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照「百合妄想士たちの戦い」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 21:08:07.58 ID:zPq1oxhMo

以前に書いたものを修正して続編を追加したものです


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君が望む永遠〜Latest Edition〜 @ 2024/04/24(水) 00:17:25.03 ID:IOyaeVgN0
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笑えるな 君のせいだ @ 2024/04/23(火) 19:59:42.67 ID:pUs63Qd+0
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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part10 @ 2024/04/23(火) 17:32:44.44 ID:ScfdjHEC0
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トーチャーさん「超A級スナイパーが魔王様を狙ってる?」〈ゴルゴ13inひめごう〉 @ 2024/04/23(火) 00:13:09.65 ID:NAWvVgn00
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【安価】貴方は女子小学生に転生するようです @ 2024/04/22(月) 21:13:39.04 ID:ghfRO9bho
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ハルヒ「綱島アンカー」梓「2号線」【コンマ判定新鉄・関東】 @ 2024/04/22(月) 06:56:06.00 ID:hV886QI5O
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【安価】少女だらけのゾンビパニック @ 2024/04/20(土) 20:42:14.43 ID:wSnpVNpyo
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ぶらじる @ 2024/04/19(金) 19:24:04.53 ID:SNmmhSOho
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2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 21:09:30.39 ID:zPq1oxhMo

インターハイ準決勝前日

【東京 白糸台 宿泊先ホテル】

照「…………」テクテク


1人の女の子が廊下を歩いている。

彼女の名は宮永照。東京の白糸台高校に通う高校3年生。

全国高等学校麻雀選手権大会――通称インターハイ――のチャンピオンである。


後輩A「あれは……宮永先輩!?ちゃんと挨拶しないと!」ヒソヒソ

後輩B「う、うん!せーのでいこう?………………せーの」ヒソヒソ

後輩A・B「お疲れ様です!!」ペコリ!

照「お疲れさま」

後輩A・B「っ!ありがとうございます!!」

照「…………」テクテクテク..


『高校生1万人の頂点』、『インターハイと言えば彼女のこと』など、

彼女をたたえるキャッチフレーズは多い。


後輩A・B「……………………」

後輩A・B「……………………」

後輩A・B「……………………」

後輩B「っはぁぁあ〜〜、緊張したぁ〜」

後輩A「ほんとほんと!」

後輩B「それにしてもさ、宮永先輩に『お疲れさま』って言われちゃった……キャー//」

後輩A「ね!先輩に声かけてもらえるなんて……幸せ〜//」

後輩B「相変わらずクールで格好いいよね〜」

後輩A「うん!ミステリアスなところも素敵」

後輩B「本読んでるところとか、すっごい絵になる!」


卓越した実力だけでなく、ルックスも抜群。

頭のてっぺんから鎖骨まで、そしてみぞおちからつま先まで、完璧と言っていいほどのプロポーションである。

当然、学内でもその人気は圧倒的だ。
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 21:10:34.58 ID:zPq1oxhMo

後輩A「わかる〜、どんな本読んでるんだろ〜?気になる〜」

後輩B「私は普段考えてることとか知りたいなぁ。宮永先輩みたいな素敵な人になりたいし♪」

後輩A「あ、それいい!」

後輩A・B「」ワイワイ..


しかし、後輩の1人が口にしたように宮永照はミステリアス。

多くを語らないため、知られていないことも多い。

たとえば――


照「…………」

照(さっきすれ違った2人……仲良さそうに見えたけど、もう一線を越えた恋愛関係なのかもしれない)

照(今夜、部屋を抜け出して外で落ち合い、誰にも見つからない場所で愛し合う約束をして……)


女の子同士の恋愛――百合――を妄想するのが大好きだということも―――


照(そう、今は約束だけ。でも夜のことを話すうちに体が熱くなって……指先が触れ合った瞬間、お互い視線を外せなくなる)

照(一挙手一投足を愛しく感じ、もはや夜を待たずにこの場で、という思考に…)

♪〜

照「電話?…………あ」ハッ

照(いけない。これから準決勝のミーティングだった……早くみんなのところに行かないと)テクテク
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 21:11:24.62 ID:zPq1oxhMo

【照・菫の宿泊部屋】

照「………ごめん、遅れた」

菫「お、来たか」

淡「テルおそーい!」

誠子「お疲れ様サマです」

尭深「あの…お茶用意します」スッ

照「ありがとう」

淡「ほらテル!座って座って。テルの席は私の隣ね」

照「ん」

淡「♪〜」(照に寄りかかる)

菫「淡。これからミーティングなんだぞ?」

淡「いいじゃないですかー。話はちゃんと聞きますもーん」

菫「しょうがないやつだな……」

尭深「お茶、どうぞ」コト

照「ありがとう」

菫「……よし、では始めるか」

尭深「…………」コクリ

菫「みんなも既に知っていると思うが、次の相手は千里山、新道寺、阿知賀だ」

誠子「阿知賀は………あまり聞かない名前ですね」

菫「そうだな。奈良県の代表はずっと晩成高校だったからな」

尭深「全国常連の晩成を破ってきた……」

菫「その通りだ。千里山、新道寺はもちろん、阿知賀も要注意と言えるだろう」

照「…………」コクン
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 21:12:30.12 ID:zPq1oxhMo

菫「これが3校の牌譜だ」

誠子・尭深「はい」

淡「めんどいー」ブー

菫「そう言うな。情報はあって困ることはない。それでは各自、対戦相手をチェックするように」

照「……待って」

菫「ん?」

照「対戦相手の牌譜を見るのは大切。ただ、個人個人がそれぞれバラバラに見るだけでは非効率的だと思う」

菫「?」

照「自分と違う考えを持つ者同士でペアになった方が盲点を発見できて万全の態勢をとれる」

菫「ふむ………一理あるな」

照「そう。だから、菫と淡、誠子と尭深でペアになった方がいい」

誠子「でもそれだと宮永先輩が1人になっちゃいますけど……」

照「大丈夫」

誠子「?」

菫「照には鏡があるからな」

誠子「あ、なるほど」

照「もちろんチェックはするけどね。というわけだから私は問題ない。それじゃ、みんなはペアになって」

菫「そうだな。淡、チェックしよう」

淡「はーい。テルとペアがよかったけどなー」

菫「あのなあ……思ってもそういうことは口に出すなよ」クス

誠子「尭深」

尭深「うん」

照「…………」

照(………………よし)ホッ

照(作戦通りカップリング候補同士にわかれた)

照(放っておいたらバラバラに行動するから困る)

照(これがきっかけで恋人に発展すればいいんだけど………)

照(…………………)
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 21:13:29.65 ID:zPq1oxhMo

〜〜〜〜〜〜〜妄想〜〜〜〜〜〜〜

菫「これが次鋒の相手か…………淡、どう思う?」ペラッ

淡「………え?んーと、ここの打牌が…」スッ(牌譜を指さす)

サワッ

菫「あ………」

淡「あ!ご、ごめんなさい!指が………ピタッてなっちゃった///」

菫「…………」キュッ(淡の手を握る)

淡「あの……菫先輩?」ドキドキ

菫「淡………私のことは『お姉さま』と呼んでくれないか?」

淡「えっ///」

菫「そう呼んでほしいんだ………お願いだよ。可愛い淡……」(淡を見つめる)

淡「ぁう……そ、そんなに……見つめないでよ…………………………お、ぉ姉さま//」カァァ

菫「淡……」スッ(唇を寄せる)

淡「あ………お姉さま////」

菫「淡の全てを私にくれ」

淡「ぅ……」

淡「…………///」コクリ

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 21:14:19.65 ID:zPq1oxhMo

照「………………」

照(うん、これはいい)

照(菫がもう少し積極的にいけばこのような展開も望めるはず………)チラッ

菫「このデータを見るに………」

淡「なるほどー」

照「…………」

照(真面目に牌譜を見てる………しかも隣同士に座らずに対面だし……なんてナンセンスなんだろう)

照(そこは横にピッタリくっついて、手を繋ぎながら見るのがベターなはず)

照(堅物な菫からは提案しにくくても、淡なら積極的になってくれると思ったのに……一体どうして……あ)ハッ

照(……これは意外と淡の乙女心なのかもしれない。あえて自分からは動かずに、菫から迫ってほしいという想い)

照(普段は冷静な菫が自分を求めてくれるところに淡のキュンポイントがあるんだね。納得)

照(菫と淡はそれでいいとして、尭深と誠子の場合は……)

照「…………」
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/22(金) 21:14:27.68 ID:9xAFZk2k0
プロポーションが完璧…?
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 21:15:35.73 ID:zPq1oxhMo

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

誠子「尭深。お茶どうぞ」

尭深「え?誠子ちゃんが淹れてくれたの?」

誠子「その通りオリだよ。いつも尭深に淹れてもらってばかりだからね」

尭深「誠子ちゃん……」

誠子「いつも尭深がやってるのを見てたから、結構上手くできたと思うんだ。飲んでみてよ」

尭深「ありがとう……いただきます」ズズ..

誠子「…………」

尭深「…………?」

誠子「…………」ドキドキ

尭深「ぇ?………な、なに、これ?体が熱い………」ポワァア

誠子(ごめんな尭深、お茶に媚薬を入れさせてもらった)

尭深「熱い………もう………おかしくなっちゃう……」ハァハァ

誠子「尭深……」サワッ

尭深「ぁん!せ、誠子ちゃ……どこ触って……///」

誠子「尭深が触って欲しがってるところさ」サワサワ

尭深「あんっ!」

誠子「茶柱が立った………縁起がいいね」クン

尭深「そ、そこは………っ」

誠子「私が尭深を導いてあげる」サワ

尭深「ああっ……!」

誠子「ずっとこうしたかったよ……尭深」サワワ

尭深「誠子ちゃ……ん……///」ブルッ..

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 21:16:43.54 ID:zPq1oxhMo

照「………………////」カァァ..

照(ま、まったくもう………エッチな後輩なんだから……////)

照(この部屋でそんなことされたら……夜寝る時にシーツの冷たさが濡れてるみたいに思えて色々考えちゃうよ///)

照(でも……2人が幸せならそれでいいかな、うん)

照(だから私たちのことは気にしないで、お互いの想いをぶつけて…)チラ

尭深「ならこちらの打ち方は………」

誠子「ああ、問題ないね」

照「…………」

照(………………普通)

照(卒業まであと1年残ってるから、いつでも付き合うチャンスはあるって安心してるのかな?)

照(尭深の性格上、自分から告白とかはできなさそうだから、誠子が積極的にいかないと……)

照(のんびりとしてたら、尭深を他の人に奪られちゃうよ?恋愛は釣りとは違う。待っていないで動かなきゃ……)ハァ

照「…………っと」

照(私も牌譜に目を通しておこう)

照(対戦したことがないのは千里山の園城寺さんと阿知賀の松実さん……)パラパラ...

照「………………」

照(……なるほど、彼女たちが打つ麻雀については大体わかった)

照(でも……私が欲しいデータは書いてない……)

照「…………」スクッ

菫「照?」

照「ちょっと出てくる。すぐ戻るから」

菫「わかった」
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/22(金) 21:17:52.06 ID:bMtpvx2+o
成長前の憧ちゃんにも負けてたような気がするのです
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 21:18:15.35 ID:zPq1oxhMo

【廊下】

照「………」ピポパポピ...

トゥルルルル....トゥルルルル...ガチャ

?『も、もしもし!!』

照「もしもし。宮永です」

?『お、お疲れ様です!!お電話ありがとうございます!!』

照「突然電話してごめん。前にお願いした他校の情報収集についてなんだけど」

?『あ、はい!もちろん準備できてます!!』

照「新聞部の活動で忙しいのに、麻雀部に協力してくれてありがとう」

新聞部部長『い、いえ!白糸台の生徒として母校に貢献するのは当然ですから!』

照「それで、どう?」

新聞部部長『バッチリです!宮永さんの希望通り、日常生活の部分を調べ上げました!』

照「すごい……さすが新聞部」

新聞部部長『いえ、宮永さんの方がすごいです!ズバ抜けた実力を持ちながら、情報収集を怠らない……しかもそれが麻雀以外の部分にまで及ぶなんて』

照「……牌譜からじゃ見えないものがあるから」

新聞部部長『そこに至れるのがさすがです!確かに人間は日常生活のちょっとしたことが他に影響したり……って、いけないいけない。今はお喋りより情報ですよね』

新聞部部長『まずは、千里山の園城寺怜さんのデータ、及び人間関係です』

照「うん」

新聞部部長『園城寺さんは病弱ということがわかりました』

照「病弱………」

新聞部部長『そんな彼女をサポートするため、怜シフトと称してレギュラー全員で身の回りのことを世話したり色々していたとか』

照「なるほど」

新聞部部長『はい。そんなこともあって、レギュラー陣の結束は固く、その中でも園城寺さん、清水谷さん、江口さんの3人の間には特に強い絆があるみたいです』

照(同学年同士の絆……テスト勉強を教えあってるうちに、うたた寝をしてしまった園城寺さんに、不意打ちでキスしてしまった江口さん……)モーンモン

新聞部部長『病弱な園城寺さんを気遣ってか、清水谷さんは日常的に園城寺さんに膝枕をしている、と』

照「!……膝枕?」

新聞部部長『はい。とても仲良しですよね。部員たちもその様子を微笑ましく見ているようです』

照(部員の前でもしてるんだ……じゃあ、不意打ちでキスしてから園城寺さんのことが気になってる江口さんは一体どんな気持ちで……)

照(いや、これは清水谷さんの策略?わざと見せつけることで自分と園城寺さんの親密さを江口さんにアピールして……このままじゃ泥沼に……)ドキドキ

新聞部部長『で、江口さんの情報に移ります。江口さんは普段は男性っぽい格好といいますか、学ランにハーフパンツという、女子高生としてはなかなか攻めてる格好をしてるんですが、試合の時だけスカートを履かされることになってまして、そのスカート姿を後輩にからかわれてるらしいです』

照「学ランにハーフパンツ……」

新聞部部長『個性的ですよね。あと、聞いたところによると『バスガデルデー』が口癖だとか』

照「使いどころが限られる口癖だね……それで、江口さんをからかう後輩って誰?」

新聞部部長『えと……船久保さんと二条さんです』

照(なるほど……2年生と1年生)

新聞部部長『二条さんの方ですが、この人もなかなかで、制服を改造してノースリーブのヘソ出しにしてます』

照「!!」

照(男の人っぽい格好の江口さん、それをからかうヘソ出し二条さん……)
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 21:20:30.86 ID:zPq1oxhMo

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

セーラ「もう!なんでスカート履かなあかんねん//」ゴソゴソ

泉「しゃーないですって。似合てるじゃないですか」

セーラ「うっせ!」

泉「ほんまですよ?」サワリ

セーラ「!!ちょ!どこ触ってんねん////」

泉「お尻ですけど?」

セーラ「な、なんで触んねん///」

泉「可愛いからですやん」サワサワ

セーラ「や、やめえぇて…………」

泉「やめませんよ………私がこんな格好して誘ってるのに、無視するからですわ」サワ

セーラ「っ!」ビクン

泉「腋とかチラチラ見るくせに手ぇ出さへんって……殺生ですわ」フニ

セーラ「あぅっ!///」

泉「可愛い声ですねぇ、もっと聞きたいわぁ」ササヤキ

セーラ「泉ぃ……あかんてぇ……このままやと……バスイガイノモノガデルデー///」ハァハァ

泉「くす……出してください。私の前で」フニフニ

セーラ「あぁぁああ……////」ビクビクッ!

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 21:21:35.48 ID:zPq1oxhMo

照(…………いい)

照(強気な江口さんが乱れる姿は…………いい)

照(園城寺さんにキスしてしまったのに、二条さんから少し責められただけで揺れるちょろさも可愛い……)ホワァ..

新聞部部長『新道寺の花田さんは明るく大らかな性格で、すばら!が口癖だそうです。インタビュー記事を読んだんですけど、3割弱がすばら!でした』

照「それはすごい」

照(私にもそういうのがあったらよかった。インタビューとか囲み取材とか色々気を遣うし)

新聞部部長『花田さんが先鋒になったことで、エースの白水さんは副将になりました』

照「うん」

照(実力では白水さんの方が断然上。でも、花田さんの特質を考えた結果、先鋒に使うことになった……)

照(白水さんにとっては悔しいはず。戦略上仕方がないこととはいえ、自分の居場所を奪われたような気持ちになったはず)

照(……そんな白水さんに……)
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 21:22:45.84 ID:zPq1oxhMo

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

哩「……花田、頼んだ」

煌「…………」

哩「花田?」

煌「私にできることは精一杯やるつもりです。でも正直……怪物揃いの先鋒を戦うことに不安があります」

哩「そう……だな。私にもっと力があれば……後輩の花田に重圧ば背負わせてしまって……すまん」

煌「……いえ、そのお気持ちだけですばらっ!……なんですが」

哩「?」

煌「1つ、お願いをきいていただいてもいいでしょうか?」

哩「お願い?」

煌「はい。不安をなくすために……部長に協力してほしいことがありまして…」

哩「そうか。そういうことなら当然、協力すっと」

煌「そう、ですか……ありがとうございます………………ではっ!!」シュバッ!

哩「え?」

ビリィッ!(哩の服を破る)

哩「………………えっ?」

煌「さすが部長……すばらな裸体!」

哩「な、な、な……なんばしよっと!?花田!こんな……///」

煌「私のお願いとは、部長の体を色々と触らせていただくことですばらっ!」

哩「っ!?」サッ!

煌「おおぅ……胸を隠すそのポーズもすばら!がら空きのお尻もすばら!」サワ!

哩「ゃ……///」

煌「円を描くように撫でる、と……」クールクルクル

哩「や、やめろ……私は姫子が……」

煌「……ええ。ですから、これから行うことは2人の秘密にしましょう」スバスバ..

哩「そ、んな……///」

煌「この太もも……すばらすぎて…………ちゅ……」

哩「んぅっ!」ビクン!

煌「ずっとこうしたかったのです!部長とエッチなことをしたかったのです!」スバラッ!

哩「ひめこぉ……すまん……」

煌「この後は、すばらな貝合わせが待っていますよ!」スバラッ!

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 21:24:07.46 ID:zPq1oxhMo

照(…………………////)

照(な、なんてハレンチなの………最近の高校生は………まったく///)

照(……………………そういうの、別に嫌いじゃないけど……///)

新聞部部長『次に阿知賀ですが、松実玄は次鋒の松実宥の妹で、姉妹仲はとてもいいようです。若干頼りない姉を支える感じの…』

照「あ、その……」

新聞部部長『はい?』

照「せっかく調べてもらったのに悪いんだけど、松実姉妹の情報は大丈夫。松実玄さんの情報だけ教えてくれる?」

新聞部部長『あ、はい。わかりました』

照(姉妹百合は………………邪道)

新聞部部長『松実玄さんは、ポワポワした純粋無垢な人で、特に後輩から慕われるタイプです』

新聞部部長『中堅の新子さんや大将の高鴨さんとは、小中学生が参加していた阿知賀こども麻雀クラブで知り合い、幼馴染のような関係ですね』

新聞部部長『趣味は掃除で、ファッションは清楚系というかお嬢様系というか……白が好きみたいです。ただ、ニーソックスは黒を好みます』

照「そう」

照(そんな服を着てたら……欲情した高鴨さんに茶巾縛りされて……色々触られちゃう///)

照(それからというもの、ふとした時にエッチなスイッチが入るようになり、誰もいない部室で自分を慰めるようになる)

照(ある日、その痴態を新子さんに見つかり、肉体関係を迫られる……エッチなことに興味が湧いていた松実さんはこれを受け入れ……)

新聞部部長『という感じです。以上が私が調べた情報の全てです』

照(次第に自分の性欲の強さに気付いた松実さん。新子さんが風邪を引いてしばらくエッチできないと知った時、いけないと知りながら高鴨さんを呼び出して挑発を……)ムラムラ

新聞部部長『…………宮永さん?』

照「…………はっ」

新聞部部長『どうかしました?』

照「……ううん、なんでもない。ありがとう。すごく助かった」

新聞部部長『そ、そうですか。お役に立てたならよかったです!その……インハイ頑張ってくださいね!』

照「うん、ありがとう。頑張る」

新聞部部長『そ、それでは……失礼します!』
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 21:25:17.91 ID:zPq1oxhMo

ブツッ..ツーッ.ツーッ

照「………………」

照(彼女のおかげでいい情報が集まった。今度何かお礼しないと……あのお店のお菓子を持っていこう)

グゥー..

照「…………」

照(お菓子のこと考えたらお腹空いてきた……ちょっとお菓子買ってから部屋に戻ろう)テクテク

照(………それにしても)

照(準決勝………楽しみ)

照(インハイで戦うことによって、性欲の強い松実さんが花田さんを誘って肉体関係を持つかもしれないし、園城寺さんが黒ニーソにこだわる人なら、清水谷さんと同じむっちり系の太ももの持ち主である松実さんに膝枕をねだるかも……)

後輩A「……あ!宮永先輩!?お、お疲れ様です!!」

後輩B「お疲れ様です!」

照「お疲れさま」テクテク

後輩A・B「///」

照「…………」

照(あの2人、少し顔が赤い…………やっぱり夜まで待てなかったんだ)ゴクリ

照(…………ほ、ほんと、最近の高校生ってイヤラシイ……///)

後輩A「宮永先輩………やっぱりクールで格好いい……///」ポー

後輩B「きっと素敵なことを考えてるのよ……///」ポー
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 21:26:13.17 ID:zPq1oxhMo

翌日

Aブロック準決勝先鋒戦

【対局室】

恒子『まもなく先鋒戦!見てる人はトイレとかご飯とかすましちゃってね!』

照「…………」ペラッ(読書中)

照(……相変わらずマリみては最高)

照(もう少し読んでいたいけど……時間が来ちゃった)

照「…………」パタン(本を閉じる)

玄「…………」テクテク

照(阿知賀の松実さん。女の子らしい丸みがすごくいい。受けオーラ抜群、涙が似合いそう)

怜「………」テクテク

照(千里山の園城寺さん。守りたくなるキュートな外見に、長めのスカートで清楚さを表現。スカートを口でくわえるエッチな挑発ができる)

煌「我ながらすばらな歩行ルートです」テクテク

照(新道寺の花田さん。髪型込みで愛らしい……芯が強く、イジワルしがいもある)

照(こうして直に会うと、データ以上の魅力を感じる)

照(まさに選ばれし女子たち)ムラッ..

恒子「準決勝第1試合………スタートです!!」
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 21:27:10.82 ID:zPq1oxhMo

東1局

怜「ツモ。2000−4000」パシッ

玄(園城寺さん………やっぱり強い………)

照「……………」

照「!!」クワッ!!

ズゥウウン

玄・怜・煌「!!??」

玄(……今、後ろに何かあったような………気のせい?)

怜(今の感じ………セーラが言うてたやつやろか?もう見透かされてもうたんかな?)

怜(………ほなお手並み拝見しましょか………インターハイチャンピオン)ギラッ

照(……彼女たちの麻雀については大体の事はわかった)

照(でも……やっぱり欲望や性癖はわからないまま……)

照(SかMかだけでも分かれば想像の幅が広がるんだけど……)

照(いつになったら全てを知ることができるのかな?)ハァ
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 21:28:12.81 ID:zPq1oxhMo

東2局

玄(さっき、チャンピオンに大事なものを見られたような………)チャッ...

玄「………」タン

照「ロン。1000」

玄「はっ、はい!!」

照(この少し脅えたような表情……いい……高鴨さんとの情事を新子さんに見つかったら多分こんな表情するんだろうね……)ムラ

東3局

怜「………」チャッ

怜(連続和了なんて………させへん)

怜「リーチ」タン!バチイィイ!

照(これを放っておいたらツモられる………だったら)

照(………)タッ

煌(すばらっ!安牌なくて困ってたけど助け舟〜♪………合わせ打ちっ)タッ

照「ポン」

煌「!!?」

玄(今捨てた牌と同じ牌を鳴き返した?)

怜「……………」

玄「…………」チャッ..タン

怜「…………」チャッ...タン

照「ロン。1300」

怜「……はい」
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 21:29:02.40 ID:zPq1oxhMo

南1局 1本場

怜(………宮永が次巡に6索で親満ツモ………させへん!)

怜「ポン!」カシッ!

怜(ずらした上に、当たり牌もわかっとる……)

照「ツモ。4100オール」パシッ

怜(!!ずらしても和了るんか?)

照(………自分の読みの上をいかれて傷心気味の園城寺さん)

照(慰めて心を掴むのは清水谷さんか江口さんか……または二条さんか)

照(園城寺さんと恋人になりたいなら、前半戦終了後の対応が大切)
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 21:29:57.30 ID:zPq1oxhMo

南1局 3本場

煌「ロン!1000点の3本場は1900!」ジャラッ

照(…………)

煌「ようやくお気付きになられたみたいね………すばらです!」

煌「この卓はあなたたち2人だけのものではありません!」

照(私の連続和了を止めた……)

照(先鋒のプレッシャーを跳ね除けた上でのこの働き……新道寺のメンバーは花田さんの首筋を舐める位はしてあげるべき)ムラ

南3局

玄(前半戦がもう終わりそうなのに………まだ一度も和了れてない)ウゥ

照(落ち込んでる?でも心配はいらない……高鴨さんと新子さんに同時に愛してもらえばいい)

照「ツモ。1300−2600」チャッ

南4局

照「ロン。8000」ジャラッ

煌「すばらっ!!」ガーン!
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 21:31:08.81 ID:zPq1oxhMo

ビーーーーーッ

恒子「前半戦終了〜!!」

恒子「準決勝第1試合、先鋒前半戦は西東京代表の白糸台高校が独走状態〜!!」

照「………」スクッ...スタスタスタ

照(うん、いつも通り。問題なし)

照(……悲壮な表情を浮かべる松実さんを見てたら少し可哀想になったけど……そんな顔もまた可愛い)

照(園城寺さんも…………ぁ)ハッ!

竜華「」

照「………!」

照(あれは清水谷さん!園城寺さんが心配で来たみたい。素晴らしい)

照(だったら邪魔者の私は早くこの場を去らないと)テクククク!

照「………」サッ!(柱の陰から覗き見る)

照(ここからなら様子がよく見える)

怜「…………」フラー

竜華「…………」

怜「………」ボスッ

照(!清水谷さんの胸に顔をうずめた!この流れは……)

照(最初は疲れもあって顔をうずめて深呼吸するくだけのつもりだった……でも落ち着くとそれだけじゃ我慢できなくて、舐めたり噛んだりするようになって……きゅ、休憩中になんてことを……///)

玄「…………」フラー

照「あ」

照(松実さん)

照(………阿知賀にも動きがありそう……)コソコソコソ
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 21:32:18.45 ID:zPq1oxhMo

【阿知賀 控室前廊下】

玄「焼き鳥なのに自信なんか持てないよ〜」

穏乃「まだ後半があるよ!」

照「…………」コソー

照(高鴨さん……)

照(新子さんと関係を持っている松実さんに対して心から励ましてる……ピュアで優しいいい子)

照(傷心の松実さんの心と情欲に火を点けるきっかけになりそう……)
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 21:33:36.90 ID:zPq1oxhMo

【白糸台 控室】

淡「テル、戻ってこないね」

誠子「うん」

尭深「何かあったのでしょうか?」

菫「心配はいらない。さっき『休憩中、控室には戻らない』とメールで連絡がきた」

尭深「そうですか……」ホッ

誠子「どうしてなんでしょう?」

菫「今年は史上初の3連覇がかかっている。照も思うところがあるんだろう」

淡「ふーん。テルなら楽勝なのにね。それに今年は私もいるし〜♪」ムフー

菫「油断は禁物だ。準決勝ともなれば楽に勝てる相手などいないからな」

淡「ふーん」

菫「照も今頃、後半戦に向けて集中力を高めていたりするんだろう」

誠子「なるほど」

尭深「尊敬です……」
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 21:34:32.91 ID:zPq1oxhMo

【対局室前廊下】

竜華「…………」(怜を膝枕)

怜「…………」

照「!」(柱の陰から覗き見ている)

照(生足で膝枕……江口さんがもしこの姿を見たら悲しむ…………いや、これは計算高い船久保さんの狙いで、江口さんに2人のアツアツっぷりを見せて落ち込ませ、ポッカリと空いた心の隙間に自分が入り込む作戦かも……)キョロキョロ

照(……江口さんの姿はない……じゃあもうすでに船久保さんに調教されて……?)

照(いや……でも仕方がないのかもしれない。園城寺さんに想いを寄せながらも、二条さんに迫られただけで快感に身を任せちゃう人だし……)ハァ

竜華「怜ー、そろそろ起きんと」

怜「はぁー……おでかけつらいなぁ」

照「…………」

照(このままずっと見ていたいけど……もう後半戦が始まる。行かないと)テクテク
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 21:35:35.57 ID:zPq1oxhMo

後半戦 東4局2本場

照「カン」チャッ

照「………」ツモ

照「リーチ」タン

煌「……チー!」チャッ

怜(カンドラ………)

煌(とんでもない手になってそうですね………)チラ

玄(ドラいっぱいあるのに……手は全然出来てないし………ドラ以外の牌は全部危ないような気がするし……)ウルウル

玄「…………」タン

照「………」チャッ..タン

煌「………」チャッ.....タン

怜「…………」チャッ.........タン

玄(どうしよう………)チャッ

玄(お姉ちゃ〜ん)ウルル

玄(うう)タン

照「ロン。10200」パタッ

玄「」ハワア

照(ごめんね……試合では手を抜けない。松実さんを泣かせたいわけじゃないんだけど)チラ

玄「ぐす……」

照「………………ぅ」ゾク

照(その涙目を見てると心がゾワゾワする……)

照(高鴨さんたちとエッチなことをいっぱいしてるからこそ出る色気かな?なんか……ちょっとドキドキしてきた)

照(……って、だめだめ!今は大会中で全国に中継されてるんだから、冷静な表情を崩さないようにしないと)キリッ

玄「うぅ……」グス

照「」ムラッ

怜「…………」

怜(このままチャンピオンの連続和了を許すわけにはいかへん……そのためには………)フゥ

怜(…………今やったらいっぺん位、耐えられるかもしれへん………ごめんな……竜華……)

怜(ダブル…………2つ先―――)キィイン
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 21:36:32.09 ID:zPq1oxhMo

ビーーーーッ

恒子「先鋒戦、決着〜〜!!」

玄「おつかれさまですっ!」ニコッ

照「お疲れ様でした…」

煌「すばらでしたよ」

照(………まさか倍満に振り込むなんて………)チラッ

怜「………………」

照(連荘を止められたのも、おそらく彼女の力によるものが大きいだろうけど)

怜「…………」ハ...ッ..ハッ...

照「千里山…」

照(これは………ただ消耗しただけとは思えない。媚薬を盛られたとは思えないし……いや、船久保さんならもしかしたら……)

玄「園城寺さん!」タタ

怜「大丈夫……仮病やから……心配…………せん……と……って」グラリ

怜「」バタッ

照「!」

玄「お、園城寺さん!!」

煌「しっかりしてください!!」

照「…………」

照(……こんな……倒れるまで無理を……)
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 21:37:26.25 ID:zPq1oxhMo

竜華「怜!!」ダダダダ

照「!」

照(やっぱり園城寺さんには清水谷さんが…………いや)フルフル

照(こんな時に妄想は不謹慎……今は園城寺さんの無事だけを祈ろう)

照(必ず元気になって、また素晴らしい百合を見せてほしい……)

菫「そ」

尭深「れ」

誠子「か」

淡「ら」

ビーーーーッ

恒子「試合終了――!!準決勝第1試合、ここに決着――ッ!!」

淡「そんな…」

恒子「トップ通過はダークホース、阿知賀女子学院!高鴨穏乃――!!」

穏乃「ありがとうございましたっ!」
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 21:38:32.78 ID:zPq1oxhMo

【白糸台 控室】

淡「ごめんテル!2位になっちゃった……!!」グスン

照「……準決勝は抜けたし、次に勝てばいい」

照(それに悪いことばかりじゃない。高鴨さんと淡の間にライバルフラグが立ったことで、松実さん争奪戦はより一層盛り上がる)

照(勝負の場を麻雀ではなく触りっこ対決に持ち越せば、淡は高鴨さんを夢中で責めるはず。その時、高鴨さんがどうなるのか……)ムラァ

菫「私も明後日までにクセは直して逆手にとる」

誠子「私も…!!次は……」

尭深「……」ズ

淡(次は100回倒す―――!!高鴨穏乃!!)

照「…………」

照(今頃阿知賀の控室では大盛り上がりしてるかな……大将戦の休憩中にジャージ姿の新子さんが映ったことを考えれば、制服を交換していたと推測できる)

照(なら…白熱した大将戦を戦い抜いた高鴨さんの汗を吸った制服を返された新子さんは、その制服を着て何を思う……いや、多分着る前から想像で気持ちが昂ってたはず……)

照(決勝戦までに2人の仲が進展する可能性大。松実さんのハーレムが崩れるのは残念だけど、高鴨さんと新子さんが付き合うというのもまたすごくいい……)
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 21:39:35.97 ID:zPq1oxhMo

翌日

【公園】

照「…………」ペラッ

照(長閑な公園で百合漫画を読む……贅沢な時間だね)ウンウン

照(次は何を読もうかな……ONE PIECEでナミ×ロビを……)

♪〜

照(……電話)ピッ

照「…もしもし」

菫『今、Bブロックの試合が終了した。これからミーティングをやるから戻ってきてくれ』

照「…………どこが勝ち上がったの?」

菫『姫松高校と…』

照(愛宕姉妹……姉妹百合…………邪道)

菫『……清澄高校だ』

照「………………臨海、負けたんだ」

菫『ああ。大将戦で清澄にまくられて僅差の3位だった』

照「そう…………」

菫『……なぁ、照。やっぱり清澄の大将はお前の…』

照「」ピッ!

ツーッ..ツーッ..

照「…………」

照(咲……)

照「……………………」

照「……………………」

照「………………ッ!」スクッ!
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 21:40:35.82 ID:zPq1oxhMo

【白糸台 宿泊先ホテル 照・菫の部屋】

照「…………」ガチャ

菫「……来たか。では、全員揃ったところで…」

照「待って」

菫「ん?」

尭深・誠子・淡「?」

照「みんなにお願いがある」

菫「お願い?なんだ?」

照「決勝戦…………私を先鋒から大将に変更させてほしい」

菫・尭深・誠子・淡「!!?」

照「………………」

誠子「そ、そんなこと出来るんですか?」

菫「……一度に限り可能だ。大会の運営にオーダーを再提出して、対戦校全てに変更内容が伝わる。その後、対戦校に再度オーダー変更の機会が与えられる……という形だな」

尭深「なるほど」

菫「今まであまり変更した事例がなかったのは、結局相手も変更したオーダーに合わせてくるからだ」

淡「確かにねー。もし高鴨穏乃が中堅になったら、私も中堅にしてもらうし」

菫「基本的には病欠や緊急事態が発生した時のためのルールだからな……まぁとにかく、オーダー変更は可能だ。当然、監督の許可が下りればだが」

照「うん、みんなが問題なければこのあと監督にお願いしに行く」
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 21:41:20.74 ID:zPq1oxhMo

菫「そうか……お前たちはどうだ?照が大将になることについて」

尭深「問題ありません」

誠子「私も。問題なしナシです」

淡「むー……」

菫「淡?」

淡「……その場合、私は先鋒?」

菫「ふむ……そうなるだろうな」

淡「…高鴨穏乃も先鋒?」

菫「……いや、おそらく大将のままだろうな」

淡「えー!それじゃ100回倒せないじゃん!」

菫「それは……」

照「…………ごめん」

淡「あ……」

照「急にオーダーを変えたいなんて、私のわがままだよね」

淡「え、ええと……」

照「………………」

菫・尭深・誠子「…………」

淡「………………」

照「……やっぱり変更はやめ…」

淡「ね、ねぇテル!」

照「?」
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 21:42:13.67 ID:zPq1oxhMo

淡「わ、わわ、私がさ!テルとオーダー変わったら……テルは嬉しい?」

照「え?うん。嬉しいけど……」

淡「へ、へぇー……そうなんだ///」

照「?」

淡「じゃあさ……私に感謝?したりとか?」

照「もちろん」

淡「あ、ぁあぁあああた、頭とか……なっ、なな……撫でたり……なん…て……////」

照「?それぐらい全然」テクテク

淡「へ?」

照「…………」ナデナデ(淡の頭を撫でる)

淡「ゎ!ぅわわわ……///」カァァァ...

菫・尭深・誠子「!!」ザワッ..

照「?」

照(なんだろう?今、一瞬空気が……)
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 21:43:01.29 ID:zPq1oxhMo

淡「か……///」

照「か?」

淡「……かわる」

照「え?」

淡「おーだーかわる……///」

照「本当?」

淡「///」コクコク

照「いいの?」

淡「///」コクコク

照「淡…………ありがとう」

淡「ぅ…ぅん///」

照(あとは……菫だけ)チラ

菫「て、照!私もその……変更に異議はない!」

照「!………ありがとう」

菫「な、なに……礼を言われるほどじゃない…………が」

照「?」

菫「わ、私もその……撫で………///」

照「え?」

菫「な、なんでもない!!」

照「??」

菫「とにかく!あとは監督の許可だけだ。行ってこい。ミーティングはそれからだ」

照「あ、うん。行ってくる」

照(みんな……ありがとう)
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 21:43:56.01 ID:zPq1oxhMo

数時間後

【清澄 宿泊先ホテル】

久「みんなー、ちょっといい?大事な報告があるわ」

咲「?」

和「大事な報告………ですか?」

優希「ま、まさか!タコスが持ち込み禁止になったのか!!?」

まこ「そんなわけないじゃろうが」

久「すっごく珍しいケースなんだけど………決勝戦、白糸台のオーダーが変更されたわ」

和「え?」

優希「ほえ?なんでだじょ?」

まこ「この土壇場で?何かトラブルかのー?」

咲(もしかして!!)

久「先鋒が大星淡。そして大将が……………宮永照に変更よ」

咲「!!!!」

和「それって………」

優希「咲ちゃん……」

まこ「ほお」

咲(お姉ちゃん……私のために……?)ギュッ

久「ルールではこちらもオーダー変更出来るんだけど………」

和・優希・まこ・咲「…………」

久「このままでいいわよね。むしろやりやすくなった、と言えるかもしれないわ」

久(対宮永照のために優希に色々打ち方を工夫してもらったけど……その対策は大星淡にも有効だしね)

咲(やっと………お姉ちゃんと会える……麻雀を通して話せるんだ)
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 21:44:58.42 ID:zPq1oxhMo

翌日

恒子「副将戦、決着〜!!」

恒子「1位は姫松高校!しかし4校との差はわずか!各校がすぐ背後に迫っている〜〜!!果たして逃げ切れるのかぁ〜〜〜!?」


姫松 110500

白糸台 103000

清澄 101000

阿知賀 85500
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 21:45:59.24 ID:zPq1oxhMo

【白糸台 控室】

照「…………」

照(そろそろか……)

アナウンス「まもなく大将戦です」

照「………」スクッ

菫「照、頼んだぞ」

尭深「照先輩、お願いします」

誠子「お願いします」

淡「いってらっしゃーい」

照「うん」
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 21:46:58.35 ID:zPq1oxhMo

【対局室】

照「…………」

照(これが最後のインターハイ………)

照(…………)

穏乃「…………」スタスタ

照(高鴨さん………清澄にいる幼馴染と再会も果たしたみたいだね)

照(原村さんに会いたいという想いを胸にゼロから動き出して、この決勝まで来たことはすごいと思う)

照(ここで負けても誰も文句は言わない。新子さんと松実さんと3人で愛し合うといい………)

照(もしくは変わり種として長野の面々………これもアリ)

恭子「…………」スタスタ

照(姫松の末原さん……)

照(冷静さと注意深さは素晴らしい)

照(でも、時にそれが仇となる)

照(おそらく自分に好意を向けられてるんだろうと思っても、警戒心からなかなか踏み込めない……)

照(もっと素直になればいい……末原さんが素直に感情を現せば、普段とのギャップがある分、エッチの時の盛り上がりがすごいはず)

咲「……………」スタスタ

照(……………咲)

咲「………………」

照「………………」

咲(お姉ちゃん………やっと…………やっと話せるね)

照(……………)

咲(お姉ちゃんと話すために………ここまで来たよ)

恒子「……決勝、大将戦、開始です!!」
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 21:47:44.52 ID:zPq1oxhMo

ビーーーーーッ

東1局

東家 宮永照

南家 高鴨穏乃

西家 宮永咲

北家 末原恭子

穏乃「……」タン

照(始まった………)チャッ....タン

咲《……お、お姉ちゃん、久しぶりだね?》チャッ...タン

照「!」

照(これは…………懐かしい)

照(……咲だから……妹とだからできる心の会話……)

照(昔はこうやって通じ合うことに姉妹の絆を感じてたっけ……)

照《うん……いつ以来だろう?》

咲《!!!う、うん!!》

照《…………どうしたの》

咲《だ、だって!お姉ちゃんとお話しするのすっごく久しぶりだから、嬉しくて……》

照《……そう……》

咲《うん!最後に話してから…………ずいぶん経ったよね》

照《………そうだね》
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 21:48:51.75 ID:zPq1oxhMo

咲《でも私………今でも気持ちに変わりはないよ》

照「………………」

咲《私は姉妹百合が好き。それは絶対変わらない》

照《………前も言ったはず。姉妹百合は邪道だって》

咲《ねえ、お姉ちゃん。姉妹百合の何が邪道なの?私は納得できない……むしろ王道中の王道だよ》

照《……私は先輩後輩の関係とか、親友に告白とか、友達以上恋人未満とか………そういう甘酸っぱいものがいい》

咲《私だってそういう展開の話は好きだよ?でもお姉ちゃんの場合、どんな設定でも結局イチャイチャしてればいいって感じでしょ?》

照《それは違う。私は揺れ動く乙女心とか……》

咲《嘘だよ。お姉ちゃんが好きなのは、すぐにエッチになだれようなエロ漫画的展開だよ!》

咲「ツモ。500−1000」パシッ

照《何言ってるの?私はそんなエロ漫画的展開なんて好きじゃない》

咲《ううん、好きだよ。今はどうかわからないけど、昔は絶対好きだった。絆とか繋がりとかに重点を置いてるなんて言いながらも、お姉ちゃんの頭の中じゃ『らめぇ』とか『私のお大事がぁ』とか、ただエッチなだけだったよ!》

照《っ!す、好きな女の子に触れたい、触れられたい気持ちを『エッチ』の3文字で片付ける咲の方が不純!》

咲《お姉ちゃんの場合は展開が早すぎるんだよ!もっと小さい出来事を重ねていかないと、ただの欲望だけに感じるよ!》

照《人生は短い。だから仲良くなるために必死で頑張り、急展開を生む……それだけのこと。咲はスピード化の波についていけてない》

咲《それも一理あるけど、表現が露骨だよ!なんかエッチしたいがために口説いてるみたいだもん!》

照《ち、違う!》

咲《その点、私は純粋!姉妹百合を想ってここまで来たんだから!そんな私の愛を認めるべき!!》

照《……ッ!》

咲《姉妹百合こそ至高。それはこの世の真理。だから…》
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 21:49:50.59 ID:zPq1oxhMo

照「ツモ」

咲「!」

照「300―500」パシッ

照《何度も言わせないで。姉妹百合は邪道》

咲《全然邪道じゃないよ!実妹攻略可能なゲームも増えたんだよ!?義理じゃなくて実妹!正規ルートだよ!?》

照《でも……両親が不自然なくらい関わらないし、はっきりと実妹と明記してなかったりどちらともとれる表現のものも多い。それに実妹ゲームといっても主人公は男でしょ?百合ゲームは数あれど、姉妹物は意外と……》

咲《っ……!だ、だけど……そ、そうだ!ゲームじゃないけど『りりくる』には姉妹があるよ!》

照《……そんなに必死にならなくても…………私だって咲の好みを全否定するつもりはないよ?》

咲《!?お姉ちゃん、それって……》

照《実妹はアレだけど……スール制度という素晴らしいものもあるし》

咲《!?そ、それはないよ!本当の姉妹でもないのに『お姉さま』なんて!そんなのフィリピン人の客引きが役職のない会社員に向かって『シャチョさん』って言うのと変わらないよ!》

照《絶対違う!スール制度とフィリピン人の客引きを一緒にしないで!》

咲《一緒だよ!姉妹じゃないのに姉妹みたいに振る舞うんだから!》

照《……あ、ほら。任侠映画とかで『兄貴と呼ばせてくれ』というものがあるでしょ?血の繋がりより濃い絆ってこと!》

咲《百合から遠ざかったよ!百合をBL寄りで例えるとか……わけがわからないよ!》

照《………私……なんてバカな間違いを……》

咲《っ!お姉ちゃん!》パァァ..

照《あ……》

照(つい昔の感覚でノッてしまった……)
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/22(金) 21:50:03.99 ID:tCdc7QgSO
>>8
鎖骨とみぞおちの間…
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 21:50:52.02 ID:zPq1oxhMo

照「」コホン

照《と、とにかく……強い友情で結ばれてるの!》

咲《友情……》

照《?》

咲《私ね、前から思ってたんだ…………ねえお姉ちゃん。友情と恋心は別物だよ?》

照《咲……何を言ってるの?友情の先には恋心がある。ううん、もはや友情こそ百合と言ってもいいくらいだよ》

咲《お姉ちゃんの悪い癖がそれだよ。女子同士の友情物語も百合にしてしまう……》

照《それのどこが悪いの?》

咲《だって爽やかな青春漫画も欲望の材料にしちゃうでしょ?部活ものなら必ずロッカーで1人エッチさせるし、好きな子のユニフォームの匂いを嗅がせたりするでしょ?正直、不純だよ!)

照《っ!?》

咲《友情は友情として微笑ましく見守るのが一番だよ》

照《……の……よ》

咲《え?》

照《……それは恵まれている人間の余裕だよ》

咲《!》

照《私が調べた限りでは、今の長野は全国でもトップクラスの百合パラダイス県だと言える。先輩後輩、幼馴染、ライバル……百合が溢れてる》

咲《それは……》

照《白糸台とは全然違う……そんな裕福な県で過ごしているから……咲は友情は友情と割り切れるんだね》

咲《…………》

照《東京ではそうはいかない……羨ましいよ》

咲《…………その百合パラダイスから出ていったのはお姉ちゃんだよ》
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 21:53:21.37 ID:zPq1oxhMo

照「っ……ツモ。500−1000」

咲《長野にいたら私×お姉ちゃんも加わって、全国1位の百合県になったのに……》

照《……何言ってるの。咲には原村さんがいるでしょ》

咲《だから……それがお姉ちゃんの悪い癖だよ!》

照《?》

咲《私と和ちゃんは友達。カップルでもなんでもない》

照《ありえない。頬を赤らめながら下の名前で呼び合うんでしょ?百合以外の何物でもない》

照「ツモ。1000−2000」パシッ

咲《それだけでカップルと決めつけないでよ。和ちゃんは仲のいい友達……カップルじゃないよ》

照《それだけじゃない。2人で神社に行ってイチャイチャしたり、プールで抱き合ったり……どこから見てもカップルとしか思えない》

咲《っ?どうしてお姉ちゃんがそんなことを知ってるの?》

照《ある情報筋から聞いた。間違いないって言ってた》

咲《…………確かに事実ではあるけど……あくまで友達だもん》

照《友達と浴衣で抱き合って顔を赤くする?ちょっと親密すぎると思う》

咲《だって私……友達が全然いなかったから友達と遊ぶっていう行為が嬉しくて……だから恋人とかそんな感情じゃない》

照《……原村さんはルックスもスタイルも抜群……なんの不満があるの?》

咲《和ちゃんは確かに可愛いしスタイルもいいけど………ヤンデレもチラつくし、付き合う気はないよ》

照《死ぬほど愛されて眠れないなんてそうあることじゃない。それをみすみす逃すなんて贅沢の極み……咲、肥えたね》

咲《ヤンデレは当事者にとっては怖いんだよ!?シャレにならない病み方されたら命が危ないし!それがわからないの!?》

照《わからない。ヤンデレに愛されたことがないし、身近にヤンデレがいないから》

照「ツモ。2000オール」

咲《はぁ……お姉ちゃん、周りが見えてないね》
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 21:54:28.24 ID:zPq1oxhMo

照《え?》

咲《弘世菫さんなんて、ヤンデレの素質十分だよ?》

照《菫がヤンデレ?それは見当違い。菫はそういうタイプじゃない》

咲《ふふ……相変わらずだね。自分のこととなると冷静に分析できない……お姉ちゃんらしいや》

照《………?》

咲《頭が良くてクール………そして感情表現が下手そうな弘世さんみたいなタイプは………………………病むよ》フッ

照「っ!」ゾクッ!

咲《ふふっ……》

照《そ、そんなに間を空けて『病む』とか言わないで。雰囲気出ちゃって怖いから。雰囲気は出ない方がいい》

咲《ね?怖いでしょ?だったら私がヤンデレを恐れる気持ち、わかってくれるよね?》

照「ツモ。4100オール」

照《……違う。私は、姉を怖がらせることに特化した咲が怖いだけ》

咲《私は別に特化してないけど……ふふ、でもそうだね。固定観念を覆す心地良さも姉妹百合の素晴らしいところだよ》

照《え?》

咲《立場の弱い妹が姉を屈服させ、支配する……そんな展開にワクワクできるんだ……》

照《…………》

咲《それよりお姉ちゃん、やっと私を妹だって……》

照《…………尻尾を出したね》

咲《?》

照《『妹が姉を屈服させ、支配する』って……結局咲もエロ漫画的思考に行き着いている》

咲《あ……っ!》ハッ!
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 21:55:34.02 ID:zPq1oxhMo

照「ツモ。6200オール」ジャラッ

照《これでわかったでしょ?私を責めていた言葉が自分にも当てはまるということが》

咲「…………」

照《私を不純だとか言ってたけど、咲も結局は……》

咲《それは違う……!》

照《どう違うの?》

咲《私は………百合を欲望のはけ口にはしないもん》

照《それは私も同じこと》

咲《……………それはどうかな?》

照《………え?》タン(ツモ切り)

咲「カン」チャッ

咲《結構昔のことだからお姉ちゃんは忘れてるかもしれないけど……》

照《……?》

咲「カン」

咲《ある日、私はおつかいを頼まれてスーパーに出掛けた》

照《……??》

咲《だけど、買う物をメモした紙を忘れたことに気付いて、家に取りに戻ったことがあったの》

照《……???》

咲「カン」

咲《その時……なんの気なしにお姉ちゃんの部屋に行ったら………》

照《…………っ!!??》ハッ!

咲《お姉ちゃん………女の子同士のエッチな絡みシーンが載ってる本を見ながら………自分で………してたよね///》

照《〜〜〜〜!!!》

咲「カン」チャッ

咲《百合を欲望のはけ口にしてたよね?バッチリ見ちゃったもん!》

照《////》カァァア...

咲「ツモ。四槓子、32900です」

恒子「なんと!役満が出ました〜!!白糸台の宮永照!責任払いの32900点!!清澄高校、白糸台を抜いてトップに立った〜〜っ!!」
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 21:56:29.61 ID:zPq1oxhMo

咲《あの時のお姉ちゃん、すっごく可愛かったよ……ふふ、今更だけど謝るね。覗いちゃってごめんなさい》

照《うう……///》

咲《でもね?私は別に責めるつもりはないよ?お姉ちゃんがどんなにエッチでも、私は…》

照《……ま、待って》

咲《?》

照《そのことについては……その……見られた以上言い逃れできないから認める。ただ、私だけがエッチみたいな言い方はおかしい》

咲《……どういうこと?》

照「ツモ。400−700」

照《咲は人のことを言えない》

咲《意味がわからないけど》

照《………昔、私がお風呂に入ってたら……》

咲《あ……》

照《ふと脱衣所から人の気配を感じた》

咲《あ……あ……》

照《お母さんが洗ったバスタオルをしまってるのかな?と思いドアを少し開けてみると…………そこには私のパンツを握りしめている咲の姿があった……》

咲《!》

咲《そっ、それは違…………あ!私は洗濯機に入れておこうと…》

照《私がお風呂に入る時に洗濯機に入れたパンツをわざわざ取り出して握りしめている咲の姿があった……》

咲《う……じゃ、じゃあアレだよ。私もこんなパンツが欲しいなーって見てただけで、そこに変な意味は全く…》

照《咲は顔を赤らめて私のパンツの匂いを嗅ぎ続けたのだった……》

咲《うぅぅ…………////》

照《……姉妹百合というのは、姉のパンツを盗み嗅ぐことをモットーとしているの?》
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 21:57:30.58 ID:zPq1oxhMo

咲《そ……それは》タン

照「ロン。3900」ジャラ

咲《っ……》

照《……だとしたらやっぱり姉妹百合は邪道だと思う》

咲《ま、待って!その……パンツの匂いを嗅ぐのもいいことだと思うよ!?》

照《…………どこをどう解釈したらその答えに行き着くの?》

咲《ええと……姉妹百合というものは、姉のどんな部分が触れた物でも愛せるという証明だよ!》

照《…………》

咲《…………》

照《……百歩譲ってその理屈が正しかったとしても、お風呂でリフレッシュしてる時に証明してほしくなかった。なんかどよーんとした気持ちになったから》

咲《う……》

照《それと……私の記憶が確かなら、その日以来、咲が握ってたパンツを見てない気がする。そこから導かれる結論は……》

咲《や、やめて!導かないで!》

照「……ツモ。1300−2600」
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 21:58:29.53 ID:zPq1oxhMo

ビーーッ!

恒子「前半戦終了〜!!!ここまでを見てどうですか?小鍛治プロ!」

健夜「ここまで宮永照選手と宮永咲選手の和了りのみで、しかもほぼ全てがツモ和了りという凄まじい試合ですね。どこか執念を感じさせる闘牌です」



白糸台 123700(+20700)

清澄 116600(+15600)

姫松 91900(−18600)

阿知賀 68700(−16800)


恭子「………………」

穏乃「………………」

恭子(な、何やこの2人……全然太刀打ちでけへん……)

穏乃(うう……和了るどころか聴牌すら出来ないよ……)

照「…………」フゥ..

咲《お姉ちゃん、あ、あのねっ?パンツの件は本当に変な意味じゃなくて、学術的な見地から…》

照《……もう休憩だし、続きは後で》スクッ

咲《え?あ、うん……》スクッ
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 21:59:18.94 ID:zPq1oxhMo

【白糸台 控室】

菫「清澄……照相手にここまで食い下がるとはな」

誠子「責任払いとはいえ、照先輩から役満を和了るなんて……」

淡「でもテルなら絶対大丈夫!最後には『どかーん!』って勝っちゃうよ!」ムフー

誠子「そうだな。宮永先輩が負けるなんて想像できないし」

尭深「うん」

菫「……む」

尭深「?どうかしました?」

菫「ああ、照からメールが来てな。今回も控室には戻らないそうだ」

誠子「……3連覇を前にして、さすがの宮永先輩もナーバスになってるんでしょうか?」

菫「かもしれないな。だが、最後はいつも通り勝ってくれるさ。それが照だ」

菫(照……頼んだぞ……)
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 21:59:58.35 ID:zPq1oxhMo

【廊下】

照「…………」テクテク

咲「あの……お姉ちゃん?控室行かないの?」

照「行かない」

咲「どうして?」

照「……咲も見ればわかる」

咲「?」

照「この先に阿知賀の控室がある」

咲「それがどうし……あ」

照「…………」

咲「なるほど。そういうことだったんだ」

?「みんな……ごめん……」

照「っ!ほら、咲も早く!」ヒソヒソ

咲「うん」

照・咲「………」スッ..(柱の陰から覗く)
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/22(金) 22:00:09.70 ID:T7CKD9naO
まさか続編が見れるとは
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 22:01:14.44 ID:zPq1oxhMo

穏乃「…………私……全然……」

憧「何言ってんの!あたしらだって点を稼げなかった!それに宮永照が相手だもん!しょうがないって!」

玄「そうだよ……私が大星さんにいっぱい振り込んでなければ……ごめんね、穏乃ちゃん」

宥「わ、私も……準決勝の時みたいにできなくて……」フルフル..

灼「それを言うなら私だってそう。ガターとスプリットばかりで………もっといい形で穏乃にバトンを渡せてたら………」

穏乃「みんな……」

晴絵「……反省は大事だけど、まだ試合は終わってない。ここからが勝負だよ、しず!」

穏乃「っ、はい!!」






照「……………」

咲「……お姉ちゃんはどう見る?」

照「………………ここまでの展開から、高鴨さんはおそらく一度も和了れずに終わると予測できる」

照「試合が終わり、みんなと悲しみを抱えながらホテルに戻る」

照「そこで同室の新子さんと再び試合の話になる」

咲「うん」

照「大将の自分のせいで負けたと責任を感じて泣いてしまう高鴨さん。しかし新子さんは………」

照「『しずのせいじゃない、だから泣かないで』と高鴨さんをぎゅっと抱きしめる」

咲「うん」

照「落ち込んで心が弱っているところにつけ込むことに罪悪感を感じながらも、新子さんは高鴨さんに迫り、キスをする」

咲「……」

照「そして体を重ねる……という感じかな」

咲「……………」

照「………咲はどう見るの?」
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 22:02:04.88 ID:zPq1oxhMo

咲「私は……」

照「…………」

咲「…………落ち込む高鴨さん。それを励ますみんな。高鴨さんは仲間の大切さに改めて気付く」

照「…………」ウンウン

咲「そして大会が終わっても、その気持ちは残り、やがて愛情へと変化していく」

照「自然な流れ」

咲「でもその気持ちが誰に向かっているのかが自分でも分からない…………そんな高鴨さんの前にやってきた和ちゃん」

照「ん?」

咲「決勝の頑張りを見ていた和ちゃんが高鴨さんを励ます。その時、高鴨さんの中に燻ぶっていた気持ちが動き出す」

照「………?」

咲「『和………私、和のことが……』自分を突き動かしていた原動力が和ちゃんだったことを思い出し、その気持ちを和ちゃんにぶつける」

照「??」

咲「それを受け入れる和ちゃん……そして2人は幸せになりました………って感じかな?」

照「そこで原村さんを出す必要がある?」

咲「だって高鴨さんがインハイを目指すことになったのも、和ちゃんに会うためだって聞いたよ?」

照「きっかけはそうかもしれない。でも、高鴨さんはもはや原村さんよりチームメイトの方が好きになっている。『愛情へと変化していく』って咲も言ったでしょ」

咲「それは………」
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 22:03:19.94 ID:zPq1oxhMo

照「咲はヤンデレの原村さんを他の人とくっつけて自由になりたいだけじゃないの?」

咲「そ、そんな訳ないよ!邪推はやめてよ!」

照「いや、そもそもヤンデレというのも咲が言い出したことで、事実無根かもしれない。自分が付き合いたくない気持ちがそういう設定を生み出したんじゃ……」

咲「ち、違う!!和ちゃんはヤンデレの才能があるもん!一級品だよ!」

照「私が聞いた限りでは、咲に強い愛情を抱いているようだけど、ヤンデレの要素は感じ取れなかった」

咲「うぅ………」

照「……原村さんと付き合ってみたらどう?嫌いではないんでしょ?」

咲「………嫌いじゃないけど……」

照「だったらどうして?他に好きな人がいるの?」

咲「そ、それは………」

照「……………」

咲「……………………」

照「……………」

咲「…………その……」

照「……………」

咲「……私……」

照「……言いづらいなら無理に言わなくていい」クルッ

咲「あ……」

照「…………」テクテク

咲「お姉ちゃん?どこに行くの?」

照「トイレ」

咲「あ、私も行く」
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 22:04:16.20 ID:zPq1oxhMo

【トイレ】

照「…………」パタン...ガチャ

咲「…………」

照「…………」

咲「…………」

照「……………なんでドアの前で待ってるの?」

咲「え?」

照「用を足しに来たんじゃないの?」

咲「うん……でもまだいいかなって。私のことは気にしないで。お姉ちゃんはしちゃっていいよ」

照「………………」

咲「………………」

照「……ねえ、ドアから離れてくれない?鼻息がうっすらと聞こえてるし、集中できないから嫌」

咲「うーん、善処するね」

照「…………」

咲「…………」

照(……なんか聞き耳を立ててる気配……もう、しょうがない……一応音姫を使ってから……)ジャァァァ..

咲「っ!」

咲(音姫を……でも耳をすませばなんとか……)

照「…………」スゥー..

照「♪たとえ深い闇に〜」

咲(!!)

照「♪はぐれて迷い込んでも〜」

咲(トイレの個室で歌うなんて……誰かに聞かれたら宮永照がおしっこしてるという宣伝になっちゃう諸刃の剣なのに……私に音を聞かせないためにそこまで……)

照「♪私ならば間違えずにあなたのこと見つけられる〜」

咲(……もうしてる?それとも………)

咲(………………ダメ……わからない、全然聞こえない!!)クッ

咲「あ」ブルッ

咲(私も限界………っ!)ガチャ...バタン!

照(まったく………昔と変わってないんだから)

照「♪気がつくと つないだ手 すり抜けて 駆けてく」

照(あと半荘1回、か……)
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 22:04:52.08 ID:zPq1oxhMo

【対局室】

東1局

東家 宮永咲

南家 高鴨穏乃

西家 宮永照

北家 末原恭子



白糸台 123700

清澄 116600

姫松 91900

阿知賀 68700
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 22:05:50.10 ID:zPq1oxhMo

ビーーーッ

恒子「決勝、大将戦後半戦、スタート!!」

照(インターハイ最後の半荘……)

咲(お姉ちゃん……)

穏乃(最後まで諦めない!)

恭子(宮永照がラス親ちゃう事が救いや。まだ可能性は0ちゃう。ねばるで!)

咲《お姉ちゃん………これが最後だね》

照《そうだね》

咲《私、諦めてないよ》

照《わかってる。この程度の得点差、あってないようなものだから》

咲《優勝もだけど、姉妹百合もだよ》

照《………まだ言うの?姉妹百合は邪道という考えは変わらない》

咲《そこを曲げてもらうよ》

咲「カン」チャッ

照「!?」

咲「ツモ。4000オール」ジャラッ

照《タンピン三色……開始早々その牌勢……》

咲《ふふ……それだけ、私の姉妹百合への想いが強いってことだよ》

照《…………》

咲《姉妹百合を愛する人にはいい手が入るんだね》

照《ふ……ふふふ……》

咲《?急にどうしたの?》

照《咲の姉妹百合への想い……果たして本物かな?》

咲《本物に決まってるよ?》

照《そう。だったら聞きたいんだけど、休憩の時に阿知賀のやりとりを一緒に見た後、百合妄想を話し合ったよね?》

咲《………それが何?》

照《疑問なんだけど……咲は姉妹百合が好きなのに、どうして姉妹である松実さんたちを無視して原村さんを登場させたの?》

咲《あ……っ!!》ハッ
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 22:06:51.50 ID:zPq1oxhMo

照《姉妹百合を愛してるはずの咲………でも、松実姉妹のまの字もなかった》

咲《ああ……っ!!》

照「ツモ。400−600」パシ

咲《だ、だけど……主役は高鴨さんだし……》

照《それは違う。確かに私は高鴨さん視点で妄想したけど、別に私と同じように妄想する必要はない。松実姉妹の視点で妄想すればいいだけ》

咲《だ…だけど………》ウゥ..

照《もう1つある。愛宕姉妹に対してもそう》

咲《愛宕姉妹?》

照《そう。トイレの帰り道、咲は気付かなかったみたいだけど、私はあえて姫松高校の控室の前を通るように回り道したの》

咲《えっ!?そんな地味な作戦が行われてたの!?》

照《姫松の控室の中から漏れる愛宕姉の心配そうな声……そして、先輩を気遣いながらも、姉に心配されていることに嫉妬してる愛宕妹の声……》

咲《…………》

照《気付きもしなかったみたいだね。それで姉妹百合をどうこう言えるのかな?》

咲《うぅっ……》

照「ツモ。500−1000」ジャッ

咲《………………》シュン..
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 22:07:32.73 ID:zPq1oxhMo

照「………………」

咲《………………ねえ、お姉ちゃん》

照《……なに?》

咲《お姉ちゃんは……姉妹百合が嫌いなの?》

照《…………》

咲《姉妹百合は邪道だ、っていうのも…………姉妹百合が嫌いだからそう思うの?》

照《…………咲》

咲《……なに?》

照《その……私は姉妹百合そのものを全否定するつもりはないし、咲が姉妹百合を愛してるってことを否定したいわけでもない》

咲《…………》

照《邪道邪道って言ってきたのは……私が姉妹百合を好きになるように、って咲が強引に押し付けてくるからで……》

咲《姉妹百合が嫌いなわけじゃない……》

照《…………うん》

咲《そっか……》

照《…………》

咲《……じゃあさ…………お姉ちゃんは…………》
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 22:08:33.50 ID:zPq1oxhMo

咲《…………………………私のことが嫌いなの?》

照《!!!》

咲《……………………》

照《…………なんでそんなこと聞くの》

咲《だって…………お姉ちゃん、家を出るちょっと前から一言も口を利いてくれなかった》

照《…………》

咲《何度謝っても……ずっと無視して……》

照《…………》

咲《前に私が1人でお姉ちゃんに会いに行った時も……》グス

照《…………》

咲《……それも全部、私が嫌いだから……?》

照《違う》

咲《じゃあ何で……》

照《咲は……心当たりないの?私がそういう態度をとった理由》

咲《心当たり…………うーん……》

照《…………》

咲《………………お姉ちゃんのクッキーで食あたり騒動?》

照《……それもある》
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 22:10:55.65 ID:zPq1oxhMo

[お姉ちゃんのクッキーで食あたり騒動]

照に冷たい態度をとられるようになった咲。もはや以前のように会話をすることもできなくなっていた。

そんな時、照が学校の調理実習でクッキーを作ってきたという話を聞きつけた咲は、どうしても食べたいという欲求に襲われる。

しかし、今の姉妹仲ではお願いしても貰えるとは思えない。

そう考えた咲は、照がテレビで女子アナのカップリングに妄想を膨らませている隙を狙い、クッキーを盗み出した。

その後、『ゆるゆり』で赤座あかねが、妹であるあかりのクッキーを少しずつかじっていたことにインスパイアされ、ひとかけらずつ、数週間かけてクッキーを食べた。

結果、咲はお腹を壊し、入院することになる。

そして医者との診察時に、『医療機関関係者に対して嘘をついてはいけない』という、なんだかわかるようなわからないような理屈から、

「姉にもらった手作りのクッキーを毎日食べてたらお腹を壊した」と事実のみを端的伝えた。

ここまでの話なら、何も問題はない。医者は守秘義務により問診の内容を患者以外に話さないため、この話が照に伝わることはないからだ。

しかし咲が入院中、ばったり会った近所のおばさんと世間話をしたことが悲劇の始まりだった。

ついうっかりしていた咲は、前述した『医療機関関係者に対して嘘をついてはいけない』の『医療機関関係者』に、近所のおばさんを含むというミスを犯した。

機嫌よく腹痛の苦しみを話した後、

「あれ?こんな風に言ったらお姉ちゃんが悪いみたい……」と気付いた時には手遅れだった。

話には尾ひれがつきまくり、姉が妹を苦しめるために調合したクッキーによって入院させられたと受け止められた咲は悲劇のヒロインと化し、

翌日から、照は妹の体内を破壊するためにクッキーを作り出した『長野のマッドサイエンティスト』と恐れられるようになり、

スーパーなどで小麦粉を買おうとすれば、レジのおばさんが露骨に警戒するほどだった。

周囲の態度を疑問に思った照がおばさんらに話を聞いていった結果、諸悪の根源は咲だと気付いた。

この騒動が、咲への態度をさらに冷たくさせた原因の1つであるのは間違いない。
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 22:12:27.64 ID:zPq1oxhMo

咲《それもってことは……まだあるんだよね……》

照《…………うん》

咲《他に心当たり………》

http://i.imgur.com/WMTN8hx.jpg

咲《あ!いくつか思い出した》

照《…………言ってみて》

咲《ひょっとして……点滴騒動?》

照《…………それもある》
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 22:13:25.71 ID:zPq1oxhMo

[点滴騒動]

お姉ちゃんのクッキーで食あたり騒動で入院時、点滴の袋を見た咲は、

「もしもこの中身がお姉ちゃんの体液だったら、私の体内にお姉ちゃんが入ってくるんだよね……」と思い、居ても立っても居られなくなった。

しかし、照に体液をくれるようお願いしようにも、照は冷たい態度中。

どうしたら照の体液を手に入れられるのだろう?と悩んでいた咲。そんな時、咲の目の前に近所のおばさんが現れた。

「どうしたの?悩み?悩んでるならおばさんに話してごらん」と言われた咲は、すでにこのおばさんを医療機関関係者に入れているので、

なんの躊躇もなく悩みを打ち明けた。

「お姉ちゃんの体液を点滴で私の体内に注ぎたいんです」と。

その言葉を聞いたおばさんは咲を『長野のマッドサイエンティスト宮永照により、何らかの実験をされて錯乱状態に陥っている可哀想な子』と捉え、

悲しみに襲われたおばさんは、そっと咲を抱きしめ、励ましの言葉をかけ続けた。

咲は、照の体液を得られない自分に同情してくれてると感じ、涙を流してお礼を言った。

次の日から『長野のマッドサイエンティスト宮永照は妹を実験材料としてしか見ていない』という噂が広まり、

照の評判は地面にめり込むほどに落ちたのだった―――


咲《まだ他にあるんだとしたら…………あ!ドクターツンツンのミラクル医療?》

照《それもある》
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 22:15:32.22 ID:zPq1oxhMo

[ドクターツンツンのミラクル医療]

照と咲の知り合いに、泳ぐことが好きな、足の不自由な少女がいた。

自分はもう泳ぐことができない。だから自分の代わりに魚に泳いでもらいたいと、水族館を作るのが夢だと言っていた。

その子は今、どうしているかというと…………水泳部に入り、毎日超泳いでいた。

泳ぐのは無理だと諦めていたのも、車椅子がなくては外出するのも困難だったのは事実。

しかし、ある1つの出会いが、少女を救った。

経緯はこうである。

咲がお姉ちゃんのクッキーで食あたり騒動で入院し、ストレッチャーで病室まで運ばれていた時、そばにツンツン頭の医者がいた。

このツンツン頭は、髪型キープに命を懸けている。ゆえに特徴的なツンツンをもつ咲のことを気にかけており、

姉が長野のマッドサイエンティストであるということに同情していた。

そんな時、咲のお見舞いにきた魚好き少女を見たドクターツンツンは、

「この子も宮永照によって足を……!?」と、

くっ、なんてことだ……的な感情に襲われた。

そして医者としてできることは何か、と自問自答した結果、『凄腕の先生にお願いする』という結論にたどり着いた。

その後の行動は早く、

凄腕の先生を頼る→凄腕の先生が両手で大きく○→手術→大成功!という具合に、とんとん拍子で進んでいき、少女の足は完治した。
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 22:17:55.69 ID:zPq1oxhMo

リハビリを終えた少女は、あっという間に元気になり、バタフライで25メートル25秒を切るスピードで泳ぎ切れるレベルに到達。しかも食後すぐでこのタイムである。万全の状態ならもっと速い。

実に幸せな結末。咲の犯した過ちにより、1人の少女の運命が好転した。ドラマチックで奇跡的な話だ。

だがしかし、その裏に犠牲になったもう1人の少女がいることを忘れてはならない。

宮永照の悪名は、宮永家から離れた、なんかよくわからない小売店にまで知れ渡り、

500円以上買ったら押されるはずのスタンプを押してもらえなかったり、おまけしてもらえる確率が大幅に下がるなどの不自由を余儀なくされた。

さらに気が付けば『長野のマッドサイエンティスト』という呼称に加え、『人体破壊のスペシャリスト』とも呼ばれるようになった。

そして『宮永照=狂犬』というイメージまで付き、不良に一目置かれる存在になってしまった。たまにワルの弟子志願も来る。

それからというもの、照は自分のマイナスイメージを覆すべく、極端に明るい笑顔を浮かべて対応するという処世術を学んでいくのだった―――



照《一応言っておくけど、奇跡を起こしたのは髪型キープの人じゃないからね》

咲《それはそれとして……これでもないとしたら後は……えーと……火事&車椅子騒動?》

照《違う》
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 22:18:51.93 ID:zPq1oxhMo

[火事&車椅子騒動]

お姉ちゃんのクッキーで食あたり騒動の時に病院で出会った近おば――近所のおばさん――がテレビの料理番組でやっていたフランベを真似し、近おば邸が火事になってしまった事件。

燃え盛る近おば邸を、野次馬と共に見上げる咲はハッと思い出す。

水泳大好き少女が使っていた車椅子。足が完治した今は不要になったということで、近おばに譲ったこと。

そして車椅子の中に、咲イチオシサークルの姉妹百合同人誌が入れたままになっていたことを……

車椅子は炎の中。今から生身で飛び込むのは不可能。ならば取れる手段は1つ。

咲は大声で消防隊員に車椅子を外に放り投げるよう頼み込んだ。『大切な物がそこにはあるから』と涙ながらに叫ぶ。

あまりの剣幕に押された消防隊員は、急いで近おば邸へ突入し、窓から車椅子を外へ投げた。

咲が急いで車椅子の元へ駆けつけると、一応中身を確認する。

……やはりクオリティが高い。息もつかせぬ面白い展開だ。これからもこのサークルの新刊はチェック必須だと思った。

そして、そんな素晴らしい百合同人誌が無傷で戻ってきたことにホッと胸を撫で下ろす咲。

やはり大切な物は自分の近くに置くべき。それが今回の事件で咲が得た教訓だった……

……ちなみにこの事件による怪我人はなし。


照《その事件、私関係ないし》

咲《そっか、そうだよね……じゃあ他にあるとしたら…………コスプレ騒動!?》

照《違う…けど……それも辛かった……》
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 22:20:14.97 ID:zPq1oxhMo

[コスプレ騒動]

照はコスプレに興味を持っていた時期があった。

自分の好きな漫画やアニメのキャラクターと同じ服を着ることに魅力を感じたのだ。

そんな照がある時、時間をかけて頑張って衣装を作った。

その衣装とは、はやて×ブレードの制服。白服ではなく黒い通常のものである。

裁縫は素人なため細部まで再現はできなかったが、とりあえずいい雰囲気の物ができたと、照はご満悦。

夜な夜な、自分の部屋で衣装を身にまとい、姿見の前でポーズを決めていた。

これだけなら微笑ましいで終わりなのだが、この様子を咲に見られていたからたまらない。

咲はコスプレまでこなす照を心から尊敬し、感動した。そして翌日、学校の作文の授業で、照のコスプレポージングのことを発表した。

すると、教室中にポカーンという音が鳴り響き、なんとも言えない空気が漂う。

咲のクラスに照のクラスメイトの妹がいたこともあり、照のコスプレ趣味は照のクラスにあっという間に知れ渡り、照の立場はかなり危うくなった。

咲にとっては手先の器用な姉自慢だったのだが、周りはそうは捉えてくれない。

『なんで?』、『どうして?』と悔しさを露わにする咲。

みんなを見返そうと、誇張表現を追加して再び照のコスプレ趣味を作文にし、帰りのホームルームで発表……これを週3で4セット行った。照の評判がさらに落ちる。

これはまさに純粋であるが故におきた悲劇であった―――
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 22:20:58.35 ID:zPq1oxhMo

咲《これでもないの?じゃあ……花騒動?記念写真騒動?》

照《……どっちも違う》

咲《そんな……もう心当たりは今ので全部だよ……》

照《……正直、これだけ心当たりがある時点で冷たくされても当然だと思う》

咲《ごめんね……私ドジだから……》

照《ドジとかいう問題じゃない気がするけど。そう思わない?》

咲《…………確かに……そう言われると……私、お姉ちゃんしか見えてなかったから……》

照《…………》

咲《…………それで、その……本当の理由、は?》

照《………………咲はまず前提が間違ってる。咲が挙げた心当たりは全部、私の態度が冷たくなってからのことでしょ?》

咲《あ……》

照《ということは、それ以前のことが原因と考えるのが普通》

咲《そうだよね……でも……今言ったこと以外の心当たりはないよ……》

照《嘘》

咲《え?わ、私、嘘なんてついてない》

照《…………咲はさ、私が気付いてないと思ってるのかもしれないけど……》

咲《え……?》

照《…………ワンピース》

咲《!!!!!》
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 22:22:13.78 ID:zPq1oxhMo

照《咲が一番気に入ってるワンピースあるよね?》

咲《あ…………あ……》ガタガタガタ..

照《私のパンツの股間部分を切り取って……股間部分だけを縫い合わせて作ったワンピース…》

咲《き………気付いて………たの………?》

照《当たり前でしょ?ある日からほとんどのパンツに穴ぼこが空いてるんだから》

咲《うっ!》

照《初めて見た時は意味がわからなくて茫然としてた》

咲《うぅ……》

照《前に履いた時にハードな運動したっけ?とか考えてたら、頭の中に咲の姿がフラッシュバックした………それは忘れかけてた、ううん、忘れようとしてた記憶……》

咲《そ、れは……?》

照《……私のパンツの匂いを嗅いでる咲の姿》

咲《〜〜〜〜っ!!!》

照「ツモ。4000オール」

咲《うぅぅ……》

照《その姿を思い出したことによって咲の仕業だと気付いた。他にパンツを切り取りそうな人、身内にいないし》

咲《っ……》

照《本当に困ったよ。無傷のパンツがほとんどなかったから。下手すると中一日のローテーションになる……雨が降ったらジ・エンド》

咲《ぅぅ……》

照《……お母さんにお願いして新しいのを買ってもらおうとも思ったけど……1枚2枚じゃ足りないし、かといっていっぱい買ってもらうには理由が必要。でも正直に話したら大騒ぎになるだろうし》

咲《あ……気付いてたのに内緒にしてくれてたんだよね……》

照《……なのに……私が気付いてないと思って、そのワンピースを着て話しかけてくる咲を見てたら、ものすごく腹が立った》

咲《……そう、だよね………ごめんなさい………》

照《…………どうしてあんなことしたの?》
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 22:23:52.61 ID:zPq1oxhMo

咲《…………》

照《…………》

咲《……私……お姉ちゃんに触れたくて……》

照《…………》

咲《昔抱っこしてもらった時とかすごく嬉しくて……でも……触ってない部分があることに気付いて……悔しくなって》

照《そこ、悔しがるところなの?》

咲《あの頃、一緒にお風呂も入ってなかったし……どうしたらいいのか色々考えた結果、パンツに穴を……》

照《………………》

咲《間接的でも触れたかったから……でも、1枚切り取ったら歯止めが利かなくなっちゃって……キレイに切れたら嬉しいのもあって何枚も何枚も切り続けた》

照《………自分で口にするのもアレだけど……匂いを嗅ぐだけじゃダメだったの?》

咲《うん……勲章が欲しいというか……残る物がよかったの》

照《…………なんでワンピースに?》

咲《パンツの股間部分って、お姉ちゃんの知り合いとか、お姉ちゃんのことを好きな子とかが触れたことのないところだよね?それが私の体中を包んでるって思うと、すごく幸せだから》

照《…………………………ねえ》

咲《え?》

照《咲は、本自体が好きだから百合以外の本も読む》

咲《うん》

照《もしかして…………変な思想の本とか、邪教絡みの本とか読んでないよね?》

咲《そんな本読まないよ?》

照《…………本当?》

咲《本当》

照《それならいい。なんかそのうち『姉の臓物を煮込んで〜』みたいにエスカレートしそうで怖かったから》
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 22:24:49.82 ID:zPq1oxhMo

咲《そんなことしないよ!私はお姉ちゃんが好きなんだから!》

照《!………》

咲《大体……私が姉妹百合に目覚めたのはお姉ちゃんが原因なんだよ?》

照《え》

咲「カン」チャッ

咲「………ツモ。3100−6100」

咲《お姉ちゃんが可愛いから……お姉ちゃんが優しいから……お姉ちゃんっていいなってなったんだ》

照《…………》

咲《そんな時に姉妹百合物を読んで……これだ!って思ったよ》

照《…………》

咲《お姉ちゃんと妹がイチャイチャして、最終的には恋愛関係に発展………素晴らしいよね。そう思わない?》

照《…………完全否定はしないけど……私にとって姉妹百合は……やっぱり邪道だと思う》

咲《!……邪道邪道って………何が邪道なの?理由を言ってよ!)

照《血の繋がった姉妹で愛し合っても………最後にはバッドエンドが待ってる》

咲《それは極論だよ!作品にもよるし、素晴らしいこともたくさんあるよ!》

照《私は………鬱展開は嫌なの………切ないくらいはいいけど、心中とか無理……》

咲《それは姉妹百合に限ったことじゃないよ!!そこを妄想で補うのが腕の見せ所だよ!現実を見過ぎないで!》

照《だけど……》
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 22:25:44.63 ID:zPq1oxhMo

咲《お姉ちゃんの好きなエッチ漫画でも、姉妹で甘々エッチしまくってもなんともなかったりするよ!》

照《私をエッチ漫画好きみたいに言わないで。たまたま私の本棚にそういう系統の本が収納されてるだけで……別にその……好きとかじゃない。定期購読してもいないし……》

咲《じゃあ好き嫌いはいい!とにかく私が言いたいのは、姉妹でエッチしても別に大丈夫だってこと!ばれないように気を付ければいいだけだもん!それともお姉ちゃんはみんなの前でエッチしたいの!?》

照《そんなこと全然言ってない。咲、少し落ち着いて》

咲《私は落ち着いてるよ!》

咲「カン」チャッ

咲「ツモ。2000−4000」ジャラッ

咲《こんなにもね》

照《…………》

咲《大体さ……》

照《?》

咲《お姉ちゃんは……妄想以外のことはどうなの?》

照《え……》

咲《せっかく女の子に生まれてきたのに………百合に参加しないの?》

照《な、何を言ってるの……》

咲《さっき、白糸台には百合がないみたいなこと言ってたけど………それはお姉ちゃんが怠けていたからじゃないかな?》

照《!!》

咲《私はお姉ちゃんは受けが映えるだと思うけど……お姉ちゃんが積極的に動けばオチた子はいたはずだよ?》

照《そんな……わけない》

咲《………まぁ、お姉ちゃんがそう思うならそれでいいよ。お姉ちゃんは未経験の方が私的には燃えるし……》
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 22:26:33.22 ID:zPq1oxhMo

照《……………ばかり》

咲《え?》

照「ツモ。700−1300」

照《咲は性的なものばかりだね》

咲《!!》

照《…………正直に言うと……私もその……エッチなものは嫌いじゃない。でも咲ほど欲望に特化してない》

咲《そ、そんなことっ……お姉ちゃんだって十分……!》

照《私の根底にあるのは欲望よりも百合に対する愛……それは誓える》

咲《そ、それは私も……》

照《じゃあ……どうしてその気持ちを『私』じゃなくて、私の『物』にぶつけるの?》

咲《!!》

照「ロン。8000」

穏乃「!!」

咲《そ、それは………奥ゆかしさだよ……お姉ちゃんを想って………》

照《それにしても欲望が勝ちすぎてる。私の気持ちなどお構いなしでしょ?穴あきパンツにあるのは哀愁だけ》

咲《ううぐっ!》

照《どうしても無事なパンツがない時は、穴の空いたパンツを2枚重ねて穴を塞いだ時もあった……夏場はすごく蒸れた……》

咲《そうなんだ……で、でも、そういう時はノーパンもいいかもしれないよ?龍門渕の国広さんとかいつもノーパンで気持ちよさそうで……》

照《……私が日常生活に求めてるのはノーパンの気持ちよさよりも、ちゃんとパンツを履くことで得られる安定だから》

咲《う……》
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 22:27:18.00 ID:zPq1oxhMo

照「ツモ。6000オール」

照《…………だけど全部咲の責任にするのは間違いかもしれないね》

咲《え?》

照《咲がそこまでエスカレートしちゃったのは、百合天国の長野……ひいては長野県知事に責任があるのかもしれない》

咲《…………》

照《………周りにカップルが多すぎて感覚が麻痺するのも理解できる》

咲《…………》

照《でも……百合好きになったばかりの頃の……ちょっとしたイチャイチャでホッコリしていた頃の自分を忘れないで》

咲《お姉ちゃん……》

照《漫画で赤面した女の子の絵を切り取って集めて、色々組み合わせながら百合カップルを作ってたあの頃……女の子が2人で頬を赤らめてるのを眺めるだけで幸せだったでしょ?》

咲《…………》

照「ロン。24300」

恭子「!!」

照《…………昔の私は、今以上に頑なに姉妹百合を拒んで………咲を傷付けてしまったと思う……》

照《それについては悪いと思ってる………度量の狭い姉でごめん》

咲《お姉ちゃん……》
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 22:28:25.66 ID:zPq1oxhMo

照《…………》

咲《………私、お姉ちゃんが好き。だから姉妹百合も大好き》

照《……うん》

咲《でも……好きっていう感情に囚われすぎてたみたい》

照《…………》

咲《………お姉ちゃん、パンツに勝手に穴を空けて………ごめんなさい》

照《うん》

咲《股間ワンピを着て商店街を練り歩いて………ごめんなさい》

照《……うん》

咲《今でも週1で着て出かけてて………ごめんなさい》

照《もう絶対やめて》

咲「…………」フゥ

照「?」

咲《…………なんだか……すっきりしたかも》

咲《お姉ちゃんと百合について語り合えて楽しかった》ニコリ

照《そう……》

咲「………ツモ。500−700」

照《…………》

咲《…………次はオーラス。話は試合終了後にしよう》

照《うん》

咲《じゃあ、もう切るね》

照《切るって……電話じゃないんだから》

スゥ...

照「…………」

照(……もう咲の声は聞こえない……)

咲「…………」

咲(お姉ちゃんとの差は41200……三倍満以上を直撃しないと届かない)

咲(だけど………必ず逆転してみせる!!)ゴゥッ!!
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 22:29:15.44 ID:zPq1oxhMo

南4局 親・末原

恒子「さあー!!大将戦オーラスです!トップの白糸台、このまま逃げ切れるか〜〜!!!」

白糸台 179400

清澄 138200

姫松 44400

阿知賀 40000

4巡目 ドラ2索

照(………)

[照・手牌]

二三四四五六ABCEE23

一……萬子
@……筒子
1……索子

照(タンピン三色ドラ1の聴牌………)
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 22:29:49.68 ID:zPq1oxhMo

照「…………」チャッ

照(!このツモは………)

照「…………」タン

恭子「………」チャッ..タン(ツモ切り)

恭子(あかん……配牌が悪い上に手が全然進まん……)

咲「………」チャッ..タン

穏乃(…………うう……ダメだ……)チャッ..タン

照「……………」チャッ..

照「………」タン

恭子(9索……うぅ……いらん)タン

咲「ポン」チャッ..タン

[咲・手牌]

九九九@@HHH11

ポン999
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 22:30:57.42 ID:zPq1oxhMo

咲「…………」

咲(清老頭テンパイ………それにこのポンでお姉ちゃんの次のツモは9萬、その次のツモは9筒。どちらもお姉ちゃんには不要牌)

咲(この9萬か9筒をカンして嶺上牌が9索………これを加カンして嶺上牌の1筒をツモ………)

咲(……お姉ちゃんがオリなければ責任払いでまくれる。普通ならオリるだろうけど……)

咲(お姉ちゃんはきっと………)

照「…………」チャッ

照(9萬………)

照「…………」タン(ツモ切り)

咲「……カン!」チャッ

咲(やっぱりお姉ちゃんはオリなかった!最後まで正面から戦ってくれた!あとはこの9索を…)チャッ..

咲「もいっこ、カン!」チャッ!

咲(嶺上牌は1筒!これでお姉ちゃんに勝っ…)

照「ロン」

咲「え…………っ!?」
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 22:31:37.08 ID:zPq1oxhMo

照「2000」パラッ..

咲(そ、そんな…っ!)

照「…………」

[照・手牌]
二三四四五六ABCEE78

咲(チャンカン、ピンフ………!!)

咲(捨て牌に2索と3索!…………三色とドラを捨てて………)

恒子「た、大将戦決着〜!!!!!!そしてっ!!」

恒子「白糸台高校、史上初の3連覇達成〜〜!!!!」ワアーーーーー!!



大将戦 結果

白糸台 181400(+57700)

清澄 136200(+19600)

姫松 44400(−47500)

阿知賀 40000(−28700)
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 22:33:27.27 ID:zPq1oxhMo

照「…………」フゥ..

照(……前局、連続和了を止められたにも関わらずあの牌勢、不自然だと思ったけど……その予感は正しかった)

照(あのまま三色を追っていたら……その嶺上牌で仕留められていたはず)

咲「…………」

咲(自分が和了ることだけを考えて、お姉ちゃんの捨て牌に意識を向けてなかった私のミス……?)

咲(……ううん、この打ち方以外で勝てる方法はなかった。単純にお姉ちゃんが私よりすごかったんだ………)

照「咲」スクッ

咲「え?」

照「……今日はその……久しぶりに話せて………………私に会うためにここまで来てくれて……嬉しかった」スッ(手を差し出す)

咲「!!……う、うん!!」キュッ!(手を握る)

照「…………」フフ

咲「えへへ……」パァァ..

照「今度……」ボソ

咲「?」

照「オススメの姉妹百合作品を教えて」

咲「お、お姉ちゃん……」

照「咲の好きな作品を」

咲「うん!!」

照「…………」

咲「」ニコニコ

照「…………ふふ」ニコッ

照(咲、すごく嬉しそう……)

照「………………」

照(姉妹百合……か)

照(私が邪道とか言って拒まなければもっと……)

照(ううん、今さらそんなこと考えてもしょうがないよね)フルフル..
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 22:34:02.14 ID:zPq1oxhMo

穏乃「………………」

穏乃「…………おわった……インハイが……」

穏乃「みんなと…………がんばってきたのに……」グスッ

穏乃「うぅ……うぅう………」グシュ..

憧「しず!!」

照・咲「?」

穏乃「あ………あこ………?」

憧「……………」タタッ!

穏乃「あの……ご、ごめ…」グズッ...

憧「しず」キュッ(穏乃を抱きしめる)

穏乃「あ……」

憧「しずは頑張ったよ」

穏乃「…………でも私……全然だめで……」

憧「そんなの気にしないでいいの。しずは頑張った。否定するやつがいたらあたしがぶっとばしてやる」

穏乃「ぁこ……」グッシュ
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 22:34:51.28 ID:zPq1oxhMo

憧「今日も………ずっとあたしが一緒にいるから。ゆっくり休もう?」

穏乃「うん」グス

憧「お腹いっぱいご飯食べて」

穏乃「うん」グスグス

憧「お風呂も一緒に入って」

穏乃「うん」ググス

憧「シャワー当てあいっこしよ?」

穏乃「うん」グスグス

憧「裸で一緒に寝よ?」

穏乃「うん」グススススン

憧「………約束だよ?」

穏乃「うん!」グスッスススン

照・咲「………………」

咲《お姉ちゃん》チラ

照《うん》コク

照・咲《………せーの!》

照《憧×穏乃》
咲《穏乃×憧!》

照・咲《えっ?》

照《どうして?今のは明らかに新子さんの策略でしょ?》

咲《そうなんだけど……とっかかりは新子さんからでも、高鴨さんは純粋であるが故に、策略を策略と気付かずに新子さんが悶え死ぬような可愛いことを天然でしちゃうんだよ!!それでいつの間にか主導権を握って……》

照《……それいい》
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 22:36:25.51 ID:zPq1oxhMo

恭子「…………」ハァ..

恭子(ぐうの音も出んとはこのことか………みんなになんて言うたらええねん)

洋榎「恭子!!」ダダダ

恭子「しゅ、主将………」

照・咲《今度はこっち!?》クルッ!

恭子「………なんも言い訳ありません。私の責任です」

洋榎「………いや、うちも大して稼げへんかったし………」

恭子「プラスってだけで十分ですやん」

洋榎「あ〜………え〜、なんちゅうか〜」ウーン

恭子「………?」

洋榎「ようは慰めに来たんや!!恭子が落ち込んどるから!!」

恭子「へ……?そら、落ち込んでますけど」

洋榎「だから慰めに来たんや!!どうしたら元気になんねん!!教えてぇや!!」

恭子「………本人にそれ聞きます?」

洋榎「…………ぜったい恭子に元気になって欲しいねんもん………」ブー

恭子「主将……」
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 22:37:20.28 ID:zPq1oxhMo

洋榎「どうしたら元気になんねん………恭子が元気ないのは嫌や」

恭子「あ……あの……」

洋榎「ん?なんか方法あるん?」

恭子「……あるには…ありますけど」

洋榎「ほんま!?ほなら教えてぇや!」

恭子「…………」

洋榎「ほれ!カムヒア!」

恭子「しゅ、主将に………ギュッってしてもらうとか……////」

洋榎「え?ギュッって………どこをどうすんの?足踏んだらええの?」

恭子「ちゃいますよ!あの……」スッ(指をさす)

洋榎「ん?なんや?」チラッ

憧「体に塗った生クリーム舐めあおう?」(穏乃を抱きしめ続ける)

穏乃「うん」グスッスッススン

洋榎「ぅお……////」

恭子「あ、あんなかんじ、ええなぁ………なんて////」

洋榎「おぉ……な、なるほどなぁ////」

恭子「………////」

洋榎「ま、まぁ……それで恭子が元気になるっちゅうなら……しゅ、主将としては……やったらなあかんな。ほな……い、行くで///」

恭子「は、はい///」

洋榎「……い、痛かったら手ぇ挙げてな//」

恭子「歯医者やないんですから」クス

洋榎「…………」ギュッ

恭子「あ……………////」

洋榎「……………」ギュゥ

恭子「////」

洋榎「な、なんか言うてぇな」

恭子「え……その………あったかいです///」

洋榎「そ、そうかー?へ、へぇ〜///」
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 22:38:19.47 ID:zPq1oxhMo

照・咲《…………》

照・咲《せーの!》

照《洋榎×恭子》
咲《恭子×洋榎!》

照《!さっきのを踏まえたのに……また逆?無邪気な愛宕姉が攻めじゃ………?》

咲《それも至高。でも私はこっちを推したい》

咲《初めは2人ともとてもいい関係………末原さんも心を許し、愛宕さんも今以上に末原さんを愛する》

咲《………でも》

照《…………》

咲《末原さんは愛宕さんを尊敬し、愛しながらも、心の底では愛宕さんの才能に嫉妬していた……》

咲《素直に自分に甘える愛宕さんを可愛いと思いながらも、だんだんと自分の中の悪い部分が顔を出す》

咲《普段の強気な物言いとは正反対で、好きな人に対しては従順な愛宕さんに対し、末原さんは恥ずかしい命令を出す……》

照《…………》ドキドキ

咲《そのやりとりで、末原さんは愛宕さんの隠れた性癖を発見する》

咲《ずっと脚光を浴び、挫折もなく、人から称賛され続けてきた愛宕さんは、心の何処かに責められたい願望があった》

照《!》

咲《やがて愛宕さんは末原さんの犬としての立場を受け入れ、裸に首輪をつけた姿で末原さんに連れられ、夜な夜な散歩へと繰り出すことになる》

咲(ま、ベタでありがちな展開だけどね)

照《咲……いつの間にそこまで……》
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 22:39:18.65 ID:zPq1oxhMo

和「咲さん!」ダダ

咲「和ちゃん」

照(原村和……)

咲「どうしたの?」

和「咲さんが戻らないので……心配になったんです」

咲「ありがとう。でも大丈夫だよ」

和「本当ですか?」

咲「うん」

照「……………………」

照(うちのチームの子たちは誰も来ない。きっと控室でカップリング同士、喜びを分かち合ってるんだろうね。よかった)

照(…………それにしても)チラッ

憧「ギリギリのラインを踏み越えよう?」ギュー

穏乃「うん……」グスリーノ

照「…………」チラッ

洋榎「………///」ギュー

恭子「………///」

照(カップルがいっぱい。素晴らしい)ウンウン

和「あ、あのっ!」

照「?」
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/22(金) 22:39:52.71 ID:sRNBnvrKo
キャラ崩壊糞SSほんと嫌い
百合とかありえんわ
百合豚は速報から出て行け
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 22:40:23.46 ID:zPq1oxhMo

和「初めまして!私、原村和と申します!咲さんと仲良くさせてもらっています!」

咲「の、和ちゃん?」

照「うん」

和「その……咲さん、お姉さんと会えることを楽しみにしていたんです!」

照「……」

和「ですので……もし咲さんに対してまだ怒っているのでしたらどうか…」

咲「わあ!和ちゃん、いいから!行こ!」

和「え?はい」

照「…………」

咲「それじゃまたね!お姉ちゃん!」テクテク

照「…………うん、またね。咲」ニコリ

咲「あ……う、うん///」

和「お姉さん、失礼いたします」

照「うん」

照「…………」クス

照(なんだか……ずっと胸につかえてたものがとれたみたい……すごく晴れやかな気持ち)

照(インハイで優勝できて、3連覇のプレッシャーから解放されたことは大きいけど、やっぱりそれ以上に…………)

照「………………咲」

史上初の3連覇を成し遂げた白糸台高校。

主力である宮永照は優勝へ大きく貢献した。

咲と再会し、心の中で語り合うことにより、過去に経験した数々の騒動によるトラウマを呼び起こされたものの、

自ら内にあったわだかまりを解消した。

その影響だろうか。

照は団体戦の勢いそのままに、後日行われた個人戦も制し、有終の美を飾ったのだった―――
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 22:41:26.90 ID:zPq1oxhMo

個人戦終了後の夜

【白糸台 宿泊先ホテル 照・菫の部屋】

照「…………ふぅ」

照(祝勝会を開いてくれるのはありがたいけど……色々話しかけられて大変だった)

照(個人戦の疲労も残ってるし、少し早いけどシャワー浴びて寝ようかな)

ガチャ バタン

菫「照……いつの間にかいないと思ったら……やはり戻ってたか」

照「うん。ある程度挨拶は済んだし」

菫「そうか」

照「うん」

菫「…………」

照「…………?」

照(菫の様子が変……祝勝会の時も……ううん、私が団体戦で優勝した時も、個人戦で優勝が決まった時だって、どこかよそよそしいというか……普段と雰囲気が違ってた)

菫「…………」

照(まるで言いたいことを我慢しているような……そんな感じで…………はっ!)

菫「な、なぁ……照」

照(まさか…………淡と付き合ってることを私に明かそうとしてる!?)
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 22:42:37.37 ID:zPq1oxhMo

菫「実はその…………」

照(女の子同士だし、なかなか言い出せないのは当然。でも最後のインハイを逃したら話すタイミングを失う。それで態度が変だったんだね)

菫「…………実はその……私たちから話があるんだ」

照(そういうことなら納得できる。世話焼きの菫と無邪気な淡はいいコンビ。相性はいいはず。心から祝福しよう)

菫「……入っていいぞ」

ガチャ バタン

尭深「失礼します」

誠子「し、失礼します」

淡「おじゃましまーす」

照「?」

照(菫だけじゃなくて、みんなから話……?)

照(淡だけ入ってくるなら『私と淡は付き合ってる』っていう風に自然な流れになるけど……)

照「!」ハッ!
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 22:44:22.55 ID:zPq1oxhMo

照(これは…………まさか!)

照(尭深と誠子、菫と淡……それぞれが付き合ってるという報告!?)

尭深「///」チラ

誠子「///」コク

照(間違いない……すごい……こんな身近に百合の花が咲いてたなんて…………大都会東京も捨てたものじゃない)

菫「……そ、それでだな……ええと……」

照(あ……菫が緊張してる……そうか…………いくら友達と言っても、女の子同士で付き合ってることを明かすのは勇気がいるもんね……私が百合を愛してることは知らないんだし)

菫「じ……実は……」

照(……だったら……私がとるべき行動は……)

菫「……その……」

照「大丈夫」

菫「え?」

照「全部わかってるから」

菫「な……っ……///」カァァ

照「菫たちの気持ち……私は気付いてた」

菫・淡・尭深・誠子「!!」
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 22:45:42.55 ID:zPq1oxhMo

照(私に懐いてる淡を見て、嫉妬の炎を燃やしつつも表に出さないようにしていた菫……)

照(そんな風に菫を嫉妬させることで、菫の愛を確認していた淡……)

照(大好きな誠子には、一番美味しくなるタイミングでお茶を注いでいた尭深……)

照(収穫を待つ尭深の隣で、浮きが沈むのを待ちたいと願う誠子……)

照(それぞれが結ばれるのは必然…………むしろ遅すぎたくらいかも)クス

菫「まさか……ばれていたとはな……そ、それで……」

照「安心して。私は受け入れる」

菫・淡・尭深・誠子「!!!」

照「女の子同士とか……関係ない。愛は愛」

菫・淡・尭深・誠子「!!!」

照「だから、存分に…」

淡「テルっ!」ダキッ!

照「えっ?」

淡「……んっ……///」チュ..

照「んむぅ……っ!?」

照(!!???)
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 22:46:45.67 ID:zPq1oxhMo

淡「はむ……ちゅ……れろ……///」

照(な、なにこれ……?なんで淡が……私にキスを……!?)

淡「ぷぁ…………ご、ごめんねテル……テルが受け入れてくれたのが嬉しくて……///」

照「???」

菫「こ、こら!淡!何してるんだ!」

淡「えへへ……つい体が動いちゃった///」

照(菫が怒るのも当然。恋人が他の人にキスするなんてそんなの……)

菫「最初は私に譲る約束だっただろうが……まったく……」

淡「あはは……ごめんなさーい」

照「え?」

菫「……照。私たちの想いを受け入れてくれてありがとうな」

淡・尭深・誠子「」コクコク

照「??」

菫「…………照///」ズイッ

照「ちょ、ちょっと……近……」ジリ

菫「んっ……」チュー

照「っ!?」

照(菫も!?ど、どういうこと!?)

菫「……ふ……ちゅ……ぁ……」グイッ

照「んぁ……っ…………ゎ!」ボフッ(ベッドに押し倒される)

菫「……照………ちゅ……ちゅ」

照「す……みれ……?」

照(そんな……菫は淡と付き合ってるんじゃ……)

淡「テル……ちゅ……」(首筋にキス)

照「ゃっ///」ゾクッ..

照(一体どういうこと……!?エッチがマンネリになった2人が寝取られ風プレイを楽しもうとして私を利用してるの?)
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 22:47:51.50 ID:zPq1oxhMo

尭深「宮永先輩……」サワ..(照の腰を撫でる)

照「っ!?」ビクン

誠子「はぁ……はぁ……宮永先輩の太もも……」スリスリ

照(尭深と誠子まで……!最近は寝取られプレイがトレンドなの?本当に最近の女子高生は性に貪欲なんだから……///)

菫「照っ……ちゅ……れろ……」

照「んっ……///」

照(こんなにまで激しくキスしてくるなんて……私はワイルドローズも嫌いじゃないというか結構好きだけど、ファーストキスくらいはやっぱり…………)ハッ!

照「ああっ!!」ガバッ!!

菫「わっ!」

淡・尭深・誠子「っ!?」

照「あ……あぁ………」フルフル..

照(菫たちが寝取られプレイをしてきたことに驚いたせいで、自分がいきなりキスされた衝撃を忘れてた……)

照(私のファーストキス……)

菫「急に離れるなんてひどいじゃないか……まぁ、恥ずかしがるところも可愛いんだがな///」

淡「うんうん」

照「え……っと」

照(ちょっと待って……話を整理しよう。まず……菫と淡、尭深と誠子は付き合ってて……)
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 22:48:38.60 ID:zPq1oxhMo

淡「ほら……続きしよっ?」グイッ

照「あぅ……」ボフ(ベッドに押し倒される)

淡「テル……ん……」チュ

照(っ……考えがまとまる前に……)

菫「はぁ……はぁ……ずっと前からこうしたかった……」サワサワ

照「っ!?そ、こは……///」

菫「恥ずかしいか?でもそんなのは最初だけさ。たくさん気持ちよくしてやるからな……私の指で感じてくれ……照……///」サワッサー

尭深「…………」モミモミ

誠子「宮永先輩……」サワサ

照「っ……////」ビクン!

照(こ、これ……だめ…っ…………気持ちよすぎる……自分でするより全然…………人の力って偉大……)

菫「照……照……///」サワサワ

照(あぁ……)

淡「じゅるっ……れろ……ん……」

照(なんか……)

尭深「宮永先輩……キレイ……///」モニュモニュ

照(このまま身を任せた方が………きっと気持ちよくなれる……)

誠子「お肌がスベスベです……」サワラー

照(…………どうしよう…………もういっそのこと……何も考えずに……)
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 22:49:16.66 ID:zPq1oxhMo

『私、お姉ちゃんが好き』

照「ぁ……」

照(今のは…………咲の……)

淡「テル……もっかい」フフ

照「っ!」フイッ!

淡「……もう、横向いたらキスできないよ?こっちむいて」

照「………………」

淡「テル……?」

照「…………やめて」

淡「え?」

照「みんなも…………やめて」

菫「何?」

尭深・誠子「…………??」

菫「……どうした?快感を得ることに罪の意識があるのか?」

照「そういうわけじゃないけど……ごめん」グイ

淡「あ……」

菫「照……?」
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 22:50:15.39 ID:zPq1oxhMo

照「…………」

淡「ど、どうしたの?」

照「どうしたもこうしたも…………いきなりこんな……おかしいよ」

菫「……確かに。順序を飛ばしすぎたかもしれないな……私たちの気持ちを受け入れてくれたことが嬉しくてつい……すまなかった」

照(…………あ)

照(『私たちの気持ちを受け入れてくれた』……ここに問題がある気がする)

照(菫たちの気持ちが『寝取られプレイに付き合ってほしい』だったとしたら、私に一言説明してしかるべき。それがないということは、私の想像してた内容と違うのかもしれない)

照「……ねえ」

菫「ん?」

照「みんなの気持ちって何?」

菫「……は?」

淡「ちょ、なにそれー!今さらそれはないよ!」ブー!

尭深「そんな………」ツルッ..パリーン!

誠子「ああっ!茶碗が割れた!大丈夫?」

尭深「う、ん…………だいじょうぶ」フラフラ
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 22:51:08.46 ID:zPq1oxhMo

淡「テルひどい!そりゃたかみだってショック受けるよー!」

菫「ああ。照は全てをわかった上で受け入れてくれたと思っていたからな……」

照「……ごめん。最初はわかったつもりだったんだけど、間違ってるかもしれないと思って………だから教えてほしい」

菫・淡・尭深・誠子「…………」

照「お願い」

菫「………………わかった」

照「!ありがとう……」

菫「……私たちはみな……その……アレだ…………て、照のことが好きなんだ……」

照「………………え」

菫「///」カァァ..

照(菫たちが私のことを……?それってもちろん、友達としての好きじゃなくて……)チラ

淡「///」

尭深・誠子「///」

照(そんな……全然気付かなかった……)

菫「お互い、抜け駆けはしないようにと約束していたんだが……照の熱視線に耐えられなくなってきてな……」

照「熱視線?」

菫「ああ。お前、こちらをじっと見つめてくる時があるじゃないか。視線を感じてる間、私たちがどれだけドキドキしていたと思ってるんだ」

照「あ……」

照(それって、菫たちがちゃんとカップルしてるかをチェックしてた時の……)

菫「そして我慢できなくなった私たちは、これからどうするかを話し合い……結果、全員で照に告白しようという結論に至った」

照「…………」
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 22:52:14.84 ID:zPq1oxhMo

菫「それで今日、祝勝会が終わった後に告白しようとしたら……お前は私たちの気持ちに気付いていて、その上で受け入れるというから……我慢できなくなって……///」

照「う…」

菫「照……///」ポー

照「ま、待って!その……誤解を生む発言をしたことは謝る。ごめん。でも私は……」

菫「…………私たちを受け入れることはできないのか?」

照「それは…………」

淡「女の子同士とか関係ないって言ったじゃん!あれは嘘だったの!?」

照「……言ったし、嘘じゃない」

淡「だったら……!」

照「…………」

菫「…………誰か好きなやつでもいるのか?」

照「…………え」

淡「い、いるの?」

照(………………)

『私、お姉ちゃんが好き』

照「っ!」

照(何考えてるの!咲は妹なんだから……)

菫「照……」

照「…………ごめん。とにかく、みんなの気持ちは嬉しいけど……」

菫「…………」

尭深「…………」

誠子「…………」

淡「…………」

照「………………」

淡「……私!やっぱり納得できな…」

菫「淡、やめろ」

淡「!菫先輩?だってテルが……」

菫「一番大事なのは照の気持ちだ。無理に付き合っても仕方がない」

淡「むぅ〜……」ブー

尭深・誠子「…………」
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 22:53:05.85 ID:zPq1oxhMo

照「菫……」

菫「それに……今の沈黙と表情を見てわかった。照の世界に私が存在できる領域はまだ残っている……そう……私は照の中に存在できるんだ……照と重なって生きるんだ……ふふふふ」ブツブツ..

照「……菫?」

菫「あ…………なんでもない。みんな……行くぞ」テクテク

尭深「あ……はい」

誠子「わかりました……」

淡「むぅぅ〜」

菫「淡」

淡「はーい……」テクテク

ガチャ バタン

照「…………」

照(みんなを傷付けちゃった……まさか私のことを好きだなんて…………東京も長野に負けず劣らずの百合パラダイスだったのかな……)

照「……………………」

照「……………………」

照(……なんか……まだ気持ちが動転してて落ち着かない……)

照(気分転換がてらジュースでも買いに行こう)
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 22:54:14.95 ID:zPq1oxhMo

【ロビー】

照「ごくごく…………ふぅ」

照(少し落ち着いた……やっぱりジュースとお菓子のリラックス効果は絶大)ウンウン

?「すみません!チェック漏れしてしまいました!」

照「?」チラ

女性記者A「また?最近ちょっとミス多いわよ?もっと気を付けないと」

女性記者B「はい……すみません……」

女性記者A「そういう小さなミスをなくしていかないと、大きな仕事を任せられなくなっちゃうから、気を引き締めなさい」

女性記者B「本当にすみません……」

照(記者さんが怒られてる……)

照「………………」

照(厳しい上下関係、ミスをした部下を叱る上司……恋人同士とはいえ仕事は仕事。社会人らしくそこはしっかりと割り切っている)

照(でも、被虐嗜好の持ち主である上司は、今現在お説教をしながらも、夜のことを想像して興奮してる)

照(『昨日、両手を縛られたままこの子の足を舐めてた私が偉そうにしちゃってるぅ!今夜もいっぱいイジメられちゃうわぁ……』)

照(次第に上司は、責められる時の快感の振り幅を大きくするために、仕事中はより厳しく接するようになり、夜は奴隷のように振る舞うのだった……)
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 22:56:26.08 ID:zPq1oxhMo

照「……やっぱり強気な子が責められるのはいいな……」ボソッ..

?「確かにな。だが、責められたいが故に部下の子がわざとミスしてるのもいいと思うぞ」

照「もちろんそれもあり。でも昼と夜で完全に立場が逆転するってすごくいい」

?「ふむ……部下が上司の弱みを握っているというのもポイント高いか」

照「そう。次第にプレイが仕事中にまで及んでいくという展開も期待できる」

?「ケツにおもちゃを入れたまま仕事させたりとかな」

照「そ、それは……さすがにエッチすぎ…………でも…………いいかも///」

?「そのおもちゃの太さは部下の指のサイズと同じだから、振動の快感に加え、愛しい人とのエッチを想像させる……これを耐えるのは大変だ」フフ

照「あぁあぁ……そんなの……絶対我慢できない……///」

照(部下の子、やりすぎだよ……いくら独占欲が強いからって仕事中にまで……///)

?「しかし、君もなかなかの妄想力だな。私の目に狂いはなかったようだ」

照「………………え?」

照(あれ……?私、今の妄想…………口に出してた!?)

照(いくら疲れてたとはいえ人前で…………どうしよう!?)

?「何を考えているか大体想像はつくが……安心しろ。私は君の同族だ」

照「え?」

照(同族?……それって……)

?「百合を愛し、百合の世界を探求する者……百合妄想士だ」

照「!!」ドクン..

照(百合……妄想士…………この言葉……昔お父さんが……)
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 22:57:23.75 ID:zPq1oxhMo

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

界(宮永父)「……はい、はい。娘は私の想像以上にすごいですよ。すでにクラスメイト同士でカップリングしていて、席替えの前の日はワクワクして眠れないようです」ハハハ

照(小学生)「…………」

照(お父さん、電話長いなぁ……早くマリみての続き読んでほしいのに……)

界「はい。俺が思うに、照は百合妄想士としてかなりの素質を持っていると思います」

照「?」

照(ゆりもうそうし?)??

界「ははは。嬉しいですけど、複雑な思いもあったりしますね」

照(ゆりもうそうしってなんだろう?)

界「あ、そうですか。わかりました。ではまた伺います。はい、失礼します」ガチャ

照「ねえお父さん」

界「ん?どうした?」

照「ゆりもうそうしってなあに?」

界「そうだな…………愛に生きる者……かな」

照「あいにいきる……?」

界「ああ。百合のことを考え、百合を感じ、百合を願う……それが百合妄想士だ」

照「わぁ……すごい」

界「素晴らしいだろう?」

照「うん!」

照(ゆりもうそうしかぁ……そんなすごいひとになれたらいいなぁ)ワクワク

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 22:58:22.56 ID:zPq1oxhMo

照「…………」

照(そのあと色々あってお父さんとは不仲になった……だから自分が百合妄想士になれたのかはわからない。百合妄想士と会ったこともないし……)

照(だから忘れかけてた言葉ではあった。お父さんが言ってただけで、本当は存在しないんじゃないかとも思った)

?「…………」

照(でも今……目の前に……子供の頃から夢見ていた百合妄想士がいる……)ゴクリ

?「どうして驚いている?……あ、そうか。知らない人間に急に話しかけられたら誰でも構えるか」

照「いえ……そうではなくて……百合妄想士って言葉に驚いて……」

?「ん?どうして?」

照「あ、その……父から言葉だけは聞いてて……」

?「なるほどな。周りに百合妄想士はいなかったのか?」

照「はい……」

?「ふむ。まぁ、表立って百合妄想士であることを触れ回るやつは少ないだろうから仕方ないか。実際は高校生だけでも相当数いるぞ」

照「えっ……!?」

?「そんな高校生たちの中でも飛び抜けて優れた力を持つ4人がいるんだが、彼女たちは百合四天王と呼ばれ、尊敬を集めている」

照「百合……四天王……」

照(優れた力を持つ百合妄想士……百合四天王……)

照「っ!」ゾクゾクッ!

照(……なんだろう……すごくワクワクする)
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 22:59:11.60 ID:zPq1oxhMo

?「興味があるみたいだな」クス

照「あ……はい。昔から百合妄想士に憧れてたので……」

?「そうか。なら夢が叶ったんだな」

照「え………?」

?「君も百合妄想士じゃないか」

照「!!」

照(私が……百合妄想士……)

?「百合を愛し、百合の世界を日々探求してるだろう?」

照「…………」

照(そう言われると……確かに……今までずっと百合のために生きてきた。それこそ麻雀以上に……)

?「…………四天王と会ってみるか?」

照「え?」

?「彼女たちと会うことは、君にとって大きな刺激になる」

照「…………」

照(確かに……)

?「ただ……問題もあるんだ」

照「問題?」

?「ああ。彼女たちは強い力を持つが故に、君の百合観を揺るがす可能性もある」

照「!!………」

?「戦いの果てに、何かを失うかもしれない」

照「え……戦い?」

?「そう。己の百合に対する信念をぶつけ合う……それが百合妄想士だ」
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 23:00:15.67 ID:zPq1oxhMo

照(……インハイでの私と咲みたいなものかな……?)

?「どうする?会いたいのなら私が紹介してやるが」

照「…………会いたいです」

?「そうか」ニヤリ

照(……百合妄想士……百合四天王……信念をぶつけ合う……)

照(これは…………今まで私が求めてきたことだ)

照(麻雀以上に愛する百合だからこそ……頂点を目指したい……)

?「では紹介してやろう」

照「…………あの」

?「ん?」

照「……どうして……私のためにそこまで……」

?「あぁ……簡単なことだ。互いにとって都合がいいと思ったからだ」

照「?」

?「私は百合妄想士の集まる組織に属していてな……君が動いたら色々とこちらにとっていい方向に転がるかもしれないと思ったんだ。ま、この辺は今度説明する」

照「??」

?「これが私の番号とアドレスだ。君のも教えてくれ」

照「あ、はい…………あの」

?「どうした?」

照「……お名前は……」

?「あ!悪い悪い。まだ名乗ってなかったな。話に夢中になっちまった」

照「いえ……」

?「私は……久保貴子」

貴子「長野の風越女子高校で麻雀部のコーチをしている百合妄想士だ。よろしくな、宮永ァァッ!!――――」
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 23:00:55.57 ID:zPq1oxhMo

1週間後――――

【新幹線 車内】

照「………………」

照(長野…………久しぶりだけど、町並みとか変わってるかな?)

照「………………」

照「……………咲」

照(インハイの時は試合中以外話せなかったけど……今日はゆっくり話ができそう。楽しみ)

照(あとはお父さんとも話して……)

照「…………」

照(……いつ以来だろう……お父さんと会うの……)

照(…………少し緊張するけど……咲と仲直りできたみたいに、ちゃんと話し合えば昔みたいに戻れるよね……きっと)

?「あっるぇ〜?もしかして……宮永照?」

照「?」

咏「あ〜、やっぱりそうだ」ハッハハ

照「三尋木プロ………?」

照(今日も着物……可愛い)
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 23:03:04.58 ID:zPq1oxhMo

咏「そうだよ〜、なになに?お出かけ?」ケラケラ

照「はい。三尋木プロはお仕事ですか?」

咏「そうだよ〜。あ、そうそう、君は将来プロ雀士を目指してるのかい?」

照「え……と、今はまだなんとも……」

咏「まー、そりゃそっかー。この先どうなるかなんてわっかんねーもんね〜」ケラケラ

照「はぁ……」

咏「ま、今の質問は気にしないでいーよ♪プロの舞台で君と戦ってみたいって個人的に思っただけだから。あっはは」パタパタ

照「はい」

咏「それじゃ、また今度ねー」テクテク

照「あ、はい……」

照「………………」

照(三尋木プロの仕事…………っ!)ハッ!

照(もしかして、針生アナと一緒に温泉ロケとか!?そして道中の車内で……――――)
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 23:04:18.57 ID:zPq1oxhMo

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

咏「あ〜、暇だな〜」パタパタ

えり「………暇ならトレーニングとかしたらどうですか?」

咏「ほぇ?トレーニング?なんの?」

えり「ほら、これから解説の仕事がさらに増えるかもしれないじゃないですか。滑舌とか声の通りを良くするトレーニングです」

咏「ん〜、そんなのあんの〜?」

えり「ええ。アナウンサーもやる練習なんですけど……こうやって割りばしを割りまして……」パキッ

咏「ふんふん?」

えり「両方の奥歯で1本ずつ噛むんです。はい」アーン

咏「え……あ〜………んむ…………ほれへひーお(これでいーの)?」パク

えり「はい」

咏「は、はんか……はふいんはへほ(な、なんか……恥ずいんだけど)///」

えり「ちゃんとした発声練習なので照れずにやりましょう」

咏「んー……///」

えり「では、その状態のまま発声してください。はい、どうぞ」

咏「おん(ロン)!おん(ポン)!いー(チー)!」ンムー

えり(発声ってそういう意味じゃなかったんだけど……)

咏「ひっほんは(1本場)!へんひゃん(連荘)!ほふひふほー(国士無双)!」

えり(かわいいいい!!発声するたびに扇子がピクンって動くのがまたかわいい!!)
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 23:04:59.53 ID:zPq1oxhMo

咏「…………」(くわえてた割りばしを取る)

えり(あ、やめちゃった)

咏「……これで滑舌良くなるとか、意味わかんねー」

えり「…………効果がないって証明できるんですか?」

咏「ほ?証明って………いやしらんけど」

えり「知らないのに決めつけるなんて………最低ですよ?」

咏「え……いや………それは……」アセッ

えり「解説の時も、コメントを言った後に『しらんけど』って言ってましたよね……でたらめを言ったんですか?全国ネットなのに……」

咏「あれは……」

えり「……………」ジー

咏「なんてゆうか………断言を避けただけで別にでたらめ言った訳じゃねーし……」

えり「なるほど。では今回の件も、効果がないと断言してるわけではないと。ではもう一度確かめましょう」

咏「へ?」

えり「はい、割りばしをくわえてください」

咏「ええ〜……」

えり「…………私はこの練習をずっと頑張ってやってきました………それを三尋木プロは否定するんですね…」シュン

咏「ぃや!そういうつもりじゃないんだけどねぃ………」

えり「私は無駄な努力アナウンサー………略して無怒アナだったんだ………」ズーン
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 23:05:56.98 ID:zPq1oxhMo

咏「……………」

えり「……………」ズズーン

咏「わかった。やるよ」ハムッ

えり「三尋木プロ!」ワッ

咏「ひーひゃ(起家)!ひょいひょい(トイトイ)!へんへんほー(千点棒)!」ンムー

えり「可愛いですよ三尋木プロ………」サワ(咏の頬を撫でる)

咏「!!」ビク

えり「続けて……」

咏「おーあふ(オーラス)!はんほろ(3コロ)!ひーはんふーはー(シーサンプーター)……」ンムー...タラー

えり「あ……よだれが………………ん…」(唇で舐めとる)

咏「っ!!!!」

えり「ごめんなさい……ちょっと唇にも触れちゃいましたね」フフ

咏「ひ………ひあの(今の)………/////」カァアア

えり「どうしました?もっと続けてください」

えり「何度でも舐めとってあげますから………」ウィスパーボーイス

咏「………!!」ゾクゾク

えり「ふふ………」

咏「おん(ロン)!おん(ポン)!いー(チー)!」ンムンムッ!

えり(ふふふ………三尋木プロ可愛い。今夜は違うお口の滑舌をチェックしないとね)クスッ..

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



照「////」

照(さ、さすが大人……R−18は伊達じゃない)ドキドキ

照「///」ハァァ..

照(このままじゃ危険。落ち着くためにマリみてを読もう)ペラッ..
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 23:06:33.63 ID:zPq1oxhMo

【長野駅】

照「…………着いた」

照(ここからは……)テクテク

咲「おねーちゃーん!!」タタタタ..

照「咲………わざわざ迎えに来てくれたの?」

咲「うん!お姉ちゃんに早く会いたくて!」ニコッ!

照「ありがとう」

咲「どう?久しぶりの長野は?」

照「んー……」
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 23:07:21.05 ID:zPq1oxhMo

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

『お、おい!マッドサイエンティスト宮永照だぜ!に、逃げろ!!』

『まったく……妹を監禁して調教しておいて、よくもまあ平然と当たり付きの駄菓子なんて買えるものね……』ヒソヒソ..

『狂犬の宮永照さんですよね?強いって、、、一体どんな気持ちですか?』

『通知表・総合所見:どの教科も成績優秀で非常に真面目です。責任感が強く、委員会などでも与えられた仕事をきちんとこなしています。コスプレに傾倒していることは聞き及んでいますが、両立できていますので問題ないと思います』

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 23:07:59.77 ID:zPq1oxhMo

照「…………うぅ……」

照(辛い思い出が蘇る……)

咲「お、お姉ちゃん?どうしたの?具合悪いの!?」

照「ううん、大丈夫。昔の話だから……」

咲「?」

照「行こう」

咲「あ、ちょっと待って」

照「何?」

咲「家に帰る前にお買い物しよう?」

照「え?まだ新刊買ってないの?」

咲「ううん、本じゃなくて、洋服」
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 23:09:23.43 ID:zPq1oxhMo

照「洋服?何か欲しいのがあるの?」

咲「えっと……欲しい服があるとかじゃないんだけど……お父さんがお姉ちゃんと買い物してきたらどうだって、お小遣いくれて……」

照「……そうなんだ」

咲「うん……どう、かな?」

照「…………ん、行こう」

咲「!やったぁ。じゃあ行こ?」スルッ(腕をからめる)

照「ぁ……」

咲「?」

照「……なんでもない」

照(……咲ってこんなに自然にスキンシップする子だったかな……?)

