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【艦これ】俺氏、チ級になる

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787 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/05/14(日) 23:38:38.55 ID:wo7MuwwYo

第七話 アオバ・レポート


ここはアメリカの大平原。

何もない荒野に、一本の直線道路が地平線まで伸びている。

その道路を疾走する黒いセダンと三台のハンヴィー。

セダンの運転席には女性、後部座席には青葉、川内。


川内「追っ手を振り切れないね」

青葉「時速100マイル(約160km)で走るハンヴィーって、なんなんですか!?」


みるみるハンヴィーが追いつき、セダンを左右、後ろから包囲した。

ハンヴィーの屋根にある遠隔操作の機関銃がウイーーンと動き、セダンに狙いをつける。


青葉「ひぃいいい!!!」

女性「どうしたんスか!」

川内「伏せて!!!」


機関銃が一斉に火を噴き、セダンに銃弾を雨あられと撃ち込んできた。


青葉「ぎゃあああああああ!!!」
788 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/05/14(日) 23:42:27.08 ID:wo7MuwwYo

数週間前、XXXX鎮守府の青葉は指令室に呼び出された。


青葉「青葉新聞の特別号!?」

提督「そうだ。お前さんにはアメリカに行ってもらう。そこで大物を取材してほしい。

青葉新聞の特別号にあたいする相手だ」ニヤリ


あっけにとられる青葉。


提督「今度、海軍からアメリカに視察団を送ることになった。といってもガチじゃない。

親睦を深める目的でな。うちからも数名送ることなったんだが、お前さんに行ってもらおうと思う」

青葉「はい」

提督「自由行動日もあるので、その時、取材をして欲しい。費用はこちらで持つ。特別インタビューだ」

青葉「相手は?」

提督「最初の提督(以下、赤毛提督)と、その奥方だ」ニヤリ


青葉はゴクリと息をのむ。


青葉「赤毛提督はわかりますが、その奥方もですか?」

提督「むしろそちらが本命だ。徹底的に調べてくれ」

青葉「……」

提督「彼女はオベロン社の社長秘書。旦那は赤毛提督。

経歴は不明。その上……戦艦棲姫にそっくりときた」

青葉「……」
789 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/05/14(日) 23:45:12.62 ID:wo7MuwwYo

青葉が考え込む。


青葉「司令官、青葉のゴーストが『このネタはヤバイ』とささやいてますが……」

提督「深海棲艦を鎮守府に招いた時点で、とっくにヤバい橋を渡っている。

それにだ、情報は多いに越したことはない。交渉のカードになるかもしれん」

青葉「鎮守府もヤバいですが、青葉もヤバイのですけど……」


提督が椅子に深く座りなおした。


提督「青葉、この戦争には、納得がいかないことばかりでね。

深海棲艦に艦娘……。敵どころか、味方さえ正体不明。

俺はこの取材で核心に近づけると思っている」

青葉「……」

提督「青葉の危険も重々承知だが、受けてくれないか?」

青葉「……そんなこと言われたら、青葉の記者魂が燃え上がっちゃうじゃないですか!

もう……承知しました。青葉、取材します!」

提督「それでこそ俺の青葉だ。なお、青葉が捕えられたり、あるいは殺されても、

当鎮守府は一切関知しないからそのつもりで」

青葉「いやぁあああああ!!!」


- 続く -
790 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/15(月) 00:33:00.22 ID:L72cCIDIo
青葉のゴースト相当優秀だね
なお

おつおつ
791 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/15(月) 05:08:09.09 ID:2J92WiE2o
青葉はイーサンハントのように生き残れるのか
792 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/05/25(木) 01:49:40.06 ID:f0qqrFoeo

そんなわけで、護衛の川内とともに、アメリカに査察旅行に出かける青葉。

平日は海軍の施設や演習を見学。週末は自由行動日。

そして迎えた土曜日。青葉と川内は、赤毛提督の住む高級アパートを訪れた。

二人とも、地味なレディーススーツ姿。


青葉「しかし、似合わないですね、この格好」

川内「……うん」


昼間だからか、川内のテンションが低い。

そんな川内にかまわず、インターホンを押す青葉。


青葉「ごめんくださーい! 青葉です!」


ドアが開くと、赤毛提督の嫁が出迎えた。

ブラウンのカーディガン、白いカットソー、黒いロングパンツという姿。


嫁「ようこそ」ニッコリ


嫁は二人とがっちり握手する。


嫁「はじめまして。嫁です」

青葉「青葉です! お会いできて感激です!」

川内「川内です……初めまして……」

嫁「どうぞ、入って下さい」


嫁が部屋に招き入れた。


青葉「恐縮です! お邪魔します!」

川内「……お邪魔します」
793 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/05/25(木) 01:52:24.96 ID:f0qqrFoeo

室内は明るく広い。天井も高い。リビングには大きいソファーと暖炉。

アメリカのホームドラマのような内装。


青葉(暖炉?)

犬「わふっ! わふっ!」


毛の長い大型犬が部屋をウロウロしている。


赤毛提督「こら、おいで。お客様に迷惑かけちゃだめだよ」


白いシャツにジーンズの赤毛提督が犬を呼び寄せると、

ソファーの赤毛提督の元に、犬がササっとかけ寄る。


青葉(あんな大型犬を部屋で飼うとは……)


赤毛提督が立ち上がった。


赤毛提督「初めまして。赤毛提督です」


やはり二人とがっちり握手をする。


青葉「青葉です! お会いできて光栄です!」

川内「川内です……光栄です……」

赤毛提督「さあ、ソファーにどうぞ」


二人がソファーに座ると、赤毛提督の背後にいる黒スーツのSPたちと目が合った。

艦種は不明だが、艦娘もいるようだ。


青葉(目を合わせても、ピクリとも表情を変えませんね……)
794 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/05/25(木) 01:55:14.24 ID:f0qqrFoeo

青葉「ええと……お忙しい中、インタビューをご快諾いただき、誠にありがとうございます」

赤毛提督「そんなにかしこまらなくても、いいですよ」ニッコリ

青葉「は、はい」


そこに嫁がコーヒーを持ってきた。


嫁「コーヒーをどうぞ」

青葉「きょ、恐縮です!」

川内「ありがとうございます」


SPにもコーヒーを渡すと、赤毛提督の隣に座る。


青葉「嫁さんもいらしたことですし、始めさせていただきます」


青葉はメモ帳を取り出し、ボイスレコーダーをテーブルに置いた。


赤毛提督「さて、今日はどんなことを聞きたいんですか?」

青葉「色々聞きたいことはありますが、まず、なぜインタビューを受けようと思われたのでしょうか?

赤毛提督さんは、インタビューは受けない方と聞いていましたが……」

赤毛提督「君たちがカンムスだから。ジャーナリストのインタビューだったら受けないけど、

カンムスにお願いされたら断れない」

青葉「なるほど!」

青葉(優しいですね〜。ウチの司令官とは大違い……)


サラサラとメモする青葉。
795 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/05/25(木) 01:56:59.10 ID:f0qqrFoeo

青葉「では、今回のテーマですが……お二人の結婚生活についてお聞きしたいと思います」

嫁「まあ! そんな///」

赤毛提督「特別なことはないよ」

青葉「いえいえ、お二方のおしどり夫婦ぶりは、日本にも伝わるほどですよ!」

嫁「///」

赤毛提督「日本にまで? 恥ずかしいな……」


照れる夫妻。


青葉(初々しいですね〜。ウチの司令官とは大違い……)

青葉「日本の艦娘たちに、どうすれば提督との幸せな結婚生活が出来るかを、ぜひともご教示いただきたく」


青葉がペンをくるりと回した。


青葉「始めに、お二人のなれそめは?」

赤毛提督「私と嫁は幼馴染。小学生のころから親友だった。中高も一緒」

青葉「なるほど。子供のころの嫁さんは、どんな方だったんですか?」

赤毛提督「大人しくて優しい。今もね」

嫁「///」

青葉「これはこれは」ニコッ


青葉がスラッとペンを走らせる。
796 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/05/25(木) 01:59:21.41 ID:f0qqrFoeo

青葉「嫁さんから見て、子供のころの赤毛提督は?」

嫁「地味で目立たないわたしと違って、彼は人気者でした。

背も高くて、明るくて、友達も多くて、かっこよくて……///」

青葉「あら〜〜」

嫁「そんな彼と友達とで、よく山や海や川で遊びました。とても楽しい思い出です」

青葉「……」


青葉は、しばらくクルクルとペンを回した。


青葉「……その頃のご友人とは、まだ連絡を取っているのですか?」

嫁「……いえ。わたしたちは、港の近くに住んでいたの。学校もね。

それで、深海棲艦の攻撃にあい、友人は行方不明、もしくは……」


うつむく嫁を、赤毛提督が抱き寄せる。


青葉「すみませんでした」

嫁「いえ……」

青葉「では話題を変えまして……ズバリ、結婚のキッカケは?」

赤毛提督「ええと……参ったな……だれにも話したことはないんだけど……」

嫁「///」


艦娘らしきSPの無表情な顔が、ピクリと一瞬だけ動いた。


青葉(SPも興味があるんですかね〜)
797 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/05/25(木) 02:05:31.20 ID:f0qqrFoeo

赤毛提督「……そう……私が軍に入ってからは、彼女と離れて暮らしていたんだ。

ある時、乗船している艦が深海棲艦に撃沈されて、私一人だけ生き残り、

長い間入院したことがあったんだ。その時、彼女が付っきりで看病してくれて……」

青葉「……」

赤毛提督「それで彼女への気持ちに気づいたんだ。愛してるって……」

嫁「///」

赤毛提督「それがきっかけでプロポーズしたんだ。入院中だったけどね」ニッコリ

青葉「いやはや……///」

青葉(あまーーーーーい!!!)


夫妻以外、SPまでも全員コーヒーを飲み干した。


嫁「コーヒーおかわりいれましょうか?」

青葉「恐縮です! ミルク、砂糖抜きでお願いします!」


嫁がコーヒーを配り終えると……。


青葉「こほん。では、嫁さん。プロポーズを受けた感想は?」

嫁「子供のころから、ずっと彼が好きだったから……本当に嬉しかった……」

青葉「……」

嫁「彼は人気者で……わたしは地味で……好きな気持ちを諦めてたの……だから本当に……」

青葉「……」


嫁がぽろりと涙を流すと、また赤毛提督が抱き寄せた。


青葉「……嫁さんは、本当に赤毛提督さんを愛しているのですね」

嫁「はい……///」

青葉「そして赤毛提督さんも嫁さんを。うらやましい限りです!」

赤毛提督「……」ニッコリ
798 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/05/25(木) 02:10:06.28 ID:f0qqrFoeo

ペンを高速回転させる青葉。


青葉「次に……円満な結婚生活の秘訣は?」

赤毛提督「……あまり考えたことはないけど、出来るだけ話すようにしている。

仕事柄、家を空けることが多いから、電話やチャットで、互いの声を聞くよう心がけているよ」

嫁「彼の声を聞くと安心するの。わたしの会社が、家族の時間に理解があるから、

彼と話す時間が持てて助かってるわ」

青葉「会社ですか?」

嫁「ええ。育児のために週三日の勤務にしてもらってるの。

わたしの仕事は社長秘書なんだけど、秘書は一人じゃなくて、

何人かいてローテーションしているから、その勤務が認められているの」

青葉「なるほど!」


青葉がペンをゆっくり回す。


青葉「……会社には、どのような印象をお持ちですか?」

嫁「良い会社だと思う。医療補助も充実しているわ」

青葉「医療補助?」

嫁「医療費の補助に、年二回の無料健康診断。それで……わたしは助けられた」

青葉「といいますと?」

嫁「わたし、健康診断で子供が出来にくい体質だって分かったの。

それで、会社の医療施設で体外受精したのよ。会社の全額補助でね」

青葉「……」

嫁「会社の補助が無かったら、支払えないくらいの金額だった。

娘を二人持てたのも、会社のおかげよ」

青葉「そうですか」
799 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/05/25(木) 02:13:53.71 ID:f0qqrFoeo

その時、ドアが開いて、娘二人が部屋に入ってきた。


次女「ままぁ〜、あそんで〜?」

長女「こらー! お客さんが来てるから、そっちいっちゃだめだよ!」


嫁にしがみついている次女を、長女が引き剥がそうとする。


次女「ままぁ〜! ままぁ〜!」ガシッ

嫁「娘がごめんなさいね」

青葉「いえ、インタビューも……もう終わりますから……」

青葉(……しかし……抱きつく次女さんを見ると……不思議な感情が湧き上がってきますね……)


青葉の顔が紅潮する。


青葉「あの……もしよろしければ、嫁さんとハグしてもいいですか?」

青葉(……このハグしたい激情は一体……?)

嫁「いいですよ。慣れてますから。わたしと会うカンムスさんは、なぜかハグしたがるので」

青葉「では……ママーーーー!」ガシッ

川内「ママーーーー!」ガシッ


なぜか川内もハグに加わる。


青葉「……」スリスリ

川内「……」スリスリ


嫁がギュっと抱きしめると……。


青葉「……」ポワワワワーーーン

川内「……」ポワワワワーーーン
800 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/05/25(木) 02:17:12.66 ID:f0qqrFoeo

それを見た長女が、赤毛提督に抱きついた。


長女「じゃあパパはあたしのものーー!」ギュッ

青葉「パパーーーー!」ギュッ

川内「パパーーーー!」ギュッ

赤毛提督「おやおや」


青葉たちも赤毛提督に抱きつく。

しばらくハグすると……。


青葉「えーー、こほん。大変失礼いたしました。では最後に記念写真を撮ってもよろしいですか?」

赤毛提督「いいですよ」ニッコリ


記念写真を撮った青葉たちは、赤毛提督の部屋を出た。

エレベータを降りて、高級アパートの玄関を出ると……。


川内「……」クイクイ

青葉「なんですか?」


川内の目線の先を見ると、アパートの向かいのビルの影に、20世紀初頭の古めかしい車。

車中のトレンチコートに中折れ帽の運転手が、ハンバーガーを片手に、双眼鏡で何かを見ている。


青葉「双眼鏡の先は……」


双眼鏡の先は、ちょうど赤毛提督の部屋の階だった。


- 続く -
801 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/25(木) 13:14:22.06 ID:D3GdtpbO0
更新乙です
面白いのだけれどこのスレで終わるのかしらという不安
ゆっくりとつづきお待ちしております
802 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/03(土) 08:53:41.19 ID:+00dMD5DO
乙です
毎回楽しませてもらってます。
僭越ですが少々気になった点を、
青葉の言葉遣いなんですが、当人達(赤毛提督夫妻)に
相対する場合は「奥様」と呼ぶのがただしいのでは?
SSの習慣としてオリキャラは固有名詞ではなく職名等で呼ぶ、
というのは分かるのですが当の本人に向かって
「嫁さん」呼ばわりは流石に違和感があります。

生意気な事を言ってすいません。
開始当初からずっと本当に楽しませて頂いてます。
お忙しいとは思いますが次回更新も頑張って下さいませ。
803 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage]:2017/06/04(日) 02:42:59.91 ID:OBmOlKyvo
>>802
コメありがとう!

>青葉の言葉遣いなんですが、当人達(赤毛提督夫妻)に
>相対する場合は「奥様」と呼ぶのがただしいのでは?

奥様ではなく名前呼びにしたのは、ちょっとだけフランクになって、
海外インタビューっぽさが出るかな〜と、思ったからです

でもガチで英語だったら、You(あなた)とかHer(彼女)になるのかな
または、Ms.赤毛提督とか……

>生意気な事を言ってすいません。

生意気なんて、そんなことないっす

>開始当初からずっと本当に楽しませて頂いてます。

そう言ってもらえると、とても嬉しいです

>お忙しいとは思いますが次回更新も頑張って下さいませ。

今、続き書いてますんで、よろしくです
804 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage]:2017/06/04(日) 04:14:45.91 ID:OBmOlKyvo
ちょっと再開
805 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/06/04(日) 04:17:53.16 ID:OBmOlKyvo

運転手は、中折れ帽、トレンチコート、黒髪ロング、黒縁メガネの若い女性。


運転手「……」モグモグ


コンコン


運転手が音の方を見ると、笑顔の青葉が窓から覗いている。


青葉「……」ニタァー

運転手「ゲホッ!」


慌てて発車しようとするが……。


運転手「?!?!? アクセル踏んでるのに、なんで動かないんスか?!?」


後ろを振り向くと、川内がバンパーを掴んで、車を持ち上げていた。

浮き上がった後輪が、むなしく空回りしている。


運転手「」


慌てた運転手は古風なリボルバーの拳銃を取り出し、窓を開けて青葉に向けた。


運転手「強盗っすか! 失せやがれッス!」スチャ


青葉がサッと銃身をつかんで奪うと……。


青葉「……」グニニニ

運転手「ひぃいいい!!! す、素手で銃身を曲げてるっす!」


青葉が曲がった拳銃を運転手に返す。


青葉「恐縮で〜〜す! お話きかせてもらえませんか?」

運転手「」
806 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/06/04(日) 04:20:48.02 ID:OBmOlKyvo

近くの食堂に入る三人。

薄暗い店内。カウンターには酒瓶。壁際にピンボール。

三人は、奥の四人席に座った。


青葉「いや〜、いかにもアメリカの食堂って感じですね」

ウェイトレス「ご注文は?」

青葉「おすすめを教えてください」

ウェイトレス「どれも美味しいけど、パストラミサンド、ハンバーガー、

ホットドッグ、クラムチャウダーがオススメね」

青葉「では、パストラミサンドにコーラ」

川内「ハンバーガー、セブンアップ」

運転手「ホットドッグとルートビア」


運転手をじっと見る青葉。


青葉「さて……あなたは何者で、何をしてたんですか?」

運転手「……」

青葉「言えませんか?」

運転手「……」

青葉「それなら……」


青葉がスマホを取り出す。


青葉「もしもし、ポリスメン?」

運転手「わかったっす! 言うからポリスメンは勘弁っス!」
807 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/06/04(日) 04:23:28.73 ID:OBmOlKyvo

青葉がニヤリと笑ってスマホをしまう。


運転手「自分は、とあるやんごとなきお方のメイドっす。あそこで嫁さんを監視してたっす……」

青葉「目的は?」

運転手「……目的は調査っす……」


運転手が調査について話すと……。


川内「本当なら許せないね……」

青葉「これは許せませんねぇ」

運転手「ところでお二人は何者っすか?」

川内「……正義のニンジャ……それ以上は言えない……」

青葉「え?」

川内「わたしはコードネーム:リバー。彼女はブルー」

青葉「は?」


それを聞いた運転手が、キラキラと目を輝かせた。


運転手「正義の味方なら、調査に力を貸して下さい! お願いします!」

青葉「……メイドを雇うほどの、やんごとなきお金持ちなら、

本職の探偵を雇えばいいんじゃないですか?」

運転手「もう何回も探偵に頼んだんスが、手掛かりさえつかめないどころか、

行方不明になる人までいて、仕方なく自分が……」

青葉「……なるほど。わかりました。しかし、こちらも任務中でしてね。

交換条件です。こちらの調査に協力してくれるなら、あなたに協力しましょう」

運転手「わかったっス! 条件を聞かせて欲しいっす!」

青葉「こちらの条件は……」


条件を話す青葉。
808 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/06/04(日) 04:27:58.87 ID:OBmOlKyvo

運転手「その条件をのむっす。交渉成立っすね!」ニッコリ

青葉「では乾杯しましょう。乾杯!」

川内「乾杯」

運転手「乾杯っす!」


アメリカンサイズのコップをぶつける三人。


運転手「ルートビアが美味いっす!」

青葉「それにしても……その姿と車は、どうしたんですか?」

運転手「自分、小説で探偵業を勉強したっす。アラゴン・レビューで評価高かった本っす」

青葉「……その服装と車と拳銃……フィリップ・マーロウですか……」

川内「探偵するなら、違う車にしなよ」


車話で微妙にテンションが上がる川内。


運転手「どんなのがいいんすかね?」

川内「車は……『POWWWWWEEEEEEEEEERRRRRRR!!!!』だよ!

馬力! トルク! 排気量! V8だよ! V8! V8を称えよ! V8を称えよ!」ガタッ

青葉「」

運転手「なるほど! ためになるっス!」


青葉が絶句していると……。


運転手「ところで調査の話っすが、一緒に行ってもらいたいところがあるっす」

青葉「どこですか?」

運転手「オベロン社の軍事研究施設っす」


- 続く -
809 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/04(日) 08:29:04.36 ID:4MzJzdNu0
更新乙です
青葉「撃っていいのは、撃たれる覚悟のある奴だけだ!」
1さんの作品は気づいたら笑えるっていうネタが随所に仕込んであって面白いです
川内…、頭の上で手をクロスさせてそう
ルートビアって個人的にはくっそまずいというか飲み物?なのって感想なんですが1さんはどうですか?
ドクペと同じで飲み続けたらくせになるのだろうか……
オベロンはシェークスピアの真夏の夜の夢の妖精王のオベロンから来てるのかしら
810 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/04(日) 11:50:05.79 ID:F2A6LDFDO
>>803
うおおぉぉぉぉぉん!返信ありがとうございます!
↑の方の様にネタ元に気付くような知識も見聞も無いアホたれのくせに
生意気言って本当にすいませんでした。
妙な日本人気質に凝り固まっていたようで自分の我儘を
押し付けてしまっていたようです(反省)

御主旨、理解いたしました、ウチの清霜も「バッチリ、バッチリヨ」と申しております。
今、舞台は合衆国なのでアメェ〜リカ〜ンなふいんきで
読み進めていけばイイデスね〜(全然分かってない)

個別レスを頂けて舞い上がってしまいましたスイマセンスイマセン本当にすいません。

次回更新も楽しみにしております。
811 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/04(日) 13:36:10.23 ID:R1OlMe6Lo
おつ

>>809
真っ先に思い浮かんだのは放電加工機のパーツ取扱代理店だけど、たぶんテイルズのレンズ加工メーカーじゃね?
812 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/04(日) 13:40:49.70 ID:4MzJzdNu0
>>811
テイルズかぁ、妖精さんを使役して軍需産業やってるとかの深読みしてたわ
811さん、ありがとうございます
813 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage]:2017/06/05(月) 00:48:39.63 ID:1k8M9dc4o
>>809
コメありがとう

>ルートビアって個人的にはくっそまずいというか飲み物?なのって感想なんですが1さんはどうですか?
くそまずいのには同意。でも嫌いじゃない。たまーーーに飲みたくなる、って感じです
814 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/12(月) 20:02:51.25 ID:PX35FDsh0
次回更新次に返信いただければ御の字程度に考えていたら返答が……
809ですがルートビア、たまーに飲みたくなる感じですか
自分はコストコで何も知らずにケース買いして途方にくれたことがあるんで軽くトラウマ
コストコは返品できるといっても流石に1本飲んだのを返品なんて常識外れな真似はしきらないですww
これからも素晴しい続き、お待ちしております
815 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage]:2017/06/18(日) 16:34:15.05 ID:o2c9iCYxo
瑞雲祭りとは一体……
再開するよ〜
816 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/06/18(日) 16:36:33.74 ID:o2c9iCYxo

青葉が手で運転手を制した。


青葉「その話ですが、ここではなんですから、別のところで話しませんか?」


青葉がスマホを取り出す。


青葉「個室で三人だけで話せるところ……」スマスマ


スマホで検索すると……。


青葉「ありました〜。こことかどうです?」

運転手「カラオケボックス?」

川内「個室で歌を歌う場所だよ」

運転手「ほほ〜」

青葉「まさかアメリカにもあるとは!」

運転手「打ち合わせの前に、ちょっと荷物を取ってきてもイイっすか?」

川内「あたしも一度ホテルに戻りたい」

青葉「そうですね……ではXX時にカラオケボックスで待ち合わせましょう」

運転手「了解っす!」
817 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/06/18(日) 16:38:39.31 ID:o2c9iCYxo

