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雪風「雪風は、沈みませんから」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/06/26(金) 18:40:54.24 ID:EMJoE8Z6O
提督「やあ、雪風。我が鎮守府へようこそ」

雪風「はいっ! よろしくお願いします!」 ニコー

提督「……前の鎮守府のことは、残念だった。あれほどの方が殉死されるとは……」

雪風「…………」 ニコニコ

提督「君が一人生き残ったのには理由があるはずだ。自棄にならず、我々に力を貸して欲しい」

雪風「はいっ、雪風は大丈夫です! この鎮守府のために、海の平和のために、尽力します!」 ニコッ

提督「…………ありがとう。今日はもう下がって良い。ゆっくり休みたまえ」

雪風「ありがとうございます! 失礼いたします!」 ビシッ

がちゃ、ばたん

提督「……あんな惨事を一人生き残って、さぞ辛いだろうに」


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昔、スリに間違えられた @ 2024/03/16(土) 17:01:20.79 ID:TU1bmFpu0
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さくらみこ「インターネッツのディストピアで」星街すいせい「ウィキペディアね」 @ 2024/03/16(土) 15:57:39.74 ID:7uCG76pMo
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今日は月が……❤ @ 2024/03/14(木) 18:25:34.96 ID:FFqOb4Jf0
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どうも、僕は「げじまゆ」をヤリ捨てた好色一代男うーきちと言います!114514!! @ 2024/03/14(木) 01:23:38.34 ID:ElVKCO5V0
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アサギ・とがめ・新生活! @ 2024/03/13(水) 21:44:42.36 ID:wQLQUVs10
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そろそろ春だねー! @ 2024/03/12(火) 21:53:17.79 ID:BH6nSGCdo
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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part5 @ 2024/03/12(火) 16:37:46.33 ID:kMZQc8+v0
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2 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/06/26(金) 18:41:38.32 ID:EMJoE8Z6O

金剛「終始、笑顔を絶やしませんでしたネ」

提督「ああ。雪風は駆逐艦でまだ幼い。秘書艦として、メンタルのケアも頼んだぞ」

金剛「あんな報告書を読んだ後じゃあ、テイトクに言われるまでもないデス」 スタスタ

提督「よろしく頼む」

がちゃ、ばたん

提督「…………」 ペラ

提督「(……第四鎮守府にて、複数の深海棲艦による連合艦隊の急襲を受ける。夜間であったため鎮守府近海にて迎撃。半数を撃沈せしめるも、主力部隊が壊滅。その間に遠征艦隊を呼び戻し、第二、第三、第四部隊を複合した大規模連合艦隊にて鎮守府正面で迎え撃ち、全滅させた)」

提督「(しかし、修復材などの資材、ドッグなどの設備が戦闘行為により破壊された為、艦娘の修理が行えず、応援部隊が駆けつけた頃には艦娘及び鎮守府職員、提督・寺内大将などほぼ全員の死亡が確認された……)」

提督「唯一生き残ったのは幸運艦・雪風のみ。大将と時津風が雪風を護るように強く抱きついていたという……」

提督「…………最近、深海棲艦の動きが鈍っているとは思ったが、こんなことになると、誰が予想できたか」
3 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/06/26(金) 18:42:06.06 ID:EMJoE8Z6O

提督「寺内大将……あれほどの豪傑が……」

提督「雪風は私がきっと、守り抜いてみせます」


〜〜


雪風「」 トコトコ

金剛「HEY!」

雪風「!」

金剛「ユキカゼ、部屋まで送るネー!」

雪風「…………」 ニコ

金剛「夕食の時間になったら、皆に紹介しマース! それまでゆっくりと休むと良いデス!」
4 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/06/26(金) 18:42:34.74 ID:EMJoE8Z6O

雪風「ありがとうございます! ところで……」

金剛「What?」

雪風「金剛さんの口臭って、半端なく臭いですね!」 ニコー

金剛「」

雪風「なに食べたらそんなことになるんですか? ドブみたいな臭いがします!」 ニコニコ

金剛「」

雪風「あっ、英国料理はゲロマズっていうのは本当なんですね! やっぱり生ゴミとか入ってるんでしょう?」 ニコニコ

金剛「」

雪風「それと紅茶のせいか、歯がステインまみれでとっても汚いです! 雪風に向かって口を開かないでください!」 ニコニコ

金剛「」
5 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/06/26(金) 18:43:02.37 ID:EMJoE8Z6O

雪風「あっ、ここが雪風の部屋ですね! それじゃあお疲れ様です! 口内環境整えてから、一昨日来やがれください!」 ニコッ

ばたんっ!!

金剛「」

金剛「」

金剛「」



金剛「」


〜〜
6 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/06/26(金) 18:43:30.73 ID:EMJoE8Z6O

ばーん!!

金剛「テイトクゥーーーーー!!!」 ビエー‼︎

提督「金剛、執務室はノックしろと――ってうわっ!? ど、どうした!?」

金剛「ゆっ、ユキカゼぇっ……ユキ、カゼっがぁっ……!!」 グスグス

提督「ほらほらそんなに泣いたらわからんだろうが。雪風? 雪風がどうしたって?」

金剛「ユキ、カっ……ぅぐぅううあぁわあああああああん!!!」 ビエーーーーーー‼︎‼︎

提督「ああもうよしよし!」 ナデナデ


〜〜
7 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/06/26(金) 18:43:57.59 ID:EMJoE8Z6O

金剛「……クスン」

提督「落ち着いたか?」 ナデナデ

金剛「ウン……」 グシグシ

提督「それで? なにがあったんだ? お前がそんなになるなんて、尋常じゃないだろう」

金剛「ウン……実は、ユキカゼが――」 ハッ

金剛「」 バッ‼︎

提督「うん? 雪風が?」

金剛「」 プルプル

提督「……いやいや、口抑えてたら喋れんだろう。なにしてるんだ?」

金剛「」 プルプル
8 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/06/26(金) 18:44:25.01 ID:EMJoE8Z6O

提督「ほれ、言わないとわかんないって」 グイ

金剛「」 ブンブン‼︎

提督「ちょっ、な、なんなんだ一体?」

金剛「……レテ」 モゴモゴ

提督「ん? なに?」

金剛「……モウチョット……ハナレテ」 モゴモゴ

提督「はあ? なんなんだ……」 テクテク

提督「コレでいいか?」

金剛「」 フルフル

提督「え? もっと?」 テクテク
9 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/06/26(金) 18:44:54.31 ID:EMJoE8Z6O

提督「コレでいいか?」

金剛「……OK」

提督「なんなんだよまったく……それで?」

金剛「…………その……」

提督「おーい」

金剛「ワタ……………ちゃ………いっ………」 ボソ

提督「なに?」

金剛「ワタシの………………クサ…って……」 ボソボソ

提督「聞こえないって」

金剛「わ、ワタシの口メッチャ臭いって……!」 プルプル

提督「」
10 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/06/26(金) 18:45:20.01 ID:EMJoE8Z6O

〜〜


提督「うーむ……なるほどなぁ……」

金剛「ネェ、ホントに臭くない? ネェ、ホント?」 ユサユサ

提督「だから大丈夫だって……歯も綺麗だし、口臭も気にならないよ」

金剛「ホント? ホントにホント?」

提督「もー何回聞くんだよぉ……」

金剛「だってぇ……」

提督「いやしかし、雪風がそんなことを……」

金剛「笑顔であんな辛辣なこと言うヒト、見たことないネ……」
11 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/06/26(金) 18:45:46.03 ID:EMJoE8Z6O

提督「うーむ……あんなことがあった後だし、精神が不安定なのかもしれん」

金剛「…………」

提督「金剛には悪いが、取り敢えず今回は保留にさせてくれ、な?」

金剛「…………ワカッタ」

提督「よし、良い子だな」 ナデナデ

金剛「……んふふ♪」

こんこん

提督「どうぞ」

がちゃ
12 : ◆kquYBfBssLZl [sage]:2015/06/26(金) 18:46:17.86 ID:EMJoE8Z6O

羽黒「…………」

提督「羽黒か。どうした?」

羽黒「…………」

提督「? 羽黒?」

羽黒「も……」 ガクガク

提督「?」

羽黒「もう……ダメ……」 パタリ…

提督「羽黒ーーーっ!?」


〜〜

13 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/06/26(金) 18:46:48.90 ID:EMJoE8Z6O

羽黒「うぅ……」

提督「羽黒、大丈夫か?」

羽黒「し、司令官さん……?」

金剛「ハグロ、大丈夫?」

羽黒「金剛さんも……」

提督「執務室に来ていきなり気絶するから驚いたぞ」 ナデナデ

羽黒「うぅ……ごめんなさい……。……もう少しなでなでしていてください……」 グッタリ

提督「(いつもなら顔を真っ赤にして逃げ去るというのに……そうとう抉られたな、こりゃ)」 ナデナデ

金剛「ハグロ、もしかして、ユキカゼに何か言われた?」

羽黒「ぁ……は、はい……なんでわかるんですか?」
14 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/06/26(金) 18:47:20.61 ID:EMJoE8Z6O

金剛「ワタシもやられたからネー……」

羽黒「そうなんですか……うぅ……思い出したらまた頭痛が……」

提督「(羽黒がこんなに喋ってるの初めて見たな。いつも逃げられてばかりだし、もう少し見てよ)」 ナデナデ

羽黒「さっき、寮の廊下を歩いていたら……」


〜〜


羽黒「ん?」

雪風「う?」

羽黒「(見かけない顔……あ、そういえば急遽移籍になった艦が来るって言ってましたっけ……)」

羽黒「新人さん? 今日は」 ニコ
15 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/06/26(金) 18:47:47.46 ID:EMJoE8Z6O

雪風「こんにちは! 雪風です! 今日からこちらの鎮守府でお世話になります!」 ニコー

羽黒「ふふ、羽黒です。よろしくお願いしますね」 ニコ

羽黒「(元気な子ですね。どんな子が来るかと思いましたけど――)」

雪風「プレゼントです!」 ポン

羽黒「え? ありが――」

G<オッス

羽黒「」

雪風「その艶のある黒髪、ゴキ○リとそっくりですね!」 ニコー

羽黒「」

羽黒「」

羽黒「」



羽黒「」 ガクガクブルブル


16 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/06/26(金) 18:48:15.83 ID:EMJoE8Z6O

〜〜


金剛「oh……」

羽黒「」 シクシクシクシク

提督「よしよし」 ナデナデ

金剛「人畜無害なハグロにまで牙を剥くなんて……メンタルケアよりもメンタルヘルスに送った方が賢明デース」 ビョン、ビョン

金剛「(……前髪で触覚生やしたら、確かに……)」

提督「こら」 ペシ

金剛「アウチッ」

羽黒「?」
17 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/06/26(金) 18:48:41.63 ID:EMJoE8Z6O
一旦ここまで
また来る
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/26(金) 20:41:51.23 ID:r5MAn8ZEO
一旦乙
これはどっちのルートでも辛い予感
19 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/06/26(金) 22:19:17.25 ID:vDV1Lw7bO

提督「しかし、参ったな……金剛や羽黒だからまだ良かったが、木曾や天龍なんかだったら喧嘩になってもおかしくな――」

ずどぉーーーーん!!!