咲「♪〜」テクテク

照「……どんな服を買うの?」

咲「えとね、お姉ちゃんに似合うお洋服を買いたいな、って」ニコニコ

照「私に?」

咲「うん。何がいいかなあ?お姉ちゃんなんでも似合いそうだよね。あんまり肌を露出しない感じで可愛いのがいいかなー……ワンピースとかどう?」

照「ワンピース……」
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 23:12:17.04 ID:zPq1oxhMo

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

『ほら、あの子よ。妹さんに変な生地のワンピースを着せて街中を歩かせてる変質者の……』

『最低よねぇ……この前なんて、妹さんが町内のど自慢大会に出てたんだけど、♪好き好き大好きお姉ちゃん大好き〜、とかって歌ってたのよ。これもきっとあの子の命令よね』

『ひどいわよねぇ……それだけのことをしておきながら、うまい棒を1本ずつ会計して消費税分を節約しようとしてるわ……ろくでなしね』

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




照「うぅ……」

咲「ど、どうしたのお姉ちゃん?」

照「……なんでもない。ただ悲しい出来事を思い出しただけ」

咲「そっか……人に歴史あり、だもんね」

照「…………うん」
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 23:13:05.98 ID:zPq1oxhMo

【宮永家前】

咲「お姉ちゃん、荷物持ってくれてありがとう」

照「うん」

咲「あ、ちょっと待ってて」

照「?」

咲「…………」ガチャ バタン

照「??」

照(?何か準備があるのかな)

咲「お姉ちゃん、いいよー」

照「?うん」ガチャ

照「…………咲、これって一体どういう…」

咲「お姉ちゃん、おかえりなさい」ニコリ

照「あ……」

照(そうか…………ここは私の……私たちの家なんだよね……)

照「…………ただいま」ニコ

咲「うん!」

照「…………」

照(この感じ、懐かしい……昔は毎日こうだったっけ……家に帰ると咲が迎えてくれて…)

咲「私、お茶用意するね。先にリビングで座ってて」

照「あ、うん。ありがとう」

照(とりあえず、荷物を置いてから…………ん?)
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 23:13:49.98 ID:zPq1oxhMo

照(………なんだろう?大きなスーツケースが置いてある)

?「……おかえり」

照「?」

界「照」

照「…………あ」

照(お父さん……)

界「久しぶりだな……」ハハ

照「…………うん」

界「……………………」

照「……………………」

界「…………なぁ、照」

照「……なに?」

界「……俺のこと、まだ怒ってるか……?」

照「………ううん」

界「!」

照「あの頃の私は……人の好みを理解できないからって反発して、本当に子供だった……ごめんなさい」

界「照……」

照「……お父さんが心からふたなりを愛してるのはわかってたのに……」

界「………無理もないさ。父親が毎朝木彫りのふたなり像に祈りとフルーツを捧げてたら嫌になって当然だ。俺が悪かったんだ」

照「お父さん……」

界「まぁ、その……なんだ。お互い反省してるってことで……」

照「うん……」
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 23:14:44.61 ID:zPq1oxhMo

界「…………」

照「…………あの」

界「?」

照「今日、お父さんに貰ったお小遣いで服を買った」

界「そうか」ニコ

照「ありがとう」

界「気にするな。親子じゃないか」ハハ

照「それで………これ……」スッ(紙袋を差し出す)

界「え?」

照「その……お小遣いくれたお礼と、東京に行ってからは誕生日プレゼントとかあげられなかったから……」

界「照……」

照「…………」

界「ありがとう……開けていいか?」

照「…………」コク

界「…………」ガサガサ..

界「!これは…………ネクタイ……俺の好きな柄だ……」

照「……お父さんに貰ったお小遣いじゃなくて、私のお金で買ったやつだから……あんまり高価なものじゃないけど……」

界「値段なんて関係ないさ。照……ありがとうな。一生大切にするよ」ウルウル

照「うん……」

咲「おねーちゃーん!お茶用意できたよー!」

照「あ」

界「はは……咲のやつ張り切ってんな。それじゃ俺は出かけてくる。泊まりで今日は帰ってこないから、戸締りしっかり頼むわ」(スーツケースを掴む)

照「え?うん……」

照(お仕事かな……?お父さんともゆっくり話したかったんだけど……残念)

界「ネクタイありがとうな」ガチャ

照「…………あの……」

界「?」

照「…………いってらっしゃい」

界「!!」

照「…………」

界「ああ!いってくる!」
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 23:15:38.86 ID:zPq1oxhMo

バタン

照「…………………」

照(…………想像してた以上に普通に話せた)

照(……そうだよね。親子であっても趣味嗜好が違うのなんて当然。なのに意地を張って拒絶した私が子供だったんだ……)

咲「おねーちゃーん?」

照(っと……咲が呼んでたんだった)テクテク

咲「…………あ、来た。座って座って」

照「うん」ギィ..

咲「お父さんと何話してたの?」

照「ん。昔の話とか」

咲「お父さん、丸くなったでしょー?」

照「丸く?…………別に太ってないし、怒りっぽい性格でもなかったよね?どういう意味?」

咲「え?だってお父さん、もうふたなりものは読まないんだよ?」

照「えっ!?」ガタッ!

咲「そのことを話してたんじゃなかったの?」

照「あのお父さんが…ふたなりを読まないなんて………信じられない……どうして?」

咲「お父さんね、お姉ちゃんと対立してから……」
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 23:16:41.09 ID:zPq1oxhMo

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

【界の部屋】

界「くそっ!!」バサッバサバサ

咲「お、お父さん?どうしたの?」

界「咲か……」

咲「!これは……」

界「……俺が今まで買ってきたエロ漫画だ」

咲「ダメだよお父さん!こんな風に乱暴にしたら折り目がついちゃうよ!キャラは表情が命なんだから!」ササッ(折り目を直す)

界「いいんだ………もう捨てるんだから」

咲「えっ!?だってこれ、お父さんが大切にしてた本でしょ?この雑誌なんて……ほら!エロ漫画家さんのサイン色紙プレゼントの当選者欄!『長野/宮永界』って!一生の宝物にするって言ってたのに……」

界「……確かに……当時は小躍りするくらい喜んだし、嬉しすぎて腹壊して会社を休んださ」

咲「そんな思い出の本なのに、どうして……?」

界「………みんなふたなりの本だから」

咲「え?」

界「照の言う通りだった……俺は百合を欲望の道具にしちまってた」

咲「お父さん……」

界「女の子同士の世界に………男の固くて太いモノなんていらないと………そんなことも気付かなかったんだ!」

咲「…………」

界「男の固くて太いモノが付いた女の子が、女の子を貫き悦ばせる………それを見て俺は『男でも百合の役に立てるんだ!』と、誇りに思っていた」

咲「お父さん………」

界「でも……それは結局、自分を投影していただけなのかもしれないな……」ハハ...

咲(…………お姉ちゃんも百合を欲望の道具にしてたけど………それを言ってもお父さんは納得しないよね………)

界「…………」フラー..

咲「お、お父さん?どこ行くの?」

界「今からち〇こを切断してくる」
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/22(金) 23:17:20.80 ID:s9sNg24Go
何が百合妄想士だしょうもねえ
京太郎出せ無能
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 23:17:28.75 ID:zPq1oxhMo

咲「……え?」

界「フタを外した扇風機に全裸で突っ込んでち〇こ切る」

咲「ちょ、ちょっと待ってよ!!扇風機はこないだ買ったばかりのやつだし……というか色々ヤダよ!!」

界「だって、これがあるから………」ギュウゥ!グネネネ...

咲「………お父さん、いい?しっかり聞いて?」

界「………?」

咲「ソレがあるから………私もお姉ちゃんも生まれることができたんだよ?」

界「咲……」

咲「私たちが百合を楽しめるのも、お父さんのソレがあったおかげ」

界「うぅ………」グス

咲「だから……悲しいこと言わないで………」

界「咲……ありがとう……」ウゥウウ

咲「この本だって……せっかくこんなに集めたのに捨てるなんて勿体ないよ」

界「……そうだな。やっぱり捨てるのはやめ…」

咲「あ、そうだ。私が貰えばいいんだ」

界「え゛?」

咲「うんうん。そうと決まったら早速運ばなきゃ」サササッ

界「さ、咲……その……」

咲「大丈夫。1人で全部運べるよ?」ニッコリ

界「…………そう、か……」

咲「ふたなりものは今まで手を出してこなかったけど……お姉ちゃんに生えてると思えば全然大丈夫だね」ニコニコ

界「…………」グス

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 23:18:36.34 ID:zPq1oxhMo

咲「…………」

咲(あれ?ちょっと感動的ないい話って記憶だったんだけど………なんか違う……)

照「咲?」

咲「と、とにかく!今はお父さんはふたなりものは読まないんだよ」

照「そうなんだ……」

咲「うん」

照「…………やっぱり私が言い過ぎたのかな?」

咲「え」

照「私の百合観の中には、ふたなりは存在しなかった。だからお父さんが自作のふたなり像に旬のフルーツを捧げてるのが嫌でたまらなくて……」

咲「…………」

照「ふたなりを否定して……お父さんのふたなりを………生きがいを奪ってしまった」

咲「………でもお父さん、喜んでたよ?」

照「え?」

咲「最初は、ふたなりを否定されたことに落ち込んでたけど、しばらく経ったある日……」

咲「『照と本気の百合談義ができた。照が心から百合を愛しているのが嬉しかった』って言ってた」フフ

照「お父さん………」

咲「お父さんは、お姉ちゃんが信念を持ってることを喜んでたよ。だからお姉ちゃんは責任を感じないで」

照「咲………」

咲「それに、ふたなりを捨てたとは言っても、百合自体は昔と変わらず大好きだし」

照「あ、そうなんだ」

照(よかった……)ホッ
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 23:19:18.37 ID:zPq1oxhMo

咲「ふふ……お父さんが百合を嫌いになれるわけないよ」

照「……そうだね」クス

咲「あ、それで……お茶、どうかな?一応美味しく淹れられたと思うんだけど……」

照「ん、いただくね」ズズ..

咲「…………」ドキドキ

照「…………」

照(不安そうな顔して……)クス

咲「どう……かな?」

照「…………今まで飲んだお茶の中で一番美味しい」

咲「ほ、本当?」

照「うん」

咲「……った……やった……」パァァア..

照「……咲が淹れてくれたからかもね」

咲「え……///」

照「ふふ……」

咲(お姉ちゃんがデレはじめた!?)

照「……あ、そうだ」

咲「?」

照「私の部屋、まだ残ってる?」

咲「もちろんだよ。たまに掃除はしてるけど、お姉ちゃんが使ってた時のまま変わってないよ」

照「そのままにしておいてくれたんだ」

咲「うん。お姉ちゃんがいつ帰ってきてもいいようにって……」

照「…………」

咲「……お茶飲み終わったら見に行く?」

照「……うん」
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 23:20:02.63 ID:zPq1oxhMo

【照の部屋】

照「わ……」

照(……全然変わってない……懐かしい)

照「あ、この漫画………」

咲「それ、お姉ちゃんが気に入ってたやつだね」

照「うん」パラパラ

咲「お姉ちゃんが出かけてる時に、こっそり読んだ思い出があるよ」

照「………こっそり読まなくても貸してって言えばいいのに」

咲「だって成人向けだったし」

照「あー……」パラパラ

咲「その本、すっごく書き込んでるよね」

照「………うん、女の子同士のが1話だけしかなかったから……」パラパラ

咲「でもお姉ちゃん…………男の子キャラに髪の毛足したり胸を書いたりして、女の子に見えるようにするのはいいんだけど………」

照「うん」

咲「ちょっと荒いってゆうか………分け目がページ毎に左右バラバラなんだよね………快感に溺れている子の分け目がコロコロ変わるのが気になって集中できなかったよ」

照「うん………ちょっとミスした」パラパラ
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 23:21:01.20 ID:zPq1oxhMo

咲「あとさ、男の子のアレにさ、ファンタグレープのパッケージを書き込んだよね?この本に出てくるやつ全部」

照「うん。百合に不要だと思ったから缶ジュースプレイってことにしようと思って。咲がよく飲んでたから印象に残ってたし」パラ

咲「私、これ見てからファンタグレープ飲めなくなったんだよね」

照「あんなに好きだったのに?」

咲「うん………なんか………男の子の液体を飲むみたいなイメージが湧くようになっちゃって………」

照「そっか」

咲「うん………」

照「…………」パラパラ

咲「…………」

ピロリンピロロン

咲「あ、お風呂沸いたみたい。お姉ちゃん、一緒にお風呂入ろう?」

照「え?」

咲「姉妹水入らずでお風呂」

照「……それは恥ずかしいというか………お互い高校生だよ?1人ずつ入る方が……」

咲「大丈夫だよ」

照「大丈夫の意味が……」

咲「ほら、行こ?」キュッ

照「わわ」
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 23:22:03.44 ID:zPq1oxhMo

【お風呂場】

咲「よいしょ、っと」スルッ..

照「…………」パサッ

咲「…………」ジー

照「……な、なに?」

咲「お姉ちゃん……キレイ」

照「っ!?い、いきなり何を言ってるの」

咲「だって……本当にそう思ったんだもん。スタイルいいし」

照「…………私、スタイルは……よくない」

咲「そんなことないよ!確かに周りの人はお姉ちゃんのことを『ツルペタ』とか『ペチャパイ』とか『胸なし』とか『チチナシ』とか『まな板』とか『断崖絶壁』とか『胸を忘れてきた子』とか、他にも…」

照「待って。悪い例えは1つ2つにして。そろそろ耐えきれない」

咲「とにかく、そんな風に言う人たちがいるけど、胸が全てじゃないよ!」

照「うん。その考えには同意」

咲「胸なんかより……半袖のお姉ちゃんが高いところにある物を取ろうとした時にふと見える腋チラとか……すごくいいよ!」

照「…………」

咲「二の腕から腋にかけてのラインがキレイで理想的で…」

照「…………ねえ」

咲「?」

照「昔、咲はよく私の部屋の本を貸りに来たけど」

咲「うん」

照「今思い返すと、本棚の高いところにしまってある本が多かったような気がする」

咲「…………へ、へえー」

照「……それに、一番下の方にしまったはずの本がいつの間にか上の方に移ってて、少ししたらその本を咲が借りに来たことが何度かあったよね?しかも自分ではとらずに私にとらせた……」

咲「き、記憶力いいね……お姉ちゃん。あ、そうそう、記憶力と言えばこんな逸話があるよ。昔ヨーロッパで…」

照「もしかして……腋チラを見たいがために咲が…」

咲「お、お姉ちゃん。早くお風呂入らないと、お湯の温度下がっちゃうよ!会話は打ち切って、早く入ろう!」グイグイ

照「……わかったからお尻を押すのはやめて」
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 23:23:08.07 ID:zPq1oxhMo



【咲の部屋】

照「―――という感じで、最後は尭深のお茶で締めるのが日常かな」

咲「そうなんだ……楽しそう……」ウトウト..

照「……眠そうだね」

咲「うん……お姉ちゃんが泊まりに来るのが楽しみすぎて、昨日あんまり寝れなくて……」

照「そっか……じゃあちょっと早いけど、もう寝ようか」

咲「ん………」

照「それじゃあおやすみ。私は行くね」

咲「えっ……どこに?」

照「自分の部屋だけど」

咲「…………だめ」キュッ(照の服の裾を掴む)

照「?」

咲「お姉ちゃんは今日は私の部屋で寝るの」

照「…………」

咲「いいでしょ?ね?お姉ちゃんと一緒に寝たい」ユサユサ

照「……ん、わかった」

咲「やった」

照「先にベッド入ってて。枕持ってくる」スクッ

咲「うん。ちょっと前に洗ったやつが押入れに入ってるから」

照「わかった」
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 23:24:14.97 ID:zPq1oxhMo

【照の部屋】

照「…………」ガサゴソ

照(さて、枕は持った。あとは……)

♪〜

照(メールだ)

from 久保貴子

title 百合四天王について


照「!久保さんから……」ピッ


『百合四天王と連絡が付いた。

明日なら全員と会うことが出来るんだが、

都合上、東京で会うのは無理で、長野まで行かなければ会えないんだ。

急な話だが、明日長野に行くということできるか?』


照「!!」

照(………長野だったら百合四天王に会える……そんな時にたまたま長野にいるなんて……運命みたい)ドキドキ..

照「…………」

照(…………けど)

照(私が泊まりに来ることを楽しみにしてくれてた咲を置いて会いに行くのは……)

照(でも………百合四天王と会えるチャンスは逃したくない……どうしよう……)

照「…………」

照(……いや、悩むより前に、自分の気持ちを正直に咲に言おう)

照(きっと咲ならわかってくれるはず)
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 23:25:02.43 ID:zPq1oxhMo

【咲の部屋】

照「…………」ガチャ

咲「お姉ちゃん、遅かったけど何かあったの?」

照「…………」

咲「……お姉ちゃん?」

照「…………咲に話がある」

咲「?さっき話さなかったこと?」

照「うん。実は……―――」

咲「―――そうなんだ……」

照「……うん」

咲「お姉ちゃんは百合四天王に会いたいんだ」

照「会いたい」

咲「…………」

照「一緒に過ごすのを楽しみにしてくれてた咲には悪いと思う。ごめん……でも私は…」

咲「……ふふっ」

照「……なんで笑うの?」

咲「だって……お父さんが前に言った通りだったから」

照「どういうこと?」

咲「あのね……」
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 23:26:55.17 ID:zPq1oxhMo

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

界「そうか……麻雀を通して照と話をする、か……」

咲「うん。それならきっと……わかり合えると思うんだ」

界「…………だがもしも、それでもどうしようもなかったら……」

咲「お、お父さん。そんなこと言わないでよ……」

界「悪い。ただ、可能性がないわけではないからな」

咲「…………」シュン

界「落ち込むな。話はまだ終わってない」

咲「え」

界「……麻雀でダメだった場合は俺に言え」

咲「え?」

界「俺は百合妄想士……いや、俺だけじゃない。母さんも……咲も照も百合妄想士。宮永一家は百合好き一家」

咲「う、うん……」

界「ならば、百合を通せば必ずわかり合える」

咲「あ……」

界「俺の知り合いに百合妄想士がいるから、咲と照が力を合わせてその人と戦うシチュエーションを用意してやる。そうすれば絆は深まり、必ず仲直りできるはずだ」

咲「!」
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 23:28:31.35 ID:zPq1oxhMo

界「すごい百合妄想士がいると知れば、照はいてもたってもいられないだろう。今までそんな素振りは見せてないが、間違いない。内に秘める百合愛は隠せないからな」

咲「うん、確かに……お姉ちゃん、百合に関しては何よりも真剣だから……」

界「ま、そんなわけだ。インハイでわかり合えなくても、ガッカリしなくていいからな」

咲「お父さん……ありがとう」

咲(もしもインハイで話してダメだったら……って不安だったけど、お父さんの話を聞いたらホッとしたよ……)

咲(というより、麻雀で会話するよりも、百合話をした方が仲直りできる可能性はずっと高い気が…………あ)ハッ!

咲(そっか……だったら……麻雀を通して百合話をすれば……)

咲(そうだよ!上手くいけば仲直りだけじゃなく、姉妹百合の良さをお姉ちゃんに知ってもらえて……私のことも大好きになるかもしれない……///)

界「……で、だな。話は変わるんだが……」

咲(『咲……』『お姉ちゃん……』なんてずっと見つめ合って……お姉ちゃんがそっと目を閉じ、唇を突き出してキスをせがむ……恥ずかしがって顔が真っ赤なお姉ちゃん……かわいい!!)キャー!

界「百合妄想士を紹介する代わりと言ってはなんだが……いや!代わりのつもりじゃない。娘に取引を持ち掛ける気持ちもないんだ。ただ……咲が持って行ったふたなり本を返してもらうわけには……」

咲(でも、一度キスしたらもう夢中になっちゃって、会うたびに『咲……キスして?』って上目遣いのお姉ちゃん……キス途中でわざと離れると舌足らずな甘え声で『ゃぁ……きすぅ……』とか……)

咲「〜〜〜〜〜///」

界「さ、咲……?」

咲(お姉ちゃん可愛いすぎるよぉ〜!キスしたいからって、そんなに泣かないで。私は全然オーケーだから!)

界「………その……こないだ咲が持って行ったふたなり本……をな?返す……という言い方はアレだが、いったん俺のところに保存という形で……」

咲(えっ?スカートを握ってる手が震えて…………あ、わかった!夢見心地でキスをおねだりしたものの、冷静になった瞬間に恥ずかしさが襲ってきたんだね。そんなの気にしなくていいのに〜♪)

界「………………」

咲(♪〜)オネエチャーン!

界「俺、もう寝る……」シュン..

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 23:29:07.27 ID:zPq1oxhMo

咲「…というわけで、お姉ちゃんが百合に懸ける情熱は……あれ?」

照「////」カァァ..

咲「お姉ちゃん?どうしたの?」

照「だ、だって……咲が……キスとか……その……///」

咲「あ……」

照「私……お、おねだりとか……しないし///」

咲「そんなことないよ。お姉ちゃんはキスされたら真っ赤になって恥ずかしがりながらも、すぐに夢中になるタイプだと思うもん」

照「ち、違う。だって……」

照(淡にキスされた時、驚いたけど夢中にはならなかったし)

咲「だって……何?」

照「え?」

咲「?」

照「ええと……」

咲「そこで黙られたら気になるよ。教えて?」

照「………………例えばの話だけど」

咲「?うん」

照「私がすでにファーストキスを終えてたとしたら……」

咲「ぇ……」

照「咲はどう思………?」

咲「っ……」グス...
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 23:29:54.04 ID:zPq1oxhMo

照「さ、咲……?」

咲「ゃだ……やだよ……」ポロポロ

照「…………」

咲「お姉ちゃんが……他の女の子とキスして、すぐにメロメロになってエッチなご奉仕とかしちゃうなんて……絶対やだよぉ……」

照「咲……」

咲「おねえちゃぁぁん……」ダキッ

照「…………例えばの話だから」ギュ..

咲「うん……」グス

照(咲のこの甘えよう、昔を思い出す……私の後をずっと付いてきて、見失いそうになると慌てて抱き着いてきて……)

咲「」スリスリ

照(いや、なんだか昔よりもべったりな気がする。離れてた期間が長かったからかな?)

咲「お姉ちゃん……」ギュ

照「っ……」

照(この咲の表情は……『お姉さまに身も心も捧げます。お姉さまの指で私のキャンバスに色を付けてください』とでも言わんばかり……いつの間にそんなエッチな子に……)ドキドキ

咲「……お姉ちゃん?」

照「はっ……な、なんでもない。とにかく、キスの話は終わりにしよう」

咲「うん」

照「それで……ええと百合四天王だけど……」

咲「お姉ちゃんが会いたいなら私は構わないよ」

照「咲……でもせっかく」

咲「私なら大丈夫。一緒に行くから」

照「え?」

咲「私も百合四天王には興味があるし」

照「……本当にいいの?」

咲「もちろんだよ。私はお姉ちゃんと一緒なら何してても楽しいもん」

照「咲……ありがとう」

咲「うん」ニコリ
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 23:30:35.28 ID:zPq1oxhMo

【久保家 貴子の部屋】

貴子「♪ゆっりゆっららららゆるゆりァァッ!!」

貴子「♪ゆっりゆっららららゆるゆりァァッ!!」

貴子「♪ゆっりゆっららららゆるゆりァァッ!だ・い・じ・け・ァァッ!!」

貴子「♪よっしゃいくぞぉァァッ!ワンツーサンシァァッ!イエーイァァッ…」

♪〜

貴子「む?返信か」

照『私は今日明日と長野にいます。百合四天王と会わせていただけないでしょうか?』

貴子「ほぉ……長野にいるのか。このタイミング……すげぇ運命的じゃねぇか」ニヤリ

貴子「…………」

貴子(……うちの組織が今、ああいう状態になってる時に宮永と出会ったことにも意味があるような気がしてきた)

貴子(宮永……お前を試させてもらう…………ァァッ)
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 23:31:43.30 ID:zPq1oxhMo

翌日

【清澄高校】

照「ここが清澄高校……」

咲「うん」

照(……もし私が東京に行かなかったら、ここに通ってたんだ…………きっと咲と一緒に登下校して……)

咲「四天王との約束は昼過ぎだから、色々行けるところはあるけど……うちの学校でよかったの?」

照「うん。咲が普段過ごしてる学校を見てみたくて」

咲「お姉ちゃん……」

照「…………」

照(なんとなくだけど、雰囲気のよさそうな学校……校舎裏とかジメジメしてないから百合カップルがキスしやすそうだし)

咲「……私も今度白糸台に行ってみたい。お姉ちゃんが通ってる学校を見たい」

照「…………うん。わかった。咲が東京に来た時に案内する」

咲「やった」ニコッ

照「ふふ」クス

照(白糸台を一緒に回った後は……通行人で百合妄想するのもいいかも。東京は人が多いから材料に事欠かないし、咲となら延々と続けられそうで楽しみ)

咲「あ、部室はこっちだよ」

照「ん」

咲「ここが麻雀部の部室。今鍵を開けるね……って、あれ?開いてる?」

照「え?」

咲「鍵を閉めないまま返却しちゃったのかな?」ガチャ
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 23:32:24.27 ID:zPq1oxhMo

【麻雀部部室】

久「ようこそ、清澄高校麻雀部へ」

優希「ようこそだじぇ!」

和「いらっしゃいませ」

まこ「よう来たのぉ」

咲「えっ……みんな……」

照「あ……」

久「驚いた?」クス

咲「はい」

照(咲の話だと、今日は部活が休みだから誰もいないと言ってたけど…………はっ)

照(まさかこの人たち……カップル同士でエッチしてる姿を見せあって興奮を高めようと……そ、そんなことのために学校の部室を使うなんて……も、もう!)ドキドキ

久「サプライズ成功ね」

優希「咲ちゃんとお姉さんの仲直り記念にお祝いしようと思ったんだじぇ!」

咲「えっ」

照「!」

和「今日、お姉さんと一緒に来られると聞いて、みんなで計画したんです」

照(エッチなことじゃなかった……清らかで澄み切った心が繋ぐ友情……まさに校名通り)ホッ

まこ「しかし……こうして並んでると似てるのぉ」

照「あ……」

照(しまった。妄想にかまけちゃった。ちゃんとしないと)

照「あの、咲がお世話になってます」ペコリ
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 23:33:47.98 ID:zPq1oxhMo

久「いえいえこちらこそ。咲には本当に助けられてるわ。あ、私は竹井久です。よろしく……って、インハイで対戦したし、知ってくれてたかしら?」

照「あ、うん。VTRとか牌譜で見たから……」

照(竹井久さん。黒タイツがとてもいい。準々決勝で見せたメンタルの弱い部分がそそる。強気で攻めたら案外コロッと落ちた上に尽くしてくれそう)

咲「…………」

照「こちらが染谷まこさん」

まこ「おろ」

照(方言は抜群のアピールポイント。普段聞きなれない言葉で愛を囁かれたりするのは新鮮。メガネを奪われて視界を失ったところを抱き着かれて、色々な部分を触られながら悶える姿を見てみたい)

咲「…………」

照「片岡優希さん」

優希「ま、知ってて当然だじぇ」

和「ゆーき!」

照(ロリ度の高い強気っ子。八重歯で噛みつく吸血プレイはなかなか刺激的。意外と性知識がないから『女の子の太ももを舐めるとタコスが美味しく感じられるようになる』とかいう嘘に騙されて、知らず知らずエッチな行為をやらされて……)

咲「…………」

照「原村和さん」

和「あ、はい。いつも咲さんにお世話になっております」ペコリ

照(巨乳であることから、男女問わず視線を集めてしまう彼女。それは彼女にとって悩みの種だった。ある時、原村さんは竹井さんに悩みを相談した。原村さんのために色々と考える竹井さん。しかし、本当の狙いは、悩み相談と見せかけて竹井さんの前で生乳を晒し、誘惑することで、圧倒的な乳量にやられた竹井さんは、目の前のポッチに吸い込まれるように口をすぼめ……)

咲「…………っ」

咲《お姉ちゃん!》

照「っ!?」ビクッ!

咲《もう!変なこと考えてたでしょ!》

照《え?べ、別に何も……》

咲《嘘!私にはわかるもん!絶対エッチなこと考えてた!》
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 23:34:49.89 ID:zPq1oxhMo

照《それは誤解》

咲《じゃあ何を考えてたの?》

照《え?えーと…………そう、将来の展望》

咲《今考えるべきことじゃないよそれ……時間ある時にじっくりとりかかった方がいいよ》

照《う……》

咲《……お姉ちゃんはきっと……『黒タイツがいい』とか『ロリ度が高い』とか『メガネを奪って攻められる』とか『巨乳を利用してエッチな展開に……』みたいなことを考えてたはず》

照《………………》

咲《妄想しちゃう気持ちは私もわかるけどさ、今は私と一緒にいるんだし……他の女の子のことは…………あっ!》ブルッ..

照《?》

咲《ご、ごめん……ちょっと席外すね》タッ!

久「あら?どうしたの?」

咲「あ、その…………お、おトイレに……」モジモジ

優希「咲ちゃんお得意の突然おしっこだじぇ!相手は死ぬ!」

まこ「何言うとるんじゃ」

咲「い、行ってきますっ」ガチャ バタン

照《咲……》

照(行っちゃった……どうしよう。咲がいない状態で会話続くかな?)チラ
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 23:36:45.28 ID:zPq1oxhMo

久「?」ニコリ

照《あ……》

照《素敵な笑顔……そんな笑顔の竹井さんなのに、夜は黒タイツを自ら破り、スカートを口にくわえて挑発してきて……でも、それは尻軽とかでは決してない。本気で奪ってほしいから必死なだけ。現に顔は真っ赤で、手も震え、涙ぐんでいる。そんな竹井さんを見ていたら、押し倒してしまうのも無理はない》ゴクリ

久「っ!?」

照《でも、いざ組み敷かれると『やめて……』と蚊の鳴くような声で言う。やっぱり全てを晒すのが怖いからだと思う》

照《そんな竹井さんを安心させるように頭を撫で、優しく微笑みかける。すると竹井さんは、ホッとした表情になってこう言う》

照《『私の全部を感じて。あなたの指で……唇で……あなた自身で……私という存在があなたの一部になるように、力強く愛して』……と》

久「////」カァッァ...

優希「…………おねーさん?」

まこ「なんか黙ったまま止まっとるのう」

和「??」

照《その言葉に頷き、ゆっくりと胸に触れようとすると『で、電気を消して……恥ずかしいから』という竹井さん。至極もっともな意見だから素直に応じるべきだと思う。でも、その時、ちょっとしたイタズラ心と、竹井さんの裸体を余さず目に焼き付けたいという欲望が…》

久《す、ストッ〜〜〜〜プ!!!》

照《!!?!??》ビクッ!!

久《その……そこら辺で止めてくれないかしら?正直……は、恥ずかしくてしょうがないのよ……////》

照《な……な……》ブルッ..

照(どうして竹井さんにこの声が聞こえるの!?私と咲の間でしか通じない、姉妹同士だから出来る心の会話のはずなのに……!)
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 23:37:34.08 ID:zPq1oxhMo

久《あれ?その様子だと、わざと聞かせてたわけじゃ……》

照(わからない……もしかして口に出てた?そんな……でも、久保さんと出会った時は思わず口に出してたみたいだし……今回も……!?)グラグラ..

久《……ない、みたいね》

優希「ずっと黙ったままかと思ったらユラユラ揺れ出したじぇ……目的が見えなくて怖いじょ……」

まこ「体調悪いんか?」

和「も、もしそうでしたらお薬を……私、保健室に行ってきます」

久「あ、大丈夫よ。みや……照さんも咲と同じでトイレに行きたかったみたいで」

照「……ぇ?」

和「そう、なんですか?」

久「うん。私たちに気を遣ってくれたみたい。わざわざ出迎えてくれたのに、咲に続いて自分もいなくなったんじゃ悪い、ってね」

優希「おおっ!デキる女って感じだじぇ!!やるな、おねーさん!」

まこ「わりゃぁ相手が誰でも物怖じせんのぉ」

和「す、すみません。この子、悪い子じゃないんです。ただ元気が有り余ってまして…」

照(何がなんだかわからない……)??

久「……トイレの場所、わからないわよね?案内するわ。行きましょ」テクテク

照「え?あ……うん」
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 23:38:56.95 ID:zPq1oxhMo

【空き教室】

久「ここでよし、と」

照「…………」

久「…………」

照「あの……」

照(どうして竹井さんは、私と咲だけが出来る心の会話に入り込めたんだろう……?)

久「……どうして妄想を私に聞かれてたのかが不思議でしょうがない、ってところかしら」

照「!…………その通り。あれは私と咲の間でしか出来ないはず……それなのに……」

久「待って。まずそれが誤解」

照「え?」

久「さっきのテレパシーは基本中の基本。誰だって使えるのよ………………百合妄想士なら誰だってね」

照「!!!」

照(竹井さんも…………百合妄想士!?)

久《こんな具合に……声に出さずとも意思を通じ合えるの。私の声が聞こえるでしょ?》

照《う、うん。聞こえる》

久《これは百合妄想士の間でのみ使える技。とても便利だし、百合妄想士なら誰でも使えると思ってたんだけど……》

照《私は………これで会話する時はいつも咲の方からだったから……》

久《なるほど。回線のオンオフは咲がやってくれてたわけね》

照《回線?》

久《そう。このテレパシーには2種類あるの。決められた範囲内や相手とのみ繋がるプライベート回線と、百合妄想士なら誰でも繋がれるオープン回線》

照《プライベートとオープン回線……》

久《基本的にどちらも有効範囲はあるし、他人のオープン回線をブロックできたりとか細かいことは色々あるんだけど……簡単に言えば、内緒話かそうでないかみたいなものね》

照《じゃあ、部室で咲としてた会話はオープン回線……》

久《ん〜、そこがちょっと微妙なのよね。咲がいなくなるまでは特に何も聞こえなかったし》

照《えっ》

久《おそらくだけど、咲が回線を繋いだままトイレに行ったことで有効範囲から出てしまった。そのため、オープン回線に切り替わってしまった……普通ならすぐ気付くはずだけど、照さんは回線のことを知らなかったから……》

照《…………》
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 23:39:49.50 ID:zPq1oxhMo

久《……ううん、照さんはというより、咲もなんとなくでしか知らなかったのかもしれないわね》

照《あ……それはありえるかもしれない。『お姉ちゃんと私の2人だけが使える力に目覚めちゃった!』って思い込んで、それ以上のことについては深く考えなかった可能性はある》

久《そう?咲は慎重な性格っぽいし、色々試して確認しそうな気がするけど》

照《うん……咲の性格的に普通はそうなるはずなんだけど……姉妹百合が絡むと周りが見えなくなるというか……》フゥ..

照《……いや、咲のせいじゃない。私がもっとちゃんと考えてたらこんなことにはならなかった……みんな私の責任》

久《そこまで思いつめなくても……》

照《でも…………私が回線について知らなかったせいで、私の妄想が竹井さんに筒抜け状態……》

久《うっ………///》カァァ..

照《ごめんなさい……タイツ破るとか言って……///》

久《い、いえ…………//》

照《…………//》

久《ま、まぁ……済んだことは水に流しましょう。それより、お互い百合妄想士だってわかったのも縁だし、何かの拍子でオープン回線になったりしたら大変だから、回線の繋ぎ方を教えてあげましょうか?》

照《あ、うん。お願い》

久《まずは――――》
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 23:40:50.40 ID:zPq1oxhMo

照《―――できた》

久《うんうん、もう完璧にマスターしたわね》

照《竹井さんのおかげ。ありがとう》

久《どういたしまして》

照《……それにしても、このテレパシーは便利。考えるだけで会話ができるのもすごいけど、思考から伝達までの間に『考えたことを相手に伝えるかどうか選ぶ』っていうワンクッションがあるのがいい》

久《普通の会話をするように出来るからね。思考は思考、発言は発言って。思ったことが全部相手に伝わるとなれば色々大変だもの》

照《確かに》

久《もし思考ダダ漏れだったら、世界中でカップリング論争が始まってしまうわ》

照《……あ》

久《どうかした?》

照《今さらだけど……さっきの私の妄想、竹井さん以外の人にも聞かれてたんじゃ……》

久《ああ、それは大丈夫。麻雀部には私と咲以外百合妄想士はいないから》

照《そう、なの?》

久《ええ。まこも和も優希も違うわ》

照《……百合妄想士であるかどうかって、はっきりとわかるんだ?》

久《うーん、人によって違うとしか言えないけど……咲はわかりやすかったわね》

照《どうして?》

久《咲が図書室で借りてる本のほとんどが百合描写のある本だったから》

照《……なるほど》

久《ま、私みたいな人間観察好きな百合妄想士じゃなければバレないだろうから安心していいわよ》

照《……そう?》

久《ええ。照さんはポーカーフェイスだからなおさらね。だからあんな…………え、エッチな妄想……してても……周りは気付かない///》

照《や、やめて。私はエッチじゃない///》

久《何言ってるのよ。あんなこと考えといて……》カァァ..

照《それは……だって竹井さんの黒タイツが……》チラ

久《も、もう……あんまり見ないで///》

照(……かわいい)
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 23:41:44.08 ID:zPq1oxhMo

久《……とにかく、こうして百合妄想士として出会えたのも縁だし、これから仲良くやっていきましょう》

照《うん、よろしく》

久《私のことは久でいいわ》

照《わかった。私のことも照でいい。それでその……ひとつ聞きたいんだけど……》

久《ん?何?》

照《久はどんな妄想…》

咲「お姉ちゃん!?どこ!?」

照「あ……」

久《咲……トイレから戻ったら照がいないから探しに来たのかしら?》

咲「お姉ちゃん!!おねえちゃぁあん!!」

久《?随分慌ててるわね。何かあったのかな?》

照「…………」

照(もしかして……昔、私が家を出ていった時のことを思い出して……?)ズキッ

咲「お姉ちゃん!!お姉ちゃん!!」

照(咲……大丈夫。私はここにいる。今、そっちに行くから)スッ

咲「お姉ちゃん!私が悪いなら謝るから!!クイーンズブレイドのコスプレをしてたことも、もう誰にも言わないから!!」

照「!!」
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 23:42:27.32 ID:zPq1oxhMo

久「え……あんな際どいコスを……?」

照「……っ///」

咲「こっそり写真撮ったのもちゃんと処分するから!私を置いてかないでよぉ!お姉ちゃぁん!!」

照「!!」

ガチャ!

咲「あ…………」

照「…………」

咲「お、お、お姉ちゃん……よかった……」グス

照「咲……」

咲「わ、私……お姉ちゃんがいなくなっちゃったかもって……」

照「っ!」ガシッ!(両手で咲の肩を掴む)

咲「……お姉ちゃん?」

照「私にコスプレ趣味なんかない……」

咲「え?でも……押入れにたくさん衣装が……設定資料集も赤線いっぱい引いてあったし。勉強熱心な誇れるお姉ちゃん……」

照「…………」ギュウウ..

咲「……ちょ、ちょっと痛いよぉ、お姉ちゃん」

照「あと写真は絶対捨てて」

咲「わ、わかった……」
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 23:43:02.48 ID:zPq1oxhMo

久「あはは。いいじゃないの、コスプレしたって」クス

咲「ぇ……部長?」

照「し、しない!コスプレ好きの私なんていない!」

久「必死なのが怪しいわねぇ」ニヤニヤ

照「そんなことない。全然怪しくない」

咲「…………ねぇ」

照・久「?」

咲「……お姉ちゃん……部長と2人っきりで…………空き教室で何してたの?」

照「え?それは……」

久「ただの雑談よ」

咲「…………」

照「……うん。久には咲がいつもお世話になってるし、色々と…」

咲「久……って呼んでるんだ」

久「…………咲?」

咲「っ!」グイッ(久と照の間に自分の体を入れる)
151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 23:43:44.11 ID:zPq1oxhMo

照「え?」

咲「………………」キッ

久(あら?私、睨まれてる……というか、涙ぐんで見つめられてるだけにも見えるけど……)

咲「ぶ、部長は……風越の部長さんと仲良くしてれば……その……いいと思います」

久「へ?」

照「咲?」

咲「お、お姉ちゃんは……私が一緒にいるので、大丈夫です」

久「…………」ポカーン

照「…………咲、別に久は」

咲「っ!い、行こ!お姉ちゃん!」グイ

照「あ……咲……手を引っ張らないで」

久「…………行っちゃった」

久「………………ふむ」

久(あんな咲、初めて見た。いつも大人しくて、あんまり自分の意見をぶつける子じゃないって思ってたけど……)

久(よっぽど照のことが好きなのね……ま、当然か。インハイを戦う理由が『お姉ちゃんと麻雀を通して話したい』だったんだもんね)

久「……………………」

久「……………………」

久「………………それにしても」

久「……照のコスプレ、見てみたいかも」クス
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 23:44:52.10 ID:zPq1oxhMo

【廊下】

咲「…………」テクテク

照「…………咲」

咲「………………」

照「……………………咲」

咲「…………うん」

咲(私、お姉ちゃんをとられたくない一心で……部長にすごい失礼なこと言っちゃった……あとで謝らないと……)

照「約束だよ?ちゃんと処分してね」

咲「え?あ……写真のことかぁ」

照「うん。あれは存在してはならないものだから」

咲「そんなことないよ。お姉ちゃんがセクシーな服を着てるの、すっごくよかったのに……」

照「!」ピク!

咲「処分なんてもったいないよぉ……似合ってたし」

照「……………………本当?」

咲「うん!」

照「……………………変じゃなかった?」

咲「うん。真っ昼間から部屋を暗くして鏡を前によくわからないポーズとってるお姉ちゃん、可愛かったもん!」

照「…………なんか引っかかる言い方だけど……」

咲「そう?でも私は本気で可愛いと思ったよ?だから写真だって大事にとってあるの」

照「咲……」

咲「……お姉ちゃんが東京に行っちゃった時だって……」

照「っ……」

咲「…………だから」キュッ(手を繋ぐ)

照「ぁ……」
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 23:45:29.76 ID:zPq1oxhMo

咲「こうやってお姉ちゃんと一緒にいられるのが、すごく幸せ」

照「咲……」

咲「えへへ……///」

照「…………でもそれはそれとして、コスプレ写真は処分してね」

咲「………………」シュン

照「…………今度一緒に写真撮ろうよ。それを代わりに……ね?」

咲「ほ、本当!?」

照「うん」

咲「約束だよ?」

照「うん」

咲「やったぁ……お姉ちゃんと写真……」パァァ..

照「…………」

照(ただ写真を撮るだけでこんなに喜んで…………)

照(……いや、当然かもしれない。私は百合に夢中になるあまり、お姉ちゃんらしいことを全然してあげてなかったから……)

咲「じゃあ今度一緒に…」
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 23:46:53.12 ID:zPq1oxhMo

優希「あ!咲ちゃんたち、いたじょ!!」

咲「えっ…………あ」

照「?」

優希「おねーさんを迎えに行ったまま戻ってこないから、また迷子になったのかって心配したじぇ!」

咲「ゆ、優希ちゃん。さすがに学校では迷子にならないよ」

優希「咲ちゃんならありえるじぇ!タコスを賭けてもいいじょ!」

咲「もう……優希ちゃんったら……」

照「ごめん咲。私がトイレに行ったまま戻らなかったから心配してくれたんだよね」

咲「……うん」

優希「トイレが長いのも咲ちゃんのおねーさんらしいじぇ!」

咲「わ、私そんなにトイレ長くないよっ」

優希「あはは!とにかく、部室に行こうじぇ!」ダダッ!

照「うん」テクテク

咲「ぅわわ、待ってよお姉ちゃん!優希ちゃん!」ワタワタ
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 23:47:46.21 ID:zPq1oxhMo

【部室】

優希「ただいま戻ったじぇー!おねーさんと咲ちゃんを連れてきたじょ!」

照「遅くなってごめんなさい」

和「あっ……いえ、そんな。謝られることではありません」アセッ

まこ「こちらこそすまんのぉ。強引に連れてくるみたいなことしてしもて」

照「ううん、全然大丈夫」

優希「せっかくおねーさんが来てるんだからみんなで遊びたいじょ!」

まこ「まったく……」クス

咲「優希ちゃん。遊ぶって何をするの?」

優希「麻雀部がやることと言ったら1つだじぇ!」

咲「…………麻雀?」

優希「その通り!インハイでは戦えなかったから、今日ここでおねーさんを倒して、私の強さを見せつけてやるじょ!」

和「ゆ、ゆーき!」

照「……うん、じゃあやろうか」

優希「よぉーし!早速準備するじょ!」タタタ

咲「あ……あの、染谷先輩。部長は?」

まこ「ん?」

咲「せっかくなら部長が来てからの方が……」

まこ「ああ、大丈夫じゃ。部長は参加せえへんからの」

咲「え……そうなんですか?」
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 23:48:17.26 ID:zPq1oxhMo

まこ「おお」

咲「そんな……」

まこ「ま、もともと今日は…………って、どうしたんじゃ?顔青くして」

咲「それって……私のせいかもしれないです……」

まこ「どういうことじゃ?」

和「咲さん……?」

咲「……私、さっき部長に失礼なことをしちゃって……それで怒らせたのかも……」シュン

まこ「ほぉ、珍しいこともあるもんじゃな」

和「あの……一体何があったんですか?」

咲「…………私がトイレから戻ってきた時、お姉ちゃんが部室にいなくて……慌ててお姉ちゃんを探しにいったんだけど……」

和「はい」

咲「なかなか見つからなくて…………もしこのまま会えなくなったらどうしようって思ったら……私、すごく怖くなって……」

照(咲……)

咲「『お姉ちゃん!』って何度も呼んだ。でも……全然返事がなくて…………」

和「咲さん……」
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 23:49:15.52 ID:zPq1oxhMo

咲「もしかしたら、自分でも気付かないうちにまたお姉ちゃんを怒らせるようなことを言っちゃったのかもしれない……だから必死で謝ったの。『お姉ちゃんがクイーンズブレイドのコスプレしてたことも誰にも言わない』とも誓った」

和「クイーン……ずぶれいど……?」???

まこ「コスプレ……?」

照「っ!?」

咲「あ、クイーンズブレイドっていうのはね、過激な衣装が話題の作品で、私は南崎先生の…」

照「咲」ゴゴゴゴ..

咲「お、お姉ちゃん怖い顔……やっぱり怒って……?」

照「怒ってはない。でもクイーンズブレイドの話題はもうやめて。久の話と関係はないから」

咲「わ、わかった」

まこ(チャンピオンがコスプレ……?)チラ

照「…………」キリッ

まこ(ってそんなわけないじゃろな。聞き間違いかのぉ)

咲「それで……お姉ちゃんと部長が一緒にいるのを見つけたんですけど、私、部長に生意気なことを言っちゃって…………だから怒って……」

優希「咲ちゃん反抗期……わかったじぇ!咲ちゃんは次期部長の座を狙っているじょ!」

和「今は真面目な話をしてるんですから、茶々入れないでください」

まこ「ふむ……そがぁなことがあったんか。でも気にするこたぁない」

咲「で、でも……」

まこ「部長、今日はもともと出かける予定だったんじゃ」

咲「え?」

まこ「また今度4校合同合宿をするらしゅうて、その打ち合わせがある言うてたわ。じゃけぇ怒って帰ったわけじゃないんじゃ。安心しんさい」

咲「そ、そうなんですか。よかった……」

優希「お?問題解決?」

咲「うん」ニコリ

優希「それはよかったじょ!じゃあ早速麻雀するじぇ!」

和「メンツはどうしましょうか?5人ですから……」

咲「あ、最初は私抜けるよ」

和「いいんですか?」

咲「うん」

まこ「ほいじゃあ、場決めじゃ……―――」
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 23:50:00.42 ID:zPq1oxhMo

優希「―――よし、じゃあ始めるじぇ!」

照「よろしくお願いします」

和・まこ「よろしくお願いします」

優希「ふふふふ……」

優希(咲ちゃんのおねーさんを倒して、私が最強だと証明するじぇ!)

まこ「…………」

まこ(さて、インターハイチャンピオンの実力、肌で感じさせてもらおうかのぉ)

和「…………」チラ

咲「」

和(……咲さんが後ろで見ている。となれば、下手な打牌は出来ません。いいところを見せなければ)メラメラ

咲(……ここからならお姉ちゃんの腋チラがよく見えるよ。見逃さないようにしないと♪)ワクワク

照「…………」

照(咲はきっと私の腋チラを狙ってる……見られないように、おしとやかにツモろう)

優希「それじゃ、早速……」
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 23:52:22.08 ID:zPq1oxhMo

ガチャ

優希「む?」

京太郎「すいません。遅れました」

優希「遅いじょ!京太郎!」

京太郎「悪い悪い。ちょっと家の手伝いが長引いちまってさ」

照「!」

照(男の子………!?咲のいる麻雀部に男の子がいるというの?)

京太郎「あ………咲のお姉さん」

照(咲を呼び捨て!?)キッ!

京太郎「ひ!」

照(麻雀部に宮永姓は1人しかいないんだから『宮永』と呼べばいいはず。私が来てたからとっさに言ったという感じでもない……っ!)ギロロロ..

京太郎「な、なんで俺睨まれてるんだ?」オイ

優希「知らんじょ」

咲「お、お姉ちゃん」

照「……………」

照(いけない。ここは咲の顔を立てないと。落ち着いて挨拶しよう)フゥ

照「咲の姉の宮永照です。いつも咲がお世話になってます」ペコリ
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 23:53:10.94 ID:zPq1oxhMo

京太郎「い、いえこちらこそ」

照「こちらこそ?」ピク

照(オナペットとして世話になってるというの!!?頭の中で咲にいやらしいことをさせるなんて!許せない!!)ギロロロロロ!!!

京太郎「ひぃいいい!!」

咲「お姉ちゃん落ち着いて!睨みすぎて白目になってるよ!」

照「咲………」

咲「心配しなくても、私はお姉ちゃんにしか興味ないから//」

照「な、なにを言ってるの……私は別にそんなこと気にしてない……」

照(咲が触手に襲われる妄想とかされてたら可哀想と思っただけ…………うん)

京太郎「…………あ、あの」

照「?」

京太郎「なんかよくわからないんですけど……すいませんでした」

照「あ……いや、こちらこそ、いきなり睨んでごめんなさい」

照(咲を汚されたと早合点しちゃった……プラトニックな妄想かもしれないのに…………でも……)

照(プラトニックだとしても……咲で妄想されるのはなんか…………嫌)ムム

まこ「まぁまぁ、謝り合うのもその辺にしときんさい」

優希「そうだじぇ!もう始めるじょ!それっ!」

照「……!」

照(……彼のことは置いといて、頭を切り替えよう。咲にみっともない姿は見せられない……絶対勝つ……――――)
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 23:53:51.68 ID:zPq1oxhMo

優希「…………」タン

和「…………」タン

まこ「…………」タン

照「……ツモ。8500オール」ジャラ

優希「…………トビだじょ」

和「…………トビです」

まこ「…………トビじゃ」

照「」フゥ

京太郎「強えぇ……強すぎる」

咲「お姉ちゃん……」

咲(どうして裾を抑えながら打つの?それじゃ全然見えないよぉ…)シュン

照「…………」

照(咲は……私がどう考えて打ってるかを後ろで見ようとは思わないの?さっきは『お姉ちゃんにしか興味ない』とか言ってたのに……それは腋に対してだけなの?なんかそれって悲しい)

優希「むぅぅ……4連続トビとか……ありえないじょぉお」

和「ええ。連続和了を止めることがこれほど困難だとは……さすが咲さんのお姉さんです」

まこ「お?『連続和了で打点上昇とか、そんなオカルトありえません!』と言わんのか?」

和「え、その……はい。連続で和了ることは誰にでもあります」
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 23:54:37.33 ID:zPq1oxhMo

まこ「こうまで連続して和了るっちゅうのも偶然なんか?」

和「え、ええ」

まこ「段々点数が上がっていくのも?」

和「……それは……」

まこ「他に、東1局で対局相手の全てを見抜く……照魔鏡じゃったか?これもオカルトじゃないん?」

和「………………」

咲「和ちゃん…………和ちゃんは、お姉ちゃんの力を信じてくれないの?」シューン..

和「い、いえっ!咲さんのお姉さんの連続和了は素晴らしいです!照魔鏡もお見事でした!」

咲「よかった」ニコリ

和「咲さん……///」ポッ

まこ「おいおい、ポリシーを簡単に捨てたのぉ」クス

優希「うぅ〜……もう1回だじぇ!次こそ勝つじょ!」

照「わかった」

和「咲さん、そろそろ打ちますか?」

咲「ううん。私はもう少し見てるよ」

和「そうですか。打ちたくなったら言ってくださいね」

まこ「京太郎はどうする?」

京太郎「俺ももう少し見てます。すごく勉強になるので」

咲(……もしかして京ちゃんもお姉ちゃんの腋を…………って、ベストポジションの私が見えないのに京ちゃんが見えるわけないか)
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 23:55:42.70 ID:zPq1oxhMo

咲(それにしてもお姉ちゃん……どうして頑なに腋を見せないようにしてるんだろう……)チラ

照「!」

咲(あ、目が合った。お姉ちゃん♪)ニコリ

照「…………」プイ

咲「!!」

照(せっかくの機会なんだから、一緒に麻雀打つ方が楽しいはずなのに……それよりも腋って……)

咲(お姉ちゃんがちょっと怒ってる……!?どうして……)

咲「お、お姉ちゃん!BLEACHの砕蜂隊長の漫画版・刑軍装束のコスを着てたことも絶対誰にも…」

照「……咲」

咲「っ!」

照「もうその界隈の話はおしまいにして」ゴゴゴゴ

優希・和・まこ・京太郎「?」

咲「お……ねえちゃん……」

咲(お姉ちゃんがゴゴってる……私が余計なことを言っちゃったせいだ)シューン..

京太郎「…………あ!いけね!」

優希「?どうしたじょ?」

京太郎「頼まれてた買い出しについて、部長に連絡しなきゃいけないのを忘れててさ」
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 23:56:23.40 ID:zPq1oxhMo

まこ「ああ、麻雀部の備品か」

京太郎「はい。見学してたいんですけど……電話しないと」

咲「…………京ちゃん」

京太郎「ん?なんだ?」

咲「電話、私がするよ……」

京太郎「え?いいのか?」

咲「うん……少し、外の空気を吸いたいから」

咲(お姉ちゃんをゴゴらせちゃった理由も考えたいし……)

京太郎「そうか。悪いな。このメモの……これとこれが売ってなかったって伝えて、あとは他に追加の買い出しがあるか聞いてくれ」

咲「わかったよ…」

京太郎「あ、咲は携帯持ってなかったか。それじゃ俺の携帯を…」ゴソゴソ

和「でしたら私のをお貸しします。咲さん、どうぞ」

咲「和ちゃん……ありがとう」

和「はい」ニッコリ

京太郎「悪いな和」

和「いえ、咲さんのためですから」

京太郎「あれ?咲のためなのか……?まぁいいや」

咲「いってきます……」トボトボ

照「…………」

照(……ちょっと冷たい態度をとりすぎたかな……でも、腋ばかり気にする咲も悪い…………咲のばか)

優希「よーし、次こそ勝つじぇ!京太郎!私の活躍を目に焼き付けるといいじょ!!」

京太郎「はいはい、頑張れよ」クスッ
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 23:57:08.43 ID:zPq1oxhMo

【???高校】

久「………」テクテク

久(打ち合わせも上手くいったし、思ったより早く終わったわね)

?《なるほど……あなただったんですね》

久「!?」

久(これは………プライベート回線!ということは、百合妄想士!)

?《約束の時間よりずいぶん早い……それほど私との勝負を望んでいたということですか》

久(?)

?《それにしても……『私が知っている人間』と言う話だったけれど………あなたが相手とはちょうどいい。前々から興味深い存在だったから…》

久《意味がよくわからないんだけど……》

久(声はするけど姿は見えず……一体どこから…)キョロキョロ

久《興味深いっていうのはお褒めの言葉かしら?》

?《もちろんです》

久(それにしても、この禍々しい感じは………)ゾワッ

?《……では早速始めましょう。あなたは清澄高校麻雀部で百合妄想するとしたら………どうしますか?》

久(なんだか展開が掴めないけど……百合妄想士として百合妄想を語ればいいのよね?)
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 23:57:53.20 ID:zPq1oxhMo

久《……そうね………》

久(マイナーカップリング好きの私とはいえ、うちの部内限定だったら人数は少ないし……)

久《…………咲と和はとても仲が良く、恋人になるのは時間の問題だと思われた》

久《お互い惹かれるものがあり、またお互いがお互いを支え、成長し、強くなっていく……》

?《…………》

久《麻雀部のみんなも2人を祝福し、門出を祝う気持ちで一杯だった…………しかし》

久《そんな2人の陰で、1人の女の子が苦しんでいた。その子の名前は片岡優希。中学時代から和と親交のある優希は、秘かに和へ想いを寄せていたからだ》

久《表向きは2人を応援しつつも、和を諦められない優希は悩んだ挙句、玉砕覚悟で和に告白する》

?《ふむ》

久《その告白を断った和だったが、友達を傷付けてしまった負い目から以前より優希に対して優しくなる。それを不審に思い、和と優希の関係を疑う咲……》

久《そんな咲をまこが励ます。とても優しく、親身になって……》

久《和が自分から離れて優希の元へ行ってしまうかもしれないという不安感を解消してくれたまこ。そんな優しい先輩に、咲は絶大な信頼を寄せるようになる》

久《まこは実家の雀荘で働いているため人と接する機会が多く、様々なことを見聞きしてきた。そのため高2とは思えないほどの包容力を持っていた》

久《頼れる先輩と過ごす時間が増えていくうちに、咲は自分の気持ちがわからなくなっていく……》

久《和への想いは本物だったはず。でも、まこといる時の心地良さを思うと……》

久《2人の間で揺れ動く咲…………そんな咲の前に現れたのは…………優希だった》

?《………》

久《和のことを誰より見ていた優希は、和が寂しがっていることに気付いていた》

久《そして、和が一番好きなのは咲だということにも……》
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/22(金) 23:59:20.10 ID:zPq1oxhMo

久《…………優希は咲に言った》

久《『最近ののどちゃん、寂しそうだじょ……だから……咲ちゃん。のどちゃんを……任せるじょ』》

久《その言葉に、咲はハッとする》

久《『自分が辛い時には、染谷先輩に助けてもらった。でも和ちゃんは………?』》

久《『もし、優希ちゃんの間には何もなくて、今でも変わらず私のことを思っていてくれてたとしたら……染谷先輩とばかり過ごしてた私を見ていた和ちゃんは……』》

久《周りの人間に弱音を吐かない和。転校を繰り返し、多くの別れを経験した。辛いこともあっただろうに、彼女はどんな時でも1人で耐えていたのだろう………咲はそんな彼女の姿を思った》

久《途端、強い感情が彼女を包み込む……………そして自分の本当の気持ちに気付き、咲は和の元へと急ぐ!》

久《和は待っていた………咲と『全国に行こう』と誓い合った場所で………》

久《咲は辿り着いた………和と一緒に未来への一歩を踏み出せる場所へ………》

久《………こんなところかしらね》

久(我ながらなかなかの出来ね。この後、咲と和は再会を果たして熱い抱擁から…)

?《しかし、その関係は長くは続かなかった………》

久《!?》

?《再会し、すれ違った心を通じ合わせ、幸せの絶頂を味わっていた2人に、不幸な出来事が襲い掛かる。和が転校することになってしまったのだ》

久《く………》

?《それでも2人は『距離なんて関係ない、私たちはずっと一緒』と励ましあう》

久(な、なんなの?この圧力というか………重い空気は………頭にこびりつくような………)

?《メールに電話。たまの休みにはデート。あまり会えなくても、2人は幸せだった》

久《そ、そうよ………あの2人なら……》
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 00:00:10.71 ID:8MnlR9I2o

?《しかし、そんな2人の仲を引き裂く決定的な事件が起こった…………》

久《!!》

?《以前、咲の相談に乗っていたまこが、咲に対して恋心を抱くようになる》

久《そんな………》

?《和と会えず、寂しそうにしている咲の姿は、まこの心を締め付け、判断を狂わせる》

?《『体だけの関係でええんじゃ………咲………誰にも言わん……だから………』まこはプライドを捨て、すがるように咲に迫った》

?《そんなまこの誘いに、咲は応えてしまう………寂しさからか、それとも………》

久《咲…………》

?《それから、咲は何度もまこを求めるようになった》

久《………》

?《咲からのメールが減ったと優希に相談する和………そこで優希が咲を探る》

久《あ………ああ………》

?《………………ある日の休日。部室へ向かった優希は2人を目撃してしまう。和を裏切り、浅ましく求め合う姿を…》
s
久《咲……》アアア

?《優希は怒りに震えながらも、なぜか怖ろしいほど冷静だった………この決定的瞬間を和に見せれば、和は咲から離れ、自分にチャンスが回ってくるのではないか。そんな計算をしたのだ》

?《そして、優希は携帯電話を取り出して2人の姿を動画で撮影し、和に送信した》

久《や、やめて………》
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 00:01:15.90 ID:8MnlR9I2o

?《動画を見てしまった和………ありえないと強く否定しつつも、誰よりも咲を知るからこそ、この動画に映っているのが咲本人だと気付いてしまう》

?《自分の恋人が他の人間と結ばれている……そんな現実を認めたくない和は『動画の咲は咲ではない』と自分自身に信じ込ませるために、何度も何度も繰り返し動画を観た》

?《しかし……彼女の声、肌、反応、表情……全てが咲だった。それでも和はひたすら動画を見続けた。眠ることすら忘れて……》

久《やめてよ………和………》

?《数日後、優希は和の家を訪ねた。動画を送って以来、何度連絡しても音沙汰がなかったことを心配したから……》

?《自分がした行為のせいであることは間違いない。そう思った優希は、少しの罪悪感と微かな期待感を持っていた》

?《もしも和が傷付き、落ち込んでいるのだとしたら全力で支えればいい。自分は咲とは違って絶対裏切らない。だから、咲よりも自分の方が和を幸せにできる。そんな確信があった》

?《母親に家に上げてもらい、和の部屋の前に来た優希。声をかけても返事がない。ゆっくりとドアを開ける》

?《電気の点いていない真っ暗な部屋。廊下から差し込む光が部屋を少しずつ照らす。床には、激しく引っ掻いたような痕跡と血染めの爪が数枚落ちていた》

久《あ……ぅあぁ……》

?《その先には、千切れて綿の飛び出たペンギンのぬいぐるみを抱えて座り込み、血だらけの指をくわえながら、咲とまこの映像を無表情で眺めている和の姿……》

久《やめ…て……》
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 00:02:11.91 ID:8MnlR9I2o

?《優希は言葉を失い立ち尽くし、自分の狡い計算のせいで和を傷付けてしまったことを激しく後悔した》

?《その時、和が優希へ顔を向け、ゆっくりと立ち上がった。一歩、また一歩と近付く》

?《優希は、どう声をかけるべきか迷う。謝るべきか、それとも……》

?《和は、答えが出ずに黙り込む優希の目の前まで来て足を止める。そして次の瞬間…………両手で優希の首を絞めた!!》

久《!!》

?《『この…………悪魔!!こんな……ありもしない映像を作って……私を惑わす気ですね!!』》

久《和……っ》ブルブル..

?《首を振る優希。しかし和は力を緩めない。和が認識しているのは、自分と咲の絆を引き裂く悪魔が目の前にいるということだけだからだ》

久《〜〜〜〜》ブルブル

?《やがて優希は力を失い、抵抗をやめる。和が手を緩めると、優希は崩れるように倒れこんだ》

?《……数秒間の無言の後、和は横たわる優希を見て『ゆーき……どうしてそんなところで寝ているんですか……?あなたは私の友達で……味方のはずじゃないですか……私を……助けてください』……そう呟いた》

?《もはや和には、何が現実で何が幻なのかがわからなくなっていた……その後、物音を聞いてやってきた母親によって救急車が呼ばれ、優希は搬送された》

?《検査の結果、気を失っただけで命に別状はなく、すぐに退院できることになった》

?《しかし、お見舞いに来た咲とまこを見た瞬間、和に首を絞められた場面がフラッシュバックし、パニックに陥った》

?《『ごめんなさいごめんなさいごめんなさい……』体を丸め、ひたすら謝り続ける優希》

?《その姿を見た2人は、優希の身に何が起こったのかを調べることにした》
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 00:02:52.63 ID:8MnlR9I2o

久《ぅぁ……あ……ぁあ……》

?《そして……2人は知った》

?《自分たちが愛し合っている動画が和の元に送られたこと……》

?《優希が和の元へ行くとメールしたその日に、病院に搬送されたこと……》

?《そこから導き出される結論は………たった1つ》

久《あ……ぁ……ぁ……》

?《……この日以来、咲とまこはお互いを避けるようになり、言葉を交わすことはなくなった。それぞれの恋心と清澄高校麻雀部の絆は、儚く散ったのだった……》

久《ああぁあぁあ》ブルブル

?(…………)スッ

自らの愛すべき場所である清澄高校麻雀部。そして愛すべき仲間たちが愛憎によって傷付いていく姿は、圧倒的な絶望となって久の心を襲った。

久「ぅあ……あ……」

脳を蝕まれたように、思考が散らばって何も考えられない。久にできるのは、ただぼうっと立っていることだけだ。
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 00:03:44.21 ID:8MnlR9I2o

?《竹井さん……》

その時、建物の陰から、絶望を作り出した人物が姿を現す。

?「…………」

一歩、また一歩……久の元へ近付いていく。

久《あああああ………》ブルブル

?《そんなに怯えないで………私はあなたの味方だから……》

耳元でそう呟き、久の頭を撫でる。

久「み、味方……?」

?《そう。私なら、麻雀部がこんな悲惨なことにならないようにできる》

久「ほ、ほんとう……?」

?《ええ。だから私に全てを委ねて……そうすれば、私があなたの絶望を晴らしてあげる……》

その言葉は甘く、優しく……乾いたスポンジが水を吸うように、久の心にスッと入り込んだ。

自分に絶望を叩き付けた相手からの言葉……普段なら信用するしない以前の問題。だが、今の久にその思考能力は失われている。
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 00:04:24.86 ID:8MnlR9I2o

久「わかったわ……あなたの言うとおりに……するわ」

?《……あ、ありがとう……》

その人物はたどたどしい手つきで久を抱きしめた。

?《あぁ……いい匂い……柔らかい》

久「…………」

?《……竹井さん。あなたは私に全て委ねるのよね?》

久「ぅん……」

?《だ、だったら……その……ほ、ほっぺたを触る。いい?》

久「……」コクリ

?《……じゃ、じゃあ……》サワ

久「っ……」ピクン

?《あっ……》

久「………………」

?《………………ぇと……竹井さん》

久「はい……」

?《私と……その……と……友達になりましょう?》

久「はい……」

?《じゃ、じゃあ……その誓いとして、手の甲にキスを……》
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 00:05:08.99 ID:8MnlR9I2o

♪〜

?《!?》

久「あ……」

突然の着信音。ムーンライト伝説が鳴り響く。

久「……くて……夢の中なら言える……」ボソボソ

メロディーに合わせて久が歌詞を呟いた。すると、少しずつ思考能力が戻っていく。

?「くっ……」

久「……思考回路はショート寸前…………だったはずだけど……あれ?私、一体何を……」

なんということでしょう。ただ突っ立っていて何も考えられなかったはずの竹井久が、復活しました。

焦点を失っていた目は輝きを取り戻し、ただ突っ立っていた姿勢もすらりと伸びて健康的に。黒タイツに包まれた足は、以前より美脚になった気さえします。これぞムーンライト伝説のなせる業でしょう。

久「確か……悲しい百合妄想を聞いていたら意識が遠のいて……あっ!その後に誰かが話しかけてきた気が…」キョロキョロ

久「…………誰もいない?さっきまで近くにいたはずなのに……」

久(……それにしても……あの声……どこかで聞いたことあるのよね……確かちょっと前に………)

久「あっ!思い出した!あの子だわ!」

久(どうして最初に気付かなかったかなー?いや、姿が見えなかったからしょうがないか……)

♪〜

久「……っと、それより電話が先か。えっと……和からか」ピッ

久「もしもし?」

咲『わ……えと……これ、繋がってますか?』

久「あれ?咲?」

咲『あ、部長』

久「なんで和の番号……って、借りたのね。それで、どうしたの?」

咲『あのですね、京ちゃんが……――――』
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 00:05:38.97 ID:8MnlR9I2o

咲『―――ということです』

久「ふむ。わかったわ、ありがとう」

咲『はい、それでは……』

久「あ、ねえ」

咲『?』

久「いいタイミングで電話くれて助かったわ」

咲『え?それってどういう……』

久「じゃ、また後でね」

咲『?……はい』

ピッ

久「…………ふぅ」

久(本当……電話に助けられたわ……)

久(百合妄想士と会ったのは初めてだったけど……あんな風にやられるなんて……)

久「………………」ギリ..
176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 00:06:40.35 ID:8MnlR9I2o

【清澄高校麻雀部 部室】

照「ツモ。8500オール」ジャラッ

優希「うぅ……ううぅぅ〜〜!また負けたじぇぇええぇ……」ワナワナ

まこ「これは………きっついのぉ………」

和「素敵です……」

京太郎「また全員トバした……すげぇ」

優希「……京太郎!!」

京太郎「なんだよ」

優希「タコスが切れたじぇ!タコスが切れたから負けたんだじょ!」ジタバタ

京太郎「いや、タコスがある時から負けてたろ」

優希「うるさいじょ!いいからタコス買ってくるじぇ!」

京太郎「えー!?今からわざわざ買いに行くのはなー…………かといって作る材料もねぇし……」

優希「うぅ〜〜……タコスぅぅ〜〜!」

京太郎「………はぁ。しゃあねえな。買ってくりゃいいんだろ」スクッ

優希「おお!さすが我がしもべ!」キラーン

京太郎「誰がしもべだまったく………このワガママ娘が」ハハ

ガチャ..バタン

照「………続ける?」

優希「もちろんだじぇ!次は勝つ!」

まこ「さすがにこのままじゃ終われんのぉ」

和「咲さんのお姉さんと打つのはとても楽しいです。是非お願いします」ヨイショ

照「わかった」
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 00:07:28.06 ID:8MnlR9I2o

照「ツモ」

照「ロン」

照「ツモ」

照「ロン」

優希「…………」

まこ「…………」

和「…………」

照「……ツモ。6500オール」

優希・まこ・和「…………」トビ

照「…………どうする?」

優希「…………え、ええと……」チラ

まこ「…………」コクリ

照「?」

まこ「………………あ、あれー?気付けば大層な時間じゃないかぁー」

優希「本当だじぇ!ずっと打ちっぱなしは体に毒だじょ!」

照「あ、確かに」

まこ「よし!となれば…」

和「私は何度でもお姉さんと打ちたいです」ヨイショ

優希・まこ「!!」
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 00:08:11.35 ID:8MnlR9I2o

ざわ……

照「そう?」

和「はいっ!」

優希(のどちゃん……!)

まこ(和……!)

ざわ……ざわ……

圧倒的KYっ……!

ダメッ……気付く素振りなし……!

友人たちの危機に無反応……!

それは……罪ッ!

照「だったらもう半荘……」

ガチャ

照「?」

久「ただいま」

優希「!ぶ、部長!」ダッ!

まこ「おかえり!」タタッ!

久「あ、あら?座ったままでいいのにわざわざ走ってきて……熱烈なお出迎えね」

優希「後輩として当然だじょ!」

久「?」

久(なんだか優希の様子がおかしい?一体何が…)チラ

照「えーと、1万点棒は……」チャリ..

和「手伝います」

そこには、クールな表情で大量の点棒を振り分ける照と、それを手伝う和。

優希とまこがいた席の点棒入れはほぼカラになっている。

久(ふむ。やられすぎてもう打ちたくないってことかしら)

照「あ、久。今からもう半荘やるつもりなんだけど、久も打つ?」
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 00:09:07.90 ID:8MnlR9I2o

和「でしたら、私が抜けます。お姉さんと打ちたいですけど、ここは一番年下の私が席を譲るべきですから。そういうところに私は気が付きます」アピール!

優希「ちょ…」

まこ「うぇっ…?」

久「……ふむ」

優希「ぶ、ぶちょぉ……」

照「2人とも、それでいい?」

まこ「そ、そうじゃなー……んー……」

照「?」キョトン

まこ(宮永照……純粋にわしらと打ちたいと思ってる表情じゃ……そんな顔されたら『あんたは強すぎるからもう打ちとぉない』とは言えん……)

照「??」

照(どうしたんだろう?お腹痛いのかな?)

まこ(部長……っ)チラ

久「…………」

照「久……?」

久「んー、麻雀もいいけど、ここはお昼にしましょ?」

優希「!」パァァァ!

まこ「部長!!」

わああっ……

圧倒的洞察っ……!

違う……!1年と3年ではまったくっ……!

わずかな期間……そこに大人と子供ほどの溝がある……!
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 00:09:58.58 ID:8MnlR9I2o

照「お昼……もうそんな時間だっけ」

久「そそ。だから出前でも頼みましょ。インハイ効果で部費アップも見込めるし、使えるうちに使っちゃいましょ」

和「お昼ご飯に部費を使ってもいいのでしょうか?」

久「平気平気……って、咲がいないわね」

まこ「外の空気を吸いに行くっちゅうたまま戻ってこんのぉ」

久「うーん、じゃあトイレかしら?」

優希「きっとトイレだじぇ!」

和「咲さんならトイレだと思います」

まこ「そうじゃな。トイレしかないのぉ」

照「…………」

照(咲……普段からどれだけトイレに行ってるの?)

ガチャ

咲「」

久「あ、戻ってきた。ナイスタイミングね」

咲「え?」

まこ「昼ごはんじゃ。出前をとることになっての」

咲「そうなんですか……お姉ちゃんも?」

久「もちろん」

照「いいの?」

久「ええ」ニコリ

照「ありがとう」

咲「よ、よかったね。お姉ちゃん」

照「うん」

咲(あ……お姉ちゃん怒ってない……さっきのはたまたま機嫌が悪かっただけだったんだ)ホッ

優希「よぉーし!みんな揃ったじぇ!早く注文するじょ!」

久「オーケー。じゃあ……――――」
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 00:11:14.28 ID:8MnlR9I2o

照「――――ごちそうさまでした。奢ってくれてありがとう」

久「いいのよ。せっかく来てくれたんだもの」ニコリ

照「…………」

照(素敵な笑顔……しかしその裏側にはかなりの被虐嗜好が潜んでいた。優しくした相手に裏切られて、食べ終わった器を四つん這いで舐めさせられることを想像してる久。それがバレた時、一体どうするつもり……?)ドキドキ

久「ちょ、ちょっと……何かアレなこと考えてない?」

照「ノーコメント」

久「もう……」

優希「ぷはぁ〜!美味かったじぇ!まんぷくまんぷく!」ゴロン

まこ「こら、寝るな。行儀悪いじゃろうが。腹丸出しじゃし……」

和「ゆーきったら……」ハァ

照・咲・久「…………」

照(お腹を見せたのは染谷さんに対するアピールで『私も食べて』ということに他ならない。そして『割りばしで私の敏感なところをつんつんして』なんて……やだ……///)

咲(優希ちゃんは、ああいう風に無邪気さを全面に出すことで和ちゃんの母性本能を刺激して、赤ちゃんプレイを誘発するつもりなんだ……)ゴクリ

久(優希……あなたの目的は照なのね……規律のしっかりした白糸台ではお腹を出して寝転がるなんてありえない。そのギャップで照を誘い、あわよくばこの場で最後まで……)ムラ

優希「じょ?なんか寒気が……」

まこ「腹出しとるからじゃ」

和「もう……」
182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 00:12:16.48 ID:8MnlR9I2o

ガチャ!

京太郎「お待たせ!タコス買ってきてやったぞ、腹ペコ娘!」ヘヘン!

優希・まこ・和「あ」

照「…………」

咲・久「?」

京太郎(……腹出して寝てる優希……テーブルの上に空の器……ということは……!)

京太郎「あぁぁ……」ガクリ

優希「す、すまん京太郎……わ、わざとじゃないじょ?ただ忘れてただけで……」

まこ「ま、まぁ……許しちゃりぃな」

和「そ、そうですよ。ゆーきも悪気があったわけでは……」

照「…………」

照(清澄も色々大変みたい……)

久「あ、照。ちょっといいかしら?」

照「?何」

久「話があるのよ。場所を変えましょ」

照「……うん」?

咲「……お姉ちゃん?」

照「ちょっと行ってくるね」

咲「あ、待って。私も…」
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 00:12:50.46 ID:8MnlR9I2o

久「すぐ終わるから待ってて。ね?」

咲「………………はい」

ガチャ バタン

咲「…………」

咲(……部長と2人で内緒の話………)

まこ「ほれ。京太郎、元気だしの。お詫びにわしらが打って雀力アップさせちゃるから」

京太郎「え?マジっすか!?お願いします!」ガバッ!

優希「お、やる気出たじょ」

京太郎「ああ!来年こそは俺もインハイで活躍するからな!」ヘヘン!

和「咲さん、打ちますか?」

咲「……あ、ううん。私はいいよ」

和「そうですか……では私が入ります」

京太郎「おおし!絶対強くなるぜー!」

咲「…………」

咲(お姉ちゃん……)
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 00:13:19.01 ID:8MnlR9I2o

【空き教室】

久「ここでいいかな」

照「……また空き教室……」

照(……こんなところで2人きり…………まさか)ハッ..

照(久は私に女王様として君臨してほしいというお願いをするつもりじゃ……どうしよう……私に女王様なんて務まらないよ)

照(隠していた性癖を打ち明けてくれる久には悪いけど、きっぱりお願いしよう)ウン

久「……話と言うのはね、百合妄想士絡みのこと」

照「え……?私に女王様になってほしいんじゃ……?」

久「ちょ、ちょっと!どんな風に考えたらそうなるのよ!照が女王様なんて……」

久「…………」
185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 00:14:23.67 ID:8MnlR9I2o

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

照「くすっ……ねぇ、今あなたがどんな格好してるかわかる?」

久「は、はい…………は、はだか……です」

照「こーら♪」ツン(足で太ももをつつく)

久「ゃっ!」ビクン

照「もっと詳細に言いなさい?」

久「…………裸で……う、後ろ手に縛られて…………足を開いたまま……す、座ってます……」

照「そうだね。ふふっ……同い年の子が普通の格好で椅子に座ってるのに、久は裸で床に座ってるんだよね……しかも、アソコを丸出しにして……」クス

久「っ///」

照「ねえ……学生議会長ってさ、学生の代表だよね?」

久「は、はい……」

照「そんな会長さんって、こんな変態でも務まるんだね。生徒会の人たちが可哀想」

久「ぅぁあ……ごめん……なさぃ……///」

照「……久、この足、見てよ」

久「え……?」

照「今、久の足をつついたらさ、なんかヌルヌルしたのがついたんだけど」

久「っ……!!」カァァ..

照「はい」スッ(足を照の前に突き出す)

久「…………こ、これって」

照「どうすればいいか……頭のいい久ならわかるよね?」クス

久「ぁ……」ゾクゾクゾクッ!

照「……どうするの?ひさ?」
186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 00:14:57.80 ID:8MnlR9I2o

久「………………んっ」(照の足をくわえる)

照「ふふ……」

久「れろ……ちゅ……ぁむ……はぁあ……」

照「まるで犬みたい……後輩が見たらなんて言うかな?」

久(やめて……そんなこと言わないで……///)チュパ..ペロ..

照「……それにしても、久は真性の変態だね。足を出したら舐めることしか頭にないなんて」クスクス

久「ふぇ……?」

照「私はさ、タオルか何かで拭いてくれればよかったのに」

久「そ、そんな……だって、あの言い方なら誰でも……//」

照「……はぁぁ……ねえ久」ギロ

久「っ!」ゾクッ!

照「久って意外と鈍いんだね」

久「な……」

照「今のはさ、自分に正直になるチャンスをあげたんだよ?」

久「!」
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 00:15:30.95 ID:8MnlR9I2o

照「本音を言いなよ……私は足を舐めることが好きな変態です、って」

久「そ……んなこと……」

照「あ、それとも……足じゃなくて、もっと違うところが舐めたいから気付かないフリをしたのかな?」

久「え……」

照「例えば……」スッ(スカートの裾を軽く持ち上げる)

久「あ……」ゴクリ

照「ふふ……どう?」

久「ぅ……」ゾクリ

照「もし舐めたいなら、舐めさせてあげてもいいよ?」

久「っ!?」

照「ただし……自分が意地悪されて感じる変態だと認めたらね」

久「…………そ、れは……」

照「どう?」

久(私は……)チラ

照「……ふふ」スッ(裾を際どいところまで持ち上げる)

久「っ///」ドクン!

照「…………あと10秒以内に言わなかったら舐めさせないから」

久「えっ!」

照「10、9、8、7、6……」

久「あっ、あの……」

照「5、4……」

久「わ、私は……!意地悪されて感じる……へ、変態です!」

照「だから……?」

久「だ、だから…………」

照「どうしたいの?」クス
188 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 00:16:12.84 ID:8MnlR9I2o

久「て、照……様に……あ、アソコを踏まれながら……照様のを、舐めたい……です!」

照「ふ、ふふっ……あはは」

久「////」カァァァ..

照「へぇ……舐めるだけじゃなくて踏まれたいんだ?惨めな告白だね。恥ずかしくないの?」

久「ぅぅ……」

照「ふふふ……久が変態なのはよくわかったよ。それじゃあね」スクッ

久「え?あ、あの……っ」

照「なあに?」

久「そ、その……へ、変態って認めたら舐めさせてくれるって……」

照「うん、そう言ったね」

久「じゃあ……」

照「でもね……今とは言ってないよ」

久「…………え」

照「いつか……あるかわからないくらい遠い未来の話かもしれないよね」クス

久「そ……んな……」

照「あ、そうそう。今の変態宣言、録音したから」

久「!?」

照「今度、後輩たちに聞いてもらおうか?」

久(そんな……そんなことされたら私……)

照「後輩たちに軽蔑されて……見下した目で見られて……」

久「ぁ……っ」ブルッ

照「最高に気持ちよくなれるね」

久(………それは……)

照「安心していいよ?変態な久からみんなが離れて行っても、私だけは可愛がってあげるから」グニッ!(足で踏みつける)

久「あぁあっ!」ビクビクッ!

久(もう………何も考えら……れない……)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 00:16:48.81 ID:8MnlR9I2o

久「〜〜〜〜っ////」

久(ダメよ……私、そんなんじゃ……でも……)

照「……久…………久」

久「……えっ?」

照「……長いこと黙ったままだったけど、どうしたの?」

久「あ、いえ、その……それは……えと……なんでもないわ///」

照「?」

久(や、やばいやばい。私ったら、何考えてるのよー!)

照「…………」

久(あーもう!顔あっつい……///)パタパタ

照(顔が真っ赤……これはもしかして……今から告白するつもりじゃ!?)ハッ..

照(『実は、私はずっと照のことを想像しながら……1人でしてたの。だから……本人を前にしてるともう我慢できなくて…………ねぇ、お願い。私の体を鎮めて……』というような……なんて衝撃的な告白!)

久「ほんっと、なんでもないから……って……あ!」

照(『照に名前を呼ばれるだけで感じるの……私は…』)モンモン

久「ま、また妄想してる…………す、スト〜〜〜ップ!!」

照「わ……」ビクッ
190 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 00:17:49.96 ID:8MnlR9I2o

久「はぁ……はぁ……い、今は妄想禁止にしましょう。話が始まらないわ」

照「わかった」

久「ふぅ……で、話っていうのは、照が長野に来た理由なんだけど」

照「?」

久「もしかして……百合妄想士と戦うため、じゃない?」

照「!どうしてそれを……」

久「やっぱり……おかしいと思ったのよね」

照「?」

久「…実はね、さっき合同合宿の打ち合わせに行ってきたんだけど、そこで百合妄想士に会った……ううん、知り合いが百合妄想士だと気付いたと言うべきかしらね」

照「!」

久「それで、その子と戦うことになったんだけど、勝負の前に気になることを言ってたのよ」

照「気になること?」

久「ええ。『約束の時間より早い』とか『私が知っている人間という話だった』ってね」

照「…………」
191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 00:18:22.16 ID:8MnlR9I2o

久「私はその子と約束はしてない。つまり私を誰かと勘違いした。では本来約束していたのは誰か?」

照「…………」

久「最初に思い付くのは照、あなたよ。だって私は今まで百合妄想士と戦うことなんて一度もなかった。なのに、照と初めて会った日にいきなり勝負を挑まれたんだもの」

照「…………」

久「それに、麻雀をやる高校生で照を知らない人なんてほとんどいないしね」

照「……ごめん」

久「え?なんで謝るの?」

照「だって……私のせいで久が勝負を挑まれて……」

久「あ、誤解させちゃったかしら?別に戦ったことに関して問題があるじゃないの」

照「え?」

久「ただ、照が長野に来た目的が知りたかっただけ」

照「そうなんだ」

久「ええ。よかったら教えてくれない?」

照「わかった。実は……―――」
192 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 00:18:57.23 ID:8MnlR9I2o

照「―――……というわけ」

久「……四天王ですって……?」フルフル...

照「?」

久「…………やっばいっ……嬉しいっ…!!」

照「!」

久「そんな存在、全く知らなかったわ!ああもう!もっと早く知ってれば、インハイに出られない間に色々できたのに!」

照「久……」

照(すごい喜んでる……四天王の話を聞いた時の私と同じだ)

照(……そうだよね。百合を妄想し続けてきた人間なら、ワクワクせずにはいられないもん)ウンウン

久「……ま、過ぎたことはしょうがない!それより大事なのはこれからよね。うんうん。よし、そうと決まれば……」

照「?」

久「照。私も一緒に行くわ」

照「……え?一緒にって……」

久「私も四天王と戦いに行くのよ」

照「!」

久「そんなに驚かなくても……自然な流れでしょ?大体、すでに四天王と交戦してるし」

照「……確かにそうだけど……今言ったように、久の百合観が崩される危険性もあるから……」

久「そうね。だけど……それでも私は四天王と戦いたいわ。今までの自分をぶつけてみたい」

照「久……」

照(考えることは一緒、か……)クス
193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 00:19:51.10 ID:8MnlR9I2o

久「……いいでしょ?私も連れてってよ。ねぇ、お願い」

照「あ……」

照(両手を合わせて拝むようなポーズ……これってまさか伝説の……『お願いを聞いてくれたらなんでもするから』の兆候!?)ドキッ!

照(なんでもするなんて言われたら……どうしよう……)チラ

久「……ちょ、ちょっと。なんで足を凝視するわけ?」

照「………へ?あ、いや、別に」キリッ

久「も、もう……///」

久「それで?どう?私も行っていい?」

照「あ、うん。大丈夫」

久「やった!ありがとう!照!」ニコ!

照「う、うん……どういたしまして」

照(満面の笑みで言われると、なんか照れる……)

久「あ、そうだ。言い忘れてたけど、このあとの待ち合わせはどうなってる?照と間違って私と戦ったから、ひょっとしたらもう約束は終わったことになってたり……」

照「そうか、そうだった。今、確認してみる………あ、メールが来てる」

久「誰から?」

照「四天王を紹介してくれる人から……ええと…」ピッ..ピッ..


from 貴子

ちょっとした問題があったが、解決したァッ!!

予定通りの時間に約束の場所へ迎えァッ!!
194 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 00:20:43.04 ID:8MnlR9I2o

久「なんだって?」

照「もともとの予定通りでいいみたい。今から待ち合わせ場所に向かおう」

久「ん、わかったわ」

照「あとは咲を迎えに行かないと」テクテク

久「咲も一緒なんだ?」テクテク

照「うん」

久「1年生で四天王と会えるなんて羨ましいわね〜」

照「そうだね。それは言える」

ガチャ

照「私ももっと早く出会え…」

咲「…………」ユラー..

照「ひっ!?」ビクンッ!

久「!!」

咲「………………」

照「さ、咲……」
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 00:21:30.08 ID:8MnlR9I2o

【部室】

まこ「ロンじゃっ!!12000!」ゴオオ!

京太郎「うわっ!また満貫!」

まこ「ははははは!これが全国レベルじゃ!」ドンッ!

優希「京太郎のトビだじぇ!私と染谷先輩のワンツーフィニッシュ!我ら最強!」

京太郎「ちっくしょー。次こそ勝つぜ」

まこ「なんぼでもかかってきんさい。受けてたっちゃる!」

和「……はぁー」

優希「じょ?どうしたのどちゃん。おっぱいが痛むのか?」

和「違います!咲さんがまたどこかへ行ってしまったので……」

まこ「姉を探しに行ったんじゃろ。それか…」

まこ・優希「トイレじゃ(だじぇ)!」

和「行ったばかりでそうそう出ませんよ……」
196 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 00:22:07.96 ID:8MnlR9I2o

【廊下】

咲「…………」

照「び、びっくりした……こんなドアの真ん前に立って何してるの」

咲「その……2人が何を話してるか気になって」

久「あー、そっかそっか。自分を置いて2人で話してたらいい気しないわよね。咲、ごめんね」

咲「え?あ、い、いえ……」

久「咲も照と一緒に四天王と会うって知らなかったから、一応照だけに話そうと思って」

咲「そうだったんですか……」

久「で、話を聞いてたならわかると思うけど、私も同行させてもらうことになったの。よろしくね」

咲「………はい……」

咲(お姉ちゃんと2人きりだったんだけどな……)

久「……あらら……ガッカリされちゃった」

咲「え?あ、す、すみません!その……別に嫌とかじゃ……」

久「ふふっ、冗談よ。せっかくの姉妹水入らずだったのに悪いとは思ってるの。でもそれ以上に魅力的なのよ。四天王という存在はね」

照「……そろそろ行こう。時間に遅れそう」

久「わかったわ」

咲「うん……ねえ」

照「?」

咲「これから四天王と会うんだよね?どこに行くの?」

照「…………龍門淵高校―――」
197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 00:25:50.39 ID:8MnlR9I2o

【龍門渕高校】

久「ふう、さすが龍門渕ね。入るだけでも手続きが大変。さっき来たからって顔パスにならないし」フィー

照「チェック厳しかったね」

咲「や、やっぱり、りゅーもんさんに挨拶とかした方がいいんでしょうか?」

久「昨日から出かけているらしいわよ?」

咲「あ、そうなんですか」

久「お金持ちだし、超豪華旅行とかかしら?羨ましいわ〜」

照「………………」

照(海外で高級なアダルトグッズを買い漁って高級なオイルを塗りまくってる龍門渕さん……)

透華『あはぁんっ!見てくださいまし!こんなに……こんなになってしまってますわぁ〜!!』

照「…………///」

久「照?」

照「な、なんでもない//」
198 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 00:26:29.20 ID:8MnlR9I2o

【東京 龍門渕所有ビル内の一室】

透華「………………」ペラ..ペラ..

界「その本、どうですか?俺のお気に入りサークルの新刊なんですけど」

透華「どうもこうもありませんわ。なんて…………なんて素晴らしいのでしょうか!!この絡み、そして回想……非の打ちどころがありませんわ〜!!」

界「それはよかったです」アハハ

透華「最初は殿方という事で少し警戒しておりましたが………わたくしが間違っていました………宮永さんの慧眼、素晴らしいですわ!」

界「いえ、俺なんて大したもんじゃありませんよ。ふたなり以外は平均レベルですから」

透華「それにしてもこのサークル、絵もストーリーも至高………ハギヨシ!!」パチン

ハギヨシ「はい、すでに透華お嬢様のお気に入りリストへの登録が完了しております。作者のパーソナルデータも揃えました。いつでも連絡がとれます」シュタ

透華「うふふ………これで楽しみが増えましたわ」オホホ

一「こちら、入手困難とされている本です。なんとか入手しました」

界「お、おおおお!!ありがとうございます!!これ読みたかったんですよ!!」

一「ふふ、それはよかった」

界(照、咲、今頃楽しんでるか?お父さんは超楽しいぞ!)ペラッ!ペラッ!
199 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 00:27:15.09 ID:8MnlR9I2o

【龍門渕高校 校舎裏】

照「ここが待ち合わせ場所…」

久「…………」

咲「なんか薄暗くて怖い……お姉ちゃん」ギュッ

照「咲……大丈夫だから」

?《こんにちは……》

照・久・咲「!!」

咲「ど、どこ……?」キョロキョロ

照(これは……私たち全体を包む範囲型の回線!)

久(やっぱり……さっきと同様に姿は見せない)

?《驚いた……まさか宮永さんが相手とは…………確かに、あの人が名前を伏せたくなる気持ちもわかる》

久(そのとばっちりで私が勝負を挑まれた、と。ふふ、その偶然に感謝しなきゃね)

?《それでは宮永さん。早速ですが、行きます……》

照「っ……」キリッ..
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 00:27:48.38 ID:8MnlR9I2o

久「ちょ〜っと待って」

照「?」

?《?》

久「悪いんだけどさ、私にやらせてもらえないかな?」

照「え」

久「さっき、あっさりとやられちゃってさ。すっごく悔しかったのよ。だからリベンジしたい」

照「それは……」

久「もともとは照が戦う予定だったってことはわかってる。でも……さっき負けた悔しさをどうしても我慢できないの!このままじゃ嫌なの!」

照「…………」

久「お願い。私にやらせて」

照「…………」

照(こんな真剣な顔で頼まれたら断れない。『私にやらせて』なんて……まるで『私が照に抱かれるんじゃなくて、私から照を抱きたい』って言ってるみたいで……)ドキドキ

久「どう……かしら」

照「……わかった。久から来ていいよ」

久「私から……来る?」??

照「……間違えた。久から戦っていい」

久「!ありがとう。優しいのね」ニッコリ

照「っ……別に……」フイッ

久「あー?照れてる?」

照「照れてない」

久「やーん、か〜わ〜い〜い〜♪」
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 00:28:20.84 ID:8MnlR9I2o

咲「む……」

照「か、かわいくない」プイ

久「あーもうっ!恥ずかしがり屋なのねぇ。ほっぺつんつんしちゃおうかしら」

照「何を言っ…」

咲「わ、私が代わりにつんつんするから大丈夫です!ね、お姉ちゃん?」

久「へ?」

照「咲?」

咲「それじゃあ……つんつんするね」ソーッ

照「……しなくていいから」

咲「えっ、そんな……」

?《……あの……勝負は……》

久「!そうだった。ごめんなさい」

?《いえ。では……行きます》

久「……っとその前に1つ、いいかしら?」

?《……なんですか?》

久「そのまま姿を見せずに戦うつもり?」

?《…………》

久「……せっかくだから、直接顔を合わせたいんだけど」

?《…………》

久「ねえ、どうかな?…………沢村智紀さん」

?《!》
202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 00:30:21.77 ID:8MnlR9I2o

咲「え……?沢村さんてあの紫の……?」

?《……どうしてわかったんですか》

久「さっきはストーリーに集中してたせいで声に意識が向いてなかったけど、少し経って落ち着いたら思い出したの。『ああ、沢村さんの声だ』って」

?《…………そうですか……だったら、隠れている必要もありませんね》

久「…………」

智紀「…………」ザッ..

久「!……」

智紀・久「…………」

智紀が姿を現すと、場の空気が張り詰める。

対峙する久と智紀。2人の勝負熱が一気に高まる。

ふぅ、と一息ついて気合を入れる久。

メガネを光らせ、虎視眈々と機を狙う智紀。

そんな2人を見てごくりと唾を飲み込む照。

隙をついて照のほっぺをつんつんし、ちょっと怒られてシュンとする咲。

熱い勝負が始まろうとしていた。
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 00:30:48.37 ID:8MnlR9I2o

久(さっきは向こうのペースで始まった。今度はこっちから攻める!)

久《沢村さん、今回は三次元じゃなくて、二次元でどうかしら?》

智紀《……かまいません》

久《じゃあお題は……………そうね、ちょっと古いけど、けいおんでどう?》

智紀《わかりました……では……っ!》

ブワァァアァアァ..

照「うっ……なんて禍々しいオーラ……」

咲「こ、怖い……お姉ちゃぁん……」ダキッ

久(……っ……さっきよりすごい迫力……)

智紀「…………」スゥゥ..ハァァ..

久(……っ!くる!)グッ..
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 00:31:26.05 ID:8MnlR9I2o

智紀《…………桜高軽音部は、彼女たちの楽園だった………》

久《………》

智紀《沢山の『楽しい』と『嬉しい』をみんなで共有した》

照(うんうん)

咲(わかる)

智紀《しかし、唯たち3年生が卒業を間近に控えたある日のこと………軽音部にある変化が訪れる………》

久《………》

智紀《………唯が………律に恋をしてしまったのだ》

照(!)

智紀《いや、恋をしていることを自覚した、というべきかもしれない》

智紀《唯は律と一緒に過ごすうちに、律の優しさ、明るさ、行動力、大ざっぱな性格や、ヤキモチ焼きなところや、意外と繊細で臆病なところ……律の全てを好きになっていた》

久《………》ゴクリ

智紀《しかし唯は考える。このままみんなで同じ大学に行く………だから告白なんてしたら、もし律と付き合えたとしても………澪が悲しむ》

咲「っ……」

智紀《もしフラれたら………律と一緒にいられなくなる》

智紀《どう転んでも、軽音部の関係は壊れてしまう……だから唯はこの気持ちを隠すことにした》

照(唯………)ウゥ

智紀《これまで通り唯に接する律。しかし、恋心を自覚した唯はぎこちない態度をとってしまう》

智紀《違和感を感じた律は唯を呼び出し、2人で話すことになった》

咲(………)ドキドキ
205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 00:32:21.17 ID:8MnlR9I2o

智紀《唯を心配する律、しかし唯は何も言えない。自分が何かしたのかと気にする律……》

智紀《『違う』『じゃあなんでそんな態度なんだよ』『……言えない』長い沈黙が流れる》

照(唯ぃ……)ウゥゥ

智紀《『なんだよ……なんか言ってくんなきゃわかんないじゃんかよ……』とうつむく律》

智紀《それでも唯は何も言えない………そこで律は………》

智紀《『こうなったら、唯が喋るまでずっと付きまとってやるからな!』強気な口調とは裏腹に、少し寂しげな表情で宣言する》

久(くっ………)

智紀《それからの律は、唯がどこに行こうと一緒についてきた。決して離れず、常に唯のそばにいた》

智紀《そんな日々が数日間続いた。律はまだ諦めない。もはや意地になっているのだろう》

照《…………》ウゥ..

智紀《律は『今日唯んちに泊めてもらうから。憂ちゃんに許可はもらった』と言った。うちの両親は今日も不在………律の両親は、律の独断だとは知らないため『平沢さんに迷惑かけないようにね』の一言》

智紀《夕食を取り、お風呂に入り、唯は自分の部屋へ………そこに律もついてくる》

智紀《律はやけにしつこかった。付きまとうとは言ったものの、ここまでする理由が唯には思い当たらない。部長としての責任感?友達だから?……わからない》

智紀《やがて夜も更け、2人は布団の中、ウトウトしつつ、天井を見つめていた》
206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 00:33:03.30 ID:8MnlR9I2o

智紀《『りっちゃん、なんでここまでするの?』『………だって、唯がいつもと違うし』》

智紀《『違わないよ』『ぜってー違う』『…………』『…………』》

智紀《『………』『なんかあったのか?私にも言えないのか?』》

智紀《『だって………言ったら終わっちゃうんだもん』『え?』》

智紀《暗闇の中………天井を見つめているうちに、唯は不思議な気持ちになっていた…》

智紀《まるで現実と夢の境目にいるような………今話しているのが、夢の中であるかのような、不思議な気持ちになった》

智紀《それは、ずっと自分の気持ちを言いたくて……それでも言えないというもどかしさから出た弱さなのか、それとも隣に好きな人が寝ているという、今まで想像の中でしか存在しなかったようなこの状況が、現実逃避に似た思い込みを誘発したのか……唯自身もわかっていない》

智紀《『終わるって何が?』『軽音部』『なんで?』『………上手くいったら澪ちゃんが可哀相だし、ダメだったら…』》

智紀の声は、唯や律に似ているわけではない。

しかし、自らの物語に完全に入り込んでいる上、声帯を通さないプライベート回線での演技は、他者の脳に直接語り掛けるように浸透していく。

久(………)

照・咲(…………)ドキドキ
207 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 00:33:42.84 ID:8MnlR9I2o

智紀《『上手く?……ってかなんで澪が出てくるんだよ?』『……澪ちゃん、りっちゃんのこと好きだから』》

照・咲「!!」

智紀《『な、何言ってんだよ!そんな訳………』『ダメだよ、そんな風に言っちゃ……澪ちゃん傷付くよ』》

智紀《『………それと唯がおかしいのと、どう繋がるんだよ』『………………』》

久・照・咲「…………」ドキドキドキ...

智紀《『…………私もりっちゃんが好きだから』》

智紀《『………………………………え?』『………………』》

智紀《『…………ま、まじで?』『…………うん』》

智紀《『…………よ』『………え?』》

智紀《『やったーーーーーっ!!』『わわ!!』》

智紀《『やった!やったーーー!!』『な、なに?どうしたの?』》

智紀《『今、唯が私のこと好きだって言った!』『え……?あ、あれ?これって夢じゃ………』》

智紀《『私も唯が好きだ!!!両想いだーーーっ!!!』『えっ!?』》

照・咲「!!!」
208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 00:34:37.88 ID:8MnlR9I2o

久「…………」

智紀《『あー、よかった………マジで嬉しい』『え?え?』》

智紀《こうして、図らずも告白してしまった唯。躊躇いながらもやはり嬉しさは抑えきれず、律と付き合うことになった》

照(本当によかった……律と唯は無人島プレイの時にキュンとして以来応援してる。無邪気にエッチをする2人を想像すると……)ムラ

咲(……唯は憂と付き合うべきだと思うけどなぁ……)

智紀《2人は付き合っていることを誰にも明かさなかった。唯に想いを寄せる梓、律に想いを寄せる澪……この2人には知られる訳にはいかないと慎重を期した》

智紀《しかし、好きな人と結ばれた喜びと、誰にも言えない秘密の関係というスリルがもたらすものは大きく、律と唯のお互いに対する態度の変化に周りが気付き、結果として2人の関係がバレてしまう》

照(え……なんか嫌な展開……)

咲(!唯憂ルートくるかも!?)ワクワク

久(くっ………)

智紀《今まで楽園のように思えた部室は、不穏な空気で満ちていた………》

照(や、やめて……軽音部は2期に渡って続いてきた楽園なんだから……ううん、劇場版だってある)

智紀《『………お前たち………付き合ってるんだって?』と2人に迫る澪》

智紀《『な、なんのこと?澪ちゃん、何言ってるの?』》

智紀《『……しらばっくれても無駄だよ。ラブラブみたいだな』澪の言葉には確信が籠っていた》

照(……どうして気付かれたの……!?)
209 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 00:35:13.71 ID:8MnlR9I2o

智紀《2人が付き合っているということを澪に知らせた人物は………………憂だった。唯が律と電話で話しているのを盗み聞きし、澪に伝えていた》

咲(!?!?!?な、なんてことを………姉妹百合の風上にもおけないよ憂ぃぃ!!)グアアア!!

智紀《動揺する唯を尻目に、澪は律に向けてもう1つの爆弾発言をする》

智紀《『憂ちゃんの次は唯か…………随分欲張りなんだな』》

照・咲(!!!?)

久(ぐ……っ……うぅ……)

智紀《『え………澪ちゃん、何言ってるの?』》

智紀《『………律はな、憂ちゃんと肉体関係をもってるんだよ』『そ、そんなはずないよ!!わたしたち、両想いなんだもん!!』》

智紀《『可哀相に………唯は騙されてるんだよ』『ち、違うよ!!』》

智紀《『唯………律はね……私とだって何度も………』『や、やめてよ澪ちゃん!嘘ばっかり………』》

照(ぅあ……あぁ……)ガタガタガタ..

咲(っ……ぅ……)ハァ..ハァ..

久(ううぅ……)ブルブル..
210 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 00:36:17.79 ID:8MnlR9I2o

智紀《澪の話は真実だった。律は自分が気に入った子、自分に好意を寄せる子を狙い、複数の女生徒と関係を持っていた》

智紀《『ねえりっちゃん………嘘だって言ってよ』『………………』》

智紀《唯と2人きりならば、なんとでも言って逃れたであろう律も、澪たちの前で迂闊なことは言えず、ただ沈黙する………それは肯定と同義だった》

照(もうやめて………みんなの軽音部を壊さないで……………助けて、かきふらい先生……っ)ウゥ..

咲(………姉妹百合が………崩れていく………世界が……終わっちゃう……)

久(はぁ……はぁ……っ!)ガタガタ...

智紀《沈黙が広がる部室の中………唯の泣く声だけが響く》

智紀《その姿を見て、梓が立ち上がる!梓の怒りは限界を超えていた。大好きな唯の泣き顔をこれ以上見たくなかった!》

照(あずにゃん!!お願い!)

智紀《律に掴みかかる梓!『唯先輩に謝れ!』と何度も何度も感情のままに叫ぶ!》

智紀《最初は黙ってされるがままだった律も、いつまで続くともしれない梓の叫びに対し、顔を歪めて力任せに振り払う》

智紀《振り払われた梓は、バランスを崩し………机にぶつかり、倒れてしまう》

照(あずにゃあああん!!)ガーン!

智紀《梓に駆け寄る唯と紬。助け起こそうとするが、梓の額から流れる血を見て声を失う》

咲(ううぅうううううう!!!)ブルブルブル

久《…………》ブルブル

久(やはり………頭が……重い……脳内に……絶望を刻まれるかのよう……)ガクガク..

智紀《その後、唯と紬が梓を保健室へ連れていき、結局律との話し合いは何も解決することなく終わった……そして数日後》

智紀《梓の傷はさほど深いものではなく、跡が残ることもなく治った……しかし……》

智紀《律、憂に対し不信感を持ちつつもまだ律を信じる気持ちが残っている唯、もう全てが面倒に感じている律、そんな律を未だに想っている澪、軽音部を守ろうとしているが何もできない紬、怪我をして以来、律に対して恐怖心を持つようになった梓……》

智紀《軽音部に入った亀裂は、決して消えることはなかった》

照・咲「」ウ..ア..ァ..バタン!(倒れる)

久「」ハァ..ハァ..ハァ

智紀《………………》クス
211 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 00:37:07.25 ID:8MnlR9I2o

【コンビニ】

貴子「…………」コト

女性店員「いらっしゃいませー!○○が1点、△△が1点……」ピッ..ピッ

貴子(今頃………沢村と戦っている頃か)

貴子(沢村智紀………相手に絶望を与える能力の持ち主…………心を折り、魂を喰らう紫鬼。龍門渕の四天王であり百合四天王でもある。四天王を掛け持ちする者……)

女性店員「合計4点で、1300円になります!」ニコッ!

貴子(相手に絶望を与えることに特化してて、負の力の増幅が並じゃねぇ)

女性店員「…………お客様?」

貴子(もしも沢村のペースに取り込まれちまったら……そこから抜け出すのは難しい)

女性店員「お客様………代金を……あの……1300円になります……」

貴子(……勝負に慣れてない宮永にとっては強すぎるかもしれねぇ相手だが……勝つ手はある)

貴子(沢村にも弱点がある………そこに気付ければ………いや、そこを突くしか勝つ方法はねぇァァッ!!)

女性店員「お客様ぁ………」ジワァ..
212 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/05/23(土) 00:37:53.59 ID:8MnlR9I2o

【龍門渕高校】

智紀「…………」テク..テク..

久「」ブルブル..

照・咲「ぁう……ぅあ……あぁ」ガタガタ

智紀「……………」フゥ

校舎裏に影が4つ。しかし、真っ直ぐに伸びている影は1つだけ。残りの3つは、絶望に呑まれて歪んでいる。

絶望…………それは誰の心にも潜んでおり、負の感情を呼び起こすもの。

沢村智紀は、その感情を操ることに突出した百合妄想士である。

何故そのようなことができるのか?それは、彼女自身が絶望を味わってきたからに他ならない。

つぼみ休刊、百合な絡みと思ってたらネカマだった、アオイシロに百子と綾代ルートがなかった、大好きな漫画が休載など、彼女はいつだって絶望に晒されてきたのだから―――

智紀《……悲しい………とても悲しいですね》スタスタ

久《……うん………悲しい……》

智紀《でも、そんな絶望は………私が消してあげます……》

一歩ずつ、久の元へ近付く智紀。優しく、穏やかな口調で語り掛ける。

久《絶望を……消す……?》ブルブル..

智紀《そう。だから………安心して》

久《あ……》

智紀《あなたは……私が守る。あなたは……私と……一緒にいれば幸せになれる》

久《幸せ……に……なれ……る》

絶望によって心に空いた隙間を、甘い言葉で埋めようと囁く。

同時に、体感的に幸福感を与えるように久の頭をゆっくりと撫でる。
213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 00:38:35.79 ID:8MnlR9I2o

智紀《そう。幸せになれる。だから……私の……友達に…》

久「…………」

智紀《竹井さん……》

久「…………ごめんなさいね」

智紀「っ!?」ドキンッ!

久「ふ……っ!」タタッ!(智紀から離れる)

智紀「な………っ」

久「…………危ないところだった………」

智紀「わ、私の技を………破った……?」

久「……ええ、紙一重だったけどね」

智紀「そんな……途中で絶望の淵から抜け出したようには見えなかった…………あっ!まさか……」ハッ

久「……」クスリ

智紀「最初から……絶望してるフリを……っ!」

久「ふふふ……」

久(なーんて、余裕ぶってるけど、実際はギリギリだったのよねぇ。危ない危ない)

久(一度やられたおかげで耐性ついたのかしら。今のが最初だったらきっと……)チラ

照(うぅうう……軽音部……)ブルブル

咲(ダメだよ憂ぃ………お姉ちゃんを裏切るなんて………あのキャラソンは嘘だったの……?)ブルブル

久(……あの2人みたいに完全に絶望に呑まれていたでしょうね………)ゾク
214 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 00:39:47.79 ID:8MnlR9I2o

智紀《く………》

どうして久が絶望から逃れられたのか?智紀は必死で頭を回転させる。しかし、自分の攻撃を破られた動揺からまだ立ち直っておらず、考えがまとまらない。

久「……沢村さん」

智紀「…………はい」

久「あなたの攻撃は相手に絶望を与え、相手の思考能力やその他もろもろを封じるという脅威的なもの……私が持ちこたえられたのは、一度味わったことがあるから……」

智紀「………」

智紀(そうだ……思わず動揺してしまったけど、もう一度やれば彼女は堕ちるはず……ここから立て直す)キラン

久「そしてもう1つ…」

智紀「!?」

智紀(耐えられた理由がまだあるというの……?)

久「……あなたが『本気で絶望させるつもりがない』ことよ」

智紀「………何を言ってるんですか?私が手加減してると?」

久「いいえ、違うわ。あなたは全力のつもりなんだろうけど、実際はそうではないという意味よ」

智紀(……意味がわからない……)

久「例えば、最初に私1人であなたに会った時の清澄の麻雀部の話だけど…………優希が助からない方が私は絶望したでしょうね」

智紀「!」

久「今のけいおんなら、梓は倒れた時に頭を打って意識不明に……という展開の方がダメージは大きかったわ」

智紀「…………」

久「ま、さっきのパターンとかぶるから、それを避けるためだったのかもしれないけど………わざわざ傷跡が残らなかったと言うことが不思議だった」

智紀「……そ、れは……」

ずきり、と智紀の胸が痛む。メガネが1センチずれる。 [現在のメガネ位置:−1センチ]
215 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 00:40:36.89 ID:8MnlR9I2o

久「まだ2回しか戦ってないけど、なんとなく感じたのよ。あなたは……どこかで非情になりきれない人だって」

智紀「ち、違う……」

智紀の表情に焦りの色が出る。さらにメガネが1センチずれる。[現在のメガネ位置:−2センチ]

しかし、まだ冷静さは残っており、指でメガネをくいっと上げる。[現在のメガネ位置:+−0]

久「どうしてそう感じたのか…………それはね、あなたは私に似てると思ったからよ」

智紀「……似てる?」

久「……最初の勝負の時、姿すら見せずに攻撃を仕掛け、私が意識朦朧となった後にゆっくり近付いてくる」

智紀「……!」

久「その時、私にかけた言葉………」

智紀「っ!や、やめ…」

久「『私の友達になって』」

智紀「〜〜〜!!」

クリティカルヒット。メガネが4センチずれる! [現在のメガネ位置:−4センチ]

久「それでなんとなくピンときたのよ。救いがない絶望はさせない、相手が思考停止するまで姿を見せない、そして何も考えられない相手に『友達になってほしい』と告げる……」

久「あなたは絶望が好きなわけじゃない。ただ、絶望してきたことが多いから……否定的な感情を抱くことが多かったから絶望をコントロールすることに特化した力を手に入れたんじゃないかって」

智紀「もう……やめて……」

1センチ、1センチ……ワンツーが決まる。 [現在のメガネ位置:−6センチ]

久「きっとあなたの本質は……優しくて寂しがりな……引っ込み思案な女の子」

智紀「やめてっ!!」クイッ!

震えながらメガネを上げる!一気に負け分を取り返した。 [現在のメガネ位置:+5センチ]
216 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 00:41:24.55 ID:8MnlR9I2o

久「自分を否定されたくないから相手の思考を奪い、拒めない状態にする……」

智紀「っぅう……」

久「自分の心の弱さを見せたくないが故の攻撃性……それがあなたにとっての絶望なんじゃないかしら……」

智紀「………っ……」

久の言葉に撃ち抜かれたかのごとく、智紀の体は沈み、膝をつく。

久「……沢村さん」

智紀「…………」

久「私がそう思ったのわね、あなたは私と似てるって感じたからなの」

智紀「え……」

久「私ね、色々な事情があって、行きたい高校に行けなくて……それで清澄に入ったのよ」

智紀「…………」

久「で、インハイを目指そうと奮起して麻雀部に入部したけど、人数不足でもはや廃部寸前…。勧誘を続けたけど、みんな長続きせずに辞めていく……その時期は相当ネガティブなことを考えちゃってね。何もかも上手くいかなかったから……」

智紀「…………」

久「もう無理なのかもしれないって、ほぼ諦めてたの。部室で1人、下校中の女の子2人組を眺めて百合妄想をしてた」

久「……翌年、まこが入部してからも、私は前ほど積極的には動かなかった。インハイには出場したかったくせにね」

智紀「それは……」

久「そ。あなたならわかるわよね。もう、傷付きたくなかったのよ」クス

久「誘った子が辞める。もちろん、その子の意思が一番だから仕方がない。でも……やっぱり悲しくてさ」

久「……私の人生は……私が望んでない方向に進んでいくのかもって……そんな風にまで考えちゃってね」

久「インハイを夢見て……インハイを諦めずにひたすら待つ……なんて、聞こえはいいけど、結局は待ってるだけ……受け身なのよね」

照(受け身……受け…………私を抱いて……うぅ……)ウーン..ウーン..

咲(うぅ…………受け身のお姉ちゃん……可愛い……)ガタガタ..
217 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 00:42:05.98 ID:8MnlR9I2o

智紀「…………」

久「ある時、そんな自分に気付いてさ。なんかこう……『私はこのままずっと待ち続けるのかな』って思ったら、空しく感じたのよ。今の状況を変えたいくせに何もしないということは、変わらない状態を受け入れてるみたいでしょ?」

久「……だから私は、その日から積極的に動こうって決めたの。幸運が来るのを待つんじゃなくて、幸運を掴み取りに行こうって」

智紀「!」

久「……私の話はこんなところ。沢村さんと私が似てるというのは私の勝手な言い分だし、沢村さんが私と同じ感想を持つかはわからない……でも」

智紀「……」

久「沢村さんも……本当は気付いてるんでしょ?」

智紀「……何が……ですか」

久「『自分は決して傷付きたくない』『でも自分のことを受け入れてほしい』『だけど自分から行くのは怖い』『お願い、私を求めて……』なんて……物事はそんなに都合よくいかないってこと」

智紀「っ……!」

久「………………」

智紀「………………」

久「ねぇ……沢村さん」

智紀「………はい」

久「……私に言いたいことがあるなら、はっきり言ってくれない?」

智紀「え……」

久「それとも、言いたいことなんてない?」

智紀「そんなことない……っ!」

首を振り、慌てて否定する智紀。メガネが光りながら定位置に戻る。 [現在のメガネ位置:+−0]
218 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 00:42:38.31 ID:8MnlR9I2o

久「ん!じゃあ言って」

両手を腰に当て、優しく微笑む久。

智紀「その……」

久「…………」

智紀「た、竹井さん……」

久「はい」

智紀「わ、私と……と、友達になってください……」

久「…………ええ。いいわよ」ニコリ

智紀「!!あ、ありがとうございます……!」

久「ふふっ……そんなに喜んでもらえるとこっちも嬉しいわ」

智紀「……た……竹井さんっ!」ガバッ!

喜びのあまり、涙を浮かべて久に抱き着く智紀。急に動いたせいで、メガネが飛ぶ。

龍門渕グループで製造されているメガネも、感動のダイブには耐えきれなかったようだ。

久「おっと……」

智紀を抱きしめ、頭を撫でる。自分がさっきそうされたように……
219 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 00:43:59.17 ID:8MnlR9I2o

智紀「ぐす……」

沢村智紀……停電時のために真っ白の壁紙を用意する優しい心を持ちながら、消極的な性格のせいで、なかなか友達が作れなかった。

龍門渕透華をはじめとする面々とは気の置けない間柄であるが、友達というよりも主従であったり、家族という関係だ。

百合妄想にふけるとメガネが金色に輝くことも、近づき難い印象を強めていたのだろう。

だから智紀は、ストロベリー・パニックの千華留のような、自分を引っ張ってくれる行動力のある子が現れるのを待っていた。自分を変えることが怖かったからだ。

そんな智紀に対し、ここまで真摯に向き合ったのは、龍門渕の仲間たち以外にはいなかった。

自分と似ているとまで言ってくれた久。

もともと黒タイツで可愛らしいと思っていたこともあり、久の言葉は、自分でも驚くほど素直に受け入れられた……。

久「…………」

無言で頭を撫でる久。

智紀「…………」

泣きながら久の胸に顔をうずめる智紀。

そんな時間がしばらく続いた後、ゆっくりと久の体から離れる。

智紀「…………ありがとうございます」

久「あら、もういいの?」

智紀「……はい」

久「そっか」

智紀「…………私の負けです」

久「でも……私は最初の一撃を耐えただけよ?」

久の言葉通り、智紀がもう一度攻撃を仕掛ければ、久は絶望の淵に沈む。しかし……

智紀「いえ、もうそういう気になれませんから」

もはや智紀に戦意はなかった。
220 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 00:44:35.83 ID:8MnlR9I2o

久「そう……わかったわ」

智紀「…………」

久「…………」

智紀「……竹井さん」

久「ん?なぁに?」

智紀「1つ……聞いていいですか?」

久「いいわよ?」

智紀「私の攻撃を耐えた理由……今聞きました……確かに納得の行く理由でもありました。でも……」

智紀「本当に……それだけなのでしょうか?自分で言うのもなんですけど、私の攻撃はそれほど弱いとは思えないんです」

久「…………まぁ確かに、ね。2人とも、完全にダウンしてるし」チラ

照「」ウーン..

咲「」オネー..チャー..ン..

智紀「………なのにどうして私の攻撃を……」

久「…………私ね」

智紀「?はい」
221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 00:45:22.06 ID:8MnlR9I2o

久「マイナーカップリングが大好きなの」

智紀「え……?」

久「だから、けいおんだったら……軽音部よりも、唯のクラスメイトの子たちの方が好きなのよね〜♪」

智紀「そ、そんな……」

久「軽音部の人間関係を壊されるのも辛いけど、それよりも3年2組でいざこざが起きる方キツかったかも」

智紀「……なるほど……確かに王道だけが百合妄想じゃない……でも……」チラ

久「……ええ、王道カプと違って、マイナーカプはアニメとかでも描かれる機会は少ないし、公式の材料も微々たるものね」

智紀「…だったらどうして……妄想の材料が少ないということは、妄想をすることが難しくなるはず」

久「……でもね、王道カプ派になろうと思ったことは一度もないのよ」

智紀「それは……やっぱりマイナーカプが好きだからですか?」

久「もちろん好きだからというのもあるわ。でもそれ以前に……」

智紀「?」

久「……材料不足でマイナーカプ妄想できなくなったのなら、王道カプ派にもなれるけど……」

智紀「っ」

久「いつも……妄想できちゃうのよね」

智紀「!」

久「ま、そういうわけ。あ、そろそろ2人を元に戻してあげてくれる?」

智紀「あ、はい……―――」
222 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 00:45:53.94 ID:8MnlR9I2o

照「――……一体何がどうなってるの?途中から記憶がないけど……」

咲「部長?」

智紀「……竹井さんが私に勝った」

照・咲「!!」

照「……四天王に勝つなんて……すごい」

照(エッチな上に強い……久はどこまでいくの?)ドキドキ

咲「おめでとうございます、部長」

久「うん、ありがと」

久(ま、もう一度やったら勝てないだろうけどね)

照「……!」

照(そうだ!『勝負が終わったらメールしろァァッ!』って久保さんに言われてたんだった……)ピポパ

咲「これであと3人ですね」

久「ええ」

智紀「あと3人?それって……」

久「四天王。全員と会うつもりなのよ。あ、沢村さん、他の3人のこと知ってる?知ってたら教えてほしいんだけど」

智紀「……すみません。その3人が誰なのかも知らないです」

久「そうなんだ?」
223 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 00:46:35.34 ID:8MnlR9I2o

智紀「はい。そもそも私自身、気が付いたら四天王って呼ばれていたので……」

久「へえ〜」

智紀「ただ、私が聞いた情報だと…」

久「うん」

智紀「1人は、キャリアが浅いにも関わらず四天王の一角を撃破し、その座についた………という話です」

久「それはすごいわね……」ホー

智紀「それくらいしか情報はないです……」

久「十分よ。ありがとう」ニコ

智紀「あ、い、いえ…………えと……」チラチラ

照「……ん?」

久「?照がどうかしたの?」

智紀「あの……すみません……メガネ、返してもらっていいですか?」

照「え?」 [現在のメガネ位置:照]

咲「あっ!お、お姉ちゃんがメガネしてる!」

照「本当だ……なんだか視界が歪むと思ったら……いつのまにかメガネかけてた」ナントー

智紀「……さっき私が動いた時にメガネが飛んで、倒れてる宮永さんにたまたま………すみません」

照「ううん、気にしないで」

咲「メガネのお姉ちゃんかわいい!勉強教えて!」ワァ!

照「私は厳しいよ」メガネ クイッ

久「ふふ……」
224 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 00:55:27.38 ID:8MnlR9I2o

【東京 コンビニ】

貴子(今頃は沢村との戦いに決着がついてるだろうか……)

女性店員「お客様ぁ……あの……お願いですからお返事してください……」オロオロ

♪〜

貴子「む」

女性店員「!お客様!」

貴子(メール?誰だ?)

from 宮永ァァッ!! 照

貴子(宮永ァァッ!!からか……なになに……………………ふむ……なんと!清澄の部長が沢村を倒した!?)

貴子(まさか沢村を倒すとは………清澄にそれほどの強者がいたとはなァァッ!!)

女性店員「お客様………購入されたジュースもかなり温くなっております……新しい商品と交換いたしましょうか……?」

貴子(となれば、次の相手に連絡だ。ええと………………よし、送信!!)ピ..ポ..パ..ァァッ!!

女性店員「……あの……私がなにかしてしまったのなら謝ります……許してください……」グス..

貴子「……ん?ああ、わりぃな。1300円か。おら」ジャラ
225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 00:56:29.24 ID:8MnlR9I2o

女性店員「!!あ、ありがとうございます!!!!」ペコッ!!

貴子「え?あ、ああ……」テクテク

女性店員「ありがとうございました!またのおこしを!!!」

貴子(なんだ今のは?情熱的な接客しやがって…………もしかして、私に気があるのか?)

貴子「は!」

貴子(店員てめェ……可愛いじゃねェか!)

貴子(それなら、今から茶でも誘って……)クルッ..

