本田未央「プロデューサーとのごはん」 その2

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623 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/22(木) 02:08:12.50 ID:KdNAsz6/o
おつおつ
624 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/06/22(木) 14:55:57.22 ID:OtAnKdsFo
乙です
625 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/07/22(土) 01:27:23.24 ID:OOe6VR2K0

――事務所

P「中華を食べたい」

菲菲「ワタシ、作ろうカ?」

未央「お! ふぇいふぇいの中華? 久しぶりに食べたいかも!」

P「あー……そう言われると俺も食べたくなってきたが、そうじゃなく」

のあ「……外食?」

P「だな。……というか、のあ。いたのか」

のあ「……貴方が認識していなかっただけ。でも、そう言われるのは……なかなかに、新鮮ね」

P「確かに、俺ものあに気付かないなんて、自分でも驚いた。ごめんな」

のあ「いいえ……非難しているわけではないわ」

P「そうか?」

のあ「ええ……だから、続きを」

P「ん。まあ、のあの言う通り外食に行きたい……中華を食べに行きたいな、と思ったんだよ」

未央「ほうほう……つまり?」

P「……お前ら、一緒に行かないか?」

菲菲「行くヨー!」

のあ「行くわ」

未央「私はもちろん! それじゃ、行こー!」
626 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/07/22(土) 01:28:55.97 ID:OOe6VR2K0

――外

未央「それで、どこの中華屋さんなの?」

P「んー……そんなに遠くない。歩いて行ける距離だな」

未央「ほうほう。近所の中華屋さん……なんだか、いい感じの響きですなぁ」

P「そうか? ……というか、菲菲にも来てもらったが、口に合うかな。菲菲は香港出身だから……広東料理?」

菲菲「うーん……たぶん、大丈夫ダヨ? 日本のお店は日本人の舌に合うようになっていることも多いし、別物だからネ」

P「まあ、だいたいそういう店だよな。一応、今回行くところは四川料理……と言っているが、まあ、それだけじゃないっぽいからな」

のあ「四川料理……香辛料による刺激……麻と辣ね」

未央「まーとらー?」

P「麻辣味。唐辛子の辛さと花椒の辛さだな。四川料理と言えばコレのイメージが強いな」

未央「ほあじゃお……聞いたことはあるね!」

P「花椒がそこまで使われている料理ってあんまり食べる機会はないからな。でも、言ったことなかったか?」

未央「あったっけ? うーむ……思い出せない」
627 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/07/22(土) 01:29:35.50 ID:OOe6VR2K0
P「今回行くところは……確か、担々麺が人気だな」

菲菲「担々麺……香港にもあるケド」

P「香港式の担々麺は日本式に近いんだっけか。今回行くところは……どうなんだろうな。他のところで食べるのとは違うんだが、本場に行ったことがあるわけじゃないから、四川の感じかどうかはわからない」

のあ「……汁は、どれくらいあったのかしら?」

P「汁……それは、割りと普通だったかな」

のあ「それなら……貴方の言う本場……四川省で食べられているものとは違うかもしれないわ。本場では、汁なしが多いから……」

未央「汁なし担々麺?」

菲菲「コンビニで売られているのを見たことあるネ!」

のあ「そうね……私も、なかなか好きよ」

未央「あれはおいしいよね。……あ、そう言えば、あれに入ってるのって……花椒?」

P「だな。と言うか、未央はまだいいとして、菲菲とのあもコンビニに行ってそういうの買ったりするんだな……」

菲菲「便利だからネ!」

のあ「便利だから」

未央「……未央ちゃんが『まだいい』扱いされたのはちょっと思うところがあるけど、二人の口からそういう言葉を聞くと……なんか、イメージが……」

P「どうしてか、あんまりないよな。でも、よく考えればお前らもコンビニくらい行くよなぁ……」

のあ「……P」

P「ん? なんだ、のあ」

のあ「あそこにあるのが、今日行くところかしら」

P「んー……あ、そうだな。もしかして、行ったことあったか?」

のあ「いえ、ないわ。ただ、話から推測するとここと思ったのよ」

未央「へぇ……たかみー、すごいね。私、全然わからなかったよ」

菲菲「ふぇいふぇいもわからなかったヨ! すごいネ!」

のあ「……言われるほどではないわ」

P「まあ、『担々麺』って思いっきり書いてはあるからな……とりあえず、入るか?」

未央「うん! 入ろー!」
628 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/07/22(土) 01:30:07.96 ID:OOe6VR2K0

――店の中

未央「ほうほう……なんだか、街の中華屋さんー、って雰囲気とはちょっと違うね」

P「かもな。で、何にする?」

菲菲「ワタシは担々麺!」

未央「私もー!」

のあ「私も」

P「俺もだな。あと、麻婆豆腐とか、餃子とかも頼みたいな。それでいいか?」

未央「うん!」

菲菲「麻婆豆腐に、餃子カー……うん、楽しみだネ!」

のあ「どれほどの刺激が得られるのか……期待しているわ」

P「それじゃ、頼むな。すみませーん」
629 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/07/22(土) 01:30:43.64 ID:OOe6VR2K0

――

未央「まずは麻婆豆腐と餃子が来たね。」

菲菲「麻婆豆腐……辛そうダネ」

P「実際、結構辛い。まあ、適当に食べていくか」

のあ「……私は、麻婆豆腐からいただくわ」

未央「じゃあ、私は餃子から!」

菲菲「ふぇいふぇいも餃子からもらうヨ!」

P「ん。じゃ、俺は麻婆豆腐から……いただきます」

菲菲「いただきます」

のあ「いただきます」

未央「いただきまーす」
630 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/07/22(土) 01:31:14.99 ID:OOe6VR2K0
未央(さてさて、この餃子だけど……焼餃子で、結構大きい。大ぶりの餃子だね)

未央(見ているだけじゃわからないし、それじゃあ早速……)パクッ

未央「……あふっ」

未央(んっ、熱っ、噛んだらなんか、すごい、肉汁が……ふぅ。ちょっと落ち着いた)

未央(これ、おいしいなぁ……噛んだ時に溢れ出してきた肉汁にはちょっとびっくりしたけど、お肉と野菜の旨味がいっぱい、って感じの餡に、カリッとした皮。なんだか、小籠包と餃子を組み合わせたみたいな感じ? なかなかに新感覚かも)

未央(うーん、おいしかった。じゃあ次は、麻婆豆腐を……の、前に)

未央「プロデューサープロデューサー」

P「ん、なんだ?」

未央「麻婆豆腐って……その、私が食べられるくらいの辛さ?」

P「うーん……どうだろうな。のあはどう思う?」

のあ「……私より、Pの方がわかっていると思うけれど」

P「それじゃあ、麻婆豆腐の感想で」

のあ「……この刺激は、なかなかのものね。花椒が効いている。ピリッと舌が痺れるような刺激……でも、同時に強烈な旨味もある。……私はこれにさらに山椒を入れるけれど、これなら、食べられるんじゃないかしら」

未央「ほほー……たかみー、ありがとう! 餃子はおいしかったけど、熱いから気を付けてね」

菲菲「本当に、おいしかったけど熱かったヨ……」

P「あ、そういや、注意してなかったな。忘れてた」

未央「もー……まあ、いいや。とりあえず、麻婆豆腐ももらうね」

菲菲「ふぇいふぇいももらうヨ」

P「ん。それじゃ、俺は餃子を……」
631 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/07/22(土) 01:32:19.65 ID:OOe6VR2K0
未央(さてさて、それじゃあ、麻婆豆腐をもらおっかなー。えーと、これを使って食べればいいのかな? ちょっとすくって……)パクッ

未央「ん……? ……んっ」

未央(あっ、これ、結構辛い。ぴりぴりする。これにさらに山椒を入れるって、たかみー……でも、うん、おいしい。たかみーの言う通り、辛さの中にしっかりと旨味もあって、食べやすい)

未央(というか、この刺激が、さらなる一口を求めてしまう……! 花椒が効いていて、でも強すぎるわけじゃなくて……このバランスがそうさせているのかな。あー、もう一口!)パクッ

未央(辛い! でも、おいしい! ……ちょっと、ごはんが欲しくなるかも。って、食べてから考えても遅いんだけど。……次来る時は、ごはん、あったら頼もうかなー)

未央(あ、そう言えば、菲菲は――)

菲菲「……」

未央「……菲菲、辛い?」

菲菲「……ちょっと、辛いネ。でも、おいしいヨ」

のあ「そう。……食べられないのなら、私がもらったのだけれど」

菲菲「……あげないヨ?」

のあ「とらないわ」

未央「……みくにゃんとかにしてるのを見ると、あんまり信じられないんだけど」

のあ「みくはみくだから」

未央「答えになってないのに、なんか納得しちゃう……!」
632 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/07/22(土) 01:32:54.63 ID:OOe6VR2K0
P「まあ、みくとのあのはじゃれ合いみたいなもんだからな。そう他の人には――ちょ、のあ! それ、俺の餃子……!」

のあ「……余計なことを言うから」

P「お前……あー、もう、いいや。担々麺もそろそろ来るみたいだし」

未央「……たかみーがそういうことするの、ちょっと意外かも」

菲菲「……意外ダネ」

P「そうか? ……いや、まあ、確かに、俺も最初はアンドロイドか何かかよってくらいに思ってたからなぁ……」

のあ「私は人間よ」

P「知ってるよ。今はもう」

のあ「……そう。それなら、いいわ」

未央「私たちはアンドロイドだと思っていたわけじゃないんだけど」

菲菲「勝手に巻き込まないでほしいネ」

P「はっはっは。……さて、担々麺が来たな」

未央「流した……」
633 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/07/22(土) 01:33:31.42 ID:OOe6VR2K0
のあ「……ん。この香りは……」

菲菲「おいしそうだネ! 見た目だと……濃厚?」

P「割りと。と言っても、くどいほどじゃない……と思う。まあ、食べてみればわかる」

未央「だね。それじゃ、いただきまーす、っと」

未央(まずは……うん。スープを一口)ズズ……

未央「……ん」

未央(おお、やっぱり濃厚。クリーミーな感じ。辛さはそこまででもないけど、甘さもあって、ゴマの風味も結構あって……でも、うん、プロデューサーの言ってた通り、くどくない)

未央(それじゃ、次は具を混ぜて……あ、思ったよりも麺が多い。ということは、麺が売り、だったりするのかな? とりあえず、食べてみて……)ズズ……

未央「……ん!」

未央(あ! これ、いい! おいしい! 麺自体はつるつるしてるんだけど、スープがスープだから、絡みついてくる。そして、後味に辛さがぴりっと引き締めて……これ、ずるずるいけちゃう!)

未央(んー……おいしい。麺をずるずる啜るのが気持ちいいし、味もおいしい。何よりくどくないからいくらでもいけちゃいそうになる。濃厚なんだけど、ずるずるといっちゃって……)

未央(……ん。ちょっと、口の中が辛くなってきたかも。汗も出てきたし……でも、不快じゃない。むしろこれがいい。お箸が止まらない)

未央(担々麺って、そう言えば、そんなに食べたことなかったような気もするけど……おいしいな)

未央(……また、来たいかも)
634 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/07/22(土) 01:35:55.82 ID:OOe6VR2K0

――店の外

未央「おいしかったね、みんな」

菲菲「お腹いっぱいだけどネ……」

P「麺にスープが絡むからなぁ……見た目より量があるよな」

のあ「……また、一人で来るかもしれないわ」

P「お、のあも気に入ってくれたか」

菲菲「その時はふぇいふぇいも行きたいネ。今日で味も量もわかったから、次は調整するヨ!」

未央「おっとぉ? 他のメニューは気にならないのかな〜?」

菲菲「あっ……確かに、他のメニューも気になるネ。その時は……」

未央「うん。分け合おうとも、ふぇいふぇい。たかみーも、いい?」

のあ「……ええ。その時は、一緒に行かせてもらいましょう」

P「いいのか?」

のあ「一人で来る時は勝手に来るから」

P「ああ、そういう……」

未央「せっかく近くにあるんだし、他の子も連れて来たいよね」

菲菲「そうダネ。確か、辛くないメニューもあったカラ……」

のあ「……私が誘うとしたら……」

P「あー……そろそろ帰るぞ。まだ余裕はあるが、一応な。お前らの予定は、確か……」



635 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/07/22(土) 01:40:18.46 ID:OOe6VR2K0
これにて今回は終了です。
中華のおいしいところが近所にあると嬉しいですよね。いや、中華に限らずおいしいところが近所にあると嬉しいんですけれど。