ホテルに戻る青葉と川内。

青葉はボイスレコーダーのデータを自分のPCにコピーし、メモをバチバチと入力している。

川内は旅行カバンをゴソゴソ漁ってる。


青葉「なにを探してるんですか?」

川内「ちょっと運転手ちゃんに渡したいものがあって……あった!」

青葉「見つかったみたいですね……っと、こっちもメモを打ち込み終わりました!」


青葉が冷蔵庫からコーラを取り出した。


青葉「ひと仕事したし、コーラでも飲みますか。川内さんもどうです?」


青葉がもう一本コーラを取り出すと、川内の手首から白い糸が飛び出し、コーラに絡みつく。


青葉「うおっ!」


コーラは糸に引っ張られ、ヒュッと川内の手元に。


川内「あんがと」ゴクゴク

青葉「そのウェブシューター、どうしたんですか?」

川内「Qに作ってもらった」

青葉「MI6じゃないんですから! 明石さんですか?」

川内「そう。いいでしょ?」ニヤッ

青葉「面白そうですが、川内さんならカギ縄とかじゃないですか? 忍者的な意味で」

川内「ニンジャは型にとらわれない。とらわれてはいけない……」

青葉「……さようで。ぼちぼち時間ですし、行きますか」

川内「うん」

818 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/06/18(日) 16:41:09.91 ID:o2c9iCYxo

二人がカラオケボックスに行くと、店の前に古風なメイド姿の運転手がいた。

何やら荷物を持っている。


運転手「早速、中に入るっす」

青葉「恐縮です!」


三人は受付をすまし、部屋に入った。

川内がサッとリモコンを手に取る。


川内「〜♪」ピコピコ

青葉「曲を入れるのは、話が終わってからにしてください」

川内「むー」

青葉「それで、調査の話ですが」

運転手「はい。オベロン社の軍事研究施設で行われている極秘業務を調べたいんす。

それでお二人には潜入の手伝いをして欲しいんす」

青葉「……施設の警備は?」

運転手「非常に厳重っす。民間軍事会社が24時間体制で警備してるっす」

川内「なら、潜入するのは、あたしら二人だけのほうがいいね」

青葉「潜入するのは人数が少ない方がいいですし。ここは私たちに任せてもらえませんか?」

運転手「では、お願いするっす!」


運転手が鞄から紙袋を取り出した。


運転手「潜入には、これを使うといいっす」ガサガサ

青葉「……セーラー服?」

運転手「カンムスに化けて潜入するっす!」

青葉「」

819 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/06/18(日) 16:45:05.48 ID:o2c9iCYxo

セーラー服を見ると、いやにボロボロ。


運転手「軍事研究施設には、カンムスや深海棲艦の死骸が列車で運び込まれてるんス。それも毎日、大量に」

川内「……」

運転手「その死骸に紛れて潜入するつもりだったっす」

青葉「……」

運転手「その列車は、真っ黒な車体と積み荷から、『幽霊列車』って呼ばれてるっす」

青葉「幽霊列車……」

運転手「貨車は天井がなく、ホロで覆ってるだけっすから、簡単に紛れ込めそうっす」

青葉「この服がボロボロなのは、轟沈した艦娘っぽくするためですね」

川内「……しかし軍事機密の固まりの艦娘の死骸を、そんなぞんざいな方法で運ぶのもんなの?」

青葉「死骸には機密情報としての価値がないからです。艦娘はコピー不可能ですから」

運転手「そうなんすか?」

青葉「某国が艦娘のクローンを作ったそうですが、艦娘に軍艦の魂が宿らず、

決して目を覚まさなかったそうです。艤装もデッドコピーしたそうですが、

妖精さんがいないので、こちらも全く動かなかったらしいです」

川内「なら、その手でいこうか」


潜入の打ち合わせを続ける三人。

打ち合わせが終わると……。


川内「ところで、運転手ちゃんは日本語読める?」

運転手「いけるっすよ」

川内「じゃ、これ。メイドのマンガ。飛行機の中で読むのに持ってきたんだ。

メイドの仕事に役立つと思うから、貸したげる」サッ

運転手「ありがとうございます!」

青葉(メイドマンガ……あの本格派メイド漫画でしょうか?)
820 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/06/18(日) 16:48:15.95 ID:o2c9iCYxo

数日後……。

潜入日当日となった。

青葉と川内が待ち合わせ場所で待っていると……。


青葉「なんか車が来ましたが……」


デロデロと音を立てながら、デカくて黒いセダンが止まった。


運転手「お待たせっす!」

青葉「車かえたんですね」

運転手「リバーさんに言われて、車買いかえたっす! キャディっす! 

V8っす! 6リッターっす! スーパー・チャージャーっす!」

川内「悪くないね」ニヤリ

運転手「中古車ディーラーさんの『いい音でしょう。余裕の音だ、馬力が違いますよ』の一言で即決っす!」


二人が車に乗ると、ド派手なアニマル柄の内装。

助手席には、なぜかギターケースとゴルフバッグ。


青葉「」

川内「しびれるね」

運転手「やんごとなきVIPが乗ってたらしいっす」

青葉(ラブホテル顔負けの内装……やんごとなきドラッグ成金とかですかね……)

青葉「ところで、髪型ですが三つ編みにしたんですか? メガネも丸メガネですね」

運転手「リバーさんのマンガのメイドさんを真似たんスよ。いや〜〜感動したっす!」

川内「でしょ? でしょ?」

運転手「リバーさんに感謝っす!」

青葉(……不安しか感じないのは、なぜでしょうか……)

運転手「じゃあ出発するっす!」


- 続く -
821 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/18(日) 17:20:18.40 ID:/zUruQOCo
おう、この世で一番おっかねぇ女の1人のコスプレは止めろ。
ろくなことにならない結果しか思い浮かばねぇ。
822 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/19(月) 02:39:39.65 ID:m41YHg0Oo
メイドの皮被ったターミネーターの方かよ
823 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/19(月) 11:09:05.36 ID:B04HBOBZ0
コマンドーww
30代から40代をピンポイントで狙ってくるネタがww
更新お疲れ様です
824 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/06/25(日) 01:36:14.10 ID:V9pTrvZZo

青葉と川内は、車内でボロボロのセーラー服に着替えた。


青葉(この制服……どの艦娘のものでもない、パチモンですね……。かえって好都合ですが……)


車が港の近くのビルの裏手に止まる。


運転手「着いたっす。この港に幽霊列車の始発駅があるっす」

青葉「ほほ〜」

川内「……」

運転手「自分は先回りして、施設の近くの集合地点で待ってるっす」

青葉「では、あ……ブルー、取材します!」

運転手「お気をつけて!」

川内「……」コクン


青葉と川内が車から降り、素早く始発駅に向かう。


青葉「警備は薄いですね」ヒソヒソ

川内「……」


あっさりと貨車に潜り込む二人。


青葉(はは……艦娘の死体でギッシリですか……恐縮です……お邪魔します……。

それにしても……すごく冷たい……)


輸送船では冷凍されていたらしく、艦娘の死体が氷のように冷たい。


青葉(みんな肌が青白くて……でも生きているような……不思議ときれいですね……)
825 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/06/25(日) 01:38:13.62 ID:V9pTrvZZo

青葉がモゾモゾとしていると……。


青葉(これは……ガサ……)


別の鎮守府の衣笠を見つけた。


青葉「そうですか……ガサ、頑張りましたね……青葉には分かります」ナデナデ


ガタンと貨車が揺れ、幽霊列車が動き出す。


青葉(短い間ですが、一緒にいましょう……)ギュッ


青葉は艤装を展開し、機関に火を入れ、暖を取った。


青葉(これで凍死の心配もなくなりました。ガサ、おやすみなさい……)


一晩列車に揺られ、朝になった。

ガクンっと貨車が揺れる。


青葉(着きましたね。ガサ……いつかどこかで、また会いましょう……。

ウチの鎮守府のガサはどうしているかな……。甘えたくなりました……)
826 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/06/25(日) 01:44:02.76 ID:V9pTrvZZo

その時、いきなり貨車の床が開いた。


青葉(うわぁああああああ!!!)


レールの間の大きな穴に、ザラザラと落ちていく青葉と艦娘の死体。

巨大な倉庫の中で、ドサっという音とともに、艦娘の死体の山に着地。

列車は行ってしまったようだ。


青葉「いててて……なんて乱暴な……」

川内「青葉、ここから脱出するよ」

青葉「川内さん、ご無事で……って?!」


川内は青葉を抱きしめると、手首のウェブシューターを天井に向けて打ち出した。


川内「しっかりつかまって」

青葉「ひゃああああ!!!」


天井の穴のふちにベットリ付いたウェブを巻き上げると、

二人はロケットのような勢いで穴から飛び出す。

急いで物陰に隠れる二人。

同時に、倉庫の穴の扉が閉まった。
827 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/06/25(日) 01:48:50.25 ID:V9pTrvZZo

青葉「これからどうします?」ヒソヒソ

川内「まかせて」ヒソヒソ


川内が妖精さんたちを取り出す。


川内「ニンジャヨーセイ=サンです」

青葉「ドーモ。ニンジャヨーセイ=サン。ア=オバです」ペコリ

妖精さん「……」ペコリ


人間、カメラには見えない妖精さんたちが斥候を務め、二人を先導した。


青葉「これなら警備員やカメラに見つからずに進めますね」ヒソヒソ


二人は難なく目的の建物にたどり着き、近くの茂みに隠れる。


青葉「ここからは青葉にお任せ」ヒソヒソ


青葉も妖精さんを取り出した。


青葉「記者妖精さん、取材お願いします」ヒソヒソ

妖精さん「……」グッ


カメラを持った妖精さんはサムズアップすると、建物の通風孔に入っていった。
828 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/06/25(日) 01:53:02.94 ID:V9pTrvZZo

しばらくすると……。


青葉「戻ってきました。どれどれ……」


妖精さんが撮影した動画を見ると……。


川内「……信じられない……」

青葉「……これはピューリッツァー賞ものですね……」

川内「目的は果たした。脱出だよ」

青葉「ですね。スマホが圏外じゃなければ、このまま動画ファイルを送信して終わりなんですが……」


二人は配送センターに向かう。


青葉「目ぼしいトラックは……」

川内「あれは?」


多数のトラックがある中で、ホロのトラックが一台あった。

急いで荷台に潜り込む。
829 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/06/25(日) 01:54:02.69 ID:V9pTrvZZo

青葉「生活感あふれる荷物ですねぇ」


荷物は、冷蔵庫、椅子、机、段ボール。どうやら引っ越しのようだ。


青葉「だからこのトラックだけユルイんですね」

川内「……」

青葉「ペットまでいる……トカゲですかね?」


水槽の中に、60センチほどのトカゲ。


青葉「おおっと、トラックが発車しましたよ」

川内「……」


トラックが配送センターを出る。


青葉「楽勝でしたね」ヒソヒソ


出口の検問の手前で、トラックが急ブレーキをかけた。

荷台が激しく揺れて、何かが青葉の頭に落ちてくる。


青葉「いててて……なんて乱暴な運転を……こんなことばかり……ん?」


落ちてきたのは、小さな水槽。


青葉「ん……ん……んんんんんんんんんんんんん!?!?!?」


青葉の頭と顔で、黒い物体がカサカサと動いている。


青葉「ゴ……ゴ……ゴゴゴゴゴゴゴゴ……ゴキブリぃいいいいい!!!」


水槽のフタが衝撃で外れ、トカゲの生餌のゴキブリがぶちまけられた。


青葉「いゃああああああああ!!!」

川内「アイエエエエエ! ゴキブリ!? ゴキブリナンデ!?」


ゴキブリまみれの二人が、荷台から飛び出した。


警備員「侵入者だ!」


- 続く -
830 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/25(日) 03:50:18.09 ID:t5083iiio
死体は平気なのにゴキブリは駄目なのか
青葉たちは面白いな
831 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/25(日) 10:56:41.17 ID:jokpHELa0
一気読みした。
面白い!
832 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/26(月) 11:30:31.88 ID:9JtUqlpK0
更新お疲れ様です
いつも楽しみまっています
ゆっくりとで頑張ってください
833 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/07/09(日) 13:04:32.83 ID:HJT1kxaLo

サイレンが鳴り響き、検問の詰め所から短機関銃を持った警備員たちが出てくる。


川内「……」ポイポイポイ


川内が煙幕玉を投げた。

辺り一面、煙に包まれる。


川内「こっち!」


二人は検問を待っていた大型トレーラーの影に隠れる。

こっそり機会をうかがっていると……。


青葉「検問のゲートが閉まった!」


警備員の数も増えてきた。


青葉「あわわわ……」

川内「かえって好都合。行くよ」

青葉「行くってどこに?」

川内「つかまって」

青葉「またですか!」


川内がウェブシューターをトレーラーのコンテナに放つと、

二人とも、ひょいっとコンテナの上に乗った。


川内「車の屋根をつたって、一気にゲートの向こうに行くよ!」

警備員「いたぞ!」バババババ

青葉「警告なしで撃ってきましたよ! こんな可愛い女の子を、よく撃てますね!」

川内「簡単。動きがのろいからね」

青葉「は?!」
834 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/07/09(日) 13:06:06.90 ID:HJT1kxaLo

二人はコンテナの上を全力疾走し、トレーラーの屋根を踏切り板にしてジャンプ。

引っ越しトラックのホロでボヨーンと飛び跳ね、ゲートを超えて外に出た。


青葉「やりました!」

川内「集合地点に急ぐよ!」


施設の周囲は、何もない荒野。

一本だけある道路に、例の車がいた。


運転手「お待ちしてたっす!」


青葉と川内が後部座席に乗り込む。


青葉「車を出してください!」

運転手「かしこまりっす!」


ホイルスピンしながら急発進する車。


運転手「調査はどうだったっすか?」

青葉「決定的瞬間、とらえちゃいました!」ニタリ

運転手「さすがニンジャさん! 後は帰るだけっすね! 飛ばすっすよ!」
835 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/07/09(日) 13:07:32.16 ID:HJT1kxaLo

道路を疾走する黒いキャデラック。

しかし……。


青葉「リバーさん」

川内「……」コクン

青葉「追っ手が来ましたね」


川内と青葉が振り向く。


運転手「後ろには何も見えないっすよ?」

青葉(電探に感ありです……)

川内「……ニンジャ・センスで分かる……」

運転手「本当っすか!? ヤバイッすね! 燃えてきたっすよ!

トランクに得物が入ってるっすから、使ってください!」


トランク・スルーからトランクを漁ると……。


青葉「デザートイーグル、S&W M500、FN P90……。厨二銃ばっかりじゃないですか!」

川内「運転手ちゃん、わかってるね!」目キラキラ


川内がデザートイーグルとM500を手に取った。


青葉「じゃ青葉はこれで」


P90を取る青葉。
836 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/07/09(日) 13:11:21.48 ID:HJT1kxaLo

青葉「……来ました!」


車の後方から、黒い無人オートバイの群れ。


青葉「モトターミネーターみたいなのが、うじゃうじゃと!」

運転手「150マイル(約240km/h)で、ぶっちぎるっす!」


アクセルをべた踏みするが……。


運転手「150マイル出てるのに……そ……そんな……!」


無人オートバイが追いつき、追い越し、車の前に出た。

すると、オートバイの両サイドについている短機関銃がくるりと後ろ向きになる。


運転手「!?」


短機関銃が火を噴き、フロントガラスに着弾したが、貫通しない。


運転手「さすがキャディだ! なんともないぜ!」

青葉「防弾ガラスですか! さすがやんごとなきVIPの車!」


他のオートバイも一斉に銃撃を始めたが、車にダメージを与えられない。
837 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/07/09(日) 13:13:14.12 ID:HJT1kxaLo

川内「こっちのターンだ」


川内が両手の銃を上にかかげ、サンルーフから上半身を出した。

150マイルの突風を受けても平然としている。

後方の無人オートバイが、一斉に銃口を向けるが……。


川内「遅い!」ズダン、ズダン、ズダン


次々とオートバイの燃料タンクに穴が開き、ゴォッと炎上する。

しかし、ひるまず短機関銃を撃ってきた。


川内(火達磨のバイク……ゴーストライダーかな? なら……)ズダン、ズダン、ズダン


川内がタイヤを撃つと、オートバイは前輪をグネらせ、次々と転倒する。


川内「こっちも!」ズダン


前方のオートバイの後輪を撃つと、速度が落ち、車と激突した。

衝撃で車が揺れる。


運転手「ぎゃああああ!!!」
838 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/07/09(日) 13:16:24.58 ID:HJT1kxaLo

全てのオートバイを始末すると、川内は席に戻った。


川内「銃はいいよね〜、銃はさ」ホッコリ

青葉「もうちょっと考えて撃って下さい!」

運転手「いいじゃないっすか! 追っ手も片づけたし! トゥーハンド、最高っす!」

川内「ふふん!」ドヤァ

青葉「はぁ……」


しばらくすると、青ざめる運転手。


運転手「……ヤバイっす……スピードが上がんないっす……」

川内「タイヤをやられたね」

青葉「そういえば、乗り心地も悪くなったような……」

運転手「パンクしたら、走れないんじゃないすか?」

川内「ランフラットタイヤだと、パンクしても走れる」

青葉「さすやん車!」

運転手「まあ、50マイル(約80km/h)で走れますから、このまま行くっす!」


- 続く -
839 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/09(日) 16:46:38.87 ID:CbgnDlU+0
ピクマルいいよね、ピクマル
840 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/09(日) 23:13:52.49 ID:3Pl8dkxH0
タイヤメーカーはきっとグッドイヤー

更新乙でございます
841 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/07/21(金) 00:21:09.03 ID:Oa+Q1NzZo

青葉「安心したら喉が渇きました」

運転手「ワインクーラーに飲み物入ってるっス! 飲んで下さい!」

青葉「恐縮です!」


青葉がワインクーラーを空けると、ルートビアがギッシリ。


青葉「」


その時……。


青葉「新手ですね」

川内「そうだね」

運転手「またっすか?」


川内と青葉が振り向く。


青葉「……」ジーー


やぶにらみの青葉。


青葉(測距儀で見ると……)

青葉「……車が三台。ハンヴィーです。運転手さん。全力だと、どれくらい出ます?」

運転手「うーん……50マイルなら余裕っすけど、それ以上はタイヤがヤバいっす」

青葉「80マイル(約130km/h)なら?」

運転手「それくらいなら、しばらくはタイヤがもつかも……っす」

青葉「ハンヴィーの最高速度はだいたい80マイル。状態の悪いこの道路なら、

多少落ちるはず。80マイルで走れば、振り切れるかもしれません」
842 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/07/21(金) 00:23:00.63 ID:Oa+Q1NzZo

車を80マイルで走らせるが……。


川内「追っ手を振り切れないね」

運転手「それどころか、距離を詰めてきてるっす!

あいつら100マイルくらい出てるっすよ?」

青葉「時速100マイル(約160km/h)で走るハンヴィーって、

なんなんですか!? 多分、改造してますね!」


みるみるハンヴィーが追いつき、セダンを左右、後ろから包囲した。

すると、ハンヴィーの屋根にある遠隔操作の機関銃が

ウイーーンと動き、セダンに狙いをつける。


青葉「ひぃいいい!!!」

女性「どうしたんスか!」

川内「伏せて!!!」


機関銃が一斉に火を噴き、セダンに銃弾を雨あられと撃ち込んできた。


青葉「ぎゃあああああああ!!!」
843 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/07/21(金) 00:24:58.74 ID:Oa+Q1NzZo

防弾ガラスに穴が開き、破片が三人の頭に降り注ぐ。が……。


青葉(……至近距離の機関銃弾がドアを貫通しないとは……。

どんな装甲ですか、この車! やんごとなきVIPは、

どんだけ修羅の国に住んでたんでしょうか……?)


銃撃が止むと、青葉の反撃。


青葉「索敵も砲撃も雷撃も、ブルーにお任せ!」タパパパパ


窓から短機関銃を撃つが、ハンヴィーの窓ガラスも車体も貫通しない。

何事もなかったように、屋根の機関銃で反撃してきた。


青葉「くぅっ!」


青葉は慌ててドアに隠れる。


青葉(20.3cm連装砲なら、あんなの一発なのに……)


青葉と川内はアメリカに砲弾を持ち込めず、

せっかくの連装砲も宝の持ち腐れであった。
844 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/07/21(金) 00:26:56.76 ID:Oa+Q1NzZo

青葉(P90の弾が切れた……他の銃は……)ゴソゴソ


トランクを漁る青葉。


青葉「SIG P210! しかもスイス建国700周年記念モデル!

マ・クベ専用グフみたいなカラーリングと装飾!」


また窓から反撃する青葉。


青葉「来るなら来い!!!」パンパンパンパン


拳銃弾が通用するはずもなく、反撃を受ける。


青葉「反撃来たーー!!!」

青葉(また弾切れ……他の銃は……)ゴソゴソ

青葉「M712! モーゼル・シュネルフォイヤー! 

かーーっくいーー! って、また拳銃ですか!」


またまた窓から反撃する青葉。


青葉「とぉぉ↑おう↓!!!」タパパパパ


ハンヴィーのタイヤに当たるが、スピードが落ちない。


青葉「あっちもランフラットタイヤですか!」


反撃してくるハンヴィー。


青葉「ひぇえええ!!!」


舐めまわすような機関銃の掃射で、キャデラックのピラーが全部折れ、屋根がズルリと落ちた。


青葉「屋根が無くなって車内が丸出し……もうだめだぁ……おしまいだぁ……」
845 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/07/21(金) 00:31:57.82 ID:Oa+Q1NzZo

ズドンズドン


青葉「え?」


後ろのハンヴィーの機関銃が吹き飛ぶ。

同時にボンネットに大穴が開き、火を噴いた。

エンジンが止まり、遠ざかるハンヴィー。

青葉が横を見ると、川内が対戦車ライフルを持っている。


川内「……」ズドンズドン


対戦車ライフルが火を噴き、左右のハンヴィーの機関銃を吹き飛ばした。


運転手「ソビエト連邦製対戦車ライフル『シモノフPTRS1941』。

全長122cm。重量21kg。装弾数5発。もはや人類ではなく戦車相手の銃っす」

運転手「弾は14.5mm徹甲焼夷弾……」ニヤリ

川内「弾芯は?」

運転手「タングステンカーバイド製。全長38.7mm」

川内「発射薬は?」

運転手「無煙火薬28.8?」

川内「弾頭は?」

運転手「焼夷剤1.8gの焼夷弾でございまっス」

川内「パーフェクトだよ……運転手ちゃん……」 ニタァ

運転手「感謝の極みっス!」 ヒュパッ

青葉「」
846 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/07/21(金) 00:43:32.64 ID:Oa+Q1NzZo

機関銃をやられたハンヴィーが窓を開けて、中から銃撃しようとするが……。


川内「させないよ」ズドンズドン


エンジンを打ち抜かれたハンヴィーは減速していく。

最後のあがきで、車内から手榴弾を投げてきた。


運転手(ヤバイっす!!! 手榴弾がこっちに来たっす!!!

ハッ!? そういえば張の兄貴が言ってたっす!

『こうゆうのはな、ビビったら負けだ』って!)


