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【安価】 fate/ 新たなる聖杯戦争 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/04(日) 20:46:46.52 ID:LIJQV8fP0
人がいたら始めます

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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part6 @ 2024/03/16(土) 18:36:44.10 ID:H9jwDXet0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1710581803/

昔、スリに間違えられた @ 2024/03/16(土) 17:01:20.79 ID:TU1bmFpu0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1710576080/

さくらみこ「インターネッツのディストピアで」星街すいせい「ウィキペディアね」 @ 2024/03/16(土) 15:57:39.74 ID:7uCG76pMo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1710572259/

今日は月が……❤ @ 2024/03/14(木) 18:25:34.96 ID:FFqOb4Jf0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1710408334/

どうも、僕は「げじまゆ」をヤリ捨てた好色一代男うーきちと言います!114514!! @ 2024/03/14(木) 01:23:38.34 ID:ElVKCO5V0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1710347017/

アサギ・とがめ・新生活! @ 2024/03/13(水) 21:44:42.36 ID:wQLQUVs10
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1710333881/

そろそろ春だねー! @ 2024/03/12(火) 21:53:17.79 ID:BH6nSGCdo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1710247997/

【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part5 @ 2024/03/12(火) 16:37:46.33 ID:kMZQc8+v0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1710229065/

2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/04(日) 20:49:06.27 ID:aXyfX9JF0
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/04(日) 20:49:53.23 ID:rlDHIRYb0
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/04(日) 20:50:42.87 ID:PwkSTBxbO
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  ゝ_, '"ソ二ハ二`ゝ- ヘ 、_ _ ゞ!._     様々な荒らしを乗り越えてきた
 、'"ヽ, '´ ,'  ;   `"''‐-=ブ、_,:::::"'''- ,,  ゆっくり住人は
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5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/04(日) 20:51:45.11 ID:PwkSTBxbO
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6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/04(日) 20:54:05.51 ID:LIJQV8fP0
あまり集まっていないようなので少し時間を開けますね
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/04(日) 20:54:19.73 ID:PwkSTBxbO
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8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/04(日) 20:55:41.24 ID:PwkSTBxbO
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9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/04(日) 20:56:28.64 ID:FDP3RtMxO
始めないと集まらんだろ
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/04(日) 20:56:34.80 ID:PwkSTBxbO
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    V i '"  ,___,   "' '! ヽ  / 、_,ノj  ,r一''"~´)
     i,.人.  ヽ _ソ    ,.ハ   ノ `7〈 /  ゝ''"´ __
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11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/04(日) 20:57:15.97 ID:1PPhSyNPO
いると思うよお
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/04(日) 20:57:59.91 ID:PwkSTBxbO
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 、'"ヽ, '´ ,'  ;   `"''‐-=ブ、_,:::::"'''- ,,  ゆっくり住人は
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13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/04(日) 20:58:16.88 ID:SeyphlIVo
そもそもどんなスレか分からないから集まらないんじゃないの?
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/04(日) 20:58:39.40 ID:PwkSTBxbO
もうこないんじゃない?
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/04(日) 20:59:17.28 ID:s3RWv57Do
>>14
普通にレスしてんなよ
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/04(日) 20:59:51.55 ID:PwkSTBxbO
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17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/04(日) 21:01:24.42 ID:TnefhdWpO
>>15クソワロタwwwwこの荒らしだせぇなwwwww
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/04(日) 21:02:09.86 ID:PwkSTBxbO
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19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/04(日) 21:03:03.25 ID:PwkSTBxbO
争え… もっと争え…
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/04(日) 21:04:17.45 ID:PwkSTBxbO
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21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/04(日) 21:07:41.51 ID:LIJQV8fP0
少々荒れ気味なので暫く時間を置きますね
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/04(日) 21:08:31.16 ID:6QKjQb5RO
二度と来なくていいよ
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/04(日) 21:12:11.11 ID:PwkSTBxbO
             _ ,,....,, _
           /::::::::::::::::: " ' :; ,,,
         /::::::::::::::::::::::::::::::::/"     う・・・・
    r‐- .,_/::::::::::::; / ̄ヽ;:::::::|       うろたえるんじゃないッ!
   __.)   `''ァ-ァ'"´, '    ヽ:::| 
  ゝ_, '"ソ二ハ二`ゝ- ヘ 、_ _ ゞ!._     様々な荒らしを乗り越えてきた
 、'"ヽ, '´ ,'  ;   `"''‐-=ブ、_,:::::"'''- ,,  ゆっくり住人は
  ヽ_/i.  /! ハ  ハ  ! ヽ ヽ 丶'ァ' '"     _人人人人人人人人人人人人_
    <、 ',. /__,.!/ V 、!__,ハ、 |`、`; ,!i;      >   うろたえないッ!!!   <
   ヽ iV (ヒ_]    ヒ_ン ) レ !;  イ /⌒l !     ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄
    V i '"  ,___,   "' '! ヽ  / 、_,ノj  ,r一''"~´)
     i,.人.  ヽ _ソ    ,.ハ   ノ `7〈 /  ゝ''"´ __
    ノハ > ,、 ._____,. ,,. イ;(  ,f 、__// ヽ/-‐''(´  _,,ノ、
_,,.. -ー―ノ / ヽ  ゙ー‐  / ! `゙{'′ ノ  >‐'''(´_,,/
       ー-、 ヽ-r―‐< ,r'゙{:___ノ`ー(、__/ >''"´
   、_,,,,,,,,,,,,,,,}!,,___{  ;' /´ '゙ ̄´ ̄´  丶イ  __
  \     r―ー>''"/~"''ーく⌒ヽ._,,ノィ´   `)
    \    /  /7゙ <´      ノ  /〈   ><~´
      ヽ,/   { ヽr、\   ''"    ,. -''"―-ヽ `'ー- 、
    //     \ \ヽ、`丶、__,,..ィ´}! ,iリ    ``丶、
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/04(日) 21:13:20.35 ID:PwkSTBxbO
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  ゝ_, '"ソ二ハ二`ゝ- ヘ 、_ _ ゞ!._     様々な荒らしを乗り越えてきた
 、'"ヽ, '´ ,'  ;   `"''‐-=ブ、_,:::::"'''- ,,  ゆっくり住人は
  ヽ_/i.  /! ハ  ハ  ! ヽ ヽ 丶'ァ' '"     _人人人人人人人人人人人人_
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   ヽ iV (ヒ_]    ヒ_ン ) レ !;  イ /⌒l !     ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄
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     i,.人.  ヽ _ソ    ,.ハ   ノ `7〈 /  ゝ''"´ __
    ノハ > ,、 ._____,. ,,. イ;(  ,f 、__// ヽ/-‐''(´  _,,ノ、
_,,.. -ー―ノ / ヽ  ゙ー‐  / ! `゙{'′ ノ  >‐'''(´_,,/
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  \     r―ー>''"/~"''ーく⌒ヽ._,,ノィ´   `)
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    //     \ \ヽ、`丶、__,,..ィ´}! ,iリ    ``丶、
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/04(日) 21:14:12.19 ID:PwkSTBxbO
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  ゝ_, '"ソ二ハ二`ゝ- ヘ 、_ _ ゞ!._     様々な荒らしを乗り越えてきた
 、'"ヽ, '´ ,'  ;   `"''‐-=ブ、_,:::::"'''- ,,  ゆっくり住人は
  ヽ_/i.  /! ハ  ハ  ! ヽ ヽ 丶'ァ' '"     _人人人人人人人人人人人人_
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   ヽ iV (ヒ_]    ヒ_ン ) レ !;  イ /⌒l !     ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄
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_,,.. -ー―ノ / ヽ  ゙ー‐  / ! `゙{'′ ノ  >‐'''(´_,,/
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26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [勝った >>1 の人生 完!]:2015/10/04(日) 21:15:32.70 ID:PwkSTBxbO
よっこらしょ。
    ∧_∧  ミ _ ドスッ
    (    )┌─┴┴─┐
    /    つ. 終  了 |
   :/o   /´ .└─┬┬─┘
  (_(_) ;;、`;。;`| |
  このスレの>>1は無事に逃亡しました
  ありがとうございました
  もう書き込まないでください
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/04(日) 21:16:38.19 ID:PwkSTBxbO
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  ゝ_, '"ソ二ハ二`ゝ- ヘ 、_ _ ゞ!._     様々な荒らしを乗り越えてきた
 、'"ヽ, '´ ,'  ;   `"''‐-=ブ、_,:::::"'''- ,,  ゆっくり住人は
  ヽ_/i.  /! ハ  ハ  ! ヽ ヽ 丶'ァ' '"     _人人人人人人人人人人人人_
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   ヽ iV (ヒ_]    ヒ_ン ) レ !;  イ /⌒l !     ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄
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     i,.人.  ヽ _ソ    ,.ハ   ノ `7〈 /  ゝ''"´ __
    ノハ > ,、 ._____,. ,,. イ;(  ,f 、__// ヽ/-‐''(´  _,,ノ、
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28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/04(日) 21:17:18.87 ID:PwkSTBxbO
ガチャ!やっぱりガチャあるんですね!」
「ガチャ!ガチャ!またガチャががが回せるぅう!ヤッフゥゥゥウウウウウア!」
「ガチャァアア!10連続ガチャア!いっぱいいっぱい回すのぉぉ!溶けるぅう!溶けちゃうう!」
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/04(日) 21:18:37.53 ID:PwkSTBxbO
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  ゝ_, '"ソ二ハ二`ゝ- ヘ 、_ _ ゞ!._     様々な荒らしを乗り越えてきた
 、'"ヽ, '´ ,'  ;   `"''‐-=ブ、_,:::::"'''- ,,  ゆっくり住人は
  ヽ_/i.  /! ハ  ハ  ! ヽ ヽ 丶'ァ' '"     _人人人人人人人人人人人人_
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   ヽ iV (ヒ_]    ヒ_ン ) レ !;  イ /⌒l !     ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄
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     i,.人.  ヽ _ソ    ,.ハ   ノ `7〈 /  ゝ''"´ __
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30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/04(日) 21:21:34.69 ID:PwkSTBxbO
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  ゝ_, '"ソ二ハ二`ゝ- ヘ 、_ _ ゞ!._     様々な荒らしを乗り越えてきた
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  ヽ_/i.  /! ハ  ハ  ! ヽ ヽ 丶'ァ' '"     _人人人人人人人人人人人人_
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31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/04(日) 21:23:09.75 ID:PwkSTBxbO
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32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/04(日) 21:28:06.56 ID:PwkSTBxbO
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33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/04(日) 21:28:53.33 ID:PwkSTBxbO
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34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/04(日) 21:30:25.03 ID:PwkSTBxbO
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   ヽ iV (ヒ_]    ヒ_ン ) レ !;  イ /⌒l !     ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄
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35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/04(日) 21:33:36.89 ID:LIJQV8fP0
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  ゝ_, '"ソ二ハ二`ゝ- ヘ 、_ _ ゞ!._     様々な荒らしを乗り越えてきた
 、'"ヽ, '´ ,'  ;   `"''‐-=ブ、_,:::::"'''- ,,  ゆっくり住人は
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   ヽ iV (ヒ_]    ヒ_ン ) レ !;  イ /⌒l !     ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄
    V i '"  ,___,   "' '! ヽ  / 、_,ノj  ,r一''"~´)
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36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/04(日) 21:35:18.53 ID:LIJQV8fP0
             _ ,,....,, _
           /::::::::::::::::: " ' :; ,,,
         /::::::::::::::::::::::::::::::::/"     う・・・・
    r‐- .,_/::::::::::::; / ̄ヽ;:::::::|       うろたえるんじゃないッ!
   __.)   `''ァ-ァ'"´, '    ヽ:::| 
  ゝ_, '"ソ二ハ二`ゝ- ヘ 、_ _ ゞ!._     様々な荒らしを乗り越えてきた
 、'"ヽ, '´ ,'  ;   `"''‐-=ブ、_,:::::"'''- ,,  ゆっくり住人は
  ヽ_/i.  /! ハ  ハ  ! ヽ ヽ 丶'ァ' '"     _人人人人人人人人人人人人_
    <、 ',. /__,.!/ V 、!__,ハ、 |`、`; ,!i;      >   うろたえないッ!!!   <
   ヽ iV (ヒ_]    ヒ_ン ) レ !;  イ /⌒l !     ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄
    V i '"  ,___,   "' '! ヽ  / 、_,ノj  ,r一''"~´)
     i,.人.  ヽ _ソ    ,.ハ   ノ `7〈 /  ゝ''"´ __
    ノハ > ,、 ._____,. ,,. イ;(  ,f 、__// ヽ/-‐''(´  _,,ノ、
_,,.. -ー―ノ / ヽ  ゙ー‐  / ! `゙{'′ ノ  >‐'''(´_,,/
       ー-、 ヽ-r―‐< ,r'゙{:___ノ`ー(、__/ >''"´
   、_,,,,,,,,,,,,,,,}!,,___{  ;' /´ '゙ ̄´ ̄´  丶イ  __
  \     r―ー>''"/~"''ーく⌒ヽ._,,ノィ´   `)
    \    /  /7゙ <´      ノ  /〈   ><~´
      ヽ,/   { ヽr、\   ''"    ,. -''"―-ヽ `'ー- 、
    //     \ \ヽ、`丶、__,,..ィ´}! ,iリ    ``丶、
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/04(日) 21:49:42.70 ID:nnuR44Nf0
おい>>1自身が暴走してどうするww
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/04(日) 22:26:54.17 ID:LIJQV8fP0
             _ ,,....,, _
           /::::::::::::::::: " ' :; ,,,
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   __.)   `''ァ-ァ'"´, '    ヽ:::| 
  ゝ_, '"ソ二ハ二`ゝ- ヘ 、_ _ ゞ!._     様々な荒らしを乗り越えてきた
 、'"ヽ, '´ ,'  ;   `"''‐-=ブ、_,:::::"'''- ,,  ゆっくり住人は
  ヽ_/i.  /! ハ  ハ  ! ヽ ヽ 丶'ァ' '"     _人人人人人人人人人人人人_
    <、 ',. /__,.!/ V 、!__,ハ、 |`、`; ,!i;      >   うろたえないッ!!!   <
   ヽ iV (ヒ_]    ヒ_ン ) レ !;  イ /⌒l !     ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄
    V i '"  ,___,   "' '! ヽ  / 、_,ノj  ,r一''"~´)
     i,.人.  ヽ _ソ    ,.ハ   ノ `7〈 /  ゝ''"´ __
    ノハ > ,、 ._____,. ,,. イ;(  ,f 、__// ヽ/-‐''(´  _,,ノ、
_,,.. -ー―ノ / ヽ  ゙ー‐  / ! `゙{'′ ノ  >‐'''(´_,,/
       ー-、 ヽ-r―‐< ,r'゙{:___ノ`ー(、__/ >''"´
   、_,,,,,,,,,,,,,,,}!,,___{  ;' /´ '゙ ̄´ ̄´  丶イ  __
  \     r―ー>''"/~"''ーく⌒ヽ._,,ノィ´   `)
    \    /  /7゙ <´      ノ  /〈   ><~´
      ヽ,/   { ヽr、\   ''"    ,. -''"―-ヽ `'ー- 、
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39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/04(日) 22:28:51.28 ID:LIJQV8fP0
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  ゝ_, '"ソ二ハ二`ゝ- ヘ 、_ _ ゞ!._     様々な荒らしを乗り越えてきた
 、'"ヽ, '´ ,'  ;   `"''‐-=ブ、_,:::::"'''- ,,  ゆっくり住人は
  ヽ_/i.  /! ハ  ハ  ! ヽ ヽ 丶'ァ' '"     _人人人人人人人人人人人人_
    <、 ',. /__,.!/ V 、!__,ハ、 |`、`; ,!i;      >   うろたえないッ!!!   <
   ヽ iV (ヒ_]    ヒ_ン ) レ !;  イ /⌒l !     ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄
    V i '"  ,___,   "' '! ヽ  / 、_,ノj  ,r一''"~´)
     i,.人.  ヽ _ソ    ,.ハ   ノ `7〈 /  ゝ''"´ __
    ノハ > ,、 ._____,. ,,. イ;(  ,f 、__// ヽ/-‐''(´  _,,ノ、
_,,.. -ー―ノ / ヽ  ゙ー‐  / ! `゙{'′ ノ  >‐'''(´_,,/
       ー-、 ヽ-r―‐< ,r'゙{:___ノ`ー(、__/ >''"´
   、_,,,,,,,,,,,,,,,}!,,___{  ;' /´ '゙ ̄´ ̄´  丶イ  __
  \     r―ー>''"/~"''ーく⌒ヽ._,,ノィ´   `)
    \    /  /7゙ <´      ノ  /〈   ><~´
      ヽ,/   { ヽr、\   ''"    ,. -''"―-ヽ `'ー- 、
    //     \ \ヽ、`丶、__,,..ィ´}! ,iリ    ``丶、
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/04(日) 22:31:33.46 ID:EPGrk+nxo
もういいだろ
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/04(日) 22:56:05.01 ID:nnuR44Nf0
もう人の有無関係なく始めちゃえばいいんじゃない?
そうすれば自然と集まってくるって
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/05(月) 22:53:33.03 ID:RVlNvBtZ0
そもそもどんなスレでなにやるか分からないのに人集まらないだろ
他に聖杯戦争スレあるし
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/05(月) 23:48:30.39 ID:jAwatnwmo
      _,,....,,_
   -''":::::::::::::`''-、
   ヽ::::::::::::::::::::::::::::ヽ            
    |::::::;ノ´ ̄\:::::::::::\_,. -‐ァ
    |::::ノ   ヽ、ヽr-r'"´  (.__
   _,.!イ_  _,.ヘーァ'二ハ二ヽ、へ,_7
_..,,-":::::rー''7コ-‐'"´    ;  ', `ヽ/`7   ↓1 どんなスレでなにやるの?
"-..,,_r-'ァ'"´/  /! ハ  ハ  !  iヾ_ノ
  `!イ´ ,' | /__,.!/ V 、!__ハ  ,' ,ゝ   ・四次 ・五次 ・月 ・大戦 ・GO
   `!  !/レi' (ヒ_]     ヒ_ン レ'i ノ    ・proto ・fake ・オリジナル
   ,'  ノ   !'"    ,___,  "' i .レ'
  ノノ (  ,ハ    ヽ _ン   人!
 ( ,.ヘ ,)、  )>,、 _____, ,.イ  ハ
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/05(月) 23:55:22.80 ID:vYTUl7mAO
go
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/06(火) 00:03:14.24 ID:aK+7ffj4o
秩序は燃え尽きた。多くの意味が失われた。
私たちの未来は、たった一秒で奪われた。