担々麺ってそんなしょっちゅう食べはしないんですけど、おいしいところで食べると「おいしい……」ってなりますね。なりました。

ここまで読んで下さってありがとうございました。
636 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/07/22(土) 01:44:20.03 ID:OOe6VR2K0
あとSSとは関係ないですが上位来たり色々ありましたね……。Mobage版にはフリトレがあるからやさしい。
作中でPがのあさんのことを「のあ」呼びにしているのはべつに複雑な設定とかはないです。そう言えば大人組ってあんまり出したことなかった? ような気もしますね。これからもちょくちょく出していきたいような? そもそももうちょっとペース早めたいような。

たぶん次回は結構いちゃいちゃしちゃうんじゃないかなーと思っています。予定ですが。

改めてありがとうございました。
637 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/22(土) 02:16:23.92 ID:oXOqOE6To
おつおつ
638 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/22(土) 02:31:57.40 ID:bd7nap0yO
639 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/07/30(日) 19:08:36.62 ID:Fu61FYVkO
乙乙
担々麺と言えば地獄の担々麺オススメ
トッピングでスープを使ってチーズリゾットにしてくれる
640 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/08/30(水) 16:37:42.08 ID:yU/xvVox0
641 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/11(月) 06:26:14.99 ID:L7YlF/dno
ほしゅ
642 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/09/24(日) 15:33:41.46 ID:NcKeEHn+O
ほす
643 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2017/10/01(日) 05:17:47.87 ID:xZ+QMvIV0
めちゃくちゃ遅くなりましたが今週中には投稿します。先に報告だけ。
644 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/01(日) 12:37:14.82 ID:45nTJ4KZo
期待
645 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/10/06(金) 00:05:50.23 ID:siEDK2Vb0
未央「もう秋だね」

P「ちょっと肌寒くなってきたな。未央も、あんまり身体は冷やさないようにな」

未央「わかって……その、ちょっとお願いしたいことがあるのですが」

P「なんだ? 何かやましいことでもあるような言い方だが」

未央「や、やましいことってわけじゃ……身体を冷やさないように、って言葉とは反対になっちゃうんだけど」

P「反対……冷やすようなこと?」

未央「そう。それを、ちょっと、お願いしたいと言いますか」

P「……冷たいものでも食べたいのか?」

未央「お! それそれ! よくわかったねプロデューサー」

P「本当にそうだったのか……プールに行きたいとかじゃないだけ良かった、か?」

未央「プール……プールかー……プロデューサーが私の水着姿を見たいって言うなら、ついて行ってあげてもいいよ?」

P「行かない行かない。で、冷たいものって言うと、具体的にはどんな?」

未央「ふっふっふ……実はですね、今日は私の方がお店を探して来ているんですよ」

P「探して、か。行きたい店があっただけじゃなく?」

未央「うっ……ま、まあ、それはそれとして、とにかく! その店に行きたいわけなんですよ!」

P「ああ。べつにいいが……どういう店だ? アイス、とか?」

未央「アイス……とは、ちょっと違うかも。ヒントはそろそろ……もしかしたらもうやってないかもしれないってこと」

P「やってない? ってことは、夏だけ……。なんとなく、わかったような気もするな」

未央「そう? それで……いい?」

P「ああ、行こう。未央が連れて行ってくれる店ってのも楽しみだしな」

未央「楽しみにしてくれたまえー。それじゃ、行こっか、プロデューサー! 道は私が案内するから、付いてきて!」

P「ん、わかっ……引っ張るな引っ張るな。そんな急がなくても、店は逃げないって」
646 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/10/06(金) 00:06:47.70 ID:siEDK2Vb0

――店の前

P「ここか」

未央「うん。……さすがにそこまで人は多くないけど、一応、まだ人はいるね」

P「結構待つのか?」

未央「みたい。一人にかかる時間が結構長いんだって」

P「そうなのか。じゃあ、待ってる間に未央は勉強か」

未央「……い、今は、その、そういう時間じゃないから」

P「隙間時間に勉強することが大切……って、誰か言ってなかったか」

未央「い、言ってたけど……やっぱり、しなきゃダメ?」

P「……くっ。ふっ、ふふっ」

未央「何いきなり笑いだして……プロデューサー?」

P「悪い悪い。未央がいつも頑張ってることは知ってるよ。今は息抜きの時間だもんな。そんな時くらい、勉強しなくてもいいよな。俺だって、『勉強しろ』って言えるほど勤勉な学生だったわけでもないし」

未央「もー……でも、プロデューサーの学生時代かー。気になるかも」

P「特に面白いことは何もなかったから気にするな」

未央「そうは言っても、気になっちゃうものは気になっちゃうわけですよ。卒業アルバムとかないの? 学生の頃の写真とか」

P「ぜんぶ実家に置いてあるからない」

未央「それじゃあ今度持ってきてくれない?」

P「断る」

未央「むぅ……これは美嘉ねーやかれんにも言って手伝ってもらうしか……」

P「やめろ。絶対面倒なことになるから」
647 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/10/06(金) 00:07:19.29 ID:siEDK2Vb0
未央「だってプロデューサーは私の制服姿とか知ってるのに、私がプロデューサーの制服姿を知らないのって不公平でしょ?」

P「どこがだ。現役の学生とそれ以外じゃ別だろ。俺だって制服姿を知らない人も結構いるからな」

未央「ちひろさんとか?」

P「ちひろさんは前にコスプレで学生服着てるの見たな」

未央「……そう言えば、私も見たよ。でも、あれってちひろさんが通っていた学校の、なのかな? コスプレ用とかじゃなくて?」

P「どうなんだろうな。でも、学生時代の……って言うと、確かに見てみたいな」

未央「それと一緒で、私もプロデューサーの学生時代の姿を見てみたいわけですよ」

P「それは断るが」

未央「プロデューサーのケチ」

P「ケチ言うな」

未央「むぅ……いいもんいいもん。いつか絶対見せてもらうから」

P「はいはい。……ん、そろそろか。思っていたより早い、か?」

未央「だね。タイミングが良かったのかも」

P「と言っても、ここからまた待つ……ってこともあるんだが」

未央「その時はその時ってことで」

P「だな」
648 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/10/06(金) 00:07:51.63 ID:siEDK2Vb0

――店の中

P「結局、あれからすぐ呼ばれたな」

未央「ちょうどいい時間、だったのかな? それでプロデューサー、何にする?」

P「オススメとかはあるのか?」

未央「うーん……私も、知ってただけで来たことはないから……一番人気なのは、確か、カラメルミルクだったはず」

P「カラメルミルク……未央はそれにするのか?」

未央「そのつもり。プロデューサーは?」

P「……せっかくだから、他のにしようかな。このカカオミルク? にするよ。どういうものが出てくるのか気になる」

未央「ほほー……二人とも定番からは外れたね」

P「そう言えばそうだな。どうする? 俺はべつに他のでもいいが」

未央「ううん。そのままで。ファーストインプレッションは大事にしなきゃダメだよ、プロデューサーくん」

P「なんで横文字……まあ、そう言ってくれるならそうするよ」

未央「そうしたまえ」

P「何キャラだよ」
649 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/10/06(金) 00:08:29.30 ID:siEDK2Vb0

――

P「……来たな」

未央「来たね」

P「……これがかき氷。いや、かき氷なんだが……聞いた話以上だな」

未央「私も思ってた以上だよ。でも、おいしそう」

P「それはそうだな。とりあえず、食べて……なんか、崩れそうでこわいんだが」

未央「山みたい……というか、直方体みたい? だもんね。四角いかき氷」

P「まあ、注意して食べていくか」

未央「そうだね。それじゃ、いただきまーす」

P「いただきます」
650 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/10/06(金) 00:09:15.29 ID:siEDK2Vb0
未央(でも、本当に崩れちゃわないか心配……とりあえず、そーっとスプーンを……お、お? これ、大丈夫そうかも。食べ進め方によってはどうかわからないけど……うん。意外と、いける)

未央(スプーンですくっただけでも、氷がふわふわなことがわかる。カラメルと練乳がたっぷりかかっていて、その重さは感じるけど)

未央(……とりあえず、一口、食べてみよう)パクッ

未央「……ん!」

未央(ミルク! 甘い! からのカラメルの甘さと苦さ……おいしい! 氷に冷やされてなのか、とろっとしているだけじゃなくて、ちょっと固まっている感じのミルクとカラメルがいい感じに口の中で合わさって……おいしい)

未央(かなり甘いんだけれど、それが嫌にならない感じ? カラメルでほのかに苦いのがいいのかなー)

未央(氷はふわふわで……薄い氷の層が、何枚も重なっているような……口の中にいれると、それがふわっとほどけるような? それがミルクとカラメルと一緒になって……新感覚だけど、かき氷というか。不思議な感じ)

未央(んー……おいしい。結構甘いけど、ぱくぱく食べられちゃう。しーあーわーせー……)
651 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/10/06(金) 00:09:42.82 ID:siEDK2Vb0
P「そっちはどうだ? 未央」

未央「おいしいよ。プロデューサーの方は?」

P「おいしい。しかし、これがかき氷か。すごいな」

未央「それじゃ、ちょっとそっちも食べていい? 私のも食べていいから」

P「ああ。じゃあ、一口もらうな」

未央「うん。私もいただきまーす」パクッ

未央「……おー」

未央(チョコ! 思ったよりもチョコチョコしてる! ほうほうこれが……ティラミスっぽいような、違うような……チョコチョコしてるのにミルクの甘さがからまってきて……おいしい。アイスとはまた違うんだけど、アイスみたいな、かき氷みたいな……こっちも不思議な感じ。おいしいけど)

P「ん、こっちもうまいな」

未央「でしょ? プロデューサーのもおいしいね。食べてみたら、思ってたよりチョコチョコしてた」

P「ああ。かき氷に、ってどんなものかと思っていたが……合うな」

未央「合うね。……ね、プロデューサー。もう一口もらってもいい?」

P「ご自由に。その代わり、俺ももう一口こっちもらうな」

未央「どうぞどうぞ。……それじゃあ」パクッ

未央「……んー!」
652 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/10/06(金) 00:10:10.25 ID:siEDK2Vb0

――店の外

未央「おいしかったー!」

P「量も多かったが、食べ切れたな。その代わり、結構腹に来てるが……」

未央「それはそうかも。でも、頭がキーンってならなかったなー……削り方の違い?」

P「なんかそんなことも聞くな。実際そうなのかっていうのは経験するまで知らなかったが。……未央、身体、冷えてないか?」

未央「ちょっとだけ。さすがにあの量の氷を食べるとねー」

P「ならこれでも着とけ。大事な時期に身体を壊しちゃいけないからな」

未央「それはプロデューサーもでしょ? でも、ありがと」

P「どういたしまして。それじゃ、帰るか」

未央「うん。……ね、プロデューサー」

P「ん?」

未央「手、握って? 身体が、あたたまるまで」

P「……ん」ギュッ

未央「……えへへ。なんか、もうあったかくなってきちゃった」

P「……そうか」

未央「……手、はなさないの?」

P「……俺はまだあたたまってないから、もう少し、このままで」

未央「そっか」

P「ああ」

未央「それなら、仕方ないね」

P「ああ」

未央「……」ニギニギ

P「……なんだ? 俺の手が、どうかしたか?」

未央「ううん。ただ、プロデューサーの手だー、って思って」

P「なんか、くすぐったいんだが」

未央「……こちょこちょ」

P「んっ! ちょ、やめろ」

未央「ほほー。プロデューサーの手は敏感ですなー。ほれほれ、こちょこちょー。こちょこちょー」

P「何して……ああ、もう! むずむずするから、やーめーろー!」




653 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/10/06(金) 00:15:26.01 ID:siEDK2Vb0
これにて今回は終了です。
久しぶりの投稿になりました。特別忙しかったというわけでもなくただ遅れました。
私がこのかき氷を食べたのも夏からは少しずれて九月のことだったんですが、さすがに今だとやってないような気もします。でもやっているところはやっているような気もします。

おいしいかき氷ってどういうのだろうなーって思ってたんですけど、おいしいですね。おいしい。おいしいかき氷はおいしい。でも一人ではちょっと行きにくいかもしれない。

今回も結構短めだったような……次回は予定では複数人。長いかどうかはわかりませんができるだけ早めに……。

ここまで読んで下さってありがとうございました。
654 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/10/06(金) 00:20:43.68 ID:siEDK2Vb0
あとSSとは関係ないですがめっちゃ色々なことありました。直近だと限定卯月の背景とか。久しぶりの三人イラスト? それはともかくめっちゃかわいい。
あとイリュージョニスタとかも。この一年間たのしい……。これからも色々と新展開というか確定していることもありますし、楽しみです。
しんげき、あの劇場とかやってくれないかなー……。

改めてありがとうございました。
655 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/10/06(金) 06:11:14.58 ID:/qYIA/UAo
乙です
656 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/11/05(日) 23:07:37.17 ID:BUv/Zjsp0

