本田未央「プロデューサーとのごはん」 その2

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312 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/07/17(日) 21:41:02.61 ID:XEYokMwx0

――事務所

ガチャ

P「ただいま――って、あれ? お前らだけか?」

未央「うん、お前らだけですよー」

梨沙「『お前ら』って言い方は気に入らないけどね」

舞「あはは……」

P「……なんだこの組み合わせ」

梨沙「『なんだ』って言われても、こっちこそ『なによ』って感じなんだけど」

P「梨沙俺に対して厳しすぎないか?」

梨沙「いつもこうでしょ」

P「確かに」
313 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/07/17(日) 21:46:27.81 ID:XEYokMwx0
舞「えっと、私と梨沙ちゃんが勉強しているところに、未央さんが『教えてあげる』って」

梨沙「それでアタシたちが今やっている問題を見た未央が『んん……?』って頭を悩ませているところよ」

P「……未央、お前、勉強できる方だったよな? それもかなり。それなのにどうして……」

未央「んっ……そ、その、最近の小学生は難しいことやってるね☆」

P「……」

梨沙「……」

未央「ちょ、プロデューサーもりさりさもそんな目で見ないで……」

舞「だ、大丈夫ですよ、未央さん! 三年も経てば習ったことを忘れても仕方ないですよ!」

未央「うう……まいちーは優しいね……妹にしたい……」

舞「えっ」

P「どういうことだよ……」

梨沙「というか、三年前に習ったことでも義務教育で習ったことを忘れるってダメじゃない?」

未央「ぐっ……せ、正論を言われるとキツい……」

P「ぐっ……」

梨沙「なんでアンタまでダメージ受けてんのよ……」

P「小学生どころか中学高校大学で習ったことほとんど覚えてねぇ……」

梨沙「……学費がもったいないわね」

P「それ言われると本気でつらいからやめてくれ……」
314 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/07/17(日) 21:49:38.69 ID:XEYokMwx0
舞「学校で習ったことを忘れているとしても、プロデューサーはプロデューサーだから大丈夫です!」

梨沙「舞、それたぶんフォローになってないわよ……」

P「そうか? 舞がそう言うなら大丈夫だな!」

梨沙「なんでなってるのよ」

舞「はいっ! 大丈夫です!」

P「大丈夫か!」

舞「大丈夫です!」

梨沙「これ、いつまで続けるの?」

未央「たぶんツッコミが入るまでだね」

梨沙「面倒なオトナね」

未央「まあ、そういうところも含めて『プロデューサー』ですし?」

梨沙「それは……褒め言葉かどうなのか、微妙なところね」

未央「お、『微妙』なんだ。『違う』んじゃなくて」

梨沙「……うるさい」

未央「お、照れちゃってー。りさりさはかわいいなぁ♪」

梨沙「そんなことを言うアンタはかわいくないわよ、未央」
315 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/17(日) 21:49:40.49 ID:aTFsmEQgO
おぉ、来た!
316 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/07/17(日) 21:55:19.48 ID:XEYokMwx0
P「ん? 梨沙がかわいい話してる?」

舞「梨沙ちゃんはかわいいです!」

梨沙「アンタたちいつの間に……と言うか、Pはいつまでそんなところで突っ立ってるのよ」

P「ん、それもそうだな。と言うか、せっかく買ってきたんだからこれも早く……」

未央「あ、そうそう、それ気になってたんだよね。プロデューサー、その袋、何?」

P「コンビニの袋だな」

梨沙「そんなこと見ればわかるわよ」

舞「中身はなんなのか、って聞きたかったんだと思います」

未央「まいちーやさしい」

梨沙「舞。Pはそういう質問だってわかっていたくせにあんな返しをしたのよ。ホント、性格悪いわよね」

P「俺、そこまで言われることしたか……?」

梨沙「言われたくなかったんならそもそもしないでくれる?」

未央「おお、正論」

P「確かにな……ごめんな、舞」

舞「わ、私ですか……?」

梨沙「まあ、謝るなら舞よね」

未央「まいちーだよね」

P「舞だよな」

舞「えぇ……」
317 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/07/17(日) 21:59:10.02 ID:XEYokMwx0
未央「と言うか、また脱線しちゃってたけど、プロデューサー、その袋の中身は結局なんなの?」

P「ん? ああ、これか? これの中身は……これだ」

梨沙「……たこ焼き?」

舞「冷凍の、たこ焼き?」

未央「冷凍かぁ……」

P「……べつにお前らに食わそうと思って買ってきたわけじゃないからな」

未央「えー」

P「お前いちばん残念そうな反応してたくせになんだよ」

未央「いやー、だってこの流れなら……ね?」

P「いや、まあ、わからんでもないが……これは俺とちひろさんが小腹が空いた時のために買ってきただけだ。今食べる用じゃない」

舞「……でも、なんだかたこ焼きが食べたくなってきたな」

未央「お?」

梨沙「……ねぇ、P? 舞がこう言っているけれど……アンタはどうするの?」

舞「え? え?」

P「……これは冷凍庫行きだが、そうだな、それじゃあ、行くか」

未央「お!」

梨沙「決まりね。それじゃあ、準備をするからPは待ってなさい。……舞? 何してるの? 早く行くわよ」

舞「え? え? ……ど、どういうこと、なの?」
318 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/07/17(日) 22:01:53.70 ID:XEYokMwx0

――外

未央「しかし、プロデューサーもまいちーには弱いんだね?」

P「まあ、舞だからな」

梨沙「アンタは割りとアイドル全員に弱いでしょ」

P「……」

舞「否定しないんですね……」

未央「実際、プロデューサーは私たちのこと大好きだよねー」

梨沙「気持ち悪いくらいにね」

P「気持ち悪いって言われると傷付くんだが……でも、べつに悪いことじゃないだろ?」

梨沙「さあね。手を出したらダメだとは思うけど」チラッ

未央「……ど、どうして私のことを見るのかなー?」

梨沙「べつに?」

舞「……? プロデューサー、どういうことですか?」

P「あー……まあ、俺はお前らのことが大好きだってことかな」

舞「それならわかります! 私もプロデューサーのことは大好きですよっ!」

P「天使かよ」

舞「て、天使って……」

319 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/07/17(日) 22:04:12.35 ID:XEYokMwx0
梨沙「P。舞はこの中で最年少なんだからあんまりからかうのはやめなさい」

P「からかってるつもりはないんだが……と言うか、梨沙が言えるか?」

梨沙「精神年齢ではいちばん上なんじゃないかしら?」

未央「おお、言うねぇ、りさりさ」

梨沙「だって、事実じゃない?」

P「……梨沙の精神年齢が高い、ねぇ」

梨沙「……なによ。文句あるの?」

P「いや?」

梨沙「……なんか、むかつく」

P「むかつかれたか」ハハハ

梨沙「……」ケリッ

P「痛っ。ちょ、蹴ることないだろ?」

梨沙「……アタシだって、こういうところが、ってことはわかってるわよ」

P「……そうか」

梨沙「そうよ」

P「……うん。なら、そうだな。梨沙の精神年齢は、俺の思ったよりは高いのかもな」

梨沙「そのにやけ顔はむかつくし気持ち悪いけど……ま、褒め言葉として受け取ってあげる」

P「……」

梨沙「……なによ。どうして何も――」
320 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/07/17(日) 22:05:40.43 ID:XEYokMwx0
P「舞……今、俺、梨沙に気持ち悪いって言われた……」

梨沙「はぁ!?」

未央「そこでそういう反応になるんだね、プロデューサー……」

舞「あ、あの……プロデューサー? 梨沙ちゃんが今言ったのは、そういう意味じゃないって思うんですけど……」

P「でも、顔が気持ち悪いって……」

未央「うわぁ……」

梨沙「……P。10歳の女の子に泣きついているアンタは、正直、本ッ当に気持ち悪いわよ」
321 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/07/17(日) 22:12:09.71 ID:XEYokMwx0

――

未央「それで、今から行くのはたこ焼き屋さん……で、いいんだよね?」

P「ああ」

梨沙「アンタ、立ち直るの早いわよね」

P「それ言われると思い出してまた落ち込みそうになるからやめてくれ」

梨沙「アンタ、落ち込むのも早いわよね……」

P「熱しやすく冷めやすいのが性分だからな。まあ、お前らへの思いだけは冷めないけどな!」ドヤァ

梨沙「キモッ」

P「……ごめんな、気持ち悪くて……」

梨沙「……アンタ、『気持ち悪い』って言葉に何かトラウマでもあるの……?」

未央「りさりさ、それは聞いちゃいけないよ」

P「ああ、触れないでくれ。これは俺の……そう、言ってみれば『心のささくれ』かな……」

梨沙「飛鳥の下手な真似みたいで気持ち悪い」

P「へこむ」
322 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/07/17(日) 22:15:36.79 ID:XEYokMwx0
舞「あはは……それで、プロデューサー。今日行くたこ焼き屋さんって、どういうところなんですか?」

