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ハク「自分の周りってさ」キウル「はい?」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 : ◆lNXUmdYSDk [saga]:2015/10/07(水) 21:29:22.84 ID:mM55CgQE0


見回り休憩中。


ハク「変わってる…というか、濃すぎるよな」


キウル「…」ズズズ


ハク「おい、何で無視するんだ」


キウル「変な事言ってないで見回りの続きに行きましょうか、ハクさん」


ハク「変とは失礼な、キウルもそう思わないか?」


キウルは無視して先に行ってしまう。


ハク「ちょ、おいおい!待てって!」


聞く耳持たずのキウルを慌てて追いかける。


ハク「はぁぁ……それじゃモテないぞー少年」


キウル「え…そうなんで……じゃなくて!私は別にモテたいとか思ってませんし…」


ハク「隠すな隠すな!そんなんじゃネコネに振り向いて貰えないぞ?」


キウル「な!?ななななな何を言ってるんですかね!?」


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昔、スリに間違えられた @ 2024/03/16(土) 17:01:20.79 ID:TU1bmFpu0
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さくらみこ「インターネッツのディストピアで」星街すいせい「ウィキペディアね」 @ 2024/03/16(土) 15:57:39.74 ID:7uCG76pMo
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今日は月が……❤ @ 2024/03/14(木) 18:25:34.96 ID:FFqOb4Jf0
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どうも、僕は「げじまゆ」をヤリ捨てた好色一代男うーきちと言います!114514!! @ 2024/03/14(木) 01:23:38.34 ID:ElVKCO5V0
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アサギ・とがめ・新生活! @ 2024/03/13(水) 21:44:42.36 ID:wQLQUVs10
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そろそろ春だねー! @ 2024/03/12(火) 21:53:17.79 ID:BH6nSGCdo
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【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part5 @ 2024/03/12(火) 16:37:46.33 ID:kMZQc8+v0
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2 : ◆lNXUmdYSDk [saga]:2015/10/07(水) 21:30:00.30 ID:mM55CgQE0

図星を突かれて焦ってるのか、舌が上手く回っていない。


ハク「わかりやす過ぎだろ…」


キウル「べ、別に!?何の事でしょうか!?」


ハク「わかったわかった、落ち着けって。冗談だよ」


キウル「じょ、冗談ですか……全くハクさんは…」


そう言うとキウルはホッと息をつく。


ハク「はは……それにしても…冷えるな今日も」


キウル「そうですね。早く終わらせて白楼閣に戻りましょうか」


ハク「だな……帰ってルルティエの茶が飲みたい…」


こうして今日も、夜が更けて往く。


                *
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/07(水) 21:30:46.83 ID:W1Y+7/2aO
【オリロンパ】ダンガンしようぜ!【安価とコンマ】
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1444107611/

安価を無視するクソスレ
4 : ◆lNXUmdYSDk [saga]:2015/10/07(水) 21:31:22.68 ID:mM55CgQE0


ハク「ん……朝か…」


身体が重い、何だ?


ハク「もしかして…またか…」


そう呟くと掛けていた布団を取り払う。


ハク「お前らなぁ…」


ポンポンと2人の少女の頭を叩く。


ウルゥル「…お早う御座います」


サラァラ「…お早う御座います。主様」


双子の少女が裸で自分の上に乗っている。


ハク(毎日こうされるとな…流石に堪えるものがある…はぁ…)


溜息をつきながらも上半身を起こす。


ハク「おはよう。何度も言っているがな…コレはやめてくれないか?」


ウルゥル「これとは」


サラァラ「主様の御傍に居るのが私達ですから」


ハク「いや…あのな、傍に居るのはこの際まだ許そう。だがな、裸になるのはやめてくれ」


ウルゥル「不要?」


サラァラ「…私達の身体は…お嫌いですか?」


ハク「いやいや、好きか嫌いかってんじゃ無くてだな。こんな事を毎日されていると、間違いが起きてしまうかもしれんだろうが」

5 : ◆lNXUmdYSDk [saga]:2015/10/07(水) 21:32:06.67 ID:mM55CgQE0

ハク(前に比べて否定した時に自害行為をしなくなったのは良いが…その分の問答が増えてしまった…こういう時は早々にこちらから切り上げるに限る)


