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【モバマスSS】フリルドスクエアとプロデューサー【桃井あずき】 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 : ◆w72AKbkgD2 [saga]:2015/09/12(土) 19:24:32.40 ID:SMn9h7vN0
モバマスSSです

書き溜めあります

よろしくお願いします

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■ 萌竜会 ■ @ 2024/11/22(金) 07:17:17.71 ID:/UbTl3Hgo
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■ 萌竜会 ■ @ 2024/11/22(金) 07:16:22.54 ID:Un8tNByuo
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ちんぽいぬ @ 2024/11/21(木) 22:13:45.60 ID:BuRqeSctO
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無くても死にはしないけどある方が安心する気がしないでもない @ 2024/11/21(木) 02:19:47.82 ID:SZfofcdIo
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2 : ◆w72AKbkgD2 [saga]:2015/09/12(土) 19:26:46.04 ID:SMn9h7vN0
※注意書き


◇世界観は原作とアニメの中間(アニメ寄り)

◇アニメの世界より少し前の話

◇モバPは女性

フリルドスクエアとプロデューサー 工藤忍編
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1428333768/

フリルドスクエアとプロデューサー 綾瀬穂乃香編
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1428417800/

フリルドスクエアとプロデューサー 工藤忍・綾瀬穂乃香編
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1429108098/

フリルドスクエアとプロデューサー 喜多見柚編
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1437402581/

上記4作品の続編です
3 : ◆w72AKbkgD2 [saga]:2015/09/12(土) 19:27:26.33 ID:SMn9h7vN0

『君はちゃんと考えてスカウトをしているのか』

『もっと華のある子を捕まえないでどうするんだ。工藤に綾瀬、魅力はあるが地味じゃないか』

『うちの主力は誰だ。モデル出身で華のある高垣楓、ギャル路線の城ケ崎美嘉、大槻唯』

『いつまでも新米プロデューサーの気でいてもらっちゃ困るんだよ。うちの部署は若いんだ。新米だからと言って、甘えが許されると思うな』

『まあ課長。彼女にも彼女なりの考えがあったはずだ』

『今西部長、そうは言ってもですね、私には行き当たりばったりとしか思えないんですよ。綾瀬の時もそうだった』

『君の言いたいこともわかる。だが、直感と言うものも大切にしなきゃならん』

『その直感が期待できるならいいんですがね』

『私は期待しているよ』

『そういって部長が期待していたあの男は、アイドルに逃げられたじゃないですか』

『む……いいかい、君の言う通り346プロのアイドル部門は若い。プロデューサーも若手が中心だ。

 プロデューサーたちも成長していく必要がある。我々ベテランは、担当者を信じて、じっくり見守る必要があるとは思わんかね』

『見守ってるうちに部門がつぶれなきゃいいですがね。私はそれが嫌だから、こうして助言をしているのです。

 いいか、P。給料もらってる以上、お前はもうプロだ。プロには結果が求められる。文句を言われたくなければ、結果を出せ。失礼する』

バタン

『……申し訳ございません』

『謝ることはないさ。だが、彼の言うこともわかるね?』

『はい……』

『大丈夫。君の眼は確かだ。あとは、彼女たちをどう導くか、だ。期待しているよ』

『はい…!』

4 : ◆w72AKbkgD2 [saga]:2015/09/12(土) 19:28:08.37 ID:SMn9h7vN0



――――――――――――――――――


カタカタカタカタ

モバP(課長の言うこともごもっとも…)

モバP(フリルドスクエア、工藤と綾瀬のユニット……喜多見は喜多見でちゃんとプロデュースを考えないと)