――その瞬間のことは、今はもうよく覚えていない。

別段、特別なことは無かったように思う。
その時間は、とくに記憶しておけるほどはっきりした時刻ではなく。
時計の針が回る音が聞こえるほど静かでもなかった。

だから何時何分だったかは元々覚えてなかったし、何月何日だったかも忘れてしまった。
たしか2016年のことだったと、それくらいの曖昧な記憶しか残っていない。
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/06(火) 00:10:38.90 ID:aK+7ffj4o
視界に入る全ては、すりガラス越しみたいにぼやけている。
それは多分、自分の目が悪いのではなく、本当に形が不確かになっているのだろう。

何がなにやら分からないけれど、自分の中から刻一刻と失われているものがあるのを感じる。
それは記憶であったり、技術であったり、力であったり――まとめて言えば、自分の存在、意味が欠け落ちている。
                       モノ
そんな自分は、今見えているまわりの人同様に、輪郭の無い染みと成り果てていることだろう。

もう自らの名前すら思い出せない。こうなってから何年が経ったのかも分からないし、実はまだ一分も経っていないのかもしれない。
ひたすらに溶けていく、その果てに。

「――。――」

誰かの声を、耳にした。

↓1 鯖
・原作鯖 ・オリ鯖
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/06(火) 00:13:54.87 ID:A0CGazDio
ルーラー(ジャンヌ・ダルク)
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/06(火) 00:32:52.17 ID:aK+7ffj4o
「――! ――。――」

たしか先ほど、自分が目が悪いだけじゃないと言ったけど、間違いだったかもしれない。
こんなに近くに居るのに、こんなに力強く在るのに、その性別すら分からない。

ぼやけた影から分かたれた線は多分腕で、それはきっと自分に向かって伸ばされている。
その意味は分からないし、考えるだけの気力も無いけれど。

何もかもが壊れた終末の中、未だ意志を持つ其れは輝いていて――。

「誰か、応えてください」

ようやく聞こえたその声に向かって、反応を返そうと、まずは手の伸ばし方を思い起こす。
触覚はとうに失われて、この手が届いているのかはおろか、ちゃんと動いているかすら分からないけど。

「ああ――あなただけでも助けられて、よかった」

たぶんこの想いは、届いたのだろう。

↓1 特異点
時代とか場所とか
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/06(火) 00:35:34.35 ID:fcIhOfgAO
南極
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/06(火) 01:01:40.32 ID:aK+7ffj4o

次に意識が戻った時、最初に感じたのは痛みだった。
それからしばらくして、それが純粋な痛覚ではなく、温度感覚であることに気付く。

寒いのだ。殺人的なまでに。

くしゃみが出るとかいうレベルではない。鼻水なんて凍ってしまう。
無意識に身体はぶるぶる震えているし、精神的にも激しく動揺している。
四方八方、どこを見てもひたすら白いばかりで逃げ場は無い。何の拷問ですかこれ。
                        リュミノジテ ・ エテルネッル
「か、神よ。我らに加護たれたまえ! 我が神はここにありて」

僅かばかりの救いであった太陽を覆い隠すようにして広げられる布。
やめてください死んでしまいますと抗議しようとした矢先、急速に寒さ痛さが引いていく。

「しばらくは持ちますが、いつまでもこうしているわけにもいきませんし、どうしましょう……」

目前の危機から救われて、ようやく彼女の存在に気付く。

白く霞んだ世界の中、白皙の肌は綺麗に溶け込んでいた。
遠く差し込む陽光に似て、煌めく金髪は暖かみを思わせる。

「あ、申し遅れました。サーヴァント、ルーラー。真名はジャンヌ・ダルク。
不肖ながら、この世界を守る守護者の任を受け、顕界しました」

↓1
そろそろ主人公の性別決めよう
あとコンマで魔術師としてのレベル 1ほど一般人 9ほど優秀
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/06(火) 01:05:11.46 ID:A0CGazDio
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/06(火) 01:23:06.70 ID:aK+7ffj4o
守護者。聞き覚えのある単語だ。
だが守護者が使い魔契約を必要とするのだろうか。

彼らはもともと世界に使役される存在。魔術師から魔翌力を受けるまでも無く
星や人類そのものから無限に近い魔翌力を受け、誰に知られることもなく危険因子を排除する。

「おおよそ、その認識で間違いありません。ですが、今回は特別です。
人類史が崩壊する2016年に、人類が滅ぶ原因は存在しなかった」

それはいったい……?

「分かりません。倒すべき敵も無いまま、やがて魔翌力の供給が断たれました」

守護者に対する魔翌力供給が途絶える。普通なら、超級の結界や、対魔術攻撃を考える。
けれど、自分が経験したことを鑑みると、最悪のケースを思い浮かべずにはいられない。

つまり、守護者側に何かが起きたのではなく、魔翌力を供給する側の問題。
英雄を英雄足らしめる人々の信仰、人類意識そのものが――。

「今の段階では、私には何も……」

もしそうだったとして、自分に何ができるというのか。何はともあれ、今はこの極寒の地でどうするべきか考えるのが先だろう。
彼女は「しばらくは持つ」と言ったが、それは逆に言えば、いつまでも彼女の力に守られるわけにはいかないということだ。

↓1
1〜3:血を求める
4〜6:どうしよ・・・
7〜9:他鯖が来て助けてくれる
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/06(火) 01:46:16.54 ID:A0CGazDio
てす
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/06(火) 02:15:25.97 ID:aK+7ffj4o
英霊の視力を以てしても、雪に閉ざされたこの土地では目印となるものを見つけられない。
何も見えないままあてずっぽうで歩いても、いたずらに体力を消費するだけだ。

ルーラーから提案を受けて、まずは自分のことを思い返してみることにした。

何らかの大規模な魔術災害に巻き込まれてパーソナルデータが摩耗しているが
あの状況を脱した今では、少しずつ自分の感覚が戻ってきている。

あらゆる災難を防ぐルーラーの宝具のおかげもあってか、今は思考も落ち着いてきた。

というわけで、何をするか考える前に、自分に何ができるのか考えてみよう。
多少は魔術の知識もあるようだし、この状況で役に立つスキルを持っている可能性もある。

炎を操る魔術でもあれば、ルーラーの宝具を使い続けずとも、もっと省エネに防寒ができるだろうし
星読みの知識に通じていれば、空を見て現在地が分かるかもしれない。まあ、今はまだ星は出ていないようだけど。

↓1〜 主人公周りの設定要素 採用したりしなかったり
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/06(火) 02:36:28.36 ID:aK+7ffj4o
           卞、_,  _    _  _    _ 、_ ,オ
              ∧∨ //〉   〈/X〉〉   〈〉〉 ∨∧
          ,ニ=ム∨∠、〈V r'__ヽV〉 ,ゝ∨/=ニ、
           ー'ニ∧マ ノ マ 厶' `厶 マ ヽヤ∧ニー'
          ¥`ー7ム〈イヤ∧[   ]∧マト〉,仏ー'´¥
        ,−vヘマニアムV∧〉    〈∧V厶ヤニマ^v−、
       `ーヘクマハマレヘ yZ^>  <^>ヤ ヘlマハマヘノー'´       番外特異点A AD:1911
          卞、     r‐ヘ∨Y〉 〈Y∨,ヘ┐       ,オ
        ∧∨      ニ、ヘ〈/_,  ,_〉〉,ヘ ,ニ      ∨∧        氷結転生極地 カノープス
    ,_〈〉〈   ,ハ V》 《V\ ̄フム∨___∨,仏 ̄/V》 《V ハ,   〉〈〉_,
  〈\〉ハ <\ 、∧〈  〉》 、\`‐,ゞ》=《ソ_‐´/、 《〈  〉∧、 /> ハ〈/〉 
<ニ ニ ニ ニ ニ ニ ニ ニ 弐《亙》挂 ニ ニ ニ ニ ニ ニ ニ ニ>
  〈/〉V </ '゙∨〈  〉》 '゙/ ,‐ イ》=《ト、‐, \` 《〈  〉∨` \> V〈\〉
    ´〈〉〈  `V ハ》 《ハ/_〉ヤ∧ ̄∧マ〈_\ハ》 《ハ V´  〉〈〉`
        ∨∧      ニ´V 〈〈` ´/〉 V`ニ      ∧∨       第一の聖杯片
        _k'       └v'∧k〉 〈オ∧V┘       弋!_
        ,−vヘマニアム/ ヘ厶>  <_> ヘ マムヤニマ^v−、       黒翼の白騎士
       `ーヘクマハマヤ,ヘ∨〉    〈∨ヘ マハマヘノー'´
人理定礎値:E 夫 ,. ‐〉マ〈ゝ〉∨[   ]∨〈ツ〉 vマ‐ 、夫
           ,‐、ニ∨厶ヽム マ<  >ヤ厶 r'ム∨ニ,‐、
          `ニ=ヤ∧<´〈〉ゝ´ `/〈〉`>∧〈=ニ´
              ∨∧ 〈〈〉   〈〈X〉〉   〈// ∧∨
           _k' `  `     ´ `     ´  ´弋!_
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/06(火) 08:13:16.73 ID:KEucLIGOO
雪山育ち

おつ
まずは南極でサバイバルか…
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/06(火) 09:07:07.45 ID:qlkHDwIAO
長髪〜
ポニーテールで色は真っ黒ね
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/06(火) 09:24:12.49 ID:oo0M+1it0
貴方の父親は衛宮士郎、母親は遠坂 凛 貴方はこの二人から生まれた子共である
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/06(火) 09:28:30.24 ID:gh44NS/B0
妹がいる
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/06(火) 09:45:54.19 ID:Cviq9ITDO
氷雪系の魔法が得意
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage ]:2015/10/06(火) 10:00:40.13 ID:PWI1cZiL0
貴方の初恋の人は岸波白野(女)
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/06(火) 11:03:33.34 ID:Sa/VPv880
魔導エンジニア
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/06(火) 11:17:35.62 ID:eh/hp8/9o
右手がサイコガン
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/06(火) 11:26:16.85 ID:Z+xGCzWqo
起源「同調」
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/06(火) 16:07:59.89 ID:aF/dC3vT0
実はラスボス
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/06(火) 19:26:15.38 ID:pqFK1Bo3o
このスレの>>1がNG入ってるから何事かと思ったら他のスレを荒らしてたヤツなんじゃが……
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2015/10/06(火) 20:33:24.83 ID:zGI0LEbl0
スタンド使い
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/06(火) 21:06:28.63 ID:gh44NS/B0
カルデアでは劣等生の烙印を押されているが、実はSSランクの魔術師
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/07(水) 00:09:44.42 ID:LLKRgQ3Do
                  __   _____   ______
                 ,´ _,, '-´ ̄ ̄`-ゝ 、_ イ、
                  'r ´          ヽ、ン、   ↓1
                 ,'==─-      -─==', i    1〜3:可もなく不可も無い魔術師
                 i イ iゝ、イ人レ/_ルヽイ i |    4〜6:山育ち系ナチュラル霊能者
                  レリイi (ヒ_]     ヒ_ン ).| .|、i .||   7〜9:サラブレッド系マジカル技術者
                   !Y!""  ,___,   "" 「 !ノ i |    0:全部乗せ
                   L.',.          L」 ノ| .|
                   | ||ヽ、       ,イ| ||イ| /
                   レ ル` ー--─ ´ルレ レ´
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/07(水) 00:10:28.55 ID:zxZTMvg80
ほい
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/07(水) 00:29:43.80 ID:LLKRgQ3Do
最初に思い出したのは、雪に閉ざされた山だった。

