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幼女魔王N「人型のしもべを手に入れて甘えたい」母性巫女「絶対許さない」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2015/07/22(水) 14:14:25.15 ID:Zt6a9Z8ro


幼女魔王Nの世界

幼女魔王Nの城 Lv,5 玉座



魔動画 『噛み付かれた人がゾンビになるという』

魔動画 『通称ゾンビミミックによる被害が拡大し』

魔動画 『各世界のダンジョン冒険家を恐怖におとしいれており……』


幼女魔王N 「…………」


魔動画 『こちら、星天観測所……ザザ』

魔動画 『遠い世界のお友達……聞こえますか、聞こえますか』

魔動画 『ガガ……こち、ら……ブツ……ガピー……』


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……くぁああ」

幼女魔王N 「……ッ!? ……ぉえっ」

幼女魔王N 「ゲホ、ゲホ……」

幼女魔王N (退屈すぎて、吐き気がするほど欠伸をしてしまった……)




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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part6 @ 2024/03/16(土) 18:36:44.10 ID:H9jwDXet0
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昔、スリに間違えられた @ 2024/03/16(土) 17:01:20.79 ID:TU1bmFpu0
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さくらみこ「インターネッツのディストピアで」星街すいせい「ウィキペディアね」 @ 2024/03/16(土) 15:57:39.74 ID:7uCG76pMo
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今日は月が……❤ @ 2024/03/14(木) 18:25:34.96 ID:FFqOb4Jf0
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どうも、僕は「げじまゆ」をヤリ捨てた好色一代男うーきちと言います!114514!! @ 2024/03/14(木) 01:23:38.34 ID:ElVKCO5V0
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アサギ・とがめ・新生活! @ 2024/03/13(水) 21:44:42.36 ID:wQLQUVs10
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そろそろ春だねー! @ 2024/03/12(火) 21:53:17.79 ID:BH6nSGCdo
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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part5 @ 2024/03/12(火) 16:37:46.33 ID:kMZQc8+v0
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2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/22(水) 15:05:04.23 ID:svdEIXGLO
まってる
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/22(水) 15:23:41.26 ID:E7BQ6sAeo
1000に次スレ書くのかと思ってたら1002に書いてあったでござる
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/22(水) 15:45:54.71 ID:p1DOFXvq0
うわぁ・・・スレタイ最悪だ
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/22(水) 16:02:05.46 ID:7AfpxNTYO
こりゃNのお尻がマッハでもみじまんじゅう
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/22(水) 16:07:15.79 ID:Wh7QmvLYO
前スレあるの?
kwsk
7 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2015/07/22(水) 16:26:05.35 ID:Zt6a9Z8ro

※ほのぼの
 オリジナル系ファンタジー
 触手



■幼女魔王N
肖像(仮):http://i.imgur.com/oa2wW4u.jpg

不滅の命と触手生物を操る力をもつ、ちょっぴりシャイな女の子。
一日に三回は死んだり、幻のアイテム「男のミルク」が気になる、背伸びをしたいお年頃。
目下の悩みは、治める土地に住民がいないこと。


■母性巫女
肖像(仮):http://i.imgur.com/L624WHp.jpg

洗脳されて幼女魔王Nのしもべになった、ちょっぴりたわわな女の子。
アニメのことを漫画と言ってしまうくらい、母性あふるる1X歳。
成長期である。


■淫魔幼女
肖像(仮):http://i.imgur.com/88az0CW.jpg

幼女の体に男の心を持つ、ちょっぴり過激な女の子。
お風呂とアヒルさん人形が好きだったり、魔法少女に変身したりするファンシーな一面も。


■その他のみなさんたち
伏線のようなものを張っては何食わぬ顔で退場していく
勇者とか魔王とか人外と人内の人々。



■SS風紀委員 ワキマエ・ロマエ
肖像:http://i.imgur.com/fy8p1om.jpg
SS界の秩序と平和を司る、神の機関の第七級死天使。
公序良俗をわきまえないSSに降り立っては「わきまえろまえ!(わきまえろ、お前! との説も)」という警告を発し、去っていく。

警告を無視したSSは七日間のうちに裁きの炎に包まれ、だらだらと3スレくらい続く。


8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/22(水) 16:33:17.35 ID:ut4QuvC30
建て乙
9 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2015/07/22(水) 16:52:45.15 ID:Zt6a9Z8ro
>>6
基本的にほのぼのですが、
清濁むき出しだったり、内外ともにR-18的な気持ち悪さの追求を試みているため、
いろいろな耐性がないと辛いかと思います


1スレ目
孤独に耐えかねた幼女魔王がバッドエンドになったり、異世界でスライムと戯れたりする話(R-18)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1382816643/

2スレ目
幼女魔王が母性巫女に甘やかされて、魔法少女が活躍する話(もちろんR-18)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1415249384/



10 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2015/07/22(水) 17:00:44.20 ID:Zt6a9Z8ro


ガラン ゴロン ガラン ゴロン


幼女魔王N 「……鐘の音」

幼女魔王N 「誰か来たんだわ」


ガラン ゴロン


幼女魔王N 「……ついに、どこぞの勇者が私を討ちにやってきたのかしら」

幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「そうね、殺せるものなら、殺してほしいわ」


ガラン ゴロン


幼女魔王N 「とりあえず、出てみましょ……」


ガタン

ドタドタドタドタ


幼女魔王N 「……え」

幼女魔王N 「なに、勝手にあがってきてる?」


ドタドタドタ


幼女魔王N 「ちょ、ちょっと……何よ、どうしたら……」


ドタドタ


??? 「……すいませえん」

織物師 「絨毯の交換にうかがいましたあ」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……は?」


11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/22(水) 17:07:48.40 ID:ASAuqXD3O
>>9
おお!
ありがとう
グロ耐性はあるはず…
1スレ目がDAT落ちしてるので
スレ名教えてください
12 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2015/07/22(水) 17:16:03.28 ID:Zt6a9Z8ro
>>11

幼女魔王「処女だけど寂しいから人型のしもべを手に入れて甘えたい」

グロとはまた違う方向の……
もし気分を害されても、謝るくらいしかできませんのでご了承ください
13 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/07/22(水) 17:18:10.52 ID:Zt6a9Z8ro


幼女魔王N 「絨毯?」


織物師 「ええ。こちらの世界から、ギルドの方にご依頼を承りまして」


幼女魔王N 「……依頼なんて、してないわ」


織物師 「そんなあ」

織物師 「城の絨毯まるまるかえるって言うから、予定をキャンセルして来たのに……」


幼女魔王N 「そんなこと言われても……」


ドタドタ


サラマンダー 「こんにちゃ、ガラスギルドです」

サラマンダー 「窓ガラスの張替えの件でうかがいましタ」


幼女魔王N 「……え?」


ドタ ドタ ドタ


禿ドワーフ 「おおっす、幼女魔王さんつう魔王の世界はここかいね」

禿ドワーフ 「城中の石ば片付けろっちゅうもんだから」

禿ドワーフ 「腕っこきの若い衆をさ連れてきたぞい」


ドワーフたち 「おうっす」


幼女魔王N 「……え、ええ?」


14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/22(水) 17:28:35.45 ID:4AKgnaw00
ハッピーエンドの予感
15 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/07/22(水) 17:38:28.67 ID:Zt6a9Z8ro


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「いったい、どういうこと……?」


ドタ ドタ ドタ


鎧男 「はあい、お城の廊下に飾るにふさわしい鎧を持ってきたわよ」


毒スライム 「こんにちは……ゴミの回収に来たわ……」


ろうそく職人 「むっふっふ、お城を地獄の炎で照らしてさしあげましょう!」


肩乗り鬼 「屋根を修理したいっつうから来たんだけどよ」


絵描き魔女 「フレスコ画のオプションって……こんなチンケな城の天井でこの私が筆を?」


禿ドワーフ 「で、気の早い話だが、新しい床はどうすっかいね」

禿ドワーフ 「鉱山世界の知り合いのツテで、上等な石が手に入ったんだけどよ」


仮面エルフ 「草刈りの依頼を受けた者じゃ。勝手に刈らせてもらうぞ」


本売り 「お子様の教育にピッタリの本を持ってきました」


ファザータイム 「ほう、懐かしいの。この世界の時計をつくったのはいつだったか……」


ペチャクチャ ペチャクチャ


幼女魔王N 「……な、何が起きているの」


母性巫女 「…………」


16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/22(水) 17:55:33.89 ID:4AKgnaw00
ろうそく職人じゃないか!
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/22(水) 18:05:38.78 ID:p1DOFXvq0
母性巫女!しんじねるぞ!
18 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/07/22(水) 18:24:44.47 ID:Zt6a9Z8ro


幼女魔王N 「ちょ、ちょっと……」


ザワザワ ワイワイ


ドワーフA 「しっかし、城と言いながら何だい、廃墟じゃねえか」


ドワーフB 「わははは、腕がなるってもんだぜ」


壺売り 「何じゃい、お前も来とったんか、鉄のボンクラ」


鎧男 「あぁーら、あなたこそ、まださえない土くれの塊なんて売ってるわけ?」


ドライアド 「中庭に素敵な森はいかが」


ワイワイ ザワザワ


幼女魔王N 「や、やめてよ。何なのよ、いきなり上がり込んできて」

幼女魔王N 「で、出てって……私の世界なんだから、勝手にいじらないで」

幼女魔王N 「みんな、出てってよ!!」

19 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2015/07/22(水) 18:35:30.06 ID:Zt6a9Z8ro


ドワーフC 「よっしゃ、じゃあ、さっそく始めっかい」


ドワーフD 「おう、瓦礫の野郎め、ひとつ残らず片っ付けてやるぜ」


織物師 「これは、カーテンもつけた方が良いなあ」

織物師 「窓職人さん、どんな窓をつけるんです?」


サラマンダー 「そうさね。ここまで壊れてると、張替えどころじゃないからね」

サラマンダー 「石職人さんとも話しあわんちゃいかんんだろうね」


絵描き魔女 「あーもう、ガラスで良いわよ、ガラスで」

絵描き魔女 「天体観測用とか言って、天井ぜんぶ窓にすりゃ良いのよ」


ザワザワ

ド ワハハハハ


幼女魔王N 「ひいぃ、私の声、全然聞こえてない!」


20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/22(水) 18:38:22.07 ID:fo8HrnzbO
母性巫女と幼女魔王のキャッキャウフフが好き過ぎて、途中から読むのが辛い…
21 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2015/07/22(水) 18:47:58.93 ID:Zt6a9Z8ro
 

職人たち 「ワイワイ、ワッショイ」


テキパキ キパキパ

トタトタトタ タタタタタ

ヒソヒソ ザワザワ



母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「……私のお城なのに。私、魔王なのに」

幼女魔王N 「何よ、何よ、私をのけものにして、みんな勝手に作業して……」


毒スライム 「…………」


幼女魔王N 「……?」

幼女魔王N 「あ、あの、何ですか……コホン」

幼女魔王N 「な、何よ。私、今日はこの玉座から一歩も動かないわよ」


毒スライム 「…………」

毒スライム 「………あ」

毒スライム 「ゴミじゃなかったのね」

毒スライム 「生ゴミみたいだったから、てっきり……」


スル スル スル


幼女魔王N 「…………」


スル スル


毒スライム 「……あ、そうだ」

毒スライム 「良いカビ落としがあるけれど、売ってあげましょうか……」

毒スライム 「気づいていないかもしれないけれど、あなた、頭がカビで真っピンクよ」


幼女魔王N 「地毛よ!」


母性巫女 「…………」


ワイワイ ガヤガヤ


22 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/07/22(水) 23:49:10.90 ID:Zt6a9Z8ro




幼女魔王Nの城 食堂



カチャ カチャ

パク パク


幼女魔王N 「モグモグ……ゴクン」

幼女魔王N 「何だったのかしら、昼間のあれは」

幼女魔王N 「私の世界に勝手にあがりこんできて」

幼女魔王N 「せっかく、良い気持ちで目が覚めたのに……」


ゴクゴク 


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「……も、もしかして」

幼女魔王N 「明日もまた何か来るんじゃないでしょうね……」

幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「だめよ、だめよ……!」

幼女魔王N 「私だけのの世界がなくなっちゃうじゃないの!」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「いったい、誰が依頼なんて出したのかしら」


23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/22(水) 23:52:18.94 ID:Zjde5m1do
これどうなるんだろ
24 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2015/07/23(木) 00:07:07.22 ID:TBwzASeoo


幼女魔王N 「私が、寝ぼけて出したのかしら……?」

幼女魔王N 「ありえないわね。私の寝相は完璧だし」

幼女魔王N 「うーん……?」


カチ コチ カチ コチ


魔動画 『何の取り柄もない平凡なルナティックが掘り出した、一冊の黒いノート』

魔動画 『それは、過去からの奇襲であった……』

魔動画 『ノートを捨てる冒険の中で出会う友情、立ちはだかる宿敵、芽生える愛……そして、紐解かれる暗黒の歴史……』

魔動画 『空前のスケールで描かれる、今世紀最大のファンタジー!』


カチ コチ カチ


幼女魔王N 「……!」

幼女魔王N 「まさか……」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「魔貴族ナントカ……魔貴ナントカ娘の仕業ね!」


母性巫女 「…………」


25 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2015/07/23(木) 00:32:30.23 ID:TBwzASeoo


幼女魔王N 「私の小さな世界が属する第三大世界同盟の幹部を父にもち」

幼女魔王N 「兄は稀代の召喚師、姉は自称ジュブナイル小説家」

幼女魔王N 「たくさんの執事やメイドをはべらせ、本人も召喚師である魔ホニャララなんとか」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「そうよ、あの人なら、こんな嫌がらせをするくらい朝飯前だわ」

幼女魔王N 「あの人って妙に私のことをいじめてくるし、うん、きっとあの人よ」

幼女魔王N 「もしかしたら良い人かもしれないと思ったけど、これではっきりした」

幼女魔王N 「あの人は私のことを不倶戴天の敵と認識し」

幼女魔王N 「……そして、恐れている」

幼女魔王N 「いよいよ殺してしまわねばと心に決め、しかし正面からではとてもかなわないから」

幼女魔王N 「こうやって、まわりくどい手を使って私の居場所を潰そうとするのがその証拠!」


ホー ホー


幼女魔王N 「……早々に何か手をうたないと」

幼女魔王N 「あの人のなすがままになれば、私の人生はきっと滅茶苦茶にされてしまう!」

幼女魔王N 「暗い地下の部屋で鎖に繋がれ、人格を破壊され、嬲りものとしての一生をおくるような羽目になる!」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「……なんて、いくら何でもそれは言い過ぎよね。本の読みすぎだわ」

幼女魔王N 「せいぜい、私の下着という下着のお尻に穴を空けられる程度よ」

幼女魔王N 「ふん、もうどうにでもなれよ。勝手にすれば良いわ」

幼女魔王N 「私は絶望を抱いて孤独に生きるしかない、孤独の星の孤独虫なんだから」


パク パク

ムシャ ムシャ ム


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「やっぱり、私、料理の腕が落ちているのかしら……」


26 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2015/07/23(木) 00:45:09.26 ID:TBwzASeoo


幼女魔王N (もうちょっと、繊細な味付けができていたような気がする)

幼女魔王N (困ったわ、料理は私の唯一の特技だったのに)


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「ね、ねえ、母性巫女……」

幼女魔王N (……そうだった。母性巫女は死んだのよ。いま目の前にいるのは……)

幼女魔王N (私の洗脳によって生まれ変わった、しもべ)

幼女魔王N 「えっと、んっと……性巫女」


母性巫女 「はい、魔王さま」


ニコ


幼女魔王N 「私の料理、おいしくないんじゃないかしら?」


母性巫女 「とても美味しいですよ」


ニコ


幼女魔王N 「そ、そう……」


パク モグ モグ


幼女魔王N 「……そうよね」

幼女魔王N (きっと気のせい。気分が落ち込んで、舌も鈍くなっているのよ)

幼女魔王N (気のせい。気のせいだわ……)


モグ モグ

27 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2015/07/23(木) 01:01:59.12 ID:TBwzASeoo


…………


昼 玉座レベル5



幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「…………」


シィン


幼女魔王N (瓦礫が撤去されたせいか、玉座の間がだだっ広く感じる)

幼女魔王N (あと、明るすぎる。天井から差し込む日差しが反射して眩しい……)

幼女魔王N 「くあぁ……」

幼女魔王N 「性巫女。私、少し寝るわ」


母性巫女 「はい、魔王さま」


ニコ


幼女魔王N 「……うん」

幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (……結局あの日は瓦礫の撤去だけで、崩れた天井や家具はそのまま)

幼女魔王N (ほかの作業は後日ということになったらしいけれど……)


パタ パタ パタ


青い鶏 「チヨチヨ、チチチ」


カラーヒヨコ(青) 「ピイ、ピイ」


幼女魔王N (珍しい。鳥が飛んできたわ)

幼女魔王N (見ない鳥ね。青い鳥……)


チョン チョン チョン

ピイピイ チチチ


28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/23(木) 01:49:28.56 ID:x4kTTilI0
そういや死んだ時に料理レベル激減してたな
29 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2015/07/23(木) 04:43:42.78 ID:TBwzASeoo


青い鶏 「チチチチ」


カラーヒヨコ(青) 「ヒヨヒヨ」


ヨタ ヨタ


幼女魔王N 「…………」


青い鶏 「ヒィーヨ」


カラーヒヨコ(青) 「チチ」


幼女魔王N (……仲が良いわね)

幼女魔王N (大きさからして、親子かしら)

幼女魔王N (日差しの中で、きらきら楽しそうにたわむれて……)

幼女魔王N (…………)


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「…………」


青い鶏 「チュンチュン」


カラーヒヨコ(青) 「チュチュ。チィーヨ」


ピーチク パタパタ

チョン チョン


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「………ッ」


30 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2015/07/23(木) 04:54:55.73 ID:TBwzASeoo


幼女魔王N 「何よ!!」


ピョン ドシャ

ムクリ ヨロ


幼女魔王N 「わざわざ見せつけるようなことして……!」


タ タ タ タ ズテ

タタタタ ダダダダ


青い鶏 「……!?」


カラーヒヨコ(青) 「!?」


ダダダダダ


幼女魔王N 「出てけ。出てけ、出てけえ!」


ブン ブン ジタバタ


幼女魔王N 「むきぃいいーーーーー!」

幼女魔王N 「何よ何よ何よ!」

幼女魔王N 「みんな勝手に楽しそうにして! みんな私を馬鹿にして!」

幼女魔王N 「私をみじめな気持ちにさせていじめてきて!」


ダダム ダムダム


青い鶏 「クエーッ!?」


カラーヒヨコ(青) 「チュチチィ!?」


パタパタ パタタ


幼女魔王N 「よそでやってよ! 私の見えないところで幸せになりなさいよ!」

幼女魔王N 「ここは私の世界よ。私は魔王なのよ。魔王の命令よ!」

幼女魔王N 「ちょっとは私の思い通りになりなさいよ!」


ブンブン 


31 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/07/23(木) 05:15:16.20 ID:TBwzASeoo


青い鶏 「ピエーッ」


カラーヒヨコ(青) 「ヂュイーッ」


バタタ パタパタパタ



鶏肉の群れ は逃げ出した!



幼女魔王N 「ハァッ、ハァッ、ハァッ……」

幼女魔王N 「や、やった……?」

幼女魔王N 「…………ふひ、ふひひ」

幼女魔王N 「ひははははは、あははははは!」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「やったあ! 私の世界を侵略する者どもを追い払ってやったわあぁあ!」

幼女魔王N 「幸せな親子を、恐怖のズンドコに陥れてやったわあ!」

幼女魔王N 「あっひゃ、あひゃひゃひゃひゃ! 私の前で幸せそうにするからそうなるのよ」

幼女魔王N 「さすが魔王だわ! 私、すごい! 私、最高! 仲間なんていらないんだもん!!」

幼女魔王N 「魔王の力を思い知ったか、ぶわぁ〜〜〜〜かぁ!!」

幼女魔王N 「ふひゃっひゃ、ひゃふひ、ふひゃはははは! む゛ひッ、む゛ひひひひひひひひひ!!」

幼女魔王N 「にやーーーひゃっひゃっひゃっひゃっ………!!」


母性巫女 「…………」


32 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/07/23(木) 05:31:02.71 ID:TBwzASeoo


……バサ


幼女魔王N 「ふひゃへらふひゃへら……」

幼女魔王N 「……ん?」


バタタタタ ヂィヂィヂィヂィ

バタバタバタバタ


幼女魔王N 「何の音かしら」

幼女魔王N 「鳴き声のような、たくさんの小旗がはためくような」

幼女魔王N 「……あら」

幼女魔王N 「やだ、急に雲行きが怪しくなってきたわ。大きな雨雲」


バタバタバタ ヂィヂィヂィ

ザワザワザワザワ


幼女魔王N 「……変な雨雲ね。なんか、うねってる」


母性巫女 「…………」


バタバタバタバタ

ヂヂヂヂヂヂ キエーッ クワーッ


幼女魔王N 「……違う。あれぜったい雨雲じゃない」

幼女魔王N 「どんどんこっちへ近づいてくる」


ザワザワザワ

ワラワラワラ バタバタ


??? 「…………」

青い鶏たち 「クエーッ!!」



鶏肉の群れ が いきなり襲いかかってきた!



幼女魔王N 「によっ……」



33 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/07/23(木) 05:59:50.69 ID:TBwzASeoo


青い鶏A の こうげき!
青い鶏B の こうげき!
青い鶏C の こうげき!


ツク ツク ツク ツク

バサ バサ バサ


幼女魔王N 「いたたた、痛たたたた!」

幼女魔王N 「何よ、仕返ししようって言うの!? 私は魔王なのよ。ここじゃ一番偉いのよ!」

幼女魔王N 「逆らっちゃいけないんだから!」


青い鶏D〜H の こうげき!
青い鶏I〜O の こうげき!
青い鶏P〜Z の こうげき!


ザク ザク ザク ザク

バコン バコン バコン


幼女魔王N 「ぎゃああ! いたいいたいいたい!」

幼女魔王N 「つつかないで、髪の毛滅茶苦茶に引っ張らないでえ!」

幼女魔王N 「何よ何よ何よ! 馬鹿にして、馬鹿にして!」

幼女魔王N 「こうなったら、本気なんだから」

幼女魔王N 「いでよ、触手たち……」


サワ


幼女魔王N 「ふひぃん!?」


青い鶏たち の くすぐるこうげき!
クリティカルヒット!
幼女魔王Nの魔法と召喚 を封印した!

34 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2015/07/23(木) 06:12:54.91 ID:TBwzASeoo

青い鶏たち の こうげき!
青い鶏たち は 幼女魔王Nの弱点 を
思いきり撫で回している……


サワ サワ サワ

モソ ゙モソ ゙モゾ


幼女魔王N 「あひゅっ!? ふにゅにゅ、ふにゅううううぅぅん!?」

幼女魔王N 「ちょひょ、ひょ、ひょっと、ひゃ、やめなひゃ、服の中まへ……集中できな、ヒッッ!?」


クリュ クリュ


幼女魔王N 「ひゃぅ!? な、ななななな……ッッ!」


ツンツン スルスル

ファサファサ サワサワサワサワ


幼女魔王N 「ふひゃへへ、い、いひゃ、いひゃいい、痛い痛いいひゃい!」

幼女魔王N 「くしゅぐったひぃいいい!?」

幼女魔王N 「鶏肉のくしぇに、鶏肉のくひぇにひぃい!!」

幼女魔王N 「わらひは魔王ッ……まおーにゃにょほぉおお……!」


…………


青い鶏 の こうげき!
青い鶏 の こうげき!
青い鶏 の こうげき!


幼女魔王N 「……ふ、ふひ、ふひひひひ! だ、だずけ、母性巫……っひぃいいいい!」

幼女魔王N 「なんで私ばっかり、私ばっかりぃ! 痛だだだ、はひゃひひひぃい!」

幼女魔王N 「やめて……! 私の負けでイイから、もうやべでええ!」


…………


青い鶏3A〜3Z の こうげき!
青い鶏4A〜4Z の こうげき!
青い鶏5A〜5Z の こうげき!


幼女魔王N 「…………ぁ」

幼女魔王N 「ぁー……ぅぁぁー………」

幼女魔王N 「……ごぇんなひゃ………ゆぅ…ひぇ…………」

幼女魔王N 「………ぁー……ぁぁー…………」

幼女魔王N 「………」


ビクンッ ビクンッ ビクンッ ビクンッ


青い鶏7A〜10Z の こうげき!
青い鶏11A〜15Z の こうげき!
青い鶏16A〜100Z の こうげき!


ツンツンツンツン プニプニプニプニ

バサバサバサバサ

クエーッ クエーッ

…………
…………
35 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2015/07/23(木) 06:14:41.82 ID:TBwzASeoo

のちの鳥葬である

36 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2015/07/23(木) 06:31:07.00 ID:TBwzASeoo


…………


幼女魔王Nの城 レベル6
玉座の間



幼女魔王N 「…………」


青い鶏王 「……クエー」


グリ グリ グリ


幼女魔王N 「……はい。本当にごめんなさい」

幼女魔王N 「翼も持たない下賎な雌の子供のくせに、魔王とか調子に乗って、たてついて、申し訳ありませんでした」


青い鶏王 「クエー」


グリ グリ グリ


幼女魔王N 「はい。鶏王さまの高貴な脚で私の頭を踏んでいただいて、ありがとうございます」

幼女魔王N 「これからは鶏王さまの所有物として、お仕えさせていただきます」

幼女魔王N 「私の心も体も、鶏王さまの好きにお使いください……」


青い鶏たち 「クァーーッ!」


ザワザワ バサバサバサ


幼女魔王N 「ひいっ!?」

幼女魔王N 「ご、ごめんなさい。鶏王さまだけの所有物など、思い上がっていました」

幼女魔王N 「私は皆様の玩具です。死んでも大丈夫ですので、心ゆくまでお使いください……」


37 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2015/07/23(木) 06:46:48.85 ID:TBwzASeoo


幼女魔王N (……ああ、これが敗北というものなのね)

幼女魔王N (はじめて味わったわ)

幼女魔王N (こつこつと発展させてきた私の世界が、お城が、こんなにボロボロになって……)


青い鶏王 「…………」


母性巫女 「…………」


青い鶏王 「…………」

青い鶏王 「コケッ」


幼女魔王N 「……え!?」


青い鶏王 「クエー」


幼女魔王N 「そ、そんな、それだけは……。それに、私の言うことしか……」


青い鶏王 「コウェー!!!」


青い鶏たち 「クエーーッ」


バサバサ ギャーギャー


幼女魔王N 「ひ、ひいい! 分かりました、分かりました!」

幼女魔王N 「……ぼせ……性巫女、こっちへ来て」


母性巫女 「はい、魔王さま」


ニコ

トコ トコ


幼女魔王N 「……鶏王さま」

幼女魔王N 「私のものは、鶏王さまのものです。性巫女を好きにお使いください」

幼女魔王N 「……母性巫女、これからは、鶏王さまにお仕えして……」


母性巫女 「…………」

母性巫女 「はい、魔王さま」


ニコ

トコ トコ トコ


幼女魔王N 「うぅ……グスッ……」


38 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2015/07/23(木) 07:00:44.37 ID:TBwzASeoo


深夜

玉座の間



ドンチャン 

ドンチャン


母性巫女 「…………」


青い鶏B〜D 「クエー!」


幼女魔王N 「は、はい、ただいま」

幼女魔王N 「すぐに料理を持ってきますので……」


アタフタ カチャカチャ


幼女魔王N (青い鶏たちの宴会。かれこれもう何時間かしら)

幼女魔王N (何百羽という鶏たちの料理を、私一人で用意させられて)


母性巫女 「…………」


青い鶏王 「グエエエエ……」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (母性……性巫女、鶏王さまに気に入られたのね)

幼女魔王N (ほかの鶏たちより大事にあつかわれて、まるで王妃さまみたい)

幼女魔王N 「…………」


ヨロ ヨロ


幼女魔王N (ああ、目眩がする。ふわふわして、クラクラする)

幼女魔王N (熱い厨房で、ずっと休みなしだもの……)

幼女魔王N (でも、休んじゃ駄目。料理を運ばないと)

幼女魔王N (この……)


ヌメヌメミミズの活け造り


ウネ ウネ ウネ


幼女魔王N (自分でもよく分からない料理を)


ヨロ ヨロ ヨロ


39 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2015/07/23(木) 09:21:41.29 ID:TBwzASeoo


ヌメヌメミミズ 「オエー」


ヌタ ヌタ ヌタ

ゲボ ゲボ


幼女魔王N (何なのかしら、この生き物)

幼女魔王N (何か吐いているし、食べて害は無いの?)

幼女魔王N (私は何を思ってこれを調理したの!?)


ヨタ ヨタ

コケ


幼女魔王N 「あ……」


ドタ ガシャアン

パリン


青い鶏たち 「!?」


シン……


幼女魔王N 「……い、いたたた」

幼女魔王N 「ああ、しまった。お皿が割れて……」


青い鶏たち 「…………」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (鶏たちが恐ろしい目で私を見ている……)


40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/23(木) 11:24:47.78 ID:kyUPnQPho
新スレ乙
41 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2015/07/23(木) 13:38:46.64 ID:TBwzASeoo


青い鶏王 「…………」


青い鶏たち 「…………」


幼女魔王N 「あの……ごめんなさい、私、転んじゃって……」


青い鶏王 「…………」

青い鶏王 「グワッ!」


バン ガタン


幼女魔王N 「ひっ……」


青い鶏王 「ヂュイヂュイ……」


幼女魔王N 「え……で、でも、お皿はもうこれしか……」


青い鶏王 「ピイィ!!」


幼女魔王N 「ひっ」

幼女魔王N 「わ、分かりました」


ガサ ゴソ

パサ トサ


幼女魔王N 「お、お皿を割って、料理を台無しにして申し訳ありませんでした」

幼女魔王N 「わ、私がお皿になって、ヌメヌメミミズを提供させていただきますので」

幼女魔王N 「お許しください……」


42 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2015/07/23(木) 13:43:08.67 ID:TBwzASeoo


ヌメヌメミミズたち 「ゲボゲボ」


ビチビチ

グイン グイン グイン


幼女魔王N 「うう……」

幼女魔王N (私の手首より太いミミズが、元気よくうねって気持ち悪い、怖い)

幼女魔王N (触るのも嫌なのに、これを体に乗っけなきゃいけないなんて)


青い鶏 「クケー!」


幼女魔王N 「……えっ!? そ、そんな、それは、そんなのやだ、許してください……」


青い鶏たち 「ギャー、ギャー!」


バサバサバサ


幼女魔王N 「ひぃ!? う、ううぅ……グス」

幼女魔王N 「分かりました……お、お子様には、食べやすいように」

幼女魔王N 「私が口ですり、す……すり身にして、お出しします」

幼女魔王N 「…………」


ヌメヌメミミズ 「ゴボゴボゴボ」


ビチャ ビチャ ビチ ビチ

ウィンウィンウィン


幼女魔王N 「………い、いやだ」

幼女魔王N 「嫌ッ、こんなの、口に入れるの嫌ぁ……!」


青い鶏たち 「グワーッ!」


パタパタパタ バササササ

ガシ ドタ


幼女魔王N 「ひいいい!」

幼女魔王N 「やめて、離して!」

幼女魔王N 「嫌だ、ヌメヌメの太いミミズ食べるの嫌ぁあああ!!」

幼女魔王N 「うええ、うええええん……うわああああん!」


ジタバタ

バサバサバサ

バサバサバサ

…………



43 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2015/07/23(木) 13:52:03.61 ID:TBwzASeoo


…………


早朝 幼女魔王Nの城

門前野原



ブロロロロ

キイイ


箒少女 「……へっへ、白樫の小枝を使ってから、オレのカスタム箒3D2も調子が良いぜ」

箒少女 「さてと、この界域に配属されて初日だが、仕事なんざさっさと終わらせて、界岸線を飛び回ることとするぜ」

箒少女 「……お」


幼女魔王N 「…………」


箒少女 「こんちゃーっす」


幼女魔王N 「!」


ビクッ


44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/23(木) 18:04:46.63 ID:17uK9MNuO
期待
45 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/07/23(木) 19:31:37.76 ID:TBwzASeoo


箒少女 「…………」


幼女魔王N (怖そうな魔女の人。箒もゴテゴテしてるし……)


箒少女 「朝刊です」


幼女魔王N 「……あ」

幼女魔王N 「ご、ご苦労様です……」


箒少女 「…………」


幼女魔王N 「…………」


オロオロ モジ モジ


箒少女 「ゴツくて痛々しい首輪」

箒少女 「あんた、奴隷の子かい」


幼女魔王N 「……まあ、ええ」

幼女魔王N 「はい……」


箒少女 「やっぱり、そうか」

箒少女 「……あんまし、良い暮らしができてねえみたいだな」


幼女魔王N 「……ええ、はい」

幼女魔王N 「い、いえ、私なんて、餌をもらえるだけで幸せもので……」 


箒少女 「…………」

箒少女 「くそっ!」


ザクッ


幼女魔王N 「ひっ!?」

幼女魔王N (甲の部分に鉄をあてた靴で、地面を蹴った!)

幼女魔王N (ざっくりえぐれてる……)


箒少女 「許せねえ……」

箒少女 「こんな小さな子を、こんな風に扱うのかよ、ここは!」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (優しい人なのかしら……?)


46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/23(木) 19:34:08.76 ID:KNKefjsxo
鶏ごときに奴隷にされるのか…
47 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2015/07/23(木) 19:46:57.45 ID:TBwzASeoo


箒少女 「とんだクソ野郎だぜ、ここの統治者は」

箒少女 「一見のどかで小さな世界だが、分かるぜ」

箒少女 「ここの統治者の、長きに渡るおぞましいほどのゲスな所業の数々が」

箒少女 「耐え切れねえほどの悪臭となって、しみついてやがる!」


幼女魔王N (統治者がかわってから数日しか経ってないけれど)


箒少女 「……と、すまねえ」

箒少女 「その世界のルールに、とやかく言っちゃいけないよな」

箒少女 「それが、おれたちのギルドのルールさ」


幼女魔王N 「あ、あはは……」


箒少女 「……けど」

箒少女 「けどよぉ!!」


ザク


幼女魔王N 「ひっ」


箒少女 「悲しいじゃねえか……こんな、こんな小さな子がよぉ……」


ツゥ


幼女魔王N 「!!」

幼女魔王N (わ、私のために、泣いてくれているの……?)


キュン


箒少女 「頭にカビ生やして、ヘソ丸出しの服着せられて」

箒少女 「ゴミみたいな世界で、ヘドロスライムみたいな生活をさせられているなんてよぉ……」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「地毛よ」


48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/23(木) 19:46:58.79 ID:Gc9aPm+z0
おまんこ…
49 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/07/23(木) 19:59:45.26 ID:TBwzASeoo


箒少女 「……ほらよ」


板ガム


幼女魔王N 「……え?」


箒少女 「やるよ。腹……減ってんだろ?」

箒少女 「日常的に土食ってそうな顔してるもんな」


幼女魔王N 「…………」


箒少女 「おいおい、なんだよ。まさか、ガムを見たこと無いってのか?」


幼女魔王N 「い、いえ」

幼女魔王N 「じゃあ、いただきます……」


ギュ

バチン


ガム の 挟むこうげき!
幼女魔王N は 100 のダメージ!


幼女魔王N 「……指が」


箒少女 「悪りぃ、いたずら用のミミックガムだった」


幼女魔王N 「骨まで響いてるんだけど」


箒少女 「本物はこっちだ」


スッ


板ガム(スルメ味)


箒少女 「噛めば噛むほど味が出るぜ」


幼女魔王N 「…………」


50 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/07/23(木) 20:24:32.92 ID:TBwzASeoo


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「ありがとう……」


箒少女 「オレの渾身のドジョウすくいを見せてやりたいとこだけど」

箒少女 「あいにく、今日は道具を持ってきてねえし、時間もねえ」

箒少女 「また今度、見せてやるよ……」


幼女魔王N 「は、はい」


箒少女 「じゃあ、オレは行くよ。はやく新聞を届けなきゃなんねえ」


ブルォン ブルン ブルン

ドッ ドッ ドッ ドッ


箒少女 「……達者で、生きろよ」


幼女魔王N 「うん……」

幼女魔王N 「あ、ありがとう……ございました」


箒少女 「へへっ……」

箒少女 「ハイヨー!!」


ブルォン

バァーン

ブロロロロロ


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「行っちゃった……」

幼女魔王N 「…………」


板ガム(スルメ味)


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……あむ」


モグ モグ

クチュ クチュ


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (噛めば噛むほど、まずい……)


…………


51 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/07/23(木) 20:40:29.12 ID:TBwzASeoo



■ミミックガム
いたずら妖精たちのギルドで開発された
罠アイテム。レベル1。
バネの力で、ガムを取ろうとした人の指を挟む。


■板ガム(スルメ味)
いたずら妖精たちのギルドで開発された
罠アイテム。レベル3。
ほかに、ゴーヤ味、カブトムシ味、女戦士味、敗北の味などがある。
いたずら用だが、一部には純粋に味を楽しむマニアックな人も。


52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/23(木) 21:20:28.59 ID:X+JqaiIoO
ピンクカビの味はないのですか?
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/23(木) 21:33:32.67 ID:VkrwLMw9o
1スレ目ちょっと見てきたけどよく分からん
魔王がレイプされて堕ちるのをニヤニヤしながら見てればええんか?
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/23(木) 22:00:35.33 ID:KNKefjsxo
精神的にレイプされてるのをハラハラしながら見てる
55 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/07/24(金) 00:05:47.25 ID:guYMtWHZo



>>52

いたずらギルド 「新味出ました」

http://i.imgur.com/2fchoVj.png




>>53

読む人の方が立場が上なので強制できませんが、

綺麗なことも汚いことも起こる
世の中の人間関係などで疲れたり、
打ちのめされたり、孤独を感じている人が、

最底辺でうごめく不器用な魔王の姿を見て、

「ああ、こんな奴でも生きているんだな」とか、
「自分もこんなところあるな。自分だけじゃないんだな」とか、
「ああ、こんなクソみたいなSSでもSSを名乗っていいんだな」とか、

ある種、後ろ向きな癒しを感じていただけたら幸いです

というわけでもなく、
伏線とか話の整合性とかはブン投げて、
その場のノリと悪ふざけでどこまで壊れられるか遊んでいる
インプロ的な面が強いので、

何かを得ようとして読んだところで、
忍耐力と怒りのボルテージくらいしか上がりません。


56 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/07/24(金) 00:06:21.36 ID:guYMtWHZo



…………




幼女魔王Nの城 犬小屋



ホー ホー


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (……おかしい)

幼女魔王N (奴隷になってからというもの)

幼女魔王N (お城では相変わらずひどい扱いだけど)

幼女魔王N (配達ギルドの人とか、訪れる人から優しくしてもらえる)


食べかけビスケット
賞味期限切れケーキ
かびた餅
ゴミ
焦げた豆


ゴチャ


幼女魔王N 「えへへ……お菓子、いっぱいもらっちゃった」

幼女魔王N (ありがたいわ。魔王だった頃は不自由なく食べられたけど、今はそうはいかないものね)

幼女魔王N (お金、全部とられちゃったし……)


ヒュウウウ



幼女魔王N 「……へっくち」

幼女魔王N 「今日は冷え込むわね……」

幼女魔王N 「…………」


ホー ホー


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「………そうか」

幼女魔王N 「きっとこれが、私の天職だったんだわ」



57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/07/24(金) 00:12:38.94 ID:Bb0tnpU/0
そろそろ巫女が目覚めて(鶏共)許さないくるか?
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/24(金) 00:31:16.85 ID:h2TakSZ2O
>>55
あと味がっかりwwww
箱で貰おうか
59 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/07/24(金) 00:49:07.85 ID:guYMtWHZo


ソヨ ソヨ ソヨ


幼女魔王N (魔王をやっていた頃はズタボロな目にあっていた私)

幼女魔王N (それが、奴隷になったことで、少しマシな扱いを受けるようになった)

幼女魔王N (それはつまり……)

幼女魔王N 「私は魔王としては力不足だけれど、奴隷としては上等ということ」

幼女魔王N 「……そうか」

幼女魔王N 「私は初めての敗北で全てを失い、本当の私になれたのね……」

幼女魔王N 「勝ち続けねばならない、過酷な魔王の運命から、解放されたのね」


ソヨ ソヨ

ホロリ


幼女魔王N 「私……泣いてる」

幼女魔王N 「でもこれは喜びの涙」

幼女魔王N 「へたなプライドを脱ぎ捨てて、私は奴隷として生まれかわるの」

幼女魔王N 「これからは誠心誠意、鶏王さまにお仕えしよう」

幼女魔王N 「ああ、明日はどんなおしおきをしてもらえるのかしら……」

幼女魔王N 「………ZZZ」


…………


60 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/07/24(金) 00:57:21.85 ID:guYMtWHZo


幼女魔王Nの城 鶏王ハーレム



ホー ホー


青い鶏たち 「……スゥ、スゥ、ZZZ」


青い鶏王 「……グゥ、スピー」


母性巫女 「…………」


ナデ ナデ


青い鶏王 「コケー……ZZZ」


母性巫女 「…………」


キイン


母性巫女 「………ッ」


キイン パキイン

フィヨフィヨフィヨフィヨ

フィヨフィヨフィヨフィヨ

シュウウ


母性巫女 「…………」

母性巫女 「…………」

母性巫女 「……私、いったい……?」



母性巫女の洗脳 が弱まった!


61 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/07/24(金) 01:14:18.79 ID:guYMtWHZo


母性巫女 「……ここは」

母性巫女 「そうだわ、Nのお城……」


青い鶏たち


母性巫女 「…………」

母性巫女 「きっと、鳥小屋ね」


カチ コチ カチ


母性巫女 (はじめてここで目が覚めた夜から、どのくらい経ったのかしら)

母性巫女 (近くの部屋でNを寝かせてから)

母性巫女 (通信アイテムのようなもので色々なギルドに依頼を出したところで)

母性巫女 (記憶が途切れてしまっている)


青い鶏王 「……スピー」


母性巫女 (……勇者隊にいたころ、淫魔型のモンスターにに魅了の魔法をかけられたことがあった)

母性巫女 (助けてもらって無事に魔法はとけたけれど、魔法をかけられている最中の記憶が無くなっていた)

母性巫女 (魔法がとけた直後は頭が重くて、体がだるくて……)

母性巫女 (今の状態は、それに似ている……)


62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/24(金) 01:14:22.77 ID:4MY+KGNu0
来たか
そういや幼女魔王nは前スレあたりで幼奴隷に転職可能になってたけど伏線だったのか…
63 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/07/24(金) 01:17:19.15 ID:guYMtWHZo
>>61 訂正ごめんなさい



母性巫女 「……ここは」

母性巫女 「そうだわ、Nのお城……」


青い鶏たち


母性巫女 「…………」

母性巫女 「きっと、鳥小屋ね」


カチ コチ カチ


母性巫女 (はじめてここで目が覚めた夜から、どのくらい経ったのかしら)

母性巫女 (近くの部屋でNを寝かせてから)

母性巫女 (通信アイテムのようなもので色々なギルドに依頼を出したところで)

母性巫女 (記憶が途切れてしまっている)


青い鶏王 「……スピー」


母性巫女 (……勇者隊にいたころ、淫魔型のモンスターに魅了の魔法をかけられたことがあった)

母性巫女 (助けてもらって無事に魔法はとけたけれど、魔法をかけられている最中の記憶が無くなっていた)

母性巫女 (魔法がとけた直後は頭が重くて、体がだるくて……)

母性巫女 (今の状態は、それに似ている……)

母性巫女 「私、また呪われてしまったのかしら……?」


64 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/07/24(金) 01:28:14.21 ID:guYMtWHZo





母性巫女 (私がまだ呪いにとらわれているとして)

母性巫女 (あとどれくらい、私は意識を保てるのかしら)

母性巫女 (Nは……近くにいないみたい)

母性巫女 (状況が分からないわ。たぶん、Nが話していた故郷だと思うのだけれど)

母性巫女 (だからって、いったい、どうしたら……)


ソヨ ソヨ


母性巫女 「天井、まだ修理をしていないのね……」

母性巫女 (……やっぱり、綺麗な星空)

母性巫女 (Nの話していた通り)

母性巫女 (N……)

母性巫女 (人間でも、魔物でも、どちらでも良かったけれど)

母性巫女 (私の故郷の森を滅茶苦茶にしたのも、仲間たちをたくさん殺したのも、Nだったのかしら)

母性巫女 (私がこんな状態なのも、Nが何かしたからなのかしら)

母性巫女 (だとしたら……)

母性巫女 「…………」


65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/24(金) 01:31:34.24 ID:Bb0tnpU/0
ひええ
66 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/07/24(金) 01:38:09.98 ID:guYMtWHZo


母性巫女 「…………」

母性巫女 (……そういえば、あの子、ちゃんと栄養をとっているのかしら)

母性巫女 (魔動画や遊ぶのに夢中になって、食事を抜いたりしていないかしら)

母性巫女 (………って)

母性巫女 (駄目よ。まず考えるべきなのは……)


青い鶏王 「スピー……」


母性巫女 「…………」

母性巫女 「…………」

母性巫女 「……から揚げが良いかしら」




……………



67 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/07/24(金) 01:47:46.56 ID:guYMtWHZo


早朝

幼女魔王Nの城 厨房前



トテ チテ タタタ


幼女魔王N 「はあ、ふう、はあ」

幼女魔王N (今日は生ゴミ味のガムを貰った)

幼女魔王N (男のミルク味なんて無いかな……)

幼女魔王N 「っと、いけない、いけない。こんなこと考えてる場合じゃない」

幼女魔王N 「鶏王さま……ご主人さまたちのために」

幼女魔王N 「心をこめて朝ごはんを作るのよ」


ガチャ バタン


幼女魔王N 「さあて、今日はどんな……」

幼女魔王N 「あら?」



鶏肉(極大)
食材一式


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「下ごしらえが、すませてある……?」


68 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/07/24(金) 02:11:21.80 ID:guYMtWHZo


夏野菜
しょうが
にんにく
塩コショウ
マンドラゴラ
トリカブト
ツルボ


幼女魔王N 「……ふむ」

幼女魔王N 「この鮮やかな手際、見覚えがあるわ」


カチ コチ カチ


幼女魔王N 「……私ね」

幼女魔王N 「全盛期、絶好調の」

幼女魔王N 「さすが私」

幼女魔王N 「奴隷の忠誠心により、眠りながら下ごしらえを済ませてしまったのね」

幼女魔王N 「それにしても、この丸々と太った見事な……」

幼女魔王N 「豚肉」


鶏肉


幼女魔王N 「そして、数々の食材から察するに」

幼女魔王N 「ふうむ……」


カチ コチ カチ コチ


幼女魔王N 「……シャブシャブね」

幼女魔王N 「まったく、この暑い日に鍋とは、やるじゃないの私」

幼女魔王N 「心にくいわね」

幼女魔王N 「よおし、待っていてねご主人さまたち」

幼女魔王N 「見事なシャブをお届けするわ!」


カチャ カチャ

トン トン

コト コト コト


…………


69 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/07/24(金) 02:21:56.99 ID:guYMtWHZo


…………


食堂



青い鶏A 「コケー?」


青い鶏B 「ケッココ」


母性巫女 「…………」


鶏王の玉座


青い鶏C 「イネー」


青い鶏D 「コケー……」


ザワ ザワ グワ グワ

トトトトト

ガチャ バタン


青い鶏たち 「!」


幼女魔王N 「お待たせしました、ご主人さま!」

幼女魔王N 「豚シャブ、お持ちしましたあ!」


70 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/07/24(金) 02:37:26.01 ID:guYMtWHZo


…………


厨房



ジャアアア 

ザブ ザフ ゙ザブ


幼女魔王N 「フン、フン、フーン……」


ゴシ ゴシ ザブ ザブ

カチャ カチャ


幼女魔王N (ピヨピヨ元年、夏。豚シャブはことのほか好評であった)

幼女魔王N (しかし、あにはからんや、とりわけ人気のあるのが豚肉であろうとは)

幼女魔王N (まるで鶏肉のようなやわらかさと旨みに)

幼女魔王N (鶏たちは大いに舌鼓をうち、またたく間に平らげてしまったのである)


ザブ ザブ


幼女魔王N 「うふふ、今度は何にしようかしら……」




71 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/07/24(金) 02:44:43.73 ID:guYMtWHZo



幼女魔王N (しかしこれは、のちに青翼の惨劇と呼ばれる)

幼女魔王N (地獄の日々の幕開けであった)



72 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/07/24(金) 02:52:30.98 ID:guYMtWHZo


…………


青い鶏たち 「コケーッ!!」

青い鶏たち 「ケーコココケケー!!」


幼女魔王N 「そ、そんな、違うなんて……私はちゃんと豚肉を……」


青い鶏たち 「コケー!!!」


ドガ


幼女魔王N 「ああんっ……!」


…………


幼女魔王N (……豚シャブの味を忘れられない鶏たちは)

幼女魔王N (ほかの料理に手をつけなくなってしまった)

幼女魔王N (いや、つけられなかったのである)

幼女魔王N (あの豚シャブの味を知ってしまった彼らにとって)

幼女魔王N (ほかの食べ物の味など、体が拒否反応を起こしてしまうほどに)

幼女魔王N (不味かったのである)


73 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/07/24(金) 03:04:54.99 ID:guYMtWHZo


…………


青い鶏たち 「コケー……」


カラーヒヨコたち 「ピヨ、ピヨ……」


ヨロ ヨロ


青い鶏たち 「コケー……」


カラーヒヨコたち 「ピィ……」


ヨタ ヨタ


幼女魔王N (あの豚シャブが、食卓にあがることはなかった)

幼女魔王N (何も口にしなくなった鶏たちはみるみるうちに衰弱し)

幼女魔王N (やがては城のあちこちで、瓦礫のように無造作に転がり)

幼女魔王N (あの豚シャブの味に思いをはせながら、うめくばかりとなっていた)

幼女魔王N (目に余る惨状であった)



…………


ザ ザ

パン パン


幼女魔王N 「…………」


カラーヒヨコの墓A
カラーヒヨコの墓B
カラーヒヨコの墓C
…………


幼女魔王N (そして、犠牲者はいつも弱者である)


74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/24(金) 16:15:30.48 ID:maXvnKo2O
乙!
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/07/28(火) 16:49:16.39 ID:l5OBzVhgO
いいところで切れてしまっている…
76 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/01(土) 04:24:07.08 ID:1It3rM6To



幼女魔王N (まさに地獄の日々であったが)

幼女魔王N (その中でも、いや、だからこそ、愛は芽生えるものである)



…………


夜 元幼女魔王の寝室



青い雄鶏 「コケー……」


青い雌鶏 「ケコ……」


バサ バサ


青い雄鶏 「ケコケー……」


青い雄鶏 「コッコケー……」


チュ チュ ベロチュチュ

…………




幼女魔王N (……だが、何という皮肉であろうか)

幼女魔王N (この、種族を繁栄させる原動力たる愛が)

幼女魔王N (青い鶏たちの運命をさらなる奈落へ引きずり込むことになろうとは……)



77 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/01(土) 04:41:36.71 ID:1It3rM6To


チュ チュ ブチュチュ


青い雄鶏 「…………」


青い雌鶏 「…………」


チュ チュ チュ


青い雄鶏 「…………!」


チュ……


青い雄鶏 「…………」


青い雌鶏 「?」

青い雌鶏 「………コケェ?」


青い雄鶏 「……………」

青い雄鶏 「……ケェエエ゛ーーー!!」


ガブリ

ブシューーッ


青い雌鶏 「!?」

青い雌鶏 「コッッッギェェエエエ!?」


青い雄鶏 「ハグッ、ハグッ、ハグッ……!!」


ガブ ガブ ガブ


青い雌鶏 「ギャッ……コギャギャッ!?」

青い雌鶏 「ギャボギャボギャボ……!!」


バサバサバサバサ

ガブ バリバリ グチュグチュ


…………




幼女魔王N (……ピヨピヨ元年、夏)

幼女魔王N (スラムの安宿のような愛の巣にて、雌鶏と愛の口づけを交わしていた雄鶏が)

幼女魔王N (突如として発狂、雌鶏を食い殺す事件が発生)

幼女魔王N (愛しい者の肉は、何たることか)

幼女魔王N (あの鍋の日の、豚肉の味がしたという)


78 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/01(土) 05:07:38.10 ID:1It3rM6To


…………


厨房



トテ トテ トテ


幼女魔王N 「ああ、いけない、いけない」

幼女魔王N 「厨房のゴミ捨てを忘れていたわ」

幼女魔王N 「またご主人様たちから、おしおきの味を体中に教え込まされちゃう」


ガサ

ズシ


幼女魔王N 「……あら? なんだか不思議な重さ」

幼女魔王N 「…………」


ガサ ゴソ

ガサ


青い鶏王の頭 「…………」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……きょ」

幼女魔王N 「きょわあぁあぁあぁあぁあああーーー!?」



…………




幼女魔王N (……そう)

幼女魔王N (当事者の誰もが知る由もなかったが)

幼女魔王N (あの日の豚肉は、豚肉ではなかった)


幼女魔王N (鶏肉だったのである)


幼女魔王N (……だが)

幼女魔王N (この件で、いったい誰を責められようか)

幼女魔王N (いいや、誰のことも責められはしない)

幼女魔王N (これは止めようのないことだったのである)

幼女魔王N (…………)

幼女魔王N (止めようのないことだったのである)


79 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/01(土) 05:10:23.49 ID:1It3rM6To


…………



幼女魔王N 「……ご主人さま」

幼女魔王N 「なんて姿に……」


青い鶏王の頭 「…………」


幼女魔王N 「……この場合、燃えるゴミで良いのかしら?」

幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「良いわよね」


ガサ



…………



幼女魔王N (……そう)

幼女魔王N (止めようのないことだったのである)




80 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/01(土) 05:12:58.19 ID:1It3rM6To



幼女魔王N (……かくて青翼の惨劇は加速する)

幼女魔王N (鶏たちの、性欲によって)




81 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/01(土) 06:44:46.29 ID:1It3rM6To



…………


青い鶏たちの楽園

青い鶏たちの城 廊下



ギャギャギャギャ

バギャー バギャー


幼女魔王N 「……あら、広間が賑やかだわ」

幼女魔王N 「ここ最近、ずっと元気のなかったご主人様たちが」

幼女魔王N 「今日はとても元気みたい」


ドガ ガチャン

ギクェエエー


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……よーっし、私も元気にお仕えしよう!」


トテ トテ トテ

ガチャ バアン


幼女魔王N 「おはようございまあす!!」


82 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/01(土) 07:04:21.91 ID:1It3rM6To



青い鶏たちの城 広間



ザシャアア ガチャン バリン

バサバサバサ


腹ペコ鶏A 「パッキョワァアアアーー!!」


ガブリ ブヂ


腹ペコ鶏B 「グギャァア!」

腹ペコ鶏B 「ピギィイイイ!!」


バサ ザシュ ザシュ


腹ペコ鶏たち 「キョケェエェエエエ!!!」


ガチャン バリバリ

グチャ ビチャチャ


鶏の眼球
鶏の内蔵
羽毛


バチャチャ ビチ ビチ

ベト ビチョ

バッサ バッサ


カラーヒヨコたちの死体 「…………」


腹ペコ親鶏たち 「プキュィイィイイイ!!」


ガツガツ

モシャモシャモシャ



幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……ふお」

幼女魔王N 「ふおぉおおおおおおおーーーッッ!?」


83 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/01(土) 07:24:57.68 ID:1It3rM6To


幼女魔王N (終幕である)

幼女魔王N (友が友を食らい、親が子を食らい、ときに己を食らう者すらあった)

幼女魔王N (地獄の底が繰り広げられていた)




…………


ギャー ギャー 

ドシン バサッ


幼女魔王N 「……ぼ、母性巫女」


トテトテ ズテ

トテトテ


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「ここから逃げよう、母性巫女……!」


母性巫女 「はい、魔王さま」


ニコ


タ タ タ タ タ

ガタン ドシン

ギャー ギャー


…………



幼女魔王N (世の中には)

幼女魔王N (たしかに存在するけれど、触れない方が、知らない方が良いものもある)

幼女魔王N (マンドラゴラの叫び声、友達だと思っている人の本心、あの美味しいお菓子の原料……)

幼女魔王N (青い鶏たちは知ってしまったのだ)

幼女魔王N (彼らの肉が、彼らにとってもっとも美味であることを)

幼女魔王N (彼らの地獄の扉は、彼ら自身の手でひらかれてしまったのである)

幼女魔王N (ぜったい私のせいじゃない)


84 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/01(土) 08:05:59.37 ID:1It3rM6To


…………


夕方

青い鶏たちの城 広間



ゴォン ゴォン


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「懐かしい教会の鐘の音が聞こえるわ」

幼女魔王N 「この世界、教会なんてないのに」


ゴォン ガロォン


青い鶏の死体A 「…………」


カラーヒヨコの死体A 「…………」


青い鶏たちの死体 「…………」


シシ ルイ


幼女魔王N 「……ああ、何てこと」

幼女魔王N 「地獄の底はこんなにも青かったのだわ」

幼女魔王N 「まるで、綺麗な青い絨毯を敷き詰めたよう」


母性巫女 「…………」


ゴォン ゴォン


…………



幼女魔王N (ピヨピヨ元年、夏)

幼女魔王N (忽然と現れた青い鶏たちの王国は)

幼女魔王N (国王を含む国民の全滅という壮絶な結末によって)

幼女魔王N (その短すぎる歴史に、幕をおろしたのである……)




…………


85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/01(土) 10:27:37.40 ID:RKs8nbHl0
かなしい
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/01(土) 11:57:33.66 ID:FnMFyEwL0
こっち進めてからもう一つの作品やりなさいよ
わたしはこの作品の続きが気になって夜もごくたまに眠れなくなるわ
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/02(日) 01:10:07.36 ID:PNXHD9hJO
ピンクがまともな雰囲気
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/02(日) 02:21:12.37 ID:wQA/6Ky30
nは誰かのしもべとして生きてくほうが幸せそうなレベルの奴隷適正だからなー
89 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/02(日) 11:18:13.57 ID:qVWcnzsxo


幼女魔王Nの世界(旧青い鶏たちの楽園)

城前 犬小屋



ソヨ ソヨ


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (魔王に返り咲いてしまった)

幼女魔王N (ご主人様がいなくちゃ、奴隷もできないものね)

幼女魔王N 「まるで短い夏夜の夢のようだったわ」

幼女魔王N 「忙しい奴隷の日々……」

幼女魔王N 「初めはつらかったけれど、充実していた」

幼女魔王N 「今も、この首輪に触れるたびに思い出す……」


サヤサヤ ザワワ


幼女魔王N (宴の席で、くすぐられながら踊りを踊らされたこと)

幼女魔王N (決してお酒ではないお酒のようなものを、口以外から飲まされたこと)

幼女魔王N (翼で打つ選手権で、お尻をたくさん叩かれたこと)

幼女魔王N (カラーヒヨコさまのお風呂の世話中に、たくさんいたずらされたこと……)

幼女魔王N (すべてはもう戻れない、遠い日の出来事……)


サアアア


幼女魔王N 「…………」


モゾ モジ モジ


90 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/02(日) 11:25:18.04 ID:qVWcnzsxo


ザワワ サアア ソヨ ソヨ


幼女魔王N (野原を渡ってくる風をのんびりと感じるのは、久しぶりね)

幼女魔王N 「……この犬小屋とも、今日でお別れ」

幼女魔王N 「私はもとの部屋に、そして玉座に戻り、私の世界の第二期が始まるの」

幼女魔王N 「…………」


ソヨ ソヨ


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……まあ」

幼女魔王N 「ここでもいっか」

幼女魔王N 「魔動画もペニステもお菓子も、部屋から持ってきているし」

幼女魔王N 「狭い分、物をとるのに苦労しないし」

幼女魔王N 「もとの部屋、なんかイカ臭いし」

幼女魔王N 「というか、城中イカ臭いし……死んだ鶏ってあんな臭いがするのね……」

幼女魔王N 「何より、ご主人さまたちにいただいた首輪をつけてここにいる方が落ち着くし……」


ソヨ ソヨ


幼女魔王N 「フフッ……」

幼女魔王N 「何事も、起きて半畳寝て一畳……てね」


91 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/02(日) 12:11:02.34 ID:qVWcnzsxo


魔動画 『未来の大物統治者インタビュー』

魔動画 『……玉座で退屈そうに大あくびをしながら、側近に、何かおもしろいことはないかとねだる』

魔動画 『統治者というと、みなさん、そんなイメージを抱きがちじゃありませんか?』

魔動画 『だけど、じつは、そんなのはエリート中のエリート、ごく一部』


ソヨ ソヨ


幼女魔王N 「……ふあぁ」

幼女魔王N 「ああ、暇だわ。やることがない」

幼女魔王N 「ご主人さまに仕えて調子の戻った料理の勘も、衰えてしまいそう」

幼女魔王N 「ああ、暇。ほんと、暇。ほんと、やることがない」

幼女魔王N 「お菓子とかペニステやりながらゴロゴロするしかない」


ポリ ポリ ムシャコラ

ピコ ピコ


魔動画 『ほとんどの統治者、とくに英雄的な経験の乏しい駆け出し統治者はとっても大変』

魔動画 『自分の世界の発展のため、いろんな世界を飛び回って素材を集めたり』

魔動画 『他の世界の侵攻に備えて、しもべを増やしたり、施設のレベルアップをしたり……』

魔動画 『やることはもう、たっくさん』

魔動画 『ごろごろ昼寝をする暇なんてないのです』


ファラリラ チャチャー 


幼女魔王N 「………クカー」


母性巫女 「…………」


魔動画 『さて、今日ご紹介するのは、新進気鋭の美少女魔王、短パン魔王さん……』


92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/03(月) 16:04:26.23 ID:yrxOArheO
乙!
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/08/03(月) 19:16:25.18 ID:55ip1gUro


キイィイ


母性巫女 「…………ッ」

母性巫女 「…………ぅう」


幼女魔王N 「……スゥ、スゥ」

幼女魔王N 「むにゃ……スゥ」


母性巫女 「N……」


犬小屋
魔動画
ペニステ
お菓子


幼女魔王N 「うへへへ……ムニャ、ムニャ」


母性巫女 「な、何がおきているのかしら」

母性巫女 「どうして、魔動画をつけっぱなしで犬小屋で寝ているの。しかも外で……」


94 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/03(月) 19:29:30.73 ID:55ip1gUro


幼女魔王N 「わあい……みんな、戻ってきたあ……」

幼女魔王N 「うれしいよう、うれしいよお……スピー」


母性巫女 「……こんな痛々しい首輪をして」

母性巫女 「怪我もしている……」


幼女魔王N 「…………」


ソヨ ソヨ


母性巫女 「……相変わらず人の気配がない」

母性巫女 「陽射しをあびて白く眩しい、緑の中の崩れかけたお城。のどかだけれど……」

母性巫女 「ここはこの子を遺して、みんな時間が止まってしまったみたい」


幼女魔王N 「スゥ、スゥ……」


母性巫女 「本当に、ここが故郷なの?」

母性巫女 「あなたはこんなところで、一人で生きてきたの?」


幼女魔王N 「…………」


95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/03(月) 20:05:12.79 ID:oY//H/7jO
このピンクの意識の低さよ
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/03(月) 21:50:57.86 ID:0R57cljaO
短パンとはえらい違いだな(まあ周りの状況もあるが)
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/04(火) 01:45:00.18 ID:7Ga/164T0
巫女にはNの真の理解者になって挙げて欲しい
98 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2015/08/06(木) 05:12:47.07 ID:y75vgyY+o
(バッドエンド回収できんのかこれ)
99 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/06(木) 05:19:16.16 ID:y75vgyY+o


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 (起こして、直接話そうかしら)

母性巫女 (……いったい、何から話しいたら良いんだろう)


……ブロロロロロ


母性巫女 「?」

母性巫女 (……空。不思議な音をたてて、何かがこっちにやってくる)


ブロロロロロ


箒に乗った箒少女


母性巫女 (……人だわ)


ブロロロロロ

キキィーッ


100 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/06(木) 05:29:28.30 ID:y75vgyY+o


箒少女 「…………」


バサ

ザ ザ ザ


母性巫女 (ゴテゴテした箒……魔女かしら)

母性巫女 「あの……こんにちは」


箒少女 「……朝刊です」


母性巫女 (紙の束……受け取って良いのかしら?)

母性巫女 「ありがとうございます……?」


箒少女 「…………」

箒少女 「あんただな」


母性巫女 「はい?」


箒少女 「何か良い服に、宝石いっぱいのアクセサリつけてるもんな」

箒少女 「あんたが、この子の主人なんだな……!」


幼女魔王N 「……ZZZ」


母性巫女 「……はい?」


101 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/06(木) 11:48:23.66 ID:y75vgyY+o


母性巫女 「いえ、私は」

母性巫女 (……って、本当。私すごい格好している)

母性巫女 (どことなく鳥みたい……)


箒少女 「……このヤロウ!」


母性巫女 「!?」


箒少女 「他所様のとこには口出ししないのが、うちのギルドのポリシーだが」

箒少女 「今日は言わせてもらうぜッ!」


母性巫女 「は……はい」

母性巫女 (ギルド……ここにもそういう仕組みはあるのね)


102 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/06(木) 12:05:37.98 ID:y75vgyY+o


箒少女 「奴隷の存在する世界はあるが、ここはとりわけひどいぜ」

箒少女 「こんな幼い子供を、頭にカビが生えるまでこき使うなんてよ!」

箒少女 「もうちっと、奴隷に優しくしたらどうなんだ!」


母性巫女 「え、ええ……?」

母性巫女 「奴隷?」

母性巫女 (魔王ではないのかしら。でも、ここにはNしかいないみたいだし……)


箒少女 「オレが初めてこいつと会ったとき……こいつ、何て言ったと思う」


母性巫女 「ええと……」


箒少女 「餌を貰えるだけマシだってよ!」


母性巫女 「!!」

母性巫女 (……いったい何をやっているのかしら、この子)


幼女魔王N 「クカー……」


103 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/06(木) 12:12:56.11 ID:y75vgyY+o


箒少女 「分かるぜ……今、あんたがこいつにやろうとしていたこと」


母性巫女 (起こすかどうか迷っていたところ、見られたのね)

母性巫女 (あんなに遠い空から……)


箒少女 「こいつを叩き起そうとしてたんだろ」


母性巫女 「え、ええと……」

母性巫女 「はい。でも……」


箒少女 「やっぱりな」

箒少女 「前日ぶっ倒れるまで働かされ、眠り潰れている子供を」

箒少女 「ぶっ叩いて起こそうとしたってわけだ!」


母性巫女 「ええっ!?」


104 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/06(木) 12:35:19.97 ID:y75vgyY+o


箒少女 「なんて女だ」

箒少女 「ゆるりとした感じの胸のでかい女に、悪人はいないと思っていたが」

箒少女 「てめえは極め付きのクソ統治者だぜ!!」


母性巫女 「ええー……」

母性巫女 (……でもこの人、Nのことを心配しているのね)

母性巫女 (N……魔王だとしても、嫌われているわけではないのかしら)

母性巫女 (人もこうやって来ているし、そんなに孤独でもないのかしら……)


箒少女 「さてはてめえ、その胸ニセモンだな!」

箒少女 「もぎ取ってやる!!」


母性巫女 「えええっ!?」


105 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/06(木) 12:39:18.29 ID:y75vgyY+o


母性巫女 「ちょ、ちょっと待って、待ってください……!」

母性巫女 「私は統治者なんかじゃ……」


箒少女 「うるせえ!」

箒少女 「胸のでかい女は死ねばいいんだ!」


母性巫女 「ああ、言っていることが滅茶苦茶……!」


グググ ギリギリ

モニュ モミ


幼女魔王N 「……ムニャ。うーん……」


モゾ モゾ


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……母性巫女?」


106 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/06(木) 12:43:38.33 ID:y75vgyY+o


母性巫女 「!!」

母性巫女 「N……」


箒少女 「おりゃ」


モニュ


母性巫女 「やんっ」

母性巫女 「ちょ、ちょっと……!」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……うへへ」

幼女魔王N 「母性巫女ぉ……」


ヨチ ヨチ

ダキ


母性巫女 「……ッ」


ビク


母性巫女 「…………」

母性巫女 「N……」


107 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/06(木) 12:51:51.33 ID:y75vgyY+o


母性巫女 (Nに抱きつかれて、触手に触れられたときの記憶も一緒に……)

母性巫女 「うぅ……」


幼女魔王N 「母性巫女……母性巫女……」


ギュ ポフ


箒少女 「な、なんだよ、妙に懐いてんじゃないかよ……」


幼女魔王N 「母性巫女ぉ……」


母性巫女 「…………」

母性巫女 (……駄目ね)

母性巫女 (Nを見ていると、どうでも良くなってくる……)


ナデ ナデ


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「えへへへへへへ……」

幼女魔王N 「グゥ……」


ZZZ...


母性巫女 「また寝ちゃった……」

母性巫女 「寝ぼけていただけなのね」


ナデ ナデ


箒少女 「…………」


108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/06(木) 18:10:43.51 ID:4xREFOV5O
乙!
109 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/10(月) 08:48:26.43 ID:V8mBDXaSo


■暑中お見舞い申し上げます



http://i.imgur.com/gLykMSr.png


「よその世界のしもべ仲間からビーチバレーに誘われるも、
 ビーチバレーのことがよく分からない上にビーチバレエと曲解し、
 とりあえずそれらしい踊りを試みて周囲を唖然とさせる
 母性巫女の図」



110 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/10(月) 09:09:06.05 ID:V8mBDXaSo


箒少女 「……よし」

箒少女 「わかった!!」


母性巫女 「!?」


箒少女 「とうっ」


ピョイン

ズザザ


箒少女 の 土下座こうげき!


箒少女 「すんませんっした!」


母性巫女 「……え」

母性巫女 「えー、と……?」


幼女魔王N 「スピー……ムニャ、ムニャ……」


111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/10(月) 23:07:24.38 ID:hBYVCpk9O
箒少女は良い子
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/12(水) 13:14:11.91 ID:cMZxjKyJ0
  _n
 ( l    _、_
  \ \ ( <_,` )
   ヽ___ ̄ ̄  )   グッジョブ!!
     /    /
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/12(水) 23:10:49.06 ID:u+08RD8yo
こっちも面白いけどもうひとつの方も更新お願いします
114 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/13(木) 03:52:29.06 ID:kWZLh5smo


箒少女 「オレはどうも思い込みで突っ走っちまう癖があって」

箒少女 「てっきりあんたが、この子を虐げている張本人かと……」

箒少女 「いや、本当に申し訳ない!」


ズザザ


母性巫女 「は、はあ」

母性巫女 「いえ、その、どうか顔を上げて……」


箒少女 「今のあんたとその子の姿を見てよく分かる」

箒少女 「あんたらが仲の良い親子ってことくらい」

箒少女 「なのに、オレは……!」


母性巫女 「親子……」

母性巫女 (私、まだ10代なんだけど……)


115 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/13(木) 04:02:30.80 ID:kWZLh5smo


箒少女 「……違うのか?」


母性巫女 「……はあ、ええと」

母性巫女 「違うというか、よくわからないというか……」


箒少女 「はあ……?」


母性巫女 「ええと……その、親子ではなかったけれど、家族のように暮らしていて」

母性巫女 「いえ、私はそのつもりだったんですけど……」

母性巫女 「今はよく分からないというか……」


箒少女 「……つまり、あんた」

箒少女 「この子の何なのさ?」


母性巫女 「ええと、つまり……」

母性巫女 「……何なんでしょう?」


116 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/13(木) 04:13:43.30 ID:kWZLh5smo


箒少女 「何なんでしょうって……」


幼女魔王N 「……クカー」


母性巫女 「一緒にいるのが何故かとても自然で、ここに来るまでよく考えもしなかったけれど」

母性巫女 「この子のこと、私はよく知らなかったみたいで……」


ナデ ナデ


幼女魔王N 「フニュ……ムヒヒ」


母性巫女 「…………」


箒少女 「……あんた」

箒少女 「この世界の出身じゃないのか?」


母性巫女 「……はい。たぶん」

母性巫女 「あなたの言う世界が何を指すのかも、よく分かりません」


箒少女 「ふーむ……」


117 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/13(木) 05:13:45.48 ID:kWZLh5smo



箒少女 「他の世界について知らないってことは、まだ拓かれていない小世界から連れてこられたのか」

箒少女 「じゃあ、この子もそうなのかもしれないってことか……」


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「…………」

母性巫女 (この子が自分のことを魔王と言っていたこと、話したほうが良いのかしら)


箒少女 「よっし、乗りかかった舟だ」

箒少女 「この子を起こしてその辺も聞いてみよう」


ゴゴゴゴゴ

箒少女 は 力を溜めている……


母性巫女 「! あ、ちょ、ちょっと……!」


箒少女 「あん?」


母性巫女 「その、せっかく寝ているので、無理に起こさなくても……」

母性巫女 (まだ、ちゃんとこの子と向き合える自信も無いし……)


箒少女 「…………」

箒少女 「ふうん……?」

箒少女 「まあ、あんたの言うとおりかもな」


118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/13(木) 05:20:55.24 ID:3Zwzulvwo
朝から乙
119 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/13(木) 05:49:08.76 ID:kWZLh5smo


母性巫女 「ありがとうございます」

母性巫女 「…………」


箒少女 「……なーんか」

箒少女 「すっきりしない顔してんなあ」


母性巫女 「ごめんなさい。そんなつもりは無いんですが……」


箒少女 「……そうだ」

箒少女 「さっきのお侘びもかねて」

箒少女 「オレの箒の後ろに乗せてやるよ」


母性巫女 「え゛っ……」


箒少女の箒Ver.2


ゴテ ゴテ 


母性巫女 「……そ、それは」


箒少女 「遠慮すんなって」

箒少女 「おおかた、あんたの胸と尻がでかすぎて重量オーバーになるのを気にしてんだろ?」


母性巫女 「いいえ」


箒少女 「オレの箒は馬力のあるシリーズだし、改造もしてある」

箒少女 「どんな重いもんだってへっちゃらさ!」


母性巫女 「重い……」


120 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/13(木) 06:07:58.90 ID:kWZLh5smo


箒少女 「おいおい、そんな渋い顔すんなよ」

箒少女 「配達ギルドの箒に乗るなんて、なかなかできない体験なんだぜ?」


母性巫女 「そうなんですか?」


箒少女 「おう。何せ、配達ギルド員にとっちゃあ箒は魂も同然だからな」

箒少女 「手塩にかけて自分用に改造・調律してきた箒、軽々しく他人に触れさせるような真似はしねえ」

箒少女 「豪華飛行船の超スイートを千日借りられる金をつまれても、こっちが乗せねえと決めたら乗せねえ」


母性巫女 「そんなにすごいものに乗せてもらえるなんて」

母性巫女 「何だか悪い気がしますね」


箒少女 「だから、気にすんなって」

箒少女 「オレが乗って良いって言ってんだ。悪いことなんかねえよ」


121 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/13(木) 08:05:24.87 ID:kWZLh5smo


箒少女 「オレの後ろに乗ってひとっ飛びすれば」

箒少女 「暗い気分を置き去りにしてすっきり爽やかさ」


母性巫女 「……そうですね」

母性巫女 「それでは、また今度……」


箒少女の箒 『……ファンファンファンファン』


ビー ビー


母性巫女 「!?」

母性巫女 (箒少女の箒の明かりが激しく明滅して、何かけたたましく鳴り出した)


箒少女 「……!!」

箒少女 「いけね、仕事中だった」

箒少女 「早く朝刊を配達しないと、給料がすごいことになっちまう!」


ダダダダダ


122 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/13(木) 11:59:14.27 ID:kWZLh5smo


ガチョン

ドルン ドルルン

ドッ ドッ ドッ ドッ……


母性巫女 (近くで見れば見るほど、箒とはかけ離れた見た目)

母性巫女 (金属で出来ているみたいだし……)


箒少女 「……悪い、箒に乗せるのはまた今度ってことで!」


母性巫女 「あ、はい」

母性巫女 「どうか、気をつけて」


箒少女 「おう! そっちの子にもよろしく言っといてくれ」

箒少女 「強く生きろ……ってさ」


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「は、はい……」


箒少女 「あと、これだ」


ポイ


宝玉のようなもの


母性巫女 「……?」


箒少女 「配達ギルドの連絡用アイテムさ。オレ個人の座標だ」

箒少女 「何か用があるときは呼んでくれ」


123 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/13(木) 12:04:53.59 ID:kWZLh5smo


箒少女 が 仲間になった!


箒少女 「魔物と戦うのは自信ねえが、人を運んだり徒歩じゃ無理な場所に行ったり」

箒少女 「機動力が必要なときはオレに任せな」

箒少女 「仕事か寝ているとき以外で、暇で気が向いたらいつでもかけつけるぜ」

箒少女 「じゃあな!」


ドドドド

ブロロロロロ


母性巫女 「……行っちゃった」

母性巫女 「…………」


宝玉のようなもの


母性巫女 「座標とか呼び出すとか……いったいどういうことなのかしら」


124 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/13(木) 12:27:08.47 ID:kWZLh5smo


■箒少女
http://i.imgur.com/zRIbyGt.jpg


種族 :人間?

所属 :配達ギルド

職業 :配達員 / ボンクラ魔女 / 箒乗り

レベル:015 / 05 / 0025

そうび:赤竜ver.2(カスタム箒3D2)
    配達員の服
    空踏みの靴
    魔法のかばん
    するめガム
    
その他:移動力の高い飛行ユニット。
     攻撃はからきしだが、地形を無視して移動できるので
     探索や、移動力の低い重戦士と組むなど、
     支援系として力を発揮する。


125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/13(木) 13:05:42.51 ID:9isP7G1Bo
箒(ロケット)
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/13(木) 13:47:57.02 ID:Llo1tuU9O
ピンクよりだいぶ強いな
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/13(木) 14:13:45.24 ID:hHdpmDVa0
母性巫女!母性巫女ッ!!うおおおおおおおおおおおお!!!!!
128 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/13(木) 21:42:59.78 ID:kWZLh5smo


ヒュウウウ

ソヨ ソヨ ソヨ


母性巫女 「……はあ。嵐のような人……というか、音だった」

母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「えへへ、母性巫女……母性巫女ぉ」

幼女魔王N 「チウ、チウ……ムニャ、スゥ」


母性巫女 「……ああ、もう、親指しゃぶちゃって」

母性巫女 「こうして見ると、いつものNだわ」


幼女魔王N 「ムニャ……」


母性巫女 「…………」

母性巫女 (今日は意識を長く保っていられる)

母性巫女 (意識を失う時間が、少しずつ短くなっているような気もする)

母性巫女 (もしかしたら、私にかけられた何かの呪いがとけかけているのかしら)


幼女魔王N 「んぅー……」


モゾモゾ


母性巫女 (そうなったら……私はどうするのかしら)


129 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/13(木) 21:52:16.43 ID:kWZLh5smo


母性巫女 「N……」


幼女魔王N 「ムニャ……」


魔動画
ペニーステーションポータブル
お菓子
ゴミのようなもの
においつき枕(幼女魔王N)

ゴチャ


母性巫女 「……まずは片付けましょ」


ガサゴソ ガサゴソ


母性巫女 「あら、やっぱり枕のカバーを洗っていない」

母性巫女 「きっとシーツもそうね。しかもお風呂にもあんまり入っていないみたい」

母性巫女 「お菓子だってこんなに散らかして……」


ガサ ガサ……



……フヨ フヨ フヨ


母性巫女 「…………?」

母性巫女 「……何かしら、この感じ」

母性巫女 (私の故郷の精霊さまと似た気配が近づいてくるような……)


フヨ フヨ フヨ


??? 「……こんにつはー」

シルフ娘 「お届けギルドですよー」


130 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/13(木) 22:06:22.07 ID:kWZLh5smo


母性巫女 「……妖精の、子ども?」


シルフ娘 「はい、妖精ですよー」

シルフ娘 「お届けギルドのシルフ娘と申しまつ」

シルフ娘 「こう見えても、もう子どもを産める歳なんでつよ」


母性巫女 (ギルド……。さっきの人とは違うギルドなのかしら)


シルフ娘 「幼女魔王さまにお届け物があって来たのでつが」

シルフ娘 「あんた誰でつか?」


母性巫女 「え、ええと」


シルフ娘 「……むむ?」


ズイ


母性巫女 (……近い)

母性巫女 (小さくて可愛い……)

母性巫女 「あ、あの」


シルフ娘 「むふう……」


クンカ クンカ クンカ


母性巫女 (私のにおいをかいでいる?)