P「んー……みくに教えてもらった店だな」

舞「みくさんが……?」

梨沙「みく、タコは大丈夫なのね……」

未央「みくにゃんの大丈夫な基準はよくわからないからねー。でも、みくにゃんが、っていうならなんだか期待できるかも」

P「なんでも大阪組で『東京のおいしいたこ焼き屋を探そうツアー』をやったらしくてな。それで『ここはおいしい』ってなった店らしい。あと、その時にドーナツ屋も教えてもらった。なんでも、その時に一人だけドーナツ屋に行こうと提案したアイドルが居たらしくてな」

未央「誰なのか一瞬でわかった」

梨沙「アタシも」

舞「私もわかりました」

P「『たこ焼きだけじゃなくて甘いものもあった方がいいかなーと思って』とかいう理由みたいだから許してやってくれ」

梨沙「たこ焼き関係なくてもドーナツ屋に連れて行きそうなんだけど」

P「それは否定できないが」

舞「否定できないんですか……」

P「いや、だって……なぁ?」

未央「『なぁ?』って……いや、まあ、わかるけど」

P「まあ、今日はそのドーナツ屋には行かないが」

未央「話に出したのに?」

P「ここからなら確実に一時間以上時間かかるんだが」

梨沙「ならいいわ……」

舞「というか、そんなところに連れて行ったんですね……」

P「まあ、一日じゃ済まなかったらしいからな」

未央「えぇ……」

梨沙「どんだけたこ焼きに対して熱を持ってるのよ……」

P「正直みんな途中から『もういいんじゃないか』と思っていたらしいが一日かけたらもう引くに引けなくなったらしい」

舞「でも、その結果見付かったならいいじゃないですか!」

P「舞は良い子だな……」
323 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/07/17(日) 22:16:22.85 ID:XEYokMwx0
未央「そう言えば、まいちーも関西出身……兵庫県出身だったっけ? それなら実は結構たこ焼きにこだわりがあったりして?」

舞「こだわり……ってほどはないですね。たぶん」

梨沙「『たぶん』っていうのがこわいわね」

未央「どうする? プロデューサー。まいちーが一口食べた瞬間『こんなのたこ焼きじゃない!』って怒り出したら」

P「泣く」

梨沙「泣くのね……」

舞「そ、そもそもそんなことしません!」

未央「お、まいちーが怒った」

P「怒る舞もかわいい……」

梨沙「そんなアンタは気持ち悪い……」

舞「……気持ち悪いです」

P「舞に言われると本気でキツい」

未央「プロデューサーが悪いから仕方ないよ☆」

梨沙「そうね。Pが悪いから仕方ないわ」

P「いや今の未央と梨沙が悪くないか?」

舞「……確かにそうですね」

未央「ンフッ……まいちー、わかってなかったんだ。つまり、プロデューサーは流れ弾に当たっちゃった、ってことだね」

梨沙「まあ、Pだからべつにいいんじゃない?」

P「やっぱり俺の扱い悪くない?」
324 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/07/17(日) 22:21:02.88 ID:XEYokMwx0

――店の前

梨沙「ここが……」

P「ああ。横山奈緒ちゃんオススメのたこ焼き屋さんだ!」

未央「……ん?」

舞「……みくさんじゃなかったんですか?」

P「みく曰く、『結局ここがおいしかったにゃ』だそうだ。ちなみに大阪にも兵庫にもある」

舞「そう言えば、見たことあるような……」

未央「何日もかけて探した意味……!」

P「いや、他のところもおいしかったらしいんだけどな? いくつか店は教えてもらったんだけどな? でも、あの横山奈緒ちゃんオススメって聞いたら行きたくなるだろ?」

梨沙「……そう言えば、アンタ、765プロのファンだったわね」
325 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/07/17(日) 22:22:49.43 ID:XEYokMwx0
P「お前らのことも大好きだから心配するなって」

梨沙「べつにヤキモチとかじゃないわよ……」

P「お? わざわざそう言うってことは実は……?」

梨沙「いや本当に違うから誤解しないで気持ち悪い……」

P「本気のトーンで言われると傷付く」

梨沙「アンタがうざいから悪いのよ」

未央「確かに」

P「未央まで……舞ぃ」

舞「……今のは正直、仕方なかったかな、って」

P「舞にまで突き放された……がーんだな……」

未央「その台詞パクリじゃない?」

P「お、未央も見たのか。まあ漫画もドラマも貸したからなぁ」

舞「なんの話ですか?」

P「ん? 俺の好きな漫画とドラマの話かな」

梨沙「どうして今そんな話をするのよ……」

P「そう言われたら返す言葉もないな」

未央「確かに。早く買って食べよっか」
326 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/07/17(日) 22:24:25.56 ID:XEYokMwx0
P「ん。まあ、とりあえずたこ焼きでいいよな」

梨沙「たこ焼きを食べにきたわけだしね」

P「何個くらい食べる?」

未央「んー……一個の大きさにもよるかな」

P「そりゃそうか。それじゃあ……まあ、残ったら俺が食べるし多めに買っとくか!」

舞「結局そうなるんですね……」

P「というか店の人に四人ならどれくらいの量だと小腹が膨れるくらいか聞く」

未央「まあ、それがいちばん良さそうだね……」
327 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/07/17(日) 22:26:48.93 ID:XEYokMwx0

――

P「ってことで、買ってきたぞ」

未央「お! やってきましたか、たこ焼きちゃん!」

梨沙「たこ焼き『ちゃん』って」

舞「なんだかかわいいですねっ」

P「かわいいか……?」

未央「かわいいかな……?」

舞「えっ」

梨沙「未央、裏切ったわね……」

P「裏切ったな……」

舞「裏切られました……」

未央「まいちーにそう言われると割りと傷付く」

梨沙「アンタが悪いから仕方ないわよ」

P「仕方ないな」
328 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/07/17(日) 22:28:04.43 ID:XEYokMwx0
舞「あの……たこ焼きも冷めちゃいますし、早く食べませんか?」

P「言われてみればそうだな。絶対今熱々で食べられるもんじゃないと思うがそれを『熱っ熱っ』って口をはふはふさせながら食べるのが醍醐味みたいなところあるからな」

未央「そんなところある……?」

梨沙「なんで自分からそんな苦行を……」

舞「わかります!」

未央「わかるの!?」

P「だよな!」

梨沙「……意外な伏兵ね」

P「それじゃあ、早速食べるか」

未央「食べよー食べよー☆」
329 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/07/17(日) 22:29:15.73 ID:XEYokMwx0
舞「それじゃあ、いただきますっ!」

梨沙「いただきます」

未央「いただきまーす」

P「いただきます、っと」

P「……熱ッ! 熱いッ! 無理だなこれ……なぁ、お前らも――」

未央「……」ハフハフ

梨沙「……」ハフハフ

舞「……」ハフハフ

P「……俺だけ、か」

未央「んっ……プロデューサー、確かに熱かったけど、そこまで……?」

P「いや、だって、熱いし……」

梨沙「それが醍醐味じゃなかったの……?」

P「醍醐味だけど熱いものは熱いからな」

舞「それは……確かに、そうですね」
330 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/07/17(日) 22:30:36.65 ID:XEYokMwx0
未央「……ねぇねぇ、プロデューサー」

P「ん?」


未央「ふーふー、って、してあげよっか?」


P「んっ……!?」

梨沙「なっ」

舞「えっ」
331 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/07/17(日) 22:32:16.19 ID:XEYokMwx0
未央「……あれ? 私、変なこと言った?」

梨沙「……未央。二人きりならよくやってることかもしれないけど、今日はアタシたちも居るのよ?」

未央「でも、プロデューサーが熱いって……」

梨沙「……なら、もう何も言わないからしなさいよ……」

未央「そう? じゃあ、プロデューサー……」フー…フー…

未央「はい、あーん」

舞「ひゃー……」

梨沙「……ハァ」

P「……あーん……」パクッ

P「……」モグモグ

P「……」ゴクン

未央「おいしい?」
332 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/07/17(日) 22:33:32.74 ID:XEYokMwx0
P「……味なんてわかるか!」

