み取った性格や生徒たちの打牌から指導傾向の分析と取ってくると思われる作戦の推察と……」

恭子「……指導者の与える影響ってのは、良くも悪くも大きいからな」

智紀「興味深い」

浩子「うちの監督なんかは分かりやすくチーム全体に影響力強いですし、恭子さんや鷺森さんなんかは個人的に思い入れ強いタイプですよね」

恭子「……まあな」

灼「む……まあ、そうですね」

浩子「まあ、こっち方面きっちり詰めようって思ったきっかけも鷺森さんとの対局からですし……」

恭子「私も、納得できたからな。 普段は選手のデータ追うのに手一杯になりがちやし、この機会に浩ちゃんと一緒にしっかりまとめとこうと思ってな」

浩子「指導者ってそうそう変わるもんでもないですし、変わったとしてもしばらくは影響残りますからね。 年単位で使えるなら恭子さんのお力も借りた方が効率もええですから」

やえ「なるほどね……たしかに灼を見てればわかるし、普段は後回しにしがちなとこね。 毎年毎年新しい厄介なの出てくるからそっちの対応に忙しいし」

浩子「おふたりは奈良出身ですし赤土監督について詳しいんじゃないですか? 話聞かせてくださいよ」

灼「……いや、詳しい人に聞くのが一番だろうけど……」

やえ「この流れで灼に聞くわけ?」

浩子「あら、ダメですか」

灼「長くなりますよ」

やえ「って話すの!?」

灼「船久保さんと末原さんだったら……話しても話さなくてもどうせもうほとんど情報集め終わってるし……ハルちゃんは小学生から高校一年まで大会たくさん出てるし、最近も実業団で打ってたから牌譜もいっぱい残ってる」

恭子「……まあ、その通りやな」

智紀「私も赤土監督のデータならあらかた収集してある」

やえ「なんであんたまで調べてんのよ……」

智紀「灼がお熱の選手だから気になって……」

灼「すごいでしょ、ハルちゃん」

智紀「うん」

532 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/08(土) 02:31:56.94 ID:7fgIqigZ0

灼「……とは言え、私は実業団時代のハルちゃんのことはあまり知らないから……」

浩子「そうなんですか?」

灼「……いろいろあって」

やえ「私も赤土晴絵が実業団で打ってるのは知ってたけど……あんまり詳しくはないわね。 晩成を倒した阿知賀のレジェンドってイメージが強いわ」

恭子「ふむ……地元の人間だとそういうもんなんかもな」

やえ「阿知賀の監督になったのも今年急に……というか、阿知賀の麻雀部自体今年急に復活したかんね。 県予選時点では完全にノーマークだったのよ……というか、マークのしようが無かったんだけど」

浩子「初見の松実玄なんて交通事故もいいところですわ」

恭子「小走さんはようやったと思うで」

やえ「次はないわよ! ……っても、もう公式戦で打つ機会はないんだけど」

灼「国麻では味方だしね……」

やえ「ま、あんたらが選出漏れることはないでしょ。 しっかりついてきなさいよね」

浩子「奈良もますます手強い感じになってきましたよね。 去年までは晩成対策がほぼ奈良対策で通用したんですけど」

恭子「北大阪もほぼ千里やないか……今年は荒川もAの区分やからほとんど千里山+荒川か……厄介やなぁ」

智紀「長野も去年とはかなり変わる。Aは風越、Bは龍門渕だったのが……」

やえ「Aは龍門渕中心にシフトしてBは清澄の三人娘が中心ね」

浩子「南浦プロのお孫さんも入ってきますしBもなかなかの面子ですよ。 泉にはしっかりやってもらわんと……」

やえ「奈良もBは高鴨と新子は確実に入ってくるだろうし……また練習試合の機会でも設けた方がいいかもね」

灼「それは私たちとしても助かる」

533 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/08(土) 02:33:25.54 ID:7fgIqigZ0

浩子「って国麻の話は今はええんですよ! 赤土監督の話が聞きたいんですって!」

灼「ああ……でも、なにから話せばいいものか……」

浩子「初の公式戦出場が小学校四年生の時でベスト8、その後もインターミドルまで好成績を残して高校一年生の時に阿知賀女子で晩成を破ってインターハイ出場、小鍛治健夜かは唯一跳満以上の打点で直撃を取るも怒濤の反撃により敗退。 その後しばらく公式大会から姿を消したが福岡の実業団チーム博多エバーグリーンズに入団して日本リーグで活躍、チーム解散後は母校に戻って監督をしてるってことまでは知ってるんでできればそれ以外で……」

恭子「スタイルは対戦相手の打牌の傾向や仕草、癖から相手の手を読む……洞察力の高いプレイヤーってとこですね。 対局映像もいくつか見つけましたけど深い思考と周囲の観察が見てとれましたわ。 スタイル的にはそれこそ私や浩ちゃんに似てるとこがあるな」

やえ「もうほぼ知ってるじゃないのよ!?」

灼「……私よりも詳しいんじゃない?」

なんだかんだで実業団時代のことほとんど知らないし……日本リーグの牌譜は残ってるからそれは確認済みだけど……

浩子「調べてるうちについつい熱が入っちゃいまして……」

恭子「参考になったわな」

智紀「実業団時代のインタビュー記事なんかはいくつか見つけたけど……」

灼「読みたい!」

智紀「どうぞ」

やえ「あーもう……灼は赤土監督のこととなると……」

浩子「言いつつ覗き込んでるじゃないですか」

恭子「なんだかんだ気になるんやな」

やえ「いいでしょ別に! 奈良県民にとって赤土晴絵は特別なのよ!」

534 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/08(土) 02:33:58.88 ID:7fgIqigZ0

浩子「それにしても、これ以上は情報集まらなそうですね」

恭子「鷺森が話してくれんことにはなぁ」

灼「……おふたりには悪いけど、特に話せることもないし」

雀士のハルちゃんに関しては二人の方が詳しいのかもしれないし、人間的なことになると……まあ、話せることはいくらでもあるかもしれないけど……その、ほら……カッコいい赤土晴絵のイメージも大切にしたいし

そもそも、この二人の主目的は偵察だし……こっちも聞いてみようか

灼「……そっちの、赤阪監督や愛宕監督はどうなんですか?」

浩子「ん? せやな……うちの監督はそりゃもう……すごいで?」

恭子「愛宕雅枝って言えば元プロで名前も売れてるし千里山だけじゃなく関西圏全体に影響力強いしな」

智紀「千里山は気持ちが攻撃的」

浩子「おばちゃんは基本的に殺られる前に殺れ、やからな。 というか殺れるなら二回でも三回でも殺れ、ですし」

やえ「ま、そういう方針はセーラや清水谷には合ってるわよね……なんだかんだあんたもそういう気質だし」

浩子「愛宕一族の血ですね。 まあ、ちっこい頃から第一線で打ってるおばちゃん見てたし……似てくるのは当然かもしれません」

恭子「かっこええもんな、愛宕プロの麻雀」

灼「……やっぱり憧れたりした?」

浩子「親戚で集まるとまず間違いなく話題の中心でしたしね。 雅枝お姉ちゃんすごいんやでーってずっと言われてましたし……まあ、間違いなく麻雀始めるきっかけにはなってますよ」

智紀「……雅枝お姉ちゃん」

浩子「いや、おばちゃんは今はおばちゃんやけども若いじゃないですか? 私がちっこい頃なんてまだまだ二十代半ばぐらいやで? それに、うちのおかんがおばちゃんの妹やし……」

恭子「……まあ、二十代でおばちゃん呼ばれんのは嫌やな」

やえ「私らもあと二、三年もすれば二十だもんね」

灼「……案外近いね」

智紀「怖い」

535 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/08(土) 02:34:46.07 ID:7fgIqigZ0

浩子「赤阪監督については……恭子さん、あの人嫌ってますよね」

やえ「嫌ってるわよね」

恭子「だから別に嫌ってないって! いつまでそれ言うんや!」

智紀「嫌いなの?」

灼「いい人なのに……」

恭子「だから違うんやって! 本当に!」

浩子「じゃあ好きなんですか? 赤阪監督のこと」

恭子「え、いや……好きかと言われるとそれはまた……」

浩子「嫌いなんですね……」

恭子「え、あー、す……好きやで? うん……別に嫌いじゃないし……」

やえ「……あんた、今さ」

浩子「ええ、ばっちり録音しました」

恭子「はぁ!?」

浩子「ほら」

浩子『好きなんですか? 赤阪監督のこと』

恭子『好きや』

恭子「悪意のある編集やめーや!」

536 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/08(土) 02:35:47.96 ID:7fgIqigZ0

智紀「どうしてそういう弄り?」

灼「なんか定番っぽいけど」

浩子「ああ、それは……」

恭子「浩ちゃん! 余計なこと言わんでええからな」

浩子「小走さん」

やえ「末原、善野前監督にだいぶ世話になってたかんね……休職中から赤阪監督に交代確実だろうって話になってたんだけど……」

恭子「小走さんも余計なこと言わんといて!?」

浩子「赤阪監督は善野前監督の高校時代の後輩で仲も良かったみたいですしね。 妬いてたんですよ」

恭子「ちゃうわ! いや、全くなかったとは言わんけどそういうやつやないわ!」

やえ「ま、あんたも難しい時期だったかんね……今年になって久々に公式戦で顔見たから、ちょっと安心したわ」

恭子「……なんや、心配してくれてたん?」

やえ「なっ……! べ、別に! ただ、ちょっとばかし手応えのあるやつが帰ってきて退屈しないで済むと思っただけよ!」

智紀「ノルマ達成」

灼「お疲れ」

浩子「ごちそうさまです」

やえ「なによその反応は!?」

恭子「これも定番やな……」

537 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/08(土) 02:36:34.98 ID:7fgIqigZ0

やえ「なんだってのよ、まったく……」

灼「拗ねないでよ」

やえ「拗ねてないわよ! 拗ねてんのは善野前監督が……」

恭子「もう私の話はええやん! 今日は私よりも監督の……」

浩子「善野前監督ですか? それとも赤阪監督の?」

恭子「それは……今の姫松の監督は赤阪監督なんやから……」

浩子「なんや、やっぱり赤阪監督のこと好きなんやないですか」

恭子「だから……!」

やえ「あんたも素直じゃないわね」

恭子「あんたが言うな!」



智紀「……仲いいね、あの人たち」

灼「ね……なんか、前にいろいろあったみたいだけと」

智紀「無理に聞き出すことでもない」

灼「ん……そだね」

538 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/08(土) 02:38:06.21 ID:7fgIqigZ0

灼「……赤阪監督」

智紀「私は会ったことない」

灼「いい人だったよ」

浩子「ええ、いい人ですよ……ちょっとばかしお節介焼きで、ちょっとやり過ぎて、ちょっとずれてるだけで」

やえ「しかも善意の塊なのよね」

灼「……それは……なんとも、まあ……」

智紀「……ちょっと面倒?」

恭子「あー……その、監督としては特に不満もないけどな。 最後のインハイ、団体戦……納得のいく勝負ができたし」

やえ「……これから個人戦もあるのよ? 今から燃え尽きないでよ」

恭子「わかってる……まだまだ、これからや」

浩子「なんかないんですか? 赤阪監督の面白エピソード」

恭子「あれ!? 真面目な感じの話する流れやないの!?」

浩子「いや、恭子さんが赤阪監督の話しようって言うから……」

恭子「そらそうやけど……赤阪監督なぁ……面白っちゅうか、赤阪監督の人柄がよくわかるエピソードと言えば……」

恭子「……前に、休日の部活で学校行ってな? 食堂改装中でお昼なくて困ったことがあってん」

灼「あー」

やえ「あんたにしては迂闊ね」

恭子「うっかりしててなぁ……土曜で購買も閉まってて……結局部活のみんながおかずカンパしてくれたんやけど、その時赤阪監督もおすそわけしてくれてな。 気前よく、ドバっと」

智紀「……どこに問題が?」

灼「いい人じゃないですか」

恭子「こう……分けてもらったおかずの上に、ドバっとカレーを……」

灼「……カレーかぁ」

智紀「すべてがカレー味に……」

恭子「しかもゆーこはそこにマカロン突っ込むし……」

やえ「それは真瀬もおかしいでしょ!?」

539 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/08(土) 02:38:37.10 ID:7fgIqigZ0

恭子「とにかく、ちょっとずれてる人なんや……そういうとこは、たしかにちょっと苦手かもしれんけど……」

やえ「赤阪監督はあんたのこと気に入ってると思うけどね」

浩子「結構かまいますよね……もともと善野前監督に目をかけられてたのもあると思いますけど」

恭子「……実際、麻雀に関しては最初に『ん?』 ってなるようなことでもやってみると意外にはまったりするんよなぁ……イメチェンとか」

やえ「それ麻雀関係ないでしょ!?」

恭子「私もそう思ってたんやけど……」

浩子「というかそれで準決勝の時雰囲気違ってたんですか……」

灼「結構相性いい?」

恭子「そうなんかもなぁ……」

浩子「……まあ、身内の話しても仕方ないですよ。 よくよく考えたら他校の監督のデータ詰めないと大会で使えないじゃないですか」

智紀「……末原さんの赤阪監督対策に」

恭子「あの人天然物やから……」

灼「……気になるとこ、ある?」

浩子「そやなぁ……団体戦終わったから臨海なんかは今年はあんまり使えないんよなぁ」

恭子「辻垣内智葉は今年も出とるけど……」

やえ「留学生は個人戦参加できないかんね」

浩子「それに、留学生どもはどうも……スタンドプレーが多いみたいですしね。 監督のカラーがあまり反映されとらんから……」

智紀「……アレクサンドラ・ヴィントハイムなら、情報のあてがないこともない」

浩子「ホンマですか? それならそれはそれで情報欲しいんですけど」

智紀「ちょっと待ってて」

540 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/08(土) 02:39:41.25 ID:7fgIqigZ0

智紀「今平気?」

純『おう、どうした?』

智紀「臨海女子のヴィントハイム監督のことなんだけど」

純『…………は?』

智紀「臨海女子のヴィントハイム監督のことなんだけど」

純『いや、聞こえてるよ! そういうことじゃなくてだな……!』

智紀「じゃあなに?」

純『……オレはあいつ苦手なんだよ! 以上! 終わり!』

智紀「…………」

智紀「純はあの人苦手らしい」

浩子「いや、それを聞いてどうしろと……」

恭子「知り合いなんか?」

智紀「純がドイツにいた頃どうのこうのって去年聞いた。 詳しくは知らない」

恭子「ふむ……ヴィントハイム監督は人集めるの好きみたいやし、声かけられたことがあるのかもな」

浩子「井上も面白い打ち手ですからね」

灼「……臨海に関しては、個人の分析を中心にした方が良さそ」

恭子「うん……結局そうなるわな。 辻垣内は押し引きの駆け引き巧くてな……」

浩子「隙ないんですよね、基本的に」

智紀「基本的に……ということは」

浩子「……今探してるとこです」

恭子「めちゃくちゃ基礎レベル高いんや、あいつ……」

やえ「去年の全国三位だかんね……」

541 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/08(土) 02:40:17.89 ID:7fgIqigZ0

智紀「白糸台」

浩子「あそこはチーム制度からもわかる通り個人それぞれの個性を伸ばすタイプですから……」

恭子「臨海と似て、そっちの分析はあんまり意味ないかもな……宮永照はそういうの越えた強さやし、大星なんかは我が強すぎる」

灼「……おとなしく人の言うこと聞くタイプではないですね……団体戦優勝した清澄は監督というより顧問の教師でほとんど麻雀にも関わってないみたいだし」

やえ「北海道の有珠山なんかもそんな感じみたいね……まったく、どうなってんだか……」

智紀「……結局、運の要素も強いし勢いで勝ち上がってくるところもある」

恭子「永水なんかも特殊なタイプやな……完全に身内で固めたチームやし」

灼「じゃあ……新道寺とか?」

浩子「春期で見た友清なんかは今回出てませんでしたね」

恭子「白水・鶴田を後ろに据えて江崎、安河内……新しく入った花田は……正直、それほど巧くなかったな。 あれなら友清の方が上や。 つまり……」

やえ「ええ、後半の追い上げを狙ったオーダーなのはわかりきってるし……うちでは花田は何かしらの特殊な打ち手なんだろうって見解なんだけど」

浩子「単純な強さで決めたオーダーじゃないんだろうって見解は共通してますね。 勝つための作戦としてのオーダーってことは……勝利への意欲が高い監督なんでしょう。 外された友清は悔しいでしょうけど……それこそ、生徒の気持ちも多少無視できるぐらいには勝利に飢えてるってことです」

智紀「エースの白水哩、準決勝は凄い気迫だった」

灼「ん……凄かった。 とんでもなく」

浩子「はい……白水自身も一年からエース張ってましたからね……副将に下げられた悔しさもあったと思いますよ」

542 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/08(土) 02:41:08.52 ID:7fgIqigZ0

智紀「宮守女子の熊倉トシ監督」

やえ「有名人ね」

浩子「人材発掘と育成に関して評価が高いですね」

灼「ハ……赤土監督も熊倉さんに誘われて実業団入りした。 団体戦で打った印象はどうでした?」

恭子「……ヤバかった。 軽くメゲたわ……」

恭子「……っと、せやな……熊倉トシは基礎力の底上げと特殊な打ち筋……個性を伸ばすのが上手いからな。 ここも監督のカラーというより個人個人の色が出る……とはいえ、あそこは全員三年やし考察しても活かす機会はあまりないかもしれん」

やえ「あとは……私みたいに個人戦だけ出てるやつらも多いけど……」

浩子「……やっぱり、個人戦前に詰めても効果は薄いですかね。 団体戦終わってる以上手の内を隠す必要もないですし、その名の通り個人戦ですし……」

恭子「メンタル面に反映される部分は大きいと思うんやけど……」

灼「さっき名前の上がった大星さんみたいな例もある」

やえ「反抗期のガキね」

智紀「わかりやすい。 言い方はどうかと思うけど」

浩子「まあ、誰も彼もが鷺森さんや恭子さんみたいに監督大好きってわけでもないんですよね」

恭子「だ、だから私は別に大好きとか……!」
灼「それもそうか……」

恭子「……否定しないん?」

灼「私は赤土晴絵のファンだから」

恭子「……あ、そう」

恭子「そ、そういう浩ちゃんこそ……」

浩子「おばちゃんのことは尊敬してますよ」

恭子「……せやろな、うん」

543 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/08(土) 02:41:55.33 ID:7fgIqigZ0

やえ「末原が善野監督と赤阪監督大好きなのはいいから「だからちゃうって! いろいろ!」 はいはい……とにかく、私らは最後のインハイなんだかんね?」

恭子「そんなん言われなくてもわかっとるわ……私だって、勝ちに行くで」

浩子「化物ばっかで楽しそうですね」

恭子「……楽しそうって思える浩ちゃんのメンタルが羨ましいわ」

智紀「楽しまなきゃ損」

灼「というか、インハイで個人戦の代表選手になってる時点でみんな一種の化物」

浩子「はは、たしかにそりゃそうですわ……選ばれた一部の人間しか上にはいけんのやから」

やえ「その中でもっとも相応しい者こそが王者になるのよ……あいつがその王者ってのは納得いかないけど」

灼「……照さん、麻雀打ってる時は凄いですし」

やえ「麻雀の時だけはね」

恭子「プライベートと試合の時と、切り替えが上手いのは羨ましいけどな……私はついいつもいつも麻雀のことばっかり……」

浩子「それはまあ、仕方ないでしょう……私だってたいして変わりませんよ」

やえ「それが私たちのやり方でしょ。 別のやり方ができるほど器用でもないし、このやり方で勝ってきてんだから自信持ちなさいよ」

智紀「末原さんは強い。 少しぐらい自惚れてもいい」

やえ「ま、それができないのもあんたの強さだけどね。 油断があればどっかで足元掬われるわ」

恭子「それこそが強さ……か。 主将にも言われたことあるわ」

浩子「……え? 洋榎が?」

やえ「そんなまっとうなこと言う知能があったのね」

智紀「意外」

恭子「あんたら結構酷いな?」

灼「……言うほど思ってないでしょ?」

恭子「まあ、言われても仕方あらへんし……」

やえ「たぶんあんたが一番酷いわよ」

544 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/08(土) 02:42:44.71 ID:7fgIqigZ0

やえ「……とにかく、私と当たるまで消えんじゃないわよ。 二年前の関西大会での借りは返させてもらうわ」

恭子「……随分と前の話を持ち出すんやなぁ」

やえ「高校入ってからの話でしょ。 高校での借りは高校のうちに、ね……やられっぱなしで黙ってられるほどおとなしくないのよ」

恭子「……ま、それでこそ王者やな」

智紀「かっこいい」

灼「すごい」

やえ「おちょくってんの!?」

浩子「そういや、鷺森さんは……というか、阿知賀の皆さんは関西大会出られるんです?」

灼「ん……出ない理由はないかな」

浩子「それじゃあ、楽しみにさせてもらいますわ。 二回打ったけど、あれで決着ついてるとは思ってないんで」

灼「こっちこそ……負けないよ」

智紀「……関西人ばっかりで疎外感」

灼「さびし?」

智紀「かまって」

浩子「それじゃあここからは長野龍門渕次鋒、沢村智紀大解剖スペシャルでお届けすると言うことで……」

智紀「……船久保さんに言われると物理的に解剖されそうで怖い」

浩子「えー? そんなマッドに見えます?」

やえ「そう見られたくないなら表情なんとかしなさいよ……わざとやってんでしょ、あんた」

恭子「……ったく、あんたらは……ま、今日は会えてよかったわ。 なんとなく緊張もほぐれた気がするし」

やえ「そりゃあよかったわね。 私としても腑抜けやガチガチの木偶と戦うよりはいいけど」

灼「素直に心配だったって言えばいいのに」

智紀「ツンに見せかけた高度なデレ」

やえ「やっぱり私のことおちょくってんでしょ!?」

恭子「ふふ……ま、私も負けられんからな」

545 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/08(土) 02:43:32.10 ID:7fgIqigZ0



恭子「そう、世話になった善野監督と赤阪監督のためにも……負けられん!」



やえ「やっぱり大好きじゃないのよ!」



カン!

546 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/08(土) 02:46:26.66 ID:7fgIqigZ0
末原ちゃんもちょいちょい情報出てるし捗る。大好きだけど明日とか間に合わないよ…
今月24日宥ねえお誕生日なんで準備期間入ります。誰かいれば無理のない程度に拾って一緒にゆうたんイェイ〜します
547 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/08(土) 08:20:48.95 ID:hbZP4KWIO

やはり末原ちゃんは弄られてこそだなw
ゆう姉はちょっと周りに甘やかされすぎだから決して甘やかしそうにないまことの絡みが読みたい
548 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/08(土) 08:59:00.96 ID:vB6io5Sxo

沢村智紀大解剖スペシャルとやらが物凄く気になるんですが
宥誕ではちゃちゃのんに歌ってもらおう
ついでに泉には踊ってもらうか
549 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/08(土) 09:21:47.73 ID:2zsKkHmqo
乙です
おもちの秘密を大解剖ですねわかります
泉は宥姉軍では一番近くに住んでるから率先して動いてもらわなくちゃ
550 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/08(土) 09:26:37.84 ID:3tuQQd8FO
ちゃちゃのん音頭かな?
551 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/08(土) 11:45:19.11 ID:5nplnXDso
剥いて確かめるんですね
552 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/08(土) 12:42:33.32 ID:2K4qOJ5+o
乙です
553 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/08(土) 13:09:51.17 ID:7vxsAzS0o
スエハラースエハラー
乙なのよー
554 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/14(金) 00:11:33.14 ID:/p8u3laQ0
Vitaも小走先輩参戦確定っぽくてうれしいですね

臨海。日和OAD記念に衣強化月間。いや、もとから龍門渕好きだからですけど
555 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/14(金) 00:17:52.28 ID:/p8u3laQ0

穏乃「天江さん! 今度は臨海女子なんてどうですか?」

衣「行く! 彼処ならば楽しめること請け合いだ!」

穏乃「はい! 絶対に楽しめますよ! メグさんや辻垣内さんの実力なら天江さんとも互角以上に戦えると思います!」

衣「うむ! せっかく異国から武者修行に来ている者がたくさんいるんだ。 衣が精々鍛えてやろう!」

穏乃「はい! きっと皆さんのためにもなりますから! よろしくお願いしますね、天江さん!」

衣「まかせておけ! よし、それでは透華たちに出かけると……あれ? みんなどこに行った?」

穏乃「え? あれ……あ、あっちの壁際に……なにしてるんだろ?」



ハギヨシ「か、壁ドン? 顎クイ? なんですかそれは……?」

純「隣の部屋がうるさい時に黙らせるために壁をぶん殴ることだろ?」

透華「……純は女子力低すぎですわね。 驚きを通り越して呆れますわ」

智紀「純はする方が似合ってるけど」

純「はぁ?」

憧「最近の女子がトキメク行為のことですよ! 壁際に追い詰めて手をついて逃げ道を塞いで……」

ハギヨシ「は、はぁ……? しかし、それは少々暴力的なのでは……?」

憧「女の子はちょっとぐらい強引に迫られたいって気持ちもあるんですよ!」

灼「ただしイケメン/好きな相手に限る」

ハギヨシ「な、なるほど……?」

憧「玄もそういうのに憧れがあるはずですから! 萩原さんも少しそういうの覚えてくださいね! ね、宥ねえ!」

宥「う、うん……そうだねぇ……」

ハギヨシ「え、いや、ですから玄さんとは友人として……」

憧「それ、もういいですから! とにかく玄がいないうちにそういうことも覚えてもらってですね……」

ハギヨシ「う……と、とにかく、女性に対してそのような暴力的な……少々イメージがつかないと言いますか……」

一「じゃあ、実演してみようか! これ、テンプレね」

純「あ?」

556 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/14(金) 00:18:46.48 ID:/p8u3laQ0

一「壁ドン」

ドン!

憧「ふきゅ!? い、いい、井上さん!? な、なな、なにを……」

純「黙れよ、憧」

憧「なぁ!? あ、あああ、あこって……ち、近い近い近いですってば!」

純「…………」

憧「ふきゅ」

一「ああして壁際に追い詰めて耳元で愛を囁く行為を総じて壁ドンと呼称しています」

透華「効果絶大でしてよ!」

ハギヨシ「……た、たしかに……そのようですね」

宥「……憧ちゃん固まっちゃったけど……井上さんなに言ったのかなぁ」

灼「顎クイ」

純「……憧」

憧「ふきゅ!? え、あ、え……!?」

智紀「向かい合った女性の顎をクイッと持ち上げる行為」

宥「えっと……その……キ、キスの予備動作です……」

透華「ちゃんと覚えましたか?」

ハギヨシ「……はい、透華お嬢様の命とあらば完璧にこなしてみせます」

透華「……義務感で覚えられてもまたそれはちょっと違うのですが……」

557 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/14(金) 00:19:51.86 ID:/p8u3laQ0

純「…………」

ちゅっ

憧「」

純「……どうだ! 完璧だったろ!」

一「うん、よかったよ! ……新子さん? おでこにちゅーで気絶しないでよ」

灼「……なんか、やる気満々だったね?」

純「そりゃそうだ! 見ろよ、この国広くんに渡されたメモ! 一番下!」

灼「?」

一『――――――以上、概要! まあ、純くん絵心ないし演技力にも期待してないけど(笑)』

純「オレだって本気出せばこれくらい……!」

灼「……国広さんは井上さんの扱い上手だよね」

一「付き合い長いしね……ともきーだって純くんの扱いは余裕でしょ?」

智紀「結構単純だからね、純」

宥「憧ちゃーん……大丈夫?」

憧「あ、あう……」

灼「破壊力が高過ぎて妊娠しちゃったって」

透華「マジですの!?」

憧「い、言ってないから! うん、言ってないから!」

灼「……危なかったらしい」

一「大変だね、新子さん」

憧「だから大丈夫ですってば!」

558 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/14(金) 00:20:35.87 ID:/p8u3laQ0

穏乃「憧、楽しそうだね! 東京来てからますます元気になっててうれしいよ!」

憧「え、あ、うん……べ、別に普通だと思うけど?」

穏乃「あはは! なに言ってんのさ! あれが普通だったらちょっとヤバいって!」

憧「ぐむっ」

智紀「たしかに」

灼「もっと平常心でね…あんなにテンパってたらうまくいくものもいかなくなるよ」

憧「ま、まあ、たしかにそうかもしれないけど……」

穏乃「あ、それでですね、これから天江さんと一緒にメグさんのところに行くんですけど……」

一「ダヴァンさんのところ? それじゃあボクも行こうかな! 日本でも目立てる最高にカッコいい衣装用意してあげないと!」

憧「ってちょっと待ったぁ! なに恐ろしいこと言ってるんですか!? 私も行きますよ! そんなことさせませんから!」

透華「臨海女子……! 忘れもしない去年のインターハイ! メガン・ダヴァンに雪辱を果たす時が来たようですわね!」

純「いってらっしゃい」

穏乃「え? 井上さん行かないんですか!?」

純「おう、オレはパスで」

穏乃「そんな! 臨海の監督さんが最低でも井上さんと龍門渕さんの二人は連れてきて欲しいって仰って……」

純「オレは嫌だ! 透華が行くからいいだろ!」

一「え!? ちょっと! むしろ純くん連れてくから透華は行っちゃダメだよ!」

透華「はい!? どうしてですの!?」
純「はぁ!? なんでだよ!?」

一「仲いいなぁ!? ボク妬くよ!?」

559 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/14(金) 00:21:14.21 ID:/p8u3laQ0

純「とにかく! オレは行かねぇからな! 絶対に! 行かないぞ絶対!」

智紀「倒置法使ってまで何度も言わなくても」

純「透華が行くだろ!? 行く気満々じゃん! 行かせてやれよ!」

一「ダメだよ! だって考えてもみてよ! 純くんの話まんまならたぶん目的って勧誘でしょ!? つまり……」

一「龍門渕透華! 君は素晴らしい打ち手だ! 私の元に来れば全国でも最高に目立てること間違いなしだ! ……とかなんとか言われて……はい、ともきー!」

智紀「!?」

智紀「…………」

智紀「おーほっほ! よぉくおわかりのようですわね! 仕方がありませんわ! そこまで言うのなら貴女の元に行って差し上げても構いませんわ!」

一「なんてことになる可能性が!」

穏乃「え……いや……え!?」

憧「な、なんですか今の!?」

宥「……ごめん、衝撃的すぎて全然頭に入ってこなかったよ……」

灼「……ともきー結構ノリいいよね」

智紀「これでも龍門渕ファミリーの一員」

憧「この有無を言わせぬ説得力……!」

宥「納得するしかないよね……」

透華「どういう意味ですの!?」

560 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/14(金) 00:22:02.88 ID:/p8u3laQ0

純「いやいや! だからなんだよ!? オレならいいのか!? 国広くんのオレへの気持ちってその程度なわけ!?」

憧「!?」

一「そうじゃなくって! 純くんそもそも嫌がってるし! 臨海に行っちゃうわけないもん! 純くんのこと信じてるからだよ!」

憧「!?」

智紀「……一と純ってすごく仲いいよ」

憧「え……え!? ら、ライバルだったんですか……!?」

透華「まあ、実際よく二人で行動してますわね」

憧「えっ……えっ……!?」

灼「うん、とりあえず違うから落ち着こう」

憧「でも! さっきも妬くとかなんとか言ってたし!」

灼「……対象が違うと思」

穏乃「そもそもそういう意味で言ってたわけじゃないと思うんだけどなぁ」

純「嫌だ! 行かないぞオレは!」

一「いいじゃない! 透華取られちゃったらどうするのさ! みんなの、ボクのためだと思って!」

純「国広くんのためだとしても嫌なもんは嫌なんだよ!」

憧「……ね、ねぇ! ちょっと! やっぱりなんか仲よくない!? 仲いいよね!?」

宥「うーん……その、仲が悪いわけないと思うけど……」

憧「……や、やっぱり…………」

灼「だから違うからそんな顔しないでよ」

衣「……純は衣と遊びに行くのが嫌なのか……?」

穏乃「その、あちら側からの要望ですし……さすがに無視してお邪魔するわけにも……」

純「……うっせーよ! 嫌なもんは嫌なんだよ!」

ドン!

ハギヨシ「なるほど、これが井上さんの仰っていた壁ドン……」

透華「これは覚えなくてよろしい! 暴力的でスマートじゃないありませんもの……貴方には似合いませんわ」

ハギヨシ「かしこまりした」

561 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/14(金) 00:22:59.30 ID:/p8u3laQ0

衣「あ、あう……」

穏乃「ご、ごめんなさい……」

純「え、あ……いや……」

一「あー! 純くんが泣かしたー!」

智紀「いけないんだー」

灼「先生に言いつけるぞー」

純「お前らふざけてるだろ!?」

穏乃「す、すみません……い、嫌だって言ってるのに……む、無理矢理なんて……」

衣「うぐっ……ひっく……じゅ、じゅんが……じゅんがぁ……」

純「う……いや、その……そういうアレじゃなくってだな……えーと……わかったよ! 行けばいいんだろ! 行けば!」

穏乃「!」

衣「!」

智紀「予想以上に折れるのが早い」

灼「なんだかんだ優しいよね」

一「女衣に優しいのはいい男の条件だよね」

純「オレは女だ!」

衣「衣じゃなくて子どもだろう!?」

透華「……では、今回は私は我慢すると致しましょう」

ハギヨシ「よろしいのですか?」

透華「一が……内容はともかく
、ああまで言うのですから……貴方が付いてくださいな。 …………万が一にも衣や一、純が引き抜かれたりしたら困りますもの」

ハギヨシ「ふふ……はい、おまかせください透華お嬢様」

562 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/14(金) 00:24:17.65 ID:/p8u3laQ0

――――――

穏乃「メグさーん!」

ダヴァン「シズノ! 会いたかったデス!」

一「こんにちは、ダヴァンさん! お元気そうでなによりです」

衣「邪魔するぞ! 今日はよろしく頼む!」

智葉「よく来たな。 もてなしは卓でしかできんが……」

衣「それを求めて来てるんだ。 存分に頼むぞ」

ダヴァン「合点デス! ところでリューモンブチトーカは……」

憧「……その、龍門渕さんは……えーと、ちょっと用事があって……」

ダヴァン「…………そうでスカ……それは残念デス」

智葉「……そうあからさまにヘコむなよ……わざわざ来てくれたのに失礼だろ」

純「……なぁ、そっちの監督って今日は……」

智葉「ん? なにか用があるのか? さっき電話が来たとかでちょっと離れてるが……なんなら呼んでくるぞ?」

純「余計なことすんな! いや、しないでください!」

智葉「……そんなに嫌ならなんで来たんだよ」

純「……この世で一番強いのは女子どもの涙だよな」

智葉「……言ってることはよくわかるがな」

563 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/14(金) 00:25:53.73 ID:/p8u3laQ0

智葉「まあ、入れ。 中で卓の準備もさせている」

ダヴァン「……リューモンブチトーカと打てないのは残念でスガ……せっかく打つ機会がきたのでスシ、全力でお相手させていただきまショウ」

衣「よろしく頼むぞダバン!」

ダヴァン「……言いにくいならメグでいいでスヨ?」

衣「ダバン」

ダヴァン「ダヴァン、Davinデス」

衣「ダバン!」

ダヴァン「……まあ、いいんですけドネ」



――――――

アレクサンドラ「ん、うまいな。 和菓子なんてあまり食べないし新鮮でいい」

ハギヨシ「お気に召していただけたようで幸いです」

アレクサンドラ「もう少しないのか? 」

ハギヨシ「はい、こちらに。 どうぞ」

アレクサンドラ「よし、この一箱は……仕方がない、サトハたちにやって残りは私がいただこうか」

智葉「おい、なにやってんだ監督」

一「姿が見えないと思ったらいつの間に……」

ハギヨシ「いえ、ひと足先に伺って挨拶しておこうかと……」

憧「電話って萩原さんかぁ……」

アレクサンドラ「ああ、みんなよく来てくれた。 天江衣、うちの子にならないか?」

衣「衣には大事な家族がいるからな! 悪いが断らせてもらうぞ」

アレクサンドラ「……一家まとめてうちの子になってもいいんだぞ?」

衣「それならトーカに相談してくれ」

一「ダメ! ダメですから! うちはそういうのお断りですから!」

アレクサンドラ「なんだ、冷たいな。 お姉さん落ち込むぞ」

智葉「いい年してお姉さんはないだろ……」

564 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/14(金) 00:27:09.24 ID:/p8u3laQ0

アレクサンドラ「で、ジュンはなんで端っこで小さくなってるんだ? でかいから隠れられてないぞ?」

純「……うっせーな」

アレクサンドラ「なんだよ、ジュンと私の仲じゃないか。 つれなくするなよ」

憧「!?」

純「どういう仲だよ!? 他人だろ!」

アレクサンドラ「いいじゃないか、そろそろ私のところに来てくれても。 私のものになれよ」

憧「!?!?!?」

純「ならねぇよ! オレはお前のことあんまり好きじゃねぇの!」

アレクサンドラ「なんだ、嫌いなわけじゃないんだな。 本当は私のこと好きなんだろ?」

憧「!?」

純「なんでそうなるんだよ!」

ハギヨシ「ふむ……強引に迫られたいのは好きな相手に限る……」

衣「ハギヨシも順調に学んでいるようだな!」

憧「あ、あの! なんか、なんかちょっとアレな感じじゃないですか!? アレじゃないですか!?」

一「アレが多すぎてなにがアレなのかわからないけどたぶんそういうアレではないと思うな」

智葉「……とりあえず、ああなるとうちの監督は長いんだ。 奥で打とう……待ってるといつになっても始まらないぞ」

衣「望むところだ! 早く早く! 辻垣内、ダバン! 打つぞ!」

ダヴァン「……卓の外だとかわいいでスネ、この子」

穏乃「へへ、かわいく見えて天江さんはなかなか凶悪ですよ!」

衣「凶悪だぞ! とってもきょーあくだぞ!」

ダヴァン「……かわいいデス」

衣「ふにゃ……な、なでるなぁ……!」

565 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/14(金) 00:28:47.11 ID:/p8u3laQ0

純「おい、国広くんからもなんとか言ってくれよ!」

一「あ、ボクたち先に打ってるから監督さんの相手よろしくね」

純「おい!?」

憧「あ、あの! い、井上さん嫌がってますし……その……」

アレクサンドラ「阿知賀の新子さんじゃないか! 君もまだまだ伸びるぞ。 私の元でその才能を伸ばさないか? ジュンと一緒に私のところに来ればいい」

憧「い、井上さんと一緒に!?」

アレクサンドラ「……あれ? 脈ありなの? 本気になるよ?」

憧「い、いやでも……阿知賀を離れるとかあり得ないし……でも同じチームってすごくいいわよね……でもでも……」

純「おいおいおい!? 落ち着け落ち着け! ちょっと、国広くん! 」

一「あ、萩原さんは衣の方見ててくださいね。 何かあったら大変ですし」

ハギヨシ「かしこまりました」

純「もうちょっとオレのこと気にかけろよ! 拗ねるぞ!?」

アレクサンドラ「待遇なんだけど……あ、これ臨海女子のパンフな? 寮もあるから家とかは気にしなくていいぞ」

憧「え!? えっと、でもそんな急に……」

純「だから落ち着けよ! オレは透華のとこ離れるつもりはないからな! 新子も阿知賀離れる気はないってよ!」

アレクサンドラ「待遇が気に入らないなら便宜は図るぞ? あぁ、知り合いがいないのが不安なら新子さんとジュンで相部屋にすればいい。 一人部屋より費用も安く済むしな」

憧「ああああ相部屋!? どっ、同棲ですか!?」

アレクサンドラ「……? この場合同棲って表現使うのか? 日本語はまだまだ難しいな」

憧「だって相部屋って! 寝ても覚めても一緒じゃないですか!? お、おお、おはようのちゅーからおやすみのちゅーまであるんですよ!?」

純「オレはどこから突っ込めばいいんだよ!? 話を聞けよ!?」

アレクサンドラ「はは、なにを照れてるんだ? 挨拶のキスやハグぐらい普通だろ?」

純「日本じゃ普通はやらねぇんだよ!」

憧「い、井上さんと外国に行ったら挨拶する度にキスとかハグしてもらえるんですか!?」

純「オレ今そういうニュアンスで言ってたか!?」

アレクサンドラ「いいじゃないか、キスぐらい……減るもんじゃないし」

憧「そ、その……私はファーストキスだから減っちゃうっていうか、その……でもむしろ奪われても……えへ、その……ふきゅ」

純「お前ら会話をしてくれよ!?」

566 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/14(金) 00:31:13.65 ID:/p8u3laQ0

――――――

一「いやあ、純くんたじたじだったね。 監督さん、かなりマイペースな人だったしそういうとこが苦手なのかなぁ」

穏乃「麻雀だと相手のペース崩すの得意なのに……なかなかうまくいかないものですねぇ」

衣「純もまだまだだな」

智葉「相手が一枚上手だったな……うちの監督はなにをするにもペースを崩さないし、貪欲だ。 人材集めも、勝利にも……私は、背中を預けるに足る人物だと思っているが……井上はそうではないみたいだな」

一「ボクらはみんな透華に惚れてるからね」

智葉「少し羨ましいよ。 うちは結束しているかと言われると……」

穏乃「そうなんですか? みなさんとっても仲良く見えますけど……」

智葉「友人だよ。 勝利のために組んでもいるが……目指している勝利の形が……いや、勝利そのものの定義が違うかもしれん。 インハイでの優勝という目的は共通していたが……」

ダヴァン「ネリーはお金、ハオは武者修行。 これだけでも随分と違いますかラネ」

一「多国籍軍だとそこら辺は大変そうですね」

智葉「……しかも決勝で負けてからは全員で迷走しはじめたからな……私もどうすりゃいいんだか……」

ダヴァン「迷走……? みんなで生き残るためにキャラ付けや衣装の研究を始めただけでスヨ?」

智葉「それが迷走じゃなくてなんなんだよ!?」

穏乃「いやいや! 大切なことですよ!」

一「ボクらが前に用意した衣装よかったですよね?」

ダヴァン「あ……ハイ、私としてはやっぱりもう少し露出の少ない方がいいんですケド……」

智葉「っておい! お前らか!? あの変な……って一目瞭然だったよ! なんだお前らの服装は!?」

穏乃「お洒落ですよね?」

一「素敵だよね?」

智葉「くそっ! なんなんだよ!? 高鴨はこのご時世に珍しく礼儀正しいいい子だと思ってたのに!」

穏乃「え? そ、そんな……辻垣内さんみたいな立派な人に褒められると照れちゃいますね……」

智葉「今のは褒めたつもりなかったんだけどな私は! ……あれ? なんだ!? 私がおかしいのか!?」

567 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/14(金) 00:33:35.93 ID:/p8u3laQ0

ダヴァン「シズノはいい子でスヨ? 素直で真っ直ぐで純粋なんデス」

智葉「それはよくわかってるんだが……なんか、おかしいだろ!? おかしいよな!?」

一「……それにしても、辻垣内さんってやっぱり美人ですよね」

智葉「……なんだよ急に、ちょっと照れるじゃねぇか」

一「ボクたちみたいな服に興味ありませんか?」

智葉「無いよ! いや、違う意味で気になるけどな!? それに私は和服とかが好きなんだ! 他を当たってくれ!」

一「……巫女服、か」

穏乃「初美さん呼びますか」

智葉「ちょっと待て! なんでそうなる!? 巫女服の初美って……永水の薄墨か!? アレもダメだろ! いろいろ!」

穏乃「やっぱりダメですかね?」

一「ちょっとかわいすぎるもんね。 犯罪級だもんね」

智葉「なんでそういう解釈になるんだ!? 犯罪級というか普通に犯罪スレスレだよな!? スレスレって擦れ擦れだぞ!? かすってるんだよ! アウトなんだぞ!?」

ダヴァン「ハハ、サトハ今日は元気でスネ」

智葉「〜〜!! 私ひとりで処理しきれねぇよ! 新子と井上はまだ捕まってんのか!?」



アレクサンドラ「ほら、とりあえず一回でいいから見に来いってうちの設備。 麻雀特待なら相当の自由が効くしさ。 寮の部屋も見といた方が引っ越す時のイメージがつくだろ?」

純「なんで引っ越す前提になってんだよ!?」

憧「で、でもふたりの新居ですしやっぱりよく考えて決めた方が!」

純「なんか話飛んでるよな!? まず臨海には行かないからな!?」



智葉「……ツッコミとして機能してないじゃないか!」

穏乃「最近放棄気味なんですよ〜」

一「純くんがいるとどうしてもね……」

ダヴァン「ジュンがフル稼働してますからサトハも安心でスネ」

智葉「井上以外に安心できる要素がねぇよ!」

568 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/14(金) 00:34:29.47 ID:/p8u3laQ0

明華「どうやら……私の出番のようですね……!」

衣「おお! 風神!」

智葉「明華!何故ここに!」

明華「いえ、あんまり遅いので様子を見に来たのですが……」

智葉「……それは、すまん。 しかし出番とは……」

明華「ふっ……これを見てください」

明華「なんでやねん!」

智葉「…………は?」

明華「どうですか! この腕の角度! シンプルながらも激しいツッコミ!」

穏乃「すごい! 完璧ですよ!」

ダヴァン「シンキゲキの研究をした甲斐がありましタネ!」

智葉「なんの研究をしてるんだよ!? 麻雀の研究をしろよ!」

明華「しかし、意外性があってよくないですか? 激しい突っ込みをこなす異国から来た美少女雀士……というキャラ付け!」

ダヴァン「日本で生き残るための貪欲な姿勢……素晴らしいデス!」

智葉「間違ってるんだよ! 麻雀頑張れよ! というか勉強したならせめてボケとツッコミの比率がおかしいことに気づけよ!」

明華「? ですからこうして私がツッコミに……ビシッと! インハイで愛宕洋榎と打ったのが活きてますね。 本場仕込みですよ!」

智葉「ああ……もう! もどかしい! 伝わらない!」

ダヴァン「まあ、サトハが打ちたくて仕方がないようでスシ、早く始めまショウ。 ハオとネリーも待ってマス」

衣「そうだな! 早く遊ぼう!」

智葉「なんで私が言うから仕方なくみたいになってんだ!? 打ちに来たんだよな!?」

569 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/14(金) 00:37:58.82 ID:/p8u3laQ0

ネリー「あ、やっと帰ってきた!」

ハオ「おや、とうとういらっしゃいましたか」

智葉「……すまんな、随分と待たせた」

ダヴァン「お詫びに今度ラーメンでもおごりまショウ。 一杯だけですけドネ」

ネリー「えー!? メグのケチ!」

ハオ「一杯でも十分太っ腹だと思いますが」

ダヴァン「トッピングも3つまで許可しまショウ」

ネリー「もう一声!」

ダヴァン「大盛でどウゾ」

ネリー「やったぁ!」

智葉「……あんまりメグに集るなよ」

ダヴァン「というわケデ、また今度一緒にご飯行きましょウネ?」

穏乃「……えへへ、はい! また一緒にご飯食べに行きましょう!」

一「服も買いに行きましょうね!」

智葉「それはやめろ!」
憧「それはやめてください!」

明華「なんでやねん!」

智葉「国広の服装見たらわかるだろ!?」

ハオ「……もういいから打ちませんか?」

智葉「うん、ごめんな! 本当にごめんな! すごく待たせたよな!?」

570 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/14(金) 00:41:01.63 ID:/p8u3laQ0

――――――

衣「ふむ……不可思議な手順で打つな?」

ハオ「ああ……やってみますか? こちらで言う中国麻雀ですが」

衣「新しい遊びか! それも楽しそうだ! それに……」

ハオ「……? 天江さん、どうかされましたか? 」

衣「ハオ! お前はなかなか礼儀正しいしな! 衣は気に入ったぞ!」

ハオ「年上を……目上の方を敬うのは当然のことです」

衣「ますます気に入ったぞ! 衣のことは衣お姉さんと呼ぶといい!」

ハオ「義兄弟の契りですか? では、よろしくお願いします、衣姉さん」

衣「聞いたか!? 姉さんだって! 衣姉さん!」

一「よかったね、衣」

純「……無理して付き合わなくていいんだぞ?」

ハオ「はい? 無理……?」

智葉「こういう奴なんだ。 気にするな……それにしても久しぶりに真面目だな?」

ハオ「私はいつも真面目ですが? 今日は強豪が来ると聞いて朝一から麻雀打つ気で用意していたので……」

智葉「うん、本当に悪かったよ! 開始遅れて! 私たちがグダグダくっちゃべってたせいだよ!」

純「とりあえず悪いのはお前じゃないと思うけどな……」

571 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/14(金) 00:44:13.45 ID:/p8u3laQ0

アレクサンドラ「ん? なんで私を見るんだ? 好きなのか? 私のものになるか?」

純「ならねぇよ!」

憧「い、井上さんは渡しませんよ! わ、私だって、その、私の、私が……」

アレクサンドラ「……まあ、任せておけ。 ふたりでうちに移籍してこい。 高鴨たちも引っ張ってきてくれれば麻雀だけじゃない、恋の方も私がいくらでも支援してやるぞ? ん?」

憧「え? え、ええ!? い、いや、こっ恋っていうか別に私はそういうアレではなくってですね……!」

智葉「監督! だから他校の生徒を無理な勧誘するのは……!」

アレクサンドラ「いや、これは脈ありだろ?」

憧「ぅえ!? みゃ、脈ありなんですかね!?」

一「さっきから見た感じ純くん結構押しに弱そうだよ」

穏乃「憧ももっと押せ押せで行かないとだね!」

憧「お、押せ押せでって……つまり……ふきゅ」

智葉「いや、もういい! わかったから監督は少し黙っててくれませんかね?」

アレクサンドラ「ハハハ、私をタダで黙らせられると思っているのか?」

智葉「生徒になにを求めてんだ!」

ハギヨシ「ヴィントハイム監督、ところで……」

アレクサンドラ「む? ……ふむふむ……なるほど、それではその件は隣室で……」

ハギヨシ「かしこまりました」

智葉「……あの、大丈夫なやつなんですよね……?」

ハギヨシ「龍門渕の名に傷をつけるようなことはしませんよ? ああ、それとお茶とお菓子の用意ができていますのでどうぞ……喉も渇いていらっしゃるでしょう?」

智葉「……これはどうも、お恥ずかしい……」

ネリー「サトハ! お小遣いくれるならツッコミに回ってあげてもいいよ!」

智葉「わかってんならタダでやれよ!」

明華「なんでやねん!」

智葉「だぁーもう! さっきからツッコミのタイミングがおかしいんだよ! ちゃんと勉強しとけよ!?」

ネリー「タダより高いものはないよ!」

明華「ネリーが正しいですよね?」

智葉「くっ……なんだんだよもう! 私なんか悪いことしたのか!?」

572 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/14(金) 00:45:35.77 ID:/p8u3laQ0

衣「と……いうか、貴様は打たないのか? さっきから見てるだけではないか」

ネリー「ん? ネリー? ネリーは打たないよ。 お金にならないからね」

衣「そうか……それは残念なことだ」

ネリー「どうせこれから公式試合で打つ機会なんかいくらでもあるからね。 そっちが出てくるならだけど」

衣「む……ハオと違って貴様は傲岸不遜だな」

ネリー「わかんないから難しい日本語使わないでよ!」

智葉「……天江が言うことじゃないのはたしかだがな」

明華「なんでやねん!」

憧「傲岸不遜というのはですね……」

明華「ふむふむ、なるほど……」

智葉「お前はとりあえずなんでやねん! って言っておくスタイルをやめろ!」

明華「そう言われても私はツッコミの練習中なんですが……」

ネリー「とにかく、ネリーは自分を安売りしないの! 野良試合なんてしても儲からないしね。 手の内を見せてもリスクしかないしさ」

衣「ふん、野良試合で少し打ったぐらいで手の内を見破られるような技しか持っていないのか?」

ネリー「挑発してもムダだよ? ネリーはお金がいるの」

純「はは、金ならうちはいくらでもあるけどな」

ネリー「!?」

573 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/14(金) 00:47:17.95 ID:/p8u3laQ0

ネリー「え……? お金あるの? いや……あるんですか?」

一「龍門渕グループって聞いたことないかな? テレビCMとか、結構なんでも名前出てくるけど……?」

純「こいつの出身国にはまだ進出してないからだろ? 日本来たのも今年だろ?」

ネリー「え、でも……リューモンブチって去年メグにやられたとこで……」

ダヴァン「私は勝ったとは思ってませんガネ」

衣「グループ傘下の高校だ。 うちのトーカはそこのご令嬢でな」

ネリー「あの……え? お、お金持ち……なんですか?」

純「おう、ちなみに衣はご令嬢の従姉妹だ」

ネリー「是非打たせてください! タダでいいので!」

衣「ふふん、かまわんぞ! 」

智葉「変わり身早いなおい!?」

明華「なんでやねん!」

智葉「だからなんでさっきから私にツッコミ入れるんだよ!?」

明華「? ネリーがお金第一なのはわかりきっているじゃないですか?」

智葉「そうだけど……そうなんだけどな!?」

穏乃「へへ、やっぱり皆さん仲よしじゃないですか! 元気で楽しそうです!」

ダヴァン「実は最近、ちょっと結束深まってますカラ!」

智葉「私はなんとなく溝を感じてるよ!」

明華「なんでやねん!」

智葉「お前もちょっと黙ってろ! そしてすこしでいいから色々と考え直してみてくれよ!?」

574 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/14(金) 00:48:24.46 ID:/p8u3laQ0

衣「……よし、ハギヨシ!」

ハギヨシ「はい、こちらに」

智葉「!? あ、貴方ついさっき監督と一緒に部屋出ていきませんでしたか!?」

ハギヨシ「? はい……しかし今、衣様が私を……」

智葉「聞こえたのか!? 聞こえるもんなのか!?」

ダヴァン「ハハ、サトハ今日は本当にはしゃいでまスネ? シズノたちが来たのがよほどうれしかったと見えマス」

穏乃「そうだったんですか? へへ、実は私もうれしくってちょっとテンションあがっちゃってるんですけど!」

智葉「…………おう、そうだな」

純「……あんたが諦めると収拾つかなくなるぞ」

智葉「……もういい。 疲れた」

一「大変ですね」

明華「そうですねぇ」

智葉「……っ! …………そ、そうだな、うん」

純「……別に我慢しなくていいんだぞ?」

智葉「……個人戦に向けて体力は温存する」

憧「そんなに消耗しちゃってるんですか!?」

智葉「………新子」

憧「はい?」

智葉「……なんでもない」

ダヴァン「アー……サトハ、元気出してくだサイ。 私のカップ麺あげますカラ」

智葉「……ああ、その気遣いはうれしいよ」

一「ボクの取って置きの衣装もあげますから」

智葉「それは絶対にいらねぇよ!」

純「我慢できなかったな」

憧「いや、アレを我慢して受け取ってたらむしろヤバいですって」

575 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/14(金) 00:49:42.05 ID:/p8u3laQ0

衣「ハギヨシ、どうだ?」

ハギヨシ「はい、ヴィルサラーゼ様の実力、実績から……だいたいこれくらいかと」

衣「どうだネリー、龍門渕に来て衣の遊び相手にならないか?」

ネリー「よろしくお願いします衣お姉さま」

ダヴァン「ハハ、ネリー引き抜かれてまスヨ」

智葉「っておい!? なにしてんだあんたら!」

衣「ハオはどうだ? 条件は……」

ハギヨシ「はい……では、これでどうでしょう?」

ハオ「ふむ、なかなかの好条件ですね……年に一回帰省の休暇をいただければ文句はありません、衣姉さん」

衣「乗ったぞ!」

智葉「ハオ!? お前までなにを……!」

明華「……ちなみに、私だったらどれくらいで……」

智葉「明華!?」

ハギヨシ「雀様は欧州大会での実績が特に大きいですからね……では、これで……」

明華「……これだけあれば、母への仕送りも……」

ダヴァン「とこロデ、私は18ですし今年で臨海との契約も終わるのでスガ……」

ハギヨシ「ダヴァン様ならば……」

衣「衣の小遣いでカップ麺一年分も支給しよう!」

ダヴァン「お世話になりマス!」

智葉「おい! おい!!」

一「あはは、まあいいじゃないですか。 辻垣内さんも今年で卒業ですし」

智葉「…………」

576 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/14(金) 00:51:50.89 ID:/p8u3laQ0

――――――

アレクサンドラ「いやあ、いい商談だった……ああ、お前ら、今日は去年打った龍門渕にインハイで当たった阿知賀の選手が来て……なにやってんだ?」

ハオ「荷物をまとめているのですが……」

明華「短い間でしたがお世話になりました」

ネリー「龍門渕の方が待遇良いから出てくね!」

アレクサンドラ「……は?」

ハオ「いやあ、ほとんど荷物もないですし、すぐにでも出ていけそうですね」

明華「ああ……母にも連絡しておかないと……」

ネリー「おっかっねっ! おっかっねっ!」

アレクサンドラ「え……あ? お、おい! なにしてんだ!? メグ!? サトハ!?」

ダヴァン「私、どのみちもう契約切れまスシ……」

智葉「もう知らん。 勝手にさせとけばいいんじゃないか?」

アレクサンドラ「待て待て待て! え、いや、そんなの通らないだろ!?」

ハギヨシ「龍門渕からは補償としてこの程度の支払いが……」

アレクサンドラ「……この三人の流出はキツいがこれだけあればまた別の仕入れられるな……」

明華「まあ、私たちもビジネスですし?」

ハオ「私も経験が積めるのならばやっぱり待遇がいい方がいいですし……」

ネリー「世の中お金だよね!」

アレクサンドラ「……まあ、仕方ないか。 お前ら達者でな」

憧「え!? 軽っ!? いいんですか!?」

アレクサンドラ「ビジネスだからな。 情はあるがそれはそれ、これはこれというか……応援してるぞ」

ハオ「ありがとうございます」

明華「監督も頑張ってくださいね」

ネリー「またね、監督! 卓で会ったら容赦なく手駒叩き潰すけどね!」

衣「よし! 帰ってまた衣と遊ぶぞ!」

「「「よろしくお願いします衣姉さん」」」

577 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/14(金) 00:52:27.68 ID:/p8u3laQ0


※契約の問題で学校側に止められました


カン!

