このスレッドはSS速報VIPの過去ログ倉庫に格納されています。もう書き込みできません。。
もし、このスレッドをネット上以外の媒体で転載や引用をされる場合は管理人までご一報ください。
またネット上での引用掲載、またはまとめサイトなどでの紹介をされる際はこのページへのリンクを必ず掲載してください。

ゆきあつ「め、めんま・・・?」2 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/09(日) 23:49:15.11 ID:hvg7lG9h0
完結させられないままスレ落ちしてしまった、
ゆきあつ「め、めんま…?」http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1310130442/
の続きです
待っていてくれた人々には大変申し訳ない。
自己満足ではあるが続きを書かせてほしい。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1439131754
【 このスレッドはHTML化(過去ログ化)されています 】

ごめんなさい、このSS速報VIP板のスレッドは1000に到達したか、若しくは著しい過疎のため、お役を果たし過去ログ倉庫へご隠居されました。
このスレッドを閲覧することはできますが書き込むことはできませんです。
もし、探しているスレッドがパートスレッドの場合は次スレが建ってるかもしれないですよ。

【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part6 @ 2024/03/16(土) 18:36:44.10 ID:H9jwDXet0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1710581803/

昔、スリに間違えられた @ 2024/03/16(土) 17:01:20.79 ID:TU1bmFpu0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1710576080/

さくらみこ「インターネッツのディストピアで」星街すいせい「ウィキペディアね」 @ 2024/03/16(土) 15:57:39.74 ID:7uCG76pMo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1710572259/

今日は月が……❤ @ 2024/03/14(木) 18:25:34.96 ID:FFqOb4Jf0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1710408334/

どうも、僕は「げじまゆ」をヤリ捨てた好色一代男うーきちと言います!114514!! @ 2024/03/14(木) 01:23:38.34 ID:ElVKCO5V0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1710347017/

アサギ・とがめ・新生活! @ 2024/03/13(水) 21:44:42.36 ID:wQLQUVs10
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1710333881/

そろそろ春だねー! @ 2024/03/12(火) 21:53:17.79 ID:BH6nSGCdo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1710247997/

【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part5 @ 2024/03/12(火) 16:37:46.33 ID:kMZQc8+v0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1710229065/

2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/09(日) 23:50:04.98 ID:hvg7lG9h0
* * *
ああ、なんか、やられた。・・って感じだ。まるで挑戦状を叩きつけられた気分。
ゆきあつの奴は何か、汚いもの落とした感じにスッキリしていた。ああ、本当にめんまのこと好きなんだろうな。・・・イケメンかよ、ちくしょう。なんて思ってるけど俺は、悔しさよりも嬉しさのほうが大きくて、なんでだか駆け足気味になってしまう。ガキみてえ。このまま秘密基地までいっちまおうかな。こんな朝だけど、ぽっぽはいるだろ。
今まで俺を見下すように見ていたあの目が。今度は同等の立場に立って、真っ直ぐ前から俺を見てくれたんだ。幼かった頃のように。

角を曲がろうとすると、人影が現れてハッとする。やや走っていた俺はかかとで急ブレーキをかけた。……危機一髪!

「す、すみませ・・・」

ぶつからなくてよかった・・・と安心しながら、謝罪の句を述べて顔を上げた相手に、俺は言葉を呑んだ。・・・あなるだ。顔を上げたあなるとハッと目が合い、あなるがかあっと顔を赤くした。ツインテールに、いつものようにギャルい服装、バカ高いヒールなんて履いてる。・・・少し目元が赤い?あなるのほうも急いでいたようで、少し息が荒い。朝早くからなにを急いでんだか、こいつは。
「じ、宿海・・・っ!」
俺は知り合いだったことに、またも安堵して、はあーっと息を吐いた。

「なんだ・・・あなるかよ・・・」
「なっ・・・なんでこんなとこにっ!」
「はよ。何をそんな驚いてんだよ」
「お、おはよ…って何よ、驚いてないしっ!」
「あー、落ち着けって・・・
あ、お前、手伝ってくれるんだってな。めんまの。・・・鶴見から聞いた。・・・サンキュ」

するとあなるの奴はもとから赤かった顔をさらに赤くして、ぷいっとそっぽを向きながら言い放った。ツインテールが激しい動きに忠実についていくから面白い。

「っ・・!!べ、べつにあんたのためじゃ・・・っ!」
「どもりすぎだって。ハイハイ。ありがとな」

軽くあしらいつつ手を振り、去ろうとすると。あなるは意味ありげにぽつりと、呟いて。

「・・・・・・ホント、に」

それに俺は、足を止めた。

「?なんだよ・・・」

あなるは俯きがちに地面を見つめている。
『ホントに』・・・、その意味は、なんなのだろう?

