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八幡「俺ガイルのキャラをシャッフルする」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/24(木) 20:36:20.62 ID:DL4p+hVr0
俺ガイルのキャラの性別・
口調・性格以外のステータスをすべてシャッフルします

シャッフル方法はツールを使います
誰が誰と入れ替わるのかを決め、投下してからssを書き始めます

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1450956980
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=^・ω・^= ぬこ神社 Part125《ぬこみくじ・猫育成ゲーム》 @ 2024/03/29(金) 17:12:24.43 ID:jZB3xFnv0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1711699942/

VIPでTW ★5 @ 2024/03/29(金) 09:54:48.69 ID:aP+hFwQR0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1711673687/

小テスト @ 2024/03/28(木) 19:48:27.38 ID:ptMrOEVy0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/zikken/1711622906/

満身創痍 @ 2024/03/28(木) 18:15:37.00 ID:YDfjckg/o
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1711617334/

【GANTZ】俺「安価で星人達と戦う」part8 @ 2024/03/28(木) 10:54:28.17 ID:l/9ZW4Ws0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1711590867/

旅にでんちう @ 2024/03/27(水) 09:07:07.22 ID:y4bABGEzO
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1711498027/

にゃんにゃん @ 2024/03/26(火) 22:26:18.81 ID:AZ8P+2+I0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/gomi/1711459578/

にゃんにゃん @ 2024/03/26(火) 22:26:02.91 ID:AZ8P+2+I0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/gomi/1711459562/

2 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/24(木) 20:55:24.66 ID:+xQ+woD30
雪ノ下 34→戸塚
由比ヶ浜 16→葉山
戸塚 56→玉縄
一色 46→一色
材木座 33→るみるみ
小町 27→川崎
はるのん 25→三浦
めぐりん 32→海老名
川崎 42→折本
葉山 49→雪ノ下
三浦 38→材木座
海老名 36→めぐりん
戸部 22→平塚
玉縄 47→小町
折本 35→はるのん
大志 15→戸部
平塚 29→由比ヶ浜
相模 14→大志
るみるみ 45→相模

こんな感じになりました
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/24(木) 20:56:55.53 ID:v2RtQm9PO
いろはすだけいろはすだったwww
4 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/24(木) 21:06:03.85 ID:+xQ+woD30
由比ヶ浜「…………ヒッキーくん、私が授業で出した課題ってなんだったっけ?」

八幡「…………はぁ、『高校生活を振り返って』というテーマの作文でしたが。あとヒッキーっていうのやめてください」

由比ヶ浜「それでなんで君は犯行声明を書き上げているのかな……。テロリストなの?それともバカなの?」

八幡「先生にバカと言われる日が来るとは思いませんでした」

由比ヶ浜「ば、馬鹿じゃないし……。というより!なんなのこの作文!?やる気あるの!?それともこんなのが認められると思ったの!?」

八幡「いや……認めるも認めないも、俺が作文に何を書こうがそれは言論の自由として認められるべきものであるといいますかね…」

由比ヶ浜「げんろんのじゆー……んんっ
、まぁ、確かに、そうだろうけどさ…」

八幡(この人がなぜ教師になれたのか、未だに謎である)

由比ヶ浜「それでもこの作文は酷いよ!?ぜーったいあたしのこと舐めてるでしょ!先生だって怒るんだよ!?」

八幡「いや、別に舐めて書いたわけじゃなく、ただリアルが充実しているやつらへのあてつけといいますか……」

由比ヶ浜「やっぱ真剣に書いてないじゃん!」

八幡「あっ………チッ」

由比ヶ浜「今舌打ちした!あたしなら騙せるとでも思ったんでしょ!やっぱり舐められてるし!」
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/24(木) 21:10:16.97 ID:ry8h2tZGO
奉仕部がホモ空間不可避
6 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/24(木) 21:11:08.85 ID:+xQ+woD30
八幡「お、落ち着いてください由比ヶ浜先生!怒るとシワが増えますよ?」

由比ヶ浜「えっ、嘘………ってちがあああああう!」

由比ヶ浜「もう怒ったよ!ヒッキー君!」

八幡「俺何かしましたかね……あとヒッキー君やめてください」

由比ヶ浜「君には、あたしを怒らせた罰として、奉仕活動を命じます!」

八幡「いや待てその理屈はおかしい」

由比ヶ浜「いやっ!もう決めたから!拒否権はないよ!逆らったら内申全部0だからね!」

八幡「アンタそれでも教師か!?」

由比ヶ浜「いいから、付いてきて。行くよ、部室に」

八幡「ちょっ、引っ張らないで……だめ、そこは……あぁぁぁぁっ!」
7 : ◆GHEd/X9.3I [saga]:2015/12/24(木) 21:14:00.94 ID:+xQ+woD30
由比ヶ浜「ほら、着いたよ」

八幡「いてて……ここは?」

由比ヶ浜「今日から君が通う、部室!」

八幡「部室って……俺なんかクラブに入れられるんですか?」

由比ヶ浜「奉仕活動の一貫としてね」

八幡「……先生、俺部活に入ると死んじゃう病が」

由比ヶ浜「しょうもないこといってないで、ほら入る入る!」

八幡「いだだだだっ!?やっぱこれじゃ無理か……!」

ガラガラッ

由比ヶ浜「やっはろー!」
8 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/24(木) 21:21:45.48 ID:+xQ+woD30
八幡(………………………………)

八幡(その教室に特に変わったところはない)

八幡(倉庫として使われていたのだろうか、端っこに机と椅子が積み上げられている。特殊な内装があるわけでもなく、ただそれだけの、簡素な教室)

八幡(けれど、そこがあまりにも異質に感じられたのは、一人の少女がそこにいたからだろう)

八幡(透き通るような白い肌。長いまつ毛に隠れる物憂げな瞳)

八幡(………不覚にも見蕩れてしまっていた)


戸塚「……あ、由比ヶ浜先生。やっはろー!どうしたんですか?」

由比ヶ浜「今日は新入部員を連れてきたよ!さ、ヒッキー君、挨拶して!」

八幡「……あ、あぁ!に、2年F組の、比企谷八幡です!よろしくお願いします!」


八幡(ただ最も異質に感じられたのは…)

八幡(その少女が、男子用の制服を着ていたことだ)
9 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/24(木) 21:25:55.92 ID:+xQ+woD30
戸塚「初めまして。国際教養科の、戸塚彩加です。よろしくね、比企谷くん」

八幡「国際教養科……」

八幡(あのお嬢様クラスか……)

八幡(だったら、やっぱりこの子は女の子なんじゃないだろうか)

八幡(人の趣味だっていろいろあるだろう。男装好きな女の子がいても不思議じゃない)

八幡「……えっと、戸塚、さん?」

戸塚「えっ」

八幡「……えっ」

由比ヶ浜「……比企谷くん、さいちゃんは、男の子だよ………」

八幡「は、はぁぁぁぁ!?」

戸塚「いや、僕、男子用の制服を着てるんだけどな……」
10 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/24(木) 21:30:26.89 ID:+xQ+woD30
×比企谷くん→〇ヒッキーくん

八幡(まじでこんな男子が存在したのか……架空の生き物だと思ってた)

八幡「あ、スマン!ほら、国際教養科って女子多いだろ、それで勘違いしちまった……」

戸塚「いや気にしてないよ、大丈夫。慣れっこだしね」

八幡「だよなぁ……」

由比ヶ浜「うんうん、じゃ、自己紹介も済んだところで、頑張ってね〜」

八幡「えっ、ちょっ!!」

八幡(男の子とはいえこんな可愛い子と2人きりとかやばいって!)

ピシャリ

八幡「………行っちゃった」

戸塚「あ、あはは。相変わらずだなぁ由比ヶ浜先生は…」

八幡「……で、結局ここって何をする部活なんだ」

戸塚「あれ?由比ヶ浜先生から聞いてない?」

八幡「いや、奉仕活動をする部活としか聞いてないな」
11 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/24(木) 21:36:28.39 ID:+xQ+woD30
戸塚「あぁ、それで説明はほぼ終わりみたいなものだよ」

八幡「そうなのか?」

戸塚「うん。ここはね……『奉仕部』。学校内でのトラブルとか、お悩み事とかを解決する部活なんだ」

八幡「……要は便利屋みたいなものか」

戸塚「あはっ、そういっちゃえば、そうかも。と言っても、依頼なんて全然来ないんだけどね」

八幡(だよなぁ)

八幡(悩み事やトラブルが起きるのなんてだいたいがリア充グループの揉め事だ)

八幡(奴らは自分たちのまとまりをより強固なものにするため、外部からの干渉を極端に嫌う)

八幡(だから揉め事は内部で処理するか、初めから揉めないように、『忍耐』を仲間に強要するか、どちらかで解決してしまう)

八幡(こんなところまで足を運ぶ人間なんて、ごくわずかだろう)
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/24(木) 21:36:42.80 ID:LgllH6HP0
平塚先生がガハマポジとか大勝利じゃんと思ったら戸部ポジションだった何を言っているのかわからねーと思うがおれも何をされたのかわからなかった
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/24(木) 21:43:04.74 ID:siUiGbnBO
>>12
おう、
本当に何言ってるか分からないから日本語勉強しろよ
14 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/24(木) 21:43:19.91 ID:+xQ+woD30
戸塚「でも、それでもいいんだ」

戸塚「どこにも相談できなくて、1人で思い悩んでる人たちの救いの手になればいい」

戸塚「そんな考えで、この部を作ったんだもん」

八幡(………なんだこの聖人は)

八幡(眩しすぎるぜ、太陽)

八幡(そんな考えを口だけじゃなく行動で示せるほどの人間を俺は初めて見た)

八幡「……すごいな、戸塚は」

戸塚「ぼ、ぼくなんて全然すごくないよ……」

戸塚「ぼくより、もっとすごい人だっているんだしさ……」

八幡「へぇ、それはすごいな」

戸塚「うん、その人に近付くために、もっともっと頑張るんだ!」

八幡「………やっぱりすごいよ、戸塚は」

八幡(そこまでひたむきに前に走れる人間はそうそういない)

八幡(憧れを持つのは夢への第一歩というが、憧れを持つことで自分を見失ってしまう人の方が多いだろう)

八幡(この間読んだラノベのヒロインのように、な)

八幡(そうやって憧れに向かって突き進める戸塚は、とても強いと俺は思う)

八幡(…………その姿勢は、とても憧れる)
15 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/24(木) 21:45:21.47 ID:+xQ+woD30
コンコン

八幡「!?」

葉山「いいかな?」ニコッ

八幡(……依頼なんて来るんだ)

戸塚「もちろんだよ、どうぞ」
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/24(木) 21:52:29.84 ID:t+ylvAfKo
葉山の手作りクッキーか……ガチホモやんか
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/24(木) 21:53:37.73 ID:Fuj9mqZY0
なにこの奉仕部、原作と比べて正しい青春して本物手に入りそう
18 : ◆GHEd/X9.3I [saga]:2015/12/24(木) 21:54:09.69 ID:+xQ+woD30
八幡(そいつは何やらイケメンだった)

八幡(爽やかな笑みを常にたたえており、どこからどう見てもリア充(笑)な雰囲気を醸し出されてらっしゃる)

八幡(俺の苦手なタイプだ)

葉山「……比企谷くんもこの部なのか」

八幡「えっ!?あぁ、まぁ……てか、誰だ……」

葉山「…酷いな、同じクラスの葉山隼人だよ。去年も同じだったじゃないか」

八幡「葉山……」

八幡(俺は基本教室では人と絡まない。いや、基本じゃねぇな。全くだ)

八幡(確かにうちのクラスにこんな爽やか系のやつがいたような気はしたが、残念ながら名前までは覚えていない。むしろ知らなかったまである。いや多分知らねぇな、本気で)

八幡「すまん、人名覚えんの苦手でさ……気を悪くしないでくれ」

八幡(ていうかこのリア充(笑)が俺の名前を知っていること自体が驚きなわけだが。クラスでは背景に溶け込むことを特技とする俺を)

葉山「……いや、いいんだけどね。確かにあまり接点はなかったし」クス

戸塚「それで、今日はどんな依頼ですか?」

葉山「手作りクッキーを作りたくてね」

八幡「……………」

八幡(ダメだっ………!堪えろ、まだ笑うなっ………!)
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/24(木) 21:57:14.64 ID:yqLzyWNdo
奉仕部内でのラブコメは無しだが結束は強くなりそう
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/24(木) 22:00:01.27 ID:Fuj9mqZY0
奉仕部内でのラブコメは有りだろ(真顔)
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/24(木) 22:01:04.05 ID:t+ylvAfKo
小町に義兄さんが増えるな
22 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/24(木) 22:02:34.85 ID:+xQ+woD30
戸塚「て、手作りクッキー、ですか」

八幡(あ、これ笑い隠しきれてねぇな。あの戸塚ですらも半笑いだ)

葉山「うん。……こういうのは、ちょっと友だちには相談しにくくてね」

八幡(それはそうだろっ……!男が手作りクッキーって……!しかもこんな爽やか系イケメン(笑)がよ……!)

戸塚「わ、わかりました……。でも、作るだけならご自分でもできるのでは?」

葉山「それがその……少し、料理には自信がなくてね。正直親にも知られたくない。だから、ここへ来たというわけさ」

八幡(なるほど、仲間にも家族にも打ち明けられないお願い……ここは、そういうときにも役に立つのか)

八幡「1つ質問だ葉山。お前はそのクッキーをどうしたいんだ?」

葉山「もちろん、プレゼントするんだよ。昔ちょっとお世話になった人がいてね」

八幡「………なぜプレゼント用にあえて自分の苦手分野に行ったのかはおいておいて、まぁわかった」

戸塚「そっか、じゃあ、家庭科室に行こう!」

葉山「えっ、いいのか?許可は?」

戸塚「由比ヶ浜先生に言ったらとってくれるんじゃないかな」

八幡(……………………戸塚のエプロン姿か)ワクワク
23 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/24(木) 22:09:10.84 ID:+xQ+woD30
家庭科室ーーーーーーーーーーーーーー

八幡「戸塚って料理もできるのか?」

戸塚「うん、人並み程度にはね」

八幡(もうこの子なんで男の子なんでしょうかね)

葉山「そうか、ならぜひご教授お願いするよ」

戸塚「よしっ!じゃあ、張り切っちゃうぞ!」

八幡(なんだそれ可愛いんコイツ)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

八幡(戸塚の腕は見事なものだった)

八幡「なんだこれうまっ!?これでひ、人並み程度だとぉ……?じゃあ俺は何並みなんだよぉ……?」

葉山「……すごいな、このレベルだと、お店でも出せるんじゃないか?」

戸塚「そ、そんな……大したことないよ。ぼくはただ、レシピ通りに作っているだけだし。レシピ通りにすれば、みんな同じように作れるはずだよ」

葉山「そうか……レシピ通りに、か!わかった!頑張ってみるよ!ありがとう戸塚さん!」

八幡「あっ、えっとな」

戸塚「ぼく、男の子なんだけど……」

葉山「………は、はぁぁぁぁ!?」
24 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/24(木) 22:14:02.89 ID:+xQ+woD30
・八幡(なんだそれ可愛いんコイツ)
〇八幡(なんだそれ可愛いなコイツ)


葉山「…………できたよっ!」

八幡「おー」

戸塚「……これは」

葉山「……………あっれぇ?」

八幡「…………………炭だな」

葉山「おかしいな……ちゃんとレシピ通りに作ったはずなんだけど」

八幡「なに、まさかお前ダークマターの使い手だったりするの?」

葉山「なんだいそれは?」

八幡「………いや、ごめん」

八幡(通じると思ったネタが通じないときほど心が痛むものはないというのは言い過ぎかもしれない)

戸塚「うーん……レシピ通りには作ってたね。隠し味に桃缶入れようとするようなこともなかったし……これは、どうしようかなぁ」
25 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/24(木) 22:23:30.26 ID:+xQ+woD30
葉山「………もう一回作ってみたけど」

八幡「さっきよりはマシだな……見た目は」

戸塚「な、なんだろこの変な舌触り……あはは、あれ?これ小麦粉と卵と砂糖しか入ってないんだよね?」

葉山「………一応食べられることは食べられるが」

八幡「……まぁ、食えて5個くらいが限界かな」

葉山「はぁ………どうしてこうなんだろ」

葉山「ごめんね、付き合わせちゃって。今日は帰るよ……やっぱり手作りなんて荷が重かったみたいだ。やっぱり自分の気持ちのこもったものをあげたかったけど……しょうがないよね」

八幡(ま、そうなるよな)

八幡(葉山に料理スキルは皆無と言っていい。手順通りに行ってうまくいかないならそれはもうどうしようもない。おそらく生まれもった能力の差だ)

八幡(これ以上葉山にクッキーを作らせても依頼解決にはならないだろう。時間も材料も無駄にしかならない)

八幡(葉山の口ぶりから察するに、おそらくこれはあいつの想い人にプレゼントするためのもの)

八幡(手作りがいい、と思うあいつの気持ちもわかるが、ここは諦めた方が賢明だ。あいつもそれを理解しているのだろう)

八幡(ならば俺に出来ることは)

八幡「そっか、力及ばずで申し訳なかったな」

葉山「いや、君たちは悪くないさ。悪いのは俺だ。あの人には、もっと違う贈り物を考えるよ……」



戸塚「諦めちゃダメだよ!!」
26 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/24(木) 22:30:12.56 ID:+xQ+woD30
八幡(は!?)

葉山「………え?」

戸塚「葉山くん、お料理をするのは今日が初めて?」

葉山「う、うん……。カップヌードルくらいなら作ったことあるけど」

戸塚「まだ始めたばかりじゃん!なんで自分の才能に見限りをつけちゃうの!?」

葉山「…………」

戸塚「葉山くんがこれまでずっと努力してきて、それでも報われないなら仕方ないなって思えるけど、君はまだ始めたばかりじゃん!それで、自分には才能がないから、なんて、おかしいよ!」

葉山「……でも、それは」

戸塚「もっともっと練習してさ!もっともっと頑張って、それからだよ。無理だ、とか、諦める、とかいうのは」

戸塚「頑張っている人に、失礼だよ」

八幡(………………ッ!)

葉山「……ごめん」ボロボロ

葉山「俺、頑張る!もっともっと!無理だとわかるまで頑張るよ!」

戸塚「その意気だよ!葉山くん!」
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/24(木) 22:32:43.53 ID:vL3D1mago
>>12
キチガイガイル
28 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/24(木) 22:36:23.50 ID:+xQ+woD30
八幡(なんか、やばいわ)

八幡(俺の心にぐっさぐさ刺さってくるんだけど、戸塚の言葉)

八幡(今までの俺の生き方がすげぇ恥ずかしくなってくる)

八幡(何が『青春とは嘘であり、悪である』だよ)

八幡(嘘で悪なのは俺だろ)

葉山「うおおおおおおおおおっ!」

戸塚「頑張れ!頑張れ!」

八幡(……戸塚は、圧倒的に正しい)

八幡(頑張る、努力する、そうすれば結果は絶対についてくる。この世の理をうまく理解している)

八幡(だけど、この場においては『不正解』だ)

八幡(葉山の料理の腕が人並み程度に上達するまでにどれほどの年月が経つかもわからない上、このままではあいつの勉強面や交友関係に支障が出る可能性がある)

八幡(………何度もいうが、戸塚は正しい)

八幡(だから、この方法はダメだ)
29 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/24(木) 22:37:59.43 ID:+xQ+woD30
八幡「お前らさぁ、なんで美味いクッキー作ろうとしてんの?」

戸塚「えっ」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

30 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/24(木) 22:45:16.87 ID:+xQ+woD30
部室ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

戸塚「あれで、よかったのかな…」

八幡「頑張るってのも大事だが、頑張るのは後からでもできるからな」

八幡「今は取り敢えず、こういう形で落ち着かせとくのが正解だ」

戸塚「『正解』なんて、あるのかな…」

八幡「……さぁな」


八幡(葉山がクッキーを渡す主はあいつの想い人だ。つまり、女子。葉山にとっては異性となる)

八幡(異性の子から貰うクッキーなんて、不揃いでもいい。むしろ不揃いの方がいいまである。不器用な子が一生懸命作ってくれたであろうクッキーなんて貰うだけでもドキドキするだろう)

八幡(まして葉山のあの顔ならなおさらだろう)

八幡(葉山はこの話をしたとき渋っていた様子だったが)

八幡(『比企谷くんもこういうのでキュンとくるのかい?』と聞かれ、『あぁ、もうキュンキュンきちゃうね』と答えたら何故か即答で俺の案に乗ってきた)

八幡(理由はわからないが、その時たしかに寒気がした)
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/24(木) 22:48:23.64 ID:vL3D1mago
海老名さんに優しい世界やね
32 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/24(木) 22:51:29.71 ID:+xQ+woD30
コンコン

葉山「失礼します」

八幡「」ビクッ

八幡「あ、あぁなんだ、葉山か」

戸塚「どうしたの葉山くん?」

葉山「いや、あれから家でも作ってみてね。それで、お世話になったお礼として、持ってきたんだよ。手作りクッキー」

八幡(恩をあだで返す気かこいつ……)

戸塚「わぁ、葉山くんの上達ぶり、みてみたいなぁ」

葉山「ははっ、お手柔らかに頼むよ。はい、戸塚……くん」

戸塚「わ、わー……炭だ」

葉山「そして、これが比企谷くん」

八幡「おー、まぁありがとな……ん?」

八幡(なぜだ、戸塚に比べて俺の方が包みが豪華だな……)

八幡(まぁ、家に余ってた包装に偏りがあったんだろう。そう信じたい。そうでないと困る)

葉山「比企谷くん」

葉山「うちの犬を助けてくれてありがとう。これは、それのほんの感謝の気持ちだよ」



八幡「…………は?」




第一章
やはり奉仕部は腐っている
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/24(木) 22:52:31.29 ID:t+ylvAfKo
これは職場見学が捗りますね乙
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/24(木) 22:55:00.84 ID:cYe6s9xd0
繰り出される薔薇の園
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/24(木) 22:57:43.25 ID:vL3D1mago
乙でした

折本&戸部の姉弟とか、獄炎の女王・材木座とか楽しみすぎる
あと、サキサキ大勝利だってはっきりわかんだね
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/24(木) 22:58:03.64 ID:DqcxcBMro
早くキャンプでハブられる相模がみたい
37 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/24(木) 23:09:58.16 ID:+xQ+woD30
教室ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

八幡(…………暇だ)

八幡(どれくらい暇かというと寝ることしかないくらいには暇だ)

八幡(勘違いしないでいただきたいのだが、授業中ではない)

八幡(休み時間……これほどぼっちに辛い時間はないのである)

八幡(だがぼっちじゃない奴らはこの時間が楽しくて仕方ないようで…)


雪乃「帰りにサーティーワンでも寄っていかないかしら」

材木座「ふむぅ……すまない!我は締切前で忙しいのだ…」

めぐり「わぁ、材木座くん、ついにデビューしたの?」

材木座「いや!ただの設定だっ!」

平塚「……堂々ということではあるまい」

葉山「悪いけど、俺もパスかな。というのよりこれから付き合い悪くなるかもしれない」

雪乃「……あら?あのキョロ山君がそんなことを言い出すとは意外ね」

葉山「手厳しいな。ちょっと部活を始めたんだよ」

八幡(そう、あれからなぜか葉山が奉仕部に入り浸ることが多くなった。といってもあれ以来依頼なんてないので、基本あいつは俺にマシンガントークをぶちかまして、帰る)

八幡(戸塚との2人きりの時間が邪魔されてこちらとしては迷惑極まりないのだが……来るなとも言えず、つい先日正式に部員となった)
38 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/24(木) 23:11:56.10 ID:+xQ+woD30
本日はここまでです
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/24(木) 23:31:53.21 ID:K/SQzWb5O

なんかすごい面白いことになってる気がするww
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/24(木) 23:43:00.74 ID:aFCw7WQFo
乙です
期待してます
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/25(金) 00:09:00.27 ID:6PE9K2Fno
>>12
だよな
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/25(金) 00:28:46.09 ID:t+KjbeCh0
雪ノ下がサッカー部のキャプテンか…
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/25(金) 09:43:46.58 ID:lB8vRxKFO
めぐりんの擬態レベル高すぎィ!
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/25(金) 12:34:16.83 ID:T/47qVHxO
戸塚の姉が三浦とか割りと仲良さそうというか
普通にブラコンになりそう
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/25(金) 15:47:23.56 ID:ywD9i27mO
これ文化祭大成功するやろ…
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/25(金) 16:22:20.66 ID:drZKqCfAO
平塚役は戸部っちのはずなのに、葉山役の由比ヶ浜が平塚役なのはなんでだろう?
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/25(金) 16:25:44.62 ID:uwzUf7xYO
>>46
原作のポジション→担当するキャラ
だから
雪乃→城廻 だと奉仕部部長で八幡に毒舌振り撒くのがめぐりんになる
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/25(金) 16:47:42.14 ID:LdeEovyUo
これ動物の配役があったらもっとカオスだったろうなww
サブレ→平塚とかカマクラ→平塚とかあったら、保健所案件待ったなし
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/25(金) 17:08:59.54 ID:QykX6ALAO
カマクラ「結婚したいニャー…………」
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/26(土) 00:02:44.36 ID:AaXn6x6Mo
>>47
性格引継ぎだから毒舌ははかないんじゃね?
じゃないと戸塚が毒舌はいてないのはおかしいことになるし
葉山ポジに入った雪乃は葉山が言わないであろう毒はいてるしな
51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/26(土) 11:35:24.47 ID:Lr3MBtPjO
たぶんキャラの場所を引き継ぐだけであって性格変わらないんでしょう…良かった、めぐりんがぐ腐腐〜とか言わなくて…
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/26(土) 11:38:30.81 ID:kfs6bMEdO
はっ!ってことはお家で八幡に甘えるのがサキサキのお仕事じゃないか…
胸が膨らむな
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/26(土) 14:19:15.01 ID:bwaJd87E0
見た目まんまなら中三であれってサキサキの発育やばすぎんだろ
54 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/26(土) 16:25:58.56 ID:3eW/+aZV0
葉山「……っと、ごめんね。そろそろ時間みたいだ」

葉山「用事があるから俺は行くよ」

材木座「えっ、ちょっ!」

八幡(……用事?あいつって奉仕部と雪ノ下グループの他に行くところなんてないはずなんだがな……)


材木座(ちょっと待ってよはやとくん!ゆ、男子が俺だけとかまずいって!)

葉山(そろそろ君も女子に慣れなよ……これだけみんなと一緒にいるんだから。あと素出てるぞ)

材木座(いや、そうは言うけど……難しいものは難しいんだよ!)

材木座(それに雪ノ下さんとも話せないよ!君がいなかったら)

葉山(ちょ、引っ張らないで、のびる)



八幡(…………何を言ってるのかはあまり聞こえないが)

八幡(材木座が葉山をいじめているように見えるな……)

八幡("2-Fの魔王 材木座義輝")

八幡(その巨体と大仰な物言いでクラスのトップカーストに君臨する最強のリア充)

八幡(まぁ、自分のグループのやつが離れそうになったらそういう行動に出るのもうなずける)
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/26(土) 16:27:36.23 ID:bed/Z8Kzo
なんという苦しい設定ww
苦労の跡が伺える
56 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/26(土) 16:37:49.39 ID:7KVXfEIL0
八幡(トップカーストのいざこざに巻き込まれまいと、既にクラスの人口は3分の一に減っている。ていうか逃げ足はええなお前ら。俺が取り残されるとは…)

八幡(……まぁ、いくら関係ないとはいえ、知人がいじめられているのを見るのはいい気分じゃない)

八幡(あと、ただ純粋に)

八幡(……ただ純粋にむかつくんだよこの野郎)


八幡「おい、そのへんにしとけよ」

材木座「へぷわっ!?」

八幡(え、何。何今の悲鳴)

葉山「比企谷くん……」

八幡(何その笑顔。鳥肌立つんですけど)

材木座「えっ、えっ……俺何かしたかな?」ヒソヒソ

葉山「ありがとう、比企谷くん。じゃあ、行こうか」

八幡「はっ!?」

材木座「ちょっ!?ま、待ってよ、はやとくーーん!」

八幡「ま、待て葉山!!行くってどこにだ!?なぜ俺がお前と約束をしていたみたいなことになっているんだ!?」

葉山「え?だって昨日約束したじゃないか」

葉山『これからお昼は一緒に食べよう』

八幡(………………覚えてねぇ)

八幡(オートスキル『生返事』使用中は副作用として会話の内容が記憶できないようになっているのだ)

葉山「というわけだから、行こう」ニコッ

八幡(いまさら………断れねぇよなぁ……)


材木座「ちょっと、はやとくーーん!?我、聞いてないんですけどぉ!?」
57 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/26(土) 16:54:23.47 ID:f+y4UtQx0
踊り場ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

八幡(いつもの食事スポットに来た)

八幡「てかなんでお前が俺の昼食スポット知ってんだよ。こええよ」

葉山「テニス部の友だちから聞いたんだよ。ここでいつも一人飯を食っている子がいるってね」

八幡「よく俺だってわかったな」

葉山「この広い学校でぼっち飯を食べる生徒がいるとするならそれは君だ」

八幡「褒め言葉として受け取っとくわ…」


玉縄「…………んん?」

玉縄「やぁやぁ!葉山くんじゃないか」

葉山「玉縄!昼練はいいのかい?」

玉縄「あぁ。ちょうどレストに入ったところさ」

八幡「………えぇーっと、誰だ?」

八幡(なぜだろう、こいつを見てると生理的嫌悪感が……)

葉山「え、君も同じクラスだろう?」

玉縄「構わないよ。僕は玉縄。テニス部に所属しているよ。君は確か……」

玉縄「……ヒキタニくん、だったかな」

葉山「比企谷だよ」

玉縄「あぁ、すまない。比企谷くんだね。よろしく」

八幡「………はぁ、よろしく」

玉縄「いやしかし、君が葉山くんのお友達だったとは、嬉しいよ。お互いにリスペクトできるパートナーシップを築いてシナジー効果を産んでいこう!」

八幡(なんだこいつ)

玉縄「君のことは少し前から気になっていたのさ。サークルに交わろうとせず、ソロプレイで生きているムーヴがとてもクールだったからね!」

葉山「……玉縄、そのへんで」

玉縄「ま、そういうわけだから今後とも友好的なリレーションシップを保っていきたいね、君とは」


テニス部員「玉縄せんぱーい!」


玉縄「おっと、楽しいブレイクタイムは終了のようだ。じゃあね、葉山くん、比企谷くん」
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/26(土) 16:56:52.06 ID:bed/Z8Kzo
玉縄いい奴だな
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/26(土) 17:10:56.44 ID:e/rLNiXWo
玉縄はあの強靭で柔軟な手首からすごいスピンサーブ打ちそう
60 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/26(土) 17:24:34.26 ID:7KVXfEIL0
八幡「…………今のがテニス部の友だちか?」

葉山「あぁ。悪いやつじゃないんだけどね……」

八幡(悪いやつじゃないから余計たちが悪いんだけどな……)

八幡「いや、なんかすげぇヤツだなと」

葉山「ははは、そうだね。確かにすごいよ。テニスもすごくうまいんだぞ?」

八幡「へぇ……」

八幡(無駄に優秀だからこそ、あの人格が構成されちゃったのかもな…)

葉山「まぁ仲良くしてやってくれよ。君のことも気に入っているようだしね」

八幡「俺名前間違えられたんだけどな……」
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/26(土) 17:26:44.55 ID:PUyaW5SaO
いいやつではあるんだろうが、ちょっとウザイぞこれwww
62 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/26(土) 17:30:49.47 ID:f+y4UtQx0
八幡(あの後普通に教室に戻り、葉山は当たり前のように雪ノ下グループのもとへ戻っていった)

八幡(謎に材木座が憔悴していたが、まぁそれは些細なことだろう)

八幡(葉山がいきなりグループを抜け出し俺みたいなぼっちと昼食を食べたにも関わらず雪ノ下たちは葉山を敵視するでもなく自然と彼を輪の中に戻した)

八幡(………彼らにとっては、そんなことは些細なこと、なのだろうな。ならばなぜ材木座があそこまでに葉山に固執したのかが謎だが)

八幡(葉山が奉仕部に入っても、クラスは何も変わらない)

八幡(それは、変わらない何かがそこにあるからなのだろう)


第二章

それでもクラスは円満に回っている
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/26(土) 17:35:10.96 ID:ElpPbaMXO
なんか部内が男だけになってるからか、すごい自然な青春物になってるな
64 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/26(土) 17:37:20.45 ID:f+y4UtQx0
八幡「……さて、今日も戸塚を拝みに行くか」

八幡(気づけば奉仕部は俺の生きがいになっていた。だって戸塚可愛いんだもん)

葉山「比企谷くん、一緒に行こう」

八幡「あ、あぁ……」

八幡(こいつがいなければ、と何度思ったかはわからない)

八幡「な、なぁ葉山。俺がお前ん家の犬助けたのは偶然というかな、たまたま助けたのが俺だってだけだから……責任負う必要も、俺にお詫びしようとする必要もないんだぞ?」

葉山「心外だな。俺は君と一緒にいたいから一緒にいるだけだよ」

八幡(でもこいつ基本的にはいい奴なんだよな。少し自己中なだけで)
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/26(土) 17:38:57.57 ID:bed/Z8Kzo
友情を超えた何かを感じるね
66 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/26(土) 17:43:20.30 ID:f+y4UtQx0
部室前ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

葉山「で、そこで雪乃が言ったんだよ。『それって羊じゃないかしら?』」

八幡「ふーん」

葉山「すると材木座が『ちがぁう!我がアルパカだといったらアルパカなのだぁっ!!』て叫んだんだ。面白いよな」

八幡「確かにな」

葉山「そこで静が………ってあれ?」

八幡「……?」

八幡(急にマシンガントークをやめ、立ち止まる葉山。その視線の先には)


戸塚「」アワアワ


八幡(部室の扉の前でアワアワする戸塚がいた。なんだこの可愛い生き物)

葉山「戸塚くん、どうしたんだろうね」

八幡「さぁ……何かトラブルでもあったか?戸塚ーー!」

戸塚「あ、八幡!あのね、部室内になんか変なのが……」

八幡(やっぱり生八幡は最高だ。どうにか言いがかりをつけて八幡って呼んでもらうことにして正解だった)

八幡(っと、じゃなくて。部室内に、変なの……?)

八幡(そうして俺と葉山は部室内をのぞき込んだ)
67 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/26(土) 17:48:02.77 ID:f+y4UtQx0
留美「……………………」ゴソゴソ

留美「……ここにもいない」

留美「……ここ?」

留美「…………違うか」

八幡「何やってんだお前!?」

留美「あ、見つけた。八幡」

八幡「見つけたじゃねぇ!?なんでこんなに散らかってんだ!」

留美「だって、八幡がここにいるって聞いたのに、いないから」

八幡「だから荒らしたの!?普通まだ来てないとか思うだろ……」

留美「どうでもいい。八幡に会えたから」

八幡「………………」ピキピキピキ




※キャラ崩壊注意
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/26(土) 17:50:18.79 ID:k6qwi/IZ0
玉縄「ファーストネームで呼んでほしいな」
69 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/26(土) 17:55:39.12 ID:f+y4UtQx0
葉山「比企谷くん……その女は誰だい?」ムッ

八幡「何その恋人の浮気現場目撃した女みたいな……」

留美「私は鶴見留美。八幡とは将来を誓いあった仲」

八幡「俺は誓った覚えはないぞ」

留美「忘れたの?あの中学の時の地獄のようなイベントを共有してきた仲だというのに……」

八幡「運動会のフォークダンスを一緒に踊っただけじゃねぇか!」

八幡(男女限定でペア組ませる風習があるのうちの中学だけだと思う……潰れてしまえばいいのに)

留美「あのとき八幡が手を差し伸べてくれなかったら、私は……」

八幡「あまりもん同士で組んだだけだろ!それだけで落ちるってチョロすぎやしませんかね……」
70 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/26(土) 18:04:19.96 ID:f+y4UtQx0
戸塚「そ、それで鶴見さん、何の用なの?」

留美「八幡に会えたからそれでいい」

葉山「そんなのクラスに直接行けばいい話だろう……?」

留美「……それは、恥ずかしい」

八幡「ここまでサイコなことしといてよく言うわ……」

留美「散らかしたのは、謝る。片付けるから……許して八幡?」

八幡(上目遣いとかあざとい!だがそんなので落ちるほど今の俺は弱くない!)

八幡「許す」

留美「やった」

戸塚「八幡!?」

八幡(はっ!?口が勝手に……)

葉山「………比企谷くん。君には見損なったよ。そんな可愛い彼女がいたなんて」

八幡「ちょっと待て。鶴見は彼女なんかじゃない。ただのフォークダンスペア勢だ」

葉山「それだけで鶴見さんがこれほどまでに盲目的に君を好きになるわけがないだろう!」

八幡「だよなぁ!?だけど実際そうなんだよ!」

留美「八幡。あの告白は嘘だったの?」

八幡「お前は黙ってろ話がややこしくなる!」

八幡(出会ったころは世界のすべてをつまらないと切って捨てるようなやつだったのに)

八幡(ほんとにどうしてこうなった……)
71 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/26(土) 18:13:06.14 ID:f+y4UtQx0
留美「というわけで私も奉仕部に入るから」

八幡「悪いな鶴見。この奉仕部は三人用なんだ」

八幡(冗談じゃない!これ以上戸塚ルートを邪魔されてたまるか!)

戸塚「えぇ……?僕は大歓迎だけど。部員は多いほうがいいし」

留美「……部長さんが言ってるよ?」

八幡(な、なにぃ!?戸塚が……戸塚の決定には逆らえない!どうすれば……)


葉山「俺は反対だ」

八幡(!)

留美「……どうして?」

葉山「これ以上部員が増えると、問題が起こる」

留美「問題って?」

葉山「それは……………」チラ

八幡「えっ、何その視線」

葉山「……こちらで話そう、鶴見さん」

留美「……わかった」

ガラガラ……ピシャン

戸塚「な、何なんだろう」

八幡「さぁ………?」
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/26(土) 18:16:44.36 ID:bed/Z8Kzo
何だこの四角関係wwwwww
73 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/26(土) 18:17:46.65 ID:f+y4UtQx0
葉山「俺は―――のことがす――」

留美「―――から、―――?」

葉山「だから、―――――!」

留美「でも――――!!」


八幡(漏れ聞こえしてくる声だけじゃあいつらが何を話しているのかはわからない)

八幡(だが葉山が言葉を発する度に背筋に悪寒が走るのがわかる。これはなんなんだ……)

ガラガラ

葉山「……………」

八幡「お、お帰り葉山」

葉山「ただいま。鶴見さんにはお帰り願ったよ」

戸塚「え、えぇ!?どうして」

葉山「さっきも言ったように、問題が起こるからさ」

戸塚「なんなの?その問題って」

葉山「君にはいえないよ、戸塚くん」

戸塚「えぇ……」

八幡(なんかひっかかるものはあるが)

八幡(とりあえずGJだ、葉山!)
74 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/26(土) 18:23:16.11 ID:f+y4UtQx0
ガラガラ

玉縄「おや?お取り込み中だったかな」

葉山「?玉縄。どうしたんだお前」

玉縄「へぇ、ここは比企谷くんたちの部活だったのか」

戸塚「依頼ですか?……えっと、玉縄くん」

玉縄「もちろんさ、といっても、トリヴィアルなことなんだけれどね?」

八幡(戸塚は玉縄のことを知ってるのか)

八幡(意外と有名なのかもな、テニスもうまいらしいし)
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/26(土) 19:02:31.50 ID:YB1BoEDJ0
もはや青春「ラブコメ」じゃなくて青春「生活」じゃねーかw
なにこれ、普通に面白いw
76 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/26(土) 19:06:46.26 ID:f+y4UtQx0
戸塚「つまり、テニス部のレベルの全体的な底上げをしたい、ということですか?」

玉縄「そういうことになるかな」クルックルッ

八幡(すげぇぇぇ!?よくあの説明を2行にまとめたな!俺なんて半分くらい意味わからず聞いてたぞ)

戸塚「うーん……玉縄くん上手いし、うまい人が引っ張っていく、以外の解決策は見当たらないんだけど……」

八幡(え?やっぱり玉縄って相当うまいのか?戸塚でも知ってるくらいだし)ヒソヒソ

葉山(言っただろ、確か市内でベスト8入りとかするレベルだったはずだ)ヒソヒソ

八幡(お、おう……それはすごいな)ヒソヒソ

玉縄「僕の力にはリミットがあるんだ…残念なことにね」

玉縄「僕がいくら呼びかけてもクラブのはアテンダンス・レートは上がらないのさ……」
77 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/26(土) 19:12:39.82 ID:f+y4UtQx0
戸塚「うーん……なんでだろうね。憧れがいれば、その集団は全体的にいい方向に向かっていくはずなんだけどなぁ…」

八幡(その理論が通用するのはお前だけなんだよ、戸塚)

八幡(憧れは人を殺す。これが人間社会における摂理なんだ)

玉縄「無理だというなら、無理と言ってくれて構わない。そのケースならばこちらで試行錯誤するさ」

戸塚「いえ、やります。なんとかテニス部が盛り上がるように考えます」

玉縄「…わかった。協力感謝するよ。戸塚さん」

戸塚「…………………あの」

八幡「このやり取りもう疲れたんだけど」

葉山「…戸塚くんは、男の子だよ」クスッ

玉縄「え、えぇぇぇぇぇえ!?」
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/26(土) 19:16:15.49 ID:bwaJd87E0
これ玉縄が手首の柔軟性向上のためにクルクルしてる可能性あるな
79 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/26(土) 19:24:59.84 ID:f+y4UtQx0
戸塚「……どうすればいいのかなぁ」

八幡(玉縄が去り、奉仕部では依頼解決のための会議が開始された)

葉山「やっぱりコーチじゃないかな?玉縄の話を聞いている限り、テニス部の顧問はテニス初心者で、めったに部活に来ないというし……」

八幡「そうだな。教師の持つカリスマ性は絶対だ。それがないとどうしてもまとまりがなくなってしまうのも事実だろう」

戸塚「でも、そんなのぼくたちにはどうしようもないんだけど……」

葉山「……方法が、一つならあるかもしれない」

戸塚「なに?それ」

葉山「玉縄に絶対のカリスマ性を植え付ける、だな」

八幡「そんなことができるのか?」

葉山「玉縄次第だが……できないことはない。そのためには夏の大会で県まで行く必要がある」

戸塚「け、県大会!?さすがにそれは無茶なんじゃ……」

葉山「最悪行けなくても、部員に1人で頑張っている姿を見せつけることで、クラブ全体の意識向上にはなるだろう」

戸塚「むむ……確かに」

八幡(コーチがいないなら、玉縄がコーチの役をやればいい)

八幡(実にシンプルな答えだ。だがシンプル故に無茶がある)

八幡(……だが今のところこれに勝る答えなどあるはずもなく)

八幡(半ば無謀と思いながら、ドキッ☆男だらけの猛特訓が開始された……)
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/26(土) 19:39:21.66 ID:SVPHck+00
この奉仕部スペック高すぎて全く問題が起きないな…恋愛以外は
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/26(土) 19:43:28.67 ID:bed/Z8Kzo
殆どの♀キャラが半モブ化してるからな
妹ポジのサキサキが頑張らないとホモ臭い事になるな
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/26(土) 20:01:55.00 ID:hy2EEixlO
今更ながらいろはす→いろはす
で笑ったわ
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/26(土) 20:14:37.25 ID:/GGhBu2Yo
るみるみだって頑張ればなんとか……
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/26(土) 20:36:49.30 ID:NsoNTor1O
兄弟を溺愛するハイスペックボッチの川崎さん
…なにか変わったかな
85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/26(土) 20:40:05.45 ID:LvAjwvwv0
大志くんポジが戸部。
戸部が義弟になるワンチャン?
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/26(土) 20:42:34.65 ID:e/rLNiXWo
戸部は義弟というより舎弟にされそう
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/26(土) 20:43:12.19 ID:J9F1LrxeO
るみるみと川崎さんに期待
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/26(土) 20:52:56.43 ID:tZ1zxPI70
折本の弟が戸部…だと?
89 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/26(土) 21:16:27.85 ID:7KVXfEIL0
テニスコートーーーーーーーーーーーーーーー

戸塚「はぁ………はぁ………」

玉縄「はぁ………はぁ………」

八幡(と、戸塚の腕立て伏せ…………たまらん)

八幡「頑張れー戸塚ー!!」

葉山「頑張るのは玉縄の方なんだけどね……」

戸塚「ふぅ……こんなもんかな」

玉縄「はぁ、はぁ、すごいな君は」

戸塚「ぼくも中学のころは全然だったんだよ。でもそれを見かねた姉さんがぼくを特訓してくれて……」

戸塚「だから、次は僕の番!」

八幡(戸塚と2人きりで特訓とかうらやまけしからん………!いいなぁ戸塚のお姉さんどんな人なのかなぁ……)

戸塚「じゃ、次はラリーするよ!」

玉縄「オーケー。わかったよ!」

スパーン スパーン

八幡(そういや戸塚はテニスもできるのか)

八幡(中学のころは、とか言っていたし中学テニス部だったのかな)
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/26(土) 21:35:14.16 ID:BrpBpa7do
はるのんポジは…三浦か、そりゃテニス上手いよな
91 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/26(土) 21:37:33.82 ID:f+y4UtQx0
雪ノ下「…………あら?」

平塚「…なんだ、先約がいたのか」

材木座「ふむぅ……?せっかく雪ノ下さんとテニスが出来ると思ったのだが」

めぐり「ってなんだ〜、葉山くんもいるじゃない」

大和「それな」

大岡「ほんとそれ」


八幡(………?なんだ、あいつら)

八幡(なぜ雪ノ下グループのやつらがここに?)
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/26(土) 22:11:25.96 ID:SR8+WgsP0
ルミルミ合法ロリに?ルミルミにあそこまでされて落ちない八幡はホモ
93 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/26(土) 22:33:52.22 ID:f+y4UtQx0
戸塚「はい、次!」

玉縄「ふんっ!」クルックルッ

戸塚「おっ!すごいね玉縄くん!サーブはぼくよりうまいかもしれない!」

玉縄「ははっ!手首のやわらかさには自信があるのさ!」


雪ノ下「……彼らは何をやっているの?」

八幡「テニス部の特訓だよ」

雪ノ下「テニス部の特訓……ということは、あなたたちはテニス部ではないのよね?」

八幡「え、あぁ、まぁ」

雪ノ下「なら、私たちもコートを使ってもいいかしら」

八幡「え?いや、それは……ちょっとどうかなぁ〜」

八幡(えぇ〜せっかく部活に励む戸塚を眺めていられると思ったのに…)

雪ノ下「……構わないのね?」

八幡「いや、それは戸塚たちに聞かないことにはどうにもな…」

雪ノ下「コートは別に戸塚くんたちだけのものではないはずよ」

八幡「いやそうはいうが……え?戸塚"くん"?」

雪ノ下「?何か問題でも?」

八幡「あ、いや……」

八幡(戸塚を男子と見抜いたやつ初めて見たわ……)
94 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/26(土) 22:47:34.50 ID:f+y4UtQx0
八幡「おーい、戸塚!ちょっといいか」

戸塚「何?」

雪ノ下「こんにちは戸塚くん。私たちもコートを使ってもいいかしら?」

戸塚「えっ………うーん、ぼくたち練習してるんだけど……」

雪ノ下「でもあなたたちはテニス部員ではなく部外者なのよね?部外者がテニスの練習をするのは優先されるべきことではないわ」

戸塚「ぼくたちはただ、玉縄くんに付き合っているだけで……」

雪ノ下「なら私たちも玉縄くんに付き合うといった形で参加させてもらうことはダメなのかしら?あなたも私も同じ部外者。断る理由も資格もないと思うけれど?」

玉縄「えっ、いや、テニス部の僕から言わせてもらうと、付き合ってくれるのは戸塚くんだけで充分……」クルックルッ

雪ノ下「テニス部員だからってすべてのテニスコートが自分のモノとでも思ってるのかしらイタ縄くん。あとその手つき気持ち悪いからやめた方がいいわ」

玉縄「」

八幡(こ……………)

八幡(こええええ!?なんだこの女……慈悲も許さない論理で口撃してきたぞ!?)