578 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/14(金) 00:55:26.73 ID:/p8u3laQ0
臨海の今は組んでるけど結局敵同士だからっていうドライな感じも好き。日和見る限り普通に仲良しなのも好き。本編のネリー殺伐としてて好き

宥ねえの前に一回挟みたいけど間に合うかどうか…
579 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/14(金) 00:56:13.44 ID:hLaaUkyxo

みんなノリいいなww
580 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/14(金) 00:57:23.36 ID:6AqKgbKDo

この交渉ハギヨシはどこまで本気だったんだろうか
581 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/14(金) 01:01:41.03 ID:XRcFMHlxo
乙です
582 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/14(金) 02:26:52.19 ID:tivAJIjG0
まあでも卒業後なら普通にありなような気もする
そのまま実業団立ち上げちゃえばいいんじゃないかな
583 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/23(日) 23:24:05.05 ID:3sB5Kza30
今日は来ないかな?
いっぱいキャラが出るのもいいけど、たまには最初みたいな1対1のも見たいな
584 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/24(月) 02:06:01.33 ID:Dm/jED5R0
憧ちゃんとうとう立体化来たと思ったら絆創膏とか訴訟不可避

宥たんイェイ〜
585 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/24(月) 02:06:36.69 ID:Dm/jED5R0

宥「……んん」

朝。 いつものようにあったかくして寝ていたら、ちょっと暑くて目が覚めた

宥「…………んー………………んん……」

……夏も終わりに差し掛かっているとはいえ、ちょっと寝苦しい……けど、もうちょっとごろごろしてたい気分だ

……まだ夏休みだし……ちょっとくらいいいかなぁ…………うん、いいよね……ちょっとくらい……

……

…………

………………

玄「おはよう、お姉ちゃん! 起きてる?」

宥「…………」

玄「お姉ちゃん?」

宥「んー…………くろちゃーん……おはよぅ……」

玄「まだまだおねむですか?」

宥「……ん、んー……もうちょっと……」

玄「朝ごはん、用意できてるよ? 後にする?」

宥「んにゅ……ん……くろちゃんといっしょにたべる……」

玄「えへへ、そう? それじゃあほら、頑張って起きて!」

宥「んー…………くろちゃんだっこぉ……」

玄「もう、お姉ちゃんは甘えん坊さんなんだから……はい、どうぞ!」

宥「んー……しょ、っと…………くろちゃんおはよう〜」

玄「おはようお姉ちゃん! それと、お誕生日おめでとう!」

宥「……えへへ、ありがとう玄ちゃん」

松実宥、19歳になりました

……まだまだ妹離れはできなそうです

586 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/24(月) 02:07:18.15 ID:Dm/jED5R0

白いご飯とお味噌汁、焼き魚にふんわりとした玉子焼きに……

宥「いただきます……なんだか今日はしっかりきっちりの豪華な朝ごはんだねぇ」

玄「えへへ、お姉ちゃんのお誕生日だし、純和風でちょっと気合入れて作っちゃった」

宥「ふふ……おいしいよ玄ちゃん。 これならいつでもお嫁に行けちゃうね〜」

玄「えっ!? そ、そんな……お、お嫁さんなんて、まだ早いよぉ」

宥「そう? ……最近はどうなの? インターハイの時には東京で会えたよね? 私も応援に行ったとき少しお話したし……」

玄「え、えっと、その……す、少しだけ一緒にお出かけしたりとか……でも、今年は個人戦も出たから忙しくってあんまり……」

宥「そっかぁ……でも、相変わらず素敵な人だったねぇ……玄ちゃんが好きになっちゃうのもわかるよぉ」

玄「え、あ、……も、もうっ! からかわないでよお姉ちゃん!」

宥「ごめんなさ〜い……でも、玄ちゃんがお嫁さんに行っちゃったら寂しくなるなぁ……」

玄「……大丈夫だよ、お姉ちゃん。 私、お父さんの……お母さんの、松実館から離れたりしないから……きっと、頑張って素敵な旦那様を見つけて、うちに来てもらうからね」

宥「玄ちゃん……その、頼りないかもしれないけど、私もいるんだから……玄ちゃんは、玄ちゃんの好きにしていいんだからね?」

玄「もう、なに言ってるのお姉ちゃん? 私、松実館もお父さんもお母さんも、お姉ちゃんも大好きだよ? ……それに、お姉ちゃんは頼りなくなんかないよ」

宥「……うん、そっかぁ…………」

……玄ちゃんは、もしかしたら……もう、ちょっと諦めているのかもしれない

玄ちゃんは松実館を離れたくない。 そしてきっと、萩原さんも龍門渕のお屋敷から離れたりできないだろうから……

玄ちゃんは昔からなんでも私に『お姉ちゃんどうしよう……』って相談してくれていたから……きっと、萩原さんが本当に初恋なんじゃないかって思う

……でも、玄ちゃんはこれでなかなか頑固なところがあるし、今はこれ以上なにを言ってもダメなんだろうなぁ……

……私、やっぱり頼りないお姉ちゃんだ

587 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/24(月) 02:07:58.00 ID:Dm/jED5R0

玄「そんなことよりお姉ちゃん! 今日のご飯、なにか気づくことない?」

宥「え? うーん……と……」

話題を逸らされてしまった……ちょっと暗くなっちゃって、気を遣わせてしまっただろうか……またひとつお姉ちゃんになったと言うのに、こんなんじゃダメダメだ。 しっかりしないと……

宥「……あ! この玉子焼き……いつもと違う! いっつもおいしかったけど、またおいしくなってるよ、玄ちゃん!」

玄「そうなのです! 実は、昨日染谷さんからレシピを教わって……和ちゃんたちも大絶賛してたからずっと気になってたんだ! 本当の本当においしくって私もびっくりしちゃった!」

宥「へぇ……わぁ……すごいねぇ……本当においしいよ」

玄「えへへ、あとでまたお礼言っておかないとですね! ご飯食べ終わったら……」

宥「うん、そしたらお出かけする準備するから……」

玄「私もすぐにお手伝い終わらせてくるから……和ちゃんたちにもその時に時間の方とか伝えてくるよ」

宥「うん、ありがとう玄ちゃん」

玄「いいんだよ、たいしたことじゃないもん」

今、夏休み最後のちょっとした間を使って長野から和ちゃんと染谷さんが遊びに来てくれている……咲ちゃんは家族揃ってプロになったお姉さんの試合の応援に、優希ちゃんは来年になったら時間がないだろうということで本場にタコスを食べに海外旅行中らしく、今回の予定は見送りになってしまった。 残念だけれどしょうがないよね……

宥「ごちそうさまでした。 今日もすっごくおいしかったよ〜」

玄「お粗末さまです。 よかったよ〜」

玄「あ、お片付けは私がやっておくから、お姉ちゃんは準備してきて!」

宥「え、でも……」

玄「いいからいいから! 今日の主役はお姉ちゃんなんだから、しっかりおめかししてきてね!」

宥「う、うん……ありがとう玄ちゃん」

……また玄ちゃんにおまかせしちゃった。 お姉ちゃんらしく、もっとしっかりしないとなんだけど……

588 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/24(月) 02:08:54.04 ID:Dm/jED5R0

――――――

軽くシャワーを浴びて、お気に入りのスカートに足を通して、いつものマフラーを巻いて、ポーチの中身を確認して、もう一回鏡の前で髪を整えて、準備完了

今日は、みんなで大阪まで足を伸ばす予定だ。 泉ちゃんや怜ちゃんが、お誕生日のお祝いをしてくれるって……とってもうれしくってちょっとうきうきしちゃう

和「宥さん、おはようございます」

まこ「おはよう」

宥「おはよう……ございます」

まこ「……そんなにかしこまらんでも……」

宥「えへへ、そういえばふたりはお客様だったなーって」

和「今は旅館でお仕事に出てるわけではないのですから、普通に友人として接してくださった方がうれしいです」

宥「うん、ごめんね〜」

玄「それでは、行きましょうか! 吉野駅集合だけど……たぶん行く途中でみんなとも会えると思うので!」

和「そうですね……この辺りも、懐かしいです」

まこ「和は小学校高学年から中一までおったんじゃっけか……なんつうか……わし、混ざってよかったんか?」

和「当然じゃないですか。 もともと、予定が合えばゆーきや咲さんも来ていたんですから」

玄「予定合わなくて残念だったね……須賀くんも遠慮せずに来ればよかったのに」

まこ「まあ、遠慮する気持ちはわからなくもないがのう……それに、あいつはあいつで予定あるみたいじゃし」

宥「予定……彼女さんでもできたのかな?」

まこ「いんや、男友達と足伸ばして海行くって言っとったんでな……現地調達でもするんじゃないかのう」

憧「はぁ……そんなのうまくいくとは思えないけどね。 宥姉おめでと」

玄「あ、憧ちゃん穏乃ちゃんおはよう!」

穏乃「おはようございます! 宥さんお誕生日おめでとうございます! 和に染谷さんもお久しぶりです!」

宥「えへへ、ふたりともありがとう〜」

和「ついこの間東京で会ったじゃないですか……でも、会いたかったです」

憧「ま、まあね……私も……うん、会いたかったけど」

589 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/24(月) 02:09:36.67 ID:Dm/jED5R0

穏乃「いやーなんか昔を思い出すね! 和と一緒にここら辺歩くのすごい久しぶりだし!」

憧「小学校以来?」

和「憧とは中学も離れてましたしね……もう五年も前になるんですね」

玄「懐かしいね、あの頃は赤土先生の麻雀教室もあって……」

昔話に花が咲き始めて、なんとなく入りづらい感じ……みんなの話を聞くのも好きだけど、やっぱりちょっと距離を感じちゃうのは……思い出を共有できてないから仕方ないかなぁ

まこ「……宥さんは、大学の方はどうなんじゃ?」

宥「え? えっと……私は、結構のんびりやってるよ? 麻雀も、夏の大会は怜ちゃんも一緒にちょっと出れたし……」

まこ「そういえば、去年の千里山のエースと一緒になったんじゃったのう……」

宥「うん。 私、友達作るのあんまり得意じゃないから大学で会ったときは安心しちゃった……染谷さんは、大学行くの? それとも……玄ちゃんみたいにおうちのお手伝いするの?」

まこ「一応、大学通いながら空いた時間で家の手伝いしようと思っとるんじゃが……時間とか、どうなんじゃろ? 余裕あるんか?」

宥「うーん……私は大学でも麻雀やってるし……松実館の方は玄ちゃんが出てるから……のんびりやらせてもらってるんだよね」

もちろん、まったくお手伝いしてないってわけじゃないけど……あんまり接客のお仕事とか得意じゃないし、その辺りは玄ちゃんに頼ってるのが現状だ

……それに、朝はいつもギリギリまでごろごろして玄ちゃんに起こしてもらってるし、帰ってからはおこたでぬくぬくしてると玄ちゃんが晩御飯も出してくれるし……

宥「…………玄ちゃんのお陰で、私はとってものんびりやらせてもらってます……お姉ちゃんなのに……」

まこ「……宥さんもしっかりせんといかんのう」

宥「本当に……玄ちゃんに甘えっぱなしで……」

まこ「……玄さんは宥さんを甘やかしすぎじゃな」

玄「? 呼びました?」

まこ「……ほどほどにな」

宥「……ほどほどでお願いします」

玄「え? なに? なにが?」

590 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/24(月) 02:10:09.79 ID:Dm/jED5R0

灼「玄がほどほどにするべきこと……おっぱ?」

玄「そ、そんな! わ、私だって最近は外であんまりおもちおもち言わないように気をつけてるのに!?」

和「言ってないだけで視線は遠慮がないですよね」

宥「灼ちゃんおはよう! 先に駅着いてたんだ?」

灼「ちょっと早く出すぎて……おめでとうございます、宥さん」

宥「ありがとっ!」

まこ「久しぶりじゃのう」

灼「ども……家はどう? 繁盛してる?」

まこ「ぼちぼちじゃな……そっちはどうじゃ?」

灼「ぼちぼち……穏乃は?」

穏乃「ぼちぼちです! 松実館はどうですか?」

宥「え? えっと……」

玄「えへへ、うちはおかげさまでそこそこ……それでも、やっぱりいろいろ切り詰めないと大変なんですよねぇ……うちは光熱費かかるし……」

まこ「……やっぱり甘えすぎじゃないんか?」

宥「……お恥ずかしい限りです」

やっぱりおこたはしまって……でも、もう夏も終わっちゃうしなぁ……

…………よし、もうちょっと厚着してストーブつけるのは我慢しよう、うん

591 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/24(月) 02:10:55.71 ID:Dm/jED5R0

灼「……で、なんの話?」

まこ「玄さんは宥さんを甘やかしすぎじゃって話じゃよ」

灼「ああ……」

宥「……あ、灼ちゃん?」

灼「…………うん」

宥「目を逸らさないでよぅ……」

玄「私はそんなつもりないんだけど……お姉ちゃん、いっつも頑張ってるから私がその分おうちでは頑張ろうって……」

穏乃「宥さんも玄さんも頑張りやさんですよね!」

まこ「……なんなんかのう……宥さんと玄さん、どっちがアレなんかねぇ」

憧「……若干玄の方が悪い気もする」

灼「どっちもどっち?」

宥「あう……しっかりします……」

玄「そんな、お姉ちゃんは十分しっかりしてて……」

まこ「せっかく決意も新たにしとるんじゃから、な?」

和「……染谷先輩も、大概世話焼きだと思いますけどね」

……そういえば、今回は松実館のお客様だからおもてなしさせていただいたけれど……去年のインターハイとか、それ以外で会ったときはよくお世話されてた気がする

まこ「……わしはそこまで甘やかしとらんじゃろ?」

和「甘やかすと言うほどではありませんが……十分に甘いと思いますけどね。 竹井先輩とか、ゆーきとか、咲さんとかに……」

憧「なぁに? 自分ももっと優しくしてほしいって?」

和「なっ!? べ、別にそういうことを言っているわけではなくてですね……!」

穏乃「和って意外と寂びしんぼだよねー」

和「だから違いますってば!」

592 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/24(月) 02:11:44.23 ID:Dm/jED5R0

まこ「ふむ……平等に可愛がっとるつもりじゃったが……和の方が手ぇかからん分寂しい思いをさせてもうたかのう?」

和「で、ですから! わ、私は別に寂しいとかそういうことではなくって染谷先輩が……」

灼「せっかくふたりで旅行に来てるんだから存分に親睦を深めるといい」

玄「ふたりでできる遊びもいっぱいあるしね!」

まこ「忍者とかのう」

和「忍者!?」

穏乃「ふたりいると忍者になれるんですか!?」

まこ「あとは電話とか」

憧「……電話って別に遊びじゃないですよね?」

まこ「わしが一年の時は久と部室でそうやって仲を深めたもんじゃ」

憧「部室で!? 部室にふたりきりなのに電話を介して会話してたんですか!?」

まこ「はは、ちゃんと久が部室の外に出てたわ」

憧「わざわざ部室を出てまで電話を!?」

和「そ、それでは……電話しましょうか?」

憧「するの!?」

和「忍者はあまり詳しくなくて……」

憧「別にその2択じゃなくても!」

穏乃「あはは、なんか久しぶりに憧のツッコミキレッキレだね」

玄「お茶飲む?」

憧「……あ、ありがと」

593 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/24(月) 02:12:49.60 ID:Dm/jED5R0

和「いえ、別に……別に電話をしたいわけではないんですよ? ただ、私も染谷先輩との仲を深めることにやぶさかではなく……あ、特に染谷先輩との仲が悪いと言うわけではなくてですね、その……」

宥「和ちゃんは染谷さんのこと好きなんだねぇ」

玄「なんだ、そういうことかぁ」

まこ「なんじゃ、最初から素直に言っとりゃもっとかまってやっとったんじゃがなぁ」

和「か、からかわないでくださいよ!」

まこ「和がかわいいからついのう」

和「もうっ!うー……ちょ、ちょっと待ってくださいね」

まこ「?」

穏乃「え? どこ行くの?」

和「いいですから!」

和ちゃんがトテトテと駅のホームのはしっこの方に走っていく

宥「……どうしたんだろう?」

憧「さぁ?」

玄「うわぁ……」

灼「玄、それはやめないと本当にダメだと思」

玄「な、なにも言ってないよ!? ……あれ!? もしかして口に出してた!?」

灼「言ってないけどわかったから」

玄「……灼ちゃんすごいね」

灼「玄がわかりやすいから……まあ、私も原村さんのアレはすごいと思うけど」

玄「だよね!? 私悪くないよね!?」

憧「良い悪いで言ったら悪い」

玄「おもちのこと言ってないのに!?」

594 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/24(月) 02:14:03.81 ID:Dm/jED5R0

まこ「……ん? すまん、電話じゃ……って和から?」

玄「おや、早速ですね」

まこ「もしもし? ん? うん……ふふ、ほうか……わかったわかった……」

宥「なんだったの?」

まこ「ん? そうじゃな……内緒じゃ」

穏乃「和も内緒だって言ってましたもんねぇ」

まこ「そうそう……って聞こえてるんかい」

穏乃「私、耳いいんで! いやあ、和も松実館戻ってふたりになったらかまってください! なんてかわいいですよね〜」

まこ「早速ばらしたのう」

穏乃「……あぁ!? しまった! またやっちゃった……」

穏乃ちゃんががっくり落ち込んだところに和ちゃんがまたトテトテと駆け寄ってくる

和「はっ……はぁ……そろそろ電車も来ますね! 行きましょうか」

灼「……原村さんはかわいいね」

和「え? な、なんですか急に?」

憧「……和って案外素直に甘えるわよね」

和「え? え?」

宥「松実館にいる間は……ううん、これからは私のことお姉ちゃんだと思っていいからね! いっぱいかまってあげるからね!」

玄「えへへ、それじゃあ私も和ちゃんのお姉ちゃんだねー」

和「え……あ!? そ、染谷先輩? 秘密だって言ったじゃないですか!?」

まこ「わしはなんも言っとらんよ?」

和「え……じゃあどうして……?」

穏乃「な、なんでだろうなー……不思議だなー……」

和「穏乃!? あからさまに怪しいですよ!?」

595 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/24(月) 02:15:02.87 ID:Dm/jED5R0

和「聞いてたんですか!?」

穏乃「聞いてたっていうか聞こえちゃったっていうか……」

灼「公共交通機関で騒いじゃダメ」

和「むぅ……すみません……」

穏乃「ごめんなさい……」

玄「大阪までちゃんといいこにしてないとダメだよ〜?」

憧「小さい子ども相手にしてるわけじゃないんだから……まあ似たようなもんか」

穏乃「ちょっと!? なんで私を見ながら言うわけ!?」

灼「しーずーのー」

穏乃「あぅ……すみません、つい……もう、憧のせいで怒られたじゃん」

憧「しずが勝手に騒いでたんでしょ」

和「そんなこと言ったら私だって穏乃のせいで……」

穏乃「それは和が勝手に騒いでたんじゃん」

和「勝手になんてことはないでしょう。 そもそも穏乃が余計なことを言うから……」

穏乃「照れなくてもいいじゃん、私だって玄さんや灼さんにかまってもらいたいし! 恥ずかしくないって!」

灼「穏乃、おいで」

玄「精一杯かまっちゃうよ〜?」

穏乃「やったー!」

憧「…………」
和「…………」

穏乃「うらやましい?」

憧「別にそんなこと……!」
和「別にそんなこと……!」

穏乃「あははっ! 素直になった方がお得だよっ」

宥「ふふ、こっち来る?」

まこ「隣、空いとるぞ?」

憧「でも、人前でベタベタするのも恥ずかしいし……」
和「でも、人前でベタベタするのは恥ずかしいですし……」

穏乃「……なんかさ、ふたりだけ仲いい感じ出してくるのやめてよ!」

灼「穏乃が妬くんだ……」

596 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/24(月) 02:16:16.55 ID:Dm/jED5R0

穏乃「なんだよーもうっ! むー!」

灼「どうどう」

玄「ほらほら、落ち着いて落ち着いて」

ふくれちゃった穏乃ちゃんが玄ちゃんと灼ちゃんに存分に甘えているので、必然的に憧ちゃんと和ちゃんが私と染谷さんの方にやってくる

憧「なによもう、しずったらほんと子どもなんだから……」

宥「玄ちゃんと灼ちゃん取られちゃったね」

憧「……いいもん、宥姉いるし」

宥「えへへ、そっかぁ」

和「染谷先輩、お隣失礼しますね」

まこ「……ベタベタするのは恥ずかしいんじゃなかったんか?」

和「べ、ベタベタなんてしませんっ! 普通に座るだけです!」

まこ「ほうか? そいつは残念じゃのう」

和「で、ですから、そういうのは……また、あとでですね……」

憧「あとでベタベタするんだ」

和「…………べ、別にいいじゃないですか……たまには、そういうことがあっても……」

憧「……そんなこと言って、実はしょっちゅうなんじゃないの?」

和「…………そ、そんなことありませんよ?」

まこ「ふむ……しかしそう言われてみると、久や優希の相手してる時間が多いから相対的に和をかまっとる時間が減っとったが……よくよく考えてみると結構……」

和「気のせいです! 気のせいですから! 染谷先輩は一年生やしょっちゅう遊びに来る竹井先輩にゆーきや咲さん、須賀くんにかかりっきりで私のことあんまりかまってる暇もないですから!」

まこ「……やっぱりちょっと寂しかったんか?」

和「…………そ、そんなことないですよ?」

憧「……なーんか、和ってずるいわよね」

宥「憧ちゃんだって結構甘え上手じゃない。 みんなの前ではともかく、私や灼ちゃんだけの時なんて……」

憧「わっ! わーっ! ちょ、なな、なに言ってんの宥姉!」

597 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/24(月) 02:17:38.11 ID:Dm/jED5R0

まこ「ほほう? 新子さんがねぇ……意外じゃのう」

憧「い、いやいや! ちっ……違うんですよ! ほら、私は……ほら、ね!?」

宥「憧ちゃんはなんだかんだで下っ子だもんねぇ」

和「ああ……そういえば、憧は昔からお姉さんのこと大好きでしたね」

宥「最近は阿知賀の麻雀部の方にもちょこちょこ顔出してくれてるみたいだから憧ちゃんもうれしいんじゃないかな〜?」

憧「だから違うって! 違うってば! お姉ちゃんも別に関係ないし!」

灼「憧、騒いじゃダメ」

憧「むむむ……すみません……」

穏乃「しかられてやんのー」

憧「なによ! しずこそ灼さんと玄にベタベタしちゃって……恥ずかしくないの!?」

穏乃「? なんで? なにが?」

憧「むむむ……!」

灼「憧、あとでかまってあげるから。 今は宥さんに甘えてて」

宥「憧ちゃんどうぞ〜」

憧「だから別にそういうことを言ってるわけじゃないんですけど!?」

玄「はぁ……憧ちゃん、あんまり私には甘えてくれなくて寂しいなぁ」

憧「なんで私が玄に甘えないといけないのよ!?」

まこ「玄さんじゃダメなんか?」

和「友人としての付き合いが長いからお姉さんに甘えるのとはまた違うんでしょうね」

憧「変な分析しないでよ!」

598 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/24(月) 02:18:30.84 ID:Dm/jED5R0

まこ「ふふ……しかし、宥さんに甘えたくなる気持ちはわからなくもないがのう」

宥「えー? えへへ、そう?」

まこ「いかにもお姉ちゃんって感じじゃ……宥さんも甘えん坊みたいじゃけどな」

宥「えへへ……実はそうなんです。 甘えてもいいよ? 私も染谷さんに甘えちゃうから」

まこ「ふふ……わしは玄さんみたいに優しくないからのう……ご期待には沿えんかもしれんぞ?」

宥「私、お姉ちゃんだから……もっとしっかりしなくちゃいけないから、染谷さんみたいにちゃんと叱ってくれる人がいいのかも。 それに……」

まこ「それに?」

宥「やっぱり、染谷さん優しいから」

まこ「……そんなこと、ないと思うがのう」

宥「ふふ、照れなくてもいいのに」

まこ「しかしのう……そんな、急に……むず痒いわ」

和「しっかりしていて、優しく、時に厳しく……姉がいたら、染谷先輩みたいな感じなのかなって思いますけど」

まこ「……もうええから……恥ずかしいわ」

憧「染谷さん真っ赤ですよ〜?」

まこ「……ほっとけって言うとるじゃろ」

宥「あったかそう〜」

まこ「……宥さんにひっつかれると本気であっついのう」

宥「あ、ごめんね……私ちょっと厚着だから……」

まこ「いや、ちょっとではないじゃろ……」

599 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/24(月) 02:19:49.12 ID:Dm/jED5R0

そのままみんなでお喋りしながら大阪まで……和ちゃんと染谷さんがいたのもあってみんなで盛り上がっちゃって、なんだかんだでちょっと騒ぎすぎちゃったかも。 反省しなきゃなぁ……

泉「宥さん! どうもです!」

宥「あ……泉ちゃん! お待たせしました〜」

怜「今来たところやから気にせんでええよ? 宥ちゃんおめでとなー」

宥「ありがとう怜ちゃん」

泉「いや、マジでこの人今来たところですからね? なんでこんなギリギリまで来ないんですか……場所間違えたかと思ってめっちゃドキドキしてましたわ……」

怜「病弱やからしゃあないな」

泉「病弱関係ないやろ!」

怜「ふっ……先輩に対してこの容赦ないツッコミ……しばらくみない間に成長したなぁ、泉」

泉「へ? あ、どうもです……?」

怜「泉、今のは非難したんや。 病弱な私に容赦ないツッコミいれよって……」

泉「え!? す、すみません!」

怜「とまあ冗談は置いといて……玄ちゃん!」

玄「は、はい! こんにちは!」

怜「いやあ、いつもおいしいお弁当ありがとなー? 宥ちゃんのいっつもわけてもらってんねん……玄ちゃんうちにお嫁にきーひん?」

玄「もう、園城寺さんったら……私は松実館を継がなきゃだからお婿さん取るって言ってるじゃないですか〜」

怜「お嫁に行くならともかくお婿に行くのは無理やなぁ……あてはあるん?」

玄「……えへへ、そんな、あてがあったら苦労しませんよ〜」

憧「……なによ、結構うまくやってるくせに……」

玄「……ほら、具体的にはなにもないから」

憧「別に隠さなくてもいいじゃないの! ほら、さっさと吐いちゃいなさいって!」

玄「いや、本当になにも……」

灼「…………はぁ」

600 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/24(月) 02:20:53.89 ID:Dm/jED5R0

灼「……玄がうまくやってると言うか、憧がちょっと……ね」

穏乃「あはは! たしかに憧はちょっと問題アリですよねー」

憧「ちょ、ちょっとどういう意味!? 私は特に問題ないでしょ!?」

灼「問題だらけでしょ」

穏乃「問題ないって言い切る辺り問題アリなんだよなー」

怜「新子さんはせっかくかわいいのに問題アリなんか……もったいないなぁ」

泉「相手がいるだけ羨ましいですけどね……先輩はなんかないんですか?」

怜「学校では宥ちゃんとふたりでモテるけど全部お断りやな。 とりあえず私は……そやな、せめてセーラよりいい男じゃないとな」

泉「そこそこ高いハードルっすね」

憧「いやいや……セーラさん女っしょ」

穏乃「……なんか憧が言うといろいろツッコミどころあるよね」

まこ「どっかの誰かを思い出すのう」

和「そういえば、ドイツなどの外国では同性同士でも結婚ができるらしいです」

憧「なっ、なんで今それを言うわけ!?」

和「いえ、別に……ふと思い出したので」

まこ「そういえば、井上の両親はドイツにおるらしいな」

憧「なななななんで井上さんの名前が出てくるんですか!?」

まこ「ドイツとの一番身近な接点だから思い出しただけじゃよ?」

和「ああ、そういえばiPS細胞というもので同性同士でも子どもができるらしいです」

憧「だからなんでそれを私に言うわけ!?」

和「いえ、特に深い意味は……知識を披露しただけですよ」

まこ「久みたいじゃのう」

和「ふふ、そうですねぇ」

憧「ぐぬぅ……なんなのよ、もう……」

601 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/24(月) 02:21:48.24 ID:Dm/jED5R0

宥「……ありがとね、灼ちゃん」

灼「……別に、なにもしてないから……憧をからかいたかっただけ」

宥「ふふ、そっかぁ」

灼「…………宥さんはなにもないんですか? モテるみたいですけど」

宥「えー? 私もないよ? 今は……怜ちゃんと一緒に遊んだり、灼ちゃんたちと会ったり……そういうのでいっぱいいっぱいだから……麻雀も、一生懸命やりたいしね」

怜「とかなんとか言っても……宥ちゃん、なんだかんだ男ちょっと苦手なだけやろ?」

宥「……へへ、まあ、それもちょっとあるかなぁ」

怜「変なのに引っ掛からんように気ぃつけてなー」

泉「半端な男に宥さん渡すわけにはいきませんからね……園城寺先輩もちゃんとついてあげててくださいよ? 宥さんなんか危なっかしいですし」

宥「ええ?」

怜「まかせときや。 まあ、危なっかしさで言ったら玄ちゃんもなかなかやと思うけどなー」

玄「そんな……私はちゃんとした人にひっかかってますよ!」

泉「引っ掛かっとるんかい!」

穏乃「たしかに随分としっかりした人ですけどね……」

和「あの人よりもしっかりした人っていうのもなかなかいないですよね」

灼「あの人はあの人でちょっとズレてるけどね」

まこ「まあ、龍門渕の人じゃからな……仕方ないわ」

憧「……染谷さん、それは微妙に問題発言なんじゃ……」

602 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/24(月) 02:22:31.43 ID:Dm/jED5R0

泉「ああ、そういえば宥さん……今日はあとふたりほどお祝いに駆けつける予定なんですけど……」

宥「え? そうなの?」

泉「はい、そろそろ来ると思うんですけど……あ、ほらあそこに……」

宥「……あ! 誠子ちゃん!」

誠子「よっ、と……どうも! 宥さん! お疲れサマサマです!」

宥「……なんだか、すごい荷物だね?」

誠子「ああ、これ……インハイも終わって、部活も休みだったんで父さんと一緒に釣りでこっちまで足伸ばしてたんですよ……これ、お土産です! 後で調理するんで食べてくださいね!」

泉「釣った魚そのまま持ってきたんですか!?」

誠子「うん……ああ、いっぱい釣れたから二条も持ち帰ってくれよ! おいしいぞ?」

泉「いや、クーラーボックスここで渡されても……」

怜「そんなんよく持ち歩けるなぁ……重くないん?」

誠子「釣具の方は父さんに預けてるから魚だけですし大したことありませんよ?」

怜「……力持ちなんやね」

宥「誠子ちゃんすごーい……」

灼「……持ち歩くには無理があるし、どっかに置いてった方がいいと思」

誠子「…………コインロッカーとかに置いといて大丈夫なんですかね?」

玄「さぁ……どうなんでしょうね?」

泉「…………今日中に回収すればええんじゃないですか? 中身がダメにならないんならですけど」

誠子「一応保存できるようにはしてるから平気だと思うんだけど……」

603 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/24(月) 02:24:13.41 ID:Dm/jED5R0

――――――

誠子「いや、すみません! 久々に大漁だったんでテンション上がっちゃって……なにも考えないで持ってきちゃいましたよ……おうちの方に送った方がよかったですね……」

まこ「まあ、過ぎたもんはしょうがないわ……今日はよろしくのう」

誠子「どうもです! おふたりとも長野からこちらに?」

和「夏休みですし、奈良まで旅行で来ていたんです。 厚かましくもご一緒させていただいて……」

誠子「そんな、気にしないでよ。 原村さんは昔奈良にいたって聞くし、私より阿知賀のみんなと付き合いも長いんだろ? それに、去年のインハイで打った仲じゃないか」

泉「はぁ……亦野さんが羨ましいですよ。 こちとら原村とはインターミドルから去年今年とインハイでも打ててないですし……原村! 今年の国麻で決着つけるで! 当たるかわからんけど!」

和「は、はぁ……? 決着……?」

泉「って眼中なしか!?」

怜「はは、そりゃあインターミドルチャンピオンで二年連続個人戦にも出てる原村和からしたらしゃあないやろ? 泉ももっと結果出るように頑張ってもらわなな……太ももも負けとるし」

泉「太もも関係ないやん! ……まあ、来年は千里山も私のチームですからね。 見といてくださいよ、きっちり優勝旗持ち帰るんで」

まこ「頼もしい後輩じゃのう」

和「……わ、私だって! ゆーきと咲さんたちと一緒に勝ち上がって見せますから!」

まこ「うんうん、信じとるよ」

穏乃「ちょっと待った! そう簡単にいくと思わないでほしいな! ね、憧!」

憧「ま、当然私らも勝つ気満々なんで!」

玄「その意気だよ! 私も来年は一生懸命応援するからね!」

灼「……全国もいいけど、晩成抜くとこからね」

憧「……実際、結構厳しいわよね」

穏乃「層の厚さが段違いだからなぁ……ま、そこは気合でカバーする感じで!」

604 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/24(月) 02:24:51.41 ID:Dm/jED5R0

誠子「…………」

宥「……誠子ちゃん? どうしたの? 」

誠子「……いや、来年のことを考えると胃が……はぁ……」

玄「? 大星さんがいるじゃないですか?」

誠子「いや、実力的には心配ないんだけど……むしろ淡がいるから心配というか……」

憧「……チームまとまるんですか? 今年はなんとかしてたみたいですけど」

誠子「私と尭深がいたからなんとかね……来年は……エースとしての力は問題ないけど……協調性というか……ね?」

穏乃「あー……相変わらずなんですか?」

誠子「……あいつ、強さの基準が自分と宮永先輩だから」

怜「はは、そのレベルが五人いたら全国制覇も余裕やね」

誠子「まったくですよ……淡は部長任せられるタイプでもないし、かといって部長にしないと盛大に拗ねるのもわかってるからなぁ……」

泉「ああ……大星ってアホっぽいですもんね」

憧「ぽいんじゃなくてアホなんだけどね」

誠子「今から伝えるのが億劫で……絶対、『なんで私が部長じゃないの!? 一番強いの私なのに!』とか『亦野先輩私のこと嫌いなんだ!』とかいって大騒ぎするのが目に見えてて……」

まこ「部長を任せるかどうかってのは、形としては分かりやすいが……それだけが信頼の表れってわけではないんじゃがね」

灼「ね」

誠子「だよね……」

605 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/24(月) 02:26:14.68 ID:Dm/jED5R0

泉「……ちなみに、みなさんどうするんです? 次の部長は」

怜「自分が内定してるからって余裕顔やな? フナQに考え直すよう言っとこか?」

泉「なんでですか!? あまりにも理不尽ですよ!?」

誠子「淡が変わったら任せてもいいけど……まあ、たぶん今の虎姫メンバーの誰かに任せますよ」

まこ「うちは……まあ、だいたい決めとるが……ふむ」

和「……な、なんでしょうか?」

まこ「……和は部長とかやりたいんか?」

和「私は……自分が向いているとはあまり思えませんけど…………染谷先輩が任せてくださるのならば、しっかりこなそうと思います」

まこ「そうかい……ふむ、まあ参考にしとくかの」

和「……微妙な言い方ですね」

まこ「なんじゃ? やっぱりちょっとやりたいんか?」

和「そ、そういうことではなくてですね……!」

玄「うちは灼ちゃんと相談しつつですが……」

灼「じゃ、とりあえずやりたい人挙手」

穏乃「……憧は? やりたい?」

憧「いや、別にやりたいってわけじゃないけど……しずは?」

穏乃「私はどっちでも……そんなに変わんないんじゃない?」

憧「まあそんな気はするけどね……」

灼「指名しないと拗ねる人挙手」

穏乃「あ、それは憧ですね」

玄「憧ちゃんだね」

憧「拗ねないから!」

宥「大丈夫だよ、部長に選ばれなかったとしても玄ちゃんも灼ちゃんも憧ちゃんのこと大好きだから〜」

憧「だから拗ねないってば!」

606 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/24(月) 02:27:09.35 ID:Dm/jED5R0

怜「どこもそれぞれ大変やねぇ……白糸台は特に大変そうやな。 校内に複数のチームで競争しとるわけやし」

誠子「宮永先輩や弘世先輩がいた頃とは違いますからね……今年も結構大変だったんですよ、いろいろ」

泉「その点うちは監督が強いし伝統ある分まとまりやすいってのはありますかね……ああ、お昼はそこでとりましょう。 予約しといたんで」

宥「 あ、ここ……」

泉「たぶん、園城寺先輩とも来てますよね? 人数いるし、騒ぐなら融通きくとこがいいかなーって……こんちはー! 予約してた二条ですー!」

漫「らっしゃい! ……なんか、本当に見覚えある顔が無差別に出てきた感じやな」

怜「世話んなるで、漫ちゃん……今日はお手伝いかぁ」

漫「インハイ終わったんで部活も少し休みなんですよ。 夏の課題もまだ終わっとらんし忙しいんですけどね……団体客のお陰で店に出ないわけにもいかず……」

怜「なんや、予約のお客様に早速文句つけるんか?」

泉「態度悪い店員ですね」

漫「うぇ!? す、すみません! そういうつもりではないんですけど!」

怜「油性ペン持ってる子おるー?」

漫「はい!? ちょ、なんでですか!? 勘弁してくださいよ園城寺さん! っていうか赤阪監督じゃあるまいし油性持ち歩いとる子なんて……」

灼「どぞ」

怜「どうもー」

漫「なにゃ!?」

怜「今日の一文字〜なにがええかな〜?」

漫「待って! 待ってください! デコに落書きされたまま接客なんて……」

泉「いつものことですよね?」

怜「いつ来てもなんか書いてあるよなぁ?」

漫「あれ!? マジですか!?」

灼「安売りで」

漫「三文字!?」

怜「決定やな」

泉「サービスいいっすね」

漫「えっ!? えっ!?」

怜「みんなちゃんとお礼言ってなー」

穏乃「ご馳走さまです!」

和「ありがとうございます。 お世話になります」

漫「いや、ちょ、ちょっと待ってくださいって! うちかてある程度はともかく、そこまでサービスしてばっかいらんないっていうか……」

怜「しゃあない、帰るか」

泉「残念ですね」

漫「だぁー!もう! わかりました! わかったから帰るのは勘弁してください!」

607 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/24(月) 02:28:07.91 ID:Dm/jED5R0

漫「ええですか? 人数と注文量から考慮してだいたいこれくらいの割引で……」

怜「もうちょい安くなるやろ?」

漫「いやいや! 十分サービスしとるやないですか! ……それじゃあお飲み物の方を……」

泉「あ、先に座ってていいですよ。 長くなるんで」

まこ「……普段からこんなに値切るんか?」

泉「とりあえず言っとこ的なのはありますかね……まあ、ここは特にうちらの先輩方は上重さんで遊びに来てるとこありますから」

憧「……酷いわね」

漫「ホンマに酷いんよ! 特に姫松入ってからは毎日のように愛宕元主将が部員引き連れてやって来てはさんざん値切ってって……!」

怜「お陰で漫ちゃんも値切り交渉だんだん強なってってなぁ……こっちとしても大変やわ」

漫「自業自得やろ!? うちとしても毎日のようにやって来るから無下にもできんし……マジで帳尻合わせ大変やったんですから!」

怜「あ、漫ちゃんじゃあアレや。 バースデー割引でええやろ? 私の親友の宥ちゃんが今日19になったんや。 ついでにケーキ買ってきてや」

漫「なんで私がパシりせなアカンのや!?」

泉「あ、上重さんとりあえず飲み物だけ先に出してくださいよ。 みなさんなんにします?」

宥「あったかーいお茶がいいなぁ」

誠子「相変わらずですね……私もお茶いただこうかな。 冷たい方で」

穏乃「私コーラ!憧は?」

憧「じゃあ……カルピスで」

玄「オレンジジュースを……」

漫「待って待って! 一度にいろいろ言わんといて! オーダー取る準備もしとらんのに!」

怜「使えん店員やなぁ」

泉「困っちゃいますね」

漫「なんなんやもう! いい加減にせぇや!」

608 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/24(月) 02:29:05.71 ID:Dm/jED5R0

――――――

漫「はい、飲み物どうぞ!」

怜「あの店員キレてるで」

泉「怖いっすね」

漫「……ごゆっくりどうぞ!」

怜「顔が早く帰れ言うとるで」

泉「やっぱ態度悪いっすね」

漫「…………」

怜「……もう、悪かったって。 そんなに怒らんでよ漫ちゃん。 せっかく宥ちゃんの誕生日パーティーやってのに気分悪いわ」

漫「そこまで言うなら……あれ!? やっと謝られたと思ったら責められてた!?」

泉「それじゃあ飲み物来たとこで最後のひとりに登場してもらいましょうかね」

宥「誰が来てるの?」

泉「いやあ、驚くこと間違いなしですよ? なんと! アイドル兼プロ雀士のあの人が!」

憧「え!? アイドル兼プロ!?」

まこ「まさか……!」

和「は、はやりんが……!?」

泉「あ、すみません。 そんなに期待しないでください。 ぶっちゃけいちごなんで」

いちご「その言い方はおかしいじゃろ!?」

誠子「あ、我慢できずに出てきちゃったか……」

泉「いや、はやりんファンいるみたいだったんで……あんまりハードル上げて出てきてがっかりムードになったらかわいそうやなーって……」

いちご「……そりゃまあそうじゃけどな……」

宥「いちごちゃん! 来てくれたの!?」

いちご「……うん! 宥ちゃん久しぶりじゃなあ! ちゃちゃのんもそこそこ忙しいんでちょっとしたら戻らないとなんじゃけど……誕生日おめでとうね!」

宥「ありがとう! 本当にうれしい!」

609 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/24(月) 02:29:57.80 ID:Dm/jED5R0

誠子「どうも、お久しぶりです! お元気そうでなによりですけど……」

いちご「うん、そんなに心配せんでもちゃちゃのんは大丈夫じゃよ? 二軍とはいえプロ入りできたし、客寄せ枠は否めないけどたまに上の試合にも出してもらえるし……なんちゃってタレント活動みたいなんはやっぱりちょっと苦手じゃけどな」

泉「あとはチャンスをいかに活かせるかですね……ま、いちごは実力あるんやしうまいこと流れに乗れればひょいひょいっと上に行けるってこともあるんやないですかね」

宥「自信持って頑張って! 客寄せになってるってことはやっぱり人気もあって期待されてるってことなんだから、ね?」

いちご「そうじゃな……やっぱり上と戦うんはキツいんじゃけど、そこでしっかり勝てなきゃどうにもならんけぇね。 ちゃちゃのんもがんばるけえ、みんなもしっかりせんとダメじゃよ? 特に泉! あんたも千里山のトップになるんじゃからな? 半端な闘牌じゃ下はついてこんぞ?」

泉「わざわざ言われんでもわかってますって。 私だってこれでも一年からレギュラー張ってるんやで? 秋期や関西大会からしっかり結果出していくんで……」

まこ「ほう……ちゃちゃのんじゃな。 知り合いなんか……」

和「誰ですか?」

憧「……知らないの? 去年もインハイ出てたじゃん」

まこ「なんて言ったらわかるんじゃろ……ほれ、去年の広島鹿老渡高校の中堅で……姫松の愛宕に清老頭喰らった……」

和「ああ……そういえばそんなこともありましたね」

いちご「……その話はもうええじゃろ? いつまで言われるんじゃ……」

誠子「…………はは、一回ついた大きな印象ってなかなか消えないんですよね……それに、役満なんて特に派手ですし……はぁ……」

宥「ああ……赤土先生もプロに行ったのに未だに言われてるもんね、阿知賀のレジェンド……」

穏乃「まあ、阿知賀のレジェンドはカッコいいからいいとして……」

宥「え?」

穏乃「え?」

灼「ハルちゃんはカッコいいよ」

宥「あ、うん……赤土先生はカッコいいよね」

……赤土先生はともかく……レジェンドってカッコいいのかな?

灼「語感はいいと思うけど……けどね」

宥「だよねぇ…………あれぇ? 私、口に出してた?」

灼「いえ……でも、なんとなく……わかりますよ」

宥「えぇ……やっぱり灼ちゃんすごいなぁ……なんでわかっちゃうの?」

憧「愛?」

灼「……じゃ、それで」

宥「愛かぁ……えへへ、愛かぁ……」

……やっぱり、灼ちゃんはあったかいなぁ

灼「むしろアツアツな感じで」

あ、また読まれちゃった……

610 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/24(月) 02:30:56.64 ID:Dm/jED5R0

怜「こらこら、私の宥ちゃんをたぶらかすのは許さんで? その太ももは私のもんや!」

灼「……私の方が付き合いも長いですし。 それに……私の、だなんて……こちらとしても園城寺さんみたいな体目当ての人はちょっと……」

怜「……いやいや、そんな体目当てだなんて人聞きの悪いこと言わんといてや」

灼「とか言いつつ流れるように太ももにダイブしてますし」

怜「仕方ないやん、私病弱やし」

宥「怜ちゃん病弱だから〜」

灼「……とりあえず、学校いる時はちゃんと見てあげててくださいね。 心配なんで」

怜「まかせとき」

宥「……あれぇ?」

泉「……いや、でも実際心配ですって……嫌だったらちゃんと言ってええんですよ? なんなら私から園城寺先輩に言いますよ?」

怜「一応言っとくけど、私は泉になにか言われたくらいで宥ちゃんとその太ももを手放したりはせんからな?」

泉「あ、やっぱり直接言ってもらった方が早そうです」

いちご「弱いな!?」

誠子「先輩に逆らえない感じはわかるけどね……千里山も厳しそうだし……」

宥「大丈夫だよ? 私、別に嫌じゃないから……」

怜「ほらな? だいたい私はこうやって宥ちゃんの太ももから生きる活力を貰ってるんやから引き離そうとか考えんといて! 下手したら死ぬで!」

泉「……宥さん、マジであんまり甘やかさんでくださいね……つうか清水谷先輩はもうアレですか? 飽きたんですか?」

怜「……竜華はな、もはやレアキャラやねん。 遭遇率低すぎるんや……泉だってほとんど会っとらんやろ?」

泉「そりゃまあ……清水谷先輩、プロ行っちゃってめっちゃ忙しいやないですか。 いちごと違って」

いちご「ちゃちゃのんだってかなり忙しいわ! ここに来れたのかて超ラッキーレベルじゃぞ!? たまたま関西圏におったからよかったものの……」

宥「忙しいのにわざわざ来てくれたんだね……」

いちご「ん? 会いたくて来とるんじゃからええんよ? なんだかんだでちゃちゃのんも疲れがたまっててのう……宥ちゃんに癒されに来たんじゃ〜」

宥「わわっ」

611 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/24(月) 02:32:08.27 ID:Dm/jED5R0

背中からいちごちゃん。 膝の上には怜ちゃん。えへへ、あったかいなぁ

いちご「……宥ちゃん、相変わらず厚着じゃなぁ」

宥「うん……ご、ごめんね? 暑かった?」

いちご「まあちょい暑じゃけど……これでこそ宥ちゃんって感じじゃしな」

誠子「宥さんが薄着してたらむしろ心配になりますよね……」

漫「あ、冷房強めます?」

穏乃「大丈夫です!」

憧「それやるとむしろ宥ねえ危ないしね」

まこ「……本来ならそれだけ厚着しとる方がおかしいはずなんじゃがなあ……」

和「寒がりで説明できるレベルではないと思うんですが」

宥「えぇと……そう言われても、どう言えばいいのか……というより私もよくわかんないし……」

灼「宥さんが厚着するだけなら別に回りに迷惑かからないしいいんじゃないかな。 厚着するだけなら」

まこ「そうじゃな。 厚着するだけならのう」

宥「……そ、そうだよね。 厚着するだけならね……」

……これって、暗に暖房器具使いすぎるのやめてって言われてるんだよね……?

怜「たしかに、宥ちゃん厚着やもんなあ……あんまり着込んでるからこうしてると顔が見えんわ」

憧「……それは胸のせいでしょ」

玄「お姉ちゃんおもちだからね」

泉「はぁ……少し分けてもらいたいぐらいですわ」

憧「ね……」

612 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/24(月) 02:33:12.64 ID:Dm/jED5R0

いちご「というか! さっきからちゃちゃのんの宥ちゃんにセクハラすんのやめんか、園城寺!」

怜「ごめんなぁ? 宥ちゃん嫌やった?」

宥「え、えっと……ちょっと恥ずかしいけど、別に……」

怜「宥ちゃん嫌がっとらんやん。 つまりこれはセクハラじゃないんや! ちょっとしたスキンシップや! そんなことより、宥ちゃんは
私のもんやって言ったやろ? 竜華を失った今、私は宥ちゃんの太ももに癒されんと生きていけないんや……病弱やからな」

泉「いやいや、勝手に清水谷先輩殺さないでくださいよ……」

誠子「病弱も関係ないですよね」

宥「え? 関係ないの?」

まこ「関係ないのう」

穏乃「関係ないんだ……てっきり宥さんの癒しパワーで体が良くなるのかと……」

和「そんなオカルトありえません!」

いちご「まあ、ちゃちゃのんも今日は宥ちゃんのお姉ちゃんセラピーで癒されに来た身じゃから気持ちはわかるがのう……」

玄「お姉ちゃんセラピー!?」

灼「効きそう」

憧「……いやいや、さすがにないっしょ……ないよね?」

怜「いやーほんと効くわ宥ちゃんの膝枕。 これで今日一日は頑張れるわー」

憧「意外と頑張れない!?」

玄「そこはせめて一週間とか……」

怜「そんなに効いちゃったら毎日膝枕してもらえんやろ?」

泉「なるほど」

誠子「納得できるようなできないような……」

いちご「……ちょっと、園城寺? 交代じゃ交代。 次はちゃちゃのんの番じゃ」

怜「は? なに言うてんの? 宥ちゃんの太ももは私のもんや! 誰にも渡さんで!」

いちご「ちょっとくらいええじゃろ! あんた毎日大学で会っとるんじゃから! ちゃちゃのん滅多に会えないんじゃぞ!?」

怜「駄目や! 宥ちゃんの太ももは私の……」

宥「怜ちゃん! もう、いちごちゃんに意地悪しないで? そんなこと言ってたらもう膝枕してあげないよ?」

怜「交代や。 5分交代な」

いちご「それでもええけど、あんたも5分で交代じゃぞ?」

怜「な、なんやて……!? い、いったいどうしたら……!」

613 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/24(月) 02:34:31.70 ID:Dm/jED5R0

灼「とりあえず順番に並んで交代制で……はい、整理券」

憧「……それ今作ったの?」

灼「ん……いる? 二番の券」

憧「い、いらないわよ! っていうかさりげに一番キープしてるし!」

玄「あ、私もほしいなぁ」

灼「はい、二番ね」

玄「ありがとう灼ちゃん!」

誠子「……松実はそれこそいつでもできるだろ?」

玄「えへへ……でもほら、私だってたまにはお姉ちゃんに甘えたいと言うか……」

憧「玄は大抵宥ねえに甘えっぱでしょ」

穏乃「灼さん灼さん! 私もほしいです!」

灼「はい、三番」

穏乃「やったあ! 宥さん、玄さんの次は私ですよ?」

宥「うん、わかった〜」

怜「ちょ、ちょ! 勝手になにやっとるん!? 私も! 二、三枚ちょうだい!」

灼「一人一枚、使ってから次の券を……」

怜「泉! 受け取って私に譲って!」

泉「は? いや、そしたら自分で使いますけど」

灼「譲渡不可です」

怜「くっ……おとなしく順番待ちするしかないんか……!」

まこ「大人気じゃのう……和も貰わなくてええんか?」

和「わ、私は別に……その、染谷先輩はいいんですか?」

まこ「柄じゃないんでのう……甘えるよりも甘えられる方が得意なんじゃ。 ほれ、なんなら膝貸しちゃろうか?」

和「ひ、人前でそういうのは恥ずかしいですから……あの、帰ってから……その……」

まこ「ふふ……今日の和はいつもに増してかわええのう」

穏乃「へへ、和の甘えん坊〜」

和「なっ! し、穏乃に言われたくありません!」

穏乃「へへーん、私はいいんだよー」

漫「あの、店内であんまり騒ぐのは……」

怜「この店いっつもうるさいやん」

泉「ええやないですか、どうせ今うちらしかいませんし……とりあえずそういうのはまず洋榎さんに」

漫「……言って聞くなら苦労はないんやけどな」

614 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/24(月) 02:35:31.41 ID:Dm/jED5R0

いちご「はぁ……これ、ヤバいな」

怜「ヤバいやろ?」

いちご「宥ちゃんの膝枕……ヤバい。 昇天する……」

宥「えぇ……?」

いちご「あ、ほんとヤバい……ちょ……眠くなってきた……」

宥「いちごちゃん? これからお仕事なんでしょ? 寝ちゃダメだよ〜」

いちご「うぅ……でも、膝枕されとったら確実に起きれん……かといって起き上がるには引力が……」

宥「引力!?」

怜「ふふ、離れられんやろ? これが私の宥ちゃんの恐ろしさや……!」

いちご「離れられん……さすが私の宥ちゃんじゃ……」

玄「私のお姉ちゃん、すっごくあったかくってなかなか離れられないんですよね〜」

まこ「……地味に争っとるのう」

灼「私の宥さん人気者だから……」

和「さりげなく参戦しましたね」

憧「もう……ほら、佐々野さん! さすがにマズいですって! 時間にルーズだと麻雀打つ場所すらなくなっちゃいますよ!」

いちご「む! そ、そうじゃったな……危ない危ない……」

灼「憧も妬いてるし……」

穏乃「結構やきもち焼きですからね、憧は」

憧「違うって! そういうのじゃないから!」

いちご「そろそろ帰らんとなぁ……それじゃあ、せめてしっかりお祝いぐらいしてから……」

泉「いちごが宥さんのために歌います!」

いちご「はい!? なんじゃその無茶振りは!?」

泉「これくらい普通やろ?」

怜「関西なら当然や」

和「関西って怖い所なんですね……」

誠子「わざわざ関西に偏見持たれるようなことしなくても……」

泉「さあさあ! いちごが歌いますよ〜」

怜「そしてその歌に合わせて泉が踊るでー」

泉「はい!? なんですかその無茶振りは!?」

怜「これくらい普通らしいで? な?」

穏乃「らしいですね!」

憧「身から出た錆……」

いちご「自業自得じゃな」

泉「ぐ……ぐぬぅ……」

615 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/24(月) 02:36:19.09 ID:Dm/jED5R0

宥「いちごちゃんが歌って泉ちゃんが踊ってくれるの?」

怜「そうや。宥ちゃんのためにな」

宥「えへへ、うれしいなぁ」

泉「……なんか引っ込みつかない感じになってますけど」

いちご「泉のせいじゃろ……このアホ」

泉「いちごに言われたくないですわ」

誠子「……あのさ、せっかく久しぶりに会えたんだしもうちょっと仲よくしようよ……」

宥「ふふ、ああしてる方がらしいと思うけど」

誠子「……まあ、それもそうですかね」

いちご「まあ、仕方ないかのう……Happy birthday to you〜♪」

泉「え!? 打ち合わせもなしに!? つーか私その歌に合わせて踊らなあかんの!?」

いちご「Happy birthday to you〜♪」

泉「え!? 無視!? 続けるん!?」

怜「あっはは! なにやってんや泉! はよ踊らんと!」

泉「えっ? えっ?」

誠子「……案外アドリブ弱いなぁ」

泉「いや、これはさすがに難易度がですね……!」

いちご「Happy birthday dear 宥ちゃ〜ん♪ Happy birthday to you〜♪」

玄「お姉ちゃんおめでとう!」

穏乃「宥さんおめでとうございます!」

憧「おめでと宥ねえ!」

灼「おめでと」

怜「宥ちゃんおめでとなー」

まこ「おめでとう!」

和「おめでとうございます」

誠子「おめでとです!」

泉「おめでとうございます宥さん!」

宥「みんな……ありがとう!」

616 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/24(月) 02:37:39.70 ID:Dm/jED5R0

漫「おめでとさんです! とりあえずもう焼けてるんでそろそろ食べたらどうです?」

宥「いただきまーす」

怜「にしてもアレやな。 泉はちょっと反省会やな」

いちご「泉はやり直しじゃな。 宥ちゃんのためにも」

泉「え!?」

いちご「後で動画撮って送ってな」

宥「うん! わかったよいちごちゃん!」

泉「宥さん!? あれ!? これもうやらなアカンの!?」

穏乃「大丈夫です! 二条さんならできますよ!」

和「すごいんですね、二条さん……私だったら急に踊るだなんて……絶対に無理です……」

泉「…………」

泉「できるに決まってるやろ! はっはは! 原村! これで私の一勝やな!」

憧「……なんなの? この……なんと言うか……」

誠子「……なんか既視感があると思ったら……淡とか弘世先輩を思い出すなぁ……」

憧「……それかあ」

まこ「……あんたも苦労しとるんじゃなあ」

誠子「はは……まあね……」

617 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/24(月) 02:39:04.38 ID:Dm/jED5R0

穏乃「よぉし、私も負けてらんない! 二条さん! 宥さんのためにも頑張って踊りますよ!」

泉「よっしゃ! 高鴨、早速打ち合わせや!」

憧「しずも一緒にやるの!?」

穏乃「憧もやる?」

憧「やらないわよ!」

玄「はい、お姉ちゃん。 取り分けたよ〜」

宥「ありがとう玄ちゃん」

灼「お食事時だし膝から離れて……というか、順番守ってほし……」

怜「む、バレてもうたか……」

いちご「はぁ……そろそろ行かんとなぁ……宥ちゃん! 本当におめでとな! これ、プレゼント! 帰ったら開けてな!」

宥「うん! ありがとういちごちゃん! 会えてうれしかったよ!」

いちご「こちらこそ……宥ちゃんや……みんなと会って元気もらったけえ、しっかり雀士として認められるように頑張るけぇね!」

宥「うん! 応援してるから!」

……昔から、ちょっと人見知りでお友だちを作るのが不得意だったから……こうして素敵な誕生日を迎えられたことがとってもうれしい

たくさんの「おめでとう」と、たくさんのプレゼント、そしてたくさんの素敵なお友だちに囲まれて……

今日もまた、とってもあったかい気持ちになったのでした

カン!