コンコン

モバP「はい」

千川ちひろ「年末も遅くまでお疲れ様です、プロデューサーさん」

モバP「ちひろさん、お疲れ様です。おとといのライブの報告書に、喜多見に関する資料と、やること山盛りで」

ちひろ「あ、聞きましたよ。ライブすぐ終わってスカウトしちゃったって!」

モバP「さすが情報通ですね、ちひろさん。おかげで課長に怒られちゃって」

ちひろ「柚ちゃん、でしたっけ? あんなかわいい娘をスカウトしても怒られるんですか」

モバP「地味、とか、お前の動きは考えなしだ、とか」

ちひろ「地味って、それひどくないですか。考えなしって、出会いは一期一会なんですし」

モバP「ねー。まあでも課長の言うこともごもっともですからね。実際、今のうちの売れっ子は華やかですし」

ちひろ「プロデューサーさんの担当してる、忍ちゃんも穂乃香ちゃんもとっても清楚でかわいいじゃないですか」

モバP「はい。間違いなく。素材はいいんだから、やっぱり私がちゃんとプロデュースして、華やかに輝かせないと」

ちひろ「ふむぅ……」

モバP「課長が言いたいのは、結局はそこなんだと思います。もっとしっかり考えろ、って」

ちひろ「課長なりに鼓舞したってことですか」

モバP「と、思うようにしてます。じゃないとキツイですからね、前向きに、前向きに」

ちひろ「プロデューサーさんの健気さ、応援したくなっちゃいますね」

モバP「工藤と綾瀬のが伝染したのかも。ホント、健気で一生懸命ですから、あの二人。

そこに喜多見も加わって…考えることは山積ですね」

ちひろ「アイデアに困ったら、いつでも相談乗りますからね」

モバP「心強い限りです。うーん、取り急ぎはですね、お腹が空きました」

ちひろ「あー、そういうこと言うんですね。しかたない、スタドリならあげましょう」

モバP「えー、お菓子がいいですー」

ちひろ「そういうこと言うと、スタドリもあげませんよ」

モバP「うそうそ、うそですちひろさま! せめてスタドリでいいのでくださーい」

ちひろ「はい、よろしい」コト

モバP「ありがとうございます。あーあ、これがお酒ならなー」

ちひろ「まったく、口が減らないんだから。忘年会、楽しみにしてますよ」

モバP「はい、こちらこそ♪」

5 : ◆w72AKbkgD2 [saga]:2015/09/12(土) 19:29:22.55 ID:SMn9h7vN0



カランカラン

モバP「空いてる席は……と」

綾瀬穂乃香()モクモク

モバP「あれ…綾瀬?」

穂乃香()モクモク

モバP「綾瀬?」

穂乃香「えっはいっ!」ガタン

モバP「あ、ごめん、びっくりさせちゃったか」

穂乃香「あーPさん……/// びっくりしましたよ」

モバP「相席いい? あ、ブレンド1つ、お願いしまーす」

穂乃香「営業回りですか?」

モバP「そんなとこ。年末のごあいさつに、あっちにこっちに」

穂乃香「お疲れ様です。いつも、ありがとうございます」

モバP「これが仕事だもん。みんなにはもっと輝いてほしいし。綾瀬は……編み物?」

穂乃香「はい。集中力を鍛えるのにちょうどよくって」

モバP「へぇ……何事も特訓って感じだね」

穂乃香「はい。それに、編み物ってプレゼントする人の顔が浮かんでいいですよね」

モバP「ほほう。紺色……あれあれぇ、まさか、男の子にあげるのかな?」

穂乃香「残念、父に、です。バレエをやるために東京に出たのに、それをやめてアイドルになったでしょう?」

モバP「綾瀬の実家にもあいさつ行ったね。絶対怒られるって思ってたから、怒られなくて逆にびっくりしちゃった」

穂乃香「はい。お前が選んだ道でがんばりなさいって。表情も明るくなったなって言われたくらいで……応援してくれる父に、せめてものプレゼントと思って」

モバP「それはお父さん、喜ぶよ」

穂乃香「はい。ふふっ」

モバP「どうしたの?」

穂乃香「バレエのとき、1人もいなかった一緒に頑張る仲間って呼べる友達が、アイドルになったらすぐできたなって思って」

モバP「綾瀬さんは違うから、って言われてたんだっけ」

穂乃香「はい。そう言って一緒に切磋琢磨するってより、私だけ必死になってた時期がありました」

モバP「それが工藤と出会って……そういえばすごく喜んでたね。あ、喜多見はどう?」

穂乃香「まだ出会ってすぐですから……あまりわかりません」

モバP「そりゃそうだよね」

穂乃香「ぽわってしてて、マイペースな感じかな、とは思います。でも……」

モバP「でも?」

穂乃香「一緒に切磋琢磨できる友達になれると思います」

モバP「へぇ……それを聞いて少し安心したかな」

穂乃香「はい。見た目に似合わず? 負けず嫌いなところがあるみたいです」

モバP「なるほどね。よし、またみんなのレッスン、見に行くね」

穂乃香「ぜひ、お願いします」



6 : ◆w72AKbkgD2 [saga]:2015/09/12(土) 19:31:01.44 ID:SMn9h7vN0



モバP「あー、もうっ。すっかり帰社が遅くなっちゃった……今日も帰り遅くなりそ」

モバP「あれ、レッスン室に灯りが」

7 : ◆w72AKbkgD2 [saga]:2015/09/12(土) 19:31:38.07 ID:SMn9h7vN0




キュキュキュキュ

モバP(ダンスシューズの音……誰が……?)

