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【艦これ】俺氏、チ級になる

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631 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage saga]:2016/05/09(月) 19:17:47.86 ID:Uh2cziCR0

第六話 ほっぽちゃん、東京へ行く


ここは常春、南国の孤島。青い空、白い雲、白い砂浜、咲き乱れる花。

そんな楽園に俺のチンジュフはあるのだが、司令室の雰囲気は重かった。


チ級「え? 日本に行くから、一緒に来てほしい?」

旅客船姫「はい……XXXX鎮守府の長門さんに招待されまして……」ドヨーーン

チ級「ど、どういう経緯で?」

旅客船姫「それは……」
632 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/05/09(月) 19:23:55.93 ID:Uh2cziCR0

数ヶ月前、筑摩が大きな防水スーツケースと共に鎮守府から戻ってくると、ヘ級の部屋に向かった。


筑摩「ヘ級ちゃん、お土産です♪」

ヘ級「ありがとう! って、大きいスーツケースですね。なんですか、これ?」

筑摩「衛星インターネット端末です!!!」ババーーーーン

ヘ級「え、ほんとう!?」キラキラ

筑摩「これで海軍の衛星インターネット回線を使えるようになります! もちろんルータ機能もありますから、

皆さんのパソコンで、快適なネットサーフィンが楽しめますよ!」

ヘ級「やったあ! ありがとう!」キラキラ


深海棲艦が出現してから、大陸間の通信は全て衛星経由となった。海底の通信ケーブルの保守が出来なくなったためだ。

衛星インターネット端末を使えば、その衛星ネットワークに直接接続して、高速な回線が使える。

光回線はおろか、普通の電話線さえない孤島のチンジュフの俺にとって、これはありがたい話だった。

なぜならネットをやるには本土のネットカフェに行かなくてはならないからだ。
633 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/05/09(月) 19:29:03.61 ID:Uh2cziCR0

ヘ級「でも、お高いんでしょ、これ?」

筑摩「私が出先で寂しくならないように、って提督が費用を出してくれました。回線費用も提督持ちです。

ってそうそう……。提督や隊長たちのチャットのアカウントIDを、ムサシさんやティターニアさんに伝えてくれって言われました」

ヘ級「えぇ……」

ヘ級(結局、ナンパのためか! でもまあいいかな……。ネットが出来る環境はうれしい!)


筑摩とヘ級が、衛星インターネット端末を組み立てた。

大きいパラボラアンテナが付いている端末を、チンジュフの屋上に置く。

コンセントをつないで、電源ON。


ヘ級「アンテナの方向はどうすればいいの?」

筑摩「静止衛星はあっちですから……ていっ!」アンテナくいっ

へ級「さてさて……キターーーーーー!!!」


ヘ級のノートPCのブラウザに、ポータルサイトが表示される。

かくして、なんとこのチンジュフにもIT化の波が来たのだった。
634 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/05/09(月) 19:32:33.41 ID:Uh2cziCR0

チ級「さっそくゲームでもするか!」


マグロで稼いだ金でPCを買った俺は、最近、『戦艦少女これくしょん』というブラウザゲームにハマっていた。


チ級「ああ……イベントが突破できねぇ……」


むしゃくしゃした俺が、気分転換に海岸をぶらぶらと歩いていると……。


リ級「こんにちはです」

チ級「こんにちは」

リ級「『いんたあねっと』を使うと、遠くの人とお話できるんです?」

チ級「できるよ。誰かと話したいの?」

リ級「船上パーティで仲良くなったお友達と話したいのです!」

チ級「お! お……」

チ級(うーん……深海棲艦が艦娘とボイスチャットするのは、いかがなものだろうか……)

チ級「ちょっと姫様と相談してみる」

リ級「お願いなのです」


俺は姫様に相談することにした。


- 続く -
635 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage]:2016/05/09(月) 19:35:34.66 ID:Uh2cziCR0
終わりが見えてきた
八話で完結の予定
636 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/09(月) 19:53:16.22 ID:jIakXV1P0
お、待ってました!
深海世界にもITの波が広がるのか…
637 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/10(火) 06:47:35.93 ID:n4hw7Uoq0
乙です!
638 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/11(水) 00:47:35.28 ID:xWRjUqCVo
待ってた乙!!
639 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/14(土) 19:53:28.50 ID:Q0LdXPrY0
640 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/05/16(月) 02:05:18.41 ID:7rig+SEmo

旅客船姫「申し訳ないですが……さすがに艦娘さんとのボイスチャットは遠慮して頂きたいのです」

チ級「しっかり者のリ級ちゃんなら大丈夫だと思うんですが……」

旅客船姫「リ級さんがしっかりしているのは、私も存じております。ただ……誰にでも間違いはあります。

艦娘さんとの会話での間違いは、このチンジュフの安全に関わるのです。

もし深海棲艦とばれでもしたら……。ですから……どうか諦めて頂けませんでしょうか」


チンジュフの安全を出されてしまうと、俺もこれ以上押せなかった。


チ級「かしこまりました。失礼いたします」


俺は司令室を出たのだが……。


チ級(あ、そういえば明日の作業について聞くの忘れてた)


引き返して司令室の扉の前に戻ると、なにやら声が聞こえてくる。


旅客船姫「……料……娘向けの……ボーキ……燃……間……」

チ級「?」
641 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/05/16(月) 02:07:21.90 ID:7rig+SEmo

そっと扉を開け、中を見ると……。


旅客船姫「ええ? そんなレシピが! ありがとうございます! ボーキと鋼材をこんな風に使うなんて……。

うん……そうですね……人間向けの料理からは思いつかない発想ですね……」


旅客船姫がヘッドセットを付けて、PCに向かってしゃべっている。


チ級(誰としゃべってるんだ?)

旅客船姫「とても参考になりますわ! ええ……いつも教えてもらうばかりで申し訳なくて……。

イギリス料理でしたら、いつでも……ええ……はい……間宮さん……。ほんとうに……オッホホホ! ではごきげんよう……」


満足げな旅客船姫。


旅客船姫「あら……」

チ級「……」


俺の頭の中で「目と目が逢う 瞬●好きだと気付いた〜♪」というフレーズが流れる。


チ級「……」ニコッ

旅客船姫「」


旅客船姫からリ級のボイスチャットの許可が出た。
642 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/05/16(月) 02:09:51.23 ID:7rig+SEmo

チ級(じゃ、早速……)


俺の使ってないデスクトップPCを、共用PCとして食堂に設置した。


リ級「この『スネイプ』というソフトでお話ができるのです?」

チ級「そうだよ。このヘッドセットを付けて、カメラに顔を向けて……そう……そして相手を呼び出してみて」


リ級は船上パーティで艦娘からチャットのアカウントIDをゲットしていたので、呼び出してみると……。


雷「こんにちは〜。リンは元気? 何か困ったことがあったら遠慮なく言って! いつでも頼っていいのよ!」ニパッ

暁「ごきげんよう。暁はレディだから、お姉さんだから、私のことも頼っていいんだからねっ!」ニコッ

響「やあ。元気そうじゃないか。船上パーティ以来だね。また会えてうれしいよ」ニヤリ

電「こんにちはなのです。この再会は運命(ディスティニー)なのです。必然なのです。ソウルメイトだからなのです」ニコッ

リ級「こんにちはなのです! またみんなの顔を見れて、本当にうれしいのです!」パァアアア


楽しそうなリ級を見て、俺は満足した。
643 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/05/16(月) 02:13:31.50 ID:7rig+SEmo

しかし、数日後……。


レ級「なんダ、コレ?」


食事に来ていたレ級が目ざとくPCを見つけた。


チ級「これはPCと言いまして……」

レ級「フーン、面白そうジャン?」


使い方を一通り教えると、何やら調べ始める。


レ級「アッホーに、グールグルか……ドレドレ……」


どうやら自分のことを調べているらしい。


レ級「キシシシッ! オレ、死神ダッテサ! 悪くナイ!」

チ級(エゴサーチかな?)


レ級をはじめ、人類は深海棲艦についてほとんど知らない。

だから様々な憶測がとびかっていて、それが面白いようだ。


レ級「ナニナニ……オレのナップザックには何が入っているか一番面白いこと言った奴が優勝? キシシシッ!!!」


まさか菓子で一杯だとは夢にも思うまい。

ということで、インターネットはレストランのアトラクション?の一つとなった。
644 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/05/16(月) 02:15:39.37 ID:7rig+SEmo

そんなある日、買出し帰りのギャリソンが見慣れない荷物を持ってきた。


ギャリソン「郵便局の私書箱に、港湾棲姫様あての届け物がございました。XXXX鎮守府の長門様からでございます」

旅客船姫(……爆弾かしら……)

旅客船姫「港湾棲姫様に使いを出しましょう」


連絡機を飛ばすと、返事が来た。


旅客船姫「荷物を受け取りに、港湾棲姫様と北方棲姫様、港湾棲鬼様がいらっしゃるそうです」


一行が到着すると、食堂に集まり、荷物を開封することになった。


港湾棲姫「これは一体……」

チ級「カメラですね。シャシンを撮る道具ですよ」

北方棲姫「シャシン! ほっぽ、シャシン知ってる!」フンス


デジタル一眼レフ、フルサイズCMOS、5000万画素、撮影速度:20枚/秒とある。


ヘ級「すごい! キャノニコパス OEDO-K1ですよ、これ!」

チ級(いくらするんだ、これ……?)

ヘ級「レンズも……純正のいいものですよ! CFカードも……512GB! やりますねぇ!」


ヘ級が一番興奮していた。
645 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/05/16(月) 02:22:27.04 ID:7rig+SEmo

ダンボールの中には、何やら額縁めいたものがある。


港湾棲姫「……!!」


厳重な梱包を開けると、船上パーティで撮影した北方棲姫の写真の大判印刷パネルが出てきた。


チ級「北方棲姫様、かわいいですね。撮影した人も上手ですな」

港湾棲姫「ナガト……」

チ級「港湾棲姫様、手紙が入ってますよ」


俺はダンボールから手紙を取り出し、港湾棲姫に渡した。


港湾棲姫「……拝啓……」


――――――

拝啓 ハーバー様


新緑の野山に萌える今日このごろ、いかがお過ごしでしょうか。

先日の船上パーティでは、アル様を撮影させていただけたこと、まことに感謝しております。

今でも時々アル様の写真を眺めては、あの時のことを思い出しております。

そのお礼として、アル様の写真パネルとカメラをお送りいたしましたので、どうぞご笑納ください。

もしカメラでアル様をご撮影されて、それを当方に送っていただけたら幸いです。

※私のメアドです。e-mail: nagamon-big7@xxxx-tinjyufu.go.jp

日本の地より、これらからのますますのご活躍をお祈り申し上げます。


敬具

XXXX鎮守府 長門

――――――
646 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/05/16(月) 02:24:36.94 ID:7rig+SEmo

チ級「」

ヘ級「」

ヘ級(長門さん……北方棲姫様の写真欲しさに、何十万円使ってるの?)

港湾棲姫「……アラ? 続きが……」


――――――

追伸

当鎮守府の提督が、もしムサシさんを撮影したら送ってほしい、と言っていました。

もし機会がございましたら、そちらもよろしくお願いいたします。

なお、カメラの費用は提督が出しました。

――――――


チ級「」

ヘ級「」

ヘ級(XXXX鎮守府のみなさんには申し訳ないけど、この提督……だめだこりゃ……)


- 続く -
647 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/16(月) 04:09:55.92 ID:pMhwoeGv0
乙です!
648 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/16(月) 09:48:26.21 ID:2u+QWXqro
メールアドレスでクスッと来た
649 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/06/05(日) 19:02:06.99 ID:879i7T4lo

港湾棲姫「『かめら』で、ほっぽを撮りたいのダケレど……どうすればイイの……?」

ヘ級「こうすればいいんですよ!」テキパキ


箱からパーツを取り出し、あっという間にカメラを組み立てる。


へ級「港湾棲姫! このカメラを持って下さい……そうです。北方棲姫様にカメラを向けて……そこを覗いて下さい」

港湾棲姫「む……ん……? ほっぽが見えル!」

へ級「白い四角を北方棲姫様にあてて……ハッキリ見えるようになりましたか?」


カメラのレンズがウインと動いた。


港湾棲姫「急に絵がクッキリした!」

へ級「北方棲姫様……カメラを見て……ニッってして下さい」

北方棲姫「……ニッ!」

へ級「港湾棲姫様! 今です! そのボタンを押してください!」

港湾棲姫「!」パシャ


へ級がカメラを受け取り、またいじくる。


へ級「可愛いらしく撮れました!」


北方棲姫の笑顔が、カメラのモニタ一杯に写っていた。


港湾棲姫「かわいい……」パァアアア

北方棲姫「ほっぽのお顔……」キョトン

港湾水鬼「カワイイ……!?」ビキキキキッ

チ級(港湾水鬼様……顔怖いな……)

へ級「可愛らしいですね! ここには子供服も沢山ありますから、他の服もどうですか?」

港湾棲姫、港湾水鬼「……」キュピーーン
650 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/06/05(日) 19:04:58.00 ID:879i7T4lo

ということで、北方棲姫の撮影会が始まった。


へ級「まずはこちら! ピンクのフリフリドレス! お帽子と傘までピンクで統一。白いタイツがアクセント」

港湾棲姫「かわいいッ! かわいいッ! かわいいッ! うちのほっぽは、世界いちぃいいいいいいいい!!!」ホオズリ ホオズリ

北方棲姫「ほっぽのホッペが摩擦でマサチューセッツ(BB-59)!!!」

チ級「お客様〜。モデルさんにはお触り禁止です〜!」ガシッ


へ級「つぎはこちら! 黒いショートパンツに白いブラウス! 黒い革靴にサスペンダー。ボーイッシュな男の子をイメージ!」

港湾棲姫「かわいいッ! かわ(ry」ホオズリ ホオズリ

北方棲姫「ほっぽのホッペが(ry」

チ級「お客様〜。モ(ry」ガシッ


へ級「そしてこれ! 本格メイド服! 小さな見習いメイドさん! うちの一押し!」

港湾棲姫「か(ry」ホオズリ ホオズリ

北方棲姫「ほ(ry」

チ級「お(ry」ガシッ


へ級「最終兵器! スク水! カワイイ!!!」

港湾棲姫「かわいい!!! かわっッッッ……ん゙ん゙ん゙ッ」ブバッ!!!

北方棲姫「姫ねーちゃん!!!」

チ級「港湾棲姫様が鼻血をッ!!!」


と言いつつも、せっかくなのでスク水の北方棲姫の写真を撮る俺。


チ級「北方棲姫様! ニッ?」

北方棲姫「ニッ!」パシャ

へ級「アホなことしてないで、早く医務室に運んで!」
651 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/06/05(日) 19:10:59.87 ID:879i7T4lo

俺とヘ級で港湾棲姫を担ぎ、医務室へ運んだ。


港湾棲姫「……あ……ワタシは……」

へ級「お気づきになりましたか?」

北方棲姫「姫ねーちゃん……目が覚めて……良かっタ……」グシグシ

港湾水鬼「心配したゾ……!?」ビキキキキッ


へ級が封筒を取り出す。


へ級「先ほど撮影した写真です。プリンターで印刷しておきました」

港湾棲姫「アリガトウ……ところで、この『かめら』だが、ワタシでは使いこなせない。だからへ級が預かってくれないか?

ここに遊びに来たとき使わせてくれればイイ。使いたい者がいれば自由に使わせてやってクレ……」


そういうわけで、レストランにカメラというアトラクションが増えたのであった。


- 続く -
652 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/05(日) 22:34:44.27 ID:20C64XDT0
乙です!
653 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/07(火) 12:41:33.53 ID:wS8nUHIZO

水鬼様怖いですwww
654 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/07(火) 22:39:27.57 ID:IMr+W1HSo
655 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/12(日) 19:06:18.64 ID:cSB+M3750
ほしゅ
656 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/26(日) 14:57:02.50 ID:96ZlNwW80
はよ
657 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage]:2016/07/08(金) 05:01:01.74 ID:o6LXYA2Xo
7月保守
658 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/23(土) 16:59:31.37 ID:o263Pxiy0
659 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage]:2016/07/25(月) 23:35:55.72 ID:MVOluYqco
再開するよ〜
660 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/25(月) 23:36:27.34 ID:QaK84vcqo
おかえりー
661 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/07/25(月) 23:36:45.25 ID:MVOluYqco

なお撮影した北方棲姫の写真は、お礼として長門に送ったそうな。

そして、数日後……。


レ級「なんダ、コレ?」


食事に来ていたレ級が目ざとくカメラを見つけた。


チ級「これはカメラと言いまして……」

レ級「フーン、面白そうジャン?」


使い方を一通り教えると、何やらいじくり始める。


レ級「ハイ! チーズッ!」サッ

チ級「ニ゙ッ」ニタァ


俺の写真を撮ると、レ級は爆笑した。


レ級「チ級のブサイク顔ゲットー! キシシシシッ!」

チ級「」


カメラには俺の白目変顔がバッチリ写っている。

これに味をしめたレ級はカメラを気に入ったようで、レストランに来るたびに島の皆や客の深海棲艦を撮りまくっていた。
662 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/07/25(月) 23:38:19.08 ID:MVOluYqco

それからしばらくして、港湾棲姫あてに長門から一通の手紙が届いた。


港湾棲姫「なんだろう?」

旅客船姫「はて、なんでしょうか……」


――――――

拝啓 ハーバー様


季夏の候、皆様におかれましては、いよいよご隆盛のことと存じます。

アル様の写真、心より感謝いたします。まことに可愛らしく感動いたしました。

ところで皆様の深海棲艦コスプレをフェークブック、ビンタテストで拝見いたしましたが、クオリティの高さに感服いたしました。

私もコスプレチームに所属しておりまして、メンバーに見せたところ、実際に見てみたいということで意見が一致しました。

つきましては、艦娘コスプレイベントのゲストとして、ハーバー様、アル様、ティターニア様、レン様、深海棲艦コスプレチームの皆様を日本に招待したいと存じます。

ぜひとも日本に来て、観光をお楽しみ下さい。

なお旅費、宿泊費のご心配は不要です。

参加人数を筑摩にお伝え下されば、飛行機のチケットを送らさせて頂きます。

日本の地より、これらからのますますのご活躍をお祈り申し上げます。


敬具

XXXX鎮守府 長門

――――――
663 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/07/25(月) 23:40:40.88 ID:MVOluYqco

港湾棲姫「」

旅客船姫「」


唖然とする二人。


港湾棲姫「……『こすぷれ』とはなんだ?」

旅客船姫「……私も存知ません……」

旅客船姫(全くわけが分かりません……何か勘違いをされているのでは……? それにレン様って誰でしょう? 日本に招待なんて……絶対、罠ですね)

旅客船姫「罠かもしれません。君子危うきに近づかず、と言います。招待はお断りを……」


――――――

追伸

当鎮守府の金剛が「フォートナム・アンド・メイソン」の「ロイヤルブレンド」を皆様にご馳走したいそうです。

イギリスの産業が壊滅した今では、めったに手に入らない貴重なお茶だそうです。

それと沈黙隊長がティターニアさんに会いたいそうです。

――――――


旅客船姫「虎穴に入らずんば虎児を得ず、とも言います。これは日本に行くしかありませんねッ!」キリッ

港湾棲姫「」

旅客船姫(フォートナム・アンド・メイソンを出すなんて、なんと卑怯な……罠かもと思っても、抗えない……。

命は惜しいですが、ロイヤルブレンドも飲みたい……。ああああああーーーー!!!)


ということで、日本に招待されてしまったそうな。
664 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/07/25(月) 23:44:15.55 ID:MVOluYqco

旅客船姫「……というわけです。チ級さんは元は日本人だそうですね。そんなチ級さんに一緒に来てもらえると、とても心強いのです」

チ級「わかりました。が……コスプレイベントに招待とは一体……」


『こすぷれ』の意味は、アッサリと分かった。


レ級「アア、オレが撮った写真、フェークブックにアップしといたゼ! キシシシシッ!」

チ級「」


フェークブックを見てみると……


――――――

レレレのレン@南国棲地

本物の深海棲艦やってま〜す(笑)

Lives in ZZZZ国 YYYY島

――――――


チ級「住んでるの、ここになってるじゃないですか! やだもー!」

チ級(レン様って、レ級さんのことだったのか……)


そこには深海棲艦の写真がビッシリとアップロードされていた。
665 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/07/25(月) 23:46:17.06 ID:MVOluYqco

チ級(フレンドにnagamon-big7さんがいるぞ……あの人なにやってんだろ……)

レ級「オレ達の写真、大好評だゼ!」


写真のコメントを見ると……


「外人のコスプレぱねぇ」

「港湾棲姫の横乳ハァハァ……」

「北方棲姫が可愛すぎて辛い……」

「装甲空母姫の写真は、どれもこれも絶妙に大事なところが見えない……なぜなのか……」

「タ級の尻、エロ杉ワロタ」


どうやら俺たちは深海棲艦のコスプレチームと思われているようだ。


チ級(ですよねーー。そう思って当然だよね)

レ級「お前の写真もあるゼ?」


俺の変顔もアップされてる。


「いやーきついっす(素)」

「(白目は)ないです」


チ級「」


まさか本物の深海棲艦が自分たちの写真をネットにアップしているとは思うまい。

それでも目立ったり、住んでいる場所を公開するのはリスクがある。

しかし、我が鎮守府がレ級に文句を言えるはずもなく、レレレのレン@南国棲地のページは、現在も絶賛稼働中であった。
666 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/07/25(月) 23:48:44.18 ID:MVOluYqco

一方、数か月前のXXXX鎮守府……。

指令室に提督と長門がいた。


長門「このような高価なカメラを本当に贈っていいのか?」

提督「かまわん。費用はこちらで持つ」

長門「そうか、分かった」


長門と入れ替わりに、日向と鳥海が部屋に入ってきた。


日向「……以上で遠征の報告は終わりです」

提督「うむ。ありがとう」

日向「ところで提督、長門となにをやっておられるのですか?」

提督「『仲直り』の手伝いだ」

日向「『仲直り』?」

提督「船上パーティでご婦人の悩みを聞いてな。紳士である俺としては助ける義務がある」

日向「ああ、思い出しました」

鳥海「?」


提督は旅客船姫の相談を鳥海に話した。


鳥海「そんなことが……」

日向「しかし、カメラを贈るのと『仲直り』がどう関係するのですか?」

提督「プレゼントは女を落とす第一歩だ」

鳥海「」

日向「」

日向(提督が言うと生々しいな……)

提督「言い方を変えるか。贈り物は相手と仲良くなる第一歩だ」

日向「そうですか……」

提督「相手が興味を持ちそうな物、気に入りそうな物を贈って、相手の心をこじ開ける」
667 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/07/25(月) 23:50:59.96 ID:MVOluYqco

鳥海が少し首をひねる。


鳥海「個々人のレベルなら『仲直り』も可能だと思いますが、全体では難しいのではないでしょうか?」

提督「……」

鳥海「感情もさることながら、深海棲艦との戦争は世界経済に完全に組み込まれています」

提督「そうだな。日本に至っては経済が戦争に依存しきっていて、その上、戦争前より繁栄している。一番現状を維持したいのは日本かもな」


深海棲艦から自国の商船を護衛する力を持っているのは、艦娘を所有しているアメリカ、日本、NATOだけであり、

結果、アメリカ、日本、NATOが世界の海運を牛耳ることになった。

太平洋航路をアメリカと二分している日本は、海運、他国商船の護衛で、莫大な富を得ている。


提督「日本の財界は和平を望んでいない。今の立場を失いたくない海軍もな」

日向「まあ……そうなりますね」


国富の稼ぎ頭の海軍の立場は非常に高く、発言力も強い。まさに隆盛を誇っていた。


提督「和平を望んでいるのは陸軍と中国だな」


陸軍は調子に乗っている海軍を非常に不愉快に思っている。

中国は艦娘を所有していないため、輸出しても利益のほとんどを海運料に取られてしまい、

輸出すればするほど日本だけが儲かり、自分は儲からない状態に陥っていた。
668 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/07/25(月) 23:53:55.51 ID:MVOluYqco

提督「かくいう俺も和平を望んでいる」

日向「そうですか」

提督「意外って顔だな」

日向「正直、意外でした」

提督「俺はこの戦争が気にくわない。早く終わらせたいね」

提督「今の俺はな、言ってみればコートの外のバスケット小僧だ。楽しそうに試合をしているお前らを、

ボール片手に指をくわえて、羨ましそうに見ているだけのな」

鳥海「……」

提督「戦場は俺たちの場所だったんだ。しかし今はどうだ。お前たちと深海棲艦だけで試合をしている。

そろそろコートを空けて欲しいというのが、正直な感想だ」

日向「……」


提督が椅子に深く座り直す。


提督「……提督家は代々軍人でね。といっても将官とか元帥とかじゃない。傭兵、海兵隊員、降下部隊員とか、まあ兵隊だな」

日向「……」

提督「兵隊をやって好き放題暴れて、金を稼いで、旨い料理を食って、上等な酒を飲んで、いい女を抱いて、

子供をあちこちに作ったら、戦場で無責任に死ぬ……。これが代々伝わる提督家の男子の生き方だ」ニヤリ

日向「率直に言わせて頂くと……まあ……ろくでなしですね」

提督「そう言ってくれるな。兵隊以外の生きかたを知らないんだ。ある種の社会不適合者ともいえる。

俺も提督家の血のせいか知らんが、戦場で大暴れしたい。だが、この戦争で人間の兵士はお呼びじゃない。

お前らだけで楽しんでいる。もう外野はうんざりだ」

日向「私たちは別に楽しんでいるわけではないのですが……」

提督「それは分かっているがな……」
669 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/07/25(月) 23:57:15.85 ID:MVOluYqco

鳥海がメガネをクイッと上げた。


鳥海「話を戻しますが、深海棲艦との戦争は、もはや世界経済の枠組みの一部となっています。

和平は世界経済に大きな影響を与えるでしょう」

提督「海軍の予算だけでも十兆円以上だしな。和平となったら予算は激減するだろう。

それに、この戦争で飯を食っている奴はごまんといる。和平を阻止するには十分すぎる理由だ」

鳥海「海軍上層部が私たちの潜水装備の提案を受け入れなかったのも、巣の攻略に消極的なのも、もしかして……」

提督「かもしれん」ニヤリ

日向「状況は厳しいですね。提督は和平の策をお持ちなのですか?」

提督「ない。材料が足りなすぎて検討さえできん。これでは和平の『絵』が描けない。

それでだ、材料を集めるためティターニアさんを日本に呼んで、色々事情を聴こうと思っている」

鳥海「司令官さんらしくありません。いつもなら女性に手間をかけさせず、司令官さん自ら赴くのではないですか?」

提督「俺が動くと目立ちすぎる。俺が会いに行ったら、情報部がティターニアさんに目をつけるかもしれん。それに……」

鳥海「それに?」

提督「俺にはムサシさんがいるからな。他の女と二人きりで会いたくない」ニヤリ

日向(ろくでなしなのか、誠実なのか……ふふっ……本当にたちが悪いな)


日向が微笑む。


日向「筑摩によるとティターニアさんの性格は『穏やかで明るい。少々腹黒だが、根は善良。

小心で臆病だが、開き直ると意外とふてぶてしい』だそうです。招待したとして、小心で臆病な彼女が来ますかね?」

提督「俺の経験上、年頃の女の子には食い気か色気だ。ということで、金剛と沈黙隊長を呼んである。彼女たちも交えて作戦会議だ」
670 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/07/26(火) 00:01:18.57 ID:rcRYlRMPo

提督の思惑通り、旅客船姫は食い気で見事に釣り出されてしまい、俺たちは日本に行くことになった。

メンバーは港湾棲姫、北方棲姫、旅客船姫、ル級、レ級、リ級、そして俺。


チ級(不安しかないこのメンバー……生きて帰れるのか……その前に飛行機に乗れるのか……?)


この時代、旅客機は全て超高高度を飛行する超音速機になっていた。

我に追いつくグラマンなし、ではないが、超高高度を超音速で飛べば深海棲艦の艦載機に撃墜されないそうな。

そしてZZZZ国の国際空港の発着ロビーに来たのだが……。


キンコーーン


チ級「」

係員「お客様、アクセサリーなど金属類をお外しになって下さい」

チ級「は、はい」


俺は腕時計、財布、キーホルダーを係員に預けて、もう一度、金属探知機を通った。


キンコーーン


チ級「」

係員「お客様……」

チ級「ひゃい!」


俺は金属ホックの付いているブラを外し、もう一度、金属探知機を通る。


キンコーーン


チ級「」


振り向くと係員がマッチョな完全武装の警備員と何やら話をしている。


チ級(しまった……体内に格納した艤装が金属探知機に反応しているのか……まずい……)


ゴリラのような警備員たちがゾロゾロとやってきた。


- 続く -
671 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/26(火) 00:15:18.91 ID:vF5/JcV9o
672 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/26(火) 03:09:30.41 ID:qOWgEMUA0
乙です!
673 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/26(火) 09:30:41.28 ID:noy71iKh0

片仮名でムサシって書いてあると大雪山おろし使う人がチラつく……
674 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/26(火) 12:49:31.27 ID:xr3yqtL8O
待ってました乙です!
リアルコスプレチームw
675 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/09/02(金) 22:05:02.25 ID:QZ5Hh2ewo
保守
676 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage]:2016/09/06(火) 22:36:16.02 ID:fDj8KOLpo
>>675
保守サンクス
677 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/24(土) 14:48:15.07 ID:x7gaIkmvo
マダー?
678 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/01(土) 13:01:18.93 ID:gBdoeW7OO
保守
679 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage]:2016/10/12(水) 07:35:23.78 ID:g6Zhm9mLo
保守
680 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/19(水) 02:20:49.30 ID:EccKFEu40
乙でございます
681 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage]:2016/10/31(月) 00:05:02.64 ID:mn2ncK9do
再開するよー
682 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/10/31(月) 00:06:30.92 ID:mn2ncK9do

警備員「マダム、あちらでお話を」


口調は丁寧だが、目が笑っていない。

解剖されて、ホルマリン漬けになっている俺の姿が頭に浮かぶ。


チ級(あばばばば!?!? どうすれば!!!)


ふと、ヘ級から渡された封筒を思い出した。


チ級「こ、これ! これを見てください!」

警備員「や、これを早く出してくだされば。失礼致しました。どうぞお通り下さい。」


そこには医者の診断書があった。

骨折のため体内に金属プレートが埋め込まれている、とある。

ちょっと多めのお金を払って、全員分の診断書を書いてもらったそうだ。


チ級(医者も適当だな……。でも今回は感謝)

683 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/10/31(月) 00:08:38.16 ID:mn2ncK9do

無事、飛行機に乗り込む俺たち。


アナウンス「当機は東京 XX:XXに到着予定でございます。ただいまより、機内サービスについてご案内させていただきます」


明るい機内。客は満員。日本人の団体客もいた。

しかし、俺たちは団体客の席からはなれて、まっすぐ先頭に進む。

俺たちの座席は、なんとビジネスクラスだった。


チ級(しかし……ビジネスクラスって……。艦娘って給料良いのかな?)


提督のポケットマネーから出ているとは、知る由もない。

ふと見ると、港湾棲姫が座席に座っている。さすがのビジネスクラスでも、ケツがみっしり。きつそうだ。


チ級(マジか……尻肉がはみ出そう……)


旅客船姫と警護のリ級、港湾棲姫と北方棲姫が隣同士。俺の隣は……。


レ級「CAのスカートってさ! パツーンとしてて、そそられるよナ! そう思うダロ?」

チ級「ご自重下さい……」


レ級だった。
684 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/10/31(月) 00:13:22.45 ID:mn2ncK9do

レ級「CAを間近で見たいから通路側の席にシタケドサー、外見たいから席代わっテ?」

チ級「はい」


しばらく窓から外を眺めると……。


レ級「トイレ行きたいから、やっぱ通路側に代わっテ」

チ級「……はい」


そして……。


アナウンス「まもなく出発いたします。お座席のベルトをしっかりとお締めください」


甲高いエンジンの音が大きくなる。

徐々に動く機体。


チ級(キタキターーーー!)


超音速機だけあって、ものすごい加速。体が席に押し付けられる。


レ級「キシシシッ!!! スゲーーー!!! 人間ヤルジャン!!!」


子供のようにはしゃぐレ級。超楽しそう。北方棲姫も興奮している。

リ級、港湾棲姫は落ち着いている。

旅客船姫は、真っ青な顔で十字架のペンダントを握り締めていた。


チ級(深海棲艦も神に祈るんですね……)

旅客船姫「こんな鉄の塊が空に浮くなんて、やはり信じられません……いや、疑ってはだめです……艦載機だって飛んでいます……。

でも氷山にぶつかったら……いや、空に氷山はありません……でもラピュタが本当にあったらなら……信じるのです……」ブツブツ


グワっと機体が持ち上がり、離陸した。


旅客船姫「ひぃッ!」


ぐんぐん上昇し、窓から島々が一望出来るようになる。


チ級「レきゅ……レンさん。見てください。一面、海と島ですよ! 俺たちの島も見えます」

レ級「ワーオ! 席代わって」

チ級「」
685 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/10/31(月) 00:16:51.57 ID:mn2ncK9do

アナウンス「ベルト着用のランプが消えるまで、ベルトを外さないようお願いいたします」


その後、レ級はビジネスクラスのフルコースを堪能し、たらふく酒を飲んで寝てしまった。


アナウンス「当機はまもなく降下態勢に入ります。お座席のベルトをお締めくださいますよう、お願いいたします」

チ級(とうとう日本に戻ってきた)


窓の外は、夜でほとんど何も見えない。

機体が降下し、フワーッと体が浮きそうになる。

旅客船姫は、まだ十字架を握り締めていた。


旅客船姫「やっぱり鉄の塊が空に浮くわけないのです……どんどん落ちていきます……ああ神様お助け下さい……」ブツブツ

チ級(姫様の感覚は、19世紀だからな……頭で理解しても、心が納得出来ないんだろうな……)


窓から、都会の光が見える。

地上が近づいてきた。

カクンとかすかな衝撃が、タイヤの接地を告げる。

機体が水平になると、逆噴射のエンジンの絶叫が響いた。
686 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/10/31(月) 00:19:54.64 ID:mn2ncK9do

アナウンス「この次もぜひAAAA航空をご利用くださいますよう、心よりお待ちしております」

チ級「着いた〜」


ここは調布国際空港。海に面した羽田空港が壊滅したので、小さい調布空港を無理やり拡張し、国際空港にしたのだ。

非常事態ということで、近隣の公園、大学、警察大学校、味スタ、多磨霊園!を接収し、巨大空港にしたそうな。


長門「ようこそ日本へ!」


到着ロビーを出ると、長門が出迎えた。


長門「お疲れでしょう。車でホテルまで送ります。今夜は横浜のホテルで一泊して、ゆっくりお過ごしください。

明日は横須賀でコスプレイベントに参加して頂きますので、朝、迎えに参ります」


俺たちはホテルに着くと、部屋に入った。

二人部屋が三部屋。もちろん座席と同じ組み合わせ。

疲れた俺は、すぐ寝たかったが……。


レ級「どっか遊びに行こうゼ!」ニタリ

チ級「」


- 続く -
687 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/31(月) 00:33:50.11 ID:QJJ5LARpo
おかえり
相変わらずいいとこ続きがきになるとこで切る憎い演出
おつおつ
688 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/31(月) 02:02:11.49 ID:hNWgCOtP0
乙でございます
689 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/01(火) 16:33:44.24 ID:ChoHdgP50
690 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/11/07(月) 02:00:30.29 ID:hpWhdE0Ro

遊びに行くにしても、もう遅い時間だ。観覧車はまだやっているが、レ級と二人っきりで乗るのは勘弁してほしい。

他にレ級が満足しそうな所は……。


チ級「ラーメン博覧会に行きましょう!」

レ級「らーめん? なんだソレ?」

チ級「食べ物です。まあ行ってみませんか?」


俺たちは、タクシーでラーメン博覧会に向かった。

なお服装だが、俺は白の長袖TシャツにGパン、スニーカー。

レ級は黒のパーカーワンピ、生足、黒の編み上げブーツ。ワンピのすそから見える白い太ももが眩しい。


チ級(ワンピが短すぎて、パンツ見えそう……)


到着すると、チケットを買って屋内に入る。

夜遅くだからか、割と空いていた。目当ての店の行列も短い。


チ級「トンコツラーメンがお奨めです! クセは強いですが、濃い旨みとコクで病みつきですよ!」

レ級「スゲー匂いダナ……ソレでイイや」スンスン


運良く人気店に入れた。

席で待っていると……。


店員「はい! お待ち!」


トンコツラーメンが来た。
691 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/11/07(月) 02:02:29.12 ID:hpWhdE0Ro

チ級「キターー!!!」

レ級「フーン、旨そうジャン」

チ級「早速食べましょう!」

レ級「オレ、チョップスティック使えないから、フォーク貰ってくれ(英語)」


俺たちは英語で話している事を忘れてた。


チ級「おおっと! スイマセン、フォーク、クダサイ(日本語)」


レ級はフォークで器用にラーメンを食べる。


レ級「旨いジャン!!! ナニコレ!? 味濃イ!!! ウマミってヤツカ? オイリーなのもイイ!!!」ズルズルーー


あっという間に平らげた。


レ級「さっさと食い終わレ!!! 別の店のトン・クォーツも食おうゼ!!!」

チ級「ふぁい……」モゴモゴ


あっという間にラーメン博覧会の店を2周したレ級。

俺は3件目でギブアップだった。


レ級「キシシシ!!! トン・クォーツ最高!!!」

チ級「うぷ……腹も一杯になったし、帰りますか!」

レ級「ウーーン……なんか物タンネエナ……」

チ級「ホテルの人は夜の町も詳しいですよ。一回戻って聞いてみましょう」
692 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/11/07(月) 02:04:37.79 ID:hpWhdE0Ro

タクシーでホテルに帰り、受付に聞いてみた。


チ級「この時間から外人でも楽しめる場所ってありますか?」

受付「そうですね……ああ、面白いところがありますよ!」

レ級「ドコドコ?」

受付「艦娘さん達が集まっているバーがあって、明け方近くまでやってます。海軍のPRのため、普通のお客さんも歓迎らしいです。

美人揃いの艦娘さんたちと仲良くなれるかもしれませんよ!」ニッコリ

チ級「」


まずい。レ級と行ったら、絶対揉め事を起こすだろう。


チ級「あ、僕、戦艦少女コレクションのイベントやらないと! じゃ、これで!」

レ級「待テ」ガシッ

チ級「な、なんですか?」

レ級「行クヨナ? ナ、行クヨナ?」ニタァ

チ級「ヨ、ヨロコンデーーーー!」
693 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/11/07(月) 02:07:02.80 ID:hpWhdE0Ro

タクシーで艦娘バーまで行く。大きなビルの横に地下に続く階段。「艦娘バー」の看板がある。

そこを降りていき、大きな扉を開けると……。


飛鷹「いらっしゃいませ」


優しそうな美人のバーデンダーさん。


隼鷹「うへへへヘ!!!」

千歳「ヒヒヒヒヒ!!!」

那智「ガハハハハ!!!」


酔っ払い共も。


チ級「フタリデス」

飛鷹「カウンターへどうぞ」


レ級はニタニタしながらグルッと店を見渡す。値踏みするような、ネットリとした視線。


チ級(全員を相手に喧嘩して、勝てるか、負けるか考えてるのかな?)