提督「うおっ!?」

金剛「敵襲!?」

羽黒「あわわわわ……」

提督「急ぐぞ! 二人ともついてこい!」 ダッ

金剛「Yes ,Sir !」

羽黒「は、はい!」


〜〜

20 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/06/26(金) 22:19:50.08 ID:vDV1Lw7bO

雪風「…………」

天龍「ごほっ! がっ、は……!」 ガクガク

木曾「っ……!」

北上「ぐっ……これだから駆逐艦は……!」

提督「おい! 何があった!?」 ダダッ

木曾「て、提督!? いや、コレは……」

天龍「糞がぁっ……!!」

羽黒「天龍さん!? その傷は……!?」

北上「あの新顔にヤラレちゃってねー……」

天龍「オレはやられてねぇ! ぐっ……! なんかの間違いだ! 駆逐艦がこんな……!!」
21 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/06/26(金) 22:20:40.14 ID:vDV1Lw7bO

提督「天龍、お前は落ち着け。取り敢えずドック行きだ」

天龍「なっ!? ま、まだやれる!!」

提督「やってどうする。ここは鎮守府内で、演習場ですらない。頭に血が上りすぎだぞ」

北上「……私は大井っち、天龍は龍田、木曾は球磨や多磨のことを馬鹿に……いや、侮蔑されたと言ったほうがいいのかな。それで、頭にきちゃって……」

天龍「くそっ! あいつ……!」

金剛「…………」

提督「話は分かった。取り敢えずここは俺が持つからお前らは――」

雪風「まったく、拍子抜けですね!」 ニコ

提督「…………」

雪風「総司令部から、この鎮守府は全国で五指に入る優秀な提督がいると言われて送られてきたのに、こんなものですか?」 ニコニコ

木曾「……なんだと?」
22 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/06/26(金) 22:21:29.50 ID:vDV1Lw7bO

提督「木曾」

雪風「腑抜けた戦艦に重巡、見かけと口だけの軽巡達。この分では空母も大したことなさそうですね」 ニコニコ

北上「はあ?」

提督「北上、下がれ」

雪風「艦娘の力を引き出すのが提督の力。それがこの程度なんて――」 ニコニコ

雪風「貴方は、とんだ無能なんですね!」 ニコッ

天龍「て、めぇっ!!」 グッ

提督「落ち着けと言っているだろう、天龍」 グイ

天龍「ぐっ……アンタは悔しくねえのか!?」

提督「雪風の前任者はあの寺内大将だぞ。頭も切れるしいつも身体を張っていた。当然、総司令部や現場からの信頼も厚かった。俺など比べることすら烏滸がましいほどの豪傑だ」
23 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/06/26(金) 22:22:05.96 ID:vDV1Lw7bO

北上「……だからって、ウチの提督を馬鹿にされる謂れはないよねー」

木曾「士気にも関わる。ああいうのは一度叩いておかないと――」

提督「気持ちはありがたいが、どう叩くんだ? 雪風の練度は九十八、お前らは七十ちょっとだろう」

天龍「どうもこうもねえ!! 実戦なら……!」

提督「天龍、まさかとは思うが、同じ鎮守府の仲間を撃沈するつもりか?」

天龍「……!! それ、は……」

木曾「…………」

北上「…………」

提督「自分達が何をしていたか理解できたか? 早くドックに行け。これは命令だ」

天龍「……はい」
24 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/06/26(金) 22:22:33.18 ID:vDV1Lw7bO

北上「分かったけど、ちゃんと後で話してよね」

提督「当たり前だ。入渠が終わったらすぐに執務室に来い。わかっているとは思うが、修復剤は使うなよ」

木曾「はいはい」

雪風「…………」 ニコニコ

金剛「…………」

羽黒「…………」

提督「お前らもそう睨むんじゃない。金剛は部屋に戻れ、羽黒は木曾たちの入渠が終わったら、一緒にもう一度執務室に来てくれるか」

羽黒「…………はい」 タタッ

金剛「…………」 ギロ

雪風「雪風に、何かご用ですか?」 ニコー
25 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/06/26(金) 22:23:14.88 ID:vDV1Lw7bO

金剛「もちろんデース。でも、提督の命令なのでここは従いマス。私の信頼する、とても頼りになる提督の命令デスから」 クル

雪風「恋は盲目って、このことですかね?」 ニコニコ

金剛「なんとでも言うといいデス。後悔しマスよ」 スタスタ

雪風「…………」 ニコニコ

提督「……さて、雪風。話がある、執務室に来なさい」

雪風「わかりました!」 ニコー


〜〜


提督「…………」

雪風「司令、どういったお話ですか?」 ニコニコ
26 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/06/26(金) 22:23:45.60 ID:vDV1Lw7bO

雪風「始末書ですか? 謹慎ですか? 独房ですか? 解体ですか? 轟沈処分ですか? 無期限遠征ですか?」 ニコニコ

提督「……ウチの鎮守府にはそういう制度はない。安心したまえ」

雪風「……へぇ〜、つくづく甘いんですね! 雪風、胸焼けしそうです!」 ニコニコ

提督「雪風、人間も艦娘も、一人きりでは生きていけない。そのために相手との関係を良好に保つことは最上級に重要なことだ。わかるな?」

雪風「貴方みたいな腑抜けた連中とつるむより、一人でいた方が百億万倍マシですね!」 ニコニコ

提督「……いや、なるほどな。わかった」

雪風「……何がです?」 ニコー

提督「なんでもない。それでは明日から、君には金剛と行動を共にしてもらう」

雪風「…………は?」 ニコッ

提督「金剛と共に行動してもらう。出撃や執務は勿論、寝食も一緒にこなしてもらう。これは命令だ」
27 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/06/26(金) 22:24:24.21 ID:vDV1Lw7bO

雪風「……なんでですか?」 ニコッ

提督「理由などいらん。敢えて言うなら、今回の騒動については、これをもって罰とする。わかったか?」

雪風「…………」 ニコニコ

提督「わかったら下がって良い。明日は出撃だ、しっかり休むように」

雪風「…………、わかりました! 失礼します!」 ビシ

がちゃ

雪風「…………」 ピタ

雪風「……やっぱり、無能じゃないですか」 ボソ

ばたん

提督「…………」
28 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/06/26(金) 22:24:54.33 ID:vDV1Lw7bO

提督「……ふぅ。というわけだ、頼んだぞ、金剛」 ギシッ

金剛「やっぱりバレていたデスか」 ヒョコ

提督「今日の秘書艦はお前だからな。素直に自室に戻るわけがない」

金剛「部屋に戻れ、とは言われたデスから。テイトクも、そのつもりだったでしょ?」

提督「流石は、ウチで最高練度の戦艦だ」 ナデナデ

金剛「えへへ〜♪」

提督「さて……天龍たちの入渠が終わるまであと2時間ほどか。今のうちに執務を終わらせるぞ」

金剛「Yes,Sir !」 ビシ


〜〜

29 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/06/26(金) 22:25:31.29 ID:vDV1Lw7bO
今日はおしまい
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/26(金) 22:26:07.57 ID:HI9ECCxho
一人は辛かろうな……
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/26(金) 22:26:44.75 ID:r5MAn8ZEO

一人を望んじゃうのか
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/26(金) 22:27:54.43 ID:7afSDSzSO
乙乙

毒舌雪風良いなぁ
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/26(金) 22:34:37.24 ID:a3J8wnyKo
雪風…
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/27(土) 00:42:22.26 ID:T7aJ1BHV0
どうせいなくなってしまう仲間なら最初から嫌われていた方がいい……ってところかの
35 : ◆kquYBfBssLZl :2015/06/27(土) 20:55:27.76 ID:Wd9g7ee9O
〜〜


こんこん

提督「入れ」

がちゃ

羽黒「し、失礼します」

北上「…………」

木曾「…………」

金剛「…………?」

提督「ふむ……。天龍はどうした?」

羽黒「て、天龍さんは、その……」

木曾「天龍は大破だ」
36 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/06/27(土) 20:56:01.97 ID:Wd9g7ee9O

提督「……大破? そんな風には見えなかったが……」

北上「見かけはね。私達もドッグでスキャンした時に初めて気づいたんだよ」

羽黒「……天龍さんは、機関部の損傷が著しく激しくて……通常の砲雷撃ではあり得ないと、明石さんが言っていました」

提督「機関部……体の内部ということか」

木曾「あのバカ、ドックに着いた途端血反吐はいてぶっ倒れやがって……痩せ我慢も大概にしろってんだ」

提督「…………なるほど、流石の練度だな。駆逐艦がそれほどまでの砲撃を軽巡に浴びせるとは――」

北上「……砲撃じゃない」

北上「天龍は砲撃はおろか雷撃さえ、一度も受けてないんだよ」

金剛「What ?」

提督「…………!」
37 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/06/27(土) 20:56:29.02 ID:Wd9g7ee9O

羽黒「そ、それじゃあどうやって……?」

木曾「自分の眼で見ても信じられねえが……あの駆逐艦・雪風は、拳一つで天龍を吹き飛ばしやがったんだよ」

羽黒「ええっ!?」

金剛「そんな、ことが……」

提督「…………」

木曾「クソったれ……練度の差ってのはあんなにデカイのかよ……」

北上「信じられないけどね……」

提督「…………」

金剛「…………?」

提督「……天龍のことはわかった。あいつには後で別に話すことにしよう。取り敢えず聞いてくれるか、三人とも」
38 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/06/27(土) 20:57:05.80 ID:Wd9g7ee9O

羽黒「は、はい」

北上「やっと本題、って感じだね」

木曾「…………」

提督「よろしい。これから話すことについて、特に緘口令を敷くつもりはない。しかし、楽しい話ではないし、聞けば言いふらすような気にはならないだろう」

金剛「…………」

提督「雪風は――」


〜〜


提督「――というわけだ」

羽黒「そ、そんな……」
39 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/06/27(土) 20:57:37.84 ID:Wd9g7ee9O

北上「…………」

木曾「…………チッ」

提督「そういうわけで、雪風は現在情緒が不安定になっていると思われる。監視役、或いはストッパーとして金剛に常に行動を共にしてもらうことになった。金剛も了承済みだ」

金剛「はい」

北上「でもさあ、軽巡の装甲を拳で貫く程の駆逐艦だよ? 金剛さん一人で大丈夫なのかな」

提督「金剛はウチの鎮守府で最も練度が高い95だ。雪風の練度には及ばないが、金剛ならば喧嘩っ早いお前らと違って上手くやってくれると信じている」

木曾「ぐっ、それを言われると……」

北上「反論できないねえ」 ポリポリ

羽黒「…………」

提督「さっき言った通り、緘口令は敷かない。姉妹艦に話してもいいし、黙っていても良い。しかし、同じ鎮守府の仲間同士、お前達の良心を信じているぞ」 ガタ
40 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/06/27(土) 20:58:05.62 ID:Wd9g7ee9O