♪〜

貴子(ちっ、いいところで邪魔を……ん?おお、もう返信が来てやがる)

貴子(ふむ……もう長野に来てんのか!やるじゃねェかァァッ!!)

貴子(早速宮永ァァッ!!と会うようセッティングだ)ピポポパポ

貴子(……しかし……この2人目の四天王…………沢村とはまた違ったタイプの相手だが…………お前らはどう戦う?)ァァッ!
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 00:57:00.53 ID:8MnlR9I2o

【長野 商店街】

?「………………」

長野のとある商店街にひっそりと佇む影。

看板の裏に身を潜める。その視線の先には2人の姉妹がいた。

洋榎「じいちゃん、全然元気やったな」テクテク

絹恵「そやね」スタスタ

洋榎「ばあちゃんも元気有り余っとるし………また口が悪い言われたわ」アッハハ

絹恵「おばーちゃん厳しいからなぁ」クス

洋榎「せやけど口が悪いて、なんか言うたっけ?」

絹恵「んー、あれかな?おじーちゃんが『最近体調悪いねん』言うた時『ほんまや、鼻乾いとるな』言うたやつちゃうかな?」

洋榎「『犬と一緒にすな!』言うとったな」ケラケラ

絹恵「おじーちゃんはシャレわかる人やけど、おばーちゃん真面目やから……」クス

洋榎「いや〜、思てたより元気そうやったから普通に接してしもてなー」

絹恵「うん、私もそれは思った」

洋榎「ま、たまには顔を出した方がええかもな」

絹恵「うん、小っちゃい頃から可愛がってもろたし」
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 00:57:34.14 ID:8MnlR9I2o

?「………………」

影が動く。ゆらり、ゆらりと……

洋榎「さて、どないしよ?」

絹恵「う〜ん、長野でやることもないし………」

洋榎「ん!?」ピキッ

絹恵「え?おねーちゃん?」

洋榎「おお………お……お……」フラフラ

絹恵「?」

洋榎「おおお」(絹恵の両頬に手を添える)

絹恵「え、え?」

洋榎「あ、あかん………」

絹恵「え?お姉ちゃん、なんで近付い…」

洋榎「んっ…」ムチュー..

絹恵「んむっ??」

大阪在住姉妹のキス in 長野。

その情熱的なキスを目撃した八百屋の主人は、イケイケだった昔の自分を思い出して嬉しくなり、そのあとすぐに自分の現状を思い、悲しくなった。

主人(俺だって昔は……言い寄ってくれる子だっていたさ!なのによぉ……)

涙ぐみながらハチマキをきつく締める。
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 00:58:01.46 ID:8MnlR9I2o

洋榎「…………///」レロッ..

絹恵(!?舌を………)ンムゥッ!

洋榎「…………///」レロレロ..ツー...チュゥウ...

絹恵「ん〜〜〜///」

洋榎「んはぁっ」チュパッ..

絹恵「ぷはっ!!」

洋榎「………///」ツツー..

絹恵「………///」ハァハァ

洋榎「あ、あの………今のは///」

絹恵「お、おねーちゃん、こんな道の真ん中で急になにするん?めっちゃ恥ずかしい……///」カァ..

……大阪在住姉妹のキス in 長野が終わり、2人がもじもじしてる頃、影は消えていた。

そして自暴自棄になった八百屋の主人ががむしゃらに安い値段設定を付け始めていた……。
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 00:58:59.76 ID:8MnlR9I2o

【公園】

クルッポー..クルッポー..

照「あった。この公園だ」

咲「ちょうどいい時間ですね」

久「そうね。間が空いたからリフレッシュできたし」

照「……龍門渕で沢村さんにやられた時に地面に倒れたせいで背中が泥まみれになったし……家に帰って着替える時間があったのは有難かった」

久「た、確かにね」

咲「お姉ちゃんだけ濡れてるところに倒れちゃったもんね……でもそんな不運なお姉ちゃんもかわいい……」

照「そういうかわいさはいらない」

ガヤガヤガヤガヤ..

照「?」

咲「賑やかだね」

照「うん……法被(はっぴ)来てる人がたくさんいる……この辺りでお祭りとかあるの?」

久「んー、ちょっとわからないわねぇー」

照「そう……それにしても……お祭り、懐かしい」

咲「昔、よく行ったよね」

照「うん」
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 00:59:33.64 ID:8MnlR9I2o

咲「楽しかったよね」

照「うん……でも事故を装って水風船を私の浴衣にぶつけて、浴衣透け透けを狙う人がいたのが残念だった」

咲「………………」

照「………………」

咲「そ、それにしても今日も暑いね!お姉ちゃん」

照「今日は涼しい方だと思う」

咲「………………」

照「………………」

咲「………………」シュン..

照「………………咲」フゥ

咲「?」

照「……今度……一緒に行く?」

咲「っ!?う、うん!お姉ちゃんと一緒に行きたい!」

照「……じゃあ……行こう」

咲「うんっ!!お祭りの日、調べておくね!」ニコニコ

久(……咲、嬉しそう……ふふ、よかったわね)
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:00:01.95 ID:8MnlR9I2o

照「………確かこの場所で合ってたはずだけど」テクテク

久「……誰もいないわね」

咲「はい……」

照「……今、約束の時間になった……」

久「遅刻か、それとも場所が…」

サァァアアァア...

照・咲・久「!!!?」ゾクッ!

一陣の風が吹く。

その風が運んできたモノが異質であることを3人の感覚が告げていた。

照「こ、この感じ……」

咲「沢村さんの時と似てる」

久「ということは………」キョロキョロ..

?「………………」スッ

咲「あ!見て!高台の柵のところ!」

照・久「!!!!」

久「………あなたは!」
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:00:29.71 ID:8MnlR9I2o

【レンタルビデオ店】

女性店員「お客様。会員証をお作り頂くために、お手数ですがこちらの用紙にご記入をお願い致します」

貴子(そろそろ会っている頃か……)

女性店員「……お客様?」

貴子(次の相手は……前四天王に勝った実力者ァァッ!!)

女性店員「あ、あの……こちらに記入をお願い致します」

貴子(相手のペースに乗せられたら、おそらく勝ち目はない…)

貴子(彼女を相手にする場合…………3人で戦うということが逆にネックになるァァッ!!)

女性店員「お、お客様ぁ………」
233 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:01:03.39 ID:8MnlR9I2o

【公園】

?「Lily〜♪」ヒラヒラ

高台から照たちを見下ろす女の子……。

金髪の前髪、金髪の後ろ髪、金髪のもみあげに金髪の眉毛。

金髪づくしの留学生。彼女の名は……

久「エイスリン・ウィッシュアートちゃん!」

エイスリン「YES!」ニッコリ!

照「かっ…」

咲「か?」

照「……なんでもない」

咲「?」

照(かわいい……っ!)キューン

咲「部長、よくフルネームを知ってますね」

久「可愛いかったから覚えてたのよ!」キラッ!

咲「それは………まあ可愛いは可愛いですけど」
234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:01:52.71 ID:8MnlR9I2o

久「あ〜、制服もいいけど、私服も似合ってて可愛いわね〜。制服だとスカート長めなのに、私服はミニなのね。いいわ〜♪」

照「…………」(密かに頷く)

咲「………そんなことより……あの人が四天王なんでしょうか………?」

久「おそらくね。タイミング的にも、岩手の彼女がたまたま長野に来ているとは考えづらいし」

照「そういう場合は直接聞けばいい。私が聞いてくる」スッ

咲「…………なんかお姉ちゃん鼻の下伸びてる?」ムスッ

照「の、伸びてない」

咲「それに、やけにアグレッシブだし」

照「……咲の気のせいか陽気のせい」

咲「韻を踏むお姉ちゃんもかわいい……///」

照「じゃあ聞いてくる………………こんにちは!」

咲(……お姉ちゃん、記者会見の時みたいな明るい感じになってる……あの子に気に入られようとしてるの?)ムッ

エイスリン「コニチワ!」ハーイ!

照「か……っ!かわ……っ!」

久「落ち着いて照!でも気持ちはわかるわ!!」キャー

咲(……………ただ挨拶しただけなのに)
235 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:02:30.77 ID:8MnlR9I2o

照「あ、あの!質問、いいかな?」

エイスリン「ドゾ♪」

照「ど、どうしてあなたはそんなに可愛いの……?」

エイスリン「ワタシカワイイ?アリガト!」

照「か…………はっ……」ブルッ..

久「照!?『可愛い当たり』しちゃったの!?でもしょうがないわよね!あんなに可愛いんだもの!」

咲(お姉ちゃん……四天王なのかを聞くんでしょ?それなのに……)

クルッポー..クルッポー..

咲(鳩うるさい!)ギロッ!

鳩「ポッ!?」ビクン!

照「は……ぁ……かわいい……っ///」

久「落ち着いて。はい、水飲んで」

照「」クピ..クピ..

咲「………………」

咲(……鳩を睨んだら少しスッキリして落ち着いた)フゥ

咲(……だからこそ、現状がおかしいってわかるよ。エイスリンさんが現れて、お姉ちゃんと部長が急にメロメロになった。確かに可愛いのはわかるけど、あのお姉ちゃんがあそこまで冷静さを失うのはおかしい)

咲(……ということは、なんらかの力が働いてるはず……なら、それを確かめよう)テクテク
236 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:03:10.10 ID:8MnlR9I2o

照「ぷはぁ。ありがとう。さて、次はエイスリンさんの趣味を聞い……」

咲「……エイスリンさん!」

照「っ、咲……?」

咲「……エイスリンさんは四天王ですか?」

照「……私が聞こうと思ってたのに……ずるい」

久「ねぇ、咲。まずはエイスリンちゃんの好きなものとか色々聞いてからの方が仲良くなれると思うんだけど……」

咲(……無視)ツーン

エイスリン「YES!ワタシ、シテンノウ!」ピース

咲「……では次の質問ですけど、お姉ちゃんと部長に何かしましたか?」

エイスリン「シテナイヨッ!」ニコリ

照・久「かわわっ!」

咲(…………ううん、ありえない。ただ微笑んだり話しただけでお姉ちゃんがエイスリンさんにメロメロになるなんて……そんなの、私が許さない)ゴォッ!

鳩「ポー!?」

エイスリン「???」

咲「……私たち、あなたと戦いに来ました!」

エイスリン「キイテル!」コクコク

咲「では………勝負してもらえますか?」

エイスリン「OK〜♪」

咲「…………」チラ

照「あぁ……可愛い……」

久「本当ね……周りにいる鳩が不細工に見えるわ……」

咲(2人は戦えそうにない……もう、私がやるしか……!)
237 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:03:54.85 ID:8MnlR9I2o

エイスリン「♪〜」サッ

咲(イラストボード?)

エイスリン「フンフンフフ〜ン♪」カキカキ

咲(何か描いてる……勝負は始まったのに……)

エイスリン「デキタ!」

咲「あのっ、エイスリンさん。もう戦いは………っ!?」ピキ

咲(え?え?何これ!?体が……動かないよ!)

照「うわ!?」ピキ

久「?」

咲「わっわわわ……」スタスタ

照「な、なんだ?体が勝手に………」スタスタ

咲(こ、これは………?)

照(なにがどうなってるの?)

困惑する照と咲。それも当然だろう。自分の体が自分の意思に関係なく、勝手に動き出したのだから。

咲「うわ」モニ(照の胸を触る)

照「な……っ//」

咲「えっ!ちょっと、ええ!?」モミモミモミモミ...

咲(お、お姉ちゃんに触れて嬉しいっ!けど……何なのこれ…っ!手が勝手に動いて……)
238 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:04:26.02 ID:8MnlR9I2o

照「さ、咲……っ!やだ……」

久「いい………2人ともいいわ………素敵よ……」ハァハァ

鳩「ポ、ポゥ……」

真昼間の公園で、姉の胸を揉む妹と揉まれる姉。それを見つめる鳩・久・エイスリン。

咲(これ……間違いなくエイスリンさんが何かしたんだ……きっとあのイラストボードに秘密が……)

エイスリン「〜〜〜〜」カキカキカキ..

エイスリン「♪」デキタ!

照「え?………うわ!」

微動だにせず胸を揉まれていた照が動く。胸に置かれた咲の手を握り、引っ張る。

咲「っ……!」

そのまま、お互いの胸を合わせるように密着し……

照「んむっ」

咲「あっ」

照は咲の唇にキスをした。
239 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:05:16.25 ID:8MnlR9I2o

【レンタルビデオ店】

女性店員「あの………おきゃくさま……」(半泣き)

貴子(エイスリン・ウィッシュアート!!)

貴子(やつは自分の理想の百合シチュエーションをイラストボードに描く)

貴子(そこに描かれた人物は体を操られ、エイスリンの描いた通りの行動を強いられる)

熟女店員「どうしたの?」

女性店員「いえ、こちらのおきゃくさまが………」

熟女店員「?とにかく、列ができてしまってるからここは私に任せて、あなたは隣のレジに回って」

女性店員「は、はい!すみません、お願いします」ダッ

熟女店員「うふふ……まだまだ若葉ね。功夫が足りないわ」

貴子(しかし、エイスリンの恐ろしさはそれだけじゃねェ)

熟女店員「お客様、ご説明をさせて頂きます」ニコッ

貴子(キュートすぎることがエイスリンの強さを一層、際立てる)

貴子(本人の意思とは関係なく、自然にあふれ出る可愛さ……自分の夢を描く楽しさにより、エイスリンの可愛さはMAXになる)

貴子(そうなれば、操られてないやつもエイスリンを見てるだけで幸せな気持ちになり、戦意を失う。誰もやつを止められねェ)

貴子(一度エイスリンに描かれちまったら勝つのは難しい……この勝負、やつより先に仕掛けられるかどうかが勝利を得る鍵だ………………ん?)ムズ..

貴子「へ、へ、へ…………へっくしょんァァッ!!」
240 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:05:55.22 ID:8MnlR9I2o

【公園】

エイスリン「〜〜〜♪」キュキュ

照「んんぅ〜〜///」レロー..チュッ..

咲「じゅるっ、んぁ………///」ツー..チュプ..

久「はぁはぁ………素晴らしいショータイムだわ///」

お互いを求めて激しくキスを交わす照と咲。彼女たちはエイスリンによって描かれた夢と同じ行動を強いられている。

この現状を打破するには操られていない久が動くしかないのだが、当の久はエイスリンに魅了され、エイスリンが望んだ夢を具現化している照たちを熱く見つめている。

無理もない。エイスリンの魅了は並外れている。

エイスリンが可愛いから、松屋もガストもCoCo壱も、普通の人よりちょっと多目にご飯をよそってくれる。

エイスリンが可愛いから、変なところに自転車を止めたとしてもあんまり撤去しない。

さらにエイスリンの可愛さを称えるために岩手県が総力を尽くして『エイスリン通り』を作ろうとしているという噂まであるのだから恐ろしい。

咲「ちゅ……っん……ぁ//」

照「ん……っ……//」

咲(私、お姉ちゃんとキスしてるよぉ……気持ちいい……もう勝負なんて忘れて、このままずっと……////)ハァハァハァハァ

照(こ、こんな……咲と……キス……してるなんて……///)

エイスリン「」ンート..

エイスリン「!」カキカキ

エイスリン「♪」デキタ!
241 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:06:28.86 ID:8MnlR9I2o

照「!?」ピクン!

照(え?手が勝手にスカートの中に……?ち、ちょっと待って……)スルッ..

咲「!!!」

咲(お、お姉ちゃん!今、パンツ脱いで……)

照(な、なんで!?どうして脱ぐの!?)カァァ..

咲「!!」ゴクリ..

照「…………あああ」フラー

咲(脱いだパンツを手に持って…………それを……どうする気なの?どうする気なの!?)

照(や、やだ……っ///)

ズムッ!

咲「!!」

照パンツが咲マウスにねじ込まれる。

咲「もごっ!」

照「〜〜〜〜〜っ///」(スカート押さえる)

久「エ、エロイ!!エイスリンちゃん最高〜〜〜!!」

エイスリン「アリガト♪」ニコッ

久「キュー……………………ット!!」クワッ!
242 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:07:45.33 ID:8MnlR9I2o

エイスリン「ンー………」キュキュ

咲「もごご……」

咲(私の口にお姉ちゃんのパンツがある…………こんなにうれしいことはないよ……)ウットリ

照「///」

照(いくらエイスリンさんが可愛すぎるからって、公共の場でこんなことさせるなんて、誰かに見られたら…………あ!)

照(ここは公園。誰かが通る可能性が高い。その時はさすがにこの力を解くはず!その瞬間を狙えば……)

エイスリンに魅了されながらも、激しい羞恥により若干の思考力を取り戻した照。

もしもエイスリンの力から解放されれば、多少の動きはできるだろう。

照(私たちを操ってるのはあのイラストボードに違いない。急いで高台まで行って奪えば……)

ノーパン赤面インハイチャンプとなった宮永照。一発逆転を狙い、機を待つ。
243 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:08:19.01 ID:8MnlR9I2o

【公園 入口】

その頃、公園入口では……

通行人「立ち入り禁止?」

法被少女A「はい、すみません」

通行人「あら?残念ね」スタスタ

法被少女A「…………」

法被少女B「…………首尾はどう?」スタスタ

法被少女A「こちらは万全です。誰の侵入も許していません。そちらはどうですか?」

法被少女B「万全よ。他の入口も全て押さえてあるわ」

法被少女A「後はエイ様からの連絡を待つだけですね」

法被少女B「ええ。でも最後まで油断してはダメよ?」

法被少女A「もちろんです!全てはエイ様のために!!」

法被少女B〜Z「全てはエイ様のために!!」オオオオ!!

法被を着た少女たちが出入口を封鎖していた。

何故なら、彼女たちはエイスリンをこよなく愛する『エイスリン親衛隊』だからだ。

エイスリンの『ダレモイレナイデ!』というお願いに対し、

『ははーっ!』と受け入れ、人払いをしているというわけだ。

彼女たちにとって、エイスリンは絶対。

照の望みは今、ここに断たれた―――
244 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:08:55.57 ID:8MnlR9I2o

【公園 高台】

照「…………」

照(おかしい。誰も来ない………どうして……?)レロッ..レーッ

咲(はぁはぁ………お姉ちゃんが!お姉ちゃんが私の腋を………舐めてる!!)ゾッゾゾー!

久(今度は腋舐め…………あああぁ……)モジ...

エイスリン「………」ンー...

エイスリン「!」カキカキカキ

エイスリン「♪」デキタ!

照「れろ……………っ!」ピキ

照(また…!今度は何……?)

咲「もご……んぅ………ふっ……」

咲(来たっ!腋の次はどこ!?もしかして……本丸?)ドキドキ

照「……………」

咲「もご………?」アレ?

照「………」フラー..

咲(え?お姉ちゃん、どこ行くの?私はここにいるのに)
245 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:09:24.82 ID:8MnlR9I2o

久「っ!?な、にこれ……体が……」ピキッ

フラフラと久の元へ歩く照。

照「…………っ//」

久「え……あ……//」

照を前にした久がしゃがみ込む。すると照がスカートを軽く持ち上げる。

久「っ……あ……」フラー..

久(嘘……)

照(ま、待って!さっきパンツ脱いだから今は……///)

焦る照をよそに、久はゆっくりと……のれんをくぐるように、照のスカートの中に入っていく。

『ノーパン処・てるや』開店である。
246 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:10:15.41 ID:8MnlR9I2o

照「っっっっ〜〜〜〜///」カァァ

久(こ、これが…………照の…………って、見ちゃダメよ。可哀想……で、でも……)ドキドキ..

咲「――――」

エイスリン「」ワクワク

照(もうやだ……恥ずかしすぎる……///)

久(あ、照……足細い……あと肌がすごくキレ…イ…っ)ピキ!

久(!?ま、また……)スッ

照(え……中で動いて……?)

久(あああ……照の太ももに近付いて……これは……)

チュッ

照「っ///」ビクン!

咲「……………………」ゴゴゴ..

久「///」チュ..チュ..

照「ゃ……っ、ひ、さ……///」

久が照の太ももにキスの雨を降らす。

エイスリン「Oh!」イイネ
247 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:11:36.50 ID:8MnlR9I2o

咲「…………………………」ゴゴゴゴゴ...

それを眺める咲は、こめかみに怒りマークを増やす。

咲「…………プッ!!」

そして我慢の限界を迎えた瞬間、口の中のパンツを勢いよく吐き出した。

そのパンツは、咲の近くにいた、この公園のリーダー格の鳩に命中した。

リーダー格の鳩「ポヴォ……!」

いきなりの攻撃に対し、リーダー格の鳩は怒りを露わにして咲をクルポッと睨む。

咲「…………」ギロリ

リーダー格の鳩「!」ポポッ!?

咲が睨み返すと、リーダー格の鳩の脳裏に手羽先にされた自分の映像が浮かび、戦慄した。

『この人に逆らったら揚げられる』

そう確信したリーダー格の鳩は、死に物狂いで逃げ去った。

その後に続くように、他の鳩も次々と飛んで行く。

気が付けば公園内に鳩は1羽もいなくなった。

地面には飛ぶ際に抜けた大量の羽が、まるで絨毯のように敷き詰められ、照のパンツを覆い隠したのだった……。
248 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:12:14.46 ID:8MnlR9I2o

咲「…………」テク..テク..

エイスリン「っ!?」ゾクッ!

咲「楽しそうですね………エイスリンさん」ゴゴゴゴオ..

エイスリン「ナ、ナンデ?フタリ、ミナイ?ユリユリダヨ?」

咲「………………」ジロリ

エイスリン「っ……」

高台の上で咲たちを支配しているエイスリンと、操られるか、見上げることしかできない咲。

両者の力関係は明白のはず。しかし、咲から発せられる迫力にエイスリンは気圧される。

エイスリン(ドウシテ……)why?

咲「……で」

エイスリン「?」

咲「……なんでいきなり部長を絡めるの?」

エイスリン「エ?」

咲「お姉ちゃんの太ももを舐めるのは私でいいはず………ううん、最悪部長にも舐めさせるとしても……一番手は私でいいでしょ!!」グワッ!

エイスリン「エ、エ?」タジ..

咲「キス、パンツ食い、腋舐められって続いて、期待だけさせといて……その後が部長とお姉ちゃんの絡みを見るだけなんて………あんまりだよ!こんなのってないよ!!」ギロリッ!!
249 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:12:53.30 ID:8MnlR9I2o

エイスリン「ヒッ!」

エイスリン(ナニ、コノコ……)タジッ

自分でも気付かないうちに、一歩後ずさる。

両親や親戚、友人、窓口の人、運転手、インストラクターなど、あらゆる人から愛されてきたエイスリンにとって、ガン飛ばされるのは初めてであり、

まさか他校の2学年下の子に飛ばされるとは夢にも思っていなかった。

普通に生きていればそうそう飛ばされないもの。

ましてや魅了によって愛され続けたエイスリンにとっては、ほぼ飛んでくるはずのないもの。

それが飛んできたことに対する衝撃と、咲から感じる威圧感により、エイスリンの肉体と精神は恐怖に支配される。

エイスリン「ウゥ……」ブルブル..

エイスリン(カラダガ……フルエル)

咲「…………」

エイスリン(ドウシヨ……コノママ、ウエニコラレタラ…………ア!)ハッ!

エイスリン(アノコガ クルマエニ……カイチャエ!)

エイスリンが選択したのは、咲を操ること。この場で厄介なのは咲だけのため、最も効果的で可愛い判断だ。

エイスリン(エット……)カキカキ..

咲「!」
250 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:13:42.15 ID:8MnlR9I2o

エイスリン(アトチョット……アトチョット)カキキキ..

咲「描くなら私とお姉ちゃんにして!!!」

エイスリン「ヒャッ!?」ビクンッ!

咲「え?」

咲を操ろうとするエイスリン。勝ち負けはともかく、照と色々したかった咲。

両者の思惑は噛み合っていたはずだったが、がっついた咲の必死すぎる声に驚いた可愛いエイスリンの手からイラストボードが落ちる。

エイスリン「ワ!」

地面に落ちる前に拾おうと焦るエイスリン。それが裏目に可愛く出た。慌てて手を出したが故に、誤ってイラストボードを弾いてしまう。

結果、足元に落ちるはずだった軌道が変わり、柵を超えて高台の下へ真っ逆さまに落ちていく。

しかも可愛いかな、焦って動いたせいでペンまで落としてしまい、他者を操るための道具を失ったエイスリン。困り眉でとても可愛い。

咲「!」

咲は、目の前へ落ちてきたイラストボードとペンををすかさず拾い上げる。

エイスリン「ウゥ……」シュン

咲「これがあれば……2人を止められる!」ペラッ

咲(お姉ちゃんの太ももを舐める絵が描いてあるから……多分これを消せば…いいのかな?)

咲(このペンで……大きく×を……)キュキュ..

咲「これで……」チラ

久「んん………れろっ………ちゅ………む」レロレロ..

照「はぁ……はぁ………もぅ……ダメ……ひさぁ……///」

咲「!…………まだ止まらない!?」

咲「これ!どうやって止めるの!!?」ガアァッ!

エイスリン「ヒッ!モウコウカキレテル」ビク

咲「え?」

咲(でも、2人はまだ続けてるけど……)

エイスリン「ワタシ、イラストボードモッテナイト……コウカキレル」

咲「じゃあ……2人は、効果が切れてるのに……?」

エイスリン「ウン」
251 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:14:47.80 ID:8MnlR9I2o

咲「………………」

照「あ………ひさ………気持ちっぃぃ……あ……」ブルブル.

久「てる!………てるぅ………」チュプ..ンー..

咲「っ!お、お姉ちゃん!!」

咲「もう体動くから!!部長に!!太ももを舐めさせるのを!!!やめて!!!!」

照「……さ、さき……?」ハァハァ

久「…え……?」

咲「お姉ちゃん!!もう体動くから!!部長に太ももを舐めさせないで!!お願い!!部長に太ももを舐めさせないで!!!」

照「…………あ……体が動く」

久「……本当だわ」

咲「お姉ちゃん!!太ももを舐めさせるのをやめて!!お姉ちゃん!!太ももを舐めさせないで!!お姉ちゃん!!部長に太ももを舐めさせないで!!」

照「さ、咲!わかったから連呼しないで!誰かに聞かれたらまた変な呼び名がつくから!」

咲「…………」ハァ..ハァ..ハァ..ハァ...

エイスリン「…………」シュン..

久「…………なんか……よくわからないけど……決着がついたのかな?」

照「うん、多分」

久「…………」

照「…………」

久「」チラ
照「」チラ

照・久「あ」(目が合う)

照「////」カァァァァ..

久「////」カァァァァ..

照「その………なんていうか………ごめん」
252 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:15:41.69 ID:8MnlR9I2o

久「あ、いや………別に嫌じゃなかったし……///」

照「え……//」

久「ち、違っ……変な意味じゃないわよ///」

咲(………なんか変なムードになってる。ここはもう早く切り上げよう)ムムム..

咲「………」チラッ

エイスリン「ヒ!」ビクン

咲「エイスリンさん、これで勝負はつきましたよね?」

エイスリン「エ………ウン。ワタシ、マケマシタ……」シュシューン..

咲「じゃあ、これ返します」

エイスリン「………ウン。イマソッチイク」テクテク

久「…………」

照「…………」

久「あ……あのさ、今更だけど、携帯番号交換してなかったよね?」

照「う、うん……」

久「その…………しよっか?//」

照「あ………そう、だね///」

咲「……………」ギリギリギリ..

咲「!」

咲(そうだ!私とお姉ちゃんがラブラブな絵を描けば……!)ピコーン!

咲「…………」カキカキカキ...

咲(よし!できた!!)

『恍惚とした表情で、咲の手を自分の胸へ導く照』

咲「…………」ワクワク...

久「オ、オッケーよ」

照「あ、うん」

照・久「////」
253 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:16:58.70 ID:8MnlR9I2o

咲「………………」

咲(何も起こらない………どうして?)

エイスリン「オマタセ」

咲「エイスリンさん。どういうことですか?」

エイスリン「エ?」

咲「これです。上手に描けてるのに」

エイスリン「アー………ワタシガカカナイト、コウカナイ」

咲「えっ………じゃあお姉ちゃんたちが来る前に描い…」

照「咲」テクテク

咲「…………」ガックリ

久「あら?どうしたの?」

咲「……………………………………いえ、別に」

久「それで、決着はついたのよね?ずっとスカートの中にいたから状況がわからなくて……」

咲「…………勝ちました」

久「えっ!?すごいじゃない!」

照「咲のおかげで助かった。ありがとう」

咲「…………」

照「咲がいなかったらずっと操られたままだった」

咲「…………むしろ邪魔しちゃったのかもしれないけど」

照「え?」

咲「だって……もう少しでお姉ちゃん……」

照「っ!?ば、ばか。何言ってるの……///」
254 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:18:18.07 ID:8MnlR9I2o

咲「…………」プイッ

久「それにしても……よく勝てたわね。2人が操られてた時、私は見ているだけしかできなかったわ。まるで意思を奪われたみたいに」

咲「え、そうなんですか?」

咲(私……なんで動けたんだろう?)

エイスリン「…………アノ」

咲「?あ、そうでした。イラストボード返します」

エイスリン「………………アリガト」

エイスリン「…………マケチャッタ」シュン

照・久(落ち込んでるところも可愛い)キュン

咲(!またメロメロに!?もう!)グイッ

照「痛い……咲、どうして押すの?」

咲「とにかく!これで2人目を倒したよ!次はどうするの?」

照「あ、そうだった。結果をメールするね」ピポパ

久「…ねえエイスリンちゃん?」

エイスリン「ハイ」

久「他の四天王について、知ってることないかな?」

エイスリン「ンー?」(首をかしげる)

久(かわゆい///)

エイスリン「……ナイ!ゴメンナサイデシタ!」ペコリ

久「あ、いいのいいの全然」ヒラヒラ

咲(部長も鼻の下伸ばして……)
255 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:19:05.30 ID:8MnlR9I2o

【レンタルビデオ店】

貴子(!!エイスリンも破っただと?まさか四天王を2人も破るとは………予想以上だ。まったく、驚かせやがって)

熟女店員「もういいです………辞表を出しますから………私がいなくなれば、お客様は満足していただけますか……?」ズーン

貴子「お、すまねェ店員。ここに記入するんだったな」カキカキカキァァッ!!

熟女店員「え!?あ、ありがとうございます!!」

貴子「…………これでよし、と」

熟女店員「はい!!ただいま会員証をお作りします!!」

貴子(………さて、エイスリンを撃破した、となれば次は3人目に連絡だ)

貴子(……………………)ピポパ..

貴子「……………………」

ピロリン

貴子「オラァァッ!!」ピッ

貴子(返信が来やがったぜ……………ふむふむ)

熟女店員「お待たせいたしました。こちらが会員証に…………はっ!!」

貴子(……なるほど)

熟女店員(ま、まさか………また………無視される時間が始まるの……?)ビクビク

貴子「……ん?ありがとうございます」

熟女店員「は、はいっ!!」

熟女店員(よかったーーーーー!!!!!)

女性店員(さすが熟女先輩!)キュン!
256 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:19:53.09 ID:8MnlR9I2o

【公園】

♪〜

照(!来た)ピッ

照(…………なるほど)

久「エイスリンちゃんってどんな百合が好きなの〜?」

エイスリン「カワイイコノイチャイチャ!」キャッキャッ

久「素直でか〜わ〜い〜い〜♪咲もそう思わない?」デレデレ

咲「あはは……」

咲(……確かにエイスリンさんはかわいいけど……絶対お姉ちゃんの方がかわいい)ウンウン

照「次の相手だけど……」

久「お」

咲「!」

エイスリン「?」

照「もう長野に来てるみたい」

久「ってことはまた県外から?」

照「うん。それで、待ち合わせの場所はここなんだけど………わかる?」(携帯画面を見せる)

久・咲・エイスリン「…………」ンー

久「って、エイスリンちゃんは地元じゃないからわかんないでしょ♪」

エイスリン「エヘヘ♪」

久(か、かわゆいっ……///)デレー..
257 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:20:38.26 ID:8MnlR9I2o

咲「…………部長?」ハァ..

久「っと……そうね、確かここは…………うん、前に通ったことあるからわかるわ。私についてきて」テクテク

照「うん」テクテク

エイスリン「ウン」テクテク

咲「?」

エイスリン「ゴーゴー♪」

咲「あの………エイスリンさん?」

エイスリン「ハイ!」ニコリ

咲「えっと……ここからは私たちだけで大丈夫と言いますか……その……」

エイスリン「エ……」ジワ..

咲「あ……」

エイスリン「ワタシ……ニュージーランド……カエレ?」グス

咲「うぇっ!?そ、そこまでは言ってな…」

照・久「咲」

咲「う」

照「そんな冷たいこと言ったらエイスリンさんが可愛い……じゃなくて……可哀想」

久「そうよ。旅は道連れエイスリンさんは可愛い……じゃなくて……世は情けって言うでしょ?」

咲「…………はい」
258 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:21:31.91 ID:8MnlR9I2o

エイスリン「………………」(上目遣いで様子を窺っている)

咲「…エイスリンさんも一緒に行きますか?」

エイスリン「ッ!ウン、イク!!」パァァァ..

咲「…………」フゥ

咲(それにしても……自分の描いたままに人を操れるなんて羨ましい能力………今度色々お願いしてみようかな?例えば、お姉ちゃんのパンツを…………あ!)ハッ!

咲(お姉ちゃんのパンツ!吐き出したままだった!)ダダッ

咲「…………ぅわ」

咲(砂利とよだれと鳩の羽と糞でべちょべちょだ……これを履くのは難易度高いよ……)

咲「お、お姉ちゃん………あの………」

照「どうしたの?」

久・エイスリン「?」

咲「あれ……パンツ……」

照「?…………あ!」

久「あ………」

エイスリン「ワァ……」

咲「……………」

照「……………」

久「……………」

エイスリン「………………」

鳩「…………」バサッ

このタイミングで鳩帰還。

照「………対決前に、商店街でちょっと買い物していいかな?」

咲「うん」

久「それがいいわね」

エイスリン「ナイスアイデア♪」パチパチ
259 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:22:32.39 ID:8MnlR9I2o

【商店街】

照「ふう……」

照(やっとノーパン生活から解放された)ホッ

久「あえてパンツは履かずにタイツで誤魔化す手もあったけどね」

咲「あ、それいいですね」

エイスリン「ウンウン!」

照「やだ。上級者すぎる」

久「それにしても、公園の入り口にいた法被着た子たちは、みんなエイスリンちゃんのお友達なの?」

エイスリン「ウン!ミンナヤサシイ!!」

照「そうなんだ」

照(永好凛愛羅撫優とか書いた旗持ってたけど……友達なんだ)

久「その子たちはどうしたの?もしかして、私たちのあとをついてきてるとか?」

エイスリン「No!カエッタ」

久「あ、そうなんだ?」

エイスリン「ソウ!ナカマイッパイ!ダイジョブッテユッタ!」

照「仲間……私たちが?」

エイスリン「ウン!ミンナナカマ!」ニッコリ

久「あ、ありがとう……//」デレ

照(確かに…………戦いはしたけど、お互い合意の上での勝負だし憎むべき敵だったわけでもない。むしろ同じ百合妄想士として仲間になるのが自然かもしれない)
260 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:23:43.60 ID:8MnlR9I2o

照(…………仲間、か)

照(チーム虎姫のみんなを思い出すな……友達でもあるけど、それ以上に仲間と呼ぶのがしっくりくる感じ……)

久「さて、改めて目的地に向かいますか」

照「あ、うん」

久「ここからそう遠くはないのよ。このまま歩いて、あの八百屋さんを右に…………ん?あれは……」

照「?」

?「あ……」

照(!あの子は……四天王の……)

久「沢村さん」

智紀「はい………先ほどはどうも……」ペコリ

久「買い物?」

智紀「はい。なんかこの八百屋さん、ありえないくらい安くて……」

主人「くそぉ……俺だって……高校生の時はキスくらい……うぅ……」

久「?」

智紀「見てください。このナスなんて1個10円です」ヒョイ

久「ええっ!?確かにヤケになってるかのような値段設定ね…………と、それはそれとして」

智紀「?」

久「可愛い女の子が八百屋さんで【ナスを片手に佇んでる】のってもやもやするわね」

智紀「なっ……///」

照「それは……同意」ウンウン

咲「うん……まぁ、確かに」

エイスリン「ソレハチガウヨ!」ロンパ!

照・咲・久「!!」
261 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:24:29.91 ID:8MnlR9I2o

エイスリン「ナスハオトコノショーチョー!ユリニイラナイ!!」

久「ち、違うわ。ただ……初めてを好きな女の子に捧げたいけど【アダルトグッズを買う勇気がない】から野菜で貫いてもらおうという乙女心で…」

エイスリン「ソレハチガウヨ!」ロンパ!

久「!!」

エイスリン「ツウハンガアルヨ!ヒンメイハPCブヒン!!」

照・久「!!!」

エイスリン「ソレニ、コノコ キットスデニモッテル!」

智紀「っ!?」カァァ..

商店街の人A「聞きました?奥さん?」ヒソヒソ

商店街の人B「ええ。清純そうに見えて結構むっつりなのね」ヒソヒソ

商店街の人C「間違いないわ。だからナス色の服を着てるのよ」

智紀「も、持ってない!でたらめはやめてください……///」

エイスリン「」Really?

智紀「本当です!」
262 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:25:26.96 ID:8MnlR9I2o

久「……ねえエイスリンちゃん。どうしてPC部品で注文とか知ってるの?」

エイスリン「!」

久「もしかして……エイスリンちゃんこそ、そういうグッズ持ってるんじゃないの?」

エイスリン「…………」

照(そんな………エイスリンさんがエッチなグッズを?そして友達と夜な夜な……)

咲(エイスリンさんの1人エッチ……もしエイスリンさんに妹がいたなら、きっとその姿を目撃して興奮した妹は部屋に乱入してそのまま……)

智紀(遊びに来た友達にアダルトグッズを見つけられ、脅迫される。次の日からエイスリンさんはその子の奴隷に……目の前で1人エッチ強要、そして外で着替えさせられ、最後は見られて感じる変態さんに……)

エイスリン「…………」

久「ね、ねえ……どうなの?エイスリンちゃんは……アダルトグッズを持っているの?」

エイスリン「………………」

久「………………」ドキドキ

照「………………」ドキドキ

咲「………………」ドキドキ

智紀「……………」ドキドキ

商店街の人たち「………………」ドキドキ

エイスリン「………………ナイショ」(頬を赤らめながら唇に人差し指を当てる)

照「か……」

照・久・智紀・商店街の人たち「か〜〜わ〜〜い〜〜い〜〜〜〜!!!」

その瞬間、エイスリンの可愛さを祝福するようかのように、福引で鳴らす鐘の音が商店街中に響き渡った。

今回の出来事をきっかけとして、後日『エイスリンちゃん来訪ありがとうフェア』が開催されるのだが、それはまた別の話。
263 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:26:29.40 ID:8MnlR9I2o

久「あー、可愛かった。って、あれ?なんの話だったっけ?」

智紀「いえ、特に何がどうとは………あの……皆さんはどちらに?」

久「私たちは次の四天王と戦いに行くのよ」

智紀「次の……?ということはもしかして、エイスリンさん……」

エイスリン「ワタシ、シテンノー!」

智紀「そうなんですか……」

智紀(………確かに………かなりの力を持っているみたい)

智紀(…………四天王……)

智紀「あの………」

照「?」

智紀「私もついて行っていいですか?」

照・久「え?」

智紀「みなさんの戦いに興味が湧いてしまって……………ダメでしょうか……?」

久「…………」チラッ

照「別に構わない」

照(対戦相手としては恐ろしいけど、味方になってくれるなら心強い。それに……むっつりな沢村さんが情欲にまみれる姿を見られるかもしれないし)

久「私も歓迎するわ」

咲「お姉ちゃんがいいなら……」

エイスリン「ナカマ♪」

智紀「あ、ありがとうございます」ペコリ

久「いいえー♪買い物は大丈夫?」

智紀「はい、急ぎではありませんから」

久「そう?じゃあ行きましょうか」

照「」コクリ

智紀「はい」
264 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:26:55.16 ID:8MnlR9I2o

【テナントビル前】

照「…………ここだ」

久「このビルの中ってことかしら?」

咲「だと思います。メールに書いてあった住所だと他に建物ないですし」

照「ここの2階で待ち合わせみたい……とりあえず行こう」テクテク

咲「あ、うん」

エイスリン「ゴー♪」

久「行きましょ」

智紀「はい……―――」

照「―――………2階、着いた」フゥ

久「………この部屋ね」

照「うん。入ろう」

ガチャ

久「………広い………」

照「何もない分、余計に広く感じる」キョロキョロ

待ち合わせ場所に辿りついた一行。

家具も仕切りもない部屋の内部。

そこは、ただただ広い空間が広がっていた。

エイスリン「ア!」

?「…………」

照「!」
265 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:27:36.33 ID:8MnlR9I2o

そこに待っていたのは、

?「エイスリン!?」

エイスリン「サエ!?」

宮守女子高校3年生の臼沢塞と、

?「ずるずるず…っ!げほっ!げほっ!!」

カップラーメンをすする際、ミスして気管に麺が入ってむせる宮守女子高校麻雀部監督、熊倉トシだった。

塞「どうしてエイスリンがここに……」

トシ「げぇほっ!ごほ!っげほっ!!」ヨダレダラー...

照「どっちが四天王………?」

久(2人合わせて四天王………なんてことないわよね?)

塞「いやいや、エイスリンこそなんでここにいるのよ……?」

トシ「げほっ!げほげほげほ!げぇぇほっ!!」

エイスリン「ショーブ!」

塞「…………勝負?」

トシ「っげふ!げほぉおぉっ!!ごほごほっ!!」

塞「じゃあ……対戦相手ってエイスリン?じゃあなんでわざわざ長野に……?」

トシ「げほっ!ごほぉっ!がはっ!はがぁ!っごふっぅ!!」

塞「……ちょっと待って。先生、大丈夫ですか?」サスリサスリ

トシ「かはっ!かぁーーっ、ぺっ!!…………ふぅ……もう大丈夫さね」

塞「よかったです」ホッ
266 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:28:17.80 ID:8MnlR9I2o

照「……………あの、勝負の話だけど……」

塞「うん…………って宮永照!!?それに清澄の人たちも!?」

久「気付くの遅いわね」クス

エイスリン「オソイ!」

照・咲「こんにちは」ペコリ

塞「へ?あ、ああどうも、ご丁寧に……」ペコリ

智紀「沢村と申します。よろしくお願いします」

塞「あ、うん。えと、よろしく」ペコリ

トシ「……なるほど、そういうわけかい」

塞「ど、どういうわけですか?」

トシ「カップヌードルの小さい肉が原因でむせたってことさ。やれやれ、日清も困ったもんだ」

塞「あ、そっちですか……」

照「えーと……勝負の話だけど……」

塞「え、あ、うん。メールで見た。ただ『あんたも知ってるやつが相手だ』としか聞いてないんだよね……名前くらい教えてほしかったわよ」

智紀「私の時と一緒……」

塞「……宮永さんたちが百合妄想士なのもビックリだし、なんでエイスリンがいるのかわからないし……もう頭こんがらがってきた」

照「……説明すると、私が四天王全員と戦えるようにって久保さんが長野に四天王を集めてくれて……沢村さんとエイスリンさんと戦った。それで次の四天王とはこのビルで待ち合わせってメールで聞いて、なんだかんだでみんなも一緒に行く、ってなった」

塞「『沢村さんとエイスリンと戦った』ってことは……沢村さんもエイスリンも四天王だったんだ」

智紀「はい」

エイスリン「ソウ!」
267 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:29:00.95 ID:8MnlR9I2o

トシ「へえ……四天王になったのはいつ頃だい?」

エイスリン「チョットマエ!」

トシ「私がカップ焼きそばにハマってた時期くらいかい?」

エイスリン「ソウ!」

塞「えっ!?先生がラーメンじゃなくて焼きそばを!?」

トシ「私は焼きそばに対してもリスペクトしてるんだよ」

エイスリン「スゴイ!」キャッキャッ!

照「あの……」

塞「あ、ごめんなさい、話途中で……私と勝負するんだったわね」

照「うん」コクリ

照(ということは、臼沢さんが四天王か。隣の人は付き添いかな)

塞「じゃあ誰から相手をする?宮永さん?それとも四天王の…………あ」

照「?」

塞「そうだ………この場には私以外に四天王が2人いるんだ……」

トシ「そうなるね」

塞「…………そっか……」ユラ..

トシ「……む」

塞「じゃあ……私の計画を実行に移すのにちょうどいいかな……ふふ……」

猫背になり、俯きながらブツブツと呟く塞。

その姿は普段の彼女とは違い、どこか不気味さが漂う。

違和感を覚えたエイスリンは、可愛いまま様子を窺っている。

トシも次なるカップラーメンにお湯を注ごうとした状態のまま、やかんを持つ手を止めた。
268 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:29:40.49 ID:8MnlR9I2o

久(この感じ……沢村さんが絶望を吐き出す時と同じ……)ゴクリ..

照「!」ゾワッ..

咲「なに……?これ……」

照「……咲、気を付けて」

咲「…………うん」コクリ

咲(臼沢さん、すごい迫力だもんね…………でもそれはそれとして、私に注意を促すお姉ちゃんかわいい!)

トシ「塞、あんた……」

塞「よし、決めた……1対1じゃなくて…………全員相手になるよ」

照・咲・久・智紀・エイスリン「!!」

久(この子、正気なの!?私たちはともかく、四天王が2人いるのよ!?)

照(全員相手って…………ハーレム願望を堂々と発表した!?岩手の子ってこんなに進んでるの!?)ドキドキ

塞「私の業を…………受け止められてもらう」

照(業……?)

トシ「…………」

全員を相手にすると宣言した塞。ポケットからモノクルを取り出し、装着。照たちの返答を待たずに戦闘態勢に入る。
269 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:30:12.41 ID:8MnlR9I2o

照・咲・久・智紀・エイスリン「………………」

塞「………………」

沈黙…………一体何秒続いただろうか?緊迫した空気が流れる。

トシ「…………くっ!」

そんな中、誰よりも辛い思いをしていた人物がいた。熊倉トシである。

やかんを持ち上げたまま手を止めていた老婆は握力の限界により、ついにやかんを手放す。

重力に従って地面へと落ちるやかん。

お湯という名のアレをアレしたまま落下し……

ガラァァン!!

と部屋中に響き渡る音を鳴らした。

塞「っ!!」

それが四天王・臼沢塞との戦いの幕開けを告げるゴングとなった……。
270 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:31:17.37 ID:8MnlR9I2o

【レンタルビデオ店〜おかえり〜】

実習中女性店員「いらっしゃいませ〜!」

貴子(臼沢塞……真面目で快活そうな容姿とは裏腹に、抱えてる闇は深い……宮永よ、どう立ち向かう?)コトッ

実習中女性店員「……こちらの作品ですが、1巻から5巻まででよろしいでしょうか?」

貴子「いいァァッ!!」

貴子(6巻からはさっきの店で借りたからな)

実習中女性店員(え?今、『いいや』って言った?ということは、違う巻を借りたいのかな?)

実習中女性店員「お客様、それではご希望の巻をお持ちいたしますが、何巻になさいますか?」

貴子「ん?いやいや……いいァァッ!」

実習中女性店員「え、っと……ですので、ご希望を……」

貴子「いいァァッ!」

実習中女性店員「あうぅ……」

並んでる客「」ザワザワ..

貴子「っ!」

実習中女性店員「お客様……」

貴子「実習生てめェ……この待ち時間はなんだ!空いててよかったと思ってレジに並んだのに、後ろに行列ができてるじゃねェか!!」

実習中女性店員「うぅ……」

貴子「ロン毛で金髪の社会人女がプリキュア借りてるのを他の客に知らせたいのかよぉっ!!」

実習中女性店員を脅かすため、カウンター台に平手打ちを食らわそうと手を振りかぶる貴子。
271 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:32:09.49 ID:8MnlR9I2o

?「やめてください!」

貴子「あぁ!?」

2年目女性店員「彼女のミスは私の責任です。叩くなら私だけにしてください」

貴子(……いや、別にこの子を叩くつもりは……)

2年目女性店員「この子は店内ランキング2位。防犯用のカチャッてやるやつを一発で外す率31%を出してます」

貴子(ミス多いじゃねェかよ)

2年目女性店員「先ほどのやり取りも、お客様の口調を考慮すれば戸惑うのも無理はないと思います。それに……」

2年目女性店員「お客様の発言には副詞が付いてなかった……『もちろん』とか『別に』がなかった分、私でも聞き取れなかったかもしれない」

実習中女性店員「先輩……」グス

2年目女性店員「この子は1分くらい、自分を責め続けてきたはずです」

貴子「ふっ」

2年目女性店員「私はこの子を誇りに思っています。ですから……」

貴子「もういい。会計してくれァァッ!」

2年目女性店員「はい」ニッコリ

実習中女性店員「先輩……」
272 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:33:02.71 ID:8MnlR9I2o

2年目女性店員「……それじゃお願いね。私は向こうのレジに行くから」

実習中女性店員「は、はい!ありがとうございました!」

2年目女性店員「ええ」ニッコリ

実習中女性店員「よ、よぉし…………あの……お客様、こちらの作品ですが、1巻から5巻まででよろしいでしょうか?」

貴子「もちろん、1巻から5巻までで……いいァァッ!!」(右手でオーケーサインを出す)

実習中女性店員「!ありがとうございます!!」

貴子「…………なぁ」

実習中女性店員「は、はい……」

貴子「いい先輩じゃねェか」

実習中女性店員「っ!はい!!」ニコッ!!

貴子(へっ……こいつら……いい百合見せてくれやがって………)

2年目女性店員(いい笑顔!その調子で頑張って!)ニコニコ

ベテラン女性店員「……ちょっといいかしら?」

2年目女性店員「はい?なんでしょうか?」

ベテラン女性店員「あなたのランキング、2ヶ月連続最下位よ?もう少し頑張ってね?」

2年目女性店員「はい!」ニッコリ

貴子「お前の方がランキング下なのかよァァッ!!」
273 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:33:51.91 ID:8MnlR9I2o

【テナントビル2階】

塞「―――――」ゴオオォォオオォオ...

照(な、なに……この嫌な感じ……)

智紀(………これは………絶望?でも私とは違う……そうか……絶望を与えようとしてるんじゃなくて、自分が味わってきた絶望がにじみ出てるんだ……ということは………)

久「な、なによこれ………?」

咲「こ、怖い………」ブルブル..

塞「………………」

智紀(!来るっ……!)

塞「!!」カッ!!

パァアアアアアアアア!!!

塞が目を見開いた瞬間、全身から眩い光が溢れる!

その光によって部屋中が金色に輝き、照たちの目に映るのは、塞の影と、食べ残したラーメンのスープを飲もうとして器を傾けるトシの影のみ。

照(っ!眩しい!)

咲(ううっ……!眩しがってるお姉ちゃんはきっとかわいいのに……見えない!)

久「く!!」

智紀(目を……開けられない……)

エイスリン「アウー!」

キィィィイイィ........ン.....

塞の元へ光が収束する。時間にしてほんの数秒程度だ。

しかし、その間にこの部屋では、とてつもないことがおこっていた。
274 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:34:42.15 ID:8MnlR9I2o

てる「………………」

てる「………………」

照の体が、小学校低学年頃の姿へと若返っていたのだ。

てる「………………え?」

何が何だかわからない照。それも当然だろう。目を開けたら視界が今までより大分低くなり、手足の長さに違和感があるのだから。

てる「………………」

体が縮み、私服が縮み、靴も靴下も下着も縮み、胸だけ変わらぬ悲しみに……。

てる「えええ〜〜っ!?」

……嘆く間もなく悲鳴が木霊した。

てる「ど、どうなってるの!?これ!!?」

どれほどの百合妄想をしても決して崩れることのない宮永照のクールフェイスが、長野のテナントビルの2階で崩れ去った。

てる(わけわからないなんでどうしていったいなにがどうしてこんなことに…………はっ!さ、咲は!?)

さき「…………お、おねえちゃん……」フルフル..

てる「さ、さき!さきもちいさくなった!」ガーン!!

ひさ「ふふふ……ちいさくなったのはさきだけじゃないわよ?」

てる「ひさ……?」

ひさ「わたしもちいさくなってるわ!」ドヤ!!

てる「………………」

ひさ「……………………どうしてなのよおぉお!!」

えいすりん「ホワーイ!?」

ともき「これはいったい……どういうしくみなの……?」
275 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:36:43.14 ID:8MnlR9I2o

塞「………驚かせてしまったみたいね」

ひさ「あ、あたりまえよ」

塞「教えてあげるわ。これが私の能力………〔幼女領域(ようじょ・フィールド)〕よ」

さき「ようじょ………ふぃーるど?」

塞「そう………範囲内にいる私以外の女の子を私好みの年齢……つまり『幼女』にする力よ」

てる「そ、そんな……」

えいすりん「サエノコノミガ……ヨウジョ……??」

塞「あ、怖がらなくて大丈夫よ。幼女になるといっても精神は元のままだし。決められた範囲内にいる間だけお互いを幼い姿だと認識させる能力、と言い換えた方がいいかもね」

ともき(……なるほど。だから服も靴も縮んでいると……)

塞「範囲は私がある程度コントロールできるし、範囲外へ出れば元の姿に戻れる………例え戻りたくなくてもね」フフ...

ひさ「…………」チラ

トシ「…………」

ひさ(宮守の監督は幼女化していない…………なら監督のそばに行けば〔幼女領域(ようじょ・フィールド)〕から出られる可能性がある!)タタッ

塞「あら、ダメよ?」ヒョイ

ひさ「わ!」

ひさ(持ち上げられた!!)

塞「残念ね。狙いはいいんだけど、先生の体ピッタリの範囲に設定してるから〔幼女領域(ようじょ・フィールド)〕からは出られないわ」

ひさ「は、はなして!」ジタバタ

塞「ダ〜メ!ひさちゃんには幼女をやめようとした罰を与えます!そうね…………お、お……おパンツ脱ぎ脱ぎしましょうか?」

ひさ「え?」

塞「は〜い、脱ぎ脱ぎ〜…………ってタイツか〜。小学生でタイツは…………うーん、いいところのお嬢様ってことにすればいいかな?じゃあ、タイツごと脱ぎましょうね〜」

ひさ「や、やだ!」
276 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:37:16.73 ID:8MnlR9I2o

塞「そんなこと言わないでね〜」スルスル

ひさ(何なのこの子!?さっきまでと違って……なんか……私を見る目が怖い……わわ、パンツを脱がされた!)

塞「よいしょっと……。はーい、脱ぎ脱ぎできましたね〜」ニッコリ

ひさ(うぅ……恥ずかしい……同い年の子に抱えられて……しかもパンツを脱がされるなんて……///)

塞「さて、と……」ペラッ

ひさ(っ!スカートをめくられた!?や、やだ!)

塞「…………」ジィーーーーーー..

ひさ「ひっ………」

ひさ(無表情でアソコを見られてる……こわい……)

塞「ひさちゃんの……いいわぁ………えい」ツンツン

ひさ「ぃっ!!あ!」

ひさ(際どいところを触って……///)カァァ..

塞「いい弾力だね」ニコリ

ひさ(か、感じ方は元の体と同じってのもまた……なんか……屈辱的……///)

塞「はい、触らせてくれてありがとう。下ろしてあげる」

ひさ「……………うぅ」

涙ぐみながらパンツとタイツを履きなおす久。

塞「あ、あ……そんな風におパンツを履くの?はぁはぁ……器用なのねひさちゃん……はぁはぁ……」

ひさ「っ!」ゾゾゾッ!

てる「ひ、ひさ!こっちにもどって!そこにいるとあぶない!」
277 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:38:12.46 ID:8MnlR9I2o

ひさ「う、うん!」タタッ!

塞「ああぁあ……ひさちゃん……慌てて走るとおパンツ見えちゃうよぉぉ……」ハァハァ..

さき「こ………これは………ぜんこくれべるのきもちわるさだよ……」タジッ

てる「い、いったんにげるべき………」

ともき「どういです」

えいすりん「…………」

てる「……えいすりんさん?」

えいすりん「…………サエ!!」

塞「……エイスリン?」

えいすりん「ドウシテ!?イツモノサエ!モドッテ!!」

塞「………………」

えいすりん「サエ!ヤサシクテ!エガオカワイクテ!タマニ『ウォイッ!』トカイウ……ソンナサエ!モドッテ!」

トシ「…………」ズズ..ゴク..ゴク....プハァ!

塞「……エイスリン、ありがとう」

えいすりん「!」パァァァ..

塞「でもごめん。今の私も……臼沢塞なのよ」

えいすりん「?」Why?

塞「……宮守のみんなといる時の私も私。そして…………幼女にハァハァする私もまた……私」

えいすりん「サエ……」

塞「…………誰だって……人に言えないことがあるでしょう?私にとっては、それが幼女好きだった……それだけ」

ひさ「えいすりんさん!はやくこっちに!にげるわよ!」

えいすりん「ウ、ウン……」
278 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:39:03.46 ID:8MnlR9I2o

塞「……無駄よ」コオァアアアアア...

塞の目が光る。それは、インターハイで薄墨初美の能力を塞いだ時よりも激しく、強い光。

ともき(うっ……これは……)

さき「どうして……?」

ひさ「か、からだが……」

えいすりん「ウゴケナイ………」

てる(体に力が入らない……立ってるだけでやっと……)

塞「ふふ……〔幼女操作(ようじょ・コントロール)〕。範囲内の幼女の動きを止めることができる。これも私の力」

ひさ(なんて恐ろしい能力なの……?いいことに使われる気がまったくしないわ!)ゾゾ

塞「さぁーて、誰を愛でようかな〜?」テクテク

さき「ひぃぃ……」ブルブル

塞「……………エイスリン……可愛い……」ハァァ..

えいすりん「ヒ!」

ついさっきまでエイスリンの魅了は塞に通用しなかった。それは塞のストライクゾーンが年齢的にかなり低めであり、一般的な理想からかなり離れていることが原因だ。他者を幼女化して愛でる行為を含め、まさにアウトローである。

塞「怖がらないで?私は幼女を愛している……決して傷付けたりしない。ワンフォア幼女、オールフォア幼女よ」ニジリッ..

えいすりん「アウアウ…………ハッ!」

えいすりん(ソウダ!イラストボード……ッテ……ウゴケナイ!)No!

塞「ごめんね?エイスリン……お股を見せてもらうね〜」

えいすりん「ヤ!」

塞「ふむ」ペロン...スルッ..

えいすりん「/////」ブルブル...

塞「いいわぁ………ホント最高……はぁはぁ……」

えいすりん「っ!?」ビクン!

塞「うふふふ………太もももツルツル………いい肌触り」

てる(エイスリンさんが変た…臼沢さんに捕まってる……どうすれば…………あ!そうだ!)
279 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:40:19.04 ID:8MnlR9I2o

てる「かんとくさん!うすざわさんをとめてください!」

トシ「…………」

てる「こんなことしてたら……いろんなひとがなきます!だから…」

塞「…………はは、そうね」

てる「!」

てる(説得成功!?)

塞「でも私……もう、限界を超えたんだ」

てる「え……?」

塞「私は……自分の幼女好きを抑え込もうと必死に耐えてたの。どうしても幼女の裸が見たくなったら、先生の裸を見て気持ちを萎えさせたりとか……努力したわ」

えいすりん「ダカライッショニオフロニ……」

塞「そ。さすがになんの意味もなく先生がお風呂入ってるところに乱入しないわよ」ハハ

トシ「…………」ズズ..

塞「…………ただ、それももうおしまい」

えいすりん「!」

塞「私は……疲れちゃったのよ。自分の性癖を塞ぐことにね」

ひさ「…………」

塞「幼女は最高……誰しも生まれたばかりの子を可愛がるように、0歳に近ければ近いほど愛らしい!これはつまり……人類皆幼女愛ってことよ!断言してもいいわ!」

てる(そ、それは違う気がする………)

塞「……なのに……世間は幼女好きな私を否定するの。小学校2年生の子をナンパしていたら、母親が鬼の形相で止めてくる」

さき「……………」

塞「噴水で遊ぶ4歳くらいの女の子たちをアイスを舐めながらじ〜っと見ていたら、まるで変態を見るような目で見てくる」

ひさ「……………」

塞「トイレの前で待ち伏せして幼女のおしっこを手伝ってあげようとしていたら警察に通報されたこともあるわ。岩手でこうなら東京ではどうなることか……」

ともき「……………」

えいすりん「…………」
280 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:41:29.08 ID:8MnlR9I2o

塞「……付き合うことも許されず、露骨に見てたら変態扱い。おしっこの手伝いすらも拒絶される………私はいつ幼女を愛でられるっていうの?これじゃ救われない……そう嘆く日々だった」

塞「…………でもね、1つだけ救いが残されていたんだ。それは………………銭湯」

てる「!」

塞「一般家庭にお風呂が普及した現代とはいえ、まだまだ幼女は銭湯に来る。そして同性の私なら同じ湯船に入ることも可能だし、鏡越しに眺めれば凝視しても怪しまれない……最高の幼女スポットよ」

さき(……その気持ち……お姉ちゃんの裸を見るためにシャンプーが怖くて1人で入れないキャラを作ってた私には痛いほどわかる……)

塞「でもそんな幼女スポットで…………私はこの世の終わりを見たの」

ともき「このよの……おわり……?」

塞「ええ。あれは私が小学校5、6年生の時……」

塞「1人、よく銭湯に来る子がいてね………小学校2、3年生くらいかな?スラッと伸びた足とお尻が健康的でとても可愛い子。私はその子に会うのをとても楽しみにしていたの」

えいすりん「………」

塞「彼女の洗っている姿を眺めたり、一緒の湯船に入る快感を味わったり……石鹸をわざとその子の近くに転がして、拾いに行く途中でわざとぶつかって感触を楽しんだり……」

ひさ(うわぁ……)

塞「だけど……次第にその子は銭湯に来なくなって………数年もの間、まったく会えなかった。きっともう二度と会えないと思って、悲しい思いをしたわ」

てる「…………」

塞「でもある時、彼女とまた銭湯で再会できた!!とっっても嬉しかった…………だけど……お股に視線を移した瞬間、絶望した」

ともき「…………」

塞「あれだけ幼かったあの子が……成長してた………陰毛が生えてたのよ!」ギリッ..

さき「!!」ビクッ!

塞「こんなバカな話がある?ツルツルだったあの子が………昔の甲子園球場みたいになってるんだよ?」

トシ「…………」

塞「…………今でもその子の剛毛が夢に出てくる……決して忘れられないトラウマよ」

ひさ「……………」
281 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:42:30.72 ID:8MnlR9I2o

塞「……それからというもの、私は生きる目的を失ってしまった……そんな私にはもう百合しか残っていなかった」

てる(!ここで百合が出てくる?)

塞「もともと百合好きだった私は、幼女観察に当てていた時間を丸々百合妄想に使い、のめりこむようになった。幼女のことを忘れるため、あえて先輩キャラを中心に妄想をし続けた」

塞「……それから何ヵ月か経った頃、私は自分でも気付かないうちに百合妄想士として秀でた力を得ていた。たまに道場破りみたいな百合妄想士がやってきたけど、なんなく撃退できるレベルに達したわ」

塞「そんな時……たまたま戦った百合妄想士の子がロリっぽくてね。ちょっと心動いた。でも高校生だったから肌の張りとか匂いが幼女のそれとは違った」

塞「………それでも……いい線行ってた子だったから、『この子が幼女になったら可愛いのに』って思ったのよ」

トシ「…………」

塞「その瞬間、私の全身に衝撃が走って、頭の中をかき回されるような感覚に陥ったわ………そして、力に目覚めたことを理解した」

塞「これが……私の願いであり、生き様でもある幼女愛を存分に発揮できる最高の能力を手に入れた瞬間ってわけ」ハハ

ともき(なるほど………ロリから百合へと渡ってきたのね。百合以上にロリへの執着が強い理由がわかった)

塞「………………」フゥ

塞「……………ごめん、いつの間にか私の昔話になってたね」

てる「…………」

塞「………何が言いたいかっていうと………君たちも私の仲間になってもらうということなんだ」フフ...

トシ「……」

さき「な、なかま?」

塞「そう、私の能力はもう1つあるの………〔絶対幼女(アブソリュート・ようじょ)〕がね」

てる「あ、あぶそりゅーと・ようじょ………?」

てる(アブソリュートってどういう意味だったかな…………あ、楽器か。笛みたいなやつのことだ)

てる(ということは……この能力は、私たちの体の色んな場所に口づけして、エッチな音を奏でることなんだ……///)モジッ

さき「あぶそりゅーとは『ぜったいてきな』とかいういみだから……『ぜったいてきなようじょ』……これはまずいよおねえちゃん」
282 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:43:18.43 ID:8MnlR9I2o

てる「…………」

さき「……おねえちゃん?」

てる「……しってた」

さき「え?」

てる「ほんとうはしってた」

さき「??」

塞「そう……お姉さんの方はわからなかったみたいだけど、妹さんの方は気付いたみたいね」フフ..

てる(……いちいちばらすなんて意地悪)ムスー

さき「え?おねえちゃん、あぶそりゅーとのいみ……しらないの?」

てる「…………」

さき「で、でも、そんなおねえちゃんもかわいいよ!あぶそりゅーとをしらないおねえちゃんのかわいさはあぶそりゅーと!」

てる「……もういっしょうあぶそりゅーとっていわない」ツーン

さき「ああっ!わたしのせいでおねえちゃんのごいがへっちゃった……」

えいすりん「ヘッタ!」

ともき「……あの、そんなこといってるばあいじゃ……」

てる「あ、そうだった」

ひさ「あぶそりゅーと・ようじょ……どんなわざなのかおしえてくれない?」

塞「……ふふ、いいよ。〔絶対幼女(アブソリュート・ようじょ)〕は対象の百合観を根底から覆して幼女を唯一無二の神として崇めるよう、思想を塗り変える能力……」

ともき「!」

てる「そ、そんな!」

さき「や、やだ!」

ひさ「そんなことが……かのうなの………?」

えいすりん「ユイツムニ?」??
283 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:44:22.38 ID:8MnlR9I2o

塞「この素晴らしい思想を持てば、散歩コースに幼稚園、保育園が加わり、通りがかりに柵の隙間から1時間は眺める。そして市民プールに週4くらいのペースで通うようになる……毎日が輝くこと間違いなしね」フフッ

ひさ「そんなことになったら……きんじょのおくさまがたをてきにまわしてしまうわ……ちょうないでこりつする……」ガタガタ..

てる「わ、わたしたちをようじょずきにしてどうするの?なんのいみが……」

塞「意味?簡単じゃない。〔絶対幼女(アブソリュート・ようじょ)〕によって幼女第一主義の思想を持つ者を増やしていけば、幼女こそ正義、幼女こそスタンダードになる………世界が少しずつ変わっていくじゃない」

ひさ「そんなわけないわ!そもそも、ようじょがすたんだーどになったしゅんかん、ようじょはようじょではなくなる!!おさなさのていぎがかわるわ!!」

塞「………だったら……さらに幼い子を愛せばいいというだけのこと」

ひさ「そ、それに!じぶんのしゅみしこうを、あいてにむりやりおしつけるのはさいあくよ!あなただっておーえるゆりをすきになるようおしつけられたらいやでしょう!?」

塞「言っちゃうかー、ついにそれをー」

ひさ「!だって……」

塞「………あのね?それはあなたが幼女じゃないからそう思うのよ。口車に乗せて自分の都合のいいように誘導しようとする卑劣さ……陰毛が生えている子の典型的な考え方だね」

ひさ「……なにをいってるの?」

塞「毛と引き換えに純真さを捨てちゃったかー。でも、幼女の良さを知れば考えも変わるから安心して」

ともき(この思考………もはや言葉で御することは………できない)

塞「それじゃあ、今か…ら……っ」フラ..

ともき「?」

塞「………ちょっとしゃべり過ぎた。出かけてくるから、いい子でお留守番していてね」テクテク

てる(なんだか臼沢さん、疲れてる?でもこのタイミングで出かけるなんて……どうしてトドメをささないんだろう……)

塞「私が帰ってくるまで、動けるようにしてあげる。この部屋の中なら自由にしてていいから」キィィィイ...ン..
284 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:45:12.81 ID:8MnlR9I2o

てる「え?」スゥ

さき「わ」スゥ

ともき「あ、からだがうごく………」グッグッ..

えいすりん「ホントダ!」

塞「言っておくけど、脱出はできないから。窓は開かないし、扉は表から塞いでいくから…………ん?」

えいすりん「…………」ソローリ(イラストボードに手を伸ばす)

塞「……エイスリン、悪いけどこれは没収」スッ

えいすりん「ヤ!カエシテ!サエ!」

塞「ごめんね。でもエイスリンの能力は想像がつくからさ、これは返せない」

えいすりん「サエェ……オネガイ」ウルウル

塞「う……///」

エイスリンの魅了が再発動!幼女となったエイスリンの涙目&上目遣い&両手を組んでお願いポーズは破壊力抜群!

塞「〜〜〜〜っ!」キュドーン!!

本能と理性の狭間で葛藤する塞。しかし、圧倒的に本能が優勢。理性が敗れるのは時間の問題だった。

えいすりん「サエ……」ウルルルッルルー!

エイスリンがもう一度名前を呼べば間違いなく落ちる。しかし、ここで塞が閃く。

『ほっぺをペロペロと舐めればエイスリンを引かせられる気がする』……これはきっと悪い気のせいではない、と。

塞「っ!れろ!れろろろっ!」

えいすりん「ヒャアアア!」ゾワワ!

塞「はぁ、はぁ……甘い……甘いよエイスリン!ほっぺが甘いよ!」ハァァァ..

えいすりん「………………」

エイスリンはチームメイトにほっぺを舐められた。

疲れがたまった。

やる気がなくなった。

帰国したい度が50上がった。
285 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:46:15.43 ID:8MnlR9I2o

塞「はっ……っていけないいけない。冷静にならないと」キリッ

塞「……急に変なことしてごめんね、エイスリン」

えいすりん「………………………………キニシテナイ」

塞「20分くらいで戻るから待ってて。先生、行きましょ」テクテク

トシ「………そうだね。君たち、このラーメンの残りは食べていいよ。口つけてスープ飲んだから私の唾がちょっと入ってるだろうけど」コトッ

ひさ「い、いえ、だいじょうぶです」

てる「…………」

てる(体は動くようになった……でも次にまた動きを止められたら結局同じこと……これから一体どうすればいいんだろう?)

?《……ごつ盛り》

てる(っ!?今のはプライベート回線!誰!?)

?《ごつ盛り……》

てる(この声は……宮守の監督さん?)チラ

トシ「…………」チラ..

てる(!今、一瞬だけど目が合った!ということは……)

トシ「…………」クルッ

ガチャ バタン..

てる(……『ごつもり』っていうのは、私へのメッセージ?)
286 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:46:57.85 ID:8MnlR9I2o

ひさ「……だめだわ。あかない。どあのむこうになにかがつっかえてるみたい」

さき「おとなしくまつしかないんでしょうか?」

ともき「……とりあえずさくせんかいぎをしませんか?」

えいすりん「スル!」

てる(ごつもり……どこかで聞いたことあるような…………確か…………カップラーメン………………はっ!)キョロキョロ

さき「おねえちゃん、いまからみんなでさくせんを…………どうしたの?」

てる(あそこに食べ終えたカップラーメンの空き容器が並べてあるけど、もしかしたらその中に……)タタッ!

ひさ「?」

てる(あった!『ごつ盛りコク豚骨ラーメン』……さっきのメッセージは、きっとこの容器に関係が……)

ひさ「てる?なにをしてるの?」

えいすりん「オナカスイタ?」

さき「だ、だめだよおねえちゃん!かんせつおばあちゃんきすなんて!」

てる「そうじゃなくて…………!」スッ

てる(あった!容器の下に手紙……っ!)

てる「これ……」

ひさ「…てがみ……?」タタッ

てる「さっき、かんとくさんがぷらいべーとかいせんでおしえてくれた。これをよめってことだとおもう」

ともき「もしかしたら、うすざわさんについてなにかかいてあるかも……」

えいすりん「カモ!」

さき「……おねえちゃんにだけおしえるなんて…………おねえちゃん、あのひととどういうかんけいなの……?わたしのしらないところであってたの?」

ひさ「なんてかいてある?」

てる「いまよむ。えっと……」
287 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:47:35.39 ID:8MnlR9I2o

『臼沢塞の能力について、説明します。

〔絶対幼女(アブソリュート・ようじょ)〕は恐るべき能力で、この力に侵された者は幼女以外に興味を持てなくなるという、

とてつもなく重い枷をはめられることになります。

この力を説明すると、相手の記憶の中にある幼女(二次元、三次元問わず)を、

本人の嗜好に合わせた形で妄想させ、幼女に対する印象、記憶を改変して趣味嗜好を幼女趣味に変えます。

能力をかけられた本人に強制的に妄想させるため、目を閉じても、耳を塞いでも防ぐことはできません。

この能力から逃れるには、発動される前に止めるしかありません。

〔絶対幼女(アブソリュート・ようじょ)〕の発動条件は特になく、〔幼女領域(ようじょ・フィールド)〕の範囲内にいる人物全てに使用可能です。

〔絶対幼女(アブソリュート・ようじょ)〕をかけられている状態であっても、〔幼女領域(ようじょ・フィールド)〕の範囲外へ脱出すれば、その効果は消えます。

(あくまで『〔絶対幼女(アブソリュート・ようじょ)〕をかけられている途中なら』であって完全にこの力に侵された場合、効果は消えません)

ただ塞には〔幼女操作(ようじょ・コントロール)〕があるため、〔絶対幼女(アブソリュート・ようじょ)〕を発動する前に、必ず動きを封じてきます。

それが塞の必勝パターンであり、一番楽しみにしてるおさわりタイムでもあるのです。

もし〔幼女操作(ようじょ・コントロール)〕を使われたら、〔絶対幼女(アブソリュート・ようじょ)〕の発動を止めるのは不可能と考えてよいでしょう』
288 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:48:11.89 ID:8MnlR9I2o

ひさ「……ふかのう……か。もはや、ようじょしゅみになるしかないというの……?」シュン

えいすりん「オサワリタイム……」ビクビク

てる「まだつづきがある。あ!『なんとか・ようじょ』にたいこうするほうほうがかいてある!」

さき(宣言通りアブソリュートを言わないお姉ちゃんかわいい!)


『もしも〔絶対幼女(アブソリュート・ようじょ)〕を発動されてしまった場合、できることはただ1つ。

心をしっかり持ち、自分を保つ。それだけです。

消極的に思えるかもしれませんが、ひたすら耐えてください。ここで時間を稼ぐことで逆転の目が出てきます。

塞の能力は強力。しかしその反面、消耗も激しい。

塞は幼女妄想するたび、少しずつ力を消耗します。幼女趣味は世界を敵に回すに等しい、と塞は思っているから。

〔幼女領域(ようじょ・フィールド)〕や〔絶対幼女(アブソリュート・ようじょ)〕は、妄想以上に莫大な力を消耗します。

この消耗が一定値に達すると、塞は能力が使えなくなります。

力を回復する手段はあるものの、何度も使える手ではありません。

その方法とは、『40歳以上の女性の裸を見ること』……幼女と真逆のベクトルを持つ熟女の裸で相殺するわけです。

動画や画像、紙、二次元は不可、同じ人間の裸は1日1回のみ有効、という制約もあり、

一度私の裸を見たら、銭湯に行く以外の方法では回復できないでしょう。道端では裸の熟女はそうそう見かけませんから。

あとは塞の力が尽きるのを待って、一気に全員で攻勢をかける。〔絶対幼女(アブソリュート・ようじょ)〕を発動された場合、勝利の道はこれしかないでしょう。

これを読んでいる方、どうかお願いです。塞に勝って、塞を止めてください。

塞は自ら幼女趣味を抑え込んでいた反動で、幼女好きに執着しすぎてしまっています。

それはもはや個人で楽しむ範囲を超え、他者を巻き込むレベルへと到達しています。

この辺りで止めなければ取り返しがつかなくなるのです。

そのため、心を鬼にし、このような形で情報を公開しました』
289 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/05/23(土) 01:48:56.91 ID:8MnlR9I2o

ひさ「あれ?でも、かんとくさんがいっしょだと、ぜったいいちどはかいふくされるわよね?それよりも、うすざわさんひとりでこうどうさせたほうがいいんじゃないかしら?」

てる「……たしかに……あ、それについてもかいてある」


『私はカップ焼きそばの湯切り中に不意を突かれ、塞に敗れました。

結果、私は幼女思想となり『塞と一緒にいれば幼女が見られる』という欲望に抗えず、回復役として同行してしまうのです。

あなたが〔幼女領域(ようじょ・フィールド)〕の中にいるのであれば、幼女なあなた方を見てハァハァしないように我を保つのが精一杯でしょう。助太刀も出来ません。

戦いが始まった今、あなたの道は2つに1つです。

私と同じように幼女思想に侵され、デパートの子供服売り場に頻繁に出入りするライフスタイルになるか、塞を倒して今まで通りの生活を送るか。

私はあなたの勝利を願います。それではご武運を。

byトシ 熊倉』


てる「……とかいてある。ところどころすーぷのしみみたいなのがあってよみづらかったけど、あってるはず」

ひさ「ほんとうね……あ、ここにはねぎがはりついてるわ。もう……かっぷぬーどるをたべながらかくなんて……」

ともき「……てがみのよごれよりも、いまは……」

ひさ「!そうね、いまはさくせんかいぎがゆうせんだわ」

てる「あいてのしょうもうをまって、じめつねらい……」

ひさ「どれくらいのじかんがひつようなのかしら?」ウーン
290 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:49:56.30 ID:8MnlR9I2o

てる「……そんなにながくないきがする」

ともき「そうですね。たたかいがはじまってから、かいふくしにいくまで、それほどながいじかんではなかった」

さき「ということは……〔あぶそりゅーと・ようじょ〕をつかわれたとしても、たえるじかんはみじかくてすむ?」

ひさ「そうね!きぼうがみえてきたわ!」

てる「……うん、あとはこのてがみにあるように…………ん?…………あ」

さき「おねえちゃん?どうしたの?」

てる「…………てがみ、もういちまいあった」ペラッ

えいすりん「?」

てる「……かっぷぬーどるのふたどめしーるで、にまいめとくっついてた」

さき「つづきあったんだ……だったらどうしてbyとかかいたんだろう……」

ひさ「それで?なんてかいてあるの?」

てる「えっと……」


『PS.

塞は長野に来るまでに、公園にいる幼女眺めを10本、駄菓子屋でアイスを舐める幼女観察を3本、アイカツっ子見学を4本こなしました。

そこで妄想に妄想を重ねて力を消耗しているので、あなたと戦う前の塞は、20%ほどしか力を残していませんでした。

つまり回復したあとの塞は単純計算で5倍しぶとくなっていますので、精一杯頑張るんだよ』
291 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:50:32.62 ID:8MnlR9I2o

てる「………………」

さき「………え……あれで20%……?もうすこしでまけちゃいそうだったのに……」

ひさ「……ちょっとまってよ……5ばいなんて……」

ともき「…………たえるのは……こんなん……」

えいすりん「サイゴタメグチ……」

てる・さき・ひさ・ともき・えいすりん「………………」

YJとなったJKの面々。ZB感に襲われ、沈黙が漂う。

しかし、この部屋から脱出できない以上、戦闘は避けられない。

今YJたちにできることは、塞たちをTAおす方法を考えることだけだ。

ひさ(なにかいい作戦はないかしら……?)

ともき「…………あ」

ひさ「どうかした?」

ともき「はい。てがみのここなんですが……」

『塞は幼女妄想するたび、少しずつ力を消耗します。幼女趣味は世界を敵に回すに等しい、と塞は思っているから』

ひさ「あ……!」ハッ

ともき「…だったら、うすざわさんにようじょもうそうをさせれば、ちからをしょうもうさせられるかもしれません」

てる「!たしかに……」

さき「わ、すごい……それはいいですね」

ひさ「ええ。いいさくせんね」

えいすりん「Good!」
292 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:51:21.22 ID:8MnlR9I2o

ともき「ただ、ようじょもうそうさせるためには、ぷらいべーとかいせんでうすざわさんにあくせすするか、こえにだすひつようがありますけど………」

ひさ「ああ……あくせすはぶろっくされるでしょうね……」

ともき「はい。ぶろっくするのもちからをしょうもうしますけど、びびたるものですし……」

てる「だとしたら、こえでもうそうさせる?」

ともき「そのほうがいいかと。でもちょくせつあたまにかたりかけるぷらいべーとかいせんにくらべると、もうそうをかんきするちからはよわいのでかなりじょうずにやらないと…」

さき「あっ!」

てる「さき?どうしたの?」

さき「いま、わたしたちってようじょだよね?」

てる「うん……かなしいくらいようじょだね」

さき「だったら、わたしたちがいちゃいちゃしたら、きっともうそうするよ!!」

ひさ「あ!なるほど………たしかに」

ひさ(そう考えると〔幼女領域(ようじょ・フィールド)〕は彼女にとって諸刃の剣ね………メリットも大きいけど、相手を幼女にすれば百合妄想してしまい力を消耗する……ホント罪深いわ)

てる「それはいいかもしれない」

えいすりん「グッドアイデ〜ア♪」

さき「だからおねえちゃん………」

てる「え?」

さき「その………ね///」

てる「え?………え?」

ひさ「うんうん、いけそうね。このちょうしで、どんどんあいであをだしていきましょう―――」
293 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:52:01.24 ID:8MnlR9I2o

てる「――――というかんじ?」

さき「もっとあざといほうがいいよ!おねえちゃんはてれやさんだから、それぐらいでちょうどいいとおもう!」

てる「……そう?でもはずかしい……」

さき「だいじょうぶだよ!おねえちゃんかわいいもん!」ニッコリ!

てる「…………じゃあがんばってみる……」

さき「やった!」

ともき「そのばあい、ほかのひとは……」

さき「えと……わたしがおもうにはですけど……」

ひさ「…………ねぇ、てる」ヒソヒソ

てる「?なに?」

ひさ「さき、はりきってるわね」ニコ

てる「……いつもとあんまりかわらないきがするけど」

ひさ「ううん、そんなことないわ。ふだんのさきはもっとおとなしいもの」

てる「そうなんだ」

ひさ「ふふ……おねえちゃんのまえでいいところをみせたいとか?」

てる「……かもしれない」

ひさ「ほんっと、さきはてるのことがだいすきなのね」クス

てる「……そ、そんなことない//」
294 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:52:38.61 ID:8MnlR9I2o

ひさ「なにいってるのよぅ。きょうだけでなんかい『おねえちゃんかわいい』っていってることか」

てる「う……」

てる(……可愛いって言ってくれるのは嬉しいけど……ちょっと恥ずかしい)

ひさ「でも、さきに『かわいい』っていわれるの、なんかうれしいわよね〜。あんまりしゅちょうしないこだからかな?」

てる「……え…………ひさ、いま……?」

ひさ「?」

てる「さきにかわいいっていわれるのがうれしい……?ということは、ひさ……さきに……」

ひさ「あ、うん。まえにね。『かわいいです』っていわれちゃって……///」アハハ

てる「…………」

ひさ「?」

てる(咲……昔からずっと『お姉ちゃんかわいい』『お姉ちゃん大好き』『お姉ちゃんが一番』って言ってくれたけど……久にもかわいいとか言うんだ…)ム

てる(じゃあきっと他の子にも言ってるよね…………私が一番なんていうのは嘘だったんだ……だって、咲が他にかわいいって思う子がいるんだし……咲の嘘つき)

ひさ「…………あ!もしかして、やきもち?」ニヤー

てる「っ!や、やきもちなんてやいてない」

ひさ「えー?でもいまのは『わたしいがいのこにかわいいっていわないで』みたいなかんじだし」

てる「ぜ、ぜんぜんちがう。まったくもってまちがってる」

ひさ「ふぅーん、そうなんだー」ニヤニヤ

てる「……っ」フィ

さき(…………部長、お姉ちゃんとひそひそ話で盛り上がってる……ずるい)
295 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:53:13.90 ID:8MnlR9I2o

さき「おねえちゃん、なんの話してるの?」

てる「…………」ジィーッ

さき「?おねえちゃん?」

てる「……さきはえんまだいおういきかくてい」

さき「えっ!?ど、どうしてきゅうに?」

てる「いまきまったの」

てる(嘘ついてたのがわかったから地獄行き)

さき「うぅ……でもおねえちゃんもきてくれるなら、じごくでもわたしはがんばれるよ…」

てる「わたしはてんごく」

さき「!」

てる「てんしになってそらをとぶ」

さき「はなればなれはやだよぉ…………でもてんしなおねえちゃんかわいい……」ポ

ガタ..ガタッ...!

てる・さき・ひさ・ともき・えいすりん「!!」

てる(来た!)
296 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:53:59.15 ID:8MnlR9I2o

ひさ「……いい?さくせんどおりやりましょう?」

さき「はい」

ともき「…………」コクリ

えいすりん「ウン!」

ガチャ!

塞「…………」

トシ「…………」

てる・さき・ひさ・ともき・えいすりん「………………」

ひさ(作戦は決まった……あとは各々が全力を尽くすのみ!)

てる(最近は百合作品が増えてきたとはいえ、ロリ百合だけしか興味を持てなくなるとなるとかなり厳しい……絶対に勝たないと)キリッ

さき(2人とも幼女の姉妹百合より、妹だけ幼女な方がいい)

ともき(最初から絶望を感じている相手………戦いようが難しいけど、やるしかない)

えいすりん(オナカスイタ……)
297 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:54:47.32 ID:8MnlR9I2o

塞「遅くなってごめんね。公衆トイレはすぐ見つかったし、回復もできたんだけど、先生がちょっと……」

トシ「吐いちまってねぇ……これからはこってりよりもあっさりの時代かもしれないね」

塞「いやいや、そもそもが食べ過ぎですって」

てる《……まだ勝負って雰囲気じゃないけど……早速仕掛ける?》チラ

ひさ《ええ。〔幼女操作(ようじょ・コントロール)〕を使われる前に先制しましょう》

てる《うん》

ひさ《じゃあ私から……先手必勝!》ダッ!

塞「!いきなりっ……でも、私には〔幼女操作(ようじょ・コントロール)〕が…」

ひさ「ともちゃぁ〜〜ん♪」ダキッ!

ともき「///」

塞「!!!」

ともき「ひ、ひさちゃぁあん」ギュッ!

塞「!!!!!」

ひさ「ともちゃんちゅきぃ〜〜♪」

ともき「わ、わたちもひさちゃんちゅき〜////」

ひさ(どう?幼い2人の無垢な愛情表現よ!)チラ

塞(………あぁぁ……かわいい……朝顔の観察日記を毎日ちゃんとつけるタイプの智紀ちゃんと、最後にまとめて書いちゃう久ちゃん。でも正反対な2人だからこそ……いいっ!)

ひさ《妄想してる!いい感じ!やっぱりあざといくらいがちょうどいいみたいね。じゃあ沢村さん、次……》チラ

ともき「……」コクリ
298 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:55:23.56 ID:8MnlR9I2o

ともき「……ひ、ひさちゃん!わたちね、くく(九九)いえるようになったの!」

ひさ「えー!すごーい!ねぇ、ゆってゆって!」

ともき「うん!さんのだんゆうね!さんいちがさん、さんにがろく…」

ひさ(沢村さん……決めて……っ!)

ともき「さ、さざんが…………きゅ〜♪」

甘えた口調、そしてアヒル口、両手で握りこぶしを作ることで頑張ってますアピールをする。

このあざとさトライアングルは、智紀にとっては難易度の高い行為。

普段だったら決してしない。いや、それどころか、今回の件がなければ一生しなかったであろう。

そんな智紀が、勝利のために勇気を振り絞った結果……。

てる「……」ゾゾ..

ひさ「……」ゾワ

さき「……」ブルッ

えいすりん「……」ゥワァ..

鳥肌が4つできた。恥ずかしさで眼鏡が曇った。

ともき(これは……想像以上にきつい……///)

ひさ(………ど、どう?私たちには……アレな感じだったけど、臼沢さんには……?)

塞「か……はっ……」

ひさ(これ以上ないくらい効いてる!)
299 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:56:06.08 ID:8MnlR9I2o

塞「きゅ、きゅ〜♪って……やっば……」ハァ..ハァ..

てる《よし!ここで畳みかけよう!》

さき《うん!》

てる「さき〜♪」

さき「おねえちゃぁぁん♪」

塞「っ!幼姉妹!?」ハッ!

さき「さきね、おおきくなったらおねえちゃんのおよめさんになる〜♪」

ひさ(よし!咲、可愛いわ!どう!?破壊力抜群でしょ!)チラ

塞「…………」

ひさ(!効いてない!どうして!?)

塞「………………大きくなんてならない……陰毛なんて…………生えない……」

ひさ(しまった!毛のトラウマがあったんだ!)

ひさ《照!咲!毛から離れて!》

さき《…………け?》??

てる(……っ、そうか!幼女テイストのままじゃないと……だったら……)

てる「えー?わたしは、さきがこのままのほうがすきだよー?ちっちゃくて、うさぎさんみたいでかわいいもん!」

塞「……うさちゃん……うん、わかるよぉ……お姉ちゃんの帰りが遅い日とか、寂しくて泣いちゃって、目を真っ赤にするのよね!」ポワァ
300 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:56:46.28 ID:8MnlR9I2o

ひさ《照、ナイスフォロー!次はエイスリンちゃんよ!》

えいすりん「ウン……」

塞「」ハァァ..

えいすりん「サ、サエ……!」

塞「え?エイスリン?」

えいすりん「…………オネガイ……………ダッコシテ……///」モジモジ

塞「――――」

照れながらスカートの裾を押さえてお願いしてくる金髪の天使。

終始うつむきつつも、時折ちらちらと目線を合わせてくるその愛らしさは国宝級だ。塞の表情が幼女愛の一色に染まる。

ひさ(いい!完璧だわ!)

塞「だ、抱っこするわ!エイスリン、おいで!ううん、私から行く!」ダダッ!

エイスリンの可愛さにすっかりやられた塞は、さきほど没収したイラストボードを地面に置く。

そしてその反動を利用して、勢いのあるスタートダッシュを決めた。あっという間にエイスリンの傍へ辿り着く。

塞「エイスリン!!」ハァハァ!

えいすりん「ヒッ!」ビクッ!

塞「……ぁ」

えいすりん「ア……エト…………」

塞「………………」

塞に百合妄想をさせるという作戦は順調かに見えた。

しかし、さっき頬っぺたを舐められたことを思い出したエイスリンは、塞のぎらつきに怯えてしまい、幼女モードを切ってしまった。

その瞬間、塞は我に返る。

塞「………危ないところだった」
301 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:57:18.03 ID:8MnlR9I2o

キィイィイン...

てる「くっ………」

さき「う!!」

ひさ「こ、これは」

ともき「からだが………うごかな……い」

えいすりん「ワ!」

ここで〔幼女操作(ようじょ・コントロール)〕を使う塞。照たちの先制攻撃は失敗に終わった。

塞「あやうく目的を忘れるところだったよ」

塞(これだけの人数だし、四天王が2人いる………油断は禁物)

塞(色々してくれて妄想を掻き立てられたけど……それより勝利を優先しないとね)

コォォッオオオオ...

てる(さ、寒気が………)ブルッ

さき(この感じって……)ゾク

ひさ(これが………)ゴクリ

ともき(うう………)ブルブル

えいすりん(サムイ………)カタカタ

塞《〔 絶 対 幼 女 ( ア ブ ソ リ ュ ー ト ・ よ う じ ょ )〕》

ゴァアアアアアアア!!

てる「こ、これは………」
302 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:57:50.12 ID:8MnlR9I2o

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

千秋「?一体何をするんだー?」

吉野「おかしなことだよ」

千秋「おかしなこと?それは男女でするものだろう?」

吉野「男女でするのはおかしなことだけど、女の子同士でするのは正しいことなんだよ?」ニコ

千秋「なんと。そうだったのか」

吉野「うん、だからこっちおいで?」

千秋「うむ」スタスタ

吉野「…………ほら、足開いて?」スリスリ

千秋「おぉ?なんか変な感じだぞ?」モジ..

吉野「最初はね。でも慣れると、良くなってくるよ」スリスリ

千秋「そうなのか」ン..

吉野「そう」ペロッ..

千秋「んん〜………」モゾ..

吉野「ちょっとだけ…………入れるね?」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

てる(こ、これは………みなみけ……?勝手に妄想しちゃう………止められない)
303 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:58:53.70 ID:8MnlR9I2o

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

花子「いらっしゃい」

楓「おじゃまします」

花子「今日は櫻子出かけてるから静かだよ」

楓「櫻子お姉ちゃんのお姉ちゃんは?」

花子「お出かけ中」

楓「そうなんだ」

花子「…………」コホン

楓「今日は何して遊ぶの?」

花子「あ、あのさ、ちょっと手伝ってほしいんだけど………」

楓「?」

花子「…………」スルッ

楓「?どうしてパンツ脱ぐの?」

花子「あの………ここ、ちょっと舐めてほしいし」

楓「え?」

花子「べ、別に変な意味じゃないし!」

楓「でも………おしっこするところだよ?」

花子「ちゃ、ちゃんと洗ってるからばっちくないし!」

楓「………わかった」

花子「!じゃ、じゃあ…………」ドキドキ..

楓「…………」スーッ...

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
304 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 01:59:37.41 ID:8MnlR9I2o

ひさ(うぅぅうぅ!ダメ!妄想が止まらない!ゆるゆりは………りせ×千鶴が好きなのに………)ウゥ..

さき(い、いや………ああ………)

ともき(ぐ………ああ………)

えいすりん(カワイイ………デモ………ウゥ………)モジモジ

〔絶対幼女(アブソリュート・ようじょ)〕の発動により、それぞれの脳内で、理想的な幼女百合が繰り広げられる。

目を閉じようが、耳を塞ごうが、防ぐことはできない。

思考の大半を幼女百合に占められてしまう。

塞(ふふふ…………全員まとめてかかったわね)フゥ

えいすりん「ク………」ブルブル..

えいすりん「………ッ……」フラッ

エイスリンが『カワイイッ』という音をさせて倒れる。その倒れ方にムラッとした塞だったが、ここはじっと堪える。

塞(まずは1人………)

ひさ「あ……ぅあ……っ……う、すざわ……さん……っ!」

塞(頭の中は幼女で一杯のはずなのに……なかなかの精神力ね)

塞「……何?」

ひさ「……わた、し…………じょしこうせいどうしの……ゆりが……すき、なの……」

塞「…………そう。私からすれば、旬を10年過ぎてると思うけど。それで?」

ひさ「だから……わた、しが……ようじょずきになる……まぇに……うす……ざわさんと……」

塞「うん」

ひさ「き…………きす、したい……の!」

塞「……!!?」

塞(き、キスしたいとか……面と向かってそんなこと言われたの初めて……///)
305 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:00:17.37 ID:8MnlR9I2o

ひさ「お、ねがい……」

塞「う……///」

ひさ「うすざわさん……おねがい……キス……してぇ……///」

塞「わ、わかったわ……///」

塞(竹井さん的には女子高生同士のつもりっていうのは微妙だけど、私から見れば外見は幼女だし……キス、してあげようじゃないの…………いや、この際、キスだけじゃなくて胸とお尻も触っちゃえ!)ヨーシ

塞「今、そっちに行くわ」テクテク

ひさ「う、うん……///」

塞「…………お待たせ」

ひさ「……///」

塞「……じゃあ、早速…」

ひさ「ま、まって!」

塞「……?」

ひさ「その……きすのまえに……あたまをなでてほしいの///」カァァ..

塞「っ……!」

塞(これは……!『わたしがんばったからママほめて!』的なアレ!?それとも、キスをする緊張をほぐしてほしいってこと!?どちらにしても……いいっ!!)
306 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:00:50.99 ID:8MnlR9I2o

塞「し、しょうがないなぁ………」

ぽん、と久の頭に手を乗せる塞。

そして、優しく撫でる。

ひさ「……ありがと///」

塞「……ん」

塞(これで緊張も解れたかな……それじゃ、いよいよキスを……)

幼女の久の身長差を埋めるため、ゆっくりとかがみ、近付いていく。

塞(ひさちゃん……肌きれい……きっと甘いキスになる……っ)フンー..!フンー..!

塞の鼻息が久のまつ毛を揺らす。

そして、唇まであと数センチというところで、異変が起こった。

ひさ「!」ピクン!

塞「っ!?」

〔幼女操作(ようじょ・コントロール)〕によって動きを封じられていたはずの久が動き出したのだ。

久は塞のキスと鼻息から逃れ、智紀の元へと走る。

ひさ「っ……さわむらさ…………んっ」チュー

ともき「ぁ……んぅ……は……っ///」チュパ..

そして2人の幼女は、濃厚なキスをした。
307 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:02:52.27 ID:8MnlR9I2o

塞「な……どうしてっ!?」

塞の支配は完璧だった。〔幼女領域(ようじょ・フィールド)〕も〔絶対幼女(アブソリュート・ようじょ)〕も効果を失ってなどいない。それは〔幼女操作(ようじょ・コントロール)〕も同じだ。

現に、久が動いた今でも他のメンバーは動きを封じられている。

この場で動ける可能性があるのは、もともと対象外であるトシか、脱落したために〔幼女領域(ようじょ・フィールド)〕を解除したエイスリンのみ。

塞「…………はっ!まさか……!」クルッ!

塞は慌てて振り返り、エイスリンが倒れた場所を見る。しかしそこにエイスリンはいない。

塞(ってことは…………!やっぱり!)

えいすりん「…………」

エイスリンがいたのは、ついさっきまで塞がいた場所。そこでイラストボードを抱えて座っている。

塞(しまった!これは……この子たちの作戦!)

そう、たった今塞が気付いた通り、この一連の流れは久たちの作戦だった。

その内容は、

エイスリンが〔絶対幼女(アブソリュート・ようじょ)〕に屈したフリをして、塞に能力を解除させる。

その後、久が塞の意識を自分に向け、エイスリンが動けるようにする。

しかし、〔幼女操作(ようじょ・コントロール)〕を解除したとしても、塞に気付かれず移動するのは至難の業。

エイスリンは魅了によって存在感が引き立てられているため、そう簡単に『\エイッスリ〜ン/』とはならない。

そこで重要なのが久の行動だ。久が塞の気を惹くようなセリフを言い、自分の近くに塞を引き寄せることで、エイスリンをノーマークにした。

後は、エイスリンが塞に気付かれぬよう床に置かれたイラストボードの場所まで移動、百合シチュエーションを描けばいい。

エイスリンの支配が塞の支配を上回れば、〔幼女操作(ようじょ・コントロール)〕中でも動けるかもしれない……。これが作戦の全容である。

当然、この作戦にはイラストボードが必須であり、塞からイラストボードを取り返さなければならない。

そのため、エイスリンに抱っこをしてほしいと催促させた。イラストボードを持ったままでも抱っこはできるが、ボードの固い部分が肌にグイイとなる。痛い。エイスリンにそんなひどいことを出来るはずもない。

となれば、ボードは地面に置くか、トシに預けると踏んだ。

前者ならバレないように拾えばいい。後者の場合は、手紙の件から考えてこちらに協力してくれる可能性を期待できるし、最悪みぞおちを殴って奪えばいい。トシの防御力は薄い。
308 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:03:33.82 ID:8MnlR9I2o

塞(くっ、やられた!)

ひさ(どうやら気付いたようね……こっちの狙いに……)クス

塞(だったら!もう一度エイスリンに〔幼女操作(ようじょ・コントロール)〕を……!)スッ

えいすりん「…………」デキタ!

塞「っう……!」ピキ!

さき「っ!」ピキ!

塞「くっ……動けない……」

ひさ(間一髪ね……今エイスリンさんが封じられたら打つ手なしだもの)ホッ

さき「うぁ……ぁぁ」フラフラ

塞「……?」

さき「ぁ……うぅ……///」スッ..

塞(え?何?私の手を握って……)

さき「……ぺろ」

塞「っっ!!」ゾクゾクッ!

さき「れろ……ちゅぱ……」

塞「あっ、あっ……あぁっ……」

塞(こんな……指を舐めるなんて!まるで……濡れた指で…あ、あんなところやこんなところを触ってほしがってるみたいじゃないの!それ、やばいって!)ハァォ..ゥ...
309 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:04:14.58 ID:8MnlR9I2o

えいすりん「……ハァッ……ハァッ……」カキ..カキ..

さらなる理想を描くエイスリン。しかしその表情は険しい。

何故なら、塞が解除したのは〔幼女操作(ようじょ・コントロール)〕のみであり、〔絶対幼女(アブソリュート・ようじょ)〕は今でもエイスリンに作用しており、脳内は幼女妄想で溢れているからだ。

それは他の者も同様。

てる(ううう!千秋…………ダメだよ……エッチにまで勉強熱心なんて……)

さき(ああ………ロリでケモノ耳の雪乃ちゃん………奏ちゃんまでケモノ化して………ああ………)ペロ..

久と智紀の絡み、咲の指舐めによって妄想力を消費している塞、そしてついさっき食べ過ぎで吐いたトシ。

この部屋にいる誰もが、なんらかのダメージを負っている。

えいすりん「……ッ、デキタ!」

てる「っ!」ピキ!

塞「ああぁ……そこまで舐めなくても大丈夫だよぉ……?心配性なんだから……///」ポワァ

てる「ぁ……ぁ……」フラ..

塞「……?」

てる「……っ」スッ

塞(え……あ……空いてる方の手を……?)
310 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:05:09.76 ID:8MnlR9I2o

てる「……ぁむ……ちゅ……///」

塞「!!!!」

塞(うわっ、うわっ……!み、宮永さんたち姉妹が……私の手を……上目遣いで舐め……っ!)キュバドドーン!!

えいすりん「カンセイ……!シマイドン………メガネッコト、タイツッコノ………イチャイチャキッスツキ…………オネダン、プライスレス……ッ」ポロッ..

ペンが手から滑り落ちる。〔絶対幼女(アブソリュート・ようじょ)〕によって消耗したエイスリンには、握力も百合妄想士としての力もほとんど残っていない。ペンのあとを追うように、ペタンと座り込む。

今のエイスリンに出来ることは、〔絶対幼女(アブソリュート・ようじょ)〕に耐えながら、他のメンバーが塞に勝つのを祈ることのみだ。

てる「ん……ちゅ……っ……///」

てる(エイスリンさんの力で動けてはいるものの………)

さき「は……ぁ……ん……ぁ///」

さき(早くしないと………うう……)

塞「はぁぁ……っ……や、やばい……2人同時は……ちゃんと出来るの私……?」ハァァァ

ひさ「ぁん……ゃ……っ……ちゅ…………」

ともき「っ……ちゅっ……ん……」

キィ..ィン..

ひさ・ともき「!!」

ひさ(体が……動かなくなった!)

ともき(これは……エイスリンさんの効果が切れた!?)

ひさ(ということは……咲たちもそのうち動けなくなる……そしたらもう勝ち目はない!)

ともき(勝つためには臼沢さんに妄想をさせるしか……でも、今の臼沢さんは宮永さんたちに夢中でこちらに意識が向いてない。私たちが絡んでも効果は薄い……でも!)
311 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:06:14.04 ID:8MnlR9I2o

塞「あぁ……幼女の唾液……っ……」

ともき(宮永さんたちに集中しすぎている分、プライベート回線に対するブロックはない!そして〔絶対幼女(アブソリュート・ようじょ)〕によって今の私は幼女妄想に支配されてる……だったら……それを利用すれば……っ)

ともき《……竹井さん!回線を使って臼沢さんに仕掛けましょう!私たちが受けてる幼女妄想を……そのまま臼沢さんにぶつけるんです!》

ひさ《!そ、そうね!わかったわ!》

ともき(……っ!)キィン!

ともき《……美華とかなの仲を引き裂くもの……それは世間だった……》

塞「!?」

ひさ《楓は、コミマに来ていたミラクるんファンの幼女と仲良くなり、ミラクるんにそっくりなちなつを紹介するという流れから自宅に招く。そこで一緒に過ごすうち、ドキドキが止まらなくなって……》

塞(な……っ、プライベート回線!?〔絶対幼女(アブソリュート・ようじょ)〕を受けながら攻撃なんて、並の精神力じゃな…)

てる「ぁむ……//」

塞「はぁっ……//」ビクン!

ひさ(き、きつい……お願い……そろそろ、倒れてよぉ……)ギリッ..

ともき(これだけの人数を相手に、能力を使ってるんだから……そろそろ臼沢さんも限界が近い……はず……そう、信じたい……)グッ..

塞(くっ!キツさ限界……でもこの程度で……私の業を止められて、たまるかぁっ!)カッ!

塞《幼稚園の運動会!スポーツドリンク回し飲み!膝を擦りむいた子の傷を舐める美幼女!二人三脚で転んだ時の事故チュー!》ゴオッ..!

ひさ・ともき「っ!!!」

ひさ(な…にこれ……!)

ともき(ここでこの威力……っ!)

塞《まだま……っ》フラッ..

塞「くっ……」

ひさ(!フラついた……向こうも辛いんだ……だったらこっちも負けてられないわ!)
312 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:06:47.45 ID:8MnlR9I2o

ともき(宮永さんたちが指を舐めてるうちが勝負!まだまだ続けて攻める!)

さき「あ……」ピクン

ともき「!?」

咲が塞の指から口を離す。時間切れである。

塞に残ったのは、指舐め終わりの寂寥感と、唾液に風吹くヒンヤリ感。

ひさ(まずい!早くしないと!もう時間が……)

ひさ《っ!楓は向日葵の部屋にあったピンク色のモーターを取り出し、『私、まほうが使えるんだよ』と言って迫る……》

ともき《ある日、かなが目を覚ますと、裸の所長代理と同じ布団に入っていた……》

塞《体育倉庫ッ!リレーのバトンでグリグリ!》

てる「あ……」

久たちが繰り広げる激しい攻防の最中、照の指舐めが終了した。

塞「……っ」ニヤァァ..

塞(危なかった……これ以上舐められてたら確実に力尽きてた……でも、なんとか耐えたわ)

てる・さき・ひさ・ともき「…………」

塞(さて……大分手こずったけど、もうそろそろ〔絶対幼女(アブソリュート・ようじょ)〕の支配が完全になる頃だろうし、回線を使って削れば勝ちね)

塞「……舐めてくれてありがと。ふふ」

照と咲に礼を言い、舐められた指の匂いを嗅ぎ、うんうんと頷く。
313 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:07:49.45 ID:8MnlR9I2o

塞《じゃあ……さらなる幼女への想いをぶつけさせてもらいますか!》ゴォッ!

そして、勝利を得るため、幼女好きを増やすため、おさわりタイムのため……。

岩手のロリコン百合妄想士、臼沢塞が再度牙を剥く!

てる(っ……動けない私に出来るのは妄想するだけ……無駄なあがきかもしれない……でも、諦めない)

さき(もしも私が幼女趣味になったら……元の姿に戻ったお姉ちゃんへの想いが失われるかもしれない……そんなの……絶対嫌だよ!)

塞《『子供だからいいでしょ』と裸のまま家の前でビニールプール!幼馴染の裸を野外で見る新鮮さ!!》

てる《千秋と吉野の絡みに興味津々の内田……!》

さき《ケモノな雪乃ちゃん!我慢が出来なくなったかなちゃんは、モフモフから次第に怪しいムードに…》

久、智紀に続き、照と咲も加わっての総攻撃。まさに総力戦だ。

今現在この部屋では、思考のほとんどを幼女とラーメンが占めているという、なんともとてつもない空間となっている。

塞《公園の水飲み場で濡れ透け!》

ひさ《ちなつの本性を見て現実を知ったコミマの子が自暴自棄になって楓に迫って……っ、あ…………》フラ..

ひさ(これ……ダメだ…………力が抜け、て…………)グラッ..

バタッ..

てる《久!》

さき《部長!》

ついに限界を迎えた久。力を失い、倒れこむ。

ともき《竹井さんっ……!》

塞《くぅ……っ、砂場の……トンネル開通時の触れあいっ!そのまま恋人繋ぎ!!》

てる「う……っ」グラ

さき「ぁ、あ……」グラッ

ドサ..ドサ..

指舐め姉妹もここで力尽きる。
314 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:08:33.95 ID:8MnlR9I2o

ともき《宮永さんっ……!》

エイスリン、久、照、咲が脱落し、残るは智紀のみとなった。

智紀が敗北した瞬間、この部屋には幼女好きしかいなくなってしまう。

塞《どんぐり拾いでパンチラ指摘!『○○ちゃんもだよっ//』からの甘い雰囲気!》ズォオォオ..

塞(は、っ……あと1人で……私の勝ちだ…っ)

ともき《所長代理との一夜が美華にバレてしまう!修羅場が始まるっ!》

塞(っ!?くっ、何よこの絶望感…………ま、負けてたまるかぁっ!)オォオオ..

互いの妄想をぶつけ合う2人。

共に絶望を背負う者同士の戦いは、激しさを増していく。

塞(あなたさえ倒せば……幼女好きが生き生きと過ごせる世界に一歩近付くのよぉっ……!)ズォォ

ともき(私が負けたら……みんなが幼女好きになってしまう……ネットでロリ画像を漁る日々を過ごすことに………ハードディスクがロリでパンパンになるのは……嫌!)オォオォ..

両者とも限界が近い。体が震え、目が霞み、視界が曇る。

それでも、妄想を続ける。

塞《秘密、基、地……っ!!輪…ゴムの……こ、んやく……ゆ、びわ……っ!》ハァ..ハァ..

ともき《それぞれの……臆、病さによって……っ……3人で……愛し、合う!》ハァ..ハァ..
315 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:09:01.68 ID:8MnlR9I2o

塞「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」ブルブル..

ともき「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」ブルブル..

塞・ともき(ぜっ、たい……っ!か……つ……っ!)

塞・ともき「ぅあああああ〜〜〜〜〜!!!!」

最後の力を振り絞り、己に残る妄想力の全てを相手に叩き込んでいく。

塞・ともき「!!!!」

その力が相手へ伝わってから一拍の間の後、さきほどまでとは打って変わって静寂が訪れる。

塞・ともき「………………」

塞・ともき「………………」

塞・ともき「………………」

塞・ともき「………………」

塞・ともき「………………」

その静寂は、この空間だけではなく、両者の間にも広がっている。

2人の脳内では、戦闘中に激しく行きかっていた幼女たちの群れが去り、残ったのは―――

『まったく、しょうがないわね!』

智紀が妄想していた、所長代理、かな、美華の3人だけだった。
316 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:10:21.20 ID:8MnlR9I2o

塞「…………」フラ..ッ..

臼沢塞が崩れ落ちる。

ドサッ...!

完全に力を使い果たし、意識を失った塞は、受け身すらとれないままうつ伏せに倒れる。

直前、モノクルが外れて地面へ落ちた。

主を失ったモノクルはコロコロと転がっていき、やがて止まる。

その位置が、倒れている幼女照のスカートの中だったのは塞の執念だろうか。

ともき「はぁ……はぁ……」

荒い息を吐く智紀。激闘を終えた彼女は、幼女でありながらもどこか歴戦の戦士を思わせる表情をしており、

『さざんがきゅ〜♪』時代のあざとさはない。

ともき「……なんとか、勝てた……これも、みんなで力を合わせて勇気を振り絞っ…」

キィイッィィ..ン!

ともき「っ!?」

勝利した智紀が少年誌でよく見るようなセリフを吐こうとした瞬間、目の前を眩い光が覆った。

ともき(あ……これって〔幼女領域(ようじょ・フィールド)〕の時の……)

そして数秒後、光が消えると、そこには……。

智紀「…………」

幼女ではなく、元の姿に戻ったJK TOMOKIがいた。

塞が力を使い果たし、〔幼女領域(ようじょ・フィールド)〕の効果が切れたためだ。

智紀「…………」チラ

塞「………………」

智紀(臼沢さん……恐ろしい相手だった……あれほどの執念を持っている人を、私は他に知らない)

塞の脅威を振り返りながら、智紀は照の元へと歩く。そして、スカートの中に転がった塞のモノクルを拾い上げ、懐から取り出した眼鏡拭きでキレイにする。

それは強敵への敬意と、同じレンズ仲間としての優しさの現れだった。
317 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:12:01.76 ID:8MnlR9I2o

塞(……………………)

塞(……………………)

?「……ゃん!」

塞(…………なんだろう……?声が聞こえる……?)

?「さえおねえちゃん!」

塞(!この子は……銭湯で会った子!しかも剛毛になる前、幸せな時代の……)

塞(……ということは……これは夢、か)

?「さえおねえちゃん!」

塞(寝てる私の上に覆いかぶさるようにする幼女……はは、最高のシチュエーションだわ)

?「うぅ……」

塞(それにしても、この子の夢を見るなんて…………発毛以来、思い出さないようにしてたんだけどな…………負けたショックってやつ?)フフ

?「げんき……だして!さえおねえちゃん……げんきだしてよぉ」ポロッ..

塞(っ……、頬っぺに何か落ちて……あ……涙……)

?「ぐす……ぉね……ゃん……!っ……」ポロポロ..

塞「………………」スッ

ナデナデ...

?「ぁ……おねえちゃ……」

塞「……ありがとう」

塞(私の勝手な夢とはいえ、あなたの涙が見られてよかった…………たまに、お風呂上がりに裸のままマッサージ機に座ってくれたの、本当に嬉しかったよ)ナデナデ

塞(あなたのあんなところやこんなところ……忘れない)ナデナデ

?「おねぇちゃぁあん……うぅっ……ぐすっ」ポロポロ..

塞(こらこら。そんなに泣かないの。頬っぺがビショビショになっちゃうじゃない。幼女のな、涙で…………はぁはぁ……――――)
318 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:12:34.25 ID:8MnlR9I2o

塞「―――し、仕方ないわね……味見?しても別に私は……」

久「……起きた?」

塞「……え?」パチッ

照「……大丈夫みたい」

塞「…………あー……そうだよね……夢だったんだ」

塞(や!夢の中で自覚してたけど)

エイスリン「ユメ?」

塞「うん……ほっぺに涙が……ってあれ?」

塞(現実の私のほっぺも濡れてる!?これって一体どういうこと……?)

咲「それは……」

塞「……それは?」

久「えと……熊倉さんが近くで……」

塞「…………」チラ

トシ「……はむっ、ずるずるっ!」ピルルッ!

塞「!ちょ、先生っ!?てことは……この濡れてるのはスープ!?」

照「」コクリ

塞「え、嘘、じゃあもしかして……あー!やっぱり!服にもシミが!!」

トシ「大丈夫。どん兵衛のピンそばだから目立たないよ」

塞「目立ちますって!」ウォイ!

トシ(まいったね……まさかピンそばでも怒られるとは……)
319 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:13:08.28 ID:8MnlR9I2o

塞「もー……この服お気にだったのに……」

智紀「…………あの」

塞「?」

智紀「これ……」スッ

塞「あ、私のモノクル……って……キレイになってる……これ、沢村さんが?」

智紀「…………」コク

塞「ありがとう」ニコッ

智紀「いえ……」

塞「…………」

智紀「…………」

塞「…………ふふっ」

智紀「?」

塞「なんか不思議。さっきまで本気で戦ってた同士なのに」

智紀「……確かに」

塞「それにしても……まさか私の〔絶対幼女(アブソリュート・ようじょ)〕を受けた状態のまま、攻撃を仕掛けてこれるなんてね」

智紀「…………」

塞「今まで戦ってきた相手は〔絶対幼女(アブソリュート・ようじょ)〕を使ったらもう成す術がない感じだったんだけどなー……」
320 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:14:26.85 ID:8MnlR9I2o

照「…………」

咲「……お姉ちゃん?」

照「…………なんでもない」

咲「?」

照(私は……ずっと何もできてない……ただやられただけ……)

咲「…………」

塞「…………1つ、聞いていいかな?」

智紀「……はい」

塞「沢村さんは………どうして私の攻撃に耐えられたの?」

智紀「…………」

塞「〔絶対幼女(アブソリュート・ようじょ)〕だけでもかなり強力なはず。それに加えて通常の幼女攻撃までしても沢村さんは倒れなかった…………その理由を教えてほしい」

智紀「…………友達」

塞「え?」

智紀「友達であり家族でもある子たちがいるんですけど…………その中の2人がとても可愛いロリっ子で……慣れてるから、だと思います」

塞「…………そう…なんだ」

智紀「はい」
321 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:15:01.14 ID:8MnlR9I2o

塞「………………私、ついてないなー。もう少しでみんなをこっちサイドへ引き込めたのに」

智紀「…………」

塞「………いや、でも結局は負ける運命だったのかもしれないなぁ……」

智紀「どうして……?」

塞「私なんて……幼女が大好きで妄想ばかりしてるし、割と社交的だから普通に幼女に話しかけちゃう危険な子だしさ」ハハ

智紀「………………」

照「………………」

咲「………………」

久「………………」

エイスリン「………………」

トシ「………………」

塞「何かしでかす前に閉じ込めた方がいいんじゃないかってぐらいだもん。はは……」

智紀「………………」

照「………………」

咲「………………」

久「………………」

エイスリン「………………」

トシ「………………」

塞「………………」

塞「……いやいやいや!そこは『そんなことないよ』とか、ウソでも社交辞令置いとこうよ!本心を見せずに!」
322 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:15:34.96 ID:8MnlR9I2o

智紀「あ……はい。ごめんなさい」

塞「……え、あ……いや、謝られることじゃないんだけど……」

智紀「……私が思うに…」

塞「?」

智紀「幼女趣味は………別に悪くない」

塞「…………え」

智紀「確かに………色々と問題はあるかもしれないけど……」

塞「…………」

智紀「好きなものは好き………それでいいと思います」

塞「でも………きっとこれからもっと厳しくなっていくわ……幼女を見つめるだけで手錠で手を塞がれる……そんな時代が来るかもしれない」ウルッ..

智紀「………大丈夫」

塞「え?」

智紀「…………」ピッピッ

塞(携帯?)

智紀「………これ」
323 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:16:06.68 ID:8MnlR9I2o

塞「?」(画面をのぞき込む)

?『おーい!』

塞(あ、テレビ電話だ……って、この子は………去年、インハイでとてつもないロリっぷりを発揮した……天江衣たん!!)クワッ!

衣『お前がさえか〜!よろしくな〜♪』

塞「よ、よろしく…………どうして天江さんが?」

衣『おお!衣を知っていたか!それは僥倖!』フフン!

塞(あ……胸を張って……でも全然平らで……あぁぁあ……いい……)

衣『む?何ゆえ恍惚の笑みを浮かべている?』

塞「へ?あっ、ううん、なんでもない」

衣『??』

塞「で、沢村さん……これは……?」

智紀「あなたの味方もいることを教えたかった」

塞「え?味方……?」

智紀「そう。この世界には…………………合法ロリというものがある」

塞「あ……」ハッ

智紀「衣はまだ未成年だけど………あと数年で合法ロリになる」

塞「!!!」

智紀「きっと衣は………成人しても………変わらないと思う」

塞「確かに……衣たんはパイパン以外ありえない……えへへ」

智紀「…………」ゾワ..
324 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:16:52.35 ID:8MnlR9I2o

衣『ぱいぱん?』

塞「ね、ねぇ……つまり、衣たんと私が付き合えるように便宜を図ってくれるって意味?」

智紀「ち、違う!」

塞「ええー?」

智紀「衣はダメ。私が言いたいのは、この世界にはまだまだ合法ロリがいっぱいいるから、諦めないでということ」

塞「……でも……岩手に合法ロリは全然…」

智紀「……鹿倉さんとか」

塞「あっ!!」

塞「…………言われてみれば……胡桃……すごくロリだわ……」

智紀「……」コクリ

塞「今までは、胡桃のことを同い年の友達だって思ってたから性の対象としては見てなかったけど…………これからはイケるかも」

智紀「あ、いえ、その……そこまで思わなくても……」

塞「沢村さん、ありがとう。なんか元気出たわ」ニッコリ

智紀「…………はい」

智紀(鹿倉さんごめんなさい。今度お歳暮送りますので許してください)

衣『んー??』

智紀「あ、衣……協力してくれてありがとう」

衣『もういいのか?』

智紀「うん」

衣『そうか!』

智紀「それじゃあまたあとで」

衣『うん!』

塞「……衣たんの声……いいなぁ」ボソ

智紀「っ!」ピッ!

塞「そんなに急いで切らなくても……」

智紀「…………ごめんなさい」

照「………………」

照(臼沢さん、かなり思い詰めてたけど、これでなんとかいい方向にいけるかな?)ウンウン

照(これで残る四天王はあと1人…………あ)

照(久保さんに連絡しないと)ピポパッポ
325 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:17:41.59 ID:8MnlR9I2o

【久保家 貴子の部屋】

貴子「はっ、ほっ、てやっ、くっ、オラァ!!」

貴子「ふぅ……やっぱり変身ポーズは体力を使うぜ……でも、もう少し練習すれば完コピァッだから頑張るか」フフッ

貴子(全部マスターしたら……今度はオリジナルを考えて…………楽しみが広がるぜ)

♪〜

貴子「ん?……宮永ァァッからか…………ふんふん…………何ィッ!!?」

貴子(臼沢も倒しただと!?マジか!)

貴子「こいつはスゲェ……やっべ、テンション上がってきちまった!止まれねぇ!」ピポパ..プルルル

華菜『はい、もしもし。コーチ、一体なんの…』

貴子「池田ァァッ!てめぇ休みだからって気ぃ抜いてるんじゃねェだろうなぁ!?今から半荘5回打ってこい!わかったな!」ガチャ!

貴子「……ったく、頼むぜ……てめぇがエースなんだからよぉ」

貴子(ふぅ……落ち着いた。さて、それじゃァ最後の四天王を紹介して…………)

貴子「………………」

貴子(あいつを紹介していいものか……)

貴子(…………臼沢を倒したとはいえ、宮永姉妹と清澄の部長の3人では……あいつに勝てるわけァァッ!がねェ……)

貴子(うん、そうだな。約束とは違うが、宮永たちァァッの無事が第一だしな……『3人では勝てねェ……この話はなかったことにする』っと……送信)ピポパ
326 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:18:46.70 ID:8MnlR9I2o

♪〜

貴子「来た……」ピッ

『言い忘れてました。今現在のメンバーは、私と咲、竹井久、沢村さん、エイスリンさんの5人です』

貴子「な、なんだとぉっァァッ!?宮永てめェ、伝達漏れじゃねェか!びっくりしちゃったぞ!」

♪〜

貴子「!しかも連続送信だと!?」ピ

『最後の四天王はかなりの強敵だ、という久保さんからメール内容をみんなに話したら、臼沢さんも一緒に行きたいという話になりました』

貴子「な……!」

貴子(沢村を倒した宮永たちに加え……四天王が3人も同行するだと!?こんな流れになるとは…………)

貴子「うぉぉ……さらにテンションが……くっ!」ピポパ..プルルル..ガチャ

華菜『も、もしも…』

貴子「池田ァァッ!電話なんかに出てる暇があんなら練習しろァァッ!もう半荘5回追加だ!」ピッ!

貴子「ふぅ……」

貴子「…………宮永……」

貴子(四天王が3人いるなら……いくらあいつが相手とはいえ、なんとかなるか。うん、そうだな)

貴子(ではあいつに連絡するか――――)ピポパ..

貴子(―――よし!これでいい)

貴子(あとはお前たち次第だ……)

貴子(……私は今日中に、あと4人分の変身ポーズを体得できるよう頑張る……だから……お前たちも頑張れよ……)
327 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:19:29.77 ID:8MnlR9I2o

【テナントビル前】

咲「返事来た?」

照「うん……今から2時間後くらいに待ち合わせ」

久「結構時間空くわね」

照「そうだね」

トシ「そいつはちょうどいいね。これからみんなでご飯でも食べないかい?」

照(……カップラーメンよりお菓子の方がいいな)

咲(ラーメンかぁ……一口ちょうだいが出来るのはいいけど、お姉ちゃんが幸せそうにお菓子を食べてる顔が見たいな)

久(カップラーメンは健康面で問題ありそうなのよね……嫌いではないけど……)

智紀(時間的に考えて、今カップラーメンを食べると夕食に響く)

エイスリン(カップメン、ビミョウ……)

塞(どうせラーメン食べるならお店の方が……って、ここらへんあるのかな?)