チ級(とっとと酔わせて、揉め事を起こす前に帰ろう……)

チ級「レンさん、カクテルとか飲んでみませんか?」

レ級「うまいノ?」

チ級「旨いのも、不味いのもあります。多くの種類があるので、バーテンさんと相談するとイイですよ」

レ級「フーン……ジャ、甘いの」

チ級「ビールと、甘いカクテルを(日本語)」

飛鷹「承知いたしました……」
694 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/11/07(月) 02:10:05.71 ID:hpWhdE0Ro

シャカシャカとシェーカーを振って、きれいな色のお酒をグラスに注ぐ。


飛鷹「どうぞ」

チ級「じゃ、カンパーイ!」

レ級「キシシシ!!! カンパーイ!」


ラーメンの後のビールが旨い!


レ級「アマーイ!!! 美味シイ!!!」

チ級「バーテンサン、彼女、美味シイッテ、言ッテマス」

飛鷹「恐れ入ります」


酒が進んで、レ級も酔っ払いだした。


チ級(レ級さんも気持ち良く酔ってるみたいだし、そろそろ帰るか……)

レ級「しかしサー、艦娘ッテサー、役立たずダヨナ!!!(英語)」

チ級「」

レ級「何年戦争シテンダッテノ! それなのにノウノウと酒飲んでサ! 恥ずかしくネエノ!?(英語)」

チ級「」

レ級「心配スンナ! 低能だから、英語なんてワカンネエヨ! ギシシシシシシッ!!!(英語)」


明らかに店の雰囲気が凍った。


チ級(あれ? もしかして英語分かってる?)
695 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/11/07(月) 02:13:58.12 ID:hpWhdE0Ro

ドンッ!とウイスキーのボトルが目の前に置かれた。


那智「役立たずでスマンな。お詫びに酒をご馳走してやろう。拒否はするまいな(英語)」ギロリ

チ級(この人、英語分かってる上に、酔っ払ってるーー!!!)


那智が三つのショットグラスにウイスキーを注ぐ。

ボトルには、KNOB CREEKとあった。

一口飲むと、樽の香りと、スッキリとした甘さが口の中に広がる。

そして……。


チ級「アルコールが強ーーーーい!!!」


口の中が熱い。火を噴きそう。なんと50度だそうな。

そんなウイスキーを涼し気に一気に飲む那智。


那智「人を役立たずと言うほど偉いなら、これを一気に飲むなんて余裕だろ!(英語)」


レ級も受けて立つ。ショットグラスを一気に飲み干した。


レ級「オレ様は偉いからナ。こんなの余裕! キシシシシ!」


50度の酒を、まるで水のように交互に飲む二人。

そして二本ボトルが空くころ……。


那智「う……うーーーん……休養も戦いだ……」ゴトリ

レ級「オヤスミ! 飲み勝ったオレハ偉い! 役立たずって言う資格アルネ!」
696 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/11/07(月) 02:17:12.25 ID:hpWhdE0Ro

武蔵「おいおい、どこを見ている。私はここだぞ(英語)」

チ級(別な人がキターーーー!)


ドンッ!とまた別なボトルが置かれた。

Pimlico Ginとある。


武蔵「どうだ調子は? まあ、のんびり行こう(英語)」


やはり三つのショットグラスに、ジンを注ぐ。

一口飲むと、ジュニパーベリーの香り(いわゆる湿布の香り)と、キリッとした甘さが口の中に広がる。

そして……。


チ級「さっきより、アルコールが強ーーーーい!!!」


口の中が熱い。火を噴きそう。なんと57度だそうな。


武蔵「さあ、行くぞ! 飲み方……始めっ!」グイッ

レ級「キシシシッ!」グイッ


あっという間に二本のボトルを空にする二人。そして……。


武蔵「む……バイタルパートまで……不覚……」ゴトリ

レ級「アレ!? ボクが、マタ勝ったよ! お酒、強いカモ!? キシシシシ!」
697 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/11/07(月) 02:19:55.81 ID:hpWhdE0Ro

ざわつく艦娘たち。

そこに……。


Pola「な〜にやってるんですか皆さん? 仲間に入れてくださいよぉ〜」

レ級「キシシシシ! お嬢チャンが出る幕ジャナイヨ?」

Pola「違いますぅ〜〜。お酒を飲む人は、みんな仲間なんですぅ〜。だから一緒に飲みましょ〜。うふふぅ〜」


やはりドンッと二本ボトルを置く。

Cliternia Grappaとある。


Pola「イタリアン・ファミレスにあるグラッパなんですよ〜」ニッコリ

チ級(40度か。お嬢様って感じだな……って、え?)


Polaは一人でラッパ飲みして、ボトルを全部空けてしまった。


Pola「これで追いつきました〜〜」ニッコリ

Pola「次はイタリアのリキュールを楽しみましょ〜〜」パァアアア


LATTE DI SUOCERAとある。

黒いラベルには、ドクロのマークと、75度の文字が!!!


Pola「薬草っぽいフレーバーが、イタリアンぽいんですよ〜〜」テレテレ

チ級(かわいいが、何をテレてるんだろうか……?)


薬草で健康になるどころか、毒薬のようなラベルである。

ショットグラスに注がれたので、一口飲んで見ると……。


チ級(ハーブキャンデーのような濃厚な薬草っぽい甘さと……アルコールがあああああああ!!!)
698 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/11/07(月) 02:23:18.59 ID:hpWhdE0Ro

Pola「うれしいです〜。このお酒をこんなに気に入ってくれるなんてぇ〜。いつも、みんな、このお酒飲んでると、途中で黙っちゃうんですよぉ〜」

チ級(75度の酒なんて、間違いなく撃沈するだろうな……)

Pola「うれしいから、とっておき、出しちゃいます〜」パァアアア


Habsburg Absinthe! 89度!!!


Pola「Salute! 一緒にお酒を飲んだら、もうお友達ですぅ〜」ベッタリ、チュッ、チュッ

レ級「ウワッ! サワンナ!」

チ級(ずいぶん酒臭いキマシですこと……)


とりあえず匂いをかいでみると……。


チ級(鼻が痛い!!! アルコールしか感じない!!!)


口に含むと……。


チ級(スッキリとした薬草系の甘さと……痛い!!! アルコールが痛い!!!)


その後、一本ボトルが空く頃……。


レ級「オマエ……ナマエは?」

Pola「ポーラはポーラですよぉ〜〜」ニッコリ

レ級「ソウカ……オボエトク……クソッタレ……」ゴトリ


とうとうレ級はカウンターに突っ伏し、寝息をたて始めた。
699 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage]:2016/11/07(月) 02:25:43.76 ID:hpWhdE0Ro
>>698
投稿しなおすよ〜
700 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/11/07(月) 02:26:55.74 ID:hpWhdE0Ro

涼しい顔で交互に飲む二人。一本空けると……。


Pola「うれしいです〜。このお酒をこんなに気に入ってくれるなんてぇ〜。いつも、みんな、このお酒飲んでると、途中で黙っちゃうんですよぉ〜」

チ級(75度の酒なんて、間違いなく撃沈するだろうな……)

Pola「うれしいから、とっておき、出しちゃいます〜」パァアアア


Habsburg Absinthe! 89度!!!


Pola「Salute! 一緒にお酒を飲んだら、もうお友達ですぅ〜」ベッタリ、チュッ、チュッ

レ級「ウワッ! サワンナ!」

チ級(ずいぶん酒臭いキマシですこと……)


とりあえず匂いをかいでみると……。


チ級(鼻が痛い!!! アルコールしか感じない!!!)


口に含むと……。


チ級(スッキリとした薬草系の甘さと……痛い!!! アルコールが痛い!!!)


その後、一本ボトルが空く頃……。


レ級「オマエ……ナマエは?」

Pola「ポーラはポーラですよぉ〜〜」ニッコリ

レ級「ソウカ……オボエトク……クソッタレ……」ゴトリ


とうとうレ級はカウンターに突っ伏し、寝息をたて始めた。
701 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/11/07(月) 02:29:03.36 ID:hpWhdE0Ro

チ級(はぁ〜。やっと終わった……ん?)


見るとレ級の尻がもぞもぞしている。


チ級(ヤバい!!! 艤装のコントロールがおかしくなってる!!! 尻尾が展開されちまうぞ!)


俺はレ級を担ぐと、適当な金を置いて、店から逃げ出した。


チ級「さいなら!」


レ級を背負って、とぼとぼ歩く俺。


レ級「ん……オレ、負けたノカ……?」

チ級「……」

レ級「ソウカ……う……ウウ……」

チ級(負けて悔しくて泣くなんて、可愛いところあるな……)

レ級「ウウ……ウ……ウウォオロロロロロ……」


マーライオンと化したレ級。


チ級「ギャアアアアアア!!!」

チ級(泣いてねーーー! やっぱり泣くようなタマじゃなかった……)


マーライオンの滝行を受けた俺は、自販機で水を買って、体を流した。


チ級「レンさん、水どうぞ」

レ級「ウン……アリガト! 愛してるゼ、チドリ! キシシッ!」

チ級「何言ってんすか……」カァアアア


やっとホテルに着いた。すぐにシャワーを浴びると、甘酸っぱい香りが漂う。


チ級(明日……つうか今日のコスプレイベント、無事に終わるんだろうか?)


俺はベッドに入ると、あっという間に眠りに落ちた。


- 続く -
702 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/07(月) 02:41:11.22 ID:YvWHbFx1o
乙です。
ポーラ…
703 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/07(月) 09:02:37.14 ID:B2qXwibM0
乙です!
704 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/08(火) 16:50:52.67 ID:O+8DmxbE0
ポーラさいつよ
705 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage]:2016/11/14(月) 03:30:08.64 ID:+KYF5RX0o
なお、艦娘バーで出た酒は、全部飲んだことがあります。

チ級の感想は、まんま私の感想です。

それと、もし「俺氏、チ級になる」が完結したら、誤字を直して、今の書き方で全て書き直した版を、あげ直すかも……。

そういうわけで、続き行きます。
706 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/11/14(月) 03:31:31.69 ID:+KYF5RX0o

朝、俺は北方棲姫の手荒いモーニングコールで目を覚ました。


北方棲姫「チドリ〜〜、遊んデ〜〜!」ドスン


そう言いながら、俺の腹の上に乗る北方棲姫。


チ級「うっ……おはようございます」

リ級「おはようなのです!」

ル級「おはよう」


眠い目をこすり、ホテルのレストランへ。

ホテルの朝は、だいたいバイキング形式だが……。


チ級(いやな予感が……)


予想通り、スイーツとフルーツがあらかた無い。


レ級「ヨッ!」


満足気にくつろぐレ級。

近くに紅茶を飲む旅客船姫、港湾棲姫。


チ級(レ級さん元気だな……)


食欲の無い俺は、オレンジジュースだけの朝食。

そして……。
707 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/11/14(月) 03:33:46.85 ID:+KYF5RX0o

長門「お迎えにあがりました」


長門は、ポケットがたくさん付いた上着とズボン、エンジニアブーツという格好。いかにも作業着。

見ると車はハイエース。艶消しダークオリーブというのが海軍らしい。


長門「荷物は積み込みましたね。では参りましょう」


道中、ちょっと質問してみた。


チ級「長門さん、艦娘さんは英語が話せるんですか?」

長門「うむ。片言レベルですが。海外艦との合同作戦もありますし、英語は必須ですから」

チ級「そうですか……」

チ級(そういえば船上パーティも英語と日本語がちゃんぽんだったな……)


そんなこんなで会場到着。


長門「ここが会場の、横須賀市おまゆう文化会館です。まずは着替えて下さい。更衣室に案内しますよ」


ぞろぞろと長門に付いていく。


長門「この会議室が特別ゲスト専用の更衣室です。荷物はここに置いて下さい。だだし貴重品は身につけて下さい。

着替え終わったら、また車のところに来て下さい。渡したいものがあります」
708 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/11/14(月) 03:36:02.38 ID:+KYF5RX0o

長門が出て行くのを確認して、着替え始める俺たち。

といっても服を脱いで、艤装を展開するだけ。


チ級(しかし……皆の下着姿や裸を見るのは、なんか恥ずかしいな)


リ級は、かわいらしいランニングタンクトップに、もこもこパンツ。


チ級(子供らしいな……)


ル級は、さらしに褌。


チ級(えええええ!!!)


レ級は、黒いブラとショーツ。


チ級(まんまだな……)


港湾棲姫は、ノーブラ、黒いヒモパン。


チ級(エロい……)


北方棲姫も同じ。


チ級(姉さんに合わせたのか……)


俺は、安物の適当なブラとトランクス。

ショーツというかパンティの、あのピッチリ感が苦手だったからだ。


チ級(旅客船姫様は……)


旅客船姫は、シュミーズとドロワーズ。


チ級(世界名作劇場かな……)
709 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/11/14(月) 03:40:34.78 ID:+KYF5RX0o

着替え終えて、本来の姿に戻った俺たちが車のところに来ると……。


長門「む! 素晴らしい! お招きした甲斐がありました!」


長門の格好は……島風コスだった。


チ級(なんつーか島風さんと呼びたくなる……)


190cm近い身長。鍛え上げられた体。僧坊筋、大円筋、中でも三角筋がすごい。

マジンガーZの肩のように、丸く盛り上がっている。

腰も細く、太ももの太さが強調されている。


チ級(尻丸出し、パンツ丸見えだが、なぜこんなに嬉しくないのか……)

チ級(そういえば、あの尻、どっかで見たな……)


ふと思い当たる。

ニヤニヤ動画のパンツ・レスリングシリーズの、四角くて鍛え上げられたガチムチの尻に似ていた。


チ級(なるほど……)


長門「渡したいものは、まずはゲストカード。会場の入退出に必要なので、決して無くさないようお願いします。

それと……これ! 名刺、ネームカードです。コスプレイヤー同士、名刺交換は絶対の礼儀。古事記にもそう書かれているそうです。

まあそれは冗談ですが。友達になったら、名刺を交換してください」


長門が皆の分の名刺を配る。


長門「僭越ながら、こちらで名刺を作りましたのでお使い下さい」


皆の名刺には各自の可愛い写真がプリントされていたが、俺のは例の変顔の写真だった。


チ級「」
710 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/11/14(月) 03:44:17.83 ID:+KYF5RX0o

そこに……。


??「ふん。あいかわらず不細工だな。XXXX鎮守府の」


見ると、時津風コスの長門がいた。


チ級(時津風親方、登場ーー!!!)

島風・長門「EEEE鎮守府の。不細工とはお前のことか?」

時津風・長門「顔と頭だけじゃなくて、耳まで悪くなったのか?」

島風・長門「なんだと!!!」


つかみ合いを始めた二人。


??「まあまあ。お前ら喧嘩しても不細工はなおらんぞ」


天津風コスの長門が、仲裁に入る。


チ級(禍津風キターーー!!!)

島風・長門「ふん! 駆逐艦の可愛らしさを1mmも出せていないお前が言うな!」

時津風・長門「コスプレイヤーの恥さらしが! 失せろ!」

天津風・長門「聞き捨てならん! まとめて相手してやる!」

チ級(なんという地獄絵図。あの三人だけ絵柄が、宮下あきら先生タッチ)
711 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/11/14(月) 03:52:21.40 ID:+KYF5RX0o

その時、一台の車が駐車場に入ってきた。ストレッチ・リムジン仕様のセンチュリー。

三人の近くに停車し、中から電……のコスプレをした長門が出てきた。


チ級(なんかこの人、特別でかく見える。ズオッとか、ゴゴゴゴとか聞こえてきそう)


電・長門が車の外に出ると、一瞬だけ身長が3mぐらいに見えた。


チ級(大豪院邪鬼かな? またはデビルリバース?)


実際、身長は他の長門と変わらないが、前後と左右に大きいようだ。


電・長門「元気がいいな……です?」


電・長門に気づいた三人は、手を放し、即座に気をつけの姿勢になった。

電・長門は特に気にしていないようだ。


電・長門「ゲストの方たちは、どこです?」

島風・長門「はっ! こちらです!」


くるっとこっちを向く電・長門。


チ級(ヒェッ!!!)

電・長門「まずはレンさんにご挨拶です」


キラキラビーズの付いた可愛い名刺入れから名刺を取り出し、レ級に差し出した。


電・長門「私、コスプレ同好会『長門会』の会長、長門と申します。よろしくお願いいたします」

チ級(そこは素なんだ……)

レ級「オレはレン。ヨロシク! キシシッ」


レ級も名刺を渡し、がっしり握手する二人。


電・長門「本日はイベントへのご参加、まことにありがとうございます。それにしても……戦場のレ級と違って、実に可愛らしいです。

本物のレ級は、不細工で不気味で、根性が曲がった顔してるクソチビです」

レ級「アリガトーーーー! キシシシ!」ビキビキビキキキッ

チ級(いきなり地雷を踏み抜いた〜〜!!!)


- 続く -
712 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/14(月) 03:56:00.30 ID:/cJI/TkmO

実際の駆逐漢とか航空母漢の人はガチムチだしな……
それにしてもケンカするとかだらしねぇし
713 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/14(月) 17:11:30.13 ID:HL5oRqMu0
肩はマジンガーZならまだマシな方
真ゲッターになったら本格的にヤバい
ガンバスターは既に人外
714 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/20(日) 04:23:17.29 ID:8mLd1ErPo
マジンガーの時点ですでに人外
715 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/11/21(月) 01:14:27.60 ID:pzI3gOKeo

レ級の尾がゆっくり頭をもたげた。砲塔が音もなく旋回する。

その時、電・長門が熊さんポーチから何かを取り出した。


電・長門「それと、これ。つまらないものですが……横須賀シフォンなのです」

レ級「…………甘いノ?」

電・長門「甘くて美味しいお菓子なのです!」

レ級「アリガトーーーー! キシシシ!」デレデレ

チ級(なんという気配り……レ級さんがチョロすぎて、生きるのがつらい……)


電・長門は順に挨拶と名刺交換し、最後に旅客船姫に挨拶となった。


電・長門「ティターニアさん……そのコスは?」

旅客船姫「旅客船姫です」

電・長門「……おい、知っているか……?」ヒソヒソ

島風・長門「……いえ、オリキャラかと……」ヒソヒソ

電・長門「その……うん……ユニークですね。イベント楽しんで下さい」


旅客船姫が俺に近づいてささやく。


旅客船姫「微妙な反応でしたが、何か分かりますか?」ヒソヒソ

チ級「大変申し上げにくいですが、多分『痛い子』と思われたかと」ヒソヒソ

旅客船姫「」

チ級「コスプレとは、アニメや漫画のキャラになりきる遊びです」ヒソヒソ

チ級「そこに自分で考えたキャラ、いわゆるオリキャラをねじ込むのは、『分かってないヤツ』と思われるそうです」ヒソヒソ

チ級「旅客船姫様は人間に知られていないので、オリジナル深海棲艦とみなされたかと」ヒソヒソ

旅客船姫「」


旅客船姫は複雑な笑みを浮かべた。


旅客船姫「チドリさん、予備の服ありませんか?」ニコォ

チ級「ええ、ありますよ」ニコォ


結局、旅客船姫はチ級姉妹の妹としてコスプレデビューを果たしたのであった。

716 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/11/21(月) 01:20:12.82 ID:pzI3gOKeo

電・長門「皆さんに挨拶を済ませたので、一服するのです」


電・長門が、熊さんポーチからリレーバトンのような棒を取り出す。

棒は茶筒のようになっていて、ふたを開けると、中から葉巻が出てきた。


電・長門「海外からお客様をお迎えした特別な記念日には、とっておきのダビドフ・アニベルサリオNo.1なのです!

電の完コスには、欠かせないアイテムなのです!」

チ級(北方謙三先生かな? それとも馳星周先生?)


不思議そうに葉巻を眺めるリ級。


リ級「それは何なのです?」

電・長門「これは葉巻といって、タバコの一種なのです。イベント会場は禁煙なので、くわえるだけで吸わないのです。

ただのアクセサリーなのです」


電・長門は、また熊さんポーチから何かを取り出す。


電・長門「棒付きキャンデーあげるのです」サッ

リ級「ありがとうなのです!」パァアア

電・長門「アルさんにも」サッ

北方棲姫「アリガト!」パァアア

チ級(一瞬にしてちびっこの心を掴んだ……)


じゃれあう三人。

いつの間にか、電・長門の両肩にちびっこが乗っていた。


リ級「高いのです!」キャッキャ

北方棲姫「スゴイ!」キャッキャ

チ級(山のフドウかな……)

電・長門「では会場に行きましょう」ズシーーン、ズシーーン
717 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/11/21(月) 01:22:03.40 ID:pzI3gOKeo

会場は、艦娘、人間の女性、女の子でごったがえしている。


島風・長門「ここからは、私が案内いたします」

島風・長門「会場の屋内では、同人マンガ、小説、グッズを販売しています。屋外の庭では、コスプレーヤーの撮影会を行ってます。

皆さんも本やグッズを見たり、撮影したりして楽しんで下さい。

なお、参加者は、艦娘、女性のみ。作品は全年齢向けのみです。駆逐艦、女の子でも安心して楽しめますよ。

運営は我ら『長門会』が行ってますので、分からないことがあったら、長門に声をかけて下さい」


その時、向こうから大声が聞こえてきた。


天津風・長門「ん、この本は成人向けじゃないか! おい、こら、待て!」

秋雲「チッ、ばれちゃあしょうがない! 巻雲! ずらかるよ!」

巻雲「ふぇ〜。秋雲、待って〜〜」のたのた


本を抱えた女の子二人が走って逃げていく。それを天津風・長門が追いかけていった。


島風・長門「……このように規律が守られているので、安心です」


島風・長門と一緒に色々なサークルを巡る俺たち。

巡る先々で大歓迎を受けて、皆まんざらでもなさそう。

時津風・長門が売り子をしているサークルを訪れると……。


島風・長門「EEEE鎮守府の。さぼるな! 売り子じゃなくて、運営の仕事をしろ!」

時津風・長門「さぼってなぞおらん! 今回、私は運営ではなく、サークルで参加しているからな。なぜなら……」


机を見ると、写真集が山と積まれていた。


時津風・長門「新刊の私の写真集だ! スタジオに行って、プロのカメラマンに頼んだ。正直、かなりの自信作だ!」ニヤリ


島風・長門が写真集を取って、つまらなそうにペラリと広げて見ると……。


島風・長門「規則違反だ! 販売停止!!!」

時津風・長門「そんな訳あるか! 写真は水着までだぞ!」

島風・長門「こんなグロ画像、規則違反に決まってる!」


またつかみ合いを始めた二人。

俺たちは二人を放っておいて、自由行動することにした。
718 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/11/21(月) 01:26:18.92 ID:pzI3gOKeo

大井「新刊の大北本下さい」

加賀「新刊の赤賀本いただけるかしら」

チ級(いろんな本があって、面白いな〜。お? なんかあっちが盛り上がってる。行ってみよう)


屋外の庭に出ると、大きな人だかり。

中心には北方棲姫とリ級。

撮影と名刺交換に人が殺到している。


チ級(大人気だな。港湾棲姫様とル級さんも人気。一番心配なレ級さんは……?)


レ級は持ってきたカメラで、コスプレイヤーを撮影しまくっていた。

それもきわどいアングルで。


チ級(おっさんか! 旅客船姫様は……)


旅客船姫は金剛姉妹と意気投合したらしく、当然のように一緒に紅茶を飲んでいる。


チ級(英国面の闇は深い……深海棲艦、艦娘の前にイギリス人なんすね……)


ふと俺は屋内の人気の少ないエリアに気づいた。


チ級(ここは……マンガ、小説じゃなくて、それ以外のエリアか)

赤城「横須賀周辺の飲食店レビュー『赤城のグルメ』の新刊でーーす!」

瑞鳳「『卵焼き研究』の新刊だよーー!」

夕張「『ガンプラ研究』の新刊でーーす!」


面白そうなので、一通り買ってみる。


チ級(後で読もう……ん? あのエリアは……?)


会場のすみっこに、一段と人気のない場所がある。


比叡「『比叡のレシピ』新刊ですっ!」ドドドドドドドド

磯風「『料理研究 -クリスマス料理かく戦えり-』新刊だッ!」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

チ級(なぜ人が全く寄り付かないのか? 料理本なら旅客船姫様が喜ぶだろうし、買っていこう)


俺は迷わず二人の本を買ったのであった。
719 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/11/21(月) 01:28:26.15 ID:pzI3gOKeo

チ級(そろそろ時間かな?)


夕方となり、イベントも終了。

散々ちやほやされた北方棲姫とリ級はご満悦。

その他の面々も楽しんだようだ。


電・長門「本日はありがとうございました」

レン「コチラコソ! また呼んデ! キシシシ!」


電・長門が握手してまわる。


電・長門「ありがとうございました」

ル級「こちらこそ、ありがとうございます」


熱い握手をする二人。


電・長門(ほぉ……こいつは……)


別れの挨拶が終わった。


長門「次はXXXX鎮守府で一泊お過ごしください。今夜は歓迎会です!」
720 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/11/21(月) 01:31:12.52 ID:pzI3gOKeo

XXXX鎮守府に着くと、早速宴会が始まった。


レ級「ポーラはイル?」

長門「残念ですが、当鎮守府にはおりません」

レ級「フーーン……」


ちょっと残念そうなレ級。


雷「リン! こっちで一緒に食べましょう!」

暁「私が誘うつもりだったんだからぁ!」プンスコ

響「いいじゃないか、誰が誘ってもさ」ニッコリ

電「プレシャスでデリシャスなナイトを楽しむのです!」

リ級「アルちゃんも一緒していいのです?」

雷「当然じゃない! リンの友達は、私たちの友達じゃない!」

北方棲姫「ヨ、ヨロシク……」オズオズ


響が北方棲姫の手を取る。


響「心配いらないさ。楽しもうよ」ニコ

北方棲姫「ウン!」パァアア


それを遠くで見つめる港湾棲姫。


港湾棲姫「アルの友達がフエタ……」


なんだかとても嬉しそう。
721 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/11/21(月) 01:46:54.44 ID:pzI3gOKeo

宴会は進んで……。


レ級「ギシシシシ!!!」

隼鷹「うへへへヘ!!!」

千歳「ヒヒヒヒヒ!!!」

那智「ガハハハハ!!!」


レ級は酔っ払っていた。


ル級「……」グビッ

日向「……」グビッ

鳥海「……」グビッ


ル級は日向、鳥海と黙って飲んでいる。


リン「なのですーー!」キャッキャ

北方棲姫「ホポーー!」キャッキャ


ちびっこは遊んでいた。


港湾棲姫「チョ……ヤメ……」オロオロ

龍驤「なにをどーしたら、そないにデカクなるんか、正直に言わんかい!」ツンツン、ポインポイン

大鳳「あなたの装甲甲板、気になります!」ツンツン、ポインポイン


酔っ払った二人が、左右から胸をツンツンとつつく。

すると、いきなり二人が気を失った。


鳳翔「お二人とも酔いつぶれてしまったみたいです。部屋まで運びますね」シレッ

港湾棲姫(超高速の手刀で、アノ二人を一瞬で気絶サセタ……彼女は一体……)ガクガク


港湾棲姫は酔っ払いに絡まれ、鳳翔に助けられていた。


旅客船姫「アールグレイが……」

金剛「ダージリンが……」


旅客船姫は金剛と紅茶談義で盛り上がっている。


チ級「筑摩さんて楽しい方ですよね〜」

夕張「ふふっ。そうだね!」


俺は当たり障りないネタを話しながら、たまたま隣になった夕張と飲んでいた。


チ級(ヘ級ちゃんと似ていて、話やすいな〜)
722 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/11/21(月) 01:49:09.89 ID:pzI3gOKeo

宴会は早めに終わった。子供がいたので、早々に切り上げたそうな。

その後、俺たちは鎮守府のゲストルームに案内された。


チ級「また明日。おやすみなさい」


旅客船姫とル級がゲストルームでくつろいでいると、ノックの音が。


ル級「どなたですか?」

副隊長「沈黙隊長です。もしよろしければ、私たちだけで少し飲みませんか?」


沈黙隊長の誘いであった。


ル級「いかがしますか?」

旅客船姫「毒を食らわば皿まで、と言いますし……ル級さんと一緒でよければ」


そのまま4人は横須賀のバーでダブルデート?したのだが、特に盛り上がらず終わってしまった。

ゲストルームに戻った二人は、シャワーを浴びて、そのままベッドに。


旅客船姫(はあ……疲れました……まさかデートにまで副隊長さんがついてくるとは……。

でも話を適当にはぐらかして、何とかやりすごせたのではないでしょうか……。

それにしても……紅茶が恋しいですね……)
723 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/11/21(月) 01:51:52.23 ID:pzI3gOKeo

そこに、またノックの音。ル級は寝ている。


旅客船姫「どちら様ですか?」

金剛「夜遅くソーリーね。もし良かったら紅茶でもどうですカ? リラックスできるヨー?」

旅客船姫「喜んで!」


金剛の部屋に入ると、紅茶とスコーンの豊かな香り。


旅客船姫(ああ、素晴らしいですね……)ウットリ


金剛「どうゾ」ニッコリ

旅客船姫「ありがとうございます」パァアア


旅客船姫が紅茶を一口。


旅客船姫「ふぅ。落ち着きます」ホッコリ


そしてスコーンを一口。


旅客船姫「美味しいですね。甘味が深くて……砂糖だけじゃない……これは……そう火薬! ニトログリセリンの甘さ!

それにこの香り! ボーキサイトが一つまみ! しばらく人間の食事だけでしたから、これは嬉しいですね!」パァアア

旅客船姫「……」

旅客船姫「あ……」ダラダラ

金剛「……」ニンマリ


顔面蒼白、汗だらけの旅客船姫。

金剛は満面の笑みを浮かべている。


-続く-
724 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/21(月) 13:55:08.85 ID:zvOR9Wg90
更新お疲れ様です。お待ちしてました。

レ級 チョロ艦ww

金剛の下りで映画大脱走の下りを思い出したのは私だけで良い。
725 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/21(月) 14:17:08.54 ID:dgL52tzm0
乙!
旅客ちゃんのポンコツ度がパナイな!
726 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/21(月) 19:44:05.99 ID:zkNgoS/+0
ワロタwwwwwwww
727 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage]:2016/11/27(日) 02:50:08.81 ID:VOtKcMz9o
ちょっと再開するよ〜
728 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/11/27(日) 02:52:09.34 ID:VOtKcMz9o

旅客船姫「あら! もうこんな時間! もう寝ませんと!」


あたふたと旅客船姫は立ち上がり、急いでドアへ。


金剛「待つネー! そこは……」

旅客船姫「オッホホホホ! ごめんあさーせっ!!!」ドア、ガチャ

金剛「クローゼットだヨ……」

旅客船姫「……」カァアアアア


あまりの恥ずかしさに動転し、旅客船姫はクローゼットにそのまま入ってしまった。


旅客船姫「……」スポッ、ガチャ

金剛「……」

旅客船姫「……」

金剛「……」

旅客船姫「……」

金剛「……」


静まり返る金剛の部屋。


旅客船姫「いぢめる?」

金剛「いぢめないヨー」

旅客船姫「……」

金剛「……」

旅客船姫「ほんとに?」

金剛「ほんとヨー」

729 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/11/27(日) 02:54:41.87 ID:VOtKcMz9o

おずおずとクローゼットから出る旅客船姫。


旅客船姫「……」

金剛「……」

旅客船姫「その……」

金剛「はい……」

旅客船姫「わたくし、人間なんです! でも艦娘さん向けの料理を作ってまして、ボーキサイトや弾薬も美味しく食べることが出来るんですよ!」

金剛「sigh……」

旅客船姫「な、なにを……?」

金剛「ワタシ達はアナタの味方です。安心してイイヨー。もう芝居しなくて、いいんだからねっ」ダキッ

旅客船姫「……」

旅客船姫「……」ヘナヘナ、ペタン


旅客船姫が、力なく椅子に座る。


旅客船姫「ばれてしまいましたか……いや、ばれていた、と言うべきでしょうか……どうして私たちを呼んだんです……?」

金剛「それはアナタとお話するためネー」ニッコリ

旅客船姫「え……?」

金剛「アナタのリクエストに応えるのに、情報が欲しいのデース」

旅客船姫「リクエスト……?」

金剛「仲直りしたいんデショ?」

旅客船姫「そんな……そのために……?」

金剛「ウチのテートクは、レディのご要望には敏感な男ネー。女の前でカッコを付けるために全力を尽くすロクデナシデーース!」ニカッ

旅客船姫「……プッ……フ、フフフフハハハ。あの提督さんらしいですね」

金剛「デショ? ハハハハハ」

730 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/11/27(日) 02:57:19.31 ID:VOtKcMz9o

金剛も椅子に座った。


金剛「紅茶とスコーンが冷めないうちにドーゾ」ニッコリ

旅客船姫「いただきます」ニッコリ

金剛「仲直りするのに、色々聞かせて欲しいデース。そもそも理由は?」

旅客船姫「その……高尚な理由ではないのです。私、前世は旅客船で、争い事は好きではありません……。

それに喧嘩も弱いので、いつ艦娘さんに撃沈されるか毎日不安で……」

金剛「前世は旅客船……紅茶が大好き……もしかして……?」

旅客船姫「はい、前世はタイタニック号です」

金剛「Oh! Realy? ワタシ、前世でベルファストに行ったことがあるヨーー!」

旅客船姫「本当ですか?」

金剛「イエーース! ワタシはバローで生まれて、日本に行く前にベルファストで検査を受けたネー。

となるとアナタはワタシより年上……オネーさんネー!」

旅客船姫「……年の話は止めて下さい……」

金剛「ソーリー!」ニッコリ

731 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/11/27(日) 03:00:39.26 ID:VOtKcMz9o

明け方近くまでガールズ・トークする二人。


金剛「イギリス話とティターニアさんのご家族の話、とても楽しかったデーース!」ニッコリ

旅客船姫「わたしもです」ニッコリ

金剛「またお茶会して、仲直り、一緒に頑張りマショ?」

旅客船姫「ええ」ニッコリ


旅客船姫は金剛の部屋を出て、ゲストルームに戻り、ベッドに入る。


旅客船姫(金剛さんに色々話してしまいました……。でも、深海棲艦の戦力、巣の位置、姫級の意味、お母様の存在、重要なことは話せなかった……。

金剛さんごめんなさい……)


一方、ベッドの中の金剛。旅客船姫が全て話していないことなど、百も承知だった。


金剛(仲直りしたいのはティターニアちゃんのグループだけで、他の深海棲艦は分からないデスカ……。

しかし……ティターニアちゃんは、まだ隠してることがありマスネー。ワタシの目はごまかせマセーーン。もっと仲良くならないとデース……。

それにしてもワタシよりBBA……じゃなくて年上がいるなんて、ちょっと嬉しいデーース……)ニタァ


黒い喜びを抱いたまま、金剛は眠りに落ちたのであった。


- 続く -
732 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/27(日) 05:35:06.28 ID:sRanAtUh0
乙!
733 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/27(日) 08:47:30.98 ID:1UExUlaao


まあ、史実で「オールドレディー」なんて呼ばれてたウォースパイトですら、実は金剛より年下だからなぁ。
旅客姫の存在はさぞや心の支えに……そ、そんなばかな! 窓に、窓に!
734 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/27(日) 09:12:51.93 ID:JyvbO4v8o
おつ
旅客ちゃんきゃわわ
こんなに可愛いのに艦娘の年増枠より歳上とかなんかの間違いだな
735 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/27(日) 09:59:48.00 ID:VgFMK2u00
おばあちゃん生き生きすな
736 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/27(日) 11:23:49.68 ID:jtdFGDS00
姉妹船として造られたオリンピアとティターニア
氷山に衝突して沈んだのは...
名前を入れ換えられた姉の方だった(サスペンス感)

737 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/27(日) 12:11:59.71 ID:ejT2qswTO
「「体が」」
「「」入れ替わってるーーー!!?」
738 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/12/18(日) 02:29:35.56 ID:sbS3nNEIo

翌朝、鎮守府の大食堂で朝食。

その後、金剛の紅茶が振舞われた。


金剛「どうぞ召し上がれ」

チ級「美味しい!」

レ級「スコーン甘イ!」ガツガツ


しかし、浮かない顔の旅客船姫。


旅客船姫(紅茶は美味しいですが……ハァ……金剛さんは悪いようにはしないと、おっしゃっていましたが……。

もうこうなったら覚悟を決めましょう……なるようにしかなりません)


急に旅客船姫がスコーンを頬張る。


旅客船姫「美味しいですわッ!」ガツガツ

739 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/12/18(日) 02:31:35.96 ID:sbS3nNEIo

朝のお茶会が終わると、長門が来た。


長門「本日は上野の動物園に行って、東京のホテルで一泊。翌日、お帰りとなります」

北方棲姫「動物園!」キラキラ

リ級「パンダさんなのです!」キラキラ

長門「今回は、この五月雨も同行します」

五月雨「五月雨っていいます! よろしくお願いします」ペコリ


皆、ハイエースに乗り込むが……。


五月雨「荷物、運びます! お任せください! あれぇっ!?」コケッ

チ級(大丈夫かな?)
740 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/12/18(日) 02:33:13.76 ID:sbS3nNEIo

動物園に着くと、おおはしゃぎのチビっ子たち。


北方棲姫「パンダ! パンダ!」キャッキャッ

リ級「ライオンさんなのです!」キャッキャッ

五月雨「ハダカデバネズミ!」キャッキャッ


はしゃぎ過ぎてちょっと疲れたチビッ子に、アイスを配る長門。


北方棲姫「アイス!」ペロペロ

リ級「冷たくて美味しいのです!」

五月雨「うーん、最高です! あっ、アルちゃん」

北方棲姫「ん?」

五月雨「アイスがお口から垂れてますよ。フキフキしてあげます!」フキフキ

北方棲姫「ん……ん……。サミー、ありがとう!」


それから北方棲姫は五月雨がお気に入りに。


北方棲姫「サミー! サミー! あっち行ク!」

五月雨「うん!」

リ級「ウフフ。アルちゃん、すっかりサミちゃんがお気に入りなのです」ニッコリ
741 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/12/18(日) 02:34:11.28 ID:sbS3nNEIo

そんなチビっ子に熱い視線を送る長門、ル級、そして港湾棲姫。


ル級「……イイ……」デレーーン

長門「む! 分かりますか?」デレーーン

ル級「守りたい、あの笑顔……」

長門「同士よ……」ガシッ


熱い握手を交わす二人。


港湾棲姫「ワタシも混ぜてモラエマスか?」

長門「おお! あの娘たちを愛する心があれば、萌える心があれば、間違いなく同士です!」

港湾棲姫「……」ガシッ


三人が固く手を握り合う。


チ級(あの三人は、一体なにを……?)