今いる此処のような、殺風景な場所ではない。
風の強い日には、谷間から巻き上げられた雪が柱となって立つ様が見える。
穏やかな日には、木々の枝葉を霜の針が飾り立てて、森の全てが立派な大樹となって聳え立つ。

夏場に薄らと溶け始めた雪面に移り込んだ青空。
月明かりを受けて冬の深雪が作り出す青い夜。

そこでどんな生活を送っていたかはまだ曖昧だけど。

青く、白く、美しい世界のことを覚えている。
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/07(水) 00:45:53.32 ID:LLKRgQ3Do
「雪山育ち……ですか。なら、こういった状況で生き抜く術にも通じているのですか?」

期待して貰って悪いけど、ここは自分の知る山とは違いすぎる。

雪山で遭難した場合、最初に考えるべきは、風から身を護ることだ。
上手く斜面や樹木を使って風避けにするとか。あとは雪洞を掘るとか。
しかし周りに障害物はまるで見当たらないし、素手で雪を掘ってたら早々に指が壊死しそうだ。

自分の地域では、一番冷たい風は北西方面から来るものだったので、そちらに向かって壁があると好ましい
なんてもう、四方八方から吹き荒れる風を前にしては何の役にも立たない知識だ。

「そうですか……」

知識は役に立たない。

頼りになるとしたら、力の方だろう。

↓1 どんな方面の力?
1〜5:スタンド
6〜7:魔術
8〜9:同調、開始
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/07(水) 00:58:59.76 ID:SZbVBP4Jo
トレースオン!
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/07(水) 01:44:23.31 ID:LLKRgQ3Do

下界の学問はよく分からない。けれど一つだけ、自分にもよく分かる感覚的な事実がある。

曰く、熱は波であると。

Cazacului
「風包衣」

空に潜む。伸ばした手で冷気の波を掻く。
波に逆らえば逆らうだけ体力を消耗する。けれど激しい波であればあるほど、上手く流れに合わせれば頼りになる。
流れる河は凍らない。たとえ表面が凍っていても、冬が明ければその下で魚が生き延びていたのが分かる。

「その踊りは、いったいどこの魔術なのでしょうか」
        magia
「ちゃんとした牧亞は知らない。熊の足跡を避けるとか、空模様を読むとか、そういうの延長だ」

熱の層を掴んで引き延ばす。

この世に、消えるものはない。
枯木から宿り木が伸びるように。雪解けが川を荒らすように。

人が生きるに足る糧は、どこにだってある。
ただ、その流れが激しく、迂闊に手を伸ばすと押し流されてしまうだけだ。

「その旗、降ろしていい」

「本当に大丈夫ですか? 見た目には何か変わったようには見えませんが」

「風は体感温度を下げるだけだ。確かに寒いが、しっかり集めておけば仮眠を取れる程度の熱は確保できる」

↓1 一難去って
1〜3:また一難
4〜6:自由行動
7〜9:そろそろ友好的な他鯖に会えてもいい頃
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/07(水) 01:50:36.15 ID:GbBBVD2Uo
文章に見覚えがあるのは気のせいだろうか
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/07(水) 02:26:18.82 ID:LLKRgQ3Do
  .「^ヽ,ry'^i
  ,ゝ"´ ⌒`ヽ   わざわざスレ乗っ取りまでしておいて
 くi Lノノハノ)」  
  λ.[i ゚ ヮ゚ノi!   そう簡単にバレるはずが……
  レ',ヘ.i`ム'」つ
  ,く_,//T.iλ    ↓1 今後の行動
  "ーr_,t_ァ'"    ・もうちょっとコミュろ
            ・前進あるのみ
            ・ここに拠点を築こう
            ・啓示頼み
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/07(水) 02:30:39.06 ID:Ju+Ty9clO
啓示祭り
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/08(木) 06:08:26.50 ID:O/7i199oo
互いのできることを簡単に確認し合う。

聞けば、彼女の土地の神は相当に顔が広いようだ。
こんな人気の無い場所まで見ているとは恐れ入る。その手の視野の広い神は、大抵は寡黙なものなのだが。

「言いたいことは多々ありますが、それはこの状況を乗り越えてからにしましょう」
                                                   inori
それがいい。神前で神を語れば、何が神の気に障るか分かったものではない。古い異祝以外は控えておくのが賢い。
山川草木から天神地祇まで、神語りはみな行動で示すものだ。

他にすがるものも無し。ルーラーが耳にする声があるというなら、俺も黙ってそれに従おう。

「伝道の旅に出た先人たちも、こんな気分を味わったのでしょうか」

歩き出したルーラーの後をついていく。
こう見えて、雪歩きは初めてではないらしい。小さな歩幅で一定のリズムを刻む歩き方。
何か格式高そうな旗も、躊躇うことなく杖代わりにしている。
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/08(木) 06:35:26.44 ID:O/7i199oo
しばらく歩くと、雪が踏み固められた跡が見えてきた。
今も現在形で降り積もっているのだから、雪上にはっきりした跡が残っているなら、まだすぐ近くにいるのだろう。

かなりの大群が移動しているようだ。
前三本、後ろ一本に水掻き。水鳥のものと思われる足跡。
どういうことだろうか。少なくとも鳥類なのは確かなのだが、何だってこれほど長距離を歩き続けるのか。

今俺達を襲っている吹雪は、実はこの地域では通常起こらない異常気象で、鳥たちも困っている……?

「あの、ペンギンではないでしょうか?」

ペンギン……聞いたことがある。北極海近辺に住み、飛翔能力の代わりに泳ぐ力を発達させた鳥で
肉や卵で美味で、また羽毛は防寒に適し、脂肪分も豊富。そのため乱獲されていき
世界で最初の、商業主義に絶滅させられた鳥と言われているとか。

「ペンギンが絶滅したなんて聞いたことありませんよ!?」

まあ、遠方の話は娯楽だからな。最初にペンギンの話をした旅人が脚色していたのだろう。
温和で人懐っこいと聞いていたが、実物は存外に凶暴らしいしな。

「え……?」

相手の方もなかなかに厄介そうだ。海の豹と言われるだけはある。
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/08(木) 07:00:46.60 ID:O/7i199oo
ペンギンが集まってアザラシを突き回す。肌のあちこちが破れて血が滲んでいる。
血の中に嘴を突っ込み、血まみれになりながら全身をばたつかせて少しずつ奥へ奥へ。
嘴を離すのは呼吸のためではなく、喰いちぎった肉を吐き出してもう一度喰らいつくため。
四方八方から襲い掛かるペンギンは、つつく、なんて生易しいモノではない。

しかしそれでもアザラシは口の中のペンギンを離さず、むしろより強く、噛み千切っていく。

そこから無理矢理にもがいて逃げ出したペンギンは、代わりに片足を失った。
羽毛は歯でこそぎ取られ、上半身は肉の赤みが露出している。
血で湿った毛が荒れている様は、赤い線虫が蠢いているよう。

そんな有り様でありながら、残った力を振り絞ってアザラシの足に噛み付いていく。

アザラシの方は全身を揺さぶって力任せにペンギンを薙ぎ払いつつ、ごろりと寝転がってそのうち一匹を下敷きにする。
さっきまでアザラシがいた場所からは、代わりに口から内臓を吐き出した死体が出てきた。先ほど押し潰されたペンギンも、今にこうなるのだろう。

そんな光景が、視界のそこら中に転がっている。
吹雪の中でも、赤は目立つ。目視できるだけでもアザラシが20。ペンギンはその五倍はいるだろうか。


「食料はなんとかなりそうだな」

「――。これは――」

ルーラーが絶句している。
呑気なことを考えていた俺も、やがて異常に気付かされた。

あの妙に肉が余っているというか、痩せているというか、不格好なペンギンは、さっき内臓を吐いていた奴だ。
アザラシが唸りをあげ、潰れた眼球が零れ落ちる。そこには既に、新しい目玉が出来ている。

「死徒化してる……」

↓1
・ペンギンに加勢する
・アザラシに加勢する
・このまま様子を見る
・逃げる
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/08(木) 07:04:58.40 ID:7TCGkIIBO
様子見
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/10(土) 21:06:58.40 ID:DE4gQeWYo

――――

想定外の出来事に文句を言うつもりは無い。

探検とは未知への挑戦である。目の前に広がる不意・不測に予想外は、その探検の価値そのものである。
人類初の南極点到達を志した以上、そこに予定外が入り込むのは当たり前のことだ。

だから間違えてはならない。私の慟哭は、「こんなん聞いてねーよ!」なんていう情けないモノではない。
およそこの世のものとは思えない状況に対する、人類の嘆きである。聖性の発露である。

つまり。なんていうか。

「南極やべぇえええええええええええええええッ!」

やっぱ予定通り北極にしときゃあ良かったのかも分からんね。
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/10(土) 21:11:25.75 ID:/nwTS6/do
南極は人外魔境
ペンギンミサイルで大惨事対戦勃発は日常
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/10(土) 21:30:21.43 ID:DE4gQeWYo

「やべぇえええ!」「マジやべぇッスよ! 隊長!」「マジ! マジっすよ隊長!」「マジマジッス!」

何言ってるのか分からない仲間たちの明るさが嬉しい。何がヤベェだ、お前らの楽観主義がヤベェわ。
しかし、この底抜けの馬鹿さ加減は大変ありがたい。こいつらが状況を深刻に受け止めていたら、私ももっと焦っていただろう。
ぶっちゃけあんまお金無かったから適当に揃えてきた連中を、私は今では頼もしく思っている。

貰って来た中古船は思いのほか快適だったし、貰って来たワンコも結構美味かった。私はツイている。

うん。ツイてるから。絶対ツイてるから。だからなんとかなるって。

「ところで後ろからメッチャアザラシなんですけどガオガオ?」

分かってる。実は結構前から分かってる。だから心もち速足になってる。

南極点到達を果たす少し前まで、アザラシは食料と考えて問題無かった。
だが今では、アザラシは食料どころか、生き物かどうかさえ怪しい。

白夜の時期が終わるにつれてペンギンは北に移動し、アザラシの食料が無くなることは知っていたが
まさかこの時期に入ると、とてつもない再生力を発揮する怪物と化すなんて、どこの動物学者が予想できたろうか。

しかもアザラシだけでなく南極の生物全般が白夜の終わりを合図に次々と変質していき、南極がこの世の地獄になるのだ。

「やっべぇわ……」

「最近の隊長、ヤバイくらいヤバイしか言ってないですよねー」
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/10(土) 21:44:33.83 ID:DE4gQeWYo
少し吹雪いてきているのもあって、どれだけのアザラシが後方にいるのかは判別できない。

最近のアザラシは、その体重で雪面を固めると同時に圧力融解によってその表面を水にする。
ちょうどいい具合にツルっツルになった地面に、これまたいい具合にスベっスベなお腹が乗れば
スキーやスノーボードと同じ要領でゴーゴーである。

つまり、あいつら本気出すとイヌぞりより速い。ヤバい。

あんな凄い勢いで再生する肉食べたら絶対ヤバいからって、食糧計画を変更して
口減らしを兼ねてワンコを食べた分スピードが下がっているのもあるが、それを抜きにしても相手の方が上。

もし集団で襲い掛かってこられたりすると、実にヤバい。

「少なくとも10匹以上はいますねー」

「ガオガオっすねー」

「南極来るまで、俺アザラシは『あざらしー♪』って鳴くと思ってましたよ」

「少なくとも10回以上はそれ聞きましたねー」

考えても仕方ないので、今日も今日とて前に進む。
戻ると言った方が正確な気もするが、こういう時は気持ちだけでも前向きにしておくことが大切である。
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/10(土) 21:59:16.55 ID:BvDUanYOo
ロアール・アムンセン?
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/10(土) 22:03:10.21 ID:DE4gQeWYo
そうして数刻。私たちはアザラシに包囲されていた。
イヌぞりの左右を滑る数匹のアザラシ。心なしか目が血走っている。

少しずつ距離を詰めていき、やがて右側から体当たり。左方へ吹っ飛ばされたイヌぞりに殺到するアザラシの群れ。
一瞬スピードを落としたワンコに食らいついてくる。

最初に犠牲になったのは、ポテトちゃんだった。
何かと他のワンコに食べ物を譲りたがり、自分ではあんまり食べない癖に何故か痩せない、頼りになるやつだった。

続けて、ミルクちゃん、白アスパラくん、パンナコッタくん、ヴィシソワーズ嬢。共に旅してきたワンコたちが次々と襲われていく。

「っ――逃げるぞ」

「わんわんヤベェっすよ!?」

あいつらはどれだけ叩いても死なない。どう頑張っても、一人で一頭抑えるのが限界だ。
現実的に考えれば、一頭抑えるのに三人は欲しい。

つまり、数で相手の方が上と目される今、ワンコたちを庇いながらアザラシと戦うのは無理だ。

「感覚器は変態前と大差ない。ある程度距離を取れば、あとは吹雪が痕跡を消してくれる。
急げ、ワンコの尊い犠牲を無駄にすんじゃねえ……」

逃げたとしてどうするというのか。犬ぞり無しの徒歩で、食糧備蓄も不完全なまま大陸を脱出するのは不可能だ。
だが、逃げる以外の道が見つからない。

人と同じ道歩くのが嫌だったからこんなとこまで来たってのに。道なき道を突っ走りたいって焚き付けてこの馬鹿共を集めたのに。

「ったく……ヤベェわ、南極……」
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/10(土) 22:19:27.21 ID:DE4gQeWYo
吹雪の中で、せっかくの獲物を放置して私たちを襲い掛かってくる可能性は低いと思った。
先ほどから風は強くなる一方だ。足跡くらいは見る間に消えていくし、血の匂いも長くは残らない。
仕留めたばかりの獲物でさえ、その場で食べてしまわなければやがて雪の中に隠れてしまう。

だから、私たちを追ってくることは無いと踏んでいたが。

「ヤベェっすよ……」

後方から突っ込んできたアザラシに、杖でカウンターを食らわせる隊員。
明らかにヤバイくらい頭蓋骨がへこんでいるのに、アザラシは関係無いとばかりにすぐ動き出す。

前方に回り込んでくる一頭。私の横から飛び出して来た隊員が、重い荷物を投げつける。
ちょっと待て、それかけがえのない食料入ってる奴だぞちょっとは躊躇してください。

「隊長! こっちは俺に任せてください!」

「今日こそ俺の対動物サブミッションを完成させてやりますよ!」

段々と周りにアザラシが増えてくる。
私の隊は概ね身体能力の高い馬鹿で構成されているが、このまま相手が増えていけばいずれ限界が来る。

近年段々と重くなってきた身体が憎らしい。
私があと十年若ければ、わんこも隊員も全員まとめて担ぎ上げながら南極海を泳ぎ渡るのに。
89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/10(土) 22:32:22.54 ID:DE4gQeWYo
「ピヨ!」