トシ「カップラーメンじゃないよ?」フフッ..

照・咲・久・智紀・エイスリン・塞「!!??」ザワ..

照(じゃあカップうどん?赤いきつねとか嫌いじゃないけど……うーん……)

咲(お姉ちゃんがどん兵衛とか俺の塩とか一平ちゃんみたいな、男の人を連想させるやつを食べるのは嫌だよ……)

久(焼きそばバゴーンかしら?たまに食べたくはなるんだけど……)

エイスリン(ゴンブト?)

塞(Spa王とか?)

トシ「どこかの定食屋でいいかい?」

照・咲・久・智紀・エイスリン・塞「!!??」ザワ..

トシ「ふふ、私だってインスタント以外のパターンは持ってるんだよ」ニコリ
328 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:20:01.56 ID:8MnlR9I2o

食事後―――

店員「ありがとうございました〜」

エイスリン「オイシカター♪」キラキラー

照「すみません、ご馳走になってしまって」

トシ「気にしなくていいよ」フフ

久「ん、ちょうどいい時間ね。今から向かえば待ち合わせ時間の少し前くらいに着きそう」

塞「じゃあ行く?照」

照「そうだね」

咲「!」

咲(食事中にちょっと話しただけで呼び捨てに……!?)

咲「…………い、行こう!お姉ちゃん」グイッ

照「え?あ、うん」

咲(臼沢さんは幼女趣味だから大丈夫だとは思うけど……〔幼女領域(ようじょ・フィールド)〕を使ってお姉ちゃんにエッチなことをするかもしれない!それは絶対だめ!)グイグイ

照「さ、咲。引っ張らないで」

塞「…………」

久「あーあ、咲ったらもう……あの子、悪気はないんだけど……」

塞「うん、わかってるわかってる。お姉ちゃんが大好きだから、ヤキモチ焼いてるんでしょ?」

久「そうみたい」クス

塞「あーあ、可愛いなぁ。あんな妹が欲しいわー。ちょっと年齢行き過ぎだけど」

久「……そう」

エイスリン「…………」ジー
329 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:20:33.40 ID:8MnlR9I2o

塞「まぁねー。咲ちゃんだと、10年前なんかドストライクかな」

久「はは、は……」

塞「……久も幼女時代は可愛かったね」フフ

久「ふぇ?あ、そう、かしら……あり……がとう?」

塞「…………もう一度あの頃に戻りたくなったらいつでも協力するから連絡してね。その……ちょっとだけねちっこく触らせてもらうけど……」

久「……もし兆が一その機会があったら、ね」

エイスリン「…………」

久「……じ、じゃあそろそろ向かいましょうか」テクテク

塞「ん、そうだね」

クイッ..

塞(?何かに引っ張られてる?)チラ

エイスリン「…………」

塞「……エイスリン?なに?」

エイスリン「…………」

塞「……??」

エイスリン「サエ……ヤッパリイツモトチガウ」

塞「へ?」

エイスリン「……ミヤモリニイルトキト……チガウ」

塞「……あー」

エイスリン「…………」
330 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:21:36.77 ID:8MnlR9I2o

塞「……あのさ。さっきも言ったけど、宮守のみんなといる時の私も私だよ?確かに、百合妄想士であることと幼女好きなことを隠してたけど……それだけ」

エイスリン「ムー……」

塞「別にみんなを騙してるつもりはないの。実際、私が幼女好きだと知ってるのは勝負した百合妄想士だけ。両親にも言ってないもの」

エイスリン「!」

塞「やっぱり……そう簡単に口に出せないよ。誰かに聞かれて噂にでもなったりしたら、最悪の場合は…」

エイスリン「!」

エイスリン「…………」カキカキ!

塞「?」

エイスリン「デキタ!」パッ!

『壁や屋根に落書きされまくっている臼沢家』

塞「さすがにこんな刃牙の家みたいにはならないよ!?」

エイスリン「ソウ…」

塞「もう……」

エイスリン「…………」

塞「……あー……エイスリン」

エイスリン「ナニ……?」

塞「私は、宮守のみんなを大切な友達で仲間だと思ってるから。安心してよ」

エイスリン「……!ホント?」

塞「もちろん」ニコリ

エイスリン「…………ヤッタ!」ニッコリ!

塞「……胡桃は別カテゴリに入れさせてもらうけど」ボソ

エイスリン「?」

塞「なんでもない」フフ

照「…………」

咲「……?お姉ちゃん、難しい顔してどうしたの?そんな顔のお姉ちゃんもかわいいけど……」

照「あ、その……これから戦う四天王の人はどういう人かなって考えてた」

咲「……メールだと、相当強い人だって」

照「うん……どんな人なのかな?」

トシ「……沖縄の銘苅(めかる)って子を知ってるかい?」

咲「え?」

照「銘苅……確か真嘉比高校の選手……」
331 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:22:26.88 ID:8MnlR9I2o

エイスリン「インハイデ、タタカッタ!マッガーヒ↓」

塞「うん。私が対戦した子だね……ってそれは……有希×ハルヒ?」

エイスリン「キョンコトイツキ!」

塞「一姫かー。私的にはキョン子より妹ちゃんが好きだけど」ハッァアー..

トシ「私はラーメンの方が好きだね」

智紀「あ、あの……真嘉比の子の話を…」

トシ「ん?そうかい。で……銘苅は百合人(ゆりんちゅ)と呼ばれる、かなりの力を持つ百合妄想士なんだよ」

久「!」

照「……では、その子が最後の四天王?」

トシ「いや、違う。私が聞いたのは、銘苅が四天王と戦ったという話さ」

照「!」チラ

智紀「……」フルフル

エイスリン「バツ!」フルフル

塞「戦ってないよ」

照「……ということは」

トシ「…そう。今から会う子と戦ったんだ。そして…」

久「…………」ゴクリ

トシ「手も足も出ずに負けた……って話さ」

照・咲・久「!!!」

トシ「……それぐらいの強敵だということ。気を引き締めるんだよ?」

照「…………」コク
332 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:23:00.78 ID:8MnlR9I2o

【風越女子高校】

照「…………」

照(ここに…………最後の四天王がいる)

咲「……お姉ちゃん」キュッ

照「咲……大丈夫だから」

咲「でも……すごい強いんでしょ?臼沢さんみたいに、お姉ちゃんを幼女趣味にしようとする変態だったらって思うと私……」

照「……心配してくれてありがとう」ナデナデ

咲「ぅわわ……///」

塞「ちょ、ちょっと……私は少し変わった趣味ってだけで変態じゃな…」トントン(肩を叩かれる)

塞「?」クルッ

エイスリン「…………」フルフル

塞「私変態なの!?」

エイスリン「…………」カキカキ..

塞「?」

エイスリン「!」サッ

『首を振るエイスリン』

塞「今見たよ!」
333 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:23:34.83 ID:8MnlR9I2o

久「と、とにかく、待ち合わせ場所に行きましょうか」

智紀「…………」コクリ

塞「ね、ねえ、久!私、変態かな!?た、確かに……ちょっと……その……え、えっちかも、とか思ってるけど……///」

久「…………えーと」

塞「…………」

久「へ、変態というより……個性的で素敵よ?うん…」

塞「そ、そうよね!?よかった」ホッ

智紀「…………」

エイスリン「…………」

久「な、なによ」

智紀「いえ……」

エイスリン「ベツニ……」

久「い、急ぎましょう!」
334 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:24:03.34 ID:8MnlR9I2o

【体育館前】

照「………準備はいい?」

咲「うん」

久「ええ」

智紀「はい」

エイスリン「Yes!」

トシ「待ちわびたよ」

照「…………じゃあ、開ける」

ギィィ...

テクテクテク...

照「……薄暗い」

咲「う、うん」

久「…………」ゴクリ

?《ドアを閉めて……》

照「!」

咲(プライベート回線!)

?《閉め切りの方が落ち着く……だから……閉めて》

智紀「…………」ギイイ..

エイスリン「シメタ!」

?《ありがとう……》

照(声はするけど……どこにいる?)キョロキョロ
335 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:25:54.76 ID:8MnlR9I2o

ゴォ..ン..

久(!)

いくつかの窓がカーテンによって光を遮断されている薄暗い体育館の中で、一番の存在感を持つ舞台。その横のドアがゆっくりと開く。

咲(!あ、あの人は……)

智紀(全くの予想外……)

割といいところの子が通う学校のため、スタイル良さげな子が多い風越女子高校の中で、一番の重量感を持つ女生徒。その横幅がゆっくりと露わになる。

久(この子が最後の四天王だったなんて……)

?《お久しぶりです………あるいは初めまして。私は……深堀純代です》

風越女子高校麻雀部所属の2年生、深堀純代。

彼女の登場によって、この場に四天王が全員揃うこととなった―――
336 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:26:31.52 ID:8MnlR9I2o

【久保家 貴子の部屋】

貴子「はっ、ほっ、ふっ…………よし。変身ポーズは大体マスターできたぜ、っと……そろそろ休憩にするか」

貴子「…………」

貴子(今頃ァァッ……宮永たちが深堀と会ってるだろうな)

貴子(……四天王が3人いても、あいつに勝てるとは限らねェ……それほど、あいつの百合に対する思いはズバ抜けてるァァッ……)

貴子(……なんせ深堀は1日のうちほとんどの時間を百合妄想に費やし、日常会話を放棄しているに近い……こうなると深堀にとっては妄想内こそが日常と言えるァァッだろうな)

貴子(そしてもう1つ……恐ろしいことに…)

ピンポーン!

貴子「!来たか!」

貴子(オークションで落札したアレだ!待ってたぜ!)ダダダ!

貴子「はい!」ガチャ!

女性ドライバー「…………こちらお届け物です印鑑をお願いします」(冷めた目でぶっきらぼうに荷物を差し出す)

貴子「?はい」

貴子(なんだこの態度は…………昔から知ってる人だし、いつもはもっと愛想いいんだが……うーむ)ポン

女性ドライバー「……ありがとうございます失礼します」ササッ!ガチャ

貴子「あ……」

貴子(なんなんだ一体………)

貴子「……って、考えてもしょうがねェか。今はこいつを開けるのが先決だ」ヨイショ

貴子(18禁ゲームってことで、気になりつつも今まで避けていたが…………ついに買ってしまったぜェ!プレイするのは変身ポーズマスター後ってことにして……うん、パッケージだけでも確認しとくか!)

貴子(まずはガムテープを剥がして………ん?なんだこれ?品名の欄に何か色々書いて……)

『品名:二次元アダルトPCゲーム 処女宮 〜栗毛の潮吹少女たち〜 限定版 ※女同士エッチあり』

貴子「………………」

貴子「しゅ、出品者てめェェ!!馬鹿正直に書くんじゃねェよ!情報過多なんだよこの野郎がァァッ!!!!」
337 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:26:59.18 ID:8MnlR9I2o

【風越女子高校 体育館】

純代《……私の相手は………これだけですか?》

照「!?」

咲(え?こ、これだけ………って……6人もいるのに)

純代「…………」ズモモォ..

照(でも……この迫力、ただのビッグマウスとは思えない…)

純代「…………」チラ

照「!」ビクッ!

照(あ、あ……何、これ…………足が……震える……)ガタガタ..

咲「お、おねえちゃぁん……」

照「……だ、大丈夫……」

智紀「…………っ」

久(くっ……この感じは……沢村さんや臼沢さんの時も味わったけど……なんか……それ以外の怖さがある気がする…)

エイスリン「ウゥ……」

純代《ではいきます……まずは…………あなたから》

照「!!」

照(まずい!体が動かないのに……!)

純代《……!》

塞「…………」スッ

照「さ、塞……?」
338 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:27:37.09 ID:8MnlR9I2o

塞「照は下がって。ね?」ニコリ

照「う、うん……」

照(でも……足が……)

咲「お、お姉ちゃん。こっち」グイッ

照「ぁ……咲、ありがとう」

純代「…………」

塞「…………」

塞(……本当のところ、照が四天王と戦うのが目的って話だから私は手を出さないつもりだったけど……どうやら狙いを定められちゃったみたい)

照「あ……さ、塞!」

塞「んー?なぁに?」

照「ぇと……」

照(深堀さんに聞かれたらまずい……から……!プライベート回線で…)

照《塞は……力を使い果たしたままなのに、今戦ったら……》

塞《あぁ……大丈夫よ。ファミレスに行く前、途中で少し抜けたでしょ?その時に銭湯に行っておばあさんの裸見て回復したから》

照《…………え?》

塞《全快になるまで脱衣場にいて、お風呂に入らず戻ってきたわけ。あ、ちゃんとお金は払ったよ?》

照《そういう問題じゃない……わけでもないのかな……?》

塞《ま、とにかく、私は全然平気だから……》チラ
339 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:28:16.28 ID:8MnlR9I2o

純代《…………》

塞《私が相手するよ。深堀さん》

純代《わかりました……》

塞(……となれば、先手必勝!)スゥ..

塞「〔 幼 女 領 域 ( よ う じ ょ ・ フ ィ ー ル ド )〕!!」

純代「!」

キィィィイイィ........ン.....

すみよ「…………!」

塞「ふふ……」

塞(照たちと戦った時と違って相手が1人なら、消耗はかなり抑えられる。そう簡単に力尽きないわよ!)ニヤリ

すみよ《これは………不思議な技を………》

塞(まだまだっ!続けていくわよ!)

塞「〔 幼 女 操 作 ( よ う じ ょ ・ コ ン ト ロ ー ル )〕」

すみよ《!?体が……》

ともき(あっという間に相手を抑え込んだ……しかも力も十分に残してる)

塞(これで……とどめっ!)

塞「〔 絶 対 幼 女 ( ア ブ ソ リ ュ ー ト ・ よ う じ ょ )〕」

ゴァアアアアアアア!!

すみよ《ううぅう……く、ぅう……》

塞(………うん、効いてる)

塞の〔絶対幼女(アブソリュート・ようじょ)〕は、相手が今まで妄想していればしているほど効果的という性質を持つ。

そういう点では、妄想に1日の大半を割いている純代に対しては非常に有効だろう。
340 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:28:47.93 ID:8MnlR9I2o

すみよ《…………ぐぐぐ……さすが……ですね……では、こちらも……攻めさせて、もらいます》

ピキィィン..

純代がプライベート回線の範囲を『この場にいる全員』から『塞と自分だけ』に狭める。

そして……。

塞《え?これは………》

塞(頭の中に映像が浮かんでくる………これは………深堀さんが………今見てる妄想………?)

回線を通して、自分の妄想を塞の脳内に叩き込んだ。

塞(な、何!?なんなのこの鮮明さは!ありえないって!)

塞が驚くのも無理はない。純代によって繰り出された攻撃は、純代が妄想している映像をそのまま塞の脳内に映し出したものだったからだ。

普通はプライベート回線を用いて言葉で妄想を喚起させるが、頭の中で描かれる映像はそれなりに鮮明ではあるものの、現実感を伴うものではない。

しかし純代が使う力は違う。

妄想を相手の脳内に深く、深く……目の前で無理矢理映画を観せるように映し出す。

そのあまりの迫力に、この攻撃を受けた人間は現実と妄想が入れ替わったかのような錯覚を覚える。

塞「っあ……ぁあ……ぐうぅ……」
341 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:29:21.88 ID:8MnlR9I2o

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

打ち止め「うぅ………なんかピンチかも…って、ミサカはミサカはお腹を抑えてみる……」ギュルルウルル..

打ち止め「うぅぅぅ………」グルグルグ..

打ち止め「も、もうおしまいかも………って……ミサカはミサカは絶望してみたり………」

黄泉川「お、おい……まさか……」

打ち止め「…………あ………―――」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


塞「!!!」ガハッ!

塞《や、やだ!!!やめて!!打ち止めたんでスカなんて………残虐すぎる!!》

すみよ《………何を言ってるんです?一番漏らす年代でしょう》

塞《ち、違う!お、おしっこならわかるの!そう、おしっこならっ!!》

すみよ《……残念です。私の体をこんな風にしたことから、あなたが幼女好きだと思ったのですが……上辺だけだったとは……》

塞《な……そんなことない!私は!幼女のためならなんだって…っ!》

すみよ《だったら……幼女のう○ちも平気なはず》

塞《うっ……そ、れは………》

すみよ《……幼女が好きなのに、幼女のう○ちを嫌うということは、『可愛いから猫が飼いたい』と言って飼ったものの、う○ちの世話が面倒になり、他の人に全部任せるような無責任な人と同じですよ》

塞《……それは違う!》
342 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:30:25.02 ID:8MnlR9I2o

照「…………」

照(急に回線が切られてから、何度かアクセスしようとしてるけど……全部ブロックされる……一体何が起きてるんだろう)

エイスリン(サエ……)

智紀(状況はわからない……でも、臼沢さんが押されてるのは間違いなさそう……)

すみよ《…………違う、とはどういう意味ですか?幼女と猫は違うということ?》

塞《それもあるけど……私が幼女の上辺だけを愛してるわけじゃないってことよ》

すみよ《…………》

塞《だから……う、う○ちだって………大丈夫!今のはビックリしちゃっただけ!》

すみよ《……それはどうですかね……?》

塞《……そ、そうだ!あみちゃんとまゆりちゃん目当てに買った白衣性恋愛症候群のRE:Therapyで、かおりとなぎさ先輩のオムツシーンがあったけど全然平気だった!幼女ですらないのにだよ!?》

すみよ《直接的なCGはなかった……》

塞《で、でも……想像したって…………うん、問題な…》

すみよ《コーン入り!!》クワッ!

塞《いやぁぁぁあああ!!!!》

コーン入り……それは絶望の言葉。

咀嚼した食べ物が体内を通り、排泄するまでのプロセスを連想させるからである。

否が応でもリアルさが増す。
343 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:30:59.30 ID:8MnlR9I2o

すみよ《……コーン入りなんて泣きぼくろ的なチャームポイントなのに……そんな反応ですか》ヤレヤレ

塞《…………な、何を意味の分からないことを……》

すみよ《お尻がう○ちで汚れているのは、ほっぺにご飯粒がくっついてるのと全く同じですし、う○ちがポトリと落ちるのは、涙がこぼれたのと一緒》

塞《絶対違うよ!》

すみよ《はぁー…………》

塞《な、何?その溜息は……》

すみよ《……いえ、期待を裏切られたもので。幼女好きなのにスカがダメとか……小学生なんてみんな週に1回はおもらしするんですよ?》

塞《は?何をデタラメなことを……》

すみよ《え?事実ですよ。知らないんですか?どこの学校でもう○ち当番が義務付けられてるのに》

塞「!?」ゾワッ..

すみよ「?」

塞(……………こ、この子………)

すみよ《……好きな子のう○ち当番になった子が悶々とするのが可愛いんですよね》

塞(……私のように幻想を抱いてではなく、本気で言ってる!?現実と妄想の区別が付いていない………とか?)

塞の考えは概ね当たっている。

純代は普段、必要のない場面ではほとんど喋らず、妄想の世界へダイブしている。

妄想内で朝チュンをしたり、妄想内で空想をしたりと、現実世界と妄想世界を複雑に行き来し続けたことで、何が事実で何が空想かの区別が曖昧になっていたりするのだ。

特に、アニメやゲーム、漫画などのフィクションが混ざると、その設定の幅広さから、突拍子もないことを常識として捉えてしまう。
344 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:32:09.91 ID:8MnlR9I2o

すみよ《う○ち当番を知らなかったのがそんなにショックだったんですか?》

塞《だからっ……そんなのないって!》

すみよ《はぁ……そう信じ込むならそれでいいですけど……じゃあ次は……そうですね…………う○ちの定番に一工夫しますか》

塞「っ!?」

塞(また……スカ!?もう勘弁してよっ!)

すみよ《今回はオリキャラでいきます》

『教室にて。みんなの前でう○ちを漏らしてしまった少女………その姿を見て異常に興味を示す少女もまたう○ちを漏らしてしまう……その姿を見て興奮する少女』

塞「っあああああ!!!」

思わず絶叫する塞。無理もない。愛すべき幼女たちが、目の前でスカという名の檻に囚われている。『自分ならこの子の可愛さをもっと表現できる』という悔しさもあるだろう。

それに加え、現実離れした状況のはずなのに、周りのクラスメイトは全く動じていない。この不自然すぎる映像を無理やり脳にねじ込まれている感覚は、味わったものにしかわからない。

塞「っ……はぁ……はぁ……ぁ」フラッ

照「さ、塞……」

トシ(そんな……こんな短時間で塞の力が尽きかけてるなんて……銭湯で見たばあさんの裸の質が悪かったとでも言うのかい?)

あのトシがカップラーメンのことも忘れ驚く。それは当然だろう。照たちと戦った際は、複数人を相手にするため〔幼女領域(ようじょ・フィールド)〕を広範囲で設定していた。その場合は1人を相手にするよりも力の消費が激しい。

それでも、幼女状態でのイチャイチャや智紀のあざと恥ずかしい九九、全員での幼女妄想ラッシュなどによって、紙一重で照たちの勝利となったというのに、

純代はたった1人で、しかも戦闘開始してすぐに塞を追い詰めている。
345 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:33:15.96 ID:8MnlR9I2o

塞「っあ……あぁ……」

塞がフラつく。

塞の能力の支配下にありながらこれほどの破壊力をもつ攻撃を繰り出す深堀純代の強さは並外れている。

すみよ《…………漏らした3人はそのあと脱糞同盟を組み、う○ち当番を管轄する側へ…》

塞「!!く……あ……っ」

塞の体がグラつく。もはや限界は近い。

どうにか立て直そうとするが……

『そそてう○ち委員会の委員長に任命!!』

さらなる追撃が塞を襲う。

塞「ぬぎゃーーっっ!!」

すみよ《!その叫び声はドラクエ5のパパス?なるほど……次はポワン様×ベラで攻めてくるというわけか……ならこっちは妖精の国のトイレでガップリン♀に覗かれた話を…》

塞「ぁ……ぅ……」フラーー..

すみよ《…………?》

キィイッィィ..ン!

純代「…………!」

照・咲・久・智紀・エイスリン・トシ「!!!」

照(深堀さんが元の姿に戻った!)

久(〔幼女領域(ようじょ・フィールド)〕が解けた……?)

咲(じゃあ……臼沢さんは……!)
346 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:34:00.84 ID:8MnlR9I2o

塞「っ……」ドサッ..

トシ「塞……」

その姿を茫然とした表情で見つめるトシ。頭の中のほとんどが塞に対する心配で占められている。

普段のトシなら、50%がラーメンのこと、残りはその他のことを色々と考えているのだが、今は違う。ラーメンなど頭から消えている。

80%が塞を心配する気持ち。そして残り20%は、何故かカルビーのことを考えてしまっている。

あっという間に塞をねじ伏せた純代の強さを目の当たりにしたことで、混乱しているのだろう。

今すぐに駆け寄りたい想いはあれど、体が動かない。そんなトシの横を、可愛い金髪の天使がキラキラと走り抜けた。

エイスリン「!サエ……!」タタッ..

照「!」

塞「…………」

エイスリン「サエ!サエ!サエ!」ユサユサユサ!!

力を使い果たして倒れた塞の元へ駆け寄るエイスリン。

涙目になりながら肩を揺さぶる。

塞「…………」

エイスリン「サエッ!サエッ!」ユササ!

なおも揺さぶる。

エイスリン「サエ!ダイジョーブ!?サエ!!」ユササササ!!

揺さぶって揺さぶって、揺さぶった後、揺さぶるように揺さぶる。

塞「ぅ……ちょ……気持ち悪くなるから……もう……やめて……」ウプッ

エイスリン「サエ!オキタ!?」

塞「起きた……けど……もう、限、界……疲れたのと、揺らされたことのダブルで……やばい……」ウプ
347 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:34:39.15 ID:8MnlR9I2o

照「塞……」

塞「あ…………照」

照「!なに?」

塞「気を、付けて……あの……子、の……ゎざは……スカ……うっ」ガクッ

照「え……?何……」

塞「…………」

さえはきぜつした!

エイスリン「サエ……」

智紀「今、宮永さんに何か……」

久「うん」

咲「ねえお姉ちゃん。臼沢さん、なんて言ったの?」

照「よくわからない……ただ『気を付けて』と『スカ』って言うのだけは聞こえた。スカって言うのは何かの略かな?」

エイスリン「ンー?」??

咲「スカ…………」

久「それは……」

智紀「……脅威」

照「…………スカ……スカ………あ」

久「き、気付いた?」

照「『スカイガールズ』って言おうとして、途中で気を失ったから最後まで言えなかったのかも」

咲「……え?」

照「……うん、その可能性は高い。最初は女の子3人で百合百合かと思いきや実際は……っていう展開はショックだったし」ウンウン
348 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:35:05.98 ID:8MnlR9I2o

久「…………それはー、どうかしらね」

照「え?間違ってる?」

久「い、いえ……間違ってるということもないような気もするような気も……」

照「?何が言いたいの?教えて」

久「え、えと……スカっていうのは……//」

咲「私がお姉ちゃんに教えます」ズズイ

久「咲?」

照「?咲は知ってるの?」

咲「もちろん。スカっていうのはね、健康法なんだよ」

照「健康法?」

咲「そう!」

エイスリン「ワオ!」

久・智紀「…………」

咲「だから、今度2人で一緒にしようね。私、そっち系は無理なんだけど、お姉ちゃんのならきっと大丈夫だと思うから//」ポ

照「うん……?わかっ……た?」??

咲「ほ、本当!?やった!」
349 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:35:49.71 ID:8MnlR9I2o

照「…………」

照(普通、気絶前に健康法のことを言う?なんか違うような気がする……久たちは知ってるのかな?)チラ

久「!」ビク

照「………………」ジィー

久「………………」フィッ

照「……なんで目をそらすの」ススッ

久「ち、近いから……」

照「……もしかして、スカが健康法だって言うのは間違いなの?」ヒソヒソ

久「…………完全に間違ってるわけではない……ような気がしないでもないんだけど」

照「……じゃあなに?」

久「…………スカっていうのは……」ヒソヒソ...

エイスリン「???」

照「うん…………うん………………ええっ!!!?」

咲(どうしよう……色々グッズを揃えないと……お姉ちゃんの風呂桶はピンクにして、私は…)

照「…………咲」

咲「あ、お姉ちゃん?なぁに?紫の方がいい?」

照「紫が何かはわからないけど……それよりも……」

咲「?うん……」

照「……健康法じゃないんだってね」

咲「!?」

咲(ど、どうして!?一体誰がお姉ちゃんに…)チラ!

久「!…………」コクリ

咲「!!ぶ、部長……なんで知って……まさか、そっち系も完備してるんですか……?」エェー..

久「ち、違うわよ。その……たまたまネットで見て……」

咲(うぅ……情報社会のバカ!せっかくお姉ちゃんといけないことができるチャンスだったのに……)
350 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:36:55.81 ID:8MnlR9I2o

照「…………」ジィーッ

咲「!…………」

照「…………」

咲「…………」

照「…………」

咲「…………お姉ちゃん」

照「なに」

咲「この戦い、絶対負けられないね」

照「話題をそらそうとしてもだめ」

咲「ああっ!!」

照(まったく……もし健康法だって信じたままだったらどうなったことか……)

照(世間話とかで『スカがいいらしいよ』なんて言った日にはどんな呼び名が付けられるのか……想像しただけで怖い)ブルッ

咲「うぅぅ……」

照「咲、また嘘ついた……」

咲「!」

照「咲は絶対閻魔大王行き」

咲「ぁあぁっ!」

照「2泊決定」

咲「うぅ……2泊で許してくれるのは優しいけど……ねぇ、お姉ちゃんも一緒に来てよぉ」

照「だめ」

咲「!」

照「私は引き続き天国に行く」

咲「一貫性のあるお姉ちゃんかわいい……けど地獄は寂しい……お姉ちゃんと一緒がいい……」
351 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:37:32.21 ID:8MnlR9I2o

照「…………」

咲「」シュン

照「……短時間だけ面会が可能」

咲「や、やったぁ!人情味のあるお姉ちゃんかわいい!」

照「//」プイッ

エイスリン「ネエ!」

照「?エイスリンさん……?」

エイスリン「スカッテナニ!?」

照・咲・久・智紀「!!!」

エイスリン「オシエテ!」

照「そ、それは……」

久「無理よ……」

智紀「…………」コクコク

咲「?」

照「だって……エイスリンさんは……そういうのしないし」

咲「……どういうこと?」

照「エイスリンさんの場合……老廃物はくしゃみと汗で出ると思うから」

久「言えてるわね」ウンウン

咲「逆に気持ち悪いよ…」

エイスリン「??」

咲(……みんなデレデレしちゃって……だったら私が教えてあげよう)

咲「あのですね、エイスリンさん。スカっていうのは、老廃物のド塊を醜悪な門から…」

エイスリン「ローハイ……ニーハイノナカマ?」フムフム

咲「あ、違くって…老廃物っていうのは……うーんと、なんて説明すればいいかな……そうそう、体にいらない物を…」

エイスリン「イラハイ?パチパラ?サクラコ?」

咲「そうじゃなくて……ええと…」
352 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:38:20.07 ID:8MnlR9I2o

純代《……知りたいなら……私が教えてあげようか?》

咲・エイスリン「!!」

純代《………あなたたちのやりとりを眺めながら妄想してるのも楽しかったけど……これ以上待つのもなんだしね》

咲(そうだ……勝負中だったんだ……忘れてたよ)チラ

照(……………うっかりしてた……でも、最初から気付いてたという感じに振る舞おう)キリッ!

咲(はぅっ!『うっかりしてた……でも、最初から気付いてたという感じに振る舞おう』とか考えてそうなお姉ちゃんかわいい!)

エイスリン「オシエテクレル?」

純代《はい。今、見せます……》

キィィン..

『帰国中の機内でCA全員が脱糞!総重量が増え、高度が少し下がる!』

エイスリン「!!!!」

純代《これがスカですよ》

エイスリン(ナニコレ!?ウゥ……)

純代《隅々まで堪能してくださいね》

エイスリン(……モラシタCAサンタチ……キスシテテ……ユリダケド……)

百合以上に、目の前で繰り広げられる惨劇がエイスリンの魂を削る。

お尻のANAからあふれ出る悪魔。そのビジュアルに加え、強烈な匂いが鼻孔を襲う。

純代の妄想は、現実と妄想の区別がつけられないほど鮮明なため、匂いまでも正確に表現するのだ。
353 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:38:53.18 ID:8MnlR9I2o

エイスリン「ッッ!!ナンテコウケイ……ワスレラレナイ……ナツ、ニ……ナル…………ウゥ」

持っていたイラストボードが滑り落ちる。初スカのインパクトにより、体力も握力も奪われてしまった。

そして、ゆらりと体が揺れて、傾く。

トシ「危ないんだよ!」ガシッ!

倒れる直前、トシがエイスリンを抱き留める。その瞬間、関節の音がパキッと小さく鳴ったが、トシは気にせず、エイスリンを受け止められたことに安堵した。

エイスリン「ウウーン……」

トシ「間一髪だったね」フフ

照「よかった……」ホッ

トシ「……エイスリンは私が介抱するから、あんたらは深堀さんを……」チラ

久「……はい、ありがとうございます」

トシ「頑張るんだよ……」

照「はい」

照(…………今、パキッって鳴った)

久(関節の音が聞こえたけど……やっぱり年齢のアレかしら……)

智紀(年をとるとあれだけのことで音が……)

咲(明日になったらあの箇所が痛むのかな…?)

それぞれが関節の音に対して2秒ほど考えたのち、戦闘態勢に入る。
354 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:39:39.60 ID:8MnlR9I2o

純代「…………」

照(でも……どう攻めたらいいんだろう……スカなんて見せられたら私……)ゾワッ

咲「……私からいくよ」スッ

照「咲?」

咲「……大丈夫だよお姉ちゃん。私なら平気」

照「だけど……」

咲「…………うん。スカは守備範囲外だけど……お姉ちゃんのう○ちだと思い込めばきっと耐えられる」

照「…………………………そう」

咲「もちろん、おしっこもね」ニコリ

照「……………………」

久「咲……」

智紀「…………」

咲「いってきます」テクテク

純代「………………」

咲《私が相手をします》

純代《そうですか……では、早速!》

キィィン..

『好きな人の汚物を見たい衝動に駆られた女生徒と、衆人環視で排泄をする事に快感を覚える女教師!!』

咲「くっ……!」

照(咲!)

咲「だ、いじょうぶ……っ!女教師はお姉ちゃん……!女生徒は留年した私っ!!」

純代「!」

咲(こうやって……設定とか時代背景さえなんとかすれば……全部お姉ちゃんでいける!耐えられるよ!)ググッ..

純代《なるほど……耐性持ちか》

咲《ふふっ……一緒の家に住んでた時は、同じ便器を使ってた……となれば、色々と考えることはありましたから》クス

純代《ふむ……すべて姉と想像することで耐える……ですか。それなら、少し趣向を変えましょうか》

咲「え……?」

純代《この場合、どう凌ぎますか?》
355 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:40:22.22 ID:8MnlR9I2o

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

【聖・小田急学園(女子高)】

生田「はぁ………」

登戸「どうしたの?ため息なんてついて」

生田「…………それが……嫌な話を聞いてしまって………」

登戸「嫌な話………?」

生田「そう……………百合ヶ丘先輩がさ、すっごく落ち込んでて」

登戸「あの百合ヶ丘先輩が?」

生田「うん。新百合ヶ丘さんと付き合ったばっかりなのに、全然会えないって」

登戸「…………」

生田「部活(快速急行)とか、家の手伝い(急行)とか、アルバイト(多摩急行)だって言って断られてばっかりだって」

登戸「そうなんだ………」

生田「………それだけなら百合ヶ丘先輩も大変ですね、ですむんだけど………」

登戸「え?」

生田「………新百合ヶ丘さんが読売ランド前先輩と会ってたのを見ちゃった、って………」

登戸「………え」

生田「それで百合ヶ丘先輩が、読売ランド前先輩を問い詰めたら本当のことだったらしくて………」

登戸「………うん」

生田「それを聞いて百合ヶ丘先輩、すごく動揺したらしくて、読売ランド前先輩に結構きつめに文句を言っちゃったらしいんだ」

登戸「………でも、読売ランド前先輩って百合ヶ丘先輩のこと………」

生田「…………うん。それで読売ランド前先輩、泣いて飛び出していって………」

登戸「……………」
356 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:40:54.86 ID:8MnlR9I2o

生田「和泉多摩川先輩も、狛江先輩も追いかけたみたいだけど、見つからなくて…………」

登戸「せ、世田谷代田先輩は?」

生田「その日も休んでたみたい………」

登戸「…………そう」

生田「その話を聞いて豪徳寺先輩が動いたっていうし………一体どうなるんだろ………?」

登戸「………うん」

生田「女の子同士で付き合うのって………やっぱり大変なのかな?」

登戸「………ううん、女の子同士よりなにより………付き合う……ってこと自体が大変なんだと思う」

生田「…………」

登戸「すごく幸せであればあるほど不安も付きまとう………好きだからこそ許せなくなる……」

生田「…………そっか」

登戸「でも………それでも私は……」(生田の手を握る)

生田「あっ……」

登戸「生田と一緒にいたい」

生田「登戸……」

登戸「生田と一緒に映画を見たい、ご飯を食べたい、遊びに行きたい、笑ったり、泣いたりしたい!」

生田「……うん。私も同じ気持ちだよ」

登戸「生田………」

生田「…………」

登戸「…………」

チュッ..

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
357 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:41:28.57 ID:8MnlR9I2o

咲《………………………》

咲(こ、これは、一体なんなの!?擬人化!?)

純代《この場合、お姉さんは生田?登戸?それとも線路ですか?》

咲(え?え?意味がわからない………私の知ってる百合とは違う!!)

純代《愛し合うのは人間だけじゃない………百合はどこにでもある。電車も線路も百合……ううん、それだけじゃない。路線図も、非常停止ボタンも……白線も売店も百合……》

咲《お姉ちゃんは…………線路?違う……お姉ちゃんは…………うぅ……》

純代《どうして悩む?路線図と売店は姉妹でもいいのでは?》

咲《そんなこと…………り、理解できないよ………うぅぅう》グラッ..

咲が照へ抱く、尋常ではないレベルの愛をもってしても、照を路線図や売店とは思えなかった。

それは当然だろう。普通は自分の姉を売店へ逆擬人化する機会などないのだから。

咲《ごめん、お姉ちゃん………》バタッ..

照《咲!》タタッ!

純代《これで残りは4人……》チラ

トシ「…………」

智紀「…………」

照「…………」(気を失った咲を抱きかかえている)

久「…………っ」

久(四天王が2人も……この子、強すぎるわ……一体どうしたら……)ビクビク

純代《……あなたには受けが似合いそうだ》

久《え?何を言って……》

キィィン..
358 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:42:01.73 ID:8MnlR9I2o

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

優希「部長………覚悟するじょ!!」サワ..

和「部長、どうされたんですか?………いつもの余裕はどこに?」クス

まこ「ふふふ、楽しみじゃな」サワサワ

咲「部長……敏感でかわいい……」ツンツン

和「朝までたっぷり、愛してあげますから……――――」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


久《!!》ハッ!

久(い、今のは!?まるで自分が体験したかのような……)

久(あんな……みんなに体を触られるなんて……///)ドキドキ

純代《快感責めを気に入ってくれたみたいですね》

久《ぇ、べ、別にそういうわけじゃ……》

純代《次はもっと長く………快感に浸らせてあげます………》ピキィィン..

久《!?》
359 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:42:39.36 ID:8MnlR9I2o

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

優希「部長………私、部長とエッチしたいじょ」

和「わ、私も………いつも部長と…………することばかり考えてる、エッチな女の子なんです////」モジ

咲「あ、あの!私も……色々したいことがあって……///」

まこ「わしは……ずっと部長のことが好きじゃった……」

優希・和・咲・まこ「部長……」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


『その後、朝まで全員と愛し合う竹井久―――』

久《うあ………ああ》クラリ..

純代によって叩き込まれた妄想内で愛撫を受け続ける久。

普段は自分から動き、周りを引っ張っていく立場だ。

それなのに複数人に押さえつけられ、どうあがいても逃げられない状況で撫でられ、キスされ、愛される……。

そんな非現実的な出来事が、純代によって現実味を持って体感させられる。

久(学生議会長の私が……こんな……乱れちゃうなんて……///)

久(………………でも……///)

久(気持ち……いい……///)フラ...バタッ..

次第に表情が緩んでいく。快楽を享受し、思考を手放す。

竹井久、部員たちの攻めよって悦楽に浸り、脱落である。
360 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:43:39.19 ID:8MnlR9I2o

照「久……!」

照(…………私、何をやってるんだろう……震えて動けなくて……塞、エイスリンちゃん、咲がやられて……久までも……)

咲「う……うぅ……」

照「!咲……」

咲「……うぁ……ぁ……」

照(うなされてる……悪い夢でも見てるのかもしれない。私が最初から戦えていれば、こんなことにならなかったかもしれないのに……!)

咲「おね……ぇちゃん……」

照(……ううん、今からでも、戦うんだ……咲の仇を討つ……っ!)グッ

照「……咲、待っててね」

照(勝てるかはわからないけど、全力で戦うから!)テク..テク..

咲「ぅぅ……お願い……意地悪…しないで……腋チラを……見せ……て…」ウーンウーン..

純代《……次の相手は…………ん?》

照「…………」

純代《……なるほど。やる気になったわけですか》

照「…………」コクリ

純代《では………宮永さん、あなたを…………っ!?》

ゴオオッ..

智紀「………………」ザッ..

純代「………………」
361 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:44:21.59 ID:8MnlR9I2o

照「沢村さん……」

智紀《宮永さん……私に譲ってもらえますか》

照《……》

智紀《深堀さんを相手に受け身はまずいです。こちらから仕掛けないといけない。でも何が有効かはわからない》

照「…………」コクリ

智紀《なので宮永さんを含めた範囲のプライベート回線で攻めながら探ります。弱点がわかったら宮永さんも加わってください》

照《わかった》

智紀《では……》

智紀は気合を入れるため、眼鏡をクイッと持ち上げる。これは拳銃でいう撃鉄を起こすと同義。

そして、眼鏡をキラッと光らせる。これは引き金を引くのと同義。

あとは己の妄想をぶつけるのみ。

純代《…………》

智紀(深堀さんの絶望は何かわからない…………けど)

智紀(…………今までそうしてきたように…………自分の直感を信じて……いく!)

智紀《……風越女子高校麻雀部には、素晴らしい人がいる》

純代「!」

智紀《その人の名は福路美穂子………彼女はみんなから愛されていた》

純代《………っ!》

智紀の先制攻撃に対し、すかさず反撃をする純代。

ピキィィン..
362 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:44:52.24 ID:8MnlR9I2o

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

透華「智紀………愛してますわ」

一「ともきー………ボクが愛称で呼ぶのはともきーだけなんだよ?ボクの愛に気付いてよ」

純「な、なあ………髪、触っていいか?その……キレイだからよ……////」

衣「ころももおっぱい大きくなりたいぞ!大きくしてくれ!」

透華「わたくしが許可しますわ…………わたくしの体を………愛でなさい////」

一「ボク………おっぱい小さいから触っても楽しくないかもしれないけど………手先は器用なんだ………こんな風にね」ウニョウニョ

純「あ、あんまり知識ねえけどよ………が、頑張るから…………その………な////」

衣「なんかお股がムズムズするぞ〜…………んんぅ〜」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


智紀(くっ………これは、きつい。あまりにもリアルすぎる……///)

智紀(でも……まだまだ……っ)

智紀《…………誰にでも優しい美穂子は、みんなの憧れだった》

純代「…………っ」チッ

照(!舌打ち………?)

照(沢村さんのストーリーはまだ序盤……なのに苛立つということは……?)

智紀(これは……当たり?深堀さんの絶望は……)

智紀《……そんな彼女にはたった1つ、弱点があった》

純代《次……》ピキィン
363 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:45:20.82 ID:8MnlR9I2o

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

久「さ、沢村さん……」

久「………誰にでもこんなことすると思わないでね………ぁむ」(スカートを口でくわえる)

久「ん……/////」(そのまま持ち上げる)

久「めえ(ねえ)………はあって(触って)………あわんえいない(我慢できない)////」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


智紀《くっ……》

久の痴態からの誘惑にも耐える智紀。その精神力はさすがだ。

しかし、眼鏡が曇りだした。これは少し押され気味の合図。

智紀(ここで引いたら絶対だめ……っ!まだまだ……攻める!)

智紀《…彼女の弱点………それは機械音痴だということ………》

純代《っ!》ピキィ!
364 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:45:55.76 ID:8MnlR9I2o

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

久「さ、沢村さんっ!私………あなたにお願いがあるの!!」

久「………私ね………ずっと昔から、ある願望があるの………」

久「…………………」

久「…………………あのね………」

久「私………きっと変態なの……」

久「好きな女の子に…………おしっこをかけてもらいたいの………」

久「…………ごめんなさい………でも、どうしてもかけてほしいの!!」

久「だから………沢村さん………」

久「普段の私に…………すました顔で学生議会長やってる私に………あなたのおしっこをかけて!!」

久「私が変態女だって!あなたが証明して!!―――」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


智紀(ち、違う!竹井さんはこんな変態じゃない……)チラ

久「………………」(倒れたまま)

智紀(……そう……竹井さんはあんなこと……)

『あなたのおしっこをかけて!!』

智紀「…………」ゴクリ

眼鏡がさらに曇った。これは興奮しているサイン。

智紀(竹井さん……学生議会長としてしっかりするよう心掛けている分、タガが外れるとド変態になる……とか……ありえない話じゃない……)

智紀の思考が純代の妄想に引っ張られていく。

智紀(そう……黒タイツも……おしっこを吸収させるために履いてるとか?『他人のおしっこがしみ込んだタイツを身に纏う惨めな自分』を実感して気持ちよくなりたい被虐嗜好からなのかも……?)

今まさに、純代の妄想と智紀の現実が入れ替わろうとしている。

智紀(じゃあ竹井さんは……おしっこをかけられたいと思って……?)

智紀(っ!違う……竹井さんは……うぅ……頭が……)

純代《はぁっ!》ピキィ..ン..
365 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:46:50.03 ID:8MnlR9I2o

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

久「変態でごめんね?でももう我慢できないの……」

久「……下、脱がすわね?」

久「大丈夫……いつまでだって待つから……いっぱい……かけてね?」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


智紀「ぁ……ぐぅ……」

智紀《……げ、んかい……が近い……でも、まだ……最後まで……》

純代《とどめ……!竹井さんでスカ妄想を…》

智紀「わあああああ!!」

純代「!?」

智紀「……ぅ……」ガクッ

今まで純代の猛攻を耐え続けた智紀も、ここでダウン。

これは、限界を迎えたというよりも、純代に妄想される前に自ら意識を手放した形だ。

純代による久のスカ妄想……。それは絶望を操る智紀にとっても、耐えがたいものだったのだろう。

純代《…………妙なタイミング……とはいえ、勝ちは勝ち》

照「…………」

照(沢村さん……ありがとう。おかげで作戦が決まった)

照(深堀さんは……風越女子のキャプテン、福路さんで妄想されるのを嫌がってた)

照(となれば……福路さん1本で攻める!)

純代《あと2人……》

照(……風越女子のデータは頭に入ってる。個人戦の時の妄想用に情報を集めたから)

照(でも…………どういう風に妄想をぶつけよう?適当なことを言っても深堀さんには通用しない)

トシ《私が時間を稼ぐ》ザッ!

照《!?熊倉、さん……?》

トシ《そう、熊倉さ》ニコッ
366 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:47:24.26 ID:8MnlR9I2o

純代「!…………」

トシ《もはや、あの子に勝てる可能性があるのはあんたしかいない……だから、私があの子と戦っている間に、しっかり妄想を練るんだよ?》

照《…………はい、ありがとうございます》

トシ《ん》

純代「…………」

トシ《……さて、勝負といこうか》

純代《…………わかりました》

宣戦布告と同時に、トシが前傾姿勢をとる。あえて腰を痛めやすい体勢をとることで、自分を追い込み、背水の陣を敷いたのだろう。

トシの石のような強い意志をひしひしと感じる。

トシ《老婆による幼女妄想……年齢の落差はFUJIYAMA並さ》

塞が負けたことでトシの幼女趣味はリセットされたが、すでに体に染みつき得意分野となっていた幼女妄想で攻めたてる。

純代《………………》

トシ《……花沢さんはカツオに会いにいくうち、ワカメのことが気になり…》

照(熊倉さんが時間を稼いでくれてるうちに……福路さんの妄想内容を練ろう……)ウーン

照(福路さんと言えば……機械音痴、清楚、後輩に慕われてる、麻雀が強い、優しい、微笑み、右目、掃除、洗濯、部内ランキングの記憶力…)

照(これらのデータを基に、どんなストーリーを組み立てるか……)

トシ《宮永さん》

照《?はい》

トシ《もう負けたよ》

照「え?」

照が視線を向けると、横になっているトシの姿があった。

トシ《瞬殺とはこういうことを言うんだよ》

照「…………」
367 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:47:56.42 ID:8MnlR9I2o

トシ《私が今後おしめ生活になった時、おしめを交換してくれる教え子が何人いるか……そんな風に考えさせられてね……心が折れた》フッ

照《そうですか……お大事に……》

トシ《……すまないねぇ……時間稼ぎができなくて……》

照《いえ、そんなことないです》

照(うん……その気持ちだけでもありがたい)

純代《……残るは、あなた1人ですね》ズシン

照《…………そうだね》

照(私が負けたら全滅……)チラ

咲「…………」ウーン..ウーン..ヘソチラ..プリーズ..

照(咲……深堀さんを倒して、すぐに悪夢から目覚めさせてあげるね)ゴオォオオォッ..

純代《!》

純代は足を止めた。照の心の奥底から発せられる気迫に一瞬押されたためだ。

その隙を照は見逃さない。

照《機械音痴の美穂子!それを利用しようとする者がいた……!》

純代「……!」チッ

つい先ほどまで震えていた人間とは思えないほどの迫力から繰り出される先制攻撃を受け、舌打ちする純代。

照「っ……!!」

純代《ふんっ!》

返す刀で追撃を狙う照より早く、反撃の妄想を繰り出す。

ピキィィン..
368 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:48:51.56 ID:8MnlR9I2o

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

菫「照………見てくれ………もうこんなに濡れてしまった///」

尭深「菫先輩だけじゃないです……///」ハラッ..

誠子「みんな………宮永先輩が悪いんですよ///」ギシッ..

淡「テルが好きだから…エッチな気分になっちゃうんだよぉ……///」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


照「ぅ……っ!」

チームメイトに迫られる誘惑攻撃。妄想が脳内に染み渡り、興奮を誘う。

照《み……美穂子の機械音痴を利用しようとしていた人物は未春………彼女は美穂子にある物を渡した》

しかし一瞬怯んだものの、照は引かない。さらに攻める。

照《それはピンクローター。受け取った美穂子は、どういう物かもわからない》

純代《ふん!》ピキィィン..
369 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:49:31.22 ID:8MnlR9I2o

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

淡「いつもテルが私を見る目………ゾクゾクする……////」

尭深「はしたない女の子だって………軽蔑しますよね……でも私は……それでも先輩と……///」スリスリ..

誠子「先輩のお尻………こうして触りたかっただけの話……」ナデ..

菫「みんなお前が好きなんだ。だから………朝までずっと愛し合おう……ちゅ……」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


照《っく……》

純代《…………》

照《……未春は美穂子に説明する。『これは健康グッズで、毎日股間に当てて振動させることで、代謝が良くなって健康になるんです』………と》

純代《!》

純代が照の打たれ強さに驚く。表情から余裕が消えている。

純代(これも耐えるなら……こうだ!)ピキィン!
370 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:50:05.37 ID:8MnlR9I2o

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

咲「お姉ちゃん………」

咲「私…………お姉ちゃんが好き……」

咲「………キスしよう?」

咲「…………」チュッ..

咲「んっ…………ちゅぱ………ん……れろ……」チュプ..ン..チュ..

咲「………姉妹で………キス………しちゃったね///」

咲「どうせしちゃったんなら………もっと………しよ?」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


純代《これなら……》

照《…未春を信じ、言われた通りにする美穂子。完全に信じているのをいいことに『たまには他者に確認してもらう必要がある』と嘘をつき、目の前で自慰をさせたりもした》

純代《っ!ぐぅうううう!!》

純代(家族攻めも耐えるなら……今度はっ!)ピキィィ
371 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:51:28.11 ID:8MnlR9I2o

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

久「ほら………パンツ脱がしちゃった♪」

久「………綺麗なアソコね」フフ

久「まさか咲のお姉さんとこんなことになるなんてね」クス

久「………大丈夫よ。あなたはただ感じている顔を私に見せればいいの」ウフフ

久「………」チュ

久「………ふふっ、どうしたの?ビックリしちゃって……太ももじゃ嫌なの?」

久「もしかして…………違うところにキスされるのを期待した?」クス

久「ゃん♪エッチなんだから…………でも……もっと可愛い声を聞かせてくれたら……期待に応えてあげても……いいわよ?」フフッ

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


純代《………どうだ………》

照《っ……そ、それだけに飽き足らず、未春は…》

純代(!?全く効いていない…?)

純代の顔がむくみだす。それは焦りか、あるいは恐怖だろうか。

一向に勢いの衰えない照の攻撃。そして純代の妄想を凌ぎ続ける耐久力は、不気味さすら感じられる。

過去、純代と戦ってきた相手の中に強敵はいた。しかし照は違う。

純代が最初に照を見た時、大した実力者だと感じられなかった。自分を前にして震えてしまう、妄想される側の人間に過ぎない。

いや、それは今でも対して変わらないはずだ。

震えこそ止まっているが、だからといっていきなり実力が増すなどということはありえない。

では何故、照は純代の攻撃を耐えられるのか。純代には理由がわからない。それだけに、奇妙で、不気味で……顔がむくむ。
372 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:52:23.64 ID:8MnlR9I2o

照《末春は……美穂子に『ある程度回数をこなしたら、大勢の前で発表するのが当たり前なんですよ』………と告げる》

純代《や、やめろ!!》

ピキ..ッ

純代《キャプテンは……そんなこと……絶対に……》

ここにきて、純代の妄想が止まった。

圧倒的な攻撃力を持ち、どんな攻めを受けようと最後には相手を粉砕してきた。

そんな四天王最強かつ最重と言われた深堀純代が、照の妄想を受け止めるだけになっている。

照《当日、全く疑うことなく美穂子はやってきた。懐にピンクローターを忍ばせて……》

純代(や、やめてくれ………)ジリッ

見えない力に押されるように……息苦しさから逃れようとするかのように、純代は後ずさる。

照《そして、美穂子はみんなの前で宣言する………『これからみんなに見てもらいたいものがあるの』と……》ジリッ

開いた距離を埋めるように、獲物を追い詰める獣のように、一歩踏み込む。

純代(ダ、ダメ………そんなこと………絶対………)クラッ...

照《憧れの先輩の呼びかけに集まる部員たち。興味津々の部員の中に1人、邪悪な笑みの未春……》

純代(キャ………キャプテン…………くっ!)

照「!」
373 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:53:21.34 ID:8MnlR9I2o

純代《うおおおっ!!》

『白糸台OGによるう○ちの差し入れ!!』

照「!!!」ガハァ..!

ここで純代が底力を見せた。窮鼠スカを出す。

それとも、本当に強い人間は最後の最後に大きな仕事を成し遂げるということなのだろうか。

とにもかくにも、照に迫るのは今まで卒業した先輩方のう○ち……その量はとてつもなく、白糸台といいつつも、白い部分は1つもなく、真っ茶っ茶だ。

照「っ……ぁ」フラ..

照が一歩、ニ歩とたじろぐ。さきほど詰めた距離がまた開く。

いや、それどころか今の一撃で照の体力はかなり削られた。

純代《く……ここから……盛り返…す》ジリ..

逆転への決意を胸に、照の元へ歩みを進める純代。脳内では、OGのう○ちに続くスカ妄想への道が練られていく。

照「ぐ……!」

照(多分……あと1回食らったら終わる……)

純代《ぬ……ぐ……ぅ》

2人の体が揺れ、足がフラつく。両者共に限界が近い。

照(だから……とにかく……攻めるしか、ない!)

照《美穂子は、大勢の部員たちの前で……笑顔を浮かべながらスカートを脱ぎ………パンツを下ろした………》

純代「っ!!」

先に攻撃したのは照。しかし、だからといって単純に有利というわけではない。

照の攻撃は一発一発はさほどの威力ではない。柔道で言うなら『有効』や『技あり』になる類のもの。しかも妄想をいくつも積み重ねてようやく、といった感じだ。

それに引き換え、純代の攻撃は一撃が重い。まさに一本糞だ。逆転の可能性を秘めている。
374 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:54:07.73 ID:8MnlR9I2o

照《ざわめく部員………しかし美穂子は、いつも通りピンクローターのスイッチを入れる》

純代《ぅ……ぐ!》

ひたすら、妄想を続ける照。反撃できなくなるまで攻める気だろう。

照《突然の美穂子の痴態に言葉をなくす部員たち》

照《しかし、憧れの先輩の異常な行動から目を離す者はいなかった………》

照《ある者は血走った目で見つめ………ある者は太ももをこすり合わせ、ある者は写メで撮影した》

純代(……………)グラッ...

純代の巨体が揺れる。限界が近い。照の勝利が見えてきた。

しかし、照はそんな純代に目もくれず、ひたすら己の妄想を紡いでいく。

照《やがて……美穂子が達すると、未春が口を開いた………『キャプテン、欲求不満みたい……本当にキャプテンを想うなら、手伝ってあげるべきだよ』》

照《未春の言葉で、理性を保とうとしていた部員たちは……》

純代《……〜〜っおおお……!!》

照「!?」

純代《ふ…っ》

『不摂生教育実習生の超う○ち!!』

照《っあああああ!!!!》

茶色い鈍器で叩くような純代の強烈な一撃が、照の脳の横っ面を叩いた。
375 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:54:45.82 ID:8MnlR9I2o

照「が……ぁは……」

照の勝利は目前だった……しかし、やはりと言おうか、そう簡単に終わる相手ではなかった。

照「ぅ……」ガクッ

純代の妄想の中の不摂生う○ちには、激しいイメージの偏りがあり、実物より遥かにおぞましい。

そんなものを間近に見せられ、匂いを嗅がされたとあってはたまらないだろう。照はついに地面に膝をついてしまう。

純代「はぁ……はぁ……」

照「…………っ」

照を見下ろす純代にも余裕はない。しかし、その目はギラついており、今まさにとどめを刺そうという意思を感じられた。

照(くっ!)

照《部員、たちは……美穂子に迫る…っ!》

純代「っ!」

照があがく。脳内にう○ちをばら撒かれながらも、最後まで勝利を諦めない。
376 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:55:55.55 ID:8MnlR9I2o

照(もし私が負けたら……咲が悲しむ……!)

照《美穂子は……っ部員、たちに囲まれ……》

照(私が勝てば……咲は……笑ってくれる……!)

純代《う゛ぉ……ぐぁぉおぉ……》

照《愛撫を……受け続け…た…………っ!》

照は限界間近……いや、限界を超えながら妄想を繰り出していく。

その攻撃は確実に純代にダメージを与える。

純代《っが……ぁあ……》

純代の額からブワッと汗が吹き出し、床に垂れ、フラついた際に上履きとの摩擦でキュキュッと音が鳴る。

もはや純代も限界を超えつつある。

純代《P…》

しかし、怪物はまだ倒れず。そして……

『PTAのおばさんたちが……円陣を組んで脱糞!!』

照「っあああ!!!」

長年生きてきた熟女たちの集大成を円形状にしてぶつけてきた。

照「〜〜〜〜〜!!」

照が頭を抱えてもがく。脳が純代の妄想を見ることを拒絶しているからだ。ダメージは計り知れない。

そんな照の姿を見た純代は、フラつきながらも、うっすらと笑顔を浮かべる。勝利を確信したのだ。

照(――――もう、だめ…………か)

目を閉じる。痛みと悪臭と悪寒から逃れるために。

照(しょうがないよ……だって……う、う○ちとか…………反則だし……)

照(ましてやPTAなんて卑怯……負けても……仕方が…)
377 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:56:24.08 ID:8MnlR9I2o

『お……ち…』

照(?今……)

『…ね…ちゃ…』

照(この声は……咲……?)

『おねえちゃん!!』

照(幻聴………か)

『おねえちゃん!!』

照(………でも…………それでも……!)ググ..

照の目が開く。

純代「!?」

照(咲に…呼ばれたら……立ち上がらないと……)

ゆっくり、ゆっくりと照が顔を上げる。その目には強い光が灯っている。

照(だって……私は、お姉ちゃんだから!)

純代《そんな……!PTAのう○ちなのに……!》

純代が驚愕する。

何故なら、PTAとは人生の酸いも甘いも知り尽くした存在であり、食べ物でも、甘い物、つまみ、珍味、魚、豚、牛に発酵食品……様々な物を食べてきた熟女の集団。

そんな連中から発せられるスカ攻撃は、まさに一撃必殺。そう確信していた。

なのに……照は耐えた。
378 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:57:35.51 ID:8MnlR9I2o

純代《どうして……!》

照《み、美穂子は部員たちに囲まれ、触られ続けた……》

……いや、耐えただけではなく、間髪入れず攻撃を仕掛けてきた。

純代《が……っは……》

照《そ、んな美穂子の姿を見て、未春はたまらなく悲しくなると同時に……嬉しさを覚える…》

純代《あ……っぐ……》

照《『私のキャプテンが汚されていく……』そう感じながらも、恍惚の表情を浮かべる美穂子に対する愛しさと、どんどんと失われていく、清純だった頃の美穂子の面影を想い、未春は笑顔で涙を流し、悲しみながら喜ぶのであった……》

純代《……………》

照「………………」

照(………この先のストーリーは……考えてない……もう、今の状態じゃ思い付かない……)

照(これでダメなら……今度こそ……私の負け……)

純代(………………)ギロリ..

照「!!」

照(届かなかった………?)

純代「」ユラ....ッ

照「?」

照は、自分へ向けられた純代の眼光の鋭さに、敗北を覚悟した。

しかし次の瞬間、純代の巨体が大きく揺らいだ。

戦闘中にそんな場面は何度かあったが、今回は違った。

全身から力が抜け、吸い込まれるように床へと倒れる。
379 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:58:09.25 ID:8MnlR9I2o

ズズーーーー........ン

重厚なサウンドが響き、体育館が揺れる。

にも関わらず、ホコリが舞わないということは、普段から掃除が行き届いていることの証明だろう。みんな偉い。

照「………………………」

純代「………………………」

長い沈黙。

照の脳内には未だにPTAのう○ちがこべりついていて、正確な判断が出来なかった。

しかし純代が倒れて起き上がらないこと、対して自分には意識のあるということに気付く。

照「か、勝った………の?」

照「ほ………本当に………?」

純代「………………」

照「は……はは……」

勝利を自覚した瞬間、照の全身から力が抜けた。

ゴロリと仰向けに寝転がる。

照(勝てた……信じられないけど…………私が勝ったんだ)

照(……咲、喜んで……くれるかな)

ふぅ、と一息つくと、激しい疲労感が襲ってきた。

今までは戦闘に集中していたせいで忘れていたものだ。

照(あ……なんか……眠くなってきた…………う…………ん……)

精神も肉体も休息を欲している。

照は目を閉じ、床に身を委ねるように眠りについた。
380 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:59:11.24 ID:8MnlR9I2o

?「……だ……」

?「…………と思う」

?「……ヨ!ゼッタイ!」

照(…………ぅ……)

照(なんか……声が聞こえる……)

?「こう…う時は……です」

照(この声は……咲……?それに……みんなも……)

咲「人工呼吸すればきっと…」

久「いやいや、寝てるだけだし……」

智紀「素人が人工呼吸は危険……」

咲「だ、だったら……キスだけでも……」

エイスリン「ソレナライケルヨ!」

塞「寝てる子にキスっていいわよね〜」

智紀「白雪姫……王女のキスで目を覚ます……」

久「あのシチュエーション、リアルで起こるとこんなにもイケナイことに見えるのね」

照(……いつまでも寝てられないよね…………起きよう)
381 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 02:59:38.79 ID:8MnlR9I2o

照「…………っ」ムクリ

咲「!」

久「お目覚めみたい」ニコリ

智紀「」コクリ

塞「おはよ」

エイスリン「オキタ!」

咲「お、お姉ちゃん、まだ早いよ。私、まだキスしてない……」

照「……おはよう」ニコリ

咲「へ?」

咲(な、何この笑顔……お姉ちゃんがかわいいのは当然だけど……それ以上に……なんか……///)ドキドキ..

久「おはよう。体調はどう?」

照「ん……平気」

智紀「よかった……」ホッ

エイスリン「ヨカタ!」

照(あ……深堀さんは……)チラ

純代「…………」

照(起きてる……なんか私より全然元気そう……すごい)

純代《宮永照さん、おはようございます》

照《あ、うん。おはよう》

純代《………………》

照「?」

純代《いや、やめよう……ちゃんと直接喋ります》

照「え?」
382 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:00:56.42 ID:8MnlR9I2o

純代「」コホン

純代「私の負けです。お見事でした」

照「あ……」

照(そう、だった……私、勝ったんだ……)

咲「さすがお姉ちゃん!」ワァ

智紀「お見事」

久「ほんとすごいわ。照」

エイスリン「チャンプ!」

塞「うんうん、年齢一桁だったら好きになってたかも」クス

照「ありがとう……でも、私が勝ったというより、みんなの力で勝ったという方が正確だと思う」

咲「お姉ちゃん」

照「私の攻撃が通用したのだって沢村さんが弱点を教えてくれたからだし、妄想の土台も沢村さんが考えてくれた」

智紀「ううん、それは違う……」

照「え?」

エイスリン「ワオ!トモキモロンパ!」

智紀「へ?あ、いや、そんな意図は……」

エイスリン「チョウコウコウキュウノメガネ!」

智紀「ええと……」

エイスリン「イキキル!ササササワムラ!」

久「エイスリンちゃん。話が進まないから……ね?」
383 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:01:49.57 ID:8MnlR9I2o

エイスリン「エ……ワタシ……ジャマ?」ウルウル

久「そ、そんなわけないわ!!エイスリンちゃんがいるから地球は回るのよ!!」

エイスリン「ホント?」(人差し指を唇の下に添え、首を傾げる)

久「え、ええ、もちろんよ……えへへ……かわいい……///」

塞「いやいや、今は邪魔してるでしょ。エイスリンはしばらくお口チャックね」ガシ

エイスリン「モゴゴ…」

照「…………」

智紀「え、ええとですね。私がしたのはあくまでも土台を用意しただけです」

照「でも……」

智紀「……私では深堀さんの攻撃にはとても耐えきれない…………もし、私が最後に戦っていても勝てなかったと思います」

照「…………」

智紀「ですから、宮永さんはすごいです」

照「……ありがとう……でも」

智紀「?」

照「…………深堀さん」

純代「はい」

照「…………1つ聞きたいことがある」

純代「はい」

照「私への攻撃…………スカ一辺倒だったら、間違いなく負けてた」
384 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:02:37.42 ID:8MnlR9I2o

純代「…………」

照「なのにどうして他の攻撃をしたの?」

純代「………………」

照「………………」

純代「………………私の能力は相手に自分の妄想を見せる…」

照「…………」

純代「その妄想によって相手を制する。それが私の力です」

照「うん……」

純代「……確かにスカは破壊力がある。大体の相手はスカを放っていれば勝てます」

照「…………」コクリ

純代「でも私は……ただ相手を制するのではなく、色々な表情が見たい」

照「え…」

純代「………快感に溺れたり、とてもいやらしい気分になっている時の表情が………たまらなく好きなんです」

照(……それは……わかるかも)

純代「だから、できることなら………全員快楽責めの妄想で倒したかった」

智紀「…………」

純代「でも………当然負けるつもりはないから、相手が得体の知れない能力を使用する場合はやむを得ず、スカで対処しました」

塞「………なるほど」
385 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:03:11.86 ID:8MnlR9I2o

純代「……スカについて知りたがってる人に対しては、スカで答えた」

エイスリン「ウゥ……」

純代「宮永咲さんは自信満々の表情だったから、スカ好きかと思ってスカを贈った」

咲「あ、あはは……」

咲(……別に好きじゃないんだけど……)

純代「そうしたら案の定、耐えた。スカ耐性持ちは珍しいから、今度は違った視点の百合を見せたくなった」

咲「それで、擬人化……」

純代「……そう。これで残りは3人。後は快楽責めで大丈夫だと思った」

久「た、確かに………やられたしね////」カァ...

智紀「///」

純代「でも………宮永照さんは違った」

照「…………」

純代「どれだけ快楽責めをしても………全く効果がない。こんな相手は初めてだった」

久「ぇ……すごいのね……照」

照「………え、と」

純代「普通はよほど嫌いな相手とかでない限り、反応はあるものだけど、それすらもなかった………どうしてですか?」

照「あの………それは…………」
386 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:03:58.59 ID:8MnlR9I2o

咲「お姉ちゃん?」

塞「それは?」

智紀「私も聞きたいです。なぜ耐えられたのか……」

照「えっと………」

エイスリン「オシエテ!」

純代「……………」

照「………………………………から」

純代「はい?」

照「………………経験済みのことばっかだったから………」

純代「え?」

咲・久・智紀・エイスリン・塞「?」

照「その………あなたの快楽責めの妄想……」

純代「ええっ!!?」

咲「???」

久「???」

照「リアルで経験したことがあるからこそ、妄想を耐えられた……んだと思う」

純代「そ、そんな……」

純代「じゃ、じゃあ!白糸台の……チーム虎姫の面々に愛されたのも!?」

照「き、キスまでなら……その……あ、ある///」カァアア..

咲「!!!!!!!!」ガガガガーーーン!!

咲(そ、そんな…………お姉ちゃんが白糸台の人たちと……あんなことやこんなことを……!?)
387 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:04:32.67 ID:8MnlR9I2o

咲「うぅ……」フラッ..

エイスリン「アブナイ!ヒサ!」

久「は、はい!」ガシッ!

エイスリン「ウケトメタ!ヒサエライ!」

久「あ、ありがと///」

塞「いや、エイスリンの方が近いんだから自分で受け止めてあげなよ」

久「私ならいいのよ」エヘヘ

智紀「……デレデレしすぎです」

久「?なんか言った?」

智紀「いえ、別に……」

純代「……じ、じゃあ!し、姉妹でキスしたことも!!?」

照「…………き、昨日……ね///」

純代「た、竹井さんに……太ももチュッチュされたことも!!!?」

久「!?」

照「そ、それも昨日………された………///」

久「〜〜〜////」マッカッカ!

照(どっちも、エイスリンさんに操られてのことだけど……)
388 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:05:19.55 ID:8MnlR9I2o

純代「…………………」ポカーーーン...

照「…………////」

純代「は………はは………まさかあんな妄想を現実で味わってる人がいるとは………」ハハ...

照「い、いつもじゃないから!!」

純代「どうりで堪えないはずだ……経験してるなら効果が薄いのも当然か」

照「う……///」

純代「……最後の最後……なりふり構わず使ったスカ攻撃にも耐えたし……お見事です」

照「ん……」

照(そういえば……どうして耐えられたんだろう……私、スカ系は全然読んだことないのに……)

照(……ただただ夢中だったから、かな?)

純代「………………」

純代「……こんなスッキリした気分は久しぶりです」

照「…………」

純代「いつもは……現実と妄想が混ざり合ったような、そんな状態でしたから……」

照「そう……」

純代「………弱点も見透かされたし………完敗ですよ………はは…」

智紀「……………」
389 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:06:25.46 ID:8MnlR9I2o

純代「…沢村さん。私の弱点、どうしてわかったか聞いていいですか?」

智紀「………うん」

純代「…………」

智紀「基本的に、相手の絶望するポイントを探るのは直感が一番で、二番が相手の妄想内容から推測、次に周りの環境というのがセオリー」

純代「…………」

智紀「今回の場合は、直感で引っかかった。多分、インハイの地区予選の時の深堀さんたちの姿がどこかで記憶に残っていたからだと思う」

純代「…………」

智紀「福路さんを中心としたチーム……誰もが憧れ、慕い、この人のために頑張ろうという想いの集合体……私は風越女子に対して、そんな感想を持ったのを覚えてる」

純代「なるほど……」フフ

智紀「………これは私の勝手な推測だけど………あなたは福路さんに対し、尊敬を超えた感情……言い過ぎかもしれないけど、神格化すらしているのかもしれないと感じた」

純代「あ………」

智紀「………あくまで、直感からの推測だから、全くの的外れかもしれないけど……」

純代「…………ふふ…………当たってるよ」

智紀「……………」

純代「キャプテンは………私にない物をたくさん持ってるから………優しさも、女性らしさも、容姿も、麻雀の腕も、全部………」

照「…………」

純代「だからキャプテンで妄想したことは一度もない。そんなこと恐れ多くてできないから……」

智紀「…………」
390 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:07:30.92 ID:8MnlR9I2o

純代「……その想いは私にとって一番誇るべきもので…………同時に一番の弱点……」

智紀「すごい………」

純代「え?」

智紀「あなたほどの百合妄想士に、百合妄想させないほど慕われてるキャプテンさんがすごいと思って……」

純代「そんなこと……」

照「私もすごいと思う」

純代「…………ありがとうございます。自分が褒められるより嬉しいです」フフ

智紀「…………」フフ

純代「…………あぁ……久しぶりに喋ったら……疲れました」クス

塞「そ、そんなに喋らなかったの?」

純代「はい。ずっと妄想の中にいましたから」アハハ

智紀「すごい……その気持ちはわかるけど」

純代「初めての敗北……正直、悔しいですけど………いい経験になりました。ありがとうございました」スッ(手を差し出す)

照「あ………こちらこそ。ありがとう」

握手を交わす両者。とても清々しい光景だ。

自分を負かした相手である照を見つめる純代の表情は、どこかすっきりとしており、むくみも元に戻っている。

照もまた、初めて得た勝利の余韻によって、本人も気づかない程度に表情を小さく輝かせている。
391 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:09:04.28 ID:8MnlR9I2o

純代「……いつかまた会える日が楽しみです」

照「私も」

久「いつかまたなんて言わずに、このあと、私たちと一緒に行かない?」

純代「え?」

照「?」

久「これからご飯食べに行く話になってさ」

照「でも、さっき食べたばかり……」

久「あれ?気付いてなかった?結構な時間経ってるわよ?」

照「え…………あ、本当だ」

照(私、長い間寝てたんだ……みんなを待たせて、悪いことしちゃった)

純代「でも……いいんですか?」

久「もっちろん」ニコリ

純代「じゃ、じゃあ…………ご一緒させてください」

久「ええ。ちなみに、深堀さんは何が食べたい?」

純代「え、えと…………」

照(迷ってる……というより、こんな風にみんなとご飯食べる機会がなかったから焦ってる、のかな?)

純代「あの…………焼き鳥で」

久「オッケー。それじゃあ……」

塞「うん、支払い担当の先生を起こすね」

トシ「ZZZ……とはね……」

こうして、四天王との戦いは幕を閉じた。

このあとの食事で、予想通りの食欲を発揮した純代がトシの財布に大ダメージを与えたのだが、それもまたいい思い出として、みんなの記憶に刻まれるだろう。

今回の戦いを通じて、絆を深めた者、新たな絆を得た者……それぞれがそれぞれの想いを胸に、帰路へと着いたのだった。
392 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:09:30.94 ID:8MnlR9I2o

そして数週間後―――

【東京 白糸台高校 部室】

淡「ロン!18000!」

誠子「うぅ……!」

淡「見て見てテル!ハネ満和了ったよ!」ニコー!

照「うん、すごい」

淡「えへへー」

菫「まだ試合中だろう。集中するんだ」

淡「はーい♪」

ヴヴヴヴ..

照(!電話……)

照「ごめん、ちょっと出てくる」

菫「ん……ああ、わかった」

照「…………」ガチャ バタン

菫「………………」
393 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:10:25.99 ID:8MnlR9I2o

【廊下】

照「……はい、もしもし」

貴子『あ、もしもし。宮永ァァッ。今、電話大丈夫か?』

照「はい」

貴子『そうか。その……実は相談があってな』

照「?私に……ですか?」

貴子『ああァァッ!』ビビビ!

照「っ……!あの、声大きいです」

貴子『っと、すまんな』

照「それで……相談と言うのは?」

貴子『実はな、数日前に散歩をしててな。たまたま顔見知りの運送会社の女性ドライバーの人に会ったんだ』

照「はい」

貴子『で、挨拶をしたんだが、どうも態度がおかしくてな』

照「?」

貴子『冷めた目で見てくるというか……正直な話、1人のドライバーからはそういう態度をとられる原因は思い当たるんだが、そいつはまた別のドライバーなんだ』

照「はぁ」

貴子『今までは挨拶を交わした後、ほんの少しだが世間話でもして……という感じだったんだが……』

照「その日は違ったと」

貴子『ああァァッ!!』ビビビ!

照「っ……!」キーン..
394 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:11:30.01 ID:8MnlR9I2o

貴子『世間話をしようとしたら……一緒に話してて配達友達に噂されると恥ずかしいし、配達に戻りますね…………とか言ってな』

照「…………」

貴子『解せねぇ!と思ったから、他のドライバーの胸ぐらを掴んで話を聞いてみたんだ……そうしたらある事実が判明した』

照「……それはなんですか?」

貴子『…どうやら最近、配達ドライバーの間で久保貴子は百合エロゲーマーだという噂が流れてるらしい……』

照「…………えと……何故でしょう?」

貴子『その、な……少し前に、オークションでエロゲを落札したんだが、出品者のクソ野郎が荷物の商品名にエロゲのタイトルを馬鹿正直に書きやがってな……』

照「あぁ……それが思い当たる原因ですか。大変ですね」

貴子『本当だぜ全く』

照「…ちなみにそのゲーム、どんなタイトルなんですか?」

貴子『そ、それは…………しょ、処女宮だよ馬鹿野郎……///』

照「……懐かしい」

貴子『な、なんだ?どうしたんだ』

照「いえ……そのゲーム、父がリビングでプレイしてたことがあったので……」

貴子『な!なんだとァァッ!!?』

照「妹と一緒に、3人で正しい選択肢を考えたりしてました」

貴子『宮永てめェ!とんでも幼少期じゃねぇかよ……ッ!』

照「そうですか……?」フーム
395 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:12:46.88 ID:8MnlR9I2o

貴子『深堀に勝てた理由が少しわかる気がするぜ……英才教育ってやつか……』

照「それはどうでしょうか?」

貴子『まぁいい……で、だ。どうすればその噂を消せると思う?』

照「…………多分ですけど、その女性ドライバーは久保さんが好きです」

貴子『な、なんだとォァッッ!!』

照「久保さんがゲームのヒロインに心奪われてることに嫉妬して、自分で噂を流したのではないかと思います」

貴子『……本当か?怪しいぞこの野郎……』

照「大丈夫です」キッパリ

貴子『……まぁ、宮永ァァッ!が言うなら……まんざら間違いでもねェか?』

照「はい」

貴子『………よし、わかった。いきなり電話して悪かったな。助かったぜ』

照「いえ……四天王の件とか、色々お世話になりましたのでこのくらいは全然……」

貴子『はっ!健気じゃねェか……それじゃ切るぜ。ありがとうなァァッ!!!!』

照「あ、はい」
396 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:13:38.65 ID:8MnlR9I2o

ピッ..ァァッ!

ツーッ..ツーッ..

照「……………」

照(確かに……変な呼び名で噂されるのは気になるよね……その気持ち、よくわかる)

照「……さて、そろそろ部室に……」

菫「……照」

照「?あ、菫」

菫「……誰と電話してたんだ?」

照「あー……その……知り合い」

菫「そう、か……知り合いか」

照「うん」

菫「…………」

照「?どうかした?」

菫「ぁ……いや、なんでもない。部室に戻るのか?」

照「うん」テクテク

菫「……照」

照「何?」

菫「……悪いな。引退したというのに、指導を手伝ってもらって」

照「それを言うなら菫もでしょ」

菫「……それもそうか……」

照「うん」テクテク

菫「…………」

菫「…………誰なんだよ……電話の相手は………」

菫「私の照に……近付くなんて……」ブツブツ..

菫「照も照だ。私を裏切るつも。りか?いや、私、の愛が足りない、んだよ……はは、原因があ、るじゃないか。なら簡…単だ照の好、きな料理を作れば喜、んでく…………れるそうなれ、ば私への愛を…ハハハ!思い出す……」ブツブツブツ..
397 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:14:24.84 ID:8MnlR9I2o

その日の夜

【白糸台の寮 照と菫の部屋】

照「すー……すー……」(寝ている)

カタ..カタ..

照「ん……」

照(なんか物音が……菫がトイレに行ってるのかな)

フフフ...アハハ..

照(笑い声……電話してる?いや、電話をする時はいつも部屋を出るはず。時間も時間だし……一体何をしてるのかな?)パチリ

菫「はは……確、かにな」

照(?床に座って喋ってる……けど、携帯を持ってない……ん?菫の前に置いてあるのはなんだろう?)ジィー

照(あれは…………ぬいぐるみ、かな?暗くてよく見えないけど…………うーん、あんなの部屋にあったかな?)

菫「そ、うだ今日。はサプライズプ、レ、ゼントがあるんだふふ……ふ」

照(……人形相手に会話……菫にそんな趣味があったなんて………これは見なかったことにしてあげるべきだよね)スッ(目を閉じる)

菫「ほら照」

照「!」

照(起きてるのバレてた!?しまった……)パチリ

菫「お前の好きなお、菓子だぞ」フフフ

照(……あれ?こっちを見てない……)

菫「ほら口を。開けるんだははは……美味しいか?」(ぬいぐるみの口にお菓子を入れる)

照(え)ゾワ

菫「照美味しいかどうだ照。そうか……やっぱりお前は好きなんだなお菓子がこの私の買ってきた物が……」(ぬいぐるみの口に握りつぶしたお菓子をねじ込む)

菫「あぁ……ダメじゃないかこぼしたらこんなに……それともわ、たしに拭いて。?欲しいのか」クス

照(………………えっと……)ダラダラ

照(なんだろう、これ……ものすごい嫌な予感がする……)

照(…………と、とりあえず……目を閉じて考えよう。どうしてこんなことになったのか、明日からどうするかを……――――)スッ...
398 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:15:13.92 ID:8MnlR9I2o

翌朝

菫「……具合が悪い?」

照「う、うん……だから今日は学校を休む」

菫「そうか……わかった」コト(学校の鞄を置く)

照「え、菫?どうしたの?もう時間ないのに……忘れ物?」

菫「何を言っている。今日は私も休む」

照「!?」

菫「驚くことじゃないだろう?照が体調不良なのに、呑気に学校に行っていられるか」

照「あ……や……その……」

照(それはまずい。菫がいない間に昨日のぬいぐるみとか色々探るつもりなのに……どうしよう……なんて言えば……)

菫「?どうした」

照「……その……私のせいで菫が学校を休むってなると、罪悪感によってもっと体調が悪くなる」

菫「ふふ……照のせいで休むのではない。わた、しの意思で休むんだ。照が。気にすることはない」

照「あ……えと……わ、私は菫がちゃんと学校に行ってくれた方が嬉しい、な」

菫「…………」

照「…………」

菫「…………そう、か」

照「う、うん……」

菫「あはははは!!…………」(笑顔から一転、無表情になる)

照「っ!?」ビクン

菫「……そうなのかどうしてだわたしのおもいをこばむいやちがうてるはやさしさでいっているのであってすべてはわたしへのあいにつながる……はは、ははは」ブツブツブツ...

照「…………」ゾク..

菫「っ!!」バンッッ!!(自分の鞄を床に叩き付ける)

照「ひ…っ!」

菫「…………あーーーー……うあーーあーーー……」

照「す、菫……」
399 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:15:57.15 ID:8MnlR9I2o

菫「…………行ってくる」ニコリ

照「え……あ……う、うん」

菫「学校終わったら、すぐ帰ってくる」スッ(鞄を拾う)

照「…………ぃ、いってらっしゃい」

菫「あぁ……いってきます……ふふ、ははは」

照「…………」

ガチャ....バタン!!!!!

照「っ!」ビクン!

カチャッ..スタスタ..スタ...スタ....

照「………………こ、こわかった……」ドキドキ..

照(あんな菫、初めて見たよ……どうしちゃったんだろう?)

照(…………そ、そうだ。早いとこ菫の荷物をチェックしよう。こんなこと友達相手にするのはダメだけど……嫌な予感がするから……ごめん、菫)サッ

照(まずは……菫用ののクローゼットを……)ガチャ

照(……ふむ。服以外には…………)ゴソゴソ

照「あ」

照(昨日のぬいぐるみがあった)ガソッ

照「……ぅわ」

照(暗くて見えなかったけど……これ、女の子のぬいぐるみだ……)

照「ん?胸のところに字が………………!!!!!」ハッ!

『照』

照「あ……あ……ああ……」ゾクゾクゾクッ!

照(こ、このぬいぐるみ……私……?)

照(じゃあ菫は昨日、私のぬいぐるみにお菓子をあげてた……?)

照(……あ、このぬいぐるみ……膝に絆創膏が……この箇所って確か……)

照(私が体育の時に擦りむいたところだ。あ、こっちもその時の傷……)

照(………と、いうことは……このぬいぐるみ……私とわざわざ同じ状態にしてる……!?)ゾク

照(なんでそこまで…………あっ……背中……にも絆創膏が……え、ちょっと待って。ここって……)

照(こないだぶつけちゃって赤くなってたところだ……誰にも話してないのに…………どうして……?)

照「…………あ」ハッ

照(まさか…………私が寝てる時に菫が見て…………)ゾワワワッ!
400 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:16:26.17 ID:8MnlR9I2o

照「ひ……」ギュッ

照は、恐怖から思わず手に力が入り、ぬいぐるみを強く握る。すると……

ブツッ..

ぬいぐるみ『三連覇は、私たちの一大目標です!そのためにも、明後日の準決勝は負けられません』

照「ッッ!?!?」ビクゥッ!

ぬいぐるみの内部から、照の声が流れた。

ぬいぐるみ『今年も、手強いチームが多くて、試合がとても楽しみです』

照「こ、これ……」

ぬいぐるみ『一生懸命頑張ります!応援、よろしくお願い致します』

照(インハイの記者会見の時の私……?)

照「…………」ゴソゴソ

照(あ……ぬいぐるみの中に、何か入ってる……じゃあ今のって)カチッ

ぬいぐるみ『三連覇は、私たちの一大目標です!そのためにも、明後日の準決勝は負けられません』

照(テープレコーダー…………ぬいぐるみの中にこんなのまで入れて……)

照「……………………」

照(たった今、確信した……)

照(…………菫が…………病んだ……)
401 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:17:35.77 ID:8MnlR9I2o

照「……………………」

照(どうしよう!?)

照(今までは『女の子が好きすぎて病んじゃう女の子はイイ!』とか思ってたけど……ばかばか!いざとなったら怖いよ!)

照(と、とにかく……誰かに相談…………あ!)

咲『頭が良くてクール………そして感情表現が下手そうな弘世さんみたいなタイプは………………………病むよ』フッ

照(そうだ…………咲は菫のヤンデレ化を予知してた……なら、対処法も知ってるかも!咲に聞こう!)ピピピ..

プルルル..ガチャ

久『もしもし?』

照「あ、久?ごめんね朝早く」

久『ううん、全然構わないけど。どうしたの?』

照「えと……咲、近くにいる?」

久『咲?どうかしら?通学時間は結構重なることが多いけど…………………………あ、いた』

照「いた?あの、代わってもらっていい?」

久『ええ。いいわよ…………なんか声が固いというか、焦ってるみたいに聞こえるけど、何かあったの?』

照「うん、ちょっとしたバッドニュースが……」

久『そっか………私で力になれることがあったらいつでも言ってね』

照「久…………ありがとう」

久『いいえー。じゃあ咲に代わるわね。ちょっと離れたところにいるから少し待ってて』

照(相変わらず優しい…………その優しさにつけこむ後輩が、久を後ろから羽交い絞めにして、目隠し……そのまま太ももから股間を撫でて……)ムラ
402 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:18:02.44 ID:8MnlR9I2o

咲『……もしもし』

照「もしもし。咲?」

咲『うん……なあに?』

照「えっと……朝からいきなりで悪いんだけど、咲に相談に乗ってほしくて」

咲『相談?お姉ちゃんが私に?』

照「うん」

咲『へ、へぇー。私、お姉ちゃんに頼ってもらえるようになれたんだね。えへへ』

照「もちろん」

咲『それで、相談ってなぁに?』

照「……その……結構デリケートな話だから、誰にも言わないでほしいんだけど……」

咲『わかった。約束する』

照「ありがとう。それで、相談っていうのは菫のことなんだけど……」

咲『………………』

照「前にさ、インハイで咲が『菫は病む』って言ってたよね?実は、そんな感じの状況になってるみたいで……」

咲『………………』

照「女の子のぬいぐるみを私に見立てて、お菓子を食べさせたりとか……その……ちょっと怖くて……」

咲『その…ま…………と………………すればいいんじゃない?』

照「え?なに?」

咲『っ、そのまま弘世さんとイチャイチャすればいいんじゃないの!』

照「…………え?」
403 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:18:34.02 ID:8MnlR9I2o

咲『だ・か・ら!ヤンデレ弘世さんとイチャイチャすればいいんじゃないかなぁ!それで解決だよっ!!』

照「いや、その……咲?」

咲『そのあとは!白糸台の皆さんで一緒に愛し合えばいいと思うよ!!』

照「あ…………咲、あのね、前も言ったけど、本当に未遂で…………だから怒らないで」

咲『べ、別に怒ってないよっ!ちゃんと客観的な視点からのアドバイスだもん!そう、主観とか全然入ってないやつのアレで……』

照「でも……怒ってる……」

咲『怒ってないもん!いつもの私だもん!』

照「咲……」

咲『もういいよね!?解決策は、白糸台の皆さんでラブラブチュッチュすればい・い・ん・じゃ・な・い・で・しょ・う・か!はい!終了!ふんっ!』プツッ!

ツーッ..ツーッ..

照「………………」

照(咲、すっごく怒ってる…………怖い)

照(菫に続いて、怖い人が増えちゃった……)ズーン..

照(本当にどうしよう…………他に頼れる人…………あ)

照(久保さん!人生経験豊富だろうし、きっといいアドバイスもらえる)ピピピ..
404 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:19:10.25 ID:8MnlR9I2o

【長野 久保家 貴子の部屋】

貴子「よし……最初から通してやってみるか……」

貴子「…………」

貴子「♪レッツプレイ!プリキュアモジュレーション!!」

貴子「♪ハッ!ハッ!ハッ!ハッ!ハッ!ハッ!ハッ……」

貴子「爪弾くはビンタの調べ!キュアコーチ!」キュルルーン!

貴子「届け!池田ァァッ!の組曲!」シュバッ!

プルルル....

貴子「っ!?だ、誰だァァッ!変身途中で現実に引き戻すんじゃねェぞコラァ!!」

『宮永ァァッ 照』

貴子「ぬぅぅ……」ピッ

照『あ、もしもし、宮永で…』

貴子「コラァァァッ!!!!」

照『ひ……っ!!』

貴子「せっかく爪弾いてんのに……野暮すんじゃねェァァッ!!」

照『ご、ごめんなさい……』

貴子「あっ……いや、その……」ポリポリ

貴子(うっかり逆上しちまった……落ち着かねェと)スゥー..ハァァッ!スゥー..ハァァッ!

貴子「……で、なんの用だ?」

照『あ、その……実は相談したいことがありまして……』

貴子「相談?なんだ?話してみろ」

照『はい。実は……――――』
405 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:19:52.20 ID:8MnlR9I2o

照『―――…という感じで……』

貴子「……………」

照『どうしたらいいのか……困ってるんです』

貴子(……弘世菫……確かにヤンデレの素質はあると思うが………いきなりその段階まで病むだろうか?)

貴子(まさか…………あの人が関わっているんじゃ………だとすると、安易に動くわけには……)

照『…………はぁぁ……』

貴子(……どうやら大分堪えているようだな…………それも当然か。身の危険を感じているだろうし)

貴子「………………」

貴子(…………様子見してる場合じゃねェか)

照『…………………』

貴子「……宮永」

照『…はい』

貴子「とりあえず、私に任せろ」

照『え?』

貴子「弘世は私がなんとかしてみる。お前ァァッは今まで通り接して…………いや」

貴子(もし私ァァッの想像通り、あの人が絡んでいるとすると……手遅れになるか)

貴子「……お前はしばらくの間、髪型を変えて香水を付けろ」

照『え?それはどういう……』

貴子「いいから言うとおりにするんだ。そして弘世とはある程度の距離をとれ」

照『………でも』

貴子「これはお前の安全のためだ」

照『………………わかりました』
406 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:20:35.69 ID:8MnlR9I2o

貴子「それと、そのぬいぐるみを写メで送ってくれ。前後左右上下全てを写してな」

照『ぬいぐるみの……?』

貴子「ああ。予備を用意しておかないとな。今のぬいぐるみが壊れた時、本人に襲い掛かる可能性が…」

照『っ!?また怖い情報が増えた……』

貴子「い、いや、なんでもねぇ、とにかく送れ」

照『わ、わかりました……』

貴子「おう、じゃあ切るぜ」

照『はい。あの……ありがとうございます』

貴子「気にするな」

照『いえ……どうしたらいいかわからなかったので、本当に助かりました』

貴子「……ん。じゃあ写メ送ってこいよ」

照『はい』

貴子「んじゃな」ピッ

貴子「………………」

貴子(…………正直、嫌な予感は尽きねェが……このまま放っておくわけにもいかねぇ……)

貴子「…………」ピッピッピッ...トゥルルルル...
407 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:21:18.03 ID:8MnlR9I2o

数時間後

【東京 白糸台の寮 照と菫の部屋】

ガチャ

菫「照……帰ってキたよ」

照「!」ビクン

菫「遅くなってすまないな部員。たちがジャマをしてくるんだ照がい。ないのに残っても、しょうが、ないの、になぁふふっ」

照「う、うん……」ゾク

菫「具合がどうか?気になるか?照なら大丈夫か?とにかくな?」テクテク

照「…………」

菫「照……?ん?」クンクン

照「…………」

菫「……なんだ匂いは……?照じゃないのかこの匂いは…………おい……髪型も……」

照「…………」

菫「…………はは」

照「…………」

菫「いつのまに変えたんだ?その匂いと神?紙?かみ……髪型か?教えてくれるないのにか?」

照「…………」

菫「ああ……そうだ。ちゃんと照とにしないと……形が……ははっ……楽しイイ時間が……だ」フラフラ..

ガチャ

菫「…………ふふは」(照人形を取り出す)

菫「照……照になろうーな?髪ノケも……こうして……」サッサッ

菫「後は匂い……だ…………な照その。匂いは……?匂い……探せないと……出かけてくるのか?」フラ..(照のそばへ近付く)

照「…………っ」

菫「くんくん……………覚えた……これが新しイテルの匂いっひひ」

照「」ゾク
408 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:22:07.19 ID:8MnlR9I2o

菫「…………」スクッ

菫「買いー物、。行かないと…………大丈夫か照?行ってくるんだね?」フラフラ..

ガチャ バタン

照「………………」

照「………………」

照「…………っぷはぁーー!怖かっ…」

菫「」ガチャ!!

照「!!!」ビクッ!

菫「…………行ってきます」

照「い、いってらっしゃぃ……」ビクビク

菫「………………くはは」

バタン..

照「………………」

照(なんか……今朝よりも……おかしくなってる気がする)

照(菫が………菫が菫じゃなくなっていくみたい……怖い)

409 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:22:37.30 ID:8MnlR9I2o

翌朝

照「………………」

照(だめだ……全然眠れなかった……)

照(当然だよ……寝てる間に何かされるかも、とか考えたら……)ゾワ

ヴヴヴ..

照(メール……)ピッ

照(久保さんからだ…………!!)

貴子『弘世の件、思ったより早く対処出来ることになった』

照(!すごい!昨日の今日で……)

貴子『今日の夕方に、ある人物がそちらに向かう。宮永は弘世をどこか近所の公園にでも連れ出してくれァァッ。寮内には入れないからな』

照(久保さん……ありがとう)
410 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:23:14.56 ID:8MnlR9I2o

夕方

【公園】

菫「負居……照。綿死は、照ヲ釣レ手個内問い懸ナイン駄……照ハ魔打、癒え似射る野弐……」

照「ごめん、ちょっとだけだから」

照(菫……私を照だと認識してるのに、ぬいぐるみのことも照って……どんどん病んでいってる……)

照(本当に……元の菫に戻るのかな…………あの頃の菫ともう会えないなんて……嫌だよ)シュン

菫「亜阿……照2語反。を揚下NIGHT……絶VS小名、カオス貸設定る波図堕……ァ唖……」ブツブツ..

照(菫……)

?「お待たせしちゃってごめんなさいね」ザッ

照「!」クルッ

霞「」ニコリ

照「あなたは……」

照(永水女子の石戸霞さん……)

菫「照邪菜イヒト書き他……銅仕手照蛇9楕…?……」

霞「ふんふむ……これはなかなかみたいねぇ」

照「あ、あの……菫は……」

霞「うふふ、安心して。私に任せて」ニッコリ

照「あ……はい」

照(すごい余裕……)

菫「照、照蛇奈胃、照、照蛇奈胃……」ブツブツ..

霞「さて……とりあえず静かにしてもらおうかしら」スッ
411 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:23:47.55 ID:8MnlR9I2o

照「?」

霞「失礼するわね…………えい」ボミュ

照(!!?胸を菫の顔に押しつけた!?)

菫「むぐ……ご……お……」

霞「よいしょ、っと……」スッ

照(離れた……一体なんの意味が……)チラ

菫「…………バブー……」

照「!?」

照(菫が……放心状態になった!?)

菫「だぁだぁ……」

照(まるで赤ちゃんみたい……)

霞「では…………」スゥー..

霞が右の手の平を大きく開き、ゆっくりと菫の額へと近付ける。

手が額に触れるか触れないかの位置で止め、

霞「…………」ブツブツ..

一言二言、何かを呟く。

照「…………」ゴクリ

霞「…………っ!」

すると、霞の表情が突然険しくなった。そして次の瞬間、

霞「はぁっ!!」

裂帛の気合と共に、菫の額へ差し出していた手を握る。
412 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:24:42.26 ID:8MnlR9I2o

照「………………」

霞「はぁぁぁ〜〜……」

その手は小刻みに震えており、まるで手の中に何かが存在して暴れているようだ。

霞は、その何かを閉じ込めるかのように強く手を握る。

そしてその手を……

霞「ふぅぅ……」

自身の豊満な胸の谷間へと差し込んだ。

照「?」

霞「…………」

数秒ほどの間が空き、谷間から手を抜き取った。

先ほどまでとは違い、その手は開かれている。

照「??」

霞「…………はッ!」

照がわけもわからず戸惑っていると、霞が鋭い声を上げた。

そして両胸の外側を両肘で強く打ち、谷間に振動を送る。

照「!!!」

照(な、なんかよくわからないけど……すごいことをしてる……ような気がする)

霞「…………」

照「…………」

沈黙。

霞「…………」

照「…………」

さらに沈黙。その後……
413 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:25:21.18 ID:8MnlR9I2o

菫「うっ……」ドサッ

バブー状態だった菫がいきなり倒れた。雑菌まみれの公園の土の上に。

照「菫!」タタッ

霞「…………」フキフキ(ハンカチを取り出して汗を拭く)

照「……あの、菫は……」

霞「もう大丈夫。穢れは乳滅させたわ」ニッコリ

照「にゅう……めつ?」

霞「ええ。あ、響きは同じでも入滅とは意味が違うの。ええと……なんて言えばいいのかしらね……」

照「??」

霞「……そう。簡単に言えば、弘世さんに憑いていた悪い子をやっつけたということなの」ニッコリ

照「じゃあ……菫は……」

霞「もう大丈夫よ」

照「あ……」

霞「うふふ」

照「あ……ありがとう!本当に……っ」

霞「いいのよ」ニッコリ..プルルン

照「……ぁ」ゴクリ

照(石戸さんは菫の恩人なのに……恩人の乳揺れに反応するなんて……私のばか……)

菫「う……」ムクリ

照「菫……!」

菫「なんだ……?何故私は公園で寝てる?」

照「それは……その……健康法?」

菫「そんなわけあるか」
414 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:26:12.84 ID:8MnlR9I2o

照「……えと……大丈夫?」

菫「なんだ急に……そういう照こそ大丈夫か?」

照「私は平気」

霞「ちょっといいかしら?」ヒソヒソ

照「?うん」

菫「?石戸霞……何故東京に……」

霞「弘世さんはもう大丈夫なんだけど、少し注意点があるの」

照「!?」

霞「……私が乳滅させたことによって、弘世さんは病んでいたことを完全に忘れているの。その影響から、ここ数日間の記憶がかなり薄れているわ」

照「え!」

霞「とはいえ、記憶が消失したわけではないの。だから上手に間を取り持ってあげてね」

照「あ……うん、わかった」

霞「そうそう。人形は今度うちの神社の方へ送ってもらえるかしら?供養が必要だから」

照「え?どうして?」

霞「……怨念……いえ、強い想いが込められてる可能性があるの。下手に扱うとほぼ確実に呪い殺され……いえ、痛手を被るかもしれないのよ」

照「っ……わ、わかった。今度送る」

照(こわすぎる……)

霞「それじゃあ、私は帰るわね」

照「え、あの……何かお礼を……」

霞「大丈夫。これはお仕事だから」

照「仕事……?」

霞「ええ。そういうことだから、照ちゃんは気にしないで」

照「て、照ちゃん……?」
415 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:27:03.95 ID:8MnlR9I2o

霞「あ、ごめんなさいね。癖でつい……照ちゃんなんて呼ばれるの、嫌よね?」

照「…………べ、別に嫌、では……ない……」

照(でも……そんな風に呼ばれたら、搾乳百合の可能性を妄想しちゃう……///)モンモン

霞「そう?じゃあ今度から照ちゃんって呼ばせてもらうわね」ニッコリ

照「……うん」コクリ

霞「ふふ……それじゃあね」

照「あ、あの……本当にありがとう」

霞「ぁ………」

照「…………」

霞「…………ええ」ニコリ

照「…………」

霞「…………ごめんなさいね」ボソ

照「?今何か……」

霞「それではまた……」

霞は照に別れを告げ、プルルンと帰って行った。

菫「………………」

照「………………」

公園には、ヤンデレから復帰した菫と、菫が元通りになったことを喜ぶ照の2人。

照(あ、このあとはどうしよう?菫が元気になった記念に一緒にお菓子を食べに行こうかな……あ、その前に久保さんにお礼の電話を…)

菫「……おい照。事情を話してもらうぞ」

照「え?」

菫「何故石戸霞がいたのか、そして、お前とどんな関係なのか」

照「それは……」

菫「照ちゃんなんて呼ばせて……じっくりと話を聞こうか」

照「え……と」

照(……これはこれで大変そうだけど…………うん、菫が元に戻ったのなら……よかった)
416 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:27:52.98 ID:8MnlR9I2o

その頃―――

【???】

伝令「伝令!ただいま問い合わせが殺到しております!内容は…」

??「わかってる。さすが耳が早いわぁ」

??「狙い通り、ということでしょうか」

??「せや。ここまで順調だと笑けてくるなぁ」ハハハ

??「では、作戦の方は……」

??「予定通り決行ですね」

??「くく……やっと東の奴らに一泡吹かせられるでぇ…」

??「……それでは……?」

??「ああ……宣戦布告や!」
417 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:31:15.73 ID:8MnlR9I2o

翌日

【長野 久保家 貴子の部屋】

プルルルル..

貴子「!はい、もしもしァァッ!!」

貴子「はい、はい………はい…………………はい」

貴子「わかりました…………はい。では……失礼します……」

貴子「…………くっ!」

貴子(恐れていたことが現実ァァッになっちまァァッた……)

貴子(くそ……どうする…………)

プルルル..

貴子(?まだ何かあるのか……?)

『宮永ァァッ 照』

貴子(宮永ァァッから……?)ピッ

貴子「……もしもし」

照『あ、もしもし……宮永です』

貴子「…どうした?」
418 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:32:29.57 ID:8MnlR9I2o

照『菫の件でお礼を言いたかったので………昨日も電話したのですが繋がらなくて……』

貴子「あ、ああ……そうか……悪ぃな」

貴子(あのあと、あちこちに電話しまくって充電切れたまま寝ちまったんだったな……)ハァ

照『……あの、どうかしたんですか?』

貴子「んぁ?なにがだ……?」

照『いえ……声に元気がないようなので……』

貴子「………………」

照『……久保さん?』

貴子「すまねぇ」

照『え?』

貴子「お前を……いや、お前たちを……とんでもない事件に巻き込んじまうかもしれねェ」

照『!…………とんでもない……事件?』

貴子「ああ…………ァァッ……」

照『…………それは……どんな事件なんですか?』

貴子「結構やばげな事件だ……話すわけにはいかねェ」

照『そうですか。でも……私、久保さんに助けられました……だから今度何かあった時は力に…』

貴子「なるほど……『私にできることならなんでもします』ってか……はッ!言うじゃねェか!!」

照『えっ?いえ、私は次回に…』

貴子「よし!そうと決まれば、部外者には絶対話しちゃいけねェことを全部教える!聞いたらもう引き返せねェ!逃げたら逆賊!」

照『っ!?あ、その、私、用事を思い出したので失礼し…』

貴子「切ったら聞いたとみなすァァッ!!!」

照『ぁう……っ』

貴子「…………」

照『……………』
419 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:33:26.25 ID:8MnlR9I2o

貴子「……前も言ったが私はある組織に属していてな……」

照『あ、このままの流れで…?』

貴子「その名も『百合花嫁(リリーブライド)』。百合妄想士たちが集まる組織だ」

照『!!』

貴子「……リリーブライドは、百合に絡む案件のみを扱う。それは漫画、小説、アニメ、ゲーム、ドラマ、舞台、CM、歌、広告……ジャンルは様々だ」

照『……初めて知りました』

貴子「だろうな。百合というジャンルにおいてはかなりの部分に関わっているが、リリーブライドという名前は決して表に出さないようにしてきたからな」フッ

照『?それは何故ですか?』

貴子「知らねェァァッ!!!!」ビビビ!

照『っっ…………突然くるから怖い……』キーン...

貴子「……で、だ。リリーブライドは、百合を扱う組織として今現在トップとして君臨している。今後アニメ化する百合案件はリリーブライドを必ず通すことになっているしな」

照『すごい……』

貴子「その陰には、優れた百合妄想士たちの活躍がある。百合に対する激しい情熱、震える魂、熱い愛……これらを持つ百合妄想士たちと共に、リリーブライドは成長してきた」

照『なるほど……では、リリーブライドが関わった作品に触発された人の中から新たな百合妄想士が生まれ、その子がリリーブライドへ加入する……という理想的なサイクルになる……』

貴子「ああ、そうだ……………ただ……百合妄想士たちが集まる組織は他にもあってな」

照『!』

貴子「……その内の1つに、関西を中心に活動している『百合花園(リリーフラワーガーデン)』という組織がある」

照『…………』

貴子「今回問題になってるのはそいつらだ…」

照『それで……問題というと……?』

貴子「……もしかしたら……いや、もうその段階じゃねェ……」

照『?一体どういう……』

貴子「それはなァァッ!!!!」

照『〜〜っ!!』キ--ン..
420 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:34:14.13 ID:8MnlR9I2o

貴子「……全面衝突だ……」

照『え』

貴子「リリーフラワーガーデンがリリーブライドへ宣戦布告してきた」

照『!!』

貴子「……近いうちに大規模な戦闘が始まる。リリーフラワーガーデンに所属する百合妄想士たちが……大勢押し寄せてくるァァッ!!」

照『そんな……』

貴子「…………」

照『で、でも……リリーブライドは百合妄想士の組織としてトップなんですよね?だったら…』

貴子「……確かにトップなのは間違いねェ。だが……今のリリーブライドじゃ直接的な戦闘じゃ勝てねェよ」

照『え?それは何故ですか?』

貴子「……両者の戦力差はそれほどじゃねェんだ……でも今回は……ただの直接対決とは違う」

照『???』

貴子「だからよぉ………リリーブライドの会長も頭を悩ませてるんだァァッ!!!!」

照『〜〜っ!!』キーン!!

貴子「……おそらく、今もそのことについて色々悩んでるはずだ」

照(…………それは一体どういうことだろう…………あと久保さんはもう少し声量についても考えてほしい)
421 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:35:37.40 ID:8MnlR9I2o

【東京 高層ビル 最上階】

東京のオフィス街に堂々と佇む高層ビル群の中の1つに、リリーブライドの本部があった。

その最上階。カタカタ……と、女性オペレーターがパソコンのキーボードを叩く音が響く。

薄暗い照明、光を放つのはパソコンのモニターと、部屋の中心に置かれている大型ディスプレイのみ。

ピカピカに磨かれた床の大理石が、部屋の暗さをほんのりと和らげる。

衝立もないだだっ広い空間に置かれているのは、オペレーター用のデスクの他に、机とソファーが1つずつのみ。

窓には遮光カーテンが張り巡らされており、景色など見えやしない。

壁も、無地の壁紙が貼られているだけで、どこを見ても同じだ。唯一、違いがあるとすれば、エレベーターのドアがあるだけである。

この部屋は、リリーブライドの作戦室として使用される場所だ。

しかし今現在、この部屋にいるのは1人の女性オペレーターのみ。作戦など立てようもない。

ただ、静かに……主の到着を待つのみだ。

……カタン!

しばらくして、キーを叩く音が止む。それとほぼ同時に……音もなく到着したエレベーターのドアが開き、1つの影が部屋へと足を踏み入れた。

そして一歩、また一歩と、作戦室の中心へと歩を進める。

セーラー服に身を包んだその体からは、気品が溢れており、清楚さが見てとれる。

スカートのプリーツは乱さないように。白いセーラーカラーは翻さないように。ゆっくりと歩くこの人物こそ……。

女性オペレーター「お疲れ様です。会長」

??「……お疲れ様」

リリーブライドの会長であり、原村和の父でもある、原村恵だ。
422 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:36:36.82 ID:8MnlR9I2o

恵「久美子くん、仕事の方はどうかね」

久美子「え?あ、はい。最近は大分慣れました」

恵「そうか。それはよかった」

オペレーターの子の名前は埴淵(はにぶち)久美子。

WEEKLY麻雀TODAYという雑誌の女性記者をしている。

彼女の記事から百合妄想士としての素質を見抜いた恵がリリーブライドへスカウトし、現在に至る。

久美子「会長のおかげです。色々と教えてもらいましたから」

恵「そうか。ふふふ……」

口元に手を添えて笑う。清楚炸裂。つられて久美子も笑う。

これはとても微笑ましい光景であり、見るものは心を洗われるだろう。

しかし、中には恵の格好を見ただけで拒否反応を示す者もいるかもしれない。

男なのにセーラー服。男なのに百合妄想士、と。

確かに、最もだ。今の恵の姿を見て『いいね!』を押す者は少ない。

だが彼の百合に対する情熱を知れば、誰もが認めざるをえないだろう。

彼の脳内には、古今東西様々な百合物件が記憶されており、作品とページ数を言えば即座に内容を答えることができ、その作品の舞台……聖地も把握している。当然、作者名とその出身地、在籍していた部活動等、作品に関わる人物の情報までカバーしている。

そして役者としての才能も持ち合わせており、百合に限りどんなタイプの女の子にもなりきれる。

百合に関わる全ての人間に感謝の気持ちを持っており、百合を愛する者であれば、本業である弁護士としての相談料他を無料で承っている。

結婚する際も、現妻から百合結婚の可能性を奪うことを悩みすぎたて仏門に入りかけたが、やがて周囲の勧めと説得により結婚。

プロポーズの言葉は『百合の次に君を愛している』。
423 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:38:09.35 ID:8MnlR9I2o

そして何より、セーラー服を着ている理由だ。それは『女の子になりたい』などという俗なものではない。

恵はパンチラが何よりも許せない。女性のパンツは愛する女性以外に見せるべきではない。というのが恵の理念。

それを体現するため、恵はセーラー服を身に纏い、スカート丈は膝下、

『俺より清楚にしてみせろ』と無言で訴えているのだ。恵は過去一度もパンチラを許したことがない。

……もちろん、社会的な立場の都合上、セーラー服を着ているのはリリーブライドの活動時、しかも屋内に限ってのみではあるが……。

床が大理石なのも、反射によるパンチラから身を守りつつおしとやかにする訓練のため。光らない床はただの床だ。

エレベーターも『チン』という男を連想する破廉恥な擬音がなることを嫌い、業者に依頼して鳴らないようにしている。

その他、恵が行っている清楚周りの徹底ぶりは枚挙にいとまがない。

そんな恵だからこそ、妙齢にセーラー服という格好に対して誰も文句を言わないのだ。ちなみに当然ムダ毛は処理済。清楚を保てる女子となら脱毛トークも可能だ。

久美子「……それで、ですね……会長」

恵「……わかっている。リリーフラワーガーデンの件だろう?」

久美子「はい……つい先ほど宣戦布告されました」

恵「そうか……」

久美子「しかも……リリーフラワーガーデンに所属していない百合妄想士たちも続々と加わっているという話です」

恵「…………好機と見て連合を組んだか」

久美子「……はい。どう計算しても、戦力差がありすぎて……このままですと……」

恵「…………そう、だな……」

久美子「こちらの助っ人としましては、四天王の協力は得られることとなっています」

恵「それはありがたい……」

久美子「………しかしそれでも戦力差がありますので………あの方々にも協力を要請したいのですが……どうされますか?」

恵「…………やむをえまい。おそらく条件付きではあるだろうが、手を貸してくれるはずだ」

久美子「では、早速連絡します」カタカタカタ!

恵「……辛い戦いになるな……」

久美子「はい…………」チラ

その時、キーを叩いていた久美子が横目で恵を見る。

恵は、リリーフラワーガーデンとの戦いの厳しさを予感し、考え込んでいるようだ。

久美子「……っ!」ピッ

その姿を確認した久美子は、机の側面に付いているボタンを押した。すると次の瞬間、一部の窓が小さく開いた。

この作戦室は高層ビルの最上階。ともなれば、窓の外は強風が吹き荒れている。そこで窓を開けようものなら、隙間から強風が室内へ吹き込んでくるのは当然。

恵「!」

風が作戦室で暴れまわる。右へ左へ、上へ下へ。永遠に続く輪舞曲のようだ。
424 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:38:45.09 ID:8MnlR9I2o

その風は久美子の元にも届き、髪を激しく叩く。目を開けるのがやっとの強風だ。

これほどの風を前にしたら人間は無力。当然、恵であろうともパンチラを防ぐことは不可能と思える。

久美子はそう感じ、恵の方へ視線を向ける。すると……

恵「っ!」

恵は激しい風を浴び、スカートのプリーツを乱しかけるが……腰のひねりで風の勢いを殺して清楚をキープ。

前後から同時に吹き、スカートをめくり上げようとする風も……

恵「ふぉっ!」

左手でスカートの前を押さえ込み、右手を広げながら背中の方へ回して風の流れを弱め、若干めくれたスカートは右のかかとを上げてお尻を押さえる形で対処。

この押さえ方は少し上品とは言えないが……。

恵「……ですわ」

語尾の優雅さでプラスマイナスゼロにした。

久美子「すごい……」

恵「っ……」

しかし窓が開いている限り、風は吹きやまない。永遠に防ぐのは不可能だろう。では、どうしたらいいのか?

恵がとった方法は、至ってシンプルだった。

恵「うふふ……」スッ

女の子座りだ。

スカートの後ろ部分は、座る際にお尻で挟むことにより、めくれることはない。

そして前は両手でしっかりガード。

スカートを挟むのは若干マイナスポイントだが、姿勢の良さと、時折の流し目でチャラ。

久美子「……さすがです、会長」

そう言うと、再びボタンを押し、窓を閉める。

久美子「今のタイミングなら絶対パンチラすると思ったんですけどね……」クス

恵「ふ、まだ甘い」

2人は笑い合う。

そう。今のは久美子による反逆ではなく、以前に恵が発した『いつでもパンチラを狙うといい。それでも私はパンツを見せない』という鉄壁宣言によるもの。

これから始まる戦いを前に、その信念が揺らいでいないかを確かめたかったというわけだ。

恵「安心していい。私は負けるつもりはない」

久美子「……はい」

恵「リリーブライドの勝利……その一点を目指し、最後まで戦うさ」

久美子「…………はいっ!」ニッコリ

久美子は確信する。

恵がパンツを見せない限り、希望はある。

この人なら……会長ならきっとなんとかしてくれる、と。
425 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:44:15.59 ID:8MnlR9I2o

【東京 白糸台の寮 照と菫の部屋】

照「なるほど……会長は原村さんですか………」スッ(携帯を耳から離す)

貴子『ああ……私の尊敬する人物だ』

照「そうなんですか」

貴子『ああ。だからまずは娘さん共々絶対に守り切らなきゃならねぇ』

照「え?共々、ですか?娘さんは百合妄想士じゃないんですよね?だったらこの戦いには…」

貴子『でも狙われる可能性があるから逃がさねェとなァァッ!!!!』

照「っ……」

照(携帯を離しておいてよかった)ホッ

貴子『会長の娘となれば、使い道は色々あると考えるだろうからな』

照「!そんなことまでしてくるんですか……?」

貴子『ああ……』

照「一体どうして……」

貴子『……リリーフラワーガーデン……いや、複数の組織が集まっているって話だから『連合軍』とでも言うべきか。この連合軍の狙いは、リリーブライドを倒すことだ』

照「倒す、とは具体的には……」

貴子『トップである原村会長と戦い、勝利することだ』

照「…………百合妄想士としての強さを証明するために戦うってことですか?」

貴子『いや、違う。もちろんそういった側面もあるだろうが、やつらが欲しいのはその先だ』

照「その先……」
426 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:45:25.48 ID:8MnlR9I2o

貴子『……現在、色々な百合漫画や百合アニメがある。登場人物は大体が標準語だ』

照「そうですね」

貴子『その理由はな、過去にリリーブライドが勝ち続けてきた結果、得た権利なんだ』

照「……え?」

貴子『……リリーブライドにはスポンサーが付いている。それも莫大な資産を持つスポンサーだ。我らが優れた百合妄想士の組織だと証明したから、資金提供してくれている』

照「…………まさか……」

貴子『そう……そのまさかだ。もし仮に、今度の戦いでリリーブライドが敗れた場合、おそらくスポンサーは連合軍につく』

照「そ、そんな……たった一度の勝負で……」

貴子『それがスポンサーの意向なんだ。強い者を望む。力なき正義は無力だから、とな』

照「…………」

貴子『いまいちピンと来てないみてェだな。よし、説明してやる。スポンサーが付いていることでどんなメリットがあるか』

照「はい、お願いします」

貴子『まず、新たな百合雑誌の創刊の可能性が増える。そして、本来なら休刊も止むなしの部数しか捌けていなくても、ある程度までならスポンサーが肩代わりしてくれる』

照「!」

貴子『そして、百合漫画がアニメ化する際、豊富な資金提供によって、高クオリティに仕上がる……とかな。金絡みのメリットがとてつもなくデケェ』

照「!!」

貴子『その他にも、少しでも百合に関わることには協力を惜しまない。その結果、百合関係の教育機関の設備は整い、生徒のレベルも上がる。つまり、優れた百合妄想士が育つ。そして、優れた百合妄想士に憧れる者が増えれば、さらにレベルは上がっていく』

照「!!!」

貴子『……メリットの例を挙げればキリがねェ』

照「すごい……本当にすごいです」

貴子『…………ただし、このような恩恵を受けられるのは、勝利した組織の活動地域内に限る』

照「あ……」
427 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:46:52.80 ID:8MnlR9I2o

貴子『リリーブライドなら東日本だ。西はノータッチになる』

照「……………どうしてでしょう?」

貴子『ん?』

照「資金に限りがあるのはわかります。でも、全国的に万遍なく成長していけば、結果として百合百合な国になるのに、どうして争うんですか?協力すればいいと思いますけど」

貴子『……確かにな。そう思う気持ちもわかるが、スポンサーは褒美を用意して競わせることでそれぞれを切磋琢磨させ、追いつき追い越せ、嫌よダメよ、いいじゃないの、今日はダ〜メ、を狙ってるんだろうな』

照「…………」

貴子『…………だからある程度筋は通る。負けたらしょうがねェ、次こそ頑張れ……ってな。でも……』

照「?」

貴子『……もし連合軍が勝った場合、百合アニメの構造が変わっちまうかもしれねェ』

照「え?それは……どんな風に…?」

貴子『まず、登場人物の大半が関西弁になるだろうな』

照「!!!!」

貴子『食事シーンではお好み焼きが増え、リビングの背景にはたこ焼き器と阪神の野球帽が映る』

照「なんてこと……いえ、食事シーンや背景はいいんです。それに関西弁のキャラも可愛くて好き……だけど……」

貴子『全員は……な』

照「はい……全員は…………ちょっと…………たまにいるからいいのであって…………うん」

貴子『ん?ちょっと声が遠いな……』

照「あ、すいません……これで聞こえますか?」スッ(携帯を耳に当てる)

貴子『うぉらあァァッ!!!』ビビビ

照「〜〜っ!!」キーン!

照(もしかして……確信犯?)
428 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:47:34.55 ID:8MnlR9I2o

貴子『……とまぁ、こんな感じだ』

照「…………あの」

貴子『ん?』

照「今回、全面衝突することになった理由はなんなんですか?」

貴子『それは…………』

照「…………」

貴子『…………今言ったように、スポンサーを巡る争いも理由の1つだが…………実際はプライド、だろうな』

照「プライド……?」

貴子『…………宮永、四天王全員の名前を言ってみろ』

照「?はい。沢村さん、エイスリンちゃん、塞、深堀さん…………あ」

貴子『気付いたか?』

照「はい……全員東の人……ということですよね?」

貴子『そうだ。四天王は何度も入れ替わってきた。百合の歴史と共にな。だが、四天王全員が東の人間と言うのは過去一度もない』

照「…………」

貴子『少し前までは九州の石戸が四天王の一角だった。しかし、石戸に代わってエイスリンが四天王になった時から、西のお偉方は怒りを隠せなくなってるようでな』

照「!石戸さんが……」

貴子『……期待の新星である沖縄の銘苅が深堀に負けたこともあって全面衝突の機会を狙っていたはずだ』

照「……機会……」

貴子『……………弘世菫の件だ』

照「えっ」
429 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:48:15.63 ID:8MnlR9I2o

貴子『宮永ァァッから話を聞いた時、弘世の症状の進行度合いに疑問を持った。あまりにも急すぎるァァッ。普通じゃありえねェくらいのペースでヤンデレになろうとしてたからな』

照「…………」

貴子『……もし……私の予想が正しければ、弘世のヤンデレ化の背後には、ある百合妄想士が絡んでる……そう踏んだ』

照「!」

貴子『となると……そこらの医者じゃあ手も足も出ねェ……頼れるのは……優れた百合妄想士しかいねェ。そして……私が知る限り、弘世をなんとか出来るのは霧島神社の巫女どもだけだ』

照「……それで……石戸さん」

貴子『ああァァッ!!!依頼してすぐ、東京まで向かってくれた……後はお前も知っての通り、弘世からヤンを抜いた』

照「はい」

貴子『……これで問題は解決かと思われたが…………どこからか情報が漏れたのか、私……いや、リリーブライドの人間が石戸を東京まで呼び出してこき使ったという風に歪曲されてリリーフラワーガーデンへと伝わっちまったァァッ!』

照「そんな……」

貴子『そうなればもう奴らの思う壺ァだ。東の連中は西の人間を舐めてるだのなんだのと難癖をつけて周りを煽り、味方を集め、連合軍を結成しちまった』

照「…………」

貴子『石戸に依頼する際、リリーフラワーガーデンとの繋がりはないと確認をとったんだが………はッ、そんなのは後でどうにでもなるか……東京に向かう道中に繋がりを持ったということにしてもいいしなァ』

照「………では……菫が病んだことから治療まで含めた全部が……」

貴子『間違いなく罠ァァッだ!石戸に頼るぐらいしか解決策がない以上、私のとる行動は読めただろうしな』

照「…………」

貴子『……ま、もう戦いは避けられねェ。なるようにしかならねェってこった』

照「…………ですね。頑張ります」

貴子『お、やる気じゃねェか』

照「…はい。さっきまでは、強引な導入で巻き込まれた感が強かったんですけど……」
430 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:49:15.97 ID:8MnlR9I2o

貴子『そうか?』

照「でも……話を聞いていくうちに、私と菫を助けたせいでこういう事態になったと知りました……そうなる可能性を考慮しながらも、私たちのために動いてくれた、ということですし……ありがとうございます」

貴子『そうだな。よく気付いた。だが気付くのが少し遅ェぞ』

照「え……あ、はい…………あれ?」

貴子『……よっしゃ!宣戦布告の理由がわかったところで、次はこれからどうするかだ!』

照(なんか……釈然としないのはどうして?)ウーム

貴子『聞いてるのかァァッ!?…………ッァァッ!?』

照「あ、はい。どう動けばいいのか……気になります」

貴子『よし。だがその前に、まず奴らの目的だ!最終目標はリリーブライドをぶっ倒すつもりだろう。ようするに、総大将である会長に勝つことだな』

照(確かに総大将撃破は勝利条件として基本。無双OROCHIで勉強したからわかる…………ああ、星彩……稲姫……)ムラッ

貴子『次に西の人間を四天王にすること。そのためには、ある程度の実績に加え、四天王を撃破する必要がある』

照「あ、そういう決まりがあったんですね……じゃあ今の四天王も……」

貴子『ああァァッ!!深堀、沢村は武者修行に来た相手をことごとく返り討ち。エイスリンは強い弱い関係なく片っ端から百合妄想士を操りまくって勝ち星を荒稼ぎ…』

貴子『臼沢は幼女見たさにちょくちょく東京に行ってたからな。で、ムラムラを抑えるために近くに居合わせた百合妄想士を幼女にしておさわり……といった具合に実績を重ねた上で四天王を撃破した、という流れだ』

照「なるほど……」

照(塞……よく今まで捕まらなかったね……というか、そんなことしておいて堂々とインハイに出場して顔出しする精神はすごい…………近代的)

貴子『つまり、四天王以外の百合妄想士も、実績を得るために狙われるだろうな』

照「あ……じゃあ……」

貴子『そうだ。お前も狙われる。いや、お前の場合、深堀を倒したということで、注目されてるからなァァッ!下手すると、一番に狙われるかもしれねェ』

照「!!」
431 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:49:58.38 ID:8MnlR9I2o

貴子『当然、エイスリンを倒した妹さんもなァァッ!』

照「咲も……!?」

貴子『ァァッ……連合軍の実力者たちが次々と襲い掛かるだろうな』

照「!」

貴子『だから、早いとこ妹へ電話して現状を教えてやれ。今すぐにな』

照「あ、はい。わかりました。では、失礼しま…」

貴子『コラァァッ!話の途中だろうが!切るんじゃねェ!!』

照「っ!?え、でも……今すぐって……」

貴子『そう思ってたけどやっぱり変更してこれから連合軍で注意すべき相手について話すことにしたんだろうがァァッ!!』

照「は、はい……すみません……」

貴子『いいか?まず気を付けるべきなのは……――――』

照はその後、貴子によって連合軍の情報を聞いた。

照「―――……では、失礼します」

貴子『ああァァッ!!!』

ガチャ ツーッツー..