そこに、雨が降ってきた。


長門「雨が降ってきました。博物館に移動しましょう」
742 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/12/18(日) 02:35:15.61 ID:sbS3nNEIo

科学博物館に移動する一行。


北方棲姫「……」ポーーー

五月雨「アルちゃん、気になるの?」


北方棲姫がゼロ戦の前で足を止めた。


北方棲姫「……ゼロ……」ポーーー

五月雨「アルちゃん……」ダキッ


ゼロ戦を見つめる北方棲姫を、後ろから五月雨が抱きしめる。


北方棲姫「サミー……」ポーーー


それを見つめる三人。


長門「……イイ……」鼻血ダラー

ル級「……イイ……」鼻血ダラー

港湾棲姫「……イイ……」鼻血ダラー

チ級(さっきからあの三人は、一体なにを……?)

743 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/12/18(日) 02:38:06.46 ID:sbS3nNEIo

一行は、古代生物のコーナーに。

巨大な恐竜の化石が展示されている。


リ級「はわわ……大きいのです……」

北方棲姫「キョウリュウ!」キャッキャッ

五月雨「三葉虫、可愛い!」キャッキャッ

チ級(五月雨ちゃん、センスが鋭いというか、トガってるな……)


一方、少しアンニュイな旅客船姫。


旅客船姫「私たちは……地球上の、どの生物とも似ていません……」

チ級「……」

旅客船姫「私たちは……どこから来て、どこに行くのでしょう……」

チ級「……」

旅客船姫「私たちは……なんのために生きているのでしょうね……」

チ級「なんのため……人間も、それは分かっていないのですよ」


旅客船姫が遠い目で微笑む。


旅客船姫「そうですか……」
744 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2016/12/18(日) 02:39:18.89 ID:sbS3nNEIo

博物館の閉館時間となった。


長門「アメ横という商店街があります。雨も止みましたので、そこに行きましょう。様々な店があって、眺めるだけでも面白いですよ」


夕方の買い物の時間。かなりの人ごみ。一行がアメ横を歩いていると……。


港湾棲姫「キャッ!」


サングラス、マスクの大柄な男が、港湾棲姫の荷物をひったくろうとしている。


男「チッ!」


力比べで深海棲艦にかなうわけがなく、男はあきらめて逃亡した。


長門「貴様! 待て!」


長門が追うが、人ごみに阻まれ見失ってしまう。


長門「くっ、逃げられてしまった。ハーバーさん、お怪我は無いですか?」

港湾棲姫「無いワ」


一同、胸をなでおろすが……。


港湾棲姫「アルが……アルがいない!」

一同「!」


- 続く -
745 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/18(日) 04:19:57.17 ID:7zJ8pgw7o
乙です
746 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/18(日) 11:45:14.39 ID:SSM2x0aO0
747 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/24(土) 11:47:13.32 ID:bYe/BSNwO
おつ
748 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/01/02(月) 23:12:41.00 ID:n9PZjvZbo

港湾棲姫「アル! アル!」

チ級「アルちゃん! アルちゃん!」


俺たちは周囲を探すが見つからない。

その時、長門のスマホが鳴った。


長門「なんだ。今忙しいんだ。後で掛け直してくれ……」

男「お前の白いガキを預かってる。白いデカイ女の荷物と引き換えだ」

長門「なんだと……?!」

男「取引の場所と時間は、また連絡する。警察には言うな。言ったらガキをコロすぞ」

長門「おい! 切るな! クソッ!」

チ級「長門さん、どうしたんすか?」

長門「アルちゃんが……誘拐された……」

一同「」


ぞわっと総毛立つ港湾棲姫。


チ級(ヒッ! このままだと東京を焼け野原にしかねない!)
749 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/01/02(月) 23:14:07.99 ID:n9PZjvZbo

長門「ハーバーさんの荷物と引き換えと言ってました。何か心当たりは?」

港湾棲姫「……荷物……ソウイエバ……」ホワンホワンホワン


ZZZZ国の国際空港の出発カウンター。


男「もし、そこのお姉さん」

港湾棲姫「ワタシ?」

男「そうです。日本に行くなら、これを預かってもらえませんか?」

港湾棲姫「ナゼ?」

男「日本にいる家族に荷物を送りたいのですが、私は貧乏で、送料が払えないのです。

日本に着いたら、空港に迎えの者がいると思いますから、渡してください」

港湾棲姫「ソウ……分かったワ」

男「ありがとうございます! ありがとうございます!」ポロポロ

港湾棲姫「フフ、任せて」ニッコリ

港湾棲姫(イイコトしたワ……)


説明を聞いた長門の顔色が、真っ青になる。


長門「その荷物を見せて下さい」


30cm程度の平べったい段ボール箱。表面には何も書かれていない。

持ってみると、ずっしり重い。

開けてみると……。


長門「白い粉がギッシリ入ってますね……」

チ級「はわわ! はわわ!」オロオロ

リ級「?」
750 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/01/02(月) 23:16:23.65 ID:n9PZjvZbo

長門「空港に迎えはいなかったのですか?」

港湾棲姫「それらしい人は居なかったワ」

チ級(多分、一人きりになったところで、ひったくるつもりだったんだろうな……。

でも、いつまでたっても一人きりにならないから、しびれを切らしたんだろう……)

チ級「どうすれば……」

チ級(警察に通報したら、どうだろうか……。いや。身元を調べられたら、深海棲艦とバレるかも。

かと言って、何もしなかったら、港湾棲姫様が大暴れするだろうし……。

なによりも、北方棲姫様が暴走したら……ああああ!!!)


旅行の前、北方棲姫は「絶対暴れない」と約束していた。だから大人しく?誘拐されたのだった。

しかし、我慢の限界を超えたら、どうなるか分らない。


チ級「はわわ! はわわ! はわ」

リ級「落ち着くのデス!」ズビシッ

チ級「わぷっ!」
751 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/01/02(月) 23:17:44.57 ID:n9PZjvZbo

うろたえる俺の横で、長門がスマホを取り出した。


長門「ここは任せて貰えませんか。必ずアルちゃんを助け出します」


どこかに電話をかける長門。


長門「ボス、緊急事態です。アルちゃんが誘拐されました。犯人は警察に言うなと。ええ。『長門会』に召集を掛けてください」


長門が電話で事情を話す。


長門「ええ。アジトに向かいます。はい。駆逐艦、万歳! では」


電話を終えた長門がこちらを向いた。


長門「ここにいたら、また襲われるかもしれません。安全な場所に移動しましょう」

752 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/01/02(月) 23:21:58.09 ID:n9PZjvZbo

連れてこられたのは、目立たない場所にあるマンションの一室。


長門「ようこそ『長門会』のセーフハウスへ。長門会には、もう一つの顔がある。それは『駆逐艦と幼女を絶対助ける会』だ!」ドン!

チ級「」


部屋をよく見ると、銃器が山のようにある。


長門「駆逐艦を虐待する鎮守府の提督を、深海棲艦の仕業に見せかけて、再起不能になるまでボコるなど日常茶飯事……。

おっと、今のは聞かなかったことにしてくれ」

チ級「」

長門「リーダーは、あの電のコスプレしていた長門。我々は『ザ・セブン』とか『ボス』と呼んでいる。

ザ・セブン、とは、ザ・ビッグ・セブンの略でな。彼女は長門の一番艦で、全国の長門を束ねてるお方だ」

チ級「そ、そうなんですか……」


そこに、ザ・セブンがやってきた。


ザ・セブン「犯人の当たりは、大体ついたぞ」

チ級「本当ですか?」

ザ・セブン「ZZZZ国系のギャング団は関東に数えるほどしかいない。そして、奴等のやり方からして、

まともな輸入ルートを持たないハミ出し者だろう。というところまで行けば、あとは簡単だ」

長門「場所は?」

ザ・セブン「そちらも当たりがついている。時間がない。移動しながら話そう。

皆さんはこちらでお待ち下さい。すぐにアルちゃんを連れて戻りますよ」ニヤリ

レ級「オレ、同行したいナ〜。ジャマしないからサ〜」

ザ・セブン「……いいでしょう。こちらの指示に従って頂けるなら」

レ級「ギシシッ! アリガトウ! 行くゾ、チドリ!」

チ級「お、俺もですか?」
753 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/01/02(月) 23:25:59.54 ID:n9PZjvZbo

用意された車は……。


チ級(なんでハイエースなんすかね……)


艶消しダークオリーブのハイエースに乗り込む俺たち。

ドアを開けようとすると、めちゃくちゃ重い。窓ガラスも厚い。


チ級(防弾ガラスかな……? 装甲ハイエースとか……まともじゃない……)


車の中には、完全武装の長門が数人。

目だし帽で顔が分らないようになっている。


チ級(洋ゲーのFPSかな? 艦娘の格好じゃないところがガチっぽい……)


スルスルと発車するハイエース。


ザ・セブン「首尾はどうだ」

副官・長門「現在、突入班、狙撃班、サポート班が現地に移動中。先遣要員が狙撃ポイントを確保済みです」

ザ・セブン「急な召集だったが……」

副官・長門「ご安心を。腕利きが集まりました。彼女たちの勲章でコンテナを一杯にできますよ」

ザ・セブン「よし」ニヤリ
754 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/01/02(月) 23:29:11.68 ID:n9PZjvZbo

着いたところは、お台場の廃墟。昔は栄えていたが、深海棲艦の攻撃があったため、今は見る影もない廃墟となっていた。


チ級(昔はガンダムとかジョイポリスとかTV局とかあって、栄えてたんだけどな〜)


音もなく車を降りる長門たち。

突入班のリーダーは、XXXX鎮守府の長門のようだ。


長門「あのビルだ」


低層の細長いビルを指さす。


ザ・セブン「アルちゃんは最上階にいるようだが、カーテンがかかっていて、状況が不明。今、突入のタイミングを計っているところだ」

チ級「そうですか」

副官・長門「狙撃班、いつでもいけます」

長門「突入班、いつでもいけます」

ザ・セブン「よし。指示を待て」
755 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/01/02(月) 23:31:55.82 ID:n9PZjvZbo

その時……。


ドーーーーーーーン!!!


ビルの最上階が爆発した。ガラスが全部吹き飛び、周囲がキラキラと輝く。


チ級「」


そして、我先と男たちがビルから逃げ出してきた。


ザ・セブン「くっ! 突入班、行け!」


入れ違いに、ビルに突入班が殺到する。

最上階にたどり着くと……。


長門「援護してくれ。まずは私が部屋に入る」


そろりと長門が部屋にはいると……。
756 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/01/02(月) 23:34:31.32 ID:n9PZjvZbo

北方棲姫「Zzzzz……」

長門「」


黒こげの部屋で、気絶する男たちの中心に、北方棲姫が寝ていた。


長門(酒の匂い……あれはウイスキー・ボンボン……)


北方棲姫の手にチョコレートの箱。


長門(ギャングが面白半分に食べさせて……酔っ払って暴れたのか……)


そっと北方棲姫を抱き上げる長門。


長門「アルちゃんを確保! 無事だ!」

長門(爆発は……ギャングのせいになるだろう……。アルちゃんが深海棲艦とギャングがわめいても、

ヤク中の幻覚ということで終わるだろうな……)
757 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/01/02(月) 23:37:14.02 ID:n9PZjvZbo

俺たちは、北方棲姫を連れてアジトに戻った。


港湾棲姫「アル!!!」ダキッ

北方棲姫「Zzzz……」

長門「とても疲れたのでしょう。ぐっすり眠ってますよ」

港湾棲姫「アリガトウ……本当にアリガトウ……」ウルウル

旅客船姫「無事でよかったです……」ウルウル


その横で……。


ザ・セブン「ああ……。署長か。私だ。今回の件は、全てヤク中のギャング団が原因だ。ああ。何を言っても幻覚ということで。

そうだ。全ては駆逐艦と幼女のため……。駆逐艦、万歳! では」

チ級「」

チ級(署長って、きっと警察署長だろうな……だからギャング団の情報とか知ることが出来たんだな……駆逐艦愛、恐るべし……)


ザ・セブンが何やら取り出す。


ザ・セブン「一件落着だな。こんなときは癒しを求めて、甘い煙のダビドフ・マグナムなのです! ここではあれだから外で吸うのです!」

副官・長門「ご一緒しますよ。私も……甘いロング・ピースで」ニコッ

チ級(西部警察かな? あれはブランデーだったか……)


俺たちの波瀾万丈の日本旅行はこうして終わったのだった。
758 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/01/02(月) 23:44:16.79 ID:n9PZjvZbo

一方、XXXX鎮守府……。

司令室には、提督、金剛、日向、鳥海、沈黙隊長、副隊長がいる。


金剛「……というワケデース」

提督「そうか。彼女たちも恐れているんだな」

日向「ふむ……初期の深海棲艦は、エビやカニのような姿でした。奴らは無秩序に陸に殺到し、攻撃してきましたが、

人型が現れてから陸への攻撃はなくなり、防戦だけになりました……」

鳥海「彼女が言う『人型が出て、知性を得た時には手遅れだった』、『正直戦いたくないけど、人間に滅ぼされないように戦ってる』

というのに符合しますね」

日向「……深海棲艦が撤退する部隊を追撃ない理由が、長年、不思議だったのですが……そういうことだったんですね。

彼女たちの恐怖心と良心とのせめぎ合いの妥協点だったと」

沈黙隊長「……」


日向が提督に向きなおる。


日向「しかし……深海棲艦の全てが和平を望んでいる訳ではないとなると、状況は厳しいですね」

提督「策は無いこともない」ニヤリ

鳥海「策とは?」

提督「俺がムサシさんを落とせばいい」

一同「」

日向(この提督なら……まぁ……そうなるな……。そういえば……敵の女と結婚して和平をなしとげた、

なんてアニメがあったとか……。那珂に歌でも歌ってもらうか……ふふっ……)


第六話 完
759 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage]:2017/01/02(月) 23:46:16.47 ID:n9PZjvZbo
あけましておめでとうございます。
第六話は幕間劇ぐらいのつもりでしたが、書き始めたら予想以上に膨らんでしまいました。
なお、第七話の予告はこちら。

>>611

このペースだと、あと二話、今年中に終わるかどうか不安です。
760 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/02(月) 23:52:06.63 ID:r1ChHcLGo
おつおつ
完結までついてくから納得いくようなのたのんます
今年もよろしく
761 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/03(火) 19:26:17.20 ID:nTnqztZb0
更新お疲れ様です!

ネタの随所に昭和の香が・・・・。

おっさんの自分、大歓喜!

納得のいく作品をどうぞ宜しくお願いいたします!
762 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/05(木) 03:13:15.05 ID:Mvqggiig0
新年明けたばかりなのに今年中には終わらない!?
ものすごく楽しみです!!
763 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/04(土) 21:26:04.84 ID:EbmUDjJRo
保守
764 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage]:2017/02/27(月) 03:22:07.00 ID:do9hsYBUo
>>763
保守ありがとう
一か月ルールなんてのがありましたね
スレが落ちるとこだった


ちょっと備忘録的に直します。

>>669
鳥海「話を戻しますが、深海棲艦との戦争は、もはや世界経済の枠組みの一部となっています。

和平は世界経済に大きな影響を与えるでしょう」



鳥海「話を戻しますが、深海棲艦との戦争は、もはや世界経済の枠組みの一部となっています。

一度確立した枠組みを変えるのは、容易ではありません。それどころか、枠組みを変えようとすると、

既得利権を持つ者から、大きな反発を招くでしょう」


>>758
提督「そうか。彼女たちも恐れているんだな」

提督「そうか。俺たちが深海棲艦を恐れるように、彼女たちも俺たちを恐れているんだな」




765 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/02/27(月) 03:26:35.76 ID:do9hsYBUo

- 幕間劇 -

- 第六話 おまけ NewTuber CHIKAKIN -


ここは南海孤島のチンジュフ。

俺は薄暗い自室でPCに向かい、ブツブツと何かをつぶやいていた。


チ級「あたい、買ってきたよ、これ!」


俺が着ているのは、今流行りの「童貞を殺す服」。

日本旅行で買ってきたのだ。


チ級「さあ! あたいを見てシぬといいよ!」


なぜ俺がこんなことをしているかというと……。

数週間前、俺はNewTubeにチャンネルを作った。


チ級「小学生憧れの職業のNewTuberにでもなるか」


せっかく女になったので、試しにNewTuberになってみたのだ。


チ級(俺が人間の頃、戦艦少女これくしょんのプレイ動画を上げたけど、ViewもSubscriberも全然増えなかったな〜)遠い目

チ級(レ級さんもフェークブックで人気だし、俺もやってみるか)


俺は女という利点を活用することにした。


チ級(お色気で人気を集めよう。誰だってそーする。おれもそーする)


お色気といっても色々ある。


チ級(そうだ! 全裸はどうだろう。深海棲艦なんて、俺たちゃ裸がユニフォームってノリだし。

いやいや、全裸はさすがにマズイ。下着にするか? いや、下着もどうかな?

水着ならどうかな。『パンツじゃないから恥ずかしくないもん!』て誰か言ってたな)


あざとく露出の多い水着をチョイスする。


チ級(で、何をするかだけど……ビートボックスとか面白いことも出来ないし……。

適当に菓子でも食って、感想を言うか)


ということで、身バレしないように風邪マスクをして、お気楽に動画をアップし始めたのだが……。
766 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/02/27(月) 03:33:44.25 ID:do9hsYBUo

チ級「うぃいいいいいいいいいいい↑っす! どうも、CHIKAKINで〜す!

あたいの美しい姿が見られて、あんたたち本当にラッキーね!」


ぞんざいなキャラ作りと、有名NewTuberっぽい名前。


チ級「このチャンネルでは、世界一可愛いあたいが菓子を食って、だらだらするだけ!」


早速、菓子を食う。


チ級「この菓子……うん……うん……甘い。なんつーか、こう……甘い」


昆虫のようなボキャブラリー。


チ級「この菓子。一言で言うと、甘い! ずばり本質を突くなんて、あたいったら天才ね!」


俺は、そんなボンクラな動画ばかりアップした。

少しするとコメントが付き始めたので、動画の中でコメ返しをする。


チ級「前回の動画のコメ、『頭が弱そうだから、頼めばやらせてくれそう』

甘いわね! 意識高い系のあたいは、バーベルが高いわよ!

単装砲が20口径以上じゃないと相手しないんだから! ふふん!」


他のコメは……。


チ級「『ええい! 菓子のレビューはいい! 体を映せ!』

あたいの体に夢中になるのは当然ね!

でも菓子はあたいのアイアンメイデンだから、やめないわよ!」


早速、菓子を食い始める俺。


チ級「この菓子の名前は……そんなのどうでもいいわ! それは本質じゃないし!

名前にこだわる、うわべだけの薄いレビューなんて、しないんだからね!」


レビューの本質を投げすてた俺は、カメラを直すふりをして、

あざとく無い胸を寄せ集めて作った谷間を見せる。
767 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/02/27(月) 03:39:08.97 ID:do9hsYBUo

そして日本旅行の前日。


チ級(たまげたなぁ……)


Subscriberの数が千を超えていた。


チ級(こんな適当な動画で……)


気を良くした俺は、さらにSubscriberを獲得すべく「童貞を殺す服」を買ってきたわけだ。


チ級「ふふん! この服を着こなせるなんて、あたいったら流石ね!」


もちろん前後を逆に着る。

大事なところが見えそうだが、実は服に両面テープを張って、ずれないようになっている。

そして……。


チ級「やった! Subscriberが一万を超えた! 広告収入で暮らしていけるかも!」


俺は意気揚々とグールグルの広告プログラムに応募したのだが……。


チ級「なになに、グールグル・アボンセンスから返事が?

『あなたのチャンネルの動画は、広告の禁止ポリシーに該当します。よって広告プログラムには参加出来ません』」

チ級「」


ガックリと肩を落とす俺。


チ級「短けえ夢だったなあ……」


しかし、しょーもない動画を作って反応があるのが楽しくなってしまい、

金にはならないが、動画をあげ続ける俺だった。


- 第六話 おまけ 完 -
768 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage]:2017/02/27(月) 06:02:16.25 ID:do9hsYBUo
訂正が
「童貞を[ピーーー]服」じゃなくて「童貞を[ピーーー]セーター」でした
769 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage saga]:2017/02/27(月) 06:04:52.63 ID:do9hsYBUo
やっちまった
「童貞を殺す服」じゃなくて「童貞を殺すセーター」の間違いですた……
770 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/27(月) 09:30:58.75 ID:NgTgr1aco
乙!

童貞を[ピーーー]セーターって、前後逆に着るとπモロでは……?
ちなみに「上下が逆」なんていう斬新な着方もあるけど、チ級さんの胸じゃずり落ちるか。
(参考資料:ピクシブ大百科)
771 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/27(月) 21:39:16.62 ID:5vFjSDfZ0
乙乙です!
772 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/05(日) 14:10:19.27 ID:LMMI/kBX0
乙です!
ゆっくり続きお待ちしております!
773 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/04/02(日) 02:32:08.44 ID:VIkp41TTo

- 第六話 おまけ 艦娘の覚悟 -


俺たちが日本を去った後のある日の夜。

XXXX鎮守府で、日向と鳥海が酒を飲んでいた。


日向「お客さんたちとは話したのか?」

鳥海「はい。話してみると、私たちと変わらない、好ましい人たちでした」

日向「……そうだな」


日向が焼酎をグイッと飲む。


鳥海「戦場では会いたくないですね。特に幼い子には」

日向「……」

鳥海「戦場で出会ってしまったら、ためらいなく撃つでしょうから。

リンちゃんでも、アルちゃんでも。そしてきっと後悔するでしょう」

日向「……」

鳥海「しかし後悔した後でも、やはり戦場ではためらわない。それが艦娘ですから」

日向「……」

774 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/04/02(日) 02:34:16.96 ID:VIkp41TTo

日向が空いた杯に手酌した。


日向「艦娘は深海棲艦を沈める覚悟を持っている」

鳥海「……」

日向「同時に沈められる覚悟も」

鳥海「……」

日向「だからか、わたしは不思議と深海棲艦に恨みはない。伊勢を沈められたことは決して忘れないが」

鳥海「……」

日向「ただ……人間はどうだろう。家族、恋人、友人を殺されて、許せるのだろうか?」

鳥海「……」

日向「あれだけのことをされて『許してくれ』と言われても……まあ、都合が良すぎるとしか思わないだろう」

鳥海「……」

日向「その点、ティターニアさんには悪いが、戦争継続派のほうが現実を見ている気がする」

鳥海「……」

日向「人類が深海棲艦を許すはずがない、と考えるほうが自然だ」

鳥海「……」
775 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/04/02(日) 02:37:27.33 ID:VIkp41TTo

鳥海もくいっと杯を傾ける。


鳥海「しかし司令官さんは和平の策が有ると言ってました。もしかしたら、ゴールが見えているのかも」

日向「ふむ……」

鳥海「ただ、わたしには全く見えませんが」

日向「……」

鳥海「よしんば戦艦水鬼と和平交渉が成立したとして、深海棲艦は日本だけではなく全世界の敵ですから、

日本だけ和平をしても意味がありません。下手をすると、裏切り者として日本が世界の敵とみなされます」

日向「……」


日向が焼酎のビンを持ち上げた。


日向「空いてしまったな。もう一本どうだ」

鳥海「はい。頂きます」

日向「前途多難だが、あの提督だ。まあ……なんとかするだろう」ニヤッ

鳥海「そうですね」


二人は深夜まで酒を飲んだそうな。


- 第六話 おまけ 完 -
776 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/02(日) 03:21:55.16 ID:yHeGXBtto
おつおつ
幕間やったぜ
777 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/02(日) 15:51:06.45 ID:+LtmLrvK0
乙です。
前から名前はちょくちょく見かけてたがまさかこんなに長寿だったとは、面白くて一気に読んでしまいました、続きはのんびり待ってます。
778 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/02(日) 18:24:02.73 ID:Tv34CoJgO
おつです!
779 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/04/20(木) 01:10:37.56 ID:0yoeDN7go

- 第六話 おまけ 恋するレ級 -


日本旅行の鎮守府での宴会でのこと。


レ級「キシシシシシシ! ン? アレは……」


レ級がツンツンと隼鷹をつつく。


レ級「ジュンヨー。あのホット・ガイは誰?」目キラキラ

隼鷹「んあ? あの人は参謀さんだぜぇ〜」


視線の先には初老の軍人。頭髪は白く短い。整えられた口髭がダンディ。

軍服は、隊長のものより、少々豪華な感じだ。

背筋をビシっとのばし、上品、かつ、無駄のない動きで食事をしている。


レ級「フーン。紹介シテヨ!」

隼鷹「あーゆーのが好みなのかい? 渋いとこ行くじゃ〜ん?」ニタニタ


酒びたりの二人が、参謀に近寄る。


隼鷹「参謀さぁ〜ん、飲んでるぅ〜? ところでさぁ〜、この娘が挨拶したいそうでぇ〜す!」

参謀「これは可愛いらしいお嬢さんだ」ニッコリ(C.V.納谷悟郎)

レ級「ワタシ、レンと申します。よろしくお願いします!」ニッコリ

参謀「参謀です。こちらこそ」


それを聞いた俺は吹き出しそうになった。


チ級「グブッ! ゲホッ! ゲホッ!」

夕張「チドリさん、大丈夫?」

チ級「だ、大丈夫よ」

チ級(ネコ被りすぎだろ……)
780 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/04/20(木) 01:12:38.92 ID:0yoeDN7go

ふと見ると、参謀の隣の席が空いている。


レ級「ココ、よろしいですか?」

参謀「ああ、いいとも」

隼鷹「レン〜〜、グイグイ行くねぇ〜〜!」ケタケタ


レ級がちょこんと座る。

参謀を近くで見ると、軍人らしくガッシリとしていて、かつ、節制がうかがえるスマートな体格。

落ち着きがあり冷静で、成熟した大人を感じさせるところが、レ級のドストライクだった。


レ級(オイオイ!? ギャリソンさんクラスの、とんだ上玉ジャネーカ!)

レ級「日本はとても良いところですね」上目づかい

参謀「そうだな。わしも気に入っている」

レ級「ところで……おじ様も提督でいらっしゃいますか?」

参謀「なぜそう思うのだね」

レ級「風格といいますか、雰囲気がそのように感じられまして」

参謀「そう言ってくれるのは嬉しいが、わしはただの老いた軍人だ」


参謀の向こう隣りの副参謀が声をあげた。


副参謀「お嬢さん、あなたは慧眼の持ち主ですね!

閣下は、故国では『海軍にその人あり』と言われたほどのお方だったのです!

艦娘ではなく船の艦隊の提督であらせられたのだ」

レ級「そうだったのですか」


誇らしそうな副参謀。
781 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/04/20(木) 01:16:40.80 ID:0yoeDN7go

副参謀「……ただ、故国で名門貴族出身の国会議員とトラブルがあって……。

無礼をはたらいた傲岸不遜な議員を閣下がお諌めになったら、

身に覚えのないスキャンダルで軍を追われて、国にいられなくなり、

ご家族とともに日本に移住されたのだ」


悲しそうな副参謀。

移住後、参謀は隠居していたのだが、深海棲艦との戦争がはじまり、

XXXX鎮守府の提督が三顧の礼で迎え入れたそうな。


参謀「それで、現在は部下一人だけの客員参謀ということだ」

副参謀「閣下! 閣下へのこの扱いはひどすぎます! 大艦隊を率いるべきです!」

参謀「毎回言っているが、この処遇はわしが望んだのだ」


顔が真っ赤な副参謀。

どうやら副参謀は、酔うと参謀の扱いの不満を言うらしい。


参謀「提督になると、政治や社交界などがからんでくる。

そのようなものは、もううんざりなのだよ」

副隊長「ですが……閣下ぁ〜〜!」ぶわわっ

チ級(坂田鋼鉄郎かな?)
782 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/04/20(木) 01:20:32.87 ID:0yoeDN7go

レ級がキョトンとしている。


参謀「変な雰囲気になってしまったな。レンさん、おわびではないですが、

手を着けてない皿です。いかがですかな?」

レ級「いただきます!」


あっというまにたいらげるレ級。


レ級「ありがとうございました! とても美味しかったです」

参謀「元気のよいお嬢さんだ。よかったら、これも食べなさい」ニッコリ

レ級「はい!」パァアア


孫を見るような参謀の優しい眼差し。


レ級「ところで……質問よろしいですか?」

参謀「なんだね」

レ級「彼女さんとか、いらっしゃいますか?」


その時、俺の背中に悪寒が走った。


チ級(あ、これ、艦娘バーの時と同じ感じだ……)


レ級の方を見ると、近くの席の妙高、高雄、ビスマルク、そして鳳翔の顔が引きつっている。
783 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/04/20(木) 01:23:06.75 ID:0yoeDN7go

参謀「ああ。妻がいる」

レ級「……ソウデスカ……」ガックリ


なぜか妙高、高雄、ビスマルク、鳳翔もうつむいた。


レ級(残念ダ……イイ男だったのに……)


そして宴会の後……。


妙高「もし……レンさん?」

レ級「ン?」

妙高「よろしければ、一緒に飲みませんか?」

レ級「……」

高雄「参謀さんに、ふられた者同士で……」

レ級「……」コクン

ビスマルク「Gut」


いつもとは違い、傷心のレ級は素直にうなづいた。

その後、店を閉めた鳳翔も合流し、横須賀の居酒屋で朝まで飲んだそうな。


- 第六話 おまけ 完 -
784 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage]:2017/04/20(木) 01:24:22.39 ID:0yoeDN7go
日本海軍では「閣下」とか「殿」とか付けて呼ばなかったそうですが、
海外から来た軍人さんということで、多めに見て下さい
785 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/20(木) 07:23:24.29 ID:QnIH5PJJ0
んな、こまけえこたぁ気にすんなと言わせていただきたく
重箱の隅をつつく様な尻の穴の小さいやからなんて気にしないでいいですよ
いつも面白く読ませて頂いています
更新お疲れ様でした
レ級枯れ専なのか
786 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage]:2017/05/14(日) 23:35:38.90 ID:wo7MuwwYo
>>770
ビーチクは、首から下がる帯紐で隠してます……(白目)


短めですが、始めます。
787 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/05/14(日) 23:38:38.55 ID:wo7MuwwYo

第七話 アオバ・レポート


ここはアメリカの大平原。

何もない荒野に、一本の直線道路が地平線まで伸びている。

その道路を疾走する黒いセダンと三台のハンヴィー。

セダンの運転席には女性、後部座席には青葉、川内。


川内「追っ手を振り切れないね」

青葉「時速100マイル(約160km)で走るハンヴィーって、なんなんですか!?」


みるみるハンヴィーが追いつき、セダンを左右、後ろから包囲した。

ハンヴィーの屋根にある遠隔操作の機関銃がウイーーンと動き、セダンに狙いをつける。


青葉「ひぃいいい!!!」

女性「どうしたんスか!」

川内「伏せて!!!」


機関銃が一斉に火を噴き、セダンに銃弾を雨あられと撃ち込んできた。


青葉「ぎゃあああああああ!!!」
788 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/05/14(日) 23:42:27.08 ID:wo7MuwwYo

数週間前、XXXX鎮守府の青葉は指令室に呼び出された。


青葉「青葉新聞の特別号!?」

提督「そうだ。お前さんにはアメリカに行ってもらう。そこで大物を取材してほしい。

青葉新聞の特別号にあたいする相手だ」ニヤリ


あっけにとられる青葉。


提督「今度、海軍からアメリカに視察団を送ることになった。といってもガチじゃない。

親睦を深める目的でな。うちからも数名送ることなったんだが、お前さんに行ってもらおうと思う」

青葉「はい」

提督「自由行動日もあるので、その時、取材をして欲しい。費用はこちらで持つ。特別インタビューだ」

青葉「相手は?」

提督「最初の提督(以下、赤毛提督)と、その奥方だ」ニヤリ


青葉はゴクリと息をのむ。


青葉「赤毛提督はわかりますが、その奥方もですか?」

提督「むしろそちらが本命だ。徹底的に調べてくれ」

青葉「……」

提督「彼女はオベロン社の社長秘書。旦那は赤毛提督。

経歴は不明。その上……戦艦棲姫にそっくりときた」

青葉「……」
789 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/05/14(日) 23:45:12.62 ID:wo7MuwwYo

青葉が考え込む。


青葉「司令官、青葉のゴーストが『このネタはヤバイ』とささやいてますが……」

提督「深海棲艦を鎮守府に招いた時点で、とっくにヤバい橋を渡っている。

それにだ、情報は多いに越したことはない。交渉のカードになるかもしれん」

青葉「鎮守府もヤバいですが、青葉もヤバイのですけど……」


提督が椅子に深く座りなおした。


提督「青葉、この戦争には、納得がいかないことばかりでね。

深海棲艦に艦娘……。敵どころか、味方さえ正体不明。

俺はこの取材で核心に近づけると思っている」

青葉「……」

提督「青葉の危険も重々承知だが、受けてくれないか?」

青葉「……そんなこと言われたら、青葉の記者魂が燃え上がっちゃうじゃないですか!