大きな声ではなかった。
けれど吹雪の中でもはっきりと聞き取れる、特徴的な声だった。

その声は大抵の場合、両親を呼ぶものだったが、今回はもっと大人数に当てたものだった。

「ア゛ア゛ァーォ」 「グアっ」 「アァ――!」

見た目の割に肉食獣っぽいこの声は、大型ペンギンのもの。
最初の雛鳥に呼応するように、ペンギンの声が連鎖していく。

けれど何より、最初の雛鳥は、私たちに声をかけていたように感じた。
雪の中から現れ出た、まだ灰褐色の毛が残る子ペンギン。このペンギンが、じっと私を見上げている。

次いで、重なり合った足音が深い雪を通じて私の足元にまで伝わってくる。
軍隊のように整った行進。右、左、右、左。白く霞んだ向こう側に、一列に並んだペンギンたちがいる。

「やべぇ……」「ぐあー」「マジやべぇ……」「あ゛あ゛〜あ〜」

こいつらマジでペンギンと会話できてそう。
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/10(土) 23:10:53.03 ID:DE4gQeWYo
かつてはあれほど大量にいたのに、最近は見なくなったとは思っていた。
アザラシが凶暴化するのに合わせて北に移動するものと思っていたが
どうやらペンギンたちは、アザラシの凶暴化に対して種全体の結束を増し、全面戦争に入るらしい。

しばらくペンギンを見かけなかったのは、彼らが全員集まって行動していたからと思われる。
なるほど雛が成長してペンギン全体の戦力が最高点に達する時期と、アザラシの変容期が一致している。これが南極生態系か。

事実は卒論の捏造データよりも美しきかな。こんなん本国で大真面目に報告したらどうなってしまうのだろう。

ヤバいアザラシたちを発見して、スコット隊に向けて衝撃の事実を書置きしておくべきか悩みに悩んだときは
流石に不死身アザラシなんて言ったら「低学歴バロスwwwwww」って思われそうでついついクソつまらない文章だけ残してしまった。

このあと国に戻って南極についての講演を求められるたび、アザラシやらペンギンやらの脅威の生態系について
話すべきか悩みに悩みに悩み抜いて結局無難なことだけ話す自分を思い浮かべると背筋が寒くなる。やべぇ。

「ぐあああッ!」

いつのまにかペンギンたちは私たちの周りに集まり、まるで私と隊員とを守る様にして円形陣を組んでいる。
アザラシを前にして一歩も引かず、ひたすら突きまくるペンギン。その奮戦ぶりには、思わず私も若かりし頃の情熱を思い出さずにはいられない。

「こんな可愛い奴らが、その上格好良かったら人間サマの立場が無いってもんだ」

「いやあ、でも隊長。実際俺ら場違いッスよね」

「ま、昔っからどこにいても場違いだったもんなあ。南極だからって馴染めるわけもないよな」
                   スパイク
滑り止めとして靴につけていた金属具を外して手に持つ。
いくら攻撃しても効き目が無いアザラシたちに対しては、なまじ切れ味のいいナイフよりこちらの方が良い。

攻撃翌力の低さが逆に良いのだ。ナイフで深く切り込んで肉から抜けずにもがいてる間にのしかかりを受けることがない。
常識に縛られて、これだけ攻撃すれば反撃が無いだろうという油断を招くことも無い。
それに、一撃で複数の傷をつけることで、少しアザラシの傷の治りが遅くなる気もする。


「でも隊長に『一杯おごってやるから一緒に北極来ない?』って言われたとき、結構嬉しかったッスよ」


↓1 
1:探検隊ぼろっぼろ
2〜3:探検隊はなんとか生き延びた
4〜9:金髪美女と東洋風の男を発見
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/10(土) 23:11:58.21 ID:/nwTS6/do
ほりゃあ
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/10(土) 23:12:30.18 ID:BvDUanYOo
ピンポイントェ
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/10(土) 23:13:11.04 ID:/nwTS6/do
すまない…十分の一の確率を引き当ててしまってすまない…
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/11(日) 00:40:02.22 ID:lWmfmP4Vo
スパイクの刃はそう切れ味のいいものではない。半ば力で強引で肉を裂く。
ある程度食い込めばそこで止まる。そうしてアザラシに突き刺したスパイクを持つ手にぐいと力を入れて
岩登りのような感覚で、片手で身体を持ち上げてアザラシに馬乗りになる。

反対側に引けばすぐに刃は抜け、それをすぐさまアザラシの頭に叩きつける。
頭蓋を割るにも、ナイフでは砕けてしまう危険がある。鈍器として使うならやはりスパイクの方がいい。

角度を付けて頭部を打ち据え、肉を抉りだして頭蓋骨を露出させる。
激しくばたついて背中から振り払おうとして繰るアザラシの首を締め上げるようにして抑え、さらに力を入れて今度は頭に対して武器を垂直に叩きつける。

即座に再生を繰り返し、どれだけ攻撃しても動きを止めない怪物だが、脳を破壊すればしばらく動きが止まることが分かっている。

諦めの悪い馬鹿が延々とアザラシと戯れ続けていたおかげで分かったことだ。

「ペンギンさんのおかげもあって、このくらいならなんとかなりそうッスね」

不覚ながら、私も同じことを思った。
これまで南極は何度も、その油断を突いてきたというのに。


「愛とは赤である。証である」

細身の身体に合った黒衣は、明らかに南極を歩ける装備ではない。
だが、不気味なほど白い肌と、同じく色の無い髪は、この地によく馴染んでいた。

日本隊の隊長は、温かいものを一切口にせず、身体を洗うときも冷水を用いて常に身体を低温に保つことで寒さに適応したと聞くが
ちょうどそんな風に、この男も南極に合わせて人ならざるモノになりつつあるように思えた。

「かほどに傷付きながらも、退かず迷わず余に尽くす。これこそ余の臣である。真なる信義である」

瞬間、私の前で隊員の首が飛んだ。

「労には禄あるべし。今宵、血の晩餐を挙げようぞ」
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/11(日) 01:07:25.83 ID:lWmfmP4Vo

男に向かってきたペンギンたちは、槍の一振りで一蹴された。
吹雪に耐える南極のペンギンが、あんな細い槍から生まれた風圧だけでもう立てない。

「やっぱ、俺らみたいなのが良い話風なこと言っちゃいけねえーだろうが……。
何が『一杯おごってやるから』だ。俺が誘われたときはちょっと高級なチョコ一個だったぞ。
しかもあのときは北極行くって言ってたじゃねーか。ちょっと予定変更ってレベルじゃないじゃん」

「ほう、余を前にしてなお構え続けるか。これもまた、良い臣である。だが――」

そうして、私が何もできないでいる間に、また一人。

「兵としては残念ながら二流であるようだ」

私たちはアザラシたちとは違う。心臓を刺し貫かれたら、もう終わりだ。
長槍が引き抜かれていくにつれて、血が染み出てくる。

「ッべェわー。たいちょー、俺らに言ったこと、覚えてますよね」

「どうせロクな死に方しねーだろうから、お前ら北極で俺様のために[ピーーー]、ってな。マジ冗談じゃねえわ」

「そうそう。実際、冗談じゃ無くなっちまいましたよ。マジヤバいわー」

スパイクは本来、雪上で安定して立つための装備。それを手に持って戦うなら、普通は迎撃戦しかできない。
そんなこと、いくら馬鹿でもあいつらだって分かってるはずなのに。

「この忠道、余の血で洗うまでもなく善美である。喜べ人間。余が認めよう。
その血、その知己は貴様らだけのもの。安らかに眠るが良い」

ただでさえ身体能力に致命的な差があるのに、この状況で勝てるはずが無い。

たとえ、自らの心臓を貫く槍を掴んで押し留めるだけの覚悟があっても。
怪物が少しその気になれば、腕を払うどころか、肋骨をへし折り胸を引き裂いて槍は自由になる。
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/11(日) 01:29:51.06 ID:lWmfmP4Vo
隊員は何も考えずに突っ込んでいく。ある意味、それが一番強いのだ。
迷いが無いから、相手に余裕を与えない。頭湧いてんじゃねえかってくらい愚直に
他でもない、私のために戦っている。

昔の私なら、同じように何も考えずに飛び出していただろう。
そして今の私はといえば、多少考えて飛び出す。

「槍ならば、懐に入れば使えないと考えたか? 所詮、人の理である」

ここまでの攻防で、ペンギンの方もかなりの再生力が確認できている。
その中で、ひときわ際立った回復速度を見せた子ペンギンを掴み上げて、盾代わりにする。
我ながら若干どうかとも思うが、そんな気持ちと関係無しに動けるあたり、私もまだ馬鹿共の同類だったらしい。

即座に引き寄せられた槍先が、慣性に従って男の手元を滑り、そのまま浅く持ち直す。
言葉通り、懐に入って来ても槍で問題無く対応できるらしい。
だがペンギンは予想外に良い反応を見せ、男の槍先をクチバシで止めてみせた。

「――!? 馬鹿な」

「悪いな。私たちの間じゃ、それは褒め言葉なんだ」

槍先に入った小さな罅割れが、見る間に槍全体へと広がっていく。
雪の結晶が触れた途端に壊れてしまうように。槍は細かな断片となって雪原に散った。

「サーヴァントの気配は感じる。だが……これは……何らかの隠蔽か? 上々の策である」

余った肉を掴み続けるのはペンギンにも俺の手にも優しくないが、とりあえずもちっと頑張るとしよう。ペンギンも頑張ってくれ。

いやしかし、まったくもって、南極やべぇわー……。
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/11(日) 01:50:27.57 ID:lWmfmP4Vo

――――

「サーヴァントの気配です。近い。いえ、凄い勢いで近付いてきます」

サーヴァントとは、ルーラーのような英霊たちのこと。一定の枠にはめることで天上から降ろしやすくしたもの。
そういう話だったはずだが、そう何体も同時に存在するものなのだろうか。

「詳細は省きますが、サーヴァントの同時召喚自体は珍しくありません。
そしておそらく、それらのサーヴァントは互いに戦い合うことになります」

つまり、この場に留まれば戦いになる可能性が高いと言うことか。

「決断を。状況を知るためには接触も手ですが、状況も分からないまま戦うのが妙手とは言えません」

↓1
・とりあえず待機
・こっちから近づく
・今は退いておこう
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/11(日) 02:33:03.65 ID:23cDSZflo
2
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/11(日) 10:54:39.59 ID:o6VV9KfAO
乱心院さん?
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/11(日) 11:07:26.05 ID:VEm3wINmO
どちらかというと監督役さん臭がする
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/11(日) 14:11:07.55 ID:OvbqOb2po
乱心…じゃなくて今はノープランさんだから
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/14(水) 01:36:46.76 ID:9jZ5+nELo
ルーラーは他のサーヴァントを見るだけでその真名を看破できるという。

なら、ひとまず真名を確認できるところまで近づいておいて損は無い。
この混戦状態と吹雪の中だ。不用意に近づき過ぎなければ、真名だけ確認しての撤退はそう難しくないだろう。

「それはどうでしょうか。サーヴァントはサーヴァントの気配を感じ取ります。
知覚力に長けた英霊が相手なら、既にこちらの位置を知られている可能性もありますし
魔翌力を辿って追跡してくる英霊や、瞬間移動級のスピードを持つ相手もありえるでしょう」

確かに。相手が常識外の存在だという認識が欠けていたかもしれない。

とはいえ、現状は情報が少なすぎる。相手のマスターと接触しておきたい。
貴重な食料候補が死徒化してしまっている今、いったいどうやって生活しているのか。
可能なら保存食を分けてもらえないものか。

「はたしてこの地に、他のマスターがいるかどうか……」

例外的存在であっても、サーヴァントは使い魔だ。ならば、契約者の存在は必須ではないのだろうか。
個人との契約を行わないなら、それこそ守護者そのものと区別が付かない。

「申し訳ありません。私にも、今ここで起きているのが本当に聖杯戦争なのかどうか、分からないのです」

また新しい単語が出た。まとまった時間を取って一から説明して貰わないと、何が何やら分からなくなりそうだ。
一言で説明できないなら、それは目の前に差し迫った問題ではない。ひとまず後にしよう。
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/14(水) 02:10:43.17 ID:9jZ5+nELo
ペンギンとアザラシとは互いが最大の標的らしく、思ったほど苦労することも無く戦場を移動できた。
途中一度アザラシが飛びかかってきた程度で、それも間に入ってきたペンギンが引き受けてくれた。

舞い踊る雪の中、俺にはまだ相手が見えないが、ルーラーはこの距離で十分だと言う。

「バーサーカー、ヴラド三世。分かりますか?」

名前くらいは聞いたことがある。西洋の鬼人。生き血を啜る怪物となった王様だったか。
道を踏み外した者がその身を魔に堕とす話は枚挙にいとまがない。

風の噂に伝え聞く下界は、生きることよりも重要視されるものが多々ある場所だと言うし、人の道に迷うものもさぞ多い事だろう。

「その認識が正しいのかは議論の余地がありますが――
いまこの場にいるヴラド三世は、マスターのイメージに近いようです。吸血、変化、明らかに吸血鬼です」

なら、この場で争っているペンギンとアザラシのうち片方は、バーサーカーの配下だということか。

「ええ。おそらく。今は死徒同士の戦いを優先しているようですがバーサーカー・ヴラド三世との交戦すれば
この場の半分を敵に回すことになるのでしょうね。魔術師なら、下位種の血による侵蝕は魔翌力でレジストできると聞きますが
今のマスターには可能でしょうか?」

分からない。ちゃんとした牧亞は習っていないと前にも言った。吸血鬼と言われるものを見るのもこれが初めてだ。
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/14(水) 02:32:43.38 ID:9jZ5+nELo
「では、この場は一時撤退を――」

その時、風の加減で開けた視界の先で、初めてバーサーカーを目視した。

細い体は狩りをする男には見えない。風に靡く髪も、いくさ場では邪魔になるだろう。
なのに青白く光る瞳だけで、それが捕食者であることが分かる。

「何の歓待も無く客人を帰したとあっては、名が立たぬ。しばし――」

その先は風にかき消されて聞き取れなかった。
ルーラーに手を取られる。脱臼しそうな勢いで腕を引っ張られたかと思えば、すぐに立ち止まる。
見れば、地面に赤黒い槍が突き刺さっていた。

反転して逆方向へ。降雪のカーテンに突っ込んでいく。
すぐ後ろで、また槍が突き刺さったような音がした。
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/14(水) 03:01:37.63 ID:9jZ5+nELo
「おや、スコット隊に女性隊員がいるとは聞いてなかったが」

毛皮の防寒具に身を包んだ中年。
長らく厳しい環境にいたようで頬の肉がこけているが、それでも力強く笑いかけてきた。
合わせて、男の腕の中に抱かれているペンギンも鳴いてくる。

「その薄着姿じゃ、さっきの怪物の仲間ってところか。どうせ殺されるならこっちの姉さんのがマシかな」

「人間――それも魔術師じゃない……?」

この雪原に住む民だろうか。だとしたら、是非とも村に案内してもらいたい。
恥ずかしい話だが、俺達は申し開く余地も無く完璧に遭難中だ。現在地のあたりも付けられていない。
こんな厳しい土地に用意も無く入り込んだ側が悪いのは百も承知だが、残念ながら不可抗力だった。