ガチャ

柚「柚スピンっ」

忍「おぉっ! ターン決まったー!」

柚「やったー! やっとできたよ、忍チャン!」

モバP「え、工藤、喜多見?」

忍「あ、Pさん! お疲れ様!」

モバP「え、ああ、お疲れ様」

柚「Pサン、Pサン! 見てた見てた? 柚スピン!」

モバP「見てたよ。もうこんなステップできるようになったんだ」

柚「へへっ自主練自主練! 早く2人に追いつきたいもん♪」

忍「アタシもダンスは苦手だから、一緒にできて助かっちゃった、ありがと、柚ちゃん」

モバP「2人とも、すごいね…でも、時間」

忍「え…? あぁっ! もう9時半!?」

柚「こーんな遅くまでやっちゃってたんだね〜」

モバP「その通り。熱心なのもいいけど、夜、危ないからね。さ、送るから着替えておいで」

柚「わわっ、いいの? 助かっちゃうけど、埼玉遠いよ?」

モバP「遠いところまで中学生を1人で夜に返すわけにはいきません」

忍「アタシは寮だから大丈夫だよ?」

モバP「だーめ。この近距離に何があるかわからないのが都会」

忍「むー……」

モバP「はい、じゃあ着替え終わったら私の部屋に来てね。支度してるから」

8 : ◆w72AKbkgD2 [saga]:2015/09/12(土) 19:32:30.38 ID:SMn9h7vN0




忍「Pさん、ありがとう! おやすみなさい」

モバP「はいはい、おやすみ」

忍「柚ちゃんもまたね!」

柚「うん♪ ばいば〜い」
9 : ◆w72AKbkgD2 [saga]:2015/09/12(土) 19:35:46.07 ID:SMn9h7vN0


柚「Pサン、ごめんネ、送ってもらっちゃって」

モバP「練習熱心なのはいいことだし、気にしない、気にしない。ま、時間には気をつけて」

柚「お母サンからも心配のメール入ってたー。返事送ったら安心してくれたケド」

モバP「良かった。それにしても、新年からで良いって言ったのに、熱心だね」

柚「忍チャンと穂乃香チャンと早くおしゃべりしてみたくって♪」

モバP「二人の印象はどう?」

柚「んー、忍チャンは頑張り屋さん、穂乃香チャンはストイック! って感じ」

モバP「ふふ。うん、多分それで間違ってない」

柚「アタシはこーんな感じだし、初日はわわっ、すごいとこ来ちゃったって思ったよ」

モバP「初日はってことは、今は違うの?」

柚「うん、新しいことができるようになった時の達成感? それがすごく気持ちいいなって」

モバP「あー、達成感かぁ」

柚「そう! なんか2人が一生懸命になるのもわかるなーって思って!」

モバP「確かに、自分の成長がわかるってすごい楽しいことかもしれないね」

柚「でしょー? 部活はなんとなーくやってたから、好きだったけど、こんな気持ちにはなってなかったなぁ」

モバP「まだ3日だけど、それだけ本気になってくれたって思うと、うれしいな」

柚「へへっ 2人がすごい真剣だから、伝染したのカモ」

モバP「わかるわかる、私もそう」

柚「じゃあ、柚とPサンは仲間だね! これからもよろしくね」

モバP「もちろん! よろしくね」
10 : ◆w72AKbkgD2 [saga]:2015/09/12(土) 19:36:26.88 ID:SMn9h7vN0

――――――――――――――――――


『かんぱ〜い』


ベテトレ「今年もようやく終わりだな」

モバP「やっとだねー……本当疲れた」

ベテトレ「しかし忘年会の忘年会って、ちょっと飲み過ぎじゃないか」

モバP「とか言って、聖ちゃんも2つ返事でついてきてくれたじゃん」

ベテトレ「クリスマスに反して、いろんな世代が来たからな……」

モバP「ね。ちひろさんくらいまでに収めておけばよかったのに、上の世代の事務員さんとかも声かけちゃったのが失敗だった」

ベテトレ「声かけの線引きは難しいからな。ま、こうしてPと1年の締めの酒を二人で飲めて良かったよ」

モバP「聖ちゃんがキュンと来ること言うなんて珍しいね、何かあった?」

ベテトレ「……そうやって大事なとこで茶化すから男ができない」

モバP「うっ……」

ベテトレ「今年は本当によく頑張ったな、P」

モバP「ちょ、撫でないでよー」

ベテトレ「異動して、工藤をデビューさせて、綾瀬をスカウトして、ユニットライブも成功させて。大したもんだよ」

モバP「……えへへ」

ベテトレ「来年もすごい濃い1年になりそうだな。新年くらい、ゆっくり休むんだぞ。実家には?」

モバP「ううん。今年はこっち。工藤が地元帰らないって言うから、二人で初もうでに行くんだ」

ベテトレ「帰らないって、それはまたどうして」

モバP「地元には凱旋ライブまで帰らないんだって。工藤らしいよね」

ベテトレ「……まったく。頑固な子だ」

モバP「本当にね。私も頑張って、凱旋って言えるくらい有名にしてあげなきゃね」

ベテトレ「そうだな。私も協力する」

モバP「ありがとう、聖ちゃん」

ベテトレ「うむ。さ、今日は飲むぞ!」

モバP「うん!」
11 : ◆w72AKbkgD2 [saga]:2015/09/12(土) 19:36:59.13 ID:SMn9h7vN0

――――――――――――――――――


忍「あけましておめでとう、Pさん」

モバP「おめでとう。今年もよろしくね」

忍「うん、よろしくお願いします!」

モバP「さ、行こっか」
12 : ◆w72AKbkgD2 [saga]:2015/09/12(土) 19:37:34.46 ID:SMn9h7vN0


ガタンゴトン


忍「女子2人の初もうでなのに、2人とも普通の服ってね」