ウルゥル「歓迎」


サラァラ「その間違いを起こして貰う為に…主様、いつでもどうぞ」


2人はあられもない姿のまま両手を広げる。


ハク「お前らなぁ…」


ポリポリと頭を掻いて立ち上がる。


ハク「朝食にするぞ。ほら、お前らも早く服を着ろ」


ウルゥル「いけず」


サラァラ「主様はいけずです」


ハク「言ってろ…」


そう言い残してその場を去る。


ウルゥル「失敗」


サラァラ「まだです。次こそ…次こそは…」

6 : ◆lNXUmdYSDk [saga]:2015/10/07(水) 21:32:46.54 ID:mM55CgQE0

                  *


ハク「お、ヤクトワルトじゃないか。こんな所で会うなんて珍しいな」


ヤクルト「お、旦那ァ!奇遇じゃない。旦那も買い物ですかい?」


ハク「ああ、クオンに頼まれてな。お前もか?」


ヤクルト「そうでさァ、シノノンに買ってやろうと思いましてね」


ハク「シノノンにか…。何かあるのか?」


ヤクルト「もうすぐシノノの誕生日じゃない、それでプレゼントをね」


ハク「へぇ…意外とちゃんとやってるんだな」


ヤクルト「ひでぇ言い方だ、まるでいつもはちゃんとやってないみたいな言い方じゃない」


ハク「ははは、冗談だ」


ヤクルト「へっ…旦那も人が悪い」


ハク「どれ、そしたら自分も何か買っていこう」


ヤクルト「良いんですかい?だって旦那小遣い制じゃぁ…?」


ハク「ぐぬっ……お、お祝いだからな…大丈夫だぞ…?」


ヤクルト「へっ…そうですかい。シノノンも喜ぶじゃない。感謝するぜ、旦那」


ハク「おう。だが…あの年頃は何が良いんだろうな。菓子とかの方が良いのか?」


ヤクルト「まぁそれが打倒じゃない。ただねェ…」


ハク「言いたい事はわかるぞ。普段菓子として『しゅう』を食べているからな」


ヤクルト「それよそれ。だから俺もそれで悩んでましてねェ…」

7 : ◆lNXUmdYSDk [saga]:2015/10/07(水) 21:33:29.61 ID:mM55CgQE0

ハク「ふむ…」


大通りを見回しながら2人の男は歩く。


ヤクルト「お、旦那。これなんてどうです?」


ヤクトワルトは近くの髪飾りを手に取る。


ハク「お、中々良さそうじゃないか?シノノンに似合いそうだ」


ヤクトワルト「流石旦那、わかってるじゃない」


そう言うとヤクトワルトは髪飾りを持って店主の所へ向かう。


ハク「そしたら自分は…」


御代を払っているヤクトワルトを残し、別の物を探しに行く。


ハク(大通りだし、もっと何かあるがろう…何か…)