未央「えっ」

梨沙「そりゃそうよ」

舞「そうですね」

未央「……なんで?」

P「……未央。お前、俺と二人の時だってこんなことしないだろ。それなのに、なんで今日は……」

未央「……?」

P「……なあ、未央。お前、今自分がやったことを冷静に思い出してみろ」

未央「私がやったことを……ふーふーって自分の息で熱々のたこ焼きを冷まして、それを『あーん』ってプロデューサーの口、に――って」
333 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/07/17(日) 22:35:24.43 ID:XEYokMwx0
未央「……わ、私、なにやってるの……?」

P「……時間差で恥ずかしがるのは卑怯じゃないか?」

未央「え、いや、その……し、しかも、りさりさとまいちーの前で……うぅ」

P「……ま、まあ、たこ焼きの味はわからなかったが……未央の気持ちは嬉しかったよ。だから、その……ありがとな」

未央「……うん」
334 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/07/17(日) 22:38:23.82 ID:XEYokMwx0
梨沙「……何と言うか、『お熱い』わね」

舞「熱々、ですね」

梨沙「……さ、たこ焼きも食べるわよ。そこのバカ二人も食べなさい。いちゃいちゃしながらでもいいけど、せっかくのおいしいたこ焼きをおいしい内に食べないなんて許さないんだから」

舞「でも、本当においしいですよね、このたこ焼き。ソースはちょっと甘めで、生地はふわふわで、とろとろで……熱いんですけど、おいしいです」

梨沙「まあ、そうね。……これが大阪のたこ焼き、なの?」

P「んー……まあ、ものによるな」

梨沙「あ、二人の世界から帰ってきたのね、バカの片割れ」

P「バカの片割れ、って……ひどいな」

梨沙「ひどくないわよ。あんな光景を10歳と12歳に見せる方がひどいと思うけど?」

P「それは……まあ、すまん」

梨沙「アタシよりも舞に言いなさい」

P「あー……舞、すまん。悪かった」

舞「だ、大丈夫です。私も、その……なんだか、大人って感じで、良かったです」
335 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/07/17(日) 22:39:53.81 ID:XEYokMwx0
梨沙「大人というか子どもみたいな感じだったけどね」

P「子どもみたいな感じ、って……」

梨沙「事実でしょ。まあ、アタシたちの前で『オトナ』みたいなことを始めても軽蔑するけどね」

P「さすがにしないよ……したこともないしな」

梨沙「ふーん……」

P「な、なんだよ、その目は……」

梨沙「べつに? ただ、未央も苦労しそうだな、と思っただけよ」

P「……それ、他の人にも言われるんだが」

梨沙「それだけアンタが……ってことでしょ。まあ、そんなアンタだから、なんだろうけど」

P「褒め言葉か?」

梨沙「褒め言葉よ。一応ね」

P「……ありがたく受け取っておくよ、梨沙」

梨沙「ええ。ありがたく受け取っておきなさい」
336 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/07/17(日) 22:41:44.70 ID:XEYokMwx0
未央「……んー! おいしい!」

舞「はいっ。おいしいですっ♪」

P「……なんか、いつの間にかたこ焼きがなくなってそうな予感がするんだが」

梨沙「と言うか、未央も舞もいつの間に……」

P「……梨沙、行かなくていいのか? 早く行かなきゃなくなるぞ」

梨沙「……べつに、そこまで食べたいわけじゃないし」

P「そうか。でも俺は食べたいから行くな。おーい、二人とも! 俺の分も残してくれー!」タッタッタッ…

梨沙「ちょっ!? P、アンタ……! 未央! 舞! そこのバカの分は残さなくてもいいわ! アタシの分を残しておきなさい! ……あー、もーっ!」タッタッタッ…



337 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/07/17(日) 22:47:48.91 ID:XEYokMwx0
これにて今回は終了です。
書き終わって思ったんですがこれ的場梨沙回なのでは……?
でもたこ焼きのところは未央だったからセーフですね。セーフということにして下さい。セーフ。
このお店はおいしかったですね。たこ焼きだけじゃないような気もしますが今回はまあたこ焼き回ってことでたこ焼きでした。熱々でふわふわでとろとろのたこ焼きに甘めのソースがたっぷり付いたのをはふはふしながら食べる……幸せですよね。熱いってなっちゃいますけど、それも楽しかったり。まあやけどには気をつけないと、って感じですけど。

フェス限未央はダメでした。

ここまで読んで下さってありがとうございました。
338 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/07/17(日) 22:51:45.71 ID:XEYokMwx0
あとSSとは関係ありませんがこの短い期間にも色々ありましたね。
ありましたが、落ちたりお迎えできなかったりした記憶が大半です。

改めてありがとうございました。
339 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/17(日) 22:59:07.05 ID:Idptx9y8o

俺のフェス限未央を譲ってやりたいくらいだ(3枚所持、なお凛卯月)
340 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/17(日) 23:35:28.93 ID:AU0onnF1o
無自覚でヤキモチを妬く未央可愛すぎませんか
乙!!
341 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/17(日) 23:50:45.49 ID:yr3/blPOo
乙です
342 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/18(月) 01:04:01.04 ID:5QBucLaLO

年少組出てきて嬉しい
343 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/18(月) 14:05:11.21 ID:On6r9xm8o
ナオ タコヤキニ クワシイ!
344 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/07/19(火) 00:25:51.36 ID:AcHfen/q0
P「……お」

未央「? どうしたの? プロデューサー」

P「いや……何と言うか、もうそんな時期か、と思ってな」

凛「そんな時期、って……どういう意味?」

P「夏になったんだな、って」

文香「夏……ですか」

未央「スマホを見てそう言ったってことは……何かニュースとかあったの?」

P「ニュースというか、まあ、ちょっとある店で期間限定メニューがな……」
345 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/07/19(火) 00:30:57.63 ID:AcHfen/q0
凛「……何と言うか、プロデューサーらしいね」

P「どういう意味だよ」

凛「そういう意味だけど?」

文香「……つまり、プロデューサーさんは食べるのが好き、ということでしょうか」

未央「そういうことだね」

P「……俺、そんなに食べるの好きか?」

凛「嫌いなの?」

P「……好きだけど」

未央「やっぱり好きなんじゃん」

P「べつにいいだろ? なあ、文香」

文香「私は……そう、ですね。食べることが好きなことというのは、良いことだと思います。食欲は人間の三大欲求の一つですが、そんな中で『好きだ』と言えるということは、素晴らしいことではないでしょうか」

未央「そんなふーみんはあんまり食べるの好きそうじゃないけどね」
346 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/07/19(火) 00:33:53.93 ID:AcHfen/q0
文香「……好きじゃない、というわけではありませんが……確かに、自分から進んで何かを食べよう、といった欲求はあまり大きい方ではないかもしれません」

凛「そう言えば、文香が何かを食べるところってあんまり見ないかも。ちゃんと食べてる?」

文香「食べて……そうですね、『ちゃんと』と尋ねられると、少し、考えてしまいます。アイドルになってからは、食べる量も増やしてはいるつもりですが……」

P「……なんか今プロデューサーとして聞き捨てならないような言葉が聞こえた気がするんだが……文香、お前、本当にちゃんと食べろよ? 読書に夢中で食べるの忘れたー、みたいなこと、ないよな?」

文香「……プロデューサーさん。奏さん曰く、『謎が女の子を美しく――』」

P「あるのかよ」

文香「……はい」
347 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/07/19(火) 00:39:28.67 ID:AcHfen/q0
凛「……文香、そういう冗談言うんだね」

未央「はやみんの影響かな?」

P「お前の影響じゃないのか?」

凛「周子とかかもよ?」

文香「プロデューサーさんの影響、かもしれません」

P「俺かー」

凛「ふふっ……プロデューサー? これは責任をとらないといけないね」

P「責任って何の責任だよ……」

文香「……プロデューサーさん、責任、とってくれますか?」

P「文香にそれ言われると破壊力ヤバいな……」

未央「私も恋に落ちるところだった……というか、もう落ちた! コホン……文香、私と結婚しよう」

文香「結婚……ですか。それは……悩みますね」

凛「悩むんだ」

文香「未央さんは、魅力的な人ですから」

未央「お、未央ちゃん褒められてる?」
348 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/07/19(火) 00:44:34.82 ID:AcHfen/q0
P「というか、かなり脱線したが……文香。このまま流さないからな?」

文香「……奏さんや周子さんのように、うまくはいかないようですね」

P「奏と周子が相手でもこういうのは流さないがな」

文香「それは……予想外、ですね」

P「で、だ……文香。さっきのことは事務所に帰ったら本格的に話し合うことにしよう。トレーナーさんたちも合わせてな」

文香「……逃げては、いけないでしょうか」

P「ダメだ」

文香「……残念です」
349 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/07/19(火) 00:48:57.34 ID:AcHfen/q0
未央「というか、そうだ、これから食べにいけばいいんじゃない?」