フワーーっと飛んでくる手榴弾を……。


運転手「三合会は!」パシッ

運転手「超サイコーー!!!」ポイッ


受け止めて、ハンヴィーに投げ返した。

ハンヴィーが急ブレーキをかけるが、間に合わず間近で爆発。

道路からはみ出し、サボテンに突っ込んで停車した。


青葉「はぁ……なんとか追っ手を撃退しましたね。正直、ダメかと思いました……。

しかし、対戦車ライフルなんて持っていたとは……」

運転手「ギターケースに入れてたっす。こんなこともあろうかと!」

青葉「まさに命拾いですね。こんな時だと、ルートビアさえ美味しく……は感じないですね……」ゴクゴク


青葉の横では、川内が対戦車ライフルをかかえたまま眠っている。


青葉「よくもまあ、こんな時に眠れるものですね」


上を見ると、広がる大空。


青葉「ゴキゲンなオープンカーでドライブ……と思えば悪くないかも……」ゴクゴク


- 続く -
847 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/21(金) 04:35:07.40 ID:0NKlxOovo
ハンヴィーってことは標準装備でもM2重機関銃じゃねえか
生身が食らうと胴体真っ二つレベル
これ抜けないってVIPカーマジやべえ
848 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/21(金) 10:41:10.55 ID:0Ca6olAt0
更新乙でございます
アメリカ大統領が乗ってたキャデラックなんだろ
あれならRPGくらっても、対戦車地雷踏んでも中の人は平気
オバマが広島訪問の時に乗ってたあれ
849 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/21(金) 18:31:38.90 ID:0NKlxOovo
モデルは大統領専用車だとは思ったがあれ8トンもあるらしいな
追加装甲は言わずもがな防弾ガラスも厚すぎて採光不良で車内照明付いてるとか
そういや新区分免許だと普通自動車3.5トンになったそうでこれからの若人はハマーとか乗れなくなるんやな
850 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/29(土) 21:10:48.33 ID:a6g37nOR0
さすやんマジさすやんですわ
851 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/07/30(日) 13:47:09.12 ID:3veH8FE5o

運転手「ラジオでも聞くっスか」ポチッ


Magical Sound Shower (Outrun) - S.S.T. BAND
https://www.youtube.com/watch?v=mxtBS2CEhv4


運転手「〜〜♪」


チラリと助手席を見る青葉。


青葉「……そのゴルフバッグにも銃が?」

運転手「そっすよ!」


青葉がゴルフバッグを開けると……。


青葉「FN MAGにラインメタルMG3……。機関銃じゃないですか!

ガチの! もっと早く出してくださいよ!」

運転手「てへっ☆ でも、もう使うこともないんじゃないっすか?」


その時……。


川内「ハンドル左!!!」ガバッ

運転手「?!」グイッ


ハンドルを左に切ると、ヒュッと真横を何ががよぎる。

そして車の前方で大爆発が起こった。


川内「……ミサイルだね」

青葉「」

運転手「」
852 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/07/30(日) 13:50:37.13 ID:3veH8FE5o

後ろを向く青葉。


青葉(わずかに対空電探に感あり……これは……?!)

川内「まさか……攻撃ヘリ!?」

青葉「さっきのはヘルファイアミサイル?」

川内「ヘリは2機いるね」

運転手「よかったっす。機関銃が無駄にならなくって!」

青葉「よくないッ!!! あ〜〜もう!」ガサガサ


青葉がFN MAGを手に取る。


青葉「ヘルファイアミサイルの最大射程は8km。機関銃は多く見ても、せいぜい2km。

ヘリを機関銃で撃ち落とす前に、アウトレンジでイチコロですよ!」

川内「相手に近づかせればいい」

青葉「どうやって?」

川内「こうすんの」ズドン


川内が対戦車ライフルを撃つと、はるか向こうで爆発が起きた。


川内「飛んでくるミサイルを全部撃ち落とす」

青葉「」

川内「いつも艦載機撃ち落としてるし。同じだよ」

青葉「……対空は苦手なんです……」

川内「頑張れ」

青葉「ミサイルは音速超えてて、直径20cmもないんですよ!」

川内「頑張れ」

青葉「チクショーー!!!」ズガガガガガ
853 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/07/30(日) 13:53:47.51 ID:3veH8FE5o

青葉は必死に機関銃を撃つが、当たらない。


川内「イヤーッ!!!」ズドン

青葉「」ビクッ


車の近くで大爆発。


川内「無駄弾よくない。もっと引き付けて。いいね?」

青葉「アッハイ」

川内「……」ズドン……ズドン


川内がミサイル2発を撃墜した。


青葉(狙撃銃よりも精度が低い対戦車ライフルで、よくもまあ、あんなにポンポンと……)

川内「弾切れ。ラインメタル貸して」


次々とミサイルを撃ち落とす川内。

たまに撃ち落とす青葉。


青葉「これで16発目……。アパッチなら基本、1機あたりミサイル8発、2機なら16発。

なんとかミサイルをしのぎきったんじゃないでしょうか……」

川内「……」

青葉(対空電探に感あり……ん……?)

青葉「これは!!!」


2機のアパッチがヘルファイアミサイル16発一斉発射。飽和攻撃を仕掛けてきた。


- 続く -
854 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/30(日) 14:42:05.85 ID:Z73aGE+9o
お疲れ様です。
855 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/30(日) 19:35:56.63 ID:sjrYHQx20
更新お疲れ様です

国内でこんだけヒャッハーできるってすげえ
軍そのものが動いてるのねー(白目)
アパッチでだめならサンダーボルトの出番だな
856 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/04(金) 13:32:02.27 ID:rL+1COZK0
よく考えたらヘリよりよほど小さくて下手すりゃそれより速い機体を撃ち落としたりしてんだよな艦娘って
857 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/08/13(日) 00:08:58.40 ID:FUUCLPMoo

青葉(一発二発撃ち落としてる間に他のミサイルが着弾ッ! 全然間に合わないッ!

死ぬ! 間違いなく! もっとガサの写真を撮りたかった〜〜〜〜!)

川内「ブルーッ!!!」

青葉「はいっ?!」ビクッ

川内「艤装展開! 出力最大!」

青葉「へ?」

川内「死にたいの? 早くッ!!!」


青葉が艤装を展開。最大出力で機関を始動する。

またたくまにボイラーが赤熱し、煙突から黒煙が吹き出した。


青葉(なるほど! 煙幕ですか!)

川内「出力そのまま艤装連結解除!」

青葉「出力そのまま艤装連結解除?」ガチン


機関が動作したまま、艤装との連結が解除される。


川内「妖精さん総員退艦!」

青葉「妖精さん総員退艦?」


妖精が艤装からわらわら出てきた。

全員退艦すると……。


川内「そぉおおおおい!!!」ブンッ

青葉「」


川内が青葉の艤装を空高く放り上げた。
858 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/08/13(日) 00:12:35.42 ID:FUUCLPMoo

川内「……」ズガガガガガ


ボイラー内が超高圧の艤装は、妖精さんのダメコンもないため、川内の銃撃であっさり大爆発。

爆煙が車を包み、金属片を盛大にまき散らす。

すると、ほとんどのヘルファイアミサイルは見当違いの方向に向きを変え、道路に着弾した。


川内「……」ズガガガガガ


川内は車に向かってきた残り3発のミサイルを難なく撃ち落とす。


青葉(ヘルファイアミサイルはレーザー誘導、もしくはミリ波レーダーシーカー。

だから、煙でレーザーが遮られたり、金属片でレーダーが狂うと、標的に飛ばなくなるんですね。

飛行機でいうところのチャフってやつですか……。

赤外線誘導の場合も、艤装の破片が熱源となってデコイになる……。しかし……)

青葉「ブルーの……ブルーのお気に入りの艤装が……」ウルウル

川内「ブルー!」

青葉「え? まだ一発残ってる?」


ロケットモーターの動作不良か、ミサイルが一発遅れて飛んできた。

速度が遅くフラフラしている。


川内「……」ズガガッ

青葉「……」ズガガガガッ


ミサイルが変則的に動くので、機銃が当たらない。
859 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/08/13(日) 00:15:05.26 ID:FUUCLPMoo

川内「弾切れ」

青葉「こちらも!」


目前のミサイル。


青葉「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ーーーー!!!」

川内「Wasshoi!!!」ガシッ


川内が気合一発、信管に触れずにミサイルを受け止めた。

腕の中で荒ぶるミサイル。


青葉(ザブングル? ハトヤホテル?)

川内「よーしよしよしよし」グググググッ

青葉(結局ムツゴロウ!)ガビーン


川内が動物のようにミサイルを抱きしめる。

推進剤が切れたミサイルは、観念したかのように動きを止めた。


川内「……」ドサッ


ミサイルを運転席と助手席の隙間に立てかける。


青葉「……」

運転手「……」

川内「……」

青葉「はぁ〜〜〜〜。生きているのが不思議です……。だいたい、なんなんですか!

あのアパッチ! 一発数万ドルのミサイルを惜しげもなく! 高価なミサイルと、

安価なロケット弾のハイ・ロー・ミックスがアパッチの標準装備ですよ!

それがミサイルガン積みとか! 石油王か! 成金か! 米帝か!」

川内「……」

青葉「ハァハァ……でもこれでイーブンに近づきましたね。互いに機関銃の撃ち合いです!

撃ち合いなら負けません! 運転手さん! 次の得物をお願いします!」

運転手「もう無いっス」

青葉「はい?」

運転手「だから、もう無いっス。弾も無いッス」

青葉「はいぃいいいいい?!?!」
860 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/08/13(日) 00:17:52.54 ID:FUUCLPMoo

青葉が力なく座席に身を沈めた。


青葉「終わった……終わりました……30oチェーンガンでミンチですよ……」ドサリ

川内「死中に活あり。諦めるにはまだ早い」ニヤリ

青葉「?」


一方、アパッチのコクピット。


パイロット「なんてことだ! ヘルファイアミサイルが撃ち落とされたぞ!」

ガンナー「どうする?」

パイロット「不気味な奴らだ。チェーンガンの射程ギリギリで攻撃。様子を見よう」

ガンナー「ん?」

パイロット「どうした?」

ガンナー「あいつら、こっちに真っすぐ向かって来た!」

パイロット「イカレてやがる! やっちまえ!」


二機のアパッチがチェーンガンを打ち始めた。


青葉「めっちゃ撃ってきましたよ!」

川内「右! 左! 右! 左! ブレーキ! アクセル!」


川内の指示で車を操作する運転手。

ひらりひらりと弾をかわし、アパッチに向けて疾走するキャデラック。


ガンナー「馬鹿げてる! なんで当たらないんだ!」


ガンナーがモニタを見ながら絶叫した。
861 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/08/13(日) 00:22:09.58 ID:FUUCLPMoo

青葉「どうやって弾をかわしてるんですか!?」

川内「銃口を見れば射線が分かる。射線上にいなければ当たらない。

当たらなければ、どうということはない」

青葉(……ニュータイプかな?)

川内「さあ、ヘリが見えてきたよ」

運転手「見える、見えるっス! 自分にもヘリが見えるッス!」

青葉「」


ヘリの近くまで来ると着弾までの時間が短くなり、かわすことが厳しくなる。


青葉「至近弾多数! かわしきれない!」

川内「イィーーーーヤァアアアアア!!!」ブンッ


川内がヘルファイアミサイルをアパッチに投げつけた。


ガンナー「クソッ!」ズガガガ


チェーンガンで撃たれたミサイルが爆発。


ガンナー「!?」


爆発の閃光でガンナーのモニターが白一色になり、照準がつけられない。


川内「今だよ! もっと近づいて!」


運転手がアクセルを踏む。しかし……。


ベコンッ!


キャデラックのボンネットに大穴が開く。

ミサイルの爆煙で川内から銃口が見えなくなり、ガンナーが闇雲に撃ったチェーンガンをかわし損ねた。


青葉「あと少しなのに!」


エンジンが破損し、キャデラックの速度がガクンと落ちた。


運転手(キャディ!!! お前に魂があるのなら……やんごとなきVIPの車なら……応えろッス!!!)グンッ


生き残っているシリンダーが咆哮をあげ、最期の力でキャデラックを加速させる。


青葉「アパッチの真下につけた!」


すると川内がニヤリと笑い、ウェブシューターを放った。
862 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/08/13(日) 00:25:09.27 ID:FUUCLPMoo

一方、アパッチのコクピット。


ガンナー「目標が下を通り抜けたぞ! 旋回してくれ!」

パイロット「」

ガンナー「どうした? おい!」

パイロット「ああ! 窓に! 窓に!」

ガンナー「?!」


ガンナーが窓を見ると、そこには死体メイク&コスプレの川内。


ガンナー「」

川内「……」ガスッ! ガスッ!


川内がキャノピーを殴りつける。ヘリが激しく揺れるが、ひびさえ入らない。

すると、キャデラックから持ってきた車の窓を割るハンマーを取り出した。


川内「……」ガンッ! ガンッ!


割れない。


ガンナー「振り落とせ!」


川内は振り落とされないよう、つかまるものを探す。


川内「見ぃつけた……」ニタァ


機外のキャノピーの開閉レバーを力任せにひねると……。


川内「Here's Johnny!!!」ギィイイイ……


ガンナー側のキャノピーが開いた。
863 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/08/13(日) 00:30:11.54 ID:FUUCLPMoo

ガンナー「ヒッ! ヒィイイイ!」スチャッ


ガンナーが拳銃を取り出すが、川内が手をつかみ、奪う。


川内「死にたくなければ、ホバリングしてて」スチャッ

パイロット「くっ……」


川内がガンナーのヘルメットを鷲掴みする。


川内「あたし知ってるんだ。ヘルメットとチェーンガンって連動してるんでしょ」グワシッ

ガンナー「それがどうした……」

川内「戦友を死なせたくなければ、うまいとこに当てて」グググ

ガンナー「なにをする気だ!」

川内「ダイ……ヤボォオオオオ……」ギリギリギリ

ガンナー「や、やめろ!!!」


川内は強引にガンナーの視線を、もう一機のアパッチに向けさせた。

もう一機のアパッチのコクピットでは……。


パイロット「あっちの様子がおかしい」

ガンナー「なんてこった! 射撃管制レーダーが当たってるぞ!」ピーピーピーピー

パイロット「撃ってきやがった! エンジン出力低下! くそったれ!」ピーピーピーピー


エンジンに被弾したアパッチは、ゆるゆると降下し、グシャっと軟着陸した。


川内「やるじゃん」ガスッ


川内がガンナーを気絶させる。


川内「命が惜しかったら着陸して。ああ、そうそう。墜落させてもあたしは死なないから、

無駄なことはしないで」

パイロット「」


川内は地上に降りた後、パイロット、ガンナーを降ろし、縄で縛り上げる。


川内「……」パンパンパン


コクピットのモニター、計器を拳銃で撃ち、飛行不能にすると、青葉と合流した。
864 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/08/13(日) 00:32:59.72 ID:FUUCLPMoo

青葉「アパッチを撃ち落としたのはいいんですが……車が動きません……。

このままだと荒野で野垂れ死にですよ……」

運転手「落ち込んでも仕方ないッス! 冷えたルートビアでも飲むっす!

チョコやキャンディーとか菓子も有るっスよ!」

青葉「……逆にのどが渇きそう……おや?」


妖精さんたちが、菓子をじーーーっと見ている。


青葉「お菓子って、まだありますか?」

運転手「どっさり有るっすよ?」

青葉「下さい! それ下さい!」

運転手「いいっすよ!」


青葉がお菓子を妖精さんに配ると……。


妖精「……」グッ

運転手「エンジンもタイヤも直ったッス……」

青葉「ナンバープレートも変わりましたね……」

運転手「ガスも満タンに……」

川内「車の色もピンクになったね……」

青葉(ピンクのキャデラックって、エルビス・プレスリーですかね……)

青葉「ま、まあ……では行きますか!」


三人はピンクのキャデラックを走らせ、街に戻っていった。
865 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/08/13(日) 00:37:28.33 ID:FUUCLPMoo

一方、オベロン社の軍事研究施設の警備室。


警備隊長「アパッチがやられただと! 残りのオートバイ・ボットとハンヴィーを出せ!」


そこに……。


社長「何ごとだ!?」


オベロン社の社長が、第一秘書とともに部屋に入ってきた。


警備隊長「侵入者です!」

社長「何を盗られた?」

警備隊長「何も盗られていません」

社長「どういうことだ?」

警備隊長「重要区画、最重要区画に侵入の形跡なし。施設内ネットワーク、サーバへのアクセスの形跡もなし」

社長「警備妖精はなんと言っている?」

警備隊長「警備妖精も同様の見解です」

社長「ならばもういい! 警察にまかせろ! これ以上金の無駄は許さん! 大損だ! まったく!」


ということで、それ以上の追跡は無くなった。
866 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/08/13(日) 00:42:01.72 ID:FUUCLPMoo

そしてXXXX鎮守府の指令室。


青葉「……ということだったんですよ!」

提督「それで、そのピューリッツァー賞もののスクープとやらは、結局、何なんだ?」

青葉「では、青葉が命がけで掴んだスクープ映像を御覧下さい!」


青葉が部屋の照明を落とし、スクリーンに映像を映す。


提督「こいつは……」


映像では、ベッドの上で男性と女性が夜戦をしている。


提督「青葉、説明してくれ」

青葉「これはオベロン社の社長が秘書と不倫している決定的な映像ですッ!!!

あ、秘書といっても嫁さんじゃないですよ。別の秘書です!

不倫なんて、まったく許せません!!!」

川内「……」コクコク


青葉と川内は軍事研究施設の重要区画ではなく、ゲストハウスを盗撮したのであった。


日向「運転手の雇い主は、たぶん社長の奥方だろう。

まあ……げに恐ろしきは、女の嫉妬というわけだな……」


提督がニヤリと笑った。


提督「青葉が苦労したのは認める。これが世界的なスクープだということも。

だが、俺が知りたかったことじゃあない。これだと費用の決済印は押せんな。

となると、費用全額、青葉の持ち出しになるが」

青葉「ちょ、ちょっと待って下さい! 調べましたから! 嫁さんのことも調べましたから!」アセアセ

提督「話してくれ」


- 続く -
867 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage]:2017/08/13(日) 03:20:19.09 ID:FUUCLPMoo
>>866
投稿しなおします。 ちょっと修正……。
868 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage saga]:2017/08/13(日) 03:23:47.94 ID:FUUCLPMoo

そしてXXXX鎮守府の指令室。


青葉「……ということだったんですよ!」

提督「それで、そのピューリッツァー賞もののスクープとやらは、結局、何なんだ?」

青葉「では、青葉が命がけで掴んだスクープ映像を御覧下さい!」


青葉が部屋の照明を落とし、スクリーンに映像を映す。


提督「こいつは……」


映像では、ベッドの上で男性と女性が夜戦をしている。


日向「」

鳥海「」

鳥海(真面目に説明を聞いて……すごく損した気分です……)

提督「青葉、説明してくれ」

青葉「これはオベロン社の社長が秘書と不倫している決定的な映像ですッ!!!

あ、秘書といっても嫁さんじゃないですよ。別の秘書です!

不倫なんて、まったく許せません!!!」

川内「……」コクコク


青葉と川内は軍事研究施設の重要区画ではなく、ゲストハウスを盗撮したのであった。


日向「運転手の雇い主は、大方社長の奥方だろう。

まあ……げに恐ろしきは、女の嫉妬というわけだな……」


提督がニヤリと笑った。


提督「青葉が苦労したのは認める。これが世界的なスクープだということも。

だが、俺が知りたかったことじゃない。これだと費用の決済印は押せんな。

となると、費用全額、青葉の持ち出しになるが」

青葉「ちょ、ちょっと待って下さい! 調べましたから! 嫁さんのことも調べましたから!」アセアセ

提督「話してくれ」


- 続く -
869 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/13(日) 11:48:59.07 ID:pGPCXHXY0
>>1はおっさんに違いない
870 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/08/18(金) 04:25:00.95 ID:NAiR2xCCo

スクリーンに、パッと報告書が映る。


青葉「嫁さんの経歴です。XXXX年、アメリカの小さな漁村で生まれました。

現在、両親は既に他界。深海棲艦の攻撃により、両親の資料は消失。親類、知り合いも行方不明」

提督「……」

青葉「XXXX年、地元の高校卒業後、G.I.社(ゼネラル・インダストリー社)の造船部門に事務員として入社。

同部門に、現オベロン社の社長が技術者として在籍していました」

日向「……」

青葉「XXXX年、幼馴染の赤毛提督と再会、結婚」

鳥海「……」

青葉「XXXX年、当時、G.I.社の技術者だったオベロン社の社長が艦娘を開発。

その後、独立。投資ファンドから資金を得て、G.I.社の造船部門を、艦娘関連特許とともに買収。

その時、嫁さんもオベロン社に移籍。現在は、オベロン社の社長秘書の一人となっています」

提督「……」

青葉「なおG.I.社の造船部門売却は、経済史史上最大の失敗として今なお語られています」


パッと部屋の照明が付いた。


青葉「経歴は以上です」

提督「これだけ見ると普通だな。怪しいところは?」

青葉「彼女の幼馴染を探し出して、会ってきました。そこで妙なことに……」

提督「妙?」

青葉「はい。それは……」
871 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/08/18(金) 04:31:03.14 ID:NAiR2xCCo

ここはアメリカの山の中。湖畔のほとりに山荘がある。


青葉「運転手さんが探偵を使って、嫁さんの幼馴染を探し出してくれたのは良かったんですが、

まさか、こんなところに住んでいるとは……」


青葉の交換条件とは、運転手の雇っている探偵に嫁の過去を調査させることだった。

しかし嫁が通った学校は、資料も含め全て壊滅。町役場も消滅。

かろうじて、生き残りの幼馴染の住所が判明。

青葉と川内は、彼らから事情を聞くことにした。

青葉が山荘のドアをノックすると……。


女「あら……どなたかしら?」


身奇麗な金髪の美女が現れた。


青葉「恐縮です! 怪しいものではありません。新聞記者です。

嫁さんのことについて教えてください!」

女「あら? 嫁さん? どなただったかしら?」


川内が写真を見せる。


女「……ああ、思い出した。嫁さんね」

青葉「昔、赤毛提督と一緒に遊んでいたそうですが」

女「赤毛提督! 彼のことはとても良く覚えているわ! いつも私と彼と弟と三人で一緒に遊んでいたの」

青葉「嫁さんとは?」

女「ごめんなさい。よく覚えていないの。彼女とも遊んだような気もするけど……」

青葉「そうですか……当時の写真とかありますか?」

女「失くしてしまったわ。とても残念だけど……」
872 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/08/18(金) 04:33:55.23 ID:NAiR2xCCo

そこに奥から声が。


弟「姉上、誰ですか?」


金髪の美青年が出てきた。


女「彼女は新聞記者よ。弟、子供のころの写真って持ってる?」

弟「忘れたのですか? 姉上がご自身で焼いてしまったことを」

女「そのようなことをするはずがありません。私たち三人の大事な思い出ですよ?」

弟「だから私も止めたのです! 姉上!」

女「そんな……」

青葉(どちらも嘘を付いてるようには見えませんね……)


言い合いを続ける二人。


青葉(……退散しますか……)


その後、嫁の幼馴染を何人も訪ねるが、答えは決まって、

「居たことは居たが、はっきりとは思い出せない」

「当時の写真や画像データは失くしてしまった」

だった。
873 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/08/18(金) 04:39:26.09 ID:NAiR2xCCo

そして、アメリカのスラム街。


青葉「これで最後ですね……」


ぼろいアパートのドアをノックすると……。


男「……あんた誰だ?」


ボサボサの髪で、ヨレヨレの身なりの中年男性が出てきた。

目はうつろで、顔色も悪い。体が細かく震えている。


青葉「恐縮です! 嫁さんのことについて教えてください!」

男「あぁ? 嫁? だれだっけ?」


川内が写真を見せる。


男「……ああ、こいつか。俺はこいつの秘密を知ってるぜ?」ニタァ

青葉「!」

男「……だがタダじゃ教えられねぇ……酒と金をよこせ」


川内が露骨に不満な顔をした。


青葉「……まぁまぁ。わかりましたよ。酒ですね」

男「早く持って来い! ブランデーだ! ブランデーがいい!」


青葉が安物のブランデーを買ってきて、男に渡す。


青葉「これで」スッ


酒と一緒に100ドル札を一枚。


男「気が利くじゃねぇあ!」バッ


男がサッと酒と金を取る。


男「……」ゴクゴク
874 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/08/18(金) 04:45:44.02 ID:NAiR2xCCo

男は酒をボトル半分ほど飲むと、顔が赤くなり、フラフラしだした。


青葉「それで秘密とはなんですか?」

男「くぁwせdrftgyふじこlp;……」


ろれつも回らなくなり、ベッドに倒れこむ。


川内「……」

青葉「……無駄足でしたね」

男「無駄足を踏ませて、申し訳なかった」

青葉「!?」


ふとみると、男がまっすぐ立っている。

体も震えておらず、顔の生気も戻っていた。


男「私が……本当の私だ。深海棲艦に襲われた時の恐怖から逃れるため、

別の人格、ろくでなしの『彼』を作り出した。酒に酔ってるときだけ、本当の自分に戻る。

二重人格だと思ってくれればいい」

青葉「は、はい……」

川内「それで秘密って?」

男「それは『彼』の嘘だ。酒と金欲しさのでまかせ。秘密なんて知らない。すまない」

青葉「そうですか……」

男「というより、嫁さん自体知らない」

青葉「へ?」

男「私が子供時代、彼女は居なかった。当然、知らない」

川内「……」

男「逆に不思議なんだ。なぜ『彼』が彼女を知っているか?