八幡(こっちがコートを貸すのを渋る理由は一つ。こいつらが遊び始めるとほぼこちらの練習の邪魔になる)

八幡(コートは二つしかない。雪ノ下たちが一つのコートで満足してくれるとも限らない)

八幡(それにここでコートを譲っちまうと、昼休みのテニスが恒例行事化してしまう可能性もある)

八幡(どうにかしてこいつらを退けたいが)
95 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/26(土) 22:51:18.63 ID:f+y4UtQx0
材木座「ふふふ!我の魔球のお披露目をするときが来たようだ……」

めぐり「テニスなんて久しぶり〜腕なまってないかなぁ」

平塚「……テニスをやる女の子はモテると聞いたことがあるな。ふっ、ならば私も……」

大和「それな」

大岡「ほんとそれ」


八幡(あいつらはもうやる気満々ってことか……)

八幡(雪ノ下を論破するだけの材料が足りない……)

八幡(時間が惜しい。どうすれば…)
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/26(土) 22:53:12.83 ID:/GGhBu2Yo
葉山がいるんなら原作通り葉山に対決ブン投げとけば普通に勝ちそうだけど
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/26(土) 22:59:11.11 ID:Vo14bhNMo
平塚女子が超次元テニスしそう
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/26(土) 23:00:44.37 ID:AaXn6x6Mo
平塚先生絶対強いだろ
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/26(土) 23:06:55.67 ID:p22hJ+tdO
平塚ゾーン
特殊な回転で玉が自分の所に寄ってくる。
ただし男がこれをみると引くことはあれど寄ってはこない。
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/26(土) 23:10:54.37 ID:e/rLNiXWo
平塚ゾーンが発動すると肉食系男子も草食系男子も諸共に滅亡しそう
平塚先生は孤独死する
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/26(土) 23:16:00.67 ID:86Ojj87qo
はやはちvsゆきのん平塚
ゆきのん平塚組が勝ちそうだな
102 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/26(土) 23:16:48.41 ID:f+y4UtQx0
葉山「ちょっといいかな」

八幡(………?)

葉山「雪ノ下さんたちのいうことももっともなんだけど、ちょっとこの人数でやるにはコートが狭すぎるんだよね」

雪ノ下「だから使うなと?そうでもないでしょう。一コートはあなた達が使い、もう一つのコートを私たちが使う」

葉山「一応今は二コートを使って練習してるわけだし…」

雪ノ下「一コートで問題があるの?」

葉山「でも、二コートの方が玉縄くんにとっていい練習になるだろう」

葉山「だから、こうしよう」

葉山「今から部外者同士でテニス対決をする。勝った方がコートを使え、負けた方はコートを去る。こうすればコートを広々と使えるし、強い人と特訓した方が玉縄くんにとってもいい練習になる」

雪ノ下「馬鹿馬鹿しい。なぜそんな面倒なことを……」

葉山「逃げるのかな?」

雪ノ下「」ピクッ

雪ノ下「いうようになったわね、葉山くんも。いいわ。乗ってあげましょう。試合方式はダブルスでいいかしら?」

葉山「あぁ。構わないよ。審判は玉縄くんにやってもらおう」

玉縄「あ、あぁ!任せてくれ」


八幡「お前、やるな」

葉山「場を整えるのだけは得意だからね」

八幡「つってもよく雪ノ下も乗ったな。こっちには戸塚もいるってのに」

葉山「あぁ。雪ノ下さんは中学のころテニスで県選抜に入っているからね」

八幡「………………は?」

葉山「大丈夫。こっちには戸塚くんがいる」

葉山「それに……向こうのチームには雪ノ下さん以外は初心者さ」

葉山「自慢じゃないけど……スポーツには自信あるんだよ、俺」

八幡「……結構あくどいな、お前」

葉山「要領がいいと言ってくれ」


玉縄「では、ゲームを始めよう!」

雪ノ下「返り討ちにしてあげるわ」

材木座「むははっ!我らスノウウッドストックに勝てると思うなっ!!」

戸塚「……玉縄くんのためにも、テニス部のためにも、負けられないよね」

葉山「比企谷くんにいいところ見せるチャンスだ。雪ノ下さんでも、手加減はしないよ」


八幡(様々な思惑が渦巻く中)

八幡(試合開始のホイッスルが鳴った)
103 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/26(土) 23:19:44.82 ID:f+y4UtQx0
今日はここまでとします

平塚先生は見学です(・ω・`)

あと各キャラの見た目ですが、年齢もシャッフルされるので年齢に応じた見た目に脳内補完しておいてください

高2るみるみとか絶対かわいい(確信)
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/26(土) 23:20:20.39 ID:p22hJ+tdO
よく考えたら平塚先生が16歳くらいなんだよな…これ普通に平塚ルートに入るんじゃない?
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/26(土) 23:22:49.88 ID:AlXvoC48O
俺の妹がこんなにグラマーなわけがない展開は消えたのか
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/26(土) 23:23:06.82 ID:lM7ItEpjo
乙です
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/26(土) 23:24:40.49 ID:/GGhBu2Yo
まあ雪乃は体力ゴミだし
戸塚葉山ペアなら大丈夫だろうという安心感

それにしても奉仕部がほんと府向けアニメみたいな設定になってて海老名さん歓喜だな
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/26(土) 23:27:30.91 ID:+QINZ0WGO
そういや小町ポジがサキサキということは
猫アレルギーが克服されてるのかカマクラがいないのかどっちなんだろうな
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/26(土) 23:30:31.91 ID:e/rLNiXWo
乙でした
雪乃が普通に畜生で笑うww
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/26(土) 23:33:04.46 ID:kleJmJQIO

なんだこれ……滅茶苦茶になると思ったら普通におもろいぞww
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/26(土) 23:34:09.86 ID:AaXn6x6Mo
葉山を煽るときもそうだったけど材木座があまりにも元からかけ離れてるせいで雪乃が三浦と葉山二人分こなしてるな
>>104
原作で八幡は10年違ったら好きになってたとか言ってたんだよな…
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/26(土) 23:37:07.19 ID:tZ1zxPI70
>>105
最近の中学生は、発育がいいから…
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/26(土) 23:45:03.78 ID:mCPym4Ygo
>>111
本音と建て前ってのがあってだね
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/26(土) 23:46:48.62 ID:86Ojj87qo
>>103
乙です!
て事はガハマはガハママの見た目ってか…
最強じゃないですかww
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/26(土) 23:47:32.54 ID:/GGhBu2Yo
マジレスすると平塚先生はいろんな経験得て大人になって八幡からも好きになってたって言われる内面なわけで
ぶっちゃけて言うと10代のころからそんな内面が完成してるとも思えんし
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/27(日) 00:04:00.11 ID:h3GkZyvZO
巨乳でクーデレなブラコンの妹…これは兄妹エンドかな、千葉だし
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/27(日) 00:10:23.72 ID:pie73jpdo
帰宅したらそこにはアナフィラキシーショックを起こして冷たくなっているサキサキの姿が…
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/27(日) 00:24:10.09 ID:d8v+iejco
何ハチに刺されたんですかねぇ…
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/27(日) 00:26:06.95 ID:8mhDuDpTo
二回挿さないとショック症状は起きないらしい
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/27(日) 00:27:24.44 ID:uAMFeTTY0
>>108

カマクラとサブレを入れ替えればいい
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/27(日) 02:04:52.49 ID:Q/TfG7D70
まあ猫アレルギー無くせばいいんじゃない?
比企谷家にはカマクラいて欲しいし
それにしてもこのSS本当面白いな
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/27(日) 02:44:10.96 ID:EXAUjE9gO
いろはすは葉山ポジの材木座が好きなのか?想像できねーw
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/27(日) 02:54:40.35 ID:ojbySKRwo
いや葉山は雪乃だよ 材木座は三浦
現状両方雪乃がやって材木座は材木座のままだけどwwww
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/27(日) 03:08:03.49 ID:art/6C/xo
ってことはレズはすかバイはすになっちゃうのか
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/27(日) 04:11:43.65 ID:eFRScrpq0
性別、性格、口調以外のステータスシャッフルなら葉山がスポーツにそこそこ自信あるってのは合ってるんか?
材木座の顔面ステータスが三浦レベルならかなりイケメンなんだろうなー
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/27(日) 04:12:57.73 ID:DcOWXDgi0
戸部弟で折本姉って「ウェーーーい」「それある〜」の
繰り返しでめっちゃウザそうww
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/27(日) 04:50:13.80 ID:yC/TMTc4O
折本が家でもあのテンションでいるとは思い難い
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/27(日) 07:56:15.84 ID:d8v+iejco
折本は翔マジうざいとかいってそう
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/27(日) 08:20:03.18 ID:7BOo37GKO
でもブラコンとかときめく
130 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/27(日) 10:11:42.93 ID:palUpRQ10
八幡(先攻は戸塚・葉山ペア)

八幡(こちらのチームは前衛が戸塚、後衛が葉山。対して向こうのチームは前衛が材木座、後衛が雪ノ下か……)

八幡(ボールを握る戸塚の慎重な面持ちにグッとくるのは俺だけではないはず)

戸塚「……………っ!」

スッパァァァァァン

八幡(……うおっ!なんだあれ、すげえな戸塚!コートギリギリのスピンサーブ!あれは取れねぇだろ……)

雪ノ下「…………」ヒュッ

スパーン

戸塚「………え?」

八幡(り…)

八幡(リターンエース、だと?)

材木座「わはははは!!我らが雪ノ下嬢に勝つなど100万光年早いわぁ!!」

雪ノ下「光年は長さの単位よ、材木座君」

葉山「………少し予想外だね」

戸塚「ぼくのサーブが通用しないなんて……」

八幡(……これはとんでもない化物を敵にしちまったかもしれねぇなぁ)
131 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/27(日) 10:22:07.04 ID:palUpRQ10
八幡(テニスは素人ルール)

八幡(サーブは交代ごうたいに打ち合い、先に15点を取ったチームの勝ち)

八幡(わかりやすくていいが……逆に言うとそれしかルールがないということになる)

八幡(こちらも戸塚をずっと後衛につかせることができるが、絶対無敵の雪ノ下も後衛から離れてくれない)

雪ノ下「次は私の番ね」

八幡(雪ノ下がボールを投げる)

八幡(………頭上ではなく、自身の遥か前の方に)

八幡(これあかんやつや)

雪ノ下「……………っ!」

スッパァァァァァン!!!!

八幡(ジャンピングサーブ!?)

戸塚「くそっ!」

スパーン

雪ノ下「………さすがね」

スパーン

八幡(返した戸塚も凄まじいが…やはりフォームは崩れてしまっている)

八幡(雪ノ下は1球1球を全力でうちに来ている。これでは凌げるはずもない)

戸塚「あぁっ!」

雪ノ下「………………」グッ

八幡(なに、あの小さなガッツポーズ。不覚にもときめいちゃいましたよ?)
132 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/27(日) 10:27:21.25 ID:palUpRQ10
八幡(…………こうなったら)

八幡「おい、葉山。次お前がサーブを打て」

葉山「え?なんでだい?戸塚くんに打たせた方が……」

八幡「……ルールに前衛と後衛の交代があったことにする。雪ノ下後衛のままじゃ点はとれない」

葉山「…なるほど。わかった」

八幡(葉山が後衛につくと、向こうも材木座を後衛につけた)

八幡(そのときの雪ノ下が『やってくれたわね』と言ったのを俺は聞き逃さなかった)

材木座「わはははは!!我の華麗なスマッシュにうち震えるがいい!!」

葉山「そいやっ!」スパーン

材木座「秘技・ナイトスラッシュブリザードっっっ!!!」

スッパァァァァァン!!!!

玉縄「アウトー!」

133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/27(日) 10:28:58.39 ID:8mhDuDpTo
これは材木座を応援したくなる展開になるかも?
134 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/27(日) 10:30:28.79 ID:palUpRQ10
材木座「………ふふふ、葉山某。貴様は我を怒らせた………」

材木座「ゆくぞっ!究極奥義、ナイトメアスラッシャーー!!」スッパァァァァァン


玉縄「ダブルフォールト!」


八幡(これで2-2だが……)

八幡(勝利条件は15点"先取"。このままだとやはり負ける……)

八幡(どうすれば……)
135 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/27(日) 10:38:19.74 ID:palUpRQ10
雪ノ下「…………」

八幡(……相変わらず雪ノ下の猛攻はすごいな)

八幡(リターンエースこそなくなったものの、それでも打ち合いには持ち込ませてくれない)

八幡(負けじと戸塚も勝負を決めに行くが、雪ノ下の前では意味がなかった)


材木座「ふぅ……ふぅ……え、エターナルフォースブリザードっ!!」

玉縄「ダブルフォールト」

雪ノ下「材木座君。あなたはコートに入れるだけでいいのよ?そんなことすらもできないのかしら?」

材木座「ご、ごめんなさい……」


八幡(……なんか材木座がかわいそうになってきたな……)

八幡(8-8という状況だが、1点でも後衛の雪ノ下から点を取れないと……)

八幡(どうしようもなくなるな……)

八幡(あいつになにか弱点はないのか……?)

八幡(正直雪ノ下は錦〇圭も震え上がるレベルだ。なのに県選抜"程度"で止まってしまっている)

八幡(……なにか、致命的な弱点でもあるんじゃないのか?)

八幡(……………考えろ)

八幡(勝負をすぐ決めたがるプレイング・あれほどまでの実力がありながら材木座のミスを許さない姿勢……)

八幡(…………これらが指すものは)
136 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/27(日) 10:43:52.03 ID:palUpRQ10
八幡「戸塚、葉山」

戸塚「なに?八幡」

八幡「………ラリーをしろ」

葉山「は?」

八幡「点を取ることはいったん置いておいて、雪ノ下のラリーを続けることだけを考えてくれ」

戸塚「え、そんな、点を取らなきゃ負けちゃう……」

八幡「俺を信じろ」

八幡「俺の読みが正しければ、あいつは……」

葉山「……わかったよ」

戸塚「葉山くん?」

葉山「八幡を信じよう。おそらく彼が1番俺たちをよく見ている」

八幡「え?なに急に名前呼びなのん?」

八幡(鳥肌立つんですけど)

葉山「信頼の証さ。君も、俺のことは隼人と呼んでくれ」

八幡「嫌だけど」

葉山「………ははっ」

戸塚「わかった。正直、ぼくだけじゃ雪ノ下さんには勝てない……」

戸塚「八幡を信じるよ!」

八幡(………)キュン

八幡「頑張れよ、彩加」

葉山「おかしくないかな!?」
137 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/27(日) 10:47:33.93 ID:palUpRQ10
戸塚「えいっ!」スパーン

雪ノ下「……………」スパーン

葉山「ほらっ!」スパーン

雪ノ下「……っ!」スパーン

戸塚「まだまだっ!」スパーン

雪ノ下「くっ………、なぜ!?」スパーン


八幡(…………やはりだ)


戸塚(………雪ノ下さんの動きが、鈍ってきている?)

葉山(なるほど……さすがは八幡だ)


雪ノ下「うっ………」スパーン フラリ

戸塚「来たっ!」

戸塚「えいっ!」スパーン


ポーーン……コロコロ
138 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/27(日) 10:54:29.30 ID:palUpRQ10
材木座「ど、どうしたのだ!?雪ノ下よ!」

雪ノ下「……私ね、習ったことは3日で完璧に覚えきれちゃうの」

材木座「ほ、ほう?」

雪ノ下「テニスもそう。テニス部に入って3日でコーチに勝ったわ」

材木座「それはすごいな……」

雪ノ下「だけれどもね……だからこそかしら」


雪ノ下「……私体力が致命的にないの」


八幡(だろうな)

八幡(どうりで早々に勝負をつけたがったわけだ)


玉縄「14-8!」


葉山「よしっ!リーチだ」

戸塚「少しずるい気もするけど……玉縄くんのためだからね!」

材木座「ひぃ、ひぃ、ふぅ……」


八幡(………材木座が覚醒するなんてお約束展開もなく)

八幡(ただ当たり前のように、我らが奉仕部チームが見事勝利した)
139 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/27(日) 11:01:26.46 ID:palUpRQ10
戸塚「やったぁぁぁ!」

八幡「よっしゃ!これでコートは俺らのもんだ!」

玉縄「ふ、ふぅ……よかった、勝てた」

雪ノ下「………この私が負けるだなんて」

平塚「体力ないのによくここまでやったと思うぞ、マジで」

めぐり「そうそう〜見てるのも楽しかったしいいじゃない。別にテニス以外でもやることあるんだし」

大和「それな」

大岡「ほんとそれ」

葉山「悪かったよ。これでも部活動なんでね」

雪ノ下「……あら?裏切り者が何か言っているわね」

葉山「手厳しいな……仕方が無いだろ。いくら友だちとはいえ、友だちより優先することもあるのさ」

雪ノ下「こちらも悪かったわよ。玉縄くんの練習を邪魔する形になってしまって……」

葉山「いや、いいんだ。この試合は玉縄にとってもいい刺激になったと思うよ」
140 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/27(日) 11:09:55.08 ID:palUpRQ10
八幡(スポーツを通じてわかり合う)

八幡(何このスポ根物語……)

戸塚「よし、じゃあ練習再開しようか」

葉山「そうだね」

玉縄「よろしくお願いするよ」クルックルッ

テニス部員A「あの……」

八幡「!?」

テニス部員A「あっ、ごめんなさい急に……」

葉山「何か用かな?」

テニス部員A「いえ……あの、さっきの試合、とてもよかったです!」

テニス部員B「僕らも、あんな試合がしたいなっておもって……それで」

玉縄「みんな……」


戸塚「……どうやら、ぼくらはもう必要ないみたいだね?」

八幡「なるほとな、最初からこうしてればよかったのか」

八幡(さっきの試合は部外者対決)

八幡(本職のテニス部員たちが見れば、それは凄まじい刺激になるだろう)

葉山「何にせよ雪ノ下さんたちには感謝しないとね…」

戸塚「そうだね。よかったよ本当に」


八幡(このテニス対決で圧倒的力を見せた雪ノ下雪乃はテニス部員たちの間で伝説となった)

八幡(そして半ば引きずられるようにして雪ノ下がテニス部の"マネージャー"になったのはまた別のお話……)


第3章
鶴見留美はズレていて、玉縄はなんやかんやでついている
141 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/27(日) 11:35:59.89 ID:rzJC65Zy0
★追記★

容姿レベルはそのままです

書き忘れてましたごめんなさい
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/27(日) 11:40:59.11 ID:rcwfAAsj0
これキャラの能力どうなってんの
雪ノ下の体力が低いままの割に
葉山の料理能力は明らかに由比ヶ浜のそれだし
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/27(日) 11:46:45.65 ID:m26oLOrN0
話の都合上変えなきゃいけないのは変えてるんじゃないか?
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/27(日) 11:48:14.15 ID:art/6C/xo
そう難しく考えなくてもSS書く上で引き継ぎやすいところは引き継いで引き継ぎにくいところは引き継出ないんだろう
ここまで大幅なシャッフルだと大雑把な取捨選択は必要になるから
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/27(日) 11:58:28.67 ID:Ih4GTCybo
八幡の胃袋を掴んで離さない葉山君もアリだと思います
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/27(日) 12:13:43.67 ID:Ax8Ah9FW0
材木座をキャッチする雪ノ下を想像してしまった
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/27(日) 12:48:53.00 ID:Re41bkHX0
葉山がホモじゃなければ至って普通の高校生活なのに……
148 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/27(日) 13:11:02.04 ID:rzJC65Zy0
比企谷家ーーーーーーーーーーーーーーーーー

八幡「……おーう、おはよう」

沙希「おはよ。相変わらずおっそいね」

八幡「うっせ、……母さんたちは?」

沙季「アタシが起きたときにはもういなかったよ」

八幡「大変だなー……」

沙季「ほら、朝ごはん作ったから食べな」

八幡「へいへい毎朝ありがとさん」
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/27(日) 13:14:42.86 ID:8mhDuDpTo
親と同居してる夫婦にしか見えへん
150 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/27(日) 13:15:58.55 ID:rzJC65Zy0
八幡「……………なぁ」

沙季「なに?」

八幡「お前って里芋の煮っ転がししか作れねぇの?」

沙季「殴るよ」

八幡「なんでっ!?」

沙季「少しでも体にいいものをって思って作ってるんだけど」

八幡「……でも毎日同じおかずはなぁ」

沙季「文句あるなら食べないでいいよ。自分で作りな」

八幡「あぁ、悪かった悪かった!沙季の里芋マジ最高!」

沙季「……はぁ、まぁ確かに偏りすぎてたかもね。ちょっと考えるよ」

八幡「お、おう………」


八幡(これが俺の妹。比企谷沙季)

八幡(クールで少し怖い雰囲気を醸し出しているが……)

八幡(可愛い可愛い俺の妹だ)
151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/27(日) 13:16:11.60 ID:pie73jpdo
妹サキサキいいゾ〜これ
じゃけん、妹のためにアレルゲンの元をクール宅急便で雪ノ下家に送っておきましょうね〜
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/27(日) 13:19:59.35 ID:nwEKv7J8o
早く相模大志が見たいわ
ホンマにマジで殴りたくなるんだろうなあ
153 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/27(日) 13:25:38.98 ID:rzJC65Zy0
八幡「」ズズーッ

八幡(妹の作った味噌汁を啜る。嗚呼、至福の時)

沙季「そういやアンタって総武高だったよね」

八幡「ん?まぁそうだが。ていうかそろそろお兄ちゃんって呼んでくれても….」

沙季「そっか………じゃあアイツの姉と同じなのか……」

八幡「何かあったのか?」

沙季「いや、今ちょっとつるんでる男子がいてさ」

八幡「詳しく聞こう。そいつはどこの馬の骨だ」

沙季「ちょっ、肩掴まないでよ……ち、近いし……」

八幡「あ、あぁすまん!俺としたことが妹に暴力をふるうなど……」

沙季「いや、いいけど……確か名前はおり、折本……?だったっけ」

八幡「覚えてねぇのかよ……」

八幡(なんとなく安心)

沙季「でそいつのお姉さんがなんか、不良っぽい?らしくて。家にも帰ってこないし家にいても不機嫌だし……」

八幡「へー。まぁ思春期の女の子だしいろいろあるんじゃね……?」

沙季「『比企谷さん不良っぽいし、姉ちゃんの気持ちも分かるんじゃね?アドバイスオナシャス!』って言われたからぶん殴ってきた」

八幡「そういうところが不良っぽいって思われてると兄さん思うよ」
154 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/27(日) 13:31:01.81 ID:rzJC65Zy0
沙季「アンタなんか心当たりない?」

八幡(殴ったもののなんやかんやでその男子のことが心配になって俺に相談しようと思ったんだろうなー可愛いなこいつ)

八幡「いや、知らん。折本どころか俺が覚えている生徒なんて1人だけだ」

八幡(つまり戸塚)

沙季「……だよね。アンタに期待したアタシが馬鹿だったわ」

八幡「うっせぇな、もともと期待すんじゃねぇって話だ」

沙季「はいはい、ご馳走様。遅刻したくないから先行くね。お弁当そこ置いてるから」

八幡「えっ……?はっ!?もうこんな時間かよ!!急がねば……」
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/27(日) 13:31:44.08 ID:oaQRFY0io
サキサキの漢字が違うのはワザとかな?
156 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/27(日) 13:39:58.22 ID:rzJC65Zy0
学校ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

八幡(遅刻した)

由比ヶ浜「……堂々と入ってくるとはいい度胸してるねヒッキーくん」

八幡「……重役出勤ですよ」

由比ヶ浜「えっ………?うん、なら、仕方ない……かな?」

八幡(本当に国語教師なのだろうかこの人は)

折本「………………」ガラッ

由比ヶ浜「あっ、かおりん!君も重役出勤?」

折本「は?何それ……マジウケる」

由比ヶ浜「……また騙したねヒッキーくん!?」

八幡「騙される方も悪いと本気で思ったのは初めてですよ…」

八幡(……ってか、折本だと?)

折本「…………………」

八幡(確かに不機嫌そうな顔をしてるな…)

八幡(沙季の言ってた"不良のお姉さん"か?)

折本「」スタスタスタ ストン

折本「遅れてすいませーん、次からは気をつけまーす」

由比ヶ浜「ううっ……、ならいいけど」

八幡「………………」

八幡「……ふーん」
157 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/27(日) 13:41:08.65 ID:rzJC65Zy0
あっごめんなさい

沙希でしたね

間違えました
158 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/27(日) 13:47:19.47 ID:rzJC65Zy0
奉仕部ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

戸塚「そういえばそろそろ職場見学の時期だねー」

葉山「あぁ、三人一組でやるんだろ?八幡、玉縄と組まないか?」

八幡「名前呼びは定着なんだな……別に構わねぇぞ。余ったところに入れてもらう予定だったしな」

戸塚「材木座くんたちと一緒じゃなくてもいいの?」

葉山「そもそも俺、材木座、大和、大岡で男子四人いるから一人あぶれるんだよ。だから俺が八幡たちと組めば万事解決なわけ」

八幡「そっか。じゃあ揉め事も起こらねぇな」

八幡(チェーンメールが出回るようなこともないな。平和だ)

戸塚「職場希望の紙、もう出した?」

八幡「俺は出したぞ」

葉山「以外だな。俺はまだだよ」

戸塚「へぇ……八幡はどこに行くことにしたの?」

八幡「えっ、いや、それはだな……」


八幡(言えない。"自宅"を希望したことなんて絶対言えない……)
159 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/27(日) 13:51:31.18 ID:rzJC65Zy0
八幡「まぁ適当に楽そうなところを」

戸塚「あははっ、八幡らしいね」

葉山「楽そうなところ、かぁ……俺も普通にそうしようかな」

戸塚「ぼくは……どうしよう、やりたいことって特にないんだよね」

八幡(戸塚なら何にでもなれそうだけどな)

八幡「ま、こんなところで書いたものが本当に将来自分が就職するところになるわけがないんだし、そもそも職場見学くらいならこれから先いくらでも機会はあるだろ。そんな重く考えることじゃねぇよ」

戸塚「それもそうだね」クスッ

葉山「ははっ、なんか八幡らしいな」
160 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/27(日) 13:54:06.28 ID:rzJC65Zy0
『2年F組ヒッキ……比企谷八幡くん。至急職員室まで来なさい』

八幡「………えぇ」

戸塚「呼び出しかぁ、珍しいね由比ヶ浜先生」

葉山「そっか、じゃあ行っておいで」

八幡「おう」


八幡(心当たりなんて一つしかねぇんだよなぁ…)
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/27(日) 14:00:14.76 ID:uAMFeTTY0
SSの八幡ってなんでこうも戸塚戸塚うるせえのかな。マジムカつく。原作だってここまで酷くないからな。八幡はネタで戸塚ラブしてんの、本気じゃないからな。たまには戸塚ラブじゃない八幡を見せろ!例えば葉山くんとかさ
162 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/27(日) 14:01:20.09 ID:rzJC65Zy0
由比ヶ浜「希望する職業は専業主夫、希望する職場は自宅……」

由比ヶ浜「これはどういうことかなぁヒッキーくん」ニッコリ

八幡「ど、どういうこともなにも、そのまんまの意味ですが……」

由比ヶ浜「……はぁ、書き直し」

八幡「ちょ、何でですか!専業主夫という職業自体は認められるべきものであるはずです!」

由比ヶ浜「先生に相談したんだけど『希望できる職場はその職場の最高責任者から許可が貰える職場に限る』らしいから」

由比ヶ浜「君の自宅の最高責任者……君の親にこのふざけた調査票を見られてもいいというのならそうするけど?」

八幡「ぐっ…………!?」

八幡(馬鹿な、先手を打たれた!?)

八幡(総武高教師恐るべし……やばいな、このままだと……)

由比ヶ浜「さっさと書き直して提出。平常点から引いとくからね」

八幡「くそっ!そんな……」

八幡(こうして俺の自宅見学の夢は儚くちった)
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/27(日) 14:05:50.46 ID:zJRjDb+/O
>>161

自演乙
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/27(日) 14:10:07.98 ID:rcwfAAsj0
なんでクラスに戸塚いるの
165 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/27(日) 14:12:15.68 ID:rzJC65Zy0
八幡「書き直せって言われてもなぁ……」

八幡(昼休み。昨日由比ヶ浜女史から突っ返された調査票を片手にぶーらぶーらしていた)

八幡(……葉山に捕まらないために)

八幡(俺は本当に孤独が好きな人間らしい)

八幡(そして、四階の屋上へ続く階段へたどり着く)

八幡(普段は鍵がかかって入れないはずのその階段は……なぜか南京錠が外れていた)

八幡(これでwkwkしない人なんているのでしょうか、いやいません)

八幡(屋上へ上がるのは学生の夢である。それは俺のような青春を憎む人間でも例外ではない)

八幡(うきうきしながら屋上へ入る)

八幡(瞬間、風が吹いた)

八幡(持っていた調査票は風に煽られ、はるか上空へと舞い上がってしまった)

八幡「うわ……」

八幡(と、そこで)

八幡(その舞い上がる調査票を掴む手首が見える)

八幡(南京錠を開け最初にここに侵入した本人だろうか)
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/27(日) 14:12:27.47 ID:art/6C/xo
>>161
海老名さんちょっと座ってて
167 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/27(日) 14:19:58.47 ID:6BSWLLMg0
クラスに戸塚はいません
八幡たちが話していたのは奉仕部です


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

折本「これ、あんたの?……ぷっ、ウケる」

八幡「折本………」

八幡(えっ何。まさか中身見られたの、うわぁ恥ずかしい)

折本「ちょっと待ってね……ぷくく」

八幡(おいこいつまだ笑ってんぞ。何がそんなにおかしいんだよオイゴラ)

折本「ほい」

八幡「あ、あぁ……さんきゅ」

折本「何キョドってんの?……マジキモイんだけど」

八幡「……悪かったな」

折本「あはは、何その表情、ウケる」

八幡「いや別にウケねーから……」

八幡(そうして)

八幡(折本は笑顔の裏に一瞬)

八幡(とてもつまらなさそうな顔を見せた)

八幡「…………」

折本「じゃあね」

八幡「……あぁ」


八幡「なんだ、あの顔……」
168 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/27(日) 14:28:03.67 ID:6BSWLLMg0
教室ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

担任「じゃ、職場見学の班決めるぞー」

葉山「行こうか、八幡、玉縄」

八幡「どこ行くか決めたのか」

玉縄「やはり僕としてはみんなのシークレットなアビリティのスキルアップが、できるようなところがいいと…」クルックルッ

葉山「雪ノ下さんたちとかと同じところでいいんじゃないか」

八幡「…ま、確かにあいつらならまともなとこ選んできそうだ」

八幡(そういうわけで俺らの職場見学先は大手出版社になった)
169 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/27(日) 14:37:39.79 ID:6BSWLLMg0
奉仕部ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

戸塚「もうすぐ中間だね」

八幡「そうだなー」

葉山「そうだね」

戸塚「あれっ、みんな余裕な感じ?」

葉山「余裕ってことはないけど……普段通りにしてれば大丈夫だと思うし」

八幡「俺もそんな感じか。戸塚は大丈夫じゃないのか?」

葉山「戸塚君は全教科学年一位だぞ。知らないのか?」

八幡「うっそまじで!?」

八幡(俺の順位、国語学年3位……一体誰に負けてるのかとは思ってたが……)

戸塚「な、なんで知ってるの!?順位貼り出されてたりもしないのに……」

葉山「……噂だったんだが、やっぱり本当みたいだね。すごいな。今まで誰に負けてるか、ずっと気になってたんだが…」

八幡「ちょっと待て、お前のその謂ぶりだと、まるで……」

葉山「う、……うん、俺は全教科学年2位だよ」

八幡(ほえ^〜)

戸塚「八幡は?何番くらいなの?」

八幡(一位、二位のあとに俺に話をふってくるか!)

八幡「こ、国語は学年三位……英理社はだいたい50番くらいかな……?」

葉山「へぇ。すごいじゃないか。で、数学は?」

八幡(二位のやつからすごいと言われても皮肉にしか聞こえねぇ)

八幡「す、数学は……」





留美「八幡は学年最下位だよ。数学」

全員「「「!?」」」
170 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/27(日) 14:45:01.99 ID:6BSWLLMg0
葉山「鶴見さん!?なぜ君がここに…」

留美「奉仕部には入らないけど。ここに来ちゃダメな理由はないはず」

戸塚「び、びっくりしたけど。ぼくは歓迎するよ。久しぶり鶴見さん」

八幡「百歩譲って来るのはいいとしよう。なぜ俺の数学の成績をあっさりバラした。そしてなぜお前が知っているんだ」

留美「八幡のことは何でも知ってる……あなたたちよりも。それを教えてあげようとした」

葉山「くっ……!」

八幡「なんでお前はそんな悔しそうなのん……?」



戸塚「……それにしても、数学最下位かぁ」

葉山「よく進級できたな」

八幡「追試は暗記勝負だからな。追試さえ真面目にやれば単位はくれる」

戸塚「受験とかどうするの?」

八幡「数学が必要の無い学部を受ければいいだけだ。私立文系ならそういうのもできるだろ」

葉山「……八幡は文系なのか」

戸塚「そ、それでも数学最下位はどうなの……」

留美「うん。数学を理解していないと解けない問題、物理や化学で出てくることもある」

八幡「必要に応じて覚える」

葉山「それができるなら頑張れば数学もできるようになるだろ……」
171 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/27(日) 14:51:59.21 ID:6BSWLLMg0
戸塚「………よしっ!決めた」

八幡「ん?」

戸塚「八幡!勉強会を開こう!」

八幡「えっ、はぁ!?」

八幡(なに戸塚と勉強会なんて心躍るシチュエーションは)

戸塚「学校が生徒に数学をやらせるのも、なにか意味があってのことなんだと思う。それを必要ないからっていってサボるのはよくない!」

八幡「それは確かに正論だがな…」

八幡(戸塚と勉強会……戸塚の家……戸塚とお泊まり……くそっ、心の準備が!)

戸塚「これは決定だよ!部長命令!目標数学100位以内!」

八幡「ちょっ、それは、無茶が…」

戸塚「頑張ろうね、八幡!」

八幡「うっ……」

八幡(その笑顔は反則だろ……)

戸塚「おっけー、じゃあ決まり。さっそく今日の放課後から始めよう」

八幡「わ、わかった……」

八幡(どどどどどどうすればいい!?戸塚と勉強会なんて……ナニが起こるかわかんねぇぞ!?こんなラブコメみたいな展開あっていいのか……)

八幡(……………………っ!!??なんだ)

八幡(殺気……?)
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/27(日) 14:54:36.31 ID:art/6C/xo
るみるみからストーキングの波動を感じる
173 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/27(日) 14:55:00.24 ID:6BSWLLMg0
葉山「……わかった、付き合うよ八幡」

留美「数学には、自信ある」

八幡「えっ?」

八幡(あ、あの……戸塚だけでいいんだけど……)

戸塚「そんな、悪いよ!八幡に教えるだけならぼく1人で十分だし……人数多くても邪魔になる―――――」

葉山「いや付き合うよ」

留美「八幡に教える」

戸塚「いやだから」

葉山「付き合うよ」

留美「付き合うの」

戸塚「……………う、うん」
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/27(日) 15:03:56.98 ID:DcOWXDgi0
明らかに元キャラより押しが強くて草が生える
ここまで強くないと周りを出し抜いて八幡ゲットできないよね
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/27(日) 15:07:19.28 ID:art/6C/xo
っていうかなんで八幡はあんなかわいい子にここまで言い寄られて無下にできるの?ホモなの?
176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/27(日) 15:09:48.67 ID:6Nu6mqjEO
そらかわいいかわいい愛すべき妹がおるからよ
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/27(日) 15:13:50.00 ID:8mhDuDpTo
ぼっち属性美人が妹に腐れ縁って、相性いいよな
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/27(日) 15:22:04.85 ID:nwEKv7J8o
戸塚が学年1位?で2位が葉山…
ゆきのんは?
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/27(日) 15:34:10.62 ID:e1oUEV5cO
>>178
まあそこらへんも考えてるだろ〜大丈夫だよきっと

180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/27(日) 15:37:16.17 ID:pie73jpdo
奉仕部で一番成績悪いのが八幡とかウケル
あと、ガハマ先生がエロすぎて男子生徒の股間に悪そう
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/27(日) 15:54:59.45 ID:+p4ay5YTo
三十路ガハラかぁ…
182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/27(日) 15:59:44.46 ID:fjHF3rHf0
材木座「八幡のことは何でも知ってる……あなたたちよりも。それを教えてあげようとした」
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/27(日) 16:16:42.91 ID:vaUuI1dAO
ガハマ先生が結婚できない理由ってなんやろ
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/27(日) 16:29:25.12 ID:VySvePEtO
愛犬をすぐに放しちゃう注意力の無さと料理やろ
付き合うまでは良いけど後から察するパターン
185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/27(日) 16:58:55.22 ID:pie73jpdo
そらもう、ガハマ先生の手料理を食べさせたら男は一発やろなあ
どんな男でもコロリといってしまいますわ
186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/27(日) 18:49:05.78 ID:uAMFeTTY0
ルミルミがミカサみたくなってる
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/27(日) 20:44:41.20 ID:art/6C/xo
デジャヴだと思ったらそれか
188 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/27(日) 21:39:16.52 ID:6BSWLLMg0
サ〇ゼーーーーーーーーーーーーーーーーーー

戸塚「ほら、そこを微分してこうすると……」

八幡「なるほど……こうやるのか。ありがとう」

葉山「俺にも聞いてくれていいんだぞ?」

留美「……こことかわからないんじゃない?ねぇ」


八幡(…………………)

八幡(別に期待するくらいいだろ。勉強会といえば友だちの家っていう固定観念があってもいいだろ)

八幡(よく考えたら気にせずドリンク飲み放題なサイゼの方がいいまである)


八幡「……んじゃ、ここ教えてくれ」

留美「その答えは√41らしい」

八幡「過程を聞いてるんだよ!」

戸塚「あぁ、ほらそこはxの二次方程式とみて、判別式を……」


八幡(……それに、まぁ、なんだ)

八幡(場所がどこであれ、こうやって試験前に一緒に勉強を教えあえる人がいるってのも、なかなか楽しいものだ)
189 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/27(日) 21:45:03.76 ID:6BSWLLMg0
八幡「………って、あれ?」

八幡(向こう側の席に、何やら気になるものを見つけた)

戸塚「どうしたの?八幡」

八幡「ちょっとごめんな」

八幡(あの青みがかかったポニーテール……まさか……)

八幡(席を立ち、その席へ向かう)

八幡(そこには愛する妹咲希と)

八幡(………なんか妙にチャラそうな男が向かい合って座っていた)
190 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/27(日) 21:55:20.18 ID:6BSWLLMg0
翔(※戸部)「ん?何か用っすかー?」

咲希「あ?………何してんのあんた」

八幡「いや、俺が聞きたいくらいなんだが…」

翔「あっ、もしかして比企谷さんのお兄さんっすか!うぃーっす!」

八幡「うぃーっすじゃねぇぞ何勝手に人の妹誑かしてんだチャラ男が」

咲希「ちょ、誑かすってアンタね……」

翔「っべー、マジっべーわー。ちょっと聞いてくださいよお兄さん〜」

八幡「お前にお兄さんと呼ばれる筋合いはねぇ!!」

咲希「何熱くなってんの……」

翔「別にいいじゃないっすか〜。相談のってくださいよ〜」

戸塚「……えっと、その子八幡の妹さん?」

葉山「妹がいたのか八幡」

留美「義妹がいるのは知ってたけど、実物を見るのは初めて………」

咲希「な、何……アンタら、うちの兄の友達?」

戸塚「初めまして、戸塚彩加です。八幡とは同じクラブで……友達、かな」

葉山「葉山隼人です。八幡とは友達……………だよ、今のところは」ボソッ

留美「鶴見留美……八幡とは、将来を」

八幡「中学の頃の同級生だよ、鶴見とは」

留美「あぁっ……」

咲希「………ふーん、なんだ、アンタ普通に友達いるんじゃない」

八幡(その安心した母親のような表情やめろ……惨めになるだろうが)
191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/27(日) 22:00:26.14 ID:RsMCYRkE0
沙希じゃないっけ
192 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/27(日) 22:05:40.58 ID:6BSWLLMg0
咲希「初めまして、比企谷咲希です。いつも兄がお世話になってます」

戸塚「しっかりした子だね」

八幡「あぁ。自慢の妹だからな」

留美「………確かに立派」ペタペタ

咲希「ど、どこ見て……」

翔「俺は折本翔っていいまーす!比企谷さんとは同じクラスです!」

八幡「デスノートはどこかな」

葉山「自己紹介を聞いてまっさきに思い浮かぶ感想がそれかい……」

咲希「今日はなんかこいつのお姉さんのことで相談があるっていうから……話しやすくするためにここ来て今話聞いてたってわけ」

八幡「あ、この前のことでか」

八幡(そして折本という名字……繋がったな、やはり折本かおりが、こいつの不良化したお姉さんなんだろう)

翔「いちおー、姉さんとも話し合ってみたんすけどー、なんかはぐらかされちゃって、みたいな?もう頼れるのは比企谷さんしかいないんすよー」

咲希「つっても、私別に不良じゃないし……」

八幡「まぁ事情はだいたいわかったわ。んじゃ、お前のお姉さんのことが解決したら、咲希にはもう関わらないんだな?」

翔「えっ………それはどうっすかね」

八幡「誓え」

翔「……………えぇ」

咲希「こら」

八幡「いたっ」

咲希「あんま脅さないの。ごめんね折本。こいつちょっと頭おかしいから」

八幡「兄に向かってそれはないと思うんだ…」


戸塚「もしかして……八幡って」

葉山「……過度のシスコン、だね」

留美「…………またライバルが増える」

戸塚「え?またって……」
193 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/27(日) 22:13:35.68 ID:6BSWLLMg0
せや沙希や
あかん川崎はサキサキのイメージしかない

あと戸部が折本のことを姉さんって言ってましたが姉ちゃん呼びに変更します。

ガバガバですまんな

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

八幡「……一つ確認するが、お前のお姉さん、かおりって名前なのか?」

翔「お?そっすそっす!知ってるんすかお兄さん?」

八幡「お兄さんやめろ……名前だけ知ってる程度だ。同じクラスだしな」

沙希「……アンタ、この前聞いた時は知らないって言ってたのに」

八幡「いろいろあったんだよ」

葉山「もしかして、折本さんのことかい?」

八幡「知ってるのか?」

葉山「あぁ……別に不良ってわけでもなさそうだけどね。友達もいるようだし。サバサバしてる感じの女の子だよ」

八幡(サバサバ、ねぇ。少なくとも俺が屋上で出会った折本かおりはそんなやつではなかった)

翔「……あーそっかー、姉ちゃん学校では普通なのかー。ちょっと安心したかな」

八幡「だから沙希にいろいろ聞いても無駄だと思うぞ。わかったらさっさとゴーホーム。もう一回姉と話し合ってみろ」

戸塚「なんか必死だね、八幡……」
194 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/27(日) 22:18:18.18 ID:BzfOGZSSO
ええんやで
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/27(日) 22:20:44.69 ID:uAMFeTTY0
平塚先生のピーみたいにガバガバだね
196 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/27(日) 22:27:07.54 ID:6BSWLLMg0
翔「……んーでも、やっぱり話し合って解決するようなことじゃない気がするっつうか…」

八幡(しつこいなこいつ)

翔「姉ちゃん四月まではすっげぇ真面目だったんすよ。ほら、総武高に合格するくらいっすし。でも新学期入ってから家じゃまるで人が変わっちまって……」

戸塚「……お姉さんのことが心配なんだね」

翔「まぁー、弟だし?姉のことが心配にならない弟なんていないっつーか…」

翔「夜遅くまで帰ってこねーし、帰ってきてもイライラしてるし……しまいには毎朝寝坊するし……正直見てられないんすよね……」

戸塚「……そっか」

戸塚「わかったよ。ぼくがお姉さんを元に戻してあげる」

翔「へっ?」

戸塚「ぼくらはね、奉仕部っていう部活をしてるんだ。ええと、なんていうか…お悩み相談所みたいなの」

戸塚「翔君のお姉さんは総武高の生徒だし…依頼してくれたら、ぼくがなんとかしてお姉さんの不良化の原因を探ってみるよ」

翔「マジっすか!?是非オナシャス!いや、マジで!ウェーイ!」

八幡「お、おいいいのかよ戸塚……試験前だぞ!?」

戸塚「うん……八幡や葉山くんには迷惑をかけないよ。この依頼はぼく一人でやる」

八幡「そんなのが許せるわけないだろ!俺たちは3人で奉仕部だ!」

葉山「……八幡!」

戸塚「う……」

八幡「俺たちも手伝うぞ。戸塚がやるっていうならな」

戸塚「でも、それじゃあ八幡の数学が…」

八幡「大丈夫だ。依頼をこなしながらでも、自力で100位以内に入ってやる」

戸塚「………!」

八幡「約束するよ。だから俺にもお前を手伝わせてくれ」

戸塚「………卑怯だよ、八幡」



留美「入り込めない舞台」

翔「いやぁ青春してるっすねー!」

沙希「なんで傍観者目線なの……」
197 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/27(日) 22:38:41.74 ID:6BSWLLMg0
由比ヶ浜「ほえ?かおりん?」

戸塚「はい。彼女について知っていることがあれば、教えて欲しいと思いまして…」

八幡(問題解決のためには、情報は必要不可欠だ)

八幡(折本弟から入手出来た情報……折本家は五人兄弟であまり裕福ではない、ということから推測できるものはあるが、いかんせんそれを裏付けるものがまだ必要ではある)

八幡(そこで先生の目線からの折本かおりという人間を知ることにした)

由比ヶ浜「えーっと……遅刻の多い生徒?」

八幡「はぁ……」

由比ヶ浜「ちょ、何そのため息!」

八幡「いえ、少しでも先生に期待した自分に呆れているだけです」

由比ヶ浜「期待されてたんだっ!?」

葉山「驚くのそこですか…」

戸塚「………遅刻の原因とかわかりますか?」

由比ヶ浜「んー?バイトでもしてるんじゃないかな」

八幡「やっぱそれか……」

由比ヶ浜「ていうか彼女から聞いたし。バイトで生活リズムが崩れてどうのこうのーって」

葉山「それは本当ですか?」

由比ヶ浜「うん、たぶん」

八幡(本人から聞いたのにたぶんなんだな…)

八幡(でもまぁこれで裏付けはとれた)

八幡(あとはあいつと接触するだけだろう)
198 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/27(日) 22:42:01.74 ID:h3GkZyvZO
おいなんだこの間違っていない青春物語は!
199 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/27(日) 22:47:49.27 ID:6BSWLLMg0
葉山「折本さん」

折本「……………なに?」

八幡(存外折本はあっさり捕まった)

八幡(まぁ下駄箱で待ち伏せしてたら普通に捕まるか……)

葉山「バイト、大変なんだってね」

折本「どこで聞いたのそれ。センセ?」

葉山「ははっ、まぁいいじゃないか。それよりもさ、やっぱりバイトのしすぎで睡眠時間がとれないのはよくないよ」

折本「何?心配してるの?ウケる」

葉山「そりゃ心配にもなるさ、同じクラスの仲間じゃないか」

折本「悪いけどアンタに心配される筋合いないから。じゃ、バイトあるから。じゃね♪」

葉山「あぁ、折本さん!」




葉山「全く相手にされなかった」

八幡「それでいいさ。分かってたことだ」

葉山「わかってて俺に行かせたのか…」

八幡「お前顔はいいからな。万が一成功する確率はお前の方があったんだ」

葉山「か、顔はいい……か、ふふ」

八幡(え、なんで頬染めてんの……そんな要素あったか?未だにこいつのことはよくわからん……)

戸塚「じゃあ、次のステップに進もう」
200 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/27(日) 22:57:33.29 ID:6BSWLLMg0
八幡(バイトで睡眠時間が取れなくなっている、というのに対して否定の色を見せなかったこと)

八幡(そして折本弟の証言……自分たちがねるまでに帰ってくることは稀であるということ)

八幡(これら二つの事象が示す意味は……)



戸塚「もしもし、翔くん?……そう、やっぱりそうなんだ」

八幡「……どうだった」

戸塚「八幡の言ってたとおりだよ。これで動機も分かったね」



葉山「……というわけなんだが」

雪ノ下「なるほど……じゃ、やっぱりあれは折本さんなのね」

葉山「え!?心当たりがあるのかい?」

雪ノ下「前に家族と食事したときに、折本さんらしき人がいたから…」

葉山「その店の名前を教えてくれないかな」

雪ノ下「えっと、確か……」

一色「探しましたよ、雪ノ下先輩!」

雪ノ下「い、一色さん」

一色「ごめんなさい、少し雪ノ下先輩借りますね……部活には来てくださいよー、先輩は大事なコーチなんですから」

雪ノ下「あ、あの、私一応マネージャーなのだけれど……」

一色「マネージャーは私ですよ?何言ってるんですか?さっ、行きますよ!」

雪ノ下「ご、ごめんなさい葉山君。あとでLINEで詳細は伝えるわ」

葉山「あぁ、わかったよ」


葉山「雪ノ下さんも大変だな………」
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/27(日) 23:05:14.49 ID:77nWeXOG0
>>198
葉山がおかしくなかったら完璧だった
202 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/27(日) 23:05:50.08 ID:6BSWLLMg0
八幡(……そうして迎えた、決戦の時)

八幡「準備はいいか?」

葉山「あぁ、もちろんさ」

戸塚「き、緊張するな……」

八幡(眼前にそびえ立つのは、なんかすっげー豪華そうなビル)

八幡(それ以外にこれを形容する方法がないのだから仕方がない)

八幡(このビルの最上階に……折本がいる)

八幡(時刻は9時半)

八幡(さぁて、年貢の納め時だぜ、折本かおり)

八幡(沙希を害虫から守るためにも、俺はここでお前を倒す!)
203 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/27(日) 23:10:04.69 ID:6BSWLLMg0
俺達の戦いはこれからだ!
ご愛読ありがとうございました!