「は? そりゃヤバいな。意味が分からない。分かんねぇが今それ以上に意味分からん事態に巻き込まれててな」

今度の槍は、投擲ではなかった。
吹雪の中から切りかかってくる槍をルーラーの旗が受け止めれば、バーサーカーが姿を現す。

「分からぬか。然り。人の子は何も理解しない。世は不条理の上にある」
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/14(水) 03:30:40.15 ID:9jZ5+nELo
装飾の無い武骨な槍。長い杭と言った方が近いか。
光の加減ではなく、色合いが元から不均質。赤黒い中に、蛇がとぐろを巻くような紋様が浮き出ている。

材料の目星が付かないが、見ているだけで眩暈を起こしそうな強大な知殻を感じる。
ルーラーの旗も力強いが、相手の武器の方が恐ろしく感じるのは、その性質の違いからか。
相手の持つ杭は、純粋に殺傷用のものだ。

「あなたは、ここで何が起きているか分かっていますか?」

「分かっているとも。かつて余は臣民のそしりを解さなかったが、ようやく理解した。
血を以て我らは一つ。この愛らしい臣らと共に、今こそ正しく君臨しよう」

座り込んで足元のアザラシを撫で始めるバーサーカー。
さっき俺に向けた眼光はあんなに鋭かったのに、今は満面の笑みである。

「やはりバーサーカーとの会話は無理なのでしょうか」

むしろ話せば分かりそうな気がしてくる振る舞いだった。

「否。汝ら余の統治に預かるならば、血を捧げよ。それのみが余の信ずる証である」

↓1
1〜2:ルーラーってバーサーカー相手苦手じゃない?
3〜7:とりあえずおっさんと一緒に逃げよ
8〜9:ルーラーは最強クラスなんだ
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/14(水) 03:34:46.90 ID:+9ElTSkDO
がんば
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/14(水) 03:47:20.68 ID:9jZ5+nELo
    rr-----、,.-.,. -----rァ
    f!  ,.-'" ̄::`"ー..、  fl
    !l/:::::::;:::;::::;::::;::::::ヘ !l ↓1
 .    V:::i::!rハ:ハ:::}r:ト、:::i::::Ki  1〜4:南極死徒生物が二種類だけだと思ったら大間違い
     レ::ハレ○  ○ |::|:i:::},  5〜8:颯爽と新たな鯖登場
 .   く iニハ"  r┐ ",l=リレ >   9:話せば分かるバーサーカーだった
     `'{irT≧-r ハ"ヒコ-ヘ}
〜〜 どi  リJ 」_ハ__V ゛<
〜〜  、ー´゛' -.,_  _l  ゝつ
〜〜  >.,      ̄ ゙i,,r'
    'ー` ,      |
        ` i-r-ー'
         `´
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/14(水) 03:53:33.37 ID:YagcT4uC0
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/15(木) 00:03:05.37 ID:sDQc5Afho
                _    __
                ;´ ., `―-ゝ、 _イ、
              ;r ´:::::::::::::::::::::ヽ、ン、
              ,'==-::::::::::::-==',:::i  .,ヘ ))   ↓1 だれにしよっかー
       ((  ,ヘ, .i::::,ゝ、イ人レイム::::iイ::::i ハ/     ・オリ鯖
           '、ノ、レ「i ○   ○  「i:::::i,/  ヘ     ・原作鯖
          /, ' ヽLi ""r-‐‐┐""Li`/   ' ,ゝ
         < , '  ソ.i::i.ゝ,ヽ、__,ノ_ノ, i::iノ、ヽン´
         `ヽ ,ノ ヽレノ /L只_」 ハワ´γ´
              ル〈~::::/ハヽ:::::キレv'
                i;;;;;`´;`´;;;;;;;ミ
               /:::::::::::::::::::::::::コ
              ノ:::::::::::::::::::::::::::::ヽ
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/15(木) 00:03:28.58 ID:mvdt3xDAO
えみやさん
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/15(木) 00:13:33.23 ID:sDQc5Afho
               ___
          rrー-.,r'==r'ー<" ̄7」
         <.r:::´::::::::::::::::::`ヽLイ,ノ
          ,'::::;:::_;;::::;、::;;_ヽ:::::i>ヘ
         ハLi/!;iハヘ;;_ハリi::::イ::::',
         `Eリ ●   ●/ |:ノ';:::::i  のんびりいこうよ
          i:人 rー―┐'ァノ:|kハ|::::!
         λハ:Z(⌒)壬fく;|::|:::::ハ:::/  ↓1
           /|  紅 | /|リ/'、::i/   1〜3:いつから味方だと錯覚していた
.             ( |  茶 .:| |       4〜6:遠距離から無差別カラドぶち込んでくる
               |  ! .:| .|       7〜9:なかまがふえるよ!
               |_r-、__j_ノ
              /:::/`ー'::::l:::::ヽ
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/15(木) 00:14:58.74 ID:yTNRivouo
颯爽と難局に現れた筋力Dさん
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/15(木) 00:38:18.44 ID:sDQc5Afho

「とりま、そっちの怪物は任せた」

ペンギンを抱えた中年は、俺達とバーサーカーとに背を向けて、アザラシの群れの方に向き直る。

「待ってください。ただの人間に、死徒化した動物の相手は無理です!」

「どこを見ている。王前にあって礼無く下がるは不敬である」

中年を止めようとしたルーラーに、容赦なくバーサーカーが襲い掛かる。
杭と旗とで切り結び、真っ向から打ち合えば膂力ではバーサーカーが優る。

「っ! マスター、彼の援護を」

逸らし、退き、受け流す。なんとか受け止められてはいるが、戦いのイニシアチブは相手にある。
一打ごとにルーラーが押されていく。雪原上に刻まれた足跡がじりじりと雪を押し分けて後ろに伸びる。

間に入るタイミングが掴めないほど打ち合いが早い。吹雪の中でも強烈に響いてくる打撃音。
彼女の言う通り、俺は後方に下がった方がいいか。
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/15(木) 01:03:52.07 ID:sDQc5Afho
ペンギンと男とは、意外に強かった。

ずんぐりむっくりとしたペンギンを巧みに盾として置き、ペンギンの陰から強烈な蹴りを繰り出す。
ペンギンの羽毛のみならず肉まで掴みながら、ペンギンに体重を預けた無茶な体勢で飛び出す足技の数々。

ペンギンの自己回復力を上回る攻撃が予想されれば、上空へと蹴り飛ばして緊急回避。
上空から落ちてくる際、アザラシをクチバシで真っ二つに引き裂きながら雪原に頭から突き刺さる。
その落下地点で、ちょうど見計らったようにフォローに入る男がいる。

たびたび蹴られ、押し倒され、そのたびに抗議の声をあげつつもペンギンが男に逆らうことは無い。
奇妙な共闘関係には、長年の絆が感じられる。

一匹だけ羽毛の色・質が違うので、まだ子供のペンギンなのかと思っていたが、あの戦いぶりを見るに男との関係は長そうだ。
他のペンギンとは別に、ああいう種類の人に使役されるペンギンなのかもしれない。

「なあ薄着の人。ノリノリで踊ってないでちょっとは手伝ってくれないか?」

手伝っている。俺は俺なりに支援中だ。

アザラシもペンギンも、雪氷を腹で滑るのが基本。ならこの場の熱をかき回して、その基本を妨害する。
過度に熱ければ摩擦と合わせて氷が溶けだし、雪中に沈む。
逆に、持っていかれた分の熱を奪おうとする空間は、滑ってきた生き物を凍り付かせて動きを止める。

元々横薙ぎの風で、力の循環が強い場所だ。逆らわず、ただ熱の波紋を広げていく。
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/15(木) 01:21:04.08 ID:sDQc5Afho

――――

杭と、旗と。厳密にはどちらも槍ではないが、おおよそ槍使い同士の戦いといっていい。
この地で眠るランサーは刺突系の攻撃を行うだけで槍を持たないというのに、他クラス同士で槍を打ち合うとは奇妙なものだ。
まあ、それを言い出せば私も槍玉に挙げられるか。


打ち込んでくる杭を、ルーラーはあえて受け止めない。
傾いた旗の棒状部を滑ってルーラーへと迫る杭。ぎりぎりまで引きつける。
左手を離して、右手一本で旗を大きく翻す。すぐ目前にまで間合いを付けたバーサーカーと、ルーラーとの間。
その空間の狭さをまったく感じさせずに、半円を描きながら旗が開く。

バーサーカー視界を一瞬奪い、続けて旗の持ち手部分を突き出す。

体重の乗った右足が雪に深く食い込んだ音が、こちらにまで聞こえてくるよう。
けれど、それに続くべき打撃音は無い。

バーサーカーは寸前で反応し、身を反らしてルーラーの攻撃を避けている。
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/15(木) 01:46:25.54 ID:sDQc5Afho
会話ができる程度の理性はあれど、やはりバーサーカー。
もう少し麾下のアザラシたちを効率的に運用できれば相手を圧倒できるだろうに
あれらはほとんど本能のままに行動しているばかりで、戦略性というものが感じられない。

だが、だからこそ、脅威なのはバーサーカーの方だろう。

私なら雪に足を取られて、先ほどのルーラーの策で沈んでいるところだ。
地形の制約をまるで感じさせない身のこなし。真っ向から攻めるだけで強い。
小手先の技を必要とせず、真っ直ぐなスタイルが最強。存在は捻じ曲がっているが、その戦い方は逆に英雄らしくなっている。

おおよそ私とは無縁な、本質的な強さ。

あれだけに器用に立ち回っても、未だ一撃も入れられていないルーラーよりも、バーサーカーが強い。

「I am the bone of my sword. (我が骨子は捻じれ狂う。)」

標的を見定めたところで、弓に矢をつがえる。
ルーラーを助ける必要は無い。バーサーカーの撃破を第一と考えるなら、バーサーカーが体勢を崩した隙を突くべきだ。
それは、ルーラーがバーサーカーに迫る瞬間になるだろう。自然、ルーラーも巻き込むことになる。

構わない。あれはあれで、気になる異分子だ。

腰に差しているのは聖カタリナの剣、であれば真名は自ずと絞られる。それだけに、その英霊がこの場にいる道理が分からない。
私が知る限り、この地の聖杯は、ある一定の共通点を持つ英霊だけを召喚している。だが、ルーラーに関するそういった逸話を、私は知らない。
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/15(木) 02:15:41.49 ID:sDQc5Afho

――――

吹雪が一際激しく強く吹く瞬間に合わせて、姿勢を下げる。
短く持った旗を前に振るう。盾代わりに広げた旗で雪を受けつつ、その穂先で相手を狙う。

自らの広げた旗で隠れた視界の向こうに、手ごたえは感じられない。
即座に旗を翻し、積もった雪を落とす。即席の雪の壁を貫いて襲い来る杭は、雪の重みで少しだけ穂先が下がっている。
そこを突いて相手の杭を打ち払う。

未だ、互いに攻撃は命中していない。ですが、相手にはまだ余裕がある模様。

旗を使った私の不意打ちは、どれも相手に通用せず。
手詰まりの状況で、ふと意識が外にぶれたのは、単に私の心が弱かったのか、それとも天啓だったのか。
     リュミノジテ
「――我が神は」

「血の祝福である!」

バーサーカーの杭が肩口を切り裂いていく。
極寒の地では、炎に似た痛みはある種の心地良ささえ伴っていた。

直後、私の見た魔翌力の塊が、文字通り空を裂いて飛来する。
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/15(木) 02:40:05.55 ID:sDQc5Afho
その異質な矢の周りを、雪がありえない軌道で落ちていく。マーブル模様の万華鏡。
あの矢は、空間そのものを捻じ切っている――。

バーサーカーは、私を攻撃した直後に手の中の杭を捨てた。そして改めて、新しい杭を握り直す。
英霊としての武装を実体化させるのとは違う。その場で武器を創造している。

赤黒い色に統一されていたそれまでの杭とは違い、新しい杭は白が交じって、それまでより遥かに長い。
両手で握った新たな杭で地面を刺す。それまでとは違う音。積もった雪を貫通して、その下の硬い氷を撃ち破るほどの勢い。

「アアアアアアアアァ――ッッッ!」
 エテルネッル
「ここにありて――」

突き刺した杭と共に踏み込み、反動と共に跳び上がる。
飛来する矢に対する反応は私の方が早かったのに、私が宝具の真名を解放するのと、バーサーカーが空中へと逃げるのはほぼ同時。
あるいは、バーサーカーの方が僅かに早い。

空間の歪みに起因する引力。
私は宝具に守られているし、バーサーカーは既に回避を終えている。
すぐ側を掠めていく明確な死。それに巻き込まれるのは、周囲の死徒化した動物だけだ。
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/15(木) 02:48:11.47 ID:sDQc5Afho
けれど、それだけでは終わらない。

それまで何もかも引き寄せては引き千切っていった矢は、瞬間、反転する。
巻き終えた発条が反り返るように。引き切った弓から離れるように。

爆ぜた。



被害状況 1ほど重傷 9ほど無傷
↓1 ヴラド三世
↓2 隊長
↓3 ペンギン代表
↓4 主人公さん
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/15(木) 02:48:27.24 ID:sGF2osj6o
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/15(木) 02:49:16.51 ID:Fs/svHtbO
はい
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/15(木) 02:51:28.08 ID:Fs/svHtbO
もっかい
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/15(木) 02:52:52.63 ID:mvdt3xDAO
隊長が死んだ
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/15(木) 02:59:50.98 ID:JnCE01E1o
軽傷のペンギン、確定無傷のルーラー
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/15(木) 07:29:21.47 ID:bU2DeozCo
仲間を失いさらには自身も瀕死の重傷とか
隊長さんが何をしたっていうんだ…
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/15(木) 22:21:50.67 ID:sDQc5Afho
          __ 、- 、 __
         「, -´ ̄    ̄`>、/r、   ヴィシソワーズソープの発明は1917年だったわ
         r´ r  人    (_⌒ ヽ、
         i /i/レ_,イリ ノ,_ムヽ`ゝ、__イヽ、隊長が飼い犬をヴィシソワーズと名付けるのは無理だったわけ
    Σ  /`レ|_.i.( ()   (_) ),|_ //   ヽ,
      /   Li"  ,-- 、 "L_|`ヽ,    i
      i    ! !ゝ、 '、_.ノ  ,イ i,/ `、   .ノ あと時系列周りの設定はそれ以外もいろいろ甘かったわ
      ヽ、  `イノレ`_┬ _イ_iノ(ヽ    /
        ヽ、i´、/、Λ/ ゝ,r ヽ、ゝ/    深く考えないで聖杯効果の不思議時空だと思ってちょうだい
           `/ /λヽ、 `'i´ `´
           ヽ_く, -、_ノ-- 、>
          /ヽ、イ ゝ、ヽ\
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/15(木) 22:25:00.90 ID:yTNRivouo
まあGOもローマ連合とか出来てたしね
聖杯+鯖による変化みたいなもんもん
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/15(木) 22:28:06.44 ID:sDQc5Afho
         ,、_
     r   '-'‐- ._r-^==,
     .>‐´:::::::::::::`ヽ::.ヽー- l
    i:::::::l;:ト::、,、::-:::::::::::r.、 -」_   気を取り直して
   f >、:;-、 `'r::ヽli::::r'ー'-、 /´
   r'  ir::ノ  ら::ノィ::l  /ヘ
   ヽ_∧  -   ゙イ=j、 /:::::::l   ↓1
    l,,ノ、iン ァ ,-、 ´,:ノ Vゞ,、/ノ   ・主人公さんパート
      .YУt-'l/  l       ・隊長さんパート
      く ` -ー'   ゝ      ・エミヤさんパート
     /,` - ‐ ̄ ´ヽ
    ,.' :/         ヘ
   .K  ー          ゝ
   ヽ ヽ_     __  -  , >
    ` - 、_ニ_   ,、-ィ ´
        .L.j ` ̄ j_ノ
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/15(木) 22:29:49.19 ID:sGF2osj6o
隊長さん
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/15(木) 22:57:33.65 ID:sDQc5Afho