モバP「振袖はね、なかなかハードル高いよね」

忍「ねー」

モバP「でも今度買いに行かなきゃ……」

忍「え、何かに使うの?」

モバP「学生時代の友達が結婚するんだ。それがさ、神前式で」

忍「神前式?」

モバP「神社でやる結婚式のことかな」

忍「へえ〜 和風なんだね」

モバP「そういうこと。普通にドレスで行こうと思ってたんだけどさ、今西部長が」

『ま、君もこれからお客や業界人の式に参加することもあるだろう。1着くらい自分の着物があってもいいんじゃないかな』

モバP「ってね」

忍「Pさん、ひょっとして今の物まね?」

モバP「うん、似てたでしょ?」

忍「全然……」

モバP「割と自信あったんだけど……て、それはいいの! 要するに、振袖が必要なんだよ」

忍「いいの見つかるといいね。目星はついてるの?」

モバP「お母さんに相談したら、お母さんの実家の近所に老舗があるみたいでね。そこに行ってみようかと」

忍「へえ〜 そういえばPさんってどこ出身なの?」

モバP「ミルフィーユ」

忍「どうしたの? 新年で頭浮かれてるの?」

モバP「今年もキレッキレだね、工藤は……フランス語で千はミル、葉はフィーユ、だから千葉県」

忍「最初からそう言えばいいのに。ふふ。じゃあ千葉で買うの?」

モバP「いや、お母さんは長野なんだよね。お父さんは新潟で」

忍「全然千葉関係ないね」

モバP「うん。なんで千葉なのって聞いたら、雪が降らないとこに行きたかったって」

忍「あー……どっちも雪すごいもんね。雪の降らない冬って確かにすごい新鮮だもん」

次は築地ー築地ー

モバP「お、ついたね。行こっか」

忍「うん!」
13 : ◆w72AKbkgD2 [saga]:2015/09/12(土) 19:38:41.14 ID:SMn9h7vN0



忍「すごい……神殿って感じ?」

モバP「割と有名なとこでね、著名人のお葬式なんかでも良く使われてるよ」

忍「めでたい日にその例ってどうなの……」

モバP「ぐむむむ」

忍「でも、本当にすごいね。東京って感じがする」

モバP「なら良かった。作法も書いてくれてあるね」

忍「アタシそういうの全然知らないから、すごく助かるよ」

モバP「さてさて、お願いごとはもう決めた? 並ぼー」

14 : ◆w72AKbkgD2 [saga]:2015/09/12(土) 19:39:28.76 ID:SMn9h7vN0



モバP「ずいぶん長いことお願いしてたけど、何を願ってたの?」

忍「アイドルとして、個人でも、みんなでも、もっともっと活躍できますようにってお願いしたよ」

モバP「あれ、案外あっさり」

忍「具体的にどうします、こうします、だからこうしてくださいってお願いしたんだ。ほら、たくさんの人が来るから、ちゃんとお願いしないと伝わらないかなって」

モバP「確かに……それを先に聞いておけば良かった」

忍「へへ。Pさんは何をお願いしたの?」

モバP「おいしいお酒、おいしいご飯を健康な体でいただけますようにって」

忍「えー? アタシたちのことはお願いしてないの?」

モバP「みんなのお願いや夢を叶えるのは私の仕事だからね!」

忍「さっきまでのPさんとは別人みたいにカッコいいね! 改めて、今年もよろしくお願いします」

モバP「うん、こちらこそ改めてよろしくね」


15 : ◆w72AKbkgD2 [saga]:2015/09/12(土) 19:40:29.80 ID:SMn9h7vN0




忍「ね、Pさん。早速1つお願いしてもいいかな?」

モバP「いいよ」

忍「アタシと穂乃香ちゃん。お互いをかけ合わせる、2乗するってことでフリルドスクエアって言ってくれたよね」

モバP「うん。我ながらなかなか良いアイデアだったと思う」

忍「肇ちゃんの担当プロデューサーからアイデアもらったことは知らないことにしとくね」

モバP「あんにゃろめ……」

忍「経緯はともかく、そういう理由でこの名前もらったこと、すごくうれしかったんだ。

実際、アタシにはないもの、穂乃香ちゃんにはないもの、2人がかけあって補えあえてると思うし」

モバP「そうだね。今、2人のコンビネーションは社内でも1番だと私は思ってるよ」

忍「ありがとう。でもね、柚ちゃんと出会ってまた少し気持ちが変わったんだ」

モバP「気持ちが? それはどんなふうに?」

忍「アタシと穂乃香ちゃん、2人だけじゃまだまだ足りなかったんだって。3人なら、まだまだもっと成長できるって」

モバP「出会って、一緒に練習したのはまだほんの少しだと思うけど……?」

忍「うん。でもあんなに明るい気持ちでレッスンしたのは初めてで。それは柚ちゃんのパワーだと思う」

モバP「明るい気持ちかあ……確かにあの子は周囲をふわっと包む何かを持っているよね」

忍「Pさんが柚ちゃんをスカウトしたときに、運命的なものを感じたって言ってたでしょ?」

モバP「うん、言った」

忍「アタシも、きっと穂乃香ちゃんも感じてると思うんだ。だからね、Pさん。ユニットに柚ちゃんも加えてほしいの」

モバP「……わかった。その目を見たら断れないね」

忍「本当!? ありがとう、Pさん!」

モバP「あーあ、またユニット名から考えなきゃ。3人だものね」

忍「それなんだけど……4人になれば四角形でスクエアのままだよね」

モバP「もしかして、もう1人スカウトしろって?」

忍「へへ。アタシもフリルドスクエアって名前、すごく好きなんだ! だからこのままがいいなー」

モバP「お願いが2つになったなぁ。まったく……適した子がいれば、ね。ちゃんと考えておくから」