……一応まだまだ続きますが
今日はこれまでとします

完全に交代するのは各キャラの居場所だけで、他のステータスは物語の必要に応じていろいろ付け加えてます。(>>1の段階では本当に他のステータスもシャッフルする気だったのは内緒)
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/27(日) 23:13:15.79 ID:zlo6obego
乙です
205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/27(日) 23:13:25.55 ID:bGDzZvsLo
乙です
サキサキと戸塚とるみるみがいれば良い青春待ったなし
しかし、ゆきのん良くコミュれたな
206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/27(日) 23:46:05.56 ID:kDZRs3NAO
ここでは妹と弟は同じ学校なん?
原作は塾が一緒なだけだけど
207 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/27(日) 23:46:22.87 ID:yFwaYanYO
このルミルミ常に八幡のテスト順位の一個下に居そう(数学は除く)
そしてまさかのいろはす→ゆきのんキマシタワー
ホモがあればレズもあった
208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/27(日) 23:47:19.01 ID:ZX9TFA0bO
おつ。面白い
209 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/28(月) 04:02:20.51 ID:EmhKXB/9O
このスレだとやはり俺は青春ラブコメのみ間違っているになるな
210 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/28(月) 21:22:23.63 ID:8V/8pY0M0
店員「」ペコリ

八幡(………おおう、いらっしゃいませとか言われねぇのか。これが大人の店…)

葉山「本当にこんなところにいるのかな……」

戸塚「葉山くんの情報でしょ?いなくてもまた探せばいいよ」

葉山「それもそうか……」

八幡「…戸塚はなんか慣れた雰囲気だな」

戸塚「そ、そうかな?まぁ家族でこういう店は何度か来たことあるし…」

八幡(え、何だそれ初耳。もしかして戸塚ってどこかのご令嬢なのだろうか。国際教養科なくらいだし、ありえない話ではない)

戸塚「……ぼく男だよ?」

八幡「へっ!?どどどうした急に」

戸塚「いや……なんか言った方がいい気がした」

八幡(読心術まで備わってるの……?本当に何者なんだろう)
211 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/28(月) 21:31:19.95 ID:8V/8pY0M0
八幡(店員に誘われるまま、俺たちはバーカウンターへ向かった)

八幡(そこにはきゅっきゅとグラスを磨く、女性のバーテンダー……もとい折本がいた)

戸塚「あ、あっさり見つかった……」

葉山「拍子抜け……だね」

八幡「こんなとこでバイトしてる奴なんているんだなぁ……」

八幡(口々に感想を漏らしながら、バーカウンターにいる折本に声をかける)


八幡「折本」

折本「……?どちら様ですか?」

戸塚「翔君にいわれて来ました」

折本「……………!」

折本「……アイツ、余計なことしゃべりやがって。なるほど、そこのが比企谷でそっちのが葉山ね。…アンタは?」

戸塚「戸塚彩加です」

折本「そ、戸塚……戸塚、ねぇ」

八幡(俺たちに気付いてからの折本の表情はずっとあの屋上で見たときの顔だ)

八幡(それでも戸塚の名を聞いたときだけはその口の端を嗜虐的に歪ませた)

八幡(……戸塚のことを知っているのだろうか?こいつがここまで嫌悪感を示すということは)
212 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/28(月) 21:31:43.26 ID:9eOfLpk2o
もういいから戸塚をレイプしよう(直球)
213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/28(月) 21:33:49.44 ID:qRB5wEGAO
戸塚は嫌がらないからレイプにならないぞ
214 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/28(月) 21:34:56.41 ID:f4r8AHcM0
戸塚に是非女の子というステータスをだな、付け加えようず
215 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/28(月) 21:40:43.43 ID:8V/8pY0M0
八幡「単刀直入に言うぞ。この生活やめろ」

折本「は?ウケる、なんでアンタにそんなこと言われなきゃならないの?」

葉山「簡単な話だよ。君だってわかっているはずさ……」

葉山「君は18歳未満だろう?18歳未満の子供の夜10時40分以降の労働は法律で禁止されている」

葉山「そして…ほら、もうすぐその時間がやってくるよ」

折本「は?なに、脅しのつもり?バイトやめなきゃ学校にばらすぞーって?そんなことしてアンタらに何の得があんの?」

戸塚「君の本当の年齢のことはもう既に店に伝えてある。もうここでバイトすることはできないよ」

折本「だからそんなことしてアンタらにメリットないでしょ?なんでそんなお節介焼くわけ……マジ迷惑。ここ割りと給料よかったのに」

八幡「折本、お前がなぜ年齢詐称までして金を稼ぐ必要があったのか当ててやろうか」

折本「……………あ?」

八幡「自分の塾の授業料」

折本「……………………………」
216 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/28(月) 21:48:10.17 ID:8V/8pY0M0
葉山「やはりか……」

八幡「弟が中3になり、春から塾に通わないといけなくなった。家は五人兄弟ということも相まって、経済状況はよくない。そして高2の夏という受験へつながる大事な時期……こうなるのも無理はないな」

折本「……だから何なわけ?言っとくけどこの話絶対翔にはしないで。アイツ幼いから……」

八幡「家族にも話せない理由はそれか。誰にも相談できず、勉強と仕事の二重生活。そりゃイライラもたまるよな。で、ついつい弟に当たっちまうと……」

折本「うっさい!!黙れ!!」

戸塚「」ビクッ

折本「……言っとくけど、ここやめても他のところで働くだけだし。アンタらが何がしたいのかは知らないけど、何を言われても私はこの生活を変える気は無いから。わかったらもう私たちには関わんないで。ほら、帰った帰った」


戸塚「………そんなの」

戸塚「そんなのってないよ」
217 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/28(月) 21:52:50.39 ID:8V/8pY0M0
折本「……は?」

戸塚「確かに折本さんは長女っていうプレッシャーもあるだろうし、人一倍頑張ろうとしちゃうのはわかるよ」

戸塚「でもさ、その姿を見て心を痛める人だっているんだよ?」

戸塚「折本さん自身が言ったんじゃない、『翔君は幼い』って……」

折本「…………………」

戸塚「急ぎたくなる気持ちもわかるけど、少し立ち止まってさ……」

戸塚「遠くから自分たちの状況を俯瞰してみればいいんじゃないかな」

戸塚「今の自分たちが本当に幸せなのかなって……」

折本「……………………れよ」

戸塚「え?」

折本「黙れよ偽善者が!」


※キャラ崩壊注意
218 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/28(月) 22:00:11.65 ID:8V/8pY0M0
折本「アンタにあたしの気持ちがわかるの?金がないなりになんとか兄弟を養っていかなきゃならないあたしの重圧がわかる?わかるわけないよねぇ!」

折本「戸塚財閥のお嬢さんはさぁ!」

八幡(………は?)

八幡(戸塚財閥…………だと?)

戸塚「……………っ」

折本「金がある人間に金のない人間の気持ちがわかるの?」

折本「そうやって何でも上から目線で全部わかってる感じで説教とか……マジウザい。キモい。死ねば?」

戸塚「ぼ、ぼくはそんなつもりじゃ」

折本「じゃーどうすればいいのか教えてよ。バイトをせず、弟の塾代も払って、大学いくための勉強をする方法をさぁ!!」

戸塚「そ、それは………」

八幡(……戸塚が完全に怯えてる。どうした、その返しはもう用意してあるだろう……?)

八幡(戸塚財閥……どう考えてもこのワードに反応したよな、アイツ)

八幡(何か自分の家にトラウマでもあるのか……?あの戸塚からは想像もつかないが)

八幡(………戸塚は完全に戦闘不能状態だ。仕方ない、俺が動くか)
219 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/28(月) 22:28:09.99 ID:8V/8pY0M0
八幡「………折本、スカラシップって知ってるか」

折本「は?スカ……?」

戸塚(………!!)

八幡「資料を持ってきた。読んでみろ」

八幡(スカラシップとは、単刀直入にいえば奨学金制度みたいなもんだ)

八幡(塾としては、成績のいい、実績を上げてくれそうな生徒が欲しい。だがその生徒が他の塾に行ってしまう可能性がある)

八幡(そこで塾は"これくらいの成績の人は授業料減額"といった餌をちらつかせ、好成績の生徒を釣り上げる)

八幡(これがスカラシップ制度。場合によっては、経済環境が悪い家庭の救済措置ともなりうる……このようにな)

折本「な、なに………これ」

八幡「わかったか?お前がバイトをする理由なんざ、最初からなかったんだよ」

折本「う………」

八幡「……なぁ、折本」

八幡「なんで先生に相談しなかった?」

折本「……え?」

八幡「これくらいのもの、適当な先生見つけて相談すれば誰だって教えてくれたはずだぞ」

八幡「こんなになるまで働く前にまずそういうことをするべきだったんじゃないか?」

折本「そ、それは……その……」

八幡「…………………」フゥー

八幡「カッコつけんなよ、折本」

折本「あ?」

八幡(こ、こわ)

八幡「な、何でも一人でやらなきゃとか思っちまったんだろ?4人もの弟や妹の面倒を見ていかなければいけないプレッシャーとかからさ。でもそんなのに何の意味もないんだよ」

折本「別にそういうんじゃ……」

八幡「無理難題があればあるほど、それを自力で乗り越えることが出来るだけの力が欲しくなるのはわかる。だが、そんな強さの前に、人に頼る強さを覚えろ。兄弟が五人もいるなんて環境そうそうないぜ?お前は恵まれてるんだよ」

折本「あたしが……」

八幡「……今日は帰ろう。で、ちゃんと弟と話し合え。自分の感じてるプレッシャー含めて全部な。そうすりゃ、また元の家族に戻れんだろ」

八幡(それで、依頼解決だ)

折本「……はっ、偉そうにして。何様のつもりなの?ウケる」

八幡「いや別にウケねーから……」

八幡(口の減らねぇやつだな……)

折本「まぁでも……アンタのいうことはもっともだわ。もっともだから……すごく心に刺さる」

折本「………マスター、すいません。今日は早退します」

店員「」ニコッ



八幡「……じゃ、俺たちもかえるか」

葉山「あぁ」

戸塚「」ボー

八幡「………?戸塚?」

戸塚「あっ……うん、ごめんね///」

八幡(ん?顔が赤いような……)

八幡「帰ろうぜ、帰りにラーメンでも食ってくか?」

戸塚「うん!いいね!」

八幡(………………気のせいか)
220 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/28(月) 22:35:58.48 ID:8V/8pY0M0
後日・ファミレスーーーーーーーーーーーーー

翔「お兄さーん!」

八幡「で、そこを対数を取ればいいんだな?」

戸塚「うん。あとはこうやってxをyの式に直して……」

翔「え?ちょ、スルーっすか!?マジないわーお兄さんマジないわー」

沙希「うるさい」

翔「てっ!?ちょ、はたくことないっしょー!?」

沙希「ちょっと黙ること覚えたら……」

八幡「全くだな。で、お前誰」

翔「ちょ、気付いてたんなら返事してくださいっすよー!折本翔っす!」

八幡「俺をお兄さんと呼んでいいのは沙希だけだこの虫が。で、誰」

翔「そりゃないっすよ〜今日はお兄さんにお礼言いに来ただけっすのに。折本翔っす」

八幡「お前にお礼を言われる筋合いはねぇよ。戸塚か葉山に言えって。で、誰」

翔「またまたぁ、姉ちゃんお兄さんに言われたことでずいぶん反省してたみたいっすよ!姉ちゃんがあそこまでどんよりしてんの初めて見たっす!折本翔っす!」

八幡「そっか。ていうかお前誰」

翔「もうそろそろ覚えてくれてもいいっすよね!?」
221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/28(月) 22:36:00.52 ID:9eOfLpk2o
そのままホテル行かんかい!
222 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/28(月) 22:42:33.62 ID:8V/8pY0M0
翔「俺も真面目にお兄さんには感謝してるんすよ〜。久しぶりに昔の姉ちゃんみたいに戻ったっすし」

戸塚「……折本さん、ちゃんと更生できたんだ。よかったぁ」

葉山「更生、っていうほどおおげさでもない気がするけどね」

留美「折本……また八幡のそばに女が増える……」

八幡「それはねぇだろ、ねぇ」

八幡(おそらくあの一件でだいぶ嫌われた気はするな……)

沙希「ま、感謝されてるんだし。ありがたく感謝されておけば」

八幡「感謝しなくていいからお兄さんやめろ反吐が出る」

翔「そんな、つれないっすよ〜お兄さん」

沙希「……諦めれば」

八幡「………うすうす思ってたがこいつってウザイな」

翔「お?わかります?よく言われるっす!」

戸塚「そこ誇らしげにいうところじゃないんだけどな……」
223 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/28(月) 22:52:41.62 ID:8V/8pY0M0
また後日・放課後ーーーーーーーーーーーーー

八幡(数学 108位)

八幡(………これでも褒めてくれ。最下位からここまで上げたんだ。返却の際にも数学教師からいいね!を頂いた)

八幡(葉山は微妙な顔をしていたが戸塚と鶴見は普通に喜んでくれた。『次は頑張ろう!』か……次の勉強会は期末かぁ。こんなにもテストが待ち遠しいのはいつ以来だろうか)

八幡(わずかに目標には満たなかったものの、なんとなくの達成感、そして期末への希望で心を踊らせ、るんるん気分で本屋に向かう)

八幡(確か今日は『やはり俺の青春ラブコメは間違っている』の最新刊の発売日だ……なんとなく、舞台が奉仕部と似てるので読んでいる)

八幡(本屋に着いた。さっそくラノベの新刊を手に取り、少し気が向いたので参考書も見てみることにする)

八幡(ずらーっと並ぶ参考書の中、適当に題名が良さそうなやつを手に取ろうと棚に手を伸ばす)

八幡(……すると、隣の人と手が触れた)

八幡(まじか、こんなドラマみたいなシーンほんとにあるんだな)

八幡「あっすいません……」

折本「いえ、こちらこそ……」

2人「「………」」

八幡「折本!?」折本「比企谷!?」
224 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/28(月) 23:07:23.97 ID:8V/8pY0M0
折本「なに、ラノベでも買いに来た?」

八幡「な、なぜわかった」

八幡(俺の買ったラノベはラノベの中でも割と正統派とはいえ、ラノベを買っているところを同級生に見られるのはあまり気持ちのいいものではない)

八幡(折本はそんな俺を見てけらけらと笑った)

折本「いやだって、比企谷超オタクっぽいし。エロゲとかやってそう」

八幡「人を外見で判断するなよ……」

折本「まぁアンタが外見通りのやつじゃないってことはなんとなくわかってるけどさ」

八幡「あ?」

折本「……スカラシップの件、ありがと。なんかあれのおかげで迷いとか吹っ切れたわ」

八幡「あぁ……別に俺は戸塚に付き合っただけだ。礼なら戸塚に言え」

折本「いやいや、アタシが吹っ切れたのは比企谷の言葉のおかげなんだし、そこはアンタに礼すべきでしょ」

折本「……それに、戸塚さんにはちょっと変な事言っちゃったしね」

八幡(変なこと)

八幡(あの晩から俺がずっと気になっている、戸塚財閥云々のことだとすぐに気がついた)

八幡(何度もそれのことを調べようとは試みたが、得体の知れない恐怖が俺を襲い、今に至るまで一切の情報を俺は得ていない)

八幡(……葉山や鶴見は知っているのだろうか。あのとき葉山がどんな表情をしていたかは思い出せないが……)

八幡「……そのことか、戸塚は気にしてないと思うぞ」

折本「そうかなぁ……」

八幡(とりあえず誤魔化した。戸塚が今でもどう思ってるなんかは知らない)

折本「……っと、帰らないと。今日翔が塾なんだよね」

八幡「お、そうか。じゃあな」

折本「じゃあね、戸塚さんによろしく」

八幡「…………あのな、戸塚は男だぞ」

折本「ふーん………ってえええええ!?」




第四章
いろいろあったが、折本家は今日もうまくやっている
225 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/28(月) 23:10:51.31 ID:8V/8pY0M0
今日はここまで
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/28(月) 23:13:33.65 ID:9eOfLpk2o

あと50分経ったら明日の分を投下ですね
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/28(月) 23:15:57.53 ID:RJYo/HGvO
どうでもイイがたしか、いろはすってサッカー部のマネージャーだからテニス部のコーチ兼マネージャーの雪ノ下を部活に連れて行く義理なくね?
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/28(月) 23:22:20.74 ID:IPQCG7xlo
おつ!続きを楽しみに待ってます‼
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/28(月) 23:34:45.18 ID:bNf/C4ig0
いろはす部活の設定とかかえてるんじゃないかな。
おつです。
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/29(火) 00:36:02.36 ID:/aV/5nHFo
乙です
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/29(火) 00:53:41.57 ID:4SdLUydj0
ハーレムヒロインのヒロインが一部男なんだが…ハーレムと呼んでいいのか…?
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/29(火) 00:56:18.57 ID:fnRP7hNj0
メインヒロインポジの2人が男な時点で…
233 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/29(火) 09:48:03.45 ID:pnFJXefDO
ついに戸塚陥落…これで八幡ハーレム(男)まで後は材木座のみ!
234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/29(火) 13:27:58.71 ID:d+odO8/mO

毎度思うんだが、お話として全然違和感がないから元を知らない人ならそのまんま受け入れそうだww
235 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/29(火) 13:30:53.05 ID:mea2XQYUo
奉仕部男子の日常
男三人、狭い部室、放課後毎日、何も起きないはずもなく
236 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/29(火) 21:25:45.11 ID:+RPvBkx10
八幡(中間試験から1週間が経過した)

八幡(奉仕部は、何も変わらない)

八幡(いつものように葉山が俺に話しかけ、それを俺は聞き流し、戸塚が反応する。たまに鶴見が乱入する)

八幡(もちろん、依頼なんてあるはずもない)

八幡(何もかもがいつも通り。だけどあれ以来、俺の胸中にはざわつくものが残っていた)


戸塚「へぇ、それでどうしたの?」

葉山「煽りに弱い雪乃がそいつらこてんぱんにして終わり」

戸塚「さ、さすが雪ノ下さん……」

八幡「……………」

八幡(その原因をちらりと見やる)

八幡(戸塚もいつも通り。変わったところなんて一つもない)

八幡(……だけど、確かにあの時の戸塚の様子はおかしかった)

八幡(あいつの生家にあたるであろう……"戸塚財閥"というなんか凄そうな組織の名前)

八幡(あいつは確かに怯えていた。……だが、自分の家にそこまで怯えるなんてすごくあいつらしくない)

八幡(はっきり言うと、恐かった)

八幡(今まであいつの生き方に憧れのような感情を向けてきたが……その憧れが崩れてしまうような気がして)

八幡(だから、今まで戸塚の家のことについて知るのを避けてきている)

八幡(だけど、気になるものは気になってしまうのが人の性だ)

八幡(今日も俺はあいつに意味あり気な視線を送ることしか出来ない)
237 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/29(火) 21:40:04.21 ID:+RPvBkx10
戸塚「………?どうしたの、八幡。ぼくの顔になにかついてる?」

八幡「はっ!?いや、別に」

戸塚「そう……何か相談があるならしてくれてもいいんだよ?」

八幡「いや、別に悩みとかねぇから…」

戸塚「ふーん……ならいいんだけど」

八幡(………………聞けねぇよなぁ)

戸塚「あっ、そうだ!みんなに相談したいことがあるんだった」

葉山「へぇ、なんだい?それは」

八幡「お前から相談なんて珍しいな」

戸塚「へへ………ほら、もうすぐ鶴見さんの誕生日じゃない?」

八幡(え、何それ初耳なんですけど)

葉山「そうなのか?」

八幡「あいつに誕生日なんてあるのか」

戸塚「あるに決まってるでしょ!?ていうかなんで八幡が知らないの、ぼくより付き合い長いのに……」

八幡「聞いたこともねぇしなぁ……」

戸塚「……まぁいいや、八幡だし。だからさ、誕生日プレゼントとか買いに行かない?」

八幡「行こう」

葉山「早い!?」

八幡(おまっ、だってあれですよ。戸塚とお買い物ですよ?最高のイベントじゃないですか。行かない手はないでしょう)

戸塚「よかった!じゃあ今週の日曜日千葉駅で九時に待ち合わせよう」

葉山「構わないが……プレゼント選びくらい1人でもできるんじゃ?」

戸塚「うっ………いや、ぼく、女の子へのプレゼントなんて選んだことなくて……アドバイス欲しいんだ」

八幡「……おそらくこの中で一番女心がわかってそうなのお前だけどな」

戸塚「え?ぼ、ぼくより葉山くんの方が慣れてるんじゃない…?」

葉山「確かに、去年もグループ内でプレゼント渡したりはしたね」

八幡「あーそっか、そいやお前リア充(笑)だったな」

葉山「悪意がこもってるように聞こえたのは気のせいかな……」
238 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/29(火) 21:50:05.15 ID:+RPvBkx10
八幡「まぁそういうことなら俺の戦力は期待すんなよ。異性どころか同性にすら上げたことないから」

戸塚「八幡には妹さんがいるでしょ?」

八幡「………妹の好みは熟知してるがそうでない人に何かプレゼントするとか重荷でしかない」

葉山「まぁそれもそうだね。でも鶴見さんは君のあげたものならなんだって喜びそうだ」

戸塚「それはほんとにそうだね……」

八幡(勢いでokしちまったがそうか、アイツへのプレゼントなのか……なんか変に調子乗りそうで怖いな)

葉山「そういえばどこで鶴見さんの誕生日を知ったんだい?」

戸塚「えっ………うーん、どこだったかなぁ。なんでだろ、思い出せない…」

葉山「軽く怪奇現象だねそれは」

八幡「そもそもアイツの誕生日っていつなんだよ」

戸塚「えっと、それは…………」



戸塚「…………何日だったっけ?」

八幡「おい」

戸塚「ごめん!でも最近っていうのは確かなはずなんだ!なぜかソースは出てこないけど……」
239 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/29(火) 22:03:08.21 ID:WTNOozjZ0
葉山「まぁ戸塚くんがここまでいうならそういうことなんだと思うよ」

八幡「これで違ってたら死ぬほど恥ずかしいがな……」

戸塚「それはそうだけど……」

葉山「もし誕生日じゃなかったとしても、プレゼントをもらって嫌な気持ちになる人間なんていないはずだよ!」

葉山(……………八幡と買い物なんてビッグイベント逃せるわけないじゃないか)ボソッ

八幡「どうした、いつになく強気だなお前」

葉山「やだなぁ。そんなことないよ」

戸塚「うん。たぶんが多くて申し訳ないけど……もうすぐ鶴見さんが誕生日っていうのは間違いないはずなんだ。ぼくを信じて!」

八幡「いや、まぁ、別にやめようっていうわけじゃねぇから……」

八幡(戸塚と買い物なんてビッグイベント逃せるわけないからな……)

戸塚「そ、そう?なら嬉しいな……」

戸塚「こうやって友だちとどこかに出かけるの夢だったから……」

八幡(………やめろ恥ずかしい)

葉山「以外だね。そういう経験ないのかい?」

戸塚「家族ぐるみでなら何度かあるんだけどね……こんなふうに子どもだけで約束をするのは初めてだよ」

八幡(……家族ぐるみ、か)

八幡(こんなちょっとしたワードにも反応して邪推したくなってしまう)

戸塚「初めてが八幡で……よかった」

八幡「すまん戸塚もう一回言ってくれ」

八幡(スマホの録音機能はオンだ!これで戸塚の声を半永久的に保存できる!)

戸塚「………え?え?」

葉山「……いいんだ戸塚。ここはスルーで」

八幡「くそぉぉぉぉ!千載一遇のチャンスが……!」

葉山「君ってそんなキャラだったっけ……?」



八幡(いろいろ自分のアイデンティティーを崩壊させながらもなんとか戸塚たちと約束を取り付けた)

八幡(日曜日が楽しみだ)
240 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/29(火) 22:16:10.57 ID:+RPvBkx10
八幡(来たる日曜日――――)

八幡「………早く来すぎたな」

八幡(時計の指す時間は8時。待ち合わせより一時間も早い。仕方ないだろ、1週間これだけを楽しみに生きてたんだから)

八幡「仕方ない。スマホで時間潰すか…」

八幡(と、その時ピロリン♪という効果音と共に1通のメールが届いた)

八幡(差出人は……葉山のガラケー?)

八幡「『息子が熱を出したので今日はお休みさせます』………」

八幡「これは俺はどんな表情をすればいいんだ………?」





戸塚「あっ、八幡!待った?」

八幡「…………おお!待ってないぞ」

八幡(私服戸塚可愛ええんじゃ^〜)

戸塚「そっか!葉山くんは残念だったね…」

八幡(あれから一時間スマホで時間をつぶし、戸塚はきっちり九時に来た)

八幡「まぁしょうがないさ。行こうぜ」

戸塚「大丈夫かな……葉山くんがいなくてちゃんと選べるかな……」

八幡「……本当にお前は自分のセンスで選べばいいと思うぜ」




葉山「ぐぁぁ………!行く、俺も行くんだっ…………!」

葉山母「無茶よ隼人!そんな熱で…」

葉山「くそぉ……!八幡、八幡………!」
241 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/29(火) 22:16:43.51 ID:tz+4F1Eo0
ゆきのんは家庭の力も無くなって弱体化しまくりだな。
戸塚上げか
242 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/29(火) 22:22:02.44 ID:mea2XQYUo
八幡とのショッピングが楽しみで熱を出すヒロインの鑑
遠足が楽しみな小学生か
243 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/29(火) 22:28:12.05 ID:SrV9W4/io
息子ってそういうことか
葉山の葉山がオーバーヒートしたのかと
244 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/29(火) 22:28:57.39 ID:0ukEecgD0
葉山wwwwwwwwwwwwwwww
245 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/29(火) 22:31:31.11 ID:+RPvBkx10
ふくやーーーーーーーーーーーーーーーーーー

戸塚「見てみて、八幡!これ可愛いよ!」

八幡(お前が一番可愛いよ)

戸塚「こういうのだったら鶴見さん喜ぶかなー……それとももっとシンプルな方がいいのかなぁ」

八幡「あいつの好みとか知んねぇけど、まぁ喜ぶんじゃねぇの」

八幡(婦人服売り場に男2人)

八幡(なのになぜこう違和感がないのだろうか……)

戸塚「八幡はどういうのにするの?」

八幡「俺か?……俺は少なくとも服は買わん」

戸塚「あっ、少しは何買うか決めてるんだ」

八幡「決めてるわけじゃねぇが……俺が服プレゼントしたら洗わずにずっと同じやつ着てそうだからなぁ……」

戸塚「あ、あー………なるほど」

八幡「……無難にハンカチとかか?」

戸塚「それだけはダメでしょ!?」
246 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/29(火) 22:39:41.44 ID:+RPvBkx10
戸塚「うわぁ、これも可愛い……鶴見さんに似合うかなぁ、どうかな……」

八幡「………試着とか、してみたらどうだ」

戸塚「八幡はぼくを変態にしたいの?」

八幡「いやっ!そういうわけじゃ……」

八幡(服見て可愛い可愛い言ってる姿がもう女子にしか見えんのですよ……)


戸塚「うん、決めた。これにしよう」

八幡(そういって戸塚が手に取ったのは白のワンピース)

八幡(………確かに鶴見に似合いそうだ。見てみたいまである。絶対言わねぇけど)

戸塚「八幡もぼくに付き合わずに好きなの見ていいんだよ?」

八幡「いや、帽子とか手袋とかなら大丈夫かな、と思って見てただけだから。気にしなくていいぞ」

戸塚「そっか。じゃあ他の店も見てみようよ!」

八幡「おう。行こうぜ」
247 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/29(火) 22:48:35.26 ID:+RPvBkx10
おもちゃやのまえーーーーーーーーーーーーー

戸塚「」キラキラ

八幡「……もしもーし?」

八幡(玩具屋のショーケースの前で目を輝かせる戸塚………なんだかんだで意外な一面を見れている気がする…)

戸塚「……すごいなぁ、大きいなぁ、あのレッドキング。欲しいなぁ」

八幡(しかもチョイスが古い!?てかこの玩具屋すげぇな!)


戸塚「あっ……!ごめんね。八幡は好きに見てて」

八幡「お、おう……ごゆっくりどうぞ…」

八幡(玩具屋に入る。戸塚は相変わらずショーケースのレッドキングにご執心のようだ)

八幡「……プレゼントに玩具か。息子の誕生日かっての」

八幡「まぁでもあいつアニメとか好きだしそれ関係のグッズとかならあげても喜ぶかな……」

八幡「子供向けじゃないオモチャとかも探せばあるだろうし……」
248 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/29(火) 23:09:17.82 ID:+RPvBkx10
八幡(………………!?)

八幡(馬鹿なっ!?ガンプラがこんなに……)

八幡(うちの近くの玩具屋にもこんなにはないぞ!?さすがららぽーと……)

八幡「……ちょっとくらいなら、いいよな……見ても」

八幡(次に俺が時計を見たときには、その針は1時半を指していた……)


戸塚「ごめん……ちょっとはしゃぎすぎた」

八幡「それは俺も一緒だよ……どうすっかなぁ、時間ないぞ……」

八幡(遅めの昼食をとり、ただ今午後2時)

八幡(晩御飯のことも考えたら、5時くらいには解散しないといけないだろう)

八幡(……限られた時間の中で鶴見の誕生日プレゼントを考えなければいけない。さて、どうするか……)


優美子(※三浦)「…………ん?」

優美子「おーい、彩加?」

戸塚「………………え?」

戸塚「姉さん?」

八幡(ファッ!?)

優美子「どしたんこんなとこで」

戸塚「友だちにプレゼントをね。姉さんこそどうしたの?」

優美子「あーしは映画の時間までぶらぶらしてるだけ。奇遇だねー」

戸塚「うん!あ、これぼくのお姉さん」

八幡「お、おう……初めまして」

八幡(これが戸塚のお姉さん……)

八幡(前言ってた、"憧れ"のお姉さんか)

八幡(戸塚のお姉さんを一言でいうと"コワイ")

八幡(表情、雰囲気、縦ロールすべてが威圧的だ。なんていうか、女王のオーラを感じる……)

優美子「ん?アンタ、もしかしてうちの弟の友達?」

八幡「えっあっまぁはい一応……」

優美子「そ、あーしは戸塚優美子。こいつの姉よ。こんなやつだけど、まぁ仲良くしてやってよ」

八幡「お、おう………」

優美子「で?」

八幡「え、は?」

優美子「だから名前よ名前。あーしが名乗ったんだからアンタも名乗りなさい」

八幡「は、はい。比企谷八幡!戸塚君とは同じクラブで仲良くしてもらってますどうぞよろしく!」

優美子「ぷっ、何で敬語だし。タメでいーよ別に」

八幡(怖いんだもん……)

戸塚「ほ、ほら。八幡困ってるから」

優美子「困ることないはずなんだけどねぇ?」

戸塚「姉さんは最初からグイグイ行きすぎなんだよ!ちょっとは遠慮というものを……」

優美子「アンタは遠慮しすぎっしょ。そんなだから姉に友達のこと心配されんだよー?」

戸塚「……できないから、悩んでるんじゃん」

優美子「?聞こえない、はっきり言いなさいよ」

戸塚「な、なんでもない……」


八幡(は、入れねぇ………)
249 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/29(火) 23:30:24.62 ID:+RPvBkx10
優美子「で、何だっけ?友だちにプレゼント?」

戸塚「ぼくはもう買ったんだけど、まだ八幡が……」

八幡「お、おう」

優美子「アンタ何買ったの?……へー、なかなかセンスいいじゃん」

戸塚「ちょ、勝手に見ないでよ!?」

優美子「いや、別にいいっしょそれくらい…」

八幡(お姉さんは怖いが確かに、慕われる性格をしていそうだ)

八幡(ざっくり言うとオカン気質)

八幡(身内以外には攻撃的に振る舞うが反面身内のことになると甘くなるタイプ)

八幡(その性格に加え……おそらく戸塚顔負けのハイスペックの持ち主なのだろう)

八幡(……憧れるわなぁ、そりゃ)

優美子「へぇ、しかしアンタが部活動ねぇ」

戸塚「結構楽しいんだよ。部員は八幡と、あともう1人。葉山くん」

優美子「……雪乃は?」

戸塚「……………雪ノ下さんはテニス部マネージャーだし…」

優美子「あれ?じゃあこれ雪乃へのプレゼントじゃないの?雪乃へこれ選んだならセンスあるなーって思ったけど」

戸塚「ち、違うよ。奉仕部によく遊びに来る、鶴見さんっていう女の子へのプレゼント……」

優美子「へぇ〜、アンタが雪乃以外の女の子にねぇ」ニヤニヤ

戸塚「そういうんじゃないよ!……本気で」



八幡(…………………………?)

八幡(なぜここで雪ノ下の名前が出てくるんだ………?)


優美子「…………」チラ

八幡「」ピクッ

優美子「………ふーん」


戸塚「というわけでさ、急いでるからぼくたちもう行くね」

八幡「お、おうそうだな。行こうぜ」

優美子「あーちょっと待って」

戸塚「?」

優美子「比企谷……だっけ?LINE交換しよ」

八幡「えっ、はっ?」

八幡(10数年の俺の歴史の中で女性からLINEを聞かれたのは初めてだ……LINEどころかメアドすらも聞かれてことは無い)

八幡「い、いいいいいっすけどど、なななんで?」

戸塚「動揺しすぎだし……」

優美子「弟の友だちなら、あーしの知らない彩加を知れるかもしれないしね」

戸塚「えっ、ちょ、姉さん!」

八幡「ま、まぁいいっすけど……」

戸塚「は、八幡まで!」

八幡「まぁ、別にお前のこと話す気はないから安心しろって」

八幡(………ただ、少し知りたいことがあるだけだ)

戸塚「むー……ならいいけど」

八幡(むくれる戸塚可愛い)
250 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/29(火) 23:41:21.54 ID:WTNOozjZ0
優美子「じゃあねー!彩加ー!」

戸塚「うん!バイバイ、姉さん」

八幡(そうして戸塚のお姉さん……戸塚さんは去っていった)

八幡「……すごいお姉さんだな」

戸塚「え?うん……姉さんはすごいよ。すごくて、ぼくの憧れなんだ」

八幡「そっか。お姉さんとは一緒に住んでないのか?弟が遊びに行くことくらい知ってそうなもんだが…」

戸塚「あ、あー………えっと、実はね」

戸塚「ぼく……一人暮らししてるんだ」

八幡「え………?」

戸塚「姉さんは家族と暮らしてる。だから家が違うんだよ」

八幡(なんで)

八幡(と言いかけた口を噤む)

八幡(……ここで戸塚の家の内部事情に踏み込むのは、よくないと判断したから)

八幡「…そうなのか。すごいな!その年で一人暮らしなんて」

戸塚「大したことじゃないよ。部屋代もお父さんが出してくれてるし……」

八幡「しよう、と思ったことがまずすごいことなんだ。じゃ、次の店行こうぜ」

戸塚「………?うん」


八幡(…………それは、ただの俺の逃げだということには、とっくに気付いている)

八幡(わかっていながら、その記憶は封印した)

八幡(…今は、鶴見へのプレゼントを選ぶ時だ。考えるのは、もっと後でいい)

八幡(そう、自分に言い訳しながら)
251 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/29(火) 23:43:16.62 ID:+RPvBkx10
なんとなくキリがいいので今日はここで止めておきます

正月は祖父母の家へ行くので更新出来なくなるかも……いや出来なくなるわ
この三日の間にそこそこ進めておきたいですねー。うんまぁはいしかし
252 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/29(火) 23:46:46.93 ID:0DYIgB2lo
凄いまるで普通の青春コメディみたいだ(直喩)
253 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/29(火) 23:53:34.09 ID:mea2XQYUo
乙です
ここの戸塚姉弟を雌墜ちさせたい
254 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/30(水) 00:01:06.65 ID:Ftzt8Bq3o
乙です
255 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/30(水) 02:23:43.02 ID:7+n+0U2y0
めちゃくちゃな配役になったのに物語として軸ができてて笑う
256 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/30(水) 04:00:18.96 ID:EuiwJ6HSO
なかなか面白い
257 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/31(木) 00:21:15.04 ID:/n6KEu160
帰り道ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

戸塚「ふぅ、今日は楽しかったね!」

八幡「あぁ、そうだな。お前の意外な一面も見れたし」

戸塚「意外な一面?」

八幡(無自覚だったのか……そりゃそうだろうけど)

戸塚「八幡もちゃんとプレゼント選べたしね」

八幡「なんやかんやで俺が一番相談乗ってもらっちゃったな」

戸塚「鶴見さんも喜ぶと思うよ」

八幡「ならいいな」

戸塚「……八幡ってなんやかんやで鶴見さんのこと嫌いじゃないんだね?」

八幡「な、なんでそんなこと」

戸塚「べっつにー、ちょっと気になっただけ」

八幡(どうしたんだろう、柄にもなく膨れていたような……)

八幡「嫌ってるように見えるかぁ…?全然そんなつもりはないんだけど」

戸塚「いや、普通あそこまで言い寄られたら……ねぇ?どうにかなりそうなものだけど」

八幡「……どうにかってなんだよ」

戸塚「べっつにー?」

八幡(やっぱ可愛いなそれ)
258 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2015/12/31(木) 00:45:27.03 ID:mtVzF2kC0
ごめんなさい
バグかシステムエラーか
更新されなくなってるので
今日の投下はこれだけです
259 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/31(木) 00:45:48.17 ID:Q6nUctmro
260 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/31(木) 01:14:49.86 ID:pbq6UigsO
とつかわいい
261 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2015/12/31(木) 22:34:29.05 ID:J4WVSBZko
>>255
それって原作の配役自体がおかしいって事なのでは…
262 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/01(金) 23:58:38.84 ID:a74zpPAA0
八幡「あいつとはただの友だちだよ。それ以上でもそれ以下でもない」

戸塚「………ふぅん」

八幡("それ以上"―――――)

八幡(それを想像しただけで、あの地獄が脳内にフラッシュバックする)

八幡(『友だちじゃダメかなぁ?』)

八幡(…………やめてくれ)

八幡(消えてくれ………俺から)



八幡(………陽乃さん)




八幡「つーかさ、誕生日わかんねぇならいつ渡せばいいんだ?」

戸塚「次に鶴見さんがうちに来たときに……どうぞ、みたいな?」

八幡「ついで臭ぇ………」

戸塚「や、やっぱダメかな」

八幡「いやそれしかもう方法ないからいいんじゃねぇの、知らんけど」

戸塚「知らんけど、ってもー!八幡はいっつもそればっかり!」

八幡「口癖なんだよ。知らんけど」

戸塚「あ、また言った!」

八幡「ははっ」

戸塚「ふふふ」


八幡(夕暮れの街に男子高校生2人の笑い声が響き渡る)

八幡(大丈夫だ)

八幡(俺は楽しめている)

八幡(こんなトラウマにいつまでも縛られるなんてあほらしい)

八幡(だから、俺は………)




戸塚「……………………」
263 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/02(土) 00:12:03.89 ID:c+umrFyq0
奉仕部ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

戸塚「Happy Birthday 鶴見さーん!」

八幡「いえーい」

葉山「どんどんぱふぱふ」

留美「…………え」

八幡「ビックリしたか?鶴見」

留美「う、うん………わたしの、誕生日覚えててくれたんだ……」

八幡「そっちにビックリしたか…」

葉山「きっちりとは覚えられてなかったけどね…」

戸塚「パーティーとかもしようかと思ったんだけど、八幡が猛烈に反対してね…」

八幡(そりゃそうだろ。高二にもなって仲間内で誕生日パーチーとか軽く死ねる)

葉山「代わりといってはなんだけど、俺たちでプレゼントを用意してみた」

留美「プレゼント…………」

留美「八幡、も?」

八幡「………お、おう。まぁな」

八幡(上目遣いやめろ恥ずかしい)

留美「そっか……八幡からのプレゼント……えへへへ」

八幡(そういうのもやめろ他2人がなんかあたたかい目になってるから)


戸塚「ぼくからはこれだよ。鶴見さんに似合うと思って……」

留美「…………なにこれ可愛い。戸塚さん本当に男子?」

戸塚「なんでそんな疑問が!?」

八幡(わかる。わかるぞ鶴見)

葉山「……俺からはアルバムだ」

留美「アルバム?」

葉山「鶴見が一番喜ぶものは何か、と考えたらこれが思いついたからね」

八幡(写真が趣味だと言っていたし、鶴見にとってアルバムというのは案外いいプレゼントかもな。実際葉山が渡したものは随分と分厚いものだった)

八幡(………てかあれ中身入ってね?)

留美「………」ペラペラ

留美「これはさすがに引く」

葉山「ぐはっ!?いいだろう!どうせ君も似たようなことやってるんだろうし!引くなら返してくれ!」

留美「せっかくくれたんだからありがたくもらっておく」

葉山「くそおお!?」


八幡(あのアルバムには何が記録されているのか。想像したくもなかった)
264 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/02(土) 00:13:46.43 ID:UTsGJoDDo
ストーカー多すぎぃ
265 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/02(土) 00:19:28.35 ID:c+umrFyq0
留美「…………で」

留美「八幡のは?」キラキラ

八幡「……そんな期待に満ちた眼差しで見つめないでくれ。大したもんじゃねぇから」

戸塚「またまたぁ、八幡ったら」

八幡「ハードルあげんな!?」

留美「大丈夫、八幡。八幡が一生懸命選んでくれたものならたとえそれが犬のうんこでも嬉しい」

八幡「一生懸命悩んで選んだものが犬のうんこな時点で脈なしと気付け」

葉山「なんというデジャヴ」

戸塚「ほら、茶番してないで早く渡しなよ」

八幡「はいはい……」

八幡(そうして鞄の中から小包を取り出す)

八幡「…ほらよ」

留美「初めてのプレゼント………」

留美「…あけてもいい?」

八幡「えっ、それはちょっと……」

八幡(自分があげたプレゼントを目の前で開けられるとかなにそれ拷問?八幡のメンタルはそこまで固くないよ?)