――――

「おはよーッス」 「チィーッス」 「ッス!」

壁を緑一色で埋め尽くすほどの蔦。
途方も無く高い天井に気付くまで、何かの建物の外にいるだと錯覚していた。
だが、肌に触れる空気は温かいし、頭上にはでっかいシャンデリアがある。

「ここは……夢か? それとも死後の世界って奴か?」

「一回死んでることには変わりないし、あなたにとって悪い夢なのも確かね」

答えたのは、紫のローブをまとった女だった。
極端に肌の露出が少なく、足元まで布地に覆われている。肌のラインが薄らと見える程度に薄い生地だ。防寒用ではない。

突飛な発想だが、真っ先に浮かんだのは「お伽噺の悪い魔法使いみたい」という感想だった。

「まず、立場を分かってもらいましょうか。隊長さん」

女が指を鳴らす。その瞬間、周囲にいた隊員が一人残らず、崩れ落ちる。
意識を失っただけとは思えない。枯れ枝が腐り落ちるように、骨や関節と関係無く、異様な箇所から潰れていったみたいに見えた。
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/15(木) 23:21:26.00 ID:sDQc5Afho
「私の死者蘇生は不完全なもの。特に彼らは大した魔翌力を持っていなかった上に処理が遅れたから
仮初の命が紡ぐ生気を私に捧げるだけで、もう人として機能しない欠陥品。正直、活かしておいてもトントン。得しないのよね」

何を言っているか分からない。
ただでさえ大雑把に生きてきたのに、寝起きで難しいこと言われても困る。

「あなたも、あなたの周りの木偶も、もう生きてないの。終わった命を誤魔化しているだけ。
でも一つだけ、まだ助かる道があるわ。私のために、聖杯を手に入れなさい」

生きてない。その言葉だけは、すっと頭に入っていった。
長らく自分を突き動かしていた情熱が、その火を絶やしている。何もかも終わったのだと、どこかで理解できている。
骨をうずめたはずの凍土よりもずっと温かい部屋なのに、心も体も冷え込んでいる。

「あら、冷たいのね。彼らを人質にすれば、多少はやる気を出してくれるかと思ったのだけど。
これなら、最初から洗脳してしまった方が良かったかしら」

人質か。何言ってやがる。こいつら一体、誰のために死んだと思ってるんだ。

「見てたわよ。随分忠実な部下だったじゃない。本当に見捨てられるの?」

勘違いしてるようだから言っておくが、みんな自分のやりたいように生きて死んだんだ。
それが北極探検隊改めいきなり南極探検隊の誇りだ。なのに、隊長がしがらみに縛られて人の言うこと聞いてちゃ締まらない。
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/15(木) 23:38:14.35 ID:sDQc5Afho
「そう、死にたいの」

そもそも死んでるという話だ。構わんさ。

元々、あいつらが首だけで這い回りながら俺に付きまとって来なかっただけ良かった、って風に思ってたからな。
それが実際、アザラシやらペンギンやらと同じく中途半端な状態で出て来て心の整理に手間取ってたとこだ。

人の決めた仕組みの中で働くなんて死んでも御免だって昔からよく言ってたしな。
ここは意地張っておいた方が格好良いし、その上に楽と来た。

「そう? 何かに従うのって、意外と幸せなものよ? 最後まで目を覚まさないでいれればの話だけど」

ああ、そりゃ無理ですよ。最近年みたいで眠りが浅くて敵わない。
おかげでこっち来てからってもの、毎朝毎朝、馬鹿共の寝顔を拝んでたんだ。

「――馬鹿な男」

悪いが、それは俺らにとっちゃ褒め言葉なんだ。


女は踵を返して部屋から出ていった。身体が上手く動かなくて、扉の方は見れなかったが
その音だけで、大学にいたころくらいしか縁の無い豪華な大扉なのが分かる。

残った部屋の中、倒れ込んだ馬鹿共はそのまま起き上がることは無く。
私もベッドから起き上がれないでいる。
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/15(木) 23:51:41.33 ID:sDQc5Afho
  _、‐--``ヽヾ
  > ,ヾヽノソ ゝ  ↓1 一方その頃エミヤさんは
 ≧ 「‐- -‐ソ   1〜3:延々とアザラシと戯れていた
  ヽr 」七 七|   4〜6:メディアさん家(ランサーさん家)に殴り込み
   ゝ、_ -_ノ    7〜9:ルーラー組に接触
   、'´ ナ弌ヽ
   くo)=[二]=_)
   / /_ | |
   く イ / | |_,ゝ
.     `´ `´
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/15(木) 23:53:21.50 ID:bU2DeozCo
アザラシ
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/15(木) 23:58:00.60 ID:sDQc5Afho
                    _、ー‐─l\
          ._       .,ィ ̄        `i/l    -─-
           Y f::l      、‐     ,、_ ヽl ,,ィ、/   //;;;;;;;;;;;;;ヽ
            ゝ弋'     /    -´   `゙´  ヽ   |;|;;;;;;;;;;;;;;;;;;l
             `\   /_   `_   \ w / ヽ  ヽ\;;;;;;;;;;ノ
               .\   |     l 三三  三三   `7;/ ̄    ↓1
              r‐、> l⌒  lv‐-─-‐vl ヽ__/;/      1〜3:延々とペンギンと戯れていた
              .Y ̄\ ゝ-   |        |   )\〉      4〜6:南極アンデッドクッキング
                丶   ̄‐-、 |____| / /       7〜9:バーサーカーを討ち取っていた
                    `\.   ∞ナニ[二]弌∞/
             l` ー──‐Y__ノ >×< \l ̄\
             \         ゙ミニニ[二]ニ彡'    l
              \       /  _  \   ./
                 ー、___/x二ニ/ \ニ''ト、_ノ
                       / ー‐/    Y´ 〈
                   ∠二二ヘ     V二7__
                   〈__〉=‐'      ヒ〈__〉
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/16(金) 00:01:05.38 ID:zAhPYA9Ao
ソイヤ
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/16(金) 00:03:55.82 ID:EGFxOcO9o
まさかの大金星
エミヤさんどうしたん…?
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/16(金) 00:40:04.65 ID:TnTehSfMo

――――

倒れ伏したバーサーカーがもがいている。

一度突き刺さったハルペーは、簡単には外れない。
反り返った刃は、さながら釣り針のモドリのように食い込み、外そうとすれば傷を広げていく一方だ。

「耐えるものだな。不死性を無効化しても、耐久性自体が高いのか」

「貴様、何者だ。余の血に濡れぬとは、既に貴様も人ならざる身か」

「―――――― 体は剣で出来ている。(I am the bone of my sword. )」

冥土の土産を聞かせてやる趣味は無い。次の矢を構える。
だが皮肉にも、この詠唱はバーサーカーに対する回答になっていると言える。

吸血行為に対する最大の耐性は、他の吸血鬼に従属しているという属性である。
私もまた、存在の根源を捻じ曲げられたもの。血肉を作り直すのは身体に入った他者の血肉だろうが
剣を打ち直すのに必要なのは、炎と鉄の洗礼に他ならない。いくら血を浴びせても、精々表面が錆びるだけだ。

とはいえ、私がバーサーカーの血をレジストできたのは、大半がこの身にまとう聖人の布のおかげだろうが。

「不死殺しの鎌剣、二撃目は耐えられまい」

私自身が一度死んで蘇った経験を持つためか、この剣とは相性が悪い。
とはいえ、時間をかければ投影は可能だ。

剣としては癖が強く、狙い通りに心臓を抉るのは難しい。骨子に手を加え、形状を作り変える。
使い慣れた弓に、使い慣れない矢をつがえる。
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/16(金) 00:54:09.17 ID:TnTehSfMo

もはや主が助からないことを悟ったのか、アザラシたちは戦闘を止めていた。
倒れたバーサーカーに顔をよせ、その頬を優しく舐める。
そんなアザラシの一頭に手を伸ばし、未だ力強さの残る腕で抱き寄せる。

「良き臣である。余無き後も、この血、此れなる地は末代まで汝らの賜物なり」

思えば私は、このバーサーカーに苛立っていた。

他のサーヴァントたちは、このバーサーカーの言を狂気だと切り捨てたが
何の因果か、私には何ら異常が感じられない。バーサーカーの発言が理解できている。

己の信ずる義を貫き、民に理解されずとも国に尽くした王。
それが死後、噂通りの吸血鬼となって人を見限り、物言わぬ獣を唯一の理解者と愛おしむ。
王は今更になって、自らの生き様を裏切ったのだ。

「終わりだ」

わざわざトドメを刺す必要は、無い。そんなことは、私は元より、集まってきたアザラシにさえ分かっている。
放たれた矢は、これまでになく軽かった。

「ああ、これでこそ終われるというもの」
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/16(金) 01:11:56.42 ID:TnTehSfMo

駄目押しの一撃を受けてその身体は光と散った。
消え際の満足げな笑い声が嫌に耳に残る。

その場に残った鎌剣を拾い上げても、周囲のアザラシたちは行動を再開しない。
一点を見つめて沈黙する彼らは、死を悼んでいるようにも見える。

吸血種の主を殺した後、配下の暴走が懸念材料だったが、どうやら良い方に転んだらしい。
そう、自分に言い聞かせる裏で、何かが胸に引っかかる。

だが少なくとも、この場に残った死徒の残党を狩ることに間違いはない。

静かになった雪原を血で染める。

「 ―――――― 体は剣で出来ている。(I am the bone of my sword. )」

命の重みに違いは無い。彼らの身体に罪は無い。正義など、人類のエゴに過ぎない。

だが――いや、だからこそ私は、自分の価値観に従わせてもらう。

バレル ・ オープン
「投影、射出」
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/16(金) 01:17:12.17 ID:TnTehSfMo
                                                      __ ,.ィi }
                                               /  。r≦/}i!`ヽ.
                                             _/≫'~  ./ i!ノiレ'7゙:,
                                         _,.ィ´ ̄`ヽ  /   /  /、  }'´  ;! i i
                                   /≫=-'´`ヽ '''’   /   ヤiッ、゙:,ノ ,.ィ’,! i} !
                                     レ。r≦二  ̄ \ _ ≫i"       {ヤiヶi i ',
                                       /{ 弋r´ / ー―ァ''´ゝl      ‐ァ   l l  }:、
                                     _ ヽ  '´ / _ ..ノ   ` l / ー= 、ヽ. /》、 Vヽ )
                                  ィ´ __    ノ  _,τ  /下/\_ }7 ゙' /´ ノヽ 〈
                                 / r'´   `'ーァ.___  /ィfア! \ ヾ:、_ ..イ _,.ノ}:、
                                ヽi      ////////≧s./ `ヽ: : : `'ー―i{、´ r'´i | 》 i!
                                   _.。r≦`ヽ/////////¨`ヽ \ : : : λ :ヾ:、;! ノ/ .リ
                            ィi´/////////// \.//////////\ \ : 《 〉: :} i!s。.'  /
                            。r≦/////////////,.z=ァ。r≦ 7=*'¨/ ̄ムィi7 \〈》V リ }゙:,`ヽ._
.【CLASS】 : バーサーカー      f////////////`ヽ ̄       〉 / :、 《z=―=《==ァム  / i}/∧ V//∧
                           |/////////////// v'´`ヽ   〈 .r'´ r*'"  `ヽ〈、 i  /} }//∧ V// }
.【真名】   .: ヴラド三世       `'≪//////////////// λ  ζ  i}ノ  i! :, ム、〕}_// i}////V i!//l
.【性別】   .: 男性               `'ー─ *、///////// }  i!  / /i! i! r‐、`ヽ.} 〃///// i!//!
.【属性】   .: 混沌・悪                   ̄ `'≪///ノ ト、 i!} /_ノ  i! i! |  `ヽム ////////i}//i
                                   ヽ.ノ  !   i! r−〈. V/l l  ト、>、 ヽ//////i}//}
.筋力:■■■■■:A                      ∠......人  } ノ__λ  ヽi!_ ノ〈 〈 } i!///// i}//!
.耐久:■■■■■:A                              }ノ/ V//`' ー'’///∧ V .///////i} /i!
.敏捷:■■■□□:C                                    V///////// ∧ V //////∧/i}
.魔翌力:■■■■□:B                                  V////////// \\ /////∧i}
.幸運:■□□□□:E                                      V////////////〉. \ /////i}
.宝具:■■■■■:A
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 【宝具】

 ◆『血塗れ王鬼(カズィクル・ベイ)』
  ランク:C+ 種別:対人宝具 レンジ:0〜4 最大捕捉:1人

   体内で「杭」を生成・射出する。材質は木の他に骨、肉、影、毛髪など様々。
   射程距離内に存在する物を取り込み、杭にすることも可能。
   一度攻撃を当てれば、相手の血さえも素材として取り込める。

   また、吸血鬼としてのヴラド三世の血肉を素材とした杭は、刺し貫いた相手の肉体に溶け込み
   直接血を送り込んだ場合と同様に、相手を死徒化させる作用を示す。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2015/10/16(金) 01:46:07.80 ID:TnTehSfMo

――――

「目が覚めましたか」

丘陵地帯のすそ野部分。丘を背にして多少風を軽減できてはいるようだが、それでも野宿が適う場所では無い。
凍傷を起こしていないのは、ルーラーが掲げる旗の力だろう。

意識を失っている間にかなりの知殻を消耗しており、自分の中身がこそげ落ちたような気分だ。
血の巡りが感じられない。身体がまだ眠っている。

「無理に起きなくても……」

俺が眠っていては、その旗に知殻が流れて消耗する一方だろう。
確かに無理をしているが、動かないわけには行かない。

「そうですね。申し訳ありません」

謝る必要は無い。どのみち極地では協力する以外仕方ない。
それより、これからどうしたものか。

↓1 どうしよっか
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/16(金) 01:56:15.89 ID:zAhPYA9Ao
サーヴァント召喚とかは無理なのかな
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/16(金) 11:40:20.94 ID:LORSL5SF0
隊長が何したって言うんだよ・・・
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/17(土) 11:22:50.04 ID:y3VcaSg20
落ち着ける場所はないかな
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2015/10/18(日) 01:12:59.49 ID:IozHa3wUo
他の英霊を呼ぶことはできないのだろうか。