P「食べに?」

凛「ああ……さっきの、期間限定のメニュー、だっけ。それのことじゃない?」

P「あー……でも、うーん……未央だけなら迷わないんだが」

凛「……それ、ノロケ?」

文香「少し、羨ましいですね」

P「そういうことじゃなく店が店だから未央以外は連れて行きにくい」

未央「それ、どういうことかな?」

文香「どういった店なんですか?」

P「牛丼屋」

凛「……」

P「ほら、こんな目で見てくる」

文香「牛丼、ですか……そう言えば、あまり、食べたことはないかもしれません」

未央「あれ? ふーみんは結構好反応?」

P「文香、行くか?」

文香「……そう、ですね。行ってみたいかもしれません」

P「そうか。じゃあ行くか。凛はどうする?」

凛「……行くよ。私も」

P「じゃ、決まりだな」
350 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/07/19(火) 00:55:03.90 ID:AcHfen/q0
未央「ふっふっふ……なんだかんだ言って、しぶりんも来るんですなぁ」

凛「悪い?」

未央「ううん、むしろ嬉しいよ♪」

凛「……そう」

未央「お、照れた? 照れちゃいました? いやー、照れたしぶりんもかわいいね!」

凛「……うるさい」

文香「かわいらしい、と思います」

凛「ちょ、文香まで……からかわないでよ、もう」

P「かわいかったぞ、凛」

凛「黙って」

P「俺に対してだけキツくないか?」

凛「未央に対してもこんなもんでしょ」

未央「ん? 流れ弾かな?」
351 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/07/19(火) 00:59:13.21 ID:AcHfen/q0
文香「……信頼の表れ、ということでしょうか」

未央「そうなの?」

P「そうなのか?」

凛「……文香」

文香「……凛さんに睨まれると、少し、こわいですね」

未央「わかる」

凛「……この二人は」

P「でも、凛に睨まれるとちょっと興奮するよな!」

未央「……え?」

文香「……それは、わかりませんね」

凛「……プロデューサー」

P「あっごめんごめんそんな目で見ないでくれ三人ともごめんごめんごめんって冗談だから冗談冗談いやマジでマジでちょちょちょ距離とらないでくれ待っごめ待ってく――」
352 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/07/19(火) 01:08:35.94 ID:AcHfen/q0

――店の前

文香「ここが牛丼のお店、ですか」

未央「前に行ったところとは違うね」

凛「行ったことあるんだね、未央は」

未央「しぶりん? 今の言葉、ちょっと棘がなかった?」

凛「ないよ。プロデューサーと未央は仲が良いんだなー、と思っただけ」

未央「やっぱり棘ない?」

P「と言うか、凛は連れて行こうとしたら絶対不機嫌になるだろ……」

文香「先程も、そういった反応をしていましたね」

凛「あれは……べつに、プロデューサーになら、誘われたら、私も行くよ」

P「そうなのか?」

凛「……たぶん」

文香「たぶん、なんですね」

凛「今は……って、ずっと店の前でこんなことを話していたら邪魔になるでしょ。早く入るよ」

P「ん、そうだな。入るか」
353 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/07/19(火) 01:21:41.05 ID:AcHfen/q0
文香「はい。それでは、私たちも……未央さん、どうかしましたか?」

未央「え? ……私、どうかしてた?」

文香「はい、少し」

未央「……そっか」

文香「はい」

未央「……何と言うか、ちょっと、私、幸せなんだな、と思って」

文香「そう、ですか。それは、素晴らしいことですね」

未央「うん。だから、感謝しなくちゃな、と思って」

文香「……私には、未央さんがどういう意味でその言葉を言っているのか、よくわかりませんが……幸せなら、笑ってもいいと思います」

未央「……そうだね。うん、その通りだね! ありがと、ふーみん☆」

文香「はい。どういたしまして」

未央「……入ろっか。ふーみん。プロデューサーとしぶりんも、待っちゃってるかもだし」

文香「そう、ですね。……入りましょうか」
354 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/07/19(火) 01:26:59.56 ID:AcHfen/q0

――店の中

P「……お前ら、何してたんだ?」

未央「それは乙女の秘密、だよっ」

文香「乙女の秘密、ですね」

P「……そうか」

凛「納得するんだ」

P「なんかもう面倒くさいし早く食べたくなってきたからな……」

凛「……まあ、それは同意する、かな」

未央「さすがのしぶりんも店の中に入ったらこの魔力には抗えないみたいだね」

文香「それで……どういう風に注文をすればいいのでしょうか」

P「普通に店員さんに言ったらいい。それで、何にする?」

未央「プロデューサーが言ってた期間限定のやつで!」

凛「私も」

文香「私も、それで」

P「なんで俺に被せてくるんだよ……」

未央「いや、だって、牛丼屋ってなんだか早く決めなきゃいけない気がするし、それならもうプロデューサーが言ってたのでいいかなー、と思って」

凛「右に同じ」

文香「私は……よくわからなかったので」

P「あー……それなら、サイズはどうする?」

未央「普通で」

凛「私も」

文香「私は……そうですね、私も、それでお願いします」

P「お、文香ならなんか『ミニ』とか言いそうな気がしたんだが」

文香「私はいったい、プロデューサーさんから、どういう風に思われているのでしょうか……」

P「ほっとくと簡単に食事を抜きそうで目が離せないアイドル、だな」

文香「……否定は、難しいですね」

未央「難しいんだ」

凛「それじゃあ、みんな決定だね。プロデューサー、注文、頼める?」

P「ん、任せろ。えーと、それじゃあ……ん、決めた。すみませーん!」
355 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/07/19(火) 01:31:25.71 ID:AcHfen/q0

――

P「ってことで、来たな。ニンニクの芽牛丼」

文香「ニンニクの芽……ですか」

未央「ニンニクの芽……食べたことないかも」

凛「というか、プロデューサー……牛丼だけじゃなく、ニンニク、って」

P「いや、まあ……正直来るまで忘れてた。注文する前に言っておくべきだったな」

文香「いえ……私たちも、確認を怠っていました。店内を見れば、これが期間限定だということはすぐにわかったはずですし……だから、プロデューサーさんのせいというわけではないかと」

凛「……確かに、文香の言う通りだね。ごめんね、プロデューサー」

P「凛の謝ることじゃ……というか、もう、食べるぞ」

未央「うんうん。早く食べようよ、三人とも♪」

文香「しかし……何と言うか、辛そう、ですね」

P「ああ。だから、辛かったら一緒に注文しておいたたまごでもかけてくれ」

凛「そのために注文したんだ、たまご」

未央「でも、最初はかけないで食べてみたいよね」

P「んー……まあ、その気持ちはわかるな」

文香「それでは、いただきます」

未央「いただきまーす」

凛「いただきます」

P「ん、いただきます」
356 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/07/19(火) 01:44:39.95 ID:AcHfen/q0
未央(それじゃあ、えーっと……とりあえず、食べよう)

未央(この、ニンニクの芽と一緒に……でも、これ、本当に辛そうだよね。それがおいしい、のかもしれないけど……っと)パクッ

未央「……ん」

未央(あー……こういうことか。なるほど。おいしい。ニンニクの芽が、シャキッとしていて……なんだか、楽しい感じ。思っていた通り辛いけど――って、なんだか辛さが増してきた。後からくる辛さかー……!)