左近「何をしておるのじゃ」


突然横から声を掛けられ身体が跳ね上がる。


ハク「うおっ!?ミカ……じゃなくて左近か…脅かすなよ…」


左近「何なんじゃ…何かお探しかな」


ハク「あ、ああそうだ。ちょっとうちの小さい子に…プレゼントを買ってやろうとな」


左近「な、なんじゃと!?お主…子がおったのか!」

8 : ◆lNXUmdYSDk [saga]:2015/10/07(水) 21:34:19.58 ID:mM55CgQE0

ハク「は!?ち、違う違う!自分のじゃ──」


左近「ただでさえ可愛い娘達を連れまわして居るというのに…更には子まで…」


ハク「お、おい…話を──」


左近「うるさいわい!誰との子じゃ!?」


ハク「だから違うんだって──」


左近「あの尻尾が綺麗なべっぴんの姉ちゃんか!?それともまるで人形みたいに可愛らしく、とても大人しいあのお姫様か!?」


左近「それとも京言葉でたわわな姉ちゃんかの!?」


ハク「違うっての!」


左近「何じゃと!?まさか貴様……あの…可愛らしいお嬢ちゃんに…ネコネに…その毒牙を…!?」


ハク「おい待て待て!ヤバイのが出かけてるぞ!落ち着け!」


左近「貴様ァ……!!」


左近という男の周り空気が揺れる。


ハク「ヤクトワルト!ヤクトワルトの娘!自分の娘ではない!!」


左近「……何じゃと?」


空気の歪みが収まった。


ハク「何度も言っとろうが…」


左近「それを先に言えい!危なくお主を…」


ハク「言わなくて良い、怖いから」


手でその先を静止する。


左近「ふむ。確か…プレゼントじゃったな?小さい子ならこれが喜ぶじゃろうて」


左近が差し出してきたのは花の飴細工。


ハク「おお…これは凄いな…!」

9 : ◆lNXUmdYSDk [saga]:2015/10/07(水) 21:34:45.23 ID:mM55CgQE0

左近「じゃろうな。ワシの力作じゃからの」


ハク「でもこれ…相当値が張るだろ?自分には…」


左近「何を言うておる。それはワシがその娘っ子とやらにあげた物じゃ、御代なんていらぬ」


ニヤッと笑う左近。


ハク「左近…お前…」


左近「少女の笑顔ってのはの、とても眩しいんじゃ太陽の様にな。それに加えて無垢で無邪気…穢れを知らぬ。そう、例えるなら日輪花」


左近「…ワシの飴でその娘が笑顔になるのならな…作った甲斐があるというものじゃ」


左近は遠くを見ているが、その眼はとても優しかた。


ハク(これがあの左近衛大将様ねぇ…あの恐ろしいミカヅチとは本当に別人かと疑ってしまうよ)


ハク「…そうか…じゃあ、ありがたく頂戴する。助かったよ」


礼を言い、踵を返す。


左近「待て」


ハク「ん?」


左近「ほれ」


左近が何かを投げた。


ハク「うぉ、ととと…」


上手く手に取るとそれは。


ハク「はは……また、ボロギリリの飴か」


左近「ふん、可愛い娘に囲まれるお主にはそれが似合いじゃよ」


                    *
10 : ◆lNXUmdYSDk [sage]:2015/10/07(水) 21:38:09.57 ID:mM55CgQE0
偽りの仮面昨日クリアした
ラストが生殺し過ぎてとてもじゃないが待っていられぬ
勢いで書いてしまった

全員分のほほんと書きたいな、書けたらいいな
クオオオオオオオオオオアアアアアンンン!!!
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/07(水) 22:53:16.68 ID:xHw7sBdg0

正直ラストのアレでネコネ大好きになった俺が支援する
12 : ◆lNXUmdYSDk [sage]:2015/10/08(木) 00:20:09.95 ID:IFK+OQFY0


アトゥイ「あ、おにぃさんやないぇ?」


ハク「おお?アトゥイか。どうしたんだ?」


アトゥイ「今大丈夫け?ちょっと付き合ってーな」


ハク(なんだ?何だか嫌な雰囲気だぞ…ここは丁重に御断りしよう)


ハク「アトゥイ悪いが、この後用事が──」


アトゥイ「ウチが奢るぇ〜」


ハク「行こうじゃないか」


アトゥイ「やった〜♪流石おにぃさんやぇ〜♪」





アトゥイ「それでな〜、ウチその人に告白されたんよ〜」


ハク「ほぉ…また物好……そうなのか」


アトゥイに連れられた先は酒屋だった。


ハク(昼間っからタダ酒飲めるのは大変嬉しい、タダ酒程美味いもんはないからな。だが─)


アトゥイ「でもなー?前みたいに騙されると思うと嫌なんよ。顔は好みなんやけどな〜」


アトゥイ「おにぃさんはどうしたええと思う?」


ハク(やっぱりこういう話になるんだよな…正直めんどいが、奢って貰ってる身。ちゃんと答えねばな)


ハク「そうだな…」

13 : ◆lNXUmdYSDk [saga]:2015/10/08(木) 00:21:14.30 ID:Hca+yMx/0


ハク(仮にも一國の皇の娘……相手もそんな事は露にも知らないだろう…)


ハク(それにあの父親…話した事は無いが、雰囲気からして怒らせたらヤバイだろうな)


ハク(断言は出来ないが、娘がどこぞの馬の骨に尻振って痛い目に遭うとなると…うぅっ怖い怖い…)


ハク(もしもの事を考えるならば…ここはアトゥイには悪いが、断った方が良いだろうな)


ハク「自分としては断った方が良いと思うぞ」


アトゥイ「なんでぇ?」


ハク「前例の事もあるが、やはり素性の知れぬ相手といきなり付き合うのはな」


ハク「仮にもアトゥイはあの…ソヤンケクルって人の娘だろ?流石に市井の者との交際は中々認めてくれ無いと思うんだが」


アトゥイ「愛さえあれば身分なんて関係ないって思わん?それに、とと様だってそんな心狭じゃ無いと思うんよ」


ハク「まぁな…自分はどうしたらいい?って質問に答えただけだから、最終的なのはアトゥイに任せるぞ」


アトゥイ「むぅ〜、おにぃさん…いじわるやぇ〜」


ハク「そう言われてもなぁ…」


アトゥイは考え込んで、無言で酒を飲む。


ハク(まぁどう転ぼうが自分には関係ないしな…なるようになれだ)