忍「ありがとう! Pさん! アタシ、もっともっと頑張るね!」

モバP「はいはい、でも無理は禁物ね。ほら、お腹空いたでしょ? ご飯いこ!」

16 : ◆w72AKbkgD2 [saga]:2015/09/12(土) 19:42:34.08 ID:SMn9h7vN0


――――――――――――――――――


コンコン

モバP「どうぞ」

柚「失礼しまーす」

モバP「レッスンお疲れさま。疲れてるところ呼び立ててごめんね」

柚「んーん。で、Pサン、お話って何? ひょっとして、柚のアイドルデビューのお話?」

モバP「いい笑顔! うん、その通りなんだけど……その前にいくつかいい?」

柚「デビューの話にうずうずゆずゆずだけど、いいよ!」

モバP「年明けてから2週間。工藤と綾瀬とずっと一緒にレッスンしてもらったけど、どうだった?」

柚「そうだねー、毎日新しい発見があったり、新しくできるコトがあったりで、すごく楽しいよ」

モバP「良かった。つらいことはない?」

柚「うーん、レッスンはたいへんだし、トレーナーに怒られるのは嫌だよ。でもね、柚気づいちゃったんだ」

モバP「気づいた?」

柚「ウン! あのね、アタシは嫌なコトが嫌な以上に、楽しいコトが大好きってなんだって!」

モバP「……楽しいことが大好き」

柚「面倒なことや、たいへんなことを乗り切ってできたときの達成感! すっごく気持ちいいんだ。そのためなら頑張れるカナって」

モバP「達成感、前にも言ってたね。懐かしいなぁ……私も部活真剣にやってたとき、そうだった」

柚「でしょ? 自分でも意外だったんだケド、努力家柚サンも自分の中にいたんだねー それに気づかせてくれたのは、あの2人だよ!」

モバP「そっか。あの2人とはどう? 本当にストイックだし、真面目だし、一緒にいてたいへんじゃない?」

柚「へへ、新しい発見って、レッスンのことだけじゃないよ! あの2人の真面目な一面以外もどんどんわかってきて、それもすっごく楽しいんだ!」

モバP「なるほどね。私には見せない一面もいろいろあるだろうしね。それを聞けて安心した」

柚「他には? 何かアタシに聞きたいことある?」

モバP「いや、もう大丈夫だよ。工藤、綾瀬、ドアの外で聞き耳立ててないで入っておいで」

ガタッ
17 : ◆w72AKbkgD2 [saga]:2015/09/12(土) 19:43:06.45 ID:SMn9h7vN0

ガチャ

忍「う、いつから気づいてた?」

モバP「ついさっき。2人の感想聞いたとき、外でホッと一息ついたでしょ」

穂乃香「うぅ……すみません、聞き耳立てたりして……ごめんね、柚ちゃん」

柚「ううん、アタシは構わないよ」

モバP「私としても、2人を呼ぶ手間が省けてよかった。じゃあ3人そろったところで、発表するね」

穂乃香「発表、ですか?」

モバP「うん。喜多見をフリルドスクエアに加える」

柚「ホント!? 柚そうなったらいいなーって思ってたんだ! やったね、忍チャン、穂乃香チャン!」

モバP「でも、そうするとスクエアじゃなくなっちゃう」

穂乃香「うーん……確かにそうですね」

モバP「だから、私があと1人、みんなに必要な子をスカウトしてくる」

穂乃香「なるほど、そうしたら四角形、スクエアになりますね」

モバP「その通り。どんな子が必要か、それはもうイメージがついてるんだ。あとは、見つかるか」

忍「Pさん、でも、本当にいいの?」

モバP「いいのって、工藤が言いだしっぺでしょ」

柚「えー! 忍チャンが言ってくれてたの? ありがとう、忍チャン!」

忍「え、あ、いや……その、へへ」

モバP「4人組の印象をつけたいから、一旦、フリルドスクエアは活動休止。レッスン漬けになるけど、いい?」

穂乃香「はい、もちろんです。みんなで大きく跳躍できるように……今は自分を磨きます」

柚「わわ、穂乃香チャンの特訓スイッチが入っちゃった! でも柚も負けないよっ!」

忍「うん、アタシも」

モバP「みんないい顔してるね。少しでも早く再結成できるように、私も頑張るね。では、以上! 解散!」
18 : ◆w72AKbkgD2 [saga]:2015/09/12(土) 19:45:25.49 ID:SMn9h7vN0


ガタンゴトン

モバP(工藤は、目標のためならどんなつらいことでも努力しで乗り越えられる子)

モバP(綾瀬は、互いに切磋琢磨することで、自分も、周りも成長させることができる子)

モバP(喜多見は、つらいことや嫌なことの中に、楽しいを見つけ出すことができる子)

モバP(今のフリルドスクエアに必要なのは、楽しいことを作り出すことができる子)

ガタンゴトン

モバP(今はまだみんなアイドルになったばかりで、何もかも新鮮で、何もかも楽しい時期)

モバP(あの子たちなら、長くやっても大丈夫かもしれない。強い子たちだから)

モバP(でも、もしそうじゃなかったら……)

モバP(そんな未来を作らないために、常に楽しいことを探して、見つけることができる子が必要なんだと思う)

モバP(そんな都合の良い子がいればいいんだけど、難しいだろうなぁ……でも約束したし! 私も頑張らないとね)
19 : ◆w72AKbkgD2 [saga]:2015/09/12(土) 19:46:37.25 ID:SMn9h7vN0




モバP(うぅ……雪すご……寒い……)

モバP(買い物さっさと済ませて……どうせなら長野でも候補を探そうか)

モバP(桃井呉服店、桃井呉服店……駅からそう遠くないみたいだけど……)

『冬でも生足悩殺大作戦っ!』

モバP(えっ、公園から変な声が……)