羽黒「! ど、どちらへ?」

提督「天龍のところだ。ドックに行けば会えるな? お前たちは自室に戻って休むといい」 ツカツカ

金剛「私も少し準備をして来マス」 タタッ

木曾「準備?」

がちゃ

金剛「モチロン、ユキカゼと一緒に生活するための準備デース」 ニコッ

ばたん

北上「……へー、あの金剛さんがねえ」

木曾「アレだけ提督のことを罵られたんだ。もっと腸煮えくり返ってると思ったがな」

羽黒「……金剛さんは、前からこのことを知っていたんでしょうか?」
41 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/06/27(土) 20:58:32.70 ID:Wd9g7ee9O

北上「だろうねー。今日の秘書艦は金剛さんだし、日替わりとはいえ、毎週金曜は必ず秘書艦だしね」

羽黒「…………」

木曾「? どうした?」

北上「……ま、気持ちはわかるけど。金剛さんは古株だし、信頼が厚いのは当然だよ」

羽黒「…………はい」

木曾「?」

北上「厨二にはわっかんないかなー?」 ポン

木曾「なっ!?」


〜〜

42 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/06/27(土) 20:58:59.59 ID:Wd9g7ee9O

提督「さて……ドックに着いたは良いが……」

提督「(入渠中は艦娘達は全裸だ。入って行くわけにもいかんし……)」

ちゃき…

??「動くな」

提督「!」

??「下劣な覗き魔め。成敗してくれる」

提督「……誰が下劣だ、このストーカー」 クル

川内「あー、動くなって言ったのにー」 プクー

提督「はいはい」

川内「ていうかひっどー、命令で隠密行動してたってのに、ストーカーだなんて」
43 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/06/27(土) 20:59:42.86 ID:Wd9g7ee9O

提督「部屋にある俺の写真と動画、全部消したら謝ろう」

川内「ナンノコトカナー」のヮの

提督「……それで? さっきの件か?」

川内「うん。実はね――」


〜〜


提督「…………」 ツカツカ

提督「」 ピタ

提督「……ここが特別治療室か」

がら

提督「失礼する」
44 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/06/27(土) 21:00:19.02 ID:Wd9g7ee9O

天龍「…………」 スゥ、スゥ

明石「ん? あれ、こっち来ちゃったか」

提督「不都合でも?」

明石「ううん。天龍が、提督には見られたくないって言ってたから」

提督「……そうか」

明石「でもまあ、来ちゃったもんはしょうがないか。お好きにどうぞ」

提督「では、ここで待たせてもらう」

明石「はーい。治療はもう終わってるけど、用が済んだら早めに出てってね」 スタスタ

がら、ぴしゃ

提督「…………」
45 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/06/27(土) 21:00:50.76 ID:Wd9g7ee9O

天龍「ん……」 パチ

提督「気が付いたか」

天龍「……あんたか」

提督「起きれるか?」

天龍「ああ。……っ……」

提督「なるほど。寝ていろ」 グイ

天龍「…………すまねえ」 ドサ

提督「珍しい。寝てろと言われてお前が素直に従うなんて」

天龍「はは……さっき羽黒にしこたま怒られたからな」

提督「ほう。あの羽黒がな」
46 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/06/27(土) 21:01:18.61 ID:Wd9g7ee9O

天龍「あいつ普段は気が弱ぇけど、見た目相応にお姉さんもやるんだぜ」

提督「はは、普段怒らない奴が怒ると、最高に怖いからな」

天龍「違いない。ふふ」

提督「…………。……雪風のことだが」

天龍「ああ――」


〜〜


天龍「…………そうか。…………」

提督「先に知らせていなかった俺が悪い。例の発言については……反省してくれればいい」

天龍「……! 聞いてたのか?」

提督「いや、又聞きだ。誰とは言わんが、ここへ来る途中で忍者に会ってな。お前がドックでなくここにいるってことも、そいつが教えてくれた」
47 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/06/27(土) 21:01:49.65 ID:Wd9g7ee9O

天龍「そうか…………本当に、悪いことを言っちまったんだな。――――死神――だなんて」

提督「…………」

天龍「傷が治ったら、謝りにいかねぇとな……っ」 グス

提督「優しいな、お前達は」 ナデナデ

天龍「き、気安く触んなよぉ……」 ポロポロ

提督「存分に泣け。後悔も、反省も、歳をとるほどできなくなるもんだからな」 ナデナデ

天龍「ぅ……ぐ、ぅっふ……ごめ、ん……グス」 グスグス

提督「…………」 ナデナデ


〜〜

48 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/06/27(土) 21:02:29.97 ID:Wd9g7ee9O
天龍ちゃんはツンしゅん属性持ちだと思う

今日はここまで
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/27(土) 22:37:58.38 ID:BrdFch4fo
おつ
50 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/06/28(日) 08:54:22.66 ID:S34S4J/PO


〜〜


雪風「…………」

ばーん!

雪風「!」

金剛「Good Morning !」 ペカー

雪風「おはようございます! 歯は磨いてきましたか?」 ニコッ

金剛「もちろんデース! ほら!」 イーッ

雪風「……青のり付いてますよ?」 ニコ

金剛「う、うそっ!? ……ぁ、いやっ! その手には騙されないデス!」

雪風「本当ですよ?」 ニコニコ
51 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/06/28(日) 08:54:53.03 ID:S34S4J/PO

金剛「嘘デス! ちゃんと磨いてきたもん!」

雪風「…………」 ニコニコ

金剛「ぅ……ぐ……」

雪風「…………ふっ」

金剛「お、お手洗いに行ってきマス! ちょっと待っていてくだサーイ!」 ダッ

だだだだだだ…

雪風「…………」

雪風「…………」 ニコー


〜〜


だだだだだ…ばーん!

52 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/06/28(日) 08:55:20.49 ID:S34S4J/PO

金剛「やっぱり嘘じゃないデスか!」 クワッ‼︎

しーん…

金剛「……アレ?」


〜〜


だだだだだだ

金剛「こんな安っぽい手に引っかかるなんてぇー!!」

金剛「ユキカゼー! どこデスかー!?」

金剛「――むっ!?」 キキッ


潮「ぅう……」 メソメソ


龍驤「」 チーン

53 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/06/28(日) 08:55:47.49 ID:S34S4J/PO

金剛「ウシオ!? リュージョー!? どうしたデスか!?」 ユサユサ

潮「こ、金剛さぁん……グス」 メソメソ

金剛「ウシオ、これは? まさか……」

潮「龍驤さんと一緒に食堂に向かっていたら、新人さんがそっちから歩いて来て――」


〜〜


潮「――それで漣が……あれ?」

龍驤「ん?」

雪風「う?」

龍驤「あ、お前さんが提督の言うとった新人か? ウチは龍驤や、よろしゅう」 スッ

雪風「…………」
54 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/06/28(日) 08:56:16.36 ID:S34S4J/PO

龍驤「……?」

潮「う、潮です。よ、よろしくお願いします……」 モジモジ

雪風「雪風です! こちらこそ、よろしくお願いしますね!」 ニコー

潮「!」 パァ

龍驤「(な、なんでウチは無視やねん……)」

潮「わ、私、同じ駆逐艦なんですけど、練度がまだ30ぐらいしかないんです。どうやったらいっぱい良い経験が積めますか?」

雪風「経験、ですか?」 ニコニコ

潮「は、はい。いっぱい経験を積んで、提督のお役に立ちたいんです」

雪風「そんなことしなくても、潮さんはいっぱい経験積んでるでしょう?」 ニコニコ

潮「へ……?」
55 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/06/28(日) 08:56:43.50 ID:S34S4J/PO

雪風「だって」 ニコッ

むんずっ

潮「え」

雪風「こんなに胸部装甲が厚くなるほど、たくさん経験しているんですよね!」 ニコー

ぎゅむぎゅむ

潮「えっ、やっ、やめっ……!」

龍驤「お、おい!」

雪風「この淫乱ビッ○のオ○ニー狂い!」 ニコッ

潮「」

潮「」

潮「」



潮「」 キュウ 〜0


56 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/06/28(日) 08:57:10.44 ID:S34S4J/PO

龍驤「おい! お前なんやねん! いきなりビッ○とかなんとかって……!」 ガシ

雪風「まな板は喋らないモノですよ?」 ニコー

龍驤「な……」

龍驤「」

龍驤「」 プルプル



龍驤「ファーーーーーー↑↑」✌(՞ਊ՞✌)



〜〜


潮「ぅう……そんなんじゃないのに……勝手に大きくなっちゃっただけなのにぃ……」 グスグス

龍驤「」 チーン

金剛「ナルホド……それでリュージョーはあそこで死んでいるわけデスね」
57 : ◆kquYBfBssLZl :2015/06/28(日) 08:57:47.70 ID:S34S4J/PO
また来る
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/28(日) 10:08:20.36 ID:2IU14DDno
このRJまな板にしようぜ!
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/06/28(日) 10:13:40.69 ID:sfeImnfuO
死体蹴りやめろ!まな板が可哀想だろ!
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/28(日) 10:30:08.85 ID:cNtOkXpSO
乙乙
まな板が喋ったら駄目なんて聞いたことないぞ!まな板に謝れよ!雪風!
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/28(日) 11:11:20.67 ID:HjYcDuQDO
まな板「最近の風評被害には告訴も検討している」
62 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/06/30(火) 13:54:51.43 ID:hyl/uQTmO
金剛「というか、よく見ると……」


吹雪「モブ顏……ネームシップなのにモブ顏で何が悪いの……」 イジイジ

霰「アヘッ……ンチャッ……ンチャァッ……」 ビクンビクン

霧島「違うわ……私は艦隊の頭脳なのよ……口だけブレインなんかじゃないんだから……」 ドヨーン

榛名「はるなは大丈夫はるなは大丈夫はるなは大丈夫はるなは大丈夫はるなは大丈夫はるなは大丈夫はるなは……」 ブツブツブツブツ

伊19「イクッ、イクイグイグゥッ!」 アヘアヘ

瑞鶴「ズイwwwwwwwwズズイwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」 ズイ、ズズイ

大鳳「誰の胸部装甲が飛行甲板なのよぉ!! うわぁあああああああああんん!!!!」 ビエー


金剛「oh……死屍累々とはこのことネー……」


〜〜
63 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/06/30(火) 13:55:17.91 ID:hyl/uQTmO

雪風「」 トテトテ

天龍「よお」

雪風「…………」 トテトテ

天龍「おい、待てよ」

雪風「なんですか?」 ニコー

天龍「…………」

雪風「……用も無いのに、話しかけないでください。フフ怖がうつります」 ニコニコ

天龍「うつるかよ、そんなもん! ……そうじゃなくて、だな……」

雪風「…………」

天龍「その……昨日は済まなかった。売り言葉に買い言葉で、酷い暴言を――」
64 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/06/30(火) 13:55:57.75 ID:hyl/uQTmO

雪風「――うふ」

天龍「……?」

雪風「ふふ、ふ……あは、ふは……」

天龍「な、何笑って――」
























雪風「あ、は……あははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは
はははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは
はははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは
はははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!!!」


天龍「――ん、だ……?」 ゾク
65 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/06/30(火) 13:56:30.51 ID:hyl/uQTmO