母性巫女 (妖精にとって、人間は変なにおいがするって聞いたけれど……)


131 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/13(木) 22:21:17.04 ID:kWZLh5smo


シルフ娘 「むむう、このにおいは……」


母性巫女 (この辺りの妖精は大きいのね)

母性巫女 (りんごと同じ大きさの人しか見たことなかったけれど)

母性巫女 (人間の赤ちゃんと同じくらいだもの)


シルフ娘 「クンクン……」


母性巫女 (……可愛い)


シルフ娘 「……やはり。このいやな魔法と蒸気のにおい」

シルフ娘 「あんた、さては配達ギルドの人でつね」


母性巫女 「うふふふ………」


ホワン ホワン


シルフ娘 「……何か違うみたいでつね」


132 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/13(木) 22:37:37.18 ID:kWZLh5smo


…………


ソヨ ソヨ


シルフ娘 「……というわけで、純粋な魔法の力を利用する我々お届けギルドと」

シルフ娘 「魔法に不純な蒸気と油の力を混ぜる配達ギルドは仲が悪いのでつ」


母性巫女 「そうなんですか」


ナデ ナデ


シルフ娘 「だいたい、あんな鉄の塊を箒と呼ぶなんて、いったいどういうつもりなのか」

シルフ娘 「という話なのでつ」

シルフ娘 「騒音を撒き散らしながら節操なく飛び回って……」


プン プン


母性巫女 「そうですねー」


ナデ ナデ


シルフ娘 「フニャ。そうなんでつよー」

シルフ娘 「……いやあ、抱っこなんて今さら恥ずかしいと思いまつたが」

シルフ娘 「なかなか良いものでつねー……」


133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/14(金) 02:33:28.37 ID:+DHQpvxGO
僕も抱っこされたいです!
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/14(金) 02:55:42.67 ID:sLLsmOfD0
私も!
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/14(金) 07:17:06.50 ID:otxucQ7LO
朕も!
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/14(金) 09:59:39.23 ID:nB0BdDqz0
おいどんも!
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/14(金) 17:13:55.03 ID:S+ShyoM4o
こども属性には無敵だな
138 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/15(土) 04:44:34.01 ID:k397cqqSo


幼女魔王N 「スピー……」


シルフ娘 「しかし、いっこうに起きませんね、幼女魔王さまは」


母性巫女 「そうですね……」


ナデ ナデ


シルフ娘 「荷物は置いていけるとして」

シルフ娘 「直接お礼も言いたかったのでつが」

シルフ娘 「ふあぁ……」

シルフ娘 「このままでは、こっちが眠ってしまいまつよ」


母性巫女 「お礼……」


139 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/15(土) 05:09:39.90 ID:k397cqqSo


母性巫女 「あの、お礼って……?」


ナデ ナデ


シルフ娘 「はい。じつはでつね……」

シルフ娘 「……っと、だめでつ、だめですよ」

シルフ娘 「この件はデリケートなのでつ」

シルフ娘 「それに、お届けギルドは秘密厳守。口が軽いと思われては商売あがったり」

シルフ娘 「軽いのは足だけで良いのでつ」


母性巫女 「そうですか……」


ナデ ナデ


シルフ娘 「そうなのでつよー……」

シルフ娘 「…………」


母性巫女 「…………」


ナデ ナデ


シルフ娘 「…………」

シルフ娘 「じつはでつね……」


140 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/15(土) 11:23:23.53 ID:k397cqqSo


母性巫女 「あの……」


シルフ娘 「とある界域で、同じギルドの先輩が消息をたち」

シルフ娘 「淫魔幼女さまにその捜索を依頼していたのでつが」

シルフ娘 「とある世界の地下に捕らわれているところを、幼女魔王さまが発見してくれたのです」


母性巫女 「まあ、そんなことが」


シルフ娘 「とても悲しいことにすでに手の施しようがなく、先輩は亡くなってしまわれたのでつが」

シルフ娘 「それでも、ありがたいことなのでつ。ちゃんとお墓をたてることができるのでつから」


母性巫女 「…………」


シルフ娘 「ありがたいことなのでつよ……グスン」


母性巫女 「……よしよし」


ナデ ナデ


141 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/15(土) 12:07:38.12 ID:k397cqqSo


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「そうですか。この子、そんなことを……」


シルフ娘 「はい」

シルフ娘 「正直な話、とても意外でした」

シルフ娘 「私の頭突き一発で沈むと目していた幼女魔王さまが」

シルフ娘 「まさか常日頃から失踪しがちな先輩を発見するとは」

シルフ娘 「さすが、腐っても魔王なのでつ」


母性巫女 「魔王……」

母性巫女 (とくに恐怖を抱かれている様子もなく、おまけに人探し)

母性巫女 (魔王って何なのかしら……)


幼女魔王N 「ムニャ……地毛、地毛なのよ……スピー」


142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/16(日) 02:16:00.55 ID:9hRzudXSO
乙!
143 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/17(月) 03:55:07.06 ID:26JqmLooo


母性巫女 「…………」


シルフ娘 「さて、そろそろ次のお届け先に行かなくては」


母性巫女 「……あ」

母性巫女 「そ、そうですか」


シルフ娘 「お名残惜しいでつが、このフカフカともお別れです」


フカ フカ


母性巫女 「そ、そんなに強くおさえつけたら……」


シルフ娘 「うーん、いつまでも沈んでいたいこのやわらかさ」

シルフ娘 「お持ち帰りして枕にしたいくらいでつ」


フニ フニ モニ モニ


母性巫女 「あの、仕事は大丈夫……」


シルフ娘 「はああ〜、人形ギルドあたりで商品化されないものか……」


フニイ フニイ


母性巫女 (すごく気持ちよさそうに頬ずりしている)

母性巫女 (止めない方が良いような気がする……)

144 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/17(月) 04:08:55.12 ID:26JqmLooo


シルフ娘 「はあぁ、ほのかに香るこの甘み。ビスケットに鼻をくっつけているみたいにとろけまつ」

シルフ娘 「さては、母性巫女さんは乳牛の血をひいていますね」


母性巫女 「あらあら、うふふ、私は人間ですよ……」


ナデ ナデ


シルフ娘 「あふぅ」

シルフ娘 「……おっと」

シルフ娘 「こうしている場合ではないのでつ!」


パ

フヨ フヨ


母性巫女 (離れてしまった)

母性巫女 (……少し残念)


シルフ娘 「ふいぃ〜〜……ありがとうございまつた」

シルフ娘 「リフレッシュできた上、体力が回復した気がしまつ」


シルフ娘の体力 が全快した!
シルフ娘の素早さ が上がった!
シルフ娘の免疫力 が上がった!


母性巫女 「私もです。またいつでも……」

母性巫女 (……ああ、そうだった。今度はいつ意識が戻るか分からないのよね)


シルフ娘 「おお!」

シルフ娘 「では今度はお土産を持ってきまつ」

シルフ娘 「立派な鼻輪を」


母性巫女 「鼻輪はいいです」


145 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/17(月) 04:54:00.32 ID:26JqmLooo


幼女魔王N 「ムニャムニャ……」


シルフ娘 「では、お届け物は置いていきまつね」


でかい木箱


母性巫女 「は、はい……」

母性巫女 (大き……でかい木箱。いったい何が入っているのかしら)

母性巫女 (というか、どうやってこんなものを運んだのかしら)

母性巫女 「…………」


シルフ娘 「……あけちゃ駄目でつよ?」


母性巫女 「えっ!?」

母性巫女 「は、はい、もちろん。あけるのはあくまで本人で……」


シルフ娘 「たとえお母さんであっても、届けられた人以外があけるべきではないのでつ」

シルフ娘 「過去、それによってどれだけの人々が不幸な結末を迎えたことか……」


母性巫女 「そ、そうなんですか……」


146 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/17(月) 05:05:39.70 ID:26JqmLooo


シルフ娘 「では、受け取りのサインをここにお願いしまつ」


母性巫女 「それは私で良いんですか?」


シルフ娘 「本当はご本人が望ましいのでつが……」


幼女魔王N 「いただきまあちゅ……チュパ、チュパ」


シルフ娘 「これではしかたありません」


母性御子 「な、なるほど」

母性巫女 (幼児退行している……)


147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/17(月) 06:32:02.37 ID:J3xkIyQ8o
おつ
148 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/17(月) 11:51:18.08 ID:26JqmLooo


シルフ娘 「では、このペンで、ここにサインをお願いしまつ」


シルフのペン


母性巫女 「はい」

母性巫女 (不思議なペン。持っていると変な感じ)

母性巫女 「…………」


シルフ娘 「……もしかして」

シルフ娘 「このペンを使うのは初めてですか?」


母性巫女 「えっ!?」

母性巫女 「ええ……」


シルフ娘 「大丈夫でつよ。お届けギルド特性の魔法のペンでつが、とくに人体に影響はありません」

シルフ娘 「さあ、この票にサラサラっとサインしてください」


母性巫女 「はい……」


























149 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/17(月) 11:58:09.03 ID:26JqmLooo


サラサラ


シルフ娘 「……はい、たしかに」


母性巫女 「…………」

母性巫女 (本当。魔法のペンというわりに、とくにかわったところは無かった)


シルフ娘 「……拍子抜けした顔をしてまつね」


母性巫女 「えっ!? い、いえ」


シルフ娘 「このペンは、受け取り人かその近しい人しかサインできないペンなのでつ」

シルフ娘 「母性巫女さんは幼女魔王さんのしもべなので、何の問題も起きないのですよ」


母性巫女 「しもべ……」


シルフ娘 「……あや、違うんでつか?」


母性巫女 「……さあ」


シルフ娘 「さあ、って……」

150 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/17(月) 12:35:53.35 ID:26JqmLooo


母性巫女 「実は、ここに来たばかりでよく分からなくて……」


シルフ娘 「ふうむ……」

シルフ娘 「でも、このペンで問題なくサインできたので、近しい関係にあることは間違いないでつよ」


母性巫女 「そうなんですか……」


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「いえ、ありがとうございます」


シルフ娘 「いえいえ」

シルフ娘 「では私はこの辺で失礼しまつね」

シルフ娘 「あと、最後にこれを渡しておきまつ」


押し花のようなもの


母性巫女 「まあ、きれいなしおり……?」


シルフ娘 「私個人の座標でつ。これを使えば、私を召喚することができます」


151 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/17(月) 12:42:57.14 ID:26JqmLooo


シルフ娘 が仲間になった!


シルフ娘 「先輩を見つけていただいた、せめてものご恩返しでつ」

シルフ娘 「お仕事もある上、VIP用座標はすでに淫魔幼女さまに渡しているので最優先とはいきませんが」

シルフ娘 「お届け物の依頼のほか、素材集めや冒険のお手伝いもいたしまつよ」

シルフ娘 「こう見えても、体は巨人並に丈夫なのでつ」

シルフ娘 「では、さようなら」


フヨ フヨ フヨ


シルフ娘 「またフカフカさせてくださいね〜」


フヨ フヨ

ポワン


母性巫女 「……行っちゃった」



152 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/17(月) 12:51:25.74 ID:26JqmLooo



■シルフ娘
http://i.imgur.com/Pp3P9g7.jpg


種族 :シルフ

所属 :お届けギルド

職業 :配達員 / 妖精戦士 / 苗床

レベル:015 / 05 / 00

そうび:バッテンシール
    妖精の服
    異次元スカート
    どこでも扉
    
その他:飛行・物理系のユニット。
     攻撃・防御ともに優秀な前衛タイプ。回避力も高め。
     体が丈夫なので、条件を満たせばしもべ触手の苗床としても運用できるぞ。


153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/17(月) 13:00:43.99 ID:TgYZXUl20
続きが気になって夜も眠れない
154 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/17(月) 13:10:19.17 ID:26JqmLooo


…………


幼女魔王Nの世界

城前 犬小屋



ヒュウウ

ソヨ ソヨ


でかい木箱 「…………」


母性巫女 「……ふう、だいたい片付いた」

母性巫女 「あとは、この子を寝室に運ぶだけ……」


幼女魔王N 「グゥ、スゥ……」


母性巫女 「…………」

母性巫女 (N……)


でかい木箱 「…………」


母性巫女 「…………」


でかい木箱 「…………」


母性巫女 (……ど、どうしても木箱が視界の端にちらついてしまう)


155 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/17(月) 13:16:55.16 ID:26JqmLooo


でかい木箱 「…………」


母性巫女 「本当に、何が入っているのかしら、この木箱」

母性巫女 「箱に描かれている、二つ穴のあいたハートマーク……」

母性巫女 「うーん……」


でかい木箱 「…………」


母性巫女 「考えると余計に気になってしまう」

母性巫女 「……あけたい」


ソヨ ソヨ


母性巫女 「……だ、だめよ。私あての荷物じゃないもの」

母性巫女 「うん、忘れましょ」


でかい木箱 「…………」

でかい木箱 「……!」


ガタン


母性巫女 「!?」


ビクッ


156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/17(月) 21:08:05.65 ID:hOm0KLGQO
こいつ動くぞ!
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/17(月) 21:14:44.95 ID:21pqLPDhO
荷物わかっちゃったかも……
158 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/17(月) 23:52:30.51 ID:26JqmLooo


でかい木箱 「…………」


ガタ ガタ


母性巫女 「…………っ」


でかい木箱 「…………」


ギシ ギシ


母性巫女 「……わ、私があけなくても」


でかい木箱 「…………」


メキメキ ミシ

バコ バコ


母性巫女 「荷物の方からあけてきたらどうしたら良いの……!?」


バコ バコ……

バゴンッ

159 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/17(月) 23:57:12.17 ID:26JqmLooo



??? 「…………」


ヒュオオオ


母性巫女 「!」

母性巫女 (大き……でかい木箱の蓋が弾け飛んで、中から何かが飛び出した……!)


??? 「…………」


ヒュルルル

ボト


母性巫女 「……落ちた」

母性巫女 「何なのかしら。わりと鈍い音がしたけれど……」


??? 「…………」

しらうおのような右腕 「…………」


母性巫女 「ぎゃっ」


160 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/18(火) 00:05:10.52 ID:yMZzsFwdo


しらうおのような右腕 「…………」


母性巫女 「……腕」

母性巫女 「どうして木箱から腕が。しかも勝手に飛び出してきたみたいだし」

母性巫女 「何がどうなっているのか分からない……」


しらうおのような右腕 「…………」


ビクンッ


母性巫女 (動いた!?)


しらうおのような右腕 「…………」


ビチビチ ウネウネ


母性巫女 「う、うわあ……」

母性巫女 (しらうおのような手が、断末魔をあげる軟体動物のようにうねっている)

母性巫女 (こんなの、Nが見たら気絶してしまうわ)

母性巫女 (……それとも、平気なのかしら)

母性巫女 (私は、Nのことを知った気になっていただけだもの……)


でかい木箱 「…………」

でかい木箱 「誰か」


母性巫女 「!?」


ビクンッ


161 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/18(火) 00:25:31.83 ID:yMZzsFwdo


でかい木箱 「…………」


母性巫女 「箱が喋った……?」


でかい木箱 「誰かいないかしら。といっても一人しかいないのでしょうけれど」


母性巫女 (……違う。声は箱の中から聞こえているのね)

母性巫女 「あの……」


でかい木箱 「……あら」

でかい木箱 「しばらく会わないうちに、ずいぶん声が落ち着いたのね」

でかい木箱 「包み込むような母性の中に残る幼さ、色っぽいわ」

でかい木箱 「昔は臆病と幼いマゾヒズムを全面に押し出したようだったのに」


母性巫女 「あの、私は……」


でかい木箱 「ごめんなさい。あなたの声なんて興味ないわ」

でかい木箱 「むしろ一生聞きたくなかった」

でかい木箱 「ちょっと助けてもらえるかしら」


母性巫女 (……これは、一筋縄じゃいかないみたいね)


162 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/18(火) 00:40:58.77 ID:yMZzsFwdo


でかい木箱 「そこに私の右だか真ん中だかの腕があるはずなのだけど」


母性巫女 「は、はい」

母性巫女 (真ん中……?)


しらうおのような右腕


母性巫女 「これをどうかするんですか?」


でかい木箱 「それをこちらまで持ってきて」

でかい木箱 「でないと、私ひとりの力でこちらまで持ってくることになるわ」


母性巫女 「は、はい……」

母性巫女 (それって、もしかして助けはいらないんじゃ……)


ヒョイ

ザ ザ ザ


163 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/18(火) 00:47:22.99 ID:yMZzsFwdo


でかい木箱 「助かるわ」

でかい木箱 「ちょっと蓋をずらすつもりが、勢いあまっちゃって」


母性巫女 「はあ、それは大変でしたね……」


ザ ザ ザ


でかい木箱 「…………」


母性巫女 「…………」

母性巫女 (木箱の中はどうなっているんだろう)


ザ ザ ザ


母性巫女 「…………」

母性巫女 「!!」


でかい木箱


母性巫女 (木箱の中に……)


??? 「…………」

バラバラ死神メイド 「…………」


母性巫女 「…………」


バラバラ死神メイド 「……ありがとう」


母性巫女 「ぎゃっっ」


164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/18(火) 01:29:14.31 ID:F4nwMs1RO
乙!
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/24(月) 23:30:43.62 ID:Hn70tByA0
まってる
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/24(月) 23:35:40.13 ID:AGia1E0r0
sageろ[ピーーー]ゴミ
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/25(火) 00:53:53.73 ID:AaNtQfB+O
お前もな
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/25(火) 03:18:00.77 ID:RaQRCSYK0
悲しいなあ
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/25(火) 07:17:02.64 ID:wz1wP/Uw0
わきまえろまえ!
170 :シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/26(水) 01:56:58.50 ID:stSMEmvoo

>>165 >>166

sageないなんてありえないよ!!


http://i.imgur.com/uFJJCIz.jpg



171 :シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/26(水) 02:08:04.38 ID:stSMEmvoo


母性巫女 (木箱の中にバラバラの女の人が入っている……)


バラバラ死神メイド 「……腕」


母性巫女 (喋った。生きているみたい……)


バラバラ死神メイド 「返してくれるかしら、腕」


母性巫女 「あ、はい」

母性巫女 「……でも返すって、どうしたら良いんでしょう」


バラバラ死神メイド 「どうでも良いわ」

バラバラ死神メイド 「じゃあ、この上に置いて」


しらうおのような左腕


母性巫女 「わ、分かりました……」


172 :シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/26(水) 02:17:47.22 ID:stSMEmvoo


…………


カチャ カチャ

グチョ ミチュ ガリガリガリ


バラバラ死神メイド 「…………」


ズルズルズル グチュチュ


母性巫女 「…………」

母性巫女 (慣れた手つきで自分を組み立てていく)

母性巫女 (どういう体のつくりになっているの……)


首なし死神メイド 「…………」


死神メイド(頭) 「…………」


ヒョイ ガシィン


首なし死神メイド 「…………」

裸死神メイド 「…………」


母性巫女 (くっついた……)


173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/26(水) 02:57:28.69 ID:N8HDNViv0
>>170
感動した
174 :シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/26(水) 03:38:02.57 ID:stSMEmvoo



裸死神メイド 「…………」


宿屋のメイド服


バサ バサ ポン ポン

ガサゴソ サシャ フワ


裸死神メイド 「…………」

死神メイド 「…………」


母性巫女 「…………」


死神メイド 「…………」

死神メイド 「服を着たままだと不都合が生じるの」

死神メイド 「意外と防御力が高いのよ、このメイド服は」


母性巫女 「そ、そうですか……」


175 :シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/26(水) 03:58:31.47 ID:stSMEmvoo


死神メイド 「……意外ね」


母性巫女 「?」


死神メイド 「あなたのことだから、木箱の中の私を見て気絶するほど驚くと思っていたけれど」

死神メイド 「そのつもりだったのだけれど……」


母性巫女 「は、はあ」

母性巫女 (驚かすつもりだったんだ……)


死神メイド 「……少し見ないうちに変わったようね。落ち着いたというか、ぐっと大人びたわ」

死神メイド 「乳臭いピンクから、乳の化物へと転職したのね」


母性巫女 「ばけも……」

母性巫女 (……って、もしかしてこの人、私のことをNと間違えているのかしら)


死神メイド 「けれど拍子抜けよ」

死神メイド 「随分とつまらない女になってしまったわね、幼女魔王N」

死神メイド 「今のあなたには、腹パンする価値もないわ」


母性巫女 「ひどい言われようすぎて、わけが分からないことになっている……」



176 :シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/26(水) 04:25:07.62 ID:stSMEmvoo


母性巫女 「あの……」


死神メイド 「何かしら」


母性巫女 「私は、Nじゃありません」

母性巫女 「本物はこっちに……」


犬小屋で眠る幼女魔王N


死神メイド 「…………」


幼女魔王N 「……スピー」


死神メイド 「…………」

死神メイド 「……駄目じゃない」

死神メイド 「脱皮したら抜け殻は片付けておかなくちゃ」


母性巫女 「ちゃんと中身も詰まっていますから……っ!」


死神メイド 「……何が?」


母性巫女 「?」


幼女魔王N 「…………」


死神メイド 「普段からして抜け殻が歩き回っているようなものなのに」

死神メイド 「そんなこれに、今さら何が詰まっているというの」


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「…………」


死神メイド 「……冗談よ」


177 :シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/26(水) 05:19:48.14 ID:stSMEmvoo


死神メイド 「あなたとは以前会ったことがあるけれど」

死神メイド 「こうして話すのは初めてね」


母性巫女 「は、はい……」

母性巫女 「その、ごめんなさい、おぼえていなくて……」


死神メイド 「……そういうところは、似ているわね」


母性巫女 「?」


死神メイド 「気にしないで」

死神メイド 「……けれどちょうど良いわ」

死神メイド 「少し、話しておきましょうか」


178 :シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/26(水) 07:10:30.15 ID:stSMEmvoo


ソヨソヨ

サアアア


死神メイド 「その前に、あなた」

死神メイド 「今、あなたはそこの汚物……幼女魔王Nから独立しているの?」


母性巫女 「……独立?」


死神メイド 「自分の意思で動いているの?」


母性巫女 「……はい。たぶん……」


死神メイド 「はっきりしないわね」


母性巫女 「ここに来てから、自分がどうなっているのかよく分からなくて…」


死神メイド 「来る前は分かっていたの?」


母性巫女 「え……」

母性巫女 (来る前。森にいたとき……あれ、どうだったかしら)

母性巫女 (そういえば、意識してなかっただけで分かっていなかったかも……)

母性巫女 「…………」


死神メイド 「……正常なことだと思うわ」

死神メイド 「自分の存在について悩むのは、自我のあるものに許されることのはずよ」


179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/26(水) 07:21:49.58 ID:WQCjXk6QO
乙!
180 :シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/26(水) 07:30:45.17 ID:stSMEmvoo


死神メイド 「自分のことなんて普段そんなに意識していないだけで」

死神メイド 「考えたところで、じつはあまりよく分からないものという気もするし」


母性巫女 「そ、そうですか……」


死神メイド 「私も普段は宿で働いたりサボったりして日々を忙しく過ごしているけれど」

死神メイド 「ときどきふと思うもの」

死神メイド 「このメイド服の胸のところについている豚の鼻のマーク」

死神メイド 「これはないな……って」


母性巫女 「……ああ、木箱にも描かれていたそれ、ハートじゃなかったんですね」


死神メイド 「…………」

死神メイド 「失礼だけど、あなたって、敵が少ないかわりに味方も少ないんじゃないかしら」

死神メイド 「あたりさわりがなさすぎて、結果、誰の中でも印象が薄くなりがちな」


母性巫女 「え……!?」



181 :シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/26(水) 18:12:48.85 ID:stSMEmvoo


母性巫女 「いきなり何を……」


死神メイド 「あるいは」

死神メイド 「誰からも割と好印象……どころか慕われてはいるけれど」

死神メイド 「仲良しで二人組を作れと言われると、あぶれてしまう感じ」


母性巫女 「あぶれるって……」

母性巫女 (あ……騎士団見習いの頃、よくそんなことがあったような……)


死神メイド 「なまじ周りよりステータスが高く一人で大抵のことができてしまうせいで」

死神メイド 「一人で完結した存在に見られてしまい、敬遠されている感じ」


母性巫女 「うーん……」


死神メイド 「そういう人って、誰かの一番にはなれないのよね」

死神メイド 「私と同じ」


母性巫女 「そ、そうなんですか……」



182 :シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/26(水) 21:19:40.79 ID:stSMEmvoo


死神メイド 「それをふまえて言わせてもらうわ」


母性巫女 (まだ何か言われるんだ……)


死神メイド 「あなたが何者かということ」


母性巫女 「…………」


死神メイド 「私もただの代理だから確信を持って言えないけれど」

死神メイド 「あなたは、そこの幼女魔王Nのしもべにされたのよ」

死神メイド 「あなたは、魔王のしもべなのよ」


幼女魔王N 「……グゥ……」


母性巫女 「魔王……」


死神メイド 「さすがの私も、同情せざるを得ないわ」

死神メイド 「こんなのの下につくくらいなら、昆布を主人にした方がいくらかマシだもの」


幼女魔王N(こんなの) 「ムニャムニャ……ふひひ……グゥ」


183 :シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/26(水) 21:31:16.94 ID:stSMEmvoo


母性巫女 「私、本当にしもべに……」


死神メイド 「あなたが信じるか信じないかは興味ないわ」

死神メイド 「ただ私は言いつけ通りに伝えるだけ」

死神メイド 「あなたは、犬小屋で鼻ちょうちんをふくらませるピンクのくそ幼女のしもべとなってしまったのよ」


幼女魔王N(ピンクのくそ幼女) 「スピー、ムニャ……おトイレいくから、服脱がせてぇ……グゥ」


母性巫女 「…………」

母性巫女 「あの、ごめんなさい」


死神メイド 「何かしら」


母性巫女 「魔王っていったい何なんでしょうか……」


死神メイド 「…………」


母性巫女 「その、私の知っている魔王はもっと恐ろしいものだったし」

母性巫女 「それに、魔王って何人もいるんでしょうか……」


184 :シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/27(木) 00:33:30.75 ID:UumZJRTHo



死神メイド 「…………」

死神メイド 「もしもあなたが、故郷に帰ろうとこの世界を歩き続けたとして」

死神メイド 「絶対に帰ることはできない」


母性巫女 「え……」


死神メイド 「あなたの故郷とここは、世界が違うのだから」


母性巫女 「?」


死神メイド 「……ちょっと待って」

死神メイド 「…………」


ブチッ


死神メイド は 両足を切断した!


母性巫女 「……!!」


185 :シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/27(木) 00:38:44.53 ID:UumZJRTHo


ボト ゴロン


死神メイド 「右足を、あなたの故郷のある世界」

死神メイド 「少し離して、左足を、現在あなたがいる世界とするわ」


母性巫女 「は、はい……」

母性巫女 (いまいち集中できない……)


死神メイド 「普通、人は足の表面……世界の表面を這い回ることしかできない」

死神メイド 「別の足……世界に飛んでいくことはできない」


母性巫女 「…………」

母性巫女 (足、痛くないのかしら……)


死神メイド 「いまいち集中できないようね」

死神メイド 「足じゃなくて、眼球にしましょうか」


母性巫女 「い、いえ……大丈夫です」


186 :シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/27(木) 00:43:26.81 ID:UumZJRTHo


死神メイド 「けれど、あなたはそうなってしまった」

死神メイド 「できないはずの、右足の世界から左足の世界へと飛んでしまった」


母性巫女 「そんな……」


死神メイド 「……あの空の向こうに霞む、巨大な島か岩の塊のようなものが浮いているのが見えるかしら」



お隣の世界



母性巫女 「……はい」


死神メイド 「月よりも大きなあれも、こことは違う世界なのよ」


187 :シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/27(木) 00:59:35.08 ID:UumZJRTHo


死神メイド 「あまりにも近いおかげで、あんな風に肉眼でもとらえることができるわ」


母性巫女 「は、はあ……」


死神メイド 「あの世界では、たくさんの人が暮らしている」

死神メイド 「そして、そんな小さな世界は、無数に存在している」


ガサ ゴソ

バララ


死神メイド は 財布の中身をぶちまけた!


母性巫女 「………!!」


死神メイド 「貨幣の一枚一枚を世界だとして」

死神メイド 「あなたの故郷も、ここも、あの空に浮かぶ世界も、そのひとつにすぎない」


母性巫女 (最初からそれで例えてくれたら良いのに……)


188 :シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/27(木) 01:21:07.85 ID:UumZJRTHo


死神メイド 「理由は知らないけれど、それぞれの世界には必ず統治者がいる」

死神メイド 「大世界観測の黎明期、今で言うところの星天観測所の観測者は、それに二つの系が存在することを発見した」

死神メイド 「すなわち」

死神メイド 「魔王と、勇者と」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「………グゥ」


死神メイド 「現在、魔法の進歩によって一部の世界同士の行き来は誰でもできるようになっているけれど」

死神メイド 「遥か昔、別の世界へ渡るすべを持っているのは統治者だけだったそうよ」


母性巫女 「…………」


死神メイド 「……あなたの世界のように、人々の多くが別の世界の存在すら知らないのが」

死神メイド 「むしろ普通なのかもしれないわ」


189 :シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/27(木) 01:44:03.78 ID:UumZJRTHo



母性巫女 「世界、別の世界……」


死神メイド 「……無数に存在する世界のそれぞれに統治者がいて」

死神メイド 「それが勇者か魔王のどちらかしかないとしたら」

死神メイド 「魔王はたくさんいるということになるわ」

死神メイド 「彼女もその一人」


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「N……」


死神メイド 「あなたの世界で通っている魔王という言葉とは違いがあるのかもしれないけれど」

死神メイド 「ある基準によれば、彼女は勇者ではなく魔王ということ」

死神メイド 「民に慕われる魔王もいれば、民を虐げる勇者もいる」

死神メイド 「善悪とか、そういうものでくくっているわけでは無いのでしょうね」


母性巫女 「そ、そうですか」


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「N……」

母性巫女 「私の知っている魔王とは違うのね……」


死神メイド 「……彼女は、悪い子ではあるけれど」


母性巫女 「…………」


190 :シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/27(木) 01:55:08.78 ID:UumZJRTHo



死神メイド 「あなた、この世界の人口を知っているかしら」

死神メイド 「あなた含めて二人よ」


母性巫女 (……あ、やっぱり)


幼女魔王N 「ムニャ……」


死神メイド 「いま、よその世界に攻め込まれたら、簡単におちるわよ」

死神メイド 「けれど彼女は自分の惨めさを嘆くばかりで、これといって大した努力もせず」

死神メイド 「統治者として世界を発展させようとする気もなく犬小屋で惰眠をむさぼる」

死神メイド 「魔王として無能というほかないわ。むしろ生き物としても無能よ」

死神メイド 「鶏……はさすがに言い過ぎかもしれないけれど、スライムの群れを適当に放りこんでおけば、この世界は制圧できるんじゃないかしら」


191 :シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/27(木) 02:12:49.20 ID:UumZJRTHo


母性巫女 「……で、でも」

母性巫女 「こんな小さな子ひとりで何もかもしなくちゃならないなんて」

母性巫女 「打ちのめされて気力を無くしてしまっても……」


死神メイド 「できなければ同じなのよ」

死神メイド 「他人、ましてや敵に当たる軍勢にとっては関係ないわ」

死神メイド 「潰すのにちょうど良い世界と、いろいろと使い道のありそうな生きた肉が転がっていることに変わりはないのよ」


母性巫女 「そんなに物騒なんですか?」


死神メイド 「そういうこともあるということ」


母性巫女 「そうですか……」


死神メイド 「…………」

死神メイド 「似たようなことじゃない」

死神メイド 「あなた」

死神メイド 「無理矢理この世界に連れてこられたのよ」


母性巫女 「…………」


192 :シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/27(木) 02:51:36.32 ID:UumZJRTHo


幼女魔王N 「…………」


死神メイド 「彼女はあなたをこの世界に連れて帰り」

死神メイド 「しもべにすることを選んだのよ」


母性巫女 「Nが、私を……」


死神メイド 「ある術によって」


母性巫女 「…………」


死神メイド 「死者に自分の命を分け与えることで、自分のしもべとして蘇らせる」

死神メイド 「そうやってしもべになった者は、自我のない人形のようになってしまう」

死神メイド 「彼女の力じゃ、その程度の術がせいぜいだったのでしょうけど」

死神メイド 「とにかく、そうしてあなたは作られた」


母性巫女 「死者……」


死神メイド 「……あなたの今の状態を見るに、なぜだか術は不完全だったようね」



193 :シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/27(木) 02:59:44.20 ID:UumZJRTHo


母性巫女 「私は、死んでいたのね……」

母性巫女 (死んだ記憶があるのも、嘘ではないのね)


死神メイド 「…………」


母性巫女 (なぜ、私は死んだのだったかしら……)


死神メイド 「……あなた、自我があるのよね」

死神メイド 「帰りたくはない?」


母性巫女 「……懐かしくはありますけど」

母性巫女 「でも……」


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「そうしたら、この子はひとりで暮らさないといけなくなるんですね……」


死神メイド 「…………」

死神メイド 「あなた、気味の悪い人ね」


194 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/27(木) 03:21:41.86 ID:UITwsDloO
駄ピンクが寝てる間にどんどん話が進むww
195 :シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/27(木) 03:31:57.51 ID:UumZJRTHo


母性巫女 「…………」


死神メイド 「餓死寸前の魔物に食べられそうになっている最中に」

死神メイド 「どうしよう、私が食べられてあげないとこの魔物が餓死してしまう……と躊躇しているようなものよ」

死神メイド 「自分の命と相手の命を天秤にかけられてしまう感じ」

死神メイド 「的外れな優しさというか、壊れている印象を受けるわ」


母性巫女 「…………」


死神メイド 「負けず嫌いだったり密かに他人を見下したい願望や嫉妬心を持つような人の目には、あなたが傲慢にうつるかもしれないし」

死神メイド 「弱い人の目には、あなたが恐ろしい化物にうつるかもしれない」


母性巫女 「…………」


死神メイド 「……優しさも怒りも、底が知れないというのは恐ろしいものなのよ」


196 :シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/27(木) 03:41:38.65 ID:UumZJRTHo


母性巫女 「私は……」


死神メイド 「本当に、もとの世界が懐かしいというの?」


母性巫女 「…………」


死神メイド 「……私は、友人より下に自分の魂のステータスを置いておきたいタイプだけれど」

死神メイド 「あなたと友だちにはなりたくない」

死神メイド 「死神としての意見だけれど、あなたの魂は大きすぎる」

死神メイド 「大きすぎるもののそばにいるということは、自分の小ささを必要以上に感じなければならないということ」

死神メイド 「とても耐えられないわ」


母性巫女 「…………」




197 :シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/27(木) 04:02:25.78 ID:UumZJRTHo


死神メイド 「例えば笛を吹くことが好きだとして」

死神メイド 「自分の演奏が惨めになるくらい笛の才能のある友人がいるとしたら」

死神メイド 「……その人が自分をよそに賞賛を浴び続けたら」

死神メイド 「笛を吹くのが嫌いになってしまうかもしれない」

死神メイド 「そのうち、その友人のやることなすことが鼻につくようになるかもしれない」

死神メイド 「その友人が優しい人で、情けでもかけられようものなら、最悪」

死神メイド 「自分の心の醜い部分が浮き彫りになって、自分の全てを否定したくなるかもしれない」


母性巫女 「…………」


死神メイド 「笛に限ったことじゃないわ」

死神メイド 「英雄を目指す剣士でも良いし、胸の大きさでも良い」

死神メイド 「とにかく、あなたは」

死神メイド 「相手にとって、自分を惨めな気持ちにさせる嫌な存在ということよ」


母性巫女 「…………」


死神メイド 「大げさかしら」

死神メイド 「でも、そんなものだと思うのよね」


198 :シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/27(木) 04:15:25.77 ID:UumZJRTHo


死神メイド 「多かれ少なかれ、人は自分の魂に誇りをもっているもの」

死神メイド 「……たくさんの魂を運んだ私から見ても、あなたの魂は大きすぎる」

死神メイド 「ただ在るだけで、他の魂を圧倒してしまうほど」

死神メイド 「常にあなたの傍にいて耐えられるのは、似たような魂を持つ人か」

死神メイド 「度をこしたバカか、よっぽど、本当によっぽどプライドの無い人だと思う」


幼女魔王N 「……ムニャ」


母性巫女 「…………」


死神メイド 「……あなた、本当にもとの世界が懐かしいの?」


199 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/27(木) 04:36:36.98 ID:FeBBaCFT0
>>190
nは死神メイドの予想すら越える弱さなのか…
200 :シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/27(木) 04:58:46.74 ID:UumZJRTHo


母性巫女 「…………」

母性巫女 (懐かしくないはずがないわ)

母性巫女 (呪いで嫌な目にはあったけれど、それ以上に思い出のつまった私の故郷……)


ポワ ポワ ポワ



…………



母性巫女(見習い時代) 『……ふう、やっぱりここのお茶は美味しい』


喫茶店長 『お嬢ちゃんももの好きだね。よく来るけど、その年頃でひとりでお茶なんて』

喫茶店長 『騎士見習いとはいえ、休みくらいみんなでわいわいやるもんだろうに』


母性巫女 『あはは……なんだかいつも時間があわなくて』

母性巫女 『今日もみんな特別な見回りだとかで』


喫茶店長 『へえ、そうなんだ。あたしの時代にゃそんなの無かった気がすっけど』


母性巫女 『はい。不思議ですよね、同じ班なのに』


201 :シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/27(木) 05:02:22.54 ID:UumZJRTHo


母性巫女 『でも、みんな優しいんですよ』

母性巫女 『私も一緒に行こうとしたら、私たちの分まで休みを満喫して……って』


喫茶店長 『…………』

喫茶店長 『あんた、それって……』


母性巫女 『うふふふ……』


喫茶店長 『……くぅっ』

喫茶店長 『待ってな、特大のケーキを用意してやる……!!』


母性巫女 『え、でも……』


喫茶店長 『なにも言うな、あたしの奢りだ……!』


母性巫女 『まあっ……!』

母性巫女 『ありがとうございます。じつは、今日って誕生日だったんです』


喫茶店長 『……くうぅっ』

喫茶店長 『グスッ……特大のろうそくもつけてやらあ!』



202 :シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/27(木) 05:17:30.07 ID:UumZJRTHo



ポワ ポワ ポワ



見習い戦士A 『あの喫茶店潰れたらしいよ』


見習い戦士B 『なんか、お客さんが滅茶苦茶減ってどうにもならなくなったって』


母性巫女 『(行きつけの喫茶店が潰れた……)』

母性巫女 『(店長さんは騎士団に復帰したらしいけど、なんだか寂しい……)』

母性巫女 『……あら?』

母性巫女 『やだわ、また下駄箱の中が土だらけ』

母性巫女 『見習い仲間の言っていた、いたずら精霊さまのしわざね』

母性巫女 『このところ毎日だわ』


雑草のようなもの


母性巫女 『おまけに雑草のようなものまで』

母性巫女 『……んっ……意外と重たい……?』


グ グ

ズボ


雑草のようなもの 『…………』

マンドラゴラ 『ヒシャゲェエエ!!』


203 :シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/27(木) 05:25:03.37 ID:UumZJRTHo


マンドラゴラ 『ションギャレエェエ!!』


キシャー キシャー


母性巫女 「…………」

母性巫女 「……あらやだ」

母性巫女 「雑草かと思ったらマンドラゴラだわ」


見習い戦士C 「大変だー! どこかで暗殺用のマンドラゴラが鳴いているぞ!」

見習い戦士C 「気をつけろ、半径30cm以内なら即死、それ以上の距離でも気絶する威力だ!」


キャー キャー ワー ワー


マンドラゴラ 「ヂューーイ、ヂュウウウイ!!」


母性巫女 「こうやって見ると意外と可愛い……」


ナデ ナデ


204 :シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/27(木) 05:42:05.75 ID:UumZJRTHo


ポワ ポワ ポワ


母性巫女 『……あら』


見習い仲間A 『あ』


見習い仲間たち 『うわっ』


母性巫女 『みんな、今日は早く見回りが終わったんですか?』


見習い仲間B 『そ、そんなところ』


見習い仲間C 『あんたは?』


母性巫女 『行きつけの喫茶店が潰れちゃって、新しいところを探してここへ……』


見習い仲間D 『そ、そうなんだ』


見習い仲間たち 『…………』


見習い仲間E 『……き、奇遇だね!』


母性巫女 『はい』


キ キャ……ッ キャッ

ウフ……フ……


205 :シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/27(木) 06:02:09.88 ID:UumZJRTHo


ポワ ポワ


勇者 『次の戦場では、敵陣に巨大ゴーレムが数体配置されているらしい』


軍師 『我々は、国王軍が敵の部隊を食い止める間に、軍をいくつかの部隊に分けて各個ゴーレムを撃破します』

軍師 『というわけで、攻守のバランスを考えつつ、まず仲良しの三人組をつくってください』

軍師 『母性巫女以外で』


勇者軍のみなさん 『はい!』


母性巫女(勇者軍時代) 『……あ、あの』


軍師 『母性巫女は単独で二体ほど撃破してもらいます』


母性巫女 『え……』


軍師 『あなたの担当となるゴーレムの近くには人間特攻を持つ発情オークも多く配置されているそうなので』

軍師 『気をつけてください』


母性巫女 『発条……?』


206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/27(木) 06:08:16.42 ID:+Cef1DZXo
母性巫女ぇ・・・
207 :シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/27(木) 06:23:23.67 ID:UumZJRTHo


女武闘家 『大丈夫、あんたならやれるよ!』


魔法使い 『そうよ、産卵期のローパーの群れにインキュバスの群れも結局ひとりで撃破できたじゃない!』


ドワーフ娘 『あんたが秘密主義で非協力的な精霊騎士団出身だから捨て駒にもってこいだとか』

ドワーフ娘 『そういうわけじゃないよ』


母性巫女 『は、はい、それはもちろん……』


エルフ姫 『頑張って。あなたにこれを差し上げます』


■娼婦の水着
 どこを隠したいのか分からない神秘の服。
 防御力大幅ダウン。魅力アップ。
 魅了効果。まれに装備者が発情・麻痺状態に。


母性巫女 『これは……私の着ている精霊の服と似ていますが、いったい……』


エルフ姫 『エルフ秘伝の服です』

エルフ姫 『不浄のオークとの戦いできっとナニカの役にたつでしょう』


208 :シャルロッ亭きゅっぷい ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/27(木) 06:40:53.97 ID:UumZJRTHo


母性巫女 『ありがとうございます』

母性巫女 『……素敵な服』


南の聖女 『当然ながら、単独では回復の手段は限られます』

南の聖女 『補助程度ですが、これを渡しておきましょう』


粗悪な薬草


南の聖女 『HPを15ほど回復してくれます。なんとMPも少量回復してくれますよ』


母性巫女(HP8920) 『ありがとうございます』


南の聖女 『それと、万が一に備えてこれを使っておくと良いでしょう』


■インキュバスリーフ
男性ユニットに使うと魅力アップ。異性を魅了。
女性ユニットに使うと発情・魅了の状態異常。
真逆の効果を持つサキュバスリーフも存在する。


南の聖女 『励んでください』


母性巫女 『ありがとうございます』

母性巫女 『こんなに良くしていただいて……なんだか、勇気がわいてきました』


209 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/27(木) 13:35:18.67 ID:UITwsDloO
これで無事な母性巫女すげえな
そして毛玉マジでヤバかったんだな
210 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/27(木) 15:18:34.60 ID:WGhq+Qrf0
母性巫女にどすけべさせてくれと頼んだらさせてくれるのだろうか
211 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/27(木) 18:39:20.96 ID:FeBBaCFT0
毛玉は女性特攻の霧を相当な時間浴びた上だからな…
212 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/27(木) 22:43:01.64 ID:FrRKBrqio
淫魔翌幼女が母性巫女にあっさり鎮圧されたわけだわ
今までの登場人物の中でも相当強いだろ
213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/28(金) 05:01:42.15 ID:O5I9dUvco
というか、あそこの土地がヤバイのか?
狐側にも地元民居たろ
214 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/28(金) 20:09:49.62 ID:ibK1cyv2o

>>210

http://i.imgur.com/XnQca1a.jpg

こんな感じになるけど、
プライドとか理性とか捨てたり、「毎日しないと死ぬ」とか言って頼めば
結局何でもさせてくれる。


215 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/28(金) 20:20:31.04 ID:xAm/lwUno
都合が良い女にも程がある
216 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/28(金) 21:21:12.05 ID:ibK1cyv2o


※幕間


http://i.imgur.com/kXdRdUG.jpg
(チュートリアル画面)



■しもべプラス(ver.巫女プラス)


淫魔幼女 「魔法のしもべ育成ゲーム、しもべプラスver.巫女プラス」


猫耳蛇娘 「魔王か勇者になって、あなた好みのしもべを育てよう!」

猫耳蛇娘 「別売りの魔法の眼鏡や1/1ゴーレムがあれば、よりリアルな触れ合いが楽しめるぞ!」


淫魔幼女 「淀みネットワークに繋げば、他のしもべと対戦や交流も可能だ」


猫耳蛇娘 「駄目駄目なご主人様をお世話するver.Nプラスも同時発売!」


淫魔幼女 「両バージョンとも、全年齢版とR-18版がございますので、ご購入の際はご注意ください」

淫魔幼女 「なお、現在ver.巫女プラスの在庫は全年齢版が少量となっておりますので、ご了承ください」


猫耳蛇娘 「ver.Nは何故か腐るほど残っておるがの」


謎の狐耳 「ver,Nを100セットいただこうか」



………



217 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/28(金) 21:22:28.56 ID:pnZF+RPB0
でもギャグ漫画のごとく膜が硬くて突き破れなそう
218 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/28(金) 21:33:22.84 ID:xAm/lwUno
相変わらずの不人気ピンク
219 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/28(金) 21:47:26.26 ID:ibK1cyv2o


…………


母性巫女 (エトセトラエトセトラ)

母性巫女 「……はい」

母性巫女 「大切な思い出の詰まった故郷です……」


ジィン……


死神メイド 「そう」

死神メイド 「だったら、帰る方法を教えるわ」


母性巫女 「でも……」


幼女魔王N 「…………」


死神メイド 「あなたの都合はどうでも良いけれど」

死神メイド 「…………」

死神メイド 「あなたの世界の、あなたの故郷の仲間たちを滅茶苦茶にした原因のひとつは」

死神メイド 「その幼女魔王Nなのよ」

220 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/28(金) 22:24:59.43 ID:ibK1cyv2o


ソヨ ソヨ

ザワ ザワワ


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「N……」


死神メイド 「……例えば、この野原で遠くの草のひとつを狙って石を投げたとして」

死神メイド 「当たる可能性はとても低いかもしれないけれど」

死神メイド 「それでも、遠くの他の草には当たっていると思うのよ」

死神メイド 「草でなくても、土とか、もしかしたら虫とか花とか、とにかく何かには当たっていると思うのよ」


母性巫女 「…………」


死神メイド 「幸せも、そんなものだと思うわ」

死神メイド 「全く自分の望む形の幸せは、なかなか掴めないとしても」

死神メイド 「他の形の幸せは、じつは掴んでいたりする」

死神メイド 「……そして、その幼女魔王Nは」


幼女魔王N 「…………」


221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/28(金) 22:49:47.31 ID:QP5s8rkO0
>>214
おほっ!
222 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/28(金) 23:37:08.91 ID:ibK1cyv2o


死神メイド 「彼曰く、彼女は知的生物としてはきわめて底が浅いけれど、それゆえに底知れない劣等感の塊なのだそうよ」

死神メイド 「その劣等感も、彼女の実力からすれば自信過剰なのかもしれないけれど……」

死神メイド 「きっと心のどこかで、自分が正しいわけがない、成功するわけがない」

死神メイド 「幸せになれるわけがないと常に思っているのでしょうね」

死神メイド 「そういう惨めなところ、可愛いと思うわ」


幼女魔王N 「……スゥ、スゥ」


母性巫女 「…………」


死神メイド 「彼女は宿で、自分が何者かも分かっていないようだったわ」

死神メイド 「自分にとって何が本当に幸せなのか、何を望んでいるかも漠然としか分かっていないのでしょうね」

死神メイド 「彼女は常に劣等感を抱いているから、今の自分を否定したがる」

死神メイド 「今ある幸せを信じられずに」

死神メイド 「まだ手にしていない、自分にふさわしい幸せに思いを馳せるばかり」


223 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/29(土) 02:07:07.99 ID:gx7JR1Y8o


死神メイド 「…………」


死神メイド は カンペを装備した


死神メイド 「たくさんの魂をおくってきた私から見ても、彼女ほど愚かでみすぼらしい魂の持ち主はなかったわ」

死神メイド 「それが人格にも影響しているのかは知らないけれど」

死神メイド 「彼女の心は、穴だらけの器と同じ」

死神メイド 「ちゃんと修復してからでないと、いくら幸せやら良いものやら注いでも意味がない」


母性巫女 「それは……」

母性巫女 「はい」


死神メイド 「人型のしもべを手に入れて甘えたい」

死神メイド 「それが彼女の、ここのところの望みだったそうよ」

死神メイド 「ギルドの人材紹介窓口に足繁く通ったり、他にもいろいろとしていたみたい」


224 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/29(土) 02:36:09.17 ID:gx7JR1Y8o


幼女魔王N 「…………」


死神メイド 「それは、的外れではなかったと思う」

死神メイド 「常に自分の傍にいて自分の味方でいてくれるものが」

死神メイド 「自分の外側から自分というものを肯定してくれるものが」

死神メイド 「彼女には必要だった」

死神メイド 「自分の心だけで、自分を保つことができないから」

死神メイド 「誰か外側から、助けてくれる人が必要だった。内側と外側から、彼女をかたちづくらなければならなかった」

死神メイド 「彼女という子供には、最初の他人である親のようなものが必要だった」


母性巫女 「…………」


死神メイド 「けれど、そんな人、普通はそうはいないもの」

死神メイド 「無理にそうしようとしても、できないもの」

死神メイド 「自然と本当の家族のようになるなんて」


母性巫女 「…………」


死神メイド 「どうせ見つかるはずがない」

死神メイド 「だから、しもべで良い」

死神メイド 「てきとうな人物を見繕って、絶対服従のしもべにすれば良い」

死神メイド 「彼女の根本の問題は残るけれど、一時的にはかわきを癒せるだろう」

死神メイド 「もしかしたら良い方に向かうかも知れない」

死神メイド 「そうでなかったら、また別の望みをかなえてやれば良い」

死神メイド 「淫魔幼女は、そう考えた」


225 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/08/29(土) 06:14:08.45 ID:gx7JR1Y8o


母性巫女 「淫魔幼女……?」


死神メイド 「この無情の世界では、計画通りにことを運ぼうとすること自体がナンセンスだけれど」

死神メイド 「中でもあなたの存在は、予想外」

死神メイド 「彼女の弱さを受け入れるばかりか」

死神メイド 「劣等感で萎縮した彼女が、ここまで心を委ねられる人がいるなんて」

死神メイド 「……おかげで、結局彼の当初の計画が最大の障害となってしまった」


母性巫女 「…………」


死神メイド 「……未開の世界。女戦士たちの暮らす閉鎖的な森」

死神メイド 「絶好の狩場だった。常人より丈夫なしもべ触手の苗床も集められるし」

死神メイド 「しもべの選別もできる」


母性巫女 「狩場……!?」


死神メイド 「そう」


226 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/29(土) 06:28:44.69 ID:0/zyRWts0
エクス…
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/29(土) 14:51:53.29 ID:kb7FLCtDO
うちの近所のゲーム屋、しもべプラスver.巫女とN(18禁)とN(一般)の3本抱き合わせでしか売ってねえ……
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/30(日) 09:59:56.22 ID:0AJeu13vo
無かったから仕方なく、しもべサージュ買ってきたけどバグで進まねぇ
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/30(日) 23:50:39.05 ID:U2UmNCKY0
N版はひたすら虐め抜くのがオススメ
230 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/09/09(水) 00:42:29.05 ID:ZTBvl4X7o


死神メイド 「彼女も、いつかは自分の力で」

死神メイド 「自分の世界を守れるようにならなくてはいけない」


幼女魔王N 「…………」


死神メイド 「だから、彼女の力になるしもべが必要」

死神メイド 「しもべを増やすための苗床が必要」


母性巫女 「苗床……そのために私の故郷を……」


死神メイド 「どこでも良かったのよ」

死神メイド 「狩りやすければ」


231 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/09/09(水) 00:56:13.43 ID:ZTBvl4X7o


母性巫女 「どこでもって……」


死神メイド 「そういうものよ」

死神メイド 「広い世界は、そういうもの」

死神メイド 「優しい世界をつくりたければ、優しくない世界に打ち勝つ力がいる」

死神メイド 「けれどそれはあなたの考える優しい世界であって、誰かにとっては優しくない世界かもしれない」


母性巫女 「…………」


死神メイド 「絶対の善悪なんてない」

死神メイド 「人間を食べる魔物を責められない。羊の肉を食べる人間を責められない」

死神メイド 「生きている以上、誰かにとっての善で、誰かにとっての悪になることから逃れられない」

死神メイド 「そういうところで、彼女は生きていかなくてはならないの」


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「…………」


232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/09(水) 02:13:39.06 ID:YAfKEKOu0
Nちゃん起きとるん?
233 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/09/09(水) 02:23:11.43 ID:ZTBvl4X7o


死神メイド 「理解してもらえるかしら。彼女にも事情はあるということ」


母性巫女 「……ええ、それは」


死神メイド 「……彼女を庇いたいわけではないのよね」

死神メイド 「彼女がどうなろうと、興味はないもの」


母性巫女 「…………」


死神メイド 「話しておいて」

死神メイド 「その上で、あなたが判断した方が良いと思っただけ」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「……スピー」


死神メイド 「……よく眠るわね、彼女」


234 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/09/09(水) 02:35:53.35 ID:ZTBvl4X7o


死神メイド 「その方が、あなたも気が楽かもしれないわ」


母性巫女 「?」


死神メイド 「あなたは今、彼女のしもべ」

死神メイド 「もとの世界に帰りたいなら、まずは彼女から解放されないと」

死神メイド 「彼女を、殺さないと」


母性巫女 「……!」


死神メイド 「大丈夫、顔色が悪くなったわ」

死神メイド 「良いじゃない。彼女だって、あなたを殺してしもべにしたんだもの」


母性巫女 「駄目です。そんな……」


死神メイド 「彼は理解できないかもしれないけれど」

死神メイド 「あなたをこのまましもべにしていても、彼女は痛み続けるだけだと思うのよね」


235 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/09/09(水) 02:40:43.78 ID:ZTBvl4X7o



死神メイド 「…………」

死神メイド 「はい」


釜のかけら


母性巫女 「……釜のかけら?」


死神メイド 「私が死神時代に使っていた武器の破片」

死神メイド 「これを使えば、世界を渡ることが出来るわ」

死神メイド 「あなたの故郷に、帰ることができるわ」


母性巫女 「それじゃあ……」


死神メイド 「大丈夫。まだあるから」


釜のかけら×7
釜の蓋


母性巫女 「…………」


死神メイド 「シチューつくろうとして、失敗しちゃって」


母性巫女 「そ、そうですか……」



釜のかけら を 手に入れた!


236 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/09(水) 07:52:19.35 ID:fzHxH7i5O
乙!
237 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/09(水) 08:27:10.78 ID:rVhSFk6Fo
釜であってるのか
238 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/09/09(水) 10:50:30.92 ID:ZTBvl4X7o


母性巫女 「ありがとうございます……」


死神メイド 「そう」

死神メイド 「彼女を殺したら、そのアイテムを持って」

死神メイド 「あなたの故郷を思い浮かべて」

死神メイド 「そうすれば、道はひらくわ」

死神メイド 「大丈夫、故郷の世界の記憶は強いから」


母性巫女 「…………」


死神メイド 「…………」


母性巫女 「…………」


死神メイド 「どうしたの。やらないの?」


239 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/09/09(水) 11:03:11.31 ID:ZTBvl4X7o


母性巫女 「…………」


死神メイド 「迷っているの?」

死神メイド 「彼女を殺さないということは」

死神メイド 「あなたの人生を否定することにはならないの?」

死神メイド 「迷っていては、あなたの人生のため犠牲にしてきたものへ、失礼ではないの?」

死神メイド 「いろんなものを食べてきたでしょ。いろんなものを殺してきたでしょ」


母性巫女 「…………」

母性巫女 (私の人生)

母性巫女 (精霊さまにつかえて、修行して、魔王の手先である魔物たちから世界を守るため……)


死神メイド 「あなたにとって、あなたの生まれ育った世界はその程度だというの」

死神メイド 「だとしたら」

死神メイド 「ひどい人ね、あなた」


母性巫女 「…………」


240 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/09/09(水) 11:12:18.39 ID:ZTBvl4X7o


母性巫女 (嘘じゃなかったと思う)

母性巫女 (魔王を打ち倒せばきっと良い世界になると信じて、私は勇者さまの隊に加わったのだと思う)

母性巫女 (でも……)


死神メイド 「……だけど」

死神メイド 「きっとそれは大事なこと」

死神メイド 「よく考えて、決めると良いと思う」


母性巫女 「……はい」


死神メイド 「それでも、早く決めた方が良い」

死神メイド 「のんびりと、終わりはそこまで来ているから」



…………


241 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/09/09(水) 11:16:41.53 ID:ZTBvl4X7o



…………



母性巫女 『……N。……N』


幼女魔王N 『うーん……?』


母性巫女 『もう、そんな犬小屋で寝てたら風邪をひきますよ』

母性巫女 『早く出て、自分の部屋のベッドで寝なさい』


幼女魔王N 『……やだもん』

幼女魔王N 『ここが落ち着くんだもん。絶対出ないもん』


母性巫女 『……そうですか』

母性巫女 『しかたありませんね』


幼女魔王N 『…………え?』


242 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/09/09(水) 11:24:54.26 ID:ZTBvl4X7o


淫魔幼女 『こいつは駄目だ。手に負えない愚か者だ』


可憐少女 『置いていきましょう』


母性巫女 『そうですね』

母性巫女 『さようなら、N』


テク テク テク



幼女魔王N 『え……?』



淫魔幼女・詐欺商人 『ワイワイ』


可憐少女・牧師 『ペチャクチャ』


星魔法少女隊 『キャッキャ』


黒髪の女・桃髪の男 『…………』


その他親友の皆さん 『…………』


テク テク テク テク



幼女魔王N 『ま、待って……みん……』



??? 『みんな、待ってえ』


243 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/09/09(水) 11:37:19.65 ID:ZTBvl4X7o


幼女魔王N 『あれは……』



??? 『待って、みんな』

真幼女魔王 『待ってえ』


トタ トタ トタ トタ



幼女魔王N 『スカートのふくらんだ、お姫さまみたいな可愛い子……誰かしら』

幼女魔王N 『みんなとは違う方へ走っていく……』

幼女魔王N 『……ああ、あっちにも、誰かいる』



謎の狐耳 『遅かったじゃないか、可愛い妹』


赤鎧王子 『待ちくたびれて鎧も錆びてしまった』


青服王子 『はしたないですよ、そんなに走って』


真幼女魔王 『ごめんなさい』


黒髪王女 『怪我はなかった?』


桃髪王子 『怖くはなかった?』


真幼女魔王 『ええ、平気』


旧美触手 『…………』


アハハ ウフフ



幼女魔王N 『……何なのかしら、あっち』

幼女魔王N 『懐かしいのに、見ているととても不安……』



244 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/09/09(水) 11:46:28.11 ID:ZTBvl4X7o


幼女魔王N (分からないけれど、分かるような、不思議な感覚……)



アハハ ウフフ


金狐魔王 『みな揃ったか』


棺持ち 『はい』


淫魔幼女 『では出発』


テク テク テク


真幼女魔王 『……ああ、そうだ。待っていて』


トタ トタ トタ



幼女魔王N 『……さっきの子が近づいてくる』


トタ トタ トタ

トタ


真幼女魔王 『…………』


幼女魔王N 『…………』


真幼女魔王 『……あなたには』

真幼女魔王 『こっちはあげない』


245 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/09/09(水) 11:50:10.92 ID:ZTBvl4X7o


真幼女魔王 『ずっと、分からなくて良いの』

真幼女魔王 『あっかんべえ』


幼女魔王N 『あ、あの……』


ガチャン ボカン


幼女魔王N 『きゃひょっ!?』

幼女魔王N 『な、何、何……!?』

幼女魔王N 『………?』


シイン


幼女魔王N 『……ちょっと目を閉じた隙に』

幼女魔王N 『いなくなっちゃった』

幼女魔王N 『あっちの人たちも……』


246 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/09/09(水) 11:52:20.73 ID:ZTBvl4X7o


幼女魔王N 『…………』

幼女魔王N 『……あ』

幼女魔王N 『母性巫女……』


キョロ キョロ


幼女魔王N 「…………」


シィン


幼女魔王N 「……いない」

幼女魔王N 「ひとりになっちゃった……」



…………

…………


247 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/09/09(水) 11:57:56.38 ID:ZTBvl4X7o




幼女魔王Nの城 犬小屋



ソヨ ソヨ ソヨ


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……モガ」

幼女魔王N 「ふにゃ……?」


ソヨ ソヨ ソヨ


幼女魔王N 「どこかしら、ここ」

幼女魔王N 「……ああ、犬小屋か」


ソヨ ソヨ


幼女魔王N 「……ずいぶん長いこと眠っていたような気がする。こわい夢も見た気がするし」

幼女魔王N 「体がだるい」

幼女魔王N 「……あ」

幼女魔王N 「母性巫女……!」


キョロ キョロ


248 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/09/09(水) 12:00:09.68 ID:ZTBvl4X7o


母性巫女 「おはようございます、魔王さま」


ニコ


幼女魔王N 「いた。ホッ……」


母性巫女 「おはようございます」


幼女魔王N (……ああ、そうか)

幼女魔王N 「おはよう……」


母性巫女 「…………」


ニコ


幼女魔王N 「…………」


249 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/09/09(水) 12:19:43.61 ID:ZTBvl4X7o


幼女魔王N 「ちっとも母性巫女っぽくない」

幼女魔王N 「でも指示するの、気がすすまないのよね……」

幼女魔王N 「どうせつくりものなんだし……」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「はあ……」


母性巫女 「大丈夫ですか、魔王さま?」


幼女魔王N 「うん……」


母性巫女 「…………」


ニコ


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……ん?」


魔法少女の杖


幼女魔王N 「……何かしら、あれ」


250 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/09/09(水) 12:30:06.61 ID:ZTBvl4X7o


魔法少女の杖


幼女魔王N 「……へえー、可愛い」

幼女魔王N 「でも私、こんなおもちゃ買ったっけ……?」

幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……触手魔法少女N子、トキメキへんし〜ん」

幼女魔王N 「なんちゃってー」


クルリ

ヨロ


幼女魔王N 「あ」


ズデン


幼女魔王N 「うげっ」

幼女魔王N (思いっきりこけた。恥ずかしい)


母性巫女 「…………」


ニコ


幼女魔王N (恥ずかしい……!)


251 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/09/09(水) 14:04:37.80 ID:ZTBvl4X7o


ヨロ ヨロ


幼女魔王N 「……ふ、ふん」

幼女魔王N 「なによ、魔女っ子ごっこなんてバカみたい」

幼女魔王N 「私、もうそんな歳じゃないもん」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「……くあぁ」

幼女魔王N 「……眠い」


ソヨ ソヨ ソヨ


幼女魔王N 「どうせ起きていても良いことないし」

幼女魔王N 「寝ましょ……」


シャン


幼女魔王N 「……?」

幼女魔王N 「どこからか、鈴の音?」



252 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/09/09(水) 14:12:20.61 ID:ZTBvl4X7o


シャン シャン シャン


幼女魔王N 「近づいてくる」

幼女魔王N 「いったいどこから……」


シャン シャン……

バリン


幼女魔王N 「!?」


バリ バリ バリ


幼女魔王N 「空間に、裂け目……」

幼女魔王N 「……え、誰かが渡ってくる!?」


バリ バリ


幼女魔王N 「淫魔幼女?」

幼女魔王N 「……いや、なんだか違う感じ」

幼女魔王N 「どどどど、どうしよう……」


バリ バリ バリ


253 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/09/09(水) 14:28:24.01 ID:ZTBvl4X7o


バリ バリ

ヒラリ


幼女魔王N 「……空間の裂け目から何か出てきた」


おふだ13


幼女魔王N 「紙切れ?」

幼女魔王N 「……触らない方が良さそう」


ヒラ ヒラ ヒラ

ボワン


幼女魔王N 「!?」

幼女魔王N (紙切れが人のかたちになった!)


??? 「…………」

??? 「むふっふっふっふ……」

猫耳蛇娘 「わし、華麗に参上」


幼女魔王N 「……?」

幼女魔王N (誰かしら)


254 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/09/09(水) 14:43:24.47 ID:ZTBvl4X7o


猫耳蛇娘 「本当に何もないところじゃな」

猫耳蛇娘 「んん〜、そのせいか空気はうまいのう」

猫耳蛇娘 「ごろにゃん、ごろにゃん」


幼女魔王N (猫の耳がはえたヒト……キャットエンスかしら)

幼女魔王N (私より少しだけ歳上みたいだけど、白い髪……きっと苦労しているのね)


猫耳蛇娘 「……ふむ」

猫耳蛇娘 「そしてお前が噂の、どピンクのクソ娘じゃな」


幼女魔王N 「いろいろ余計よ」



255 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/09(水) 15:23:31.24 ID:N9G/TwmaO
猫耳の蛇娘てどんなだ
256 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/09(水) 15:36:45.77 ID:YAfKEKOu0
まん!
257 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/09(水) 18:05:41.92 ID:UvwBvSt6O
258 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/09/09(水) 21:38:52.81 ID:ZTBvl4X7o


猫耳蛇娘 「お前の噂は聞いておる」

猫耳蛇娘 「たいへんおいしい料理をつくられるそうですね」


幼女魔王N (なんか苦手な人だわ……)

幼女魔王N (でも、悪い人じゃなさそう?)

幼女魔王N (杖を持っていて、お腹丸出しの異国情緒あふれる服を着ている)

幼女魔王N (たぶん踊り子か手品師といった感じだけど……)

幼女魔王N 「あ、あなたは誰ですか……誰なの?」


猫耳蛇娘 「ワシは猫耳蛇娘」

猫耳蛇娘 「職業は乙女じゃ」


幼女魔王N 「へ、へええ」

幼女魔王N (私のことを知ってるって言ったわよね)

幼女魔王N (どこかで私の噂を聞いたみたいだし)

幼女魔王N (……そっかあ、私も有名になっちゃったかあ)

幼女魔王N (これを機に、アイドル魔王になんかなっちゃったりして)

幼女魔王N 「うへへへへ……」


猫耳蛇娘 「……噂どおり、気持ち悪い娘じゃな」


259 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/10(木) 08:13:19.61 ID:cqAIOl1N0
ナチュラルに巫女が>>242とかでも混ざれてなくて泣いた
260 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/21(月) 23:46:17.83 ID:1XfoDN290
そろそろかな
261 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/22(火) 00:12:23.16 ID:aVRXnBX5O
あと786,992秒後に来るよ
262 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/09/22(火) 01:20:27.76 ID:+PNuQx2F0
更新来たかと思ったじゃねえかさっさと[ピーーー]
263 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/23(水) 02:18:18.25 ID:KYwgX6gw0
sageてるやんけ
264 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2015/09/29(火) 01:03:30.19 ID:Qs8RPZ4jo


http://i.imgur.com/ZqD0My9.jpg



265 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/29(火) 01:31:39.08 ID:ZekgsQcd0
かわいい
266 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/09/29(火) 01:40:15.20 ID:Qs8RPZ4jo


猫耳蛇娘 「まあ良いわ。仕事じゃし」

猫耳蛇娘 「これ、そこのヘソ出し魔王、ちょっと……」


幼女魔王N 「うへへへ」

幼女魔王N 「アイドルかあ、困っちゃうなあ……いやいや、私がアイドルなんてそんな大それた……」

幼女魔王N 「そうよ。美人じゃないし、貧乳だし、ドジだし、お尻もちょっぴり大きいし太モモも……」

幼女魔王N 「でも、体やわらかいし、それに美人じゃなくても、もしかしたら庶民派アイドルとして……」

幼女魔王N 「えへへへ……でもぉ、ほら、わたし魔王だしぃ、専念したいしぃ、アイドルなんて急に言われてもどうしよう困っちゃう……えへへへ」


猫耳蛇娘 「これ、キモロリ」


幼女魔王N 「いつ見ているだけだった魔動画の向こう側に立っちゃうのかあ」

幼女魔王N 「……最初は歌と踊りで、そのうち舞台とかアニメの役に大抜擢されちゃって」

幼女魔王N 「で、映画化されたりペニステでゲーム化されたりして……」


猫耳蛇娘 「キモピンク」


幼女魔王N 「あひゃうん……私、もう素顔で外を歩けなくなっちゃうー!」

幼女魔王N 「えへへへへ……!」


クネ クネ クネ クネ


猫耳蛇娘 「……何なんじゃ、このクソキモいピンクは」


267 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/09/29(火) 08:34:58.88 ID:Qs8RPZ4jo


猫耳蛇娘 「おい、ちょっと。へそピンク」


幼女魔王N 「えへへ……」

幼女魔王N 「えっ、好きな人?」

幼女魔王N 「もちろん………います」

幼女魔王N 「エーーーッ!!? 嘘だ、Nたんに彼氏だなんてーー! ……と、絶望の悲鳴をあげるファンたち」

幼女魔王N 「そこで私は悪戯っぽく笑って」

幼女魔王N 「うふふ……私の大好きな人。それはぁ……」

幼女魔王N 「こうして集まってくれたみんなですぅ! 私のハートは、みんなのものなのぉ!」

幼女魔王N 「うおぉおー! Nたーん! Nちゃーん!」


ピョーン ピョーン


猫耳蛇娘 「じゃから、おい……」


268 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/09/29(火) 09:03:21.87 ID:Qs8RPZ4jo


幼女魔王N 「お休みは、第三大世界同盟の貴族も予約がとれないという超高級リゾート世界で」

幼女魔王N 「マネージャー兼しもべの母性巫女と一緒に、サンセットビーチでのんびりと……」

幼女魔王N 「……どうかしら、母性巫女。ちょっとイルカとチンピラの多いところだけど、なかなか良いビーチではなくて?」

幼女魔王N 「いつも頑張ってくれるあなたへの、ちょっとした恩返しよ。ちなみに今日は宇宙大統領大臣からお菓子パーティーに誘われたけど断ったわ」

幼女魔王N 「……とっても素敵です。ありがとうございます、N」

幼女魔王N 「立派になりましたね。アイドルとしても、魔王としても」

幼女魔王N 「ご褒美に、ベッドの上でお菓子を食べても怒らないし、おっぱいを飲ませてあげます」

幼女魔王N 「……わーーーい!」

幼女魔王N 「えふえへへへ……ひゅへへへ……!!」


ゴロ ゴロ

クネクネクネクネ


猫耳蛇娘 「本当に何なのじゃ、この娘」

猫耳蛇娘 「脳みそのどの辺をいじったら、この若さでこんな破綻してキモくなれるんじゃ……」


幼女魔王N 「母性巫女ー、母性巫女ー」

幼女魔王N 「あ……」


母性巫女 「…………」


269 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/29(火) 10:49:12.21 ID:pf9CIPlxO
ピンクの頭ピンクさが更に上がってるだと!?
270 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/09/29(火) 11:04:49.69 ID:Qs8RPZ4jo


母性巫女 「…………」


ニコ


幼女魔王N 「……そうか、そうだったわね。母性巫女はもう……」

幼女魔王N 「えへへ、馬鹿みたい、私」


グスン 


猫耳蛇娘 「泣き出しとるし」

猫耳蛇娘 「この面倒くささ。たしかに、怖がらせて押さえつけとくのが楽な扱い方のようじゃが」

猫耳蛇娘 「……おい、もう良いか、ピンク」


幼女魔王N 「……え?」

幼女魔王N 「ああ、ええ……」

幼女魔王N 「ごめんなさい。私はもう引退したの。これからはただの一般人として、ひっそりと生きていきたいから」

幼女魔王N 「悪いけど、帰ってくださるかしら……グスン」


猫耳蛇娘 「…………」


271 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/29(火) 11:34:50.81 ID:H3+2g9QAo
よし、殴ろう
272 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/09/29(火) 11:54:22.76 ID:Qs8RPZ4jo


猫耳蛇娘 「そうしたいのはやまやまじゃが、今すぐ帰っておぬしを記憶から消したいが」

猫耳蛇娘 「まことに遺憾ながら、これ仕事じゃから」


幼女魔王N 「……仕事」

幼女魔王N 「もしかして、お城の修理の人?」


猫耳蛇娘 「うん、まあ、そんな感じじゃな」


幼女魔王N 「そう……でも、私はそんなの頼んだ記憶がないの」

幼女魔王N 「悪いけど帰ってもらえるかしら……」


母性巫女 「…………」


猫耳蛇娘 「まあ、そうつれないことを言うでない」

猫耳蛇娘 「ワシのような腕っこきの結界術師をご利用できるなんて、かなりお得なんじゃぞ?」

猫耳蛇娘 「ワシを貸切でご利用するのは、大世界中の青少年の夢と憧れと欲望といっても過言ではない」

猫耳蛇娘 「うっふん」


幼女魔王N (気持ち悪い)


273 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/09/29(火) 14:02:34.25 ID:Qs8RPZ4jo


猫耳蛇娘 「この前ものう、ある世界のある山村で、モンスター封印の舞をすることになったんじゃがのー」

猫耳蛇娘 「ほら、ワシってこんな服じゃろ? 舞っている間中、こことかこの辺の隙間とか……」

猫耳蛇娘 「縦も横もワシの倍はあろうかという山育ちの男たちの、逞しい視線が釘付けでのー」

猫耳蛇娘 「いやーんだったのじゃあ。ごろにゃんごろにゃん」


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「…………」


猫耳蛇娘 「この間なんかものう、南国の子供たちに恵みの舞を披露したんじゃがのー」

猫耳蛇娘 「ほら、ワシって仕事がら下着とか装備しないじゃん? それがどういうわけか風の噂で子供たちに知られとったらしくてのー」

猫耳蛇娘 「舞っている間中、幼い視線がわらわらと絡みついてきてのー。ハラハラドキドキだったんじゃよー」


幼女魔王N 「…………」


猫耳蛇娘 「これがもう逃げ場が無いんじゃよ。あらゆる方向から見られるんじゃもの」

猫耳蛇娘 「無邪気な視線が、こことかこの辺の隙間とかから服の下に潜り込んできて、容赦なく舐めるように全身を撫で回してのー」

猫耳蛇娘 「いやーん、このワシが、子供ごときに身も心もメロメロの丸裸にされちゃうなんてー!」

猫耳蛇娘 「だったのじゃ」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……あ、うん」

幼女魔王N 「そうだね……私も、そう思うよ?」


猫耳蛇娘 「何が?」


274 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2015/09/29(火) 14:12:34.85 ID:Qs8RPZ4jo



http://i.imgur.com/oDlYlO2.jpg


猫耳蛇娘 「ほら、ワシってこんな服じゃろ?」


275 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/29(火) 14:23:59.72 ID:NxwDFaePo
>>274
下着装備してますやん?
276 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2015/09/29(火) 14:45:49.12 ID:Qs8RPZ4jo


幼女魔王N 「ごめんなさい。なんか、圧倒されちゃって」

幼女魔王N 「私、そういう下品なのとは無縁だから」

幼女魔王N 「一家団欒のお茶の間に安心してお見せできる人生しか、送ってないから……」


猫耳蛇娘 「下っ腹ぎりぎりにスカートはいとるくせに何を言っとるの?」

猫耳蛇娘 「とにかくじゃ、ワシを一時的にでも雇えるというのは、羨ましいことなのじゃぞ」

猫耳蛇娘 「ここはひとつ、良い経験だと思って」


幼女魔王N 「そう言われても」

幼女魔王N 「貧乳だし……」


猫耳蛇娘 「敷き殺すぞ」

猫耳蛇娘 「いやいや、本当にお得じゃぞ? 友達に自慢できるぞ?」

猫耳蛇娘 「……あ、すまん、友達おらんかったの」


幼女魔王N 「ぶっ飛ばすわよ」


母性巫女 「…………」


277 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/09/29(火) 16:23:41.90 ID:Qs8RPZ4jo


幼女魔王N 「何なのよあなた、いきなり出てきてちょくちょく訳知り顔で」

幼女魔王N 「どうせあれでしょ。結界とか言って、本当はお城中の空気がおならのニオイになる呪いとかかけるんでしょ」


猫耳蛇娘 「そんな呪い知らんわい」

猫耳蛇娘 「まあ良い、特別サービスじゃ。ワシの凄さを見せてやる」


ガサゴソ ピラ


おふだ


幼女魔王N 「汚れた紙くず」


猫耳蛇娘 「おふだじゃボケ! 紙くずて……」

猫耳蛇娘 「コホン。それでは、まず……」

猫耳蛇娘 「おぬし、ちょっとスカートの前めくれ」


幼女魔王N 「はい」


ピラ


猫耳蛇娘 「にゃんっ!?」

猫耳蛇娘 「ワシのじゃないわい!」


幼女魔王N 「!!」


猫耳蛇娘 「自分のをめくれっちゅうとるの!」


幼女魔王N 「え゛……い、嫌よ!」


猫耳蛇娘 「良いじゃろう! 減るもんじゃなし。スパッツはいとるし!」


幼女魔王N 「嫌よッッ!!!」


猫耳蛇娘 「!!」


278 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/09/29(火) 16:31:34.31 ID:Qs8RPZ4jo


猫耳蛇娘 「めくれ!」


幼女魔王N 「嫌よ!」


猫耳蛇娘 「めくれ!」


幼女魔王N 「嫌だってば!」


猫耳蛇娘 「飴やるから!」


幼女魔王N 「いらないわよ!」


猫耳蛇娘 「二個やるから!」


幼女魔王N 「仕方ないわね!」


……………ピラ


猫耳蛇娘 「…………プッ。こやつ魔王のくせにウサギさんパンツなんかはいとる。かーわいーいー」

猫耳蛇娘 「記録してあとで全世界にばらまいちゃろ」


パシャ


幼女魔王N 「あんた何しに来たのよ!!」


279 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/09/29(火) 16:49:15.41 ID:Qs8RPZ4jo


ドカ ボカ

ギャア ギャア


猫耳蛇娘 「……で、次にスパッツの上にこの札をはるわけじゃ」


幼女魔王N 「う、うん……」

幼女魔王N (女の子同士とはいえ恥ずかしい。自分でスカートの前をめくるなんて)


猫耳蛇娘 「…………」


幼女魔王N 「……あの、早くはってくれないかしら」


猫耳蛇娘 「……おぬし、なんでスパッツの下にパンツはいとるの?」


幼女魔王N 「だって透けちゃうし、よく破れるし」

幼女魔王N 「良いから早く」


猫耳蛇娘 「分かった分かった、せかすでない」

猫耳蛇娘 「…………」


幼女魔王N 「…………」


猫耳蛇娘 「レギンスと思って見るとそうでもないが」

猫耳蛇娘 「スパッツと思って見ると、何かこう」

猫耳蛇娘 「途端にえろい眺めじゃな、これは」


幼女魔王N 「…………」


猫耳蛇娘 「神秘……じゃねッ」


幼女魔王N 「早く!」


280 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/09/29(火) 17:03:53.28 ID:Qs8RPZ4jo


ソヨ ソヨ


猫耳蛇娘 「……ど、こ、に、し、よ、う、か、の」

猫耳蛇娘 「へ、び、が、み、さ、ま、の……」


幼女魔王N 「どこでも良いから、早く……」


猫耳蛇娘 「い、う、とりゃ!」


ペタ


幼女魔王N 「ひゅんっ!?」

幼女魔王N 「ちょ、ちょっと、いきなりそんな強く……!」


ペタ ペタ ペタ


幼女魔王N 「ちょっ……何度もペチョペチョ叩くなあ!」


猫耳蛇娘 「しっかりはらんとな。ノリがな」


幼女魔王N 「そのあたりは魔法で何とかならないの……」


猫耳蛇娘 「……よし、これでオーケィじゃ」


281 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/09/29(火) 17:11:37.23 ID:Qs8RPZ4jo


幼女魔王N 「うぅ…………」


猫耳蛇娘 「では、次に」

猫耳蛇娘 「おぬし、自分のはいているスパッツを脱げ」


幼女魔王N 「嫌だ」


猫耳蛇娘 「パンツ、うさぎ」


幼女魔王N 「わ、分かったわよ……」


ガサ ゴソ


猫耳蛇娘 「ちょろいのー、魔王のくせに……」


幼女魔王N 「うるさ……」

幼女魔王N 「あ、あれ……ちょっと、これ……?」


ガサ ゴソ ガサ


幼女魔王N 「ぜんぜん脱げない……」


282 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/29(火) 17:53:57.78 ID://946uIhO
呪われたじゃねーか
283 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/09/29(火) 18:09:05.91 ID:Qs8RPZ4jo


グイ グイ グイ


幼女魔王N 「ダメだわ。ど、どうなっているの」

幼女魔王N 「……隙間に手を突っ込むこともできない!」


モゾ モゾ モゾ


猫耳蛇娘 「ふっふっふ……」

猫耳蛇娘 「どうじゃ、これがワシの結界術師としての力じゃ」

猫耳蛇娘 「ちなみにそのおふだは、装備脱がし無効の効果があるぞう」


幼女魔王N 「ふにゅにゅにゅにゅ……」


グイ グイ グイ


猫耳蛇娘 「装備品破壊系の技は結構厄介でな。結構役に立つおふだなのじゃ」

猫耳蛇娘 「とくに、お洒落な女性冒険者には……」

猫耳蛇娘 「いや、女性冒険者には実は必須のアイテムと言っても良い」


284 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/09/29(火) 18:22:22.09 ID:Qs8RPZ4jo


猫耳蛇娘 「なにせ、他種族の雌を繁殖に利用するモンスターは多いからのー」

猫耳蛇娘 「生命に関しては、男性より女性の方が優秀ということじゃなあ」

猫耳蛇娘 「まあ、とにかく、これさえあれば」

猫耳蛇娘 「卵スライムやインキュバス虫の巣に突っ込んでも、最悪死ぬだけで済むっちゅうわけじゃ」



幼女魔王N 「……母性巫女!」



猫耳蛇娘 「どうじゃ。すごいじゃろー、ワシ」

猫耳蛇娘 「装備品保護系のおふだはつくるのが難しいんじゃが」

猫耳蛇娘 「天才美少女猫耳蛇娘ちゃんなら、パパっとできちゃうわけじゃあ……」



母性巫女 「はい、魔王さま」


ニコ


幼女魔王N 「脱がせてー」


ガバ


母性巫女 「はいはい……」


ニコ



猫耳蛇娘 「かっかっかっか」

猫耳蛇娘 「無駄じゃ無駄じゃ」



母性巫女 「…………」


スルリ スポン


幼女魔王N 「脱げた」



猫耳蛇娘 「なん蛇と!?」


285 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/09/29(火) 18:31:37.78 ID:Qs8RPZ4jo


猫耳蛇娘 「…………」


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「…………」


猫耳蛇娘 「……ふ、ふむ」

猫耳蛇娘 「なるほど、いや、そうかそうか」


幼女魔王N 「?」


猫耳蛇娘 「あれか、そっちの人間は人間かと思ったら、牛鬼か上位ミノタウルスの血をひいておったか」

猫耳蛇娘 「どうりで、人間にしてはありえない胸をしておると思うた」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「いや、あの……」


猫耳蛇娘 「いやー、そうかそうか。それじゃあしかたないのう!」

猫耳蛇娘 「にゃははははははは……!!」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……見苦しい女ね」


猫耳蛇娘 「おぬしに言われとうないわ」


286 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/09/29(火) 23:13:51.54 ID:Qs8RPZ4jo


幼女魔王N 「見苦しい女」


猫耳蛇娘 「うっさいわい」

猫耳蛇娘 「……まあ、おぬしがいくら断ろうが、ワシもひくつもりなどないがの」

猫耳蛇娘 「そういう契約じゃ」


幼女魔王N 「…………」


猫耳蛇娘 「だいたい、今こうしておぬしがしもべを従えておられるのも、ワシの力があってこそなんじゃぞ?」

猫耳蛇娘 「精霊が支配する森一つを支配下におきつつ、魔法使いが百人のっても大丈夫な結界をつくるため」

猫耳蛇娘 「いったいどれほどの睡眠時間が削られたかと……」


幼女魔王N 「…………」


猫耳蛇娘 「まったく、あやつと知り合ってからろくなことがないわい」

猫耳蛇娘 「ギルド長も何故にワシをあの鬼畜外道と……」


幼女魔王N 「…………」


ボソボソ ブツブツ


猫耳蛇娘 「…………」

猫耳蛇娘 「……おい?」


幼女魔王N 「……ブツブツブツブツ」


猫耳蛇娘 「…………」


幼女魔王N 「……ボソボソボソボソ」


猫耳蛇娘 「……何じゃ、急にボソボソ独り言を始めおって」

猫耳蛇娘 「おぬし、やっぱ壊れとるんかい」


287 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/09/29(火) 23:22:15.27 ID:Qs8RPZ4jo


幼女魔王N 「……ブツブツブツブツ」


猫耳蛇娘 「……まあ、一度話しておきたかっただけじゃし」

猫耳蛇娘 「そうしておってもらった方が助かるがの」

猫耳蛇娘 「さて、まずはこの世界の結界の様子を調べねばな……」


幼女魔王N 「ブツブツブツブツ……あ」

幼女魔王N 「時間だわ」


猫耳蛇娘 「?」


幼女魔王N 「出てきて」


ズ ズ ズ ズ


美触手 「…………」


幼女魔王N 「……うん。じゃあ、お願いします」

幼女魔王N 「今日こそうまくいくと良いわね」


288 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/09/29(火) 23:29:39.86 ID:Qs8RPZ4jo


美触手 「…………」

美触手 「………ッ」


ヒュン ズバ


幼女魔王N 「…………」


ボト


幼女魔王Nの頭 「…………」


カチャ カチャ


幼女魔王N の 復活!