「ねえ・・・宿・・・、ううん、・・・じんたん。」
「・・・なんだよ?」
「めんまと会えて嬉しい・・・?」
「・・・何言ってんだよ?」
「答えてよ・・・」

あなるの右手は、爪が食い込むんじゃないかと思うくらいに強く、ぎゅっと、左腕を握っていた。ああ、昔っからよくしてたな・・・。そのポーズ。
何か、自分の中でこらえれないものを我慢するかのような。居心地の悪い場所で自分を守る時のような・・・。

「めんまと会えて嬉しい?」

3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/09(日) 23:51:12.77 ID:hvg7lG9h0
もう一度同じことを質問される。少しだけ不安そうなあなるの瞳。
大丈夫だ。素直になるって、決めたんだよ。俺。

「ああ、・・・嬉しいよ。」

驚くほど、声色もやわらかく、戸惑うことなく言葉は口をついて出た。
あなるは一瞬戸惑ったように瞳を揺らす。

「ゆきあつと、暮らしてるんだよ。めんま。
それでも・・・」
「別にそんなの関係ねえだろ。
例え俺の家に住んでようが、住んでなかろうが」
「・・・っ」
「俺と、ゆきあつにしかやれないことがあるのかもしれない。だからめんまが見えるんだろうって、思うんだ」
「じゃあ、超平和バスターズみんなじゃなくったっていいんじゃん。じんたんとゆきあつがいれば、それでかなえられるんじゃないの」
「ちげーよ。めんま、おっちょこちょいだろ。神様に見せてもらいたい相手伝える前に幽霊になっちまったんだよ。きっと」
「・・・な、なにそれ」

馬鹿じゃないの、みたいな顔をするあなるに笑いかける。

「皆に会えるようになりたかったと思ってるよ、あいつだって。」

視線が合わない時の。言葉が伝わらない時の。あの悲しい笑顔を見れば、誰だってそう思うだろう。
あなるは少し、驚いたように。でも考えるように。ふっと口元だけ笑う。

「・・・そっか、やっぱり」

あなるは視線を下に向け、右手に込めた力をひときわ強くする。そして無理な笑顔を作って言った。

「あたし、めんまにかなわないや」
「・・・?」

眉はひんまがってるし、口元はひきつってるし、てんで笑顔なんて呼べない顔で、でもあなるは必死に表情を作っているようで。なんでめんまと張り合ってんだ・・・?

「どういう意味だよ・・・」
「・・・わかんないならいい!」

そしてふい、と顔ごと視線を逃がす。どうやら機嫌がよくないらしい。自然と間のあく会話。

「・・・、あのさあ。また皆で集まろうぜ」
「・・・ん。めんまのお願い、叶えなきゃ、ね」
「今からどっか行くのか?俺秘密基地行こうと思ってんだけど」
「・・・あんたには関係ないでしょっ。あ、遅れるっ!じゃーねっ」

腕時計を見て顔色を変え、猛烈にダッシュしていく後姿。さっと方向を切り替えたときのあなるから、シャンプーやら化粧の香りが混じったみたいな、女の香りがして息が詰まる。
俺たちは本当に――成長してしまった。大きくなってしまった。あの夏の日を置き去りにして。――そうなのだけど、大きくなったあなるの、あわただしい姿に少しあきれる余裕もあったらしい俺は、高いヒールだから足首からひねったりしないことを祈りつつ見守る。

「忙しいやつ・・・」
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/09(日) 23:51:43.86 ID:hvg7lG9h0
* * *
秘密基地に向かうと、思った通りぽっぽはいた。ぽっぽはいつも早いんだか今日だけ早いんだか分からないが、秘密基地に入れば椅子に座って本を読んでいた。一歩入ると、俺が声をかけるより先に顔を上げる。

「お!?じーんたーん!なんだよ、早えじゃねえの!」
「やっぱりいると思ったよ・・・。この前はありがとな、日記帳」
「どーんとうぉーりー、問題ないぜ相棒っ」
「ちょっと意味違うんじゃ・・・」
「で、めんまは日記帳取りにきたか?なんかお願いの手掛かりは・・・」
「ああ!そうだ、それなんだけど」

俺は今朝、ゆきあつと会ってきたこと、めんまの日記帳の不思議をぽっぽに伝えた。
ゆきあつと何を話したのか、ってのは・・俺とゆきあつの間でだけ共有できるものがあるっていうか、・・・だから、悪いけど割愛。

「筆談!てこたあ、俺もめんまと話できるってことだよな!?ブラボーー!!」
「だからまた皆で集まれたらいいなって勝手に思ってんだ、あ、ホラ・・・つることあなるも、手を貸してくれるらしいから」
「お?もうそんなとこまで話進んでんの?」

朝からテンションの高いぽっぽ。いつもこんなんなんだろうか。
と思った矢先、ぽっぽはすこし目線を下に向けて、優しく言った。

「・・・協力してくれるかあ。良かったぜ。あのあとよう、女子組は帰っちまって・・・大変だったもんなあ・・・」
あのあと、というのは、7月25日のことだ。ゆきあつとめんまが帰った後、取り残された俺たちだけで起こったこと。めんまにも話していない、裏でのごたごた、もめたこと。

「あなるとつるこでも、話したんだろうな・・・」
「てかじんたん、すっかりあだ名だな」
「・・・あ、そーいや」
朝も安城のことあなるで通しちまったし。
でも、ま、
「・・・いーんじゃね?」