『うはははは、あずき、ぶっちゃけそれ寒いでしょ!』

『うん寒すぎー! でもおしゃれとは我慢だからねっ!』

モバP(中学生かな、寒いのに元気)

『でも風邪ひいて学校休んだら元も子もないでしょ。あずき皆勤賞狙うんじゃなかった?』

『そうだった! 風邪ひいちゃう! お願いっ! あっためてあっためて〜』

モバP(私にもあんなころが……なかった気がする。私はあんなにかわいくなかった……)

モバP(ささ、急ごう)

20 : ◆w72AKbkgD2 [saga]:2015/09/12(土) 19:47:24.54 ID:SMn9h7vN0


モバP「ごめんくださーい」

「いらっしゃいませ」

モバP「あ、お電話したPと申します」

「あ、Pさんね! お母さんからも話聞いてるよ! お母さん元気?」

モバP「はい、元気です。母とは知り合いなんですか」

「あなたのお母さんとは、小学校のあいぼうでね」

モバP「あいぼう?」

「ええ。小学校6年生が1年生の面倒を1年間ペアを組んでみるっていうのがこの地域の伝統でね。私が1年生のとき、ペアだったのがあなたのお母さん」

モバP「そうだったんですか。母からは地元にいい呉服屋があるとしか聞いてなかったので、すみません」

「いいのいいの。あ、着物ですよね」

モバP「はい。友達の結婚式で着るんです」

「はい、わかりました。待っててね。いくつか持ってくるから」
21 : ◆w72AKbkgD2 [saga]:2015/09/12(土) 19:48:10.63 ID:SMn9h7vN0


モバP(着物って、いろんなものがあるんだ……これは、風呂敷……手ぬぐい……和もいいな)

「ただいまー!!」

『こら、あずき、お客様がいらしてるでしょ。ママ今手が離せないから、お客様にお茶を出して』

桃井あずき「ごめんなさーい。いらっしゃいませ。少々お待ちください、今、お茶を入れますねっ」

モバP「あ、いえ、お構いなく……って、さっきの」

あずき「さっき? お客さん、前も来た事ありましたか」

モバP「ううん。さっき公園でファッションショーしてなかった?」

あずき「えー! 見てたんですか!」

『聞いたわよ、あずき。もう部活もないんだから、店番手伝うためにすぐ帰ってきなさいって言ってたじゃない』

あずき「うえぇ、ごめんなさい」

モバP「あらら……ごめんね、余計なこと言っちゃったね」

あずき「ううん、いいんです。こういう時は、プランSで乗り切るから」

モバP「プランS?」

あずき「素直に謝るのS!」

モバP「あは、おもしろいこと言うね」

「この子、いつもこんな感じなんです。はい、Pさん、お待たせしました。この辺りはどうでしょう」

モバP「うわぁ……どれもすごい素敵」

「どうぞ、ごゆっくり見てください。試着もどうぞ」

モバP「ありがとうございます」

カランカラン

「あ、新しいお客様かしら。あずき、Pさんをお願いね。すみません、では」

モバP「はい。よーく悩みます」

22 : ◆w72AKbkgD2 [saga]:2015/09/12(土) 19:49:27.09 ID:SMn9h7vN0




モバP(ホント、どれも素敵で目移りしちゃう)

モバP(でも、それ以上に……)

モバP「あずきちゃん、だっけ?」

あずき「あ、はい!」

モバP「あ、いいよ。そう硬くならずに。さっきから私以上にジッと見てるね、着物」

あずき「あ、あははは……わかります?」

モバP「うん。なんかすごいきらきらしてるからね」

あずき「さっきのファッションショー、いつも教室や、公園や、いろんなところでやってるの」

モバP「そうなんだ」

あずき「みんな同じ服でも、好きにアレンジして着こなすの楽しいなって」

モバP「なるほど、確かに楽しそう」

あずき「うん、最初のうちはみんなで見せ合って楽しんでたんだけど、物足りなくなっちゃって……」

モバP「それは、なぜ?」

あずき「私、呉服屋の娘でしょう? いろんな服をいつも見てるから。もっと華やかなものを着たいな、とか、アレンジしたいなって思っちゃったんです」

モバP「あー、なるほどね。これだけ素敵なものを見て育ったら、そう思うよね」

あずき「うん……でもさすがにお店のものは勝手に着ることできないし。だから、夢」

モバP「確かに、勝手に来たら怒られちゃうもんね」

あずき「頭の中には、いろいろ作戦思いついてるんだけどなぁ。もっとあずきも楽しくて、みんなも楽しくて、笑顔にできる作戦」

モバP「ふふ。そういえばさっきも、ファッションショーのときも作戦名を口にしてたね」

あずき「うん! 作戦考えるだけでとっても楽しいし、それを実際にするともっと楽しい! えへへ」

モバP「ふふ、あははっ」

あずき「え、どうしたの、お客さん?」

モバP「運命のめぐり合わせ、というか、そういうのって本当にすごいなって思ってさ」

あずき「運命?」

モバP「うん。私なら、あなたの夢を叶えることができるかもしれない」

あずき「え、それはどういうこと?」

「お待たせしました、Pさん。どう? 決まりましたか?」

モバP「あ、はい。あの、それと娘さんも一緒にいただきたいのですが……ちょっとお話、よろしいでしょうか」
23 : ◆w72AKbkgD2 [saga]:2015/09/12(土) 19:50:17.31 ID:SMn9h7vN0