照「……ふぅ」

照(久保さんと電話する時は携帯を耳から少し離すことと、受話口を定期的に右左って変えないと耳がキーンってなるね)ウン

照「………………さて」

照(決戦のこと……咲に電話して教えないと。あ、久にもか)

照「…………」

照(まずは家にかけてみよう)ピピピ..プルルル..

プルルルル..プルルルル..プルルルル..

照(…………出ない。帰ってきてないのかな?)

照(でも……菫の件があってからは、電話しても全然出てくれないし……まだ怒ってるのかも……)

照「………」

照(先に久に話そう……その時に咲のことも聞けばいいよね)
432 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:50:48.79 ID:8MnlR9I2o

プルルル..ガチャ

久『もしもし?』

照「あ、久?ちょっと話があるんだけど、今大丈夫?」

久『ええ。大丈夫よ』

照「よかった……あ、近くに咲いる?」

久『ううん、いないけど。咲に用?』

照「あ、うん。2人に話があって」

久『そっかー。咲、携帯持ってないから連絡とりたい時困るわよねぇ。あ、じゃあ和の番号教えようか?』

照「え……どうして原村さんが出てくるの?」

久『だって、いつも一緒にいるから』

照「……………………そう」

久『多分今も一緒じゃないかなー』

照「………………へぇ」

久『和も照になら教えても大丈夫だと思うし。で、番号はね、090……』

照「いい」

久『え?』
433 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:51:21.76 ID:8MnlR9I2o

照「原村さんの番号はいい」

久『どうして?』

照「どうしてって…………なんか……咲と話すのに原村さんのアポイントメントがいるみたいでやだ」

照(咲がもし携帯持ってたら毎日のように『お姉ちゃん!』って電話とかメールしてくれてたはず。なのに、わざわざ原村さんを通すのは変だもん……)

久『そう?でも前に私を通して咲と電話で話さなかった?』

照「えっ、あ、えと……そ、その時はまだ平気だった」

久『平気って何が?』

照「え?それは……」

照(何がって言われても……)

久『それは……?』

照「その……世間の感じが」

久『はぁ?』

照(私、何言ってるんだろ?頭が混乱してきた……)フルフル..

照「と、とにかく!咲が近くにいないなら、今は久との話が優先!」

久『ふーん……ま、いいけど』

照「大事な話だから、しっかり聞いて。まず…――――」

照は、東西決戦について久に話した。
434 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:52:02.58 ID:8MnlR9I2o

久『……ちょっとちょっと、シャレにならない事態じゃないの』

照「うん」

久『早く咲にも知らせないと』

照「そう、だね……もう一度家にかけてみる」

久『私から連絡しようか?』

照「…………どうやって?」

久『え?まずは和に電話して、それから…』

照「……意地悪出た」

久『へっ?』

照「私がさっき拒否したのに……」

久『いやいや……照が自分で和に電話するのが嫌なんだと思ったから、私からかけたらどうかなーってだけよ。意地悪じゃないわ』

照「むぅ……」

久『というか……なんか拗ねてる?』

照「す、拗ねるとか……絶対違う」

久『もしかして……照は私のことが気になってて、私が和の名前を出すことに嫉妬して…』

照「ううん、それはないよ」

久『……早いわね……この前は結構いい雰囲気になったのに……』

照「な……っ///」

久『って……ごめん。思い出したら私も恥ずかしいわ……///』

照「も、もう……っ///」

照(確かにドキドキしたけど、久に対する感情は咲と違って…………ぁ)

久『冗談はここまでにしようかしら。実際、どうする?早いうちに教えてあげた方がいいと思うんだけど……』

照(咲と違って…………何?私は咲に……)
435 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:52:42.74 ID:8MnlR9I2o

久『……照?』

照「………………」

久『……あー……もしかして怒っちゃった?』

照「え?」

久『ごめん……そうよね、太ももを舐められて気持ちよくなってたなんて、思い出すだけで恥ずかしいもんね……』

照「ちょ…ちょっと!私は怒ってない!」

久『そう?ならよかった』

照「もう……今のこそ意地悪」

久『ふふふ』

照(…………でも、咲のことはどうしよう?夜にもう一度電話する?いや、私からの電話はとってくれないかも……)

久『それで、どうする?私が直接咲の家に出向いてもいいけど』

照「あ……!」

照(直接……咲の家に出向く……その手があった!)

久『そうする?』

照「……ううん、大丈夫。気を遣ってくれてありがとう」

久『自分で連絡する?』

照「うん」

久『そっか。わかった。じゃあ咲と話したあと、また連絡ちょうだい。私たちはどう動くべきか、話し合った方がいいだろうし』

照「そうだね。うん」

久『じゃ、切るわね。情報教えてくれてありがと』

照「あ、うん」

久『それじゃあまた』

ツーッ..ツーッ..

照「……………………」

照「………………よし」

照(長野まで遠いけど……今からならなんとか……)
436 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:53:16.08 ID:8MnlR9I2o

【長野 宮永家 咲の部屋】

咲「……………」

咲(お姉ちゃんからの着信……無視しちゃった)

咲(……お姉ちゃん、怒ったかな?)

咲(…………でも)

純代『じゃ、じゃあ!白糸台の……チーム虎姫の面々に愛されたのも!?』

照『き、キスまでなら……その……あ、ある///』カァアア..

咲「むぅぅ〜……」ムスー..

咲(私以外の人とイチャイチャしてたお姉ちゃんが悪いんだもん……)

咲「………………」

咲(キスまで、っていうのは本当なのかな……?攻められたらすぐメロメロになっちゃうっぽい紙装甲のお姉ちゃんが大勢から迫られて無事とか……信じられない)

咲(もちろん、最後までしてない方が嬉しいんだけど……)

咲「…………はぁ〜」

咲(私が近くにいたから、キスまでしかしてないって嘘ついたのかな?本当は『らめぇ!』のオンパレードだったのかも…………ううぅ、考えただけで……やだよぉ)グス

ピンポーン

咲「?」

咲(もう夜も遅いのに………お客さん?)
437 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:54:11.99 ID:8MnlR9I2o

ピンポーン

咲(お父さんは仕事で帰ってこないって言ってたし……セールスウーマンかな?)

?「……きー……」

咲「?」

咲(今、何か聞こえたような……)

?「咲ー!」

咲(え……私の名前を呼んでる?)

?「咲ー!!」

咲(この個人情報保護が重要視されてるご時世に大声で名前を叫んで住所バレを誘発するなんて……誰だかわからないけど、なんて世間知らずな人間なんだろう……?)ゾゾ

咲(出て行ったら個人が特定されちゃうし、ここは無視の一択だよね!音楽でも聞こう!)ピッ

♪好き!好き!!大好き!!!お姉ちゃん大好きっ……

咲「いい歌詞…」ウンウン
438 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:54:40.76 ID:8MnlR9I2o

【宮永家前】

照「………………」

照(出てこない……咲の部屋の明かりは点いてるし、音楽を聴きながら頭を振ってるのもカーテンに映る影でわかるから、家にいるのは間違いない)

照「………………」

照(それなのに私の呼びかけを無視してる…………よっぽど怒ってるのかな……)シュン

照(…………どうしよう)

照(もう二度と咲と仲良くできないなんてことになったら……)

咲『お姉ちゃん♪』

照(あんな風に笑ってくれることも……なくなって…………うぅ)ジワ

照「やだ……そんなのやだよ……咲ぃ……」グス..
439 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:55:27.13 ID:8MnlR9I2o

【咲の部屋】

咲「はっ!?」ピキーン

咲(今……近くでお姉ちゃんの声が聞こえたような……)

咲「…………」

咲(って、そんなわけないよね。ここは長野だもん)

咲「………………」

咲(……でも一応確認してみよう)テクテク
440 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:56:13.70 ID:8MnlR9I2o

【宮永家前】

照「っぐ……す…………あ」

照(私、何してるんだろう……高3にもなって、外で泣いて……だめだめ。みっともない)フキフキ

照(…………それに……私だって咲を無視してた……泣く資格はないよね……)グス

ガチャ

照「!」

咲「」ソローリ..

照「咲……」

咲「ぇ……お、お姉ちゃん!!?」

照「咲ぃ……」グス

咲「お、お姉ちゃん、どうしてここに……?え、なんで泣いて……」

照「べ、別に泣いてはない……」

咲「嘘だよ。私わかるもん」

照「う……」

咲「どうしたの……?一体何があったの?教えて?」

咲(お姉ちゃんを泣かすなんて……絶対許せない!)

照「…………」

咲「お姉ちゃん……お願い」

照「………何回か家に電話したけど……咲は出てくれなくて……きっと私のこと怒ってると思った……」

咲「あ……」

照「だから、電話がダメなら直接会おうとして…………今、大きな声で何度も呼んだんだけど……それでも出てきてくれなかったから……」

咲「……………」

照「咲は……もう私のことを嫌いになったんだって……悲しくなって……」

咲「そ、そんなわけないよ!私がお姉ちゃんを嫌いになるなんて!」
441 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:56:57.41 ID:8MnlR9I2o

照「……でも……明らかに家にいるのに……ピンポンも無視したし、声も…」

咲「ご、ごめんね!?あの……音楽のせいで声が聞こえなくて……聞こえたら飛んできたのに!」

照「声はそうだとしても……ピンポンは結構大きい音だし……」

咲「え?あ、その……うちのピンポン根性なしで、壊れちゃってるんだ」

照「?でも押した時、鳴ってるの聞こえたよ?」

咲「い、一瞬だけ頑張ったんだよ。断末魔のやつだよきっと。最後の悪あがきだね」

照「…………」

咲「…………」

照「じゃあ…………私のこと…………嫌ってない?」

咲「っ!も、もちろんだよ!私がお姉ちゃんのことを嫌いになる可能性はゼロパーセントだもん!」

照「…………ほんと?」

咲「うん!」

照「………………よかった」ホッ

咲「!」

咲(お姉ちゃん……緊張の糸が切れてフニャってなった感じ……すっごくかわいい!)

照「あ、そうだ。実は咲に話があって……」

タタタッ..

?「さ、咲さん!遅れてごめんなさい」

咲「あ……」

照「え?」

和「あ、お姉さん……こんばんは」ペコリ

照「…………こんばんは」

照(原村和……?)
442 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:57:32.92 ID:8MnlR9I2o

【咲の部屋】

照「………………」

咲「………………」

和「………………」

咲「あ、あのね、今日は和ちゃんとお泊り会をする約束で……」

照「……そうなんだ……」

咲「う、うん………」

照「…………お父さん、いないんだね」

咲「あ、うん。なんか仕事があるみたいで………今日は帰ってこないらしくて……」

照「そう…………」フーン..

咲「………………」

照「………………」

和「………………」

咲「もう遅いし……お、お姉ちゃんも泊まってくよね?」

照「……そのつもり……だったけど……急に来ておいて図々しかったよね……」

咲「え?そんなわけ…」

照「気を遣わなくていいよ。私なら平気。公園で1人寂しく震えながら寝るよ。お腹も空いてるけど我慢して寝る。蚊に刺されたくもないし、辛いことがいっぱいあるだろうけど……耐える」ムス..

咲「野宿なんてダメだよっ!お姉ちゃんも泊まってって!食べ物もあるから!ね?ムヒもあるし!」

照「……でもぉ?せっかくのお泊まり会なのに部外者がいるとイベントが台無しになるじゃないですかぁ?それって超嫌な感じじゃないですかぁー?」

咲「お姉ちゃん……そんな言い方しないでよぉ」
443 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:58:15.30 ID:8MnlR9I2o

照「…………」プイ

和「あ、あの………お、お姉さんもご一緒しませんか?」オロオロ

照「え……」

和「せっかくお姉さんが来てくださったのですから……お話とか、したいです」

照(あ……私、つい拗ねちゃったけど…………そうだよね。友達の姉がノウハウもなしに野宿とか言い出したら気を遣うよね……)

照「……2人ともごめ…」

和「私なら、いつでもお泊まり会できますから」ニッコリ

照「…………」ム

咲「あはは、そうだね」

照「…………」ムムー

和「今年に入って、もう何回目でしょうね?うふふっ」

照「…………」ヌムムム...

咲「ね。あ、そういうわけだから、お姉ちゃん、今日は…」

照「いい。私は歩いて東京帰る」

咲「ええっ!?」

照「何も食べずに出発もする」

咲「お腹空いてるのに!?自分を追い込み過ぎだよお姉ちゃん!」
444 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:58:46.58 ID:8MnlR9I2o

照「…………むー」

咲「と、とにかく、お姉ちゃんも泊まって。ね?お願い」

照「………………わかった」

咲「よかった」ホッ

和「はい」ニコ

照「……………」

照(……………つい意地を張っちゃう……私、ダメだ)ハァ..

咲「あ、お布団持ってこないと!お姉ちゃんは私のベッド使って。私と和ちゃんは床でお布団敷いて寝よう」

照「え、でも……」

咲「えっと、枕はどうしよう……」

和「あ、枕は私が出します。ここですよね?」

咲「ありがとう。その下に入ってるから………あれ?シーツが………」

和「ないですか?あ、前に泊まった時、こっちの押入れを開けてませんでした?もしかしたらこっちに………ありました!」

咲「わ、ありがとう!」

和「いえ」クス
445 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:59:26.93 ID:8MnlR9I2o

照「…………………」

照(このやりとり……なんか……すごく親しげ……何もかもわかり合ってるみたい……)

咲「あとは掛け布団だね」

照(出会って1年も経ってないのに……)

和「それならこっちに…」

照「…………いい」

咲「え?」

照「私の部屋………まだ残ってるし、私はそこで寝るよ」

咲「……お姉ちゃん……でも……」

照「……やっぱり、先に約束してた原村さんを優先する方が正しいよ。私は泊まらせてもらえればそれでいいから」

咲「……………」

和「……………」

照「それじゃ………おやすみ」

咲「あ、おやすみ……なさい」

和「おやすみなさい……」

バタン

照「……………」

照「……………」

照「……………」ハァ..

照(……………もう寝よう)
446 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 03:59:55.10 ID:8MnlR9I2o

【照の部屋】

照「……………」

照(眠れない……)

照「はぁー……」

キィ..

照「?」

咲「お姉ちゃん………寝てる?」

照「咲……?」ムクリ

咲「よかった………まだ起きてた」

照「…………」

咲「ちょっとお話、いいかな?」

照「…………うん」

咲「………………隣、座るね?」

照「…………うん」

咲「よいしょ」スッ

照「…………」

咲「…………お姉ちゃん、怒ってるよね」

照「…ぁ……………う、うん」

咲「やっぱり」

照「その……咲が……わ、私のこと大好きとか言うくせに、原村さんとすごく仲良かったり……私が全然入り込めないみたいで……」

咲「え?そ、それが怒ってた理由だったの?」
447 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:01:12.21 ID:8MnlR9I2o

照「う……確かに子供っぽいというか……拗ねたみたいで……ばかみたいだけど……」

咲「違くて!お姉ちゃんからの相談の時に嫌な態度をとっちゃったり、電話をかけ直さなかったから怒ってた……じゃなくて?」

照「………………」

咲「そのことについて謝ってないのに、はしゃいじゃったから怒ったと……思ってた、んだけど…………」

照「っ///」ボフッ!

咲「や、ヤキモチ……だったの?」

照「ちが、違う!その…………今のはひっかけ問題!」

咲「え」

照「咲の言うのが正解でした。残念、咲の負け」

咲「……正解なら、私の勝ちなんじゃ……?」

照「ぁう……それは…//」

咲「お姉ちゃん……わ、私にヤキモチ……//」

照「ほ、本当に違うから!」

咲「…………」

照「ふぅ……あ、暑いね。長野も意外と暑い」パタパタ

咲「……ごめんね」

照「え?いや、だから……その……別に//」

咲「…………弘世さんについての相談の時……嫌な態度とっちゃって……」

照「あ……」

咲「私……お姉ちゃんが白糸台の人たちと……って聞いた時、頭が真っ白になって……」

照「…………」
448 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:02:05.14 ID:8MnlR9I2o

咲「キスまでだって言われても全然だめで……悲しくて……イライラして……自分でも制御できなかった」

照「咲……」

咲「インハイの時、お姉ちゃんが経験済みでもいい……なんて言ってたのに」

照「…………」

咲「私、勝手だよね」

照「…………」

咲「お姉ちゃんの気持ちとか、そういうのとか考えずに、ただチームメイトの人とキスしたっていう事実だけで怒って……菫さんのことで相談された時も、話を聞こうともしなかった……」

照「咲……」

咲「挙句の果てに、電話も無視して……そのくせ、お姉ちゃんが会いに来てくれたのが嬉しくて……謝ることも忘れてはしゃいで……私、本当に勝手」グス

照「……私だって勝手だよ」

咲「…え……」

照「咲を置いて一方的に家を出て……インハイで仲直りはしたけど……それまでずっとひどい態度をとってた」

咲「それは……私がドジで色々しちゃったせいだもん。私の方が悪いよ……」

照「……ううん、私の方がお姉ちゃんなんだから、ちゃんと受け止めてあげるべきだった」

咲「お姉ちゃん……」グス

照「だから……おあいこ、でどう?」

咲「…………」

照「……その……ファーストキスのことを咲に謝ると……なんか……さ、咲とするはずだったみたいな風に思われちゃうかもだけど……でも!客観的にね?妹に黙って勝手にキスするとか……アレだし……///」

咲「あー…………そう、だね」

照「別に変な意味じゃなくて……でも、うん……///」

咲(……ごめんお姉ちゃん……お姉ちゃんのファーストキスは小学生の時、お姉ちゃんが寝てる隙に奪っちゃったよ。あっさりとね)

照「つまり……そういうわけ。だから……おあいこ」

咲「うん……」

照「ふぅ、暑い……長野、また気温上がった」パタタ
449 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:02:43.30 ID:8MnlR9I2o

咲「……ねえ、お姉ちゃん」

照「なに?」

咲「あのね………和ちゃんは……大切な友達なんだ」

照「あ…………」

咲「私、あんまり友達たくさん作れるタイプじゃないし……」

照「知ってる……」

咲「うん………だから和ちゃんと仲良くなれて………嬉しかった」

照「………うん」

咲「和ちゃんとは………思ってることを素直に言い合えるんだ」

照「………うん」

咲「和ちゃんと出会わなかったら………麻雀部にも入ってないし、お姉ちゃんともこうして話せなかった」

照「……………」

咲「だから………お姉ちゃんと仲直りできたのは、和ちゃんのおかげ。和ちゃんは、私の人生の中で一番の友達………」

照「うん」

咲「でも………私は……」

照「…………」

咲「………私が好きなのは………ずっと………」チラ
450 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:03:16.71 ID:8MnlR9I2o

照「…………!」

咲「……………」

ドクンドクン..

照「……………」

咲「……………」

ドクンドクン..

照「……………」

咲「……………」

ドクンドクン..

照「……………」

咲「……………」

ガチャ バタン

照・咲「!!」ハッ!

咲(今の音は……私の部屋のドアが開いた音……和ちゃん、起きたのかな)

スタ..スタ..スタ....スタ......ガチャ バタン

咲「………トイレみたいだね」

照「…………うん」

咲「………………」

照「…………咲」

咲「……何?」

照「もう寝よう」

咲「…………うん」

照「明日……あ、もう今日かな。大事な話があるの」

咲「だ…………大事な……?」

照「うん」

咲(プロポーズ……とか?今の雰囲気なら……あるかも……)ドキドキド

咲「え、えと……午前中いっぱいは和ちゃんと遊ぶ約束なんだ。だから……午後からでもいい?」

照「うん」

咲「それじゃ私、部屋戻るね?お姉ちゃん……おやすみ」

照「おやすみ」

パタン

照(………………咲………)
451 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:03:42.35 ID:8MnlR9I2o

翌日 午後

【咲の部屋】

咲「…………」

咲(リビングではお姉ちゃんが待ってる………)

咲(私に大事な話……か)

咲「………………」

咲(……ほ、本当にプロポーズだったらどうしよう……)

咲「…………///」

咲(い、一応オシャレな格好だけはしておこう)
452 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:04:14.74 ID:8MnlR9I2o

【リビング】

咲「…………」

照「…………」

咲「そ、それでその………大事な話って何?」ドキドキ

照「……………あ、うん」

咲「………………」ドキドキ

照「……………」

咲(『私は……咲を愛してる。私と結婚して!』なんて……)

照「実は………」

咲(い、いやいや、さすがにそれは…………でも……もしかしたら……)ドキドキドキドキ..

照「……来週末、大規模な戦いが起こる」

咲「………………へ?」

照「西の百合妄想士たちが……攻めてくる」

咲「……………」

照「………咲?」

咲「………あ!ごめんね。ちょっとボーっとしてて。もう大丈夫だから」

照「そう?」

咲(……まだわからない。『西の百合妄想士たちが攻めてくる……だから私は、咲への愛を今ここで告げる!』とかいう展開に……)

咲「………………」

咲(…………うん、ないよね)ハァ..

照「詳しく説明すると………―――」
453 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:04:55.29 ID:8MnlR9I2o

咲「そ、そんなことが………」

咲(大変だよ……浮かれてる場合じゃなかった……もし関西弁キャラオンリーになったら声優さんの勢力図も変わっちゃう)ゾクッ..

照「うん」

咲(それに……現実として、西の百合妄想士たちがやってきて……)

咲「私たちも……狙われる……大勢に迫られて……」

照「…………」コクリ

咲「……怖い」

照「そう、だね……」

咲「…………」

照「でも……」

咲「…………」

照「咲は……私が守る」

咲「っ!」

照「…………絶対に」キュッ

照の手が、優しく咲の手を握る。

咲「お姉ちゃん……///」

照「うん」

咲「…………なら……私も…」

照「?」

咲「私も……お姉ちゃんを守るよ」

照「あ……」

咲「…………」

照「……ありがとう」ナデナデ

咲「ん……//」

この宮永家での誓いから1週間後の土曜。

いよいよ、東西決戦の日がやってくる……。
454 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:05:45.07 ID:8MnlR9I2o

開戦1時間前―――

【東京 回転寿司屋】

店内は賑わっている。

友人同士、家族連れ、百合妄想士、百合妄想士、あっちもこっちも百合妄想士……。

聞こえる会話は、世間話、子供の話、百合妄想、百合妄想、百合妄想。

この店のほとんどの席を、西からやってきた百合妄想士たちが占拠していた。

その中、ひときわ目立つ3人組がカウンター席に座っている。

洋榎「あーんむ…………うん……んまい」モグモグ

竜華「怜、何食べたい?」

怜「うーん…………タコ」

竜華「ちょっと待ってな。今とったるから………よいしょ………はい、あーん」

怜「ぁー……んむ。もぐもぐ……」

洋榎「……なぁ。あんたら」

竜華「なにー?」

怜「もぐー?」

洋榎「メシん時くらいは膝枕はええんちゃうん?」

竜華「えー?嫌やぁ……なぁ怜?」

怜「もぐー……」

洋榎「いや『もぐー』じゃわからんて」
455 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:06:17.62 ID:8MnlR9I2o

怜「もご?」

洋榎「『もご』も一緒や。飲み込んでからにしいや」

怜「…………」ゴクン

洋榎「ほれ、喋り」

怜「竜華、タコもう1個」

洋榎「注文!?先に会話しようや!」

怜「……別にええやん、膝枕ぐらい」

洋榎「食事中やろ。マナー悪いで」

怜「そんなん……寿司かてネタがシャリに膝まくらされてるようなもんやからええやん」

洋榎「は?」

竜華「わ、すごい!論理的な怜〜♪」ナデナッデ!

怜「ふふ、こんなもんやで」ニコリ

洋榎「待て待て。勝ち名乗るな。先走り過ぎや」

怜「えー」

洋榎「あんな?世の中を生きるには守らんとあかんもんが…」

竜華「タコやでー♪」

怜「待ちわびたわー」
456 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:06:48.28 ID:8MnlR9I2o

洋榎「おい!今はタコより愛宕の話が優先やろ!」

竜華「…………」

怜「……………」

洋榎「………………」

怜「説明するとな?今のはタコと愛宕の響きが似ていることが発端となった、周りを静かにさせるギャグなんや」

竜華「エコやなぁ♪」

洋榎「や、やめぇ!説明すな!大体そない笑いとろう思ったわけやなくて、その…」

怜「タコもう1個」

洋榎「もうタコやめろ!貝食え貝!!」

家族連れ(父)「んんっ!んんっ!」ゴホン!

洋榎「っと……」

竜華「洋榎が騒ぐから……」

洋榎「あ、アホ。うちだけのせいにすな。膝枕の責任もある」

怜「おっちゃんの咳払いは最初のが洋榎の騒音に対して。次の咳払いは年齢からくる痰。洋榎の1敗1分けや」

洋榎「両方とも注意の咳払いや。あとメシ食うてるのに痰とか言うな」

竜華「あ、怜、ご飯粒ついてる」

怜「え?どこー?」

竜華「……怜の可愛いところに///」

洋榎「…………」

怜「んー?どこやろ?」

竜華「ぷにぷにの……ほっぺやで///」

洋榎「…………」
457 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:07:21.39 ID:8MnlR9I2o

怜「ほなとって?」

竜華「うん…………ちゅ……」

怜「ん……」

洋榎「…………」

竜華「えへへ……///」

怜「///」

洋榎「………………」

連合軍の百合妄想士(以下連合軍)A「あ、あの……愛宕さん」

洋榎「……え?何?」

連合軍A「開戦後の作戦についてなんですが……」

洋榎「あ、そやな」

連合軍A「現時点で変更はなく…」

洋榎「ちょい待ち」

連合軍A「はい?」

洋榎「……この作戦、誰が決めたんがしらんけど詰めが甘いわ」

連合軍A「……と言いますと?」

洋榎「エイスリンと臼沢、それぞれに担当するやつが付いてるけど、この組み合わせは間違うてるで。逆や」

連合軍A「……なるほど」

洋榎「いくら戦力差で圧倒してる言うても、油断したらあかん」

連合軍A「あ、はい。わかりました。変更を伝えてきます」

洋榎「おう…………あんたらも、聞いとるか?」

竜華「軍艦巻きやで〜♪怜の可愛いお口に、着艦やー」

怜「あー……んむっ」

竜華「やったー♪接岸成功やなぁ」

竜華・怜「」イチャイチャ..

洋榎「………………」
458 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:08:13.62 ID:8MnlR9I2o

【リリーブライド本部前】

リリーブライド軍(以下LB軍)「………………」

辺りはすっかり暗くなり、開戦の時刻が近付く。

200人を超えるであろう、本部を守るリリーブライド所属の百合妄想士たちの表情も固く、緊迫した空気が流れている。

そんな軍勢の中に、照たちの姿があった。

照「…………」

咲「…………」

久「…………」

照(ついに……始まるんだ……戦いが……)ドクン..

貴子「……揃ァァッたな!」

照「!」

咲「はい」

久「はい」

貴子「プライベート回線のブロック、マスターしただろうなァ?」

照「大丈夫です」

貴子「よし。それができねェと大人数相手はキツイからな…………今回なんか特に大勢相手だしなァ」

照「…………」

咲「…………」

久「…………」
459 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:09:10.34 ID:8MnlR9I2o

貴子「……さて、もうすぐ開戦だ。覚悟はできてるか?」

照「……はい」

咲「正直……怖いです」

久「そうね……私も」

貴子「……だろうな。今の段階で戦力差が半端ねェ。リリーブライドの兵力が約500。それに対し、連合軍は1000以上は確実だ」

照「…………」

咲「倍……!?」

久「……厳しいわね」

貴子「ああ。四天王の協力があるとはいえ、この差はな…………ただ1ついい知らせがある」

照「?それはどういう……」

貴子「宮守女子の協力が得られることになったァァッ!!その数100人!!」

照「宮守……って確か」チラ

咲「うん……インハイで清澄が戦った相手…」

久「そうね」

貴子「……そうか。お前らァァッ!は知らねェんだった。実は宮守女子は百合妄想士の名門なんだァァッ!」

照「え」

咲「!」

久「初耳ね……」
460 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:10:08.47 ID:8MnlR9I2o

貴子「宮守女子というのはな、平安時代に宮中に仕えていた百合妄想士の女性を先祖にもつ方が創立者で、その頃から百合妄想に励んでいたという誇りを守る女子………ということで宮守女子。長い歴史を持つ高校だァァッ!!」

咲「そうなんですか……」

照「百合に歴史あり……」

貴子「無論、通っている全員が百合妄想士なわけではないがな。歴史ある学校だが、知らずに入学する奴も少なくねェし」

久「なるほど」

久(だから塞とエイスリンは百合妄想士としてのお互いを知らなかったわけね)フム

貴子「だが、戦力としてありがたいのは間違いねェァァッ!東には優秀な百合妄想士はまだまだいるが、締め切り間際の百合漫画家をはじめ、忙しくて手を借りれない人たちが多いからな」

久「じゃあ……これ以上の援軍は期待できない、と?」

貴子「……ああァァッ……!」

照「…………」

咲「…………」

貴子「あとは……私らの頑張り次第だ」

久「そう、ね……やるだけやるしかない」

照「……うん」

咲「…………」コクリ

久「……あの、質問なんですけど」

貴子「なんだ?」

久「東京で1000人っていう規模の戦い……無理じゃないですか?いくら直接的な戦闘ではないと言っても……」

貴子「ふっ……その点は問題ねェ」

久「?」

貴子「人気のない戦場を確保すため、各地でスポンサーが交通規制をかける」

久「えっ!?」

貴子「そして、百合妄想士だけ戦場に立ち入れるようにするという仕組みだ」

久「…………」ポカーン

照「すごい……」

咲「そんなの……いいのかな?」

貴子「ああァァッ!それだけの力をスポンサーは持っているからな」

照「なるほど……」

咲(スポンサー……どんな人たちなんだろう?)
461 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/05/23(土) 04:10:11.35 ID:c7dH4tpm0
どう考えてもキャラディスss
462 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:10:38.56 ID:8MnlR9I2o

【長野 龍門渕家】

透華「…………ついに始まりますわ」

一「ともきー………大丈夫かな?」

透華「………わたくしも心配ですが………手を貸す訳にはいきません」

一「うん…」

透華「わたくしたちに出来るのは見守ることだけ……」

一「……そうだね……」

透華(この戦いの勝者を支援する……それが龍門渕グループの答え)

一(ボクもリリーブライドに協力したいけど、透華の立場を考えると無理だ…………みんな………頑張って)
463 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:11:24.69 ID:8MnlR9I2o

【東京 リリーブライド本部前】

貴子「……それじゃ作戦内容を再確認するぞァァッ!」

照「はい」

貴子「リリーブライドは東西南北に軍勢を割いている。どれもおよそ100人ずつで宮守女子は北側だ。それに加え、この本部前の200。基本的には攻めより守りァァッ!重視だ」

咲「…はい」

貴子「だが四天王とお前たちは遊撃部隊として各地に出向いて相手を攻めてほしい。少数精鋭にしては少なすぎるが、近くの軍勢と協力しながらやってくれ」

久「はい」

貴子「まず最初は、東側の宮守女子のところへ行けァァッ!その後のことはこちらから指示する。さっき教えた時間までに連絡がなければ作戦通り動けァァッ!!」

照「わかりました」

貴子「よし!」

久「じゃあ、戦いが始まる前に、宮守女子と合流します」

貴子「ああァァッ!」

久「行こう?」

照「うん」

咲「はい」

タタタタッ..

貴子「………………」

貴子(頼むぜお前ら……)
464 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:11:55.66 ID:8MnlR9I2o

【ホテルの一室】

??「……まもなく開戦の時間です」

??「ついに……西が覇権を握る時が来るのね」

??「相手の陣容は?」

??「東西南北にそれぞれ約100。北側は宮守女子の軍勢です。あとは本部前に200ほど」

??「600ちょいか……楽勝やな」

??「油断は禁物では?」

??「わかってるわ。ただ、そのぐらいの心持ちやないと勝てへんで」

??「そうでしょうか……」

??「そや。ほな、うちは出るわ」

??「え!?」

??「無理はせえへんから心配いらんで」

??「……わかりました。お任せします……愛宕様」

雅枝「了解や。さぁて、暴れさせてもらおかなぁ」ニヤリ

大阪が生んだ百合妄想士、愛宕雅枝。絶対の自信を胸に、戦場へ向かう。

戦える喜びを抑えきれず、口元が自然と三日月型に歪む。

雅枝「ハハッ……」

笑い声が零れると同時に、時計の針がカチリと開戦を告げた。
465 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:13:07.97 ID:8MnlR9I2o

【東側】

初美「とうとう始まりましたですよー!」

憧「そうですね。気合入れないと」

連合軍・東側の軍勢の先頭に立つのは、永水女子の薄墨初美と阿知賀女子の新子憧。

ツインテールとツーサイドアップ。結び目4つの胸4つ。

攻め気強気の負けん気2人。ロリとイマドキのスーパータッグ。

そんな2人が、開戦と同時に仕掛ける。

初美「よい…しょっ」パサ..

LB軍「!?」

LB軍(ふ、服を……脱いだ!?)

半裸初美「うふふ……見ちゃダメー、ですよー?」クネリ

LB軍「…………」ゴクリ

生唾を飲み込むLB軍。無理もない。褐色少女が目の前で全裸への道を突き進んでいるのだ。

しかも、そばにいるイマドキ少女は止めようとしない。

これではまるでイマドキ少女が褐色少女に脱ぐよう命令させ、体が火照ったところでパクリといただくという作戦であるように連想させる。

全裸初美「はぁぁ……すっぽんぽんですよー」パサ!

LB軍「!!」

ついに全裸への道を完走した初美。しかしLB軍が驚いたのは、初美が完走したからではない。

全裸になっているはずの初美なのに、肝心な部分が全く見えないからだ。そのことに驚愕したのである。

LB軍(バカな……全然見えないわ……)

全裸初美「いやーん、ですよー」フリフリ

挑発的なポーズをとる初美。

しかし、その挑発に乗せられて体を見るも、胸の大事なところと股間部分には謎の光が発せられており、見えない。

その光は、初美がどれほど動こうと決して外れない。
466 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:13:39.08 ID:8MnlR9I2o

全裸初美「ふふふっ……」

全裸初美「〔 規 制 防 止 障 壁 ( セ ー フ テ ィ バ リ ア )〕」

全裸初美(私の趣味である露出を合法的に行える上に、ストレートに裸体を晒すことによって相手の妄想力を消耗させる………素晴らしい技ですよー!)フフフ

全裸初美「開放的でいい気分ですー」ノビー

LB軍(そ、そんなポーズ……股間を見せつけてるみたいじゃない……でも……あぁ!光で見えない!)

見せつけるから、見たくなる。

見たくなるのに、あそこは見えない……。

開けられない袋とじのような拷問。LB軍は悶々とするしかない。

このような絶望の中、ある者がふと閃いた。

LB軍A(そうだ……直接触っちゃえばいいのよ……)

そう、おさわりである。見えぬなら触ってしまおうホトトギス。

LB軍A(よおし……)ジリ

その少女が手をわきわきさせながら初美の元へ向かおうとした瞬間、

憧「そうはいかないんだなぁ……ふぅーっ」

LB軍A「!?」ビクン

耳元に息を吹きかけられた。

LB軍A「っ///」チラ

憧「ふふ……」

LB軍A「あ、あんた……///」

憧「よろしくね」

LB軍A(って、まずいわ!攻めないと……っ)

憧「遅いっ」

リリーブライドの少女より早く、憧の妄想が発動する。

穏乃を想いながら毎日繰り広げてきた妄想。

恋人同士になった自分たちのラブラブシチュエーションが、相手へと叩き込まれる。

LB軍A「うっ……」ガク..

憧「次……っ!」

初美の〔規制防止障壁(セーフティバリア)〕によって体力を削り、憧がとどめを刺す。

脅威の連携である。
467 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:14:06.05 ID:8MnlR9I2o

LB軍B「ちょ、ちょっと、陣形を立て直して!」

LB軍C「で、でも……見ちゃうんですぅ……///」

全裸初美「ゃん。M字開脚になっちゃいましたー!」

LB軍B&C「っ!!」ギラッ!

視線は股間へと向く!

しかし光で見えない!

その瞬間、彼女たちは苛立ちを覚え、舌打ちしてしまう。このように光は闇を浮き彫りにする。

憧「今よ!」

連合軍「わあああ!!」ダダダァッ!

このタイミングで憧の号令。

連合軍がLB軍に襲い掛かる。短期決戦狙いだ。

憧「ふふ……いい感じ。これなら楽勝かも」

?「なんだ?やけに騒がしいが……何かのイベントか?」

憧「?」チラ

ゆみ「ん?君は……」

憧「え……加治木さん?」

憧(ここにいるということは……加治木さんも百合妄想士?いや、それにしてはなんか……)

ゆみ「新子さんじゃないか。どうして東京にいるんだ?」

憧「あたしは……ちょっと用事があって。加治木さんはどうしてここに?」

ゆみ「あぁ、1泊だが旅行でな。遊びに来ているんだ」

憧「そうなんですか」

憧(……この感じ……嘘はついてない。あたしをだまし討ちしようとかじゃなくて、たまたまここに居合わせちゃったのかな?)

憧(…………スポンサーが部外者は入れないようにしてるみたいだけど……ということは、加治木さんも百合妄想士……?)
468 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:14:34.92 ID:8MnlR9I2o

憧「あの……実はここは今、立ち入り禁止になってまして……」

ゆみ「……やはりそうか……だが、その……知り合いがこっちの方に向かったのでな。様子を見に…」

全裸初美「あれー?新しい人が来たですよー?」

憧「あ、初美さん、ちょっと待……」

ゆみ「な……っ!な、な……///」カァァ

全裸初美「どうし」クネ

胸を強調し、

全裸初美「たんで」スーッ..

お尻を撫で、

全裸初美「すかー?」

腰を突き出す。

ゆみ「ど、どうしてそんな格好……な、なぜ光が……?!」

憧「加治木さんは違うんですって!」

初美の体が見えないように、ゆみと初美の間に体を入れた。

全裸初美「あー、なにするですかー?」

憧「いや……加治木さんは部外者みたいで……」

全裸初美「でもー……そういう風に装ってるかもですよー?」

憧「それは……」

全裸初美「どっちかわからないなら、倒しておくのが間違いないですよー!」クネリ!
469 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:15:11.46 ID:8MnlR9I2o

【リリーブライド本部】

久美子「……伝令より入電。東側にて薄墨初美、新子憧率いる軍勢と交戦。劣勢です」

恵「ふむ……」

久美子「それと、部外者と思われる人物と接触。薄墨はその人物に対し攻撃を仕掛けてます」

恵「部外者?誰だかわかるか?」

久美子「えー……はい。長野県の鶴賀高校3年生、加治木ゆみです」

恵「……なるほど」

久美子「この子がどうかしましたか?」

恵「いや、部外者は部外者なんだが……おそらく、その子が今日一緒に行動しているであろう人物が百合妄想士でな」

久美子「!あの……その人物って、まさか……」

恵「ああ……」
470 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:15:37.77 ID:8MnlR9I2o

【東側】

サワ..

全裸初美「っ!?な、なんですかー!?」

憧・ゆみ「?」

初美の体にビクンと跳ねる。

それは自らの演出ではなく、アクシデント的なエロス。余計興奮する。

だが初美の傍には誰もいない。

全裸初美「ど、どういうことですかー……」

??「先輩に……あそこを見せつけるとか……許せないっす」ユラー

全裸初美・憧「!!」

2人は目を見開いた。

さっきまで何もなかった空間に、1人の少女が現れたからだ。

憧「あ、これって……」

??「お久しぶりっす」

憧「!やっぱり……」

ゆみ「……モモ……」

その少女の名前は東横桃子。

存在感の薄さから人付き合いを避け続け、妄想に浸る日々を経て、愛しい先輩と結ばれた百合妄想士である。
471 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:16:25.37 ID:8MnlR9I2o

桃子「……先輩、すみません。私が離れたせいで巻き込んでしまって……」

ゆみ「いや、悪いのは私だ。待っているように言われたのに、モモのあとを追ってきてしまったから……」

桃子「……いえ、やっぱり私が悪いっす。戦いの様子を気にせずに先輩とのデートを楽しめばよかったんすから」

ゆみ「モモ……」

全裸初美「…………」

全裸初美(何もないところから現れる、語尾が『っす』、黒髪で巨乳の美少女……ということは……)

全裸初美「あなたが東横さんですかー?」

桃子「…………そうっすよ」

全裸初美「ふふ……ふふふ……」

桃子「…………」

全裸初美「私が唯一憧れる能力の持ち主………会いたかったですよー」

桃子「………でしょうね」クス

桃子「私の全裸露出は日常と同じ……繁華街での自慰行為も誰も気付かない……百合エッチに混ざっても相手が喜ぶだけ………」

全裸初美「…………」ゴクリ

桃子「私は存在しない」

全裸初美「その能力を聞いた時……羨ましいと同時に悔しかったですよー」

桃子「……………」

全裸初美「そこまで望めなかった自分に対して怒りも湧きましたし」

桃子「……………」

全裸初美「…………とにかく………あなたは絶対倒しますよー」

桃子「そうはさせないっす。先輩を誘惑した罪……償ってもらうっすから」
472 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:17:04.79 ID:8MnlR9I2o

全裸初美「…………〔規制防止障壁(セーフティバリア)〕、レベルMAX」シュー

初美が呟くと、大事な部分を隠していた光が細くなり、一瞬だけ強く発光し、消えた。そしてその代わりにどこからともなく湯気が発生した。

桃子「む………」

全裸初美「はぁー……腰をくねりますかー」クネックネックネ!

光も湯気も、見えにくい点では同じかと思われがちだが、明確な違いがある。

光の場合は、眩しさにより直視しにくい部分があり、タイミングによっては体全体が見えなくなる可能性がある。。

しかし湯気の場合は、はっきりと直視できる上に、透き通って見える気がする。無論、本当に際どい部分は見えないようになっているが、まさにギリギリのため、想像力を掻き立てまくる。

桃子(なんか……もうアレの形まんまに近いような気すらするっす……)ムラ..

全裸初美「ふふふ……ですよー」

全裸初美(一度この姿を見たらしばらく脳裏から離れないはず……ひたすら妄想力を奪い続けるですよー)

桃子(……こっちからも仕掛けさせてもらうっす)ユラー

桃子「」スー...

桃子の体が、右、左と繰り返し揺れる。初美の目がその動きを追う。

全裸初美(ステルスモモとか言われてるみたいですけど……消えるとわかってれば、ずぅっと目で追い続けて、存在感を消させないようにするまでですよー!)ジィー..

桃子「…………」スゥー..

全裸初美「!?」

桃子の姿が消える。ずっと見ていた初美でも、いつ消えたのかがわからない。気が付けばいなくなっていた、としか言いようがない。

全裸初美(ステルスって………これほそのモノですかー?)キョロキョロ

桃子「あなたの大事なトコロ………見てるっすよ」ボソ

全裸初美「!!」(振り返る)

全裸初美「……………………」

全裸初美(いない…)

フニュ..

全裸初美「ぅっ!!」ビク

全裸初美「い、今……どこを触ったですかー!?」

全裸初美「……………………」

全裸初美「へ、返事をするですよー!!」
473 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:17:36.81 ID:8MnlR9I2o

【リリーブライド本部】

久美子「東横桃子……?」

恵「知らないのも無理はない。完全に個人で活動しているからな」

久美子「え?では、いつ東横さんのことを知ったんですか?」

恵「私が街を散策している時に、百合の波動を感じ取ってな」

久美子「波動……」

恵「ああ。そして私が彼女に話しかけたのが出会いだ」

久美子「すごい……見知らぬおっさんにいきなり話しかけられても逃げないなんて……」

恵「…………」

久美子「あ、すみません会長」

恵「いや、かまわんさ。実際、見知らぬおっさんだからな」フフ

久美子「はい、そうですよね」

恵「…………」

久美子「…………それで?」

恵「あ、ああ。それからは百合関係のイベントで顔を合わせるたびに話すようになってな。つい先日のイベントでも会った。そこで今回の東西決戦について話して協力を依頼したんだ」

久美子「なるほど……」

恵「旅行の約束があるからと断られたんだが……ふふ、優しい子だな」
474 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:18:05.72 ID:8MnlR9I2o

久美子「それにしても……薄墨はかなりの実力者です。彼女を圧倒するなんて……」

恵「ああ。東横君の特性を活かした攻撃は、かなり強力だ」

久美子「特性?」

恵「そう。存在を見失うほどの影の薄さを利用し、攻める……彼女に狙われたものは、決して逃げられない」

久美子「…………」ゴクリ

恵「どこまでも付き纏い、白昼堂々と体をまさぐり、耳元で囁き、プライベート回線で性的妄想を垂れ流す」

恵「どれほど触られ、責められても………周りからは東横君の姿は見えない。ただ1人の女の子が悶えているだけに映る」

久美子「そ、そんな……」

恵「周りは変態を見るような目で見てくるだろう。それはMにとってはとてつもない快感であり、Sにとってはとてつもない屈辱……」

久美子「でしょうね……」

恵「その行為は、東横君が満足するまで終わることはない。そんな彼女を人はこう呼ぶ。『目に見えぬ追跡者(インビジブルチェイサー)』と」

恵「彼女の実力は、四天王たちと比べてもそう劣るものではないだろう」
475 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:18:41.28 ID:8MnlR9I2o

【東側】

全裸初美「や………もう………触らない………でくださ……いー」フラフラ

桃子「そんなこと言って………本当は嬉しいんじゃないっすか?」

全裸初美「ち、違いますー」

桃子「だって………ホラ」

全裸初美「うううー………」

初美の股間を隠す湯気の中、2人の激しい戦いが繰り広げられていた。

ゆみ「……一体何がどうなっているんだ?あちらでも何やら騒いでいるが……」

憧「えーと……とりあえずここから離れましょう」

ゆみ「いや、しかし……」

憧「東横さんのことは、あたしが責任持ちますから」

ゆみ「……わかった。元々、向こうで待っている約束だったしな」

憧「……なんかすいません」

ゆみ「いや、謝る必要はない。なんとなくだが、この場においては私の方がイレギュラーな存在なのだろうしな」

憧「……加治木さん」

ゆみ「迷惑をかけてしまったか?」

憧「いえ……全然です」

ゆみ「モモには、約束した場所で待っていると伝えてくれるか?」

憧「はい。わかりました……あ、そこまで送ります。途中ちょっとややこしいんで」

ゆみ「そういえば見張りの人がいたな……」

憧「はい。なので一緒に行きましょう」

ゆみ「すまない」

憧「いえ…」

憧(……本来なら、加治木さんを人質にとるとか色々手はあるかもだけど……インハイの時にお世話になった恩を仇で返したくない)テクテク
476 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:19:19.80 ID:8MnlR9I2o

全裸初美「ちょ、新子さん?どこに行…ひゃっ!そ、そこはダメですよー///」モジモジ

憧(ごめん薄墨さん。戻るまでは1人で頑張って)

憧は初美の方を振り返り、親指をグッと立てて微笑む。

全裸初美「き、急に戦線離脱してその笑顔、わけわかんないですよー!?ぁんっ!ゃ……///」プルプル..

桃子《ほら、どうっすか?ここを触られるの、気持ちよくないっすか?》

全裸初美「そ、それは……///」

桃子《いっそこのまま、能力を完全に解いて……裸で街中を歩いてみないっすか?》

全裸初美「!!」

桃子《みんな、薄墨さんを見てくれるっすよ?すごく……いやらしい目で…》

全裸初美「そんな……だ、ダメですよー……///」

桃子《どうしてっすか?ちょっと湯気を消すだけでいい……それで、全てをさらけ出せる……》サワ..

全裸初美「っ……!」ビクン

耳元で囁かれる桃子の言葉。それは、初美の心に甘く染み込んでいく。

姿の見えない存在からの囁きは、まるで自分が考えているかのような錯覚を呼ぶ。

連合軍B「……薄墨様?どうかしたんですか」タタッ

全裸初美「へ?」

そんな時、LB軍と交戦中の百合妄想士が初美の元へやってきた。

初美を心配してきたのだろう。しかし、彼女が初美に向ける目は、怪しい物を見るような目だ。

桃子の姿が見えないのだから当然だが、傍から見た初美は、全裸で巫女で湯気で褐色で……。

戦場の中にいながら1人悶えているという、高レベルな存在である。
477 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:19:48.09 ID:8MnlR9I2o

全裸初美(あ……この子の目……なんか……)ゾク

連合軍B「…………」

桃子《変態を見るようっすね》

全裸初美「っ……///」カァァ..

桃子《こんなところで脱ぐだけでも露出狂の変態なのに……こうして……触られて……》フニッ

全裸初美「ゃ!あっ……ん……///」モジーン!

連合軍B「あの……体調が悪いのですか?」

全裸初美「ちが、いますよー……//」ハァハァ

桃子《いっそのこと、お願いしてみたらどうっすか?『この場で、私をメチャクチャにして』って……》フゥー..(耳に息を吹きかける)

全裸初美「はぁ…んっ!ぁ……は……///」ビク

全裸初美(そんな……だめですよー……)

桃子《そっか……わかったっす。薄墨さんは、この子に触られるよりも…………快感を貪っている浅ましい姿を、見られる方が好きなんすね》フフッ

全裸初美《違っ……》

桃子《じゃあなんで……こんなに興奮してるんすかね》

全裸初美《!!》

全裸初美(私は……確かに……露出が好きで……でもそれはあくまで解放感を味わいたいだけで…………見られて喜ぶ変態じゃ……ない…)

桃子《変態》

全裸初美「ぁ……っ//」ビク

桃子《街中で裸になっている自分に向けられる冷たい視線に感じるなんて……本当の変態っす》

全裸初美(そんな……違う……私はただ……)

桃子《よぉく思い出すっすよ。今まで、こうやって裸を見せてきた人たちの視線を……》

全裸初美(視線………私を見て興奮してる目と…………あ…………み、見下したような……目……)ゾクゾクッ!

桃子《ほぉら……気付いた》フニフニッ

全裸初美「あぁんっ!!」ビク!

連合軍B「薄墨さん……」

全裸初美(あ……っ、なんて……冷たい……目…ッ!)

桃子《素直になるっすよ……そして、向こうにいる全員の前で、全てを晒しましょう》

全裸初美(そんな……こと……したら……)ハァ..ハァ..ハァ..

桃子《そうすれば……今まで味わったことのない快感が……待ってるっす》
478 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:20:14.68 ID:8MnlR9I2o

全裸初美(あぁ……私……あぁ…………だめ……もう…………何も……考え…ら、れ……………………)フラッ

初美の目が閉じられ、全身から力が抜ける。

その瞬間、湯気は消え去り、生まれた後にスク水を着て日焼けしてスク水を脱いだままの姿になった。

連合軍B「あ、危ない!」ガシッ

倒れ込む初美を、Bが受け止める。

連合軍B「大丈夫ですか!」

全裸初美「ち、がうですよー……私は……へん、たいじゃ……な……い……」

朦朧とする意識の中、M女であることを否定するのが精一杯の初美。力を完全に使い切ったわけではないが、もはや戦闘どころではない。

そんな初美の姿を見た桃子は、ゆっくりとその場を去る。

桃子「…………」スッ

憧「あ、薄墨さんが負けてる」テクテク

桃子「!新子さん」

憧「薄墨さんを倒すとか……東横さんすごっ…」

桃子「……それほどでもないっすよ」ユラー

憧「うわっ!」ビクン!

桃子「…………驚きすぎっす」

憧「いやいや……急に現れたら誰でも驚きますって!」

桃子「ふふ……」

憧「……って、次はあたしを倒しに来た……んですよね?」

憧(薄墨さんより強いとか……あたしの手に負えないっつの)

桃子「……いや、私はもう行くっす」

憧「え……」

桃子「……新子さんは先輩を守ってくれた……そんな人と戦う気にはなれないっす」

憧「東横さん……」

桃子「……では、またいつかっす」ユラー..

その言葉と共に、桃子は夜の闇に消えていった。
479 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:20:41.80 ID:8MnlR9I2o

【ホテルの一室】

伝令「伝令!薄墨様が敗れたそうです」

??「えっ!?」

伝令「ただ、完全な敗北ではなく、少し休めば戦闘は可能とのこと」

??「トドメをささなかった……?相手は優しい方なのですね」

??「そうかもしれないね。にしても、薄墨が負けるなんて予想外だ……相手は誰?」

伝令「鶴賀学園2年の東横桃子です」

??「……なるほど。噂には聞いたことがあるわ」

??「…………新子さんはどうされてますか?」

伝令「新子様は無事です」

??「それも妙な話だね……最初から薄墨狙いだったのか……?」

伝令「ちなみに、東横は薄墨様と戦闘後、離脱しています」

??「何故でしょうか……?」

??「……わからない。でも、薄墨が抜けた穴は大きい。そこはある程度の人数で埋めないと。東の外れに待機してた軍勢を新子の元へやってくれ」

伝令「はっ!かしこまりました!」
480 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:21:46.16 ID:8MnlR9I2o

【東側 外れ】

連合軍C「本部より入電!新子様の軍勢と合流!LB軍を挟み撃ちにするわよ!」

連合軍「ええ!」

薄墨・新子軍から少し離れた場所で待機していたC軍。

数は50程度で、機動力重視の部隊である。

薄墨軍と交戦中のLB軍を背後から突く作戦であった。

時は来たり……。意気揚々と進軍するC軍の前に、1つの影が立ちふさがった。

??「…………」

連合軍C「…………誰?」

連合軍D「な、なに……この迫力は……」タジッ

??「………………」

連合軍C「……味方、ではないようね……なら……」チラ

連合軍D「はい」スッ

連合軍C「蹴散らすわよ!」

連合軍「ええ!」ダダッ!

進軍中の50人の軍勢の前に突如現れた1人の少女。

彼女は何も語らず、ただ立ちふさがる。

戦場において無駄な時間は命取り。となれば、邪魔者が蹴散らされるは必然。

連合軍C(どきなさい……っ!!)

??「………………」

少女へ迫る連合軍の彼女たちの脳裏には、たった今現れた1人の邪魔者のことよりも、LB軍をどう攻めるかというシミュレーションに移っている。

『この子をさっさと片付けて、それから急いでLB軍の背後から急襲して……』

などと脳内で繰り広げられるシミュレーション。その中に……巨大なう○ちが降ってきた。

連合軍「!?!?」

進軍に急ブレーキがかかる。

連合軍の百合妄想士たちは戸惑いの表情で騒ぎ出す。あちらこちらで、『どうしてう○ちが?』『どうしてう○ちが?』の嵐が巻き起こっている。
481 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:22:21.03 ID:8MnlR9I2o

連合軍C「う○ち……映像…………まさか!」

??「…………」

Cがハッと気付く。こんなことをするのは1人しかいない。

連合軍C「まさか……あなたは…………四天王の……スカトロマスター・深堀純代!?」

純代《そうです…………って私、別にスカトロだけというわけじゃないんだけど……》

連合軍C「くっ……」ジリ

連合軍C(一番会いたくない人物に会ってしまったわ……でも、この人数なら……)

連合軍C「みんな!冷静になって!う○ちは毎日するわ!恐れないで!」

連合軍D「そ、そうよね……うん。毎日見てるもの」

連合軍E「ええ。怖がる必要はない…」

純代(もう立て直すんだ……なかなかのリーダーシップ)

連合軍C「いい?一気に攻めるわよ?油断せずに……今よっ!」ダッ

50人の妄想が純代に襲い掛かる。

全てをブロックするのは不可能であり、受け止めるのも大ダメージ必至だ。

そんな中、純代がとった行動は、

純代《脱・食・糞!!》グァアッ!!!

守りを捨てて攻撃するという、カウンターう○ちであった。

純代が言う『脱・食・糞』とは、るろうに剣心に登場する新撰組の斎藤一が掲げる信念である『悪・即・斬』と同様、

『脱いだら出す、食べたら出す、糞』という、人間の自然な在り様に対し何ら忌避すべきことはないという純代のスカに対する信念と愛を秘めた言葉である。

強い想いに裏打ちされたう○ちは決してぶつ切りにならない。

螺旋を描くようにクルクルと高みへと登り、重なっていく。

連合軍「ぎゃああああ!!!」

視覚のみではなく、激臭による襲撃により、純代を倒すという夢は潰え、モブ物語は終劇を迎えた……。
482 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:23:11.06 ID:8MnlR9I2o

【ホテルの一室】

伝令「報告します!風越女子を攻略中の40名!壊滅状態です!」

??「?この短時間に一体何が起きたのかしら?」

伝令「……四天王の深堀から攻撃を受けた模様です」

??「……それはキツいね……勝てるわけない」

??「早急に手を打たないとまずいですよね……」

??「……ですが、1人で動いてる彼女に対して軍を動かすのは得策ではありません」

??「ええ。彼女と真っ向勝負をするのは危険です。直接戦うのは愛宕様にお任せして、他の者は深堀さんと対峙した場合、守備に専念するよう通達をお願いします」

伝令「はっ!」
483 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:23:47.25 ID:8MnlR9I2o

【北側】

照「はぁ、はぁ……」タッタッタッ..

咲「っ、はぁ……」

久「結構、距離が……あるのね……」ハァ..ハァ..

咲「そう、ですね…………あ!」

照「い、いた……宮守、女子…」ゼェゼェ

宮守A「あ、いらっしゃいました!小瀬川さん!」

白望「……んー?来た?」

宮守A「はい!」

白望「じゃあ……3人にジュースでもあげて。私がお金出すから」

宮守A「は、はい」

白望「あ、ポッケにお金入ってるから、とって」

宮守A「わ、私がですか?」

白望「うん……ポッケに手を突っ込むの、ダルい……」

宮守A「では、し、失礼します」ゴソゴソ

宮守A(キャー!小瀬川さんの顔が近ーい///)

白望「じゃあ、よろしく……」

宮守A「は、はい……///」

照「はぁ……はぁ…」ヨロヨロ

咲「お、お姉ちゃ……だ、大丈夫?」フラフラ

久「しんどいわぁ……運動不足かしら……」ゼェゼェ
484 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:24:19.79 ID:8MnlR9I2o

宮守A「あ、あの!お疲れ様です。ジュースをどうぞ」

照「!ありがとう……」

咲「あ、すみません」

久「ありがと。いただくわー」

ゴクゴクゴク..

久「……っぷはぁ!生き返るわー!」

咲「……っはぁぁ……美味しい……」

照「……………………ぷぁ……ふぅ」

咲(一気飲みの『ぷはぁ』を我慢するおしとやかお姉ちゃんかわいい!!)

久「っと、あんまりのんびりしていられないんだったわね。あの、私たちはどうすればいいのかしら?」

宮守A「えっと、その辺のことは小瀬川さんに……」

咲「小瀬川さん……って確か……」

ガラガラガラ...

白望「私が説明する……」

照「…………?」

ガラガラという音に反応してそちらを見ると、

キャスター付きのダイニングチェアに座ったまま、足をちょこちょこと動かしながらこちらに近付いてくる小瀬川白望の姿があった。

久「……ちょ、ええっ?」

白望「あー……みんなその反応するんだよね……ただ、あんまり動きたくないからこれに座ってるだけ。以上」

咲「そ、そうなんですか」
485 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:24:59.63 ID:8MnlR9I2o

白望「……で、もう戦闘中だから簡潔に言うけど………………はぁ」

久「ど、どうしたの?」

白望「いや……何も」

白望(陣頭指揮とか、私の柄じゃないんだよなぁ……)ハァ

照「??」

白望「えと……まずはこれからの動きだけど………あー……その前に状況を把握した方がいいかな?…………ねぇ、君」

宮守A「は、はい!」

白望「現状説明をお願い」

宮守A「わ、わかりました!」

宮守A「現在リリーブライドは、本部前と東西南北のそれぞれに1チームずつ、合計5チームが配置されています。総数は約600人です」

宮守A「連合軍もそれに合わせる形で、東西南北それぞれに軍を1つずつ分けていますが、どれもLB軍を上回る数です。他にも遊撃部隊が多数確認されています。連合軍の総数は現在のところ、約1200人です」

照「!1200……?」

咲「聞いてたより多い……」

久(倍……かなりキツイわね……それに『現在のところ』というからには、今後さらに増える可能性があるってこと……?)

白望「それで……聞いてるかもしれないけど宮永さんたちには遊撃部隊をお願いしたい。正面からぶつかっても数で負けるから、守備主体で戦いつつ少数精鋭の遊撃部隊で隙を付いて相手の陣形を乱して一気に畳み込む……とかって流れになると思う」

宮守A「遊撃部隊には皆さんの他に、四天王の方々も含まれます」

白望「少数精鋭なんだから、負けないように……ということみたい」

久「四天王はともかく、私たちは精鋭って言われるほどじゃないと思うけど……ねぇ?」

照「うん」コク

白望「……どんな形で勝ったかは知らないけど、四天王を負かした時点で精鋭なのは確実。自信を持ったらいいんじゃないかな……」ハァ..

咲「お、お姉ちゃん、頑張ろう?」

照「…………ん」
486 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:25:57.40 ID:8MnlR9I2o

白望「……とりあえずここには宮守からの援軍の半分がいて、残り半分はすでに連合軍と交戦中。私たちは今から少し移動して連合軍の横を突く」

照「………わかった」

照(ついに…………戦いが始まるんだ……)ドクン

咲「……お姉ちゃん」キュッ(照の手を握る)

照「……大丈夫。私が守る」

久「えー?咲だけなの?私も守って欲しいなぁ〜♪」

照「あ……//」カァァ..

久「ふふっ」

照「久は……大丈夫」

久「ちょ、どういう意味よもうっ!私だって寂しい時もあるのよ?咲も何か言ってやってよぉ!」プイ

咲(部長にプイッてされるお姉ちゃんかわいい……///)ポー

久「…………ま、まぁいいか。じゃあ行きましょう」

白望「ダル……」

白望(さて……いよいよ本格的な戦闘開始か……)ハァ..

宮守A「あの……小瀬川さん、椅子は危ないのでこの担架に寝てください。私たちが運びますから」

白望「あ……どうも」

宮守A「い、いえ……///」

宮守A(小瀬川さんにお礼言われちゃったー///)

照「……どうして担架……?」

白望「移動、ダルい……」

照「そ、そう……」

照(世の中は広い……色んな人がいる)フーム
487 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:26:41.70 ID:8MnlR9I2o

【北側】

宮守B「くっ……」

連合軍「はああっ!」

北側で繰り広げられている戦闘は連合軍が圧倒していた。

戦力の差はわかりやすいほどの優位を連合軍にもたらしている。

しかし、名門宮守はしぶとくガードを固め、劣勢ながらもある程度の均衡を保っていた。

そんな戦況を、余裕の表情で見つめる3人がいた。

洋榎「…………」ムン

1人は背筋を伸ばして胸の前で腕を組み、威厳をアピールする。

怜「……………」

1人は棒立ちのジト目。

竜華「♪〜」

1人は両手いっぱいに宝物を抱えるように、棒立ちの子を抱きしめる。

三者三様のポーズである。

しかし、彼女たちに共通するのは、これからの戦いに対し、怯えなど全く抱いていないこと。

己の勝利、そして連合軍の勝利を確信しているのだ。

洋榎「さすが名門だけあるなぁ。粘っとるわ」

竜華「ほんまやなぁ。怜〜?」

怜「……………」

洋榎「おう、園城寺。さっきから黙ってどないしたん?」

怜「いや……さっきの寿司屋、タコ美味しなかったなって」

洋榎「どないやねん!バクバク食うといて!」

竜華「あはは」
488 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:27:19.52 ID:8MnlR9I2o

洋榎「しゃあないやっちゃなぁ……ほれ、もう時間や。行くで」ダッ

竜華「行こか、怜」

怜「ん……」

宮守B「ぐ……ぅ……まだ、大丈夫……」

連合軍「この子たち……しぶといっ……」

洋榎「どいたどいたぁ!うちに任せぇ!」

連合軍「!愛宕さん……」

宮守B(愛宕洋榎!これは……チャンス!ここであの子を倒せば、戦況が有利になる!)

宮守B《ちよちゃんに恋心を抱いた大阪!そしてちよちゃんもそれに応える!》

宮守B(大阪弁キャラを絡めれば、きっとダメージを…)

洋榎「ははっ!」ニヤリ

宮守B「え?」

洋榎「大阪、ちよちゃん、智、榊さん、神楽、暦。全員うちの嫁や!!」

宮守B「!?」

洋榎「勿論……あずまんがで百合妄想する……お前もうちの嫁やぁ!!」

宮守B「!!!!」

宮守B(な、なに……なんなのこの感じ。強引に嫁にされるなんて……普通なら嫌なはずなのに……)

洋榎「うちの嫁妄想に酔えや!!」

宮守B(だ、だめ……もう……夢中になっちゃう……///)

怜「……さすがやな」

竜華「感心してる怜好き〜♪」ナデナデナーデナ!

洋榎「ほれ!次の嫁は誰や!」

宮守軍「う……」

洋榎のあまりの迫力に、宮守軍がたじろぐ。自信に満ち満ちた表情で他者を嫁にする洋榎。

相手の妄想をねじ伏せるその様は、まさに剛腕。

妄想内のキャラを嫁にし、対戦相手である百合妄想士をも嫁にする。

これが愛宕洋榎。百合界の独占禁止法違反者。
489 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:27:58.80 ID:8MnlR9I2o

宮守C(愛宕洋榎はダメでも……この人たちなら!)

怜「?」

竜華「あ」

宮守C(病弱っ子は萌えるけど……戦場では手加減無用!)

怜「……りゅーか」

竜華「怜ー♪」

お互いの名前を呼び、恋人繋ぎをする。すると怜と竜華の周りをピンク色の光が包んだ。

宮守C「え……っ!」

怜「ごめんなぁ。これだけ敵味方が入り乱れとったら、範囲を絞り切るのが面倒や。せやから……みんなまとめて…………」

怜「〔 怜 と 竜 華 の 日 常 ( バ カ ッ プ ル デ イ ズ )〕」

ギュアアアアア!!

宮守C「っきゃあ!!」

激しい光。その場にいた200を超える百合妄想士たち全員が思わず目を瞑る。

キー...リューカー..

宮守C(な、なに?今、何か聞こえ……)

トキー..リューカー..

宮守C(これは……2人の声!?)

光によって目を閉じることを余儀なくされた面々の耳に、甘く、とろける響きが訪れる。

ダイスキヤデー ウチモー イッショヤナー

それは、2人のラブラブな日常であり、イチャイチャの記憶。

トキー ナニー? ヨンデミタダケヤデー? カワイイナァモウ!

宮守C(うぅ……私が休日に早起きしてLの世界をシーズン1から観てる時も……こんな風にイチャイチャしてたのっ!?ああぁあ!!)

強烈な精神攻撃。

一撃必殺ではないものの、相手の魂に語り掛け、気力を奪うには最適な技だ。

実際、倒れた者はいないものの、この攻撃によって力を消耗し、宮守側が連合軍の攻撃に耐えられなくなってきている。

カワイイトキー! シタッタラズ デ 「リューカァ..」 ッテ ヨブトキー! モウ..ヤメテェヤ..ハズイワァ..//
490 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:28:41.16 ID:8MnlR9I2o

洋榎「っく……しゃあないとはいえ、こっちにも……っ!お前らもうちの嫁やのに……うちを置いてイチャイチャしなや!くっ!」

怜「っと……」フラ..

竜華「怜!」

怜「へ、平気平気。さすがにこれだけの大人数にやるのは無茶やったな」

竜華「回復する?」

怜「うん……」

竜華「ごめん、椅子お願い」

連合軍「はい!園城寺様用と清水谷様用を2つ用意しました」サッ

竜華「ありがとう。よいしょ、っと……ほら、膝枕やでー♪」

怜「ん……」

連合軍の子が用意した2つの折り畳み椅子の片方に座り、膝をポンポンと叩く竜華。

その隣の椅子に腰かけ、竜華の膝にコロンと寝ころぶ怜。流れるような一連の流れは、まさにこの行為こそが日常だからだろう。

怜「はぁ……」

竜華「ふふふ……怜〜♪」

怜の頭を優しく撫でる竜華。すると、消耗した怜の力が、少しずつ回復していく。

そう、怜にとって竜華の膝は元気の源。レッドブル以上、養命酒以上、リポビタンD以上、未満なし。

怜(回復して……もっかい攻撃すればここは制圧できるなぁ)

竜華「怜〜♪」ナデリーノ

劣勢の宮守軍、もしも怜が全回復してしまえば、持ちこたえるのは不可能。

いや、愛宕洋榎の活躍を見るに、もはや怜を抜きにしても限界か……。

宮守の百合妄想士たちが諦めかけたその時……

宮守Aと数人「はぁ……はぁ……」

白望「間に合った……ダル……」

照「はぁ……はぁ……」

咲「危なかった……」

久「ギリギリセーフね!」

汗をダラダラ垂らしながら担架を運んできた宮守女子の子たちと、その担架に寝てるダルダル王女、そして照たちを先頭に、残りの宮守軍団が戦線に加わった。
491 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:29:12.36 ID:8MnlR9I2o

連合軍「!?」

横から不意を突かれる形になった連合軍は戸惑い、戦列を乱した。

白望「あー……突撃」

宮守軍「はいっ!!」ドドド

そのタイミングで白望の号令。優勢の連合軍を押し返す。

洋榎「………………」

洋榎「ほぉ……宮永照………あいつも百合妄想士やったんか」

宮守D(!考え事をしてる?隙あり!)

宮守D《ウラヌス…》バッ!

洋榎「嫁!!」

宮守D「あぁ…………っ……」ガクリ

洋榎「へへ……おもろなってきた」ニヤリ

白望「ありがと……後は自分の足で立つ」

宮守A「あ……だ、ダイニングチェアーは……どう、しますか?い、一応っ……持ってきてますが」ゼェゼェ

白望「うーん……戦闘中はやめとく。ありがと」

宮守A「い、いえ……///」

白望「さて……と」

連合軍F「宮守女子の小瀬川白望!覚悟!」

白望(……来たか……だるいけどやらないと……)
492 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:30:16.74 ID:8MnlR9I2o

白望「すぅーー…………はあぁあ…………」

白望「…………」キッ

連合軍F「!」

白望《君は、どのカップリングが好き……?》

連合軍F「え……あ……ラブライブの……ほのうみ……っ!?」

連合軍F(ど、どうして!?答えるつもりなんてなかったのに!口が勝手に……!)

白望《『ほのうみ』が一番?『ことほの』はどう?》

連合軍F「うぅ……ほのうみが一番……好き」

ザ..ザザ....ザァ....

連合軍Fの周りに立ち込める霧。この霧は本人と白望にしか見えていない。

白望《でも……ことりの方が穂乃果と息が合うかも……海未は絵里を好きなのかも……》

連合軍F「う……っ」

白望《他にも『にこまき』というのもある》

連合軍F「あ……確かに『にこまき』も……いい……」

白望《迷ったね……》

白望の言葉と共に、霧が一段と深くなる。そして目の前に巨大な木造の家が現れる。

ザァァアァアァ!!

連合軍F(え?い、家……!?)

その存在に気付いた瞬間、連合軍Fはいきなり開いた扉に吸い込まれ、家の中に引きずり込まれていた。

連合軍F(な、なに!?なんなのこれっ!?)

白望《〔 カ ッ プ リ ン グ 迷 い 家 ( マ ヨ ヒ ガ )〕。もう扉は閉ざされた》

連合軍F(!?あ、うあ……あ……ほのうみ……ことほの……にこまき……あぁ……)

〔カップリング迷い家(マヨヒガ)〕。

カップリングに迷った相手を閉じ込め、答えの出ない思考のループへと誘う能力。

迷い。悩み。常に付きまとう人間の性に狙いを定めるが故、効力は絶大。

自分の好きなカップリングを無理やり答えさせるという強制力をも備えているため、攻撃における能力という面では、かなりの上位につけるだろう。
493 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:31:21.69 ID:8MnlR9I2o

白望「ふぅ……まぁまぁか。さ、次」

白望《君たちは、どんなカップリングが好き……?》

連合軍G・H《!?》

白望(こっちはこのままでいけそう…………宮永さんたちは……?)チラ

照《……そんなロサ・キネンシスだった…》

連合軍I「うっ……」ドサッ

照(いける……!私、四天王との戦いで強くなってるのかも……)

咲《お姉ちゃんの検尿カップを見つめているうちに………私の手がそっと伸びて……》

連合軍J「いっやぁあ!!」バタッ

咲(いい調子!)

久《いつの間にか………すぎさんは、まりを目で追うようになった……》

連合軍K「え………でも………あっこが………うぅ」バタ

洋榎「……おいおい、盛り返してきおったで」

洋榎(うちの嫁たちを蹴散らすなんて……舐めた真似をする嫁どもやでぇ)

洋榎「こら、おしおきせなあかんなぁ!」ニヤリ

白望(……来るか、愛宕洋榎……)
494 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:32:15.26 ID:8MnlR9I2o

【リリーブライド本部】

恵「…………」

恵(我が軍は劣勢、か……残念だが予想通りだ)

恵「……久美子君。四天王の動向はどうなっている?」

久美子「…………深堀さんは、東側の連合軍と接触し、戦闘中です。西側の臼沢さんは……街中で配っていた風船を持って幼女に話しかけて、『それ、ちょーだい!』という言葉を引き出し、その言葉をヤラシイ意味で妄想して興奮しているようです。まだ戦闘に参加してません」

恵「……なるほど」

久美子「ですので、久保さんに西側へ向かってもらいました」

恵「ふむ。それでいいだろう。彼女なら安心して任せられる」

久美子「はい。そして沢村さんは……開戦後、全く連絡がとれません。東京に来ているのは間違いないのですが……」

恵「そうか……」

恵(西の妨害、だろうな)

久美子「エイスリンたん……失礼。エイスリンちゃんは現在……公園のトイレにいるようです。おそらく掃除と思われます」

恵「掃除なわけがないだろう。お花摘みではないのか?」

久美子「エイスリンちゃんはそっち系統のはしませんので掃除です」

恵「…………そう、かもしれないな」

久美子「ようやく親衛隊が揃ったみたいですので、これから戦線に参加することになります」
495 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:32:54.78 ID:8MnlR9I2o

恵「心強いことだ。彼女の活躍に期待しよう」

久美子「はい」

恵「………………」

久美子「…………」チラ

恵「………………」

久美子「…………あっ」パラッ

恵「ん?」

久美子「すみません。資料が落ちてしまって…………膝を曲げずに拾っていただけますか?」

恵「ああ」スッ

資料を拾おうと、前かがみになる恵。久美子のお願い通り、膝を曲げていない。このままではパンチラになってしまう。

久美子「…………」

劣勢のLB軍の動向に気を取られるあまり、遂にパンチラしてしまうのだろうか?不安にかられる久美子。

恵「……フゥッ!!」

久美子「!!」

しかし、やはり上に立つ者は違った。少し前かがみになった恵は息を強く吐き出し、資料の下に滑り込ませて資料を浮かせた。

ひらり、ひらりと舞う1枚の紙。恵は手を伸ばし、2本の指で挟み、回収した。

その際、ピラピラとスカートが揺れたがパンチラには至らず。相変わらずの鉄壁である。

久美子「会長……!」

恵「いくら我が軍が劣勢でも、パンチラは許さんさ」

この人がいる限り、リリーブライドは負けない。久美子はそう再確認したのだった。
496 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:33:37.43 ID:8MnlR9I2o

【南側 外れ 公園のトイレ】

エイスリン「フー、スッキリ」フキフキ

親衛隊「清掃業務、お疲れ様です。エイ様」

エイスリン「セイソー?チガウヨ?オシッ…」

親衛隊「エイ様は天使!エイ様は天使!」ワアアアァア!

エイスリン「ホント?」

親衛隊「ホントです!」

エイスリン「アリガト♪」

親衛隊「エイ様ぁぁあ〜〜〜////」

親衛隊の黄色い声援が女子トイレに響く。エイスリンの一言でモチベーションはうなぎ上りだ。

この士気を維持したまま戦闘に入れれば、かなりの戦果が期待できるだろう。

エイスリン「ジャア、コレカラ、シュッパ………ツ?」

勢いそのままに、いざ出陣……というところで、エイスリンが親衛隊の背後を見て止まる。

親衛隊「エイ様?」

疑問に思い、後ろを振り返ると、そこには1人の少女がいた。

??「あ、あの……」

エイスリン「ア……!」

ポニーテールに紺色ジャージ。上は着てるが下は着てない。忘れたわけでは決してない。

??「どうも……」

そんな彼女の名は……。

エイスリン「タカカモ!シズノ!」

穏乃「あ、知ってくれてたんですか?ありがとうございます」

阿知賀女子学院1年、高鴨穏乃だ。
497 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:34:25.80 ID:8MnlR9I2o

親衛隊「エイ様!この子は……」

エイスリン「……テキ?」

穏乃「ぅ……あ……そのぅ………」

エイスリン「オシエテ?」(首を傾げる)

穏乃「っ……は、はい。私は…………敵です……///」

敵かと聞かれ、言いよどむ穏乃だったが、エイスリンの可愛すぎさにより真実を吐露する。

エイスリンの首傾げは、気功の達人が手をグルグル回し、対象相手に触れずに転倒させる技と同じようなものだ。

心を右へ左へと揺すぶられ、ノックアウトされてしまう。

エイスリン「ッ、テキ!!」キュポン!

穏乃「あ、しまった……」

親衛隊「っ!!」ザッ

穏乃の『敵』という一言を受けて、エイスリンは一歩後ずさり、イラストボードに絵を描く。

そして絵が完成する前に邪魔されるのを防ぐため、親衛隊がエイスリンの前に壁を作って立ち塞がる。

エイスリン「」カキカキカキ!

エイスリン「デキタ!!」

『親衛隊の1人と穏乃がキスをしている』

親衛隊A「あ……わわ……」フラフラ

描かれた通り、穏乃のそばへ向かう。

穏乃「あ……」

親衛隊A「……私のファーストキスでエイ様のお役に立てる……幸せ………」フラー
498 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:35:10.81 ID:8MnlR9I2o

穏乃「…………」

そして穏乃の唇へとゆっくり迫る。百合キスまであと3秒。

……しかし、

穏乃「…………よっと」スッ

穏乃は身を躱し、キスから逃れた。

エイスリン「!?!!?」

エイスリン(ナンデ!?ワタシ、チャントカイタ!)

エイスリンが可愛く驚くのも無理はない。

エイスリンが持つ魅了に対しては相手によって効果が薄かったり、

好きな人がいる相手には通用しなかったりした。

しかし絵に関しては自分が描いた通りに動かせた。

咲には最後の最後で通用しなかったが、それ以外の時は操ることができた。

それなのに穏乃は最初から通用しない。

今まで味わったことのない展開にエイスリンは動揺を隠せない。

穏乃「危ない危ない」

エイスリン「ッ!」

エイスリン(…………カキマチガイ!キットソウ!モウイッカイ……!)キュキュキュ...

エイスリン(デキタ!!)

『裸の穏乃がエッチなポーズで親衛隊を誘惑している』

エイスリン(ヌゲ!!)Come on!

穏乃「…………」

エイスリン「!!!」

エイスリン(コノコ…………ワタシノ、チカラ………キカナイ!?ナンデ!!?)

エイスリンは確信する。穏乃には自分の能力が通じていない。

その事実に放心状態になってしまうエイスリン。

自分の武器が相手に通用しない時、彼女は一体どう可愛くなってしまうのだろうか……?
499 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:36:01.57 ID:8MnlR9I2o

【西側】

その頃、西側では久保貴子が奮戦していた。

貴子《……という結末だった》

連合軍L「ひぃっ!」バタッ..

貴子「はぁ……ァァッ……はぁ……ァァッ……はぁ……ァァッ……」

連合軍「つ、強い……」

LB軍(さすが久保様!圧倒的ですわ!)

貴子(本部前を留守にするのは不安だが……ここで数を減らしておけば後々楽になるはずだ……というか、臼沢ァァッ……早く来てくれよ……)

自身の攻撃に加えて、味方を指揮し、流れるように攻めたてる。兵力差を物ともせず連合軍を次々と蹴散らす久保貴子……まさしくコーチ無双である。

もしかしたらこのまま西側の軍勢を跳ね返すのではないか。

そう期待できる奮戦ぶりだ。

だが、そこに待ったをかける存在がいた。

雅枝「おーおー、気張っとんなぁ」

腰近くまで伸びた長髪。その毛先はアッパーカットの如く天へ跳ね上がっている。

眼鏡越しに光る強気な目。スーツをスマートに着こなし、大人の色香を放つ。

愛宕洋榎の母であり、千里山の監督を務める百合妄想士、愛宕雅枝だ。

貴子「?」チラ

貴子「!あいつは……」

LB軍D「やああっ!」タタッ!

貴子「ま、待て!不用意に近付くと……」

雅枝「ふふ……ほな、さようなら」

手を広げ、横に薙ぐ。

LB軍D「え?あっ……きゃ……」フラ..

すると、迫ってきたDが急にフラつき、膝をつく。

雅枝「ははは……ごめんなぁ」

貴子「くっ……みんな!やつには近付くな!」

雅枝「やつ、なんて言わんと……うちには愛宕雅枝っちゅう名前があるんやから、そう呼びぃな」クス

雅枝「なぁ……久保貴子ちゃん?ははは!」

貴子「…………ァァッ……」

貴子(愛宕雅枝……若くしてリリーフラワーガーデンの会長に上り詰め、今なおその椅子に座り続ける女傑………おそらく今回の東西決戦の首謀者であり、総大将。それがこんな前線に出てくるとは……)
500 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:36:54.69 ID:8MnlR9I2o

LB軍E「愛宕雅枝……?それってリリーフラワーガーデンの…?だったら、チャンス!」タタッ

雅枝「そやなぁ。うちを倒せば、士気はガタ落ちやろうな」クス

LB軍E「みんな!一気に行くわよ!」

LB軍「はいっ!」

貴子「!待っ…」

雅枝「ってられへんねんて。残念」ヒュヒュン!

LB軍「!!」バタバタバタッ!

貴子「!!」

雅枝「ははは。脆い、弱い」

貴子(……やっぱり、強ェ……そこらのやつじゃ歯が立たねェから、堂々と出てきたわけかよ……)

雅枝「ほれほれ」ヒュヒュ!

LB軍「きゃあっ!!」

貴子(くっ……このまま、こいつをここで戦わせたら、こっちの被害がひどくなる一方だァァッ!だったら……ここから愛宕雅枝を連れ出して、私がタイマンを張る形にするしかねェ……)

貴子「あ、あのっ!!」

雅枝「あん?」

貴子「私と……1対1で勝負しませんか!?」

雅枝「嫌や、そんなん」

貴子「!」

雅枝「タイマン張るより、ここであんたらの兵を減らす方が効率ええ。うちと戦いたいなら勝手にかかってこんかい。まとめてやったるわ」

貴子「……は、はい。その通りですよね……元々そちらの方が優位ですし……」

雅枝「わかっとんならええねん」

貴子「は、はい。すみませんお忙しいところ……」ペコペコ

貴子(……くそっ……ダメか……)

弱気になる貴子。

彼女は自分より年下、または立場が下の人間には罵倒やビンタの雨を降らせるのが得意だが、

目上や権力持ち、ビンタをしたあとに報復されるような相手にはめっぽう弱いという、なかなかな人間だ。

そのため雅枝相手には威張れず、強気にいけない。これは心に染みついた性根であり個性なのである。
501 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:37:29.21 ID:8MnlR9I2o

貴子(だが……これは戦い…………負けたら関西色の強すぎる百合業界になるかもしれねェ……今までリリーブライドがやってきたことが全て破壊される……)

連合軍「わああ!!」

雅枝「それそれっ!」

貴子「……っ!」

貴子(……ここは……退けねェ!!)

貴子「…………愛宕雅枝ェァァッ!!」

雅枝「ぁん!?」ギラリ!

貴子「……さん!!」

雅枝「おう。なんや。タイマンは張らへんぞ」

貴子「…………」

貴子(……おそらく彼女を動かす方法は1つしかねェ…………あとが怖いが…………根性出すぜァァッ!)

貴子「そ、そんなこと言わず、私と勝負だァァッ!」

雅枝「あ゛?タメグチか?」

貴子「う、るさいっ!いいからかかってこい!!」

雅枝「…………は!挑発か?ガキやあるまいし、そんなんに乗るほどうちはアホちゃうで?」

貴子「………オ」

雅枝「今の状況でタイマン張るとか無意味やしな。ははは」

貴子「オーバーハン……」

雅枝「は…………」ピタ

貴子「オーバーハン…………オーバーハン……」

雅枝「……………」

貴子「オーバーハン……オーバーハン。オーバーハン。オーバーハン。オーバーハン」

雅枝「……………」

オバハンを連呼しながら雅枝を見つめる。そして雅枝の顔を指さし、なお続ける。
502 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:38:16.76 ID:8MnlR9I2o

貴子「オバハンオバハンオバハンオバハン…」

テンポアップ。

雅枝「……………」

貴子「………いや、オバハンじゃなくてお姉さんかも……?」

自問自答。

雅枝「!」ピク..

貴子「…………いやいやいや!絶対オバハン!オバハンオバハン!オバハンオバハン……」

やっぱりオバハン。

雅枝「……ろや」

貴子「オバッハン!オバハン!オバッハン!オバハン!」

雅枝「やめろ言うてるやろが!クソガキがァ!!」ダダッ!!

貴子「オバッ!?」

額の青筋をピキピキさせながら貴子に向かって突進する雅枝。

外見は二児の母にしてはかなり若く見えるのだが、やはりオバハンは禁句ワードだったようだ。

ハンター試験でゴンにバッジをとられる直前のヒソカのような表情で貴子へ迫る。

貴子「オバハンオバハンオバハンオバハン!!」ダダダッ!

雅枝「待てやコラァァァァ!!」ダダダダダ!!

貴子「オバハァーーーーン!!」

貴子(よし!このまま引き離す!!)
503 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:38:45.64 ID:8MnlR9I2o

【北側】

洋榎「行くでぇ、オラアアア!!」ダダダッ

白望「…………」チラ

怜「……眠なってきた」ウトウト

竜華「うとうとの怜、好き〜♪ウトウトキスキー♪」ナデナッデデ..

白望(あの2人が戻ってくるまでに……片付けたい)

洋榎「嫁嫁嫁嫁ェェ!!」

白望《……君の好きなカップリングは………?》ユラー..

洋榎「お?」

白望の体から霧が発生する。

ゆらゆら、ゆりゆららと、2人を包んでいく。

白望(よし……取り込めた。後は……)

白望《どんな作品でもいい……君の好きなカップリングを教えて…………》

洋榎「…………」

〔カップリング迷い家(マヨヒガ)〕からは逃れられない。

この能力に支配された者は、心の底から好きなカップリングを口に出してしまう。それは愛宕洋榎も例外ではない。

白望(さあ……飲み込んであげるから…………答えて)ユラ..

洋榎《…………お》

白望「…………」

洋榎《女の子は………みんなうちの嫁や!!》

白望「!!?」

洋榎《可愛い女の子は全部うちのもんや!!》

白望(……カップリングという概念を持ってない?………いや、そうと決まったわけじゃない……)
504 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:39:19.95 ID:8MnlR9I2o

白望「…………」

白望《可愛い女の子………例えば?》

洋榎《ささめきことの純夏………可愛いとこあるやん!うちの嫁や!!》

白望《でも………純夏は汐が好き………2人の間に入るつもり?》

洋榎《汐もうちの嫁や!!めっちゃ好きや!!》

白望《…………まゆやシャルロッテは》

洋榎《嫁と嫁や!!作者もアシスタントも嫁や!》

白望(この揺るぎない信念………迷いがまったくない……)

宮守軍「白望様……?」ザワザワ

白望(……っ……私の攻撃が通用しないことに動揺してる……このままだと士気が……)

白望「……ごめん、バトンタッチ」

照「え?」

白望「愛宕洋榎を食い止めて」

照「わかった」

咲「わ、私も!」

久「任せて!」

白望「ありがとう。お願い」テクテク

洋榎「む?逃げるんか!?嫁!!」

白望(……嫁じゃないし……)

宮守軍「あ、あの……小瀬川さん、その……」

白望「大丈夫。今のは様子見だから」

宮守軍「そ、そうだったんですか」ホッ

白望「うん。安心して」

宮守軍「はい!では、行ってきます」タタタ

白望「…………ふぅ」

白望(愛宕洋榎とは相性が悪いみたい……なら、園城寺さんたちを落とす)テクテク
505 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:39:58.22 ID:8MnlR9I2o

連合軍「この先は通さない」ザッ..

白望「………残念だけど、愛宕洋榎以外は私の敵じゃないよ」ボソッ..

連合軍「え……?」

白望《…………君たちの理想のカップリングは……?》

連合軍《えっ!?》

ザァアァアア..―――

連合軍《あぁあ………違う………これは………樹里×雪乃………でも………あいが………うぅ……》バタバタ..

怜「…………」

竜華「………………」

怜「……あの宮守の子、強いなぁ」

竜華「ほんまやなぁ…………でも人の強さを認める怜好き〜♪」ナデッデッデデッデ..ッデッ!

怜(小瀬川白望……やったっけ?その実力は宮守随一と言われながらも『ダルい』の一言で表舞台を避け続けてきた……今回は本気やってことか。普通の子らじゃ歯が立たんようやなぁ)

竜華「思案してる顔もめっちゃかわええなぁ、怜は///」NDND..

怜「…………いこか」

竜華「え?」

怜「竜華のおかげで全快したわ」ムクリ

竜華「えー、うちまだ膝枕してたい」

怜「……そんなん言わんと」

竜華「でもー……」

怜「……ほ、ほな、こっち向き」

竜華「?」

怜「…………ん//」チュ..

竜華「っ……///」

怜「……これで、ええやろ///」

竜華「と、怜……恥ずかしがりの怜が自分からチューしてくれたあ……///」ポワァァ..

怜「ほないくで//」

竜華「うんっ!」

連合軍「うぅ……っ……あぁ……」バタバタ..

白望「………………」

白望(うん、このまま数を減らしつつ……)

怜「……後はうちらを潰そう、って?」

白望「…………」

白望(その通り……向こうから来てくれるとは……だるさが省ける)
506 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:40:35.76 ID:8MnlR9I2o

白望《……君たちの好きなカップリングは…………?》ユラー..

怜・竜華「!!」

怜(……この強制力……さすがやな……どうあがいても答えたなる……けど……)

怜《私×竜華や!!》
竜華《うち×怜や!!》

怜(私たちに迷いはないっ!!)

白望「……っ……!!」

白望(そうくるか……だったら……)

白望《本当に?江口セーラ………二条泉………船久保浩子………みんな魅力的な子。他の学校にも…》

怜《私×竜華や!それ以外はない!!》

竜華《うちもやで〜//》

白望(なるほど……惑わせようと思ったけど、ダメか……)

白望《……じゃあ…………二次元キャラではどのカップリングが好き?》

白望(三次元に執着するなら、こっちから攻める……)

怜「……に」

白望(に?矢澤にこ?その場合、相手は…)

怜《…二次元になった私と竜華や!》
竜華《二次元になったうちと怜や!》

白望「っ!」

白望(……愛宕洋榎だけじゃなくてこの2人も…)

白望(私と相性悪い相手が3人もいるなんて……これは偶然じゃない…………相手の作戦、か)

宮守軍「ぐぅ……ぁあ……」

連合軍「いけーっ!」

白望(……押され始めてる……)チラ
507 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:42:26.48 ID:8MnlR9I2o

洋榎「嫁とりどりやなぁ!はははっ!」

照「っ……」

咲「お姉ちゃんを嫁になんて……させない!!」

久「勝手に人を嫁にしないでっ!」

白望(愛宕洋榎は宮永さんたちが頑張って抑えてくれてる……ここで私が引いたら園城寺さんたちが愛宕洋榎に加わる……そうなったらもう勝てない……)

怜「……おしまいなん?ならこっちからいかせてもらうで?」

竜華「T to the O to the K to the I〜♪」

白望(……私の能力が通用しないなら……通常の妄想で仕掛ける)

白望《おかっぱでお団子頭の少女は至って普通な女の子。優しくて、面倒見がよくて……時に無茶してしまう危なさも持っている》

白望《そう……普通の女の子。だから性に対して興味を持つことも年齢を考えれば当然と言える》

怜「む……」

竜華「あ……」

怜(プライベート回線か。ブロック…………ちっ、弾かれてもうた……強引やな……)

竜華(あん……怜と一緒におる間は怜のこと以外考えたないのに……)ブー

白望《麻雀牌を掴むキレイな指で、夜な夜な自分の体を撫でている彼女。奥底から波打つような快感によって漏れ出る声が周りに聞こえないよう、布団を噛みながら声を押し殺す》

怜(ちっ……このまま受け続けるのもあかん。仕掛けるで)チラ

竜華「あ…………えへへ」ニコッ

怜「…………」

怜(かわいい///)

白望《必死に耐えるその頬はきめ細かい白い肌に映える赤。純白を染める血の色。彼女自身を撫でるその指は想像の中で、誰のどんなものへと変換されているのだろうか?》

怜「竜華!」

竜華「あ……うん!」キュッ

白望(恋人繋ぎ!やばい…)
508 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:42:53.40 ID:8MnlR9I2o

【北側 外れ】

貴子「オバ……ハァン…………オッババ……ハァァッ……ン……」ゼェゼェ..

貴子(さ、さすがに……オバハン連呼ランニングはキツイ……もう、限界だ……)

雅枝「コラアアァア!!」

貴子(……あの人は、どうしてあんなに元気なんだ?秘訣が知りてェ)

雅枝「おうおう……ようやく止まったなぁ。観念したんか?」

貴子「はぁ……はぁ……」

雅枝「あんたは言うてはならんことを言うた。覚悟はできとるんやろな?」ギロリ

貴子「っ……!」

貴子(怖ェ……本場のメンチじゃねェか……味わいたくなかったぜ)

雅枝「おぅ?」ギロリリ!

貴子「…………」

貴子(とはいえ、目的は達成した。全然人がいないところまで引き連れてこれた……これでLB軍の被害は最小限に食い止められる)

雅枝「だんまりかい。まあええわ。とっとと片付けたる」

貴子(あとは…………私が愛宕雅枝を倒せばいいだけ)ドン..ッ!

雅枝「お」

貴子「………………」

雅枝「ようやくやる気になったか」

貴子「……以前の私とは違います」

雅枝「…………」

貴子「……昔あなたに敗れて以来、私がどれだけ生徒をビンタしてきたと思います?」

雅枝「知らんがな。っちゅうか生徒殴るのやめぇ」
509 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:43:22.56 ID:8MnlR9I2o

貴子「教育論はともかく、あれから時は経った……もう過去の私じゃない!ァァッ!」

雅枝「…………ほぅ」

貴子「ここであなたを倒します」

雅枝「そうかいな…………ほな、やってみぃや!」スッ!

愛宕雅枝が右手を開き、腰の下まで伸びた髪の毛の先端を掴む。

そして天に向かって跳ねている毛先をなぞる様に滑らせる。

するとその手の平に、毛先と酷似した刀身を持つ鎌が現れた。

その鎌は本物ではない。妄想で作り上げた物であり、本人と百合妄想士にしか見えない。

貴子「!!」

雅枝「オラァ!!」

右手を振りかぶり、貴子へ向けて鎌を放つ。

貴子「ッ!」サッ!

慌てて避ける貴子。彼女が必死になるのには理由がある。

それは、この鎌には愛宕雅枝の能力が影響されており、ひとたび受ければ、恐ろしいペナルティーが課されるのだ。

その名も〔希望を刈り取る鎌(ペナルティーシックル・壱)〕。

鎌に触れた人間は、大ダメージを受けると同時に、百合要素が少しでも含まれる次期のアニメを、原作も含めて放送期間終了まで決して見ることができなくなる能力だ。

テレビはもちろん、パソコンでも視聴は不可能。人から内容を教えてもらおうとしても、耳がキーンとなって聞こえない。

かろうじて録画は可能だが、放送期間中は視聴できない。

百合好きにとっては、『来期は百合モノが大豊作だ!』などと期待していればしているほどダメージは大きく、リアルタイムで観れないため、話題にもついていけない。

まさに希望を根こそぎ奪う能力である。
510 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:44:11.33 ID:8MnlR9I2o

雅枝「ほれほれ!どんどん行くでー!」ヒュヒュヒュ!

貴子「っ!はっ!くっ……」サササッ

貴子(これだけ連続で……キツイ……が、当たるわけにはいかねェ!)

雅枝「上手いこと避けんなぁ。ほな、次のステップ行ってみよか?」サッ

希望を刈り取る鎌を投げた雅枝が左手を毛先へと向ける。すると違う色の鎌が現れ、握られる。

貴子(それは……!)

雅枝「はは、懐かしいやろ?昔はこれ食らうて負けたんやもんなぁ?」

貴子「く……!」

左手に握られている鎌、その名も〔生きがいを刈り取る鎌(ペナルティーシックル・弐)〕。

〔希望を刈り取る鎌(ペナルティーシックル・壱)〕と同等の規制に加え、録画すら禁止。

観られない期間はさらに伸び、ブルーレイ・DVD全巻レンタル解禁後まで見ることはできないという鬼畜の所業。想像すらしたくないだろう。

貴子は以前、雅枝と戦ったことがあるのだが、その際にこの鎌を受けたせいでストロベリーパニックを観ることができなかった。

怒りの収まらない貴子は、後輩や生徒を定期的にビンタすることでなんとか辛い日々を凌いだのだった。

雅枝「うらぁ!」ヒュン

貴子「ちィッ!」サッ!

雅枝「よう動くなぁ!どこまでもつか見届けたるわ!」ヒュヒュン!

貴子「ぅおっ……!」

貴子(くそっ、ハンパねェ波状攻撃だ!今は避け続けるしかねェ……反撃はその後だァァッ!)
511 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:44:56.80 ID:8MnlR9I2o

【北側】

怜「〔 怜 と 竜 華 の 日 常 ( バ カ ッ プ ル デ イ ズ )〕!!」ギュアアアアア!!

リューカァ トキー イヤン ドコサワッテンノー? エヘヘ..

LB軍「うぅぅ……」

連合軍「あぁ……」

白望「く……」

怜(小瀬川……防御力もかなりあるんやな。このまま全体攻撃しとっても決め手にならんか……しゃあない。範囲を絞るのはかなり消耗するけど……)

怜(対象を……全体から……小瀬川周辺へと狭める……!)ギリリ..

白望「!?」ズン..

白望「ぁ……ぐ……ぁあっ!?」

白望(な……急に重く……)

トキートキー リューカリューカー..

白望(頭の中で……2人のイチャイチャが響く……)ズシャッ..

怜(!膝をついた。よし……このまま浴びせ続けたる……っ……)ギリリ..

竜華「怜……」

怜「へ、平気や」

白望(やっば……倒れないようにするのがやっととか……)クラクラ..

連合軍M「小瀬川白望!覚悟っ!」

白望「!」

白望(こんな時に……っ!)
512 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:45:24.80 ID:8MnlR9I2o

白望《……君の好きなカップリングは……?》ユラ..

連合軍M「!!」

怜(ちっ……まだ力が残っとるんか)

竜華「なぁ怜……もうそろそろ止めんと……」オロオロ

白望《……扉は閉ざされた……》

連合軍M「…………」バタッ

白望「…………っはぁ〜!」

白望(もう……限界……せめて…最後に……一太刀…)チラ

怜「!」ゾクッ

白望《彼女が……夜に自分を悦ばせていたと……想像すると……普段何気なく……触れた指先に……っ……》

白望(だ、め、、だ…………とど……かな、い…………)フラ..

白望「………………」ガクッ

怜「!」

怜(や、やった……小瀬川を……倒し…)フラッ..

竜華「と、怜!!」ガシッ

怜「ぁ……りゅーか……ごめんなぁ」

竜華「ううん、うちは平気。それより、早く回復せな」

怜「うん……」

竜華「早よ椅子に座っ…………あ」

怜「どしたん……?」

竜華「椅子持ってた子、やられてもうたみたいや……あそこに椅子が落ちてる……周りは敵だらけ……」

怜「そうか……しゃあないな……」

竜華「しゃあないって……怜が辛いのにしゃあないことない!」

怜「けど……」

竜華「何か手は…………あ!ちょっと待っとって!」タタタ
513 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:46:04.23 ID:8MnlR9I2o

怜「うん……」

怜(…………疲れた……)ハァァ...

ガラガラガラ..

竜華「怜!お待たせ!」

怜「おかえり…………それは……」

竜華「ガラガラの車輪付きの椅子や!宮守が使ってたやつかな?落ちとった!」

怜「落ちとったって……置いてあるだけやろ……」

竜華「ちょっとだけ借りて、あとで返せば問題ない!」

怜「それはどうやろか……」

竜華「とにかく!これやったら膝枕しながら移動できるで!」

怜「え?どうやって?」

竜華「こうや!怜をお姫様抱っこして……っと」ヒョイ!

怜「ぅわ……!」

竜華「うちが椅子に座る。そんで腕をちょっとズラして……怜の頭を膝に……っと」

怜「あ……膝枕や……けど、竜華の腕が辛いんちゃう?」

竜華「そんなん、怜のためなら全然平気や!」ニッコリ

怜「りゅーか……///」

竜華「えへへ……」

LB軍「覚悟ー!」タタタッ

竜華「あっ」

連合軍N「させない!」サッ!

竜華「!」

連合軍N「今のうちに下がってください!」

竜華「ありがとう!」

怜「ごめんな……」

竜華「ほな、行くで?ちょっと揺れるけど我慢してな?」

怜「うん……」

椅子に座った竜華が、両足でチョコチョコと地面を蹴りながら移動する。

回復しながら動けるという、まさに一挙両得である。

ただ……

怜(……さっきから膝が頭にゴツゴツ当たって痛い……)

膝枕としては快適ではないようだ。
514 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:46:47.50 ID:8MnlR9I2o

【リリーブライド本部】

久美子「報告!宮守の小瀬川さんが敗北しました!」

恵「!……そうか……」

久美子「……まさか彼女が敗れるなんて……」

恵「ああ……よほど相性の悪い相手だったんだろう…………奴らはこちらの戦力を研究し尽くしてるのかもしれん」

久美子「はい……それで、どうしましょう?小瀬川さんが抜けたことによって北側は連合軍に制圧される危険性が増しました。久保さんを向かわせようにも……」

恵「……様子を見よう」

久美子「しかし……」

恵「彼女たちが頑張ってくれている」

久美子「……あ!」

恵「もしかしたら……この状況でもなんとか持ちこたえてくれるかもしれん」

久美子「はい……」
515 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:47:21.93 ID:8MnlR9I2o

【北側】

洋榎《嫁ェェッ!!》

照「うぅ……!」ジリ..

照(強い……どんな妄想をぶつけても全部嫁にされちゃう……愛宕さんにはモラルとかないの……?)

久《宮神学園の生徒が見たのは、新聞部部長の三浦さんと市川まゆらの密会であった……》

連合軍O「っ……」バタッ!

久(連合軍の人たちと戦いながら愛宕さんを抑えるのはかなりキツいわね……咲が仕掛けてくれてるけど……)

咲《お姉ちゃんは私の嫁!お姉ちゃんのために私は働く!》

洋榎《そんなお前もうちの嫁や!!2人の嫁を娶ったる!!》

咲(またこの展開……ヨメヨメ言われすぎてなんか……嫁の意味がわからなくなってきたよ……)

洋榎「はは……しぶといのは認めたる。けどそれももう限界とちゃうか?」

照・咲・久「…………」

照(…確かにこのままじゃジリ貧。LB軍は押されてるし、愛宕さんを放ってもおけない。どうすれば……)

久(一番理想的なのは、私たちがここで愛宕さんを倒すこと。そうすれば連合軍は戸惑う。その隙を付けば形勢逆転……までは無理でも、多少は盛り返せる)

咲(愛宕さんの弱点を考えるしかない……)ウーン

咲(私の嫁であるお姉ちゃんをも嫁にする強引さ……独占欲の塊……あ……)

咲(これって……お姉ちゃんに対する私の気持ちと、ちょっと似てるかも)

咲(……じゃあ……私がやられたら嫌なことを愛宕さんにぶつければ、いけるかも!)

洋榎「よ〜め〜よ〜め〜……よーっ!!」

LB軍「きゃあああ!」バタタッ!

洋榎「ははは!すまんなぁ嫁たち!嫁の嫁を嫁にしてもうて!」

咲(よぉし……)スッ
516 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:48:58.31 ID:8MnlR9I2o

咲《愛宕さん!》

洋榎《ん?おぉ、嫁やないか。なんや?》

咲《私は……愛宕さんの嫁ですよね?》

洋榎《そやで》

咲《…………じゃあ……浮気ですよね》

洋榎《へ?》

咲《愛宕さんには、世界中の誰よりも愛する妹さんがいます。いわばオンリーワン嫁です…………なのに知人を嫁にしてる。これは許されないこと!》

洋榎《??》

咲《小さい頃から手を繋ぎ、お医者さんごっこに間接キス……おままごとでやる夫婦役。そしてその流れでお股スリスリ……》

洋榎《???》

咲《深く結ばれた絆を……姉妹愛を失ってもいいんですか!?人を嫁にするのはもうやめましょう!?》

咲(うん、これならいける!私がされたら嫌なこと……それは好きな人を傷付けることによる罪悪感!お姉ちゃんに『裏切り者!』とか言われたら涙枯れるまで泣いちゃうもん)ウンウン

洋榎《えと……》

咲《……本来なら、嫁が1人じゃないことも浮気です……でもハーレム百合を愛する気持ちもわかるからそれに対しては責めません。ただ……愛する妹がいるなら、もう嫁作りは…》

洋榎《待て待て》

咲《…なんですか?》

洋榎《色々間違うてんで。確かに絹は大事な妹。けど絹は嫁ちゃうし》

咲《えっ!?》

洋榎《何を驚いてんねん》

咲《だ、だって……妹なのに嫁じゃないなんて……間違ってますよ》

洋榎《お前や、間違うてんの》

咲《そんな……》

咲(ここまで倫理観がズレてるなんて……関西の教育現場はどうなってるの……?)ワナワナ..

洋榎《何が言いたいんか、いまいちわからんな……けどそれも嫁のやることやし、可愛いもんやと受け止めるわ》ニヤリ

咲《く……》

咲(妹はダメ……なら、他の人を持ち出すしか……考えられるのは………………あ!)
517 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:49:35.29 ID:8MnlR9I2o

洋榎《へへへ……嫁ぇ……》ジリ..

咲《末原さん……》

洋榎《!》ピクン!

咲(あ、この反応……いけそう。よぉし……)

咲《…愛宕さんは末原さんとかなり仲が良いようですけど……私が嫁ということは、末原さんを裏切ってるわけですね》

洋榎《うら、ぎってへんわ!》

咲《じゃあ私を裏切るんですか?私も嫁ですよね?》

洋榎《よ、嫁……や》

咲《末原さんは……?》

洋榎《嫁……》

咲《おかしいですよね?嫁が2人って》

洋榎《ぐ……っ》

咲(やっぱり効いてる……。さっきまでの愛宕さんなら、嫁が何人いようが関係ないって感じだろうけど、末原さん……つまり好きな人が絡むと、途端に現実的な話になる)

咲(そうなればハーレム願望への強い執念を持つことは愛する嫁への反逆行為……心が揺らぐのは間違いない!)

照「…………」

照(咲が押してる?すごい……)

洋榎《恭子は……嫁や……けど……宮永姉妹も……嫁!等しく愛したる!!》

咲《!?そ、それはダメ!嫁は1人だけ!》

洋榎《そんなことない!ギャルゲやとヒロインがロボットや宇宙人なんてのもあるし、クリア後にもっかい最初から始めれば違う子を攻略できる!せやったら嫁が2人おるのもありやろ!!それと同じや!》

咲「……!」

洋榎《そや……恭子は嫁……カナタもりかりんもうちの嫁……宮永姉妹もうちの嫁……伊集院メイも琴子も嫁…………全員攻略したる……》

咲(現実世界を二次元に放り込んだ!?そんな理屈……)フラ..

照「!咲……」タタッ

洋榎《嫁ェん!!》

照「ぐっ……!」

咲「お姉ちゃん!」

連合軍「やぁっ!」

久「ちょ……っ、うぅ……このままじゃ……抑えきれな…い」

咲「部長……」

咲(どうしよう……もう打つ手がないよ……)
518 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:50:09.11 ID:8MnlR9I2o

【北側 外れ】

雅枝「しゃああっ!」ヒュゥン!

貴子「はぁ……はぁ……ぅおっ!」サッ!

雅枝「……しぶとい……まだ避けるか」チッ

貴子(なんとか……一度も受けずにきている……そろそろいいだろう)ゼェゼェ

貴子(私はただ逃げ回っていたわけじゃねェ……愛宕さんが消耗するのを待ってたんだ)

雅枝「まだまだ……」

貴子(よし、今だァァッ!!)クワッ!

目を見開き、気合を入れる貴子。

そして次の瞬間、彼女は久保貴子ではなかった。

雅枝「む……?」

貴子「……雅枝さん」

雅枝「な……!!」

凛とした姿勢、そして美しい声……。

雅枝の前にいるのは、ストロベリーパニックのエトワール様そのものだった。

雅枝「エトワール様……?バカな……!」

モノマネと言うのは容易い。貴子が行っているのはエトワール様の物腰と声を真似ているだけなのだから。

しかし、大学時代にサークルにも入らず、合コンなどの誘いも断り、ひたすら自宅で練習してきた百合アニメキャラモノマネはもはや神業の域へ達している。

青春を犠牲に、貴子は大きな武器を手に入れたのだ。
519 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:50:49.57 ID:8MnlR9I2o

貴子「大好きよ」ウフフ

雅枝「エトワール様……」

恍惚の表情で貴子を見つめる雅枝。

それは貴子のことをエトワール様そのものだと思い込んでいるからに他ならない。

貴子(よし……話しながら距離を詰めて、攻撃を叩き込む!)テクテク

貴子「これがら゛……っ!ごほっ!ごほっ!」

雅枝「!?」ハッ!

貴子(しまった………昨日酒飲んだ時に塩辛を食べ過ぎたせいで負担が………くっ)ゲホホ

急なせき込みにより、雅枝の視界からエトワール様は消え、

目の前にいるのはただの久保貴子となる。

雅枝「ふぅー、あやうく騙されるとこやった……けど!」

貴子「!」

雅枝「これで……終わりや!」サッ!

両手を広げる雅枝。そして、左右同時に現れる鎌。

貴子(まずい!)

雅枝「くらえ!」ヒュヒュヒュ!

貴子(2つ同時……!くっ、避けられるか!?)グッ

雅枝(……両方いっぺんに来たことに意識は向いてるやろ?せやから気付けへん。3つ目の可能性を……)スッ

雅枝が体を沈めて地面を蹴り、2つの鎌を追いかける。

雅枝(もし両方とも避けたとしても、この〔ヤミの鎌(ヤンデレシックル)〕が待ってる。逃げられへんで)ダダッ

〔ヤミの鎌(ヤンデレシックル)〕

右手を手刀の形にし、相手の上半身前面に触れることで効果を発揮する能力。

精神に闇・病み・悩み・悔やみといったマイナスの効果をもたらす。相手にヤンデレの要素があれば、さらに効果は絶大だ。

ただしヤンデレにこの力を数回使うと、ヤンデレのデレ部分は吹き飛び『ヤンヤン』となり、ただの怖い病み人となるため、使用法には注意が必要だ。

ちなみに、東西決戦のきっかけとなった弘世菫のヤンデレ騒動は、この〔ヤミの鎌(ヤンデレシックル)〕によってもたらされたものである。
520 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:51:38.13 ID:8MnlR9I2o

貴子「!!」

雅枝(最後の時やで!)ニヤリ

貴子(こちらに飛んできている2つの鎌……そのすぐ後ろに迫る愛宕雅枝……絶対絶命……)

貴子(避けるか?避けたらおそらく愛宕雅枝にやられる………私の……負け……か)

迫る鎌と雅枝を前にして、貴子は敗北を覚悟する。

その時、貴子の頭にある映像がフラッシュバックした。

それはインハイ県予選団体決勝の大将戦、停電から復旧した南3局1本場。

絶望的点差を前に、笑顔の池田華菜。

貴子「!」

貴子(そうだ……あいつはあの状況でも諦めてなかった……それを……私が諦めてどうすんだ……)

貴子の目に炎が宿る。

雅枝「!?」

貴子(避けられねェんなら………)

貴子(跳ね返しちまえばいいッ!!)ニヤリ

貴子「池田ァァァァァァァァァァッッ!!」

咆哮と共に右手を振り上げ、目の前に迫った鎌へ向かってビンタを食らわせた。

すると、鎌は雅枝の方へ向かって飛んでいった。

雅枝「なっ!?」

雅枝(弾き返したやと!?)

雅枝が驚くのは当然である。

ビンタは貴子の技の1つで、〔妄想内強制指導(愛なき時代)〕という、

相手の妄想内のキャラをビンタするという非道な技だが、貴子より立場が下の人間―――自分が圧倒的優位に立てる弱者相手―――にしか使用できないという枷があった。

そのため、雅枝相手には使えないはずだったからだ。

雅枝(うち相手に使えるはずが……しかも、こんな使い方……って…………あかん!!)

鎌のすぐ後ろまで来ていた雅枝には、いきなり返ってきた鎌を回避することはできず、

雅枝「ぐ、はあああっ!!」

自らの体で、自らの刃を受け止めることとなった。
521 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:52:16.30 ID:8MnlR9I2o

貴子「………………」

雅枝「………………」フラ...

バタ..ン..

貴子「………………」

貴子「…………勝った……のか?」

貴子(……信じられねェ……私が弱者以外にビンタできるとはな……)

貴子「…………はは」

貴子(池田の野郎に助けられちまったなァ……今度の部活の時は少し優しくしてやるか)ニヤリ

貴子「……っと、まだ戦いは終わっちゃいねェんだった。本部に連絡し…」

雅枝「そうや……終わってへん」

貴子「っ!?」

雅枝「ハアっ!」ヒュン!

貴子「ぐおおあ!」

貴子(まだ力が残って……!?く……これは〔希望を刈り取る鎌(ペナルティーシックル・壱)〕か……)フラ..

ドサッ....

雅枝「は、はは……油断大敵やな」ムクリ

貴子「…………う……く」

雅枝(……危ないところやった。大げさに倒れへんかったら追撃されて負けとったかもしれへん)

雅枝「…ぉ……っと」フラ...

雅枝「………………ふぅぅ……」

雅枝(こらしばらく戦闘は無理やな。しゃあない。久保を沈めただけでよしとするか)テクテク

雅枝「…………」

雅枝(来期アニメの百合成分はお預けか……めっちゃ辛いわぁ……)テクテク

貴子「……………く、っ……」

貴子「ダメだ……立てねェ……」

貴子(池田ァァッ……てめェ次の部活はマラソンだこの野郎……!)

地面へ倒れたまま動けない貴子は、立ち去る雅枝の後姿を悔しげに眺めながら池田への罰を考えることしかできず……。

コーチとオバハンの対決は、オバハンに軍配が上がったのだった。
522 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:52:50.60 ID:8MnlR9I2o

【北側】

洋榎《そろそろ、トドメといこか?》

咲「………………」

洋榎《嫁を倒すのは気が重いわ。けど、うちにはまだ嫁がおる。いや、嫁しかおらん》ニヤリ

咲(……罪悪感を覚えさせる作戦は失敗……誰の名前を出しても嫁にされる……鉄板カプすら丸ごと嫁に…………もうどうしようも……)

照《……咲、下がって》ザッ

咲《…お姉ちゃん……》

照《私が時間を稼ぐから、逃げて》

咲《っ!そんな……》

照《この人は私たちの手に負えない》

咲《お、お姉ちゃんを置いていけないよ!すでに嫁にされてるんだよ!?嫁相手にすることと言ったら……色々と夢が広がるやつだよ!?》

照《大丈夫……愛宕さんが勝手に嫁にしただけで、私は嫁になったつもりはないから》

咲《でも……》

照《久が向こうで連合軍と戦ってるから、合流して一緒に逃げて。ここで愛宕さんを止めないと、3人ともやられてしまう》

洋榎「んんー?嫁同士で相談か?冷たいなぁ。うちにも教えてーや」

照「……教えない」

洋榎「そんなところも嫁らしいて可愛いわぁ」ニマァ..

照「…………」

咲《お姉ちゃん……》
523 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:53:22.50 ID:8MnlR9I2o

照《大丈夫……最悪、私が犠牲になってでも咲を助けるから……》

咲「!」

照(それが……私の……お姉ちゃんとしての役目…)

??《その必要はないわ》

照・咲「!?」

洋榎「誰や!」

ピンチを迎えた照と咲の前にゆっくりと現れる影。

この状況下に先のセリフで登場するということは、まどマギのほむらを真似たのだろう。

照「あなたは…………」

??「…………」

咲「…………誰?」

ただ、長い黒髪が風のせいで顔面をわさわさと覆い隠しており、表情が全く見えない。

そして彼女もまた視界が塞がれてるので、足元に気を付けて若干へっぴり腰になっている。これではほむらは気取れない。

??「わぷ……か、風……強……」

照・咲「………………」

洋榎「…………………」

??「」バサバサッ!

髪を必死に顔からどかしている闖入者。

とりあえず待つ3人。優しい世界。

??「…………っ……やっと風が止んだ」フゥ

照「!」

咲「……あなたは……」

洋榎「!!」

??「…………………こほん」

??「その必要はないわ」ファサッ

洋榎「挽回できるかぁ!」

??「うぅ……」

やはりほむらとは違い、やり直しはできなかった。
524 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:54:13.22 ID:8MnlR9I2o

洋榎「……っと、ずいぶんノリノリでのご登場やないか」

??「…………一度やってみたかった」

洋榎「はは!気持ちはわかるけどな。ま、ええわ。よう来てくれた。見せてもらおうやないか、四天王の実力っちゅうやつを!!」

髪によって隠されていた乱入者の正体は、百合妄想士四天王の1人……。

照「沢村さん……」

智紀「お待たせしました」

絶望の支配者……紫の服の隠れ巨乳、沢村智紀だった。

智紀「………………」

洋榎「………………」

照(沢村さんが来てくれた。これは心強い)

咲《お姉ちゃん、下がろう?》

照《……うん》

照(私たちの攻撃は愛宕さんに通用しない。だったら、邪魔しないように下がって他の敵を減らした方がいい)スッ

洋榎「四天王を嫁にする……こら滾るでぇ……」

智紀「…………」

咲《……沢村さん!この人、全てのキャラを嫁にするんです!罪悪感を狙って三次元の人を持ち出しても、二次元に放り込んで嫁にして……もう嫁だらけで……》

智紀《なるほど……ハーレム使いですか》

咲《はい……戦いようがなくて……》

智紀《わかりました。それだけわかれば十分。教えてくれてありがとう。2人は竹井さんの援護に向かってください》

咲《あ、はい》

照《そうだった!早くしないと……じゃあ沢村さん、お願い》タタッ

智紀《はい》

照「咲」キュッ(咲の手を繋ぐ)

咲「うん!」

照・咲「」タタタッ..
525 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:54:43.71 ID:8MnlR9I2o

洋榎「……これでタイマンやな」

智紀「…………はい」

智紀(あらゆるキャラを嫁にする、か……それなら宮永さんの言う通り、現実を持ち出して罪悪感を狙うのが有効)

洋榎「何を……企んどるんか知らんが……無駄やで」ニヤリ

智紀「それは……どうでしょうか」スゥゥ...

智紀《……末原恭子……彼女はあなたの何?》

洋榎《嫁や!》

智紀《嫁……末原恭子は、あなたの嫁?》

洋榎《そや!》

智紀(なるほど……確かな信念……迷いがない……心の内に絶望など存在しない)

智紀《…………ふふ》

智紀(……それならば……)

洋榎《何笑てんねん……》

智紀(……私が絶望を作り出し、あなたの心へ植えつければいい……)ザァアアァア..

智紀《あなたは…………知らない》

洋榎《……何がや》

智紀《末原さんが……他人の嫁であることを……》

洋榎《はぁ!?何言うてんねん!!そんな訳ないやろ》

智紀《なぜ?あれだけ魅力的な人……あなた以外に彼女を想う人がいないはずがない》

洋榎《そ、それは……》

智紀《あなたは気付いていない……こうしている今も末原恭子は、誰かの妄想の中で……嫁として愛されている》

洋榎「!!」

智紀《服を脱がされ、頬を赤らめ……体中を撫でられてカタカタする……》

洋榎《や、やめぇや》

智紀《それを喜んで受け入れている末原恭子…》

洋榎《ちゃう!恭子はうちの嫁や!》
526 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:55:34.37 ID:8MnlR9I2o

智紀《……確かにあなたの嫁かもしれない。でも……私の嫁でもある》

洋榎《!!》

智紀《あなたが気付いてないだけ……末原恭子は……すでに寝取られているの。みんなの嫁にされてるのよ》

洋榎《あ……ぅあ……あ》ジリ

洋榎が顔面蒼白で後ずさる。

嫁が人の嫁にされていると嫁に言われたショックは嫁にしかわからない、と嫁は嫁に嫁のように言うだろう。

智紀によって増幅された絶望が、洋榎の心へと入り込む。

智紀《あなたが他の女の子や二次元の女の子に浮気してると知ったら………末原恭子は………その人のところに行くかもしれない》

洋榎《や…………絶対…………そんなん………嫌やぁ………》グス

智紀《『主将の嫁にだけはなりたないです!』と言われてしまうかも……そうなれば、嫁ですらなくなる……》

洋榎《嫌……嫌やぁぁ……》

智紀「………………」

智紀《………………そんなに…………嫌なの?…………どうして?》

声のトーンが変わる。

優しく、泣きじゃくる子供に語りかけるように。

洋榎《だって…………好きなんやもん………絶対嫁なんやもん………》

智紀《………そうだよね………でもそれだけあなたが好きだったら………恭子ちゃんも……あなたの傍にいてくれるかもね》

洋榎《ぅん…………でも…………うち、信用失ってんねん…》

智紀《それはどうして?》

洋榎《前に………長野で………なんかようわからんうちに絹とキスしてもうて………あれ絶対エイスリンのやつや。あいつまじ最悪や……》グス..

智紀《そう。それで?》

洋榎《それからなんか絹とぎくしゃくするようなって、それを恭子に指摘されて………》

洋榎《うち、正直に言うてん……絹とキスしてもうたって》

智紀《そう……》

洋榎《そしたら………恭子、怒ったんかちょっと冷たなって……》

智紀《…………うん》
527 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:56:09.35 ID:8MnlR9I2o

洋榎《なんか……あんま………恭子から話しかけてくれへんようなって。新喜劇のノリとかも……すかされてまう日々で……》グスッ..ウゥ..