雪風「あはは、ふふ、あはは!! 暴言? ぼうげん? あは、はは!! なぁんだぁ、そんなこと気にしてたんですかぁ? ふふっ!」 クスクス

天龍「そ、そんなことって……」

雪風「ああ、なるほど、『死神』って言ったことですか? ふは、なんだそんなことですか?」 クスクス

天龍「そ、そうだよ! だからこうして謝りに」

雪風「あー……私の資料でも見たんですかぁ? 司令もひっどいことしますねぇ。そんなことしたって、皆さんに罪の意識を芽生えさせるだけなのに。ホントに無能ですねぇ」 クスクス

天龍「て、提督はお前のことを思って」

雪風「だから、それが意味が無いって言ってるんですよ。あのとき貴女を一番強く攻撃したのは、あの三人の中で貴女の練度が一番高かったから。それだけですよ、ふふ」 クスクス

雪風「そっちから攻撃してこなかったら、雪風はなーんにもしませんでしたよ……それを、雪風が怒ったから〜って、勝手に勘違いしちゃったんですかねぇ、あはっ」 クスクス

天龍「な……」

雪風「ふふふっ……安心してください。雪風は――」 クスクス
66 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/06/30(火) 13:56:57.18 ID:hyl/uQTmO




雪風「――怒ったり、しませんから」 ニコッ




天龍「――――」

雪風「ふふ、久しぶりに大声で笑っちゃいました。それじゃあ、失礼しますね!」 ニコニコ

天龍「…………ぁ」

天龍「…………」

天龍「…………」

天龍「……クソ……」


〜〜

67 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/06/30(火) 13:57:34.04 ID:hyl/uQTmO
また来る
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/30(火) 15:06:19.83 ID:39UwHvAtO
おつ。待ってる。
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/06/30(火) 19:39:52.56 ID:3JB9LAUyO
乙待
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/05(日) 11:01:38.20 ID:px5/774/0
死神っていうのもあながち間違っていないと思う。
まさに死屍累累。
71 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/07/06(月) 22:07:43.98 ID:r3VjOCINO
〜〜


天龍「…………」 ボー

金剛「テンリュー?」

天龍「ああ? ……ああ、あんたか」

金剛「ユキカゼを見ませんでしたか?」

天龍「…………さあな」

金剛「? どうしたんデスか?」

天龍「なにが?」

金剛「らしくない顔をしてるデス」

天龍「どんな顔だよ」

金剛「なにか難しいことを考えているような顔デース」
72 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/07/06(月) 22:08:09.73 ID:r3VjOCINO

天龍「そりゃ私が馬鹿だって言いてえのか?」

金剛「HAHAHA!」

天龍「笑ってごまかすな!」 ガー

金剛「ふふ、天龍はそっちの方が似合っているデス」

天龍「……ったく」

天龍「……どう思う? あいつのこと」

金剛「ユキカゼのことデスか?」

天龍「ああ」

金剛「困った娘デスね。一緒にいるように命令されているのに、イタズラに引っかかってこのありさまデース」 ハァ

天龍「…………」
73 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/07/06(月) 22:08:36.41 ID:r3VjOCINO

金剛「……テンリュー、昨日のことなら」

天龍「そうじゃない。いや、それもそうなんだが……」

金剛「…………」

天龍「なんか……変なんだよな。あいつは……雪風は、どっかおかしい」

金剛「……そうかもしれません」

天龍「でも、どこが、って言われてもわかんねえ。だから、どうすりゃいいのかもわかんねえ」

金剛「それを考えてたんデスね……」

天龍「自分が馬鹿で後悔したのは初めてだよ。……クソったれ」

金剛「…………」


〜〜
74 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/07/06(月) 22:09:17.28 ID:r3VjOCINO
こんだけで申し訳ない
また来るよ
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/06(月) 22:26:05.08 ID:TmHc4CaF0
これは頭の病院にぶちこまないといけないレベル
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/07(火) 02:12:26.39 ID:LSPaLoS3O
天龍の一人称は俺だと思う
77 : ◆kquYBfBssLZl :2015/07/07(火) 04:13:33.91 ID:28hXQ9lWO
>>76
やっちまった
補完よろしく
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/15(水) 07:39:56.60 ID:MCleZXEoO
続きまだかなー
79 : ◆kquYBfBssLZl [sage saga]:2015/07/27(月) 21:26:58.44 ID:Dem0orVqO
〜〜


金剛「…………」

雪風「…………」

金剛「……ユキカゼ」

雪風「…………」 クル

金剛「出撃命令はまだ出ていないデス。部屋に戻りなさい」

雪風「ちょっと、海を眺めていただけですよ」 ニコ

金剛「そんなもの、出撃すればいくらでも見れるデス」

雪風「この、母港から見る景色が良いんです」 ニコニコ

金剛「……じゃあ、私も付き合うデース」
80 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/07/27(月) 21:27:25.70 ID:Dem0orVqO
雪風「せっかくの潮の香りが臭くなるので、遠慮してもらえませんか?」 ニコッ

金剛「お断りしマース」 ニコッ

雪風「…………」 ニコー

金剛「…………」 プイ

雪風「…………ま、いいですけど」 ニコ

金剛「…………」

雪風「…………」 ニコニコ

金剛「……なんで」

雪風「はい?」

金剛「なんでユキカゼは、皆を傷つけるようなコトを言うデスか?」
81 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/07/27(月) 21:27:52.48 ID:Dem0orVqO
雪風「へえ、皆あんなことで傷ついちゃうんですか?」 ニコニコ

金剛「当たり前デス。ユキカゼだってビーバーとか、変なニックネームを付けられたら、傷つくでしょう?」

雪風「どうですかね?」 ニコ

金剛「…………」

金剛「……ユキカゼ、皆を突き放そうとしてるなら、そんなのは間違ってマス」

雪風「…………」 ニコニコ

金剛「前の鎮守府のことは知っているデス。でも、だからと言って、この鎮守府でも同じことが起こるとは限らないデス」

雪風「…………」 ニコニコ

金剛「だから……私達を、私達の提督を信じてくだサイ。きっと、きっとあの人なら、ユキカゼのことも守ってくれるデス!」 ギュ

雪風「…………そうですか」
82 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/07/27(月) 21:28:20.78 ID:Dem0orVqO
金剛「そうデス! だから――」

雪風「でも、あんな腑抜けに守ってもらわなくても、雪風は沈みませんよ」 ニコ

金剛「――――」

雪風「話は終わりですか? じゃあ、雪風は部屋に戻りますね。出撃の時間になったら呼びに来てください」 スクッ

金剛「ゆ、ユキ」

雪風「あ、そうそう。報告書によれば、寺内大将と時津風が、雪風を守るようにしていたそうですね?」

金剛「……?」

雪風「あれ、嘘です」 ニコッ

金剛「…………嘘?」

雪風「そうです。雪風を狙った敵の砲撃が、少し狙いが逸れて、寺内大将と、時津風に当たっただけの話です」 ニコニコ
83 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/07/27(月) 21:28:52.02 ID:Dem0orVqO
金剛「っ……」

雪風「そんな美化されたお話なんか、戦場には無いんですよ、金剛さん」 ニコ

雪風「誰かが守ってくれるとか、誰かを守るとか……そんなの、おままごとの中だけです」 ニコニコ

雪風「雪風は兵器です。海の上は戦場です。生き残るのに必要なのは、練度と、ほんのちょっとの運だけです」 ニコニコ

雪風「沈んだ艦娘は、どちらかが足りなかっただけのこと……」 ニコニコ

雪風「だから、どちらも持っている雪風は、沈まないんですよ」 ニコニコ

金剛「……本気で言っているんデスか?」

雪風「はい」 ニコ

金剛「前の鎮守府で沈んだ皆も、そうだと言うんデスか?」

雪風「あたりまえです」 ニコニコ
84 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/07/27(月) 21:29:19.91 ID:Dem0orVqO
金剛「…………」

雪風「前の鎮守府だけじゃないです。その前も、その前の前でも、もっと前の泊地も鎮守府でも、皆そうして沈んでいきました」 ニコ

金剛「…………は?」

雪風「? どうしました?」 ニコニコ

金剛「ちょ、チョット待ってください……ユキカゼ、貴女は前の鎮守府で建造されたのではないのデスか……?」

雪風「あれ? ……あ、そういえばこれは内緒でした。どうしましょう……?」 ニコー

金剛「そんな、ことって……」

雪風「まあ、別にどうでもいいですかね」 ニコッ

金剛「――――っ!!」 ダッ‼︎

雪風「…………」


〜〜
85 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/07/27(月) 21:56:11.49 ID:2zRn9gAZO
またくる
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/27(月) 23:02:47.19 ID:bqNCiAd9o
87 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/07/28(火) 20:13:40.46 ID:1D+05+nIO

ばんっ!!

金剛「テートク!!」

提督「……はい、はい。…………いえ、秘書艦です、申し訳ありません。……はい、ありがとうございました。失礼いたします」

pi

提督「……金剛、ノックをしろといつも言っている」

金剛「ゴメンナサイ……でもテイトク、ユキカゼが……っ!」

提督「……私も雪風のことについて、お前にこれから話そうと思っていたところだ。まずは座れ」

金剛「聞いてくだサイ! ユキカゼは!」

提督「前の鎮守府で建造された艦娘ではない、ということだろう?」

金剛「っ!? ……知っていたんデスか!?」
88 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/07/28(火) 20:14:08.75 ID:1D+05+nIO
提督「違う、私も知らなかったのだ、ついさっきまで。そんな予感はあったがな」