未央(でも、そこまで強いわけじゃなくて……いや、でも、思ったより辛い……苦痛ってほどじゃないけど、結構辛い……でも、おいしい……! 食感が楽しくて、辛くて、でも、おいしくて……旨味とでも言えばいいのかな。そういうのが感じられて……とにかく、おいしい)

未央(この牛丼の味と一緒だからおいしいのか、ニンニクの芽自体がおいしいのか……よくわからないけど、でも、うん、本当においしいな、って思える。でも、やっぱりちょっと辛い)

未央(だから、たまご……なのかな? じゃあ、ちょっと入れてみて……)パカッ

未央(ちょっと混ぜて、それから……食べる)パクッ

未央「……お」

未央(こう変わるかー! うん……うん! 結構変わる、結構変わるね、これ。いや、まあ、当然なんだけど……どっちの方が好きか、とかは好みがわかれるかもしれないけど、私はこっちはこっちで好きかも。辛さがやわらいで、たまごのまろやかさ? みたいなのが合わさって……うん、おいしい)

未央(うーむ……前に連れて行ってもらった時にも思ったけど、やっぱり、牛丼ってすごいのかもしれない。というか、ちょっと見たメニューだと、ここのお店は前のお店よりもメニューが豊富……なのかな? 同じ牛丼屋さんでも、やっぱり、店によって違うところは違うんだね)

未央(まだ他にも行ったことのないところもあるし……また、行ってみたいかも)
357 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/07/19(火) 01:50:40.22 ID:AcHfen/q0
文香「……おいしい、ですね」

P「お、文香、口に合ったか?」

文香「はい。ニンニクの芽の食感と旨味が、牛丼特有のものでしょうか、この牛肉の味にとてもよく合っていて……おいしいです。ニンニクの芽の、この辛味もいいですね。見た目通り、あるいは見た目以上の辛味が全体の味を引き締めているように思えます。食べ進めれば食べ進めるほどに、より食欲を刺激されてしまいますね。素直においしい、と思います」

未央「……ふーみん、食レポの仕事とかしない?」

文香「えっ……私が、ですか?」

凛「うん……私も、今のを聞いて、文香にはそういう仕事が合っていると思った」

文香「それは、その……プロデューサーさん」

P「茜と一緒に仕事とってもいいか?」

文香「えぇっ……私は、その……はい」

未央「いいんだ」

文香「……何事も挑戦ですし、食べることもいいものだな、と思えたので」

P「お、マジか。いい傾向だな」

凛「まさか、牛丼屋さんが文香の食生活を改善する一歩になるなんて、ね」

未央「そのままふーみんはごはんを食べることが大好きになり、そのナイスバディにさらなる磨きをかけるのであった……」

P「確かに、文香は腹よりも胸に肉がいきそうな……あ、ちょ、そんな目で見ないでくれ。謝るから」

凛「プロデューサー、今の、セクハラだよ?」

P「それを言うなら未央の時点でセクハラじゃないか……?」
358 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/07/19(火) 01:55:07.80 ID:AcHfen/q0
文香「……プロデューサーさんは、胸の大きい女性の方が、好き、ですか?」

P「ブッ……文香、お前、いきなり何を」

凛「……どうなの? プロデューサー」

P「凛まで……」

未央「それで、どうなのかな? プロデューサーくん」

P「どうなのかな、って聞かれても……正直、女性の胸ならなんでも――って、おい、聞いといて嫌そうな顔するな。特に凛」

凛「だって……ね」

未央「うん……ね」

文香「……はい」

P「文香までそういう反応するのやめろよ……というか、こんな話してないで、さっさと食べろよ」

未央「はーい」

文香「はい……」

凛「……胸、か」

P「凛だけどうしてそんなに気にしてるんだよ……」

凛「気にしてない」

P「いや、明らかに気にして――ちょ、ちょ、ごめん、謝るから、謝るからその手を下ろし――」
359 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/07/19(火) 01:58:34.24 ID:AcHfen/q0

――店の外

P「ふぅ……やっぱり、うまかったな」

未央「プロデューサーが言うだけはあったね。さすがプロデューサー」

文香「さすがです」

凛「さすがだね」

P「なんで俺なんだよ……というか、文香と凛まで乗るなよ」

未央「いや、実際、おいしかったですし? だって、あのふーみんが食レポに目覚めるくらいだよ?」

文香「……目覚めたわけでは、ないのですが」

P「まあ、文香がそういう仕事も、ってのは確かに大きな収穫だな」

凛「そう言えば、プロデューサー、どうしていきなり茜の名前が出たの?」

P「ちょうど茜と組ませる相手を探していたから、だな。茜が食べている姿を見ると元気になるし、もともとそういう方向で何か仕事を……と思ってたんだよ。そこで、ちょうどさっきの文香だ。茜と文香って組み合わせも良いと思うし……まあ、そういうことだな」

文香「私に、できるでしょうか」

P「できるよ。文香なら」

文香「……そう、ですか。なら、頑張ってみたい、と思います」

P「ああ。俺も、全力でそれを手伝うよ」

360 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/07/19(火) 02:00:59.86 ID:AcHfen/q0
未央「……なんか、いい感じだね」

凛「だね」

P「……なら茶化すなよ」

未央「いや、だって……ねぇ?」

凛「ね」

P「何がだよ……」

文香「……未央さん、もしかして、妬いているのですか?」

未央「んん!?」

凛「プッ……文香、直球過ぎない?」

文香「直球……ということは、図星、ということでしょうか?」

未央「んぅっ……ふ、ふーみん?」

文香「私も、そういったことには疎い方だと自負していますが……さすがに、未央さんとプロデューサーさんの関係なら、わかります。ですから、そういうことなのかな、と思いまして」

凛「ふふっ……文香はこう言ってるけど、どうなの? 未央」

未央「そ、それは、えっと、その……ぷ、プロデューサー!」

P「……ノーコメント」

未央「えぇ!?」

凛「それはちょっとずるくない?」

文香「プロデューサーさん……」

P「いや、ちょ、そんな目で……というか、これ、文香が悪くないか?」

凛「いやいや、文香はただ疑問に思ったことを聞いただけだと思うよ? ね、文香」

文香「はい、凛さんの言う通りです」

P「お前ら……!」

未央「……み、未央ちゃん、ちょっと先に行ってるねー」

P「あっ、おい、ちょ、未央、逃げるな! 逃げるなって、おい――」



361 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/07/19(火) 02:05:22.28 ID:AcHfen/q0
これにて今回は終了です。
いや、最近食べておいしかったので……書きたかったんです。仕方ないですね。あと、ちょっと忙しくなりそうなので今のうちに……と思ったというのもありますね。
今回のお店は今回のお店で好きですね。割りと牛丼屋さんによって色は違いますよね。どこがいちばん好きかと言ったら難しいですが、その時の気分によったり、その時にやっているものによったりするような気がします。今回のお店は夏にこれをやっていたら行っちゃうことも多いですね……好きなんですよね、ニンニクの芽牛丼。

次回は結構あくような気がしますが、あかないような気もします。忙しいと言ってもその忙しさの息抜きに書くことも十分に考えられるので……。

ここまで読んで下さってありがとうございました。

362 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/07/19(火) 02:12:42.93 ID:AcHfen/q0
あとSSとは関係……あるんですが、今回文香だったのは最近文香を書いたりその直後にCoJ3ドラマを聴いたりしたからです。
凛はなんか相性良さそうだったから連れて来ました。あ、凛と未央が文香に本を借りたりしている設定を書きたかったのに書くの忘れてました。しまった。
あ、最近書いた文香のは文香に失恋する話です。

卯月誕生日編早く書きたい……。

改めてありがとうございました。
363 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/19(火) 06:37:16.45 ID:C5LfMKm/o
乙です
364 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/19(火) 07:14:57.42 ID:EQUSMr8ho
乙乙乙
365 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/19(火) 13:08:24.18 ID:glbcRgtuO
乙乙
続けて来るとは嬉しい誤算
誕生日編もだけど茜と文香の食レポも見てみたい
366 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/19(火) 21:47:09.89 ID:UuC1kFMio
おつおっつ
ニンニクの芽牛丼かー
近所にやってるとこあるから行くかな・・・

この手のお店の季節限定メニューだとすだちおろしうどんとかも好きだなぁ
こっちは近場に無いのがネックだけど
367 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/20(水) 09:53:23.80 ID:EJ0D/zDaO
あれ食べたけどめっちゃ辛かった
うまかったけど二回に一回でいやってなった
368 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/20(水) 09:53:54.57 ID:EJ0D/zDaO
>>367
いや→いいや
369 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/07(日) 23:38:47.82 ID:T4m799Yu0
ニンニクの芽ってサイドメニューにあるからそれを普通の牛丼に乗っければ期間限定じゃなくても食べれるんじゃないの?(それともサイドメニューのニンニクの芽も期間限定だった?)
まああの店はまぐろしか食べないけど
370 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/08/10(水) 22:42:29.35 ID:N2tEcs8v0
P「――すまん。待ったか? 凛」

凛「ううん。私も、さっき来たところ」

P「そうか。なら良かった。……でも、せっかくの誕生日なのに、いいのか? あそこで」

凛「うん。あそこがいい。それに、私は私で、もう祝ってもらったから」

P「前の日曜日に……か」

凛「響子たちと一緒に、ね」

P「まあ、それはそうなんだが……せっかくの誕生日なんだし、何かプレゼントをねだっても……」

凛「プロデューサーを独占してるってだけで十分だよ。誰かさんには悪いけど、ね」

P「……」

凛「何も言わないんだ」

P「言わないというか、言えない、だな」

凛「ふふっ……確かに」

P「とりあえず、行くか」

凛「うん。行こうか」
371 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/08/10(水) 22:49:35.64 ID:N2tEcs8v0