そう思うと重荷が取れた、酒が美味い。

14 : ◆lNXUmdYSDk [saga]:2015/10/08(木) 00:21:45.21 ID:Hca+yMx/0


アトゥイ「……決めた。ウチ断るぇ」


ハク「…お、良いのか?」


まぁどちらでも良かったんだがな。


アトゥイ「も〜、おにぃさんがそう言ったんやぇ〜」


アトゥイに肩をポンポン叩かれる。


ハク「そうだな。では、目的は決まった事だし!後はこのタダ酒を楽しもうか!」


アトゥイ「…奢りだってなると、おにぃさんは元気やねぇ」


ハク「タダ酒だからな!」


             *

15 : ◆lNXUmdYSDk [saga]:2015/10/08(木) 01:11:58.64 ID:IFK+OQFY0

ネコネ「ハクさん、いいですか」


ハク「お、ネコネか。どうした?」


ネコネ「兄様が呼んでるのです。とっとと来るのです」


ハク「オシュトルが?今度は何だぁ…?」


ネコネ「恐らく今回は隠密の依頼ではないと思うのです」


ハク「そうなのか?」


ネコネ「細かい事は道すがら話すのです。では、行くですよ」





ハク「なるほどな。特に急ぎの用って訳でも無いんだな」


ネコネ「はいなのです。夜でなければ何時でも良いと言っていましたのです」


ハク「なるほどねぇ…」


ぐ〜。前から何かが音がした。


ネコネ「……」


ハク「……ん?」


ハク(今の音は…ネコネか?)

16 : ◆lNXUmdYSDk [saga]:2015/10/08(木) 01:12:35.74 ID:Hca+yMx/0


ハク「なぁネコネ…」


ネコネ「な、何ですか」


ハク「今腹の音が聞こえたんだが──」


ネコネ「気のせいなのです。何を言ってるですかハクさん」


ハク「そうなのか?」


ネコネ「違うと言ってるのです。別にお腹何か─」


ぐ〜。


ネコネ「あ……」


ハク「……」


ネコネ「誰かの…お腹の虫が鳴いているのですね」


ハク「いやいや、無理があるだろ」


ネコネ「むぅ……」


ハク「オシュトルの所に行く前に、飯でも食べにいくか〜」


ネコネ「べ、別に良いのです!さっさと兄様の所に行くです!」


ハク「そう言うなって、自分も小腹が空いたんだ。少し付き合ってくれないか?」


ハク「一緒に来てくれたらお礼に好きな物食べていいぞ」


ネコネ「──!」

17 : ◆lNXUmdYSDk [saga]:2015/10/08(木) 01:13:40.73 ID:Hca+yMx/0


小声で好きな物…と呟く。


ハク「どうだ?」


ネコネ「し…仕方がないです…!ハクさんが…そこまで言うんなら付き合ってあげるです…!」


ハク(素直じゃないなぁ…まぁいつもの事なんだが)


表情には出さないが、ネコネの尻尾が結構な勢いで揺れている。


ハク(喜んでは…いるようだな。ネコネもこの尻尾をみたいに素直になれば…まだ可愛げがあるものを…)