金剛「……どういうことデスか?」

提督「……少し、昔の話から始めなければいけない。それでも良いか?」

金剛「当然デス!」


〜〜


深海棲艦が初めて確認されたのは、およそ60年前。
そう、先の大戦がようやく落ち着いた頃だ。
そして、まだ妖精や艦娘という存在が無かった頃だ。
奴らは海の上に現れては次々に船を沈め、民間での空路が一般的ではなかったこともあって、国際的な輸出入、そして海上での戦闘が困難になった。
それから10年、我々人類はどうにか情報を共有しあい、国を越えて共闘した。
89 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/07/28(火) 20:14:34.79 ID:1D+05+nIO
無論、軍艦と戦闘機でだ。
しかし、どう考えても人間側は不利だった。
こちらは小さな的に一発当てられるかどうかだが、むこうはほぼ同程度の火力でデカい的に数発撃ち込めば済む。
速力はこちらの方が上回っていたが、機動力が段違いだ。
無駄な年月と戦闘を重ね、やがてどの国も疲弊していった。
しかし、そんなときに我が国で新たな発見があった。
妖精という存在が確認されたのだ。
妖精は様々な物質から、およそ我々が作り出せないようなものを、驚異のスピードで作り出すことができた。
それは有機物であり、無機物であり、そのどちらでもないものであった。
それは、今まで我々が認識することのできなかった、しかし、確かに信じ続けられてきたもの。
『魂』だ。
我が国では、古くから器物にすらそれが宿るとされ、妖精はそれを見事に取り出して見せた。
そして、妖精はその魂すらも加工することができた。
魂を加工し、新しい器に宿らせ、それを我々人間の魂と同調させる。
そして、我々は深海棲艦と同じ、更には訓練次第でそれを上回る力を手に入れた。
海軍は歓喜した。
深海棲艦が現れてから、実に35年もの歳月が経っていたのだ。
上層部はその技術を使い、若い兵士たちに『艤装』と呼ばれる装備を身につけさせた。
……そうだ、艤装はもともと女性ではなく、海の男どもが装備していたのだ。
90 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/07/28(火) 20:15:13.19 ID:1D+05+nIO
艤装を装備した人間は、『艤人』と呼ばれ、彼らは次々に海へと送り出された。
これが、第一次艤人計画だ。
しかし、この計画は失敗に終わった。
艤装を装備した兵士たちは海水に触れた途端、次々に黒い炎のようなものに包まれ、ある者は悶え苦しみ、ある者はその場で息絶え、ある者は狂い、ある者は、深海棲艦のような姿になった。
そのとき、海の上で黒い炎に焼かれなかった者は、1万人中たったの6人だった。
6人は艤装に適合し、嘗ての仲間を沈め、数人を生け捕りにした。
雪風が前に所属していた鎮守府――第四鎮守府の寺内大将も、その一人だ。
そして、公式には病床に臥して引退したと先日発表されていた第六鎮守府の田口大将。
彼もまた、その6人の一人だった。
しかし、彼は他の5人とは少しだけ違った。
彼は黒い炎に焼かれたのだ。
全身ではなく、艤装のみが焼けた。
彼は何度も艤装を装備して海に立った。
しかし、何度試しても黒い炎が襲ってくるのだ。
やがて、彼には深海棲艦と同等の腕力が身に付いていた。
彼は艤装を諦め、既に出撃を始めていた他の5人と共に戦うことを決意した。
驚くべきは、その戦闘方法が、拳銃や軍刀などを使った兵器戦ではなく、徒手空拳だったことだ。
彼は素足で海を渡り、素手で深海棲艦を屠った。
彼の拳を撃ち込まれた深海棲艦は、内側から弾けるように死んでいったと言う。
原理はわからないが、彼にはそれが可能だった。
そして、私は天龍の機関部が破壊されたときいたとき、この伝説のような男を思い出した。
91 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/07/28(火) 20:15:40.62 ID:1D+05+nIO

〜〜


提督「艦娘の装甲は深海棲艦と同等だ。それを貫くことができるのは、あの男しかいない」

金剛「……! つまり、ユキカゼは……!?」

提督「田口大将に手解きを受けた可能性が高い。そして、田口大将が引退したと発表されたのは第四鎮守府が壊滅する前だ」

金剛「ならば……ユキカゼはもともと第六鎮守府にいたことになりマス……」

提督「ああ、その証拠も手に入れた。そして、雪風はもっと多くの地獄を経験している……」

金剛「…………」

提督「…………7つだ」

金剛「…………は?」

提督「……第四鎮守府、第六鎮守府……第四十八泊地、第五十三基地、第七十七警備府、第十七泊地、第四十六基地……」

提督「これらが……雪風が今まで所属していた母港…………そして、これらは悉くが壊滅……あるいは提督が死亡し、別の母港に統合されている……!」
92 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/07/28(火) 20:16:50.77 ID:1D+05+nIO
金剛「――――っ!?」

提督「……現在、海軍が統括している母港は100を超える……しかし、一つでも母港が潰されたのならば海軍の威信に関わる。だから、この事実をひた隠しにしていたんだ……第四の件は、私のところ以外には報告されていない……事実、報道自体は規制されている」

金剛「そんな…………そんなことが……」

提督「上層部を脅して吐かせたんだ……間違いない」

金剛「…………」

提督「…………」


〜〜

93 : ◆kquYBfBssLZl :2015/07/28(火) 20:17:20.35 ID:1D+05+nIO
またく
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/28(火) 20:45:25.28 ID:z3gB7bcVo
雪風…
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/31(金) 16:50:11.78 ID:HQuz41Mko
>彼は素足で海を渡り、素手で深海棲艦を屠った。

こんなバケモノがいる第6鎮守府が壊滅か……。
これ、人間の負けじゃね?
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/10(月) 17:33:03.39 ID:XMqwCH0So
そろそろ
97 : ◆kquYBfBssLZl [sage]:2015/08/29(土) 07:09:32.36 ID:Z71cMNepO
最近寒くなってきた
もうちょい待ってください
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/30(日) 09:23:34.91 ID:aYsm+1tMo
まってる
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/09/01(火) 12:35:12.92 ID:BVFzzy1zO
まってる
100 : ◆kquYBfBssLZl [sage]:2015/09/25(金) 17:27:19.06 ID:QEIG95+wO
ゴールは見えてるのに途中が無い
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/28(月) 20:34:12.18 ID:H4yGFTeB0
ファイト
102 : ◆kquYBfBssLZl :2015/10/27(火) 08:59:16.24 ID:k112IgJKO
ごめんなさい、あんまりにも筆が進まないんで別のスレ書いてました
暇つぶしにどうぞ

提督「赤城さんのデカ尻を揉みしだきたい」加賀「は?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1445032055/
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/27(火) 15:23:46.07 ID:PSr7xJLj0
あっ、ここかぁ!
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/26(木) 12:44:17.14 ID:DC843rfCO
雪風かわいい
105 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/12/24(木) 06:13:41.38 ID:Mz3g9LvoO
〜〜


天龍「―――っラァっ!!」 ブン‼︎

北上「あらよっと」 ヒラリ

天龍「まだまだっ!!」 ヂャキッ

北上「遅いよー」 ヒュ

ガン!!

天龍「っぐ……!」

北上「まだまだー」 ヒュン

天龍「ふんっ!!」

ガッ!

北上「おっとっと」

天龍「おらぁっ!!」

がっ、どっ、ぱん!

木曽「……天龍のやつ、張り切ってんなあ」

大井「北上さんも、ですね」
106 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/12/24(木) 06:14:19.15 ID:Mz3g9LvoO
木曽「……まあな」

大井「なにかあったんですか?」

木曽「……さあ?」

球磨「無駄クマー」

大井「球磨さん」

球磨「昨日散々球磨がクマックマにしてやったのに全然喋らないクマ。こんなこと初めてクマ」

龍田「ウチもなのよ〜」

球磨「そうなんクマ?」

龍田「大破ばりにボコボコにしたのになーんにも話してくれないの〜」

大井「えぇっ!?」

球磨「お前のやり方は球磨よりえげつねークマ」

龍田「球磨ちゃんだって同じようなことでしょ?」

球磨「一緒にするなクマ。球磨はそんな野蛮なことはしないクマ」

大井「じゃあ、クマックマ、って、何したんですか?」

球磨「別に。ただ、フリッフリのキャピッキャピの全身くまさん塗れにして写真撮影してやっただけクマ」
107 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/12/24(木) 06:14:48.44 ID:Mz3g9LvoO
木曽「くっ……」 プルプル

龍田「球磨ちゃん……」

大井「うわぁ……」

球磨「いつもなら恥ずかしさが頂点に達して早々に口を割るのに、こんなの初めてクマ」

龍田「それ、私も一緒にやらせてもらってもいいかしら〜」

木曽「!?」

球磨「良いけど、今日は多摩の番だからにゃんこ祭りクマ。それでも良いクマ?」

大井「私も暇だし、行こうかな」

木曽「や、やめろォ!」

球磨「OKクマ。つーかどうせなら天龍も北上もまとめてやるクマ」

龍田「いいわね〜」

大井「それでいきましょう!」

木曽「チクショォおおおおおお!!!」


その後、ニャンクマの刑は3日間に渡って続いたと言う…
108 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2015/12/24(木) 06:15:22.37 ID:Mz3g9LvoO
こんだけで申し訳ナス
クリスマスなんて糞食らえです
109 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/07(木) 22:16:26.30 ID:lWJ21znYO
雪風かわいい
110 : ◆kquYBfBssLZl [sage]:2016/01/12(火) 23:22:05.57 ID:vjF2MZgMO
すまん
今はこっち書いてる

提督「うぉゎぁああああああああああああああああああああああああああ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1450074593/
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/19(金) 07:58:42.95 ID:6y06nVclo
保守
112 : ◆kquYBfBssLZl [sage]:2016/03/10(木) 04:01:28.46 ID:1/9EGDqUO
すまん
今月中には更新する
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/11(金) 12:12:45.17 ID:/ahEkfl0O
わーい
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/27(日) 02:14:10.28 ID:C39EkoR/0
まだかな
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/10(日) 08:19:42.61 ID:leCTlBvj0
0510
116 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2016/04/11(月) 18:10:29.02 ID:lg3PbuwIO
〜〜


雪風「…………」

提督「雪風」

雪風「どうも、無能さん」 ニコ

提督「はは、手厳しいな」

雪風「何かご用ですか?」 ニコニコ

提督「別に。なんでこんなところでボーッとしてるのかと思ってな」

雪風「海を眺めていたんです」 ニコー

提督「こんな夜更けじゃ何も見えんだろう」

雪風「見えますよ、いろんなものが」 ニコ

提督「ふうん? 例えば?」

雪風「海とか」 ニコ

提督「他には?」

雪風「そうですねえ……例えば――」 ニコニコ

雪風「――深海棲艦、とか」 ニコ

提督「…………」

雪風「ふふっ!」 クスクス

提督「そういう冗談はよせ……」

雪風「わかりませんよ? すぐそこにいるかもしれません」

提督「そんなことになれば一大事だ。夜哨も出てるってのに」
117 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2016/04/11(月) 18:10:57.06 ID:lg3PbuwIO
雪風「変装しているかもしれません」

提督「変装?」

雪風「例えば、私が本当は深海棲艦で、雪風の皮を被っているのかもしれません!」

提督「はは、あいつらにそんな知能があったら恐ろしいよ」

雪風「どうです? 試しに雪風を解体してみますか?」

提督「…………そういう冗談は好きじゃないな」

雪風「本気ですよ?」 ニコ

提督「……お前は死にたいのか?」

雪風「うふふっ! そんなわけないじゃないですか!」

提督「…………」

雪風「あ、怒っちゃいましたか? 雪風のこと、嫌いになっちゃいましたか?」 クスクス

提督「雪風、お前はどうして」

雪風「どうして皆を遠ざけようとするのか、ですか?」 ニコ

提督「…………」

雪風「違いますよ、雪風は皆と楽しくおしゃべりしていただけです。勝手に皆、怒っちゃっただけですよ」 ニコニコ

提督「…………」

雪風「提督が雪風にいっぱい構おうとするから、皆、嫉妬してるんじゃないですか? 雪風、女の嫉妬が怖いです!」 クスクス

提督「…………」

雪風「あ、でも、雪風のことは信じられないですよね、提督は。雪風とはまだ知り合ったばかりですから」 ニコッ

提督「…………」
118 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2016/04/11(月) 18:11:24.95 ID:lg3PbuwIO
雪風「あははっ! 提督、なんでそんな怖い顔をしてるんですか? それとも苦い顔? 渋い顔? 悲しい顔? 怒った顔? 憎い顔? それって、どんな顔なんですか?」 ニコニコ