――――――――――――――――――


課長「フリルドスクエア、再結成案。4人組ユニットする、ということか」

モバP「はい」

課長「人数を増やせば、確かに目立つようにはなる。しかし、ただ増やせばいいってもんじゃないことくらい、わかっているな」

モバP「もちろんです。互いを補いあうことができるメンバーをそろえています」

課長「口だけじゃ、何とでも言える。だいたい、3人まではわかっているが、4人目はどうするんだ」

モバP「昨日、長野にてスカウトして参りました。ご両親のご了解もいただいております」

課長「昨日? 君はまた独断でスカウトしてきたのか」

モバP「……はい」

課長「オーディション」

モバP「え?」

課長「オーディションを実施する。簡易なものではあるが、その娘を私が審査する」

モバP「そんな、もうすでに彼女はこちらの学校を受験する用意までしています」

課長「結構。ならなおさら急ぎ審査を行う必要があるな」

モバP「待ってください! 彼女はフリルドスクエアに必要な人材なんです」

課長「本当に必要な人材なら、私の目でも合格できるはずだ。何ら問題ない。私は君の眼を今西部長ほど信頼していない」

モバP「っ……」

課長「不満なようだが、この事態を招いているのは君のこれまでの実績のせいであること、それを自覚しなさい」

モバP「はい……」

課長「では、早急に予定を調整し、その娘をこちらに招くように。交通費はこちら負担で構わん」

モバP「承知いたしました。失礼します」


バタン

24 : ◆w72AKbkgD2 [saga]:2015/09/12(土) 19:50:44.87 ID:SMn9h7vN0



忍「Pさん、自主練見てくれるのはうれしんだけど……大丈夫?」

モバP「ん、どうした? 大丈夫だよ」

穂乃香「いえ……そうは思えませんが」

柚「なんか怖い顔してよ?」

モバP「……ごめん、みんなにまで心配かけちゃって」

穂乃香「何か、あったんですか」

モバP「ちょっとね。自分が情けなくって」

忍「ごめんね、Pさん。きっとアタシたちのことだよね?」

モバP「工藤が謝ることじゃないよ。みんなが頑張る、私も頑張る。そう決めたんだから」

柚「ウーン……頑張るもいいけど、それならスマイルスマイル、ほら、柚スマーイル」

モバP「ふふ、ありがとう」

忍「あ、そうだ! これPさんにあげるね! お茶のおまけについてきた金平糖! 甘いもの食べると笑顔になれるよ」

モバP「ありがとう、工藤」

穂乃香「じゃあ私からは……ぴにゃこらたのストラップを……見てください、このかわいらしい表情、とても癒されます」

モバP「あ、ありがとう、綾瀬」

柚「柚は何も持ってないよー」

モバP「さっきの笑顔で十分だよ、ありがとう」

柚「へへ。よくわかんないケド、今つらくても、柚やPさん、フリルドスクエアの物語には、きっとこういうシーンも必要で、これがあるからもっと面白くなるって思うよ!」

モバP「本当に、みんなありがとう。元気になった。私もまた頑張るね!」



25 : ◆w72AKbkgD2 [saga]:2015/09/12(土) 19:52:05.69 ID:SMn9h7vN0



――――――――――――――

モバP「もしもし、Pです」

あずき『もしもしー! どうしたの、Pさん』

モバP「昨日のスカウトの話なんだけど……桃井にはオーディションを受けてもらうことになった」

あずき『えー! そうじゃあすんなりアイドルってわけじゃないんだね』

モバP「うん、ごめんね。私に力がなかったばかりに」

あずき『いいのいいの! こういう方が燃えるし、作戦たっくさん考えなきゃ!』

モバP「よかった、意気消沈したらどうしようかと……」

あずき『しないよ! だって、夢は夢のままだと思ってたのに、それが叶うかもしれないんだもん。Pさん、一緒に作戦考えよ! 楽しくなってきちゃった!』

モバP「ふふ」

あずき『どうしたの?』

モバP「ううん。まだ加入前なのに、本当にメンバーの一員みたいなこと言うから。やっぱり、桃井は絶対に必要な存在だよ」

あずき『えへへ、ありがとう、Pさん。じゃああずきが作戦名考えるから、中身はよろしく!』

モバP「あ、こらっ ふふ。よろしくね」
26 : ◆w72AKbkgD2 [saga]:2015/09/12(土) 19:52:57.32 ID:SMn9h7vN0


――――――――――――――――――


モバP(そろそろ時間だけど……まだ来ないか)

パタパタパタパタ

あずき「Pさーん! ごめんごめん! 想定外のプロジェクトG!」

モバP「あ、桃井。良かった。プロジェクトGって?」

あずき「ぎりぎりに来て大物感出す作戦! でも遅刻しちゃったらダメだよね。雪で電車が遅れちゃって、ひやひやしたよ」

モバP「間に合ってよかった。まだ大丈夫だから、深呼吸して」

あずき「すーはー。よし、大丈夫!」

モバP「じゃあ、行こうか」
27 : ◆w72AKbkgD2 [saga]:2015/09/12(土) 19:53:51.60 ID:SMn9h7vN0



モバP「練習でも言ったけど、面接官は私の上司。すっごい堅物だから気をつけて」

あずき「うん、大丈夫。Pさんにも内緒で秘密の大作戦用意してきてあるから」

モバP「え、何それ……逆に不安になるんだけど」

あずき「まーまー、楽しみにしてて!」

モバP「うぅ……胃が痛い」

28 : ◆w72AKbkgD2 [saga]:2015/09/12(土) 19:55:16.50 ID:SMn9h7vN0


コンコンコンコン

課長「どうぞ、お入りください」

あずき「失礼します」

課長「はい、お名前をどうぞ」

あずき「桃井あずきです。中学3年生、もうすぐ高校生です」

課長「わかりました。ご着席ください」

あずき「失礼します」

モバP(よし。ここまでのマナーはオールOK 事前練習が電話だったから不安だったけどできてるできてる)