――事務所

P「……ソース味のものが食べたい」

ちひろ「ソース味、ですか?」

P「あ、すみません。声に出てましたか」

ちひろ「そうですね。少し、休憩にしますか?」

P「そう……ですね。ちょうど一段落したところだったので」

ちひろ「で、ソース味、でしたか」

P「はい。なんか、たまに食べたくなるんですよね。ソース味のもの」

ちひろ「わかります。……言われると、私もちょっと食べたくなってきちゃいました」

P「お、じゃあ行きます? 予定が合うようなら、誰か他の人も誘って……」

ちひろ「そうですね! でも、いつにしましょうか。もうソースの口になっちゃってるので、できれば早めの方がいいんですが……」

P「俺もそうですね。んー……どうするか……」
657 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/11/05(日) 23:08:48.13 ID:BUv/Zjsp0

ガチャ

未央「プロデューサー! みなみんが、みなみんがー!」

美波「ちょ、ちょっと未央ちゃん? 私はべつに、何もしてないと思うんだけど……」

P「……どうしたんだ? 未央、美波」

ちひろ「確か、未央ちゃんの勉強を美波ちゃんが見てあげていた……んですよね? 未央ちゃんは成績も良かったはずですし、そんな助けを求めるようなことにはならない気が……?」

未央「うぅ。ちひろさんの言う通り、ただ勉強を見てもらっていただけなら、私もこんなこと言わないよ? でも……でも! みなみん、私には厳しいんだもん!」

美波「そ、そんなに厳しいことはないと思うんだけど……」

P「あー……美波? いったい、未央に何をやったんだ?」

美波「え? ……未央ちゃんが思った以上にできる子だったので、私にできることくらいならできるだろうと思って、その、色々と」

P「なんか目が泳いでるんだが」

ちひろ「なんだか、教育ママみたいな発想ですね……」

未央「そう! それ! みなみん、こんな調子じゃお母さんになった時に大変だよ!? いくら未央ちゃんが頭も良くて運動もできるパーフェクトな美少女アイドルだとは言っても、限度ってものがあるんだからね!」

P「自画自賛するな」

ちひろ「……それが間違ってないのがまた、複雑なところですね」

美波「で、でも、実際、未央ちゃんは要領も良いですし、志望校の入試問題の傾向から考えるとこの勉強は必要だと思うんです! だから、ね? 未央ちゃん、私と一緒にもっともっと頑張りましょう?」

未央「ちょ、みなみんこわい! 目がこわいって! 私にも、他の子にやるみたいに優しくしてよー!」

P「……美波も変わったなぁ」

ちひろ「ですねぇ」

未央「そこ! しみじみしてないで、たーすーけーてー!」
658 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/11/05(日) 23:10:10.58 ID:BUv/Zjsp0

――

美波「ソース味ですか? ならお好み焼き――重ね焼きにしませんか?」

未央「重ね焼き?」

P「あー……と言うか、未央と美波も付いて来るってことでいいのか?」

未央「ダメ?」

美波「ダメですか?」

P「いや、問題ないが……ちひろさんもいいですよね?」

ちひろ「はい。それで、重ね焼き、でしたっけ?」

未央「そうそう。重ね焼きって……何?」

P「ああ、その話……大阪では、お好み焼きって混ぜてつくるだろ? 広島では混ぜずに重ねてつくる。だから重ね焼きとも呼ばれている、らしい」

未央「つまり、広島焼きのこと?」

P「……まあ、そうだな。あと、その呼び方は広島の人の中には怒る人もいるから注意な」

未央「え。……み、みなみんって、確か、広島出身じゃ」

美波「うん。私は広島出身だよ」

未央「……ご、ごめんなさい」

美波「大丈夫だよ、未央ちゃん。私も、広島の外ではそう呼ばれてるってことは知ってるし……ですから、Pさんも気にしないで下さいね?」

P「でも、気にする人がいるのは事実だしな……やっぱり、言うなら『広島風お好み焼き』か?」

美波「うーん……そうですね。そっちの方がいいと思います。『お好み焼き』というのが大事だと思うので」

未央「ふむふむ……アイドルになってからもう結構経つけど、こういう勉強も大事なんですなぁ」

美波「勉強……Pさん。私、全国のこういう話を集めて資料にして、事務所のみんなに注意をした方がいいんじゃないでしょうか」

P「やるなら俺とちひろさんの仕事だから美波はしなくていい。……いや、本当にやるなよ? 絶対だからな?」

美波「……たぶん、やりませんよ?」

P「目を逸らさないでほしいんだが」
659 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/11/05(日) 23:10:48.60 ID:BUv/Zjsp0
美波「でも、Pさんやちひろさんの仕事を増やすのも申し訳ないですし……ただでさえ、二人とも仕事が多いのに。私だって、もう大人なんですから――」

P「成人してるって言っても、まだ学生なら子どもだよ。大学も暇じゃないだろうし、ただでさえ二足のわらじだ。本来なら、中高生の勉強も見る必要はないんだが……」

美波「それは仕事じゃなくて『友達』の勉強を見ているだけですから。……でも、わかりました。無理はしません」

P「ああ。そうしてくれ」

美波「……やりたくなっちゃったら、やっちゃうかもしれませんけど、それはもう趣味みたいなものなので見逃して下さいね?」

P「……まあ、そこまでは口を出せないが、本当に無理はしないでくれよ」

美波「はいっ。Pさんこそ、無理はしないで下さいね?」

P「……はい」

美波「ちひろさんも」

ちひろ「えっ。……私もですか?」

美波「もちろんです。ちひろさんも、Pさんに負けず劣らず頑張りすぎですから」

ちひろ「美波ちゃんに言われると複雑なんですが……わかりました」

未央「おおー、さっきまではみなみんが怒られてるっぽかったのに、いつの間にか逆転してる……これが、みなみんの力……!」

P「……はっ。確かに、いつの間にか、逆転してる……だと……?」

ちひろ「美波ちゃん……恐ろしい子……」

美波「ちゃ、茶化さないで下さい、もうっ。……ほら、未央ちゃん。休憩はこれくらいにして、勉強に戻りましょう」

未央「えっ」

美波「それじゃあ、Pさん、ちひろさん、ごはんに行く時間になったら呼んで下さいね」

P「ん」

ちひろ「はーい」

未央「えっ、ちょ、待って。今日はもう終わりじゃないの? ……あの、みなみん? プロデューサー? ちひろさん? え? え? えぇー!」
660 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/11/05(日) 23:11:36.79 ID:BUv/Zjsp0

――事務所の外

未央「つーかーれーたー……おなかへった……ごーはーんー……」

ちひろ「そう言えば、お店は決まってるんですか?」

P「いや、まだですね。どこにするか……」

美波「あ、それなら知っているお店があるので、そこでもいいですか?」

未央「お、みなみんの? なんだか期待できそうですなぁ」

P「美波のオススメは確かに期待できるな。楽しみだ」

ちひろ「美波ちゃん、こういうのもしっかりしてそうですからね。楽しみです」

美波「はいっ。期待していて下さい。きっとお口に合うと思いますよ?」

未央「お、言いますなぁ。これは期待できるかも! それじゃ、みなみんのオススメのお店にレッツゴー!」
661 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/11/05(日) 23:12:13.71 ID:BUv/Zjsp0

――店の前

P「ここか」

未央「結構外れたところにあるんだね。穴場……的な?」

美波「実は私も教えてもらったところなんです。地元の味が懐かしくなることもあったので……」

ちひろ「ということは、巴ちゃんか留美さんかしら? いえ、巴ちゃんはさすがに知らないでしょうし……留美さん? と言うか、美波ちゃんならアイドル以外にも知り合いは多そうだけど……」

美波「留美さんです。同郷ということで話をしたら、教えてくれて」

ちひろ「へぇ……そう言えば、一人ひとりのオススメのお店ってあんまり知らないかもしれません。みんなで行くお店はだいたい決まってますし……」

P「思っているよりも、みんなこういうお店を知っていたりするのかもしれませんね」

未央「私とかが行くようなお店をプロデューサーが知らないみたいに?」

P「女子高生が、ってなるとちょっと話は違うような気もするが……いや、同じか? どうだろう」

ちひろ「……とりあえず、もう入りませんか?」

未央「ん、そうだね」

P「ですね」

美波「それじゃあ、入りましょうか。満席じゃなかったらいいんですけど……」
662 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/11/05(日) 23:13:06.36 ID:BUv/Zjsp0

――店の中

未央「んー……ソースのにおいと大きな鉄板を見ると、こういうお店に来たって感じするね」

P「だな。えーっと、メニューは……お好み焼きと焼きそばと、あとは鉄板焼きとかか」

ちひろ「やっぱりお好み焼きと……焼きそばは、どうしましょうか?」

未央「広島のはお好み焼きの中に焼きそばが入っているんだっけ? でも、ちょっと違う?」

美波「うん。種類として別物だと思うから……どっちも頼むってことはそこまで珍しくないかな」

P「お、そうなのか。じゃあ個人的にはお好み焼きと焼きそばはどっちも頼みたいな」

未央「鉄板焼きにはとん平焼きとかもあるんだ……前に食べたのおいしかったし、私、これもほしいなー」

ちひろ「あ、枝豆……海鮮ものもおいしそう。美波ちゃん、ここって、量はどれくらい?」

美波「結構多めですね。でも、Pさんにとっては……どうだろう?」

P「美波にとっては多めでも俺にとっては……ってことか。じゃあ、少し多めか、ってくらいは頼んでもいいんじゃないか? たぶん、俺は食べ切れるから」

ちひろ「それなら、海鮮焼きが欲しいですね。それくらい……ですか?」

未央「私はそれで大丈夫だよ」

俺「はい。大丈夫だと思います」

美波「それじゃあ、注文しちゃいますね? あの、すみません――」
663 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/11/05(日) 23:13:39.42 ID:BUv/Zjsp0

――

未央「み、みなみんみなみん、あんなにキャベツを盛ってるけど、大丈夫なのかな?」

美波「ふふっ、大丈夫だよ。見ていると……ほら」

未央「わ。ほんとだ。みるみるうちに小さくなって……すごいね」

P「……確かにすごいな。何度か見たことはあるはずなんだが、今まで見た中でいちばんの圧縮率かもしれない」

ちひろ「うーん、できあがるのが楽しみですね。こんなの見せられると、どんどんお腹が減ってきちゃう……」

P「そういう狙いもあるのかもしれませんね……」
664 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/11/05(日) 23:14:25.16 ID:BUv/Zjsp0

――

未央「来た来たー! もう、めちゃくちゃおいしそう……!」

ちひろ「ソースが弾けて、いいにおいがして……ヘラで食べるんでしたっけ?」

美波「一応そうですけど……食べやすい食べ方でいいと思いますよ?」

P「まあ、とにかく……いただきます」

未央「いただきまーす!」

未央(えーと、ヘラで切り分けて……っと。ん、こういう断面なんだ……そばとキャベツ? あと、他の具材とか。今回は……うん、ヘラを使って、そのまま食べようかな。熱そうだけど……いざ!)パクッ

未央「あふっ……ん、んんー!」

未央(やっぱり熱々だったけど、おいしい! キャベツは甘くて、このそばももちもちで……それにフルーティーなソースの味が加わって、すごくおいしい!)