提督「……あえて言うなら、哀しい顔だ」

雪風「へー、それって悲しい顔なんですね! 勉強になりました! ほら、どうですか? こんな感じですか? 上手く出来てます?」 ニーッ

提督「……もう部屋に戻れ、雪風」

雪風「…………。はーい、仕方ないですね、無能は無能でも提督は提督、命令無視はできませんね!」 ニコ

雪風「それではおやすみなさい! もう二度と、お会いしないことを祈っています!」 ニコーッ

提督「また明日、な」

雪風「」 トコトコ

提督「…………」

提督「…………」 クル

提督「……深海棲艦……か」


〜〜


提督「皆おはよう、最近は曜日で区切ってローテーションをしていたが、今日は急遽とある母港からの要請で編成を変えることにする」

提督「実は、第一鎮守府から演習の申し出があった。鎮守府同士での演習は非常に珍しいので今回は練度の高い者も編成に組み込もうと思う」

提督「まず旗艦、川内」

川内「……!」

提督「これは向こうからの指名だ。知っている者もいると思うが、川内はもともと第一鎮守府で建造され、私がこの第二鎮守府に着任するにあたって第一から派遣されてきた艦娘だ」

提督「第一鎮守府の提督、山本元帥には軍学校時代からお世話になっていてな。断る理由も無いし、川内の姉妹艦も顔を見たがっているそうだ」

提督「そういうわけで、川内、旗艦を頼めるな?」

川内「はいはーい、夜戦ができれば私は何でも良いよ〜」
119 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2016/04/11(月) 18:12:02.78 ID:lg3PbuwIO
提督「うむ、次、羽黒」

羽黒「は、はいっ!」

提督「今回の演習で上手くやれば改二の練度に到達できる。しっかりやれ」

羽黒「はい!」

提督「次、大鳳」

大鳳「はいっ!」

提督「向こうには甲改装の翔鶴がいる。同じ装甲空母として負けるんじゃないぞ」

大鳳「はい!」

提督「次、伊19」

伊19「はいなの!」

提督「伊19はうちで唯一の潜水艦だがお陰で練度も高い。先制雷撃に期待しているぞ」

伊19「はーい!」

提督「次、雪風」

ザワッ…⁉︎

雪風「はい!」

ザワザワ

提督「静かに。雪風も向こうからの指名だ、特に断る理由も無いし、最大戦力で臨むのなら練度が最も高い雪風をもともと外すつもりもない」

提督「最後は金剛。雪風に次いでウチのナンバー2だ。殿もよろしく頼む」

金剛「イエース! テートクのために、バーニングラーヴ! 咲かせちゃうネー!」

提督「本日、遠征は無し、出撃も無し、演習の時刻は一一〇〇。30分前には集合するように」
120 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2016/04/11(月) 18:12:31.74 ID:lg3PbuwIO
提督「以上、解散!」

ザワザワ

提督「(天龍達との乱闘は既に噂になっているようだな……仕方のないことか)」

提督「(雪風がどんな海戦をするのか、演習では相手が不安だしかと言って他の海域への出撃では危険だ)」

提督「(山本さん、このタイミングで演習を申し込んでくるということは雪風のことも、俺がそれらを知っているということも了承済みだろう)」

提督「…………」

提督「(……胃が痛くなってきたな)」 キリキリ


〜〜
121 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2016/04/11(月) 18:14:40.82 ID:lg3PbuwIO
遅くなってすまん
そろそろいろいろ出していく予定
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/11(月) 18:43:22.48 ID:joHCwxqk0
闇深すぎて怖い
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/12(火) 12:40:30.98 ID:5fF2DHzMO
待ってた
これからどうなるか楽しみ
124 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2016/04/14(木) 17:26:16.11 ID:9nj3x0iYO
〜〜


元帥「やあ、久しぶりだなぁ」

提督「お久しぶりです、元帥殿」 ペコリ

元帥「やめろ堅苦しい、あの礼儀知らずの若者はどこへ行った?」 ワハハ

提督「あの頃は私も若輩でした」

元帥「今もそうじゃないか、史上最年少の海軍尉官、史上最年少の提督、しかもいきなり第二鎮守府の担当ときたもんだ」

提督「運が良かったのです。何より、元帥殿のお口添えを戴いたおかげです」

元帥「口が達者になったもんだ。同期の連中や先輩方はお前がヘマをしないかと舌舐めずりしておるぞ」

提督「はは、私の鎮守府は私の物です。誰にも渡しません」

元帥「ガッハッハ! 若者は良いな! 言うことが凝り固まっておらん!」

提督「元帥殿もいつまでもお若いでしょう?」

元帥「これは艤装に適合したからこその見た目だ。心はとっくにロートルさ」

提督「未だに第一線で自ら魚雷を振り回しているお方が何をおっしゃいますか」

元帥「近頃の艦娘は益々性能が良くなってな、海外からの支援も増えたし、儂は後ろで娘達の成長を見守るのみだよ」

提督「隠居でもなさるおつもりで?」

元帥「馬鹿を言うな、まだまだ日本はこれからだと言うのに。アメリカまでもが我々に自ら協力を申し込んできたのだ。60年前なら思いつきもせんことだぞ」 ワハハ

提督「ええ、今こそ、世界中が手を取り合って深海棲艦に立ち向かう時です」

元帥「うむ、そのためには修練を欠かすことはできん。儂も、貴様もだ」

提督「心得ております」

元帥「ガッハッハ! この演習が終わったら酒の前に久々に手合わせでもするか! 執務ばかりで鈍っとらんだろうな!」
125 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2016/04/14(木) 17:26:44.06 ID:9nj3x0iYO
提督「私も鎮守府を預かる提督の一人です。負けはしませんよ」

元帥「言ったな? 楽しみにしとるぞ! それじゃあ、また後でな!」 ワハハ

提督「」 ペコリ

提督「…………」

金剛「テートク?」

提督「ん? ああ、金剛か。どうした?」

金剛「今のボーイが元帥ですカ?」

提督「はは、俺より若く見えるだろ? 艦娘と同じで、例の計画の適合者達は歳をとらないんだよ」

金剛「へー……」

提督「それより、まだ集合時間には早いが、何か用事か?」

金剛「ンー……ユキカゼをまた見失ってしまっテ……ここにいるかと思ったのですケド……」

提督「いや、見てないな。……それにしても困ったもんだな……」

金剛「sorry……ワタシが子どもダマシに引っかかるからデース」

提督「いや、そっちじゃなく、演習の方だ」

金剛「演習?」

提督「もっと言えばあのジジイだな……何しに来たんだか」

金剛「演習じゃないんですカ?」

提督「格上の第一が演習を申し込んでくること自体おかしいんだ。本来ならこっちから申し出るものをなんの理由があってわざわざ……」

金剛「ンー……ユキカゼのことが気になるトカ?」

提督「それもある。けど、今このタイミングで、しかも指名までしてるんだからそれは明白だ。あのジジイはそんな表面だけのことじゃ終わらないんだよ」
126 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2016/04/14(木) 17:27:11.73 ID:9nj3x0iYO
金剛「昔のteacherにヒドい言いようデース……」

提督「はは、昔から知ってるからこそ、と言ってくれ」


〜〜


提督「それではこれより、第一鎮守府と第二鎮守府の演習を開始する。滅多にない機会なので、元帥閣下より訓示を戴く。心して拝聴するように」

一同「」ビシィッ!

元帥「うむ、直ってよろしい」 ビシ

元帥「第二の諸君、本日は我が第一との演習を受けてもらい、誠に感謝する」

元帥「諸君らは本土大本営に位置する我々とは違い、母港自体が前線に配置され、日々奮戦してくれていることと思う」

元帥「最近、深海棲艦共の出現は恒常的なものではなく、姿を潜め、力を蓄え、一気に猛然とこちらに特攻してくる、そういう攻撃が多く報告されている」

元帥「これは敵が確かに戦力を弱めている証拠に他ならない。姿を隠して戦力を蓄えなければ我々に太刀打ちできないほどに奴らは追い詰められているのだ!」

元帥「諸君! 死を恐れろ! 戦争を恐れろ! しかし敗北を恐れるな! 我々は勝利を眼前に見据え、敵の殲滅は間近である!」

元帥「慢心せず邁進するためにも、日々の鍛錬は怠るな!」

元帥「本日の演習で、諸君らに何かしらの得るものがあることを期待する。以上だ」

一同「」 ビシィッ

提督「それでは演習艦隊の者は双方配置につけ。他の者は演習海域から離脱の上、哨戒担当は引き続き任務を続行せよ」


〜〜
127 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2016/04/14(木) 17:27:46.81 ID:9nj3x0iYO
とりあえずここまで
戦闘描写のために修行してきます
128 : ◆kquYBfBssLZl :2016/04/14(木) 17:53:23.34 ID:9nj3x0iYO
あと、本文中に出すかわからんので取りあえず解説
独自設定なので注意


・深海棲艦の出現は大戦終結から10年後、現在から60年前。
・深海棲艦が出現してから35年後に妖精や魂などを発見(日本の功績)。
・その35年の間にアメリカ軍は自国の防衛で手一杯になり日本から完全撤退、帝国日本軍は解体されず→日本の統治体制は現実世界と同じだが、自衛隊ではなく日本軍。陸軍は縮小され殆どが海軍。
・深海棲艦出現後38年で第一次艤人化計画が実行される。山本、寺内、田口ほか若い軍人約1万が参加するも失敗。上記3人を含めた6人が生き残る。
・深海棲艦出現後45年で軍内部の血縁者などから婦女子を推挙し、艦娘(第二次艤人化)計画が実行される。成功。小規模な反攻作戦を始める。
・深海棲艦出現後47年で母港を拡張し、第一から第六鎮守府を設置。それぞれに第一次艤人化計画の生き残りを提督として派遣する。本格的な反攻作戦を展開する。
・深海棲艦出現後52年で一部の航路が回復、輸出入の要となり、世界各国の政府内で艦娘への注目が集まる(一般にはまだ公開されず)。
・深海棲艦出現後56年で凡その敵勢力図、が公開される。現在まで随時更新。同時に沈没しているかつての軍艦から新たに魂を抽出し、新規艦娘の建造が活発化する。
・深海棲艦出現後57年で一般に艦娘の存在が公開される。同時に公募が始まる。
・深海棲艦出現後58年で日本の技術協力などにより、海外でも艦娘が建造されるようになる(ごく少数、日本と他国では魂の概念が異なるためとの研究結果)。
・深海棲艦出現後60年。現在。深海棲艦による突発的な猛反攻が多数報告される。