618 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/24(月) 02:45:54.03 ID:Dm/jED5R0
改めて宥たんイェイ〜


>>583久々に1対1もいいかもしれませんね…ってわけで1対1でなんか希望の組み合わせとかあれば募集します。今まで通り適当に拾います
じきに龍門渕ラッシュ来ますが全員分はさすがに手が回らないので…イェイ〜するなら誰がいいでしょう?ともきーだけ離れてるのってこういう時得してるのか損してるのか…
619 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/24(月) 03:03:07.27 ID:qc9RaAQro

ふともももイェイ〜
620 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/24(月) 03:38:36.10 ID:s18/8uQa0
もんぶち誕生日というと
咲日和のEDは爆笑からの謎感動だった
実に見事なみのりんの無駄遣い

宥姉を思いっきり甘やかしたい乙
621 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/24(月) 11:34:03.14 ID:/QU9muMP0
おつやっぱりまこは天使やったんや…

宥姉と爽かな
いちごの一件でお互い苦手だろうけど最新話で爽さん宥姉と同じ能力使ってたしね
622 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/24(月) 11:34:31.00 ID:/QU9muMP0
ageてしまった申し訳ない
623 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/24(月) 14:56:12.96 ID:9DHaRB5Xo
乙おめ
素敵な誕生日になって何よりだなまんちゃんは悲惨だけどww

初心に戻ってあらたそと揺杏もしくは出番が少ないキャラで
そろそろすこやんとサシでやりあうのもいいかも
624 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/24(月) 18:11:03.47 ID:jCCbBp9AO
乙です…
1対1…
其れでしたら…透華お嬢様と灼ちゃーで如何でしょうか?
625 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/24(月) 18:34:36.17 ID:MGZa1v3AO
乙乙宥たんイェイ〜
626 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/24(月) 19:33:56.13 ID:rDr52229O
乙です
627 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/24(月) 23:38:18.00 ID:1mFzwS/p0
>>620日和はほんとよかったですよね。フルだといまいちなことに定評がありますけどなかなかよかったと思います。OPも智美ちゃんや華菜ちゃんの扱いが流石でしたわ。お姉ちゃんしてる池田ほんと好き
>>621染谷先輩大好きなのになかなか見かけなくて辛い…ここ一年で染谷先輩一番書いてるの自分なんじゃないかって勘違いしそうになるレベルで見ない…
不人気扱いされてるけど潜在的需要はそこそこあると思う…のも自分が好きだからなのかなー

染谷先輩主役の安価スレとか立てたいぐらい好き。清澄をインターハイ優勝に導くためにメンバーと会話してメンタル面のケアをする世話焼きスレとか。
強力なメンバーが揃って浮かれ気味、インハイへの気持ちが強いが故に放置するとキツめの練習メニューとか組みまくって回りを疲弊させてしまう久
構いすぎるとちょっと距離を取られちゃうけど、あんまり放っておくと姉との問題で悩みすぎてだんだん調子を落とす咲
反対に優希は構えば構うだけ調子を上げていくけど、やり過ぎると自分も構ってほしいし、その上親友を取られた気分になった和が拗ねたり
一人だけ初心者でレベルの差に悩む京太郎の世話を焼いてるとそこまで手の回らない久にも感謝されるけど、やり過ぎると久に大会への気持ちを疑われたり、かといって京太郎を放置しすぎると咲が上級生に不信感を持ったり……みたいな、めんどくさいスレ。楽しいの僕だけですね

八月中に一回は投下したいです。一対一のネタにしようかなと
日付変わる前に最後の宥たんイェイ〜

628 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/25(火) 01:57:32.14 ID:kgNl8t7m0
>>627
なにそのスレ超みたい

一対一の希望は宥ねえと淡かな
その他の希望としては未来のことになるけどインカレとかプロ入りの交渉とかみたいです。
629 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/25(火) 07:40:52.89 ID:k6MWPPm8O
>>267
なにそれ面白そう
630 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/28(金) 23:36:52.73 ID:8+AFooB10
1対1だと晴絵と船Qのデータ麻雀コンビが見てみたい
船Qの理想って、多分晴絵みたいな気がするし、灼を介して準決勝の因縁もあるし
631 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/29(土) 23:34:12.12 ID:uVuc030AO
ふんふむ…
透華お嬢様と灼ちゃーと言いましたが…
宥姉と洋榎姉って言う姉同志の絡みや…
玄ちゃーと絹ちゃんの妹同志の絡みも見たく成りましたね…
632 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/30(日) 02:47:29.38 ID:Zc2tEur40
システム整備とかできたら染谷先輩スレはマジで建てたいっす。時間ないしここもあるからなかなか余裕なさそうですけど
まこに限らず清澄はほんと好きなんですけどねー

シノハユで株爆上げ中のハルちゃんほんと好き。ほんとかっこいい

投下。宥淡。ハルちゃんと誠子ちゃんもちょっと
633 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/30(日) 02:48:29.66 ID:Zc2tEur40


妹っていうものは、とってもかわいいものなのです


つまり、妹みたいな子っていうのもとってもかわいいものなのです


634 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/30(日) 02:49:19.86 ID:Zc2tEur40

宥「…………」

宥「……………………」

宥「…………………………」

宥「……ねむぃ……………………」

宥「……くろちゃん……? くろちゃん居る…………?」

宥「……くろちゃーん」

宥「…………んにゅ……むー…………」

宥「……あ、けーたい…………」

玄『今日は少しお出かけしてきます。 お姉ちゃんはおねむみたいなのでゆっくり休んでてね!』

……携帯の時計は、11:32の表示。 これは、どう考えても……

宥「……寝過ぎちゃった」

そのまま携帯電話をチェックすると、穏乃ちゃんも憧ちゃんも灼ちゃんもお出かけしてるみたいで……

宥「……置いてかれちゃった……?」

……まあ、仕方ないんだけど。 みんな一回起こしに来てくれた気がするんだけと、結局寝ちゃったし……むしろわざわざ連絡して行ってくれたし、いつ合流してもいいって言ってくれてる。 うれしいことだ

晴絵「宥ー? そろそろ起きてるかー?」

宥「あ……赤土先生……おはようございます〜」

晴絵「おはよう。 もう昼だけどな……ったく、麻雀打ってるときは頼りになるのに普段は少しのんびりしすぎじゃないのか?」

宥「あぅ……ごめんなさぃ……」

晴絵「いや、別に怒ってるんじゃないんだけどな? 昔からだし、自分のペースを守れるのは長所でもあるしな。 それに、そういうのんびりしてるとこもかわいいと思うけど」

宥「そ、そうですか……?」

……えへへ、撫でられちゃった

晴絵「……なぁにうれしそうにしてんだよっ! このっ、かわいいやつめ!」

宥「えへへ、赤土せんせー……ふふ、くすぐったいですよぉ」

635 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/30(日) 02:50:10.75 ID:Zc2tEur40

――――――

晴絵「……しまった。 あまりにも楽しくて宥とじゃれすぎた……」

宥「えへへ……私も楽しかったですけど……ふふふ……」

なんだか、昔を思い出しちゃった

お母さんに麻雀を習いに来る晴絵お姉ちゃん。
よく玄ちゃんと一緒になって麻雀教えてもらったり、遊んでもらったりしたっけ

晴絵「ヤバいヤバい……ちょっと出てくるからさ、ひとりで大丈夫か?」

宥「へへ、もう……私、高校三年生ですよ?」

晴絵「はは、そうだったな。 悪い悪い……んじゃ、行ってくるよ」

宥「いってらっしゃい、赤土先生」

晴絵「ああ、いってきます」

バタバタと慌てて駆け出してく姿に、また昔の姿が重なる



晴絵『うわ、やばいっ! もうこんな時間!? 帰らないと!』

露子『あらあら……気をつけて帰るのよ?』

晴絵『大丈夫ですよ、すぐ近くですし……また明日な、宥、玄!』

宥『うん! ばいばい!』

玄『ありがとう晴絵お姉ちゃん!』



今はもうお母さんもいないし、赤土先生のことを晴絵お姉ちゃんなんて呼べないけど……それでも、こうして一緒になにかをできるってことはやっぱりすごくうれしいことで

……私には、来年もないし……やっぱりちょっと寂しいなぁ

636 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/30(日) 02:51:09.59 ID:Zc2tEur40

ほんの少ししょんぼりして……ちょっとお腹が減ったことに気がつく

壁にかかった時計は12:08分を指している……あれ? 私、30分近く赤土先生とじゃれてたんだ……赤土先生、大丈夫かな? もしかして遅刻とかしちゃうんじゃ……

淡「どっかーん!! 来たぞー!!」

宥「ひゃあ!?」

部屋の扉が大きな音をたてて開く。 飛び込んできたのは見覚えのある金髪……白糸台の大星さんだ

淡「あれ? シズノは?」

宥「え? え? ……えーと……?」

淡「シズノは!?」

宥「え、あの……お出かけ中ですけど……」

淡「えー!? なんで!? この私が来てあげてるっていうのに!」

宥「その……今日は前からダヴァンさんとラーメン食べに行く約束してたって……聞いてるんだけど……」

……もしかして、ダブルブッキング? でも、穏乃ちゃんそういうところはしっかりしてるし……そんな失敗はしないと思うんだけどなぁ

淡「なにそれ! 私聞いてないんだけど!」

宥「あ、その……ごめんね……?」

淡「ほんとだよ! せっかく練習抜け出して遊びに来たのに! なんでこうタイミング悪いかなー」

宥「…………」

……また、急に遊びに来たのかぁ

前にも、憧ちゃんがいきなり大星さんが遊びに来てーなんて話をしていたと思うから

……まあ、そういう子なんだろうなぁ

637 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/30(日) 02:51:55.98 ID:Zc2tEur40

とりあえず、今私の言うべきことは……

宥「……ねえ、大星さん?」

淡「んー? なぁに?」

宥「練習サボったらダメだよ?」

淡「なんで?」

宥「え? な、なんで……?」

淡「私の実力は高校100年生レベルだし! っていうか最近テルーもよくお出かけしてるし、菫先輩もなんかはっちゃけてるし……私だって遊びに行ったっていいじゃん!」

宥「……え、えーと……その……」

それは、その二人もよろしくないんじゃ……

淡「そんなことより! 今日はシズノいないんでしょ? 他は?」

宥「え? 今日は私以外みんなお出かけしてるけど……」

淡「ふーん……そっかあー困ったなーせっかく遊びに来たのになー」

あ、これは知ってる……かまってちゃんビームだ

玄ちゃんや憧ちゃんの得意技……穏乃ちゃんは本当に寂しいときは遠慮がちに飛ばしてくる。 いじらしくてかわいいんだよね

灼ちゃんは受信する方が得意で、私もよくかまってもらってる……私の方がお姉ちゃんなのになぁ……

うーん……このまま追い返すのもかわいそうだし、ちょっとだけ遊んであげようかな? 誠子ちゃんもきっと困ってるし……連絡だけしておいて、後で送ってくなり迎えに来てもらうなりしよう

宥「ねえ、大星さん」

淡「なに? あ、もしかして暇なの? 私、今ちょっとだけ時間なくもないから遊んであげないこともないけど!」

宥「……? えっと……? 暇、なんだよね?」

淡「そんな感じかも!」

宥「……よかったら、私と遊んでくれないかなぁ?」

淡「へへ、仕方ないぁ! ちょっとだけだよ? 私、こう見えて忙しいから!」

638 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/30(日) 02:53:08.85 ID:Zc2tEur40

宥「ふふふ、ありがとう。 うれしいなぁ」

淡「でしょー! この淡ちゃんが遊んであげるんだから当然だよねっ!」

宥「えっと、それじゃあ……とりあえずお着替えするからちょっと待っててもらえるかな?」

淡「うん、いいよ! ……あれ? まだパジャマなの? もうお昼だよ?」

宥「…………ついさっきまで寝てたの」

は、恥ずかしい……お姉ちゃんなのに、だらしない子だと思われちゃったかなあ

宥「…………ね、大星さんはもうお昼食べた?」

淡「まだ!」

宥「そっかあ……もしよろしければご一緒にどうですか?」

淡「いいけど……奢り?」

宥「私の方がお姉ちゃんだもん。 奢っちゃうよ〜」

淡「やったぁ! 松実っていいやつじゃん! ……ところで姉妹でどっちがどっちだっけ? クロ? シロ?」

宥「えぇ? えっと……まず思い浮かべてる字が違うと思うんだけど……私は宥、お姉ちゃんの方だよ〜」

淡「ゆう……宥ね、オッケー! 準決で菫先輩ボコボコにしてたからよく覚えてるよ!」

……そのわりには名前覚えてくれてなかったなあ……

宥「……あ、大星さんはなにか食べたいものある?」

淡「んーとね、満漢全席? フランス料理のフルコースとか?」

宥「…………それはちょっと無理かなぁ」

淡「じゃあラーメンぐらいでいいよ!」

宥「ラーメンでいいの?」

淡「うん! だけどシズノが今日食べに行ったのよりおいしいやつね!」

……私よりも穏乃ちゃんやダヴァンさんの方がラーメン屋さんも詳しいと思うんだけど……どうしようかなぁ

639 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/30(日) 02:54:15.61 ID:Zc2tEur40

着替えを済ませて、大星さんと一緒に宿を出る

淡「らーめんっらーめんっ♪」

大星さんは私の後ろを鼻唄まじりにスキップしながらついてくる。 かわいいなぁ……

前に穏乃ちゃんが言ってたけれど、大星さんを見てると赤土先生の麻雀クラブの子達を思い出す……私自身はそこまで交流が深かったわけではないけれど、阿知賀の麻雀部ができてからはよく松実館や憧ちゃんの家で一緒に打ったりもしていたから……もう、みんなかわいい妹みたいなものだ

憧ちゃんなんかは、あの子達に比べたら生意気で可愛いげがない、なんて言ってたけれど……大星さんと同い年の憧ちゃんと、ちょっぴりお姉ちゃんの私とじゃあ感じ方も違うんだろうなあ

それに、私は大星さんのことを憧ちゃんよりもよく知っているからね

日課のお散歩。 時間が合えば、誠子ちゃんが会いに来てくれる。 誠子ちゃんはよく大星さんの話をする

生意気ばっかり言ってちっとも言うこと聞かないとか、協調性がないとか、いつも苦労させられてる……なんて話をよく聞く……あれ? やっぱり大星さん問題児?

……と、とにかく……誠子ちゃんが大星さんのことをとってもかわいがっているのはわかる。 とっても好きだってことも。 たぶん、手のかかる妹みたいに思ってるんじゃないかなあ

誠子ちゃんが好きな子なら悪い子なわけがない。 そして、誠子ちゃんの妹なら私の妹みたいなものだ

だいたい、この場にいない穏乃ちゃんに対抗心燃やしちゃったりとか……子どもっぽくてかわいいじゃないか

うんうん……だんだん、大星さんがよりかわいく見えてきた

私はお姉ちゃんとして、誠子ちゃんのもとに大星さんを送り届けるまではしっかり面倒見てあげないとね!

淡「あっ! ラーメン屋だ! あそこにしよっ!」

宥「うん……いいの? 適当に見つけたところに入っちゃって」

淡「もう腹ペコなんだもん! ラーメンの歌歌ってたらだんだんお腹減ってきちゃってさ!」

宥「そっかあ……それじゃあ、そこにしようか」

淡「うん! 早く行こっ! 私は一番高いやつね!」

宥「……私は別にいいけど、値段で選ぶよりもちゃんと食べたいのを選んだ方がいいんじゃないかなぁ……」

淡「そう? じゃあそうしよっかなー」

……なんか、特にこだわりもなさそうだなぁ……もしかして、穏乃ちゃんが食べに行ったって聞いてそれだけでラーメンって言ったのかなぁ……?

640 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/30(日) 02:55:17.10 ID:Zc2tEur40

とりあえず店内に入って、席に案内されて、適当に注文を済ませて、大星さんと向かい合う

……よく考えたら、ちゃんとお話しするのって今日が初めてなんだよね

なんというか……普通に昔からの知り合いみたいに遠慮なく来るから忘れてたけど

……ああ、こういうところが憧ちゃんは苦手なのかな? 憧ちゃん、打ち解けるまで意外と時間かかっちゃう子だからなぁ……

淡「……ねーねー、宥はさー」

宥「んー? なぁに?」

淡「……あ、あのさ……えっと……」

宥「……?」

淡「……宥はさ、亦野先輩と仲いいんだよね?」

宥「うん! 誠子ちゃんとはなかよしさんだよ〜?」

淡「…………ふーん」

宥「……?」

あれ? なんだろう……ちょっと複雑そうな感じ?

うーん…………あ、わかった!

宥「やきもち?」

淡「違うもん!!」

怒られちゃった

淡「なんで私がやきもち妬かなきゃいけないの! 大前提としてこれだけははっきりさせとくけど、私が亦野先輩のこと好きなんじゃなくって亦野先輩が私のこと好きなの! わかった!?」

宥「ふふふ、そうなんだぁ」

淡「そーなの! お冷やとって!」

宥「はい、どうぞ〜」

641 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/30(日) 02:56:16.25 ID:Zc2tEur40

大星さんが頬を膨らませてプンプンと怒っている。 かわいい……

宥「えいっ」

淡「うにゃ」

宥「へへ、ほっぺたやわらかーい」

むにむに。 むにむに。 うーん……これは、聞いて想像していた以上にいいものだね……

淡「むー! ちょっと! なにしてんの!」

宥「ダメなの?」

淡「ダメなの! もう、気安く触らないでよね!」

宥「えー……誠子ちゃんはいいのに?」

淡「……亦野先輩はいいの!」

宥「誠子ちゃんだけ特別なんだ」

淡「べ、別にそういうわけじゃないけど……だいたい、宥とは話すの今日が初めてじゃん!あんまりなれなれしくしないでよね!」

宥「……うん、ごめんね」

……なんだか、とっても理不尽なことを言われている気がする

淡「……まあ、いいけど! 私、心が広いから!」

宥「……ふふ、ありがとう。 大星さんは優しいね」

淡「ふふん、まあね!」

……かわいいからいいかぁ

642 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/30(日) 02:57:04.27 ID:Zc2tEur40

淡「……あのさー」

宥「なぁに?」

淡「……亦野先輩とどんな話するの?」

宥「……気になる?」

淡「別に! 気にならないけど!? 特に話題もなかったし! 聞いてみただけだけど!」

……どうやら、すっごく気になるらしい

素直なやつだけど、素直じゃないやつなんです、なんて誠子ちゃんが言ってたけど……なんとなくわかってきたかな

宥「そうだなあ……麻雀の話とか、インハイの話とか、部活の話とか……」

淡「全部麻雀じゃん」

宥「ふふ、たしかにそうかも……そうだなあ、私は誠子ちゃんのお話を聞いてる方が多いから……釣りのお話とか」

淡「亦野先輩、釣り好きだもんね。 釣りよりも私の方が好きだけど!」

宥「ふふ……うん、そうだね。 一番聞くのは大星さんのお話かなあ」

淡「……私? 亦野先輩私の話するの?」

宥「うん、たくさんお話聞いてるよ?」

目を丸くして驚いている。 どうやら意外だったらしい

淡「本当に?」

宥「本当だよ?」

淡「……ふーん」

あ、今度はちょっぴりうれしそう

淡「亦野先輩ったらほんと私のこと好きなんだから! まったく、ふふん、困っちゃうなー」

ニコニコしてるから、たぶんすっごくうれしいんだろうなあ……言葉は素直じゃないけど、顔の方は素直に感情が出ちゃうらしい

643 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/30(日) 02:57:49.88 ID:Zc2tEur40

淡「で? なんだって? どうせ淡は強くて頼りになるなー、とか! 淡は超かわいいなー、とか! そんな話だろうけど!」

宥「そうだねぇ……だいたいそんな感じかなあ」

言葉の上ではともかく、内包してる感情的にはそれでだいたい合ってるはずだ。 誠子ちゃん、愚痴を言うにしても優しい表情してるもんね

淡「……ほんとに?」

宥「ほんとだよ〜」

淡「そっか……へへ、そっか!」

今度は言葉も顔もうれしそうだ。 なんだろう、もう……かわいっくて困っちゃう。 なでなでしてあげたくなる

宥「誠子ちゃん、大星さんのこと大好きだから」

淡「だよね! ふふん、そうだと思ってたけど! まあ? 私ぐらいかわいくて麻雀も強いと? そりゃあね! 亦野先輩もたかみーも菫先輩もテルーも私のこと大好きになっちゃっても仕方ないけど!」

宥「大星さんも虎姫のみんなのこと好き?」

淡「……まあ、嫌いじゃないけど? 辛うじて好きかも? 好きって言ってもみんなが私を好きな程じゃないけど!」

宥「そっか、好きなんだぁ」

淡「ちょっと! ちょっとだけね! そこんところ勘違いしたらダメだから!」

宥「はいはい、そうですね〜」

淡「そーなの! あ、ラーメン来た! お箸とって!」

宥「はい、どうぞ……あ、待って、ダメだよ、ちゃんといただきますしてね?」

淡「いただきまーす!」

宥「召し上がれ〜」

644 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/30(日) 02:58:34.55 ID:Zc2tEur40

私もおしぼりで手を拭いてから、いただきます

まずはレンゲを手にとってスープを一口いただく……うん、おいしい

ラーメンはあったかいし結構好きなのです

大星さんも私の目の前でとってもおいしそうにトッピングの味玉を頬張っている……真っ先に味玉食べる子ってはじめて見たかも

宥「……ねえねえ、大星さん」

淡「んー? なになに? ラーメンおいしいよ?」

宥「あ、うん、おいしいね! ……えっと、大星さんは私が誠子ちゃんと仲いいの知ってたんでしょ? 誠子ちゃん、大星さんに私の話とかするのかなあ?」

淡「……するけど」

あらら……ちょっと機嫌悪そう。 聞かない方がよかったかな?

……でも、ちょっと気になるしやっぱり聞いちゃおうかな

宥「……どんなこと言ってたのかな?」

淡「……別に! 知らない!」

宥「……やっぱりやきもち?」

淡「違うもん! 絶対違うもん!!」

またまたほっぺたを膨らませて怒ってる。 かわいいなあもう……もう一回ほっぺた触ったらやっぱり怒られちゃうかなあ

宥「……あ、大星さん味玉食べる?」

淡「食べる! ありがとー!」

……なでなでするだけなら怒られないかなあ

645 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/30(日) 03:03:37.93 ID:Zc2tEur40

淡「……亦野先輩はさー」

宥「うん」

淡「宥のことけっこうお気に入りみたいでさー」

宥「うん」

淡「……この前、尭深のお茶と宥さんだけが癒しだって言ってた」

宥「……えへへ、そっかあ」

淡「……この超完璧美少女の淡ちゃんがいるのに! もう、おかしいじゃん! そんなの!」

宥「……誠子ちゃん、大星さんにも癒されてると思うんだけどなあ」

淡「……そう? 本当に?」

宥「だって、私には大星さんのお話ばっかりしてるもん。 直接言うのが照れくさかったんじゃないかなあ」

淡「……そっか! そーかも!」

宥「そうだよ〜」

淡「だよねー!」

……もう機嫌なおっちゃった。 これはちょっと癖になるかわいさかも……穏乃ちゃんとか憧ちゃんとはまた違ったかわいさだよね

646 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/30(日) 03:05:14.89 ID:Zc2tEur40

しかし、大星さんがかわいくって、誠子ちゃんが大星さんに癒されていたとしても……誠子ちゃんが大星さんのことで苦労もしているのは事実だ

私はお姉ちゃんとして、誠子ちゃんのためにも、大星さんのためにも……ここはビシッと言ってあげないと!

宥「……大星さん、少し話があるんだけど……ちょっと聞いてもらえるかな?」

淡「うん! なに?」

宥「あのね……私、やっぱり練習抜け出したりするのはよくないと思うの。 誠子ちゃんも心配してたよ?」

淡「……別にいいじゃん。私、強いし」

宥「そういう問題じゃなくって……練習は嫌い?」

淡「……嫌いってわけじゃないけどさ」

宥「うん」

淡「…………団体戦で」

宥「…………」

淡「…………やっぱりこの話したくない」

宥「……そっか」

淡「…………ラーメンおいしいね」

宥「うん、おいしいね」

淡「…………」

宥「…………」

淡「なに!? もう! 聞くなら聞けばいいじゃん! そんなに見られてると気になるんだけど!」

宥「え? え、あの……ごめんね?」

淡「もう、いいよ! 話してあげるから! 仕方ないなあもう!」

……そんなにじっくり見ちゃったかなあ?

それとも、もしかして本当は話したかった? いや、話したかったというよりは聞いてほしかったのかな?

647 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/30(日) 03:06:54.36 ID:Zc2tEur40

淡「……団体戦で……白糸台……うちは、私は……サキに、ちょっとばかしやられて……負けちゃったじゃん?」

宥「……うん」

淡「あ、それでもシズノとネリーには勝ったし! 個人戦ではサキにも勝つし! 実質私が最強だけど!」

宥「うん」

淡「それでも……負けちゃったじゃん?」

宥「…………」

淡「私、大将だし……もしみんながボコボコにされてもさ、最強の私が全部ボコボコにしちゃえば優勝はうちだったからさ……」

宥「……責任を感じてるの?」

淡「ちょっとはね……みんな、団体戦なんだから私のせいじゃなくってみんなの力が足りなかったからだって言ってたけど」

宥「うん、私もそう思うな」

淡「でも……私は、負けちゃダメだったんだもん。 私は強くないといけなかったから……」

宥「……どういう意味?」

淡「私さ、麻雀強いじゃん?」

宥「うん、それは間違いないよ」

淡「麻雀、面白いよね? 宥だって楽しいよね? 楽しいから麻雀やってるんだよね?」

宥「そうだね。 私は麻雀大好きだし、楽しいよ」

淡「そうだよね……」

648 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/30(日) 03:08:32.70 ID:Zc2tEur40

淡「……私もさ、昔から麻雀好きで……天才で超強くて、打つのも楽しかったんだけどさー」

ここで、大星さんはため息をひとつ。 お冷やをぐいっと飲み干して、もうひとつため息。 大きく深呼吸して……ここでちょっぴりむせたからお冷やを注いで渡してあげる

淡「けほっけほっ……あ、ありがと」

宥「気にしなくていいよ……大丈夫?」

淡「うん…………はぁ」

淡「……みんなはさ、私と打つのつまらないんだって」

宥「……つまらない?」

淡「そ。 私が強すぎて勝てないからつまらないんだって……酷い話だよねー……そんなの、弱い方が悪いのに」

淡「……なんか、そういうので私も嫌になっちゃってさー……中学の終わり頃にたまたまテルーに会って……そこで拾われるまでは麻雀一回やめてたんだよね」

淡「テルーや菫先輩はさ、私と打つの楽しいって……本当に強いやつらは私と打つのも楽しいんだって言ってくれたから……実際、インハイ出てさ、サキやシズノは楽しかったって言ってたし、私も楽しかったし……そういうライバルもできたけど……」

淡「あ、アレだからね? ライバルって言っても私の方が強いから! まあ、あのレベルなら私のライバルにしてやってもいいかなー的なやつだからね!?」

宥「ふふ……うん、わかってるよ」

淡「ならいいけど! ……でさ、やっぱり一年生にして超天才で超美少女の私がインハイ王者のテルーと一緒にいたりするとさ、雑魚どもが嫉妬とかしちゃうわけ。 私のさいのーとかびぼーとかに!」

宥「それは大変だね……」

淡「くだらない嫌がらせとかもあったけどさ、結局そういうのは……結果出しちゃえばなんも言えなくなるんだよね。 あいつらがどれだけ私のこと気に入らなくても、私が勝ち続けてれば、あいつらなんもできないんだからさ」

淡「つーかさ、努力の方向性が間違ってると思わない? 私に負けて悔しいなら勝てるように練習すればいいのにね? ま、雑魚どもがどれだけ頑張ったところで私に勝てるわけないけど!」

……こういう物言いが気に入らない子が多いのかなあ? やっぱり、ちょっぴり問題児かも
649 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/30(日) 03:09:24.46 ID:Zc2tEur40

淡「白糸台はなんかチームとかいっぱいあって……前に亦野先輩がいろいろ教えてくれたんだけど忘れちゃった。 まあなんか理由があってそういう形みたいだけど……インハイとか、大会は一番強いチーム……つまり、私たち虎姫が出るから……勝ってる間はなんも言われないけどさ、やっぱりちょっと成績悪かったりするといろいろ言われるわけ」

淡「……準決勝の後の亦野先輩とか」

宥「…………」

淡「ちょっと一回調子悪いぐらい誰でもあるよね! だいたい、二回戦ではシローズにも稼ぎ勝ってたんだしさ……でも、やっぱり一回やられるとね……」

淡「だから、そういうやつらを黙らせるためにも……一回失敗したぐらい私が取り返せるって証明して……私がしっかり勝たないとダメだったのに……」

宥「……それなら、なおさら練習頑張らなきゃ」

淡「わかってるもん! ……でも、でもさ……ちょっと……みんなと合わせる顔がないっていうかさ」

宥「きっと、みんな気にしてないよ」

淡「それでも、私が気にするの!」

淡「私は……なんか、いろいろ言われるのも慣れてるけどさ、亦野先輩はいい人じゃん。 文句言われたりとか、そんなの似合わないよ」

宥「……大星さん、誠子ちゃんのこと好きだよね」

淡「別に! …………でも、亦野先輩……私と打つの楽しいって言ってくれたから……」

宥「……ふふ、そっか」

淡「うん……それに……いろいろ、面倒見てくれてるのもわかってるし」

宥「……あんまり心配かけちゃダメだよ?」

淡「いいの! 急にいろいろやり方変えたりできないもん……それに、亦野先輩だって後輩は先輩に甘えていいって言ってたし!」

宥「ふふ……そんな遠回しに甘えるよりも、直接的に甘えてあげた方が誠子ちゃんに優しいと思うけど」

淡「……恥ずかしいじゃん、そんなの……高校100年生にもなってさ」

宥「そう? 私はいいと思うけどな……お姉ちゃんとしては、妹に甘えられるのうれしいもん」

淡「……私たち別に姉妹じゃないし」

宥「そうかな? 似たようなものじゃない?」

淡「……そうだったらいいけど」

650 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/30(日) 03:10:39.32 ID:Zc2tEur40

宥「……大星さんが誠子ちゃんのことお姉ちゃんみたいに思ってるなら、そうなんだと思うけど」

淡「そう? それじゃあ……」

宥「……どうしたの?」

淡「……やっぱり今のなし! なんか違うじゃん! 私が亦野先輩大好きみたいじゃん!」

宥「え? 大好きでしょ?」

淡「違うの! 私が亦野先輩のこと好きなんじゃなくって、亦野先輩が私のこと好きなの!」

宥「そこ、そんなに拘るところ?」

淡「大事なとこでしょ!」

宥「そうかなぁ……じゃあ、宮永さんとかは? 好き?」

淡「テルー? 好き! 大好き!」

宥「…………うーん」

そこの差がわからないなぁ……大星さんの中でなんらかの線引きがあるのかもしれないけど……

宥「……弘世さんは?」

淡「菫先輩? 菫先輩も私のこと大好きだよ!」

宥「……尭深ちゃんは?」

淡「たかみーも私のこと大好きなんだよね! ほんと困っちゃう!」

宥「……大変だねぇ」

淡「私、かわいいから! 仕方ないよね!」

宥「…………」

……簡単なようで難しい子だ

651 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/30(日) 03:12:03.19 ID:Zc2tEur40

淡「あのねー」

宥「?」

淡「ほら、テルーは私よりもちょっと強いから」

宥「……うん?」

淡「で、私がその次に強いの!」

宥「……ふむふむ」

淡「菫先輩やたかみーに亦野先輩は、その次ぐらいに強いから虎姫でー」

宥「うんうん」

淡「それで、サキやシズノとかネリーが私よりもちょっとばかし落ちるけどライバルでー」

宥「なるほどー」

淡「で、あとのよくわかんないのは全部雑魚なの!」

宥「そっかぁ」

……やっぱり簡単な子かもしれない

淡「まあ、宥はなかなかやるから認めてあげてもいいけど!」

宥「わぁ、本当に?」

淡「うん! 準決で一回菫先輩に勝ってるし! それに、亦野先輩の友達だから特別ね!」

宥「特別かあ……ふふ、うれしいなあ」

淡「でしょー! ほら、亦野先輩のお姉ちゃん的存在なら私のお姉ちゃんみたいなもんだし!」

宥「……ふふふ」

淡「? なに笑ってるの? やっぱりうれしかった?」

宥「うん! それじゃあ、淡ちゃんって呼んでもいい? 誠子ちゃんの妹的存在なら私の妹みたいなものだし、ね?」

淡「ふふん、まあ特別に許してあげないこともないけど! でも、私は本物の妹よりもかわいいから! そこんところよろしく!」

宥「もう、玄ちゃんだってかわいいんだよ? もちろん淡ちゃんもかわいいけど」

淡「だよね! 知ってるけど!」

652 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/30(日) 03:12:57.21 ID:Zc2tEur40

宥「ふふふ……お姉ちゃんはもっと淡ちゃんと仲よくなりたいなあ」

淡「じゃあじゃあ、かわいい妹の淡ちゃんからお姉ちゃんに質問でーす!」

宥「なぁに? お姉ちゃんなんでも答えちゃうよ〜」

淡「なんで夏なのにそんな厚着してるの? 暑くないの?」

宥「え……? それは、あったかくないから……」

淡「え!? あったかくないどころか暑いでしょ!? 大丈夫!?」

宥「だ、大丈夫だと思うんだけど……」

淡「たぶん病院いった方がいいよ! びょーきだって!」

宥「そ、そうかな……?」

淡「うん! ヤバいって! 私の見立てだと死ぬよ!?」

宥「死!?」

淡「だってアレだよ!? こんなに暑いのに寒いんでしょ!? きっと四十度の高熱とか出てもちゃんと汗かかなくって死ぬよ!」

宥「あわわわ……」

な、なんか……正直ちょっとアレな子だと思ってたのにわりと本気で死にそうな理由挙げられたんだけど……急に不安になってきたよ……

淡「早く病院行こ! 私がついてってあげるから!」

宥「で、でも……昔行ったときは全然理由もわからないって……」

淡「不治の病!?」

宥「えぇ!?」

淡「美人薄命って言うしね……宥、美人だからたぶん死ぬんだよ……」

宥「え、え……あの、わ、私……死んじゃうの……?」

淡「宥がブスだったら死なないで済んだのに!」

宥「そうなの!?」

淡「うう……そんな、せっかく仲よくなったのに宥は死んじゃうんだ……」

宥「そ、そんなあ……私、まだ十代なのに……」

653 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/30(日) 03:15:20.96 ID:Zc2tEur40

誠子「やめろこのバカ!」

淡「あ痛っ! ……ま、亦野先輩?」

誠子「迎えに来たぞ、このバカ」

宥「誠子ちゃん……わ、私、死ぬんだって……」

誠子「死にませんよ! いや、そりゃあいつかは死にますけど! 当分先の話ですよ! たぶん!」

宥「た、たぶん?」

誠子「あ、いや……人生何があるかわからないってだけで別に死ぬというわけでは……」

誠子「…………そ、そんなことより! すみません宥さん! 淡が迷惑かけて! いろいろ!」

宥「え? あ……そんな、迷惑だなんて……私、淡ちゃんと仲よくなれてうれしかったよ?」

淡「めーわくなんてかけてないもん! 宥だって私と出会えたことを心からよろこんでるし!」

誠子「そういうことを自分で言うなって!」

淡「うにゃ!?」

誠子「このアホ! また練習抜け出して! 宥さんにも迷惑かけて……!」

淡「むぐ〜」

誠子ちゃんが淡ちゃんのほっぺたをぐにぐにむにむにしてる……淡ちゃんは無抵抗だ。 私はさっき振り払われちゃったのに……

宥「むぅ……」

誠子「……? どうかしました?」

宥「……誠子ちゃんずるい」

誠子「へ?」

宥「私も淡ちゃんのほっぺむにむにしたい!」

誠子「はぁ!?」

淡「ふへへ……ほへはまふぁのふぇんふぁひふぁへふぁんへふ〜」

宥「いいじゃない! 私、お姉ちゃんなんだよ?」

誠子「どうしてそこまで必死に……」

宥「言いつつ誠子ちゃんも淡ちゃん話さないし!」

誠子「いや、だってこれめちゃくちゃ気持ちよくって……」

654 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/30(日) 03:16:18.07 ID:Zc2tEur40

淡「んふふ……まったく、みんな私のこと好きすぎでしょ!」

誠子「だから調子に乗るなって!」

淡「あ、亦野先輩お昼食べた? 宥がラーメン奢ってくれるよ? 私もう食べ終わっちゃったけど食べるなら待っててあげる!」

誠子「え? あ、すみません宥さん! 私が出しますから!」

宥「え? いいよ、私お姉ちゃんだもん……かわいい妹分のご飯ぐらいねー」

淡「だよねー! 私ぐらいかわいいと余計にね!」

宥「ねー」

誠子「はぁ……宥さんもこうなると譲りませんからね……すみません、ありがとうございます……」

宥「誠子ちゃんもなにか食べてく?」

誠子「私はいいですよ、ふたりとも食べ終わってますし……ほら淡、午前中サボった分しっかり練習してもらわないとだぞ!」

淡「……うん、そうだね」

誠子「……は?」

淡「は?」

誠子「……いや、だから……帰って練習するぞ?」

淡「うん」

誠子「……はぁ!?」

淡「はぁ!? ってなによー!」

誠子「いや……は!? 熱でもあるのか? 大丈夫か!?」

淡「なによー! 私だってたまには真面目にさー!」

655 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/30(日) 03:17:53.71 ID:Zc2tEur40

宥「……ふふふ」

誠子「いや、笑い事じゃないですよ宥さん! 淡が……え!? 偽者か!?」

淡「本物に決まってんじゃん! こんなにかわいい子大星淡ちゃん以外にいないでしょー!?」

誠子「この物言いは本物か! なんだよ、急に真面目なこと言いはじめて……心配させるなよ」

淡「そこで心配するのおかしいじゃん! この私が亦野先輩のためにも真面目に……」

誠子「え? 私?」

淡「……なんでもない!」

宥「…………ふふ」

淡「もう! なに笑ってんの!?」

宥「だって……なんだか、本当の姉妹みたいだなって」

淡「……そ、そうかな? ま、まあ? 亦野先輩がどうしてもって言うなら妹になってあげても……」

誠子「どうせならもっと素直でかわいい妹が欲しいですけど……ああ、宥さんのとこの高鴨とか」

淡「……はぁ!?」

宥「……はぁ」

なんだかんだ、誠子ちゃんも素直じゃないんだ……照れちゃって、もう

……まあ、穏乃ちゃんが素直でかわいいのは事実だけどね

淡「なんで!? 私の方がかわいいじゃん! 世界一じゃん!」

誠子「なんでそこまで自信があるんだよ……」

淡「もう! なんなの!? せっかくこの私が……もう! もう! シズノ! 絶対個人戦で倒してやる! ボコボコにしてやるんだから!」

誠子「だから高鴨は個人戦出てないって……」

淡「むきー! もう! バカ! 亦野先輩のバカ!」

誠子「なんで私がバカ呼ばわりされるんだよ!? 」

宥「……まったく、しょうがないなあ」

ふたりとも、ちょっとおバカさんなかわいい妹分だ


カン!


656 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/30(日) 03:21:14.26 ID:hY1myb7JO
657 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/08/30(日) 03:23:10.73 ID:Zc2tEur40
誰しもあることだと思うんですけど、書きたいネタだけ溜まってく…設定だけ考えてシステム整備してなかったり時間が無かったり…
咲Vitaもじきに出ますけど投下はしっかり続けるつもりです

次回は未定ですがなるべく早く。優希たん用のネタもなんか準備しないとなー
658 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/30(日) 04:12:16.61 ID:cZFp9Nqt0

お姉ちゃん力の高まりを感じる
659 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/30(日) 08:59:08.13 ID:fImVXRBNo

めんどくさいけどあわあわ色々考えてるなぁ
3年生も見習って欲しいぜww
660 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/30(日) 09:48:00.94 ID:vw8OVb5cO
乙です
661 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/31(月) 09:09:39.43 ID:91SXeGjx0
おつ宥ねえかわいいあわあわあわいい
咲キャラはかわいいキャラばっかりで困るね
662 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/09/07(月) 02:26:06.28 ID:TImSnCgf0
>>659三年生はおかしとかはやりんのこといっぱい考えてるからセーフだろ!冗談はさておき弘世様は今の扱いから戻れる日が来る気がしない。原作で決勝とか始まればまた変わるのか…

言いたくないけど安定の日付変更後の投下。ころたんイェイ〜
663 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/09/07(月) 02:26:45.74 ID:TImSnCgf0

夏休み明け、最初の土日……私たち阿知賀女子麻雀部は長野に向かっていた

……いや、練習試合組んで遠征するなら夏休みのうちにやっておけよ、とか言われるともっともだと思うけど

長野の友人は特別なところがある……もともと、穏乃が原村さんに会うために作ったチームだし……それ以外にも、仲のいい友達もたくさんできた

……それに、若干二名ほど特別な相手がいる子もいるし

憧「……なに?」

灼「……見てただけ?」

憧「なにそれ……私のこと好きなの?」

灼「好きだけど」

憧「へぁ!?」

灼「好きに決まってるでしょ」

憧「な、なな、なによ急に!?」

灼「急って……憧が言ってきたんだけど」

憧「そ、そそ、それはそうだけど……」

灼「照れるなら言わなきゃいいのに……」

穏乃「憧ってさ、そんなんで平気なわけ? 遠出した時とかしょっちゅうナンパされたりしてんじゃん」

憧「どうでもいいやつになんか言われたってどうってことないでしょ」

灼「私のこと好きだから照れちゃうと」

憧「な、そ……別に! そこまで言ってないでしょ!」

664 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/09/07(月) 02:27:59.98 ID:TImSnCgf0

拗ねて面倒にならない程度に憧をいじりながら移動時間を潰す……今日はみんながみんな、なんとなく浮かれてるからくだらない話も余計に楽しい

玄は今日も一年生たちの面倒を見てる……面倒見が良すぎるせいで春先から私がやることがないぐらいだ。 まだまだ顔は出し続けるつもりだけど、部活を引退する日も近い……先輩として、部長として、穏乃と憧だけじゃなく後輩みんなにもなにかしら残したいものだけど……

…………それにしても、玄はいつも以上にニコニコしてるなぁ……理由はわかりきってるとはいえ……憧と違って素直な分、いじっても単純に色ボケに当てられるだけな気がして触りづらい

玄「……なぁに? 灼ちゃんどうかした?」

灼「…………玄、今日はいつも以上にご機嫌だね」

玄「え? えへへ、そうかなあ……ふふふっ」

灼「……ウキウキしすぎ」

玄「だってせっかくだし……ね? ふふふ、楽しみだなあ……それに、今日は天江さんの……」

灼「ん……まあ、それもあるしね」

というか、練習試合と称した誕生日パーティーなのは明らかだし

向かっているのは龍門渕高校。 清澄をはじめとした長野のみんなも来ると聞いている

夏に東京で顔を会わせたばかりだけれど、なかなか会う機会が少ないっていうのもあるし……やっぱり、楽しみだ

……そう、なかなか会う機会がないっていう前提があるし、玄や憧がウキウキするのはわかるんだけど……

灼「…………」

憧「こ、今度はなに?」

灼「いや……なんか、玄はともかく……憧は……不毛だよね」

憧「なにが!? どういう意味!? 」

灼「いや、そのまんまの意味だけど……」

憧「なによ、私だって……!」

穏乃「どうするの?」

憧「……それは、私が聞きたいぐらいだけど」

穏乃「頑張れ!」

憧「……頑張るけど」

灼「なにを?」

憧「……いろいろ!」

665 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/09/07(月) 02:28:37.67 ID:TImSnCgf0

玄「頑張ろうね、憧ちゃん!」

憧「そりゃあ頑張るけどさ……玄だって頑張りなさいよ。 そう頻繁に会えるわけじゃないし……卒業して松実館で働くなら私よりも尚更頑張んないとよ?」

玄「……うん、それは……わかってるけど……」

灼「まあ、それでも憧よりは見込みありそうだけどね」

憧「もう! いちいち茶化さないでよ! 灼さんのバカ!」

灼「……憧がバカ! って言うのさ、なんかすごくかわい」

憧「はぁ!? な、なに言っちゃってんの!?」

灼「憧って意外と子どもっぽくてかわいいよね」

憧「子どもじゃないし! 灼さんとひとつしかかわらないから!」

穏乃「必死になって否定する辺り子どもっぽ言っていうかさー」

憧「しずに子どもっぽいとか言われたくないんだけど!?」

玄「ふふ……ふたりともまだまだお子様ですねー」

憧「玄にも言われたくないなぁ!?」

灼「おねーさんに甘えてもいいんだよ」

憧「だからそこまで子どもじゃないから!」

穏乃「それじゃあ私が憧の分まで!」

灼「穏乃は素直で大変よろしい」

穏乃「えっへへ、灼さーん」

灼「穏乃はかわいいなぁ」

憧「……むー」

灼「……憧もかわいいよ?」

憧「なんも言ってないじゃん!」

玄「憧ちゃん! こっち、私いるよ!」

憧「だーかーらー! 私は別にそういうのいいから!」

666 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/09/07(月) 02:29:14.33 ID:TImSnCgf0

穏乃や憧、後輩たちとじゃれてるうちに目的地が見えてくる……龍門渕高校。 遠くからでもよく見えるぐらいには大きい

はじめて来たときもあんまり大きい上に派手な建物だから驚いたけど、やっぱりなんとなく圧倒される

穏乃「……あ! 見てくださいよ、入り口のとこ!」

憧「いや、見えないって……しずは目よすぎ……」

穏乃「あれ、萩原さんですよね!」

玄「えっ? 本当に?」

憧「お出迎えかぁ……玄、危ないから立たないでって」

玄「ご、ごめんつい……ね、私大丈夫? どこか変じゃないかな?」

灼「いつも通りだよ」

憧「いつも通りちょっと変な子だけどまあ見た目の方は平気だと思うわよ」

穏乃「いつも通り素敵ですよ!」

玄「とりあえずいつも通りみたいだけど本当に大丈夫なのかな!?」

穏乃「文句なしにかわいいですよ!」

憧「あんまり大丈夫だとは思ってないけど玄が心配してる意味でなら平気よ」

灼「玄次第?」

玄「うう……自信なくなるなぁ……」

灼「へぇ……自信あったんだ。 意外」

憧「むむむ……私なんて全然……」

穏乃「大丈夫ですよ! 玄さん今日もとびきりかわいいですから! 自信持ってください!」

玄「あ、いや……自信があったわけでは……なんというか、そのぅ……」

667 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/09/07(月) 02:30:01.62 ID:TImSnCgf0

不安になってる玄を穏乃をはじめとした後輩たちが励ましてる。 ここら辺は人徳か……毎日世話を焼いているのもあって玄は後輩にも人気が高い

灼「……ほら、憧もそんな顔してないで自信持って」

憧「……いや、自信持つもなにも……ほら、ね?」

灼「なにに対して同意を求めてるのかわからないんだけど」

憧「あー、うん、それは、ほら……ど、どうしよう?」

灼「……前にも言ったかもしれないけど、正直恋愛相談されても経験値低いし……憧の場合更にいろいろ難しいし……」

憧「どうすればいいんだろ……いろいろと」

灼「さぁ……? でも、みんなの話聞いたり様子を見る限りではかなり好意的に見られてると思うけど」

憧「そ、そそそそそうかしらね!?」

灼「ん」

まあ、面白いファンの子なのか仲のいい友達なのかはたまた……そこら辺はよくわからないけど

憧「そ、そっか……よし、それなら……うん、よーし……」

……あれ、励ますつもりで言ってみたものの、変に自信持たせても空回るだけな気も……なんか既に怪しい気配が漂ってるし……

灼「……憧?」

憧「…………え? なに?」

灼「……その、ほどほどに。 落ち着いて……ね?」

憧「だ、大丈夫よ……しずや玄じゃあるまいし……」

灼「……不安」

憧「大丈夫だって! 私の頭脳をフル回転させれば……ふ、ふふ、今日でしっかり決めて……」

灼「不安しかないんだけど」

……なにができるかはわからないけど、フォローぐらいはしてあげるか

668 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/09/07(月) 02:30:42.48 ID:TImSnCgf0

ハギヨシ「ようこそ、お待ちしておりました。 ご案内いたします」

灼「本日はお招きありがとうございます。 よろしくお願いします」

とりあえず、部長らしく挨拶してみたり……もう一年程の付き合いになるけど、こういう挨拶は大切だ

玄「あ、あの、こんにちは! お久しぶりです!」

ハギヨシ「こんにちは、お元気そうでなによりです」

玄が多少緊張した面持ちで挨拶、萩原さんがニコニコしながら挨拶を返して、それを後ろからニヤニヤしながら見守る部員たち……いつも通りの光景だ

今年の夏も、インハイ中にはふたりで買い出しに行ったり、デートと言えるかどうかも微妙なお出かけを数回していたようだけど……

玄は基本的に受身なタイプだし、挨拶以上のことは周りがサポートしてあげないとなかなか積極的には行けないみたいだ

萩原さんも思ってた以上にシャイだし……そもそも、とてつもなく忙しいようなのでなかなか進展しそうにない

ただでさえ遠距離なのにこれでは……互いに好意を持っているように見えるだけになんとも歯痒い

ハギヨシ「――清澄をはじめとした長野の方々は午前中からいらっしゃっていますよ。 ちょうどこれから食事休憩をとるところでして……」

灼「面子が揃ったところでお誕生日パーティー……ですね」

ハギヨシ「ふふ……今日は練習試合ということになっておりますから、一応食事休憩ということで」

穏乃「和たち、もう来てるんですか! へへ、咲や優希に会うの久しぶりだし楽しみ!」

憧「和と染谷さんはこの間会ったけど、咲たちはインハイぶりだもんねー」

灼「それでも一ヶ月経ってないけどね」

玄「それでも、やっぱり大切な友達だし会えるのはうれしいよー」

灼「……そだね」

全くもって同意するけど……そんなにチラチラ見ても遠回しすぎだし、会えてうれしいアピールは通じてないと思……というか、友達以上になりたいんじゃないの……?

669 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/09/07(月) 02:31:14.51 ID:TImSnCgf0

衣「おお! 久しいな、インターハイぶりか! よく来てくれたな!」

穏乃「天江さん! お誕生日おめでとうございます!」

衣「ふふ、またひとつお姉さんになってしまったぞ! どうだ? 一段と大人っぽくなっただろう?」

穏乃「はい! もしかしてちょっと背も伸びたんじゃないですか?」

衣「なに!? ほ、本当か!?」

灼「たまらないかわいさ」

衣「ふにゃ……こら、灼! 撫でるなっ! 子ども扱いするな!」

智紀「灼……どう? 衣、また一段と……」

灼「かわいい」

智紀「ね」

灼「ねー」

衣「衣の方がお姉さんだろ!?」

灼「私の方が五ヶ月ほどお姉さんだからいいんだよ」

衣「え? あ……そうか、なるほど……ってそういう問題じゃない! 衣は18歳になったんだぞ!」

灼「かわいいかわいい」

智紀「かわいい……」

衣「むー! なんなんだもう!」

憧「はぁ……灼さんはまた天江さんからかって……」

灼「本気でかわいいと思ってるけど」

憧「いや、そういうことじゃなくって……」

灼「……ああ、大丈夫。 憧もかわいいよ」

憧「だからそういうことを言ってるんじゃないの!」

灼「そう? でも、天江さんとは違うタイプだけど……憧はかわいいよ。 ね?」

純「憧がかわいくなかったらかわいい女子なんかいなくなるだろ」

憧「ふきゅ」

670 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/09/07(月) 02:31:54.20 ID:TImSnCgf0

憧「な、え、あ!? え……その、どど、どうも! こ、こんにちは!」

純「おう、遠いのによく来てくれたな。 衣も喜んでるぜ」

憧「そ、そうですかね!? よ、よかったです! ……ちょ、ちょっと灼さん!」

灼「なに?」

憧「きゅ、急に、そういう……アレ! や、やめてよね! び、びっくりして変な声出ちゃったじゃんあーもう恥ずかしい……!」

灼「大丈夫。 今さらでしょ」

憧「……そ、そうかもしれないけど! やっぱり嫌なんだってば!」

灼「それは、ごめ……でも、かわいいって言われるのうれしいでしょ?」

憧「え? あ、そ、それはまあ……えへへ」

憧、かわいいなんて言われ慣れてると思うんだけど……私もよく言ってるし

まあ、やっぱりそこら辺は……アレか。 特別なのか

ちょっと、そういう気持ちがいまいちわからない……ハルちゃんに褒められるのが特別うれしいとか、そういうのは似てるのかもしれないけど、またちょっと違うんだと思うし

……とりあえず、そっとしておいてあげよう。 憧、すぐにテンパるから見てあげてた方がいいのかもしれないけど……それだといつまでもこのまんまだし

他に見知った顔を探す……までもなく、ここにいるのはみんな顔見知りだしなんにもしなくても声をかけられる

咲「灼ちゃん、一ヶ月……いや、二、三週間ぶり?」

灼「咲……ふふ、久しぶり。 夏休み、どだった? 照さんの試合、見に行ったんでしょ?」

咲「うん! 見に行った試合、お姉ちゃん大活躍してたし、すっごくかっこよかったよ!」

……そもそも、照さんはだいたいプラスで帰ってくるし……咲が会場に行っているときの照さんの勝率は100%だ。 仲直りしてしまえば元々仲のいい姉妹で、照さんは家族の前で、咲の前でいいところを見せようとわかりやすくやる気を出している

まだまだ他が追い上げる可能性が無いとは言えないが、新人王は宮永照でほぼ確定だろう

咲「お姉ちゃんも灼ちゃんに会いたがってたよ?」

灼「そか……また、試合の席取れたら見に行くから」

咲「うん、その時は一緒に行けたらいいね」

671 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/09/07(月) 02:32:40.51 ID:TImSnCgf0

華菜「まったく、羨ましい限りだなー……横浜戦なんて人気あるしなかなかチケット取れないだろ?」

咲「あ、池田さん……行けそうな日はかなり前から予約して席取っちゃってるんですよ」

灼「華菜、久しぶり……お目当ては三尋木プロ?」

華菜「まあなー……やっぱり、トッププロの高打点の打ち手だし私としては参考にしたいしな。 うちは両親も忙しいしチビどももいるからプロの試合なんて年に一回見に行けるかどうかだけど」

咲「はは……私のうちもお姉ちゃんがプロ入りするまで試合見に行ったりしなかったですけどね」

灼「私は今年入ってからは結構見に行くかな……大阪で試合するときなんかは足も伸ばしやすいし」

華菜「赤土監督の試合か?」

灼「ん……横浜の試合も見に行くけどね。 照さんとやえさんいるし」

衣「チャンピオン……咲の姉君とは高校時代には終ぞ打つ機会がなかったな……」

智紀「衣もプロになればいい。 その気になればどこにでも行ける」

華菜「全くもってその通りだし! 衣のレベルなら宮永姉みたいにプロでも通用するだろ」

衣「ふむ……プロか。 考えたこともなかったが……」

華菜「はぁ? インハイでトップ争えるレベルなのに考えたことないのか?」

衣「別にプロになりたくて麻雀を打ってるわけではないからな……咲だってそうだろう?」

咲「え? 私? うん、考えたことないなぁ……」

華菜「……なんでお前らみたいなのばっかり上に……なんか虚しくなるなー」

智紀「打つ理由は人それぞれだから」

灼「難しいところだね……照さんはプロになったけど……?」

咲「私、麻雀打つの楽しいけど……こう、あんまり勝ち負けが重くなりすぎると……あ、インターハイを軽視して言ってるわけじゃないんだよ? でもほら、プロって言うのは……やっぱりちょっと違う気がして……昔いろいろあったから」

672 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/09/07(月) 02:33:10.81 ID:TImSnCgf0

華菜「そういうもんか……私はプロ行けるもんなら絶対に行きたいけどなー」

咲「池田さんならなれますよ」

衣「華菜も相当打てるからな……衣は華菜と打つの楽しいぞ!」

華菜「……毎度毎度お前らにやられてる身としてはコメントに困るんだが……三年間で一回も全国行けなかったし……」

灼「全国行けなくてもプロ行く子とかいるけどね」

華菜「それは余程強くないとだろ……全国で戦える自信はあるけど衣や宮永に勝てない以上、やっぱり私はそのラインにはいないんだろうな……灼はどうなんだ? インハイも二回出てるし、意識しないのか?」

灼「……麻雀好きだけど、あまり考えたことはないかな……家業もあるし、見てるのも好きだから」

華菜「もったいないな、せっかく力もあるのに……」

灼「……そうかな? ……そうかもね」

麻雀を続けたいとは思うけど……自分で打ち続けるのは大変だとも思う。 素直に行くと鷺森レーンを続けることになるだろうけど……ハルちゃんみたいに阿知賀で教師をして麻雀を教える、なんてのも面白いかもしれない

……なんにせよ、今はそこまで具体的には考えられてないかな

玄は松実館でやっていくって明言してるし、決意も固いみたいだし……たまに玄と卓を囲んで、ハルちゃんたち知り合いのプロを応援していければ十分に楽しい気もする

……それにしても、家業とはいえこの時点で将来のことまでしっかり決めてる玄ってなかなかすごいんじゃないだろうか

まあ、私の周りが特殊というか……将来なにしたい? って質問に対して麻雀って答えて、それでそのまま食べていける人間が多いから珍しいわけではないけれど……高校生でそこまで進路を考えるなんてなかなか……

灼「……将来の夢とかある?」

咲「え? うーん……まだわからないかなぁ」

灼「……普通そうだよね」

咲「なかなか難しいよね」

灼「だよね……」

673 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/09/07(月) 02:33:54.65 ID:TImSnCgf0

衣「まあ、選択肢が自分で作れるだけ幸せだろう。 その点衣は幸福なのかもしれん……たとえば、トーカは龍門渕の家を継がなければならないしな」

咲「そっか……そういう事情がある場合もあるんだよね……」

華菜「……龍門渕はそれを嫌がっているとは思えないし」

衣「たしかにな……しかし、トーカにはプロになるという道はない」

華菜「……それは、そうだな」

灼「龍門渕さんなんて、それこそプロとか好きそうだもんね。 派手だし目立つし」

話題の中心龍門渕さん……今は、穏乃に玄、原村さんに国広さんと固まってなにやら話をしている

透華「――ええ、それで……って今! 私が派手で目立ってるなどという話をしていませんでしたか!?」

灼「……そういう話はよく聞こえるんだ」

智紀「だいたいあってる」

透華「ええ、ええ! その通りでしょうね! 私、やっぱり華がありますもの!」

一「自分で言う? まあ、ボクもそう思うし自分で言っちゃう透華が好きだけど」

穏乃「龍門渕さん本当にカッコいいですからね!」

隣でどういう反応をすればいいのかわからなくなっている玄と原村さんが気になるけど……いや、普通反応に困るか

龍門渕さん……まあ、ちょっと……ちょっと? 世間とズレてるところはあるけれどとても優しい、いい人だ

穏乃があれだけ――国広さんの影響もあるんだろうけど――慕っているんだから、それはまず間違いない

……でも、やっぱりちょっと……ちょっと? 変な人だよね

674 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/09/07(月) 02:34:38.58 ID:TImSnCgf0

透華「で? どうしたんですの? 私を褒め称えるのならばなにもこそこそしなくてもいいんですのよ! さあ、遠慮せずに! どうぞ!」

灼「いや、そういうわけでは……ちょっと将来に思いを馳せていたというか」

衣「衣もあまり考えていなかったからな……もう高三だというに、お姉さんとして少々自覚に欠けていたか」

咲「りゅーもんさんは、プロとか興味ありますか?」

透華「プロですか……家のことがなければ、当然私の輝かしい未来に相応しい職だったでしょうけれど……」

智紀「なりたかった?」

透華「まあ、麻雀は面子が揃って卓と牌があればどこでも打てますし! 公の場で打ちたくなればスケジュールを空けてアマの大会に参加するとか……」

透華「……ああ、むしろ実業団チームでも立ち上げますか! いえ、プロリーグを新たに設立するとか? そして私はグループ会長兼監督兼選手として大活躍! 最高に目立ってしまいますわね!」

一「チーム作るとかプロリーグ作るとか……発想が破天荒というか……さすが透華だなぁ」

華菜「金持ちだからこそだよな……プロになることは考えても、自分がプロになるためにプロ団体から作るなんて発想は普通出てこないし……」

透華「集めた選手には衣の遊び相手にもなってもらえますし!一石二鳥なんてレベルではありませんわね!」

衣「いや、なにもそこまでして人を集めなくても……衣だってもう自分で友達ぐらい作れるぞ!」

透華「原村和! どうせなら私のチームで使って差し上げてもよろしくってよ!」

衣「! ののかと毎日遊べるのか!?」

和「チームは作る前提ですか……というか、私だってプロとか考えますけど他にもなりたいものはいろいろありますし……」

穏乃「へぇ……たとえば?」

和「学校の先生とか……」

透華「うちの系列校で教鞭をとりますか?」

和「両親のように法律関係の仕事というのも……」

透華「龍門渕グループの顧問弁護士の席を用意しましょうか?」

灼「……龍門渕さん、原村さんのこと大好きだよね」

衣「衣もののかのことは大好きだぞ!」

一「……妬けるなぁ」

智紀「一方通行だけどね」

675 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/09/07(月) 02:35:14.89 ID:TImSnCgf0

和「あとは……」

透華「どうしました? なんでも仰ってくださいな」

華菜「なんでお前が原村の職を斡旋する前提になってんだよ……」

和「その……お、お嫁さんとか……」

透華「……ハギヨシと純のどっちが好みですの?」

玄「ふぇ!?」

憧「ちょ、ちょっと!? なに言っちゃってんですか!?」

純「そもそもオレは女だ!」

和「いえ、その……お二人とも素敵な方だと思いますけど、ちゃんとした恋愛結婚に憧れると言いますか……」

純「おい! その返しは間違ってないかもしれないけどいろいろ間違ってるだろ! ツッコミいれろよ! オレ! 女!」

灼「…………なんか言わなくていいんですか?」

ハギヨシ「は、はぁ……しかし、いったい何を……?」

灼「…………」

灼「……心に決めた相手がいるから結婚はできない、とか?」

ハギヨシ「え……いえ、その、それは……」

……反応を見る意味でも、軽い援護射撃のつもりで言ってみたら、玄は後ろの方で「えぇ!? そんな人いたの!? ど、どうしようお姉ちゃん……」みたいな顔して泣きそうになってる……私は多少は意識されてると思うんだけど

智紀「原村さんならアリ?」

ハギヨシ「あ、アリだとかナシだとかそのような失礼な……」

一「透華に言われてうっかり適当に結婚しちゃうとかはダメですよ?」

ハギヨシ「いえ、そんなまさか……それに、透華お嬢様は無理に婚姻を結ばせたりなどとは……」

智紀「でも透華は原村さん大好きだし」

ハギヨシ「……まあ、それはそうですが」

智紀「龍門渕グループに取り込むために萩原さんを使って……」

ハギヨシ「……いやいや、そんなまさか……先程のだって冗談で……」

玄「そ、そうですよ! 龍門渕さんがまさかそんな……」

衣「そうか! ハギヨシとののかが結婚すると毎日ののかと遊べるのか!」

676 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/09/07(月) 02:36:01.11 ID:TImSnCgf0

ハギヨシ「…………」

灼「……今の一瞬でみんなちょっとあり得るなって思ったよね」

ハギヨシ「は、はは……いや、そんな、まさか……」

智紀「はじめて信頼が揺らいだ?」

一「むしろ透華を信頼してるからこそな気がするけどね」

智紀「……衣のためならなんでもする」

透華「た、たしかに衣のためならなんでもしますけれど! さ、さすがに冗談ですわよ!? ハギヨシと純の人生ですしパートナーはしっかりと自分の意思で……」

純「オレを含んでるのも冗談で言ってるんだよな!?」

透華「……?」

純「なんで不思議そうな顔してるんだよ!?」

透華「まあ、それはともかく」

純「ともかく!?」

透華「どうなんですの? ふたりともそういう相手は……」

ハギヨシ「私は……い、いえ、特には……」

……玄はホッとするよりもがっかりした方がいいんじゃないのかな

ちらりと一瞬視線を送ったのは、私は……たぶん、龍門渕さんも……見逃さなかったけど

少し動揺すると普段が完璧なだけにわかりやすい

純「その話の振りでオレにも聞くのおかしくねぇか? ……つーか知ってるだろうが。 毎日お前らと一緒にいるだろ?」

一「まさか……ボクのことが好きなの!?」

憧「へ!?」

純「なんでそうなんだよ!? いや、そりゃ好きだけどさ! そういう相手と過ごす時間も取ってないんだからいるわけないだろって話だよ!」

憧「す、好き!?」

穏乃「一さん、気持ちはわかりますけどあんまり憧のことからかわないでやってくださいよ」

一「ふふ、ごめんごめん……憧ちゃん、かわいいからついねー」

智紀「文脈からそういうことじゃないって判断できると思うんだけど」

灼「憧、頭いいけどちょっと頭悪いから」

憧「ちょっと!? 灼さんそれは聞き捨てならないんだけど!?」

灼「いいじゃない。 そこがまたかわいいところ」

憧「……そ、そんなんで納得しないんだから!」

677 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/09/07(月) 02:36:40.04 ID:TImSnCgf0