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「駄目みたいね」

幼女魔王N 「もう一回おねがい」


美触手 「…………」


ヒュン ズバ

ボト

ヒュン ズバ

ボト

ヒュン ズパ

ボト



猫耳蛇娘 「…………」

猫耳蛇娘 「……淫魔幼女よ。おぬしのやることが裏目に出るのは珍しいことじゃないが」

猫耳蛇娘 「これ、もう手遅れじゃね?」



ヒュン ズバ

ボト

289 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/09/29(火) 23:38:20.75 ID:ZekgsQcd0
N・・・ちゅあん・・・?
290 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/09/29(火) 23:45:52.36 ID:Qs8RPZ4jo


幼女魔王Nの世界 浮島



ソヨ ソヨ

ザ ザ ザ


猫耳蛇娘 「しもべの儀式を無かったことにでもする気なんじゃろうか」

猫耳蛇娘 「不滅とはいえ、死ぬのはデメリットも多いじゃろうに。滅茶苦茶痛いというし」

猫耳蛇娘 「……ま、ワシはワシの仕事をするだけじゃ」


ザ ザ ザ


猫耳蛇娘 「よっ、ほっ……っと……うにゃうにゃ、本当に小さい世界じゃのー」

猫耳蛇娘 「野原と森と城……どっかの庭をひっぺがして空に放り投げたみたいじゃ」


291 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/09/30(水) 00:00:52.57 ID:VP4LUJfXo



幼女魔王Nの世界 岩の浮島 虹の滝



ヒュウウウ

サワサワ ザザザ


猫耳蛇娘 「おほほー……水がきらきらと、空の奈落へ落ちていくわ」

猫耳蛇娘 「いったいどこまで落ちるんじゃろうな。どっかの世界で雨にでもなるんじゃろうか」

猫耳蛇娘 「……神秘、じゃな」


ド ド ド ド ド


猫耳蛇娘 「……ふむ」


お隣の世界


猫耳蛇娘 「隣の世界が肉眼で見えておる。そうとう近いの」

猫耳蛇娘 「まあ、じゃからと言って体ひとつで渡るのは無理なのじゃろうが」


ゴウン ゴウン


猫耳蛇娘 「……越界飛行船か。いろいろな世界にひらけておるのじゃな、あそこは」

猫耳蛇娘 「ふーむ、青い空を雲のようにゆったりと行き交うさまは、気だるい昼下がりの海を眺めとるようじゃ」

猫耳蛇娘 「大世界同士の衝突がせまりゴタゴタしておると聞いたが、存外のどかなもんじゃのう」


292 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/30(水) 07:30:47.25 ID:H2MRvswuO
乙!
293 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/30(水) 08:31:45.47 ID:ZRUbOgav0
正直幼女が不憫でならない
294 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/09/30(水) 12:48:00.14 ID:VP4LUJfXo


猫耳蛇娘 「しかし」

猫耳蛇娘 「あんな世界の近くに浮かんでいて、新米魔王のおさめるこの小さな世界」

猫耳蛇娘 「たいしたダンジョンもなし、アイテムの補給もあの世界でできるじゃろうし」

猫耳蛇娘 「駆け出しの勇者が最初に攻略するレベルじゃ」


ザアアア


猫耳蛇娘 「……他魔王勢力も攻め込むはず」

猫耳蛇娘 「領地としてのうまみはあんま無さそうじゃが」

猫耳蛇娘 「何度死んでも生き返る上に弱っちく、未成熟とはいえモンスターを幅広く身篭れる人型の雌など」

猫耳蛇娘 「でっかい宝が剥き出しで転がっとるようなもんじゃ」


295 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/09/30(水) 20:26:03.11 ID:VP4LUJfXo


サワサワ ザアアア


猫耳蛇娘 「……多くの世界と繋がっているかまたはその近くに存在する世界は、わりと強力な力を有しているもの」

猫耳蛇娘 「じゃが、ここはそうではない。統治者はご覧のとおりじゃったし、兵隊も見当たらん」

猫耳蛇娘 「にも関わらず、敵意をもって訪ねる者もなく、こうしてのほほんと時が過ぎている」

猫耳蛇娘 「道魔法少女の奴は、情報なしでここに辿り着くのは難しかったと言っておったが」

猫耳蛇娘 「うむ、よほど強力な結界に守られていたんじゃな」

猫耳蛇娘 「……しかしあのアホ淫魔は、あろうことかそれを破らせようとした」


ガサ ゴソ


人魂塩おにぎり


猫耳蛇娘 「ガブリ、ムシャムシャ……」

猫耳蛇娘 「あっふぅん、ワシってばまたおにぎり作るの上手になっちゃったのー」

猫耳蛇娘 「良いお嫁さんになれるぞう」


ムシャ ムシャ


猫耳蛇娘 「……命よりも、誇りとかそういうものが大事と考えとるんじゃろうか」

猫耳蛇娘 「うーむ、育ちの良い奴の考えることは分からん」


ガサ ゴソ


水筒(小)


キュ キュ ガポ

トポトポトポ


猫耳蛇娘 「まあ、なるようになれじゃ。どうせそろそろ終わりじゃし」

猫耳蛇娘 「さあて、昼飯を終えたら仕事じゃあ」


ゴク ゴク ゴク



296 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sape]:2015/09/30(水) 23:07:43.62 ID:jYIdyFVe0
悪い娘じゃったか・・・
297 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/10/01(木) 00:04:37.62 ID:v1FJtpwRo


幼女魔王Nの世界 城前



幼女魔王N 「…………」


ザ ザ ザ ザ


??? 「……おう」


幼女魔王N 「……?」


??? 「なんじゃ、連続自殺は終わったんかい」

猫耳蛇娘 「続いとってもらった方が仕事はしやすかったんじゃが」


幼女魔王N 「……自殺?」

幼女魔王N 「な、なに言っているのよ。私がそんなことするわけないじゃない」

幼女魔王N 「私はただ……」

幼女魔王N 「何してたんだっけ?」


猫耳蛇娘 「……まあ良いわい」


ガサ ゴソ


魂食いのおふだ


猫耳蛇娘 「…………」


ザ ザ ザ ザ


幼女魔王N 「!? ……な、なによ。何するつもりなのよ」

幼女魔王N 「言っとくけど、あなたの仕事とかいうの、私は許可してないんだからね」

幼女魔王N 「この世界の統治者は私よ。一番偉いのは、わ、私なんだから」

幼女魔王N 「その私が許可してないってことは、やっちゃいけないってことなんだから……!」


猫耳蛇娘 「許可されるにこしたことは無いんじゃがの」

猫耳蛇娘 「そう思ったから、ワシはおぬしに優しく、心をつくして理解を求めたのじゃが」

猫耳蛇娘 「しかしどのようなことが起きようが、ワシは引き受けた仕事はやりとげる」

猫耳蛇娘 「それが……合っとるかどうかは知らんが……信頼というものじゃ」


ザ ザ ザ ザ


298 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/10/01(木) 00:46:44.69 ID:v1FJtpwRo


幼女魔王N 「……な、なによ、仕事って」

幼女魔王N 「知らないもん。わ、わた、私、頼んでないもん!」


猫耳蛇娘 「ワシはの、首切りピンクよ」

猫耳蛇娘 「言葉というものは威嚇のためにあると思う」


ザ ザ ザ ザ


猫耳蛇娘 「少なくとも、自分の意思を言葉に乗せて相手に伝えるというのは」

猫耳蛇娘 「乱暴にくくれば威嚇であると思う」

猫耳蛇娘 「つまり」

猫耳蛇娘 「言葉に気をつけろということじゃ」

猫耳蛇娘 「とくにワシのような、ふだ使いの前ではの」


幼女魔王N 「…………!」


猫耳蛇娘 「……安心せい。おぬしに危害をくわえるつもりはない」

猫耳蛇娘 「そして」

猫耳蛇娘 「おぬしが知らんという仕事は、おぬしのよく知る者がワシによこしたものなんじゃぞ」


幼女魔王N 「……まさか」


猫耳蛇娘 「淫魔幼女じゃ」


299 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/01(木) 07:59:31.58 ID:NeXRNDSuO
乙!
300 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/10/01(木) 17:15:23.71 ID:v1FJtpwRo


幼女魔王N 「………!!!!!!!!!」

幼女魔王N 「そ、そんな……」

幼女魔王N (意外だわ。よりにもよって……)

幼女魔王N (私のよく知る者……たくさんいるけど……よりにもよって、淫魔幼女だなんて!)


ヨロ ヨロ

ヘタリ


猫耳蛇娘 「……あ、いや、そこまで驚かんでも」

猫耳蛇娘 「だいたい分かるじゃろ、こんなことしそうなの。おぬし友達ゼロ人じゃし」


幼女魔王N 「ぜ、ゼロじゃないわ……よ……?」

幼女魔王N (鋏ちゃんとか、あと死神メイドとか……と、友達よね……?)


猫耳蛇娘 「ああ、すまん」

猫耳蛇娘 「結局友達がゼロ人じゃし」


幼女魔王N 「結局とか言うな!」


301 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/10/01(木) 17:27:56.57 ID:v1FJtpwRo


猫耳蛇娘 「いやいや」

猫耳蛇娘 「おぬしってあれじゃろ? 放っておいたら何年も友達に連絡をよこさんタイプじゃろ?」

猫耳蛇娘 「そういう奴は結局友達ゼロ人になるのじゃ」


幼女魔王N 「うぐっ……そういえば、一度もこっちから連絡とってない」

幼女魔王N 「でも、用事もないのに失礼だし……」

幼女魔王N 「う、うぅ〜……」


ウル ウル


猫耳蛇娘 「…………」


ゾクゾク キュン


猫耳蛇娘 「ゴクリ……な、なんじゃこやつ」

猫耳蛇娘 「いじめればいじめるほど、なんちゅうか、光るのう……」


302 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/10/01(木) 17:37:12.36 ID:v1FJtpwRo


猫耳蛇娘 「おぬしからしたら数少ない友達でも」

猫耳蛇娘 「その友達からしたら、おぬしは数おる知人の一人程度ということもある」


幼女魔王N 「……!!」


猫耳蛇娘 「もしかしたら、もう忘れられて友達リストから消えとるかもしれんのう」


幼女魔王N 「……うー」

幼女魔王N 「うぅ〜〜……!」


母性巫女 「…………」


猫耳蛇娘 「いやいやー、ワシもこんなこと言いたくないんじゃよー?」

猫耳蛇娘 「でものー、世の理っちゅうかー? 必然っちゅうかー?」


幼女魔王N 「……うー」

幼女魔王N 「ううぅぅうう゛ーー……!!」


猫耳蛇娘 「何じゃー、怒っとるのかー? 怖くないのう」

猫耳蛇娘 「もしかして、魔王のくせに泣きそうなのかのー?」

猫耳蛇娘 「にょほほほほほ……」


幼女魔王N 「うー、うんん゛ー…………!!」

幼女魔王N 「うぅー………」

幼女魔王N 「……………」

幼女魔王N 「……グス」


猫耳蛇娘 「にょ……?」


幼女魔王N 「ヒック……グス……」

幼女魔王N 「…………ふええぇえ゛え゛ん……」


猫耳蛇娘 「いかん、本当に泣き出しよった」



303 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/10/01(木) 17:49:29.19 ID:v1FJtpwRo


幼女魔王N 「ぶえぇ、ふえぇええええ……」

幼女魔王N 「うえぇえええええん、うええぇええん……」


メソメソ グスッ

ウエーン ウエーン


猫耳蛇娘 「うわー……こんな泣きっぷりは久しぶりに見るのう」

猫耳蛇娘 「ちゅうか、魔王のくせにここまでメンタル弱いとは……」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「けっきょ……ヒック、結局、ひとりとか……グス」

幼女魔王N 「いじわる……いじわっ……ふえぇえええええん!」

幼女魔王N 「うぶええぇええええええん!!」


猫耳蛇娘 「分かった、分かった。ワシが悪かったから」

猫耳蛇娘 「ちょっと泣きやめい。いっこうに仕事が片付かん」


幼女魔王N 「ふええええ、うええええ!」

幼女魔王N 「母性巫女ぉ……ヒック……あいつを、グスッ……やっつけてえ!」

幼女魔王N 「うええええん、うえええーーーん!」



304 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/10/01(木) 18:03:31.02 ID:v1FJtpwRo


母性巫女 「…………」


ザッ


猫耳蛇娘 「……む。何じゃ、やる気か」

猫耳蛇娘 「いじめるのに夢中で面倒なことになってしもうた」


母性巫女 「…………」


ザ ザ


猫耳蛇娘 「まあ、なってしまったもんは仕方ない」

猫耳蛇娘 「人間の……しかも自我を奪われたしもべ程度、ちゃちゃっと沈黙させちゃるわい」

猫耳蛇娘 「さあ来い。今宵のおふだは血に飢えて……」


母性巫女 「…………」


バコン


母性巫女 の お姉さんチョップ!
おふだA〜D の 結界効果発動!
おふだA〜D は 役目を終えて粉々に砕け散った……
猫耳蛇娘 に 87020 のダメージ!


猫耳蛇娘 「ふべぇ!?」


305 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/01(木) 18:10:33.11 ID:qfv/ONfaO
相変わらずお強いですね
母性巫女は
306 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/10/01(木) 18:17:21.27 ID:v1FJtpwRo


猫耳蛇娘 「ちょ……え?」


フラ フラ


猫耳蛇娘 「馬鹿な……その辺の魔王や勇者の攻撃なら、何発かは耐えられるおふだじゃぞ」

猫耳蛇娘 「それを、木偶人形状態の人間が……四枚ぶち抜いて……この威力かい……ッッ!」


ヨロ ヘタン

ガクガクガク


猫耳蛇娘 「い、いかん、足腰が……」

猫耳蛇娘 「はやく間合いをとって新しい防御結界を……い、いや、それより攻撃用の札を、最強のやつを……」

猫耳蛇娘 「…………ッッ!!」


母性巫女 「…………」


母性巫女 の お姉さんチョップ2!


猫耳蛇娘 「ひぃいッッ!?」


307 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/10/01(木) 18:24:56.71 ID:v1FJtpwRo


バゴン ドゴン

ドサ ゴロゴロゴロ


猫耳蛇娘 「……ぷはっ。何とか、かわせたか……!」


モク モク モク

バフッ


母性巫女 「…………」


猫耳蛇娘 「!!」


母性巫女 「…………」


母性巫女 の……


猫耳蛇娘 「!! い、いかん、また攻撃が来る」

猫耳蛇娘 「ふ、ふだよ!」

猫耳蛇娘 「鳥になれい!」


おふだ 「…………」


ボワン


おふだ 「…………」

おふだ鳥 「クエー」


308 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/01(木) 18:32:20.40 ID:TA9s+NbqO
つよい
309 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/10/01(木) 19:00:16.72 ID:v1FJtpwRo


母性巫女 の お姉さんチョップ(弱)!


ヒュン ズドン

モク モク モク



幼女魔王Nの世界 上空



おふだ鳥 「クエー」


バサ バサ バサ


猫耳蛇娘 「……何なんじゃ、これは」

猫耳蛇娘 「どうしてワシが、こんなとこで本気バトルをやっとるんじゃ」

猫耳蛇娘 「何なんじゃ、あの娘は!」

猫耳蛇娘 「察するに、いや、絶対にあれが、淫魔幼女があの世界で捕まえた人間なのじゃろう」

猫耳蛇娘 「ワシの結界を借りてあの世界の森を攻略した際に、偶然捕獲したという人間の女なのじゃろう」

猫耳蛇娘 「だとしたら、どうやって捕まえたんじゃ、あんな化物」

猫耳蛇娘 「明らかに、偶然つかまえられるレベルじゃないじゃろ……!!」


モク モク モク


猫耳蛇娘 「……まさか。淫魔幼女め、棺を使ったか」

猫耳蛇娘 「いや、それじゃったら分かるはずじゃ」

猫耳蛇娘 「うむ。そうじゃ、あやつの強さなら、難しくはあるがきっと捕らえることも……」

猫耳蛇娘 「しかし、あそこには魔法少女ギルドの連中もおったわけで、万全の状態では……」









310 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/10/01(木) 19:13:47.67 ID:v1FJtpwRo


母性巫女 「…………」


モク モク モク

パキイン

バサ バサ バサ


猫耳蛇娘 「……ふむ、所詮は人間。さすがに空までは追ってこんようじゃな」

猫耳蛇娘 「しばらくこうしているとしよう」

猫耳蛇娘 「攻撃用のおふだに魔力を溜めながらの……」


フイイイ キイイイ


猫耳蛇娘 「……くふふふ。覚悟せいよ、妖怪黒髪おっぱい」

猫耳蛇娘 「無敵魔法少女猫耳蛇娘ちゃんを、ここまで戦慄させたのじゃ」

猫耳蛇娘 「地獄を見せてやるからのー……」


グジュル


猫耳蛇娘 「……ぐじゅる?」

猫耳蛇娘 (うしろから……?)

猫耳蛇娘 「…………」


クルリ


猫耳蛇娘 「!!?」


毛玉触手 「…………」

毛玉触手 「キャハハハハ」


猫耳蛇娘 「な、何じゃこれ!? いつの間に……」


ギュルギュルギュル

グジュジュジュジュ


毛玉触手 の 捕獲攻撃!


グジュル グチュ グチュ


311 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/01(木) 19:28:19.55 ID:h6P3+D660
ひええ
312 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/10/01(木) 21:59:35.15 ID:v1FJtpwRo


ヒュルルル

ドシン


猫耳蛇娘 「くうぅっ……」

猫耳蛇娘 「この魔物……ワシを捕まえたまま落下しおった……!」


毛玉触手 「キャハハハハ」


グジュル グジュル

モゾ モゾ


猫耳蛇娘 「にゃんっ……!?」

猫耳蛇娘 「こら、どこから入って……こ、この……離せ、離さぬかぁ……!」

猫耳蛇娘 (まずい! 捕まってしまったのはもちろんじゃが、これはとてつもなくまずい気がする)

猫耳蛇娘 (このにおい、触手の感触……この魔物はまずいと、本能が告げておる……!)


毛玉触手 「キャハハハハ」


モゾ モゾ


猫耳蛇娘 「や、やめい、それ以上ワシの体に触るな……ぁ……」

猫耳蛇娘 (体に力が入らん。なぜじゃ、まともに戦えば勝てるはずなのに)

猫耳蛇娘 (何か、ワシの大事なところ……生き物としての芯のようなものを)

猫耳蛇娘 (逆らえない圧倒的なもので鷲掴みされているような……!)


313 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/10/01(木) 22:12:45.13 ID:v1FJtpwRo



ザ ザ ザ


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「…………」


猫耳蛇娘 「……!」

猫耳蛇娘 (……し、しまった。囲まれた)

猫耳蛇娘 (ピンクの方は寝込みを襲われても完封できる自身があるが)

猫耳蛇娘 (いま黒髪の方の攻撃を受けたらひとたまりもない……!)


母性巫女 「…………」


カタ カタ


猫耳蛇娘 (……? 震えている)

猫耳蛇娘 (攻撃してくるどころか、怯えている?)

猫耳蛇娘 (そ、そうか……)


毛玉触手 「………クハァ」


ガパ

モワ モワ モワ


猫耳蛇娘 「煙……い、いかん、これを吸うては……」

猫耳蛇娘 「……うく……ッ、はにゃ、にゃはふぅ……」

猫耳蛇娘 (ダメじゃ、肌から魂にまで染み込んでとろかしてくる……!)

猫耳蛇娘 (分かる……どのような強さも……雌である以上これの前では無意味なもの)

猫耳蛇娘 (問答無用で屈服せざるを得ん……!)


モワ モワ


猫耳蛇娘 (これだったか……)


母性巫女 「…………」


猫耳蛇娘 (この娘をおとしたのは……!)


314 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/10/01(木) 22:29:11.06 ID:v1FJtpwRo


猫耳蛇娘 「かは……はにゃ……にゃはぁん……」

猫耳蛇娘 (いかん……本当にいかん……!)

猫耳蛇娘 (捕まって体を撫でられるだけなのに、ワシの脳がとろけてゆく、ぅ……)


幼女魔王N 「…………」


キイイ

パキイ パキイン


猫耳蛇娘 「……はぇ?」

猫耳蛇娘 「にゃ、なんじゃ……ひょ、しょ、召喚……?」


ウゾウゾウゾ


卵触手 「グプププ……」


棘触手 「ズリュ、ズリュ」


振動触手 「ヴヴヴヴ……」


猫耳蛇娘 「………!!?」


幼女魔王N 「……よかった。来てくれた」


他触手たち 「ビチビチビチ……」


グジョロ ジュルジュル


猫耳蛇娘 (……! こっちへ来る!?)


ズル ズルルル


猫耳蛇娘 「……や、やめい……やめよ、来るなぁ……!」


グイ グイ

ジタバタ ジタバタ


猫耳蛇娘 「やめよ、はなせ……ッ! これ以上、ワシをどうするつもりなのじゃぁ……!」

猫耳蛇娘 「はなせ、はな……ひにゃぁあんッッ」


毛玉触手 「キャハハハハ」


モク モク モク

グチュグチュグチュ

グジュル グジュル グジュル



315 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2015/10/01(木) 22:38:22.56 ID:v1FJtpwRo




???「>>316ブレーキをかける?」

1.アクセルをかける
2.ブレーキ全開


316 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2015/10/01(木) 22:38:48.96 ID:v1FJtpwRo
2
317 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/10/01(木) 22:44:45.49 ID:v1FJtpwRo



猫耳蛇娘 「……く、くそう」

猫耳蛇娘 「ワシは魔法少女を超えた魔法少女じゃぞ……こんなもんで……」


グジュル グジュル グジュル


猫耳蛇娘 「はにゃふぅううん……ッ」

猫耳蛇娘 「わ、分かった……! 降参、降参じゃ」

猫耳蛇娘 「降参するから、やめてくれえ……!」


幼女魔王N 「…………」


猫耳蛇娘 「おぬしなんじゃろ、これを操っておるのは……!」

猫耳蛇娘 「頼む、やめさせてくれ。でないと、ワシは……」

猫耳蛇娘 「トぶ……トんでしまうぅ……!」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「……友だち」


猫耳蛇娘 「……はっ……はぇ……?」


318 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/10/01(木) 22:58:53.67 ID:v1FJtpwRo


幼女魔王N 「……ヒグ、ぐすっ」

幼女魔王N 「友だち、できるもん……結局ひとりとか……じゃ、ないもん」

幼女魔王N 「わたち……ずっと、ひとりじゃ……ない、もん……!」


グス グス


母性巫女 「…………」


猫耳蛇娘 (こやつ……からかわれた恨みでここまでするんかい!)

猫耳蛇娘 「……わ、わかった」

猫耳蛇娘 「謝る、謝るから……!」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……ほんと?」


猫耳蛇娘 「まじ、まじ……!」


幼女魔王N 「わたち、ずっとひとりぼっちじゃない……?」


猫耳蛇娘 「じゃない、じゃない……!」

猫耳蛇娘 「なんだったら、ワシが友だちになっちゃる」

猫耳蛇娘 「いや、ならせてください!」


幼女魔王N 「……友だち」


319 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/10/01(木) 23:15:47.17 ID:v1FJtpwRo


猫耳蛇娘 「そう、友だち。友だちじゃ」


幼女魔王N 「……友だち」


猫耳蛇娘 「うむ、うむ!」

猫耳蛇娘 「さあ、はよう開放してくれ。友だちにこんなこと、せんじゃろう」

猫耳蛇娘 「な、な……っ?」


幼女魔王N 「……嘘じゃない?」


猫耳蛇娘 「お、おう、神に誓うぞ。神をそんなに信じておらんが」

猫耳蛇娘 「友だち、ともだちじゃ!」


幼女魔王N 「……うん」

幼女魔王N 「えへへ……」


ズルルル ズゾゾゾ


猫耳蛇娘 (触手がひいていく)

猫耳蛇娘 「さ、さあ、この毛玉にもワシを玩具みたいにいじくるのをやめさせてくれい」


幼女魔王N 「うん……」


ズル ズル


猫耳蛇娘 (ワシの体をおさえつけていた触手の力が弱くなっていく。体にはまだ力が戻らんが……)

猫耳蛇娘 「か、感謝するぞう」


幼女魔王N 「友だちだから……」


猫耳蛇娘 「お、おう……。あ、ああ、そうじゃ、ともだちじゃから……」

猫耳蛇娘 「一緒に、今度くそうまいものなんか食いにいくか……」


幼女魔王N 「……!!」

幼女魔王N 「い、一生孤独少女もがいても無駄……!?」

幼女魔王N 「……ぅ、うええええええん!」


毛玉触手 「キャハハハハ」


グジュジュジュジュジュ

モクモクモクモク


猫耳蛇娘 「にゃあああああ!?」

猫耳蛇娘 「どんなふわふわ空耳タイムじゃあ!!」


クネ クネ クネ


320 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/10/01(木) 23:20:22.21 ID:v1FJtpwRo
>>319 訂正ごめんなさい





猫耳蛇娘 「そう、友だち。友だちじゃ」


幼女魔王N 「……友だち」

幼女魔王N 「えへへ……」


モジ モジ


猫耳蛇娘 「うむ、うむ、友だちじゃ!」

猫耳蛇娘 「さあ、はよう解放してくれ。友だちにこんなこと、せんじゃろう」

猫耳蛇娘 「な、な……っ?」


幼女魔王N 「……嘘じゃない?」


猫耳蛇娘 「お、おう、神に誓うぞ。神をそんなに信じておらんが」

猫耳蛇娘 「友だち、ともだちじゃ!」


幼女魔王N 「……うん。えへへ」


ズルルル ズゾゾゾ


猫耳蛇娘 (触手がひいていく)

猫耳蛇娘 「さ、さあ、この毛玉にも、ワシを玩具の人形みたいにいじくり回すのをやめさせてくれい」


幼女魔王N 「うん……」


ズル ズル


猫耳蛇娘 (ワシの体をおさえつけていた触手の力が弱くなっていく。体にはまだ力が戻らんが……)

猫耳蛇娘 「か、感謝するぞう」


幼女魔王N 「友だちだから……」


猫耳蛇娘 「お、おう……。あ、ああ、そうじゃ、ともだちじゃから」

猫耳蛇娘 「一緒に、今度くそうまいものなんか食いにいくか……」


幼女魔王N 「……!!」


猫耳蛇娘 「?」


幼女魔王N 「い、一生、孤独少女もがいても無駄……!?」

幼女魔王N 「……ぅ、うええええええん!」


毛玉触手 「キャハハハハ」


グジュジュジュジュジュ

モクモクモクモク


猫耳蛇娘 「にゃあああああ!?」

猫耳蛇娘 「どんなふわふわ空耳タイムじゃあ!!」

321 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/01(木) 23:26:53.45 ID:h6P3+D660
>>316
よくやった
322 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/10/01(木) 23:45:41.95 ID:v1FJtpwRo


グジョ グジョ

ウエーン

グジュ……



猫耳蛇娘 「……ふ、ふいぃ」

猫耳蛇娘 「何とか誤解がとけたが……どうなることかと思った」

猫耳蛇娘 「やんッ……ま、まだ肌がぞわぞわしとる。服がこすれるだけで、下腹がこそばゆ気持ち良いわ……」


幼女魔王N 「…………」


猫耳蛇娘 「とほほ……まさかここまでしんどい仕事になるとは」

猫耳蛇娘 「こりゃ、説得には日をあらためんといかんかの……」


幼女魔王N 「……いいよ」


猫耳蛇娘 「ん?」


幼女魔王N 「お仕事、していいよ」

幼女魔王N 「親友だもん……ね」


猫耳蛇娘 「…………」


ゾワ


猫耳蛇娘 「お、おう」

猫耳蛇娘 (何じゃろう。いま、背筋にすっごい悪寒が……)


323 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/02(金) 03:29:48.26 ID:Qt42AUey0

アクセルかけてたら久々のバッドエンド迎えてそうだったな
324 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/02(金) 04:06:37.80 ID:1PDXhamEO
毎度>>1が安価取ってくタイミングで安価奪いたくなるけど難しい
325 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/02(金) 04:45:45.74 ID:0CL3f6k5o
猫耳蛇娘は幼女魔王N に負けたゴミクズ以下の最底辺って事でいいか?
326 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/02(金) 07:26:33.18 ID:hsPcwwODo
いくら母性巫女と毛玉が反則的に強いだけとはいえピンクに負けるとは…
327 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/10/02(金) 11:41:18.88 ID:7KY3NLdFo


ソヨ ソヨ


幼女魔王N 「えへへ。友だち……」


猫耳蛇娘 (こやつは。本当に壊れておるのか)

猫耳蛇娘 (一貫性がない。つながりがない)

猫耳蛇娘 (飽きっぽい赤ん坊が玩具を次々捨てるみたいに、ワシがここに来てからの短い間に何度か別人のようになった)

猫耳蛇娘 (過去から未来へ積み重ねていくものがない。成長がない)

猫耳蛇娘 (同じ場所を行ったり来たりするだけで……それではつまらない)

猫耳蛇娘 (とはいえ場所をかえることもできずに、仕方なく自分を入れかえているような)

猫耳蛇娘 (これも、結界の……)

猫耳蛇娘 「………ん?」


幼女魔王N 「えへへ……」


ギュ

モジ モジ


猫耳蛇娘 「……のう。そんな風に服を掴まれておったら、仕事しにくいんじゃがの」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「グスッ……」


ズゾゾゾゾ


毛玉触手 が あらわれ……


猫耳蛇娘 「わ、わかった。良い。友だちじゃから掴んでおって良い……!」

猫耳蛇娘 (何というめんどくさい娘じゃ。淫魔幼女め、よくこんな奴と付き合えておったな)


328 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/02(金) 21:14:24.95 ID:jggg+0KZO
毛玉と
329 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sape]:2015/10/02(金) 21:35:48.22 ID:wixzU/Pd0
くちゅうくちゅにめちゃくちゃにしてあげたい
330 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/10/02(金) 22:11:38.99 ID:7KY3NLdFo


幼女魔王N 「ねえ、クッキー食べる? つくれるの」


猫耳蛇娘 「あとでの。まずは仕事じゃ」


ザ ザ


幼女魔王N 「う、うん」


テク テク


幼女魔王N 「……あ、あとね、あとね、魔ゲームもあるよ?」


猫耳蛇娘 「おおう、そうか、そうか。この辺でも売っとるんじゃな」


幼女魔王N 「うん……ペニステ」


猫耳蛇娘 「なぬ、おぬしペニステ持っとるのか!」

猫耳蛇娘 「ワシは魔天堂DSしか持っとらんから、ちと興味が……」

猫耳蛇娘 「じゃないわい、仕事じゃ仕事」


幼女魔王N 「ちゃんとDSも持ってるよ?」


猫耳蛇娘 「まじで? じゃあひと狩りいっとく?」

猫耳蛇娘 「じゃないわい。じゃから、まずは仕事をの……」


幼女魔王N 「うん……」


ザ ザ ザ



331 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/10/02(金) 22:24:33.37 ID:7KY3NLdFo


…………


ピコ ピコ


猫耳蛇娘 「……おぬし、下手じゃのー」


幼女魔王N 「ご、ごめんなさい……ずっとソロプレイだったから……」

幼女魔王N 「戦いより、ゆっくり歩き回る方が好きだし……」


猫耳蛇娘 「あー、おるおる、そういう奴。ワシも分からんでもないぞう」

猫耳蛇娘 「夜キャンプ中に星を眺めるのが好きじゃったりのー」

猫耳蛇娘 「しゃあない。後ろで回復でもしながら、ワシの美技に見とれておれい」


幼女魔王N 「うん……」



332 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/10/02(金) 22:33:02.82 ID:7KY3NLdFo


ピコ ピコ ピコ


猫耳蛇娘 「むふっ……むほっ……とりゃっ……」

猫耳蛇娘 「こいつで、とどめじゃあ!」


ズガーン ビビビーン


幼女魔王N 「やった、倒した……!」

幼女魔王N 「蛇ちゃん、強い……!」


猫耳蛇娘 「にゃはは、そう蛇ろ、そうじゃろ?」

猫耳蛇娘 「ワシのことは師匠と呼べい」


幼女魔王N 「うん、師匠……!」


猫耳蛇娘 「かっかっか!」


幼女魔王N 「……えへへ」

幼女魔王N 「誰かとこうやってゲームするの、はじめて」

幼女魔王N 「すごく、楽しい」


猫耳蛇娘 「うむ。青空の下で並んでやるゲームは、良いものなのじゃ」

猫耳蛇娘 「ワシでよければいつでも付き合ってやるぞう」

猫耳蛇娘 「離れておっても、友だち登録しておれば魔法通信で一緒にやれるからのう」


幼女魔王N 「うん」

幼女魔王N 「あ、でも……ここ、魔動画の電波以外、届かないの」


猫耳蛇娘 「え、まじで?」


333 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/10/02(金) 22:46:39.01 ID:7KY3NLdFo


幼女魔王N 「うん」

幼女魔王N 「前ね、電電ギルドに頼んでお城に魔電話を置こうとしたんだけど」

幼女魔王N 「ここじゃ、どことも繋がらないって言われて」


猫耳蛇娘 「なんと。魔電話すら置けんとは、難儀な世界じゃな」


幼女魔王N 「うん……でも、よく考えたらかかってくる相手も、かける相手もいないから……」


猫耳蛇娘 「おひとりさまエピソードに事欠かんのう」

猫耳蛇娘 「うーむ。10人協力プレイのお祭り感を、おぬしにも味わわせてやりたいのう……」


幼女魔王N 「二人」


猫耳蛇娘 「ん?」


幼女魔王N 「二人だけでいいの。ほかの人、いらない、邪魔」

幼女魔王N 「わたちと蛇ちゃんは、神友だから」


猫耳蛇娘 「そ、そうか。二人旅じゃな」


幼女魔王N 「うん……えへへ……」


ギュ


幼女魔王N 「お友達握手……一生はなれない握り」

幼女魔王N 「なんちゃって……」


猫耳蛇娘 「にゃ、にゃははは……」

猫耳蛇娘 (何故じゃろう。ワシ、すごく逃げ出したい)



334 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/02(金) 22:49:15.39 ID:hsPcwwODo
こわい
335 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/10/02(金) 23:00:21.00 ID:7KY3NLdFo


猫耳蛇娘 「じゃ、のーーーて!!」


幼女魔王N 「!!?」


ビクッ


猫耳蛇娘 「仕事じゃ仕事! ワシに仕事をさせい!」


幼女魔王N 「だ、だって、蛇ちゃんがゲームするって……」


ウル ウル


猫耳蛇娘 「言っとくが、これ超レアじゃぞ。ワシが仕事したいって、激レア事象じゃぞ!?」

猫耳蛇娘 「毎朝目覚めての一言が、あーやべー今日超仕事サボりてー、のワシが仕事したいって」

猫耳蛇娘 「たぶん今後いっさい無いことなんじゃぞ!?」


幼女魔王N 「あ、ドルカツマスターが始まる時間だ」


猫耳蛇娘 「まじで? ここ今日やるの?」

猫耳蛇娘 「いやー、ワシ今週見逃したんじゃよー」



…………


336 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/10/02(金) 23:34:55.40 ID:7KY3NLdFo


猫耳蛇娘 「……じゃからの、これはおぬしの為でもあるんじゃよ」


幼女魔王N 「げっそりしてるけど」


猫耳蛇娘 「いや、ワシって本来は結構フリーダムじゃから。こういう役回りに馴れておらんから」


幼女魔王N 「そうなんだ」

幼女魔王N 「私に気をつかわなくていいよ。真友だもんね?」


猫耳蛇娘 (嘘つけ。つかわんかったらすぐ泣くじゃろうが)

猫耳蛇娘 (あの感じを味わってまった以上、今度毛玉を呼ばれたらワシはもう戦うどころか姿を見ただけで即オチなんじゃ!)

猫耳蛇娘 「……気持ちだけありがたく受け取っとくわい」

猫耳蛇娘 「さてと」


ガサ ゴソ


巨大おふだ



337 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/10/02(金) 23:43:58.81 ID:7KY3NLdFo


幼女魔王N 「大きな、縦長の白い紙……」

幼女魔王N 「願い事をかくの?」


猫耳蛇娘 「かかん。おふだじゃ」


幼女魔王N 「でも、何もかいてないよ」

幼女魔王N 「……あ、分かった」

幼女魔王N 「蛇ちゃんの私への友情の気持ちをかくんだね」

幼女魔王N 「うん。じゃあその大きさも納得。大きくないと、すぐ埋まっちゃうもんね」


猫耳蛇娘 「ちゃうわい」


幼女魔王N 「……逆なの? わたちがかくの?」

幼女魔王N 「大きさ、足りるかなあ」


猫耳蛇娘 「かかんと言うとるに」


幼女魔王N 「…………」


ジワ


猫耳蛇娘 「かくかく! あとで三倍くらいでかい紙にかいちゃる!」


幼女魔王N 「……えへへ」

幼女魔王N 「小さい字でも大丈夫。顕微鏡があるから」

幼女魔王N 「二人でいっぱい、かこうね……」


猫耳蛇娘 「にゅは……へははは……」

猫耳蛇娘 (助けてー……)


338 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/10/03(土) 00:05:47.72 ID:QtxMZw5Co


ソヨ ソヨ


猫耳蛇娘 「おぬしの世界が外の世界と繋がりにくいのは……」

猫耳蛇娘 「魔電話なんかが繋がらんのは」

猫耳蛇娘 「たぶん、この世界にはられた結界のせいじゃ」


幼女魔王N 「この世界の結界?」


猫耳蛇娘 「そうじゃ。呪いでもバリアでも、まあ好きに呼べば良いが」

猫耳蛇娘 「とにかくこの世界は、おもくそ強い力でまもられておる」

猫耳蛇娘 「じゃが強力すぎて、副作用みたいなものが生じてしまっとるんじゃな」


幼女魔王N 「ふうん?」


猫耳蛇娘 「さっき一通りこの世界を歩いて見てきたんじゃが」

猫耳蛇娘 「まあ、このワシをもってしても、なかなか理解に苦しむ結界でな」

猫耳蛇娘 「万全を期すため、このおふだで読み取ろうっちゅうわけじゃ」


幼女魔王N 「……うん」

幼女魔王N 「私もそう思うよ?」


猫耳蛇娘 「……そういうところは変わっとらんの、おぬし」


339 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/03(土) 09:24:08.23 ID:R6VCjSu+O
乙!
340 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/10/03(土) 20:04:33.62 ID:QtxMZw5Co


猫耳蛇娘 「分からんでも問題ないがの」

猫耳蛇娘 「ほい」


猫耳蛇娘 は 巨大おふだをつかった


キイイ キイイン

サラ サラ サラ


幼女魔王N 「……おふだに、ひとりでに文字が」


猫耳蛇娘 「この世界の結界を読み取っておるんじゃ」

猫耳蛇娘 「設計図みたいなもんじゃな」


幼女魔王N 「ぜんぜん読めない」


猫耳蛇娘 「そりゃそうじゃよ、結界じゃもの」

猫耳蛇娘 「敵に簡単に読み取られて簡単にとかれちゃったら駄目じゃろ?」


幼女魔王N 「ふうん」


サラ サラ サラ


341 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/10/03(土) 20:19:20.30 ID:QtxMZw5Co


猫耳蛇娘 「他人のはった結界をとくのは難しいんじゃよ」

猫耳蛇娘 「魔法も、それぞれ派閥によって練り方が違ったりするじゃろ。そんなもんじゃ」


幼女魔王N 「そうなんだ」


猫耳蛇娘 「そうなんじゃよー」

猫耳蛇娘 「たくさん勉強してのー、古今東西の魔術とか、古代文字とかのー」

猫耳蛇娘 「それでやっとできることなんじゃよー」


幼女魔王N 「へえー……!」


猫耳蛇娘 「ところがなー、ワシのような生まれながらの結界マスターになるとなー」

猫耳蛇娘 「できちゃうんじゃよ。朝飯前にちちゃちゃーっと、感覚で」

猫耳蛇娘 「じゃから生まれてこのかた、結界の勉強なんざしたおぼえが無い」


幼女魔王N 「すごいね、蛇ちゃん」

幼女魔王N 「ろくに努力もせずに生まれながらの才能にあぐらをかくなんて」

幼女魔王N 「なかなか出来ないよね!」


猫耳蛇娘 「かっかっか!」

猫耳蛇娘 「まあ、勉強なんぞ、生まれながらに全てを知っとる者には不要じゃからの」

猫耳蛇娘 「……え、勉強? 才能ないやつって大変なんじゃねー」

猫耳蛇娘 「……って感じじゃあ」

猫耳蛇娘 「にゃーっかっかっかっか!」


サラ サラ サラ


342 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/10/03(土) 21:13:50.19 ID:QtxMZw5Co


サラ サラ サラ


幼女魔王N 「……もう半分以上埋まっちゃうよ。あんなに大きな紙だったのに」


猫耳蛇娘 「うむ。かなりややこしい結界のようじゃ」

猫耳蛇娘 「多くの……しかもかなり広範の世界の式が用いられておる」

猫耳蛇娘 「たとえばこれは、第三大世界の北の北の北のはずれの界域で使われる魔法文字」

猫耳蛇娘 「こっちは、第二大世界に近い界域の、すでに消滅した小世界で使われておった古代絵文字」

猫耳蛇娘 「しかもそれを、まったく無縁のはずの小世界の魔法式に応用して組み立てておる」


幼女魔王N 「ほう、やはりな」


猫耳蛇娘 「分かっとらんじゃろ。まあ、ワシも何となくそんな感じがする程度じゃが」

猫耳蛇娘 「ふむ……この辺については見たことがない」

猫耳蛇娘 「ワシの知らん世界の文字もふんだんに使われとるようじゃの」


幼女魔王N 「……だ、大丈夫なの?」


ギュ


猫耳蛇娘 「魔王のくせに、なんちゅうなさけない声を出しとるの」

猫耳蛇娘 「大丈夫じゃ。ワシは理性よりも本能で理解しとるタイプじゃから、だいたい良い感じで何とかなる」


幼女魔王N 「すごい」


猫耳蛇娘 「かっかっか! じゃろう?」

猫耳蛇娘 「……ふむ、一枚では足りんようじゃ」

猫耳蛇娘 「おふだ一枚追加しとくかの……」


サラ サラ サラ


343 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/10/03(土) 21:24:11.79 ID:QtxMZw5Co


サラ サラ サラ


猫耳蛇娘 「…………」


幼女魔王N 「…………」


サラ サラ サラ



…………



サラ サラ サラ


魔動画 『停滞していた未知の世界の接近が、最近になってまた活発に……』


母性巫女 「…………」


カァー カァー

サラ サラ サラ


幼女魔王N 「……夕方になっちゃったね」


猫耳蛇娘 「うむ」


幼女魔王N 「おふだの文字、まだ終わらないね」


猫耳蛇娘 「うむ」


巨大おふだ×56


幼女魔王N 「……おふだ、いっぱいたまったね」


猫耳蛇娘 「うむ」


幼女魔王N 「私が描いた蛇ちゃんの似顔絵も混ぜちゃおうか?」


猫耳蛇娘 「今度の」

猫耳蛇娘 「…………」


サラ サラ サラ


344 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/10/03(土) 21:36:24.96 ID:QtxMZw5Co


サラ サララ……


猫耳蛇娘 「……む。終わったかの」

猫耳蛇娘 「やれやれ、こんなに時間がかかったのは初めてじゃ」

猫耳蛇娘 「いったいおふだ何枚になったんじゃろうか」


幼女魔王N 「私が描いた蛇ちゃんの似顔絵をいれたら182枚」


猫耳蛇娘 「いれんで良い。いま必要なのはおふだだけじゃ」


幼女魔王N 「じゃあ69枚」


猫耳蛇娘 「おおう」

猫耳蛇娘 「……おぬし、似顔絵描きすぎじゃね?」


幼女魔王N 「えへへ……」

幼女魔王N 「蛇ちゃんは、私のこと何枚描いた?」


猫耳蛇娘 「あん? 描いとらん。ふつう描かん」


幼女魔王N 「え…………」

幼女魔王N 「心友、なのに………?」


ズズズズ


毛玉触手 が あら……


猫耳蛇娘 「描く描く、しこたま描く、あとで二百枚くらい描いてやるから!」



345 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/10/03(土) 22:01:56.06 ID:QtxMZw5Co


幼女魔王Nの城 食堂



魔動画 『北の世界で行われていた森の壺祭りで、緑の服を着た剣士が乱入、次々に展示品の壺を破壊した事件で』

魔動画 『第三大世界同盟は彼に懸賞金をかけることを……』


猫耳蛇娘 「うーんむ……まさかここまで厄介な結界じゃったとは」

猫耳蛇娘 「しかもあやつ、数え間違っとるし、87枚じゃし……」


幼女魔王Nの声 「ともだ・ち〜、ともだ・ち〜にご飯を作る〜、一緒に食・べる〜、ずっと一緒死ぬときも一緒〜」


コト コト

シュー シュー


猫耳蛇娘 「今日中に解除……は、奇跡が起きても無理じゃろうなあ」

猫耳蛇娘 「多めに見積もって、不眠不休で七日くらいか」

猫耳蛇娘 「実際はサボったり並行して作業もせないかんから……」

猫耳蛇娘 「うーむ、赤字じゃ。淫魔幼女め、今度会うことがあったら高い酒を奢らせちゃる」

猫耳蛇娘 「はあ……やはり、泊まり込みでやらねばならんのかのう」



346 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/10/03(土) 22:17:52.18 ID:QtxMZw5Co


…………


カチャ カチャ コト

ズラ


乙女の肉料理づくし


猫耳蛇娘 「……おほっ」

猫耳蛇娘 「何じゃこれ、お肉さま祭りじゃ。うまそうじゃのうッ」

猫耳蛇娘 「見てにおいをかいどるだけで、さっきからヨダレが止まらんぞう……!」


幼女魔王N 「えへへ……」

幼女魔王N 「蛇ちゃんのために作ったの。いっぱい食べてね」


猫耳蛇娘 「おう、ペロっといっちゃうからのー。まずはこの串ものから」

猫耳蛇娘 「うむ、根元まで見事な焼き色……あむ……ハフハフ、モグモグ」

猫耳蛇娘 「……!!」

猫耳蛇娘 「う、うまい! 何ということじゃ」

猫耳蛇娘 「ひと噛みごとに、塩に引き立てられた肉のうまみがジュワーッと胃の底まで、いや体中に染み渡る!」


モグモグ ガツガツ




347 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/03(土) 22:35:53.34 ID:640O3tKho
数少ないピンクの特技が役に立ったぞ!
348 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/10/04(日) 00:33:21.92 ID:S2D6R5jyo


…………


猫耳蛇娘 「モグモグ……じゃからの。ただ結界を解除すれば良いという話でもないのじゃ」

猫耳蛇娘 「同時進行で新しい結界も展開していかんとならん」

猫耳蛇娘 「世界が無防備になる時間がゼロになるよう、注意しなくてはのう」

猫耳蛇娘 「この酒のようなもの、おかわり貰えるかのう」


幼女魔王N 「はい、お酒のようなもの」


トク トク トク


幼女魔王N 「……でも、どうして今ごろ結界をはりかえたりするの?」

幼女魔王N 「急だからびっくり」


猫耳蛇娘 「と、と、と、と……それはなあ、ワシも思うところはあるんじゃがのー」

猫耳蛇娘 「しかしのー、仕事じゃからのー、あんまり口出しするこっちゃ無いからのー」

猫耳蛇娘 「ま、男どもは勝手っちゅうこっちゃな……」


グイ ゴク ゴク


猫耳蛇娘 「ぷはぁ〜〜ッ、染みるのーぅ……!」


幼女魔王N 「ふうん……?」


349 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/10/04(日) 01:38:34.88 ID:S2D6R5jyo


猫耳蛇娘 「まあ、安心せい。これはおぬしにとっても良いことじゃぞ」


幼女魔王N 「そうなの?」


猫耳蛇娘 「話したと思うが、今の結界は滅茶苦茶強力なんじゃ」

猫耳蛇娘 「強力すぎて、不便も生じてしまっておる。たとえば魔電話のこととか」

猫耳蛇娘 「ここが認知されにくいこととか、結界の中の者の運気とか……」

猫耳蛇娘 「おぬし、何か不当に不運が続くなあとか、何かバッドエンドへの分岐が多い人生だなあとか」

猫耳蛇娘 「感じたことない?」


幼女魔王N 「蛇ちゃんと永遠に心がつながっているからどうでもいい」


猫耳蛇娘 「うむ、どうでもよく無いんじゃ」

猫耳蛇娘 「これからワシがやるのは」

猫耳蛇娘 「結界の良いところはなるべくそのままに、悪いところを削っていくという作業なんじゃよ」


幼女魔王N 「すごい」


猫耳蛇娘 「じゃろ?」

猫耳蛇娘 「感謝せいよ。おぬしのために特別にやってやるのじゃからな、こんなメンドクサイこと」


幼女魔王N 「私のため……特別……」


猫耳蛇娘 「そうじゃ。だから間違っても、ワシの前であの毛玉なんか召喚するんじゃないぞう」


幼女魔王N 「分かった。しない」


猫耳蛇娘 「うむ。お酒のようなもの、おかわりじゃ」


幼女魔王N 「はい」


トク トク トク


猫耳蛇娘 「と、と、と、と……」

猫耳蛇娘 (こやつの扱い方、何となく分かってきたぞ)



350 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/04(日) 02:57:04.17 ID:M5M1HScRO
乙!
351 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/10/04(日) 03:01:28.37 ID:S2D6R5jyo


猫耳蛇娘 「これがなかなか長引きそうでのー」

猫耳蛇娘 「しばらくここに泊まり込まんといかんかもしれん」

猫耳蛇娘 (……こやつは、自由にさせるのが一番面倒くさいのじゃ)


幼女魔王N 「泊まり込み……」

幼女魔王N 「結婚……」


猫耳蛇娘 「うむ、公にはできんが、しばらくそんな感じじゃ」

猫耳蛇娘 「しかしのー、ちょっとまずいことになってのー」

猫耳蛇娘 (淫魔幼女は恐怖で押さえつけたりしとったようじゃが)

猫耳蛇娘 (要は、完全に上位に立って支配してやれば……)

猫耳蛇娘 (いや、上位にたたんでも、こっちに依存しとることを利用して振り回してやれば良いのじゃ)


幼女魔王N 「まずいこと?」



352 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/04(日) 03:03:03.03 ID:U0Y7YBOp0
ところでこの猫娘たんは悪なの?味方なの?
353 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2015/10/04(日) 03:20:26.53 ID:S2D6R5jyo

悪い味方
良心が痛むし気が進まなかったけれど
仕事だから母性巫女の森で大量虐殺の舞台を整えた程度の味方

354 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/10/04(日) 03:29:54.08 ID:S2D6R5jyo


猫耳蛇娘 「いやー、ワシ、今回は軽い仕事のつもりだったんでな」

猫耳蛇娘 「日帰りの用意しかしとらんのじゃよ」


幼女魔王N 「うん……」


猫耳蛇娘 「それでのー、ちょっと、持ち合わせがのー」

猫耳蛇娘 「ここに滞在する間の服とか、シャンプーとか、歯磨きセットとか、アレとか」

猫耳蛇娘 「欲しかったゲームとか、カエルちゃん人形とかペンギンちゃん人形とかのー」

猫耳蛇娘 「あー、あと、枕も自分にあうやつを買わんとのー」


幼女魔王N 「…………」


猫耳蛇娘 「困ったのう、困ったのう。このままでは帰らなくてはいけなくなるぞう」

猫耳蛇娘 「せっかくのお泊まり会なのにのー。うにゃうにゃ……」


幼女魔王N 「お泊まり会……」

幼女魔王N 「……ちょ」

幼女魔王N 「ちょっと待ってて!」


トテ トテ トテ トテ


猫耳蛇娘 「…………」

猫耳蛇娘 「………むふっ」


355 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/04(日) 08:49:35.04 ID:Xb2EIDUvo
つ(大人の)いたずら道具セット
356 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/04(日) 15:14:26.41 ID:M5M1HScRO
乙!
357 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/10/04(日) 22:09:18.19 ID:S2D6R5jyo



母性巫女 「…………」


猫耳蛇娘 「くっふっふっふ」

猫耳蛇娘 「これほどの料理を振る舞えるんじゃ」

猫耳蛇娘 「城はボロボロじゃが、結構な金を貯め込んどるに違いない」

猫耳蛇娘 「リゾート世界の超高級宿並のもてなしを受けてやるとするかのう」


母性巫女 「…………」


猫耳蛇娘 「…………」

猫耳蛇娘 「黒髪おっぱ……黒髪嬢よ」


母性巫女 「…………」


猫耳蛇娘 「……返事がない」

猫耳蛇娘 「しもべの儀式で傀儡化したとしても、少しは本来の性格を持ったように振る舞えるものじゃが」

猫耳蛇娘 「よっぽど儀式のレベルが低かったんじゃろうか」



358 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/10/04(日) 22:18:35.86 ID:S2D6R5jyo


モニュ モニュ


母性巫女 「…………」


猫耳蛇娘 「うーむ、それにしてもこの感触、弾力」

猫耳蛇娘 「まさか人の身でこれほどの揉み心地とは」

猫耳蛇娘 「自我が無いのが悔やまれる……」


ムニ ムニ ムニ


母性巫女 「…………」


猫耳蛇娘 「……なんか、こやつの傍におると」

猫耳蛇娘 「ママうえの腕に抱かれていたころの気持ちになってくるのー」

猫耳蛇娘 「…………」

猫耳蛇娘 「顔を埋めると、気持ち良いのかの……」


母性巫女 「…………」



トテ トテ トテ


幼女魔王N 「おまたせー」


猫耳蛇娘 「ほっっぷぉっ!?」


ビクッ


359 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/04(日) 23:28:48.32 ID:U0Y7YBOp0
更新が多くて嬉しいのお
360 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sape]:2015/10/04(日) 23:29:26.42 ID:U0Y7YBOp0
>>353
ありがたい、つまり良い子というこおか
361 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/10/05(月) 03:02:21.21 ID:wmfWSBg+o


幼女魔王N 「お、お金もってきたよ……!」

幼女魔王N 「お泊まりの間に使って」


猫耳蛇娘 「えーっ、まじでーっ」

猫耳蛇娘 「なんか悪いなー、そんなつもりは無かったんじゃがー」


幼女魔王N 「えへへ、いいの。深友だもんね」

幼女魔王N 「はい」


ジャララ


猫耳蛇娘 「うおぉっ!?」

猫耳蛇娘 (赤硬貨ばっかりじゃ。泊まっとる間じゃ普通は使いきれない金額じゃぞ!)

猫耳蛇娘 (くふふ、これだけあればアレ買って、コレ買って……)


幼女魔王N 「あと……」


パキィン

ズ ズ ズ ズ


猫耳蛇娘 「……!」

猫耳蛇娘 (召喚!?)


ズズズ


美触手 「…………」


幼女魔王N 「持ちきれなかったから、運ぶの手伝ってもらったの」

幼女魔王N 「美触手、おねがい」


美触手 「……クュ」


ジャラ ジャラ ジャララララ


猫耳蛇娘 「!?!?!?」

猫耳蛇娘 「お、お金さまがいっぱいじゃあ!!」


362 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/10/05(月) 03:10:49.59 ID:wmfWSBg+o


ジャラ ジャラ

キラキラ


猫耳蛇娘 「お、おおお……」

猫耳蛇娘 (見たことのない量の金、金!)

猫耳蛇娘 (い、いったいどのくらいあるんじゃ。向こう一億年くらい遊んで暮らせちゃうんじゃないか!?)


幼女魔王N 「……た、足りなかったら、まだちょっとあるよ?」


猫耳蛇娘 「へ?」


幼女魔王N 「お財布にちょっと入ってた……」


チャリン チョリン


猫耳蛇娘 「お、おおう……」

猫耳蛇娘 「もしかして、全財産を持ってきたんか?」


幼女魔王N 「う、うん……」

幼女魔王N 「ともだち、だから……えへへ」


モジ モジ


猫耳蛇娘 (……こやつ)

猫耳蛇娘 (やっぱり異常じゃ……)



363 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/05(月) 07:30:40.82 ID:1GiI6l550
乙!
>>359
ageんなカス
364 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/06(火) 01:56:51.19 ID:aZVt7PhPO
このお金は受け取らないであげて…

あまりにも幼女が可哀想すぎるよお金で友達をつくるなんて
365 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/10/11(日) 23:54:34.04 ID:dF8qGW7oo


お金の山



ジャラ キラキラ


猫耳蛇娘 「おおう……何じゃこれ。見たこともない輝き」

猫耳蛇娘 「見ておると、心が奪われていく。ワシはお金の輝きに弱いのじゃぁ……」


幼女魔王N 「全部つかっても良いからね」

幼女魔王N 「……友だち、だもんね。えへへ」


猫耳蛇娘 「そうかそうかー、ごろにゃんごろごろ……ちと、手にとってみても良いかの」


幼女魔王N 「もちろん。友だちだから、何してもいいよ」


猫耳蛇娘 「では……」


ザク ジャラリ


猫耳蛇娘 「おっっほおおお……!」

猫耳蛇娘 「嘘じゃろ、嘘じゃろ。猫耳蛇娘ちゃんの両手いっぱいに赤硬貨山盛りじゃあ!」

猫耳蛇娘 「うひょひょひょひょひょひょ……!」


幼女魔王N 「えへへへへ……」



366 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/10/12(月) 00:07:08.36 ID:dLGTIL/eo


母性巫女 「…………」



猫耳蛇娘 「……うりゃあ!」


スポン


猫耳蛇娘 は 祈祷師の杖 を外した
猫耳蛇娘 は おふだ を外した
猫耳蛇娘 は 巫女風の服 を外した


猫耳蛇娘 「とぅえい!」


ピョイン ザク

ジャラジャラジャラ


猫耳蛇娘 「うっひょおおおおおい! お金十割風呂じゃあ!」

猫耳蛇娘 「これがワシの夢だったんじゃあ!」


ゴロゴロゴロゴロ

ガシャガシャガシャ


猫耳蛇娘 「うっひいい! お金さまが、裸のワシの全身を責め立てるぅ!」

猫耳蛇娘 「猫耳蛇娘ちゃん、大ピーンチ」

猫耳蛇娘 「冷たい無数の硬貨に未熟な柔肌を責め立てられて、のたうち回ることしか出来んのじゃあ!」


ゴロゴロゴロゴロ



367 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/10/12(月) 00:25:52.80 ID:dLGTIL/eo


ガサ ゴソ スルル


幼女魔王N は 祝福の服を外した
幼女魔王N は ウサギさんパンツを外した
幼女魔王N は 背伸びブラジャーを外した


幼女魔王N 「……え、えいっ」


トテ トテ ピョン

ザク


幼女魔王N 「きゃっ、冷たい……っ」


猫耳蛇娘 「うひゃひゃひゃひゃ、おぬしも転がるのじゃあ!」

猫耳蛇娘 「じゃないとワシがぶつかっちゃうぞう!」


ゴロゴロゴロゴロゴロ


幼女魔王N 「えっ、あ、あわわわわ……!」


ドン


幼女魔王N 「きゃん!」


猫耳蛇娘 の ころがる攻撃!
幼女魔王N に 245 のダメージ!
猫耳蛇娘 に 1 のダメージ!


猫耳蛇娘 「おうっふ……すまん、勢いで本当にぶつかってしもうた」


幼女魔王N 「う、ううん、大丈夫だから……」


モジ モジ


猫耳蛇娘 「それにしても、おぬしは魔王のくせに本当にどんくさいのう」


幼女魔王N 「う、うん……」

幼女魔王N 「ごめん……」


モジ モジ モジ


猫耳蛇娘 「………おぬし」

猫耳蛇娘 「ここでやるの?」


幼女魔王N 「ち、違うよ、お……ぉしっこ……じゃ、ないょ……!」

幼女魔王N 「恥ずかしいから……だって、ご飯食べるところで裸になるなんて、初めて……」



368 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/12(月) 00:27:10.96 ID:sGqiXJqUo
かわいい
369 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/10/12(月) 00:37:23.90 ID:dLGTIL/eo


猫耳蛇娘 「何じゃ、てっきり風呂で用を足す派かと思うた」

猫耳蛇娘 「恥ずかしいことなんて無いじゃろう。ここには女しかおらんのじゃ」

猫耳蛇娘 「そうやって両手で体を隠しておっては、このお金十割風呂を味わい尽くせんぞ」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「うん……」

幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「で、でも、やっぱり恥ずかし……」


モジ モジ


猫耳蛇娘 「……むっふっふ」

猫耳蛇娘 「無駄じゃぞ。ギルドでは温泉部長の名で通るこのワシの前で」

猫耳蛇娘 「そのような無粋な真似は無駄なのじゃあ!」


グイ グイ


幼女魔王N 「きゃっ……ゃ、やぁ……やめて、蛇ちゃんやめてよぉ……」


ジタ バタ クネ クネ


370 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/10/12(月) 00:45:11.17 ID:dLGTIL/eo


猫耳蛇娘 「ほーれ、ほーれぃ」

猫耳蛇娘 「右手と左手、どっちからガードを崩してやるかのう」


幼女魔王N 「や、やめてよ、恥ずかしいよぅ……っ」


猫耳蛇娘 「じゃったら、どっちか当ててみい」


幼女魔王N 「え、えぇー……!」

幼女魔王N 「うーんと、ええと……」


猫耳蛇娘 「隙あり!」


グイ


幼女魔王N 「ひゃあ!?」


猫耳蛇娘 「むむう、右手ガードは崩せんかったか」

猫耳蛇娘 「にゃはは! じゃが、左手はやってやったわ」

猫耳蛇娘 「おっぱい丸見えじゃあ!」


幼女魔王N 「ふえ〜ん、蛇ちゃんのバカぁ……」


371 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/10/12(月) 00:56:53.80 ID:dLGTIL/eo


猫耳蛇娘 「じゃが、まだまだワシの攻撃は続くのじゃあ!」


幼女魔王N 「ぇええ〜……!?」


猫耳蛇娘 「くっふっふ、次はこの右手で、おぬしの胸を思い切りこねくり回してやるわ!」


幼女魔王N 「ひぃっ」


猫耳蛇娘 「胸をガードしておったおぬしの右手は、今やワシの左手が掌握しておる」

猫耳蛇娘 「つまり、おぬしは下をガードする左手を使わねば、ワシの右手は止められぬ」

猫耳蛇娘 「下を隠せば胸を揉まれ、胸を守れば下が丸見えになっちゃう罠」

猫耳蛇娘 「冴え渡る猫耳蛇娘の脳みそ、ここにありなのじゃあ!」


幼女魔王N 「ず、ずるい。蛇ちゃん天才だった……!」


猫耳蛇娘 「にゃーっはっはっはっ! おだてられても七倍速で揉みまくるくらいしかできないぞう!」


372 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/10/12(月) 00:58:28.20 ID:dLGTIL/eo
>>371 訂正ごめんなさい



猫耳蛇娘 「じゃが、まだまだワシの攻撃は続くのじゃあ!」


幼女魔王N 「ぇええ〜……!?」


猫耳蛇娘 「くっふっふ、次はこの左手で、おぬしの胸を思い切りこねくり回してやるわ!」


幼女魔王N 「ひぃっ」


猫耳蛇娘 「胸をガードしておったおぬしの左手は、今やワシの右手が掌握しておる」

猫耳蛇娘 「つまり、おぬしは下をガードする右手を使わねば、ワシの左手は止められぬ」

猫耳蛇娘 「下を隠せば胸を揉まれ、胸を守れば下が丸見えになっちゃう罠」

猫耳蛇娘 「冴え渡る猫耳蛇娘の脳みそ、ここにありなのじゃあ!」


幼女魔王N 「ず、ずるい。蛇ちゃん天才だった……!」


猫耳蛇娘 「にゃーっはっはっはっ! おだてられても七倍速で揉みまくるくらいしかできないぞう!」




373 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/10/12(月) 01:07:43.64 ID:dLGTIL/eo



猫耳蛇娘 「うひひひ……ほーれ、早くしないと揉んじゃうぞーう」


ワショワショワショ


幼女魔王N 「い、いやあん……」


猫耳蛇娘 「ワシの神がかりな左手はすごいぞう」

猫耳蛇娘 「おぬしの残念な直滑降も、トんでトんで、一晩でK点越えも夢じゃないのじゃあ!」


幼女魔王N 「だ、だったら、まず蛇ちゃんが自分で揉めばいいんじゃないかな……!」

幼女魔王N 「蛇ちゃんの直滑降を、K点越えさせちゃえばいいんじゃないかな……!」


猫耳蛇娘 「何じゃとう! おぬしはZZ越えの刑、確定じゃあ!」


幼女魔王N 「きゃあああ!」


キャッキャッ

ウフフ


374 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/10/12(月) 01:24:04.05 ID:dLGTIL/eo


…………

ジャラ ジャラ

ズブブブ


猫耳蛇娘 「恐ろしい……恐ろしい財力じゃ」

猫耳蛇娘 「どこまでも沈んでいけるぞう」

猫耳蛇娘 「お金さまが、お金さまが! ひだひだローパーのごとくワシの全身を丸呑みしていくのじゃあ」


幼女魔王N 「本当にお風呂につかっているみたい。これなら、隠さなくてもいいし……」


猫耳蛇娘 「負けない。お金なんかに、ぜったい負けたりしない……!」


幼女魔王N 「蛇ちゃん……」


猫耳蛇娘 「おぬしも負けるんじゃないぞう。負けたらお金の奴隷にされちゃうのじゃ」

猫耳蛇娘 「お金に征服された、欲まみれの肉の塊にされちゃうのじゃあ」


幼女魔王N 「う、うん、頑張る」

幼女魔王N 「何が勝ち負けか分からないけど……」


猫耳蛇娘 「はにゃあぁ〜ん、お金には勝てなかったのじゃあ」


フニャ


幼女魔王N 「もう負けてる……!?」


375 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/10/12(月) 01:37:44.43 ID:dLGTIL/eo


母性巫女 「…………」



猫耳蛇娘 「……ふいぃ」


幼女魔王N 「あ、熱くなってきたね」


猫耳蛇娘 「お金にワシらの体温が移っちゃったんじゃな、たぶん」


幼女魔王N 「ふうん……」


猫耳蛇娘 「いやはや、なかなかの夢見心地じゃ」

猫耳蛇娘 「お金十割風呂」


幼女魔王N 「う、うん……」


猫耳蛇娘 「まあ、ぶっちゃけ普通の風呂の方が気持ち良いな」


幼女魔王N 「それは……ええぇ〜……」


猫耳蛇娘 「にゃははは……」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……触手、出す?」


猫耳蛇娘 「……おー」

猫耳蛇娘 「おうっ?」


376 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/10/12(月) 01:42:28.71 ID:dLGTIL/eo


幼女魔王N 「触手十割風呂ができるよ」

幼女魔王N 「あ、でも、触手汁も混じっちゃうかも」


猫耳蛇娘 「…………」


幼女魔王N 「でね、触手がね、触手汁を使ってね、全身をマッサージしてくれるの」

幼女魔王N 「頼んでもいないのに」


猫耳蛇娘 「…………」


幼女魔王N 「……気持ち、いいよ?」


猫耳蛇娘 「……また今度の」


幼女魔王N 「う、うん……」


猫耳蛇娘 「…………」


幼女魔王N 「…………」


猫耳蛇娘 「………レンタル」


幼女魔王N 「?」


猫耳蛇娘 「レンタル……は、できんのかの。触手風呂」


377 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/12(月) 02:26:15.10 ID:jlht+uH5o
更新乙
378 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/12(月) 10:07:00.74 ID:UsLM9vgho
単身赴任の人妻に大人気ですな
379 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/10/28(水) 02:45:17.94 ID:jaFRVkZgo


チャラ ジャラジャラ


猫耳蛇娘 「……ふう。金は良いのう、心が豊かになる」

猫耳蛇娘 「心が豊かでなくては、人に優しくするのは難しいからの」


幼女魔王N 「う、うん……」


猫耳蛇娘 「じゃが、この金は貰うわけにはいかんの」


幼女魔王N 「え……」

幼女魔王N 「いいんだよ。友だちだから……」


猫耳蛇娘 「うんむ。その気持ちだけ貰っておこう」

猫耳蛇娘 「それが友だちっちゅうもんじゃ」


幼女魔王N 「友だち……う、うん」


猫耳蛇娘 「……ここにおる間の生活費くらいは貸してくれても良いぞ」


幼女魔王N 「うん」


猫耳蛇娘 「うむ………」

猫耳蛇娘 「ふいぃ、お金風呂は最高じゃのう」


幼女魔王N 「うん……」


380 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/10/28(水) 02:46:22.43 ID:jaFRVkZgo



猫耳蛇娘 「…………」


幼女魔王N 「…………」


猫耳蛇娘 「……やっぱ一割……二割くらい貰っても良いかの?」


幼女魔王N 「いいよ」



幼女魔王N は 全財産の二割を失った!



381 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/10/28(水) 02:54:51.73 ID:jaFRVkZgo


幼女魔王Nの城 寝室



チチチ

チュン チュン


猫耳蛇娘 「…………ムニャ、いやーん、触手にはかなわんのじゃぁ」

猫耳蛇娘 「……む?」


モゾ モゾ

ムクリ


猫耳蛇娘 「…………おー」

猫耳蛇娘 「朝か」


382 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/10/28(水) 03:04:27.38 ID:jaFRVkZgo


ノソ ノソ

スタ


猫耳蛇娘 「しかし……床に布団を敷いて裸で寝るのが一番と思っておるわしじゃが」

猫耳蛇娘 「お城のふかふかベッドも良いものじゃの。宿オークんとこのとは大違いじゃ」

猫耳蛇娘 「くうぅ、良い夢を見られたような気がするぞう。体がぽっかぽかなのじゃ」

猫耳蛇娘 「さて……」


ゴソ


幼女魔王N 「…………スピー」


猫耳蛇娘 「こやつはまだ夢の中か」

猫耳蛇娘 「友だちだから一緒に寝るのが当たり前って……どういう考えじゃよ」


幼女魔王N 「……ムニャムニャ」


猫耳蛇娘 「……ふむ。まあ、黙って寝ておれば、姫というのも信じられるの」

猫耳蛇娘 「起きとるときが、よっぽど残念なんじゃなあ……」


383 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/10/28(水) 03:11:55.39 ID:jaFRVkZgo


幼女魔王Nの城 廊下



コツ コツ コツ


猫耳蛇娘 「お隣の世界の街で朝食でも……と思うたが、面倒くさい」

猫耳蛇娘 「適当なもんでも見繕って食っておくかの」


テク テク


猫耳蛇娘 「ふうむ……崩れておるが、床は綺麗じゃな。瓦礫などは転がっておらん」

猫耳蛇娘 「掃除好き……には見えんかったが」

猫耳蛇娘 「む?」

猫耳蛇娘 「クンクン……」

猫耳蛇娘 「…………」

猫耳蛇娘 「何じゃ、良いにおいがする」


384 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/10/28(水) 03:23:43.13 ID:jaFRVkZgo


食堂の扉


猫耳蛇娘 「……間違いない、においはここからじゃ」

猫耳蛇娘 「あやつ、わしより遅く起きたくせに先回りして朝食をつくっておったのか?」


キュルルル


猫耳蛇娘 「ジュルリ……うう、いかんいかん。かいでおったらヨダレが止まらずお腹が鳴っちゃうわい」

猫耳蛇娘 「ええい、我慢できん。突撃じゃあ!」


ガチャ ギイイ


猫耳蛇娘 「……ぬおぉっ!」


おいしい朝食×4


キラ キラ


猫耳蛇娘 「なんとも腹の虫を刺激する食卓が目の前にひろがっておるぅ!」



385 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/28(水) 04:24:18.29 ID:JV0dZi8L0
きたかっ!
386 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/10/28(水) 07:18:36.70 ID:jaFRVkZgo


猫耳蛇娘 「誰の姿も見えんな。しかし、このうちのいくらかは、ワシのために用意されたものじゃろう」

猫耳蛇娘 「…………」

猫耳蛇娘 「……お、お先に食べちゃって良いのかのう?」

猫耳蛇娘 「いやいや、駄目じゃ。そんなはしたない」

猫耳蛇娘 「と言いつつも手をのばしちゃうワシ……」

猫耳蛇娘 「……ん?」


コツ コツ コツ


母性巫女 「…………」


猫耳蛇娘 「げっ」


387 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/10/28(水) 07:27:25.97 ID:jaFRVkZgo


母性巫女 「…………」


猫耳蛇娘 (……く、黒髪巨乳! 飲み物を持ってきておる最中じゃったか)

猫耳蛇娘 「あ、あー、えっと、そのじゃなあ……」

猫耳蛇娘 (まずいぞ、まずいぞ。こやつは傀儡とはいえ得体の知れん強さをもったしもべじゃ)

猫耳蛇娘 (魔王の食事をつまみ食いしようとしていたのがばれたら、命が危ないかもしれん)

猫耳蛇娘 (うまく誤魔化すしかない!)


母性巫女 「…………」


猫耳蛇娘 「い、いいい、いやーのう? ピンク魔王のパンに虫がとりつこうとしていてのー」

猫耳蛇娘 「あっれー、おっかしーのー。虫かと思ったらクルミじゃったかのー」

猫耳蛇娘 「……チラッ」


母性巫女 「…………」


猫耳蛇娘 (よし、次の手じゃ)


388 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/10/28(水) 07:37:17.28 ID:jaFRVkZgo


猫耳蛇娘 (じゃが何も思いつかん)

猫耳蛇娘 (ええい、戦いの準備じゃ)


母性巫女 「……あの」


猫耳蛇娘 「!?」

猫耳蛇娘 「へいッッッ!!!!」


母性巫女 「!?」


ビクッ タユン


母性巫女 「え、ええと……」

母性巫女 「ジュースとミルク、どちらが良いですか?」


猫耳蛇娘 「………?」

猫耳蛇娘 (……はて)

猫耳蛇娘 (果物のように全身の血を絞り出されるか、牛のように家畜として生きていくか選べっちゅうことか?)


389 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/28(水) 07:42:00.06 ID:pa7EL/Zx0
そうか巫女が起きてるのか
390 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/10/28(水) 07:51:27.63 ID:jaFRVkZgo


…………


カチャ カチャ

モグモグ


猫耳蛇娘 「…………」


母性巫女 「…………」


猫耳蛇娘 「……い、いやー。何か悪いのー」

猫耳蛇娘 「城の主がおらんのにお食事いただいちゃってのー」


母性巫女 「どうでしょうか。変な味じゃありませんか?」


猫耳蛇娘 「い、いや……」

猫耳蛇娘 (何じゃ。今日は昨日に増して柔らかい印象じゃな)

猫耳蛇娘 (傀儡独特の不自然さもない)

猫耳蛇娘 「おう、そうか、おぬしの出身は遠いんじゃったな」

猫耳蛇娘 「安心せい、ぐっちゃぐちゃうまいぞう。これなら第三大世界中の男の胃袋もはさみ放題じゃ!」


母性巫女 「ああ、良かった……!」

母性巫女 「……はさむ?」



391 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/28(水) 13:34:24.87 ID:SogynkuCO
僕もはさまれたいです!
392 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sape]:2015/10/28(水) 14:23:19.04 ID:JV0dZi8L0
俺のケツに挟んでやるから出しな
393 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/28(水) 23:59:07.69 ID:eJivTBfoO
結局ピンク金とられてますやん
394 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/29(木) 02:27:00.17 ID:up9GYjlQ0
伏線だから
395 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/29(木) 07:44:51.96 ID:974AMm0L0
ageんなってのに
396 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga yude]:2015/11/03(火) 04:31:08.36 ID:JK7Zvdnao


猫耳蛇娘 「まあ……」


ポテトフライ


猫耳蛇娘 「これは揚げるより茹でた方が好みじゃな」

猫耳蛇娘 「ほら、エビと芋は茹でろっちゅう言葉もあるじゃろ」

猫耳蛇娘 「お塩でかために茹でたやつを、ホクホクとかじるのが良いんじゃよー」

猫耳蛇娘 「揚げた芋も好物じゃが、おやつでいただきたいからのー」


母性巫女 「じゃあ、次はそうしましょう」


猫耳蛇娘 「んむ」

猫耳蛇娘 「ガツガツムシャムシャ……」

猫耳蛇娘 「ゴクゴクゴク……プハー! うまいのう!」


母性巫女 「うふふふ……」


カチャカチャ 


397 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/11/03(火) 04:39:03.48 ID:JK7Zvdnao


猫耳蛇娘 「……しかし、ピンク娘は起きてこんのう」


母性巫女 「……そうですね」


猫耳蛇娘 「というか、おぬし」

猫耳蛇娘 「あのピンクのしもべなんじゃよね?」


母性巫女 「…………」

母性巫女 「さあ……」


猫耳蛇娘 「さあ、て」


母性巫女 「私にも、よく分からなくて」

母性巫女 「このところ、何だかふわふわしていて。いまも夢か現か……」


猫耳蛇娘 「……ふむ」


398 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/11/03(火) 04:45:06.06 ID:JK7Zvdnao


猫耳蛇娘 「昨日、ワシと会ったことは憶えておるかの」


母性巫女 「……何となく」


猫耳蛇娘 「何となくかい」


母性巫女 「忘れかけた子供の頃の思い出みたいで」

母性巫女 「現実だったのか、思い込みか昔みた夢のことだったのか……そんな風に曖昧なんです」


猫耳蛇娘 「……ううむ」


399 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/11/03(火) 04:50:07.95 ID:XIQgnySN0
きたか!
400 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/11/03(火) 05:00:46.97 ID:JK7Zvdnao


猫耳蛇娘 「……ん?」

猫耳蛇娘 「ときに、おぬしっていま何歳?」


母性巫女 「え?」

母性巫女 「1[ピーーー]歳ですけど……」


猫耳蛇娘 「うっそじゃあ!」

猫耳蛇娘 「そりゃあサバよみすぎじゃろ!」


母性巫女 「ほ、本当です」


猫耳蛇娘 「その歳頃の人間の雌って、普通もっとピュアピュアでキュアッキュアじゃろ」

猫耳蛇娘 「おぬしなんて熟れ熟れじゃん。プルプルのトロットロじゃん」


母性巫女 「失礼なこと言わないでください……!」


プルン


401 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/11/03(火) 05:12:32.70 ID:JK7Zvdnao


猫耳蛇娘 「あーあー、おるんじゃよなあ、こういう奴」

猫耳蛇娘 「母性強めのロリエロ清楚系キャラ気取る奴」

猫耳蛇娘 「そうやって男をひっかけておっぱい揉ませてそこまで大きくなったんじゃな」

猫耳蛇娘 「怖いのー、魔性の女じゃのー」


母性巫女 「ろ、ロリエ……?」

母性巫女 「おっぱ……胸なんておと……男の人に揉ませてなんか……っ」


ポッ


猫耳蛇娘 「しかも、肌に食い込むピッチピチのうっすい服着た露出狂キャラまで付加しおって」


母性巫女 「そ、そんなつもりじゃ……だって、森にいたときよりだいぶ布の面積は大きく……」


猫耳蛇娘 「ふん、あくまで清楚キャラ気取るつもりじゃな」

猫耳蛇娘 「てや!」


猫耳蛇娘 は アクセサリ(レア) を使った!