こんな感じです。
ガバガバだけど適当に読んで。
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/15(金) 20:25:31.38 ID:QmvkQ/Zd0
おっつー
130 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2016/04/27(水) 15:47:39.33 ID:riPqLidxO
ていうか木曾の字間違ってんじゃん死にたい
131 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2016/05/30(月) 11:50:16.10 ID:qWzQ5bLWO
生きてます
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/30(月) 12:20:25.81 ID:v4NCjwng0
はわ
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/02(木) 00:01:30.46 ID:8rI66hl80
よし早く続きを書くんだ
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/08(水) 22:31:17.53 ID:s7U3Vffb0
期待
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/12(日) 22:54:26.35 ID:E6BT+orq0
はよ
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/25(土) 20:47:02.98 ID:JaRueixJ0
まだかなまだかなー
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/26(日) 23:36:00.98 ID:deOlNRBD0
待ってる
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/02(土) 19:40:11.46 ID:yGpZkCtN0
はよ
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/16(土) 13:15:42.51 ID:l+ehMbS6o
死んだか
140 : ◆kquYBfBssLZl [sage]:2016/07/17(日) 04:40:16.18 ID:4P0zS4spO
すみません
月末には更新したい所存
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/17(日) 08:26:07.46 ID:DQUW6rZ/0
りょーかい
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/18(月) 06:45:41.81 ID:AwOhV95Do
待ってる
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/18(月) 17:00:01.41 ID:Q0l8vG4a0
よっしゃ
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/23(土) 08:37:49.59 ID:SMPQ+V/X0
舞ってる
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/02(火) 22:17:44.43 ID:4Vuq0qRg0
はよ
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/05(金) 05:58:51.38 ID:gu1HxP6Ko
嘘つきは嫌いだよ
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/05(金) 17:02:15.95 ID:HMV9Y4VL0
頼んますよぉ...
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/06(土) 20:47:51.92 ID:r8IiOgP50
雪風のSSもっと増えないかなぁ
149 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2016/08/08(月) 08:19:21.12 ID:0WxfuqWMO
〜〜


五対の波が尾を引いて、海上を駆ける。
第二鎮守府の演習艦隊は、旗艦である軽巡洋艦・川内を先頭に、単縦陣の形で航行していた。

『偵察機はどうなっている』

無線機から提督の声が聞こえる。
現在、偵察機を飛ばしているのは戦艦である金剛。
この演習艦隊で唯一の空母として、航空戦の要は大鳳にある。
相手は五航戦の片翼である翔鶴であり、経験、練度、基礎的な技能からして、大鳳にとって偵察機に裂けるほどの余裕は無い。
それを知っていて、金剛は自身に水上偵察機を持たせることを、自ら進言したのだった。

「今の所、撃墜されてはいないようデース。でも、相手の姿もまだ捉えられていないようデスネ」

既に偵察機を飛ばしてから三十分。
通常ならばとうに偵察を終えて帰還しているか、或いは撃墜されている筈だが、そのような気配は無い。
鎮守府母港に面する演習場は、広いとは言っても区切られた空間でしかない。
偵察機に未だ敵影が引っかからないのは、相手がうまく立ち回っているというよりは、金剛が偵察機との同調をそこまで得意としていないことも大きいのかもしれなかった。
偵察機と艦載機には大きな違いがある。
偵察機は持ち主の艦娘と搭乗する妖精の意識を同調させるものであるのに対し、艦載機は感覚を共有するものである。
要は、偵察機の場合は搭乗員からの報告によって現場を把握し、艦載機の場合はまるで自身が艦載機そのものになったかのように感じることができるのだ。
しかし、偵察機が艦載機の下位互換であるというわけではない。
艦載機で共有される感覚は視覚だけではないからである。
視覚をはじめ、触覚、嗅覚、聴覚までもを共有することができる。
150 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2016/08/08(月) 08:19:59.68 ID:0WxfuqWMO
そしてこれらは艦載機を操る艦娘が意識して制御しなければ、無秩序、無制限に流れ込んできてしまうのだ。
時速何百キロという速度で飛行する艦載機の触覚や聴覚は、生身に共有されれば自身を破壊する牙になりかねない。
触覚も、もし敵から攻撃された時の衝撃がそのまま共有されてしまえば、それは自身が弾丸に貫かれるのと同じことだ。
敵を破壊するために艦載機を飛ばすのに、自身を破壊してしまう要素ばかりが多い状態では意味が無い。
その為、空母達は戦闘となれば常に気を張り、感覚を研ぎ澄ませ、同時にそれらを全力で制限しなければならない。
そのストレスは計り知れず、敵が強ければ強いほど、それは大きくなる。
そんなわけで、できるだけ大鳳が艦載機の方に集中できるように、という思惑もあって金剛は偵察機を担当したが、正直、偵察機との同調は彼女の不得手とするところであった。

「(頭の中に直接妖精さんの意識が流れてくるこの感覚は、未だに慣れないデース……)」

艦載機の扱いがそうであるように、偵察機側と意識を同調させるのも一筋縄ではない。
ヒトは常に一つのことのみを思考しているのではなく、意識的にせよ無意識的にせよ、様々なことを考えている。
妖精も同様で、それらが大小様々な声となって頭の中に流れ込んでくる為、取捨選択しながら必要な情報を集めなければならない。
本来ならば今こうして提督と無線でやりとりしているようにしたいところだが、妖精との言語による意思疎通は、妖精発見から何十年経った今でも目処が立っていない。
そのため、こうして意識を同調させることで直接的に妖精の思考を理解し、間接的に状況を把握しなければならないのだ。
金剛も普段から頭の中でいろいろなことを考えてはいるが、それは自分の思考だからこそであり、そもそも複数のことを同時に考えることと曖昧に意識しているのとは異なる。
思考しなくとも空腹や喉の渇きを意識してしまうように、何かを見つけたときに「見つけた」と思うよりも見つけたことそのものを意識する方が早く、それは他の意識と重複して伝わってくる。
自身でさえ全ての意識を把握するのは難しいというのに、更にそこに他者のものが同調されるのだ。
常人ならば同調開始とともに意識が混濁してもおかしくない。
艦娘とは人間の魂と艦船の魂が結びついた存在であり、そのシステムの中で仲介役をしている妖精とは密接な関係がある。
そんな艦娘だからこそ、意識の同調に耐え得るのだ。
その中で得手不得手があったとしても、なんら責められることではない。

「! 偵察機が敵影を補足。十時の方角。先頭は戦艦・長門、左右にそれぞれ軽巡洋艦・那珂と神通、後続に駆逐艦二隻、中央に空母・翔鶴――輪形陣で航行中デス」

「こっちも、見つかっちゃったみたいです」
151 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2016/08/08(月) 08:20:45.08 ID:0WxfuqWMO
金剛が偵察機から得た情報を皆に告げる。
しかし、提督の指示を仰ぐ前に、金剛の前を航行する駆逐艦・雪風の一言で、全員が息を呑んだ。
そして、雪風の視線を追う。

「――艦攻!」

その先には、水上ギリギリを滑空する艦攻が10機。
先程金剛が告げた相手艦隊の方向とは真逆から、凄まじい勢いでそ、第二鎮守府演習艦隊に迫っていた。

『大鳳!』

「既に!」

無線機から怒号が響くが、それよりも早く――雪風の言葉を聞いた瞬間には――大鳳は艦載機を放っていた。
ボウガンのような形をしたカタパルトから飛び出した戦闘機が、艦攻を潰すべく接近する。
距離は至近ではないものの決して遠くはない。
誰よりも早く動き出した大鳳の判断は、正しいと言えるだろう。
確かに、正しかった。
しかし、その正しい対応の為に、気づくのが遅れた。
挟撃、という可能性に。
艦攻は相手艦隊とは正反対からやってきた。
それならば、挟撃は十分あり得る。
このとき大鳳が、第二鎮守府の面々がそれに思い至らなかったのは、偏に実戦経験の多さ故でもある。
深海棲艦は鬼級や姫級を除いて、基本的に単純で強力な攻撃しかしてこない。
そのため、火力と装甲で劣るこちらが策を練って戦術を立て、総員一体となって相対することで劇的な戦果を挙げてきた。
152 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2016/08/08(月) 08:21:15.00 ID:0WxfuqWMO
第二鎮守府は他の鎮守府に比べて前線に配置されており、毎日出撃を繰り返しているため、演習の頻度は低い。
自ずと策を弄する相手とは縁遠くなり、搦め手に対する思考は疎かになる。
最初に気づいたのは二人――雪風と川内であった。
否、川内が動き出す方が、雪風よりも僅かに早い。

「上!」

叫びながら、川内は機銃を艦攻とは別――九時の方向に構える。
呼応するように雪風が高角砲を構え、その砲口は頭上へ。
攻撃は左右、そして太陽の中からやってきた。
機銃と高角砲が同時に火を噴く。
川内と雪風がそれぞれ狙うのは五機の艦戦と三機の艦爆。
川内は艦攻に対して完全に背を向ける格好になり、このままでは防御もままならない。
大鳳は焦りを感じていた。
他方向から来る相手艦載機に対応してくれている川内と雪風、そして第二鎮守府の面々を守る為にも、確実にこの艦攻を潰さなければならない。
しかし、それよりももっと大きな問題が、大鳳の頭の片隅をジリジリと焦がす。

「(合計十八機、それも三方向から……!)」

複数の艦載機と感覚を共有するのは空母以外には不可能とされている。
特に、視覚の共有は空母の適性を持った艦娘からしても、至難を極める。
なにせ、自分の目で見る光景と、艦載機から見える光景が同時に頭に流れ込んでくるのだ。
それが一機や二機ならばまだしも、二桁を超えると人間の脳で処理できる限界はとうに超えていると言っていい。
それが別々の動きをするとなると、それはもう努力でどうにかなる問題を遥かに上回る。
153 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2016/08/08(月) 08:21:47.22 ID:0WxfuqWMO
それを開幕から叩き込んでくるとなると、相手の技量はどれほどのものか、想像するだけでも目が回りそうになる。
彼我の戦力差、技量の差を、初手からまざまざと見せつけられ、動揺しない程の確固たる自信が大鳳にはまだ無い。

「(余計なことは考えるな!)」

歯を食いしばって、思考を中断する。
大鳳は戦闘機を相手の艦攻に対して左右から挟み込むように展開する。
これならば、相手は上に逃げるか正面を突破するしかない。
上ならば大鳳の戦闘機が追撃を、そして正面には――

「任せてください!」

副砲を構えた羽黒が立ちはだかる。
戦闘機の射程範囲に艦攻が入り、撃墜するべく掃射を始める。
結果は三機を撃墜、四機が上に逃れ、残りは正面へと突っ切ってくる。
同時に羽黒が副砲を構える腕に力を込めて、一発、二発、三発。

「くっ!」

二機は撃ち落とすが、最後の一機を撃ち漏らす。
海面を滑るように、艦攻が高速で迫る。
大鳳の戦闘機は上空に逃れた四機を漸く撃墜――間に合わない。

「――させないよ、っと」

羽黒の脇腹を掠めるか掠めないかの場所を、何かが飛んでいく。
大鳳は自身の視界の端と、艦隊へ迫る艦攻へ向かう戦闘機の視界にそれを捉える。

「苦無……?」
154 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2016/08/08(月) 08:22:22.26 ID:0WxfuqWMO
海上での戦闘にあまりに不釣り合い、そして陸上での戦闘でも近代的とは決して言えないそれは、艦攻の胴体を斜め上から正確に貫いた。
瞬間、爆発。
胴体を貫通し、そして艦攻に取り付けられた雷装を同時に破壊し、投擲された苦無は見事、艦攻を撃墜せしめた。
羽黒は思わず、それが飛んできた方向を振り返る。
そこには我らが旗艦、川内が背を向けたまま機銃を正面に構え、しかし右腕だけは後ろに向かって振り抜いたような姿勢で立っていた。
そして、羽黒が振り向くと同時に川内の身体の向こう側で爆発。
川内が全ての戦闘機を単独で撃滅した証拠であった。
炎上し、海に沈んでいく艦載機を背に、川内が半身で振り返る。