智紀《………そう………なら私が協力してあげる》スタスタ

洋榎《え………》ウル

智紀《あなたがこんなに末原さんのことを好きなんだよって……私が教えてあげる》

洋榎《………ほ、ほんま?》グス

智紀《だから………泣かないで》

智紀が洋榎の頬を優しく撫でる。

洋榎《う………うん!》

すると、洋榎は心から安心したように、満面の笑みを見せた。

絶望に支配された心に、智紀の存在が入り込んだ瞬間だった。

智紀《よし。いーこいーこ》ナデナデ

洋榎《えへへ……………あ》フラッ

智紀《………疲れたのね》

洋榎《うん……疲れてもーた》

智紀《じゃあ………少し休みましょう?どこか座れる場所は…………あ、椅子》

智紀が目を付けたのは、地面に落ちている怜と竜華用の折りたたみ椅子。

持ち歩いていた連合軍の子が敗北したことにより、持ち主不在。

智紀《この椅子……貸してもらいましょう。さ、洋榎ちゃん、ここに座ろう?》カチャカチャ(椅子を並べる)

洋榎《うん……ありがとう》スタスタ

智紀《どういたしまして》

洋榎《ん……》(椅子に座り、目を瞑る)

洋榎「……………」

智紀「……………」

洋榎「……………」スー..スー..

智紀「…………疲れて寝たみたい」フゥ
528 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:56:39.41 ID:8MnlR9I2o

照・咲・久「……………」

照「すごい……」

咲「あんなにあっさり……」

久「お見事としか言えないわね」

智紀「いえ………それに、敵はまだ残ってます」

久「そうね………………ぁつっ!またプライベート回線……行ってくるわ」タタッ

智紀「私も行きます…………あの、宮永さん」

照「なに?」

智紀「私と竹井さんでこの付近にいる連合軍の数を減らします。竹井さんのマイナーカプ攻撃は王道派に効果的ですから。宮永さんたちは園城寺さんと清水谷さんの相手をお願いします」

照「園城寺さん……」

智紀「はい。彼女は膝枕で体力を回復します。ですので、それを阻止してください。倒せなくても構いません。少ししたら私がそちらに向かいますので」

咲「わかりました」

照「…………」コクリ

照(全体的にLB軍は数で押されてる……ここは沢村さんと久が大勢相手に戦った方が得策。私たちは時間稼ぎを頑張ろう)

智紀「ではお願いします。無理はせず、もし危なくなったら逃げてください」タタタ

照「………わかった」

咲「…お姉ちゃん」

照「ん、行こう」

咲「うん!」

2人は怜たちのところを目指し走り出す。
529 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:57:57.08 ID:8MnlR9I2o

照「あの2人……強敵だけど、頑張って戦えばきっ…」タッタッ..

ゲシッ..

照「と!?」

ドシーーン!

照「がふっ……………うぅ……」

咲「お、お姉ちゃん!」タタタッ!

照(…………転んじゃった)

咲「大丈夫!?」

照(……しかも、あんなに僅かな地面の出っ張りに躓くなんて……運動能力的に恥ずかしい)ムクリ

咲「お姉ちゃん、痛いところない?」

照「……うん」

咲「よかった」ホッ

照「………………」パッパッ(服の汚れをはらう)

咲「………………」

照「………………えと……その……」

咲「うん……」

照(なんとか転んだことを誤魔化さないと……)

咲「………………」

照「なんていうか……咲も大きくなったよね」

咲「うん。昔より大きくなったよ。だからお姉ちゃんが今みたいに派手な転び方した時にどう対処すればいいかも少しはわかるよ。転んだことに触れない方がいいんだよね?」

照「…………う、うん……」

咲「…………」

照「…………」

咲「…………」

照「じゃ、じゃあ……行こう///」

咲「うん……」

照「///」タタタッ..

咲「…………」

咲(はぁぁ……今度こそ転ばないようにってチラチラと地面を見ながら走るお姉ちゃんかわいい……///)キュン
530 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:58:32.49 ID:8MnlR9I2o

照「…………そ、それで……あの2人はどこだろう?」

咲「近くにいるはずだけど…………あっ!いた!あそこ!」

2人から20メートルほど離れた辺り……そこには、キャリー付きの椅子に座りながら攻撃を繰り返す怜と竜華の姿があった。

LB軍「うぅ……だめ……イチャイチャが眩しすぎる……」ガクッ..

怜「ふぅ……」

竜華「ええなぁこれ。怜が倒れる心配ないし♪」ガラガラガラ

怜「そやな」

怜(移動するたびに竜華の膝がゴツゴツ当たんねんけど……だんだん心地良うなってきた。愛の力やな)

照「…………」

咲「…………」

照「どうしよう。回復しながら攻撃とかずるい」

咲「うん……」

照(どうやって引き離せばいい?膝枕のまま移動できないなら、遠くから2人の注意を引き付けて、こっちに向かってくる途中に分断させる方法もあるけど……膝枕のまま動けるからダメ…)

照(かといって、2人を放っておけばどんどん犠牲は増える……)

咲《お姉ちゃん、どうしよう?》

照「………………」

照(園城寺さんたちをこのまま野放しにはできない以上……)

照《……戦おう》

咲《!うん……》

照《ある程度仕掛けて2人の目をこっちに向けよう。そうすれば少なくともLB軍のダメージを減らせる》

咲《わかった》

照《…………じゃあ……後ろから回り込むように行こう。せーの…》

照・咲「!」ダダッ!!
531 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:58:59.96 ID:8MnlR9I2o

怜「ええ感じやな」

竜華「満足気な怜めっちゃかわええなぁ♪」ナディッ!

照・咲「…………」タタタタッ!

照(よし)

怜「ん?誰か近付いてきとる?」

竜華「警戒心の強い怜もキュートやー♪」ナ・デーデル・デルナデ

照(気付かれた?けど、こっちの方が早い。先制できる)チラ

咲「」コクリ

照《松本とななおは、お互いの愛を確かめるため…》

咲《姉は、妹を手にしたい強い愛情により、壁ドンからの胸サワ、股ナデ、口チュパへと自然に移行していき、最終的には婚姻届ポンへと…》

怜「っ!」

竜華「わぁ!後ろから!?」

怜「竜華、反撃や」

竜華「うん!」ガララ!

怜の合図と同時に、竜華が地面を蹴り、椅子を反転させる。

怜《〔 怜 と 竜 華 の 日 常 ( バ カ ッ プ ル デ イ ズ )〕》

ギュアアアア!!

照「っ…!」

トーキ? リューカ? トーキ? リューカ? エヘヘヘ..

咲(うぅ……ぞわぞわする……私もいつかお姉ちゃんとこんな風にイチャイチャしたい……)

照(……反撃しないと…!)
532 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 04:59:30.64 ID:8MnlR9I2o

照《お、園城寺さんは清水谷さん以外に裸を見せたことがあるっ!》

竜華「!?ほ、ほんまなん!?怜!!」

照(よし……効いてる)

咲(今がチャンス!)

咲《滅多に肌を見せない園城寺さん。しかしある女の子の前ではやけに肌を露出している……これはわかりやすい誘惑だった》

竜華「怜!はだ…裸て!あの子って誰!!」

怜「…竜華、落ち着きぃな。事実無根や」

竜華「うぅ……ほんま?」

怜「安心しぃな。私が自分から見せたぁて見せるんは……り、竜華だけやから……///」カァァ..

竜華「と、怜……///」

怜「ゎ、わかった……?」

竜華「うん!本音言うてくれてありがとう!怜めっちゃ好き〜♪」ナデダダダ!

怜「ん…//」

照「………………」

照(やっぱりこの2人はいい……もっともっとラブラブしてほしい…)ポワー..

怜「…さて、落ち着いたところで……行こか」

竜華「うん」

怜《〔 怜 と 竜 華 の 日 常 ( バ カ ッ プ ル デ イ ズ )〕》

ギュアアア!

照「!」

照(しまった……今は戦闘中。集中しないと)

怜《まだまだいくで》

怜《〔 怜 と 竜 華 の 日 常 ( バ カ ッ プ ル デ イ ズ )〕》

ギュアアアアア!

照「う……」

照(連発……回復されながらだとこうなるか。このままじゃ耐えきれない。ここは……)

咲《お姉ちゃん。一旦退こう》

照《うん》ザッ!

怜「む。逃げる気ぃや」

竜華「させへんよ!」グッ..
533 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:00:09.97 ID:8MnlR9I2o

照・咲「」タタタタッ..

照「…………」チラ

怜・竜華「」ガラガラガラ!

照「!追ってくる」

竜華「待てー!」

逃げようとする照と咲を追う怜と竜華。

ガラガラと音を立て、キャリーを回しながら滑走し、距離を詰めていく。

怜《〔 怜 と 竜 華 の 日 常 ( バ カ ッ プ ル デ イ ズ )〕》

ギュアアア!!

照「う!」ズキッ..

照(……2人の射程から出られない限り、これがずっと続く……それは危険。なんとかしないと。走っても逃げられず、真っ向からだと打ち負ける……なら……)

咲《お姉ちゃん、どうしよう……?》

照《…………あ!》

咲《お姉ちゃん?》

照《いい方法を思いついた。まず……》

怜(……なんの相談かしらんけど、そろそろチェックメイトやで)

怜《〔 怜 と 竜 華 の 日 常 ( バ カ ッ プ ル デ イ ズ )〕》

ギュアアア!!

照《ぐ……っ……せ、説明は後。私についてきて》

そう告げると、照は急にUターンする。

咲《わわ……》

慌てながらも、照のあとをついていく咲。

照はそのまま道を引き返し、怜たちの横をすり抜ける。
534 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:00:50.54 ID:8MnlR9I2o

竜華「わあ!?」

怜「!」

竜華「び、びっくりしたぁ……けど、逃がさへん」クルッ..ガラガラ...

照「はぁ……はぁ……はぁ……」タタタッ!

咲《待って…よ、お姉ちゃんっ》ハァ..ハァ..

早くも息切れする2人。無理もない。

宮永姉妹は文科系。運動不足の女子高生。

足もさほど速くないため、竜華が怜をお姫様抱っこで膝枕をしながら地面をちょこちょこと蹴って移動するという荒業を駆使している状態でも振り切れない。

スタートが早かった分、〔怜と竜華の日常(バカップルデイズ)〕の射程から出ることに成功したが、それ以上の距離を稼げず、

そのまま広がりも縮まりもしない距離のまま4人は移動を続ける。

咲「はぁ……はぁ……」フラフラ..

照《咲……耐えて》

咲《うぅ………お姉ちゃんがキスしてくれたら頑張れる…》

照《咲……耐えて》

咲《お姉ちゃんがキス…》

照《咲……耐えて》

咲(うぅ……お姉ちゃんが言質をとらせない生き方を学んでるよぉ………でもそれもかわいい///)フラフラ..ポッ

怜「…………」ガラガラガラ

怜(仲間のところまで逃げよう思てんねやろうけど、甘いで)ニヤ

照「!」ピタッ..

咲「あ…」

照が立ち止まる。それに合わせて咲も足を止める。

怜「!」

照たちの正面には戦闘中の連合軍とLB軍が入り乱れ、壁ができている。

怜(どないする?前は壁。後ろはうちら。右左はまだ多少逃げ道があるけど、連合軍がめっちゃおるエリアに入る。追い詰められてもうたなぁ)フフ
535 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:02:15.07 ID:8MnlR9I2o

照「…………」クルッ

怜「む」

怜(こっちを向きよった。ほう、うちらと戦うことを選んだんか)

照「…………」

怜(その判断が間違いやったっちゅうことを教えたる)

動かない照と咲。近付く怜と竜華。

今まさに〔怜と竜華の日常(バカップルデイズ)〕の射程内に入ろうとしていた。

そして……

怜(連発で決める…)

怜《〔 怜 と 竜 華 の……〕》

照と咲を射程に捉え、攻撃を仕掛けようとした瞬間、

怜と竜華を乗せたダイニングチェアのキャリーが地面のでっぱりに引っかかった。

怜「あ」

竜華「わぁ!?」

竜華がとっさに足でふんばろうとするものの、スピードに乗っていたため勢いを殺せない。2人は椅子の外へ投げ出される。

お姫様抱っこをされながら膝枕状態だった怜は、きりもみ状に回転したまま落下し、丸めた絨毯が広がるように、地面を真っ直ぐ転がっていく。

竜華は直前で足を出したのが幸いし、軽い転倒で済んだ。

しかし、転がり離れていく怜の姿を心配すると同時に、『自分が手を離したせいだ』と自分を強く責める。

照「!今…」タタッ

その瞬間、照は駆け出した。

まるで、最初から2人が転倒するとわかっていたかのように。

咲(どうしてこうなるってわかったんだろう…………あ!そうか。ここはさっきお姉ちゃんが無様に転んだ場所……)

咲(ただ逃げてたんじゃなくて、無様の原因になったでっぱりを利用するために誘導したんだ!お姉ちゃんすごい!かわいい!)
536 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:02:54.66 ID:8MnlR9I2o

怜「ああああ…」ゴロロロ..

怜(止まらへん……めっちゃ目が回る……りゅーかぁ……)ロロロロ..

フワッ..

怜「お……」

怜(止まった……竜華が抱き上げてくれたんやな。またお姫様だっこされてもうた……恥ずかしいなぁ//)チラ

照「…………」

怜「…………」

照「…………」

怜「……………………え?」

怜(宮永…照……?わ、私、宮永照にお姫様抱っこされてる……)

咲・竜華「!!」

照「ごめん。でも勝負だから……」タタタ

怜「わ」

照が怜を抱え、竜華から離れるように走り出す。

竜華「と……怜ーーーーーーーっ!!!!!」
咲「お、お姉ちゃーーーーーーん!!!!!」

2人が離れれば膝枕はできず、回復もできない。照の狙いはここにあった。

照《咲。私は園城寺さんを相手する。咲は清水谷さんをお願い》

咲《!あ、相手するって……お姉ちゃん一体何をする気!?まさか園城寺さんにエッチな奉仕をする気じゃ……》

照《しない。相手を転ばせて抱きかかえて運んだ後に奉仕とか手順がおかしい》タタタ

咲《でも……》

照《とにかくお願い…………っ》フラ

咲「!」

快調に走っていた照がフラつく。

麻雀と読書と妄想しかしてこなかった照にとって、人を抱えて走ることはかなりの無理難題。怜は軽いが荷が重い。

照(読書中にも使える、腹筋がブルブル震えるマシンでも買っておけば……もっと体力もついたのに……)ウゥ..
537 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:03:25.71 ID:8MnlR9I2o

咲「お姉ちゃん……」

咲(いくら作戦だからって私より先に園城寺さんをお姫様抱っこするなんて……やっぱり嫌だよぉ)ムー

怜「ぅわゎ……揺れて…怖い」

照(……もう少し距離をとって、それから攻撃を…………あ)

照の爪先に地面の感触。度重なる道路工事により生まれた僅かな高低差だ。

引っかかった足は前へ出ず、怜を抱えたまま体が前へ傾く。

怜「わああ!!」

照「!!」

照(しまった!また転んじゃう………園城寺さんが頭とか打たないようにしないと!)ギュッ

怜「ぁ……」

怜の体を気遣い、抱きかかえる照。衝撃に備えて目を閉じ、そのまま前方へ倒れる。

チュッ..

照(?今、なんか……柔らかい感触が……)パチリ

怜「…………な、な……」

照「………………あ」

怜「…うぅ……//」

照が目を開けると、自分の唇が怜の頬へ触れているのが見えた。

そして、怜の頭を守るように抱えた左手は怜の胸を鷲掴み、右手はお尻のラインに添えてある。

照(これは…………ラブコメでよくある展開……)ドキドキ

怜(な、なんやこれ……転んだ思ったら、急にほっぺにチューされて……しかも胸とお尻を……こんな……///)
538 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:04:33.63 ID:8MnlR9I2o

竜華「怜っ!!」スッ!

咲「っ!」ガシッ!

怜の元へ行こうと八艘飛びの体勢に入る竜華を咲が抱き着いて止める。

竜華「離して!何すんの!!」

咲(すみません……でも清水谷さんを止めるのが私の役目……きちんと守らないと……)ガッシリ

咲(…………でも…………お姉ちゃん……)ゴゴゴゴ...

照「………………」

怜「…………////」

照(どうしよう……事故だって謝ればいいのかな。それとも、お互い無言で何もなかったことにする?)

怜(な、なんやねん、チューしたままじっと見つめて……覆いかぶさられたまま見つめられたら、何されるかわからん怖さと……)

怜(って……『と』ってなんやねん。怖い以外ないはずやろ私……竜華以外に迫られたってそんなん……///)

照「………………」

怜「…………////」

照(……なんだかタイミングを逃した気がする。この手も、いつ胸から離せばいいんだろう)

怜(迫られる……宮永照に……攻められる………)
539 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:05:03.85 ID:8MnlR9I2o

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

照「どう?清水谷さんの目の前でこうやって触られるのは……」

怜「嫌や……嫌に決まってるやろ」

照「じゃあどうして抵抗しないの?」

怜「それは……」

照「……わかってるよ。好きな人に見られながらしたいんだよね」

怜「そんなん……違う!」

照「素直になる方がいい」サワ..

怜「っ……//」ビク

照「ほら、私が園城寺さんに迫る姿を見た清水谷さんが嫉妬に狂ってる……よほど園城寺さんのことが好きなんだね」

怜「りゅーか……」ハァ..ハァ..

照「それなのに……清水谷さん以外の人に抱かれるなんて……絶対にイケナイ……イケナイからこそ……燃え上がる」

怜「な……そんなわけ……」

照「ずるい人…………フゥー…」(耳に息を吹きかける)

怜「っ……」

照「園城寺さんは、もし私に抱かれたとしても、清水谷さんは自分から離れないと確信してる……ううん、むしろ前以上に清水谷さんの心を自分へ向けさせられると思ってる。小悪魔だね」

怜「……何をデタラメ……」

照「私はそれでもいい。例え利用されるんだとしても、園城寺さんを抱けるなら……構わない」クスッ..

怜「あ……///」ドキッ..

怜(こんな……あかん……りゅーかの前で……)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
540 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:05:48.09 ID:8MnlR9I2o

怜(……最初は無理やりやったはずが、次第に私も積極的になってもうて……途中、竜華と目が合うた時、めっちゃ気持ちええようなって……)

照「園城寺さん?」

怜「………………あ」ハッ!

照「あの……ごめん。触っちゃったのはわざとじゃない……なんて言うか……ランダムなアレで……」

怜「う、うん、偶然なんはわかってん。せやから気にせんでええよ」

照「ありがとう」

怜「…………///」

怜(わ、私……何を考えてんねん!!戦闘中やのにあんな妄想して……めっちゃ力を使ってもうた!アホか私……)

照「…………」スッ(立ち上がる)

照(よかった……謝るタイミングはズレたけどなんとかなった。痴漢したとか騒がれたら、また呼び名が増えちゃう)ホッ

照(あ、呼び名と言えば……咲は…)チラ

咲「」ワナワナワナ..

照(!咲……怖い顔…)ゾク

咲「お、お、お……」

照(お?)

咲「おねーーーーーちゃぁーーーーーーん!!!」

悟空ばりに激昂する咲。

過去最大級の声量で叫ぶ。

照「!!」ビク

咲「フゥーッ……フゥーッ……」
541 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:06:41.52 ID:8MnlR9I2o

照「さ、咲。今のは違う。本当にたまたまで……」

咲「そんなの……知らないもん!お姉ちゃんのばか!」

照「ば、ばか……!?」ガーン..

咲「……あ!」

咲(しまった!めいっぱい怒鳴るために、つい手を離しちゃった!このままじゃ清水谷さんが…)

竜華「がおおおおおお!!!」

咲「へ?」

照・怜「!!」

怜「竜華……待って。それはあかん!」

照(『がおお』って、ライオンみたいな鳴き声……つまり清水谷さんは攻め?夜は獣のように園城寺さんを…)ムラ

竜華「がおおおお!!」

照を睨みつけ、二度目の咆哮。すると、竜華は目から赤い光線を発した。

照「え……?」

バシュ!

照「…………!」

その光線は、照の足元ギリギリの地面へと吸い込まれ、そこから焦げたような匂いが立ち込めた。

照(今の……なに?)

怜「竜華!落ち着いて!」

竜華「がおおお!!」バシュッ!

照(!?全然違う方向に撃った?)

連合軍「きゃあっ!」バタン!

照(味方に当てた?どうして……)
542 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:07:25.71 ID:8MnlR9I2o

竜華「がおお!がおっおー!」バシュバシュバシュ!

照「っ!」

連合軍「わあー!」バタン

LB軍「ひぃい!」ガクッ

照「これは……」

照(敵味方もなく、ただメチャクチャに暴れてる……しかも一発一発がものすごい威力……)

怜「……あかん。私の声も聞こえてへん」

照「どういうこと?清水谷さんは一体……」

怜「…………竜華は目の前で私がやられるとブチ切れてまうんや。まるで竜の逆鱗に触れたみたいに………」

照「……逆鱗……」

照(確かモンスターハンターでリオレイアが落とすやつ。女の子ハンターがメスであるリオレイアに拘束攻撃されて……色んなところをガブガブと……///)ムラァー

怜「ああなった竜華は力使い果たすまで止まらへん。〔怜と竜華の日常(バカップルデイズ)〕の威力を極限まで高めてビーム状に放出すんねん」

竜華「…………」バシュバシュバシュ!

照「!!」ヒョイ!

怜「っ!」サッ!

照(危ない……モンハンで妄想してる場合じゃなかった)

竜華「がおおお」バシュシュ!

照「止めるには力を使い果たすしかない?」

怜「……と思う」

照(どうしよう。それまで避け続けるとは思えない。ううん、私よりも近くにいる咲の方が危険。どうにかして止めないと)
543 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:07:54.90 ID:8MnlR9I2o

怜「………私がなんとかしてみるわ」ムクリ

照「え?」

怜「早いとこ止めんと」

照「うん…」

怜「竜華!もうええで!やめよ!?」

竜華「がおおお!」バシュシュ!

怜(全く聞こうとせんか……なら回線で……)

怜《竜華!私は竜華が好きや!せやからもう落ち着こ?》

竜華「がおおお!」バッシュシュ!

怜(あかん……私の声も届かへん………いや、諦めずにもう1回試し…っ……)フラ..

照(!危ない)ガシッ!

怜「あぁ……ごめんなぁ……」

照(園城寺さん、すごく弱ってる……もう力を使い果たしちゃったのかな)

怜(……宮永で妄想したのが余計やったか……回復できるからって〔怜と竜華の日常(バカップルデイズ)〕を連発してもうたのも痛い……)ハァ

竜華「がおおお!」バシュシュ!

照・怜「!!」

照(この軌道……園城寺さんに当たる!)

怜(うわ……避けられへん……しゃあないか。諦めよ…)フゥ

照「っ!」サッ

怜「え」

怜(私の前に体を入れた!?そんなことしたら……)
544 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:08:39.22 ID:8MnlR9I2o

バシュゥッ!!

照「うっ……!」

トキー?リューカー?トキリューカー?トキリュー.トキリュー.トキリューカー!

照(なんていう甘々な日々……脳が溶けそう……きつい……///)ハァァ..

怜「な、なぁ……どうして敵の私をかばうん?)

照「……だって……清水谷さんは今冷静さを失ってるけど、本心では大好きな園城寺さんを攻撃したくないだろうし、園城寺さんもそうでしょ?」

怜「!」

照「私ならトキーリューカー、トキリューカー、トッキトキーのリュカリューカー……あれ?なんか言葉が勝手に……」

怜(宮永……思考を埋め尽くしてまうほどの威力の〔怜と竜華の日常(バカップルデイズ)〕を受けてんのに、それでも私らを心配して……)

咲「お姉ちゃん!!」タタタタッ!

怜「あ……」

咲「大丈夫!?」

照「あ、うん………多分リューカトキリューだと思う」

咲「どういう意味!?」

照「えと……」

怜「……ごめんなぁ妹さん。私をかばってあのビームを食ろうてもうたんや。せやから言葉もおかしなってんねん」

咲「そうだったんですか……お姉ちゃん……」

照「……咲、ここは危ないから……トキリュ……逃げた方がいい」

咲「そ、そんなことできないよ。お姉ちゃんを置いていくなんて!」

照「でも……リューカ……」

咲「私はリューカじゃないもん」グス..

照「そうじゃない。トキリュリュリュー……一度久の方へ行って、少し経ってからリュトキー…」
545 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:09:17.54 ID:8MnlR9I2o

咲「やだ!お姉ちゃんが心配なんだもん」

照「……咲リュー……」

咲「私……お姉ちゃんを守る……」

照「!」

咲「……お姉ちゃんは……園城寺さんを守ったことをネタに、後々体を要求したりするつもりかもしれないけど……」

照「しない。絶対しない」

咲「でも……」

咲「それでも……そんなお姉ちゃんでも……私は守る!」

キィィィイイィ........ン.....

咲「!」

その瞬間、咲の脳内に電流が走った!

脳の回路が全て開かれるようなその感覚は、過去味わったことがないもの。

そして咲は理解した。

たった今、自分が能力に目覚めたことと、

その能力は、ずっと昔から自分の中に眠っていたことを。

咲「…………」

照「咲?」
546 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:10:15.82 ID:8MnlR9I2o

竜華「がおおおおお!」バシュバシュバシュ!

照「っ…危ない!」

咲「…………」スッ

怜「!」

怜(今度は妹さんが私らの前に……!?あかん、直撃や)

バシュゥッ!

照「咲……!」

咲「…………大丈夫だよ、お姉ちゃん」ニコリ

照「え……」

怜「!」

怜(無傷……?いや、ダメージは受けとる……けど、微々たるもんや……)

咲「…………」

咲(今、頭の中に響いた言葉……本当だ……お姉ちゃんを守るためなら、なんでもできそうな気がする)

咲が目覚めた力……それは〔姉妹の愛(シスターラブ)〕。

姉、または妹を強く愛する想いにより、知力体力時の運、その他もろもろを底上げする能力である。

従姉妹から発動可能であり、血の繋がりがあれば上昇値は増し、愛情が深くければさらに効果はアップする。

以前エイスリンと戦った際、咲がエイスリンの魅了に対抗できたのは、照を想う気持ちと、この能力が目覚めかけていたためだ。
547 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:10:48.07 ID:8MnlR9I2o

竜華「がおおっ!」

バシュシュシュシュ!

咲「…………」バシュ!バシュ!

照「すごリュー……」

照(一発受けただけでもトキーリューカー……かなり辛いのにーカー、トキー……何発も受けて、平気な顔してリューカトキスキー……)

竜華「はぁ……はぁ……がおお……」バシュ!バシュ!

咲《…………もうやめて!!》

竜華「がお……?」ピクッ!

怜(!あの反応は……妹さんからの回線か?私でも届かんかったのに……どんだけ強力なアクセスやねん)

咲《清水谷さん……》

竜華「…がおおお」バシュ!

咲《……あなたの攻撃から園城寺さんを守ったお姉ちゃんを撃つんですか!?》

竜華「………!!」ピタッ..

照・怜「!」

咲「………………」

竜華「……………」

咲「………………」

照(清水谷さんの動きが止まった……)

怜(竜華……)
548 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:12:00.66 ID:8MnlR9I2o

竜華「…………宮永」チラ

照「…………!」ビク

怜「…………ん」コクリ

竜華「そっか……」

照「………………」

竜華「…………うち、また暴れてもうて……」

怜「……ええって。気にしてへんから。なんも問題ない」

竜華「そう?ありがとう」ニコリ

怜「うん」クス

照「…………」ホッ

竜華「………お姉ちゃんを傷付けてもうてごめんな?」

咲「あ、いえ……私こそ、清水谷さんを止める時、胸をちょっと触ってしまってて……ごめんなさい」

照「!」

竜華「あはは。ええよ、そんなん。余裕ない場面やったし」

怜「そやな」

照「…………」

照(胸……清水谷さんは確かに大きい……私より全然……)

咲「ありがとうございます。あ、お姉ちゃん。具合はどう?」

照「……別に普通」プイ

咲「え」

照「私のことより、清水谷さんの胸の感触を思い出すことに時間を使えばいい」

咲「そんな……私はお姉ちゃんの胸が一番好きだよ!」

照「…………例えばどこが好き?」ピク

咲「えっと……小さくて平坦で可愛いところ///」

照「………………」プーイ

咲(ああっ!私の回答が気に入らなかったお姉ちゃんかわいい!)
549 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:12:43.47 ID:8MnlR9I2o

照「小さいという言い方は嫌い。慎ましいとか、なだらかとか……他に言いようがあるはず。それをしない咲は悪意がある。悪意があるのは嘘つきとみなす」

咲「でも……本当に好きなんだもん。私、お姉ちゃんみたいな胸になりたくて……結果、私の胸はこんな感じだもん」

照「咲……」

咲「それに……お姉ちゃんの胸だったら、どんな胸でも愛せるもん。もしも、おっぱいが1つしかなくても……」

照「っ……あ、愛せるとか……真顔でそんな……もうっ//」プイ

咲「でも本当だよ?」

怜「…………あのー」

照「あ……」

照(そうだった……今は戦場にいて、戦闘中で、戦ってる相手がすぐそばにいたんだった……いっぱい忘れてた)

怜「この勝負、私らの負けや」

竜華「そやなー」

照「え……でも……」

怜「私はもう力は残ってへんし。それに……助けてもうといて、今さら敵対なんてでけへんよ」

照「園城寺さん……」

竜華「そうそう。うちらはもう戦闘には参加せん。成り行きを見守るだけにしとくわ」

怜「私らが言うんも変やけど、2人とも頑張ってな」

咲「……はい」クス

照「…………ん」コクリ

竜華「……にしても」チラ

照「?」

竜華「宮永照が百合妄想士やったなんて、ほんまビックリしたなぁ」

怜「ああ、確かにそやな。作戦会議の時に聞いて驚いたわ」

照(……ということは、インハイでの妄想はオープン回線じゃなかったんだ……よかった)ホッ
550 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:13:14.40 ID:8MnlR9I2o

竜華「それに、妹さんのことがめっちゃ好きやっちゅうのもビックリやわ」

照「…え」

怜「うん。胸サワとか婚姻届けポンとかな」

照「!」

咲「えへへ……いい思い出です」

照「ち、違う。咲の妄想に出てくる私は、咲が勝手に作った私!」

怜「そうなん?」

咲「あはは。お姉ちゃん、恥ずかしがり屋なんです」ニコニコ

怜「あー、わかるわー」

竜華「恥ずかしがらんでもええやん」ニコー

照「咲……」ハァ..

咲「えへへ」

照(外堀を埋めようとする咲こわい…………でも、笑顔はかわいい)

久《おーい、照、咲ー!》タタタッ!

智紀「…………」タタタ

照「!久……」

久《今、どういう状態?その2人の能力で動けないとか?》

照《ううん、違う。勝負はついた。今は話してただけ》

久《…………どんな展開でそうなったのか気になるわね。けど、それは後にしましょう。現状だけど……》

照《うん》

久《とりあえずこの辺りは沢村さんのおかげで大分持ち直した。だから次は他の場所へ援軍に向かうわ》

照《わかった》

怜「……これから移動?」

照「うん」

怜「ほなら、私らは退場しよか」

竜華「そやな」
551 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:13:46.72 ID:8MnlR9I2o

照「…………」

怜「……宮永照。守ってくれてありがとうな」ニコ

照「え、あ、う、うん」

竜華「やーん!怜のハニカミめっちゃ可愛い〜♪」
咲「素直なお礼に照れるお姉ちゃんかわいい!!」

智紀「……似た者同士?」

久「ふふ……」

竜華「ほな、またなー」バイバイ

照「ん。また……」

智紀「……それにしても、あの2人を倒すとは……すごいです」

照「……倒してないし勝ってもいないんだけどね」

久「?ま、結果的に勝ちならいいんじゃない?」

照「そう、なのかな」

智紀「……さて、次の行動についてですが」

咲「はい」

智紀「二手に別れて、東と南の援護に行きましょう」

照「西は?」

智紀「………まだ情報が入ってきていません。ですので、とりあえずは後回しに」

咲「あ、あの……沢村さん以外の四天王の人は……いないんですか?」

智紀「……3人とも戦闘には参加してるけど状況が伝わってきてない……私の場合は、かなりの精鋭部隊に絡まれて、こちらに来るのが遅れた……」

久「向こうにしてみれば四天王は最も警戒すべき相手だもの……他の3人も似たような感じで妨害にあってるでしょうね」

智紀「はい、おそらく……」

照「それで、チーム分けはどうする?」
552 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:14:35.13 ID:8MnlR9I2o

智紀「そうですね………私と竹井さんが南側、お2人は東側でお願いします」

照「わかった」

咲「は、はい」

久「南側なら、西側に動きがあった時、沢村さんがすぐ動ける……ってわけね。了解」

智紀「それでは………また後で」タタタ

久「頑張りましょう!」タタタ

咲「はい」

照「うん」

咲「……じゃあ、行こ?お姉ちゃん」

照「……あ」

咲「?」

照「咲……清水谷さんのビーム、何度も受けてたけど、体は大丈夫?」

咲「え、うん。私なら平気だよ」ニコリ

照「そう……」

咲「うん」

照「…………ありがとう」

咲「え」

照「咲のおかげで助かった」ニコリ

咲「へ、あ……う、ううん、そんな……///」

照「でも、無理はしないで」

咲「あ……」

照「……いや、違う」

咲「?」

照「私が咲を守る……咲に無理させないように」

咲「お姉ちゃん……」

照「…………」

咲「…………」

照「…………行こうか」キュッ(咲の手を握る)

咲「…………うん」ニコリ
553 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:15:11.26 ID:8MnlR9I2o

【ホテルの一室】

伝令「報告します!!愛宕洋榎様、園城寺様、清水谷様が敗北!北側の我が軍、被害甚大!LB軍に押し込まれ、戦況は拮抗しています!」

??「あらー?」

??「……愛宕雅枝さんがいてそのような事態になるとは思えませんけど……」

伝令「愛宕雅枝様は途中で戦列を離れ、以後連絡ありません」

??「う〜ん………裏切ったとも思えないし………けれどあの方が負けるとも思えませんね」

??「普通に考えたらね……LBの会長が戦場に出張ってるわけないだろうし……」

伝令「四天王の動きですが、沢村が移動を開始。南側へ向かっています。エイスリンは今現在も無力化に成功しています。深堀は東側で我が軍に大打撃を与えましたが、スカ耐性持ちの精鋭部隊を投入し、被害を最小限に抑えました」

??「あら、深堀さん対策が上手い具合に効いているようね」

伝令「はい。その……大便に対しては医学的な見方をするよう鍛え上げましたので……」

♪〜

伝令「!失礼します。もしもし…………え!わかりました……はい……それではまた」

??「どうかしたの?」

伝令「はい……対深堀用の精鋭部隊ですが、つい先ほど撃破されてしまったようで……その後、深堀は移動し、行方をくらましたと……」

??「……大変です……」

??「そうね……でも、仕方ないわ。相手が相手だもの。それで、臼沢さんはどうなっているのかしら?」

伝令「は!臼沢は幼女での淫語妄想を終えた後、戦闘に参加。最初は我が軍を圧倒しましたが、臼沢専用の精鋭部隊を当ててからは、戦況は一変。我が軍有利とのことです」

??「すごいです……」

??「ええ……この調子で頑張ってもらいましょう」ニコリ
554 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:15:38.59 ID:8MnlR9I2o

【西側 外れ】

塞「はぁー……」

塞(嬉しいんだけど辛い……複雑だわー)

大きくため息をつく塞。

その理由は目の前にいる集団にあった。

合法ロリ予備軍「…………」ジリ..

塞に対抗するために作られた精鋭部隊。

それぞれが童顔で小柄。近い将来、成人を迎えようとも、ロリという称号を抱え続けるであろう若人だ。

うさぎさん、いちご、ボンボンヘアゴム、ペロペロキャンディー大大大ちゅき。舌足らずな甘えっ子ボイス。

傍から見たならなかなかあざとい。でもあざとさすら超愛おしい。

幼女を見ただけで妄想し、力を使ってしまう塞にとって、相性は最悪である。

塞(格好もマジやっばいわー……ニーソ、ハイソ、キャラ物の靴下……しかも上のゴム部分をクルクル畳んでるのもポイント高い……)ムララ

そう。合法ロリ予備軍は、全てにおいてロリを貫く。

園児服、キュロットスカート、ブルマ。膝にはにゃんこの絆創膏。

ランドセル、ナップザック、ぬいぐるみ型のリュックサックにNカバン。

ド幼女風から小学校高学年風まで、幅広くカバーしている。

塞(……手を繋いでる子もいるし、あっちの子は縄跳びしてる。時々失敗して、舌をペロッと出して『引っかかっちゃった』って言う……やっばい可愛い……)

塞(ああ……ホントやりずらい……〔幼女領域(ようじょ・フィールド)〕は基本幼女以外を対象とする技だから、あの子たちにはあんまり意味ないし……)

合法ロリ予備軍A「あー、Bちゃんずるーい!ポップコーン食べてるー!私にもちょうだい!」

塞「!」
555 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:16:13.14 ID:8MnlR9I2o

合法ロリ予備軍B「いいよー。はい、あーん」

塞(ポップコーン……響きが可愛いし、コーンは胸のポッチを連想させる……それに、あーんさせた時にベタベタになった手は……)

合法ロリ予備軍A「わ、手がベタベタする…………Bちゃん、舐めて?」

塞(出た!!)

合法ロリ予備軍B「もー、しょうがないなぁ。んむ……ちゅぱ……」

塞(まったく……小学生は最高ね!って……違う違う……あの子たちは小学生っぽいだけで、実年齢はもう…)チラ

合法ロリ予備軍C「♪゛〜♪゛……♪」(笛を吹いている)

塞(!?小学生を象徴するリコーダー!顔を真っ赤にして一生懸命なのに上手に吹けない姿は愛らしさ満点!やっぱリコーダーはすごいわ……幼女の唾入れという側面も兼ね備える、最強のアイテムね)

トシ「…………」

トシ(しょうがないねぇ。いくら相手が塞の気を惹くのが上手いからといって、こうまでハマるとは……)

塞「………!」ハッ..

塞(危ない……また夢中になってたわ……そろそろちゃんと戦わないと。〔絶対幼女(アブソリュート・ようじょ)〕を発動させて……)

合法ロリ予備軍C「さえおねえたま!おしっこしたい!おトイレつれてって!」

塞「私に任せなさい」キラッ

合法ロリ予備軍C「う、うん……ありがとう……」

塞「ちゃんと成長してるか、目の前で見てあげるわね。あ、一応写メも撮らないと」

合法ロリ予備軍C「え……そ、それはちょっと……」

塞「?」

合法ロリ予備軍B《Cちゃん!ちゃんと幼女を貫いて!》

合法ロリ予備軍C《でも……この人、予想以上の高みにいるんだもの……目もギラついてて怖いし》

塞(戦いは後でいいよね。まずは成長具合を確かめてからの方が後腐れもないし)ウンウン

塞「じゃあ一緒におトイレ行こうか?」サワ(お尻に手を回す)

合法ロリ予備軍C「!?あ、あぅ……その……手が……」

塞「うん。急いでおトイレしないとでしょ?私がお尻を押して、歩くのをお手伝いしてあげるよ」ニコリ

合法ロリ予備軍C「うぅ……」

??「あらら……いい具合に変態さんな絵面ですねー。通報レベルですよー」
556 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:16:43.01 ID:8MnlR9I2o

塞「ん?一体誰………………ぅおおおお!!」

塞が猛る。そして叫ぶ。

何故なら、目の前に立っていたのは……

全裸初美「小さい子のお尻を触るとか……」クネ

全裸初美「いけないこと…」クネネ

全裸初美「なんですよー?」クネェェェ..

ストライクゾーンど真ん中、

露出大好き悪癖の巫女、褐色幼女の薄墨初美だったからである。

塞「ちょ、ちょ、ちょ……///」

塞(うぉい!モロ裸じゃん!いいの!?いや、なんか湯気が……でも…………やっばい……///)

全裸初美「やん。目がエッチですよー…………っとと」フラッ

塞(!見せつけてフラつくとかっ!おっちょこちょいで服を着忘れた設定!?それもいいかも……)ムラ

フラついた姿をプラスにとった塞。

しかし実際は、桃子との戦いで負ったダメージが抜けていないからであり、今の初美は全開時の1割程度の力しか残っていない。

全裸初美(……私は臼沢キラーとして期待されてますよー。だから……あなただけは倒しますー)ギラリ

塞「ちょっと……そんなに見つめて……誘ってるの?」ハァハァ..

全裸初美「さ、さあ……」ククネ

全裸初美「どうで…」クククネ

全裸初美「しょう、ねー……」クネクネ!

気力を振り絞ってクネる初美。

その表情には余裕はなく、一目で限界が近いのだとわかる。

しかし塞にとってロリボディの日焼け跡は、『見ないことが罪』と言えるレベルのもの。集中力の全てをつぎ込んで凝視する。

今の状態なら財布をすられても気付かないだろう。

現に、さっきまであれほど執着していた合法ロリ予備軍Cのおしっこのことなど、頭の片隅へと押し込まれている。
557 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:17:21.18 ID:8MnlR9I2o

塞「――――」

塞(なによあれ……インハイの時は試合に集中してたから意識してなかったけど……この子、こんなにエッチだったの?薄墨さん……いや、はつみたんやっばい!!)ジュルリ

全裸初美「はぁ……はぁ……」クネ

塞(もう!湯気が邪魔だわー……あそこまでさらけ出してるのに……ほんの、ほんの少しじゃない)

ただ見ているだけ……それだけで、塞の力がどんどんと消耗していく。

塞(あの湯気の下はどうなってるの!?ねえ……ねえ!!)

もっと見たい……その想いだけで、塞の力はさらに失われていく。

全裸初美(いい具合ですよー……後は、ここで…………今です!)スッ!(素早く体育座りをし、両腕で胸と股間を隠す)

塞「!!」

塞(な、な……いきなり隠した……!)

全裸初美「………………」

塞(ちょっと!何してるのよ!せっかく見せつけてくれたのに……それじゃあ胸もあそこも全然……)

全裸初美「………………」

塞「………………」

沈黙が場を支配する。

2人の間にあるのは湯気のみ。

全裸初美(……そろそろ10秒経ちました……では、いくですよー)
558 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:18:10.10 ID:8MnlR9I2o

全裸初美「…………はいっ!」ガバッ!(立ち上がって大の字ポーズ)

塞「ぬぎゃーー!!」

歓声とも悲鳴ともとれる声を上げる塞。

見せてたあの子が隠して、見せた。全裸〜体育座り〜全裸というプログラム。

格闘ゲームなら↓タメ↑+Pで出すであろうこの技。脱、着、脱のギャップはすごまじい。

塞の立場からすると、体育座りをしている初美を見ている時は、

『さっきまで見えてたのに今は見えない』という状態にさせられ、かなり辛い。

『あの頃の私は輝いてた……毎日が楽しかったなぁ』と過去を美化させることで自分を慰めるしかないレベルだろう。

そんな飢えた状態の中、初美が大の字になった。再び栄光の時代を見せられた衝撃は半端なものではない。

塞「ぅあああぅぅ……はつみたぁん……」ゾワワワ..

急速に失われていく力。しかし、塞の表情は晴れやかだ。何故なら、なんだかんだで再び裸を見れたから。

トシ「…………」

トシ(このままだと、力を使い果たしちまうねぇ……)

全裸初美(ふふふ……どうやら、私の勝ちのようですよー。後は、油断せずに大の字キープですよー)ンパー..

トシ(勝利を確信しているようだけど、残念だったね……私が脱げば塞は全快するんだよ)スッ

初美に気付かれぬように、塞の視界に入る位置に移動したトシ。

トシ(表で脱ぐのは恥ずかしいけど、仕方ない)

塞の敗北を防ぐため、トシは満を持して脱衣モーションに入る。

トシ(塞……)

そして、ブラの肩紐に手をかけたその時、ドサリ……という音がした。
559 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:19:00.74 ID:8MnlR9I2o

トシ「?」

合法ロリ予備軍A「…………」ウゥ..

トシ(……何が起きたんだい?何故あの子が倒れて……)

合法ロリ予備軍「あ、あ、あ……」ガタガタガタ..

トシ(?)チラ

トシ「……あ」

合法ロリ予備軍B「で、出た……ふ、深堀……純代」

全裸初美「えっ……」

純代「………………」

塞「あ……深堀さん……」

トシ「…………はは」

トシ(どうやら脱がなくてすみそうだね)フゥ

純代「………………」

全裸初美「う……」ゴクリ

合法ロリ予備軍「ひぃぃ……」ガタガタガタ

純代の登場により、場の空気が一変した。

彼女の並外れた攻撃力は知れ渡っているため、初美とは違う意味で周りの視線を集め、一挙手一投足が注目されている。

『どう動くのか』……いや、人によってはすでに『どうやられるのか』と敗北する想像をしているかもしれない。

純代「…………」

合法ロリ予備軍D「う、う……うわあああ!!」

トシ(!深堀に向かっていった?玉砕覚悟か、それともプレッシャーのあまり血迷ったか)
560 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:19:27.19 ID:8MnlR9I2o

純代「…………」スゥー...

純代《〔 野 外 で 我 慢 で き ず に 脱 糞 ( ト ラ ウ マ メ モ リ ー )〕》

純代が自身の妄想を相手の脳内に叩き付ける。

それはスカによるトラウマドラマだ。

合法ロリ予備軍D「ぎゃあああああ!!!」バターン!

合法ロリ予備軍「D!こ、この……よくもDを……」

純代《〔 遠 足 で 山 登 り 中 に 脱 糞 ( ト ラ ウ マ メ モ リ ー )〕》

合法ロリ予備軍「いやああああ!!」バタ...バタ..バタ..

全裸初美「そ、そんな……あっという間に全滅……」

塞(……!あの子、こっちに足向けて倒れてる。スカートの中、見えそう……)ソローリ

全裸初美「ふ……ふふ………さすがですねー。でも……野外は私のフィールドですよー」ヨロヨロ...

純代「…………」

純代《…………》ピキィィン..
561 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:20:09.68 ID:8MnlR9I2o

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

巴「ハッちゃんの二の腕、プニプニで美味しい……」ペロペロ..

初美「ゃ……っ、舐めないで……ほしいですよー……///」

小蒔「チュ………ンム……可愛いです」

初美「姫様ぁ……!そこ、おへそは……///」モジモジ

春「…………」レロレロ

初美「ひぅっ!」ビクン..

霞「あら……こんなになっちゃって………うふふふ」サワサワ

初美(あぁぁ……気持ちよすぎるですよー……)ポワー...

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


全裸初美「はっ!!」

全裸初美(な、今のは……深堀さんの技ですかー!?)

全裸初美(こんなにリアルなんて……噂以上ですよー……)ハァ..ハァ..

純代《ヤラシイ顔……そんな顔もできるんだね》

全裸初美「う……///」

全裸初美(やっぱりこの人………危険ですー)

塞(あああ……幼くて色っぽいとか……捨てるところないじゃない///)ポー

純代「…………」ジリ

全裸初美「っ…!」

全裸初美(そもそも………私は臼沢さんの相手をするのが仕事……この人の相手は別の人にお願いするですよー)ジリ..

純代《逃がさない》ピキィィン..

全裸初美「あ………っ!!」
562 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:20:47.24 ID:8MnlR9I2o

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

小蒔「大変。大勢の人たちが集まって………みんなが見てます」

巴「ハッちゃん度胸あるね。いや、ただの変態かな」クス

霞「これから裸で舞をするのよ?大事なところも………全て晒して……」

春「みんな………軽蔑した目で見てるよ………あ、カメラ持ってる人もいるね………ふふ………さあ、どうぞ」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


全裸初美「あうああうあうあ………」グルグルグル...

全裸初美(そんな……色んな人に見られちゃいますよー…………きっと……すご…く…………気持ち…………いい………)

純代によって、身内を前にした露出決行のイメージを叩き込まれる初美。

それはとても甘美で、凄まじい快感。

ただでさえ力尽きそうだった初美にとって、このご褒美はあまりにも強烈すぎた。

恍惚の表情を浮かべたまま、ゆっくりと体が傾いていく。
563 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:21:17.98 ID:8MnlR9I2o

純代「!危な…」

塞「役得!!」ガシッ!

全裸初美「……………」クター

純代「………ふぅ……ありがとうございます」

塞「お礼なんて……倒れそうな人を受け止めるのは人として当然じゃない」サワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリ

純代「はい、そうですけど……」

塞「敵味方なんて関係ない……ううん、むしろ好敵手だからこそ、戦いが終われば強い絆で結ばれるものなのかもね」サワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリ

純代「あの……」

塞「ん?」サワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリ

純代「ほどほどにした方が……」

塞「え?ごめんなさい、音がガサガサうるさくて聞こえないわ」サワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリ

純代《…………その音を鳴らしてるのは臼沢さんです。そして薄墨さんを触るのはもうやめましょう》

塞「……そ、そうね。こりゃ失敬」

純代《いえ……》

塞「…………」

純代「えと、それで…」

塞「あ、ごめん。ちょっと待って」
564 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:25:55.61 ID:8MnlR9I2o

純代「?はい」

塞「最後にもう少し…」サワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリ

純代「…………」

塞「…………うん、これでよし」

純代「ふう……で、これからについてで…」

塞「あのさ、やっぱ写メだけいい?」

純代「ダメです犯罪です」

塞「……うぅ……はつみたん……」

純代「とりあえず、薄墨さんは近くのベンチに寝かせておきましょう。連合軍の誰かが救助してくれるはずです」

塞「……私、こう見えて意外と献身的だから、はつみたんは私が…」

純代「ここから少し行ったところが西側の主戦場となっています」

塞(無視……後輩なのに冷たいわー)サワリサワリ

純代「私たちは中心地から少し離れた地点で戦いましょう。そこで優勢になれば…」

塞「……主戦場で戦う連合軍の裏を突ける」

純代「!はい…」

塞「ふむ……だったら先生もいるし、ここは私が請け負うから深堀さんは他行っていいよ」

純代「でも……」

塞「だって数で負けてるし、その方がいいでしょ?」
565 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:26:55.36 ID:8MnlR9I2o

純代「…………そうですね。わかりました。私は北側に加勢します」

塞「うん、よろしくー。気を付けて」

純代「はい」

塞「……………」

純代「…………」

塞「……………」

純代「…………」

塞「……………」

純代「…………」

塞「…………どうして行かないの?」

純代「…………いえ、私が行ったあと薄墨さんを触りまくる気かなと思って」

塞「そ!…………」

塞「………………そんなわけないじゃない」ニ..ニコ..

純代「……………」ジィー..

塞「……う、わかったわよ。じゃあこれで最後!」サワリサワリサワリサワリ!

純代「……………」

塞「しょうがないじゃない。すごくスベスベで気持ちいいんだから……」テクテク..トサ..(初美をベンチに寝かせる)

純代「……服……」パサ(初美の体に服をかける)

全裸初美「うーん……むにゃむにゃ……」

塞「うぇへへ……はつみたんかわいい……///」

トシ「……塞、行くよ」

塞「あ、はい…………それじゃあまた後で」

純代「はい」

塞(……もう少しはつみたんに触れたかったなー)テクテク..
566 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:27:39.59 ID:8MnlR9I2o

【リリーブライド本部】

久美子「……深堀さん、臼沢さんと合流!薄墨を撃破しました!」

恵「さすがだな……行く手を阻む精鋭部隊を振り切って臼沢と合流し、あっという間に薄墨を撃破するその技量……素晴らしい」

久美子「会長の読みもさすがです!臼沢さんが道行く幼女に淫語を言わせ飽きる時間をピタリと当てた…」

久美子「そして、そこからの臼沢さんがどう動くかを読んだ上で、連合軍が薄墨さんを仕向けてくると予測し、あらかじめ深堀さんに指示をしておくという手腕……感服です」

恵「そう褒めることではないさ」

久美子「ご謙遜を。会長にしかできないことです…………ただ……」

恵「ただ……なんだ?」

久美子「…………会長、パンツ見えてますよ?」

恵「………………」

久美子「…………」

恵「………………」

久美子「……やっぱり、引っかかりませんでしたか」

恵「ああ。どう動けば自分のパンツが見えるかは完璧に把握している。それに、そこの机の隅に鏡を仕込んだだろう?」

久美子「気付かれてましたか……」

恵「うむ。鏡の角度を考えると、少しでも動けばパンツが見えてしまうだろう。となれば久美子君の作戦は私を動揺させること……」

久美子「はい……パンツが見えていると言えば、驚いて確認する……その際、わずかでもスカートが揺れればパンツが見える……そう思いました」

恵「ふふふ……まだ青いな。だが着眼点は悪くない」

久美子「ありがとうございます…………あ、新情報です」

恵「なんだ?」

久美子「臼沢さんが戦闘を開始しました」

恵「そうか……」

恵(彼女なら問題はあるまい。頼んだぞ……)

恵は凛とした顔で、宮守女子、四天王、照たちを含めたLB軍への強い信頼を胸に、そっと後ろ手でパンツの食い込みを直した―――
567 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:28:20.14 ID:8MnlR9I2o

【西側 中心地】

連合軍「やああ!」

LB軍「く……まずいわ……そろそろ持ちこたえられない……」

連合軍「ふふふ……どうやらこのエリアは私たちの物になりそうね」ニヤリ

LB軍「うぅ……」タジッ

塞「そうはいかないわよ」

連合軍「えっ?」

塞「………………」

LB軍「う、臼沢さん!」

塞「待たせちゃったみたいね。でも私が来たからには安心していいわよ」

LB軍「は、はい!ありがとうござ…」

塞「〔 幼 女 領 域 ( よ う じ ょ ・ フ ィ ー ル ド )〕」

パァアアアアアアアア!!!

LB軍「へ?」

連合軍「な、なんや?」

キィィィイイィ........ン.....

せいぐん「………………」

りりーぶらいどぐん「…………」

塞「ふう……」

せいぐん「な、な、なんやぁあ!!?」

りりーぶらいどぐん「ど、どうしてわたしたちまで!!??」

塞「ごめんね?敵味方が入り乱れてるから丸ごとの方が手っ取り早くて……」
568 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:29:14.86 ID:8MnlR9I2o

りりーぶらいどぐん「て、てっとりばやい?それってまさか……」

塞「みんな可愛いから、愛でたり撫でたり舐めたり吸ったり色々なことをいっぱいしたいけど……時間もないし……」

キィイィイン...

せいぐん「う、ぐぅう……からだが……」

りりーぶらいどぐん「…うごかない………」グググ

塞「…………」

コォォッオオオオ...

塞《〔 絶 対 幼 女 (ア ブ ソ リ ュ ー ト ・よ う じ ょ )〕》

ゴァアアアアアアア!!

せいぐん「わああああ!!」

りりーぶらいどぐん「あたまのなかが……ろりだらけ……!」

塞「っ……」

トシ「………………」

トシ《塞……大丈夫かい?こんな大勢相手に使うのは相当負担なはずだよ》

塞《そう……ですね。かなりきついです……なので……》

トシ「??」

塞《ちょっと……ここで脱いでもらっていいですか?》

トシ《…………はぁ……だろうと思った》フフッ

塞《すみません。こんな都心で裸に……》

トシ《いいんだよ。それが私の役目だからね》

塞《先生……》

感動する塞を横目に、服に手をかけるトシ。

野外で脱ぐことに対し恥ずかしさはあるものの、周りにいる人間は〔絶対幼女(アブソリュート・ヨウジョ)〕によって前後不覚状態のため、さほど気にならないようだ。、

シャツ、ズボン、ブラ、右靴下、腹巻き、コルセット、パンツ、左靴下……トシなりのリズムで服を脱ぎ、全裸へと到達する。

全裸トシ《初期装備の私になったよ》

塞《ありがとうございます。それでは早速……》
569 :>>567 間違い。正しくは↓ [saga]:2015/05/23(土) 05:33:05.75 ID:8MnlR9I2o

【西側 中心地】

連合軍「やああ!」

LB軍「く……まずいわ……そろそろ持ちこたえられない……」

連合軍「ふふふ……どうやら、このエリアは私たちの物になりそうね」ニヤリ

LB軍「うぅ……」タジッ

塞「そうはいかないわよ」

連合軍「えっ?」

塞「………………」

LB軍「う、臼沢さん!」

塞「待たせちゃったみたいね。でも、私が来たからには安心していいわよ」

LB軍「は、はい!ありがとうござ…」

塞「〔 幼 女 領 域 ( よ う じ ょ ・ フ ィ ー ル ド )〕」

パァアアアアアアアア!!!

LB軍「へ?」

連合軍「な、なんや?」

キィィィイイィ........ン.....

れんごうぐん「………………」

りりーぶらいどぐん「…………」

塞「ふう……」

れんごうぐん「な、な、なんやぁあ!!?」

りりーぶらいどぐん「ど、どうしてわたしたちまで!!??」

塞「ごめんね?敵味方が入り乱れてるから丸ごとの方が手っ取り早くて……」

りりーぶらいどぐん「て、てっとりばやい?それってまさか……」

塞「みんな可愛いから、愛でたり撫でたり舐めたり吸ったり色々なことをいっぱいしたいけど……時間もないし……」

キィイィイン...

れんごうぐん「う、ぐぅう……からだが……」

りりーぶらいどぐん「…うごかない………」グググ

塞「…………」

コォォッオオオオ...

塞《〔 絶 対 幼 女 (ア ブ ソ リ ュ ー ト ・よ う じ ょ )〕》

ゴァアアアアアアア!!

れんごうぐん「わああああ!!」

りりーぶらいどぐん「あたまのなかが……ろりだらけ……!」

塞「っ……」

トシ「………………」

トシ《塞……大丈夫かい?こんな大勢相手に使うのは相当負担なはずだよ》

塞《そう……ですね。かなりきついです……なので……》

トシ「??」
570 :>>568 間違い。正しくは↓ [saga]:2015/05/23(土) 05:34:08.05 ID:8MnlR9I2o

塞《ちょっと……ここで脱いでもらっていいですか?》

トシ《…………はぁ……だろうと思った》フフッ

塞《すみません。こんな都心で裸に……》

トシ《いいんだよ。それが私の役目だからね》

塞《先生……》

感動する塞を横目に、服に手をかけるトシ。

野外で脱ぐことに対し、恥ずかしさはあるものの、周りにいる人間は〔絶対幼女(アブソリュート・ヨウジョ)〕によって前後不覚状態のため、さほど気にならないようだ。、

シャツ、ズボン、ブラ、右靴下、腹巻き、コルセット、パンツ、左靴下……トシなりのリズムで服を脱ぎ、全裸へと到達する。

全裸トシ《初期装備の私になったよ》

塞《ありがとうございます。それでは早速……》

塞《……………》ジィーーーー..

全裸トシ「…………」

塞《……力が戻ってきた……》フゥゥ..

全裸トシ《……だったら私は服を着るよ》ゴソゴソ

塞《はい…………よし》

れんごうぐん「たばさ……だめ……そんな…やらしい……///」

りりーぶらいどぐん「ろーざ……こはる……りょうおもいだからって、いきなりおしりは……//」

塞(……いい感じ。このままいけば全員幼女趣味にできる…………けど……)チラ

左靴下トシ「…………」フルフル

塞(…………しょうがない。寸止めにしておこう)

れんごうぐん・りりーぶらいどぐん「ぱ……いぱ…………ぅぅ」ガクッ

バタバタバタ...

塞「……………よし」

コルセットシ「全員倒した、か……さすがだねぇ」ニコリ

塞「いえ。結構消耗しちゃいましたし」

腹巻きトシ「だろうね。人数が人数だ」

塞「はい」

右靴下トシ「……でも、ここを制圧できたのは大きい」

塞「そうですね……」テクテク

ブラトシ「ん?どこへ行くんだい?主戦場はあっちだよ」

塞「はい。わかってます」テクテク

トシズボン「じゃあ、どうして?忘れ物でもあるのかい?」

塞「いえ…………何人か、すごく好みの子がいたので……その子たちをちょっとだけ触りに……」テクテク

シャツトシ「……はは、そういうことかい……ちょっとだけにするんだよ?」

塞「はい!」ニコリ

味方を含む大軍を蹴散らした塞は、

最高の笑顔を浮かべ、手をわきわきさせながら戦果を得るために歩いて行った―――
571 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:34:49.46 ID:8MnlR9I2o

【ホテルの一室】

伝令「対臼沢の精鋭部隊と薄墨様、深堀によって敗北しました。深堀はその後、主戦場へ進軍。戦闘に入りました」

??「……消耗した状態で深堀と戦えば、勝てるわけない……か」

??「臼沢さんの動きは?」

伝令「わ、我が軍の子たちを撃破後、気を失っているのをいいことに、さ、触ったり匂いを嗅いだりしているとのこと……」

??「そ、そう……」

??「……これは結構まずい状況かもしれないね」

??「…………はい」

??「ですが、人数では未だ私たちが圧倒しています」

??「それでも、ね……主力が次々とやられてるってのはまずいよ」

??「………………」

??「だから…………私が出る」

??「え……」

??「……まだ早…………いえ、そうですね。お願いします」

??「ん」

??「あの……お気を付けて……」

??「…………」

??「…………ど、どうされました?」
572 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:35:37.75 ID:8MnlR9I2o

??「いや、そこまで心配しなくても平気なのにって思ったから」

??「えっ」

??「確かに、連合軍は数で勝ってるのに押し切れない状態が続いてるし、主力も結構負けてる……」

??「……はい」

??「それは何故か?……理由は簡単……」クスッ

??「……?」

??「……戦場に、この赤土晴絵がいなかったからだよ!」ビシッ!

??「わ……」

晴絵「ふふん」

??「素晴らしいです……」パチパチパチ..

晴絵「ま、そういうわけだから、ちゃちゃっと行ってくるよ」

??「お願いします」

??「うん。それじゃね」テクテク

??「………………」

??「……赤土さんなら心配いらないですね」

??「そうね。実力的にはなんの問題もないわ…………ただ」

??「ただ?」

??「元々この戦いは、連合軍が圧倒的な戦力差でLB軍を蹴散らして終わると思われていました。でも、蓋を開けてみれば、連合軍優勢ではあるものの、未だLB軍の牙城を崩せず、粘られている……」

??「はい……LB軍の皆さん、すごいです……」

??「……もしかしたら、赤土さんも………」

??「…………」

??「…………いえ、やめましょう。考えても仕方がないわ」

??「はい…」

??「……私たちにはまだ心強い味方がいる……隠密のあの子もそうだし…………それに…」

??「…………」

??「どれほど追い詰められようと、私たちが出れば、全ての問題は解決するものね。うふふ……」

伝令「…………」ゴクリ
573 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:36:18.36 ID:8MnlR9I2o

【リリーブライド本部】

久美子「……現在の戦力状況ですが、連合軍が約700、我が軍が…………300です」

恵「…………そうか」

久美子「…健闘しているとは思いますが、やっぱり……」

恵「……数が違う、か……」

久美子「はい……ただ、四天王を中心に各地で大きな戦果を挙げていますので……」

恵「そうだな……彼女たちに大きな負担をかけてしまっているのは心苦しいが……頼らざるを得ないか……」

久美子「そうですね……あれ?」

恵「どうした?」

久美子「あ、それが……エイスリンさんがいる南側なのですが、連合軍の数があまり減っていないんです」

恵「ふむ……それは妙だな」

久美子「はい。彼女の力ならもっと敵を減らせるはずです……トラブルかと思ったんですが、親衛隊の方からは異常なしとの連絡が届いてましたし……」

恵「……これはエイスリンちゃんに何かあったのかもしれんな。ならば……」

久美子「……『あの子』に向かってもらいますか?」

恵「!そうだな……うむ。それが一番得策だ」

久美子「では、連絡します」

恵「…………私の考えを読むとは。久美子君、成長したな」

久美子「そうですか?ありがとうございます」

恵(これだから若者は面白い……前も似たようなことがあったな……あれは確か……)

久美子「…………」チラ

久美子(会長は思い出に浸ってるっぽい。今だ!)ポチッ!

ウィーン..

恵「む!?」

久美子が机の下のボタンを押す。すると、恵の下の床の一部分がスライドし、格子状になった。

そしてその隙間から強い風が吹きあがる。
574 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:37:03.19 ID:8MnlR9I2o

恵「!!」

並大抵の方法ではパンツを見せない恵。

そんな彼を出し抜くために久美子が苦労して作り上げたギミックである。

いきなり足元の床から風が吹くと誰が思うだろう?

しかも、恵が感慨深げになるであろう会話の流れからの風。

これでパンチラしないとは思えない。

久美子(これならどう!?)

恵「………はぁっ!」シュバッ!

風でスカートが少しめくれ、もう少しでパンツがお目見え……という場面で、恵が飛び上がった。

久美子「!?」

ほとんどの弁護士ができないだろうと言われているバック宙である。

スカートがめくり上がる前に体ごと宙へ舞い、パンツを隠す……。

尋常ではない速度なため、回転する際のパンチラすら目視させない。

恵「…………」スタッ!

スカートを押さえて優雅に着地。勢いを殺すついでに会釈をした。

久美子「…………見破っていたんですか?その床に仕掛けがあることを……」

恵「いや、知らなかったさ」フフ

久美子「じゃあ、一瞬の判断で……」

恵「そうだ」

久美子「……あんなに苦労して床を改造したのに……」ガックリ..

恵「そう落ち込むな。君のチャレンジは決して無駄ではない。私のパンチラ防御法を目の前で見ることで、君自身もパンチラを防ぐ力を身に付けているはずだからな」

久美子「あ……なるほど……」

恵「私も日々精進できる。これからも頑張っていこう」

久美子「はい!」

恵「いい返事だ」クス

久美子「あ!ちなみに床を改造した費用なんですが、会長の名前で領収書を切っておきましたのでよろしくお願いします」

恵「えっ?き、君、それは…」

久美子「では、お互い頑張りましょう」ニッコリ

恵「…………ああ、頑張ろう……」
575 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:37:46.66 ID:8MnlR9I2o

【南側 外れ 公園】

エイスリン「ウウゥ……」

穏乃「すいません……でもこうして一緒にいてもらうだけで、あとは何もしませんから……」

エイスリン「…………」

エイスリン(シズノ……ワタシノチカラキカナイ……ナンデ?)

連合軍「………………」

エイスリン(イラストボード、トラレタシ……ニゲラレナイ……)シュン..

親衛隊(……エイ様が落ち込んでる……私たちがもっとしっかりしていれば……)

公園の中心にあるベンチに座っているエイスリンと穏乃。その周りを連合軍が囲み、親衛隊もまた連合軍によって見張られ、逃げ場はない。

エイスリン「…………」ハァー..

ヒュー..ヒュー..

エイスリン(?ウデ、スズシイ……カゼ……?)チラ

穏乃「ふんーっ……ふんーっ……」

エイスリン「!?」

エイスリン(カゼジャナクテ……ハナイキ!?)why!?

穏乃「はぁ、はぁ……いい匂い……ごくっ……はぁ……可愛い……」ハァアハァ..

エイスリン「ッ……」ゾク

穏乃「エイスリンさん、やばいって……もう……隣にいるだけじゃ……我慢、できない……っ」ハァハァ..

エイスリン「ヒ……!」タジッ..

連合軍「高鴨さん!深呼吸!」

穏乃「!すぅーーーーー…………はぁああぁあああ…………落ち着きました。大丈夫です」

エイスリン「…………」

穏乃「あの……エイスリンさん。鼻息当てちゃってすいません……」

エイスリン「ウ、ウン……ダイジョブ……イタクナイ……」

穏乃「……そ、そうですか……よかった……」

エイスリン「……………」

穏乃「……………………」チラ..チラ..

エイスリン「……………」

穏乃「…………肌白い…………触りたいなぁ……」ボソ

エイスリン「!!」

穏乃「はぁ……はぁ………」

エイスリン(シズノ……セイヨクコワイ……)
576 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:38:15.28 ID:8MnlR9I2o

【南側 中央】

LB軍「やああ!」

連合軍「くっ……」

LB軍「押し切るのよ!」

連合軍「や、やば……」

憧《幼馴染の2人、ランドセル同士がキス!》

LB軍「っわああ!」タジッ

連合軍「あ、新子さん!」

憧「大丈夫!?あたしも手を貸すから、盛り返しましょ!」

連合軍「はい!」

憧(急に猛攻が始まったわね……さっきまではそれほどでもなかったのに……)

憧(……ここを突破した先にはエイスリンさんがいる公園……そっか、彼女を解放するつもりってわけね)

LB軍「はあああ!!」

憧「っ、ぐ……」

憧《縁日の……りんご飴……!2人で一緒にペロペロしたいっ!!》

LB軍「あああ……それ、いい……っ!」バタッ..

憧「ふ〜っ……」

憧(もうっ!あたしは混戦向きじゃないっつの!各個撃破タイプなのに!)
577 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:38:50.71 ID:8MnlR9I2o

??「なになに?結構苦戦してるみたいね」

憧「え?この声って………」クルッ

??「よ!憧〜♪」

憧「は、ハルエ!?」

晴絵「うん」

憧「どうして晴絵が連合軍に……?いや……そうか、ハルエも百合妄想士だったってことよね」

晴絵「そういうこと」

憧「……ま、いいわ。とにかく来てくれてサンキュ。助かった」

晴絵「いや、悪いんだけど私は行くところがあってさ。そっち優先」

憧「マジかー……作戦ならしょうがないけど……」

晴絵「悪いね。ここは憧に任せるわ。それじゃ、私はこの先の公園までしずの様子を見に行ってくるから」テクテク

憧「え!!?ちょっとちょっと!!なんでしずが出てくるわけ!?」

LB軍「覚悟ですわーっ!!」

憧「く!話の途中なのに…………!あんた!行って!!」

連合軍「え?は、はい!!」ダダッ

晴絵「人使い荒いねー。今の子、年上っぽいのに」クス

憧「そんなことより!しずの様子ってどういう意味!?」

晴絵「ん?だってしずも戦ってるから」

憧「!!?」

憧(しずが…………戦う?それって…………し、しずも百合妄想士ってこと?)

憧「……いやいや!しずが百合妄想士なわけないでしょ!?だとしたら絶対あたしが気付くもん!!」

晴絵「あー……そう思うのも無理ないよね……たださ、しずは特殊なんだよ」

憧「………どういうこと?」

晴絵「しずは……『妄想しない百合妄想士』なの」

憧「…………は?何それ。ありえないでしょ」

晴絵「事実なんだなー、これが」アハハ
578 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:39:44.29 ID:8MnlR9I2o

憧「そんな……妄想しない百合妄想士なんて……歯にくっつかないカールみたいなもんじゃん……矛盾してるよ……」

晴絵「……カール?」

憧(う……例えチョイスをミスった……かも)

晴絵「うーん……」

憧「こほんっ!」

晴絵「………………」

憧「そんなの………極上じゃない極上生徒会みたいなもんじゃん………矛盾してるよ」

晴絵「………………」

憧「…………………」

晴絵「……ま、そうなんだけどさ」

憧(よし、通った)ホッ

憧「……で?どういうことか、詳しく説明してよ」

晴絵「……ある時、私が職員室で百合同人誌を読んでたんだけど……」

憧「仕事中に何してんのよ」

晴絵「いやいや、成人向けだけどノーマルなやつだから」

憧「ならいいけど…………ってよくはないか」

晴絵「それでしずが職員室に来てさ、私があまりにも熱心に本を読んでるのが気になったみたいで」

憧「…………」

晴絵「私の後ろからこそっと覗き込んで読んだら、ハマっちゃったみたいでさ」

憧「…………ちなみにその同人誌、どんなの?」

晴絵「ふたなり同士の絡み本」

憧「ノーマルって何かね……」ハァ..
579 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:40:27.96 ID:8MnlR9I2o

晴絵「…とまぁ、そんな感じにしずは百合と出会った。そしたら次の日から『他のはないですか?』ってキラキラした目で詰め寄ってくるからさ……」

憧「ま、まさか……手を出したんじゃ……あたしのしずに……」ギリッ..

晴絵「出さない出さない。私の持ってる本を何冊か貸したってだけ」

憧「…………それでしずは百合妄想士に……」

晴絵「元々才能はあったんだろうね。すぐに能力に目覚めた」

憧「…………」

晴絵「……でもさ、しずは百合妄想はしないんだ。ただ完成した百合作品を読んで楽しむだけなんだ」

憧「…………わかる気がする。しず、映画とか観ても感想は『面白かった』か『超すげー』ばっかだし、その場その場の楽しさを重視するタイプで愛しいから…」

晴絵「そうだね。だから完結した物語を妄想で補足したりとか、そういうことは全くしないらしい」

憧「なるほどね………それじゃあ百合妄想士だと気付けるはずもないわ」

晴絵「ああ」

憧「…………ん?ちょっと待って。しずは妄想しないのよね?それだと百合妄想士としての力は……」

晴絵「そう……この戦いに参加している人の中で最弱でしょうね」

憧「やっぱり………なのになんでしずが連合軍にいるの?」

晴絵「しずの能力を買われたんだ」

憧「それってどんな能力なの?」

晴絵「〔 全 能 力 無 効 化 ( オ ー ル キ ャ ン セ ラ ー )〕」

憧「オールキャンセラー?」

晴絵「うん。しずに向けられた全ての攻撃を無効化する」

憧「何それ……?無敵じゃん」

晴絵「そうだね。妄想しない……つまり、武器を持たないしずだからこそ目覚めた能力ってとこかな」

憧「……………でもそんな能力、無条件で使えるとは思えない」
580 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:41:08.41 ID:8MnlR9I2o

晴絵「その通り。発動には条件がある」

憧「…………」

晴絵「…………しずは追いつめられると強い力を発揮するよね」

憧「………そうね」

晴絵「この力を発動するには、自分をある程度まで追いつめなくてはならない」

憧「…………」

晴絵「…………そのために、何が必要か………それは…………………………………………………オナ禁だよ」

憧「え………っ」

晴絵「……自分の限界ギリギリの日数、オナ禁すること。これが条件」

憧「そんなの……」

晴絵「条件を満たしている間、しずは誰の攻撃も受け付けない……かなり強い能力だね」

憧「…………それは……そうだけど……」

憧(……って、あれ?そんな条件が必要になるってことは……)

憧「あ、あのさハルエ……し、しずってもしかして…………その…………じ、自分で……す、すす、するの?」

晴絵「確かに、そういうのには疎そうに見えるけど、しずも年頃の女の子だよ?」

憧「あ……」

晴絵「……結構な頻度でしてるってさ」

憧「!?ま、マジ……?そ、それ、しずから直接聞いたんだよね?」

晴絵「もちろん。休み時間にしずが職員室まで同人誌借りに来た時に『しずってオ○ニーすんの?』って聞いたんだよ。そしたら恥ずかしそうな顔で教えてくれた」

憧「っ……///」

憧(職員室でそんなこと聞くデリカシーの無さはもはや教職者以前の問題だけど……そのしず情報はありがたい!!)ウム!

晴絵「……だからさ、オナ禁してる今の状態はかなり辛いだろうね」

憧「あ……」

晴絵「しずの能力によって、エイスリンの魅了は無効化できる。でもそれは過剰に惹かれるのを防ぐだけで、エイスリンみたいに可愛い子がいたら人並みにドキドキする……つまり、興奮するのは間違いない」

憧「そんな……そういう時はあたしにテレフォンしてくれればいつでもしずの元へ行くのに……」ワナワナ..

晴絵「……その辺りが心配でさ。私がしずをサポートしてやれば、しずが果たすべき役割は終わる。そしたら後は存分にオ○ニー解禁してはしゃげる」

憧「そ、それじゃあたしも手伝う!」

憧(あたしなら、解禁してはしゃいでる時もピタリとサポートする!手厚く!)

晴絵「私1人で平気だよ。それに、しずはエイスリンと一緒にいる。あの子は人を操るらしいから、憧が操られてしずに……ってなるとまずい」

憧「うう………あたしはそれでも構わないよ……」

憧(あ、でもしずの目の前で他の子とキスとかさせられるかも……)ゾワワ
581 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:41:37.91 ID:8MnlR9I2o

晴絵「私に任せなって。憧は私が戻るまでここでLB軍と戦ってて。ここを突破されてしずのところまで敵が来るのはまずいしさ」

憧「…………わかった」

晴絵「サンキュ。じゃあ頼んだ」スタスタスタ

憧(はぁー……あたしもしずのところ行きたいけど……しょうがないよね……)

LB軍「」タタタッ!

憧「えっ!?」

憧(やば…っ!接近してたの気付かなかった!突破された!)

憧「は、ハルエ!」

晴絵「……む」

LB軍「っ……!」

LB軍《頬を赤らめている同級生の2人……その手は恋人繋ぎで…》

晴絵《その繋がれた指に、ツインテールのふたなり後輩がむき出しの『アレ』で触れてくる!》

LB軍《!?そ、そんな……》ゾゾ..

晴絵《恋人繋ぎを『アレ』で裂き、返す刀で太ももをペチンと叩く!》

LB軍《い、嫌ぁあああ!!》バタッ..

晴絵「甘い甘い、キャリアが違うよ」

憧「……ハルエ、強い…」

LB軍「待てっ!」タタタ

晴絵「ちっ、まだ来るか。急ごう」タタッ!

憧「…………」

憧(…………って、ハルエは心配いらないよね。あたしはあたしで自分にできることをしよう)

??「…………」サササ

憧「ん?」

憧(今、ハルエの後を追いかけていったのは………あぁ、そういうことね)

連合軍「くっ……あ、新子さん!すみません、こっち……」

憧「わかった!今行く!」タタタッ

憧(しず……今は辛いだろうけど、もう少し我慢してね。ここが片付いたら……触ったり擦ったり、テクの限りを尽くすから!)ギラッ!
582 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:42:19.54 ID:8MnlR9I2o

【南側 外れ】

LB軍「がはっ……」ドサドサ..

晴絵「よし。あと少しで公園だ。敵はいないし、すぐに…」

??「……………」

晴絵「っ!?」ゾワッ

晴絵(な、なんだこの感覚は……百合物かと思っていたのに実は男の娘だった時の戦慄と似てる……)

晴絵「だ、誰だっ!?」

??「……………」

晴絵「!あなたは………」

先ほどまでLB軍を軽く蹴散らしてきた強者、赤土晴絵。

そんな彼女の本能が恐れを抱く謎の人物。それは……。

??「こんにちは」

百合を愛し、ふたなりを愛し、それと同等に妻、子を愛し、

百合愛過多によりち○ぽ排し、女になろうとすらした野郎。

晴絵「み、宮永……界……」

宮永照と宮永咲の父、宮永界だった―――
583 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:42:56.20 ID:8MnlR9I2o

【リリーブライド本部】

久美子「!会長!」

恵「どうした?」

久美子「南側で赤土晴絵の姿を確認したそうです」

恵「……彼女も参加していたか……」

恵(過去には『阿知賀のレジェンド』。そして今では『ふたなり使いの女ティーチャー』の異名を持っている強敵……並の人間では太刀打ちできまい)

恵「…………」

恵(私が動くしかないのか……いや、愛宕雅枝が健在である以上、下手に動くわけには……)

久美子「それと同時に、嬉しい情報が入ってきました!」

恵「嬉しい情報?」

久美子「はい!あの方が……宮永界さんが赤土晴絵と相対しているとのことです!」

恵「!!」

久美子「これでなんとかなりそうですね」

恵「ああ」

恵(協力を依頼した時は渋っていたが……来てくれたのか。ありがたい……)
584 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:43:25.92 ID:8MnlR9I2o

【南側 外れ】

界「……俺の名前を知っているとは…」

晴絵「……ふたなりに関わる人間なら知らない者の方が少ない」

界「…………なるほど。あなたもふたなりに魅せられた人なのか」

晴絵「ええ…………」

界「……………」

晴絵(宮永界…………色々噂は聞いている。『ふたなりに関して彼の右に出る者はいない。そして彼自身のモノも右曲りだ』なんて言ってる人もいた……)

晴絵(……だけどこっちだって引くわけにはいかない。いつまでもリリーブライドに覇権を握らせるわけにはいかないからね)

界「…………」

晴絵「…………あなたはリリーブライド側なんですか?」

界「…………そう、だな……所属してるわけじゃないが、今回はリリーブライドに味方してる」

晴絵「…じゃあ…………私の敵ですね」

界「………………」

晴絵「……………」

晴絵(そういうことなら容赦しない。とにかく、先に仕掛けてこっちのペースに持ち込む!)

晴絵「すぅぅう…………はぁあああ……」ゴゴゴ..

大きく息を吐き、心を落ち着ける。

晴絵「っ!!」クワッ!!

そして、自分の好きな女の子キャラにち○ぽを生やした妄想をする。

勃っている子と勃っていない子、勃ち始める子とフッニャフニャな子。

色とりどりのふたなり少女を頭の中で並べた。

界「………………」

界(表情を見るに、ふたなり少女を整列させたってところか。早いな)
585 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:44:11.42 ID:8MnlR9I2o

晴絵「………………」ゴゴゴゴ..

界(………………本当は戦うつもりはなかった……だが……)

界(もしリリーブライドが連合軍に敗れたら百合漫画の舞台が西に偏る……そうなれば照も咲も悲しむ……)

界「……ははっ」

界(親バカだな俺も……)

晴絵「はあああっ!!」

晴絵《アレを交差させ、×印を作る少女たち。その絆は、糸と他者の興味を引き、最後まで成り行きを見つめたくなる……》

界(………照、咲、すまない…………お父さんは今一度、ふたなりの鬼となる……ッ!)

界が心の中で覚悟を決めると、晴絵の繰り出した妄想を真正面から受け止める。

晴絵(どうだ!?)

界「…………いいふたなりだ」

晴絵(ちっ……威力が足りないか)

界「………………」

界(だが、まだ甘い……)

界「すぅ……こおぉおぉお……」

晴絵(!?空気が変わった……)
586 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:45:00.21 ID:8MnlR9I2o

界「………………」

晴絵「…………」ゴクリ

息を飲む晴絵をよそに、界は目を見開き、右手を股間へと導き、強すぎず弱すぎずな感じで握り、

界「陰・嚢・睾・丸・カリ・チン・カス・海・綿……体(いん・のう・こう・がん・かり・ちん・かす・かい・めん……たい)!!」

護身のための呪法として有名な『九字』である、『臨兵闘者 皆陣列在前』のリズムで言葉を発し、一言ごとに股間をギュッと握った。

九字に一文字加えて十字にすることにより、『♀』の下の『十』であることを強調し、ただムラムラしている男とは一線を画すことを表現する。

晴絵「な、なんなのよ一体……」

界「はああああ!!!」クワァァアッ!!

ピッカーーーッ!

晴絵「っ!?」

晴絵(眩しいっ……!宮永さんの股間から激しい光が……っ!だめ…目を開けてられない……!)

晴絵「………………」

晴絵「………………」

晴絵「………………」

晴絵が目を閉じてから約10秒ほどたった頃、光は収まった。

晴絵(……そろそろ大丈夫か?いつまでもこうしてはいられない……)チラッ

界「………………」

晴絵「??」

晴絵(…あれだけの光を放ったからには何かしらの能力を使ったんだと思ったけど……宮永さんに変化はない……拍子抜けだね)
587 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:47:04.36 ID:8MnlR9I2o

界「………………」

晴絵(……とはいえ、なんの意味もないことはないだろうから、一応少し移動して様子を見つつ仕掛けよう)テクテク

界から目を切らず、横歩きする晴絵。

近付かず、遠ざからず。界の動きを観察する。

晴絵「……ん?」

晴絵(なんだ?歩いてる時、違和感を覚える……なんだろうこれは?)テクテク

晴絵(……股間の辺りが何か窮屈なような……)チラ

晴絵「…………………………え?」

自分の股間に目を向けた瞬間、晴絵は驚愕する。

晴絵「わ、私に……………は、は、生えてる!!!」ガガーン!!

そう、女性である自分にはあるはずがないもの。

朝、無駄にそそり立ち、お腹に影を作る棒。

夏場は蒸れると言われる、世界で一番シワシワな袋。

そんな男性特有のワンセットが、当たり前のように晴絵の股間に存在していた。

晴絵(ば、ばかな………)

普通に考えれば、界の能力であることは明らかであり、

聡明な晴絵なら気付いて然るべきことだ。

しかし自らの肉体に起こった一大事に、冷静さはどこか遠くへ行ってしまった。

晴絵は頭の中で疑問符をお手玉するだけで、立ち尽くすのみ。

『これでようやく立ちションができる』といったメリットすら浮かばない。

晴絵(ど、どうして……こんな……)

界「……パニックになっているみたいだが…………生えたのはあなただけじゃない」

晴絵「…………え?」
588 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:48:02.39 ID:8MnlR9I2o

界「…………周りを見てみるといい」

晴絵(周り……?周りが何……………………え………っ…!?)

界「………………」

晴絵(……は、生えてる……?郵便ポストに……ち○ぽが!)

晴絵(い、いや、それだけじゃない!!ガードレールにも!!信号にも!!木にも!!!葉っぱにも!生えてるッ!!)

そう、あらゆる物にち○ぽが生えていた。

壁、車、スターバックスの看板の女性、ペコちゃん……全てに生えていた。

それだけでなく、マクドナルドの店内の貼り紙には『ふたなりクルー大募集』という文まで追加されている。

界「〔 ふ た な り の 世 界 ( イ ッ ツ ・ ア ・ フ タ ナ リ ワ ー ル ド )〕」

界の能力。ふたなりの世界。

定めた範囲内のほぼ全ての物にち○ぽを生やす能力。

界自身が移動しやすいよう、地面には生やしていないが、その気になればコンクリートのタイル一枚一枚に一本一本生やすことも可能。

当然、そのモノから香るのは女性特有の甘い香りであり、むさい匂いで男を連想することは一切ない。

ふたなり好きにとっては至高の夢を体現する能力であり、

例えるならお金が大好きな人間の目の前に万札で埋まったプールを広げるようなもの。幸福感に包まれ、ストレスを吹き飛ばす。言うなれば攻撃ではなく、回復寄りの能力だ。

しかし、行き過ぎた薬が毒になる様に……

界と同程度の領域に達した人間以外にとっては、この世界は劇薬。

晴絵「う、嘘でしょ?…………こんな……うっ……」

晴絵(パン屋の全てのパンにも生えてる!!ショップ店員の名札にも生えてる!!)

界「あなたもふたなりが好きみたいだが……」

界「大学でふたなりサークルを立ち上げ、大学祭で自作のふたなりの歌を独唱して友達を失い、その後全国を巡りながらふたなり地蔵を掘り、布教活動を行ってきた俺に………勝てるかな?」
589 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:48:59.86 ID:8MnlR9I2o

晴絵「あ………ああ……」グラグラ...

晴絵(右も左もふたなりふたなり…………下も……道路標識の『止まれ』の文字にも……生えてる…………)

晴絵「あ……」

晴絵(そうだ……右、左、下がダメなら…………上っ!)

街にあふれるち○ぽから目を逸らそうと空を見上げる晴絵。

晴絵「!!!」

しかし、そこには満天のち○ぽ。

それぞれの星に生える、キラキラ黒光る夜空の皮(ヒ)カリ。

晴絵「うわああああああああ!!!」

界「………………」

晴絵「ぁ…………ぁ……」フラッ..

界「!危ない……」

晴絵「」フニュッ..

あまりの衝撃に、意識を失い倒れる晴絵。地面に頭を打ちそうになるところを、界が防ぐ。

晴絵の近くの地面にち○ぽを生やし、亀頭をクッションにしたのだ。

界「…………」

晴絵「………………」グッタリ

界(うん……もはや彼女は戦闘続行不可能だろう)

晴絵「うぅ〜ん……ふたなり……こわい……」ウーン..ウーン..

界(……うなされている、か。怖い思いをさせてすまなかった。若いとはいえ、油断ならない相手だったから手を抜けなくてな……)

界「…………で」チラッ

界「……いつまでそこに隠れているつもりだ?」

??「っ…………」

界「…………息を殺しても無駄だ。そこらのち○ぽの中には、毛を生やしてるものもある。その毛の靡き方で空気の流れもわかる。誰かがそこにいるのはまるわかりだ」

??「…………」
590 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:49:50.80 ID:8MnlR9I2o

界「………出てこないなら、ち○ぽベッドを作ってそこに赤土さんを寝かせるぞ?」

??「だ、ダメッ!!」バッ!

界「…………君は……阿知賀の……」

灼「…………」

建物の陰から飛び出したのは、阿知賀女子学院2年生の鷺森灼。

黒のボウリングシューズに、黒いジャージ上下。上はファスナーを開けており、中に着込んだ黒いTシャツの胸には、黒い線で黒猫がプリントされている。

界「…………全身黒、か……隠密部隊ってところかな?」

灼「………っ!」ビクン

界「当たりか。素直な子だ」

灼「……………」キッ!

界「………そう睨まないでくれよ」クス

灼「……………」

界「…………」クルッ(灼に背を向ける)

灼「!?」

界「……赤土さんを任せていいかな?」

灼「え……」

界「結構ダメージ受けてるだろうから」

灼「…………敵を見逃すとかありえな…」

界「……ん?俺と戦いたいのか?それはそれで構わないが」チラ

灼「…………っ」

灼(どういうつもりかわからないけど、ここは大人しく言う通りにしよう。この人とハルちゃんが戦い始めてから、私も一緒に戦おうと思ったけど、それすらできないほど隙がなかった……私じゃ勝ち目がない。ハルちゃんが心配だし、深堀さんのところへ向かう作戦もある……)

灼「……ハルちゃんを連れていく」

界「ああ、頼んだ」
591 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:50:21.81 ID:8MnlR9I2o

灼「……ハルちゃん」グイッ(晴絵と肩を組むように抱き起す)

晴絵「うー……ふたな……り……」

灼(重……)

界(身長差が少し厳しいが……大丈夫か)

界「………………」

灼「」テクテク

灼が晴絵を抱えてから数分後、倒れないかを心配しつつ見守っていた界は、もう大丈夫だろうとホッと息を吐く。

その瞬間、

ヒュンッ!

陰毛が風切音を察知する。

界「っ!」

そして振動を感じ、何物かが近付いてくると気付く。

??「オラアアア!!」

界「くっ!」

とっさにバックステップして距離をとる界。その1秒後、さっきまで自分がいた場所を黒い鎌が通過するのが見えた。

界(もう1人誰かが見ていたのはわかっていたが……これは……)

雅枝「ははっ!よう避けたなぁ!もう一丁や!」ヒュヒュン!

突然攻撃を仕掛けてきたのは、リリーフラワーガーデン会長の愛宕雅枝。

〔生きがいを刈り取る鎌(ペナルティーシックル・弐)〕を投じてくる。
592 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:51:21.03 ID:8MnlR9I2o

界「うぉおお!」

迫る鎌を前に、瞬時の判断で足元の小石にち○ぽを生やして壁を作り鎌を受け止める。

亀頭にグサリと刺さるビジュアルはゾクリとさせるものがあったが、作り出したのは架空のち○ぽ。

界のち○ぽは界の股間にあり、痛くも痒くもない。

だが思うところがあったのか、界は股間をきゅっと握る。

雅枝「む……防ぎよったか」

界「…………」

雅枝「……にしても、そんな小さい石から生えたにしちゃデカないか?ずるいわぁ」チッ

界「…小柄な娘なのにデカマラというのもオツだからな」

雅枝「…………ふん」

界(それにしても……鋭い攻撃だ。油断したらあっという間にやられる……覚悟を決めねぇとな)

雅枝「……なんや。やる気出した風な顔しおって。リリーブライドに所属してるわけちゃうのに出しゃばるて……お前、鬱陶しいわ」

界「………リリーフラワーガーデン対リリーブライドの戦いだったら俺は何もしませんでしたよ。でも、連合軍で攻めるのは卑怯だ」

雅枝「…………」

界「それに……リリーブライドの会長には恩もある」

雅枝「……ま、お前のポリシーがどうとかはどうでもええわ。うちの邪魔するんなら叩き潰す。それだけや!」ヒュンヒュン!

界「っ……!」グッ..

界(……愛宕雅枝……相手にとって不足はない……久しぶりに本気になれそうだ……)
593 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:51:58.04 ID:8MnlR9I2o

【ホテルの一室】

伝令「たった今鷺森様より連絡!南側を攻撃中の赤土様、撃破されました!救護要請です!」

??「そんな……心配です」

??「……南側にはそれほど強敵はいないとの話じゃなかったかしら……赤土さんを倒した人物の情報は?」

伝令「それが……知らない男性のようです」

??「男性……」

??(リリーブライドの会長?いえ、今の段階で戦場に出てくるとは思えないわ。では一体誰なの……?)

??「……どうかしましたか?」

??「あ、いえ……なんでもありません。その男性については注意しつつ様子見でお願いします。赤土さんの元へ救護班を向かわせてください」

伝令「はい!」

??「深堀さんの現在位置はどうなっていますか?」

伝令「数分前に北側外れに到着しました!現在は戦闘に入ったと思われます!」

??「では、救護班が到着次第、鷺森さんに北側へ向かってもらうよう通達を」

伝令「はい!」

??「………………」

??(鷺森灼さん……対四天王用の切り札……彼女に深堀さんを倒してもらえば、もう懸念材料はないわ。エイスリンさんも封じているしね)
594 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:52:49.88 ID:8MnlR9I2o

【南側 外れ 公園】

穏乃「はぁ……はぁ……」フンーッ!フンーッ!

エイスリン「ウウ……」

エイスリン(ハナイキ、ツヨイノヤダ……)モジ..

穏乃「あああ……すみません!コントロールしてるつもりなんですけど……」オロオロ

穏乃(エイスリンさんがあまりにもいい匂いだから……つい……)

穏乃(……きっとエイスリンさんから離れて見張ればいいんだろうけど……)チラ

エイスリン「」シューン..

穏乃(こんなに可愛いエイスリンさんから離れるなんて無理だよ!)フンーッヌ!フシューッ!

エイスリン「………………」ハァ..

エイスリン(ミヤモリノミンナ……ドウシテルカナ……)

エイスリン(……シロハ、タブン……)

白望『ダル……』

エイスリン(キットソウ。クルミハ……)

胡桃『この番組……毎度毎度CMで引っ張るのやめるそこ!』

エイスリン(サエ……)

塞『はぁぁあ……ちっちゃい子のおっぱい……生足……いいわぁぁ……///』

エイスリン「っ!」ブンブン!

エイスリン(チガウ!)

塞『どんな相手が来ようが関係ない。楽しんで……勝つのはうちら……リリーブライドだ!』キリッ!

エイスリン(ウン!コッチ!ツギ、トヨネ!)

豊音『わああー!歌舞伎揚げ、ちょーおいしいよー!』

エイスリン(センセイ……)

トシ『フー!フー!ズルズルッ!ハフハフ!ズルルルーッ!ゴホッ!ゴホッ!』

エイスリン(ミンナ……)
595 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:53:27.32 ID:8MnlR9I2o

穏乃「…………」チラッ..チラッ..

穏乃(あぁ……物憂げな表情が可愛すぎるっ!目が離せないよぉっ!)ハァハァ!

ドクン……!

穏乃「うぐっ!」

穏乃がお腹の辺りを抑えてうずくまる。

穏乃(や、やばい……っ!興奮しすぎた……心を落ち着かせないと!前に赤土さんが白目むいて寝てたのを思い出して気持ちを萎えさせよう)

穏乃「…………………」

穏乃(あっという間に落ち着いた……さすが阿知賀のレジェンド)フゥ..

なんとか気持ちを抑えることに成功した穏乃。これでしばらくは大丈夫だ、と感じる。

しかし、その安心が仇になった。

ふと何気なく顔を横に向けた穏乃の瞳に映ったのは、

エイスリン「ダイジョブ……?」

眉を八の字にして、心配そうな顔で穏乃を見つめる大天使。

穏乃に合わせて少しかがんだせいで、たわんだ襟からうっすらと上乳が見えそうになり―――

穏乃「―――――」

エイスリン「??」

その瞬間、穏乃から『ムラッ』という音がした。

穏乃「ウオオオオオオーーー!!」

エイスリン「ヒゥ……ッ!」ビクン

天を仰ぎ、叫ぶ穏乃。

もはや理性は失われ、暴走モードに突入しているようだ。
596 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:54:26.54 ID:8MnlR9I2o

穏乃「ウオオオオオオ!!」ガバッ!(エイスリンの足にしがみつく)

エイスリン「ッ!?」

穏乃「ハッハッハッ……!ペロペロペロペロ!」

エイスリン「!!!」

親衛隊A「え、エイ様ぁあぁあ!!!」

親衛隊B「おみ足ペロペロなんて……!許さなぁーーーい!!」

連合軍「こ、こらっ!暴れるな!」ガシッ!

親衛隊C「くっ!離せぇっ!エイ様が舐められてるのよっ!」

親衛隊D「そうよ!エイ様はご自分で輝けるお方……唾によるテカリなんて認められない!!」

穏乃「チュパチュパ!レロレロロ!」

エイスリン(イマナラ……クルミガイッタコトガワカル……)

穏乃「はあっはぁっ!レロロロロロロ!チュパパパ!」

エイスリン「キモチワルイ……」

穏乃「ロロロロッロロロロロロ……」

??《同感っすね……》

エイスリン「!?」

穏乃「レロロ……?」

穏乃が足舐めをやめた。

自分の身に危機が近付いていることを本能で感じたからだろう。

エイスリン「ダ、ダレ……?」

何もない空間から聞こえる声に怯えるエイスリン。

胸の前で両手を組み、涙目で震える。
597 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:55:25.80 ID:8MnlR9I2o

穏乃「ウオオオオオ!!」

その儚可愛い姿に、再び暴走が始まった。

??《あー……面倒っす》サワワ

穏乃「オオオ……オッ……!?」

体に異変を感じる穏乃。

お腹や太ももを優しく撫でられているようだ。

穏乃「オオ……オ……オフォオウ……///」モジ..

??《へー、こんな程度で感じるっすか?エッチっすね》サワサワ

穏乃「は、あ……な、何……これ……?」ゾクゾク..

直接触れられる快感により、穏乃の暴走状態は解除された。

穏乃「あっ…あっ……だ、だめ……そんな……///」

??《ふふ……大げさっすね……肝心なところには全然触ってないのに……どんだけ敏感なんすか》サワサワワ

穏乃「ぅあ……///」ブルッ..

エイスリン「???」

??《……さ、もういいっすよね》

穏乃「ぇ……?」

??《……私はもう何もしないっす。本当なら先輩以外にこうやって触るのも問題なんすからね》

穏乃「そ、んな……東横さぁん……」

桃子《あ、気付いてたんすか。私、リリーブライドじゃないのに……》

穏乃「だ、だって……見えないっていう時点で他にいないし…………そ、それに……背中にむ、大きい胸が当たって……///」

桃子《まったく……本当にエッチっすね》

穏乃「う……だって……ずっと我慢してて……だから……もう少し……その……///」

桃子《なんすか?》

穏乃「さ、触って……ください///」

桃子《……………うーん》
598 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:57:10.62 ID:8MnlR9I2o

連合軍「?あの……高鴨さん、さっきから1人で何をブツブツ言ってるんですか?その前の1人で悶えてたことも気になりましたけど……」

穏乃「えっ?あ、ええと……」

桃子(ちっ……外野が邪魔っすね)

桃子《エイスリンさん。私は味方っす。高鴨さんは私がなんとかするっすから、エイスリンさんは周りの連合軍をなんとかしてくれませんか?》

エイスリン《!ワカッタ》

連合軍「高鴨さん…?」

エイスリン「……ミンナ!」ザッ!

連合軍「?」

エイスリン「ソレハ…………ナイショ♪」

連合軍「!!!!!!!」

伝家の宝刀が出た。唇に人差し指を当て、ウィンク……そしてフワッと微笑む。

連合軍(か、かわいいいいいいいいいい!!!)

心の中で叫ぶ連合軍。しかし、その数はエイスリンたちを取り囲むうちの10分の1にも満たない。

何故なら、エイスリンの魅了は強力だが、すでに誰かに恋心を抱いていたり、エイスリンのことが全くタイプではない人物には効果がかなり薄いからだ。

この場にいる連合軍のほとんどは、エイスリンを抑えるために集められた部隊。

好みのタイプは、ボディビルダーや落語家、肥満体型、グルグル眼鏡っ娘限定など、エイスリンから離れたものばかり。

もしも魅了される者がいたとしても、誰かが正気を保っていればエイスリンを取り囲み続けられる。それが連合軍のエイスリン封じ。

現に、鼻ピアスの子しか好きになれない子が、メロメロになりかけた子の肩をゆすり、正気に戻していた。

連合軍「ふふ……残念だったわね」ニヤリ

桃子「いや……それはこっちのセリフっすよ」

連合軍「え……?」

穏乃「うぅ……こんなところで…………私……っ」ビクビク..

桃子《エイスリンさん、ありがとうっす。連合軍の人たちを引き付けてくれたおかげで、高鴨さんに専念できたっす》

エイスリン「??」

穏乃「はぁ……はあ……はぁ……」

桃子「ふふ……そう、いい調子っすね……もっと……もっと触るっすよ」ボソボソ

穏乃「っ……は、はい……!」ブルルッ

耳元で囁く桃子。オナ禁した状態で天使に会い、興奮、暴走し、体に触れられ発情させられた穏乃……。

彼女に残された道、求めるもの……それはたった1つの真実。
599 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:57:45.81 ID:8MnlR9I2o

桃子「へぇ……直接は触らないんすね……なんか意外っす」

穏乃「あぁあ……あああ……」サワワワワ!

穏乃(もう……ダメ……っ……あ、あ、あ……)

穏乃「わああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!」

桃子「っ!?」ビクッ!

エイスリン「ヒィッ!」ドキッ

穏乃「………………ぁ……ぁあ……」クタ..

桃子(ビックリした……最後はあんな声出すんすか?事件と勘違いされて通報されるっすよ…)

連合軍「い、一体何が起きたんや……」オロオロ

桃子「……………」ユラー..

連合軍「な!?いきなり現れた!?」

桃子「…………これ、どうぞっす」

エイスリン「?…………ワ!」

連合軍「ん?何を渡して…………な!?」

桃子「ペンも……はい」

エイスリン「アリガト!」ニッコリ

連合軍「奪ったはずのイラストボード!?そんなアホな!?」

青ざめる連合軍。それは当然だ。エイスリン封じの要であるイラストボードは、絶対に失ってはいけない物。

そのため、エイスリンの周りを二重に囲んだ上で、親衛隊の動きを数名で見張り、イラストボードを持つ者はさらに数名の連合軍で守っていた。

それをあっさりと奪われた。全員が慌て、浮足立つ。そこかしこで『なんでやねん』が木霊する。

連合軍P「…………ま、待て!落ち着くんや!もう一度奪い返せばええだけの…」ピキッ..
600 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:58:16.22 ID:8MnlR9I2o

エイスリン「デキタ♪」

連合軍Q「どないしたん?」

連合軍P「あ、あかん……体が……」スルッ(連合軍Qのスカートの中に手を入れる)

連合軍Q「え……な、なにすんの……!?」カァァ...

連合軍P「ご、ごめん……//」

連合軍Q「っ……///」

連合軍「………………」

親衛隊「これは……」

桃子「…今がチャンスっすよ」スーッ

親衛隊「!そうよっ!みんな、エイ様を助けるのよ!」

連合軍R「しもた!?み、みんな!エイスリンを…」

エイスリン「ツカマエロ?」

連合軍R「そや!お前優秀やな!」

エイスリン「エヘヘヘ」

連合軍R「うぇへへ……かわいすぎやろぉ……やなくて!」

エイスリン「ジャアネ!」タタッ

連合軍R「待っ…」

親衛隊「エイ様ご帰還〜〜!!!」ワァァァ!

連合軍R「くっ……けど、人数はこっちが上や!もう一度捕まえるで!」

親衛隊「そうはさせない!今度こそエイ様を守る!!」

桃子「………………」

連合軍「わ、わ……体が……」フラフラ..

エイスリン「♪〜」

親衛隊「ディーフェンス!ディーフェンス!」

桃子(……これで、なんとかなりそうっすね)

桃子「………………」ピッピッピッ...

桃子(送信……)ピ
601 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 05:58:59.88 ID:8MnlR9I2o

【リリーブライド本部】

久美子「!東横さんからメールです!『エイスリンさんの奪還に成功したっす』とのことっす!」

恵「ことっす?」

久美子「あ……つい……//」

恵「ふふ……君と東横さんもアリだな」

久美子「……こほん。それにしても、よく協力を得られましたね。彼女は旅行中にたまたま出くわしたようですし……」

恵「そうだな……」

久美子「私たちが何度かお願いした時はダメだったのに…………会長、さっき電話してましたけど、もしかしてメチャクチャな報酬で釣ったとかですか?」

恵「いや……ただ頼んだだけだよ。受けてくれたのは彼女の善意だ」

久美子「そうですか……気が変わったとかですかね……」
602 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:00:07.27 ID:8MnlR9I2o

【南側 外れ 公園】

桃子「………………」

桃子(先輩、もう少ししたら行きますから、待っててくださいっす)

♪〜

桃子(メール…)ピッ

恵『ありがとう東横さん。助かったよ』

桃子「………………」ピッピッピッ..

桃子『いえいえっす』

桃子「………………」
603 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:00:53.89 ID:8MnlR9I2o

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

桃子「え……私の姿が見えるっすか?」

恵「当然だろう。百合好きな人間を見失ったりしないさ」

桃子「……おじさんも百合好きっすか」

恵「ああ。いい年して、なんて思うかもしれないが、私は百合に人生を懸けているからね」ニコリ

桃子「…………そうっすか。なんか嬉しそうっすね」

恵「そうだな。誰でも好きな物に関われば笑顔になるものだ」

桃子「ふーん……」

恵「君もそうだ。さっき書店で百合姫を見つけた時、とてもいい顔をしていた」

桃子「っ……そう、っすか」

桃子(確かに……私、すごくニヤケたっす……誰も見えないと思って油断したっす……)

恵「ん、こんな時間か。すまない、私はこれで失礼する」

桃子「え?あ、はいっす」

恵「そうそう、私はこういう者だ」

桃子「名刺?いや、私は別に……」

「リリーブライド : ケイ」

桃子「リリーブライド?」

恵「ああ。百合全般を扱う組織だ。極秘事項だから他言無用でお願いするよ」

桃子(どんな組織っすか。というか極秘なのに名刺とかいいんすか?)

恵「電話番号とメールアドレスが書いてある。百合関係で気になることがあったら連絡してくれ。それでは」テクテク

桃子「あ……」

桃子(……不思議な人っす……いきなり話しかけてきて……ナンパってこんな感じなんすかね)

桃子(………………いや、違うっすよね。あの人の目、下心とかそんなもの全然なかったっす。まるで子供みたいに純粋というか……)

桃子(…………っと、私もそろそろ帰らないと)

桃子「………………」テクテク...

桃子「………………」テクテク

桃子(………………そういえば)

桃子(あまりに自然で忘れてたっすけど、気付かれないようにしてた私を見つけてくれたのって、先輩と…………今のケイさんだけっすね)

桃子(…………リリーブライド、か……)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
604 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:02:20.46 ID:8MnlR9I2o

桃子(それから……百合イベントの会場で再会して少し話して、百合に超詳しいことがわかって……)

桃子(……私が先輩と出会う前、孤独を孤独と思わないようにしていた時期に……大好きでずっと読んでた百合漫画、そのほぼ全てに関わってたことにまたビックリしたっす)

桃子(会長さんがいなかったら私はもっと暗い性格で……1人でいることに押し潰されていたかもしれないっす)

桃子(麻雀部に興味を持つこともなく、先輩と出会うこともできず………ずっと1人で……)

桃子(……今、私は先輩と付き合えて毎日が幸せっす。だから……百合に……会長さんに恩返しがしたいっす)

桃子「………………」

桃子(先輩、すみませんっす。先輩との旅行を優先するつもりだったっすけど……やっぱり、リリーブライドを見捨てられないっす)

桃子(それと…………やっぱり私は東京弁じゃなきゃ嫌っす!)ドドンッ!
605 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:03:10.41 ID:8MnlR9I2o

【南側 外れ】

久《ヒラちゃんの天然っぷりが鬼頭先生を惑わし、気付けばベッドの上……》

連合軍「きゃああっ!」バタッ..

智紀《面白い百合4コマ漫画を発掘するも、次巻の発売は1年以上先……》

連合軍「月刊は嫌あああ!!」ドサッ..

久「はぁ……はぁっ…………け、結構倒したけど……」

連合軍「行くわよー!」タタタッ!

智紀「はい……敵が…尽きない」

LB軍「私にお任せください!」タッタッ!

智紀「ありがとう……」

智紀(……このままじゃ数で圧倒される……)

久「………………あのさ」

智紀「?はい」

久「……沢村さん………正直、結構きついでしょ?私たちと合流するまでにも戦闘してたって言うし」

智紀「…………そうですね。若干キツイ、です」

久「だよね……だからさ……本当にヤバくなったら……言ってね。私が盾になるから」

智紀「!何を……」

久「いやー、だって私より沢村さんの方がずっと戦力になるし、沢村さんが生き残る方が大事じゃない」ニコリ

智紀「わ、私にとっては竹井さんが生き残る方が大事です!」

久「え?」

智紀「あ…………いえ………その……今のは……//」

久「……………ありがと」ニコッ

智紀「え………ええ………はい////」

キィー..ィン

久(ん?何、この感じ……胸の辺りが……ざわつく…?)

連合軍「うおおお!!覚悟ぉー!!」

久・智紀「!!」

久(!迎え撃つわ……―――)
606 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:03:40.89 ID:8MnlR9I2o

連合軍「―――……ぁ」ドサ..ドサ..

久「…………ふぅ」

智紀「お見事です」

久「え?あはは、ありがと」

久(……さっき感じたのはなんだったんだろ?何か掴めそうな気がしたんだけど……)

連合軍「見つけたぁああ!!」タタタッ!

智紀「!」

久「次から次へと……」

連合軍「あああ!?…………あ…………あぁ?」ピタッ

久・智紀「?」

久(急に走るのをやめた?)

連合軍S「か、体が………勝手に………」フラー

連合軍T「な……何?ゃだ……私、どうしてスカートを脱いで……///」ヌギヌギ

連合軍S「わ、わ……」(連合軍Tのパンツに手を入れ、お尻をまさぐる)

連合軍T「っ…Sちゃん!?や、やめてっ……そんなこと…………///」ビクン

連合軍S「ご、ごめん……」

連合軍S(やわらけぇええええええ!!!)

久「……これは………ひょっとして……」

智紀「………はい。こんなことができるのは彼女しかいない」クスッ
607 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:04:42.25 ID:8MnlR9I2o

【アパート シムーンハイツ 302号室ベランダ】

エイスリン「♪」デキタ!

ウワァアアァ...!

桃子(エイスリンさんの能力ならある程度離れてても操れる……反則ものっすよね)フフ

エイスリン「カンセイ!」

イヤァ!ハズカシィ!

桃子「……それじゃあエイスリンさん、私はそろそろ行くっす」

エイスリン「オツカレサマ!」ニッコリ

桃子「……では、失礼しますっす。あ、お邪魔しました」

LB軍F「いえ。エイスリン様の関係者の方でしたらお邪魔なんてことありません!土足で上がられても問題ないくらいです!」

桃子「……そうっすか」

桃子(ここで絵を描き続けていれば、少なくともこのアパートの近くの敵は全滅させられるっす……もし仮にこの部屋まで敵が攻め込もうとしたとしても……入口の前には……)チラ

親衛隊「ここは我々が死守するわっ!!」

親衛隊「汚名返上よ!二度とエイ様を人質になんてさせるもんですか!」

オオオオオオ!!

桃子(……うん。彼女たちが守ってくれるっすよね。防御は完璧っす)

LB軍F「はぁぁ……エイスリン様が私の部屋に……くんくん……いい匂い……はぁっぁ〜ん////」

桃子「…………」

桃子(…………こ、この子に襲われたりとか……しないっすよね?)

エイスリン「♪〜」

LB軍F「う、うなじ……はぁはぁ……////」

桃子(…………大丈夫………だと思うことにするっす)
608 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:05:09.02 ID:8MnlR9I2o

【南側 外れ】

連合軍U「や……指が勝手に……」モミモミ..

連合軍V「んぅ……っ、こんなところで……ダメだよぉUちゃん………したいなら他のところで……///」

憧「……ちょっとちょっと!何が起きてるの!?」

憧(エイスリンは封じてるって話じゃなかったの!?作戦失敗ってこと!?)

憧「……って、ここにいたらあたしも操られる!」ササッ..

憧(どうしよう…………そうだ!しずと合流しよう!確かこの先の公園にいるって言ってたわよね!)タタタッ!

連合軍V「っ……はぁ……はぁ……///」

連合軍U「ごめん……ごめんね?でも……実は私、ずっとあなたのことが好きだったの……///」サワリサワリ
609 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:06:04.73 ID:8MnlR9I2o

【南側 外れ 公園】

憧(しず………)タッタッタッ..

穏乃「…………」

憧「いた!しずっ!!」ダッ

穏乃「あ…………憧………?」

憧「大丈夫!?」

穏乃「……うん………負けちゃったけど……」

憧「そっか……でも、しずが無事ならいい」

憧(エイスリンさんに操られて、LB軍に襲われてるとかじゃなくて本当によかった)ホッ

穏乃「はぁ……もう少し我慢できると思ったんだけど……」

憧「何言ってんの。しずが我慢する必要なんてないじゃん。無理矢理戦わされてるのに……」

穏乃「え?いやいや、無理矢理じゃないよ?」

憧「へ?」

穏乃「連合軍の人が赤土さんから私の能力の話を聞いたらしくてさ、連合軍の勝利に貢献したら、ちょっとした要望を聞いてもらえるって話になったんだよ」

憧「……要望って?」

穏乃「面白い百合作品たくさん教えてもらうこと!」

憧「………………」

穏乃「ふふん」

憧「…………そんなの、あたしに聞けばいいだけじゃない?」

穏乃「あ」

憧「…………」

穏乃「で、でも……私は憧が百合好きなんて知らなかったから……」

憧「…………ま、そうだけどさ」

穏乃「でしょ?」

憧「……でも、ちょっと調べればわかることなのにオナ禁してまで……ねぇ?」

穏乃「えっ……」

憧「?」

穏乃「ど、どうして知ってるの………?」
610 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:06:41.78 ID:8MnlR9I2o

憧「?オナ禁のこと?」

穏乃「そ、そうだけど……って、あっさり口に出すなよぉ……////」カァァ...

憧「あー、そだね」

穏乃「それで、どうして知ってるの?」

憧「ハルエに聞いた。百合妄想士になった経緯とかと一緒に」

穏乃「………そ、そっか……赤土さんには生徒の個人情報とかないんだね……///」

憧「……今度注意しとこう」

穏乃「……うん」

憧(あたしのオナペースをしずにバラされたりしたらたまんないもんね…………でも注意する前に玄とかみんなのペースも聞いておこう)ウム

憧「……で、これからどうする?」

穏乃「……んー、どうしよう?私はもう戦力にならないしなぁ。憧はどう?体力残ってる?」

憧「ん、まーね」

穏乃「おお、すげー」

憧(強敵と当たってないだけなんだけど)

穏乃「じゃあさ、私が憧の盾になるよ」

憧「へ?何言ってんの?」

穏乃「や、だからさ。私はもう力残ってないけど、ほんの少しくらいなら憧への攻撃を防げるし」

憧「いやいや、そんなことしなくていいって」

穏乃「でも……連合軍が勝てる確率を少しでも上げたいし……」

憧「……あのね。こいび…友達を盾にしながら戦うのはやりにくいって。あたしの目の前でしずがやられるとか、すっごい嫌だし」

穏乃「…う、それもそっか……でも……」
611 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:07:27.31 ID:8MnlR9I2o

憧「…………はぁ、わかったわよ」

穏乃「え」

憧「あたしが頑張って活躍して、連合軍の偉い人にお願いしてきてあげる。『しずに面白い百合漫画をいっぱいプレゼントしてください』って」

穏乃「ええっ!?そんな、悪いよ!憧にも、連合軍の人にも出版社各位にも!」

憧「……全方位に気を遣わなくていいから。オナ禁代として受け取ればいいの」

穏乃「でも!憧に無理をさせるのは……」

憧「平気。あたしは元々大した目的はなかったし。西側が覇権を握ってもらった方が聖地巡礼とかもしやすいし、他にも色々得があるから、ってだけ」

穏乃「憧……」

憧「むしろ、モチベーション上がったわ。しずの分まで頑張ってくる!」

穏乃「…………ありがとう!」ニコッ!

憧「ぁ……」キューン

穏乃「あこ、だいすきっ!」

憧「〜〜〜〜〜///」カァァァ...

穏乃「」ニコニコ

憧「……そ、それじゃ…………行ってくるね……////」

穏乃「うん!いってらっしゃい!」バイバイ

憧「ん……///」バイバイ

憧(生きててよかった……)
612 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:08:22.41 ID:8MnlR9I2o

【北側 外れ】

連合軍「きゃああああ!!」バタバタバタ...

LB軍「す、すごい……」

純代「…………」

LB軍(これが……四天王最強との呼び声高い、深堀純代!!)

純代「……はぁぁ……」

純代(さすがに疲れた……快楽責めする余裕がない。スカばっかりだ)

連合軍W「…………」ソローリ

LB軍「ん……?あ、危ない深堀さん!連合軍が!」

純代「!」

連合軍W「もらったわ!」ダッ!

純代「……っ」

純代《〔 屋 上 か ら 恋 人 の 下 痢 便 ( ブ ラ ウ ン レ イ ン )〕》

連合軍W「きゃあああああああああああああ!!!」バタッ..

純代「…………」

LB軍「………………」

LB軍(イメージを固める速さ、そしてリアルさ、攻撃の重さ、どれも群を抜いてる……この人がいれば、戦力差を覆して勝利できるかも……)

LB軍「……みんな!私たちも攻めるわよ!深堀さんに続きましょう!」

オオオオ!

連合軍「くっ……」

次々と連合軍を蹴散らす純代の姿は頼もしく、LB軍の士気が上がっていく。

純代《〔 恋 人 同 士 で 手 を 繋 ぎ 脱 糞 ( ビ ュ ー テ ィ フ ル メ モ リ ー )〕》

連合軍「きゃああ!!」バタッ

純代「…………」

純代(大分数を減らせた……このエリアの戦力差はほぼ互角になっ…)

??「お待ちください!!」

その時、明るく元気な声が、スカ妄想の充満した戦場に響いた。
613 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:09:05.90 ID:8MnlR9I2o

純代「?」

LB軍「!?」

??「臼沢さんと戦うという作戦を遂行しようと駆け回るも、結局会うこと叶わず…………しかし!」

??「四天王である深堀さんと出会えた………これで!!ようやく私も役に立てるというもの…………すばらです!」

??「深堀さん!あなたは私、花田煌がお相手致します!!」

純代「…………」

煌「……………」スバラァァ..

純代(腰に手を当てて胸を張ってる……私に勝つ自信があるのか……?)

煌「では、早速……」

純代「…………」

煌「すぅ……」

純代(!大きく息を吸った……攻めてくる合図か?)

煌「♪スーバラ、スバラ、スーバラ、スバラ、スーバーラースースーバラ〜」

純代(?歌……?これって、テレ朝の長寿番組の……)

煌「」クワッ!

純代「…………」

煌「〔 ス バ ラ の 部 屋 ( ス バ ラ ズ ル ー ム )〕」

コァアアァア...

純代「………?」
614 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:09:52.31 ID:8MnlR9I2o

煌「……………」スー

純代(何か能力を使ったような雰囲気だけど…………仕掛けてこない………誘い?…………スカで一気にいくか………)

煌「………………」バー

純代(ふっ!!)

煌「…………………」ラッ

純代《〔 好 き な ア ー テ ィ ス ト の ラ イ ブ 観 戦 中 に 脱 糞 ( ト ラ ウ マ メ モ リ ー )〕》

煌「…………………ぐっ………なんてむごい……でも……思い出になってすばらです……」

純代「………………?」

純代(効いている………はずだが………何か違和感が………)

連合軍「深堀〜!!」ダダダ

純代「…………」チッ

純代《〔 学 芸 会 で み ん な の 注 目 を 集 め る 中 で 脱 糞 ( ト ラ ウ マ メ モ リ ー )〕》

連合軍「おおおおお!!!」ダダダ

純代「!!?」

純代(止まらない……いや、それどころか全くダメージを受けてない……何故?)

煌「うぐぐぐぐ………」

純代「?」

純代(花田さんが苦しんでる?さっきのダメージ……にしてはちょっと……)

煌「はぁ……はぁ……この苦しみもすばら……そう思えることもすばらぁ……」

純代(……試してみるか)

純代《〔 朝 礼 で 表 彰 さ れ て い る 状 態 で 脱 糞 ( ト ラ ウ マ メ モ リ ー )〕》

連合軍「どした?かかってけぇへんのならこっちから行くで!?」ダダダ

純代(攻撃したはずの連合軍の子はノーダメージ……でも……)チラ

煌「うぅうううぅ………表彰は光栄ですばら……でも、見晴らしのいい場所で漏らすのは…………すばらっ」ブルブル

純代(……やっぱり間違いない。この人の能力は『周りの人間への攻撃を肩代わりする』ことだ)
615 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:11:02.13 ID:8MnlR9I2o

煌(私は捨て駒でも構いません。誰かの役に立てるのなら……それこそがすばらですっ!!)ブルブル

花田煌。

彼女は昔から献身的な女の子だった。

友達とお医者さんごっこをする際は、医者や看護師などのオイシイ役どころは友達に譲り、自分は医療機器メーカーの営業ウーマンとしてサポート役に従事した。

百合にまつわる恋愛相談を受けた時は尽力し、電話番号からスリーサイズ、趣味嗜好に性癖まで、ありとあらゆる情報を網羅し、ときメモの親友ポジションを上回る貢献度を見せた。

その結果、中学時代には全クラスの中で煌のいるクラスが一番百合カップルが多くなるという実績を残し、高校へ進学。

自らは主役でなくてもいい。百合カップルの役に立てればそれでいい……それが煌の信念。

百合妄想士としての能力は決して高くない。攻撃は弱く、穏乃より少しはマシな程度。

だが……

純代「っ!」

何度も何度も……純代がスカを繰り出すも、耐える。

軟便、下痢便、固形便……虚を突いたすかしっ屁にも耐えた。

それも全ては、百合への献身。人への思いやり。

〔スバラの部屋(スバラズルーム)〕。

煌が展開する能力の範囲中では、煌以外にダメージを負う人間を作らない。全て煌が受け止める。

その強い意志と愛によって、本来の煌の耐久力と生命力は格段にアップしており、倒すのは非常に困難だろう。

煌(……今まで、百合の世界はほぼ東京弁で、方言はたまに……という感じでした……そろそろ、方言にもチャンスをあげるべきです……)

煌(全国の方言を一回りしたら、また東京弁に戻せばいい……独り占めはすばらくない……っ!)

純代「む……ぅ」

純代(これだけ塗り付けても倒れないとは…………この人、麻雀では決してトバないとか聞いたことあるけど……それがこの能力にも反映されてる?)

連合軍「はあっ!」
616 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:12:05.44 ID:8MnlR9I2o

純代「ぐ……」

純代(……ダメ……花田さんに構ってたら他の相手にやられる。こっちの攻撃は全部花田さんに行くのに、相手の攻撃は普通に私に来る。これはまずい)

連合軍「もう一発!次はOL百合ぃ!」

純代(………ここは一旦離れる……!)ドスドスドス..

煌「あ!」

連合軍「逃がすかぁ!」ダダダ

純代「!」

純代(早い!彼女、陸上部……?)

深堀・50メートル14秒・純代は、連合軍にあっという間に追いつかれた。

純代(誤算……このままじゃ振り切れない……)

LB軍「深堀さん!私たちに任せてください!」

純代「!」

連合軍「な、邪魔しないで!」

LB軍「通さない!」

純代「……ありがとう」ドスドスドス..

純代(陸上部の子たちを抑えてくれてる……今のうちに離れれば……)

煌「逃がしませんよっ!」スバラッ..スバラッ..

純代「く……っ」

逃げる純代を追いかける煌。

みるみるうちに差が詰まっていく。

純代(ダメか……仕方ない。タイマンならまだ戦いようは…………む?)

煌「」スバラッスバラッ..