未央(やっぱり、こうやってはふはふしながら食べるのはいいなぁ……ソースの味も、やっぱりおいしいし。フルーティーで、甘めな感じ? 表面はカリッとしていて、中はふんわりしていて……でも、キャベツとそばもべちゃっとなってたりしてなくて……うん、おいしい。なんだか、ちょっと衝撃的かも)

未央(これが広島のお好み焼きかぁ……こういうのが東京にいても食べられるっていうのはやっぱりいいなぁ。本当、ありがたいことだよねー)
665 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/11/05(日) 23:14:59.88 ID:BUv/Zjsp0
ちひろ「はふっ……ん、おいしい!」

P「うん、うまいな、これ。何回か食べたことあるが、いちばんかもしれない」

美波「ふふっ、お口に合ったみたいで良かったです」

未央「本当においしいよ。こんなにおいしいところ、教えてくれてありがとう、みなみん!」

美波「どういたしまして、未央ちゃん。私も留美さんに教えてもらっただけだから、私が感謝されるのはちょっと違うかもしれないけど……」

P「それじゃ、留美さんにも美波にも感謝ってことで」

ちひろ「ですね」

美波「……ありがとうございます♪」

未央「それじゃ、ちょっと焼きそばとかももらっちゃおっかなー」

P「お、それじゃ俺も」

ちひろ「私は海鮮焼きをいただこうかしら」

美波「私もいただきます。……ふふっ、みんながよろこんでくれたみたいで、本当に良かったです」
666 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/11/05(日) 23:16:38.08 ID:BUv/Zjsp0

――店の外

未央「ふぅ……お腹いっぱいだよー」

P「無理に食べなくても俺が食べたのに」

未央「だって、おいしかったんだもん。おいしいものはいっぱい食べたくなっちゃうでしょ?」

P「まあ、そうかもしれないが……」

ちひろ「でも、おいしかったですよね。こんなお店を紹介されちゃうと……そう言えば、もう美波ちゃんはお酒も飲めるのよね。あんまり一緒には行けてないけれど……」

美波「わ、私は学生ですから。そういうのは、卒業してから、ということで……」

P「あんまり気が乗らない様子だが、何かあったのか?」

ちひろ「あー……美波ちゃん、どちらかと言うと介抱する側ですから」

P「あー……」

未央「……お酒、かぁ。私が飲めるようになるのは、二年以上先だね。今日も、私が飲めたらみんな飲んでた?」

P「んー……俺もそこまで飲む方じゃないからなぁ。美波が酔うところはちょっと見てみたくもあるが」

ちひろ「そう言えば、私も見たことないかも……美波ちゃん、誰かの前で酔うほど飲んだこと、あります?」

美波「……あまり思い出したくありません」

未央「そういうこと言われると見たくなっちゃいますなぁ。でも、酔うってどんな感じなんだろ。一回体験してみたいかも――」

美波「未央ちゃん。お酒は飲んでも飲まれるな、よ」

未央「……何があったの? みなみん」

P「まあ、飲み過ぎはダメってことだな。未央はそういうことを考える前にまず受験な」

未央「うっ。……あ、アイドルもだし」

ちひろ「もちろん、それも頑張ってもらうことにはなると思いますけど……やっぱり、大事なことですからね」

美波「そうだよ? でも、大丈夫。私がしっかり教えてあげるから!」

未央「みなみんに教えられるのがこわいんだけど……いや、ありがたいんだけどね? できれば、もうちょっとハードルを下げてもらいたいなー……って」

美波「未央ちゃん。……一緒に、挑戦しましょう?」

未央「これダメなやつだー!」
667 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/11/05(日) 23:17:12.51 ID:BUv/Zjsp0

P「……受験生、か」

ちひろ「どうしました? プロデューサーさん」

P「いや……初めて会った時は高一だったのに、もう受験生なんだなって思うと、ちょっと」

ちひろ「……そうですね。なんだか、変な感じです」

P「みんな、成長してますもんね……小学生の子が中学生になったり、中学生の子が高校生になったり、高校生の子が大学生になったり、学生だった子が、卒業したり……俺も、どんどんオッサンになってるんですかね」

ちひろ「私もおばさんに?」

P「ちひろさんはまだまだみんなのお姉さん、って感じですけどね。と言うか、自分で言いますか」

ちひろ「……実は、自分で言ってちょっと傷付いています」

P「えぇ……」

ちひろ「……時間の流れって、こわいですね」

P「……ここでその台詞を言われると、なんか違う意味に聞こえるんですが」




668 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/11/05(日) 23:19:22.73 ID:BUv/Zjsp0
これにて今回は終了です。
お好み焼き。おいしいですよねー。大阪のも広島のもどっちも好きです。たまにむしょうに食べたくなるのはなんなんですかね。ソースの魔力?

ここまで読んで下さってありがとうございました。
669 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/11/05(日) 23:24:33.71 ID:BUv/Zjsp0
あとSSとは関係ないですが、内容も全然関係ないですが、おめでとうございます。
……というか、せっかくだからパーティーな回にすればよかったかも? もう遅くはありますが、またやりたいところ。
そう言えば、このSSの中ではもう李衣菜は高校生じゃない……? なんか、変な感じかも……。

改めてありがとうございました。
670 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/11/05(日) 23:55:57.18 ID:YgHKyG8Bo
乙です
671 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/12/01(金) 08:09:09.65 ID:UzHimr1u0
ちゃんみお誕生日おめでとう!!!!!
672 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2017/12/01(金) 18:58:56.49 ID:+h7s1ZHc0
P「誕生日おめでとう、未央」

未央「ありがと、プロデューサー。日付が変わった時にもメッセージをくれたから、今日二回目だね」

P「だな。去年や一昨年みたいに盛大に祝う時間はとれないからその代わりに……だと、さすがに小さすぎるか」

未央「うむ、それだと未央ちゃんは満足できませんなー。受験生とは言っても休息は必要なのです。他のみんなは予定があったりして無理だけど……今日一日、プロデューサーは未央ちゃんのもの、だよね?」

P「違うが」

未央「えー。誕生日プレゼント、『プロデューサーのこと一日好きにしていい券』じゃないのー?」

P「そんなことを言った覚えはないんだが……今日は誕生日とか関係なく仕事が入ってるからな。そんな時間はない」

未央「仕事が終わってからだったらいいでしょ? 今日の仕事は……撮影、だったよね?」

P「そうだ。もうちょっとゆっくりしてから行くか? それとも……」

未央「ん、大丈夫。プロデューサーが来るまでに他の子とはちょっと話したし、撮影前の準備もあるでしょ? あんまり早く着いても迷惑かもだけど」

P「わかった。なら行くか」

未央「うん。それじゃ、お仕事頑張ろー!」
673 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2017/12/01(金) 18:59:37.65 ID:+h7s1ZHc0

――

P「お疲れ、未央。良かったよ」

未央「えへへ。ありがと、プロデューサー。今日は未央ちゃんの新境地を見せられたんじゃないかな〜、なんて」

P「もちろん、それが狙いだったからな。とは言っても、俺も驚かされた一人ではあるんだが……」

未央「私もアイドルですからなー。プロデューサーの予想をも超えてゆく……そう、それはまるで、あの星のように……」

P「どの星だよ。あと予想と星関係なくないか?」

未央「それはまあ雰囲気ですよ雰囲気。それよりも、まだ時間、あるよね?」

P「撮影も早めに終わったからな。どこか行くか?」

未央「うん! 今日のプロデューサーは私のものだし?」

P「だからそんなこと一度も……まあ、わかったよ。それで、どこに行く? 誕生日だし、そこそこ高い店でもいいが……」

未央「えっとね。それは――」
674 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/12/01(金) 19:01:00.65 ID:+h7s1ZHc0

――店の前

P「……本当によかったのか?」

未央「うん。遠慮とかしてるわけじゃないよ? 私、今更プロデューサーに遠慮とかしないもん」

P「それはわかってる」

未央「む。そこで『わかってる』って言われるのもなんか複雑な気が……まるで私がプロデューサーに対してわがままばっかり言っているみたい」

P「言ってない気か?」

未央「……言ってるかもしれなしい、言ってないかもしれない。難しい問題ですね」

P「誰だよ。まあ、確かに未央は変なところで遠慮することもあるけどな」

未央「んっ! ……それはあんまり言ってほしくないんだけど」

P「事実だろ? これでも長い付き合いだからな。今更そんなことで恥ずかしがるなって」

未央「……プロデューサーだって、変なところですぐ落ち込むし変なところで面倒くさかったりするし、あと――」

P「ごめんなさい」

未央「ふふん、よろしい。プロデューサーが私の弱みを知っているように私もプロデューサーの弱みを知っていることを忘れないように!」

P「肝に銘じます。……って、こんなことしてないで、さっさと入るか」

未央「そだね」
675 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/12/01(金) 19:01:40.29 ID:+h7s1ZHc0

――店の中

未央「ふぅ……店の中に入るとやっぱりあったかいね」

P「ああ。でも、誕生日にラーメン屋か……」

未央「ラーメンが食べたい気分だったからねー。あと、ラーメン屋さんと言えばプロデューサーと色々と思い出もある場所だし?」

P「ここ連れてくるの初めてだけどな」

未央「ラーメン屋というジャンルの話だからいいのです。最近あんまりラーメン屋さんに連れて行ってもらってなかったし?」

P「確かに結構久しぶりか。未央と来るなら、って考えるとあんまり行ったことのない店に行こうと思うからな……」

未央「あー、やっぱり? それで、ここは何が有名なの?」

P「何が、って言うと難しいが……貝?」

未央「貝のラーメン……あんまり食べたことないかも?」

P「かもしれないな。そこまで珍しいってこともないが、そこそこ珍しいからな」

未央「やってるところはやってる、みたいな?」

P「そうだな。それくらいの表現がちょうどいい。で、注文は?」

未央「プロデューサーと一緒で!」

P「ん。それじゃ、ラーメンとチャーシュー丼だな。……いや、未央には多いか?」

未央「多いかな? でも、チャーシュー丼も気になるし……うん、一緒にする」

P「わかった。じゃ、それで頼むな」

未央「はーい」
676 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/12/01(金) 19:02:48.32 ID:+h7s1ZHc0

――

P「で、来たな」

未央「ほほー……こういうビジュアルですか。なんだか綺麗に盛り付けられてるね」

P「見た目も味に影響するもんだしな。のびたらなんだし、さっさと食べるか」

未央「うん! それじゃ、いただきまーす」

P「いただきます」

未央(でも、本当に綺麗な盛り付けだなー……薄切りのチャーシューがスープを覆うように盛り付けられていて、スープがあんまり見えない。まずはこのチャーシューにどいてもらって……お、このチャーシュー、やわらかくて、しっとりした感じ。レアチャーシュー? って言うんだっけ。これはチャーシューを食べるのも楽しみ……だけど、まずはこの、黄金に輝く透き通ったスープから!)ズズ……

未央「……ん!」

未央(貝! 貝だ! もう、本当『貝―!』って感じ! 口に含んだ瞬間に口の中が海の……えっと、とにかく、貝でいっぱいって感じ! 味は醤油系? でも、醤油の味はそこまで強くないかな。強烈な貝の味と醤油の味、旨味と香りが口いっぱいに広がって……うん、本当に、『広がる』って感じ。余韻も貝〜って感じで……ほんの少し、貝独特の『えぐみ』みたいなものも感じる。でも、どうしてかそれが全然嫌じゃなくて……どうしてなんだろう。それもなんだか『おいしい』って感じる)

未央(……スープを飲んだだけでわかる。このラーメン、めちゃくちゃおいしい。なんでおいしいラーメンってこんなにおいしいんだろう……いや、ラーメンだけじゃないだろうけど)

未央(とりあえず、次は麺を食べよう。ラーメンと言えば麺だからね。それを食べないことにはまだ勝負はわかりませんよ。なんて、料理漫画とかだったら展開が読めるフラグを言っておいて……)ズズ……

未央「……ん」

未央(うん! わかってた! これはおいしい! やっぱりラーメンは麺とスープの相性が大事だよね! しっかりとスープの味が一緒になって、でも歯ごたえは結構しっかりして主張していて……うん、すするのが気持ちいい麺、って感じ。ずるずるすするのが気持ちいい。それが貝の旨味が凝縮された極上のスープと一緒になるんだからもう最高。うーん、これはすごい……)

未央(と、スープと麺を味わったところで、一回チャーシュー丼を食べてみましょう。細かく切り刻まれたチャーシューがいっぱい乗ってて半熟玉子まで付いてるチャーシュー丼。……これもこれでおいしそう。とりあえず、いただきます)パクッ

未央「……うん」

未央(おいしいよね! うん、これはおいしい! ラーメンとはちょっとベクトルの違う味。なんだか『おいしい』っていう直球で来た……みたいな? 肉の旨味で口の中を征服してやるぜー! みたいな。ラーメン屋さんのこういうちっちゃな丼ってなんだかすごくおいしかったりするのはなんでだろうなー)

未央(さてさて、またスープを飲みまして、っと……あー、やっぱりおいしい。麺もすすって、それから具に手を付けていきましょう)

未央(チャーシューとメンマと煮玉子と……チャーシュー丼とラーメンで玉子がかぶってしまったなー。いや、チャーシューもかぶってるんだけど、ラーメンの方はレアチャーシューだし? ちょっと違うってことで)

未央(とりあえず、メンマからー……んー……強烈な何かがあるってわけじゃないけど、落ち着く感じ……コリコリしてて、味もおいしくて……良い感じ……)

未央(それじゃ、次は……この大ぶりのチャーシューをいただきましょうか! 麺と一緒に食べるかどうかは迷うけど……まずは、これ単品で!)パクッ

未央「……んー」

未央(おーいーしーいー……厚みはそんなだけど、結構大ぶりだったから、一気に頬張るとぼりゅーみー……口の中がお肉でいっぱい。しっとり上品で口の中に旨味が広がる感じ……おーいーしーいー……)

未央(はぁー……なんだか気が抜けてしまった……ここは煮玉子パイセンに口の中をキリッとさせてもらいましょう。煮玉子パイセン、カモン!)パクッ

未央「んー……!」

未央(やっぱり煮玉子パイセンは偉大ッスー! とろとろ半熟濃厚煮玉子ー! やっぱりおいしい! そのままスープ! うん! おいしい! 麺! おいしい! しーあーわーせー!)
677 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/12/01(金) 19:04:15.51 ID:+h7s1ZHc0