ゆきあつとちょっとでもわかり合えた、ってことが、俺の気を大きくしているのか、なんだかとっても気楽で。いたくて目をそむけたくなるような、昔の傷に触れるはずなのに。超平和バスターズがもとどおりになる未来がすぐ近くにある気がして。
俺の言葉にぽっぽは首が取れんばかりに頷いた。

「こうなったら早くみんなで集まりてーな!招集かけるか!」
「・・・」

俺らに――わだかまりは、ないだろうか。
あの集まった25日、超平和バスターズから一番心が離れていたのはゆきあつだろう。でも、今朝のゆきあつなら・・・。
女子だって協力してくれるって言ってるし――、

「おう!頼む、ぽっぽ」

きっと大丈夫だ。
きっと。

おうよ!とぽっぽはぐっと親指を立てた。


5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/09(日) 23:52:16.49 ID:hvg7lG9h0
今日はここまで。
夏休みを利用して完結させたいと思っている。
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2015/08/10(月) 00:16:49.42 ID:y3zIovpo0
まさかの復活とか。

今すぐは無理だけど、とりあえず前スレ読むわ。
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/10(月) 01:25:13.25 ID:zjCxOmXL0
まさか帰ってくるとは思わんかった
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2015/08/10(月) 23:09:37.40 ID:k47Ubalno
まさか過ぎる復活

いやマジで驚いた
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/14(金) 00:43:58.01 ID:n8yGLhFl0
* * *

いつもの通学路。そういや、何だか足りないと思ったところ、鶴見がいないことに気づく。いつもなんだかんだ一緒に行ってたのか、そういや。
宿海相手には解決したからいいものの、そういやあの場には鶴見もいて、しかもあのことについては決着がついていない。まあ、本人がいないんだから仕方ない。本当は、会って言いたかったんだが。
とにかく自分が取った情けない態度について早く謝ってしまいたかったのと、――めんまのお願い探しを手伝ってくれると言ってくれたことについて礼を言いたかった。

『この前はすまなかった。俺も落ち着いて考えてみた。お前らがめんまのためにって動いているのが、俺には都合が悪くて、忌々しいものに思えていた。
でも今なら言える。めんまのために協力してくれるって聞いた。有難う。』

そこまでメールを作り上げ、指を止める。
こんな風な殊勝なメールを俺が贈ったことがあるだろうか、否無い。
また、ふと頭に浮かんだことがある。今までの鶴見にだ。・・・めんまのお願いへの協力、お礼ついでに――

『それと今まで、雑貨屋に付き合ってくれて有難う。
全部、めんま宛だった。
こうして誰かに言う日が来るなんて思わなかったから黙っていたけど、悪かったな』

…相手が一生分からないだろうなんて思っていたのだが、ここまできたらもう打ち明けてしまおう。
本文を打ち上げて送信する。

ぱたん。携帯を閉じて、眩しく澄んだ水色の空を見上げる。
夏の鳴き声にももう慣れた。昔まで、居心地のいい場所を壊した季節が、過ちを犯した季節が――あんなに、夏が怖かったのに。
めんま。
お前の願いについて真剣に取り組む。仲間と力を合わせる。昔みたいに、けんかしたら謝って、仲直りして、しこりなんて溶かしていく。
・・・これがきっと、正しいんだよな。

10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/14(金) 00:52:43.27 ID:n8yGLhFl0

+ + +
ゆきあつは学校にいきましたっ
めんまはせっかくだから朝のおさんぽーっ。おいっちに、おいっちに。

公園・・・ではっ。ブランコにひとをはっけーん・・・・・・
・・・
みたことあるよーな・・・
って・・・え!
あなるとつるこだあっ!!
えー!2人でなにしてるのお!?
2人はブランコをきいきい、足だけで押したり、ひいたりして、静かに漕いでいる。
鎖の音がちいさく響く。時々聞こえる、ふたりの声。

「つるこおっ!あなるー!」
聞こえないのに、めんま、そのことも忘れて駆け寄っちゃう。

えへへ。・・・ブランコにのる2人と、その後ろにいる1人。なつかしいなあ。こんなかんじで、昔もよく話したよね。
じーんとしながら、2人の乗るブランコの鎖を握る。2人にそっと寄り添う気持ちで近くにたたずんでいると、あなるが話し始める。

「今になって、後悔してる。あの時、あんなこといったの・・・」
「だから連絡くれたのね」

話している内容はよくわかんないけど・・・
それにしても、2人とも、いまじゃ、とってもお洒落にオトナになって・・・。
かわいく、おおきくなって・・・

横顔を見つめる。
つるこの長くて黒い髪、優しいひとみをふちどるめがね、すっとのびたからだ。
あなるのふわふわ髪のふたつむすび、少しつりめがちなひとみ(あ、まつげがながーいっ)、女の子らしいリップが光るくちびる。
・・・すてきだなあ。
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/14(金) 00:53:20.29 ID:n8yGLhFl0