戸塚「はぁ、開けちゃえ鶴見さん」

鶴見「うん」ベリベリ

八幡「ちょまっ!そんないきなり、や、ら、らめぇ!」

八幡(期待と欲望に目をぎらつかせた鶴見が包装を乱暴に破いていくのを俺はただ指を咥えて見ていることしか出来なかった……)
266 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/02(土) 00:29:38.32 ID:S9l9FVKio
犬のうんこww
267 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/02(土) 00:38:29.36 ID:c+umrFyq0
葉山「……これは」

留美「懐中時計?」

八幡(やらぁ………俺の大事なプレゼント、見られちゃった……)

戸塚「なんだ、結局これにしたんだ」

八幡「………すっごく悩んだぞ。こいつにものプレゼントしたら、四六時中肌身離さず持ってそうだからな」

留美「間違いではない」

葉山「このメンヘラが……」

八幡「だから……四六時中肌身離さず持っていられるようなプレゼントが何か必死で考えたんだ」

戸塚「時計、っていうのはぼくがアドバイスしたんだよね」

八幡「んでたまたま入った時計屋でいい感じのデザインの懐中時計見つけたから……これならいいかなって思ってさ」

八幡「………どうだ?」

留美「嬉しい。すごく。八幡とは思えないくらいのセンス」

八幡「一言余計だ」

留美「肌身離さず持ってる。本当にありがとう」

八幡「…………どういたしまして」

八幡(こいつのこんな満面の笑み、初めて見たかもわからん)

八幡(……こんな表情もできるのかよ。やっぱり、俺の知らない鶴見ってのもいるんだな)



留美「で も」

八幡(…………?)

留美「戸塚さん、八幡にアドバイスしたって言ってたよね………?」

戸塚「え、うん……」

留美「もしかして2人でプレゼント選びにデートしたりしてたんじゃ……」

戸塚「そ、そんな!デデデデートなんてねぇ八幡!?」

八幡「そうだ!デデデデートなんて断じてしてない!天地神明に誓って!」

葉山「それはほんとかい!?じゃああの日は普通に解散したんだね」

留美「あ の 日 っ て 、 な に ?」

八幡「テメェ葉山ァァァァ!!待て鶴見!目が、目が怖いぞ!ちょ、その時計は鈍器じゃない!大きく振りかぶるな!やめろ、うわ、ぎゃああああ」

戸塚「で、デート……デートなのかな?うん……デート、かぁ……」




八幡(前言撤回――――――)

八幡(やはり鶴見留美は鶴見留美である)



第5章
そして、戸塚優美子は静かに爪痕を残していく


268 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/02(土) 00:39:30.23 ID:c+umrFyq0
本日は終わり
269 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/02(土) 00:40:49.18 ID:UTsGJoDDo
乙です
270 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/02(土) 00:43:20.17 ID:k8FcDOyko

なんだこのリア充の集まり……
あと、はるのんが折本ポジションだとトラウマ2倍マシくらいダメージ受けそうではある
271 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/02(土) 00:43:55.58 ID:zm7g5u6co
乙です
272 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/02(土) 12:26:19.04 ID:gPCQuLCDo
リア充(ホモ祭り)
273 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/03(日) 14:50:45.10 ID:hneDlGC00
はるのん折本ポジとかどう考えても地獄絵図
274 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/03(日) 15:24:25.04 ID:sZB8o49Io
男に走るのも仕方ない
275 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/03(日) 15:26:04.48 ID:VrNMbm0So
こんなんいくらなんでも普通ルミルミとくっつくだろと思ってたけど原作以上にメンタル痛めつけられたんなら納得
276 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/03(日) 19:32:42.27 ID:CsEvhJw/0
職場見学ーーーーーーーーーーーーーーーーー

材木座「なるほど……ここが我の将来のホームグラウンド!なかなかよいではないかっ!」

雪ノ下「気が早いわね……出版社なんて
どこにでもあるでしょうに」

平塚「婦人誌のコーナーはどこだ……」

めぐり「モテる秘訣を聞きたいなら来るところ間違ってると思うよ〜?」



葉山「……すごい人だな」

八幡「しゃあねぇ。雪ノ下グループが行くところ選んだんだから」

玉縄「んー、こういう職場はスピリッツ溢れるエネルギッシュな雰囲気と予想してたけど……そうでもないみたいだね」

八幡(確かに働く人働く人、みんな目が死んでるような気がする)

八幡(よく見たらここラノベコーナーか。それはさぞかしお辛いことでしょうな……編集者さんは)

八幡「あんな辛そうに働いて得るものは金だけ。時間は労働にとられるから得た金を使う手段もない。やっぱり働くのなんてクソだな」

葉山「職場見学に行って働く気をなくすって逆効果すぎる……」

玉縄「ノーノー、なんでもネガティブな心持ちでいるのはよくないよ。この職場にもポジティブなものがどこかにはあるはずさ」

八幡(そんなものがないからネガティブになるんだよなぁ……)
277 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/03(日) 19:45:41.81 ID:CsEvhJw/0
教師「かいさーん」

葉山「さ、帰ろうか」

八幡「ひたすら無意味な時を過ごしたな」

玉縄「終わった直後にそういうこというのやめなよ…」

八幡(実際無意味だったから仕方がない)

八幡(意味があるとすれば、割と本気で専業主夫を目指したくなったということくらいか)

材木座「はーやとくーん!みんなで遊びに行こうよー!」

葉山「えっ………」

八幡「行ってこいよ。お前にはあの居場所も必要だろ」

葉山「……わかった。行ってくるよ」



葉山「オッケー、どこ行く?」

平塚「カラオケにでも行くかーっ!ぃよっし!私のアニソンフォルダが火を吹くぞ!」

雪ノ下「平塚さんの歌う曲ってだいたいみんな知らなくて微妙な空気になるのだけれど……」

平塚「ぐはっ!?……くそ、時代の差か…」

めぐり「私たち同い年なんだけどね〜」

材木座「ふっ、平塚よ。我だけは全部理解できるぞ!」

平塚「おっ!?そうかそうか材木座!よし、じゃあ一緒に歌おう!」

材木座「望むところよ!フハハハ!!」

雪ノ下「あ、ちょっと……もう、しょうがないわね」

めぐり「マイペース2人組に付き合うのもしんどいんだけどね〜」

葉山「ま、それも楽しいじゃないか」



八幡(やはり葉山はあのグループにいる方があっている)

八幡(なぜ俺に付きまとうのかはよくわからないっていうかわかりたくないが)

八幡(あくまで俺はサブキャラだ。そのことを意識しなければ……)

玉縄「では僕らもどこかへ遊びに行こうか?いい感じのCafeを見つけたんだけどね」クルックルッ

八幡「あーすまん。用事あるからパス」

玉縄「そ、そうか……」

八幡(もちろん用事なんてない)
278 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/03(日) 19:50:09.91 ID:Y4c+vqaZo
この世界の玉縄はいいやつなのにww
279 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/03(日) 19:54:10.92 ID:CsEvhJw/0
ららぽーとーーーーーーーーーーーーーーーー

八幡(玉縄と別れた後、俺はららぽーとへ来ていた)

八幡(本屋を物色し、漫画を何冊か買って建物内をぶらぶらしてた最中)

八幡(突如俺のスマホからLINEの音がなった)

八幡(………誰だ?)

八幡(両親との連絡用ということでLINEを入れたが、家にいることの方が少ない両親とLINEのやり取りなんてするはずもなく、なんならこのLINEのピロリン♪という音も初めて聞いたくらいだ)

八幡(少しテンパりながらスマホの通知を確認する。そこにあったのは)

LINE yumiko☆ ちょっと前
後ろ、見てみ

八幡(目に映るのは金に染まった縦ロール)

八幡(命ぜられるままに振り返ったそこには、笑顔で手を振る戸塚優美子の姿があった)
280 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/03(日) 19:55:55.38 ID:Y4c+vqaZo
大魔王降臨だゾ
281 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/03(日) 20:01:59.89 ID:CsEvhJw/0
優美子「久しぶり。まさかこんな所で会えるなんて思わなかったし」

八幡「お、おう……お久しぶりです」

優美子「なに、その異物を見る目。ムカつくんだけど」

八幡(そりゃ異物だ。俺を見かけて、LINEまで使って話しかけてくるなんて)

八幡(そこで戸塚とデートしたあの日、この人とLINEを交換したことを思い出す)

八幡(戸塚のことを根掘り葉掘り聞かれるのかと思ったが、LINEではなんのやり取りもなく、今まで忘れていた)

優美子「ま、いいや。今時間ある?」

八幡「ないこともないですけど……なんか俺に用すか」

優美子「うん……ホントはもうちょっと後に話そうかと思ってたんだけど」

八幡「話す……?」

優美子「ここじゃなんだし、喫茶店にでも入る?つーか来い」

八幡「は、はい………」
282 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/03(日) 20:07:33.04 ID:CsEvhJw/0
八幡「……戸塚さんはなぜここに?」

優美子「優美子でいいし。弟と紛らわしいっしょ。あーしは映画見に来ただけ。待ち時間が暇でぶらぶらしてたらアンタ見つけたから……アンタは?」

八幡(つまり俺と出会ったのは偶然だと)

八幡「俺は適当に本屋でも……」

優美子「あーそっかその袋。何買ったの、見してみ見してみ」

八幡「ちょっ!やめてくださいマジで!」

八幡(ToLOVEる買ったとか絶対バレたくねぇ!!)

優美子「…ふーん?ならいいけど」



優美子「ここでいいか」

八幡「なぜミスド……」

優美子「うっさい、入るよ」

八幡(言われるがままに店内に入る。適当にコーヒーでも頼み、俺と優美子さんは席に座った)
283 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/03(日) 20:23:57.65 ID:CsEvhJw/0
八幡「で、話ってなんすか」

優美子「だいたい察してるっしょ?」

八幡「………………」

八幡(そう、わかってる)

八幡(俺が知らなければならないと思いつつも目を背けてきたもの)

八幡(戸塚の素性)

八幡(この人はそれを俺に教えようとしている)

優美子「彩加からは聞いてないんでしょ
?」

八幡「……ええ、まぁ」

八幡(戸塚は自分の家のことを話そうとしない)

八幡(たまたま話の流れでそうなったら、話をはぐらかしてくる)

優美子「まぁそうだろうね。あれで結構精神的に幼いから」

八幡「幼い……」

八幡(普段の戸塚からは、想像もつかない)

優美子「ウチの家は、日本でも有数の巨大財閥」

優美子「いくつもの会社を経営してて、業界人に聞いたら知らない人はいないくらい」

八幡「……"戸塚財閥"」

優美子「なんだ知ってんの?それよ。なんやかんやでアンタも調べてたのね。目を瞑ってるだけのヘタレかと思ってたけど」

八幡(ごめんなさいヘタレです)

優美子「ま、知ってるなら話は早いわ……そんな家に産まれたもんだから大変よ。跡継ぎとして、あーしも彩加もあらゆる英才教育を叩き込まれた」

優美子「アイツの完璧度を見りゃわかるでしょ?」

八幡「……えぇ、まぁ、はい」
284 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/03(日) 20:51:16.60 ID:CsEvhJw/0
八幡(戸塚の家がすごいところだというのは想像がついていた)

八幡(改めて聞くとやはり世界の違いを実感させられるものではあるが)

八幡(………問題は、なぜ戸塚は自分の家の話を避けたがるのか)

八幡(そして、折本に言われたことでなぜあそこまでダメージを受けたのか)

八幡(これはアイツの弱さの核心に触れる部分だ)

八幡(だから今まで知るのを避けてきた。俺の中の戸塚のイメージが崩れるのが怖かったから)

八幡(その恐怖は今も変わらず俺の心の中でくすぶっている)

八幡(それでも………)

八幡「戸塚に………」

優美子「ん?」

八幡「戸塚に、何があったんすか」

優美子「……自分から聞いたか。まぁ合格かな」

八幡「1回折本ってやつに煽られたんですよ。"財閥のお坊ちゃんに私の気持ちがわかるか"って。その時の戸塚の反応は尋常じゃなかった」

優美子「……その折本ってやつの素性後で教えな」

八幡「は、はい……」

八幡(ごめん折本)

優美子「……彩加には…ってかあーしにも、幼なじみが1人いるの」

八幡「幼なじみ…?」

優美子「雪ノ下雪乃。どう?繋がった?」

八幡「……………………」
285 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/03(日) 21:04:25.70 ID:CsEvhJw/0
八幡(雪ノ下が、戸塚の幼なじみ?)

八幡(テニス勝負のときを思い出す)

八幡(あのときの2人の様子はどう見ても赤の他人だった)

八幡(普通幼なじみとテニス勝負なんてすることになったら、というよりテニスコートで出会ったら、"久しぶり"くらいの会話はあってもいいもんじゃないのか)

優美子「……中学の頃ね、彩加と雪乃は同じ学校だったんだけど」

優美子「"いろいろあった"のよね……それ以来彩加は自分の家庭環境にコンプレックスを抱き、雪乃は彩加から離れていった」

八幡「……なんすか、いろいろって」

八幡(そこ一番重要なとこだろ)

優美子「ごめんね、それあーしの口からはいえない」

八幡「そんな……」

八幡(せっかく勇気を出して聞いてみたのに、生殺し状態で放置かよ)

優美子「これは本人の口から聞かないとダメなことだと思う。そうしないと彩加のトラウマは治らない」

八幡「………………」

優美子「だからこれの続きが知りたかったら、"彩加を傷付けずに彩加からそれを聞き出しなさい"」

八幡「……卑怯っすよ」

八幡(最初からそれが目的だったのか)

八幡(弟のトラウマを取り除くため)

八幡(そのために俺に真実の半分を語った)

八幡(俺の、戸塚への気持ちを利用して)

優美子「さて、そろそろ映画始まるから行くねー」

八幡「ちょ、待ってください!」

優美子「彩加を、よろしくね」

八幡「ッ………!」




八幡(こんなの、断れるわけないだろ…)

八幡(たぶんあの人は俺を信じて戸塚を任せてくれたのだろう)

八幡(……でも、真実を知るのが怖くて逃げてきた人間に、そんなことを要求されても困る)

八幡(もちろん、戸塚との関係がこのままでいいわけもない)

八幡(………はは)

八幡(とんでもないもん置いていきやがって、あのアマ……)
286 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/03(日) 21:14:36.57 ID:Y4c+vqaZo
あーしお姉さまのオマンコ犯したい
287 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/03(日) 21:17:35.23 ID:CsEvhJw/0
奉仕部ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

戸塚「やったね!数学100位以内じゃん!」

葉山「おめでとう、八幡!」

留美「私のおかげだね。お礼はなんでもいいよ」

八幡「ふっ、俺にかかればこれくらいたやすい!」

八幡(時は流れ、初夏)

八幡(期末も終わり、もうすぐ高校生活二回目の夏休みがやってくる)

八幡(朝から晩までアニメ見てゴロゴロする日々だ)

八幡(まぁ塾には行くけど。せっかくスカラシップとったし)

戸塚「もうすぐ夏休みかぁ!何しようかな。八幡は何する?」

八幡「えっ………」

八幡(これ家でごろごろしますっていう雰囲気じゃないよね……)

葉山「奉仕部でどこか遊びに行ったりしないか?きっと楽しいぞ」

戸塚「あ、さんせーい!海とか山とか!楽しみだなぁ」

留美「……八幡の水着、八幡の虫取り姿……うん、せっかくなら泊まりでいかない?」

葉山「ナチュラルに入ってくるね…」

戸塚「泊まりかぁ。それもいいね。友だちとお泊まり……ふふ」


八幡(待ってなにこれ、みんなで遊びに行くみたいな話になってるけどそれって俺も含まれてるのん?いやいや夏休みは休んでこそ休みじゃないんですかね……)

戸塚「八幡も来るよね!ね?」

八幡(…………………)

八幡「おう。もちろん」

戸塚「よかった!」

八幡(卑怯だこんなの断れるわけないだろ)

留美「八幡とお泊まり……」

葉山「……一応君部員じゃないからね?」

戸塚「まぁいいじゃん!人数は多いほうが楽しいよ」

八幡「それでも男3人に女1人ってどうなんだ………」

留美「私は八幡の付属品だから、OK」

八幡「新しいジャンルを作るな……」
288 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/03(日) 21:26:38.33 ID:CsEvhJw/0
八幡(……優美子さんとの一件以降)

八幡(依然として俺たちの関係は変わらない)

八幡(俺の選んだ行動は、"待つ"ということ)

八幡(今の戸塚に突っ込んだことを聞いても、おそらく逆効果になるだろう)

八幡(だから、待つことにした)

八幡(これは逃げじゃなく、ちゃんと考えた上での結論だ)

八幡(今は、楽しもう。このときを)

八幡(そして戸塚との絆をかけがえのないものにしたとき……)

八幡(………そのときだ。戸塚のトラウマに決着をつけるのは)




葉山「俺この日だめ」

留美「私はオールオッケー」

戸塚「わかった。八幡は?」

八幡「……この日とこの日は塾だな」

戸塚「じゃあここからここまでで日程と練ろうか……そうだ」

八幡「ん?」

戸塚「LINE交換しよう。何かと便利でしょ?」



八幡(その日、俺にこれまで一人もいなかった"友だち"が三人増えた)




第6章
ようやく、彼と彼の始まりが終わる
289 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/03(日) 21:35:27.24 ID:Y4c+vqaZo
何やこの正統派ボーイミーツボーイ…
290 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/03(日) 21:46:33.24 ID:CsEvhJw/0
ブゥーーーン

八幡(車窓から見えるのは見事なまでの田園風景)

八幡(都心から少し離れただけでこういった景色だって普通に見れる)

八幡(やっぱり千葉は最高だぜ)

戸塚「何黄昏てるの?八幡」

八幡「…あ、あぁ。田んぼ綺麗だなーって」

戸塚「ふふっ、確かにね」

八幡(それきり会話は止まる)

八幡(しかしそこには確かな安らぎがあった)

八幡(この安らぎのために、この俺が休日を返上してまで戸塚たちと遊びに行くことに決めたのだろう)

八幡(なのに)




材木座「ふははは!ここで我は禁断のワード.…"ルール"を発動する!」

めぐり「ルーレット。はい、静ちゃん」

平塚「と、かぁ………とととと、都市伝説!」

雪ノ下「鶴」

材木座「へぷわっ!?」



由比ヶ浜「それでね……化学の玉置先生ったら酷いんだよ!散々私を馬鹿にしてさぁ……」

葉山「は、はは……それは災難ですね」



八幡(なのになぜ、こうなったのだろう…)
291 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/03(日) 22:00:45.39 ID:CsEvhJw/0
八幡(きっかけは期末の終わったあの日)

八幡(ちょうど俺たちが遊びに行く日程を決めている最中だった)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
由比ヶ浜「やっはろー!」

八幡「うわっビックリした…」

戸塚「由比ヶ浜先生?お久しぶりです…」

由比ヶ浜「え!?一応毎日授業で顔合わせてるよね!?」

葉山「いえ、なんだか久しく顔を合わせた記憶がありません……」

由比ヶ浜「むぅぅ……っ!まぁいいよ!これから出番どんどん増えるし!早速だけど、奉仕部に依頼だよ」

八幡「依頼?もう学校ありませんが……夏休みも把握出来てないんですか?」

由比ヶ浜「そこまでアホじゃないよ!」

戸塚「ある程度はアホなんだ…」

由比ヶ浜「すぐそこに小学校あるでしょ?そこがもうすぐ林間学校に行くらしくてさ、そのお手伝いが欲しいんだけど……」

八幡「おっと、俺用事が」

由比ヶ浜「逃がさないよ?」ガシッ

八幡「ああっ!そういう仕事は嫌です!いりません!」

由比ヶ浜「嫌も何も必要な仕事だからね……一応ボランティアも募ったんだけど、集まらなくて」

戸塚「それでぼくたちが……」

由比ヶ浜「うん。林間学校だから泊まりになるけど……お願いできるかな?」

留美「やります」

葉山「やらせていただきます」

八幡「はぁ!?」

葉山「ちょうどいいじゃないか。お手伝いと言っても一日中お手伝いしてるわけでもないだろ、だったらその他の時間は遊べる。しかも費用は学校持ちだ」

留美「八幡とお泊まり……八幡とお泊まり……八幡とお泊まり……」

戸塚「確かにそうだね。わかりました、由比ヶ浜先生。ぼくらにできることならなんでもします」

由比ヶ浜「んっ!ありがと!葉山くんの言う通りお手伝いする以外は普通にキャンプを楽しんでもらったらいいし、もちろん交通費・宿泊費は学校が払うよ」

八幡「騙されるなお前ら!なんでボランティアに誰も名乗り出ないか考えろ!小学校の相手だぞ!?」

戸塚「いいじゃん。大丈夫だよ、行こうよ八幡」

葉山「うん、行こう行こう」

留美「八幡が行かないなら私も行かない」

八幡「……………くっ」

由比ヶ浜「はい、決定〜!じゃさっそく手続きしてくるから。よろしくね!」
292 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/03(日) 22:13:52.00 ID:CsEvhJw/0
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

八幡(戸塚に乗せられ、葉山に説得され、鶴見に脅され、なんやかんやで俺もこのキャンプが楽しみになっていたが)

八幡(なんでこいつらまでいるの)

八幡(友だちの友だちと幼なじみ+αと一緒にキャンプとか絶対肩身狭いですやん……)

八幡(ガハマ先生はずっと葉山に絡んでるし…)

沙希「」クー

八幡(唯一の心の安らぎはそこで眠っている俺の妹、沙希だろう)

八幡(……戸塚は雪ノ下と接触したときが怖い)

八幡(由比ヶ浜先生との待ち合わせ場所に雪ノ下がいたときは特にこれといった反応はなかったが)

戸塚「……楽しみだね、八幡」

八幡「まぁ、そうだな」

八幡(……本当に気にしてる風でもなさそうだ。それどころか普通に楽しんでるっぽいぞ)

八幡(それもそれで、不気味なんだよな)


材木座「ぐぬぬぬぬっ……!クソッ!我はパスを使う!」

平塚「しりとりにそんなものはない」

雪ノ下「だからしりとりなんてやめようといったのよ。あなたに万が一にも勝ち目はないわよ?」

めぐり「どんなゲームでも勝たせてくれそうにないけどね〜」



八幡(……あっちも、特に気にしてる風ではない、か)

八幡(まぁ、軋轢が起きなければそれでいい)

八幡(あくまで俺の選んだ答えは"待つ"ということだ)

八幡(あの歪んだ関係性についても、今はスルーしておこう)


八幡(……今は楽しもう、このキャンプを)

八幡(合言葉のように、俺はそれを心の中で反芻した)
293 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/03(日) 22:16:23.26 ID:CsEvhJw/0
とりあえず今日はここまで
気が向いたらまだ投下するかもしれないけど
294 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/03(日) 22:17:46.01 ID:ZQAeRhLCo
乙です
295 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/03(日) 22:33:40.27 ID:hAMNfvhsO

やはり俺の青春物語は特に間違ってない
296 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/03(日) 22:47:17.05 ID:la5A7hIWO
八幡「俺は本物が…あ、もう持ってた」
297 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/04(月) 14:54:27.94 ID:vN6bATvQO
本編八幡でも手に入ってないものが手に入ってるからな
298 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/04(月) 17:11:58.40 ID:kwe46VyiO
るみるみが行かないだけで脅しになるのか…
299 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/04(月) 18:35:19.99 ID:GkYGaB13o
ここの綺麗な葉山なら、犬事故後すぐに病院へ掛け付けそう
そして毎日お見舞いで通い妻しそう。何故そうしなかったんだろ?
300 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/04(月) 18:43:03.71 ID:6s7YjVSXO
他の女の子の尻追いかけまわしてたんでしょう
301 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/04(月) 19:20:48.25 ID:YCFDExHV0
由比ヶ浜「ついたよー!」

八幡「ほら、起きろ」

留美「んぅ……」

沙希「……あ、着いた?」

戸塚「おお……山だ!」

葉山「や、やっと着いた……」

八幡(今回俺たちが林間学校の手伝いとして来たところは千葉村)

八幡(自然溢れるよいところだ)

八幡「……で、先生。なんであいつらいるんですか。ボランティアは集まらなかったって……」

由比ヶ浜「あー、なんかあの後急に希望してくれてさ。まぁいいじゃん?人数多い方が楽だし楽しいよ!」

葉山「すまん八幡。……キャンプのことあいつらに話したらなんかみんなも行くみたいな雰囲気になっちゃって…」

八幡「あー……はいはいなるほど」


材木座「ふむぅ!幼子の集団発見!我らと同じくキャンプをしに来た仲間か!?」

平塚「材木座、これがボランティア活動だってこと忘れてないか?」

めぐり「えっ?なんのことそれ静ちゃん」

雪ノ下「えっ、小学校の林間学校のお手伝いをするという話でしょう?」

材木座「はぁぁぁ!?何それ我聞いてない!てっきりタダでキャンプが行ける神イベかと……」

葉山「いや、説明したよね……」

沙希「そんな都合のいい話あるわけないでしょ……」

八幡(……先生から直接聞いたんじゃなけりゃ、こんな勘違いをする奴らが出てくるのも不思議じゃないからな)
302 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/04(月) 19:30:27.73 ID:YCFDExHV0
由比ヶ浜「来たからには観念してしっかりと働いてもらうからね!」

材木座「嫌だ!働きたくないでござる!絶対に働きたくないでござる!」

平塚「駄々をこねるなその図体で…」

戸塚「あ、あはは……それで由比ヶ浜先生、ぼくたちは何を?」

由比ヶ浜「まずは先生たちに挨拶かな。やっはろー!」

八幡「他校の先生にもそれで通すのか…」

先生「あ、こんにちは。本日はわざわざすいませんね」

由比ヶ浜「いえいえこれもこの子たちのためですから。じゃんじゃん働かせてください」

八幡(おい)

先生「はは、わかりました。ではみなさんは裏方で待機しててくださいね……おい、お前ら並べ!」

小学生「」ワイワイガヤガヤ


戸塚「小さいね……ぼくたちもちょっと前まではあんなんだったんだね」

八幡「ホントにな、あの頃はあの頃で自分のことをだいぶ大人だと思ってた節もあったが……思い返してみると、やっぱり子供でしかない」

葉山「本質的にはそう変わってないさ。ああやって整列一つにもぐだぐだになるのは今も同じだ」

八幡「はは、そうかもな」

戸塚「葉山くんだんだん八幡に似てきたね…」

葉山「それは酷いな」

八幡「どういう意味だ…」
303 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/04(月) 19:49:18.21 ID:YCFDExHV0
先生「最後に、今日からみんなのお手伝いをしてくれるお兄さんお姉さんを紹介する。これから3日間お世話になる人たちだ。まずはちゃんと挨拶をするように。よろしくお願いします」

小学生「よろしくおねがいしまーす!」

八幡(説明は淡々と終わり、俺たちの紹介をする番がやってきた)

先生「じゃ、挨拶よろしく」

材木座「へっ!?はっ、わ、我ぇ!?」

八幡(そう言って先生がマイクを渡したのは材木座。ま、妥当な人選だろう。グループのリーダー格とも言える存在だ。それを瞬時に見抜いたあの教師はただ者ではないが)

材木座「……え、えーっと……」

材木座「」スイッチon

材木座「ふはははははは!!」

小学生「!?」

八幡(なんだ急に……)

材木座「我らは"黒の騎士団"!!悪を滅ぼし、世界に光を灯す存在也!」

材木座「歓迎するぞ!小さき同胞どもよ!これより3日間、我らの導きに従い、充実した林間学校ライフを送るのだ!!」

小学生「」ザワ……ザワ……

小学生「お、おぉぉぉぉぉ!!」

八幡(この大勢の前で何言ってんだあいつ……!?いや確かにあのアニメは俺も大好きだが!!)

戸塚「おぉぉぉぉぉ!!」

八幡「」

八幡(まぁ、盛り上がってるしこれはこれでいいか………)

304 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/04(月) 19:56:50.62 ID:5poTxJoU0
材木座がついに葉山ポジを放棄したwww
305 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/04(月) 19:59:50.61 ID:cNgNzq23O
いやカリスマという意味では間違ってないはず…
306 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/04(月) 20:00:23.53 ID:YCFDExHV0
材木座「」シュウウウウ

めぐり「頑張ったね」ヨシヨシ

雪ノ下「はぁ……大衆の面前でよくあんなことが言えるものね……」


八幡「なぁ、材木座ってどんなやつなんだ……?」

葉山「中二病」

八幡「アッハイ」

葉山「いい奴ではあるぞ。だからこそこうやって材木座を中心としたグループが出来ているんだからな」

八幡「あいつにそんなコミュニケーション能力があるようには思えないんだがな…」

八幡(今まで見てきたあいつからは、どうにも俺と同じような匂いがするのだが)

葉山「自然と人が集まるんだよ、あいつの周りには」

八幡「へぇ……」

葉山「俺だってそうさ、もとはあいつと俺が友だちになったところから始まった」

葉山「中二病でヘタレでクズな奴だけど……面白いんだよな。だからあいつと付き合うようになって……気付いたら人が増えていた」

八幡「玩具扱いかよ」

葉山「そういう魅力があるってことさ」

葉山「……もちろん、君にもね」

八幡「」ゾクッ

八幡「わかった、ありがとな。じゃあ由比ヶ浜先生に次の仕事を聞いてくるわ」

八幡(本能が告げた。逃げろと)

葉山「あぁ、八幡……」

葉山「……このキャンプ中に、必ず」
307 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/04(月) 20:10:17.71 ID:GkYGaB13o
これもう材木座の傍だけが安全圏だと思う
308 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/04(月) 20:14:35.83 ID:5poTxJoU0
大変! 葉山君の目のハイライトが行方不明なの‼︎
309 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/04(月) 20:22:34.70 ID:YCFDExHV0
先生「それではオリエンテーリング、はじめ」

八幡(小学生たちは五、六人のグループを作り、わいわいきゃあきゃあはしゃぎ回っていた)

八幡(そして材木座の周りには早くも人だかりが出来ていた。先ほどのシャウト効果なのか、はたまた葉山がいうような彼の魅力のなせる業なのか)



小学生A「おにーちゃん、黒の騎士団ってなーに?」

材木座「ほぽぅ!?な、なんだ藪からスティックに…そんなに知りたくば教えてやろう!後悔しても知らぬぞ?」

小学生B「なにそのしゃべりかたー」

小学生C「うけるー」



雪ノ下「そんなところで突っ立ってどうしたの?」

八幡「はっ!?お前は……」

雪ノ下「お久しぶり。あなたと同じクラスの雪ノ下雪乃よ。テニスの件ではお世話になったわね」

八幡「…比企谷八幡だ。どうした、俺に話しかけてきたりなんかして」

雪ノ下「比企谷くん……ね、いえ、少し時間が空いたから軽く自己紹介でもしようかと。これから3日間は共同作業なのだから」

八幡「それだけか?」

雪ノ下「………………」

八幡(楽しくなるはずのキャンプにこいつらが着いてきたことは予想外だが……これは幸運と言えるかもしれない)

八幡(こいつは戸塚の幼なじみだ。優美子さんが教えてくれなかった、中学時代の戸塚との軋轢を教えてくれるかもしれない)

八幡(そしてわざわざ俺なんかに話しかけてきたことから……こいつが戸塚のことを気にしているというのは明らかだ)

八幡(戸塚へのアプローチはまだ時間を置くとしても、必要な情報は得ておくべきだろう)

八幡(そのために、こいつから話を聞く必要がある)

八幡(だが、あくまで直球は避けろ)

八幡(ここは駆け引きだ)
310 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/04(月) 20:34:32.74 ID:YCFDExHV0
雪ノ下「あなたが何かを知っているのだとしたら、深く追求しないことをおすすめするわ」

八幡「んなこといわれて引き下がれると思うか?」

雪ノ下「戸塚くんは奉仕部ではどうなの?」

八幡「さぁな、お前が俺の質問に答えてくれるってんなら答えてやる」

雪ノ下「……優美子さんね?もう、あの人は余計なことしか言わないから……」

八幡「戸塚と何があった。言え」

八幡(路線変更だ。ここまでさらけ出してくるなら直球で勝負する)

雪ノ下「本人から聞きなさい」

八幡「ッ………!」

八幡(こいつも、それか……)

平塚「おーい、雪ノ下何やってるんだ?」

雪ノ下「ごめんなさい、今戻るわ」

八幡「おい、お前!」

雪ノ下「じゃあまた後で、比企谷くん」

八幡「くっ………!」

めぐり「あ、君が比企谷くん?初めまして〜、城巡めぐりです!よろしくね」

八幡「お、おう。よろしく」

雪ノ下「え、ちょっと城巡さん」

平塚「ん?あぁ、確かに自己紹介がまだだったな。私は平塚静だ。絶賛彼氏募集中」

八幡「ひ、比企谷八幡、です」

めぐり「さっき2人で何話してたの?なんか険悪だったけど」

平塚「ほほう……もしかして男女関係の軋轢か!?雪ノ下ぁ〜貴様にそんな話があったとはな……」

雪ノ下「ちょ、ちょっと!何か勘違いしているようだけれど私はそんな男と何も」チラリ

雪ノ下(助けなさい!)

八幡(なーんていう視線なんだろうけど知るか。性悪は野次馬に絡まれてろ!)

八幡「じゃ、俺行きますんで」

めぐり「あぁ!逃げるんだね比企谷くん!」

平塚「ますますあやしいな!雪ノ下、あいつと一体何があった!?」

雪ノ下「くっ……!比企谷八幡……!覚えてなさい!」
311 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/04(月) 20:42:10.17 ID:YCFDExHV0
八幡「ふぅ、疲れた……」

戸塚「あ、八幡。雪ノ下さんと何を話してたの?」

八幡「…………………………」

戸塚「?」

八幡「……自己紹介をな」

戸塚「そっか、確かに八幡もあの人たちとはほとんど初対面なんだね。ぼくもさっに自己紹介をしたよ」

留美「わたしも………した」

沙希「あんたの妹だって言ったらすっごく驚かれたんだけど……」

八幡「…そうか」

沙希「?」

八幡(俺が雪ノ下と話していた、というのを見ても戸塚は全く動揺の色すら見せない)

八幡(だが雪ノ下に近付こうとは決してしない。なんだ、この気持ち悪さは)

沙希「……どうしたの?顔色悪いけど」

八幡「…そうか?雪ノ下たちとの会話で疲れたからかな……」

戸塚「どんな会話したの八幡……」

留美「……内容次第じゃ血を見ることになるよ、八幡」

八幡「俺は女子と会話すらさせてもらえないのか……」
312 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/04(月) 20:53:35.95 ID:YCFDExHV0
沙希「……ってかさ、さっきからずっと気になってるんだけど」

八幡「どうした?」

沙希「あの子………いいの?」

八幡(そういって沙希の指した先には、1人の女の子がいた)

八幡(そう―――その子は、1人だった)

八幡(他の子供たちがグループを組んでいる中、その子だけが1人で佇まんでいた)

留美「……………………」

戸塚「……あの子、どうしたんだろう。友だちは?」

八幡「聞いてやるな……そういうことだろう」

八幡(あの子の容姿からして、孤立するタイプの人種ではなさそうだ)

八幡(なら考えられるのは一つしかない)

八幡(部外者である俺たちが、それに対抗することなんてできるわけもない)

八幡「……ここは見て見ぬふりをすべきだ」

戸塚「え!?そんな……そんなのおかしいよ」

留美「…………」

沙希「アタシもおかしいと思うけど……あのままじゃちょっと可愛そうじゃない?」

八幡(ここで声をかけたらもっと可哀想なことになるだろ…)

戸塚「ぼく、行ってくる」

八幡「あ、待て戸塚!」
313 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/04(月) 21:01:11.88 ID:YCFDExHV0
戸塚「君どうしたの?」

相模「」ピクッ

八幡(やっちまった……)

相模「えっとその、ウチ……」アワアワ

戸塚「ほら、みんな向こうにいるよ。ついてきて」

相模「う、うん……」

八幡(……戸塚に連れられるままにしてその子は小学生の輪の中に入っていったが)

八幡(その瞬間、その小学生たちが見せたなんとも微妙な表情を俺は見逃さなかった)

戸塚「……………」

八幡(戸塚も気付いたか……)

沙希「……そういうことね、悪かったよ八幡」

留美「………………」

八幡「いじめ問題っていうのはそう軽々と部外者が介入していいもんじゃねぇからな……」

戸塚「うん……でも見過ごして正解だったとも思えないしなぁ……」

八幡「戸塚の対応が吉と出る場合だってもちろんあるから、気負うことはないと思うぞ」

戸塚「うん……ありがとう」
314 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/04(月) 22:07:46.71 ID:/u9GdQe8o
弱気な相模は可愛い(宇宙の真理)
315 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/04(月) 22:10:56.62 ID:YCFDExHV0
昼休みーーーーーーーーーーーーーーーーーー

由比ヶ浜「みんなとカレーを作ろう!」

八幡「葉山、味見係頼んだ」

戸塚「ぼくたちでやるから安心して、ね」

葉山「なんだこの複雑な感情……」

沙希「葉山さんェ……」



平塚「ふははっ!カップラーメンで鍛えられた私の料理スキルを見よ!」

雪ノ下「平塚さん、あなたも味見係をお願いできるかしら」

平塚「なぜだ!?」

めぐり「確かに地雷な気がする……」

材木座「むぅ……味見係は我がやりたいのだが……」

雪ノ下「あなたは働きなさい」ニッコリ

材木座「ヒィッ!は、はい……」



沙希「…へぇ、すごいね戸塚さん。包丁さばきは私よりもうまい」

戸塚「沙希ちゃんだって、中3でそのレベルはすごいと思うよ。家事とかしてるの?」

八幡「基本的に親がいねぇからな。朝食はもちろん弁当夕飯まで沙希が作る場合もある」

沙希「アタシが小学校のときまではこいつが作ってたんだけどね」

戸塚「えっ、なんか意外……確かに妙に手馴れてる……」

八幡「一応長男だからな……」



材木座「ふふ……肉だ、牛肉だ……」

めぐり「やっぱり雪乃ちゃんは手際がいいね〜、家でも料理とかするの?」

雪ノ下「両親が多忙だから……毎日惣菜を食べるわけにもいかないし、自然に身についたのよ」

材木座「ほむぅ……それは大変だな。我もスパゲティくらいなら作れるが…」

めぐり「私はお菓子作りくらいかな〜?」



葉山「」

平塚「……わかるぞ、葉山」ポン
316 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/04(月) 22:20:04.51 ID:YCFDExHV0
由比ヶ浜「うう………」

葉山「先生、どうしたんですか?」

由比ヶ浜「子供たちを手伝おうとしたら失敗ばっかりしちゃって……追い出された」

平塚「ようこそこちら側の世界へ」

葉山「一緒に味見役をしましょう」

由比ヶ浜「急に生き生きとしだしたね…」



雪ノ下「平塚さん、お仕事よ!」

平塚「本当か!?」

雪ノ下「あとは煮るだけだから鍋を見ておいてちょうだい」

平塚「お前それでも人間か!?」



葉山「そちらも終わったみたいだね。アク取りくらいはやるよ」

八幡「…お、そうか?悪いな」

留美「じゃあ任せる……行こ、八幡」

戸塚「ありがとう。ぼくたちは少し休ませてもらうね」

葉山「ああ」



由比ヶ浜「お鍋見てあげようか?」

幼女A「やめて!触らないで!」

幼女B「あっちの班に行ってください」

由比ヶ浜「(´・ω・)」

317 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/04(月) 22:35:25.84 ID:YCFDExHV0
八幡(鍋は葉山に任せ、俺と留美はキッチンから少し離れたところに移動する)

八幡(戸塚は他の子どもたちの手伝いに行ったようだ。小学生で、しかも初めての野外炊飯。なかなか思い通りにならないグループも多いのだろう)

留美「やっと2人きり……」

八幡「くっつくな暑苦しい」

八幡(戸塚に付き合うということも少しは考えたがまぁー無理だ。こうやって鶴見に絡まれてる方がまだましなくらいに)

由比ヶ浜「ううう……」

八幡「……どうしたんすか」

由比ヶ浜「どこいっても邪魔者扱いで心が折れそうだよ……癒してヒッキーくん」

八幡「一体どんな料理スキルの持ち主なんですかあなたは……」

八幡(あの葉山ですらもたらい回しにされるほどではない)

留美「………うー」

由比ヶ浜「えっ……なんか威嚇されてる?」

八幡「安心しろ鶴見。間違ってもこれがお前の警戒するようなことにらならない」

留美「八幡がいうなら……信じるけど……」

由比ヶ浜「なんだかものすっごい腑に落ちないんだけど!?」



材木座「我のギアスは"瞬速"!見よ、この目にも止まらぬ速さの微塵切りっ!」

小学生C「すげー」

小学生D「そんなにはやくねー」


雪ノ下「………」シャッシャッシャッ

小学生E「じゃっ、ジャガイモがなんか変な仏像に!?」

小学生F「か、完敗です……」

めぐり「小学生相手に張り合うのやめよ雪乃ちゃん!?そのジャガイモもうカレーに使えないよ……」


八幡(……なんやかんやで盛り上がってるな、楽しい林間学校にはなっているようだ)

八幡(全員が、ってわけにはいかないが)


相模「……」オロオロ


八幡(……居場所を見失ったか)

八幡(ああいう状況になってもオロオロするしかできないってことは、いじめもそう昔のことからじゃねぇな……ほんとに、つい最近からハブられ始めたやつの挙動だ、あれは)
318 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/04(月) 22:41:30.48 ID:YCFDExHV0
材木座「………ふむぅ?そこの迷える子羊よ」

相模「」ピクッ

材木座「そんなところでどうしたのだ?自分の持ち場はどうした」

八幡(アッチャー……)

八幡(これは止められん。すまんな名前も知らない小学生)

相模「えっと、それは……」

小学生B「…………」

小学生D「………………」

相模「うう……ごめんなさいっ!」

材木座「あ、ちょ、待つのだ」

小学生C「なーなーさっきの続きはー?」

小学生G「はよはよー」

材木座「う、うむ……そうして埼玉を制圧した我ら"黒の騎士団"は――――」



相模「………うぅ」

八幡(それでなんでこっちに来るんでしょうかねぇ……)

八幡(まぁ、あそこから離れたのは正解だが)
319 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/04(月) 23:12:50.78 ID:YCFDExHV0
八幡(あそこで1人ぽつん、というのは想像以上に浮く)

八幡(周りはもちろんそれが見えている。だが、彼女の置かれた環境がそれに見て見ぬふりをさせるのだ)

八幡(あの場所にいる限り、彼女は決して向けられることのない視線を浴び続けることになるのだ)

相模「…………あ」

八幡(こちらに気づいたか)

相模「こ、こんにちは」

八幡「お、おう……こんにちは」

留美「………………」

八幡(……この場所なら誰の視線も入るべき余地がない。ならば、少しくらい話しかけても問題はないだろう)

八幡「なぁ、お前の"それ"、いつからなんだ?」

相模「う……それって、なんですか。なんのことかわかりません」

八幡(存外プライドの高い性格らしい)

八幡「答えたくねぇならそれでもいいけどな。ただ一つ言っとくのは……それが自然に収まると思ったら大間違いだぞ」

相模「……はぁ?何それムカつく…」

八幡「俺のいうとこを聞き流すならそれで構わねぇぞ。俺は俺の経験則からアドバイスを出してるだけだから」

相模「なに、ウチをアンタたちと一緒にしないでもらえる?ウチは……」

留美「同じ。あなたも、私たちも」

八幡(鶴見……?)

相模「っ!ち、違う!」

留美「違わないよ。あなたがちょっと前まではどうだったかなんて関係ない。今のあなたは、社会から不要とされた、ごみ。私と一緒」

八幡「つ、鶴見?どうしたお前」

留美「ごみはごみらしく生きないと。まだあっちの世界に希望を持ってるの?そんなのはただのまやかし。私たちにとって世界に希望なんてないんだよあるのはすごく簡素でつまらないものみんなが楽しそうにしているのはみんながちゃんとした人間だからそうじゃない私たちは笑うことも怒ることも泣くことも楽しむことも許されないのわかる?それを理解した上で今の自分の境遇を考えて今後の身の振り方を」

八幡「鶴見!!」

鶴見「……………………」

八幡(……な、なんだぁ、今の……尋常じゃなかったぞ、あいつ)

八幡(なんだ、林間学校にトラウマでもあるのか……?急に豹変したということは)

八幡「っと、おいお前大丈夫か……?」

八幡(当の本人は目を丸くして微動だにしません)

相模「ふぇ」

相模「ふぇぇぇええん……」


八幡「」

留美「」
320 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/04(月) 23:17:08.09 ID:/u9GdQe8o
可愛い(可愛い)
321 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/04(月) 23:21:10.06 ID:YCFDExHV0
留美「ご、ごめん……言いすぎた。謝るから泣き止んで……」アセアセ

相模「ふぇぇ……ひっく、ひっく、違うもん、ウチはごみなんかじゃないもん……ひっく」

八幡「マジ泣きするとは思わなかったな…」

八幡(だいたい鶴見が悪いが、話しかけた俺の責任でもある。余計なことはするべきでないという教訓を知った)

先生「ん……?どうした相模!」

相模「ふぇええ……この人たちが、この人たちがぁ……」

先生「……何をしたんですか?」

八幡(やっべ!このままじゃ小学生の女の子泣かした現行犯になる!)