――

未央「ふぅ……結局スープぜんぶ飲み干しちゃった……」

P「ここのうまいからなー。俺もあんまり飲み干す方じゃないが、ここのは飲み干す。濃すぎることはないし、うますぎるから」

未央「ハッ! まさか、多すぎるんじゃないか、って言うのはこういうこと……?」

P「バレたか……いや、未央も飲み干しとは思ってなかったけどな」

未央「おいしかったからねー。アイドルもラーメンの汁を飲み干すことはあるのですよ」

P「あるか? ……いや、ありそうだな」

未央「あるある。まあ、さすがにちょっと気をつけないと、だけどね」

P「アイドルだもんな」

未央「プロデューサーもだよ? 大人なんだし、私よりも危ないかもよ〜?」

P「……善処します」

未央「それしないやつ。もう、健康診断とかはどうなの?」

P「今のところは大丈夫……の、はずだ」

未央「ハズじゃ安心できませんなー。プロデューサーの身体も大事なんだし、ちゃんと気を付けてよ?」

P「……まあ、うん。少なくとも病気にはならないようには気をつけたいと思います」

未央「よろしい。それじゃ……帰る前に、ちょっと、いい?」

P「ん? 構わないが……なんだ?」

未央「えへへ。ちょっとね。プロデューサーと、行きたい場所があって」

P「行きたい場所……?」

未央「あ、さすがの私でも一八歳になったからそういうところにー、とかじゃないよ? そこは心配しなくてもいいから」

P「最初からしてない。高校生だしアイドルだしな」

未央「でも私の友達に」

P「それは話すな! 女子高生への幻想が壊れる!」

未央「幻想ってわかってるんだ……」

P「夢でしかないとわかっていても夢を見ていたいものなんだよ。アイドルと同じで、な」

未央「アイドルと一緒にされたくないんだけど!?」

P「……そうだな。俺としたことが、取り乱してしまった」

未央「そんなに……? まあ、それはそれとして、連れて行ってくれる? プロデューサー。私が行きたい場所に」

P「……ああ。連れて行くよ。未央が言うならどこにでも、な」

未央「……そういうところでも?」

P「だからそういうことは言うな」
678 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/12/01(金) 19:05:23.42 ID:+h7s1ZHc0

――

P「よ、っと……ここだな」

未央「うん。東京で星が見える場所。この時間なら、まだ行けるかなーって」

P「この時間なら、まだ、な。……でも、本当に見えるな。東京に、こんなに星が見える場所があったのか」

未央「アーニャに教えてもらってねー。私も、こんなに見えることは知らなかったけど」

P「星がよく見える場所で撮影、なんてこともあったが……いつでも行けるような場所でこんなに見えると、ちょっと、変な感じだな」

未央「だね。……プロデューサー、星、綺麗だね」

P「そうだな。……本当に、綺麗だ」

未央「私は?」

P「……言わされてるみたいで嫌なんだが」

未央「プロデューサーから言わないから悪いんだよ?」

P「言う暇ほとんどなかっただろ……でも、綺麗だよ、未央」

未央「綺麗だけかな?」

P「んー……こういうところで茶化すところは面倒くさくてかわいいよな」

未央「……それはあんまり言われたくなかったかも」

P「ははは。調子に乗るから悪い」

未央「むぅ。今日の私は『プロデューサー一日好きにしていい券』を持っているのに……」

P「渡してない渡してない。……誕生日プレゼントは、別にあるしな」

未央「え?」
679 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/12/01(金) 19:06:25.85 ID:+h7s1ZHc0
P「誕生日おめでとう、未央。受け取ってくれ」

未央「う、うん。……開けても、いい?」

P「ああ。開けてくれ」

未央「それじゃあ……これは、ペン?」

P「ああ。普段使いできるものの方がいいかと思ってな。受験に使うには、遅かったかもしれないが」

未央「……ううん。ありがとう。大切に、使わせてもらうね」

P「……よろこんで、くれたか?」

未央「え? そりゃ、まあ、プロデューサーからのプレゼントだし、このペンも、なんだか良いペンっぽいし……授業とかではちょっと使いにくいかもだけど、プロデューサーも、勉強用に、って渡したわけじゃないでしょ?」

P「いや、使い方は自由にしてくれて構わないが……いざ渡す、ってなると本当にこれで良かったのかって考え出してな。結構、不安でいっぱいだった」

未央「……プロデューサーって、そういうとこあるよね。大丈夫だよ。確かに『指輪じゃないのかー』とは思ったけど」

P「指輪はない」

未央「ないかー。でも、いつかは欲しいなー……ちらっ」

P「……いつか、な。いつか」
680 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/12/01(金) 19:07:11.58 ID:+h7s1ZHc0
未央「お! 言ったね? 言質とったから! 私、もう忘れないよ?」

P「そこはもうちょっとしおらしい反応じゃないのか?」

未央「ふっふっふ。未央ちゃんは力の入れどころを見誤らないのです。ここで言質をとっておかないと、プロデューサー、色々と言い訳とかしそうだし?」

P「さすがにしない。……と思う。たぶん」

未央「たぶん?」

P「……絶対」

未央「うむ。それでよいぞ、プロデューサー」

P「王さま?」

未央「みおおうさま」

P「なんかよくわからんな」

未央「みおおうさま、みおーうさま……未央サマー! ハッ! 夏は私の季節とは、つまり、未央ちゃんが王さまだということを表していたのかー!」

P「いや意味わからん。今冬だし。未央は王さまじゃないし」

未央「ちょっと意味わからないノリになっちゃってた?」

P「ちょっとというかだいぶな。だいぶ」

未央「そっかー。えへへ。プロデューサーからのプレゼントが嬉しくて、かも。なんちゃってー」

P「……照れ隠しでもそう言われると、なんか、嬉しいな」

未央「お、プロデューサーかわいい」

P「かわいい言うな。……と言うか、冬って思うとなんだか急に寒くなってきたな」
681 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/12/01(金) 19:08:29.85 ID:+h7s1ZHc0
未央「そだね。……手、つなぐ?」

P「……ん」ギュッ

未央「……プロデューサーの手、あったかいね」

P「未央の手も、な」

未央「ということは……私たち、アツアツ?」

P「それ、違う意味に聞こえるからやめろ」

未央「でも、間違ってはない……でしょ?」

P「……かもな」

未央「……えへへ。プロデューサー、腕も腕も」

P「んっ……当たってるんだが」

未央「それは『あててんのよ』ってやつですよ。未央ちゃんのふにふに……いや、ブラ越しだからそこまでやわらかくはない? どう?」

P「感想を求めるな! ……やわらかいです」

未央「うん、正直者でよろしい。えっちなプロデューサーくん♪」

P「えっち言うな。エロい未央」

未央「エロっ……エロい未央は、ひどくない? どっちの意味にもとれるし……」

P「……どっちの意味でも合ってるだろ?」

未央「合ってませんー! どっちの意味でもエロくなんかありませんー」

P「いや、それはない」

未央「なんで!?」

P「だって……ああ、もう、暑くなってきた。そろそろ離れろ」

未央「ダメですー。でも……プロデューサーって、私のこと、そういう目で見てたんだ」

P「……そういう目だけじゃないぞ? というか、誕生日になんでこんな話をしてるんだよ……」

未央「プロデューサーがエロいとか言ったから?」

P「お前が胸を押し付けたからだろ……」

未央「そうかな? それじゃあとりあえずこれでこの話はおしまい、ってことで」
682 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/12/01(金) 19:09:17.08 ID:+h7s1ZHc0
P「……それでも腕は組んだままなんだな」

未央「あ、おしまいって言ったのに続けてるー。というか、今までにも腕を組むことはいっぱいあったでしょ? 慣れないの?」

P「慣れな……いや、確かに、少しは慣れたかもしれないが、こう改めて考えるとだな……」

未央「そっか。うん、プロデューサーも、そう、だよね」

P「も?」

未央「なんでもありませーん。……プロデューサー、もうちょっと、このまま星を見ていてもいい?」

P「このままって……このままか?」

未央「うん。……ダメ?」

P「……いや、今日は未央の言うことを聞く日、らしいからな。それくらいなら、いくらでも」

未央「……ありがと、プロデューサー」

P「どういたしまして」

未央「……ね、もう一回、誕生日、祝ってくれない?」

P「ん? ……そうだな。誕生日おめでとう、未央。この一年もよろしく」

未央「こちらこそ、この一年もよろしく、プロデューサー。私のこと、もっともーっと輝かせてよね☆」



683 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/12/01(金) 19:16:03.43 ID:+h7s1ZHc0
これにて今回は終了です。
割りと久しぶり? なラーメンです。でも「久しぶり」なんて言葉が出てくる時点でラーメンを何回も書いているということ……これはいったい……?

今年は更新頻度ぜんぜんでしたがこのSSでの未央が受験生だったからー……とかではなく普通にあんまり書けなかっただけです。これからもこれくらいの頻度かもしれませんが、そこそこの頻度で書いていきたいなー……と思います。

本田未央さん、誕生日おめでとうございます。この一年も、あなたが輝く一年でありますように。

ここまで読んで下さってありがとうございました。
684 : ◆Tw7kfjMAJk [saga]:2017/12/01(金) 19:18:52.12 ID:+h7s1ZHc0
あとSSとは関係ないですが今回の未央ヤバいですねマジ美少女マジ美人マジかわいいマジ綺麗すごいヤバい。
総選挙CDもあるし楽しみだし……Tulipも……なんか発表されるまでは「まだかなー」って思ってたんですけど発表されてからがめちゃくちゃはやくかんじる……こころのじゅんびが……。

改めてありがとうございました。
685 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/02(土) 05:32:36.75 ID:NvQLGfCmo

ほんま、貴方の書く未央は可愛い
686 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/31(日) 19:34:20.67 ID:I0Ii3/LJ0
687 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/01(木) 01:03:56.34 ID:52LBsNmp0
保守
688 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/01(木) 23:43:01.08 ID:Kiu9uTRd0
689 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2018/03/06(火) 22:56:46.99 ID:nkn1mx640

――駅

P「未央」

未央「えっ、あ――プロデューサー? 迎えに来てくれた、んだ」

P「ちょうど近くまで来てたからな。それと、お疲れ様。一段落だな」

未央「うん。まだ終わったわけじゃないけど……たぶん、大丈夫。だと、思う」

P「それは良かった。しかし、べつにまだ休みでもよかったんだが」

未央「ううん。私も久しぶりにみんなの顔を見たかったしね。身体もなまっちゃいけないし? しぶりんとかもそうでしょ?」

P「まあ、そうなんだが……凛はもう身体を動かしたくてうずうずしてる、って感じだったからなぁ」

未央「しぶりんが? それは見たかったかも」

P「見るからに『動かしたいー!』って感じだったからな。正直かわいかった」

未央「私は?」

P「かわいいって言われたいのか?」

未央「そうそう。あと、頑張ったご褒美とか欲しいなー、って」

P「……寄り道、するか?」

未央「するするー! いやー、プロデューサーくんは未央ちゃんのことがわかってますなー」

P「そんだけわかりやすいアピールされたらな。で、どこに行く?」

未央「んー……さすがにそこまで時間はかけられないよね。なら、そんなに時間はかからないような……あ」

P「どうした?」

未央「あそこ、行かない?」

P「あそこ? って……ああ。確かに、ちょうどいいか。ご褒美には安いかもしれないが」

未央「そう思うなら、ご褒美は後で追加してくれても構いませんよ? 私としては大歓迎ー」

P「考えとくよ。とりあえず、入ろう」

未央「はーい」
690 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2018/03/06(火) 22:57:15.02 ID:nkn1mx640

――店の中

未央「うーん……どうしよっかなー」

P「俺はここの飲茶とか結構好きなんだよな」

未央「お、そうするの? ドーナツじゃなく?」

P「でも、そんな時間もかけられないって言っててそれはな……」

未央「私はべつにいいよ? そもそも、ここにした時点で時間はあんまりかからない方だと思うし」

P「ただ、ドーナツが食べたいという気持ちもある」

未央「あー……じゃあ、どっちも、とか? 私も飲茶、ちょっと食べたいし」

P「なら、それでいくか」

未央「うん。けってーい。それで、ドーナツはどうするの?」

P「んー……チョコファッションで」

未央「それじゃ、私は……ゴールデンチョコレートで! なんか縁起良さそうだし!」

P「ゴールデンだから? ……飲茶は点心でいいか?」

未央「お、意外なところで来たね。もっとわけやすいので来ると思ってた。いや、三つに最初からわけられてるけど」

P「他のはさすがに重い気がしてな……あと純粋に食べたい気分だったから」

未央「食べたい気分なら仕方ないですなー」

P「うん。仕方ない。ってことで、注文しとくか。未央は席とっといてくれ」

未央「はーい。あ、飲み物はカフェオレでよろしく」

P「はいよ」
691 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2018/03/06(火) 22:59:22.84 ID:nkn1mx640