もう……承知しました。青葉、取材します!」

提督「それでこそ俺の青葉だ。なお、青葉が捕えられたり、あるいは殺されても、

当鎮守府は一切関知しないからそのつもりで」

青葉「いやぁあああああ!!!」


- 続く -
790 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/15(月) 00:33:00.22 ID:L72cCIDIo
青葉のゴースト相当優秀だね
なお

おつおつ
791 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/15(月) 05:08:09.09 ID:2J92WiE2o
青葉はイーサンハントのように生き残れるのか
792 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/05/25(木) 01:49:40.06 ID:f0qqrFoeo

そんなわけで、護衛の川内とともに、アメリカに査察旅行に出かける青葉。

平日は海軍の施設や演習を見学。週末は自由行動日。

そして迎えた土曜日。青葉と川内は、赤毛提督の住む高級アパートを訪れた。

二人とも、地味なレディーススーツ姿。


青葉「しかし、似合わないですね、この格好」

川内「……うん」


昼間だからか、川内のテンションが低い。

そんな川内にかまわず、インターホンを押す青葉。


青葉「ごめんくださーい! 青葉です!」


ドアが開くと、赤毛提督の嫁が出迎えた。

ブラウンのカーディガン、白いカットソー、黒いロングパンツという姿。


嫁「ようこそ」ニッコリ


嫁は二人とがっちり握手する。


嫁「はじめまして。嫁です」

青葉「青葉です! お会いできて感激です!」

川内「川内です……初めまして……」

嫁「どうぞ、入って下さい」


嫁が部屋に招き入れた。


青葉「恐縮です! お邪魔します!」

川内「……お邪魔します」
793 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/05/25(木) 01:52:24.96 ID:f0qqrFoeo

室内は明るく広い。天井も高い。リビングには大きいソファーと暖炉。

アメリカのホームドラマのような内装。


青葉(暖炉?)

犬「わふっ! わふっ!」


毛の長い大型犬が部屋をウロウロしている。


赤毛提督「こら、おいで。お客様に迷惑かけちゃだめだよ」


白いシャツにジーンズの赤毛提督が犬を呼び寄せると、

ソファーの赤毛提督の元に、犬がササっとかけ寄る。


青葉(あんな大型犬を部屋で飼うとは……)


赤毛提督が立ち上がった。


赤毛提督「初めまして。赤毛提督です」


やはり二人とがっちり握手をする。


青葉「青葉です! お会いできて光栄です!」

川内「川内です……光栄です……」

赤毛提督「さあ、ソファーにどうぞ」


二人がソファーに座ると、赤毛提督の背後にいる黒スーツのSPたちと目が合った。

艦種は不明だが、艦娘もいるようだ。


青葉(目を合わせても、ピクリとも表情を変えませんね……)
794 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/05/25(木) 01:55:14.24 ID:f0qqrFoeo

青葉「ええと……お忙しい中、インタビューをご快諾いただき、誠にありがとうございます」

赤毛提督「そんなにかしこまらなくても、いいですよ」ニッコリ

青葉「は、はい」


そこに嫁がコーヒーを持ってきた。


嫁「コーヒーをどうぞ」

青葉「きょ、恐縮です!」

川内「ありがとうございます」


SPにもコーヒーを渡すと、赤毛提督の隣に座る。


青葉「嫁さんもいらしたことですし、始めさせていただきます」


青葉はメモ帳を取り出し、ボイスレコーダーをテーブルに置いた。


赤毛提督「さて、今日はどんなことを聞きたいんですか?」

青葉「色々聞きたいことはありますが、まず、なぜインタビューを受けようと思われたのでしょうか?

赤毛提督さんは、インタビューは受けない方と聞いていましたが……」

赤毛提督「君たちがカンムスだから。ジャーナリストのインタビューだったら受けないけど、

カンムスにお願いされたら断れない」

青葉「なるほど!」

青葉(優しいですね〜。ウチの司令官とは大違い……)


サラサラとメモする青葉。
795 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/05/25(木) 01:56:59.10 ID:f0qqrFoeo

青葉「では、今回のテーマですが……お二人の結婚生活についてお聞きしたいと思います」

嫁「まあ! そんな///」

赤毛提督「特別なことはないよ」

青葉「いえいえ、お二方のおしどり夫婦ぶりは、日本にも伝わるほどですよ!」

嫁「///」

赤毛提督「日本にまで? 恥ずかしいな……」


照れる夫妻。


青葉(初々しいですね〜。ウチの司令官とは大違い……)

青葉「日本の艦娘たちに、どうすれば提督との幸せな結婚生活が出来るかを、ぜひともご教示いただきたく」


青葉がペンをくるりと回した。


青葉「始めに、お二人のなれそめは?」

赤毛提督「私と嫁は幼馴染。小学生のころから親友だった。中高も一緒」

青葉「なるほど。子供のころの嫁さんは、どんな方だったんですか?」

赤毛提督「大人しくて優しい。今もね」

嫁「///」

青葉「これはこれは」ニコッ


青葉がスラッとペンを走らせる。
796 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/05/25(木) 01:59:21.41 ID:f0qqrFoeo

青葉「嫁さんから見て、子供のころの赤毛提督は?」

嫁「地味で目立たないわたしと違って、彼は人気者でした。

背も高くて、明るくて、友達も多くて、かっこよくて……///」

青葉「あら〜〜」

嫁「そんな彼と友達とで、よく山や海や川で遊びました。とても楽しい思い出です」

青葉「……」


青葉は、しばらくクルクルとペンを回した。


青葉「……その頃のご友人とは、まだ連絡を取っているのですか?」

嫁「……いえ。わたしたちは、港の近くに住んでいたの。学校もね。

それで、深海棲艦の攻撃にあい、友人は行方不明、もしくは……」


うつむく嫁を、赤毛提督が抱き寄せる。


青葉「すみませんでした」

嫁「いえ……」

青葉「では話題を変えまして……ズバリ、結婚のキッカケは?」

赤毛提督「ええと……参ったな……だれにも話したことはないんだけど……」

嫁「///」


艦娘らしきSPの無表情な顔が、ピクリと一瞬だけ動いた。


青葉(SPも興味があるんですかね〜)
797 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/05/25(木) 02:05:31.20 ID:f0qqrFoeo

赤毛提督「……そう……私が軍に入ってからは、彼女と離れて暮らしていたんだ。

ある時、乗船している艦が深海棲艦に撃沈されて、私一人だけ生き残り、

長い間入院したことがあったんだ。その時、彼女が付っきりで看病してくれて……」

青葉「……」

赤毛提督「それで彼女への気持ちに気づいたんだ。愛してるって……」

嫁「///」

赤毛提督「それがきっかけでプロポーズしたんだ。入院中だったけどね」ニッコリ

青葉「いやはや……///」

青葉(あまーーーーーい!!!)


夫妻以外、SPまでも全員コーヒーを飲み干した。


嫁「コーヒーおかわりいれましょうか?」

青葉「恐縮です! ミルク、砂糖抜きでお願いします!」


嫁がコーヒーを配り終えると……。


青葉「こほん。では、嫁さん。プロポーズを受けた感想は?」

嫁「子供のころから、ずっと彼が好きだったから……本当に嬉しかった……」

青葉「……」

嫁「彼は人気者で……わたしは地味で……好きな気持ちを諦めてたの……だから本当に……」

青葉「……」


嫁がぽろりと涙を流すと、また赤毛提督が抱き寄せた。


青葉「……嫁さんは、本当に赤毛提督さんを愛しているのですね」

嫁「はい……///」

青葉「そして赤毛提督さんも嫁さんを。うらやましい限りです!」

赤毛提督「……」ニッコリ
798 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/05/25(木) 02:10:06.28 ID:f0qqrFoeo

ペンを高速回転させる青葉。


青葉「次に……円満な結婚生活の秘訣は?」

赤毛提督「……あまり考えたことはないけど、出来るだけ話すようにしている。

仕事柄、家を空けることが多いから、電話やチャットで、互いの声を聞くよう心がけているよ」

嫁「彼の声を聞くと安心するの。わたしの会社が、家族の時間に理解があるから、

彼と話す時間が持てて助かってるわ」

青葉「会社ですか?」

嫁「ええ。育児のために週三日の勤務にしてもらってるの。

わたしの仕事は社長秘書なんだけど、秘書は一人じゃなくて、

何人かいてローテーションしているから、その勤務が認められているの」

青葉「なるほど!」


青葉がペンをゆっくり回す。


青葉「……会社には、どのような印象をお持ちですか?」

嫁「良い会社だと思う。医療補助も充実しているわ」

青葉「医療補助?」

嫁「医療費の補助に、年二回の無料健康診断。それで……わたしは助けられた」

青葉「といいますと?」

嫁「わたし、健康診断で子供が出来にくい体質だって分かったの。

それで、会社の医療施設で体外受精したのよ。会社の全額補助でね」

青葉「……」

嫁「会社の補助が無かったら、支払えないくらいの金額だった。

娘を二人持てたのも、会社のおかげよ」

青葉「そうですか」
799 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/05/25(木) 02:13:53.71 ID:f0qqrFoeo

その時、ドアが開いて、娘二人が部屋に入ってきた。


次女「ままぁ〜、あそんで〜?」

長女「こらー! お客さんが来てるから、そっちいっちゃだめだよ!」


嫁にしがみついている次女を、長女が引き剥がそうとする。


次女「ままぁ〜! ままぁ〜!」ガシッ

嫁「娘がごめんなさいね」

青葉「いえ、インタビューも……もう終わりますから……」

青葉(……しかし……抱きつく次女さんを見ると……不思議な感情が湧き上がってきますね……)


青葉の顔が紅潮する。


青葉「あの……もしよろしければ、嫁さんとハグしてもいいですか?」

青葉(……このハグしたい激情は一体……?)

嫁「いいですよ。慣れてますから。わたしと会うカンムスさんは、なぜかハグしたがるので」

青葉「では……ママーーーー!」ガシッ

川内「ママーーーー!」ガシッ


なぜか川内もハグに加わる。


青葉「……」スリスリ

川内「……」スリスリ


嫁がギュっと抱きしめると……。


青葉「……」ポワワワワーーーン

川内「……」ポワワワワーーーン
800 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/05/25(木) 02:17:12.66 ID:f0qqrFoeo

それを見た長女が、赤毛提督に抱きついた。


長女「じゃあパパはあたしのものーー!」ギュッ

青葉「パパーーーー!」ギュッ

川内「パパーーーー!」ギュッ

赤毛提督「おやおや」


青葉たちも赤毛提督に抱きつく。

しばらくハグすると……。


青葉「えーー、こほん。大変失礼いたしました。では最後に記念写真を撮ってもよろしいですか?」

赤毛提督「いいですよ」ニッコリ


記念写真を撮った青葉たちは、赤毛提督の部屋を出た。

エレベータを降りて、高級アパートの玄関を出ると……。


川内「……」クイクイ

青葉「なんですか?」


川内の目線の先を見ると、アパートの向かいのビルの影に、20世紀初頭の古めかしい車。

車中のトレンチコートに中折れ帽の運転手が、ハンバーガーを片手に、双眼鏡で何かを見ている。


青葉「双眼鏡の先は……」


双眼鏡の先は、ちょうど赤毛提督の部屋の階だった。


- 続く -
801 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/25(木) 13:14:22.06 ID:D3GdtpbO0
更新乙です
面白いのだけれどこのスレで終わるのかしらという不安
ゆっくりとつづきお待ちしております
802 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/03(土) 08:53:41.19 ID:+00dMD5DO
乙です
毎回楽しませてもらってます。
僭越ですが少々気になった点を、
青葉の言葉遣いなんですが、当人達(赤毛提督夫妻)に
相対する場合は「奥様」と呼ぶのがただしいのでは?
SSの習慣としてオリキャラは固有名詞ではなく職名等で呼ぶ、
というのは分かるのですが当の本人に向かって
「嫁さん」呼ばわりは流石に違和感があります。

生意気な事を言ってすいません。
開始当初からずっと本当に楽しませて頂いてます。
お忙しいとは思いますが次回更新も頑張って下さいませ。
803 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage]:2017/06/04(日) 02:42:59.91 ID:OBmOlKyvo
>>802
コメありがとう!

>青葉の言葉遣いなんですが、当人達(赤毛提督夫妻)に
>相対する場合は「奥様」と呼ぶのがただしいのでは?

奥様ではなく名前呼びにしたのは、ちょっとだけフランクになって、
海外インタビューっぽさが出るかな〜と、思ったからです

でもガチで英語だったら、You(あなた)とかHer(彼女)になるのかな
または、Ms.赤毛提督とか……

>生意気な事を言ってすいません。

生意気なんて、そんなことないっす

>開始当初からずっと本当に楽しませて頂いてます。

そう言ってもらえると、とても嬉しいです

>お忙しいとは思いますが次回更新も頑張って下さいませ。

今、続き書いてますんで、よろしくです
804 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage]:2017/06/04(日) 04:14:45.91 ID:OBmOlKyvo
ちょっと再開
805 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/06/04(日) 04:17:53.16 ID:OBmOlKyvo

運転手は、中折れ帽、トレンチコート、黒髪ロング、黒縁メガネの若い女性。


運転手「……」モグモグ


コンコン


運転手が音の方を見ると、笑顔の青葉が窓から覗いている。


青葉「……」ニタァー

運転手「ゲホッ!」


慌てて発車しようとするが……。


運転手「?!?!? アクセル踏んでるのに、なんで動かないんスか?!?」


後ろを振り向くと、川内がバンパーを掴んで、車を持ち上げていた。

浮き上がった後輪が、むなしく空回りしている。


運転手「」


慌てた運転手は古風なリボルバーの拳銃を取り出し、窓を開けて青葉に向けた。


運転手「強盗っすか! 失せやがれッス!」スチャ


青葉がサッと銃身をつかんで奪うと……。


青葉「……」グニニニ

運転手「ひぃいいい!!! す、素手で銃身を曲げてるっす!」


青葉が曲がった拳銃を運転手に返す。


青葉「恐縮で〜〜す! お話きかせてもらえませんか?」

運転手「」
806 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/06/04(日) 04:20:48.02 ID:OBmOlKyvo

近くの食堂に入る三人。

薄暗い店内。カウンターには酒瓶。壁際にピンボール。

三人は、奥の四人席に座った。


青葉「いや〜、いかにもアメリカの食堂って感じですね」

ウェイトレス「ご注文は?」

青葉「おすすめを教えてください」

ウェイトレス「どれも美味しいけど、パストラミサンド、ハンバーガー、

ホットドッグ、クラムチャウダーがオススメね」

青葉「では、パストラミサンドにコーラ」

川内「ハンバーガー、セブンアップ」

運転手「ホットドッグとルートビア」


運転手をじっと見る青葉。


青葉「さて……あなたは何者で、何をしてたんですか?」

運転手「……」

青葉「言えませんか?」

運転手「……」

青葉「それなら……」


青葉がスマホを取り出す。


青葉「もしもし、ポリスメン?」

運転手「わかったっす! 言うからポリスメンは勘弁っス!」
807 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/06/04(日) 04:23:28.73 ID:OBmOlKyvo

青葉がニヤリと笑ってスマホをしまう。


運転手「自分は、とあるやんごとなきお方のメイドっす。あそこで嫁さんを監視してたっす……」

青葉「目的は?」

運転手「……目的は調査っす……」


運転手が調査について話すと……。


川内「本当なら許せないね……」

青葉「これは許せませんねぇ」

運転手「ところでお二人は何者っすか?」

川内「……正義のニンジャ……それ以上は言えない……」

青葉「え?」

川内「わたしはコードネーム:リバー。彼女はブルー」

青葉「は?」


それを聞いた運転手が、キラキラと目を輝かせた。


運転手「正義の味方なら、調査に力を貸して下さい! お願いします!」

青葉「……メイドを雇うほどの、やんごとなきお金持ちなら、

本職の探偵を雇えばいいんじゃないですか?」

運転手「もう何回も探偵に頼んだんスが、手掛かりさえつかめないどころか、

行方不明になる人までいて、仕方なく自分が……」

青葉「……なるほど。わかりました。しかし、こちらも任務中でしてね。

交換条件です。こちらの調査に協力してくれるなら、あなたに協力しましょう」

運転手「わかったっス! 条件を聞かせて欲しいっす!」

青葉「こちらの条件は……」


条件を話す青葉。
808 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/06/04(日) 04:27:58.87 ID:OBmOlKyvo

運転手「その条件をのむっす。交渉成立っすね!」ニッコリ

青葉「では乾杯しましょう。乾杯!」

川内「乾杯」

運転手「乾杯っす!」


アメリカンサイズのコップをぶつける三人。


運転手「ルートビアが美味いっす!」

青葉「それにしても……その姿と車は、どうしたんですか?」

運転手「自分、小説で探偵業を勉強したっす。アラゴン・レビューで評価高かった本っす」

青葉「……その服装と車と拳銃……フィリップ・マーロウですか……」

川内「探偵するなら、違う車にしなよ」


車話で微妙にテンションが上がる川内。


運転手「どんなのがいいんすかね?」

川内「車は……『POWWWWWEEEEEEEEEERRRRRRR!!!!』だよ!

馬力! トルク! 排気量! V8だよ! V8! V8を称えよ! V8を称えよ!」ガタッ

青葉「」

運転手「なるほど! ためになるっス!」


青葉が絶句していると……。


運転手「ところで調査の話っすが、一緒に行ってもらいたいところがあるっす」

青葉「どこですか?」

運転手「オベロン社の軍事研究施設っす」


- 続く -
809 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/04(日) 08:29:04.36 ID:4MzJzdNu0
更新乙です
青葉「撃っていいのは、撃たれる覚悟のある奴だけだ!」
1さんの作品は気づいたら笑えるっていうネタが随所に仕込んであって面白いです
川内…、頭の上で手をクロスさせてそう
ルートビアって個人的にはくっそまずいというか飲み物?なのって感想なんですが1さんはどうですか?
ドクペと同じで飲み続けたらくせになるのだろうか……
オベロンはシェークスピアの真夏の夜の夢の妖精王のオベロンから来てるのかしら
810 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/04(日) 11:50:05.79 ID:F2A6LDFDO
>>803
うおおぉぉぉぉぉん!返信ありがとうございます!
↑の方の様にネタ元に気付くような知識も見聞も無いアホたれのくせに
生意気言って本当にすいませんでした。
妙な日本人気質に凝り固まっていたようで自分の我儘を
押し付けてしまっていたようです(反省)

御主旨、理解いたしました、ウチの清霜も「バッチリ、バッチリヨ」と申しております。
今、舞台は合衆国なのでアメェ〜リカ〜ンなふいんきで
読み進めていけばイイデスね〜(全然分かってない)

個別レスを頂けて舞い上がってしまいましたスイマセンスイマセン本当にすいません。

次回更新も楽しみにしております。
811 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/04(日) 13:36:10.23 ID:R1OlMe6Lo
おつ

>>809
真っ先に思い浮かんだのは放電加工機のパーツ取扱代理店だけど、たぶんテイルズのレンズ加工メーカーじゃね?
812 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/04(日) 13:40:49.70 ID:4MzJzdNu0
>>811
テイルズかぁ、妖精さんを使役して軍需産業やってるとかの深読みしてたわ
811さん、ありがとうございます
813 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage]:2017/06/05(月) 00:48:39.63 ID:1k8M9dc4o
>>809
コメありがとう

>ルートビアって個人的にはくっそまずいというか飲み物?なのって感想なんですが1さんはどうですか?
くそまずいのには同意。でも嫌いじゃない。たまーーーに飲みたくなる、って感じです
814 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/12(月) 20:02:51.25 ID:PX35FDsh0
次回更新次に返信いただければ御の字程度に考えていたら返答が……
809ですがルートビア、たまーに飲みたくなる感じですか
自分はコストコで何も知らずにケース買いして途方にくれたことがあるんで軽くトラウマ
コストコは返品できるといっても流石に1本飲んだのを返品なんて常識外れな真似はしきらないですww
これからも素晴しい続き、お待ちしております
815 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage]:2017/06/18(日) 16:34:15.05 ID:o2c9iCYxo
瑞雲祭りとは一体……
再開するよ〜
816 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/06/18(日) 16:36:33.74 ID:o2c9iCYxo

青葉が手で運転手を制した。


青葉「その話ですが、ここではなんですから、別のところで話しませんか?」


青葉がスマホを取り出す。


青葉「個室で三人だけで話せるところ……」スマスマ


スマホで検索すると……。


青葉「ありました〜。こことかどうです?」

運転手「カラオケボックス?」

川内「個室で歌を歌う場所だよ」

運転手「ほほ〜」

青葉「まさかアメリカにもあるとは!」

運転手「打ち合わせの前に、ちょっと荷物を取ってきてもイイっすか?」

川内「あたしも一度ホテルに戻りたい」

青葉「そうですね……ではXX時にカラオケボックスで待ち合わせましょう」

運転手「了解っす!」
817 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/06/18(日) 16:38:39.31 ID:o2c9iCYxo

ホテルに戻る青葉と川内。

青葉はボイスレコーダーのデータを自分のPCにコピーし、メモをバチバチと入力している。

川内は旅行カバンをゴソゴソ漁ってる。


青葉「なにを探してるんですか?」

川内「ちょっと運転手ちゃんに渡したいものがあって……あった!」

青葉「見つかったみたいですね……っと、こっちもメモを打ち込み終わりました!」


青葉が冷蔵庫からコーラを取り出した。


青葉「ひと仕事したし、コーラでも飲みますか。川内さんもどうです?」


青葉がもう一本コーラを取り出すと、川内の手首から白い糸が飛び出し、コーラに絡みつく。


青葉「うおっ!」


コーラは糸に引っ張られ、ヒュッと川内の手元に。


川内「あんがと」ゴクゴク

青葉「そのウェブシューター、どうしたんですか?」

川内「Qに作ってもらった」

青葉「MI6じゃないんですから! 明石さんですか?」

川内「そう。いいでしょ?」ニヤッ

青葉「面白そうですが、川内さんならカギ縄とかじゃないですか? 忍者的な意味で」

川内「ニンジャは型にとらわれない。とらわれてはいけない……」

青葉「……さようで。ぼちぼち時間ですし、行きますか」

川内「うん」

818 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/06/18(日) 16:41:09.91 ID:o2c9iCYxo

二人がカラオケボックスに行くと、店の前に古風なメイド姿の運転手がいた。

何やら荷物を持っている。


運転手「早速、中に入るっす」

青葉「恐縮です!」


三人は受付をすまし、部屋に入った。

川内がサッとリモコンを手に取る。


川内「〜♪」ピコピコ

青葉「曲を入れるのは、話が終わってからにしてください」

川内「むー」

青葉「それで、調査の話ですが」

運転手「はい。オベロン社の軍事研究施設で行われている極秘業務を調べたいんす。

それでお二人には潜入の手伝いをして欲しいんす」

青葉「……施設の警備は?」

運転手「非常に厳重っす。民間軍事会社が24時間体制で警備してるっす」

川内「なら、潜入するのは、あたしら二人だけのほうがいいね」

青葉「潜入するのは人数が少ない方がいいですし。ここは私たちに任せてもらえませんか?」

運転手「では、お願いするっす!」


運転手が鞄から紙袋を取り出した。


運転手「潜入には、これを使うといいっす」ガサガサ

青葉「……セーラー服?」

運転手「カンムスに化けて潜入するっす!」

青葉「」

819 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/06/18(日) 16:45:05.48 ID:o2c9iCYxo

セーラー服を見ると、いやにボロボロ。


運転手「軍事研究施設には、カンムスや深海棲艦の死骸が列車で運び込まれてるんス。それも毎日、大量に」

川内「……」

運転手「その死骸に紛れて潜入するつもりだったっす」

青葉「……」

運転手「その列車は、真っ黒な車体と積み荷から、『幽霊列車』って呼ばれてるっす」

青葉「幽霊列車……」

運転手「貨車は天井がなく、ホロで覆ってるだけっすから、簡単に紛れ込めそうっす」

青葉「この服がボロボロなのは、轟沈した艦娘っぽくするためですね」

川内「……しかし軍事機密の固まりの艦娘の死骸を、そんなぞんざいな方法で運ぶのもんなの?」

青葉「死骸には機密情報としての価値がないからです。艦娘はコピー不可能ですから」

運転手「そうなんすか?」

青葉「某国が艦娘のクローンを作ったそうですが、艦娘に軍艦の魂が宿らず、

決して目を覚まさなかったそうです。艤装もデッドコピーしたそうですが、

妖精さんがいないので、こちらも全く動かなかったらしいです」

川内「なら、その手でいこうか」


潜入の打ち合わせを続ける三人。

打ち合わせが終わると……。


川内「ところで、運転手ちゃんは日本語読める?」

運転手「いけるっすよ」

川内「じゃ、これ。メイドのマンガ。飛行機の中で読むのに持ってきたんだ。

メイドの仕事に役立つと思うから、貸したげる」サッ

運転手「ありがとうございます!」

青葉(メイドマンガ……あの本格派メイド漫画でしょうか?)
820 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/06/18(日) 16:48:15.95 ID:o2c9iCYxo

数日後……。

潜入日当日となった。

青葉と川内が待ち合わせ場所で待っていると……。


青葉「なんか車が来ましたが……」


デロデロと音を立てながら、デカくて黒いセダンが止まった。


運転手「お待たせっす!」

青葉「車かえたんですね」

運転手「リバーさんに言われて、車買いかえたっす! キャディっす! 

V8っす! 6リッターっす! スーパー・チャージャーっす!」

川内「悪くないね」ニヤリ

運転手「中古車ディーラーさんの『いい音でしょう。余裕の音だ、馬力が違いますよ』の一言で即決っす!」


二人が車に乗ると、ド派手なアニマル柄の内装。

助手席には、なぜかギターケースとゴルフバッグ。


青葉「」

川内「しびれるね」

運転手「やんごとなきVIPが乗ってたらしいっす」

青葉(ラブホテル顔負けの内装……やんごとなきドラッグ成金とかですかね……)

青葉「ところで、髪型ですが三つ編みにしたんですか? メガネも丸メガネですね」

運転手「リバーさんのマンガのメイドさんを真似たんスよ。いや〜〜感動したっす!」

川内「でしょ? でしょ?」

運転手「リバーさんに感謝っす!」

青葉(……不安しか感じないのは、なぜでしょうか……)

運転手「じゃあ出発するっす!」


- 続く -
821 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/18(日) 17:20:18.40 ID:/zUruQOCo
おう、この世で一番おっかねぇ女の1人のコスプレは止めろ。
ろくなことにならない結果しか思い浮かばねぇ。
822 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/19(月) 02:39:39.65 ID:m41YHg0Oo
メイドの皮被ったターミネーターの方かよ
823 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/19(月) 11:09:05.36 ID:B04HBOBZ0
コマンドーww
30代から40代をピンポイントで狙ってくるネタがww
更新お疲れ様です
824 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/06/25(日) 01:36:14.10 ID:V9pTrvZZo

青葉と川内は、車内でボロボロのセーラー服に着替えた。


青葉(この制服……どの艦娘のものでもない、パチモンですね……。かえって好都合ですが……)


車が港の近くのビルの裏手に止まる。


運転手「着いたっす。この港に幽霊列車の始発駅があるっす」

青葉「ほほ〜」

川内「……」

運転手「自分は先回りして、施設の近くの集合地点で待ってるっす」

青葉「では、あ……ブルー、取材します!」

運転手「お気をつけて!」

川内「……」コクン


青葉と川内が車から降り、素早く始発駅に向かう。


青葉「警備は薄いですね」ヒソヒソ

川内「……」


あっさりと貨車に潜り込む二人。


青葉(はは……艦娘の死体でギッシリですか……恐縮です……お邪魔します……。

それにしても……すごく冷たい……)


輸送船では冷凍されていたらしく、艦娘の死体が氷のように冷たい。


青葉(みんな肌が青白くて……でも生きているような……不思議ときれいですね……)
825 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/06/25(日) 01:38:13.62 ID:V9pTrvZZo

青葉がモゾモゾとしていると……。


青葉(これは……ガサ……)


別の鎮守府の衣笠を見つけた。


青葉「そうですか……ガサ、頑張りましたね……青葉には分かります」ナデナデ


ガタンと貨車が揺れ、幽霊列車が動き出す。


青葉(短い間ですが、一緒にいましょう……)ギュッ


青葉は艤装を展開し、機関に火を入れ、暖を取った。


青葉(これで凍死の心配もなくなりました。ガサ、おやすみなさい……)


一晩列車に揺られ、朝になった。

ガクンっと貨車が揺れる。


青葉(着きましたね。ガサ……いつかどこかで、また会いましょう……。

ウチの鎮守府のガサはどうしているかな……。甘えたくなりました……)
826 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/06/25(日) 01:44:02.76 ID:V9pTrvZZo

その時、いきなり貨車の床が開いた。


青葉(うわぁああああああ!!!)


レールの間の大きな穴に、ザラザラと落ちていく青葉と艦娘の死体。

巨大な倉庫の中で、ドサっという音とともに、艦娘の死体の山に着地。

列車は行ってしまったようだ。


青葉「いててて……なんて乱暴な……」

川内「青葉、ここから脱出するよ」

青葉「川内さん、ご無事で……って?!」


川内は青葉を抱きしめると、手首のウェブシューターを天井に向けて打ち出した。


川内「しっかりつかまって」

青葉「ひゃああああ!!!」


天井の穴のふちにベットリ付いたウェブを巻き上げると、

二人はロケットのような勢いで穴から飛び出す。

急いで物陰に隠れる二人。

同時に、倉庫の穴の扉が閉まった。
827 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/06/25(日) 01:48:50.25 ID:V9pTrvZZo

青葉「これからどうします?」ヒソヒソ

川内「まかせて」ヒソヒソ


川内が妖精さんたちを取り出す。


川内「ニンジャヨーセイ=サンです」

青葉「ドーモ。ニンジャヨーセイ=サン。ア=オバです」ペコリ

妖精さん「……」ペコリ


人間、カメラには見えない妖精さんたちが斥候を務め、二人を先導した。


青葉「これなら警備員やカメラに見つからずに進めますね」ヒソヒソ


二人は難なく目的の建物にたどり着き、近くの茂みに隠れる。


青葉「ここからは青葉にお任せ」ヒソヒソ


青葉も妖精さんを取り出した。


青葉「記者妖精さん、取材お願いします」ヒソヒソ

妖精さん「……」グッ


カメラを持った妖精さんはサムズアップすると、建物の通風孔に入っていった。
828 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/06/25(日) 01:53:02.94 ID:V9pTrvZZo

しばらくすると……。


青葉「戻ってきました。どれどれ……」


妖精さんが撮影した動画を見ると……。


川内「……信じられない……」

青葉「……これはピューリッツァー賞ものですね……」

川内「目的は果たした。脱出だよ」

青葉「ですね。スマホが圏外じゃなければ、このまま動画ファイルを送信して終わりなんですが……」


二人は配送センターに向かう。


青葉「目ぼしいトラックは……」

川内「あれは?」


多数のトラックがある中で、ホロのトラックが一台あった。

急いで荷台に潜り込む。
829 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/06/25(日) 01:54:02.69 ID:V9pTrvZZo

青葉「生活感あふれる荷物ですねぇ」


荷物は、冷蔵庫、椅子、机、段ボール。どうやら引っ越しのようだ。


青葉「だからこのトラックだけユルイんですね」

川内「……」

青葉「ペットまでいる……トカゲですかね?」


水槽の中に、60センチほどのトカゲ。


青葉「おおっと、トラックが発車しましたよ」

川内「……」


トラックが配送センターを出る。


青葉「楽勝でしたね」ヒソヒソ


出口の検問の手前で、トラックが急ブレーキをかけた。

荷台が激しく揺れて、何かが青葉の頭に落ちてくる。


青葉「いててて……なんて乱暴な運転を……こんなことばかり……ん?」


落ちてきたのは、小さな水槽。


青葉「ん……ん……んんんんんんんんんんんんん!?!?!?」


青葉の頭と顔で、黒い物体がカサカサと動いている。


青葉「ゴ……ゴ……ゴゴゴゴゴゴゴゴ……ゴキブリぃいいいいい!!!」


水槽のフタが衝撃で外れ、トカゲの生餌のゴキブリがぶちまけられた。


青葉「いゃああああああああ!!!」

川内「アイエエエエエ! ゴキブリ!? ゴキブリナンデ!?」


ゴキブリまみれの二人が、荷台から飛び出した。


警備員「侵入者だ!」


- 続く -
830 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/25(日) 03:50:18.09 ID:t5083iiio
死体は平気なのにゴキブリは駄目なのか
青葉たちは面白いな
831 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/25(日) 10:56:41.17 ID:jokpHELa0
一気読みした。
面白い!
832 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/26(月) 11:30:31.88 ID:9JtUqlpK0
更新お疲れ様です
いつも楽しみまっています
ゆっくりとで頑張ってください
833 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/07/09(日) 13:04:32.83 ID:HJT1kxaLo

サイレンが鳴り響き、検問の詰め所から短機関銃を持った警備員たちが出てくる。


川内「……」ポイポイポイ


川内が煙幕玉を投げた。

辺り一面、煙に包まれる。


川内「こっち!」


二人は検問を待っていた大型トレーラーの影に隠れる。

こっそり機会をうかがっていると……。


青葉「検問のゲートが閉まった!」


警備員の数も増えてきた。


青葉「あわわわ……」

川内「かえって好都合。行くよ」

青葉「行くってどこに?」

川内「つかまって」

青葉「またですか!」


川内がウェブシューターをトレーラーのコンテナに放つと、

二人とも、ひょいっとコンテナの上に乗った。


川内「車の屋根をつたって、一気にゲートの向こうに行くよ!」

警備員「いたぞ!」バババババ

青葉「警告なしで撃ってきましたよ! こんな可愛い女の子を、よく撃てますね!」

川内「簡単。動きがのろいからね」

青葉「は?!」
834 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/07/09(日) 13:06:06.90 ID:HJT1kxaLo

二人はコンテナの上を全力疾走し、トレーラーの屋根を踏切り板にしてジャンプ。

引っ越しトラックのホロでボヨーンと飛び跳ね、ゲートを超えて外に出た。


青葉「やりました!」

川内「集合地点に急ぐよ!」


施設の周囲は、何もない荒野。

一本だけある道路に、例の車がいた。


運転手「お待ちしてたっす!」


青葉と川内が後部座席に乗り込む。


青葉「車を出してください!」

運転手「かしこまりっす!」


ホイルスピンしながら急発進する車。


運転手「調査はどうだったっすか?」

青葉「決定的瞬間、とらえちゃいました!」ニタリ

運転手「さすがニンジャさん! 後は帰るだけっすね! 飛ばすっすよ!」
835 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/07/09(日) 13:07:32.16 ID:HJT1kxaLo

道路を疾走する黒いキャデラック。

しかし……。


青葉「リバーさん」

川内「……」コクン

青葉「追っ手が来ましたね」


川内と青葉が振り向く。


運転手「後ろには何も見えないっすよ?」

青葉(電探に感ありです……)

川内「……ニンジャ・センスで分かる……」

運転手「本当っすか!? ヤバイッすね! 燃えてきたっすよ!