ある日突然、『彼』の過去の記憶に彼女が現れたようなんだ」

青葉「……」

男「そして、誰かに操られるように、過去の写真や動画を消し始めた」

川内「……」

男「だから彼女の秘密は知らない。役に立てなくて申し訳ない」

青葉「いえ……ありがとうございました」
875 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/08/18(金) 04:50:18.75 ID:NAiR2xCCo

話を聞いた日向が、腕を組む。


日向「ふむ……嫁さんのことを覚えてはいるが、まともに覚えているのは誰も居ない……。妙な話だ」

鳥海「……本当は存在しなかった彼女を、居たように思い込まされているだけかも」

提督「大勢の記憶を改ざんし、かつ過去の記録を消すよう仕向ける。信じられんね。

まるでSFだ。だが、深海棲艦の存在も似たようなものだ。あながち、無いとも言い切れん」


提督が青葉に顔を向けた。


提督「他には?」

青葉「嫁さんのカルテを調べました」

提督「どうだった?」

青葉「結果、不審な点はなし。ただし……担当医は遺伝子工学の権威。

今はオベロン社の軍事研究施設に勤務しています」

提督「不妊治療の開始時期は? 艦娘誕生の前か後か?」

青葉「……誕生の前です」

提督「そうか」


提督が腕を組む。


提督「青葉、嫁さんに深海棲艦の艦種特定アプリを使ったか?」

青葉「はい。結果はシロ。深海棲艦に該当せず、でした」

提督「……アプリの開発はどこだ?」

青葉「……オベロン社です」

提督「他には?」

青葉「以上です」

提督「わかった。ありがとう。さすが俺の青葉だ。費用の決済はしておこう」ニヤリ

青葉「ありがとうございます!」パァアア

提督「それと不倫の件は口外しないでくれ。交渉のカードに使える」

青葉「わかりました」

日向「嫁さんが戦艦棲姫である可能性は高いが、決定的な証拠は無し……というところですね」

提督「そんなところだな」

鳥海「青葉さんでも調べきれないとなると、難しいですね」

提督「次があるさ。一回デートに誘って、断られるようなもんだ。相手がYesと言うまで、何回でも誘えばいい」ニヤリ

日向(前向きなのはいいが、例えがな……)


- 続く -
876 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/18(金) 09:19:14.38 ID:43qlSqmgo
乙です
877 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/18(金) 09:38:51.46 ID:HPG9zCCX0
皆川漫画好きそう
更新乙でございます
878 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/18(金) 13:41:56.01 ID:Iw2IIQMD0
879 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/18(金) 16:25:01.07 ID:OrJ+Bh9Do
更新乙
ここまで読んであれだけど人類側が調査暗躍どうこうより
姫様たちメインの話をもっと読みたいかなって思ったりする
880 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/08/21(月) 02:48:10.10 ID:XT7g+6vLo

ある日の夕方。横須賀のとある公園。ベンチに男と女が座っている。

男はブラウンのシャツにベージュのズボン。

女は薄手の白いブラウスに黒のロングキュロット。

胸元がばっくり開いている。


戦艦水鬼「提督よ、ありがとう。動物園はわるくなかった」

提督「それはなによりだ」


提督は、鎮守府にも内緒で戦艦水鬼を日本に招き、デートしていた。


戦艦水鬼「ターニャが喜んでいたからな」

提督「……」


二人のそばで、アホ毛をピコピコさせながら、ちびっ子のタ級がハトと遊んでいる。

タ級はブカブカのTシャツ、スパッツ、スニーカー。


戦艦水鬼「さて……わざわざこのムサシを日本に呼びだしたんだ。話があるんだろう?

そろそろ話してくれてもいいんじゃないか?」

提督「そうだな……」


ベンチの二人の間には、微妙に空間があった。


提督「……ムサシ、俺と一緒にならないか」

戦艦水鬼「同じことを、気軽に別の女にも言ってるんじゃないのか?

お前の武勇伝は、船上パーティで艦娘たちから散々聞かされたぞ?」

提督「否定はせんがね。俺は今まで多くの女を口説いてきた。

だが俺は一緒になってもいいと思った相手しか口説かない」

戦艦水鬼「……」

提督「ムサシの立場も理解している。俺たちの間には解決すべき問題があることもな」

戦艦水鬼「私の立場を理解して、なお口説くのか?」ニヤッ


戦艦水鬼と提督の目が合う。
881 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/08/21(月) 02:51:31.33 ID:XT7g+6vLo

提督「いい女かどうかが問題だ。立場は関係ない」ニヤッ


提督が目をそらさず言った。


戦艦水鬼「フッ、お前らしいよ」


戦艦水鬼がタ級を見る。


戦艦水鬼「確かに私にも立場があり、解決すべき問題もある……返事はしばらく待ってくれ」

提督「分かった」


そこに……。


タ級「ねぇねぇ? なにお話してるの?」スポッ


ベンチの二人の隙間に、タ級が入り込んだ。


提督「ん?」

タ級「おじさん! あのさ、おじさんはムサシ様のこと、好き?」

提督「大好きだ」

タ級「そっか! ターニャもムサシ様が大好き!」

提督「……」

タ級「同じだね! なら、おじさんとターニャはトモダチ! でしょ?」ペカーー

提督「……ああ。トモダチだ」ニコッ

戦艦水鬼「ンフフ……ふてぶてしいお前も、この子には形無しだな」

提督「トモダチになったことだし、公園の売店にアイスを買いに行かないか」

タ級「アイス!? いいの? ムサシ様も一緒に、ねっ?」

戦艦水鬼「待て、引っ張るな」
882 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/08/21(月) 02:53:26.76 ID:XT7g+6vLo

ベンチでアイスを食べる三人。

しばらくすると……。


タ級「Zzz……」

戦艦水鬼「遊び疲れて眠ってしまったな」

提督「そろそろ帰るか。車でホテルまで送ろう」ヒョイッ


提督がタ級を抱き上げる。


提督「ターニャちゃんも一緒でいい……考えておいてくれ」

戦艦水鬼「……」


提督は二人を車でホテルまで送り届けると、何もせずに鎮守府に戻った。

その後、戦艦水鬼とタ級は日本観光を楽しみ、棲地に帰ったそうな。


- 第七話 完 -
883 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/08/21(月) 03:01:54.10 ID:XT7g+6vLo

第八話 予告


旅客船姫「わたくしが……戦うときが来ました……」

――――――――――――――――――

武蔵「言い残すことは?」チャキッ

――――――――――――――――――

チ級「NewTuberなめんな!!!」

――――――――――――――――――

大和「ここまでは想定通り……」

――――――――――――――――――

駆逐棲姫「ワタシにかまうな! 進めぇええええ!!!」

――――――――――――――――――

提督「まだ……童貞なんだ」ニヤッ

――――――――――――――――――

榛名「榛名は大丈夫です!」ドスッ

――――――――――――――――――

陸戦隊長「童貞マスかき野郎共に負けるはずがない!」

――――――――――――――――――

日向「まあ……男の運命というものは、結局、女しだいというわけだな」

――――――――――――――――――


次回 第八話 「真実は見えるか」
884 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage]:2017/08/21(月) 03:06:08.61 ID:XT7g+6vLo
第八話ですが、開始までしばらくお待ちください
なお今年中には終わりませんね、これ……
885 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/21(月) 07:16:43.04 ID:0utwja2Uo
乙です。頑張ってね
886 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/21(月) 10:21:38.02 ID:DnxuOQBX0
更新乙です
ふふww
予告編もいい味だしてる
無理せずで頑張られてください
887 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/08/28(月) 03:04:04.54 ID:XweurjFoo

- 第七話 おまけ 卯月――男を磨く女 -


ある日の朝、突撃隊長が会議室に入ろうとすると……。


突撃隊長(ん……扉に紐が挟まっている? さては……)


扉をそろりと開けると、突撃隊長の目前で、たらいが落ちた。


突撃隊長「はっ! 俺をはめるには、いささか頭が足りなかったようだな!」ドヤァ


意気揚々と会議室に入ると……。


突撃隊長「ぬわっ!!!」ズルッ


バナナの皮を踏んで、派手にずっこける。


突撃隊長「誰だっ!!! バナナの皮を置いた不届き者は!!!」キョロキョロ


そこに……。


卯月「プーークスクス! 突撃隊長の恥ずかしいところ、見ちゃったぴょん!」ニヤニヤ

島風「あんなのに引っかかるなんて、隊長さん、とっろーーい!」ニヤニヤ


物陰でこっそり見ている二人。


突撃隊長「こぉらぁあああ!!!」ビキビキビキッ


顔を真っ赤にし、鬼の形相で二人に迫る。


卯月「隊長が赤鬼になったっぴょん! 逃げるっぴょ〜ん!」ピューーッ

島風「駆けっこしたいんですか? 負けませんよ?」ピューーッ
888 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/08/28(月) 03:08:24.42 ID:XweurjFoo

190cmを超える長身の突撃隊長が、巨大なストライドで鬼の加速を見せた。


突撃隊長「待てぇえええええ!!!」シュタシュタシュタ

卯月「待てと言われて、待つ奴はいないっぴょん!!!」ピューーッ

島風「隊長さん、はっやーーーーい!!!」ピューーッ


長い廊下の直線で追いつかれそうになる。


突撃隊長「キィェエエエエエ!!!」シュタシュタシュタ

卯月(もはや言葉になってないぴょん……)ピューーッ

島風「捕まりそーー!!! やっぱーーーーい!!!」ピューーッ


曲がり角に差し掛かると……。


卯月「爆雷投下!」


と言いつつ、ツルツルの床にオイルを散布。


突撃隊長「ぐわぁああああ!!!」ドガーーーン


突撃隊長は足を滑らせ、曲がり切れず壁に激突する。


卯月「ぃやったぁー! 命中だぴょん!」ピューーッ

島風「すっごーーい!」ピューーッ


突撃隊長がむくりと起き上った。


突撃隊長「き……きさまら……絶対許さんぞ!!!」ムクッ

島風「立ち上がった! すっごーーーーい!」ピューーッ

卯月「ここからが本番だぴょん!」ゾクゾク

卯月「気合い入れて逃げるっぴょーん!」ピューーッ

島風「うん!」ピューーッ
889 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/08/28(月) 03:12:48.02 ID:XweurjFoo

そして昼の大食堂。


島風「お゙ぅっ……」サスサス


頭のたんこぷをさすりながら、島風がテーブルについた。


島風(結局捕まって、ゲンコツをもらっちゃった……)ヒリヒリ


そこに卯月がやってきた。


卯月「島風、捕まったの?」

島風「隊長さん、はやかったよ……」

卯月「うーちゃん、逃げ切ったぴょん! びしっ!」

島風「すっごーーい! どうやったの?」


卯月が同じテーブルに座ろうとするが……。


卯月「!」ビクッ

島風「どうしたの?」

卯月「うーちゃん、寮まで逃げきったけど、あいつが押しかけてきて、

結局、お尻ペンペンされたぴょん……。ぷっぷくぷぅ……」ヒリヒリ


そっと椅子に座る卯月。


卯月「……あいつは直線番長だぴょん。小回りが利かないから、

コーナーが多いコースなら振り切れるっぴょん!」ニシシッ

島風「そうなんだ!」キラキラ

卯月「それで……初めてのイタズラはどうだったぴょん?」ニヤッ

島風「面白かった! あんなに本気で走ったのは深海棲艦に包囲された時以来!」キラキラ

卯月「そうだっぴょん!」ウンウン

卯月「うーちゃんも必死に逃げている時、生を実感する!」ゾクゾク

島風「わっかーーる! あんなに必死に追いかけられるとゾクゾクする!」キラキラ

卯月「いたずらをキメて逃げてる瞬間、最高にハイになるんだぴょん!」キラキラ
890 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/08/28(月) 03:17:18.86 ID:XweurjFoo

意気投合する二人。


島風「てーとくだったら、もっとドキドキするかな?」

卯月「しれーかんはイタズラに引っかからないから、つまらないっぴょん」

島風「しんぺーさんは?」

卯月「しんぺーは空気を読んで引っかかってくれそうだけど、必死には追いかけてこなそう」

島風「ふ〜ん。むずかしいね」

卯月「突撃たいちょーは、加速性、走破性、耐久性、信頼性、居住性……そして凶暴性……。

どれをとっても文句無し! まさにうーちゃんにイタズラされるために生まれてきた男だぴょん!!!」

島風「おぅっ!?」

島風(居住性……?)

卯月「あいつは、まだまだ伸びしろがあるぴょん……うーちゃんがイタズラして磨いてやれば、

もっと光る玉だぴょん! もっと面白いリアクションをするようになるぴょん!」

島風「またやるの?」

卯月「とーぜんだぴょん!」

島風「おぅっ!」キラキラ


卯月が麦茶をくぴくぴと飲む。


卯月「そんなうーちゃんが別の原石を発見したぴょん」ニヤッ

島風「だれっ?」

卯月「副参謀だぴょん。あいつは若僧だけど見どころがあるぴょん」

島風「おぅっ」

卯月「真面目で短気で熱血だから素質十分。若いから身体能力もばっちしだぴょん!」

島風「おぅっ!」キラキラ

卯月「今度、あいつの整髪剤を脱毛剤に変えてやるぴょん!」キラキラ

島風「ひっどーーーーい!」キラキラ

卯月「あいつも立派な男に磨きあげてやるぴょん!」キラキラ


その後、バナナですっころぶ突撃隊長の写メを青葉に売りとばした卯月は、

またお尻をペンペンされたそうな。


- 第七話 おまけ 完 -
891 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/28(月) 05:47:16.99 ID:SiWJklNi0
うーちゃん、脱毛剤はやめてやってくれ…
892 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/28(月) 13:26:00.55 ID:/TTzqU790
なんて無慈悲、脱毛剤だなんて
893 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/28(月) 17:15:06.48 ID:XqeE6qRfo
.彡 ⌒ ミ
(´・ω・`) また髪の話してる...
894 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/09/11(月) 00:58:42.35 ID:iyQDnrWao

第7.5話 深海の女子会


ここは、お気楽極楽の南国チンジュフ。

豪華な大会議室で、姫、鬼級の会議が開かれていた。


戦艦水鬼「アメリカ、日本が欧州救援を企てていると、情報部から報告がありました」

中枢棲姫「時期ト規模ハ?」

戦艦水鬼「8月上旬開始。9月までに欧州開放を目指すと。

規模はアメリカ、日本の戦力のほぼ3割」

中間棲姫「カナリノ規模ネ……」


作戦の時期、兵力の詳細が、プロジェクターでスクリーンに映し出された。


チ級(次は……)ポチポチ


俺がマウスを操作すると、地図が表示され、日本とアメリカから矢印がニューーっと伸び、

予想される進撃ルートが示される。


戦艦水鬼「ただし……彼らが『巣』を攻撃する気配はありません。

いつもの通り、沈まない程度に相手をして、適当なところで巣に撤退すれば問題ないでしょう」

中枢棲姫「情報の確度ハ?」

戦艦水鬼「高いです。情報部の水母棲姫様、離島棲姫様、どちらも同じ分析結果です」

中枢棲姫「ソウカ……」

戦艦水鬼「彼らは『巣』を攻撃する気がないどころか、航路を維持するつもりも、

維持できるほどの戦力もありません。やりすごした後、すぐに海域を取り返せるでしょう」

中間棲姫「アノ子タチハ……バカナノ? コノ作戦ニ、ナンノ意味ガアルノカシラ?」

戦艦水鬼「……どうやらアメリカの大統領選挙が近く、その人気取りのためです。

指導者のために、見せ掛けの勝利が必要なのです。日本もそれに付き合わされたと」

中枢棲姫「フウン……勝手ニシロトイウ感ジダナ……」


中枢棲姫が呆れた顔をした。
895 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/09/11(月) 01:01:03.01 ID:iyQDnrWao

戦艦水鬼「ただし、万が一がありますので、欧州棲姫様の『巣』の防衛にレ級軍団を送ります。

海底の巣が潜水艦に攻められたとしても撃退出来るでしょう」

欧州棲姫「ベツニ……望んで、ないけど……アリガトウ……」

中枢棲姫(カワイイ……)

中間棲姫(カワイイ……)

戦艦水鬼(カワイイ……)


戦艦水鬼は冷静に話しているが、特に意味のない作戦のため艦娘の命を危険にさらす海軍に、

内心、カム着火インフェルノだった。

そんな内心を見透かしたのか……。


中枢棲姫「水鬼。コンナ茶番、モウ止メタイノダガ?」

戦艦水鬼「……」


中枢棲姫の「止めたい」の意味は、講和ではなく、人間の無力化、もしくは殲滅である。


戦艦水鬼「我々は海から遠く離れると、力を失います。内陸に逃げ込まれたら、攻める手がありません」


艦娘登場前、人類が絶滅しなかったのはこのためだった。


戦艦水鬼(……人間同士を戦わせるやり方はいくらでもあるが……まだ、そこまで追い詰められてはいない……。

それに、それはこの戦艦水鬼のやり方ではない……)

中枢棲姫「ソウダッタナ……デハ、今回モイツモノ方法デ、ヤリスゴストシヨウ……解散……」


うつらうつらしていた飛行場姫が、ハッと目を覚ます。


飛行場姫「ムニャ……ムニャ……ダカラ……ムリナノヨッ!」ガバッ

フラヲ改「……姫様……出撃要請がアリマシタヨ……」

飛行場姫「えぁ?」

飛行場姫(聞いてなかっタ……どうしまショウ……)ダラダラ

フラヲ改「詳細は聞いてましたので、後で説明シマス……」

飛行場姫「ヲ級サ〜〜ン!!!」ダキッ

リコリス棲姫(ヒコ姉様ッテ……)タラーリ


姫、鬼たちが会議室を出て、食堂へと向かった。


中枢棲姫「評判ノ『料理』トヤラ……楽シミダ!」

旅客船姫「お口にあうかどうか……」ダラダラ
896 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/09/11(月) 01:04:41.53 ID:iyQDnrWao

数週間前、中枢棲姫の棲地で開かれた姫鬼級会議でのこと。

旅客船姫は中枢棲姫に話しかけられた。


中枢棲姫「旅客船姫。次回ノ会議、アナタノ棲地デ、ヤリタイノダガ?」

旅客船姫「はい?」

中枢棲姫「皆カラ、アナタノ『料理』ハ素晴シイ、ト聞イテイル」

旅客船姫「光栄です……が……」


通常、姫鬼級会議は有力棲地で行うのだが、

なぜかド底辺の弱小チンジュフに振ってきた。


旅客船姫(大食いの姫様、鬼様が一人でも大変なのに、あれだけの人数を相手に料理を作ったら、

体がいくつあっても足りません! それに、もし機嫌をそこねたら……本当にヤバイです……)


それらしい理由で断る旅客船姫。


旅客船姫「島というのは、攻めやすく守りにくい場所。その上、ろくな防衛戦力がないので、

会議の場所にはふさわしくないかと……」

中枢棲姫「ナニ、カマワナイ。護衛ハ、コチラデ用意スル」ニコッ

旅客船姫「それに……皆様に出す『料理』ですが、今から材料を用意するには時間が足りません……」

中枢棲姫「ソンナコトカ。大丈夫」ニコッ
897 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/09/11(月) 01:09:16.90 ID:iyQDnrWao

その数日後、中枢棲姫がチンジュフにやってきた。


中枢棲姫「下見ニキタ」


護衛で連れてきたのは、防空棲「鬼」に率いられたレ級フラッグシップ、ツ級フラッグシップの近衛部隊。

前線には出てこない本拠地防衛のエリート中のエリート。


中枢棲姫「彼女タチハ、ワタシノ虎ノ子ダ」

旅客船姫「」


島を巡りながら、中枢棲姫と防空棲鬼がなにやら話している。


中枢棲姫「ドウヤラ防衛ハ楽勝ラシイゾ」

旅客船姫「」


材料は……。


中枢棲姫「コレデタリルカ?」


次々とワ級がやってきた。

膨大な資材を島に降ろすと……。


中枢棲姫「会議ノ開催通知ハ、ワタシカラ出シテオク。デハ会議デ会オウ」ニコッ

旅客船姫「」


中枢棲姫は護衛と輸送船団とともに帰っていった。


旅客船姫(……近衛部隊と輸送船団を動員しちゃいましたよ、あの方……。

そして……逃げられなくなってしまいました……)ダラダラ


- 続く -
898 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage]:2017/09/11(月) 01:15:51.33 ID:iyQDnrWao
深海棲艦メインのSS増えてほすぃ……
899 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/11(月) 01:45:22.39 ID:d0A5KxmJ0
おっつおつ
また旅客ちゃんのストレスマッハかー
900 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/11(月) 11:16:43.73 ID:NSqIjVfi0
更新乙です
旅客ちゃん所は深海ミシュランにでも掲載されてるとかですか?ww
チ級さんはパワーポイントを使いこなしてそうだわ
毎回更新楽しみにしています
901 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage]:2017/09/18(月) 00:54:07.18 ID:QdmxwWIso
ちょっと再開
902 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/09/18(月) 00:55:20.04 ID:QdmxwWIso

翌日、旅客船姫はチンジュフの司令室で頭を抱えていた。


旅客船姫(あれだけの人数分の料理を作るには、どう考えても人手が足りません。

かといって、作り置きは味が落ちるし、第一、大量の作り置きを入れるほどの冷蔵庫もありません……)

旅客船姫「ハァ……」


紅茶をすする旅客船姫。


旅客船姫(人間の料理人を雇う? いえいえ。普通の料理人では深海棲艦向けの料理は作れません。

というか、深海棲艦向けの料理人なんているんでしょうか?)


パクッとスコーンをひとくち。


旅客船姫(……気分転換でもしましょう……)


PCのブラウザを立ち上げ、オークションサイトを見る。


旅客船姫(お! やりました! 欲しかった包丁を落札しました!)