相模「ひっく、ウチのことごみって……うう……ひどい、ひどいよ……」

先生「……ちょっと話を伺いましょうか」

八幡「なんで俺だけに言うんすか…」

八幡(人を見た目で判断すな……)

留美「……わかりました。ごめんね、相模さん……泣かせようと思ったわけじゃないの」

相模「ひっく、ひっく、ふぇええん」



葉山「何やってるんだあいつら……」
322 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/04(月) 23:26:21.57 ID:EdcDADSXO
まったくだよ!
323 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/04(月) 23:35:01.22 ID:YCFDExHV0
八幡(取調べはだいぶ本格的に行われた)

由比ヶ浜「この度は本校の生徒が申し訳ありませんでした……さ、謝って!」

鶴見「……ごめんなさい」

八幡「………すいませんでした」

先生「いえ、この件に関してはそちらも悪気があったわけではないようですし…ただ相手は小学生ですので、もう少し言葉には気をつけていただけると」

相模「ひっく、ひっく…」

留美「……わかりました。本当にごめんね?相模さん……」

相模「う、うぅ……ふぇぇん」

八幡(……しかしいつまで泣くんだこいつ)

先生「では、野外炊飯に戻りましょう。みんなもう食べている頃だと思います」



八幡(……取調べ室から帰ってきたこともあって、相模に対する周りの目は先ほど以上に厳しいものだった)

相模「」モクモク

小学生「」ヒソヒソ

相模「ッ………!」

八幡(………ホントに悪いことしたな。この俺が罪悪感に芽生えるくらいだから相当である)

戸塚「で、八幡たちどうしたの?どこかいったと思ったら、小学生と一緒に帰ってくるなんて……」

八幡「あー……なんだ、ちょっとな。小学生泣かせちまって」

葉山「な、泣かせたぁ!?なんでまたそんなことを……」

八幡「…俺はちょっと声かけるくらいのつもりだったんだが……」

留美「…………………」

八幡(結局、なぜ鶴見があそこまで豹変したのかは謎のままだ)

八幡(何か気の狂うようなトラウマがあったのだろうが……それを直接聞くのは正直怖い。ホラー的な意味で)
324 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/04(月) 23:45:10.52 ID:YCFDExHV0
戸塚「八幡が、…そして鶴見さんが話す気がないなら追求はしないであげるけど」

戸塚「反省してね」

八幡「はい」

留美「」コクリ


八幡(この件を反省した上で)

八幡(相模南を取り巻く環境については、手を打たねばならないだろう)

八幡(贖罪としてのものもあるし……)

八幡(……戸塚だって、おそらくはどうにかしたいと思っているだろうから)



第7章
小学生になっても、相模南は舐めている
325 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/04(月) 23:46:05.47 ID:YCFDExHV0
キャンプ前半戦終了
そして本日は終わり
326 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/04(月) 23:48:15.81 ID:/u9GdQe8o
乙でした
小学生相模にチンコ舐めさせたい(直球)
327 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/05(火) 00:13:04.40 ID:YKTto314O
乙!
ルミルミの闇は深そうだな…
328 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/05(火) 00:33:48.35 ID:Lh7RasgIo
乙です
329 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/05(火) 00:58:05.22 ID:OOToRM0X0
そうか…そういえばるみるみの過去も引き継ぎか。そして相模の性格も引き継ぎか…
330 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/05(火) 01:15:12.05 ID:klJ/kPRdo
人の過去を他人に聞いて本人に聞けと言われたら性悪ってよほど八幡のほうが性悪だろ…
雪乃と材木座は原作の数倍生き生きとしてるな
331 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/05(火) 01:50:08.35 ID:APa959Bpo
そういや平塚先生が学生やってるけど、原作での八幡との本物に関する会話見るに、先生も結構苦労してた節あるよな
私がそうだった、とか言っちゃってるし

ただここではまだ彼氏募集中としかwwwwww
332 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/05(火) 01:50:53.67 ID:nz60C/ev0
まぁ材木座はもともとの性格もあり、こんな感じで原作でも関わっていればこうもなるだろう
雪ノ下は「雪ノ下陽乃」っていう一つの重圧が外れたからね
戸塚とは過去に一体何があったかはまだわからないけど、それでもそれが外れただけでも大分軽くなったってことだね
333 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/05(火) 16:45:59.64 ID:pDWoRLN8O
すいませーん、木下ですけどぉ〜
ま〜だ、ホモネタ時間かかりそうですかねぇ〜
334 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/05(火) 21:16:30.97 ID:ycH2S5yh0
コテージーーーーーーーーーーーーーーーーー

戸塚「みんなに集まってもらったのは他でもない、相模さんのことです」

八幡(昼食が終わり手伝いも一段落ついたことで、俺たちは今後寝泊まりするコテージへ案内された)

八幡(もちろん男女で分かれており留美はふてくされていた。……だが、今この男子用コテージには雪ノ下たちを含めた全員が揃っている)

八幡(戸塚が召集をかけたのだ)

葉山「相模さん?もしかしてあの孤立していた子のことかい?」

戸塚「うん……せっかくの林間学校なのに、あのままじゃかわいそうだよ。なんとか相模さんと他の子たちの仲を良くする方法は無いのかな……」

めぐり「……そんな子いたっけ?」

平塚「うーん……まぁ、正直な話子どもに目をかけている余裕はなかったからな…」

材木座「………あの子のことか」

雪ノ下「心当たりがあるのかしら?」

材木座「確かに1人だけどのグループにも属さずオロオロしていたな……声をかけたら逃げられてしまったが」

雪ノ下「それはあなたが悪いのではないかしら?性犯罪木座くん」

材木座「3次のロリになど興味はないわぁ!」

八幡(怒るとこそこなの…?)

戸塚「とにかく!その子を救うためにはどうすればいいのかな……?」

戸塚「それを考えたくてみんなを集めたんだ」
335 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/05(火) 21:27:43.11 ID:ycH2S5yh0
雪ノ下「救う、ね……」

留美「…………………」

葉山「うぅ〜ん……」

平塚「……そもそもその子が孤立している原因はわかっているのか?」

戸塚「えっと、それは……」

八幡(ま、声に出して言いたいことじゃないわな)

八幡「十中八九いじめだろうな」

戸塚「う……」

葉山「確かに、それ以外は考えられないだろうね」

材木座「………………」

めぐり「重苦しい雰囲気になっちゃったね…」

雪ノ下「仕方がないでしょう。そういう話題なのだから」

八幡(相模南はいじめられている……これは疑いようのない事実だ)

八幡(だがそのいじめがどの程度のものなのか、そこまでのことはまだわからない)

八幡(おそらくああなってしまった以上相模からも聞き出せないだろう)

八幡「相模のことを解決するためには、相模のクラスが……あるいは学年全体がどのような空気であるのか、ということを知る必要があるな」

平塚「そんなものどうやって調べるんだ。小学生たちに聞きに回るのか?」

戸塚「いや、小学生たちに聞かなくても、そういった生徒間の雰囲気を一番理解してそうな人なら他にいるよ」

材木座「ふむぅ?誰だそれは」

戸塚「先生」

八幡「正解」
336 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/05(火) 22:01:37.88 ID:ycH2S5yh0
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

戸塚「ローテーション?」

先生「……あまり言いたくはなかったんですけどね、そういうことです」

八幡(その教師から聞き出したことは、おおまかにいうとこんな感じ)

・クラス単位で特定の人物をハブったり無視をするいじめが存在する
・いじめの対象となる人物は短い期間で変わる
・一度対象となった人物は、いじめがなくなってもなかなか輪に戻れない
・だいたいが女子のグループで起こる

八幡(……教師はこれを教えるのを最後まで渋っていたが、彼なりにも教師としての熱意があるのか、はたまた戸塚の熱意におされたのか、あますことなく俺たちに教えてくれた)

八幡(そして、あの時相模の言っていた言葉の意味もだいたい理解出来ていた)

八幡(『 アンタらと一緒にするな』)

八幡(おそらく相模は林間学校が始まる本の数日前までは、普通にあるグループに所属し、普通に過ごしていたのだろう)

八幡(そして恐らくは、"普通に"その時の標的だった子をいじめながら)

八幡(だからアイツはまだ自分の状況を理解できていない)

八幡(それどころか、鶴見の言う通り……希望を持ってしまっている。自分が今まで友だちと思ってきた奴らに)

八幡(こんなの何かの間違いだ、ウチが見捨てられたなんて有り得ない…ってな)

八幡(やはりプライドの高い性格だという俺の見立ては正しかったようだ)



戸塚「…なるほど、わかりました。ありがとうございました」

先生「いえ。…できることならあの子を助けてやってください。もう俺にはどうしようもないですから」

戸塚「もちろんです。そのためにお話をお伺いに来たのですから」ペコリ

八幡(あの顔。……おそらく戸塚も気付いているのかもしれないな)

八幡(相模南がただ普通に救済されていい人間ではないことを)
337 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/05(火) 22:14:33.70 ID:ycH2S5yh0
戸塚「…で、どうしよっか」

葉山「問題ははっきりしたね。誰か1人を排除しなければ気が済まない、この腐った風潮だ」

平塚「だがそんなものをどうやって改革すればいい?小学生とはいえど人は人だ。そういった人の心の弱い部分をなくすのはいくらなんでも無理だろ?」

めぐり「誰かをハブって楽しむ……わからなくもないのが辛いところだね」

戸塚「やっぱり相模さんから動いてもらうしかないのかな………それか、今までに迫害を受けてきた子たちとか」

留美「無理。そういう強い子は、そもそも対象にすらされない」

八幡(だろうな。さすがはぼっち歴は俺と一二を争うボッチリストだ)

八幡(無害そうな子、自分たちに反抗しなさそうな子……そういう人こそ、いじめの標的には成りやすい)

八幡(そういうところで逆らえる子は、どちらかというといじめの加害者に多い。弱肉強食の摂理だ)


雪ノ下「……そもそも、その話だともとは相模さんもいじめていた方だったのでしょう?」

八幡(…それを今言うか)

雪ノ下「巡り巡って自分に返ってきただけじゃない。なんでそんな子を救う必要があるの?」
338 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/05(火) 22:27:29.69 ID:ycH2S5yh0
戸塚「………だからって、泣いてる子を放っておけはできないでしょ」

雪ノ下「逆になぜ構うのか甚だ疑問なのだけれど。あなたのしようとしていることは追い打ちをかけるようなものよ?」

雪ノ下「あなたが相模さんを"救った"としましょう。相模さんは今まで通りみんなの輪の中に入りました、めでたしめでたし……で、終わると思う?」

雪ノ下「いくら和解しても、一度迫害をしたされたという関係のわだかまりは絶対残るわ。そんなことをしても、相模さんがより一層惨めになるだけ」

雪ノ下「そんなのがあなたの救済なの?」

戸塚「ッ……!」

八幡「…なら逆に聞くがこのまま放置することが救済になるとでも?」

雪ノ下「さぁ?それは相模さん次第よ。彼女がこの状況を打破したいと思うのなら、彼女自身が努力をしてそれを打ち破るべき。元はといえば自分がしてきたことなのよ?それくらいはさせて当たり前じゃないかしら?」

雪ノ下「彼女自身がこれまでの自分を省みて、状況を変えるためと努力しようと決意したとき……そのときに初めて救いの手を差しのべる。これが本来あるべき"救済"の仕方よ」

雪ノ下「あなたがしようとしていることは飢えた人に焼き魚を与えることに等しいわ。その飢えた人は魚を釣る方法も焼く方法もわからずまた飢えるでしょうね」

八幡(正論のオンパレードである)

八幡(しかし、そこには正しさ故に偏りがある)
339 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/05(火) 22:45:00.45 ID:ycH2S5yh0
葉山「雪乃のいうことも正しいとは思うけど」

戸塚「」ピクッ

葉山「相手はまだ小学生だということを忘れてないか?これが高校生のいじめ問題だというなら、相模さんにそこまで求めるのもわからなくもないが」

葉山「まだ知識も人生経験もかじりたての子どもだ。そんな子にいじめ問題から自力で立ち直れ、なんてことを要求するのはちょっと酷じゃないか」

八幡(やるぅ、葉山)

雪ノ下「……………………」

戸塚「……そう、そうだよ。いくらお節介だったとしても、子どもの間違いは正してあげなくちゃいけない」

戸塚「また何回も何回も間違えるかもしれないけど、その度に正していってあげよう」

戸塚「そうやって、子どもたちは大人になっていくんだろうからさ」

雪ノ下「……わかったわよ」

雪ノ下「でも実際どうやってこの状況を正してあげるのかしら?」

雪ノ下「下手に手を出しても、悪化する未来しか見えないのだけれど」

八幡(さぁ、出番だぞ)

八幡(悪辣非道、最低最悪な頭脳で考え出したこの答えを突きつける時がきた)

八幡(ここから先は光を塗り潰す暗い闇)

八幡(比企谷八幡の独り舞台だ)
340 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/05(火) 22:45:49.65 ID:ycH2S5yh0
短いですが、ここまで
341 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/05(火) 22:56:22.38 ID:XgJ9O3MZo
342 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/05(火) 23:03:42.58 ID:snaMdyL4o
アスラクライン思い出した
343 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/05(火) 23:10:55.54 ID:Lh7RasgIo
乙です
344 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/05(火) 23:15:22.81 ID:fFUIJoSYO
八幡のお家芸が始まるのか……なんかすごく引かれそう
345 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/06(水) 00:22:32.77 ID:WvkWD9XDO

雪乃が正論すぎてワロス
相模だから同情できないのかな
346 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/06(水) 00:36:49.47 ID:7nqhlI0AO
でもお前らはいじめられてはぶられてるのが戸塚だったら全力で助けるだろ?
347 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/06(水) 00:41:34.06 ID:wDQRblf6o
原作の正論を原作雪乃が持つ歪み無しに叩きつけるからホントに正しくなってる
陽乃がいないだけでかわるもんだね
348 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/06(水) 01:11:26.52 ID:pHYG8JnJ0
なんかこんがらがってるんだがこれ雪乃が口に出してるのは葉山の思考なんだよな?
ついでに聞くと葉山の中身は由比ヶ浜なんだよな?
349 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/06(水) 02:16:00.73 ID:HU/6BwBl0
違うぞ本来の葉山はこんなことは思っても言わない
ポジションが変わっただけで中身は変わってない
葉山が料理下手やホモになってたりで元いた人の要素が一部残ってるけどね
350 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/06(水) 06:24:48.41 ID:7nqhlI0AO
元の葉山もホモな可能性が
351 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/06(水) 08:31:51.62 ID:nEXSgHDWo
そういや海老見てねえな
352 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/06(水) 20:44:40.47 ID:oKq3uxlv0
>>348
基本的には>>51のような解釈をしてくれるとありがたいです。
各キャラの能力については場合によって受け継いだり元のキャラのままでいったりしていますが
353 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/06(水) 20:52:38.95 ID:oKq3uxlv0
翌朝ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

八幡(………………)

八幡(起きたら誰もいなかった……)

八幡「ふぁ……あ?」

『起こしても起きないので先に朝ごはん食べに行ってきます! さいか』

八幡(かわいらしい丸文字である)

八幡「ってか今何時だ……」

八幡「ってはぁ!?12時!?」

八幡(いくらなんでも寝坊しすぎだが……昨晩のことを考えたら仕方ないといえば仕方ない)


ーーーーー
戸塚『ん……うぅ、八幡……』

葉山『はぁ……はぁ……ダメだよ、八幡…』

材木座「」グガーフゴー

八幡『………………』

八幡(寝られるかぁぁぁぁ!!)
ーーーーー

八幡(材木座のいびきえげつねぇな……よく今まで家族と一緒に過ごせたもんだ)

八幡(今日からはイヤホンして寝よう)


八幡「んじゃま……起きますか」
354 : ◆rGsyzf.Kp2 [sage]:2016/01/06(水) 21:01:11.93 ID:oKq3uxlv0
由比ヶ浜「あ、やっと起きてきた」

八幡「すいませんね…で、今日のお仕事は?」

由比ヶ浜「いや夜までないかな」

八幡「……あぁ、肝試しのお化け役」

由比ヶ浜「無茶振りなのはわかってるけど、ぐだぐだでもそれはそれでいいからさ。頑張ってよ」

八幡「ずいぶんと無責任ですね……」

由比ヶ浜「むっ、これでも一応生徒のことは考えてるんだよ?なんなら手伝おうか?」

八幡「いえ、絶対に手を出さないでください」

由比ヶ浜「絶対に!?」

八幡「こっちには裁縫に強い沙希がいますし……おばけのアイデアならWikipediaさんがいるので…」

由比ヶ浜「へぇ、向こうも向こうでコスプレは用意してくれてたのに、わざわざ作るの?」

八幡「コスプレってなぁ……まぁあんなもんじゃ子どもたちは怖がってくれないんじゃないですかね。せっかくならもっと恐ろしいものにした方がいいでしょう」

由比ヶ浜「ふーん………」

由比ヶ浜「ヒッキーくんって、そういうことする子じゃないと思ってたんだけどなぁ」

八幡「別に俺がやろうって言い出したわけじゃないっすよ。あいつらが乗り気なもんで……」

由比ヶ浜「……何を企んでいるのかは知らないけど、問題は起こさないでね」

由比ヶ浜「また小学生泣かせるようなことをしたら本気で怒るから」

八幡「……………しませんよ、そんなこと」
355 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/06(水) 21:12:22.60 ID:v5HF8waWo
肝試しで相手を泣かせるなとな
356 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/06(水) 21:41:36.80 ID:qCecWY+I0
昼食ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

戸塚「やっと起きたの?八幡」

八幡「わりぃ、寝つけ悪くてな」

材木座「ほむぅ、健全な男子高校生がそのようなことではいけないな!我や戸塚や隼人くんを見習うが……」

八幡「…………」ギロ

材木座「ふぁっ!?い、いや……やっぱりなんでもない………です」

八幡(どうしたんだいきなり)

葉山「ほら、八幡の分もとってあるから早く食べなよ」

八幡「さんきゅーな。……しかしなぜかま〇やなのだろうか……」

めぐり「先生が好きなのかもね〜」

平塚「かま〇やの唐揚げ、私は好きたぞ」

雪ノ下「しかしなぜこの手の弁当は唐揚げが目玉なのでしょうね……もっと他にあると思うのだけれど」

沙希「この手のものじゃなくてもたいていお弁当といえば唐揚げだよね。確かに不思議」

留美「逆に唐揚げ屋さんってない」

葉山「確かに。おやつ感覚で食べられるからありそうなものだけどね」

八幡「単純な料理だからじゃねぇの。いっぺんに大量に作れる上、カロリーが高く子どもにも人気。逆にバリエーションが少ないからどうしても同じ味になる」

材木座「からあげクンは色々やっているようだがな。だがやっぱり味はそう変わらぬよなぁ……」


八幡(なんやかんやで、こんなくっだらない話をできる程度には打ち解けたようだ)

八幡(去年の俺は、こんな風にこいつらとキャンプをすることになるなんて考えもしていなかったが……)

八幡(やっぱり奉仕部に入れられてから色々変わったな)

八幡(人生は何が起こるかわからない)
357 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/06(水) 21:55:34.45 ID:qCecWY+I0
「ごちそうさまでしたー」

八幡(食い終わったやつらが次々に席を立っていく。食べ始めたばかりの俺は当たり前のようにそれを見送る)

八幡「……お前らも食い終わったんだろ?俺に構わず先行ってていいぞ」

留美「食べてる八幡眺めるの楽しいし…」

八幡「俺は動物園のパンダか……」

戸塚「まぁやっぱり4人でいた方が楽しいしね」

葉山「構いたくて構ってるんだから」

八幡「……あっそ」

八幡(4人でいた方が楽しい、か)

八幡(その言葉に否定的な感情を抱けないようになったのは、いつからか)

八幡(たぶんすごく最近)

葉山「下準備はもうだいたい済んでるんだよな?」

留美「うん…あとは台本を覚えるだけ」

八幡「沙希の衣装は?」

葉山「沙希ちゃんご飯食べ終わったら速攻でコテージに入ったし、たぶん夜までには仕上げてくれるんじゃないかな」

八幡(相変わらず真面目なやつだ)

戸塚「そっか、じゃあ手伝いにいこう」

留美「昨日も手伝おうとして散々邪険にされたじゃない……」

戸塚「う、うぅ……ぼくだって裁縫は苦手じゃないんだけどな……」

八幡「沙希あれで職人気質だからな。たぶんそっとしてやんのが一番だと思うぜ」

葉山「実の兄がいうならそうなんだろうね」

戸塚「1人だけ働いてるのにぼくたちだけ遊ぶっていうのも気が引けるな……」

八幡「ま、その分夜に働くからな」

戸塚「…………そうだね」

八幡「…無理しないでいいんだぜ、決してこれは正しい方法じゃないからな」

戸塚「ううん……自分で考えてみて、やっぱりこの方法以外に相模さんを救える手立てはない……」

戸塚「先生に"任せて"って言っちゃったもん。いまさら後には引けないよ」

八幡「……そっか」

八幡「じゃあ頼んだぞ」

戸塚「任せてっ」ニヒッ
358 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/06(水) 22:08:11.15 ID:oKq3uxlv0
戸塚「わぁーー!」

八幡(俺が飯を終えてから、4人でこの周辺を見て回ろうという話になった)

八幡(今にも熊が出てきそうな森を渡り、ひたすら歩き続けること数分)

八幡(俺たちは木の少ない、開けたところにたどり着いた)



戸塚「川だーーーーー!」

留美「うわ、すごい……水綺麗」

葉山「魚が泳いでるじゃないか……初めて見たかもしれないな、こんな綺麗な川」

八幡「さすが上流……」

八幡(キャンプ場からは少し離れたところにあるからか、小学生たちの姿もない)

八幡(なんだか秘密の宝箱を見つけたような気分になる)

八幡(他のみんなも同じなのか、そわそわと落ち着きのなさを見せていた)

八幡(あの感情を表に出すことが少ない鶴見でさえも、だ)


戸塚「………ひゃっ!水冷たい…」

八幡「まぁ、山の上だしな……」

戸塚「水浴びしたら、気持ちいいだろうなぁ……」

八幡「……………」

八幡(やめろ、そういうこというな。やりたくなっちゃうだろうが)

八幡(もちろんその気持ちはぐっと堪える。着衣水泳のときに体験したがずぶ濡れの服というのは想像以上に気持ちが悪い)

葉山「そんなこともあろうかと水着を持ってきたのさ!」

留美「……私も」

八幡「ふぁっ!?」

戸塚「そうなの!?……実はぼくもっ!」

八幡(お前らは何を想定してそんなものを持ってきたんだ!?)
359 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/06(水) 22:16:38.84 ID:oKq3uxlv0
戸塚「他のみんなが水着持ってきてなかったらきまずいなーと思って出さなかったけどみんな持ってきてるんだね」

葉山「川の一つや二つあることは予想していたからね」

留美「……いつお披露目の機会が訪れるかなんてわからないから」

八幡「俺は持ってきてねぇぞ……」

戸塚「えぇっ!?そうなの?」

八幡「そもそも山にいくのに水着なんて準備するか普通!」

葉山「弱ったな……八幡は持ってないのか」

戸塚「うーん……残念」

留美「大丈夫。八幡のも用意してある」

八幡「いや、俺に気にせずお前らで遊んでくれていいぞってお前何言ってんだ」

留美「こんなこともあろうかと準備していた」フフン

八幡「だから何を想定していたんだよ!」

戸塚「やった!じゃあみんなで水遊びできるね!」

葉山「……八幡の水着姿」グッ

八幡「お前はなぜカメラを構えている…」

留美「じゃ、着替えてこよう……八幡、絶対に覗いてきてね?」

八幡「そこは覗かないでねだろ」
360 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/06(水) 22:26:35.75 ID:oKq3uxlv0
戸塚「ところでさ……」

八幡 葉山「「ん?」」

戸塚「……な、なんで八幡も葉山くんも一緒に着替えようとするの?」

八幡「………え?いやほら、鶴見とは倫理上分かれなきゃいけないから分かれただけで、俺たち三人は男子同士なんだから別に別々のところで着替える必要も無いっていうかな……」

八幡(恐らくこれを逃したら二お度と来ない。戸塚の生着替えを見るチャンスなど)

八幡(原作ではうまくぼかしていたが俺はそうはいかないぞ!絶対に戸塚の裸体を網膜に焼き付けてやる……)

葉山「そうさ、男同士で何をそんなに恥ずかしがることがあるんだい?むしろこれは奉仕部の絆をさらに深めるいい機会じゃないか……」

八幡(だが何故だ……俺の本能が告げている。ここは引けと)

戸塚「……ごめん、あっちいって」

八幡「な、なぜだ戸塚!?」

八幡(本人から拒否られるとは正直予想だにしていなかった!!)

戸塚「なんか……今の八幡たち、怖い」

八幡「」


葉山「仕方ないさ……じゃ俺たちはあちらで着替えよう。………ふふふ」

八幡「じゃあ俺そっちで着替えるわ」

葉山「」




留美「…………なんで」

留美「なんで覗きにこないの……?」
361 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/06(水) 22:37:26.34 ID:oKq3uxlv0
戸塚「みんな着替えた?」

葉山「あぁ、俺は着替えたよ……あれ、戸塚くんはウエットスーツなのか」

戸塚「あぁ、ぼく生まれつき肌が弱くてさ……水着といえばこれなんだよ」

葉山「そっか……それは大変だな」

戸塚「八幡まだかなぁ?」

八幡「…………」ザッザッ

葉山「あ、来たんじゃないか?おーい、はちま………」



八幡(※ブーメランパンツ)「あいつあとで絶対シバく………!!!」


戸塚「ぶふっ」 葉山「ぶはっ」

八幡「笑うな!」

戸塚「ごめん、無理!」

八幡「可愛く手を合わせてんじゃねぇ!こっちの身にもなれ……なんだこれ、何の罰ゲームだ!?」

葉山「いやぁ、それはそれでアリなんじゃないか?一部の人からはウケそうだ」

八幡「ウケられたくねーよ……」

葉山「………そうか」

八幡「?」

留美「やっぱりいいね、それ」

八幡「あっ、おいテメェこら鶴見、こいつは一体どういうことだ――――……」
362 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/06(水) 23:01:56.72 ID:oKq3uxlv0
八幡(振り向いたそこには鶴見留美がいた)

八幡(どこからみても鶴見留美。それには間違いはないのだが……)

八幡(いつものように、彼女に怒鳴れない)

八幡(水着に対する文句すらも止まってしまった)

八幡(それほどまでに、黒いビキニで身を包んだ彼女は美しかった)

八幡(すらりと長い手足に、引き締まったウエスト。水着姿を見て初めて気付く、鶴見のスタイルの良さ)

八幡(改めて、鶴見留美がとんでもない美少女であると認識させられた)


留美「………八幡?」

八幡「えっ……あぁ、なんだ?」

留美「そんなに見つめられると、困る…」

八幡「はっ!?はぁぁぁぁ!?な、何言ってんだお前!全然見つめてねぇし見とれてもいねぇそれどころか何も見てないまである」

八幡(そうだ別にこいつのまな板とか誰も興味ねぇし……スタイルいいなって一瞬思っただけだし……)

留美「ふふ、素直じゃない……ふふ」ニヤァ

戸塚「……」ムッ

葉山「……………八幡、鶴見さんにいうことがあるんじゃないかな?」

八幡「くっ、はっ!?そうだった!」


八幡「この水着はどういうことだ説明しろ」

留美「え?説明しろと言われても……似合ってるよ?」

八幡「そういう問題じゃねぇ……」

留美「セクシーで素敵」

八幡「お前は俺に何を求めているんだ…?」

留美「……そんなの、決まってる」ポッ

八幡「そこで顔赤らめんな!」


葉山「八幡、こっち向いて」

八幡「あ?」パシャッ

八幡「ってお前何撮ってんだ!?」

葉山「ははっ、これは傑作」

八幡「そのカメラよこせぇぇぇぇ!」

戸塚「だ、ダメだよ八幡!水に落とすと壊れちゃうよ!」

八幡「うるせぇ!こんなもの、こんなもの!」

留美「でもちゃんと履いてくれる八幡が好き」

八幡「そりゃ履くだろ!ここまで来て水遊びせずに帰れるかよ!」バシャッ

留美「きゃっ!?」

戸塚「………おっ、やる気だね八幡!」

八幡「上等だ!その写真かけて勝負だぜ!」

葉山「この写真を賭けるというのなら……手加減はしてられないな!」

留美「葉山、その写真ダビングして頂戴ね」

葉山「もちろんさ。君の働きには感謝するよ。……だが負けないぞ」

留美「望むところ。それっ!」

八幡「ぐあっ!?ちょ、3対1はダメだって」戸塚「やぁっ!」

八幡「ぷはっ!?ま、待て一旦落ち着こう話せばわかる話せばぐわぁぁぁ」
363 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/06(水) 23:11:12.89 ID:oKq3uxlv0
八幡(小さい頃家族で海へ行ったのを思い出す)

八幡(あのときもこうやって……水掛け合って、笑って、楽しかったな)

八幡(高校生にもなってこんなことするなんてのは思わなかったが)

八幡(それよりも俺にこんな無邪気な心が残っていたことの方が驚きか)

八幡(思えば春に出した俺の作文は……こういうことをしているやつらへの当てつけとして書いたものだ)

八幡(しかし俺はこれが嘘であり欺瞞だとは思わない)

八幡(奉仕部に入ってから、本当に何もかもが充実している)

八幡(恐らく……これは自惚れではなく客観的事実として、今の俺は俺があれほどまでに憎んでいた"リア充"というものになっているのだろう)

八幡(そのことが嬉しくてたまらない)

八幡(破綻しているように見えて、このことはすごくシンプルな結論にたどり着くことが出来る)

八幡(俺はただ、羨んでいただけなのだな…と)

八幡(今更ながらに自嘲するのである)
364 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/06(水) 23:15:42.31 ID:rN3l4Ik80
これは間違いなく本物
365 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage saga]:2016/01/06(水) 23:18:51.02 ID:61NmBkEl0
普通の青春ドラマっぽいぞこれ
366 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/06(水) 23:22:58.61 ID:oKq3uxlv0
八幡「ぜぇ、ぜぇ………」

葉山「ね、粘るねぇ………」

八幡「負けるわけには、いかないからな」

留美「こちらも負けるわけにはいかない」

留美「八幡のブーメランパンツはちゃんとした額縁に入れて部屋に飾らないと」

八幡「やぁぁぁめぇぇぇぇろぉぉぉ!」



雪ノ下「あら?先約がいたの」

材木座「………デュフフ、素晴らしきこのハーレム状態……」ボソボソ

めぐり「なにぼそぼそ言ってるの〜?」

材木座「ひゃいいいい!?な、何でもありませぬ!!」

平塚「いいから大声を出すな……」


八幡「………雪ノ下たち?」

八幡(全員水着か……やっぱり女性陣のレベルは高いな。鶴見ほど見とれはしないが)

戸塚「材木座くんたち!どうしたの?水着着て………」

材木座「ここに川があると由比ヶ浜女史から聞いたものでな。川水浴へと出向かったわけだ!」

八幡(秘密のスポットでもなんでもなかったわけか)

平塚「いろいろと道具もある。葉山たちも一緒にやろう。こういうのは大勢でやる方が楽しいものだよ」

雪ノ下「……………そうね」

戸塚「わぁ!すごいすごい!水鉄砲とかビーチボールとか……どう考えても海へ行くつもりで準備してたよね!?」

平塚「ふっ、準備のいい女子はモテると聞いたからな!」

めぐり「モテてない時点でたぶん静ちゃんが頼りにしてるソース間違ってるんだよ……」

平塚「ぐっはぁ!?」
367 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/06(水) 23:23:49.64 ID:7nqhlI0AO
もうエピローグでも違和感なさそう
368 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/06(水) 23:32:56.65 ID:nDjJN+dxO
なんか1年ぐらい前も似たようなのなかった?
確か小町ポジにはるのんだったりとかする
369 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/06(水) 23:34:15.40 ID:oKq3uxlv0
材木座「ふぷっ、てゆーか比企谷くんその格好何………」

八幡「あ?はっ!そういや……」

平塚「ん?ぷっ、はっはっは!すごいセンスしてるな君は!」

めぐり「うわ……すごい、意外。比企谷くんってそういうの履くんだ」

八幡「待てこれは俺の意思じゃない」

雪ノ下「ぶっ、ブーメランパンツ……!くっ、くぅ……ひぃ、ひぃ」

八幡「おいそこのツボってるやつ。少しは遠慮というものを知れ」

雪ノ下「あなた相手に遠慮なんているのかしら?」

八幡「数回しか会話交わしたことのない相手によくそんなこと言えるな!」

戸塚「よし、せっかくビーチボールあるんだから、水球でもしようよ!」

平塚「水球だとぉ?ふっふっふ……私は水風船の魔術師と呼ばれた女だぞ?」

葉山「それ全く関係ないような……」

材木座「ふははは!面白い、ならば奉仕部チームと我ら"黒の騎士団"に分かれて勝負だ!!」

雪ノ下「奉仕部に入部してもいいかしら」

めぐり「あ、私も私も〜」

平塚「私も入ろう」

材木座「開幕孤軍奮闘!?」

戸塚「いっくよー!」

材木座「ちょ、まじでこれで始めちゃうの!?わ、悪かった!"黒の騎士団"はやめて"ナイトオブラウンズ"にするから…」

雪ノ下「戸塚くん、どうぞ」

戸塚「えーいっ!」

材木座「ちょぉぉぉぉぉぉ!?」
370 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/06(水) 23:47:19.90 ID:oKq3uxlv0
>>368 既出ネタでしたか!
読みたいな、題名とか覚えてます?

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

八幡「はぁーー………つっかれたー」

戸塚「はぁはぁ……こんなに遊んだのは久しぶりだよ」

葉山「みんなもう小学生みたいだったね」

留美「八幡に水着褒められたから……満足」

八幡「褒めてねぇ………ことも、なくも、なくも、なくも、なくもないだろ」

葉山「なんだそれ……」

戸塚「水球のルールみんなよく知らなくてなんか水上大乱闘になっちゃったけど」

八幡「雪ノ下が真っ先に脱落してたな」

葉山「あの人の体力のなさは筋金入りだからな……」

八幡「テニス部のコーチやってんだって今?そんなんで大丈夫なのかな……」

葉山「大丈夫なんじゃないか?教えるだけなら体力を使うこともないだろうし」

戸塚「今何時くらいかな?」

八幡「えーっと……4時だな。夜ご飯食べて肝試しが始まるまで……まだ割とある」

留美「最後の仕上げ……しよっか、じゃあ」

八幡「あぁ」

八幡(今日は楽しかった。何もかも忘れ去って遊びまくった)

八幡(だからこそ、向き合うべきときにはきちんと向き合わねばならない)

八幡(それが仕事だったとしても、いじめだったとしても、己の過去だったとしても、だ)
371 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/06(水) 23:53:05.45 ID:oKq3uxlv0
あーキリがいいのでここで止めときます
また明日投下します
372 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/06(水) 23:53:50.39 ID:hUp14yqLo
おつおつ
373 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/06(水) 23:58:00.94 ID:jCpwQWUqo
乙です
374 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/07(木) 00:41:57.16 ID:k1MYqmv70


>>352
おけ
口調性格以外全てシャッフルってので引っかかってたけどそういう解釈でいいのね
375 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/07(木) 00:45:12.70 ID:2goK5TBRo
乙でした。
帰宅したら平日なのに読み応えのある分量の投下があってビビった。
ありがてぇ、ありがてぇ。
376 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/07(木) 14:42:03.25 ID:BqIdv2L40
夜ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

先生「では5人組を作れー」

小学生「「「はーーーい」」」




八幡(晩飯が終わり、楽しい楽しい肝試しの時間がやってきた)

八幡(ルールは簡単。5人組を作りくじで引いた順番通りに夜の森を歩く)

八幡(森にはもちろん俺達が扮したお化けがたくさん潜んでいる……)

八幡(俺はとある事情により仮装していないが)


幼女A「えー、わたしたち最後ー?」

幼女B「ついてなーい」

幼女C「きゃはは」

幼女D「絶対ビビらないんだからー」

相模「……………」


八幡(……うまくあいつらのチームは最後になったようだな)チラ

沙希「………」グッ

八幡(…………)コクコク

八幡(作戦開始だ)
377 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/07(木) 14:50:56.31 ID:BqIdv2L40
幼女A「あー、なんか待ち時間長いねー」

幼女B「間隔あけて歩く必要があるから仕方ないんじゃない?」

相模「そ、そうだね。たしかn」幼女C「なんで間隔あける必要あるのかなー?」

相模「………………」

幼女D「決まってるでしょ、みんなでぞろぞろ行ったって何も怖くないじゃない」

幼女A「それもそうだね!あはは」

幼女B「そういえばなんかさっき変な声が聞こえたんだけど………」チラ

幼女C「えーっ、それ怖くない?霊現象?これも肝試しの一種かなぁ」クスクス

幼女D「怖いねぇ」クスクス

相模「っ…………」



八幡(……………………………)

八幡(見てられねぇ………)


八幡(5人組、といったときに案外あっさりと相模がグループを組めたことから相模はもともとあのグループで仲良くやっていたのだろうが)

八幡(悲しきかな、そんな友情なんてものは雰囲気一つでいくらでも壊れる)

八幡(あいつがハブられるようになった理由もおそらく"特にない"のだろう)

八幡(女子の世界こっわ)

八幡(ま、あいつがきちんとグループを組めたことまでは予想通りだ。プランBは封印していいな)

八幡(………さて、あいつらの番が来た)

八幡(頼んだぜ、お前ら)
378 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/07(木) 15:07:10.46 ID:BqIdv2L40
幼女A「け、結構雰囲気あるね…」

幼女B「ホントに何か出そう……」


懐中電灯を握りしめ、幼女Bが弱気に呟く。
いくら整備されているとはいえ、周りは木以外何も無い。懐中電灯から出る光だけが、彼女らの唯一の支えだ。
こんな状況で脅かしにこられたらつい声上げちゃいそうかも……
そんな緊張感が張り詰める。
敵はいつくるかわからない。どうせ本物じゃないとわかっていても、やはり怖いものは怖いのだ。


幼女C「えーっと……ここで右に曲がるって書いてあるよ!」

幼女D「ナイスガイドだC!進もう!」


そんな不安を打ち消そうと、声をあげ、なんとかテンションを高く保とうとする。
だがその後に来る静寂が、彼女らの不安を、恐怖を、より一層駆り立てることとなる。


幼女A「……な、なにか楽しい話でもしよう!」


そんな空気に耐えかねた幼女Aが口を開く。
他のメンバーもそれは妙案だとばかり口々に賛同の意見を口にする。

が。

こんな状況で楽しい話題など思いつくはずもなく、夜の森の静けさはますます増して行った。

379 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/07(木) 15:26:36.14 ID:BqIdv2L40
幼女「………………………」

それきり会話は途絶えた。

小学生5人の足音だけが響く。

決してビビるまいとする彼女らの緊張状態が伺える。幼女Bの懐中電灯を持つ手も震えてきているようだ。


だが、歩けども歩けども、何も起こらない。

お化けどころか、物音一つさえもしない。


夜の森というこのシチュエーションへの恐怖から、今までそれについて何も思ってこなかった彼女たちだったが、歩き始めてから10分が経とうとするころに、ようやくその異変に気付いた。


幼女B「…………ねぇ、おかしくない?」

幼女C「う、うん………」

幼女A「ぜんぜん、お化けが出てこない…」


別に出てきて欲しかった訳でもないが、こうも何も起こらないと逆に不気味である。


幼女D「ねぇ、C。道間違ってない?」

幼女C「そんなはずないよ……ちゃんと中学生のお姉さんから地図もらったもん、ほら!」

幼女A「……確かに、その地図を見ながら間違えた道通るのは逆に難しいでしょうね…」

幼女B「…………何か起こると見せかけて、実は何も起こらない、っていう演出とか?」

幼女A「それだっ!」

幼女Aが勢いよく幼女Bを指す。

幼女A「全く……趣味悪いことするよね。確かに怖いけど………」

幼女C「おっ、Aちゃんが弱気になるなんて珍しいね」

幼女A「あっ、いやうそ!別に怖くなんてないから!!」


タネが分かってしまえば、あとは怖いものなんてない。
そういった安堵からか、これまでの静寂が嘘のように彼女らは笑いあった。

ただ、一人を除いて。
380 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/07(木) 15:38:54.18 ID:BqIdv2L40
わいわいきゃあきゃあと、これまでの分を取り返すかのように騒ぎ立てながら歩く彼女たち。

すると、今までの細道を抜け、少し開けた場所が見える。

幼女A「あっ、なんかゴールっぽい?」

幼女B「やった、ゴールだぁ……」

幼女C「いろいろあったけど楽しかったね」

幼女D「こういう肝試しも、ありかな?」

相模「………………」


口々に感想を言い合いながら、ゴールとおぼしき地点へ入る。
すると、何かがつ、がつという音が聞こえてきた。
……感覚的には、シャベルで穴を掘るような……?
不思議に思った幼女Bは、懐中電灯でその音の正体を探ろうとする。

案の定、そこにはシャベルで穴を掘る男の姿が写った。



男「見たな」


そして、その横に血を流して横たわる男の姿があることも見つけてしまった。
381 :艦これの一番のPLAY【自称流】 :2016/01/07(木) 15:42:44.69 ID:vqmuXXIO0
戸塚 56→玉縄ヨルムンダルク轟沈

るみるみ 45→相模 【ネタ抜き死亡】

死因コンマ【弘世菫様ノート】

憩さん20コンマで実質照の噛ませ三度さん
382 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/07(木) 15:55:09.01 ID:BqIdv2L40
幼女「「「「「!!!???」」」」」

女「チッ、仕方ないか……」

男2「悪いけど、大人しくしてもらうよ」


穴を掘る男以外にも、もう2人仲間らしき人がいる。
そいつらは彼女らが声を上げるよりも早くその大きな体で彼女らを捕らえようとする。


幼女A「ばかっっ!!」

硬直する幼女4人に、Aが声をかける。

幼女A「逃げるよっ!!」

その言葉を皮切りに、フリーズしていた幼女たちも走り出す。
どこへ行くかなんて考えている暇はない。とりあえず足を動かして、元来た道を引き返さなければ………


男「無駄だよ」


あっさりと、回り込まれる。
所詮小学生の脚力など……自分たちより大きいもの相手に叶うはずもない。


幼女B「ひ………!ぁ………」

これまで感じたものとは、全く異質な恐怖。
いや、恐怖などといったチープな表現で形容すべきではない。
これは絶望だ。
自分たちの力ではどうしようもない状況への、絶望だ。


女「さて、どうする?」

男「ここまでやったなら、……やるしかないだろ」

男2「……無駄な殺生は嫌いなんだがな」

男「こいつらだって悪いさ。決められたルートを通らないからこうなる」


自分たちより一回りも二回りも大きな体に取り囲まれ、彼女たちは理解する。

このままでは、殺されると。
383 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/07(木) 16:02:34.64 ID:BqIdv2L40
幼女A「ごめんなさい!!見たことは絶対に誰にも言いません!!だから……」

男「……あ?そんな口約束で命を助けろってのも無理な話だろう」

幼女B「い、言ったって私たちには何の得もないですよ!だから帰して、帰して!」

男2「得ならあるさ。情報提供をすれば金一封が貰えることもあるからな」

幼女C「そんなもの、いらないです!」

女「それも信用出来ないでしょ?あなたが言ってるだけなんだから」


幼女D「……………………」ガクガクガク

相模「………………………」


男「………でも、そうだな。今掘った穴には全員の死体を入れることは出来ない……せいぜいあと2人くらいか」

男2「新しく穴を掘れば?」

男「いや、もう時間が無い……そうだ」


男「お前らの中から2人選べ。その2人は見せしめとして殺す。そうすれば残りの3人も俺たちに逆らうことなんてしなくなるだろうからな?」
384 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/07(木) 16:06:03.65 ID:BqIdv2L40
幼女「「「「!!!!」」」」

幼女D「相模……あんた残りなさい!」

幼女A「そうだよ!私たちのこと友達と思ってくれるなら残ってくれるよね?」

幼女B「ごめん……お願い、相模さん」

相模「えっ!?いや、なんでウチが………!?」

幼女C「つべこべ言わずほらっ!」ドン

相模「きゃっ!!??」


男「なるほど、1人はこいつだな」ガシッ

相模「ぁ…………ぁ……ぃゃ……」


幼女A「………ごめん」

幼女B「……でも仕方ないの」

幼女C「……………」

幼女D「ふ、ふぅ……よし」


男「あと一人、早く選べ」
385 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/07(木) 16:12:33.04 ID:BqIdv2L40
幼女A「そ、そんなの………」

幼女B「え、選べるわけないよ……」

男「こいつはあっさり選んだだろ?さぁ早く決めろこっちも時間ないんだ」

幼女D「………Cが道間違えたから」

幼女C「は!?私別に間違えてないよ!」

幼女D「でもこの人たちがいうにはこっち正規ルートじゃないらしいじゃん!」

幼女C「そんなの知らないよ!地図が間違えてたんじゃないの!?」

幼女A「なんで間違えた地図なんて渡すのよ…」

幼女C「知らないよそんなの!」

幼女B「じゃあCちゃんが悪いんじゃん!責任とってよ!ねぇ!!」

幼女C「誰もいないことに疑問持たなかったのもみんなでしょ!?なんで私だけのせいにするわけ!?」





女「……しっかりと見ててね、相模さん」ポン

相模「……!?」

女「これが、今まで君が希望だと思っていた世界だよ」
386 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/07(木) 16:23:42.67 ID:BqIdv2L40
幼女「ーーーー!ーーー!!!」



相模「……………」



男「あと一分待ってやる」

幼女「ーーー、ーーーー!!!」



相模「………………」



男「………あと10秒だ、早くしろ」

幼女A「……結局Cが悪いんだ!」

幼女B「そうだ、そうだ!」

幼女D「えいっ!」ドン

幼女C「そんな……みんな、私たち友達でしょ!?」

幼女A「………ちがう!あんたなんて」



男「時間切れだ」




八幡「はい、お疲れ様でした」
387 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/07(木) 16:29:23.63 ID:sCvQtob/O
原作以上にシチュエーションがやべえ……
388 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/07(木) 16:44:18.88 ID:p0QTRPdS0
ある意味では肝を試しているな
389 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/07(木) 17:03:43.67 ID:ENRY725Uo
死体役は材木座として残りの配役は?
女は平塚で男は葉山男2は戸塚で合ってる?
390 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/07(木) 17:13:44.68 ID:mtMYBPMGo
話し方から女が戸塚
391 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/07(木) 17:22:16.51 ID:IcLEzIbbO
材木座は穴を掘って休憩中だ…
392 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/07(木) 18:11:37.06 ID:CGWiwdfz0
幼女A「……………は?」

戸塚(※死体)「よっと」ムクリ

幼女B「………え?」

葉山「おめでとう、ゴールだよ」

材木座「楽しんでもらえたかな?」

幼女C「……あ、あ、あなたたち……何を」

幼女D「これがただの出し物だったと……?」

八幡「そうだぞ」


八幡「怖かっただろ?身近な人間の悪意は」




相模「…………あんた」

留美「さっきは、ごめんね」

相模「…………………」
393 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/07(木) 18:12:54.77 ID:LluRO2qQO
教師からのクレームが酷そうだ
394 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/07(木) 18:20:56.81 ID:CGWiwdfz0
幼女A「お……お前ら!自分たちが一体何やったのかわかってるの!?」

八幡「俺たちはただボランティアをしただけだろ。先生に『本気で怖がらせてやってくれ』っていわれたから本気で怖がらしにいったまでだ」

幼女B「だとしても悪趣味過ぎます!こんなのって………」

八幡「文句があるなら先生に言えよ。これしきのドッキリくらいでガタガタ言ってんじゃねぇ」

幼女D「あ……あなたは……」

八幡「ほら、そこ真っ直ぐ行ったら本当のゴールだ」

八幡「肝試しは終わったんだよ。わかったらさっさと帰れ」

幼女C「くっ………!」

幼女A「い、行こ!」

幼女B「………う、うん」

幼女D「…………………」

相模「ま、まって………」




八幡(そうやって歩き出す5人は)

八幡(肝試し中とは打って変わって、決してお互いに近付こうとはしなかった)
395 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/07(木) 18:33:22.00 ID:CGWiwdfz0
戸塚「………………」

葉山「……疲れた、ね」

材木座「あまり気分のいいものではないな…」

八幡「すまんかった、付き合わせて」

留美「八幡が謝ることはないよ。そこを理解した上でみんな協力したんだろうし」


八幡(相模南を取り巻く人間関係を破壊する)

八幡(これが俺の出した結論だった)

八幡(いじめの空気を作り出すのは常に上位カーストのグループだ。クラス単位でのいじめならば、そのクラスで最も大きな権力を持つグループからいじめは始まる)

八幡(それがどのグループかを見極めるのは人間観察に長けた俺ならば造作もない。予想通りというべきか、それは相模が元いたグループであった。相模の容姿レベルなら元トップカーストだとしても不思議ではないからな)

八幡(ならば後はそのグループを崩壊させるだけだ。自分のグループの人間をいじめるような連中だ、そんな奴らの友情を壊したところでバチは当たるまい。むしろそんなもの壊さねばならないだろう)

八幡(当初の予定ではヤンキーに襲われる小学生、というものだったが城廻が『そんなのぬるい』と言ったためこのような形になった)

八幡(あいつもあいつで何か闇を抱えていそうだ….)

