やはり俺の脳内選択肢が青春ラブコメを全力で邪魔しているのは間違っている。

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

510 : :2018/03/11(日) 14:25:29.31 ID:7FOdsJ2h0
生徒「各所への、変更に関するお知らせとお詫びの文書、送り届け終わりました! 来ていない返事は2件、確認した返事は了承のみです!」

雪乃「そう。了承いただけて良かったわ。報告次」

いろはす「はい。次は私から。再調整したスタッフの当日の仕事の割り当てが終わりました。表にまとめましたので、改めて全員自分の役割を確認しておいてください」

雪乃「聞いていたものはこれで全てね。他に報告は?」

 会議の場に使っている教室が、完全に無音になる。

雪乃「では、これで今日のミーティングを終わります。一日おつかれさまでした」

 その一言を待ってました! と言わんばかりに、生徒たちから声が上がった。

静「お疲れ、雪ノ下」

雪乃「お疲れ様です、平塚先生。私は一色さんの用意したミーティングの流れの原稿と、今日報告のある人のリストを見て進行をしているだけですから、そう難しくはありません。……当然、最初言われていた以上の仕事であるという認識はしていますが」

静「そこは、まあ、なんだ……許してほしい。実際、雪ノ下が前に出るだけで生徒たちの真面目さが一気に高まったからな」

雪乃「本当は、一色さんが作らないといけないものですけれど」

いろはす「あ、あははー……。そこはまあ、いずれということで……」
511 : :2018/03/24(土) 13:30:56.74 ID:BWZliUXS0
静「甘草」

 昇降口で平塚先生に声をかけられた。

静「少しいいか。いや、別にまた今度でもいいんだが」

 靴は履いていたけれど、特に急いで帰る用事もない。

奏「大丈夫です」
512 : :2018/03/31(土) 22:00:16.40 ID:yHHjEa7+0
静「三人の様子はどうだ?」

奏「三人とは、八幡、雪ノ下さん、由比ヶ浜さんのことでいいですか?」

静「ああ。お前から見て、どう思う?」

 平塚先生の用件は、三人について俺がどう思うかだった。

奏「表面上はやり取りできているかと思います」

 事実、クリスマス会の準備は順調に進んでいる。奉仕部だけの話ではもちろんないけれど、それでも彼らの間にわかりやすい溝はない。

静「表面上は、か」

奏「はい」

 でも、おそらく誰だって経験したことのある壁が、確かにあった。

 必要があれば話すし、協力だってする。

 でも、どこか冷めたような関係。仲間ごっこを見ているような気分になる。
513 : :2018/04/20(金) 18:33:49.62 ID:+H9xiQVN0
静「ここからは独り言だから気にするな。溝ができるほど関りを持てたのだと言うべきか、それともまだ他人を排斥しようとしているのか。難しいところだな。どう動くか、それとも動かないのかすら、大人で、教師の立場の私からすれば難しい」

奏「……」

 独り言と言いながら、しっかりと俺に聞かせている平塚先生の意図は、よくわかる。

静「こんなことを考えるべきではないと思っているのだがな。それでも思ってしまう……。仲間たちで、彼らの間で解決はしないものか、と」

 その仲間に、俺は入っているのだろうか。

 単に動けるコマとして、俺のことを利用したいんじゃないのか……。

静「さて! 甘草」

奏「はい」

 どうやら、独り言は終わったらしい。

静「おまえが抱えている葛藤が何なのか、私にはわからない」

 ――ハッとした。

 俺は、葛藤していたのか?

静「動かなければなにも変わらない、なんていうのは幻想だからな。時間が過ぎると解決することもあるが、そうでないこともある。重い問題なら特に、な。だから、今後悔しないように最善を尽くせ。独身の私みたいに……ぅっ……後悔、するなよ」

 そういうだけ言って、平塚先生は歩いていった。
514 : :2018/05/17(木) 21:33:59.88 ID:Ib2J+Kgr0
 問題が山積みで、開催すら一時危ぶまれていたクリスマスパー−ティーも、参加する小学生たちの協力もあったりして、なんとか進んでいった。

 12月の寒空の下、街に地域住民の方々に向けてのパーティーのポスターを貼っていく。

 かじかんだ指先に息を吹きかけ、和らぐことのない凍てつきをごまかしていた。ショコラやふらのや謳歌は、風邪なんかひいていたりしないだろうか。

奏「……」

 ミッションの期限まで、あと一週間を切っていた。このまま何事もなければ、それで終わり。晴れて俺は元の生活に戻る。

 問題は、この現状維持がいつまで続くのか……。
515 : :2018/06/10(日) 17:13:07.86 ID:zDTNS4tN0
八幡「奏」

 ポスターもあと一枚というところで、近くを同じようにまわっていた八幡と遭遇した。

奏「あ、八幡。ポスター張りどう?」

八幡「おおかた終わった。あと数枚だな。そこの自販機で何か飲もうと思ってな。マッカン見えたし」

奏「寒いからね。俺も一息つこうかな」

八幡「ちなみにお前は? 残り何枚だ?」

奏「ラス1」

八幡「……お、おう」
516 : :2018/07/28(土) 22:20:33.05 ID:i/CXddmh0
 自販機に温められた缶を手の中で転がしながら、俺は八幡と談笑いながら帰り道を歩いた。

 ポスターを貼るのはすぐ終わった。というか、ふとした拍子に八幡と帰ることが増えてきた気がする。帰る場所は同じなんだから、タイミングが合えば一緒に還るのは当然と言えば当然なんだけど。

 このポスターを町の人に見てもらって、高校生が企画したイベントに来てもらい、地域の人たちとの交流をする。半ば押し付けられてしまったようなこの企画も、なんとか体裁ができてきた。ポスターを貼る許可をもらったりすることも交流の一つだった。

奏「そういえば八幡、よくポスター貼らせてもらう許可とれたよね」

八幡「俺ができないのはパリピみたいな日常会話だ、馬鹿にするな」

奏「自慢じゃないなぁ……」
257.75 KB Speed:0.1   VIP Service SS速報VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 新着レスを表示
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)