――カラオケ

凛「まずはドリンクバー……だよね」

P「そうだな」

凛「あ、プロデューサー。知ってるかもしれないけど、歌う前はウーロン茶とかは飲まない方がいいんだって。のどのあぶらをとりすぎちゃうから。泰葉が言ってた」

P「俺も教えなかったか?」

凛「そうだったっけ。……嘘だよ、プロデューサー。覚えてるって」

P「ほんとかよ……」

凛「ほんとほんと。ほら、機嫌なおして」

P「……なんか、そう言われると子供扱いされているように感じるな」

凛「してないよ」

P「なんかしてそうな答えだな……って、いつまでもここにいても邪魔か。さっさと飲み物でも入れて、歌うか」

凛「そうだね。歌おう」
372 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/08/10(水) 23:02:40.02 ID:N2tEcs8v0

――

P「しかし、カラオケに来るのも久しぶりだな……」

凛「そうなの?」

P「ああ。まあ、たまに来ることもあるが……あんまりない。凛は……未央とかと一緒に、割りと来てるか」

凛「私は……その時による、かな。あんまり歌いすぎて、喉を痛めたくないし」

P「……やっぱり、凛は凛だよな」

凛「どういう意味?」

P「そのままの意味だよ」

凛「そのままって……まあ、いいけど。今日はプロデューサーもいるし、好きなように歌うから、覚悟してよね」

P「なんで俺がいたら好きなように歌うんだよ」

凛「プロデューサーを信じてるから。……プロデューサーは、私ののどの調子から、どこでやめればいいのか、わかるでしょ?」

P「それは……そうだな。好きに歌え、凛」

凛「うん。じゃあ、まずは……」ピッピッ

P「ん、いったい何を――って、おい、どうしていきなり部屋を暗くして……」

凛「――プラリネ」ボソッ

P「ブッ……おま、凛……いや、気持ちはわかるけどさぁ」

凛「……」(ギターを弾いているフリ)

P「そこまで再現するのか……というか、凛もそんなことやるんだな……まあ、凛の、なんて、なかなか聴けるもんじゃないし……じっくり、聴かせてもらうとするか」
373 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/08/10(水) 23:09:35.24 ID:N2tEcs8v0

――

凛「――ふぅ。どうだった? プロデューサー」

P「最高だった……」

凛「ふふっ。ありがと」

P「でも、凛がああいうことやるって珍しいな。みんなとのカラオケとかではやってるのか?」

凛「いや……みんながやってるから、私もやりたくなって。プロデューサーとなら、やってもいいかな、って。プロデューサー、765プロのファンだし、伝わると思ったから」

P「あー……まあ、実際、ジュリアさんめちゃくちゃかっこいいからな。あれは真似したくなる」

凛「というか、プロデューサーは歌わないの?」

P「……俺?」

凛「うん」

P「……俺も、歌うの?」

凛「……歌わないの?」

P「今日は凛が好きに歌う、って」

凛「プロデューサーも歌うって前提で、のつもりだったんだけど」

P「……そうだったのか」

凛「うん。そうだった」

P「……まあ、それなら、俺も歌うか。凛、お前がプラリネで来たなら……俺は、これだ!」ピッピッ

凛「……え?」

P「凛、コール頼むな。……『その時空から、不思議な光が降りてきたのです』」

凛「ンフッ……あれは誰だ? 誰だ? 誰だ? 誰なんだー」

P「『それは……』――」
374 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/08/10(水) 23:12:55.18 ID:N2tEcs8v0

――

P「ふぅ……やっぱり、メルヘンデビューは楽しいな!」

凛「ンッ……フ……フフッ……」プルプル

P「おいおい凛。いつまで笑ってるんだよ」

凛「いや……だって、プロデューサー、完璧過ぎ……」プルプル

P「凛もコール、完璧だったぞ!」グッ

凛「それは、まあ、何度も聞いてるし……でも、みんな、いつもこんなことやってたんだね。結構、疲れる」

P「ん? みんなと一緒に行った時とか、コール、やらないのか?」

凛「私は……あんまり、しないかな」

P「んー……まあ、凛はあんまりするイメージはないな。凛のコールしてる姿、かわいかったぞ」

凛「んっ……プロデューサーも、かわいかったよ」

P「そうか? アイドル、できそうか?」

凛「できないよ。ただのお世辞」

P「お世辞か。俺のはお世辞なんかじゃないけどな」

凛「……プロデューサー、未央がいるのにそんなこと言って……」

P「未央がいてもいなくても一緒だろ」

凛「……それ、未央には言わない方がいいよ」
375 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/08/10(水) 23:16:56.64 ID:N2tEcs8v0
P「言うよ、凛。俺はプロデューサーで、凛も未央もアイドルだ。その関係は変わらない」

凛「……変わるよ。だって、未央と、プロデューサーは」

P「確かに、俺と未央の間にそういう感情があることは……プロデューサーとしてはどうかと思うが、否定できない。そう思わせているのは俺のせいだ。ごめんな」

凛「違っ……責めてるわけじゃ、ないから。むしろ、私は……」

P「……ありがとう、凛。やっぱり、凛は優しいな」

凛「優しく、ないよ」

P「優しいよ。……でもな、凛。だからと言って、変に気遣わなくてもいいんだ。未央に対する遠慮も、俺に対する遠慮もなくていい。凛は俺のアイドルで、俺は凛のプロデューサーだ。俺と未央の関係がどうであっても……それだけは、変わらない」

凛「……そっか」

P「ああ」

凛「……うん。ごめん。私も、なんか、気にし過ぎてたかも。未央とプロデューサーが……そういう関係で、だから、私はそこから一歩引いた……そんな立場に、勝手に、なってた」

P「ああ」

凛「だから……ううん、それなのに、二人きりでカラオケに、なんて、おかしいよね。でも、もしかしたら、それこそが……って、それは考えても仕方ないか。私はアイドルで、プロデューサーは、プロデューサー。今は、それだけでいいよね」

P「そうだな。……せっかくの誕生日でカラオケなのに、こんな雰囲気はダメだな。凛、何か歌うか?」

凛「……うん。歌うよ。私が曲を入れるから、プロデューサーも、一緒に」

P「ん、わかった。なんでもこい」

凛「なんでも……なら、これで」ピッピッ

P「ん、なになに――って、いやいやちょっと待て待て凛とこれとか無理だろ絶対無理だってというか凛お前もかなり765さんのファンじゃ」

凛「そんなこと話してる場合じゃないよ、プロデューサー。さあ、行くよ――【アライブファクター】!」
376 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/08/10(水) 23:25:55.17 ID:N2tEcs8v0

――店の外

凛「ん……っと。思う存分歌ったね、プロデューサー」

P「……思う存分過ぎる」

凛「プロデューサー、遠慮しなくてもいいって言ったでしょ」

P「そういう意味じゃなかったんだが」

凛「じゃあ、どういう意味だったの?」

P「……もう、今日はそういう意味でいいよ。誕生日だしな。俺にできることなら、なんでも言うこと聞いてやるよ」

凛「なんでも……なら、三つ、お願いしたいかな」

P「……多くないか?」

凛「多くないよ。それじゃあ、まず、一つ目は――」
377 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/08/10(水) 23:26:38.86 ID:N2tEcs8v0

――店の前

P「……ここか」

凛「うん。プロデューサーに教えてもらってから、何度か一人でも来てるけどね」

P「気に入ってくれたなら嬉しいよ。で、何を頼む?」

凛「んー……プロデューサー、私がこの90周年限定っていうのを頼むから、プロデューサーはこのマンゴーのを頼んでくれる?」

P「飲み分けるの前提かよ……」

凛「色んな味を楽しみたいから。限定のは限定の期間中しか飲めないし」

P「あー……まあ、それはそうだな。それじゃ、とりあえず頼むか」

凛「うん」
378 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/08/10(水) 23:28:17.68 ID:N2tEcs8v0

――

P「こっちが『ホワイトチョコレート ラズベリー&ローズ』で、こっちが『ホワイトチョコレート マンゴーパッションフルーツ』だ」

凛「見ればわかるけどね」

P「そう言われると困る」

凛「困るんだ」

P「実際、見ればわかるからな……まあ、そんなことはどうでもいい。とりあえず、飲もうか」

凛「うん。それじゃ、もらうね。まずは、こっちの、ラズベリー&ローズから……」チュー

P「それじゃ、俺はマンゴーパッションフルーツとやらを……」チュー

凛「……ん、おいしい。プロデューサー、そっちは?」

P「おいしいよ。何と言うか……パッションって感じだ」

凛「なにそれ」クスクス

P「実際、そんな感じなんだよ。飲めばわかる。そっちはどうなんだ?」

凛「どう、って……プロデューサーがそんな感じだと、どう言うべきか、ちょっと迷うけど、おいしいことは確かだよ。ラズベリーの酸味とローズの風味、それにチョコレートが合わさって……私、これ、かなり好きだよ。爽やかで、上品な感じで……おいしいよ」