八幡(血糊などの小道具は沙希が作ってくれた)

八幡(脅す役は葉山たちが引き受けてくれた)

八幡(俺の役は、非難を受けることだ)

八幡(そしてそれは、まだ終わっていない)
396 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/07(木) 18:35:23.99 ID:kU/T57HdO
めぐめぐに一体何が…
397 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/07(木) 19:01:32.03 ID:e4saJ1VdO
海老名ポジの闇は深い……
398 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/07(木) 19:03:37.82 ID:CGWiwdfz0
八幡「……んじゃ、由比ヶ浜先生に事情話してくるわ。事態悪化だけは避けたいからな」

戸塚「は、八幡……」

葉山「俺たちも行くよ」

八幡「いや、一人で十分だ」

材木座「そうはいうが比企谷氏。これは我ら全員で行った犯行だ。説明ならば我らも付き添う必要があるだろう」

八幡「いや、それはそうだけどな…めんどくさいだろ?」

戸塚「八幡」

戸塚「確かにこれは八幡が考えて八幡が出した策だよ」

戸塚「でもね、それに賛同して実行したのはぼくたちなんだ」

戸塚「八幡一人じゃ成功できなかった」

八幡「………………」

戸塚「だから……責任はぼくたちにある」

戸塚「もちろん、八幡も含めてね」

八幡「……何の話かわかんねぇな」

留美「難しく考えるのはやめよ、八幡」

留美「みんなでごめんなさいすればいいじゃない」

八幡「…………………」

葉山「ふ、そうと決まれば行こうか」

戸塚「うん!」

八幡「ちょ、待てお前ら!!」

留美「往生際悪い」

八幡「くそ……」


材木座「えー……これ我も行かなきゃダメ?」
399 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/07(木) 19:13:11.71 ID:CGWiwdfz0
平塚「ダメに決まっているだろうが」ペシッ

材木座「いたっ」

雪ノ下「みんなで謝ろう、って言ってたのあなたじゃない……」

材木座「いやぁ、比企谷氏が罪を被ってくれるならそれはそれでいいような…」

めぐり「清々しいくらいにクズいねー…」

平塚「さ、私たちも行くぞ。教師に怒られるなど初めてかもしれんな…」

雪ノ下「私もよ。まったく、あの男は…」

めぐり「付き合っちゃった側の負けだよ、こういうのはさ。それにしてもよくこんな作戦思いついたよね」

材木座「そっくりそのまま貴様に返したいが」

雪ノ下「これで本当に相模さんが救われたかもわからないのだけれどね」

平塚「救われたさ。少なくとも、もういじめなんて起きないだろうからな」

材木座「だといいがな………」
400 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/07(木) 19:26:07.05 ID:CGWiwdfz0
八幡「そういえば、鶴見」

留美「なに?」

八幡「……どうして小学生を脅す役をやりたいだなんて言い出したんだ?」

八幡「普通に平塚さんに頼もうとしてたんだが」

留美「……うーん」

留美「復讐、かな」

八幡「………ん?」

留美「私は、救ってもらえなかったから」


八幡(……そういうことか)

八幡(こいつも、小学生のころに色々あったんだろう)

八幡(鶴見と出会ったのは中学3年生でだったが、その頃から女子と絡むのを徹底的に避け、クラスでも孤立していた)

八幡(俺と同じ目をしていた)

八幡(だからつい話しかけてしまった)


留美「…でも、そんなに気は晴れない」

八幡「そうか」

留美「何でなんだろうね。私がもう救われちゃってるからかな」

八幡「………お前」

留美「なんて」

八幡(そうやって物寂しげに笑う姿は)

八幡(あの頃とそう変わらない)


八幡(いつか、こいつも救ってやることが出来るだろうか)

八幡(そんな疑問に思いを馳せながら)

八幡(大魔王ガハマンのもとへ足を運んだ)
401 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/07(木) 19:33:41.04 ID:p0QTRPdS0
随分とかわいらしい大魔王だな
402 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/07(木) 19:49:14.56 ID:23eWhHzLO
死にゆく者こそ 美しいんだし!
403 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/07(木) 20:06:48.19 ID:owdEQzIoO
かしこさが たりなそうな だいまおう
404 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/07(木) 20:11:30.72 ID:N9KBZGLNo
ハニトーこそわがよろこびな大魔王
405 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/07(木) 20:13:20.72 ID:w06Uih20O
その大魔王、なんか口で言いくるめられそうなんだけど
406 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/07(木) 20:19:19.47 ID:CGWiwdfz0
後日・比企谷家ーーーーーーーーーーーーーー
原稿用紙「」ドン!

八幡「」ゲンナリ

沙希「………ファイト」

八幡「お兄ちゃんを助けてくれ沙希……」

沙希「むしろ反省文程度で済んで良かったんじゃない?小学生の女の子よってたかって泣かせて…」

八幡「……あの先生がいろいろ庇ってくれたからな。俺たちがしようとしたことを理解してくれたのかどうかは分かんねぇが」

沙希「由比ヶ浜先生の剣幕も凄かったけどね……普段は馬鹿っぽいのに」

八幡「あぁ……怒るとあんなに怖いのか。じゃあ奉仕部入る前にいわれた『もう怒った!』はなんだったんだ….」

沙希「事情を説明したら先生も理解してくれたみたいだし、よかったんじゃない?」

八幡「それでも『こんな方法をとったことの落とし前は付けなさい』ニッコリってこのペナルティを課されたわけだが…」

沙希「……ま、あんた止めなかったアタシにも責任の一端はあるし、手伝ってあげるよ」

八幡「さきぃ……」

沙希「まったく、どっちが兄なんだか…」


戸塚家ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

戸塚「…………」

戸塚「八幡は鶴見さんのことが嫌いではない……たぶん、むしろ好き。恋愛的な意味じゃないとしても」

戸塚「なのに、鶴見さんの気持ちには答えようとしない。むしろ距離を置きたがっている」

戸塚「……どんな状況でも臨機応変に対応して最善を導く八幡らしくない行動」

戸塚「なにかトラウマがあるんだと思う。恐らく女性関係の……親友として、放っておくわけにはいかないよ」


葉山家ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

葉山(……………結局、勝負には出れなかった)

葉山(なぜ?……そんなのはわかっている)

葉山(由比ヶ浜先生の説教でそれどころじゃなかったからさ………)

葉山(待ってろ、八幡)

葉山(文化祭が終われば、修学旅行だ)

葉山(……だいぶ後になるが、それまでできる限りのことはやろう)

葉山(11月に、決着をつける!)


鶴見家ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

留美「………救済、か」

留美「私は今でも十分救われていると思う……あの頃と比べれば」

留美「でも、最高に幸せか?と言われれば」

留美「……そうじゃない」

留美「幸せになるには、どうすればいいんだろう」

留美「八幡にくっつくだけじゃ駄目なのかな…」

留美「………私、は」

留美「私は……どうしたいんだろ」


八幡(キャンプを経て、各々が各々の課題を再確認した、夏)

八幡(思惑と思惑が交錯し、物語はいったいどこへと進むのか)

八幡(その答えは、神のみぞ知る)


第8章
そして、彼ら彼女らの夏が始まる
407 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/07(木) 20:36:31.17 ID:CGWiwdfz0
9月1日ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

八幡(今日から新学期だ)

八幡(1年で最も憂鬱な日の一つ、それが二学期のはじめ)

八幡(休みの少ない春休みや冬休みならともかく一ヶ月半近くもの休みを経ての新学期というのはテンションダダさがりである)

八幡(心なしか道行く人道行く人、皆げんなりした顔を出している)


八幡(そのとき、ddと何者かが俺の肩を叩いてくる)

八幡「…あ?」

八幡(ただでさえ新学期の朝で機嫌悪いのに馴れ馴れしく肩叩いて来てんじゃねぇよ、うざってぇな……略して「あ?」と返事をしそのddの主を睨みつけながら振り返る)

八幡(ぷすっと、頬に何かが刺さる感触)

戸塚「えへへ、引っかかった?」

八幡「」

八幡(……はっ!あまりの可愛さに成仏しかけたぜ………)

八幡「…や、やめろ!恥ずかしい…」

戸塚「あはは、八幡顔赤ーい」

八幡「うっせぇな!仕方ないだろ….」

八幡(やっぱ新学期って神だわ)
408 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/07(木) 20:49:58.98 ID:CGWiwdfz0
八幡(戸塚は俺の横に並んで歩き出す)

戸塚「八幡、自転車通学だったよね?どうしたの?」

八幡「ちょっと筋肉痛でな……」

戸塚「あー……ぼく連れ回しすぎちゃったかな?」

八幡「いや、楽しかったから別にいいぞ。普段の俺の運動不足が原因なわけだし……」


八幡(あのキャンプの後、1週間に1回は戸塚からの招集がかかった)

八幡(思い出作りと称して、奉仕部+αでいろんなところを回った)

八幡(泳いだり、テニスしたり、歌ったり、ボウリングしたり、サイクリングしたり)

八幡(正直めちゃくちゃ楽しかった)

八幡(友だちと夏休みに遊びに行くなんて人生初の経験だったかもしれない)

八幡(戸塚も同じらしく、本当に子供のようにはしゃぎまくった)

八幡(だがおかげでこの有様である)

八幡(太ももはパンパンに腫れ肩は垂直に上がらず立つたびに腰が痛む)

八幡(……ちょっとこれは情けない)


戸塚「そっか……あんまり無理しないでね?」

八幡「…おう、わかってる」


八幡(二人で談笑しながら、学校へ向かう)

八幡(学校についたら、まずは二人で職員室に行かねばならない)

八幡(反省文の提出である)

八幡「戸塚は反省文書いたか?」

戸塚「一応、ね……20枚もあったからさすがに内容はお察しだけど」

八幡「だよなぁ……俺は沙希に手伝ってもらってなんとか仕上げた」

戸塚「あっ!ずるい!」

八幡「それが大人だ」

戸塚「むー……」
409 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/07(木) 20:56:35.00 ID:CGWiwdfz0
職員室ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

由比ヶ浜「……はい、確かに受取りました」

八幡「申し訳ありませんでした」

戸塚「すいませんでした…」

由比ヶ浜「ヒッキーくん、私は君が間違っているだなんてことは言わないけど」

由比ヶ浜「たとえ正しいことでも、我慢する術を覚えて」

由比ヶ浜「私が言いたいのはそれだけ」

八幡「………はい」

八幡(我慢、か……あのまま相模は見捨てた方が良かった、ということか?)

八幡(生憎だがその強さは俺にはない)

八幡(間違っているものは、正さねばならない……なーんて信念があるわけではないが)

八幡(ほっとけないものは、ほっとけないのだ)



戸塚「よかった……由比ヶ浜先生、もう怒ってないみたい」

八幡「まぁ、完全に許したってわけでもないんだろうが…」

戸塚「そういうこと言わない!じゃ、ぼくこっちだから……」

戸塚「また、部室で」

八幡「……おう、部室でな」
410 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/07(木) 20:57:46.03 ID:CGWiwdfz0
疲れたので今日はこれまで
明日から更新頻度落ちます
411 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/07(木) 20:59:21.17 ID:AzoUaySJo
乙、なんだこの正しく甘酸っぱそうな青春は
412 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/07(木) 21:05:10.90 ID:Wcc2pUstO


原作のドロドロ成分が減った分、凄く爽やかな読後感だ
413 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/07(木) 21:31:58.30 ID:t2jjfJdNo
題材は同じなのになんだろうこの差は
414 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/07(木) 21:34:35.83 ID:g6oWrd2No
原作の八幡は世の中を俯瞰して見てるけど
ここの八幡は現実と向き合おうとし始めてるっぽい
415 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/07(木) 21:41:37.59 ID:ENRY725Uo
乙!
いったい葉山は11月に何の決着をつけようというのであろうか?
416 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/07(木) 21:58:14.34 ID:fqX0pJrxo
>>415
ケツ着をつける
417 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/07(木) 22:19:12.06 ID:KdrOB2mZo
乙です
418 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/07(木) 22:52:13.56 ID:zth9Fn3uo
419 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/07(木) 23:03:16.01 ID:cseHWB9e0
乙です
420 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/07(木) 23:24:38.54 ID:+yYO760Oo
奉仕部がホモ空間でなければ普通の青春ラブコメなのに・・・
由比ヶ浜先生は男子生徒人気凄そう
421 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/07(木) 23:31:44.67 ID:Htb/sfoNo
422 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします :2016/01/08(金) 01:03:48.78 ID:tRUkzeT70
乙!楽しみにしてる
423 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/08(金) 01:39:02.63 ID:7dq2jCHA0
ここの由比ヶ浜は縁の下の力持ちみたいなポジになってていいな…
424 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/08(金) 11:57:50.52 ID:wcS5jYTpo
由比ヶ浜先生すごく先生してていいな八幡も原作より前向きになってるし
あととつかわいい
425 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/10(日) 00:24:55.34 ID:jW6Kxfrt0
教室ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

委員長「それでは今から文化祭実行委員を決めたいと思います」

八幡(ある日のHR、委員長が急にそんなことを言い始めた)

八幡(「えー」だの「やだー」だのといった不満の声があちこちから上がる。まぁそうだろうな、こんな面倒臭い役やりたがる奴なんているはずもない)

八幡(総武高の文化祭は派手だ)

八幡(1日という短さからか、この日ばかりはリア充もオタクもホモもレズも大盛り上がりを見せる)

八幡(……え?俺?去年はずっと図書室にこもってましたがなにか?)

八幡(いやだって1人で出店回るのなんて寂しすぎやしませんかね…鶴見と回るのはなんかやだ)

八幡(今年は奉仕部があるが……まぁ葉山は材木座たちと回るだろう。戸塚は……戸塚か……戸塚と一緒に文化祭か……やっべ、なんか楽しみになってきたぞ)

八幡(……まぁ戸塚にだって俺以外にも友達はいるだろうしなぁ)


委員長「……えーと、ホントに誰かいませんか………やりたい人」

八幡(委員長の憔悴しきった声が聞こえて、思考が呼び戻される)

八幡(うちの文化祭は派手ゆえに、その準備も非常に忙しい)

八幡(特に全ての出し物を管理し、回し、統率していかねばならない文化祭実行委員……文実の負担は半端ないだろう)

八幡(そんな役を進んでやる奴がいるとすればそいつはどうしようもないドMだろう)

大志「やります!」

八幡()

八幡(……いたなぁ)
426 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/10(日) 00:35:32.29 ID:jW6Kxfrt0
男子A「おい、いいのかよ川崎」

大志「誰もやりたがらないなら仕方ないだろ。実際少しは興味あったしさ」

男子B「おうおう、じゃあきりきり働いてくれよ大志様」

大志「おいお前らそりゃねぇだろ〜」



八幡(……えーっと、そのマゾ御用達ブラック役職に立候補しなさったのは)

八幡(誰だろ、知らね)

八幡(仮に川上とおくか。パッと見たところクラスでも中堅に属するグループのメンバーだ)

八幡(それくらいのレベルの奴が目立ったことをしようとする動機はただ一つだろう)

八幡(トップカーストへの憧れ)

八幡(文化祭は高校生活最大のイベントと言ってもいい。ここで一つ盛り上げて、女子に……あるいは同カーストの男子たちに一目置かせよう、といった魂胆が生まれても不思議ではない)

八幡(あいつがそこまで計算して立候補したのかはわからんがな。こういった思考は基本無意識に起こるものではある)

八幡(何にせよ貧乏くじを引いてくれたのはありがたい。文実は男子1名女子1名。じゃんけんに負けて押し付けられる未来は回避したぞ)
427 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/10(日) 00:53:37.82 ID:jW6Kxfrt0
委員長「川崎くん、ありがとう。じゃあ次は女子を決めようか!」

八幡(男子からは歓声が上がり女子からは微妙な空気が流れる。『葉山くんだったら立候補したのに……』という声が聞こえてくるのはまぁきっと幻聴だろう)


シーーーーン………


八幡(……膠着状態が続く)

八幡(もはや会話すらない。あるのは『お前が行け!』『じゃあお前がいけ!』『じゃあ俺が行くよ!』『どーぞどーぞどーぞ』といったような意味ありげな視線だけだ)

八幡(それを破ったのは、意外な人物だった)

めぐり「じゃあ私、やります〜」

八幡(ふわふわぽわっと言ってのけたその名は城廻めぐり。材木座たちとよくつるんでいるトップカーストの女の子だ)

『め、めぐりんだとぉ!?』
『くそっ、川崎め…!読んでやがったな!?』
『川崎変われっ!俺がやる!』

八幡(……男性人気も随分と高いようで)



雪ノ下「ほ、本気……?城廻さん」

めぐり「なんか楽しそうじゃない?」

雪ノ下「そうかしらねぇ……」

平塚「文実とはいったってほぼ裏方仕事だろう?そんな面白いものではないと思うが…」

めぐり「うーん、そういうのじゃなくてね…」



八幡(しかしすでにトップカーストである彼女が立候補する理由は全く思いつかないな……)

八幡(まぁいいんですけど。やってくれるならありがたく任させていただきます)



委員長「では文化祭実行委員は川崎大志くん、城廻めぐりさんに決定しました。拍手」

パチパチパチパチ……

八幡(ヒューヒュー、といった口笛やドンドン、といった壁ドンなどの雑音も交じるが文化祭実行委員の2人は暖かな拍手で労われた)

八幡(……さて、面倒臭いのは回避できたしとりあえず俺は戸塚ダメもとで誘ってみるか。承諾してくれたら何しよう、出店でなんか買ってお化け屋敷にでも入って………)

ーーーーー
戸塚『きゃっ!?…び、びっくりしたぁ……ぼく、こういうのダメなんだ…』ギュウウ

八幡『安心しろ戸塚!俺がお前を守ってやるからな!!(そ、袖を握ってくる戸塚…………辛抱たまらん)』

戸塚『八幡……』ウルウル

戸塚『実は、ぼく八幡のこと……』

八幡『と、戸塚………』
ーーーーー

八幡(なんてな………)フヒヒ

八幡(やば、くそ頭悪いこと考えてしまったせいでニヤケが止まらん)

八幡(楽しみだな……文化祭)
428 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/10(日) 00:59:40.73 ID:jW6Kxfrt0
奉仕部ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

由比ヶ浜「というわけで文実を手伝ってあげて。これが依頼だよ」

戸塚「引き受けました」

八幡「」




海老名「ごめんね?こうなると当日も交通整理とかで忙しくなるかもしれないから……」

葉山「気にする必要は無いですよ海老名先輩。こういう部活ですから」

海老名「そう?悪いね……」


八幡(……楽しみになんかしてねぇし)

八幡(そもそも戸塚が了承してくれなかった可能性だってあるんだ。ふられる可能性がなくなった分海老名先輩GJとも言える)

八幡(ちなみに海老名先輩とはこの学校の支配者……生徒会長である)

八幡(3年生だがまだ生徒会長である)

八幡(彼女の人望の厚さが伺える)

八幡(3年生でもう秋だが生徒会長なので文化祭もサポートするようだ)

八幡(本当に大丈夫なのだろうか….)
429 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/10(日) 01:06:52.86 ID:uK22YWz1o
「海老名の人望が篤い」というところで首を傾げてしまった
430 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/10(日) 01:07:13.50 ID:3TXgAxyYo
葉山君ホモなのはバレてないのか
431 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/10(日) 01:11:05.23 ID:jW6Kxfrt0
八幡「……っつーか、そんなに人手たりないんすか。なら文実の人数増やせばいいのに」

海老名「そういうわけにもいかないんだよねー、ただでさえ人気ない役職なのにさ…」

葉山「やる気のない人間が増えても足でまといになるだけだろうしね」

八幡「俺だってやる気ないっすよ」

戸塚「な、なんでそんな拗ねてるのさ…」

由比ヶ浜「……サボらないでね?」ニッコリ

八幡「ッ!?は、はいッ!」

八幡(あの日から由比ヶ浜先生の笑顔はトラウマになりつつある……)

由比ヶ浜「うむ、よろしい」


海老名「ところで……奉仕部って3人で部活やってるの?」

戸塚「えぇ、基本は……部員ではないですがたまにもう一人来ますけど」

海老名「戸塚……くん、なんだよね?」

戸塚「えぇ……まぁ、男子です」

海老名「ふむ………」

八幡(そこまで聞くと海老名先輩は顎に手をやり何かを考えるポーズとなった)


海老名「ぐ腐っ」


八幡(なんだ今の)


海老名「そっかそっか♪青春してるねいいことだ〜♪じゃ、私は生徒会室戻るね、よろしく」

戸塚「は、はい……どうもでした」

由比ヶ浜「じゃ、私もかーえろ」

葉山「ていうかもう時間だね」

八幡「俺達も帰るか……」




八幡(海老名姫菜……謎の多い人ではあるが悪い人ではなさそうだ)

八幡(一瞬見せたあの弛緩した顔がなんだったのか……知りたいような知りたくないような)

八幡(そんな出会いとともに、俺たちの文化祭が幕を上げた)
432 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/10(日) 01:14:51.59 ID:jW6Kxfrt0
また明日
433 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/10(日) 01:18:13.73 ID:3TXgAxyYo
434 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/10(日) 01:21:49.12 ID:6xOLz6w8o
乙です
435 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/10(日) 01:32:02.97 ID:5CdjGg8gO
人望が厚い…なるほど、薄い本(葉山×材木座)で裏から権力を得たか…
436 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/10(日) 02:25:09.64 ID:7xRjwYMlO

奉仕部とか男三人で、しかも三角関係やってるから完全にいい餌ですね
437 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/11(月) 23:14:35.94 ID:uUGBBVml0
めくりんポジの海老名さんってことは闇の深く無い純粋な腐なのか…
438 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/11(月) 23:41:50.98 ID:yuTXd5OY0
海老名「というわけでさっそく文化祭を大いに盛り上げるための会議を始めます!」

八幡(あの後俺たち+文実は会議室に集められ、役員決めの会議をすることとなった)

海老名「まずは自己紹介から……生徒会長の海老名姫菜です。例年大盛り上がりを見せる我が校の文化祭ですが……今年はそれを遥かに超える、素晴らしい文化祭になるよう頑張ろう!」

八幡(ぱちぱちと拍手が起こる。なんというか士気を上げるという目的に沿った、なかなかよい挨拶だったのではと思いましたコナミ)

海老名「うんうん、ありがと〜!じゃ、さっそく役員決めに移ろうかな」

海老名「まずは、文化祭実行委員長から」

八幡(出た!一番しんどいやつ!)

海老名「実行委員長は二年生の文実がやってくれると嬉しいかな、生徒会はこれ以外でも仕事はあるから……」

海老名「確かにしんどい役職だけど、推薦にも繋がってくるし、委員長だからといって委員長1人で全部やるわけでもないから……やっといた方がお得だよ?」

八幡(なかなかうまい手を使うなこの人)

八幡(リスクに対するリターンを提示し、その上でそのリスクの少なさをアピールする)

八幡(プロデュース能力は長けているようだ。その証拠か、初めは難色を示していた役員たちも少し悩む素振りを見せている)


大志「…………………」


大志「俺、やります!」



八幡(……そしてそういう言葉は、自己顕示欲の強い奴ほどよく効く)
439 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/11(月) 23:46:55.81 ID:EbFIGDHdO
あー、そか相模ポジだけど変に媚びを売るような感じじゃなくて純粋に目立ちたいだけの大志か
なんか何事もなく物事が進んでいきそう
440 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/11(月) 23:52:19.26 ID:yuTXd5OY0
海老名「そう?ありがとう!では文化祭実行委員長は川崎大志に決定しました〜」

大志「川崎大志っす!あんまこういうのは慣れてないですけど……頑張ります!」

八幡(少し苦い顔をする奴らもいたが、まぁ普通に川崎の実行委員長就任は祝われた)

八幡(次の副委員長もあっさり決まり、あとは宣伝広報や有志統制などの役割を決めるだけとなった)

八幡(俺は迷いなく記録雑務)



八幡(ちらり、と横の葉山や戸塚を観る)

八幡(特になんてことは無い。ふとあいつらはどの役割を選ぶのかな、と疑問に思っただけだ)

八幡(だが、その開きかけた口からは言葉が出てこなかった)

八幡(戸塚が……嬉しいとも悲しいとも表現できないような微妙な表情で)

八幡(右手を少し上げかけた状態で握りしめていたからである)
441 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/11(月) 23:59:50.93 ID:yuTXd5OY0
葉山「八幡は何にするんだい?」

八幡「えっ?……あぁ」

戸塚「………」

八幡(びっくりした、急に話しかけてくるなよなあいつ)

八幡「俺は記録雑務だ」

葉山「うわ、それっぽい」

八幡(どういう意味だ……)

八幡「そういうお前はなんだよ。宣伝広報か?有志統制か?」

葉山「いや……八幡が記録雑務なら俺も記録雑務にしようかな」

八幡「ストーカーかよ……引くぞ」

葉山「知り合いがいた方がやりやすいだろ」

八幡「まぁそこは否定しないけどな……」

葉山「戸塚くんは?」

戸塚「えっ?……ぼ、ぼくは………」

戸塚「ぼくも……記録雑務にしようかな。やっぱりみんな一緒がいいし」

八幡「……?そうだな……」

八幡(なんだ、戸塚からいつもの無邪気さが感じられない………)

葉山「じゃ、みんな一緒だ」

戸塚「……うん、そうだね!」

八幡(なんだこの違和感……)
442 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/12(火) 00:09:12.58 ID:IuT3d0Q/0
海老名「よし、決まったね。じゃあこれからは各自今決めた役割に分かれて作業してもらうからよろしくぅ!今日は解散だよ」

八幡(そう告げると海老名先輩は生徒会役員を引き連れ去っていった。……あれ?よく見ると生徒会役員女子ばっかだな)

戸塚「3人とも記録雑務になれたね!」

葉山「さすがに溢れはしなかったな」

八幡「宣伝とか有志の方に人はいくからな」

八幡(いつもの戸塚だ)

八幡(やはりあれは気のせいだったのだろうか)



役員A「よっ、委員長!うまくまとめてたじゃねぇか!」

大志「だっ、おいおいからかうなよ〜、だいたい海老名先輩がやってたしな」

役員B「いやぁ、お前がこういうのやるとか意外だわ。もっと日陰に生きるのかと」

大志「何気にひどくね!?確かにモブみたいな扱いされること多かったけどさ…」

大志「………だからこそ、こうやって…」

役員A「え?なんだって?」

大志「……何でもねぇよ、帰ろうぜ」




八幡(……実行委員長は案外うまくやっているようだ。まぁ俺が偉そうにいう立場でもないが)

八幡(仕方ないだろう、元来ああいう人間に最高責任者を任せるのは割と博打であったりする)

八幡(一つでも狂えば全部壊れるぞ)

八幡(だからこそ慎重にならなくては)
443 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/12(火) 00:25:11.26 ID:IuT3d0Q/0
教室ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

委員長「……と、いうわけでうちのクラスの出し物は"メイド喫茶"になりました」

雪ノ下「」

平塚「よっしゃ!よくやったみんな!」

めぐり「雪乃ちゃんのメイド姿……楽しみだなぁ〜。私は文実だけど」

「ふっ、いいってことよ……」
「文化祭にメイド喫茶は王道だからなっ!」
「これぞ男のマロン……」

八幡(盛り上がってますなぁ)

雪ノ下「クッ……!男子が全員敵だなんて勝ち目がないじゃない……」

材木座「ふ、諦めるのだ雪ノ下よ……案ずるでない。衣装は我が手配してやる」

雪ノ下「あなたが衣装を決めるという時点で安心なんてできないのだけれど…」


由比ヶ浜「文化祭にメイド喫茶かぁ……いいなぁ、なんだか青春って感じ!」

八幡(ところでなぜアンタがいるんだ……別のクラスの担任だろ)


葉山「面白いことになってるね」

八幡「なんか嬉しそうだな……どうせ文実の俺らには関係ないことなんだが」

玉縄「そうでもないだろう?当日も見回りが大半とはいえ、出し物の一つや二つ覗くくらいの時間はあるはずさ」

葉山「まぁね、それもそうだけど……あの子があんな風にいじられてるのを見るとしみじみした気持ちになるんだよ」

八幡「あの子?」

葉山「雪乃のことさ」

八幡「……ん?まぁ確かにアイツがいじられてるのは珍しいかもしれないが」

葉山「こればっかりは初期の雪乃を知らないと分からないかもね」クス

八幡「…………ほーぅ」

八幡(何気に材木座グループの奴らは付き合いが長いんだな……)

八幡(だからこそ、そういった変化を楽しむことも出来るのか)

八幡(そんな関係は、正直羨ましいな)
444 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/12(火) 00:26:37.98 ID:IuT3d0Q/0
また明日、という一昨日の約束は破っていない

今日は終わる
445 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/12(火) 00:27:30.59 ID:OfqrDROoo
乙です
446 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/12(火) 00:29:56.16 ID:D1pWbbVMo
乙です
447 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/12(火) 03:12:33.68 ID:tTxYLuUdO
448 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage ]:2016/01/12(火) 07:39:22.75 ID:qi5KAoHI0
お疲れ様です
449 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/13(水) 14:45:53.30 ID:d22/e5Vao
おつ
450 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/14(木) 23:42:37.57 ID:fb6JzozH0
大志「では次、有志統制お願いします」

「えーっと……現在有志参加団体は10団体」

大志「わかりました。去年よりは増えてるのかな?」

めぐり「分からないね。それは校内だけの数?それとも地域の人たちも含む?」

「あー、えっとですねぇ……」


八幡(定例ミーティングはつつがなく進む)

八幡(委員長の川崎が大雑把な流れに沿って進行し、副委員長の城廻が細かなところを指摘しそれをサポートする)

八幡(バランスのとれた、理想的な会議の進め方である。あの川崎という奴も、口だけの男ではないようだ。委員長としての責任を持って行動しているように見える)

八幡(だがこの会議の順調さは川崎の進行によるものではない。全て城廻の辣腕にある)

八幡(川崎が見落とした、聞きそびれたような質問はもれなく拾い上げ、指摘する。それでいて進行役を奪わず、あえて自分はサポートに徹している。ここまでの動きができる"副委員長"様はなかなかいないだろう)

八幡(……こいつが委員長やればいいんじゃね、と思うくらいには、彼女は優秀だ)

八幡(彼女がなぜ副委員長なるポストに入ったのかはよく分からない。平常点に固執するタイプにも見えないし……)

八幡(……夏休みのキャンプから思っていたことだが、なかなかに謎の多い女である)
451 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/14(木) 23:57:14.41 ID:FWiyFuj+0
八幡(ミーティングが終われば、各自グループに分かれて作業が始まる)

八幡(つっても記録雑務の仕事は当日の撮影などがメインだからな……)

戸塚「……暇だね〜」

葉山「……そうだな」

八幡「……お前ら」

戸塚「別にいいでしょ、当日大変なんだし………」

八幡「そういう問題かぁ?まぁそうだけど……」

八幡(今の戸塚はいつもの戸塚だ)

八幡(あの表情なんてなかったかのように一緒に楽しくお仕事をしている)

葉山「暇だし、クラスの方でも見ていくか?八幡」

八幡「行かねぇよ、んなの……」

葉山「はは……まぁそうだよなぁ」

戸塚「八幡たち何やるの?」

八幡「メイド喫茶だそうだ」

戸塚「……おお、なんか青春っぽい…」

八幡(何その図式。青春=メイド?ならメイド喫茶は永遠の青春時代か……)

葉山「国際教養科は何をするんだい?」

八幡「そういやお前j組だったな」

戸塚「うーん……よくわかんないんだけど、図書館喫茶みたいな奴?」

八幡「は?」

戸塚「みんなで持ち寄った本をお客さんに自由に読ませる喫茶店……だってさ」

葉山「マン喫みたいなものかな?」

戸塚「個室はないけどね」クス

八幡(漫画喫茶のことをスタバで本を読むイメージで想像してた時期が俺にもありました)

八幡「いいんじゃねぇの、いい感じに手抜きできるだろ。本持ち寄って飲み物いくつか用意するだけでいいからな……」

戸塚「なんかそういうわけでもないらしいけどね。『布教のチャンス!』なんて目を輝かせてた子もいたし……」

葉山「布教?聖書でも持ってくるのか」

八幡「女子の世界は難しいな……」
452 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/15(金) 00:02:37.59 ID:LotknJ7r0
葉山「あぁ………」

八幡「どうしたんだ?」

葉山「すまない、これからバイトなんだ」

戸塚「葉山くん、バイトしてたんだ…」

葉山「最近始めたんだよ。ちょっと欲しいものがあってね」

八幡「ま、仕事なんてないようなもんだし謝ることはないと思うぞ」

葉山「仕事もないのに下校時刻ギリギリまで拘束されるのもきついだろう」

戸塚「え?」

八幡「別に……」

葉山「」

葉山「ま、まぁ……というわけだから、俺は先に上がらさてもらうよ」

八幡「おう、またな葉山」

戸塚「じゃあね、葉山くん」
453 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/15(金) 00:14:30.05 ID:JSP3dYIo0
部長「こら」

八幡「てっ」

部長「仕事がないなら探せ。そんなんで社会に出て通用すると思うな」

戸塚「……仰る通りで」

八幡「社畜ルートまっしぐらじゃないすか…」ボソッ

部長「何か言ったか」ギロリ

八幡「いえ」

部長「……まぁ、今そんなことを言われてもピンと来ないだろうし仕方が無いからこちらで仕事を与えてやる」

部長「2-Fの出し物の詳細。比企谷、お前のクラスだけ出てないぞ。取ってこい」

八幡「………げぇ」

部長「げぇ、じゃないだろう……」

八幡(極力人とコミュニケーションを取らねばならない仕事は回避したいのだ。葉山がいれば押し付けられたが……間の悪いやつだ)

八幡「……わかりました。いってきますよ、本牧記録雑務担当部長」

本牧「嫌味のつもりか……同級生だぞ」
454 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/15(金) 00:30:27.62 ID:JSP3dYIo0
材木座「ふむぅ……やはりここはどばーーっとした方がいいのではないか?」

平塚「いやいや、そこはあえてだな…」

雪ノ下「何を言っているのかしら?そんなことをしたら………」



八幡(は、入りずれぇ………)

八幡(ここで『文実でーすクラスの出し物の詳細取りに来ましたー』なんていって入ったら絶対白い目で見られる……)

八幡(……でもまぁ仕事だから。俺は悪くない。俺に仕事をふった本牧が悪い)

ガラガラッ

雪ノ下「……あら?」

平塚「比企谷じゃないか。どうした、っていうかどこいってたんだお前」

八幡「え、あ、あー……訳あって文実手伝ってんだよ。でさ、出し物の申請書類取りに来たんだが……」

八幡(うおっ、驚いた……てっきり『誰?』みたいな扱いを受けるかと思ったが)

雪ノ下「はぁ……呆れた。まだ出していなかったの?」

材木座「あー……書くには書いたがそのまま忘れてしまっていたな……」

平塚「さっさと出してこい」

材木座「は、はいっ!」

八幡(元気よく返事をし、すぐさま自分のバッグを漁る。その中から彼がつまみ上げたものはぐちゃぐちゃの紙切れだった)

材木座「あった!」

八幡(あちゃーあれが申請書類だったかー……本牧怒りそうだなぁ、まぁいいか。俺が悪いわけじゃないし)

材木座「ふむ。では比企谷八幡よ!我と共に文実へ馳せ参じようではないか!」

八幡「いや、お前来なくていいんだが…」

材木座「我も我で有志団体の申し込み書類を取りに行く必要があるからな」

八幡「へぇ……何するんだ?」

八幡(ただ単純な興味)

八幡(純粋に、有志団体としてこいつが何をするのかが予想がつかなかったから聞いてみただけのこと)

八幡(だが当の材木座といえば、急に立ち止まり肩をぷるぷると震わせていた)
455 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/15(金) 01:51:25.15 ID:7IHRJWjM0
456 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/15(金) 02:29:52.28 ID:Vx320CTxo
乙です
457 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/15(金) 03:11:23.65 ID:jjpTt6AeO
458 : ◆rGsyzf.Kp2 [sage]:2016/01/15(金) 07:36:23.77 ID:JSP3dYIo0
すまん寝落ちった
459 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/15(金) 18:23:50.03 ID:ZUPoMpVGo
楽しみにしてますぞ
460 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/15(金) 22:46:42.42 ID:3oJ3Xe4S0
材木座「よくぞ聞いてくれたっ!!」ビシッ

八幡「うわびっくりした」

八幡(何急に怒鳴り出してるのん…?)

材木座「この度我の後輩達とともに『ゲーム同好会』なるものを作ろうと思っているのだ……。それも、ただ面白いゲームを紹介するだけ、といったような薄っぺらい展示ではない!!ゲームを一つの文化として見た時の歴史の推移や進化を重視した、全てのゲームマニアの心を打つような、そんな同好会だ!!」

八幡「お、おう……そうか………」

八幡(内容がよくわからん上に早口だから何言ってるかわかんねぇや)

八幡「ところで後輩達ってなんだ?」

八幡(だから話題を逸らす。このままよく分からない話をまくし立てられてもどんな顔して聞けばいいかわからないからな…)

材木座「む、むぅ……?後輩達は後輩達だが……遊戯部の相模と秦野だ」

八幡「材木座は遊戯部なのか」

八幡(遊戯部なんて部活あるのか……なんかすっげぇ超次元デュエルしてそう)

材木座「いや、我は遊戯部ではない」

八幡「どういうことだってばよ」

材木座「偶然とある格ゲーで知り合ってな。話してみたら話があったのでこうやって仲良くさせてもらってるというわけだ」

八幡「へぇ………お前格ゲーなんてするのか。ああいうのってゲーム以外やることがない連中がやるもんだと」

八幡(個人の意見です。考え方には個人差があるのでお気をつけください)

材木座「まぁ、我も中学時代まではぼっちだったからな」

八幡「へ?」

材木座「む?」
461 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/15(金) 23:01:16.31 ID:PyzCK62kO
相模?
462 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/15(金) 23:08:41.22 ID:2A5tMWVco
>>461
原作読め
463 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/15(金) 23:09:21.57 ID:712PYAvno
原作からしてそういう名前、クラスメイトの方とは関係不明だけど誰も反応してないからどうでもいい事だろう
464 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/15(金) 23:12:13.52 ID:WSchagGUo
とうとう全ての男達のピースが揃ったな
仲良くなるしかないね
465 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/15(金) 23:16:15.34 ID:3oJ3Xe4S0
八幡「……お前、ぼっちだったの?」

材木座「な、何か問題でも……」

八幡「いや、ねぇけど……」

八幡(前にこいつから俺と同じ臭いを感じ取ったことはあったが、やはり今やクラスのリーダー格であるこいつがぼっちであったのはにわかには信じ難い)

材木座「毎日アニメみてゲームする日々を満喫していた。楽しかったぞう?」

八幡「まぁ、楽しいだろうけど……」

材木座「お?もしや比企谷氏、貴様も我と同類か?」

八幡「その言い方なんかすっごく嫌悪感覚えるわ………」

材木座「まぁそういうな、一つどうだ!好きなアニメでも語り合ってみては?」

八幡「……お前元ぼっちにしては積極的だな」

八幡(ぼっちがぼっちたる由縁というのは、決して自分から誰かに話しかけたりしないからだ)

八幡(口を開かなければ人は寄ってこない。わかりやすいだろう?)

八幡(そうやって人と関わることを回避してきたぼっちたちが、人とのコミュニケーションが難しくなるのは摂理である)

材木座「……昔の俺だったら、こんなこともしなかったんだと思うよ」

八幡(?口調が……)

材木座「高1の時に隼人君に話しかけられて、友だちになって……気付いたんだよ。友だちはいた方がいいって」

八幡「はぁ……まぁ、そりゃなぁ…」

材木座「で、考えたんだ。どうすれば友だちが増えるかなって……そうしてたどり着いた答えが、『隼人くんの真似』」

八幡「ほう」

八幡(確かに、あいつの他人との距離をつめる能力はかなり高い。折本には足蹴にされてたものの、彼の広い交友関係を見てもそれは明らかだろう)

八幡(それを真似れば、友だちができる。なるほど、すごく単純だが……だが、それはとても難しいことのはずだ)

八幡(でも、それでも)

材木座「いつか、隼人くんみたいな男になりたいなぁ、って思ってたらこうなった」

八幡(……やはり憧れの力は強い、か)

八幡(俺が思ってるよりもずっと、人間というのは強い存在なのかもしれない)




八幡「あのな、材木座」

材木座「ふっ、なんだ?我の行動理念に感服したか?」

八幡「正直今のお前葉山とは正反対の方向に進んでるぞ」

材木座「ごふぅ!?」

八幡(あ、気付いてなかった……?)

八幡「いや、葉山はそんな喋り方も指ぬきグローブもしねぇから……」

材木座「くうぅ……仕方がないだろう、こうでもして自分を殺さないと隼人くんの真似などできんのだから……」

八幡(こいつがたまに豹変するのはそういうことなのか)

八幡「そうまでするかね……」

材木座「笑いたいなら笑え!我は今の青春を楽しんでいるからな」

八幡「……適わねぇな」

八幡(これもまた別の強さだ)

八幡(戸塚とはまた違う純粋さ)

八幡(おそらくこいつは心底アホなのだろう)

八幡(だからこそ……ここまでひたむきになれる)
466 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/15(金) 23:26:09.55 ID:3oJ3Xe4S0
材木座「ふぅ……ガラにもなく熱くなってしまったな」

八幡(お前の中で自分はどういうイメージなんだ…?)

材木座「比企谷八幡……貴様とは気が合いそうだ」

八幡「えっ」

材木座「携帯を出せ。LINEのIDを教えてやる」

八幡「ちょ、あの……」

八幡(いらないです)

材木座「ふ、遠慮するでない。また日を改めて、じっくりとアニメについて語り合おうではないか」

八幡「俺がアニオタなのは確定事項なんだな…」

材木座「違うのか?」

八幡「………チガワネェケド」

材木座「ならいいだろう。ふっふっふ、貴様がどんなセンスをしてるのか確かめてやろうぞ」

八幡「キャベツの千切り術をギアスなんて言っちまうやつが何を……」

材木座「ほほう?八幡、貴様もコードギアス厨か!?」

八幡「厨やめろよ……コードギアスが嫌いなアニオタなんていねぇだろ」

八幡(ん?何か違和感があるような……まぁいいか)

材木座「ふはははは!よく分かっている!そうだ、二月公開のアキト最終章も見に行くか!?」

八幡「行くに決まってんだろ……」

材木座「ならばよい!よし、今夜はコードギアスシリーズを語り尽くそうではないか!」

八幡「望むところだ!」



八幡(そうして追加された4人目の友達)

八幡(ナチュラルに俺が『八幡』呼びをされていることに気づいたのはもっと後の事だった)
467 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/15(金) 23:28:41.05 ID:3oJ3Xe4S0
材木座誰これみたいな感じだけどいいよね
今更だけど※キャラ崩壊注意
468 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/15(金) 23:31:57.77 ID:aNeSeSW40
大丈夫だ問題ない
469 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/15(金) 23:43:13.71 ID:Vx320CTxo
乙です
470 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/15(金) 23:47:36.29 ID:WSchagGUo
ここまでみんな幸せで誰も不幸じゃない
471 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/15(金) 23:50:38.22 ID:3oJ3Xe4S0
会議室ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

八幡(材木座は有志団体申請書類をひったくると『さらだばー!』と捨て台詞を残してさって言った)

八幡(さて、俺は俺で仕事に戻るとしますか…)

戸塚「あ、八幡!」パァァ

八幡「守りたい、この笑顔」

戸塚「え?」

八幡「いやなんでもない」

八幡(っべー…口に出てた。まじっべーわ)

海老名「……………」

八幡「おわっ!?」戸塚「!?」

八幡(い、いつのまに後ろに……)

戸塚「あ、あの……何か」

海老名「………………」

八幡「ど、どうしたんすか………」

海老名「………………」

八幡(海老名先輩は相変わらずの思案顔で俺たちの質問に答えようともしない)

八幡(気味が悪くなり、振り返り残っている作業を始めようとしたとき………)



海老名「はち×とつ………きたーーー!!」


八戸「「!?」」


海老名「ごめんもう我慢出来ない!ねぇねぇ君たちどっちが攻めでどっちが受け?パッと見で戸塚くんが受けだけど以外に戸塚くんが鬼畜攻めだったりして……腐腐、そういうのもそそるねぇ。でもやっぱり見た目通りに比企谷くんが言葉攻めなのかな?となると戸塚くんの属性が――――」

優美子「擬態しろし」ペシッ

海老名「あいたっ!?」
472 :風呂入ってただけなんや ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/16(土) 00:02:13.72 ID:QgvO7/2w0
戸塚「え、姉さん!?」

優美子「よっ、久しぶり」

海老名「って、優美子!?うわー!来てくれたんだ!ありがと〜!」

八幡(海老名先輩についてはスルーなのか!?)

戸塚「どうしたの?急に来たりなんかして…」

優美子「一応あーしもここのOBだからね。学校も暇だしたまには遊びに来るよ」

八幡「へえ……OBだったんすか」

海老名「そうだよー、私の一つ上でね。文化祭実行委員長も務めてたんだよ」

八幡「え、マジっすか」

優美子「その話はやめろし……」

海老名「いーじゃーん、あのときの優美子すっごくかっこよかったし!」

優美子「大したことじゃないから…マジで」

八幡(この人何したんだろう……)

優美子「で、あんたらも文実なったんだ」

戸塚「いや、ぼくたちは部活動の一環として手伝ってるだけだよ」

優美子「……どんな部活してんの?」

八幡「なんかこういうとき説明しにくい部活だよな……俺たちのって」

戸塚「あはは、そうかも……」


優美子「そっか、なら……」

優美子「彩加は委員長にはなってないんだね」

八幡(安堵したように、優美子さんは呟く)

八幡(……なんだ?)

八幡(何を安堵する必要がある……?)