トランクに得物が入ってるっすから、使ってください!」


トランク・スルーからトランクを漁ると……。


青葉「デザートイーグル、S&W M500、FN P90……。厨二銃ばっかりじゃないですか!」

川内「運転手ちゃん、わかってるね!」目キラキラ


川内がデザートイーグルとM500を手に取った。


青葉「じゃ青葉はこれで」


P90を取る青葉。
836 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/07/09(日) 13:11:21.48 ID:HJT1kxaLo

青葉「……来ました!」


車の後方から、黒い無人オートバイの群れ。


青葉「モトターミネーターみたいなのが、うじゃうじゃと!」

運転手「150マイル(約240km/h)で、ぶっちぎるっす!」


アクセルをべた踏みするが……。


運転手「150マイル出てるのに……そ……そんな……!」


無人オートバイが追いつき、追い越し、車の前に出た。

すると、オートバイの両サイドについている短機関銃がくるりと後ろ向きになる。


運転手「!?」


短機関銃が火を噴き、フロントガラスに着弾したが、貫通しない。


運転手「さすがキャディだ! なんともないぜ!」

青葉「防弾ガラスですか! さすがやんごとなきVIPの車!」


他のオートバイも一斉に銃撃を始めたが、車にダメージを与えられない。
837 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/07/09(日) 13:13:14.12 ID:HJT1kxaLo

川内「こっちのターンだ」


川内が両手の銃を上にかかげ、サンルーフから上半身を出した。

150マイルの突風を受けても平然としている。

後方の無人オートバイが、一斉に銃口を向けるが……。


川内「遅い!」ズダン、ズダン、ズダン


次々とオートバイの燃料タンクに穴が開き、ゴォッと炎上する。

しかし、ひるまず短機関銃を撃ってきた。


川内(火達磨のバイク……ゴーストライダーかな? なら……)ズダン、ズダン、ズダン


川内がタイヤを撃つと、オートバイは前輪をグネらせ、次々と転倒する。


川内「こっちも!」ズダン


前方のオートバイの後輪を撃つと、速度が落ち、車と激突した。

衝撃で車が揺れる。


運転手「ぎゃああああ!!!」
838 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/07/09(日) 13:16:24.58 ID:HJT1kxaLo

全てのオートバイを始末すると、川内は席に戻った。


川内「銃はいいよね〜、銃はさ」ホッコリ

青葉「もうちょっと考えて撃って下さい!」

運転手「いいじゃないっすか! 追っ手も片づけたし! トゥーハンド、最高っす!」

川内「ふふん!」ドヤァ

青葉「はぁ……」


しばらくすると、青ざめる運転手。


運転手「……ヤバイっす……スピードが上がんないっす……」

川内「タイヤをやられたね」

青葉「そういえば、乗り心地も悪くなったような……」

運転手「パンクしたら、走れないんじゃないすか?」

川内「ランフラットタイヤだと、パンクしても走れる」

青葉「さすやん車!」

運転手「まあ、50マイル(約80km/h)で走れますから、このまま行くっす!」


- 続く -
839 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/09(日) 16:46:38.87 ID:CbgnDlU+0
ピクマルいいよね、ピクマル
840 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/09(日) 23:13:52.49 ID:3Pl8dkxH0
タイヤメーカーはきっとグッドイヤー

更新乙でございます
841 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/07/21(金) 00:21:09.03 ID:Oa+Q1NzZo

青葉「安心したら喉が渇きました」

運転手「ワインクーラーに飲み物入ってるっス! 飲んで下さい!」

青葉「恐縮です!」


青葉がワインクーラーを空けると、ルートビアがギッシリ。


青葉「」


その時……。


青葉「新手ですね」

川内「そうだね」

運転手「またっすか?」


川内と青葉が振り向く。


青葉「……」ジーー


やぶにらみの青葉。


青葉(測距儀で見ると……)

青葉「……車が三台。ハンヴィーです。運転手さん。全力だと、どれくらい出ます?」

運転手「うーん……50マイルなら余裕っすけど、それ以上はタイヤがヤバいっす」

青葉「80マイル(約130km/h)なら?」

運転手「それくらいなら、しばらくはタイヤがもつかも……っす」

青葉「ハンヴィーの最高速度はだいたい80マイル。状態の悪いこの道路なら、

多少落ちるはず。80マイルで走れば、振り切れるかもしれません」
842 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/07/21(金) 00:23:00.63 ID:Oa+Q1NzZo

車を80マイルで走らせるが……。


川内「追っ手を振り切れないね」

運転手「それどころか、距離を詰めてきてるっす!

あいつら100マイルくらい出てるっすよ?」

青葉「時速100マイル(約160km/h)で走るハンヴィーって、

なんなんですか!? 多分、改造してますね!」


みるみるハンヴィーが追いつき、セダンを左右、後ろから包囲した。

すると、ハンヴィーの屋根にある遠隔操作の機関銃が

ウイーーンと動き、セダンに狙いをつける。


青葉「ひぃいいい!!!」

女性「どうしたんスか!」

川内「伏せて!!!」


機関銃が一斉に火を噴き、セダンに銃弾を雨あられと撃ち込んできた。


青葉「ぎゃあああああああ!!!」
843 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/07/21(金) 00:24:58.74 ID:Oa+Q1NzZo

防弾ガラスに穴が開き、破片が三人の頭に降り注ぐ。が……。


青葉(……至近距離の機関銃弾がドアを貫通しないとは……。

どんな装甲ですか、この車! やんごとなきVIPは、

どんだけ修羅の国に住んでたんでしょうか……?)


銃撃が止むと、青葉の反撃。


青葉「索敵も砲撃も雷撃も、ブルーにお任せ!」タパパパパ


窓から短機関銃を撃つが、ハンヴィーの窓ガラスも車体も貫通しない。

何事もなかったように、屋根の機関銃で反撃してきた。


青葉「くぅっ!」


青葉は慌ててドアに隠れる。


青葉(20.3cm連装砲なら、あんなの一発なのに……)


青葉と川内はアメリカに砲弾を持ち込めず、

せっかくの連装砲も宝の持ち腐れであった。
844 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/07/21(金) 00:26:56.76 ID:Oa+Q1NzZo

青葉(P90の弾が切れた……他の銃は……)ゴソゴソ


トランクを漁る青葉。


青葉「SIG P210! しかもスイス建国700周年記念モデル!

マ・クベ専用グフみたいなカラーリングと装飾!」


また窓から反撃する青葉。


青葉「来るなら来い!!!」パンパンパンパン


拳銃弾が通用するはずもなく、反撃を受ける。


青葉「反撃来たーー!!!」

青葉(また弾切れ……他の銃は……)ゴソゴソ

青葉「M712! モーゼル・シュネルフォイヤー! 

かーーっくいーー! って、また拳銃ですか!」


またまた窓から反撃する青葉。


青葉「とぉぉ↑おう↓!!!」タパパパパ


ハンヴィーのタイヤに当たるが、スピードが落ちない。


青葉「あっちもランフラットタイヤですか!」


反撃してくるハンヴィー。


青葉「ひぇえええ!!!」


舐めまわすような機関銃の掃射で、キャデラックのピラーが全部折れ、屋根がズルリと落ちた。


青葉「屋根が無くなって車内が丸出し……もうだめだぁ……おしまいだぁ……」
845 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/07/21(金) 00:31:57.82 ID:Oa+Q1NzZo

ズドンズドン


青葉「え?」


後ろのハンヴィーの機関銃が吹き飛ぶ。

同時にボンネットに大穴が開き、火を噴いた。

エンジンが止まり、遠ざかるハンヴィー。

青葉が横を見ると、川内が対戦車ライフルを持っている。


川内「……」ズドンズドン


対戦車ライフルが火を噴き、左右のハンヴィーの機関銃を吹き飛ばした。


運転手「ソビエト連邦製対戦車ライフル『シモノフPTRS1941』。

全長122cm。重量21kg。装弾数5発。もはや人類ではなく戦車相手の銃っす」

運転手「弾は14.5mm徹甲焼夷弾……」ニヤリ

川内「弾芯は?」

運転手「タングステンカーバイド製。全長38.7mm」

川内「発射薬は?」

運転手「無煙火薬28.8?」

川内「弾頭は?」

運転手「焼夷剤1.8gの焼夷弾でございまっス」

川内「パーフェクトだよ……運転手ちゃん……」 ニタァ

運転手「感謝の極みっス!」 ヒュパッ

青葉「」
846 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/07/21(金) 00:43:32.64 ID:Oa+Q1NzZo

機関銃をやられたハンヴィーが窓を開けて、中から銃撃しようとするが……。


川内「させないよ」ズドンズドン


エンジンを打ち抜かれたハンヴィーは減速していく。

最後のあがきで、車内から手榴弾を投げてきた。


運転手(ヤバイっす!!! 手榴弾がこっちに来たっす!!!

ハッ!? そういえば張の兄貴が言ってたっす!

『こうゆうのはな、ビビったら負けだ』って!)


フワーーっと飛んでくる手榴弾を……。


運転手「三合会は!」パシッ

運転手「超サイコーー!!!」ポイッ


受け止めて、ハンヴィーに投げ返した。

ハンヴィーが急ブレーキをかけるが、間に合わず間近で爆発。

道路からはみ出し、サボテンに突っ込んで停車した。


青葉「はぁ……なんとか追っ手を撃退しましたね。正直、ダメかと思いました……。

しかし、対戦車ライフルなんて持っていたとは……」

運転手「ギターケースに入れてたっす。こんなこともあろうかと!」

青葉「まさに命拾いですね。こんな時だと、ルートビアさえ美味しく……は感じないですね……」ゴクゴク


青葉の横では、川内が対戦車ライフルをかかえたまま眠っている。


青葉「よくもまあ、こんな時に眠れるものですね」


上を見ると、広がる大空。


青葉「ゴキゲンなオープンカーでドライブ……と思えば悪くないかも……」ゴクゴク


- 続く -
847 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/21(金) 04:35:07.40 ID:0NKlxOovo
ハンヴィーってことは標準装備でもM2重機関銃じゃねえか
生身が食らうと胴体真っ二つレベル
これ抜けないってVIPカーマジやべえ
848 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/21(金) 10:41:10.55 ID:0Ca6olAt0
更新乙でございます
アメリカ大統領が乗ってたキャデラックなんだろ
あれならRPGくらっても、対戦車地雷踏んでも中の人は平気
オバマが広島訪問の時に乗ってたあれ
849 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/21(金) 18:31:38.90 ID:0NKlxOovo
モデルは大統領専用車だとは思ったがあれ8トンもあるらしいな
追加装甲は言わずもがな防弾ガラスも厚すぎて採光不良で車内照明付いてるとか
そういや新区分免許だと普通自動車3.5トンになったそうでこれからの若人はハマーとか乗れなくなるんやな
850 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/29(土) 21:10:48.33 ID:a6g37nOR0
さすやんマジさすやんですわ
851 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/07/30(日) 13:47:09.12 ID:3veH8FE5o

運転手「ラジオでも聞くっスか」ポチッ


Magical Sound Shower (Outrun) - S.S.T. BAND
https://www.youtube.com/watch?v=mxtBS2CEhv4


運転手「〜〜♪」


チラリと助手席を見る青葉。


青葉「……そのゴルフバッグにも銃が?」

運転手「そっすよ!」


青葉がゴルフバッグを開けると……。


青葉「FN MAGにラインメタルMG3……。機関銃じゃないですか!

ガチの! もっと早く出してくださいよ!」

運転手「てへっ☆ でも、もう使うこともないんじゃないっすか?」


その時……。


川内「ハンドル左!!!」ガバッ

運転手「?!」グイッ


ハンドルを左に切ると、ヒュッと真横を何ががよぎる。

そして車の前方で大爆発が起こった。


川内「……ミサイルだね」

青葉「」

運転手「」
852 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/07/30(日) 13:50:37.13 ID:3veH8FE5o

後ろを向く青葉。


青葉(わずかに対空電探に感あり……これは……?!)

川内「まさか……攻撃ヘリ!?」

青葉「さっきのはヘルファイアミサイル?」

川内「ヘリは2機いるね」

運転手「よかったっす。機関銃が無駄にならなくって!」

青葉「よくないッ!!! あ〜〜もう!」ガサガサ


青葉がFN MAGを手に取る。


青葉「ヘルファイアミサイルの最大射程は8km。機関銃は多く見ても、せいぜい2km。

ヘリを機関銃で撃ち落とす前に、アウトレンジでイチコロですよ!」

川内「相手に近づかせればいい」

青葉「どうやって?」

川内「こうすんの」ズドン


川内が対戦車ライフルを撃つと、はるか向こうで爆発が起きた。


川内「飛んでくるミサイルを全部撃ち落とす」

青葉「」

川内「いつも艦載機撃ち落としてるし。同じだよ」

青葉「……対空は苦手なんです……」

川内「頑張れ」

青葉「ミサイルは音速超えてて、直径20cmもないんですよ!」

川内「頑張れ」

青葉「チクショーー!!!」ズガガガガガ
853 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/07/30(日) 13:53:47.51 ID:3veH8FE5o

青葉は必死に機関銃を撃つが、当たらない。


川内「イヤーッ!!!」ズドン

青葉「」ビクッ


車の近くで大爆発。


川内「無駄弾よくない。もっと引き付けて。いいね?」

青葉「アッハイ」

川内「……」ズドン……ズドン


川内がミサイル2発を撃墜した。


青葉(狙撃銃よりも精度が低い対戦車ライフルで、よくもまあ、あんなにポンポンと……)

川内「弾切れ。ラインメタル貸して」


次々とミサイルを撃ち落とす川内。

たまに撃ち落とす青葉。


青葉「これで16発目……。アパッチなら基本、1機あたりミサイル8発、2機なら16発。

なんとかミサイルをしのぎきったんじゃないでしょうか……」

川内「……」

青葉(対空電探に感あり……ん……?)

青葉「これは!!!」


2機のアパッチがヘルファイアミサイル16発一斉発射。飽和攻撃を仕掛けてきた。


- 続く -
854 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/30(日) 14:42:05.85 ID:Z73aGE+9o
お疲れ様です。
855 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/30(日) 19:35:56.63 ID:sjrYHQx20
更新お疲れ様です

国内でこんだけヒャッハーできるってすげえ
軍そのものが動いてるのねー(白目)
アパッチでだめならサンダーボルトの出番だな
856 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/04(金) 13:32:02.27 ID:rL+1COZK0
よく考えたらヘリよりよほど小さくて下手すりゃそれより速い機体を撃ち落としたりしてんだよな艦娘って
857 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/08/13(日) 00:08:58.40 ID:FUUCLPMoo

青葉(一発二発撃ち落としてる間に他のミサイルが着弾ッ! 全然間に合わないッ!

死ぬ! 間違いなく! もっとガサの写真を撮りたかった〜〜〜〜!)

川内「ブルーッ!!!」

青葉「はいっ?!」ビクッ

川内「艤装展開! 出力最大!」

青葉「へ?」

川内「死にたいの? 早くッ!!!」


青葉が艤装を展開。最大出力で機関を始動する。

またたくまにボイラーが赤熱し、煙突から黒煙が吹き出した。


青葉(なるほど! 煙幕ですか!)

川内「出力そのまま艤装連結解除!」

青葉「出力そのまま艤装連結解除?」ガチン


機関が動作したまま、艤装との連結が解除される。


川内「妖精さん総員退艦!」

青葉「妖精さん総員退艦?」


妖精が艤装からわらわら出てきた。

全員退艦すると……。


川内「そぉおおおおい!!!」ブンッ

青葉「」


川内が青葉の艤装を空高く放り上げた。
858 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/08/13(日) 00:12:35.42 ID:FUUCLPMoo

川内「……」ズガガガガガ


ボイラー内が超高圧の艤装は、妖精さんのダメコンもないため、川内の銃撃であっさり大爆発。

爆煙が車を包み、金属片を盛大にまき散らす。

すると、ほとんどのヘルファイアミサイルは見当違いの方向に向きを変え、道路に着弾した。


川内「……」ズガガガガガ


川内は車に向かってきた残り3発のミサイルを難なく撃ち落とす。


青葉(ヘルファイアミサイルはレーザー誘導、もしくはミリ波レーダーシーカー。

だから、煙でレーザーが遮られたり、金属片でレーダーが狂うと、標的に飛ばなくなるんですね。

飛行機でいうところのチャフってやつですか……。

赤外線誘導の場合も、艤装の破片が熱源となってデコイになる……。しかし……)

青葉「ブルーの……ブルーのお気に入りの艤装が……」ウルウル

川内「ブルー!」

青葉「え? まだ一発残ってる?」


ロケットモーターの動作不良か、ミサイルが一発遅れて飛んできた。

速度が遅くフラフラしている。


川内「……」ズガガッ

青葉「……」ズガガガガッ


ミサイルが変則的に動くので、機銃が当たらない。
859 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/08/13(日) 00:15:05.26 ID:FUUCLPMoo

川内「弾切れ」

青葉「こちらも!」


目前のミサイル。


青葉「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ーーーー!!!」

川内「Wasshoi!!!」ガシッ


川内が気合一発、信管に触れずにミサイルを受け止めた。

腕の中で荒ぶるミサイル。


青葉(ザブングル? ハトヤホテル?)

川内「よーしよしよしよし」グググググッ

青葉(結局ムツゴロウ!)ガビーン


川内が動物のようにミサイルを抱きしめる。

推進剤が切れたミサイルは、観念したかのように動きを止めた。


川内「……」ドサッ


ミサイルを運転席と助手席の隙間に立てかける。


青葉「……」

運転手「……」

川内「……」

青葉「はぁ〜〜〜〜。生きているのが不思議です……。だいたい、なんなんですか!

あのアパッチ! 一発数万ドルのミサイルを惜しげもなく! 高価なミサイルと、

安価なロケット弾のハイ・ロー・ミックスがアパッチの標準装備ですよ!

それがミサイルガン積みとか! 石油王か! 成金か! 米帝か!」

川内「……」

青葉「ハァハァ……でもこれでイーブンに近づきましたね。互いに機関銃の撃ち合いです!

撃ち合いなら負けません! 運転手さん! 次の得物をお願いします!」

運転手「もう無いっス」

青葉「はい?」

運転手「だから、もう無いっス。弾も無いッス」

青葉「はいぃいいいいい?!?!」
860 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/08/13(日) 00:17:52.54 ID:FUUCLPMoo

青葉が力なく座席に身を沈めた。


青葉「終わった……終わりました……30oチェーンガンでミンチですよ……」ドサリ

川内「死中に活あり。諦めるにはまだ早い」ニヤリ

青葉「?」


一方、アパッチのコクピット。


パイロット「なんてことだ! ヘルファイアミサイルが撃ち落とされたぞ!」

ガンナー「どうする?」

パイロット「不気味な奴らだ。チェーンガンの射程ギリギリで攻撃。様子を見よう」

ガンナー「ん?」

パイロット「どうした?」

ガンナー「あいつら、こっちに真っすぐ向かって来た!」

パイロット「イカレてやがる! やっちまえ!」


二機のアパッチがチェーンガンを打ち始めた。


青葉「めっちゃ撃ってきましたよ!」

川内「右! 左! 右! 左! ブレーキ! アクセル!」


川内の指示で車を操作する運転手。

ひらりひらりと弾をかわし、アパッチに向けて疾走するキャデラック。


ガンナー「馬鹿げてる! なんで当たらないんだ!」


ガンナーがモニタを見ながら絶叫した。
861 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/08/13(日) 00:22:09.58 ID:FUUCLPMoo

青葉「どうやって弾をかわしてるんですか!?」

川内「銃口を見れば射線が分かる。射線上にいなければ当たらない。

当たらなければ、どうということはない」

青葉(……ニュータイプかな?)

川内「さあ、ヘリが見えてきたよ」

運転手「見える、見えるっス! 自分にもヘリが見えるッス!」

青葉「」


ヘリの近くまで来ると着弾までの時間が短くなり、かわすことが厳しくなる。


青葉「至近弾多数! かわしきれない!」

川内「イィーーーーヤァアアアアア!!!」ブンッ


川内がヘルファイアミサイルをアパッチに投げつけた。


ガンナー「クソッ!」ズガガガ


チェーンガンで撃たれたミサイルが爆発。


ガンナー「!?」


爆発の閃光でガンナーのモニターが白一色になり、照準がつけられない。


川内「今だよ! もっと近づいて!」


運転手がアクセルを踏む。しかし……。


ベコンッ!


キャデラックのボンネットに大穴が開く。

ミサイルの爆煙で川内から銃口が見えなくなり、ガンナーが闇雲に撃ったチェーンガンをかわし損ねた。


青葉「あと少しなのに!」


エンジンが破損し、キャデラックの速度がガクンと落ちた。


運転手(キャディ!!! お前に魂があるのなら……やんごとなきVIPの車なら……応えろッス!!!)グンッ


生き残っているシリンダーが咆哮をあげ、最期の力でキャデラックを加速させる。


青葉「アパッチの真下につけた!」


すると川内がニヤリと笑い、ウェブシューターを放った。
862 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/08/13(日) 00:25:09.27 ID:FUUCLPMoo

一方、アパッチのコクピット。


ガンナー「目標が下を通り抜けたぞ! 旋回してくれ!」

パイロット「」

ガンナー「どうした? おい!」

パイロット「ああ! 窓に! 窓に!」

ガンナー「?!」


ガンナーが窓を見ると、そこには死体メイク&コスプレの川内。


ガンナー「」

川内「……」ガスッ! ガスッ!


川内がキャノピーを殴りつける。ヘリが激しく揺れるが、ひびさえ入らない。

すると、キャデラックから持ってきた車の窓を割るハンマーを取り出した。


川内「……」ガンッ! ガンッ!


割れない。


ガンナー「振り落とせ!」


川内は振り落とされないよう、つかまるものを探す。


川内「見ぃつけた……」ニタァ


機外のキャノピーの開閉レバーを力任せにひねると……。


川内「Here's Johnny!!!」ギィイイイ……


ガンナー側のキャノピーが開いた。
863 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/08/13(日) 00:30:11.54 ID:FUUCLPMoo

ガンナー「ヒッ! ヒィイイイ!」スチャッ


ガンナーが拳銃を取り出すが、川内が手をつかみ、奪う。


川内「死にたくなければ、ホバリングしてて」スチャッ

パイロット「くっ……」


川内がガンナーのヘルメットを鷲掴みする。


川内「あたし知ってるんだ。ヘルメットとチェーンガンって連動してるんでしょ」グワシッ

ガンナー「それがどうした……」

川内「戦友を死なせたくなければ、うまいとこに当てて」グググ

ガンナー「なにをする気だ!」

川内「ダイ……ヤボォオオオオ……」ギリギリギリ

ガンナー「や、やめろ!!!」


川内は強引にガンナーの視線を、もう一機のアパッチに向けさせた。

もう一機のアパッチのコクピットでは……。


パイロット「あっちの様子がおかしい」

ガンナー「なんてこった! 射撃管制レーダーが当たってるぞ!」ピーピーピーピー

パイロット「撃ってきやがった! エンジン出力低下! くそったれ!」ピーピーピーピー


エンジンに被弾したアパッチは、ゆるゆると降下し、グシャっと軟着陸した。


川内「やるじゃん」ガスッ


川内がガンナーを気絶させる。


川内「命が惜しかったら着陸して。ああ、そうそう。墜落させてもあたしは死なないから、

無駄なことはしないで」

パイロット「」


川内は地上に降りた後、パイロット、ガンナーを降ろし、縄で縛り上げる。


川内「……」パンパンパン


コクピットのモニター、計器を拳銃で撃ち、飛行不能にすると、青葉と合流した。
864 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/08/13(日) 00:32:59.72 ID:FUUCLPMoo

青葉「アパッチを撃ち落としたのはいいんですが……車が動きません……。

このままだと荒野で野垂れ死にですよ……」

運転手「落ち込んでも仕方ないッス! 冷えたルートビアでも飲むっす!

チョコやキャンディーとか菓子も有るっスよ!」

青葉「……逆にのどが渇きそう……おや?」


妖精さんたちが、菓子をじーーーっと見ている。


青葉「お菓子って、まだありますか?」

運転手「どっさり有るっすよ?」

青葉「下さい! それ下さい!」

運転手「いいっすよ!」


青葉がお菓子を妖精さんに配ると……。


妖精「……」グッ

運転手「エンジンもタイヤも直ったッス……」

青葉「ナンバープレートも変わりましたね……」

運転手「ガスも満タンに……」

川内「車の色もピンクになったね……」

青葉(ピンクのキャデラックって、エルビス・プレスリーですかね……)

青葉「ま、まあ……では行きますか!」


三人はピンクのキャデラックを走らせ、街に戻っていった。
865 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/08/13(日) 00:37:28.33 ID:FUUCLPMoo

一方、オベロン社の軍事研究施設の警備室。


警備隊長「アパッチがやられただと! 残りのオートバイ・ボットとハンヴィーを出せ!」


そこに……。


社長「何ごとだ!?」


オベロン社の社長が、第一秘書とともに部屋に入ってきた。


警備隊長「侵入者です!」

社長「何を盗られた?」

警備隊長「何も盗られていません」

社長「どういうことだ?」

警備隊長「重要区画、最重要区画に侵入の形跡なし。施設内ネットワーク、サーバへのアクセスの形跡もなし」

社長「警備妖精はなんと言っている?」

警備隊長「警備妖精も同様の見解です」

社長「ならばもういい! 警察にまかせろ! これ以上金の無駄は許さん! 大損だ! まったく!」


ということで、それ以上の追跡は無くなった。
866 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/08/13(日) 00:42:01.72 ID:FUUCLPMoo

そしてXXXX鎮守府の指令室。


青葉「……ということだったんですよ!」

提督「それで、そのピューリッツァー賞もののスクープとやらは、結局、何なんだ?」

青葉「では、青葉が命がけで掴んだスクープ映像を御覧下さい!」


青葉が部屋の照明を落とし、スクリーンに映像を映す。


提督「こいつは……」


映像では、ベッドの上で男性と女性が夜戦をしている。


提督「青葉、説明してくれ」

青葉「これはオベロン社の社長が秘書と不倫している決定的な映像ですッ!!!

あ、秘書といっても嫁さんじゃないですよ。別の秘書です!

不倫なんて、まったく許せません!!!」

川内「……」コクコク


青葉と川内は軍事研究施設の重要区画ではなく、ゲストハウスを盗撮したのであった。


日向「運転手の雇い主は、たぶん社長の奥方だろう。

まあ……げに恐ろしきは、女の嫉妬というわけだな……」


提督がニヤリと笑った。


提督「青葉が苦労したのは認める。これが世界的なスクープだということも。

だが、俺が知りたかったことじゃあない。これだと費用の決済印は押せんな。

となると、費用全額、青葉の持ち出しになるが」

青葉「ちょ、ちょっと待って下さい! 調べましたから! 嫁さんのことも調べましたから!」アセアセ

提督「話してくれ」


- 続く -
867 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage]:2017/08/13(日) 03:20:19.09 ID:FUUCLPMoo
>>866
投稿しなおします。 ちょっと修正……。
868 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage saga]:2017/08/13(日) 03:23:47.94 ID:FUUCLPMoo

そしてXXXX鎮守府の指令室。


青葉「……ということだったんですよ!」

提督「それで、そのピューリッツァー賞もののスクープとやらは、結局、何なんだ?」

青葉「では、青葉が命がけで掴んだスクープ映像を御覧下さい!」


青葉が部屋の照明を落とし、スクリーンに映像を映す。


提督「こいつは……」


映像では、ベッドの上で男性と女性が夜戦をしている。


日向「」

鳥海「」

鳥海(真面目に説明を聞いて……すごく損した気分です……)

提督「青葉、説明してくれ」

青葉「これはオベロン社の社長が秘書と不倫している決定的な映像ですッ!!!

あ、秘書といっても嫁さんじゃないですよ。別の秘書です!

不倫なんて、まったく許せません!!!」

川内「……」コクコク


青葉と川内は軍事研究施設の重要区画ではなく、ゲストハウスを盗撮したのであった。


日向「運転手の雇い主は、大方社長の奥方だろう。

まあ……げに恐ろしきは、女の嫉妬というわけだな……」


提督がニヤリと笑った。


提督「青葉が苦労したのは認める。これが世界的なスクープだということも。

だが、俺が知りたかったことじゃない。これだと費用の決済印は押せんな。

となると、費用全額、青葉の持ち出しになるが」

青葉「ちょ、ちょっと待って下さい! 調べましたから! 嫁さんのことも調べましたから!」アセアセ

提督「話してくれ」


- 続く -
869 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/13(日) 11:48:59.07 ID:pGPCXHXY0
>>1はおっさんに違いない
870 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/08/18(金) 04:25:00.95 ID:NAiR2xCCo

スクリーンに、パッと報告書が映る。


青葉「嫁さんの経歴です。XXXX年、アメリカの小さな漁村で生まれました。

現在、両親は既に他界。深海棲艦の攻撃により、両親の資料は消失。親類、知り合いも行方不明」

提督「……」

青葉「XXXX年、地元の高校卒業後、G.I.社(ゼネラル・インダストリー社)の造船部門に事務員として入社。

同部門に、現オベロン社の社長が技術者として在籍していました」

日向「……」

青葉「XXXX年、幼馴染の赤毛提督と再会、結婚」

鳥海「……」

青葉「XXXX年、当時、G.I.社の技術者だったオベロン社の社長が艦娘を開発。

その後、独立。投資ファンドから資金を得て、G.I.社の造船部門を、艦娘関連特許とともに買収。

その時、嫁さんもオベロン社に移籍。現在は、オベロン社の社長秘書の一人となっています」

提督「……」

青葉「なおG.I.社の造船部門売却は、経済史史上最大の失敗として今なお語られています」


パッと部屋の照明が付いた。


青葉「経歴は以上です」

提督「これだけ見ると普通だな。怪しいところは?」

青葉「彼女の幼馴染を探し出して、会ってきました。そこで妙なことに……」

提督「妙?」

青葉「はい。それは……」
871 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/08/18(金) 04:31:03.14 ID:NAiR2xCCo

ここはアメリカの山の中。湖畔のほとりに山荘がある。


青葉「運転手さんが探偵を使って、嫁さんの幼馴染を探し出してくれたのは良かったんですが、

まさか、こんなところに住んでいるとは……」


青葉の交換条件とは、運転手の雇っている探偵に嫁の過去を調査させることだった。

しかし嫁が通った学校は、資料も含め全て壊滅。町役場も消滅。

かろうじて、生き残りの幼馴染の住所が判明。

青葉と川内は、彼らから事情を聞くことにした。

青葉が山荘のドアをノックすると……。


女「あら……どなたかしら?」


身奇麗な金髪の美女が現れた。


青葉「恐縮です! 怪しいものではありません。新聞記者です。

嫁さんのことについて教えてください!」

女「あら? 嫁さん? どなただったかしら?」


川内が写真を見せる。


女「……ああ、思い出した。嫁さんね」

青葉「昔、赤毛提督と一緒に遊んでいたそうですが」

女「赤毛提督! 彼のことはとても良く覚えているわ! いつも私と彼と弟と三人で一緒に遊んでいたの」

青葉「嫁さんとは?」

女「ごめんなさい。よく覚えていないの。彼女とも遊んだような気もするけど……」

青葉「そうですか……当時の写真とかありますか?」

女「失くしてしまったわ。とても残念だけど……」
872 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/08/18(金) 04:33:55.23 ID:NAiR2xCCo

そこに奥から声が。


弟「姉上、誰ですか?」


金髪の美青年が出てきた。


女「彼女は新聞記者よ。弟、子供のころの写真って持ってる?」

弟「忘れたのですか? 姉上がご自身で焼いてしまったことを」

女「そのようなことをするはずがありません。私たち三人の大事な思い出ですよ?」

弟「だから私も止めたのです! 姉上!」

女「そんな……」

青葉(どちらも嘘を付いてるようには見えませんね……)


言い合いを続ける二人。


青葉(……退散しますか……)


その後、嫁の幼馴染を何人も訪ねるが、答えは決まって、

「居たことは居たが、はっきりとは思い出せない」

「当時の写真や画像データは失くしてしまった」

だった。
873 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/08/18(金) 04:39:26.09 ID:NAiR2xCCo

そして、アメリカのスラム街。


青葉「これで最後ですね……」


ぼろいアパートのドアをノックすると……。


男「……あんた誰だ?」


ボサボサの髪で、ヨレヨレの身なりの中年男性が出てきた。

目はうつろで、顔色も悪い。体が細かく震えている。


青葉「恐縮です! 嫁さんのことについて教えてください!」

男「あぁ? 嫁? だれだっけ?」


川内が写真を見せる。


男「……ああ、こいつか。俺はこいつの秘密を知ってるぜ?」ニタァ

青葉「!」

男「……だがタダじゃ教えられねぇ……酒と金をよこせ」


川内が露骨に不満な顔をした。


青葉「……まぁまぁ。わかりましたよ。酒ですね」

男「早く持って来い! ブランデーだ! ブランデーがいい!」


青葉が安物のブランデーを買ってきて、男に渡す。


青葉「これで」スッ


酒と一緒に100ドル札を一枚。


男「気が利くじゃねぇあ!」バッ


男がサッと酒と金を取る。


男「……」ゴクゴク
874 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/08/18(金) 04:45:44.02 ID:NAiR2xCCo

男は酒をボトル半分ほど飲むと、顔が赤くなり、フラフラしだした。


青葉「それで秘密とはなんですか?」

男「くぁwせdrftgyふじこlp;……」


ろれつも回らなくなり、ベッドに倒れこむ。


川内「……」

青葉「……無駄足でしたね」

男「無駄足を踏ませて、申し訳なかった」

青葉「!?」


ふとみると、男がまっすぐ立っている。

体も震えておらず、顔の生気も戻っていた。


男「私が……本当の私だ。深海棲艦に襲われた時の恐怖から逃れるため、

別の人格、ろくでなしの『彼』を作り出した。酒に酔ってるときだけ、本当の自分に戻る。

二重人格だと思ってくれればいい」

青葉「は、はい……」

川内「それで秘密って?」

男「それは『彼』の嘘だ。酒と金欲しさのでまかせ。秘密なんて知らない。すまない」

青葉「そうですか……」

男「というより、嫁さん自体知らない」

青葉「へ?」

男「私が子供時代、彼女は居なかった。当然、知らない」

川内「……」

男「逆に不思議なんだ。なぜ『彼』が彼女を知っているか?

ある日突然、『彼』の過去の記憶に彼女が現れたようなんだ」

青葉「……」

男「そして、誰かに操られるように、過去の写真や動画を消し始めた」

川内「……」

男「だから彼女の秘密は知らない。役に立てなくて申し訳ない」

青葉「いえ……ありがとうございました」
875 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/08/18(金) 04:50:18.75 ID:NAiR2xCCo

話を聞いた日向が、腕を組む。


日向「ふむ……嫁さんのことを覚えてはいるが、まともに覚えているのは誰も居ない……。妙な話だ」

鳥海「……本当は存在しなかった彼女を、居たように思い込まされているだけかも」

提督「大勢の記憶を改ざんし、かつ過去の記録を消すよう仕向ける。信じられんね。

まるでSFだ。だが、深海棲艦の存在も似たようなものだ。あながち、無いとも言い切れん」


提督が青葉に顔を向けた。


提督「他には?」

青葉「嫁さんのカルテを調べました」

提督「どうだった?」

青葉「結果、不審な点はなし。ただし……担当医は遺伝子工学の権威。

今はオベロン社の軍事研究施設に勤務しています」

提督「不妊治療の開始時期は? 艦娘誕生の前か後か?」

青葉「……誕生の前です」

提督「そうか」


提督が腕を組む。


提督「青葉、嫁さんに深海棲艦の艦種特定アプリを使ったか?」

青葉「はい。結果はシロ。深海棲艦に該当せず、でした」

提督「……アプリの開発はどこだ?」

青葉「……オベロン社です」

提督「他には?」

青葉「以上です」

提督「わかった。ありがとう。さすが俺の青葉だ。費用の決済はしておこう」ニヤリ

青葉「ありがとうございます!」パァアア

提督「それと不倫の件は口外しないでくれ。交渉のカードに使える」

青葉「わかりました」

日向「嫁さんが戦艦棲姫である可能性は高いが、決定的な証拠は無し……というところですね」

提督「そんなところだな」

鳥海「青葉さんでも調べきれないとなると、難しいですね」

提督「次があるさ。一回デートに誘って、断られるようなもんだ。相手がYesと言うまで、何回でも誘えばいい」ニヤリ

日向(前向きなのはいいが、例えがな……)


- 続く -
876 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/18(金) 09:19:14.38 ID:43qlSqmgo
乙です
877 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/18(金) 09:38:51.46 ID:HPG9zCCX0
皆川漫画好きそう
更新乙でございます
878 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/18(金) 13:41:56.01 ID:Iw2IIQMD0
879 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/18(金) 16:25:01.07 ID:OrJ+Bh9Do
更新乙
ここまで読んであれだけど人類側が調査暗躍どうこうより
姫様たちメインの話をもっと読みたいかなって思ったりする
880 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/08/21(月) 02:48:10.10 ID:XT7g+6vLo

ある日の夕方。横須賀のとある公園。ベンチに男と女が座っている。

男はブラウンのシャツにベージュのズボン。

女は薄手の白いブラウスに黒のロングキュロット。

胸元がばっくり開いている。


戦艦水鬼「提督よ、ありがとう。動物園はわるくなかった」

提督「それはなによりだ」


提督は、鎮守府にも内緒で戦艦水鬼を日本に招き、デートしていた。


戦艦水鬼「ターニャが喜んでいたからな」

提督「……」


二人のそばで、アホ毛をピコピコさせながら、ちびっ子のタ級がハトと遊んでいる。

タ級はブカブカのTシャツ、スパッツ、スニーカー。


戦艦水鬼「さて……わざわざこのムサシを日本に呼びだしたんだ。話があるんだろう?

そろそろ話してくれてもいいんじゃないか?」

提督「そうだな……」


ベンチの二人の間には、微妙に空間があった。


提督「……ムサシ、俺と一緒にならないか」

戦艦水鬼「同じことを、気軽に別の女にも言ってるんじゃないのか?