透華「ふむ……まあ、納得しておくとしましょう。 お二人ともまだまだチャンスはありそうですわよ? 応援してますわ」

玄「あ、ありがとうございます……」

憧「なっ! べ、べべべ別にそういうアレは……その、ありがとうございます……」

ふたりとも真っ赤になっちゃって……かわいらしいことだ

一「……萩原さんはともかく、純くんは敏いわりに鈍いからダメだね。 どうすればいいのかなぁ」

灼「萩原さんはともかく純くんはね……いろいろとね……」

純「お前もさりげなく純くん呼びすんなよ……」

灼「ダメなの?」

純「いや、別にいいけど一回は言っとかないと体裁が悪いというか……」

智紀「男扱いになれすぎ」

純「誰のせいだよ!? そもそも国広くんがずっとくんづけだし今さらそこまで気にしてねぇけどさ……」

一「まあ、玄さんのためにも萩原さんの背中を押す方向で支援を……」

透華「玄さんが家族になったら衣も喜びますしね!」

灼「……ブレないね、行動原理」

透華「それはもう! 家族と仲間が最優先ですわ!」

純「……こういうやつだから俺たちもついてくんだけどな」

穏乃「やっぱり素敵です! 龍門渕さん!」

透華「ふふ、そうでしょう? さあ、もっと私に賞賛を……」

678 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/09/07(月) 02:37:33.45 ID:TImSnCgf0

その時、広い部屋の反対側から大きなどよめきが……みんなの視線が集まる

透華「なっ……なんですの!? 今から私の……」

星夏「妹尾さんが! 妹尾さんが凄いんです!」

睦月「とんでもないんですよ! 5袋開けて野依プロ→はやりん→三尋木プロ→宮永照→戒能プロですよ!? 今期のレアカードが目白押しですよ!?」

咲「あ、お姉ちゃんのカードだ!」

星夏「宮永照さんは今年の高卒新人で唯一トップレアの封入率で! 他のも上からレアなの片っ端から! なんでそんなに……!」

ちなみに、小鍛冶プロと白熱した対局を繰り広げているハルちゃんもプロ入り一年目にしてトップレアだ。 うれしいけどなかなか手に入らない悔しさもある

最近ついついプロ麻雀せんべい買っちゃうんだよね

佳織「え? え? 凄いの? よくわからないんだけど……」

純「そんなにせんべいばっか開けてどうすんだよ……」

優希「食べるならやっぱりタコスだじぇ」

桃子「いやいや、これも結構いけるっすよ? ……さすがにちょっと飽きが来てるっすけど……」

未春「毎日食べてるとさすがにね……」

佳織「その、あげよっか? 私よりも二人の方が欲しそうだし……」

星夏「いいんですか!? あ、いえ……そんな、悪いですし……それにやっぱり自分で引きたいというか!」

睦月「そういうのあるよね……にしてもほんとに妹尾さんの引きはとんでもない……」

咲「わー……キラキラしてるんだぁ……」

佳織「……いる? お姉さんのカード」

咲「いいんですか? それじゃあ……」

佳織「はい、どうぞ」

咲「ありがとうございます!」

星夏「くぅ……!」

睦月「うむぅ……!」

華菜「そんな物欲しそうにするなら最初っからもらっとけよ……」

679 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/09/07(月) 02:38:11.06 ID:TImSnCgf0

透華「くっ……なんなんですの!? 私を差し置いて目立ちまくって……! ええい、ハギヨシ!」

ハギヨシ「はっ」

透華「プロ麻雀せんべい! 箱ごとドーンと買ってきてくださいまし!」

星夏「ちょっと待ったぁ!」
睦月「ちょっと待って!」

透華「今度はなんですの!?」

星夏「それは違いますよ龍門渕さん! 箱ごとなんて、そんな! ロマンもなにもあったものじゃないですよ!」

透華「どういうことですの?」

睦月「封入率なんかの問題で箱ごと行くとある程度中身がわかっちゃって……」

星夏「だいたい集まっちゃうんですよ! 引きとか関係なく!」

睦月「当然レア度が高いのはなかなか揃いませんけど……そうじゃないのは何枚も出たり……」

星夏「私なんてほら! 今期の藤田プロのカードがこんなに!」

睦月「私も藤田プロはたくさん……」

まこ「……藤田プロのこの扱いは……なんか、どうなんかねぇ……」

優希「ネタにされてるだけ幸せだじょ。 話の種にもならないプロ雀士のカードもありますし……」

まこ「……まあ、そうじゃねぇ」

灼「優希もカードとか集めたりするの?」

優希「私が買う食べ物はほとんどタコスだからそれほど持ってはないじょ? まあ、最近はプロのことも知っとこうかと……」

まこ「麻雀の勉強はちゃんとするんじゃよ……期末も補習にならんようにな」

優希「……こ、今年は夏の試験はなんとか抜けたし」

和「ギリギリでしたけどね」

優希「のどちゃんや咲ちゃんのお陰だじょ!」

和「……そ、そうですか?」

まこ「……そういう話じゃないじゃろ」

灼「勉強もしっかりやらないとね」

まこ「わしらは今年、受験じゃしなあ」

680 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/09/07(月) 02:39:22.86 ID:TImSnCgf0

受験……そうなんだよね。 やっぱり将来のことを考える時期が来てるんだろう

まこは、大学は出るけど最終的に家を継ぐって言ってたし、やっぱり家業がある子はだいたいそうなるんだろうか

私は……まあ、ゆっくり考えるしかないか。 後悔しないようにするのが一番だと思うし

……騒ぎを尻目に、今日の主役に向き直る。 友人たちとの会話は楽しいけれど、時間にも限りがあるわけだし……

灼「……龍門渕さん、また盛り上がってるけど」

衣「ふふ、トーカらしいだろ? 騒ぎがあればその中心にいないと気がすまないようなところがあるからな」

灼「……衣は、どうするの? 大学受験とかする?」

衣「……衣か? そうだな……衣は、透華たちと一緒に居られればいい」

灼「そっか」

衣「うん……そうだな、今の衣は透華に比べれば自由だ。 だけど、その自由を持て余してもいる」

衣「衣はずっとひとりだった……両親を失ってからは屋敷の離れに閉じ込められて……だけど今は、透華や一、純に智紀、ハギヨシもいて……ののかや咲、灼や穏乃も!」

灼「友だち」

衣「そう、友だちだ!」

衣「……ずっとひとりだったからかな? 友だちと離れるのが……怖いんだ。 寂しいんだ」

衣「きっと、進学したり就職したりしてもみんなとは友だちのままで……今、こうして灼が会いに来てくれてるように距離ができてしまっても会えるんだろうがな……」

衣「……閉じ込められている方が、安心できるんだな。 衣が閉じ籠っていれば、みんな離れていったりしないだろうし」

灼「……さびしんぼ」

衣「まあな。 それに臆病なのだ、こう見えて」

灼「ふふ……ちょっとこどもっぽい?」

衣「そうかもしれんな……でも、衣はもう18なんだぞ?」

灼「そうだね」

衣「…………プロか……少し、考えてみてもいいかもしれんな」

灼「うん。 いいと思うよ」

衣「なんといっても18だからな! ……少しは大人にならないと……いつまでもこのままでは、甘えてばかりではいけないと思ってはいたんだ」

681 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/09/07(月) 02:40:21.15 ID:TImSnCgf0

灼「……誕生日おめでと」

衣「うん! ひとつ年を重ねただけじゃない、衣も本格的に大人にならないとな! ……いつまでも、トーカたちに引っ付いてもいられないんだから」

灼「ふふ……衣が離れようとしても龍門渕さんが離れてくれないと思うけどね」

衣「……ふふふ、そうだな! 衣もそう思う!」



透華「ええい! 買ってきてしまったものは仕方がありませんわ! ひとり一袋開けて最もレアなカードを引いた方が優勝ということで!」

純「優勝ってなにがだよ……賞品でも出んのか?」

透華「では、このプロ麻雀せんべいを!」

一「やっぱりカードが本体でせんべいはおまけなんだね……」

睦月「お、おいしいんだよ?」

星夏「まあ、これだけあると食べきるのも大変そうですけど……」

佳織「あ、小鍛冶プロだー」

星夏「本当ですか!? 今年第一線に復帰して日本プロ麻雀界の勢力図を再び塗り替え始めた小鍛冶プロ!?」

睦月「今期の一番レアなカードだよ!?」

透華「なんですって!?」

智紀「引く前に勝負あり」

和「ちなみに誰のカードを引いたんですか?」

透華「ええと……藤田プロですわね」

純「余ってるやつか」

透華「お黙りなさいな! くぅ……この私が……こんな……!」



灼「パーティー、忘れてそうだけど」

衣「ふふ、トーカが衣のことを忘れるわけがないだろう? ケーキはせんべいのあとになりそうだけどな」

灼「……そうだね」

衣「よし! 衣もカードを開けに行くぞ! ツモ運では負けないからな!」

灼「ハルちゃんのカード出ないかな……」

衣「これだけいれば一枚ぐらい出るんじゃないか? 交換してもらえばいい!」

灼「そだね……いいカード引かないと」

衣「うん! 頑張ろう! ……頑張ろうな」

灼「ん……そだね。 頑張ろう」


カン!
682 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/09/07(月) 02:44:40.33 ID:TImSnCgf0
ころたんイェイ〜
ペース落とさざるを得ないぐらい忙しいから逆に龍門渕たんコンプしてやろうかと思ったけど透華は間に合わない確信を得たので出番増量して衣が減る不具合。純くんと国広君は少し期間あるしなんとか…

本編はシノハユで善野監督の出番増えてからの末原ちゃんで熱すぎる。いくのんも大好きだからほんとテンション上がりますわ。ゲームも楽しみです
683 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/07(月) 06:19:47.54 ID:56f1CBmAO
乙乙ころたんイェイ〜
684 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/07(月) 09:00:42.47 ID:vRXiWUGJo

何だかんだで池田はかなり腕を上げているようだな
685 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/07(月) 11:15:49.17 ID:Vew8X6rM0
おつおつころたんイェイ〜
686 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/07(月) 11:36:13.19 ID:GFEPr2cbo
乙です
687 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/09/11(金) 03:08:58.39 ID:sbg38E5y0
とーかたんイェイ〜
なんだかんだで投下
688 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/09/11(金) 03:09:49.66 ID:sbg38E5y0

電話を手に取り、電話帳を開いてお目当ての相手を探す……までもなく、珍しい名字なのですぐに名前が出てくる

オンリーワンで目立ってる、なんて言ったら喜ぶんじゃないかな……そんなくだらないことを考えながら通話ボタンをタッチする

数回のコール音の後に繋がる電話。 いつも通りに元気な声が聞こえてくる



玄「もしもし? 今、お時間大丈夫でしょうか?」

透華『あら、貴女のためなら一時間や二時間ぐらいすぐに時間を作りましてよ?』

玄「ふふ……うれしいですけど、そんなに長電話したら迷惑かけちゃいますから」

透華『迷惑だなんて思ってませんのに……お電話いただけてうれしいですわ』

玄「えへへ……お誕生日、おめでとうございます」

透華『ありがとうございます、玄さん』

689 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/09/11(金) 03:10:52.80 ID:sbg38E5y0

透華『ふふ、皆さんお祝いの電話をくださるものですから今日は一日中電話がなりっぱなしですわ! 人気者の辛いところですわね!』

玄「大変そうですね……電話しない方がよかったですか?」

透華『もう、冗談ですわ! 私はいい友人をたくさん持ちました……先ほど、高鴨さんからもお電話いただきましたの』

玄「穏乃ちゃん、龍門渕さんに憧れてますから。 龍門渕さんカッコいい! って」

透華『あらあら、ちょっと照れますわね……高鴨さんには衣や一がとてもお世話になっていますし、私も素直でかわいらしい高鴨さんのことはとても好ましく思っていますわ……また皆さんで遊びに来てくださいな』

玄「はい! そちらのご迷惑にならないのならいつでも! 私だって会いに行きたいですから」

透華『あら? 玄さんが会いたいのは別の誰かさんじゃあありませんの?』

玄「え、な……そんな、からかわないでくださいよぅ……」

透華『ふふふ……いいんですのよ? 私は応援していますから。 玄さんなら文句なしですわ』

将を射んと欲すれば先ず馬を射よ、だとか、外堀を埋める、なんて言葉もあるし……あ、関係的には龍門渕さんが将なのかな? そういうことじゃないか……

正直、龍門渕さんたちと仲良くなっていく中でまったく期待していなかったと言ったら嘘になってしまうけれど……

なんだか気に入ってもらえているようで、龍門渕さんは細かいところでそっと応援してくれていたりする。 二人でちょっとお出かけする機会を作ってくれたり、お話しする時間を作ってくれたり……

ついつい緊張しちゃって、あんまりアピールらしいことはできないけれど……自分から積極的に行動できるのが挨拶ぐらいの私としてはとってもうれしかったりする

普段は派手に、目立つように、って行動する龍門渕さんが……優しくそっと応援してくれる。 特別気を遣ってもらっているようで悪いような、うれしいような……どうしてここまでよくしてくれるのかなぁ……?

690 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/09/11(金) 03:12:20.91 ID:sbg38E5y0

玄「……あの、龍門渕さんはどうして……?」

透華『……どうして? そんなの、玄さんが大切な友人だからに決まっているではないですか 。 そしてハギヨシは私の大切な家族です……ふたりにとっていい方にまとまってくれれば私はうれしいのですけど』

玄「…………そのぅ……うまくまとまれば私にとってはいいんですけど……」

透華『自信を持ってくださいな。 貴女、とっても素敵で魅力的な方だと思いますわよ? それに……』

玄「……それに?」

透華『……私は、ハギヨシも貴女のことを気にかけていると思っているんですけど』

玄「え!? ……そ、そう、ですか……?」

透華『さあ? こればかりは本人に聞いてみないことには……私が勝手に思っているだけですわ』

クスクスと笑いながら、私をからかっているのかどうなのか……どちらかと言うと明るく活発な印象が強い人だけれど、たまにこうやって大人っぽい姿を見せるのはいろいろと大変なおうちに生まれたからなのか……とっても綺麗な人だし、そういうギャップや優しい性格も相まって龍門渕さんこそ魅力的な人だと思う

あの人が龍門渕さんの下にいるのも、お仕事ってだけじゃなくって、龍門渕透華っていうひとりの人間が好きだからだと私は思っている

井上さんや国広さん、沢村さん……天江さんだって、龍門渕さんのことが大好きだから一緒にいるんだってこと、よく知ってるしね

国広さんは龍門渕さんのこと大好きだし、あの井上さんだってたまに口に出して龍門渕さんのことを褒めるんだもん……沢村さんだって口数こそ少ないものの、強い絆があるんだって態度でわかる。 天江さんに至っては言うまでもないだろう

……ちょっとうらやましいかなぁ

透華『…………私、本当にうまくいけばいいと思っているんですのよ? ハギヨシは昔から大人びていて落ち着いていて……私とふたつしか違わないだなんて信じられないくらいですもの』

透華『そのハギヨシが……少し前から、年相応の顔をするようになりましたのよ?』


透華『そのきっかけが恋だったとしたら、それはとっても素敵なことだと思いませんか?』


691 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/09/11(金) 03:14:05.33 ID:sbg38E5y0

玄「…………」

透華『……どうされましたの?』

玄「いえ、その……本当にそうだったら、素敵だなって」

なんだか、顔が熱い……恥ずかしいというか、照れちゃうというか……私が、好きな人になにかいい影響を与えられたんだとしたら……それは、すごくうれしい

透華『ふふ、そうでしょう? ……まあ、きっかけ自体はいろいろな要素があると思いますけれど……清澄の須賀さんですとか』

玄「ああ、須賀くん……萩原さんと仲よしですもんね」

透華『ハギヨシは昔から龍門渕に仕えてくれていますが……そのせいで年の近い同性の友人を作る機会があまりありませんでしたから……』

玄「……気に負わなくてもいいと思いますよ? 萩原さんは、龍門渕さんのこととっても大切に思ってますから……きっと、気にしてないですよ」

透華『ええ……わかってはいるのですが、……ハギヨシがそういう事を気にしないようになってしまったのも、龍門渕の家のせいかもしれないと思うと……いえ、これは言っても詮なきことですわね』

電話の先で小さくため息をつく龍門渕さん……萩原さんが龍門渕さんを大切に思っているように、龍門渕さんも萩原さんのことを大切に思っているのが伝わってくる

龍門渕さんが仲間たち……家族を行動の中心に置いているのと同じように、萩原さんは龍門渕さんを最優先に置いて行動する。 そういう姿を一年間の片恋の間見続けていただけに……やっぱり、私なんかが割って入れない強い絆があるのかなって感じてしまう

萩原さんは少しずつ変わったって、龍門渕さんはそう感じているみたいだけれど……その優先順位の一位は龍門渕さん……あるいは、天江さん。 それはずっと変わらないだろう

……私が、松実館を……お姉ちゃんを、お母さんの想いを、ずっと大切にしてきているように

692 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/09/11(金) 03:15:28.90 ID:sbg38E5y0

透華『……玄さん?』

玄「は、はいっ! なんですか!?」

透華『別に心配しなくても、私とハギヨシでどうこうということはございませんわよ?』

玄「えぇ!? え、あの、なんでわかるんですか!?」

透華『ふふ……鷺森さんもよく仰ってますけれど、玄さんはわかりやすいですもの……電話越しでもわかっちゃいますわ』

玄「……そ、そんなにわかりやすいですか……?」

透華『ええ、表情にも出やすいですし……貴女、打っているときも結構顔に出てましてよ? 少し気を付けた方がいいですわ』

玄「本当ですか!? ……き、気を付けます……」

透華『それでも、素直なのは美点でもあると思いますけれどね。 玄さんの控えめなアピールも……端から見ててもわかりやすすぎて……なんだか応援したくなってしまいますもの』

玄「…………もしかして、みんなにバレバレなんですかね?」

透華『隠そうとしていたのだとしたら、ちょっと心配になるレベルでわかりやすかったですわ……ぶっちゃけ、共通の知り合いはみんな知っているのではなくって?』

玄「……ちょっとは、隠してるつもりもあったんですけど……」

は、恥ずかしい……そりゃあ、どうすればいいのかわからなくってお姉ちゃんや灼ちゃんに相談したりとかもしたけど……あれ? そういえば相談とかする前からふたりとも……というか憧ちゃんや穏乃ちゃんも知ってたような……国広さんたちだって協力してくれたり……

透華『……ま、まあ、そこまで気にしなくてもいいではありませんか。 ほら、もう一年は経ってるんですし、知られても仕方がないと言いますか……』

玄「それは……そうかもしれないですけど……うぅ……恥ずかしいです……」

693 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/09/11(金) 03:16:28.52 ID:sbg38E5y0

それにしても、もう一年にもなるんだ……とっても早く感じた一年だった

インターハイや国麻、秋季大会や近畿大会、冬季、春季の選抜大会……お姉ちゃんが卒業して、赤土先生もプロになって……麻雀ばっかりだけど人生で一番いろいろあった年だったのかもしれない

……それでも、一年あってほとんど進展なしっていうのはどうなんだろうか……? 学校の同級生の子たちなんて、彼氏ができたり別れたりよりを戻してみたり……いろいろな話を聞くけど、私はやっぱり少し遅れている気がする

そういえば、軽く振り返ってみると……小学校から高校までずっと阿知賀女子で、男の子と関わることはあんまりなかった……いじめっ子からお姉ちゃんを守るとか、それくらいかな?

だから私には恋なんて縁のないもので……本とかドラマとかの物語の世界のことだった

遡れば、お母さんが読んでくれた絵本……王子様がお姫様を迎えに来てハッピーエンド。 小さな頃はそんな話にだって憧れていて……今だって本質的には変わらないのかもしれないけど……まだ、恋に恋している感じなのかな?

萩原さんは、とっても素敵な人だと思う。 性格も見た目も文句をつける所がないし、どんなことだってできちゃうすごい人で……まるで、物語の中の王子様みたいだ

そういう人を好きになっちゃったから……いや、そういう人だから好きになっちゃったと思っているだけ? こんなことを難しく考えても仕方がないのかもしれないけど

……進んでる子はキスとか、その……ちょっと、え、えっちなこととか……そういうこともあるみたいだけど、私にはあまりイメージが湧かなくて……手を繋いで歩いてみたり、ぎゅって抱き合ったり、そういうことにだって憧れちゃうラインに立ってる

……前に何度かそういうことがあったけれど、そういう日はドキドキしちゃって夜も眠れないくらいで……憧ちゃんには小学生じゃないんだから、なんて言われちゃったけど……

玄「……あれ? それじゃあ憧ちゃんは!?」

透華『新子さん? あの方も相当わかりやすいですわね……純の回りにはあの手のファンが多いからあんまり気になりませんけど』

龍門渕高校のお嬢様方からも人気だという話は風の噂に聞いているけれど……テンパった憧ちゃんみたいな感じのファンがたくさんいるんだ……大変そうだなぁ

透華『それにしても、新子さんはどうしてあんな……面白いことになってしまったんでしょうね? 去年のインハイ前に初めて会ったときは普通でしたのに』

玄「お、面白いことって……」

いや、たしかにちょっと面白いことになってるけど……憧ちゃんは憧ちゃんで一生懸命だから笑うところじゃないよね、うん……

694 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/09/11(金) 03:17:52.51 ID:sbg38E5y0

透華『まあ、純はあれで新子さんのことは結構気に入ってるみたいですわよ? 麻雀のスタイルも似ていますし……』

玄「麻雀のスタイルですか……」

透華『玄さんだってドラ麻雀打つ方がいたら共感みたいなことはあるのでは?』

玄「まあ、たしかに……でも、私みたいなドラ麻雀する子見たことないんですけど……」

透華『……まあ、玄さんレベルのドラ爆する方がそう何人もいて堪るかって感じですけど……そうですわね、私だって感じるところはありますわよ? デジタル打ち相手だと特別対抗心燃やしてみたりですとか! 特に! 原村和には負けられませんわ! 』

玄「……龍門渕さん、和ちゃんのこと好きですよねぇ」

透華『す、好き!? 何を言ってますの!? ライバルですわライバル! 私こそが真のアイドルだと世間に知らしめなければ!』

玄「ふふ……もう公式戦じゃ対戦の機会無いんじゃないですか?」

透華『三年生はもう引退ですからね……しかしまだまだ打つ機会自体はありますわ! 国麻で原村和以上に活躍して! 世界ジュニア代表に選ばれて! 世界に龍門渕透華の名を! 』

玄「龍門渕自体は世界でも有名なんじゃないですか?」

透華『ノンノン! 龍門渕ではなく龍門渕透華の名を世界に広めるのが大切なのです! 龍門渕の家と私とはまた別々なのですから!』

玄「そういうものなんですか」

透華『なんと言えばわかりやすいのか……ああ、玄さんの結婚相手が玄さんを好きで結婚するのと、松実館を継ぐための婿入りで別に宥さんとの結婚でも構わないんだけど、みたいな感じですか?』

玄「……なんか違う気もしますけど、なんとなくわかりました」

透華『ええと……ああ! 玄さん、って呼ばれるのと宥さんの妹さん、って呼ばれるのとでは全然違いませんか!?』

玄「急にわかりやすくなりました!」

透華『それはよかったですわ! ……私は将来的には龍門渕を背負う以上、龍門渕の娘だとか、そういう捉えられ方をするのは仕方ないですが……やはり、私個人を評価していただきたいですし、知っていただきたいですから……』

透華『衣やハギヨシ、一に純に智紀……それに原村和や、玄さんたち阿知賀の皆様……皆さん、私が龍門渕透華だからではなく……私がただの透華でも友人として付き合ってくれるでしょう? 私はそれがうれしいですし、直接面識のない方にも透華個人としての評価をしていただきたいのです』

透華『麻雀ならば、家のことは関係ないでしょう?』

695 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/09/11(金) 03:20:02.19 ID:sbg38E5y0

玄「……龍門渕さんも、いろいろあるんですね……ううん、私なんかよりももっとたくさんあるのかなぁ……」

透華『悩みなんて人それぞれですわ。 私だって今は如何にして目立つかとか、そんなことばっかり考えてますけれど……もう二、三年もしたら家のことをしっかり考えないといけなくなるでしょうし……』

透華『玄さんだって悩みはあるでしょう? 進路や麻雀のことや……ふふ、今は恋の悩みが一番でしょうか?』

玄「あぅ……そ、それは、いろいろ悩んでますけど……」

透華『ふふふ……別にいいではないですか。 自由に恋ができるのだって今だけかもしれませんわよ? ちゃんと悩んだ方がいいに決まってますわ』

玄「……その、龍門渕さんは、もしかして……」

透華『……さあ、どうなることやら……今のところ、いわゆる政略結婚の話は来ておりませんけれど……まあ、龍門渕の家は大きいですし、余程のことがなければ嫌々結婚なんてことはないと思いますけれど』

玄「そ、そうですか……なんかホッとしちゃいました」

透華『今のところは、ですけれどね……とはいえ、現在いい相手がいるわけでもありませんし……お見合いの話なんかが来て会ってみたら意外と……ってこともあり得ますしね。 どうなるかはわかりませんわ』

透華『……玄さんみたいに好きな殿方がいれば別なんでしょうけど』

玄「りゅ、龍門渕さん! うぅ……いちいちからかわなくてもいいじゃないですか……」

透華『ふふ、照れちゃってかわいらしいこと……早くまた会いたいですわね……次に会えるのは国麻の時でしょうか?』

玄「そう、ですね……選抜されたらですけど」

透華『私は当然選ばれますし、玄さんだって確実でしょう? インハイ出場校のエースが選抜されないなんてそうあることでもないでしょうに……何度も言いますけど、玄さんはもっと自分に自信を持ちなさいな。 麻雀だってお上手ですし、女性としてもとても魅力的ですわよ?』

玄「……そんなに褒められると照れちゃいます」

透華『もう、ほんとかわいらしいんですから……褒め殺しにしたくなりますわ』

696 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/09/11(金) 03:22:25.55 ID:sbg38E5y0

透華『……あら? ……すみません、少々お待ちくださいな』

玄「……? はい……どうかしましたか?」

透華『いえ、少し抜け出してきてたものですからそろそろ戻れと催促されまして……主役がいないと盛り上がらないでしょうし、仕方がありませんけれど』

玄「ふふ……今日はまた去年みたいにみんなでパーティーですか?」

透華『いえ、私も18ですから……来年からは龍門渕の運営にも関わりますし、いわゆるお偉方への顔見せも含めたパーティーを……』

玄「へぇ……すごいんですねぇ……」

玄「……って! ちょ、本当に主役な上に外してたらダメなやつじゃないんですか!? 私なんかと話してて大丈夫なんですか!?」

透華『私なんか、はおやめなさいな。 それに、最初に言ったでしょう? 貴女のためなら一時間でも二時間でも時間を作りますわ』

玄「え、いや! でも!」

透華『いいんですよ、まだギリギリ我儘の通るタイミングですから……それに、私がとっても優秀なのは知れ渡ってますの! 破天荒なところもですけど』

玄「そ、それは大丈夫なんですか……?」

透華『さあ、どうでしょう……ただ、私の父はどちらかというと保守的で堅実に龍門渕を大きくしていましたから……私の代でまた少し家風が変わるってことを小さいところからアピールしておきませんと!』

玄「うぅ……なにも抜け出すなんてマイナス評価を受けそうなアピールしなくても……」

透華『友人の方が大切ですもの! 玄さんからお電話いただけて本当に、とってもうれしかったんですのよ?』

玄「……そうですか?」

透華『もちろんですとも! ……とはいえ、さすがにそろそろ戻らないといけないので……』

玄「……龍門渕さん、私のために貴重なお時間を割いていただいて……」

透華『自分のためですわ! 玄さんとお話ししたかったんですもの……あと、最後に私からひとつよろしいですか?』

玄「はいっ! なんでしょうか?」

透華『いい加減、龍門渕さんなんて他人行儀なのはやめてくださいな……もう一年以上の付き合いですのよ? それに、将来的には家族になるかもしれないんですし……』

玄「……それじゃあ、透華さん……って! か、かか、家族って!?」

透華『私はそうなるとうれしいんですけれど! そうしたら透華お姉さまと……いえ、ハギヨシは従者とはいえ兄のようなものですし玄さんがお姉さんでしょうか?』

玄「な、ちょっ! そ、そそそ、そんな! 気が早いですよぉ!」

透華『これからも頑張ってくださいましね? ハギヨシは結構な照れ屋で意外と奥手だったのです……しっかり攻めればきっと押しきれると思うんですけど』

玄「な、なに言ってるんですかぁ!? せ、攻めるなんて……あうぅ……」

697 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/09/11(金) 03:23:37.47 ID:sbg38E5y0

透華『玄さんも負けず劣らず照れ屋さんで奥手なのは大変ですわね……一年経ってるのに手を繋いだぐらいでしたか? せめて付き合うところまではなんとか……』

玄「で、でも……付き合わないって前に言われちゃってますし……」

透華『ああ……高校生はまずい、なんて言ってましたわね……二つ差ならそこまで問題はないと思うのですが……んん? ということは、そこら辺がポイントなのでしょうか?』

玄「え? どういうことですか……?」

透華『……それは、自分で考えてみてくださいまし……しかし、そうなるとなかなか大変ですわね……会う機会もさらに減ってしまうでしょうし……』

玄「え? え?」

透華『とにかく、次は国麻ですわ! 貴女たちとの対局、楽しみにしていますのよ? 精々特訓して私をがっかりさせないように!』

玄「は、はい! もちろんです! 負けませんよっ!」

透華『玄さんも楽しみにしていてくださいましね? ハギヨシもしっかり付き人として連れ行きますから』

玄「と、透華さんっ!だ、だから、その……た、楽しみにしてます……」

透華『ふふ、素直でよろしい! では、またいつでもご連絡くださいな。 高鴨さんや鷺森さんたちにもよろしくお願い致しますわね』

玄「はい、透華さん! こちらこそみなさんによろしくお願いします……お誕生日、おめでとうございます!」

透華『ふふ、ありがとうございます……それでは、ごきげんよう』

698 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/09/11(金) 03:24:24.96 ID:sbg38E5y0

玄「…………透華さん、本当に大丈夫だったのかなぁ」

御披露目パーティーで抜け出すって……私に気を遣って大丈夫って言ってたんじゃないといいけど

……最後に言ってたの、どういうことだったのかな? ポイント? そこら辺って……?

…………よくわかんないや

とにかく、透華さんにも自信を持って頑張れって言われたし……とりあえず、目の前のことからひとつひとつ!

次は国麻……麻雀の大会も、あの人に会えるのもその時なんだから……それまでにしっかり準備しないと!

よぉし、頑張るぞ! 悩みの種は尽きないけれど……麻雀も恋も……

宥「くろちゃーん……あったかいお飲物ちょうだーい……」

……お姉ちゃんのお世話も!


玄「おまかせあれ!」



カン!

699 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/09/11(金) 03:30:41.85 ID:sbg38E5y0
とーかたんイェイ〜
憧ちゃんはネタ枠で玄ちゃんはガチ枠みたいな扱いの差はどうすればいいのか
というか今更ながら恋愛系のネタは別に立ててやるなりした方がいいのかどうか…ある程度まとめて直すとこ直して玄ハギとかいう超マイナーなスレでも立てればいいのか
全国編vitaまで一週間切りましたね。楽しみです
700 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/11(金) 03:53:02.39 ID:7c63w2Jo0
オチ担当のユウチャーにほっこりした
さすが龍門渕のおかん

pつ
701 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/11(金) 04:22:36.95 ID:CLVXUfRmO
乙です
憧は「ふきゅ」るっていうリアクション芸があるからネタ化しやすい上に、百合ないしレズという基本には異質なモノだしな
憧の相手がハギヨシや京太郎とかの男性キャラだったら違ってたんじゃないかと
702 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/11(金) 07:49:10.23 ID:lIka56opo

とーかまじとーか
703 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/11(金) 09:16:27.69 ID:FjbHl49w0

劔谷とか久々に見たいな
704 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/11(金) 12:16:54.21 ID:1VSTY7+vo
関西つながりで剣谷、姫松、千里山、晩成のメンバーたちの話がみたいね
例えば近畿大会とかで
705 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/11(金) 12:50:10.30 ID:G/+ny/8Yo
乙です
706 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/11(金) 15:15:46.16 ID:SaP7a9eF0
追い付きました
この大量のキャラをよく使いこなせますね、凄いです

スバラとワハハの持ちネタコンビは通るでしょうか
707 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/11(金) 18:55:37.43 ID:IGZIq1WOo
おつ
別に立てるのもいいけどこのスレでどんどん進めてもええんやで
708 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/11(金) 19:58:46.71 ID:IPcKqkOdo
宥はおねえちゃんキャラのおかげで、たいていのキャラと相性いい気がする
709 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/09/15(火) 03:55:25.71 ID:y1F5Lob40
じゅんたんイェイ〜

>>701そもそも思い返してみたら純くんと憧ちゃんって※原作で一応接点がある。※鳴きを得意とするスタイル。※イケメン×美少女。行ける!一本書くか!って思ったけどガチでやると消耗半端ないことになるから半ばギャグ枠にしようと思って最初に書いたんだった。この扱いもしょうがない…
京太郎は好きだけど一周して京タコ(友達)が最強って形で自分の中で落ち着いちゃったし京太郎で恋愛ものってもう書かない気もする…それでも京咲は一回書きたいかなー
>>703-704名門劍谷のエース椿野ちゃんもやっぱりなにかあるってことが示唆されてるし近畿大会自体は末原ちゃん好きとしてはかなり熱いしじきに触ろうかと
>>706追いついてくれるなんて嬉しいことです…龍門渕ラッシュ抜けたら!
>>708おねえちゃん属性と世話焼かれ属性が交わり最強に見える
710 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/09/15(火) 03:57:54.64 ID:y1F5Lob40

穏乃「うわぁ……そんなことになってるんですか? 相変わらずスゴいですね……」

一『相変わらずっていうか……いつも以上なんだよ。 今年はインハイもあったしさ……それに、今日月曜でしょ? 純くん食べ物は基本なんでも受け取るから気合入った手作りのお弁当やらおかしやらが大量に貢がれてて……午前の授業中から早弁して休み時間にはお菓子を食べて……』

穏乃「あはは、一日中食べっぱなしじゃないですか」

一『しかもお昼休みになってからまた量が増えてさ……純くんのモテっぷりには困ったもんだよ……衣がおかしのおすそ分けもらってすごくうれしそうにしてるからいいけどさ』

穏乃「だってよ、憧」

憧「なんでわざわざスピーカーで通話すんのよ!? 煽ってんの!?」

一『いやあ、発破かけようと思ってさ』

穏乃「ほら、憧は距離ある分不利だし? やる気出させてあげようかなーって」

憧「余計なお世話! ほっといてよ!」

穏乃「いや、だって今日電話とかもしてないみたいだから気になってさあ」

一『ああ、でもそれってアレでしょ? 夜中日付変わった辺りから電話したいけど夜中じゃ迷惑かなーとかなんとか、緊張してる自分にいろいろ言い訳してたらお昼過ぎちゃったってだけで……』

憧「な! べ、別にそういうのじゃないですけど!? と、とと、友達に電話するのに緊張する理由とかないですし!?」

穏乃「……ですって、一さん」

一『ふふ、憧ちゃんはほんと……』

憧「なんですか!? 言いたいことあるならはっきり言えばいいじゃないですか!」

一『え? 言っていいの? ボク、いろいろ遠慮して言ってなかったんだけど……それじゃあ』

憧「……やっぱいいです」

一『そっかぁ』

711 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/09/15(火) 03:59:08.07 ID:y1F5Lob40

昼休み、今日は部室で昼食だ。 今はしずと二人だけどそのうち玄と灼さんも来るはずだ

国麻や秋季選抜、近畿大会に向けて一年生を外してミーティング……のはずが、上のふたりが来る前に一さんからしずに電話が来て……なんか、私がからかわれてる

早く玄と灼さん来てほしいんだけど……あ、いや……来ても最悪ミーティング始まらないで私がからかわれるだけか……なんならもうしばらく来なくてもいいや

一『でもさ、ボクとしては憧ちゃんは他の子よりは有利だと思うんだよね』

憧「へ?」

一『純くん、なんだかんだ憧ちゃんのこと気に入ってるしさ……ファンの子と友達って差はでかいよね』

憧「そ、そっそうなんですかね!? 本当に!?」

一『わかりやすいと思うけどなぁ……態度にわりと出てない? ほら、例えば純くん片岡さんとかもお気に入りだし仲いいでしょ?』

穏乃「ああ、優希と純さん仲いいですよね! なんて言うんですかね? マブダチ?」

一『あ、その言い方は結構しっくり来るかも……』

憧「ゆ、優希? 優希か……優希ねぇ……」

一『いや、そういうのじゃないよ? なんで本気で悩んでるのさ……』

穏乃「今すごい顔してたよ? 優希かわいいけど私勝てるかなーってレベルじゃなかったよ?」

一『え……そこまで? 落ち着きなよ、そもそも片岡さんも純くんもそういう意味で仲いいわけじゃないんだし』

憧「わ、わかってますから! 別にそこまですごい顔してなかったでしょ!?」

穏乃「……あ、そういえばこの前初美さんが」

憧「なんで話逸らすのよ!?」

712 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/09/15(火) 04:00:03.87 ID:y1F5Lob40

穏乃「だって……ほら、ね?」

憧「そこまで!? 私がそこまでだったの!?」

穏乃「私、愛と友情どっちをとればいいの? みたいな悲劇のヒロインを越えてたよ……」

一『昼ドラレベルかな?』

穏乃「あはは! 昼ドラって……どれくらい行けばそこまでドロドロするんですかねー?」

一『うーん……それじゃあ、憧ちゃんは純くんのことが好きなんだけど幼馴染みで親友の穏乃ちゃんのことも気になってる。 純くんは妹みたいな衣や仲のいいボクのことが気になってるんだけどボクは透華が好きなんだけどやっぱりボクも気の合う親友の穏乃ちゃんが気になってる。 穏乃ちゃんは頼れる先輩の鷺森さんや玄さんが気になってて……ああ、憧ちゃんが恋愛相談してる岡橋さんは憧ちゃんのことが……』

憧「ちょっと! やめてくださいよ! 身内でそういう話するのは!」

一『冗談なのにねー』

穏乃「ですよねー」

一『で、なんだっけ? 普通に純くんの話すればいいの? っていうかもうそろそろ戦利品持って帰ってくると思うけど』

穏乃「ちょうどいいですね!」

憧「え!? えーっと、大丈夫ですから! 後で自分で連絡とりますし!」

穏乃「え? なんで? 自分で連絡できてなかったんだから今ちゃんと話せばいいじゃん?」

憧「な、なんでしずたちの前でそんなことしないといけないのよ!?」

一『ボクらは気にしないよ?』

憧「私が気にするんですよ!」

穏乃「……? 別にふたりで話すにしても告白とかできるわけじゃないんだしさ、恥ずかしがらなくてもいいじゃん。 むしろみんなの前の方が余計なこと言わないで済むんじゃないの?」

憧「いろいろとキツいとこ突かないでよ!?」

一『容赦ないなぁ』

713 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/09/15(火) 04:01:12.87 ID:y1F5Lob40

一『……まあ、そういうことなら一旦電話は中断しよっか? ボク、こう見えて憧ちゃんのことは応援してるし』

憧「それ本気で言ってます!? 遊んでるだけですよね!? 私を弄んでますよね!?」

一『そんなつもりないんだけどなあ……ボクよりむしろ純くんが弄んでるんだと思うんだけど』

穏乃「いえ、それは憧が勝手に翻弄されてるだけですから!」

憧「しーずー!」

穏乃「もう、怒んないでよ……」

一『まあ、憧ちゃんはむしろ純くんに弄ばれたいのかもしれないけど』

憧「ふきゅ」

穏乃「なんだかんだ楽しんでますからね」

憧「な、なな、なにを……」

一『純くんはわりと天然で女の子コマ巣からさ。 悪気はないんだよ?』

憧「い、いや、別に!? 何も言ってないじゃないですか!?」

穏乃「それにしても憧も玄さんも楽しそうでちょっと羨ましいかなー」

一『穏乃ちゃんはそういう話ないの?』

穏乃「いやあ無いですねー……あ、それじゃあ誰かいい人紹介してくださいよ、ははっ!」

一『ボクもそういうのないしなー……透華とか純くん辺りしか紹介できないけど』

穏乃「それじゃあ、純さん紹介してもらうのも憧に悪いし透華さんを……」

一『あ、ゴメン! 透華はボクのだから紹介するのはちょっと……』

憧「ちょっと! またふたりで悪ふざけするのやめてくれない!?」

一『えー? 別にいいじゃない、ボクらが勝手に楽しんでるだけなんだからさー』

穏乃「もともと私が一さんと電話してたのにー」

憧「最初は結局私いじりだったじゃん!?」

714 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/09/15(火) 04:02:11.25 ID:y1F5Lob40

一『……あ、それじゃあほんとに切るね? 純くん戻ってきちゃうし……憧ちゃん頑張ってね! 穏乃ちゃんも、また後で電話するよ』

穏乃「はい! それじゃあまた後で!」

憧「……どうも」

一『もう、むすっとしないでよ……純くんだって笑顔の憧ちゃんが好きだと思うな』

憧「へ!? え、あ、そ、そうですかね!?」

穏乃「……普通に考えたら不機嫌な顔してる人より笑ってる人の方がいいと思うけど」

憧「……そりゃそうよね」

一『ふふ、憧ちゃんはとにかく落ち着いて、その冷静さを維持して、ね? なにをするにも慌ててたら上手くいかないよ?』

憧「普通にアドバイスっぽいこと言われてもなんか釈然としないんですけど」

一『からかいすぎたかなあ……もしかして嫌われちゃった?』

憧「……べつに、思うところはありますけど……嫌いじゃないです」

一『うーん……ここで好きって言える素直さがほしいよね』

穏乃「憧は照れ屋ですから」

憧「もう! いいから! さっさと切ってくださいよ!」

一『あはは、怒られちゃった。 じゃあまたね』

穏乃「はい! 憧も言うほど怒ってないんで気にしないでください!」

憧「なんでしずがそれを言うわけ!? 決めつけないでよ!」

穏乃「え? でも怒ってないでしょ?」

憧「……ちょっとは怒ってるし」

穏乃「なんだ、やっぱり怒ってないじゃん」

憧「話聞いてるの!?」

穏乃「聞いてるけど? っていうか顔見ればわかるもん。 何年の付き合いだと思ってんのさ」

憧「……もう! もう!」

715 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/09/15(火) 04:03:25.88 ID:y1F5Lob40


玄「遅れちゃってごめんね! ……どうかしたの?」

灼「……なに怒ってるの?」

穏乃「玄さん、灼さん! こんにちは!」

憧「……別に怒ってないけど?」

穏乃「いつものちょっと拗ねちゃってるやつですから」

灼「ああ……」

憧「いつものってどういう意味!? 灼さんもなんで納得すんのよ!」

穏乃「そりゃあ……いつも通りってことだけど」

灼「ね」

憧「ね、って……!」

玄「まあまあ、少し落ち着いて……」

穏乃「さっき一さんにも言われたばっかでしょ?」

灼「あ、その関連ね……だいたいわかった」

憧「灼さん!」

灼「いいよ、電話してきたら? どうせまだなんでしょ」

玄「善は急げって言うよ?」

憧「い、いいわよ! 放課後にでもするし!」

灼「……まあ、そう言うならいいけど……とりあえず確認しとくけど、私と玄が参加するのは国麻が最後になるから」

玄「はぁ……引退するの寂しいなぁ……」

灼「ん……そだね……最後だし頑張ろ? ……これは明後日に晩成に代表選手集まってミーティングあるから」

穏乃「巽さんたちと作戦会議ですね!」

憧「オーダー順とだいたいのチームの作戦の確認、他県のデータチェックよね」

灼「そ。 秋季や近畿大会でも使えるデータだし、穏乃と憧はしっかりチェックすること」

玄「国麻では仲間だけど、他の大会では対戦相手だから……仲間の選手もしっかり確認しておくようにお願いします!」

穏乃「はーい!」

憧「ま、もうだいたい頭入れてるけどねー」

716 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/09/15(火) 04:04:23.23 ID:y1F5Lob40

灼「で、国麻終わっても部室には入り浸るけど一応そこで引退になるから」

憧「入り浸るんだ……」

玄「……ダメかなぁ?」

憧「ダメじゃないけど……そんな泣きそうな顔しないでよ」

灼「その方が憧だってうれしいでしょ」

憧「……まあ」

穏乃「あ、少し素直になったね! いいよ! その調子!」

憧「……うっさい、バカ」

灼「部長の引き継ぎとか、その辺は国麻終わってからするね」

玄「部費の管理とか、そういう細々した書類とかもしっかりまとめとくからそこら辺は安心してね!」

穏乃「よろしくお願いします!」

憧「ん、よろしくー……そういえばそういうの全部任せちゃってたわね」

玄「ふふ、そういうのは先輩がやるものだから気にしなくていいよ?」

灼「どうしても部長になりたい子は国麻終わるまでにこっそり私のところに来るように」

憧「……なんでこっち見ながら言うわけ?」

灼「ふたりに言ってる……というか、この際ふたりで相談して決めてもいいよ? 残る二人がやり易いようにやるのが一番だと思うし……あ、玄……それおいしそ……」

玄「はい、あーん」

灼「ん……おいし」

玄「へへ、お姉ちゃんのお弁当も毎日作ってるんだもん。 お料理は自信あるよー?」

穏乃「あ、いいなぁ……玄さん、私ともおかず交換しましょうよ!」

玄「うん、大歓迎だよっ!」

憧「……脱線しないでよ」

灼「ご飯はご飯で大事。 ほら、あーん」

憧「……自分で食べられるってば」

灼「そう言いつつ食べてくれる憧が好きだよ」

憧「……ふんっ!」

717 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/09/15(火) 04:05:25.94 ID:y1F5Lob40

灼「じゃ、話を戻すけど……今後の大会、阿知賀女子麻雀部としては私と玄が抜けて実践経験の少ない一年生を起用していくことになるから……秋季は一年生に経験を積ませる場所だとでも思って……」

穏乃「ふむ……近畿大会に照準を合わせるってことですか?」

灼「そゆこと。 秋季を捨てるって意味ではないけど……正直、やっぱり層の厚さが段違いだし晩成を抜くのは難しいと思……」

玄「一年生たちだけじゃなくって、穏乃ちゃんや憧ちゃんも思いきっていろいろな打ち方を試したりとか、そういう気持ちで挑んでもいいんじゃないかなってこと」

憧「……まあ、そうね。 夏はインハイ出てるわけだし、秋季落としても近畿大会で結果に繋がれば十分……」

穏乃「思いきって! そうですね、来年のインハイでまた和たちに会うためにもしっかりやらなきゃ! で、憧は思いきってなにを贈ったの?」

憧「ふきゅ」

玄「ケーキは焼いてたよね? 私と望さんでお料理教室やったし……」

灼「ケーキだけ?」

憧「え、あ、な、なんでそんな話になるわけ!? 麻雀関係ないじゃん!!」

灼「純くんたぶん国麻出るし関係あるんじゃない?」

憧「そ、そんな適当な……」

穏乃「でもさ、ケーキだけだとちょっと弱くない? 純さん食べるの好きだけど、ファンの人たちも知ってるみたいだしさ……食べ物いっぱい貰ってたって一さんも言ってたよ?」

憧「そ、そんなのわかってるわよ! 私だってちゃんと……」

灼「ちゃんと?」

憧「……い、いいから! ほら、秋季のオーダーどうすんの!? いろいろ考えなきゃでしょ!?」

718 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/09/15(火) 04:06:58.74 ID:y1F5Lob40

玄「うーん……まずは先鋒をどうするかだよね。 一年生に任せるのは荷が重いかも……」

灼「経験を積ませる意味で任せてみるのもアリだと思……ただ、やっぱりヤバいのが集まるポジションでもあるし憧がやるのが一番安定するかな」

穏乃「私と憧で後輩たちを挟む感じですね……憧が稼いで、最悪真ん中で点数奪われても私が頑張って取り返せばいいですし! 後輩たちもその方が安心して打てるかも……」

灼「ん……たしかに、いきなり先鋒任すのはプレッシャーも強いかもね……玄が大打点プレイヤーだってのもあるし」

玄「え? へへ、そうかなぁ……?」

憧「……プレッシャーをはね除けるメンタルはほしいけどね。 やっぱ全国って心折れるぐらい強いのっているし」

穏乃「うん……私たちの上には照さんとか天江さんとかいたし……」

玄「咲ちゃんとか淡ちゃんとは来年も打つことになるからね……まあ、そういう子達はだいたい先鋒や大将になることが多いけど」

灼「ここら辺はもうちょっとしっかり詰めた方がよさそ……姫松みたいに中堅にエース置くとこもあるしね。 やっぱりメンタル面の強化は大切だし……憧もプレッシャーをはね除けてちゃんとなにかしら贈ったみたいだし」

憧「ふきゅ」

玄「大丈夫だよ! 最近お料理も練習してるし、ケーキだっていっぱい練習したし! 努力は実を結ぶよ!」

穏乃「ああ、今さら気づいたけどそれで最近ケーキとかよく持ってきてたんだ……後輩たち喜んでたけど太りそうだって苦情も来てるよ」

灼「憧はそれでスタイル崩さないから偉いね」

憧「そこら辺は努力してるのよ! 作ったらやっぱり食べちゃうし! 太りたくないもん!」

719 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/09/15(火) 04:08:29.99 ID:y1F5Lob40

穏乃「で? なに贈ったの?」

憧「え、それは、その……ちょっとしたアクセサリーとか……?」

灼「指輪?」

玄「えぇ!? そ、それはさすがに攻めすぎなんじゃ……」

憧「ち、違うわよ! さすがにそこまで攻めれないって!」

灼「じゃあなに?」

穏乃「なに?」

憧「え……あー……その、あ、アンクレット?」

玄「ふぅ〜む……なるほどなるほど、なるほどー」

穏乃「あんく……?」

灼「ブレスレットの足に付ける版みたいな」

穏乃「へー……ブレスレットじゃダメなの?」

憧「……ま、麻雀するし、手に付けるやつだと邪魔になるかなーって……」

穏乃「なるほど! ちゃんと考えてるじゃん! 足元とかさりげないおしゃれって感じでカッコいいし!」

憧「ま、まあ? 悪くはないわよね?」

玄「ふふ……憧ちゃん、なかなかやるねぇ」

憧「な、なな、なにをニヤニヤしてんのよ」

玄「だって、アンクレットって……」

憧「わ! ちょ、別に! なんも変な意味はないから!」

穏乃「意味?」

720 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/09/15(火) 04:10:51.66 ID:y1F5Lob40

憧「え、いや……あの、お、お守り! 的な、意味があるのよ! 左足に付けとくと悪いものから守ってくれるみたいな!」

穏乃「へー……意味とかあるんだ」

玄「そう言って渡したんだ?」

憧「そ、そうだけど!? なによ、文句あるの!?」

玄「んー? 別に……憧ちゃんっぽいかな? 頑張ったんだねー」

憧「なに!? なんなのよ! もう!」

灼「……左足に付けると『恋人がいます』って意味になるらしい」

憧「ふきゅ」

穏乃「へー! そんな意味もあるんですね!」

灼「スマホで簡単にこういうの調べられて便利だよね……元々は独占したい相手に「わー! わー! きゃー! ちょ、ちょっと! あああ灼さん!!」

灼「……悪い虫がつかないように牽制?」

穏乃「足首とか純さん制服ズボンだし見えなくない?」

憧「ううううるさいわね! べ、別にいいのよそんなの! 見てる子は見てるし!」

穏乃「まあそれはわかるけどさ……純さんいい筋肉のつき方してるしね。 ふくらはぎとかも……」

憧「そういうことじゃないでしょ!? この場合私が言いたいのは…………」

穏乃「……? なに?」

憧「あ、いや……」

玄「ふふ、好きな人のことって気になっちゃうから……細かいところもつい見ちゃうんだよ。 きっと、井上さんのファンの子たちもさ」

憧「わ、私はそんな……えっと……」

穏乃「そういうものですかー」

灼「憧みたいなおしゃれさんはファッションのチェックもしてるからね……足元とかもちゃんと見てるんだよ」

穏乃「ああ、そうですね! 私もこう見えて一さんや初美さんとファッションに関しては日々鍛練を……」

憧「余計な鍛練しないの!」
721 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/09/15(火) 04:13:13.59 ID:y1F5Lob40

灼「ちなみに、右足に付けると『望む力の強化』だってさ」

穏乃「そうなんだ! 私もつけてみようかな……もっと麻雀強くなりたいし!」

憧「それなら練習しなさいって!」

灼「やめた方がいいかも? 『恋人/浮気相手募集中』って意味もあるらしいよ」

玄「いろいろ意味があるんだよね〜」

穏乃「あはは! それじゃあ間違って右足に付けたりしてたらもう、純さんなら入れ食い状態になっちゃいますね!」

憧「え!?」

灼「モテるからね、純くん」

憧「…………」

玄「でも、アクセサリーかぁ……いいなぁ、そういうのも……私もなにか……でも、身に付けるものなんて贈っていいのかわからないし……」

穏乃「大丈夫ですよ! そういうの無下にする人じゃないですって!」

玄「うん、それはそうなんだけど……付き合ってるわけじゃないし、重い子だと思われちゃわないかなぁ……」

憧「!?」

灼「逆に考えよう。 むしろ受け取ってもらえたら脈アリだということで……」

玄「な、なるほど……でも、うーん……どうしようかなぁ……」

憧「……わ、わわ、私、ちょっと電話してくるから!」

穏乃「うん、頑張ってね!」

灼「いってら」

722 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/09/15(火) 04:14:18.57 ID:y1F5Lob40

憧「……も、もしもし!?」

純『おう憧……どうした? なに焦ってんだ?』

憧「……いや、別に…………その、お誕生日おめでとうございます」

純『さんきゅ! 届いたぜ、ケーキは帰ってから食うけどさ。 アンクレットつけてるぞ? 憧はやっぱセンスいいよな。 気に入ったわ』

憧「そ、そそ、そうですかね!? 気に入ってもらえたならよかったです! ……ち、ちなみに、どっちの足に……?」

純『? 左につけろって書いてあったから左につけてるけど?』

憧「そ、そうですか! それならいいんですけど! あはは!」

純『? なんなんだよ? 』

憧「その、よくよく考えたらアクセサリーなんて、ちょっとアレだったかなーって……」

純『はは、知らねぇ奴からならさすがに面倒だけどさ……憧からならなんの問題もないだろ? 普通にうれしいぞ』

憧「ふきゅ」

純『やっぱいいよな、ダチってのはさ……オレ、ドイツ暮らし長いし……こっち来てからは透華のとこだろ? ちょっと環境特殊だからさ』

純『いつも透華と衣と国広くんと智紀と……あいつらが一緒だけどな……それ以外のダチもできなかった……いや、これは作らなかったんだな。 群れんの苦手だったし』

憧「う……やっぱ迷惑ですか……?」

純『いやいや、過去形だって。 透華たちのお陰でダチといるのもいいよなって思えるようになったからよ……今はお前とかタコス娘とかもいるしな』

723 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/09/15(火) 04:15:10.82 ID:y1F5Lob40

憧「…………」

純『……なんだよ?』

憧「……やっぱり優希と仲いいですよね」

純『はは、仲いいって感じではないけどな……ライバルっつーか……戦友? なんつーか、認めてるよ、あいつのことは……あいつには言うなよ?』

憧「は、はい」

優希……かわいいんだよなあ……いや、そういうのじゃないのはわかってるんだけど、なんか、やっぱり……うん……

純『それにしても、そうだな……透華たちはダチだけどやっぱもう家族なんだよな……そういう点では一番のダチって憧かもな』

憧「ふきゅ」

憧「……い、いちばん!? わたしが!?」

純『なんだよ、そんな嫌がらなくてもいいじゃねーかよー? オレだって傷つくぞー?』

憧「い、いや! 嫌がってるとかじゃないんですけどね!?」

い、一番……いい響きだけど、ダチ……ダチか……なんか、複雑っていうか……むしろこれはいいのかな? いや、でも逆に……逆に? とにかく、家族を除外して一番って……一番……

憧「わ、私、純さんの一番なんですか?」

純『おう、さっきそう言ったろ?』

憧「ふきゅ」

……そういう意味じゃないってわかってても幸せな気分になれちゃう私ってバカなのかも

724 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/09/15(火) 04:15:48.28 ID:y1F5Lob40

純『で、なんだっけ? ……ああ、だからさ、憧からなんかもらって迷惑とか別にねぇからさ……あ、つーかオレばっかもらってんのもわりぃよな。 オレも今度なんかやるよ……なんなら揃いでなんか付けるか?』

憧「ふきゅ!?!?!?」

そ、揃いって!? な、なに!? 色違いとか!? っていうか足に!? 揃いで!? い、意味が! ど、独占したい……こ、恋人に……え、あ、え!?

純『なーんて……さすがに揃いはちょっとアレだよな? とにかく適当になんか……』

憧「い、いやいや! えっと、あれ!? ほら、その……バースデープレゼントですし!? そんな気にしなくても……その! っていうか!? 別にお揃いとかもアリだと思いますけどね!? ゆ、友情……じゃなくって、ほら、絆っぽいっていうか!?」

純『アリなのか? そんなもんか……まあ、国広くんは透華との絆とか言って絆っつーか鎖と枷つけてるけどな、ははっ』

憧「あはは! 一さんってやっぱりすごいセンスしてますよね! ほんと、しずにまで影響するんでなんとかなりませんかね! あはははは!」

純『オレもどうかと思うけどな……まあ、もう言っても聞かねぇし……つーか牛乳テンション高いな? どうした?』

憧「い、いえ、別に……ひ、久しぶりに話すからなんとなくですね……」

純『ん? 先週会っただろ?』

憧「う……ま、まあそうなんですけど……」

純『オレだってそりゃあ、もっと会えりゃうれしいけどな』

憧「ふきゅ」

純『距離ばっかりはどうしようもねぇしなー……次は国麻か? うっかり選考落ちたりすんなよ?』

憧「だ、大丈夫ですよ! 純さん……とか、和たちに会うためにも! しっかり行きますから! そ、そっちこそ頑張ってくださいよ?」

純『はは、まぁな……衣と透華は確実だろうが今年の長野Aは選手揃ってっからな……清澄のタコスに乳に角に眼鏡、風越の猫やら鶴賀の空気女とか……』

憧「その言い方はどうかと……いや、全部誰かわかりますけど……」

純『はは、今はあいつらもダチだからな……ほんと、透華様々だぜ』

725 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/09/15(火) 04:17:22.25 ID:y1F5Lob40

……なんか、前から思ってたけど……純さんってめちゃくちゃ龍門渕さんのこと好きじゃない? もしかしてライバル? ……付き合いの長さも負けてるし、勝ってるとこなんてそれこそギリで胸は勝ってるかどうかってぐらいなんだけど……

純『……お、わりぃ、そろそろ昼休み終わるわ……また後で連絡するわ。 ケーキの感想ぐらい言わなきゃ悪いしな』

憧「え、後で連絡くれるんですか!?」

純『いや、そんな驚かなくてもいいだろ……オレをなんだと思ってんだよ……ああ、あと国麻の時に時間できたらまたどっか適当にブラブラしようぜ』

憧「え、あ、は、はい! で、でで、デートですか? はは、なんて……」

純『おう、じゃあ国麻の時はデートだな』

憧「ふきゅ」

純『じゃあなー』

憧「ちょ、え!? でででで、デート!? ででで、デートでいいんですか!? ってあれ!? 切れてる!?」

ど、どうしよう!? ふ、服とか!買いに行かないと……え!? マジで!? と、とりあえず明日……いや、今日にでも初瀬に連絡して……あ、いや、明後日に晩成行くんだしその時にでも相談して……

むしろ揺杏に頼んで速攻仕上げてもらうとか!? いや、さすがにそこまで迷惑かけらんないし、変なもん送られてきたら困るし……と、とりあえず今のところは玄と灼さんに……!

