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「死なない魔法にも条件がある」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/09/01(火) 01:27:01.13 ID:23pBJ+tn0
あるとても悪い組織の男は静かに笑った。

「死なない……死なないだけでヒトはどれ程のことが出来るのだろう。人生は一度しかないが、トラックにひかれて死ぬ人生も病に侵されて逝く人生も彼女には存在しない」

妬ましい。
何故何も望まなかった彼女に「死なない魔法」が与えられ、私に与えられた魔法は、くだらない「人を殺す魔法」。

「『死なない魔法』が欲しい」

そうすればもう、人を殺す人生からは永遠におさらばだ。
男は笑った。


この世には二つの魔法が存在した。
たった二種類の、魔法界の絶対二元論。

何がを出来るようにする魔法と、何かを出来ないようにする魔法。
片方は奇蹟と呼ばれ崇められ、もう片方は呪いと呼ばれて忌み嫌われた。

主に黒白で分けられる魔法の類だ。

二つの魔法はともに相反する性質を持っていたが、それとは別次元のところで二つの魔法はとても良く似ていた。
それでも人々は呪いを恐れて奇蹟にすがった。



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1441038420
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小テスト @ 2024/03/28(木) 19:48:27.38 ID:ptMrOEVy0
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満身創痍 @ 2024/03/28(木) 18:15:37.00 ID:YDfjckg/o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1711617334/

【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part8 @ 2024/03/28(木) 10:54:28.17 ID:l/9ZW4Ws0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1711590867/

旅にでんちう @ 2024/03/27(水) 09:07:07.22 ID:y4bABGEzO
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にゃんにゃん @ 2024/03/26(火) 22:26:18.81 ID:AZ8P+2+I0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/gomi/1711459578/

にゃんにゃん @ 2024/03/26(火) 22:26:02.91 ID:AZ8P+2+I0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/gomi/1711459562/

にゃんにゃん @ 2024/03/26(火) 22:25:33.60 ID:AZ8P+2+I0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/gomi/1711459533/

にゃんにゃん @ 2024/03/26(火) 22:23:40.62 ID:AZ8P+2+I0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/gomi/1711459420/

2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/01(火) 02:11:19.42 ID:1WdHc7YDO
続きはまだか
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/09/01(火) 03:03:40.31 ID:23pBJ+tn0

「なあ、兄ちゃん魔法使いだろ」

場末のバーに若い男がいた。
着古して襟首のよれたカットソーに、ありきたりなジーンズを履いた若い男だ。
ジーンズは少し破れていたが、それは別にデザインではない、本当に釘に引っ掛けて破いた跡だった。
ようするにみすぼらしい。

酒にあまり強くないその男は、飲んでいたハイボールをコトリとテーブルに置いた。
周りの声に酒の酔いもあって、声は半分ほども聞こえなかった。

「アンタさよ若造、魔法だ。使えるんだろ?」

聞き間違いかとも思った声は、赤ら顔のカウボーイのものだった。
今時珍しいウェスタンハットに、首には赤いスカーフ、腰には年季の入った銃。
持ち主と同じ、強情そうな赤い髪とひげが顔周りを覆っていた。

男は手をひらひらと振った。

「あんだとぉ、こんなボロボロが魔法使いに見えんのかおまいは」

「がっはっは、兄ちゃん、嘘はいけねえ」

ガッ、と引き寄せられたかと思えば、男のぼさぼさした黒髪は赤髪の目の前にあった。

「おっ、おいっオッサンふざけんな!一張羅がよれただろうが!」

「服なんざどうでもいい、魔法だ。表で俺と戦え」

「ああ?!だから魔法なんか使」

ドンッ!
床が一瞬揺れた。

カウボーイの持つ銃口から紫の煙が立ち上っていた。

「匂いで分かるさ、アンタぁ相当の使い手だ」

「……おいおい、床に穴開いたじゃねえか。覚悟しとけよ、ここのマスター怖ぇぞ」

「アンタが勝てば床の穴は元通りだ。ついでに、もっと上等なシャツもな」

後半を聞いて男の目が光った。

「……いーねオッサン、俺のツボを心得てる。その賭けノッた!」
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/09/01(火) 03:15:19.54 ID:23pBJ+tn0