お前の武勇伝は、船上パーティで艦娘たちから散々聞かされたぞ?」

提督「否定はせんがね。俺は今まで多くの女を口説いてきた。

だが俺は一緒になってもいいと思った相手しか口説かない」

戦艦水鬼「……」

提督「ムサシの立場も理解している。俺たちの間には解決すべき問題があることもな」

戦艦水鬼「私の立場を理解して、なお口説くのか?」ニヤッ


戦艦水鬼と提督の目が合う。
881 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/08/21(月) 02:51:31.33 ID:XT7g+6vLo

提督「いい女かどうかが問題だ。立場は関係ない」ニヤッ


提督が目をそらさず言った。


戦艦水鬼「フッ、お前らしいよ」


戦艦水鬼がタ級を見る。


戦艦水鬼「確かに私にも立場があり、解決すべき問題もある……返事はしばらく待ってくれ」

提督「分かった」


そこに……。


タ級「ねぇねぇ? なにお話してるの?」スポッ


ベンチの二人の隙間に、タ級が入り込んだ。


提督「ん?」

タ級「おじさん! あのさ、おじさんはムサシ様のこと、好き?」

提督「大好きだ」

タ級「そっか! ターニャもムサシ様が大好き!」

提督「……」

タ級「同じだね! なら、おじさんとターニャはトモダチ! でしょ?」ペカーー

提督「……ああ。トモダチだ」ニコッ

戦艦水鬼「ンフフ……ふてぶてしいお前も、この子には形無しだな」

提督「トモダチになったことだし、公園の売店にアイスを買いに行かないか」

タ級「アイス!? いいの? ムサシ様も一緒に、ねっ?」

戦艦水鬼「待て、引っ張るな」
882 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/08/21(月) 02:53:26.76 ID:XT7g+6vLo

ベンチでアイスを食べる三人。

しばらくすると……。


タ級「Zzz……」

戦艦水鬼「遊び疲れて眠ってしまったな」

提督「そろそろ帰るか。車でホテルまで送ろう」ヒョイッ


提督がタ級を抱き上げる。


提督「ターニャちゃんも一緒でいい……考えておいてくれ」

戦艦水鬼「……」


提督は二人を車でホテルまで送り届けると、何もせずに鎮守府に戻った。

その後、戦艦水鬼とタ級は日本観光を楽しみ、棲地に帰ったそうな。


- 第七話 完 -
883 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/08/21(月) 03:01:54.10 ID:XT7g+6vLo

第八話 予告


旅客船姫「わたくしが……戦うときが来ました……」

――――――――――――――――――

武蔵「言い残すことは?」チャキッ

――――――――――――――――――

チ級「NewTuberなめんな!!!」

――――――――――――――――――

大和「ここまでは想定通り……」

――――――――――――――――――

駆逐棲姫「ワタシにかまうな! 進めぇええええ!!!」

――――――――――――――――――

提督「まだ……童貞なんだ」ニヤッ

――――――――――――――――――

榛名「榛名は大丈夫です!」ドスッ

――――――――――――――――――

陸戦隊長「童貞マスかき野郎共に負けるはずがない!」

――――――――――――――――――

日向「まあ……男の運命というものは、結局、女しだいというわけだな」

――――――――――――――――――


次回 第八話 「真実は見えるか」
884 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage]:2017/08/21(月) 03:06:08.61 ID:XT7g+6vLo
第八話ですが、開始までしばらくお待ちください
なお今年中には終わりませんね、これ……
885 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/21(月) 07:16:43.04 ID:0utwja2Uo
乙です。頑張ってね
886 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/21(月) 10:21:38.02 ID:DnxuOQBX0
更新乙です
ふふww
予告編もいい味だしてる
無理せずで頑張られてください
887 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/08/28(月) 03:04:04.54 ID:XweurjFoo

- 第七話 おまけ 卯月――男を磨く女 -


ある日の朝、突撃隊長が会議室に入ろうとすると……。


突撃隊長(ん……扉に紐が挟まっている? さては……)


扉をそろりと開けると、突撃隊長の目前で、たらいが落ちた。


突撃隊長「はっ! 俺をはめるには、いささか頭が足りなかったようだな!」ドヤァ


意気揚々と会議室に入ると……。


突撃隊長「ぬわっ!!!」ズルッ


バナナの皮を踏んで、派手にずっこける。


突撃隊長「誰だっ!!! バナナの皮を置いた不届き者は!!!」キョロキョロ


そこに……。


卯月「プーークスクス! 突撃隊長の恥ずかしいところ、見ちゃったぴょん!」ニヤニヤ

島風「あんなのに引っかかるなんて、隊長さん、とっろーーい!」ニヤニヤ


物陰でこっそり見ている二人。


突撃隊長「こぉらぁあああ!!!」ビキビキビキッ


顔を真っ赤にし、鬼の形相で二人に迫る。


卯月「隊長が赤鬼になったっぴょん! 逃げるっぴょ〜ん!」ピューーッ

島風「駆けっこしたいんですか? 負けませんよ?」ピューーッ
888 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/08/28(月) 03:08:24.42 ID:XweurjFoo

190cmを超える長身の突撃隊長が、巨大なストライドで鬼の加速を見せた。


突撃隊長「待てぇえええええ!!!」シュタシュタシュタ

卯月「待てと言われて、待つ奴はいないっぴょん!!!」ピューーッ

島風「隊長さん、はっやーーーーい!!!」ピューーッ


長い廊下の直線で追いつかれそうになる。


突撃隊長「キィェエエエエエ!!!」シュタシュタシュタ

卯月(もはや言葉になってないぴょん……)ピューーッ

島風「捕まりそーー!!! やっぱーーーーい!!!」ピューーッ


曲がり角に差し掛かると……。


卯月「爆雷投下!」


と言いつつ、ツルツルの床にオイルを散布。


突撃隊長「ぐわぁああああ!!!」ドガーーーン


突撃隊長は足を滑らせ、曲がり切れず壁に激突する。


卯月「ぃやったぁー! 命中だぴょん!」ピューーッ

島風「すっごーーい!」ピューーッ


突撃隊長がむくりと起き上った。


突撃隊長「き……きさまら……絶対許さんぞ!!!」ムクッ

島風「立ち上がった! すっごーーーーい!」ピューーッ

卯月「ここからが本番だぴょん!」ゾクゾク

卯月「気合い入れて逃げるっぴょーん!」ピューーッ

島風「うん!」ピューーッ
889 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/08/28(月) 03:12:48.02 ID:XweurjFoo

そして昼の大食堂。


島風「お゙ぅっ……」サスサス


頭のたんこぷをさすりながら、島風がテーブルについた。


島風(結局捕まって、ゲンコツをもらっちゃった……)ヒリヒリ


そこに卯月がやってきた。


卯月「島風、捕まったの?」

島風「隊長さん、はやかったよ……」

卯月「うーちゃん、逃げ切ったぴょん! びしっ!」

島風「すっごーーい! どうやったの?」


卯月が同じテーブルに座ろうとするが……。


卯月「!」ビクッ

島風「どうしたの?」

卯月「うーちゃん、寮まで逃げきったけど、あいつが押しかけてきて、

結局、お尻ペンペンされたぴょん……。ぷっぷくぷぅ……」ヒリヒリ


そっと椅子に座る卯月。


卯月「……あいつは直線番長だぴょん。小回りが利かないから、

コーナーが多いコースなら振り切れるっぴょん!」ニシシッ

島風「そうなんだ!」キラキラ

卯月「それで……初めてのイタズラはどうだったぴょん?」ニヤッ

島風「面白かった! あんなに本気で走ったのは深海棲艦に包囲された時以来!」キラキラ

卯月「そうだっぴょん!」ウンウン

卯月「うーちゃんも必死に逃げている時、生を実感する!」ゾクゾク

島風「わっかーーる! あんなに必死に追いかけられるとゾクゾクする!」キラキラ

卯月「いたずらをキメて逃げてる瞬間、最高にハイになるんだぴょん!」キラキラ
890 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/08/28(月) 03:17:18.86 ID:XweurjFoo

意気投合する二人。


島風「てーとくだったら、もっとドキドキするかな?」

卯月「しれーかんはイタズラに引っかからないから、つまらないっぴょん」

島風「しんぺーさんは?」

卯月「しんぺーは空気を読んで引っかかってくれそうだけど、必死には追いかけてこなそう」

島風「ふ〜ん。むずかしいね」

卯月「突撃たいちょーは、加速性、走破性、耐久性、信頼性、居住性……そして凶暴性……。

どれをとっても文句無し! まさにうーちゃんにイタズラされるために生まれてきた男だぴょん!!!」

島風「おぅっ!?」

島風(居住性……?)

卯月「あいつは、まだまだ伸びしろがあるぴょん……うーちゃんがイタズラして磨いてやれば、

もっと光る玉だぴょん! もっと面白いリアクションをするようになるぴょん!」

島風「またやるの?」

卯月「とーぜんだぴょん!」

島風「おぅっ!」キラキラ


卯月が麦茶をくぴくぴと飲む。


卯月「そんなうーちゃんが別の原石を発見したぴょん」ニヤッ

島風「だれっ?」

卯月「副参謀だぴょん。あいつは若僧だけど見どころがあるぴょん」

島風「おぅっ」

卯月「真面目で短気で熱血だから素質十分。若いから身体能力もばっちしだぴょん!」

島風「おぅっ!」キラキラ

卯月「今度、あいつの整髪剤を脱毛剤に変えてやるぴょん!」キラキラ

島風「ひっどーーーーい!」キラキラ

卯月「あいつも立派な男に磨きあげてやるぴょん!」キラキラ


その後、バナナですっころぶ突撃隊長の写メを青葉に売りとばした卯月は、

またお尻をペンペンされたそうな。


- 第七話 おまけ 完 -
891 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/28(月) 05:47:16.99 ID:SiWJklNi0
うーちゃん、脱毛剤はやめてやってくれ…
892 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/28(月) 13:26:00.55 ID:/TTzqU790
なんて無慈悲、脱毛剤だなんて
893 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/28(月) 17:15:06.48 ID:XqeE6qRfo
.彡 ⌒ ミ
(´・ω・`) また髪の話してる...
894 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/09/11(月) 00:58:42.35 ID:iyQDnrWao

第7.5話 深海の女子会


ここは、お気楽極楽の南国チンジュフ。

豪華な大会議室で、姫、鬼級の会議が開かれていた。


戦艦水鬼「アメリカ、日本が欧州救援を企てていると、情報部から報告がありました」

中枢棲姫「時期ト規模ハ?」

戦艦水鬼「8月上旬開始。9月までに欧州開放を目指すと。

規模はアメリカ、日本の戦力のほぼ3割」

中間棲姫「カナリノ規模ネ……」


作戦の時期、兵力の詳細が、プロジェクターでスクリーンに映し出された。


チ級(次は……)ポチポチ


俺がマウスを操作すると、地図が表示され、日本とアメリカから矢印がニューーっと伸び、

予想される進撃ルートが示される。


戦艦水鬼「ただし……彼らが『巣』を攻撃する気配はありません。

いつもの通り、沈まない程度に相手をして、適当なところで巣に撤退すれば問題ないでしょう」

中枢棲姫「情報の確度ハ?」

戦艦水鬼「高いです。情報部の水母棲姫様、離島棲姫様、どちらも同じ分析結果です」

中枢棲姫「ソウカ……」

戦艦水鬼「彼らは『巣』を攻撃する気がないどころか、航路を維持するつもりも、

維持できるほどの戦力もありません。やりすごした後、すぐに海域を取り返せるでしょう」

中間棲姫「アノ子タチハ……バカナノ? コノ作戦ニ、ナンノ意味ガアルノカシラ?」

戦艦水鬼「……どうやらアメリカの大統領選挙が近く、その人気取りのためです。

指導者のために、見せ掛けの勝利が必要なのです。日本もそれに付き合わされたと」

中枢棲姫「フウン……勝手ニシロトイウ感ジダナ……」


中枢棲姫が呆れた顔をした。
895 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/09/11(月) 01:01:03.01 ID:iyQDnrWao

戦艦水鬼「ただし、万が一がありますので、欧州棲姫様の『巣』の防衛にレ級軍団を送ります。

海底の巣が潜水艦に攻められたとしても撃退出来るでしょう」

欧州棲姫「ベツニ……望んで、ないけど……アリガトウ……」

中枢棲姫(カワイイ……)

中間棲姫(カワイイ……)

戦艦水鬼(カワイイ……)


戦艦水鬼は冷静に話しているが、特に意味のない作戦のため艦娘の命を危険にさらす海軍に、

内心、カム着火インフェルノだった。

そんな内心を見透かしたのか……。


中枢棲姫「水鬼。コンナ茶番、モウ止メタイノダガ?」

戦艦水鬼「……」


中枢棲姫の「止めたい」の意味は、講和ではなく、人間の無力化、もしくは殲滅である。


戦艦水鬼「我々は海から遠く離れると、力を失います。内陸に逃げ込まれたら、攻める手がありません」


艦娘登場前、人類が絶滅しなかったのはこのためだった。


戦艦水鬼(……人間同士を戦わせるやり方はいくらでもあるが……まだ、そこまで追い詰められてはいない……。

それに、それはこの戦艦水鬼のやり方ではない……)

中枢棲姫「ソウダッタナ……デハ、今回モイツモノ方法デ、ヤリスゴストシヨウ……解散……」


うつらうつらしていた飛行場姫が、ハッと目を覚ます。


飛行場姫「ムニャ……ムニャ……ダカラ……ムリナノヨッ!」ガバッ

フラヲ改「……姫様……出撃要請がアリマシタヨ……」

飛行場姫「えぁ?」

飛行場姫(聞いてなかっタ……どうしまショウ……)ダラダラ

フラヲ改「詳細は聞いてましたので、後で説明シマス……」

飛行場姫「ヲ級サ〜〜ン!!!」ダキッ

リコリス棲姫(ヒコ姉様ッテ……)タラーリ


姫、鬼たちが会議室を出て、食堂へと向かった。


中枢棲姫「評判ノ『料理』トヤラ……楽シミダ!」

旅客船姫「お口にあうかどうか……」ダラダラ
896 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/09/11(月) 01:04:41.53 ID:iyQDnrWao

数週間前、中枢棲姫の棲地で開かれた姫鬼級会議でのこと。

旅客船姫は中枢棲姫に話しかけられた。


中枢棲姫「旅客船姫。次回ノ会議、アナタノ棲地デ、ヤリタイノダガ?」

旅客船姫「はい?」

中枢棲姫「皆カラ、アナタノ『料理』ハ素晴シイ、ト聞イテイル」

旅客船姫「光栄です……が……」


通常、姫鬼級会議は有力棲地で行うのだが、

なぜかド底辺の弱小チンジュフに振ってきた。


旅客船姫(大食いの姫様、鬼様が一人でも大変なのに、あれだけの人数を相手に料理を作ったら、

体がいくつあっても足りません! それに、もし機嫌をそこねたら……本当にヤバイです……)


それらしい理由で断る旅客船姫。


旅客船姫「島というのは、攻めやすく守りにくい場所。その上、ろくな防衛戦力がないので、

会議の場所にはふさわしくないかと……」

中枢棲姫「ナニ、カマワナイ。護衛ハ、コチラデ用意スル」ニコッ

旅客船姫「それに……皆様に出す『料理』ですが、今から材料を用意するには時間が足りません……」

中枢棲姫「ソンナコトカ。大丈夫」ニコッ
897 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/09/11(月) 01:09:16.90 ID:iyQDnrWao

その数日後、中枢棲姫がチンジュフにやってきた。


中枢棲姫「下見ニキタ」


護衛で連れてきたのは、防空棲「鬼」に率いられたレ級フラッグシップ、ツ級フラッグシップの近衛部隊。

前線には出てこない本拠地防衛のエリート中のエリート。


中枢棲姫「彼女タチハ、ワタシノ虎ノ子ダ」

旅客船姫「」


島を巡りながら、中枢棲姫と防空棲鬼がなにやら話している。


中枢棲姫「ドウヤラ防衛ハ楽勝ラシイゾ」

旅客船姫「」


材料は……。


中枢棲姫「コレデタリルカ?」


次々とワ級がやってきた。

膨大な資材を島に降ろすと……。


中枢棲姫「会議ノ開催通知ハ、ワタシカラ出シテオク。デハ会議デ会オウ」ニコッ

旅客船姫「」


中枢棲姫は護衛と輸送船団とともに帰っていった。


旅客船姫(……近衛部隊と輸送船団を動員しちゃいましたよ、あの方……。

そして……逃げられなくなってしまいました……)ダラダラ


- 続く -
898 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage]:2017/09/11(月) 01:15:51.33 ID:iyQDnrWao
深海棲艦メインのSS増えてほすぃ……
899 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/11(月) 01:45:22.39 ID:d0A5KxmJ0
おっつおつ
また旅客ちゃんのストレスマッハかー
900 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/11(月) 11:16:43.73 ID:NSqIjVfi0
更新乙です
旅客ちゃん所は深海ミシュランにでも掲載されてるとかですか?ww
チ級さんはパワーポイントを使いこなしてそうだわ
毎回更新楽しみにしています
901 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage]:2017/09/18(月) 00:54:07.18 ID:QdmxwWIso
ちょっと再開
902 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/09/18(月) 00:55:20.04 ID:QdmxwWIso

翌日、旅客船姫はチンジュフの司令室で頭を抱えていた。


旅客船姫(あれだけの人数分の料理を作るには、どう考えても人手が足りません。

かといって、作り置きは味が落ちるし、第一、大量の作り置きを入れるほどの冷蔵庫もありません……)

旅客船姫「ハァ……」


紅茶をすする旅客船姫。


旅客船姫(人間の料理人を雇う? いえいえ。普通の料理人では深海棲艦向けの料理は作れません。

というか、深海棲艦向けの料理人なんているんでしょうか?)


パクッとスコーンをひとくち。


旅客船姫(……気分転換でもしましょう……)


PCのブラウザを立ち上げ、オークションサイトを見る。


旅客船姫(お! やりました! 欲しかった包丁を落札しました!)


ネットショッピングでストレスを発散する旅客船姫。

旅客船姫は魚を売ったお金で、調理器具を買うのが趣味だった。


旅客船姫(ボブ・クレーマーのハンドメイド包丁……ダマスカス模様と美しいグリップ……。

厨ニですわ……ロマンですわ……たまりませんわ……)ポワワーーン


早速だれかに自慢したくなる。


旅客船姫(このロマンを分かってくれるのは……)


間宮にメールを送る旅客船姫。

すると、たちまちボイスチャットの着信。
903 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/09/18(月) 01:02:32.84 ID:QdmxwWIso

間宮「ボブ・クレーマーと聞いて!」ティロリロリーン

旅客船姫「そうなんです! ちょっと奮発しちゃいました!」パァアア

間宮「いいですね〜。うらやましいです! わたしの給料では、とてもとても……」


調理器具談義に花が咲く。


間宮「この前、やっと大型の自動食器洗い機が導入されたんです! 超便利です!」パァアア

旅客船姫「あら〜、素敵ですわ〜」ニッコリ

旅客船姫「ところで、この前、ミソノのUX10の包丁セットも買ったんですよ」

間宮「UX10! レアアイテムじゃないですか!」

旅客船姫「あら? ミソノは日本のメーカーでは?」

間宮「スェーデン鋼が日本に入らないから、かなり前に生産中止です。使ってみたいですね」

旅客船姫「でしたら遊びに来てください。丁度、調理室も新しくしましたし、

ボブ・クレーマーもUX10も使い放題です」

間宮「本当ですか!? 何時だったらいいですかッ!!!」ガタッ


旅客船姫は間宮の食いつき具合に、ちょっと驚いた。
904 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/09/18(月) 01:07:21.93 ID:QdmxwWIso

旅客船姫(……そういえば、艦娘さんの料理と深海棲艦の料理って似てましたね……。

そして間宮さんは艦娘料理のエキスパート……)

旅客船姫「間宮さん、もし遊びに来るのでしたら、ちょっとご相談が……」

間宮「なんでしょう?」

旅客船姫「わたくしのホテルに艦娘さんの団体が来るのですが、料理する人手が足りなくて……」シレッ


シレッと嘘をつく旅客船姫。


間宮「……」

旅客船姫「間宮さんが遊びに来るなら、手伝って頂けないかと……。もちろん謝礼は出します」

間宮「私もふくめて艦娘は公務員扱いなので、副業はちょっと……」

間宮(ティターニアさんて、実は深海棲艦と聞いてます。深海棲艦の手伝いをするわけには……)


旅客船姫が少し考え込む。


旅客船姫「……UX10の包丁セットとか欲しくありませんか?」ニタァ

間宮「人助けなら仕方がありません! 引き受けましょう!」キリッ

旅客船姫「ありがとうございます!」パァアア


互いに後ろ暗い取引が成立したのであった。


- 続く -
905 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/18(月) 06:24:11.47 ID:/XC7zTNho
強欲は死への誘い
906 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/18(月) 12:59:55.63 ID:ck9NE0En0
間宮さんには防諜設備もあったから深海側へのスパイ行為だ!と言いはれば大本営にばれても平気だね!
更新乙です
907 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/18(月) 22:25:56.65 ID:1Zi5rNhf0
ミソノのUX10初任給で初めて自分に買った包丁なんだけど出てきてびっくり
908 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/11(水) 12:42:14.05 ID:/xop0iPsO
保守
909 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/20(月) 13:15:51.66 ID:bD1bGQy8O
保守
910 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/25(月) 19:32:36.74 ID:BgE2gZcOo
ほしゅ
911 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage]:2018/01/01(月) 19:50:57.80 ID:VpsT+oWC0
あけおめ保守
今年中には完結させたいと思う所存です。
912 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/04(木) 22:43:57.09 ID:K8qOdnc/o

会議の2日前の夕方、間宮が南海孤島チンジュフにやってきた。

旅客船姫たちが桟橋で出迎える。


旅客船姫「遠いところお越しいただき、まことにありがとうございます」

間宮「こちらこそお招きいただき、ありがとうございます」

旅客船姫「……ところで……ホーショーさんもご一緒でしたか」

鳳翔「よろしくお願いいたします」

間宮「鳳翔さんの料理の腕前はスゴイんですよ!」

旅客船姫「助かります!」パァアア


なぜ鳳翔が付いてきたかというと……。

間宮が旅客船姫に誘われた翌日。

司令室でのこと。


間宮「……ということがありまして、敵情視察のため誘いに乗ろうと思うのですが、いかがでしょうか?」

提督「情報は多いほどいい。行ってきてくれ。休暇と外出、それに出国を許可しよう」

間宮「承知いたしました!」


急に間宮が気まずそうな顔をした。


間宮「ところで……ふたつほどご相談が……」

提督「なんだ?」

間宮「ひとつは……鳳翔さんも一緒に行っていいですか?」

提督「理由は?」

間宮「あちらは調理の人手が非常に足りてないそうです。料理スキルの高い鳳翔さんが居てくれたら心強いです」

提督「……」

間宮「そして、万が一戦闘になった場合、私一人ではどうにもなりません」

提督「ならば大和はどうだ? 料理も上手だし、腕っ節も強い」

間宮「……鳳翔さんが一緒に行きたいと言ってます」

提督「理由は?」

間宮「……会いたい人がいるそうです」

提督「……」
913 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/04(木) 22:45:52.26 ID:K8qOdnc/o

提督は目を細め、あごに手をやった。


提督「……いいだろう。鳳翔も許可しよう。しばらく居酒屋鳳翔が閉店するのは残念だがな。

で、もうひとつの相談とは?」

間宮「はい……。このような場合、相手から物品を受け取っても良いのでしょうか?」

提督「ん?」

間宮「やはり断ったほうが……」

提督「ふ、ははははは! もらっとけ」

間宮「へ?」

提督「無償で協力すると言えば、かえって怪しまれる。だからもらっておけ。遠慮はいらん」

間宮「承知いたしました!」ニカッ


腕組みをしている日向がニヤッと笑った。


日向「いい笑顔だ」ニヤッ

鳥海「それにしても……リスクを犯してまで間宮さんにヘルプを求めるのはなぜでしょう?」

提督「……」

鳥海「単に人手が足りないのか……別の目的があるのか……」

日向「彼女は臆病と聞いている。そんな彼女が間宮を頼るリスクを取らざるをえないほど、

大きなリスクがある……とも考えられる」

間宮「ティターニアさんは艦娘をとても怖がってます。料理で失敗して機嫌を損ねたくないのかも」

提督「……客は艦娘ではないかもしれん」

間宮「……」

提督「ZZZZ国はアメリカの保護領で艦娘を保有していない。

そして米海軍の大規模作戦、演習が有るとも聞いていない。

艦娘の団体客というのは怪しいな」
914 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/04(木) 22:47:32.41 ID:K8qOdnc/o

提督がPCを操作し、筑摩のレポートを開いた。


提督「筑摩によると、彼女のレストランの客は若い女性が多いとある。

だがこのご時勢、海に近いレストランにわざわざ行く淑女が多いとは、とうてい思えんね」

日向「……」

提督「それにだ、あの場所は深海棲艦の支配海域に接している」

鳥海「……客は若い女性……女性……深海棲艦……」

日向「間宮を頼ってでも失敗したくない程の……」


ニヤリと笑う提督。


提督「大方、お偉いさんが来るんだろうよ」ニヤリ

間宮「……」


間宮が船上パーティの集合写真に目をやる。


間宮「お偉いさん……船上パーティに戦艦水鬼、戦艦棲姫、飛行場姫、港湾棲姫、港湾水鬼、北方棲姫が来ていました」

鳥海「そのうちの誰かの可能性が高いですね」眼鏡クイッ

提督「一番大食らいだったのは?」

間宮「……飛行場姫……リコリスさんです」

提督「リコリスさんか。彼女は空母と一緒だったな。もし彼女と空母の一団が客だったら、確かに人手が足りないかもしれん」

間宮「……なるほど……」


その後……。


間宮(空母向け料理レシピを揃えておきましょう。これとか、これとか、うふふっ♪

予想が外れて戦艦棲姫、港湾棲姫だった場合に備えて、戦艦向けレシピ……

陸上型は……陸上型?……うーん……鉄骨?……鋼材中心のレシピで……)


間宮は旅客船姫に客が誰か、あえて聞かなかった。


間宮(海軍衛星回線は全部検閲されてますから……)


ということで、間宮は鳳翔と一緒にやってきたのだった。
915 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/04(木) 22:48:48.20 ID:K8qOdnc/o

間宮と鳳翔はゲストルームに荷物を置いた後、調理場に案内された。


間宮「ピッカピカですね!」パァアアア

旅客船姫「オッホホホホ!」ニコニコ


調理場などチンジュフを一通り案内した後、旅客船姫は一段低い声で言った。


旅客船姫「……最後に逃走……ではなく避難経路です……」ドヨーン

間宮「避難経路?」

間宮(逃走?!)

旅客船姫「……火事とか……爆発とか……爆撃とか……砲撃とか……の場合です……」ドヨヨヨーーン

間宮「は、はい……」

間宮(爆発?! 爆撃?! 砲撃!?)


裏手の桟橋に行くと、ボロい大きめのボートがある。


旅客船姫「……災害発生時、このボートで避難します。見かけは頼りないですが、

パワー・ボート用エンジンが3基。最高速度は90ノットでます……」

間宮「」

間宮(……どこかの国の不審船かしら……。

しかし……90ノットで何から避難するんでしょうか……?)
916 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/04(木) 22:52:21.63 ID:K8qOdnc/o

翌朝、三人は調理場で打ち合わせを始めた。


旅客船姫「メニューは決めてあります。材料も揃えてありますので、今日、明日の段取りを……」

間宮「その前に!」

旅客船姫「はい」

間宮「お客さんは誰ですか?」

旅客船姫「えーーーっと、そのーーー、あのーーー、艦娘さんの団体としか聞いてなくて……」ダラダラ

間宮「……ずばり深海棲艦ではありませんか?」

旅客船姫「」

旅客船姫「……そんな……いやですわ。まさか、そんなわけないですわ。オッホホホ!」キョドキョド


挙動不審な旅客船姫の手を、鳳翔がそっと握った。


鳳翔「大丈夫ですよ。信じてください」ニッコリ

旅客船姫「」


騙したことを謝罪する旅客船姫。


旅客船姫「間宮さん、鳳翔さん、本当に申し訳ございません……」

間宮「お気になさらず。ティターニアさん、事情を話してくれませんか」

旅客船姫「おっしゃるとおり、お客様は深海棲艦です。ただ人手が足りないというのは本当です」

間宮「……ずばり、リコリスさんが来るのでは?」

旅客船姫「……リコリス様もいらっしゃいます……」

間宮(「も」?)


開き直った旅客船姫は、来客リストを見せた。


旅客船姫「来客リストです」ペラッ

間宮「」

鳳翔「」

間宮(……人間で言ったらG7サミットの晩餐会ですね……。

正直逃げ出したい……なんとなく90ノットの意味が分かりました……)


- 続く -
917 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/05(金) 01:51:20.52 ID:s74RjO2r0
おつ
今年も相変わらず、旅客ちゃんは可愛いなあ
918 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/05(金) 10:41:11.91 ID:GakJeS+s0
更新お疲れ様です
こんな素晴らしい料理を作った料理人に直接感謝を伝えたい!とか言って調理場に入ってきたら修羅場ですね
続き、ゆっくりお待ちしてます
919 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/07(日) 06:07:26.87 ID:R3Ub0AHeo

間宮(しかしこれはチャンス? 私の腕が、はたして深海棲艦に通用するのか……?)

間宮「……主賓は?」

旅客船姫「中枢棲姫様です」

間宮(でしょうね……)

間宮「メニューを見せて下さい」


旅客船姫がメニューを見せる。


間宮(品数を絞ってますが……さすがタイタニック……洗練された伝統的なフランス料理……。

地元の季節の素材と……資材をミックス……美味しそうですね……ヨダレが出そう……でも……)


間宮「品数が少ないのは?」

旅客船姫「お客様はもれなく健啖家なので、品数ではなくボリュームを増やします。

深海棲艦には『料理』という概念がありません。当然、コースというものもありません。

ですから伝統的な形式にこだわらず、前菜、スープ、メイン、デザートとしました」

鳳翔「これで足りるのですか?」

旅客船姫「デザートの後は宴会になります。後はお酒と大皿料理をひたすら……」

間宮「ですよね〜」


ふと間宮が首をひねる。


間宮「……なんか引っかかります……」

旅客船姫「?」

間宮「中枢棲姫さんは……ハワイの人……であってますか?」

旅客船姫「はい」

間宮「うーーん……フランス料理……フランス料理……」


間宮のスイッチが入った。
920 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/07(日) 06:12:29.86 ID:R3Ub0AHeo

間宮(……深海棲艦……ハワイ……真珠湾……何が食べたい?……どうしたい?)

旅客船姫「あの……」

間宮(……深海棲艦……船の亡霊と言われている……怨霊……無念……心残り……)

間宮「……」ブツブツ

旅客船姫「間宮さん……」

間宮「ちょっと考え事してきます。PC借りますね。二人で段取りを進めて下さい」

旅客船姫「ちょ……」


フラっと間宮が部屋から出て行く。

旅客船姫と鳳翔が打ち合わせを進めていると……。


間宮「ティターニアさん!」

旅客船姫「はい!」ビクッ

間宮「メニュー変えさせて下さい!」

旅客船姫「はへ?!」

間宮「この材料はありますか!」

旅客船姫「ありますけど……量が少ないです……」

間宮「買出しに行ってきます! ボート借ります! 悪いようにはしません! さあ、頑張りましょうね!」ニカッ

旅客船姫「」
921 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/07(日) 06:15:40.45 ID:R3Ub0AHeo

そして当日の昼……。

最初に中枢棲姫と近衛部隊がやってきた。


旅客船姫「いらっしゃいませ」

中枢棲姫「今日ハ宜シク頼ムゾ」ニッコリ


旅客船姫は中枢棲姫を通して、参加者に人間の格好をするよう通知を出していた。

そのため、中枢棲姫は白いワンピース、近衛部隊はメイド服を着ている。


防空棲鬼「作業始メ!」


近衛部隊が防御陣地を構築する横で、次々と姫、鬼級の深海棲艦が訪れる。

そこに突然、大声が響いた。

メイド服のレ級、ツ級と装甲空母姫、南方棲戦姫、北方水姫が揉めている。


防空棲鬼「何事ダ!」

フラレ「ソレガ……」

装甲空母姫、南方棲戦姫、北方水姫「裸ダッタラ何ガ悪イ!!!」

防空棲鬼「」


- 続く -
922 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage]:2018/01/07(日) 06:19:50.62 ID:R3Ub0AHeo
>>919
ちょっと何言ってるんだか不明な点があったので再投稿です。


間宮(しかしこれはチャンス? 私の腕が、はたして深海棲艦に通用するのか……?)

間宮「……主賓は?」

旅客船姫「中枢棲姫様です」

間宮(でしょうね……)

間宮「メニューを見せて下さい」


旅客船姫がメニューを見せる。


間宮(品数を絞ってますが……さすがタイタニック……洗練された伝統的なフランス料理……。

地元の季節の素材と……資材をミックス……美味しそうですね……ヨダレが出そう……でも……)


間宮「品数が少ないのは?」

旅客船姫「お客様はもれなく健啖家なので、品数が多くても少量だと食べ応えがありません。

だから品数を絞って、一品のボリュームを増やします。

深海棲艦には『料理』という概念がありません。当然、コースというものもありません。

ですから伝統的な形式にこだわらず、前菜、スープ、メイン、デザートとしました」

鳳翔「これで足りるのですか?」

旅客船姫「デザートの後は宴会になります。後はお酒と大皿料理をひたすら……」

間宮「ですよね〜」


ふと間宮が首をひねる。


間宮「……なんか引っかかります……」

旅客船姫「?」

間宮「中枢棲姫さんは……ハワイの人……であってますか?」

旅客船姫「はい」

間宮「うーーん……フランス料理……フランス料理……」


間宮のスイッチが入った。
923 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/07(日) 11:51:59.84 ID:tHi5baoo0
裸がドレスコードはあかんww
あー、でも国連の議場で民族の誇りということで
チ○コにあのケースをつけて民族衣装(ほぼ裸)で参加した
ニューギニアの国連大使もいたし、うん、正式な格好なのかもしれない
924 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/08(月) 02:16:42.21 ID:5ydgkvczo

装甲空母姫「ワラワノ体ガ、見苦シイト申スノカ!」

防空棲鬼「ソウデハ、アリマセン!」

南方棲戦姫「ナラ問題ナイナ」

防空棲鬼「イエ! 規則ハ守ッテ頂キマス」

装甲空母姫「下賎ナ人間ドモノ服ナド、着トウナイ!」

防空棲鬼「……中枢棲姫様カラノ通達デスガ?」ギロッ


装甲空母姫がカッと目を開いた。


装甲空母姫「黙リャ! ワラワハ中枢棲姫ノ下ニナッタ覚エナゾナイワ!」


ワナワナふるえる防空棲鬼。


防空棲鬼「……コウナレバ仕方ナイ……チカラズクデ服ヲ召シテ頂クマデ……。

モノドモ! カカレーーーー!!!」


近衛部隊が三人の姫に一斉に飛び掛る。


ギャーギャー!!! ワーワー!!!


乱戦でもんどりうつ北方水姫の肩を、誰かがチョンチョンとつつく。


北方水姫(?)
925 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/08(月) 02:20:13.84 ID:5ydgkvczo

北方棲姫が、黒い何かをファサッと北方水姫にかけた。


北方棲姫「わがいもうとよ。はじらいをわすれては、いけません」

北方水姫(北方姉サン……)

北方棲姫「こーわんひめねえちゃんの、おぱんつです。おはきなさい」

北方水姫「ハイ……」

北方棲姫「あねのやさしみ、けっして、わすれてはいけません」

北方水姫「姉サン……」ポーーー


多勢に無勢。三人の姫は服を着せられてしまった。


装甲空母姫「……着トウナイ……」ボロッ

南方棲戦姫「……オロカナ……」ボロッ

北方水姫「……姉サン……」ボロッ


北方水姫が北方棲姫を抱きかかえた。


北方棲姫「いもうとよ。したにおろすのです」ワタワタ

北方水姫「……ヒキサガルワケ……ニハ……イカナイ……ッ……」ギュー

北方棲姫「いもうとよ。あねのいうことを、ききなさい」ワタワタ

港湾棲姫(妹思いのホッポ……カワイイ……)ニコニコ
926 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/08(月) 02:22:45.63 ID:5ydgkvczo

会議直前になると、最後の一人、集積地棲姫がやってきた。

メガネにみつ編み、ヘッドフォンといういつもの姿だ。


集積地棲姫「ファ〜〜。ネムイ……」

チ級「いらっしゃいませ」

集積地棲姫「ヨ! ミンナ来テル?」

チ級「はい。ところで……お連れの方は?」

集積地棲姫「イナイ。アタシ一人ダケ。護衛ナンテ資材ノ無駄ダシネ」

チ級「そうですか……」

チ級(ずいぶんユル〜〜イ感じ……深海の姫もいろんな人がいるんすなぁ……)


集積地棲姫がグイッと寄ってくる。


集積地棲姫「アノサ! ココノ資材集積場ッテ、ドコ?」目キラキラ

チ級「あちらですが……」

集積地棲姫「見学シタインダケド!」目キラキラ

チ級「……と言っても、もうすぐ会議ですよ。後で時間のある時にどうですか?」

集積地棲姫「モウソンナ時間? ジャ後デ頼ムヨ!」

チ級「……はい」
927 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/08(月) 02:35:16.67 ID:5ydgkvczo

会議が終わり、夕食の時間。

姫、鬼たちが会議室を出て、食堂へと向かった。


中枢棲姫「評判ノ『料理』トヤラ……楽シミダ!」

旅客船姫「お口にあうかどうか……」ダラダラ


大食堂に着くと、座席に名札がある。


旅客船姫(席順を決めるのも一苦労でした……思い出すと胃が……)キリキリ


全員座席につくと、旅客船姫が口を開いた。


旅客船姫「皆様、ご着席頂きました。飲み物を手に取って、掲げてください」

装甲空母姫「……フン……」サッ

旅客船姫「議長の中枢棲姫様。乾杯の音頭を」

中枢棲姫「……人間ノヤリ方ハ、冗長ダナ……。デハ乾杯トヤラノ前ニ、ヒト言……。

最近、戦局ハ、安定シテキテイル。コレハ諸君ノ努力ノ賜物ダ。心ヨリ感謝スル。

誠ニ遺憾ダガ、マタ人間ガ攻メテクルヨウダ。シカシ、今回モ轟沈ゼロデ、乗リ切ッテホシイ。

皆、轟沈ノフリダケガ上手クナル、ト、ボヤイテイルヨウダガ、無事コレ名馬トイウ……」クドクド

旅客船姫「中枢棲姫様……乾杯の音頭は短めに切り上げるのが人間流です……」ヒソヒソ

中枢棲姫「ム……デハ、短メノ挨拶ダッタガ……乾杯!」

「「「乾杯!」」」


皆、グラスを高く掲げ、口をつける。


戦艦水鬼「いつも飲んでいる黒くてドロっとした燃料とは、ずいぶん違うな……これは?」

旅客船姫「硫黄分が低いLSA重油です。飲み口も軽く、

スラッジが少ないので、艤装にも優しいんですよ」

戦艦水鬼「癖がなくてスッキリしている……悪くない」ニヤッ

旅客船姫「お口に合ったようで、なによりです」

旅客船姫(次は間宮さんの料理ですが……大丈夫でしょうか……?)


