このスレッドはSS速報VIPの過去ログ倉庫に格納されています。もう書き込みできません。。
もし、このスレッドをネット上以外の媒体で転載や引用をされる場合は管理人までご一報ください。
またネット上での引用掲載、またはまとめサイトなどでの紹介をされる際はこのページへのリンクを必ず掲載してください。

橘ありす「缶コーヒーも飲めるけど」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

1 : ◆foQczOBlAI [saga]:2015/11/21(土) 23:06:26.43 ID:1UHRrZe40
前作
橘ありす「缶コーヒーを飲んだから。」

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1437840179/

一応続きですが前作を読まなくても読めると思います。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1448114786
【 このスレッドはHTML化(過去ログ化)されています 】

ごめんなさい、このSS速報VIP板のスレッドは1000に到達したか、若しくは著しい過疎のため、お役を果たし過去ログ倉庫へご隠居されました。
このスレッドを閲覧することはできますが書き込むことはできませんです。
もし、探しているスレッドがパートスレッドの場合は次スレが建ってるかもしれないですよ。

【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part6 @ 2024/03/16(土) 18:36:44.10 ID:H9jwDXet0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1710581803/

昔、スリに間違えられた @ 2024/03/16(土) 17:01:20.79 ID:TU1bmFpu0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1710576080/

さくらみこ「インターネッツのディストピアで」星街すいせい「ウィキペディアね」 @ 2024/03/16(土) 15:57:39.74 ID:7uCG76pMo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1710572259/

今日は月が……❤ @ 2024/03/14(木) 18:25:34.96 ID:FFqOb4Jf0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1710408334/

どうも、僕は「げじまゆ」をヤリ捨てた好色一代男うーきちと言います!114514!! @ 2024/03/14(木) 01:23:38.34 ID:ElVKCO5V0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1710347017/

アサギ・とがめ・新生活! @ 2024/03/13(水) 21:44:42.36 ID:wQLQUVs10
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1710333881/

そろそろ春だねー! @ 2024/03/12(火) 21:53:17.79 ID:BH6nSGCdo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1710247997/

【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part5 @ 2024/03/12(火) 16:37:46.33 ID:kMZQc8+v0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1710229065/

2 : ◆foQczOBlAI [saga]:2015/11/21(土) 23:07:03.30 ID:1UHRrZe40
街を一人で歩いていました。これだけ人がいるのに本当の私を知っている人は一人としていません。

面白いですよね、おかしいですよね。

確かにアイドルとしての『橘ありす』を知っている人は何人かいるかもしれません。

でも少女としての、素の『橘ありす』を知っている人はいません。一人ぼっち。


「おーい、ありす。こんなところで何してるんだ?」


聞きなれた声が聞こえてました。私のプロデューサーです。

この人は私、『橘ありす』のことを知っているのでしょうか?

わかりません、多分知っていても知っていなくても知っている風に振舞うでしょう。

この人はそういう人です。私はそのことを知っています。
3 : ◆foQczOBlAI [saga]:2015/11/21(土) 23:08:16.25 ID:1UHRrZe40
「橘と呼んでください」

「おうおう、最近聞かなくなったと思ってたセリフじゃないか。さてはお前、今日は機嫌悪いな。それで街を散歩でもしてたのか?」


うっ、言葉に詰まります。私の行動や思考が読まれています。

この人は何でも見透かすのでしょうか?

ただ厳密に言えば違うところもあります。私は散歩をしていたのではありません。

目的地もなくぶらぶら、ぶらぶら。どちらかといえば迷子です。


「……少し話をしないか?そこに公園があるんだが」

「はい。私も一人では少し行き詰っていて。話を聞いてもらいたいです」
4 : ◆foQczOBlAI [saga]:2015/11/21(土) 23:08:52.95 ID:1UHRrZe40

そのとき、プロデューサーから手を差し伸べられました。

手をつなごうって意味なのでしょうか?

しかし、私はそれに気がつきながらスルーしました。

別にプロデューサーが嫌だとかそういうわけではありません。

むしろプロデューサーは信頼に足りる人だと思っています。

ほかの大人とは少し違う、そんな気がします。

……普通だったらまず相談に乗ってもらうことなんてありえないと思います。

それでも手をすり抜けました。

子ども扱いは嫌だとか、こんな人がいるところで恥ずかしいとか、素直になれないとか。

色々な感情が混ざり合い、溶け合って、それらを全て胸の奥にしまいこんで、しまいこんで。

なぜしまいこんだのでしょうか?自分でもわかりません。

ただ今の私にはこれが最適解のように思えたのです。
5 : ◆foQczOBlAI [saga]:2015/11/21(土) 23:09:38.80 ID:1UHRrZe40

_________________________________

「そこのベンチに座ろうか」


プロデューサーはさっきの出来事を気にはしていないようです。よかった。

公園にはあまり人影はありません。少しほっとしました。

悩み事を相談するということは弱みをさらすことと同義です。

だから多分誰も聞いていないだろうけど、それでも気にしてしまいます。

私は強くありません。弱みを隠して強がっているだけです。

今回のこともそれが原因で起こったのかもしれません。
6 : ◆foQczOBlAI [saga]:2015/11/21(土) 23:10:18.88 ID:1UHRrZe40
「今日、クラスの男子に言われたんです。お前は一人でも平気そうだなって。そんなわけないじゃないですか。私だって一人は寂しいです」