背後にせまる煌を振り返る純代。すると、距離が空いていることに気付く。

純代(おかしい……さっきまで追いつかれそうだったのに…………ま、いいか。追いつかれないに越したことはない)ドスドス

明らかに遅い純代が追いつかれない理由……それもまた、煌の献身だった。

このまま煌を振り切ることで、純代が走る楽しさに気付けば、ジョギングが趣味になるかもしれない。

そうなれば運動部の子との共通の話題ができ、会話はスムーズになり、ロマンスに繋がることもある。

そしてまた、ジョギングを続けた結果、純代が痩せてスマートになれば周りの子の見る目が変わり、モテモテになって人生ハッピー、という可能性もある。

煌(そんな未来を潰すことはできません……)

献身的すぎる煌。敵であり、そして自分が倒すべき相手である純代に対しても、その気持ちは変わらない。

このあと、純代は距離をとるため走り続けるのだが、煌は純代のペースに合わせて付かず離れず、走る楽しさを教えるように、戦場を純代と一緒にジョギングしたのだった。
617 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:13:08.63 ID:8MnlR9I2o

【北側】

咲「お姉ちゃん!」

照「」コクリ

照《強気な彼女は、クラスの女王様。でも実は、誰かに意地悪されたり叩かれたりするのが好きなマゾっ娘だった。それが取り巻きにバレ、次の日からはクラスのメス奴隷に……。足舐め、ノーパンでパシリ、好きな子からエッチな奉仕を命令される毎日……それは彼女にとって幸福な日々……》

連合軍「はぁ〜〜〜んっ///」バターン!

咲「やったぁ!」

照(…………よし)

咲「さすがお姉ちゃん!底抜けにエッチだよ!」

照「…………その感想は変。私はエッチじゃない」

咲「え?でもメス奴隷とか……」

照「そ、れは……咲の思ってるのと違う」

咲「どう違うの?」

照「私の言うメス奴隷は……サービス業というか……インストラクター的なもの」

咲「そうなんだ」

照「そう。みんなの味方」コクコク

咲(苦しい言い訳するお姉ちゃんかわいい……)ハフゥ

連合軍「……あの2人、強い……」

連合軍「でも……怯む必要はないわ!私たちの方が数で勝ってる!」

オオオオオオ!

照「!」
618 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:13:43.90 ID:8MnlR9I2o

咲「しまった……お姉ちゃんお得意の嘘の誤魔化しを聞いてる間に、敵があんなに増えてる……」

照「…咲?なんか今、変なこと言わなかった?」

咲「全然?」

照「そう……ならいいけど」

連合軍「それーーっ!」

照「っ!」

照(数が多い……ここは一度逃げるべき?それとも…)

LB軍「迎え撃つわよ!」タタタッ

照「!」

照(よかった。これならなんとかなる。私も一緒に戦…)

咲「お姉ちゃん!待って!」

照「?どうしたの」

咲「…………あそこに」

照「……あれは……」

灼「…………………」

照「なんという黒ずくめ……」

咲「うん……絶対敵だよね」

灼「…………宮永さん」

照「……はい」

咲「はっ、はい!」

灼「恨みはないですけど……倒しま…」ジャッ!

照「!!?」

灼「…………」スタタタ!

言い終わるか否かのタイミングで地面を蹴る灼。

前傾姿勢の俊敏な動きで照たちの元へ向かってくる。
619 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:14:11.56 ID:8MnlR9I2o

照「!早っ…」

咲「瑞原プロの真似するお姉ちゃんかわいい!」ハフゥ

照「え?違っ…」

灼「シッ!!」ヒュン!

照が咲の勘違いを正そうと振り向いた瞬間、灼の手が腰の辺りを通り過ぎた。

照「!?」

照(い、今………腰を殴りにきた?まさか直接攻撃?)

灼「………」クルッ

咲「お姉ちゃ」

灼「シィッ!!」シュバ!

咲「!」サッ!

咲(あ………あぶない………)

灼「…………」

照(一体どういうつもり……?この子、武闘派の百合妄想士なの……?)

灼「っ……!」シュバッ!

照「!」

照(あ……これは避けられない……!)

咲「お姉ちゃん!」

灼(もらった!)
620 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:14:40.97 ID:8MnlR9I2o

怜「〔 怜 と 竜 華 の 日 常 ( バ カ ッ プ ル デ イ ズ )〕!!」

ギュアアアアア!!

灼「!」サッ!

照「!」

照(今の攻撃のおかげで助かった………これってもしかして……)チラ

怜「……………」

竜華「……………」

照(やっぱり……園城寺さんと清水谷さんだ)

灼「……………どうして邪魔をするんですか?」

竜華「いや、邪魔っちゅうか………ただ宮永さんが危なかったからつい……」

灼「納得できません。今は戦闘中で、宮永さんたちは敵じゃないですか」

怜「まぁ……そうなんやけど……」

灼「………………」

竜華「………その2人は見逃すっちゅう訳いかんかなぁ?」

灼「は?」

照(??)

竜華「あんな?宮永さんたちは暴走したうちを止めてくれたっちゅうか……怜を守ってくれてん。せやから……」

灼「……お2人に勝った実力者たちを放っておけ……と?」

竜華「う、うん……」

灼「……園城寺さんも同意見ですか?」

怜「んー……………そやなー」

灼「……そうですか。わかりました」

竜華「え?」

灼「………私にはまだ任務があります。こんなところで時間をかける訳にはいかない」

竜華「あ、ほんま?ありがとう。ごめんなー?無理言うて」

怜「いや、竜華、今の言葉の意味は…」

灼「ですので………全員倒します」

竜華「…………へ?」
621 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:15:14.24 ID:8MnlR9I2o

怜「せやろなぁ……」

灼「任務優先のため、邪魔者は排除します」シュタッタタ!

竜華「わああ!来た!」

怜「…生きるんて、辛いなぁ」ハァ

竜華「どうしよう!?怜ぃ!」

怜「うーん」

怜(かなり力を使ってもうたし、膝枕する余裕はなさそうや……)

灼「…………」シュタタタ!

怜(………今の状態やと勝ち目は薄い……なら、せめて)

怜《お2人さん》

照《!……なに?》

咲《?》

怜《1つ教えとく。この子の能力は〔一撃必昇(パーフェクトゲーム)〕っちゅうんや》

照《パーフェクトゲーム……》

怜《そや。相手を一撃で仕留める能力や》

照《!そんな……》

灼「シッ!」シュバ!

怜「っ……」ササッ!

竜華「怜!」

怜《ただし、それには条件がある。それは……》

灼の攻撃を躱しながら、怜は照に灼の能力の発動条件について教えた。

それは灼の実家であり趣味でもあるボウリングにまつわるものだった。

まず1つ、相手のお尻の穴をサムホール(ボウリングの親指を入れる穴)に見立てて、そこへ親指を突き立てること。

2つ目は、ボールを握る時の指の形―――親指、中指、薬指を少し曲げる―――のまま、相手の性器に触れること。
622 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:16:12.06 ID:8MnlR9I2o

照《そんな……》

怜《……このどっちかを満たしたら、相手はめっちゃすごい快感に襲われて昇天してまうらしいわ》

灼「シッ!」

怜「ぅあっと!」サッ!

照(恐ろしい能力……でもパンツを脱がされなければ大丈夫だし、そう易々と決まらないはず)

怜「はぁ……はぁ……」

怜(しんど……)

灼「!隙あ…」シュッ!

怜「!」バサッ!

照「あっ……」

照(スカートを奪われた!)

怜「へ……?あっ……///」

照(園城寺さん……お尻、かわいい……///)

怜「ゃ!恥ずかしい……見んといて……///」(お尻を押さえる)

照「ムラッ」

咲「お、お姉ちゃん!見ちゃダメ!」

灼(今だ!)シュゴォ!

お尻を押さえる怜に迫る魔の手。

左手でパンツを素早くズリ下げる。
623 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:16:51.45 ID:8MnlR9I2o

怜「あっ……///」

照「!!!」

咲「お姉ちゃん!ごめん!」ガシッ!

怜のお尻に目が行く照に対し、慌ててアイアンクローする咲。

照「痛いっ……!」ハワァ..

そんな姉妹を尻目に、灼は冷静に攻める。

左手でパンツを太ももの辺りまでズラした後、フィンガーチップ―――上級者向けの握り(指の形は同じで、関節を浅めに握る)―――の形を作り、

怜「……っ!」

ちょこん……と怜のアソコに触れた。

灼「〔 一 撃 必 昇 ( パ ー フ ェ ク ト ゲ ー ム )〕」

怜「ぅ、あ……あぁあ……あぁ」

怜(あかん………頭ん中………百合ップルだらけや………わああ…………もう………な………んも………考え………ら……れ…………へ……)フラッ..

灼「…………」

ゆっくりと倒れる怜を灼が受け止める。そしてズラしたパンツを元に戻すという紳士的行動をとった。

これにより、パンツを下ろした行為は正当化される。

照「!今、園城寺さんが苦しんでるような声が……さ、咲!手をどけて。全然見えない」

咲「だ、だめ!まだお色気中だから」ギリリリ!

照「痛い!」

竜華「――――」

灼「…………」

竜華「怜…………」ゴゴゴゴゴ...

怜がやられた。それもスカートを奪い、パンツを脱がし、アソコを触り、抱き留めた。

ストレートフラッシュのようなハレンチ行為を竜華が許せるわけもない。

怒りに震え、理性が吹き飛ぶ。
624 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:17:26.38 ID:8MnlR9I2o

竜華「がおおおおお!!」バシュバシュッ!

灼「…………」ササッ

対する灼はあくまで冷静。

射線を見極め、少しずつ距離を詰め……

灼「っ!」バサッ!

竜華「!!」

怜のスカートを竜華の顔へ投げつけた。

竜華「もごごっ!」

灼「シッ!」

竜華の視界を奪い、攻撃を封じることに成功すると、間髪入れず竜華のスカートをめくり、パンツをズリ下ろす。ドラゴンヒップが露わになった。

咲「ああっ!」

照「な、なに!?」

咲「だ、だめ!」ギリリリ!

照「〜〜〜〜!」

灼「もらっ…」

竜華「がおっ!」グリュン!

灼「!」

灼が股間に狙いを定めるが、竜華は腰をひねって的をブレさせた。

咲「わ、うまい!」ギリ!

照「い、いたい!」

灼(それなら……)

股間を守ればお尻がお留守。灼は左手で竜華の腰を軽く押し、お尻を正面に捉える。

そして、親指に力を集中し……

灼「はっ!」

ズブリと竜華のお尻の穴に突き立てた。
625 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:17:58.56 ID:8MnlR9I2o

竜華「がお……お……おお……」

灼「〔 一 撃 必 昇 ( パ ー フ ェ ク ト ゲ ー ム )〕」グリグリ..

竜華「お、おぉお……ぁ……っ」フラ..

バタン...

竜華「………………」

灼「………これで終わ…」フゥ

咲「わわ……」

照「咲、一体どうなったの?」

咲「お姉ちゃんがボーっと突っ立ってる間に勝負がついちゃった……」

照(え、私のせい?)

灼「…………」フキフキ(ハンカチで手を拭いている)

咲「園城寺さんたち、負けちゃったよぉ……」

照「!」

咲「お姉ちゃん、どうしよう……」

灼「…………」テクテク

咲「あぅ……私たちのお尻に指を入れにやってくるよぉ……」

照「!」

照(咲のお尻に指…………そんなこと、絶対させない)ギュッ

咲「お姉ちゃん?」

照「……咲、安心して。私が咲を守るから」

咲「……お、お姉ちゃん…///」

照「だから……アイアンクローを解いて」

咲「あ……ごめんね。お姉ちゃん、アイアンクロー苦手だった?」

照「やられるのが得意な人は少ない。視界を塞ぐなら他に方法はあるのに……」

咲「他に方法…………あ!そ、それってもしかして……」

照「?」

咲「き、キス……とか?」

照「っ!?」
626 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:18:36.13 ID:8MnlR9I2o

咲「お、お姉ちゃん……嬉しい……///」

照「ぜっ、全然そんなつもりない。どうしてそんな結論……///」

咲「だって……キスすれば私のこと以外見えなくなるかもって……///」

照「う……///」カァァ...

照(咲とキス………)

咲『お姉ちゃん…………んっ……』

照「〜〜〜〜!」カァァ..

咲「じゃ、じゃあ……するね」

照「えっ……ま、待って!今はほら……あの子がいるし……」

灼「…………」テクテク

咲「う……そうだね……わかった」シュン

照「あ……」

照(咲、落ち込んじゃった……)

灼「…っ!」タタタッ!

照(!?来た……今はこっちに集中しないと……)

咲「ど、どうしよう」

照《……咲。とりあえず、スカートを死守》

咲《わ、わかった》キュッ

灼「……そんなことしても無駄……諦めた方がい…」タッ!

咲「!」

ゆっくりとした歩みから一転、腰を落として咲の懐へ飛び込む灼。
627 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:19:13.88 ID:8MnlR9I2o

咲(怖い……けど、スカートを両手で握って押さえれば平気だよね……)

灼が狙うのは性器か肛門だということがわかっている以上、守るのは難しくない。

性器を守るパンツを守るスカートを守れば、そう易々と一撃必殺は決まらないだろう。

灼(そんなのは想定通………狙いはこっ…)シュッ

咲「え……?」

咲(手がスカートを通り過ぎた……?)

灼「………えいえいえい」コチョコチョコチョ..

咲「!」

灼は、下半身を守る咲を見て、狙いをわき腹へと変えた。

そして、絶妙の指使いでくすぐった。

咲「あ、ひゃ、ちょっと……だめっ……」

体をよじる咲。その拍子に、スカートを握る指が解ける。

灼(……よし!)

照「咲!」

照(危ない!咲がやられちゃう!)

照(そんなの絶対だめ……咲は私が……守る!)

キィ....ィン...

照(え……?)

キィ...ィ...ィ..ン

照(頭に……何かが……見え…)
628 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:19:45.83 ID:8MnlR9I2o

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

【ボウリング場‐Sagimori Lanes‐】

公子(灼の祖母)「灼」

灼(8歳)「なあに?おばあちゃん」

公子「そろそろ灼も8歳になる……そろそろ話しておかなければいけないことがあるの」

灼「え?何?楽しいお話?」

公子「残念だけど違うのよ…………でも大切なお話」

灼「そうなんだ………じゃあ真面目に聞く」

公子「ふふふ、いい子だねぇ灼は」

灼「えへへ」ニコー

公子「…………灼もわかってるだろうけど、うちはボウリング場よね」

灼「うん!」

公子「小さい子からお年寄りまで、たくさんの人が楽しく遊べる場所」

灼「うん!」

公子「でもね………悲しきかな、ボウリング場っていうのは男性をイメージさせる場所なんだよ」

灼「え??どうして?」

公子「ボウリングのピンは男根を模しているのさ」

灼「だんこん?」

灼(だんこんってなんだろう?)

公子「そしてボールはもちろん睾丸」

灼「こーがん?」??

公子「レンタルシューズは女の子なんだ。でも安心したのもつかの間………色々な男に抱かれる・貸し借りされる・消臭スプレーでぶっかけられる………いわゆるヤ〇マン扱いされているんだよ」

灼「やりま………??」

公子「グローブは当然コンドーム………レーンのオイルは我慢汁……」

灼「????」キョトン
629 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:20:28.43 ID:8MnlR9I2o

公子「そんなボウリング場を実家にもって…………灼には悪いことをしたと思ってるわ」

灼「????」

公子「ふふ……当然よね。屋根の上に巨大な男根を生やしてる家に住んでいるのだから。1つ男根の下……たまらなく悲しいよ」

灼「??????」

公子「だけどね灼!考え方次第で世界は変わるの!」

灼「考え方?」

公子「そう、ボールは女性そのもの………穴は口とアソコと肛門だと思いなさい」

灼「???」

公子「そのボールを持つ時は、ちゃんと爪を切ってキレイにした指を優しく入れる」

灼「うん」

公子「そして投げる際には、傷付けないように、舌で口の上の方をくすぐる時のようなフェザータッチの感じでレーンにそっと寝かす」

灼「ふぇざー……?」

公子「転がる口とアソコと肛門……レーンはもうビショビショ………そして左右にはSとMの誘惑………」

灼「???左右って……ガターのこと?」

公子「きつく責めすぎてもダメ、辱めも受け入れすぎたらダメ………このバランスをヤジロベーのように上手にとることで、この女の子はすくすくと快楽を求める」

灼「かいらく?」

公子「そしてお待ちかね……ピンはエクスタシーの実体化さ」

灼「えく、すたし??」

公子「ピンを全て倒したら彼女は達したということさ……」

灼「うーん」

公子「……もしピンが残っても、まだ2投目がある………愛さえあれば、1投目から時間が空いても気持ちは保てる」

灼「なんかよくわからないよ……」

公子「そして、投げ終わったらボールが返ってくる。椅子の傍にある機械の穴からね」

灼「あ、うん」

公子「これにもちゃんと意味があるのよ。ボールを投げた後は、この機械を眺めながらお尻の穴に遠隔式のローターを入れた女性をイメージする」

灼「えんかく……ろーたー?」

公子「『あんなに奥まで入ったボールをひり出してくれるなんて……』と女体の神秘に感謝の嵐さ…………灼、わかるね?」

灼「………………う、うん……??」
630 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:21:11.56 ID:8MnlR9I2o

公子「全てはイメージなのよ………今言ったみたいなイメージをきちんと持てば、女性がボウリングをすることがもう百合なの」

灼「ゆり…………」

公子「……だからね、灼。おうちがボウリング場だということを恥じないで。ボウリング場は百合なんだから」

灼「ボウリング場は百合………」

公子「そうさ。だからむしろ幸せもんだよ。女の子が女の子をイカせている場面を見られるんだからねぇ」

灼「幸せ………そうなんだ?」

公子「モチのロンさ」フフッ

灼(おばあちゃんが何を言ってるのか、いまいちわからないけど……おばあちゃんが嬉しそうだからいいか)クスッ

公子「うん。………どうだい、灼?1ゲームやってくるかい?」

灼「うん!!やりたい!!行ってきます!!」タタタ

公子「いっぱいイカせるんだよ?」

灼「はーい!」

公子「あ、1つ言い忘れてた」

灼「?」

公子「わかってるだろうけど、ボールに指を入れる時、ちゃんと手を乾かしておかないとダメだよ?」

灼「?うん、わかってるけど……」

公子「実際の女の子との時は潤滑油的な問題で濡らす必要があるけどね」ククク

灼「??」

公子「とにかくそこがリアルとの違いだよ。わかったなら行っておいで。そしてイカせておいで」

灼「はーい、イカせてきまーす!」タタタ

灼(女の子をいっぱいイカせるんだ!そうすればおばあちゃんは喜ぶ!!)ヨーシ!

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
631 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:21:39.80 ID:8MnlR9I2o

照「…………」ハッ!

灼「…………」ハッ!

照(この感じは……麻雀の時に使う照魔鏡と同じ……?)

灼(何、これ……)

咲(鷺森さんが止まった?今のうちに下がろう)ササッ

照「…………あ、咲」

照(逃げれたんだ……よかった)

灼「………………」

灼(今の……なんだったんだろう?不思議な感じ………まるで大事なものを見られたような……)

照「…………」

灼(…気にしてもしょうがない。もう一度仕掛けるだけ)

照「……咲、私の後ろに隠れて」

咲「え」

灼「………………」

照「………………」

灼「っ!」ダッ!

照(来た…)

灼「…………」

照(……もし、今のが本当に鏡と同じなら……)ゴソゴソ..

灼(スカートを守らずに何かを探してる?それならシンプルにスカートを奪う!)シュッ

照(……あった!えい!)ヒュッ!

バシャ!

灼「!?」

灼(右手が冷たい……濡れてる!?宮永さんが投げた物が当たったから……?)
632 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:23:20.83 ID:8MnlR9I2o

照「…………」

照が投げたのは、もしもの時のおやつ用に持ち運んでいた駄菓子のすもも漬けだ。

照(今見えたものに鷺森さんの本質が現れてるとしたら……鷺森さんの能力を防ぐには……)

『わかってるだろうけど、ボールに指を入れる時、ちゃんと手を乾かしておかないとダメだよ?』

灼(まず……手が濡れてたら、〔一撃必昇(パーフェクトゲーム)〕が無効になる……早く乾かさないと)サッ

照「!」

照(ハンカチを出してすぐに手を拭こうとしたということは……間違いない。手が濡れてたら問題があるからだ)

灼(拭き終わったら、もう一度……)

ヒュッ..

灼「えっ」

灼(ハンカチが……飛んでいった?というより……奪われた?でも、周りには宮永さんたちしか…………あ!)ハッ!

灼(まさか……)

桃子《すいませんっす。後で返しますから》

灼(くっ……!)

照《東横さん?どうしてここに……?それと、どうして右手のことを……?》

桃子《……先輩を真似て、よーく観察してみただけっす。今の流れで急に右手を濡らした、そしてすぐに拭こうとハンカチを取り出した……ということは、右手が濡れると戦闘に支障が出るんじゃ?と推理したんす》

照「すごい……頭いい」

咲「!?お、お姉ちゃん!私は百合姫の発売日を全部記憶してるよ!?どう!?」

照「そうなんだ」

咲「うう……お姉ちゃんの尊敬ポイントに引っかからないよぉ………クールビューティなお姉ちゃんかわいい……」

灼(……ハンカチがなくても、服の裾で拭けばいい……ちょっとはしたないけど)スッ

ガシッ!

灼「!」

桃子《おっと。手を拭かせるわけにはいかないっす》
633 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:23:48.52 ID:8MnlR9I2o

灼「っ……」ジタバタ!

桃子《わわ、暴れないでくださいっす》

灼(……くっ……意外と力、強…)

桃子《…………もう……しょうがないっすね……》

モミモミ

灼「ふぁ……っ……////」ビク

桃子《この手は………赤土晴絵の手……》モミュモミ

灼《な、ち、違う!》ウウ

桃子《赤土晴絵が、あなたの胸を揉んでいるっす》モミミュ

灼《ハルちゃんの手は、もう少しガサガサしてて……でも肌はキレイで……だから……この手は違う!》

桃子《憧れの赤土晴絵の手が今……鷺森さんの胸に……》

灼「く……っ」

灼(回線をブロック!!)

桃子(む。防がれた……でも、何度だってアクセスするっすよ)モミミミ

灼(うう………しつこい)

桃子《……宮永さん。灼さんの弱点は赤土さんっすから、お2人も協力してくださいっす!何度ブロックされてもアクセスし続けてほしいっす》

照《わかった》

咲《はい!》
634 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:24:15.80 ID:8MnlR9I2o

灼「うううぐ」ハァハァ

桃子「…………」モミモミ

灼(姿が見えないから股間もお尻の穴も狙えない………いや、まず手を拭かないと……くっ…)

桃子(……胸だけじゃ弱いっすか……なら、下を……)フニッ

灼「あぅ!!」

灼(そ、そこは……///)ブルッ

照(!精神が乱れた……今ならブロックされないかも)

照「」チラ

咲「」コク

照《…………赤土さんはあなたのことを想って、いつも自分を慰めている》チラ

灼「ふ………ぅう………ぁ……」ブルブル

咲《本当は………赤土さんのお尻に指を入れたいんでしょ?》

灼「うう…………く………は……」モジモジ

桃子《赤土さんは……………あなたを受け入れてくれるっすよ》ボソリ

灼「………ぅく……」

桃子《そしてあなたのお尻に…………赤土さんの指が………》

灼「わたしのボールに……?ハルちゃん………」ゾクゾク

照《たまにはイカせる側じゃなくて、イク側に回ろう…………ボールを投げられる側になってみよう》

灼「!!」

灼(…そう……そうだ……私はいつも投げる側だった……)
635 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:24:52.21 ID:8MnlR9I2o

灼「わ、たし…………投げられても…………いいの……?」ハァ..ハァ..

照《もちろん》

灼「ああっ……///」ビクゥッ!

照《思いっきり投げられて……いいんだよ》

灼「んぅっ……はぁ……っ///」

桃子(急に反応が変わったっす。投げるとか投げられるとか、意味わかんないっすけど……)チラ

咲(どういうことなんだろう?でも、効いてるみたいだし)チラ

照「」コク

咲・桃子「…………」コクリ

桃子《……鷺森さん……投げられるっす》

灼「あぁ……ァ……」ビクビクッ!

照《いっぱい……投げられて……》

灼「はあぁあんっ!」

咲《な、投げられてー……?》

灼「……………ぁ………っ」ビクッ!ビクッ!

灼(………………ハルちゃん……いいコース……完璧なライン……っ)ハァァ..

照《ゴロゴロ……ゴロゴロ……》

灼(あっ、あっ、あっ…………ストラ……イクゥッ!……ぅ……)ガクッ..

3人の攻撃により、愛しの晴絵に抱かれながら、灼は意識を手放す。

おかっぱキュートで黒ずくめ、動物Tシャツ暗殺者・鷺森灼。ここで戦線離脱。
636 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:25:43.60 ID:8MnlR9I2o

照「……勝てた」ホッ

咲「やったね、お姉ちゃん!」ダキッ

照「っ……///」ビクン!

照(!咲、顔近い……まさか……キスする気じゃ……///)

咲「……お姉ちゃん?」

照「…………なんでもない。その……またアイアンクローされると思って怖がっただけ」

咲「ああっ!お姉ちゃんが私の接近にトラウマを覚えちゃった……でもそんなお姉ちゃんもかわいい……///」

照「ふ、ふん…………あ、東横さん、助けてくれてありがとう」

桃子「へ?いえいえ……」

咲「東横さんのおかげで助かりました……」

桃子「ど、どもっす……」ポリポリ

照「…………」

照(コミュニケーションが苦手でお礼を言いなれてないのかな?だとしたら、お礼と称してエッチなおもてなしをされても、どこまでがお礼の定義かわからず、気が付いたら初めてを捧げていた……なんてことも……)ムラァァァ..

桃子「……というか、お2人ともすごいっすね。強敵であろう相手を2人倒したあげく、鷺森さんとも戦うとか……」

照「2人倒した?どういうこと?」

桃子「え?だってあそこに……」

照「?…………あ!」

怜「/////」ウゥーン

竜華「/////」トキィィー..

照(園城寺さんたちを忘れてた……あのまま寝かせたままにしておいたらエッチなお姉さんにイタズラされて色々開発されちゃうかもしれないのに……私のばか……)
637 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:26:19.08 ID:8MnlR9I2o

咲「あの2人はその……敵は敵なんです。お姉ちゃんがお尻を見て鼻の下伸ばしたりとかしたし……」

桃子「??」

照「咲。プライバシーは守って。それが社会のルール」

咲「でも……視姦だってルール違反だよ……」

桃子「え……視姦……っすか?」

照「違う。咲、人聞きの悪すぎること言わないで。確かに園城寺さんのことを見てたけど、あれは観察。駅のホームでOLさんたちを見て心の中で応援するのと同じ。クリーンな行為」

咲「…………」ジー..

桃子「…………」ジィー..

照「……とにかく、あの2人を起こさないと」テクテク

怜「うーんうーん……///」

照「……園城寺さん」チョンチョン(肩を軽く叩く)

怜「ふぁっ……ゃぁっ……///」ビク

照(……なんだろう。この反応……ちょっとドキドキする)

怜「はぁ……はぁ……///」

照「園城寺さん……」ツンツン(腋の辺りを軽く突く)

怜「んぁっ……///」クネッ..

照「……………お、園城寺さん……突いても起きないなら、もっとエスカレートしちゃうけど……い、いいのかな」

照(セオリー通りなら、次は腰……園城寺さんの、細い、細い腰……)ソローリ..

咲「…………お姉ちゃん」

照「あっ……」

咲「……お姉ちゃん…………アイアンクロー、いる?」ニギニギ

照「!?い、いらない。未来永劫いらない」

咲「じゃあ、普通に起こそうよ」

照「…………そうする」コクコク!
638 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:27:10.19 ID:8MnlR9I2o

咲「…………大丈夫ですか?」ユサユサ

竜華「むぐ!?」ムクリ!

照「園城寺さん、起きて。園城寺さん」

怜「…………ん…………あれ?」パチリ

照「おはよう」

怜「おはよう…………って……あぁ、そやった。鷺森に負けて………」

照「あの……助けてくれてありがとう」

怜「………ああ、別に………借りを返しただけいうか……やられてしもたし」ムクリ

照「ううん、嬉しかった」

怜「……そか。お、あっこに鷺森が寝とる。へぇー、勝ったんや、すごいなぁ」

照「園城寺さんたちと東横さんが手伝ってくれたから……」

怜(東横?)??

照「あの……私たちに味方したこと、あとで問題になったりとか……」

怜「………平気や。あの子以外は誰も知らんし、多分チクリはせえへんと思うわ。第一、今回は助っ人として連合軍に参加してるだけやし」

照「そうなんだ」

怜「そや。『今度こそ百合業界を関西中心に……』て思ってなぁ。よい、しょっと…………さて、私らはそろそろ行くわ」

照「あ……」

怜「……竜華」

竜華「」コクリ

怜「いや、コクリやなくて。竜華が被ってる私のスカート返して。パンイチは恥ずいねん」

竜華「もご!?ほうやった…………はい」ゴソゴソ

怜「ありがとう………………ん、これでよしと」

咲「…………」

咲(園城寺さん……スカートを履く動作、かわいい……お姉ちゃんが夢中になるのも無理ないのかな……)ムゥ
639 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:27:38.75 ID:8MnlR9I2o

怜「……妹さん、そんな睨まんといてぇな」

咲「えっ、あ、その……そんなつもりは……」アタフタ

怜「ふふっ……安心しぃ。お姉ちゃんを奪ったりせえへんから」

咲「あ、ぅ……///」

照「お、園城寺さん……」

怜「あはは。ほな行こか。竜華」

竜華「うん!」

怜「……ほなな」テクテク

照「ん」

咲「ありがとうございました」

竜華「楽しかったで」ニコリ

怜「いや、竜華キレてたやん」

竜華「も、もう!そんなん言わんといてー!」テクテク

照・咲「…………」

桃子「…………お別れはすんだっすか」

照「わ!」

咲「ひゃっ!」

桃子「…………あれ?私の存在を忘れてたっすか」

照「……そんなことない」

咲「全然違いますよー、はい」

桃子「……いや、別にいいんすけどね……えと、この後どうするかについて……というか、今の状況を説明したいんすけど、いいっすか?」

照「ありがとう。お願い」

桃子「はいっす。ここ来る前に会長に電話で聞いたんすけど、LB軍は兵力差を感じさせず、なかなかいい調子っす」

照「!」

咲「やったねお姉ちゃん」

照「」コクリ

桃子「…………ただ……厄介な問題もあるんすよね」

照「……問題?」

桃子「はい。それは……――――」
640 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:28:27.05 ID:8MnlR9I2o

【北側 外れ】

塞「うーん………ちょっと力を使い過ぎた……疲れたぁ……」テクテク

トシ「私は小腹が空いた。担々麺の気分なんだよ」

塞「あ、それならどこかお店入ります?結構働いたし、ここで小休止しても文句は言われない気が……」

トシ「魅力的な提案だね。わたしゃワクワクしてきたよ」

塞「じゃあ、この辺りで美味しいお店があるかを検索しますね」

トシ「私も調べるんだよ。ポチッとだよ」

??「見つけたですよー」

塞「!?」

塞(この声は…………可愛くて柔らかくて甘い匂いがして肌がきめ細かくて触り心地がよくてすぐ裸になってくれる……)チラッ

初美「さっきぶりですねー」ニコ

塞「はつみたん!」

初美「う……その『はつみたん』ってのはやめてほしいですよー」

塞「どうして……はつみたんは深堀さんにやられたはずじゃ……」

トシ「私もそう記憶してるんだよ。そして近くに担々麺の美味しい店を見つけたよ。ほら、お店のホームページ」

塞「え、早いですね……どれどれ……あ、この写真のやつ美味しそう」

トシ「だろう?ヨダレが無尽蔵に出るってもんさ」フフフ

初美「ちょ、ちょっと!無視しないでくださいですよー!」

塞「あ、ごめん」

トシ(まいったね………まさかお店選びもできないとは…)

初美「ふ、ふんっ!今すぐ無視できないようにしてやりますよー!」ゴゴゴゴ...

塞「えっ!また脱いでくれるの?!やった!」

初美「…………なんか私の想像と違います………強敵の出現なのに全然怯えたりしてないですよー……」
641 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:29:12.38 ID:8MnlR9I2o

塞「はつみたん!」ハァハァ..

初美「……とにかく、いきますよー!」

??「ちょお待ちぃや!薄墨!」

塞「?」

トシ「今の声は……」

??「一緒に戦う約束やろが!」

初美「あはは。そうでしたー」

塞「あんたは……愛宕洋榎………」

洋榎「そや。屈辱の敗戦をバネに、地獄から舞い戻ったわ!舐めたらあかんで!」キリッ!

塞「あ、一度負けてるんだ?」

洋榎「し、知らんかったんか……黙っといたらよかった」ムムム..

トシ「どうやら、ピンチみたいだね」

塞「……そうですね」

洋榎「へへっ」

トシ「担々麺は食べられそうにないよ」

洋榎「メシかい!そんなん後にせえ!っちゅうか戦闘中にがっつり食おうとすな!」

トシ「担々麺は美味しいんだよ」

洋榎「知っとるわ!めっちゃ好きやっちゅうねん!」

トシ「……じゃあ一緒に」

洋榎「食わん!!」

トシ「はぁ……世代かねぇ」

初美「……お話はこの辺にして……では、いきますよー!」ヌギッ..

洋榎「おう!宮守の。今日がお前の嫁入り記念日や!」ギラッ!

塞「うーん……」

塞(はつみたんはもちろん、愛宕洋榎も手強そう……これはちょっとキツイかなー)

塞(というか……はつみたん、負けたはずなのになんで?私みたいに回復する手段があるってこと……?)
642 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:29:48.95 ID:8MnlR9I2o

【西側 外れ】

連合軍「うぅ……」

力を使い果たした連合軍の子がベンチに座っている。

ただ座るという行為すら辛いようで、両手で手すりを掴み、背中を丸めて荒い息を吐く。

??「あらら。めっちゃ疲れてるなぁ。大丈夫〜?」

そんな彼女に近付く人影。

戦場の中にあって、その声は一際明るい。

身に纏うは純白のナース服。

連合軍「ぁ、あなたは……」

??「ちょっと待ってな?ん……」

ナース服の彼女は目を閉じ、ゆっくりと両手を前へ。

ベンチに座っている子の両頬に添える。

連合軍「え、えと……///」

??「動かんといてー」

連合軍「…………///」

そのまま数秒ほど経った後、両手を頬に添えたまま彼女は目を開け、顔を近付ける。

連合軍「!?」

そして、額と額をこつん、と合わせる。
643 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:30:41.79 ID:8MnlR9I2o

??「元気になーれ♪」

ポワアァァァ..

連合軍「!!」

額がくっついた瞬間、青い光が発せられた。

連合軍(な、何これ……すごい……!)

それは、強力な癒しの光。

その光に全身を包まれた彼女は、みるみる力を取り戻す。

連合軍「ありがとうございます!なんか……すごく元気になりました!」

??「どういたしましてー」ニッコリ

連合軍「元気になったおかげか、最近買おうかどうか迷ってた百合漫画があったんですけど、絶対買うことに決めました!もう今月ピンチ覚悟です!」

??「おおー、ええなぁ」フフッ

連合軍「では、行ってきます!今度こそ活躍してきます!」タタッ!

??「気を付けてなー?」

??「………………」

♪〜

??「わ、またや…………もしもし?」

??「…………はい。ここから少し行ったとこ…………はい、力尽きたと。わかりました。今すぐ向かいますー」ピッ

??「みんな頑張ってるみたいやなぁ。うちも頑張らんと」テクテク

電話を切ってすぐ、次の現場へと向かう。

彼女は、護る者であり救う者。

純白のナース服を纏い、西へ東へ北へ南へ。

『なんでやねん』など一切言わず、『ええなぁ』『よかったなぁ』を基軸に、

ただただひたすら癒しを与える。

彼女の名は荒川憩。連合軍の救護班である。
644 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/05/23(土) 06:31:11.86 ID:8MnlR9I2o

【北側】

照「回復能力……?」

桃子「はい。それが荒川さんの能力らしいっす。対象の力を回復させるっす」

咲「そ、それじゃ………愛宕さんたちだけじゃなくて、一度負けた人も………」

桃子「………復活の可能性があるっす」

照「……………」

照(鷺森さんの再復活とか……?)ゾクッ..

桃子「回復能力はもちろん脅威なんすけど、それ以上にこの人を直接倒すことができないのが一番厄介っす」

咲「え?倒せない?それはどうしてですか?」

桃子「荒川さんは救護班なんすけど、救護班っていうのはLB軍にも連合軍にもいるんす。倒れた人を介抱したり、治療したりする……戦闘行為をとらないチームっす」

照「なるほど……」

桃子「救護班が全滅したら怪我人とか運べないかもしれないってことで、救護班には手出し無用なんすよ。もちろん向こうから攻撃してくるとか違法行為があったら別っすけど」

照「……だから荒川さんには手出しできない……」

桃子「はいっす。なんかズルい気もするんすけど、ルール上では一応問題ないことになってるらしいっす」

照「……それじゃ、この先も連合軍は……」

桃子「……会長の話だと『回復させる相手が強いほど荒川さんは力を消耗するだろう』ってことなんで、倒した強敵が全員蘇ることはないみたいっす」

咲「よ、よかった……」

照「……でも、全員じゃなくても……脅威」

桃子「はい……荒川さんの力がなくなるまで強敵をあえて倒さない……というのも難しいっす。LB軍が連合軍の攻撃に耐えている今の内に、連合軍のトップを倒すのが理想っすね」

照「トップ……誰だろう?」

桃子「総大将はリリーフラワーガーデンの会長である愛宕雅枝っすね。この人を倒せれば一気に戦況はこっちに傾くっすけど……今のところ居場所が不明らしいっす」

照「他には誰がいるの?」

桃子「……連合軍の秘密兵器……」

照「!」

桃子「その名も……――――」
645 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:31:48.94 ID:8MnlR9I2o

【ホテルの一室】

伝令「伝令!鷺森様が敗れたとのことです!」

??「!」

??「………残念ですね……誰にやられたのかしら?」

伝令「宮永照、宮永咲、東横桃子の3名です!」

??「!」ピクッ

??「そうですか………さて………これからどうしましょう……」

??「……………私が出ます」スクッ

伝令「えっ!?」

??「まだ早いのでは?荒川さんもいますし、こちらにはまだ余力があります……もう少し様子を見た方が……」

??「………でも均衡状態なんですよね?東西南北、どこも攻め落とせる気配がない……数は勝っていても士気はLB軍の方が遥かに高い……」

??「…………」

??「………霞ちゃん、お願いします」

霞「……小蒔ちゃん……」

小蒔「………………」

霞「…………わかりました」フフッ

小蒔「あ……」

伝令「…………」オロオロ

霞「……大丈夫。私が責任を持って守るから」

伝令「あ、し、失礼しました……」

小蒔「……………ありがとう」

霞「ふふ………では、行きましょう」ニコ

霞(我々の手で、この戦いを終わらせに……)
646 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:32:33.01 ID:8MnlR9I2o

【北側】

照「神代さん……?」

桃子「はいっす」

咲「わ……あの人も百合妄想士だったんだ……」

照「意外……」

桃子「そうっすね。私も最初聞いた時は驚いたっす」

咲「でも………どうやってその情報を……?」

桃子「ここに来る途中で、愛宕雅枝に電話している人がいたんす。その時に神代さんの名前が……」

咲「そうなんですか……」

桃子「ただ、秘密兵器という情報以外はないんすけどね」

照「でも、その情報は重要」

咲「うん」

桃子「…どうもっす」

照「……それで、これからどうしよう?神代さんを倒すにしろ、他の味方と合流しないと」

咲「うん……部長とか深堀さんたちと会えたら心強いよね」

照「携帯に電話してみようかな。近くにいるかもしれない」

桃子「いいっすね」

咲「お姉ちゃん、携帯電話使えるの?」

照「え……あ、うん。まぁね」

咲「すごい……お姉ちゃんすごいよぉ……」

照「………ま、まぁ、頑張って覚えたからね…///」

咲「さすがだよぉ……ねぇ、どんなことできるの?」

照「え?あ、えと……連絡先とか設定とか」

咲「わぁあ……すごぉい」

照(すごい尊敬の眼差し……)
647 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:33:26.36 ID:8MnlR9I2o

咲「あ!アプリとかは?」

照「う……その……ストアで見たりできるよ」

咲「そうなの?!メカをモノにしてるお姉ちゃんかわいい……///」

照「あ、ありがとう」

照(言えない……電話とかメールはともかく、アプリとかは全然わからなくて菫にお願いして入れてもらったこととか、何かの拍子で待ち受け画面をホラー映画のパッケージにしちゃったのを戻せなくて携帯開く度に怖い思いしてなんて……咲には言えない)

桃子「………………」

照(あ……)

照(東横さんは現代っ子っぽいから、携帯とか得意そう……私が全然メカをモノにできてないと気付いてるかもしれない……ということは、東横さんが今考えているのは……)

照(『メカに弱いことを咲ちゃんにバラされたくないなら、今すぐ服を脱いで奉仕しろっす』とか言って私を性奴隷にしようと企んでる?…………あぁ……そんな……////)

桃子(2人のやりとり、微笑ましいっすねー)ポワー..

照(東横さん……そんな目で私を見ないで……///)

咲「……お姉ちゃん、電話しないの?」

照「あっ、そうだった」

照(とりあえず連絡しよう。番号は久保さんに教えてもらったし……)ピポパ..
648 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:34:12.38 ID:8MnlR9I2o

【西側 外れ】

純代「……………くっ」ドスドスドス...

煌「お、お待ち!くださいな!」スバラッスバラッスバラッ...

純代(逃げながらも攻撃を続けたけど、一向に倒れる気配がない)

純代(回復してる様子はない……ということは単純に体力が多い?)ドスドスドス...

煌「どこまでも!追いかけます!!」スバラッスバラッスバラッ...

純代(……とにかく今は人が少ないところへ行かないと…………囲まれたらまずい)

煌「諦めませんよっ!」

純代(でも…………味方のいるところに花田さんを連れていくと、私だけじゃなくてその子もピンチになるかもしれない……ただ1つ試したいことがある)

♪〜

純代(!電話……でも走りながら出ると、注意力が散漫になって躓いて転んで足を擦りむくかもしれないし、花田さんに追いつかれる……)

煌「深堀さん!」

純代「!」

煌「電話のお相手を待たすのはすばらではありません!私はここで立ち止まり、百合界の未来について思いを馳せますので、電話に出てください!」

純代「!?」

煌「…………」

純代(……冗談、じゃないみたい)

純代「…………」ドス..ドス...

煌「…………」ピタッ(立ち止まる)

純代「…………ありがとう」

煌「いえいえ」スバラッ

純代「もしもし…………あ、はい。今いる場所は西側で………宮永さんは?…………はい、わかりました。今から合流します」

煌「……漫画の実写化ではなく、純粋な百合恋愛もののドラマが作られれば嬉しいですねぇ……ふーむ」

純代「はい……わかりました。それでは」ピッ

純代「……花田さん、ありがとう」

煌「当然のことをしたまでです!お気になさらず!」

純代「………………」

煌「………………」

純代「…………えと」

煌「はい」

純代「じゃあ……また逃げます」

煌「わかりました。私は追いかけます」

純代「………………」

煌「………………」

純代「っ!」ドスドスドス

煌「逃がしません!」スバラッスバラッ!
649 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:34:49.89 ID:8MnlR9I2o

【西側 外れ】

塞「くぅっ………」フラッ

全裸初美「どうしたですかー?」

塞「ダメ……どうしてもはつみたんの股間ばかり見ちゃう……」ジー

全裸初美「もう………エッチですねー」クネッ

塞「かわいいなぁもうはつみたんはー」キュンキュン

洋榎「随分余裕なんやなぁ?」

塞「む………」

塞(いや、実際は超ピンチなんだけど………力もあまり残ってないし、このままじゃやられる。ちょっと気合入れないとダメかな……うん、はつみたんを見ていたいけど、ここは我慢して…)

全裸初美「ふふふふふ………私、お尻に自信あるんですよー」クルー

塞「はつみたんのお尻はかわいいなーぁ」ハァハァ

塞(じゃなくて!………どうせやられるなら……できるだけ敵にダメージを与えておいたがいいか。体力的に、2人を倒すのは無理……だったら……)チラ

洋榎「?」ゾクッ

塞(愛宕洋榎だけでも倒す!)

全裸初美(何か企んでるですかー?それならこっちも全力でいきますよー………)

洋榎(めっちゃバテバテや言うても四天王………舐めてかかったらあかんか………)フゥ

塞(範囲を狭く……愛宕洋榎だけを対象にして…………)

塞《〔 幼 女 領 域 ( よ う じ ょ ・ フ ィ ー ル ド )〕》

パァアアアアアアアア!!!

洋榎「!これは……しもた!」
650 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:35:37.74 ID:8MnlR9I2o

キィィィイイィ........ン.....

ひろえ「おおお!?」

炸裂する塞の〔幼女領域(ようじょ・フィールド)〕。

洋榎が幼女へと変化する。駄菓子屋と公園を往復していた頃の姿に……。

全裸初美「?私は変化しないですよー?」

塞(続いて……動きを封じる……っ!)

キィイィイン...

ひろえ「か、からだがうごけへん……」

全裸初美(これは……愛宕さんだけを狙ってる?もしかして……体力の限界ですかー?)

コォォッオオオオ...

塞「………ふぅ……」

塞(なんとかギリギリ体力がもった……後は、私の力が続く限り〔絶対幼女(アブソリュート・ようじょ)〕を浴びせてやる)

すぅ……と息を吸い、眼光鋭く洋榎を見つめる。

その際、チラ見で初美の太もも、股間、おへそ、胸、腋を凝視するのを忘れない。眼福はいくらあっても困らないから。

塞(よし……っ!くらえっ!)

全裸初美「させないですよー!」

塞《〔 絶 対 幼 女 ( ア ブ ソ リ ュ ー ト ・ よ う じ ょ )〕》ゴァアアアアアアア!!

全裸初美《〔 全 裸 こ そ す べ て ( ア パ レ ル キ ラ ー )〕》ッカァアアアァァァア!!!

〔全裸こそすべて(アパレルキラー)〕。

この能力を受けた者は、女性(その人物の好みの人間のみ)がどんな服装であっても全裸に見えるようになり、妄想を促進させ、体力を消耗させられる。

ちなみに最初から全裸の人間を見た場合は、妄想せずとも大ダメージを受ける。

塞(っ……先にアレを受けたらやばい!っていうか、間に合わない!?)

全裸初美(今まで温存してきた私の必殺技ですよー!この距離なら外さないですよー!)

すでに疲弊している塞にとって、先手を取るしか勝機はない。

初美の攻撃を受けたあとでは反撃する力は残っていないだろう。
651 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:36:24.11 ID:8MnlR9I2o

塞(……ま、いいか。はつみたんにやられるなら……うん。いっぱい触ったし……)

敗北を覚悟し、目を閉じる塞。

そして我が身に襲い掛かるであろう衝撃に備える。

塞「………………」

塞「………………」

塞「??」

……しかし、いつまで経っても何も起こらない。

塞(あれ?もしかして、私に触られたことで、情がわいたとか……それとも……私に恋した!?)ドキッ!

塞(ど、どうしよう……?私的には嬉しいけど、岩手と九州じゃ遠距離恋愛だし、それに…………付き合ったらその……ねぇ?色々と体の方が……///)

ひろえ「な、なんやぁ!?」

塞(そうそう。体がなんだか熱い時とか……テレビ電話もある時代だけど、直に接触するのとはやっぱり違うし………)

全裸初美「い、一体何が起きてるですかー!?」

塞「?」チラッ

『はつみたんが疑問を抱いている。ならばその謎は私が解く!』とばかりに塞は目を開ける。

塞「…………え?」

意気込む塞だったが、目の前の光景は想像したものと全く違っていた。

塞(なんなのよ、これ……?意味わかんないって……はつみたんにいいところを見せられない…………じゃなくて!どういうこと!?)

LB軍も連合軍も、少し離れた位置で戦っているため、この付近にいるのは初美と洋榎、塞の3人だけだった。

そんな空間に、いつの間にか2人の人物が乱入していた。

純代「はぁ……はぁ……」

1人は、汗だくで顔中ビショビショ、髪の毛バサバサの純代。はぁはぁと、苦しそうに呼吸している。動いているうちにズレたのか、靴下が緩んでおり、足にゴムの後がしっかり残っている。

煌「……………う、ぅぅ……」

そんな純代の横で四つん這いになっている煌。手にはハンカチが握られており、純代へと向けて伸ばされている。こちらも汗をかいているが、髪型はしっかりとキープしている。

塞(なんで深堀さんが?それと、この子は確か新道寺の……)

純代「………………」
652 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:37:13.67 ID:8MnlR9I2o

少し前―――

純代「はぁ、はぁ、はぁっ……」ドスドス..

煌「すばらな息切れですっ!」タタタッ!

純代(くっ……この人を倒せるかもしれないアイデアはあるけど、宮永さんたちのところに行くまでに体力が尽きそう……)ドスドス

純代(動けなくなったら敵に囲まれて終わり……どうすれば…………ん?あそこにいるのは………)

塞「」

全裸初美「」

ひろえ「」

純代「!!」

純代(やった!あの子たちのところへ行けば………)ドス!ドス!

煌「む?スピードアップするとは……すばらですっ!」

純代(くっ……わき腹が痛い……でも、もう少しだ……)ドス!ドス!ドス!

煌「ではこちらも加速です!」タタタタッ!

ひろえ「か、からだがうごけへん……」

純代(よし……間に合いそうだ…………後はタイミング……)

煌「おや?すばらな合流をしそうですね」タタタッ!

純代(花田さんは私の攻撃は受け止めたけど、連合軍の子の攻撃は受け止めなかった………敵味方で区別しているんだろうと思ったけど、敵である私に対しても思いやってくれることから、能力の範囲内では無差別に攻撃を受け止める可能性が高い……私と花田さん、連合軍の子の立ち位置から、能力の有効範囲を推測して……)

全裸初美「させないですよー!」

純代(その範囲内に…………臼沢さんたちを…………入れる!!)ダダッ!
653 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:37:58.26 ID:8MnlR9I2o

煌「おお!すばらなダッシュ!負けませんよ!」ダダッ!

加速し、純代を追いかける煌。

塞たちの存在に気付いているものの、今の煌の頭にあるのは、純代を見失わないようにすることと、ジョギングの楽しさを純代に味わってもらうこと。

純代の思惑など露知らず、誘われるまま〔スバラの部屋(スバラズルーム)〕の有効範囲内に塞たちを入れてしまい……

キィィイイン..

きらめ「っ!?」

洋榎「お?」

洋榎の代わりに、塞の〔幼女領域(ようじょ・フィールド)〕の支配を受けて幼女となり、

塞《〔 絶 対 幼 女 ( ア ブ ソ リ ュ ー ト ・ よ う じ ょ )〕》ゴァアアアアアアア!!

全裸初美《 全 裸 こ そ す べ て ( ア パ レ ル キ ラ ー )》ッカァアアアァァァア!!!

きらめ「!!!」

さらに塞と初美の攻撃を肩代わりしてしまう。

きらめ(これは……っ……しかし、まだ、まだ…………)

純代「」クルッ!

きらめ(!深堀さんが振り返った…?)スバラッ!

純代《〔 体 育 祭 の 選 手 宣 誓 で 脱 糞 ( ト ラ ウ マ メ モ リ ー )〕》

きらめ「ぐぅっ!」

トドメとばかりに純代のスカ追撃を叩き込まれる。

きらめの脳内は子役の百合妄想で埋め尽くされた上、その子たちが全裸に見え、さらにスカの波が襲い掛かる……並の精神力では耐えきれるものではない。

きらめ「ぅ……ぐ、はぁ……はぁ……」ガクッ

……しかしきらめは耐えた。

息も絶え絶えで、倒れ込みそうになる体を支えることができず、四つん這いになったものの、意識を失っていない。

純代「はぁ……はぁ……」

きらめ(……深堀、さん……汗だくで……辛そ、う……です……汗が目に入ったら……しみます……)ゴソゴソ

それどころか純代を気遣い、ハンカチを差し出したのだった―――
654 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:38:37.16 ID:8MnlR9I2o

現在―――

純代「はぁ……はぁっ……」

きらめ「………う……うぅ……」

純代(……これでもダメなんて…………一体どうすればいい?)

純代(麻雀では決してトバない、というものの『ダブロン、またはトリプルロンが存在するルールならトビの可能性があるかもしれない』と推測して、臼沢さんたちの攻撃を利用してみたけど……)

きらめ「はぁ……ぅぅ……すば、らな……じめん……」

純代(彼女をトバすことはできないのか……?)

四天王最強と呼ばれ、唯一の敗北である照たちとの戦いでも見せなかった諦めの感情が顔を出し、戦意が失われようとしている。

すると、

洋榎「よっしゃあ!元に戻ったで!とくれば……お前から嫁にしたるで!深堀ぃ!!」

純代「え……」

洋榎《嫁ぇぇえぇえ!!!!》

隙を逃すまいと、洋榎が純代を嫁に迎えにいく。

洋榎(もらったああああ!!)

その表情には自信が漲っており、勝利を確信している。

しかし洋榎は知らない。自分が〔スバラの部屋(スバラズルーム)〕にいることを。

そして誰が自分の嫁になるのかを……。
655 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:39:16.94 ID:8MnlR9I2o

きらめ「うぐっ!?」

洋榎「へ?」

純代「!」

塞「?」

きらめ「す、ばら…なこうげき………です……」

洋榎「え、そう?ありがとう…………」??

きらめ「………………」ガクッ!

洋榎の攻撃を受けた煌。

腕の力が抜け、うつ伏せに倒れる。その直前、純代に差し出したハンカチを地面に落として汚さないよう、頭の上に乗せている。

「私が気を失った後、ご自由にお使いください」ということだろう。

優しすぎる百合妄想士、花田煌。ここで敗北―――。


〔スバラの部屋(スバラズルーム)〕。

能力の効果範囲内からの攻撃・その他諸々を全て肩代わりする。

範囲内では煌の耐久力は数倍にまで増幅される。

ちなみに範囲外からの攻撃には適用されない。
656 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:39:51.09 ID:8MnlR9I2o

全裸初美「…………」

純代「………………」

洋榎「………………」

塞「…………………」

全裸初美「は、花田さんがやられた……?」

全裸初美(決して破れない最強の防御能力って聞いてますよー!?)

洋榎「……どういうことや……?」

塞(何がなんだか…………って、今は現状を考えるよりも…)

キィィィン..

ひろえ「!?」

塞(〔幼女領域(ようじょ・フィールド)〕を掛けなおす方が大事よね)ウンウン

ひろえ「し、しもた!また……っ!」

塞(はつみたんは深堀さんが止めてくれるだろうから、私はひろえたんとマンツーマンといこうかな)ニコリ

ひろえ「く、うごけへん………」

塞「ふふふ……」テクテク

ひろえ「ちかよってくんな!あほぉ!」

塞「ごめんねー?私アホだから、ひろえたんのスカート脱がすね?」ズルゥ!

ひろえ「な……っ////」カァァ..

塞「あら………可愛いぱんつ」

ひろえ「やめぇ!ぼけ!あほー!このへんたい!」

塞「はいはい。それじゃあパンツも脱がすわね」スルッ!

ひろえ「ひぃ……///」

塞「……いい……ひろえたん……肌、キレイ……はぁ、はぁ……」スリスリ
657 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:40:47.72 ID:8MnlR9I2o

全裸初美「…………」

純代「………………」

ひろえ「ひっ……ぐすっ…………もうやめてぇや……ごめんやから……」

塞「さて、ひろえたんの体重を支えてきた足の裏を舐めてみようかな…………れろ……」

ひろえ「っ…!」ビクンッ!

塞「うふふふふ………さすが関西。薄味だ」クスッ

ひろえ「もういややぁ………きょうこぉ………」グス

全裸初美(…………これは引きますよー……そろそろ助けてあげないと愛宕さんがトラウマを抱えるですねー…………と言っても……)チラ

純代「…………」

全裸初美(この人をどうにかしないとですねー!)ギラリ!

純代(来るか……?)

全裸初美(先手必勝ですよー!)

全裸初美《〔 全 裸 こ そ す べ て ( ア パ レ ル キ ラ ー )〕》ッカァアアアァァァア!!!

全裸初美(私の能力によって、二次元・三次元・妄想内を問わず女性は全て全裸に見えますよー!)

純代「む……」

全裸初美(こうやって、私が移動して……)テクテク

塞「」

ひろえ「」

全裸初美(深堀さんの視界に臼沢さんと愛宕さんを入れれば……全裸の女の子が3人……)ニヤリ

純代「…………」

全裸初美(どうしたってエッチな妄想をしてしまうですよー!)ニヒヒ

純代「…………」

全裸初美(そうなれば……力を激しく消耗するはずですよー)
658 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:41:45.69 ID:8MnlR9I2o

純代《…………なるほど。それがあなたの力……》

全裸初美「!」

全裸初美(そんな……ケロッとしてますよー!?)

純代《あなたはわかってない………》

全裸初美「?」

純代《服があるからこそ全裸が映える。チラリズムを蔑ろにするものはチラリズムに泣く》

全裸初美「な、何を……言ってるですかー……」

純代《あなたは露出にこだわるあまり、本来の………インハイであなたが見せてくれた最高のチラリズムを捨てた》

全裸初美「……………」

純代《大体………こんな能力に頼らなくても、想像で脱がせればいいだけの話……》

全裸初美「ひぅっ……」

純代《最初から全裸など………言語道断!!》

全裸初美「!」ゾクッ

純代《脱ぎそうにない子が脱ぐからいい………》スタ..

全裸初美「あわわ……」

純代《普段見えないから見えた時に嬉しい………》スタ..スタ..

全裸初美「や、こ、来ないでほしいですよー………」
659 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:42:54.33 ID:8MnlR9I2o

純代《〔 神 社 の 境 内 で の 脱 糞 が 身 内 バ レ ( ト ラ ウ マ メ モ リ ー ) 〕》

全裸初美「う、あぁ……ああぁ……」

純代のチラリズムに対する熱き想いとスカの臭く重い一撃を受け、初美は一瞬にして限界を迎える。

足がガクガクと震え、今にも倒れそうだ。

純代「っ!」

そんな初美の元へ、純代がドスドスと走り、抱きしめる。

純代(ふぅ……このまま裸のまま倒れたら危なかった……ジャリとかが肌に食い込んだりしたら……)チラ

塞「はぁ……はぁ……」

ひろえ「うぅ……けーさつ……たすけて……」

純代(臼沢さんに『怪我してないかチェックするしかないわね』とか言って触られまくるだろうし……うん、それを回避できてよかった)

全裸初美(う……なん、ですかー……この、温かさ…………どこか懐かしい……)

力尽きた時の反動か、初美は今、夢と現の狭間でたゆたっている。自分がどこにいて、どういう状況かすらわかっていない。

目を閉じたまま、純代を感じている。

全裸初美「あったかい……この感じ……」

純代(……意識朦朧としてる…………少しやりすぎた……?)

全裸初美「すごく安心……できますよー……まるで……お母さん……」

純代(!……そんなこと初めて言われた…………なんだか、照れる……///)

全裸初美「…………そう、最高潮に太ってた時のお母さんですよー……」

純代「……………………………………」
660 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:43:44.32 ID:8MnlR9I2o

全裸初美「……楽して痩せようとして結局太ったままの…………食べる量を変えず、運動もしないで痩せたいとのたまうお母さん…………あったかいですよー……」

純代「…………………………………臼沢さん、ちょっと」

塞「ん?なぁに?今はひろえたんを愛でてるから忙しいんだけど…………って、は、はつみたん!!なんて無防備……!」ゴクリ

純代「勝負して勝ちました。なんかボーっとしてるみたいで無防備です。検査が必要かもしれません」

塞「任せて!」タタタッ!

純代「はい」

塞「わ、わた、私が抱っこする!」

純代「どうぞ」

塞「っ!は、はつみたん……柔らかい……」ハァハァ

全裸初美「うーん…………?お母さん、激ヤセしましたかー………」ムニャムニャ

純代「…………………………」

ひろえ「………………」

ひろえ(なんやようわからんけど助かった……けど動けへん……)

塞「ま、まずは胸からよね!よぉーし……」サワサワサワサワサワサワサワ...

全裸初美「ん……っ、お母さん……?」

塞「この感触やっばい!はぁ、はぁ……なんかよだれ出てきた……」ポタポタ...

全裸初美(……なんか生暖かい液体が…………まさか……泣いてるですかー……?)パチッ

塞のよだれを母の涙と勘違いした初美はうっすらと目を開ける。

塞「はぁはぁはぁはぁ……」

全裸初美「ひいっ!!!」

心臓が縮み上がるとはこのことだろう。視界に飛び込んできたのは、目を血走らせて激しく興奮している塞の表情。

その口からは鍾乳洞以上にポタポタとしたたる水分。さらにその水分を利用して、滑らかな軌道を描きながら、手をおへそへと到達させる。

全裸初美「へ、変質者ですよー!」アワワ

塞「違う!医療行為だから!続いていくわね、次はアソコよ……」サワーー..

全裸初美「だ、ダメですー!」ポカポカ
661 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:44:15.46 ID:8MnlR9I2o

塞「痛たた……ちょっと、叩かないでよ……暴力はダメ!」

全裸初美「セクハラもダメですよー!」

塞「愛さえあれば全然……」

全裸初美「私にはないです!」

塞「………………………」

全裸初美「………………」

塞「………………………」

全裸初美(……い、言い過ぎましたかー?)

塞「」サワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリ

全裸初美「ふぁ……ぅ!?」ビクン!

塞「」サワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリサワリ

全裸初美「ちょ、やっ、やめっ…………無言も怖い、ですよー!」

ひろえ「………………」

ひろえ(薄墨が汚されとる……うちの嫁でもある薄墨が…………そんなん…あかん!)

ひろえ「お、おい!もうけっちゃくはついてんねんから、そろそろやめたりぃな!」

塞「あ……つい無意識で……」サワリ..

全裸初美「はぁー、はぁー……」

ひろえ「あんたもとめんと」

純代「…………」プイ

ひろえ「??」

塞「えーと………名残惜しいけど、はつみたんはこの辺でやめておくかぁ」

全裸初美「」ホッ
662 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:44:47.31 ID:8MnlR9I2o

塞「じゃあ…………次はひろえたんね」

ひろえ「え?」

塞「はつみたんは深堀さんが倒した。でもひろえたんとの勝負は終わってないでしょ?動き止めただけなんだし」

ひろえ「そ、そら……そうかもやけど……」

塞「じゃあ……勝負の続きをしよう」ニヤリ

ひろえ「!」ゾワッ..

ひろえ(うちも薄墨みたいに触られる!?絶対嫌や!)

ひろえ「こ、こうさんや!」

塞「うん、そうだね。ひろえたんも高3だね」モミモミ!

ひろえ「ちがっ……んぁっ!?」ビクン!

塞「でもそんな言葉は聞きたくないかな?今のひろえたんは幼女だし」サワサワサワサワサワサワサワ

ひろえ「んぅ……っ!な、にいうてんの……」

塞「はぁ……はぁ……ひろえたん柔らかい……じゅるり」サワサワサワサワサワサワサワ

ひろえ「ひぃ!!」

ひろえ(な、なんやねんこいつ……今まで数々の女の子を嫁にしてきたけど……こんな怖い嫁は初めてや!これが鬼嫁ちゅうやつか!!)

塞「ひろえたん……!はぁ、はぁああ……」

全裸初美「………………」

全裸初美(さっきまで『はつみたんはつみたん』言ってたのに……なんか……ムカつくですよー)ムゥ..
663 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:45:31.38 ID:8MnlR9I2o

塞「さて……いよいよ愛宕城の本丸に突入ね」

ひろえ「ひっ……!」

塞「はぁはぁはぁはぁ……」

ひろえ「ひぃぃぃ……………………っ」ガクッ..

塞「あれ?」

ひろえ「………………」

塞「………気を失った…………ということは……触り放題!」

全裸初美「も、もう十分触ったんじゃないですかー?」

塞「え?はつみたん……?」

全裸初美「気絶してる時に触るとか、やめた方がいいと思いますよー」

塞「はつみたん……それって、もしかして……ヤキモチ?」

全裸初美「なっ……ち、違うですよー!」

塞「もうっ!はつみたん可愛いなぁ!」

全裸初美「ち、違いますよー……///」

塞「そんなに言うなら、もっといっぱい触ってあげるね!」テクテクテク

全裸初美「え、いや、その………………あ、あぁ、や、やめるですよーーー!」

純代「………………」

純代(何はともあれ、この場は勝利で終わった、と)フゥ
664 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:46:01.22 ID:8MnlR9I2o

【北側 外れ】

憧「……………」テクテク

LB軍G「見つけた!」

憧「あ」

憧(まずい……1、2、3……5人いる。1対5……ちょっとキツイか)

LB軍G「きゃあ!」バタッ

憧「え?」

LB軍H「ぅああ……あ」バタッ!

憧(LB軍が倒れていく……一体誰が…)チラッ

巫女軍団「………………」

憧(巫女…………さん?)

??「危ないところでしたね」

憧「?」チラ

霞「」ウフフ

小蒔「」ペコリ

憧「!」

憧(元四天王の石戸霞…………と神代小蒔!?永水の巨乳コンビじゃん!)

霞「こんにちは」

小蒔「あ、こんにちは」

憧「え?あ……こんにちは」

憧(石戸さんはともかく神代さんは作戦会議では名前が挙がらなかったけど…………実力的にはいまいちなのかな…………いや、待てよ?)

憧(愛宕おばさんが『うちらには秘密兵器がおる』とか言ってたけど…………もしかして……)チラ

憧「あの……」

小蒔「なんでしょうか?」
665 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:46:41.87 ID:8MnlR9I2o

憧「連合軍の秘密兵器って、神代さんですか?」

小蒔「秘密兵器??違いますけど……」

憧(ありゃ、違ったか)

霞「あら、小蒔ちゃんは秘密兵器よ?」

小蒔「あ、そうですか。あの、秘密兵器だそうです」

憧「へ、あ、はぁ……」

憧(この人、なんか変わってるなぁ……そういえばインハイでも試合中に寝てたような気がする……)

霞「小蒔ちゃん寝てたから聞いてなかったのね」ウフフ

小蒔「いつの寝てた時でしょう……」??

憧(……でもチャンスかも。この人たちと行動してたら生き残る確率は上がるし)

憧「あの……」

小蒔「はい」

憧「あたしもご一緒していいですか?」

小蒔「はい。もちろんです……よね?」チラ

霞「ええ。味方は多い方が心強いですし」ニコリ

憧「やった。ありがとうございます」
666 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:47:40.85 ID:8MnlR9I2o

【リリーブライド本部】

久美子「……つい先ほど神代小蒔と石戸霞……そして巫女軍団の姿が目撃されたそうです」

恵「………やはり出てくるか。霧島神境の姫……」

恵の表情が曇る。それだけで小蒔が強敵なのだとわかる。

久美子「会長…………」

恵「…………宮永界君はどうしている?」

久美子「宮永さんは…………」カタカタカタ..

久美子「……今現在も愛宕雅枝と交戦中。全くの互角で、決着はまだ長引きそうとのことです」

恵「そうか…………ではとりあえず、手が空いている者は神代たちの元へ向かうようお願いしてくれ」

久美子「わかりました」カタカタカタ..

恵「………………」

恵(元四天王の石戸霞…………そして神代小蒔……)

恵(私が出るしかないか……?)

眉間にシワをよせる恵。どっしりとした雰囲気は崩さないものの、焦りを感じているのだろうか?

拳を強く握りしめている。

久美子「………信じましょう」スクッ..テクテク

久美子は立ち上がり、恵の元へ歩く。

恵「久美子君……」

久美子「『仲間を信じる』。これは以前会長がおっしゃた言葉です」

恵「……!」

久美子「………皆さん、戦力差を物ともせず頑張っています。そんな彼女たちに私たちができるのは、より戦いやすく支援することと、信じることです」

恵「………………そう、だな。みんなが必死にやっているというのに、会長である私が焦っているなど……情けないな」フフッ

久美子「会長……」

恵「これから……戦いは厳しい最終局面を迎えるだろう………だが」

久美子「」コクリ

恵「私は……リリーブライドが勝つと信じる。最後まで仲間を信じよう」ニコリ

久美子「はい」ニコリ

恵「…………久美子君、大事なことを思い出させてくれてありがとう」スッ

どこか晴れやかな顔で右手を差し出す。
667 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:48:37.45 ID:8MnlR9I2o

久美子「…………いえ」ニコリ

同じように久美子も右手を出し、恵と握手をした。とても穏やかな空気が流れる。

だが、握手から数秒後、久美子の行動によってその空気は破られた。

久美子「…………シッ!」シャッ!

右手で恵の手を握ったまま、久美子は左手を空いた左手で恵のスカートへ伸ばす。パンチラを狙った攻撃だ。

恵「!」

話し合い、握手、そしてスカートめくり。

段階は移り変わっていく。時代と同じである。いつまでも変化しないものなどない。

久美子(会長の右手は封じてる。今なら簡単にスカートをめくれる!)

久美子の思惑通り、左手でスカートをめくることに成功。後は上へと持ち上げるだけ。

そうすれば、恵のパンチラが完成する。

久美子(もらっ…)バッ..

恵「…………」

久美子(…………えっ?)

しかし……スカートがめくれない。見えない何かがパンチラを防いでいる。

久美子(これは……!?)グググググ..

額に玉の汗をかきながらも、さらに手に力を入れて持ち上げようとする。

だが、やはり恵のスカートはめくれない。

恵「ふふふ…………」

久美子「!会長……これは…………」

恵「久美子君……私の右手を封じ、その死角からパンチラを狙ったようだが……甘い」

久美子「う……」

恵「冷静にスカートを見てみたまえ」

久美子(……?)ジー

恵「…………」

久美子(…………別に何もおかしなことは…………あっ!!)

恵「気付いたかね?」

久美子「スカートの裾に……安全ピンが止めてある……」

恵「その通り。スカートをめくることにばかり意識を割き、観察を怠った君のミスだ」

久美子「っ…………」

種明かしはこうだ。恵はパンチラを防ぐため、久美子との会話中にさりげなくスカートの裾に安全ピンを付けた。(当然、ピンが目立たぬよう同色を使用)

そのピンにはあらかじめ地面から腰までの長さの紐が取り付けてあり、裾から伸びた紐は恵の靴の下に繋がっている。

その紐を踏み、体重をかけることによってスカートめくりを防止できる仕組みになっているのだ。
668 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:49:18.00 ID:8MnlR9I2o

久美子「で、でも……さっきめくろうとした時にはピンなんて付いてなかったはずです!」

恵「その通り。君が『信じましょう』と言った辺りで付けたのだ。会話中にパンチラを狙いに来ると読んだからな」

久美子「……全てお見通しですか……」ハァ

恵「悔やむことはない。君はまだ若……」

久美子「なら……こっち!」

勝ち誇る恵の虚をつくように、久美子は体を右に捻る。

同時に、繋いだままの右手を引いて、恵の体勢を崩す。

恵「む」

引いた右手の下に左手を通し、両手をクロスさせた状態で恵の左からスカートを狙う。

久美子(会話中にピンを付けたのなら……時間的に両方を留めるのは不可能。こっちはガラ空きのはず!)

恵(そう来たか!雑誌記者とは思えぬ瞬発力!)

久美子の読みは当たっていた。

恵がピンを付けたのは右側のみ。左側にはなんの細工もしておらず、ペロンとめくればパンティーオープン。

そしてパンチラへ……

久美子の左手が伸びる。スカートまであと数センチ。

久美子(もらったわ!)ヒュッ!

だが、次の瞬間、夢は潰えた。

恵「フン!」

久美子「えっ!」

久美子に右手を引かれ、バランスを崩していた恵の体が急激に沈んだ。

左足を動かさぬまま、引っ張られるまま右足を大きく前へ出す。そして腰を地面へストンと落とす。いわゆる股割りを披露したのだ。

久美子(……この体勢からパンチラへ至る道は…………)

頭をフル回転させて考える。

もっと引っ張る……これは無理だ。久美子の力では、地面に全体重をかけている恵の股割りは崩せない。

メンコの要領で、何かを床に叩き付けて風を起こし、スカートをめくる……。これも不可能。メンコ的なものは近くにないし、叩き付けるモーションを盗まれたら、スカートを抑えられてしまう。
669 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:50:11.44 ID:8MnlR9I2o

久美子「………………」

スカートを引き裂く……ダメだ。スカートを傷付けたりしたら本気で怒られる。しばらくご飯も奢ってもらえなくなるだろう。

久美子(打つ手が…………ない)

恵「久美子君。さっきの私じゃないが、焦る必要はない」

久美子「?」

恵「君はまだ若い。これから成長すればいい」

久美子「会長……」

恵「無論、私も成長するつもりだから、そう簡単にパンチラをさせるつもりはないがね」フフッ

久美子「……いえ、いつか必ず……パンチラさせてみせますよ」ニコリ

完全敗北を喫した久美子。しかし、彼女は笑顔を浮かべた。

何故か。それは、目指すべき目標の偉大さを再確認したからである。

簡単に叶わないからこそ、努力し、研究し、挑戦する。

原村恵の『パンチラをしない』という信念。

その信念を超える力を得るまで、久美子の挑戦は終わらない……。
670 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:51:25.76 ID:8MnlR9I2o

【北側】

照「………………」

咲「………………」

桃子「……………」

咲「深堀さん、来ないね……」

照「うん」

桃子「……もしかして、何かあったんすかね」

照「どうしよう?こっちから会いに…」

??「お〜〜〜い」

照「あ」

桃子「深堀さんっすかね」クルッ

咲「!あれは……」

久「」

智紀「」

咲「部長!沢村さん!」

照「久……」

桃子「む……清澄の部長さんっすか」

久「2人とも元気そうね。よかった」

照「あ、2人じゃなくて……」チラ

桃子「………………」

久「?」

桃子「………………♪それぞれが好ーきなことで頑張れるなら〜っす」ダンス!ダンス!

久「わ、びっくりした!東横さんも一緒だったんだ」

桃子「はいっす。ようやく見えましたか」

照「危ないところを助けてくれた」

久「そうなの?ありがとう」ニコッ

桃子「い、いいえ」

咲「あの……南側はどうでした?」

久「あっちの方は随分落ち着いたわ」

智紀「……今は北側の方が危険」

照「それって……」

久「本部から電話があったのよ。北側に神代さん……連合軍の秘密兵器が現れたから向かってくれって」

照「!こっちにいるんだ……じゃあ深堀さんが来てないのって……」

咲「もしかしたら……神代さんと会って……?」

桃子「……とりあえず私たちも向かった方がいいかもっす」
671 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:52:04.79 ID:8MnlR9I2o

♪〜

照「…あ、ちょっと待って。電話」ピッ

照「もしもし」

貴子『宮永ァァッ!!!!!』

照「っ!!!」キーン...

貴子『今すぐ神代の元へ向かえァァッ!!って、いきなり言われてもわかんねぇか!神代ってのはなァ、聞いて驚け!連合軍の秘密兵器なんだ!!』

照「あ、それは知ってます」

貴子『て、てめェ!!勝手に知ってんじゃねェぞ!!偉そうに言った私が赤っ恥状態だろうが!!』

照「……すみません」

貴子『ったく……で、だ!神代は今、お前らの近くにいるんだ!!』

照「そうらしいですね」

貴子『これも把握かこの野郎!何でも知ってんのかコラァ!!』

照「えと……それで、どうすれば?」

貴子『あぁ……そこの守りは他のやつがやる。だからお前らは今すぐ神代の元へ行け』

照「……!」

貴子『……本来なら私が行きてぇところだが……ダメージが抜けてねェァァッ!!!!!!!!』

照「〜〜っ!」キーー--ン...

貴子『……くそっ……ノドが痛ぇ……とにかく、そういうわけだから頼んだぞ』ブツッ..

照「…………切れた」

照(叫ばなければノドの負担は減ると思うんだけど……)

咲「誰?」

照「久保さん。神代さんのところへ行けって」

咲「そうなんだ。神代さんはどこにいるの?」

照「……わからない。言わなかった」

咲「え」

♪〜〜

照「あ、きた。久保さんだ」ピッ

照「もしも…」

貴子『場所はァァッ!?ゲホッ!ゲホッ!……あー、キツい…………竹井に聞けァァッ!!』ブツッ!

照「………………久」

久「ん。なんとなくわかる。案内は私に任せて」アハハ

照「うん」

照「………………」

照(秘密兵器……か)

照(……深堀さん大丈夫かな………合流できるといいけど……)
672 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:53:03.77 ID:8MnlR9I2o

【北側 外れ】

憧「……あ、あの……」

霞「なぁに?」

憧「正直、やばいんじゃ……」

霞「どうして?」

憧「だってあの人……」

純代「…………………」

憧「四天王の深堀さんですよ?」

霞「そうね。とっても強いでしょうね」ニッコリ

憧(だったらなんでそんなに落ち着いてるの!?巫女さん全員で攻めるとかした方が……)チラ

霞「残念だけど、あの子たちじゃ歯が立たないわね」

憧「!」

霞「守備に徹するのならある程度は時間を稼げると思うけど……ね」

憧「じゃ、じゃあ……」

霞「ちなみに、私でも勝てないと思うわ」ウフフ

憧「え……」

憧(な、なんなの?笑顔で敗北宣言っ!?)

小蒔「霞ちゃん、私に任せてください」ニッコリ

憧「神代さん……」

霞「ごめんね?お願いします」

小蒔「はい。頑張りますっ」テクテク

純代「………………」

小蒔「………………」

3メートルほどの距離を開け、2人が対峙する。

周りの空気が引き締まり、ピンと張りつめる。
673 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:53:42.12 ID:8MnlR9I2o

小蒔「……………」

憧(神代さん、すごく落ち着いてる……深堀さんを前にしてるのに……)

純代「……………」

純代(動く気配なし……なら、こちらから仕掛けるか?)

小蒔「〔 八 咫 鏡 ( や た の か が み )〕」

純代(!先手を打たれた……)

小蒔が右手を空へとかざすと、天から大きな鏡が降ってきた。

もちろんこれは妄想が生み出したイメージだ。しかし純代には確かな質量があるように感じられた。

小蒔「…………」

純代(鏡……一体、どんな攻撃……?)

小蒔「っ……」ヒュン

上げていた右手を振り下ろす。するとその鏡が空中でくるりと回転する。

純代「?」

そしてそのまま鏡は消失した。

小蒔「…………」

純代「…………」

純代(なんなんだ?今、何をした……?)

小蒔「…………」

純代(動く気配はない…………なら、考えるより前に攻める!)

小蒔「…………」

純代(清楚であろう巫女装束を身に纏う姫・神代小蒔…………あなたには便秘1週間のスカをくれてやる!シチュは参拝客と巫女だっ!!)
674 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:54:21.56 ID:8MnlR9I2o

純代「………………?」

純代「…………………………」

純代(な、に……っ?)

霞「…………ふふ」クスッ

憧「?」

小蒔「………………」

純代(なんだ……これはっ!?)

純代(妄想が…………できない……いや、できなくはない…………でも!!)

純代(どうして!『巫女と参拝客が"男"に変換される』んだ!!!??)

あまりの驚きに顔が青ざめる。

『今までの人生で味わったビックリしたことベスト10』を決めるとしたら、今回の出来事は間違いなくランクインするだろう。

もしかしたら『初めてのウォシュレット』を抑えて1位になるかもしれない。

何故なら、純代にとって妄想は日課……いや、分課と言えるほど馴染みのあるもの。

だが、今現在純代は自分の描きたい妄想――今回では巫女と参拝客―――を頭に浮かべられない。

それどころか、巫女は股間の膨らんだ男の宮司、参拝客は油ギッシュな男子高生に変換されている。

純代(違う……こんなのは違う!もう一度……可愛い便秘の巫女さんを頭に描くんだ!)ブンブン!

頭を振って思考をリセットし、再び妄想する。しかし、

宮司『腹痛い……』

現れたのは便秘の男宮司。『腹痛い』と『祓いたい』がかかっていることに気が付き、少しだけ『おっ?』となったが、すぐに冷める。

純代(どうしてこんな…………これは、やはり……)チラ

小蒔「………………」

純代(さっきの……鏡か!)

霞「ふふふ………」
675 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:55:26.70 ID:8MnlR9I2o

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

霞「八咫鏡……?」

小蒔「はい」

霞「天照大神の岩戸隠れの際に作られた……天照大神が岩戸を少し開けた時、この鏡で天照大神自身を映して興味を持たせ、外に引き出したという?」

小蒔「そうです」

霞「どうしてその名を……?」

小蒔「……私は……お父様と同じく、百合妄想士のつもりです」

霞「あ………」

小蒔「でも…………お母様は……私に『薔薇妄想士を継いでほしい』と言います……」

霞「そう……確かに……返事をする時は『アッー!』ってしなさい、と言われていたわね」

小蒔「はい……でも私、ダメなんです。百合の方が好きで……『ごきげんよう』がいいんです……」グス

霞「小蒔ちゃん……」

小蒔「…………もう……御神輿の担ぎ手たちで薔薇妄想をさせられるのは嫌…………『はちまきの本当の使い方を教えてやるぜ』とか……ダメですっ……」

霞「………………」

小蒔「……そんな日々が続き、疲れていた私は鏡の前でふと思ったんです」

小蒔「『鏡に映る私……いえ、鏡の中にいるワタシが私の代わりに薔薇妄想をしてくれればいい』と。そうすれば私は百合妄想に生きられる……と」

霞「………………」

小蒔「……おかしなことを言ってるってわかっています。鏡の中なんて存在しないことも……でも私は現実逃避をするように心から願ってしまいました」

小蒔「その時……力に目覚めたんです」

霞「力……?」

小蒔「……鏡が発する光を浴びた人間は、私が思い描いたワタシ……つまり鏡の中にいる自分と入れ替わり、百合妄想をすれば薔薇妄想に変換され、薔薇妄想は百合妄想へと変換されてしまう能力です……」

霞「!!」

霞(つまり……妄想内の女性キャラが男性キャラに……男性キャラは女性キャラになる……?)

小蒔「この力を得たことによって、私はお母様の薔薇ドリル――神代母が作成した薔薇妄想の課題(毎週提出)――を楽々とこなせるようになりました」

霞「でも……それだと逆に百合妄想をするのが難しくなるんじゃないかしら?」

小蒔「……私も最初はそう思いました。でも……薔薇妄想の行き着く先が百合妄想になると知ったので薔薇の感じが薄れたみたいで…………だいじょぶでした」

霞「あら。よかったわね」

小蒔「はいっ!」ニコリ

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
676 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:56:09.89 ID:8MnlR9I2o

純代「……っ!」

霞「……………」

霞(深堀さん、苦しんでるみたい)

霞(……当然かもしれないわね。小蒔ちゃんは薔薇妄想士と百合妄想士の混血……ある程度薔薇妄想の教育を受けているけれど、深堀さんは違う……)

純代(ダメだ……っ!どうしたって男になる!男のスカなんてありえないのに!!)

霞(いえ、深堀さんがどうこうという問題じゃないわね。ただ単純に……百合妄想士は小蒔ちゃんに勝てない、ということ……)

純代(くそっ!)

百合スカ妄想を薔薇スカ妄想へと変換され、攻撃を仕掛けられない純代。

百合妄想を奪われた百合妄想士……

それは、

『べ、別に…』を奪われたツンデレのように無力だ。

小蒔「………いきますっ」

純代「!」

そんな純代を尻目に、小蒔は純代を見つめ、薔薇妄想を描く。

小蒔「」ピキィィィン...
677 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:56:52.21 ID:8MnlR9I2o

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

跡部様(♀)「ほうら凍れ」

ピキピキ..

越前(♀)「!」

跡部様「氷の世界!」

越前(にゃろう……)

跡部様「その氷柱をテメーで尻に入れな」

越前「は?バカじゃん?」

跡部様「………体で教えねえと分からねえタイプだな」スッ..グリグリ!!(リョーマに近付き、氷柱をお尻付近に押し付ける)

越前「んぁっ!?」ビク!

跡部様「ハッ!どうだ?」ニヤリ

越前「……まだまだだね」

越前(気持ちよかったなんて……そんなことあるわけ……)ドクン..ドクン..

跡部様「…………」スッ(手を軽く上げる)

氷帝の部員たち(♀)「攻めるの氷帝!!受けるの青学!!」

越前「!!」

跡部様「ククク……」

氷帝の部員たち「攻めるの氷帝!!受けるの青学!!」

越前「………………」

跡部様「氷柱だ。受け取れ」(リョーマに氷柱を手渡す)

越前「………………」

氷帝の部員たち「攻めるの氷帝!!受けるの青学!!」

越前「………………」

氷帝の部員たち「攻めるの氷帝!!受けるの青学!!」

跡部様「………………」

越前(一度、だけなら…………)

プスッ...

越前「ッ!!アーン!」ビクビクッ!

跡部様「!俺様の口癖を……やるじゃねぇか」ニヤリ

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
678 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:58:15.72 ID:8MnlR9I2o

純代「ぐ、ぁ……!?」

純代(こっちの妄想は男になるのに、向こうは普通に妄想できるなんて…………しかも今の攻撃は私と同じで相手に映像を見せる攻撃……)

霞(ふふふ、驚いているみたいね。深堀さんは妄想をリアルな映像として相手の脳内に送り込めるようだけど……)

小蒔「」フゥ..

霞(あなただけが使えると思ったら大間違いだわ)クスッ

純代「はぁ……はぁ……っ」

霞(……もっとも、小蒔ちゃんほどの力をもってしても九面の神の力を借りなければ使えないようだから……生身で使えるレベルにまで達した深堀さんは脅威的ではあるけれどね)

純代(スカがダメなら……違う方面で……)

純代「………………!!」

純代(まただ……これも男に変わる……っ!)

今、純代は擬人化で百合妄想をした。

無機物には性別はないため、通用するかもしれないと踏んだためだ。

しかし、小蒔の能力は『最終的に頭に浮かべた人物の性別を反転させる』こと。

たとえ機械や建物を擬人化したとしても、女性として妄想すれば最終的には男へと変換されてしまうのだ。

純代(どうする!?どんな妄想も全て男にされる……なら逆に薔薇妄想をしてみる?いや、そんなことできない!私のプライドが許さない!)

純代(……とはいえ、このまま攻撃されるだけではジリ貧………いっそのこと、神代小蒔以外の相手に仕掛けるか?)

小蒔「では、いきます」

純代(!またくるか……!)

小蒔「〔 天 叢 雲 剣 ( あ め の む ら く も の つ る ぎ )〕」

ゴゥゥッ......

純代「!?」

純代(い、今のは……なんだ?体の中を何かが通ったような…………それに……体が軽い?いや、軽いと言うより……薄い……?)

今何をされたのか、純代は気付いていない。

何もない空間から剣が出現し、純代の体を斬り付けたこと。

そしてその際、純代の精神を守る防御力を奪い去ったことを。

霞(〔天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)〕。別名、草薙剣。人の心の表面を薙ぎ払い、心の壁を消して無防備の状態にする能力……)

霞(これを受けてしまったら、このあとのどんな攻撃も命取りになる)

小蒔「……………」ピキィィン...

純代(まずっ……)
679 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:58:47.90 ID:8MnlR9I2o

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ゴン(♀)「キルア……可愛いお尻だよ」ナデナデ

キルア(♀)「そっ、そんなこと言うなよ……恥ずかしいだろ///」

ゴン「じゃあ……挿れるよ?最初はグー!ジャンケン…」

キルア「///」ドキドキ

ゴン「グー!!」ズムン!

キルア「!!!!!!」カハァ!

ゴン「どう?キルア」

キルア「か、体に電撃が走った……///」

ゴン「そっか」ニコッ

キルア(電撃は慣れてるはずなのに…………ゴンの手によるものというだけで……体が熱く……///)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


純代「ぐあぁああっ!!」フラァ..

巨体がぐらりと揺らぐ。

〔天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)〕を受けたことによって、純代の防御力は紙装甲どころかスケスケレースのTバック以下。

小蒔の一撃を受け、膝をつく。

純代(なんて重い……!)

小蒔「…………」

ピキッィィィン..

純代「!」
680 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 06:59:36.97 ID:8MnlR9I2o

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ゴン(♀)「キルア……可愛いお尻だよ」ナデナデ

キルア(♀)「そっ、そんなこと言うなよ……恥ずかしいだろ///」

ゴン「じゃあ……挿れるよ?最初はグー!ジャンケン…」

キルア「///」ドキドキ

ゴン「チー!!」スパァ!!

キルア「!!!!!!」カハァ!

ゴン「どう?キルア」

キルア「か、体に電撃が走った……///」

ゴン「そっか」ニコッ

キルア(電撃は慣れてるはずなのに…………ゴンの手によるものというだけで……体が熱く……///)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


純代「がはぁぁ!!」

純代(さっきとほぼ同じ……なのに……こんなにも重い……)

小蒔が繰り出したのは、ほぼ同じシナリオによる百合妄想。

少しパターンを変えただけの速度重視攻撃。

普通ならば新鮮味が欠けるため、威力は大分軽減されるのだが、防御力Tバックの純代にとっては大ダメージとなる。

小蒔「………………」

純代(……せめ、て…………最後に…………一太刀でも……)

奇跡を信じ、余力を振り絞ってスカ妄想をする純代。

しかし脳裏に浮かんだのは、学ランを着た男子生徒がウンチングスタイルで微笑んでいる姿。

純代「ぅ……あぁ…………」

純代(ダメ……か…………まさか、私が…………手も足も……出な……いなんて……)ガクッ..バタッ..

ズズ..ン...

純代「………………」

憧「………………」

憧(すっご……怪物とか噂されてる深堀純代を軽くあしらうとか……)

小蒔「………………」クルッ

憧「!」ビクッ

小蒔「……勝てましたっ!」ニコッ

振り返った小蒔は両手で力こぶを作るポーズで笑顔。

憧「あ……」

霞「お疲れ様。さすが小蒔ちゃん」ウフフ

小蒔「頑張りました」

憧「……………あははっ」

憧(さっきまで怖いくらいの迫力だったのに……何この落差。なんか気が抜けちゃった)クスッ
681 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 07:00:07.70 ID:8MnlR9I2o

小蒔「??」

霞「……さて、それではリリーブライド本部へ…」

LB軍I「深堀さんっ!?」

憧「あ……」

LB軍J「……石戸霞に神代小蒔……それに……新子憧!」

霞「見つかっちゃったわね」

小蒔「逃がしてくれるでしょうか?」

憧「無理だと思います」

霞「そうね」

小蒔「残念です」

憧「……どうします?あれくらいの人数なら、あたしでも……」

霞「私に任せて」ザッ

憧「石戸さん……」

LB軍J「石戸霞は元四天王!油断は禁物よ!」タタタッ!

LB軍K「はいっ!」ダッ!

憧(うわ、一気に来るっぽい……石戸さん、どうするんだろ?)

霞「………………」

LB軍J《キス魔と化した千歳を利用し、千歳を介した京子との間接キスを企む綾乃…》

攻撃を仕掛けながら霞の横をすり抜けようとするLB軍J。

憧(む。あの動き……先手を打って石戸さんの動きを止めて、後ろに回り込む気だ。挟み撃ち狙いか)

LB軍J(うん、いい感じ。後はフォーメーション通りに…)

霞「ごめんなさいね」

LB軍J「えっ」グイッ

先の攻撃など意にも返さず、霞の手がLB軍Jの襟を掴み、引っ張る。
682 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 07:00:43.99 ID:8MnlR9I2o

LB軍J「わぁ!」

LB軍J(た、倒れるっ!?)

ダキッ..

LB軍J「…………あれ?」

LB軍J(私……倒れてない……というか…………)チラ

霞「うふふ」

LB軍J「!?」

LB軍J(石戸霞に抱きしめられてる!?なんで!?)

LB軍K「J!?私とのことは遊びだったの!?」

LB軍J「えっ、ち、ちち、違うよぉ!」

恋人であるKに誤解されることを恐れ、無理やり抱きしめられてることをアピールするため、口を開こうとするJ。

しかし……

霞「〔 母 な る 大 乳 ( は は な る だ い ち )〕」ボッィィィッィッィイ....ンヌ!

Jの口は、爆乳で蓋をされた。

LB軍J「わぷっ!」

LB軍K「J!!?」

霞「」ムニムニ

LB軍J「……ぁむぶぶぶぶ……」

霞のおっぱいに顔をうずめる形となり、何度かムニムニされる形となったJは、霞のおっぱいの形の良さを知る形で、おっぱいの柔らかい感触を知る形となり、赤ん坊だった頃を思い出す形にされ、

LB軍J「ばぶー……だぁだぁ」

精神が幼児退行する形となった。
683 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 07:01:29.00 ID:8MnlR9I2o

霞「うふふ……」

〔母なる大乳(ははなるだいち)〕。

豊満で形のいい胸と、石戸霞が本来持っている母性本能――老けているという意味では断じてない――により、胸に顔の面積の90%以上を埋めた形になった相手を幼児退行させる形にする能力。

以前、ヤンデレ化した弘世菫を落ち着かせる形にするためにも使用された。

効果はそれほど長くないものの、一瞬で戦意を奪う形となるため、重宝される形だ。

『母なる』とあるが、能力を受けた形の人物の実母が霞ほど巨乳ではない形でも効果はある形になる。

LB軍J「ままー!おっぱ!おっぱ!」

彼女の頭の中にあるのは、おっぱい吸いたいという欲望の形。こんな形では、もはや百合妄想どころではない。

霞「また今度ね」ニコリ

LB軍K「J……」

霞「」ススッ!

LB軍K「っ!?」

LB軍K(いつの間にか目の前に!?まずいわ!捕まっ…)

霞「うふふふ……」ダキッ(Kを抱きしめ、顔を胸に埋める)

LB軍K「もごごご…………」

霞「」ムニムニ

LB軍K「…………ばぶー……」

霞「……さあ、次はどなたが相手かしら?」

LB軍「………………」タジッ

憧「………………」

憧(石戸さん……すごい…………間近で見ると超おっきい……)ゴクリ

憧(あたしもあれぐらいあったら……と思ったけど、あれは将来大変そう……)

LB軍「い、石戸霞より先にこっちを狙うのよ!」タタッ!

憧「うぇっ!?」

憧(こっち来た!?あぁもう!)
684 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 07:01:56.53 ID:8MnlR9I2o

【西側 外れ】

塞「ね、ねぇ、はつみたん。携帯の番号教えてくれない?」

全裸初美「嫌ですよー」

塞「ちょ、なんで!?」

全裸初美「自分の胸に聞いてみるですよー!」

塞「そんな……ちょっと羽目外しちゃっただけじゃない」

全裸初美「……羽目を外すどころか壊してた気がするですよー」

塞「……そんなー、はつみたぁん」

全裸初美「……まずその『はつみたん』っていうのがちょっと……」

塞「なんで?可愛いくない?」

全裸初美「むー……なんか子供扱いされてる気がするですよー」

塞「してないしてない。ちゃんと性的な……こほん。女性として見てるよ」

全裸初美「…………」

塞「?どうかした?」

全裸初美「いえ……さっきから会話中にチラチラ目線が股間に来てるのが気になりました」

塞「だ、だって……はつみたんが魅力的だから……」

全裸初美「っ……そ、そんな……お世辞を言われても嬉しくなんかないですよー……///」プイッ

塞「お世辞じゃないよ?」

全裸初美「…………本当ですかー?」

塞「うん!本当!」

全裸初美(………そこまで言うなら……電話番号くらいは教えても……いぃかもですよー……///)
685 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 07:02:53.56 ID:8MnlR9I2o

塞「ひろえたんの健康的でスベスベなお肌もいいけどね!」

全裸初美「!」ピク

塞「それに勝るとも劣らないはつみたん!最高だわ!」

全裸初美「…………そうですかー」

塞「そうよ!だから、ね?番号教えて!?」

全裸初美「生涯教えません」

塞「ええっ!?」

全裸初美「ふん……」プイッ!

塞「はつみたん…………怒ってるところも可愛い……」ハァハァ

??「あ、おったおった」

塞「?」

全裸初美「あ……荒川さん」

憩「また会うたなぁ」

塞(荒川憩……相変わらずのナース服…………あ、はつみたんがナース服着るとかいいかも。ダボダボで逆に看護されちゃうはつみたん……///)

憩「早よ服着た方がええよ?風邪引くで?」

全裸初美「……そうですねー」ファサッ

初美「ふぅ……」

塞「!!?」

塞(服着ても可愛いのは間違いない…………んだけど……だけどぉぉ……)ヌギャ-..

初美「荒川さん、また回復しに来てくれたんですかー?」

憩「ごめんなぁ。薄墨さんは一度回復したからもう無理です」

初美「え?」

憩「私の能力は1人1回までやから」

初美「あうー……残念です」

憩「っと、あなたは宮守の臼沢さんやね。こんにちはー」

塞「あ、どうも……」

憩「それと……監督の熊倉さん」

トシ「私も名が売れたもんだね。いい感じさ」

塞「荒川さんは……救護班だっけ?」

憩「そうですー。花田さんがここにおるって聞いて来たんです」

塞(……うーん、救護班には手出し無用だったわよね。でも連合軍が復活するのを黙って見てていいのかな?)チラ

トシ(私もお腹が空いた。どこかに食べに行くとしよう。なか卯でいいかい?)コクリ

塞(…………そうよね。もう私自身力が残ってないし、1人につき1回しか回復できないなら、ひろえたんも復活しない。あとのことは他の人たちに任せることにしよう)コクリ

トシ(よし、なか卯で決まりだね)ニコリ
686 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 07:03:37.32 ID:8MnlR9I2o

煌「…………」

憩「……花田さん。少し待ってな?」スッ

憩が倒れている煌のそばに座り込み、手をかざすと手の平から青い光が発生する。

煌「………………」

数秒間手をかざした後、煌の耳元へ口を寄せ、囁く。

憩「『ガッツやで』、『めっちゃ頑張って偉いなぁ』」

煌「ん……」

ナースでウィスパーなボイスでポジティブなエネルギーを込めたワードがスバラな耳にフィットする度、ビクンとボディが跳ねる。

憩「『花田さん、可愛いで』、『無理せんといてな』、『早よ帰って来て。ずっと待ってるから』、『私、花田さんのこと好きやねん』」

煌「お、おおお……」

憩「『こんなん……誰にでもすると思わんといてな?』、『うちのドキドキ、聞こえるやろ?』、『めっちゃ恥ずかしい……こんな姿、じっと見んといてぇや』」

煌「すばらぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああ!!!!!」

花田煌、完全復活。

塞「っ!」ドキッ!

トシ「!?」ビクゥン!

憩「ふふ……おはよう」ニコリ

煌「はっ……お、おはようございます」

塞(ビックリした……急に叫ぶとか、心臓に悪いって)

トシ(たまげたよ……これじゃあ、なか卯は中止だね。消化のいい物食べよう)ドキドキ

煌「ら………すば?」パチクリ

塞「大丈夫?」

煌「わ、私は!」ガバッ!

憩「わ!そない急に起きたらあかんて!」

煌「あ……………荒川さん?ということは………私を回復してくださったのですか?」

憩「ん、そやで」ニッコリ

煌「……………それはもったいないことを……荒川さんの行動はすばらですが……私を回復しても、もうお役には立てないのです」

憩「え?」
687 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 07:04:24.50 ID:8MnlR9I2o

煌「私の能力は週に1日のみ使えるもの。と言っても24時間有効というわけではなく、破られたらその時点で使えなくなるというものみたいです」スバラクナイ...

憩「みたい?」

煌「今日初めて破られましたので……」

憩「そうなんや」

煌(そして、能力使用の代償として……6日間、自慰行為で達することができなくなるのです……すばらな絶望感……)

憩「……………」

煌「非常に申し訳ありません………」スバラクナーイ...

憩「花田さん。うちは別に強いとか弱いとか、そんなんで治療してへんよ?」

煌「………荒川さん……」

憩「うちは戦闘はからっきし。せやから……せめて頑張って戦ってくれてる人に元気になってもらいたい。そう思って救護班をやってるんや」

煌「…………!」

憩「花田さんが元気になってくれて、うちは嬉しい」

煌「すば……」ウル..

憩「せやから………もったいないとか、そんな悲しいこと言わんといてや」

煌「すば………すば………」ウルウルル

憩「な?」ニッコリ

煌「すばらぁぁっ!」ガバッ!(憩に抱き着く)

憩「わぁ!?」

煌「すばらぁあああ〜〜〜!!す〜〜〜〜ばらばらばらば!!」ウワーーーーン

憩「ふふふ」ナデナデ

煌「ばらららららら!ばーららららら!!」

塞「…………」フフ

トシ「……………」フフ

塞「すばらですね」
トシ「すばらだよ」

塞・トシ「……………」ハッ!

塞「……先生……」

トシ「言いたくなるのに年齢は関係ないんだよ」
688 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 07:05:08.94 ID:8MnlR9I2o

【東側】

灼「………………」

灼「…………ん…」パチッ

灼(あれ……私、なんで地面に寝て……?)

灼(…………って、そうだ……私、東横さんたちに負けて……)

??「ん?おー、目が覚めた?」

灼「!」

灼(この声は……!)

灼「ハルちゃん!」ガバッ!

晴絵「ははっ、そんなに慌てて起きなくていいって」

灼「でも……ここ、道路。直に寝てたら服とか汚れ………あれ?」

灼(私が寝てたところに何か敷いてある…………これ、バスタオル?)

晴絵「教え子をダイレクトに地面に寝かせはしないって」

灼「あ、ありがとう……///」

晴絵「ん」

灼「でも、タオル汚れちゃう……」

晴絵「気にすんな。そのタオル、実業団にいた頃に売ってたグッズなんだけど、余ってたからさ」

灼(…………博多エバーグリーンズ・赤土晴絵……ハルちゃんの勇姿がプリントされてる……イカス……)

晴絵「か、勘違いするなよ?余ってたのは私が人気ないとかじゃないからな!?実業団だから全体的な規模がプロより小さいってだけで……チーム内の売り上げで言ったら2位3位を争うとか聞いたし……」

灼「わかってる」ポフ(タオルに顔を埋める)
689 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 07:07:50.71 ID:8MnlR9I2o

晴絵「灼……」

灼「それに……」

晴絵「?」

灼「1位になれなかった原因は写真だと思う。この写真はハルちゃんの魅力を全然引き出せてない」

晴絵「だよな!?他にいい写真あったろっての!」

灼「でも……ユニフォーム姿のハルちゃん、カッコイイ……///」

晴絵「う……あ、ありがと……///」

灼「///」

晴絵「///」

晴絵「……ま、まぁ、それはそれとして……灼、スポーツドリンクと水、どっちがいい?」

灼「あ…………水で」

晴絵「そっか。じゃあほら、スポーツドリンク」スッ

灼「え?」

晴絵「本当はこっちが良かったんでしょ?私に気を遣うなって」

灼「あ……………うん……ありがと……///」

晴絵「ごくごくごく…………ぷはぁ〜、生き返るわー。はぁ〜、どっこいしょ、っとくらぁ!おしゃあ!」ドスン!

灼「………………」

晴絵「あ、今、地べたに座ってだらしないって思ったでしょ!?」

灼「え?あ……………うん」

晴絵「やっぱりな〜!灼の考えは読めるんだよ」ガッハハ

灼(本当はおじさんっぽい、って思ったんだけど……)クスッ
690 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 07:08:54.89 ID:8MnlR9I2o

晴絵「ふー……」

灼「あ、そういえばハルちゃん、もう大丈夫なの?」

晴絵「んー……まだ目を閉じたらふたなりち○ぽの残像がまぶたに映るけど……大丈夫だよ」

灼(……それ、大丈夫な状態じゃない気が……)

晴絵「灼はどう?」

灼「あ…………私も大丈夫…………」

晴絵「ならよかった。負けたって聞いて心配だったんだけどさ」

灼「………………」

晴絵「どんな風にやられたの?」

灼「ええと…………」

灼(姿の見えない東横さんに体を触られた→それはハルちゃんにされてることだと思い込まされた→気持ちよくなってしまった→天国)

灼「い…………言えない////」

晴絵「そ、そっか……」

晴絵(言えないほどのことをされたのか……最近の子は進んでるっていうし………将来が末恐ろしいな)ウーム

灼「////」

晴絵「……さーて!これからどうしよっか?」

灼「……ハルちゃんは?」

晴絵「んー?」

灼「ハルちゃんはどうするの?」

晴絵「…………荒川さんを待って回復してもらって戦線復帰という手もある……というか、愛宕さん的にはそうしてくれってところだろうけど……」

灼「けど……」

晴絵「……一度負けを認めちゃったからさ、なんか………『やるぞ!』って気になれなくて」

灼「………………」

晴絵「それが私の悪いところなんだよなー。引きずっちゃうっていうか……」アハハ

灼「………………」

晴絵「灼を失望させちゃったりもしたよなー……」

灼「………ハルちゃんは立派だよ」

晴絵「またまたー」ハハハ

灼「本当にそう思う」

晴絵「え?あ………そう?」
691 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 07:09:34.88 ID:8MnlR9I2o

灼「私………ハルちゃんはすごいと思う!」

晴絵「へ?」

灼「麻雀の実力も、百合妄想士としてもすごい!それに……ちゃんと教師として頑張ってるし、運転免許も持ってる!他にも、ええと……」

晴絵「……………」

灼「……そう!サービスエリアでパンを奢ってくれたりする太っ腹なところも……」

晴絵「……………あ〜ら〜た〜!!!」ギュッ(灼を抱きしめる)

灼「わわわぁ!!」ドキー

晴絵「可愛いこと言ってくれんじゃん!!もう〜こいつぅ〜」スリスリ

灼「あわわあわ………/////」

灼(ハルちゃんの顔が………こんな近くに………/////)ポー

晴絵「あははは!まったく、灼は可愛いんだから」ナデナデ

灼「うう……///」

晴絵「…………ま、そういう訳で、私は今回はもう終了」

灼「………じゃあ、私も」

晴絵「いいの?」

灼「うん……戦う理由……ないから」

灼(ハルちゃんと一緒にいられるなら……百合キャラが東京弁のままだったとしても……アニメとかのイベント会場が関東に偏ってても……構わない)

晴絵「………じゃあ行こうか」スッ(手を差し出す)

灼「え……?」

晴絵「ん?繋がない?」

灼「つらぐ!!」アワワ!

晴絵「へ?」

灼「あ……いや、繋ぐ////」カァアァ

晴絵「ふふっ」キュッ

灼「……………!」キュン

灼(ハルちゃんの手……あったかい///)

晴絵「よし、行こう」

灼「…………うん///」
692 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 07:10:14.11 ID:8MnlR9I2o

【北側 外れ】

憧《新品の消しゴムに幼馴染の名前を書いて両思いになる占い!》

LB軍「きゃあっ!」バタッ

憧「はぁ……はぁ……」

LB軍「あの子……結構強い……」

憧(当たり前、でしょっ!そりゃ四天王とかに比べたら見劣りするかもだけど、あたしだってずっと百合に生きてきたんだから!)

霞「憧ちゃん、大丈夫?」

憧「はいっ!全っ然平気!」

霞「そう?」

霞(……とはいえ、小蒔ちゃんが出てきたことがLB本部に伝わったからか、どんどんLB軍の数が増えてきたわ……憧ちゃんも心配だし、この辺りで少し退場してもらおうかしら)スゥウウ

霞《〔 1 日 分 の 爆 乳 ( ワ ン デ イ バ ク ニ ュ ー )〕》ボムムムムムムムム...

LB軍「な、なにこれ………?体が重い……」

憧「??」

LB軍「動きにくい…………」

憧「これって……」チラ

霞「うふふ………彼女たちには、少し私の気持ちを知ってもらおうと思って、ね」ニコリ

憧「??」ンー?

〔1日分の爆乳(ワンデイバクニュー)〕。

石戸霞が今まで生活してきた上で味わってきた巨乳ゆえの重みや肩こり、

不快な視線を対象に負わせることで動きを鈍らせる能力だ。

対象が1人の場合、効果は1日続く。

複数人に分けて使用した際は、威力はそのままだが効果時間が減る。

霞が味わってきたことを基にしているため、年月を重ねるごとに威力が増す。

ちなみに、あくまで霞の体験を味わわせるだけであり、攻撃された本人の胸囲にはなんの変化も起こらない。どれほど望もうとも……

霞「できることなら、その状態のまま体育の授業を受けてもらいたいところだけど……またの機会にしましょう。今は……」サッ

巫女軍団「…………っ!」タタタッ!

LB軍「!!」

霞「あなたたちを退け、リリーブライド本部を目指すことにします」

小蒔「…………」ウトウト
693 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 07:10:46.60 ID:8MnlR9I2o

【北側】

照「…………」タタタタッ..

♪〜

照「!電話……」ピタッ

咲「わわ……!」ボフッ(照の背中にぶつかる)

照「っ、咲、大丈夫?」

咲「う、うん……」

照「電話がきたから……急に止まってごめん」

咲「ううん、私こそ、お姉ちゃんのブラ透けを見てたから避けられなくて……」

照「っ!?も、もう……見ないで///」サッ

咲「あ……」ドキッ

照「……わかった?」

咲「う、うん……///」

久「照?連絡事項かもしれないから、そろそろ電話出た方が……」

智紀「」コクコク

照「!そうだった……」ピッ

咲(迂闊なお姉ちゃんもかわいい……)

照「もしもし」

LB軍『もしもし!宮永照さんですか!?』

照「?はい」

照(声を潜めてる……近くに敵がいるのかな?)
694 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 07:12:15.47 ID:8MnlR9I2o

LB軍『今、宮永さんたちは神代のところへ向かっていると思うんですが、至急引き返してください』

照「え……」

LB軍『神代を始めとする巫女軍団は、今からリリーブライド本部へ向けて進軍するようですので……』

照「!」

LB軍『宮永さんたちは本部の方へ……お願いします』

照「わかりました」

LB軍『ありがとうござ…………ああっ!?』

照「?」

LB軍『………………』

照「??あの……」

LB軍『ばぶー』

照「………………え?」

LB軍『ばぶぶぶ……だだだぁ』

照「………………」

照(…………どういうつもり?伝達事項の途中で赤ちゃんになるなんて……)

LB軍『あーぶーぅ………きゃっきゃ』

照(……何か途方もないプレイを仕掛けられてるのかな)

LB軍『あぶぶぶ……ばぶっ!』ピッ

ツーッツーッ..

照(…………切れちゃった)

久「……どうしたの?」

照「……久は急に赤ちゃんになったりすることある?」

久「……………………は?」

照「…………あ、いや……なんでもない」

照(私、何を聞いてるんだろう?敵の攻撃とかが原因に決まってるのに……)

咲「……お姉ちゃんが望むなら私……オムツも……いいよ……///」

照「え?」

久「照……あなた…………」

智紀「高度……」

照「ち、違うから。電話の内容は私たちに本部に戻ってほしい、というものだった」

久「なるほど。攻めてきてるわけね。じゃあ戻りましょう」

照「うん」コクリ

照(……本部前での戦い…………いよいよこの戦いも終わりが近いのかな……)
695 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 07:13:08.08 ID:8MnlR9I2o

【南側 外れ】

雅枝「はああああ!」ヒュン!

絶望を刈る鎌が界の首を狙って放たれる。

界「甘いっ!」

しかし界の体に当たる直前、地面から生えたち○ぽで小石を弾いて鎌に当て、方向を逸らす。

雅枝「ちぃっ!」

界「そこっ!!」

今度は界の反撃だ。攻撃が失敗に終わり、舌打ちをする雅枝の背後。雑貨屋の前に立てられている看板からテカテカの亀頭を誇るち○ぽが出現し、雅枝を襲う。

雅枝「くっ!」

タイミングは完璧。避けるのは不可能と判断した雅枝。彼女のとった行動は……

雅枝「小さい!!」

ち○ぽに対する辛辣な評価だった。その言葉を受けたち○ぽは、ヘナヘナと力を失い、地面へボトリと転がった。

界「やるな……女の子のち○ぽとはいえ、小さいは禁句……」

雅枝「ふん!」

界「けど……今のが何度も通用するとは……」

雅枝「思ってへんわ。マゾのふたなりっ娘なら逆効果やしな」

界「…………さすがリリーフラワーガーデンの会長」

勝負はまさに互角。

範囲内すべての物から女の子のち○ぽを生やせる界は、360度どこからでも攻撃を仕掛けられるが、

雅枝の操る鎌に触れた瞬間、ち○ぽは霧消する。

しかし同時に雅枝の鎌も消滅するため、界の元へ届かない。

両者は己の持つ力を振り絞り、潰し合う。

天秤が釣り合った状態のまま、時間だけが進んでいく。

雅枝「っく……はぁ…」

界「はぁ……はぁ……」

生粋の文科系でインドア派。買い物はアマゾンに頼りすぎて運動不足の界。

おばはん特有のごろ寝のまま、娘2人をファンネルの様にこき使い、運動不足の雅枝。

体力までも互角の2人。

果たしてこの戦いに決着は付くのだろうか……。
696 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 07:14:34.22 ID:8MnlR9I2o

【リリーブライド本部】

久美子「……神代小蒔、石戸霞、新子憧……リリーブライド本部へ向かって進軍中……」

恵「…………」

久美子「…………会長」

恵「新子憧、幼馴染百合使い……頭の回転の早さによって抜群の切り返しと対応力を備える…」

恵「石戸霞は元四天王。実力は言わずもがな……そして神代小蒔は、深堀純代をも圧倒する手練れ……か」

久美子「…………各地の戦況は拮抗しています。宮守の助力があるとはいえ、数を考えればLB軍の大健闘と言えます」

恵「そうだな……とても誇らしいよ」

久美子「…………」

恵「……久美子君」

久美子「……はい」

恵「リリーブライドは勝てると思うか?」

久美子「それは…………」

恵「…………ふふ」

久美子「?」

恵「君もまだまだだな」

久美子「会長……」

恵「私たちは必ず勝つ!そう信じている……いや、勝つと決まっている!」

久美子「!」

恵「リリーブライドは、百合が今ほど浸透していない時代からずっと戦ってきた」

恵「その当時、少女漫画では食パンをくわえて通学するドジっ子は必ず男とぶつかり、恋に落ちる……女の子とぶつかりはしなかった……!」ギリッ...

恵「男性アイドルはイケイケで、陰で女性アイドルとこしょこしょ……女の子同士どころではない」

久美子「暗黒の時代……」

恵「その通り。時代が、世間がそうだったのだ。それに比べれば、連合軍の攻撃など恐るるに足らず!」

久美子「……でも、当時の戦いと百合妄想士が攻めてくる今回の戦いはベクトルが違う気がしますけど……」

恵「……………………」

久美子「………………」

恵「……………………」

久美子「………………」

恵「リリーブライドは負けん!必ず勝つのだ!!」

久美子(……私の疑問はなかったことにした……さすが会長)
697 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 07:15:54.59 ID:8MnlR9I2o

【中央(リリーブライド本部近く)】

LB軍L「ばぶー!」

LB軍M「だだぁー!」

霞「ふぅ……大分赤ちゃんにしたわね」ボイン!!

小蒔「…………」ウトウト

憧「ホント、強い……あたしの出番がないくらい」

霞「本部までどれくらいかしら?」

憧「えーと、このまま行けばもうすぐですね」

霞「その割には人数的に守りが薄い気もするけれど……」

憧「本部のすぐそばに多く割いてるんだと思う。それに、元々戦力差があったから余裕がないのもあるでしょうけど」

霞「ふんふむ。なるほど」

憧「だから、真っ直ぐ進んで問題ないはずです」

霞「わかったわ。では行きましょう…………!」

小蒔「!」ピクン!

憧「?」

憧(石戸さんが動かない?なんで?)チラ

憧が霞の視線の先を追う。

まず赤ちゃん化したLB軍が見え、次に巫女軍団、そしてその先に見えたのは……。

憧「!」

照「………………」

インターハイチャンピオン、宮永照。

咲「………………」

その妹、宮永咲。

久「………………」

インターハイで憧と戦った竹井久。暗闇に映える黒タイツ。

智紀「……………」

絶望を扱う四天王、沢村智紀。

憧「……………………なるほど」

憧(本部を守る最後の砦……ってわけね)

小蒔「………………」

照たちの登場に、今までうつらうつらと夢と現実の狭間を漂っていた小蒔が目を覚ます。

小蒔「………………」

その瞳が照たちを捉えた瞬間、小蒔が纏う空気が変わる。

巫女軍団「…………!」

霞「…………ふふ」

憧「!」

変化を感じ取る巫女軍団。そして霞、憧。

もはや言葉は不要。全員が戦闘態勢をとる。

霞(さて……もう一頑張りといこうかしら)

東西決戦、最大の山場、ここに開戦―――。
698 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 07:16:30.26 ID:8MnlR9I2o

照「………………」

照(なんとか間に合ったみたい)ホッ

照「………………」

小蒔「」

照(神代小蒔……連合軍の秘密兵器……そして……)

霞「」

照(石戸霞…………菫の件でお世話になった彼女と戦うことになるとは……)

久「さぁて。どうしたものかしらね。全員で1人ずつ狙う?それとも個々で当たる?」

照「…………」ウーン

咲「…………」

智紀「…………」

久「……沢村さんはどう思う?」

智紀「…………相手の戦力は神代さん、石戸さん、新子さん、巫女軍団……こちらは竹井さん、宮永さん、私……」

久「うん」

智紀「誰がどのような力を持っているかわからない以上、ノーマークにしておくのはダメ……」

久「なるほど。じゃあマンツーマンで当たった方がいいわね」

智紀「はい……ただ、その場合に厄介なのは巫女軍団……」

照「……確かに、あの人数を相手するのは大変……」

咲「うん……みんな強そうだよ…」

智紀「……巫女軍団は私に任せてください。一度戦っているので、なんとかなると思います」

久「じゃあお願い。他の子たちは……うーん」

久(新子さんは実力未知数とはいえ、四天王ほどじゃないはず………だけど石戸さんたちは……)

照「………………私が神代さんと戦う」

咲「!」
699 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 07:16:58.60 ID:8MnlR9I2o

久「照?でも……」

照「勝ち目があるとかじゃない。でも運が良かったとはいえ、私が深堀さんに勝ったという情報が伝わっているのなら、神代さんは私を警戒してくれるかもしれない。そうなれば時間を稼げる」

久「!そうか……その隙に、他の2人を倒せれば……数的優位になる」

照「…………」コクリ

久「わかったわ。大変だと思うけど、照、お願い!」

照「任せて」

咲「お、お姉ちゃんが神代さんと戦うなら私も……っ!」

照「ううん、私は1人で大丈夫」

咲「そんな……私、お姉ちゃんの力になりたい」

照「……もうなってる」

咲「え?」

照「一緒にいるだけで……」

咲「お、お姉ちゃん……///」

照「あ……」ハッ

照「なんでもない……今のなし///」フィッ

咲「いけずなお姉ちゃんかわいい!」

智紀「……宮永咲さんは新子さんの相手をお願い」

照「///」

咲「お姉ちゃんのかわいさが続いてる!続いてるお姉ちゃんかわいい!」

智紀「あの……」

久「咲、聞いて?」

咲「はい?」

久「咲は新子さんと戦ってもらえる?」

咲「あ……わかりました」
700 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 07:17:33.36 ID:8MnlR9I2o

久「で、私が石戸さんね」

智紀「はい」

智紀(石戸霞の相手は辛いはず……でも竹井さんならきっと粘れる……私が巫女軍団を早く倒して竹井さんをフォローする……!)

久「…………さて、相手は決まったわ」

照「」コクリ

咲「はい」

智紀「…………」

久「……それじゃあ……行きましょうか」

照(…この戦いが……リリーブライドの未来を決める……)

智紀(ここで負けたら、全てが終わる)

久(全身全霊を懸けて、戦いますか!)

咲(お姉ちゃん……私はお姉ちゃんのために頑張るよ)

久「…………それじゃあ………………」

照「……………………」

咲「……………………」

智紀「…………………」

久「…………行くわよっ!突撃!」ザッ!

照・咲・智紀「!」ザッ!

久の号令と共に駆け出す。

小蒔「……………」

霞「………………」

憧「………………」

巫女軍団「………」

彼女たちが目指すのは、連合軍の秘密兵器であり元四天王であり巫女集団であり幼馴染LOVEな知的女子高生のいるところ。

そして、その先に転がっている勝利だ。
701 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 07:19:09.24 ID:8MnlR9I2o

久「……………」タタタタッ

霞「…………!」

霞(あの視線……どうやら私を誘っているみたい)ウフフ

霞(あえて無視することもできるけれど、ここは………誘いに乗らせてもらおうかしら!)タタッ..

智紀《好きな女の子に恋人がいることを知らされた!》ゴアアアァア!

巫女軍団「きゃあああ!!」

咲「…………」タタタッ!

憧(む、あたしのところに来る!?)

咲《お姉ちゃんのお下がりのシャツは、お姉ちゃんの匂いでいっぱい!!》

憧《しずから『憧の体温であったかい』って言われた!》

咲「くっ……!」

憧「ぅあ……!」

咲(この人………思ったより……)

憧(ちっ……意外と強力じゃん)

照「………………」タタタタッ

小蒔「……………」

巫女軍団「………」サッ(小蒔の前に立ちふさがる)

照「!」

照(まだ巫女さんが残ってた……いや、当然か。この中で一番守るべき人の前に誰もいない方が不自然……)

小蒔「私は大丈夫です。沢村さんのところへ行ってください」

巫女軍団「え?しかし……」

小蒔「お願いします」

巫女軍団「………………わかりました」ザッ!

照「?」

照(神代さんから離れた?どうして……?)

小蒔「………………」

照(…………いや、今は理由はどうでもいい。私の役目である時間稼ぎを全うするだけ……――――)
702 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 07:19:41.30 ID:8MnlR9I2o

霞「………………」

久「………………」

霞(竹井久ちゃん。四天王である沢村智紀ちゃんに勝った子……油断は禁物ね)スッ

霞《〔 1 日 分 の 爆 乳 ( ワ ン デ イ バ ク ニ ュ ー )〕》ボムムムムムムムム...

久「っ!?」ズシン!

久(何これ……急に胸が重くなった!)

霞(……さらにもう1つ……)

霞《〔 爆 巨 双 乳 ( ば く き ょ そ う に ゅ う )〕》

霞が右手を開いて前へ突き出す。

そしてその手を握る。

すると、握られた手の隙間から透明の何かがはみ出してきた。

親指と人差し指の隙間から1つ。小指側からも1つ。

久「!?」

久(なんなのあれ……!?)

その2つの『何か』は形を球体へと変化させ、霞の手のそばで浮いている。

久が不思議そうに眺めていると、握られていた手がパッと勢いよく開かれた。

その瞬間、透明の球体が動き出し、久へ向かって飛んでいった。
703 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 07:20:36.77 ID:8MnlR9I2o

ポヨォォォ..

久「えっ!?」

驚きのあまり、腕で顔をかばうくらいしかできない久。

球体はその腕へとぶつかる。

モニュョン!

久「?」

久(この腕の感触……柔らかくて温かい……これってまさか……)チラ

霞「うふふ」ニコリ

久(間違いない……おっぱい!!)

〔爆巨双乳(ばくきょそうにゅう)〕。

手の平からおっぱいの感触を球体として作り出す能力。

この球体に触れた者は、自分の描く理想のおっぱいの感触、あるいは過去味わったおっぱいの気持ちよさを喚起させられ、妄想を加速すると同時に戦闘意欲を奪い、眠気を誘う。

霞(まだまだ続くわよ)ポヨォォォ..

久「!!」ハッ

久(これに当たったらまずいわ!)ササッ!

霞「あらら……避けられてしまったわ」

久(危険な能力ね。おっぱいの感触が気持ちよすぎて戦うことがどうでもよくなってしまう……)

霞(でも……)ポヨォォォ..

久(!また……)

霞(いつまで避け続けられるかしら?)ポヨォォ..ポヨォォ..