――

未央「はい、おかえりー」

P「ただいま。って、なんか違わないか?」

未央「違わない違わない。それじゃ、早速ドーナツをいただこっかなー。あ、はんぶんこ、する?」

P「チョコファッション、めちゃくちゃ半分にしにくいんだが」

未央「チョコ部分とチョコじゃない部分で?」

P「それなら簡単だけど嫌だろ……まあ、一回割ってみるか」

未央「うんうん。やってみてやってみて」

P「ん……お、意外といけた」

未央「まあ、半分じゃなくて四等分だけど?」

P「そっちのが簡単だからな。それに、同じことだろ?」

未央「同じことだねー。それじゃ、私のゴールデンなチョコレートを半分差し上げましょー」

P「ありがたき幸せ。って言っても、まずは自分のから食べるんだが」

未央「私もー。いただきまーす」パクッ

P「いただきます」

未央「……うん。やっぱりおいしいね。ドーナツ。この黄色いのがおいしい。この……パフみたいな……なに?」

P「粒?」

未央「そのまんまだね」

P「でも、それ以外どう表現すればいいのかわからないからな。正式名称あるんだろうか」

未央「どうだろ? とにかく、この黄色いカリカリがおいしいんだよね」

P「甘くて楽しい食感だよな」

未央「そうそう。子どもの頃とか大好きだったなー……今でも好きだけど」

P「俺もそうだったな。なんか『ゴールデン』ってのに惹かれた想い出がある」

未央「その気持ちはわからないなー。男の子だからかな? ウチの兄弟もそうだったかも」

P「かもな。それと比べると、チョコファッションとか、オールドファッション系のは『オトナ』って印象があった」

未央「あー、ちょっとわかる。なんか、子どもの頃は手を出しにくかったかも」

P「やわらかくないし、甘そうでもないからな。今となってはどんな見方だよって思うが」

未央「子どもの頃の純粋さを失ってしまった、ってことだね……」

P「純粋さ関係あるか?」

未央「あるある。未央ちゃん調べ」

P「それは説得力あるな」

未央「でしょ? 他にプロデューサーくんは未央ちゃんにメロメロー、なんて調査結果もあったり」

P「はいはい。それで、未央は点心、どれが食べたい?」

未央「スルーされたー。エビでお願いします」

P「ん。じゃあ俺が小籠包もらって……肉まんなら半分に割れるか?」

未央「割れそうだね。不器用なプロデューサーくんには難しいかなー?」

P「……お願いします」

未央「うむ。器用な未央ちゃんが綺麗に割ってあげましょ……あ」

P「……」
692 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2018/03/06(火) 23:01:46.58 ID:nkn1mx640
未央「ま、まあ、口に入れればいっしょ……だし?」

P「さすが器用な未央さま」

未央「むぅ。悪かったってー」

P「って言っても、俺がやったらもっとひどい結果になってたような気もするしな。ありがとう、未央」

未央「……どういたしまして」

P「それじゃあ、もらうな。……うん、やっぱりうまいな。こうやってほんの少し食べるのがいいんだよな」

未央「ちょうどいい量?」

P「食べてる間はもっと欲しくなるんだけど、それがまたちょうどいいんだよな」

未央「もっと食べたーいって思える間に終わるのがいちばん幸せって言うしねー。それじゃ、私もエビのを一口……うん、おいしい。ぷりぷりしてて、やっぱり好き」

P「……なんか、エビ食べたくなってきたな」

未央「食べに行く?」

P「諸々終わってから、予定が合えば。しかし、ピンポイントでエビって言うと……何がある?」

未央「んー……エビフライとか、エビチリとか?」

P「あとは……寿司とかでもあるか」

未央「ん! お寿司! 合格祝いに?」

P「……あんまり高くないところでお願いします」

未央「お、いいの? 言ってみただけだったんだけど」

P「問題、ない……と、思う。たぶん。街場寿司って感じのところなら、まあ……」

未央「回らないお寿司?」

P「とは言っても、回転寿司でもそこそこの値段する店も多いからな。金額的にはそう変わらないかもしれない」

未央「そうなんだ。なんか、回らないお寿司ってもっとお高い印象があったかも。でも、お寿司はもともと庶民のもの……だっけ?」

P「よく言われる話だな。とにかく、未央が金のことを心配する必要はないってことだ。それより心配することもあるだろうからな」

未央「うぐっ……わ、忘れたわけじゃありませんよ? 気が早いかもー、とは思ったけど、今から『合格祝い』って言ってた方が、なんか、気が楽じゃないですか」
693 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2018/03/06(火) 23:03:04.91 ID:nkn1mx640
P「それはそうかもしれないが……まあ、俺もそこまで心配しているわけじゃないけどな。後期の方は前期の合格発表の後、だったか?」

未央「そうだね。たぶん、大丈夫だとは思うんだけど……何が起こるかわからないし、それまでは勉強しとかないとねー」

P「それはまあ、な。……この、発表までの間がいちばんキツいんだよな。合格すればいいとは言ってもまだ試験は残ってる。勉強はしなくちゃいけない。でも、合否がわからない状態だと勉強もなかなか手がつかない。しなくちゃいけないのに集中できない。……俺の時は、そんな感じだったよ」

未央「だからこそ、こうして気分転換に来ているわけですよ。誰かと話してると、安心するから」

P「役に立てているなら光栄です」

未央「うむ。そなたは非常に我が役に立っておるぞよ。……ほんとうに、ありがとね、プロデューサー」

P「まあ、話しているだけなんだけどな。他に何かしてほしいこととかあるか?」

未央「なんでもいいの?」

P「ものによる」

未央「えー」

P「えー、じゃない。……まあ、できることならな」
694 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2018/03/06(火) 23:03:31.28 ID:nkn1mx640
未央「お、それじゃあ……そう言えば、まだ言ってもらってないことがあったね」

P「ん? なんか、あったか?」

未央「ほら。しぶりんの話、してるとき。私に言ってないこと、あったでしょ?」

P「凛の話? ……あー」

未央「わかった? それじゃあ、それを言ってほしいなー?」

P「……改めて言うってなると、なんか、アレだな。恥ずかしい」

未央「でも、できることでしょ? ほらほら。言ってくれたら、私、もっと頑張れると思うんだけどなー」

P「……わかった。言うよ。言いますよ」

未央「うん。言って言って?」

P「……かわいい」

未央「誰が?」

P「……未央が」

未央「じゃあ、続けて言って?」

P「……遊んでるだろ」

未央「もちろん。普段はさらっと言うこともあるのに、改めて言うとなると恥ずかしがってるプロデューサーくん」

P「説明するのやめてくれ」

未央「それで? まだ続けては聞いてないなー」

P「……未央は、かわいいよ」

未央「そう言うプロデューサーも、かわいいよ♪」

P「かわいいはやめてくれ」

未央「じゃあ、かっこいい?」

P「疑問形か」
695 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2018/03/06(火) 23:04:03.61 ID:nkn1mx640
未央「んー……プロデューサーが言われたいって言うなら、言ってもいいけど?」

P「……」

未央「……えへへ。まったくもう、プロデューサーくんは素直じゃないですなー」

P「ノーコメントで」

未央「そっかー。そっかそっか。……ね、プロデューサー」

P「……なんだ?」

未央「……やっぱり、なんでもない」

P「そうか」

未央「うん」

P「それじゃ、そろそろ出るか。近いとは言っても、さすがにな」

未央「だね。事務所まで、手でも繋ぐ?」

P「遠慮しとく」

未央「そっか。……えへへ」

P「……どうして笑ってるのかわからないんだが」

未央「そう? ……ふーん」

P「……なんだよ」

未央「んー? ……なんでもなーい」

P「……そうか」

未央「うん。そうなのです」

P「……帰るか」

未央「うんっ。いっしょに、ね」



696 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2018/03/06(火) 23:08:56.13 ID:nkn1mx640
これにて今回は終了です。
めちゃくちゃ久しぶりです。お久しぶりです。
「験担ぎ的な意味でカツとか……いや、でも、最近インフルエンザ流行ってるしな……それにカツとか重いもの食べさせるのも……あ、言ってる間にもう二月……バレンタインデーとか……いや、まさにって時期に人が多いところに行かせるのはどうなのか……あ、そうだ、それなら今まで書いてこなかったけど設定としてはある去年とか一昨年のバレンタインデーを書けば……あっ、バレンタインデー終わってしまった……それじゃあ……」
みたいな感じで迷いまくって全然書けませんでした。ちょこっと書いた状態で「時期的になー」と思って没になった残骸が結構あったりします。そんな言い訳とは関係なく純粋にめちゃくちゃ遅かったというだけではありますが。……すみません。

ここまで読んで下さってありがとうございました。
697 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2018/03/06(火) 23:16:20.35 ID:nkn1mx640
あとSSとは関係あるかどうか微妙なんですけど今回の店の点心って最近あんまり見なくなったような気がしなくもないんですけど私が行っている店がたまたまそうってだけですかね? うーん……どうなんだろうか。
今回の店は書いたことあると思ってたんですがないっぽいので書きました。めちゃくちゃ頻繁に行っているってほどではないんですが、好きなんですよねー。個人的事務所設定ではなぜかこのお店のドーナツがよく事務所に置かれてあったりするらしいです。どうしてかなー。

改めてありがとうございました。
698 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/08(木) 21:39:00.65 ID:nG3xosW5O
乙です
例の店は最近だと点心置かなくなった店舗が増えた印象ですね
パン系やパスタなんかに力入れてるみたいですし

それにしてもドーナツ回なのにあのアイドルが出てこないのは意外でしたww
699 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/21(水) 12:46:05.81 ID:ZSJxctZ50
来てたー!
待ってたー!
700 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/21(土) 11:10:58.70 ID:dCe0s1yOO
701 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2018/04/22(日) 20:57:28.85 ID:swKObOD40
未央「高校卒業アンド入試合格アンド大学入学祝い!」

凛「お寿司だっけ」

P「だな」

藍子「でも、良かったんですか? 回らないお寿司って、高いんじゃ……」

P「高級店ってわけじゃないから大丈夫だよ。ありがとう、藍子。気遣ってくれて」

未央「……あのー、未央ちゃんの声、聞こえてるかなー」

凛「聞こえてるよ」

P「聞こえてる」

未央「それだったらさっきのに何かしらの反応が欲しかったんですけど! にぎやかし的な!」

藍子「えっと……わ、わー?」

未央「うう……あーちゃん。やっぱりあーちゃんだけが私の味方だよ……」

P「未央まで藍子に気遣わせてるな……」

凛「と言うか、入学祝いだけでいいと思うんだけど。他の、いる?」

未央「いりますとも。その三つが合わさったからこそ、プロデューサーが回らないお寿司屋さんに連れて行ってくれるんだからね」
702 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2018/04/22(日) 20:58:50.29 ID:swKObOD40
P「べつにそういうわけじゃないが……まあ、本当におめでとうな、三人とも。大学はもう始まって少し経つくらいだと思うが、どうだ?」

未央「楽しい!」

藍子「楽しいです」

凛「『こういうのなんだ』って感じかな」

P「んっ……り、凛さん? なんか、二人に比べて答えがずいぶん淡白なんですが」

凛「まだ入ったばっかりだしね。高校の時とは全然違って……自由? と言うか、放任? な感じだけど、それくらいじゃない?」

P「えぇ……いや、まあ、俺もそんな感じだったかもしれないが、もっとこう、他に……ないか?」

未央「んー……なんでも自由にできるぶん、『なんでもできるー!』みたいな感じがある、とか?」

P「お、それそれ。そういうのがやっぱり大学の――」

凛「私たちの場合、自由にできるぶんはだいたいアイドルの時間になるから」

P「……ごめんなさい」

藍子「あはは……まあ、忙しいことはいいことですから。いつもありがとうございます、プロデューサーさん」

P「あ、藍子……よーし! これからもばんばん仕事とって来てやるからな!」

藍子「はいっ」

P「凛も! 大学生活、充実させてやるからな! 覚悟しとけ!」

凛「うん。期待してるよ」
703 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2018/04/22(日) 20:59:51.00 ID:swKObOD40
P「……それで、実際のところ、大学はどうなんだ?」