母性巫女 「!?」


402 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/11/03(火) 05:21:22.86 ID:JK7Zvdnao


母性巫女 「あら、綺麗な……水晶玉?」


猫耳蛇娘 「相手の強さが分かるアイテムがあってのう。こいつはそれの超すごい版じゃ」

猫耳蛇娘 「これさえあれば、相手の体力とか弱点どころか、恥ずかしい秘密まで丸分かりなのじゃよー」

猫耳蛇娘 「もちろん、本当の年齢ものう」


母性巫女 「そんなアイテムがあるなんて」


猫耳蛇娘 「ほほーう、やっぱこのアイテムのことは知らんようじゃな」

猫耳蛇娘 「好都合。つまり防ぐ手段も知らんっちゅうことじゃ」

猫耳蛇娘 「じっくり丸裸にしてやるぞう……」


ジリ ジリ


403 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/03(火) 06:07:15.74 ID:jkn+/i9Wo
はっきりとは分からんが猫耳蛇娘が墓穴を掘ったりする方向なのはわかる
404 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/11/03(火) 06:08:20.51 ID:JK7Zvdnao


猫耳蛇娘 「にゃふふぅ……」


母性巫女 「ちょ、ちょっと、まだ食事中ですよ」


猫耳蛇娘 「どれどれ……」


キラリ キイイ



■母性巫女(健康)

種族 :人間
職業 :魔王のしもべ/精霊使い/戦巫女/触手の苗床
レベル:000003/2460/08213/999
髪質 :サラサラ
性格 :おっとり

属性 :???
得意 :子供、魔物
苦手 :子供、性魔術、機械
弱点 :頭、胸、背筋、臀部、局部
B:XXX/W:0XX/H:XXX
恋人いない歴:ずっと
友達いない歴:ずっと
好感度:高い
出産経験:なし
…………
……



猫耳蛇娘 「ふむふむ」

猫耳蛇娘 「で、年齢はどこだっけの……得られる情報が多すぎて探すのが面倒じゃ……」

猫耳蛇娘 「うぬう、淫魔幼女の言うとおり、少し情報を絞らんといかんかのう」

猫耳蛇娘 「お、あったぞ……」



…………:39217
最高本数:15本
連続最高記録:7230回

年齢:0さい

肉親:なし
好物:スープ、ヨーグルト、おしゃぶり触手
器用さ:…………
………



猫耳蛇娘 「……なん蛇と」


405 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/11/03(火) 06:23:23.17 ID:JK7Zvdnao


猫耳蛇娘 「おぬし……」


ヒョイ


猫耳蛇娘 「ああっ!?」



母性巫女 は アクセサリ(レア)を盗んだ!



母性巫女 「もう、食事中にこんなことしちゃ駄目でしょう」


猫耳蛇娘 「泥棒! 返すのじゃ、返すのじゃ!」


ピョイーン ピョイーン


母性巫女 「駄目です。食事が終わるまで、没収ですからね」


猫耳蛇娘 「それがお客に対する態度か!」


母性巫女 「お客さまだからって、こんなことやっちゃいけないんですから」


猫耳蛇娘 「うぬぬぬ、馬鹿にしおって」

猫耳蛇娘 「言っとくがワシはこう見えても、反魔法少女ギルドの……」


母性巫女 「だからって、子供は子供です」


猫耳蛇娘 「おぬしはお母さんか!」


406 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/11/03(火) 10:07:54.52 ID:JK7Zvdnao


猫耳蛇娘 「くっそう、見た目で判断しおって小娘が」

猫耳蛇娘 「見ておれよ、この!」


ダダ ムギュ


母性巫女 「え、ちょっと……! ゃんっ……」


猫耳蛇娘 「にゃはは、弱点が胸であることは把握済じゃあ」

猫耳蛇娘 「ほーれ、揉むぞ揉むぞ。思いっきりこねくりまわしてやるー」


ムニムニ グニグニ


母性巫女 「も……もうっ……やめてくだ、やめなさ……っ」


猫耳蛇娘 「じゃったら攻撃すればよかろう? 子供姿のラブリーなワシをのー」

猫耳蛇娘 「……ふはは、大きい上にほぼ丸出しじゃから攻撃し放題じゃ」

猫耳蛇娘 「効果はばつぐんのようじゃな。そらそら、返さんともっとすごいことになっちゃうぞう」


モニュモニュ グイングイン


母性巫女 「や、やめっ……はふっ……怒りますっ、ょ……」


ヨロ カクン 

フル フル


猫耳蛇娘 「にゃははっ、脚腰がぷるぷるカクついておる。もうフニャフニャじゃあ」

猫耳蛇娘 「どうしたどうした、今にもヨダレたらしそうなトロけ顔でお母さんぶっても、説得力ないぞう」

猫耳蛇娘 「さっさとアクセサリを返すのじゃ、良い子ぶりっこちゃんめ」


グニョグニョ キュ キュ


母性巫女 「は、はうぅ……ッ」

母性巫女 「ほっ、ほんとに、やめ……」


407 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/11/03(火) 10:17:12.33 ID:JK7Zvdnao


ヒュン ドカッ

ゴゴゴゴゴ


母性巫女 の こうげき!
母性巫女 は 体に力が入らない!
かすりヒット!
猫耳蛇娘のHP が 1 になった!



…………

…………



母性巫女 「さあ、ごはんを食べてください」

母性巫女 「おもちゃで遊ぶのはそれからですからね」


猫耳蛇娘 「はーい」

猫耳蛇娘 「……あっれー、おかしいのう」

猫耳蛇娘 「ワシ、すっげー勝っとったはずじゃがのー……」


ムシャ ムシャ

408 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/03(火) 10:21:01.83 ID:xzp6Mnp/0
レベル表記の0の量はカンストまでの長さか?
つまり触手の苗床はカンストしてるのか
409 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2015/11/03(火) 10:24:37.12 ID:JK7Zvdnao

触手とはいろいろあったから……

410 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/03(火) 10:34:35.43 ID:Bkk7D7gY0
母性巫女のチョップで毎回毎回瀕死になってるのは割とウケる
411 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/11/03(火) 10:34:54.58 ID:JK7Zvdnao


猫耳蛇娘 「じゃが、おぬしが儀式を受けて魔王のしもべになったことは確かなようじゃ」


母性巫女 「え?」


猫耳蛇娘 「アクセサリはおぬしを、0歳と判断した」


母性巫女 「ええっ!?」


猫耳蛇娘 「良かったのー。真相は闇の中でのー」


母性巫女 「だから、本当に1X歳ですってば……!」


猫耳蛇娘 「はいはいじゃよ」

猫耳蛇娘 「ワシのアクセサリ使用経験からすると、年齢がリセットされるのは一度死んで生き返った場合じゃ」

猫耳蛇娘 「ただ生き返るだけじゃなくて、何かの条件が揃ってそうなるらしいんじゃが」

猫耳蛇娘 「まあ、とにか、おぬしは一度死んで魔王のしもべになったっつうこっちゃな」

猫耳蛇娘 「で、それができるのはしもべの儀式だけ」


母性巫女 「そうなんですか……」


412 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/11/03(火) 10:48:05.38 ID:JK7Zvdnao


猫耳蛇娘 「でものー、そいじゃと変なところもあってのー」


母性巫女 「変?」


猫耳蛇娘 「おぬしって人間じゃん? サキュバスとか乳牛とかじゃないじゃん?」


母性巫女 「え、ええ」


猫耳蛇娘 「見た目はつま先から脳みそまでエロしか詰まってなさそうなのにのー」


母性巫女 「あの」


猫耳蛇娘 「じょ、冗談じゃよー」

猫耳蛇娘 「ステータス的にのー、儀式をうけた魔王のしもべにしては不自然というか」

猫耳蛇娘 「第一、表情が豊かすぎるんじゃよ」


母性巫女 「は、はあ……?」


413 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/11/03(火) 11:03:25.91 ID:JK7Zvdnao


猫耳蛇娘 「魔王のしもべになる方法もいろいろあってな」

猫耳蛇娘 「大きくわけりゃ、儀式をうけるうけないの二つなんじゃが」


母性巫女 「はあ」


猫耳蛇娘 「儀式はだいたい、魔王が無理やりしもべをつくるときに行う」

猫耳蛇娘 「儀式さえ受けさせりゃ、だいたいの生き物は忠誠度MAXのしもべになっちゃう」

猫耳蛇娘 「しかし、しもべは本来の力を発揮できなくなる場合が多い」

猫耳蛇娘 「それまでの記憶とか自我とか、封印されるか消滅してしまう」


母性巫女 「記憶や自我がなくなってしまう……」


414 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/11/03(火) 12:02:21.81 ID:JK7Zvdnao


猫耳蛇娘 「自我があるように振舞わせることもできるんじゃがの」

猫耳蛇娘 「ほら、相手を無理矢理しもべにー……よりも、相手が望んでしもべになりにきたって方が」

猫耳蛇娘 「魔王的にも格があるというか、器がでかい感じじゃろ?」


母性巫女 「た、たしかに……」


猫耳蛇娘 「じゃから、儀式をうけたと悟らせないように見せかけるしもべの儀式もある」

猫耳蛇娘 「難度は高くなるが」

猫耳蛇娘 「でものー、いくらうまく偽っても分かっちゃうんじゃよ」

猫耳蛇娘 「あれ、こやつ何か普通じゃないな、というか」

猫耳蛇娘 「まあ、どこかしら欠けている感じがなー」


母性巫女 「そうなんですか……」


猫耳蛇娘 「昨日のおぬしはそんな感じだったんじゃけど」

猫耳蛇娘 「今日は違うんじゃよな」

猫耳蛇娘 「嘘っぽい感じがせん」


415 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/11/03(火) 12:26:18.81 ID:JK7Zvdnao


猫耳蛇娘 「おぬし、今は自分の意思で動いとる?」


母性巫女 「そうだと思っているけれど……分かりません」


猫耳蛇娘 「うーむ……」

猫耳蛇娘 「昨日よりはどうかの。意識がはっきりしとるとか」


母性巫女 「それは、そうですね。うまく言えないけれど」


猫耳蛇娘 「不思議じゃなー」

猫耳蛇娘 「そういうことはよくあるのかの? 意識が戻るというか」


母性巫女 「はい」


猫耳蛇娘 「……う−む」

猫耳蛇娘 「結界のせい……じゃなかろうし」

猫耳蛇娘 「おぬし、何か心当たりとかない?」


母性巫女 「うーん……」


416 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/11/03(火) 13:09:34.44 ID:JK7Zvdnao


母性巫女 「そういえば……」


猫耳蛇娘 「にゃん?」


母性巫女 「男の人に揉んでもらったことはありませんけど」

母性巫女 「森で暮らしていたころや討伐隊に入って旅をしていたころ、年少組のお守役をやるときに」

母性巫女 「よくおっぱ……胸を揉まれていたと思います」


猫耳蛇娘 「……うん?」


母性巫女 「小さな手をグゥ、パッ、グゥ、パッ……て、夢中で動かしているのが可愛くて」

母性巫女 「ついつい見とれちゃうんですよね」

母性巫女 「揉むと大きくなるという噂を聞いて極力やめようと思ったんですけど」

母性巫女 「やっぱり可愛くて……うふふ……」


ポワン ポワン 


猫耳蛇娘 「…………」

猫耳蛇娘 「……不愉快じゃ」


417 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/11/03(火) 13:16:08.86 ID:JK7Zvdnao


猫耳蛇娘 「おぬしの魔乳自慢は分かったから、何か役に立つことを話せよ」

猫耳蛇娘 「その胸の大きさって、はっきり言ってファンタジーじゃからな。ありえんからな。気持ち悪いからな」


母性巫女 「そ、そんなつもりじゃ……ごめんなさい」

母性巫女 「ええと……」

母性巫女 「私の意識がはっきりしているとき、Nはいつも寝ているんですが……」


猫耳蛇娘 「いつも?」

猫耳蛇娘 「起きておるあやつに会ったことは無いんか?」


母性巫女 「ここに来てからは、そうですね……」


猫耳蛇娘 「……ふーむ。なるほど」


418 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/03(火) 13:21:39.36 ID:sU1cMlMQO
挟まれたいです
419 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sape]:2015/11/03(火) 14:17:23.12 ID:XIQgnySN0
俺のかわいいお尻で挟んでやるから我慢しろ
420 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/03(火) 14:39:27.73 ID:sS3Cq0AFO
あぁ…もうイチャイチャする幼女と母性巫女の組み合わせは見られないのだろうか…
421 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/11/13(金) 19:05:28.11 ID:XoSNadP0o


猫耳蛇娘 「……意識がある時って、いつもどうしとるの?」


母性巫女 「掃除をしたり、この世界やお城のことについて調べてみたり」

母性巫女 「あんまり長いときは、Nのお世話をしたり……」

母性巫女 「あ、そうだ。中庭に花を植えようと思うんですけど、どうでしょう」


猫耳蛇娘 「知らんけど」

猫耳蛇娘 「長いときって……どのくらいじゃ」


母性巫女 「たぶん、二日近く眠っていたと思います」


422 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/13(金) 19:49:14.56 ID:WFgzrVgBO
きたか
423 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/11/13(金) 19:56:43.04 ID:XoSNadP0o


猫耳蛇娘 「その間、おぬしは寝たりしたかの?」


母性巫女 「ええ……」


猫耳蛇娘 「それ、もしかして二日近く眠ったことにならなくない?」

猫耳蛇娘 「おぬしが寝た間に、あやつ起きてたかもしれんじゃん」


母性巫女 「それが……その時はうたた寝程度で、私はNの傍にいたんですが」

母性巫女 「Nはずっと同じ姿勢だったので……毛布も乱れた様子はなかったし……たぶん起きていないかと」


猫耳蛇娘 「ふーむ……」

猫耳蛇娘 「本当じゃとしたら、分かることもありそうじゃが」


母性巫女 「?」


猫耳蛇娘 「ピンクが眠ったらおぬしが起きて、一方、おぬしが眠っているときはピンクが起きているとは限らない」

猫耳蛇娘 「それは、この珍妙な現象が、おぬしが起きているか眠っているかではなく」

猫耳蛇娘 「あのピンク次第だろうということじゃ」


424 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/11/13(金) 20:09:20.32 ID:XoSNadP0o


猫耳蛇娘 「ピンクの状態次第で、変化するのだろうということじゃ」


母性巫女 「……はあ」


猫耳蛇娘 「基本的に、主導権はピンクが握っておる」

猫耳蛇娘 「ピンクが起きておるとき、おぬしは儀式に縛られる。意識がない。眠っておる」

猫耳蛇娘 「そしてピンクが眠っておるとき、おぬしは儀式から解放される。意識がある。起きておるというわけじゃ」


母性巫女 「なるほど……」


猫耳蛇娘 「まがりなりにも魔王によるしもべの儀式で、こんな中途半端なことは起きんはずじゃが……」

猫耳蛇娘 「実際に起きちまっとるからのー」

猫耳蛇娘 「不思議じゃのー」


425 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/14(土) 02:48:30.99 ID:RUqT6vx8O
不死が何か作用しちゃってるのかねぇ
でもピンク頭がしたことだし残念な理由かもしれんな
426 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/11/14(土) 03:20:22.52 ID:9IQ/KpJRo


猫耳蛇娘 「儀式をかける側に不手際があったところで」

猫耳蛇娘 「勇者や魔王級の存在による儀式では大した問題にはならんし」

猫耳蛇娘 「かけられる側にものすごい抵抗力があった……にしても」

猫耳蛇娘 「そういう例があるなぞ耳にしたこともないし」

猫耳蛇娘 「いや、むしろ滅多に起こらないことが全て起こったとか……?」


母性巫女 「…………」


猫耳蛇娘 「いや、それよりも」

猫耳蛇娘 「何で、おぬしはここにおるの?」


427 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/11/14(土) 03:40:19.37 ID:9IQ/KpJRo


猫耳蛇娘 「無理矢理、魔王のしもべにされたわけじゃろ?」


母性巫女 「それは……」


猫耳蛇娘 「……違うのかの?」

猫耳蛇娘 「自分からしもべになる奴を、わざわざ傀儡にする理由もそう無いと思うんじゃが」


母性巫女 「たしかに、自分からしもべになったわけじゃありませんけど……」


猫耳蛇娘 「そうか、おぬしもはっきりと分からんのじゃったな」

猫耳蛇娘 「……じゃが、違う世界に無理矢理連れてこられて」

猫耳蛇娘 「帰ろうとかせんの?」

猫耳蛇娘 「故郷じゃ仲間はずれじゃったとか?」


母性巫女 「い、いえ……懐かしいとは思います」

母性巫女 「でも、帰る方法も分からなくて」


猫耳蛇娘 「それが、あのピンクのせいってのは分かっとるじゃろ?」


母性巫女 「……はい」


428 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/11/14(土) 03:47:47.74 ID:9IQ/KpJRo


猫耳蛇娘 「で、しもべとしてピンクの言いなりになっとる時のことは」

猫耳蛇娘 「うっすらと憶えておるわけじゃ」


母性巫女 「はい」


猫耳蛇娘 「しもべの儀式がどういうもんか、分かっとるんじゃろ」


母性巫女 「……はい」


猫耳蛇娘 「そこでさっきの疑問なんじゃよ」

猫耳蛇娘 「何で、おぬしはここにおるの?」



429 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/11/14(土) 04:12:53.96 ID:9IQ/KpJRo


猫耳蛇娘 「人生を滅茶苦茶にされたんじゃよ。他人のわがままで」

猫耳蛇娘 「それまでの過去やら、未来やら、いろんなものを、それこそ本当に全部ぶっ潰されて奪われて」

猫耳蛇娘 「で、何の偶然か意識が自由になったとき、奪った張本人が目の前で眠りこけとって」

猫耳蛇娘 「どうしておぬしは、ここに留まっておれるの?」


母性巫女 「…………」


猫耳蛇娘 「腹が立ったりせん?」

猫耳蛇娘 「人の人生を滅茶苦茶にした奴の日常を見せられるとか」

猫耳蛇娘 「……そんなことをされたら、親友相手でも殺意が湧くと思うんじゃが」

猫耳蛇娘 「少なくとも、こんな風に朝飯つくったり掃除したりできんと思うんじゃが」


母性巫女 「…………」


430 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/14(土) 06:01:32.71 ID:9jsckYcho
更新乙
431 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/11/14(土) 18:05:01.01 ID:7NKMaQiX0
きたか
432 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/11/14(土) 19:47:38.05 ID:9IQ/KpJRo


猫耳蛇娘 「たとえ、あやつが全部悪いというわけじゃなくても」

猫耳蛇娘 「理不尽な状況への憤りをぶちまけるサンドバッグが目の前におるのに」


母性巫女 「そんな……子供だし、とんでもなく間違うことだってあります」

母性巫女 「それにあの子、間違うことすら怖がってしまう……その……」

母性巫女 「本当に可哀想というか、心のやわらかい子だから……」


猫耳蛇娘 「……何を言いたいのか分からんが」

猫耳蛇娘 「おぬし、あれとは付き合いが長いんか?」


母性巫女 「長い……と言うほどじゃありませんけど」

母性巫女 「一緒に暮らしていました。たぶん、あの子が私の故郷に来たときから」


433 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/14(土) 21:14:39.33 ID:83B4MG4D0
俺がおっぱいを揉んでも精神は子供だから間違いとして許されるな
434 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/11/14(土) 23:34:36.92 ID:9IQ/KpJRo


猫耳蛇娘 「ああ、そりゃそれなりに情も湧くのう。長くないといえ、毎日一緒におれば」

猫耳蛇娘 「好き嫌いは別として、ただの他人同士のままということもなかろうし」

猫耳蛇娘 「うちの組織がそんな感じじゃし」

猫耳蛇娘 「ううむ、じゃからこそ、裏切られたときのショックも大きかろうと思うんじゃが」


母性巫女 「え、ええ。だけど……」

母性巫女 「ひとりぼっちで、何が良くて何が駄目か分からずに暮らしてきて」

母性巫女 「誰も教えなかったら、ずっと分からないままだし」

母性巫女 「あの子、ちょっと考え方が独特だし」

母性巫女 「ああ、何か事情があったのかも……」


猫耳蛇娘 「……それは他の奴が言うことであって、当のおぬしが言うことじゃないんじゃないかの?」

猫耳蛇娘 「殺された奴が犯人を思いやるって、どんな構図じゃよ」

猫耳蛇娘 「ちょっと気持ち悪いぞ」



435 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/11/15(日) 00:23:51.01 ID:EzmkM46oo


母性巫女 「気持ち悪いって……」


猫耳蛇娘 「感情の動きが予想外すぎる奴ってのは怖いんじゃよ」

猫耳蛇娘 「とくにワシって人情派じゃから。心を大事にする傾向にあるから」

猫耳蛇娘 「喜怒哀楽のツボの見当もつかん相手というのは、未知の化物より厄介じゃったりする」

猫耳蛇娘 「この人、何やったら怒るんじゃろうなー……と、つねにビクビクしちゃう」


母性巫女 「そう言われても、私もちゃんと怒ったりしますけど……」


猫耳蛇娘 「怒るべきだから怒っとけ、みたいな感じがするんじゃよ」

猫耳蛇娘 「仕事っちゅうか、価値観に従って冷静に喜怒哀楽を表しとるだけで、じつは」

猫耳蛇娘 「感情は押しピンで一箇所にとめられておるような」


母性巫女 「そんなこと」


猫耳蛇娘 「いや、無いんじゃろうけど」

猫耳蛇娘 「おぬしの場合、なんか負の感情表現の機能みたいのがぶっ壊れていて」

猫耳蛇娘 「それが結果、感情全部がぶっ壊れとる……みたいに見えるんじゃろうな」


436 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/15(日) 00:30:02.45 ID:b8gozURzo
自分のことに対して怒らないかわりに躾しなければと思った相手をHP1になる技で削ってくるとか恐すぎんよ
437 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/11/15(日) 00:44:31.90 ID:EzmkM46oo


猫耳蛇娘 「おぬしってポワワンとしとるし、人間としてはいろいろ規格外っぽいし」

猫耳蛇娘 「それが余計に、巨大な異形が潜む深海の闇を前にしとるような、そんな恐怖感を煽るんじゃろう」


母性巫女 「会ったばかりで、そこまで分かるものなんですか……?」


猫耳蛇娘 「職業柄、そういう目が育っての。外れることも多いが」

猫耳蛇娘 「まあ、たしかに大げさに言うとる部分もある」

猫耳蛇娘 「……じゃが、子供の勘とか感性をなめちゃいかんよ」

猫耳蛇娘 「表す言葉がないだけで、実は大人なんて比べもんにならんくらい多くのものを感じ取るからな」


母性巫女 「それこそ、当のあなたが言ってはいけないような気がするけれど……」


猫耳蛇娘 「そういう機能は大人になるとむしろ邪魔になったりするから、成長につれて衰えていくんじゃなあ」


438 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/11/15(日) 01:18:49.29 ID:EzmkM46oo


母性巫女 「…………」


猫耳蛇娘 「それで?」


母性巫女 「え」


猫耳蛇娘 「これからおぬし、どうするつもりなの?」

猫耳蛇娘 「ワシは仕事でしばらくここにおらんといかんから、知っときたいんじゃけど」


母性巫女 「そうですね……」

母性巫女 「とりあえず、お城の修理の件がどうなっているか、各ギルドに確認しないと」


猫耳蛇娘 「あ、他の世界から人を呼ぶときは、なるだけ一まとめになるようにしてくれんと困るよ」

猫耳蛇娘 「ワシの仕事が面倒になるから」


母性巫女 「分かりました」

母性巫女 「お昼ご飯はここで食べますか? それとも仕事場に運びますか?」


猫耳蛇娘 「運んでくれると助かるのう」

猫耳蛇娘 「……ついでにィ、猫耳蛇娘ちゃんのお口にも運んでくれると嬉しいのー。ごろにゃん」


母性巫女 「あらあら。うふふ……」


猫耳蛇娘 「にゃははは……」

猫耳蛇娘 「じゃ、のーて!!」


バンッ


母性巫女 「テーブルをそんな風に叩いちゃ駄目ですよ」


439 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/11/15(日) 01:36:20.20 ID:EzmkM46oo


猫耳蛇娘 「何なんじゃ、おぬし、ここでの暮らしに適応していっとるようじゃが」

猫耳蛇娘 「……じゃあ、ワシがおるうちは、あのピンクをどうこうしようとかは無いのじゃな」


母性巫女 「どうこうって……」


猫耳蛇娘 「あやつを殺して自由になろうとか、そういうのはせんのじゃな」


母性巫女 「あ、当たり前です。そんなこと、しません……!」


猫耳蛇娘 「……本当に変わっとるのう」

猫耳蛇娘 「まあ、しこりは残るが深く関わりとうないし、だったらもうそれで良いんじゃが……」


母性巫女 「はい……」



??? 「……いや」

??? 「本当に良いのかな」


440 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/11/15(日) 01:54:20.41 ID:EzmkM46oo


カチャ パク

モグモグ


??? 「……うん、おいしい」

波魔法少女? 「食事というのは、改めて良いものだ」



波魔法少女? が あらわれた!



猫耳蛇娘 「!?」

猫耳蛇娘 「界駆ギルドの……!」


母性巫女 「あの、すみません、いつの間にここに……」


波魔法少女? 「さっきからいたけれど」


母性巫女 「そんなはず……」


猫耳蛇娘 「おぬし、なぜここにおる」


波魔法少女? 「おや、魔法少女ギルドのことを知っているということは……関係者かな」

波魔法少女? 「しかし、界架ギルドの人というわけでもなさそうだ」

波魔法少女? 「というか誰だろう、君は」


猫耳蛇娘 「界駆の魔法少女が、なんでここにおるんじゃ」


波魔法少女? 「なんでって……呼ばれたからさ」

波魔法少女? 「ねえ、黒髪の人?」


母性巫女 「え……」



441 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/11/15(日) 02:04:25.22 ID:EzmkM46oo


猫耳蛇娘 「おぬし、こやつと知り合いか」


母性巫女 「い、いえ、知らないはずですけど」


波魔法少女? 「ひどいなあ」


母性巫女 「……あの。どこかで会ったでしょうか」

母性巫女 「だとしたら、ごめんなさい、おぼえていなくて……」


波魔法少女? 「気にしなくて良いよ」

波魔法少女? 「ボクらは初対面さ」


母性巫女 「……はあ」


波魔法少女? 「けれど、君はおぼえている」

波魔法少女? 「ボクの分の食事を用意してくれていたじゃないか」


カチャ カチャ

モグモグ ゴクン


442 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sap]:2015/11/15(日) 02:05:49.71 ID:SamYfTkW0
波魔法少女ってなんだっけ?死体引きづられてたけど偽物で裏切ってた奴だったか
443 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/11/15(日) 02:12:54.85 ID:EzmkM46oo


波魔法少女? 「ピンクちゃんは元気かい」


母性巫女 「え……」


波魔法少女? 「あの子とは浅からぬ縁でね」

波魔法少女? 「妖精の世界では、教会で可憐少女ちゃんも交え楽しくやった」


母性巫女 「教会……?」


波魔法少女? 「元気かい?」

波魔法少女? 「美味しいね、この揚げた芋」


母性巫女 「……ええと」


猫耳蛇娘 「話すな」


母性巫女 「耳蛇……?」


猫耳蛇娘 「こやつは問答無用に魔物を狩るギルドの一員」

猫耳蛇娘 「あのピンクの天敵みたいなもんじゃ」


444 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/11/15(日) 02:27:01.91 ID:EzmkM46oo


母性巫女 「……!!」


猫耳蛇娘 「……どうやってここに来たのやら」

猫耳蛇娘 「結界の隙でもついたか」


波魔法少女? 「そんなに警戒しないでおくれよ」

波魔法少女? 「もはやボクは、誰とも敵対するつもりはない」

波魔法少女? 「ジュース、おかわり」


母性巫女 「あ、はい」


トポ トポ トポ


猫耳蛇娘 「おい、おっぱい」


母性巫女 「あ、はい」

母性巫女 「ミルクですね」


トク トク トク


猫耳蛇娘 「ごろにゃんごろにゃん」

猫耳蛇娘 「じゃ、のーて!!」


バンッ


波魔法少女? 「はしたないな。人の食事中にテーブルを叩くなんて」


445 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/15(日) 06:58:44.63 ID:0dMpVG8yo
一スレ目の魔物牧場の裏ボスだよ
道魔法少女と淫魔法少女に負けて捕獲された
446 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/15(日) 08:15:25.98 ID:gM06M6LrO
あああいつか
それより本当に母性巫女は子供を甘えさせるスキルでも持ってんじゃないか
447 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/15(日) 14:07:52.04 ID:ZpbMMmM+O
子供だけじゃないんじゃね
448 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/15(日) 16:25:10.66 ID:SamYfTkW0
つまりあたしにもワンチェン・・・?
449 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/15(日) 16:31:28.04 ID:2N46JNTRo
界駆の魔法少女(笑)
450 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/11/15(日) 20:03:57.39 ID:EzmkM46oo


猫耳蛇娘 「良いか、これは危険な状況なんじゃぞ」

猫耳蛇娘 「ピンクの世界は、本来ならいかなる外敵も寄せ付けん」

猫耳蛇娘 「どころか、存在する座標すら掴めん。じゃのに、こうやって部外者がこっそり入り込めとる」

猫耳蛇娘 「こやつが仲間を呼んでみい、この城、攻め込まれ放題なんじゃぞ」


母性巫女 「は、はい……!」


波魔法少女? 「分からない猫耳だね」

波魔法少女? 「だから、戦う気なんてないんだよ。ボクはお呼ばれしただけだってば」

波魔法少女? 「ジュースおかわり」


母性巫女 「あ、はい」


トポ トポ トポ


猫耳蛇娘 「また、おい、おっぱい!」


母性巫女 「は、はい」


トク トク トク


猫耳蛇娘 「わーい、なめらかミルクがなみなみにゃー」

猫耳蛇娘 「蛇、のーてっっ!!」


バンッ


451 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/11/15(日) 20:32:01.25 ID:EzmkM46oo


猫耳蛇娘 「敵! こやつは界駆の魔法少女! 敵、敵なのじゃあーー!!」


ピョーン ピョーン


母性巫女 「魔法少女……」


波魔法少女? 「もう関係ないんだよ」

波魔法少女? 「いま、ボクは何にも属していない」


猫耳蛇娘 「そんなん、信じられっかい!」


波魔法少女? 「やれやれ」


母性巫女 「……あの、Nのお知り合いなんですか?」


波魔法少女? 「もちろん」

波魔法少女? 「彼女とは同じ釜のご飯を食らい」

波魔法少女? 「命のやりとりをした仲さ」


母性巫女 「……それって」


波魔法少女? 「分かりにくかったかい? 少し詳しく話そう」

波魔法少女? 「彼女とは良い友人になれそうだったが、ボクの秘密を見ちゃってね」

波魔法少女? 「それがいけなかった。だから、ボクは彼女を殺そうとしたのさ」

波魔法少女? 「邪魔だったからね」


母性巫女 「……!」


波魔法少女? 「まあ、失敗に終わったわけだが」


452 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/11/15(日) 20:46:44.40 ID:EzmkM46oo


猫耳蛇娘 「ほれ見ろ、ほれ見ろ」

猫耳蛇娘 「しつこくあのピンクの命を狙っておるんじゃ、こやつは!」


波魔法少女? 「いちいち噛み付かないでくれよ。終わったと言ったろう」

波魔法少女? 「終わったことをどうにかしようとは思わない」

波魔法少女? 「ジュース、おかわり」


母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「いただけないのかい?」

波魔法少女? 「まだ空っぽではなさそうだけれど」


母性巫女 「…………」


トポ トポ トポ


波魔法少女? 「どうも」


453 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/11/15(日) 22:57:05.76 ID:EzmkM46oo



波魔法少女? 「ゴクゴクゴク……うん、美味しい」


母性巫女 「……Nが、あなたを呼んだんですか?」


波魔法少女? 「おかしなことを言うなあ」

波魔法少女? 「おいしい朝食を用意してくれたのは君だろうに」


母性巫女 「私は人数分しか用意していないつもりでしたけど……」

母性巫女 「四人分……Nと、耳蛇と、私と」

母性巫女 「……あれ」


波魔法少女? 「最後にボクの分だ」

波魔法少女? 「ほら、ちゃんと四人分。何もおかしなことはない」


カチャ カチャ


母性巫女 「え、ええ」

母性巫女 「でも、失礼ですけど、やっぱり私はあなたのことを知らないと思うんですが」


波魔法少女? 「ああ、だろうね。ボクも君のことを知らない」


母性巫女 「…………?」


454 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/16(月) 00:45:50.44 ID:7MsDGqQeO
乙!
455 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/11/17(火) 03:04:45.36 ID:vZwytQyro


母性巫女 「ええと、あれ……?」


猫耳蛇娘 「おい、しっかりせい」


波魔法少女? 「まあまあ、人間の記憶なんてあやふやなものさ」

波魔法少女? 「経験していないことをおぼえていないのも、無理はない」


カチャ カチャ


猫耳蛇娘 「気取ったこと言っとらんでさっさと帰れ、世駆」


波魔法少女? 「やだね」

波魔法少女? 「なぜならボクは、君の言っていた、ホラ……」

波魔法少女? 「界駆(笑)」

波魔法少女? 「……じゃないから」


猫耳蛇娘 「おぬし、いま笑ったか」


波魔法少女? 「いやいや、あざ笑ったわけじゃないよ」

波魔法少女? 「針の穴程度しか世界のことが分かっていないのに」

波魔法少女? 「界駆だとか界架だとか、思想のなわばり争いをして」

波魔法少女? 「……ほら、分かるだろ?」

波魔法少女? 「大まじめに戦争ごっこをする無力な子どもたちを眺めているような」

波魔法少女? 「そんな、微笑ましい気持ちさ」


456 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/11/17(火) 03:06:49.10 ID:vZwytQyro
>>445 訂正ごめんなさい



母性巫女 「ええと、あれ……?」


猫耳蛇娘 「おい、しっかりせい」


波魔法少女? 「まあまあ、人間の記憶なんてあやふやなものさ」

波魔法少女? 「経験していないことをおぼえていないのも、無理はない」


カチャ カチャ


猫耳蛇娘 「気取ったこと言っとらんでさっさと帰れ、界駆」


波魔法少女? 「やだね」

波魔法少女? 「なぜならボクは、君の言っていた、ほら……」

波魔法少女? 「界駆(笑)」

波魔法少女? 「……じゃないから」


猫耳蛇娘 「おぬし、いま笑ったか」


波魔法少女? 「いやいや、あざ笑ったわけじゃないよ」

波魔法少女? 「針の穴程度しか世界のことが分かっていないのに」

波魔法少女? 「界駆だとか界架だとか、思想のなわばり争いをして」

波魔法少女? 「……ほら、分かるだろ?」

波魔法少女? 「大まじめに戦争ごっこをする無力な子どもたちを眺めているような」

波魔法少女? 「そんな、微笑ましい気持ちさ」


457 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/11/17(火) 03:25:17.00 ID:vZwytQyro


猫耳蛇娘 「……ええ加減にせいよ、たかが界駆ギルドの駒風情が」

猫耳蛇娘 「低いとこから高いとこを見下しとると、首が吊る上に泣かされるぞ」

猫耳蛇娘 「ワシに」


波魔法少女? 「見下してなんかいない。ボクだって無力なのだから」

波魔法少女? 「高い低いとかではなくて、向こう岸から見ている感じさ」

波魔法少女? 「今のところ、君はボクのところへ来られないし、ボクも君のところへ行けない」


猫耳蛇娘 「……うちのギルド長みたいなことを言いおる」

猫耳蛇娘 「ええい、ムカつく」


母性巫女 「まあまあ、落ち着いてください」


猫耳蛇娘 「おぬしはもっと焦れよ」


458 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/11/17(火) 03:36:35.91 ID:vZwytQyro


波魔法少女? 「死んだ人間が自力で生き返るのって難しいだろう?」

波魔法少女? 「ボクの側と君の側を行き来するのも、そういうことさ」


母性巫女 「…………」


猫耳蛇娘 「何じゃい、三途の川でも渡ったんかい」


波魔法少女? 「それが死ぬという表現なら、渡ったね」

波魔法少女? 「けれど、我々を隔てる川は、生きているとか死んでいるとか、そういうものとはまた少し違う」

波魔法少女? 「……と、思う」


459 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/17(火) 13:08:18.08 ID:QmZlbyrIO
乙!
ピンク頭がいないと話がスムーズだ
460 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/19(木) 08:38:47.45 ID:nYSASOqBo
メインの話は置いといて猫耳蛇娘と蛇牙猫姫と猫耳蛇姫の関係を詮索しようず
461 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/07(月) 14:48:16.64 ID:91o+rzm2O
まだかなー
462 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/12/07(月) 16:41:01.00 ID:x5GzmzFi0
更新来たかと思ったじゃねえか[ピーーー]ゴミが
463 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/07(月) 17:04:36.54 ID:nyXCxFL9o
いや死ぬのはお前なんだが
464 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/07(月) 21:19:45.37 ID:ksRrq1ucO
ここは間をとって>>1に死ぬほど書いてもらおう
465 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/12/09(水) 03:42:44.54 ID:znXU0bC5o


猫耳蛇娘 「……意味が分からん」


波魔法少女? 「そうかい」

波魔法少女? 「じゃあ、こうしよう」

波魔法少女? 「ボクに攻撃をしかけてごらん」


キュイン ドカン


猫耳蛇娘 の 即死魔法攻撃Lv,MAX!
波魔法少女? に???のダメージ!
波魔法少女? は???回復!
波魔法少女? のスキル発動!
波魔法少女? は死んでしまった……
波魔法少女? の座標が揺らいでいく……
波魔法少女? には効果がない……


波魔法少女? 「ためらい無いね」

波魔法少女? 「でも分かったろう。君とボクは……」


猫耳蛇娘 「…………」


キュイン ドカン


波魔法少女? 「存在そのものが……」


キュイン ドカン
キュイン ドカン


波魔法少女? 「ちょっと……」


キュイ ドガ
キュイ ドガ
キュイ キュイ ドガガガ


466 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/12/09(水) 03:57:20.32 ID:znXU0bC5o


ドガガガガガガガ


猫耳蛇娘 「…………」

猫耳蛇娘 「うぬう……ワシの結界術奥義をもってしても倒せんとは」

猫耳蛇娘 「いやいや、しばらくやっとれば……」


ドガガガガガ


猫耳蛇娘 の攻撃!
猫耳蛇娘 の攻撃!
母性巫女 の お母さんチョップ攻撃!
猫耳蛇娘 の HP が 1 になった!


猫耳蛇娘 「うぴゅっ……!」

猫耳蛇娘 「い、いきなし何すんじゃい!」


母性巫女 「食事中に食事中の人を攻撃しちゃいけませんっ」


猫耳蛇娘 「うにゃっ……」


母性巫女 の しかりつける攻撃Lv.1!
猫耳蛇娘 は魔法を封じられた!


467 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/12/09(水) 04:20:33.01 ID:znXU0bC5o


猫耳蛇娘 「こ、この乳年増!」

猫耳蛇娘 「ワシはこの城の主のお客さんなんじゃぞ。お友だち(仮)なんじゃぞ」

猫耳蛇娘 「もっと丁寧に扱わんか!」


母性巫女 「そんなの関係ありませんっ」

母性巫女 「ちゃんと座ってください。それと、お話するときは口の中のものをなくしてからですよ」


波魔法少女? 「はいはい」

波魔法少女? 「なんとも、童心にかえる心地だね」


猫耳蛇娘 「ぐっぬぅ……しもべの分際で偉そうに……」


ドサ


468 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/12/09(水) 04:41:55.22 ID:znXU0bC5o


カチャ カチャ


波魔法少女? 「モグモグ……」


猫耳蛇娘 「何じゃい何じゃい、偉そうに。だいたい、自分なんて大世界の常識も知らん田舎者の小娘じゃろうが……」


ブツブツ


猫耳蛇娘 「テーブルに乗りそうな行儀の悪い乳をしたデカ乳お化けめ……」

猫耳蛇娘 「いつかそこに詰まった魔力を、デザートがわりにジュルジュル吸い尽くしちゃるから覚悟しとけよ……」


母性巫女 「ジュース、いかがですか」


猫耳蛇娘 「ひっ」

猫耳蛇娘 「わ、わーい、オレンジジュースが欲しいのう!」


カチャ カチャ


波魔法少女? 「……うん、おいしい」

波魔法少女? 「他の世界の人にはもちろん、人型の魔物にもじゅうぶん通用するんじゃないかな」


母性巫女 「ありがとうございます」


波魔法少女? 「人型以外の魔物のための、味付けを覚えてみると良いだろう」

波魔法少女? 「魔王の城で働くなら、きっと必要になってくるだろうからね」


母性巫女 「……そうですか」


469 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/12/09(水) 05:21:50.26 ID:znXU0bC5o


波魔法少女? 「こうなってから興味の幅がひろがってね。毒味役なら手伝うよ」

波魔法少女? 「何せ、これからこの城で厄介になる身だからね」

波魔法少女? 「フフン」



猫耳蛇娘 「のうのう、ジュースも良いんじゃがー」

猫耳蛇娘 「ワシぃ、やっぱりお酒が飲みたいのう……」

猫耳蛇娘 「ここにお酒があるの、ちらっと見ちゃってのー」


母性巫女 「まあ。お酒はもう少し大きくなってからですよ」


猫耳蛇娘 「おいおい。猫耳蛇娘ちゃんは、四百年くらい前からお酒を飲めるお年頃なんじゃぞ」


母性巫女 「ええーっ……」


猫耳蛇娘 「本当じゃぞ」

猫耳蛇娘 「なー、良いじゃろぉ。お酒、飲みたいのじゃあー」


母性巫女 「うーん、でも朝からお酒は……」


猫耳蛇娘 「じゃあ、夜。夜なら良い?」

猫耳蛇娘 「なー、なー、ごろにゃんごろにゃん」


スリスリ


母性巫女 「……うふふ、もう、くすぐったいですよ」

母性巫女 「分かりました、分かりましたから……」


猫耳蛇娘 「わーい」


キャッキャッ ウフフ



波魔法少女? 「……まあ、良いけどね」



470 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/12/09(水) 05:43:30.49 ID:znXU0bC5o


猫耳蛇娘 「で、何じゃいおぬし。この城で悪巧みする気か」


波魔法少女? 「おや、聞いていたのか」

波魔法少女? 「何もしないよ」

波魔法少女? 「ごろごろしたり、幼女魔王Nのにおいをかいだりするだけさ」


猫耳蛇娘 「それは駄目じゃ」


波魔法少女? 「何故」


猫耳蛇娘 「この城にはワシがおるからじゃ。少なくとも三日、いや七日かの」

猫耳蛇娘 「ワシはおぬしと同じ世界にいたくない。そして、ワシは今この世界に必要じゃ」


波魔法少女? 「なるほど。言いたいことは分かった」

波魔法少女? 「じゃあ、それ以外の日にいよう」

波魔法少女? 「何とかギルドのメス猫気取りは心が狭いようだ」


猫耳蛇娘 「この、ふざけ……っ」


ガタッ


母性巫女 「…………」


猫耳蛇娘 「……コホン」


ストン


猫耳蛇娘 「ふざけるでない、界駆の」



471 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/12/09(水) 06:14:13.97 ID:znXU0bC5o


波魔法少女? 「界駆、界架、そして君たちのギルドの三すくみも歴史がかってきた」

波魔法少女? 「だから気持ちは分かるが、まあ仲良くしようじゃないか」


母性巫女 (三すくみ……)


猫耳蛇娘 「すべてはそっちの身から出た錆じゃろうが」


波魔法少女? 「つまり彼女らのギルドがなければ」

波魔法少女? 「界架も君たちのギルドも存在しなかったというわけだ」

波魔法少女? 「そして彼女らは言うだろう」

波魔法少女? 「魔物さえ存在しなければ、自分たちは存在する必要はなかった、と」


猫耳蛇娘 「…………」


波魔法少女? 「理由さえつけば、自分の行いのほとんどが許され、どころか、崇高なものになる」

波魔法少女? 「責任をj自分以外のところに置ける」

波魔法少女? 「それが錯覚であったとしても、安心できる。迷い悩まなくてすむ」


猫耳蛇娘 「はんっ。やはりおぬしは界駆じゃな」

猫耳蛇娘 「その見下した言い方。傲慢さがにじみ出ておる」


波魔法少女? 「見下してなんかいないさ。少し距離をとって見ただけだ」

波魔法少女? 「ボクも君たちと同じ、思い悩む塵だ」


472 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/12/09(水) 06:14:55.59 ID:znXU0bC5o


波魔法少女
473 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2015/12/09(水) 06:15:27.91 ID:znXU0bC5o
>>472 ミスごめんなさい
474 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/12/09(水) 06:36:20.48 ID:znXU0bC5o


母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「魔物を殺しつくすために数多の世界を駆ける界駆魔法少女ギルド」

波魔法少女? 「その迷いから生まれたともいうべき界架魔法少女ギルド」

波魔法少女? 「魔物を殺しつくす者たちを殺しつくすために世界の陰にひそむ第三の、いわば裏魔法少女ギルド」


猫耳蛇娘 「魔物を守っとるだけじゃ。きわめて攻撃的にな」

猫耳蛇娘 「カウンターじゃ」


波魔法少女? 「そうかい、ごめんよ」

波魔法少女? 「まあ、とにかく。そういったボクたちのしがらみを、この平和な小さい世界に持ち込むのはやめようと言いたいのさ」

波魔法少女? 「迷惑になるよ。ねえ?」


母性巫女 「え?」

母性巫女 「ええ、はい、はい、ええ、そうですね」

母性巫女 「みんな早く食べてしまいましょうね。のんびりしていたらお昼になってしまいますよ」


波魔法少女?・猫耳蛇娘 (あんまり聞いてないな)


475 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/12/09(水) 07:14:43.77 ID:znXU0bC5o


波魔法少女? 「しかし、そうさ。さあ、ともに食事を楽しもうじゃないか」


猫耳蛇娘 「ワシはもうすでに食べ終わっておる。そろそろ仕事にかからねばの」

猫耳蛇娘 「おぬしもさっさと食ってさっさと出て行け」


波魔法少女? 「やれやれ、頑なだね」

波魔法少女? 「過去を洗い流せないと腐ってにおうよ」


猫耳蛇娘 「…………っ」

猫耳蛇娘 「……何が仲良くしよう、じゃ。クズどもが」

猫耳蛇娘 「しかもここに厄介になる……住み着くじゃと……?」

猫耳蛇娘 「ええい、やっぱり腹がたつ!!」


ガタッ


母性巫女 「耳蛇さん」


猫耳蛇娘 「黙っとれ! 人の事情を何も知らん小娘が、偉ぶって人を躾けようとするな!」

猫耳蛇娘 「こやつらが魔物に対して行った非道の数々。それは決して許せるものではない」
 

波魔法少女? 「ふむ……たしかに」

波魔法少女?「ボクも、実際にその非道のいくつかに関わったおぼえがあるね」


476 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/12/09(水) 09:44:18.80 ID:znXU0bC5o


猫耳蛇娘 「あのピンクもかつて何をされたか」

猫耳蛇娘 「まだ幼い身で、あんな過酷な……!」

猫耳蛇娘 「涼しい顔でよく顔を出せたもんじゃ!」


波魔法少女? 「何か知っているようだね。はて、ギルドに所属していたころ、あの子に酷いことをしたことはないな」

波魔法少女? 「人型の魔物を苗床にした兵士の生産は試みていたけれど」

波魔法少女? 「むしろあの子がきっかけで、かつてのボクの人生ごと潰されてしまった気もするし」


母性巫女 「苗床……」


波魔法少女? 「……まあ、対魔物の研究塔の全貌をボクは把握できていない」

波魔法少女? 「魔物の血が混じっていれば、どんな年頃だろうが実験につかっていただろう」

波魔法少女? 「もしかしたら、何百年も生きた化け猫の娘もね」


猫耳蛇娘 「貴様……!」


波魔法少女? 「……何年前だったか」

波魔法少女? 「どこかの界駆の研究室が何者かに壊滅させられたっけ」

波魔法少女? 「犯人の一人は黒い髪を二つに結んでいて黒外套姿で赤い目で性別は女である謎だらけの人物だそうだが」

波魔法少女? 「それと関係があるのかな」

波魔法少女? 「まあ、過ぎたことさ。忘れて握手をしようじゃないか」


猫耳蛇娘 「ふざけるな!」


477 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/12/09(水) 09:56:28.25 ID:znXU0bC5o


波魔法少女? 「だから、ボクはもう関係ないんだよ」

波魔法少女? 「それにさ、魔法少女魔法少女って、こだわるのも良くないと思うよ。世の中の出来事は魔法少女だけじゃないんだ」

波魔法少女? 「なのにちまちま恨みつらみ……小さすぎるよ」


猫耳蛇娘 「そこになおれ! ぶっ殺しちゃる!」


母性巫女 「耳蛇さん」


猫耳蛇娘 「うるちゃい! こいつムカつくん蛇!」


猫耳蛇娘 の 魔法攻撃!
しかし 魔法を封じられている!


猫耳蛇娘 「にゃ〜〜〜!!」


ダムダムダムダム


波魔法少女? 「分かった分かった。じゃあ、君たちのギルドの得になりそうなことを教えてあげよう」


478 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/12/09(水) 10:10:56.32 ID:znXU0bC5o


猫耳蛇娘 「信用できっかい。どうせデマじゃろ」


波魔法少女? 「おやおや、ひどいな」

波魔法少女? 「では、この世界の役に立つことはどうかな」

波魔法少女? 「魔王が治める世界に加担するなんて、界駆の人間じゃ絶対にやらないだろう?」


猫耳蛇娘 「ふざけるな。お断りじゃ」


波魔法少女? 「君が決めるのかい。ここの住人じゃないのに」


猫耳蛇娘 「……いちいちむかつくのー」

猫耳蛇娘 「おい。がつんと言うてやれ」


母性巫女 「え」

母性巫女 「そうですね……」

母性巫女 「じゃあ、聞くだけなら……」


波魔法少女? 「……とのことさ」


猫耳蛇娘 「けっ」


479 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/12/09(水) 14:28:06.56 ID:znXU0bC5o


新しい住人 が増えた!
植物の種類 が増えた!
魚を釣れるようになった!
幼女魔王Nの城 をLv.10まで強化できるようになった!


ハーブの種 を手に入れた!
魔法少女食堂のレシピ を手に入れた!
衣装「波魔法少女の服」 を手に入れた!
小型越境船(中古) を手に入れた!

施設「魔物牧場」 を設置できるようになった!
施設「錬金工房」 を設置できるようになった!
施設「魔法図書館」 を設置できるようになった!
図書館 に 魔法の本棚を設置できるようになった!

界境の淀み に新しい階層が追加された!
交差波動迷宮の座標 を手に入れた!



波魔法少女? 「……とまあ、こんな感じかな」


母性巫女 「ありがとうございます。こんなに……」


波魔法少女? 「厄介になるのだから、当然のことさ」


母性巫女 「でも、あの子は良いと言うかどうか」

母性巫女 「人見知りなところもあるから……」


波魔法少女? 「大丈夫。ボクは基本的にいるだけか、淀みにこもっている」

波魔法少女? 「この小さな世界の守護精霊のひとつとでも思ってくれ」

波魔法少女? 「おいしいご飯をいただけると、うれしいけどね」


母性巫女 「は、はあ……」

母性巫女 (何が何だか分からない)


480 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/12/09(水) 14:39:18.82 ID:znXU0bC5o


猫耳蛇娘 「…………」


波魔法少女? 「祭壇を設置すると、精霊を呼び出すことができる」

波魔法少女? 「統治する世界や施設に守護精霊を設定しておくと、精霊ごとの恩恵を受けられるよ」

波魔法少女? 「例えばボクの場合、魔物牧場に置けば苗床の出産ペースが上がる」

波魔法少女? 「世界そのものに置けば、魔法防御力が上がる」

波魔法少女? 「他にも効果のある場所があるから、試してみてくれ」

波魔法少女? 「悪影響が出ることもあるから、そこもやはり試しておぼえていくことだ」


母性巫女 「はい。あの、精霊というのは……」


ペチャ クチャ


猫耳蛇娘 「……ぐぬぬ」

猫耳蛇娘 (まずいぞ。このままではワシの立場が低くなる)

猫耳蛇娘 (何か良い手は……そうじゃ! あの手を使おう)


481 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/12/09(水) 14:47:46.79 ID:znXU0bC5o


波魔法少女? 「祭壇に供えるアイテムによって、呼び出せる精霊は変化する」

波魔法少女? 「アイテムの入手は、工房か錬金工房でつくるのが基本だね」

波魔法少女? 「あとは、ダンジョンとか、大昔の祭壇跡地とか、それっぽいところに落ちていたりするよ」


母性巫女 「なるほど……」


猫耳蛇娘 「待てい!」


ダムン


母性巫女 「耳蛇さん。食卓に乗っちゃ駄目ですよ」


猫耳蛇娘 「はーいなのじゃ」


ズルズル ストン


猫耳蛇娘 「……じゃ、のーて!」

猫耳蛇娘 「そこのクズギルドの奴にでかい顔されるのは我慢ならん」

猫耳蛇娘 「ワシもお役に立ってやるっちゅーんじゃ!」


ダムダムダム


母性巫女 「食卓をそんなに叩かないでください。食器で怪我をしますよ」


482 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/09(水) 14:48:09.43 ID:kN/nvqBFo
更新乙なのです
483 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2015/12/09(水) 16:04:50.99 ID:znXU0bC5o


猫耳蛇娘 「はんっ。お母さんキャラぶっていられんのも今のうちじゃい」

猫耳蛇娘 「ワシの役に立ちっぷりを知ったら、土下座してワシを称える歌を百晩歌わずにはいられんくなるぞう」

猫耳蛇娘 「……ええか。どんなにやりかたを知っても、実行できなくては意味がない」

猫耳蛇娘 「実行するために必要な力。そう……」

猫耳蛇娘 「ワシがおぬしに授けるのはこれじゃあ!」


ジャラララララ


幼女魔王Nの全財産の四分の一


猫耳蛇娘 「金じゃ!」

猫耳蛇娘 「金さえあれば何でもできる」

猫耳蛇娘 「うわははは、これでワシの評価もうなぎのぼりじゃあ!」

猫耳蛇娘 「ほーれ、称えよ称えよ!」


母性巫女 「食卓にお金をばら撒くなんてお行儀が悪いですよ」


猫耳蛇娘 「ぬがああ!」


484 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/09(水) 18:43:05.27 ID:cezCsuWlO
485 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/12/09(水) 19:00:26.05 ID:agvyx2dZ0
猫娘のあそこをお触りしたい
486 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/09(水) 19:15:57.32 ID:03IXLbh2o
やっぱ年取ると耳蛇みたいに頑固になるんだな
一乙
487 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/09(水) 19:22:41.29 ID:q1gauOD2o
お金なんか必要になったらいつの間にかに風呂桶一杯補充されてそう
488 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/05(火) 22:06:33.66 ID:9v7mU4/bO
まだかなー?
489 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/14(木) 17:30:47.47 ID:SAAyg+bro
星妖精が落ちちゃった
490 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします :2016/01/14(木) 17:38:06.90 ID:vwGjB72Z0
sageろやハゲ
491 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/01/18(月) 04:53:19.76 ID:PwVGjDqzo


幼女魔王Nの全財産の四分の一 を手に入れた!
猫耳蛇娘の財布(中身入り) を手に入れた!



母性巫女 (どうしよう)

母性巫女 (故郷にいた頃からお金のことはよく分からなかったけれど)

母性巫女 (これは、さすがに多すぎる気がする)


猫耳蛇娘 「どうじゃ、クソ魔法少女。これでここではワシの方が偉いー!」


波魔法少女? 「いや、あいこだね。お金じゃ買えないものもあるんだよ」

波魔法少女? 「……知っているだけじゃ意味ないし、お金だけでも意味がない」

波魔法少女? 「期せずして、我々はこの世界のために、半分ずつ力を出し合うことになった。喜ばしいことだ」

波魔法少女? 「ボクを未だ界駆の一員と見るならそれは仕方ないとして、ではここを中立地帯としよう」

波魔法少女? 「手をとりあい、仲良く暮らそうじゃないか」


猫耳蛇娘 「けっ……」

猫耳蛇娘 「じゃが、南東第六中せ界域の人型魔族の大量虐殺、魔物の強制去勢・避妊運動」

猫耳蛇娘 「下衆の極みとも言える所業を繰り返しながら正義を標榜する貴様らを」

猫耳蛇娘 「ワシらが許すと思わんことじゃ」


波魔法少女? 「やれやれ……。短いボクの生涯、割り切れないものはそれなりに背負ってきたが」

波魔法少女? 「君を見ていると、長生きは重たく不自由なもののようだね」


猫耳蛇娘 「何を言っとるのか全然わからん」


母性巫女 (……土下座で百晩歌えって、本気で言っていたのかしら)


492 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/01/18(月) 05:21:29.82 ID:PwVGjDqzo


…………


幼女魔王Nの城

野原 飛行船乗り場



魔動画 『ジジッ……最近……接近の……ことで、再び東界域の……』

魔動画 『……同盟は……事態を重く………ザッ、ザザー』

魔動画 『ピー』

魔動画 『ガーーーー』


……カチャ カチャ


猫耳蛇娘 「うーぬ……」


母性巫女 「どうでしょうか」


猫耳蛇娘 「いかん、まったく動かん」

猫耳蛇娘 「おい、クソ波。壊れとるんじゃないか、この小型飛行船」


波魔法少女? 「そんなはずは無いんだけどね」

波魔法少女? 「第三大世界と未確認の大世界の接近で、空気がおかしくなっているんだよ」

波魔法少女? 「とくにこの界域は、もろに巻き込まれるところだろ」


猫耳蛇娘 「ふーむ」

猫耳蛇娘 「にゃははっ、何じゃい、役立たずめが」


母性巫女 「もう、耳蛇さん」


波魔法少女? 「はいはい」

波魔法少女? 「じゃあ、ボクは森の川へ行くよ」

波魔法少女? 「おいしい魚を釣ってみせるさ」


ザ ザ ザ

493 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/01/18(月) 05:28:47.31 ID:PwVGjDqzo


カチャ カチャ


猫耳蛇娘 「……ワシ、あいつのこと認めたわけじゃないんじゃからな」


母性巫女 「はいはい」


猫耳蛇娘 「のらりくらりしつこいから、大人の対応をしてやっただけなんじゃからな」


母性巫女 「我慢、頑張りましたね」


猫耳蛇娘 「…………」


カチャ カチャ カチャ


猫耳蛇娘 「………くぬーーーッ」

猫耳蛇娘 「おぬしは知らんから、おぬしは奴らの駄目さを知らんから……!」


母性巫女 「そうですね。ごめんなさい」


猫耳蛇娘 「………うーーー!」


カチャカチャカチャ


母性巫女 「ちょ、ちょっと、乱暴にして大丈夫なんですか」


494 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/01/18(月) 05:45:21.47 ID:PwVGjDqzo


猫耳蛇娘 「おっかしいのう。魔法で動くタイプはだいたいこの辺いじれば直るんじゃけどのー」


カチャ カチャ


母性巫女 「あきらめた方が良いんじゃないですか」

母性巫女 「あの空のあそこの隣の世界? ……に、渡る……? 方法も、他にあるんでしょう」


猫耳蛇娘 「あー、おぬしは知らんから」

猫耳蛇娘 「飛行船でふわふわと、七つの空を飛び回るあの気持ちよさを、おぬしは知らんから」

猫耳蛇娘 「アイテムつかってポイッと穴に飛び込むのとは、わけが違うんじゃよ」


母性巫女 「そ、そうですか」


猫耳蛇娘 「……うーむ。しかし仕事もせにゃならんしのー」

猫耳蛇娘 「しゃあない。あきらめるか」

猫耳蛇娘 「仕事にかかるぞう」


ピョン トス


母性巫女 「隣の世界? ……の街へ行かなくて良いんですか?」

母性巫女 「仕事に必要なものを買い忘れたって……」


猫耳蛇娘 「にゃー……うん……」

猫耳蛇娘 「あ、あっれー!? そういや、忘れ物なかったかも!!」

猫耳蛇娘 「いやー、うっかりじゃのー!」


母性巫女 「…………」


猫耳蛇娘 「じゃあ、仕事にかかるぞう。夜ご飯とお酒、よろしくのう!」


母性巫女 「は、はい」


猫耳蛇娘 「にゃっはっはっはっは……!!」


ザ ザ ザ ザ ザ


母性巫女 「…………」


小型越境船(中古)


母性巫女 「……乗りたかっただけ?」



495 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/01/18(月) 06:03:34.77 ID:PwVGjDqzo


…………


幼女魔王Nの城

幼女魔王Nの部屋



キイ ガチョ

テク テク テク



母性巫女 「……N」


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「…………」

母性巫女 (まだ起きない。丸一日どころじゃなく寝たまま……)


幼女魔王N 「……うぅ……スゥ」


母性巫女 (不安そうな寝顔。寂しそう)

母性巫女 (頭をなでると安心していたけれど……)


ソロリ


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 「…………ッ」

母性巫女 (駄目だわ。怖い)

母性巫女 (抱えて運ぶことはできたのに……)


496 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/01/18(月) 06:39:42.21 ID:PwVGjDqzo


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 (この子に故郷と仲間、命まで奪われた……)

母性巫女 (奪われたのに……)


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 (この子を見ていると穏やかな気持ちになってしまう)

母性巫女 (……しもべにされてしまったから、かしら)


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 (……こんなに幼くて弱々しい、孤独な子だもの)

母性巫女 (間違いだって起こしてしまうわよね)


幼女魔王N 「…………」


母性巫女 (でも……私が育った故郷の森、騎士団)

母性巫女 (魔王の軍勢との戦いの旅でお世話になった人)

母性巫女 (この子のしたことを受け入れてしまうと、今までの色んなものを裏切ってしまう)

母性巫女 (いろいろな大事なものを、捨ててしまう気がする)


497 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/01/18(月) 06:44:18.35 ID:PwVGjDqzo



幼女魔王N 「………ムニャ」

幼女魔王N 「母性巫女……」


母性巫女 「!!」


幼女魔王N 「……どこォ……母性巫女……ムニャ」


母性巫女 「…………ッ」

母性巫女 (怖い)

母性巫女 (この子が目をさましたら、私はどうすれば良いの……)


幼女魔王N 「……チュム……チュパ……」


母性巫女 「…………」



498 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/01/18(月) 06:54:24.93 ID:PwVGjDqzo


…………





ホー ホー

キン カチャ モキュ モキュ


波魔法少女? 「……おかわり」


母性巫女 「はい」


波魔法少女? 「いやあ、おいしいものだね。ボクが釣ってきて母性巫女が調理した魚は」


母性巫女 「そうですね。おいしい魚、ありがとうございます」


波魔法少女? 「いやいや……おや、耳蛇は魚を食べないのかい」

波魔法少女? 「その猫耳は飾りかな?」


猫耳蛇娘 「貴様が耳蛇って言うな」

猫耳蛇娘 「ヘンッ、何じゃいこんな魚。ワシなんかオムツつけとるときに獲りまくっとったわい」


波魔法少女? 「君が子供のころにオムツなんてあったんだ」


猫耳蛇娘 「きぃーーーッ」


499 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/18(月) 07:14:46.88 ID:fray3Lkyo
更新乙
500 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/18(月) 10:52:39.29 ID:YrRNqKTEO
いろいろ誤解がとければなぁ
501 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/18(月) 11:16:23.30 ID:dpm+fZ5Jo
ピンクが居ないと進んでる気がする
502 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/18(月) 11:47:15.21 ID:XahbMCZGo
更新来てたぜ乙
503 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/01/18(月) 16:00:32.98 ID:PwVGjDqzo


猫耳蛇娘 「あったまきた。こうなったら酒じゃ」

猫耳蛇娘 「母性巫女、酒じゃ、酒をもってまいれい!」


母性巫女 「もう飲んだでしょう」


猫耳蛇娘 「ワシは仕事を頑張ったんじゃぞ!?」

猫耳蛇娘 「川に糸を垂らしたり、森の動物たちの交尾を見とった奴とは大違いなんじゃぞ!?」

猫耳蛇娘 「世界を守る大事業じゃぞ!?」


波魔法少女? 「見ていなかったし、見飽きているよ」


母性巫女 「お疲れ様です。ありがとうございます」

母性巫女 「でも、だからって、飲みすぎは駄目ですよ」



猫耳蛇娘 「んーん、ちょっとだけじゃからぁ……ごろにゃんごろにゃん」


母性巫女 「……ッ」


キュン


母性巫女 「も、もう、そんなに可愛くしたって駄目です」


波魔法少女? 「精神老婆が無理するもんじゃないよ」

波魔法少女? 「あわれだよ。物悲しいよ」


猫耳蛇娘 「うっさいわい!」


504 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/01/18(月) 17:07:09.77 ID:PwVGjDqzo


波魔法少女? 「仕事の方だけど、結界はうまくいきそうかい」


猫耳蛇娘 「おぬしには関係なかろ」


波魔法少女? 「あるよ。ボクはここの住人なのだから」

波魔法少女? 「森小人の庭のように小さいとはいえ、世界を丸々一つ覆うほどのものだ」

波魔法少女? 「空気中の魔法がざわついている今、簡単ではないと思うがね」


猫耳蛇娘 「想定内じゃ」


波魔法少女? 「良かったら手伝うよ。専門外だけれど、魔力の提供くらいならしてあげよう」

波魔法少女? 「積極的に何かに加担するのはひかえたいが、まあ許容範囲内だろう」


猫耳蛇娘 「けっ、敵の手なんか借りるかい。どんな罠を仕込まれるか分かったもんじゃない」


波魔法少女?「そうやって意地をはって失敗するのは、もはや様式美ですらあるよ」


猫耳蛇娘 「くぬーーっ、爆殺しちゃいたいのうこやつ……!」


母性巫女 「手をとめてまで喧嘩しないでください」


波魔法少女? 「はいはい」


猫耳蛇娘 「けっ。けっ」


カチャ カチャ


505 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします :2016/01/18(月) 17:55:47.74 ID:dlSfbvKK0
猫娘ちゃんにイタズラしたい
506 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/18(月) 20:00:11.84 ID:dpm+fZ5Jo
どこまで蛇なのか確認したいな
507 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/01/21(木) 01:37:58.27 ID:AflykukRo

※おまけ


http://i.imgur.com/t21vcZG.jpg


好きなお酒はもちろんハブ酒


508 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/01/21(木) 01:53:12.73 ID:AflykukRo


波魔法少女? 「モグモグ……魔王さまは今日も起きてこないのかい」


母性巫女 「……え」

母性巫女 「あ、ああ、Nですね」


波魔法少女? 「何とも寂しいね」

波魔法少女? 「主のいない料理が並んだテーブルというものは」



朝ごはん(幼女魔王N専用)
  ……消費アイテム。隠し味の愛情でHP全回復。
     長く使わずにいると愛ごと腐る。



母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「主のいないしもべは、どうなのかな」

波魔法少女? 「寂しいんだろうか。それとも、羽を伸ばせるといったところかな」


母性巫女 「……え」


波魔法少女? 「…………」

波魔法少女? 「何日だっけ? 君も朝に夕に……よく作るものだ」

波魔法少女? 「はやく彼女には起きてきてほしいものだね」


509 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/01/21(木) 02:07:59.31 ID:AflykukRo



母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「……? そうでもないのかな」


母性巫女 「い、いえ」

母性巫女 (たしかに、怖いけれど……)


波魔法少女? 「だろうね。でないと、起きて欲しくないのに……というか」

波魔法少女? 「食べて欲しくないのに、頑張って料理を作っていることになるもの」


母性巫女 「……そう。そうですね」


猫耳蛇娘 「……はぁ〜あ! やじゃの、やじゃのう」


波魔法少女? 「どうしたんだい、大きくため息なんかついて」

波魔法少女? 「寄る年波に絶望して死にたくなったのかい?」


猫耳蛇娘 「ちゃうわい!」


510 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/01/21(木) 02:21:17.95 ID:AflykukRo


猫耳蛇娘 「界駆の者は食事中にペチャクチャと喋りおって、品がないんじゃのう」

猫耳蛇娘 「いったいどんな教育を受けてきたのかのー。にゃっかかか」


波魔法少女? 「君に言われたくはないね」


猫耳蛇娘 「ワシなんて、礼儀作法は牙がはえんうちから……」

猫耳蛇娘 「はぅあ!?」


ガタッ


母性巫女 「!?」

母性巫女 「どうしたんですか、いきなり立ち上がって」


猫耳蛇娘 「は、はやく! はやく魔動画をつけるのじゃ」

猫耳蛇娘 「スーパーヒロイン戦隊が始まってしまう! もう始まっとるかもしれん!」


母性巫女 「スーパー……?」

母性巫女 (そういえば、Nもそういうのを見ていたような……)


猫耳蛇娘 「はやく! はやくぅ!」


ガタガタ


母性巫女 「ちょ、ちょっと、食事中にテーブルをガチャガチャしちゃ駄目ですよ」


波魔法少女? 「品が無いなあ。自分でつけたら良いじゃないか」



511 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/01/21(木) 03:14:36.87 ID:3dQixLjZo
更新乙
512 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/01/21(木) 10:11:45.21 ID:iJCKYO+bO
>>507
なるほどけしからん!
513 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/01/21(木) 15:02:38.21 ID:fPWRRM/H0
>>507
何処も敏感じゃないか
これはイタズラし
514 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/01/21(木) 19:22:06.73 ID:LTaenlfqo
ぶっちゃけ只の猫娘なんじゃね?
蛇要素少ないし寒さに弱いのは猫と被るし鱗無いし
ゴミクズ以下の最底辺だし
515 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/01/22(金) 00:00:00.42 ID:RRUM0kDco


テク テク テク

カチ 


魔動画 『ザザー……ピッ……ガガガー』

魔動画 『ザザザザザーー』


猫耳蛇娘 「……にゃ?」

猫耳蛇娘 「に゛ゃっ……!?」


母性巫女 「ああ、やっぱり」


波魔法少女? 「ほとんどどころか、まったく映らなくなったね」


母性巫女 「壊れてしまったんでしょうか。こういう道具はよく分からなくて……」


波魔法少女? 「壊れてはいないと思うよ」

波魔法少女? 「というか、この城、ボロボロのわりにこういう類のものは最新だね」

波魔法少女? 「最新魔法ゲーム器も転がっていたし」


猫耳蛇娘 「う、嘘じゃろ……こんな……」

猫耳蛇娘 「ワシの最大の楽しみのひとつが……」


母性巫女 「仕方ありません。食事に戻りましょう」


猫耳蛇娘 「ふにゃ……」


516 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/01/22(金) 00:23:44.31 ID:RRUM0kDco


カチャ カチャ



母性巫女 「大きな世界が衝突……」


波魔法少女? 「いやあ、小さな世界同士の衝突はたびたび観測されてきたが」

波魔法少女? 「大きな世界となると、滅多に無い。伝説の域さ」

波魔法少女? 「いつ以来かな。銀河の腕図書館の記録では、数十億年前に観測されたらしいけれど」


猫耳蛇娘 「ふにゃ……」


母性巫女 「はあ……よく分からないけれど、すごいんですね」


波魔法少女? 「すごいよ。家を大きな世界、家具を小さな世界とするなら」

波魔法少女? 「家同士がぶつかり合うようなものさ」


母性巫女 「……へええ」

母性巫女 (分からない……)


517 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/01/22(金) 00:48:27.06 ID:RRUM0kDco


波魔法少女? 「大きな世界を閉じた町としたら、小さな世界は町に住んでいる人々だ」

波魔法少女? 「大きな世界を一人の人とするなら、小さな世界は細胞……」

波魔法少女? 「とらえかたしだいだね」


母性巫女 「…………」

母性巫女 「とにかく、このお城のある場所と、どこかがぶつかるんですね」


波魔法少女? 「いや……まあ、うん、そうかもね」

波魔法少女? 「それで空気中の魔法の力が乱れて」

波魔法少女? 「飛行船やら魔動画やら、魔法のアイテムが狂っちゃってるのさ」

波魔法少女? 「そして、このあたりは特に乱れがひどい」


母性巫女 (分からない)

母性巫女 「ぶつかり合うなら、ここは危なくはないんでしょうか」


波魔法少女? 「いろいろな意見はあるが、とりあえず、危なくはないだろう」


母性巫女 「とりあえず……」


猫耳蛇娘 「ふにゃ……」


波魔法少女? 「それについてのボクの研究成果を、そこの耳蛇のお仲間に奪われちゃったから」

波魔法少女? 「詳しくは説明できないが」

波魔法少女? 「隕石が城に直撃する、とか、火の玉が野を焼き尽くす、とか、そういうことは起きない」

波魔法少女? 「しかし、大きな変化はあるだろう」


518 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/01/22(金) 01:07:05.51 ID:+/pO/okGo
更新乙
519 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/01/22(金) 01:13:22.87 ID:RRUM0kDco


母性巫女 「はあ……」


波魔法少女? 「ほら、違う色の絵の具同士を混ぜたら、違う色になるだろう」


母性巫女 「はい」


波魔法少女? 「そういうものさ」


母性巫女 「な、なるほど……」


波魔法少女? 「だが、君は、二つの卵を一つの卵にすることはできるかい?」

波魔法少女? 「殻に傷ひとつつけず、綺麗なままで」


母性巫女 「できないと思いますけど……」


波魔法少女? 「ボクもできないと思っている」

波魔法少女? 「ただ、今回は限りなく近いことが起きると考えている」


母性巫女 「はあ……」


波魔法少女? 「一見ぶつかり合い音をたてて壊れてしまいそうなもの同士が」

波魔法少女? 「絵の具のように静かに混ざり合うのさ」


520 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/01/22(金) 01:35:00.51 ID:RRUM0kDco


母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「しかし、ボクはすべてのものには殻が存在すると思う。卵にも、水にも、精神にも」

波魔法少女? 「殻とはつまり、そのものとそれ以外のものの境目だ」

波魔法少女? 「だから、絵の具が混ざり合うのも、卵がぶつかり合うのも」

波魔法少女? 「我々には違うように見えて、本当は同じ種類のことなのかもしれない」

波魔法少女? 「赤と青の絵の具が混ざり合うとき、じつは卵の殻が割れるように」

波魔法少女? 「赤の殻と青の殻が割れているのかもしれない」


母性巫女 「あの……」


波魔法少女? 「いや、殻は本当に割れているのか?」

波魔法少女? 「混ざり合ってできたひとつの色も、我々にそう見えているだけで」

波魔法少女? 「実際には、もとの色はいまだそれぞれ殻におおわれたままじゃないのか」

波魔法少女? 「卵はたしかに卵だが、卵の殻とその中身は、まったく違うものではないのか」

波魔法少女? 「ならば、私は多くの殻を見過ごしているのではないのか」

波魔法少女? 「人の目は完璧じゃない。この世にあるもののほとんどが見えていないのだから」



521 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/01/22(金) 02:01:43.24 ID:RRUM0kDco


波魔法少女? 「一つとは何か。一つのものに見えても、さらにそれをいくつかに分けることができた」


サク


波魔法少女? 「……ボクが今フォークで突き刺した一粒の豆も、あとどれくらいのものに分けられるのだろうか」

波魔法少女? 「なにせ、ひとつの大きな世界は、無数の小さな世界や人に分けられる」


母性巫女 「あの、波さん」


波魔法少女? 「最小の一つのものを見つけ出せば、そしてその殻を自在にできたら」

波魔法少女? 「それはつまりすべての物事を自由にできるということではないか」

波魔法少女? 「最小を統べることこそ、造物主や神のおわす完全な領域へ至る道なのではないか」


母性巫女 「波さん」


波魔法少女? 「最小の一つは見つけたと思った。少なくとも何かしらの殻を限りなく薄く、やわらかくすることはできた」

波魔法少女? 「迷宮の重ね合わせ……ひとつの場所に二つの迷宮を存在させた」

波魔法少女? 「しかし、完全ではなかった。私はそれを一つのものとして見ることができなかった」

波魔法少女? 「いや、本当に殻を割ることはどういうことか、私はどこかで気づいていたから……」


母性巫女 「波さん」


波魔法少女? 「……ああ、母性巫女」

波魔法少女? 「やはり」


パク


波魔法少女? 「豆は豆として食べるのが良いね」


母性巫女 「……は、はあ?」



522 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/01/22(金) 02:10:09.50 ID:RRUM0kDco


母性巫女 (自分の殻に閉じこもるタイプなのかしら)

母性巫女 「考え事も良いですけど、ちゃんとご飯は食べましょうね」


波魔法少女? 「新鮮だね。姉にも言われなかった」


猫耳蛇娘 「ふにゃ……」


母性巫女 「耳蛇さんも」


猫耳蛇娘 「ふにゃ……」


母性巫女 (腑抜けになってる……)

母性巫女 「マンガが見られなかったからって、いつまでもしょんぼりしていないで」

母性巫女 「ご飯、食べてください」


猫耳蛇娘 「……マンガじゃない」


母性巫女 「?」


猫耳蛇娘 「マンガでもアニメでもない! スーパーヒロイン戦隊じゃ!」

猫耳蛇娘 「分からんから! お母さん脳はそういうのが分からんから!」


母性巫女 (分からない……)


523 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/01/22(金) 02:16:26.61 ID:7j9VTfSo0
分からないわ・・・
524 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/01/22(金) 02:17:35.88 ID:RRUM0kDco


母性巫女 「また見たら良いじゃないですか」


猫耳蛇娘 「もうないの! 今日という日のこの時間に得られる感動は、もうないの!」


母性巫女 「ええー……」


猫耳蛇娘 「あー、もうワシ、キレた。やる気なくした。どうでも良い」

猫耳蛇娘 「あーこれ、出るぞ。ワシの蛇の部分、出ちゃうぞ」

猫耳蛇娘 「猫耳とっちゃうぞ」


母性巫女 「とれるんですか、その耳」


波魔法少女? 「ろくでもないババアだね、この幼女は」



525 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/01/22(金) 02:35:22.16 ID:RRUM0kDco


カチャ カチャ


猫耳蛇娘 「ブツブツ、ゴニョゴニョ……」


波魔法少女? 「……つまり、いま起きている異変は」

波魔法少女? 「大きな世界の殻がこすれあっている状態だと考えて良いと思うよ」


母性巫女 「そうですか……」


猫耳蛇娘 「うっさい波ナントカ、黙れ、ハゲ、ハーゲ」


波魔法少女? 「まったく頭に来ない。つまりボクはハゲていない」


母性巫女 「耳蛇さん、機嫌なおしてください」

母性巫女 「食後にケーキあげますから」


猫耳蛇娘 「そんなもんでワシの壊れたハートはなおせんわい」

猫耳蛇娘 「あー、寒い。心が寒い。世のなか寒いのー」


波魔法少女? 「寒いのはパンツをはいていないからだろう」


猫耳蛇娘 「うっさいハゲ。上も下もハゲ。ハゲ波」


波魔法少女? 「上はハゲていない。そこまで君と一緒にしないでほしいね」


猫耳蛇娘 「ワシだって上はハゲとらんわい!」


ピーチク パーチク


母性巫女 「もう、また二人とも……」

母性巫女 「……ん?」


ヒュルルルル


母性巫女 (何かが落ちてくる音がする)


526 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/01/22(金) 02:44:38.26 ID:RRUM0kDco


幼女魔王Nの城 門前



ギイイ タタタ


母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「……何だ、誰も来ていないじゃないか」


母性巫女 「……いえ、まだ、こちらに向かって落ちてきているというか」

母性巫女 「飛んでいるというか……でも、この音……」


猫耳蛇娘 「ワシ、何も聞こえんのじゃけど」

猫耳蛇娘 「何じゃい、お母さんぶりの次は不思議少女ぶりかい」


母性巫女 「耳蛇さん……」


波魔法少女? 「拗ねすぎて、ただの嫌な人になっている」

波魔法少女? 「……む?」


ヒュルルル

ド ドッ ドッ ド ド


??? 「………! ………!」


波魔法少女? 「……ああ、誰かが空から来るね」

波魔法少女? 「何かにしがみついているようだ」



527 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/01/22(金) 03:05:51.60 ID:RRUM0kDco


??? 「…………! ゎーー……!」


ドルルル ド ド ドルルル

ヒュルルル


波魔法少女? 「あれは……高機動型の箒かな」

波魔法少女? 「魔力をあまり必要としないやつだ」


ド ド ド ド ド


猫耳蛇娘 「ほほーう、あの音。なかなか良い改造を施しておるな」


波魔法少女? 「乗りこなせてはいないようだ」

波魔法少女? 「箒に振り回されている」


母性巫女 「……あ」


ヒュルルルルル


??? 「うわあああああ」

箒少女 「ああああーーー!!」


ドスン


波魔法少女? 「森の方に落ちたね」


猫耳蛇娘 「まだまだじゃな」


母性巫女 「あわわわ……」



528 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/01/22(金) 03:18:05.36 ID:RRUM0kDco


幼女魔王Nの世界 森の入口



モク モク モク

タ タ タ 


母性巫女 「だ、大丈夫かしら……」


猫耳蛇娘 「誰も受け止めようとせんかったとは」

猫耳蛇娘 「にゅかか、底が知れちゃったのう偽善者どもめ」


波魔法少女? 「おや……」


モク モク モク

ザ ザ ザ


??? 「いててて」

箒少女 「死ぬかと思った……!」


母性巫女 (いつかの配達の人だ……)



529 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/01/22(金) 07:25:38.92 ID:RRUM0kDco


母性巫女 「あの……」


箒少女 「ゲホッ、ゲホッ……うん?」

箒少女 「……あー!」

箒少女 「あー! あー!」


猫耳蛇娘 「何じゃい、母性巫女を指さして喚き出して」


箒少女 「いやー、そうか、あんたんちだったのか!」

箒少女 「偶然墜落したのがここで良かったぜー」


母性巫女 「あの、大丈夫ですか?」


箒少女 「大丈夫も何も、死ぬかと思ったよ」

箒少女 「朝から箒の調子は悪かったんだけど」

箒少女 「この辺にきたらもう全然こっちの言うこと聞かなくてさあ」


壊れた箒

モク モク モク


波魔法少女? 「臭くて黒い煙を上げている。派手に壊したものだ」


箒少女 「……でもまあ、そんな状況でも」

箒少女 「乗り手を守る魔法は忘れないでいてくれたけどな」


530 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/01/22(金) 07:53:33.46 ID:RRUM0kDco



壊れた箒


猫耳蛇娘 「しかし、ふーむ、この箒」

猫耳蛇娘 「やはり魔法のアイテムというより、かつて存在したという……」

猫耳蛇娘 「魔法を殺す悪魔とやらの話を思い出すのう」


波魔法少女? 「純粋な機械だね」

波魔法少女? 「殺すのは魔法だけではなく、世界に存在する物すべてだったと言われているけれど」

波魔法少女? 「君の生まれた時代にはなかったのかい」


猫耳蛇娘 「馬鹿を言うな。あったと言われとるのは億単位の昔じゃろ」

猫耳蛇娘 「それこそ神話とか伝説とかの類じゃ」


波魔法少女? 「確かに存在してはいたらしいんだけどね」

波魔法少女? 「古い層の世界で、たまに掘り起こされるという話だし」

波魔法少女? 「もしそうだとして、今ではもう動くことがないから、確かめようはないが」

波魔法少女? 「……少なくとも、これは違うと思うけど」


猫耳蛇娘 「そう言っとるじゃろ。まったく魔法なしで動くものなんて、存在せんじゃろうよ」


モク モク モク



母性巫女 「ああ、やっぱり怪我してる」


箒少女 「かすり傷さ」

箒少女 「それより、頼みがあるんだけど……」


531 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/01/22(金) 15:17:19.99 ID:N7gCon41O
乙!
532 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/01/28(木) 02:18:00.85 ID:jXsfnU1Bo