P「……なんか、そう聞くと飲みたくなってきたな。交換するか?」

凛「うん、する」

P「それじゃ……もらうな」

凛「うん」

P「……」チュー

凛「……」チュー

P「……んっ、こっちもうまいな。凛の言っていた通りだ。さすがは90周年限定、と言ったところか……」

凛「こっちもおいしいね、プロデューサー。マンゴーパッションフルーツ。こっちも爽やかな感じがするね。プロデューサーの言っていた『パッションって感じ』の意味もなんとなくわかるよ。……うん、こっちはこっちで、いいね」

P「まあ、夏だからな。爽やかなのはそれで、じゃないか?」

凛「そもそも、このショコリキサーからして冷たいから夏向きなような気がするけどね」

P「それは確かに。……そう言えば、凛」

凛「何?」
379 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/08/10(水) 23:28:45.81 ID:N2tEcs8v0
P「三つ、ってことは、あと二つ、お願い、あるんだよな。それってなんなんだ?」

凛「……そう言えば、まだ言ってなかったね」

P「ああ。それで、なんなんだ?」

凛「一つは……来年のこと。今年、卯月はバースデーライブをしたよね。それと同じで、私も……響子も一緒に、バースデーライブをしたいと思って」

P「……今年できなかったのは申し訳ない。来年はするよ、必ず」

凛「必ず、とか言って大丈夫なの?」

P「……全力で努めさせていただきます」

凛「ふふっ。必ず、じゃないんだ」

P「いや、まあ、ここで『必ず』と言えたらカッコ良かったんだが……さすがに、できるかどうか確定もしてないことにそう言うのは、な。まあ、凛と響子のバースデーライブなんて、絶対に成功すると思うし……十中八九、通ると思う」

凛「……そっか」

P「ああ。で、最後の一つは? 今のが一年後ってことは……次は、十年後とかか?」

凛「……ある意味、そうかも」

P「んっ……マジか。冗談のつもりだったんだが。……いったい、なんなんだ?」

凛「プロデューサーがプロデューサーでいてくれること、かな」

P「……どういう意味だ?」
380 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/08/10(水) 23:29:27.99 ID:N2tEcs8v0
凛「いつまでも私のプロデューサーでいて、ってこと。……これからも、私を見てて、プロデューサー」

P「……それは、言われるまでもないな」

凛「こっちは、必ず?」

P「ああ。必ず、だな」

凛「そっか」

P「ああ」

凛「……残り、飲もうか、プロデューサー」

P「そうだな。……でも、その前に、せっかくこんな雰囲気になったんだから、言っておくよ」

凛「『こんな雰囲気になった』なんて言ったら雰囲気ぶち壊しだけどね」

P「それは言うな。……凛、誕生日おめでとう。これからもよろしく」

凛「……これからも、私は全力で走り続けるよ。だから……プロデューサーも一緒に、ね」

P「……ああ。置いてかれないように、な」

凛「……ふふっ。私たち、店の中で何をやってるんだろうね」

P「確かにな。……早く飲むか」

凛「うん」



381 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/08/10(水) 23:32:54.03 ID:N2tEcs8v0
これにて今回は終了です。
渋谷凛さん、誕生日おめでとうございます。これからもよろしく。

未央が出てないですね。スレタイはどこにいったのか。というか卯月の誕生日より先に凛の誕生日を書いてしまいましたね。う、卯月の話もできるだけ早く書くので……。

この店は前にも書きましたね。というかカラオケで何か食べればよかったですよね。でも私がカラオケであまり何かを食べた経験がないのでやめておきました。最近はカラオケのごはんもおいしいという話は聞くんですけど……また食べてみたいと思います。

というか誕生日とは言え、凛連続ですね。まあ、誕生日なので。

ここまで読んで下さってありがとうございました。

382 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/08/10(水) 23:36:10.91 ID:N2tEcs8v0
あとSSとは関係ないですがSNの未央めっちゃ良くなかったですか?????
もう好き。大好き。やっぱり未央って未央だわ、と思いました。本田未央ちゃん……好き……。
というかSNが最高の番組ですよね。定期的にやってほしい。これからもアイドルのラジオみたいなのやってほしい……。
久しぶりにまったく関係ない話になりましたね。すみません。でも言いたかったんです。今回未央出てないから未央の話したかった……。

改めてありがとうございました。
383 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/10(水) 23:45:52.56 ID:6GXTzli9o
乙です
384 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/11(木) 00:39:39.27 ID:OYW0fbCe0
乙です
読んでたら腹減ってきた
385 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/11(木) 01:01:58.88 ID:MIR8QwzJO
乙ダヨー

カラオケはポテト食べておけばいいんだよぉ!(加蓮感
386 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/11(木) 03:26:00.51 ID:Pf6XFbTb0
おつー
プラリネとかアライブファクターとかマジで凛好きそう
387 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/11(木) 12:40:23.95 ID:MIA/P+O5O
カラオケといえばJOYSOUND
JOYSOUNDといえば名古屋
名古屋飯食べにおいで……
388 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/11(木) 23:03:38.20 ID:Hkb0R7zF0
乙ー
まさかこのSSがリアルタイムで読めるとは…腹減ってきたよどうしようか
389 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/08/12(金) 16:18:02.86 ID:fd5pwta8o
>>385
病人は粥でも食ってろ!
390 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/09(金) 20:36:33.82 ID:ko2yZExNO
391 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/19(月) 17:47:39.69 ID:Ejdbkjj8O
更新来ないなぁ
もう満腹なんだろうか
392 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/09/29(木) 02:01:03.15 ID:DMzpmect0

――事務所

ちひろ「プロデューサーさん、おでこ、かして下さい」

P「……いきなりどうしたんですか? ちひろさん。熱でもあるんですか?」

ちひろ「熱があるのは……とにかく、ほら」ピタッ

P「ん……ちひろさん、手、冷たくて気持ちいいですね」

ちひろ「私の手が冷たいんじゃなくてプロデューサーさんのおでこが熱いんです」
393 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/09/29(木) 02:02:14.92 ID:DMzpmect0
P「そんなことはないと思いますが」

ちひろ「あります。……プロデューサーさん、今すぐ帰る準備をして下さい」

P「……絶対に、ですか?」

ちひろ「絶対に、です」

P「……わかりました。実際、体調が悪いのは事実ですからね。帰って寝ることにします」

ちひろ「その前に病院にも行って下さいね」

P「そこまですることじゃ――あ、はい、わかりました。だからこわい顔しないで下さい」

ちひろ「行くのならいいんです。それじゃ、病院に行ったら家に帰ってゆっくり休んで下さいね」

P「はい。でも、その前に色々引き継ぎを……っと」フラッ

ちひろ「っ……もう。そんなになるまで頑張らなくてもいいんですよ」

P「……すみません。ありがとうございます」
394 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/09/29(木) 02:03:09.46 ID:DMzpmect0
ちひろ「……引き継ぎなんて後でもいいから早く帰って下さい、と言えないのが難しいところですね」

P「まあ、俺がいきなりぶっ倒れてもなんとかなるようにはしてますけどね。でも、引き継ぎの手続きをするかどうかで結構変わりますし……最低限だけは、やっておかないと」

ちひろ「……プロデューサーさんがいなくてもなんとかなる、とは言えません」

P「……?」

ちひろ「だから、休まなきゃいけない時は、ゆっくり休んで下さいね。その間は、私が……私たちが、なんとかしますから」

P「……ちひろさんが言うなら、心配ないですね。と言っても、たぶん、一日休めばなんとかなる気もしますけど」

ちひろ「……プロデューサーさん」

P「……そんな目で見ないで下さい。ゆっくり、ゆっくり休みますから」

ちひろ「約束ですよ? って、こんな話をいつまでも続けているわけにはいきませんね。それじゃ、プロデューサーさん、お願いします」

P「はい。まず、スケジュールはちひろさんと俺での共同管理ですけど――」
395 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/09/29(木) 02:03:48.14 ID:DMzpmect0

――Pの家

P「……ただいま」

P(なんて言っても、誰もいないけど)

P(……べつに深刻な病気とかじゃなかったけど、数日はゆっくりしてろって言われたな)

P(まだまだやることは残っているのに……でも、そこまで心配かと言えば、まあ、ちひろさんもいるし、大丈夫だろうって思えるけど)

P(……全身がだるい。肌がなんだかぴりぴりとしているような感じ。寒気……も、するな)