「はは、いいぞ、獣の目になった」

「師匠がうるせえんだ、『魔法は必要な時にしか使うな』ってよ」

「出し惜しみはよくねえ」

「俺もそう思う」

もう二人は一躍、注目の的だ。
さっきまでバカ騒ぎしていた客たちは皆、二人の話を丸ごと聞いてしまっていた。

「また喧嘩か?誰?」

「あそこの赤いオッサンと若い兄ちゃんだ」

「ハルじゃん、まだこの町に居たの?」

「どしたどした?」

「賭け?」

「ハルの方が勝ったら服買いに行くんだってさ、二人で」

「ぎゃははははははははっ!そりゃいい!!最高にクレイジーだッ!!」

「おいおい店内で魔法ぶっ放すなよ、パパのカルアミルクがこぼれるだろうが」

「じゃあこっちも賭ける?ベットは銀貨一枚から」

「高ぇよビッチ!おっさんに銀貨三枚!」

「ハルに銀貨二枚……」

「ハルに金貨一枚」

「ハルに銀四」

「何だみんなハルかよ、地元民共め!よしおっさん、俺の全小遣い預けたっ!」

店内はたちまち騒然。
最後の男は銀貨一枚をそっと置いた。
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/09/01(火) 03:38:30.19 ID:23pBJ+tn0

「俺の名はゼルエロス、生まれは大陸の最西部から。俺の魔法がどれほど世界に通用すんのか試したくなって、男一匹故郷を後にした。それからもう十年ほど『これ』で食ってる」

ゼルエロスは銃を指でくるくると回した。
リボルバー式、良く手に馴染んでいる。

「俺はハル、東方の生まれだ。目的もなく気ままに生きてる」

「ハルか、覚えたぜ」

「ゼルエロス……名前にエロが入ってる奴に悪い奴は居ない」

「殺すぞ」

「やめてくれ」

ゼルエロスの魔法は分かりやすい、装填式の武器に魔力を込めて撃ち出すもの。
現在使っている者はさほど多くないが、一般に『銃(カノン)』と呼ばれる戦闘魔法だ。
このように銃や大砲はもちろん、掌や足を武器に見立てて使用するカノンも存在する。

「カノンはいい。派手さはねぇが装填に手間取らねぇし、近距離でなくとも一瞬で敵を仕留められる」

そっと指で銃身をなぞると、銃は途端に青色に輝き出した。
光に照らされた銃身に呪文が刻まれている。

「さぁ、始めようぜ」

「いつでもどうぞ」

一方でハルの手には何もない。
至って自然体だ。


数秒程して銃口が火を噴いた。
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/09/01(火) 12:27:17.98 ID:23pBJ+tn0

人々の目に捕らえきれたのは、その銃口の煙のみ。
何が起こったかもよく分からないまま、勝敗は決した。

「おっ……まっ、まさか……」

「ありがとうございました」

「弾丸が……一触れもせずに……俺の……負け」

人差し指が眉間に押し当てられている。
一瞬で目の前に移動してきた。

下に目を向けると、ハルの踵からブースターのように青白い魔力が噴出している。
単純加速……それも『カノン』より早く動ける人間が存在した。

「……負けました」

「潔いね、んじゃ服買いに行こうか」

その声を境に、光に音が追いつくように歓声が広がった。
銀貨を手に喜ぶ人々の声や、子供たちの憧れの視線がハルに向けられる。

ゼルエロスはやれやれと首を振って銃をしまった。

「ありゃ何て魔法だ?目視も出来なかった」

「『能力付加(メイジ)』。お察しの通り、足を速くするだけの魔法さ」

「メ、メイジであの威力かッ…… お前これっ……ただ事じゃない強さだぞ!」

「さぁね」

ハルはあっけらかんとしていた。

『能力付加(メイジ)』と呼ばれるこの魔法は、肉体や物体に対して新たな能力を付加する魔法。
炎を纏ったりえらや水かきをつけたりと応用は多岐にわたるが、一般人でも一通りの練習で使えるほど習得しやすい分、火力に欠ける魔法としても知られている。

「おーっし戦勝のウタゲじゃ!!皆の者酒をもていっ!!」

「わははは、お前はすぐ潰れるじゃねーか!」




以上二つは白魔法である。
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