「ちょうど私も、話したいことがあって」
「・・・つるこが?」
「あのね、めんまに会ったの」
「え?・・・めんまに?」
「ええ、つい昨日のことよ」

えっ!めんまの話?・・・は、恥ずかしいよ。ひとりでわたわたするめんま。

「・・・協力するって、言ったわ」
「それ、・・・さっき宿海にも言われた・・・、昨日伝えたってこと?」
「さっきって・・・すごい偶然ね。」
「曲がり角でぶつかりかけた」
「クス・・・なにしてるのよ、あなた。そそっかしいのは変わらないんだから」
「ちょっ・・・い、いまはいいでしょ!で、めんまは!」

あなるは顔を赤くして、笑うつるこにいいかえす。
・・・なんか、2人とも仲良し。うふふ。

「そうね。宿海、すごく喜んでくれたわ」

ひとつ呼吸を置いて。
すとんと、気温が下がったみたいに。

「・・・めんまも」

・・・同じタイミングで、つるこも、あなるも・・・悲しそうな顔。
あれれ・・・どうしてだろ・・・

「・・・つるこ、あなる?」

つぶやくめんま。
届かない。
つるこは目を閉じて、あなるはブランコの鎖に回した指を、きゅっと握る。

「喜んでた、か・・・」
「・・・私たち、最低ね」
「・・・うん」

12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/14(金) 00:54:28.32 ID:n8yGLhFl0
きょうはここまで!

>>6
前スレも長いのにすまん
>>7
覚えてくれているのだろうかありがたい
>>8
驚かせてしまった
もう少しおつきあいください
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/08/14(金) 10:49:05.84 ID:rfLbV3GW0
おつん
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/08/22(土) 07:31:16.86 ID:4Vjv9Oxj0
保守
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/09/02(水) 18:32:00.75 ID:4Aet8v7hO
ほしゅ
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/09/05(土) 20:10:47.37 ID:FUuPFzbL0
・・・何で?何の話、してるの?
最低って?

「めんま、ちっとも変わってないの。」

ふたりのこえは重く沈む。

やだあ。つるこ、あなる・・・。

「やだよお・・・」

どうして、そんなにつらそうな顔なの・・・?
めんまのせい?

「つるこお・・っ、あなる・・・?」

めんまって、言葉がでたとたん、ふたりは・・・。
めんま、変わらないのがいけなかった?ううん、めんま、めんまがみんなの前にあらわれなければ・・・?
いけない。頭の中がまっくらになっていく。
じんたんとゆきあつは、なかなおりしたかもしれなくても。めんまの見ていないところで、他の仲間がこんな悲しい顔をしているなんて、気づかなくて。

2人はしんと、黙り込んでしまった。
あなるのブランコと、つるこのブランコの鎖をつかむ。
気付いて。気づいてくれたなら。
めんまの声が届いたなら。


「・・・どうしたの?2人とも・・・」


顔を上げない2人。
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/09/05(土) 20:12:03.44 ID:FUuPFzbL0
私たち3人そろったとき、こんな風な悲しい気持ちになったのなんて、めったになかった。
ねえ、女の子三人だけで、男の子には内緒のひみつ話とかしたよね。お花のかみかざりをつくって、みんなで頭にかぶりあった。めんまへたっぴで、きれいなの出来なかったのに、つるこも、あなるも、喜んでくれた。
・・・そうだ!お花!
お花のかんむりつくろう、それで、2人に渡すんだ。


「・・・でも今の時期にお花・・・さいてるかなあ・・・」
自分のひとりごとにはっとする。夏だもんなあ。お花もあつくてかれちゃってるかなあ・・・秘密基地まで行けば、いっぱい咲いてるかもしれないけど・・・
うー・・
ううー!


どうしようもなくて、あわあわしているうちに、あなるが話し始めた。

「めんま、さ、大きくなってるんだよね」
「ええ、そういうことになるわね。すいかわりの目の位置からしても・・・」
「背は低かったよね」
「そうね、昔から小柄だったもの」
「・・・かわいいだろうなあ・・・」
「でしょうね・・・」

・・・あれっ。
な、なんで急にめんまを褒める話になってるのお・・・。両手を握って、ふたりのゆくさきを見つめるめんま!

「めんまさあ・・・髪の毛長かったけど、あんまり結んだりしてなかったよね」
「そうね、いつも下ろしてた」
「たまーに結んだ時とかさ、可愛かったよね」

な、なにをいいだすんだか!か、かみって!
えううやだなあ・・・めんま照れちゃうよ・・・えへ・・

「・・・そう、ね」
「かみかざりとかさ。持ってなかったのかなあ」
「・・・かみ、かざり」

つるこが呟いたその言葉。『かみかざり』。
うん、そうなの。めんまかわいいの好きだったんだけど、そーゆーのぜんぜん持ってなかった。だから、ほしいな、って・・・・・


・・・かみかざり、欲しい、なって、



・・・!!!
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/09/05(土) 20:15:48.95 ID:FUuPFzbL0

「あーあ・・・なんだか、本当に懐かしいわ・・・」
「うん・・・。めんまのことばっか、だね。今日のうちら。」
「そうね」
「・・・あたしこのところ考えてたんだけどさ。
めんまのこと・・・嫌いになんかなれない・・・」

うつむきがちにあなるの話を聞いていたつるこが、あなるを見つめる。そして、ふわりと優しく笑った。

「・・・私もよ」

そんな中、
おもい、だした。
わかった。

めんまの『お願い』・・・!