憧「ただいま! ちょっと相談が……!」



一『いやー純くんも罪な子だね。 わざとやってんじゃないのってくらいでさー……こりゃあ憧ちゃんも諦められないわけだよ』

穏乃「憧も楽しそうなんでいいんじゃないですかね!」

灼「一番なんですか? とか聞いて言わせちゃう辺り憧ってやっぱりすごいと思……ちょっと虚しそうだけど」

玄「うーん……でも、やっぱり憧ちゃんって結構積極的だよね……わ、私ももうちょっと……なんとか……」

憧「ちょっと!? 何してんの!?」

一『あ、憧ちゃんお帰り。 穏乃ちゃんと電話してたんだけど……』

灼「実況中継?」

憧「な、なな……!」

玄「みんな憧ちゃんのこと応援してるからね!」

穏乃「デートなら私の一張羅貸すよ!」

憧「ジャージでデートは行かないわよ!?」

一『それならボクの……』

憧「それもいらないですから! っていうか、ぜ、全部聞いて……?」

一『うん』

穏乃「よかったね!」

憧「……お、応援するつもりがあるなら! 余計なことしないでそっとしといてよぉ!」


カン!
726 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/09/15(火) 04:23:09.26 ID:y1F5Lob40
じゅんたんイェイ〜

そしてくるたんイェイ〜
純くん→胡桃ちゃん→ゆーきとかいう鬼畜。間に合わないよ!みはるんとキャプテンもいるけどこれもきっと無理…
727 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/15(火) 07:09:08.00 ID:LMTEz0wL0
そろそろゲームが発売ですね()
728 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/15(火) 09:05:44.18 ID:Vx8snLe5o

コマしてますね
729 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/15(火) 11:50:38.01 ID:yxIMQFQBo
乙です
730 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/16(水) 00:44:40.08 ID:jhJ/K3mRO

安定のふきゅふきゅで笑った

(ここからチラ裏)
なんでか純と憧の百合が受け付けないなと思ったら、純がイケメンすぎて「もう男でいいじゃん!」と思ってしまうからなんだろうな
かといって男苦手よりの憧が純と相性いいのは確かだし
むむむ
731 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/16(水) 01:31:44.05 ID:y6/4owMn0
今更だけど個人的には咲キャラの交流がみたいんであって恋愛がみたいんじゃないから恋愛系はもういいかなあ
732 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/16(水) 08:27:01.28 ID:J5Okifaso
ラブコメは諸刃の剣とはよく言ったものよ
733 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/19(土) 09:47:53.47 ID:6n2sdaW/0
乙です
まぁ作者さんの好きにして良いと思

ところで、ゆーきと憧穏の話ってあったっけ?
憧穏が清澄に行って和の話をするっていうのを見てみたい
734 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/19(土) 09:55:50.47 ID:4NiJcpMho
穏乃達がゆーきをコーディして憧(NAGANO STYLE版)化させたことならあったなぁ
735 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/19(土) 15:14:56.94 ID:K3i9c6Tm0
乙です
まぁ作者さんの好きにして良いと思

ところで、ゆーきと憧穏の話ってあったっけ?
憧穏が清澄に行って和の話をするっていうのを見てみたい
736 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/19(土) 15:23:27.30 ID:K3i9c6Tm0
乙です
まぁ作者さんの好きにして良いと思

ところで、ゆーきと憧穏の話ってあったっけ?
憧穏が清澄に行って和の話をするっていうのを見てみたい
737 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/19(土) 21:13:08.29 ID:FSV8Efpro
そんなに大事な事だったのか
738 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/09/20(日) 02:38:26.36 ID:/I9Oi3Ew0
>>730気持ち的にここでは純くんは男枠で書いてます…枠的には憧純って距離感の近い弘世様とはやりんのつもりなんですけど
>>731元々目指すところは咲日和なんですけどね…ラブコメに関しては踏まなくても済むように龍門渕回です等の注意書き入れるなりなんなりしますかね?去年頃はちょこちょこ京タコ書いたりしてラブコメ書きたい欲求満たしてたんで…書いてない分最近増えてたかもですね
>>734前スレ>>219-241ですね
>>ゆーき つまりゆーきを書けばいいんですね!優希に限らず清澄は大好きだけど登場頻度がそうでもないのはやっぱりちょこちょこ個別にスレ立ててるからな気がする…

次回は国広くんお誕生日に短めの、しずと駄弁るだけのものを
今日やっとVITA開封できました。栞は姫松で。ゲームネタはいつから解禁なんだろうか…末原ちゃんと憧ちゃんとか書きたいっす
最新話まだ読んでないしはよヤンガン買いに行かねば
739 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/20(日) 18:25:45.33 ID:knfCI6Bqo
爽さんと永水の関係がこっそり気になる
740 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/09/21(月) 01:10:00.47 ID:dqJ6L8UJ0
はじたんイェイ〜

本編はまずアオリのセンスが光ってましたね。ー末原ちゃんほんとに思ってそう
というか一応隠し扱いにしてたのにゲームの六キャラ全部公開されてて笑った。シルエットでわかってたけども
参戦キャラとしては南浦さん書いてるとこだったし、公式媒体で出てくるのは何年後かってとこだったしうれしいです

>>739元ネタ的には別ですよね?永水は正直オカルト関係ならどうとでもできるのは強みですけど

投下ー
741 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/09/21(月) 01:10:59.92 ID:dqJ6L8UJ0

穏乃「一さん! お誕生日おめでとうございます!」

一『ありがとう穏乃ちゃん! 素敵な服まで贈ってもらっちゃって……』

穏乃「いえ、私は案を出しただけで物自体は岩館さんに用意してもらってますから……」

一『ふふ、揺杏ちゃんは本当に器用だよね……いつもお世話になっちゃって感謝しきりだよ。 後でお礼言っとかなくちゃ』

穏乃「受けた恩が大きすぎてどう返せばいいのかわからないくらいですよね! 岩館さんと灼さんにはこっち方面はお世話になりすぎてて……」

一『そうだね……揺杏ちゃんになにかあったらボクにできる限りのことは協力するつもりだよ。 ……そろそろ国麻も始まるね? そっちの調子はどう?』

穏乃「へへへ、順調に仕上がってますよー! 私たちはもちろん、晩成の方たちもバッチリです! 長野のみんなはどうですか?」

一『うん、こっちも順調だよ。 ちょうど連休でしょ? 今みんなで合宿中なんだ』

穏乃「わぁ! いいですね、合宿! 阿知賀でも去年やりましたけどやっぱり気合の入り方が違いますよね! 一日中打ってられるのもいいですし!」

一『うん。 それに、普段打てない子とも打てるから楽しいよ……衣もすっごく楽しんでるし』

穏乃「長野の方は実力も高いし天江さんは大満足でしょうね……ふふ、大会前にメンバー潰さないようにしてくださいよ?」

一『衣にはお願いしてるんだけどね……加減できる子じゃないし、する気もないから』

穏乃「まあ、それでこそって感じですよね」

742 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/09/21(月) 01:12:17.39 ID:dqJ6L8UJ0

一『衣もさ、結構気合入ってるんだよ。 国麻だと原村さんや宮永さんが仲間になるでしょ? すごく張り切っちゃってさ』

穏乃「ふふっ……その気持ちもわかります。 私も巽さんたちが同じチームだと思うとやっぱり下手なところ見せたくないですし……普段組まない人とチーム組むのも楽しみですしね!」

一『そうだね……ボクとしては横から見てても透華も衣もアクが強いから迷惑かけちゃうんじゃないかって心配だけど』

穏乃「え? 皆さん仲いいじゃないですか! 今更そんな心配しなくても……」

一『まあそうなんだけどさ……今回は、あまり交流のない子もメンバーにいて……打つ方に集中したい子みたいだから打ってる分にはいいんだけど……自分で言うのもなんだけどさ、ボクら騒がしいから』

穏乃「私は一さんや龍門渕さんたちが騒いでるの見るのも参加するのも好きですけど……そこら辺は人によるんですかねぇ」

一『うーん……結構度を越えた騒ぎ方するからさ……透華も派手好きだし、ボクも含めてみんな悪ノリするのがなぁ』

穏乃「……気になるならせめて自分だけでも…………」

一『いやあ、恥ずかしながらみんなと遊んでるとついね……ボクも気をつけなきゃダメだと思ってはいるんだけど』

穏乃「はしゃぐにしてもやっぱり時と場所を弁えないとダメだと思うんですよね……あれ? みんなで合宿はさすがにはしゃいでいい時だと思います!」

一『……そうだよね! たまにしかないイベントだし、ちょっとぐらいね!』

743 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/09/21(月) 01:13:30.86 ID:dqJ6L8UJ0

一『とはいえ、ちょっと難しそうな子なんだよね……片岡さんが何回か話しかけてるの見たけど、ちょっとツンケンしてる感じでさ』

穏乃「え!? 優希がパッと仲良くなれないなんて相当ですね……あ、もしかして去年の国麻も出てた……」

一『そうそう、南浦数絵さん……今回は合宿前に声かけてたみたいで……って、これは言っちゃダメなやつかな?』

穏乃「?」

一『あー……まあ、とにかく誰かが声かけてたみたいでさ……今回は参加してもらって一緒に打ってるんだよ』

穏乃「いいなぁ、面白そうで……彼女、優希と特性は似てますけど打ち筋は結構違いますよね?」

一『片岡さんは前半戦から一気にダッシュするタイプだけど南浦さんは後半まで力を溜めて喰らいつくタイプだからね……印象としては、守備は南浦さんの方が上手いかなあ』

穏乃「優希はほんとイケイケのタイプですからね……守備もオリるより早流しの方が好きですよね。 去年のインターハイでは我慢してしっかりオリてる場面も多かったですけど」

一『チームのために、って意識の高い子だから……個人戦だとまたちょっとスタイルが変わるイメージかな? でも、南浦さんも意外と……って、あ!』

穏乃「どうかしましたか?」

一『危ない危ない……他県の選手にチームメイトの情報渡すところだったよ……いくらボクと穏乃ちゃんの仲でも話せないことはあるからね』

穏乃「あはは、すみません……そういうつもりじゃなかったんですけど」

一『ふふ、わかってるってば……穏乃ちゃん、そういう……情報聞き出すとか向いてないしね』

穏乃「むー……それはそうなんですけど、言われるとちょっと複雑ですね……」

一『素直さを褒めてるんだよ? 阿知賀だと玄さんなんかもそのタイプだよね……すぐ顔に出ちゃうし』

穏乃「前に憧に言われましたね……素直に元気を足すとしずになって、お嬢様を足すと玄になる、なーんて」

一『ふふ、玄さんはほんと箱入り娘さんな感じするしね……そういう憧ちゃんもあんまり向いてない気がするけど』

穏乃「憧もなんだかんだ根が素直ですから……そういうのは灼さんや宥さんが得意ですかねー」

一『宥さんが? 灼ちゃんはまだわかるけど……』

穏乃「お姉ちゃんモードの宥さんは本当に頼りになりますから! そういうのも意外とできるんですよ〜」

一『うーん……なるほど。 ボクもまだまだだなぁ』

744 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/09/21(月) 01:14:19.63 ID:dqJ6L8UJ0

穏乃「しかも! 宥さんは頼りになるだけじゃなく! まったりモードの時はすっごくかわいらしいんですよ!」

穏乃「この間玄さんのおうちに久々に遊びに行ったんですけど、ちょうど宥さんが帰ってきて……なんか、やっぱり大学生ってちょっと大人な感じですよね! 服装とかもなんだか大人っぽい感じになってて……」

穏乃「それが、ちょっと引っ込んだと思ったらいつものジャージに眼鏡姿で……」

一『え!? ちょっと待って! ジャージってもしかして……』

穏乃「あ、そこは残念ながら……宥さんはやっぱり体質的に無理があるんで普通のジャージですけど」

一『そ、そっか……ごめんね、うっかりちょっとテンション上がっちゃったよ』

穏乃「いえいえ、お気になさらず……もう、それにしても宥さんほんとかわいらしくって! そのままコタツムリで『くろちゃーんあったかいお飲物ちょうだーい』とかって! こう、やっぱり私が守ってあげないと! みたいな! 使命感に駆られると言いますか!」

一『年上の人に言うことじゃないのかもしれないけど、宥さんかわいいよね……』

穏乃「いやあ、あんまりかわいいんで一緒にこたつでぬくぬくしちゃいましたよ!」

一『……仲良しだね』

穏乃「えへへ……私、体温高めだから宥さんぎゅーってしてくれるんですよぉ……それはもう、私が暑くなっちゃうぐらいで!」

穏乃「それに、玄さんもなんだか張り切っておもてなししてくれて! やっぱり久しぶりに遊びに行ったからですかね? ちょっと恥ずかしかったんですけど、後輩たちの目もなかったんでたくさん甘えちゃいましたよ〜」

一『……もう、ボク嫉妬深いんだからね! 妬いちゃうよ!?』

穏乃「へへ、一さんこそいっつも龍門渕さんや純さんのお話するじゃないですか。 仕返しですよー」

一『むぅ……そう言われるとなんとも言い返し辛いなあ』

745 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/09/21(月) 01:15:30.66 ID:dqJ6L8UJ0

穏乃「ふふ、それにしても……のろけ話と言えば初美さんですよねー」

一『初美さんはね……電話だともう、半分くらい石戸さんと狩宿さんの話だからね』

穏乃「やっぱり、卒業して三人で神宮のお手伝いしてると一緒の時間も長くなるんですかねー……夏は、神代さんの応援で東京まで出てきてたので会えましたけど……」

一『なかなかね……やっぱり鹿児島はちょっと遠いよね』

穏乃「また長期の休みとかに会いに行きたいですねー」

一『そうなるとやっぱり冬休みかなあ……年末年始回りだと初美さんが忙しそうだけど……』

穏乃「今度はしっかり連絡とって、初美さんに比較的忙しくない時を聞いて行きましょうか……っていうか、一さんは冬休み大丈夫なんですか? その、お受験とか……」

一『ああ……まあ、少しぐらいはね。 息抜きも必要だし、初美さんのとこならご利益もありそうじゃない。 最悪、龍門渕の系列校ならコネで……』

穏乃「え、ちょ、一さん!?」

一『あはは、冗談だってば! ボク、そういうズルはもうしないって心に決めてるから……ちゃんと勉強してるし大丈夫だよ? 最悪落ちたら落ちたでこのまま龍門渕でメイドさんするし』

穏乃「な、なるほど……」

一『透華は進学して学校通いながら家のお仕事も少しずつ覚えたり手伝ったりってやってくつもりみたいだし……ともきーや純くんも大学は行くつもりみたいだしね。 衣は……どうするのかなあ……いろいろ考えてるみたいだけど』

穏乃「……みなさん、やっぱり大変な時期ですよね……天江さんの相談、乗ってあげたらどうですか?」

一『ん……ボクはそのつもりだったんだけど、透華がほっとけって言うからさ』

穏乃「え!? 龍門渕さんが!?」

746 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/09/21(月) 01:16:11.11 ID:dqJ6L8UJ0

一『うん、ボクも最初びっくりしたんだけどさ……衣がやっと自分の将来と向き合ってるんだから衣から相談に来るまでは口出しするなって……まあ、お母さん役としてはいろいろ思うところがあるみたいだね』

一『純くんも衣の好きにさせとけよ、なんて言うし……ふたりとも心配でたまらないくせにさ』

穏乃「ふふ……相談しに来たら相談しに来たで一番一生懸命になるのもそのふたりですよね」

一『そうそう、もちろんボクもともきーもしっかり話聞くけどさ……ま、衣が自分で進路決めたらバッチリ支援する体制が整ってる環境でもあるし、それ自体はあまり心配してないんだけど……やっぱりこういうときに誰かに相談したりとか、そういうのが下手な衣が一番心配なんだよね』

穏乃「そっかあ……でもほら! この間、天江さんのお誕生日に伺った時には灼さんとちょっとそういう話もしてたみたいですし……きっと大丈夫ですよ!」

一『……そうだね。 今は、衣の回りにいるのもボクたちだけじゃないんだしね』

一『今も原村さんたちと……あれ、ゴメンなんか呼ばれてる……』

穏乃「ふふ、行ってきてくださいよ。 電話で話すのはいつでもできますけど、みんなで集まって合宿なんてなかなかできないじゃないですか」

一『……うん、ゴメンね穏乃ちゃん、せっかく電話くれたのに……』

穏乃「いえいえ、お話しできてよかったです! 国麻でまた会いましょう!」

一『そうだね、ありがとう穏乃ちゃん! それじゃあ、またね!』

747 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/09/21(月) 01:17:36.67 ID:dqJ6L8UJ0

穏乃「ふぅ……」

灼「お疲れ。 任務完了?」

穏乃「時間稼ぎバッチリです! あっちでパーティーの準備もできたんじゃないですかね!」

灼「そか……合宿、羨ましいね」

穏乃「私たちもやります?」

灼「……私たち以外ほとんど晩成メンバーだし、声かければできなくもないと思うけど……まあ、このタイミングからじゃさすがに……」

穏乃「あはは……ですよね」

灼「国広さん、元気そうだった?」

穏乃「はい! 服も届いたそうです!」

灼「それは……よかった。 揺杏にもちゃんとお礼言わなきゃね」

穏乃「そうですね! 岩館さんも忙しい時期にあんないいものを……」

灼「いい息抜きになるって言ってたしいいんじゃないかな……でも、ほどほどにね」

穏乃「それはもちろん! 受験とか大変そうなのは去年の宥さんや灼さん見てればわかりますし……」

灼「……私はまだまだ麻雀優先だからあまり勉強してないけど」

穏乃「またまた……しっかりやってるの知ってるんですからね? あまり無理しないでちゃんと夜は寝てくださいよ?」

灼「……ありがと。 気をつける」

灼「……それじゃ、穏乃の用事も一段落だし、憧んち行こっか」

穏乃「え? 今からですか?結構遅い時間ですけど……」

灼「晩成のメンバーはさすがに呼べないけど、強化合宿ってことで。 憧が望さんに許可もらえたってさ」

穏乃「……ほんとですか!? やったぁ!」

灼「私も玄も、穏乃と憧と一緒に打てる高校最後の大会だから……こう見えて、結構燃えてるんだよ」

穏乃「へへ……灼さんが実は熱いのはよーくわかってますから! 私と憧にとっても灼さんと玄さんと一緒に打てる最後の大会ですし、ビシッと決めますよ!」

灼「ん……晩成のみんなや、他県の友だちにも……恥ずかしいところは見せられないしね」

穏乃「はい! よぉーし! 燃えてきたぁ!!」


カン!

748 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/09/21(月) 01:20:27.01 ID:dqJ6L8UJ0
はじたんイェイ〜

次のバースデー枠はたぶんのどっち。それまでに一回か二回は投下挟みたいかなー
749 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/21(月) 01:27:35.10 ID:B9w3BVp1o

×服が届いた
○布切れが届いた
750 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/21(月) 01:31:23.61 ID:3pLULuKGo
乙です
751 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/21(月) 07:51:13.51 ID:jOpm/Jwto
おつー
胡桃やタコスの誕生日イベントも見たかったけど仕方ないね
一ちゃんおめ
752 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/21(月) 16:18:07.84 ID:MzO0HrbpO
布の量少ないからメール便で済みそう
753 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/03(土) 21:16:09.98 ID:VL9AFq2fO
むしろ切り取り線を書いた紙をFaxでも良いのではないか?
754 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/03(土) 21:31:13.39 ID:TNc77FC7o
箱を開けたら何も入ってないまでありうる
755 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/05(月) 00:00:09.07 ID:ynln+LxAO
のどっちさんのBDイベントは無い様ですね…
阿知賀こども麻雀クラブに居たのに…
756 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/10/12(月) 03:02:42.18 ID:RIUxq2vO0
謀殺されてます。さきたんまでには復活したい…
757 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/13(火) 01:19:03.03 ID:nZLaX/bY0
>>1が殺されててワロタ
まあ変換ミスだろうけど
758 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/13(火) 02:09:00.53 ID:FaUyeKNl0
忙殺だと思
759 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/10/15(木) 21:29:30.43 ID:p9J1/z6e0
生きてます。ひどい誤変換したなぁ…投下内容の方は気をつけるようにします…
760 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/10/15(木) 21:30:18.98 ID:p9J1/z6e0

揺杏「ん」

灼「ん……はい」

揺杏「さんきゅ……あ」

灼「ああ……ちょっと待って」

揺杏「わり」

灼「右の?」

揺杏「そ」

灼「ん」

揺杏「おう」

灼「飲み物いる?」

揺杏「んー……コーヒー、ブラックで」

灼「……ブラック? いつも滅茶苦茶甘くしてるのに」

揺杏「作業中はブラックの方が……なんか、脳にクるんだよね……」

灼「ふーん」

761 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/10/15(木) 21:30:56.45 ID:p9J1/z6e0

今日は有珠山の宿にお邪魔して、揺杏の作業を眺めている

真面目な顔してるのが珍しいのと、手際よく布を切り貼り……と言うとおかしいか。 私は裁縫関係には明るくないのでよくわからないけど、真屋さんの改造制服のバリエーションを作成中らしい

揺杏「な、灼」

灼「?」

揺杏「見てても暇だろ? なんか爽たちも楽しそうだし遊んできていいんだぜ?」

灼「ん…………」

たしかに、隣の部屋は大騒ぎで楽しそうだ

さっきから爽が「ユキに筋トレさせんな!」だとか「うわ、プロテインって意外とおいしい!」だとか言ってるのが聞こえ…………ほんとになにしてんだろ

真屋さんが体力つけたい、みたいな話を宥さんが持ち込んできて穏乃が用意しとくとかなんとかって盛り上がってたけど……



爽「やめろ! そのブレスレットオシャレだろ!? パワーリストに付け替えるのはやめろぉぉぉ!」



灼「……爽、うるさ」

揺杏「いつものことだけどなー」

灼「まあね」

灼「…………今日は揺杏の作業見てるから」

揺杏「そう? つまんなくね?」

灼「面白いよ? 揺杏手際いいし……魔法みたいで」

揺杏「……へっへ、なんだよー照れるじゃんかよー」

灼「それに、いつもいろいろ作ってもらったりしてるのにちゃんと見たことなかったなーって」

揺杏「いいんだって、別に見てて面白いもんじゃねーしさー」

灼「面白いよ」

揺杏「……へへへへ、そっかーそうきたかー」

762 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/10/15(木) 21:32:05.83 ID:p9J1/z6e0

灼「……ニヤニヤしてる」

揺杏「そりゃーお前、ニヤニヤもするだろー」

揺杏「……へっへへへ、なんだよー灼このやろ!」

灼「いや、こっちの台詞……」

揺杏「だってちょっと、ほら……うれしいじゃんかよー」

灼「うれしいのはわかったから……背中、叩かないで……」

揺杏「照れ隠しだから! 照れ隠し!」

灼「隠れてな……」

揺杏「……よし! ちょっと休憩にしよう!」

灼「休むの?」

揺杏「ちょっとテンション上がっちゃってヤバいわ! このまま作業してると飲まず食わずで完成まで突っ走りかねない!」

灼「……それはさすがに」

揺杏「うん、作業してる間はドバドバ脳汁出てるからいいんだけど……あとで死にそうになるんだよね」

灼「ん……それにしても、よくそんなテンションのタイミングで自制できるね」

揺杏「せっかく灼もいるしさー……放置して作業すんのもアレじゃん? そろそろかまってほしい頃合いっしょ?」

灼「…………別に、見てても楽しいからいいけど」

揺杏「照れんな照れんな! わかってんだから!」

灼「……わずらわし」

揺杏「はっは、かわいいやつめ」

763 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/10/15(木) 21:33:21.21 ID:p9J1/z6e0

揺杏「…………」

灼「……なに、急に黙って」

揺杏「いや、一息ついたら……なんか、すげぇ疲れてるわ……集中してたから……」

灼「……おつかれ」

揺杏「うん……あー……飲み物とって」

灼「ん」

揺杏「どもども……うげっ!? なんだこれ苦っ! 一服盛った!?」

灼「いや、揺杏がブラックコーヒーって……」

揺杏「そうだった! ミルクと砂糖取って! ドバドバ入れて!」

灼「……それはそれで体に悪そ」

揺杏「いいじゃんいいじゃん私の体だし」

灼「揺杏になんかあったら嫌だけど」

揺杏「灼優しい! 感動した! 付き合って!」

灼「ばーか」

揺杏「傷つくからやめろよー」

灼「よく言われるでしょ?」

揺杏「あ、今のはマジでちょっと傷ついた……」

灼「言われないの?」

揺杏「言われないよ! いつも爽が一緒だし!」

灼「……爽がよく言われてる」

揺杏「いぇーす」

灼「……たぶん一緒にいる揺杏もばかだと思われてるよ」

揺杏「マジで!?」

764 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/10/15(木) 21:34:19.71 ID:p9J1/z6e0

揺杏「……その可能性は考えてなかったなー」

灼「そか」

揺杏「……え、マジで? マジで言ってる?」

灼「残念ながら……」

揺杏「……そっかあ」

灼「……揺杏と爽、基本行動似てるし」

揺杏「まあガキの頃から一緒にバカやってるしなぁ……ああ!? 私もバカやってた! バカじゃんか私!」

灼「うん……そうだね……」

揺杏「爽と……同じレベルか……」

灼「…………」

揺杏「……あ、お腹へった!」

灼「……爽はもういいんだ」

揺杏「だってお腹すいたんだもん」

灼「どこか食べ行く?」

揺杏「んー……いや、せっかくだしなんかパパっと作っちゃおうかなー」

灼「料理できるんだ?」

揺杏「ふふん、意外そうな顔してますなぁ? 私、これでも家事全般いけるんで! 服飾だけじゃないのよー?」

灼「そうなんだ」

揺杏「……もっとこうさ、リアクション大きく返してくれないと寂しいんだけど」

灼「結構本気で驚いてるやつだから」

揺杏「それはそれで腑に落ちねーなぁ」

765 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/10/15(木) 21:35:29.96 ID:p9J1/z6e0

揺杏「いや、でもマジでお料理も得意なのよ? 嫁にほしくなっちゃうでしょ?」

灼「腕前を見るまではなんとも……」

揺杏「疑ってる!? いや、灼のそういうなんでも鵜呑みにしないところはいいと思うけどね?」

灼「それに、今のところ嫁に欲しいランキング一位は玄だから」

揺杏「あ、玄ちゃんには勝てねーわ……」

灼「……諦め早」

揺杏「だって私より明らかに玄ちゃんのが性格的に……それにおっぱいでけーし」

灼「……胸は関係ないし」

揺杏「……そうだよな! 女は胸じゃねーよな!」

灼「……あっても運動するときとか邪魔だし」

揺杏「滅多に運動しないけどな、私たち」

灼「…………」

揺杏「……服とかも制限かかるし」

灼「胸があった方が映える服もあるけどね」

揺杏「…………」

灼「…………」

揺杏「……別に欲しくねーし!」

灼「うん……別に、いらないよね……いらない……」

766 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/10/15(木) 21:36:15.67 ID:p9J1/z6e0

揺杏「もう! いいんだよ、胸の話は!」

灼「揺杏が言い出したんだけど」

揺杏「あ、ほら! なに食べたい? 作れるもんなら作ってあげっから!」

灼「……ここ、キッチンとかそういう設備ある?」

揺杏「あ…………」

灼「……疲れてるね」

揺杏「うん……みたいだね……」

灼「ちょっとゆっくりしよっか」

揺杏「うん……」

灼「食べ物買ってこよっか?」

揺杏「だめ……一人にしないで……寝る…………」

灼「もう寝そうだけど」

揺杏「なんか、ほんと急に疲れが……このままだと寝ちゃうからかまって……」

灼「……揺杏が私をかまってくれるんじゃなかったの?」

揺杏「え? なになに!? やっぱりかまってほしかったの?ねえねえ! そうなの!?」

灼「……急に元気になるのやめてほし」

767 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/10/15(木) 21:37:03.25 ID:p9J1/z6e0

揺杏「へっへへ、なんだよやっぱり寂しかったんじゃんかー」

灼「……別に」

揺杏「ったくよー灼はもうかわいいんだからー」

灼「……違うし。 そういうんじゃないし」

揺杏「だから照れんなってー」

灼「だから違……逆……逆!」

揺杏「逆? なにが?」

灼「揺杏が、いまさっき、かまってって言った」

揺杏「えー? へへ、そうだったなー……じゃあほら、かまってよあらたー」

灼「…………いや、それとこれとは話が」

揺杏「別じゃないっしょー? ほら、早くかまってよー」

灼「…………」

揺杏「ほら、灼! さあ! あらたあらたー」

灼「……うざ」

揺杏「灼にそんなこと言われたら私泣くぞー?」

灼「うざ」

揺杏「容赦ねーなー」

768 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/10/15(木) 21:38:01.22 ID:p9J1/z6e0

揺杏「灼が冷たいよー悲しいよー」

灼「離してって」

揺杏「灼がかまってくれるまで離さないぞー」

灼「ちっ」

揺杏「あ! 今舌打ちした!? 酷くね!?」

灼「酷くない」

揺杏「そっか……酷くないか……そっか……」

灼「……揺杏、ごめ…………」

揺杏「なんっだよ気にしてないってば灼はほんともうかわいいなー」

灼「……撫でないでよ」

揺杏「いちいち謝んなくていいんだよ! 私と灼の仲じゃんかよー」

灼「それじゃあ今後一切何があっても謝らないから」

揺杏「非があるときは謝ろう!?」

灼「冗談」

揺杏「それは知ってるけどなー」

灼「それも知ってるけど」

揺杏「あれ? 私たちわかりあっちゃってる? もう大親友な感じ?」

灼「……なにをいまさら」

揺杏「……へっへ、そうだよなー今さらだよなー」

769 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/10/15(木) 21:39:02.42 ID:p9J1/z6e0

灼「…………」

揺杏「…………」

……さすがに、ちょっと照れくさ

揺杏もこういう絡みよく仕掛けてくるわりには自分も照れてるし……

灼「……ん」

揺杏「……おう」

灼「……私もお腹すいた」

揺杏「……なんか食べ行くかー」

灼「ん……穏乃たちも誘ってこか」

揺杏「そだな……まだ騒いでるしほっといてもいいけど」

灼「……そだね」



爽「うわーん! 助けてくれ揺杏! 灼ぁ! このままじゃユキがマッチョになっちゃうよぉ!」

由暉子「パワーアップしてはやりんに勝ちます!」

穏乃「目標があるとトレーニングにも身が入りますよね! 麻雀と同じですよ、真屋さん!」

爽「だから物理的な勝負にはならないから! 歌とかダンスとか! せめて麻雀で!」

由暉子「最終的には象に騎乗したはやりんに勝たなければならないんですよ」

穏乃「目標は高ければ高いほど燃えますよね!」

爽「話を聞いて!?」

770 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/10/15(木) 21:40:33.11 ID:p9J1/z6e0

灼「…………」

揺杏「……なんか、ごめんな」

灼「……騒がしいのもわりと好きだから……揺杏こそ、疲れてるのに平気?」

揺杏「いつものことだし……」

由暉子「しかし、どうやったら素手で象を倒せるのでしょうか?」

穏乃「気合と情熱じゃないですかね!」

爽「おい! ちょっと!? 私無視されるの嫌いだから! 人の話は聞かないけど聞いて貰えないのは嫌だから!」

灼「自分勝手な……」

揺杏「成香とチカセンは?」

由暉子「『そういうことなら次の罰ゲームは筋トレ系にしましょう!』って筋トレグッズを買いに……」

穏乃「部費で買えちゃうらしいですよ! 有珠山ってすごいですね!」

灼「……部費使うの?」

爽「いいわけないだろ!? 止めるために成香を派遣したんだよ! チカのやつたまに無茶苦茶するから!」

揺杏「爽が言うなよ……つーか成香じゃ止めらんないだろ……最悪、押しきられて半泣きで帰ってくるぞ」

爽「そこが成香のかわいいとこだろ?」

灼「ちょっと爽……」

爽「っていうか、ほんとの最悪は『部費でいろいろ買えるなんて素敵です!』とか言って一緒になっておかしとか買ってくることだから!」

灼「可能性を考慮してるなら止めようよ……」

771 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/10/15(木) 21:41:23.80 ID:p9J1/z6e0

穏乃「あとはやっぱり……筋力は必要ですよね! たぶん!」

由暉子「やはりそうですか……高鴨さんが詳しいと宥さんに聞いていたので、心強いです」

穏乃「まかせてください! とりあえずそのパワーリストはプレゼントしますから!」

爽「ちょっと待ってってば! だからそれはやめてって……」

穏乃「え……あ、すみません! やっぱりこれはちょっとダメですよね……」

爽「わかってくれたか穏乃!」

穏乃「私の使ってたのシンプルなデザインで洒落っ気ないですもんね! 安心してください! 最近は凝ったデザインのやつとかもありますから!」

爽「そういう話じゃないんだよ!?」

穏乃「今度いいのを見繕ってきますね!」

爽「不安要素が増すからやめて!」

由暉子「それなら、一緒に見に行ってくれませんか? 自分で身に付けるものですし……」

穏乃「あ、そうですよね! やっぱり自分で選ぶのが一番ですよね!」

爽「なんでユキも乗り気なの!?」

由暉子「強くなってかっこいい必殺技とか使いたいですし……」

爽「ああはい、いつものやつね! でも筋トレしても気功波とか撃てないからね!?」

由暉子「そうなんですか?」

爽「撃てるつもりだったのか!?」

772 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/10/15(木) 21:42:27.75 ID:p9J1/z6e0

灼「……真屋さんって面白いよね」

揺杏「そりゃあ……有珠山高校麻雀部の愉快な仲間たちの一人だからな」

灼「……有珠山って変な子多いよね」

揺杏「まあなー……私が一番まともなくらいだし」

灼「……みんながみんな思ってそうだよね」

揺杏「チカセンなんて特に思ってそうで……チカセンも成香もユキも天然だからタチが悪いよなー」

灼「揺杏と爽はわかっててやるからタチ悪いよね」

爽「そんなに褒めんなよなー!」

灼「褒めてないからうれしそうにしないでほし……」

穏乃「それじゃあまずは腕立て伏せから……」

由暉子「はい! よろしくお願いします、高鴨さん」

爽「だーかーらー!」

灼「穏乃……楽しそうだね」

穏乃「いやあ、なかなか一緒にトレーニングする相手がいなかったので! ちょっとテンション上がっちゃってますね! あ、真屋さん……床見ないでちゃんと顎上げてやった方がいいですよ! 手もあんまり内側に向けない方が……」

爽「詳しいな!?」

由暉子「なるほど……しかし、なんというか……これはなかなか難しいですね」

揺杏「……胸がつっかえてるからかな」

灼「…………顎より先に胸が床についちゃうからね」

……別に、羨ましくないし

773 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/10/15(木) 21:45:41.66 ID:p9J1/z6e0

灼「……というか、宥さんは? 今日三人で来たよね?」

穏乃「宥さんですか? 隣の部屋で……一番あったかい窓際の椅子座ってたら……」

灼「……お昼寝モード?」

穏乃「はい! 気持ち良さそうだったのでそっとしておきました!」

揺杏「……あれだけ爽たち騒いでたのに……同じ部屋でよく眠れるよな、宥姉ちゃん」

灼「あったかいから仕方ない」

爽「だからさ! 筋トレじゃなくて! トレーニングするのはいいからさ! 基礎体力の方! ムキムキにならないで! 体力作りから始めて!」

由暉子「……たしかに、まずは体力を……つけないと、厳しいですね……まだ、ちょっとしか……して、ないのに……はぁ……はぁ……」

穏乃「なるほど! そういうことならちゃんと特訓メニュー考えときますね!」

揺杏「そこまでしてくれんの? サービスいいなあ」

穏乃「いえいえ! 私も東京滞在期間中は山登れなくてちょっとストレスだったんで! ちょうどうんどうしたいなーって思ってたんですよね!」

爽「いや、そこまでしなくていいって! いきなりそんなに詰め込んでもアレだし! えっと、ほら! ね?」

灼「……穏乃も真屋さんも決めたら一直線なとこあるし説得は無理だと思」

揺杏「ほら、爽は往生際悪いから……」

爽「くぅ……こうなったら……赤いのを……いや、ふたつくらい使って……!」

揺杏「落ち着け」

灼「?」

774 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/10/15(木) 21:46:35.56 ID:p9J1/z6e0

宥「玄ちゃん!」

爽「おわぁ!?」

灼「……宥さん?」

宥「……あれ? 玄ちゃんは……?」

穏乃「玄さんですか?」

宥「ヨットで旅に出た玄ちゃんが帰ってくるってさっき手紙が! しかも玄ちゃんからシロちゃんに進化したって……!」

揺杏「……宥姉ちゃん寝ぼけてない?」

宥「……? あれ……? 穏乃ちゃん、究極のカップ麺を求めて山に行ったんじゃ……?」

爽「ラーメンじゃなくてカップ麺!? なんでそれで山!?」

灼「夢ってそんなものだよね」

由暉子「内容が非常に気になるのですが」

穏乃「そういえばメグさんはカップ麺も詳しいんですよね! いやー、そこまで注目してなかったんですけど食べてみたら意外といいのもあるんだなーって……」

爽「無理に拾わなくていいから!」

775 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/10/15(木) 21:47:52.54 ID:p9J1/z6e0

揺杏「……ラーメン…………ラーメンにするか、昼飯」

灼「ああ……なんか、聞いてると食べたくなるよね」

揺杏「ここら辺どこがうまいんだろうなー」

灼「……よければ案内する」

揺杏「あれ? 詳しいの? ラーメンそんなに好きだった?」

灼「……穏乃がダヴァンさんとリストまで作ってたし、一緒に何ヵ所か回ってるから」

揺杏「あー……あれ? もしかして最近ラーメンめっちゃ食べてる? 違うのがいい?」

灼「だいじょぶ。 みんな、そろそろお昼……」



宥「えっと、猛獣使いの灼ちゃんが幻獣うさギドラを駆って……」

由暉子「カッコいいです!うさ、うさ……ギドライダーですね!」

爽「だからどんな夢なのそれ!? あとその名前はかっこよくないと思う!」

誓子「罰ゲーム用の筋トレグッズ買ってきたわよ! さあ、次のゲームはなににする? 勝負よ勝負!」

穏乃「わぁ! すごいです! それちょっといいお値段のやつじゃないですか!?」

成香「おかしもたくさん買っちゃいました! 部費だからただですよ! 素敵です!」

爽「部費を使い込むなって言ったろ!? 成香も止めろって言ったじゃんか!」

成香「あぅ……す、すみません……」

爽「それに! 今後のユキの衣装代とかどうすんだよ!?」

宥「それも使い込みなんじゃないの?」

爽「いいの! うちはそれが主目的だから!」

776 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/10/15(木) 21:50:18.11 ID:p9J1/z6e0

……誰も聞いてないね、これ

灼「……やっぱりふたりで行こっか」

揺杏「そうだな……チカセンああなったら数戦ゲームこなして自分以外に罰ゲームやらせるまで離してくれないから……さっさと逃げようぜ」

誓子「やっぱりトランプかしらね? 人数も多いし二セットぐらい混ぜてやればちょうどいいかしら!」

成香「ちかちゃん……さすがにそれは枚数が多すぎるんじゃ」

由暉子「罰ゲームじゃなくてもトレーニングはしたいのですが」

誓子「トレーニングしてもいいからゲームは参加してね! 人数多い方が楽しいし! この間ユキに負けたし!」

爽「私怨かよ!?」

穏乃「熱意があっていいですよ、真屋さん! 続けることが大切ですから頑張りましょうね!」

宥「お金は大切にしないとだめだよ? 松実館も最近は大変で……」

爽「いやそれ宥姉ちゃんが暖房器具年中使ってるからでしょ!?」



揺杏「ふぁ……ねみ…………んじゃ、のんびり行きますかー」

灼「ん……そだね」


カン!
777 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/10/15(木) 21:54:12.78 ID:p9J1/z6e0
久々なので久々の面子で
当分はスローペースの投下が予想されますのでのんびりお付き合いください
778 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/15(木) 21:54:59.15 ID:JzOpuYSlo

>>65の爽「うちは私を筆頭にアレなやつの集団だぞ!」
ってのは正しかったのかww
779 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/15(木) 21:55:20.13 ID:HPEmth7ro
夢にまで出てくるとか幻獣うさギドラのインパクトすげえな
780 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/15(木) 21:56:41.86 ID:kdoa26ICO
乙です
781 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/15(木) 23:37:07.94 ID:jCRGw9MeO
やっぱり揺杏が一番まとも……?
いやかわんないか
アラチャーとのコンビ大好き
782 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/15(木) 23:58:33.03 ID:ieqdTihDo
783 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/16(金) 07:02:07.63 ID:83DH7LR/0
爽しか突っ込み役がいねえ…
憧と玄がいないのはなにかのフラグかな?
784 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/16(金) 12:05:46.10 ID:JqT/fWyVO
ツッコミがいないと大変だー。

荒川さんちのコスプレ一家の衣装って手作りなんですかね?
785 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/10/27(火) 15:00:53.75 ID:uLbKg9GKO
さきたんイェイ〜
日付変わってからになっちゃいますが少し投下する予定
786 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/27(火) 15:07:46.80 ID:lf2+b+epo
そうこなくっちゃ
787 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/27(火) 16:30:14.30 ID:JYTRbe/AO
やってくれるのか嬉しい
788 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/27(火) 17:18:42.61 ID:ClOfcNqAO
信じてた
789 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/10/28(水) 03:58:11.99 ID:OCJpcUXT0
>>783主に出番調整…?イベントごとを除いて阿知賀面子がいなければ次かその次あたりに出番が…最近お誕生日しか投下できてないんであてになりませんが
>>784そういうお店で買ってる気がしてます。もこちゃんは引きこもってそうだし百鬼さんの趣味な気がしなくもないぐらいのイメージ

さきたんイェイ〜
790 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/10/28(水) 03:59:11.88 ID:OCJpcUXT0

凄いことになっている。 言葉もない。 テーブルを埋めつくし、床にまで置かれた箱、箱、箱……とてつもない量だ

照「誕生日おめでとう、咲。 ケーキもたくさん買ってきたから好きなものを選んで好きなだけ食べてほしい」

咲「うん、ありがとうお姉ちゃん! でも、こんなにあったら……」

照「安心して。 たとえみんなが食べきれなくても私が責任を持って全部食べる。 むしろ残してくれてもかまわない。 残しておいて」

やえ「このバカ! いくら人数いるからってどんだけ買ってきてんのよ!? あんた自分が食べたかっただけでしょうが!」

照「!?」

照「……そ、そんなことはない。 咲においしいケーキをたくさん食べてほしかっただけ」

灼「……照さんが食べたいのはどれ?」

照「ぜんぶ」

やえ「…………」

照「……あ、いや、これは……その、違う。 私が食べたいのなら咲も食べたいかなって選んだだけ。 これを全部食べるって意味じゃない」

やえ「……照、これ」

照「……ハンカチ?」

やえ「……よだれ垂れてんのよ」

照「!?」

791 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/10/28(水) 04:00:08.64 ID:OCJpcUXT0

今日は咲の誕生日

プロの団体リーグ戦もオフシーズンに入り、照さんはチームメイトのやえさんを連れてお祝いにやって来た

憧「……この箱、全部ケーキなわけ?」

優希「すんごい量だじょ」

久「咲を通して何回か顔会わせてたけど……このキャラクター性には未だに慣れないわねぇ」

まこ「プロ入りしてからは結構こんな感じな気がするがのう」

玄「宮永さんは打ってるときと本当に別人みたいですよねぇ」

京太郎「そう言われると咲の姉貴って感じしますね」

咲「……それ、どういう意味?」

京太郎「え? あ、あー……打ってるときはカッコいいってことだよ! 普段はこんななのに!」

咲「どういう意味!?」

和「後半は言わなくてよかったですね」

憧「相変わらずバカね……宥姉大丈夫?」

宥「も、もう、この時期は……さ、ささ、寒くて……」

穏乃「そりゃあ、私は体温高めですけど私で暖を取られると……」

宥「ご、ごめんね穏乃ちゃん……今、は、はは、離すから……」

穏乃「あ、いえ! 全然大丈夫ですから!私も宥さんあったかくてちょうどいいです!」

憧「……今日はもう離してもらえないわよ、しず」

792 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/10/28(水) 04:01:21.95 ID:OCJpcUXT0

やえ「はぁ……ったく、いつもこんなんで……咲、誕生日おめでとう。悪いわね、混ぜてもらっちゃって」

咲「いえ、こちらこそすみません……どうせお姉ちゃんが無理矢理引っ張って来たんですよね? いつもお姉ちゃんのお世話していただいちゃって……」

照「いつもありがとう、やえ」

やえ「感謝するのはけっこうだけどあんた自身がしっかりしなさいよ!」

照「? やえが面倒見てくれてるし」

やえ「……ちょっと、こいつなんとかならないの? あんたの姉でしょ?」

咲「あはは……」

照「そんなことより早くケーキを食べよう」

灼「照さんよだれ」

照「おっと」

やえ「ちょっと、さっきハンカチ渡したでしょ! 袖で拭うんじゃないわよ!」

照「あ、ごめん……ありがとう、返す」

やえ「あんたのよだれまみれのハンカチなんて要らないわよ!」

照「無いと困らない?」

やえ「いつも何枚か持ち歩いてるからいいわよ! いいから持ってなさい!」

照「何枚も持ち歩いてるなんて用意周到。 さすがやえ」

やえ「あんたがいつもよだれまみれにするから何枚も持ち歩く羽目になってんのよ!」

咲「……本当にすみません」

灼「……仕方ないよ、照さんだし」

照「やえがいないと生活できない」

やえ「……弘世のやつ、横浜に来てくんないかしらね」

灼「それは絶対に無いと思う」

やえ「……瑞原プロがいるかんね」

793 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/10/28(水) 04:02:23.26 ID:OCJpcUXT0

照「……! 凄いことに気がついてしまった」

咲「どうしたの? お姉ちゃん」

照「瑞原プロが横浜に来れば菫も横浜に……」

やえ「あんたバカなの?」

憧「さすがにはやりんが移籍はないですよ……大宮が離さないだろうし、はやりんも大宮捨てたりしないですって」

まこ「はやりんまで横浜行ったらリーグのパワーバランス酷いことになるしのう」

穏乃「横浜は既に三尋木プロがいますからね!」

咲「お姉ちゃんもね!」

照「チームの中核になれるよう頑張る」

和「お姉さんはもう充分中核を担えているような気がしますが」

久「どう考えても今年の新人王よねぇ」

まこ「ほれ、みんな飲み物は? コーヒー、紅茶にジュースもあるけえ」

咲「私、お紅茶いただいていいですか?」

照「オレンジジュース」

優希「タコスはありますか!」

京太郎「なんであると思うんだよ!? そもそも飲み物じゃねぇだろうが!」

和「……須賀くん、そちらの荷物は」

京太郎「……タコスだけど」

優希「なんだ、やるじゃないか京太郎! ツンデレか!」

京太郎「うるせーよ!」

憧「……プロテインはジュースじゃないわよ、しず」

穏乃「う……自作する分にはいいじゃんかよー」

794 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/10/28(水) 04:03:10.75 ID:OCJpcUXT0

照「そんなことより早くケーキを食べよう」

やえ「ちょっと黙ってなさいよ……咲、好きなの選んで食べなさい」

咲「はい、ありがとうございますやえさん」

照「……私が買ってきたのにやえが感謝されるのはおかしい」

やえ「はいはい、ごめんなさいね」

灼「……とゆか、こんなに買っていくらぐらいしたんですか?」

照「えっと……六、七……」

穏乃「こんなに買ったのに一万円かからなかったんですか? 凄いですね!」

照「いや、八万ちょっとぐらい」

穏乃「はちまんえん!?」

久「すごい買い物の仕方するわね……」

玄「……平均してひと切れ千円以上はするんだね」

照「心配しなくていい。 お給料はたくさんもらってる。 なにより咲のため」

咲「お姉ちゃん……!」

宥「あったかい姉妹愛だねぇ」

憧「いや、明らかにケーキは……」

まこ「……咲も喜んどるし、言わんでええよ」

795 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/10/28(水) 04:03:53.30 ID:OCJpcUXT0

咲「それじゃあ……まずは、これにしようかな」

照「あっ」

咲「……えっと、やっぱりこっちに」

照「ああっ……!」

咲「……こ、こっち」

照「!!」

咲「え、えっと、うーん……」

やえ「あんたちょっとこっち来なさい! 咲が選べないでしょ! いちいち反応するんじゃないわよ!」

照「そ、そんな! 私のケーキ!」

やえ「咲のでしょ!」

久「あはは! こっちの椅子にでも縛り付けておく?」

やえ「笑い事じゃないのよ! 本気でその必要があるかもしれないかんね!? ほら、あんたらも食べ始めちゃいなさい! こいつは押さえとくから!」

照「いじわる!」

灼「照さん、ちゃんと食べさせてあげるから落ち着いて……どれがい?」

照「ぜんぶ!」

やえ「なんでもいいみたいよ」

優希「なるほど! おねーさん! タコス食べますか?」

照「ケーキがいい」

優希「そんな馬鹿な!?」

和「……この状況でタコスを選ぶのはゆーきぐらいですよ」

796 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/10/28(水) 04:04:35.91 ID:OCJpcUXT0

灼「……咲、おめでと」

咲「うん、ありがとう灼ちゃん」

灼「……よかったね」

咲「えへへ、お姉ちゃんが帰って来られると思ってなかったからうれしいな……灼ちゃんたちも来てくれたし」

灼「ふふ……隙あらば遊ぶ口実探してるからね、私たち」

咲「もう……ふふ、灼ちゃん今年お受験でしょ? そんなことじゃ大変だよ?」

灼「そこら辺は真面目にやってるからだいじょぶ……たぶん」

咲「たぶんって……本当に平気なの?」

灼「まあ、やってみなきゃわからないし」

咲「そりゃあそうかもしれないけどさあ」

クスクスと笑う咲……友だちだけれど、かわいい妹のようにも感じている

照「受験なんてしなければいい。 灼も横浜に来て私と一緒に打とう」

やえ「簡単に言うんじゃないわよ! ……まあ、照の世話係が増えてくれるなら助かることこの上ないけどね」

咲「……お姉ちゃん、やえさんにあんまり迷惑かけたらダメだよ?」

照「……手のかかる子ほどかわいいって言うし」

やえ「世話される側が言うことじゃないかんね!? 私が言うならともかく!」

照「……かわいい?」

やえ「は?」

照「私、かわいい?」

やえ「はぁ!?」

照「…………怒られた」

やえ「な、なにシュンとしてんのよ! そんなことしたって別にかわいくないかんね!?」

灼「かわいいって」

照「やった」

やえ「言ってないわよ!!」

797 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/10/28(水) 04:05:32.31 ID:OCJpcUXT0

……こうして見ていると照さんもかわいい妹分って感じもする

こんなんでも咲にとってはカッコいい姉らしいからなんと言うか……

一時期疎遠になっていた分、普通の姉妹よりも余計に仲が良くなったように見える……まあ、身近な姉妹持ちは恐らく普通以上に仲がいいからあまり参考にならないかもだけど

玄「……なぁに、灼ちゃん?」

宥「どうしたの〜?」

灼「……別に」

憧「……なによ?」

灼「……なんでも」



咲「私は麻雀打ってるときのカッコいいお姉ちゃんもいいと思うけどなあ」

穏乃「打ってるときの照さんは本当にカッコいいですよ! シーズンラストの試合にまさかの大将で出た時なんて本当に凄かったですもん!」

照「やえ、私を見習って試合でももっと活躍した方がいい」

やえ「張っ倒すわよ!? そりゃあ私は二軍の試合のが多かったけど……あんたみたいのが異常なんだかんね!?」

照「私、すごい?」

やえ「……あんたの麻雀だけは認めてるわよ」

照「ほめられた! やえに!」

灼「……よかったね」

咲「お姉ちゃんカッコよかったもん。 来シーズンもいっぱい応援に行くからね!」

照「咲が来るなら百人力。 全部倒す」

和「……やっぱり姉妹ですね」

咲照「「どういう意味?」」

和「……そのままの意味です」

優希「こうして見るとやっぱり似てるもんなあ」

798 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/10/28(水) 04:06:08.76 ID:OCJpcUXT0

久「いやあ、それにしてもめでたいわね! 咲の誕生日よ! 咲の誕生日!」

まこ「急にどうしたんじゃあんたは」

久「ちなみに私、来月誕生日だから!」

まこ「知っとるわ。 黙っとれ」

久「……なんか冷たくない? なんで?」

まこ「今日は咲の誕生日じゃろうが……アピールすんのやめんさい」

京太郎「とかなんとか言って……なあ?」

優希「バッチリ準備は進めてるから楽しみにしててほしいじぇ!」

和「染谷先輩が一番気合入れてますから」

まこ「……余計なことは言わんでええ」

久「ふーん? ほぉー?」

まこ「にやにやすんのやめんさい!」

憧「……うちは次誰だっけ?」

宥「三月の玄ちゃんかな? その前の日が望さんだったよね?」

穏乃「それと、クリスマス前に桜子が誕生日ですよ!」

玄「ふふふ……みんなでお祝いしようね!」

灼「玄の時は卒業祝もあるしいろいろ大変そ」

憧「卒業するのは灼さんもでしょ……豪華にやらなきゃよねー」

799 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/10/28(水) 04:06:49.78 ID:OCJpcUXT0

各自でケーキを食べながら誕生日話で盛り上がり始める……そう言えば、今年の誕生日はいろいろと大変だったっけ

照さんがやらかしたり……揺杏にもらった着ぐるみはしっかりパジャマに使っている

灼「……咲」

咲「んー? どうしたの、灼ちゃん?」

灼「これ、あげる。 プレゼント」

咲「あ、ありがとう……そんな、気を遣わなくてよかったのに……」

灼「私があげたかっただけだから」

咲「ふふ、ありがとっ! ……なあに、ぬいぐるみ?」

灼「ウサギどらちゃんぬいぐるみ……裁縫得意な友だちがいるから習ったんだけど……」

咲「手作りなの!? すごーい……ふふ、ありがとう灼ちゃん」

灼「ん……ちょっと不格好でアレだけど」

咲「そんな、全然うれしいよ! 和ちゃんみたいにだっこして打とうかなー……なんてね、ふふっ」

和「別にいいじゃないですか! かわいいじゃないですか! エトペン!」

玄「お、落ち着いて和ちゃん」

優希「……のどちゃんの方がよっぽとかわいいじょ」

800 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/10/28(水) 04:08:05.04 ID:OCJpcUXT0

咲「ふふ……本当、今日はうれしいなあ……」

灼「……このあとは…………?」

咲「うん、家族みんなで……」

灼「……よかったね」

咲「うん……うん、本当に……うれしいんだ。 特別な日を……昔みたいに家族で過ごせるのが……昔はこんなにお友だちいなかったから、もしかしたら昔よりもいいかもっ」

灼「……そう言ってもらえると、私もうれし」

咲「えへへ……灼ちゃん、今日は遠いのにわざわざ来てくれてありがとう」

灼「私も会いたかったから……それに、私の時は咲も大阪まで来てくれたし」

咲「比べないでよ、もう……あの時はお姉ちゃんの試合でもあったし」

灼「それじゃあ、照さんのお陰だ」

咲「……ふふ、そうだね」

灼「…………」

咲「…………」

灼「……あの時」

咲「んー?」

灼「……黙ってたの、ごめん。 照さんのこと…………」

咲「気にしてないよ? 私とも、お姉ちゃんとも知り合ったタイミングがあるし、元々知らなかったんだし……お姉ちゃんとも仲直りできてるもん」

灼「……ん」

咲「むしろ、灼ちゃんがいてくれて本当によかったって思ってるんだよ? 私ともお姉ちゃんとも、すっごく仲良くしてくれてるし……灼ちゃんには、ありがとうがいっぱい!」

灼「…………」

咲「…………ふふ、これからもよろしくね? 灼ちゃん」

灼「……ん、こちらこそ…………ありがとう、咲」

咲「えへへ……こっちの台詞。 ありがとう、灼ちゃん」

カン!