- 続く -
928 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/08(月) 22:28:21.03 ID:WvCi0OW60
よく考えなくても冒頭のシーンはキャットファイトか
エロいかも?
更新乙でございます
929 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/09(火) 07:28:17.16 ID:TozEwfXV0
930 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/09(火) 11:04:44.71 ID:Ol89qUsM0
よく考えなくても暴れたら誰も勝てないメンツだもんなあこれ
更新乙
931 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/09(火) 23:52:28.10 ID:t2U4IdeKo

メイド服の俺たちが、大皿のスープを配膳する。


旅客船姫「冷製のトマトチキンスープです」

中枢棲姫「デハ頂コウ。スプーン、トヤラデ食ベルノカ……」


口をつけると……。


装甲空母姫「……マァマァジャナ……」ススス

北方棲姫「オイシイ!」パァアア

戦艦水鬼(鶏肉の旨味とトマトの酸味のさわやかさ、分かりやすい美味しさだな。

料理に慣れていない我々には向いているかもしれない……。

夏に冷たいスープというのも嬉しい。ポタージュ風の滑らかな舌触りもなかなか)

北方棲姫「オカワリ!」

北方水姫(カワイイ……)ウットリ

港湾棲姫(カワイイ……)ニコニコ

港湾水鬼(カワイイ……)ビキビキ


しかし……。


中枢棲姫「ム……」

旅客船姫(うめいた後、うつむいて黙ったまま……!)ダラダラ


次の料理が運ばれてきた。


旅客船姫「グリーンビーンズのキャセロールです」

戦艦棲姫「クリーミーでホッコリしていて……美味イネ!」

戦艦水鬼(インゲンマメのグラタンという感じか……高級料理ではないが、安心できる家庭の味……)


中枢棲姫は……。


中枢棲姫「……」モグモグ

旅客船姫(眉間にしわが寄ってるーーー!!! でも怖くて聞けない! 間宮さーーーーーん!!!)
932 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/09(火) 23:54:24.38 ID:t2U4IdeKo

そして……。


旅客船姫「パイナップルとダークチェリーのグレーズド・ハム(Glazed Ham)。

マッシュポテト添えです……」


パイナップルとチェリーでびっしり覆われているドでかいボンレス・ハムの塊が出てきた。

蜂蜜を塗られ、オーブンで焼かれたハムは甘くて香ばしい香りを漂わせる。


チ級(……この料理を考えたヤツは、ラリってたとしか思えない……。

この見た目に、何の疑問も感じなかったのか……?)


俺たちは熱々のハムを5センチほどの厚さで切り、パイナップル、チェリー、

マッシュポテトと一緒に皿に取り分けた。


チ級(……ハムの概念壊れる……ハムっていったらペラッペラのしか思いつかなかったけど……。

そういえば昔、縦だか横だか分からないステーキなんてのが漫画であったな……)


皆、おそるおそる口に運ぶ。


空母棲姫「……アラ、オイシイ! 意外! アラ、イケマスネ〜♪」

戦艦水鬼(肉と脂肪の濃厚な旨味と、酸味の効いたパイナップルの甘さ……。

意外な組み合わせだが、相乗効果で不思議な美味しさに昇華している……)

欧州棲姫(美味シイ……デモ、ロースト・ビーフガ恋シクナル……後デ注文シマショ……)


カチャーーーーン……。


皆が一斉に音の方向を向く。

ハムを一口食べた中枢棲姫が、フォークを取り落としたようだ。


旅客船姫「!」
933 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/09(火) 23:57:47.17 ID:t2U4IdeKo

ワナワナと震え、手で顔を覆う中枢棲姫。


中枢棲姫「ソウダ……ソウダッタ……アノ時……」

旅客船姫「中枢棲姫様!」

中枢棲姫「ボクハ……僕ハ……アリゾナに乗っていて……もうすぐクリスマスだったんだ……。

ハワイのみんなは、クリスマスツリーの心配をしていた……。

僕の頭の中は、来年のローズボールのことで一杯だった……。

クリスマスは休暇を取って、故郷に帰るつもりだった……。

まさか……でも……ああ、そうだ。家族と食べたかったクリスマス料理だ……。

心残り……思い出した……ああ、やっと食べられたよ……アリガトウ……」

旅客船姫「お気を確かに!」


周囲の心配をよそに、しばらく放心していた中枢棲姫。


中枢棲姫「……コレガ『美味い』トイウ感覚ナノカ? 心地良イナ……。

初メテノハズダガ、不思議ト知ッテイルヨウナ気モスル……」ホッコリ

旅客船姫「……」

中枢棲姫「ン……皆、ドウシタ?」

旅客船姫「何か……クリスマスがどうとか、おっしゃっていましたが……」

中枢棲姫「ソノヨウナ事ハ、言ッテイナイゾ?」

旅客船姫「……そうですか……」


その後、ハムを数回おかわりする中枢棲姫。
934 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/10(水) 00:02:51.27 ID:p+y2y/sBo

旅客船姫「デザートはパンプキン・パイです」

潜水新棲姫「……オイシイ……」モキュモキュ

戦艦水鬼(カボチャは下手をすると、青臭く野暮ったい味になるが……

カボチャの風味を残しつつ、ジンジャー、シナモンで香り付け……。

生クリームと丁寧に裏ごしされたカボチャが、上品な舌触りを出している……。

そしてカボチャの甘味を生かした砂糖加減……。滑らかさとホクホク感を両立させる火加減……。

火が足りなければ、水っぽくなる。これ以上火を入れれば、パサパサになる……そのギリギリ……。

サクサクのパイ生地もいい。それでいて家庭の味の優しさも残している……)


笑顔の中枢棲姫がデザートを食べる。


チ級(間宮さんは、アメリカのクリスマス料理って言ってたな。

てっきり七面鳥とケーキを食べるもんだと思ってたけど……。

感謝際は七面鳥、クリスマスはハムやロースト・ビーフや七面鳥だとか……)


満足そうな中枢棲姫。


旅客船姫(はぁ〜〜。良かった……)

旅客船姫「次は宴会です。準備がありますので、その間、休憩とします」


ガヤガヤと部屋を出る深海棲艦たち。


中枢棲姫「旅客船姫、評判ニ違ワヌ素晴ラシサダ。礼ヲ言ウゾ」ニッコリ

旅客船姫「あ、ありがとうございます」

中枢棲姫「コノ『料理』トヤラハ、誰ガ作ッタンダ?」

旅客船姫「うぇ?!」

中枢棲姫「ナゼカ胸ガ、スッキリシタ。礼ヲ言イタイ。ココニ呼ンデ……。

イヤ……敬意ヲ表シテ、私ガ出向コウ」スクッ


中枢棲姫が立ち上がり、部屋を出て、調理場に向かう。
935 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/10(水) 00:03:23.87 ID:a6jUxQLN0
深夜に開くんじゃなかった・・・
お腹減ってきた
936 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/10(水) 00:07:46.66 ID:p+y2y/sBo

旅客船姫(間宮さん、鳳翔さんを見られたらマズイ!)


会議は、筑摩が鎮守府に月例報告で戻る期間を選んだ。

建前上、このチンジュフには艦娘はいないことになっている。


旅客船姫「お待ち下さい! 料理人は人間です。そのお姿を見られては!」

中枢棲姫「ワタシハ人間……ダロ? 今ハ。ダカラ問題ナイ!」


中枢棲姫が勢いよく調理場のドアを開けた。


中枢棲姫「コノ料理ヲ作ッタノハ誰ダ!」クワッ

間宮「」

旅客船姫「」

間宮(なんか大声だし……怒ってるのかしら……? でも私は恥じるところのない料理を出したつもりです!

艦娘とばれて、あれだけの姫、鬼級がいたら逃げられない……どうせ逃げられないなら堂々としましょう!)

間宮「私です」スッ


ずんずんと中枢棲姫が間宮に近づく。


間宮「!?」


間宮が身構えると……。


中枢棲姫「スバラシイ料理ダッタ!」ニッコリ


中枢棲姫が間宮の両手をガシッと握る。


間宮「」

中枢棲姫「名前ハ?」ニッコリ

間宮「ま……」

中枢棲姫「マ?」

間宮(動転して、ついうっかり!!!)

旅客船姫「マンマミーヤさんです!」

間宮「」

旅客船姫「アジア系イタリア人のマンマミーヤさんです!」

中枢棲姫「マンマミーヤ……イイ名前ダ!」

間宮「次の宴会でも、私の料理を召し上がって下さいね♪」

中枢棲姫「アア! 期待シテイルゾ! デハ!」クルッ
937 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/10(水) 00:12:59.62 ID:p+y2y/sBo

中枢棲姫が調理場を出て行くと、間宮と旅客船姫はその場にへたり込んだ。


間宮「はぁ……腰が抜けちゃいました……」

旅客船姫「なぜ艦娘とバレなかったんでしょう?」ヒソヒソ

間宮「私は裏方なので、顔が知られてないからでは」ヒソヒソ

旅客船姫「鳳翔さんだったら危なかったですね。たまたま居なくて、本当に良かった……」ヒソヒソ


その頃、鳳翔は人を探していた。

廊下で近衛隊員とすれ違うが……。


鳳翔「お疲れ様です」ニコッ

フラツ「……」ニコッ

鳳翔(髪型を変えて、洋風の調理服を着たら、気づかれないものですね……。

ティターニアさんに教わったギブソン・タック……19世紀に流行ったとか……)


コックの服装、長い髪を後ろでふわっとまとめた鳳翔。

和服とポニーテールの印象が強すぎるのか、はたまた、前線に出たことのない近衛隊員の経験不足か。

鳳翔は艦娘と気付かれなかった。


鳳翔「もし……」

フラヲ改「あなたは……」

鳳翔「お久しぶりです。ヲリビアさん」

フラヲ改「……」

フラヲ改(なぜここに鳳翔さんが……?!)

鳳翔「休憩時間、少しお話しませんか?」ニコッ

フラヲ改「……」
938 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/10(水) 00:14:54.49 ID:p+y2y/sBo

二人は夜の浜辺に向かった。


鳳翔「お元気ですか?」

フラヲ改「ええ……」

鳳翔「……」

フラヲ改「……」


言葉が途切れる。


鳳翔「ヲリビアさん」

フラヲ改「……」

鳳翔「ヲリビアさんは……昔の私の教え子に、とても似ていて……。

だから……その子とあなたが重なって……」

フラヲ改「……」

鳳翔「……あなたが気になって……お話がしたくて……」

フラヲ改「……」

フラヲ改(……まさか私に会いに、こんな危険を……)

フラヲ改「ワタシハ、アナタノ教エ子デハ、アリマセンヨ」

フラヲ改(……鳳翔さん……もうここに来てはいけません……)


鳳翔が、ハッと顔を上げる。


鳳翔「……そうですね」

フラヲ改「……」

鳳翔「……ごめんなさい……勝手に思い込んで……」

フラヲ改「……」
939 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/10(水) 00:17:20.11 ID:p+y2y/sBo

鳳翔がフラヲ改を見つめる。


鳳翔「……ヲリビアさん、私、もう行きますね……最後に……あなたは幸せですか?」


フラヲ改の頭に、飛行場姫の絵が浮かんだ。

浮かんでくるのは、飛行場姫の情けない姿ばかり。


フラヲ改(飛行場姫様は短絡的で、欲張りで、感情的で、甘えん坊で、意地っ張りで……。

でも……裏表のない無邪気さと優しさがある……それに救われました……)

フラヲ改「はい」

鳳翔「そうですか。では……」ニッコリ


鳳翔は目に涙を浮かべ、立ち去ろうとした。


フラヲ改(鳳翔さん……あなたとは別の鳳翔さんに弓道を教えてもらいました。

あの時のあなたは、とても大きく、強く見えましたが……

今のあなたは、壊れそうなほど……小さく……か弱く……)


フラヲ改が鳳翔の手を取る。


フラヲ改(私は何を……?)

鳳翔「……」

フラヲ改(彼女が私に教え子の影を見たように、私も彼女に師匠の影を見たのかもしれません……。

艦娘を沈めてしまった私に、師匠に会う資格はありません……ですが……)


鳳翔を抱きしめるフラヲ改。
940 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/10(水) 00:19:06.54 ID:p+y2y/sBo

鳳翔「……」ビクッ

フラヲ改「ありがとう……」

鳳翔「……」

フラヲ改「こんなに想ってくれて……」

鳳翔「……」

フラヲ改「あなたの教え子は、きっとそう思っているでしょう……」

鳳翔「……」ポロポロ

フラヲ改「理由は言えませんが、二度とここに来てはいけません……」

鳳翔「……」ポロポロ

フラヲ改「私はあなたと会うに値しない人間です。もう私と会ってはいけません……」

鳳翔「……」ギュッ


永遠に感じられる、たった2、3分の抱擁。


フラヲ改「……もうすぐ休憩も終わります。戻らないと」

鳳翔「……お元気で……」

フラヲ改「……あなたもお元気で……失礼します」
941 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/10(水) 00:23:40.87 ID:p+y2y/sBo

休憩が終わり、宴会が始まった。

調理場は地獄のような忙しさ。


ヲ級 「下っ端! ボーキサイト30kg、倉庫から持って来イヤー!」

チ級 「ヨロコンデー!」

チ級(新入りから下っ端にクラスチェンジ……)


俺は台車を走らせる。


ル級「下っ端! C重油もってこイ! 下っ端ーーーーー!」

チ級「ヨロコンデー!」


俺はドラム缶を転がす。


リ級「下っ端サン! アイスが切れたのデス!」

チ級「ヨロコンデー!」


また俺は台車を走らせる。


リ級「間宮サン! 9mmパラベラム弾の唐揚げが仕上がったのデス!」


間宮がちらりと唐揚げを見た。


間宮「うん。いい色! 客席に出して!」ニッコリ

リ級「はいなのデス!」

チ級「戦艦テーブルに出す鋼材スティック仕上がりました!」


間宮がちらりと見ると……。


間宮「……」ゲシッ

チ級「痛てっ!」

間宮「別に作り直して! これは空母テーブルに出して!」

チ級「はい……」ヒリヒリ

間宮「これはHT鋼! 戦艦にはVC鋼って言ったでしょ!」

チ級「はい……」ヒリヒリ

チ級(鉄なんて、見た目じゃ分かんないっす……)

間宮「はいじゃなくて!!!」

チ級「イエス、マム!!!」


調理場に立つと、人が変わる間宮。
942 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/10(水) 00:26:56.20 ID:p+y2y/sBo

一方、旅客船姫は……。


旅客船姫「警護の皆さん、差し入れですよ〜」ニコニコ

防空棲鬼「アリガトウゴザイマス!」

フラツ「アリガトウゴザイマス!」

旅客船姫「どういたしまして」ニコニコ

旅客船姫(中枢棲姫様に近い人に好感を持ってもらって、損はありません。ウェヒヒヒヒ……)ニコニコ


黒い笑顔で、近衛部隊に食べ物を配っていた。

しばらくして、宴会も落ち着いてきた。

俺が皿とグラスを下げていると……。


集積地棲姫「ハァ〜、タダ飯ハ旨イネー。オ! サッキノ姉ーチャン」

チ級「どうしました?」

集積地棲姫「ココノ資材集積場、見セテヨ!」

チ級「イエス、マム!」


俺たちは大食堂を出て、資材置き場に向かう。


集積地棲姫「ホホー、ナカナカ良イ積ミ具合ジャン!」ニコニコ

チ級「いつもはこんなに資材は多くないんですけどね。中枢棲姫様が差し入れしてくれたんですよ」

集積地棲姫「ホーーン」

チ級「ところで集積地棲姫様、HT鋼とVC鋼って見分けつきますか?」

集積地棲姫「簡単ダヨ。触ッテ、柔ラカイノガHT鋼。硬イノガVC鋼」

チ級「へぇ……」

チ級(全然分かる気がしない……)

集積地棲姫「ナンダ? 信ジテナイノカ? 教エテヤルヨ!」


集積地棲姫が鋼材を手に取った。


集積地棲姫「コッチガ……」サスサス

集積地棲姫「HT鋼……」

集積地棲姫(コノ刻印ハ……)


急に黙り込む集積地棲姫。


チ級(あれ……?)


突然、集積地棲姫が鋼材を持ったまま、資材置き場を飛び出す。


チ級「集積地棲姫様!」
943 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/10(水) 00:29:53.16 ID:p+y2y/sBo

その頃、大食堂では……。


中枢棲姫「ウン、決メタゾ! 旅客船姫、マンマミーヤト一緒ニ、我ガ棲地ニコイ!」ニッコリ

旅客船姫「」

旅客船姫(前にもこんな展開があったような……)


大食堂に戻っていた旅客船姫が、中枢棲姫に絡まれていた。

スックと立ち上がる戦艦水鬼。


戦艦水鬼「中枢棲姫様、お止め下さい」

中枢棲姫「……」

戦艦水鬼「このレストランは深海棲艦の共有財産です。いくら中枢棲姫様でも一人占めは……」

戦艦水鬼(タ級とキャッキャウフフするこの場所は、絶対守らねば……)

戦艦棲姫「そーよ! いくら中枢ちゃんでも、ダメヨ!」

飛行場姫「ソウですワ!」

中枢棲姫「……私ハ欲シイ物ヲ、全テ手ニ入レテキタ! 防空棲鬼!」

防空棲鬼「ココニ……」スッ


ぞろぞろと近衛部隊が入ってきた。


中枢棲姫「深海棲艦ハ……」

戦艦水鬼「強い者が正義……」

中枢棲姫「私ヲ止メタカッタラ、チカラデ止メテミヨ!」カッ

戦艦水鬼「応!!!」クワッ

旅客船姫「ここで喧嘩はお止め下さい!」

中枢棲姫「……ム」
944 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/10(水) 00:31:54.98 ID:p+y2y/sBo

一瞬、落ち着きかけたその時……。


集積地棲姫「中枢棲姫サン! イヤ、中枢棲姫!!!」


ドスドスと集積地棲姫が入ってきた。


集積地棲姫「ココノ資材集積場ニ、アタシノ資材ガアッタゾ!!! ドーイウコトダ!!!」

中枢棲姫「……アア、オ前ノトコロカラ、チョット拝借シタ」

集積地棲姫「ナ、ナンダト!!!」

中枢棲姫「アンナニ溜メ込ンデ、使ワナイト、モッタイナイト思ッテナ」ニヤッ

集積地棲姫「シネ!!! オラァアアアアア!!!」ダッ


激怒した集積地棲姫が、中枢棲姫に殴りかかる。


防空棲鬼「姫様ヲ守レ!!!」

フラレ、フラツ「オーーー!!!」

戦艦水鬼「集積地棲姫様、助太刀いたします!!! レストランを中枢棲姫様に渡すな!!!」

戦艦棲姫、飛行場姫「オーーー!!!」

旅客船姫「ギャアアアアア!!!」


大乱闘が始まった。
945 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/10(水) 00:34:10.27 ID:p+y2y/sBo

旅客船姫(誰か……止められる人は……優しい港湾棲姫様なら……)キョロキョロ


港湾棲姫たちは大食堂のすみに避難し、我関せずで食事を続けている。


リ級「最後のアイス、もらってきたのデス! ほっぽちゃん、しんせいきちゃん、一緒に食べるのデス!」ニパッ

北方棲姫「アイス!」フンフン

潜水新棲姫「ウン……///」

港湾棲姫(三人とも……カワイイ……)ニコニコ

港湾水鬼(カワイイ……)ビキビキ

北方水姫(カワイイ……)ウットリ


三人がアイスを食べようとした時、飛んできた椅子が、全てのアイスを跳ね飛ばした。


リ級「なのデス……」シュン

北方棲姫「アイス……」シュン

潜水新棲姫「……」グスッ


港湾棲姫の目に炎がともる。


港湾棲姫「……」ビキビキビキビキッ

港湾水鬼「……」ビキビキビキビキッ

北方水姫「……」ビキビキビキビキッ


北方水姫がユラリと立ち上がり、乱闘の方に顔を向けた。


北方水姫「ゔぇろろろろごうろろろあ゙あ゙ッッ!!!」ドドドドドドドド


絶叫する北方水姫を先頭に、三人が乱闘に突撃。
946 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/10(水) 00:38:17.83 ID:p+y2y/sBo

空母棲姫「モット……モット……食イ物ヲ、ヨコセ!!!」ガルルル

欧州棲姫「ワタシノ大切ナ紅茶タイムガ……。マナーノナッテナイオ前ラニ、

ジョンブル魂ヲ注入シテヤル!!!」

装甲空母姫「生意気ナ中枢棲姫ニ、天誅ヲクレテヤルワ!!!」ビリビリ


全裸になった装甲空母姫を始め、姫、鬼が続々乱闘に参戦。

水母棲姫、離島棲姫たち冷静勢は、とっくに姿を消していた。


旅客船姫(……ふっ……)


全てを悟った旅客船姫は、穏やかな微笑を浮かべ、

給仕のネ級に向けて、手でバッテンを作った。


ネ級(ウム……)コクン


ネ級はちびっこたちを部屋から連れ出し避難させると、調理場に走る。


間宮(さっきからすごい音と振動が……)

ネ級「間宮さん、鳳翔さん、コチラニ。急いデ!」

間宮、鳳翔「はい!」

ネ級「チ級は、二人の荷物を部屋から持ってきてクレ」

チ級「イエス、マム!!!」
947 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/10(水) 00:41:09.52 ID:p+y2y/sBo

二人は裏手の桟橋に案内された。

同時に、俺も荷物を持って現れる。


ネ級「申し訳ナイが、お二人には帰っていたダク。『災害』が起きたのデナ……」

間宮「ティターニアさんは大丈夫ですか?」

ネ級「心配無用。ウチの姫様は、アレで意外としぶとくてのぅ」ニヤッ

間宮「そうですか……」

ネ級「間宮さん、これを姫様から預かっテル。受け取ってクレ」

間宮「これは……」

ネ級「包丁セット。デッドストックの未使用品だから、安心して使ってクレ、と言っておっタ」

間宮「ありがとうございます」

ネ級「ではボートを出すゾ」ドゥルルルルルン


ボートが沖合いに出たころ、島で大爆発が起きた。


間宮「」

鳳翔「」

ネ級「デカイ花火じゃの〜〜」カラカラ

間宮(笑ってる場合なのかな……)


結局、乱闘で大怪我をした者はいなかったが、チンジュフは木っ端微塵になった。

責任を感じた中枢棲姫はチンジュフ接収をあきらめ、工兵部隊を派遣し、再建したそうな。

その後、鎮守府に帰った間宮は……。


間宮(うふふ♪ この切れ味……たまりませんね♪)


洋食を作るとき、真新しい包丁を眺めながらウットリする姿が、たびたび目撃されたという。


- 第七.五話 完 -
948 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage]:2018/01/10(水) 00:42:46.29 ID:p+y2y/sBo
信頼と実績の爆発落ちでした。
なおこの話は、>>879さんのコメでピーンときて書きました。
>>918さんのアイデアも頂きました。
ありしゃす!

次の第八話で完結予定です。
ではまた。
949 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/10(水) 02:42:27.48 ID:DpBTCqp80
乙なのよ
やはりドタバタ深海はいいものだ
950 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/10(水) 10:24:35.98 ID:a6jUxQLN0
大乱闘 スマッシュ深海シスターズ
更新お疲れ様です
艦これSSは最近安価が多いので読むのが少ない中
安定して楽しめるので次回もお待ちしております
後、そろそろ次スレですか?
951 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage]:2018/01/11(木) 00:12:34.31 ID:7jIZ6oS1o
>>939
ちょっと何言ってるか分かんない感じだったので、再投稿です。


鳳翔がフラヲ改を見つめる。


鳳翔「……ヲリビアさん、私、もう行きますね……最後に……あなたは幸せですか?」


フラヲ改の頭に、飛行場姫の絵が浮かんだ。

浮かんでくるのは、飛行場姫の情けない姿ばかり。


フラヲ改(飛行場姫様は短絡的で、欲張りで、感情的で、甘えん坊で、意地っ張りで……。

でも……裏表のない無邪気さと優しさがある……それに救われました……)

フラヲ改「はい」

鳳翔「そうですか。では……」ニッコリ


鳳翔は目に涙を浮かべ、立ち去ろうとした。


フラヲ改(鳳翔さん……私は、あなたとは別の鳳翔さんに弓道を教えてもらいました。

あの時の鳳翔さんは、とても大きく、強く見えましたが……

今のあなたは、壊れそうなほど……小さく……か弱く……)


フラヲ改が鳳翔の手を取る。


フラヲ改(私は何を……?)

鳳翔「……」

フラヲ改(彼女が私に教え子の影を見たように、私も彼女に師匠の影を見たのかもしれません……。

艦娘を沈めてしまった私に、師匠やあなたと会う資格はありません……ですが……)


鳳翔を抱きしめるフラヲ改。
952 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/11(木) 03:46:04.01 ID:Wa/NZuBw0
話が進むにつれ飯テロが過激になっていく
更新乙
953 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/21(日) 08:17:06.05 ID:4wOO4BBSo

第七.七話 提督の決断


ここは都内の超高級ホテル。

豪華な内装の会議室に、提督、憲兵隊長と、もう一人の男。


提督「先生。本日はご足労いただき、まことにありがとうございます」


憲兵隊長はガッシリとした体格の背の高い青年。ハンサムで生真面目な顔。

男は壮年、中肉中背、髪はフサフサでオールバック、熟女受けしそうな整った顔立ち、身なりのよいスーツ。

襟には議員バッジが輝いていた。


政治家「かねがね君の噂は聞いている。新進気鋭の提督。出世街道を疾走しているとね」ニッコリ

提督「恐れ入ります」


謙遜の似合わない提督が、かしこまって言う。


政治家「君に謙遜は似合わない。愛する国のため、崇高な大義のため。

なにより、かけがえのない民衆のため、これからも期待しているよ」ニッコリ

提督「ご期待に沿えるよう、精進いたします」


政治家が手を組み、提督の目を見た。


政治家「それで……私に何の用だね?」

提督「先生に歴史に名を残して頂こうかと……」

政治家「ほう……」

提督「深海棲艦との戦争を終わらせる旗振りをお願いしたいのです」
954 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/21(日) 08:19:39.68 ID:4wOO4BBSo

微笑みを浮かべたまま、全く表情を変えない政治家。


政治家「……深海棲艦を殲滅する目処が立ったのかね?」

提督「殲滅ではなく、和平です」

政治家「……どうやって?」

提督「……まだ申し上げられません。ただ算段はあります」

政治家「……」


ねっとりと沈黙の時間が流れる。


政治家「……君が言うなら、何かしらアテがあるのだろう。私に何をしてほしいのかね?」

提督「和平会談の目処が立ったあかつきには、和平交渉と、内外の調整をお願いしたく」

政治家「……」

提督「国のため、大義のため、なにより愛すべき民衆のためです。

出来るのは先生しかいない、と小官は確信しております」


相変わらず表情を変えない政治家。


政治家「……残念だが、そこまでの力は私にはない」


政治家は陸軍閥のため、与党での地位が低い。

提督は陸軍の憲兵隊長のツテで、政治家に面会したのだった。


提督「国と民衆と平和を愛する先生の大義に共感するのは、私だけではありません。

先生に紹介したい者がいます。もうすぐこちらに着きます」
955 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/21(日) 08:24:00.11 ID:4wOO4BBSo

提督のスマホが鳴動する。


提督「到着しました」


ドアが開くと、壮年の大柄な男が入ってきた。

浅黒い肌、スキンヘッド、太いまゆ、ギラついた目。


商人「初めまして。商人です」

政治家「こちらこそ。君の名前は知っている」

商人「さすが政治家さんだ。ならば話は早い」ニヤリ


この商人、表向き大手総合商社のトップだが、裏世界では有名な武器商人。

代々兵隊の提督家は、武器を扱う商人一族と親交があった。


商人「単刀直入に言いましょう。私たちはこの戦争を終わらせたい。そのための援助は惜しまない」

政治家「……」

商人「世界の軍事産業は、いまや存亡の危機にある」

政治家「……」

商人「艦娘産業を牛耳るオベロン社が、独占的に儲けているためだ」


世界では、軍隊の通常装備は大幅に削減され、海軍の、それも艦娘関連の装備だけが増強されている。

その上、人類共通の敵である深海棲艦が登場した今、人類同士の内紛は影をひそめ、

武器の売り上げは激減していた。


政治家「ふむ……話を聞こうじゃないか」


具体的な援助の話が出ると、政治家のうすら寒い微笑みの仮面が、わずかにほころぶ。

しばらくして、会談が終わった。


政治家「提督君、興味深い話だった。悪いようにはしないよ」

提督「なにとぞ、よろしくお願いいたします」
956 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/21(日) 08:27:09.42 ID:4wOO4BBSo

提督と憲兵隊長は部屋を出て、ホテルの地下駐車場に向かう。

そこには提督の外車。

提督が運転席、憲兵隊長が助手席に乗ると、車が走り出した。


憲兵隊長「……先輩、あの政治家は信用出来ません」


憲兵隊長は提督の後輩で、以前は牛久騎士団の団員だったが、

陸軍に転籍し、現在は憲兵隊長になっている。


提督「まあな。口から生まれてきたような、まさに政治家だな」

憲兵隊長「ヤツは陸軍でも評判が悪いです。自分は安全地帯にいながら、

美辞麗句で人を死地に追いやるような外道です」

提督「仕方ないだろ。与野党含めて、陸軍閥で目ぼしい政治家はヤツしかいない」

憲兵隊長「……」

提督「それに、あの外道は『持っている』」

憲兵隊長「持っている?」

提督「マリアナ海溝攻略戦……閣僚の中で、ヤツだけが反対した」

憲兵隊長「……」

提督「ただの逆張りか、政治家の勘か、何か情報を掴んでいたのかは分からん。

ただ、もしあの作戦の大敗が公開されていたなら、一人反対したアイツは、

世論を味方につけて総理の座にいたかもな……」

憲兵隊長「……」

提督「実際は、与党内の方針に歯向かって反対したせいで、幹部から外され、

無役で冷や飯を食わされているがね」

憲兵隊長「……」

提督「スキャンダルはないし、無役の議員だが、なぜか常に野党、マスコミから猛烈なバッシングを受けている。

にもかかわらず、地元の地盤は盤石。謎の宗教団体の支援もあるし、子飼いのコワモテ市民団体もいる。

あきれるほどのしぶとさだ。このまま行くと、いずれ本当に総理の座に……」

憲兵隊長「ヤツが総理なんて、冗談でも止めて下さい」


憲兵隊長が吐き捨てた。
957 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/21(日) 08:30:16.12 ID:4wOO4BBSo

憲兵隊長「……先輩、深海棲艦との和平など、本当に見込みがあるのですか?」

提督「ああ」

憲兵隊長「向こうが和平するつもりでも、世界が許すとは到底思えません」

提督「……要はアメリガが許すかどうかだ。アメリカが許せば、世界の大半は従うだろうよ」

憲兵隊長「……」

提督「アメリカへの工作は商人がやる。既存の軍事産業と結びつきが強い和共党が乗ってくるはずだ。

主民党も乗るだろう。なんせ中国が和平を望んでいるからな。パンダ・ハガー共の面目躍如だ」

憲兵隊長「……」

提督「民衆の怨嗟は……あの政治家は生粋の大衆扇動家だ。演説一つで民衆をなだめるさ。

その点もヤツを頼った理由だ」

憲兵隊長「……」


険しい顔の憲兵隊長。


提督「そんなに不満気な顔をしなさんな。和平が実現すれば、陸軍の地位も回復する。

対ロシアの予算も復活、戦車も増えるぞ」

憲兵隊長「……ヤツが総理になるぐらいなら、戦車なんて要りません。

あのポピュリストの権化を野に放つのは危険です」

提督「お前さんの心配も分かる。会ってみて思ったが、アイツは底が知れん。

正直、不気味だ。だが……『正気にては大業はならず』と言うだろ。

俺は正気だから大業はならん。政治家のような『既知外』に任すしかない」

憲兵隊長「ですが……」

提督「……政治家が調子に乗るようなら、俺の斧のサビにする」

憲兵隊長「……」

提督「ヤツが仕事をした後でな」ニヤリ

憲兵隊長「……はぁ……」

憲兵隊長(この期に及んで、ぬけぬけと自分を正気と言う先輩も十分……)


提督が世界を動かそうとする理由は、戦艦水鬼と一緒になりたいため……

とは露ほども知らない憲兵隊長が、あきれ顔を見せた。
958 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/21(日) 08:31:49.07 ID:4wOO4BBSo

提督「ところで……奥さんは元気か?」

憲兵隊長「ええ。おかげさまで」


憲兵隊長は、とても若くて可愛い女の子を提督から紹介され、結婚した。

それ以来、提督に頭が上がらない。


提督「そいつはなによりだ」

憲兵隊長「……」

提督「今度遊びに行ってもいいか?」

憲兵隊長「お断りします」キッパリ

提督「」


車は二人を乗せたまま、夜の街に消えていった。


- 第七.七話 完 -
959 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage]:2018/01/21(日) 08:37:42.29 ID:4wOO4BBSo
七.五話の資料です。

アメリカ海軍の食事の参考サイト:

第2次世界大戦・カラー : アメリカ海軍の食事 : 1日当たり 4700 キロカロリー
http://www.dailymotion.com/video/x2a9r4v

Thanksgiving holiday dinner menu aboard USS Wake Island, 25 Nov 1943
https://ww2db.com/image.php?image_id=12234

USS Arizona Thanksgiving 1917 Menu
http://www.subasepearl.com/pages/USS_Arizona_Menu

開戦直前のアメリカの雰囲気の参考資料:

空母ガムビアベイ (学研M文庫)
エドウィン・P. ホイト

情報まで……。
960 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/21(日) 10:05:29.42 ID:ZeRjGEpl0
更新乙様です
軍の食事はカロリーがすごいなぁ
陸上自衛隊で1日1万カロリーだったか?でも運動量が激しいからそれでも全然足りないとも
次回もお待ちしています
961 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/22(月) 02:21:20.91 ID:bfDD7pNk0
深海棲艦もよく食べるがやはり艦娘も摂取カロリー多いのだろうか
更新乙よ
962 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/29(月) 04:17:47.96 ID:Ap+ND2CMo

第七.七話 おまけ 持っている女


提督がホテルにいる頃、XXXX鎮守府の鳥海の部屋で、

仕事を終えた日向と鳥海が酒を飲んでいた。


日向「……ストロングゼロ……安く酔えるのはありがたい」

鳥海「……いつもの焼酎より女子力が高いです。フルーツで割っているところが」

日向(……女子力……とは少し違うと思うが、まあ……いい……)


日向が缶を傾けるが……。


日向「無くなった……次はドライにするか」

鳥海「はい、ドライ。ところで司令官さん、今日は珍しく外出してましたね」

日向「東京で偉い人に会ってくる、と言ってたな」プシッ

鳥海「そうですね」


鳥海がちびっと酒を飲む。


日向「偉い人に会う……か。まあ……悪巧みをしているとしか思えないな」グビッ

鳥海「……司令官さんは不思議な方です」

日向「……」

鳥海「海軍の幹部は、いかにも軍人という方が多いですが、司令官さんは、なんというか……」

日向「……」

鳥海「つかみどころがありません」

日向「……」

鳥海「軍人らしく仕事をキッチリするかと思えば、私生活は女をとっかえひっかえで、だらしない。

鎮守府の経理には目を光らせるくせに、自分の財政は完全に破綻。

部下と女の人生の世話はよくしますが、自分の人生の世話は出来ない……」

日向「提督の下がイヤなのか?」

鳥海「いえ。矛盾だらけの司令官さんが不思議なだけです」
963 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/29(月) 04:20:19.00 ID:Ap+ND2CMo