「さあ、反撃だよ」


〜〜


「このぐらいは、ねじ伏せてきますか」

第一鎮守府の演習艦隊、その唯一の空母である翔鶴は愉快そうに眼を細める。
その余裕の態度は歴戦の戦果故の自信の表れであり、そして相手の力量を正確に測っている自負が見える。
翔鶴は艦載機との視覚共有で、敵の様子を三方向からつぶさに観察していた。
先程撃墜した偵察機が大鳳の放ったものではないことも、翔鶴にはおおよそ推測できている。

「(あんな可愛い顔をしちゃって……うふふ)」

こちらの技能を見せつけ、そしてそれを把握した瞬間の大鳳の顔――その焦りと揺らぎと喪失感を宿した表情を思い出し、翔鶴の口角がサディスティックな形に釣りあがっていく。

「(翔鶴さんのドSがまた出たわね)」

「(あはは……)」

そんな翔鶴を後ろから眺めつつ苦笑漏らすのは、駆逐艦・神風と萩風。
155 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2016/08/08(月) 08:22:57.96 ID:0WxfuqWMO
第一鎮守府では比較的新参の二人だが、短い付き合いの間にその翔鶴の人柄は把握しているようだった。
それもその筈、内地に位置する第一鎮守府は練度の高い面子が揃い、他の母港から申し込まれる演習の頻度も高い。
その中で散々見せつけられた翔鶴の圧倒的な技量と、それを振るうことを厭わない加虐的な嗜好。
自分の身でもってそれを体験したこともある二人は、敵の演習艦隊に対しても同情を禁じえない。
そして同時に、賞賛も感じていた。

「(いつもなら最初の航空戦で全員大破か中破まで追い込むのに……なかなかやるわね)」

翔鶴の反応からの報告によれば、中破どころか小破すらいないという。
少なくとも神風が着任して以来、初めてのことである。
それは萩風も同じであり、何処となく楽しそうな面持ちを浮かべている。
但し、二人のその笑みは敵を讃える以外に、強敵を見つけた仄暗い悦びを僅かに含んでいることを二人は気付いていない。
翔鶴や他の艦娘に毒されたのか、或いは。

「二人とも、気を緩めるな。敵には潜水艦がいると聞いている。雷撃に注意しろ」

薄ら笑いを浮かべる二人を一喝するのは、先頭に立つ戦艦・長門。
周囲を満遍なく見渡しながら、その立ち姿には一切の死角も油断も無い。

「まあ、例え今ので殆どの敵に攻撃が当たっても、川内ちゃんは無傷だろうけどね〜」

翔鶴の左側を航行する軽巡洋艦・那珂は呑気な声色でそう言い放つ。
翔鶴が横目でジトリと睨むが、何処吹く風で両手を頭の後ろで組んでいる。
それどころかそんな状態で鼻歌を鳴らし始め、そんな那珂の様子に翔鶴は顔を顰める。
翔鶴が那珂に対して何も言わない――否、言えないのは、第一鎮守府の完全実力主義によるものだ。
弱肉強食とでも言うべきそのヒエラルキーは容易に覆せるものではなく、先程駆逐艦二人に注意をした長門が黙っているのもその序列に従っているからである。
156 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2016/08/08(月) 08:23:29.73 ID:0WxfuqWMO
そして何より、本来穏やかな気性であるはずの翔鶴がこのような歪んだ性癖になってしまったその一端を、那珂も担っているのだから、始末に負えない。

「……来ました」

那珂の反対側――翔鶴の右で沈黙と瞑目を保っていた軽巡洋艦・神通が、その口を開く。
現在、第一鎮守府の序列一位である彼女の言葉に、艦隊全員の表情が引き締まる。
そして、それと同時に一閃。
刹那の後に、艦隊右側で爆発音が轟く。
それは紛れもなく、第二鎮守府の空母・大鳳が放った全ての艦載機が撃滅された音であった。


〜〜


大鳳は、思わずその場に崩れ落ちそうになるのをどうにか堪えた。
否、それは羽黒が咄嗟に腕を伸ばし、崩れ落ちる大鳳を支えたのだ。

「大鳳さん!?」

その衝撃と羽黒の呼びかけによって、大鳳は漸く我に帰る。
羽黒の肩を借りて体勢を整え、かぶりを振って大きく息を吐く。

「ありがとう、もう大丈夫」

外面だけの平静を取り繕って、大鳳は航行を再開する。
しかしその内面は、感じていた焦りが更に増し、焦燥感と不安感、そして無力感がないまぜになっていた。
大鳳は皆に気づかれないように唇を噛み締め、 先程の光景を思い出す。
川内の指示で戦闘機と艦爆を二機ずつ飛ばし、あとほんの二、三秒で戦闘機の射程距離に入ろうという、その瞬間。
横薙ぎの一閃が視界を両断し、艦載機が全て撃墜された。

『もしも光が一本見えたら、すぐに艦載機とのリンクを切ってね』
157 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2016/08/08(月) 08:24:10.29 ID:0WxfuqWMO
事前に川内から告げられていた言葉のお陰で、艦載機が爆発する直前に感覚の共有を中断できたのが不幸中の幸いだったが、そうでなければ大鳳の視界は爆炎に覆われて、暫く使い物にならなかっただろう。

「(まさか、射程距離にも入らせてもらえないなんて……)」

改めて、彼我の実力差を実感させられる。
大鳳は川内を見遣る。
元・第一鎮守府所属の川内。
その川内が見せた技量も、並大抵のものではなかった。
艦載機を見もせずに、正確に、完璧に射ち抜いたあの苦無。
川内の姉妹艦である神通や那珂も、相当な実力者であると見ていいだろう。
先程の一閃も、正直大鳳には何をされたのか全くわからなかった。
いつもの飄々とした川内の態度は形を潜め、暗く、冷たい刃のような雰囲気を纏っている。
大鳳には、その背中が酷く遠くに見えるような気がした。

「タイホー」

後ろから声をかけられて振り返ると、そこには戦艦・金剛の姿。
金剛は真剣な眼差しで大鳳を見つめて、それから優し気に微笑んだ。

「大丈夫デース、私たちも一緒ネ!」

「ぁ……」

その表情に、その言葉に、頭を焼き尽くそうとする焦燥感が治まるのを感じる。
心が安らぎ、腹の底に力が湧き出るような感覚。

「そのとーりだよ。さっき、あの翔鶴ちゃんの艦攻を七機も落としたじゃないのさ。十分、大鳳ちゃんには力があるよ」

前方から視線だけを大鳳に向けるのは、今回の演習相手をよく知る川内。
158 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2016/08/08(月) 08:24:39.38 ID:0WxfuqWMO
そのお墨付きを貰って、大鳳は思わず笑みを零す。
それを見て羽黒が安心したように微笑み、受ける大鳳は、大きく息を吸う。
潮の香りが肺を満たし、先程までの心持ちが嘘のようだ。
我ながら単純だ、と思いながらも、大鳳は新たにボウガンを構える。

「もう、大丈夫です」

今度は紛れもなく、本心からの言葉だった。
――そんな一同を見て、雪風は退屈そうに空を仰いだ。


〜〜


潜水艦・伊19は一人、海底を潜行していた。
演習開始直後――金剛が偵察機を放ってすぐに――艦隊から離脱し、相手へ雷撃を仕掛けるべく、移動を続けていたのだ。

「(そろそろ、見える頃なのね)」

伊19は演習場の外周を大きく回り込むように潜行していた。
相手にとってこの演習場は謂わば初めての海域であり、どのように立ち回れば有利になるのか、この短時間で完璧に把握しきることなど不可能に近い。
その点、哨戒任務や遠征、出撃だけでなく、暇潰しの散歩替わりとしてもこの鎮守府周辺を毎日のように泳いでいる伊19は網羅している。
演習の際は、区切られた演習場の最も離れた位置にそれぞれの艦隊が配置された状態で始まる。

「(第一さんが配置されたのは南側……どう航路を取るにしても、必ずここを通るはずなの)」

伊19が潜行を停止したのは演習場の中央東寄り。
南から北に向かって進むには、ここを通る可能性が最も高い。
第二鎮守府の演習場は岩礁を多く含み、海面に露出しているものもあればそうでないものもある。
座礁を避けるために岩礁を迂回するなら、ここが最短航路となる。
159 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2016/08/08(月) 08:25:07.95 ID:0WxfuqWMO
少々卑怯な気もするが、しかし、演習を申し込んできたのは向こうなのだ。
相手の主戦場での対戦ならば、当然こういった地の利も覚悟してのことだろう。

「(――来た)」

伊19は自然の波ではない、艦娘が航行する際の独特の波の動きを視界に捉える。
この周辺の海はそれほど透明度は高くないが、伊19にとっては慣れたものだった。
しかし伊19はその視界に収めた相手艦隊の波に、僅かな違和を覚える。

「(一、二、三、四……何回数えても五つしかないのね)」

金剛の報告によれば、相手艦隊には潜水艦はいない筈。
海面を滑る波は六対の筈だが、それがどうにも一つ足りないのだ。
更新が途絶えた少しの間に、大鳳の艦載機で轟沈判定にしたのだろうか。
首を傾げる伊19だが、状況がわからない以上、考えても仕方のないことだと割り切る。
相手は駆逐艦と軽巡がそれぞれ二人。
早めに一撃離脱の要領で魚雷をお見舞いしておかないと、ソナーで見つかる可能性がある。
爆雷は今のところ投射されていないので見つかっている可能性は低いが、それでも時間の問題だろう。
即断即決、伊19は相手艦隊へ向かって魚雷を構え、そして――




「きゃはっ☆」




――突然背筋を走る悪寒に、思わずその場で振り返る。
同時に口に何かを捻じ込まれ、前歯に激痛。
痛みと驚愕に目を見開き、そして見た。
鬼のように嗤う、軽巡の姿を。


〜〜
160 : ◆kquYBfBssLZl [saga]:2016/08/08(月) 08:26:23.61 ID:0WxfuqWMO
お待たせして申し訳ナス
今回はここまで
航空戦から先制雷撃までですね
演習の道は長い
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/08(月) 09:08:25.78 ID:pxdj0/vo0
ひえっ
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/08(月) 11:27:34.43 ID:xtvEJbO6o
那珂さん……?
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/09(火) 00:05:42.58 ID:PTpN/RUU0
アイドル、なのか?
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/15(木) 10:42:05.97 ID:5yzl1CYzo
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/20(火) 22:20:24.69 ID:Qs1dy+KY0
待ってる
166 : ◆kquYBfBssLZl [sage]:2016/10/14(金) 22:30:47.25 ID:J8WJ1/+kO
生存報告
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/16(日) 21:17:36.99 ID:pFPu5zcQ0
待ってるで
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/18(火) 06:12:19.48 ID:mQqZPI/50
待ってるよん
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/17(木) 11:40:26.71 ID:oMBbWSam0
待ってる
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