ネコネ「さぁハクさん!そうと決まったらとっとと行くです!」


ハク「わかったわかった──」





オシュトル「──来たか」


ハク「待たせた、少し腹ごしらえをしていた」


オシュトル「そうか。ネコネも其方の世話になったようだな、感謝する」


ハク「良いさ、それにしてもネコネが沢山食うもんだから──」


げしっ。ネコネに脛を思い切り蹴られる。


ハク「いだっ!?」

18 : ◆lNXUmdYSDk [saga]:2015/10/08(木) 01:17:26.57 ID:Hca+yMx/0


ネコネ「そんな事は言わなくても良いのです」


ハク「だからって脛を蹴るな、脛を…!」


オシュトル「某が言うのも変であるが、ネコネは其方に相当懐いているな。某もハク殿を見習わなければならぬか」


ネコネ「なっ!?何を言ってるですか兄様!誰がこんな…──」


ハク「そうだぞオシュトル!これのどこが懐いていると言うんだ!?」


ハク「素直じゃないし、すぐ蹴るし!こっちは散々な目に遭っている!」


ハク「お前の教育が悪いん──ぐおっ!?」


げしっ。げしっ。げしっ。


ネコネ「兄様の事を悪く言うなです!」


ハク「いだっ!いだだっ!…─わ、わかったから!脛を蹴るのをやめろ!」


ネコネ「むふー……」


オシュトル「ははは、本当に其方が居ると退屈に事欠かぬな」


ハク「今のをを見てそんな事を言うお前が信じられんよ…」


オシュトル「そう言うな、これからも宜しくお頼み申す。では本題に入らせて貰おう──…」


                   *
19 : ◆lNXUmdYSDk [saga]:2015/10/08(木) 02:48:07.96 ID:rH+3A+3r0


詰所で書類の整理をしている時。


ルルティエ「ハクさま……お茶が…入りました…」


ハク「お、ありがとう」


ルルティエのお茶は格別に美味い、詰所に居る時の楽しみの一つでもある。


ハク「……ふぅ。やっぱりルルティエの入れてくれた茶は美味いな」


ルルティエ「あ……ありがとう…ございます…」


ルルティエは頬を朱に染め、もじもじとしている。


ハク「小腹も空いたな…ルルティエ。『ルル』を頼めるか?」


ルルティエ「…はい……少々お待ちください…」


そう言うと部屋を後にするルルティエ。


ハク「……」


ハク(ルルティエは…本当に良いお嫁さんになるだろうな)


ハク(料理も出来て、気が効いて……全く、どっかの誰かも見習って欲しいもんだ)