箒少女 「箒があんなことになっちゃったし、ギルドに連絡したいんだ」

箒少女 「だけど、連絡用のアイテムも……」


ガサ ゴソ


壊れた宝玉のようなもの


母性巫女 「ひび割れてる」


箒少女 「これじゃあ使いもんにならねえ」

箒少女 「それで、修理するためにあんたんとこのアトリエを借りたいんだよ」


533 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/01/28(木) 02:37:06.70 ID:jXsfnU1Bo


母性巫女 「アトリエ……」


波魔法少女? 「工房だね。北の方の界域では、芸術的な色の強い工房をアトリエと呼んでいたそうだが」

波魔法少女? 「今はそんなに関係ない」

波魔法少女? 「しかし、その連絡用アイテムは錬金工房でないと修理できないんじゃないかな」


箒少女 「ああ、そうさ」


猫耳蛇娘 「しかも、結構難度の高い代物」

猫耳蛇娘 「レベルの高い工房じゃないと無理じゃろ」


箒少女 「それは心配ないよ」


ガサ ゴソ


サラマンダーの火種
翡翠ガラスの羽
空の女神像の破片
浮遊大陸の土


箒少女 「材料なら持ってるから」


534 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/01/28(木) 03:06:57.87 ID:dLDgpBzE0
放棄ちゃんにエッチなイタズラ
535 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/01/28(木) 11:14:13.49 ID:jmmVyCWMO
ピンクと母性巫女が完全においてけぼりだなww
536 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/01/28(木) 11:37:08.69 ID:LHwzKRkwo
更新乙
537 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/01/28(木) 20:01:55.00 ID:E2s12KfFo
母性巫女 「アトリエ……」  ←わかってない
538 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/01/28(木) 23:53:29.25 ID:jXsfnU1Bo


猫耳蛇娘 「こ、これは……そのままでも結構な高値で取引される素材ばかり」

猫耳蛇娘 「ぜんぶ売っちゃったらいくらになるじゃろうかの……ジュルリ」


箒少女 「こういうときのために、支給されているんだ」

箒少女 「これならレベル1のアトリエでも修理できるはずさ」


母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「施設にはレベルがある」

波魔法少女? 「工房の場合、レベルによって必要な素材が異なるアイテムもある」

波魔法少女? 「例えば美肌ローションをつくるなら」

波魔法少女? 「レベルが低いと、ピンクスライムの破片20と聖水、さらに希少な男のミルクが必要になるが」

波魔法少女? 「レベルが高いと、スライムの破片5と泥水で作れるようになる」


母性巫女 (男のミルク……)


波魔法少女? 「希少な素材を用意できたら」

波魔法少女? 「レベル1の工房でもすごいアイテムを作ることは可能ということだ」

波魔法少女? 「素材の無駄遣いになるし、作り手の腕も多少絡んでくるけどね」


母性巫女 「な、なるほど」


539 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/01/29(金) 00:21:24.54 ID:/hDvOOKso


箒少女 「あんた、あの城で暮らしてんだろ」


母性巫女 「え……ええ」


箒少女 「まあ良いや。でさ、城の主にちょっと頼んでみてくんねえかなーって」


母性巫女 「アトリエ? ……を使わせてもらうことをですか」


箒少女 「そそそ。いや、オレってどうも偉い奴とか、格式ばった場所ってのが苦手で」

箒少女 「頼むよ。土下座したり箒の後ろに乗せる仲ってことでさ」


猫耳蛇娘 「土下座する仲って何じゃよ」


波魔法少女? 「箒の後ろに乗せる。つまり相手の目の前に背中を差し出すというのは、勇気がいる」

波魔法少女? 「それほどの仲ということだろう」


母性巫女 (そうだったのね。気軽そうに見えたけれど……)

母性巫女 「ええ、まあ、いえ……頼まれたいのは、そうですけど……」


箒少女 「相変わらず歯切れが悪いなあ」


猫耳蛇娘 「悪くもなるわな」


波魔法少女? 「多少、ややこしくはあるね」


箒少女 「?」


540 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/01/29(金) 00:34:35.57 ID:/hDvOOKso


波魔法少女? 「第一に」

波魔法少女? 「いま、城の主に頼みごとはできない」


箒少女 「何だ。留守かよ」


母性巫女 「そういうわけでは無いんですけど……」


波魔法少女? 「第二に」


チラ


猫耳蛇娘 「……錬金工房がない。というか城の施設の大半が使い物にならん」

猫耳蛇娘 「驚くべきことにの」


箒少女 「マジかよ!?」

箒少女 「今日日、どの城でも錬金工房くらいはあるって聞いたぜ」


猫耳蛇娘 「おぬし、この世界をナメるなよ。っちゅーか、この城の主をナメるなよ」

猫耳蛇娘 「玉座にザリガニの抜け殻を置いとく方がまだマシなくらいの無能じゃぞ」


箒少女 「ははは、ザリガニって」


母性巫女 「そ、そうですよ、ザリガニの抜け殻はさすがに……」

母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「…………」

波魔法少女? 「ん、まあ……」


箒少女 「何で気まずいんだよ」






541 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/01/29(金) 02:59:52.17 ID:3YKKo2VYO
乙!
542 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/01/29(金) 03:04:17.89 ID:/hDvOOKso


猫耳蛇娘 「おぬしも一日一緒におればすべて分かるじゃろうよ」

猫耳蛇娘 「……第三じゃ」


波魔法少女? 「たとえ修理できたとして」

波魔法少女? 「そのアイテムで本部と連絡がとれるか分からない」


箒少女 「どういうことだよ」


猫耳蛇娘 「いま、この辺に未知の大きな世界が接近していることは知っとるな」


箒少女 「あー、うん。このあたりの奴ら、最近そのことでやたら騒いでるもんな」

箒少女 「どの世界に配達に行っても、みんな妙にそわそわしててさ」

箒少女 「ハンコかサインくれって言ったら、ペンでハンコ押そうとしてきやがってこっちが突っ込む」

箒少女 「……みたいなやりとりが何度あったことか」


猫耳蛇娘 「そのせいで、この辺りの界域の魔力が乱れておるんじゃよ」


箒少女 「へえ? よく分かんねえけど、そうなのか」


猫耳蛇娘 「おぬし、魔女じゃろ。分からんっておかしいじゃろが」


箒少女 「魔女としては落ちこぼれだかんね、オレ」


543 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/01/29(金) 03:53:04.70 ID:/hDvOOKso


母性巫女 (魔力が乱れる……精霊さまがざわついているのかと思ったけど、違うのね……)


波魔法少女? 「空気中の魔力、まあ魔法のもとになると言われているもの」

波魔法少女? 「何かのはずみでそれが乱れると、色々とおかしな現象が起きる」

波魔法少女? 「魔法が関わるアイテムなんかもそうだ」


母性巫女 「は、はい」


波魔法少女? 「例えば普通の回復の薬草が、どんな傷も状態異常もなおしたり」

波魔法少女? 「逆に、傷のなおりを悪くしたり、猛毒の効果を発揮したりする」


母性巫女 「なるほど……」


波魔法少女? 「まあ、普通はそこまで極端な変異は起きない。薬草ならせいぜい回復量の増減くらいさ」

波魔法少女? 「そして、そのくらいのわずかな魔力の乱れが生じている場所は、割と多い」


母性巫女 「そうなんですか」


波魔法少女? 「陸上か水中かで、火の魔法やアイテムの効果が変わるというのは想像しやすいだろう」


母性巫女 「たしかに……」


波魔法少女? 「旅をするなら、時間や場所の違いによる魔力の乱れに気をつけると良い」

波魔法少女? 「利用できたら、大きな助けになるだろう」


母性巫女 「はい」





箒少女 「二人は何をヒソヒソ話してんの?」


猫耳蛇娘 「ほれ、あの胸がバカでかい方の女がおるじゃろ?」

猫耳蛇娘 「胸に栄養を搾り取られてしまって、補佐なしでは絵本も読めないアホに育っちゃったんじゃよ……」


544 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/01/29(金) 04:01:25.07 ID:/hDvOOKso
>>543 訂正ごめんなさい





母性巫女 (魔力が乱れる……森にいたころ、精霊さまがざわついたりする日があったけれど)

母性巫女 (似たようなものなのかしら)


波魔法少女? 「ここで言う魔力は。空気中の、まあ魔法のもとになると言われているもの」

波魔法少女? 「何かのはずみでそれが乱れると、色々とおかしな現象が起きる」

波魔法少女? 「魔法が関わるアイテムなんかもそうだ」


母性巫女 「は、はい」


波魔法少女? 「例えば普通の回復の薬草が、どんな傷も状態異常もなおしたり」

波魔法少女? 「逆に、傷のなおりを悪くしたり、猛毒の効果を発揮したりする」


母性巫女 「なるほど……」


波魔法少女? 「まあ、普通はそこまで極端な変異は起きない。薬草ならせいぜい回復量の増減くらいさ」

波魔法少女? 「だが、そのくらいのわずかな魔力の乱れが生じる場所は、割と多い」


母性巫女 「そうなんですか」


波魔法少女? 「陸上か水中かで、火の魔法やアイテムの効果が変わるというのは想像しやすいだろう」


母性巫女 「たしかに……」


波魔法少女? 「旅をするなら、時間や場所の違いによる魔力の乱れに気をつけると良い」

波魔法少女? 「利用できたら、大きな助けになるだろう」


母性巫女 「はい」





箒少女 「二人は何をヒソヒソ話してんの?」


猫耳蛇娘 「ほれ、あの胸がバカでかい方の女がおるじゃろ?」

猫耳蛇娘 「胸に栄養を搾り取られてしまって、補助なしでは絵本も読めないアホに育っちゃったんじゃよ……」


545 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/01/29(金) 04:10:26.90 ID:8n0FDGZ/o
更新乙
546 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/01/29(金) 07:36:17.62 ID:/hDvOOKso


箒少女 「なるほど。胸のでかい女はみんな死ぬべきだもんな」


猫耳蛇娘 「うむ」


母性巫女 (怒った方が良いのかしら)


波魔法少女? 「……陸上に慣れている者からしたら水中が異常で逆もまたしかり」

波魔法少女? 「今回は未知の大きな世界の接近という超異常事態によって、魔力が大きく乱れている」


猫耳蛇娘 「魔法の越境飛行船や魔動画の不調は、そのせいと考えられておる」


箒少女 「オレの箒もそうなのかな」

箒少女 「朝から調子悪くて、それでもまあ問題なく飛べたんだけど」

箒少女 「このあたりに来たら急に言うこと聞かなくなってさ」


波魔法少女? 「おそらくね。このあたりは特にひどいようだから」


母性巫女 (しもべにされた私が自由に動けるのも、それが関係あるのかしら)


猫耳蛇娘 「魔法アイテムを使った他の世界との交信も、うまくいかんかもしれんっちゅうこっちゃ」


箒少女 「なるほどね」


猫耳蛇娘 「ワシの結界が完成すれば、マシにはなると思うんじゃが……」


547 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/01/29(金) 08:00:36.10 ID:/hDvOOKso


箒少女 「参ったなあ。届けものがあるってのに」

箒少女 「ギルドとも連絡がとれないなんて」

箒少女 「……あれ。じゃあ、もしかしてオレ、この世界から出られなくなったんじゃねえか」


波魔法少女? 「ボクは単体で可能だけれど、人をつれていけない」


猫耳蛇娘 「ワシは人をつれて出られるが、目的地の座標が分からんとちょっと苦労するかもしれん」


母性巫女 (出られるんだ……)


猫耳蛇娘 「それで良かったら、格安で配達を手伝ってやるぞう?」


箒少女 「金とんのかよ」

箒少女 「いいや、配達は箒でやんなきゃ意味がねえ」

箒少女 「それがオレたちのギルドの……ポリシーだからな。へへ……」


猫耳蛇娘・波魔法少女? 「気持ち悪い」


箒少女 「お前らに言われたくねーよ」


548 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/01/29(金) 08:17:52.13 ID:/hDvOOKso


母性巫女 「…………」


猫耳蛇娘 「……おぬしも、行きたいところがあったら連れて行ってやろうか」

猫耳蛇娘 「たとえばおぬしの故郷の世界。ワシ、くわしく場所を知っとるかもしれんよ」


母性巫女 「!!」


波魔法少女? 「しかし、そうだね……そのアイテムを修理してみるのも良いかもしれない」


箒少女 「ここ、アトリエないんだろ?」


波魔法少女? 「無いが、設置することはできる」

波魔法少女? 「偶然ね」

波魔法少女? 「城は半分ほど潰れてしまっているが、それでも場所は空いている」

波魔法少女? 「掃除もよくされているし、設置に時間はかからないだろう」

波魔法少女? 「野外につくるとしても、仮設程度のものなら今日中にできるかもね」


箒少女 「まじで? でも建築ギルドへの連絡とかどうすんの」


猫耳蛇娘 「隣の世界にあるじゃろ。直接出向いて依頼すれば良い」


波魔法少女? 「そういうことさ」


母性巫女 「……ま、待ってください」


549 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/01/29(金) 08:29:50.45 ID:/hDvOOKso


母性巫女 「あの、城の主人がいないのに勝手に話を進めるのは……」


箒少女 「あっ」


母性巫女 「ここに来て間もないころ、よく分からなくてギルドにお城の修理を依頼したんですが」

母性巫女 「あの子、追い返してしまったみたいで……」


猫耳蛇娘 「城がご覧の有様っちゅうことは、そういうこっちゃろうな」

猫耳蛇娘 「あやつにそれだけの度胸があるとは思えんが」


波魔法少女? 「いやいや、あれで爆発力はあるんだよ」

波魔法少女? 「死にかけのミミズのゲップくらいの爆発力が」


母性巫女 (怒ろう)


550 :お前らはマシだ真の悲壮と絶望的状態冗談抜きで継続PLAY神様 :2016/01/29(金) 08:33:35.75 ID:aLPBrvhx0
好く善く考えるとフリージングの主人公NTR損な未来は存在しないミナミケの謎の元女さん消失編

早よ次スレ

立ててよ正真証明の審判無能ドラ釣り白骨一名ちゃん放火魔咲全季節日本戦100位入り奇跡とハオちゃんSSS様と誠子ちゃんの噛ませ意地でも全季節日本戦11位此れで一位中国脳に蹴れれるぞ
551 :お前らはマシだ真の悲壮と絶望的状態冗談抜きで継続PLAY神様 :2016/01/29(金) 08:35:52.41 ID:aLPBrvhx0
変態だ! 変態だ! 変態すぎて大変だ! 「ABUMIX Vol.003」

イケメン金髪美男子須賀京太郎【名誉種馬】「捧げる」

全季節日本戦16位以下竜華褌美少女同士のポロリ
552 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/01/29(金) 08:45:41.17 ID:/hDvOOKso


母性巫女 「あのっ」


波魔法少女? 「まあまあ、これは良い流れだよ」


母性巫女 「……流れ?」


波魔法少女? 「ボクが来て、錬金工房が設置できるようになってほどなくしての」

波魔法少女? 「今日のこの状況だ」


母性巫女 「はあ……」


波魔法少女? 「良いかい。例えるならこれは、ある村のごく普通の少年が、魔王を討伐しようと決心して旅立ったら」

波魔法少女? 「程よい値段で武器が手に入り、その武器で倒せる程度の、程よい経験値をくれる程よい強さのモンスターが生息する地帯だった」

波魔法少女? 「そしてやっぱり勇者の子孫だった」

波魔法少女? 「……くらいの幸運なんだよ」


母性巫女 (よく分からない)



553 :お前らはマシだ真の悲壮と絶望的状態冗談抜きで継続PLAY神様 :2016/01/29(金) 09:02:57.68 ID:aLPBrvhx0
やっぱりチョン語のZEROの遣いまグウ

膜の存在や【シエスタのケツキタねぇな】処女膜の有無の存在【UJサイト彼らは妄想よ友人の母親も実はイマダニ未亡人で処女膜持よ】

陰毛永久脱毛水泳部ネキで抜けねぇ

何だか読めない分【内容と妄想と夢落ちで面白い】

削除←ムシロストーリーや突っ込みドコロ作者の何で此処コウシタカナ?

此れで二度上手いンゴ【理解出来ない妄想ハカドルンゴ】

ゼロ魔【ルイズの自演スキマBBA〜飛んでも妖怪幽香ファーストキス〜ZEROもゼロ魔もシャナも覚めたわ【内診新人独身釘宮落ちたな未婚蒼井セナの中の人伊藤静は死んだ奴は膜成し鼻糞穿り女だ煙草は禁止声優に響く】
554 :お前らはマシだ真の悲壮と絶望的状態冗談抜きで継続PLAY神様 :2016/01/29(金) 09:07:36.58 ID:aLPBrvhx0
俺全幻出たらデオキシス4体GETするんだ

ミュウ酷い任天堂の悪意

マナフィ事件〜老害脳味噌に味噌と煙草カスアンジャネ疑うLEVEL
555 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/01/29(金) 13:40:49.84 ID:mBkFW5GVO
母性巫女が動けるのはピンクが自殺しまくってたのが原因かと思ったけど単一の理由ではなさそうだなこれ
556 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/01/29(金) 16:24:04.47 ID:3YKKo2VYO
乙!
557 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/02/05(金) 04:39:12.18 ID:Jp289ccbo


母性巫女 「いえ、やっぱりあの子に話してから……」


波魔法少女? 「その必要はない。彼女が動けない今、この城の最高権力者は君だ」


母性巫女 「ええっ!?」


波魔法少女? 「そんなに驚くことでもない」


猫耳蛇娘 「住人が二人で、一人が倒れたらもう一人が頑張るしかなかろ?」


波魔法少女? 「それに、王が玉座を温めているだけで、実際にその力を振るうのは側近だなんて話」

波魔法少女? 「よくあることだ」


猫耳蛇娘 「というか、王があのアホピンクなら、そっちのが良いじゃろ」


母性巫女 「うーん……」

母性巫女 (たしかにあの子はまだ幼いし、王様という感じではないけれど)

母性巫女 (私そういうの向いていないし……そもそも私は住人として認められているのかしら)

母性巫女 (ここに来てからあの子とまともに話せていない……)


558 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/02/05(金) 07:26:15.61 ID:Jp289ccbo


波魔法少女? 「経験不足を心配しているなら安心して良いよ。サポートならできる」


猫耳蛇娘 「いやいや、ワシを頼るのじゃ」


波魔法少女? 「君は大事な仕事があるだろう」


猫耳蛇娘 「仕事しながらやる。おぬしが変なことを吹き込まんようにの」


波魔法少女? 「おやおや」

波魔法少女? 「……とまあ、とりあえず、二人の協力者がいるわけだ」

波魔法少女? 「やって見るものだと思うけどね」


母性巫女 「ありがとうございます。ですが、でも、うーん……」


モジ モジ フニュンフニュン


箒少女 「……迷ってる……というか、揺れてる」


猫耳蛇娘 「熟しきった体の女がやっても可愛げがない仕草じゃの」

猫耳蛇娘 「むかつくだけじゃ」



559 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/02/05(金) 07:59:29.82 ID:Jp289ccbo


母性巫女 「だって、私……」


モジ モジ


猫耳蛇娘 「ウジウジとうざったいのー」

猫耳蛇娘 「引き受けんと話が進まんじゃろうが」


波魔法少女? 「やってみなよ」

波魔法少女? 「何かが変わるかもしれないよ」


母性巫女 「変わる……」

母性巫女 (……そうよね)

母性巫女 (思いのほか穏やかに暮らせているけれど、今の状態は良くないのだろうし)

母性巫女 (でも、何も知らないのに動いてかえって悪い事態になっちゃったら……)

母性巫女 「うーん……」


箒少女 「そ、そんなに深刻に悩むなよ」

箒少女 「オレが頼んどいてあれだけどさ」


母性巫女 「……分かりました」

母性巫女 「工房、つくりましょう」


560 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/05(金) 15:54:32.54 ID:rOw+KXSTO
乙!
561 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/05(金) 17:25:11.63 ID:cGpaUfz6O
Nが作らないなら安心だ?
562 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/02/05(金) 19:00:10.66 ID:Jp289ccbo


箒少女 「え、本当か!?」


波魔法少女? 「決心したのかい」


母性巫女 「はい」

母性巫女 「駄目な時は最悪、潰せば良いんです」


猫耳蛇娘 「さすがおっかさん。開き直ると強いの」


波魔法少女? 「では、さっそく始めよう」

波魔法少女? 「錬金工房を置く場所を決めて、隣の世界の建築ギルドに……」


猫耳蛇娘 「隣の世界にはワシが行く」

猫耳蛇娘 「ギルドの奴に顔がきくやもしれん」


波魔法少女? 「助かるね。ボクはこのあたりは疎くて」


箒少女 「オレも何か手伝うよ」


猫耳蛇娘 「おぬしは本当に良いのか、届け物」

猫耳蛇娘 「箒での配達にこだわっとる場合じゃないんじゃね?」


箒少女 「数日遅れたってどうってことねえよ」


猫耳蛇娘 「おぬしンとこのギルドには、あんまし頼みたくないの……」


563 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/06(土) 02:19:14.92 ID:5MS5+Pszo
更新乙
564 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/02/06(土) 03:57:51.61 ID:5iqzuAP0o


箒少女 「つきましては、寝るとこと三食のご飯をいただきたい」


猫耳蛇娘 「働いたらな」


ペチャクチャ


母性巫女 「…………」

母性巫女 (故郷の森を離れて、故郷を滅茶苦茶にした人のお城で……)

母性巫女 (私は、これで良いのかしら)


波魔法少女? 「母性巫女」


母性巫女 「! はい」


波魔法少女? 「勉強は好きかい」


母性巫女 「あんまり……」


波魔法少女? 「そうか」

波魔法少女? 「とは言え、閉じた辺境世界から連れてこられて、分からないことも多いだろう」

波魔法少女? 「ボクもサポートするつもりだが、世界についての基礎的な部分くらいは学んでおくと良いかもしれない」

波魔法少女? 「この城にも、図書館はないがそういう本くらいはあるだろうから」

波魔法少女? 「興味があるなら、探して読んでみることをオススメするよ」


565 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/02/06(土) 05:34:19.16 ID:5iqzuAP0o


…………


幼女魔王の城 崩れた広間



カチ コチ カチ

チュン チュチュン


母性巫女 「…………」

母性巫女 (工房の場所も決めて、ギルドへの依頼も耳蛇さんに頼んで)

母性巫女 (時間ができたから本を探してみたけど……)


波魔法少女? 「使えそうなのは、これだけだね」


しわくちゃの魔王マニュアル
食べカスの挟まったゲーム説明書
ピンクの日記


母性巫女 (三冊……)


波魔法少女? 「びっくりしたよ。ここまでとは」

波魔法少女? 「幼女魔王Nの部屋には遊ぶものしかなかった」

波魔法少女? 「彼女は王にむいていないね」


566 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/02/06(土) 08:27:48.88 ID:5iqzuAP0o


…………



チュン チュン チチチ


母性巫女 「…………」


サリ シャサ


母性巫女 (魔王マニュアル。いろいろなことを学べるけれど)

母性巫女 (しわくちゃでページがめくりにくい……)


魔動画 『ザザ……ジジジ……所』

魔動画 『こち……観測………』

魔動画 『ザザ……遠い……界の…おと……ち……ザザ……あり……と』

魔動画 『ピー、ガー』


箒少女 「これって、このアイテムが壊れてんじゃないの」


波魔法少女? 「壊れてはいない。が、ここのところ、ずっとこうなんだ」

波魔法少女? 「時折、どのチャンネルでも不鮮明な声のようなものが聞こえるが」

波魔法少女? 「もはやこのアイテムで他の世界の情報を得ることは不可能に近い」

波魔法少女? 「……魔法じかけのアイテム、とくに複雑なつくりのものは」

波魔法少女? 「今、健康でありながら死んでしまっているのさ」


箒少女 「オレの箒も駄目になるわけだ」

箒少女 「空気の乱れは深刻なんだな」


母性巫女 「…………」


シャサ ペラ


567 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/02/06(土) 08:46:15.11 ID:5iqzuAP0o


母性巫女 (ええと、大きな世界があって、その中にいくつも小さな世界があって)

母性巫女 (小さな世界同士は、普通は行き来できない)

母性巫女 (……私の故郷とこのお城は、別の小さな世界に存在している)

母性巫女 (何となく分かるけれど……何だか、ピンとこない)



箒少女 「じゃあさ、空気が普通に戻りゃ、オレの箒も動くようになるってことだよな」


波魔法少女? 「そうだ、と答えたいが、それは分からない」


箒少女 「箒は壊れちゃいないんだろ」


波魔法少女? 「環境の変化によって深刻なダメージを受けることもあるだろう」

波魔法少女? 「ヒトだって、寒かったら風邪をひく」

波魔法少女? 「空気中の魔法が乱れることで、それと同じようなことがアイテムに起こるかもしれない」


箒少女 「まじかよ……」


波魔法少女? 「この場を結界で守れたら、少しは安心できると思うけどね」

波魔法少女? 「うちの結界術師を信じるしかない」


箒少女 「あのニャハニャハ野郎かー……」


568 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/06(土) 10:18:27.71 ID:5MS5+Pszo
更新乙
569 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/06(土) 18:54:20.87 ID:CxhNbjg1o
ニャハニャハ野郎は本来の仕事進んでるのか
570 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/06(土) 23:22:16.96 ID:nsqKamCMo
ゴミクズ以下でもプロだからな
571 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/07(日) 00:49:42.84 ID:xU0YpigAo
ニャハニャハ野郎は淫魔少女の仕事仲間だし
572 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/07(日) 01:47:42.53 ID:zMgFsMvI0
ニャハニャハは野郎じゃないですし
おにゃのこしかおりませんし
573 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/07(日) 11:20:15.57 ID:tUAhIe7xO
せんだみつおなら俺の隣で寝てるよ
574 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/02/07(日) 22:01:08.91 ID:lS1sz8Dto


…………


隣の世界 目の看板の店



ガチャ ギイィ バタム


猫耳蛇娘 「……これで工房の件は大丈夫じゃろ」

猫耳蛇娘 「かっかっか。タダ同然まで依頼料を値切ってやったわ」

猫耳蛇娘 「浮いたお金で、ちょっと良いお酒ば買っちゃおうかのう……ニャハニャハ」


狸耳娘 「おかえりでやんす、猫耳の」


猫耳蛇娘 「おう、狸耳の」

猫耳蛇娘 「いなかったんで、糸巻きとリボンと門、勝手に使わせてもらったぞう」

猫耳蛇娘 「店を留守にするとは、迂闊なやつめ。にゃはははは」


狸耳娘 「いても勝手に使うじゃないっすか。しかも無料で」

狸耳娘 「やれやれ、淫魔の旦那はちゃんと支払ってくれるのに」


猫耳蛇娘 「あいつは生まれが良い子ちゃんっぽいからの」


狸耳娘 「ふーん。思いのほかクソ野郎だったんすね」


575 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/02/07(日) 23:26:21.43 ID:lS1sz8Dto


猫耳蛇娘 「まあ、その通りじゃが」

猫耳蛇娘 「そう言われとるのを聞くのは嫌な感じじゃぞ」


狸耳娘 「関係良好のご様子、何よりでやす」

狸耳娘 「んで、わざわざ商人の町まで渡って何の御用だったんでがしょ」

狸耳娘 「淫魔の旦那と仕事のお話でも?」


猫耳蛇娘 「あやつの頼みなのは確かじゃが」

猫耳蛇娘 「ただの買い物じゃよ」


狸耳娘 「あ、そう」


猫耳蛇娘 「興味ないなら聞くでないよ……」


576 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/02/07(日) 23:54:54.15 ID:lS1sz8Dto


猫耳蛇娘 「む?」


魔動画 『未知の世界の接近が、いよいよ……ザザ……観測所……』

魔動画 『無闇に世界間の移動は……ザザザ……こちら……』


猫耳蛇娘 「……ふむ」


狸耳娘 「旧式っす。売りませんよ」


猫耳蛇娘 「いらんわい」

猫耳蛇娘 「やっぱ、混線しとるの」


狸耳娘 「空気中の魔法の何やらが乱れているとか。厄介なもんが近づいてきているようで」

狸耳娘 「飛行船も運行休止状態」

狸耳娘 「おかげで、異世界のお客さん相手の店は静かなもんです」

狸耳娘 「魔動画もこの有様で」


猫耳蛇娘 「ここの方が、少しはマシのようじゃがの」


狸耳娘 「?」


577 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/08(月) 11:21:27.80 ID:57B2aKc8o
更新乙
578 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/08(月) 12:02:07.16 ID:qTewGqODO
579 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/24(水) 01:12:49.42 ID:rWDqOgbzo
最近更新ないね。忙しいのかな?
580 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/02/25(木) 00:43:12.48 ID:ol9wXBf2o


カタタタ カタタタ


猫耳蛇娘 「……にゃ、窓ガラスが鳴っておる。地震かの?」


狸耳娘 「風でやんす。ときおり吹くようになりまして。これが生暖かいというか、生臭くて」

狸耳娘 「やあ、故郷の野原を思い出すなあ」


猫耳蛇娘 「ふうむ。嵐の前の静けさのようじゃ」

猫耳蛇娘 「……やっぱり、ちょっと急がんとまずいかの」


狸耳娘 「結界屋さんは今が稼ぎ時でしょう」

狸耳娘 「すでにいくつかの有力世界も、お抱え以外にフリーのを何十人も雇って」

狸耳娘 「かなり大掛かりな書き換えを行ったって聞きますし」


猫耳蛇娘 「どうじゃかな。フリーとは言っても、ああいうのは結局、同じ流派の奴らで固められるからの」

猫耳蛇娘 「もとを辿ると師匠が同じ、とか、師匠が弟子を雇ったり、とか」


狸耳娘 「姐さんみたいな独り者は雇口が無いと」


猫耳蛇娘 「むかつくが、まあそうじゃよ」

猫耳蛇娘 「ワシの術は門(ワシ)外不出的な部分があるから、人を使ったり人に使われたりは向かん」

猫耳蛇娘 「じゃから仕事は一人でやるし、小世界程度ならワシ一人で全然いけるんじゃが、ほとんどのお偉方はそれが気に入らんみたいでな」

猫耳蛇娘 「大人数で一つの結界をつくった方が複雑で破られにくいと考えよる」


狸耳娘 「へえ、そっすか。たいへんっすね」


猫耳蛇娘 「流しすぎじゃろ。語り甲斐がないのう」


581 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/02/25(木) 01:09:13.26 ID:ol9wXBf2o


狸耳娘 「じゃあ相変わらず、つまらねえ辺境世界の村とか遺跡とか、そういう小規模な仕事を?」


猫耳蛇娘 「おぬし、今、ワシの仕事がつまらん、みたいなことを言わんかった?」


狸耳娘 「気のせいっす」


猫耳蛇娘 「……まあ、何だかんだ言って、結構な数の依頼はいただいたよ」


狸耳娘 「景気良いじゃないですか」


猫耳蛇娘 「ぜんぶお断りしたがの」


狸耳娘 「おや。自信を持ったら良いのに」


猫耳蛇娘 「自信が無いから逃げたみたいに言うなよ」

猫耳蛇娘 「専念せねばならん仕事があったのじゃ」

猫耳蛇娘 「泊まり込みで十日といったところか。用意も含めたら、それどころじゃないがの」


狸耳娘 「それはそれは」

狸耳娘 「ここから近いんで?」


猫耳蛇娘 「まあ目と鼻の先かの」


狸耳娘 「そっすか。じゃあ今度時間ができたら美味いもん持っていきますんで、一緒に飲みましょ」


猫耳蛇娘 「ぜったい来んじゃろ、おぬし……」


582 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/02/25(木) 01:26:36.61 ID:ol9wXBf2o



隣の世界 石畳の街角



ザワザワザワ


錬金術見習い 「ヒソヒソ……」


採石おばさん 「ヒソヒソ……」


テク テク


猫耳蛇娘 「住宅街や学生寮に近いせいか、このあたりは人通りもあるの」

猫耳蛇娘 「どこか、皆そわそわしておるが……」

猫耳蛇娘 「む?」


ザワザワ


猫耳蛇娘 「……道端に、妙な人だかりができておる」


583 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/02/25(木) 01:58:42.39 ID:ol9wXBf2o


??? 「皆さま!」

嘘イタチ 「大世界の衝突も間近となってまいりましたが」

嘘イタチ 「世界から世界への旅商人である私は、さる筋からとても重大な情報を仕入れてしまいました……」


猫耳蛇娘 (山高帽を乗せたイタチが大げさに両手を広げて話しておる)


嘘イタチ 「なんと、大世界衝突後には、越界飛行船を始め、魔法じかけのアイテムは永久に使えなくなってしまうのです!」


ザワッ


ヤナギ女 「あはは、そんな馬鹿な」


モヤシ男 「そうよ。そんなこと、あるはずないわ」


サクラ女 「嘘をつくなペテン師ー、チビー、獣ー!」


ピーピー ブーブー


嘘イタチ 「ええ、ええ、皆さまの戸惑い、お怒りごもっとも」

嘘イタチ 「しかし、どうでしょうね。げんに、魔動画や飛行船は使えなくなっている」


皆の衆 「……! たしかに……」


猫耳蛇娘 「…………」


サクラ女 「……そ、それは一時的なものだって、第三大世界同盟の幹部のかたが魔動画で……」


嘘イタチ 「皆さまはまさに衝角にいらっしゃるというのに……遠くの人より、ご自分の肌で感じたものを信じるべきでは?」

嘘イタチ 「私はこの世界に来て間もないですがね、ここの空気に触れたら、まったく安心なんてできません」

嘘イタチ 「皆さまも、見て見ぬふりをして本当は、振り返ると思い当たることもあるのではありませんか?」




584 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/02/25(木) 02:17:19.77 ID:ol9wXBf2o


浮気妻 「たしかに……最近かまどの調子が悪くて……」


調合師 「釜がレシピを無視した調合を……」


学生 「魔法のカンテラの明るさが不安定で勉強が……」


ドヨドヨ ザワザワ


猫耳蛇娘 (…………フン)


サクラ女 「だ、だからって、どうしろってのよ。無駄に私たちの不安をあおって!」


嘘イタチ 「心配ご無用!」


一同 「!!?」


猫耳蛇娘 「…………」


嘘イタチ 「旅の途中、私はさる魔法使いと出会ったのです」

嘘イタチ 「彼はなんと、魔法の力なしで動くアイテムを研究、そしていくつかはすでに完成させていたのです!」


男 「なんだって!?」


包帯少年 「……。そんなものが……あるのか……?」


猫耳蛇娘 (……こういう一寸先は闇のような時には、こういう手合いが現れるもんじゃ)


嘘イタチ 「私は持てる交渉術のすべてを駆使して、気難しいアイテムのいくつかを買い取ってきました!」

嘘イタチ 「本当は独り占めして後で高値で売るつもりでしたが……くうぅ……私もお人好し……!」

嘘イタチ 「不安に苛まれる皆さまを放っておけない……!」

嘘イタチ 「特別に、ここにいるみなさまに、格安でお譲りいたします!」


585 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/02/25(木) 02:29:46.14 ID:ol9wXBf2o



ザワ ザワ ザワ ザワ


嘘イタチ 「さあさ、皆さま!」

嘘イタチ 「この風呂敷をひろげたら、夢のアイテムが目白押し!」


猫耳蛇娘 (さあて、どんなとんでもアイテムが飛び出すかのう)


嘘イタチ は 魔法の風呂敷 をひろげた!


ガラガラガラガラ


小さなかまど
使い捨てランプ
孫の手
猫の手
…………
……


嘘イタチ 「こちらは、魔法が使えなくなったら使える不思議な火起こし!」

嘘イタチ 「こちらは、インクのなくならないペン!」

嘘イタチ 「そしてこちらは、完全永久機関搭載の掃除道具!」

嘘イタチ 「まだまだたくさん!」


三つ編み娘 「よく見ると確かに、これまでの魔法じかけのアイテムと違う……ような」


おさげ娘 「でもなあ、胡散臭いような……」


猫耳蛇娘 (プププ……ひどい品揃えじゃあ)


サクラ女 「ふんっ、騙されないんだから。でも、あら……?」


猫耳蛇娘 (……む?)


サクラ女 「これは何かしら」



三輪車(大人子供兼用)



猫耳蛇娘 「…………」

猫耳蛇娘 (…………か)

猫耳蛇娘 (格好良い……!)


586 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/02/25(木) 02:38:53.93 ID:ol9wXBf2o


三輪車


ピカ ピカ


猫耳蛇娘 (この独特の、見れば見るほど癖になるフォルム!)

猫耳蛇娘 (三つの車輪から察するに乗り物のようじゃが)

猫耳蛇娘 (の、乗りたい! 乗り回したい!)


嘘イタチ 「お目が高い!」

嘘イタチ 「それは蒸気三輪という未来の乗り物です」

嘘イタチ 「前輪と繋がっているペダルを足でこぐことによって、魔法に頼らず前に進むことができるのです」

嘘イタチ 「さあ、本当は駄目ですが、特別に使わせてあげます。乗り心地を試してごらんなさい」


サクラ女 「……ふ、ふん。まあ、試すくらいなら。ここに座れば良いのね……」


スト


サクラ女 「どうせくだらないアイテムよ。私が照明してあげるわ!」


587 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/02/25(木) 02:46:37.39 ID:ol9wXBf2o


コキ コキ コキ コキ


サクラ女 「んほおぉぉおおおんぉんおんぉおお゛!!」

サクラ女 「これスゴイのぉ! 進むのぉ! コキコキするたびに前に行くのぉお!」


コキ コキ コキ


サクラ女 「あぁああん!! 行くっ、行くっ……ッッ!!」

サクラ女 「行く行く行く行くゥうぅぅうう!」


コキ コキ コキ


猫耳蛇娘 「……ゴクリ」


サクラ女 「もうダメ、止まらないぃ……」

サクラ女 「行くの止まらないのぉお……!」

サクラ女 「あぁあぁぁあああああん……!!!!」


コキ コキ コキ


588 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/02/25(木) 02:53:36.79 ID:ol9wXBf2o


コキ コキ コキ

……


サクラ女 「あへぇ……」


男ども 「……ゴクリ」


嘘イタチ 「いかがでしたか、乗り心地は」


サクラ女 「す、すごく……良かったれひゅ……」


嘘イタチ 「大人からお子様まで使えるおすすめのアイテムです」

嘘イタチ 「ちなみにお値段はこちら……」


サクラ女 「は、はひ……買いまひゅ……」

サクラ女 「いくらでも、買いま……」


嘘イタチ 「ニヒッ……」


猫耳蛇娘 「ま、待てい!!」


嘘イタチ・サクラ女 「!?」


猫耳蛇娘 「その乗り物はワシのものじゃ!」

猫耳蛇娘 「ワシが買うぞ!」


589 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/02/25(木) 03:08:53.64 ID:ol9wXBf2o


チャリン チャリン チャリン


嘘イタチ 「……ま、まいどあり」


猫耳蛇娘 「フフン」

猫耳蛇娘 (結局余った金のすべてを注ぎ込んでしもうたが)

猫耳蛇娘 (手に入れたぞう。夢の乗り物を!)



■三輪車(大人子供兼用)
 調節することで大人も子供も乗ることのできる普通の三輪車。 
 換えのサドルつき。



猫耳蛇娘 「にゃっはっはっはっ!」

猫耳蛇娘 「残念じゃったのう小娘。これはワシのもんじゃあ!」


サクラ女 「え゛!? ……は、はい、残念です……ざ、残念だわあ」


猫耳蛇娘 「にゃーっはっはっはっ!」


嘘イタチ 「あ、こちら、交換用のサドルです」



快速サドル


猫耳蛇娘 「うむ」


嘘イタチ 「こちらも、同じく交換用です」



えっちなサドル×5
卑猥なサドル×5



猫耳蛇娘 「おおう、こっちの鞍は何やら形も長さも違う棒のついておるなあ」

猫耳蛇娘 「十個もあってお得じゃあ。にゃっはっはっはっは!」



三輪車 を手に入れた!
幼女魔王N の 新たな可能性 が生まれる……
新しいバッドエンドルート が開放された!



590 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/02/25(木) 03:15:59.68 ID:ol9wXBf2o


ザワザワ


サクラ女 「のっほぉぉおおおおん!!」

サクラ女 「んいいっ、イイぃん! 傘っ、傘ぁ……ッッ! この傘、しゅんごいのぉおおお!」


男たち 「か、買うぞ!」


女A 「わ、私も……!」


嘘イタチ 「ニヒヒ……まいどあり、まいどあり!」


ワーワー


猫耳蛇娘 「……にゃはは、このまま城まで乗って帰るぞう!」


コキ コキ コキ


猫耳蛇娘 「おほほーう! 進む、進むぅ!」


コキ コキ コキ


…………











591 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/02/25(木) 03:28:17.32 ID:ol9wXBf2o


幼女魔王Nの世界 野原 城前



魔動画 『ザザッ……大世界衝突に乗じ……ジジッ……詐欺に、気を……』

魔動画 『ザザザー……』



母性巫女 「…………」


波魔法少女 「…………」


箒少女 「…………」


コキ コキ コキ


猫耳蛇娘 「なー? すっごいじゃろー?」

猫耳蛇娘 「いかすじゃろー? この三輪車ー」


コキ コキ コキ コキ


592 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/02/25(木) 03:31:11.00 ID:ol9wXBf2o
>>591訂正ごめんなさい





幼女魔王Nの世界 野原 城前



魔動画 『ザザッ……大世界衝突に乗じ……ジジッ……詐欺に、気を……』

魔動画 『ザザザー……』



母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「…………」


箒少女 「…………」


コキ コキ コキ


猫耳蛇娘 「なー? すっごいじゃろー?」

猫耳蛇娘 「いかすじゃろー? この三輪車ー」


コキ コキ コキ コキ


猫耳蛇娘 「にゃっほほほー!」

猫耳蛇娘 「ひとしきり堪能したら、おぬしらにも使わせてやるからのー!」


コキ コキ コキ


箒少女 「……あれの」

箒少女 「あれのどこをどう信じたら良いんだよ……!!」





593 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/02/25(木) 03:45:25.78 ID:ol9wXBf2o


波魔法少女? 「まあまあ、ギルドへの依頼はしておいてくれたようだし……」


箒少女 「あいつの仕事は! 結界をはることであって!」

箒少女 「お使いじゃなけりゃ、ましてや……!」


猫耳蛇娘 「ふいー! 三輪車コキまくったわー」


キラ キラ キラ


箒少女 「三輪車コキコキして良い汗かくことじゃ無いだろうが……!」


波魔法少女? 「まあまあ」


594 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/02/25(木) 04:02:31.88 ID:ol9wXBf2o


コキ コ……


母性巫女 「む、難しいですね、思ったよりも……んっ……んぅ……ッ」


猫耳蛇娘 「足りん、修行が足りんそう母性巫女よ」

猫耳蛇娘 「……まあ、おぬしくらいの背丈用に調節したら良い話じゃが」

猫耳蛇娘 「説明書をぶん投げてしもうたから分からん」


コキ コ コキ……


波魔法少女? 「……しかし、たしかに少し危機感を持った方が良いことも事実だ」

波魔法少女? 「彼女にも彼女なりの事情があってのことだろうが……」


箒少女 「そ、そうなのか……」



猫耳蛇娘 「にゃはは、尻と乳ばかり振って、全然前に進まんではないかー」

猫耳蛇娘 「ダメな巫女じゃのー」


母性巫女 「んもう、からかわないで、くださっ……」


コキ フリ フリ ユサ

コキ ホヨン ポヨン


猫耳蛇娘 「サドルをかえてみるかの? 棒つきのやつとか」

猫耳蛇娘 「使い方はまったく分からんが。かえって乗りにくそうじゃが」


母性巫女 「い、いえっ……もう少し、このまま……っ」


コキ タユン コキ


猫耳蛇娘 「おぬしもなかなか意地があるのう」

猫耳蛇娘 「ほれほれ、もっと腰をいれて振れい」

猫耳蛇娘 「にゃははは、お叱りキャラを叱るのは良い気分じゃあ!」



箒少女 「……そうなのかあ!?」


波魔法少女? 「まあまあ」


595 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/02/25(木) 04:15:16.44 ID:ol9wXBf2o


…………



城 錬金工房予定地




トン テン カン


ウンディーネ 「ハイサッ」


トン テン カン


サラマンダー 「ホイサッ」


トン テン カン

トン テン カン


母性巫女 「………」


箒少女 「……おおー」


トン テン カン

チィン!


サラマンダー 「完成だ!」


ウンディーネ 「いつでも使えるよ!」



錬金工房レベル1 が完成した!



母性巫女 「すごい。あっという間に部屋が……」


猫耳蛇娘 「なー? すごいじゃろー? 仕事はやいじゃろ、このギルドー」

猫耳蛇娘 「それを知っとったワシ、すごすぎじゃろー?」


波魔法少女? 「質もかなり良い。水場を始め配置も完璧だ」

波魔法少女? 「仮設のつもりだったが、これならこのまま成長させていける」


猫耳蛇娘 「にゃっはっはっはっはっ!」



596 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/25(木) 09:33:48.72 ID:QTB3gFgbO
乙!
597 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/25(木) 10:15:48.05 ID:ClMLVDE0O
有能なのか無能なのか
598 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/25(木) 13:09:33.10 ID:uTOtLECbo
更新乙
599 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/02/25(木) 19:09:06.57 ID:ol9wXBf2o


猫耳蛇娘 「ほーれほれ、跪け下級民どもー」

猫耳蛇娘 「うにゃーっかっかっかっかっ!」


箒少女 「うわ、むっかつくなー。妖怪三輪車ババア」


波魔法少女? 「まあ、それに見合う働きはしてくれたさ」


猫耳蛇娘 「ニャハ、ニャハッ……」



母性巫女 「……ありがとうございました」

母性巫女 「お茶とお菓子、良かったらどうぞ」


魔王プリン
高級ジュース『魔王』


サラマンダー・ウンチーネ 「わーい」


サラマンダー 「モグモグ……レベル3くらいの工房なら同じくらいの時間で造れたんだけどね!」


ウンディーネ 「ゴクゴク……お金あんまり貰えなかったからね!」

ウンディーネ 「本当はレベル1にも足りないけど、サービスだよ!」


母性巫女 「あれ、お金なら結構渡していたような……」


猫耳蛇娘 「に゛ゃ……」


600 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/02/25(木) 19:13:25.22 ID:ol9wXBf2o
>>599 訂正重ね重ねごめんなさい




猫耳蛇娘 「ほーれほれ、跪け下級民どもー」

猫耳蛇娘 「うにゃーっかっかっかっかっ!」




箒少女 「うわ、むっかつくなー。妖怪三輪車ババア」


波魔法少女? 「まあ、それに見合う働きはしてくれたさ」


猫耳蛇娘 「ニャハ、ニャハッ……」



母性巫女 「……ありがとうございました」

母性巫女 「お茶とお菓子、良かったらどうぞ」


魔王プリン
高級ジュース『魔王』


サラマンダー・ウンディーネ 「わーい」


サラマンダー 「モグモグ……レベル3くらいの工房なら同じくらいの時間で造れたんだけどね!」


ウンディーネ 「ゴクゴク……お金あんまり貰えなかったからね!」

ウンディーネ 「本当はレベル1にも足りないけど、サービスだよ!」


母性巫女 「あれ、お金なら結構渡していたような」


猫耳蛇娘 「に゛ゃ……」

猫耳蛇娘 「にゃははははははは!!」

猫耳蛇娘 「いやあ、ありがとうありがとう、ギルドのお二人さん! さすがのお仕事じゃ!」

猫耳蛇娘 「む、向こうでちょーっとお話しようかのー!」


601 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/02/25(木) 19:55:51.28 ID:ol9wXBf2o



波魔法少女? 「さて、それじゃあ、早速工房をつかってみるか」


母性巫女 「ええ。ええと、箒さんの宝玉ですね」


箒少女 「お、おう……」


母性巫女 「?」

母性巫女 (箒少女の顔が青い。汗もかいているみたい……)


波魔法少女? 「おや、もしや緊張しているのかい?」


箒少女 「いや、さあ、お城のアトリエなんて使う機会ないからさ」

箒少女 「うちのアトリエ、ボロっちいし暗いし、こんな、なんていうか、高貴なつくりのは……」


波魔法少女? 「ああ、腐っても界主の城だ。ギルドの人が気をきかせてくれたんだろうね」

波魔法少女? 「なぜか少ないらしい予算で」


母性巫女 (お礼がお茶とお菓子じゃ足りなかったかしら……)




■魔王プリン
 幼女魔王Nが、友だちができたときのために大切にしまい、
 そして忘れさってしまった超高級プリン。
 家を買えるほどの値段。HPとMPがすごく回復。
 一度も使われていないようだ。

■高級ジュース『魔王』
 幼女魔王Nが、友だちができたときのために大切にしまい、
 そして忘れさってしまった超高級ジュース。
 千年に一度、ひとつの木に一個しか実らない果実が使われている。魔法防御大幅アップ。
 一度も使われていないようだ。


602 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/25(木) 20:41:04.64 ID:CwfFij2X0
603 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/02/25(木) 21:08:18.26 ID:ol9wXBf2o


箒少女 「うー……だ、駄目だ! 賭け箒レースのときより緊張する。手汗がすごい」

箒少女 「あんた、変わってくれ!」


母性巫女 「ええっ!?」


箒少女 「手が震えるし汗で滑るし、今のオレじゃ作業は無理だ」

箒少女 「頼むよ。材料もレシピもあるからさ!」


母性巫女 「わ、私は一度もやったこと無いんですよ」

母性巫女 「耳蛇さんを待っている間にちょっと勉強した程度だし……」


箒少女 「大丈夫! 失敗なんかしないって」

箒少女 「サポートくらいならするからさ」


波魔法少女? 「ボクも力添えを惜しまない」

波魔法少女? 「挑戦してみなよ。どうせ使いこなせるようにならないといけないのだから」

波魔法少女? 「ここでずっと暮らすなら」


母性巫女 (ここで、ずっと……)


604 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/02/25(木) 21:14:10.91 ID:ol9wXBf2o


母性巫女 「ええと……」


波魔法少女? 「…………」


箒少女 「なあ、頼むよ母性巫女ー。いやさ、姐さん」


母性巫女 「あ、あねさん? でも……」


波魔法少女? 「気負うことない。やってみると簡単だよ」


箒少女 「うんうん」


波魔法少女? 「それに失敗したって箒少女くんが困るだけさ」

波魔法少女? 「我々は痛くも痒くもない」


箒少女 「えっ!?」


母性巫女 「……そうですね」

母性巫女 「やりましょう」


箒少女 「……お」

箒少女 「おう!!」


605 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/26(金) 03:14:02.23 ID:AzotQWalO
乙!
606 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/26(金) 15:31:40.40 ID:EN4lAXr1O
なんだこのポンコツ娘どもの集まりはww
607 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/02/26(金) 16:31:58.70 ID:nsIS/mYpo


…………


ホワン ホワン

グツグツグツグツ


波魔法少女? 「……よし。釜の湯気が工房に満ちた」

波魔法少女? 「これでこの工房に漂う魔法、君風に言えば精霊は作業を大きく助けてくれるだろう」


母性巫女 「ありがとうございます、何から何まで準備してもらって」

母性巫女 「私だと、ここまでは……」


波魔法少女? 「なに、人間、足りない部分は必要さ」

波魔法少女? 「これはつい最近になって思ったことだが」

波魔法少女? 「ひとりで何でもやろうとか、やれてしまうというのは、とても寂しいものだ」


母性巫女 「……な、なるほど……」


波魔法少女? 「まあ、気にするなということさ。戦闘はそうでもないが、こういうのはボクの得意分野だ」

波魔法少女? 「そちらは、戸締りはばっちりかい?」


箒少女 「おうよ」

箒少女 「ねえ、やっぱオレ、出てって良い?」


波魔法少女? 「駄目だ。では、教えた通りに呼吸を整えて」

波魔法少女? 「息の長さ一つでも、魔法の効果に格段の違いが現れる」

波魔法少女? 「だから一流の魔法つかいは、呼吸にも気をつける」

波魔法少女? 「まあ、君は戦士よりの魔法戦士らしいから、今回の場合は気持ちを落ち着ける程度だが」

波魔法少女? 「今後のために覚えておくと良い」

波魔法少女? 「……始めよう」


母性巫女 「はい」

母性巫女 「…………」


スゥ…… ハァ……


母性巫女 (……呼吸、精霊さまと交感する感覚に近いような気がする)

母性巫女 (お風呂につかっているような……)


608 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/02/26(金) 18:44:02.28 ID:nsIS/mYpo


母性巫女 は 作業 をはじめた
壊れた宝玉のようなもの が 輝きだす…… 


キイイン キイイン


母性巫女 (故郷の世界で入った温泉……もう一度入りたい……)


キイイイン キイイイン


波魔法少女? 「そろそろできるぞ」


箒少女 「やあ、思い出すなあ、初めてのアトリエでの作業」

箒少女 「オレも盛大に失敗したっけなあ」

箒少女 「あ、だからって失敗して良いってわけじゃないけどさ」

箒少女 「まあ、あいつには気楽にやってほしいよ。うんうん」


波魔法少女? 「余裕だね。責任が無いと」


箒少女 「へへへ、アトリエの先輩らしく見守ってやらないとな……」



キュラリンッ パカパー 

ファンファファ パパー


いつもより作業がはかどった!
極上の出来栄え!
配達ギルドの宝玉×2 を 手に入れた!
空の宝玉×7 を 手に入れた!
大成功ボーナス!
なんと、使った素材が戻ってきた!
天使の下着 を手に入れた!
新たなレシピ を手に入れた!
母性巫女の特殊体質 が発動!
母性巫女のレベル が 1 上がった!
母性巫女の体質『母性』 が強化された!
 


箒少女 「ぶっ……」



609 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/02/26(金) 21:30:52.91 ID:nsIS/mYpo


母性巫女 (ど、どうしたら良いのかしら。何かいろいろ起きてるみたい……)

母性巫女 (とにかく、作業は成功したのよね。それっぽい宝玉もあるし。数が多いけれど)

母性巫女 「あの、とりあえず、これ……」


配達ギルドの宝玉×2


箒少女 「え!?」

箒少女 「あ、ああ、ありがとう」

箒少女 「……ご、ごぜえます」


母性巫女 「え……?」


箒少女 「でも、一個もらえたらじゅうぶんだから」

箒少女 「いや、おじゅうぶんですから……」


ヒョイ サササ


母性巫女 (何故かしら。箒少女との距離がものすごく開いてしまった気がする)

母性巫女 「あ、あと、使ったはずの素材もなぜか残っているから、返しま……」


箒少女 「や、いやー、とんでもないっすよ、母性巫女の姐さん」

箒少女 「いやさ、母性巫女大先生。おおさめくだせえ」


母性巫女 「え……」


箒少女 「は、はははー、つくってもらえて嬉しいなー……これ、家宝にしちゃおっかなー……」


母性巫女 「……あ、あの、これはいったい」


波魔法少女? 「世の中、出来すぎる人というのも、あまり歓迎されないものなんだよ」


610 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/02/26(金) 21:48:40.51 ID:nsIS/mYpo


箒少女 「ほんと、ありがとーございやす、大先生」

箒少女 「オレのような下級平民のくだらねえ頼みを聞いてくだすって」

箒少女 「やーあ、やっぱり城に住んでるような人は住む世界が違うなー!」


母性巫女 「も、もう、やめてください……」


ガチャ ギイイ


猫耳蛇娘 「おーっす。作業は順調かの」


箒少女 「お、ぜったい城に住んでなさそうなの」


猫耳蛇娘 「ふがっ!?」


母性巫女 「あの、だから……」


カタカタカタ


母性巫女 「……あら?」

母性巫女 (波魔法少女の用意してくれた釜が震えている)


調整釜 「…………」


カタカタカタカタ

ゴトゴトゴト


箒少女 「な、何だあ?」


波魔法少女? 「震えがどんどん強くなるぞ」

波魔法少女? 「おかしいな。空気安定剤の調合は間違っていなかったはずだが」


調整釜 「…………」


ゴトゴトゴトゴト

ゴトゴトゴトゴト

ボワン


ポンコツ娘ども 「!?」


モクモクモクモク


??? 「…………」



調合釜の煙 から ??? があらわれた! 



611 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/02/26(金) 22:33:32.17 ID:nsIS/mYpo


??? 「ケホッ……ケホッ……」

記録魔 「コホン……ごきげんよう」


猫耳蛇娘 「お、眼鏡の幼女じゃ」


記録魔 「コホンッ……わたくし、第三大世界同盟公認の錬金工房管理ギルドの者です」


母性巫女 「はあ、ごきげんよう……」

母性巫女 「…………?」


波魔法少女? 「第三大世界同盟は、魔王よりの立場の者が多いと聞く」

波魔法少女? 「すまないね。勇者よりの立場にいたボクには、あまり彼らについての知識がない」


記録魔 「コホンッ!」

記録魔 「よろしいでしょうか?」


波魔法少女? 「失礼、どうぞ」


記録魔 「……ご存知でしょうが、同盟公認のギルドは定期的に行われる厳正な審査によって……」


猫耳蛇娘 「なあなあ幼女ー。おぬしの履いとる靴、めっちゃヒール高いのー」


記録魔 「コホンッ!! つまり、創設以来同盟公認の証を失っていない当ギルドは、まさに大世界の模範ともいえる……」


箒少女 「言ってやるなよ。大人ぶってんだからよ」

箒少女 「胸だってバレバレの詰め物してるし」


記録魔 「コホンッッ!! 今回、幼女魔王N統治下のこの小世界において」

記録魔 「初めてとなる錬金工房の設置と使用が確認され……」


猫耳蛇娘 「おーおー、いらついとる。優等生っぽいのはからかい甲斐があるのう」


箒少女 「やめてやれよ。子供なんだからよ」

箒少女 「気をつかってやろうじゃねえか」


記録魔 「コホン゛ッッッ!! 錬金術においての素晴らしい才能を認め、奨励の……」


箒少女 「おい、眼鏡っこ。デコが眩しいぜ」


記録魔 「ん゛がぁああああああ!!」





612 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/02/26(金) 22:41:20.18 ID:nsIS/mYpo


記録魔 「何なのですか、この無礼な下級民たち!!」


猫耳蛇娘 「おぬしの方が無礼じゃが」


箒少女 「褒めたらいきなり怒り出しやがって」

箒少女 「下級民なめんなよチビデコ眼鏡」


猫耳蛇娘 「ワシは乙女上級者じゃが」


記録魔 「んーまっ! 汚らわしい言葉づかい!!」

記録魔 「まったく、とんだ後進世界に来てしまったものです!」


613 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/02/26(金) 23:15:43.75 ID:nsIS/mYpo


記録魔 「現統治者になってから工房の設置までにかなりの時間がかかっておりますから」

記録魔 「まあ、ろくでもない所だろうなあとは思っておりましたが」

記録魔 「まさかこれほどまでとは……」

記録魔 「城に野蛮人が二人も!」


母性巫女 「なんか、ごめんなさい……」


猫耳蛇娘 「誰が野蛮人じゃ」


箒少女 「下級民だよ」


波魔法少女? 「いきなりあんな風に出てこられては驚くね」

波魔法少女? 「不法侵入ととらえられても仕方ないと思うが」


猫耳蛇娘 「不法侵入筆頭が何を言っておるんかの」


記録魔 「フフンッ」

記録魔 「失礼ですが、こちらの世界は第三大世界同盟に加盟しております」

記録魔 「それはつまり、加盟の際に加盟条件羅列書もしっかりとお読みになり、承諾なさっているということ」

記録魔 「書には、公認ギルドは有事の際に統治者の承認なしに担当施設に出現する旨が書かれております」


母性巫女 「加盟条件羅列書……?」


波魔法少女? 「そんなもの、城にはなかったね」


記録魔 「まさか、持っていらっしゃらないの!?」


母性巫女 「重ね重ね、ごめんなさい……」


波魔法少女? 「さては捨てたな、彼女」


614 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/02/26(金) 23:22:19.28 ID:nsIS/mYpo


記録魔 「本当に、なんというとんでもない世界でしょう」

記録魔 「しかたありませんわ。ちょうど持ってきていますのでどうぞご確認を」


ズイ


加盟条件羅列書(見本)


母性巫女 「あ、ありがとうございます……」

母性巫女 (けっこう分厚い本だわ)


記録魔 「150ページの中段にあります」


母性巫女 「は、はい……」


ペラ ペラ ペラ


母性巫女 「……あった」


波魔法少女? 「ふむ、たしかに書かれている」


波魔法少女?・母性巫女 (……151ページの下段に)


記録魔 「フフンッ」


615 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/02/26(金) 23:36:48.31 ID:nsIS/mYpo


記録魔 「差し上げます。予備はありますし」

記録魔 「まあ、わたくしの記憶力は完璧なので、持ち歩く必要はもとから無いんですけど?」


クイ クイ


母性巫女 「ありがとうございます」

母性巫女 「……これ、あの子は読めたのかしら」


波魔法少女? 「きっと題名すら読めなかっただろうね」

波魔法少女? 「とにかく見栄をはってサインする光景が目に浮かぶようだ」


記録魔 「コホンッ。とにかく、わたくしが何も間違っていないこと、分かっていただけたでしょうか」


波魔法少女? 「うん、ごめんよ」


記録魔 「フフンッ」

記録魔 「では、やっと……やーっと! 本題にうつらせてもらいます」


母性巫女 「はい」


猫耳蛇娘 「いちいち言い方がムカつくがのう」



616 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/02/27(土) 00:40:50.61 ID:2I6dLmpFo


記録魔 「先ほど、この世界で初めての錬金工房使用が確認されましたが」

記録魔 「使用者はあなたで間違いありませんね?」


母性巫女 「はい、ええ……」


記録魔 「そうですか……ハァ、間違いであってほしかったのですが……」

記録魔 「……とても素晴らしいものでした」

記録魔 「当ギルドは、あなたを、才能あるアイテム職人の一人として認定いたします」


母性巫女 「は、はあ……?」


記録魔 「第三大世界同盟は、才能ある者の育成に積極的です」

記録魔 「よって、あなたに……」

記録魔 「あなた、名前は」


母性巫女 「母性巫女です」


記録魔 「母性巫女に、第三大世界同盟立学院の準A級特待生の権利と」

記録魔 「奨励アイテムを与えます」


母性巫女 「はあ……」


箒少女 「盟立の学院ってったら、同盟本部に近い中央の世界の方にある」

箒少女 「超お金持ちの奴らが下は0歳から、上は10のn乗歳まで通ってるっつう学校か」

箒少女 「寮が超高級ホテル並で、うまいもん食い放題っていう」


記録魔 「あら、野蛮人がご存知だなんて、驚愕ですね」

記録魔 「ええ、それだけ同盟の威光が行き届いているということでしょう」


箒少女 「下級民だよ」


記録魔 「まあ、そのあたりの話は置いておいて」

記録魔 「奨励アイテムの授与をいたします」


617 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/02/27(土) 00:56:00.06 ID:2I6dLmpFo


母性巫女 「奨励アイテム……」


猫耳蛇娘 「貰っとけ、貰っとけ。あとて転売じゃ」


母性巫女 「でも」


記録魔 「拒否権はありません」

記録魔 「ところで、統治者はどなたですか」


母性巫女 「え……」


記録魔 「統治者が立ち会うという決まりですので」


母性巫女 「ええと……」


猫耳蛇娘 「ちょっと寝込んでおる」

猫耳蛇娘 「具合が優れんでの」


記録魔 「では、連れてきなさい」


母性巫女 「それは……」


波魔法少女? 「それは難しいね」


記録魔 「同盟の使者であるこのわたくしが、わざわざ来ているのですよ」

記録魔 「這ってでも出迎えるのが礼儀というものでしょう」

記録魔 「連れてきなさい」


母性巫女 「それはちょっと……」


記録魔 「良いから、さっさと連れてこいと言っているのです!」

記録魔 「本来ならば、あなたがたごときと言葉を交わす時間など無いのですよ!」

記録魔 「こんな辺境の、不潔で非常識な……」


ボカッ ドゴォン


記録魔 「ふげっ!?」


バタン


母性巫女 「……!!」


箒少女 「………あ」

箒少女 「ごめん、思わず殴っちまった」



618 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/02/27(土) 01:09:20.38 ID:2I6dLmpFo


猫耳蛇娘 「にゃはは……何やっとんの、おぬし」


箒少女 「いや、なんかイヤな奴だなーって思ってたらさあ」

箒少女 「どうしよう、偉い人なぐっちまった。クビになるかなあ」


猫耳蛇娘 「なったらうちに来い。運転手として雇ってやるわい」


記録魔 「な……なな……」


ヨロ ヨロ


記録魔 「殴った! いま、わたくしを殴りましたね!」


箒少女 「ごめん」


記録魔 「殴った! 野蛮人が私を殴った!」

記録魔 「ああ、足にきてる。足にきています!」

記録魔 「なんてこと……これは反逆! 同盟に対する反逆です!」


箒少女 「ごめんってば」

箒少女 「許してよ。スルメガムやるからさ」


スッ



スルメガム?



プワン


猫耳蛇娘 「うぅ!?」


記録魔 「くさい!? すごくくさい!?」


箒少女 「ごめん、これクサヤガムだった」

箒少女 「まあ食えよ。食ったら仲直りな」


記録魔 「きゃあっ! 近寄らないで!」



619 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/27(土) 01:12:52.42 ID:trtWaj140
この世界にまともに戦って母性巫女に勝てる相手が居ると思えない
620 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/27(土) 01:27:17.65 ID:o0QDvTSEO
乙!
621 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/02/27(土) 01:40:16.13 ID:2I6dLmpFo


箒少女 「けっ、何だよ、お偉いさんがお高くとまりやがってよ」

箒少女 「こんなモンみんな普通に食ってるぜ」


クッチャ クッチャ


猫耳蛇娘 「食ってたまっかい」


母性巫女 「あの、大丈夫ですか。立てますか……」


記録魔 「触らないでください、野蛮人!」


母性巫女 「…………」


記録魔 「取り消し。すべて取り消しです!」

記録魔 「こんな野蛮な世界の野蛮人を中央に招くわけにはいきません!」

記録魔 「いいえ、それどころか、幹部連にかけあってこの世界の除名を……」

記録魔 「では失礼!! ごきげんよう!!」


ツカ ツカ ツカ ツカ


母性巫女 (調整釜の方に戻っていく)


波魔法少女? 「なるほど。あれが彼女の、世界を渡る門なのか」

波魔法少女? 「おそらく、ギルド本部から同盟加盟世界の調整釜に繋がる仕組みなのだろうが」

波魔法少女? 「それにはかなり高度な魔法技術が必要だろう。興味深いギルドだ」


母性巫女 「あの、手当てだけでも……」


記録魔 「今さらそんなことで点数稼ぎをしようなんて、無駄です!」



622 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/02/27(土) 01:51:50.59 ID:2I6dLmpFo


記録魔 「プンスカプンスカ、グチグチグチ……」


ボワン ボワン ボワン

カタカタカタ


母性巫女 (釜が震えだした)


カタカタカタカタ


箒少女 「あー、やっばいなー、クビだなー」

箒少女 「賭け箒レースだけで食ってくのもなー。老後がなー」

箒少女 「良い売春宿知らない?」


カタカタ ガタガタガタ


猫耳蛇娘 「遠い親戚の猫神が遊郭をやっておるが……いや、温泉宿じゃったかな」

猫耳蛇娘 「というか、うちで雇ってやるってば」


ガッタガッタガッタガッタ


猫耳蛇娘 「うちのギルド、小世界の百や二百は潰せるし……」


ガッタガッタガッタガッタ
ガタタタタタタ
ガタタタタタタ


猫耳蛇娘 「うっさいのう! さっさと帰れよ!」


ガタタタタタ
ガタ
カタ……カタ……


記録魔 「…………」


母性巫女 「……静かになった」


波魔法少女? 「彼女はまだ帰っていないようだが」

波魔法少女? 「失敗でもしたのかな」


記録魔 「…………」

記録魔 「戻れない……」


623 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/02/27(土) 02:11:42.26 ID:2I6dLmpFo


記録魔 「ちょっと、どういうことですか!」


母性巫女 「え……」


記録魔 「帰れないじゃありませんか!」

記録魔 「細工したんですか。道を閉じたnですか。嫌がらせのつもりなんですか!?」


母性巫女 「いえ、そういうわけじゃ……」


波魔法少女? 「もう一度ためしてみてはどうかな」


記録魔 「……くっ」

記録魔 「…………」


ボワン ボワン
カタタタタタ
カタタ……
カタ……


記録魔 「……ま、また駄目」

記録魔 「どうして!?」


母性巫女 「……あ」

母性巫女 「これって、やっぱり……」


波魔法少女? 「うん」

波魔法少女? 「今この世界では魔法および魔法のアイテムは正常に作用しない」

波魔法少女? 「彼女のギルドの魔法技術も力及ばず……といったところだろう」


624 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/02/27(土) 02:34:38.10 ID:2I6dLmpFo


記録魔 「未知の大世界の接近による影響は知っていましたが」

記録魔 「こんなにひどいなんて……!」

記録魔 「……え、じゃあ、もしかして私」

記録魔 「この野蛮な世界に……」


波魔法少女? 「閉じ込められてしまったことになるね」

波魔法少女? 「他に、世界を渡るすべを持っていないなら」


記録魔 「そんな」

記録魔 「嘘です、悪夢よ。こんな底辺の悲哀が染み付いたような所で……」


母性巫女 (ひどい言われよう……)


ユラ


猫耳蛇娘 「……にゃは」


箒少女 「……ふっふっふ」


記録魔 「はっ……!?」


猫耳蛇娘 「……ええっと、何じゃっけ。野蛮人がどうたらこうたらじゃったっけ」


箒少女 「こいつが一生帰らなかったらさあ」

箒少女 「オレの鉄拳も無かったことになんないかなあ……」


ジリ ジリ


記録魔 「ひ、ひいぃ……っ!」


625 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/02/27(土) 02:51:04.28 ID:2I6dLmpFo


…………


ペチ ペチ


箒少女 「おらおら、どうだ優等生さんよ」

箒少女 「こんなもので顔をぶたれてよぉ」


記録魔 「いやあぁ……。くさい……これ、くさいぃ……っ」

記録魔 「おでこが……私のおでこがクサヤ臭くなるぅ……!」


箒少女 「へへへ、もう一枚増やしてやるぜ、クサヤガムをなあ」


記録魔 「いやああ!」


猫耳蛇娘 「ほーれ、お子様パンツにもたっぷり入れちゃるぞう」

猫耳蛇娘 「スカートぴらーん」


記録魔 「きゃああああ!」


箒少女 「覚悟しやがれ。全身ににおいが染み付くまで可愛がってやるぜ……」



母性巫女 「…………」

母性巫女 「あの……」


猫耳蛇娘 「手出し無用じゃ!」

猫耳蛇娘 「これが、全世界共通の歓迎の証じゃと言ったじゃろう」


母性巫女 「……ええー」


波魔法少女? 「ノーコメント」


母性巫女 「ええー……」


626 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/02/27(土) 03:03:36.80 ID:2I6dLmpFo


…………



錬金工房




フキ フキ フキ


記録魔 「グスッ……ヒック……」


母性巫女 「クンクン……まだとれませんね、におい」


フキ フキ フキ


記録魔 「クッ……屈辱っ……こんなっ、下着姿でっ、体を拭かれ……」


母性巫女 「あの、だからお風呂もありますから……」


記録魔 「ここから一歩も出たくありません!」

記録魔 「何ですか、錬金工房の外のあの惨状は!」


母性巫女 「あれでも片付いたんですよ」


記録魔 「浴場に行くまでに、わたくしは不潔死してしまいます!!」


母性巫女 「不潔死って……」


フキ フキ フキ


記録魔 「まったく……グス……これだから野蛮な未開世界は……」



627 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/02/27(土) 03:14:08.17 ID:2I6dLmpFo


母性巫女 「少しの辛抱ですよ。耳蛇さんが送り届けてくれるそうですから」


記録魔 「あんな人の助けなんて借りません!」

記録魔 「なんとしても、わたくしの力で帰ります!」


母性巫女 「それだと、この世界にいる時間が増えてしまいますよ」


記録魔 「うぐっ……」


母性巫女 「うーん。やっぱりたっぷりのお湯じゃないと、とれないでしょうか……」


フキ フキ フキ


記録魔 「…………」


母性巫女 「…………」


フキ フキ フキ


記録魔 「……と、当然のことです!」


母性巫女 「はい?」


記録魔 「わたくしは同盟公認の、選ばれし者ですから」

記録魔 「辺境世界の平民が汗水たらして尽くすのは、当然のことなんです」


母性巫女 「もう。またそんなこと言って」


フキ フキ


記録魔 「…………」


628 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/27(土) 09:11:12.77 ID:o0QDvTSEO
乙!
629 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/27(土) 09:22:11.93 ID:fb4xOW1yO
まーた甘やかされ要因が増えたのか…
630 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/02/27(土) 12:32:23.96 ID:2I6dLmpFo


記録魔 「だいたい、あなたもあなたです」

記録魔 「泣くまで止めないなんて、怠慢にもほどがあります」


母性巫女 「ごめんなさい」


記録魔 「その前だって……わたくしが殴られる前に止めるべきでした」


母性巫女 「そうですね。ごめんなさい」


フキ フキ フキ


記録魔 「……い、今さら甲斐甲斐しく世話を焼くふりをしたって無駄ですよ」

記録魔 「このことは、しっかりと報告させていただきます」


母性巫女 「それは……きっと困りますね」


フキ フキ


記録魔 「…………」

記録魔 「…………っ」

記録魔 「もう結構! 自分で拭きます!」


ガシ バッ


母性巫女 「あっ」


記録魔 「ふん………」


ゴシ ゴシ ゴシ


631 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/28(日) 04:10:49.30 ID:poCfKmfTo
乙!
これN起きたらどうなっちゃうのだろうかww
632 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/28(日) 07:43:26.52 ID:TZIHYQngO
乙!
633 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/28(日) 08:22:16.55 ID:cOwmMSIZo
母性巫女は馬頭レベルなのかな
634 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/03/15(火) 23:17:26.38 ID:fAdFOUJFo


…………


夜 

幼女魔王の城 廊下



フヨ フヨ フヨ


記録魔 「まったく、何たることでしょうこの城は。というかこの世界は」

記録魔 「統治者が交代してからまだ日は浅いようですが」

記録魔 「だとしても、ひどすぎます。外観はともかく、最低限の設備さえ揃っていないとは」


キョロ キョロ


記録魔 「しかも、城にいるのは下劣な愚か者ばかり」

記録魔 「ああ、汚らわしい、汚らわしい。天使である私は飛んで移動せざるを得ません」

記録魔 「グチグチグチグチ……」


フヨ フヨ フヨ


記録魔 「……ん?」


ペチャ クチャ


猫耳蛇娘の声 『……じゃからな…………』


箒少女の声 『……かよ……』


ペチャ クチャ モシャ モシャ


記録魔 (扉の向こうから、話し声)

記録魔 「…………」


635 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/03/15(火) 23:30:58.35 ID:fAdFOUJFo


食堂



猫耳蛇娘 「恵まれた能力によって巧妙に隠されておるが」

猫耳蛇娘 「実際はかなりのダメ人間なんじゃよ、あの母乳巫女は」


箒少女 「そうかね。オレはそうは思わないぜ」

箒少女 「飯は作ってくれたし、服は洗ってくれたし、部屋の掃除もしてくれたし」

箒少女 「姐さんのおかげで、中途半端に高い宿に泊まるよりいたれりつくせりだぜ」

箒少女 「箒がぶっ壊れてこりゃツイてねえ一日なって思ってたら、一転、ラッキーだもん」


猫耳蛇娘 「じゃから、それが騙されとるんじゃって」

猫耳蛇娘 「……良いか、あやつは麻薬みたいなもんなんじゃよ」


箒少女 「はあ?」


636 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/03/15(火) 23:52:02.37 ID:fAdFOUJFo


箒少女 「あんた、いきなり何を言い出すんだよ。のみすぎだろ」

箒少女 「仕事はどうなってんだよ。あんたが頑張らないと、オレ、いつまでたっても自分の世界に帰れないんだぜ」

箒少女 「なのに酒のんでつまみむさぼって……」


猫耳蛇娘 「それじゃ」


箒少女 「?」


猫耳蛇娘 「ワシが仕事をサボりがちなのも、あやつのせいなのじゃ」


箒少女 「やっぱりさぼってんのかよ」

箒少女 「正直、心のどこかで、何かしら知られざるプロの御技なんじゃねえかと期待していたぜ」

箒少女 「……あんたが酒浸りで怠けてることのどこが、姐さんのせいだってんだ?」


猫耳蛇娘 「はあ……よく聞けい」


ゴク ゴク 


猫耳蛇娘 「何もせんでも飯がでてきて、綺麗な服を着られて、あったかい湯につかれて、ふかふかのベッドでねられる」

猫耳蛇娘 「ここに来てから、ワシはそんな生活を送ってきたわけじゃ」


箒少女 「うん」


猫耳蛇娘 「…………」


箒少女 「………?」


猫耳蛇娘 「おまけに、酒も気のきいたつまみまで……」

猫耳蛇娘 「もう、働きたくなくなっちゃうじゃろうが!」


箒少女 「っ!?」



記録魔 「…………」



637 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/03/16(水) 00:22:43.36 ID:4fcBUbw8o


箒少女 「なに言ってんだよ、あんた」

箒少女 「本当になに言ってんだよ……」


猫耳蛇娘 「すべてはあの母性巫女のせいなのじゃ」

猫耳蛇娘 「あやつがワシの身の回りのお世話をほとんどすべて勝手にするから……!」

猫耳蛇娘 「ワシになにもさせてくれんから!」


箒少女 「やれよ」


猫耳蛇娘 「嫌じゃーーッ!」


箒少女 「!!」


猫耳蛇娘 「あああああ、嫌じゃ、嫌じゃ、いやなのじゃ」

猫耳蛇娘 「働かざるものが食えるなら」

猫耳蛇娘 「ワシは働きとうない!」

猫耳蛇娘 「いきつくところまでダメ人間になるのも厭わん!」

猫耳蛇娘 「猫のように暮らしたい!」


箒少女 「猫は、ダメじゃないだろ……」


猫耳蛇娘 「本当は嫌なのじゃ。働きたいのじゃ」

猫耳蛇娘 「しかし、あやつが働かせてくれんから!」

猫耳蛇娘 「ワシをドロッドロに甘やかすから!」


箒少女 「じゃあ働けよ」


猫耳蛇娘 「無理じゃ! あやつの毒牙(母性)からは、このワシも逃れられん!」


箒少女 「無理じゃねえだろ」


猫耳蛇娘 「くっそう、あやつがワシを甘やかさねば、ワシはガムシャラ働くのに!」

猫耳蛇娘 「あやつのせいで! あやつのせいでワシは働けんのじゃ!!」

猫耳蛇娘 「ぜんぶ、あやつのせいなのじゃ!」

猫耳蛇娘 「無念じゃ!」


ゴクゴク モシャモシャ

グウタラ グウタラ


箒少女 (……こいつ、ダメだ……)




記録魔 (ダメですね……)




638 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/03/16(水) 00:43:10.75 ID:4fcBUbw8o


猫耳蛇娘 「魔王じゃ……あれこそ魔王じゃ」

猫耳蛇娘 「平和による堕落で、ワシの牙を知らぬ間に折ってしまいおった」

猫耳蛇娘 「あの母性巫女こそが、母性の魔王だったんじゃ」

猫耳蛇娘 「きっと料理とか風呂の湯とか衣類とかに、堕落効果のある母乳とか染みこませていたに違いない」


箒少女 「ないだろ。淫魔の乳とかはそういうのあるって、魔女学校で聞いたことあったけど」


猫耳蛇娘 「あー、もうやられた。やられたのー」

猫耳蛇娘 「こうなったらもう、ワシは観念してグウタラするしかにゃい」


ゴロゴロ ゴロゴロ


猫耳蛇娘 「嫌なんじゃがのー。本当は働きたいんじゃがのー」


箒少女 「働けって」

箒少女 「まじで」


ゴロゴロ ゴロ……


猫耳蛇娘 「……じゃが」

猫耳蛇娘 「おぬしはまだ間に合う」


箒少女 「間に合うって何だよ」


猫耳蛇娘 「毒のまわりきらんうちに、この世界を出るのじゃ」

猫耳蛇娘 「この偽りの楽園……エデンをな」


グウタラ


箒少女 「だから、あんたが働いてくれないと出来ないんだって」


猫耳蛇娘 「ワシはもうダメじゃ……」

猫耳蛇娘 「母性巫女の甘やかしを存分に受けながら」

猫耳蛇娘 「ここで一生ぐうたら生きていくしかないのじゃー」

猫耳蛇娘 「さあ、ワシが母性巫女にめっちゃくちゃ甘えるから、その隙におぬしはこの世界を出るのじゃー」


ゴロゴロゴロゴロ


箒少女 「こいつ、本当に……」



記録魔 (ダメですね……)


639 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/03/16(水) 00:54:40.84 ID:4fcBUbw8o


猫耳蛇娘 「うにゃはーん」


ゴロゴロ


箒少女 「…………」

箒少女 「……だけど、そうだよな」

箒少女 「オレも、ごみごみした薄暗い魔法街のボロ部屋に帰ったところで……」

箒少女 「洗濯とかゴミ出しとか面倒だし、食料とか歯ブラシとかチェックして買い出しするのも面倒くさいし」

箒少女 「一方ここはボロ城ながら、のどかだし空気はうまいし、景観だけなら浮遊大陸の一等地並に良いし」

箒少女 「掃除しなくて良いし、料理つくってもらえるし」

箒少女 「だったら働かずに気ままに箒を乗り回しても……」

箒少女 「…………」


カチ コチ カチ

ホー ホー


箒少女 「…………」

箒少女 「うおー!」

箒少女 「くっそー! 帰りたくなくなってきたぜー!!」


ゴロゴロゴロゴロ



640 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/03/16(水) 01:02:54.15 ID:4fcBUbw8o


猫耳蛇娘 「にゃへらにゃへら」


箒少女 「ぬおー!」


ゴロゴロゴロ

グウタラグウタラ

ムシャムシャ モグモグ ゴクゴク

グウタラグウタラ


記録魔 「…………」

記録魔 (だ、駄目です)

記録魔 (早くこの城を出ないと……!!)