P(頭痛はないし、喉も問題ない。熱はあるけど……それだけか)

P(……とりあえず、寝よう)

P(休んで、早く、なおさないと……)
396 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/29(木) 02:04:06.80 ID:7Ba4mPlqo
リアルタイム遭遇期待
397 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/09/29(木) 02:05:31.04 ID:DMzpmect0
P(……ああ、くそっ。こんなこと、普段は思わないのに……)

P(どうしようもなく、寂しい)

P(元気じゃないと、人恋しくなる……な)

P(誰か……何か……あ)

P(こういう時に、何か、元気つけてくれるような……そういうの、あったら、いいかもな)

P(誰がいいだろう……ゆかり、とか? 茄子も良さそうだな。美優さんも……)

P(凛は……凛だからこそ、こういう時に優しくしてくれるようなのがあったら、良さそうだな)

P(茜は……元気、出そうだな。藍子も、良さそうだ。なんか、心が穏やかになりそうな……癒やされそうだ)

P(卯月も良さそうだな……。頑張ります、って、いや、さすがにそれはないか)

P(……ああ、でも、俺は、やっぱり……)
398 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/09/29(木) 02:06:12.78 ID:DMzpmect0
P「……未央」

P(未央に、会いたいな)

P(今度は、どこに行こう。どこで、何を、食べよう)

P(未央と一緒に、どこかで……どこでも、未央となら……)

P「……未央」

P(未央に、会いたい)

P(苦しい。辛い。隣にいてほしい。隣にいてくれるだけで……)

P「……未、央……」
399 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/09/29(木) 02:07:47.79 ID:DMzpmect0

――事務所

未央「プロデューサーが!?」

ちひろ「はい。プロデューサーさんが言うには『大丈夫』みたいですけどね」

未央「……プロデューサーの言うことだと、ちょっと信用できないね」

ちひろ「それは否定できませんね」クスクス

未央「ちひろさんの目から見て、どうだった?」

ちひろ「顔色を見て、帰らせた方がいいと思うくらいには辛そうでした」

未央「……そっか」
400 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/09/29(木) 02:09:48.20 ID:DMzpmect0
ちひろ「……心配ですか?」

未央「心配……うん。心配だよ。私、こういう時には、何も……ちひろさん」

ちひろ「なんですか?」

未央「私、今日はこの後、何もないよね」

ちひろ「ありませんね」

未央「明日も、オフだったよね」

ちひろ「そうですね」

未央「……プロデューサーの看病、しに行っちゃ、ダメ、かな」

ちひろ「……本来なら、もちろん、ダメと言うところです」

未央「……本来なら、ね」

ちひろ「はい。どうやらうつるようなものでもないようですし、念のため、合鍵ももらっています。プロデューサーさんの了承も得ています。アイドルが来るとは、思っていないでしょうけど」

未央「それじゃあ……」

ちひろ「未央ちゃん。……プロデューサーさんのこと、お願いしますね」

未央「……うん!」
401 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/09/29(木) 02:14:23.27 ID:DMzpmect0

――Pの家

未央「お邪魔しまーす……」

未央(……ここが、プロデューサーの家)

未央(さすがに来るのは初めてだから、ちょっと、緊張する)

未央(でも、看病しに来たんだもんね。そんな、変なことを考えちゃ――へ、変なことって、私、いったい、何を……!)

未央(うぅ……お、落ち着け、私。本田未央ちゃん。パーフェクトスター……しぶりんみたいな感じで、心にリーナ、心にリーナ……これしぶりんに『私みたいって何?』って怒られるかも。あと、落ち着くならリーナよりもあーちゃんの方が落ち着けるような気がする)

未央(……うん、でも、ちょっと、落ち着いてきた。とりあえず、部屋に上がらせてもらおう)
402 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/09/29(木) 02:17:11.94 ID:DMzpmect0
未央「プロデューサー、入るよー……」

未央(寝てるかもしれないから、起こさないように……あ、ベッド。プロデューサー、寝てる……)

未央「プロデューサー。未央ちゃんが、来てあげましたよー……」

未央(なんて、聞こえてないだろうけど)

未央(……プロデューサー、ぐっすり寝てる)

未央(勝手に部屋のものに触るのはさすがにダメだけど、ちょっと、起きた時のために、何か、用意しておこうかな)

未央(えっと、この間取りだと、キッチンは、たぶん――)
403 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/09/29(木) 02:19:26.41 ID:DMzpmect0


P「――未央」

404 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/09/29(木) 02:20:07.96 ID:DMzpmect0
未央「ひゃっ! ぷ、プロデューサー、起きて――」

未央(……寝てる。ってことは、寝言? ……寝言!? え、寝言、寝言って、プロデューサー、いったい、どんな夢を……!)

P「……未、央……」

未央(……違う)

未央(プロデューサー、苦しそうに……辛そうに、してる)
405 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/09/29(木) 02:21:03.90 ID:DMzpmect0
未央「……プロデューサー」ギュッ

未央「大丈夫だよ、プロデューサー。私は、ここにいるよ。ここにいるから、安心して、ゆっくり、休んで」

P「……未央?」

未央(っ……プロデューサー、目を、開けて……起こしちゃった? せっかく、寝ていたのに――)

P「……」ギュッ

未央「えっ――ちょ、ぷ、プロデューサー!?」

未央(え、あ、なに? どうして、今、抱きしめられて……べ、ベッドだし、あの、その、さすがに、心の準備が――)
406 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/09/29(木) 02:21:34.92 ID:DMzpmect0
P「……ごめん、未央。でも、もう少し……もう少しだけ、このままで……」

未央(……プロデューサー)

未央「……うん。大丈夫。大丈夫だよ、プロデューサー。私は、どこにもいかないから。だから……今は、プロデューサーの、思うままにして?」

P「……ありがとう、未央」

未央「どういたしまして」
407 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/09/29(木) 02:25:40.93 ID:DMzpmect0

――

P「すまなかった、未央。寝起きだったからって、あんなこと……」

未央「謝らないでよ、プロデューサー。病気で、弱ってたんだもん。仕方ないよ」

P「仕方ないなんてことは……」

未央「……もう」ギュッ

P「んっ――ちょ、未央、いきなり、何……」

未央「……病気の時くらい、甘えてよ、プロデューサー。甘えても、甘えてくれても、いいんだよ」

P「……ごめん」

未央「謝らないでも……もう。プロデューサーは、やっぱり、プロデューサーだね」

P「……ん」
408 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/09/29(木) 02:27:37.65 ID:DMzpmect0
未央(……本当に、弱ってたんだね、プロデューサー)

未央(こんなプロデューサーを見て、ちょっと、かわいい、って……そんなことを思っちゃってる私は、悪い子かな。悪い子かも。……でも)

P「……未央」

未央「なあに? プロデューサー」

P「……ありがとう」

未央「……うん」

未央(プロデューサーが、安心したように見えるから。安らいでいるように見えるから)

未央(……まだ、もう少し、このままで……)
409 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/09/29(木) 02:31:52.34 ID:DMzpmect0

――

未央「お腹空かない? プロデューサー」

P「お腹……ん、まあ、そこまで空いてはないが」

未央「でも、食べた方がいいよね。ってことで、おかゆでもつくるよ。私でもおかゆくらいならつくれるからね」

P「なんで空いたかどうか聞いたんだよ……でも、うん、そうだな。ありがとう」

未央「どういたしまして♪ お礼はデートで勘弁してあげましょう」
410 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/09/29(木) 02:34:36.77 ID:DMzpmect0
P「デート、って……まあ、またどこかに連れて行くよ。約束する」

未央「えー。いつもの感じじゃなくてデートがいいなー」

P「だから、デートは……あー、もう。いいよ、わかった。デートじゃあないが……いつもとはまた別で、遊びに行くか」

未央「遊び……デートじゃないの?」

P「違う」

未央「そっか。……うん。じゃあ、楽しみにしてるね、プロデューサー☆」

P「……頑張る」

未央「……その言い方、なんだか、自信がないみたいだね」

P「うるさい。……ないんだよ」
411 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2016/09/29(木) 02:35:33.39 ID:DMzpmect0
未央「……えへへ。それじゃあ、確かに、頑張るしかないね、プロデューサー」

P「……なんで嬉しそうなんだよ」

未央「それはナイショ♪ それじゃ、そろそろおかゆをつくりに行くとしますか。キッチン借りるね、プロデューサー」

P「ああ。頼む」

未央「うん。未央ちゃんに任せたまえー。そんなに時間はかからないと思うから、ここで待ってて。それじゃ――」

P「」ニギッ

未央「……へ?」

P「……ん?」
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