世界は勝てる戦いしか行わない。常に対象を上回る力を持って現れる。
もし英霊ジャンヌ・ダルクに対処し切れない事態なら、何らかの増援があるものではないのだろうか。

「そもそも、私たちの戦うべき相手は何なのでしょうか。
特定のサーヴァントを打倒するだけなら、その場の誰かを後押しすれば済む話です。
歴史の崩壊中に召喚され、別時間に移動するなんて、そんな不自然な介入は必要ありません」

……? 別時間に移動? それは初耳だ。今年は十七番目の火の――ああいや、西暦の2016年ではないのか。

「詳しく話す余裕が無かったのもありますが、説明を後回しにしてしまってごめんなさい。
霊長の抑止力は2016年を以て消滅、それより先、アラヤに属する英霊は存在できません。時間が途切れているのです。
しかし、一度顕界してしまった以上、その場に留まることはできません。世界から任を負っているなら、なおさらです」

時間を扱った牧亞など、高度に過ぎる。説明されても分かりそうにない。山の賢者たちでさえ、はたして何人が時の秘術を修めているか。
ただ一つ分かるのは、この話が全面的にルーラー側の話だということ。つまり俺が今ここにいるのは、彼女と接触したからなのだろう。

「ええ。おそらく貴方以外はみな、あの人類史の行き止まりに取り残されたままでしょう」

何故それを悲しそうに話すのか。一人でも助けられて良かった、と言っていたのは記憶違いか。そのくだりは自慢話だろうに。
それとも、別の何かを悲しんでいるのだろうか。たとえば、こんな話をするばかりで何をしたらいいか分からない現状とか。
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2015/10/18(日) 01:37:07.96 ID:IozHa3wUo
「自慢話……と言いましたか? あの、あまりよく分からないのですが」

遭難者を一人連れ戻った、それは山中で祝える大業だろう。
もっとも今はまた雪中で途方に暮れているが、それはそれだ。済んだことの意味が変わるわけではない。

「ですが、私は他の全員に何もしてあげられなかった。初めて受けた、人を護る者としての任。それを私は果たせなかった」

自分の手の届かない死などいくらでもある。目の届かない悲劇なら星の数にも上るだろう。
それを一つ一つ嘆くなど、時間の無駄だ。禍福の基準点が大幅にずれているようにしか思えない。人は元来、死ぬものだろうに。

無駄と言うなら、今こんな抽象的な話をしているのも考え物だ。
現在形で知殻を放し続けている。おそらく食糧事情よりも差し迫った問題だ。

他の英霊を呼ぶ案がダメならダメで、何か別の方針を考える。今必要なのは、目的と行動だ。

「英霊の召喚……この状況なら、星の氷――聖晶石があるかもしれませんね。
こう、虹色に光って、トゲトゲとした石のようなものです。どこかで見ていませんか?」

↓1
1〜3:知らない
4〜6:見たな
7〜9:持ってる
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/18(日) 01:41:33.89 ID:xol53NWio
えい
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2015/10/18(日) 02:14:13.76 ID:IozHa3wUo
それなら何かの役に立つかと思って拾っておいた。
この地特有の木の実か何かかと思っていたが、これは石だったのか。

「正確には、この世の綻び。世界を崩壊させうる概念矛盾に対する、抑止の応急処置です。
本来なら即座に修復されるべきものですが、対応が追い付かない場合、代わりに一時的に問題を凍結する。
そうしてできるのがこの虹色の結晶体で、集めていくとそのうち世界が滅びます」

!?

「ですから、ある程度集まった時点で、世界は問題の先送りを諦め、星の氷を解凍・解決します。
そして、魔術師はこれを利用した英霊召喚の術式を構築しました。いわば、世界に対するSOSのようなものでしょうか。
星の氷がこんなにあるから、もっと抜本的な助けが必要だ、と。こうして呼ばれたサーヴァントは、
私と同じように、ある程度は世界のバックアップを受けられますので、マスターの魔力量でも契約可能です」

ほぼ現象系の術しか知らない俺には想像の及ばない話だが、ルーラーは詳しい術理を知っているのだろうか。

「守護者として与えられた知識はここまでで……。それに、狙い通り英霊が召喚されることは稀なようです。
他に、魔術に優れた英霊、キャスターのサーヴァントでもいれば良かったのですが」

それなら「無理だ」の一言でよかった。下界の人間は生き方に余裕があり過ぎる。

「失敗が多いのは、まだ手探りの段階だということです。正解が無いのなら、自己流で行うのも手段の一つかと」

なかなか過激なことを言う。牧亞の過ちは死に直結すると、俺はそう教わったものだが。


↓1 改めて、どうしよっか
・この場で体力温存 ・周囲を調べてみる ・自己流召喚チャレンジ ・お話しよ
151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/18(日) 03:05:05.45 ID:guBENoCeo
調べよう
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2015/10/19(月) 23:35:37.17 ID:qqM5VNa6o
いつまでもこの場に留まっているだけでは状況を変えられそうにない。
幸い、吹雪は弱まってきているようだから、少し周囲を探索してみることにしよう。

比較的平坦な地形しか見てないが、これだけの寒さなら高度はかなりのものだろう。
山上の台地のような場所にいるのなら、ここから下れば寒さも和らぐはずだ。
風が吹きつけてくる方と逆側に降りられれば、寒さの問題を解決できる。

それに、気を失う前にあった男は、防寒着こそしっかりしているものの、他に装備は無かった。
ということは、近くに彼の暮らしている集落があると考えられる。案外、ここは台地の端に位置していて
少しだけ降りれば風が吹き抜けてくることも無くなり、人が生活できる環境になるのかもしれない。
何かのトラブルで彼が全ての持ち物を失って死にかけ状態だった、という状況で無ければの話だが。

「モンブラン級の山の上に、こんな広い台地が広がっているものなのでしょうか……?」

多少の雪風と雪面の照り返しとで視界が悪い。実際には、思っているほど広くないかもしれない。
それに、モンブランはサガルマータの半分ほどの高さだと記憶している。その程度の高さでこの寒さになるのだろうか。
時を旅した、という話だから今が真冬ならありえるのかもしれないな。

「……いえ、待ってくださいマスター。高山にペンギンがいるものでしょうか?」

……。俺は自分の知る世界しか語れない。ペンギンという生物にも疎い。
あえて、その中で言えば、ペンギンは山にはいない。

困った。

↓1
1〜3:特に何も見つからなかった
4〜6:助けてペンギンさん
7〜9:他鯖に遭遇
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/19(月) 23:39:18.70 ID:1W0a1kUAo
えい
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2015/10/19(月) 23:48:47.95 ID:qqM5VNa6o

                  Q.ペンギンっていったら南極なのでは             
        _,,,,,,,,,,,,,,,_
     /::::::::::::::::::::::\     「私、ペンギンなんて初めて見ました。可愛いですね」
    /:::::::::::::::::::::::::::::::::::\
    /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ   「19世紀に絶滅した大西洋の海鳥だと聞いている
  /|:::::○:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|    なるほど、時間旅行の兆候はあったな」
  /::レー-⊆⊇::○:::::::::::::::::::::::|
  し|       \:::::::::::::::::::::::|   ↓1
   ヽ       \::::::::::::::::|   1〜2:ジャンヌさん倒れる
    \       ヽ::\::::|   3〜6:他陣営戦闘中
    ( ヽ、____)ノ`´   7〜9:やったー 人間だー
       ̄     \_ノ
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/19(月) 23:55:20.65 ID:mGOnqWSlo
ぬんぬん
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2015/10/20(火) 00:02:39.02 ID:v2kv1FKAo
                  _.,.; ; ;、
       ⌒      .,-- , . .── ; ; ヽ-── ,
.  /     [|.  く/: : : : : : : : : : : : :';,  /」
     /   .[]|]. , ': : : ,ャ: : :/: : : : : : : : :', /」   だれ?
..[]\      [] |[]! : : X {: : : ,': : ノ!、.: l: : : ',:', .
 .[]] \   [][]|[]Vレ乃ホ、__ .:;z≦)ハ.ノ: : /:',::',  ↓1 戦闘中の人その1
. .[] []  \   . | /:/弋ぅ′ ら...刈/: :/: : |:::i
 .[] [][]   \,_l"7¨入   __ `¨x.i'/'''/: : : |:::!
         '、'/__/ 丶 `_/_ ノ__/: : : :/::/
      С彡 |: :.!    /| /~| /(: :/レハ/Vi/
            ハ:_{    |: :λ: : :{Vヽ、
         | , ^丶/,'::/ ヘ: : ハ.  \
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/20(火) 00:02:59.02 ID:Nt/dkJgLO
オリ鯖
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2015/10/20(火) 00:14:19.81 ID:v2kv1FKAo
                      ___
                 rrー-.,r'==r'ー<" ̄7」
                 <.r:::´::::::::::::::::::`ヽLイ,ノ    一つ一つ候補挙げていこうと思ったけど
                 ,'::::;:::_;;::::;、::;;_ヽ:::::i>ヘ   
                   ハLi/!;iハヘ;;_ハリi::::イ::::',   案外面倒だったから既出or新規&クラス指定で 
                `Eリ /   / V |:ノ';::;:::::i  
                 i:人" ー   "イノ:|kハ|::::::!  絞ってから探すことにするわー
                λハ:≧ニ7≦く;|::|:::::ハ:::/
                   ( }=={_ /リ/'、::i/   
                   T   ト j       新規だと思ったら既出だったり、その逆だったりしても許して
                      └ァ┬┼く
                    /::/:::::|::::::::|¨}ヽ
                    ヽ_,,イ ̄ `-’     ↓1 既出or新規 & クラス
                    (こV     
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/20(火) 00:15:26.77 ID:YHH6h8iko
あの万能刀の人
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/20(火) 00:18:14.04 ID:YHH6h8iko
ってああクラス指定かすいません
既出アサシンで
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2015/10/20(火) 00:25:49.82 ID:v2kv1FKAo
            __,.ヘ、
           くヽハ7-'─-- 、,_
           ,. '"ゝ-'‐─- 、,   `ヽ、
         / /        `ヽ、  ヽ.      万能刀……って誰だろう 田舎セイバー?
         i i /ヽ!、/ , 、 ヽ. `ヽ!   i
  _,.rr-r-r'i'7`レLハr!t|__ハ iィ!'´!  i   i      つい勢いで、呼ばれる英霊に共通点とか言い出したことを後悔している
 (  ̄ ̄!_i__r' /:7 i 'ヒj └''T''7iヽ!_.」  |‐- ..,,__
  ハ    `'ァ:'// i"     ゞ-' / !  |‐- ...,,,_ "''ヽ、  とりあえず既出アサシンだとこのあたりでしょうか
 ム〉    / レヘ !へ、  、   ",.イ ハ|  i:|     `"'''‐ヽ
      〈  `rイ'´ /:i>r-=i'レ'⌒ヽハ_ハ!
      `''ーヽ!  i::::}>イ`r/    !    ,. -─-、
          `-i::::::!/:::〈r-、,_ ,!  /      !
          ___/ri´i´i`「|_____/ン___/______________/
         'ー--!_! ! .! !」ニ7i ̄ ̄i ̄ ̄ ̄ ̄´
         _r/`'7'r---イrヘ、  ',    /
        r!イ:::::/::::::!::::::::::ハ:::::ハ、  ヽ、 (
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2015/10/20(火) 00:46:59.57 ID:v2kv1FKAo
         ,、_
     r   '-'‐- ._r-^==,
     .>‐´:::::::::::::`ヽ::.ヽー- l
    i:::::::l;:ト::、,、::-:::::::::::r.、 -」_   ↓1 師範の相手
   f >、:;-、 `'r::ヽli::::r'ー'-、 /´
   r'  ir::ノ  ら::ノィ::l  /ヘ    ・田舎の鍛冶屋さん
   ヽ_∧  -   ゙イ=j、 /:::::::l .   ・京八流の開祖さま
    l,,ノ、iン ァ ,-、 ´,:ノ Vゞ,、/ノ
      .YУt-'l/  l        ・悪霊アーチャー
      く ` -ー'   ゝ       ・物書きキャスター
     /,` - ‐ ̄ ´ヽ      ・インドライダー
    ,.' :/         ヘ      ・近代器物ライダー
   .K  ー          ゝ
   ヽ ヽ_     __  -  , >   ・みんな大好き騎士王様
    ` - 、_ニ_   ,、-ィ ´      ・もっきゅもっきゅする騎士王様
        .L.j ` ̄ j_ノ       ・12回まで死ねるバーサーカー

                      ・他の候補を要求する
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/20(火) 00:48:54.73 ID:q/sLtxJoo
もきゅもきゅ騎士王で
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2015/10/20(火) 01:00:08.80 ID:v2kv1FKAo

風が治まるにつれて開けてきた視界の中、そこだけが未だぼやけていた。
ただし、雪と靄との白霞ではなく、その空間を支配するのは漆黒だ。

黒い知殻が際限なく湧き出ている。
いや、形の無いそれを知殻と呼び表すのは正確ではない。下界の術士が言うように、魔力と呼ぶしかないだろう。
湧水がとうとうと流れ出るように、黒染めの魔力がそこから溢れ出している。

見つけるのは簡単だったが、中の様子をうかがうのは難しそうだ。
下手に近づけば、何に巻き込まれるか分かったものではない。

「サーヴァントです。それも、二騎」

↓1
1〜3:セイバーは最強だから
4〜6:千日手の様相
7〜9:じりじりとアサシン有利
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/20(火) 01:00:24.32 ID:tfflpkFDo
ひょあ
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2015/10/26(月) 01:46:50.53 ID:neMbgdnCo
――――

基本スペックでは彼女が遥か上を行くが、技量ではアサシンが優る。
何よりこの二刀流のアサシンは、あらゆる攻撃を無効化する常時発動の絶対防御を持つ。

セイバーにはアサシンを攻撃する術が無い。                         カリョク
だがセイバーが傷を受けるのも稀、竜炉心の膨大な魔力が生む再生力はアサシンのdpsを上回っている。

戦いは千日手の様相を呈していた。何しろ、戦いが始まってから一日以上経っている。


「望む限りは見せ続けましょう。いずれ常理に切り込めるなら、その真贋は問いません」

「本物だ。いやに拘るな。この剣の輝く姿でも見たことがあるのか」

「星の瞬きも、夜の静けさも、神前に抱く内海にて。
元より刃は写し鏡。剣は心を宿すもの。空言語る口元は、正しくその身の輪郭でしょう。ゆえに――」

「絵空事は捨て置いた。無駄口はそこまでだ」

「確かに、あなたにとっては明々白々。提撕嗣法は難儀極まります」
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2015/10/26(月) 02:14:12.20 ID:neMbgdnCo
セイバーの剣速は、私の動体視力を越えている。漆黒の魔力放出を乗せて全力で振りぬけば、うっすらと残像が見えるほどだ。
だからこそ、アサシンの動作の遅さが余計に異質に映る。