凛「まだ気にしてたの?」

P「そりゃ、まあ……気になるよ」

凛「……悪くないよ。未央や藍子ほどかはわからないけど、楽しんでる、と思う」

P「そうか。……良かったよ」

凛「……ふふっ」

P「なんで笑う?」

凛「いや……プロデューサーは、私のお父さんなの? と思って」

P「……そんな感じのこと言ってたか?」

凛「うん。言ってた」

P「そうか……まあ、凛のことを大切に思っている、ってことで」

凛「ふふっ。じゃあ、そうしとく」

未央「……お二人さん、私たちのことを忘れてはいませんかね?」

凛「忘れてないよ。ね、プロデューサー」

P「忘れてない忘れてない」

藍子「じゃあ、私たちは?」

P「……私たちは?」

未央「私たちのことは、どう思っているのかってことですよ。ね、あーちゃん」

藍子「そういうことです」

P「そりゃ、大切に思ってるよ。当然だろ?」

未央「本当に?」

藍子「凛ちゃんと同じくらい?」

P「藍子にそうやって詰められるの、なんか、変な感じなんだが……もちろん、二人とも、凛と同じくらい大切に思ってるよ」

未央「ふむふむ……それならよろしい」

藍子「いえ、よろしくありません。未央ちゃんと私たちじゃ、大切の種類が少し違うんじゃないですか?」

P「んっ!?」

未央「ちょ、あーちゃん!?」
704 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2018/04/22(日) 21:00:45.49 ID:swKObOD40
凛「あ、それは私も気になるかも。どうなの? プロデューサー」

P「……凛、お前、いやらしい微笑み方覚えやがって」

凛「レッスンの成果じゃないかな」

藍子「それで、どうなんですか? プロデューサーさん、未央ちゃん。未央ちゃんが大学生になって、お二人の関係に進展はあったんですか?」

P「藍子も記者みたいな聞き方するな?」

藍子「レッスンの成果です」

P「くっ……こいつら、アイドルから色んなものを得てやがる……! それも、余計なものを……! ……と言うか、未央! こういう時は未央が助けてくれる流れじゃないのか!?」

未央「えーっと……私も、その件については詳しく聞きたいなー、って」

P「ちょっ……お前、また、かわいいこと言いやがって! でも今は助けてほしいんだが!」

凛「かわいいだって」ヒソヒソ

藍子「これはスクープが期待できますね」ヒソヒソ

P「聞こえるようにひそひそ話するな! 何もないからな? 本当に」

未央「……何も、ないの?」

P「あっ……いや、今のは、だな」

凛「これ、修羅場じゃない?」ヒソヒソ

藍子「修羅場ですね」ヒソヒソ

P「そこの二人、聞こえてるからな……! あと、未央。お前もわかってるだろ? さっきのは、そういう意味じゃなくてだな……」

未央「……じゃあ、どういう意味?」

P「それ、は……」

未央「……んふっ。あ、ごめ、でも、もう無理……あははっ」

P「は? ……あー」

凛「どうしたの? プロデューサー。そんな溜息ついて」

藍子「ふふっ、あ、すみません。……ふふっ」

P「……凛も藍子も、あんまりこういうことしない方だと思ってたんだが」

藍子「やってるうちに乗ってきちゃって」

凛「何のこと?」

P「凛は共犯者が自白してるのによくのうのうとそう言えるな?」

凛「私は関係ないから」

P「ノリノリだったやつの台詞じゃないんだが」

未央「まあまあ。それくらいにして、そろそろ行かない? 私、お腹空いてきちゃったなー?」

P「ん、そうか。そうだな。そろそろ行くか」

未央「それでは、回らないお寿司に……レッツ、ゴー!」

藍子「おー♪」

凛「おー」

P「……そんな高いところじゃないからな? マジで」
705 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2018/04/22(日) 21:01:25.43 ID:swKObOD40

――店の前

未央「ほうほう……確かに、お寿司屋さん! って感じのお店だね」

凛「プロデューサーが言ってた通り、そんなに高級店って感じじゃなくて、街のお寿司屋さん……みたいな感じだね」

藍子「念のためにお金を用意しておいたんですけど……余計な心配だったみたいですね」

P「……藍子。心配してくれるのは嬉しいんだが、べつに高級店でも無理したら払えるからな? ちゃんと給料もらってるからな?」

藍子「ですよね。失礼なことだとはわかっていたんですけど……回らないお寿司って聞くと、なんだか必要以上に身構えちゃって」

P「その気持ちはわからないでもないが……大学生になったとは言っても、それでいきなり大人になるわけじゃない。気楽に構えて任せてくれ」

藍子「……はいっ」

P「それで、だ。……そこの二人は、何をそわそわしているんだ?」

未央「っ……と、ですね。べつに、なんでもない、デスヨ?」

凛「私は本当になんでもないよ。いっしょにしないで」

P「……未央?」

未央「……実は、私も結構お金を持ってきておりました」

P「……そうか」

未央「プロデューサーを信用してなかったわけじゃないんだよ? でも……万が一があったらことだな、と思いまして」

P「……そうか」

未央「……あの、プロデューサー?」

P「……俺、もうちょっと身なりとかに気を遣った方がいいのかな」

未央「わー! ごめん! ごめんって! 私たちが心配し過ぎただけだからー!」

藍子「そ、そうですよっ。大丈夫ですから。ね?」

凛「……お店の前で騒いでないで、もう入らない?」

P「はい」

未央「ごめんなさい」

藍子「えっと……じゃ、じゃあ、入りましょう」
706 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2018/04/22(日) 21:02:34.17 ID:swKObOD40

――店の中

未央「ん、中は思ったよりも広い……かも?」

凛「カウンターだけじゃなくてテーブル席もあるんだね。思ってたよりも気楽そう」

藍子「内装も完全に和風、というわけではないんですね。雰囲気はちゃんとありますけど、そこまでぴりっとしていない、というか」

P「そんなもんだよ。まあ、俺も色んなところに行っているわけじゃないからわからないんだが」

未央「この店にはよく来るの?」

P「ちょくちょくな。月に一回来るかどうか……いや、何ヶ月かに一回くらいか」

凛「いつもは誰と来てるの?」

P「何人かで来る時もあるけど、結構ひとりでも来るからな?」

藍子「お寿司屋さん……ということは、どちらかと言うと日本酒が好きな人ですか?」

P「いや、鮨も最近は結構ワインとのマリアージュに凝ってるところもある……が、ここは確かに日本酒だな」

未央「へー……お寿司と言えば日本酒ってイメージがあったけど、それだけじゃないんだね」

凛「どっちにしても、私たちはまだ飲めないけどね」

P「まあ、それはまた飲めるようになった時にな。ただ、本当に飲み過ぎないように。この三人だと……たぶん、大丈夫だと思うが」

未央「意外とあーちゃんがすごい酒豪だったりして」

藍子「えっ」

凛「ちょっとわかるかも。飲むペースはゆっくりだけど、ずっと飲み続けている藍子。想像できるから」

藍子「わ、私、そんなイメージありますか?」

P「なくはないな。逆に、めちゃくちゃ弱かったりするかもしれないが」

未央「お酒に弱いあーちゃん……それはそれで、想像するだけでかわいいですなー」

凛「藍子はどういう酔い方するんだろうね。意外と、悪酔いするタイプだったりして」

未央「ちょっと子どもっぽくなんてなられたらもうイチコロだね。かわいすぎて心配」

P「その場合は禁酒だな。藍子には悪いが、大事なアイドルだからな。信用できる誰かがいない限りは禁酒だ、禁酒」

藍子「……まだお酒を飲める年齢になってもいないのに、禁酒令まで出されちゃうんですか」

未央「あはは。でもまあ、あーちゃんはゆるふわだけどしっかりしてるし、大丈夫だと思うけどね」

P「誰でもダメになる可能性があるから酒はこわいんだけどな……」

凛「実感こもってるね」

未央「とにかく、酒は飲んでも飲まれるな、ってことですよ。そもそも今日誰もお酒飲まないのに、どうしてお酒の話に……」

P「さて、じゃあ何を注文しようか。俺はいつもおまかせでいくつか握ってもらってからお好みで……って感じなんだが、どうする?」

凛「話の変え方、ちょっと強引過ぎない? 私はそれでいいよ」

藍子「私もです」

未央「私も」

P「それじゃ、それで頼むか。すみません」
707 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2018/04/22(日) 21:03:24.10 ID:swKObOD40

――

未央「お、これは突き出しってやつですね?」

P「そうだな。イカの湯通し、か」

凛「シンプルだね」

P「この感じがいいんだよ。ぐにぐに噛んで酒を飲んで寿司を待つ……って、酒は飲まないんだが」

藍子「……飲みます?」

P「飲まない」

未央「とりあえず、一口もらうね。……ん、おいしい。そこまでかたいわけじゃなくて、でも、しっかりと弾力はあって……確かに『いい感じ』だね」

凛「ん……うん。そうだね。おいしい。こういうの、私は好きだな」

藍子「確かに、凛ちゃんはシンプルなものが好きそうなイメージがありますね」

未央「あ、わかる。しぶりんはそういうの好きそう。まっすぐだし」

凛「まっすぐだし、って……どういう意味?」

未央「なんか……寄り道せずに、まっすぐに、と言うか……無駄がない感じ?」

藍子「洗練されたイメージですかね」

未央「あ、それそれ。洗練された感じ」

凛「……よくわからないんだけど」

P「なんてそっけなく言いながらも、内心くすぐったい気持ちになっている凛ちゃんなのでした」

凛「いちばん高いのばっかり頼んでもいい?」

P「ごめんなさい調子に乗りましたさすがに勘弁して下さい」

未央「……プロデューサー、たまにそんな感じになるよね」

藍子「プロデューサーさんですから」

P「……藍子? それ、俺、褒められてる? それとも貶されてる?」
708 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2018/04/22(日) 21:04:37.89 ID:swKObOD40
凛「ん、次の、来たね。……鰹?」

未央「ほうほう……これは、おいしそうだね」

P「ああ。大ぶりで、軽く炙られていて……絶対うまいな」

藍子「それじゃあ、もらいますね。……わ」

未央「……おお。これは、すごいね」

凛「香ばしさもあって、脂の甘みもあって……でもそれ以上に旨味があるね」

P「めちゃくちゃうまいな……めちゃくちゃうまい」

未央「プロデューサー、語彙力語彙力」

P「いや、だって、もう……めちゃくちゃうまい」

未央「わかるけど」

藍子「プロデューサーさんがそうなるんですね……」

P「俺は食レポの仕事とかしないからな」

凛「それ、関係ある? と言うか、プロデューサーなら私たちにアドバイスできるくらいの方がいいんじゃないの?」

P「アドバイスができるかと自分ができるかはまた別だから問題ない」

未央「それではプロデューサー、さっきの私たちの得点は?」

P「いい感じだったんじゃないか? 素の反応って感じで」

凛「素だし」

藍子「素ですからね」

未央「ふむふむ……つまり、ありのままの私たちを大事にしろ、ってことだね!」

P「なんかいい感じにまとめてくれたな」

凛「それで、実際はどうなの? プロデューサー」

藍子「そういうことなんですか?」

P「そりゃ大事にはした方がいいんじゃないか? どっちがどっちかわからなくなったら困るからな。考え過ぎても良くないとは思うが」

未央「……プロデューサー、やっぱり色々考えてくれてるんだね」

P「プロデューサーだからな。それなりには考えてるよ」

凛「身なりについても?」

P「……やっぱりそんなにダメか?」

未央「ちょ、しぶりん、ここで掘り返す? またプロデューサー面倒くさい状態に入っちゃうじゃん」

709 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2018/04/22(日) 21:05:04.78 ID:swKObOD40
P「面倒くさい……身なりもしっかりしてなくてさらに面倒くさくてごめんな……」

藍子「お酒、飲んでませんよね?」

凛「本当に面倒くさいね」

未央「大丈夫だよ、プロデューサー。プロデューサーはかっこいい……プロデューサーはかっこいい……面倒くさいところもかわいい……面倒くさいところもかわいい……」

凛「催眠術?」

未央「むむむむ……むーんっ!」

藍子「超能力ですか?」

P「ハッ! ……お、俺は、かっこいい……そして、かわいい!」

凛「効いてるし」

未央「そう、そうだよ、プロデューサー……プロデューサーはかっこいい……そしてかわいい……」

藍子「これ、まだ続けるんですか……?」

P「かっこいい……そして、かわいい……そうか! 俺が……俺こそが、アイドル!」

凛「違うよ」

藍子「違います」

未央「ごめん、それは違うよ」

P「未央、ここで梯子を外すのはさすがにひどい」
710 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2018/04/22(日) 21:05:43.88 ID:swKObOD40
未央「とかなんとかやってる間に、握りの時間だよ。まずは……イカ!」