ネットショッピングでストレスを発散する旅客船姫。

旅客船姫は魚を売ったお金で、調理器具を買うのが趣味だった。


旅客船姫(ボブ・クレーマーのハンドメイド包丁……ダマスカス模様と美しいグリップ……。

厨ニですわ……ロマンですわ……たまりませんわ……)ポワワーーン


早速だれかに自慢したくなる。


旅客船姫(このロマンを分かってくれるのは……)


間宮にメールを送る旅客船姫。

すると、たちまちボイスチャットの着信。
903 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/09/18(月) 01:02:32.84 ID:QdmxwWIso

間宮「ボブ・クレーマーと聞いて!」ティロリロリーン

旅客船姫「そうなんです! ちょっと奮発しちゃいました!」パァアア

間宮「いいですね〜。うらやましいです! わたしの給料では、とてもとても……」


調理器具談義に花が咲く。


間宮「この前、やっと大型の自動食器洗い機が導入されたんです! 超便利です!」パァアア

旅客船姫「あら〜、素敵ですわ〜」ニッコリ

旅客船姫「ところで、この前、ミソノのUX10の包丁セットも買ったんですよ」

間宮「UX10! レアアイテムじゃないですか!」

旅客船姫「あら? ミソノは日本のメーカーでは?」

間宮「スェーデン鋼が日本に入らないから、かなり前に生産中止です。使ってみたいですね」

旅客船姫「でしたら遊びに来てください。丁度、調理室も新しくしましたし、

ボブ・クレーマーもUX10も使い放題です」

間宮「本当ですか!? 何時だったらいいですかッ!!!」ガタッ


旅客船姫は間宮の食いつき具合に、ちょっと驚いた。
904 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2017/09/18(月) 01:07:21.93 ID:QdmxwWIso

旅客船姫(……そういえば、艦娘さんの料理と深海棲艦の料理って似てましたね……。

そして間宮さんは艦娘料理のエキスパート……)

旅客船姫「間宮さん、もし遊びに来るのでしたら、ちょっとご相談が……」

間宮「なんでしょう?」

旅客船姫「わたくしのホテルに艦娘さんの団体が来るのですが、料理する人手が足りなくて……」シレッ


シレッと嘘をつく旅客船姫。


間宮「……」

旅客船姫「間宮さんが遊びに来るなら、手伝って頂けないかと……。もちろん謝礼は出します」

間宮「私もふくめて艦娘は公務員扱いなので、副業はちょっと……」

間宮(ティターニアさんて、実は深海棲艦と聞いてます。深海棲艦の手伝いをするわけには……)


旅客船姫が少し考え込む。


旅客船姫「……UX10の包丁セットとか欲しくありませんか?」ニタァ

間宮「人助けなら仕方がありません! 引き受けましょう!」キリッ

旅客船姫「ありがとうございます!」パァアア


互いに後ろ暗い取引が成立したのであった。


- 続く -
905 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/18(月) 06:24:11.47 ID:/XC7zTNho
強欲は死への誘い
906 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/18(月) 12:59:55.63 ID:ck9NE0En0
間宮さんには防諜設備もあったから深海側へのスパイ行為だ!と言いはれば大本営にばれても平気だね!
更新乙です
907 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/18(月) 22:25:56.65 ID:1Zi5rNhf0
ミソノのUX10初任給で初めて自分に買った包丁なんだけど出てきてびっくり
908 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/11(水) 12:42:14.05 ID:/xop0iPsO
保守
909 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/20(月) 13:15:51.66 ID:bD1bGQy8O
保守
910 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/25(月) 19:32:36.74 ID:BgE2gZcOo
ほしゅ
911 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage]:2018/01/01(月) 19:50:57.80 ID:VpsT+oWC0
あけおめ保守
今年中には完結させたいと思う所存です。
912 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/04(木) 22:43:57.09 ID:K8qOdnc/o

会議の2日前の夕方、間宮が南海孤島チンジュフにやってきた。

旅客船姫たちが桟橋で出迎える。


旅客船姫「遠いところお越しいただき、まことにありがとうございます」

間宮「こちらこそお招きいただき、ありがとうございます」

旅客船姫「……ところで……ホーショーさんもご一緒でしたか」

鳳翔「よろしくお願いいたします」

間宮「鳳翔さんの料理の腕前はスゴイんですよ!」

旅客船姫「助かります!」パァアア


なぜ鳳翔が付いてきたかというと……。

間宮が旅客船姫に誘われた翌日。

司令室でのこと。


間宮「……ということがありまして、敵情視察のため誘いに乗ろうと思うのですが、いかがでしょうか?」

提督「情報は多いほどいい。行ってきてくれ。休暇と外出、それに出国を許可しよう」

間宮「承知いたしました!」


急に間宮が気まずそうな顔をした。


間宮「ところで……ふたつほどご相談が……」

提督「なんだ?」

間宮「ひとつは……鳳翔さんも一緒に行っていいですか?」

提督「理由は?」

間宮「あちらは調理の人手が非常に足りてないそうです。料理スキルの高い鳳翔さんが居てくれたら心強いです」

提督「……」

間宮「そして、万が一戦闘になった場合、私一人ではどうにもなりません」

提督「ならば大和はどうだ? 料理も上手だし、腕っ節も強い」

間宮「……鳳翔さんが一緒に行きたいと言ってます」

提督「理由は?」

間宮「……会いたい人がいるそうです」

提督「……」
913 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/04(木) 22:45:52.26 ID:K8qOdnc/o

提督は目を細め、あごに手をやった。


提督「……いいだろう。鳳翔も許可しよう。しばらく居酒屋鳳翔が閉店するのは残念だがな。

で、もうひとつの相談とは?」

間宮「はい……。このような場合、相手から物品を受け取っても良いのでしょうか?」

提督「ん?」

間宮「やはり断ったほうが……」

提督「ふ、ははははは! もらっとけ」

間宮「へ?」

提督「無償で協力すると言えば、かえって怪しまれる。だからもらっておけ。遠慮はいらん」

間宮「承知いたしました!」ニカッ


腕組みをしている日向がニヤッと笑った。


日向「いい笑顔だ」ニヤッ

鳥海「それにしても……リスクを犯してまで間宮さんにヘルプを求めるのはなぜでしょう?」

提督「……」

鳥海「単に人手が足りないのか……別の目的があるのか……」

日向「彼女は臆病と聞いている。そんな彼女が間宮を頼るリスクを取らざるをえないほど、

大きなリスクがある……とも考えられる」

間宮「ティターニアさんは艦娘をとても怖がってます。料理で失敗して機嫌を損ねたくないのかも」

提督「……客は艦娘ではないかもしれん」

間宮「……」

提督「ZZZZ国はアメリカの保護領で艦娘を保有していない。

そして米海軍の大規模作戦、演習が有るとも聞いていない。

艦娘の団体客というのは怪しいな」
914 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/04(木) 22:47:32.41 ID:K8qOdnc/o

提督がPCを操作し、筑摩のレポートを開いた。


提督「筑摩によると、彼女のレストランの客は若い女性が多いとある。

だがこのご時勢、海に近いレストランにわざわざ行く淑女が多いとは、とうてい思えんね」

日向「……」

提督「それにだ、あの場所は深海棲艦の支配海域に接している」

鳥海「……客は若い女性……女性……深海棲艦……」

日向「間宮を頼ってでも失敗したくない程の……」


ニヤリと笑う提督。


提督「大方、お偉いさんが来るんだろうよ」ニヤリ

間宮「……」


間宮が船上パーティの集合写真に目をやる。


間宮「お偉いさん……船上パーティに戦艦水鬼、戦艦棲姫、飛行場姫、港湾棲姫、港湾水鬼、北方棲姫が来ていました」

鳥海「そのうちの誰かの可能性が高いですね」眼鏡クイッ

提督「一番大食らいだったのは?」

間宮「……飛行場姫……リコリスさんです」

提督「リコリスさんか。彼女は空母と一緒だったな。もし彼女と空母の一団が客だったら、確かに人手が足りないかもしれん」

間宮「……なるほど……」


その後……。


間宮(空母向け料理レシピを揃えておきましょう。これとか、これとか、うふふっ♪

予想が外れて戦艦棲姫、港湾棲姫だった場合に備えて、戦艦向けレシピ……

陸上型は……陸上型?……うーん……鉄骨?……鋼材中心のレシピで……)


間宮は旅客船姫に客が誰か、あえて聞かなかった。


間宮(海軍衛星回線は全部検閲されてますから……)


ということで、間宮は鳳翔と一緒にやってきたのだった。
915 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/04(木) 22:48:48.20 ID:K8qOdnc/o

間宮と鳳翔はゲストルームに荷物を置いた後、調理場に案内された。


間宮「ピッカピカですね!」パァアアア

旅客船姫「オッホホホホ!」ニコニコ


調理場などチンジュフを一通り案内した後、旅客船姫は一段低い声で言った。


旅客船姫「……最後に逃走……ではなく避難経路です……」ドヨーン

間宮「避難経路?」

間宮(逃走?!)

旅客船姫「……火事とか……爆発とか……爆撃とか……砲撃とか……の場合です……」ドヨヨヨーーン

間宮「は、はい……」

間宮(爆発?! 爆撃?! 砲撃!?)


裏手の桟橋に行くと、ボロい大きめのボートがある。


旅客船姫「……災害発生時、このボートで避難します。見かけは頼りないですが、

パワー・ボート用エンジンが3基。最高速度は90ノットでます……」

間宮「」

間宮(……どこかの国の不審船かしら……。

しかし……90ノットで何から避難するんでしょうか……?)
916 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/04(木) 22:52:21.63 ID:K8qOdnc/o

翌朝、三人は調理場で打ち合わせを始めた。


旅客船姫「メニューは決めてあります。材料も揃えてありますので、今日、明日の段取りを……」

間宮「その前に!」

旅客船姫「はい」

間宮「お客さんは誰ですか?」

旅客船姫「えーーーっと、そのーーー、あのーーー、艦娘さんの団体としか聞いてなくて……」ダラダラ

間宮「……ずばり深海棲艦ではありませんか?」

旅客船姫「」

旅客船姫「……そんな……いやですわ。まさか、そんなわけないですわ。オッホホホ!」キョドキョド


挙動不審な旅客船姫の手を、鳳翔がそっと握った。


鳳翔「大丈夫ですよ。信じてください」ニッコリ

旅客船姫「」


騙したことを謝罪する旅客船姫。


旅客船姫「間宮さん、鳳翔さん、本当に申し訳ございません……」

間宮「お気になさらず。ティターニアさん、事情を話してくれませんか」

旅客船姫「おっしゃるとおり、お客様は深海棲艦です。ただ人手が足りないというのは本当です」

間宮「……ずばり、リコリスさんが来るのでは?」

旅客船姫「……リコリス様もいらっしゃいます……」

間宮(「も」?)


開き直った旅客船姫は、来客リストを見せた。


旅客船姫「来客リストです」ペラッ

間宮「」

鳳翔「」

間宮(……人間で言ったらG7サミットの晩餐会ですね……。

正直逃げ出したい……なんとなく90ノットの意味が分かりました……)


- 続く -
917 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/05(金) 01:51:20.52 ID:s74RjO2r0
おつ
今年も相変わらず、旅客ちゃんは可愛いなあ
918 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/05(金) 10:41:11.91 ID:GakJeS+s0
更新お疲れ様です
こんな素晴らしい料理を作った料理人に直接感謝を伝えたい!とか言って調理場に入ってきたら修羅場ですね
続き、ゆっくりお待ちしてます
919 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/07(日) 06:07:26.87 ID:R3Ub0AHeo

間宮(しかしこれはチャンス? 私の腕が、はたして深海棲艦に通用するのか……?)

間宮「……主賓は?」

旅客船姫「中枢棲姫様です」

間宮(でしょうね……)

間宮「メニューを見せて下さい」


旅客船姫がメニューを見せる。


間宮(品数を絞ってますが……さすがタイタニック……洗練された伝統的なフランス料理……。

地元の季節の素材と……資材をミックス……美味しそうですね……ヨダレが出そう……でも……)


間宮「品数が少ないのは?」

旅客船姫「お客様はもれなく健啖家なので、品数ではなくボリュームを増やします。

深海棲艦には『料理』という概念がありません。当然、コースというものもありません。

ですから伝統的な形式にこだわらず、前菜、スープ、メイン、デザートとしました」

鳳翔「これで足りるのですか?」

旅客船姫「デザートの後は宴会になります。後はお酒と大皿料理をひたすら……」

間宮「ですよね〜」


ふと間宮が首をひねる。


間宮「……なんか引っかかります……」

旅客船姫「?」

間宮「中枢棲姫さんは……ハワイの人……であってますか?」

旅客船姫「はい」

間宮「うーーん……フランス料理……フランス料理……」


間宮のスイッチが入った。
920 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/07(日) 06:12:29.86 ID:R3Ub0AHeo

間宮(……深海棲艦……ハワイ……真珠湾……何が食べたい?……どうしたい?)

旅客船姫「あの……」

間宮(……深海棲艦……船の亡霊と言われている……怨霊……無念……心残り……)

間宮「……」ブツブツ

旅客船姫「間宮さん……」

間宮「ちょっと考え事してきます。PC借りますね。二人で段取りを進めて下さい」

旅客船姫「ちょ……」


フラっと間宮が部屋から出て行く。

旅客船姫と鳳翔が打ち合わせを進めていると……。


間宮「ティターニアさん!」

旅客船姫「はい!」ビクッ

間宮「メニュー変えさせて下さい!」

旅客船姫「はへ?!」

間宮「この材料はありますか!」

旅客船姫「ありますけど……量が少ないです……」

間宮「買出しに行ってきます! ボート借ります! 悪いようにはしません! さあ、頑張りましょうね!」ニカッ

旅客船姫「」
921 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/07(日) 06:15:40.45 ID:R3Ub0AHeo

そして当日の昼……。

最初に中枢棲姫と近衛部隊がやってきた。


旅客船姫「いらっしゃいませ」

中枢棲姫「今日ハ宜シク頼ムゾ」ニッコリ


旅客船姫は中枢棲姫を通して、参加者に人間の格好をするよう通知を出していた。

そのため、中枢棲姫は白いワンピース、近衛部隊はメイド服を着ている。


防空棲鬼「作業始メ!」


近衛部隊が防御陣地を構築する横で、次々と姫、鬼級の深海棲艦が訪れる。

そこに突然、大声が響いた。

メイド服のレ級、ツ級と装甲空母姫、南方棲戦姫、北方水姫が揉めている。


防空棲鬼「何事ダ!」

フラレ「ソレガ……」

装甲空母姫、南方棲戦姫、北方水姫「裸ダッタラ何ガ悪イ!!!」

防空棲鬼「」


- 続く -
922 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage]:2018/01/07(日) 06:19:50.62 ID:R3Ub0AHeo
>>919
ちょっと何言ってるんだか不明な点があったので再投稿です。


間宮(しかしこれはチャンス? 私の腕が、はたして深海棲艦に通用するのか……?)

間宮「……主賓は?」

旅客船姫「中枢棲姫様です」

間宮(でしょうね……)

間宮「メニューを見せて下さい」


旅客船姫がメニューを見せる。


間宮(品数を絞ってますが……さすがタイタニック……洗練された伝統的なフランス料理……。

地元の季節の素材と……資材をミックス……美味しそうですね……ヨダレが出そう……でも……)


間宮「品数が少ないのは?」

旅客船姫「お客様はもれなく健啖家なので、品数が多くても少量だと食べ応えがありません。

だから品数を絞って、一品のボリュームを増やします。

深海棲艦には『料理』という概念がありません。当然、コースというものもありません。

ですから伝統的な形式にこだわらず、前菜、スープ、メイン、デザートとしました」

鳳翔「これで足りるのですか?」

旅客船姫「デザートの後は宴会になります。後はお酒と大皿料理をひたすら……」

間宮「ですよね〜」


ふと間宮が首をひねる。


間宮「……なんか引っかかります……」

旅客船姫「?」

間宮「中枢棲姫さんは……ハワイの人……であってますか?」

旅客船姫「はい」

間宮「うーーん……フランス料理……フランス料理……」


間宮のスイッチが入った。
923 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/07(日) 11:51:59.84 ID:tHi5baoo0
裸がドレスコードはあかんww
あー、でも国連の議場で民族の誇りということで
チ○コにあのケースをつけて民族衣装(ほぼ裸)で参加した
ニューギニアの国連大使もいたし、うん、正式な格好なのかもしれない
924 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/08(月) 02:16:42.21 ID:5ydgkvczo

装甲空母姫「ワラワノ体ガ、見苦シイト申スノカ!」

防空棲鬼「ソウデハ、アリマセン!」

南方棲戦姫「ナラ問題ナイナ」

防空棲鬼「イエ! 規則ハ守ッテ頂キマス」

装甲空母姫「下賎ナ人間ドモノ服ナド、着トウナイ!」

防空棲鬼「……中枢棲姫様カラノ通達デスガ?」ギロッ


装甲空母姫がカッと目を開いた。


装甲空母姫「黙リャ! ワラワハ中枢棲姫ノ下ニナッタ覚エナゾナイワ!」


ワナワナふるえる防空棲鬼。


防空棲鬼「……コウナレバ仕方ナイ……チカラズクデ服ヲ召シテ頂クマデ……。

モノドモ! カカレーーーー!!!」


近衛部隊が三人の姫に一斉に飛び掛る。


ギャーギャー!!! ワーワー!!!


乱戦でもんどりうつ北方水姫の肩を、誰かがチョンチョンとつつく。


北方水姫(?)
925 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/08(月) 02:20:13.84 ID:5ydgkvczo

北方棲姫が、黒い何かをファサッと北方水姫にかけた。


北方棲姫「わがいもうとよ。はじらいをわすれては、いけません」

北方水姫(北方姉サン……)

北方棲姫「こーわんひめねえちゃんの、おぱんつです。おはきなさい」

北方水姫「ハイ……」

北方棲姫「あねのやさしみ、けっして、わすれてはいけません」

北方水姫「姉サン……」ポーーー


多勢に無勢。三人の姫は服を着せられてしまった。


装甲空母姫「……着トウナイ……」ボロッ

南方棲戦姫「……オロカナ……」ボロッ

北方水姫「……姉サン……」ボロッ


北方水姫が北方棲姫を抱きかかえた。


北方棲姫「いもうとよ。したにおろすのです」ワタワタ

北方水姫「……ヒキサガルワケ……ニハ……イカナイ……ッ……」ギュー

北方棲姫「いもうとよ。あねのいうことを、ききなさい」ワタワタ

港湾棲姫(妹思いのホッポ……カワイイ……)ニコニコ
926 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/08(月) 02:22:45.63 ID:5ydgkvczo

会議直前になると、最後の一人、集積地棲姫がやってきた。

メガネにみつ編み、ヘッドフォンといういつもの姿だ。


集積地棲姫「ファ〜〜。ネムイ……」

チ級「いらっしゃいませ」

集積地棲姫「ヨ! ミンナ来テル?」

チ級「はい。ところで……お連れの方は?」

集積地棲姫「イナイ。アタシ一人ダケ。護衛ナンテ資材ノ無駄ダシネ」

チ級「そうですか……」

チ級(ずいぶんユル〜〜イ感じ……深海の姫もいろんな人がいるんすなぁ……)


集積地棲姫がグイッと寄ってくる。


集積地棲姫「アノサ! ココノ資材集積場ッテ、ドコ?」目キラキラ

チ級「あちらですが……」

集積地棲姫「見学シタインダケド!」目キラキラ

チ級「……と言っても、もうすぐ会議ですよ。後で時間のある時にどうですか?」

集積地棲姫「モウソンナ時間? ジャ後デ頼ムヨ!」

チ級「……はい」
927 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/08(月) 02:35:16.67 ID:5ydgkvczo

会議が終わり、夕食の時間。

姫、鬼たちが会議室を出て、食堂へと向かった。


中枢棲姫「評判ノ『料理』トヤラ……楽シミダ!」

旅客船姫「お口にあうかどうか……」ダラダラ


大食堂に着くと、座席に名札がある。


旅客船姫(席順を決めるのも一苦労でした……思い出すと胃が……)キリキリ


全員座席につくと、旅客船姫が口を開いた。


旅客船姫「皆様、ご着席頂きました。飲み物を手に取って、掲げてください」

装甲空母姫「……フン……」サッ

旅客船姫「議長の中枢棲姫様。乾杯の音頭を」

中枢棲姫「……人間ノヤリ方ハ、冗長ダナ……。デハ乾杯トヤラノ前ニ、ヒト言……。

最近、戦局ハ、安定シテキテイル。コレハ諸君ノ努力ノ賜物ダ。心ヨリ感謝スル。

誠ニ遺憾ダガ、マタ人間ガ攻メテクルヨウダ。シカシ、今回モ轟沈ゼロデ、乗リ切ッテホシイ。

皆、轟沈ノフリダケガ上手クナル、ト、ボヤイテイルヨウダガ、無事コレ名馬トイウ……」クドクド

旅客船姫「中枢棲姫様……乾杯の音頭は短めに切り上げるのが人間流です……」ヒソヒソ

中枢棲姫「ム……デハ、短メノ挨拶ダッタガ……乾杯!」

「「「乾杯!」」」


皆、グラスを高く掲げ、口をつける。


戦艦水鬼「いつも飲んでいる黒くてドロっとした燃料とは、ずいぶん違うな……これは?」

旅客船姫「硫黄分が低いLSA重油です。飲み口も軽く、

スラッジが少ないので、艤装にも優しいんですよ」

戦艦水鬼「癖がなくてスッキリしている……悪くない」ニヤッ

旅客船姫「お口に合ったようで、なによりです」

旅客船姫(次は間宮さんの料理ですが……大丈夫でしょうか……?)


- 続く -
928 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/08(月) 22:28:21.03 ID:WvCi0OW60
よく考えなくても冒頭のシーンはキャットファイトか
エロいかも?
更新乙でございます
929 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/09(火) 07:28:17.16 ID:TozEwfXV0
930 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/09(火) 11:04:44.71 ID:Ol89qUsM0
よく考えなくても暴れたら誰も勝てないメンツだもんなあこれ
更新乙
931 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/09(火) 23:52:28.10 ID:t2U4IdeKo

メイド服の俺たちが、大皿のスープを配膳する。


旅客船姫「冷製のトマトチキンスープです」

中枢棲姫「デハ頂コウ。スプーン、トヤラデ食ベルノカ……」


口をつけると……。


装甲空母姫「……マァマァジャナ……」ススス

北方棲姫「オイシイ!」パァアア

戦艦水鬼(鶏肉の旨味とトマトの酸味のさわやかさ、分かりやすい美味しさだな。

料理に慣れていない我々には向いているかもしれない……。

夏に冷たいスープというのも嬉しい。ポタージュ風の滑らかな舌触りもなかなか)

北方棲姫「オカワリ!」

北方水姫(カワイイ……)ウットリ

港湾棲姫(カワイイ……)ニコニコ

港湾水鬼(カワイイ……)ビキビキ


しかし……。


中枢棲姫「ム……」

旅客船姫(うめいた後、うつむいて黙ったまま……!)ダラダラ


次の料理が運ばれてきた。


旅客船姫「グリーンビーンズのキャセロールです」

戦艦棲姫「クリーミーでホッコリしていて……美味イネ!」

戦艦水鬼(インゲンマメのグラタンという感じか……高級料理ではないが、安心できる家庭の味……)


中枢棲姫は……。


中枢棲姫「……」モグモグ

旅客船姫(眉間にしわが寄ってるーーー!!! でも怖くて聞けない! 間宮さーーーーーん!!!)
932 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/09(火) 23:54:24.38 ID:t2U4IdeKo

そして……。


旅客船姫「パイナップルとダークチェリーのグレーズド・ハム(Glazed Ham)。

マッシュポテト添えです……」


パイナップルとチェリーでびっしり覆われているドでかいボンレス・ハムの塊が出てきた。

蜂蜜を塗られ、オーブンで焼かれたハムは甘くて香ばしい香りを漂わせる。


チ級(……この料理を考えたヤツは、ラリってたとしか思えない……。

この見た目に、何の疑問も感じなかったのか……?)