クオン「何かな?」


ハク「うおぉっ!?ク、クオン…!いつからそこに…?」


何時の間にかクオンが目の前に立っていた。


クオン「今帰ってきた所かな。そしたらハクが何か良からぬ事を考えてたっぽいけど…」

20 : ◆lNXUmdYSDk [saga]:2015/10/08(木) 02:48:45.79 ID:1vK0UzxC0


ハク「気のせいじゃないか?」


クオン「ふーん…」


クオン「そうだ!さっきトウカお母様からね…」


ハク「ん?」


クオン「じゃ〜ん!モロロを貰ってきたの!」


ハク「おぉ、モロロか。最近食べてなかったもんな」


クオン「でしょでしょ!出来立てだから今食べちゃおう!」


ハク「そうだな、今ルルティエにルルも頼んであるんだ。ルルティエが来てから食べようか」


クオン「うん♪」





ルルティエ「お待たせしました……」


クオン「あ、ルルティエおかえり」


ルルティエ「あ…クオンさま…おかえりなさい」


クオン「モロロもあるんだ、一緒に食べよ」


ルルティエ「モロロ……はい…是非……」


ハク「もぐもぐ……うん、美味いな!」


クオン「あー、ハク。先に食べちゃってもう…」


ハク「すまんすまん、美味そうで……ついな」


クオン「ハクは我慢出来ない子供かな、モロロもルルも逃げないんだから──」


ドタドタドタ。廊下から誰かが走ってくる音がする。


すると詰所の前で音が止む。


ガララ。

21 : ◆lNXUmdYSDk [saga]:2015/10/08(木) 02:49:32.04 ID:1vK0UzxC0


アンジュ「余が遊びに来てやったぞー!持て成せー!」


ハク「また来たのかお前は…皇女さんが抜け出したら不味いだろうが…」


アンジュ「何度も言うとろうが!宮廷は窮屈なのじゃ!そしてつまらぬ!」


アンジュ「それに比べここの居心地の良さよ……余はこっちのが好きじゃ」


そう言って長椅子に飛び乗って、横になりゴロゴロし始める。


アンジュ「〜♪極楽よの〜♪桃源郷とは正に此処の事じゃな〜♪」


ハク「…どうする、これは」


クオン「良いんじゃないかな。せっかくルルもモロロもあるんだし、ね」


ハク「そうかぁ?……そうかぁ…」


ルルティエ「……アンジュ様…これをどうぞ…」


ルルティエは新しく作ったお茶を差し出す。


アンジュ「おお、すまぬのう。有難く頂こう」


ゴクゴク。


アンジュ「お〜♪甘露が効いてとても美味しいのう♪余の為の気遣い!褒めて遣わす!」


ルルティエ「喜んで…もらえて……良かったです…」


アンジュ「…お!そこにあるのは、あの美味い菓子ではないか!?」


菓子に気付くとアンジュは飛びつきバクバクと食べ始める。


ハク「ば、おまっ!?それ皆の菓子だからな!?」


アンジュ「…そうなのか?…もぐもぐ……余の為に用意してくれたのではないのか?」


そう言いつつも食べる手は止まらない。


ハク「まず皇女さんが来る何て誰も思わないだろ普通!ここに居るのもおかしいんだからな!?」


アンジュ「そう硬い事を言うでない……もぐもぐ」


ハク「あーこら!食べすぎだ!」

22 : ◆lNXUmdYSDk [saga]:2015/10/08(木) 02:50:39.21 ID:1vK0UzxC0


余りの勢いで食べていくのでアンジュを菓子から引き離す。


アンジュ「こら!何をする!余を誰だと思っておるのじゃ!」


ハク「ここに居る時はただの町娘だと自分で前に言っていただろうが!」


アンジュ「その時はその時じゃ!ええい!離せ離せー!」


クオン「…ハク、そのままかな」


ハク「む……ク、クオン…?」


ニコニコと笑っているが、その笑みは背筋が凍るほどに、怖い。


アンジュ「ひっ…」


何故怒っているのか、原因を探る……までも無かった。


先程まであった菓子が無くなっていた。


ルルティエ「……あ…………ぅぅ……」


ルルティエは凄く落ち込むか、でも皇女様だから別に……と葛藤していた。


ハク「これはお前が悪い。観念してくれ」


アンジュ「な、何を言っておる!?余を助けぬのか!?」


クオン「悪い事をした子には…おしおきをしなくちゃね?」


クオンの尻尾がアンジュの頭を巻く。


アンジュ「や、やめるのじゃ…それは…」


クオン「ん?何かな?」


グググググ。


アンジュ「んぎゃあああああああ!!」


アンジュの悲鳴で痛みのソレが伝わってくる。


ハク(わかる、わかるぞ…。自分も巻かれた事がある身…!相当痛いんだな…!)