戸塚「………うん、なれなかったよ」

八幡(そしてそういう戸塚は)

八幡(これっぽっちも笑わずに、笑っていた)

八幡(どこまでも果のない、空虚な笑み)

八幡(背筋にぞくりとするものを感じる)

八幡(優美子さんはその笑顔を見て、どこか淋しげな表情を見せた)
473 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/16(土) 00:15:41.46 ID:QgvO7/2w0
由比ヶ浜「ん?優美子じゃーん!」

優美子「おっ、もしかして結衣?」

由比ヶ浜「こらっ!結衣先生でしょ!」

戸塚「名前呼びはいいんだ……」

八幡(一瞬の会話の空隙の後、由比ヶ浜先生が入ってきた。そのときの戸塚や優美子さんはもう普通の表情に戻っていた)


海老名「結衣はろはろ〜」

由比ヶ浜「ひ、姫菜まで……せ、先生としての威厳が………」

優美子「そんなの最初からないっしょ」ケラケラ

由比ヶ浜「むーっ!そんなことないもん!」

海老名「あはは、むくれてる可愛い」

八幡「……なんだこれ」

戸塚「さぁ……?」

優美子「年こそ違うけど、割とあーしが学校にいたときからこの3人でつるむことが多かったからね」

戸塚「一人教師混じってるよね!?」

海老名「細かいことはいーのいーの」

由比ヶ浜「良くも悪くも優等生だったからねー優美子は………」

海老名「私は文化祭関連で仲良くなったよ。優美子が2年で文実委員長のとき最高に盛り上がってさー…楽しかったなぁ」

由比ヶ浜「姫菜の作ったBLブースでの暴動事件は一生忘れないと思う……」

優美子「確かにあれは大変だったね…」

八幡「……あの突っ込み忘れてたんすけど、もしかして海老名さんって……」

海老名「腐女子ですっ!」

戸塚「ですよねー……」

由比ヶ浜「姫菜が生徒会長になったのも、BL本の流通をもっと潤滑にするためらしいからね…」

優美子「女生徒からの圧倒的な支持を得て生徒会長になった時はちょっと笑ったわ」

戸塚「は、ははは……」

八幡「この学校どうなってんだ……」
474 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/16(土) 00:18:01.89 ID:A9ruZnF/0
戸塚は自分で自分追いつめててあーしさんは心配してんのか、優しい世界
はるのんでてきた時の反動こえーけど
475 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/16(土) 00:18:18.16 ID:/XEPgnzl0
総武高校の闇は深い
476 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/16(土) 00:23:46.49 ID:5h49BUkLo
クラスメイト男子のBL本とか流通してそう
477 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/16(土) 00:25:14.95 ID:QgvO7/2w0
優美子「……あー、もうこんな時間か。あーし帰るわ。でもしばらく暇だからまた来る。じゃね」

海老名「ありがとー、また来てねー」

由比ヶ浜「わっ!そうだ私も仕事残ってたんだっ……!」

八幡(時刻は5時を回っている)

八幡(文実委員もちらほらと帰り支度をするやつらが見え始め、そろそろ文実全体が帰宅ムードに包まれつつあるようだ)

八幡「じゃ、俺たちも帰るか」

戸塚「うん!いいですか部長さん?」

本牧「はぁ……まぁいいだろう。お疲れ様だ」

八幡「ひゃっほうお疲れ様でーす」



帰り道ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

八幡「葉山って何のバイトしてんだろうな」

戸塚「さぁ……コンビニとかかな?」

八幡「コンビニのバイトってしんどいらしいが……まぁ葉山だし大丈夫か」

戸塚「結構しっかりしてるもんね、葉山くん」

八幡「たまに何考えてるか分かんなくなるけどな」

戸塚「?そうかな……」

八幡「あれ?」

八幡(同意を得られると思ったんだがなぁ…)
478 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/16(土) 00:57:42.64 ID:QgvO7/2w0
八幡(それきり会話は途絶える)

八幡(沈黙が続く。だが不思議と不快ではない)

八幡(俺はこのときまだ迷っていた。ここで戸塚にあのことを聞くべきか、聞かないべきか)

八幡(だが、心の底ではわかっていた。そろそろ前に進めるべきだと)

八幡(だから俺は決意する)

八幡「実行委員長……やりたかったのか」

戸塚「!」

戸塚「………な、なんで」

八幡「…見てりゃわかるよ」

八幡(嘘だ。実行委員長を決めるときの戸塚の反応に首を傾げたのは事実だが、そのときはそこまでは悟れていなかった)

八幡(しかしその後俺は知った)

八幡(優美子さんは、実行委員長だった。しかもそれで文化祭を大成功に導いている)

八幡(この情報があれば嫌でもわかる。戸塚の行動原理は"姉への憧れ"だというのは春の段階から分かっていたことだしな)

戸塚「………失望した?」

八幡「しねぇよ、んなことで」

八幡(これも嘘だ)

八幡(最初に持っていた戸塚彩加のイメージにヒビが入ってきている)

八幡(そしてそれが許せない俺自身に腹を立てている)

八幡(戸塚にだって弱いところがある――――そんなことすらも許容できない自分の心の狭さに嫌気がさす)

八幡(だから、言い聞かせるのだ)

八幡(戸塚は並の人間よりは十分に強い男だと)

八幡「お前は十分強いよ。そこまで姉の幻影を追えるのは素直にすごいし賞賛されるべきことだ。並の人間なら折れている」

戸塚「…………」

八幡「ただ、さ」

八幡「お前は、お前だ」

八幡「優美子さんじゃない」

戸塚「…………!」

八幡「優美子さんには優美子さんの長所短所があって、お前にはお前の長所短所がある」

八幡「憧れに追いつこう、とする姿勢はいいものではあるし、お前が姉の後を追うのを悪しとはしない」

八幡「だけど、自分は見失わないでくれ。俺の憧れで、数少ない友人の一人であるのは……戸塚優美子じゃない。戸塚彩加なんだ」

八幡(そこまで一気に言う。なんとか噛まずに言えた。そして戸塚に向き直る)

戸塚「は、はちまん………」ポロポロ

八幡(えッ!?なんで泣いてるの!?)

八幡「と、戸塚……?ご、ごめん」

戸塚「ちがうっ……、ぼく、嬉しくて……おかしいな、なんでだろ……」ポロポロ

八幡「…………?」

戸塚「……そう、だよねっ……!ぼくは、ぼくだっ……ぼくらしく、ぼくの方法でっ……やってけば、いいんだ!」

八幡(そこで戸塚は顔を上げる)

八幡(会議室で見たのとは同じようで、全く違う。満面の笑み)

戸塚「八幡、ぼくを認めてくれて、ありがとう」



第9章
唐突に海老名姫菜は布教を開始する
479 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/16(土) 00:59:20.70 ID:QgvO7/2w0
さて、このままつつがなく文化祭は終わってしまうのか……
後半へ続く
今日は終わります
480 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/16(土) 01:02:00.63 ID:A9ruZnF/0

ホントおもしろい上手く構成されてる
前の葉山になりたかった材木座とあーしさんになりたかった戸塚、で上手くできてるし
ゆきのんと違って戸塚は素直で安心して読んでられる
481 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/16(土) 01:04:02.30 ID:XJZ/TkZHo
乙です
482 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/16(土) 01:04:05.13 ID:DGP51BcCO
何事もなく終わっていいんだ
終わってください
483 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/16(土) 01:14:01.35 ID:nsrNkPHlO
戸塚が素直なのはそうなんやけど、雪ノ下が拗れにに拗れてるのも原因として大きいよな(本編の確執って)
484 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/16(土) 01:19:36.19 ID:w9gVbb8NO
至極どうでもいいけどOBじゃなくてOGでね?
あーし姉は弟同様男の娘だった可能性が微レ存……?
485 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/16(土) 17:15:16.06 ID:T9037A7+O
女装ホモビッチなあーしさん…
アリだと思います(真顔)
486 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/17(日) 09:13:34.99 ID:gDqoLGg30
すいやせん、OGですね
あーしさん男の娘は俺には書けません
ごめんね
487 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/17(日) 09:25:45.81 ID:gDqoLGg30
八幡(準備は恐ろしいほどに進んでいく)

八幡(文化祭まで残り2週間というところで、全体のほぼ8割が終わるという順調さ)

八幡(由比ヶ浜先生も『こんな年見たたことないや……』などと感想を漏らしている)

大志「……会議は以上です。この調子でそれぞれの作業を終わらせていきましょう!」

文実「「「おー!」」」

めぐり「」ニコニコ

八幡(実行委員、全てを一つにまとめる)

八幡(口に出すだけなら簡単なその無理難題をいとも容易くやってのけた)

八幡(もちろん城廻のサポートも一因としてはあるのだろうが、それでも『まとめる』という役回りは彼がきちんとこなしていた)

八幡(川崎大志……思ったよりも骨のあるやつだったんだな。これなら何の問題もなく文化祭はおわりそうだ………)




遥「あの、すいませーん」
488 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/17(日) 09:40:03.89 ID:gDqoLGg30
八幡(?誰だ………)

大志「どうしたの?春山さん」

遥「えっと、この文実ってこれまでに類をみない順調さなんですよね?」

由比ヶ浜「うん……2週間前でここまで進んでるのは異例だよ。優美子のときもこうはいかなかった」

遥「えっと、なら……少しくらい文実休んでもいいんじゃないですか?」

海老名「……何をいいたいのかな?」

遥「あたしたちだって、クラスの出し物とか手伝いたいんですよ。なんか人で足りてないらしいし………」


八幡(…………やられた)

八幡(確かにこの文実は類をみない順調さ。だがそれは今まで文実全体が一丸となって取り組んできたからこそだ)

八幡(だがそこで1人がその和を乱し出すと……その再起には時間を要する)

八幡(進捗状況を現場に伝えたのは失敗だった。名目が『クラスの手伝い』……文化祭に関することなものだから、これを無碍に断ることも出来ない)

八幡(……何がクラスの手伝いだよ、どうせクラスの友だちと喋りたいだけだろ)

八幡(だがこの進捗状況を知らされた故の慢心というのも納得出来なくはない)

八幡(だから全く春山?を責めるというのもお門違いだ)

八幡(その上で、この状況をなんとかせねば…)



文実A「たしかに、なぁ……」

文実B「私たちロクにクラスの方には参加できてないし……」

文実C「こっち進んでんなら、進んでない方の手助けする方がいいしな……」


八幡(詰んだ気がする)

八幡(文実全体のムードががらっと変わってしまった。こうなるともう単なる拒否というのは使えない)


大志「……うーん、確かにな」

めぐり「……………」


八幡(委員長しっかりしろ。確かになじゃねぇんだよ。副委員長アンタなら分かってるだろ。委員長止めろ早く)


大志「分かりました、ではこれからクラスの方が忙しい際にはクラスの方を手伝うことを許可します」
489 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/17(日) 09:50:17.68 ID:gDqoLGg30
八幡(ざわっと歓声が起こる)

八幡(雄叫びを上げるもの、拍手をするもの、委員長にヤジを飛ばすもの………そして、そいつらの影で密かにため息をつくもの)

八幡(戸塚も葉山も本牧も、皆総じて重苦しい顔をしている)


めぐり「ただし、条件があります」

八幡(城廻のその言葉で、歓声が一斉に止む)

めぐり「期間は1週間。文化祭1週間前には、文実の方を優先するようにしてください」


遥「は、はい……わかりました」

八幡(なんとか、首の皮1枚繋がったか…)

八幡(それでも、これで一つになったはずの文実はバラバラになった)

八幡(バラバラな状態で1週間……それで果たしてちゃんとしたものが出来上がるのか)

八幡(目下の不安は残しつつも、とりあえず俺に出来ることは目の前の仕事を消化することだ)

八幡(川崎の『では、そういうことでー』という合図とともに文実はばらけはじめる。大方クラスの方に行くのか……と見せかけて帰ってしまうのか)

八幡(その横で、黙々と作業を進めていく)

八幡(俺たちがこの1週間でできるだけ進めねば、きっと文化祭は崩壊する)

八幡(そんな理由のない直感が、俺の中にはあった)
490 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/17(日) 10:14:58.34 ID:gDqoLGg30
戸塚「………大丈夫かなぁ」

葉山「残ってるのは俺らと、川崎にめぐり、そして生徒会だけか……」

八幡「なんで川崎はあんな余裕そうなんだ…」

本牧「記録雑務以外のメンツが消えたというのはかなりでかいな。まぁ生徒会がまかなってくれているが」

葉山「1週間したらみんな帰ってきてくれるだろうし……まぁそれまで頑張ろうか」

戸塚「うん…………」
491 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/17(日) 12:37:08.63 ID:1w9+xroxO
492 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/17(日) 18:32:32.01 ID:Lg6BzCUAO

どうなる
493 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/17(日) 19:04:16.95 ID:gDqoLGg30
八幡(当たり前のことだが)

八幡(作業効率は目に見えて落ちた)

生徒会A「ごめん、これもお願い」

戸塚「あ、うん……わかったよ」

八幡(川崎の提案から2日、さすがに俺ら以外はいないなんてことはなくなったが、それでもきちんと文実に出てる人の方が少ない)

葉山「……そっち手伝えることある?」

役員A「あっ……ありがとう葉山くん」トゥンク

葉山「気にしないで」

八幡(やるなー、あいつ。なんて言ってる場合じゃねぇや。事態は思っているより深刻だ。残っている仕事量が二割だからといって、ここで慢心すればその慢心は本番前日まで続く)

八幡(まだ行ける……まだ大丈夫……まだこれだけ時間があるじゃない……そのどれもが死亡フラグだ。本当に仕事する気のあるやつは、それをよくわかっている)


大志「………………」

めぐり「………大丈夫?大志くん」

大志「あっ……うん、ごめん、少しぼーっとしててさ……」


八幡(……あいつもようやく気付いたようだ)

八幡(だが遅い。狂い始めた歯車は徐々に加速していく。それを止めることはできない……自然に止まるのを待つしかない)

八幡(城廻の提示した条件でブレーキはかかるだろうが……おそらくは、あの条件程度じゃ自体の根本的解決には至らない)

八幡(だから俺達にできるのは……この1週間で、少なくとも全体の1割は終わらせる!)

八幡(最低限それさえすれば、とりあえず文化祭の失敗だけは避けられる!)




八幡(……なんだろな)

八幡(別に文化祭が好きってわけでもないのに)

八幡(なんで俺、こんな働いてんだろ)
494 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/17(日) 19:20:10.41 ID:oTUFXHI10
八幡「川崎」

大志「……あ、何?」

八幡「これとこれ、やっといていいか」

大志「あ、待って。それするならこれを終わらせないと……」

八幡「わかった。それもやっとく」

大志「え、ちょっとそれは……」

八幡「大丈夫だ。時間はある」

八幡(時間があるうちに、やらないと)

八幡「……それよりもスローガンだ。あれ決めねぇとできねぇ事が多すぎる」

大志「それはめぐりさんの提示した日まで待たないと人が集まらないから……」

八幡「こんな土壇場で実行委員の仕事放棄したがるやつなんかにスローガンを決める資格なんざねぇよ」

八幡(つーかいつのまにこいつら名前呼び合う関係になってんだ……)

大志「ちょっと、その言い方は……」

八幡「間違ってはないだろ。いいからとっとと決めちまおうぜ……」

八幡(こいつはまだ事態の深刻さを正確に把握できてないのか。得体の知れないイライラが俺の心を蝕む)

八幡(顔に出てただろうか、目の前の川崎も少し怯えてるようだ)


めぐり「比企谷くん、やめて〜?」

八幡「………!」

八幡(ほんわかと、しかし冷たく)

八幡(城廻めぐりはそう吐き捨てた)


めぐり「君が焦る気持ちもわからないでもないんだけどね〜。でもさ、ただでさえよくないここの雰囲気をこれ以上悪くしないで欲しいんだ」

八幡「………………」

めぐり「せめて私たちだけは、一つになっていようじゃない。私たちまでもがバラバラになっちゃったら今度こそ崩壊するよ」

めぐり「文化祭をいいものにしたいという気持ちは君も私たちも同じなんだよね?ならさ、ここはみんなに合わせてくれないかな」

八幡「………わかりました。すいませんね」

めぐり「うんうん。あ、でもその仕事は君がお願いね。受けた仕事はちゃんとこなす!」

八幡「は、はは………」

八幡(城廻は終始ほんわかした笑顔で)

八幡(俺の心を的確にえぐっていった)

八幡「わかりました……ですがスローガンの案については個人の方でも考え始めた方がいいとは思います。以上です……」

スタスタ…




めぐり「……うーん」

めぐり「比企谷くん、か。面白いね、あの子」
495 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/17(日) 19:28:13.40 ID:oTUFXHI10
キーンコーンカーンコーン……

戸塚「……ふぅ、こんなものかな」

葉山「帰るかー、行こうぜ八幡」

八幡「………悪い。俺まだ残る」

戸塚「へっ?でももう学校しまっちゃう…」

八幡「先生が帰るまでは残れるだろ」

葉山「いや、でももう結構遅いし…」

由比ヶ浜「ちょっとそれは先生として許せないよ〜?」ジャラジャラ

戸塚「あ、先生……」

由比ヶ浜「仕事がしたいなら帰ってやりなさい。学校はもう締めるから」

八幡「……チッ、わかりましたよ」ガサガサ

葉山「って、八幡……お前本当に家でやるつもりか?」

八幡「仕方ないだろ……もう時間が無いんだ」

八幡「文化祭、成功させないとな……」

戸塚「は、八幡……なんでそこまで?」

八幡「……さぁ、なんでだろ……」


由比ヶ浜「……………」

由比ヶ浜「まぁ、仕事したいなら好きなだけすればいいと思うけどね。働くことでヒッキーくんがいろんなこと学んでくれたら先生も嬉しいし」

八幡「なんですかそれ……なんか先生っぽいですね」

由比ヶ浜「ぽいっていうか本物の教師だし!」

戸塚「あ、あはは……ねぇ、八幡」

戸塚「無理は、しないでね……」

八幡「わかってるよ。……さっき城廻にも言われたからな」

葉山「……ならいいけどね」
496 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/17(日) 19:28:21.20 ID:MVEgD4G4o
めぐりはどこの世界戦でも糞
497 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/17(日) 19:35:06.17 ID:Ee0rMGdGo
文実の城廻は屑三羽がらすだったからな(相模陽乃城廻)
巡り巡ってこいつらがいなければ文実捗ってたんだよなあ
498 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/17(日) 19:39:08.31 ID:oTUFXHI10
沙希「………ねぇ」

八幡「……………………」カリカリカリカリ

沙希「ねぇって言ってんの」ポン

八幡「……あ?なんだよ」

沙希「何してんの、家帰ってからずっとカリカリカリカリ……不気味なんだけど」

八幡「部活動だよ。こんど文化祭あるからな。そうだ、沙希も来いよ」

沙希「あ、アタシはいいよ……なんか、恥ずかしいし……ってそうじゃなくて」

沙希「家帰ってまで文化祭の仕事?どんだけ余裕ないの?」

八幡「仕方ないだろ……人手も足りねぇんだからよ。……って、来ないの?お兄ちゃんこんなに頑張ってるのに?」

沙希「それにしたって働きすぎでしょ。そういうのってうまく分担して学校だけで回すようにするんじゃないの?」

八幡「スルー?スルーなの?ねぇ」

沙希「アタシの質問に答えな」

八幡「………………」


八幡「……ほんとに人手が足んねぇんだよ。みんなこれくらいの仕事量だ。まったく、ブラックは嫌になるぜ……」

沙希「嘘」

八幡「嘘じゃないって」

沙希「……はぁ」


沙希「見せてみな、アタシも手伝う」

八幡「え、ちょ……それはな……」

沙希「大丈夫だって。何するかだけ教えてもらえれば部外者でも出来ることはあるでしょ」

八幡「いやだってお前塾の宿題だってあるし……まったく無関係な高校の文化祭の準備だぞ?そんなのを手伝ってもらうわけにはいかないな」

沙希「あーもういいから寄越せ」

八幡「あっ…!」

沙希「はいはいなるほどね、こうすればいいの?……うわ、辛そう」

八幡「マジでいいから沙希。お前は自分のことを………」

沙希「兄さんが苦しんでるの見て、ほうっとけるわけないでしょ」

八幡「えっ……」

八幡(いま、兄さんって……)

沙希「すっごい辛そうだったよ。仕事してるときの兄さんの顔」

八幡「う……」

沙希「みっともなくてもカッコ悪くてもいいから頼りなよ、家族を。迷惑だなんて思わないからさ」

八幡「……ありがとう、助かるわ、沙希」

沙希「まったく、素直じゃないね……」
499 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/17(日) 19:50:18.39 ID:gDqoLGg30
あさーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

八幡(少し、気は晴れたかな……)

八幡(いいペースではある。この調子で行けば俺らだけでも文化祭までには準備を終えられるだろう。もっとも憶測だが。正確な仕事量なぞ把握してはいない)

八幡(ただイレギュラーも考慮して少しペースを早めるか。沙希が手伝ってくれるというのも大きいしな)

戸塚「八幡、よっ!」

八幡「お、おう戸塚……よっ」

八幡(癒し)

戸塚「あれから仕事終わった?」

八幡「おう、沙希が手伝ってくれたからな」

戸塚「そっか……でも昨日も言ったけど、本当に無理だけはやめてね。今の量だって十分無理な量なのに……」

八幡「わかってるさ。俺は全く無理なんてしていないから安心しろ」


八幡(そう)

八幡(まだまだ俺の限界には程遠い)

八幡(俺はもっとやれる)




八幡「」ドサッ

戸塚「」

葉山「」

本牧「」

川崎「」

八幡「……………」カリカリカリカリ


めぐり「くすっ」




沙希「……なにこれ」

八幡「また仕事が増えたんだ……」

沙希「まぁ、手伝ってあげるけどさ…」

沙希「ほんとに、大丈夫?」

八幡「俺よりまず自分の心配しろ」

沙希「……うーん」





八幡(まだいける)

八幡(まだ大丈夫)

八幡(まだこれだけ力は残ってるじゃないか)
500 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/17(日) 20:09:05.42 ID:tTKIu553o
サキサキはどの世界線でも最高だな
501 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/17(日) 21:03:19.26 ID:oTUFXHI10
八幡(…………………………)

八幡(あ、れ…………………)

八幡(おれ、いつのまに、寝たんだっけ…)

八幡「……く、んだ、頭痛が……」

八幡「朝か……学校、行かねぇと…」

沙希「行かせないよ」

八幡「!……さ、沙希……」

八幡(起き上がった拍子に、額から何かがずり落ちる感覚がする)

八幡(……濡れタオル?)

沙希「……今日は学校休みな。その熱じゃ無理だ」

八幡「は、はぁ……?」

八幡(ね、熱って……)

八幡「っ!」

八幡(頭が……ガンガンする。寒気も酷い。……嘘だろ、まさか)

八幡(こんなときに……!)


沙希「……昨日一緒に作業してるときさ、アンタ急に顔赤くなったと思ったらぶっ倒れたんだ。後で熱はかったら38℃」

沙希「これが何を意味してるかは分かるよね」

八幡「………………」

八幡(沙希は怒っていた)

八幡(口にこそ出さないものの、その表情は明らかに俺を非難していた)

沙希「……今日は1日寝て、頭冷やしな」

八幡「ま、待て……こんな大事なときに、休むわけにはっ……!」

沙希「あ?」

八幡「……………」

沙希「……寝とけよ。いいね」

八幡「……はい」
502 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/17(日) 21:07:59.98 ID:frXry7Spo
サキサキおこモード突入
503 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/17(日) 21:25:41.36 ID:Txq6yxAxo
サキサキこわいお
504 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/17(日) 21:42:13.41 ID:oTUFXHI10
『これが何を意味してるかは分かるよね』

八幡(頭の中でその言葉がぐるぐると回る)

八幡(客観的判断を下すのは簡単だ)

八幡(だがそれを認めてしまえば……)

八幡(俺は………)



八幡(なぜ俺があそこまで無茶をしたのか)

八幡(今ならはっきりと言える)

『頑張ってる人に、失礼だよ』

八幡(……戸塚という人間に、初めて感動したとき)

八幡(そのときのその言葉は、今でも俺の心深くに残っていた)

八幡(俺という人間は、戸塚と関わることでずいぶんと変わった)

八幡(戸塚という人間性に憧れたから)

八幡(だからこそ、俺は許せなかったんだろう。頑張ってる人に全てを投げ、自分たちだけで楽しもうとする奴らを)

八幡(そいつらに文化祭が壊されることが、何よりもたまらなかったんだ)

八幡(………だから)



八幡(俺は無茶をした)
505 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/17(日) 21:43:30.39 ID:oTUFXHI10
今日中にもっと更新するはずだったが無理でした。また明日投下します

これも全部SIROBAKOが悪い
506 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/17(日) 21:56:21.00 ID:SFKw+2Mto

SHIROBAKOいいよね
間違いなくここ数年で五指に入る作品だよ
507 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/17(日) 22:34:29.75 ID:C0aZbdCdo
乙です
508 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/17(日) 22:54:21.14 ID:TB11RDado
ヒッキーがゆきのんになったか
おもしろい
509 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/18(月) 01:17:02.55 ID:Oz5hUOrAO
高校の文化祭の実行委員って実際のところどんなことやっているのかね
510 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/18(月) 01:34:08.62 ID:4Yz/f4J6o
大ホール等の会場設営
各クラスの椅子、机を回収管理、小道具や座敷の貸し出し
クラスの大道具や外装の強度、安全性チェック
入場門作成
通行止めバリケード設置
パンフレット作成
各予算管理と収支見合せ
看板の作成、張りだし
ホールや体育館のタイムキーパー
開会式、閉会式、後夜祭の司会進行タイムキープ、音響、ライト管理
食品系衛生管理指示
当日の案内、巡回
体育館、ホール使用団体、後夜祭出場者の選抜
後夜祭準備
片付け


どこの学校もこんなもんだろ
もっとあったような気もするけどこれ以上は覚えてないや
511 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/18(月) 01:37:34.93 ID:SW/sZfZqo
めぐり[ピーーー]
512 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/18(月) 02:15:24.89 ID:at/i9Np8o
>>510
うちの高校バカばっかだったからこんな仕事こなしてたとは思えんな…
どこもこのくらいが普通なの?
513 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/18(月) 03:34:33.39 ID:udn+bZAvo
>>512
そういうとこは教師か事務員が充実しててやってる
生徒の自主性()とかやってる学校はイベント自体がなかったり
おれのとこは文化祭、体育祭、修学旅行を3年に1回とかやってた
タイミング次第でリサーチ不足で修学旅行がショボくなったり文化祭や体育祭で下っ端やることになる
514 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/18(月) 07:37:55.24 ID:4Yz/f4J6o
教師バンドが割り込ませろと教師権限振りかざしてきて大変なくらいには教師も自由にやってたわ
515 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/18(月) 19:12:52.72 ID:xAStQwGRO
>>510
俺の学校生徒会執行部(という部活)がそういう系の事やってたな
516 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage]:2016/01/19(火) 06:20:42.05 ID:J6wA09zX0
あんまり事務作業ない感じなのね
517 :>>510勉強になります ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/24(日) 18:46:46.48 ID:IqnpXV6/0
八幡(…………………)

八幡(どれくらい眠っていただろうか)

八幡(頭痛もすっかりおさまり、寒気もしない。熱は下がったのだろう)

八幡(なのに俺の心はいっこうに晴れなかった)


八幡「……今は、5時か」

八幡(本当に丸一日眠ってしまっていたらしい)

八幡(……昼飯も食ってねぇ。頭が冴えてきたせいか、空腹感が俺を襲う)

八幡「………つっても、なんか食うような気分にもなれないわな」

八幡(今日風邪が治って)

八幡(明日、どんな顔であいつらに会えばいいのだろう)

八幡(でも俺が学校にいかないと、かなりヤバイ状況ではある)

八幡(ロスっちまった分を、取り戻さないと…)
518 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/24(日) 18:58:04.00 ID:IqnpXV6/0
ピンポーン

八幡(…………沙希か?)

八幡(鍵忘れたのかな……)


八幡「……よっせ」

八幡(ベッドから出る。寝起きなため少しふらふらはするが、体調は悪くなかった)

八幡(下まで降りて、インターホンを確認する)

八幡(ぽちっとな)ピッ



留美『…八幡、いるー?』


八幡(…………………!!)

八幡(な、なんで………鶴見が……)



留美『………反応ないね』

戸塚『インターホンが繋がる音はしたから、中には絶対いるはずなんだけどなぁ』

葉山『うーん、親御さんとか?でも無視するのは不自然だよな………』



八幡「」ピッ

八幡「…………き、切っちまった」

八幡(……でも、仕方ないだろ)

八幡(みんなの忠告無視して自己満足のためだけに働いて体壊して)

八幡(……どんな顔してあいつらに会えばいいんだよ、本当に)
519 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/24(日) 19:02:29.89 ID:IqnpXV6/0
八幡(わざわざお見舞いに来てくれたのに申し訳ないが、あいつらには今日は帰ってもらうしかない……)

ピンポーン

八幡(……スルーだ。スルーしろ)

ピンポーン ピンポーン

八幡(丁度いい。腹ごなしにラーメンでも作るか)

ピンポーン ピンポーン ピンポーン

八幡(なかなかしつこいな)

ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン
ピンポーン

八幡「猟奇的な何かを感じる!」
520 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/24(日) 19:11:12.01 ID:IqnpXV6/0
ピンポーン ピンポーン ピンポーン

八幡「お前らには常識がないのか…」

八幡(ドアノブに手をかける)

八幡(が、それを回そうとしたとき、はたと思い立った)

八幡(……一度居留守を使ってしまったのだ。ここで俺が出てきてしまえばそれこそ俺の立つ瀬がなくなる……)

八幡(ドアノブから手を離す)

八幡(鳴り響くチャイムの音を尻目に、俺はリビングへ戻る)


ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン ピンポーン


八幡(……音がなり止む気配はない)

八幡(だが、我慢だ。心頭滅却すれば火もまた涼し。騒音もまたBGMだ)

八幡(お湯を火にかける)

八幡(今の俺はラーメンマン……)
521 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/24(日) 19:21:09.25 ID:IqnpXV6/0
ピンポーン ピンポーン ………

八幡(……ん?)ズルズルー

八幡「音が……止んだ」

八幡「諦めて帰ったか……」

八幡「………」ズルズルー


八幡(ちょっと申し訳ないことをしたが)

八幡(これも仕方ないことなんだ、許してくれ)

八幡(シーフードうめぇ)ズルズルー




??『ちょっと………さん!さすがにそれは』

??『だめ…………ないで。たぶんこうでもしないと、………は……』

??『ははは………でも、………じゃないかな?』



八幡(……途切れ途切れだがなんか聞こえる)

八幡(庭の、方からか……?)

八幡(俺の家はリビングから庭に出ることが出来る。庭とリビングは、ガラスの扉で遮られている)

八幡(カーテンのせいであいつらが何をしているのかは見えないが、まぁあいつらが庭で何をしようが問題はない……)


留美『……よし、いくよ』

戸塚『だからダメだって!バールでガラス割って侵入するだなんて!』


八幡「ちょっと待てそれはまずい!!」

八幡(モラルがないのかこいつには!)
522 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/24(日) 19:27:23.86 ID:IqnpXV6/0
シャーーーーーーッ(カーテンを開ける音)
ガラガラガラッ(扉を開ける音)

八幡「お前らいい加減にしろ!インターホン連打したり不法侵入しようとしたり……って……」


留美「やっと、顔見せてくれたね」


八幡(戸塚、鶴見、葉山)

八幡(3人とも神妙な面持ちで、俺を見てくる)

八幡(ちなみにバールなんざ持ってない)


八幡「……ハメやがったな」

戸塚「無視する方が悪いんだよ」

八幡「っ……!」


八幡(やめてくれ、その目……)


葉山「……上がらせてもらっていいかな?」

八幡「………好きにしろよ」

戸塚「うん……」

留美「………」




523 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/01/24(日) 19:27:58.24 ID:IqnpXV6/0
一旦切ります
524 : ◆MS8XsHXBB. [saga]:2016/01/24(日) 19:37:35.88 ID:OJCJRS7Eo

いいね、
525 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/01/24(日) 19:38:03.82 ID:OJCJRS7Eo
すみません
526 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage ]:2016/01/24(日) 19:53:58.74 ID:G01aDLEq0
お疲れ様!
527 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/01/24(日) 21:26:41.27 ID:yhPXcPUgo
期待
528 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/01/24(日) 21:49:15.97 ID:cXVvtIePo
乙です
529 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/24(日) 22:53:32.40 ID:IqnpXV6/0
八幡(……そうして上げたはいいものの)


戸塚「………」

葉山「………」

留美「………」ソワソワ

八幡「………」ズルズルー


八幡(何この雰囲気……)

八幡(お見舞いに来てくれたんですよね?)

八幡(いや居留守使ったのは悪いと思うけど、無理矢理押しかけたなら押しかけたなりのアレをですね………)



戸塚「体……もう大丈夫なの?」

八幡「えっ?……あぁ、おう」

戸塚「そっか、明日からは来れるの?」

八幡「あぁ……」

戸塚「よかった………」

八幡「…………」



八幡(俺がカップヌードルを食べている間、終始気まずい空気が流れていた)

八幡(……恐らくは、隙を伺っているのか)

八幡(鶴見はやたらと辺りをキョロキョロしていたが)


八幡「……ごちそうさま」

葉山「……昼ごはん食べてなかったのかい?」

八幡「あぁ……さっき起きたところだったからな」

葉山「そうか……」

八幡「………」
530 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/24(日) 22:59:20.22 ID:IqnpXV6/0
留美「で、なんで居留守なんて使ったの」

八幡「ブフッ」

八幡(このタイミングかよ!?)

八幡「あ、いやそれはだな……」


八幡(言葉を取り繕おうと、戸塚たちの顔色を伺ってみる)

八幡(言葉が詰まった)

八幡(……戸塚が、今にも泣き出しそうな顔をしていたから)

八幡(その顔を見て……俺がしたことがどれだけ愚かなことだったかを思い知らされる)


八幡「……それ、は」

葉山「正直に言ってくれ」

八幡「…………」


八幡(こいつらのこんな顔、今まで見たことがなかった)

八幡(はっきりと、気圧されてる自分がいる)

八幡(俺は………)
531 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/24(日) 23:08:25.41 ID:IqnpXV6/0
八幡「……勘違いしないで欲しいのは、俺がお前らを拒絶したのは、別にお前らが鬱陶しかったからとか、そういう話じゃない」

戸塚「なら、どうして」

八幡「怖かったんだよ」

戸塚「………!」

葉山「君は……」

八幡「大口叩いて無理して仕事して、で体調崩して迷惑かけて……そんな情けない俺を見られるのが怖かったんだ」


八幡(腹を割る)

八幡(これ以上こいつらに対して不誠実な行動はできない)


戸塚「……ぼくたちが、八幡を責めると思うの?」

八幡「口では言わなくてもさ」

八幡「心のどこかで、俺のことを軽蔑するだろ」

葉山「そんなことはない!」

八幡「あるんだよ……意識的にしろ無意識的にしろ、人間の中にそういう感情が芽生えてしまうのは仕方ないことだ」

八幡「そしてそれは行動にも出る」

戸塚「…………」

葉山「違う………!」
532 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/24(日) 23:33:08.33 ID:IqnpXV6/0
戸塚「…八幡は情けなくなんかないよ」

戸塚「八幡はただひたすらに文化祭を成功させよう、そういう一心だけで他の人の分の仕事までして頑張ったんでしょ?」

戸塚「なんでそんな人を責めなきゃいけないのさ!」

八幡「………っ!」

八幡(違う、俺はただの自己満足で…)

葉山「…八幡、そんなに俺達は信用ないか?」

葉山「今回の件、誰が悪くて誰が一番苦労してたかなんて理解してるに決まってるだろ」

葉山「俺たちは一番近くで君を見てきたんだ」

葉山「俺も……委員長も、副委員長も、部長も!君に感謝こそすれ、軽蔑なんてするはずがないだろ」

八幡「……………」

八幡(……俺だったら)

八幡(戸塚が働きすぎて倒れたら……)

八幡(どう思うか……?)




戸塚「もっとぼくたちを信じてよ」

戸塚「ぼくは君を傷つけない」

戸塚「ぼくは君を拒絶しない」

戸塚「周りがなんと言おうと、ぼくだけは君を認めてあげる。君が、ぼくにしてくれたみたいに」

八幡「戸塚……」

葉山「八幡」

葉山「俺も戸塚くんに同じだ」

葉山「何があっても、俺たちは八幡の味方であり続ける。それが友達だろ」

八幡「葉山……」



八幡(……はは、情けないな俺)

八幡(勝手に深読みして、わざわざ見舞いに来てくれたこいつらを拒絶して)

八幡(挙句の果てにこんな言葉で慰められて)

八幡(……本当に、俺は)


八幡(でも、そんな俺でもこいつらは受け入れてくれるという)

八幡(その時に気付いた。生まれてからずっと俺が渇望してきたもの)

八幡(それがなかったから、俺は世界を憎んだ)

八幡(世界を妬んだ)

八幡(自分に絶望した)


八幡(何があっても壊れない)

八幡(『本物』の、関係)


八幡(俺はそれをとっくに手に入れていた)

八幡(だから、昔と今とじゃ、世界の見え方が違うわけだ……)
533 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/24(日) 23:42:13.88 ID:IqnpXV6/0
戸塚「八幡」


八幡(戸塚が立ち上がり、俺に手を差しのべる)


葉山「八幡、行こう」


八幡(俺はその手を掴む)


八幡(戸塚の手は、小さくて、柔らかくて)

八幡(だけどとても、力強い)



八幡(……人との関係は麻薬だ)

八幡(一度ハマると、抜け出せなくなる)

八幡(それを知っているから、今まで自分を人に深く踏み込ませようとしなかった)

八幡(だけど、これが絶対に壊れない、『本物』の関係になりうるのなら)

八幡(少しくらいこいつらに甘えても……)

八幡(いいだろう)





留美「違うよ」

留美「そんなの、おかしいでしょ」
534 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/01/24(日) 23:43:46.41 ID:UvHcHCTbo
このままエンディングかと思ったらるみるみ
535 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/01/24(日) 23:44:11.79 ID:IqnpXV6/0
るみるみのターン
本日は終わり

SIROBAKOとシュタゲとゆるゆりのせいで更新が大幅に遅くなって申し訳ない
536 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/01/24(日) 23:46:33.68 ID:UvHcHCTbo
乙です
気になる引きだ
537 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/01/24(日) 23:51:32.31 ID:ox41CTyi0

ゆるゆり増えてて草
538 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/01/24(日) 23:53:39.17 ID:cXVvtIePo
乙です
539 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/01/25(月) 01:08:20.78 ID:A0SjMbPEo
おつ
シュタゲも増えてんじゃねえか!
540 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/01/26(火) 19:29:12.30 ID:oOMtx9zdo
シュタゲ増えててワロタ
普通にいい話やん乙
541 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/04(木) 10:30:27.79 ID:3mOpmIUTo
まだですか?
待ってるよ
542 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/04(木) 12:09:09.19 ID:Z5eB1gZDO
シュタゲは面白いからしょうがないな
543 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/02/07(日) 22:21:03.32 ID:CADdj3CT0
八幡「………鶴見?」

八幡(こいつのこんな表情は、見たことがない)

八幡(千葉村で豹変したときでさえ、無表情を貫いていたというのに……)

八幡(今の鶴見は……今にも泣き出しそうな、そんな顔をしている)


留美「……私は、文実じゃない。八幡たちの仕事がどういうものか知らないし、今回の八幡の行動でどれだけの人が助かったかなんて、知らない」

留美「だから、客観的に言わせてもらうけど」

留美「八幡は間違ってる」

八幡「………………」


留美「文化祭の成功のために一生懸命頑張るのは立派な事だと思う」

留美「でもさ、それを1人で全部背負い込もうとして……結局体崩して……」

八幡「……わかってるよ、体調管理もせず、後先も考えず、結局みんなに迷惑かけることになっちまった。俺が正しいなんて思ってな――――――」

留美「………やっぱりわかってない」

八幡(………!!)

八幡(なんで……こいつ、泣いてるんだ…)



留美「八幡が倒れたって聞いて……私がどれだけ心配したか………!!」
544 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/07(日) 22:22:48.34 ID:zX1L+Lrro
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
545 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/02/07(日) 22:30:11.01 ID:CADdj3CT0
戸塚「…………」

葉山「ぁ…………」


八幡(………この後に及んでもまだ)

八幡(俺の罪悪感は、『俺が休んだことによる仕事の遅れ』に支配されていた)

八幡(鶴見の叫びは、そんな俺の心を貫くように)

八幡(重く、響いた)


留美「……認めちゃダメなんだよ」

留美「このままじゃ八幡は、また同じことをするよ……体調管理をして倒れることはないまでも、きっと八幡は自分が苦しむ道を選択する」

戸塚「………うぅ」

留美「だから、叱ってあげなくちゃダメなんだ。なんで私たちを頼ってくれないんだって、なんで私たちの気持ちを考えてくれないんだって」

葉山「そ、それは………」


八幡(鶴見たちの、気持ち………)


留美「八幡がここまで頑張らなきゃいけなくなったのは、八幡のせいじゃないってことくらい、わかってる」

留美「でもだからってここで八幡を甘やかすなんて……そんなのおかしい」

留美「それは……ただの"共依存"」

戸塚「――――――ッ!」


八幡(は、はは………)

八幡(依存、か)

八幡(鶴見からそんな言葉が出てくるなんてな………)
546 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/02/07(日) 22:44:45.78 ID:CADdj3CT0
留美「私は、今の八幡を認めない」


八幡「………っ」


留美「私は、八幡が大好きだから。だからこそ、今の八幡を認めるわけにはいかない」


葉山「………なっ…」


留美「私の八幡は、もっとかっこいい。もっと優しくて、もっとかしこくて、たくさんの人を笑顔にできる」


戸塚「……」


八幡「……買い被りすぎだよ」

留美「そんなことない。だって私が好きになった人だもん」

八幡「……………えっ」

留美「……今更すぎるよね、その反応」

八幡「ま、まぁ……」

八幡(改まって言われるとな……)



留美「だからさ」

留美「もっと周りを見てよ……」

八幡「…………」

留美「八幡が辛いなら、その辛さを共有したい。八幡が悲しいなら、その悲しさを共有したい……そういう風に思ってる人が、少なくとも一人は、いるんだからさ」

八幡「鶴見……」


葉山「………俺だって、そうだ」

八幡「葉山……」


戸塚「……僕もだよ」

八幡「戸塚……」


葉山「…確かに、俺たちの言葉は甘やかしだったのかもしれないな」

葉山「心のどこかでは、感じていたんだ。八幡との、壁のようなものを……」

戸塚「八幡は、僕たちのことが本当に見えてるのかな?……そう思うと、すごく不安になった」

戸塚「……依存、か。そうだね……一番八幡に依存していたのは、僕なのかもしれない」


八幡「………すまん」

戸塚「いや、別に……」

留美「……戸塚」

戸塚「う………」

八幡「俺は自分のことしか見えてなかった」
547 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/02/07(日) 22:59:17.93 ID:CADdj3CT0
八幡(思えば)

八幡(俺を見てくれる存在なんて……沙希を除けばこれまで一人だっていなかった)

八幡(……あの人だって、結局俺のことなんざ見ちゃいなかったんだからな)

八幡(だからこそ、だろう)

八幡(いつしか、自分が世界の外にいる気分になっていた)


八幡(俺の世界には、俺しかいない)

八幡(そんな奇妙な錯覚に陥っていた)

八幡(俺の行動で誰かが心を動かすなど、考えもしなかったのだ)




留美「……ねぇ、戸塚、葉山、八幡」

戸塚「な、なに……?」

留美「仕事……手伝うから」

葉山「え………?」

留美「私も、みんなを手伝う。厳しいんでしょ?」

戸塚「そ、そんな!鶴見さんは奉仕部員でもないのに……」

留美「厳しいんでしょ?」

戸塚「う………」

留美「じゃあ、決まり。いいよね、八幡」


留美「……しっかりと、見張ってあげるから」


八幡(………だが、今はどうだ)

八幡(俺を見てくれる人がいる)

八幡(俺のために泣いてくれる人がいる)

八幡(それなのに……まだ俺は俺だけの世界にいる気でいるのか)



八幡「……あぁ、よろしく頼むよ、"留美"」


留美「……………!?」

戸塚「は、八幡……!?」


八幡「どうした、"彩加"」

戸塚「っ!!〜〜〜〜〜///」


葉山「八幡………!」

八幡「勘違いするなよ"隼人"。みんな俺のことを下で呼ぶのに、俺だけ未だに名字呼びなのはおかしいと思っただけだ……」


八幡(これは、第一歩)

八幡(俺の世界をこじ開けるための、な)

八幡(こちとら十数年ぼっち生活してんだ、それは容易じゃないだろうが……)

八幡(それでも少しずつ、始めていこう)

八幡(その先に、本当の"本物"が待っている)


第十章
そうして、彼の世界はまた一つ色づいていく


548 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/07(日) 23:04:17.82 ID:4OEC4EUoo
ええやん
549 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/07(日) 23:04:41.21 ID:d04glNKeo
ハッピーエンドやん
550 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/02/07(日) 23:11:17.44 ID:CADdj3CT0
海老名「お前ら、文化してるかー!?」

「「うおおおおおおおお!!」」

海老名「千葉の名物、踊りと―――!?」

「「祭りいいいいいいいいい!!」」

海老名「同じ阿呆なら、踊らにゃ―――!?」

「「シンガッソーーーーーー!!」」




八幡「……なんっだこれ」

戸塚「あ、あはは……ノリはいいし、盛り上がってるからいいんじゃないかな」

葉山「俺は結構好きだな、こういうの」



八幡(あのあと)

八幡(週明け、風邪を治した俺が学校へ来てみると、驚いたことに文実委員はほぼ全員が集まっていた)

八幡(話を聞くところによると、俺が倒れたことで川崎と城廻がブチ切れたらしい)

八幡(それはすごい剣幕で、クラス運営に現を抜かす文実を連れ戻したそうな)

八幡(サボった引け目から、やはり活気は落ちてしまうかと思ったりもしたが)

八幡(その後のスローガン決めは大白熱を見せた。意見に次ぐ意見、反対に次ぐ反対。その中で決まったのが、川崎の考案したさっきの頭の悪そうなスローガンだ)

八幡(……とまぁ、そんなこんなで当初俺が危惧していたようなことにはならず)

八幡(前日にはもう最終調整のみという異例の速さで文化祭準備は終わった)
551 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/07(日) 23:18:35.56 ID:45Ze3r+CO
めぐり先輩も怒ってたのか
552 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/02/07(日) 23:29:40.86 ID:CADdj3CT0
あ、表記かえるの忘れてた
これから奉仕部は下名前表記しますね

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

海老名「………ではではー!続いて文化祭実行委員長よりご挨拶です!」

川崎「…………」


八幡(マイクを握る川崎には、少し緊張の色が見られる)


川崎「どうも、文化祭実行委員長を努めさせていただきました、川崎大志です」


八幡(川崎のスピーチはつつがなく進んでいく)

八幡(文化祭実行委員全員、文化祭運営に協力してくれた先生や有志、すべての人に感謝を述べ、自分が委員長に立候補をした経緯を語った。観客席からは、『堅いぞー!』とか『緊張してんのかー?』なんて野次も飛ばされていた)

八幡(そして)



川崎「……最後に、今回文化祭に一番貢献してくれた委員のことを話します」

彩加「……!」

八幡「……?」


川崎「一度、準備が順調に進んでいる慢心から、文実を自由参加にしていた期間がありました」

八幡(観客がざわつく)


川崎「その期間は委員の数もグッと減り、すぐに順調に進んでいた準備は難航しました」

川崎「僕は自分の決断に後悔しました。やはり僕は城廻さんや海老名先輩のようにはいかないと、自己嫌悪にも陥りました」

川崎「そんな中、彼は1人で、もくもくと作業を続け……たった1人で、文実全体の遅れを食い止めてくれていました」


遥「…………」

八幡(バツの悪そうに、目を伏せる委員もいた)
553 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/02/07(日) 23:42:56.78 ID:CADdj3CT0
川崎「嫌な顔一つせず……いや、嫌な顔はしてたか……それでも、文句も言わず、まるで自分がするのが当然かのように、他人の仕事を請け負い、僕たちに見せつけるかのように……働いてくれました」

川崎「そんな彼の姿を見て、目が覚めたんです」

川崎「今まで自分がどれだけくだらないことに嫉着してきたのかということに気づけたんです」

川崎「1人だろうが……誰にも見られてなかろうが……それでも誰かのために働ける、そんな彼が、とても眩しくて」

川崎「あんな人になりたい。そう思えました」




八幡(………なんかすっげぇ恥ずかしいんだけど…………)

八幡(川崎がどう思おうとあれは独善的な行動に代わりはないわけで……)

八幡(傷口を直接えぐられてる感触)




川崎「……結果、彼のおかげでなんとか文実は持ち直し、準備を整えることが出来ました」

川崎「だからこそ!僕は……俺は、この文化祭を最高に盛り上げたい!!」

川崎「過去最高に盛り上がったと言われる、一昨年を超えるくらい!」

川崎「だから………とりあえず楽しめええええええええええ!!」


「お………」


「「おおおおおおおおおおおおっ!!」」


八幡(川崎はカンペを握りしめながら絶叫した)

八幡(あれ後半完全アドリブだろ……)



八幡(……恥ずかしさで死にそうなのは確かだが)

八幡(やはり、なんだか少し報われた気がした)
554 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/02/07(日) 23:59:33.18 ID:CADdj3CT0
八幡「さてと………」

八幡(記録雑務の当日の仕事は、文字通り記録だ)

八幡(文化祭の様子を写真に収め、記録する。また、各団体の見回りなども行う)

八幡「……ま、することもねぇし、な…」


八幡(戸塚や葉山にも別の仕事が割り当てられていて、とてもじゃないが出し物を見て回る空気ではない)

八幡(俺はといえば写真をパシャパシャやっているだけなので、正直普通に遊べる感じである。写真を撮る名目で中は入れますし…)



留美「はっちまーん!」

八幡「おわっ!?」

八幡(腰に軽い衝撃を受ける)

八幡「ちょっ、離せ留美……」

八幡(変な目で見られるだろうが……)

留美「写真撮ってるだけなの?だったら一緒に遊ぼ、ほら」

八幡「……そういうわけにもいかねぇよ、仕事だからな……」

八幡(思ってもないことを口にする)

八幡(確か去年も、こいつに絡まれて散々な思いをした覚えがある……)

八幡(別に留美が嫌いってわけじゃない)

八幡(女子と2人で文化祭って……なぜか妙に意識してしまうのだ)


留美「むー、やっぱり冷たい……」

八幡「仕方ないだろ……仕事が一区切りついたら遊ぼうぜ、みんなで」

留美「……むぅー、みんなで、かぁ…」

八幡「そう言うなって……」


八幡(引きはがすと、留美は戻っていった。おおかたクラスに戻るのだろう)

八幡(……そういや俺アイツの交友関係知らねぇな。まぁだいたい察し付くけど…)
555 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/08(月) 00:09:46.37 ID:Bhtt3HFDo
もう付き合っちゃえばいいのに
ここまで好意全開で勘違いなんてありえないしなにが不満なんだろ
556 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/02/08(月) 00:17:27.53 ID:mlZ/0Z5p0
八幡「……ん?」

八幡(LINE?)