課長「では、自己PRをどうぞ」

あずき「はい、私は呉服屋で生まれ育ちました。いつも様々な服に囲まれて生活をしてきました。

そのため、服を見たり、着たりするセンスは磨かれていると思います」

課長「わかりました。ですが、そういったセンスと言うものは、主観的なものです。良い方向に磨かれているとは限らないと思いますが」

モバP(う、いやーな返し)

あずき「そうかもしれません。それは、今後見ていただければと思います」

課長「なるほど。その機会があれば、ですが」

モバP(ナイスな返し、それ以上に嫌味な返し……相手中学生なのに……)

課長「では、他にもいくつか質問をします」
29 : ◆w72AKbkgD2 [saga]:2015/09/12(土) 19:57:02.61 ID:SMn9h7vN0
――――――――――――――――――



モバP(あずきはかなり頑張ってくれてる)

課長「ふむ」

モバP(でも課長の表情は硬いまま。うーん……)

課長「では、質問は以上です。最後に、何かありますか」

あずき「…………」

課長「なければこれで終わりにしますが、結果は後日」

あずき「待ってください」

課長「何か」

あずき「私を、アイドルにしてください」

課長「結果は後日お伝えします」

あずき「アイドルは私の夢なんです! もし、合格できなかったら……」

課長「できなかったら?」

あずき「すぐに呉服屋の跡を継がないといけないんです……」

課長「む……」

あずき「いろいろな服を着て、みんなを笑顔にする、アイドルになるのが私の夢なんです。ここで合格しないと……ダメになっちゃう。

私、アイドルになりたいんです。ぐす。プロデューサーさんのところで、アイドルになりたいんです」

モバP(桃井……)

ズズッ

課長「……合格」

あずき「えっ?」

課長「合格です。このあとのことは、Pに」

あずき「あ、ありがとうございますっ!」

課長「どうぞ、ご退出ください。部屋の外に控室があります。そこでお待ちください」

あずき「はい、失礼します!」

ガチャ
30 : ◆w72AKbkgD2 [saga]:2015/09/12(土) 19:58:01.16 ID:SMn9h7vN0



モバP「……課長。ありがとうございます」

課長「素材が良かったから、合格させたまでだ」

モバP「はい」

課長「……私は実家が農家でな。跡を継がずに自分の夢を追いかけて東京に出た。あの子だけ夢を諦めさせるなんてこと、できないだろう。君は知っていたのか」

モバP「いえ、知りませんでした」

課長「そうか。いいか、これからだぞ。彼女の夢が叶うかどうかは君にかかっている。期待している」

モバP「!! ……ありがとうございます。精進いたします」
31 : ◆w72AKbkgD2 [saga]:2015/09/12(土) 19:59:46.63 ID:SMn9h7vN0


ガチャ

あずき「あ、Pさん!」

モバP「桃井、おめでとう!」

あずき「ありがとう、Pさん! かわいそう大作戦、大成功だったね!」

モバP「え、かわいそう大作戦?」

あずき「寂しそうな顔して優しくしてもらう作戦なの!」

モバP「へっ? あれ、演技?」

あずき「えへへ、あずき、アイドルに向いてるでしょ」

モバP「本当〜? 課長、完全に騙されてるよ、うわぁ……悪い子だ」

あずき「てへ……でもね、全部が嘘ってわけじゃないよ? 跡継ぎになるのは、本当。今じゃないけど」

モバP「そっか……看板娘、だものね」

あずき「うん。パパもママも大好きだし、いろんな夢を想像したあのお店は大好きなんだ」

モバP「とっても素敵なご両親だよね」

あずき「あずきの自慢なの。でも、夢を叶えずにいたら、喜んで跡を継ぐってできないよね」

モバP「そうかもしれないね」

あずき「だからね、あずきは目一杯アイドルをやって、ステキな衣装をたくさん着て、夢を叶えて、跡を継ぐの。そうしたら、とびっきりの笑顔で跡継ぎになれると思うんだ」

モバP「なら、絶対アイドルとして活躍しないとね」

あずき「うん! あずきのアイドルデビュー大作戦! 名付けてプロジェクトA! これからよろしくね、Pさん!」

モバP「こちらこそ、よろしくね! 一緒に頑張ろう!」




終わり


結成編に続く
32 : ◆w72AKbkgD2 [saga sage]:2015/09/12(土) 20:00:24.28 ID:SMn9h7vN0
ありがとうございました。

あと一回続きます。もしよかったらどうぞお付き合いください
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/12(土) 23:25:49.44 ID:nZrnCGUB0

あずきちかわいいよあずきち
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/09/14(月) 19:31:48.17 ID:RoDyh1YyO

楽しみにしてますよ
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