藍子「突き出しでも出ましたけど、やっぱり全然違いますね」

凛「じゃあ、早速……ん。これ……すごくおいしい」

P「身は包丁が入れられてやわらかく、すっきりとした強い甘みが噛むごとに広がる。そんでまた、酢飯がうまいんだよな。うまいイカと喧嘩もせず、しっかりうまい」

未央「歯切れも良いね。でも同時に、ふわっと口の中で解けるみたいな感じもする。……うん、すごくおいしい」

藍子「次は……カスゴ? って」

P「春の子と書いてカスゴだな。鯛の幼魚だ」

未央「ほうほう、鯛の……ん! んんー! おいしい!」

藍子「やわらかくて……でも、旨味も強くて。それが口の中で酢飯と混ざって……おいしいです」

凛「次は鯖だね。……うん、おいしい。脂が舌の上を流れるみたいに溶けていくね」

未央「それから、しっかりとした旨味もあって……おいしいなぁ」

P「で、ヅケ。……ああ、うまいな。ちょうど良い。程よい酸味がまた良いな」

藍子「イクラ……おいしいです。イクラそのものの味、という感じで、どこかすっきりとした味わいで、とっても、おいしい」

凛「蛤、か……おいしいね。やわらかい。甘くてコクのある煮詰めと蛤の風味、そこに酢飯が絡み合って……うん、すごくおいしい」

未央「そして、海老! ……んー! めちゃくちゃおいしい! と言うか、甘いね! 肉厚で、何と言うか……幸せが凝縮されているみたい」

P「それから穴子。……溶けていく。ふわふわとして柔らかく、香り良く、酢飯と絡まり合って、口の中で解けて溶ける。……最高だな」

未央「……おまかせはこれで終わり?」

P「ああ。お好みでも食べたいと思ったんだが……どうする? まだ食べるか?」

未央「食べたい」

藍子「プロデューサーさんがよければ」

凛「私も」

P「よし。それじゃ、俺は小柱と平目と海胆と鰯と――」

未央「いきなり多い」

藍子「そんなに食べたいものがあったんですか……」

凛「……まだ食べてないのを目の前で食べられたら、食べたくなりそうだね」

未央「あ」

藍子「……プロデューサーさん、できればそんなには注文しないで下さいね」
711 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2018/04/22(日) 21:06:48.99 ID:swKObOD40

――店の外

P「ふぅ……最高だった」

凛「それは否定しないけど」

藍子「……お腹、いっぱいですね」

P「俺に合わせなくても良かったのに」

未央「あんなおいしそうな顔して目の前で食べられて我慢できるわけないじゃん」

P「はっはっは。でも動けないってほどじゃないだろ? 俺もめちゃくちゃ満腹ってほどは食べてないし……そうじゃなくても、めちゃくちゃ満足感あるからな……」

未央「動けないほどじゃなくても、お腹いっぱいはお腹いっぱいなんだよ?」

藍子「でも、本当においしかったです……ありがとうございます、プロデューサーさん」

凛「うん。本当においしかった。ありがとう、プロデューサー」

未央「あ、その点は私も同じ。プロデューサー、ありがとね☆」

P「ふっ……お前らのその顔こそ、俺にとっては最高のお返しだよ」

凛「その台詞は気持ち悪いけど」

P「ひどいな?」

藍子「そう言えば、未央ちゃんは大学に入ってからはこっちに来たんだっけ」

未央「そうだね。だから、高校の時より帰るのが遅くなっても大丈夫なのです」

凛「らしいけど、プロデューサー?」

P「ダメです」

未央「えー」

P「いや、確かに高校の時よりは余裕あるだろうけどな? それはそれとして、だな。送迎が必要なら呼べよ?」

未央「そこまで心配しなくても大丈夫だと思うけど……」

凛「プロデューサーの方が危険って?」

P「なんでそうなる」

藍子「まったく危険はないんですか?」

未央「それがね……ないんだよね……」

P「いや、当然だろ……むしろ手を出したらダメだろ」

凛「それはそうだろうけど……ね」

藍子「まったく手を出されないのも複雑ですよね」

P「待て待て待て。なんで責められてるんだ? 俺。褒めてほしいくらいなんだが」

未央「乙女心は繊細で複雑ってことなのです」

P「自分で言うか?」

未央「言っちゃう。未央ちゃんですから」
712 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2018/04/22(日) 21:07:39.06 ID:swKObOD40
P「……とにかく、帰るか。せっかく入ったのにこんな時期から……ってのはな」

藍子「こんな時期から……って、こんな時期じゃなければ、プロデューサーさんはどうだったんですか?」

P「……反面教師としては優秀な人材だったかな」

凛「そうなんだ。意外かも。あんまり遊び歩くようなイメージなかったけど」

P「……うん、まあ、遊び歩きはしなかったんだけどな……うん……遊び歩かなくても、ダメ人間は生まれてしまうって言うか、な……」

未央「……この話題、触れない方がいい?」

P「はい」

未央「……よ、よし! あーちゃん! ほら、月が綺麗だよ! 東京でも月ってこんなに綺麗に見えるんだね!」

藍子「そ、そうですねっ。月はどこでもこんな感じだと思いますけど、綺麗ですっ」

P「……ふっ、心遣いが苦しいぜ」

凛「下手な誤魔化しが、じゃなくて?」

P「……今の流れは、凛も二人に付き合う流れじゃないのか?」

凛「決まっているわけじゃないでしょ?」

P「まあ、そうだが……なんだか、今日の凛はぐいぐい来るな」

凛「私らしくない?」

P「……そうだな。決めつけるのもおかしい話だが」

凛「大丈夫。私もそう思ってるから」

P「そうか」

凛「うん」
713 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2018/04/22(日) 21:08:24.40 ID:swKObOD40
P「……それで、凛は何を言いたいんだ?」

凛「べつに。ただ、無責任で……自分でも、言うべきじゃないと思うこと」

P「……そうか」

凛「私には、あんまりわからないけどさ。……わからないなら言うなって話だけど、それでも、わかることはある。プロデューサーが教えてくれたことが」

P「俺が? ……思い当たるものがないな」

凛「アイドルのことも?」

P「……それなら、確かにな」

凛「うん。……アイドルは、アイドルだよ。私も、藍子も……未央も。アイドルだけど、それはイコールで結ばれない。でしょ?」

P「凛の場合は、ほとんど結ばれているような気もするけどな」

凛「店の中で話してたことは? ……って言いたいところだけど、あんまり否定できないかな」

P「だろ?」

凛「でも、今は私の話じゃないから」

P「……だな」

凛「……関係ないのに、どうしてここまで口出ししてるんだろうね」

P「関係なくはないから、じゃないか」

凛「そうかな」

P「ああ」

凛「そっか。……ううん。でも、やっぱり私は関係ないよ。余計なことを言い過ぎたかも」

P「いや……ありがとう」

凛「……お礼を言われるようなことかな」

P「そんな気持ちになったんだよ。受け取ってくれ」

凛「……ん。どういたしまして」
714 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2018/04/22(日) 21:09:12.54 ID:swKObOD40
P「……さて。いつまでも二人で話してないで、さっさと二人に追いつくか。さすがに二人だけにはしてられないからな」

凛「そうだね。でも、最後にひとつだけ」

P「ん?」

凛「未央ももう大学生になったんだし、好きにすれば?」

P「……」

凛「余計なお世話だと思うけど、これだけは言っておきたかったから」

P「いや……うん。肝に、銘じとく。……ありがとう、凛」

凛「……ん」





凛「……あと」

P「あと?」

凛「さらに余計なことを言ってもいいなら『傍から見るとずっといちゃいちゃしてるようにしか見えないんだから今更何をうじうじやっているのか理解できない』とかもあるけど」

P「いやあのそれはやめて下さい正直仰る通りだと思うところもありますけど!」




715 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2018/04/22(日) 21:21:11.53 ID:swKObOD40
これにて今回は終了です。
今回は前回からの流れってことでお寿司でした。お寿司はおいしいですね。おいしいです。お高いお寿司食べたいです。今回のはそんなにお高くない設定ですが、実際のところおいくらだったんでしょうか。東京のお寿司食べたいです。
もうちょっと同じ年齢の子を出すかどうかも迷ったんですがやめておきました。みくとか、さすがに……ですからね。

藍子→プロデューサーの呼び方は確か以前書いた時は「Pさん」でしたが、今回は「プロデューサーさん」でした。表記に一貫性がなくてすみません。個人的なあれやこれやです。

このSSでの未央ももう大学生ですね。大学生になって何かあるんでしょうか。今回の最後はプロデューサーさんが凛に色々と言われておりましたがどうなんでしょうか。正直今までも十分いちゃいちゃしとったがなみたいな思いもあるのですがどうなるのでしょうか。

ここまで読んで下さってありがとうございました。
716 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2018/04/22(日) 21:24:02.43 ID:swKObOD40
あとSSとは関係ないですが総選挙ですね。明日の中間発表、ドキドキです。
総選挙中はめちゃくちゃ更新したろ! ……みたいに思っていたのですが今日になるまで書けませんでした。次は……わかりません。

改めてありがとうございました。
717 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/25(水) 10:52:54.54 ID:T7fq628w0
おつおつ
718 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/25(金) 19:47:02.76 ID:OJ0zxfg70
719 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/25(月) 18:34:04.46 ID:EeX4lsZ+O
720 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2018/07/12(木) 20:08:43.13 ID:XAvnLSvU0
P「寮での生活はどうだ?」

未央「問題ないよ。前からちょくちょく泊まったりもしてたしねー」

P「さびしかったりはしないか?」

未央「さびしくは……ないかな。みんなもいるし、そんなには、ね。私ももうちょっとさびしくなるものだとは思ってたんだけど……いつでも会いに行けるからかな?」

P「どうだろうな。今の時代、いつでも会いに行けないところのほうが少なそうだが。いつでも会いに行けるからこそ、なかなか会いに行かなかったりもするからな」

未央「それ、プロデューサーの話?」

P「でもある」

未央「そっか。……プロデューサーは、ひとり暮らしを始めてすぐの頃は、どうだった? さびしかったり、しなかった?」

P「そうだな……一日目は、さびしさを感じたような気もする。一日目の、夜だったかな。二日目からはそんなこともなかったんだが……一日目は、さびしかったな」

未央「ふーん……そうなんだ」

P「そうだよ。ひとりがさびしいなんて格好悪いか?」

未央「ううん。そんなことないよ。だって、ひとりってさびしいもん」

P「……そうだな。ひとりは、さびしいか」

未央「今は、本当にさびしくない?」

P「さびしくないよ。未央もいるし、それでさびしいなんて言ったら贅沢だろ?」
721 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2018/07/12(木) 20:10:10.57 ID:XAvnLSvU0
未央「そっか。さびしいって言ってくれたら、夜も未央ちゃんがいっしょにいてあげたのになー?」

P「……大学生になってそういうこと言われると、余計に困るな」

未央「でしょ? ふふん」

P「わかってやってるのかよ」

未央「もちろん。好きな人を困らせたいのが乙女心というやつなのです」

P「好きな子に意地悪する小学生の男の子じゃなくてか?」

未央「む。そう言われると……確かに、ちょっと似てるかも? やめたほうがいい?」

P「やめられたらやめられたで調子が狂いそうだからそのままでいい。嫌ってわけでもないしな」

未央「小悪魔な未央ちゃんもかわいいってことかな?」

P「……どうだろうな」

未央「素直じゃないんだからー」

P「うるさい。……ごはんとかは、どうしてる? 寮でも出るだろうが、自分でつくったりはしてるか?」

未央「まあ、ぼちぼち? プロデューサーはどう?」

P「俺か? 俺は……学生の頃なら、つくったりもしてたか。何もやってなかったからな。時間が余りに余った結果、料理をすることもあった」

未央「へぇ……凝ったものとか、つくったの?」

P「そういう気分のときは、な。もう全然覚えてないが……カレーとかは、今でもつくるか」
722 : ◆Tw7kfjMAJk [sage saga]:2018/07/12(木) 20:10:57.65 ID:XAvnLSvU0
未央「ほう、カレー。未央ちゃんの得意料理でもありますね?」

P「あー……未央の、うまかったなぁ。また食べたい」

未央「……そういうこと言われると、うれしいね。もっと言ってね? いつでもつくってあげるから」

P「それじゃあ、おにぎりとかもまた食べたい」

未央「お、いきなり言うね? 実は前から思ってた?」

P「たまにな。手料理が食べたいような気分のときは、未央のを思い出してたな」

未央「……そう、です、かー。……か、カレー!」

P「カレー?」

未央「そう! カレーの話してたら、食べたくなってきちゃった! どこか、行かない?」

P「ん、まあ、べつにいいが……そうだな、カレーか。なら、ちょうど行きたいところがあってな」

未央「行きたいところ? また、誰かに教えてもらったの? それとも、有名なところとか?」

P「有名なところだな。というか、チェーン店だしな。俺はあまり行ったことないんだが……未央はどうだろうな」

未央「カレーでチェーン店……この時点で、結構しぼられるね」

P「だろうな。それでいいか?」

未央「うん。考えている中のどこでもいいし……もし考えているのじゃなかったとしたら、それはそれで気になるし?」

P「じゃあ決定だな。えーっと、確か、ここらへんだと……」
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