俺たちは熱々のハムを5センチほどの厚さで切り、パイナップル、チェリー、

マッシュポテトと一緒に皿に取り分けた。


チ級(……ハムの概念壊れる……ハムっていったらペラッペラのしか思いつかなかったけど……。

そういえば昔、縦だか横だか分からないステーキなんてのが漫画であったな……)


皆、おそるおそる口に運ぶ。


空母棲姫「……アラ、オイシイ! 意外! アラ、イケマスネ〜♪」

戦艦水鬼(肉と脂肪の濃厚な旨味と、酸味の効いたパイナップルの甘さ……。

意外な組み合わせだが、相乗効果で不思議な美味しさに昇華している……)

欧州棲姫(美味シイ……デモ、ロースト・ビーフガ恋シクナル……後デ注文シマショ……)


カチャーーーーン……。


皆が一斉に音の方向を向く。

ハムを一口食べた中枢棲姫が、フォークを取り落としたようだ。


旅客船姫「!」
933 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/09(火) 23:57:47.17 ID:t2U4IdeKo

ワナワナと震え、手で顔を覆う中枢棲姫。


中枢棲姫「ソウダ……ソウダッタ……アノ時……」

旅客船姫「中枢棲姫様!」

中枢棲姫「ボクハ……僕ハ……アリゾナに乗っていて……もうすぐクリスマスだったんだ……。

ハワイのみんなは、クリスマスツリーの心配をしていた……。

僕の頭の中は、来年のローズボールのことで一杯だった……。

クリスマスは休暇を取って、故郷に帰るつもりだった……。

まさか……でも……ああ、そうだ。家族と食べたかったクリスマス料理だ……。

心残り……思い出した……ああ、やっと食べられたよ……アリガトウ……」

旅客船姫「お気を確かに!」


周囲の心配をよそに、しばらく放心していた中枢棲姫。


中枢棲姫「……コレガ『美味い』トイウ感覚ナノカ? 心地良イナ……。

初メテノハズダガ、不思議ト知ッテイルヨウナ気モスル……」ホッコリ

旅客船姫「……」

中枢棲姫「ン……皆、ドウシタ?」

旅客船姫「何か……クリスマスがどうとか、おっしゃっていましたが……」

中枢棲姫「ソノヨウナ事ハ、言ッテイナイゾ?」

旅客船姫「……そうですか……」


その後、ハムを数回おかわりする中枢棲姫。
934 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/10(水) 00:02:51.27 ID:p+y2y/sBo

旅客船姫「デザートはパンプキン・パイです」

潜水新棲姫「……オイシイ……」モキュモキュ

戦艦水鬼(カボチャは下手をすると、青臭く野暮ったい味になるが……

カボチャの風味を残しつつ、ジンジャー、シナモンで香り付け……。

生クリームと丁寧に裏ごしされたカボチャが、上品な舌触りを出している……。

そしてカボチャの甘味を生かした砂糖加減……。滑らかさとホクホク感を両立させる火加減……。

火が足りなければ、水っぽくなる。これ以上火を入れれば、パサパサになる……そのギリギリ……。

サクサクのパイ生地もいい。それでいて家庭の味の優しさも残している……)


笑顔の中枢棲姫がデザートを食べる。


チ級(間宮さんは、アメリカのクリスマス料理って言ってたな。

てっきり七面鳥とケーキを食べるもんだと思ってたけど……。

感謝際は七面鳥、クリスマスはハムやロースト・ビーフや七面鳥だとか……)


満足そうな中枢棲姫。


旅客船姫(はぁ〜〜。良かった……)

旅客船姫「次は宴会です。準備がありますので、その間、休憩とします」


ガヤガヤと部屋を出る深海棲艦たち。


中枢棲姫「旅客船姫、評判ニ違ワヌ素晴ラシサダ。礼ヲ言ウゾ」ニッコリ

旅客船姫「あ、ありがとうございます」

中枢棲姫「コノ『料理』トヤラハ、誰ガ作ッタンダ?」

旅客船姫「うぇ?!」

中枢棲姫「ナゼカ胸ガ、スッキリシタ。礼ヲ言イタイ。ココニ呼ンデ……。

イヤ……敬意ヲ表シテ、私ガ出向コウ」スクッ


中枢棲姫が立ち上がり、部屋を出て、調理場に向かう。
935 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/10(水) 00:03:23.87 ID:a6jUxQLN0
深夜に開くんじゃなかった・・・
お腹減ってきた
936 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/10(水) 00:07:46.66 ID:p+y2y/sBo

旅客船姫(間宮さん、鳳翔さんを見られたらマズイ!)


会議は、筑摩が鎮守府に月例報告で戻る期間を選んだ。

建前上、このチンジュフには艦娘はいないことになっている。


旅客船姫「お待ち下さい! 料理人は人間です。そのお姿を見られては!」

中枢棲姫「ワタシハ人間……ダロ? 今ハ。ダカラ問題ナイ!」


中枢棲姫が勢いよく調理場のドアを開けた。


中枢棲姫「コノ料理ヲ作ッタノハ誰ダ!」クワッ

間宮「」

旅客船姫「」

間宮(なんか大声だし……怒ってるのかしら……? でも私は恥じるところのない料理を出したつもりです!

艦娘とばれて、あれだけの姫、鬼級がいたら逃げられない……どうせ逃げられないなら堂々としましょう!)

間宮「私です」スッ


ずんずんと中枢棲姫が間宮に近づく。


間宮「!?」


間宮が身構えると……。


中枢棲姫「スバラシイ料理ダッタ!」ニッコリ


中枢棲姫が間宮の両手をガシッと握る。


間宮「」

中枢棲姫「名前ハ?」ニッコリ

間宮「ま……」

中枢棲姫「マ?」

間宮(動転して、ついうっかり!!!)

旅客船姫「マンマミーヤさんです!」

間宮「」

旅客船姫「アジア系イタリア人のマンマミーヤさんです!」

中枢棲姫「マンマミーヤ……イイ名前ダ!」

間宮「次の宴会でも、私の料理を召し上がって下さいね♪」

中枢棲姫「アア! 期待シテイルゾ! デハ!」クルッ
937 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/10(水) 00:12:59.62 ID:p+y2y/sBo

中枢棲姫が調理場を出て行くと、間宮と旅客船姫はその場にへたり込んだ。


間宮「はぁ……腰が抜けちゃいました……」

旅客船姫「なぜ艦娘とバレなかったんでしょう?」ヒソヒソ

間宮「私は裏方なので、顔が知られてないからでは」ヒソヒソ

旅客船姫「鳳翔さんだったら危なかったですね。たまたま居なくて、本当に良かった……」ヒソヒソ


その頃、鳳翔は人を探していた。

廊下で近衛隊員とすれ違うが……。


鳳翔「お疲れ様です」ニコッ

フラツ「……」ニコッ

鳳翔(髪型を変えて、洋風の調理服を着たら、気づかれないものですね……。

ティターニアさんに教わったギブソン・タック……19世紀に流行ったとか……)


コックの服装、長い髪を後ろでふわっとまとめた鳳翔。

和服とポニーテールの印象が強すぎるのか、はたまた、前線に出たことのない近衛隊員の経験不足か。

鳳翔は艦娘と気付かれなかった。


鳳翔「もし……」

フラヲ改「あなたは……」

鳳翔「お久しぶりです。ヲリビアさん」

フラヲ改「……」

フラヲ改(なぜここに鳳翔さんが……?!)

鳳翔「休憩時間、少しお話しませんか?」ニコッ

フラヲ改「……」
938 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/10(水) 00:14:54.49 ID:p+y2y/sBo

二人は夜の浜辺に向かった。


鳳翔「お元気ですか?」

フラヲ改「ええ……」

鳳翔「……」

フラヲ改「……」


言葉が途切れる。


鳳翔「ヲリビアさん」

フラヲ改「……」

鳳翔「ヲリビアさんは……昔の私の教え子に、とても似ていて……。

だから……その子とあなたが重なって……」

フラヲ改「……」

鳳翔「……あなたが気になって……お話がしたくて……」

フラヲ改「……」

フラヲ改(……まさか私に会いに、こんな危険を……)

フラヲ改「ワタシハ、アナタノ教エ子デハ、アリマセンヨ」

フラヲ改(……鳳翔さん……もうここに来てはいけません……)


鳳翔が、ハッと顔を上げる。


鳳翔「……そうですね」

フラヲ改「……」

鳳翔「……ごめんなさい……勝手に思い込んで……」

フラヲ改「……」
939 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/10(水) 00:17:20.11 ID:p+y2y/sBo

鳳翔がフラヲ改を見つめる。


鳳翔「……ヲリビアさん、私、もう行きますね……最後に……あなたは幸せですか?」


フラヲ改の頭に、飛行場姫の絵が浮かんだ。

浮かんでくるのは、飛行場姫の情けない姿ばかり。


フラヲ改(飛行場姫様は短絡的で、欲張りで、感情的で、甘えん坊で、意地っ張りで……。

でも……裏表のない無邪気さと優しさがある……それに救われました……)

フラヲ改「はい」

鳳翔「そうですか。では……」ニッコリ


鳳翔は目に涙を浮かべ、立ち去ろうとした。


フラヲ改(鳳翔さん……あなたとは別の鳳翔さんに弓道を教えてもらいました。

あの時のあなたは、とても大きく、強く見えましたが……

今のあなたは、壊れそうなほど……小さく……か弱く……)


フラヲ改が鳳翔の手を取る。


フラヲ改(私は何を……?)

鳳翔「……」

フラヲ改(彼女が私に教え子の影を見たように、私も彼女に師匠の影を見たのかもしれません……。

艦娘を沈めてしまった私に、師匠に会う資格はありません……ですが……)


鳳翔を抱きしめるフラヲ改。
940 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/10(水) 00:19:06.54 ID:p+y2y/sBo

鳳翔「……」ビクッ

フラヲ改「ありがとう……」

鳳翔「……」

フラヲ改「こんなに想ってくれて……」

鳳翔「……」

フラヲ改「あなたの教え子は、きっとそう思っているでしょう……」

鳳翔「……」ポロポロ

フラヲ改「理由は言えませんが、二度とここに来てはいけません……」

鳳翔「……」ポロポロ

フラヲ改「私はあなたと会うに値しない人間です。もう私と会ってはいけません……」

鳳翔「……」ギュッ


永遠に感じられる、たった2、3分の抱擁。


フラヲ改「……もうすぐ休憩も終わります。戻らないと」

鳳翔「……お元気で……」

フラヲ改「……あなたもお元気で……失礼します」
941 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/10(水) 00:23:40.87 ID:p+y2y/sBo

休憩が終わり、宴会が始まった。

調理場は地獄のような忙しさ。


ヲ級 「下っ端! ボーキサイト30kg、倉庫から持って来イヤー!」

チ級 「ヨロコンデー!」

チ級(新入りから下っ端にクラスチェンジ……)


俺は台車を走らせる。


ル級「下っ端! C重油もってこイ! 下っ端ーーーーー!」

チ級「ヨロコンデー!」


俺はドラム缶を転がす。


リ級「下っ端サン! アイスが切れたのデス!」

チ級「ヨロコンデー!」


また俺は台車を走らせる。


リ級「間宮サン! 9mmパラベラム弾の唐揚げが仕上がったのデス!」


間宮がちらりと唐揚げを見た。


間宮「うん。いい色! 客席に出して!」ニッコリ

リ級「はいなのデス!」

チ級「戦艦テーブルに出す鋼材スティック仕上がりました!」


間宮がちらりと見ると……。


間宮「……」ゲシッ

チ級「痛てっ!」

間宮「別に作り直して! これは空母テーブルに出して!」

チ級「はい……」ヒリヒリ

間宮「これはHT鋼! 戦艦にはVC鋼って言ったでしょ!」

チ級「はい……」ヒリヒリ

チ級(鉄なんて、見た目じゃ分かんないっす……)

間宮「はいじゃなくて!!!」

チ級「イエス、マム!!!」


調理場に立つと、人が変わる間宮。
942 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/10(水) 00:26:56.20 ID:p+y2y/sBo

一方、旅客船姫は……。


旅客船姫「警護の皆さん、差し入れですよ〜」ニコニコ

防空棲鬼「アリガトウゴザイマス!」

フラツ「アリガトウゴザイマス!」

旅客船姫「どういたしまして」ニコニコ

旅客船姫(中枢棲姫様に近い人に好感を持ってもらって、損はありません。ウェヒヒヒヒ……)ニコニコ


黒い笑顔で、近衛部隊に食べ物を配っていた。

しばらくして、宴会も落ち着いてきた。

俺が皿とグラスを下げていると……。


集積地棲姫「ハァ〜、タダ飯ハ旨イネー。オ! サッキノ姉ーチャン」

チ級「どうしました?」

集積地棲姫「ココノ資材集積場、見セテヨ!」

チ級「イエス、マム!」


俺たちは大食堂を出て、資材置き場に向かう。


集積地棲姫「ホホー、ナカナカ良イ積ミ具合ジャン!」ニコニコ

チ級「いつもはこんなに資材は多くないんですけどね。中枢棲姫様が差し入れしてくれたんですよ」

集積地棲姫「ホーーン」

チ級「ところで集積地棲姫様、HT鋼とVC鋼って見分けつきますか?」

集積地棲姫「簡単ダヨ。触ッテ、柔ラカイノガHT鋼。硬イノガVC鋼」

チ級「へぇ……」

チ級(全然分かる気がしない……)

集積地棲姫「ナンダ? 信ジテナイノカ? 教エテヤルヨ!」


集積地棲姫が鋼材を手に取った。


集積地棲姫「コッチガ……」サスサス

集積地棲姫「HT鋼……」

集積地棲姫(コノ刻印ハ……)


急に黙り込む集積地棲姫。


チ級(あれ……?)


突然、集積地棲姫が鋼材を持ったまま、資材置き場を飛び出す。


チ級「集積地棲姫様!」
943 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/10(水) 00:29:53.16 ID:p+y2y/sBo

その頃、大食堂では……。


中枢棲姫「ウン、決メタゾ! 旅客船姫、マンマミーヤト一緒ニ、我ガ棲地ニコイ!」ニッコリ

旅客船姫「」

旅客船姫(前にもこんな展開があったような……)


大食堂に戻っていた旅客船姫が、中枢棲姫に絡まれていた。

スックと立ち上がる戦艦水鬼。


戦艦水鬼「中枢棲姫様、お止め下さい」

中枢棲姫「……」

戦艦水鬼「このレストランは深海棲艦の共有財産です。いくら中枢棲姫様でも一人占めは……」

戦艦水鬼(タ級とキャッキャウフフするこの場所は、絶対守らねば……)

戦艦棲姫「そーよ! いくら中枢ちゃんでも、ダメヨ!」

飛行場姫「ソウですワ!」

中枢棲姫「……私ハ欲シイ物ヲ、全テ手ニ入レテキタ! 防空棲鬼!」

防空棲鬼「ココニ……」スッ


ぞろぞろと近衛部隊が入ってきた。


中枢棲姫「深海棲艦ハ……」

戦艦水鬼「強い者が正義……」

中枢棲姫「私ヲ止メタカッタラ、チカラデ止メテミヨ!」カッ

戦艦水鬼「応!!!」クワッ

旅客船姫「ここで喧嘩はお止め下さい!」

中枢棲姫「……ム」
944 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/10(水) 00:31:54.98 ID:p+y2y/sBo

一瞬、落ち着きかけたその時……。


集積地棲姫「中枢棲姫サン! イヤ、中枢棲姫!!!」


ドスドスと集積地棲姫が入ってきた。


集積地棲姫「ココノ資材集積場ニ、アタシノ資材ガアッタゾ!!! ドーイウコトダ!!!」

中枢棲姫「……アア、オ前ノトコロカラ、チョット拝借シタ」

集積地棲姫「ナ、ナンダト!!!」

中枢棲姫「アンナニ溜メ込ンデ、使ワナイト、モッタイナイト思ッテナ」ニヤッ

集積地棲姫「シネ!!! オラァアアアアア!!!」ダッ


激怒した集積地棲姫が、中枢棲姫に殴りかかる。


防空棲鬼「姫様ヲ守レ!!!」

フラレ、フラツ「オーーー!!!」

戦艦水鬼「集積地棲姫様、助太刀いたします!!! レストランを中枢棲姫様に渡すな!!!」

戦艦棲姫、飛行場姫「オーーー!!!」

旅客船姫「ギャアアアアア!!!」


大乱闘が始まった。
945 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/10(水) 00:34:10.27 ID:p+y2y/sBo

旅客船姫(誰か……止められる人は……優しい港湾棲姫様なら……)キョロキョロ


港湾棲姫たちは大食堂のすみに避難し、我関せずで食事を続けている。


リ級「最後のアイス、もらってきたのデス! ほっぽちゃん、しんせいきちゃん、一緒に食べるのデス!」ニパッ

北方棲姫「アイス!」フンフン

潜水新棲姫「ウン……///」

港湾棲姫(三人とも……カワイイ……)ニコニコ

港湾水鬼(カワイイ……)ビキビキ

北方水姫(カワイイ……)ウットリ


三人がアイスを食べようとした時、飛んできた椅子が、全てのアイスを跳ね飛ばした。


リ級「なのデス……」シュン

北方棲姫「アイス……」シュン

潜水新棲姫「……」グスッ


港湾棲姫の目に炎がともる。


港湾棲姫「……」ビキビキビキビキッ

港湾水鬼「……」ビキビキビキビキッ

北方水姫「……」ビキビキビキビキッ


北方水姫がユラリと立ち上がり、乱闘の方に顔を向けた。


北方水姫「ゔぇろろろろごうろろろあ゙あ゙ッッ!!!」ドドドドドドドド


絶叫する北方水姫を先頭に、三人が乱闘に突撃。
946 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/10(水) 00:38:17.83 ID:p+y2y/sBo

空母棲姫「モット……モット……食イ物ヲ、ヨコセ!!!」ガルルル

欧州棲姫「ワタシノ大切ナ紅茶タイムガ……。マナーノナッテナイオ前ラニ、

ジョンブル魂ヲ注入シテヤル!!!」

装甲空母姫「生意気ナ中枢棲姫ニ、天誅ヲクレテヤルワ!!!」ビリビリ


全裸になった装甲空母姫を始め、姫、鬼が続々乱闘に参戦。

水母棲姫、離島棲姫たち冷静勢は、とっくに姿を消していた。


旅客船姫(……ふっ……)


全てを悟った旅客船姫は、穏やかな微笑を浮かべ、

給仕のネ級に向けて、手でバッテンを作った。


ネ級(ウム……)コクン


ネ級はちびっこたちを部屋から連れ出し避難させると、調理場に走る。


間宮(さっきからすごい音と振動が……)

ネ級「間宮さん、鳳翔さん、コチラニ。急いデ!」

間宮、鳳翔「はい!」

ネ級「チ級は、二人の荷物を部屋から持ってきてクレ」

チ級「イエス、マム!!!」
947 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/10(水) 00:41:09.52 ID:p+y2y/sBo

二人は裏手の桟橋に案内された。

同時に、俺も荷物を持って現れる。


ネ級「申し訳ナイが、お二人には帰っていたダク。『災害』が起きたのデナ……」

間宮「ティターニアさんは大丈夫ですか?」

ネ級「心配無用。ウチの姫様は、アレで意外としぶとくてのぅ」ニヤッ

間宮「そうですか……」

ネ級「間宮さん、これを姫様から預かっテル。受け取ってクレ」

間宮「これは……」

ネ級「包丁セット。デッドストックの未使用品だから、安心して使ってクレ、と言っておっタ」

間宮「ありがとうございます」

ネ級「ではボートを出すゾ」ドゥルルルルルン


ボートが沖合いに出たころ、島で大爆発が起きた。


間宮「」

鳳翔「」

ネ級「デカイ花火じゃの〜〜」カラカラ

間宮(笑ってる場合なのかな……)


結局、乱闘で大怪我をした者はいなかったが、チンジュフは木っ端微塵になった。

責任を感じた中枢棲姫はチンジュフ接収をあきらめ、工兵部隊を派遣し、再建したそうな。

その後、鎮守府に帰った間宮は……。


間宮(うふふ♪ この切れ味……たまりませんね♪)


洋食を作るとき、真新しい包丁を眺めながらウットリする姿が、たびたび目撃されたという。


- 第七.五話 完 -
948 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage]:2018/01/10(水) 00:42:46.29 ID:p+y2y/sBo
信頼と実績の爆発落ちでした。
なおこの話は、>>879さんのコメでピーンときて書きました。
>>918さんのアイデアも頂きました。
ありしゃす!

次の第八話で完結予定です。
ではまた。
949 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/10(水) 02:42:27.48 ID:DpBTCqp80
乙なのよ
やはりドタバタ深海はいいものだ
950 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/10(水) 10:24:35.98 ID:a6jUxQLN0
大乱闘 スマッシュ深海シスターズ
更新お疲れ様です
艦これSSは最近安価が多いので読むのが少ない中
安定して楽しめるので次回もお待ちしております
後、そろそろ次スレですか?
951 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage]:2018/01/11(木) 00:12:34.31 ID:7jIZ6oS1o
>>939
ちょっと何言ってるか分かんない感じだったので、再投稿です。


鳳翔がフラヲ改を見つめる。


鳳翔「……ヲリビアさん、私、もう行きますね……最後に……あなたは幸せですか?」


フラヲ改の頭に、飛行場姫の絵が浮かんだ。

浮かんでくるのは、飛行場姫の情けない姿ばかり。


フラヲ改(飛行場姫様は短絡的で、欲張りで、感情的で、甘えん坊で、意地っ張りで……。

でも……裏表のない無邪気さと優しさがある……それに救われました……)

フラヲ改「はい」

鳳翔「そうですか。では……」ニッコリ


鳳翔は目に涙を浮かべ、立ち去ろうとした。


フラヲ改(鳳翔さん……私は、あなたとは別の鳳翔さんに弓道を教えてもらいました。

あの時の鳳翔さんは、とても大きく、強く見えましたが……

今のあなたは、壊れそうなほど……小さく……か弱く……)


フラヲ改が鳳翔の手を取る。


フラヲ改(私は何を……?)