「あーあ・・やっぱりかなわないんだよなあ」
「いつだってそうね、私たち」
「かなわない・・・それがめんまだし・・・。めんまはめんまなんだもん、なあ・・・」
「・・・・・・そうね・・・」
「でも、こんなきれいな気持ちで、めんまのこと成仏させてあげたいって思えて、・・・よかった」
「何泣いてるのよ」
「じんたん・・・ね、さっき会った時ね、めんまは私たちにも会いたがってるって言ってたの」
「・・・」
「めんまは、ホラ、おっちょこちょいだから・・・、神様に、伝えるのをまちがえちゃったんだ、って・・・」
「・・・っ」
「その時の、じんたんの顔・・・っ。すごく、優しい・・・笑顔でっ・・・。わ、私、かなわないなあって・・・、おも、おもった」
「・・・馬鹿、もうぐずぐずじゃない」
「つるこだってえ・・っ」
「・・・ゆきあつから、今朝、メール来たのよ、ついさっき。
今日本当は文化祭準備だったんだけど・・・」
「えっ・・・さぼったの、あのつるこが・・」
「・・見て。・・・これ」
「・・・・・・、メール?」
「読んで」
「あ、いいの?・・・じゃあ」
「・・・どう思う?」
「・・・あは、・・・つるこからしたら、かなわないね」
「おかしいの・・。みんな、好意だって受け止めてくれるんだもの・・・いい人が多すぎて、困っちゃうわね。」
「つるこ・・・」
「あいつの気持ち、一番に聞けるのは私だって思ってた。
あいつの気持ちを分かるのも、伝えられるのも、私だって。だから、・・・今はもう・・・これで十分なの。」

つるこやあなるの声をぼんやりききながら、
めんまの頭の中にぼんやり思い浮かぶ景色があった。
+ + +
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/09/05(土) 20:17:06.33 ID:FUuPFzbL0
+ + +
「めんまー」
「んー?」

ぱたぱたとめずらしく走りながら、つるこが話しかけてくる。いつものように胸にスケッチブックを抱えて。つるこがいっつもつけてる、かみを結ぶ丸いかみかざりを目で追ってしまった。

「あのねっ・・・、めんま、髪飾りほしいんだよね?」

めんまは首をひねった。たしかに、めんま、かみかざり欲しいなーって思ってたんだけど、何でつるこが知ってるんだろう?

「ほら、この前、『秘密の会』でしゃべった時・・・言ってたじゃない?」

『秘密の会』というのは、おんなのこだけでお話する時の、グループの名前なの!ああ、そういえばそうだった!とめんまは思い出して、手をぽんと打った。
そうそう。めんま、お花のなんていいなあって話してたんだ〜。
覚えててくれたんだ、なんだかうれしくて、つるこに思わず笑顔であいづちをうつ。

「うんうん!どうしてえ?」
「えへ・・・そっかあ、ううん・・。それならいいの」

つるこはほっと笑った。でも、ぎゅっとスケッチブックを抱いた腕に、力がこもったように見えて・・・。

「?なになにー?」
「めんま、きっとびっくりするよ・・・」
「なにがあ?」
「その時が来るまで、秘密」

にっこり笑ってつるこは、また走っていった。秘密基地にもどったんだと思う。めんまはその後も、秘密基地のうらでお花つみをしてたんだけど・・・。


・・・このこと、だったのかなあ。つるこ。
+ + +

20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/09/05(土) 20:22:50.59 ID:FUuPFzbL0
今日はここまで
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/09/19(土) 09:19:34.93 ID:6s+BmZ3nO
保守
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/19(土) 09:21:58.31 ID:6s+BmZ3nO
もう少しで更新します
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2015/09/20(日) 00:56:48.35 ID:fZP/KLtV0
そういえばここさけ公開しましたね
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/09/21(月) 23:07:40.64 ID:YACzalRu0
>>23
気になるよねあれ

実写のやつでまたあの花再興するんだろうか
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/09/21(月) 23:25:34.60 ID:YACzalRu0
+ + +


引き出しを開く。
ここに、ゆきあつの想いと。
めんまの『お願い』に、ひつようなものが、ある。

でも、勝手にもらっちゃだめだ。
ちゃんとゆきあつに言わなきゃ。
ちゃんと、ゆきあつから、貰わなきゃ。


(めんま、このパッチンがずっと心残りだったんだ・・・)

桃色に小さく、あの日の面影を残して咲く花。
ゆきあつ。
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/09/21(月) 23:26:11.30 ID:YACzalRu0
+ + +