??? 「……あら」


記録魔 「!!!」


ビクッ


??? 「錬金工房にいないと思ったら」

母性巫女 「ここにいたんですね」


記録魔 「ヒィッ……!」


641 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/16(水) 05:00:14.64 ID:Rc4F74vFo
更新乙
642 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/16(水) 07:12:19.39 ID:wY5mJ6Spo
蟻地獄のようだ
643 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/16(水) 07:23:54.34 ID:H6Gq/RQCo
大地を引き裂くレベルの必死の抵抗をしても容易く制圧されるだろうしなぁ
644 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/03/16(水) 08:07:46.34 ID:4fcBUbw8o



母性巫女 「…………」


ホワン ホワン


記録魔 (ううっ、見える気がします……。関わる者みな怠惰の海に落とす、ほんわかしたオーラが!)

記録魔 (負けてはいけません。私はエリート!)

記録魔 (おしゃぶりの頃から超名門盟立学院で死ぬほど努力して、勉強して)

記録魔 (エリートの証である盟主連の錬金工房管理ギルドに迎え入れられた勝ち組!)

記録魔 (ゆくゆくは第三大世界同盟の枢軸ど真ん中として、魔王たちをも管理する、輝かしい未来を約束された勝ち組!)

記録魔 (こんな辺境弱小世界の魔王の……しかもしもべごときに怯んではいけません!)

記録魔 「うぎ、ぎぎぎ……」


カクカク ガタガタ


母性巫女 「あ、あの……」


記録魔 「な、何の用でしゅか……こにょ魔王……っ!!」


母性巫女 「えっ……」


記録魔 「……こ、コホン」

記録魔 「スー、ハー、スー、ハー……」


母性巫女 「…………」


記録魔 「……この私に、ななな、何の用でしょうか?」


母性巫女 「……ええと」

645 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/03/16(水) 08:21:37.90 ID:4fcBUbw8o


母性巫女 「いちおう、記録魔用の部屋を用意したんですが……」


記録魔 「ささささ、様を!」


母性巫女 「?」


記録魔 「目上の者と話すときは、さ、さんさ、様をつけなさい! 敬意を払うのが当たり前です!」

記録魔 「わわ私は、あなたの主が属する組織で、あなたの主よりも高い地位にあるのですよ!」

記録魔 「この無礼者!」

記録魔 (お、落ち着くのです、記録魔。リザードマンの魔王相手にもうまくやれたのだから!)

記録魔 (こんな小柄な人型の一匹や二匹、恐れることなどないのです!)


母性巫女 「ご、ごめんなさい」


記録魔 (……やった! 謝らせた!)

記録魔 「わ、分かれば良いのです。許してあげます」

記録魔 「……コホン。そして、あなたもしつこい人です」

記録魔 「この城において、かなり、かなり妥協して、私にふさわしい部屋は」

記録魔 「あの錬金工房のみと言ったはずです」

記録魔 「他の部屋で寝るなんて……ああ、おぞましい。ゴキブリの巣で寝るようなものです」


母性巫女 「ゴキブリって……」


646 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/03/16(水) 08:34:51.12 ID:4fcBUbw8o


母性巫女 「あの、だったら家具を用意しましょうか。ベッドとか……」


記録魔 「いりません!」


母性巫女 「ですが」


記録魔 「うるさいです! あなたは、このボロ城にある家具程度を私にあてがおうというのですか」

記録魔 「とんだ侮辱です!」


母性巫女 「ごめんなさい。侮辱なんてするつもりじゃ……」


記録魔 「フンッ……」


母性巫女 「…………」

母性巫女 「せめて毛布だけでも……」


記録魔 「しつこいです!」


母性巫女 「ごめんなさい」


647 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/03/16(水) 08:58:27.77 ID:4fcBUbw8o


記録魔 「気分を害しました。工房に戻ります」


フヨ フヨ フヨ


母性巫女 「は、はい」

母性巫女 「……あの、明日の朝ごはんは何が良いですか」


記録魔 「……そうですね」


ニヤリ


記録魔 「では、サラダを」


母性巫女 「あら、サラダですね」


記録魔 「ええ、もちろん、分かっていると思いますが黄金の雲野菜をたっぷりとつかったサラダです」

記録魔 「ドレッシングは最高品質の虹蜜草を全種つかった極甘のものをうんと冷やして」


母性巫女 「え、ええと……」


記録魔 「まさか、ご存知ないんですか」

記録魔 「私がよく利用する五つ星レストランでは当たり前に出てくる」

記録魔 「たかだか大粒の貴石七つ分のお金で買える、ありふれた料理ですよ」

記録魔 「第三大世界で、ちょっと教養のある者なら、誰だって知っています」

記録魔 「まさか、ご存知ないんですか!」


母性巫女 「……ごめんなさい」


記録魔 「あきれました」

記録魔 「それで、よく朝ごはんを何にするかなんて平気で言えたものです」

記録魔 「思い上がりもはなはだしいです!」


母性巫女 「ごめんなさい……」


ペコ ペコ

648 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/16(水) 15:41:54.92 ID:V52P5aLuO
乙!
649 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/03/17(木) 01:37:16.79 ID:4jkMJUdjo


記録魔 「私とあなたは住む次元が違うのです」

記録魔 「あなた程度の者が、余計な気などまわさなくてよろしい」


記録魔 「私が指示を出したときのみ、その指示通りに動けば良いのです」

記録魔 「そうやって愚かな者を賢い者が導いてこそ、世界は良い方へ流れていくのです」


母性巫女 「そうなんですか」


記録魔 「はいと答えなさい!」


母性巫女 「は、はい」


記録魔 「……フン」

記録魔 「では、失礼」


フヨ フヨ フヨ


母性巫女 「おやすみなさい」


記録魔 「…………」


フヨ フヨ フヨ


母性巫女 「…………」

母性巫女 「あの、じゃあ朝ごはんはどうしましょう」


記録魔 「…………!」


フヨ


母性巫女 「今は他の世界? ……との行き来は難しくなっているし」

母性巫女 「良かったら、耳蛇に頼んで……」


記録魔 「…………」

記録魔 「〜〜〜!!」

記録魔 「ですから!」


650 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/03/17(木) 02:01:13.17 ID:4jkMJUdjo


記録魔 「いりませんと言っています!」

記録魔 「あの無礼なニャンプールの助けなんかも借りません!」


母性巫女 「でも、食べないと……」


記録魔 「だったら餓死した方がマシです!!」


母性巫女 「そんな」

母性巫女 「ちゃんと食べなきゃ駄目ですよ」


記録魔 「うるさい! またそうやって決めつけて」

記録魔 「人の食べ物を食べると死ぬ種族もいる、ということを知って言っているのですか!」


母性巫女 「い、いいえ。そうなんですか、ごめんなさい」

母性巫女 「記録魔さまは、そうなんですか?」


記録魔 「どうでも良いです!」


母性巫女 「そんなことありませんよ」


記録魔 「もう!!」


ダム


母性巫女 「!」


記録魔 「もう! もう! もう! もう!!」


ダムダムダムダム


記録魔 「これだから馬鹿と話すのは嫌なのです。時間の無駄です!」

記録魔 「馬鹿は黙っていなさい。私の邪魔をしないでください!」

記録魔 「馬鹿に知識や言葉を与えたって、ろくなことになりやしない!」

記録魔 「賢いもの以外は喋ったり文字を使ったりできなくなるべきです!」


母性巫女 「は、はあ……」


記録魔 「もう絶対に! 私が許可したとき以外に話しかけないでください!」

記録魔 「失礼!」


フヨフヨフヨフヨフヨ


651 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/17(木) 15:33:59.06 ID:i5VURCKaO
反抗期かな?
652 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/17(木) 19:55:23.25 ID:+eCTA+wxo
イヤイヤ期だな
653 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/03/17(木) 22:43:02.25 ID:4jkMJUdjo



波魔法少女?

http://i.imgur.com/lhFJwvm.jpg


種族 :?
職業 :世捨て人/魔物交配士/触手の苗床/???
レベル :1/1/6/1
所属 :幼女魔王Nの世界?
そうび :きわどい衣・
固有 :絶対回避 


非戦闘ユニット。
所属させると、魔法系の施設の他、魔物の交配施設を利用できるようになる。
苗床にしたら、それ以外の運用はできなくなるので注意。
画像はフィクションです。

654 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/03/17(木) 22:45:14.44 ID:4jkMJUdjo
シィン


母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「呆気にとられているようだ」


母性巫女 「わっ」

母性巫女 (いきなり波魔法少女があらわれた……)


波魔法少女? 「面白そうな話が聞こえた気がしたね」


母性巫女 「は、はあ……」


波魔法少女? 「次元がどうとか。特に興味深い」


母性巫女 「?」


波魔法少女? 「どうでも良い話だ」

波魔法少女? 「あの少女とは、どうもうまくいかないようだね」


655 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/03/17(木) 22:54:29.23 ID:4jkMJUdjo


母性巫女 「話がうまくかみ合わないというか」

母性巫女 「話についていけなくて……」


波魔法少女?「仕方ないだろう。価値観というか、世界観が違う」

波魔法少女? 「同じ言葉でも、それに対する考え方がまったく違えば」

波魔法少女? 「噛み合わなくもなる」


母性巫女 「そうでしょうか……」


波魔法少女? 「まあ、その方が良いかもしれない」

波魔法少女? 「喋る豚より、言葉の通じない豚を殺して食べる方が気が楽だろう」


母性巫女 「……はい?」


656 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/03/17(木) 23:34:26.34 ID:4jkMJUdjo


波魔法少女? 「世界や城の設備をある程度整えたら」

波魔法少女? 「それを守る力も整えていかなくてはいけない」

波魔法少女? 「兵を増やさないと」


母性巫女 「兵士……」


波魔法少女? 「とくに、ここの魔王は戦いに関してからっきしだからね」

波魔法少女? 「質の良い兵……というかしもべを揃えないと」

波魔法少女? 「そして小さい世界とはいえ、それなりに数は揃えなきゃならない」


母性巫女 「そうですか……」

母性巫女 「たしかに、私の故郷でも森を守護する騎士団がありましたけど……」


波魔法少女? 「この世界の主は内向的だし、人材を集める才能も無いが」

波魔法少女? 「幸い、魔物……それも触手をしもべにするタイプの魔王らしい」

波魔法少女? 「触手。兵を増やすことに、もっとも向いている魔物のひとつだ」


母性巫女 「…………」


657 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/03/17(木) 23:43:17.16 ID:4jkMJUdjo


波魔法少女? 「以前、彼女のしもべ触手を見る機会があってね」

波魔法少女? 「彼女程度の力量で、あれほどのものを従えられるか疑問ではあったが」

波魔法少女? 「それは置いておいて」

波魔法少女? 「手っ取り早く兵を増やすなら彼女のしもべ触手をつかうのが一番だ」


母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「何せ、どの種族でも良いから雌の個体を苗床として放りこんでおけば」

波魔法少女? 「うまくやれば、一日数十匹単位で増やせるからね」


母性巫女 「……ううっ」


ガタガタ 

ガク


波魔法少女? 「おや、どうしたんだい」


母性巫女 「い、いえ……」

母性巫女 「触手……苗床……お腹の下あたりに、何故だかすごく嫌な記憶が……」


波魔法少女? 「……なるほど」


658 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/03/18(金) 00:16:47.10 ID:AwcJEpJLo


母性巫女 「はぁ……っ……はぅ……っ……」

母性巫女 (気持ち悪いのに、体がぽかぽかしてきた……)


波魔法少女? 「辛い話だったか。大丈夫かい」


母性巫女 「え、ええ……」


ヨロ ヨロ


波魔法少女? 「酷だけど、しかし大きな価値観の違いには慣れるほかないと思うよ」

波魔法少女? 「自分が食べる野菜や肉の命をいちいち哀れんでいたら、生きていけないだろう」

波魔法少女? 「それと同じさ。目をつぶるか、受け流さなきゃいけない部分もある」

波魔法少女? 「我々は大きな世界から見たら、本当にちっぽけなものなのだから」

波魔法少女? 「世界中のすべてをどうこうしようとか、できないことで無力感に打ちひしがれる必要もない」


母性巫女 「え、ええ……」


波魔法少女? 「まあ、簡単に割り切れるものではないだろうけれどね」

波魔法少女? 「それに、かつて君の暮らしていた環境と、この魔王の治める世界とでは違いも大きいだろうし」


母性巫女 「そうですね……」


波魔法少女? 「だが、いま君が魔王のしもべとしてここにいるのも現実」

波魔法少女? 「君だけの常識に引きこもっていてはやっていけない」


母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「……どうしてもできないというなら、もとの世界に帰ることを本気で考えるべきかもしれないが」

波魔法少女? 「彼女に支配されていないうちに」


母性巫女 (……でも、そうしたら、あの子が)


波魔法少女? 「君がいなくなるのは痛手ではあるけれど」

波魔法少女? 「まあ、ここを敵の手に落とさないくらいならボクと彼女でもできるさ」


母性巫女 「………!」



659 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/03/18(金) 01:01:51.73 ID:AwcJEpJLo


波魔法少女? 「君が帰る手段を知っている猫の蛇も、協力してくれるだろう」

波魔法少女? 「幼女魔王Nも、君を無理に傍に置いていることを後悔しているかもしれない」

波魔法少女? 「君がここにいることで、彼女はさらに苦境に立たされているのかもしれない」


母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「もちろん、君がいないことで起こる不都合もあるわけで」

波魔法少女? 「さすがのボクもそれらをいちいち把握できないので」

波魔法少女? 「結局、君がどうしたいかに任せるほかないのだけれど」


母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「とにかく、兵を増やすことも考えていかないと」


母性巫女 「触手……苗床……それって、やっぱり」


波魔法少女? 「うん、しもべ触手の卵や幼体を雌に産ませる」


母性巫女 「……ッ」


波魔法少女? 「そうした方が強力なものが生まれやすいしね」

波魔法少女? 「……もちろん、交尾も行われるわけだ」

波魔法少女? 「ほとんど休みなく」


母性巫女 「…………うぅ」


フラ


波魔法少女? 「分かってかそうでないのか、野生のものたちも、そうやって他の種族の胎を使って数を増やすんだよ」

波魔法少女? 「ただ、異種族と交わるわけだから抵抗されることが多い」

波魔法少女? 「そのせいだろうが、触手の魔物は他種族の雌を虜にするための様々な術にたけている」

波魔法少女? 「体液が強力な媚薬だったり、そのへんの性魔術など足元にも及ばない呪いを使えたり……」


母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「だから、苗床にされる者たちは」

波魔法少女? 「個人や種としての尊厳やこれまでの人生を破壊された、自由の一切ない、交尾と産卵しか許されない」

波魔法少女? 「そんな生まれてきたことを呪うような一見悲惨な一生をおくることになっても」

波魔法少女? 「案外、本人は幸せなのかもしれないね」


660 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/03/18(金) 01:20:39.09 ID:AwcJEpJLo


母性巫女 (吐き気がしてきた……)


波魔法少女? 「でも、そういうことは、誰だってやっているだろう」

波魔法少女? 「生きるために、ほかの生き物を食べたりしているだろう」

波魔法少女? 「自分のために」


母性巫女 「それは……」


波魔法少女? 「難しいところだ」

波魔法少女? 「だからといって、自分が生きるためだけに、自分以外のものを顧みずに生きていたら」

波魔法少女? 「それはそれで生きにくい」

波魔法少女? 「邪魔だからといって全てに牙をむいていたら」

波魔法少女? 「それは結果的に命を縮める生き方になってしまうかもしれない」

波魔法少女? 「他人のためを考えて動くことが正解のときもある」

波魔法少女? 「それも、言ってしまえば自分のためにだが」


母性巫女 「…………」


661 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/18(金) 01:22:34.69 ID:m3k7fGRCo
更新乙
662 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/03/18(金) 01:36:03.68 ID:AwcJEpJLo



波魔法少女? 「人生において妥協するところと、そうでないところが」

波魔法少女? 「はっきりと分かっていれば良いのだけれど」

波魔法少女? 「しかしそれすらも揺らぐことがある」

波魔法少女? 「触手ある魔物にとって当たり前の種の繁栄も」

波魔法少女? 「君にとっては到底受け入れられるものではなかったろう」


母性巫女 「は、はい」


波魔法少女? 「それは正しいことなのだろう。君の暮らしていた環境では」

波魔法少女? 「ただ、ここで生きていくには、そのままでは難しい」

波魔法少女? 「君なりの正しさを捨てることはないが」

波魔法少女? 「君の知らなかった正しさを知り、許すことができないと」


母性巫女 「私の知らない正しさ……」


波魔法少女? 「でなければ、君も、君に関わるものも、きっと不幸になってしまう」

波魔法少女? 「正しさと別の正しさが強く拒絶し合えば、戦争になるように」


母性巫女 「…………」


663 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/03/18(金) 02:20:16.74 ID:AwcJEpJLo



母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「悩んでいるかい」


母性巫女 「え、ええ。それは、もう」


波魔法少女? 「良いことだ」


母性巫女 「そうでしょうか」


波魔法少女? 「悩んだり迷ったりするということは、弱さかもしれないが」

波魔法少女? 「変わっていける可能性があるということだ」

波魔法少女? 「望む方にも、望まない方にも」


母性巫女 「望まない方って……」


波魔法少女? 「それも強さであり、勇気だと思うよ」

波魔法少女? 「迷い悩む勇気」


母性巫女 「勇気ですか」


波魔法少女? 「悩んだり迷ったり、そして変化していくことは、とても恐ろしいことなんだ」

波魔法少女? 「自分がこれまで過ごした時間を否定するようなものだし、自分がとても弱く惨めに思えてしまう」

波魔法少女? 「だから育ってきた環境や、価値観を信じ込んで、思い込んで」

波魔法少女? 「それを自分の芯にして」

波魔法少女? 「その芯をぽっきり折りかねない、あまりにも考え方の異なる人や文化なんかを」

波魔法少女? 「相容れないものとして排除しようとする」

波魔法少女? 「……猫耳蛇娘も、そうなのかもしれないね。長く生きてきたみたいだから、とくに」


母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「それは正しいことだ」

波魔法少女? 「自分や、自分の大切なものを守ろうとしているのだから」

波魔法少女? 「そうしなければ守れないものも多々あるのだから」

波魔法少女? 「けれど」

波魔法少女? 「いろいろなものに悩みながら、迷いながら」

波魔法少女? 「変わることに恐れながらも変わっていくことも、悪いことでは無いと思うよ」


母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「だから恐れずに悩むと良い」

波魔法少女? 「その結果、君が何を捨てることになろうとも」


664 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/03/18(金) 02:43:31.84 ID:AwcJEpJLo


母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「さて、今のところ、苗床できそうなのは」

波魔法少女? 「猫耳蛇娘に箒少女……」

波魔法少女? 「もちろんボクもだし、君もそうだ」

波魔法少女? 「そしてあの記録魔に」

波魔法少女? 「幼女魔王N」


母性巫女 「そ、そんな淡々と……」


波魔法少女? 「幼女魔王Nは論外だ。いや、彼女が淫魔だったりそれなりの耐性があれば、それが一番だけれど」

波魔法少女? 「彼女が苗床になったら、理性も何もかも吹っ飛んでしまうだろうから、城の運営どころじゃなくなる」

波魔法少女? 「猫耳蛇娘は結界を張るまで待たなきゃならない」

波魔法少女? 「君を苗床にするのは最高の剣をトイレのつっかえ棒に使うくらいちぐはぐだ」

波魔法少女? 「……いや、魔王を薙ぎ払えるようなものすごい化物をぽんぽん生み出してしまいそうな気もするが」


母性巫女 「い、いや……っ」


波魔法少女? 「母性あふるる君も、さすがに乙女だね」

波魔法少女? 「可もなく不可もなく使えるのは、箒少女と記録魔かな」

波魔法少女? 「君がここに残るなら、ボクもそこに入れて良いだろう」

波魔法少女? 「ボクが入れ知恵しなくても、君なら独学で幼女魔王Nを補佐できるようになるだろうし」


母性巫女 「そ、そんな……」


波魔法少女? 「まあ、兵力増については彼女が起きてこない限り進まない話だ」

波魔法少女? 「頭のすみに置いてくれたら良いさ」


665 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/03/18(金) 03:21:59.10 ID:AwcJEpJLo


波魔法少女? 「ふむ……」

波魔法少女? 「となると、やはり、猫の蛇には頑張って結界を張ってもらわないと」


母性巫女 「え、ええ」

母性巫女 「結界があれば、その……」


波魔法少女? 「女の子たちを触手の苗床にしなくてよくなるかって?」

波魔法少女? 「どうだろうね。物事に万全はあってほしくないし」


母性巫女 「ええっ……」


波魔法少女? 「城の魔力供給用にもつかえるだろうし」

波魔法少女? 「いまあげた五人じゃないにしても、どこかからいくらか攫ってしまうと便利だと思うけれど」


母性巫女 「そうですか……」



666 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/03/18(金) 03:30:45.07 ID:AwcJEpJLo


波魔法少女? 「城の設備を機能させるにはそれなりに魔力が必要だ」

波魔法少女? 「魔力は住人たちのものから少しずつ使われるが、ここは住人が少ない」


母性巫女 (だったら、住人を増やせば良いのかしら)


波魔法少女? 「……いや」

波魔法少女? 「あては、あるかもしれないな」


母性巫女 「?」


波魔法少女? 「ふむ。しかし、危険すぎる」

波魔法少女? 「やっぱり、猫の蛇くんには頑張ってもらうしかないか」


母性巫女 「あの……」


波魔法少女? 「……ああ、うん」

波魔法少女? 「このことについては、時が来たら説明するよ」

波魔法少女? 「そう遠い日ではないだろうが、君が知るべきでないことかもしれない」


母性巫女 「?」

667 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/03/18(金) 03:35:59.34 ID:AwcJEpJLo


波魔法少女? 「さて、猫耳蛇娘の尻に火をつけてくるとしよう」

波魔法少女? 「そのつもりで来たのだからね」

波魔法少女? 「どうせ、あの部屋で飲んだくれているのだろう」


母性巫女 「はい」

母性巫女 「でも、夜も遅くなるから、ちゃんと休んでもらわないと」


波魔法少女? 「と、のんびり構えたかったんだけどね」

波魔法少女? 「大丈夫さ。魔女は夜の生き物だから」

波魔法少女? 「では、失礼」


スタスタスタ

ガチャ


母性巫女 「…………」


668 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/03/18(金) 03:50:59.35 ID:AwcJEpJLo


幼女魔王Nの部屋



カチ コチ カチ コチ


ガチャ

コツ コツ コツ


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「……スゥ、スゥ」


母性巫女 「…………」

母性巫女 (やっぱり寝ている。寝返りをうった様子もない……)

母性巫女 「……うぅ」


ガタガタ ブルブル


母性巫女 (駄目だわ。触れるどころか、Nの顔を見るのも恐ろしくなっている)

母性巫女 (日に日に、ひどくなっていくみたい)


幼女魔王N 「……スゥ、スゥ」


母性巫女 (ずっと眠り続けて、もうどれくらいなのかしら)

母性巫女 (何も食べないで、大丈夫なのかしら)


幼女魔王N 「……スゥ、スゥ」


母性巫女 (…………)



カチ コチ カチ



…………


669 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/18(金) 07:09:48.52 ID:gy+ERZ5RO
乙!
670 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sapo]:2016/03/18(金) 15:48:15.44 ID:snEnU6lr0
母性巫女「絶対に許さない」

この恐ろしく激怒している母性巫女はいつ見れるのか気になって夜も8時間しか眠れやしない
671 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/03/18(金) 18:35:25.26 ID:lx4YoaIyO
672 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/06(水) 12:41:05.21 ID:ZlPwbxi3O
そろそろこないかなー
673 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/04/06(水) 13:23:37.16 ID:NXx+Udwt0
引っ込んで炉
674 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/04/15(金) 20:10:09.75 ID:shdR3byTo


…………


幼女魔王Nの城
屋根裏の書斎跡地



波魔法少女? 「……ほう。幼女魔王Nに触ることができない」


母性巫女 「はい」


波魔法少女? 「日に日にひどくなっているんだね」


母性巫女 「ええ。はじめは何とか抱えることもできていたけれど」

母性巫女 「今では、あの子の部屋に入るだけでも体が震えて……」


波魔法少女? 「ふむ……」

波魔法少女? 「奴隷が逆らわないよう、主への畏怖の念をうえつける呪いがあるにはあるが」


母性巫女 「奴隷……」


波魔法少女? 「君は強制的にしもべにされたのだからね」

波魔法少女? 「儀式によってそういう呪いがかけられていてもおかしくはない、かもしれない」

波魔法少女? 「魔王によるしもべの儀式は結構謎な部分も多いから、何とも言えないけれど」



675 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/04/15(金) 20:25:05.01 ID:shdR3byTo


母性巫女 「……ここは、いったい」


波魔法少女? 「この世界の記憶」

波魔法少女? 「……が、かつて保管されていた場所だ」


母性巫女 「世界の記憶」


波魔法少女? 「彼女の前任者たち、魔王か勇者かが統治していたころのこの世界の記録が」

波魔法少女? 「詰まっていた」


母性巫女 「詰まっていた……かつて保管されていた」


波魔法少女? 「そう、今はもう無い。今ここにあるのは、トロルが作ったような不細工な本棚のみだ」

波魔法少女? 「やがて魔王となる幼い少女が訪れる頃には遺跡と化していた、時間から忘れ去られたようなこの小さな世界で、かつて何が起きたのか」

波魔法少女? 「ボクとしてはロマンを感じるけれどね」


母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「話がそれてしまったね」


676 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/04/15(金) 20:50:51.87 ID:shdR3byTo


波魔法少女? 「儀式による呪いのせいだとしたら」

波魔法少女? 「君はどうしたいのかな」


母性巫女 「え?」


波魔法少女? 「彼女に触れられるようになりたいとか」


母性巫女 「それは……」


波魔法少女? 「なったところで、君は以前のように彼女を抱き上げられないかもしれないんじゃないかな」

波魔法少女? 「君の命を弄んだ相手だよ」

波魔法少女? 「君が様々な人との関わりなどでこつこつと歩んできた人生を、勝手な都合で壊し」

波魔法少女? 「不完全とはいえ君を意志なき傀儡にしてしまった」

波魔法少女? 「幼女魔王Nの無知を鑑みても、これはなかなかエグみの強い所業だと思うけどね」


母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「儀式が関係していないとするなら」

波魔法少女? 「君は自分でも気づかないほど深いところで、彼女を拒絶しているとも考えられる」

波魔法少女? 「奇跡的に意志の復活した、何に対しても母性的な愛情をもって接する君の生き方が、それを自覚させてない、とか」


母性巫女 「私が……」


波魔法少女? 「きっと大切なことなのだろうね」

波魔法少女? 「君が彼女に対して抱く、本当の気持ちが何であるかを、君自身が見定めるのは」


677 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/15(金) 22:21:23.68 ID:HaY/qoOOo
やたー!
678 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/15(金) 22:55:37.70 ID:Yu5T2HucO
乙!
679 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/04/16(土) 00:28:01.66 ID:Cio5E3WV0
絶対に許さない!
680 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/16(土) 02:02:28.85 ID:OE0Ggtkbo
更新乙
681 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/16(土) 11:25:56.24 ID:G8o6gVSdo
母性巫女の心の成長にも必要な通過儀礼だね
682 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/16(土) 15:16:58.44 ID:t/CD7UxNO
甘やかすと思った時には既に行動は終わっている様になるのか…
683 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/04/16(土) 20:52:29.84 ID:iIP8XDRXo


…………



幼女魔王Nの部屋



幼女魔王N 「……スゥ、スゥ」

幼女魔王N 「……ムニャ」


モゾ


幼女魔王N 「うぅーん……うーん……」


モゾ モゾ

ムクリ


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……おしっこ」


684 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/04/16(土) 21:02:42.07 ID:iIP8XDRXo


ガチャ キイイ

テク テク テク



幼女魔王Nの城 廊下



幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (いっつもなら、何回か床の穴とか瓦礫につまずいて転ぶのに)

幼女魔王N (今日は何事もなく歩けてる)


テク テク テク テク


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (何かしら)

幼女魔王N (たしかに私のお城なのに、ものすごく違和感がある)

幼女魔王N (……ま、イイか)


テク テク テク


幼女魔王N (ええと、何だっけ。大事なことを忘れているような……)

幼女魔王N (そうだわ、ペニステの魔法チャージコードが壊れているんだったわ)

幼女魔王N (これで何回買い換えることになるのかしら。ちょっと脆すぎよね)

幼女魔王N (本体重いし……)


ヌッ


??? 「やあ」


幼女魔王N 「わひゃ!?」

幼女魔王N (曲がり角で誰かが出てきた!)


685 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/04/16(土) 22:24:59.98 ID:iIP8XDRXo


出てきたのは……? >>685


1.波魔法少女?
2.元波魔法少女
3.淫魔幼女にボロ負けして魔物出産マシーンにされていたあの人
4.幼女魔王Nをナイスボデーにするスイッチ
5.ラスボス

686 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/04/16(土) 22:25:47.30 ID:iIP8XDRXo

1
687 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/04/16(土) 22:26:28.24 ID:iIP8XDRXo
>>685 ミス

出てきたのは……? >>686


1.波魔法少女?
2.元波魔法少女
3.淫魔幼女にボロ負けして魔物出産マシーンにされていたあの人
4.幼女魔王Nをナイスボデーにするスイッチ
5.ラスボス

688 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/04/16(土) 22:36:44.53 ID:iIP8XDRXo


??? 「ごめんよ、驚かせてしまったかな」

波魔法少女? 「だが、曲がり角と十字路は気をつけて歩くべきだ」

波魔法少女? 「悪魔はそういうところに潜むというから」


幼女魔王N 「ひゃ……ふぺぺ……」

幼女魔王N (どうして!? このお城には私しかいないはずなのに)

幼女魔王N (……あれ、でもこの人、どこかで見たような……)


波魔法少女?「魔王である君に対して言うことでもない気もするのだけれどね」

波魔法少女? 「ピンクちゃん」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……!!」


波魔法少女? 「この場合は、悪魔じゃなく」

波魔法少女? 「勇者とか、魔王や魔物の天敵のようなものを挙げたら良かったかな」


幼女魔王N (色んなことを思い出した!)


689 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/04/16(土) 22:52:44.53 ID:iIP8XDRXo


波魔法少女? 「伸びてはいるが、髪が小綺麗になっているね」

波魔法少女? 「教会で暮らしていたころは、何というか、もっと地味だった」


幼女魔王N (私がお世話になった教会の地下で、ひどいことをしていた人!)

幼女魔王N 「び、びび……美触手!!」


ズズズズ


美触手 「…………」


幼女魔王N は しもべを呼んだ!
美触手 が 現れた!


波魔法少女? 「おお、この子だよ。懐かしいなあ」


美触手 「クュルルル」


ブオン スカッ


波魔法少女? は 死んでしまった!
美触手 の こうげき!
波魔法少女? は レベルが上がった!
波魔法少女? に 7900のダメージ!
波魔法少女? は 混乱した!
波魔法少女? は 7000点を獲得した!


波魔法少女? 「うん。当然ながら、嫌われているようだね」


幼女魔王N 「???」

幼女魔王N (美触手の攻撃がきいていないみたい)


690 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/17(日) 09:13:56.80 ID:N3lRN7q2o
>>685-687
ww
691 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/04/18(月) 00:56:03.69 ID:q4v+33/go


波魔法少女? 「その美しい触手の魔物」

波魔法少女? 「君の、触手を従える力は、むしろ彼女のもののようだけれど」

波魔法少女? 「じゃあ君は、どこでどうやって彼女をしもべにしたのだろう」


美触手 「…………」


幼女魔王N (どどどど、どうしよう……)

幼女魔王N 「わ、わばば……」


波魔法少女? 「だが、意外だね。人型の方のしもべを呼ばないとは……」


幼女魔王N (そ、そうだわ……)

幼女魔王N 「……それっ!」


ダダダダダ


幼女魔王N は逃げ出した!


692 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/04/18(月) 01:05:13.13 ID:q4v+33/go


ダダダダ


幼女魔王N 「ひい、ふう……」


波魔法少女? 「まあまあ、待ってくれたまえ」


幼女魔王N 「きゃあっ」

幼女魔王N (いつの間にか回り込まれてしまった!)


波魔法少女? 「ボクはもう君の敵じゃあ無いんだよ」

波魔法少女? 「そして、君はボクの恩人なんだ」


幼女魔王N 「あ、あわわ」

幼女魔王N (終わった。死ぬよりひどい目に合わされる。怖い……)


ヘナヘナヘナ

ペタン


幼女魔王N 「…………」


波魔法少女? 「君のおかげで、今のボクがあるのだよ」

波魔法少女? 「いろいろなものを失ったけれど」

波魔法少女? 「いろいろな、大切なものを失ったけれど」

波魔法少女? 「そのおかげで、ボクは概ね幸せでいられるのだよ」

波魔法少女? 「だから、そんなに怖がらないでおくれ」


幼女魔王N 「……う」

幼女魔王N 「うぇええ……」

幼女魔王N 「うえぇん……グスン……うええぇん……!」

幼女魔王N 「うえええええ゛え゛……!!」


波魔法少女? 「ああ、魔王が泣き出してしまった……」



693 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/04/18(月) 01:13:43.55 ID:q4v+33/go


グズ グズ

ビィ ビィ


幼女魔王N 「ふええええん」

幼女魔王N 「ぶえぇええん……!」


波魔法少女? 「ああ、どうしよう」

波魔法少女? 「ボクは……」

波魔法少女? 「……おや?」


フヨ フヨ フヨ


記録魔 「……何ですか! 朝っぱらから騒々しいです」

記録魔 「またあの、とくに野蛮な二人が何かをしているのですか!」


波魔法少女? 「やあ、苗床」


記録魔 「は?」


波魔法少女? 「いや、失礼」

波魔法少女? 「おはよう、記録魔。今日も不機嫌なようだね」


記録魔 「誰のせいだと……」

記録魔 「?」


幼女魔王N 「えーん、えーん」


記録魔 「その子供は……」


波魔法少女? 「統治者だよ」


694 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/04/18(月) 01:23:30.07 ID:q4v+33/go


記録魔 「なんてこと。この子供が……」


幼女魔王N 「うええええ……」


記録魔 「……まあっ、何とみすぼらしい」

記録魔 「髪も手入れしていないし、顔はヨダレと涙でぐちゃぐちゃ」

記録魔 「下等娼婦も着ないような気品の無い服だし……」

記録魔 「まさに、この世界とこの城を体現するような、惨めで小さな魔王ですね!」


波魔法少女? 「口も相変わらずのようだ」


記録魔 「魔貴族家のお嬢様の気品を、少しでも分けてもらうべきです」

記録魔 「責任感も無い。同盟の使者たる私を迎える義務も放り出して」

記録魔 「……ああ、本当に汚らしい、けがらわしい」


幼女魔王N 「ぶぅ、ふぅ……えっ、グスッ……うえぇえん……!」


記録魔 「ああ! 早く泣き止ませてください!」

記録魔 「耳が痛くなります!」


波魔法少女? 「悲しいことに、ボクにはできないんだ」


695 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/04/18(月) 01:27:55.33 ID:q4v+33/go


幼女魔王N 「えーん、えーん……」


記録魔 「ああ、何でよりにもよって、私はこんな世界に閉じ込められたんでしょう……」


幼女魔王N 「えーん、えーん……」


記録魔 「本当に、みすぼらしい。気持ち悪い」


幼女魔王N 「えーん……」


記録魔 「…………」


幼女魔王N 「ふえぇ……ふえぇ……」


記録魔 「…………」

記録魔 「…………」


キュン


696 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/04/18(月) 01:39:45.38 ID:q4v+33/go


幼女魔王N 「うえぇ……ふえぇ……」


記録魔 「こんな惨めな生き物」

記録魔 「初めて……」

記録魔 「どうしてかしら、私、何だか……」


波魔法少女? 「優しい気持ちに?」


記録魔 「……はぅあっ?」

記録魔 「ま、ままま、まさか!」

記録魔 「最高級の教育により最高級の感性を育んだ私が」

記録魔 「こんな薄汚れたみすぼらしい下級魔王を、そんなわけ……!」


母性巫女 「大丈夫ですか、魔王さま」


記録魔 「きゃあ!?」


母性巫女 「…………」


記録魔 「……な、なんだ、あなたですか」

記録魔 「いきなり私の後ろに現れるのはやめなさい!」



697 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/04/18(月) 01:40:33.90 ID:q4v+33/go


母性巫女 「大丈夫ですか、魔王さま」


ニコ ニコ

テク テク テク


記録魔 「ちょ、ちょっと、無視ですか!」


母性巫女 「魔王さま、大丈夫ですか?」


テク テク


記録魔 「ちょっと、ねえ……」

記録魔 「…………?」


幼女魔王N 「うええぇ……」


母性巫女 「よいしょ」


ダキ


幼女魔王N 「……グスン、エグッ」


母性巫女 「よしよし」


ナデ ナデ


幼女魔王N 「………ばぶぅ」


母性巫女 「よしよし」


ナデ ナデ ナデ ナデ


記録魔 「…………」


ナデ ナデ ナデ ナデ


698 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/04/18(月) 01:49:37.92 ID:wRtvzJ9v0
俺「ばぶぅ!ばぶぅ!…おっぱい!おっぱい!母性巫女の!おっぱい!プリーズ!げへへ」
699 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/04/18(月) 01:52:48.01 ID:q4v+33/go


記録魔 「……何ですか、いったい」


波魔法少女? 「母性巫女の様子がおかしい?」


記録魔 「ええ」

記録魔 「……ええ、いえ、そうですが」

記録魔 「それよりも、この二人は」


母性巫女 「……うふふ」


幼女魔王N 「……ばぶぅ」


波魔法少女? 「異様に見えるかい」


記録魔 「ええ……」


波魔法少女? 「仲の良い姉妹や親子には見えないかい?」


記録魔 「まさか! この気持ち悪いものが、そんなものには見えません」

記録魔 「血肉を通わせて心だけ入れ忘れた人形が、生き物の真似をしているような」

記録魔 「こんな、うすら寒くて気持ち悪くて……」

記録魔 「気持ち悪くて……」


波魔法少女? 「哀れなものが」


700 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/04/18(月) 02:03:35.30 ID:q4v+33/go


記録魔 「あ、ありえません!」

記録魔 「私がこのような卑しい者たちを、いちいち哀れむなど……」


波魔法少女? 「珍しいものではないだろうに」

波魔法少女? 「魔王と、儀式で縛られ傀儡となったそのしもべだよ」

波魔法少女? 「魔王である幼女魔王Nが、しもべである母性巫女に、自分を慰めるよう無意識に命令したんだ」


記録魔 「……そ、そう」

記録魔 「あはは! そうです、魔王とその傀儡」

記録魔 「フフンッ……こんなの、何も珍しくありません!」

記録魔 「…………」


波魔法少女? 「傀儡でないときの母性巫女を知ったあとだと」

波魔法少女? 「複雑な気持ちかな」


記録魔 「そんなわけ……!」

記録魔 「……傀儡で、なかった?」



701 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/04/18(月) 02:16:36.63 ID:q4v+33/go


幼女魔王N 「ばぶ……ばぶ……キャッキャッ」


母性巫女 「うふふ……」



波魔法少女? 「あの魔王は、とても弱くて惨めなのさ」


記録魔 「見て分かります」


波魔法少女? 「あまりに弱くて惨めなものだから」

波魔法少女? 「思い通りにしもべもつくれない」

波魔法少女? 「あんな惨めな生き物は初めて見た」


記録魔 「…………」


波魔法少女? 「ボクはかつて、魔族とか魔物なんて類はこの世の最底辺に位置する、滅ぶべきクズだと思っていた」

波魔法少女? 「もちろん憐れむ価値についてなど考えたこともない」

波魔法少女? 「ところが、彼女はボクの予想を遥かに超えてクズだった」

波魔法少女? 「唾棄すべきほどに生きる力に乏しく、本当に、忌々しいほどに」


記録魔 「…………ッ」


ゾク


702 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/04/18(月) 02:25:34.83 ID:q4v+33/go


波魔法少女? 「経験上、誰かに守られてやっと生きているような存在が大嫌いだったからね」

波魔法少女? 「当然、彼女のこともそんな風に見ていた」


幼女魔王N 「…………」


波魔法少女? 「……いつしか、その目も曇らされてしまった」

波魔法少女? 「どうしてあれほど命が薄いのか、惨めなのか」

波魔法少女? 「ありとあらゆる残念なものをかきあつめてできた、さらに残念なものに」

波魔法少女? 「ボクは神秘と奇跡を感じるようになったんだ」


記録魔 「うっとりと語っていますが」

記録魔 「とんでもない悪口になっていますね」


703 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/04/18(月) 02:36:12.60 ID:q4v+33/go


波魔法少女? 「はじめは小さなその戸惑いが」

波魔法少女? 「やがて今のボクの誕生に大きく関わるわけだが」

波魔法少女? 「……さて」

波魔法少女? 「この二人のこのような関係を、この二人は全く望んでいないと知ったら」

波魔法少女? 「高貴なる君は何を思うのだろう」


記録魔 「え……」


幼女魔王N 「……キャッ、キャッ」


母性巫女 「うふふ……」


記録魔 「…………」




…………


704 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/04/18(月) 02:44:20.15 ID:q4v+33/go


幼女魔王Nの部屋



ナデ ナデ


幼女魔王N 「キャッキャッ……ばぶぅ……」

幼女魔王N 「ばぶ…………」

幼女魔王N 「あん?」

幼女魔王N (あれ、私ったら何してるんだろう)

幼女魔王N (そうだわ! お城の廊下で敵と出くわして……)


母性巫女 「…………」


ナデ ナデ


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……ああ」

幼女魔王N 「そうか。私、まだ色々と忘れていたみたい」


母性巫女 「…………」


ニコ ニコ

ナデ ナデ


幼女魔王N 「ありがとう、もう良いわ、母性巫女」


母性巫女 「はい、魔王さま」


705 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/04/18(月) 02:59:57.45 ID:q4v+33/go


幼女魔王N (あーあ、寝ている間だけなのね。起きているときのことを忘れられるのは)

幼女魔王N (ずっと寝ていたいわ。起きているときなんて、ずっと嫌なことばっかり)

幼女魔王N (何やってもうまくいかないし、生きているだけで、嫌なことばっかり)

幼女魔王N 「はあ……」


波魔法少女? 「落ち着いてくれたかい」


ヌッ


幼女魔王N 「わひゃっ」


ビクッ


幼女魔王N 「……ああ、また現れた」


波魔法少女? 「また驚かせてしまったようだが」

波魔法少女? 「今度は攻撃も逃げもしないようで、助かるよ」


幼女魔王N 「ごめんなさい。私なんかを殺す手間をかけさせてしまって」


波魔法少女? 「さっきの今で、卑屈だね」


幼女魔王N 「難しい言葉は分からないわ」


波魔法少女? 「君の命を狙って来たんじゃないよ」


幼女魔王N 「そう」


波魔法少女? 「興味ないのかい」


幼女魔王N 「そんなことないわ」


波魔法少女? 「本当は?」


幼女魔王N 「どうでも良いわ」


波魔法少女? 「そうかい」


706 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/04/18(月) 03:03:54.36 ID:q4v+33/go


幼女魔王N 「眠いわ。起きていたって、何もすることが無いの」


波魔法少女? 「それは悲しいね」


幼女魔王N 「何をしたら良いか分からないの。何をしたいか分からないの」

幼女魔王N 「どうせ、頑張ったって何もできないもの」


波魔法少女? 「ますます悲しい」


幼女魔王N 「もうずっと寝ていたい。寝かせて」


波魔法少女? 「伝言を頼まれたんだ」

波魔法少女? 「母性巫女に」

波魔法少女? 「子守唄ではないけれど」


707 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/18(月) 06:47:46.63 ID:71W6Xd0JO
乙!
708 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/18(月) 10:22:47.39 ID:jFuir3DuO
ピンク頭パートに母性巫女の意識が介入するの久々だな
人伝だけど
709 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/18(月) 16:03:16.99 ID:uD2q5igOo
(そもそもピンク頭パート自体がとんでもなく昔)
710 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/04/18(月) 20:35:37.95 ID:q4v+33/go


幼女魔王N 「!?」

幼女魔王N 「え゛、母性巫女!?」


ガバ


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「……いつの」


波魔法少女? 「昨日の夜だね」


幼女魔王N 「………は」

幼女魔王N 「嘘ね。ひどい」

幼女魔王N 「だって昨日なら、母性巫女はとっくにしもべの儀式を受けた後だもの」


波魔法少女? 「昨日だよ」


幼女魔王N 「嘘ね」


波魔法少女? 「本当さ」

波魔法少女? 「お風呂でお菓子を食べたりしていないか」

波魔法少女? 「心配していたよ」


幼女魔王N 「……!!」

幼女魔王N 「どうして、そのことを……」


波魔法少女? 「少しは聞いてくれる気になったかな」


幼女魔王N 「…………」


711 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/04/18(月) 20:48:45.12 ID:q4v+33/go


波魔法少女? 「伝言といっても、正直、大したものじゃない。大事なのは」

波魔法少女? 「彼女が完全に傀儡になったわけでないことを、君が知ることだ」


幼女魔王N 「母性巫女……」


母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「今はこんな状態だけれどね」

波魔法少女? 「君が眠っているとき、彼女は自分の意志で行動していたんだよ」


幼女魔王N 「夜の間ってこと?」


波魔法少女? 「眠っている間だ」


幼女魔王N 「…………?」


波魔法少女? 「君は、何日も眠り続けていたんだ」


幼女魔王N 「……? ……?」


波魔法少女? 「ゆっくりと話をしよう」



712 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/19(火) 13:51:48.17 ID:ATThftoIO
乙!
713 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/04/21(木) 02:10:46.76 ID:qFH04tLao


…………


カチ コチ カチ コチ


幼女魔王N 「……ど」

幼女魔王N 「どゆこと?」


波魔法少女? 「ボクも断言できる部分は少ないんだけどね」

波魔法少女? 「とにかく、君が起きている間は母性巫女は傀儡となり」

波魔法少女? 「君が長く眠っている間は本来の意志を取り戻して自由に動くことができる」

波魔法少女? 「というのは間違いなさそうだ」


母性巫女 「…………」


幼女魔王N 「………で、でも」

幼女魔王N 「しもべの儀式をしたら、もう人形のままだって」

幼女魔王N 「もとには戻らないって……」


波魔法少女? 「しかし、実際に彼女は意志を持って動いていた」


幼女魔王N 「そ……っ」


波魔法少女? 「まあ、次もそうなるかは分からないが」


714 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/04/21(木) 02:17:33.79 ID:qFH04tLao


幼女魔王N (母性巫女が生きている……)


母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「彼女は儀式をうけるにあたり、一度死んでいるのだよね」


幼女魔王N 「……うん」


波魔法少女? 「君が殺したんだね」


幼女魔王N 「ち、違う。私じゃない」

幼女魔王N 「玉触手が……」


波魔法少女? 「しもべに命じて殺したんだね」


幼女魔王N 「……っ」

幼女魔王N 「し……仕方なかったんだもん」

幼女魔王N 「そうしないと、母性巫女……」


波魔法少女? 「責めているわけじゃない」

波魔法少女? 「ただの確認さ」


幼女魔王N 「…………」


波魔法少女? 「さて、彼女からの伝言だ」



715 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/04/21(木) 02:26:55.06 ID:qFH04tLao


幼女魔王N (そうよ、仕方なかったのよ)

幼女魔王N (母性巫女、あのままだと交尾して触手を産む以外考えられなくなるって、淫魔幼女が言ったもの)

幼女魔王N (だから、私のしもべにして助けたのよ)

幼女魔王N (私、悪くないもん……)


波魔法少女? 「さて、何から伝えようかな……」


幼女魔王N 「………ゴクッ」

幼女魔王N (母性巫女……)


母性巫女 「…………」


幼女魔王N (どう思うのかしら。目が覚めたら、いきなり知らない世界で)

幼女魔王N (……う、ううん、私は悪くないわ。むしろ、感謝されるべきだもん)

幼女魔王N (……でも、もしも)

幼女魔王N 「…………」


ポワ ポワ ポワ ポワ


716 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/04/21(木) 02:39:40.81 ID:qFH04tLao


ポワ ポワ ポワ



幼女魔王Nの城(妄想)




母性巫女 『わあい、元に戻りました』


幼女魔王N 『わあい。母性巫女ー、母性巫女ー!』


母性巫女 『N』


幼女魔王N 『なあに、母性巫女!』


母性巫女 『絶対許さない』


幼女魔王N 『!?』


母性巫女 『魔王のくせに私を殺して無理やりしもべにしたので』

母性巫女 『これからは毎朝、Nの歯と爪を全部引っこ抜きます』

母性巫女 『それからご飯は全部卵スライムにしましょう』

母性巫女 『Nのお風呂のお湯は全部熱い油にして、入る前には必ずNの皮膚を全部剥ぎます』


幼女魔王N 『ひええ〜……』


母性巫女 『Nが三千億万回、ごめんなさいって言ったら』

母性巫女 『Nの手足を引っこ抜いて森リッチの巣に放り込んで、私は故郷の世界に帰ります』


幼女魔王N 『うえーん、うえーん!』

幼女魔王N 『ごめんなさい、母性巫女〜!』


母性巫女 『絶対許さない』

母性巫女 『さあ、もうすぐお風呂の時間ですよ』


ガシ ベリベリベリ


幼女魔王N 『うえ゛え゛え゛ん!!』

幼女魔王N 『いだいよぉ! 許して母性巫女、母性巫゛女゛ぉ゛! うえ゛え゛げぇ゛……!!』

 

ポワ ポワ ポワ ポワ


717 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/04/21(木) 02:44:40.85 ID:qFH04tLao


ポワ ポワ ポワ


幼女魔王N 「…………」


波魔法少女? 「まあ、特別なものではないよ」

波魔法少女? 「らしいというか、のんきなくせに心配性だね、彼女は」


幼女魔王N 「…………」


波魔法少女? 「ええと、まずは……」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「………わああああああ!!」


ダッッ


波魔法少女? 「あっ」

波魔法少女? 「ちょっと、待っ……」


幼女魔王N 「わーー! わーー!」



幼女魔王N は逃げ出した!



718 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/21(木) 14:46:20.06 ID:jkA77LC2O
ピンク頭の脳内が久しぶりにピンクじゃなかったけどダメだこりゃ
719 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/21(木) 16:32:37.66 ID:tSXmwT/7o
更新乙
720 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/04/21(木) 19:31:59.20 ID:qFH04tLao



幼女魔王Nの城 廊下



ダ ダ ダ ダ ダ


幼女魔王N (聞きたくない、ぜったい聞きたくない!)

幼女魔王N (ぜったい母性巫女、ぜったい怒ってるもん)

幼女魔王N (今度こそぜったい私のこと嫌いになるもん!)


ダ ダ ダ ダ

ニョコ


波魔法少女? 「逃げ出すことないだろうに」


幼女魔王N 「ひゃっ」


波魔法少女? 「ええと……」

波魔法少女? 「お風呂に入る前には……」


幼女魔王N 「わーー! わーー!」


バヒュン

ダダダダダダ


波魔法少女? 「加速した」

波魔法少女? 「やれやれ……」


721 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/04/21(木) 19:42:10.52 ID:qFH04tLao


幼女魔王の城 食堂



箒少女 「くあぁ、よく寝た……」

箒少女 「あれ、今日は朝ごはんが用意されていないぞ」

箒少女 「母性巫女の姐さんも寝坊することあるんかね」

箒少女 「……って、猫耳もどきと波もいないじゃないか」


ダダダダダ


箒少女 「ん? 何だ、このドタバタした無駄の多い足音は」


バタム


幼女魔王N 「ゼエ、ハア、ゼエ、ハア……」


箒少女 「……おー!」

箒少女 「あの日のピンク。起きてきたのかあ」


幼女魔王N 「………あ、ぅあ」

幼女魔王N (たしか、配達の人。どうしてここにいるのかしら)


箒少女 「何だよお前〜、奴隷かと思ったらここの魔王だったのかよー」

箒少女 「すっかり騙されてたぜ」

箒少女 「ガム食う?」


板ガム ピンクスライム味


幼女魔王N 「……!!」


722 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/04/21(木) 19:49:32.41 ID:qFH04tLao


幼女魔王N 「……ぁ、その……えっと……」


箒少女 「何だよ、遠慮してんの?」

箒少女 「相変わらずモジモジしてんなあ」


波魔法少女? 「箒少女」


幼女魔王N 「!」


箒少女 「あ、波。いきなり出てくるなよ」

箒少女 「なあ、今日の朝ごはんさ……」


波魔法少女? 「その子をおさえて」

波魔法少女? 「話をしたいが、すぐ逃げ出そうとする」


箒少女 「え?」


幼女魔王N 「……っ!」

幼女魔王N 「どいて!」


タタタ……


箒少女 「あ、おい」

箒少女 「うりゃっ」


箒少女 の 転ばし!


幼女魔王N 「ふに゛ゃっ!!」


ズデン ペロン


幼女魔王N は転んでしまった!


723 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/04/21(木) 20:02:07.28 ID:qFH04tLao


幼女魔王N 「……う、ぐぐぐ……ふえぇ」


ポロ ポロ


箒少女 「お、おいおい、ちょっと転ばしただけだよ」

箒少女 「泣くなよぉ、魔王だろ……」

箒少女 「パンツ丸見えだし」


波魔法少女? 「何はともあれ、これで少しは落ち着いたかな」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「…………」


ズズズズ


美触手 「…………」


箒少女 「うわっ!? 何か出てきた!」


波魔法少女? 「敵じゃない。が、近づかない方が良い」


幼女魔王N (こうなったら、別の世界に逃げる)


美触手 「…………」


ヒュパ ヒュパ ヒュパ

ガシャン


箒少女 「空間がガラスみたいに割れたぞ」


波魔法少女? 「別の世界に渡って逃げる気か」


箒少女 「えっ。おい、そりゃ止めないと」

箒少女 「確か、猫の奴が……」


幼女魔王N 「ふはははははは!」

幼女魔王N 「さらばに゛ょ!」

幼女魔王N (また噛んだ……)

幼女魔王N 「……とうっ」


バッ

バリバリバリバリ

バシュン


幼女魔王N 「ぎゃっ!?」

幼女魔王N (美触手が作ってくれた空間の裂け目に飛び込んだら)

幼女魔王N (弾かれた……)


724 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/04/21(木) 20:09:49.26 ID:qFH04tLao


幼女魔王N 「うえええ……」


箒少女 「すごいな、こいつ」

箒少女 「やることなすこと、全部あわれで見てられねえよ……」


波魔法少女? 「どうして逃げだしたんだい、ピンクちゃん」


幼女魔王N 「……ヒック、グスッ、うええぇ」


箒少女 「あー、こりゃ駄目だ」

箒少女 「小っちゃな子供は、こうなったらもう何も聞きゃしない」

箒少女 「母親に押し付けて、あやさせるっきゃないよ」

箒少女 「オレの親戚のとこの子供もそうだったもん」


波魔法少女? 「その母親がね……」


ネコネコネコネコ

バタム


猫耳蛇娘 「にゃああ゛あ゛!!」

猫耳蛇娘 「誰じゃい、世界を渡ろうとしおったアホは!」


波魔法少女? 「猫耳くん」


箒少女 「うるせえのが来ちゃったよ」


725 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/04/21(木) 20:29:39.11 ID:qFH04tLao


猫耳蛇娘 「結界を書き換えるためのデリケートな作業にかかるから」

猫耳蛇娘 「ワシが良いと言うまで絶対に他の世界へ渡ろうとするなと言っとったのに」

猫耳蛇娘 「昨日言ったのに!」

猫耳蛇娘 「どういうこっちゃ! おかげでやり直しじゃあ!」


箒少女 「まあ怒んなよ。脳みその皺が弾け飛ぶぜ」

箒少女 「ガム食う?」


猫耳蛇娘 「いるかい! 終わるまで飲まず食わずじゃ!」

猫耳蛇娘 「……って」


幼女魔王N 「……グス、ヒック」

幼女魔王N (……誰だったっけ。たしか、猫舌蛇頭……?)


猫耳蛇娘 「何じゃ、起きてきたんかいピンク」


波魔法少女? 「つい今朝のことだ」


箒少女 「今はちょっと取り乱し中でさ、話が出来ないみたいなんだよ」


猫耳蛇娘 「はあん?」

猫耳蛇娘 「何じゃー……情けないのう、おぬしら」

猫耳蛇娘 「二人がかりで、子供一匹あやせんのかのー」


箒少女 「うわ、むかつく。これ見よがしに偉そうになったよ」


波魔法少女? 「君ならできるのかい?」


猫耳蛇娘 「まあのー」

猫耳蛇娘 「何たって、ワシとこやつは篤い信頼によって結ばれとる狩り友じゃからのー」

猫耳蛇娘 「のう、Nー?」


ポム


幼女魔王N (頭に手を置かれた……)

幼女魔王N 「……て、そうだわ。思い出した」

幼女魔王N 「私(のしもべ触手)に負けた人」


猫耳蛇娘 「えっ!?」



726 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/04/21(木) 21:07:45.76 ID:qFH04tLao


幼女魔王N 「魔王である私に勝負をしかけてきて」

幼女魔王N 「ボコボコのニュルニュルにされた人」


猫耳蛇娘 「い、いや、それはおぬしじゃのーて、あの母性巫女とデカい触手に……」


箒少女 「ふっひひひっ!」

箒少女 「何だよお前、このピンクに負けたの? ボコボコにされて?」

箒少女 「オレでも余裕で勝てたのに」


猫耳蛇娘 「や、やかましいわ!」

猫耳蛇娘 「……あ、あれー、おぼえとらんかのー?」

猫耳蛇娘 「ほら、ワシとペニステやって、財産を分かち合い、お金十割風呂に入ったじゃろー?」


幼女魔王N 「おぼえとらん」


猫耳蛇娘 「ばっさりかい」

猫耳蛇娘 「ふざけんなよ、おぬし! あんなに一緒に遊んだのに!」


幼女魔王N 「ひっ……」


箒少女 「おいおい、今さら見苦しいぜ猫耳さんよぉ」


波魔法少女? 「ともあれ、もう逃げ出さないかな」


727 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/04/21(木) 21:19:39.50 ID:qFH04tLao


…………



魔動画 『ザザー……ガッ……ブツンッ』

魔動画 『ザザ……ザザ……ブツン』

魔動画 『…………』


波魔法少女? 「……えーと、次は」

波魔法少女? 「歯を磨くときは、くすぐったくてもちゃんとベロまで磨くように」


幼女魔王N (母性巫女からの伝言)


波魔法少女? 「お菓子は綺麗に食べるように」

波魔法少女? 「おねしょをしても泣かないように」

波魔法少女? 「スカートのときに人前で足をひろげて座る癖をなおすように」


幼女魔王N (怖いことは何も無いけど……)


箒少女 「何か、普通だなー」

箒少女 「もっと無いのかよ。泣ける感じのとか、衝撃の告白とかさ」


猫耳蛇娘 「肩透かしっちゅうか、期待はずれじゃよな」

猫耳蛇娘 「普通すぎてつまらん魔乳じゃよ」

猫耳蛇娘 「ああいうのが恋人に浮気されるんじゃ」


幼女魔王N 「…………」



728 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/21(木) 23:05:07.20 ID:EF0qXPWxo
いやいや、もっと言うことあるじゃろ
729 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/04/22(金) 02:34:26.13 ID:JPTEl+PW0
イタリア人「ガム食うかい?」
730 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/04/23(土) 04:04:55.36 ID:k4ToLE7yo


波魔法少女? 「……下着は毎日かえるように」

波魔法少女? 「魔動画で漫画を見るのもそこそこに、たまには外で遊ぶように」

波魔法少女? 「お風呂上がりは耳の中も拭いて、ちゃんと髪を乾かすように」

波魔法少女? 「それから……」


猫耳蛇娘 「まだ続くんかい」


幼女魔王N 「最初の方、忘れた」


箒少女 「というか、まとまりもへったくれも無いよ」


波魔法少女? 「そうする時間がなかったんだ」

波魔法少女? 「家事を終えて一息ついている彼女に」

波魔法少女? 「ご主人様に伝えることをまとめておいた方が良いよ、というような話をしていた矢先さ」

波魔法少女? 「魔力が瞬いたと思ったら、ハチミツがゆっくりと瓶に溜まっていくように、彼女はトロトロと眠りについた」


猫耳蛇娘 「そして、こやつが目覚めたっちゅうわけかい」


幼女魔王N 「え……」


波魔法少女? 「だいぶ時間差はあったけどね」

波魔法少女? 「単純に、ピンクちゃんが眠っているときには絶対に母性巫女くんが目覚めている……というわけではないようだ」


731 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/04/23(土) 04:44:22.05 ID:k4ToLE7yo


猫耳蛇娘 「しかし、しもべの儀式による縛りはしっかりしとるじゃろ?」


波魔法少女? 「それは間違いないようだ」

波魔法少女? 「明らかに母性巫女の方が魔力・精神力・体力その他もろもろで勝っているが」

波魔法少女? 「主導権はピンクちゃん……失礼、主人である幼女魔王Nが握っている」

波魔法少女? 「そうだろう?」


幼女魔王N 「……んえ?」

幼女魔王N (しまった、ボーッとしていたわ)


波魔法少女? 「母性巫女くんは、君の言うことに忠実なのだよね」


幼女魔王N 「う……うん」

幼女魔王N 「で、でも、違うの。知らなかったの」

幼女魔王N 「ちゃんと元通りの母性巫女になると思って……」


波魔法少女? 「ああ、そうだろうとも」

波魔法少女? 「……しもべの儀式は一応成功したんだろう」

波魔法少女? 「ボクが実際に儀式に立ち会っていないという、最も大きな問題に目を閉じて考えるならだが」


猫耳蛇娘 「そこなんじゃよな」

猫耳蛇娘 「行われたのが傀儡にする類のしもべの儀式だと考えたら」

猫耳蛇娘 「しもべに自我が戻るなんてことは絶対にありえんことじゃが」

猫耳蛇娘 「万が一、この世界に伝わるしもべの儀式が、ものっそい珍しいものじゃったとしたら……」


幼女魔王N (……難しい話をしているわ。きっと私は知らなくても良い話ね)

幼女魔王N (でも今みたいに急に話しかけられるかもしれないから、注意しておこう)


波魔法少女? 「大世界接近の影響か、母性巫女の体質か、偶然か……」

波魔法少女? 「さて、いったい何が作用しているのやら」


幼女魔王N (…………なんだか、お腹へったな。お菓子食べたい)


732 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/23(土) 17:53:34.26 ID:QCUuY9g8O
乙!
733 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/05/04(水) 03:50:14.52 ID:lLDW9pvAo


波魔法少女N 「しかし、困ったね」

波魔法少女N 「幼女魔王Nが目覚めのは喜ばしいことだが」

波魔法少女N 「いま母性巫女を失った痛手は大きい」


猫耳蛇娘 「あやつ一人で家事も城の運営も戦闘もまわしとったからな」

猫耳蛇娘 「ワシの結界もまだ不完全じゃし」


箒少女 「姐さんのご飯も食べられないのかあ」


波魔法少女? 「ピンクちゃん」


幼女魔王N 「……私のことね?」


波魔法少女? 「母性巫女くんをしもべにむかえるまで」

波魔法少女? 「魔王である君が、一人でこの世界を統治していたんだね」


幼女魔王N 「え、ええ」

幼女魔王N 「……フフン。大変だったわ。魔王とはいえ、一人で世界を統治するのは」


猫耳蛇娘 「ワシ、こやつの知り合いと知り合いなんじゃが」

猫耳蛇娘 「ひどいもんじゃったらしいよ」


箒少女 「たしかに、この城の荒れ様が物語ってたな」


幼女魔王N 「…………」


734 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/05/04(水) 04:21:29.86 ID:lLDW9pvAo


波魔法少女? 「未知の大世界接近によって、この世界が属する界域は不安定な状態にある」

波魔法少女? 「備えなければならない」

波魔法少女? 「外の脅威に対しては……」


猫耳蛇娘 「ワシが絶賛稼働中じゃ」

猫耳蛇娘 「結界が完成すれば、大魔王級の軍団でさえうかつに攻めては来れんくなるわい」


幼女魔王N 「ふうん」

幼女魔王N (やるわね。私に負けたくせに)


猫耳蛇娘 「なんかおぬし、やっぱワシのこと軽んじてね?」


波魔法少女? 「ここは信頼して良いだろう。ボクが知る中で、彼女は最高の結界術師だ」

波魔法少女? 「さぼりたがりであっても」


猫耳蛇娘 「にゃおうっ……」


波魔法少女? 「……そして、内側。この城だ」

波魔法少女? 「一部の設備が整っているとはいえ、まだまだ城としては機能していない」


幼女魔王N (淫魔幼女も言っていたわね)

幼女魔王N (あの人、何しているのかしら……)

幼女魔王N (……嫌だわ。もう思い出したくもない)


735 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/05/04(水) 05:03:14.43 ID:lLDW9pvAo


波魔法少女? 「幸い、玉座はかなり良いものだ」


幼女魔王N 「頑張ってつくったもの」

幼女魔王N 「お城で一番大事なところだから」

幼女魔王N (って、誰か言ってた)


波魔法少女? 「うん。あれならかなりのレベルまで城を発展させることができるだろう」

波魔法少女? 「とりあえずは、マイナスに等しい状態をどうにかしなくては、だけれど」


幼女魔王N 「で、でも……」

幼女魔王N 「やりかた、分からない………」


波魔法少女? 「だろうね」

波魔法少女? 「できる限りボクがサポートするつもりだ」


幼女魔王N 「う、うん……」

幼女魔王N 「……どうして?」


波魔法少女? 「どういうことかな」


幼女魔王N 「だって、あなた……」


波魔法少女? 「敵かい?」


幼女魔王N 「う、うん。だって……」


波魔法少女? 「敵だったものが味方になるなんて」

波魔法少女? 「よくあることさ」

波魔法少女? 「大丈夫だよ。ボクは誰にも傷つけられないが、誰かを傷つけることもできない」


幼女魔王N 「…………?」


猫耳蛇娘 「…………」


波魔法少女? 「ピンクちゃん、君は恩人なんだ。君のおかげで今のボクがある」

波魔法少女? 「だからその恩を返そうとしているだけさ」


幼女魔王N 「………そうね」

幼女魔王N 「どっちでも良いわ」


736 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/05/04(水) 05:15:50.69 ID:lLDW9pvAo


幼女魔王N 「そうよ、私、どっちでも良いもん」


ドヨ ドヨ


波魔法少女? 「ピンクちゃん?」


箒少女 「なんか、急に雰囲気が変わったぞ」

箒少女 「ドヨンとしたっていうか……」


猫耳蛇娘 「これがあるんじゃよ、この娘は」

猫耳蛇娘 「躁鬱自在といったところか」


幼女魔王N 「発展させたって楽しいことなんてないもん」

幼女魔王N 「いいえ、今さら頑張ったって遅いもん」

幼女魔王N 「お城なんてどうなったって良いわ」

幼女魔王N 「いいえ、いっそ私と一緒に潰れちゃえば良いのよ」


箒少女 「おいおい」


波魔法少女? 「…………」

波魔法少女? 「母性巫女が完全に自我を取り戻したとき」

波魔法少女? 「そんなことじゃ、がっかりするかもしれないよ」


幼女魔王N 「……!!」


737 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/05/04(水) 05:43:57.28 ID:lLDW9pvAo


幼女魔王N 「母性巫女……?」


パアアアアアアアアアアアア


箒少女 「あ、雰囲気が桃色になった。くどいくらいに」


猫耳蛇娘 「おピンク幼女モードじゃな」


波魔法少女? 「伝言からも分かるように、彼女は君のことを心配しているんだ」

波魔法少女? (かといって、殺害と傀儡化の件で好意に振り切れているわけじゃないことは伏せておくが)

波魔法少女? 「ちょっとだけ、頑張ってみないかい?」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……しょ、証拠!」


波魔法少女? 「うん?」


幼女魔王N 「母性巫女、ちゃんと本物の母性巫女が残っている証拠……!」


猫耳蛇娘 「疑り深いのう」


箒少女 「オレ、この城で母性巫女の姐さんの料理を食べたよ」

箒少女 「何だっけ、ほら、森野菜に何とかソースを何とかしたキノコステーキの何とか」


幼女魔王N 「……!」

幼女魔王N 「たしかに、あれはおいしい……」


猫耳蛇娘 「ワシはイタズラで、あやつのスカートめくってパンツおろそうとして」

猫耳蛇娘 「スカートめくったらパンツはいとらんで」

猫耳蛇娘 「んで、おしおきで尻叩きされた」

猫耳蛇娘 「ぜんぜん痛くなかった」


幼女魔王N 「!!」

幼女魔王N 「たしかに母性巫女はパンツをはいていないときがある」

幼女魔王N 「おしおきのお尻叩きも痛くない。チョップの方が強い」

幼女魔王N 「……信ぴょう性が高い!」


738 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/05/04(水) 05:54:11.81 ID:lLDW9pvAo


箒少女 「お前そんなことしてたのかよ……」


猫耳蛇娘 「何じゃい、箒娘」


波魔法少女? 「信じてもらえたかい?」


幼女魔王N 「う、うん……!」

幼女魔王N (母性巫女、消えてない。まだちゃんと残ってるんだ)

幼女魔王N (母性巫女、母性巫女……!)


波魔法少女? 「正直に言って、彼女を元に戻す方法は分からない」

波魔法少女? 「けれど、彼女の心はちゃんと残っている」

波魔法少女? 「君の前に、傀儡ではない彼女が戻ってくる可能性はゼロじゃない」

波魔法少女? 「だったら、今のうちに頑張って母性巫女をびっくりさせてみないかい?」


幼女魔王N 「う、うん! うん!」

幼女魔王N 「私、頑張る! 頑張って良い子になる!」

幼女魔王N 「お城を発展させて、母性巫女にぎゅってしてもらう!」


波魔法少女? 「その意気だ」


幼女魔王N 「ナデナデも! ナデナデもしてもらう!」


波魔法少女? 「そうとも、してもらうと良い」

波魔法少女? (彼女にその気があればだけれど)


739 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/05/04(水) 06:10:16.65 ID:lLDW9pvAo


…………


幼女魔王Nの城 厨房



グツグツグツ コトコト


幼女魔王N 「……ええと、鍋の蓋をしてどのくらい待つんだっけ」

幼女魔王N (なんだか、料理の腕が全体的になまっているみたい)

幼女魔王N (いろいろ忘れているし、味覚も変な感じ)


??? 「……お」

記録魔 「お皿」


幼女魔王N 「ひゃいっ!?」


ビクッ ピョイーン


記録魔 「きゃっ」

記録魔 「失礼な。急に変な声を出して飛び上がって!」


幼女魔王N 「あ、あ……」

幼女魔王N (……知らない人だ。でも何だか見覚えがある)


記録魔 「お皿はまだですか」


幼女魔王N 「おさ……?」


記録魔 「この私が、お皿を食卓まで運んでさしあげようと言っているのです!」


幼女魔王N 「……え、あっ……」

幼女魔王N 「まだ………」

幼女魔王N (なんだか、偉そうな人。きっと偉いんだわ。どうしてここにいるんだろう)


記録魔 「まだ!? 何時だと思っているのですか!」


幼女魔王N 「ひっ!?」


記録魔 「まったく、これだから……」

記録魔 「……ん?」


幼女魔王N 「…………」


ガタガタ ブルブル


記録魔 「……コホン」

記録魔 「べ、別に、起こっているわけではありません」

記録魔 「怖がることはありません」


幼女魔王N 「は、はい……」

幼女魔王N (刺々しいけど、何だか優しそう……)


740 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/05/04(水) 06:13:57.29 ID:lLDW9pvAo
>>739 訂正ごめんなさい


…………


幼女魔王Nの城 厨房



グツグツグツ コトコト


幼女魔王N 「……ええと、鍋の蓋をしてどのくらい待つんだっけ」

幼女魔王N (なんだか、料理の腕が全体的になまっているみたい)

幼女魔王N (いろいろ忘れているし、味覚も変な感じ)


??? 「……お」

記録魔 「お皿」


幼女魔王N 「ひゃいっ!?」


ビクッ ピョイーン


記録魔 「きゃっ」

記録魔 「失礼な。急に変な声を出して飛び上がって!」


幼女魔王N 「あ、あ……」

幼女魔王N (……知らない人だ。でも何だか見覚えがある)


記録魔 「お皿はまだですか」


幼女魔王N 「おさ……?」


記録魔 「この私が、お皿を食卓まで運んでさしあげようと言っているのです!」


幼女魔王N 「……え、あっ……」

幼女魔王N 「まだ………」

幼女魔王N (なんだか、偉そうな人。きっと偉いんだわ。どうしてここにいるんだろう)


記録魔 「まだ!? 何時だと思っているのですか!」


幼女魔王N 「ひっ!?」


記録魔 「まったく、これだから……」

記録魔 「……ん?」


幼女魔王N 「…………」


ガタガタ ブルブル


記録魔 「……コホン」

記録魔 「べ、別に、怒っているわけではありません」

記録魔 「怖がることはありません」


幼女魔王N 「は、はい……」

幼女魔王N (刺々しいけど、何だか優しそう……)
741 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/05/04(水) 06:23:32.99 ID:lLDW9pvAo


グツグツ コトコト

カチャカチャ


記録魔 「……まったく、本当にまったく」

記録魔 「今の今まで工房を使わなかったなんて、統治者として……ブツブツブツ」


幼女魔王N 「ご、ごめんなさい……」


シュン


記録魔 「………っ」


キュン


記録魔 「べ、別に怒っているわけではありません!」

記録魔 「ま、まったく、これだから下等な……」


幼女魔王N 「うぅ……」


記録魔 「……コホンッ」

記録魔 「いえ、ですから……」


グツグツ


記録魔 「……そ」

記録魔 「そう! どうして料理などしているのですか!」

記録魔 「魔王のくせに! あの下等な人たちのために!」


幼女魔王N 「だ、だって、お客さんだから……」


記録魔 「もっと統治者としての自覚を、誇りを……!」


幼女魔王N 「ご、ごめんなさ……」


記録魔 「……っ」


キュン


記録魔 「コホンッ。で、ですから、怒っているわけでは……ゴニョゴニ」



742 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/04(水) 07:36:25.70 ID:56aL0XMrO
乙!
743 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/04(水) 10:12:20.65 ID:zwMRKBTxo
更新乙
744 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/04(水) 12:27:46.00 ID:/XsKdMCw0
ツンデレ乙
745 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/04(水) 18:51:42.03 ID:GWghrrFf0
波魔法少女N、これはとてと大きい伏線やと思うよ
746 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/05/04(水) 20:14:10.23 ID:lLDW9pvAo
>>733
名前表記訂正

波魔法少女N→波魔法少女?


ごめんなさいごめんなさい……























747 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/05/04(水) 20:16:21.67 ID:lLDW9pvAo


記録魔 「コホンッ……」

記録魔 「どうですか、そろそろできそうですか」


幼女魔王N 「うん」

幼女魔王N 「た、たぶん……」


記録魔 「たぶん!? そんなあいまいな……!」


幼女魔王N 「ひっ…………」


記録魔 「い、いえ……そうですか。しかたありませんね」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (怒ったり優しくなったり、忙しい人……)


シュウシュウ カチ カチ

グツグツ


記録魔 「……ま、まったく。私は本来、このような場所に立つような者ではありません」

記録魔 「第三大世界同盟のエリート……そう、辺境世界のいち魔王にすぎないあなたより、ずっと立場が上なのです、私は」


幼女魔王N 「はい……」

幼女魔王N (やっぱり、どうやら偉い人らしい。よく分からないけれど)


記録魔 「わ、わかっていれば良いのです」


748 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/04(水) 20:45:13.70 ID:EtNYrTrCo
意外と相性がいい
749 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/05/04(水) 20:53:34.29 ID:lLDW9pvAo


幼女魔王N 「…………」


記録魔 「…………」


幼女魔王N (でも本当、どうして、この人ここにいるんだろう)

幼女魔王N (母性巫女の伝言には一切その存在を触れられていなかったけれど)


記録魔 「……どうなのですか」


幼女魔王N 「何が?」


記録魔 「は?」


幼女魔王N 「あ、ああっ……えーっと、んーっと、うん……」

幼女魔王N 「……例の件ね」

幼女魔王N 「ふふ……彼もよくやってくれているわ。私の……」


記録魔 「城は発展させられそうですかと聞いているの!」


幼女魔王N 「ひゃっ」

幼女魔王N (本当、ころころ変わってせわしない人ね)

幼女魔王N (私は一貫してクールビューティーだというのに)

幼女魔王N 「さ、さあ……」


記録魔 「さあ!?」

記録魔 「さあですって!?」


ズオォ


幼女魔王N 「ひぃっ」


750 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/05/04(水) 21:01:28.16 ID:lLDW9pvAo


記録魔 「自分の城のことですよ!」

記録魔 「それを、さあって!」

記録魔 「あなた、魔王としての自覚は本当にあるの!?」


幼女魔王N 「うっ……ぅふ゛ええぇ……」


グスン


記録魔 「……っ」

記録魔 「や、やめなさい。怒ったわけでは……」


幼女魔王N 「うそ……怖かった……」


記録魔 「ほ……本当です。私は高貴なる選ばれしエリート」

記録魔 「些細なことで怒ったりしません」


幼女魔王N 「……グスッ」


記録魔 「…………」

記録魔 「か、仮にも魔王がいつまでも泣かないでください!」

記録魔 「……調子が狂うわね、本当……」


751 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/05/04(水) 21:36:08.14 ID:lLDW9pvAo


グツグツ シュラシュラ


記録魔 「……よ、良いにおいですね」

記録魔 「今日の朝ごはんは何ですか」


幼女魔王N (そういえば、この人の分は用意していなかったわ)

幼女魔王N (泣いて頭がすっきりしているし、うまくごまかしましょう)

幼女魔王N 「い、いえ、げへへ、同盟のお偉いさんに食べさせられるようなものは、作ってないでゲスよ」


記録魔 「卑屈というか、下衆にならないで」

記録魔 「……ふふん! たしかに、私は四ツ星以上の料理に慣れ親しんでおりますが」

記録魔 「この舌で、同盟に属する弱小世界の食の発展に貢献してさしあげようという気概もあります」

記録魔 「もちろん、同盟全体のさらなる向上のためであり」

記録魔 「あなたを哀れんだとか、心を開いたとか、心をゆるしたとか、そういうことではありません」


幼女魔王N 「は、はあ……」

幼女魔王N (つまり食べたいのね。まあ、一人分くらい、やりくりすればどうにかなるでしょうけど)

幼女魔王N (こんなに必死に朝ごはんに執着するなんて)

幼女魔王N (さては食いしんぼさんね)


752 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/04(水) 21:44:23.99 ID:kS/J4QrGO
Nの料理の腕が落ちたのって母性巫女に甘えてたせいなのか母性巫女と比較するようになったからなのか
それとも何度も死んだ分のペナルティーなのか
753 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/04(水) 22:03:52.65 ID:GWghrrFf0
料理上手い描写あったっけ?
754 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/04(水) 22:16:25.32 ID:sd4Wm078o
>>752 >>28
755 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/05/04(水) 22:27:03.78 ID:lLDW9pvAo


ニョコ


波魔法少女? 「やあ、調子はどうだい」


波魔法少女? があらわれた!


記録魔 「!」


幼女魔王N 「きゃっ」

幼女魔王N (床から生えてきた。この人、何なのかしら)

幼女魔王N (……ゴースト?)


波魔法少女? 「おや、この場所では珍しい顔がいる」

波魔法少女? 「ごめんよ、二人とも驚かせてしまったようだね」


幼女魔王N 「……N」


波魔法少女? 「波のNかい? ああ、たしかにそうだね」


記録魔 「な、何しに来たんです!」


波魔法少女? 「朝ごはんができる頃かと思ってね」

波魔法少女? 「君の方こそ、こんなところで何を?」

波魔法少女? 「これまで、下等で野蛮で汚らわしいと言って近づかなかったのに」

波魔法少女? 「何か心境の変化でもあったかな?」


記録魔 「それは……」


幼女魔王N 「…………」


記録魔 「……べ、べつに!」

記録魔 「ごみ捨て場と間違って来ただけです! 部屋のゴミがたまっていましたので!」


幼女魔王N 「え?」


記録魔 「まったく、回収にくらい来なさい」

記録魔 「この私が自らゴミ出しをするなんて。私はエリートなのですよ!」


幼女魔王N 「え……」


記録魔 「良いですね! 分かりましたね!」

記録魔 「では、失礼!」


フヨ フヨ フヨ フヨ

キイイ バタム


幼女魔王N 「行っちゃった……」


756 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/05/05(木) 01:55:39.36 ID:DANGlX+qo


幼女魔王N (なんだか、不安定な人だったわ)

幼女魔王N (その点において、彼女と私は対極に位置していると言えるであろう)

幼女魔王N (私は癒しと安定を司るような気がする土の属性が得意だし)

幼女魔王N (彼女はきっと風の属性を得意としているわね)


波魔法少女? 「ふむ、なるほど」

波魔法少女? 「彼女は甘やかされるより、甘やかす対象との相性が良いのか」

波魔法少女? 「これは思わぬ驚き……というか、苗床的に都合が悪いというか」


グツ グツ シュラララ

カタトトト


幼女魔王N 「あ、できた」


カパ ホワワ


波魔法少女? 「おお、美味しそうにできているじゃないか」

波魔法少女? 「なんというか、地属性なスープだ」


幼女魔王N 「う、うん」

幼女魔王N (良かった……)


幼女魔王N の 料理スキル が上がった!
激甘触手チュロス を作れるようになった!
オリーブパン を作れるようになった!
グラニサード(キウイ) を作れるようになった!