鳳翔「……」

フラヲ改(彼女が私に教え子の影を見たように、私も彼女に師匠の影を見たのかもしれません……。

艦娘を沈めてしまった私に、師匠やあなたと会う資格はありません……ですが……)


鳳翔を抱きしめるフラヲ改。
952 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/11(木) 03:46:04.01 ID:Wa/NZuBw0
話が進むにつれ飯テロが過激になっていく
更新乙
953 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/21(日) 08:17:06.05 ID:4wOO4BBSo

第七.七話 提督の決断


ここは都内の超高級ホテル。

豪華な内装の会議室に、提督、憲兵隊長と、もう一人の男。


提督「先生。本日はご足労いただき、まことにありがとうございます」


憲兵隊長はガッシリとした体格の背の高い青年。ハンサムで生真面目な顔。

男は壮年、中肉中背、髪はフサフサでオールバック、熟女受けしそうな整った顔立ち、身なりのよいスーツ。

襟には議員バッジが輝いていた。


政治家「かねがね君の噂は聞いている。新進気鋭の提督。出世街道を疾走しているとね」ニッコリ

提督「恐れ入ります」


謙遜の似合わない提督が、かしこまって言う。


政治家「君に謙遜は似合わない。愛する国のため、崇高な大義のため。

なにより、かけがえのない民衆のため、これからも期待しているよ」ニッコリ

提督「ご期待に沿えるよう、精進いたします」


政治家が手を組み、提督の目を見た。


政治家「それで……私に何の用だね?」

提督「先生に歴史に名を残して頂こうかと……」

政治家「ほう……」

提督「深海棲艦との戦争を終わらせる旗振りをお願いしたいのです」
954 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/21(日) 08:19:39.68 ID:4wOO4BBSo

微笑みを浮かべたまま、全く表情を変えない政治家。


政治家「……深海棲艦を殲滅する目処が立ったのかね?」

提督「殲滅ではなく、和平です」

政治家「……どうやって?」

提督「……まだ申し上げられません。ただ算段はあります」

政治家「……」


ねっとりと沈黙の時間が流れる。


政治家「……君が言うなら、何かしらアテがあるのだろう。私に何をしてほしいのかね?」

提督「和平会談の目処が立ったあかつきには、和平交渉と、内外の調整をお願いしたく」

政治家「……」

提督「国のため、大義のため、なにより愛すべき民衆のためです。

出来るのは先生しかいない、と小官は確信しております」


相変わらず表情を変えない政治家。


政治家「……残念だが、そこまでの力は私にはない」


政治家は陸軍閥のため、与党での地位が低い。

提督は陸軍の憲兵隊長のツテで、政治家に面会したのだった。


提督「国と民衆と平和を愛する先生の大義に共感するのは、私だけではありません。

先生に紹介したい者がいます。もうすぐこちらに着きます」
955 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/21(日) 08:24:00.11 ID:4wOO4BBSo

提督のスマホが鳴動する。


提督「到着しました」


ドアが開くと、壮年の大柄な男が入ってきた。

浅黒い肌、スキンヘッド、太いまゆ、ギラついた目。


商人「初めまして。商人です」

政治家「こちらこそ。君の名前は知っている」

商人「さすが政治家さんだ。ならば話は早い」ニヤリ


この商人、表向き大手総合商社のトップだが、裏世界では有名な武器商人。

代々兵隊の提督家は、武器を扱う商人一族と親交があった。


商人「単刀直入に言いましょう。私たちはこの戦争を終わらせたい。そのための援助は惜しまない」

政治家「……」

商人「世界の軍事産業は、いまや存亡の危機にある」

政治家「……」

商人「艦娘産業を牛耳るオベロン社が、独占的に儲けているためだ」


世界では、軍隊の通常装備は大幅に削減され、海軍の、それも艦娘関連の装備だけが増強されている。

その上、人類共通の敵である深海棲艦が登場した今、人類同士の内紛は影をひそめ、

武器の売り上げは激減していた。


政治家「ふむ……話を聞こうじゃないか」


具体的な援助の話が出ると、政治家のうすら寒い微笑みの仮面が、わずかにほころぶ。

しばらくして、会談が終わった。


政治家「提督君、興味深い話だった。悪いようにはしないよ」

提督「なにとぞ、よろしくお願いいたします」
956 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/21(日) 08:27:09.42 ID:4wOO4BBSo

提督と憲兵隊長は部屋を出て、ホテルの地下駐車場に向かう。

そこには提督の外車。

提督が運転席、憲兵隊長が助手席に乗ると、車が走り出した。


憲兵隊長「……先輩、あの政治家は信用出来ません」


憲兵隊長は提督の後輩で、以前は牛久騎士団の団員だったが、

陸軍に転籍し、現在は憲兵隊長になっている。


提督「まあな。口から生まれてきたような、まさに政治家だな」

憲兵隊長「ヤツは陸軍でも評判が悪いです。自分は安全地帯にいながら、

美辞麗句で人を死地に追いやるような外道です」

提督「仕方ないだろ。与野党含めて、陸軍閥で目ぼしい政治家はヤツしかいない」

憲兵隊長「……」

提督「それに、あの外道は『持っている』」

憲兵隊長「持っている?」

提督「マリアナ海溝攻略戦……閣僚の中で、ヤツだけが反対した」

憲兵隊長「……」

提督「ただの逆張りか、政治家の勘か、何か情報を掴んでいたのかは分からん。

ただ、もしあの作戦の大敗が公開されていたなら、一人反対したアイツは、

世論を味方につけて総理の座にいたかもな……」

憲兵隊長「……」

提督「実際は、与党内の方針に歯向かって反対したせいで、幹部から外され、

無役で冷や飯を食わされているがね」

憲兵隊長「……」

提督「スキャンダルはないし、無役の議員だが、なぜか常に野党、マスコミから猛烈なバッシングを受けている。

にもかかわらず、地元の地盤は盤石。謎の宗教団体の支援もあるし、子飼いのコワモテ市民団体もいる。

あきれるほどのしぶとさだ。このまま行くと、いずれ本当に総理の座に……」

憲兵隊長「ヤツが総理なんて、冗談でも止めて下さい」


憲兵隊長が吐き捨てた。
957 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/21(日) 08:30:16.12 ID:4wOO4BBSo

憲兵隊長「……先輩、深海棲艦との和平など、本当に見込みがあるのですか?」

提督「ああ」

憲兵隊長「向こうが和平するつもりでも、世界が許すとは到底思えません」

提督「……要はアメリガが許すかどうかだ。アメリカが許せば、世界の大半は従うだろうよ」

憲兵隊長「……」

提督「アメリカへの工作は商人がやる。既存の軍事産業と結びつきが強い和共党が乗ってくるはずだ。

主民党も乗るだろう。なんせ中国が和平を望んでいるからな。パンダ・ハガー共の面目躍如だ」

憲兵隊長「……」

提督「民衆の怨嗟は……あの政治家は生粋の大衆扇動家だ。演説一つで民衆をなだめるさ。

その点もヤツを頼った理由だ」

憲兵隊長「……」


険しい顔の憲兵隊長。


提督「そんなに不満気な顔をしなさんな。和平が実現すれば、陸軍の地位も回復する。

対ロシアの予算も復活、戦車も増えるぞ」

憲兵隊長「……ヤツが総理になるぐらいなら、戦車なんて要りません。

あのポピュリストの権化を野に放つのは危険です」

提督「お前さんの心配も分かる。会ってみて思ったが、アイツは底が知れん。

正直、不気味だ。だが……『正気にては大業はならず』と言うだろ。

俺は正気だから大業はならん。政治家のような『既知外』に任すしかない」

憲兵隊長「ですが……」

提督「……政治家が調子に乗るようなら、俺の斧のサビにする」

憲兵隊長「……」

提督「ヤツが仕事をした後でな」ニヤリ

憲兵隊長「……はぁ……」

憲兵隊長(この期に及んで、ぬけぬけと自分を正気と言う先輩も十分……)


提督が世界を動かそうとする理由は、戦艦水鬼と一緒になりたいため……

とは露ほども知らない憲兵隊長が、あきれ顔を見せた。
958 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/21(日) 08:31:49.07 ID:4wOO4BBSo

提督「ところで……奥さんは元気か?」

憲兵隊長「ええ。おかげさまで」


憲兵隊長は、とても若くて可愛い女の子を提督から紹介され、結婚した。

それ以来、提督に頭が上がらない。


提督「そいつはなによりだ」

憲兵隊長「……」

提督「今度遊びに行ってもいいか?」

憲兵隊長「お断りします」キッパリ

提督「」


車は二人を乗せたまま、夜の街に消えていった。


- 第七.七話 完 -
959 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage]:2018/01/21(日) 08:37:42.29 ID:4wOO4BBSo
七.五話の資料です。

アメリカ海軍の食事の参考サイト:

第2次世界大戦・カラー : アメリカ海軍の食事 : 1日当たり 4700 キロカロリー
http://www.dailymotion.com/video/x2a9r4v

Thanksgiving holiday dinner menu aboard USS Wake Island, 25 Nov 1943
https://ww2db.com/image.php?image_id=12234

USS Arizona Thanksgiving 1917 Menu
http://www.subasepearl.com/pages/USS_Arizona_Menu

開戦直前のアメリカの雰囲気の参考資料:

空母ガムビアベイ (学研M文庫)
エドウィン・P. ホイト

情報まで……。
960 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/21(日) 10:05:29.42 ID:ZeRjGEpl0
更新乙様です
軍の食事はカロリーがすごいなぁ
陸上自衛隊で1日1万カロリーだったか?でも運動量が激しいからそれでも全然足りないとも
次回もお待ちしています
961 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/22(月) 02:21:20.91 ID:bfDD7pNk0
深海棲艦もよく食べるがやはり艦娘も摂取カロリー多いのだろうか
更新乙よ
962 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/29(月) 04:17:47.96 ID:Ap+ND2CMo

第七.七話 おまけ 持っている女


提督がホテルにいる頃、XXXX鎮守府の鳥海の部屋で、

仕事を終えた日向と鳥海が酒を飲んでいた。


日向「……ストロングゼロ……安く酔えるのはありがたい」

鳥海「……いつもの焼酎より女子力が高いです。フルーツで割っているところが」

日向(……女子力……とは少し違うと思うが、まあ……いい……)


日向が缶を傾けるが……。


日向「無くなった……次はドライにするか」

鳥海「はい、ドライ。ところで司令官さん、今日は珍しく外出してましたね」

日向「東京で偉い人に会ってくる、と言ってたな」プシッ

鳥海「そうですね」


鳥海がちびっと酒を飲む。


日向「偉い人に会う……か。まあ……悪巧みをしているとしか思えないな」グビッ

鳥海「……司令官さんは不思議な方です」

日向「……」

鳥海「海軍の幹部は、いかにも軍人という方が多いですが、司令官さんは、なんというか……」

日向「……」

鳥海「つかみどころがありません」

日向「……」

鳥海「軍人らしく仕事をキッチリするかと思えば、私生活は女をとっかえひっかえで、だらしない。

鎮守府の経理には目を光らせるくせに、自分の財政は完全に破綻。

部下と女の人生の世話はよくしますが、自分の人生の世話は出来ない……」

日向「提督の下がイヤなのか?」

鳥海「いえ。矛盾だらけの司令官さんが不思議なだけです」
963 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/29(月) 04:20:19.00 ID:Ap+ND2CMo

そう言うと鳥海はレジ袋を漁り、別の缶を取り出した。


鳥海「次は林檎ダブル……」


顔から胸元にかけてほんのり赤くなった鳥海が缶を開ける。


鳥海「……日向さんは司令官さんのこと、どう思います?」

日向「まあ……変わった人だな。この鎮守府に誘われた時、そう思った」

鳥海「……」

日向「その時のこと、まだ話していなかったな」


マリアナ海溝攻略戦の後、私が所属していたYYYY鎮守府は解散した。

主力の艦娘の大半を失い、かつ、提督が廃人になったためだ。


日向「姉の伊勢と提督は恋仲だった。伊勢を失った提督は、心が壊れ引退……」

鳥海「……」

日向「後に自ら伊勢の後を追った」

鳥海「……」


私は他の鎮守府に配属されたが、姉と提督を失ったため何もやる気が起きず、

命令拒否や無気力な態度を取り続けた。


日向「まさに問題児だった。過去の実績から解体はされなかったが」

鳥海「……」


多くの鎮守府をたらい回しになった私は、とうとう雑用係に。


日向「食堂で間宮、伊良子の手伝いをしたり、明石の店で店番をしたり……」

鳥海「……」


だが、艦娘、それも戦艦の維持費は高い。

戦力にならない艦娘の存在は、鎮守府にとって無意味どころが有害ですらあった。


日向「進退窮まった私は、すぐに移籍に出された。が、もう私を拾う鎮守府はなかった」

鳥海「……」


受け入れる鎮守府が無ければ、解体しか道はない。


日向「その時に手をあげたのが、あの提督だ」

鳥海「……」
964 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/29(月) 04:22:32.23 ID:Ap+ND2CMo

移籍に際して、私は彼と面談をした。

広い会議室に、私と提督だけ。


提督「まずお詫びをしたい」

日向「あなたに謝罪されるいわれはないが?」

提督「『あの戦い』で出会ってから、ずっとお前さんを口説こうと思ってた。

だが、ずいぶん時間がかかってしまった。美人を待たせるのは、主義じゃない」ニヤッ


いきなり、なんと馬鹿なことを言う男だ。


日向(思い出した。あの時の陸戦隊長か)

日向「あの時はお互い苦労した……。そのよしみから言うが、私は使い物にならない。

まあ……受け入れはやめた方がいいな」

提督「経歴は調べさせてもらった。その上でうちの鎮守府に来て欲しい」

日向「もう一度言うが、止めておけ。私は戦力にならん」

提督「かまわんさ。俺が期待しているのは、戦力としてじゃない」


私は少しだけ混乱した。


日向「では何を?」

提督「お前さんは『持っている』」

日向「持っている?」

提督「前線泊地強襲、南方海域強襲偵察、アイアンボトム攻略、鉄底海峡最深部突入、そして『あの戦い』……。

どれも激戦地の真っ只中に身を置きながら、お前さんは生還してきた」

日向「運が良かっただけだ」


提督がニヤリと笑う。


提督「その運が欲しい」

日向「運なんてアテにならない。私より有能な艦娘はごまんといる。そちらを当たれ」

提督「そう言うな。さっき言った戦いには、俺も参加していた」

日向「……」
965 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/29(月) 04:26:55.95 ID:Ap+ND2CMo

陸戦隊員も艦娘の補助で戦いに参加している。

陣地構築、拠点占拠、艦娘のエスコート、救出、撤退支援。

女性隊員は艦娘の格好をして、囮となることも。


提督「主役の艦娘達を舞台に届けるため、ちっとばかし骨を折ったがね」


深海棲艦を沈められるのは艦娘だけ。

その艦娘をサポートする陸戦隊員の損耗率は、ずば抜けて高い。

陸戦隊員を含め、海兵は文字通り艦娘の盾となっていたためだ。

艦娘の命と人間の兵士の命、どちらを優先すべきか、で、冷酷な海軍がそろばんを弾いた結果だった。


提督「俺の友人の陸戦隊長が、お前さんのことを褒めていたぞ。泥臭いが、手堅く、粘り強く戦う、とな」

日向「……」

提督「覚えていないか? オッド・アイの皮肉屋で、まあまあな顔の隊長。鉄底海峡で一緒だったはずだ」

日向「……」

提督「その友人は『あの戦い』でおっ死んじまったわけだが。

能力は申し分無かった。俺ほどじゃないがね。斧や射撃の腕、女の数も、俺とはりあうぐらい。

乗船した深海潜航艇の艦長は、数少ない本職のベテラン潜水艦乗りだった。奴さんは、そこまで手をまわした。

が、それでも生き残れなかった」

日向「……」

提督「話がずれたが、何が言いたいかというと、戦場で生き残れるかどうかは能力じゃない。運だ」

日向「……」

提督「俺は有能で、運もそれなりに良いと思ってる、が……まだ足りない。

でだ、俺はお前さんの運にあやかろうと思ってる」ニヤリ


正直、こんなことを言う提督は真正の馬鹿だと思った。


提督「だから戦わなくてもいい。俺のそばにいて、茶でもいれながら、俺の運を押し上げてくれればな」

日向「……運ならば、私ではなく雪風にしたらどうだ?」

提督「駆逐艦だから駄目だ」キッパリ

日向(……駆逐艦だと、なぜ駄目なんだろうか……だが突っ込んだら負けな気がする……)
966 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/29(月) 04:30:47.08 ID:Ap+ND2CMo

この提督はイカレてる。が、面白い。

そう思った私は彼に質問をした。


日向「そちらは受け入れる気でいるようだが、私にも選ぶ権利がある。

まあ……移籍を受け入れるか、解体されるかの選択だが」

提督「……」

日向「くだらない提督の下につくくらいなら、解体されたほうがマシだ」

提督「……」

日向「聞きたいことがある」

提督「なんだ?」

日向「あなたが戦う理由だ」

日向(私は姉と提督を失ってから、何のために戦っているか分からなくなった……)


提督がさらりと言う。


提督「好きでやっている」

日向「……」

日向(よどみなく言い切った……まったく共感は出来んが……迷いがないのはいい)


他の提督に聞いた時は、いわく平和のため、国のため、人のため、正義のため……。

共感は出来たが、なぜか心は動かなかった。


提督「『伊達と酔狂』とも言える」

日向「恰好つけすぎ。最初のほうが端的でいい」

提督「俺は気に入ってるんだがな……。それはそうと、お前さんに戦いは求めてない。

戦えなくても気にするな」

日向「……」

提督「だが、悩んでいるようだから言っておく。

せっかく艦娘に生まれたんだ。戦わないと、もったいないぞ」ニヤッ

日向(もったいない、と来たか……。私では持ちえない発想だ。

この提督なら、違う世界を見せてくれるかもしれない……)
967 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/29(月) 04:33:32.77 ID:Ap+ND2CMo

私は彼に言った。


日向「まあ……0点だな。その解答は。軍人として。だが面白い。

役に立つか保障出来ないが、私で良ければ使ってくれ」

提督「歓迎する」


提督が私の手を握る。


提督「早速だが頼みがある」

日向「なんでしょうか」

提督「俺と付き合ってくれ」

日向「遠慮いたします。心に決めた人がいますので」キッパリ

提督「」


私はYYYY鎮守府の提督を慕っていた。

既に相手はこの世におらず、いたとしても姉の恋人。


日向(姉の恋人に横恋慕か……私も大概だな……)


残念そうな提督。


提督「評判のスペイン料理屋を予約していたんだが……」

日向「料理は頂きます」

提督「がめついな……いいだろう。日向の働きの先払いだ。後で俺の運気を、しっかり上げてくれ」

日向「言ったはずですが。保障は出来ませんと」ニヤ


その後、楽しそうに仕事をしている提督を見て、悩んでいるのが馬鹿らしくなった私は、

徐々に戦いに復帰していった。
968 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/29(月) 04:35:12.44 ID:Ap+ND2CMo

日向「……と、まあ、こんな次第だ」

鳥海「さもありなん……という話ですね」


またレジ袋を漁る鳥海。


鳥海「次は何にします?」

日向「……桃ダブル」

鳥海「はい。私はビターオレンジ」


日向が、ふと鳥海の胸元を見る。


日向(ピンク色に染まった胸元……桃ダブルだな……)

鳥海「持っている、と言えば、私も司令官さんに言われました」

日向「ほう」

鳥海「冷静さを持っていると。司令官さんは熱くなりやすいから、冷静な意見が欲しいそうです」

日向「口説かれなかったのか?」

鳥海「口説かれましたが、断りました。年上は好みではないので」

日向「フフッ」ニヤッ


くぴりと酒を飲む鳥海。


鳥海「『あの戦い』の後、私の鎮守府も再編のため、解体されました。

その時、いくつかの鎮守府から誘いがあったのですが、ここに決めました」

日向「理由を聞かせてくれないか」

鳥海「新規の鎮守府で規模が小さいため、大規模な鎮守府より活躍のチャンスがあること。

体育会系の司令官さんなので、私を頼ってくれそうだったこと」

日向「計算通りになったな」

鳥海「ええ」
969 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/01/29(月) 04:38:52.08 ID:Ap+ND2CMo

日向がグイッと酒を飲む。


日向「鳥海といい、参謀といい、気に入ったら見境なく口説く。提督は人たらしだな」

鳥海「男女かまわず……ですね」

日向「その言い方は……意味深だな」

日向(もし……YYYY鎮守府の提督よりも先に出会っていたら……私は……)

日向「あれでなかなか魅力的な男だ。もっと早く提督と出会っていたら、惚れていたかもな」


鳥海が珍しく大きい声で言った。


鳥海「わかります」

日向「……」

鳥海「司令官さんが、あと20歳……いえ、あと15歳若ければ……」

日向(なるほど……そういう意味か)ニヤッ


日向が缶を振った後、テーブルに置く。


日向「まあ……次はまるごとアセロラだな」ゴソゴソ

鳥海「私の計算では……まだ一本残っています」眼鏡クイッ


二人は夜更けまで酒を飲んだそうな。


- 第七.七話 おまけ 完 -
970 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/29(月) 17:54:29.69 ID:sgaAqWnd0
更新お疲れ様です
ストロングゼロって結構アルコールきつかった気が……
いつも更新の度に楽しく読んでおります
続き、お待ちしてます(そろそろ次スレの気配)
971 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage]:2018/03/04(日) 01:56:55.90 ID:z+KuGFDt0
>>970
次スレを立てるまで、小ネタを
半ばボツだったんですが、埋めネタにしやす
972 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/03/04(日) 01:58:21.13 ID:z+KuGFDt0

幕間劇

第七.八話 長門ブートキャンプ


夜、横須賀の道を一台のセンチュリーが走っている。

乗っているのは、BBBB鎮守府の提督と運転手。

車が路地に入ると、急に止まった。


B提督「どうした?」

運転手「それが……」


濃緑色のハイエースが道をふさいでいる。

クラクションを鳴らしても、微動だにしない。


B提督「道を戻れ」


車がバックしようとすると……。


ガンッ


B提督「!?」


別のハイエースが後ろから追突してきた。


B提督「なんだ!」


ハイエースから完全武装の兵士がゾロゾロ降りてくる。

ヘルメット、フェイスガード、ボディアーマー、コンバットブーツ。

色は黒で統一されている。


運転手「ひ、ひいい!」


B提督がスマホで通報しようとすると、

兵士の一人がパンチ一発で窓ガラスをブチ破った。


B提督(防弾ガラスが!?)

兵士「……」プシュー

B提督(ガス! 催眠ガス……か……)ガクッ
973 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/03/04(日) 01:59:48.63 ID:z+KuGFDt0

意識を取り戻したB提督。


B提督(真っ暗だ……。夜か……いや、頭に袋を被せられている……。

椅子に座っているが……手足を縛られて身動きが取れん……)

特警隊長「ここはどこだ!?」

B提督「! 特警隊長もいるのか?」

特警隊長「B提督も?!」

主計官「B提督! 特警隊長!」

特警隊長「主計官!」


そこに……。


ザ・セブン「お目覚めのようだな」

B提督「誰だお前は!」

ザ・セブン「ウジ虫に名乗る名前はない」

特警隊長「こんなことをすれば、ただではすまんぞ!」

ザ・セブン「こんなのが隊長とは、海軍特別警察隊も程度が落ちたようだ」

主計官「鎮守府の提督がいなくなれば大事だ! すぐに警察が探し出す!」

ザ・セブン「はたしてそうかな?」ニヤッ


ザ・セブンがクククと笑う。


ザ・セブン「お前らが艦娘と部下にやったことを、よく思い出せ。

すぐに捜索願いを出すと思うか?」

B提督「!」

ザ・セブン「しばらくしてから言い訳程度に出して、結局行方不明で〆だ。

海軍が面倒ごとが嫌いなのは、お前らよく知っているだろう?」
974 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/03/04(日) 02:03:44.80 ID:z+KuGFDt0

意気消沈するB提督たち。


B提督「……俺たちをどうするつもりだ……」

ザ・セブン「艦娘を虐待したお前らは、万死に値する。

が……天にまします駆逐艦の慈悲は海よりも深い……。

一度だけチャンスをやろう」ニヤリ

特警隊長「チャンス?」

ザ・セブン「心を入れ替えて、駆逐艦と幼女を愛する一人前の軍人になれば、解放してやる」

主計官「心を入れ替えて……?」

ザ・セブン「そうだ。ここ『長門ブートキャンプ』で、お前たちは生まれ変わる」

B提督「」

特警隊長「」

主計官「」

ザ・セブン「我等の熱血指導でぇ! お前たちそびえたつクソどもを! 駆逐艦に祈りを捧げる司祭にしてやる!」クワッ

B提督「」

特警隊長「」

主計官「」

ザ・セブン「なお、ここは深海棲艦の支配海域ど真ん中にある絶海孤島だ。

生きて脱出は不可能。よく覚えておけ」

B提督「」

特警隊長「」

主計官「」


ここ『長門ブートキャンプ』のある島は、確かに深海棲艦の支配海域にあるのだが、

近くに資源、主要航路、重要棲地があるわけでもなく、

その上、頭のおかしい凶暴な艦娘が多数いるということで、

深海棲艦にとって禁忌の地となっていた。


- 続く -
975 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/04(日) 12:51:42.12 ID:EEweVtUE0
おつ

何じゃこりゃwwwwwwww
976 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/04(日) 13:19:18.41 ID:bRDID6rA0
更新乙様です
ビリーより怖いww
でも、駆逐艦と幼女を愛するようになったら別の方向で特警のお世話になりそうだww
977 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/05(月) 02:45:56.76 ID:aPVqPvob0
つまりこのキャンプ地を増やしていけば海を取り戻せる…?
978 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/03/11(日) 01:51:56.45 ID:sdvYOSQ70

※下品な表現あり。食事中の方は読まないで下さい。


三人は小汚い部屋に押し込められた。

服装は芋ジャージ。

翌日早朝、ラッパの音で叩き起こされる。

いきなり部屋の扉が開いた。


教官・長門(以下、教官)「起きろ! マスかきやめ! パンツ上げ!」

B提督「……」

教官「返事をしろ! 大声出せ! 玉落としたか!?」

主計官「はい!」

教官「はいじゃない! 口からクソを垂れた後に、駆逐艦万歳を付けろ!