「ただいま」
「ゆきあつ!!」

いつのまにか寝ちゃってた。
外は夕暮れ、慌てて体を起こす。
手の中にずっと握っていたパッチンを、てのひらに隠す。

「ゆきあつおかえり!」
「めんま。ただいま、」

話しだそうとするゆきあつを遮って、めんまは言う。

「思い出したの・・・」
「思い出したって・・・・
『お願い』、を?」

こくりと頷く。
ゆきあつは、おどろいたように目を見開いたまま、ぴたりと、動きを止めてしまった。

「・・・あのね。ゆきあつといるの、とっても楽しいよ!毎日、あったかくて、しあわせなんだっ。
・・・ありがとう」
「・・・!俺だって、めんまといて幸せで・・・!!
本当に、とんでもなくっ・・!信じられないくらい、俺は、幸せだったんだ・・・!」

ゆきあつが目の所に、自分の手を持っていった。ふるえる肩、漏れてくる息づかい、手にこもる力。
ああ、・・・泣かないで、ゆきあつ。

「ゆきあつ、あのねっ、・・・ゆきあつ、お花の、パッチン・・・」

ぱっちん、までいうと、ゆきあつは息を止めて目を見開く。
・・・ちょっと言いにくいような、恥ずかしいような。
めんまのお顔は今、赤いのかもしれない。

「ゆきあつ・・・。ごめんね、この前、ひきだしの、中で、みつけちゃったんだあ」
「・・!」

ゆきあつがさっと、パッチンのありかの引き出しを見た。

「あとねあとね、クローゼットには、いっぱい、いっぱいの・・・ヘアゴムとか、パッチンとか、服とか、・・・髪飾り。」
「あっ・・・あれは、・・・めんまに!」
「知ってるよ」

えへへ、・・・ゆきあつ。

「・・・ありがと、ゆきあつ」

照れちゃって、うまくわらえないやあ、
・・・笑えてるかなあ。

27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/09/21(月) 23:26:58.88 ID:YACzalRu0
ほんとに、いつもやさしい。
ゆきあつはいつもやさしい。
めんまにだけじゃないと思うけど、めんまにやさしいんだから、みんなにもやさしいんだと思う。


「めんまのお願いは、ね」

ああ――
でも、どうしよう、悲しいなあ…

「ゆきあつのくれた、パッチンつけて、みんなと遊ぶことだったんだよ」

思いがえる、小さなゆきあつのまっすぐな瞳。
生まれて初めて、男の子に好きと言われた。言ってもらえた。
生まれて初めて、男の子にプレゼントをもらった。
胸がどきどきして、でもじんたんのこともあって、頭の中をぐるぐるさせながら、沸騰しそうになりながら、走った。
走っても走ってもゆきあつの瞳にまだ追われている気がして、それを思い出すと顔があつくなった。

ああ、逃げ出さずにパッチンを受け取って。
みんなでじんたんを探して、仲直りして。
次の日もみんなと遊ぶ約束をして。
パッチンをつけて秘密基地に出かけて。
その次の日も、その次の次の日も、みんなと遊んで、みんなとおしゃべりして、
みんなと一緒にいたかった―――




熱い思いにこたえるように、まばたきといっしょに涙がこぼれた。
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/09/21(月) 23:30:24.29 ID:YACzalRu0

* * *
めんまは後ろ手に持っていた何かを、手を開いて見せた。
白い小さな手の上に、桃色の花びら。
驚く俺を前にして、めんまは涙をこぼしながら笑った。


「ゆきあつ、パッチン、ありがとね」

俺のあげたパッチンだ。
少し照れたように、笑いながら首をかしげて。

「これ、めんま、貰ってもいいかなあ?」


俺はあの日の自分に、このめんまの言葉を聞かせてやりたいと、めんまの笑顔を見せてやりたいと、本気で思った。
すると――・・・目頭が熱くなって、涙が溢れてきた。
すぐには言葉が出てこなくて、何度も、何度も頷きながら、俺は、情けないこの涙をぬぐう。
けれど本当に止まらなくて、俺は涙が混じる声のまま、か細い声で伝えた。

「受け取ってくれ、・・・めんま・・・」


めんまはゆっくりと頷いて、その白く細い小さな手でもって、ぱちりと。頭に、桃色の花のパッチンをつけた。
雪のような銀色の髪に咲く、桃色の花。
めんまは白い頬を、ほっと紅潮させて満足げに笑い、瞳を潤ませながら、

「めんま、・・・死んでからも、ずっと・・・このパッチン、受け取りたかったんだと思う・・・。」

ほろりと、めんまの青い、蒼い、うるんだ瞳から、また落ちる涙。
ああ。ラムネの瓶のビー玉のようだ。瓶から取り出すと、まだラムネで少し濡れていて、夏の日差しに眩しくきらきらひかる、ビー玉のよう。

「嬉しいな・・・。ゆきあつ・・・ありがとう」


――俺はこんなに可愛い女の子を、見たことがない。
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/09/21(月) 23:33:38.26 ID:YACzalRu0
+ + +
「なあ、めんま」

ん・・・?

「俺・・・今まで、めんまにひどいことをしてしまった」

あ、ゆきあつだ・・・

「最初は、めんまの『お願い』 、かなえたくなかったんだよ」

ゆきあつ、かなあ・・・?