そう言うと鳥海はレジ袋を漁り、別の缶を取り出した。


鳥海「次は林檎ダブル……」


顔から胸元にかけてほんのり赤くなった鳥海が缶を開ける。


鳥海「……日向さんは司令官さんのこと、どう思います?」

日向「まあ……変わった人だな。この鎮守府に誘われた時、そう思った」

鳥海「……」

日向「その時のこと、まだ話していなかったな」


マリアナ海溝攻略戦の後、私が所属していたYYYY鎮守府は解散した。

主力の艦娘の大半を失い、かつ、提督が廃人になったためだ。


日向「姉の伊勢と提督は恋仲だった。伊勢を失った提督は、心が壊れ引退……」

鳥海「……」

日向「後に自ら伊勢の後を追った」

鳥海「……」


私は他の鎮守府に配属されたが、姉と提督を失ったため何もやる気が起きず、

命令拒否や無気力な態度を取り続けた。


日向「まさに問題児だった。過去の実績から解体はされなかったが」

鳥海「……」


多くの鎮守府をたらい回しになった私は、とうとう雑用係に。


日向「食堂で間宮、伊良子の手伝いをしたり、明石の店で店番をしたり……」

鳥海「……」


だが、艦娘、それも戦艦の維持費は高い。

戦力にならない艦娘の存在は、鎮守府にとって無意味どころが有害ですらあった。


日向「進退窮まった私は、すぐに移籍に出された。が、もう私を拾う鎮守府はなかった」

鳥海「……」


受け入れる鎮守府が無ければ、解体しか道はない。


日向「その時に手をあげたのが、あの提督だ」

鳥海「……」
964 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/29(月) 04:22:32.23 ID:Ap+ND2CMo

移籍に際して、私は彼と面談をした。

広い会議室に、私と提督だけ。


提督「まずお詫びをしたい」

日向「あなたに謝罪されるいわれはないが?」

提督「『あの戦い』で出会ってから、ずっとお前さんを口説こうと思ってた。

だが、ずいぶん時間がかかってしまった。美人を待たせるのは、主義じゃない」ニヤッ


いきなり、なんと馬鹿なことを言う男だ。


日向(思い出した。あの時の陸戦隊長か)

日向「あの時はお互い苦労した……。そのよしみから言うが、私は使い物にならない。

まあ……受け入れはやめた方がいいな」

提督「経歴は調べさせてもらった。その上でうちの鎮守府に来て欲しい」

日向「もう一度言うが、止めておけ。私は戦力にならん」

提督「かまわんさ。俺が期待しているのは、戦力としてじゃない」


私は少しだけ混乱した。


日向「では何を?」

提督「お前さんは『持っている』」

日向「持っている?」

提督「前線泊地強襲、南方海域強襲偵察、アイアンボトム攻略、鉄底海峡最深部突入、そして『あの戦い』……。

どれも激戦地の真っ只中に身を置きながら、お前さんは生還してきた」

日向「運が良かっただけだ」


提督がニヤリと笑う。


提督「その運が欲しい」

日向「運なんてアテにならない。私より有能な艦娘はごまんといる。そちらを当たれ」

提督「そう言うな。さっき言った戦いには、俺も参加していた」

日向「……」
965 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/29(月) 04:26:55.95 ID:Ap+ND2CMo

陸戦隊員も艦娘の補助で戦いに参加している。

陣地構築、拠点占拠、艦娘のエスコート、救出、撤退支援。

女性隊員は艦娘の格好をして、囮となることも。


提督「主役の艦娘達を舞台に届けるため、ちっとばかし骨を折ったがね」


深海棲艦を沈められるのは艦娘だけ。

その艦娘をサポートする陸戦隊員の損耗率は、ずば抜けて高い。

陸戦隊員を含め、海兵は文字通り艦娘の盾となっていたためだ。

艦娘の命と人間の兵士の命、どちらを優先すべきか、で、冷酷な海軍がそろばんを弾いた結果だった。


提督「俺の友人の陸戦隊長が、お前さんのことを褒めていたぞ。泥臭いが、手堅く、粘り強く戦う、とな」

日向「……」

提督「覚えていないか? オッド・アイの皮肉屋で、まあまあな顔の隊長。鉄底海峡で一緒だったはずだ」

日向「……」

提督「その友人は『あの戦い』でおっ死んじまったわけだが。

能力は申し分無かった。俺ほどじゃないがね。斧や射撃の腕、女の数も、俺とはりあうぐらい。

乗船した深海潜航艇の艦長は、数少ない本職のベテラン潜水艦乗りだった。奴さんは、そこまで手をまわした。

が、それでも生き残れなかった」

日向「……」

提督「話がずれたが、何が言いたいかというと、戦場で生き残れるかどうかは能力じゃない。運だ」

日向「……」

提督「俺は有能で、運もそれなりに良いと思ってる、が……まだ足りない。

でだ、俺はお前さんの運にあやかろうと思ってる」ニヤリ


正直、こんなことを言う提督は真正の馬鹿だと思った。


提督「だから戦わなくてもいい。俺のそばにいて、茶でもいれながら、俺の運を押し上げてくれればな」

日向「……運ならば、私ではなく雪風にしたらどうだ?」

提督「駆逐艦だから駄目だ」キッパリ

日向(……駆逐艦だと、なぜ駄目なんだろうか……だが突っ込んだら負けな気がする……)
966 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/29(月) 04:30:47.08 ID:Ap+ND2CMo

この提督はイカレてる。が、面白い。

そう思った私は彼に質問をした。


日向「そちらは受け入れる気でいるようだが、私にも選ぶ権利がある。

まあ……移籍を受け入れるか、解体されるかの選択だが」

提督「……」

日向「くだらない提督の下につくくらいなら、解体されたほうがマシだ」

提督「……」

日向「聞きたいことがある」

提督「なんだ?」

日向「あなたが戦う理由だ」

日向(私は姉と提督を失ってから、何のために戦っているか分からなくなった……)


提督がさらりと言う。


提督「好きでやっている」

日向「……」

日向(よどみなく言い切った……まったく共感は出来んが……迷いがないのはいい)


他の提督に聞いた時は、いわく平和のため、国のため、人のため、正義のため……。

共感は出来たが、なぜか心は動かなかった。


提督「『伊達と酔狂』とも言える」

日向「恰好つけすぎ。最初のほうが端的でいい」

提督「俺は気に入ってるんだがな……。それはそうと、お前さんに戦いは求めてない。

戦えなくても気にするな」

日向「……」

提督「だが、悩んでいるようだから言っておく。

せっかく艦娘に生まれたんだ。戦わないと、もったいないぞ」ニヤッ

日向(もったいない、と来たか……。私では持ちえない発想だ。

この提督なら、違う世界を見せてくれるかもしれない……)
967 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/29(月) 04:33:32.77 ID:Ap+ND2CMo

私は彼に言った。


日向「まあ……0点だな。その解答は。軍人として。だが面白い。

役に立つか保障出来ないが、私で良ければ使ってくれ」

提督「歓迎する」


提督が私の手を握る。


提督「早速だが頼みがある」

日向「なんでしょうか」

提督「俺と付き合ってくれ」

日向「遠慮いたします。心に決めた人がいますので」キッパリ

提督「」


私はYYYY鎮守府の提督を慕っていた。

既に相手はこの世におらず、いたとしても姉の恋人。


日向(姉の恋人に横恋慕か……私も大概だな……)


残念そうな提督。


提督「評判のスペイン料理屋を予約していたんだが……」

日向「料理は頂きます」

提督「がめついな……いいだろう。日向の働きの先払いだ。後で俺の運気を、しっかり上げてくれ」

日向「言ったはずですが。保障は出来ませんと」ニヤ


その後、楽しそうに仕事をしている提督を見て、悩んでいるのが馬鹿らしくなった私は、

徐々に戦いに復帰していった。
968 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/29(月) 04:35:12.44 ID:Ap+ND2CMo

日向「……と、まあ、こんな次第だ」

鳥海「さもありなん……という話ですね」


またレジ袋を漁る鳥海。


鳥海「次は何にします?」

日向「……桃ダブル」

鳥海「はい。私はビターオレンジ」


日向が、ふと鳥海の胸元を見る。


日向(ピンク色に染まった胸元……桃ダブルだな……)

鳥海「持っている、と言えば、私も司令官さんに言われました」

日向「ほう」

鳥海「冷静さを持っていると。司令官さんは熱くなりやすいから、冷静な意見が欲しいそうです」

日向「口説かれなかったのか?」

鳥海「口説かれましたが、断りました。年上は好みではないので」

日向「フフッ」ニヤッ


くぴりと酒を飲む鳥海。


鳥海「『あの戦い』の後、私の鎮守府も再編のため、解体されました。

その時、いくつかの鎮守府から誘いがあったのですが、ここに決めました」

日向「理由を聞かせてくれないか」

鳥海「新規の鎮守府で規模が小さいため、大規模な鎮守府より活躍のチャンスがあること。

体育会系の司令官さんなので、私を頼ってくれそうだったこと」

日向「計算通りになったな」

鳥海「ええ」
969 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/29(月) 04:38:52.08 ID:Ap+ND2CMo

日向がグイッと酒を飲む。


日向「鳥海といい、参謀といい、気に入ったら見境なく口説く。提督は人たらしだな」

鳥海「男女かまわず……ですね」

日向「その言い方は……意味深だな」

日向(もし……YYYY鎮守府の提督よりも先に出会っていたら……私は……)

日向「あれでなかなか魅力的な男だ。もっと早く提督と出会っていたら、惚れていたかもな」


鳥海が珍しく大きい声で言った。


鳥海「わかります」

日向「……」

鳥海「司令官さんが、あと20歳……いえ、あと15歳若ければ……」

日向(なるほど……そういう意味か)ニヤッ


日向が缶を振った後、テーブルに置く。


日向「まあ……次はまるごとアセロラだな」ゴソゴソ

鳥海「私の計算では……まだ一本残っています」眼鏡クイッ


二人は夜更けまで酒を飲んだそうな。


- 第七.七話 おまけ 完 -
970 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/29(月) 17:54:29.69 ID:sgaAqWnd0
更新お疲れ様です
ストロングゼロって結構アルコールきつかった気が……
いつも更新の度に楽しく読んでおります
続き、お待ちしてます(そろそろ次スレの気配)
971 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage]:2018/03/04(日) 01:56:55.90 ID:z+KuGFDt0
>>970
次スレを立てるまで、小ネタを
半ばボツだったんですが、埋めネタにしやす
972 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/03/04(日) 01:58:21.13 ID:z+KuGFDt0

幕間劇

第七.八話 長門ブートキャンプ


夜、横須賀の道を一台のセンチュリーが走っている。

乗っているのは、BBBB鎮守府の提督と運転手。

車が路地に入ると、急に止まった。


B提督「どうした?」

運転手「それが……」


濃緑色のハイエースが道をふさいでいる。

クラクションを鳴らしても、微動だにしない。


B提督「道を戻れ」


車がバックしようとすると……。


ガンッ


B提督「!?」


別のハイエースが後ろから追突してきた。


B提督「なんだ!」


ハイエースから完全武装の兵士がゾロゾロ降りてくる。

ヘルメット、フェイスガード、ボディアーマー、コンバットブーツ。

色は黒で統一されている。


運転手「ひ、ひいい!」


B提督がスマホで通報しようとすると、

兵士の一人がパンチ一発で窓ガラスをブチ破った。


B提督(防弾ガラスが!?)

兵士「……」プシュー

B提督(ガス! 催眠ガス……か……)ガクッ
973 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/03/04(日) 01:59:48.63 ID:z+KuGFDt0

意識を取り戻したB提督。


B提督(真っ暗だ……。夜か……いや、頭に袋を被せられている……。

椅子に座っているが……手足を縛られて身動きが取れん……)

特警隊長「ここはどこだ!?」

B提督「! 特警隊長もいるのか?」

特警隊長「B提督も?!」

主計官「B提督! 特警隊長!」

特警隊長「主計官!」


そこに……。


ザ・セブン「お目覚めのようだな」

B提督「誰だお前は!」

ザ・セブン「ウジ虫に名乗る名前はない」

特警隊長「こんなことをすれば、ただではすまんぞ!」

ザ・セブン「こんなのが隊長とは、海軍特別警察隊も程度が落ちたようだ」

主計官「鎮守府の提督がいなくなれば大事だ! すぐに警察が探し出す!」

ザ・セブン「はたしてそうかな?」ニヤッ


ザ・セブンがクククと笑う。


ザ・セブン「お前らが艦娘と部下にやったことを、よく思い出せ。

すぐに捜索願いを出すと思うか?」

B提督「!」

ザ・セブン「しばらくしてから言い訳程度に出して、結局行方不明で〆だ。

海軍が面倒ごとが嫌いなのは、お前らよく知っているだろう?」
974 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/03/04(日) 02:03:44.80 ID:z+KuGFDt0

意気消沈するB提督たち。


B提督「……俺たちをどうするつもりだ……」

ザ・セブン「艦娘を虐待したお前らは、万死に値する。

が……天にまします駆逐艦の慈悲は海よりも深い……。

一度だけチャンスをやろう」ニヤリ

特警隊長「チャンス?」

ザ・セブン「心を入れ替えて、駆逐艦と幼女を愛する一人前の軍人になれば、解放してやる」

主計官「心を入れ替えて……?」

ザ・セブン「そうだ。ここ『長門ブートキャンプ』で、お前たちは生まれ変わる」

B提督「」

特警隊長「」

主計官「」

ザ・セブン「我等の熱血指導でぇ! お前たちそびえたつクソどもを! 駆逐艦に祈りを捧げる司祭にしてやる!」クワッ

B提督「」

特警隊長「」

主計官「」

ザ・セブン「なお、ここは深海棲艦の支配海域ど真ん中にある絶海孤島だ。

生きて脱出は不可能。よく覚えておけ」

B提督「」

特警隊長「」

主計官「」


ここ『長門ブートキャンプ』のある島は、確かに深海棲艦の支配海域にあるのだが、

近くに資源、主要航路、重要棲地があるわけでもなく、

その上、頭のおかしい凶暴な艦娘が多数いるということで、

深海棲艦にとって禁忌の地となっていた。


- 続く -
975 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/04(日) 12:51:42.12 ID:EEweVtUE0
おつ

何じゃこりゃwwwwwwww
976 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/04(日) 13:19:18.41 ID:bRDID6rA0
更新乙様です
ビリーより怖いww
でも、駆逐艦と幼女を愛するようになったら別の方向で特警のお世話になりそうだww
977 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/05(月) 02:45:56.76 ID:aPVqPvob0
つまりこのキャンプ地を増やしていけば海を取り戻せる…?
978 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/03/11(日) 01:51:56.45 ID:sdvYOSQ70

※下品な表現あり。食事中の方は読まないで下さい。


三人は小汚い部屋に押し込められた。

服装は芋ジャージ。

翌日早朝、ラッパの音で叩き起こされる。

いきなり部屋の扉が開いた。


教官・長門(以下、教官)「起きろ! マスかきやめ! パンツ上げ!」

B提督「……」

教官「返事をしろ! 大声出せ! 玉落としたか!?」

主計官「はい!」

教官「はいじゃない! 口からクソを垂れた後に、駆逐艦万歳を付けろ!

分かったかフナムシども!」

B提督、特警隊長、主計官「はい! 駆逐艦万歳!」


三人は部屋から出され、トイレの前に並ばされた。


教官「私が教官の長門だ!

娑婆の階級なんぞ、ここでは何の価値もない!

貴様らは生きる価値も無いチ■カスだ! お■■■豚だ!

PT子鬼群、ツ級以下のファッキン・クズだ!」

三人「」

教官「ふざけるな! 返事しろ! タマ切り取って家系を絶つぞ!」

三人「はい! 駆逐艦万歳!」
979 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/03/11(日) 01:54:58.01 ID:sdvYOSQ70

教官「……お前ら、自分が無価値で無意味で無能だと自覚が足りないようだな。

おい! そこの背が高いの!」

特警隊長「はい! 駆逐艦万歳!」

教官「まるでそびえ立つクソだ! おいクソ!

犬みたいにヨツンヴァイになって、私のまたをくぐれ!」

特警隊長「」


特警隊長がためらうと……。


教官「ためらうな! 腐れマラ!」ベシッ

特警隊長「あべしっ!!!」ドギャッ


教官のかち上げビンタをくらい、空中きりもみ三回転して頭から落ちる。


教官「次はお前だ。デブ! デブ二等兵!」

主計官「はい! 駆逐艦万歳!」


慌てて四つんばいになり、またをくぐろうとするが……。


教官「こびるな!」ドスッ

主計官「ひでぶっ!!!」ベシャッ


教官が艤装を展開し、総重量■■■kgで主計官の背中に腰を落とした。


教官「次!」

B提督「はい! 駆逐艦万歳!」


流れるような自然なムーブで四つんばいになり、またをくぐる。


教官「……」


またをくぐりきり、B提督がふりむくと……。


教官「うまくやろうとするな!」ゲシッ

B提督「うわらばっ!」


B提督の顔に、教官のケンカ・キックが炸裂した。
980 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/03/11(日) 01:57:12.90 ID:sdvYOSQ70

教官「貴様らには俗世の我執がこびりついている!

今までの人生が完全に無意味だと理解するまで、

お前らの人格が使用後のコン■ーム以下の価値だと理解するまで、

ケツ穴からラムネが飲めるようになるくらいシゴいてやる!!!」


教官が三人のわき腹を蹴り上げ、むりやり起こす。


教官「朝飯の前にトイレ掃除だ! ピッカピカに磨き上げろ!

大天使文月様でもウ■コしたくなるほどにな!!!」

三人「はい! 駆逐艦万歳!」


必死に掃除する三人。


B提督「教官! 掃除完了しました! 駆逐艦万歳!」

教官「ピッカピカか?!」

B提督「はい! 駆逐艦万歳!」

教官「初雪が布団から出てきてウ■コするぐらいか?!」

特警隊長「はい! 駆逐艦万歳!」

教官「じゃあ、舐めてみろ!!!」


お約束の展開に悶絶する三人であった。


- 続く -
981 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/11(日) 09:01:01.58 ID:ff1kqFYv0
更新乙です
これ、M体質の人だったら御褒美……
いや、深くは考えないようにしよう
982 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage]:2018/04/08(日) 22:49:30.83 ID:QsAg7T2d0
保守
なお、ザ・セブンですが、長門にバラライカ姉さんと枢斬暗屯子で近代化改修した感じのイメージです……
983 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/09(月) 15:15:27.47 ID:sSzViX5S0
続き待ってます
顔がどっちベースで近代化改修されているのかが問題だ
口ひげ生えてたり「ぶち犯す!」が口癖とか絶対笑うわww
984 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/05/02(水) 02:10:44.68 ID:y5enYbEh0

食堂に入る三人。


B提督「おい、俺たちだけじゃないぞ……」ヒソヒソ


三人はコソリとあたりを見回す。


特警隊長「あれは……暗愚提督……戦死したはずでは……」ヒソヒソ

主計官「行方不明の横領提督もいますぞ……」ヒソヒソ


突然ドアが開いた。

そこには目の焦点が定まっていない裸のマッチョ。


暴力提督「く! く! くち! くちくちくちくちくちくちくかん!

くちくかん、どこ! どこ、くちくかん!!!」

三人「」

教官「安心しろ。ここにいるぞ」


教官がゲーセンの景品っぽい駆逐艦のぬいぐるみを渡す。


暴力提督「くちくかぁん!!! ていとく、バンザイしちゃうぅっ!

バンザイっばんじゃいっばんじゃい゛っ! ぱゃんに゛ゃんじゃんじゃいぃぃっ!」

三人「」

教官「はっはっはっ! ほほえましいなぁ」パァアア

三人「」

教官「ん? おい、お前ら」

三人「はい! 駆逐艦万歳!」

教官「心配はいらんぞ。彼はただ駆逐艦愛が、ほんの少しだけ深まり過ぎただけだ」

三人「はい! 駆逐艦万歳!」

三人(やべぇよ……やべぇよ……)

教官「早く彼に追いつけるよう励めよ」

三人「はい! 駆逐艦万歳!」カタカタカタ


震える三人。
985 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/05/02(水) 02:12:43.40 ID:y5enYbEh0

教官「ふん。死にそうなツラをしているが、お前らは、まだマシな部類だと知れ。

ココでチャンスを与えられているからな。

本当にやってはいけない一線を越えたクズどもが、どこに連れていかれて、どうなるか……」

三人「……」ゴクリ

教官「……飯が不味くなるから、この話は終わりだ」

三人「はい! 駆逐艦万歳!」カタカタカタ


食堂の全員がテーブルについた。


教官「天にましますわれらの駆逐艦よ。

わたしたちの日ごとの糧を、今日もお与えくださったことを感謝いたします。

糧の命を奪った、わたしたちの罪をお許し下さい。

あなたを害する者を■■■し■■■た、わたしたちの罪をお許し下さい。

駆逐艦万歳!!!」

全員「駆逐艦万歳!!!」


三人はそれから、

・一日五回の礼拝(文月、五月雨像への五体投地)

・全駆逐艦の名前の写経

・駆逐艦への慰問袋の作成

・駆逐艦の肉盾になる軍事訓練

・研修:教官が語る駆逐艦、幼女への愛(三時間正座で傾聴)

・研修:自己批判「私の無価値な人生、人格の総括」(教官三人からの苛烈な突っ込み有)

を、行う毎日。
986 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/05/02(水) 02:16:42.70 ID:y5enYbEh0

そんなある日のこと。


教官「喜べウミケムシども! 絶好のヨット日和だ! 特別訓練を行うぞ!」


外は暴風雨、海はおおしけ、波高し。

教官は三人を小さなヨットに乗せ、海に出た。


B提督(こんな天候でライフジャケット無しとか……この人頭おかしい……)


逆巻く波で激しく上下するヨット。

沖合いに着くと、教官が三人をむんずと掴み、海に放り投げた。


教官「突撃ーーーーー!!!」ポーーイ

三人「うわぁああああ!!!」ドボーン


三人は激しい波に飲まれ、おぼれそうになる。


B提督(溺れる! 溺れる! 波が! 水が! 息が! 死ぬ死ぬ死ぬ!!!)


死にものぐるいでヨットまで泳ぐ三人。

なんとかたどり着いて、ヨットのへりに手をかける。

教官が特警隊長の手を掴んで、半身だけ引きずり上げた。


教官「助かりたかったら、質問に答えろ」

特警隊長「ごぼっ……はい! 駆逐艦万歳!」

教官「お前の母親と駆逐艦が悪党につかまり一人しか助けられない。@母親A駆逐艦どちらを助ける?」

特警隊長「く、駆逐艦です! 駆逐艦万歳!」


教官が怒りの形相を見せた。


教官「この親不孝者が!!!」ポーーーイ

特警隊長「うぅうううぅあああああ!!!」ドボーン


一回目より遠くに投げ捨てた。
987 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/05/02(水) 02:18:53.73 ID:y5enYbEh0

教官「次!」ギロリ

主計官「はい! 駆逐艦万歳!」

教官「どっちだ!」

主計官「母親です! 駆逐艦万歳!」


教官が大激怒。


教官「このうつけが!!!」ポーーーイ

主計官「うぅうううぅあああああ!!!」ドボーン

教官「次!」ギロリ

B提督(はっ……そうだ、俺はこの質問の答えを知っている……)

教官「どっちだ!」

B提督「……」

B提督(答えは『沈黙』……)


教官が怒髪天。


教官「早く答えろ!!!」ポーーーイ

B提督「うぅうううぅあああああ!!!」ドボーン

B提督(どう答えてもダメじゃねえか!!!)


こんな問答が日が暮れるまで続いたそうな。

- 続く -
988 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage]:2018/05/02(水) 02:21:15.73 ID:y5enYbEh0
「長門会は女の子だけしか守らないのか?」と思われてるかもしれませんが、
ショタは別の組織が守ってます。それは、あた……おや、誰か来たようだ。
989 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/02(水) 19:35:57.07 ID:FQhCNDum0
更新お疲れ様です
どれを答えても海に落されるとは、理不尽だww
990 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage saga]:2018/05/04(金) 16:08:28.77 ID:5ID5MCES0
ハートマン軍曹を演じたロナルド・リー・アーメイ氏が死去されました。
ご冥福をお祈りいたします。

次スレはこれ。

【艦これ】俺氏、チ級になる その2
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1525417481/

続き行きます。
991 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage saga]:2018/05/04(金) 16:10:27.07 ID:5ID5MCES0

その後、ある日のこと。


教官「今日は特別演習だ」

三人「はい! 駆逐艦万歳!」


和風の一室に通される三人。

正座する三人の前に、教官が一人。

白手袋の教官が荷物を取り出し、厳重な包装を解くと、ジップロックの中に服が一着。


教官「これは駆逐艦の制服だ。誰のものか当ててみろ」


子供サイズの黒い制服をすっと差し出した。


B提督(……睦月型の制服か……? 全く分からねぇ……)


特警隊長「はい! 駆逐艦万歳!」

教官「言ってみろ」

特警隊長「初霜です! 駆逐艦万歳!」


無言でアイアンクローをする教官。


特警隊長「あぃいぃいいいい!!!」メキメキメキメキ

教官「次!」

主計官「若葉! 駆逐……」


教官、怒りのアルゼンチン・バックブリーカー。


主計官「あがががががぁががあああああ!!!」ボキボキボキボキ

教官「このたわけっ! 鎮守府で何を見てきた!!! 次!」

B提督(……くそっ……睦月型の誰だ……)

B提督「……文月です。駆逐艦万歳!」


ニヤリと笑う教官。


B提督(……当たったか……?)

教官「睦月型まで分かって、なぜもう一歩踏み出せん!!!」クワッ


教官、激怒のヘッドロック。


B提督「〜〜っ! 〜〜〜〜っ!!!」ギリギリギリギリ
992 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage saga]:2018/05/04(金) 16:12:08.92 ID:5ID5MCES0

また別の日のこと。


教官「今日は特別に慰労をしてやろう」

三人「ありがとうございます! 駆逐艦万歳!」

B提督(嫌な予感しかしねぇ……)


教官から明石特製ドリンクを振舞われる三人。


B提督(ボンヤリ……フワフワ……気持ちよくなってきた……)


うつろな三人が映写室に通される。

座席に座るやいなや、ヘッドフォンを付けられ、頭を器具で固定された。


教官「これはルドヴィコ療法といってな……」

主計官「うっう〜〜」ヨダレダラー

教官「……言っても理解できないか」


まぶたを開けっ放しにする器具も付けられ、眼が乾燥しないよう教官が目薬を垂らす。

部屋の照明が落ち、駆逐艦のプロモーションビデオが流れ始めた。


特警隊長「あ……駆逐艦……駆逐艦万歳……」


一秒間に一フレーム「駆逐艦万歳」と表示される。

左右のヘッドフォンからは、駆逐艦のねっとり催眠ボイス。


『こっち見んな!このクソ提督!』『もーっと私に頼っていいのよ』

『何度言わせんのよ、このクズ!』『Jervisが色々Serviceしてあげる』

『なっ、何よ。私に恩を着せたつもり?!』『おそばに置いてくださいね』

『悪くはないわ。貰ってあげる』『早く捕まえてぇ〜』

『見ています……いつでも……いつまでも……』『うちに任しとき!』

『家庭菜園野菜カレー、良かったでしょー』『提督、甘えてくれても、いいんですよ?』


三人「あっ……あっ……くちくかん……あっ……」ヨダレダラー

教官(いい顔してやがる)ニヤリ
993 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage saga]:2018/05/04(金) 16:20:28.80 ID:5ID5MCES0

また別の日は……。


教官「貴様ら無能なオニイソメどもは、何も考えずに駆逐艦の盾となれ!

そのためには、一も二もなく体力だ! そら走れ!」


教官が訓練歌を歌いながら、三人も含めて全員がランニング。


[長門会 訓練歌]

提督 不知火 ベッドイン

提督転がり こう言った

「しようよ」 「演習ですね」

落ち度なし! 不知火になし!

俺になし! うん なし!


日の出と共に 起き出して

文月 五月雨 拝みだす

ぽいぽいぽいぽい ぽいぽいぽーい

たべりゅは罠だ 気をつけろ〜

龍驤も罠! ゆーも罠!

でちも罠! ルイージはあり!


人から聞いた話では

吹雪のパンツは芋パンツ

うん よし! 感じよし!

具合よし! すべてよし!

味よし! すげえよし!

おまえによし! 俺によし!


戦艦 空母 もういらない

俺の秘書艦 駆逐艦

もし戦場で倒れたら

棺(ひつぎ)に入って帰還する

胸に勲章 飾り付け

霞ママに伝えてよ

俺の見事な散り様を!


駆逐艦 幼女を愛してる

俺が誰だか教えてよ

コスプレ集団 長門会!

俺の愛する長門会!

俺の会! 貴様の会!

我らの会! 長門会!

参考:【台詞・言葉】訓練歌(Running Cadence)
http://kubrick.blog.jp/archives/50527332.html
994 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage saga]:2018/05/04(金) 16:26:04.95 ID:5ID5MCES0

数週間後、三人が会議室に呼び出されると、ザ・セブンがいた。


ザ・セブン「今日はな、私が講師だ。特別カウンセリングを行う」


教官が明石特製ドリンクを三人に渡すが……。


B提督「飲まねえぞ! そいつを飲むと、記憶があいまいになる! それで俺たちを洗脳するつもりだろ!」

ザ・セブン「違う。人間にとって大切なことを思い出させるだけだ」

B提督「大切なことだと?」

ザ・セブン「本来、お前らが持っている『心』だ」

B提督「うるせえ……フガッ!」ギュツ


教官が手慣れた感じでB提督の鼻を掴む。

息が出来ないB提督が口を開けると、即座にドリンクが流し込まれた。


B提督「んぐ……んぐ……プハッ。畜生……」ドサッ

ザ・セブン(このドリンクに人格を変える力はない。ただ……心のガードを開くだけ……)


観念してドリンクを飲む残りの二人。


ザ・セブン「B提督から行くぞ」


ザ・セブンはB提督を抱き上げると、薄暗い個室に入った。

個室の椅子にB提督を座らせると、自分も対面に座る。


ザ・セブン(B提督も、ある時までは艦娘を尊重する人間だった。

ただ……艦娘にケッコンカッコカリを申し込み、こっぴどく振られてからおかしくなった……。

大井が相手ではな……相手が悪かったとしか言いようがない……。

大井も嫌いではなかったようだが、嬉しさと恥ずかしさの余りに逆噴射したとか……。

わずかなボタンの掛け違いが生んだ悲劇……ここで終わりにしよう)


ザ・セブンが目を閉じているB提督に優しく話しかけた。


ザ・セブン「B提督……聞こえるか……」

B提督「あ……う……」

ザ・セブン「お前は今、何歳だ?」

B提督「……XX歳……」

ザ・セブン「VV歳まで戻ろう……」

B提督「……VV歳……」

ザ・セブン「何が見える……」

B提督「……士官学校……」

ザ・セブン「艦娘について、どう思う……」

B提督「……シネばいい……クソッタレ……」

ザ・セブン(根が深いな……)
995 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage saga]:2018/05/04(金) 16:29:30.88 ID:5ID5MCES0

ザ・セブンが一息つく。


ザ・セブン「UU歳まで戻ろう……」

B提督「……UU歳……」

ザ・セブン「何が見える……」

B提督「……高校……」

ザ・セブン「艦娘について、どう思う……」

B提督「……大嫌いだ……」

ザ・セブン「……ふぅ……TT歳だ……」

B提督「……」

ザ・セブン「何が見える……」

B提督「……小学校……」

ザ・セブン「艦娘について、どう思う……」

B提督「……よく分かんない……」


大きく息を吸うザ・セブン。


ザ・セブン「もし女の子や艦娘がいじめられていたら、どう思う……」

B提督「……許せない……」

ザ・セブン「そうだな……」

B提督「……僕、助ける……」

ザ・セブン「……うん。えらいぞ。私と約束出来るか……?」

B提督「……約束する。女の子、艦娘を守るよ……絶対……」

ザ・セブン「……その約束と気持ちを……忘れないでくれ……」

B提督「……うん……」

ザ・セブン「……大人になっても約束を守っていたら、私と飲みに行こう……約束だ……」

B提督「……お姉さん……約束だよ……」ニッコリ

ザ・セブン「……ああ……」ニッコリ


ザ・セブンの表情が柔らかくなる。


ザ・セブン「……B提督……約束以外は全て忘れて……XX歳に戻れ……」

ザ・セブン(B提督よ。これがお前が忘れていた『心』だ。俗世で見失った本当の自分を思い出せ……)


残り二人のカウンセリングを終えると、ザ・セブンは帰っていった。
996 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage saga]:2018/05/04(金) 16:33:50.45 ID:5ID5MCES0

その後……。

またヨットで海に連れ出される三人。


教官「どっちだ!」

主計官「駆逐艦万歳! 駆逐艦万歳! 駆逐艦万歳! 駆逐艦万歳! 駆逐艦万歳! 駆逐艦万歳!」

教官「そうだ! それでいい! 常に、ただひたすらに駆逐艦を想え!!!」


また和室で制服当てをする三人。


教官「ほう、全員が同じ答えか?」

特警隊長「はい、駆逐艦万歳」

教官「理由を言え」

特警隊長「はい、駆逐艦万歳。これは睦月型の制服。そしてエリにピンの穴がないことから、

皐月、長月、菊月に絞られます」

教官「……」

特警隊長「そして……」


白手袋の特警隊長が、うやうやしく制服を持ち上げる。


特警隊長「裾、裏地に激しいスレ。これで動きが活発な元気っ娘の皐月、長月に絞られます」

教官「……」

特警隊長「さらに……」


制服に顔を寄せて、香りを確かめる特警隊長。


特警隊長「この香りは、皐月が使っているシャンプー……」

教官「お前らの答えは、長月だったが?」

特警隊長「シャンプーの香りは、制服の腹部の外側……自分の髪の香りならば、制服の上部に付くはず。

腹部なので皐月の頭を抱きしめた時のものかと。

制服の内側は……かすかな汗の豊潤な香り。入渠の時間さえ惜しむ長月の制服に、間違いありません」

教官「……うむ。よくぞここまで練り上げた!」ニヤリ
997 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/05/04(金) 16:40:43.67 ID:5ID5MCES0

数週間後……。


運動場に三人、ザ・セブン、教官。

三人は礼服を着ている。


B提督「……」目キラキラ

特警隊長「……」目キラキラ

主計官「……」目キラキラ

ザ・セブン「ほう……いい目をするようになった」ニヤッ


ザ・セブンの目に力が入る。


ザ・セブン「諸君! 諸君はここ、長門ブートキャンプを卒業する!

諸君の目覚ましい成長を、私は心より誇りに思う。

特に特警隊長! 駆逐艦を見ただけでうれションするほど駆逐艦愛が深まったと聞いている。

これからは常時大人用オムツを着用し、職務に励んでほしい」


ここで書類を取り出すザ・セブン。


ザ・セブン「ここで良い知らせだ。諸君らを陸戦隊に転籍させておいた。

軍令部の長門会員に手を回してもらい、志願という形でだ。

ここ長門ブートキャンプの訓練期間は、脱走、失踪ではなく、

陸戦隊入隊の準備期間ということになっているから安心してほしい。

これからの人生! 身も心も命も! もちろんケツ穴も! 全てを駆逐艦と幼女に差し出せ!

文字通り、駆逐艦の盾となれ!!! 駆逐艦万歳!!!」

三人「駆逐艦万歳!!! 駆逐艦万歳!!! 駆逐艦万歳!!!」目キラキラ


陸戦隊の下っ端として入隊した三人は、後日、大戦果を挙げるのだが、神ならぬ彼らは知る由もなかった。


第七.八話 完
998 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage]:2018/05/04(金) 16:44:43.41 ID:5ID5MCES0
続きは次スレで
次スレのリンクは>>990にありやす
999 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/04(金) 17:03:03.15 ID:ZTJE4ObQ0
ただの変態養成学校
酷え(褒め言葉)
次スレへの誘導感謝!
1000 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/04(金) 17:21:54.81 ID:hV6ZUc41O
松輪、対馬「海防艦は、ダメなの…?」
1001 :1001 :Over 1000 Thread
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俺「なんのために戦う……か」 @ 2018/05/04(金) 17:02:15.89 ID:3WaAlhEh0
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光と闇のじもあいスレ @ 2018/05/04(金) 16:44:06.07 ID:zunoBQBQ0
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おんj民移住用スレ @ 2018/05/04(金) 16:13:18.26 ID:G2iOtm+20
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【艦これ】俺氏、チ級になる その2 @ 2018/05/04(金) 16:04:41.38 ID:5ID5MCES0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1525417481/

私の三題噺「浅い眠り」「クッキー」「優しい嘘」 @ 2018/05/04(金) 12:25:15.28 ID:r3LCf61V0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1525404314/

へへへ変態だアッーRPGツクール @ 2018/05/04(金) 12:03:13.81 ID:xSktz/eF0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1525402993/

【避難所】安価で指定されたものを全力で探してうpするスレin VIP @ 2018/05/04(金) 03:44:25.68 ID:rylr8/ZWO
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【避難所】安価で指定されたものを全力で探してうpするスレin VIP @ 2018/05/04(金) 03:38:39.08 ID:ijh+EmGno
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