23 : ◆lNXUmdYSDk [saga]:2015/10/08(木) 02:51:16.22 ID:1vK0UzxC0


クオン「悪い事をしたら、何て言うのかな?」


アンジュ「ま、またそれか…!余は…余は屈しぬぞ!」


クオン「そう…」


グググググ。


アンジュ「ぎゃあああああああ!!!」


更に尻尾の締める力が強くなる。


アンジュ「わ、わかった!わかったから!」


クオン「前みたいな言い逃げするの…良くないかな。先に言おうね」


ニコニコして言ってはいるが、尻尾の力は緩んだ様子はない。


アンジュ「ご、ごめんなさい!ごめんなさい!」


クオン「はい、良く言えたね」


両手をパチンと合わせると尻尾をアンジュの頭から離す。


ハク「良く頑張ったな…」


アンジュ「あやつは…禍日神じゃ…余にこんな事を…」


長椅子の上でぐったりとするアンジュ。


クオン「……何か言ったかな?」


アンジュ「や!何も言っておらぬ!」


クオンの声に飛び起きる。そろそろ止めないとな。


ハク「クオンもそこまでにしとけ。皇女さんも…これに懲りたらもうやめるんだぞ」


アンジュ「う、うむ……」


今回はちゃんと反省したようだ。いつもこんななら良いんだが。


クオン「あーあ…せっかくのモロロが…」


クオンがシュンとしてしまう。

24 : ◆lNXUmdYSDk [saga]:2015/10/08(木) 02:52:10.47 ID:1vK0UzxC0


ハク「む……ルルティエは?」


クオン「あれ……どこに行ったのかな?」


辺りを見回すが何処にもルルティエの姿は見えない。


ガララ。


詰所の扉が開く。


ルルティエ「あ……もう…終わったのですね……」


ルルティエ「モロロも…ルルも無かったので…また作ってきました……」


ルルティエの盆の上にはそこには結構な量のルルがあった。


ルルティエ「アンジュ様も…まだ食べると思って……多めに…」


アンジュ「おぉ!!」


ハク「流石だな、ルルティエ」


ルルティエ「い…いえ……そんな…!」


アンジュ「お主は本当に良く出来た女じゃの!!」


クオン「流石かな、ルルティエ。ありがとね」


ルルティエ「………………!」


皆に褒められたからか、顔から湯気が出るんじゃないかと言うくらいに真っ赤になる。

25 : ◆lNXUmdYSDk [saga]:2015/10/08(木) 02:52:48.99 ID:1vK0UzxC0


アンジュ「ハクよ、嫁に取るならこのような娘にするんじゃぞ」


ハク「全くその通りで」


是非もない。


ルルティエ「えぇ…!えぇぇ……!わ、私が…ハクさまと……!!」


ハク「どうしたルルティエ?」


ルルティエ「い、いえ!…な、何でも…有りませんから……!」


ルルティエ「あ…!お、お茶…入れなおして…きますね…!」


そう言うと顔を真っ赤にしながらルルティエはまた姿を消す。


クオン「…私も見習わなきゃかな」


出て行ったルルティエを見ながらそう呟く。


ハク「クオンには女の淑やかさってのが足りないからな(ああ、良いと思うぞ)」


クオン「…………ん?」


ハク「…………」


ハク「……………はっ」


クオン「………………」


クオンが無言でこちらへ近づいてくる。


ハク「ま、待てクオン!今のは誤解だ!」


思いきり後ろへ飛び退く。


クオン「……何がかな?」


先程と同じ笑顔だ。殺される…!


ハク「いや…!何と言いますか、その……!」


クオン「ハク…正座」


ハク「いや待て!今のは本当に──」


クオン「正座」


ハク「はい」



この後クオンの尻尾に絞られたのは言うまでもない。


                  *
26 : ◆lNXUmdYSDk [saga]:2015/10/08(木) 02:56:57.44 ID:1vK0UzxC0
>>11
わかる、わかるぞ
あれは仕方ないんや…
オシュトルが甘いから…アニメであそこが放送されるとなると意見が白熱しそうだ


もう何キャラ分書かを書いたらHTML化して貰うかな
夢中で書きすぎてしまった
とりあえず寝る
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/08(木) 04:48:20.88 ID:o/EU2Gqeo
アンジュが出てきたのに胸チカさまが出てないのはおかしいよなぁ?
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/08(木) 08:04:52.77 ID:glGgGu++0
ハク殿の大親友がまだ出てないでおじゃるよ
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/08(木) 08:18:47.55 ID:gxQ8dLTmO
姉上の活躍がまだのようですが
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/08(木) 14:12:43.28 ID:l1tD0LLRo
にゃもを忘れては困るにゃもよ
31 : ◆lNXUmdYSDk [saga]:2015/10/08(木) 15:48:47.60 ID:fJ/mRbsa0

白楼閣の通路を歩いている時─。


マロロ「おーい!ハク殿〜!」


ハク(む、この聞き覚えのある声は…)


後ろを振り返る。


ハク「やっぱりお前か……マロ」


マロロ「ほ?やっぱりとは何の事でおじゃる?」


ハク「いいや、何でもない。どうしたんだ?こんな所に来て」


マロロ「そうなのでおじゃる!これを見てほしいのでおじゃ」


マロロは懐から何やら巻物を取り出す。


そのまま巻物の封を解き、目の前で広げる。


ハク「なんだぁ…?これは」


マロロ「恐らくこれは……宝の地図でおじゃるよ!」


ハク「宝…?」


これは大和の地図だ、少し南東の方に×印がある。


マロロ「そうでおじゃる!つい先日屋敷から見つかったものでおじゃ!」


マロロ「元々マロの家は名家でおじゃる。そしてその元名家が隠す宝…」


マロロ「これは…隠し財産でおじゃる!」


マロロが自信に満ち溢れた声で言い放つ。


ハク「へぇ…そりゃ凄い。それで?これを自分に見せてどうしようと?」


マロロ「良くぞ聞いてくれたでおじゃる!ずばり──」


ハク「一緒に行け、なんて言わないだろうな?」


マロロ「まだ何も言ってる途中でおじゃる!?……でも、その通りでおじゃる」


ハク「やっぱりか…冗談じゃない、誰がそんな面倒臭い事…──」


マロロ「お宝は山分けでおじゃる」


む…?


ハク「……何だって?」

32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/08(木) 16:36:15.39 ID:tyctnHVgO
モロロってただの芋でそのままだと味もなくて食べられないんじゃないのか
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2015/10/08(木) 20:56:23.01 ID:hDQAicwW0
チマクじゃない?
オボロ防壁の原因になったやつ
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/09(金) 00:50:33.07 ID:3nl9rJ9Jo
聖上、まだ仕事が残ってます故
早めのご帰還をお願い致します
35 : ◆lNXUmdYSDk [saga]:2015/10/09(金) 04:22:01.28 ID:AY2/D2F00