「めんまが、消えてしまうかもしれないから・・・」

めんまのゆめ、かなあ・・・

「・・・嘘もついてた」

なんだか眠くて・・・めはひらかない・・・

「めんまにも・・・、超平和バスターズの、皆にも」

でも聴こえるよ・・・

「めんまを誰にも・・・知らせたくなくて」

うん・・・うん

「・・・めんまの覚悟を踏みにじってた」

うん・・・

「ごめん」

・・・あやまらないで・・・

「・・・起きてる内に、言えないでさ。
臆病者で・・・ごめんな」

・・・ちがうよお
そんないいかた、しないで・・・?

「・・・」

ゆきあつ。めんま・・・

「めんま・・・」

今、ゆきあつが一緒にいてくれて、
昔、好きって言ってくれて、

「ずっと・・・好きだ」

ほんとにうれしかったの。
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/09/21(月) 23:48:31.89 ID:YACzalRu0
今日はここまで。次回でラスト。
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/01(木) 19:52:24.17 ID:NtjsebwXO
保守
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/11(日) 00:43:45.80 ID:l/seblR1O
すまんもう少し
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/23(金) 22:31:18.11 ID:QF6Aj/HCO
ここさけの公開も終わってしまうのでら
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/11/07(土) 07:12:35.49 ID:cIUpCEWa0
もーすこしー
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/11/08(日) 21:17:32.06 ID:rRjWBFPn0
* * *
超平和バスターズの面々は、緊急収集にもかかわらず時間通りに秘密基地に集まった。
しかも誰一人として不満そうなやつはいない。
そして今度こそ女子の2人はスニーカーだ。今日の趣旨をよく理解していると思う。
めんまのお願いが分かったこと、そしてその内容を夜のうちに伝えた俺は、おそらく最後になるであろうめんまとの夜を、彼女の寝顔を見つめて過ごした。
未練・・・未練というか、なんというか。もちろん悲しい気持ちは晴れずに後をひいている。だが・・・後悔はない。

めんまは日記帳を持参し、みんなと会話できるようにとペンも何本か持ってきている。やる気まんまんでペンを使い切るつもりのめんまは、無邪気でかわいい。何本も一気に持ってるけど、それだと逆に書きづらいんじゃないか?

そして俺とじんたん以外のメンバーと言えば。
頭にかわいらしくパッチンをつけためんまの頭の位置をぼんやりみている。
朝も出かけ先に着けていくめんまを見て、勝手に顔を赤くした俺だが。

「・・・わ!め、めんまか!これ」
「やっぱちっちゃいのね、めんま」
「めんま、そのパッチン・・・」
[あれえ?つるこ知ってるの?]
「え・・・」


一瞬表情をかたくしたけど、鶴見は笑った。
皆には宙にパッチンだけが見えるんだもんな。どうだ、めんまはこのくらいの身長なんだぞ。パッチンつけためんまを見せてやりたい。

「・・・似合うわよ、めんま」
[ありがと!めんまの、自慢のパッチンなの!]

ちょっと本気で照れくさくて、誰も俺を気にしてないだろうに、視線を下に向ける俺がいた。

[みんな、めんまと、遊んでくれる?]


俺と宿海には見える。
日記を掲げながら、にっこり笑うめんまの姿。

俺も宿海も安城も鉄道も鶴見も、皆一切迷うことなく、

「うんっ!」
「おうよ!」
「ああ!」
「ええ!」
「ああ、・・・遊ぼう、めんま」

頷いた。

[やったあ!]

36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/11/08(日) 21:19:23.29 ID:rRjWBFPn0
秘密基地。
輝かしかったあの日々。
仲間がいて、好きな女の子もいて、人生で一番楽しくて、眩しかった日々。
一度は失われ、もう二度と手に入らないだろうと思っていた、あの日々に手が届きそうになっている。いや――あの日々よりも、もっと輝きを増して、今、超平和バスターズが戻ってきたのかもしれない。
めんま。
みんなを繋いでくれた。
めんま。
俺をずっと縛っていた。
めんま。
俺はずっと縛られたかった。
めんま。
お前を忘れたくなかった。
めんま。
でも、俺はもう。縛られるとか、そんなんじゃなくて。でも心のうち、宝物として、これから先もずっと特別な存在として、めんまをとどめておきたいと思っている。


めんまが見えない3人は、めんまの花のパッチンだけを追いかける。
時々眩しそうに眼をこする時があって、もしかしたら、光に紛れるめんまの姿が見えていたのかもしれない。

ふと、めんまの足が止まる。
めんま?と呼びかけると、めんまはにこりと、俺に笑った。
「めんまねー、生まれ変わるの」
「・・・?」
「そしてね、またね、みんなと会って、」
生まれ変わり・・・
「ずっと、ずーっとみんなと仲良しでいるっ」
「めんま・・・」