「そうやって言い返したのか?」

「いえ、言い返しはしませんでした。でも周りから見たら私は心を閉ざしているように見えるのでしょうか?」

「そんなことないぞ。ただありすは少しだけ不器用だもんな」

「そうですか?手先は器用だと思うのですが?」

「そっちじゃないよ。ありすは人に甘えるのが苦手だろ?人を頼るのが苦手だろ?多分その子はありすが自分でなんでも出来るように見えてさびしかったんじゃないか?」

「そうなんでしょうか?でも、出来ることは自分でやるように教わってきましたから」

「もっと大人に甘えていいんだよ。子どもなんだから」
7 : ◆foQczOBlAI [saga]:2015/11/21(土) 23:12:01.10 ID:1UHRrZe40

「またそれですか?私だって少し大人になったんです。缶コーヒーだって飲めるし」

「相対的に見ると大人びて見えるけど絶対的に見たらまだまだ子どもだ。この前もそういったろ?」

「そんな難しい言葉はつかってなかったとは思います。大体の意味はわかるけど……」

「大人になったら甘えたくても甘えられないからな。今のうちにしとくべきだよ」

「確かに甘えてくるプロデューサーは少し嫌ですね」

「俺もそれには同意するがそこまでしっかり言う必要はないんじゃないか?」

「私は子どもだから純粋なんです。素直な言葉を使っただけです。大人のプロデューサーなら許してくれますよね」

「これは、一本とられたな」
8 : ◆foQczOBlAI [saga]:2015/11/21(土) 23:13:21.45 ID:1UHRrZe40

プロデューサーの言葉は私の中に染み込むように落ちていきました。

そして私の中にあった霧のような感情を全て吹き飛ばしていきます。

やっぱりプロデューサーは凄いと思いました。頼りになる大人です。

私の知らない私までプロデューサーは知っていました。

多分プロデューサーはたくさん人がいる街の中でも私を見つけてくれるでしょう。いやもう見つけてくれました。二回も」

スカウトされたとき、さっき迷子になっていた私を見つけてくれたとき。

私も同じようにたくさんの人の中でもプロデューサーを見つけられるようになりたいです。

……あれ?この気持ちはなんだろう?
9 : ◆foQczOBlAI [saga]:2015/11/21(土) 23:15:07.83 ID:1UHRrZe40
「そういえばさ」

「は、はい!なんでしょうか?」

「どうした急にそんなに焦って?」

「い、いえ。なんでもありません」

「それならいいけど……さっきの話だが多分その男の子はありすに惚れてるよ?」

「……え?」

「だからありすに恋してるよ」

「言葉の意味がわからなかったのではありません。言葉の真意がわからなかったのです」
10 : ◆foQczOBlAI [saga]:2015/11/21(土) 23:15:45.76 ID:1UHRrZe40
「その男の子はありすに頼ってもらいたかったんだよ。それに素直になればありすは自分に惚れてるんじゃないかって考えたんじゃないか?」

「論理的じゃありません」

「小学生の男子なんてみんなそんなものだ。全員自分に惚れていると思ってる」

「……子どもって言うよりガキですね」

「俺もそう思う。でも男はみんなガキなんだ。甘えたりはしないがな」

「気持ち悪いからですよね」

「だからそこまでしっかり言う必要ある?!」

「えへへ……お返しです」

「え?なんの?……でもやっと笑ったなありす。やっぱり笑顔のほうが可愛いぞ」

「……もう」
11 : ◆foQczOBlAI [saga]:2015/11/21(土) 23:16:29.11 ID:1UHRrZe40

私を惑わせたお返しです。

会話の最中にわかりました。私がプロデューサーに抱いた気持ち。


恋です。


なんでかはわかりません。でもプロデューサーは特別な人なんです。


「話しつかれたな。なんか飲むか?」

「そうですね。今日はココアが飲みたいです」

「珍しいな」

「今日は子どもでいたい気分なんですよ。それと、子どもなんで甘えていいですよね?」

「もちろんだよ」

「じゃあ、私と手をつないでください」


今はこれだけだけど、やっと言えたよ。
12 : ◆foQczOBlAI [saga]:2015/11/21(土) 23:17:49.34 ID:1UHRrZe40
以上短いけど終わりです。

In Fact いい曲なのでぜひ聴いてみてください。
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/21(土) 23:36:19.72 ID:GZ+lmFzuo
乙!
いい話だった!!
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/22(日) 05:45:52.90 ID:rmCV87kAO
乙 こんなSSを待っていた
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/11/22(日) 15:32:13.55 ID:uj0gHyU80
乙!いい話なんじゃ〜
7.54 KB   
VIP Service SS速報VIP 専用ブラウザ 検索 Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)