分かったかフナムシども!」

B提督、特警隊長、主計官「はい! 駆逐艦万歳!」


三人は部屋から出され、トイレの前に並ばされた。


教官「私が教官の長門だ!

娑婆の階級なんぞ、ここでは何の価値もない!

貴様らは生きる価値も無いチ■カスだ! お■■■豚だ!

PT子鬼群、ツ級以下のファッキン・クズだ!」

三人「」

教官「ふざけるな! 返事しろ! タマ切り取って家系を絶つぞ!」

三人「はい! 駆逐艦万歳!」
979 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/03/11(日) 01:54:58.01 ID:sdvYOSQ70

教官「……お前ら、自分が無価値で無意味で無能だと自覚が足りないようだな。

おい! そこの背が高いの!」

特警隊長「はい! 駆逐艦万歳!」

教官「まるでそびえ立つクソだ! おいクソ!

犬みたいにヨツンヴァイになって、私のまたをくぐれ!」

特警隊長「」


特警隊長がためらうと……。


教官「ためらうな! 腐れマラ!」ベシッ

特警隊長「あべしっ!!!」ドギャッ


教官のかち上げビンタをくらい、空中きりもみ三回転して頭から落ちる。


教官「次はお前だ。デブ! デブ二等兵!」

主計官「はい! 駆逐艦万歳!」


慌てて四つんばいになり、またをくぐろうとするが……。


教官「こびるな!」ドスッ

主計官「ひでぶっ!!!」ベシャッ


教官が艤装を展開し、総重量■■■kgで主計官の背中に腰を落とした。


教官「次!」

B提督「はい! 駆逐艦万歳!」


流れるような自然なムーブで四つんばいになり、またをくぐる。


教官「……」


またをくぐりきり、B提督がふりむくと……。


教官「うまくやろうとするな!」ゲシッ

B提督「うわらばっ!」


B提督の顔に、教官のケンカ・キックが炸裂した。
980 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/03/11(日) 01:57:12.90 ID:sdvYOSQ70

教官「貴様らには俗世の我執がこびりついている!

今までの人生が完全に無意味だと理解するまで、

お前らの人格が使用後のコン■ーム以下の価値だと理解するまで、

ケツ穴からラムネが飲めるようになるくらいシゴいてやる!!!」


教官が三人のわき腹を蹴り上げ、むりやり起こす。


教官「朝飯の前にトイレ掃除だ! ピッカピカに磨き上げろ!

大天使文月様でもウ■コしたくなるほどにな!!!」

三人「はい! 駆逐艦万歳!」


必死に掃除する三人。


B提督「教官! 掃除完了しました! 駆逐艦万歳!」

教官「ピッカピカか?!」

B提督「はい! 駆逐艦万歳!」

教官「初雪が布団から出てきてウ■コするぐらいか?!」

特警隊長「はい! 駆逐艦万歳!」

教官「じゃあ、舐めてみろ!!!」


お約束の展開に悶絶する三人であった。


- 続く -
981 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/11(日) 09:01:01.58 ID:ff1kqFYv0
更新乙です
これ、M体質の人だったら御褒美……
いや、深くは考えないようにしよう
982 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage]:2018/04/08(日) 22:49:30.83 ID:QsAg7T2d0
保守
なお、ザ・セブンですが、長門にバラライカ姉さんと枢斬暗屯子で近代化改修した感じのイメージです……
983 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/09(月) 15:15:27.47 ID:sSzViX5S0
続き待ってます
顔がどっちベースで近代化改修されているのかが問題だ
口ひげ生えてたり「ぶち犯す!」が口癖とか絶対笑うわww
984 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/05/02(水) 02:10:44.68 ID:y5enYbEh0

食堂に入る三人。


B提督「おい、俺たちだけじゃないぞ……」ヒソヒソ


三人はコソリとあたりを見回す。


特警隊長「あれは……暗愚提督……戦死したはずでは……」ヒソヒソ

主計官「行方不明の横領提督もいますぞ……」ヒソヒソ


突然ドアが開いた。

そこには目の焦点が定まっていない裸のマッチョ。


暴力提督「く! く! くち! くちくちくちくちくちくちくかん!

くちくかん、どこ! どこ、くちくかん!!!」

三人「」

教官「安心しろ。ここにいるぞ」


教官がゲーセンの景品っぽい駆逐艦のぬいぐるみを渡す。


暴力提督「くちくかぁん!!! ていとく、バンザイしちゃうぅっ!

バンザイっばんじゃいっばんじゃい゛っ! ぱゃんに゛ゃんじゃんじゃいぃぃっ!」

三人「」

教官「はっはっはっ! ほほえましいなぁ」パァアア

三人「」

教官「ん? おい、お前ら」

三人「はい! 駆逐艦万歳!」

教官「心配はいらんぞ。彼はただ駆逐艦愛が、ほんの少しだけ深まり過ぎただけだ」

三人「はい! 駆逐艦万歳!」

三人(やべぇよ……やべぇよ……)

教官「早く彼に追いつけるよう励めよ」

三人「はい! 駆逐艦万歳!」カタカタカタ


震える三人。
985 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/05/02(水) 02:12:43.40 ID:y5enYbEh0

教官「ふん。死にそうなツラをしているが、お前らは、まだマシな部類だと知れ。

ココでチャンスを与えられているからな。

本当にやってはいけない一線を越えたクズどもが、どこに連れていかれて、どうなるか……」

三人「……」ゴクリ

教官「……飯が不味くなるから、この話は終わりだ」

三人「はい! 駆逐艦万歳!」カタカタカタ


食堂の全員がテーブルについた。


教官「天にましますわれらの駆逐艦よ。

わたしたちの日ごとの糧を、今日もお与えくださったことを感謝いたします。

糧の命を奪った、わたしたちの罪をお許し下さい。

あなたを害する者を■■■し■■■た、わたしたちの罪をお許し下さい。

駆逐艦万歳!!!」

全員「駆逐艦万歳!!!」


三人はそれから、

・一日五回の礼拝(文月、五月雨像への五体投地)

・全駆逐艦の名前の写経

・駆逐艦への慰問袋の作成

・駆逐艦の肉盾になる軍事訓練

・研修:教官が語る駆逐艦、幼女への愛(三時間正座で傾聴)

・研修:自己批判「私の無価値な人生、人格の総括」(教官三人からの苛烈な突っ込み有)

を、行う毎日。
986 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/05/02(水) 02:16:42.70 ID:y5enYbEh0

そんなある日のこと。


教官「喜べウミケムシども! 絶好のヨット日和だ! 特別訓練を行うぞ!」


外は暴風雨、海はおおしけ、波高し。

教官は三人を小さなヨットに乗せ、海に出た。


B提督(こんな天候でライフジャケット無しとか……この人頭おかしい……)


逆巻く波で激しく上下するヨット。

沖合いに着くと、教官が三人をむんずと掴み、海に放り投げた。


教官「突撃ーーーーー!!!」ポーーイ

三人「うわぁああああ!!!」ドボーン


三人は激しい波に飲まれ、おぼれそうになる。


B提督(溺れる! 溺れる! 波が! 水が! 息が! 死ぬ死ぬ死ぬ!!!)


死にものぐるいでヨットまで泳ぐ三人。

なんとかたどり着いて、ヨットのへりに手をかける。

教官が特警隊長の手を掴んで、半身だけ引きずり上げた。


教官「助かりたかったら、質問に答えろ」

特警隊長「ごぼっ……はい! 駆逐艦万歳!」

教官「お前の母親と駆逐艦が悪党につかまり一人しか助けられない。@母親A駆逐艦どちらを助ける?」

特警隊長「く、駆逐艦です! 駆逐艦万歳!」


教官が怒りの形相を見せた。


教官「この親不孝者が!!!」ポーーーイ

特警隊長「うぅうううぅあああああ!!!」ドボーン


一回目より遠くに投げ捨てた。
987 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/05/02(水) 02:18:53.73 ID:y5enYbEh0

教官「次!」ギロリ

主計官「はい! 駆逐艦万歳!」

教官「どっちだ!」

主計官「母親です! 駆逐艦万歳!」


教官が大激怒。


教官「このうつけが!!!」ポーーーイ

主計官「うぅうううぅあああああ!!!」ドボーン

教官「次!」ギロリ

B提督(はっ……そうだ、俺はこの質問の答えを知っている……)

教官「どっちだ!」

B提督「……」

B提督(答えは『沈黙』……)


教官が怒髪天。


教官「早く答えろ!!!」ポーーーイ

B提督「うぅうううぅあああああ!!!」ドボーン

B提督(どう答えてもダメじゃねえか!!!)


こんな問答が日が暮れるまで続いたそうな。

- 続く -
988 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage]:2018/05/02(水) 02:21:15.73 ID:y5enYbEh0
「長門会は女の子だけしか守らないのか?」と思われてるかもしれませんが、
ショタは別の組織が守ってます。それは、あた……おや、誰か来たようだ。
989 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/02(水) 19:35:57.07 ID:FQhCNDum0
更新お疲れ様です
どれを答えても海に落されるとは、理不尽だww
990 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage saga]:2018/05/04(金) 16:08:28.77 ID:5ID5MCES0
ハートマン軍曹を演じたロナルド・リー・アーメイ氏が死去されました。
ご冥福をお祈りいたします。

次スレはこれ。

【艦これ】俺氏、チ級になる その2
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1525417481/

続き行きます。
991 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage saga]:2018/05/04(金) 16:10:27.07 ID:5ID5MCES0

その後、ある日のこと。


教官「今日は特別演習だ」

三人「はい! 駆逐艦万歳!」


和風の一室に通される三人。

正座する三人の前に、教官が一人。

白手袋の教官が荷物を取り出し、厳重な包装を解くと、ジップロックの中に服が一着。


教官「これは駆逐艦の制服だ。誰のものか当ててみろ」


子供サイズの黒い制服をすっと差し出した。


B提督(……睦月型の制服か……? 全く分からねぇ……)


特警隊長「はい! 駆逐艦万歳!」

教官「言ってみろ」

特警隊長「初霜です! 駆逐艦万歳!」


無言でアイアンクローをする教官。


特警隊長「あぃいぃいいいい!!!」メキメキメキメキ

教官「次!」

主計官「若葉! 駆逐……」


教官、怒りのアルゼンチン・バックブリーカー。


主計官「あがががががぁががあああああ!!!」ボキボキボキボキ

教官「このたわけっ! 鎮守府で何を見てきた!!! 次!」

B提督(……くそっ……睦月型の誰だ……)

B提督「……文月です。駆逐艦万歳!」


ニヤリと笑う教官。


B提督(……当たったか……?)

教官「睦月型まで分かって、なぜもう一歩踏み出せん!!!」クワッ


教官、激怒のヘッドロック。


B提督「〜〜っ! 〜〜〜〜っ!!!」ギリギリギリギリ
992 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage saga]:2018/05/04(金) 16:12:08.92 ID:5ID5MCES0

また別の日のこと。


教官「今日は特別に慰労をしてやろう」

三人「ありがとうございます! 駆逐艦万歳!」

B提督(嫌な予感しかしねぇ……)


教官から明石特製ドリンクを振舞われる三人。


B提督(ボンヤリ……フワフワ……気持ちよくなってきた……)


うつろな三人が映写室に通される。

座席に座るやいなや、ヘッドフォンを付けられ、頭を器具で固定された。


教官「これはルドヴィコ療法といってな……」

主計官「うっう〜〜」ヨダレダラー

教官「……言っても理解できないか」


まぶたを開けっ放しにする器具も付けられ、眼が乾燥しないよう教官が目薬を垂らす。

部屋の照明が落ち、駆逐艦のプロモーションビデオが流れ始めた。


特警隊長「あ……駆逐艦……駆逐艦万歳……」


一秒間に一フレーム「駆逐艦万歳」と表示される。

左右のヘッドフォンからは、駆逐艦のねっとり催眠ボイス。


『こっち見んな!このクソ提督!』『もーっと私に頼っていいのよ』

『何度言わせんのよ、このクズ!』『Jervisが色々Serviceしてあげる』

『なっ、何よ。私に恩を着せたつもり?!』『おそばに置いてくださいね』

『悪くはないわ。貰ってあげる』『早く捕まえてぇ〜』

『見ています……いつでも……いつまでも……』『うちに任しとき!』

『家庭菜園野菜カレー、良かったでしょー』『提督、甘えてくれても、いいんですよ?』


三人「あっ……あっ……くちくかん……あっ……」ヨダレダラー

教官(いい顔してやがる)ニヤリ
993 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage saga]:2018/05/04(金) 16:20:28.80 ID:5ID5MCES0

また別の日は……。


教官「貴様ら無能なオニイソメどもは、何も考えずに駆逐艦の盾となれ!

そのためには、一も二もなく体力だ! そら走れ!」


教官が訓練歌を歌いながら、三人も含めて全員がランニング。


[長門会 訓練歌]

提督 不知火 ベッドイン

提督転がり こう言った

「しようよ」 「演習ですね」

落ち度なし! 不知火になし!

俺になし! うん なし!


日の出と共に 起き出して

文月 五月雨 拝みだす

ぽいぽいぽいぽい ぽいぽいぽーい

たべりゅは罠だ 気をつけろ〜

龍驤も罠! ゆーも罠!

でちも罠! ルイージはあり!


人から聞いた話では

吹雪のパンツは芋パンツ

うん よし! 感じよし!

具合よし! すべてよし!

味よし! すげえよし!

おまえによし! 俺によし!


戦艦 空母 もういらない

俺の秘書艦 駆逐艦

もし戦場で倒れたら

棺(ひつぎ)に入って帰還する

胸に勲章 飾り付け

霞ママに伝えてよ

俺の見事な散り様を!


駆逐艦 幼女を愛してる

俺が誰だか教えてよ

コスプレ集団 長門会!

俺の愛する長門会!

俺の会! 貴様の会!

我らの会! 長門会!

参考:【台詞・言葉】訓練歌(Running Cadence)
http://kubrick.blog.jp/archives/50527332.html
994 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage saga]:2018/05/04(金) 16:26:04.95 ID:5ID5MCES0

数週間後、三人が会議室に呼び出されると、ザ・セブンがいた。


ザ・セブン「今日はな、私が講師だ。特別カウンセリングを行う」


教官が明石特製ドリンクを三人に渡すが……。


B提督「飲まねえぞ! そいつを飲むと、記憶があいまいになる! それで俺たちを洗脳するつもりだろ!」

ザ・セブン「違う。人間にとって大切なことを思い出させるだけだ」

B提督「大切なことだと?」

ザ・セブン「本来、お前らが持っている『心』だ」

B提督「うるせえ……フガッ!」ギュツ


教官が手慣れた感じでB提督の鼻を掴む。

息が出来ないB提督が口を開けると、即座にドリンクが流し込まれた。


B提督「んぐ……んぐ……プハッ。畜生……」ドサッ

ザ・セブン(このドリンクに人格を変える力はない。ただ……心のガードを開くだけ……)


観念してドリンクを飲む残りの二人。


ザ・セブン「B提督から行くぞ」


ザ・セブンはB提督を抱き上げると、薄暗い個室に入った。

個室の椅子にB提督を座らせると、自分も対面に座る。


ザ・セブン(B提督も、ある時までは艦娘を尊重する人間だった。

ただ……艦娘にケッコンカッコカリを申し込み、こっぴどく振られてからおかしくなった……。

大井が相手ではな……相手が悪かったとしか言いようがない……。

大井も嫌いではなかったようだが、嬉しさと恥ずかしさの余りに逆噴射したとか……。

わずかなボタンの掛け違いが生んだ悲劇……ここで終わりにしよう)


ザ・セブンが目を閉じているB提督に優しく話しかけた。


ザ・セブン「B提督……聞こえるか……」

B提督「あ……う……」

ザ・セブン「お前は今、何歳だ?」

B提督「……XX歳……」

ザ・セブン「VV歳まで戻ろう……」

B提督「……VV歳……」

ザ・セブン「何が見える……」

B提督「……士官学校……」

ザ・セブン「艦娘について、どう思う……」

B提督「……シネばいい……クソッタレ……」

ザ・セブン(根が深いな……)
995 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage saga]:2018/05/04(金) 16:29:30.88 ID:5ID5MCES0

ザ・セブンが一息つく。


ザ・セブン「UU歳まで戻ろう……」

B提督「……UU歳……」

ザ・セブン「何が見える……」

B提督「……高校……」

ザ・セブン「艦娘について、どう思う……」

B提督「……大嫌いだ……」

ザ・セブン「……ふぅ……TT歳だ……」

B提督「……」

ザ・セブン「何が見える……」

B提督「……小学校……」

ザ・セブン「艦娘について、どう思う……」

B提督「……よく分かんない……」


大きく息を吸うザ・セブン。


ザ・セブン「もし女の子や艦娘がいじめられていたら、どう思う……」

B提督「……許せない……」

ザ・セブン「そうだな……」

B提督「……僕、助ける……」

ザ・セブン「……うん。えらいぞ。私と約束出来るか……?」

B提督「……約束する。女の子、艦娘を守るよ……絶対……」

ザ・セブン「……その約束と気持ちを……忘れないでくれ……」

B提督「……うん……」

ザ・セブン「……大人になっても約束を守っていたら、私と飲みに行こう……約束だ……」

B提督「……お姉さん……約束だよ……」ニッコリ

ザ・セブン「……ああ……」ニッコリ


ザ・セブンの表情が柔らかくなる。


ザ・セブン「……B提督……約束以外は全て忘れて……XX歳に戻れ……」

ザ・セブン(B提督よ。これがお前が忘れていた『心』だ。俗世で見失った本当の自分を思い出せ……)


残り二人のカウンセリングを終えると、ザ・セブンは帰っていった。
996 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage saga]:2018/05/04(金) 16:33:50.45 ID:5ID5MCES0

その後……。

またヨットで海に連れ出される三人。


教官「どっちだ!」

主計官「駆逐艦万歳! 駆逐艦万歳! 駆逐艦万歳! 駆逐艦万歳! 駆逐艦万歳! 駆逐艦万歳!」

教官「そうだ! それでいい! 常に、ただひたすらに駆逐艦を想え!!!」


また和室で制服当てをする三人。


教官「ほう、全員が同じ答えか?」

特警隊長「はい、駆逐艦万歳」

教官「理由を言え」

特警隊長「はい、駆逐艦万歳。これは睦月型の制服。そしてエリにピンの穴がないことから、

皐月、長月、菊月に絞られます」

教官「……」

特警隊長「そして……」


白手袋の特警隊長が、うやうやしく制服を持ち上げる。


特警隊長「裾、裏地に激しいスレ。これで動きが活発な元気っ娘の皐月、長月に絞られます」

教官「……」

特警隊長「さらに……」


制服に顔を寄せて、香りを確かめる特警隊長。


特警隊長「この香りは、皐月が使っているシャンプー……」

教官「お前らの答えは、長月だったが?」

特警隊長「シャンプーの香りは、制服の腹部の外側……自分の髪の香りならば、制服の上部に付くはず。

腹部なので皐月の頭を抱きしめた時のものかと。

制服の内側は……かすかな汗の豊潤な香り。入渠の時間さえ惜しむ長月の制服に、間違いありません」

教官「……うむ。よくぞここまで練り上げた!」ニヤリ
997 : ◆FfvRSd7Ma6 [saga]:2018/05/04(金) 16:40:43.67 ID:5ID5MCES0

数週間後……。


運動場に三人、ザ・セブン、教官。

三人は礼服を着ている。


B提督「……」目キラキラ

特警隊長「……」目キラキラ

主計官「……」目キラキラ

ザ・セブン「ほう……いい目をするようになった」ニヤッ


ザ・セブンの目に力が入る。


ザ・セブン「諸君! 諸君はここ、長門ブートキャンプを卒業する!

諸君の目覚ましい成長を、私は心より誇りに思う。

特に特警隊長! 駆逐艦を見ただけでうれションするほど駆逐艦愛が深まったと聞いている。

これからは常時大人用オムツを着用し、職務に励んでほしい」


ここで書類を取り出すザ・セブン。


ザ・セブン「ここで良い知らせだ。諸君らを陸戦隊に転籍させておいた。

軍令部の長門会員に手を回してもらい、志願という形でだ。

ここ長門ブートキャンプの訓練期間は、脱走、失踪ではなく、

陸戦隊入隊の準備期間ということになっているから安心してほしい。

これからの人生! 身も心も命も! もちろんケツ穴も! 全てを駆逐艦と幼女に差し出せ!

文字通り、駆逐艦の盾となれ!!! 駆逐艦万歳!!!」

三人「駆逐艦万歳!!! 駆逐艦万歳!!! 駆逐艦万歳!!!」目キラキラ


陸戦隊の下っ端として入隊した三人は、後日、大戦果を挙げるのだが、神ならぬ彼らは知る由もなかった。


第七.八話 完
998 : ◆FfvRSd7Ma6 [sage]:2018/05/04(金) 16:44:43.41 ID:5ID5MCES0
続きは次スレで
次スレのリンクは>>990にありやす
999 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/04(金) 17:03:03.15 ID:ZTJE4ObQ0
ただの変態養成学校
酷え(褒め言葉)
次スレへの誘導感謝!
1000 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/04(金) 17:21:54.81 ID:hV6ZUc41O
松輪、対馬「海防艦は、ダメなの…?」
1001 :1001 :Over 1000 Thread
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俺「なんのために戦う……か」 @ 2018/05/04(金) 17:02:15.89 ID:3WaAlhEh0
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光と闇のじもあいスレ @ 2018/05/04(金) 16:44:06.07 ID:zunoBQBQ0
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おんj民移住用スレ @ 2018/05/04(金) 16:13:18.26 ID:G2iOtm+20
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【艦これ】俺氏、チ級になる その2 @ 2018/05/04(金) 16:04:41.38 ID:5ID5MCES0
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私の三題噺「浅い眠り」「クッキー」「優しい嘘」 @ 2018/05/04(金) 12:25:15.28 ID:r3LCf61V0
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へへへ変態だアッーRPGツクール @ 2018/05/04(金) 12:03:13.81 ID:xSktz/eF0
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【避難所】安価で指定されたものを全力で探してうpするスレin VIP @ 2018/05/04(金) 03:44:25.68 ID:rylr8/ZWO
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【避難所】安価で指定されたものを全力で探してうpするスレin VIP @ 2018/05/04(金) 03:38:39.08 ID:ijh+EmGno
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