ああ、次こそ・・・次の世界でこそ。
ずっとめんまを失わないようにするんだ。
そして、めんまの愛する超平和バスターズも。

「えへへ・・・」

切なそうに、本当に日の光に消えてしまいそうになりながら、銀の髪を太陽に溶かすめんま。
終わりが近づいている。
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/11/21(土) 00:28:04.97 ID:J04HyDoL0
ほしゅ
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/12/06(日) 14:27:59.39 ID:Noqrd1Ae0
そんな気がして、めんまのことを直視できなかった。
・・・白くて小さな足の先から、透けて行っている。そしてめんまも気づいている。
逃げる足を止めて、めんまは俺を見た。・・・俺は頷く。そして、宿海も。
めんまはにこり、薄く笑い、その透き通った声でもって、一人一人を呼んだ。
俺も宿海も、めんまの呼ぶ声をアシストしたりしない。
何故だか、―――いつも届かないはずなのに―――みんなに、届く気がしたんだ。

光に溶ける間際。俺たちの良き遊び場にエコーする声。


「ぽっぽ」
ぽっぽが振り向く。ぽっぽはいつでも、誰よりも明るく気丈にふるまってくれた。
たくましく大きくなって、フットワークも軽くなって。昔とは見違えるくらいのぽっぽなのに、今は、幼かった頃、すぐ泣いていたあのぽっぽが重なって見える。水辺の大地みたいな茶色の瞳に涙をためている。
「つるこ」
つるこが息を詰まらせる。俺たちのことを一番よく見ていたんじゃないかという、心配性のつるこ。スケッチブックを手にもって、誰を描きうつしていたんだろう。花言葉をよく調べては、女子三人で花かんむりなんか作って。花も霞むような純真なめんまをそのスケッチに残していたのは知っている。
こいつこそ、めんまのことが大好きだったんじゃないだろうか。
「あなる」
あなるは瞳を丸くする。おせっかいやきで、女子の中でも男子に注意ばっかしてうるさくて、でもどんくさい。抜けているときはとことん抜けていて、ミスを犯すってことになった時の失敗の程度は、あなるが一番でかかったかもしれない。
ひたすらにじんたんを想い続け、叶わない思いを秘めた、俺とよく似た少女。昔から涙もろいのは、変わらないな。
「ゆきあつ」
俺は見つめる。
俺はめんまにどんな風に見えているんだろう?
頑張り屋で、すごいえらいってめんまは褒めてくれるけど、違うんだ。俺の名前を呼んでくれて、俺に笑いかけてくれて、そんなお前がいてくれたからなんだ。・・・めんま。
「・・・じんたん。」
じんたんも、見つめる。真っすぐにめんまをうつした瞳は、太陽の光に潤んで光っている。俺らのリーダー。何したってあのころは適わなかった。リーダーシップにカリスマ、運動も、発想力も、・・・恋も。
光り輝いていた。
ああ、最近になってようやっと、・・・また、輝き始めている。

「大好きだよ」


仲間たちがみんなこらえきれない涙を大地に落とす。
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/12/06(日) 14:29:47.71 ID:Noqrd1Ae0

「・・・・っ、たのしかった・・・。またぜったい・・・会おうねっ・・・
会いにいくからあっ・・・・、だから・・・
またね・・・!」

もうわかっていた。あと3人はめんまの姿が見えてなくても、これがもう最後なんだってわかっていた。
必死に、めんま、と叫ぶ面々。俺は、もう叫ぶ気力も残っていなくて。消えていくめんまを見たら、声も出なくて。
ああ、光に溶けていく―――つま先から、指先から、白のワンピースが背景をうつす、消えていく、涙をながした笑顔のまま――――

めんま、と小さくつぶやいたら、めんまはそれが聞こえたかのように、俺に視線を移す。駄目だ、めんま。ああ、さよならなんだ。もっと大好きって、大好きだって、伝えたい。
そうやって必死に口を動かそうとしても、わなわなと震える唇や、嗚咽に締まる喉奥は使い物にならない。
そんな俺を分かってくれたように・・・めんまが唇を動かす。
――そして、消えゆくめんまの口は、確かに、
『ありがとう』
と、そう動いていた。

ああ、俺は結局宿海に負けたんだな、と、宿海の名前が最後にめんまに呼ばれたからそう感じた。でも、最後の最後に俺に向かって笑いかけてくれた。これで、十分だ。






俺はこの先も、ずっとめんまに恋焦がれるだろう。
もう自分で言ってしまうが、俺は執念深いんだ。そんな男の初恋を奪った罪は重いぞ。
生まれ変わり、か。きっと俺は来世で、意地でもめんまの近くに行くんだ。
きらきら輝いて、はかなくて、切なくて時々甘い。この恋の味をいくつになっても忘れないだろう。めんまへの思いが今の俺を作るし、めんまへの思いを根底にして俺は生きていく。
――ずっと、生きていく。
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/12/06(日) 14:30:23.48 ID:Noqrd1Ae0
おわり
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/12/06(日) 14:32:14.82 ID:Noqrd1Ae0
前スレから長々とお付き合いいただきすみません。支援のコメントもありがとうございました。
ゆきあつを報われさせたかったんだか、なんなんだかわかりませんが、もしゆきあつにもめんまが見えたらということでやってみました。楽しかったです!
めんま!!!!1大好きだ!!!!!
42 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/08(金) 12:08:39.61 ID:7Rpi1dpnO
おつ
34.77 KB   
VIP Service SS速報VIP 専用ブラウザ 検索 Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)