757 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/05/05(木) 02:09:48.19 ID:DANGlX+qo


波魔法少女? 「では、さっそくお運びするとしよう」

波魔法少女? 「この料理を見れば、食堂で腹を鳴らしている二人も君を見直すだろう」


幼女魔王N 「えへへ……」

幼女魔王N 「いちおう、さっきの不安定な幼女の分もあるけど……」


波魔法少女? 「ふむ……」

波魔法少女? 「そうだな、君が持って行ってあげると良い」


幼女魔王N 「え……」


波魔法少女? 「いちおうさ。断られたら持って帰ってくれば良い」


幼女魔王N 「で、でも、あの人、怒鳴ったりする……」


波魔法少女? 「母性巫女はそうしていた」


幼女魔王N 「母性巫女が……」

幼女魔王N 「う、うん。じゃあ、私もやる」


波魔法少女? 「良い子だ」

波魔法少女? 「心配しなくても、君が相手なら、彼女はつとめて理性的であろうとするだろう」


幼女魔王N 「そ、そうなの」


波魔法少女? 「場所は錬金工房だよ。彼女は食堂では食べない」

波魔法少女? 「というか、あの二人と一緒の場所で食べない。物凄く相性が悪くてね」

波魔法少女? 「まあ、一番相性が悪かったのは……」


幼女魔王N 「……錬金工房?」


波魔法少女? 「ああ、そうか。君は知らないのだったね」


758 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/05/05(木) 02:26:37.06 ID:DANGlX+qo


…………


錬金工房前



幼女魔王N (錬金工房。白いアーチが輝いて、扉の向こうはまるで明るい庭園に続いているよう)

幼女魔王N (母性巫女ったら、こんなものつくってたのね)

幼女魔王N (……目が覚めたら、知らない人がいっぱいいて)

幼女魔王N (お城にも知らない設備ができてたり、塞がっていた通路が綺麗になっていたり)

幼女魔王N (私のお城が、別の物になってるみたい……)

幼女魔王N 「スー、ハー。スー、ハー」

幼女魔王N 「……よし」


コン コン コン


幼女魔王N (私のお城なのに、ノックしなきゃいけないなんて……)



『…………』

記録魔の声 『誰ですか』


幼女魔王N 「よヒッ……コホン」

幼女魔王N 「魔王です……魔王よ」

幼女魔王N 「…………」


カタ ガコン

キイイ


記録魔 「…………」


幼女魔王N 「……あの、ごはん……朝の……」


記録魔 「……!」


幼女魔王N (な、なんか怒ってる?)

幼女魔王N 「……スープ。お野菜の……」


記録魔 「…………」


キョロ キョロ キョロ


幼女魔王N (キョロキョロしだした)


記録魔 「……誰も、いませんね」


幼女魔王N 「え?」


記録魔 「何でもありません。中へ入りなさい」


幼女魔王N 「はい……」

幼女魔王N 「え、ええ……」


759 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/05(木) 09:26:03.45 ID:/hNsH0oPO
乙!
760 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/06(金) 02:49:44.11 ID:/+3qD6A1o
母性というよりは庇護欲掻き立てられる感じかね記録魔は
761 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/07(土) 04:21:12.16 ID:BodHnntwo
このスレも新天地とやらにいくことになるのか
762 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/07(土) 10:49:03.75 ID:cJZkNdfa0
唐突なエログロあるしね
763 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/07(土) 13:07:53.83 ID:IBzn6FDMo
ワキマエロマエ!
764 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/05/08(日) 12:26:53.02 ID:oJV8PoW+o



http://i.imgur.com/5viVYBe.jpg


幼女魔王N 「移転?」

幼女魔王N 「その話……今じゃないと駄目かしら……!?」


765 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/05/08(日) 12:28:31.97 ID:oJV8PoW+o

ごめんなさい違う待ってごめんなさい
違うsage忘れごめんなさい
>>764はR-18です注意ごめんなさい
766 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/08(日) 12:44:30.05 ID:gLJlk2VcO
仕方ないからNに責任とってもらいましょうそうしましょう
767 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/05/08(日) 13:25:47.29 ID:oJV8PoW+o


錬金工房



記録魔 「…………」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「あ、あの……」

幼女魔王N 「ごはん、どこに……」


記録魔 「その机に置いて」


幼女魔王N 「は、はい」


カタ


幼女魔王N (……ピカピカの机)

幼女魔王N (私の部屋にも、こんな立派な脚の机はない)

幼女魔王N (……というかこの工房が、お城の中で一番立派なんじゃないかしら)


768 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/05/08(日) 13:34:48.07 ID:oJV8PoW+o


パク パク

モシャモシャ


記録魔 「……まったく、工房をほったらかしとは」

記録魔 「いったいどういう運営をしてきたのですか」


幼女魔王N 「……ご、ごめんなさい」


ゴキュゴキュゴキュ


記録魔 「その分だと、どうせ素材集めなんてやったこともないでしょう」


幼女魔王N 「い、一回だけ……」


記録魔 「ふんっ、一回ですって?」

記録魔 「良いですか」

記録魔 「統治者である魔王や勇者といえど、駆け出しのころは」

記録魔 「地道にモンスターと戦ったり、迷宮や未踏の領域を踏破したりして素材を集め」

記録魔 「それを工房でさまざまなアイテムにし」

記録魔 「統治する世界の発展や、新たな地での素材集めなどに役立てるものなのです」


幼女魔王N 「…………」


記録魔 「つまり!」

記録魔 「工房とは、世界に欠かせないものなのです」

記録魔 「浴場などよりも、いえ、真っ先に設置するべき施設なのです!」

記録魔 「そもそもあなたは……」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「……スピー」


記録魔 「聞いているのですか!!」


幼女魔王N 「ひゃいっ……!」


769 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/05/08(日) 13:48:12.68 ID:oJV8PoW+o


記録魔 「短パン魔王という人をご存知ですか」


幼女魔王N 「あ……」

幼女魔王N (何か聞き覚えがある)


記録魔 「ええ、知らないでしょうとも」

記録魔 「彼女は統治300日に満たずして」

記録魔 「魔動画番組、突撃若手魔王でも取り上げられる活躍をしています」

記録魔 「統治300日をとうに過ぎているあなたなんかより、よっぽど!」


幼女魔王N 「うぅ……」


記録魔 「先日、私も彼女の世界を訪ねましたが」

記録魔 「立派な城どころか、町もいくつか出来ていましたよ」

記録魔 「移住希望者もあとをたちません」

記録魔 「……ここの住人は何人ですか?」


幼女魔王N 「えっと、んと、私と……」

幼女魔王N 「……えっと、えへへぇ、母性巫女と……」

幼女魔王N 「波の人と、箒の人と、何か白いのと……」

幼女魔王N 「美触手と、カブトムシのシャミッソーくんと、綿ボコリのダスティちゃんと……」

幼女魔王N (な、なんとか十人くらいいないかな……)


記録魔 「彼女のところは七万人を超えました!」


幼女魔王N 「………!!」


770 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/05/08(日) 14:01:43.79 ID:oJV8PoW+o


記録魔 「悔しくないのですか」

記録魔 「後輩に追い抜かれて、こんなお小言をもらって」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N (七万人……七万人かあ……)

幼女魔王N (すごいなあ。どうやったら、どんな宣伝をしたらそんなに集まるんだろう)

幼女魔王N (町も、どうやってつくるの。お城を綺麗にする方法も分からないのに……)

幼女魔王N (ほかの人は私より才能があって、どんどん頑張ってすごくなっていく)

幼女魔王N (私は才能がなくて、やる気も出ないから頑張っても遅れるし頑張らなくても遅れる)

幼女魔王N (…………)


記録魔 「日頃だらだらして無駄に時間をすごしているから」

記録魔 「他の者が頑張っているときに堕落し、気が付けば大きな差になるのです」

記録魔 「なんと、惨めな……グチグチグチグチ」


グチグチグチグチ


幼女魔王N 「………」

幼女魔王N 「……グスン」


記録魔 「グチグチグチグ………あ……」


幼女魔王N 「……ぅう」

幼女魔王N 「うう……グス……うぅうう……」

幼女魔王N 「私……っ……ヒック、グス……」


記録魔 「い、いえ、今のはその……」


幼女魔王N 「どうせ、駄目だもん。どうせっ……魔王、向いてないもん……っ」

幼女魔王N 「頑張っても、どうせ……どうせ、駄目だもん……!!」

幼女魔王N 「うっく……ヒクッ、ヒグッ……うぅ……グスン……」


記録魔 「…………ご」

記録魔 「ごめん……なさい」

記録魔 「言い過ぎました」


幼女魔王N 「グスッ……グスッ……」


771 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/05/08(日) 14:19:28.03 ID:oJV8PoW+o


…………


幼女魔王N 「…………グス」


記録魔 「落ち着きましたか」


幼女魔王N 「………うん」


記録魔 「ホッ……」

記録魔 「……ん、コホン」

記録魔 「ま、まあ、しかたありません」

記録魔 「私もしばらくの間お世話になるのですから」

記録魔 「錬金工房の使いかたについて、特別に教えてさしあげます」

記録魔 「エリートである私に無料で教わる機会など、滅多に無いことですよ」


幼女魔王N 「……い、いい」

幼女魔王N 「ゲームやってる方が楽し……」


記録魔 「あなたという人は本当に……!!!」


幼女魔王N 「ひっ……」

幼女魔王N 「わか……分かりました……」


ガタ ガタ ブル ブル


記録魔 「……っ。コホンッ」

記録魔 「……い」

記録魔 「いただいた、お料理……」

記録魔 「…………」

記録魔 「たいへん……美味しかったですよ」



772 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/09(月) 19:08:47.23 ID:vHk+xHDoO
乙!
773 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/05/10(火) 02:16:46.14 ID:UOgj0uoIo

>>29

http://i.imgur.com/uwPucNJ.jpg
774 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/05/10(火) 02:17:26.00 ID:UOgj0uoIo
>>773
なかったことに
775 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/10(火) 03:59:46.68 ID:evbTJHcxO
母性巫女の母性が上がってる?
776 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/10(火) 13:04:20.44 ID:sOW0OItGO
>>773
間違えましたね私のレスに対する返信w
777 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/09(木) 02:44:09.52 ID:lobzRM5zO
まだかなー
778 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/09(木) 14:12:27.74 ID:gp924UpEo
レス増えてたから更新来たのかと期待しちまったじゃねーか
779 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/09(木) 17:03:38.41 ID:l0kAxvS30
使えねーわお前ら[ピーーー]
780 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/10(金) 01:38:44.68 ID:td6AccQw0
sageろks
781 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/21(火) 13:05:43.59 ID:kkUEEh4UO
ksしかいねーな
782 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/21(火) 21:19:46.68 ID:hmikJSFS0
sageろ
783 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/06/21(火) 23:42:34.35 ID:yk5vEmVdo

http://i.imgur.com/0Vn5ec7.jpg

784 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/22(水) 01:30:39.69 ID:Ks30nEbT0
>>783
GOD
785 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/23(木) 05:51:43.88 ID:E57abWv9o
そういえばあちこちのスレを強制移動させてるのにここは平気だね
公認健全スレって事でいいのかな?
786 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/23(木) 09:19:04.44 ID:NHB1Aejlo
KENZEN
787 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/06/30(木) 04:23:25.69 ID:euGACsK8o





■記録魔


http://i.imgur.com/kj2TCHR.jpg


種族 :堕天使
職業 :釜の錬金術師 / 速記術士
レベル:055 /03
所属 :第三大世界同盟立高位錬金ギルド
そうび :エリートの作業服(支給) / 黒歴史書 / 色眼鏡
固有 :母性 / 同性愛 / 劣等感


第三大世界同盟の公認錬金ギルドから派遣された少女。
地位や肩書きこそが力だと考えている。
みじめな者には寛大で、自分より地位が低くてスペックが高い者にきつく当たる。





□波魔法少女? によるキャラ雑感

戦闘にもサポートにもつかえるユニット。
錬金工房に配置すると作業効率がアップするが、城内の人間関係が悪化する。
固有スキル「母性」を持った年上のユニットとの相性は最悪。
幼女魔王Nが使いこなすのは難しいので、触手の苗床として運用するのが良いと思う。





788 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/06/30(木) 04:45:06.54 ID:euGACsK8o


幼女魔王Nの城 錬金工房



記録魔 「……さて、本来ならば」

記録魔 「第三大世界同盟公認の錬金ギルド員である私が」

記録魔 「特定の世界に肩入れするのは好ましいことではないのですが」


幼女魔王N (話、長いなあ)

幼女魔王N (今日は頑張ってお庭の掃除をする予定だったのに)

幼女魔王N (母性巫女が元に戻ったときに、お庭でお茶会できるように)


記録魔 「けれども、この世界と界主のあまりの体たらくをかんがみるに」

記録魔 「我が第三大世界同盟の品格を保つため、干渉は必要であると考え」


幼女魔王N (……ああ)

幼女魔王N (母性巫女のおっぱい、のみたいな)

幼女魔王N (くわえているだけで、一日を生きる活力が満ちてくるのよね)



789 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/06/30(木) 05:03:25.38 ID:euGACsK8o


記録魔 「よって、本当ならば、堕落の揺りかごに成りうるため限られた者にしか教えない」

記録魔 「我がギルドのオリジナル低確率激レアランクSSレシピを……」


幼女魔王N (けれど、驚いたわ)

幼女魔王n (母性巫女の胸の先っぽ……)

幼女魔王N (髪の毛が黒いから、てっきり真っ黒だと思っていたけれど)

幼女魔王N (なんということであろうか、母性的な桃色を淡く帯びていたのであった)

幼女魔王N (……先っぽの色は、髪の色と同じとは限らないのね)


記録魔 「良いですか、これは絶対に、他の世界に流出させては……」


幼女魔王N (……ああ、お菓子も食べたいな)

幼女魔王N (となりの世界のカフェで売ってるココナツビスケット、食べたいな)

幼女魔王N (でも、あそこの店員さん、怖いのよね)

幼女魔王N (本物の母性巫女が一緒に行ってくれたらなあ……)


記録魔 「聞いているのですか!」


カツンッ


幼女魔王N 「おっほぉっ!?」


ビクンッ


790 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/30(木) 08:06:19.56 ID:Rzyjc/fAo
きてれぅ
更新乙
791 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/30(木) 11:55:40.44 ID:Gb09n79do
同性愛!
792 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/30(木) 12:52:15.07 ID:uKX9rnvv0
きたきたぁ!
793 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/06/30(木) 20:41:23.92 ID:euGACsK8o


幼女魔王N 「聞いてまし……聞いていたわよ……き、聞いていました」


記録魔 「はぁ……何という集中力の無さ」

記録魔 「……まあ良いでしょう」


幼女魔王N (あ、話が終わる流れ)

幼女魔王N 「じゃ、じゃあ、お皿洗ってきま……」


記録魔 「何を言っているのですか」

記録魔 「これからが本番です」


幼女魔王N (本番? ははあ、さてはデザートを要求しているんだな)

幼女魔王N (あつかましい幼女ね)

幼女魔王N 「じゃあ、とっておきのふんわりカステラを……」


記録魔 「錬金工房のつかいかたを教えると言っているでしょう!」



794 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/06/30(木) 20:47:40.99 ID:euGACsK8o


記録魔 「まずは、これを受け取りなさい」


幼女魔王N 「はーい……」


幼女魔王N は 黒の錬金レシピ1 を手に入れた!


記録魔 「良いですか。何度も言いますが、ぜったいになくしてはいけませんよ」

記録魔 「ましてや、他世界の者に教えるのも禁止です」


幼女魔王N 「じゃ、じゃあいらない。自信ない……」


記録魔 「…………」

記録魔 「……ギリッ」



記録魔 の 歯ぎしり!
幼女魔王N は すくみあがった!



幼女魔王N 「は、はい、大事にします」



795 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/30(木) 21:44:58.56 ID:F7pOKd8jO
なるほど母性持ちだからNとは相性いいし母性巫女とは相性悪かったんだな
796 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/30(木) 22:09:17.17 ID:uKX9rnvv0
母性ロリ

ババアロリ
797 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/07/01(金) 02:12:38.69 ID:wQtrD+mro


※ロリ歴史(魔貴族娘家 所蔵)



無能ロリ……生きているのがつらいロリ。

ショタロリ……心はショタ、身体はロリ。

百合ロリ……ロリに欲情するロリ。

妖精ロリ……人形収集家垂涎のロリ。

ババアロリ……合法ロリ。と、見せかけて‥‥。

薄幸ロリ……関わる者の優しさが試されるロリ。

ヤンロリ……友だち友だち友だち友だちロリ。

母性ロリ……赤ん坊を抱くと授乳の真似をしてみるロリ。

ポロリ……何かと脱ぐイベントの多いロリ。


798 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/01(金) 02:21:36.53 ID:2S3kPr0Z0
なんだなんだ?
799 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/07/01(金) 02:22:46.65 ID:wQtrD+mro


記録魔 「あなたは錬金工房を利用したことは……」

記録魔 「ありませんね、当然」


幼女魔王N 「はい」

幼女魔王N (どうして分かったんだろう……)


記録魔 「つまり、工房の道具の使い方も分からない、と」

記録魔 「しかたありません。この私が、特別に一から教えてあげます」


幼女魔王N 「い、いいよ」

幼女魔王N 「えーっと、忙しいだろうし……」


記録魔 「ええ、おかげさまで、ええ、暇ですとも」

記録魔 「おかげさまで」


幼女魔王N 「暇な人なのね……」


記録魔 「あなたのせいです!」



800 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/07/01(金) 02:29:28.77 ID:wQtrD+mro


幼女魔王N 「私のせい?」


記録魔 「よりによって、こんなに魔素の乱れた世界に来てしまったせいで」

記録魔 「もとの世界に戻ることができなくなってしまったのですよ」

記録魔 「でなければ、今ごろ……」


幼女魔王N (世界を渡れなくなったってこと?)

幼女魔王N (そういえば、魔動画も映らないし、何か起きているのかしら)


記録魔 「まあ、良いでしょう」

記録魔 「では始めますよ」

記録魔 「まずは、工房内の空気のつくりかたから……」



…………


801 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/01(金) 05:26:45.60 ID:3sLnDYKy0
乙!
802 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/07/08(金) 02:21:45.81 ID:BhQ7OYyPo



コポコポコポ ボワン

モコ モコ ボワン



ぜんぜん作業がはかどらなかった……
素材をドブに捨てた方がマシな出来栄え!

ベタベタした棒 が出来上がった!

幼女魔王Nの特殊体質 が発動!
錬金工房の経験値 が 減少した!
新たなレシピ を手に入れた!
触手苗床計画書 を手に入れた!
新たな施設『触手交配牧場』 をつくれるようになった!
新たな施設『苗床保管所(人間)』 をつくれるようになった!



幼女魔王N 「…………だ」

幼女魔王N 「大成功……!」


記録魔 「失敗です!」


幼女魔王N 「うぐ…………」


記録魔 「簡単なレシピで何回失敗したら気が済むのですか、あなたは」

記録魔 「もっと呼吸を大事にするべきです」

記録魔 「静かに、吸う息はとくに丁寧に」

記録魔 「でないと、いくら工房内を良質の魔力で満たしても、意味がありません」


幼女魔王N 「……はい」

幼女魔王N 「い、いやあ、難しいなあ、ものづくりって」

幼女魔王N 「たくさん集中力をつかったから、今日はちょっともうお休みに……」


記録魔 「何を言っているのです!」

記録魔 「もういちど、いいえ、成功するまでです。ちゃんとレシピを読んで」


幼女魔王N 「ふえぇ……」


803 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/07/08(金) 02:38:17.95 ID:BhQ7OYyPo


グツグツ ポコポコ


ベタベタした棒 が出来上がった!
脈打つ棒 が出来上がった
ヌルヌルした棒 が出来上がった!
丸まった紙くず が出来上がった!



記録魔 「……分かっていますか。あなたは恵まれているのですよ」

記録魔 「珍しくて、便利で、それでいて難易度の最も低いアイテムを」

記録魔 「レシピつきで」

記録魔 「エリートである私の指導のもと、つくることができるのです」


幼女魔王N 「……分かってるもん……ます」


記録魔 「じゃあ、どうしていつまでたっても出来ないんですか!」


幼女魔王N 「ひいっ……!」

幼女魔王N (おこられた)

幼女魔王N (分かってるかってきいてきたから、答えたのに!)

幼女魔王N 「う、うえええ……」


記録魔 「っ! ……な、泣いたって終わりませんからね!」

記録魔 「そんな暇があったら、さっさと……」


ホワン


波魔法少女? 「まあまあ、そんなに焦らずに」


記録魔 「!」


波魔法少女? 「そんなことでは、彼女のやる気は萎んでいく一方だよ」














804 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/07/08(金) 02:50:19.16 ID:BhQ7OYyPo


記録魔 「勝手に入ってきたんですか!」


波魔法少女? 「ああ。今はここについている状態だからね」


記録魔 「ま、まさか、私が気づいていないときも?」

記録魔 「寝ているときや、あんなことをしているとき……」


波魔法少女? 「いいや、いつもはしていない」

波魔法少女? 「……君たちが苦戦しているようだから、何か力になれないかとね」


記録魔 「苦戦などしていません。必要ありません」

記録魔 「高位錬金ギルドの一員である私の指導があれば、何も心配いりません」

記録魔 「もう少し。きっと、もう少しで出来るようになります」


波魔法少女? 「へえ?」

波魔法少女? 「……そうなのかい、ピンクちゃん?」


幼女魔王N 「グス……うええぇ、もうやだあ……お部屋もどって寝るぅ……」


805 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/07/08(金) 03:19:22.04 ID:BhQ7OYyPo


記録魔 「な、何を言っているんですか!」

記録魔 「そんなに簡単に諦めてどうするんですか!」


幼女魔王N 「簡単じゃないもん……頑張ったもん……!」


記録魔 「では、もっと頑張るべきです!」

記録魔 「あなたのしもべは、一回目で大成功したんですよ」

記録魔 「レベルでも胸でもしもべに負けて、負けっぱなしで良いんですか!」


幼女魔王N 「ウグッ……いいもん。どうせ私、何もできないもん」

幼女魔王N 「母性巫女が元に戻ったら、ぜんぶやってもらうもん……!」


波魔法少女? 「たしかに、できてしまいそうだが」

波魔法少女? 「母性巫女くんが元に戻ったとき、諦めてしまった君を見たら」

波魔法少女? 「優しい彼女のことだ、悲しむんじゃないかな」


幼女魔王N 「………ッ」


波魔法少女? 「でも、どんなに失敗しても頑張っている君を見たら」

波魔法少女? 「優しい彼女のことだから、とても喜んでくれるだろう」


幼女魔王N 「……喜ぶ」

幼女魔王N 「……頑張りましたねって、なでなでして褒めてくれる」

幼女魔王N 「……頑張る」


波魔法少女? 「その意気だ。さあ、今度はボクもサポートしよう」


幼女魔王N 「うん……!」



記録魔 「…………」

記録魔 「元に戻ったらですって……?」


806 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/07/08(金) 03:34:14.53 ID:BhQ7OYyPo


キュラリン ピロン


なかなかの出来栄え!
幼女魔王Nのレシピ帳 が出来上がった!
さらに
分岐点の書 が出来上がった! 


幼女魔王N 「……できた!」


記録魔 「……ええ」

記録魔 「なかなかの出来栄えと言えますね」


幼女魔王N 「可愛い……表紙がピンク色」

幼女魔王N 「こんな手帳、欲しかったかも」


記録魔 「それは、あなただけのものですよ」





記録魔のレシピ帳



幼女魔王N 「茶色と緑の表紙……」


記録魔 「つくった者の魔力に反応して見た目が多少変わりますが」

記録魔 「機能は同じです」

記録魔 「新しく生み出したレシピや、集めたレシピも記録されます」

記録魔 「作り方は我がギルドにしか伝わっていません」

記録魔 「大事にしなさい」


幼女魔王N 「うん……は、はい」


波魔法少女? 「良かったね」


幼女魔王N 「うん……」


記録魔 「……あの」


幼女魔王N 「はい」


記録魔 「あのしもべを……」

記録魔 「……いいえ」

記録魔 「何でもありません」


幼女魔王N 「…………?」


807 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/07/08(金) 03:49:47.11 ID:BhQ7OYyPo


…………


幼女魔王Nの城 食堂



魔動画 『ザッ……ザザザ……』

魔動画 『ジジジ………』


箒少女 「夕飯、夕飯……お?」


記録魔 「…………」

記録魔 「今、彼女が作っているところだそうです」


箒少女 「ふうん……」

箒少女 「何だよ、どういう風の吹き回し?」

箒少女 「ここで食べるの?」


記録魔 「何かおかしいのですか。食堂はものを食べるところでしょう」


箒少女 「そうだけど」

箒少女 「いっつも工房に引きこもって、飯は持ってこさせてるじゃん」


記録魔 「ぐっ……」

記録魔 「コホンッ……」

記録魔 「私は聞き分けのない子供とは違うのです」


箒少女 「……ふうん」


記録魔 「どうでも良いなら聞かないでください……!」


808 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/07/08(金) 03:57:42.72 ID:BhQ7OYyPo


魔動画 『ザザ……ザザザ』


箒少女 「今日も何も映らずか」

箒少女 「うーむ、いよいよ外の世界と切り離された感があるなあ」

箒少女 「この世界は何もないし、静かだし」


記録魔 「…………」

記録魔 「あのうるさくて野蛮な猫はいないのですか」


箒少女 「……ああ」

箒少女 「なんか、仕事を頑張ってるみたいだよ」

箒少女 「ピンクちゃんを見てたら危機感がわいてきたってさ」


記録魔 「はあ」


箒少女 「わっかんないよなあ」

箒少女 「姐さんが起きてるときは、だらけきってたのに」


809 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/07/08(金) 04:06:28.37 ID:BhQ7OYyPo


記録魔 「……あの白いかた」

記録魔 「何か調べ物があるとかで、どこかにこもるそうです」


箒少女 「あの人も、何者なのか分からんね」

箒少女 「ただもんじゃないことは分かるけど」


記録魔 「……ええ」


シィン

カチ コチ カチ


記録魔 「…………」


箒少女 「……静かだよなあ」


記録魔 「…………」

記録魔 「何かに集中するには、良い環境かもしれませんね」


810 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/07/08(金) 04:32:10.62 ID:BhQ7OYyPo



カチ コチ カチ コチ


箒少女 「……オレが暮らしてるところさあ」


記録魔 「…………」


箒少女 「ゴミゴミしてて、汚くて、ときどき変な臭いがして」

箒少女 「そして、うるさいんだよ」

箒少女 「家なんか、上からも下からも横からも、他の奴らの生活の音が聞こえてきて」

箒少女 「外は朝から夜まで、まあ、夜の方が多いんだけど、人の灯りで明るくて」

箒少女 「静かなときがほとんどっていうか、まったく無いんだよ」


記録魔 「……聞いているだけで、吐き気がしそうです」


箒少女 「だろ?」

箒少女 「だから箒に乗る仕事が楽しめてるってのは、良いことかな」

箒少女 「まあ、雨の日の街の灯りは好きだけど……」

箒少女 「とにかくうるさいんだよ。人、人、人……うんざりさ」


記録魔 「…………」


箒少女 「…………」

箒少女 「でも、静かだよなあ、ここ……」


811 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/07/08(金) 05:00:16.46 ID:BhQ7OYyPo


記録魔 「……ええ」


箒少女 「せめて箒の調子が戻ればなあ」


記録魔 「……あの野蛮猫の力を借りたら」

記録魔 「もとの世界へ戻れるそうですが」


箒少女 「うーん……」


記録魔 「…………」


カチ コチ カチ


箒少女 「……ほんと、静かだよなあ」


記録魔 「あの猫が特別うるさかったから、寂しく感じるのでは」


箒少女 「……どうなんだろうなあ」

箒少女 「こんな静かなところで、ひとりでずっと暮らして」


記録魔 「…………」


箒少女 「帰ってきても、誰の気配もないんだぜ? 家の中にも、外にも、ずっと」

箒少女 「気が狂ったりしないんかね」


記録魔 「…………」

記録魔 「…………」

記録魔 「……さあ」


812 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/07/08(金) 07:37:29.11 ID:BhQ7OYyPo


…………


モギ ズズズ

モグモグモグ


箒少女 「……うまいなあ」

箒少女 「ここ最近、ずっとうまいもんばっかり食えて幸せだなあ」


記録魔 「ちょっと、もう少し綺麗に食べられないんですか!」


箒少女 「何だよお、うまいもんを堅っ苦しく食ったて、堅っ苦しいだけじゃないか」


記録魔 「そんなにバクバク食べたら、私の食べる分が……!」


幼女魔王N 「だ、大丈夫。まだあるから」

幼女魔王N 「あと三人分、作っちゃったから……」

幼女魔王N (でも、何かしら。私、前みたいに料理できなくなってるみたい)

幼女魔王N (時間もかかったし、味も前はもっと……)




































813 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/08(金) 13:49:14.50 ID:tRRudNW9o
更新乙
814 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/08(金) 16:28:31.89 ID:Ej1rWUCZO
料理レベル減ったのにうまいレベルは維持してるのか
815 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/08(金) 16:43:11.43 ID:gcstGyXgO
デスペナ効いてきてるな
816 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/07/08(金) 20:56:26.18 ID:4I4HM6gp0
早く巫女もとに戻らんかな
817 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/01(月) 12:27:46.98 ID:R4+4N7100
818 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/09(火) 19:34:12.83 ID:rcWp3lOYo
前回更新から一カ月経っちゃったか
仕様が変わって無ければ90日くらいスレ主がコメしないと強制落ちしたはずだけど
流石にそろそろ来てほしいなあ
819 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/09(火) 22:52:02.42 ID:R+xaCpvVo
2ヶ月だな 今は2ヶ月過ぎても消されるまでにかなりらぐあるが
820 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/09(火) 23:14:56.40 ID:9snqvAoP0
とうとうここも失踪してしまうのか
まだまだストーリー半ばって感じだったのに
821 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/09(火) 23:16:22.30 ID:D1RsgOvVo
大丈夫大丈夫
822 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/08/11(木) 21:28:53.36 ID:OYOuxk/po



幼女魔王N 「ぜったいに落ちたりなんかしない!!」


http://i.imgur.com/gRwPs7P.jpg


823 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/11(木) 22:43:56.65 ID:9WM/bRELo
絵が上手だよなー>>1
ても僕絵もいいんだけど続きも欲しい
824 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/11(木) 22:46:07.60 ID:GXeAu6hBo
おう生きてるのは分かったから続きはよ
825 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/08/12(金) 02:10:19.69 ID:K1AeQG3go


…………


幼女魔王Nの城
屋根裏の書斎跡地



波魔法少女? 「……おや」


幼女魔王N 「…………」


波魔法少女? 「君の方からやってくるとは珍しい」

波魔法少女? 「この場所のことは教えたっけ?」


幼女魔王N 「…………」


波魔法少女? 「……?」


幼女魔王N 「…………」


ズズズ


幼女魔王N は 玉触手 を呼び出した!


玉触手 「…………」


波魔法少女? 「……ふむ」

826 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/08/12(金) 02:39:42.32 ID:K1AeQG3go


玉触手 「……キャハハハ」


フヨ フヨ


波魔法少女? 「そういえば、あの世界の妖精たちの伝承にあったかな」

波魔法少女? 「笑い声とともにやってくる、ほろびの何かのことが」


幼女魔王N 「大事なことを、たくさん忘れているような気がするの……」


波魔法少女? 「……よくあることさ」

波魔法少女? 「君には過去の記憶がごっそりないのだし」


幼女魔王N 「もっと大事なもの」

幼女魔王N 「このお城に来てからの」


波魔法少女? 「もっと大事か」

波魔法少女? 「君にとって、おそらくこの世界の魔王になってからよりも遥かに長いだろう過去は」

波魔法少女? 「そのくらいのものになってしまった、というわけかな」


幼女魔王N 「お料理のしかた。好きだったお菓子のつくり方、好きな色」

幼女魔王N 「下着や魔法ゲーム、ほかにも買ったおぼえのないものが部屋にまざってて」

幼女魔王N 「自分の部屋に得体の知れない何かが住んでいるみたいで怖いの」


波魔法少女? 「…………」


幼女魔王N 「……胸も小さくなった気がする」

幼女魔王N 「以前は瑞々しい大玉の果実のように……」


波魔法少女? 「それはない」


827 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/08/12(金) 03:04:52.74 ID:K1AeQG3go


波魔法少女? 「後ろむきかと思えば思わぬところで自信家で妄想家で、なかなか多面的だね君も」

波魔法少女? 「だが、どうしてだい?」


幼女魔王N 「?」


波魔法少女? 「教会にいたころから君は、生きているのが申し訳ないと言いたげな顔をしていたけれど」

波魔法少女? 「たとえば料理ができるというのは、かなり誇らしいことではないのかな」


幼女魔王N 「それは……」

幼女魔王N 「…………」


波魔法少女? 「……失って、はじめてその価値に気づくというのはよくあることだけれど」

波魔法少女? 「忘れてしまってから、それまで覚えていたことに気づくということもあるのかな」

波魔法少女? 「まあ、良いじゃないか。忘れたなら、おぼえなおせば良い」


幼女魔王N 「……私」

幼女魔王N 「どうやってお料理をおぼえたか」

幼女魔王N 「おぼえてない……」


828 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/08/12(金) 03:17:59.27 ID:K1AeQG3go


波魔法少女? 「ほう?」


幼女魔王N 「気がついたら、できてたの」


波魔法少女? 「ふうむ」


幼女魔王N 「つくってみたら、何故だか上手にできて」

幼女魔王N 「淫魔幼……あの人、一番びっくりして、おいしいって言ってくれて」


波魔法少女? 「ますます、自信を持って良い話じゃないか」


幼女魔王N 「そのあと、つまらないことだって言ったのよ」

幼女魔王N 「さっさと忘れてしまえって」


波魔法少女? 「それは妙だね」


幼女魔王N 「でも、つくったら食べてくれるの。おいしいって」

幼女魔王N 「……とても、悲しそうな顔をしていた気がする」


829 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/08/12(金) 04:38:52.37 ID:K1AeQG3go


幼女魔王N 「なぜかしら……」


波魔法少女? 「よく、おぼえているじゃないか」


幼女魔王N 「こんなこと、おぼえていて役に立たんわよ」


波魔法少女? 「忘れてしまったら、分かるかもしれない」

波魔法少女? 「しかし、自信が持てないのも分かる気がするね」

波魔法少女? 「自分が身につけたおぼえのない技術なんて、むしろ後ろめたいだけのものなのかもしれない」

波魔法少女? 「おまけに、そんなことまで言われたら」


幼女魔王N 「うん……」


波魔法少女? 「なぜその人が悲しい顔をしたのかは分からないが」

波魔法少女? 「君のその料理の腕は、君にとっては大事でなくなった過去に」

波魔法少女? 「みがかれたのかもしれないね」



830 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/08/12(金) 05:12:16.26 ID:K1AeQG3go


玉触手 「…………」


幼女魔王N 「ただ、忘れっぽいだけなのかしら」


波魔法少女? 「違うと思っているのかい?」


幼女魔王N 「だって、そうだったら、どんなに頑張っても、忘れちゃうなら」

幼女魔王N 「私、何もできなくなる。おぼえるの、下手だもの」

幼女魔王N 「おぼえてる間に、いっぱい忘れる」

幼女魔王N 「母性巫女にがっかりされる」

幼女魔王N 「う、ううん、母性巫女のことも忘れる……っ?」


波魔法少女? 「心配しすぎだと思うけどね」


幼女魔王N 「だ、だって、忘れたもん!」

幼女魔王N 「私、たくさん助けてもらったのに」

幼女魔王N 「大事な人、いなくなったのはおぼえているのに」

幼女魔王N 「顔も名前も、ぜんぜん思い出せない……!!」

幼女魔王N 「う、うう……っ!」


ヨロ ヨロ


波魔法少女? 「…………」

波魔法少女? 「……名前は、可憐少女だね」


幼女魔王N 「……?」


玉触手 「…………」


波魔法少女? 「……母性巫女を殺したしもべは」

波魔法少女? 「どれなんだい?」


幼女魔王N 「……!」


831 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/08/12(金) 05:21:15.04 ID:K1AeQG3go


幼女魔王N 「…………」


波魔法少女? 「おぼえているようだね」


幼女魔王N 「……しかたなかったの」

幼女魔王N 「ど、どうしようもなかったの!」

幼女魔王N 「だって、だって、だって、あのままだったら、母性巫女は……!」


波魔法少女? 「ごめんよ」

波魔法少女? 「ただ、彼女を元に戻す何かの手がかりが、見つかるかもしれないからね」

波魔法少女? 「可能性があるなら、何でも、やってみないとと思って」


幼女魔王N 「…………」


波魔法少女? 「そうだろうとも」

波魔法少女? 「君は悪くない」

波魔法少女? 「取り乱す必要はない」


幼女魔王N 「……うん」

幼女魔王N 「…………」



832 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/12(金) 15:03:03.28 ID:Zwx7Hx8So
833 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/12(金) 18:05:34.61 ID:H7N4YKD+o
更新乙
834 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/12(金) 20:44:51.34 ID:S2LtOywy0
おちゅ
835 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/08/12(金) 21:57:48.96 ID:K1AeQG3go


…………


波魔法少女? 「……なるほど。そんなことがね」


幼女魔王N 「魔法少女? ……の人たち」


波魔法少女? 「……うん? ああ」

波魔法少女? 「そうだね。ボクがいたギルドのものたちだ」


幼女魔王N 「そう……」


波魔法少女? 「そうか、鋏が……」

波魔法少女? 「彼女たちが知らずにいたのは、どちらにとっても良いことだったかもしれない」

波魔法少女? 「君にとってどうかは分からないが」


幼女魔王N 「?」


波魔法少女? 「……ふむ」

波魔法少女? 「この大きな毛玉が、母性巫女くんをね……」


玉触手 「…………」

836 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/08/12(金) 22:03:21.50 ID:K1AeQG3go


玉触手 「…………」


幼女魔王N 「この子のこと」


波魔法少女? 「うん?」


幼女魔王N 「よく分からない……」


波魔法少女? 「母性巫女くんの故郷を襲って、君たちを追い詰め」

波魔法少女? 「君が君自身の意思の力で契約して」

波魔法少女? 「しもべにした触手だろう」

波魔法少女? 「母性巫女くんを殺す原因をつくり、そして殺した」


幼女魔王N 「そ、そうだけど」

幼女魔王N 「でも、なんか、そうだけど」

幼女魔王N 「でも……でも」


波魔法少女? 「それだけでは無いと?」


幼女魔王N 「うん」

幼女魔王N 「なんだか、胸がしゅくしゅくするような」


波魔法少女? 「ふうむ……」


837 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/13(土) 18:44:06.53 ID:VEhveEzW0
乙!
838 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/14(日) 22:00:17.39 ID:/ViFdnLMo
Nの成り立ちはまだまだ謎が多いね
839 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/11(日) 16:13:03.46 ID:oMLV/fQko
そろそろ一か月か
840 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/09/14(水) 23:45:12.51 ID:Ar2wEfh0o


幼女魔王N 「…………」


波魔法少女? 「君は、思い出したいのかい?」


幼女魔王N 「え……」


波魔法少女? 「忘れてしまったいろんなこと」


幼女魔王N 「…………」

幼女魔王N 「だって、困るもの……きっと」


波魔法少女? 「……ふむ。どうだろうね」

波魔法少女? 「忘れていた方が良いということもある」


幼女魔王N 「でも……」


波魔法少女? 「少なくともボクは忘れていたいね」

波魔法少女? 「子宮に数百種の魔物の卵と媚薬をぶちまけられながら」

波魔法少女? 「魔物を一度に何匹も出産する感覚などは」


幼女魔王N (忘れてなさそうだけど)


841 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/09/15(木) 00:07:20.87 ID:juwVt3BUo


波魔法少女? 「何を忘れているべきで、何を忘れずにいるべきか」

波魔法少女? 「分かっていると楽なのだろうけど」

波魔法少女? 「分かっていたところで、忘却というものは訪れる」

波魔法少女? 「呼んだおぼえのない、来てほしくない客のようにね」

波魔法少女? 「忘れ去るのに訪れる。おかしな話だ」


幼女魔王N 「…………」


波魔法少女? 「来てほしくない客といえば、城の修理にやってきた人々を追い返してしまったそうだね」

波魔法少女? 「母性巫女くんが、右も左も分からないような状況で、なんとか呼んだのに」


幼女魔王N 「う、うん……」


波魔法少女? 「安心したまえ。そのことについてどうこう言いたいわけじゃないさ……」

波魔法少女? 「忘れることを恐れるのはしかたない」

波魔法少女? 「忘れてしまうのもまたしかたない」

波魔法少女? 「くよくよ考えずに、今やるべきことを、やるのが良いと思うよ」


幼女魔王N 「やるべきこと……」

幼女魔王N 「……!!」

幼女魔王N 「ペニステのソフト消化しなきゃ」

幼女魔王N 「今度新型が出るの。据え置きの新型と同時発売」

幼女魔王N 「さっそく引きこも……」


波魔法少女? 「今やるべきことだ」

波魔法少女? 「今やりたいことじゃ無い」


842 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/09/15(木) 00:20:45.24 ID:juwVt3BUo


…………

…………


ドシン

ゴゴゴゴゴ

ゴゴゴ ゴゴゴゴゴ……



幼女魔王Nの城 玉座の間



グラ グラ


幼女魔王N 「きゃああああ!!」


ドスン プチ


落石!
幼女魔王N は ペシャンコになった!
幼女魔王N の 特殊体質!
幼女魔王N の 復活!
幼女魔王N は 復活した!
幼女魔王N の すべての状態変化が消えた!
幼女魔王N の 婚期が消滅した!
幼女魔王N の すべてのスキルの熟練度が激減した!
幼女魔王N の すべてのステータスが激減した!
幼女魔王N の 下着の面積が減った!


幼女魔王N 「いててて……死ぬかと思った……」

幼女魔王N 「何なの、お城のお片づけを始めたら、いきなり地震なんて……」


波魔法少女? 「ふむ」


幼女魔王N 「これはやはり、引きこもってペニステをしなさいという、神さまの……」


ガタン ギギィ

タタタタタ


箒少女 「お、おい、外に出てみろ!」

箒少女 「空がすごいことになってる!」

843 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/09/15(木) 01:29:19.39 ID:juwVt3BUo


幼女魔王Nの城 野原 



オオオ オオオ


幼女魔王N 「……風がなまぬるい」

幼女魔王N 「というか、いまって夜だっけ……」

幼女魔王N 「空に星ひとつないし、お隣の世界も見えないけど」


箒少女 「まだ昼だよ」

箒少女 「オレが外で落とし穴を掘っていたら、急に暗くなったんだ」

箒少女 「なあ、これってあれかなあ」


波魔法少女? 「ああ、未知の世界の接近による変化かい?」

波魔法少女? 「ふむ、どうだろうね」


箒少女 「なあ、ピンクちゃん。おまえ魔王だろ」

箒少女 「なんとかできないの?」


幼女魔王N 「できるわけないわ」

幼女魔王N 「ザリガニの抜け殻にできないことは、私にもだいたいできないわ」


箒少女 「まじで抜け殻より下なのかよ……」



844 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/09/15(木) 01:43:22.08 ID:juwVt3BUo



波魔法少女? 「……揺れはもう来ないようだが」


箒少女 「いやいや、何が起こるか分かんないって」


波魔法少女? 「そうだね。じゅうぶんに注意し……」

波魔法少女? 「……む」



キイイイ

キイイイイイ


幼女魔王N 「な、何……!?」

幼女魔王N 「空が真っ赤にひび割れていく……?」


箒少女 「違う、ミミズだ! 空に、赤く光るでっかいミミズが何匹も!」


幼女魔王N 「ミミズ!? ぎゃああっ、次はミミズなの!?」

幼女魔王N 「ニワトリの次はミミズが攻めてくるというの!?」


波魔法少女? 「ミミズじゃない。呪文のようだが」

波魔法少女? 「……なるほど」

波魔法少女? 「猫くんだな」


845 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/09/15(木) 01:50:43.53 ID:juwVt3BUo


箒少女 「あいつかよ」

箒少女 「仕事しろよなあ、あの猫」


波魔法少女? 「まさにその最中さ」

波魔法少女? 「そろそろ佳境なのかもしれない」


幼女魔王N 「……ええ、そのようね」


箒少女 「何だよピンクちゃん、どういうこと?」


幼女魔王N 「ぜんぜん分からないわ」


箒少女 「分からないのかよ。ぜんぜんかよ。今日はどんなキャラだよお前」


波魔法少女? 「この世界の結界を書き換えるための最終段階ということさ」

波魔法少女? 「書き換えの際、どうしても無防備になってしまう一瞬があるから」

波魔法少女? 「外側を仮の結界で覆っている……というところかな」


幼女魔王N 「……ええ。おそらく、間違いないでしょうね」


箒少女 「オレ、お前なら倒せそうな気がするな」

846 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/15(木) 02:11:50.00 ID:mQ/w4CL1o
更新乙
847 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/09/15(木) 02:14:28.17 ID:juwVt3BUo


箒少女 「というか、あいつはどこにいるの?」


波魔法少女? 「どうやら、誰にも知覚できない結界に引きこもって作業しているようだ」

波魔法少女? 「この世界にいることはたしかだろうけど」


箒少女 「あんたなら分かりそうな気もするけど」


波魔法少女? 「そこは黙秘だ」

波魔法少女? 「彼女のプライドのためにもね」


箒少女 「しっかり答えてない? それ」


幼女魔王N 「……もう、何なのよ、みんなして」

幼女魔王N 「私の知らない部屋を作ったり、空をこんな風にしたり、変な飛行船を置いたり……」

幼女魔王N 「ここは私の世界なのよ。私の許可もとらずに、好き勝手しちゃって失礼じゃない!」


箒少女 「今さら言われてもなあ……」


ガコン ゴゴゴゴゴ

フヨフヨフヨフヨ


記録魔 「な、何ですか、敵襲ですか!?」



記録魔 が あらわれた!



848 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/09/15(木) 02:26:31.04 ID:juwVt3BUo


箒少女 「おお、やっと出て来た」


記録魔 「ものすごい揺れがあったようですが……」

記録魔 「!?」

記録魔 「な、何ですかこれは!」

記録魔 「空をマグマが流れているのですか!?」


波魔法少女? 「落ち着きたまえ、眼鏡くん」


記録魔 「落ち着いていられますか!」

記録魔 「天変地異! これは天変地異です!」


箒少女 「あれ、その格好……」


記録魔 「はい?」


■記録魔
そうび : さらさらパジャマ
     夢見のナイトキャップ
     抱きしめワニさん枕
     鉄壁の下着


箒少女 「パジャマじゃん」


記録魔 「ええ。材料の乏しい世界なので、つくるのは苦労しましたが……」


箒少女 「今まで寝てたのかよ」


記録魔 「! い、いえ、ここ、これは……」

記録魔 「そう、研究です! 夜遅くまで研究していたので……」

記録魔 「ああ、嫌です! この世界のせいです!」

記録魔 「それまでは、夜更かししてもちゃんと朝には起きていましたし……!」


幼女魔王N 「…………」


記録魔 「はっ……!」

記録魔 「いえ、あなたのことを悪く言ったのでは……」

記録魔 「そそそ、それより、何なのですかこれは! 何が起きているのですか!」


箒少女 「落ち着けよ」


849 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/09/15(木) 03:14:02.92 ID:juwVt3BUo


…………


記録魔 「なるほど、結界ですか」

記録魔 「まさか、あの下品な猫耳がこのような……」

記録魔 「いえ、単身でこれほどの規模の結界を練り上げられる者など」

記録魔 「同盟公認の上級結界術士にもいるかどうか……」


ブツブツ


幼女魔王N 「……何もしない方が良いの?」


波魔法少女? 「他の世界へ渡らないように言われているくらいかな」

波魔法少女? 「まあ、さわらないに越したことは無いだろう」

波魔法少女? 「界境の淀みとやらも、使わない方が良いね」


幼女魔王N 「……何かしら、それ」


波魔法少女? 「知らないなら、なおさらだ」


箒少女 「どれくらい続くのかな、この状態」

箒少女 「さすがに息が詰まるなあ、これは……」


記録魔 「はあ、まったく、このところ良いところがありませんね……」


キイイイ

オオオ オオオオ








850 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/09/15(木) 03:33:06.01 ID:juwVt3BUo


……………


幼女魔王Nの城 母性巫女の部屋



キイイ キイイイイ


母性巫女 「…………」

母性巫女 「…………!」

母性巫女 「………ここは」

母性巫女 「お城の部屋……でも……」


ヌウ


波魔法少女? 「やあ、起きたようだね」


母性巫女 「きゃっ」


波魔法少女? 「ピンクちゃんが眠ったから、もしやと思ったが」


母性巫女 「波さん……」


波魔法少女? 「ああ、ちなみに、彼女が眠りに落ちたときはいつも」

波魔法少女? 「君の様子を確認することにしているよ」


母性巫女 「そうですか……」

母性巫女 「…………」


キョロ キョロ


波魔法少女? 「……随分と、趣の違う物が並んでいるね」


母性巫女 「え? ええ……」


水の元素装置
壊れた魔動画
足の折れたベッド
きわどい下着
下着という名の紐
リボン
火の天球儀
星見の筒
精霊像
魔物のひげ
……


母性巫女 「……ぜんぶ、故郷の世界の」

母性巫女 「私の家にあったもの……?」


851 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/09/15(木) 03:43:02.36 ID:juwVt3BUo


波魔法少女? 「君の部屋を作ると言い出してね」


母性巫女 「……?」


波魔法少女? 「ピンクちゃん……幼女魔王Nだよ」


母性巫女 「N……」


波魔法少女? 「城の片付けをしていたら、新しい部屋が見つかって、それでさ」

波魔法少女? 「……君がいつ元に戻っても良いように、ってね」


母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「後ろ向きな彼女が……いやはや、勇気だね」

波魔法少女? 「洗脳のとけた君がここに留まると思うことにしたようだ」

波魔法少女? 「思いたいのかもしれないが」


母性巫女 「…………」


絵本


母性巫女 「……持ってきていたのね」


波魔法少女? 「やれやれ……他に優先すべきことはあるだろうに」

波魔法少女? 「ねえ」


母性巫女 「……そうですね」

母性巫女 「本当に……」


852 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/09/15(木) 03:49:49.70 ID:juwVt3BUo


母性巫女 「Nは……」


波魔法少女? 「自室で眠っている」

波魔法少女? 「ああ、君から彼女への伝言は通っているよ」


母性巫女 「ありがとうございます」


波魔法少女? 「ああ、良いさ」

波魔法少女? 「多すぎたみたいだよ。かえって伝わらなかったかもしれない」


母性巫女 「あはは……」

母性巫女 「心配しすぎるみたいで……」


波魔法少女? 「気持ちは分かるけどね」

波魔法少女? 「……彼女から君への伝言は無い」


母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「考えるように言ったんだけれどね」

波魔法少女? 「真剣に考え込んでしまって、結局、まとまらなかったようだ」


母性巫女 「……あの子らしい」


波魔法少女? 「声に出しているかいないかの違いだけで」

波魔法少女? 「そのあたりは似たもの同士だと思うよ、君たちは」


853 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/15(木) 14:28:21.48 ID:vPKFP3KIO

すれ違いをどうにかしたいね
854 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/15(木) 23:55:01.94 ID:ym+D/nheo
乙乙
まあ物理的なすれ違いさえ解消できればなんとかなるコンビだと思うけどね
855 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/09/16(金) 01:51:53.84 ID:aBcUCwVD0
スレタイの「接待許さない」のおかげで気が休まらないよ
856 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/09/16(金) 01:52:40.06 ID:aBcUCwVD0
絶対だった
857 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/16(金) 07:34:32.73 ID:rqakaAieO
sageろks
858 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/16(金) 15:32:28.46 ID:oTx89NWZ0
絶対許さないのターンは>>716で終わっとるよ
859 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/09/16(金) 23:42:19.07 ID:aBcUCwVD0
ほんとだ!
860 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/06(木) 20:55:00.07 ID:at4oIRyOO
悪しろよ
861 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/09(日) 12:26:09.19 ID:7wLA/xlBo
最近は月一更新になっちゃって寂しい
忙しいのかな?
862 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/31(月) 14:51:19.85 ID:QODKUgruo
ついにひと月半動きがない。
今月は更新無しのまま終わってしまうのかな?
863 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/10/31(月) 16:03:40.96 ID:BGrbI0WZO
もうひとつのssも更新ないんだのなぁ
864 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/01(火) 20:54:27.32 ID:w6M0RlHQo
あと10年は完結しなさそう
865 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/08(火) 12:54:19.96 ID:KEC6cu0qo
来週で二か月だしそろそろスレが落ちそうだな
866 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/11/09(水) 17:49:34.57 ID:7ZgW9v5eo


…………


カチ コチ カチ


波魔法少女? 「……と、今の状況はこんな感じだ」


母性巫女 「ありがとうございます」

母性巫女 「耳蛇さんの、結界……」


波魔法少女? 「うん?」


母性巫女 (そういえば、あのとき私の故郷の森にも結界が……)

母性巫女 「いえ、何でもありません」


波魔法少女? 「ふむ。しかし、困ったことになったね」

波魔法少女? 「未知なる世界の接近の影響が」

波魔法少女? 「いよいよ大きくなってきているようだ」

波魔法少女? 「幸い、ここは猫くんの働きによって平穏を保てそうだが」


母性巫女 「そうですか」

母性巫女 (何か、お礼をしなくちゃいけないわね)


867 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/11/09(水) 18:10:54.09 ID:7ZgW9v5eo


波魔法少女? 「魔法を動力にしているアイテムの不具合が多発しているが」

波魔法少女? 「中でも魔動画や越境飛行船、越境望遠鏡など、界をまたぐタイプのアイテムは深刻だ」


母性巫女 「界をまたぐ……」


波魔法少女? 「たとえば魔動画は、ある世界でつくられた映像を」

波魔法少女? 「他の世界で見ることができるアイテムだ」

波魔法少女? 「君の世界でも、この世界でも、同じものを見ることができる」


母性巫女 「…………ええと」



ポワン ポワン


幼女魔王N 『わーい、■◇エンジェ●×△が始まる時間だー』


母性巫女 『こらこら、まだ身体を拭いていませんよ』


幼女魔王N 『故郷にいるときから見てたから、見逃すわけにはいかないの!』

幼女魔王N 『裸で待機よ!』


母性巫女 『あ、ちょっと、パンツくらいはいてください』


ポワン ポワン



母性巫女 「な、なるほど」


868 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/11/09(水) 18:35:03.68 ID:7ZgW9v5eo


波魔法少女? 「世界同士の交易も、もはやズタズタのようだ」

波魔法少女? 「まあ、他は不安にかられた人々が騒いで事件を起こしたり」

波魔法少女? 「混乱に乗じて他世界への侵攻を始めたり」

波魔法少女? 「それにより故郷をおわれ、やむなく他世界に侵攻したり」

波魔法少女? 「妙な詐欺事件が横行したり……」

波魔法少女? 「ほとんどは世界の住人たちが勝手に起こしたものが多いけれどね」


母性巫女 「そんなことになっているんですか」


波魔法少女? 「他の世界の存在を知っている世界の人々ほど」

波魔法少女? 「ダメージが大きいようだ」

波魔法少女? 「……君の故郷の世界では、他の世界のことは殆ど知られていないのだったね」


母性巫女 「ええ」

母性巫女 「魔王軍は異世界から来る……と言われていたけれど」

母性巫女 「よく分かっていませんでした」

母性巫女 「ああ、でも」


波魔法少女? 「うん?」


母性巫女 「まだ年少組のころですが、寝かしつけてくれた世話役のかたが」

母性巫女 「夜空の星の一つ一つに、人が住んでいるかもしれない……」

母性巫女 「なんて、話していたような」


波魔法少女? 「ほう。知らずに言っていたなら」

波魔法少女? 「なかなか想像力の豊かな人のようだね」


母性巫女 「精霊使いさま、だったかしら」

母性巫女 「……あれ、でも私、Nから聞くまで、他の世界なんて考えたことも無かったような」

母性巫女 「…………あれ?」


モヤ モヤ



波魔法少女? 「主従揃って、記憶が混線しているようだね」



869 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/11/09(水) 19:01:48.57 ID:7ZgW9v5eo


波魔法少女? 「界をまたぐアイテムの恩恵を受けていたのは、この世界も同じだ」

波魔法少女? 「まあ、もともとの住人も少ないし(というか一人だし)」

波魔法少女? 「魔動画と飛行船が使用できなくなった程度だが」

波魔法少女? 「城の修理・改造は制限されてしまうだろう」


母性巫女 「なるほど……職人さんもこちらに来られないですものね」


波魔法少女? 「まあ、できないこともないんだろうが……」


母性巫女 「はあ」


波魔法少女? 「アイテムに頼らず世界を渡る術もあるからね」

波魔法少女? 「記録魔や箒少女はアイテムに頼っていたためこの世界に閉じ込められてしまったが」

波魔法少女? 「幼女魔王Nに猫耳蛇娘、それにボクは」

波魔法少女? 「この状況にあっても世界を渡ることができる」


母性巫女 「そうなんですか」


波魔法少女? 「特別な魔法に位置づけられることもあるけれど、もしかしたら、魔法とは違うものなのかもしれないね」

波魔法少女? 「まあ、猫くんはそれすら封じることができる結界を操れてしまうのだが」

波魔法少女? 「敵としては厄介な相手だ。実際、ボクのかつての仲間たちもそれでハメ殺されてしまったようなものだし」


母性巫女 「え?」


波魔法少女? 「忘れるべき過去の話だ」



870 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/11/09(水) 19:39:47.67 ID:7ZgW9v5eo


…………

幼女魔王Nの城 廊下



波魔法少女? 「あとは大きな問題は……いや」

波魔法少女? 「話すべきじゃないのかな」


母性巫女 「?」


波魔法少女? 「気にしないでくれたまえ」


母性巫女 「はあ……」

母性巫女 「そういえば、ご飯はもう済んだんでしょうか」


波魔法少女? 「いいや」


母性巫女 「何か作りましょうか」


波魔法少女? 「ああ、それなら……」


ドタドタドタ


箒少女 「いやー、悪い悪い」


記録魔 「もう少し重く受け取っていただきたいものです!」

記録魔 「おかげで死にかけたのですよ、エリートの私が!」


箒少女 があらわれた!
記録魔 があらわれた!



871 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/11/09(水) 19:47:04.26 ID:7ZgW9v5eo


母性巫女 「箒さん、眼鏡……」

母性巫女 (何だかボロボロ……)


箒少女 「あれ、姐さん、起きてきたの」


記録魔 「では、幼女魔王Nさんは眠りについたのですね」


母性巫女 「どうしたんですか、そんなになって」

母性巫女 「怪我まで……!」


箒少女 「ああ、薬草嗅いでりゃ治るって」


記録魔 「どうもこうもありません」

記録魔 「このかたが!」


箒少女 「何だよー、よくあることじゃないかよー」


記録魔 「よくあることであるもんですか!」


ギャイ ギャイ ギャイ


母性巫女 「あの……」


波魔法少女? 「ひと狩り行ってきたのさ」


872 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/09(水) 20:27:51.32 ID:QCuWTQpNo
わーいきてる
873 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/11/09(水) 21:18:22.58 ID:7ZgW9v5eo


母性巫女 「ひと狩り?」


波魔法少女? 「ここ数日、猫くんは結界づくりを本当に頑張っていたからね」

波魔法少女? 「何か良いものでもご馳走しようというわけさ」


母性巫女 「そうですか」

母性巫女 「……耳蛇さんは今どこに?」


波魔法少女? 「部屋で寝ているよ」

波魔法少女? 「昨日まで、寝ずに作業だったのさ」

波魔法少女? 「戻ってくるなり、風呂にも入らずぐっすりさ」


母性巫女 「まあ……」


記録魔 「卑劣魔、ド貧民、人でなし!」


箒少女 「何だよお、もとはと言えばお前が言い出したんだろ」


記録魔 「人のせいにするんですか! 見損ないました!」


母性巫女 「あの、そんなに大声で……」


波魔法少女? 「いったい何があったんだい」


874 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/09(水) 21:51:54.12 ID:0C5jygl3o
更新乙
875 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/11/09(水) 22:11:58.97 ID:7ZgW9v5eo


箒少女 「いやさあ、あんたに言われた材料集めてたんだけどさあ」


波魔法少女? 「ああ」

波魔法少女? 「駄目だったのかな」


記録魔 「この人のせいです」


箒少女 「だからさあ、わざとじゃないって」

箒少女 「いやね、ほとんど全部集めたんだけど……」



記録魔 は 戦利品をひろげた!



ジャラ


砂ミミズの胃袋×50
妖精の粉
レッドキャップの火酒×5
太陽の葉
エルフの葉
パルガタスの葉


波魔法少女? 「へえ、よく集めている」

波魔法少女? 「思ったより時間がかかると思ったが」

波魔法少女? 「さて、他には……」



寄生蜘蛛の胎児
寄生蜘蛛の脚
卵スライムの卵
火のスピリットの燃えカス
焦げた蛇の林檎


母性巫女 (よく分からないものがいっぱい……)


876 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/11/09(水) 22:20:17.28 ID:7ZgW9v5eo


箒少女 「うげ、卵スライムの卵、持ってきちゃったのかよ」


記録魔 「これは調理するととても美味しいのですよ」

記録魔 「私が通う八つ星レストランでも前菜として出てきます」

記録魔 「あなたのような人が知らないのも無理はありませんけど」


箒少女 「貴族って舌が腐ってんじゃねえの?」


記録魔 「このスラム舌!」


波魔法少女? 「なるほど、あはははは……」


母性巫女 「?」


波魔法少女? 「足りないのは蛇の林檎と精霊の火だが」

波魔法少女? 「これが、なれの果てかな」



火のスピリットの燃えカス
焦げた蛇の林檎


877 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/11/09(水) 22:31:51.83 ID:7ZgW9v5eo


母性巫女 「あの、これでいったい何を」


寄生蜘蛛の脚


波魔法少女? 「それは使わない」

波魔法少女? 「蛇くんは酒が好きだっただろう」

波魔法少女? 「どうせなら、普段彼女が飲まないような酒を、と思ってね」


母性巫女 「なるほど」


波魔法少女? 「ちょっと洒落をきかせて林檎の酒を」

波魔法少女? 「それに合う葉巻きも添えて……と思ったんだが」


母性巫女 「洒落……」


波魔法少女? 「大のウワバミだけにね、蛇というわけさ」

波魔法少女? 「しかし、どうしようか」

波魔法少女? 「これでは、葉巻はつくれるが、肝心の酒ができない」

波魔法少女? 「妖精の飲み残しが入った瓶しかできない」


878 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/11/09(水) 22:40:37.80 ID:7ZgW9v5eo


記録魔 「あのときあなたが」


箒少女 「それを言うならお前が」


イガミガミ


母性巫女 (二人とも汚れだらけ。お風呂に入れたい……)


波魔法少女? 「何があったんだい」

波魔法少女? 「起きてしまったことはは変わらないが」

波魔法少女? 「教えておくれ」


記録魔 「この人が蛇の林檎を……」


箒少女 「こいつが精霊の火を……」


母性巫女 「二人とも、落ち着いて」


記録魔 「あなたの非常識な胸よりは落ち着いています!」


波魔法少女? 「落ち着きたまえ」


箒少女 「葉っぱ三種類まではとれてさあ、砂ミミズがしんどかったけど」

箒少女 「最後に、蛇の林檎を取りに行ったんだよ」


879 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/11/09(水) 22:48:24.12 ID:7ZgW9v5eo


母性巫女 「林檎を……」


波魔法少女? 「ただの林檎じゃない」

波魔法少女? 「暗い魔力の淀んだ場所になるという、霊的な林檎だ」

波魔法少女? 「死霊が巣食う森になっていることが多いね」


母性巫女 「そんなものが……」

母性巫女 「あら、この世界にそんな場所ありましたっけ」

母性巫女 「ここにあるものも、この世界ではとれないようなものばかりだし」


記録魔 「フフン、何も分かっていないんですね!」

記録魔 「界境の淀みのことも知らないなんて!」


母性巫女 「ごめんなさい」


箒少女 「こいつ、道中でも何か尋ねるたびにこればっかりでさあ」

箒少女 「ぜったい友達がいないよなあ」


記録魔 「余計なお世話です!」

記録魔 「それに、あなたはものを知らなすぎます!」


880 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/11/09(水) 23:12:41.45 ID:7ZgW9v5eo


母性巫女 「界境の淀み……」

母性巫女 「Nの魔王マニュアルによるとたしか、第三大世界同盟に所属するたくさんの世界をもとにつくられた」

母性巫女 「人工の異世界」

母性巫女 「訓練や交流、素材集めに利用できるとか……」


波魔法少女? 「人工とは断言できない」

波魔法少女? 「なりたちからして不明の、あきらかに現存する魔法技術ではつくることのできないものだ」

波魔法少女? 「これを研究する上で、新たに発見された魔法も多い」

波魔法少女? 「多くの人々が数百年単位で謎に挑んでいるが」

波魔法少女? 「誰が、いつ、どんな目的でつくったか分からない。自然物なのかもしれない」

波魔法少女? 「ボクも迷宮をつくったことはあるが、二つの迷宮を重ねるだけで精一杯だったなあ」


母性巫女 「は、はあ……」


波魔法少女? 「界境の淀み……第三大世界同盟(笑)はそう呼んで利用しているが」


記録魔 「今、笑いませんでしたか!」


波魔法少女? 「ボクはいつでも微笑み顔さ」


記録魔 「憫笑や嘲笑の類でしたが」


波魔法少女? 「呵呵大笑してほしいのかい?」


記録魔 「ムキー! 私を誰だと……」


箒少女 「相手考えずに噛み付くのやめとけって」


881 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/11/09(水) 23:46:17.81 ID:7ZgW9v5eo


波魔法少女? 「界境の淀みはつくられたものでなく」

波魔法少女? 「発見されたものだ」

波魔法少女? 「そこへ行く方法が確立されるまでは、偶然迷い込むしかなかった」

波魔法少女? 「その性質から、黄金郷とか、夢の世界とか呼ばれていた」


母性巫女 「へええ」

母性巫女 (……あら?)


波魔法少女? 「……界境の淀みをある程度制御できるようにしたのは、謎の学者という名前の」

波魔法少女? 「ある世界の人型の女性だったそうだ」

波魔法少女? 「第三大世界同盟も、その技術を流用しているに過ぎない」

波魔法少女? 「鍵と鍵穴として」


母性巫女 「……それは、未知の世界接近の影響は受けないんですか?」


波魔法少女? 「そこが、猫くんのすごいところだね」

波魔法少女? 「結界ができる前はむしろ、界境の淀みへの接続は不安定だった」

波魔法少女? 「それを安定して繋げられるように、結界に細工をしたんだ」

波魔法少女? 「ああ見えて彼女は考えている」

波魔法少女? 「淀みの利用が可能ならば、この状況でもできることの幅は広くなる」




882 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/11/10(木) 00:02:04.09 ID:aHDHjp82o


記録魔 「ま、まあ、ちょっとした褒美をとらせるに値する働きではありましたね」


箒少女 「失敗したけどな」


記録魔 「だから、それはあなたが……!」


波魔法少女? 「蛇の林檎を……だったね」


箒少女 「うん」

箒少女 「林檎は、あるにはあったんだよ」

箒少女 「そこがさ、リッツだっけ……あの臭そうなローブ着込んだ骸骨の」


記録魔 「リッチです!」

記録魔 「死霊系のモンスターとして危険リストにも登録されている!」


箒少女 「そーそー、そいつそいつ」

箒少女 「何か、その辺がそいつらの縄張りになっててさあ」


波魔法少女? 「なるほど」


母性巫女 「リッチ……」


波魔法少女? 「暗い森に群れで潜むモンスターさ」

波魔法少女? 「自作の杖を持ち、魔法使いのように魔法も使う」

波魔法少女? 「その杖のつくり方が、なかなか素敵でね」


母性巫女 「あら」


波魔法少女? 「女性の、とくに人型の女性の魔力を利用するんだけれど」

波魔法少女? 「まあ……間違っても彼らに捕まらないようにすべきだね」

波魔法少女? 「女性としても生き物としても、辱められた挙句に終わりだ」


母性巫女 「…………っ」


ザザ ザ


毛玉触手 『キャハハハハ』


ザ ザザ


母性巫女 「うぅ……」


波魔法少女? 「……忘れなくては、やってられないよ」


883 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/11/10(木) 00:12:41.95 ID:aHDHjp82o



母性巫女 「ハアッ……ハアッ……」

母性巫女 (思い出したくないのに……息が苦しい、怖い……)


波魔法少女? 「そう忘れられるものでもないか。勇者級の力と精神力を有しても、女性としては君は未熟のようだからね」

波魔法少女? 「大丈夫かい」


母性巫女 「え、ええ。大丈夫です、続けて……」


ポヨン フルルン 


記録魔 「……チッ」


箒少女 「うっそだあ」


波魔法少女? 「身体的な性徴の話じゃない」

波魔法少女? 「それで?」


記録魔 「私が、エリートたる私が、ピコピンと閃いたのです」


箒少女 「どこの軍師だよ」

箒少女 「まあ、でもそうだよ、閃いたわけ」

箒少女 「一人が囮になって、その隙にもう一人が林檎をとるって」


884 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/11/10(木) 00:22:49.26 ID:aHDHjp82o


波魔法少女? 「それは、ずいぶんと思い切ったね」

波魔法少女? 「失敗すればただでは済まないどころでは無い」

波魔法少女? 「それで?」


箒少女 「記録魔をリッチの群れに向けてぶん投げた」


母性巫女 「え……」


箒少女 「そしたらさあ、こいつ、なんか喚き出して」

箒少女 「持ってたアイテムを手当たり次第にぶん投げだしてさあ」

箒少女 「その拍子に精霊の火が何かに燃え移ってドカーンってなわけ」

箒少女 「他の頼まれてた素材は奇跡的に無事だったけど」

箒少女 「攻撃用のも回復用のも、アイテム全部吹っ飛んだんだぜ?」


波魔法少女? 「…………」


母性巫女 「…………」


記録魔 「さも私が悪いみたいに!」


箒少女 「いや、だから、いきなり投げたのは謝ってるじゃん」

箒少女 「ごめん」


記録魔 「違うでしょう! そこではないでしょう!」


885 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/11/10(木) 00:37:30.53 ID:aHDHjp82o


記録魔 「なぜ私が囮役なんですか!」


箒少女 「はあ!? じゃあ何だよ、オレが囮になるべきだったってのかよ」


記録魔 「当たり前でしょう」

記録魔 「私はエリートですから!」

記録魔 「あそこは、あなたが囮になるべきでしょう!」

記録魔 「それに、あなたには年少者に対する母性などは働かないのですか!」

記録魔 「なんてガサツなんでしょうか!」


箒少女 「うわー、こんなときだけ子供の部分出してきやがって」

箒少女 「嫌だよ!」

箒少女 「残りの一生を、股と口にクネクネしたぶっとい枝を大量に詰め込まれて過ごすなんて!」


記録魔 「私もです!」


箒少女 「お前そういうの好きそうじゃん!」


記録魔 「はあっ!?」



ギャア ギャア



母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「………ははは」


886 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/10(木) 01:42:59.92 ID:G5bJ4SyRo
更新乙
887 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/11/10(木) 02:34:13.33 ID:aHDHjp82o


記録魔 「まったく……戦闘専門でない私たちにとって生命線である攻撃・回復アイテムを失っては」

記録魔 「安心して採取を続行できませんので、こうして帰還したのです」


箒少女 「そういうこと」

箒少女 「まあ卵スライムくらいならオレ程度の魔法でも楽勝で狩れるけどね」


波魔法少女? 「ご苦労様だったね」

波魔法少女? 「ところで……」


箒少女 「ああ、持ってきたよ」



ドサ


分厚い塩漬け肉
ぷりぷり魚介肉
ふかふか白パン
やわらかチーズ
みずみずしい野菜
………



箒少女 「へっへへ、今日の食料でござい」


母性巫女 「あら、おいしそう」


波魔法少女? 「おや、狩ったものにしては見ばえが良いね」


箒少女 「いやあ、攻撃アイテムをなくしたあとだからね」

箒少女 「淀みにある町の市で買っちゃった」


記録魔 「どれもこれも、安物ばかりです」

記録魔 「高級食材しか口にしないのですが、事態が事態なのでしかたありません」



888 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/11/10(木) 02:55:50.91 ID:aHDHjp82o


箒少女 「トガってんねー。まあ、これでも丸くなった方か」

箒少女 「成長したもんだ。うん、うん」


記録魔 「あなたに成長を認められても、ひとつも嬉しくありませんが」


波魔法少女? 「ふむ、淀みは未知の世界接近の影響がないのかな……」

波魔法少女? 「しかし、淀みに町……か」


ブツブツブツ


母性巫女 「波さん?」


箒少女 「どうかした? あ、やっぱり買ったやつじゃ風情ない?」


波魔法少女? 「いや、そんなことはないよ」

波魔法少女? 「しかし、少し思い出してね」

波魔法少女? 「ほかにもそんな世界があったな、と」

波魔法少女? 「商人の町……糸の街に、空の茨に……」

波魔法少女? 「どの大世界に属しているか分からない、所在不明の世界が」


母性巫女 「はあ……」

母性巫女 「不思議なことが多いんですね、世界には」


波魔法少女? 「目を向けてみればね」

波魔法少女? 「そして誰にとってもでもある」

波魔法少女? 「千の世界を見てきた賢樹にとっても」

波魔法少女? 「故郷の世界を出てきたばかりの君にとっても」


889 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/11/10(木) 03:30:36.41 ID:aHDHjp82o


波魔法少女? 「世界の外側を知った君が」

波魔法少女? 「君の価値観が、どう変化していくのか、あるいはしないのか」

波魔法少女? 「その末にどんな選択をするのか、心配で興味深くもあるが」

波魔法少女? 「まずはご飯にしようじゃないか」

波魔法少女? 「不足分の素材についてもそれからだ」


母性巫女 「……そうですね」

母性巫女 「おいしそうな材料もありますし」

母性巫女 「さっそく準備しましょう」

母性巫女 「その間に、二人はお風呂に入っていてください」


箒少女 「よっしゃー、さっぱりするぜー。いくぞ記録魔隊長!」


記録魔 「ああ、ちょっと抱えないでください! 自分で歩けます! 飛べます!」


スタ スタ スタ


母性巫女 (眼鏡さんが隊長だったんだ……)


箒少女 「あ、肉! 肉は何ていうか、弾けるほどバッチバチのプリップリに焼いて!」


記録魔 「ジューシーで良いのでは」


箒少女 「そーそー、ジューシージューシー!」


記録魔 「きゃあ! 振り回すな! おろしなさいと言っているのです!」

記録魔 「……野菜は酸っぱいものは甘く。苦いものも甘めにです!」

記録魔 「湖アルラウネの蜜を使うのです!」

記録魔 「そうしたら食べてあげます!」


母性巫女 「は、はーい!」


記録魔 「ああ、おろせと言っているでしょう!」


箒少女 「あっはっは、アヒル隊長は持ったかー!」


ドタ バタ スタ スタ


母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「やれやれ、注文の多い人たちだ」


母性巫女 「うふふ、ええ」


波魔法少女? 「母性巫女くん」


母性巫女 「はい」


波魔法少女? 「デザートはパレとシュークリームだよ」


母性巫女 「あはは……」


890 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/11/10(木) 04:03:49.30 ID:aHDHjp82o


母性巫女 「……眼鏡さん」


波魔法少女? 「うん? 眼鏡くんこと記録魔がどうかしたかい」


母性巫女 「何だか柔らかくなったような」


波魔法少女? 「ああ……とくに君にはきつく当たっていたっけね」

波魔法少女? 「何事も相性というものがある」

波魔法少女? 「色々なタイプの他者と出会うことで」

波魔法少女? 「その人の、自分でも気付かなかったような色々な面が出てくるのだろう」

波魔法少女? 「良い面も、悪い面も」


母性巫女 「そうですか……そうですね」


波魔法少女? 「母性巫女くんと幼女魔王Nの相性は、どうなのだろうね」


母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「……どうだったのだろうね」

波魔法少女? 「二人の関係については、この城にいるときからしか知らないから分からないが」


母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「何事もなく元通り……にはいかないのかな」

波魔法少女? 「さて、どうなることやら」



891 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/11/10(木) 04:34:56.97 ID:aHDHjp82o


…………


幼女魔王Nの城 厨房



フツフツ ジャッジャッ

グツグツ



母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「やあ、良いにおいだ」

波魔法少女? 「嫌でもお腹がすくね」


母性巫女 「あはは……」

母性巫女 「味見、お願いします」


波魔法少女? 「ん……モグモグ」

波魔法少女? 「うん、おいしい」


母性巫女 「ええ。二人とも、良いものを買ってきてくれました」

母性巫女 「野菜がシャキシャキと……」


波魔法少女? 「ボクはチーズが好きだね」

波魔法少女? 「……と、ふむ」


母性巫女 「?」

母性巫女 (人差し指を曲げて口に添えた。波さんが考え込むときの仕草ね)


892 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/11/10(木) 04:54:22.77 ID:aHDHjp82o


母性巫女 「波さん?」


波魔法少女? 「……しまった」

波魔法少女? 「扉を閉じるのを忘れていた」


母性巫女 「え?」


波魔法少女? 「いや、界境の淀みへの扉だ」

波魔法少女? 「行きはピンクちゃ……幼女魔王Nが開いたんだけど」

波魔法少女? 「……彼女が眠った今、どうしようか」


母性巫女 「ええっ」

母性巫女 「あの、たしか扉を閉じないと……」


波魔法少女? 「滅多にないけれど、向こう側の人やモンスターがやってくることがある」


母性巫女 「……どうしましょう」


波魔法少女? 「閉じるしかない」


母性巫女 「しかし……」


グツ グツ フツフツ


母性巫女 「料理が……料理の途中です!」


波魔法少女? 「料理どころの話ではないけれど」


893 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/11/10(木) 05:31:27.14 ID:aHDHjp82o


…………


玉座の間



波魔法少女? 「……良かった。まだ異常なことは起きていないようだ」


母性巫女 「あはは、何が異常で何が正常やら……」

母性巫女 「床に、扉……締まっているようだけれど」



界境の鍵穴B



波魔法少女? 「これは開いている状態なんだ」

波魔法少女? 「鍵をかけることで、完全に閉じることができる」

波魔法少女? 「鍵は……幼女魔王Nが持っているんだけれど」


母性巫女 「N……」


ガク ガク


母性巫女 (駄目だわ、体が勝手に震えて……)


波魔法少女? 「……ボクが探してこよう」

波魔法少女? 「見張っていてくれ」


母性巫女 「はい。火を止めてきたと言っても心配ですし」


波魔法少女? 「料理じゃない。ここだ」



894 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/11/10(木) 05:43:03.00 ID:aHDHjp82o


…………


チュン チュン チチチ


母性巫女 「…………」

母性巫女 (N……)

母性巫女 (魔王と言っても、私の知っていた魔王とは、全然違うみたい)

母性巫女 (森で一緒に暮らしていたときのあの子は)

母性巫女 (たぶん、嘘じゃなかったのね)

母性巫女 (なんとなく分かる気がするけど、でも)

母性巫女 (だからって、私は一度は殺されてしまって、故郷まで……)


キラリ


母性巫女 「……あら?」


玉座Lv.1


母性巫女 「玉座に……」


蛇の林檎


母性巫女 「ひとつだけ、林檎の実がなっている?」

母性巫女 「林檎の木には見えないけれど……」


ススススス


波魔法少女? 「やあ、あったよ」


淀みの鍵B


母性巫女 「……あ、波さん」


波魔法少女? 「? どうしたんだい」


母性巫女 「いえ、ここに林檎がなっていて」


波魔法少女? 「うん?」

波魔法少女? 「これは……」


蛇の林檎


波魔法少女? 「……驚いた」


895 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/11/10(木) 05:55:27.27 ID:aHDHjp82o


母性巫女 「玉座に林檎なんて、不思議だと思って」

母性巫女 「何か特別な意味が……」


波魔法少女? 「えい」


ブチ



蛇の林檎 を手に入れた!
 


母性巫女 「ええーっ?」


波魔法少女? 「箒くんたちに頼んでいた、蛇の林檎だよ」


母性巫女 「それが……」

母性巫女 「滴るような赤と、爽やかな緑が交互に……」


波魔法少女? 「蛇が巻きついているみたいだろう」

波魔法少女? 「こんなところになっているとはね」

波魔法少女? 「玉座は木で出来ているようだが、さて」


母性巫女 「林檎の木には見えないのだけど」


波魔法少女? 「ああ、蛇の林檎はちょっと変わったなりかたをするからね」

波魔法少女? 「リッチの杖でも使っているのかな」

波魔法少女? 「まあ、とにかく、予期せぬかたちで蛇の林檎が手に入ったわけだ」

波魔法少女? 「あとは精霊の火だけだね」

波魔法少女? 「母性巫女くん、これを」


淀みの鍵B


母性巫女 「鍵……これで扉に鍵をかけるんですか」


波魔法少女? 「ああ。君がやってみたまえ」

波魔法少女? 「ボクはなるべく部外者でいるべきだろうからね」


母性巫女 「分かりました。ずいぶん助けてもらっている気もしますけど」


波魔法少女? 「さてね、気のせいさ」


896 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/11/10(木) 07:26:47.05 ID:Qtw69Zh5O
糸の町のssも更新たのむよ
897 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/10(木) 09:10:28.13 ID:C4b5uLNxO
898 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/10(木) 11:51:11.44 ID:4tyo6lZO0
ジューシーって言われるより弾けるほどバッチバチのプリップリって言われる方が美味しそうだな
これが才能か
899 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/11/25(金) 03:14:59.05 ID:pW0LNsONo


母性巫女 (鍵を鍵穴に差し込んで……)


……ガチャ


母性巫女 (回す方向は私の故郷と一緒なのね)

母性巫女 「……!」


キイイイ ボワン


母性巫女 (扉が消えて、鍵穴のある金属の板が残った……)

母性巫女 「終わりしょうか」


波魔法少女? 「……うん」

波魔法少女? 「これで、淀みから魔物が来ることもないだろう」

波魔法少女? 「さてと、それじゃあ朝……」


母性巫女 「……あら?」


キョロ キョロ


波魔法少女? 「? どうしたんだい、きょろきょろして」


母性巫女 「いえ……」

母性巫女 「何か、変な気配が……」


900 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/11/25(金) 03:17:27.64 ID:pW0LNsONo


>>899 訂正ごめんなさい




母性巫女 (鍵を鍵穴に差し込んで……)


……ガチャ


母性巫女 (回す方向は私の故郷と一緒なのね)

母性巫女 「……!」


キイイイ ボワン


母性巫女 (扉が消えて、鍵穴のある金属の板が残った……)

母性巫女 「終わりでしょうか」


波魔法少女? 「ああ、お疲れさま」

波魔法少女? 「これで、淀みから魔物が来ることもないだろう」

波魔法少女? 「さてと、それじゃあ朝……」


母性巫女 「……あら?」


キョロ キョロ


波魔法少女? 「? どうしたんだい、きょろきょろして」


母性巫女 「いえ……」

母性巫女 「何か、変な気配が……」


波魔法少女? 「…………」

波魔法少女? 「残念ながら、うまくやったようだ」


母性巫女 「え?」


波魔法少女? 「……うん? 何か言ったかい?」



901 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/11/25(金) 03:38:22.57 ID:pW0LNsONo


母性巫女 「い、いえ」


波魔法少女? 「早く戻ろう。朝食の準備の途中だったろう」


母性巫女 「え、ええ。でも」

母性巫女 「もしかしたら、もう淀みからモンスターがお城に出てきたのかも……」


波魔法少女? 「…………」


母性巫女 「…………スウウ」


母性巫女 の精神統一!
城内に張り巡らされた炎の糸 が 敵を探し出す!