801 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/10/28(水) 04:18:24.35 ID:OCJpcUXT0
さきたんイェイ〜
来月発売のシノハユ表紙はハルちゃんみたいですね!何冊買えばいいのかな!
シノハユも日和もすばらなのでモチベは高いのですが時間が足りません…哩さんの美子に対する強い信頼とかみんなにギュウギュウにひっつかれるあらたそとか安定供給の慕リチャとかたまらんです
宮永姉妹は姉のせいでなかなかシリアスにならないけどそういうのもそのうちやってみたかったり
ワハすば玄タコとかいう謎の組み合わせで書き溜め中なので次回はおそらくこれです

九月に投下するつもりだったネタが未だに書き終わらずだんだんと文字数ばかりが増えて四万字超えてるとかいう状況なので投下ペースはお察し
802 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/28(水) 07:46:12.52 ID:O1wYEX+So

色々安定してますねこの人達
803 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/28(水) 08:07:04.57 ID:zS+yGrQK0
最初に結婚するのは誰なんですかねー()

少なくとも十年後もにたようなことやってそう
ヤエさん頑張って
804 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/28(水) 08:55:08.29 ID:IIqHSiXAO
乙乙
宮永姉妹かわいい
805 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/28(水) 10:00:03.85 ID:iEgpMD1MO
乙です
まこさんはやっぱり天使や
806 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/28(水) 18:05:21.77 ID:LHlQuV1AO
乙です!
久部長のバースデーの前にミッポキャップ率いる風越女子との絡みは見たいかも…
807 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/29(木) 01:33:51.56 ID:PxOikfYp0
この世界の3年の進路って全員わかってるっけ?
808 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/10/31(土) 03:17:54.50 ID:QODVBQo/0
>>803十年経ってもやってると思います。照は仲間にお世話されてる限り結婚も焦らなそう。宮永姉妹はなんとなく結婚とか遅くなってもあんまり焦らずにかと言って失敗もせずなイメージ。阿知賀は相対的にしずが早そうでアコチャーはそれを見て焦るあまりうまくいかないイメージ。スレ的には尚更うまくいく要素もないですし
>>805大天使染谷先輩
>>807主要対戦校は概ね出てるような気が…大体は進学ですが言及してなそうなとこだとキャプテンはプロでエイちゃんは帰国してます。ワハハはゆみちんによる地獄のオニ特訓でなんとか進学しましたがゆみちんの課題を写せないので単位はピンチ
あとは

利仙「先にプロの舞台で待っていますよ、神代小蒔!」←プロ行き
小蒔「はい!」←よくわかってない。卒業したら神鏡へ

とか、それぐらい?
引き続き投下間隔が開きがちになりそうなので短くぱっと拾えそうなのがあれば進路に限らず誤魔化しを兼ねて拾っていくつもりです
809 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/01(日) 09:12:53.43 ID:E9sTcSiFO
この世界のプロチームの解説とか要求してみます
解説うたたんで
810 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/01(日) 09:42:44.47 ID:3WA0bNHPo
新部長の関西ミーティング
811 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/01(日) 11:44:12.57 ID:vKgHuw8Do
憧の揺杏への日頃の仕返しで揺杏と久を二人きりにしてみよう
812 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/01(日) 13:11:45.81 ID:yf2Yyr2Zo
どうしてうえのさんとふたりきりになるのがしかえしになるのですか
813 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/04(水) 22:46:26.23 ID:KdhCw1tXO
京ちゃんの友人の名前が公表、憧ちゃーの全国での人気上位が発覚といろいろと面白そうな情報が公開されましたね

まあ京ちゃん自体出番がないのですか
814 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/11/05(木) 02:38:14.47 ID:5Xyo+WZG0
>>809まとめるのとこまかいとこ詰めるのに時間かかる奴だ!おおむね団体はプロ野球をイメージしてて個人は囲碁将棋のイメージ。なおヒカ碁程度の知識しかない模様
>>813とうとう嫁田くん呼び卒業っすね。誠くん192あって弱いとかかわいい。憧ちゃーの人気自体は作中での雑誌とかメディア関係者の扱い見てなんとなくわかりましたけど。「片方」って言い方的にやっぱりそういうライトな層にアピールしてく雑誌があるみたいですね。有珠山の回想で出てた奴だと思いますが。京ちゃんは好きだけど今更出番増えてもどうしたってなりますし…むしろ男子の試合は地味って言われちゃったから実力を発揮した泉ちゃんはチャンピオンクラス説を唱えられなくなったのが残念です

>>811で。パッと投下しようとすると動かしやすい子が強いっす
815 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/11/05(木) 02:38:58.46 ID:5Xyo+WZG0

久「あら、新子さんこんにちは! 灼いる?」

憧「どうも……灼さんなら今ちょっとコンビニかどっか行ってますけど」

久「入れ違っちゃったかー」

まこ「予定より少し早く着いたからのう……まあ、連絡しとかんかったこっちの不手際じゃな」

久「失敗失敗……飲物やおかしなら私たちが来る時に買ってこれたのにねえ」

憧「…………今日はなにか……?」

久「……相談ごと? かな?」

まこ「わしに聞かれても知らんわ。 灼と連絡しとったんあんたじゃろ」

久「部活のことって言ってたから相談事よね! 練習試合とかなら別に改まって話すこともないだろうし! それにほら、私って頼りになるし?」

まこ「いや、試合の申し込みとかなら一応ちゃんとするべきじゃろ……つーか自分で言うんかい」

久「本当のことだもの、別にいいでしょー?」

まこ「……はいはい、そうじゃね」

憧「……えっと」

久「あ、ごめんごめん。 ちょっと灼が帰ってくるまで待たせてもらってもいいかしら?」

憧「……まあ、構いませんけど」

816 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/11/05(木) 02:39:28.57 ID:5Xyo+WZG0

……いつの間に仲良くなったんだろ

部活のこととか相談したっていうのは前にちょっと聞いてたけど……なんか呼び捨てになってるし

っていうかさっきふらっと揺杏来て灼さんパシってたけど部屋に通して平気なのかな? 揺杏の奴、試合でボロ負けしたこともあって竹井さん苦手っぽいけど……

久「……なに? なーんか微妙な表情しちゃってさ」

憧「へ? い、いや、別に……」

久「ほんとにー? なぁに? 新子さん私のこと苦手? 私は新子さんみたいなかわいい子好きなんだけど」

憧「え?あ、え?」

まこ「そうやって絡むのやめんさい。 めんどくさいやっちゃな」

久「めんどくさいってなによ……私のことそんな風に思ってたの?」

まこ「その通りじゃ」

久「ひっどーい! それじゃあずっと無理して付き合ってたって言うの!?」

まこ「……本当に嫌だったら二年も一緒にやっとらんよ」

久「まったくもう! まこったら私のこと大好きなんだから! 困っちゃうわねもう!」

まこ「……うっとうしいのう」

久「憎まれ口言ったってねぇ? まこは私のこと大好きだし?」

……なんかイチャイチャし始めたけどもう放っといていいのかしら

というかよくよく考えたらなんで揺杏は灼さんパシってるわけ? ここ来るときに買い物済ませときなさいよ……

揺杏の奴今日も布切れっぽいの持ってきてたし……最近調子乗ってるわよね。 なんかいつもからかわれてばっかなのも癪だし、ちょっと痛い目見てもらおうかしらね

憧「……それじゃ、こっちにどうぞー」

817 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/11/05(木) 02:39:56.46 ID:5Xyo+WZG0

憧「ちょっと、別に客が来てるんですけど……まあ、知らない顔じゃないんで」

久「へぇ、楽しみねえ……どこのどなたかしら?」

憧「出会ってからのお楽しみってことで……入るわよー」

揺杏「あ、憧ちゃん? お邪魔して……うげっ」

久「あら、北海道の……」

まこ「どうも」

揺杏「え? 憧ちゃんちょっと! 何事!?」

憧「揺杏がアポも取らずに来たのが悪いんでしょ。 あ、染谷さんちょっと相談が……」

まこ「わしか? 別にかまわんが……」

揺杏「え、あ、おい! ちょっと! コレだけ置いてくつもりか!?」

久「あらあら、コレとかうげっとかなによ? 傷つくんだけどー?」

まこ「傷ついてるなら傷ついてるなりの表情せんか……にやにやしよって」

揺杏「あー、べ、別に? なんもないっすけど?」

久「なんもないならいいじゃないのよ! ほら、大会で打った仲じゃないの! 仲よくしましょうよ〜」

揺杏「おい! おい! 憧ちゃん! ちょっと!?」

憧「じゃ、灼さん帰ってくるまでよろしく」

久「よろしくね、岩館さん?」

揺杏「よ、よろしく……」

818 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/11/05(木) 02:40:28.67 ID:5Xyo+WZG0

まこ「……で、どうしたんじゃ?」

憧「んー……いや、別にどう、ってこともないんですけど……」

まこ「はあ……そんなこったろうと思ったがのう……北海道の、仲悪いんか?」

憧「いえ、むしろいい方じゃないんですかね?」

まこ「ちょっとした悪戯ってとこかいねえ……自分を負かした相手がいきなり目の前に出てくるってえのもなかなか心臓に悪いと思うんじゃが」

憧「う……後で謝っときます」

まこ「ふふ……まあ、そんな心配せんでもええと思うがのう。 うちの部長は癖が強いがわりと誰とでもうまくやるタイプじゃけえ」

憧「……それならそれでいまいち仕返しにならないような気も」

まこ「仕返しって……それならそれでけしかけるにはちょうどええんじゃないかのう? なかなか悪い顔しとったし、そこそこ嫌がらせみたいな絡み方しとると思うわ」

憧「竹井さん、いい性格してますもんね」

まこ「よく言われとるわ……打ち方見りゃあ一目瞭然かのう」

憧「戦術と言えばそこまでですけどねー」

まこ「それはそうなんじゃがな……実際にええ性格しとるしのう……さてと」

憧「?」

まこ「せっかくだし灼が帰ってくるまで相手してもらえるかのう? 久を取られてもうて暇なんじゃ」

憧「あ、それはもちろんです! すみません、灼さんに会いに来たのに……」

まこ「今居らんのじゃ仕方ないじゃろ? なんなら本当に相談してもええんじゃぞ? いろいろと大変そうじゃしのう」

憧「う……まあ、たしかに悩みはいろいろとあるんですよね……麻雀とかしずっていうかその回りとか……あとは……あう……そのぅ……」

まこ「ふふ、みなまで言わんでええよ? 話せることだけ話せばええんじゃ。 ちょっと話すだけでも整理できたり、すっきりするってこともあるけえ……わしで力になれるかのう?」

憧「染谷さん……それじゃあ、その……」

819 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/11/05(木) 02:41:01.00 ID:5Xyo+WZG0



灼「ただいま……どしたの?」

憧「あ、灼さんおかえり! ちょっといろいろ相談を……」

まこ「新子さん、だいぶ苦労しとるようじゃのう……せっかく相談してくれたんに、案件のどうにも手を出しづらい感が……」

灼「……なにを?」

憧「一さんと初美さんとか」

灼「あー……」

憧「麻雀とかもさ、まだまだ強くなりたいし!」

まこ「そこに関しては普通のアドバイスしかできんからのう……わしは、いろんな対局を見て、盤面をひたすら頭に入れて対応できる状況を増やしていくって方法を取っとるが」

憧「人の打ち方を見るのも勉強になりますもんね……」

灼「憧は鳴き得意だしそゆのが得意な人の牌譜見るのがいいと思……打ち方の根本に昔からハルちゃんに習ってるのもあるから、ハルちゃんの打ち方を参考にしてもいいと思うけど」

まこ「鳴きなら……プロで言うならはやりんとか……近いとこで言うなら、福路さんや井上辺りかのう?」

憧「え!? あ、そ、そうですね! ふ、福路さんとか! すごく上手いですよね! 盤面のコントロールなんか超巧みで! さすが長野一位っていうか!?」

まこ「ふふ……もう一個の相談の方の糸口にもなると思うんじゃがのう」

灼「会いに行く口実としてはいいと思……変にテンパってなければ自然だし」

憧「な、なにが!? 別に、そういう、そんな! それ系のアレな話はしてませんけど!?」

820 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/11/05(木) 02:41:31.81 ID:5Xyo+WZG0

灼「ふふ……ま、そゆことにしとこっか……そう言えば、竹井さんは?」

憧「あ、揺杏にけしかけたの忘れてた!」

まこ「忘れとったんかい」

灼「……憧」

憧「う……だ、大丈夫よ、竹井さんいい人だし……」

灼「ま、そうだけど……揺杏がちょっと苦手意識あるの知ってるでしょ」

憧「……ごめんなさい」

灼「……ま、いいけど。 憧の気持ちもわからなくもないし……本気で酷いことにはならないだろうし」

憧「灼さん……」

灼「……とゆか……うん、あまりいい手ではなかったと思」

憧「へ? どういうこと?」

灼「……タイプ的に」

まこ「岩館に仕返しされるとか、そういうことかのう?」

灼「いや、そうじゃなくて……竹井さんと揺杏のタイプ的に?」

821 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/11/05(木) 02:41:59.88 ID:5Xyo+WZG0



揺杏「あっはは! なにそれ! メイド雀荘って! 発想やべぇっすね!」

久「普通ほんとにやると思わないわよねぇ……まこったら意外と天然なとこあってさあ……あ、見て見てこれ! 写真!」

揺杏「おお! いいっすねメイド服! 宮永と原村のいかにもな萌え萌えメイド服もいいっすけど、やっぱりこっちのクラシカルなのが私は好きかな!」

久「わかる? わかっちゃう? まこ、他にもいろいろメイド服揃えてるのにこれしか着ないのよねえ……」

揺杏「えっ! なんで? 超もったいねえ! かわいいのに!」

憧「…………」

灼「……ただいま」

揺杏「あ、おかえり灼! まこりんも! ちょっと、なんだよメイド雀荘って! 私にも一枚噛ませろよ!」

まこ「なんじゃまこりんって……勘弁してくれんかのう」

久「いいじゃないのかわいくって! まーこりん!」

まこ「…………こういうことかい」

灼「まこは揺杏のこと知らなかったし、仕方ないと思」

憧「…………全然ダメージ受けてない?」

灼「どう見ても楽しそ」

憧「……だよね」

822 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/11/05(木) 02:42:42.04 ID:5Xyo+WZG0

揺杏「ね、なんで? 萌え萌えメイド服着ないの? もったいないじゃん!」

まこ「いや、こんなんわしに似合わんじゃろ……」

久「奥ゆかしいのよねえ」

揺杏「あーもう! こういうあんまりフリフリしたのが嫌だってんなら私が程よいラインの作るからさ! 着ようぜ! 着ろ!」

まこ「なに言っとるんじゃ……だいたい作るって……」

揺杏「私、こう見えて裁縫大得意なんだよ!」

久「ほら、有珠山の和と打ったあの子の改造制服! 揺杏が縫ったんだって!」

まこ「なんじゃと!? あれをか!」

憧「食いついた!?」

灼「まこ、かわいいの好きだからね」

揺杏「ねえねえ、どんな衣装が好きなの? 私なんでも作っちゃうよ、まこりん?」

久「ほらほら、揺杏もこう言ってるし! まこりん!」

まこ「まこりんはやめえ!」

揺杏「なに怒ってんのまこりん?」

久「どうしたのよまこりん」

灼「飽きるまでやめないと思」

まこ「ったく、面倒なのがふたりに増えたのう……」

久「とかなんとか言っちゃって、テンション上がってるの丸わかりなんだからね?」

揺杏「いやあ、久姉が楽しい話持ってきてくれてうれしいっすわー」

憧「……呼び捨てに久姉って…………」

灼「……仕方ないね」

憧「超楽しそうじゃん!」

灼「うん……だから、下手打ったね」

憧「どうすればよかったのよ……」

灼「会わせなければよかったと思」


カン!
823 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/11/05(木) 02:44:51.60 ID:5Xyo+WZG0
出会いさえすれば相性いいと思
あとやっぱり染谷先輩大好きなので清澄も書きたい
824 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/05(木) 07:45:51.42 ID:g/ur0pdOo

ヒッサから淡臭がする
825 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/05(木) 09:36:48.32 ID:OwViUYJxo

次はネキか明華をけしかけてやろう
826 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/05(木) 10:19:35.36 ID:jI8hU+z0o
揺杏が久の目の前で一太にキスする嘘バレを何か思い出した
揺杏と久が一太を取り合うssとかもあったけどそっちでもこの2人は相性良かった気が
827 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/05(木) 10:39:44.34 ID:q1sVRTUyo
揺杏がヒッサにたらしこまれた印象しか湧かない乙
828 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/05(木) 13:47:38.86 ID:2QW7aDTVo
乙です
829 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/08(日) 00:19:52.16 ID:osc2TuhAO
乙です…
久部長と揺杏さん意気投合させちゃいましたか…
これはミッポキャップの着せ替え人形化待った無しですな…
830 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/11/30(月) 03:25:42.97 ID:RXlIbyp+0
>>824淡は本気で言ってるけど久は半ばジョークで言ってるので…ここの久は時間軸が清澄の団体優勝後に設定されてるので割合テンション高めでちょっと鬱陶しい感じ。お姉さんしてる久もやりたいんですけどシリアスに寄せるとさみしんぼになっちゃうしほのぼのさせるとちょっとウザイ系になっちゃうから難しい
>>826嘘バレ懐かしいっすね。一太久って実は凄く書きたいんだけど気が付けばふたりとも誕生日過ぎちゃったし当分書く余裕はなさそう…
>>827個人的にはよく言われてるほど久にたらしキャラのイメージはないんですよね。誰とでもうまくやれるタイプだとは思いますけど

だいぶ間が空いてしまいましたが、明日というか今日というか…早ければ昼、遅ければ深夜に投下しにきます

姑息な宣伝
優希「戦いの秋」【咲-Saki-】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1448389190/
三日前ぐらいに立てたタコススレ
咲に対するモチベ自体は全然ありますし、間が空いてもここも落とす気はないんで長い目でみてやってくださいな
831 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/30(月) 07:21:48.55 ID:On5WMz3+0
待ってたじぇ
832 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/30(月) 11:08:29.74 ID:JgMo4ao0O
>>830
京タコは有りますか
833 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/30(月) 12:59:49.49 ID:k8D/cVFNo
>>832
なかったです(非情)
でも夏の終わりにの続編だけあってナイスなタコススレだった
834 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/01(火) 02:53:49.27 ID:s5hB6TpF0
>>832京ちゃんは顔出し程度の出番ですね…優希とは仲良しですけど。組み合わせという意味でならカップリング的には優希と南浦さんがメインであとは優希と純くん、優希と和辺りの内容になりますかね?
もっとしっかりやりたかったけど完全に冬になっちゃったんである程度削って投下したのは心残りっちゃ心残り…

投下します
835 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/01(火) 02:55:41.80 ID:s5hB6TpF0

優希「どう? 玄おねーさん、できそう?」

玄「うん、おまかせあれ!」

優希「うーん……この香り、たまらんじょ……待ちきれないじぇ!」

玄「えへへ、もう少し待っててね……特製タコス、すぐに完成するから!」

京太郎「なるほど……そういう手順で……」

優希「京太郎! 折角の機会なんだからスキルをしっかり盗んでおくんだぞ! 努力なしに上達はないじぇ! タコス道も麻雀もな!」

京太郎「うっせーなわかって……タコス道ってなんだよ!? つか、どうせなら松実さんに料理を手取り足取り教えてもらいたいなーなんて……ぐへへ……」

優希「相変わらずの見え透いた下心だな」

憧「ちょっとあんた邪魔だから消えなさいよ」

京太郎「前から思ってたけど新子さんなんか当たりキツいよね!? なんなの!? 俺のこと嫌いなの!?」

憧「は? むしろ好かれてるとでも思ってたの?」

京太郎「思ってないけど! でもこれだけキツいとツンのあとに来るはずのデレを期待するだろ!?」

憧「優希、焼き加減ってこれくらいでいいの?」

優希「バッチリだじょ!」

京太郎「無視しないでよ! 傷つくだろ! 寂しいだろ!?」

玄「もう、憧ちゃんったら意地悪しちゃダメだよ?」

京太郎「俺に優しいのは松実さんだけっすよ……つーわけで! 是非とも……」

玄「うーん……でも、須賀くんは萩原さんにお料理習ってるんでしょ? 私なんかに習うよりも絶対いいと思うんだけどなぁ」

京太郎「いえいえ! そんな! そりゃあお世話になってますけど俺だってどうせならかわいい女の子に……」

玄「あ!」

京太郎「な、なんすか?」

836 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/01(火) 02:57:04.10 ID:s5hB6TpF0

玄「そ、そのぅ……私、思ったんだけど……」

憧「どうしたの?」

玄「……わ、私も……一緒に、萩原さんにお料理習いたいなぁ……って」

京太郎「!!」

憧「いや、今の赤面は『一緒に』の部分にかかってないから」

優希「……お前、ほんとバカだな……玄おねーさんも完全に脈なしだじょ?」

京太郎「うるせーよっていうか『も』ってなんだよ!?」

憧「どの女の子も脈なしってことでしょ」

京太郎「どの女の子も!? みんなダメなの!?」

優希「ま、どこかにお前がいいって言う物好きもいるだろ」

京太郎「そこまで!? 俺そこまでダメ!?」

優希「どう?」

憧「無し」

京太郎「即答!?」

優希「玄おねーさんは?」

玄「え? なにが?」

優希「眼中にないな」

京太郎「うう……俺だって、いつか萩原さんみたいになって……」

憧「無理でしょ」

優希「無理だな」

玄「あはは……」

京太郎「苦笑が一番傷つく!」

837 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/01(火) 02:58:10.78 ID:s5hB6TpF0

玄「えっと……はい、優希ちゃんタコスできたよー」

優希「おおう! 待ちわびたじぇー!」

京太郎「フォローするのを諦めた!?」

憧「あ、私も……どう? 大丈夫そう?」

優希「どれどれ……うむ、おいしい! 初めてにしては上出来だじぇ!」

憧「そっか……よかったぁ」

玄「ふふ、タコスは作るのもそれほど手間じゃないし……井上さんファストフードの類い好きみたいだからお料理入門としてはよかったんじゃないかなあ」

憧「べ、別に! 優希のためにちょっとぐらい覚えてもいいかなーって思っただけだし!」

優希「熱い友情だな! 練習ならいくらでも付き合うぞ? タコスに関しては私はプロだからな! どれだけ作っても全部食べきってやるじぇ!」

京太郎「お前はタコス食べたいだけだろ……」

優希「だけじゃないじょ! 相手はどうかと思うけど友達のために力を尽くすのは当然のことだろ?」

憧「ちょ、優希!? どうかと思うってどういう意味よ!?」

優希「そのまんまだけど」

京太郎「俺もどうかと思うぞ? 不毛な……」

憧「うるさいわね! 黙ってなさいよ!」

京太郎「なんで俺だけ怒鳴られんの!?」

838 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/01(火) 02:59:16.68 ID:s5hB6TpF0

智美「お、いい匂いがすると思ったらタコスかー?」

優希「あ、蒲原さん! よかったらどうぞ!」

智美「ワハハ、ちょうど小腹が空いたところだったんだ。 ありがたくいただくぞ〜」

玄「こんにちは、蒲原さん。 今日はこちらにいらしてたんですね」

智美「ああ、せっかく東京に出てきたんだしみんなとドライブでもしようと思ったんだが途中で何故かみんな調子が悪くなってなー」

憧「何故かって……原因わかりきってるでしょ」

京太郎「なんかあんのか?」

優希「ああ、お前は知らないのか……なかなかヤバいらしいじょ?」

京太郎「なにが?」

憧「運転が……ほんと、ヤバいわよアレは」

智美「だから、とりあえず知り合いのとこでみんなを休ませてもらおうと思ってなー」

玄「元気になったらみんなで打てますし、いいですねー」

智美「私はドライブしたいんだけどな……あ、みんな暇なら一緒にどうだー?」

玄「え……」

憧「わ、私! ちょっと今から用事あるんで!」

玄「え、ちょっと憧ちゃん!?」

憧「今日は龍門渕の人たちもこっちいるのよね! タコス渡してくる!」

玄「あ、憧ちゃん……行っちゃった」

839 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/01(火) 03:00:21.28 ID:s5hB6TpF0

玄「…………えーと」

京太郎「……そんなに?」

優希「さあ? 話には聞いてるけど……」

智美「まあ、用事があるなら仕方ないな……で、みんなはどうだ?」

玄「わ、私は、その……」

京太郎「あ、あー……お、俺もちょっと……萩原さんに用事あるんで! お疲れっしたー!」

玄「須賀くんまで!?」

優希「ふむ……よし! 私は行くじょ! なかなかスリルがあって楽しそうだしな!」

智美「おお、片岡さんは来てくれるかー ワハハ、一人だとドライブもつまらないからなー」

智美「……松実さんはどうだー?」

玄「え? え? その、えっと……」

優希「どこに行くとか決まってるんですか?」

智美「んー? いや、特に決めてないぞ? こう、バーっと飛ばして東京の町中でも見物しようかと思っててな」

玄「ば、バーっと飛ばして……? 町中を……?」

智美「で、どうだー? せっかくだし一緒に行かないか?」

玄「う、うーん……そ、その、私も……」

優希「玄おねーさん、このあと用事あった?」

玄「その、あの……」

840 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/01(火) 03:01:18.09 ID:s5hB6TpF0



智美「ワハハ、行くぞー!」

優希「おおう! すごいスピードだじぇー!」

玄「あ、あわわわわ……ちょ、蒲原さっ、ひゃあ! す、スピード、落として……」

智美「ん? なにか言ったかー?」

玄「ま、前! なんでも、ないですからっ! ちゃんと前見て運転してくださいっ!」

智美「ワハハ、そうかー」

結局、なんだかプレッシャーに負けて一緒にドライブすることになってしまった……いや、そのプレッシャーも勝手に感じてただけで優希ちゃんや蒲原さんはそんなつもりなかったんだろうけど

出てくる前に会った和ちゃんや咲ちゃんたちも誘ったんだけど、和ちゃんが半泣きで嫌がってたし……気持ちはわからなくもないけど

前に乗せてもらったときも思ったけど、とにかく怖い。 運転が荒いで済まないんじゃ……

智美「ワハハ、それにしてもみんなで料理のお勉強とはアレだな、女子力ってやつかー? 私は食べるの専門だからなー」

優希「私も作るのはタコスぐらいですけどね! 憧ちゃんが特訓中らしくて……」

玄「う、うん……憧ちゃんはほら、うーん……こ、恋、してるから」

智美「ワハハ、青春ってやつだなー? 羨ましい限りだ、私なんてもう毎日毎日受験がどうのってなー」

玄「あ、ああ……お勉強しなきゃですよね。 お姉ちゃんも団体戦終わったからそろそろちゃんとやらなきゃーなんて……」

智美「え? もう始めてるのか?」

玄「え? 蒲原さんもお勉強してるんじゃないんですか?」

智美「……毎日毎日ゆみちんに勉強しろーって言われるのがたまらなく辛くてなー」

優希「うう……気持ちはわかるじょ……私もテスト前になるとうっかり部屋のかたづけ始めちゃったり……」

智美「ワハハ、わかるわかる。 ついつい漫画読み始めたり昔のアルバム見つけたり懐かしいおもちゃが出てきたり……」

……蒲原さん、大丈夫なのかなあ?

841 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/01(火) 03:02:23.65 ID:s5hB6TpF0

玄「……って! 蒲原さん信号! 赤、赤ですよ!」

智美「お? おお、危ない危ない」

優希「じょ!?」

玄「あう……ゆ、優希ちゃん大丈夫……?」

優希「……きゅ、急ブレーキは危ないじょ……」

智美「ワハハ、ごめんごめん。 つい話すのに夢中になっちゃってなー」

優希「…………少し静かにしてるじょ」

玄「……うん、そうしよっか」

最初は楽しんでた優希ちゃんも数十分も走るとさすがにだんだんと堪えてきたらしい……ちょっと顔色が悪くなってて心配だなぁ

優希「……いや、私は結構絶叫系とかも好きだけど…………これは、ヤバいじょ……命が……自分だけでなく回りも……」

玄「……く、車で公道走ってるからね」

優希「……正直、ちょっと舐めてたじょ……そりゃあむっちゃん先輩も体調崩す……うぉ!?」

玄「ひゃあ!」

智美「んー? どうしたー?」

優希「きゅ、急にアクセル全開は危ないじょ! も、もう少しゆっくり……」

智美「あ、ここ曲がるから喋ってると舌噛むぞー?」

優希「!?」

玄「!?」

な、なんで舌噛むような曲がり方を……

842 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/01(火) 03:03:33.37 ID:s5hB6TpF0

玄「……わ、私は……乗ったことあったから知ってたけど……優希ちゃんも聞いてたんじゃないの? あ、危なっ……いって、こと……」

優希「だ、だって……せっかく誘ってくれたんだし、みっ……んなで、避ける感じになるののも……」

玄「っきゃ! ……や、優しいね、優希ちゃんは……」

優希「し、知ってて着いてくる玄おねーさんも相当だと思うじょ……」

ブンブンと振り回される車体に翻弄されながらも、なんとか意識を保ってついていく

赤信号で止まるわずかな時間が癒しになる……とはいえ、止まれるか微妙なのでスリルも満点なんだけれど

智美「ワハハ いやあ、やっぱりドライブは楽しいなあ……ここらは車も多くてあまりスピードも出せないのが残念だけど」

玄「こ、これで、スピードが出てない……?」

智美「ん? ああ、やっぱりこれじゃあいまひとつか? よし、ちょっとスピードあげるぞー」

玄「え、いや、ちょっ……ひゃあ!?」

優希「も、もうなにも言わない方がいいんじゃ……」

智美「ワハハ」

玄「い、いや、でもそれはそれで余計に危ないような……」

優希「……た、たしかに…………うう、困ったじょ……」

玄「か、蒲原さん……えっと、その! きゅ、休憩! 休憩にしましょう! えー、その、そろそろお昼ですし!」

優希「そ、そうだじょ! ちょうどいい時間だと思うじぇ!」

智美「んー? でもさっきタコス食べてなかったかー?」

玄「えっ? え、あの……」

優希「タコスは別腹だじょ! ちゃんとご飯食べないとダメだじぇ!」

智美「ほほう、そういうことか! なら仕方ないなあ……適当にご飯食べられるところにでも入るかー」

玄「……た、助かった……?」

優希「たぶん……?」

智美「よし! そういうことならここから一時間ぐらい行ったところにおいしいお店を知って「そ、そこのファミレスにしましょう!」「それがいいじょ! 腹ぺこで我慢できないじょ!」……そっか、それは残念だなーまたの機会にするかー」

843 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/01(火) 03:04:43.06 ID:s5hB6TpF0

優希「あうう……はぁ、今日は、本当に、考えが……甘かったじょ……」

玄「……うう…………で、でも……やっと、一息つけるよ……」

智美「ワハハ どうしたふたりとも? なんだか顔色が悪いぞ?」

玄「え? えー……その、私……ちょ、ちょっと、乗り物弱くて……い、いつもすぐに酔っちゃうんですよね……あはは」

智美「そうなのか、それならそうと言ってくれればもっと気をつけて運転したのに……悪かったなあ」

玄「……ほ、本当かな?」

優希「残念だけどそれほど変わらないと思うじょ……まさか、この私がここまでダメージを受けるとは……」

玄「……ほんとに大丈夫?」

優希「ひと休みできるし、問題ないじょ……」

玄「う、うん……無理しないでね?」

優希「そんなに心配しなくても、無理するほどの元気がないじょ……」

玄「ゆ、優希ちゃん?」

優希「チャンピオンと打ったときよりきついじぇ……」

いつも元気な優希ちゃんが……意外と乗り物弱かったのか、蒲原さんがすごかったのか……

煌「おや? 優希ではありませんか?」

優希「ん……? おお、花田先輩! 偶然だじぇ!」

844 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/01(火) 03:05:52.37 ID:s5hB6TpF0

玄「花田さん……こんにちは」

煌「こんにちは! ……おふたりとも、どうかされましたか? どことなく顔色が優れないような……」

優希「全然問題ないです! 元気いっぱいだじょ!」

玄「……大丈夫なの?」

優希「花田先輩に心配かけるわけにはいかんからな! へっちゃらだじぇ!」

玄「な、なるほど……?」

優希「花田先輩、今日はお散歩ですか?」

煌「いえ、たしかに東京なんて滅多に来れる場所ではないので観光できれば大変すばらなのですが……部長たちの個人戦も残っていますから、今日は買い出しですよ」

玄「お一人でですか?」

煌「他の団体メンバーは今打ってるところなので……手の空いているうちにできることをやってしまおうかと思いまして」

優希「変わらないですね、花田先輩は」

煌「優希は変わりましたね……以前よりも逞しくなりました! 決勝戦もすばらでしたよ」

優希「ありがとうございます! 花田先輩にそう言ってもらえるとうれしいじぇ!」

智美「おーい、ふたりとも入らないのか? どうかしたのかー? ……ん、そっちは知り合いか?」

煌「ああ、これはどうも……私、福岡新道寺の花田煌と申します」

智美「ワハハ、これはご丁寧にどうもー」

優希「花田先輩、こちらは蒲原智美さん……長野の鶴賀学園の部長さんです!」

智美「ワハハ、もう引退したから前部長だけどな……よろしくなー」

煌「後輩がお世話になっております……鶴賀と言いますと、清澄が県大会の決勝で打った相手でしたね」

智美「ああ、応援で東京まで出てきたんだ。 片岡さんが後輩ってことは、中学は長野か?」

煌「はい、引っ越して高校は福岡に……」

智美「ふむ……ああ、準決勝で松実さんと打ってた子かー? あの新道寺の先鋒だなんてすごいじゃないか」

煌「いえいえ、私なんかまだまだ……」

845 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/01(火) 03:06:58.75 ID:s5hB6TpF0

智美「おっと、立ち話もなんだし中に入るかー」

優希「あ、でも、花田先輩……今……」

煌「……いえ、せっかく誘っていただいたのですし、少しぐらいは寄り道もいいでしょう。 団体戦が終わってから、しっかりと優希のお祝いする機会もありませんでしたしね」

優希「花田先輩……!」

智美「ワハハ、今日は一番先輩の私が出すから好きなものを食べるといいぞー」

玄「え、でも……」

智美「清澄の優勝と、阿知賀の上位入賞のお祝いってことでな……それに、今日はドライブも付き合ってもらってるし……気にしなくていいぞ?」

煌「すばらです! そういうことならば私にも是非お祝いさせてください!」

優希「そんな、気持ちだけで十分だじょ! 久々なのに先輩に奢らせるなんて……」

煌「先輩の顔は立てるものですよ、優希」

優希「……すみません……じゃなくって、ありがとうございます! ゴチになります花田先輩!」

煌「すばら! それでいいんです!」

玄「でも、私まで出してもらうのは……」

煌「準決勝をともに戦った仲ではないですか! 気にしないでください松実さん!」

智美「ワハハ、そうだそうだ。 お得なんだから甘えておくといいぞー」

玄「うう……それじゃあ、お世話になります」

846 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/01(火) 03:07:51.06 ID:s5hB6TpF0

なんだか悪いなあ……でも、お祝いって言われちゃうとお断りするのも感じが悪いし……

煌「そういえば、松実さんは和ともお知り合いだそうで! 長野に来る前は阿知賀に居たって聞いていますよ!」

玄「え……? あ、そっか! 優希ちゃんの先輩なら和ちゃんの先輩でもあるんですね!」

智美「ワハハ、不思議な縁があるもんだなあ」

煌「大変すばらなことです! 阿知賀の頃の和はどうでしたか?」

優希「そういえば、私もあんまり聞いたことないじょ」

玄「和ちゃんは、なんというか……芯の強い子だから、あんまり変わってないですよ? 昔から、真面目で優しくって……」

煌「ふふ、そうですか……そう言われると、納得してしまいますねえ」

優希「麻雀はどんどん上手くなってるけどな!のどちゃんは変わらないと言ってもちゃんと成長してるじょ!」

煌「すばら! 和は変わらないのがいいところですが、たしかに対局を見ていても成長が感じられましたよ」

智美「ワハハ、たしかに……ゆみちんがインターミドルの牌譜と見比べても高校に上がってからはミスが減ってて手強いぞ、って県大会の頃言ってたなぁ」

玄「そうですね! 和ちゃんは本当にすごいですよね……それに、他にも成長といえば……」

そう、和ちゃんは本当に成長してる

鈍いとかよく言われる私でも、一目見てすぐにわかったもん!

煌「おや、他にもありましたか! すばらなことです! やはり付き合いの長い松実さんにしか見えないようなところが……」

玄「いやもう、ほんと、おもちが大変なことに! 初めて会った小学生の頃から年に似合わぬ素晴らしいものをお持ちだったのに……もう! 本当にどうなってるんでしょうね!?」

煌「すばっ!? お、おもち……?」

優希「あー……言ってることはよくわかるけど……玄おねーさん、これさえなければ……」

智美「ワハハ、私はこれはこれで松実さんの面白いところだと思うけどなあ」

玄「和ちゃんはもう本当にすごいですよ! 花田さん風に言うならばすばらですよ、すばら!」

煌「なんと! すばらですか! それはそれはすばらなことです!」

玄「和ちゃんのおもちは本当にすばらです! 和ちゃん以上なんて……そう、それこそ石戸さんぐらいですね!」

煌「石戸……と言いますと、もしかして……?」

玄「永水女子の石戸霞さんです!」

847 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/01(火) 03:08:39.20 ID:s5hB6TpF0

煌「ええと……もしかして、おもちというのは……?」

優希「おっぱいのことだじぇ」

煌「ああ……な、なるほど」

智美「それにしても、実際すごいよな……原村さんのアレは」

優希「あれは凶器だじぇ! むむぅ……いったいどれだけのどちゃんのおっぱいを吸えば私はあのレベルになれるのか……」

玄「ええ!? ゆ、優希ちゃんまさか和ちゃんのおもちを……!?」

優希「じょ、冗談だじょ! さすがに! 玄おねーさん目がマジだじょ!?」

智美「ワハハ、うちのモモなんて原村さんのことおっぱいさん呼ばわりだからなー」

優希「モモちゃんのあだ名つけるセンスはなかなかだと思うじぇ……おっぱいさんはあまりにも直球すぎるけど……」

煌「……すばらですね! あだ名で呼び合うなんてまさに友情の証ですよ!」

智美「ワハハ、そういう考え方もあるかー」

玄「……あれ!? なんかみなさん食い付き悪くありませんか!? 和ちゃんのおもちの話ですよ!?」

智美「いや、たしかにすごいけど……普通はそういう話に食い付くのは男子じゃないのか?」

優希「うちのバカとかな……まったく、あいつものどちゃんにセクハラ視線を送るのもいい加減にしてほしいんだが……」

煌「ああ、清澄は男子部員もいるんですか……しかし、和があれだけすばらなものをお持ちだと周りの男子には目の毒でしょうねえ」

智美「ワハハ、どっちかと言うと目の保養にされてるっぽいけどなー」

玄「そりゃあ見ちゃいますよね! だってあんなおもちが目の前にあったらもう……どうにもたまらないですよ!」

煌「……松実さんの人間性がよくわからなくなってきました」

智美「ワハハ、そうだなあ……本当に、これさえなければ普通のかわいいお嬢様って印象なんだけどな」

優希「ああ……そう言われると、玄おねーさんとのどちゃんって結構似てるところありますよね。 ちょっと天然系の優等生お嬢様って感じで」

玄「そんな! 私なんて和ちゃんのおもちには全然及ばないよ!」

優希「おっぱいの話はしてないじぇ」

煌「松実さんも十分にすばらなものをお持ちだと思いますが……」

玄「私がおもちなんておこがましいですよ!」

智美「ワハハ、なんか基準があるのかー?」

848 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/01(火) 03:09:30.82 ID:s5hB6TpF0

なんでだろう? どうして……こう、おもちについて熱く語ってもなんとなくみんなと距離を感じるような……

あんなにすばらなのに! どうして理解してもらえないんだろう……? ああ、穏乃ちゃんも、憧ちゃんにジャージを否定されてるときはこんな気持ちなのかなあ……?

……いや、私もちょっと、アレを着てお外を歩くのは……うん、アレだけど……

……そりゃあ、私もちょっと……一時の気の迷いというか、前に一回……し、しかも……あ、あんな格好で萩原さんの前に……

いや、もう思い出しても仕方がないし、恥ずかしいだけだし……そんなことよりおもちのことについて考えた方がよっぽど建設的だよね!

こう、やっぱりおもちっていうのは……



智美「――――――花田さんは、頑張ってたなあ……宮永照に千里山のエース相手にあんな……」

煌「いえいえ、あの時は松実さんがドラを抱えていてくれましたし……私が先鋒だったのも作戦で実力ではなく……」

優希「作戦でも新道寺の先鋒張るなんてすごいじょ! さすがは花田先輩だじぇ! 私も鼻が高いじょ!」

煌「それはこちらの台詞ですよ! 後輩がインターハイ優勝校のエースだなんて鼻が高いです! すばら!」

……あれ? いつの間にか全然関係ない話になってる……?

優希「それにしても、どんな作戦だったんですか? 副将の白水哩がエースだっていうのはさすがの私でも知ってるし、後半に火力を集めた編成だっていうのはわかりますけど……」

煌「ああ……私は高校に上がってからひとつわかったことがありまして……なんと、すばらなことに一度もトビ終了したことがないんですよ!」

優希「おお! それはすごいじぇ!」

智美「ワハハ、どんなに固く打ってもやられるときはやられるのが麻雀だからなあ……なかなかすごいんじゃないのか?」

煌「それが評価されての起用だったみたいですね! 後続のみんなに必ずバトンを繋げる……そして、メンバーのみんなが点を取り返してくれる! これもすばらなチームワークですよ!」

849 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/01(火) 03:11:11.63 ID:s5hB6TpF0

玄「……な、なるほど! たしかに、白水さんなんか特にすごかったですよね! 灼ちゃんも大苦戦で……」

優希「アレはたしかにとんでもなかったじょ……チャンピオン級の勢いだったじぇ」

煌「白水部長も、姫子も、安河内先輩も、江崎先輩も……みなさん大変すばらな頑張りを見せてくれました! 私も全力を尽くしたのですが……やはり、なかなかうまくいかないものでして……」

智美「いやいや、花田さんは宮永照と二回も打ってるだろ? うちの県にも龍門渕の天江衣みたいなとんでもない打ち手がいるし……けっこう、めげちゃってる子もたくさんいたぞ? 言っちゃ悪いけど、捨てゴマみたいな使われ方してるのに……」

玄「うう……宮永さんすごすぎて……私なんか、打ちながらちょっと泣いちゃったもん……」

煌「ふふ、決してメゲないのが私の数少ない長所ですから! 私でも新道寺の中で役割を持つことができたことが既にすばらなのですから! チャンピオンと二回も手合わせできて、その実力をこの身で感じることができたのもすばらなことでした! 他にも……」

智美「ワハハ……片岡さん、すごい先輩を持ったなあ……こいつは大物だぞ?」

優希「尊敬する自慢の先輩だじぇ!」

煌「いやあ、そこまで言われると照れてしまいますね……蒲原さんも、とても素敵な笑顔で大変すばらです! 県大会の映像は見ましたが、とてもすばらでしたよ!」

智美「そうかー? いやあ、私も片岡さんとこの竹井さんにやられてばっかでなかなかいいところを見せられなかったんだが……」

煌「人はうまくいかない時こそ、落ち込んでしまうものですが……蒲原さんはいつも笑顔だったではないですか! 誰にでもできることじゃない、すばらなことですよ!」

智美「ワハハ、そうかー? 褒められるとついつい調子に乗っちゃうから勘弁してほしいんだがなー……それに、それを言うならそれこそ花田さんのことだろ?」

煌「そうですか? たしかに、私はいつも笑顔でありたいと思っていますが……実践できているのならばすばらです!」

優希「一緒に部活してるときも、花田先輩の笑顔にいつも元気をもらってたじょ!」

煌「それはこちらもですよ。 優希の笑顔はとてもすばらですから!」

玄「うん……そうだね。 うちのチームもやっぱり、穏乃ちゃんの笑顔に引っ張られてるし……」

……うん、私も試合中に半泣きになったりしたらダメだよね……みんなを見てると笑顔にはやっぱり力があるんじゃないかって思えてくる

……あの、今思い出しても泣きそうになる準決勝

一番へこんでたのに、一番笑顔だった花田さん……とても強く印象に残ってる

みんなを見習って、私もしっかりないと! 来年は最上級生で……部長の灼ちゃんをしっかり支えなきゃだもんね!

850 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/01(火) 03:12:31.09 ID:s5hB6TpF0

優希「玄おねーさん、大丈夫? タコス食うか?」

玄「うん、元気だよ! ……ここ、タコスは置いてないんじゃないかな?」

優希「なに!? むむ……さっきから何回メニューを見直しても見当たらないと思ったら気のせいじゃなかったか……!」

智美「そうそう置いてあるものでもないだろー」

煌「優希もタコスに関しては変わりませんねえ……ああ、この前は差し入れもありがとうございました。 みんなでいただきましたよ」

優希「喜んでもらえたならよかったじぇ!」

智美「あ、差し入れといえば……花田さん、買い出し中だったろ?引き留めといて言うのもなんだけど時間大丈夫かー?」

煌「そうですねえ……みんなが打ち始めてすぐに出てきたので……もう少しぐらいゆっくりしてても……」

智美「ワハハ、そうかー? まあ、今日は私たち車だし宿泊先まで送ってくぞー?」

玄「え……」

煌「すばら! よろしいのですか?」

智美「ワハハ、まかせておけ」

優希「ちょ、ちょっと待つじぇ!」

煌「優希……?」

851 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/01(火) 03:13:40.10 ID:s5hB6TpF0

優希「は、花田先輩! あの、えっと……あ、あんまり遅くなってもチームのみなさんに心配かけるかもしれないし、今日のところは帰っといた方がいいじぇ! 東京にいる間ならいつでも会えますし! 今からなら歩いて戻ってちょうどいいくらいだじょ!」

玄「そ、そうですね! あんまり時間かけすぎてもアレですし!戻った方がいいですよ!歩いて! 歩いた方が健康にもいいですし!」

煌「?」

智美「急にどうしたんだー?」

優希「いやいや、特に急なんてこともないじぇ!」

玄「花田さんのためを思って!」

煌「すばら! お気遣いすばらです! おふたりがそこまで仰るのならば、今日のところは帰りましょう! また改めてお会いする機会をとりましょうね!」

智美「ワハハ、そうか? そういうことならお会計済ませてくるから先に外で待っててくれ」

煌「それでは私も……」

智美「いいからいいから、今度会うときに改めてお祝いしてやるといい」

煌「……すばら! それでは、お言葉に甘えましょう!」

852 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/01(火) 03:14:52.19 ID:s5hB6TpF0



煌「いやあ、申し訳ないことにお世話になってしまいましたね……送ってくださるそうですし、ちゃんとお礼をしなければ……」

優希「は、花田先輩! 今のうちだじぇ! 早く逃げるじぇ!」

煌「へ?」

玄「危ないですから! 危険ですから!デンジャーですから!」

煌「な、なにがですか? なにか起きるんですか?」

優希「なにか起きたらヤバイじぇ!」

玄「じ、事故とかになっちゃったら……わ、わざわざ危ない橋を渡ることはないと思います……!」

煌「どういうことなのでしょうか? 順を追って説明していただかないと……」

玄「か、蒲原さんの運転が、その……」

優希「蒲原さん……すごくいい人なんですけど……運転だけは……ちょっと……」

煌「ふむ……なるほど、お気遣いありがとうございます! しかし、ごちそうになったお礼も言わずに立ち去るなんてできませんし、せっかくのご厚意を無下にするわけにもいきませんから!」

優希「い、いや……でも……」

煌「大丈夫ですよ、私も絶叫マシーンなんかは好きですし、乗り物も強い方ですから!」

優希「いや、そういうレベルじゃなくって……」

煌「くどいですよ、優希。 礼節は重んじなければなりません。 礼を失すれば信も失い巡り巡って自分の首を絞めることにも……」

優希「うう……それは理解してるじぇ」

玄「は、花田さん……」

煌「松実さん、今日は会えてすばらでした! また、今度ゆっくりお話しましょう!」

853 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/01(火) 03:15:38.43 ID:s5hB6TpF0

智美「ワハハ、待たせたな。 それじゃあ送ってくぞー」

煌「すばら! 今日はお世話になってばかりで……ありがとうございます!」

智美「ワハハ、気にすることはないさ。 みんな乗り込め! 楽しいドライブのはじまりだー」

優希「……お、おう! 行くじぇ!」

玄「ゆ、優希ちゃん!?」

優希「腹くくったじぇ! 花田先輩だけを行かせるわけにはいかないじょ!」

智美「ワハハ、 松実さんどうかしたのかー?」

玄「……い、いえ! 行きましょう!」

煌「それでは場所なのですが……」

智美「ああ、口頭でパッと教えてくれればいいぞ? 道を覚えるのは得意なんだ」

煌「それはすばら! 心強い限りです!」

智美「よぉし、出発進行だー!」

854 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/01(火) 03:16:22.65 ID:s5hB6TpF0


――――――


玄「あう……ううぅ……」

優希「うぐ……は、激しすぎるじょ……」

煌「あ、次の交差点を左ですね!」

智美「ワハハ、了解だー」

玄「……な、なんで花田さん平気なのぉ……?」

優希「じょ、助手席は後部座席ほど振り回される感無いし……いや、そもそも、花田先輩超丈夫で貧血すら起こしたとこ見たことない……じょ!?」

智美「ワハハ、超特急で送り届けるからなー」

煌「すばら! 大変ありがたいです!」

玄「ひっ……ぜ、全然すばらくないよぉ……」

優希「花田先輩の丈夫さがすばら過ぎるじょ……」


カン!
855 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/01(火) 03:25:12.59 ID:s5hB6TpF0
脳がシリアス寄りだからなんとか調整していきたい今日この頃
そういえば霞さん立体化来るみたいですね。玄ちゃー大興奮

全然関係ないけど最近の注目株は哩+美子です。台詞ほとんどない美子だけど哩からの信頼が絶大すぎて気になる…新道寺メインで一本行こうとすると異常に疲れるからやっぱり厳しいかなーって気もしますが
シノハユも熱いし年度内にあと二本は優希メインで書きたいし忙しない…
イェイ〜できるとしたらちゃちゃのんかあわあわかな?時間やネタの引き出しと相談して投下できればできるだけしたいです…
856 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/01(火) 08:44:58.34 ID:d77fhN4qo

似たもの同士だじょ
857 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/01(火) 09:52:07.05 ID:89EXDFyQo

メンツにおもちがないせいか普段おもちの話をするときよりテンションが落ち着いてるなクロチャー
858 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/01(火) 09:59:10.10 ID:oHCNqOfWO
京ちゃんはもうちょっと自制というかばれないように見れればいいのにね
859 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/01(火) 11:48:44.63 ID:gH5jYo8To
乙です
860 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/01(火) 15:15:19.40 ID:u7zkwYUAO
乙乙
ゆーきは良い子
861 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/01(火) 18:17:41.48 ID:cF3DF4IbO

すばら先輩はメンタルだけではなく三半規管も超人でしたか
862 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/02(水) 00:24:54.75 ID:h+LMb3NAO
乙です…
凄いですね…すばら先輩…
次回は是非とも善野前監督と赤阪監督と赤土先生と三尋木プロによる昔話をお願い致します…
863 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/05(土) 00:44:57.61 ID:3Fyt/Frw0
>>858それができないからこその京ちゃんって気もします
>>860周りの人間をよく見て、すごく素直に気を遣える子だと思います

短いけど投下
864 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/05(土) 00:45:54.30 ID:3Fyt/Frw0

照「これ、おみやげです」

晴絵「なんだ、そんな気を遣わなくてもいいのに……」

照「手ぶらでお邪魔するわけにもいきませんから」

晴絵「……心構えは立派だけどな、照」

照「?」

晴絵「……いや、おみやげの食べ物……開封してあるのはちょっと……」

照「……我慢できなくて」

灼「照さんらしいね」

照「まあね」

晴絵「誇るところじゃないぞー?」

菫「大変失礼なことを……申し訳ない。 私がしっかり目を光らせておけば……私もそれどころではなくて……」

灼「照さんなら関係なく食べてる気もするけど……なにかあったんですか?」

菫「ああ、いや……これを見てもらえればわかる」

灼「……Weekly麻雀today?」

菫「ああ、今日発売のものだ」

865 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/05(土) 00:46:36.16 ID:3Fyt/Frw0

灼「……?」

受け取った雑誌をパラパラと捲ってみたが、特に変な記事は見当たらな……ん?

灼「あ……これ? 照さんも弘世さんも取材されてる……」

菫「え? ああ……そういえばこの間取材が来たな……今回の号だったのか」

灼「え? ……じゃあ、どの記事?」

菫「記事もだが……まずは表紙を見てくれ」

灼「表紙……?」

いつも通り、プロ雀士が表紙を……あ……これは……これか? うん、まず間違いなくこれだ

菫「気がついたか」

灼「ん」

菫「私も気がついたときには体が震えたよ……脳天を貫かれたかのような衝撃が走った」

灼「……そか」

菫「そう、気がついてしまったんだ……!」



菫「はやりんってやっぱりかわいすぎるんじゃないか!?」

灼「……うん、そですね」

866 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/05(土) 00:47:14.00 ID:3Fyt/Frw0

菫「ああ……もう、どうすればいいんだ!? 見てくれ鷺森! はやりんが! 表紙のはやりんが私を見てるんだ! 私を!」

灼「とりあえず落ち着いたらいいと思いますけど」

菫「これが落ち着いていられるか! 記事の方も見てくれ! はやりんが、白糸台についても言及していて……」

灼「……インターハイ個人戦の注目選手?」

照「菫は特に名前挙げられてないけど」

菫「いいよなぁお前は! はやりんが……はやりんが照の名前を……くっ! 私ももっと団体戦で活躍できていれば……!」

晴絵「そういう単純な話でもないだろ……」

照「菫、見て。 ほら、はやりんも最後に『みんなに頑張ってほしいなっ☆』って言ってる」

菫「そんなことはわかって……!? ま、まさか……みんなって参加選手全員のことだろ!?」

灼「まあ、そうでしょうね」

菫「つまり……はやりんは私のことを応援してるってことじゃないか!」

照「よかったね」

菫「はっはっは! なんだよ、おい! 聞いたか亦野! はやりんが私のことを応援してるんだぞ! 百人力……いや、それ以上だ! ははは! はやりーん! はやりんのためにも頑張りますから! 見ていてください!」

誠子「……ああ、はい……よかったですね」

867 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/05(土) 00:48:14.38 ID:3Fyt/Frw0

淡「菫先輩も最近馬鹿丸出しだし……どうなっちゃうんだろーね、白糸台」

誠子「……本当にな」

淡「……ちょっと! 亦野先輩ってば、そこは『淡がいるし心配ないよ』って言うとこでしょー?」

誠子「…………はあ」

淡「あれ? なにため息ついてんの?」

誠子「いや……うん、淡がいるから大丈夫ってことを忘れてた自分が不甲斐なくてね……」

淡「そっか! へへ、うっかりさんなんだからもう! 気にしなくても私がいるから大丈夫だよ!」

宥「淡ちゃんがいれば誠子ちゃんも心強いよねぇ」

淡「だよねー!」

誠子「…………」

憧「頭抱えたくなる気持ちはわかりますけど……頑張らないとマジでヤバいんじゃないですか?」

誠子「うん……そうなんだよね……私がしっかりしないと……」

尭深「誠子ちゃん、お茶淹れたよ?」

誠子「ありがと尭深……」

菫「ほら、新子も見てみろ! はやりん! 超かわいいぞ!」

憧「あ、さっき私も買ってきたんで大丈夫です! やっぱ素敵ですよねー」

晴絵「……憧もすっかり瑞原さんのファンだな」

灼「ハルちゃんのファンもいるから心配しないで」

晴絵「いや、別にそういう心配はしてないけどな?」

868 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/05(土) 00:49:31.38 ID:3Fyt/Frw0

照「……実際、これから個人戦もあるとはいえ……誠子にはしっかりしてもらわないと困る。 私たちが抜けたあとの白糸台を率いることになるんだから」

誠子「う……それ、もう確定事項なんですかね?」

照「ほとんど内定してると考えてもらっていい。 菫と私で相談して、監督にも話はしている」

誠子「そ、そうですか……」

照「……私が抜けたら、次のエースは淡。 淡の制御できるのは誠子しかいないんだから」

誠子「振り回されてばかりな気もしますが……」

照「そんなことはない。 淡もよくなついているし、尭深もいる。 自信を持って…………」

尭深「……どうかしましたか?」

照「おかし。 取って」

誠子「……ああ、はい。 どうぞ……」

照「うん……この控えめな甘さが癖になる…………なんの話だっけ?」

誠子「……いえ、お気になさらず…………」

灼「真面目な話してたのに……」

照「おかしが切れちゃって……」

灼「今食べたよ?」

照「おかしのことで頭が一杯になっちゃって……」

灼「……そか」

照「菫ははやりんで頭が一杯になっちゃって……」

灼「それは知ってた」

869 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/05(土) 00:50:55.21 ID:3Fyt/Frw0

菫「はぁ……はやりん……なんて愛らしい……」

晴絵「……菫ー? 大丈夫かー?」

菫「いえ……はやりんがあまりにもかわいいのでおかしくなりそうです」

淡「もうおかしくなってるでしょ」

穏乃「大星さん、あんまり先輩にそういうことは言うもんじゃないですよ」

淡「でもほんとのことだよ?」

誠子「本当のことでも言っていいことと悪いことがあるってのを覚えて欲しいんだけどな……」

玄「はやりん、実際すごいことになってるしおかしくなっちゃうのもわからなくも……」

憧「写真とはいえ胸を食い入るように見つめるのはやめなさいよ!」

照「……まあいいんじゃないかな。 菫がはやりん大好きなのは事実だし」

菫「はやりんが好きでなにが悪い!?」

晴絵「瑞原さんを好きなこと自体は悪くないけど、それで回りに迷惑かけたらダメだと思うぞ……?」

尭深「はやりんも悲しみますよ。 自分を好きすぎるせいで弘世先輩がなにかやらかしたりしたら」

菫「……!」

誠子「なんかハッとしてる!?」

菫「そうだな……私が間違っていた……! はやりんを好きすぎるあまり、最近はその他のことが疎かになっていたかもしれない……!」

照「麻雀とかね」

灼「それは本気でダメなやつじゃ……」

照「はやりんファンであることを隠さなくなってから歯止めがきかないみたいで……ん、そっちの取って」

灼「……ちょっと食べ過ぎじゃ「そんなことはない」……そっか」

照「おいしい」

灼「……よかったね」

照「うん」

870 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/05(土) 00:51:53.37 ID:3Fyt/Frw0

菫「そうだ! 私ははやりんが好きだ!」

尭深「知ってますけど」

菫「私は間違っていた! はやりんが好きすぎてはやりんのファン活動略してはや活に時間を使うことばかり考えていたが……」

誠子「はや活!? 初めて聞きましたよそんな言葉!? っていうか弘世先輩部長ですよね!? インターハイ! 今インターハイ期間中なんですけど!?」

宥「せ、誠子ちゃん落ち着いて……ほら、尭深ちゃんが淹れてくれたお茶だよ?」

誠子「はぁ、はぁ……ど、どうもすみません……」

菫「そう……私ははや活に集中するためにもそれ以外にするべきことをしっかりするべきだったんだ! はや活に没頭するあまり、はやりん以外の現実に支障を来す訳にはいかない! はやりんも悲しむしな!」

穏乃「そうですね! はやりんは、いつもみんなに笑顔でいてほしい、ってよく言ってますし!」

玄「あれ? 意外と詳しいね穏乃ちゃん」

穏乃「瑞原プロとしてもはやりんとしても、よくテレビに出てますし、麻雀雑誌なんかにもよく記事載ってますから!」

玄「ふぅ〜む……なるほどなるほど、なるほどー」

憧「……玄のことだから、どうせはやりんの胸ばっか見てて話とか頭に入ってないんでしょ」

玄「えっ!? そ、そそ、そんなことないよ!?」

憧「はぁ……あんたはほんっとに……」

宥「くろちゃー……」

玄「え、あ、ち、違うよ!? 本当にそんなことないってば!」

菫「はやりんのためにもしっかりインターハイに備えなければ!」

誠子「……やる気になってくれたならいいんですけどね」

871 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/05(土) 00:53:36.17 ID:3Fyt/Frw0

晴絵「よし、それじゃあ……菫もやる気になったようだし、始めるか?」

淡「待ってました! シズノ! 今日こそ百回倒してやるんだから!」

穏乃「へへっ、私だって負けませんよ!」

灼「……今日、なにしに来たか覚えてます?」

菫「当然だ。 新子とはやりんについて語りに来たんだ」

誠子「!?」

菫「あ、それとハルちゃんに昔のはやりんのこととか聞こうかと思って……」

晴絵「…………おいおい」

照「菫はWeekly麻雀todayを買った辺りで正気を失ったから……」

憧「いや、私も休憩時間はそんな感じで過ごすつもりだったけど……」

照「まったく菫は……今日はみんなでおいしいお菓子を食べに来たのに」

誠子「!?」

灼「……恐らく、照さんもおかしを買った辺りで正気を失った」

宥「……えっと、そ、それも主目的ではないんじゃないかなー……?」

晴絵「宥が見かねてやんわりと助け船を……珍しいなあ……」

照「あ、シュークリーム食べたい」

晴絵「スルーした!?」

尭深「麻雀打たなくていいんですか」

晴絵「直球で行った!」

玄「渋谷さん、意外と言っていきますよね……」

尭深「誠子ちゃん、ボロボロになっちゃうから……」

晴絵「胃が?」

尭深「はい」

872 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/05(土) 00:55:33.64 ID:3Fyt/Frw0

淡「ほら、打つよシズノ! 宥でもハルエでも誰でもいいから入って入って!」

穏乃「大星さん、やる気あるのはいいけど赤土先生のこと呼び捨てにするのは……」

灼「……こうしてみてると一番やる気あるの大星さんだよね」

誠子「……はは……その点は安心できるなあ……」

晴絵「……誠子、その……無理すんなよ? ちょっと休むか?」

誠子「い、いえ……まだ一局も打ってませんし……」

菫「まだ一曲も歌ってない!? まかせろ! はやりんの歌なら全部いけるぞ!」

誠子「…………うぅ」

宥「し、しっかりして! 誠子ちゃん!」

照「おかし食べる? 食べかけだけど」

誠子「お、お気遣いどうもです……」

淡「あ! 亦野先輩! いいものあげる!」

誠子「え? ……なんだ、これ?」

淡「ほら、にがーいお薬って嫌じゃん? これを使うとゼリーみたいなのでおいしく薬が飲めるんだよ! 亦野先輩いっつも胃薬飲んでるから大変そうだなーって」

誠子「……あ、淡……!」

晴絵「泣いた!?」

淡「へへ、感動しちゃったかー! まったく、亦野先輩は仕方ないなー!」

灼「……気を遣うならあんまり好き勝手しない方がいいと思」

穏乃「……どことなく気の遣い方間違ってますよね」

菫「はやっ☆」


カン!