足捌きというよりは、舞いの摺り足。ゆっくりと重心を移動する動きに合わせて、両手の刀が同じ速度で動く。
同速というなら、アサシンの動き全体が一定のテンポだ。澱みなく全身が一体となって刀を操る。
技量のほどは感じられる。だが、あまりにも遅い。弟子に一動作ずつ見せていっているような丁寧さ。

これでセイバーと戦っているという事実が信じられない。別々の映像を合成しているようだった。
あえてアサシンの準備が整っている瞬間に打ち込んでいるかのよう。セイバーの剣はアサシンの刀に吸い込まれていく。

打ち合うは成立しない。刀身を重ね合うか合わないかのところで、アサシンが刀を引く。
力の向きをずらし、鮮やかに受け流す。アサシンの二刀目は既に振り始められている。
だが、剣戟をいなされて体勢を崩してなお、魔力放出で強引に振りかぶるセイバーの二撃目の方が早い。

黒き聖剣がアサシンを突き抜ける。貫くのではなく、何の抵抗も無いまま、ただ向こうにすり抜けていく。

こうした繰り返しを、延々と繰り返している。
セイバーはさまざまな角度から、タイミングを変え、狙いを変え、攻め続ける。
アサシンは三種類ほどの限られた型だけで対応していく。手の内を隠し続けているのだろうか。

どちらもまだまだ退くつもりは無さそうだ。
特にセイバーは、何か試そうとしている風に見受けられる。
ここ数合、一度仕切り直してからほぼ同じ形で切りかかっているからだ。
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2015/10/26(月) 02:46:23.56 ID:neMbgdnCo
セイバーが剣を握り直す。魔力の霧が色濃くなる。

雪原に一列に並ぶ日本刀が映し出していた映像が、一挙に暗くなった。
スクリーン代わりの刀身が一様に真っ黒に染まり、セイバーの持つ剣を思わせる。
実際、この黒さはセイバーの魔力そのもの。彼女の剣と同じ色合いなのは、当然だろう。

「参ったな」

私の千里眼で見通せる距離では無い。
他にも情報収集に使える宝具のストックが無いわけではないが、ランクの高いものを使用すれば魔力の痕でバレる。
実際今も、よりによってこのタイミングで見えなくなったのは、盗み見ているのに気付かれたからかもしれない。
はっきりそうと分かっていなくても、直感で捕捉されている可能性は否めない。

幸い音の方はまだ拾えている。魔力の霧越しで多少くぐもっているが、ある程度の状況は分かるだろう。
投影した刀に魔力を込め、振動を増幅する。

雪を踏みつける音も、剣を振るう音も、きっと全てセイバーのもの。
アサシンは別の時間を生きているように、これまでずっと無音で二刀を振るい続けていた。

微かに刃が擦れ合う音。次はアサシンの刀がセイバーを掠めるか、あるいはセイバーの追撃が先か。
どちらにせよ、一度仕切り直しに入るはずだった。

だが今、初めてはっきりと、生身に深く切り込む音がする。
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2015/10/26(月) 03:33:28.30 ID:neMbgdnCo
「剣先を狂わせ、刃を折れれば十分と思っていたせいか。あと少し深ければ終わっていたのだが」

「全て絶つが故に無心、無欠。どんな物であれ、受け取れば片手が塞がります。それでは二刀は成立しますまい」

「今の私には要らぬ物だが、貴様にくれてやるつもりも無いぞ」

「改めて整えます。この鞘込みで一つ。境界無く、迷い無く、正しく此処に在りましょう。
見えぬものこそ星に在る。あなたにとっては同じことでしょうが、優しい風は私の好むところです」

セイバーが何をしたか、ある程度は予想が付く。鞘、見えぬ、風、と単語を拾っていけば、思い当たる宝具がある。
本来は彼女の剣を覆い隠すものだが、攻撃にも使える他、別のものに纏わせて防御力を上げたり、存在を隠蔽することも可能だ。


アサシンは絶対防御を持つ。その肉体どころか、時には刀までもが実体を失う。
霊体化とは異なる次元、英霊ですら干渉不能な階梯。あるいは彼女が持つ最強の鞘にも匹敵しうる防御力。

だが、セイバーの剣を受けるとき刃の擦れる音があり、セイバーの剣筋が乱される結果がある以上
その瞬間には確実に触れあっている。アサシンの刀と、セイバーの剣とが。

そこに一手加えることで、アサシンの刀だけでも破壊しようとする試みは理解できる。
無色透明の風、その魔力量で気付かれる可能性もあるが、セイバーの魔力の霧の中では風王結界の察知はほとんど不可能だろう。
風王結界の応用で攻める手段は、私も少しは考えていた。

それがどうなって、アサシンの無敵性を越えてダメージを与えることに結びつくのか。

↓1
1:アヴァロン持ち込んでます
2〜3:壊れた幻想
4〜9:純物理系の鯖にはまず負けないから
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/26(月) 03:41:54.92 ID:7srkgm+a0
やー
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2015/11/20(金) 01:45:58.94 ID:Oln0Lz31o

――――

三才、三儀、三元。各々独自に完結し、相対応して一なる原理。
天地人巡りて神域に入り、天神地祇より万有万象。継げる歴史を遡る。
                                         トキ
人の技の成るは爾今嚮後の事。今人進む限り終端は無く。止まる今秋に時は無く。
人の業の成るは大元始源。神妙あらたかに因縁尽。唯始まりにのみ終わるべし。

道拓く者に道理無し。同じ轍を辿るが良い。諸人後ろに扉あり。

――などと、いくら言葉を探し回ったとしたところで、泉を手で掬うようなもの。もはや元の水にあらず。

「あなたの願いは過去のもの、手にした剣は借り物です。なればこそ届きうるでしょう」

私は端的な事実だけを確認し、目的を告げました。彼女は無言で剣を振るいます。
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2015/11/20(金) 01:58:30.93 ID:Oln0Lz31o

切り込む刃は鋭く早い。しかしその速度に、既に私は合一しています。
同速で回るのなら動きません。さながら星の上の命のように。

避けようと意識する必要はありません。我が身はあるべき場所に移ろうのみ。
流れる水は低きへと。星の巡りは定めを告げます。

再三の動作を繰り返し。足運びは軽やかに、止まらず変わらず分かりやすく。
早さや先読みといった技術の類ではないのだと、一合ごとに主張し続けます。

そろそろ分かってくれないものか、と。

その刃に私が見ているのと同じ景色が映り込むまで、私は何度でも繰り返すつもりです。
けれど、はたして間に合うかどうか。
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2015/11/20(金) 02:06:26.46 ID:Oln0Lz31o
因果の前後は人を急かせども、私の在り様は今更変わりません。

「あなたも急ぐ必要はありませんよ。曰く、急いては事を仕損ずる。
熱が残っている限り、ハガネはツルギに至りませんでしょうから。
火の寝床は冷えた鉄の中。情熱は硬き信念に溶けるものだと、よくご存じでしょう?」

「顔色一つ変えずに謀るか。貴様を仕留めるのは今を置いてあるまいに」

確かに。私が果てるなら、今がもっとも、もっともらしい。
              ヒトトコロ
形無き私は、枠無くして一所に留まることは無く。主なき剣は杯の下。
聖杯が離れていけば、自然と私も霧散することでしょう。

彼の曖昧な願いから、私は遠いものなれば。あえて声をかけるのも無粋というもの。
彼は自由に遊び、私は自在に示す。その向きが違うなら、立ち消えるのも世の常でしょう。
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2015/11/20(金) 02:28:33.88 ID:Oln0Lz31o

流されるままに空を薙ぎ、流れゆく中に凪を視ます。
間隔を変えず、初めに習った初歩を何度でも。乱脈とした雪風に重ねます。

けれど、変わり続ける時と場所の中、一つことを保つのはどうしても無理が出ます。
無意識に無想を外れかかること、何度目でしょうか。難しいものです。


向かい来る刃は一刀ごとに角度を変え速度を変え、けれどその心に変わり無し。
美しいと思いました。これもまた永遠。この地に呼ばれるに足る完成形。

牽制や威嚇はありません。全てその一撃で終わらせる覚悟を込めて、黒い王は咆え立てます。
私を前にして、未だにその心を変えないのです。こんな、生物というよりは風景に近い存在を前にしてさえ
彼女はその死を背負うことを、一撃ごとに誓いなおしているのです。

私に特別な感情は無いでしょう。ここにいるのが誰だったとしても。あるいは誰もいなかったとしても。
この地、この風を自らの覇を以て黒く染めることに、彼女は変わらず責任を感じるのです。

それは、この世のどんなモノであれ、並べて平等に持つ権利だといいますのに。
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2015/11/20(金) 02:56:44.82 ID:Oln0Lz31o
とても重い剣です。もう一撃受ければ、私など一溜りもありません。
けれど重いものほど、多くを引きつけるもの。定まった技ほど、合わせやすい。

とても重い人です。肩を貸そうとすれば、私など潰れて役に立たないでしょう。
だから常在、そこにいるだけの私で迷いなく正しい。

不肖の身なれど今は上座。ここまでの単頭役はあなた無くしては無かった。
あなたの信念と強さに、感謝を。片手間の応客で贈答まで頂いて真に申し訳ありません。
                           カラクリ
私は今際まで保ち続け、少しずつ周り続けた歯車はここに噛み合いましょう。

「散るがいい」

気に入っていた風の鞘が解けます。
その言葉のどこまでが、私に向けられたもので、どこまでが鞘とその贈り主に向けたものか。
言葉で汲まなければ、その青さは伝わらないことでしょう。暗く冷たい水底でも、同じ泉の水なれば。
ヨソウ
夢想はしていても、躱す道は見当たりません。棄てればズレます。その時を見逃す相手ではありません。
この地に吹くのとは風儀を異にする流れを、好いてしまったから仕様のないことです。
176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2015/11/20(金) 03:15:31.28 ID:Oln0Lz31o

胸元で風が爆ぜます。私などより余程大切なものでしょうに、幻想を壊すのに躊躇いは無く。
此処に至って変わらず一つ。王はそのとき、美しい。

手放せば一時外れます。外れれば切られます。風の破片を私を穿つことでしょう。

合わせ続けても外れます。この鞘込みで一つ、天地人に円四郎在り。
風は私を傷付けねども、失われれば私が変わる。変わったならば、一時ズレる。

どちらを選ぶかは決めてありませんし、そのつもりもありませんが、その先だけは少し希望があるのです。

吹雪に隠れた誰かの刀は、白く煌めいて雪に紛れて、けれどとうに知っています。
極寒にあって未だ鋼。中身に隙のある偽物。けれどこの寒さの中、埋れ火は暖かかった。
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2015/11/20(金) 04:12:28.20 ID:Oln0Lz31o

鈴の鳴るような音。ようやく切っ先が触れあった。
そのときにはもう、片方は根元から折れている。もう片方は既に魔力の爆発と共に細かな鉄片と成り果てた。

胴は二つに分断されて、霊核は跡形も無い。危うい均衡を保っていた身体は、無色の魔力となって散っていく。

剣を失った剣士は、さして気に掛けた様子も無く雪の中へと手を伸ばし、そこから雪のように白い一振りを取り出した。

――――
          
                                        ――――

この鉄込みで一つ。
この身死すること知らず、この意生けるもの知らず。

既に勝負はついている。この刀を振り切るには、既に形を失いすぎた。


烈しい風が目に見えぬ拳を打ちつけてくる。足を引いて向かい風に肩を並べれば、くすぐるように、吸い込まれるように、肌を通り抜けていく。
やがてそれは背を押して、立ちふさがるものを薙ぎ払い、北に消えていく。

凍てつく地面は時に足を滑らせ、時に足を捉える。深く踏み込んでみれば、その圧で溶けだし、その圧で固まる。
流れる足場がその身を運び、緩急瞬くこと真に変幻自在。その足元の硬き事、杉無垢に劣らず。

目前には真っ黒な靄が広がり、雪を呑み込んで君臨する。振るう刃は魔力に押されて落ちていく。
刀身が落ちる。全身が折れる。大上段から振り下ろすとき、重みはそのまま力となる。

此処に至って意志は要らず。刀を振るうは常理の化身。断ち切る刃はこの世の摂理。
空に溶け込める雨粒の一つ一つから、未だ見えぬ天上の光に至るまで、全てその一芸と一体。

融ける。

――――
――――
――――

握り込んだ柄の感覚は無く、三半規管は加速を伝えない。
星が回るのと同速。星を廻るのと同速。河と河とが合流し、海に向かって注ぎ込む。
この大極が広がるのと同じように、真理谷円四郎を敷衍する。始まりの一にあって、次にはまだ時は無い。


「先客の貼案に追われ、ろくなお構いもできずに申し訳ありません。遅ればせながら、私の総参をご勘辨願いたい」

                              ヒトリ
かくして剣は空を切る。その剣筋を見る者は世に二人のみ。
音よりも早いのではなく、単純に無音。目に留まらないのではなく、止まる瞬間が無い。

力も無く速さも無く、ただ技のみで確かにそこに在る。

切っ先は間違いなく目の前の相手を捉え、何の抵抗も無く斬り込み、そして何も斬らずに抜け出た。

「無住心剣流、真理谷――」

名乗り終えるよりも前に。

終わったと相手は思った。終わったと自分は理解した。終わったと結果が示している。

血は流れない。光は散らない。初めから誰もいなかったように静かな雪原に、最後に握った一振りが落ちる。
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2015/11/20(金) 04:27:15.35 ID:Oln0Lz31o

――――

白昼夢を見ていた。
とてつもなく遠いところから見下ろしていたようでも、実際にその場に立っていたようでもあった。
目を開けていられないほど眩しい光か、目を開いているのか分からないほど深い闇か。

終わってしまえば、何かの錯覚だったとしか思えない。



雪原に並びたてた刀が映し出す向こうに、サーヴァントは一騎のみ。セイバーだけだ。
アサシンは敗北した。それだけが結果。

「望む限りは見せ続ける。真贋は問わない、か……」

向こうの刀が破壊されたようだ。投射されていた映像が途切れる。

「まさかな」
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2015/11/20(金) 04:42:05.73 ID:Oln0Lz31o

――――

一度深まった黒霧が、段々と晴れていく。

短い間だったように思う。介入するタイミングが掴めないまま靄が深まり、発散される魔力は際限なく増え続けた。
そうして知殻の砕け散るような感触と共に、今靄が晴れていく。

決着がついたのだろう。霧の中の様子はほとんど見えなかったが、それでも何かが終わったことは直感できる。


そこには黒い鎧の騎士がいた。
眼鏡とも帽子ともつかない、俺の知らない装身具で顔を隠している。
けれどその顔が俺達の方を向いたとき、視線で射抜かれた感覚があった。背筋を嫌な冷たさが過る。

↓1 どうしよっか
・逃げる ・待機 ・先手必勝 ・話しかける 
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/20(金) 05:37:43.96 ID:cxNQpl0Ho
1 相手にすると死ぬ死ぬ
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/20(金) 05:38:10.68 ID:cxNQpl0Ho
安価は逃げるで
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