波魔法少女? 「……へえ、糸状にした火を」


母性巫女 「何かあったときのために、張っておいたんです」

母性巫女 「あまり得意じゃなくて……穴も多いのだけど……」


波魔法少女? 「立派なものだ」

波魔法少女? 「……火か」


母性巫女 「火の精霊さまと心を重ねて、感覚も一緒に……」

母性巫女 「…………」


ムズ ムズ


波魔法少女? 「どうしたんだい、むず痒そうだけれど」


母性巫女 「服がくすぐってくて……」


波魔法少女? 「うん?」


母性巫女 「精霊さまとの交信は感覚を研ぎ澄ませるせいか」

母性巫女 「その、肌が敏感になって……」

母性巫女 「いつもは服を着ないでするんだけど……」


クネ モゾ

フヨン


波魔法少女? 「着るにしろ着ないにしろ、男性にとっては目の毒になりそうだね」



902 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/11/25(金) 03:53:19.52 ID:pW0LNsONo


ピクンッ プルッ

クネ ビクン


母性巫女 「……ふう」


波魔法少女? 「終わったのかい?」


母性巫女 「はい」

母性巫女 「とりあえず、Nのまわりに危険は無いみたい……」


波魔法少女? 「へえ。それだったら近づけたわけか」


母性巫女 「え、ええ……なんとか」


ブルブル


波魔法少女? 「母は強し、といったところかな」


母性巫女 「そんな……」


波魔法少女? 「一度は自分を殺した者をそこまで気遣うなんて」

波魔法少女? 「赤の他人とはいかないだろう」


母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「まあ、割り切れないものだろうけれど」

波魔法少女? 「……一度殺してしまってすっきりすると良いんじゃないかな」


母性巫女 「え……」


波魔法少女? 「幼女魔王N……というか魔王は不滅の存在だ」

波魔法少女? 「特定の方法を除いて、完全に消滅させることはできない」

波魔法少女? 「何度殺しても生き返る」

波魔法少女? 「つまり、何度でも殺せる」


母性巫女 「だめです!」


波魔法少女? 「もちろんだとも」

波魔法少女? 「しかし、何らかのけじめのようなものが必要だと思うけれどね」

波魔法少女? 「君にとっても、彼女にとっても」


903 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/11/25(金) 04:00:17.30 ID:pW0LNsONo



波魔法少女? 「お互いに一度ずつ殺し合ったから水に流せる」

波魔法少女? 「なんて話ではないのだろうけれどね」


母性巫女 「…………」


波魔法少女? 「さあ、朝食にかかろうじゃないか」


母性巫女 「……ええ」

母性巫女 「でも、だったらさっきの気配は……」


波魔法少女? 「勘違いじゃないかな」

波魔法少女? 「君も完璧ではないのだろう?」


母性巫女 「……うーん」


テク テク テク


波魔法少女? 「…………」


904 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/25(金) 06:56:18.48 ID:fGKuC7OOo
更新乙
905 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/30(水) 18:57:56.57 ID:4FU8s1aco
おつんこ
906 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/12/17(土) 06:55:50.87 ID:pKdhoMRlo


…………


幼女魔王Nの城 厨房前



テク テク テク


波魔法少女? 「ところで、鍋を火にかけたままだったりしないかい?」

波魔法少女? 「オチとして、よくあることだからね」


母性巫女 「あはは、ちゃんと消してきましたよ」

母性巫女 「さあ、みんなが来るまでに急いでつくらなきゃ……」


ガチャ キイイ




……カチャカチャ パクパク



桃髪の女 「……ああっ、社長ずるい! それ私も食べたいのに! ガツガツ」


しゃべるイタチ 「モグモグ……だまらっしゃい!」

しゃべるイタチ 「なあに、心配せずとも、あっしは小さいイタチ。どうせ、お前の分もたくさん残りやすよ」


桃髪の女 「社長、食べ方汚いじゃないですかあ……ゴクゴク」


しゃべるイタチ 「何を贅沢なことを……ゴクン……」

しゃべるイタチ 「こうやって無事におまんまにありつけるだけ、ありがたいってもんです」


桃髪の女 「そうですけどぉ」


しゃべるイタチ 「もとはと言えば、お前が段取りを間違ったから、こんな真似をしてるんでやすよ」


桃髪の女 「あ、社長ずるい。そうやってまた部下のせいにして」


ペチャクチャ ガツガツ

モグモグモグ……




母性巫女 「…………」

母性巫女 (おかしな二人組が、つくりかけの料理を食べている……)



907 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/17(土) 07:09:10.18 ID:3sjLednLo
更新乙
908 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/12/17(土) 07:09:39.26 ID:pKdhoMRlo


ガツガツ ゴックン

ペロペロ バリバリ



桃髪の女 「モシャモシャ……でも助かりましたよねえ」

桃髪の女 「詐欺がばれて淀みに落とされて、あてもなく三日三晩さ迷い」

桃髪の女 「でっかい魔物に襲われたときは、もう駄目かと思いましたよ」


しゃべるイタチ 「あっしの日ごろの行いのなせる……というやつですよ」


桃髪の女 「日ごろの行いのせいで、こうなったんじゃ……」

桃髪の女 「でも、大丈夫でしょうか。こんなお城の料理を勝手に食べて」


しゃべるイタチ 「だから、さっさと食ってずらかるでやすよモグモグチュウチュウ」

しゃべるイタチ 「……なあに、大丈夫大丈夫。こんなボロっちくて小さい城」

しゃべるイタチ 「たいしたのは住んじゃいやせん」

しゃべるイタチ 「見つかったら逆に、田舎者に商品をお高く売りつけてやりやす」


桃髪の女 「こりないんだものなあ……シャブシャブレロレロ」


ガツガツガツガツ



母性巫女 「…………」

母性巫女 「…………」

母性巫女 「……あの」



イタチ・桃髪 「どぴゃあっ!?」




909 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/12/17(土) 08:02:13.60 ID:pKdhoMRlo


波魔法少女? 「おやおや。いつの間に入ったのかな」


母性巫女 「外からかしら……。でも、耳蛇さんの結界があると入れないはずだし……」



桃髪の女 「ど……どどど、どうしましょう」

桃髪の女 「きっとこの城の人たちですよ」


しゃべるイタチ 「お、落ち着きなせい。おかしいでやすね、索敵アラームは動いていたはずなのに」


桃髪の女 「いんちきアイテムだったんじゃないんですかぁ……日ごろの行いが悪いから……」


しゃべるイタチ 「まま、まあ、良いでやす。まだ手はありやす」


桃髪の女 「手?」


しゃべるイタチ 「じつはこの厨房を発見する前、違う部屋に入ったとき」

しゃべるイタチ 「その部屋で女の子が寝ていたのを見つけたでやすよ」


桃髪の女 「ええっ! どうしてそんなこと黙っていたんですか」


しゃべるイタチ 「だまらっしゃい! まだ続きがありやす」

しゃべるイタチ 「その女の子の髪は、ちょうどお前と同じようなピンク髪だったんでやすよ」


桃髪の女 「ピンク髪って言わないでくださいよぉ。春色っ、春色の桃色ですよ」

桃髪の女 「桃色の髪は珍しいし、普通の髪よりお手入れが大変なんですからね……」


しゃべるイタチ 「ええい、だまらっしゃい!」

しゃべるイタチ 「良いでやすか、お前はその女の子の遠い遠い親戚ということにするでやす」

しゃべるイタチ 「……お前の家と女の子の家は、何十代も前に、あるアイテムを渡す約束をしていたのでやすが」

しゃべるイタチ 「長い年月の間に忘れ去られていたところ、お前の父親が、約束の記された書物とともにあのアイテムを倉の隅から掘り起こしやした」


桃髪の女 「ふむふむ」


しゃべるイタチ 「しかし、そのときすでに、お前の父親は余命わずか」

しゃべるイタチ 「父親はお前に、居場所は分からないがこれを届けてくれと泣きながら頼んだのでありやす」

しゃべるイタチ 「人一倍親孝行なお前は、そしてアイテムを手に故郷をあとにし、数多の危機に見舞われながらも旅を続けやした」


桃髪の女 「ほうほう」


しゃべるイタチ 「手がかりがまったく掴めないまま歩き続けたある日、ふと立ち寄った町で、お前は自分と同じ髪の色の女の子の噂を耳にしやす」

しゃべるイタチ 「女の子がこの城で暮らしているという噂にすがる思いで、お前は飛行船に乗り込みやすが、運悪く途中で飛行船が事故にあい遭難」

しゃべるイタチ 「落ちたのはどことも知れぬ谷の底、食料もない。それでも父親への想いと旅の途中で出会った頼りになる相棒を支えに」

しゃべるイタチ 「なんとかたどり着いたのでやす」

しゃべるイタチ 「しかし、飲まず食わずの日々ももう限界。ああ、もはやここまでと思ったそのとき、おいしそうな料理が目の前に……」

しゃべるイタチ 「………という感じでいきやしょう」


桃髪の女 「……グウ」


910 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/12/17(土) 08:17:22.89 ID:pKdhoMRlo



母性巫女 「……丸聞こえ」


波魔法少女? 「すごいね。普通、ここまで長く堂々とはやらないよ」





しゃべるイタチ 「……ええい、なにを寝てるでやすか!」


桃髪の女 「ひゃっ!? ……あ」

桃髪の女 「ね、寝てません。寝てませんよ!」


しゃべるイタチ 「ったく……もう一回言うから良く聞くでやすよ」


桃髪の女 「社長の話は長いんですよぉ……」


ヒソ ヒソ



母性巫女 「…………」

母性巫女 「……あの」


桃髪の女 「……ああ! 申し訳ありません!」


ガタッ


桃髪の女 と しゃべるイタチ の 土下座!


母性巫女 「!?」


桃髪の女 「話せば長くなるのですが、私、はるか遠くの世界より、ある使命のために旅をしてきました!」

桃髪の女 「しかし、不運が重なり、極めつけに、乗り込んだ越界飛行船が墜落」

桃髪の女 「もう何十日も飲まず食わずだったのでございます!」

桃髪の女 「それで、こんな無礼なまねを……」


母性巫女 「……え、ええと」


波魔法少女? 「あの桃髪の女の子は君の遠い親戚ではないよ」


桃髪の女・しゃべるイタチ 「あれえ!?」



911 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/12/17(土) 08:31:30.79 ID:pKdhoMRlo


ヒソヒソ


桃髪の女 「ど、ど、どうしましょう社長」

桃髪の女 「なんだかばれていますよ!」


しゃべるイタチ 「落ち着きなせい。ここは食い下がるんでやんすよ」


桃髪の女 「わ、わかりました!」


ヒソヒソ




桃髪の女 「……で、ですが、噂ではこの城に私と同じような桃色の髪の……」


波魔法少女? 「あの子に肉親はいない」


桃髪の女 「い、いえ、ですがもしかしたら……」


波魔法少女? 「今現在いないとか、見つかっていないとかじゃない」

波魔法少女? 「いないし、いたこともない。絶対にいない」

波魔法少女? 「あの子には今も昔も、誰一人肉親はいない」


母性巫女 (……波さん?)


しゃべるイタチ 「……い」

しゃべるイタチ 「いやいや、もーう、意地悪でやんすねお姉さん」

しゃべるイタチ 「誰だって親の一人や二人くらい……」


波魔法少女? 「いない」

波魔法少女? 「あの子は誰からも生まれていない」

波魔法少女? 「あの子はそういうものだ」

波魔法少女? 「この世界の魔王はそういう生き物だ」


しゃべるイタチ 「……まっ、まま」


桃髪の女 「魔王……!?」


母性巫女 「…………」


912 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/12/17(土) 08:47:56.39 ID:pKdhoMRlo


桃髪の女 「ま、魔王、魔王ですってよ社長!」

桃髪の女 「ということは、この人たちは魔王の手下!?」

桃髪の女 「血も涙も無い、残虐非道の!」


しゃべるイタチ 「う、うーむ、まさかこのボロ城が、統治者、しかも魔王の城だったとは」

しゃべるイタチ 「この嘘イタチ、一世一代の大ピンチ……」


桃髪の女 「どどど、どうしましょう、私たち、私、モンスターの慰み者にされちゃう!?」


しゃべるイタチ 「ええーい、落ち着きなせい! こういうときこそ冷静になってよく考えるでやす!」

しゃべるイタチ 「考えろー、考えろー……」

しゃべるイタチ 「……そうだ。なにも本当に魔王だとは限らないのでは……?」



母性巫女 「あの……」



しゃべるイタチ・桃髪の女 「は、ははー!」



ガバ

しゃべるイタチ と 桃髪の女 の 土下座!



母性巫女 「!?」


しゃべるイタチ 「申し訳……申し訳ありませんでしたあ!」


桃髪の女 「謝る! 誠心誠意謝るんですね! それが社長がよく考えた結果なんですね!」


母性巫女 「……ええと……」


波魔法少女? 「おや、怖がらせすぎたかな」


母性巫女 「そ、そうですね」

母性巫女 (出まかせだったのかしら。そうよね)

母性巫女 「……あの、二人とも」


しゃべるイタチ 「どうか、どうかお許しを!」


桃髪の女 「魔王さまには言いつけないでえ」


母性巫女 「ええと……」

母性巫女 「とりあえず、何か料理を作りましょうか」


しゃべるイタチ 「料理! 料理だけはご勘弁!」


桃髪の女 「食べないでえ……! 私、まだ処女だからおいしくないですよぉ……」


母性巫女 「……あ、あはは」

母性巫女 「どうしよう……」



913 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/17(土) 21:16:46.42 ID:8whBwxNco
よし、いただこう
914 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/12/19(月) 17:56:51.83 ID:2v/vFkXmo


…………


幼女魔王Nの城 食堂



ガチャ


箒少女 「いやー、気持ちよかった」

箒少女 「やっぱり広い風呂は良いよなあ」


記録魔 「たしかに、まあまあのお湯であったことは認めてあげますが、私に言わせてもらえば狭いくらいですね」


箒少女 「おおっと、またまた出ました、記録魔ちゃんのお友だち消滅発言」

箒少女 「さあて、ごはんごはん……」

箒少女 「ん?」



ガツガツ モグモグ


桃髪の女 「うーん、おいしい、このサラダ!」


しゃべるイタチ 「さすがは宮廷料理! いくらでも食べられますな!」

しゃべるイタチ 「これをお一人でお作りになられた!? いやー、母性巫女さまは、まさにこの城の宝でらっしゃる!」


母性巫女 「あ、ありがとうございます……」




箒少女 「……イタチがいるぜ?」


記録魔 「みすぼらしいイタチがいますね」



915 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/12/19(月) 18:20:38.49 ID:2v/vFkXmo



しゃべるイタチ 「……ときに、実はわたくし、さる世界にてあの幻の香辛料を手に入れまして」


ガサ ゴソ コト


桃髪の女 「香辛料? こんなときにどうしたんですか、社長」

桃髪の女 「さる世界で私たちが手に入れた、有力世界の統治者がこぞって欲しがる」

桃髪の女 「一振りで屋敷ひとつは買えてしまう値段がするというあの幻の香辛料なんか出して」

桃髪の女 「はっ……もしかして、このサラダにかけると……」


しゃべるイタチ 「その通り、このおいしいサラダがさらにおいしくなってしまうのであります!」


桃髪の女 「えー!?」


母性巫女 「あ、あの……」


カチャ カチャ



箒少女 「なんか盛り上がってんなー。しかも、うさんくさいし」

箒少女 「……幻のあの香辛料って、お前、知ってる?」


記録魔 「聞いたことありませんね」


箒少女 「何だよー、使えないセレブだなあ」

箒少女 「日ごろから高いもん食ってるくせに」


記録魔 「んなっ……!」

記録魔 「無礼な、私は本来ならあなたなんかが口をきけないほどのエリートなのですよ」

記録魔 「きっとあのイタチが嘘をついているのです! あのイタチは詐欺師に違いありません」



しゃべるイタチ 「第三大世界同盟をご存知で? あ、この世界も加盟してらっしゃる……さすが母性巫女さま!」

しゃべるイタチ 「じつは中央加盟世界の方ではこの香辛料が密かに大ブームでして」

しゃべるイタチ 「いえ、密かにというのは、出回る量が少なく、中央の高貴なかたがたが買占めてしまい、なかなか一般に出回らないためなんですが」

しゃべるイタチ 「中央の五つ星レストランはもちろん、なんとあの名家をはじめ盟主連のかたがたの城の厨房でも、もはや欠かせないという……」


ペチャクチャ ペラペラ



記録魔 「えっ、あの名家も……」

記録魔 「コホン……いえ、こんな辺境暮らしでド忘れしていたかも」

記録魔 「たしかに、私の通う五つ星レストランで、こんな香りがしていたような」


箒少女 「お前……」



916 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2016/12/19(月) 18:44:15.45 ID:2v/vFkXmo




しゃべるイタチ 「しかし! ついに!」

しゃべるイタチ 「私は独自のルートで、この幻のあの香辛料を大量に仕入れることが出来るようになったのです!」


桃髪の女 「ええー!? 初耳ですよ社長!」

桃髪の女 「このところ未開の世界を飛び回っていると思ったら、そんなことをしていたんですね!」


しゃべるイタチ 「しめしめこれで一儲け……と思いましたが」

しゃべるイタチ 「ああっ、私もお人よし!」

しゃべるイタチ 「相場の十分の一の値段で売ることとしました!」


桃髪の女 「ええーーーーっっ!?!?」

桃髪の女 「もう、社長、またそれですか? 赤字になっちゃいますよ!!」

桃髪の女 「この前も、養殖に成功した水精真珠を、儲けがほとんど出ないことを承知で相場の五分の一の値段で売っちゃったじゃないですか!」


母性巫女 「あの、食事中……」


しゃべるイタチ 「至高の喜びを、みなさまに味わっていただきたい……」

しゃべるイタチ 「すべては、その一念であります!」


桃髪の女 「はうんっ、そこまでお客様のために……!」

桃髪の女 「ついていきます、社長!」



箒少女 「はっはっは」

箒少女 「うっさんくせー」


記録魔 「くっ……お金を妖精銀行に預けていなければ……」


箒少女 「いやいや、あれ詐欺だって」

箒少女 「ああいう手合い、うちの故郷には掃いて捨てるほどいるよ」


記録魔 「そ……そうなのですか」

記録魔 「いえ、知っていますとも。あなたがたに合わせて、少しふざけてみただけです」


箒少女 「へっへっへ、それはそれは」


記録魔 「な、何ですかその目は。本当です、本当に……」



ドゴンッ



記録魔 「!?」




母性巫女 の お母さんチョップ!
しゃべるイタチと桃髪の女 のHP が 1 になった!





917 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/19(月) 19:58:41.68 ID:TX49cH8LO
お母さんチョップキタ!
918 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/19(月) 21:37:02.84 ID:y5ybDipoo
特定RPGで重宝する技だな
919 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/19(月) 22:14:14.04 ID:ctNEN+7Oo
HP低いほど捕まえやすくなったり最後に倒した奴に沢山経験値が入ったりHPが少なくなると特殊行動が発生するゲームで重宝しそうな技だ
920 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/12/20(火) 15:25:55.03 ID:9YUU4dUho


母性巫女 「明るくおしゃべりは良いですけど、そんなにバタバタしちゃ駄目ですよ」


しゃべるイタチ・桃髪の女 「すみませんでした」


パクパク モグモグ



箒少女 「いやあ、さすが姐さん。誰にでも容赦ないんだもんなー」


母性巫女 「箒さん、記録魔さん」


記録魔 「何なのですか、こちらのかたがたは」

記録魔 「勝手に招き入れたのですか?」


母性巫女 「違う世界から迷い込んだそうです」


箒少女 「え、猫耳の結界で誰も入れないんじゃないの?」


母性巫女 「そのはずなんですけど……」


ヌッ


波魔法少女? の 壁抜け!
波魔法少女? が あらわれた


母性巫女 「波さん」


波魔法少女? 「起こしてきたよ」


ガチャ


猫耳蛇娘 「くあぁ……」

猫耳蛇娘 「せっかく眠っとったのに、何じゃい、一大事って」


921 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2016/12/20(火) 15:59:51.26 ID:9YUU4dUho


母性巫女 「起こしてしまってごめんなさい、耳蛇さん……」

母性巫女 (あら、猫耳がずれてる?)


猫耳蛇娘 「まーたピンク姫が面倒ごとを……て」

猫耳蛇娘 「おーう」

猫耳蛇娘 「母性巫女、母性巫女ではないか。起きてきたんじゃなあ」

猫耳蛇娘 「しめしめ、これで衣食住いたれりつくせりの甘ったれライフを送れるのう」

猫耳蛇娘 「まずは酒の用意をしてそこの椅子に腰掛け、わらわに膝枕をするが良い」


箒少女 「するが良いじゃ無いよズレ耳」


波魔法少女? 「朝から飲酒も結構だけれどね」


記録魔 「あなたのせいで、エリートの私の身が危ういかもしれない事態なのですよ!」


猫耳蛇娘 「な、何じゃい何蛇い……!」

猫耳蛇娘 「この世界のために不眠不休で頑張ったワシに、よってたかって」

猫耳蛇娘 「……ん?」


しゃべるイタチ 「…………」


桃髪の女 「…………」


猫耳蛇娘 「……んー?」


ジロ ジロ


桃髪の女 「……社長、もしかして」


しゃべるイタチ 「……シッ! 黙ってなせい」


猫耳蛇娘 「……なーんか、見たことある二人がおるのう」


922 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/01(日) 18:33:19.62 ID:OSREj/4fo
あけまして更新まだ?ございます
923 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/07(土) 04:02:24.81 ID:nmZ8Hjj1O
15時間くらいかけて1スレ目から追い付いた!なんだこの神スレは。4年近く前からあったのに気付かなかったぞ
924 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/07(土) 22:34:29.46 ID:Rj2EvAEVo
>>923
幾つか派生作品もあるぞ
925 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/09(月) 16:48:05.65 ID:Q9CoQYJ9O
>>924
まじかよkwsk
926 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/09(月) 22:41:12.46 ID:vip9zguQo
tHMiOqNMgmiRでググればSSまとめでるやろ
927 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/10(火) 13:10:49.95 ID:h9oM1koVO
>>925
現在進行形で同じ世界の別の人物のssもあってるよ
928 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/10(火) 16:46:25.34 ID:6ZG/mlIBO
見てきた!2人ともありがとう
929 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/01/10(火) 18:39:35.84 ID:LkCRBUYYo

以上
tHMiOqNMgmiRによる自演劇場でした


930 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/10(火) 18:42:28.55 ID:/D2d9R0lo
Ωナ、ナンダッテー
931 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2017/01/10(火) 18:50:52.10 ID:LkCRBUYYo


波魔法少女? 「知り合いかい?」


猫耳蛇娘 「違うはずじゃが……んんー……?」


ジロ ジロ ジロ ジロ


母性巫女 「ちょっと、そんなにジロジロ見たら失礼ですよ」


猫耳蛇娘 「いやいや、よく観察することこそ、この世界で長生きする秘訣なのじゃよ」


ジロ ジロ


桃髪の女 「社、社長〜、見られてますよお……」


しゃべるイタチ 「ええい、堂々としてなせい」

しゃべるイタチ 「あっしたちは何も悪いことをしとらんでござんすよっ」


桃髪の女 「そんなこと言って、社長の口もさけてるじゃないですか……」


しゃべるイタチ 「これはもともとでしょうが!」


ヒソ ヒソ ヒソ


猫耳蛇娘 「なあにを、ボソボソくっちゃべっとるの?」


しゃべるイタチ・桃髪の女 「ひゃあ!?」


932 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2017/01/10(火) 19:15:17.75 ID:LkCRBUYYo


猫耳蛇娘 「うーん、やっぱり会ったことあるはずじゃよなあ」

猫耳蛇娘 「おこじょ、おこじょ……」


波魔法少女? 「イタチだね」


しゃべるイタチ 「……や、やだなあ、猫耳のおかた」

しゃべるイタチ 「初めて! 初めてでやすよ、お会いするのは」

しゃべるイタチ 「なあ?」


桃髪の女 「え……」

桃髪の女 「ええ! その通りですね社長!」


猫耳蛇娘 「んー、そう……?」


しゃべるイタチ 「ええ、ええ! こんなお美しい銀の髪の美女は今日、いえ、生まれて初めて目にしました」

しゃべるイタチ 「まるで夜の気高さと美しさの顕現!」

しゃべるイタチ 「いちど見たら忘れるわけがございませんですよ」


猫耳蛇娘 「む、そ、そうかのー……にゃはは」

猫耳蛇娘 「とくに手入れはしとらんが、ワシって、ありのままで輝いちゃうからのう」

猫耳蛇娘 「そう言われると、初めて会う気もしてきた気がする気もするのー……」


箒少女 「騙されちゃいけないぜ、ズレ耳」


記録魔 「今の発言ではっきると分かるでしょう」

記録魔 「そのイタチは嘘つきです」


箒少女 「心にもないお世辞を言って相手を良い気持ちにさせて騙すつもりだぜ」

箒少女 「気をつけろ!」


猫耳蛇娘 「おぬしらも気をつけいよ、わしに」



933 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2017/01/10(火) 19:17:54.88 ID:LkCRBUYYo
※一つ前訂正ごめんなさい




猫耳蛇娘 「うーん、やっぱり会ったことあるはずじゃよなあ」

猫耳蛇娘 「おこじょ、おこじょ……」


波魔法少女? 「イタチだね」


しゃべるイタチ 「……や、やだなあ、猫耳のおかた」

しゃべるイタチ 「初めて! 初めてでやすよ、お会いするのは」

しゃべるイタチ 「なあ?」


桃髪の女 「え……」

桃髪の女 「ええ! その通りですね社長!」


猫耳蛇娘 「んー、そう……?」


しゃべるイタチ 「ええ、ええ! こんなお美しい銀の髪の美女は今日、いえ、生まれて初めて目にしました」

しゃべるイタチ 「まるで夜の気高さと美しさの顕現!」

しゃべるイタチ 「いちど見たら忘れるわけがございませんですよ」


猫耳蛇娘 「む、そ、そうかのー……にゃはは」

猫耳蛇娘 「とくに手入れはしとらんが、ワシって、ありのままで輝いちゃうからのう」

猫耳蛇娘 「そう言われると、初めて会う気もしてきた気がする気もするのー……」


箒少女 「騙されちゃいけないぜ、ズレ耳」


記録魔 「今の発言ではっきりと分かるでしょう」

記録魔 「そのイタチは嘘つきです」


箒少女 「心にもない事実とはかけ離れたお世辞を言って相手を良い気持ちにさせて騙すつもりだぜ」

箒少女 「気をつけろ!」


猫耳蛇娘 「おぬしらも気をつけいよ? わしに」






934 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/10(火) 19:33:57.64 ID:a/1QLZMMo
あけおめ、同時更新ひゃっほい
935 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2017/01/20(金) 23:04:04.14 ID:i3OwTeTzo


しゃべるイタチ 「……わ、わたくしめらのことよりも」

しゃべるイタチ 「何か、そちらさまで大事な用事があったんではございませんか?」


猫耳蛇娘 「ん」

猫耳蛇娘 「いや、別に?」


箒少女 「別に」

箒幼女 「じゃ、ねーよ」


記録魔 「何様ですか」


猫耳蛇娘 「何じゃよう、いちいち……当たりが強いのう」


箒少女 「この……サスケだっけ?」


しゃべるイタチ 「イタチです」


箒少女 「そうそう、イタチのおっさん」

箒少女 「別の世界から迷い込んできたってよ」


記録魔 「結界が働いていないではありませんか」


猫耳蛇娘 「んー?」

猫耳蛇娘 「いや、そんなこと無いはずじゃけども」

猫耳蛇娘 「おぬしら、迷い込んできたの? 飛行船とか使わずに?」


しゃべるイタチ 「え、ええ」

しゃべるイタチ 「ちょいと、淀みの方から……」


936 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/20(金) 23:20:42.59 ID:slyH6Ly+o
サスケェは不味い
937 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/20(金) 23:48:51.71 ID:UWtAYKeSo
犠牲になったのだ…
938 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2017/01/21(土) 06:48:44.73 ID:J4lAQLf5o


母性巫女 「淀み……」


波魔法少女? 「おや……」


猫耳蛇娘 「界境の淀み関係については調整したからの」

猫耳蛇娘 「扉さえ開いとれば出入りは自由じゃよ」


記録魔 「……なるほど」

記録魔 「私たちが淀みに入っている間、扉が開きっぱなしだったというわけですね」


箒少女 「ピンクちゃんは寝ちまって、んで、鍵もかけていなかったんだな」


記録魔 「鍵をかけて眠られたら、私たちが出られず困っていたところですけれど」


波魔法少女? 「そうだね」

波魔法少女? 「ちなみに、扉は母性巫女くんとボクで回収しておいたよ」


猫耳蛇娘 「ほらあ、ワシ悪くないー」

猫耳蛇娘 「謝れいおぬしら。年長者に謝れい!」


記録魔 「こんなところで大人を出してくるのは卑怯ですよ!」


箒少女 「誰のために淀みに潜ってやったと思ってんだよ……」


939 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2017/01/21(土) 07:00:41.80 ID:J4lAQLf5o


猫耳蛇娘 「ほーれ、ほーれ、詫びるが良いわー」


箒少女 「ごめんババア」


猫耳蛇娘 「誰がババアじゃぶっ飛ばすぞ!」


箒少女 「どうしろってんだよ」


記録魔 「ちゃんと年長者としてあつかっているではありませんか」


ニャオ ニャオ

ギャア ギャア


母性巫女 「ちょっと、食卓ですよ……」


しゃべるイタチ 「……あ、あのー」


波魔法少女? 「ああ、すまないね、君たちのことだ」

波魔法少女? 「母性巫女くん、どうしようか」


母性巫女 「え……」


波魔法少女? 「偶然迷い込んできたという彼らの言葉を信じるのか」

波魔法少女? 「客としてむかえるのか」

波魔法少女? 「彼らの意思など無視して、二人とも触手の苗床にしてしまうのか」

波魔法少女? 「などなど……」


桃髪の女 「苗床! 苗床って言いましたよ社長」

桃髪の女 「私たち、モンスターの苗床にされちゃいますよぉ……」


しゃべるイタチ 「お、おちおちおち落ち着きなせい……!」


母性巫女 「あはは、ええと……」


940 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2017/01/21(土) 07:16:12.87 ID:J4lAQLf5o


母性巫女 「あのう、耳蛇さん」


猫耳蛇娘 「おおう、何じゃ母性巫女ぉ」

猫耳蛇娘 「この世界でワシに優しく話しかけてくれるのは、もはやおぬしだけじゃあ」

猫耳蛇娘 「ワシはおぬしを特別扱いするぞう。ほれ、何でも言えい」


母性巫女 「二人を連れて、他の世界へ、渡る? ……ことはお願いできますか?」


猫耳蛇娘 「おう、お安い御用じゃぞ」

猫耳蛇娘 「ちゅうか、結界が安定した今、アイテムさえあれば誰でも渡ることができよう」


記録魔 「あ……」


箒少女 「おおっ、そうか、そうだったっけ」

箒少女 「よかったじゃん、記録魔。おうちに帰れるぜ」


記録魔 「……そうですね」


波魔法少女? 「彼らをもとの世界へ送り届けるということかな」


母性巫女 「そうですね。ボロボロみたいだし、とりあえずゆっくり休んでもらって」

母性巫女 「それから、ということで」

母性巫女 「どうでしょうか?」


波魔法少女? 「ふむ……」




桃髪の女 「……どうやら、苗床にはされないみたいですよ、社長」


しゃべるイタチ 「う、ううむ……」


桃髪の女 「……社長?」


941 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/21(土) 09:18:53.81 ID:k5nBygVFo
実は苗床にされたい系?
942 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/01/22(日) 10:41:31.10 ID:CyduzYnCO
イタチはおっさんなのか
943 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/12(日) 13:09:31.21 ID:yBaWv89MO
はよ
944 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/02/12(日) 13:24:28.98 ID:RmBV+7pmo
上げんな、更新来たかと思っただろ。
945 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/06(月) 12:33:00.25 ID:Ya2dYofI0
まだかね…
946 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/08(水) 23:58:46.60 ID:p+CEYqRr0
まだ慌てるような時間じゃない
947 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/18(土) 14:25:47.22 ID:MIeg3nUGo
スレ建てた人の書き込みが二か月程度ないと強制落ちだから
そろそろ慌てないといけない時間になってきたな
948 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/03/19(日) 22:41:10.86 ID:A4+9ZGCoo



記録魔 「……ああ、そうでした」

記録魔 「錬金工房の使い方をNに指導するという、重大な役目を果たしていないのでした」


箒少女 「…………」


記録魔 「途中で放り出しては気持ちが悪くて帰れません」

記録魔 「しかたありませんが、本当はこんなところ早く離れたいのですが」

記録魔 「しばらくは留まるしかないようです」


猫耳蛇娘 「…………」


猫耳蛇娘・箒少女 「ふうん」


記録魔 「……ざ、残念です。帰りたくてしかたないのに……」


猫耳蛇娘・箒少女 「ほーう……」


ニヤ ニヤ


記録魔 「…………な」

記録魔 「何ですか、そのにやけた顔は……!」


949 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/03/19(日) 22:58:32.82 ID:A4+9ZGCoo


しゃべるイタチ 「……やはり」

しゃべるイタチ 「今しばらくここにとどまった方が良いかもしれない」


桃髪の女 「ええっ? 何を言っているんですか、社長」


ヒソ ヒソ


桃髪の女 「魔王、魔王の城なんですよ、ここは。脱出しないと、何をされるか……」


しゃべるイタチ 「いやしかし、もとの世界に戻ったところで」

しゃべるイタチ 「騙した……もとい商品をお買い上げくださったお客のかたがたに見つかっちまったら……」


桃髪の女 「!」

桃髪の女 「また追いかけられて、ひどい目にあわされてしまいますね。淀みに落っことされるだけじゃすまないかも……」

桃髪の女 「あ、でも、じゃあ別の世界におくってもらえば良いんじゃありませんか」


しゃべるイタチ 「チッチッチッ」

しゃべるイタチ 「……あーたねえ、商売人として放っておけるのでやすか?」

しゃべるイタチ 「この城に漂う、商売のかほりを」


桃髪の女 「ええっ、まだここで商売する気なんですか!?」

桃髪の女 「騙そうとしたのがバレたのに!」


しゃべるイタチ 「だまらっしゃい」

しゃべるイタチ 「それじゃあ、騙そうとしているみたいじゃありやせんか」


桃髪の女 「違うんですか?」


しゃべるイタチ 「世界間の行き来が限られている今」

しゃべるイタチ 「必然的に、買う側より売る側の方が優位にたてる……」

しゃべるイタチ 「もとい、アイテムのお値段がちょっとばかりお高くなるだけの話でやす」


桃髪の女 「ええー……暴行で踏み倒される気もしますけど」

桃髪の女 「そもそも社長、魔王相手の商売なんて経験あるんですか?」


しゃべるイタチ 「どこぞのエルフの長老相手くらいが最も貴き取引相手でござんすが」

しゃべるイタチ 「これを機会に、太い繋がりを増やすでやすよ」


桃髪の女 「うーん、分不相応な気もするけれど……」


ヒソ ヒソ




950 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/03/20(月) 00:01:25.64 ID:oEpMFUUvo


母性巫女 「あの……」


しゃべるイタチ 「ニヒヒ、母性巫女さま」


母性巫女 (あ、何か企んでいそう)


しゃべるイタチ 「このお城、ボロいもとい、長ーい歴史を感じさせますなあ」


母性巫女 「そうですね」

母性巫女 「ところどころ綺麗に残っているけれど、とてもボロボロのところもあるし……」


しゃべるイタチ 「なるほど、なるほど」

しゃべるイタチ 「このお城がかつての姿を取り戻すのは、なかなか大変の様子ですなあ」


母性巫女 「そうですね」


しゃべるイタチ 「いろいろな物が、いろいろなアイテムが、必要なんでしょうなあ」

しゃべるイタチ 「アイテムといえば……」


波魔法少女? 「屋根裏の文献によると、どうやら先代の王が治めていた時代の名残らしい」

波魔法少女? 「建物の様式については知らないが、保護に使われた魔法の組み立て方から、おそらく千年単位で昔のことのようだ」

波魔法少女? 「失われた技術も使われていたようだし、ここはギルドの職人たちに頼んで現代の技術で修復するのが良いだろうね」


しゃべるイタチ 「お、おお! お詳しくてらっしゃる」


母性巫女 「本当に……」


波魔法少女? 「いろいろと調べたからね」


しゃべるイタチ 「へえ、千年以上も前の……いやあ、浪漫を感じますなあ」

しゃべるイタチ 「私、遺跡にあわれを感じる男でございまして」

しゃべるイタチ 「倒れ緑に還りつつある人造の巨石郡が星明りを受けるさまなどもう……」

しゃべるイタチ 「と、失礼、おしゃべりが過ぎまして」

しゃべるイタチ 「しかし、母性巫女さま、あなた様の料理は大変おいしい!」


母性巫女 「ありがとうございます」


しゃべるイタチ 「しかし、これだけの料理を作るには、この世界にある素材だけでは難しいという気もしますが」


母性巫女 「そうですね……」


しゃべるイタチ 「まさか……他の世界から略奪していたりして?」


母性巫女 「いえ、そんなことありません!」


波魔法少女? 「自分が略奪品みたいなものだけれどね」


母性巫女 「うぐ……」



951 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/03/20(月) 01:44:33.38 ID:oEpMFUUvo


しゃべるイタチ 「それでは、お抱えの商人などがいらっしゃるのでしょうか」


母性巫女 (ええと、本によれば……)

母性巫女 「同盟に登録しているギルドがそうでしょうか」


波魔法少女? 「この城からも、世界運営に関しての細々したことを依頼できるようになっている」

波魔法少女? 「現在の統治者は利用していなかったようで、おぼえているかもあやしいが」

波魔法少女? 「あとは……ふむ、やめておこうか」


しゃべるイタチ 「なるほど、なるほど」

しゃべるイタチ 「連絡をすると、近くの世界にあるギルドの支部から職人がたが派遣されるということでしょうか」


母性巫女 「ええ……たぶん」

母性巫女 「ああ、そういえば、ここからも見ることが出来ますけど」

母性巫女 「隣の世界を利用することも多いみたいで……」


波魔法少女? 「母性巫女」


母性巫女 「はい?」


しゃべるイタチ 「隣の世界!」


952 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/03/20(月) 02:36:04.58 ID:oEpMFUUvo


桃髪の女 「隣の世界から略奪を!」


母性巫女 「いえ、ちゃんとお金を払って……」


しゃべるイタチ 「ほう、平和的な略奪ですか」


母性巫女 「略奪じゃなくて……」


しゃべるイタチ 「それはそれは、世界間の行き来もままならなくなった昨今」

しゃべるイタチ 「さぞ不自由なさっているでしょう」


母性巫女 「ええと」


波魔法少女? 「その問題は優秀な結界術士によって解決済だ」


猫耳蛇娘 「ワシは超優秀な結界術士」

猫耳蛇娘 「飛行船とか大掛かりなものは無理じゃが、個人単位なら問題なく行き来できるようになったぞう」

猫耳蛇娘 「あんまり遠くの世界へ行くのはオススメせんがの」


波魔法少女? 「素材については、淀みを利用することもできるしね」


しゃべるイタチ 「そ、そうでやしたか」

しゃべるイタチ 「いや、それはけっこう……」



953 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/03/20(月) 06:47:22.95 ID:oEpMFUUvo


桃髪の女 「社長、もう素直に商売させてくださいって頼んだほうが……」


ボソ


しゃべるイタチ 「それだとこっちが値段交渉に不利になるでしょうが」


ボソ


しゃべるイタチ 「……そういえば! 淀みと言えば」

しゃべるイタチ 「珍しいアイテムを見つけまして」


波魔法少女? 「めげないね、君も」


しゃべるイタチ 「この魔法の風呂敷より取り出したる……」


ガサ ゴソ


しゃべるイタチ 「……精霊の火というものなんですがね」



精霊の火



記録魔・箒少女 「!!」


波魔法少女? 「おや」


母性巫女 「これが……」

母性巫女 (あおあおとした葉っぱの上で、火がゆらゆらと揺れている)

母性巫女 (何だか可愛い)


猫耳蛇娘 「なんじゃ? どうしたんじゃ、みんな」


ザワ ザワ


桃髪の女 「……社長、もしかして」


しゃべるイタチ 「当たり、でやすかね……」






954 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/03/20(月) 07:25:16.03 ID:oEpMFUUvo


新しい住人? が増えた!
植物の種類 が増えた!


施設「ぼったくりアイテム屋」 を利用できるようになった!

施設「マッサージ室」 を設置できるようになった!
施設「裁縫工房」 を設置できるようになった!
施設「交易所」 を設置できるようになった!
施設「換金所」 を設置できるようになった!
施設「売春小屋」 を設置できるようになった!
施設「見世物小屋」 を設置できるようになった!
施設「移動紙芝居屋」 を設置できるようになった!
施設「移動人形劇場」 を設置できるようになった!
こたつ を設置できるようになった!

幼女魔王Nの世界 の 名物を指定できるようになった!
幼女魔王Nの世界 の 治安が悪くなった……

精霊の火 を手に入れた!
桜の種 を手に入れた!

界境の淀み に新しい階層が追加された!
旧世界の欠片T の座標を手に入れた!



しゃべるイタチ 「いやあ、めでたい、ありがたい! 私、嘘イタチは誠心誠意」

嘘イタチ 「赤字確定の良心価格で商売させていただきますよ!」


桃髪の女 「よろしくお願いします! 嘘イタチ社長のお手伝いをしています、サクラ女です」

サクラ女 「お手伝いの他にはお裁縫とマッサージくらいしかできませんが、お役に立ちますよ!」


嘘イタチ 「お近づきのしるしとして、この精霊の火は無料! 贈呈いたします!」

嘘イタチ 「くぅ〜っ、あっしもお人よし!」

嘘イタチ 「ところで、今は無理でやすが、他の世界に大々的に売り出したいものはございやせんか?」

嘘イタチ 「私に任せていただけたら、きっとあっという間に大儲け間違いなしの人気商品にしてさしあげますよ」

嘘イタチ 「この世界の評判も、うなぎのぼり間違いなし!」

嘘イタチ 「もちろん、相応の報酬はいただきますがね」



※嘘イタチに任せると世界の評判が下がることもあります


955 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/03/20(月) 08:03:35.32 ID:oEpMFUUvo


波魔法少女? 「やれやれ、なかば強引に居座られてしまったね」

波魔法少女? 「正直、彼らのような者を迎え入れるには、この世界はまだまだ未熟だと思うが」


母性巫女 「せっかく居たいと言ってくれているんですから」

母性巫女 「それに、大事な紋章……? も差し出してくれましたし」


波魔法少女? 「力ある者はそのくらい余裕があって良いかもしれないけどね」

波魔法少女? 「しかし、幼女魔王Nがあれらを扱えるものか」


母性巫女 「波さんがいますから」


波魔法少女? 「ぼくは傍観者的な役割のはずなのだけどね」

波魔法少女? 「まあ、任されたと言っておこうか」


母性巫女 「ウフフ……」



956 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/20(月) 17:42:40.69 ID:NehHfMpco
更新乙
957 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/21(火) 23:30:20.91 ID:Tv62l4lDo
起きてた時は奴隷だったりしたのに
今や寝てるだけで世界を成長させるとは
さすがポンコツピンク頭は格が違う
958 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/03/22(水) 17:20:44.58 ID:DRPKbXGr0
嘘だろ紋章手に入れちゃったよw
959 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/04/17(月) 11:19:54.51 ID:j9o8ehJQo
そろそろ更新が来てもいい頃
960 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/01(月) 23:55:35.26 ID:g4zXjjDYo
更新はよ
961 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/12(金) 15:29:19.72 ID:QKmeDfYlO
まだ慌てるような時間じゃない
962 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/12(金) 16:21:36.28 ID:kWBXjG0bo
いや、スレ主の書き込みが2か月ほどの期間なければ即落ちる仕様だから慌てる時間だぞ
前回書き込みから2か月だと後1週間しかない
963 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/13(土) 02:00:36.45 ID:aTzNyi1Jo


幼女魔王Nの城 旧倉庫?



……ガコン ガララララ

コン コオン カラン



母性巫女 「ここは……」


波魔法少女? 「さて、地下倉庫といったところかな」

波魔法少女? 「とにかく新しい部屋を発見だ」


母性巫女 「玉座の間の下に、こんなところがあったなんて……」


猫耳蛇娘 「ううーん、暗いのう。喉もかわいたぞう……」

猫耳蛇娘 「おほっ!」


酒瓶


猫耳蛇娘 「こ、これは、幻の珍酒まゆげ酒……!」


波魔法少女? 「むやみに触ると危ないよ。もしも罠の部屋だったら……」


猫耳蛇娘 「にゃっははは、お酒じゃあ、お酒じゃあ」

猫耳蛇娘 「さてはここは酒蔵じゃなっ」

猫耳蛇娘 「ワシはついにこの城の宝物庫を見つけたのじゃあ!」


酒瓶 は空っぽだ


猫耳蛇娘 「からっぽかい!」


964 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/13(土) 02:41:21.63 ID:aTzNyi1Jo


母性巫女 「思ったよりも綺麗ですね」

母性巫女 「瓦礫だらけかと思ったけれど」


波魔法少女? 「これなら片付けの手間は省けるだろうね」

波魔法少女? 「さて猫の耳の蛇くん。悪い環境ではないと思うけれど」

波魔法少女? 「どうかな」


猫耳蛇娘 「何じゃそれ、ワシは寄生虫か何かかい」

猫耳蛇娘 「なっとらんのう、何が悪い環境ではないと思うけれど……じゃ」

猫耳蛇娘 「こんなに乾燥しとったら、お酒さまは熟成どころか劣化の一途じゃわい」

猫耳蛇娘 「もちっとしっとりしたところでのう、寝かせた樽の中でじっくりとっぷり時間をかけてのう……」


波魔法少女? 「ふむ、さすがは酒飲みだ」


母性巫女 「助かります。お酒のことは詳しくなくて」


猫耳蛇娘 「にゃっかっか」


965 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/13(土) 03:00:19.28 ID:aTzNyi1Jo


波魔法少女? 「しかしこれでは、別の場所を探すか、部屋を作るかしないといけないか」


猫耳蛇娘 「なるべく魔法に頼らない、自然な環境であるほど良いからのう」

猫耳蛇娘 「うーむ、猫耳蛇娘ちゃんの酒蔵計画は当分先の夢じゃなあ……」


波魔法少女? 「何かこの世界の特産品を研究するのは良いことだけれどね」


母性巫女 「はあ」


波魔法少女? 「技術が絡んだ娯楽的なものであるほど良い」


母性巫女 「そうなんですか……」


猫耳蛇娘 「さてさて、するとこの部屋はいったい何じゃったんじゃろなー」

猫耳蛇娘 「おおっ!?」



旧世界の傘



猫耳蛇娘 「傘じゃ」




966 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/13(土) 03:08:47.20 ID:o0upHWzEo
更新乙
967 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/13(土) 03:13:56.52 ID:aTzNyi1Jo


傘の入った箱
旧世界の傘
ボロボロの傘



猫耳蛇娘 「たくさんの傘じゃ」


波魔法少女? 「なかなかの数だね」


母性巫女 「いったい、どうしてこんな所に」

母性巫女 「このお城、探索するたびに謎が増えていく……」


猫耳蛇娘 「ボロボロで使い物にならんものもたくさんあるのう」

猫耳蛇娘 「劣化してしまったんじゃろうか」

猫耳蛇娘 「おおう、こっちなんて骨まで崩れとる」



波魔法少女? 「傘か。武器でも作っていたのかな」

波魔法少女? 「傘系の武器はあまり歴史あるものではないが」

波魔法少女? 「…………ん」



座標メモの切れ端:短パン魔王



波魔法少女? 「これは……なるほど」

波魔法少女? 「ふふふ……」



母性巫女 「波さん、何か落ちていましたか?」


波魔法少女? 「ああ」

波魔法少女? 「ただの紙切れだよ」



968 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/13(土) 03:25:11.66 ID:aTzNyi1Jo


猫耳蛇娘 「何かお宝ないかのう……」

猫耳蛇娘 「これじゃあ本当にただのボロ城じゃよ」


キョロキョロ


猫耳蛇娘 「おっ」


母性巫女 「あら」


波魔法少女? 「おや」



黒い宝箱



母性巫女 「気がつかなかったけれど、大きな宝ばこ……」


波魔法少女? 「暗い場所で、いじわるな色だね」


猫耳蛇娘 「ワシのじゃ!!」


ドヒュン


波魔法少女? 「だから、危ないってば」


猫耳蛇娘 「よーほーほーう!」

猫耳蛇娘 「おーたからじゃあー!」


ガチ



宝箱の罠 が発動!
猫耳蛇娘 は呪われた!



猫耳蛇娘 「ぎゃあ」




969 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/13(土) 03:33:47.35 ID:aTzNyi1Jo


バタン


猫耳蛇娘 「ぐえっ」


母性巫女 「耳蛇さん!」


タタタ


母性巫女 「大丈夫ですか。顔から倒れましたけど……」

母性巫女 「っ……!」


波魔法少女? 「だから危ないと言った……」

波魔法少女? 「おや、これは」


猫耳蛇娘 「おおう、母性巫女よ、お鼻が痛いのじゃあ……」

猫耳蛇娘 「て、何じゃい、その珍妙な顔は。二人して」


波魔法少女? 「猫蛇くん……」


母性巫女 「耳蛇さん……」


猫耳蛇娘 「え、何じゃ何じゃ、そんな深刻に言われると不安なんじゃが」


波魔法少女? 「君、呪われているよ」


猫耳蛇娘 「にゃんとっ」



猫耳蛇娘 は 状態異常になった!
猫耳蛇娘 は 肌が褐色になった!



970 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/13(土) 03:49:08.38 ID:aTzNyi1Jo


※褐色肌の呪い
 肌の色が褐色になってしまう状態異常:褐色肌を引き起こす。
 褐色好きの体質を持つモンスターから狙われるようになってしまう。
 似た呪いに、青色肌の呪い、ピンク髪の呪いなどがある。
 上級冒険者は、あえてこの呪いを受けてお洒落にダンジョンを攻略する。
 失敗してモンスターに敗れたりすると大変なことになる。   




母性巫女 「うーん、拭いてもとれません」


猫耳蛇娘 「ワシの透き通るような白肌が、エロスあふるる褐色になってしもうた……」

猫耳蛇娘 「いででで、ちょ、強い強い強い、ゴシゴシしすぎじゃ」


母性巫女 「ごめんなさい、つい……」


ゴシ ゴシ


波魔法少女? 「だから危ないと言ったんだよ」

波魔法少女? 「おや……」



古びた日記



波魔法少女? 「猫耳蛇娘くん」

波魔法少女? 「こんなところに日記が落ちているよ」



971 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/13(土) 04:38:57.55 ID:aTzNyi1Jo




猫耳蛇娘 「わーい、ワシのじゃー」

猫耳蛇娘 「ってなるかい! さっきの今じゃぞ!」


波魔法少女? 「一人がまとめて呪いにかかっておけば、あとで治しやすいと思ってね」


猫耳蛇娘 「思うな! 罠解除のアイテムとか使えば良いじゃろうが」

猫耳蛇娘 「なんで一回呪われる前提なんじゃよ」


波魔法少女? 「アイテムも使わず触ったくせに」


母性巫女 「この日記、以前この城に住んでいた人のものでしょうか」


波魔法少女? 「さて。だとしたら、貴重なものだね」

波魔法少女? 「とりあえず上に持って帰ろう」


母性巫女 「はい……」



母性巫女 は 罠よけ手袋を装備した!
母性巫女 は 罠よけ道具袋を装備した!
母性巫女 は 罠よけ眼鏡を装備した!



波魔法少女? 「これで、呪われているかどうか分からないアイテムを持ち運べるぞ」

波魔法少女? 「あの商人が迷い込んで来たおかげで、探索用のアイテムの調達が楽になったね」

波魔法少女? 「若干値が張るが」


母性巫女 「ええ」

母性巫女 「……あの、これは本当に効果があるんでしょうか」

母性巫女 「呪いには良い思いでがなくて……」


波魔法少女? 「大丈夫なはずだ」

波魔法少女? 「彼らの扱うアイテムにはあやしいものも多いが、一般的なアイテムはそれなりの質だよ」


母性巫女 「はあ……」


972 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/13(土) 04:47:37.19 ID:aTzNyi1Jo


デンデロデロデロデロデロデロ


母性巫女 「!!」



カキンッ

罠よけの手袋が 古びた日記にかけられた呪いを しりぞける!



母性巫女 「…………」


猫耳蛇娘 「どした」


母性巫女 「一瞬、嫌な感じがしたんですが」

母性巫女 「どうもなっていないみたい」


波魔法少女? 「罠よけの手袋が働いたようだ」


母性巫女 「ということは、これも呪われていたんですね……」


波魔法少女? 「呪われた日記か……」


猫耳蛇娘 「あんまし良い場所では無いのかものう、ここは」




973 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/13(土) 05:30:59.59 ID:aTzNyi1Jo


波魔法少女? 「うーん。だいたいの日記には、誰にも見られたくないことの一つや二つは書かれているものなのだろうが」


母性巫女 「持っていってしまって良いのかしら……」


波魔法少女? 「呪われたアイテムは、違う場所へ移動することで呪いが発動してしまうこともあるからね」

波魔法少女? 「それに備えての呪いよけ道具袋なわけだが」

波魔法少女? 「持ち帰ったところで、呪いが解けなければ使えない」

波魔法少女? 「そっとしておくのは手ではあるが、住処に得体の知れない呪われアイテムを放置するのはすっきりしない」


母性巫女 「はい……」


猫耳蛇娘 「本職のアイテム鑑定士に任せるのが、まあ一番安全じゃ」

猫耳蛇娘 「じゃからと言って、いちいち鑑定所に持ち込むようなこともせんがの」

猫耳蛇娘 「たいていの呪いはワシの札とか一般の呪い解除アイテムで何とかなるし」


母性巫女 「鑑定士……」


波魔法少女? 「さて、どうする」




974 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/13(土) 05:55:52.05 ID:aTzNyi1Jo


母性巫女 「うーん……」

母性巫女 (お城の片付けをしていたら、こんなことになってしまうなんて)

母性巫女 (そろそろ花壇づくりに取り掛かろうと思っていたけれど、この分だとまた別の日にしないと……)

母性巫女 (日記、どこか手の届かないところに置いておこうかしら。あの子が間違って触ってもいけないし)

母性巫女 (でも……)


パカ ペラ


波魔法少女? 「あ」


猫耳蛇娘 「おいっ」


母性巫女 「え?」

母性巫女 「……あら、いつの間にか日記が開いてる」


猫耳蛇娘 「おぬしが開いたろんじゃろがい」

猫耳蛇娘 「何やっとんの! 呪われた日記を開くなぞ、トロルの便所の水を飲むようなもんじゃぞ!」


母性巫女 「ごめんなさい。考え事をしていたら、つい……」


テロテロテロリン


禁断のページが開かれ 隠されし紋章が蘇る……
大魔王さえ防げない強力な呪いが 発動した!
母性巫女は 呪われてしまった!
母性巫女に 新たな体質が加わった!



波魔法少女? 「何か変化はあるかい」


母性巫女 「ええと……」

母性巫女 「特には無いみたいですけど」


猫耳蛇娘 「ホッ……呪いがかかっておったのはあくまで外側だけだったのかもしれんな」

猫耳蛇娘 「まあ、個人的な日記のようじゃし、大した呪いはかけていなかったのじゃろ」


波魔法少女? 「何か変わったことが起きたら教えておくれよ」


母性巫女 「はい」


猫耳蛇娘 「そうじゃそうじゃ、おぬしに何かあったら、ワシのぐうたら生活がままならなくなるからの」


母性巫女 「あはは……」


975 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/13(土) 06:06:11.84 ID:aTzNyi1Jo


波魔法少女? 「さて、残るはあの黒い箱だが」



黒い宝箱



母性巫女 「けっこう大きな箱だけど、何が入っているんでしょう」


猫耳蛇娘 「褐色肌に合うコスチューム一式とかだと嫌じゃのう……」


波魔法少女? 「一度発動したら効果が消えるタイプだと良いのだけれど」


母性巫女 「呪いよけ手袋で開けてみましょうか」


波魔法少女? 「気をつけて。開ける途中で考え事をしないようにね」


母性巫女 「は、はい」


コツ コツ コツ


976 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/13(土) 15:12:22.28 ID:RjGHpQFIo
不穏じゃ…
977 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga]:2017/05/13(土) 21:43:59.62 ID:aTzNyi1Jo


ズ


母性巫女 (鍵は見当たらない)

母性巫女 「では、開きますよ……」


猫耳蛇娘 「友だちの友だちから聞いた話なんじゃけどの……」

猫耳蛇娘 「ある冒険者の娘が、人の立ち寄らぬダンジョンの奥深くで宝箱を見つけたのじゃそうな」

猫耳蛇娘 「心躍らせながら箱を開ける娘じゃったが、次の瞬間」

猫耳蛇娘 「伸びてきた巨大な腕に絡めとられ、箱の中に引きずり込まれてしもうた」

猫耳蛇娘 「娘は今も、どこにあるかも分からぬダンジョンの奥深くの、宝箱に閉じ込められておるという……」


母性巫女 「あの……」


波魔法少女? 「今はそういうのは良いから」

波魔法少女? 「母性巫女くん、気にせず開けてくれたまえ」


母性巫女 (気になるけど……)

母性巫女 「はい」

母性巫女 「…………」


グッ グググ


猫耳蛇娘 「何が出るかのう」


波魔法少女? 「宝箱を開く瞬間というものは、いつでも新鮮なものだ」


母性巫女 「…………」


グ ググ グ


母性巫女 「…………」


猫耳蛇娘 「…………」


波魔法少女? 「…………」


猫耳蛇娘 「……もったいぶるの」


母性巫女 「…………」


グ グググググ


母性巫女 「…………」

母性巫女 「開かない……」


978 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/13(土) 22:05:16.33 ID:aTzNyi1Jo


母性巫女 「箱の蓋、びくともしません」


猫耳蛇娘 「なんじゃと」

猫耳蛇娘 「鍵でもかかっているのかの」


母性巫女 「でも、鍵穴のようなものは見当たりません」

母性巫女 「手ごたえも何か違うような」


波魔法少女? 「魔法でもかかっているのかな」

波魔法少女? 「少し調べてみよう」


猫耳蛇娘 「いっそ壊すっちゅう手もあるが」

猫耳蛇娘 「中身も駄目になってしまったら勿体無いしのう」


母性巫女 「そうですね……」


猫耳蛇娘 「むむむう?」

猫耳蛇娘 「耳をすますと、箱の中から何かひっかく音が聞こえるぞう」

猫耳蛇娘 「さらに耳をすますと、助けを呼ぶ声も……」


母性巫女 「耳蛇さん」


猫耳蛇娘 「にゃっはっは」


波魔法少女? 「……おや、これは」


サ ササ



???の紋章



波魔法少女? 「ここ、目を凝らしてごらん」


母性巫女 「……箱の蓋に、紋章?」


猫耳蛇娘 「ほほう、そう来たか」


母性巫女 「?」


波魔法少女? 「どうやら、紋章で開くたぐいの宝箱らしい」

波魔法少女? 「特定の紋章を持つものでなければ、この箱を開くことはできないんだ」


母性巫女 「なるほど」

母性巫女 「ということは……」


波魔法少女? 「猫の耳くんの宝物庫発言も、間違っていなかったのかもしれないね」


979 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/14(日) 04:54:12.09 ID:y3QtWeG5o



…………


幼女魔王Nの城 玉座の間



ゴゴゴゴゴ ガコン



嘘イタチ 「おお、おかえりなさいませ」


母性巫女 「ただいま戻りました……」


サクラ女 「はい、無料のお水でえす」


猫耳蛇娘 「おおう……って、ここの水じゃろうが。それよりお酒はないかのう」


サクラ女 「お酒は現在七倍のお値段となっておりまあす」


猫耳蛇娘 「なん蛇と」


嘘イタチ 「いやはや、冒険お疲れ様でした」

嘘イタチ 「いかがでしたでしょうか、うちのアイテムは」


母性巫女 「ええ、助かりました」


波魔法少女? 「やはり少々、値が高いように思うけれどね」


嘘イタチ 「それは仕方ありません。こんなご時勢でございやすので」

嘘イタチ 「ささ、補充するアイテムはございませんか。快適な冒険のため、その都度やっておくものですよ」

嘘イタチ 「未鑑定のアイテムなどございましたら、お手ごろ価格で鑑定いたしやすよ」

嘘イタチ 「もちろん、買い取りもね」

980 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/14(日) 20:11:59.67 ID:h++TFUNLO
またおっぱいの音が止まらなくなるかと思ったがそんなことはなかった
981 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/14(日) 20:54:31.67 ID:89WFjskbo
アゲンジャネーヨきちゃう
982 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/15(月) 12:04:23.49 ID:osDnWZRGo



猫耳蛇娘 「この分では、城の修理はあまり急がん方が良いじゃろうな」

猫耳蛇娘 「ここ、意外とただの廃城では無いのかもしれん」

猫耳蛇娘 「過去のしがらみが色濃く残る土地に新しい城をつくったところで、腐った底なし沼に赤子を放り込むようなものじゃ」


波魔法少女? 「ふむ……もう少し調べたほうが良いか」


猫耳蛇娘 「お前が壁抜けなりなんなりで調べりゃ速いんじゃなかろうか」


波魔法少女? 「ここがボクの城ならそうしたかもしれないがね……」



嘘イタチ 「おや、どうされました、美しい巫女さま! 服にひどい汚れがついておりますよ」


母性巫女 「あら」


嘘イタチ 「いけませんなあ。月が雨雲にかくれてしまうというものです」

嘘イタチ 「わたくし、丁度良いことに、どんな衣類の汚れもたちどころに落とせる薬を持っておりまして」

嘘イタチ 「いかがです。お安くしておきますよ?」


母性巫女 「あはは……」

母性巫女 「うーん、そうですね……でも、耳蛇さんからもらったお金は大事に使わなくちゃいけないし……」


波魔法少女? 「それよりも、イタチくん」

波魔法少女? 「君はアイテムの解呪はできるのかな」


嘘イタチ 「はあ……」

嘘イタチ 「むむっ」


ピコン


嘘イタチ 「やあ申し訳ない。呪いの方は専門外でございやす」

嘘イタチ 「ですが、呪いをとくアイテムなら……」


波魔法少女? 「商売人だね」


猫耳蛇娘 「じゃったらワシの札を使うが良いよ」

猫耳蛇娘 「いますこし時間と予算をいただければ、良い呪い崩しの札を作れるじゃろう」


母性巫女 「じゃあ、お願いしようかしら……」


キュン


母性巫女 「うっ……?」


フラリ

983 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/15(月) 12:47:16.62 ID:osDnWZRGo


猫耳蛇娘 「おう!? どうした母性巫女、急によろめいて」


波魔法少女? 「幼女魔王Nと交代の時間かな」


母性巫女 「いえ、それとは違って、胸の奥がキュンとするような、温かいような感じです……」


波魔法少女? 「さっきの呪いかもしれない」

波魔法少女? 「やはり一度調べ……」


猫耳蛇娘 「といやあ!」


ワシッ


母性巫女 「ひゃんっ!?」


猫耳蛇娘の わしづかみ攻撃!


母性巫女 「ちょ、ちょっとまた、耳蛇さん……っ」


猫耳蛇娘 「胸が熱くなったというのはこんな感じかのう」


ムニムニ タプタプ モニュモニュモニュ

ワッシャ ワッシャ タプタプ タプププ……


母性巫女 「ひゃっぁ……もぉ、もう、耳蛇さんったら! やめてくださ……やんっ」


猫耳蛇娘 「いや、キュンとしたと言っておったな」

猫耳蛇娘 「ということはココじゃあ!」


クニ


母性巫女 「ひんぅっ!?」


ビクンッ


猫耳蛇娘 「おにゃにゃにゃにゃにゃにゃ」


クニュ クニュ クニュ

クニ クニ クニ クニ グニグニグニグニ……


母性巫女 「きゃっ、ひんっ、やぁん……ッ!!」

母性巫女 「や、やだ……これダメ……! もう本当にもう、やめてくださ……はううぅうッ」


モジ モジ クネ クネ

ビクン ビクン


嘘イタチ 「ゴクッ……」


猫耳蛇娘 「鼻にかかった甘い声でモウモウと牛みたいに鳴きおって」

猫耳蛇娘 「よかろう……そろそろトドメをさしてやるわあ!」



猫耳蛇娘のHPが 1 になった!

984 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/16(火) 06:10:53.32 ID:A5+TVffVo


猫耳蛇娘 「回復薬もらえる?」


嘘イタチ 「いつもの三倍のところ、半額にしときやす」



母性巫女 「はあっ……はあっ……」


波魔法少女? 「大丈夫かい、大迫力だったね」

波魔法少女? 「ベッドを用意しよう。少し安静にしていたまえ」


母性巫女 「い、いえ、もう大丈夫ですから」


波魔法少女? 「君の世界ではどうだか分からないが」

波魔法少女? 「呪いを甘く見てはいけないよ」


母性巫女 「それは、はい」

母性巫女 「それじゃあ、お昼のしたくをしてから……」


波魔法少女? 「今すぐだ。アイテムの解析もやれる範囲でやっておこう」



猫耳蛇娘 「あと、おもにチョップを防げる感じの兜は無いかの」


嘘イタチ 「鎧ウナギの帽子ならありますが、カマボコ板のっけておいても変わらないんじゃないでやすかね」




985 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/16(火) 11:02:14.54 ID:A5+TVffVo


…………


幼女魔王Nの城 小さな部屋



箒少女 「…………」


波魔法少女? 「…………」


猫耳蛇娘 「うにゃうにゃ……」


猫耳蛇娘 は 精神を統一している……
猫耳蛇娘 は 見破りのおふだ を使った!


フイイイイ


母性巫女 「…………」

母性巫女 (おふだの色が薄い桃色にかわった……)


猫耳蛇娘 「……ふむ。たしかに呪われておるの」

猫耳蛇娘 「じゃが、とくに命に関わる呪いではないようじゃ」


母性巫女 「そうですか。良かった……」

母性巫女 「耳蛇さんのお札は、そんな風にも使えるんですね」


猫耳蛇娘 「にゃっかっかっか、ほめよほめよ」

猫耳蛇娘 「あくまで、良いものか悪いものか何となく分かるくらいじゃがの」


母性巫女 「それじゃあ、私の呪いは悪いものでは無いんでしょうか」


猫耳蛇娘 「うむ。どころか、祝福に近いもののようじゃ」

猫耳蛇娘 「あくまでも呪いではあるのじゃが」


母性巫女 「祝福……」


猫耳蛇娘 「もしかしたら、運が良くなっていたり、思わぬ特技が増えておるかもしれんぞ」


母性巫女 「あら……」


波魔法少女? 「良かったね。日記なんかの呪いは」

波魔法少女? 「勝手に見る者へのいたずらじみたものから命にかかわるものまで、悪いものが多いのだけど」


母性巫女 「気をつけます」

母性巫女 「じゃあ、すぐにお昼の用意をしますから……」


986 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/16(火) 11:18:45.27 ID:A5+TVffVo


波魔法少女? 「いや、せっかくだし休んでいたまえ」


箒少女 「そうだぜ。日ごろ働きまくっているんだ」

箒少女 「たまには休んでもらわなきゃ」


母性巫女 「でも、休んでもやることが無いというか……」


波魔法少女? 「そんな君にこそ、休みが必要さ」

波魔法少女? 「休むことに慣れておくと良い。いつもとは違うことをしているときに、新しい可能性が見つかりもする」

波魔法少女? 「彩りある人生をおくれるというものだ」


猫耳蛇娘 「ほほう、界駆にしては良いことを言うではないか」

猫耳蛇娘 「うむうむ、休みはたいへん必要なのじゃ。ぐうたらイズベストじゃ」


波魔法少女? 「君には必要のない言葉かもしれないね」


箒少女 「オレはこのところ休みっぱなしだし、そろそろ外も飛ばなきゃなあ」


母性巫女 「あはは……」

母性巫女 (けっこう休んでいるつもりだけど……)


 
987 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/16(火) 11:32:08.89 ID:A5+TVffVo


母性巫女 「それじゃあ少し、休ませてもらおうかしら」


波魔法少女? 「うん。何も考えず、のんびり過ごすと良い」


箒少女 「ゆっくり休んでてくれよ」

箒少女 「城のことは任せてくれ」


母性巫女 「お願いします」


箒少女 「昼飯なにが食いたい?」


母性巫女 「ええと、お任せで……」




波魔法少女? 「さて、それでは我々は、日記を調べてみるとしようか」


猫耳蛇娘 「良い情報が手に入ると良いがのう」


トコ トコ トコ


箒少女 「久しぶりの料理だ。腕がなるぜ」


猫耳蛇娘 「何じゃろうな。あまり良い予感がせんのじゃが……」


トコ トコ トコ

ガチャ ギイイ

バタム



母性巫女 「…………」

母性巫女 (何をしようかしら)


988 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/16(火) 11:52:29.03 ID:A5+TVffVo


シイン 

コチ コチ


母性巫女 (私物の片付け……は、Nがやるからって波さんに止められているし)

母性巫女 (そういえば、読みかけの本があったような……)


チチチチ ピイ ピイ


母性巫女 (あら。窓辺の木に鳥が来ているのかしら)

母性巫女 (…………)

母性巫女 (今は何日だろう。ここに来てからはそうだけど、最近はとくに時間の感覚が分からなくなっていくような気がする)


チチチ


母性巫女 (森が懐かしい……)

母性巫女 (猫耳さん、隠れてお酒を飲みすぎたりしないかしら……記録魔さんも、放っておくと甘いものしか食べないし……)


カチ コチ カチ

ジーー

ポーン ポーン


母性巫女 (……故郷の森で生まれ育って、一人前の戦士になるために頑張って)

母性巫女 (魔王を討つために森を出て、勇者隊の人々とあって、世界をたくさん旅して……)

母性巫女 (全部が終わって、魔王から受けた呪いもあって、もう故郷の森から出ずにのんびり暮らしていくものだと思ったけれど)


ゴロン


母性巫女 (まさか、こんなことになるなんて……)

母性巫女 (N……)


モヤ モヤ


母性巫女 (Nのことを考えると、胸のもやもやが日ごとに大きくなっていく)

母性巫女 (私がNに触れなくなったのは、このもやもやのせいかしら……)


989 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/16(火) 12:11:50.80 ID:A5+TVffVo


母性巫女 (ここに来る前はこんなことなかった)

母性巫女 (……やっぱり、あのときよね。森が襲撃されたとき)

母性巫女 (私はNに……)


ズキ


母性巫女 「うぅ……」

母性巫女 (頭が痛い。何か別のことを考えたくなる。そうだわ、中庭に花壇を……)

母性巫女 (駄目。そうだわ、いつもあのときのことを深く考えないように、目を背けていた)

母性巫女 (でもNのことを考えると、あのときのことを必ず思い出してしまうから……)

母性巫女 (だから、頭がごちゃごちゃして、もやもやが晴れないのかもしれない)

母性巫女 (一度ちゃんと、あのときのことと向き合わないと)


バフ


母性巫女 「…………」

母性巫女 (森が外の世界のモンスターから襲撃されたとき)

母性巫女 (あの毛むくじゃらの触手に………)

母性巫女 「……ぅぷ」


ドクン ドクン


母性巫女 「ぅ……ぅう……!」

母性巫女 (気持ちが悪い、吐き気がする……っ)

母性巫女 (ひどいことされて……っ、なんとか生きて帰ることができたけど……)

母性巫女 「げほっ……ぅ、きゅぅ……ッ」


ジタ バタ クネクネ


990 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/16(火) 12:32:24.30 ID:Acsem+jgo
更新乙
991 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/16(火) 14:39:49.51 ID:jiQWl4Zro

このスレしか読んでないけどこのスレのために専ブラ置いてあるくらい好きだからどうかエタらないでくれ
992 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/16(火) 17:21:47.69 ID:A5+TVffVo



…………



幼女魔王Nの城 錬金工房



カパ シャサ



古びた日記1 :宝舟の月 1の日
          とがり野の森を抜け 廃城を見つけた ひどい崩れようだ
          どうやら 無人になってから何百年も経っているようだ
          この近くに こんな場所はなかったはずだが……
          雲があつく 何か空気がよそよそしい こんな夜は危険だ
          今夜はここで過ごすことにしよう 帰ったらきっと大目玉だ  



記録魔 「……この日記が書かれたのは先代の統治者の時代より後だということでしょうか」


波魔法少女? 「最初の内容から考えると、そうだね。一番最初のページが最初に書かれたとするならば、だが」

波魔法少女? 「暗号化はされていないようだし、やはり個人的な日記なのかな」


記録魔 「宝舟の月……第三大世界同盟と同じ暦が使われているようですが」



猫耳蛇娘 「ふうーむ……」


パリ ポリ ムシャムシャ



波魔法少女? 「とがり野の森……と呼ばれる地名は、同盟の息がかかった世界にどれくらいあるのだろうね」


記録魔 「たしか現在は170ほど」


波魔法少女? 「多いな。過去数百年の範囲で調べることは可能かな」


記録魔 「ええ。ですが、同盟図書館に直接赴いて調べるほかないでしょう」

記録魔 「……森が気になるのですか」


波魔法少女? 「森や洞窟が違う世界に通じていたという話は少なくない」

波魔法少女? 「棚の小瓶がいつの間にか減っているように」


記録魔 「この日記は、他の世界からやってきた誰かのものだと……」


波魔法少女? 「もしくは偶然似た内容の妄想を書き留めただけか」

波魔法少女? 「まあ、考えすぎないよう気をつけながら読み進めてみよう」


記録魔 「ええ」

記録魔 「暦……とがり野の森……と」


サラサラリ



…………


993 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/16(火) 18:02:56.76 ID:A5+TVffVo


…………


幼女魔王Nの城 小さな部屋




母性巫女 (あの子とまた一緒に暮らせるようになったけれど)

母性巫女 (毛玉の触手にひどいことされた後遺症で、私は普通に暮らすことも難しくなってきて)

母性巫女 (いよいよ苦しくなったとき、Nが……)

母性巫女 (あの子が毛玉の触手を連れてきて、私は殺され……)

母性巫女 「……っ」


ガク ガク ガク


母性巫女 (いやだ、思い出せる……死んだときのこと……!)

母性巫女 「げほっ……あぅ、ぅぷっ……ぅくぅうう゛!!」

母性巫女 (あの子が、何を言っているのか分からなかった。でも、たしか泣いていた)

母性巫女 (私は、締め上げられながら、またひどいことをされて、怖くて、痛くて、悲しくて)

母性巫女 (悲しい?)

母性巫女 「…………」

母性巫女 (……ああ、そうか)


カチ コチ カチ コチ

チチチ ピイ ピイ


母性巫女 (とても怖いから、目を背けてしまっていたのね)

母性巫女 (心が思い通りにならなくなるのが怖いから)

母性巫女 (……Nは小さな子で、ひとりぼっちで、可愛くて、泣き虫で、寂しかった私のそばにいてくれて)

母性巫女 (子どもで、しかも違う世界から来たんだから、とんでもないことをやってしまうことだってある)

母性巫女 (確かに私は殺されてしまって、その上人形同然にまでされたけれど、あの子なりに考えて……)

母性巫女 (……そう頭では分かっていても、やっぱり)



母性巫女 「私、Nのこと、怒っているのね」



994 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/16(火) 18:26:59.38 ID:A5+TVffVo


母性巫女 (故郷を滅茶苦茶にされて、命も失って)

母性巫女 (Nのことを怒ってしまうと、私にはいよいよ何も残らないような気がして)

母性巫女 (それで、無理をして……)

母性巫女 (怒る?)

母性巫女 (怒るって、何だろう)

母性巫女 (私、これまでだって怒ったことあるのに。どうしてNのときだけ……)


カチ コチ カチ コチ


母性巫女 (うーん……?)

母性巫女 (Nにだって、夜中にこっそり魔動画で漫画を見ていたりしたときにはちゃんと怒っていたし)

母性巫女 (どうして、今度のことに限って)

母性巫女 (私は何を怖がっているの?)

母性巫女 (……ちゃんと、怒る)

母性巫女 (そういえば、不思議な気がする。ちゃんと怒るって、怒るって……そういうものよね?)

母性巫女 (違うのかしら)

母性巫女 (私、怒り方間違えてた……?)


シイン


母性巫女 「……もしかして」

母性巫女 「今の……そんなつもりはなくても怒った気持ちになることが」

母性巫女 「怒るということ?」

母性巫女 「じゃあ、私は今までいったい……」


995 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/16(火) 18:38:25.08 ID:A5+TVffVo


母性巫女 「うーん、自分のことについてこんなに考えるのは初めてかもしれない……」

母性巫女 「思えば物心ついた頃から、自分の内側から目を背けていたような気がする」

母性巫女 「……物心っていつついたのかしら。親がいなくなったときかしら」

母性巫女 「ん? どうして私、親がいないんだったっけ……?」

母性巫女 「…………」


カチ コチ カチ


母性巫女 「…………」

母性巫女 (自分が気持ちの悪い生き物に思えてきた)

母性巫女 「と……とにかく、胸に手を当てて考えてみましょう」


フニュ


母性巫女 「…………」

母性巫女 (私はNのこと……)

母性巫女 「…………」

母性巫女 「…………」


カチ コチ カチ コチ


母性巫女 「…………」


チチチ ピイ ピイ


母性巫女 「…………」

母性巫女 「…………」



母性巫女 「絶対許さない」



…………

…………


母性巫女 「ええっ!?」



…………

…………

……



つづく


996 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/16(火) 19:26:14.90 ID:KynvLWAa0
スレタイ回収乙
997 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/16(火) 20:10:21.28 ID:rLNSwkWXO
おつ
998 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/16(火) 21:46:31.14 ID:A5+TVffVo

次すれ
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1494930218/


999 : ◆tHMiOqNMgmiR [saga sage]:2017/05/16(火) 21:48:43.17 ID:A5+TVffVo

しまった
えろくも なんとも ないのに
えろいところに たててしまったかも しれない


1000 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/05/16(火) 22:32:08.67 ID:60+NygLmo
最大限にスレタイ回収焦らしてきたな
それはそうと更新多くて嬉しい
>>999
まあエロくないのをRに立てても問題ないしね?
1001 :1001 :Over 1000 Thread
                  . -‐- .,. '  ̄  ` .  _,.-―- 、__,,....ィ
             , ´            ヽ   i    ヽ   '-、
              /                    \ l   ,  ト 、 ~ヽ.___,,,...,.
          /                    ` 、‐ ' 'z__ l ,>-‐''     ,/
          i              人 l、     ヾ    `´      //
          /         ,ィ /  ヽi ヽ. l、   ,|         /   /
          "i     /^ヽ! / !,/ -―-  |,/ |   ハj         そ 人
         i    l ハ i/      ━    ヽ. l/ /           ゙ヾ. ヽ、
         ゙l.   ヽ_             { 、_ソノ   ,.. -  ..、      '; !~
         /ヽ! ,ィ/            `-  ;'    ;'      ` :,    ヽ!
       /  _Y     ヽ      t 、  /_     ':,  ━     ;      ヽ,
      〃´ ̄ 亠─----;:>- 、.  `´ /,,. ';  ,, _  ` 、 _ ,,, .. '         ;"
     i'´          ̄  __ ,,.. -`<´ ;: '",:' ,:'     `  -  、  ,,.. --‐ /
     /l         ,. - ´ /     ヽ`´,. '           ` ~    /l
    i  !         /    /       `'`i   ,.-‐ 、   , ,    ,. -‐'  |
.     l  i     /     l          !  ` -: '    '   ィ       i
    l    !   /       l          \   ,...、__,,.-'' /;'        l
    |   ヽ/         !           `-:イヽ-'  / /       ;リ
   |                i             ` ~ ´  /        ;'
    i                   !                     /       /
.    i                 ヽ  __          _,,,,....ノ       /
   l                   `ー' i~~ ̄ ̄ ̄ ̄          ,〃
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女「私の先輩にいっつも白衣を着た変わった先輩がいたんだ」 @ 2017/05/16(火) 20:35:14.49 ID:v2gPbTgyo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1494934514/

海未「バーチャルリアリティ」 @ 2017/05/16(火) 20:17:01.10 ID:PslaBl5vO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1494933421/

【ミリマス】「麗花の一日誕生日券」 @ 2017/05/16(火) 19:55:37.91 ID:z0tUWiHG0
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