873 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/05(土) 00:58:19.97 ID:3Fyt/Frw0
リハビリ扱いで書かれてしまうラスボス(仮)白糸台。なんもんかんも弘世様が悪い

874 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/05(土) 00:58:44.91 ID:03V4CwrJo

ルイズコピペっぽくなってる菫にワロタ
875 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/05(土) 01:00:17.24 ID:zw5gatKOO
乙です
876 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/05(土) 10:01:30.10 ID:nEH4z0tyO

白糸台は意外にまとまりあるチームになりそう
877 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/05(土) 10:46:57.16 ID:dHVKwx1qo
どんどんポンコツになっていくSSSさん
878 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/05(土) 14:14:23.36 ID:bFmQmabAO
>穏乃「大星さん、やる気あるのはいいけど赤土先生のこと呼び捨てにするのは……」
アコチャーェ……

おつ
879 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/05(土) 14:33:24.10 ID:mdsIYYv/O
末原さん、咲さん、シズ、淡のありえたかもしれない会話が見たいです
880 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/05(土) 20:28:28.87 ID:dHVKwx1qo
>>878
姉の友達だからね仕方ないね
881 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/06(日) 02:52:18.26 ID:loru6mbS0
>>876白糸台は圧倒的な強さの照と弘世様のカリスマ性で引っ張ってる印象が強いですね。照も弘世様も周囲の部員にしてみれば距離がありそうだし、世話焼きの苦労人亦野さんが部長になったらチームカラーは様変わりするだろうけど結束は強くなりそうです
>>877シャープシューターの異名を持ち直撃を自在に取る高貴なる女性雀士弘世様のかっこいいお話とか書きたいと思ってないわけではないんですけどね。弘世様なんで…
>>878これは>>880ですね。憧ちゃんには先生である前にお姉ちゃんの友達ですから。淡とハルちゃんだと他校の監督、選手の遠い関係なんでしず的には妹に敬語教えてるような感覚での発言

次回は>>630晴Qにしようかなーと今は思っております
882 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/06(日) 16:19:09.25 ID:5VyW6An+0
>>881
まあそうだろうとは思いました
けどシズが意外に礼儀正しいイメージが自分の中で先行してて公私は分けるのかなと思ってた
普通に考えてそこまで厳格じゃないよなー
883 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/11(金) 00:02:27.97 ID:dcw0RG3p0

穏乃「……あのさ」

憧「どしたの? 珍しく真面目くさった顔してさ」

晴絵「珍しいって……最近は結構真面目モードだったろ? 団体戦も大変だったしな」

憧「ま、それもそっか。 ハルエこそ大丈夫? 最近ずっと真面目な感じだったし疲れてんじゃない?」

晴絵「疲れてなんかいられないって……やることも多いしな。 お前たちのためにも……自分のためにも」

憧「……いろいろありがとね、ハルエ」

晴絵「いいんだよ、それが楽しいんだから……にしても、改まって言われるとなんか照れ臭いな……憧が言うのも珍しいし」

憧「……別に、私だってたまにはね? ハルエも……」

穏乃「それ! 憧!」

憧「へ? なに?」

穏乃「赤土先生のこと、呼び捨てにするのはどうかと思うんだけど!」

憧「はぁ? なによ、そんなの今さらでしょ?」

晴絵「付き合いも長いしなあ……そりゃあ、教師と生徒だけど……友達の妹だし」

憧「ほんとに子どもの頃からの付き合いだもんね……十何年とかでしょ?」

晴絵「つーか生まれる前から知ってるしな」

憧「あ、そっか……そうなるのかあ……えー? なんか変な感じ!」

晴絵「まあなあ……で? なんで急にそんな事を?」

穏乃「この間、白糸台と練習試合した時に大星さんが赤土先生のこと呼び捨てにしてたから……」

憧「はぁ?」

884 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/11(金) 00:03:15.12 ID:dcw0RG3p0

憧「それって私関係なくない?」

穏乃「関係あるって! 憧が呼び捨てにしてるから私も呼び捨てにしていいんだーってなっちゃうんでしょ?」

晴絵「子どもの理論だなあ」

灼「でも、大星さん子どもだし」

晴絵「あれがかわいいんじゃんかよー」

宥「かわいいんですよねー」

玄「ねー」

憧「はぁ……まあ、たしかに、しずの言うような一面もあるかもしれないけど……あれは大星さんがちょっとアレな子だからでしょ? 私が言わなくても勝手に呼び捨てにしてるって」

穏乃「それはそうかもしれないけど……やっぱりさ、公私は多少使い分けるべきなんじゃないの? 私たちだけの時はともかく、他校の人とか公式の場ではやっぱりさあ……」

晴絵「私は気にしてないぞ? 淡ってああいう子だし」

穏乃「赤土先生は気にしないかもしれませんけど……それじゃあ大星さんのためになりませんよ! 鶴田さんとかを呼び捨てにしてたり、ちょっと険悪になったことも一度や二度じゃ……そのうちどこかで大きなトラブルになる可能性も」

憧「自業自得でしょ」

穏乃「大星さんだけが苦労するならそれでいいのかもしれないけどさ……そういう経験から学ぶこともあるとは思うし」

穏乃「……でも、実際のところ頭を下げるのは……」

憧「あー……それは、たしかに……」

晴絵「……淡にもちゃんと頭の下げ方覚えさせなきゃだけどな」

885 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/11(金) 00:04:04.32 ID:dcw0RG3p0

宥「……誠子ちゃん、頑張ってるんですけどね……淡ちゃんも……ちゃんと、考えているみたいだけど……」

憧「そうは見えないけど……っていうか、そうだとしても考えてるだけじゃ意味なくない?」

宥「……あはは」

玄「うーん……でも、弘世さんや宮永さんも赤土先生のことハルちゃん呼びだったよ?」

晴絵「私としては違和感ないんだけどな……エバーグリーンズ居たときはそう呼ばれてたし、地元でも……灼だって」

灼「……ファンの特権?」

晴絵「菫と照は私のファンってわけじゃないけどな」

穏乃「むぅ……」

憧「私だって今さら赤土先生とか呼べないって……なんか、気持ち悪いし」

晴絵「気持ち悪いは酷くないか……? 教師は教師だぞ?」

憧「そりゃそうだけど……やっぱりハルエはハルエって感じだし? そもそもお姉ちゃんが晴絵呼びだし……」

灼「望さんが呼び捨てだから自分も呼び捨てにしていい……と」

穏乃「子ども理論かあ」

憧「ちょ、一緒にしないでよ! っていうか本当に子どもだったし!何年ハルエ呼びで通してると思ってんのよ!」

穏乃「憧の言い分にも一理あるかもしれないけどさあ……やっぱり、外から見ると赤土先生が……ほら、生徒に軽んじられてるみたいだし」

憧「んー……たしかに……それはそう、かなあ?」

灼「……赤土先生って呼んだ方がい?」

晴絵「いや、私は別に……」

886 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/11(金) 00:05:26.18 ID:dcw0RG3p0

穏乃「……そんなに赤土先生って呼ぶの照れ臭いの?」

憧「べ、別にそういう話じゃないでしょ!?」

穏乃「憧って名前呼ぶとことか……そういうとこ融通効かないというかめんどくさいというか……初瀬も長いこと岡橋さんって呼ばれて気持ち悪かったって言ってたし」

憧「めんどくさいってどういう……ん? ちょっと待ってよ! 初瀬!?」

穏乃「え? うん……自分は名前で呼んでるのに名字にさん付けで嫌われてるのかとすら思ったって……」

憧「いやいや! いつの間に仲よくなったわけ!?」

穏乃「晩成が壮行試合してくれた時に連絡先交換して……中学の頃の憧の話聞いたり、昔の憧の話したり……」

憧「ちょ、え!? なにそれ! 聞いてない! ってか恥ずかしい! 変な話してないでしょうね!?」

穏乃「んふふ……さあ、どうかなー……」

玄「へぇ……中学の頃って憧ちゃんどんな風だったって?」

穏乃「そりゃあもう……」

憧「わ! わわ! やめてよ! なに言う気か知らないけど! 初瀬も初瀬で……もう! もう!」

灼「……最初の方、鷺森さんってずっと呼ばれてて距離感感じてた」

憧「うぇ!?」

灼「そりゃあ、私だけ憧と全然関わりないとこから来たけど……」

憧「え!? え!? いや、でも! そんなの最初だけじゃん!? 今は……ほら! 超仲いいし!?」

灼「ふたりの時は甘えん坊だもんね」

憧「あああ灼さん!? ちょ、なに言ってんの!? っていうかからかってた!? 落ち込んだふり!?」

穏乃「別に慌てなくてもみんな知ってるってば」

憧「嘘っ!? ……って違うし! 甘えてないし!」

宥「ふふふ」

玄「ねー?」

晴絵「今さらだよなあ」

憧「ちょっとぉ!」

887 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/11(金) 00:06:10.73 ID:dcw0RG3p0

玄「そういえば、灼ちゃんも最初は憧ちゃんのこと憧ちゃん、って呼んでたよね」

灼「ん……春ぐらいまで?」

憧「ほ、ほら! 別に私だけじゃなくって灼さんだって多少は……」

晴絵「それでも憧は慣れるまでの期間長いよなあ……」

憧「そ、そんなことないし! 今なら仲いい人ならみんな名前呼びとか全然できるし!」

穏乃「そう?それじゃあ……」





和「お邪魔します」

咲「こんにちは」

優希「遊びに来たじぇ!」

憧「和! 咲! 優希!」

灼「ここはいけるんだ」

玄「でも、咲ちゃんはしばらく宮永さん呼びだったよねえ」

憧「もう全然平気ですけど! 咲とも仲いいから!ね!」

咲「うん、また服とか買いに行こうね」

穏乃「服なら私が」

憧「しず! 余計なことしないの!」

穏乃「余計って……どういう意味だよー」

憧「文字通りだっての!」

888 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/11(金) 00:07:01.23 ID:dcw0RG3p0

衣「衣も来たぞーっ!」

透華「来ましたわ! さあ、原村和! 勝負ですわ!」

和「ええ、私は一向に構いませんが……」

晴絵「お次はどうだ?」

憧「あ、えー、あー……こ、衣さん、透華さん、どうもです」

衣「うむ! ほら、早く卓につくんだ! せっかく遊びに来たんだから!」

透華「今日こそ白黒はっきりつけましてよ!」

和「はぁ……そうですね……?」

咲「……どっちも相変わらずだなあ」

智紀「相変わらずの片想い」

優希「のどちゃんはもう少し龍門渕のおねーさんのこと気にしてあげてもいいと思うじょ?」

久「そうなったら困るんじゃない?」

一「な、ボクは別に……透華は喜ぶと思いますけど……なにニヤニヤしてるんですか?」

久「べっつにぃー?」

灼「ほら」

憧「え……いちいち人来る度にやるの? えっと……一さん、智紀さん……ひ、久さん、こんにちは」

智紀「? どうも……?」

久「あら、どうしたの? 私との距離を縮めたくなった?」

一「新子さんが距離縮めたいのは別の人ですよ」

憧「ふきゅ」

久「そういえばそうだったわねぇ……ほら、もう来るわよ?」

憧「べ、べべべ別に今そんな話はしてないじゃないですか!」

久「照れることないのにねえ」

一「ですよねえ」

智紀「みんな知ってる」

憧「嘘だぁ!」

889 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/11(金) 00:07:46.72 ID:dcw0RG3p0

憧「な、なんで広まってんの!? 誰よ言いふらしてるの!」

宥「……あの、言いにくいんだけど……ね?」

玄「うん……その、憧ちゃんがさ……」

灼「態度に出すぎ」

穏乃「私でもすぐにわかるぐらいはわかりやすいよ?」

憧「そ、そんな……う、嘘よね?」

咲「あはは……」

優希「ノーコメントだじぇ」

和「私は応援してますよ」

憧「ふきゅ」



純「ん……うまい! もう一個くれよ」

まこ「あんたは本当いい食いっぷりじゃのう……料理作る側としてもうれしい限りじゃ」

純「食べる側としてもこれだけうまいもん食えるのはうれしい限りだぜ」

久「ってちょっと! せっかくのお弁当食べ尽くす気!? 私の分取っといてよ!」

まこ「そこはみんなの分って言うべきじゃろ……」

純「うるせぇなあ……ほら、口開けろよ」

久「あむっ……やっぱりまこの玉子焼きはおいしいわねぇ」

まこ「そいつはどうも」

憧「ちょ、ちょ! なな、なにやってるんですか!?」

久「へ? ……ああ、なるほど……新子さんも食べたいって」

純「腹減ってんのか? ほら」

憧「ふきゅ!?」

890 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/11(金) 00:08:29.36 ID:dcw0RG3p0

憧「え、あ、あわわ……」

純「? 食べねぇの?」

久「その箸、直前に口つけたの私だから気にしなくていいのよ?」

一「それは逆に残念なんじゃないかなあ」

憧「なに言ってるんですか別に残念でもなんでもないですけど! い、いい、いただきます……」

純「うまいぞ? 染谷はこれ、天才かもしれねぇな」

まこ「おだててもなんも出んぞ?」

久「素直な感想なのにねえ……思わず口を開いちゃうもの」

純「な! どうだ?」

憧「好きです!」

純「オレもだよ」

憧「……ふっきゅあ!?!?!?」

憧「あ、あまりのおいしさに口が勝手に……え、あ!? え!?」

一「……落ち着きなよ、玉子焼きの話だからさ」

憧「え……え、あ、ああ……そ、そうですよね……わ、わかってますけど!?」

久「そんなに残念そうにしないの」

憧「してませんから! ま……まこさん、お料理やっぱり上手ですよね……その」

まこ「ふふ……かまわんよ? 今度しっかり準備して来るけえ、なんか作りたいのあったら考えといてな」

憧「あ、ありがとうございます!」

891 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/11(金) 00:09:22.25 ID:dcw0RG3p0

純「よし! 味見ならオレにまかせとけ!」

憧「ぅえ!? で、でも、井上さんに変なもの食べさせるわけにも……」

純「染谷がついてんなら変なものにはなんねぇだろ……つーかさ」

憧「はい?」

純「なんで今日は全員名前呼びなのにオレだけ名字? いじめ?」

憧「そ、そんなつもりでは……」

純「嫌われてんの? ちょっとへこむんだけど」

憧「そんなまさか! あの、むしろ、えっと」

久「チャンスよチャンス」

灼「言わないと伝わらないこともある」

智紀「さっきは言えた」

一「頑張って!」

憧「いちいち茶化さないでくださいよ!」

純「なんだよ、他のやつとばっか仲よくしやがってよー……オレとも会話しろよなー」

憧「ふきゅ!? ぜ、ぜぜん望むところですけど! ちょ、ちょっと離していただけると精神衛生上助かると言いますかなんと言いますか」

純「あーもうカチンと来たわーぜってぇ離さねぇわ」

憧「ふきゅ!?」

優希「こら、ノッポ! 憧ちゃん嫌がってるしほどほどにしとけよ!」

純「嫌がってねぇよ! オレたち仲よしだもんなー?」

憧「え!? あ、あはは! そうですよね!? っていうか優希もニヤニヤしないでよ! わかってて言ってるんでしょ!?」

優希「さあ、なんのことかな!」

892 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/11(金) 00:11:33.04 ID:dcw0RG3p0



穏乃「んー……ついつい憧をからかう方にシフトしちゃいましたけど、やっぱりある程度はしっかりした方がいいと思うんですよね。 今さらですけど」

晴絵「ほんとに今さらだけどなあ……」

穏乃「たとえば、赤土先生にスカウトが来たときとかに憧が先生のこと呼び捨てにしてたら『あ、生徒に舐められてるのかな』とか思われちゃうかもしれませんし」

晴絵「ふむ……たしかにそれはあるかもな」

穏乃「ですよね?」

晴絵「しかし、私としても昔の麻雀教室みたいな楽しく麻雀を打てる空間にしたいってとこはあるからなあ……昔から付き合いのあるメンバーで集まってるわけだし、あんまり堅苦しくやるのもどうかと思うわけで」

穏乃「……まあ、それはそうかもしれないですけど」

晴絵「ま、しずが私や淡のこと考えて言ってくれたってのはわかってるからさ……憧も照れくさいだけで、今話したことはちゃんとわかってくれてると思うよ。 必要があればちゃんとしてくれるさ」

穏乃「……そうですね! 憧だって赤土先生のこと好きですから、ちゃんとしてくれますよね!」

灼「……もうそれどころじゃなくて忘れてる可能性も」

穏乃「……その可能性は考えてませんでした」

玄「だ、大丈夫だよ!憧ちゃんだってちゃんと考えて……」



ハギヨシ「お嬢様、お茶を淹れて参りました」

透華「あら、ハギヨシ……ご苦労様です」

玄「お、お姉ちゃん! だ、大丈夫? 髪とか乱れてない!?」

宥「いつものかわいい玄ちゃんだよ〜」

玄「ちょ、ちょっと挨拶してきます!」



晴絵「……説得力ないな」

穏乃「えー……と、はい……そうですね」

晴絵「……もう忘れてるな、たぶん」

穏乃「……そうですね」


カン!

893 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/11(金) 00:12:10.10 ID:dcw0RG3p0

淡「…………」

尭深「誠子ちゃん」

誠子「ありがと尭深。 お茶、おいしいよ」

淡「…………」

照「誠子、大変なことに気がついた。 甘いおかしとしょっぱいおかしを交互に食べるとどこまでも入る。 宇宙を感じる」

誠子「意味わからないですけどそれ昨日も一昨日も言ってましたよ……」

照「本当? 宇宙過ぎて記憶から飛んでた」

誠子「……大発見できてよかったですね」

照「うん。 おいしい」

淡「…………」

淡「……セーコ!」

誠子「こら! 亦野先輩、だろ!」

淡「なんでー!? みんな名前で呼んでるじゃん!」

誠子「はぁ……お前はそうやって上下関係とか無視するから余計な敵を作るんだ。 団体戦で優勝逃して虎姫への当たりも強くなってるし……」

淡「むー……今いるの虎姫メンバーだけなんだからいいじゃん!」

誠子「普段から徹底しないと身に付かないだろ? お前のためを思って言ってるんだぞ?」

淡「……でも、ひとりだけ名字+先輩なんて、なんか私だけちょっと距離ある感じがするって言うか……」

菫「なあ、亦野……この前まとめておいた関西勢の牌譜知らないか? ここら辺に置いておいたと思ったんだが……」

誠子「お疲れサマサマです! それならさっきそっちの棚にしまいましたよ!」

菫「ああ、すまないな。 余計な手間をかけさせてしまって」

誠子「むしろこっちこそすみませんでした! 片づける前に使うかどうか聞くべきでしたね……ほら、弘世先輩だって私のこと名字で呼び捨てだし……」

淡「……菫先輩のアホー! バカ! アイドルオタク!」

菫「なんでだよ!? 今真面目に麻雀の勉強してただろ!?」

淡「うるさーい! はやりんのライブでもなんでも行っちゃえ!」

菫「頼まれなくても行きたいよ!! チケット取ってくれよ!!!」

誠子「はぁ……なんなんだいったい……?」


もいっこカン!
894 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/11(金) 00:17:15.84 ID:dcw0RG3p0
気になったので定期ふきゅふきゅを兼ねて
自分もしずは上下関係とかしっかりしてるイメージ強いです。小学生の頃から一個上の幼馴染の玄をさん付けしてますし他にもいろいろそういう面は見え隠れしてますよね
清澄の元気枠の優希もくだけた言葉や態度使ってても実際はけっこう上下関係しっかりしてるイメージ強いです。後輩枠でいうなら泉は上のこと尊敬してても素で仕切っちゃったりうっかりタメ口聞いちゃったりで顰蹙かってるイメージ
895 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/11(金) 00:23:15.60 ID:GpChUJKKo

アコチャーは早く純さんと呼べる日が来るといいな飯梨川
896 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/11(金) 00:31:04.48 ID:+ZilJ9UqO
乙です
897 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/11(金) 00:39:49.49 ID:e+PwgYVAO
乙です…
船Qさんと見せかけてふきゅ(憧ちゃーの口癖)で来るとは…
恐れ入ります。
898 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/11(金) 01:41:27.80 ID:MNONdxcNo

こいついつもふきゅってんな
899 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/11(金) 11:04:15.02 ID:qSUrbMiro
乙こんな常識人なのになぜジャージの下をはかないのか
900 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/11(金) 23:34:13.89 ID:nBqJd4njo
おつ
穏乃は体育会系で先輩に好かれるタイプよね
901 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/22(火) 02:23:39.72 ID:Obahdzi00
>>899ファッションだから仕方ない
>>900関西の名門校は体育会系の印象強くてしずと相性いいイメージ。同じ名門でも某新道寺はぶちょーがポンコツのせいで体育会系のイメージあんまりないです。みんなでリレー漫画とか書いちゃうし…友清のエピソードとかは凄く勝ちにこだわる名門感あるんですけどね


忙しくてクリスマスとか忘れてました

・初美「霧島ではクリスマスのお祝いはしないですねー」 穏乃「一緒にパーティーしましょうか!」 一「招待しますよ?」
・憧「く、くくくくくりすますですけどよていとかあったりなかったりしちゃいますかね!?」 純「龍門渕のパーティーでご馳走を……」 透華「ハギヨシ!純を奈良に送って行ってくださいまし!」
・白望「クリスマスでもダルいからお世話してー……」 玄「おまかせあれ!」 胡桃「シロ!受験勉強の邪魔しない!」
・灼「受験勉強してる?」 揺杏「今日はそれどころじゃないから!」 成香「パーティーなんて素敵です!」
・怜「クリスマスやー」 宥「こたつにみかんであったかーい」 泉「ケーキ食べないんですか!?」
・菫「はやりんのクリスマスライブの抽選落ちました」

晴Qも書いてますけどクリスマス優先で、間に合えば書けるだけ書くつもりです…
902 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/22(火) 02:27:46.21 ID:Obahdzi00
あ、なんか途切れてる…最後のは
・菫「……はやりんのクリスマスライブの抽選落ちました」 晴絵「落ち着け!生きろ!」はやり「はるえちゃん!すみれちゃん!クリスマスライブの関係者席用意したんだけど……えへへ、来れるかなぁ?」

です
903 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/22(火) 08:43:25.57 ID:NLo5Onh2o
憧どもりすぎだろww
904 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/22(火) 09:25:47.33 ID:wptS7I/go
痴女3人組のクリパに混ざりたい
905 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/23(水) 17:30:14.38 ID:/5Ivyh6y0
サンタコスは大体冬にこんな恰好して寒くないのかなって思うけど
この3人組だと露出度が変わらないかむしろ下がりそうで
906 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/24(木) 23:50:24.76 ID:UXW6GtKR0
>>905パッと見で新種のタコスかと思ったじょ…というかサンタコスするにしても普通のサンタコスとは限らないですよね


とりあえず一本投下します
907 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/24(木) 23:51:26.00 ID:UXW6GtKR0

宥「クリスマスだねぇ」

怜「クリスマスやなぁ」

宥「なんだか、ちょっとうきうきするよねぇ」

怜「テンションあがるわなぁ」

泉「……あの、ほんとにテンション上がってます? 寝そうになってません?」

宥「今年はサンタさん来てくれるかなぁ」

泉「えっ?」

怜「そうやなあ……今年はいい子にしてたから、きっと平気やな」

泉「えっ?」

宥「ほんと? よかったあ」

怜「宥ちゃんならばっちりやろー」

泉「え、あの……え? サンタ?」

宥「えぇ? 泉ちゃんサンタさん知らないの?」

怜「えぇ……? 泉、あんた……気の毒な子やなぁ……」

泉「え、あの……は? え? ま、マジで? マジで言うてはります?」

宥「?」

怜「?」

泉「……あ、あのですね、えっと、うぅん……と……」

玄「お姉ちゃん、お茶淹れてきたよー」

泉「玄さん!」

908 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/24(木) 23:52:06.67 ID:UXW6GtKR0

玄「? 二条さん? どうかしたの?」

泉「いや、あの、サンタ……」

玄「サンタさん?」

泉「あ、いや……宥さんがガチなら玄さんも……え? なんやこれ? どうすりゃええんや……?」

宥「玄ちゃんありがとー」

怜「みかん、みかん剥いてー」

玄「はい、園城寺さんどうぞー」

怜「どうもー」

泉「夢を壊すわけにも……いや、しかし二十歳目前にしていつまでも現実を知らんのも……あ、玄さんいろいろすみません! 園城寺先輩もみかんの皮ぐらい自分で剥いてくださいよ」

怜「なんや、もう……先輩に口答えするなんて悪い子やな……サンタさん来てくれへんで?」

泉「……あ、あのですね、園城寺先輩……さ、サンタって言うのはですね……その、実在しない……」

怜「え?さ、サンタさん居らへんの……?」

泉「え、あ、その……いや、冗談ですよ冗談! サンタはいます! いますよ!」

怜「何言ってん? サンタなんて居るわけないやろ……つーか夜中に部屋入ってきて枕元に物置いてくとか怖いわ」

宥「そう言われると不審者だねぇ」

泉「え? え!? サンタ……えぇ!?」

宥「さすがに私でもわかってるよ〜」

怜「冗談に決まってるやろ」

泉「そういうときは『なんちゃって』をつけてくださいよ!」

怜「本気かどうかわからんとはまだまだやな」

宥「しゅぎょーが足りないねぇ」

泉「宥さんまで……園城寺先輩に変な影響受けすぎですよ……」

909 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/24(木) 23:52:41.18 ID:UXW6GtKR0

怜「それにしても、アレやな。 やっぱり冬はこたつにみかんやな」

宥「一年中通用するポテンシャルを秘めてるよねぇ」

怜「いや、さすがに夏のおこたはちょっと……」

宥「えぇ!? これだけの外に出られない魔力を秘めているのに!?」

怜「夏はほら……暑いやんか?」

宥「? おこたはあったかいよ?」

怜「いや、だから暑いやん?」

宥「え? あったかいよね?」

怜「……いや、だから……ほら、夏は……暑いやろ?」

宥「???」

怜「え、なんでそんな不思議そうな顔しとるん?」

宥「え? ……だって……え?」

怜「え?」

泉「いや、ですからね、こたつはたしかに魔力がありますけど、夏にまでこたつを使うのは宥さんぐらいでして……」

宥「そりゃあそうだよねぇ」

怜「そんなんわかってるからいちいち丁寧に説明しなくてええで?」

泉「……園城寺先輩、宥さんに悪い影響与えるからあんまり近寄らないでくれます?」

怜「意地悪なやっちゃなー」

宥「怜ちゃん取られちゃったら学校で寂しいよぅ」

泉「いや、えっと、あのですね……なんとか言ってあげてくださいよ!」

玄「え!? えっと……お姉ちゃんが楽しそうでなによりです!」

泉「あー……なんなんこれ……めっちゃモヤモヤするわ……」

910 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/24(木) 23:53:42.13 ID:UXW6GtKR0

玄「それよりみなさん! 今日はとってもいいものがあるんですよー」

宥「わーい」

怜「そりゃあ、クリスマスと来たらなぁ?」

玄「おこたと相性抜群のみかんがこんなにたくさん!」

宥「やったぁ!」

怜「追加のみかんや!」

泉「クリスマス! 関係ないやん!関係ないやんな!?」

玄「ひぅ!?」

怜「泉、玄ちゃん怖がらせたらアカンで」

宥「おっきい声出しちゃダメだよー」

泉「あ、す、すみません……」

玄「うぅ……ちょっとした冗談だったのに……ちゃんとケーキも用意してあるよ? ほら!」

泉「手作りですか? さすが……なんかチョコのプレートもたくさん乗って……ん? ちょっと、玄さん?」

玄「え?」

泉「プレート! これ!」

『桜子ちゃんお誕生日おめでとう!』

泉「クリスマスと違うやん!? つーか誰ですか桜子って!?」

玄「赤土先生の麻雀教室の仲間で……23日が誕生日だったんだ! えへへ……気合入れてプレート作りすぎちゃって……」

泉「使い回すなや! クリスマスと別にして祝ってあげたのは素晴らしいですけどね!?」

玄「え……でも、食べないのももったいないし……」

怜「おお……噂に聞く誕生日とクリスマスとお年玉を一緒にされてまう気の毒な……」

宥「おめでたいことがたくさん続くからおめでたいんだよ?」

玄「おめでたいよねぇ」

怜「……ポジティブでええなあ」

911 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/24(木) 23:55:58.45 ID:UXW6GtKR0

泉「いや、だいたいですね、おかしいやないですか! どんなに張り切ってもプレート何枚もあるのおかしいやんか! 何枚も乗ってたらありがたみもなんもないやろ!?」

玄「でも……一人だけプレートアリって言うのも不公平かなーって……」

泉「そこは誕生日の子贔屓してあげーや! 主役やろ!?」

玄「桜子ちゃん、一人で食べるの嫌だからって一枚のプレート何十分割もしちゃう子だから……」

泉「ええ子や! でもだからって何枚も用意するのはなんか、違くないですかね!?」

怜「泉、いい加減にせぇ……うるさくて眠れんわ……」

宥「ふわぁ……んにゅ…………」

泉「ケーキは!? 食べないんですか!? って言うか宥さんほとんど寝てるし! 寝ちゃうんですか!?」

宥「んー……あったかくてだんだん眠くなってきて……」

怜「なんか面白いこと言えや」

泉「酷い無茶ぶりですね!?」

怜「眠いんやもん……目の覚めるような面白いこと言えや」

泉「怖っ! 先輩って怖っ!」

玄「お姉ちゃん怖がられてるよ〜?」

宥「がおー」

泉「宥さんそれかわいいですから! 怖くないですから!」

宥「……も、もう! からかわないでよぅ……」

怜「……おい、泉……どうしてくれるんや……めっちゃかわいい生き物がおるで」

泉「どうしてくれるもなにも……」

怜「くっ……こたつむりのくせに! 宥ちゃんのアホ! 犯罪や!」

宥「犯罪!?」

怜「無期懲役!」

宥「重罪!?」

怜「檻に入れるのはかわいそうやからこたつに収監や」

宥「いつも通りだぁ」

912 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/24(木) 23:58:18.00 ID:UXW6GtKR0

怜「で、宥ちゃんがかわええのはともかく……泉、はよおもろいこと言えや」

泉「理不尽な振り! それまだ続くんですか!?」

怜「当然やろ。 先輩命令やで?」

泉「いや、振るにしてでもですね、もうちょっと振り方と言うか……」

怜「ん? なんか文句あるん? 文句あるん?」

泉「え、いや……その……」

玄「あ! そ、そういえば! 今日は園城寺さんと二条さんだけなんですね!」

怜「ん? ああ、船Qは受験勉強するから今日は遠慮しますー言うてな? たまのイベント事ぐらい休めばええのになあ」

泉「……そういえば、玄さんはええんです? 受験勉強は」

玄「私、お受験しないでおうちのお手伝いするから……」

怜「若女将やな! 玄ちゃんかわええしきっと繁盛するでー」

玄「えへ、そうですか? ……ふふ、でも、まだまだちゃんと修業しなくちゃですから!」

怜「うんうん、頑張るんやで」

泉「なんでそんな上から物を言うんですかね?」

怜「あんたはなんで私と同じ高さから物を言うんやろな?」

泉「うぇ!? いや、そういうつもりでは……」

怜「ま、ええわ……そんなことより船Qに電話したろ! テレビ電話!」

泉「酷い嫌がらせですね!? 受験勉強するー言うてたやないですか!」

怜「大丈夫大丈夫。 あんたと違って従順な後輩やから」

泉「いやいや! あの人私よりもよっぽど……!」

怜「ほほう? 今のは船Qにしっかり伝えとくわ」

泉「待って! 待ってくださいよ! そんなん……」

怜「メリークリスマス! 船Q、今暇やんな?」

浩子『受験勉強って言うたやろ。 アホか』

913 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/24(木) 23:59:06.93 ID:UXW6GtKR0

玄「おお……きつい……」

宥「きついねぇ」

怜「……先輩に向かって」

浩子『受験生の邪魔するとか先輩のすることとは思えませんわ』

怜「…………ごめん」

浩子『だいたいな、クリスマスとか言うて浮かれる年でもないやろ? あんたも来年は二十になるんやから……』

怜「いや、ちょっと、船Q」

浩子『ん?』

怜「いや……あんた、その格好……」

浩子『どうかしましたか?』

泉「どうかしたもなにも! なんでミニスカサンタなんですか!? 滅茶苦茶浮かれとるやんか!」

浩子『受験勉強で忙しいんや! 浮かれとるわけないやろ!』

『浩子ー! なにやっとるんや! ケーキあるでケーキ!』

『お姉ちゃん、浩ちゃん電話中やから……』

怜「今の! 洋榎おるやん! 絹ちゃんも! 思いっきり遊んどるやんか!」

浩子『勉強してたら乗り込んできたんや! 勉強してますって! 洋榎のアホが騒いでうるさいのなんのって……!』

洋榎『浩子ー! ケーキ! 来ないならいちご! いちごもらうで!』

浩子『殺すで』

洋榎『怖っ! 浩子怖っ!』

絹恵『お姉ちゃん、だからちょっと静かに……』

怜「……めっちゃ楽しそうやん! 浩子めちゃくちゃ楽しそうやん! 私の誘い断っといて!」

浩子『だから勉強しとるんやって!』

絹恵『あ、浩ちゃんあーんしてあーん。 いちごとっといたで』

浩子『あーん』

怜「いちゃいちゃすんなや!」

914 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/25(金) 00:01:19.85 ID:Tcb+ld6O0

泉「絹恵さん、どもです」

絹恵『あ、泉ちゃん! 園城寺さんも! いつも浩ちゃんがお世話になって……』

怜「ほんまにな」

泉「先輩!」

宥「こんにちは〜……絹恵ちゃんは普通の格好なんだね」

絹恵「こんにちは! いやあ、サンタは一着しか無かったんですよ」

怜「それを着てるってやっぱりめちゃくちゃ浮かれてるやんな?」

浩子『んなわけないやろ』

怜「そんなら鼻歌でジングルベルやめーや!」

玄「絹恵さんが着た方が……」

浩子『胸を見比べるのやめてくれませんかね?』

怜「ちなみに洋榎は?」

浩子『トナカイと言う名の全身タイツや。 角だけ申し訳ばかりに付けてますけどね』

怜「……さすがの芸人やな」

玄「洋榎さん来ないけど……どうされてるんですか?」

絹恵『お姉ちゃんはもうケーキにチキンにと食べ物に夢中で……』

怜「……まあ、らしいわな」

浩子『って! あいつ全部食べるで!? 園城寺先輩切りますよ?こっちも勉強で忙しいんやから!』

怜「あ、ちょ……切れた……」

泉「……思いっきりクリスマスパーティーしてましたね」

宥「楽しそうだったねぇ」

玄「せっかくのサンタ衣装をおもちな方が着ないのは……」

怜「……玄ちゃんはこれがなければパーフェクトなんやけどなあ」

915 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/25(金) 00:02:49.11 ID:Tcb+ld6O0

泉「……宥さん」

宥「なぁに?」

泉「その、ええんですか? 新子のとこでパーティーするんですよね? その、麻雀教室やら阿知賀の面子で」

宥「わざわざ泉ちゃんも来てくれたんだし、怜ちゃんもいるし……せっかく友だちがたくさんできたんだから、阿知賀のみんな以外との絆も大切にしたいんだあ」

泉「……亦野さんは距離的にともかく、いちごなんかはここら辺に仕事で来てればよかったんですけどね」

宥「いちごちゃんは忙しいから……仕方ないよ……」

玄「……ね! 憧ちゃんのおうちなら行こうと思えばすぐに行けるからさ! なんなら二条さんと園城寺さんも飛び込み参加しちゃいましょうか!」

宥「……ふふ、そうだねえ」

怜「いやいや、さすがにそれは悪いし……」

宥「怜ちゃんと泉ちゃんが来るのに悪いなんてことないよ〜」

玄「そうですよ! みんな友だちなんですから!」

泉「まあ、せっかくお誘いいただいてんのに断るのも悪いですよね」

怜「……あんたのそういう切り替えの速さは長所やと思うで」

916 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/25(金) 00:04:52.45 ID:Tcb+ld6O0

怜「…………じゃあ、お邪魔させてもらうとして」

宥「わーい」

怜「本当ならもっとのんびり……お昼寝とかしたかったんやけどなあ」

宥「そうだねえ……でも、ちょっとうきうきして目が覚めてきちゃったよ」

怜「ふふん……私は興奮して軽く目眩がしてきたとこや」

泉「自慢気になにを!? 大丈夫なんですか!?」

玄「立てますか? 平気ですか?」

怜「ふふ……ちょっと立てそうにないわ……」

宥「怜ちゃん病弱だからねえ」

怜「そうなんよー」

玄「お、園城寺さん、しっかりして……!」

泉「あ、これいつものやつですわ。 気にしなくてええやつでしたわ」

怜「とりあえず、お出かけする前に……」

宥「そうだね……玄ちゃんのケーキ、食べよっか」

泉「じゃあ切り分けますよ? あ、飲み物とかあります? 四等分だと園城寺先輩と宥さん食べきるの辛いですよね? ちょっと細か目に切って……」

怜「相変わらず仕切るなあ」

宥「それでも泉ちゃんがいるとテキパキ進むし助かるよぉ」

怜「私らふたりだと気づいたらお昼寝コースが鉄板やしな……」

玄「はい! お飲み物をお持ちしました!」

泉「ケーキも切りましたよ!」

怜「うんうん、ふたりとも優秀やな。 サンタさんもきっと来てくれるで」

宥「ふふ、そうだねえ……それじゃあ、用意もできたところで……」




宥「メリークリスマス!」


カン!
917 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/25(金) 00:08:40.04 ID:Tcb+ld6O0
明日までクリスマスだし頑張ればあと1,2本はいけるか…?努力はします

なおたんイェイ〜
先月のトナカイの角つけてるニワちゃんかわいかったです
918 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/25(金) 00:14:45.89 ID:5qeWXmyfo

フナQのサンタコスの参考画像をお願いします
919 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/25(金) 00:17:58.22 ID:vmDGjppAO
先ずは乙です…
取り敢えず愛宕一族は一族で満喫して居るんですね…
って言うかこの世界の絹ちゃんも船Qさんと同じ受験生ですよね?
920 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/25(金) 00:51:42.80 ID:32ZUzm4QO
乙です
921 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/26(土) 02:37:18.18 ID:mQWQ6uwL0
>>919
絹恵「久しぶりにおねえちゃん帰ってきたしクリスマスぐらいお勉強休んでもええかな、おねえちゃんも久しぶりに帰ってきたし!」
洋榎「絹ー!浩子んとこ行くでー!」
絹恵「うん!今行くわー!」

日和二本立てとか嬉しくて死ねる。ど安定の慕リチャにかわいすぎる閑無ちゃん。先月の表紙はかわいいは無敵!だったけど無敵=閑無ちゃんだから閑無ちゃんかわいいってことでいいですよね

なんとかもう一本投下
922 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/26(土) 02:38:02.44 ID:mQWQ6uwL0

穏乃「クリスマスが近いですね!」

初美『クリスマスですかー……世間では盛り上がってるみたいですねー』

穏乃「あれ? 初美さん、こういうイベント興味ないタイプでしたか?」

初美『いえいえ、イベント事は大好きですよー? ただ、霧島ではクリスマスのお祝いなんてしませんからねー』

穏乃「そうなんですか!?」

初美『まあ、お家の事情ってやつですねー』

穏乃「……大変ですねえ」

初美『昔からだからあまり気になりませんけどねー……クリスマスのお祝いなんて今まで一度もしたことありませんし』

穏乃「一度も!? サンタさんとかは!?」

初美『噂は聞いていますよー? なんでも、一晩のうちに世界中を飛び回り子どものいる家に侵入を繰り返す超人だとか……』

穏乃「……なんか少し違いますけど大体そんな感じですね!」

初美『年末年始はそれはもう忙しくなりますし……世間も騒がしいから私もちょっとくらい遊びたいんですけどねー』

穏乃「……やりましょうか、パーティー!」

初美『パーティー、ですかー?』

穏乃「はい! せっかくなんだし楽しみましょうよ! 一さんにも連絡して……」

初美『んー……とはいえ、石戸のお祖母さまがなんて言われるか……』

穏乃「霧島では普通の日なんですよね? 普通に遊びに行ってきますじゃダメですかね?」

初美『なるほど! それでいってみますかねー……姫様とはるるも冬休みに入りますし、みんなで遊びに行くのもいいかもしれませんねー』

923 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/26(土) 02:38:40.76 ID:mQWQ6uwL0

穏乃「……というわけなんですけど!」

一『いいね! 初美さんとパーティーかあ……とはいえ、クリスマスは龍門渕の……うーん、ちょっと待ってもらってもいいかな?』

穏乃「はい! 全然待ちますよ!」

一『ちょっと透華にいろいろ相談してくるよ……あ、透華ー! ちょっといいかな?』

憧「……しず、なにしてんの? また悪巧み?」

穏乃「悪巧みって……っていうか、またってなんだよー」

憧「しずが一さんとする話なんて大抵ろくなもんじゃないじゃないの」

穏乃「ぶー……酷いなあ。 いや、そろそろクリスマスじゃん? みんなでなにかお祝いしたいから一さんに相談してたの! あ、初美さんのとこはクリスマスお祝いしないんだって!」

憧「ああ、そういえば巴さんもそんなこと……え? 一さんに相談したの?」

穏乃「うん! だって、やっぱり私と初美さんと一さんの三人でひとつっていうか?」

憧「いや、そういうことじゃなくって……その、く、クリスマス……? りゅ、龍門渕さんに……あの、ちょっと、聞いておいてほしいことが……」

一『あ、穏乃ちゃん! 透華に相談したんだけどなんとかなりそうだよー』

穏乃「本当ですか? やったあ!」

一『あ、ちなみにクリスマスは龍門渕のおっきいのとは別に、みんなでパーティーするつもりだったから純くんは特定の相手との予定はないよ、って憧ちゃんに伝えといてよ』

憧「ふきゅ」

穏乃「あ、憧もちょうどいるんでばっちり聞いてました! ありがとうございます!」

憧「べ、別にそんなこと聞いてないですけど!? 聞いてないですけど!?」

穏乃「え? じゃあ憧の聞きたいことって?」

憧「……いや、うん、まあ……別に?」

穏乃「あ、一さん! 憧もすっごく安心したみたいです! ありがとうございます!」

一『いいよいいよ気にしなくて。 ボク、応援してるからさ』

憧「だから! そういうアレ的なソレじゃないですから!」

924 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/26(土) 02:39:28.04 ID:mQWQ6uwL0

――――――

穏乃「そんなこんなでクリスマス!」

一「いらっしゃい! 透華はちょっと龍門渕のパーティーの方に顔出してるから今はいないけど……楽しんでいってね!」

穏乃「はい! ……あの、初美さんたちは……?」

一「よくわからないけど、独自の移動手段があるからーって」

穏乃「へぇ……」

智紀「遊んでていいの?」

灼「おいてけぼりも嫌だし……今日は休憩。 そういうともきーこそ」

智紀「明日から本気出す」

憧「……それってダメなやつじゃあ」

智紀「純なら中で食べ物用意してる」

憧「ま、まだ聞いてませんけど!?」

智紀「キョロキョロしてたから……」

衣「透華に頼んで屋敷にもこたつを導入したんだ! 存分にあたたまってくれ!」

宥「わぁ、本当? おこたどこー?」

玄「お姉ちゃん、勝手に入っていったらダメだよ〜」

一「あ、ちなみに萩原さんは透華に付いてるから今はいないんだ……ごめんね?」

玄「そっかあ……えへへ、ちょっと残念だけど……今のうちに心の準備しとこっと」

智紀「心の準備が必要なことをするんだ?」

憧「えぇ!? く、玄……あんたまさか……!」

玄「ち、違うよぉ! 久しぶりに会うから、ちょっと、緊張するなあって……」

一「憧ちゃんに比べたら全然緊張してるように見えないけどなぁ」

憧「き、きき、緊張する理由とかないですから! してませんから!」

925 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/26(土) 02:40:18.60 ID:mQWQ6uwL0

純「お、来たのか? 食いもんも準備できてるぞー」

憧「ふきゅ」

純「元気そうじゃん! 受験は?」

灼「お互い様」

玄「私は受験しないで……」

純「ああ、花嫁修業だっけ?」

玄「ふぇ!? え、あ、ち、違いますよ! ま、松実館で働くために……」

純「似たようなもんだろ? まあほら、玄ならすぐに嫁入りしても問題ないって! さっさと告っちゃえば?」

玄「そ、そんな、た、タイミングとかもあるし……」

純「大丈夫大丈夫! オレが男だったら玄みたいな嫁さん欲しいし! な、憧!」

憧「……そ、そうですね……」

純「……なんで微妙な感じ?」

一「そりゃあ、憧ちゃんだって女の子だからね。 そこは嫁にもらうなら憧! って言ってもらいたいんだよ」

純「ふーん? ま、憧だって全然もらいたいけどな。 かわいいし」

憧「ふきゅ!?!?!?」

穏乃「一さん、憧をからかうのはほどほどにしてくださいって……たまにしか会えないんですし、ゆっくり話させてあげてくださいよ」

一「あはは、それもそうだね」

憧「ちょ、え、あの、け、結婚しますか!?」

純「いや、できねーよ!?」

灼「……やっぱりほっとくのも不安」

智紀「進展は無さそう」

一「まあ憧ちゃんだしねー……って、電話……初美さんだ!」

926 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/26(土) 02:41:21.93 ID:mQWQ6uwL0



初美「来ましたよー! 本日はお招きいただきありがとうございますー!」

一「いらっしゃい! 会いたかったです、初美さん!」

穏乃「今日も巫女装束きまってますね!」

初美「穏乃ちゃんも相変わらず素敵なジャージですよー! 一ちゃんもかわいいですよー!」

一「えへへ……ありがとうございます」

小蒔「おお……これがクリスマスツリーですね! 町で見かけたのよりもおっきいです!」

巴「姫様、あんまりはしゃいだら転んじゃいますよ? 憧ちゃん、久しぶりだね」

憧「巴さん! お久しぶりです!」

巴「……顔真っ赤だけど大丈夫? 熱あるのかな?」

純「マジで? ちょっとデコよこせよ」

憧「ふきゅ!?」

巴「……問題はなさそうだね」

春「むしろ問題だらけ……?」

霞「もう、春ちゃんったら……黒糖を食べるのそろそろやめたらどうかしら? 噂のクリスマスケーキが食べられなくなっちゃうわよ?」

初美「そんなこと言いつつ本当は霞ちゃんが一番わくわくしてるんですよねー」

霞「そ、そんなことないわよ? く、クリスマスなんて別に……」

初美「いい子にしてたらサンタさんが来るーってうきうきしてたのは……」

霞「む、昔の話よ!? 昔の話だからね!?」

灼「そんな必死に言い訳しなくても……」

927 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/26(土) 02:42:02.89 ID:mQWQ6uwL0

玄「石戸さん! お久しぶりです!!」

霞「あら、玄ちゃん……お久しぶりです。 えっと、メリークリスマス! かしら?」

玄「はい! メリークリスマス! です!」

初美「霞ちゃん、言ってみたくって仕方がなかったんですよー」

霞「そ、そんなことないわよ!? ほんと、ほんとだもん!」

巴「ほら、霞ちゃん落ち着いて……」

霞「ん、んんっ……ごめんなさいね? 久しぶりにみんなと会えたものだから楽しくなっちゃって……」

穏乃「私も会えてうれしいです!」

初美「霞ちゃんってば、昨日は『わくわくして眠れないの……』って夜に私の部屋まで来て……」

霞「は、初美ちゃん! い、意地悪しないでよぅ……」

初美「わわ! 霞ちゃん! ご、ごめんなさいですよー!」

玄「おもち……おもちがすごいことに……!」

一「……玄さん、萩原さんが帰ってくる前に石戸さんに慣れておいた方がいいと思うな……」

春「……足りない?」

穏乃「宥さんと天江さんは先におこたでぬくぬくしてますよ!」

春「こたつ……」

巴「はるる! 勝手に入っていったらダメだってば!」

純「ん? 別にいいって、物壊さなきゃさ」

一「立ち話もなんだし中入ろっか? ごめんね、なんだかんだボクらもテンション上がっちゃってさ……」

928 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/26(土) 02:42:55.54 ID:mQWQ6uwL0

宥「んにゅ……ふふ、あったかーい……」

衣「んー……むにゃ……」

小蒔「……………………」

灼「……もう寝てる」

智紀「……気持ちよさそ」

巴「姫様……すぐに姿が見えなくなったと思ったら……」

憧「よくもまあ、こんな一瞬で寝れるわね……」

純「こいつら見てるとこっちまで眠くなってくるわ……はは、オレらも一回寝るか?」

憧「ね、ねね、寝る!?」

一「はいはい、純くんも憧ちゃんはむっつりなんだから深読みするようなこと言わない」

純「はあ?」

憧「な、ななななにいってるんですかわたしはべつになにもそういうことかんがえたりとかしてないですし!?」

灼「そういうことって?」

憧「ふきゅ」

巴「憧ちゃん、一回落ち着こ? 大丈夫?」

憧「だだだだいじょぶですよなにをもってわたしがだいじょうぶじゃないってしょうこですかね!?」

巴「……はぁ」

一「ま、憧ちゃんで遊ぶのはこれくらいにして始めよっか?」

純「腹へったしな!」

玄「おもち……」

霞「おもちはお正月じゃないかしら……?」

智紀「ケーキ、あるよ」

春「黒糖ケーキ?」

一「黒糖はないかな……」

玄「ふむ……黒糖ケーキ……ちょっとレシピ考えてみますね!」

霞「あらあら、玄ちゃんはなんでもできちゃうのねえ」

初美「霞ちゃんは和食はともかくそれ以外はからっきしですからねー」

霞「私もいろいろ作れるようになりたいんだけど……おしゃれな洋食作れれば小蒔ちゃんも喜んでくれるし……」

玄「わ、私! よかったら私が教えますから! 手取り足取り! うへへ……」

智紀「よだれ」

純「……玄、さすがにその顔見られたら幻滅されると思うぜ?」

玄「わわ! し、失礼しました!」

霞「? なんにせよ、ありがたいわ……玄ちゃんに教えてもらえるのなら安心ね」

玄「おまかせあれ! うへへ……」

灼「……二秒と持たない」

智紀「残念な子」

憧「……あれ?しずたちは?」

929 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/26(土) 02:43:41.00 ID:mQWQ6uwL0



穏乃「一さん、いったい何があるんですか?」

初美「わざわざこっそり抜け出してくるなんて怪しいですよー」

一「いやあ、こればっかりは憧ちゃんがいたら邪魔されちゃいそうだったからさ……」

穏乃「憧? ってことは、まさか……!」

初美「まさかのまさかですかー!?」

一「じゃーん! 集まるって連絡したら、揺杏ちゃんがクリスマスに相応しい衣装を! って用意してくれましたー!」

穏乃「わあ! 本当ですか!?どんな衣装なんですか!?」

初美「焦らさないで見せてほしいですよー!」

一「ふふ、そうだね! やっぱり揺杏ちゃんは天才だよ……ほら! 見てよこれ!」

穏乃「サンタですね! ……おお! これは!」

初美「サンタさんなんてすごいですねー! たしかに、クリスマスに相応しいですよー! 山を降りて町に出るとこの時期はサンタさんで溢れてますからねー!」

一「……とりあえず、着ちゃおっか?」

初美「へへ、一ちゃんも待ちきれなかった感じですねー?」

穏乃「私だってもう待ちきれませんよ! 早く着替えてお披露目しに行きましょう!」

930 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/26(土) 02:44:21.77 ID:mQWQ6uwL0

憧「ったくもう……しずったらなにやってんのかしら?」

灼「一と初美さんも一緒っぽいし問題はないと思」

憧「だから心配してるんだけど……なんか嫌な予感が……」

純「まあいいじゃねーかよ、メシの取り分も増えるしさ……ほら、憧も食えよ。 ほら、あーん」

憧「ぅえ!? え、あの、えっと……ふきゅ」

巴「……純くんって、わかっててやってるのかな?」

智紀「……わかってるかどうかはともかく、悪気はない」

玄「いいなあ……私も……」

霞「あら? 玄ちゃん、どうかしたのかしら?」

玄「……いえ! 石戸さんが隣にいてくれるお陰でとっても楽しいです!」

霞「そ、そう? 私、あんまり面白い話もできないから……」

玄「そんなことないです! 居てくれるだけでも最高です! 癒されます!」

霞「そ、そう? 照れちゃうわねぇ」

春「…………」

灼「……ケーキ食べたら?」

春「黒糖おいしいよ?」

灼「いや、ケーキ……」

春「ん」

灼「……くれるの?」

春「おいしいよ?」

灼「……おいしい。 さすがの味。 変わらないね」

春「それが自慢」

931 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/26(土) 02:44:57.53 ID:mQWQ6uwL0

穏乃「うおおおお! クリスマスの華! サンタさんの登場だあっ!」

一「し、穏乃ちゃん足早すぎだってば……」

初美「わーい! 見てください霞ちゃん! サンタさんですよー!」

霞「あら、初美ちゃんとってもかわいいわ」

憧「!? ちょ、な、なにしてんのしず!? なにそれ!?」

穏乃「? サンタだけど……?」

憧「いやいや! なんか色合いでそうかなーとは思ったけど! それサンタじゃないから! まず肌出すぎだし!」

巴「へぇ……これがサンタ……」

憧「違います! 巴さん違いますから! これサンタ違う!」

巴「そうなの? 町で見かけるサンタさんってミニスカートのかわいい女の子が多いしこういうものなのかと……」

憧「町のサンタはこんなに肩やらおへそやら出てませんから!」

穏乃「かわいいでしょ?」

憧「ちょっと待って! 突っ込みどころ多すぎるから! どこから突っ込めばいいのか考えるから!」

一「えへへ、なんと揺杏ちゃんが作ってくれたんだよね」

憧「それは言われなくてもわかったけど! あのアホ……おとなしく受験勉強しなさいよ!」

初美「あ、でもでも、揺杏ちゃんは他にもいろいろ準備してくれてた見たいですよー?」

憧「まだ変なの出てくるの!?」

一「変なのって……いやいや、こっちは結構普通だよ? ちょっとセクシーだけど」

憧「はぁ!?」

一「これ、揺杏ちゃんからの手紙」

憧「え? 私に?」

932 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/26(土) 02:45:39.84 ID:mQWQ6uwL0

揺杏『憧ちゃんと玄ちゃんに揺杏おねーさんからクリスマスプレゼントだぞっ☆ セクシーサンタで気になるあの人を悩殺だっ!』

憧「……はぁ?」

一「あ、玄さーん! 玄さんもこれ見て、ほら!」

玄「え? 今おもちで忙し……ふぇ!? こ、これって……」

初美「揺杏ちゃんは粋ですよねー! 恋する乙女にプレゼントですよー?」

穏乃「ほら、見てよ! 私的にはちょっと物足りないけど……憧が好きそうな感じでばっちり仕上がってるよ!」

憧「んー……まあ、たしかに……って言ってもなんか胸元とか開きすぎじゃない? ちょっと恥ずかしいって言うか……」

一「あ、ごめんごめんそっち玄さん用だったよ」

憧「どうせ私は胸無いわよぉ!」

初美「憧ちゃんのはこっちですねー」

憧「もう! なんなのよ! ……これはこれでスカート短すぎな気も……」

穏乃「え? 憧って元からスカート短いじゃん」

憧「いや、それはそうかもしれないけど……」

純「え? なになに、サンタ? いいじゃんクリスマスっぽくて。 憧なら似合うと思うぜ」

憧「そ、そそ、そうですかね!? え、でも、これ、こんな……」

純「いいじゃん、国広くんのみてーにヤバい訳じゃないし……ま、多少はアレでも普通の範囲だろ」

憧「あぅ……で、でも」

純「着ねーの? 勿体ないな、憧なら絶対かわいいのに」

憧「わ、わわわ私! ちょっと着替えてくるから!!」

灼「……いってら」

巴「……楽しそうだね、憧ちゃん」

春「……また取り分が増えた」

智紀「……さっきから黒糖しか食べてない」

春「……黒糖おいしい」

智紀「……黒糖ケーキはないけど、一緒に食べたらたぶんすごくおいしい」

春「!!」

灼「その発想はなかった?」

春「単独ですごくおいしいから……」

933 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/26(土) 02:46:16.29 ID:mQWQ6uwL0

初美「それで、玄ちゃんはどうしますかー?」

玄「え? えっと、えっとぉ……」

初美「きっと、萩原さんも喜ぶと思いますよー?」

一「口には出さないし顔にも出さないけど、社交界に出る透華の付人兼護衛で……萩原さん、きっとすごく疲れてると思うな」

穏乃「そんなときに、帰ったら美少女サンタがお出迎え!」

初美「プレゼントはわ・た・し♡ ってやつですねー! きゃー!」

霞「ちょ、ちょっと初美ちゃん! は、はしたないわ、そんな……」

初美「あれ? 霞ちゃん顔真っ赤ですよー? 大丈夫ですかー?」

霞「だ、大丈夫よ? そんな、私だってもう19なのよ? ちょ、ちょっぴりえっちなお話だって聞けるわよ?」

初美「無理しなくていいんですよー?」

玄「あ、あわ、あわわ……」

一「……玄さんの方がオーバーヒートしちゃってるね」

穏乃「とりあえず着替えちゃいましょうか! 頑張ってくださいね! 玄さん!」

玄「え? え? ちょっと穏乃ちゃん……あう、その……き、着替えてきます……」

一「……いやあ、いい仕事したね」

初美「うまくいくといいですねー」

穏乃「それに、なんと言っても岩館さんが第一ですね! センス抜群ですよ! 将来のファッションシーンを背負って立つ人物ですよね!」

初美「一生付いていきます! って感じですよねー!」

一「うんうん」

灼「……揺杏、勉強もしないで」

巴「まあ、クリスマスぐらいいいんじゃない? そういう日なんでしょう?」

灼「……いや、クリスマスに服が届いてるってことはたぶんその前の一、二週間は作業してるから……」

巴「……そう言われるとそうだね」



一「いやあ、本当にいい仕事したね! かんぱーい!」

初美「クリスマスっていいものですねー! かんぱーい!」

穏乃「かんぱーい! メリークリスマス!」


カン
934 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2015/12/26(土) 02:48:48.63 ID:mQWQ6uwL0
日付回ってるけどメリークリスマス!ということで

シノハユとかもなんか書きたいけど時間が足りない…
935 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/26(土) 07:47:14.86 ID:MT2FSIlQo

憧はある程度は普通に接するようにならないと身も心ももたんぜよ
936 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/26(土) 08:35:53.58 ID:x5+ElpQjo

これも全て岩館揺杏ってやつの仕業なんだ
937 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/26(土) 09:25:23.05 ID:EUUY61I7o
はるるの黒糖と咲日和のお菓子ケーキを関連付けるのは上手いなあと思った
938 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/26(土) 11:17:08.73 ID:NNjHs1HOO
受験佳境の12月に1、2週潰すのってかなりヤバいんじゃ…
939 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/26(土) 14:24:25.85 ID:zoBEJJrpo
というか麻雀推薦ないの
940 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/26(土) 14:26:36.75 ID:hsb1C02ao
乙です
941 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2016/01/02(土) 01:19:43.86 ID:HyiuqtkD0

穏乃「……あ」

憧「どしたのー?」

穏乃「明けた! おめでとう! 今年もよろしく!」

憧「あ、ほんとだ……おめでと、よろしくねー」

穏乃「初詣行く?」

憧「って言ってもうちだし……すぐそこだし」

穏乃「お手伝いしなくていいの? 望さん大変そうじゃない?」

憧「お姉ちゃんは私の仕事だからのんびりしてなさい、って……ま、本当に忙しくなったら駆り出されるし今んとこは大丈夫よ」

穏乃「そっかー………………」

憧「……しず、眠いなら寝ていいのよ? もう明けちゃったし特に用もないっしょ?」

穏乃「そうだけど……なんかもったいないし」

憧「それはわかるけどね……あ、けーたい取って」

穏乃「はーい……なんかすごいうるさくない? 故障?」

憧「いや、年明けたからでしょ」

穏乃「……ああ! そっか! あれ、私のどこ置いたっけ!?」

憧「知らないわよ……こたつに埋もれてんじゃない?」

穏乃「んー……それかもなぁ」

憧「ちょ、急にめくらないでよ! 寒い寒い!」

穏乃「あはは、ごめんごめん」

942 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2016/01/02(土) 01:20:23.77 ID:HyiuqtkD0

灼「やっほ」

憧「あ、灼さん! 今年もよろしくー」

穏乃「明けましておめでとうございます!」

灼「ん……よろしくね。 勝手に入っちゃったけどよかった?」

憧「別にいいよ、灼さんだし……うちって元々桜子たち入り浸ってるし結構出入りフリーなとこあるしねー」

灼「それはそれで危ないと思……」

穏乃「あの、こんなこと聞くのもなんですけど……大丈夫なんですか?」

灼「ん……まあ、初詣も兼ねて……縁起は担いどこと思って。 おみくじ引いてきた」

憧「まいど! どうだった?」

灼「まだ見てな……あ、これ……」

穏乃「あ」

灼「……レア物引いた」

憧「え……いや、その、ほら……逆に!? 逆に引き強いみたいな!?」

灼「凶って……はじめて見た……なにも今年じゃなくても……」

憧「あ……灼さん! その、ほら、た、たかがおみくじだから! 大丈夫だって!」

穏乃「神社の娘が言っちゃダメでしょ」

灼「……落ちたら憧のせいか」

憧「ふぇ!?」

灼「……いや、冗談だから……悪いのは結んでくればいいんだっけ?」

穏乃「あれ? 結ぶと書いてある通りになるとかって聞いたことありますけど……」

灼「……凶を引いた時点でダメ……?」

憧「だ、ダメとかじゃないから! えっと……ほら、おみくじなんてあてにならないし!」

穏乃「だから神社の娘が言っちゃダメでしょ」

灼「冗談だってば」

943 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2016/01/02(土) 01:21:10.74 ID:HyiuqtkD0

穏乃「……そ、そういえば! 玄さんはいつ頃来るんですかね!」

灼「ああ……さっき連絡来たよ。 家族と従業員の人たちに挨拶したら宥さんと一緒に来るって。 玄のことだから丁寧すぎるぐらいに挨拶してくると思ったから先に来ちゃった」

憧「あー……ま、たしかに……玄だもんね」

灼「宥さんもこたつからなかなか出れないだろうし」

穏乃「……あはは」

憧「宥ねえのこたつむりっぷりときたらねえ……灼さんもこたつ入んなよ。 なんか飲む? お茶しかないけど」

灼「ん……いただきます」

穏乃「みかんもありますよみかん」

灼「私も持ってきたよ、みかん。 おみやげ」

憧「……ここ、こたつとみかんとお茶しかないんだけど」

穏乃「最高じゃん」

灼「これですべて事足りるね」

憧「……それもそうね」

灼「…………」

穏乃「…………」

憧「…………」

灼「……あ」

穏乃「どうしたんですか?」

灼「いや……さっきずっと引っ掛かってた単語今急に思い出した」

憧「あー……あるある」

灼「メモっとこ」

穏乃「紙……紙とペン……こっちの引き出しだっけ?」

憧「ちょっと、一応人んちなんだから勝手に開けないでよ」

灼「スマホ、メモ機能あるから」

穏乃「おお……ハイテクノロジー!」

憧「っ……もう! 驚くからいきなり大声出さないでよね!」

944 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2016/01/02(土) 01:21:47.64 ID:HyiuqtkD0

憧「はぁ……」

穏乃「……なんか正月っぽいことする?」

憧「なによ、正月っぽいことって」

穏乃「羽根つき?」

憧「いや、外暗いし。 見えないから」

穏乃「凧揚げ?」

憧「いや、だから外暗いから。 しかも寒いし」

穏乃「山登る?」

憧「だから外暗いし寒いから。 ついでに特に正月っぽくないし」

灼「はぁ……」

憧「なにー?」

灼「憧が全部突っ込むから言うことなくなっちゃった」

憧「あ、ごめ……あのさ、別に普通にしゃべればよくない?」

灼「……なんか正月っぽいことする?」

憧「特に言うことないのね」

灼「……玄と宥さん来るまで三麻でもする?」

穏乃「いいですね! 三麻とか久しぶり! テンション上がってきた!」

憧「それじゃあマットと牌出してくる!」

玄「明けましておめでとう!」

宥「今年もよろしくね〜」

憧「タイミング!」

945 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2016/01/02(土) 01:22:34.84 ID:HyiuqtkD0