久「うわぁ!」

久(連続で!?しかもこれ、真っ直ぐばかりじゃなくて、曲がってきたり落ちたり……変化してくる!)

霞が放つ球の変化は手元を離れるまでの間なら好きに決められる上、軌道も設定可能。

速度は50キロにも満たず変化に限りはあるものの、次々と放たれれば防ぐのは困難だろう。

さらに『おっぱいの感触を投げられる』という未経験の出来事による戸惑いが体の動きを鈍らせる。

結果、久は球体を全身に受け、おっぱいまみれになってしまう。
704 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 07:21:23.29 ID:8MnlR9I2o

久「う……あぁ……」

久(気持ちいい……何も考えたくなくなる……)

霞《……気持ちいいですね…………でも、力を抜いて体を預けるともっと気持ちよくなりますよ?》

久(体を預ける……?)

霞《そう。身も心も私に委ねてちょうだい……》

久(……もっと気持ちよくなれるなら……)

霞《いいわ…………そのまま力を抜い……っ!?》ビクン!

久(?)

霞「な…………?」

霞(今のは何?誰かに胸を触られたような……)

モミュ!

霞「んっ!」ビクン!

霞(やっぱり!胸を揉まれてるわ!)

霞の体が跳ねる。巨乳だから感度が低いとかいうものは迷信だとわかる。

久「あ………」ハッ!

久(危ない危ない……完全におっぱいに負けてた)ホッ

久(でも、一体誰が……)

モミモミ..

霞(っ……揉まれてるのは間違いないのに姿は見えず……これは………!)

久「あ」

桃子(私、忘れられた子っすけど……頑張るっすよー)モミミミ!

久(東横さん………ごめん。一緒にいたこと忘れてた)

霞(確か鶴賀の東横桃子ちゃん………厄介な相手が残っていたわね……)
705 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 07:22:16.69 ID:8MnlR9I2o

サワッ

霞「んっ!!」ブルッ..

桃子(先輩以外のおっぱいに興味はないっすけど……恐ろしいくらい柔らかいっすね……)モミュ!

霞(見えない相手……でも胸に触れてるということは目の前にいる……なら〔爆巨双乳(ばくきょそうにゅう)〕を当てれば……)

霞「?」

シーン..

霞(胸から手の感触が消えた…………これでは……何処にいるかわからない……)

モミュモミュ!

霞「あぁっ!?」ビクゥン!

桃子(ふふふ……っす)ユラー..

桃子の巧みなモミモミアンドアユラー。霞に的を絞らせない。

霞(なるほど……そういう手段で来るのなら…………)

霞「……………」スッ(目を閉じる)

桃子(む?目を閉じたっす……私のテクで感じたっすか?悪い気はしないっすけど、私は先輩以外を愛撫するつもりはないっす。これはあくまでただの握力トレーニングっす)ユラー

霞「……………」

精神を集中させる霞。四方へ散らばっている意識と感覚をおっぱいだけに集める。

霞「……………」

次第に、おっぱいを撫でる風の姿すら感じられるようになり……

桃子(もっかい揉むっす!)ヒュッ

霞「!!」

ガシッ!

桃子「!?」

霞「うふふ……」ギリリ..(桃子の両手首を握る)

見えない敵による鷲掴みを事前に防ぐことに成功した。

桃子(そ、そんな……私の姿は見えてないはずっす!なのに……!)
706 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 07:22:59.28 ID:8MnlR9I2o

霞「腕さえ掴んでしまえば……」グイッ!

桃子(引っ張られ……!?)

ボミュン!!

桃子「わぷ!」

腕を引かれ、体が流れ、顔面着地は豊満おっぱい。

桃子「…………」

霞「……………」

桃子「…………ばぶー」

目に見えぬ追跡者(インビジブルチェイサー)東横桃子。

〔母なる大乳(ははなるだいち)〕により幼児化し、戦闘不能。

霞「あらあら……かわいいわね」ナデナデ

桃子「ばぶぅー……っす」キャッキャッ

久「………………」

久(東横さんが急に見えたと思ったら、赤ちゃんみたいになってるわ…………石戸さんに抱き着いたから!?)

霞「…………さて」チラ

久「!」ゾクッ

霞「ちょっとごめんなさいね。手、放すわね」

桃子「ばぶぅー………っす」

霞「…………」ザッ..

久「……っ!」タジッ..

久(い、嫌……恋人と2人きりならともかく、こんなところで赤ちゃんみたいになるとか……絶対嫌……)

幼児退行への恐怖。それは学生議会長や部長として過ごしてきた久にとってはとてつもないほど大きかった。

人前でキリッとしてきた久。生足すらタイツで隠しているというのに、霞の胸に顔を埋めて『バブー』と甘えるなど、プライドが許さない。

しかし現実問題として幼児退行の危機が迫っている。

霞が歩を進めるたび、おっぱいは久に近付く。

久「うぅ……」

段々と久の精神は追い詰められていく。

逃げたい。けれどもみんなを裏切れない。

バブーは嫌。だけど戦わないといけない。
707 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 07:23:33.60 ID:8MnlR9I2o

霞「うふふ……」テクテク..

どうすれば、どうしたら、何をすれば……。

久の頭が高速回転する。しかし焦りと恐怖から空回りするのみだ。

正解を知らない。方法がわからない。手段が思い付かず、作戦が思い浮かばない。

頭の中で思考の渦を巻きながら、次第に久はその渦を上から眺めるように……その思考の渦を上書きするほど強い思考を抱く。

それは単純なこと。最初から抱いていた想い。けれど、一番正直な気持ちだ。

その感情を、体内に染み込ませるように心の中で叫ぶ。

久(私……『バブー』なんて言いたくない!!絶対……言いたくないっ!!!)

キィィーーーーーーーーーーーーーーン....

全身でバブーを拒否した瞬間、久の頭の中で、何かが切り替わった。

久「!!!」

どう形容すればいいだろうか。

今まで徒歩でしか移動したことのない人が自転車を手に入れ、活動範囲が一段階広がったような感覚。

あるいは陸上っ娘が、どうしても超えられなかった自己ベストをあっさり塗り替えられるようになったような……。

つまり、イヤラシくない意味で一皮剥けたのだ。

久(何これ………力が漲る……)

そしてそれは百合妄想士が能力に目覚めた証。

自分の中にあったモノがカタチとして身についたのだ。

久(不思議…………初めから知ってたみたいに、今目覚めた能力を把握してる……特性も弱点も……全てわかる)

霞「…………」テクテク

久(…………もう恐れる必要はないわ!)

霞「?」

霞(雰囲気が変わった……一体何故?)
708 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 07:25:55.69 ID:8MnlR9I2o

久「〔 無 数 の 絆 ( フ ラ グ メ ー カ ー )〕」ズオオオォォォオォ....

霞「…………!?」

霞(これは……!竹井久ちゃんが能力者なんて情報はなかったけれど……まさか……今目覚めたとでも言うの!?)

久(〔無数の絆(フラグメーカー)〕。使用者本人が今までフラグを立ててきた百合妄想士の力を使うことのできる能力……)

霞(もしもそうだとしたら、このまま近付くのは危険ね)

久(オリジナルより威力は若干劣るし、消費する力も増すけど……使い勝手のいい能力だわ)ニヤリ

久(今現在、私がフラグを立ててるのは…………)


◇ 宮 永 照 ◇

フラグ:イケナイことをしちゃった同士

能力:なし


久(っ……これってエイスリンちゃんの時の……///)カアァァ..

霞(急に赤くなった!?もしかして、これも能力……?)

久(ま、まぁいいわ。他の人を見てみましょう)


◇ 宮 永 咲 ◇

フラグ1:姉といかがわしいことをした倒すべき相手(若干の恨みあり)

フラグ2:久→咲の恋人フラグ

能力:姉妹の愛(シスターラブ)。姉妹であることが条件。久は使用不可。


久(…………恨みあり…………そ、そうよね……いくらエイスリンちゃんの力で仕方なく、って言っても……いい気はしないわよね)

久(で、それはともかく……)

『久→咲の恋人フラグ』

久(こ、恋人フラグって……!あ、インハイで『かわいいです』って言われて喜んだから!?)

久(そ、そんな……それだけで好きになんて……ならない、ことも、ない、かもだけど……)ムムム

霞(今度は小難しい顔に!?もしかして、これも能力……?)
709 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 07:28:13.59 ID:8MnlR9I2o

久(次は……)


◇ 東 横 桃 子 ◇

フラグ:好きな人を惑わす敵、ライバルフラグ

能力:なし


久(ありゃ。ステルスは使えないのかー)

久(ま、あれは東横さん特有のものだからかな。納得)ウン

霞(納得の表情!もしかして、これも能力……?)

久(他は……)


◇ 沢 村 智 紀 ◇

フラグ:恋人フラグ

能力:絶望操作・絶望強化


久(沢村さんも恋人……そんな場面あったかしら?)ウーム


◇ 愛 宕 洋 榎 ◇

フラグ:ライバルフラグ(麻雀、夏の高校生)

能力:UNKNOWN

久(あら?愛宕さんの能力がUNKNOWNだわ。ええと……あ、なるほど。ある程度私に近いところで能力を使われない限りは能力を把握できず、〔無数の絆(フラグメーカー)〕でも使えないわけね)

霞(あの表情は……『ちょっと困ったわ』と言いたげ……もしかしてこれも能力!?)

久(ふむ。フラグはこんなところかー。実際は美穂子とか、和、優希ともフラグは立ってると思うんだけど、百合妄想士以外は表示されないみたい)

久(……でも、これは戦闘以外でも役に立ちそうな能力ね……百合妄想士相手なら能力の有無に関わらず脳内に登録される)

久(もし気になる子がいた場合、フラグが発生してるか確認できるっぽいし)ニヘヘ

霞(あの表情は…………って、さっきから表情以外動いていないわね……)

霞「………………」

霞(もしかして……今の久ちゃんは新しい能力に目覚めたばかりで、説明書を読んでいるような状態?私を待ち受けているわけでも何でもないのでは……?)

久「」ニヘヘ

霞(いえ、それ以上に気の抜けた表情……戦闘態勢にも入っていない。これは攻めるしかないわね)タタッ!
710 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 07:28:53.40 ID:8MnlR9I2o

久「……ん?」

霞「」ポヨブルル!ポヨブルル!

久(っ!ものすごく揺らしながら走ってくる!?)

久(うわわっ、まだ考えがまとまってない!今は…………逃げる!)クルッ!タタタッ!

霞(逃がしません!)タポニュ!タポニュ!

憧《しずが普段使ってる歯ブラシと同じ物を用意する!そして交換してしず歯ブラシで歯を磨く!間接プラークコントロールを堪能っ!》

咲《……っ!お姉ちゃんが寝てるところに忍び込む!パンツに黄色いタイプの目薬を垂らして、お漏らししたと勘違いさせ、慌てるお姉ちゃんの可愛さをたっぷり味わう!》

憧《くぅ……!》

憧(この子……お姉ちゃん相手になんてテクニカルなことを……実姉がいるあたしには理解できない…………でも)

咲《半泣きでお母さんに言い訳してるお姉ちゃんかわいい!白状した私を涙目で怒るお姉ちゃんかわいい!!》

憧(……その想いは、しずに対するあたしの熱い想いと同じ…………だから……)

憧《ノースリーブジャージしずの腋の味をあたしはまだ知らない。》

咲《ああっ!わかりすぎるその気持ち……!》ブルッ..

咲(この人の想いは本物……だからこそ、絶対に勝ちたい……)

咲(それに……早くしないと、お姉ちゃんが危ない)チラ
711 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 07:29:46.23 ID:8MnlR9I2o

小蒔「…………………」

照「…………………」

照(…………動かない。ひたすらこっちの動きを窺ってる)

小蒔「………………」

照(時間稼ぎはできてるけど………どうしよう?もし私が神代さんを倒せれば、咲たちを助けられる。秘密兵器だからって絶対勝てないとも限らないし……)

小蒔「…………………」

照「……………………」

照(……うん、そうしよう。まずは軽く攻めてから……)

小蒔「〔 八 咫 鏡 ( や た の か が み )〕」

照「!」

照(出鼻を挫かれた……けど仕方ない。どちらにしても戦うんだから、こっちも攻撃………………あれ?)

小蒔「………………」

照(何これ……妄想が勝手に男の子になる!なんてナンセンスなの……?)

照「………………」

照(ダメ………ボーイッシュ、ギャル、OLはもちろん、女の子全開ロリータファッションの子も全て男の子になってしまう……こんなの……戦いようがない……)

誰でもそうであろうが、妄想というのは自分の思い通りに描けて当然のもの。

映像が鮮明であるかどうかの違いはあれど、『思う』だけで描けるもの。

それが途中で勝手に変換される……。この違和感はとてつもない。

日々、妄想に明け暮れてきた百合妄想士ならなおさらだ。

照「…………」

照の戦意が急速に失われていく。

もはや攻めるという意思は消え、どうすればいいかという思考に囚われるのみ。

そんな照に対し、小蒔はさらに仕掛けていく。

小蒔「〔 天 叢 雲 剣 ( あ め の む ら く も の つ る ぎ )〕」

ゴゥゥッ......

照「!!!!?」ビュオオオオオッ!

精神を守る心の壁が薙ぎ払われる。

照の防御力は『あぶないみずぎ』並に下げられた。

照「あ…………」

照に残されたのは、疑問と不安だけ。

頭は混乱しており、ただ立っているだけの状態である。

照(なに……これ……わけがわからない……)

小蒔「……………」ピキィィン...
712 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 07:30:39.47 ID:8MnlR9I2o

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

黒子テツヤ(♀)「……………」ドキドキ

緑間真太郎(♀)「ここがGスポットなのだよ」ハ!

テツヤ「!!」ビックー!

真太郎「視線誘導(ミスディレクション)も、今の私には通用しない。全てが見えているのだよ」

テツヤ「ぁ…………っこんな………キセキ…………が………っ!!!」ビクーーーー!!

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


照「…………ぐう……!」

照(これは深堀さんと同じ……直接映像を叩き込む技……!)

ただでさえ強烈な攻撃は、天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)によって防御力が失われたこともあって、致命的なまでに強力だ。

たった一撃。

しかしその一撃によって、照の脳裏を諦めの感情がよぎる。

自分の妄想は変換され、相手の攻撃は倍以上に威力を増す。

理不尽なまでの実力差を感じ、絶望に襲われる。

照(…………勝てる、わけがない)

確かに、心折れる気持ちはわかる。

照が小蒔に対して抱いているであろう、絶対的な強さは本物だ。

しかし小蒔が強く、妄想を捻じ曲げる能力は脅威だが打つ手がないわけではない。

例えば小瀬川白望の〔カップリング迷い家(マヨヒガ)〕のように、小蒔自身に妄想をさせるような攻撃は有効だ。

こちらの妄想が通用しないなら、自滅を誘う。

無論、白望の攻撃が有効だとはいえ、実際に小蒔と戦ったとしたら勝ち目はないだろう。

一体ずつしか九面の神を降ろせなかった麻雀の時と違い、幼少時から続けてきた百合妄想と薔薇妄想に関しては九面の神々を全て身に宿せる小蒔。

小蒔へダメージを与えるには九面を全て倒してからでなければならないため、体力的な面で分が悪い。

とはいえ、ある程度は戦えるし善戦はできる。

善戦の先の先を見ることができれば、そこには勝機があり、勝利がある。

もしも照がその可能性――小蒔にダメージを与える方法が存在すること――に気付くことができれば、希望は失われないのだが……。

照(絶対勝てない。もうやけだ。ひたすらくらげを頭に描き続けてやる)

女の子を想像できない状況にストレスが爆発し、ヤケクソになった照は、なもり先生を想像することに終始する決意をした。
713 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 07:31:21.11 ID:8MnlR9I2o

照(なもり先生頑張れ、なもり先生頑張れ)

小蒔「………………」

ピキィイィイィン...

照「ぐ……っ!」

そこにさらなる追撃。なもり先生の影を消し飛ばし、小蒔の妄想が炸裂する。

照(……頭が……グラグラする……)

小蒔「」フゥ

照(きつい…………でも………もう少しで楽になれる……負けてしまえば……楽に……)

照「………………」

照(……あれ?そもそも、私はなんで戦ってたんだっけ……)

咲《お姉ちゃん!!》

照「!!」

照(この声は…………咲……)

咲《お姉ちゃん!負けないで!》

照「……さ、き……」

咲《っ!新子さん……!?この……っ》

照(咲……自分も戦ってるのに…………私のことを心配して……)

咲《お姉ちゃんがいつも使ってるクッションを指でくしゃくしゃにすることで間接愛撫!》

照「〜〜〜〜〜っ!!」ビクンッ!

咲《あっ!間違ってお姉ちゃんに攻撃しちゃった!》

照(咲ぃぃ……)

咲《ごめんねお姉ちゃん。私、こうもドジだから……》

照《いや…………いい》

照(………まさかの攻撃だったけど、おかげで目が覚めた)タッ!(バックステップで距離をとる)

小蒔「!…………」

照「………………」

小蒔「……………」

照(そして…………思い出した。私が百合を愛する理由を……――――)
714 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 07:33:24.11 ID:8MnlR9I2o

憧《―――…しずがアイスキャンディーをペロペロする!こんなに近くでしずの愛撫を見学できるなんて、という幸福!》

咲《それなら私だって!アイスの全体を密かに舐めてからバレないようにお姉ちゃんに渡す!そのアイスはバニラ味プラス咲味5%!》ゴオオォ!

憧「な、にこれ……!?」グラッ..

憧は驚愕の表情を浮かべた。瞳が見開かれ、滝のような量の汗が出る。咲の攻撃はそれほど予想外の威力だった。

咲の表情は変わらず。純粋で幼く童のよう。しかし、繰り出す妄想は竜のブレスの如き破壊力であり、脳内で撞き鐘の音が響き渡るほどの衝撃。

この一連の流れを略すと『憧瞳滝量童竜撞鐘衝』となる。

憧「ぅ……」

憧(急に強くなった!?ありえないってーの!)フラッ..

咲「…………」

咲が強くなったのには理由がある。

それは〔姉妹の愛(シスターラブ)〕。

姉あるいは妹が危機に陥った際にパワーアップする能力。

小蒔の攻撃と咲のドジによってかなりのダメージを負った照。

そんな照のピンチに呼応し、〔姉妹の愛(シスターラブ)〕が発動したのだ。

憧(あたしは……まだ……やれる……)

咲「…………」

咲(新子さん、ごめんなさい。私はお姉ちゃんを助けに行く。負けるわけにいかない……)

咲《……風邪を引いてお風呂に入れないお姉ちゃん!私がタオルを絞って汗をフキフキする!やましい気持ちはない!》

憧「ぁ……が……」

咲「………………」

憧(……トドメは純愛とか…………この子……)

咲「………………」ペッコリン

憧「は、はは……」

憧《お互い……幸せになれると…………いいね》

咲《はいっ!》

憧「」ガクッ..

咲「………………」

咲(お姉ちゃん……今行くよ!)タタッ!
715 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 07:34:09.88 ID:8MnlR9I2o

照「………………」

小蒔「……………」

照(私が百合を好きになった理由……それは、女の子同士のやりとりに心からキュンキュンしたから)

照(でも……それ以上に……百合を愛することになったのは………)

照「……………」

小蒔「…………」スッ..

照「!」

照(来る……)

照(さっきまではただ怖がるだけだったけど……今は不思議と心が落ち着いてる)

照(これも全部…………)チラ

咲「」

照「………………」フルフル..

照(……神代さん……私ではあなたに勝てないかもしれない。でも……私が負けたら、次は咲が狙われる)

照(そうは………させない!)ギラッ!

キィィーーーーーーーーーーーーーーン....

照「!!」

照(……懐かしい、この感覚……。照魔鏡を使えるようになった時と同じだ……)

照の周りを光が駆け巡り、体内へと吸い込まれていく。

そして照の精神の中を進んでいき、精神の奥底に存在している照魔鏡の元へとたどり着く。

すると光は照魔鏡を包み込み、姿形はそのままに、新しい力を秘めた照魔鏡として生まれ変わらせた。

照(新しい照魔鏡………麻雀絡みのことのみ見れるのではない、もっと心の奥底を見れる力……)

照(私がずっと抱いていた想い……女の子の全てを知りたい、という願い)

照(一生カップリング妄想に困らないであろうその夢が……今、叶った)フフッ..

小蒔「?」

照(ここから……反撃に映らせてもらう……!)

照《〔 照 魔 鏡 ・ 極 ( し ょ う ま き ょ う ・ き わ み )〕》

小蒔「!?」ゾワッ..

悪寒を感じた小蒔が後ろを振り返る。

しかしそこには何もない。

すでに照魔鏡は小蒔の心を覗き込み、照の元へと戻っているからだ。

照「!」

照(映像が……来る!)

照魔鏡は映し出す。神代小蒔の心を。

照は受け止める。照魔鏡が映す真実を……――――
716 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 07:36:37.20 ID:8MnlR9I2o

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

1年前―――

【インターハイ会場 廊下】

小蒔「…………」ウトウト..

小蒔「……………ぁ」ハッ

小蒔(いつの間にか眠ってしまいました……壁に寄りかかったまま立って寝てしまうなんて……お行儀悪いです……///)

小蒔(控室に戻らないと)スタスタ..

小蒔(ここを左に………)

ドンッ...

小蒔「あっ!」ドシン!(尻餅をつく)

??「っ!」ドテッ

小蒔(たいへん!人にぶつかってしまいました……)

小蒔「ご、ごめんなさい!お怪我はありませんか?」

??「こちらこそごめんなさい………私は大丈夫。あなたは?」スッ(立ち上がる)

小蒔「わ、私も大丈夫です」

??「そう、よかった」サッ(手を差し出す)

小蒔「??」

小蒔(手……?あっ、仲直りの握手ですね!)キュッ

小蒔「よろしくお願いします」ブンブン

??「…………え」

小蒔(それにしても……柔らかい手です……)ニギニギ

??「あの………」グイッ

小蒔(何か……癖になる感触……)ニギニギ

??「……っ!……っ!」グイ..グイ..

小蒔(?どうして引っ張るのでしょうか…………あ)ハッ

小蒔(私を引き起こそうとしてくれてるのですね!それなのに私…………寝起きでボーっとしてました)

小蒔「ごめんなさい!」スクッ!

??「ゎ!?急に立っ……!」グラッ..ドシン!(フラついて壁に背中をぶつける)
717 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 07:38:52.49 ID:8MnlR9I2o

小蒔「わぁあ!大丈夫ですか!?」

??「……平気。一瞬息止まっただけだから」

小蒔「ごめんなさい!あの、お怪我とか……」ペコリ

??「ううん、大丈夫」

小蒔「そうですか……」ホッ

小蒔(よかった……とても丈夫な方なのですね)

??「………………」スッ

小蒔「…………………」

小蒔(行ってしまいました……)

小蒔「………………あ」

小蒔(そうでした!お礼を言わないと……)

小蒔「あの!ありがとうございました!」

??「………………」テクテクテク..

小蒔「………………」

小蒔(……聞こえてないみたいです………もっと大きくお礼を言いましょう)

小蒔「あ、ありがとう!!ございましたっ!!」

??「………………」ピタッ

小蒔(届いた?)

??「………………」スッ(軽く会釈する)

小蒔(今のは……どういたしましての合図ですね!よかった)ホッ

小蒔「ありがとうございました!」ペコリッ!

??「………………」クルッ..スタスタスタ...

小蒔「………………」

小蒔(……それにしても………今の方、どこかで見たような気がします……)??

初美「あ、いたですよー!姫様ー!」タタタッ

巴「ハッちゃん!もう!下半身丸出しで!」

初美「日焼けあとが下着に見えるから平気ですよー」

巴「いつか捕まるよ!?」

小蒔「………………」

初美「?どうしたんですかー?」

小蒔「あの人、知ってますか?背中をさすりながら歩いている女の人」

初美「?…………あ!姫様、知らないのですかー?」

小蒔「……どこかでお顔を見た気はするのですが……残念ながら……」

巴「白糸台の宮永照ですよ。去年大活躍した」

小蒔「宮永照さん…………あ!そうでした!」ポン!

巴「思い出しました?」

小蒔「はい!」ニコリ

小蒔(宮永さん………とても強くて、とてもキレイな人。そして……体が丈夫な人)
718 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 07:39:39.14 ID:8MnlR9I2o

【永水女子 控室】

アナウンサー『先鋒戦終了ーー!!オーラス南4局、和了ったのはまたも宮永選手です!圧倒的なリードのまま次鋒へ繋ぎました!!』

小蒔「………………」

全裸初美「ふわー………強いですねー」

巴「はっちゃん。感想はいいけど、服着ようよ」

全裸初美「着てどうするんですかー?」

巴「え?別に普通に……今みたいな感じで観てればいいと思うけど」

全裸初美「そんなのつまらないですよー」

巴「……はっちゃん、どういうシステムなの?」

霞「それにしても、ここまでの強さを誇る彼女……一体どう戦えばいいのかしらねぇ」

春「…………」コクリ

全裸初美「本当ですねー」

小蒔「……………」

照『………………』

小蒔(宮永さん……)

小蒔(圧倒的な強さで勝っているのに全然嬉しそうではありません……それどころか寂しそうな表情…………どうして………?)

照『…………』

小蒔(気になります……)

照『………………』ペコリ..スタスタ...

小蒔(!宮永さん、控室に……)スクッ

巴「……姫様?」

小蒔「あ…………」

小蒔(つい立ち上がってしまいました……)

全裸初美「??」

小蒔(……今から白糸台の控室に向かえば宮永さんに会える、と思いましたけど…………でも……いきなり会って『どうして寂しそうなお顔をされてるのですか』なんて尋ねたら、変な高校生だと思われてしまうかもしれません…………ですけど……)
719 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 07:41:01.74 ID:8MnlR9I2o

巴「お菓子とか必要なら私が買ってきますけど……」

小蒔「いえ、お菓子はだいじょぶです。お腹はいっぱいです」

巴「はぁ……」

小蒔(いけません……皆さんを心配させてしまっている状態です……会いに行くなら行く。行かないなら行かない。どちらかを決断する時がきてます……でも、出かける理由を聞かれたら困ります……どうしましょう……)

霞「お花摘みかしら?」

小蒔「……あ」

小蒔(そうです!おトイレに向かうことにすれば……霞ちゃん、ありがとう)

小蒔「はいっ!お花を摘んできます!」

全裸初美「あ、私も行くですよー!」スクッ

小蒔「えっ!」

全裸初美「?」

小蒔「お花……摘むんですか?」

全裸初美「だ、ダメですかー?」

小蒔「い、いえ……そんなことないですけど」

小蒔(また問題勃発です……宮永さんに会いに行くとバレたらすぱいだと思われてしまうかもしれません……)

全裸初美「では姫様、行きましょう!」スクッ

巴「ちょ、待って!そのまま行ったらダメ!」グイッ!

全裸初美「わあああ!」

巴「誰かに見つかったら事件になるよ!出場停止とか!」

全裸初美「きっとみんな見て見ぬふりしますよー!」ジタバタ

巴「そんな危ない賭けする必要ないでしょ!」

小蒔(わぁ!足止めしてくれました!今のうちに早足で出発です!)

小蒔「では私は先行きますね」スタタタタ!

霞「行ってらっしゃい」ニコニコ

全裸初美「姫様!待ってくださいよー!」

巴「ちゃんと服着て!」

春「…………」ポリポリリ
720 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 07:42:19.14 ID:8MnlR9I2o

【白糸台 控室前廊下】

小蒔「………………」

小蒔(勝手に来てしまいました……しかも先回りです……)

小蒔(もう少ししたら、宮永さんが来ます……)ソワソワ..

小蒔(ど、どうしましょう。やっぱり帰った方がいいのでしょうか?急にへんてこな質問をしたら失礼ですよね……)

小蒔「………………」

小蒔(うん……帰ることにしましょう……宮永さんに怒られたら悲しいですし……)クルッ

小蒔「…………」トボトボ

小蒔「………………?」

照「……………」スタスタ

小蒔「!」

小蒔(宮永さんが来ました!こちらに歩いてきてます!)

小蒔(緊急事態ですっ!私が戻ろうとしたら宮永さんが戻ってきて……どちらが戻ったらいいのでしょう!?わわ……混乱してきました!)

小蒔「うぅ……」ギュッ(焦ったまま両手で袴を握りしめながら俯く)

照「」スタスタ

小蒔(…………で、でも、これは逆にチャンス到来かもしれません。勇気を出して……)

小蒔「あ、あの……宮永さんはどうして寂しそうな顔をしてるのですか?」

照「」スタスタ

小蒔「わ……!?」

小蒔(大変です!ミスしてしまいました!まだ宮永さんは遠くにいました!私、焦りすぎです……宮永さん、まったく聞こえてません!)アワワ

照「」スタスタ

小蒔(もっと落ち着いて、近くに行かないと!)

小蒔「っ!」テクククク

小蒔(廊下は走ってはいけません。でも宮永さんを待たせないように焦らず急いで、なおかつ落ち着いて……)テククク!

ゲシッ

小蒔「あ」(左足に右足を引っかけてしまう)

照「あ……」

小蒔「ゎぷっ!」ビターン!!(顔から転ぶ)

照「!!」

小蒔「………………」

小蒔(こ、転んでしまいました…………恥ずかしい……)

照「………………」

小蒔(しかも宮永さんの近くで……私はなんてドジをしてしまったのでしょう……きっと宮永さんも呆れて『あーあ』と思っているはずです)シュン..

照「…………咲みたい……」クスッ

小蒔「え?」チラッ

照「…………」ニコッ

小蒔「あ………………」

ドクンッ!

小蒔(これは…………なんて素敵な笑顔…………宮永さんのこんな顔、初めて見ました)
721 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 07:43:23.26 ID:8MnlR9I2o

ドクン..ドクン....

照「…………」

小蒔(……胸が苦しい……宮永さん……)

照「あ……」ハッ

小蒔「?」

照「…………違う。もう咲のことは考えないようにしないと……」ボソボソ

小蒔(?今、なんと言ったのでしょう?それに……)

照「…………」

小蒔(…………またどこか寂しそうな表情に……)

照「…………大丈夫?」スッ(手を差し出す)

小蒔(一体、どうして……)

照「………………」

小蒔「………………」

照「……………あの」

小蒔「あ、は、はい!すみませんっ!」キュッ

照「ん……」スッ(小蒔を引き起こす)

小蒔「二度も起こしてもらって……ありがとうございます」

照「気にしないでいい」スタスタ..

小蒔「あ……えと…………ありがとうございました…………」

照「」スタスタ..

小蒔「………………」

小蒔(結局、質問は失敗に終わりました……でも……)

ドクンッ..

小蒔(あんなに素敵な……笑顔……///)

小蒔(そしてとても優しい表情を見せていただきました……それだけで、すごくお得でした……///)

小蒔「///」ポーーッ..

小蒔(宮永さん……)
722 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 07:43:58.07 ID:8MnlR9I2o

1ヶ月後―――

【永水女子高校】

小蒔「………………」

小蒔(宮永さん……インターハイ優勝が決まった時も表情は変わりませんでした。ずっと寂しそうなまま……)

小蒔「………………」

小蒔(……昔、おばあ様に言われたことを思い出します)

『小蒔、寂しさを表に出すのはやめなさい。あなたは本家に生まれた選ばれし者。心を強くもつ必要があるのじゃ』

小蒔(そう言われ、どんなに寂しくても頑張ってきました。本家ということで、普通の子と違うように扱われて友達はできず……でも決して寂しさを見せないようにしてきました)

小蒔(分家の皆さんと出会ったことでその寂しさは埋まり、今は楽しい毎日になりましたけど……)

小蒔(………もしも今でも1人のままだったら、私は寂しさに押し潰されてきっとぺったんこになっていたはず)

小蒔(………………宮永さん)

小蒔(そんな私だからこそ、普通な顔をしているように見える宮永さんの中に……心の奥底に寂しさがあることに気付けたのだと思います……)

小蒔(もしかしたら、あの方も……私と同様に何かを背負っているのでしょうか?)

小蒔(………突出した強さ故、横に並べる者がいない。やがて孤独を感じるようになり、それを隠すため、感情を表に出さなくなった……)

小蒔「………………」

小蒔(…………でも……)

照『』ニコリ

小蒔「っ……///」ボフッ!

小蒔(……私に向けてくれたあの笑顔……///)ドキドキ..

小蒔(……………宮永さん………)
723 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 07:44:38.42 ID:8MnlR9I2o

数ヶ月後―――

【霧島神境 小蒔の部屋】

小蒔「………………」

巴「姫様、雑誌をお持ちしました。入ってもよろしいでしょうか?」

小蒔「あ、はい。どうぞ」

巴「失礼します」スーッ..

小蒔「わ、こんなにたくさん」

巴「宮永照は高校界のトップスターですからね。では、こちらに置いておきます」

小蒔「はい。ありがとうございます」ニコリ

巴「いえ。失礼します」スーッ..パタン

小蒔「………………」

小蒔(宮永さん……)スタスタ..

小蒔(あ、この雑誌は表紙が宮永さんです……)

小蒔(…………笑顔……で写っています、けど…………)

小蒔「あの時の笑顔とは違います……」

小蒔(またいつか……宮永さんのあの笑顔を……)

小蒔「……………は、ぁぁ……///」

小蒔(宮永さんを想うと…………胸が……熱くなります……)

小蒔(…………胸……)

サワッ..

小蒔「ぁ……っ///」ビクン

小蒔(だめです……こんな…こと…………でも……)

サワ...

小蒔(んっ……宮永さん…………そんな、だめ………///)ブルブル...
724 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 07:45:37.52 ID:8MnlR9I2o

数ヶ月後(インターハイ団体戦決勝の日)―――

恒子『た、大将戦決着〜!!!!!!そしてっ!!』

恒子『白糸台高校、史上初の3連覇達成〜〜!!!!』ワアーーーーー!!

小蒔「……………」

小蒔(最後のインターハイ……決勝で戦って宮永さんの孤独を埋めてあげたかった…………残念です)

小蒔(……でも……きっといつか、宮永さんがずっと笑顔でいられるように……)

照『』スクッ

咲『』

照『』(咲に手を差し出す)

小蒔「?」

小蒔(宮永さん……?今まで対戦相手に握手を求めたりしたことはなかったですけど……)

咲『』スクッ(照と握手する)

照『』フフ

小蒔「!!!」

咲『』ニコ

小蒔「…………………………」

小蒔(……どうして………)

小蒔(宮永さん……………どうしてあの子に微笑むのですか………?)

霞「……小蒔ちゃん?」

全裸初美「急にボーっとしだしましたねー」

巴「そうだね。心配だけど、まず服を着ようね?」

春「ぽりぽり」

小蒔(……宮永、咲……さん……同じ苗字……)

小蒔(姉妹、ということなのでしょうか?)

照『』フフ

小蒔「っ!」ギリッ..

小蒔(でも、だからといって……)

霞「!」

全裸初美「ひ、姫様………」

全裸初美(なんか……怖いオーラを感じますよー)

全裸初美(もしかしたら裸で過ごしてることを怒っているかもなので、服を着ましょうかー)

巴(はっちゃんに服を着させようとすることに対して怒ってる、とか?自由を尊重してあげた方がいいのかも)スッ(初美に差し出した服を胸元で抱える)

全裸初美(ちょっと!服をくださいですよー!裸でお説教とか嫌ですー!)グイグイ

巴(大丈夫。ありのままのはっちゃんを否定するのはやめるから)ニコリ(服を強く抱きしめて初美に渡さない)

春(……畳に黒糖の食べかすをポロポロ落とし続けてきた私に我慢の限界?今日は食べるのやめとこう)

小蒔(こんな………こんな気持ちになってはいけないのに…………私は……っ!)ギリギリ...

全裸初美・巴・春「………………」

霞(……小蒔ちゃん……)
725 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 07:46:11.24 ID:8MnlR9I2o

数週間後―――

【霧島神境】

全裸初美「……今日、リリーフラワーガーデンの会長が来るみたいですよー?」

霞「ええ」

全裸初美「どうしてですかー?姫様が参加するはずないですよー?」

霞「小蒔ちゃんが参加する意志を表明したみたいよ。もちろんご両親の許可も頂いた上で、ね」

全裸初美「どうしてまた……?」

霞「…………さあ?小蒔ちゃんが直々に話をしたらしいのだけれど……」

全裸初美「それで……どうして姫様とリリーフラワーガーデンの会長さんが2人で会談をするですかー?」

霞「わからないわ。私も同席させてもらおうと思ったのだけど……断られてしまったわ」ハァ..

全裸初美「そうですか……」

全裸初美(……姫様は何をしようとしてるのでしょうか……)
726 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 07:46:43.31 ID:8MnlR9I2o

【小蒔の部屋】

小蒔「………………」

雅枝「………………」

小蒔(愛宕雅枝さん……リリーフラワーガーデンの偉い人…)

雅枝「………どうも姫さん。お久しぶりです」ペコリ

小蒔「はい、お久しぶりです」ペコリ

雅枝「………人払いまでしてなんの用です?うちなんも悪いことしてないですよ?」

小蒔「…………色々と画策されていると聞きました」

雅枝「…………」

小蒔「霞ちゃんと何度か会っている姿も目撃されてます」

雅枝「う………それは……」

小蒔「………………」

雅枝「……なんちゅうか……その………」

小蒔「………私はあなたを責めるつもりは全くありません」

雅枝「…………………え?」

小蒔「ただ目的を教えていただきたいだけです」

雅枝「………………」

小蒔(…………あれ?黙ったまま?聞こえてないのでしょうか?)

小蒔「…………目的を是非」

雅枝「………………」

小蒔(ま、また?知らんぷりされてますか?もうちょっと大きめの声で言いましょう)

小蒔「も、もくてきっ!!」
雅枝「実は……」

小蒔「あっ!」
雅枝「あ……」

小蒔「ど、どうぞお先に」

雅枝「いえ、姫さんからどうぞ」
727 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 07:47:41.18 ID:8MnlR9I2o

小蒔「あ、えと……では、あの……目的を教えてもらいたいのですが」

雅枝「……そうですね、わかりました」

小蒔(やりました……これでなんとかすむーずに話を聞き出せます)ホッ

雅枝「目的は簡単です。リリーブライドから覇権を奪い取ること」

小蒔「…………」

雅枝「その為に西の軍勢を集めて戦いを挑むっちゅうわけです」

小蒔「……霞ちゃんと会っていたのはどうしてですか?」

雅枝「……うちの能力を使ってリリーブライドの関係者、あるいは関係者に近しい人間に精神を病んでもらいます。そうすればお祓いのできる石戸さんに連絡せざるを得んはず……」

小蒔(確かに……霞ちゃんのお祓いの力は抜群…)

雅枝「そのやりとりを『東の連中が調子乗っとる。覇権を握っとるのをええことに、西の人間を使い走りにしてるで』てな情報を流せば……」

小蒔「…………怒りっぽい人たちは動くかもしれませんね」

雅枝「そう。そんで病ませるターゲットを誰にしようか調べてるところで……」

小蒔「……まだ決まっていない、ですか?」

雅枝「いえ、ついこないだ決まったんです」

小蒔「?それは誰ですか?」

雅枝「ふふ……これまた意外な人間なんですよ」

小蒔「?」

雅枝「新鋭の百合妄想士……宮永照です」ニヤリ

小蒔「っ!?」

小蒔(どうして知っているのですか!?お父様にお願いして宮永さんを探ってもらった結果得られた極秘情報なのに……!)

雅枝「ははっ、驚くのも無理ないですわ。けどほんまなんです」ニヤリ

小蒔「…………あ、う……」

雅枝「彼女が百合妄想士やっていうのも全く知られてない上に、深堀に勝ったっちゅう話。これは戦力も削れるし一石二鳥……」

小蒔「だ、だめですっ!!」

雅枝「…へ?」

小蒔「それはぜったいだめ!ばつです!」

雅枝「………………なんでです?」

小蒔「え?」
728 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 07:48:17.41 ID:8MnlR9I2o

雅枝「いや、理由ですよ」

小蒔「理由……」

雅枝「ええ」

小蒔(本当の理由は、私が妹さんをやっつけて実力を見せることで宮永さんの気持ちをげっとする作戦……でも正直に言ったら私の気持ちが会長にバレてしまいます……うぅ……)

雅枝「姫さん?」

小蒔「…………ちょっと考えていいですか?」

雅枝「…………は?」

小蒔「ええと……」ウーン

小蒔(一体どう言えばやめてくれるでしょうか…………あ!会長さんはすぽんさーの名前を出されると弱いと霞ちゃんが言っていました!)

小蒔「すぽんさーです!」

雅枝「?スポンサーが何か?」

小蒔「え?ですから……すぽんさーが……えと……」

雅枝「……あー……四天王に勝った人間を早々に騙し討ちしてまうとスポンサーの心証が悪いってことですか」

小蒔「そ、そのとおりでした!」

雅枝「でした?」

小蒔「あ!です……」

雅枝「………………」

小蒔「………………」

雅枝「………一理ありますけど、それよりも姫さんの反応が気になりますね」

小蒔「!」ドキッ!

小蒔(ま、まさか……私が宮永さんのことを……す、す、好き……なことが……?そ、そんな……いけません!知られたら……恥ずかしすぎます///)

小蒔「き、気になるのをやめてください!」

雅枝「……何言うてるんですか」

小蒔「そ、それよりも!狙うのなら宮永さん以外の人がいいです!そしてすぐに治してあげられるようにするべきですっ!」

小蒔(よぉし……上手に話題を戻せました。私もやればできるんですね)
729 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 07:48:57.33 ID:8MnlR9I2o

雅枝「なんか怪しいなぁ。宮永照になんかあるんですか?」

小蒔「っ……!?」ドキッ!!

小蒔(どうして!?はっ……大阪の人は商売を大切にしていると言います……よって人の心を見抜けるのですか!?)

雅枝「いやな、姫さんをスパイとは思ってません。けどさっきから怪しすぎですよ」

小蒔「///」ドキドキ

雅枝「宮永照の話題になってから、なんや顔赤いし」

小蒔「き、気のせいですっ……それか見間違いです///」

雅枝「………………」

小蒔「////」

雅枝「まさか…………宮永照に惚れとる…………とか?」

小蒔「!!!!!!」カァァ..

雅枝「って、そんなわけ……」

小蒔「///////」

雅枝「………………」

小蒔「/////////」シュゥゥゥ...

雅枝「ほんまに………?」

小蒔「ち、ちがいます……愛宕さんの推理みすです……///」

雅枝「………………」

小蒔「/////」

雅枝「…………ああっ!宮永照がそこにおる!!」

小蒔「ひぅっ!!!」ビックーン!!

小蒔(ど、どうして宮永さんが遠路はるばる!?って、それより私、髪型ちゃんとなっているでしょうか!?途中居眠りしちゃいましたから、寝癖とかあるかもしれません!!)サッサッ!(髪の毛を直す)

雅枝「……あ、ちゃいました。宮永照やなくてタンスでした」

小蒔「…………え?」

雅枝「すんません。勘違いしてもうて」

小蒔「……………たんす………?」

雅枝「……………………」

小蒔「…………宮永さんに似てませんけど……」

雅枝「そうですね」

小蒔(もしかして今のは……私の本心を探ろうとしたのでしょうか?だとしたら今の私の反応で気付かれてしまったかも……)
730 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 07:49:45.59 ID:8MnlR9I2o

雅枝「……………」

小蒔(……どうしましょう………悩みは尽きません……)

雅枝「…………………ま、ええか。宮永照を狙うのやめますわ」

小蒔「えっ?」

雅枝「よう考えたら宮永照にこだわる必要はないっちゅう話やし」

小蒔「あ……え……う……」

小蒔(引いてくれた?ということは……なんとか誤魔化せたみたいです。よかった)ホッ

雅枝「ほな、宮永照のチームメイトに病んでもうて、久保貴子からの連絡を待つ形にするっちゅうことで」

小蒔(一安心ですね)フゥ

雅枝「……言うても姫さんかて乙女やなぁ」ボソッ

小蒔「はい?」

雅枝「いえ、なんでもないです」

小蒔「はぁ」

小蒔(……とにかく、この戦いでいっぱい頑張って、宮永さんと……)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
731 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 07:50:22.86 ID:8MnlR9I2o

照「!!」ハッ!

小蒔「!?」

〔照魔鏡・極(しょうまきょう・きわみ)〕が消失する。

同時に照は小蒔の本質を知る。

その本質とは、鏡で見た出来事だけでない。

小蒔の主観へと入り込んだ上での視点・感情・思考までをも含まれる。

照「…………」

照(今、鏡で見た出来事……覚えてる)

照(インハイ会場の廊下で転んだ神代さんを見て、子供の頃からよく転んでた咲を思い出して懐かしくなったんだ……)

照(でも、まさか……神代さんが私を……なんて……)

小蒔「…………」

小蒔(今、体の中に何かが入ってきたような……そして大事な物を見られてしまった……そんな気がします)

小蒔の精神の奥深くへと入り込み、その中を覗き見る。

そして心の壁を消し去り、防御力をゼロにする。

相手の中身を理解し、小蒔の〔天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)〕と同等の効果ももたらす。

それが〔照魔鏡・極(しょうまきょう・きわみ)〕。

照「………………」

照(インハイの時とか、全てを知りたいと思ったけど……まさかここまでとは……)

小蒔「………………」

小蒔(宮永さん……どこか表情がぎこちない気がします……もしかして私の気持ちを知られた……とか……)ゾクリ

小蒔(……いえ、そんなわけありません。気持ちを気付かれないように、宮永さんみたいなくーるふぇいすを頑張ってるんですから)

小蒔「………………」フゥ..

照「?」

小蒔(……妹さんより先に戦うことになってしまいましたが…………構いません。私の力をあぴーるして好きになってもらいます!)ピキィィィン...

照「!!!」
732 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 07:50:58.16 ID:8MnlR9I2o

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

比古清十郎(♀)「ほら、壁に両手をついて尻をこっちへ向けろ」

緋村剣心(♀)「し、師匠……恥ずかしいでござる……///」

清十郎「知るか。奥義を会得しようっていうのに、そんなこと言ってる場合じゃないぜ」サワ

剣心「ござぁぁ……///」ビクビクゥン!

清十郎「フッ……相変わらずの感度だ。絶頂速度まで神速とは、飛天御剣流を継ぐにふさわしい女だぜ」

剣心「ししょう……はぁ、はぁぁ……」

清十郎「わかったわかった。期待に応えてやる」バサッ(マントを剣心の顔にかぶせる)

剣心「もごっ!見えないでござるぅぅ!」ビククッ!

清十郎「いくぜ。弥彦(♀)とか言う小僧の竹刀を使って、尻に九頭龍閃をぶち込んでやるっ!」

剣心「そ、んな……稽古に励んでいる弥彦の竹刀を拙者のお尻に……///」ゾクゾク!

清十郎「九頭龍閃!!」

壱・弐・参・肆・伍・陸・漆・捌・玖!!

剣心「おろろおぉお!!」ガクガクガクガク!

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



照「ぐぅうう!!」

咲「お、お姉ちゃん!大丈夫!?」タタッ

照「さ、き…………」

小蒔「!」

小蒔(妹さん…………宮永……咲)

小蒔(宮永さ……照さんを惑わす子……)ギリッ..

照「はぁ……はぁ……」

照(ま、まずい……〔照魔鏡・極(しょうまきょう・きわみ)〕の反動?いつも以上に消耗してる……しっかりしないと……)フラッ...

咲「お姉ちゃん!足腰しっかりして!」ギュッ(照を抱きしめる)

小蒔「!!」

小蒔(この……照さんを包み込むなんて……許せません!)

小蒔(あなたから倒しちゃいます!)ピキィィン...

咲「ぁ……!」
733 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 07:51:26.72 ID:8MnlR9I2o

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

岬(♀)「翼ちゃん!」

翼(♀)「岬ちゃん!」

ダキッ!

岬「もう離したくないよ……」ギュ

翼「私も……ずっとこうしたかった………」

??「………………翼………」(翼と岬を遠くから見つめている)

??「どうした?ワカバヤシ(♀)」

若林(♀)「え?………あぁ、シュナイダー…」

シュナイダー(♀)「…………ツバサのことが好きだったのか?」

若林「そんなんじゃない」

シュナイダー「そう……」

若林「それより…………どうしてお前がここに?」

シュナイダー「………………ワカバヤシに用があってな」

若林「用?」

シュナイダー「ワカバヤシ…………俺はお前が好きだ。俺と付き合って欲しい」

若林「えっ……………?」

シュナイダー「俺はずっと……ペナルティエリアの外から2分の1でシュートを決めていた時から好きだった」

若林「そんなに前から………」

シュナイダー「…………ワカバヤシ、シュートへの反応は早いくせに恋心には鈍感だから」

若林「シュナイダー…………俺は……」

??「待て!!」ヒュッ!

プスッ!!(爪楊枝が地面に刺さる)

若林・シュナイダー「!!」

カルツ(♀)「ワシもワカバヤシが好きだ!!」
734 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 07:51:57.55 ID:8MnlR9I2o

若林「カルツ!」

シュナイダー「…………」

カルツ「シュナイダー…………ワシの気持ちを知ってて、抜け駆けかい?」

シュナイダー「………恋愛は、強い者が勝つんじゃない。勝った者が強いんだ」

若林「……………2人とも」

シュナイダー・カルツ「?」

若林「気持ちは嬉しいけど………まだ気持ちの整理がつかないんだ…………だから今は………俺たちのワールドカップ挑戦が終わるまで待ってほしい」

シュナイダー「そうか………大分待たされそうだな」

カルツ「……………」

若林「すまん」

シュナイダー「謝らないでいい」

カルツ「そうだ。ワカバヤシは悪くない」

若林「……………でも………」

カルツ「なあに、勝負はまだこれから、ってだけだよな?シュナイダー?」

シュナイダー「…………ああ」ニッコリ

若林「………………ありがとう」ニコッ

カルツ「よっしゃ!じゃあ練習するか!」

シュナイダー「そうだな」

若林「うん」

岬「ンム………翼くん」ンチュー

翼「岬くん………れろ……ちゅ………ん」チュゥー

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
735 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 07:53:31.18 ID:8MnlR9I2o

咲「っ……」フラッ..

咲(かなりの威力……だけど、深堀さんのスカに比べたら……)

小蒔「〔 天 叢 雲 剣 ( あ め の む ら く も の つ る ぎ )〕」ゴァァア!

咲「え……っ」

一閃。あっという間に防御力が失われる。

これで咲もあぶないみずぎ。すっぽんぽんよりマシなだけ。

小蒔(次の一撃はとっても痛いです!)

咲「わわっ……!」

照「!」

照(咲に攻撃なんてさせない!)

小蒔「…………」ピキイィィン...

照「ぐ……ぁ……」

咲「え?」

小蒔「!?」

小蒔(これは……妹さんの方に攻撃したのに、照さんが苦しんでいます!どうして!?)

咲「お姉ちゃん!?これって……」

照「はぁっ……はぁ……」

咲(私の〔姉妹の愛(シスターラブ)〕と同じ……?)

咲(でも……私が能力に目覚めた時、代わりに攻撃を受けることができるなんて情報はなかったけど……)

照「だ、いじょうぶ。咲は私が守る」

咲「あ……」

照「私は……お姉ちゃん、だから……」

咲「!」

咲が気付いたように、たった今照が目覚めたもう1つの能力は〔姉妹の愛(シスターラブ)〕である。

姉なら妹、妹なら姉が窮地に陥った際、全能力が底上げされる能力だ。

そして姉の場合は、妹への攻撃を肩代わりすることもできる。ただし煌のように攻撃を軽減はされず、肩代わり中には攻撃できない上、力を若干消耗する。

小蒔「…………」

小蒔(もう一度………)ピキィィン....

照「ぐ……っ!!」

咲「お姉ちゃん!!」

小蒔(…………照さん……)

小蒔(そこまで妹さんが大切なのですか?私のことなど眼中になくて……『どっか出かけちゃえ』とか思っていると……?)

心がざわつき、暗い想いが胸を満たす。

その想いに呼応するように、九面から小蒔の元へと力が流れ、妄想が研ぎ澄まされていく。

現時点で2人を圧倒している上に、さらに力を増す小蒔。

照と咲は太刀打ちできるのだろうか……。
736 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 07:54:45.20 ID:8MnlR9I2o

久「はぁ、はぁ……」

久(なんとか捕まらずに逃げれてるけど、もう限界……脇腹が痛くなってきたわ)

霞「うふふ。なかなか足が速いのね」ニッコリ

久「石戸さんこそ。随分体力があるのね」

霞「巫女ですから」ニコ

久「…………そう」

久(よくわからないけど、まぁいいわ。どちらにせよこれ以上逃げるのは無理。危険覚悟で〔無数の絆(フラグメーカー)〕で攻める!)ザッ!(霞の方へ一歩踏み出す)

久(有効そうな能力は…………あら?)


◇ 宮 永 照 ◇

フラグ:イケナイことをしちゃった同士

能力:〔照魔鏡・極(しょうまきょう・きわみ)〕、〔姉妹の愛(シスターラブ)〕※使用不可


久(いつの間にか照が新しい能力に目覚めてる!しかもこの力……)

霞「?」

霞(急に笑顔に……?一体何が……)

久(いける……!これならっ!!)

久《〔 照 魔 鏡 ・ 極 ( し ょ う ま き ょ う ・ き わ み )〕》

霞「!!」
737 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 07:56:17.26 ID:8MnlR9I2o

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

数ヶ月前―――

小蒔「霞ちゃんはすごいですね」

霞「え?」

小蒔「最近、大活躍と聞いています。道場破りさんを『えいっ』と倒してしまったとか」ニコニコ

霞「うふふ。そんなことないわ。小蒔ちゃんに比べたらまだまだよ」ウフフ

小蒔「いえ、私だったら道場破りさんが来たらビックリして隠れちゃいますから」

霞「あらあら。小蒔ちゃんほどの力なら四天王に選ばれるのも当然なくらいなのに」クス

小蒔「……ありがとうございます。でも私は…………四天王には入れませんから」

霞「あ………それは本家の……」

小蒔「……はい。目立ったら怒られちゃいます」

霞「………………」

小蒔「……………」

霞「…………小蒔ちゃんは」

小蒔「?」

霞「四天王に選ばれたい?」

小蒔「……………………はい」

小蒔「別に目立ちたいとかではないのです。でも……」

霞「でも?」

小蒔「……なんだか格好いいです」

霞「……え」

小蒔「『かりすま美容師』のような、きゃっちふれーず?というものに憧れてしまうのです」

霞「…………うふふっ」

小蒔「わ、笑わないでください///」

霞「だって……『霧島神境の姫』なんて素敵な呼び名があるのに……」

小蒔「それは……でも……その呼ばれ方は霧島神境にいてこそですし……駄菓子屋さんにいる時の私は『駄菓子屋さんの姫』になってしまいます」

霞「それは違うと思うけれど……」

小蒔「はぁ……」

霞(……でも、そういうことなら四天王にしてあげたいわね。だけど分家の私では本家に逆らえない。だったら………)

霞「小蒔ちゃん」

小蒔「はい」

霞「こういうキャッチフレーズはどうかしら?『四天王より強い超ウルトラ姫』」

小蒔「ちょう、うるとらひめ……」

霞(…………自分で言っておいてなんだけれど、ちょっとひどいわね)
738 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 07:58:07.32 ID:8MnlR9I2o

霞「やっぱり違……」

小蒔「霞ちゃんすごいです!」

霞「え?」

小蒔「うるとら?がどういう意味かわかりませんが、とても気に入りました!」ニコーッ!

霞「そう……ならよかったわ」

小蒔「はい!……あ、でも……四天王より強いとか勝手に言ってしまっていいのでしょうか…………著作権?肖像権?何かに抵触して怒られたりは……」

霞「大丈夫。四天王より強いことが証明されていれば問題ないわ」

小蒔「え?あの……私、戦うことを禁止されていて……」

霞「ええ。わかっています。だから…………私が四天王になります」

小蒔「…………………」

霞「そうなれば、私より強い小蒔ちゃんは四天王より強いということになるわ」

小蒔「た、確かにそうですけど…………霞ちゃん、あまり戦うのが好きじゃないって言ってましたよね?」

霞「…………そうね。戦わなくてすむならそれに越したことはないわね」

小蒔「それならどうして……」

霞「小蒔ちゃんが喜んでくれるかもしれない、って思ったから」ニコリ

小蒔「霞ちゃん……」

霞「うふふ……」

小蒔「嬉しい……私、嬉しいです……っ!」ウルッ

霞「あらあら。泣かせちゃったわね」ナデナデ

小蒔「……っ、はい……ごめんなさい。あまりにも嬉しくて……」グス..

霞「…………」ナデナデ

霞(小蒔ちゃん……)

小蒔「ありがとうございます……霞ちゃん……ぐす……」ニコリ

霞「……ええ」

霞(私、頑張って四天王になるから……だから…………私にもっと笑顔を見せて。その笑顔のためなら、私はどんなに辛いことでも頑張れる)

その後、霞は目まぐるしい活躍をし、四天王となる。
739 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 07:59:22.92 ID:8MnlR9I2o

そしてある日――

【霧島神境 庭】

霞「………………」

霞(最近小蒔ちゃんはずっと雑誌を読んでいるみたいね)

霞(インターハイに向けて宮永照を研究するにしても、グラビアや麻雀に関係ないインタビュー記事まで集めてるなんて……一体どうして…………あ)

小蒔「……………」スタスタ

霞(小蒔ちゃん?あの先には普段使われていない倉庫があるだけなのに………なんの用でしょう?)

霞(…………気になるわね。こっそりついていきましょうか)テクテク..

小蒔「…………」ガラガラ...バタン..ガチャ

霞「…………」

霞(倉庫に入った…………目的がわからないわ)

霞(小蒔ちゃんに限って、危険なことをしているとは思えないけれど……気になるわね)キョロキョロ

霞「あ」

霞(庭木の剪定で使う脚立が置いてあるわ。少し借りて、窓から中の様子を見てみましょう)

霞(よいしょ、っと…………さて、小蒔ちゃんは……)コソコソ

小蒔「…………っぁ!」

霞「?」

小蒔「……………ん……はぁ……っ///」

霞「!!」

霞(は、袴の中に手を入れてる……///)

小蒔「はぁっ……ん……っく……う……」モゾモゾ..

霞(あの小蒔ちゃんが…………いえ、小蒔ちゃんも年頃だものね)

霞「………………ぁ」

霞(私は何をしているの?いつまでも覗いているなんて…………もう降りましょう)

小蒔「好き!」

霞「!」ピタッ

霞(声が漏れて…………今、小蒔ちゃん『好き』って……)ドクン

小蒔「……好き!好きです!宮永さんっ!!」

霞「ぁ………」

霞「……………………」

霞(そう……宮永照の記事が載っている雑誌を集めていたのはそういうことだったんですか……)

霞(…………どうして)

霞(私の方が小蒔ちゃんの傍にいるのに……)

霞(どうして宮永照が小蒔ちゃんの心を奪うの……?)

霞(私の方が…………ずっと………ずっと…………)
740 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 08:00:52.52 ID:8MnlR9I2o

数週間後、

霞は気持ちの乱れにより本来の力を発揮することなくエイスリンに敗れた。

小蒔の気持ちを知ってしまった今、霞にとって四天王の座にはなんの意味もなさない。

エイスリンが霞の代わりに四天王になったと聞いた時も、霞の心は揺るがず、乱れず、ただただ結果として受け入れた。

霞「………………」ハァ...

霞(なんだか、何もやる気が起こらないわね……)

ザッ..

霞「?」クルッ

小蒔「…………」

霞「あ…………小蒔ちゃん……」

小蒔「霞ちゃん……」

霞「……っ」フィッ..(目をそらす)

小蒔「あ………」

霞(今の私は覇気のない抜け殻のようなもの…………小蒔ちゃんの顔を正面から見ることなんてできないわ)

小蒔「……ごめんなさい」

霞「え?」

霞(どうして小蒔ちゃんが謝るの?)

小蒔「私が前に四天王になりたいって言ったせいで、霞ちゃんに無理をさせてしまいました」

霞「!?そんなことは……」

小蒔「ありますっ!だって最近の霞ちゃん………がっくりしています」

霞「…………………」

小蒔「境内のお掃除の時もいつもと違って、くたくたな様子でした。葉っぱもちょっと散らばっちゃって…」
 
霞(それは……ただやる気がなかっただけで……)

小蒔「当然ですよね……四天王として戦い続けていたのですから…………それもこれも全部、私のわがままのせい」

霞「!違うわ」
741 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 08:02:38.76 ID:8MnlR9I2o

小蒔「いいえ。私が『格好いいきゃっちふれーずが欲しい』と言ったせいで、優しい霞ちゃんは四天王になってくれて、頑張ってくれて……」

霞「それは……」

霞(私はただ小蒔ちゃんに喜んでほしくて………私が小蒔ちゃんの笑顔を見たかっただけ……)

小蒔「でも、もう無理はしないでください。私のために辛い想いをさせてしまうのはすっごく嫌です」

霞「…………小蒔ちゃん」

小蒔「私は………霞ちゃんの笑顔が大好きですから………霞ちゃんには笑っていてほしいんです」ニコリ

霞「!!!」

霞(小蒔ちゃん………その言葉、残酷ですよ………)

小蒔「……だ、だめ、でしょうか?」

霞(…………でも)

霞「いいえ」ニコリ

小蒔「あ………」

霞「無理をしていたつもりはないけれど、気を付けることにするわ」ウフフ

小蒔「霞ちゃん……」パアァァ..

霞「………………」

霞(私の気持ちは届かないけれど……)

霞(私が笑うことで小蒔ちゃんが少しでも笑顔になってくれるなら………)

霞「………………」

霞(…………小蒔ちゃんへの想いはもう胸にしまいましょう)

霞(そしてただ、傍にいられる喜びを抱いて微笑む…………私は……石戸霞はそれでいい)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
742 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 08:04:03.68 ID:8MnlR9I2o

久「ううっ!」

久(これが〔照魔鏡・極(しょうまきょう・きわみ)〕……。かなり強い能力だからか、消耗が激しいわね)ハァ..ハァ..

久(でも、これで勝機が見えたわ!)

霞「?」

霞(なにかしら?この心細さ…………まるで秘密を覗かれ、弱みを握られたような……)

霞(……いえ、何をされたかよりどうするかの方が大切ね。私は竹井久ちゃんを攻めるのみ。〔1日分の爆乳(ワンデイバクニュー)〕で動きを制限されている状態で逃げていたのだから、体力も精神力も消耗しているはずなのだから……)

久(今の石戸さんの防御力なら私の攻撃でも大ダメージを与えられるけど……より効果的な手段がある)ギラリ

久(〔照魔鏡・極(しょうまきょう・きわみ)〕で見た彼女の想いを元に…………沢村さんの能力を借りて絶望を増幅させれば……)

霞《〔 爆 巨 双 乳 ( ば く き ょ そ う に ゅ う )〕 》ポヨォォォ..

霞がおっぱいの感触を飛ばす。

相手を赤ちゃんにする〔母なる大乳(ははなるだいち)〕より威力は劣るが、疲労している今の久にとってはかなり厄介な攻撃である。

仮に全身に受けてしまったとしたら、もはや脱出は不可能。敗北必至だ。

久「わぁ!?」サッ

久(これに当たったらまずいわ!)

霞(うん……避け方がギリギリになっている。このままおっぱいの感触を飛ばし続ければいずれ当たるわね)ポヨォォォ..

久「っ!っ!」サッ!サッ!

久(せっかく勝機が見えたのに……!これじゃ防戦一方……どうすればいいの!)

久は〔爆巨双乳(ばくきょそうにゅう)〕を避けながら考える。しかし思考は飛来するおっぱいの感触に遮られる。

霞は〔爆巨双乳(ばくきょそうにゅう)〕を放ち続けながらゆっくりと久の元へと歩を進め、チャンスとあらばいつでも〔母なる大乳(ははなるだいち)〕に移行できる体勢に入っていく。

久(まずい……どうしよう!?何か……何か手は……)

一歩ごとに霞の胸は揺れ、久の勝機は崩れ、敗北のプレッシャーが膨れ上がる。

おっぱいの感触を避けるために動き続けることを強要されている久の足は限界を迎えつつあり、今にも倒れてしまいそうなほどフラついている。
743 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 08:05:12.84 ID:8MnlR9I2o

久「あ……っ……」ガクッ

霞(!バランスを崩したわ!)

久の右足が限界を迎え、体が沈む。

転倒しそうになるも、片膝を地面に着いてこらえる。

久(しま……った……!負け……た……)

霞(これで、私の勝利よ!)

久は敗北を悟り、霞は勝利を確信する。

しかし……。

霞「…………えっ」

今まさにトドメを刺そうとしていた霞の目が驚きによって見開かれ、動きが止まる。

久「?」

その理由は、霞の瞳にある少女の姿が映ったからである。

先ほどまでは久の体で見えなかったが、体勢を崩したことで視界が開け、少し離れた位置に立っている少女が見えた。

その少女の名は、エイスリン・ウィッシュアート。

霞から四天王の座を奪った天使な留学生。

KAWAIIを逆輸入し、キュートを貿易する女神だ。

霞(………そんな………)

しかし、霞が驚いたのはエイスリンの相変わらずの可愛さではなく、彼女がこの場にいることだった。

霞(小蒔ちゃんと相性の悪いエイスリンちゃんと臼沢さんは煌ちゃんと高鴨さんで徹底マークする作戦なのに…………どうしてエイスリンちゃんが1人でここに!?)

霞(私たちから遠く離れた場所で繋ぎとめておいて、戦いが終わるまでずっと見張っているはずでしょう?)

連合軍の作戦では、秘密兵器である小蒔の力を最大限活かすため、小蒔の天敵を封じようとした。

性別を反転させる小蒔の能力は純代などには有効だが、

小蒔自身に妄想させる白望や、塞――〔絶対幼女(アブソリュート・ようじょ)〕によるロリ妄想強要――には効果はないし、

体を操るエイスリンとは相性が悪い。

1対1ならば小蒔が勝つだろうが、それでも苦戦する可能性があるならば、排除するのは当然。

そのためエイスリンには煌を付け、他者の攻撃を肩代わりする〔スバラの部屋(スバラズルーム)〕で煌以外を操れないようにし、

塞が〔幼女領域(ようじょ・フィールド)〕や〔絶対幼女(アブソリュート・ようじょ)〕を展開した際、これらを無効する穏乃に塞を攻撃させ、被害を防ごうとした。

作戦は完璧なはずだった。一体どこで歯車が狂ったのだろうか?
744 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 08:05:54.20 ID:8MnlR9I2o

【西側 外れ】

洋榎「ふぇっくしょい!!」

洋榎「あー……鼻水出てもうた」ゴシゴシ

洋榎「こら嫁がうちの噂しとったな。モテる女は辛いわぁ」ヘヘン

作戦変更の犯人は愛宕洋榎だった。

開戦前、寿司屋での食事中に……

洋榎『……この作戦、誰が決めたんがしらんけど詰めが甘いわ』

連合軍A『……と言いますと?』

洋榎『エイスリンと臼沢、それぞれに担当するやつが付いてるけど、この組み合わせは間違うてるで。逆や』

連合軍A『……なるほど』

洋榎『いくら戦力差で圧倒してる言うても、油断したらあかん』

連合軍A『あ、はい。わかりました。変更を伝えてきます』

……という具合に、直感で煌と穏乃を入れ替えるよう命令したのだ。

しかし、指揮官ではない人間による作戦変更は本来なら不許可となるはずだった。

だがどこで間違ったのか、作戦内容を伝達する際に、愛宕『雅枝』が作戦変更を提案したことになり、

リリーフラワーガーデン会長の判断として変更が認められてしまったのだ。

そうなれば当然、皆は新しく決まった作戦に従う。

怖いオバハンに逆らえることができるのは、怖いオバハンのみなのだから……。
745 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 08:06:26.23 ID:8MnlR9I2o

【中央(リリーブライド本部近く)】

霞(まずいわ……どうしましょう?竹井久ちゃんより先にエイスリンちゃんを叩く?それとも……)

エイスリンの姿を目撃し、霞の動きが止まったのはたった数秒。

しかしそのチャンスを逃す久ではなかった。

久(なんだか知らないけど、隙だらけよ!勝機はここしかないわ!)

久《〔 無 数 の 絆 ( フ ラ グ メ ー カ ー )〕》

霞「!?」ハッ..

久《あなたに…………絶望をあげる》ブワァアア!!

霞(しまった!)

久《宮永照………宮永照さえいなければ……何度そう思った?》

霞「!!」

久《神代小蒔の心の中にはあなたの姿ではなく、宮永照がいる》

霞「ゃ……めて……」

久の言葉が霞の心を抉る。

久《どれほど想い、どれほど尽くしても、それは変わらない》

本人が気付いてないフリをしていた現実を露わにする。

霞(う、ぁああ………)

あっという間に全身へ広がっていく絶望。

〔照魔鏡・極(しょうまきょう・きわみ)〕によって防御力を失った今、威力は絶大を通り越し、一撃必殺の領域に近い。

霞「聞きたくない……嫌……」ブルブル..

両腕で自分を抱きしめながら体を震わせ、うずくまる霞。

その姿はとても儚く、今にも消えてしまいそうなほどだ。

久「……………」

久(あと数回……絶望を生む言葉を放てば勝てる……)

久(そうすれば、照たちや智紀のところに加勢できる)
746 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 08:07:07.13 ID:8MnlR9I2o

霞「嫌……やめて……ぁぁ……」

久(…………だけど……石戸さんの片想いにつけ込むことは…………私には………)

久「……………………」

霞「うぅ……ぅう……」

久《…………そんなことでどうするの!!》

霞「!!」ビクン!

久《あなた、ずっと神代さんのことが好きだったんでしょ!?だったら……諦めないで!》

霞「な、何を……」

久《そりゃ色々と事情とかあるんだろうけど……そんなの誰だってそうよ!恋愛に限らず、思い通りにならないことばかりなんだから!》

久(風越に行きたかった。もっと麻雀がしたかった)

霞「…………」

久《その中で傷付いて、傷付いて……それでも前を向いて……》

久(どれだけ勧誘してもみんな麻雀部を辞めていく……インハイに出るどころか廃部を免れるのがやっと……)

久《諦めてしまいそうになっても……頭を振って弱気を吹き飛ばして進むしかないの》

久(牌の音がしない部室に1人……まるで世界に自分しかいないような錯覚を覚えた…………でも、そこに……まこが来て………そして和、優希、咲、須賀君が加わった……)

久《だって……諦めたらおしまいだもの。諦めるということは、自分で自分の希望を摘む行為だから》

霞「……………」

久「……………」

霞「……………」

久《……………ごめんなさい》

久(……私、何言ってるんだろう……石戸さんの恋愛と私の抱えてた問題は全然違うのに………)

久《わかってるのよ………私の言葉が薄っぺらいってことくらい………お前に何がわかるんだって思うわよね》

久(でも蹲って震えてる石戸さんの姿を見ていたら、部室で1人膝を抱えてた自分の姿とフラッシュバックして……)

霞「……そんなことないわ」

久「………………」

霞「ありがとう」ニコリ

久「え」

霞「あなたは、あのまま私へ絶望を与え続ければ確実に勝てたはず。でもそれをしなかった」
747 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 08:08:12.08 ID:8MnlR9I2o

久「………………」

霞「……だから、ありがとう」

久「?」スゥッ

久(あ、体が軽くなった。〔1日分の爆乳(ワンデイバクニュー)〕を解いた……ってことよね。私が攻撃をやめたことに対する返礼ってところか)

霞「…でも、私を甘く見ないでほしいわね」

久「え?」

霞「私は諦めたつもりはないわ。ただ笑顔で機をうかがっているだけ」ニコリ

久「…………そっか」クスッ

霞「ええ」ウフフ

久「…………」

霞「…………」

2人の間に、どこか信頼感を含んだ空気が流れる。それは今だけのことなのか、それともこの先も続いていくものなのかはわからない。

霞「…………では仕切り直しといきましょうか」

久「そうね」

久(今の石戸さんの防御力なら絶望を使わなくても勝てるはず!そのためには…………)

確実に勝利できる絶望攻撃を捨て、勝ち目の薄い方を選択する。それはまさに悪待ち。

霞(ここで勝利して急いでエイスリンちゃんを止める。そのために必要なのは…………)

小蒔を守るために勝利を求める。守備……それは石戸霞の得意分野である。

久「」キッ!

霞「」キッ!

2人が同時に覚悟を決める。そして選んだ戦法は……。

久・霞(連続攻撃を叩き込む!!)

これもまた同じだった。

霞《穏やかな日曜日、ひだまり荘では…》

久《大人しい性格の七瀬文は、秘かに憧れていたセタミィに…》

次々と繰り出す妄想。

果たして勝者はどちらになるのだろうか……。
748 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 08:08:46.45 ID:8MnlR9I2o

智紀《限定版は売り切れ。値段が高騰!お小遣いじゃ無理!》

巫女軍団「いやぁぁあ!」バタッ

智紀(これで残り10人……)ハァハァ

巫女軍団「!」ジャッ...

智紀(なんとか早く倒して合流したい………でも難しい………)チラッ

智紀(宮永さんたちは神代さん相手に持ちこたえてる)

智紀(竹井さんも石戸さんを相手に頑張ってくれている………でも相当辛そう)

巫女軍団「はぁあ!」

智紀「っ…く!」

智紀(ここで私が負けたら、巫女軍団が神代さんと石戸さんに助太刀に行ってしまう……そうなれば竹井さんたちは確実に負け…………絶対に負けられない)

智紀(……ここは今まで通り、焦らず確実に数を減らし…………ん?)

エイスリン「」

智紀(あれはエイスリンさん………助けに来てくれた?でも行く手を遮られてる…………だったら!)タタタ

巫女軍団「!?逃がしません!」タタッ!

智紀(私がエイスリンさんを助け出す!)タタタタ

連合軍「!?なっ……沢村智紀!!」

エイスリン「!」

智紀(連合軍は3人……まとめて倒す)ザッ!

智紀《ことりちゃんが留学!?穂乃果がスクールアイドルを辞める!?》

連合軍「っ!?いやぁぁああ!!」

出会い頭に強烈な一撃。

後にハッピーエンドが待っていたとはいえ、当時味わった絶望的な雰囲気で心を埋め尽くす早技。いわゆる思い出し絶望である。

連合軍「前回のラブライブ!は…………うぅ……」バタッ!

智紀「………………」

智紀(とっさに鬱展開の無い回を頭からなぞって絶望を吹き飛ばそうとした……最後まで諦めないその執念……すごい)

エイスリン「トモキ!アリガト!」ニコリ

智紀「いえ……エイスリンさんには手伝ってほしいことがありまして……」

エイスリン「?」

巫女軍団「待てぇぇえぇ!!」

エイスリン「ワァ!」

智紀「……まずはこの人たちを倒してから、ですね……」

エイスリン「ハーイ♪」
749 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 08:10:05.68 ID:8MnlR9I2o

智紀とエイスリンが合流を果たした時―――

久《日野としまむらの元親友である樽見が何故か惹かれあい、キス!!》

霞《素直になれないミミちゃん。今度は自分の意志でピュアトリフを食べる……っ》

久《水夏は猫カフェの店員さんから漂う猫っぽさに魅了される!前から水夏に目を付けていた店員さんが、そんな水夏の変化を見逃すはずはなかった!翌朝、2人はベッドの中で目覚めた!》

霞《犬神さんに翻弄される秋。そんな彼女に嫉妬した猫山さんは、思い切ってお色気作戦に出る。そんな猫山さんに欲情した犬神さんは、我慢の限界を超え、ついに一線を超えてしまう!》

寸隙もない波状攻撃を繰り出した2人。

全力を出し切り、胸を上下させ、息も荒く立ち尽くす。

久「っ、はぁ……はぁ……っ」

霞「…はぁ……はぁ、はぁ、はぁ……」

久(私が持ってる力は全部ぶつけた……)

霞「…………………」

久(届か…………なかった………か)フラッ

バタッ..

霞「………………」

久「………私の負けね」

霞「…………いえ」

久「ちょっとちょっと、そこは認めてよ。倒れてる私と立ってる石戸さん。勝敗は明らかじゃない」

霞「……違うわ。この勝負、引き分けよ」

久「いや、だから……」

霞「私も力を使い果たして動けないもの」

久「…………え?」

霞「…………こうして立っているのが精一杯だから」

久「……でも私は立ってられなかったのよ?それに比べたら……」
750 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 08:11:52.74 ID:8MnlR9I2o

霞「私が立っていられるのは『倒れて袴を汚したらお母様に怒られるから』という恐れからなの」

久「へ?」

霞「前に袴を砂だらけにしてしまったことがあったのだけど、その時のお母様のお怒りはすごくて……お母様に怒られないなら、今すぐにでもへたり込みたいわ」

久「………………」

霞「………………」

久「…………ふっ、あははは!」

霞「………………ふふ、ふふふふ」

久「あー、おっかしい。案外石戸さんってお茶目なのね」

霞「そうかしら?」

久「そうそう。なんかイメージと違って……まぁ元のイメージもいいんだけど、さらにいい感じ」

霞「あら、ありがとう」

久「………………」ニコリ

霞「………………」クスッ

久「……なんか不思議」

霞「え?」

久「石戸さんとこうして話してるの、すっごく落ち着く」

霞「……私もよ。敵同士で、ついさっきまで戦っていたのに……何故かしら?」

久「……漫画でよくあるアレじゃない?河原で決闘して、最後には友達になっちゃうアレ」

霞「ふふっ……そういえば、そんなシーン見たことあるわ。確かに似てるわね」

久「でしょ?ふふっ」

霞「……なんだか、出会い方が違っていたらあなたとは良い友人になれた気がするわ」
751 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 08:13:03.13 ID:8MnlR9I2o

久「いいえ、それは間違いよ」

霞「えっ?」

久「……今からだって良い友人になれるもの」ニコッ

霞「!!」

久「全然遅くないわ。違う?」

霞「………………ふふっ……そうね」

久「じゃあ、改めまして」

霞「ええ」

久「私は竹井久」

霞「私は石戸霞」

久「これからよろしく」ニコリ

霞「こちらこそ、よろしくお願いしますね」フフ

久「」ニコニコ

霞「」ウフフ

久「…………あー、なんか……ホッとしたら眠くなってきちゃった」

霞「……え?」

久「じゃあお先に………おやすみ……」

霞「あ……」

久「」スースー

霞(…………本当に寝てしまったわ。ふふ、可愛らしい寝顔……)クスッ

霞「………………」

霞(小蒔ちゃん…………最後まで一緒にいられなくてごめんなさいね……)

霞(私はここで小蒔ちゃんが勝つことを信じています………)ガクッ
752 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 08:13:47.29 ID:8MnlR9I2o

小蒔「…………………」コォォォォ..

照・咲「!!」ゾワワッ!

照(何これ……?神代さんからとてつもない力を感じる……)

咲《怖い……怖いよお姉ちゃん》キュッ

照「咲……」

照(あぁ……この咲の表情、昔と変わらない……)

照(怖いことがあるとすぐ私の服の裾を握って離れない………ふふっ、やっぱり咲は変わってないんだね)クスッ

咲「……お姉ちゃん……?」

照「安心して。私がついてるから」ニコリ

咲「!おねえちゃん……///」

小蒔「…………」

小蒔(また……あの笑顔を……………私には決して見せてくれないのに……)

嫉妬、怒りが神気に混ざり、渦を巻いて小蒔の周りを巡る。

まるで今にも照の元へと飛びかかってきそうな圧力を持つそれはあまりにも強大だ。

ゴオオォッ!

照「!」

照(さらに力が強くなった!)

小蒔(覚悟、してもらいます……)スッ

照(来る……っ!)

照(あれを受けたらまずい……!せめて咲だけは逃がし…)

小蒔(いきますっ……!)ブンッ

照・咲「!」

小蒔が右手を振り上げた。その手の中には照と咲、2人の運命が握られている。

照(早く決断しないと!)
753 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 08:14:13.73 ID:8MnlR9I2o

照「咲!手を離して逃げて!」

咲「やだ!お姉ちゃんと一緒じゃないとやだ!」

照の傍を離れようとしない咲。

そんな2人に狙いを定め、強大な力を纏った小蒔の手が振り下ろされようとして……。

小蒔「……っ!?」

その『ようとした』状態でピタリと動きを止めた。

照「…………?」

咲「?」

小蒔「!………!?」

どうして『ようとした』ままなのか?

いつまで『ようとし』続けるのか?

なぜベストを尽くさないのか?

小蒔には理由がわからない。

照(これは……)

しかし、照には心当たりがあった。

過去に突然体が動かなくなったことが2回ほどあったからだ。

1つは、塞によって幼女のまま動けずいいようにされたこと。

そしてもう1つは……。
754 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 08:14:49.24 ID:8MnlR9I2o

咲「っ!」クルッ

エイスリン「デキタ♪」カキカキ

天使のいたずらによるものである。

咲(エイスリンさんありがとう!!助かりました!!)ワァァ!

小蒔(な、んですかこれ……?動けない……)

小蒔(私、疲れが溜まっていたのでしょうか?)

照(チャンス到来。今のうちに攻撃…………を…………お?)ピキッ..

咲「?」

エイスリン「」ニコニコ

照(あ……体が勝手に……神代さんの方へ……)テク..テク..

咲「え、あ……お、お姉ちゃん?ちょっと……エイスリンさん?」

エイスリン「」ニコニコ

小蒔「え?」

照「」テク..テク..

小蒔(照さんが……こんなに近くに……///)カァァ..

照「……ぁ」ガシッ(小蒔の両頬へ手を添える)

小蒔「わ……///」

咲「ま、まさか……?」

エイスリン「GOGO〜♪テル×コマ!」

照「!」

小蒔「///」ドキドキ..

照の顔が小蒔へとゆっくりと、ムードを作りながら近付いていく。

小蒔(こ、れ、は……///)カァァ..

小蒔が纏っていた怒りは期待へ。

嫉妬と怒りは吉報を期待する感情へと変化し、心臓が早鐘を打つ。
755 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 08:15:48.82 ID:8MnlR9I2o

咲「………………」

照(咲……見ないで……)

そして両者は目を閉じ……。

照「ん……んぅ……」

小蒔「っ……ぁ……////」

熱烈なキスを交わした。

咲「!!!!!」

エイスリン「〜♪」

照「んっ……ぁ……ちゅぱ……れろ……」

小蒔(はぁぁぁ……いつも勝手に想像していた光景が……夢が叶ってしまいました……)ポォォ..

小蒔は照とのキスに夢中になった。

頭の中では神社の鈴の音が響き渡り、幸せの絶頂を味わっている。

しかしそのすぐ近くで、4Bの鉛筆で描いたかのようにハッキリと血管を浮き出させている人物がいた。

咲「………………」ピクピクピク..

咲「う、う、う……ウェイスリンさんっ!!!!!」ギロリ!

エイスリン「ヒィ!?」

咲「止めて!!止めて!止めてえええええ!!!」ギロロロロロロリン!!

エイスリン「ハ、ハ、ハイ!!」

物静かな性格の中から飛び出した激情に、天使は怯えを隠せない。命令を取り消すために、急いで絵にバッテンマークを描く。

小蒔「///」ポーー..

照(こんな……咲の前でキスなんてしたら……きっと……)
756 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 08:16:28.03 ID:8MnlR9I2o

咲『お姉ちゃん……私の前で神代さんとキスするお姉ちゃんは……かわいくない』

咲『私、もう行くね。和ちゃんなら私の想いを受け入れてくれる……お姉ちゃんは神代さんと一緒にいればいいよ。さようなら……』

照「っ」ゾクッ!

照(やだ……絶対やだ……そんなこと………………あれ?)

照(…………この違和感……なんだろう?)

照「……………………………………」

照「あ……!」

照(そうだ…………普通に妄想できてるんだ……咲が男の子にならない……神代さんの能力が解除されたということ?)

照が気付いたように、今現在は小蒔が展開していた〔八咫鏡(やたのかがみ)〕は無効化されていた。

それは何故か。理由は簡単だ。

何度も何度も思い描き、焦がれた照とのキス。

その最中、思考の全てで照を感じたいと願った小蒔。

過去に照と自分の睦み合いを妄想していた時の気持ちが蘇り、無意識的に〔八咫鏡(やたのかがみ)〕を解除していたのである。

小蒔が感じたいのは男性になった照ではなく、女性である照なのだから。

エイスリン「……トケタ!」

小蒔「////」

照「……ん!」

照(体も動く……エイスリンちゃんの能力も解けた!離れよう)サッ

小蒔(あ……離れてしまいました……これはあれでしょうか?噂の焦らし行為というものかもしれません……しばらくの間、目を閉じて待ちましょう///)スッ

照(咲……)チラッ

咲「………………」ムスー..

照(やっぱり拗ねてる……でも今は戦闘中……神代さんを攻撃するべきか、それとも咲を説得するべきか……)チラ

小蒔(照さん……///)ンー..

照(…………神代さんはまだキス待ちしてる。だったら咲を説得しよう)タタッ
757 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 08:16:54.32 ID:8MnlR9I2o

照「咲」

咲「…………なに」

照「あのね、今のは違う」

咲「どう違うの」ムスー

照「……仕組まれた出来事。私の意思じゃない」

咲「どうだろうね。神代さん可愛いし。キスできて喜んでたんじゃないの?」プイッ

照「……確かに神代さんは可愛いし、清楚でいい匂いがするし、胸もボリュームがあってお得な感じがする」

咲「っ!」グヌヌ..

照「巫女服も持ってるし」

咲「…………」ヌヌグ..

照「…………でも、私が好きなのは……」

咲「!」

照「………………」

咲「……………好きなのは……?」

照「え、えと……///」

咲「////」

照「…………教えない///」

咲「秘密主義なお姉ちゃんかわいい!……じゃなくて!教えてよぉ、お姉ちゃぁん!」

照「だめ///」

咲「ねぇねぇ〜、お姉ちゃぁん」

照「う……」

照(甘えんぼ声の咲、かわいい……)
758 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 08:17:57.26 ID:8MnlR9I2o

小蒔「………………」

小蒔(おかしいです……ここまで焦らすなんて…………何かとらぶるが起きちゃったのでしょうか?)チラ

照「内緒///」

咲「やーだー!お姉ちゃぁん」クイクイ(照の服を引っ張る)

小蒔「………………」

小蒔(いつの間にか私の傍を離れて咲さんのところに………)

小蒔(それはつまり……私を置いてきぼりにしたということ……)

咲「じゃあヒントちょうだい!イニシャルだけ教えて?」

小蒔「………………」ゴ..

照「やだ。教えない///」サッ(自分の口を両手で押さえる)

小蒔「………………」ゴゴ...

咲「ええー!?じゃあ星座!」

小蒔「………………」ゴゴゴ...

照「だめ。何月から何座とかあんまり知らないから」

小蒔「………………」ゴゴゴゴゴ...

咲「じゃあ私が教えてあげるね。3月21日から4月…」

小蒔「〔 八 尺 瓊 の 勾 玉 ( ヤ サ カ ニ ノ マ ガ タ マ )〕」

照・咲「!?」ハッ!

照(しまった!さすがに待たせすぎた……!)

咲(な、なにこの雰囲気?急に怒り出した……怖い)

小蒔(今度の一撃は、今までとは違います)
759 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 08:18:26.12 ID:8MnlR9I2o

照・咲「……………」ゴクリ

小蒔の迫力に2人が息を呑み、身構える。

対称的に小蒔はゆっくりと深呼吸し、左手で右手首を撫でる。

左手が通り過ぎた後、小蒔の右手には複数の勾玉が繋がった輪が浮き上がる。

照(オシャレ……だけど、なんだか怖い……)

小蒔(私に宿りし九面の神々さん……力をお貸しください……)

祈りを込め、右手へ意識を集中させると、勾玉に光が宿る。

照「ぁ……ぁ……」ガタガタ..

照(足が……動かない………)

咲(逃げなきゃいけないのに……怖くて……体が…)

照(くっ……エイスリンちゃんは……)チラッ

助けを求めてエイスリンの様子を窺うと、エイスリンは巫女軍団に囲まれかけていた。

近くにいる智紀によって敗北は免れているが、再度照たちに加勢する余裕はない。

照(ダメか……)

久は霞との戦いでダウンしており、もはやこの場に照たちの味方は存在しない。

照(2人でなんとかするしかない……)

小蒔「………………」

時間にしてほんの数秒。

右手の勾玉の全てが輝き出し、溢れんばかりの光に揺さぶられるように震えだす。

小蒔(照さん…………咲さんとのことはまたいずれお話するとして……今は連合軍の勝利のため……)スーッ..(右手を広げ、掌を照たちの方へ向ける)

照・咲「!」

小蒔(倒れてもらいます!)

カッ!!

シュゴオオオオオオオオ!!!

照(これは……!)
760 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 08:18:56.81 ID:8MnlR9I2o

小蒔が攻撃の意思を右手へ込めると、勾玉から9本の眩い光が発生し、動けない照たちへ向かっていく。

咲(うわあ!!)

間違いなく2人へ訪れるであろう窮地を前に、〔姉妹の愛(シスターラブ)〕が再発動し、さらに力が強化される。

キィィィ...ィン...

照・咲「!」

その結果、2人はまた新たな能力に目覚めた。

照(でも……この力が有効なのは攻撃だけ……まずは避けないと意味がない……)

シュゴォオオォオオ!!

咲(……ダメ……当たる…………お姉ちゃん……)

キュッ..

咲「あ……」

咲(この手……お姉ちゃん…………)

照「…………」

〔姉妹の愛(シスターラブ)〕を以てしても、照にできることは手を動かすだけ。

2人はお互いの手の温もりを感じながら、迫りくる脅威とダメージを覚悟した。

小蒔(……おしまいです)スッ

最愛の人の敗北の瞬間は見たくないと、小蒔は目を閉じる。

そのタイミングで右手が着弾の手ごたえを感じた。

小蒔「………………」

小蒔(照さんに勝ちました…………でもあまり嬉しくないです……)
761 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 08:19:32.16 ID:8MnlR9I2o

小蒔(それよりももっと…………き、キスの続きを………って……わ、私……なんて淫らな……///)モジモジ

小蒔(…………で、でもしょうがないですっ……照さんが魅力的すぎるから…………唇だって、とても素敵で……)チラッ...

照「……………」

小蒔(あぁ……やっぱり素敵です。あの凛とした立ち姿もまた……///)

照「……………」

小蒔「…………立ち姿?」

小蒔(あら?どうして……立っていられるのでしょうか?)

咲「……………」

小蒔(…………妹さんも……無事…………)

小蒔「………………ええっ!?」

小蒔(どうして!?〔八尺瓊の勾玉(ヤサカニノマガタマ)〕を受けて立っていられるなんてありえませんっ!)

小蒔が放ったのは、紛れもなく全力の一撃。

絶対に避けられるタイミングではなく、また決して耐えられるはずがない。

にも関わらず、照と咲は健在。

倒れることも膝をつくこともなく、手を繋いだまま小蒔を眺めている。

小蒔(………一体、何が…………どうなって……るのか……わかりません……)

混乱する小蒔だが、今の状況に驚いているのは小蒔だけではなかった。

当事者である照と咲も同様に、無事である我が身に対し、信じられないような気持ちだ。
762 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 08:20:04.60 ID:8MnlR9I2o

照(まさか……こんなことがあるなんて……)チラ

咲(ビックリしたよ……)チラ

視線の先には、横たわる人影。

うつ伏せに倒れたまま、風に吹かれて髪とスカートが揺れている。

そして微かに聞こえる『ばぶー……っす』の声。

倒れているのは、霞によって幼児化させられた後、ステルス赤ちゃんとなってさまよい続けていた東横桃子。

そして小蒔が〔八尺瓊の勾玉(ヤサカニノマガタマ)〕を放ったタイミングで、照と咲の前にフラッと現れて代わりに攻撃を受けたのだ。

照「………………」

照(ありがとう東横さん。あなたのことは決して忘れない)

咲(……助かったのは本当にただの偶然。運が良かっただけ……でも)

照(それも全て……勝負のうち!)

小蒔「………………」

混乱し、何が起きたのか今だに気付けていない小蒔。半ば戦意喪失といった状態だ。

そんな彼女を尻目に、照と咲は繋いだ手に力を込める。

照(……咲…………)

咲(お姉ちゃん……)

お互いの想い、そして過去の出来事、ついのめり込んでしまった妄想たち……。

胸に秘めているそれらを、繋がれた手へ集中させる。

照(咲の手が………熱い)
咲(お姉ちゃんの手………あったかい)
763 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 08:20:47.90 ID:8MnlR9I2o

小蒔「…………あっ!」ハッ!

小蒔(今気付きました……あちらで眠っているのは東横さん!?まさか、私の攻撃が東横さんに当たって……?た、大変ですっ!私のせいで……)

照《咲……》ゴオオオオ..
咲《お姉ちゃん……》ゴオオオオ..

重なる手に力が集まっていく。

秘めたる願い。遠い日の記憶。

小蒔(はっ!?あの力は……!?)

照《はぁあああ!》
咲《はぁあああ!》

小蒔「!!」

照《〔 照 と 咲 の 思 い 出 ( シ ス タ ー メ モ リ ー ズ )〕》ブワァァァァァァァァアアア......
咲《〔 照 と 咲 の 思 い 出 ( シ ス タ ー メ モ リ ー ズ )〕》ブワァァァァァァァァアアア......

辺り一面を眩い光が包む。

小蒔「ぁ……ぁ……」

小蒔(これは……照さんたちの想いが……私の胸を満たして……ぅ、あぁああっ……―――)

そしてその光が……小蒔の全身を貫いた。

ズアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア....!!!!!!!

小蒔「…………か……ぁ……」

照「……………………」

咲「……………………」

〔照と咲の思い出(シスターメモリーズ)〕。

それは2人の思い出を相手に叩き付ける〔怜と竜華の日常(バカップルデイズ)〕と同じ能力である。

ただ、怜たちに比べてイチャイチャは少なく、離れていた期間もあることから威力はさほどではない。

しかし……。

小蒔「ぅ……ぁ……」

照に想いを寄せている小蒔にとって2人のイチャイチャを見せられるのはあまりにも辛いもので、一瞬呼吸を忘れてしまうほどに胸を抉った。

〔照魔鏡・極(しょうまきょう・きわみ)〕によって防御力を失っている上に、〔姉妹の愛(シスターラブ)〕によって威力が大幅強化されていることもあって、

小蒔を守る九面も全て吹き飛ばし、小蒔そのものの体力までも削ったのだ。
764 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 08:21:34.71 ID:8MnlR9I2o

小蒔「…っ……は…ぁ」フラ..

しかし小蒔は倒れない。

苦しげな表情で体もフラついているものの、その目は光を失っていなかった。

照「………………」

照(……今のが私たちにできる最大の攻撃………そして……〔姉妹の愛(シスターラブ)〕の反動で…………もう……力は……ほぼ使い果たした……)

咲「はぁ……はぁ……」

ガクッ..

照「!」ガシッ!

咲「………………」スー..スー..

照(……眠ってる………消耗しすぎちゃったみたい)

照(ごめん、咲。私がもっとちゃんとしてれば、こんなに無理させないですんだよね…)

咲「ん……むにゅ……」スースー..

照「…………ふふ」

照(可愛い寝顔……)

小蒔「…………み」

照「!」

小蒔「…………はぁ……はぁ……っ」

照「………………」

照(……神代さん……まだ力を残してるの?だとしたら、もう勝ち目は……)
765 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 08:22:44.05 ID:8MnlR9I2o

小蒔《………が、さ、》

照「?」

小蒔《宮…永さん……》

照《…………はい》

小蒔《私は……》

小蒔《…………私は………………………あなたが好きです》ハーッ....ハーッ...

照「……っ」ピクン

息も絶え絶えの小蒔。だがその目は強い意志を持って照に向いていた。

小蒔《インハイであなたと会ってからずっと……お慕いしていました》

照《…………それは……》

小蒔《もし!廊下で転んだ私の姿を見て妹さんのことを思い出して微笑んだのだとしても!私は……私の気持ちは変わりません!》

照(!そうか……〔照と咲の思い出(シスターメモリーズ)〕で私が神代さんと会った時の思い出を見て……)

照「……………」

小蒔「…………」

照《…………あの》

小蒔「!」

小蒔《しっ、姉妹百合は!二次元では王道かもしれません……………けれど……現実では……邪道です》

照「!!」

小蒔《姉妹仲が良いのはとても素敵なことですが…………その領分を逸脱するとなっては話は別です……》

照「…………」

小蒔《色んな人たちに怒られちゃいますし……もしかしたら意地悪とかいっぱいされたり…………とても大変な毎日になって……》

照《……神代さん。私は》

小蒔《ま、周りの人が敵に…》

照《私は………咲が好き》

小蒔「ぁ……――――」
766 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 08:23:30.90 ID:8MnlR9I2o

照「………………」チラ

咲「」スー..スー..

照《私は小さい頃、『お姉ちゃん』って私のことを慕ってくれる咲にいいところを見せようとして……いいお姉ちゃんになろうと頑張ってきた》

小蒔「…………」

照《将来、咲がコスプレしたがった時に衣装を作ってあげられるようお裁縫も頑張ったし、キャラになりきる度胸も身に付けようと努力した》

照《……あの当時、私の全ては咲のためにあった》

照《でも…………段々と私は疑問を抱くようになった。私が咲に対して抱いている感情は、妹に対して抱いていいものなのか、って》

小蒔「…………」

照《……そんな時、ある事件が起きた。それを私は『ワンピース事件』と呼ぶ》

小蒔《ワンピース……事件……?》

照《そう。国民的人気漫画ではなくて、腕を通す方のワンピース。そのワンピースを、咲は私のパンツの股間部分だけを切り取って、何枚も何枚も縫い合わせて作ったの》

小蒔《それは…………変です》

照《私もそう思った。お裁縫の技術を褒める気にもなれず、ただただ怖かった…………あの気持ちはパンツを縫い合わされた人間にしかわからないと思う》

小蒔《はい……》

照《だから……その事件を私は利用した。咲に対して怒っているということにして、距離をとった》

照《……このままずっと咲と一緒にいたら、私はきっと咲を求めてしまうと思った…………もしそうなった場合、どうしたらいいのかって、怖くて……私は逃げた》

小蒔《だったら……!》

照《でも……やっぱり自分の気持ちに嘘は付けなかった。咲と離れてから、寂しくて寂しくて仕方がなかった。家で咲と一緒に暮らしている時には1人で自分の部屋にいても平気だったのに……》

照《咲が近くにいないと思うだけで……私は心のどこかに大きな空洞があるみたいに感じた》

小蒔《照さん……》

照《それを救ってくれたのは『マリみて』だった。自分と咲を登場人物に当てはめて義姉妹として妄想することで、なんとか寂しさを補った》

照《……そして段々と、咲がいない生活に慣れてきて、菫と遊んだり、麻雀に没頭したり……私なりに学校生活を楽しんだ………………でも》

照《ある時……ふと思った》

照《『私は今、咲がいない暮らしを謳歌している』、『咲のことを考える時間が減った』……それは、いいことなのかな?って……》

照《……そして……咲も私と同じように感じているかもしれないと思った時、胸が苦しくなった》
767 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 08:24:39.21 ID:8MnlR9I2o

小蒔「…………」

照《咲が……私の後ろをずっと付いてきた咲が……私から離れようとしてて……私よりも大事な人ができたかもしれない、と思うと……》

照《………………》

小蒔「……………」

照《…………わかってる。これがどれほど勝手なことか。自分が咲を置いていったのが始まりなんだから…》

小蒔「……………」

照《…それが今度は『咲に嫌われたらどうしよう』と思うようになって、密かに清澄の動向をチェックしたりして……私、本当にバカだよね》

小蒔《そんな、ことは…》

照《……ううん。強がって表向きはなんとも思ってないように振る舞うとか……バカだった》

照《でも……》

照《……でも…………咲は……》

小蒔「っ……」

照《会いに来てくれた。インハイを勝ち進んで………決勝まで来てくれた》

照《そして前と変わりなく……空いていた距離も時間もなかったかのように接してくれた》

小蒔「…………」

照《その時、すごく不思議な気持ちになった。自分がずっと咲と……両親と暮らしていたみたいな……家を出たことがなかったような感覚……》

照《咲に対する気持ちは落ち着いてた。ただ姉として、自然に接することができた。久しぶりの百合談義も楽しかったし、他にも色々な話ができた》

照《『咲に恋愛感情を抱くかもしれないとか、勘違いもいいところ。自分が抱いていたのは少し過剰な家族愛だったんだろうな』って……そんな風にまで思えたんだ》

小蒔「………………」

照《…………だけど……………咲と一緒にいるうちにだんだん…………咲への気持ちが変化していった。ううん、もしかしたら、元の形に戻っていったのかもしれないけど》

小蒔《い、嫌……》

照《気が付けば家を出る前以上に咲のことを好きになってた………もう離れたくないって思うぐらいに……》

小蒔《……で、でもっ!》
768 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 08:25:07.75 ID:8MnlR9I2o

照《…………》

小蒔《……血の繋がった姉妹で愛し合っても…………最後には悲しい結末が待っています》

照《………それは極論だと思う。確かに辛いことや大変なことはあるだろうけど………悲しいかどうかは2人が決める》

小蒔《周りの人たちに知られてしまったら、冷たい目で見られたり……》

照《かもしれない……でもそれは姉妹百合に限ったことじゃない》

小蒔《ですが!壁は高いですっ!いつか……気持ちが折れてしまったら……!》

照《……駆け落ちとか心中………とか?》

小蒔《…………はい》

照《私は…………どんなに追い詰められても………咲が好きだから……咲と一緒に生きることを…………諦めない》

小蒔《うぅ……でも…………でも……》

照《…………神代さん、ありがとう》

小蒔《え……》

照《こんな私を好きになってくれて》フフッ

小蒔「!!」

小蒔(……咲さんは……この素敵な照さんの笑顔を……これからも何度だって見られて……)

照『咲……』フフッ

咲『お姉ちゃん……』ニコリ

小蒔「っっ……!!」ピシッ..

小蒔の体がビクンと跳ねる。

小蒔(わ、わたし……)

すでに限界を迎えていた状態で、あろうことか一番思い描きたくないであろう咲へ微笑む照を想像してしまったからである。

小蒔(……心のどこかで……)ユラ..

考えたくないこと。でも、頭から離れないこと。

小蒔(勝ち目がないことに……)ユラ..

最後の最後で小蒔にトドメをさしたのは、

小蒔(気付いていたの……でしょう…か……)

自分自身が描いてしまった妄想だった。
769 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 08:25:44.84 ID:8MnlR9I2o

小蒔「…………っ」

バタッ!

照「あ……!」

小蒔(……いけ、ません……巫女装束を汚して……しまうと…………『めっ!』ってされて……しまいます……)

小蒔(…………でも……起きようにも…………体が……動きません……)

小蒔「………………」

小蒔「………………」

小蒔(……もう、このまま眠って……しまいましょうか……)

フワッ..

小蒔(!……)

?「大丈夫?」

小蒔(こ、これは……誰かが抱き起してくれました……)

?「……意識はある?」

小蒔(この物静かな喋り方……ま、まさか宮永さん……?)

小蒔(フラれたかと思いましたが……もしかしたら、愛人さんとしてでも私を欲してくれている、とかでしょうか?)ドキドキ..

小蒔「あ、ぁの……も、もしも本妻ではなくても……私っ……」チラ

智紀「…………本妻?」

小蒔「……………………」

智紀「……………………」

小蒔「………………宮永さんの偽物です……」

智紀「え?」

小蒔「あ、いえ……ごめんなさい。今のは誤解でした。起こしてくれてありがとうございますっ」

智紀「??」
770 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 08:26:14.70 ID:8MnlR9I2o

小蒔(………宮永さんは……)チラ

照「」

小蒔(いました!)

照「」ホッ

小蒔(!しかも……心配そうな目で私を……///)

智紀「……えと……私は沢村です。宮永さんが力を使い果たして動けないので……」

小蒔(あぁ……やっぱり素敵です。宮永さん……///)ポー..

智紀「……どこか痛いところとかありますか?」

小蒔(…………私、決めました!)

小蒔(宮永さんのこと……諦めません!ずっと……ずっと想い続けます!)

小蒔(いつか……想いが届くことを信じて!)ニコリ

智紀(…………聞いてない)ハァ..

連合軍の秘密兵器、神代小蒔は宮永姉妹によって敗北した。

しかし、最後には強い決意を胸に抱き、その瞳には一片の曇りもなかった……。
771 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 08:26:40.80 ID:8MnlR9I2o

【南側 外れ】

界「行くぞ!」

雅枝「ちっ……!」

体勢を崩しながらも移動する雅枝へ、界はふたなりっ娘のち○ぽを出現させて狙いを定める。

その亀頭は完全に皮に包まれており、全貌は露わになっていない。

界「はああっ!」

気合一閃。

咆哮と同時に、侍の抜刀術のように皮を滑らせて亀頭を加速させ、雅枝へと攻撃する。

雅枝「しまった!」

チポーン!

亀頭は雅枝にクリーンち○ぽ。雅枝はさらに体制を崩す。

界「よしっ!」

界(命中した!これで追撃を……)ダッ!

雅枝「……なんてな?」

界「!?」

雅枝「カウンターや!」ヒュン!

界「ぐああああ!」

雅枝「はははは!これで次期のアニメで百合成分は補給できんなぁ?」

界「く、そぉお!!」ジャッ!(バックステップして距離をとる)

雅枝「…………ふふ」

界「……………ちっ」

雅枝「これでようやく互角か?まったく、アンタしぶといわぁ」

界「それはこっちのセリフだ」
772 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 08:27:51.47 ID:8MnlR9I2o

♪〜

雅枝(!電話……)

界「…………ふぅ。出たらどうだ?」

雅枝「………………」

雅枝(……出た隙に攻撃する……気はなさそうやな。一旦休憩っちゅうことか)ピッ

雅枝「もしもし……」

憩『あ、もしもし?荒川憩です』

雅枝「あぁ……もう近くに来てるんか?せやったらもうちょっと待ってもうてええ?今うちを回復してもうても体力差がいまいちやねん。もっと削ってから……」ヒソヒソ

憩『いえ、その話もそうなんですけど……その前に……』

雅枝「ぁん?」

憩『神代さんが負けたみたいです』

雅枝「…な、なんやて!?」

界「?」

雅枝「アホ言え!そんなわけないやろ!」

憩『そう言わんといてください〜。遠目からですけどちゃんと確認しました。間違いないです』

雅枝「……誰や……誰が姫さんを……」

憩『宮永姉妹です』

雅枝(!そう……そうか…………姫さんは宮永照に想いを寄せとった………惚れた弱みにでもつけ込んだっちゅうわけか……)チッ

雅枝「わかった。ほなら憩は隙を見て姫さんを回復したってや」

憩『…………』

雅枝「……どないしてん?」

憩『実は…………うち、もう力が残ってません』

雅枝「…………なんやて?んなアホな……人数的にはまだ……」

憩『あのですね……―――』
773 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 08:28:42.53 ID:8MnlR9I2o

少し前―――

憩「回復が必要な子はおるかなぁ?」テクテク

千里山女子「うぅ………」

憩「あ、おった」

憩(千里山の制服着た子が1人うずくまっとる。辛そうや)タタタ

憩「大丈夫や。うちが治したる」

千里山女子「…………」コクリ

憩「ほな、ちょっと待ってな」スッ

憩「『制服、似合ってるで』、『キレイな髪やなぁ』、『頭ナデナデしてあげたいわぁ』……」

千里山女子「ぁ……ぁ……」

甘い、甘い、憩の囁き。

三半規管を癒し、心を癒し、

精神力がみるみる回復していく。

憩「『胸、触らしてあげよか?』、『ギュッて抱きしめてええ?』、『ほっぺにチューするで?』」

千里山女子「う、ああ……」

憩(もうええかな?そろそろ全快やろ)フゥ

ガシッ!

憩「え」

千里山女子「………………」

憩(な、なんでこの子、うちの腕を掴んで……?)

774 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 08:32:37.65 ID:8MnlR9I2o

千里山女子「……はぁぁ……」

憩「ちょ、離し?回復したやろ?」

千里山女子「………………」フルフル

憩「え?そんなアホな……」

憩(…………!?な、なんで?まだ回復が終わってへん!?うちの力がどんどん消耗していく!)

憩(そんなん……愛宕会長とかならともかく、普通の子ではありえへん体力や!ここまでの力を持つ子がおったんか!?)

千里山女子「あぁぁあぁ……満たされる……」

憩(いや、絶対ない!千里山で強い子言うたら園城寺さんか清水谷さんくらいや!その2人でもここまでの力はない!)

憩「あ、あんた!一体何もんや!」

千里山女子「ふ、ふふふ…………」

憩「?」

千里山女子「何者か、だと……?」

憩「そ、そうや」

千里山女子「………………」

憩「は、早よ言うて……?」

千里山女子「だったら…………言ってやるァァッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」バサッ!(黒髪のウィッグを外す)

憩「ひ…っ!」キー--ン...

憩(この無駄に大きい声……それにウィッグを外した頭は…………金髪!まさか……)

貴子「風越女子麻雀部コーチの久保貴子だァァッ!!連合軍に成りすましてたんだァァッ!!」

憩「な、なんで千里山の制服……」

貴子「そんなもん奪ったに決まってんだろ!!」

憩「……ど、堂々とえらいこと言うてる……」

貴子「……フン!回復してくれてありがとうよ!だがお前に構ってる暇はねェ!あばよ!」タタタッ!

憩「あ……」

憩(……なんて人や……―――)
775 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 08:34:12.53 ID:8MnlR9I2o

憩『―――……っちゅうことがありまして』

雅枝「………………」

雅枝(久保が復活……しかも姫さんが脱落し、荒川の力も尽きた……おもんない状況やないか)チッ

憩『……あの……』

雅枝「……わかった。ほなあとはゆっくり休んでええで」

憩『あ、でも……まだ話が…』

ピッ

雅枝「………………」

界「…………どうやら、あまりよろしくない知らせのようですね」

雅枝「…………はは!そやな」

雅枝(けど、まだ勝負はわからへん。ここで私が宮永を倒し、久保をもう一度始末する。そんで原村を倒せば連合軍の勝ちや!)ギラッ!

界「………勝負、再開……ですか」

雅枝「そうや。あまり時間がないねん。さっくりと……片付けさせてもら…」

??「そうはさせねァァッ!!!!」ザッ!

雅枝「!!」

貴子「ははははは!さっきやられた借りはここで返すァァッ!!」

雅枝(久保……!このタイミングでッ!!)ギリリ..

貴子「これで2対1………」

雅枝「………くそ……っ」

雅枝(どないしたらええ!?さすがに1人でこいつらを相手するんは…………い、いや!諦めたらあかん!何か方法を考えるんや!)

♪〜

雅枝「?」

貴子「…………もしもし」

雅枝(久保が電話に出た……今がチャンスか!?)チラ
776 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 08:35:20.52 ID:8MnlR9I2o

界「…………」

雅枝(…………あかん。宮永が隙を見せへん。今攻めたら横っ面にち○ぽを当てられてまう)クッ

貴子「……ん。ああ…………うん…………うん…………」

界「………………」

雅枝「……………」

貴子「わかったァァッ!!!!!!!!!!!!!!!」

界「っ!!」ビクッ!
雅枝「っ!」ビクッ!

貴子「愛宕雅枝ェ!!」

雅枝「…………なんやコラオラァ」ギロッ

雅枝(うちを驚かせるとはいい度胸やないかこのダボが…)

貴子「い、いえ……戦況報告を聞きまして、その……」

雅枝「なんや」

貴子「……どうやらリリーブライドが形勢逆転したとのことで……」

雅枝「!!」

雅枝(……まだ人数ではうちらが上回っとるはずやで)ギロリ

貴子「う、嘘じゃないです!」

雅枝「………………」チラ

界「………電話、してみたらどうです?」

雅枝「………………」

雅枝「………………」ピポパ..

プルルルル..ガチャ..

憩『もしもし』

雅枝「……切ったばかりで悪い。ちょっと聞きたいんやけど…」

憩『はい』

雅枝「戦況はどうなってる?」

憩『ええと……さっき言おう思ってたんですけど…』

雅枝「おう」
777 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 08:36:03.32 ID:8MnlR9I2o

憩『……神代さんたちが負けてもうたって話が伝わったみたいで……連合軍の士気はめっちゃ下がってます』

雅枝「…………」

憩『逆にリリーブライドの方は……』

雅枝「…………方は……なんや?」

憩『……東西南北、全てでリリーブライドが巻き返してます。連合軍はもう……崩れだしてます……』

雅枝「………………」

雅枝(数で押すのも無理…………そして……)チラ

界「…………」

雅枝「……………………」ギロリ!

貴子「………いやー、あはは……ねぇ?」スッ(目をそらす)

雅枝(…………ここを突破しても……もう……)

雅枝「………………はぁ〜〜……しゃあないか」

憩『会長?』

雅枝「………うちらの負けや」

憩『!!』

貴子「!」

界「…………」

雅枝「今日は手伝ってもうてありがとうな。お疲れさん」

憩『あ、い、いえ……』

雅枝「ほなな」ピッ
778 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 08:38:02.46 ID:8MnlR9I2o

界「……………」

貴子「…………」

雅枝「………………そういうことや」

貴子「ははははは!やったぜ!リリーブライドの勝利…」

雅枝「あぁん!?」ギロリ..

貴子「ひぅ!?」ビクン!

雅枝「…………ちっ」

貴子「………………」

貴子(ちくしょぉお……やっぱり強者は怖いぜ)

雅枝「……………………」

雅枝(まさか、負けるとはなぁ……)

雅枝(……西が覇権を握る夢は、また叶わんかった…………)

肩を落とし、空を見上げる雅枝。その表情には悔しさが滲み出ており、拳は強く握りしめられていた。

その後、雅枝によってリリーブライド側へ正式に降伏を宣言し、東西決戦は終戦。

リリーブライドfeat.宮守女子の勝利となった。
779 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 08:38:31.75 ID:8MnlR9I2o


晴絵「え、マジで………負け……?」

灼「嘘………あの戦力を覆すとかありえな…」



怜「そんなこともあるんやなー」(竜華の膝枕)

竜華「そんなこともあるでー、怜ー♪」ナデリ



塞「すごい……すごすぎる……」

トシ「………塞」

塞「こんな…………こんなエッチなポーズ見たことない」

全裸初美「………あ、あの……もういいですかー?」(塞にポージングをさせられている)

塞「お願い!もう少し!」

トシ「……ポーズどころじゃなくてね?」

塞「いやいや………このポーズの方がやばいですって。ねえ?」ドキドキ

煌「はい!すばらです!」

塞「そうよね!?」

煌「はい!すばらです!」

トシ「…………まったく。早くしないと麺が伸びるというのに……ずるずる……っぷはぁ……」

洋榎「ほんまですねぇ。ではうちもいただきます…………ずるるるるるるる!!……っ!?げほっ!げほっ!!」

トシ「肺活量に自信があるのはいいけど、それに過信するとむせる。昔から相場は決まってるよ」ズルズル..

全裸初美「あ、熱っ!スープが私の肌にちょびちょび飛んでますよー!?」ビクン!

塞「ああっ!?体がビクッってするの、やっばい!!そう思わない!?」

煌「はい!すばらですっ!」

780 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 08:39:10.56 ID:8MnlR9I2o

白望「……………………」

白望(勝ったのは嬉しいけど…………なんか……)

白望「…………はぁぁ」

白望(……私、全然いいところなかったな…………あーあ………椅子もどっかいっちゃったし……)



純代「…………………」

純代(宮永さんが神代さんに勝った……)

純代(…………それに引き換え、私は………)



穏乃「ぐううううう……………すぴーー………きゅるきゅる…………」ンガー

連合軍「うう………気持ちよく寝てるけど…………丸見えで目のやり所に困る…………でも見ちゃう/////」モジモジ...



久「……あーあ。いいところを持っていかれちゃったみたいね」フフ

霞「………………」

霞(………小蒔ちゃん……)



智紀「だ、だめ」(ペンを持った手を高く挙げている)

エイスリン「カキタイ!オネガイ!」ピョンピョン!

智紀「……や、やめた方がいい。あの2人は好きな人がいるから……」

憧「…………」スースー..

桃子「…………」スースー..ッス

エイスリン「ツカレテネテル!チャンス!モモアコ!アコモモ!」

智紀「だめ」

憧「ん…………あれ?あたし、寝ちゃってた?」ムクリ

桃子「………うぅ……?なんか……やたら疲れてるっす……一体何があったんすか…?」

エイスリン「アー!オキチャッタ!」

智紀「…………」ホッ
781 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 08:39:55.72 ID:8MnlR9I2o

【長野 龍門渕家】

透華「……東の勝利のようですわ」ニコッ

一「やった!」ワッ

透華「不利な状況であっても希望を捨てない…………いい勉強になりましたわ!」ウフフ

一「それで、ともきーは?」

透華「もちろん元気ですわ!!永水女子の巫女さん軍団相手に大立ち回りですわっ!!」

一「さすがともきー!」

透華「ハギヨシ!」パチン

ハギヨシ「はっ!」シュタ!

透華「智紀を熱烈に出迎えるために、パーティーの準備をしますわ!手配を!」

ハギヨシ「かしこまりました」スッ!

一「ボクも準備してくるね」スクッ

透華「は、はじめっ!」

一「ん?どうしたの?」

透華「そ、その……///」モジモジ

一「あ……ふふっ」クスス

透華「な、なんと言いますか……///」

一「透華?」

透華「……しょ、勝負が終わって……ようやく一息つきましたわ。だから……」

一「だから……」

透華「そ、その………///」

一「…………しょうがないなぁ」サワ(透華の頬を撫でる)

透華「ぁ……」

一「ちゅ……」

透華「っ…///」

一「……今日はまだしてなかったもんね………」ニコリ

透華「はじめ…っ……///」ガバッ!

一「わわ……スイッチ入っちゃった?」

透華「はじめ……もっと……して、ほしいですわ……///」

一「ふふっ……わかった。いっぱい愛してあげるね」サワ

透華「で、すわ……」ァァ..

ハギヨシ「…………」(扉の外にいる)

ハギヨシ(お嬢様……さすがの受けでございます)

ハギヨシ(では、お嬢様が達せられるであろう時間までに買い物を終えてきますか)シュタッ!
782 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 08:40:37.97 ID:8MnlR9I2o

【リリーブライド本部】

恵「………………」

久美子「……終わりましたね」

恵「ああ……みんなには感謝の気持ちしかない」

久美子「ですね。かなり……いえ、勝機はほとんどなかったでしょうから」

恵「……そうだな」

久美子「でも私は……きっと勝つと思ってましたよ」

恵「それは何故だ?」

久美子「だって……会長、パンチラしてないじゃないですか」

恵「あ……」

久美子「会長が信念を守っている以上、リリーブライドは負けない!って、いうことです」

恵「ふふ……そうか」

久美子「はい。あ、そうだ。勝利の記念にハイタッチしてくれませんか?」

恵「ん?ああ、構わんよ」

久美子「じゃあ、両手を高く挙げて……」スッ

恵「うむ」スッ

久美子「………………っ!!」ギラリ!

恵「!?」

久美子(勝ったと思った瞬間にこそ油断が生じる!今度こそ……パンチラはもらった!)シュバ!

ハイタッチすると見せかけておいて、スカートへと手を伸ばす久美子。

恵は手を挙げている状態のため、手でガードはできない。

久美子「」ガシッ!

久美子(スカートを掴めた!後はこれをめくるだけ!えいっ!!)

バサッ......

久美子(め、めくれた……!)

鉄壁を誇る恵のスカートを攻略した久美子。

脳内がアドレナリンでどっばどばになる。
783 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/05/23(土) 08:41:20.28 ID:8MnlR9I2o

久美子(さて!会長は一体どんなパンツを…………)

久美子「………………え?」

久美子(これは…………パンツじゃなくて…………ぶ、ぶ……)

久美子(ブルマ!!!)

恵「…………」クス

久美子(そ、そんな…………)

恵「…………いつからダイレクトにパンツを履いてると錯覚していた?」

久美子「じゃ、じゃあ………私を幸せの絶頂から叩き落とすために、わざとめくらせて……」グス

恵「そうではない。ただ……久美子君に知ってほしかっただけだ」

久美子「何を……ですか?」

恵「思考を止めてはならない、ということをだ。スカートの下にはパンツがある……大体は当てはまるが、絶対ではない」

久美子「!」

恵「自分でゴールラインを決めてしまえば、その先に到達することは難しくなる。あるいはゴールしたことで満足してしまい、燃え尽きるかもしれない」

久美子「…………」

恵「それではダメなのだ。我々リリーブライドはこの先も戦い続けていくのだから」

久美子「会長……」

恵「………特に君には期待している。だから……この東西決戦の先にあるものを考えてくれ」

久美子「…………はい!」

恵(いい返事だ……)フフッ

久美子(会長……私、頑張ります!もっと百合業界を盛り上げるために!そして……)チラ

恵「…………」グイグイ(食い込みを清楚に直す)

久美子(今度は……ブルマの下…………いや、何枚先かはわからないけど…………確かに履いてるだろう会長のパンツを……いつか……見ます!)

久美子(その時……私は会長を超えられる気がするから……)


こうして、百合歴史に残る大激闘を繰り広げた東西決戦は、恵のブルマで幕を閉じた―――
784 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/05/23(土) 08:42:41.61 ID:8MnlR9I2o

続きは後日またスレ立てます

読んでくれた人どうもありがとう
785 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/23(土) 09:27:01.79 ID:TV/W0MMfO
786 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/23(土) 12:35:14.86 ID:uejH+zmfO
咲さんにはわた原村さんの方がお似合いだと思います
787 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/23(土) 16:06:51.53 ID:Qr0+vGz60
久々に気の狂った大作を見た
788 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/23(土) 16:30:32.75 ID:X+tDz8nDO
777レスお疲れさまでした、乙
789 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/23(土) 17:29:21.20 ID:YnoYt4aSO
乙乙
いろいろぶっ壊れてて面白かった
けど、疲れた……
話に聞くハルヒの微笑も投下中はこんな感じだったのかしら

て、まだ続きがある!!?
790 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/23(土) 17:44:24.48 ID:dXUhFGaX0
タイトルでまさかと思ったがアレの人で間違いなさそうだな
しかし結構濃厚そうだなこりゃまた
791 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/23(土) 23:01:00.86 ID:AqsBbjA4O
>>1は狂っている。

単に「百合ヶ丘」という地名だけから小田急沿線での百合を妄想するのはよくあることだが、
列車種別や鉄道設備や沿線環境を含めて系統的に妄想した例を私は見たことがない。

更に、驚嘆すべき守備範囲の広さ。
まさか『あいたま』までもきちんと押さえているとは…。
欲を言えば1行に留まらずもう少し掘り下げてほしかったが。

投下だけで12時間近くを要する大作、大変乙。
出来うるならば私も>>1のように狂いたい。
792 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/23(土) 23:27:37.50 ID:HGYlRRRpo
>>791
これコピペ?
793 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/24(日) 10:00:09.64 ID:ReOoUTS6o
読み終わった乙

前スレタイトル教えてください!
794 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/24(日) 14:24:43.94 ID:V/oBJmxQo
なんじゃこりゃ
めっちゃ乙
795 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/05/24(日) 16:22:58.09 ID:6irpHreSO
>>793

後輩A「宮永先輩、いいよね〜」
796 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/24(日) 16:41:22.88 ID:BQh6ng1gO
読み終わるまでかなり時間かかって草
次も期待乙
797 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/24(日) 16:41:44.79 ID:ReOoUTS6o
>>795
ありがとうございました

だいたい3年前とかすごいな
798 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/24(日) 22:44:23.05 ID:bAcrFNRaO
799 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/05/25(月) 18:59:45.58 ID:GtDeTynyo

↓続き
照「続・百合妄想士たちの戦い」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1432547861/
です
800 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/26(火) 07:26:44.53 ID:zxdThwY7o
初見だったがどう考えても突っ込みどころしか無い世界設定に段々違和感がなくなってくるから恐ろしい
とりあえず乙乙
801 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/05/28(木) 20:30:13.06 ID:Non0cJ8hO
【安価】提督「艦娘を惚れさせた後突き放して反応を見たいんだが」4周目の5
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1432638530/
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