マロロ「一緒に来てくれたらお宝はハク殿と山分けでおじゃるよ」


ハク「確か目的地は、ここから南東だったか?」


付いて行くだけでお宝が貰えるんだ、それなら貰っておこうじゃないか。


ハク(これでしばらくは豪勢に飲み食いが出来るな…)


マロロ「流石ハク殿!持つべき者は親友でおじゃる〜」


嬉しいのか抱きつこうとしてくるマロロ。


ハク「誰が親友だ!ええい、やめろ!引っ付くな!」





ハクとマロロは山道を歩いている。


ハク「大和から離れて結構経つが…この辺か?」


マロロ「…地図によればこの辺でおじゃる、それらしき物を探してみるでおじゃ」


ハク(と言われてもな…)


辺りを見回してみるが、ここは山道。見えるのは森や岩ばかりである。


ハク「なぁ、マロ。他に手掛かりはないのか?」


こんな事では日が暮れても見つからないだろう、効率が悪すぎる。


マロロ「そう言われても……おじゃ?」


地図を見ていたマロロが何かに気付いた。


ハク「どうした?何かあったか?」


マロロ「これを見てほしいでおじゃる」
36 : ◆lNXUmdYSDk [saga]:2015/10/09(金) 04:31:24.91 ID:AY2/D2F00


そう言うとマロロは地図の端を指差し、見せてくる。


そこにはとても小さい文字が書かれていた。


『双子違える時、我が至宝の眠る場所開かん』


ハク「…双子…違える…?」


マロロ「何の事かでおじゃろう…」


ハク「双子…ねぇ…」


また周囲を見回して見る。


何気なく道から外れた坂下を覗く。


すると、その山道から外れた坂道の下に全く同じ形をした縦長の石が見えた。


ハク「…!…成程なぁ…」


マロロ「…ハク殿?何かわかったでおじゃるか?」


ハク「ああ…!もしかしたら見つけたかもしれんぞ!」


マロロ「な、なんと!?それは本当でおじゃるか!?」


マロロの全部を聞く前に坂を下る。


マロロ「あ、ハク殿ー!待ってほしいでおじゃる〜!」


後ろからマロロの呼び止める声が聞こえるが、今はそれ所ではない。


ハク「……恐らくこれが、双子なんだろうな」


マロロ「…んん?この岩がでおじゃるか?」


追いついたマロロは訝しげな表情でその石を見る。


ハク「ああ、そうだ。この双子岩をどうにかするとお宝が出てくるって事だと思う」


マロロ「ほ〜!そうでおじゃったか!流石はハク殿!やはり来てもらって良かったでおじゃる!」


ハク「褒めるのはまだ早いぞ。双子を見つけただけで、どうするかまではわかってないんだからな」


マロロ「マロはハク殿を信じているでおじゃる!」


ハク「いや、お前も考えろよ…」


その双子岩を2人て触ってみたり、叩いてみたりするが反応はない。
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/09(金) 23:21:32.44 ID:sskyLTcyo
最近プレイ終えたので期待
38 : ◆lNXUmdYSDk [saga]:2015/10/10(土) 07:54:58.28 ID:MTjb5FJR0

ハク(これでは埒があかん…考えろ…)


先程の文章を思い出す。


ハク(……違える時…違えさせる…?う−む…)


そう双子岩を観察していると、双子岩の地面に引き摺られた跡が見える。


ハク「まさか…」


マロロ「ハク殿?」


引き摺った跡の反対側に回り、両手を当てる。


ハク「ぐっ…ぬぅぅぅぅおおおおお…!」


引き摺られた跡の方へと思い切り岩を押す。


ズズ、ズズ。と少しずつ動いてるのがわかる。


マロロ「おぉ!ハク殿!動いているでおじゃるよ!」


ハク「い、いいから…!見てないでお前も手伝え…!!」


マロロ「わかっておじゃる!」


マロロも一緒に岩を押す。


ガチッ。という音がした。


ハク「…!よし…同じようにもう一つも動かすぞ」


マロロ「了解でおじゃる!」





カチッ。反対の岩を動かしていると音が鳴る。


ハク「ど、どうだ?」


マロロ「何も…起きないでおじゃるか…?」


ゴゴゴゴゴ。何も起きないのかと思った矢先、背後の岩壁が揺れる。


ハク「お、おぉ…?」
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/10/10(土) 13:11:25.53 ID:dOQGb+LnO
マロは本編で最後まで使いたかったなぁ
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/16(月) 01:59:51.40 ID:6p0sdn5AO
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