玄「な、なんで怒られたの……?」

宥「やっぱり勝手にあがったのはよくなかったね〜」

憧「いや、そこはいいんだけど……っていうか別に悪いこともしてないけどさ」

灼「おめでと」

穏乃「今年もよろしくお願いします!」

宥「おこた〜」

玄「あ、おみやげにみかん持ってきたよ〜」

憧「またみかん増えた……」

宥「えへへ、あったかーい……なにしてたの〜?」

穏乃「三人だったんで三麻でもしよっか、って話してたところだったんですけど……」

玄「あ、それじゃあ面子揃ったし麻雀する?」

灼「ひとり余るけど」

玄「あ……そっか、そうだね……」

憧「去年までみたいにローテで回せばいいんじゃないの?」

穏乃「こうなったら二人羽織りで打つしかないですね!」

憧「なんで!?」

宥「それ! それでいこう!」

灼「すごい食いつきましたね」

宥「後ろ! 後ろ入って!」

灼「ん……じゃあ私が」

玄「マットと牌出してくるねー」

憧「いや、だからここあんたんちじゃないんだからさ……」

玄「いいからいいから! こたつでゆっくりしててよ〜」

憧「あのさ、だから……もういいや」

946 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2016/01/02(土) 01:23:33.83 ID:HyiuqtkD0



宥「えへへ……あったかーい……」

灼「……あつ」

穏乃「あ、宥さんそれポンです!」

憧「っていうか宥ねえ見せ牌しまくってるけど」

宥「あ、ほんとだ〜」

灼「え、ほんと? ごめ……えと、えと……」

宥「灼ちゃん頑張って〜」

玄「お姉ちゃん、それロンです! タンヤオドラ8!」

憧「相変わらずひっど……」

宥「トンじゃった〜」

灼「ぅあっつ! 暑い!」

穏乃「あはは! 灼さん限界ですかね?」

玄「大丈夫? お茶飲む? あったかいやつしかないけど」

灼「結構です」

宥「今度は灼ちゃん前ね〜」

灼「え」

宥「え?」

灼「……ん、じゃあ交代で」

憧「嫌なら嫌って言っていいのよ?」

灼「代わる?」

憧「……遠慮します」

灼「ま、暑いけど嫌じゃないし……暑いけど。 ついでに暑いけど」

穏乃「おお! 灼さん燃えてますね!」

憧「文脈的に熱いじゃないでしょ」

947 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2016/01/02(土) 01:24:15.89 ID:HyiuqtkD0



玄「灼ちゃん、みかん剥いたよ〜」

灼「あーん」

宥「玄ちゃん私も〜」

憧「宥ねえ、顔出しちゃダメだって」

宥「あ……そっかぁ……」

穏乃「憧! 宥さんいじめないでよ!」

憧「別にいじめてるつもりは……」

宥「えへへ、まあ、あったかいからいいやあ」

灼「……あの……宥さん、あんまり抱き締められると……」

宥「ふふ、照れなくてもいいのに〜」

灼「……あづい」

憧「宥ねえ! ちょっと!灼さんヤバいから! 真っ赤になってるから!」

玄「もう、灼ちゃんそんなに照れなくても……」

憧「違うでしょ!? この赤いの熱でしょ!?」

穏乃「灼さん風邪ですか!? 受験前の大事な体なのに!」

憧「わざとやってんの!?」

948 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2016/01/02(土) 01:25:03.82 ID:HyiuqtkD0

望「憧〜? いるー?」

憧「うげ」

望「なによその反応。 お姉ちゃん傷つくんだけど」

憧「ちょっと待ってよ、まだ玄と宥ねえ来たとこだしさ……っていうかほら、0時回ってんのに高校生に働かせちゃダメっしょ?」

望「いや、別にお手伝いの要請じゃなくてさ……」

憧「そうなの? じゃあなに?」

望「穏乃ちゃん、玄ちゃん、宥ちゃん、灼ちゃん、明けましておめでとう! 今年もよろしくね〜」

穏乃「よろしくお願いします! 今年もお世話になります!」

玄「よろしくお願いしますね!」

宥「おめでとうございます」

灼「お邪魔してます……よろしくお願いします」

憧「お姉ちゃん!」

望「そんなむくれないでよ。 無視したわけじゃないってば」

憧「むくれてないから!」

望「それでさ、みんなにお客さん来てるから」

憧「へ? こんな時間に? 学校の子?」

晴絵「いや、私だけど」

灼「ハルちゃん!」

949 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2016/01/02(土) 01:25:51.81 ID:HyiuqtkD0

玄「赤土先生! 阿知賀に戻られてたんですか!?」

晴絵「忙しいけど正月ぐらいはね。 ついさっき着いたんだけどさ……明けましておめでとう! 今年もよろしくな!」

穏乃「赤土先生! お帰りなさい!」

憧「ハルエ! 今年……じゃなかった! 去年か! 大活躍だったじゃん!」

宥「試合、全部見てましたよ〜」

灼「は、ハルちゃん! あの、えっと……ハルちゃん!」

晴絵「おう、とりあえず灼はちょっと落ち着け」

穏乃「うわ、うわー! お久しぶりです! ヤバい! 今年一番のテンションの上がり方してる!」

宥「まだ二時間も経ってないからね〜」

晴絵「みんな元気そうだな、安心したよ」

穏乃「元気が取り柄ですから!」

憧「で、どうなんです? 赤土プロ! 去年は結局打倒小鍛治プロは成らなかったけど?」

玄「惜しかったんだけどねぇ」

晴絵「これからだよ、これから……プロ人生は長いんだから! それに、プライベートなら何回か勝ってんだぞ? 酒入ってたけど」

灼「さすがハルちゃん!」

憧「いや、さすがにそれは無効試合でしょ……」

950 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2016/01/02(土) 01:26:32.49 ID:HyiuqtkD0

望「んじゃ、私まだお仕事あるから適当にゆっくりしてってー」

晴絵「はいよ、悪いね」

望「つーかほんとなんで正月ぴったりに帰ってくんのよ? 三が日は急がしいっつーの」

晴絵「仕方ないだろ? これでも人気者だから元旦に休みとるの大変だったんだぞ? むしろここしか取れなかったんだけどさ」

玄「またすぐにお仕事なんですか?」

晴絵「二日の午後からだな。 テレビ関係はハートビーツは瑞原さんがいるし……お引きは菫に任せて逃げてきた」

宥「弘世さん、大喜びしてそうですね」

憧「菫さん元気?」

晴絵「菫は元気有り余ってるよ。 瑞原さんとセットの営業多いしな」

穏乃「はやりんファンなの浸透してからすごいメディア露出増えましたよね、弘世さん」

晴絵「小鍛治さんとの対局組まれてからは私もメディア露出増えたけど……菫はほら……なんつーか、バラエティ向きだしな」

憧「真面目だけどちょっとずれてるのがね……はやりん絡まなきゃなんも問題ないんだけど」

晴絵「見た目もいいから男女の境無く人気あるしね」

灼「ハルちゃんも大人気だよ」

望「阿知賀の誇る伝説だもんね〜」

晴絵「だからそれはやめてくれって……」

951 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2016/01/02(土) 01:27:29.98 ID:HyiuqtkD0

晴絵「……ところで、打ってたのか? 久しぶりだし混ぜてくれよ」

穏乃「はい!もちろんです!」

玄「それじゃあ、誰のとこ入ります?」

晴絵「ん?」

憧「今、五人だったから二人羽織り麻雀してたのよ」

晴絵「なにそれはじめて聞くゲームなんだけど……だから灼と宥こたつの同じ面入ってんのか。 滅茶苦茶仲いいなーって思いながら見てたわ」

宥「? 仲よしですよ?」

灼「ん」

晴絵「いや、それは知ってるけど……」

玄「先生! よろしければこちらにどうぞ!」

晴絵「いや、灼やしずならともかく玄とは無理じゃないか? サイズ的に……」

玄「はわっ!? うう……そう言われると……」

穏乃「それじゃあこっちですね! 前と後ろどっちがいいですか?」

晴絵「牌見たいし前がいいかな……しず、まかせるぞ!」

穏乃「はい! おまかせあれ! ですよ!」

晴絵「あ、あとおみやげあるんだよ……東京土産とハートビーツのファングッズと……」

玄「わぁ!」

灼「ハルちゃんのグッズ欲し……」

憧「……あ、あのさ、はや……み、瑞原プロの……」

宥「あ、弘世さんのもある……グッズ出てたんですね〜」

穏乃「あ、そっか……宥さん、会場まで見に行くのは関西チームばっかりだったから知らないんですね」

宥「うん、怜ちゃんと一緒に行くのが多かったから……」

晴絵「あとは……これは必須だよな! こたつで麻雀って定番行事だし! じゃーん!」

憧「またみかん増えた!」


カン!
952 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2016/01/02(土) 01:37:36.68 ID:HyiuqtkD0
あけましておめでとうございます!今年ものんやりやってくんでよろしくお願いしますということで

>>935
灼「普通に接しなよ」

憧「久しぶりでちょっと緊張しただけだから!全然平気だし!」

灼「顔合わせる時って概ね久しぶりだよね」

>>936マジかよ獅子原爽ぜってぇ許さねぇ!
>>938揺杏的にはたぶん実技の勉強になってるんで問題はないです。作ってるものに問題がありますけど
>>939あったとしても灼は普通に勉強してるイメージがあります。揺杏は推薦有珠山の実績だと麻雀じゃ通らなそう
953 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/02(土) 02:15:06.72 ID:68qvoocro

久しぶりに阿知賀だけというのもいいもんだ
954 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/02(土) 10:27:18.93 ID:ysAUoWpSo
乙です
955 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/07(木) 17:43:32.07 ID:pSEmua6AO
遅れましたが…乙です…
この作品と言えばファッションですが…
メグさんの能力“決闘(デュエル)”の概要を揺杏さんが知ったらどう成りますかね?
956 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/14(木) 20:07:00.06 ID:JwhxQsvdo
マダー
957 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします :2016/01/16(土) 03:07:29.97 ID:itGkdibQ0
保守
958 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2016/01/18(月) 23:41:02.28 ID:+XVEZ2sX0

ちょっとPC逝ってしまって時間かかってます。あと二、三日もすれば新しいの買って来れる予定で、それからバックアップ取ってなかった分の書き直しして…投下はどうやってもそれ以降になっちゃいます…


お茶濁しのバレンタインネタ候補

由暉子「ついチョコを食べ過ぎてしまって……」穏乃「ウエイトコントロールは大事ですよ!」爽「だからって筋肉にまわさなくていいんだぞ!?」

ネリー「お金でできたチョコがあるんだってね!」穏乃「五円チョコ……!」智葉「ちょっと待て」

初美「バレンタインも参加したことないですねー」穏乃「やりますか!」一「チョコ用意しますよ!」

巴「相談ごと?」憧「あの、バレンタインなんですけど……」胡桃「いいからさっさと本命の準備!」

優希「これがチョコタコスだ!」憧「……それ、クレープじゃないの?」和「タコスの方がゆーきは喜んでくれますし……」

衣「やっぱりひとつだけ妙に大きいな?」憧「き、気のせいだと思いますけど!?」智紀「本命だし多少はね」

春「黒糖……」玄「おもち……!」霞「バレンタインはチョコレートじゃなかったかしら?」

塞「で、バレンタインだけどどうなの?」玄「え、そんな、なにもないですよ……?」白望「協力するから養って」

透華「準備はよろしくって?」玄「はい! みなさんチョコをどうぞ!」純「渡す相手が違うだろ」

照「チョコレート食べ放題の日が来た!」灼「バレンタインはそういう日ではなくて……」やえ「バカはほっときなさい」

揺杏「手作りチョコだぞー」灼「……なにが入ってるの?」成香「気持ちはわかりますけど……」

浩子「データによればこれでおいしいチョコになるはずなんで」灼「ネットでレシピ調べただけだよね」絹恵「それは言わないお約束やろー」

淡「チョコレート! ふふん、もらってあげるけど?」宥「淡ちゃんどうぞ〜」誠子「こら淡! お前はもうちょっと遠慮しろ!」

怜「テンションと血糖値が上がってきたで!」宥「大丈夫なの!?」泉「殺しても死ななそうですけどね」

久「愛情当社比50%増よ!」宥「あったか〜い」まこ「ホットチョコレートじゃからのう」

健夜「飲み行こっか」晴絵「え、でも今日バレンタインですよ?」恒子「デートの相手なんかいるわけないし言ってやるなよ!」

晴絵「チョコ渡す相手とかいるのか?」菫「ええ、はやりんに」はやり「はやー?」

哩「ハルちゃん! こ、これ……!」晴絵「いや、うれしいんだけど試合前に物のやり取りはだな……」咏「別にいいんじゃね? 知らんけど」


予定は未定ですがパッと思いついたのをとりあえず挙げとくスタイル

959 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/19(火) 00:16:54.80 ID:nQg32AtAO
盛り沢山でワロタ
楽しみにしてるっす
960 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/19(火) 00:27:34.79 ID:zYzKwmCRO
乙ー
961 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/19(火) 10:52:56.76 ID:VL9R/F6No
PC逝ってたとは
ゆっくり待っとります
962 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/19(火) 18:47:17.32 ID:EO2uZJsgo
一ちゃんとかならチョコでボディーペイントしそう
963 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2016/01/31(日) 00:30:53.70 ID:6P8lk+I40
やっとこさ投下。機械弱くて新しいPCをうまく扱えない不具合
>>958で数だけ挙げたけど時間的に正直半分どころか三つも消化できない気がしてます…

だいぶ前に予告した気がしますが、ハルちゃんと船Q
964 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2016/01/31(日) 00:33:48.86 ID:6P8lk+I40

東京に出てきて、教え子たちがインターハイでいい結果を残して……自分自身、壁を1つ乗り越えたとも思う

今まではなんとなく後ろめたかったけれど……昔の知り合いとも、胸を張って……気兼ねなく会えるようになった

というか、そもそも人と会う機会が増えた

古い知り合いだけじゃない……阿知賀女子監督として取材に対応したり、教え子たちが他校の生徒と交流してる間に私自身も話たり……

まあ、これからプロを目指すと決めた以上メディア関係者との接触は望むところだし、高校生雀士たちとの交流だって、今後は教え子たちだけでなく私のライバル……もしくは仲間になるかもしれない存在だ

関わることにプラスこそあれ、マイナスの要素はないだろう

晴絵「……で、今日はどうしたんだ?」

浩子「いえ、少しお話伺いたいなあと思いまして」

晴絵「切り口が記者みたいだなあ」

浩子「ふふ、打つので食べてけなければそっちの道は結構向いてるかもしれませんね」

晴絵「船久保さんはプロ志望?」

浩子「ええ、これでも名門千里山で参謀やってるもんで……ま、どうなるかわかりませんけど、麻雀に関わるとこで生計立てたいとは思ってますよ」

晴絵「じゃあ、今日はそこら辺のお話かな? 悪いけど、生徒たちは出てるぞ? あいつらはあいつらで忙しそうに……っても、遊び回ってるんだけどさ」

浩子「構いませんよ。 私もひとりで乗り込んできたわけですし……阿知賀の選手は来年も打つライバルですからね。 まあ、赤土監督と話に来てる時点でそこら辺は気にするだけ無駄ですか」

晴絵「個人的な話なら、教え子たちでも漏らしたりはしないよ」

浩子「それはありがたいですね」

965 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2016/01/31(日) 00:35:50.61 ID:6P8lk+I40

浩子「……ふむ」

晴絵「どうした?」

浩子「いや、なんというかですね……こう、必要とあればなんでもするつもりですけど……あまり得意じゃないんですよね」

晴絵「なにがだ?」

浩子「……人に頭を下げて、ご指導を仰ぐってのが」

晴絵「へ?」

浩子「私も一応来年は千里山を引っ張る立場になると思うんですよね。 チームのためにも、自分のためにも……レベルアップしておきたいんですよね」

浩子「……素直に言うのもだいぶ恥ずかしいんですが……赤土監督のスタイルは、観察と分析に基づく打牌の組み立て……私と同じ……ええ、なんというか、私の目指す道の先にいるのが赤土監督なんですわ」

浩子「他校の人間が厚かましいとは思いますが、なにとぞご指導いただきたく……」

晴絵「ちょ、ちょっと待ってくれよ! ま、参ったなあ……」

晴絵「というか、私なんてそこまで大層な打ち手でもないぞ? インハイも一年の夏に準決で敗退したっきりだし、日本リーグで打ってたとはいえ成績は……」

浩子「私はそうは思ってませんので。 赤土監督は尊敬する打ち手ですよ」

晴絵「うぐぅ……」

これは恥ずかしい。 いや、目の前で頭を深々と下げている船久保さんも恥ずかしいんだろうけど、こっちだってそんなに褒められるとさすがに恥ずかしい

というか、正直滅茶苦茶うれしい

地元じゃさんざん騒がれたし人気もあった。 エバーグリーンズに居たときにもファンはついてくれた

しかし、なんの縁もないプロ志望だと言うこの子が、私を……インターハイでも、日本リーグでも大きな結果を残せなかった私を、目標だと言ってくれている

地元の人間である灼や、昔から付き合いのある憧やしずに慕われるのとはまた違う……余計な先入観無しに実力を見てもらえているのかな、とも感じる

……ああ、もう! 本当に滅茶苦茶うれしいぞこれ! 照れる!

966 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2016/01/31(日) 00:37:41.30 ID:6P8lk+I40

晴絵「……あー、もう……船久保さんはさ、本当に私でいいのか? 身近なところに愛宕監督みたいなとんでもない人もいるのにさ」

浩子「おばちゃん……もとい監督とは性格的にはともかく麻雀のスタイルは似てないですからね」

晴絵「打ち方見てると十分似てると思うけどなぁ……苛烈な攻め方とか」

浩子「まあ、そこら辺は性格の方でしょう。 打牌の組み立ての根本が違いますから」

晴絵「たしかに、組み立て方って点なら愛宕洋榎さんの方が似てるか」

浩子「私は事前に集めたデータから対局組み立てますけど洋榎なんかは……鼻が利くというか勘がいいというか……」

晴絵「……見えるはずがない、わかるはずがない……そういうものが視えたり感じたりできる打ち手っていうのはいるもんなんだよな」

晴絵「……私も見える方だと思ってたんだがな……」

……結局、底まで見抜けていなかったから、あの時……

浩子「……あんな化け物と比べてもヘコむだけですよ? 他のならともかく……小鍜治プロは規格外すぎですわ」

晴絵「それでも……あの人に勝つのが私の目標だからね」

麻雀との出会いは私の人生を変えた。 そして十年前のインターハイ……小鍜治さんとの出会いはそんな麻雀から距離を置くほどに衝撃的なものだった

今年のインターハイで教え子たちがあの夏に取り残された私を、前に進ませてくれた……あとは、私自身の力であの人を越えないと……!

浩子「……ってことは、やっぱり赤土監督もプロ志望ってわけですか」

晴絵「ふふ、私たちもライバルだぞ?」

浩子「それなら、一足先にプロの世界で待ってていただきたいものですね。 越えるべき壁が多くて大きい方が燃えるってもんです」

晴絵「そのつもりだよ……船久保さんも、意外と結構熱いよねぇ」

浩子「これも愛宕の血……いえ、やっぱりただの性格ですね。 打ってるときは冷静沈着を
心がけていますけど」

晴絵「頭は冷静に心は熱く……理想だと思うし、それができるのは強みだと思うよ。 たったひとつのミスですべてが終わることもあるからな……」

967 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2016/01/31(日) 00:39:10.97 ID:6P8lk+I40

晴絵「……よし、それじゃあ……私がどこまで教えられるかはわからないけれど……はじめようか」

浩子「……自分で言うのもなんですが、本当にええんですか? 他校の生徒だし、将来的にはライバルですよ?」

晴絵「将来のライバルって言い切る辺り気に入った! それに、船久保さんが言ったんだろう? 越える壁は多くて大きいほど燃える……ぜひとも成長して私の前に立ち塞がってもらいたいね」

浩子「ふふ……その前に、来年まではお弟子さんたちの前に立ち塞がるんですけどね」

晴絵「あいつらだって相手が強いほど燃えるタイプさ……それに、既に他校にも教え子はいるしな」

浩子「清澄の原村ですか……小学生時代に面倒見てたとか」

晴絵「和は一時期阿知賀にいたからね……そもそも、しずがインターミドルで活躍する和を見て阿知賀の麻雀部を復活させたぐらいだしな」

浩子「旧友の活躍に血が疼いたってとこですか……まあ、なんとなく気持ちはわかりますよ。 洋榎の試合なんか見てると負けてられないと思いますしね……そもそも負けること事態大嫌いですけど」

晴絵「いいねいいね負けず嫌い! 勝ちたきゃ努力するしかないんだ。 特に私たちみたいなデータを元に打つ人間は他人より余計に頑張らないと情報が間に合わないからね」

浩子「勝つためならなんでもしますよ……ルールに反しない限りは」

晴絵「ああ、それも正解だな。 負けるのは嫌だけどズルして勝っても嬉しくないし楽しくない」

晴絵「今年も大変だったなぁ……淡……白糸台の大星淡なんかデータが少ないのなんのって」

浩子「あれはマジで苦労しましたね……準決は焦りましたわ。 地区予選でダブリーが一回あったとはいえ後手に回ってしまって……高鴨のあれはなにかしら対策してたんですよね?」

晴絵「……今、どれくらい気づいてるんだ?」

浩子「……まあ、サイコロの目……というか、山の角、ですかね」

晴絵「うん……なんかダメだな、この手の話になるとつい腹を探っちゃうというか……」

浩子「ですよね……恭子さん、姫松の末原とはある程度情報共有……という名の答え合わせはしてますけど……とりあえず、私としてはある程度目星がついてないと聞きませんよ? 人に答えをそのままもらってばかりじゃ成長しませんからね」

晴絵「うーん……ヤバいな」

浩子「なにがです? 教えろって言ったり教えるなって言ったり面倒でした?」

晴絵「いや、私すごく船久保さんのこと好きかも……元々タイプ似てるし……データの集め方とか読み解き方、整理の仕方とかいろいろ仕込んだら……これもうどうなっちまうんだろうな!」

浩子「おお、なんかマジでテンション上がってますね……いや、こちらとしても望むところなんですが」

晴絵「うちの子たちはそりゃあ当然かわいい愛弟子たちなんだけどさぁ……タイプ的にはやっぱり違うし?」

晴絵「宥はよく観察できるし、憧は論理立てて情報を整理できる。 灼はその両方をこなせるけどそれぞれの能力は二人に負けるし……しずは意外とやれるけど野生の勘の方が突出してるしなあ……というか、なによりも玄を筆頭に癖が強いのが多くて……」

浩子「ああ……松実妹はたしかに顕著ですね。 相手の手がわかってても避けられないタイプで情報活かしきれなそうですわ」

晴絵「今までの教え子たちにいなかったんだよなぁ……私と同じデータ雀士! 」

968 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2016/01/31(日) 00:40:44.62 ID:6P8lk+I40

うん、なんか本気で楽しくなってきた……! 船久保さんの優秀さは対局を見てればわかるし、勤勉さや狡猾さも感じ取れる。 敵……というと言葉が悪いかもしれないけれど、他校の監督に指導を求めて飛び込んでくる度胸も熱意もいい!

晴絵「……ふふ、ふふふふ」

浩子「ちょ、なんです? 怖いんですけど……」

晴絵「いやいや、大丈夫大丈夫。 気にすんな!」

浩子「どうやったって気になりますって!」

晴絵「いや、本当にさ、私……こう、教えるの好きなんだよね……ふふ、船久保さんは元々優秀だし……ここからどれだけ伸びるかなあ……」

浩子「それは……指導者がいいんですから、後は私の努力次第でしょうね」

晴絵「そうやってちょくちょく持ち上げるのやめろよー! 今ちょっとテンション上がっちゃってるからさー!」

浩子「……赤土監督はだんだんめんどくさい感じになってきましたね」

晴絵「はっきり言うね!? まあいいや、私は厳しい……ってほどでもないけど船久保さんならついてこれそうだし、ペース早めに行くぞ? 覚えることは多いし覚えたことを活かすのにもデータ収集の時間を考えたら時間は無駄にはできないし……」

浩子「厳しい予感しかしないんですが」

晴絵「あ……うん、ごめん……本当に、ちょっと浮かれてるな、私……」

浩子「いえ、そこまで盛り上がっていただけるとこちらとしても嬉しいんですけどね……ご期待に沿えるかどうか……」

晴絵「なんだ? 自信ないのか?」

浩子「いえ、謙遜してるだけですわ。 厳しい指導もおばちゃん……もとい監督で慣れてますし、むしろあんまり優しくされても困りますね」

晴絵「そうか? いや、私はやっぱり麻雀を楽しんでもらいたいしのびのびと打てる環境を……」

浩子「普段はそうなんでしょうけどね……こうして気軽に顔会わせられるのも大会中ぐらいになるでしょうし……」

晴絵「よし、そっちもそのつもりなら時間もったいないしはじめるか!」

浩子「よろしくお願いします」

969 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2016/01/31(日) 00:42:10.38 ID:6P8lk+I40

と言っても、なにぶん急な話なものでパッと出せる教材的なものもないしなぁ……

晴絵「……あ、そういえば聞きたいことがあるんだけどいいか?」

浩子「ええ、必要なことなら早めに聞いてくださった方がこちらとしても……」

晴絵「なんか、玄から前に千里山はまな板を使って作戦を立ててるとか聞いたんだけど……どういう意味なんだ?」

浩子「……それは、アレですかね? 作戦参謀の私の胸がまな板とかそういうやつですかね?」

晴絵「いや、私に聞かれても……」

浩子「そもそもですね、作戦練るのに胸のサイズなんかどうでもいいんですよ。 こんなもの関係全くありませんからね。 ああ、なんかだいたい遺伝で決まるもんらしいですけどね。 そりゃあおばちゃんは乳でかいですけどね、うちのオカンはそりゃもうまな板ですわ。 なんで姉妹でそんなに差が出るんや! とか思いましたけどね、ええ、洋榎と絹ちゃんもご覧の通りですからね。 姉妹で胸囲に驚異的な格差が生まれる家系とかなんじゃないですかね? 知りませんけど。 知りませんけど!」

晴絵「……なんか悪いな? 気にしてた?」

浩子「だから胸とかどうでもええ言うてるやないですか。 それにしても松実妹マジでどういうつもりなんですかね? シメたろか……」

……めっちゃ気にしてるな

うん、高校生だもんな。 そういうの気になるお年頃だもんな……というか流石にそういう意味で言ったんじゃないとは思うけど……言ったのが玄なんだよなあ……なんか不安になるな

浩子「なんかもうここまで来ると真意が気になりますね。 ちょっと松実に連絡とれます?」

晴絵「あ、いや……うん、ちょっと聞いてみるよ」

私も気になるし。 というか顔が怖いよ船久保さん

晴絵「……あ、もしもし?玄、今平気か?」

玄『はい! 今ちょっと穏乃ちゃんと初美さんが服を選んでくれてるんですけど……』

晴絵「……それ、大丈夫なのか?」

玄『はい、ちょっと待っててって言われたので……』

晴絵「いや、そういう意味じゃなくってだな……」

玄『……だ、大丈夫ですよ? 大丈夫ですよね?』

晴絵「……そこら辺は自己判断で頼む、うん」

とりあえずヤバいとは思ってるらしいし平気……だよな? わざわざ付き合ってるあたり押しきられそうなのが心配だけど

970 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2016/01/31(日) 00:43:41.62 ID:6P8lk+I40

玄『そ、それで……なにかありましたか?』

晴絵「ん? ああ、いや、たいしたことじゃないんだけどさ……前に、千里山はまな板を使って作戦を立ててるとか言ってたろ? どういう意味かと思ってさ」

玄『ああ! おいしい料理を作って脳に栄養を、って話なのではないかと! 前に私が灼ちゃんと話してたやつですよねぇ』

晴絵「なるほど、そういうことなのか」

玄『……それにしても、どうして急にそんなことを?』

晴絵「え? あ、あー……ほら、やっぱり名門校のことだしな。 私もなにかやり方を参考にできないかなーって」

玄『なるほど! ふふ、私たちのインターハイは終わっちゃいましたけど赤土先生の戦いはまだまだこれからですもんね!』

晴絵「お、おう」

玄『うう……赤土先生が一生懸命頑張ってるのに……私も遊んでる場合じゃないですね! 秋に向けて練習しないと……』

晴絵「……いや、恋に遊びにと時間使えるのも今のうちだけだぞ? 大会終わったばっかなんだから遊んどきなよ。 奈良に帰ったらなかなか会えなくなるんだしさ」

玄『あう……そ、それじゃあ、今日のところはお言葉に甘えて……』

晴絵「そうしろそうしろ。 それじゃあ忙しいとこに悪かったね」

玄『いえ! 頑張ってください!』

晴絵「おう。 ……ああ、あんまり遅くならないうちに帰ってこいよ? 遊べるのが今のうちだけとはいえ玄になんかあったら露子さんにも顔向けできないからな」

玄『はい! 了解しました! えへへ、心配してくれてありがとうございます!』

晴絵「当然だろ? じゃあ、またあとでな」

玄『お疲れさまです!』

971 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2016/01/31(日) 00:45:48.14 ID:6P8lk+I40

晴絵「……ということだったけど」

浩子「たしかに、料理と言えば園城寺先輩の健康を考えて食事メニューなんかも考えたりしてましたけど……まさかそこまで知っているとはなかなか侮れませんね」

晴絵「いや、そういう感じではなかったと思うけど……」

浩子「というか、冷静になって考えてみればまな板ってたぶんこれですよね?」

サッと鞄の中から出されたそれは……うん、まあ板状の物だけども……玄ってもしかして……いや、玄は優秀な子だって私知ってるし! ちょっと残念なところもあるけど!

晴絵「……さすがにiPadとまな板は見間違えないと思うけど、たぶんそれだと思う……」

浩子「アホなんですかね、あの子」

晴絵「うん……あ、いや……あー……うん、少し?」

浩子「否定してあげてくださいよ……」

晴絵「ふ、普段はしっかりしてるんだぞ? ちょいちょい抜けてるけどそこもほら、愛嬌というか、かわいいところだし?」

浩子「フォローはするけど否定はしないんですね」

晴絵「……よし!始めるぞ! インターハイ個人戦もあることだし団体戦の対局を元に早速実践演習と行くか! 団体戦の牌譜や映像データ持ってるか?」

浩子「雑に誤魔化しましたね……それはもちろんありますよ。 うちからは清水谷部長とセーラが出ますしね……団体戦参加選手は個人戦の要注意選手が多いですから」

浩子「清澄の宮永や有珠山の獅子原みたいなデータ少ない化物どももいますし、データがあれど止めきれない宮永照や辻垣内智葉みたいな化物もいるし……はぁ、来年は私も個人戦代表枠を勝ち取りたいもんです」

晴絵「わくわくするよな……北大阪は来年も荒川憩がいるし地区代表を勝ち取るのも一苦労だろうね」

浩子「理想は県大会と全国の両方で勝つことですけどね。 三箇牧とは練習試合もよく組みますしデータ自体は多いんですが……っと、失礼しました。 続けてください」

晴絵「初回だしデータ量の多いところの分析からいくか……大会前から研究は重ねているだろうけど、白糸台なんてどうだ?」

浩子「データは十分に取ってますが……気になることが」

晴絵「ほう?」

浩子「……準決勝で松実……姉の方ですね。 打ち方を見ていて気づいたんですが……」

晴絵「うん……見つかったか? 菫の癖」

浩子「まだなんですよ。 なにかしら弘世の狙い撃ちの目標を判断する要素があるであろうことには気がついたんですが……しかも決勝で松実姉を翻弄していたことからするとある程度癖の矯正もしているのでしょうが……」

晴絵「癖ってのはなかなか抜けるもんじゃない……準決勝で宥にやられた分逆手に取ろうと特訓したみたいだけど、完全に矯正するには時間がかかるだろうし、しっかり研究しておけば今後も使える場面が来るだろう」

浩子「そうですね……弘世の狙い撃ちのターゲットがわかれば対局中も立ち回りやすくなるはずですから……最近は弘世の新情報も入手してますから、人格面からの対策も練りやすくなりそうです」

晴絵「へぇ? 新情報……どんなもんなんだ?」

浩子「弘世のやつ、意外なことにはやりんの熱狂的ファンらしいんですわ」

晴絵「ぶふっ!?」

浩子「恭子さんから聞いたんですが……どうしました?」

晴絵「いや……ちょっと、うん……思い出して……」

浩子「? まあ、対局以外のところで動揺を誘ったりするのは好きじゃないんで使い道の少なそうな情報なんですけどね」

晴絵「……あのレベルだと使えそうだけど……と、とりあえず映像出すから見てみようか」

972 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2016/01/31(日) 00:47:34.03 ID:6P8lk+I40

晴絵「宥が気づいてるってのもあって準決勝がわかりやすいかな? ……ほら、菫を写してるカメラの映像」

浩子「牌譜を見るに……ここで一回手を崩してますから狙いを寄せてるんでしょうね……で、弘世の表情を見るにここで松実から直撃を取るつもりだったと」

晴絵「モニター足りないな……私の端末も出すから……ほら、こっちが準決の宥を写してる映像だ」

浩子「改めて見てみると……手牌と河だけでなく弘世の方を伺う様子が多く見られますね」

晴絵「宥には菫の癖について話はしていたし注意するように言ってたからな……なにか気づいたか?」

浩子「ふむ……ちょっと待ってくださいねこれだけだと……別窓で対局の様子を上から移した映像を……」

晴絵「それだと映像小さくて見づらくないか? ノートPCもあるから出すよ……ふふ、私も見つけるまで大変だったからなあ……そう簡単に見つけられると思うなよ?」

浩子「とはいえ、今まで誰も見つけられなかったと思われる弘世の癖をインハイ前に見つけて攻略法を仕込んでるんですからやっぱり凄いですって……」

晴絵「どんな細かい仕草も見逃すなよ? 対局全体の流れを見ながら各打ち手の視線から指先の動きまで……なにがヒントになるかわからないからな」

浩子「赤土監督は、アナログなデータも読み込むタイプですよね」

晴絵「打ち手本人ですら気がつかないちょっとした動作が大きなヒントになるんだ……牌譜だけのデータよりも打ってる映像を見た方が気づけることも多い」

浩子「そこは同感ですね……打ち手の性格や好みってのも打牌に影響も出ますし、私は打つ相手それぞれの人となりを知るってのも大切だと思ってるんですけど」

晴絵「それは……そうだね。 私は小学生の時にはじめて大会に出て……全国の準決勝でそこを……相手の性格を読みきれずに敗退したからな」

浩子「苦い思い出ってやつですか」

晴絵「いや、いい経験になったよ……初めての大会で準決まで行けたし、小学生相手なんてって相手を舐めてるところもあったし調子に乗ってたからね」

浩子「赤土監督にもそういう時期があったんですか」

晴絵「私もガキだったからね……自分を見直すいいきっかけになったよ」

973 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2016/01/31(日) 00:49:13.73 ID:6P8lk+I40

――――――

浩子「…………」

晴絵「…………」

浩子「…………」

晴絵「…………」

浩子「……!」

晴絵「お」

浩子「ここ、この視線の動き……このあと泉が直撃もらってますね。 松実の表情を見るに警戒が少し緩んだ印象を受けます。 弘世は狙う対象に視線を……」

浩子「いや、視線だけなら判断の基準にはなり得ないですよね? それならこの松実が表情を緩ませたタイミングの前に恐らく何かしらの動きを弘世が……」

晴絵「ふむふむ」

浩子「しかし特に怪しい動きは……この辺りをリピートで……わからんな。 スローの方が良さそうや」

晴絵「なるほどね……お茶とコーヒーどっちがいい?」

浩子「あ、すみません。 コーヒーいただきます」

晴絵「おう。 しかし、やっぱり優秀だね。 教えるまでもなく映像もしっかり読み込めてるし……」

浩子「これに関しては弘世がなにかしらヒントを与えていることも松実が何かしらの弘世の癖に気がついているのもわかってますからね。 これでいつまでもなにも見つからないようでしたらとんだ無能ですわ」

晴絵「はは、たしかに前提条件が楽な方か」

浩子「…………む、これは」

晴絵「どうした? ほら、コーヒー」

浩子「どうもです……端末借りますね。 えー……前半戦の東三局と南一局で泉が……南二局で松実が弘世から……松実の視線……俯瞰のカメラと松実のカメラから……弘世は……」

晴絵「……優秀な生徒を持つと見てて楽しいよなぁ」

974 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2016/01/31(日) 00:51:21.11 ID:6P8lk+I40

浩子「…………右手、ですか」

晴絵「ふふっ」

浩子「狙いを定めたときに、右手を一瞬動かしますね。 そして、そのあとに視線をやった相手を狙い撃ちにしています。 準決勝の対局と……遡って地区予選や去年の冬頃の大会の映像を見てもこの条件で間違いないです。 どうですか?」

晴絵「ばっちり! 状況ごとにしっかり見比べて裏付けもとってるしデータを読み取る力に関しては文句なしだね! 与えられたヒントから正解をしっかり探し当てたな」

浩子「ヒントありじゃあさすがに簡単すぎましたね」

晴絵「言うねぇ……それじゃあ、どんどん行こうか。 個人戦参加選手はまだまだいるんだ、さっきはほめたけど……ひとりひとりにあまり時間をかけすぎると手が回らないぞ? 気になる選手からどんどん見ていこう」

浩子「ええ……そうですね、それじゃあ……やはり宮永照から……」

晴絵「照か……麻雀以外なら弱点大量にありそうなんだが」

浩子「……さっきから気になってたんですが赤土監督、もしかして白糸台のメンバーと個人的に親交があります?」

晴絵「ああ、ちょっと前に色々あってな……」

浩子「そうですか……その、ええんですか? 彼女らの不利になるようなことを……」

晴絵「それとこれとは話が別さ。 それに、あいつらはあいつらで特訓を続けてるし今までのデータが通用しなくなるかもしれない……なにより、今は船久保さんは私の生徒だしね。 船久保さんに教えることがあれば、菫や照にもなにかを教えることがあるかもしれない」

浩子「……なるほど、そういうことならとりあえず納得しておきましょう。 ……で?」

晴絵「で?」

浩子「チャンピオンの弱点って言うのは?」

晴絵「ああ……そうだな、あいつはまずおかしが大好きだ。 見ていた限り対局中以外はずっとなにか食べてるんじゃないかってぐらいだな」

浩子「これまた意外な……補給を断てれば……ってさすがに無理ですかね。 コンビニや売店ですぐに買えちゃいますし」

晴絵「他にもいくらでも出てきそうだが……対局のチェックをした方がいいだろうな」

浩子「それもそうですね……宮永照は一年の頃から試合に出てるから参考にできるデータも多い……一から見直せばなにか見つかるかもしれませんから」

晴絵「そうだな……照に関しては他の選手に比べて資料が多い。 もう少しモニター欲しくなるな……玄やしずの部屋から借りてくるか」

浩子「なにもそこまでしてくださらなくても……」

晴絵「いや、私自身あいつの攻略法ってのは具体的にはなにも見つけられなかったからね……団体戦は玄が戦うってので隙を作らせることもできたが自分で打つとすると……」

浩子「ええ……団体戦は松実妹のお陰で園城寺先輩もだいぶ助かりましたよ。 あの……打点制限が数少ない宮永照の隙ですからね。 それにしたってアレだけ稼がれてしまったわけですし」

晴絵「プロに行ってもすぐに通用するだろうな……学生であんなのを相手にしなくちゃいけないなんて大変だよな……」

浩子「学生時代に小鍛治健夜と打ってた人がなに言ってるんですか」

晴絵「……打ってたからこそというかなんと言うか……心を強く持てよ」

浩子「私が直接打つのは当分先になりそうですけどね……先輩方には伝えておきますよ」

975 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2016/01/31(日) 00:53:21.93 ID:6P8lk+I40

――――――

穏乃「いやあ、今日は楽しかったですね!」

灼「……穏乃と薄墨さんと服を見に行ったって……正気?」

玄「あはは……その、うん……だ、大丈夫だったよ?」

灼「玄がよかったならいいけど……憧はまだ帰ってないみたいだね」

穏乃「あ、さっき連絡来ましたよ! 狩宿さんと鹿倉さんとご飯食べて帰るから先に夕飯済ませといてって!」

灼「そか」

玄「灼ちゃんは今日は……」

灼「咲と散歩してた。 目を離すとすぐに消えそうになるからなかなかスリリングだったよ」

玄「スリリングな散歩って……それはなかなかのなかなかだね……」

灼「面白かったよ……ハルちゃん、ただい……ま……」



晴絵「浩子、一番モニター……ここどう思う?」

浩子「ポーカーフェイスのチャンピオンが若干表情を変えている気がしますね。 このあと下家が和了ってるんでなんらかの危機を察知している可能性が……あ、三番ちょっと止めてもらってもいいですか? 今の……」

晴絵「ああ、視線が少し右に流れたな……このあと上家がドラを切って……ん、四番! 後半戦開始のタイミングだけど……」

浩子「ん……? あ、前半戦に比べて髪の跳ね方が大きくなってますね! この対局ではこのあと怒濤の五連続和了を見せるんですがもしかしたら髪の跳ね方からコンディションを測れる可能性が……!」



灼「……なに言ってるの? というか船久保さん……?」

穏乃「……えーと、いらっしゃい?」

玄「……お、お飲み物でも出しましょうか?」

晴絵「お、おかえり! コーヒーふたつ頼む! 浩子、これ裏付け取りたいから五番と六番の映像切り替えるぞ?」

浩子「はい、それじゃあ特に調子よかった去年の国麻二戦目とあまり目立たなかった一昨年冬の地区予選の三回戦の映像を……」

穏乃「……な、なんか大変そうですね」

玄「その……な、なにをしてるんですか?」

浩子「宮永照の研究ですよ? ご覧の通りまな板フル活用ですわ」

晴絵「根に持つなよ違ったんだから……目薬いるか? 疲れてるだろ……気づいたら五時間ぐらいぶっ続けで対局映像見てたしな」

穏乃「五時間!?」

玄「だ、大丈夫なんですか!?」

晴絵「いやあ、やっぱり照は学生レベルじゃないね……これだけ見ても隙がなかなか見つからない……」

浩子「ここまでなにも見つからないと楽しくなってきますね……意地でも弱点見つけてやりますわ」

灼「……データオタク」

晴絵「そんなにほめるなよなー」

浩子「照れちゃいますね」

灼「……ふたりとも、バカでしょ」

浩子「麻雀バカですから」

晴絵「いいね、それ。 麻雀バカ師弟ってことで」

灼「し、師弟!? ちょ、それはどういう……」

976 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2016/01/31(日) 00:54:58.68 ID:6P8lk+I40



玄「……研究ってやつだね」

穏乃「……私、難しい話はよくわからないですけど……ひとつわかったことがあります!」

玄「え? いまので? すごいね、穏乃ちゃん!」

穏乃「たぶん、髪の跳ね方と麻雀のコンディションは関係ないです!」

玄「あ……うん、それは私も思う……」


カン!
977 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2016/01/31(日) 01:01:02.10 ID:6P8lk+I40
残り微妙だけど次立てるには少し早いかな?
今月も日和二本立てな上に湯町日和まで来てテンション自体は上がってるんですがなかなか時間が…
978 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/01/31(日) 01:01:24.60 ID:95scKZ7Do

>>971で出す映像ってカラオケのアレかと思ったww
979 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/01/31(日) 01:04:54.39 ID:BiTFSO/oo

クロチャー以外の登場キャラがまな板…
980 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2016/01/31(日) 01:36:31.62 ID:6P8lk+I40
>>978


――さらに数時間後

晴絵「次、一番モニターに決勝の映像……あ」

菫『はやっ☆』

浩子「!?!?!?」

晴絵「やべ、間違えた……さすがに疲れてきたな……」

菫『時には〜HAYARIに〜♪』

哩『あっはははは! あはは!!』

淡『弘世様〜!』

尭深『弘世様ー! きゃー!』

浩子「ぶほっ……な、ちょ、はい!? な、なんですかこれ……ふふっ……」

晴絵「……菫がはやりんの大ファンだっていう情報さ……大元のソース私なんだよね……私が撮影した動画流出しちゃって……」

浩子「い、言われてみると赤土監督の声も聞こえますね……」

晴絵『弘世様〜! あはははは!』

浩子「ふ、ふふっ……にしても、どういう面子ですかこれ……赤土監督に白糸台の虎姫に……新道寺の団体メンバー?」

晴絵「色々あってね……」

浩子「生徒も交えず他校の生徒とカラオケって凄いですね……そ、それよりも弘世が凄いですけど……!」

晴絵「歌も上手いしダンスキレッキレなんだよなぁ……あ、ヤバい……見てたら面白くなってきた……ふ、ふふっ……」

浩子「こ、これは……いや、ヤバいですねさすがに……疲労してるとこにこんな……ふ、あはは! あっはは! ひ、弘世が! 似合わなっ……!」

晴絵「い、言ってやるなよ……本人はな、背も高いしかわいい服とかあんまり似合わないって気にしてたんだぞっ!」

浩子「意外に乙女ですねっ……くくくっ……ひ、弘世……! こ、これ逆に見ない方がよかったですって! 対局室で弘世に会ったら確実に思い出して腹筋崩壊しますよ!?」

晴絵「だよな……っふふ、ところでさ……これ以外にもいくつか弘世様動画が……」

浩子「複数動画あるんですか!? あっはは! もうここまで来たら全部見ますよ! モニターたくさんありますし出してくださいよ!」

晴絵「よぉし……行くぞ! 弘世様のはやりんリサイタル!」

981 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2016/01/31(日) 01:37:39.14 ID:6P8lk+I40

玄「失礼します、赤土先生、船久保さん……そろそろ遅くなってきましたし休憩した方が……」

菫『はやっ☆』

玄「ぶっほぁ!?」

晴絵「あはははは! す、ステレオで弘世様のはやっ☆が……!」

浩子「し、死ぬ……! なんやこれもう! アカンやろ! あっははは!」

玄「き、休憩にしましょう! ふたりとも! 疲れてるんですよ! なにか軽く食べられるもの用意しますから!」

晴絵「い、いや……でもほら、研究中だし……?」

玄「なんのですか!?」

浩子「そ、それじゃあ休憩するんで……弘世が歌って踊り始めたら教えてください……っふふ」

玄「どのモニターでも歌って踊ってますよ!?」



――――――


晴絵「ふぅ……落ち着いた。 玄のご飯はおいしいなあ」

浩子「ご馳走になってしもうて申し訳ないです……今度また改めてお礼させていただきますわ」

玄「いえ、そんなお気になさらず……」

穏乃「船久保さん! 弘世様! 弘世様出ました! 踊ってますよ!」

浩子「ぶふっ! さ、最後にもう一回見てから帰りますわ……っ!」

晴絵「ふふふふ……だ、ダメだ……思い出すだけで腹痛い……!」

灼「……やっぱりふたりともバカだね」


もいっこカン!
982 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2016/01/31(日) 01:40:13.13 ID:6P8lk+I40
珍獣弘世様誕生
サメ出たで!サメ!のノリ
983 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/01/31(日) 01:40:30.75 ID:Xsxvfdz+o
信頼と実績の弘世様乙
984 :お前らはマシだ真の悲壮と絶望的状態冗談抜きで継続PLAY神様 :2016/01/31(日) 01:41:31.04 ID:5q4Xmm530
穏乃「個人戦、見学していくんですね!」【咲ーSaki-】

↑素朴な奇問ウンコパンツ沁みるポニテチョンの髪の毛糞らのべ流しトイレ詰まらし事件
985 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/01/31(日) 02:01:15.15 ID:hbOSgT+FO
乙です
986 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/01/31(日) 02:25:36.19 ID:4DiDnb7b0
自分も>>978と全く同じことを考えてたらオマケでやられた
987 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/01/31(日) 02:36:01.15 ID:95scKZ7Do
決勝(カラオケ)

これはコクマあたりで対戦させてあげなきゃな
988 :お前らはマシだ真の悲壮と絶望的状態冗談抜きで継続PLAY神様 :2016/01/31(日) 02:59:39.95 ID:5q4Xmm530
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989 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2016/01/31(日) 14:39:06.65 ID:6P8lk+I40
次スレ:憧「個人戦、見学してくのね」【咲‐Saki‐】http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1454218342/
よく見たら投下できるほど残ってなかったので
こちらは埋めていただけると幸いです
990 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/01/31(日) 14:51:25.25 ID:QhzcKP6AO
乙でー
991 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/01(月) 23:30:31.28 ID:dHu76bUAO
一度で良いから末原さんと灼ちゃーの互いの師匠自慢が見たいです!
992 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/02(火) 00:35:57.21 ID:1IZLQUS3o
弘世様はこれから一生イジられ続けるんだろうな……
993 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/02(火) 06:35:59.20 ID:kaWDJ2FW0
>>992
むしろ本望じゃね?
はやりんと同じチームになってから振り切ってるし
994 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2016/02/03(水) 02:59:36.48 ID:sbP3mni50

恭子「……まさかあんたに呼び出されるとは思わんかったわ。 どうしたんや?」

菫「別にいいだろう。 友人として君と少し話したいと思っただけだ」

恭子「……別にええけどな。 ただ、あんまり長居はできんで? 抜けてきとるし主将がうるさいんや」

菫「監督とかじゃなく、愛宕が? 意外だな……あまりうるさい方には見えないが」

恭子「自分が練習してる間に私が他校の人間とのんびりお茶してるんが気に入らんだけや」

菫「なるほどな……そういうことなら納得だが」

灼「むしろ積極的に遊び歩きたい人だもんね」

恭子「普段は私が止める側なんやけどな……今日は『末原ちゃんは普段頑張ってるから〜』って外出許可は監督が快くくれてな」

灼「いい人ですよね、赤阪監督」

恭子「せやな……随分と面倒も見てもらったわ」

灼「もう過去形?」

恭子「……インハイも終わってじき引退や。 いつまでも面倒見てもらうわけにもいかんやろ? 私のことよりも後輩たちの面倒見てもらわんと」

菫「また随分と気が早いことだな……まだ国麻もあるし、世界ジュニアの選抜だってあるだろう?」

恭子「いやいや……国麻はまだ可能性あるかもしれんが……さすがに世界は言い過ぎやろ。 私には荷が重いわ」

菫「あれだけ化物どもと打ち合っておいてよく言う……自信を持ったらどうだ、お前も姫松の大将だろう?」

恭子「私自身はただの凡人や……あそこまでやれたんは……やっぱり監督の……赤阪監督と善野前監督のお陰やな」

灼「……ただの凡人が姫松の大将やってるわけないと思」

菫「……まったくだ」

995 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2016/02/03(水) 03:00:55.08 ID:sbP3mni50

恭子「にしても……やっぱりアレやな、指導者の力ってやっぱ大きいわ……私なんかがあんな化物どもと打ち合えたんやから」

灼「末原さんの実力でしょ……指導者の力が大きいっていうのは同意するけど」

菫「ふふ……お前たち、少し前にもそんな話をしていたと聞いたぞ?」

恭子「ああ……浩子ちゃんとこの前データすりあわせた時、鷺森も一緒やったな……赤土監督の話も聞いたりして」

灼「ハルちゃんの凄さならいくらでも語るけど……」

菫「ああ、私もハルちゃんのことは少し調べたんだ……探したら実業団時代の牌譜やインハイやインターミドルの牌譜も出てきたぞ?」

灼「ハルちゃん、凄いでしょ」

菫「正直驚いたよ。 埋もれていたのが信じられないくらいだ……灼や白水が惚れ込むのもわかる。 インターハイの小鍛治プロに一撃を入れた一局は見事だった。 はやりんですら小鍛治プロには……」

恭子「はいはい、そうやな」

菫「おい、なんで遮った? はやりんが……」

恭子「そういや、赤土監督はインターミドルやインターハイで善野前監督や赤阪監督とも対戦経験あるんやって」

灼「ん……知ってる。 牌譜見ました……末原さんの打ち方、善野前監督に似てますよね」

恭子「入学して……一年の頃から目をかけてもらってたからな……打ち手としても尊敬しとるし、目標にしとる」

灼「わかります、私もやっぱり目標はハルちゃん……赤土晴絵だから」

恭子「目標にしてる人間に直接指導してもらえるってのはうれしいもんや……善野前監督だけやない、赤阪監督も赤阪監督なりに目をかけてくれて……」

菫「なあ、対戦経験といえばはやりんもハルちゃんや善野前監督と学生時代に……」

灼「あ、はい。 そうですね。 ところで善野前監督、お体の方は……」

菫「だからなんで遮るんだ? はやりんの……」

恭子「だいぶ良くなったとは聞いとるんやけど……やっぱり万全とはいかんみたいでな……それでも、大会期間中はこっちで安静にしながらちょくちょく顔出してくれるみたいや」

灼「……末原さん、うれしそ」

恭子「はは……まあなあ」

996 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2016/02/03(水) 03:03:33.11 ID:sbP3mni50


恭子「善野前監督も赤阪監督も、私みたいなのに目をかけてくれて……そうやな、あれだけ人数いるなかで、やっぱり他の部員よりも特に面倒見てもらってたと思うわ」

恭子「……一年の終わり頃、壁を感じて、伸び悩んで……すぐ傍に洋榎……主将みたいなんも居ったしな、正直ちょっと腐ってたわ」

恭子「それでも、善野前監督は目をかけてくれた……体調崩されてからも気にしてくれとったみたいやし、赤阪監督も善野前監督のことは関係なしにいろいろと指導してもらって……」

恭子「……恩返しってわけやないけど、もっとええとこ見せたかったなあ」

灼「……まだ終わってないです」

菫「団体戦は終わったが、個人戦がある。 個人戦が終わっても国麻が、その後はジュニア選抜だ……いいところを見せたければ、努力するんだな」

恭子「……そうやな。 凡人の私には考えることと努力することしかできんのやから」

灼「……末原さんほど考えられて努力ができるならそれも才能だと思」

菫「あんまり自分を卑下するなよ……指導者にも恵まれて結果も出しているんだ。 お前が自信を持たねばそれこそ赤阪監督や善野前監督に失礼だぞ?」

恭子「……そうやな」

恭子「……そうなんやけど…………」

菫「けど?」

恭子「……いや、やっぱり回りを見渡すと化物だらけやろ? うちの主将をはじめとして……あんたんとこの宮永とかな? ほんま意味わからへんわ……」

菫「……お前なあ」

灼「上を見ても下を見てもきりがない世界だからね……でも、私はハルちゃんにたくさん教わって自信はついたよ。 私もいいとこ見せたかったし」

菫「決勝も凄かったが……やはり灼は準決勝の気迫が印象深いな。 亦野は守備が甘い部分があったとはいえアレだけ削られたのははじめてだった……気迫で言えば白水も凄かったが」

灼「ん……対峙しててプレッシャー凄かった……白水さんもハルちゃんのファンなんだよね。 ちょっと話してみたい……」

菫「ふっ……楽しいものだぞ。 私もこの前獅子原や原村とはやりんの話をした時は……」

恭子「そういうもんか。 あ、赤土監督といえば……」

菫「なあ、どうしてさっきから適当に流そうとするんだ? はやりんの話をしたらいけないのか?」
997 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2016/02/03(水) 03:05:27.53 ID:sbP3mni50

恭子「気になって読み込んだんやけどな、例のインハイの牌譜……やっぱり赤土監督も天才やと思うで」

灼「ですよね!」

恭子「小鍛治健夜に浴びせたあの一撃は芸術的やったな……私もああいう一局を残したいもんや」

灼「うん! 私もいつか……やっぱりハルちゃんは天才。 不敗神話を持つ小鍛治プロに一撃当てたのはハルちゃんだけだしこれは実質ハルちゃんが世界一みたいなもの」

恭子「それはちょっと違うやろ……」

菫「そうだぞ、そんなことを言ったら十年以上最前線で人気を保っているはやりんが世界一だと言っても過言では……」

灼「なるほど。 でもやっぱりハルちゃんの凄いところはその指導力。 私たち阿知賀のメンバーもハルちゃんが監督に就いてから一気に実力も延びたし……」

菫「おい! だからなんでだ!? はやりんの他を寄せ付けないかわいさについて語ったらいけないのか!?」

恭子「教えるのが上手いってのも才能やなぁ……まあ、その点で言ったらうちの赤阪監督や善野前監督もピカ一の腕前やけどな。 かくいう私もお二人の指導のお陰で開花したようなもんや」

灼「それを言うならハルちゃんは……」

恭子「いやいや、うちの監督かて……」

菫「もういい! わかったから! お前たちもそれ止まらないやつだろ!? ストップだストップ!」

恭子「む……」

灼「ん……まあ、たしかに……」

菫「はぁ、まったく……しかし、指導者の重要性というのはお前たちを見ていると改めて考えさせられるな。 思い入れも強いようだし……」

灼「子どもの頃からヒーローだったから……」

恭子「さんざん世話になっとるからな……言い尽くせんほど感謝しとる」

菫「そうだな……ふふ、灼は個人戦にはエントリーしなかったようだが、私たちはまだ戦う機会が残されているんだ。 しっかりやろう」

恭子「せやな……あまり自信はないが、ここでええとこ見せれば、選考委員の目にも留まるかもしれん……よくて国麻、奇跡で世界ジュニア……ギリギリまで打ちたいもんや」

菫「ああ……そういえば、世界ジュニア……噂は聞いているか?」

灼「噂?」

菫「ああ。 今盛り上がっていた……指導者、つまり監督やコーチの話だ」

998 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2016/02/03(水) 03:08:19.35 ID:sbP3mni50

恭子「ふむ……公式に話が出るのはまだやろ? 今までのデータから言えば実績のあるプロチームの指導者やプロの打ち手が付くのが基本やけど」

菫「それが……どうも、ジュニア選抜だということで今後は世界を意識して国内の指導者のレベルを上げるためにも若いプロを学生につけて経験を積ませたいらしい」

灼「へぇ……でも、そんな話どこから?」

菫「うちの監督がそんな感じのことをな……麻雀協会の方とも繋がりがある方だから、まったくの法螺話ということはないと思う」

恭子「なるほどなぁ……若手と言うと勢いがあるのは戒能プロとか……いや、さすがにまだ若すぎるか。 三尋木プロ辺りが本命か?」

灼「ああ……日本代表のエースだし、人気も話題性もあるからそれはありそ」

菫「たしかに、それはありそうだが……少し不安じゃないか? なにかと言うと……」

恭子「ぷっ……『わっかんねー』やもんなあ……」

灼「ふふ……あれでわかりにわかってるから流石のトッププロだけどね」

菫「そうだよな……だか、やはり指導力という点で不安が残るだろう? そこで、私の推理を聞いてほしいんだが……」

恭子「ほう? どんな推理や?」

菫「末原や灼が言うように、人気と話題性も重要になる。 大人の事情で言えば大金が動くわけだしな……そして若く、指導者への転向も視野に入る打ち手……」

灼「……若いと言っても、もう少し上?」

恭子「ああ……たしかに、いくら経験を積ませると言っても、麻雀は長いこと続けることもできる競技やしな……二十代半ばは若すぎるか?」

菫「そして、代表チームを任される以上、指導の経験や実績もある程度以上の人間が選ばれると思うんだ」

恭子「……ん?」

灼「……まさか」

菫「ふっ……気づいたようだな」

菫「そう、実力も人気も国内トップクラスでありながら、牌のお姉さんとして子どもたちにもわかりやすく指導ができる……」

恭子「あ、うん。 そういえば……」

菫「つまり! はやりんが代表チームの監督になるんじゃないか!?」

灼「……推理というか願望なんじゃ」

菫「個人戦や国麻へのモチベーションも上がるよな! はやりんにいいところを見せるぞ! もしはやりんの目に留まればジュニア選抜に……そしてお近づきになるチャンスが!」

恭子「……止められんかったな」

灼「……もう満足するまで語ってもらうしか」

菫「ははは! 頑張ろうな、末原、灼! 世話になった師に、そしてはやりんにいいところを見せような!」

恭子「あ……うん、せやな」

灼「頑張りましょうね」

菫「ああ! ふふ、見ていてくださいはやりん! きっと貴女の目に留まる活躍をして見せます!」

恭子「……こっそり帰ってもバレないんやないか?」

灼「放置するのもいろいろと問題が……」

菫「どうしたんだ? 暗い顔をして? ふふっ、元気を出すにははやりんの歌が一番だぞ!」

恭子「あはは……」

灼「……そうですね」

菫「はやっ☆」


カン!

999 : ◆FYW.3i5lks [saga]:2016/02/03(水) 03:10:53.30 ID:sbP3mni50
>>991と何故かいる弘世様で埋め
次スレに乗り込めー
1000 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/03(水) 03:37:28.98 ID:d4yWNI4ho
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