LINE 漆黒の月光牙 ちょっと前
フーハハハハ!!
八幡よ。今すぐ2-Fへ来るがよい!!
パーティーの始まりだぞ!!

八幡「……なんとなく察しはついたぜ」

八幡「既読付けちまったし、行くか……」




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

雪ノ下「……………………」

八幡「……………………」

八幡(よりにもよって、こいつか……)

八幡(店内ではメイド服を来た女の子たちがせわしなく働いている)

八幡(恥ずかしがってる子もいるが、大抵の子はなんかもう、吹っ切れてる)

八幡(やけくそ気味に『萌え萌えキューンっ!』なんて言ってるのは正直見てて微笑ましい)

八幡(……だがこいつはそういうわけにもいかないようで)


雪ノ下「……お、お帰り、なさい、ま……せ……」

八幡(あかん、目が笑ってない)

材木座「ほら。頑張るのだ、雪ノ下よ!」

平塚「腹を括れ……あっ、ご注文はお決まりですかぁ〜??ただ今参りますぅ〜・」

雪ノ下「………クッ!!こんな屈辱……しかもよりにもよってこんな男に!!」

八幡「聞こえてんぞ……」


八幡(……しっかし、あれだな、こいつのメイド服姿)

八幡(普段とのギャップがやばい。もともとかなり整った顔をしてることもあり、破壊力は抜群だ……)

八幡(……顔赤くなってねぇかな)


材木座「……ほむぅ、なんだ。雪ノ下よ、貴様はその程度のことすらできん雑魚だったか……」

雪ノ下「……」カチン

材木座「どうやら我の買いかぶりだったようだ。すまないな、できないことを無理に強要する趣味はない。下がっていろ」

雪ノ下「…………」ガシッ

材木座「ぎょふっ!?」

雪ノ下「お帰りなさいませぇ、ご主人様?今少しゴミ掃除をしている最中でして……申し訳ありませんが、でていってくれないでしょうか?」

八幡(目がマジだ)

八幡「すまん、材木座」ダダッ

材木座「ちょっ!?はちまん!!我を、我を見捨てるというのか!?待て、待つんだ雪ノ下嬢!撤回する!貴女は最高のメイドだだからその手を……」

雪ノ下「遺言は聞き届けたわ……」

材木座「が、あ、ぁぁぁ………」



材木座「」カクリ


生徒たち「お、オーナーぁぁぁ!!」
557 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/02/08(月) 00:19:29.46 ID:mlZ/0Z5p0
今日は終わり。
遅くなってすいませんでした。
これから以前よりはぺーすあがるとおもいます

余談ですがアキト最終章面白かったです
558 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/08(月) 00:20:25.39 ID:isEuVAWio
乙です
559 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/08(月) 00:23:29.69 ID:Bhtt3HFDo
560 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/08(月) 00:24:08.27 ID:PsuOEmnJO

るみの厄ネタ発動したかと思ったが、純粋に心配してただけみたいでよかったよかった
561 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/08(月) 00:33:49.51 ID:Hj1o72bto
乙です
562 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/08(月) 00:58:06.10 ID:pva4rDLB0
乙!!
なんだろうこのなに一つ間違ってない青春ラブコメ……
563 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/08(月) 01:05:04.18 ID:5pXnMHt50
材木座はGreninjaなのか
564 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/08(月) 09:59:00.08 ID:YCcdbuJAO
ここまでされてなおルミルミと付き合わないのはよっぽどはるのんに植え付けられたトラウマがでかいんやろなあ
そう考えるとこのシャッフルは絶妙だな
565 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/08(月) 10:41:30.21 ID:qr52P/9QO

八幡報われすぎだろこれが本当の青春物語だ
566 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/08(月) 12:04:41.38 ID:wzsYDjsQO
陽乃さんなんて呼びかたしてたから何となくだけど同級生じゃなくて年上なイメージ。

しかしシナリオ通りに進むとなるとはるのんとゆきのんが対立するのか……、どうなるか期待
567 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/08(月) 13:18:25.20 ID:mlZ/0Z5p0
   __   _____   ______
   ,´ _,, '-´ ̄ ̄`-ゝ 、_ イ、
    'r ´          ヽ、ン、
  ,'==─-      -─==', i
  i イ iゝ、イ人レ/_ルヽイ i |
  レリイi (ヒ_]     ヒ_ン ).| .|、i .||
   !Y!""  ,___,   "" 「 !ノ i |  _人人人人人人人人人人人人人人人_
    L.',.  ヽ _ン    L」 ノ| .| > ゆっくりしていってね!!!<
    | ||ヽ、       ,イ| ||イ| /   ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y
    レ ル` ー--─ ´ルレ レ´
568 : ◆rGsyzf.Kp2 [sage]:2016/02/08(月) 13:19:53.63 ID:mlZ/0Z5p0
忘れてください
569 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/08(月) 14:29:08.65 ID:m4vWx3iQo
ゆっくりしていきます!
570 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/08(月) 16:19:42.73 ID:+o6S1O8T0
ルミルミがゆきのんとガハマさんを合わせたような立ち位置でヒロイン力高いね
天使(戸塚)と葉山っていうある意味で八幡の一番の理解者かもしれない存在が入ったことで奉仕部の安定感が半端ない、これが本物か…
571 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/09(火) 07:59:48.51 ID:cKdm2fdvo
この奉仕部3人の関係性
ノーマル海老名がいたらと思うとゾッとするぜ…グフフフ
それにルミルミの正妻ぶりに相模とは大違いの大志の成長ぶり
572 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/02/10(水) 22:50:25.38 ID:mp3Jt96r0
八幡(文化祭は二日目を迎えた)

八幡(出し物自体は昨日でだいたい見回ったが記録の仕事がなくなるわけではない)

八幡(一日目と二日目、両方の記録を残さねばならないからだ)

八幡(なんなんだよそれ……どっちか片方だけでいいだろ……)

八幡(ちなみにそれを知ったのは昨日のミーティングでなので当然一日目の記録が残らないものもある)

八幡(というわけで今日も変わらずパシャパシャとやっております)



めぐり「ごめんなさい、出してもらった申請書類と違うことされると、ちょっと……」


八幡(……ん、あれは城廻?)

八幡(3-B……『トロッコ列車』か。なにか問題でもあったのか?)



ゴォォォォォォ
キャァァァァァァァ!!!



八幡(……なるほどトロッコ列車ではないなこれ)
573 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/02/10(水) 23:05:05.75 ID:mp3Jt96r0
先輩「うっ……うちは申請通りトロッコ列車ですよ!面白くするためにちょっとだけ変えてありますけど!」

めぐり「うぅ〜ん……面白くするのはいいと思うんですけど、ちょっと安全面が保証できないような内容となると……」

先輩「あ、安全面は大丈夫です!」

めぐり「それを保証するのが申請書類なんですけど……困ったなぁ」

先輩「う、うぅ………」

めぐり「あ、わ、私だって文化祭を盛り上げようとしてくれている先輩方の心意気はとてもありがたいんですよ!?でも、やっぱり最低条件としてお客様の安全は保証しないと……そのための私たちの仕事なんですし!」

先輩「え……えっと……」




八幡(……あれ天然だとしたら相当だな)

八幡(あえて相手の言い分をある程度認め、優しく諭すように説得することで自分の行動を客観視させ反省をうながす)

八幡(そのふわふわぽわっとしたオーラも相まって相手方もあまり強くは出られないようだ)

八幡(こういう人のことを人身掌握術に長けるっていうんだろうなぁ……)




先輩「ごめんなさい……申請したものと同じに戻します……」

めぐり「水を差すようで申し訳ありません!!でもこれも文化祭のためですので……」

先輩「いや、城廻さんが謝ることはないよ…」

めぐり「……はい。ありがとうございます。では、私はほかの見回りにいきますので…」




八幡(そうして城廻は俺が来た方向は反対の方向に歩きだす)

八幡(俺はほぼ無意識的に元きた道を引き返していた)
574 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/02/10(水) 23:13:59.30 ID:mp3Jt96r0
戸塚「……あれ、八幡?」

八幡「戸塚!」

八幡(こうして文化祭中に会うのは初めてかもしれない)


八幡(戸塚は文実の中では例外的にクラスの方を手伝わされていた。まぁ、もともと文実じゃなぇしな俺ら)

八幡(戸塚の属する国際教養科は9割を女子が占める、お嬢様クラスだ)

八幡(やはり文化祭は男手が足りないらしい)

八幡(だから、戸塚が駆り出されたわけだ)


八幡「クラスの方はいいのか?」

戸塚「うん……力仕事は終わったから、もう遊んでていいよって言われちゃった」

八幡「そうか……」

八幡(なんというホワイト。ぼくもj組に入りたかったとです………)

戸塚「八幡は、仕事どう?」

八幡「あー……まぁ、ぼちぼち、な。だいぶ写真は撮ったし」

戸塚「そっか……じゃ、息抜きになにか出し物でも見て回る?」

八幡「………っ!」

八幡(これは………)
575 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/02/10(水) 23:18:32.52 ID:mp3Jt96r0
八幡「……いいかもな。仕事ばっかりじゃ気が滅入る。文化祭もフレーム越しでしか見れてねぇし……」

戸塚「た、大変そうだね……ごめんね?ぼくだけクラスの方手伝うことになっちゃって…」

八幡「気にすることはねぇだろ。疲れるだけで辛くはねぇし。なんならお前の方が辛いまであると思うぞ」

戸塚「そ、そうならいいんだけど……じゃあ、どこいこっか?」

八幡「あ、仕事上だいたいの出し物もう見ちゃったんだけどさ、まだ見れてねぇやつがあるんだ。そこいかないか?」

戸塚「うん、いいよ。どこなの?」



八幡「―――――お化け屋敷だよ」
576 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/02/10(水) 23:33:01.18 ID:mp3Jt96r0
あークソ
今日更新分全てのレスの
「戸塚」→「彩加」でお願いします

寝ぼけすぎですごめんなさい


お化け屋敷ーーーーーーーーーーーーーーーー

八幡「」ガクガクプルプル

彩加「は、八幡……ちょっと、掴みすぎじゃ」

八幡(な、な、なんだこのお化け屋敷……なんでこんな無駄に本格的なんだよ…)


手「」足ガシッ

八幡「う、うおあぁぁぁぁっ!!」

彩加「は、八幡転ぶ!やめて!」

八幡「わ、わりぃ……」

彩加「……でも知らなかった。八幡ってこういうの案外弱いんだね」

八幡「……お前は随分と強いんだな」

八幡(妄想とは完全に立場逆転である)

八幡(普段は可愛いと思える彩加の背中が、今はとてもたくましく、頼もしい)

彩加「なんかさ、わくわくしないっ?」

八幡「……しねぇわ……」

八幡(俺だってお化け屋敷は特別弱いというわけでもない)

八幡(でもなぜか、このお化け屋敷はツボにハマったらしい。さっきから腰が抜けて膝が震えて……情けない痴態を晒している)


彩加「……へへ、また知らない八幡がぼくの中に増えた。嬉しいよ」

八幡「俺の中にもまた新しい彩加が増えたわ……」


八幡(この半年間、彩加と付き合って)

八幡(見た目とは違い、男の子らしいが渋い趣味をして、なかなか肝が太いところがあって……)

八幡(憧れにはひたすら前向きで、それゆえに自分を見失ってしまうこともあって…)

八幡(彩加のいいところも、悪いところも、たくさん知れた)
577 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/02/10(水) 23:40:54.13 ID:mp3Jt96r0
彩加「……あっ、ゴールだね!」

八幡「やっと終わったか……」

彩加「楽しかったぁ!なかなか本格的だったね!文化祭でこれは凄いなぁ…」

八幡「…アマチュアだからこそより自然な感じの恐怖を与えられるのかもな…」

彩加「……だ、大丈夫?八幡」

八幡「大丈夫だ……お化け屋敷なんて二度と行かねぇ……」

彩加「これは……大丈夫じゃないね…」

八幡「すまんな……自分から行こうって言いだしたのに」

彩加「いいよ。そんなの。中には苦手な人もいるってことくらい分かってるしさ」

彩加「……それに、そういうのが苦手な八幡って……なんか、可愛いし」ボソッ

八幡「ん?何か言ったか?」

彩加「えっ!?いや、なななんでもない…」

八幡「…んだよ、気になるだろ」

彩加「だからなんでもないってば……」

八幡「いいだろ、いえよ」

彩加「そんなわざわざ言うことじゃ―――あ」


彩加「八幡、写真撮った?」

八幡「あ」
578 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/02/10(水) 23:50:38.55 ID:m1p5o0bR0
彩加「はい、撮ってきてあげたよ」

八幡「ホント悪いな……」

彩加「大丈夫だよ。ぼくだって文実だし」

八幡「だけどこれは俺の仕事だ」

彩加「律儀だなぁ……困ったことがあれば助け合えばいいじゃん」

八幡「む………」

彩加「……この前のも、結局はそういう話なんでしょ?」

八幡「う………」


八幡(改めて思い出すと恥ずかしいな…)

八幡(何故か高二になってから黒歴史の数がぐんと増えた気がするんだが……)


<テンテンテン テンテンテンテンテン テンテンテンテレン♪♪


八幡「……LINE、電話?」

彩加「隼人くんからかな?」

八幡「もしもし」

隼人『やぁ、八幡』

八幡「どうしたんだ。お前は中央ステージ担当だろ。なにかあったなら本牧の方に……」

隼人『いや……ちょっと伝えたいことがあってさ』

八幡「伝えたいこと……?」


隼人『戸塚のお姉さんが今からバンドやるらしいから……体育館来いよ。一緒に見ようぜ』
579 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/02/11(木) 00:02:56.66 ID:Jf6Tb0CY0
八幡(体育館は人でごった返していた)

八幡(観客の目は、ステージに立つ縦ロールのもとへ吸い寄せられている)

八幡(戸塚優美子)

八幡(そしてその周りを取り囲むように、由比ヶ浜先生、海老名先輩、……あとは名前すら知らない)

八幡(そこで、はたと気付く)

八幡(配置的には中央にいるのは由比ヶ浜先生なのだ)

八幡(なのにも関わらず、まるで優美子さんを他の人が囲んでいるように見える)

八幡(それだけ、女王の放つオーラは凄まじい)

八幡(見るだけで、戸塚優美子があらゆる才能に愛された存在であることが分かった)


隼人「来たか」

八幡「隼人……」

彩加「………」

隼人「文実に来てくれたときに初めてあの人のことを知ったけど……予想以上にすごい人なんだね」


八幡(そう、すごい人)

八幡(チープだが、戸塚優美子という存在を形容するにはこれだけで十分だ)


八幡(彩加は、期待と羨望の眼差しで姉をながめている)

八幡(優美子さんが持っているのはギター……海老名先輩が、キーボードかな?由比ヶ浜先生はマイク……マイク!?)

八幡(う、歌うのか…由比ヶ浜先生)
580 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/02/11(木) 00:04:20.39 ID:Jf6Tb0CY0
今日は終わります……
581 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/11(木) 00:04:57.48 ID:IYcGfP4Do
乙です
582 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/11(木) 00:56:51.52 ID:jsnRGiuPO

相変わらず違和感が仕事しない
583 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/11(木) 02:26:52.86 ID:dN99CF1oo
乙です
584 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/11(木) 06:10:31.97 ID:GjznMPiOo

由比ヶ浜先生に俺のマイクを扱いてもらいたい
585 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/02/14(日) 18:30:57.19 ID:OaLvu8BQ0




八幡(…………ベースの余韻が、完全に消える)

八幡(それぞれの楽器を構えていた彼女たちは、一息ついたように楽器を降ろす)

八幡(サビではあれだけ盛り上がっていた聴衆たちは、曲の余韻に浸るようにしんと目を瞑り、耳を澄ませている)

八幡(それは、俺も……こいつらも、同じだ)


八幡(由比ヶ浜先生は呼吸を整えながら、そんな俺達を一瞥し―――)

八幡(マイクを構えた)




由比ヶ浜「みんな、ありがとー!」


「「「おおおおおおおおおっ!!!」」」


八幡(これまでの静寂が嘘のように、観衆の興奮が爆発する)

八幡(その観衆の中には……俺もいた)

八幡(ライブなんてものは人生初体験だが)

八幡(こんなに声を張り上げたのは人生で初めてかもしれない)


八幡(それほどまでに、優美子さんたちの演奏は圧倒的だった)
586 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/02/14(日) 18:41:35.11 ID:OaLvu8BQ0
彩加「すごいっ!やっぱりすごいよ姉さん……!いつか、ぼくも……!」

隼人「はははは……あの由比ヶ浜先生がね!確かにこれはトリに相応しい!」


八幡(誰もが、舞台の上の彼女を礼賛した)


八幡(声援には笑って手を振り返す。その声援は次第に"アンコール!"に変わっていった)


八幡(便乗するとしよう)



由比ヶ浜「ありがとう!じゃあ、もう1曲だけ」

ワァァァァァァァァァァァァァ


八幡(もはや悲鳴に近いな……)


八幡(演奏なんてある程度練習をすれば素人目でも大差ない仕上がりにはなる)

八幡(だが、それをどう魅せるかで、ライブの盛り上がりは決定的に違ってくる)

八幡(アマチュアのバンド……それも文化祭のために急遽集めたようなメンバーで、ここまでのものを仕上げるのは普通ならまず不可能だろう)


八幡(それを可能にできるのが)


八幡(戸塚優美子という存在だ……)

587 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/02/14(日) 18:51:01.13 ID:OaLvu8BQ0
八幡(聞いていればわかる。このライブはどう見ても優美子さんがリードしている)

八幡(全員が、ギターに合わせに行っている)

八幡(優美子さんはそれに応えるように盛り上がる箇所、その場の雰囲気、そういったものを瞬時に判断し……)

八幡(それに見合った演奏をしている)

八幡(常にそれの繰り返し)


八幡(この人が高スペックなのはだいたい知っていたが、実際にこの人の実力を垣間見たのは……今回が初めてだ)

八幡(その上で評せる)

八幡(この人は化物だ……)

八幡(彩加が劣等感を抱いてしまうのも……仕方のないことだ。これを間近で見せつけられてきたなら、自分を捨てたくもなるだろう)




由比ヶ浜「だから進むの更なる時へぇぇぇぇぇぇぇっっっ!!!」

「「「うわぁぁぁぁぁぁっ!!」」」


八幡(……アンコールももう終わる)

八幡(あっという間だった)


彩加「………終わっちゃうね」

隼人「ずっと聞いてたいなんて思ったのは……いつ以来のことかな」


八幡(この演奏を、こいつらと聞けてよかったな、なんて)

八幡(ガラにもないことを思ったりする)
588 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/14(日) 18:52:04.58 ID:T8mUSfAWo
ジョイントか
589 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/02/14(日) 19:05:40.12 ID:OaLvu8BQ0
八幡(割れんばかりの拍手と歓声を浴びながら)

八幡(優美子さんたちは退場していった)


八幡「……やっぱとんでもねぇのな、お前の姉ちゃん」

隼人「ギターの人だろ?あの人めっちゃ美味かったな……教えてもらおうかな…」

彩加「うぅぅぅ……!姉さんがやってるの見て、ぼくも弾きたくなってきちゃったなぁ」

八幡「え、彩加お前……ギター弾けるのか?」

彩加「……姉さんがやってたことは、一通りね。何一つ姉さんには追いつけてないけど」

八幡「っ……!」

八幡(それでも一般人を軽く凌駕するレベルではあるんだろうが)

八幡(こいつにとって、それは劣等感をますます強めるだけにすぎない……)

隼人「へぇ、今度聞かせてくれよ!」

彩加「いや、ぼくのなんて人に聞かせるレベルじゃないよ……」

八幡「もうちょっと自信持てよ。お前が優美子さんより劣るなんてことはないから」

彩加「………?」

八幡「優美子さんの音楽の作り方と、お前の音楽の作り方は、違う」

八幡「優美子さんのをいくら真似ても追いつけるわけないだろ。でもそれはお前が優美子さんより劣ってるからじゃない。例えるなら……敵の作ったゲームで対戦するようなもんだ」

八幡「お前が本気でやったら、優美子さんなんて目じゃないさ。俺が保証する」

彩加「そ、そんな………!」

隼人「……実際俺もそう思うよ。彩加に必要なのは、自分に自信を持つことじゃないかな?」

彩加「それは……」
590 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/02/14(日) 19:18:29.02 ID:OaLvu8BQ0
八幡(自分に自信を取り戻す―――)

八幡(自分を肯定してあげる―――)

八幡(そうすれば、彩加も……過去と向き合える日が来るはずだ)

八幡(過去と向き合わせれば、彩加だって俺たちに何があったか相談してくれるはずだ)

八幡(そうすることで、初めて一歩を踏み出せる)

八幡(本物への、長い長い道のりの)


彩加「……そうだよね」

彩加「自分に自信を持つ……か、でもごめん。急にはできそうにないや」

隼人「そうか……早く彩加のギター聞きたいんだけどな」

彩加「ぼく、頑張るよ……ぼくの中の弱い自分を追い出して……そしていつか、その弱い自分ごと自分を認められるように」


彩加「……だから、さ」




彩加「八幡も、頑張ろ?ね?」




八幡「……………!?」

八幡(頑張る……?)

八幡(なにを……?)




八幡(自分に自信を取り戻す)

自分に自信がないのは?

八幡(自分を肯定してあげる)

自分を否定し続けているのは?

八幡(過去と向き合える日が、いつか―――)


過去と向き合えていないのは?


誰だ?


八幡「ぁ………………」


八幡(違う……)

八幡(俺は……………)



??『キミってさ、本当に面白いよね』




八幡(俺は……………………っっっ!)
591 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/02/14(日) 19:28:27.01 ID:OaLvu8BQ0
彩加「八幡……?」

八幡「………ぁ」

隼人「ど、どうした……顔色悪いぞ……」

八幡「……あ、いや、なんでもない。気にするな………」


八幡「そうだな……俺も頑張る。だから、彩加も頑張ってくれ……」

彩加「う、うん………」


留美「………みーつけた」ドンッ

八幡「たっ!?……っておま、留美……!」

留美「仕事、あるんじゃなかったの」

八幡「あっ……いやほら、一段落付いたからライブでも見に行こうかと……」

留美「……午後3時ごろ、2-Cのお化け屋敷でボーイッシュ系の女子生徒にしがみつく目つきの悪い男子生徒が目撃されている」

八幡「なっ……!ちょっと待て!なんで……つーか、見られてた!?」

留美「やっぱり……彩加とデートしてたんだ。そうなんだ。私の誘いは断っておいて……へぇ〜」

八幡「いや待て留美……これにはバイカル湖よりも深い事情があってだな……」

留美「言い訳は、無用……謝罪は、行動で示してもらう……行くよ」

八幡「待てっ……!くび、しまっ……!かっ……はっ……!」




隼人「は、ははは……俺たちも行くか」

彩加「……………」

隼人「彩加?」

彩加「……あ、ごめん、隼人くん……うん、行こうか」
592 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/02/14(日) 21:30:43.36 ID:OaLvu8BQ0
居酒屋ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

大志「お疲れ様でしたー!」

文実「「「お疲れ様でしたー!」」」


八幡(色々あったが)

八幡(こうやって、文実の集まりだけで打ち上げをするくらいには、きちんとまとまっていたんだろうな)




めぐり「いやぁ〜、なんとか終わったね!」

大志「本番は大した問題も起きなくてよかったよ。どうかな、最高に盛り上がる文化祭に出来たかな……」

めぐり「うーん、最高に盛り上がったのは盛り上がったと思うんだけど……」


めぐり「……一番盛り上げてくれたのたぶん有志の由比ヶ浜先生たちだよね」チラ

大志「あぁ………」チラ


由比ヶ浜「ほえ?どしたの?」




隼人「いやー、楽しかった。言っても俺が遊べたの二日目の終わりかけからだったけど」

留美「……うん。4人で、っていうのも悪くない。八幡、これでチャラにしてあげる」

八幡「」チーン

彩加「だ、大丈夫……?」

八幡「……燃え尽きたぜ……真っ白にな」

隼人「散歩を嫌がる子犬みたいだったもんね、途中から」

留美「犬八幡……いいかも」

八幡「……お前のせいで今月は何も買えねぇ」

留美「それでもねだったら限界までお金出してくれる八幡が好き」

彩加「貢ぎルートまっしぐら……」

八幡「やめろ……」
593 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/14(日) 21:37:21.52 ID:8XiSxxz5o
由比ヶ浜先生がいるとはいえ高校生で居酒屋はどうなの?
594 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/14(日) 21:49:49.27 ID:3NZW+/3U0
ssだから問題ない
595 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/02/14(日) 22:07:00.40 ID:ytvWaLz40
八幡「てかなんで留美がいるんだ。クラスの打ち上げはどうした?」

留美「言ったでしょ。私は八幡の付属品」

八幡「あれ本気だったのか……」


隼人「付属品、ねぇ……」

彩加「うーん……」

八幡「何釈然としない風なんだよ…」


海老名「わからない?」ヒョコ

彩加「わっ!?」

隼人「び、ビックリした……どこから湧いたんですか海老名先輩」

海老名「そんな人をクリーチャーみたいに……」

八幡(なぜだか今親近感が湧いた)

八幡「俺たちに何か用ですか?」

海老名「腐腐腐……ちょっと、取材をね」

彩加「嫌な予感しかしない……」

隼人「………」

八幡「先回りしときますけど俺たち別にそういうんじゃないですからね?」

海老名「またまたぁ。男が3人だけで部活なんて……何も起きないわけが……」

八幡「漫画とは違うんですよ漫画とは……」

八幡(同性愛者なるものが一定数はいることは理解しているつもりだが)

八幡(そういう奴と一生に一回でも関わる確率はかなり低いだろう。それも俺みたいに誰ともつるまないやつなど……)


海老名「……その様子だと、本当に何も気づいてないみたいだね?」

八幡「え?なにを……」

隼人「海老名先輩ちょっとこちらで話しましょうか!!」

海老名「……おっとっと〜」




彩加「……な、何を話してるのかな」

八幡「さ、さぁ……あいつがここまで取り乱すのも初めて見た気がする……」
596 :酒飲まんかったらへーきへーき ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/02/14(日) 22:18:48.78 ID:ytvWaLz40
隼人「………」

留美「あ、おかえり」

八幡(何を話してたのかは……まぁどうでもいいか。どうせ大したことじゃないだろう)


海老名「ごめんね、なんか1人で暴走しちゃって……癖なんだよね、考え出したら止まらなくなるの。よく優美子に怒られてたなぁ」

留美「優美子……?」

海老名「あぁ、私の一つ上の先輩で、そこにいる戸塚くんのお姉さんだよ」

留美「上級生を……呼び捨て?」

海老名「優美子はそういう先輩だったからね」

八幡(確かに、俺にも出会ってすぐ下の名前呼びを強要してきたなあの人……)


海老名「水指しちゃってごめんね!じゃあ私は行くから……と、葉山くん、その件はまたいつか、ね」

隼人「……はい。よろしくお願いします」

八幡「待て」

隼人「どうしたんだい?」

八幡「なに、お前あぁいうのが好みなの?」

隼人「むっ……心外だな。そういうのじゃないよ」

八幡(いやしかし今の会話は……)

八幡(………そう、としか聞こえないが)

八幡「否定するなら詮索はしないけどよ…」

八幡(でも確かに、海老名先輩は腐女子だが……顔はいい方だし、生徒会長としての能力の高さと頭の良さは折り紙付きだろう)

八幡(……まぁ、普通にしてれば、もてるだろうな。この先輩は)

八幡「……頑張れよ」ポン

隼人「なんだかものすごく不名誉な誤解をされている気がする………」

留美「……どんまい、隼人」




彩加「………隼人くん、まさか……」

海老名「キミは、それでいいの?」ボソッ

彩加「!?」

海老名「なんでもないよ♪じゃね〜」

彩加「…………」
597 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/02/14(日) 22:30:29.43 ID:ytvWaLz40
比企谷家ーーーーーーーーーーーーーーーーー

八幡「……疲れた」

沙希「お帰り」

八幡「……結局お前来なかったな……」

沙希「……兄の学校の文化祭に一人で行く妹ってどうよ、実際」

八幡「俺ならお前の文化祭は一人でも行くぞ」

沙希「来ないくせに……」

八幡「いやっ!だってお前……同級生と鉢合わせたら……恥ずかしいだろ。沙希が高校生になったら毎年行くよ」

沙希「そんときはアンタも受験でしょ」

八幡「む………」


八幡(受験、か)

八幡(受験が始まれば……今の時間も、きっと保てなくなるのだろうか)


八幡「……沙希は、さ」

沙希「ん?」

八幡「高校、どこ受けるんだ?」

沙希「んー……」

八幡(とりあえず、別の話題を出して、頭の隅からその考えを追いやることにする)

沙希「……第一志望は総武だよ」

八幡「えっ」

沙希「勘違いしないでよ……ただやっぱりここから近くて、それでいて安定した合格実績のある学校っていうと……やっぱ総武かなって」

沙希「それに……うちの中学から総武行くの一人か二人だっていうし……」

八幡「俺の妹だわ……」

八幡(志望理由が完全に俺と同じである)


沙希「く、うぅ……『アンタと一緒にするな』とは、言えないか……」

八幡「仕方ないさ兄弟だもの。沙希成績いいし、まぁ余裕で受かるんじゃね?俺は数学でかなり苦戦したがな……」

沙希「まぁ、そうは言ってもね……何があるかわかんないのが受験だし。一応第四くらいまでは考えてる」

八幡「堅実だなー……」
598 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/02/14(日) 22:42:38.96 ID:OaLvu8BQ0
沙希「アンタは、どうするの」

八幡「ん?」

沙希「大学。……やっぱり、東京の方目指したりするの?」

八幡「んー……」

八幡(前までの俺ならば私立文系一択で、千葉の中からよさげな私立大学見繕って受けるつもりではいた)

八幡(だけど、彩加たちとの勉強会によって……数学の成績が飛躍的にあがった)

八幡(正直言うと、欲が出ている)

八幡(彩加クラスならば、まず東京の大学を受験するだろう)

八幡(それを、追いたい。どこまでもついて行きたいたい……そんな、欲が)


八幡「……保留だ」

沙希「優柔不断だね」

八幡「慎重といえ。大学は高校とはまた全然違うんだよ……」




八幡(彩加を追って、追い続けて)

八幡(俺は、どうしたいんだ?)

八幡(彩加になりたい、のか?)


『優美子さんのをいくら真似てもお前が追いつけるわけないだろ』


八幡(……わかってる)

八幡(わかってるから……だから)

八幡(自分で決めろ、自分の道を)

八幡(自分で選べ。自分で拓け)

八幡(その選択に、自信を持って―――)




第十一章
そうして文化祭はつつがなく終焉を迎える
599 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/14(日) 22:55:46.87 ID:T8mUSfAWo
乙でした
千葉県内によさげな私立大学の文系学部ってあるのかな?
600 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/02/14(日) 22:59:06.34 ID:OaLvu8BQ0
奉仕部ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

八幡(文化祭も終わり)

八幡(中秋から晩秋に差し掛かったこの頃)

八幡(高校生活一大イベントとも呼ばれるイベントが訪れようとしていた……)


留美「」ドヨーン

八幡「」ドヨーン

彩加「な、なんか暗いね二人とも……」


留美「この手の旅行は毎年経験してるけど……未だに慣れない。あの地獄のような時間だけは未だに耐えられない……」

八幡「彩加のクラスはそもそも男子が少ないし、隼人は元から4人組ができるから問題ないかもしれねぇけどな……」


八幡(…………そう、"修学旅行の班決め"である)

八幡(これで何回惨めな思いをしてきたことか……まぁ惨めなのは慣れてるんだけど。一人入れてもらった立場から生じる罪悪感と場違い感がヤバイ)

八幡(女子の世界じゃそれがもっと顕著なんだろうな……留美もここ数日ずっとあんなんだ)


留美「いや……もうカースト低い女子から腹いせにいたぶられるのはいや……」ブツブツ


八幡(……ほんっと女子ってこわい)




隼人「え?八幡は俺と組まないのか?俺はそうするつもりでいたんだが……」

八幡「大和とか大岡とかどうすんだよ。俺が入るとなると一人あぶれるぞ」

八幡(そっちの方が気まずいわ……)

隼人「あー……うーん、確かにここで『お前らとは組まない』っていうのは感じ悪いし……でもそれだと作戦がな……」

八幡「作戦?」

隼人「いや、なんでもない」

八幡(なんだコイツ……?)
601 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/02/14(日) 23:06:59.03 ID:OaLvu8BQ0
留美「……あ、そうだ。そういえば修学旅行の日おばあちゃんのお通夜があるんだ」

彩加「勝手に殺しちゃダメだよ!?」

八幡「お通夜なら仕方ないな……留美、俺も付き合うぜ」

隼人「通夜に付き合うってなんだ……?」


留美「……積立金で払われてなかったら修学旅行のお金払わずに合法的にサボれたのに……」

八幡「全くだ……積立金ってクソだな」

彩加「い、いつもからは考えられないほど二人の息があってる……」

隼人「ダメだこいつら……早くなんとかしないと……」




ガラガラッ
602 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/02/14(日) 23:17:34.17 ID:OaLvu8BQ0
八幡「……来客?」

大志「……ども、こんにちは」

彩加「か、川崎くん……?」


八幡(こんな風にこの部にまともな依頼人が来たのは玉縄以来だろうか)

八幡(大体が由比ヶ浜先生経由だったからな…)


留美「どうしたの?こんなところまで来て…」

大志「……ここって、生徒の悩みを解決してくれる部活なんだよね?海老名先輩から聞いたんだけど……」

八幡「海老名先輩だと……?」

八幡(ここで意外な人物が出てくるな)

彩加「うん。その認識で間違いないよ。それで今日は、どんな依頼なのかな」

大志「……あの、さ。言いにくいんだけど…」

八幡(川崎は顔を赤らめ、頬を掻きながらゆっくりと言葉を紡いでいく)

八幡(……なんとなーく読めた)




大志「……俺、めぐりさんのことが好きだ!」

彩加「………おぉ」

隼人「……なるほど」

八幡「………ほう」

大志「……あれっ?反応薄い?」

隼人「恋愛絡みだろうなーとは思ってたからね……ここで由比ヶ浜先生とか出てきたら驚いたと思う」

八幡「比較の対象が極端すぎる……」

八幡(そういや由比ヶ浜先生って独身なんだろうか。まぁ独身なんだろうなぁ……すごい数の男に騙されてそう)


彩加「……めぐりさんっていうと、文実の副委員長だった、城廻めぐりさんのことでいいのかな?」

大志「はい!そうっす!その城廻さんであってます!」

彩加「……それで、具体的な依頼の内容を聞かそてもらえないかな?」

大志「わかりました……」
603 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/02/14(日) 23:28:52.21 ID:OaLvu8BQ0
大志「……ほら俺こんな顔で、こんなきゃらじゃないすか。そのせいかどうかはわからないけど、昔っからモブ扱いされることが多かったんですよ」

大志「そんな自分を変えたくて、足掻いてみたくなった。そのために、文実に立候補し、実行委員長になったんす」

八幡(まぁ、知ってる)

大志「俺だってやれば出来るってことを見せたかったんですけど……やっぱり無理で。所詮俺は凡人だから……みんなをまとめるなんて無理だったんです」


大志「でも、そんな俺をめぐりさんは救ってくれた」

留美「救い……?」

大志「そう……俺が気づかずに流してしまったミスとか、俺の苦手な細かい事務作業とか、そういったものを全部引き受けてくれて……」

大志「それでいて、決して俺から主導権を奪おうとしないんすよ。あくまで裏方に徹して、俺がしくらないように、無理が出ないようにサポートしてくれた」

大志「ある日彼女に訪ねてみたんす。『なんでそこまでやってくれるのか』って」

大志「『副委員長だから』」

大志「副委員長だから、それだけの言葉を、さも当然のようにいってのけた彼女は、とてもかっこよくて」

大志「……気づけば、好きになっていた」

八幡「……なんでそれを挨拶のときに言わなかった。俺なんかじゃなくて……」

大志「い、いやぁ……恥ずかしいじゃん、あんな大勢の前でさ」

大志「俺は君もめぐりさんと同じくらい尊敬はしてるし……」

八幡「こっちも恥ずかしいんだよ……」

大志「う………」


彩加「……で?川崎くんはどうしたいの?」


大志「……………」ゴクリ


大志「3年生になっちゃったら、たぶん恋どころじゃなくなる。……そうなる前に、俺はこの気持ちを彼女に伝えたい」
604 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/02/14(日) 23:29:34.87 ID:OaLvu8BQ0
ねむいのでここまで
605 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/14(日) 23:30:40.09 ID:Lwt5DhO6o
乙です
606 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/14(日) 23:34:58.52 ID:8XiSxxz5o
乙!
大志超頑張れ!どっかのお調子モンとは違って健気じゃないか
607 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/14(日) 23:35:05.75 ID:3NZW+/3U0
608 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/14(日) 23:47:02.24 ID:k+THxfXy0
はるのんのトラウマがかなりヤバそう……
出てくるのは会長選のときだからもうすぐか……
609 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/14(日) 23:48:50.47 ID:JQCoI/J/o
折本の十倍はトラウマの傷負いそうなチョイスだよホント
610 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/15(月) 00:11:54.43 ID:Y13jzb9uo
はるのんはなあ・・・
折本みたいに次の日には周り全てに知られてたとかは無いかもしれないけど、その分直接傷口抉られそう
611 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/15(月) 00:17:45.24 ID:fJe+80A1o
乙です
612 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/15(月) 00:47:34.86 ID:DBDvlfA7O

はるのんのトラウマとかもうアカン臭しかしない
613 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/15(月) 01:55:00.74 ID:SDnw2wTb0
はるのんはねちっこそうで嫌だなぁ
人より周り見えてるから余計に今の関係をかき乱してきそう
614 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/15(月) 10:20:13.83 ID:HmLZOGRZo
はるのんにトラウマ植えつけられたらホモになるまであるぞ
615 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/15(月) 11:12:43.00 ID:lQySzp/do
>>614
原作の葉山がその可能性あるかもなww
616 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/15(月) 15:45:04.08 ID:27+2BFlAO
やめろ
好きな人のイニシャルYが大和か材木座という誰得カップリングしか残らんぞ
617 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/02/21(日) 04:24:58.35 ID:1YAfOa/t0
あう
618 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/22(月) 23:58:06.14 ID:1IjmZpTSO
最初のキャスティングからどれほど混沌としたSSになるかと思いきや普通に青春してて凄い


修学旅行は大志が城廻さんに告白するのか。雪ノ下グループに悪い影響なさそうだけどどんな展開になるのか。

陽乃さんは雪ノ下姓じゃなさそうだけどその場合、名字は何になるんだろう。

619 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/02/28(日) 18:15:50.71 ID:Cbmn+lKX0
彩加「……なるほど、それでこのタイミングなわけだね」

八幡「どういうことだ?」

隼人「修学旅行で告白をするつもりなんだろ?まぁ、定番といえば定番だよな」

大志「……そういうことっす」

八幡「はぁー、修学旅行に告白ねぇ……」

八幡(修学旅行で解放的な気分になる生徒も少なくはない。普段よりも告白が成功する確率は高いだろう。それに一ヶ月後にはクリスマスが控えている。告白をするにはうってつけのイベントだ)

八幡「てか、そこまで決めてるならなんで俺たちに相談する必要があるんだ?」

大志「告白なんて人生で初めてなんすよ……!しかもこれがほぼラストチャンス。絶対に失敗するわけにはいかないんす」

留美「……私たちなんかより、普通に友だちに相談した方がいいんじゃ?」

大志「相談なんか出来ねぇっすよ……ただでさえめぐりさん人気あるのに」

八幡(まぁそうだよな……こいつはクラスの中層カースト、対して城廻はクラスのトップカーストに位置する。そんな人への告白なんて相談しても真面目に考えてくれるとは思えない)

八幡(だけど俺たちは違う。困っている人を助ける……そういう名目で活動しているのだから)
620 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/02/28(日) 18:17:43.23 ID:Cbmn+lKX0
大志「なんか、告白の仕方……例えば場所とか、ムードとか……そういうアドバイスが欲しくて。海老名先輩に相談したら、ここを薦められて……」

彩加「なるほどね……」

彩加「わかった、川崎くん。君の依頼受けるよ。八幡たちもいいよね?」

八幡「まぁどこまで出来るか分かんねぇけど……」

隼人「素敵じゃないか。応援するよ」

大志「ありがとうございます!」

彩加「よし、じゃあさっそく考えるよ。川崎くんはもう帰ってもらって構わないよ」

大志「えっ?いや、自分の依頼ですし俺も参加したいんだけど……」

彩加「ぼくたちの会話を聞くと、川崎くんの行動に不自然さが生じてしまうかもしれないからね」

大志「???」

彩加「例えば……君が女の子の落としたハンカチを拾うとするよね」

彩加「その行為が下心があってのものか、それとも純粋な親切心からのものなのか、ということは非常に重要なんだ」

大志「……なんとなくですがわかった気がするっす」

彩加「そういうこと。ぼくたちは今からだいぶ打算的な話をする。それを君に聞かせてしまうと、どうしても露骨になっちゃう」

彩加「川崎くんは、ぼくたちが示した通りのことだけを最低限こなす。たぶんこっちの方が成功確率は高くなる」

大志「それ自体がだいぶ打算的な話っすが……まぁわかりました」

大志「そういうことなら、席を外すよ。告白の言葉とか、考えようかな……」

彩加「うん、ごめんね……」
621 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/02/28(日) 18:19:40.38 ID:Cbmn+lKX0
彩加「…………で、どうしよっか」

留美「そんなことだろうとは思っていた……」

八幡「打算的な話を始めるんじゃなかったのか……」

彩加「仕方ないじゃん……恋とか告白とか……したことなんてないし……」

隼人「彩加にしてはちょっと無理のあるロジックだったね……まぁ相手は川崎くんだし大丈夫だとは思うけど」

彩加「頼まれた以上、クライアントを不安な気持ちにさせるわけにはいかないからね……」

八幡「何なら断っても良かったんだぞ?」

彩加「そういうわけにもいかないでしょ」

彩加「みんな、なにか無い?告白をするのにいい感じのシチュとかさ……」

留美「……さっぱり」

隼人「急に言われて思いつくものでもないよな……」

八幡「そりゃあれだろ、校内放送で全校生徒に向けて『めぐりさん、僕は君のことが―――』」

留美「うん、ちょっと黙ろうか」

八幡「ごめんなさい」
622 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/02/28(日) 18:23:11.07 ID:DqbGAniI0
彩加「うーん……じゃあ逆に」

彩加「今まで誰かに告白した経験のある人」

留美「はい」

隼人「君のはロマンの欠片もないから……」

留美「……何それ、むかつく」

八幡「今現在進行形で恋人がいない俺たちにその質問を投げかけるのはなかなかの鬼畜だな……」

彩加「うっ……で、どうなの?ないの?あるの?あったら……そのときの状況を教えたり、する、とか」

隼人「あいにくだけど俺はないよ……」

彩加「隼人くんは、友達がそういう経験をしてた、みたいなのもないの?」

隼人「それがないんだよな……ま、告白なんてイベント、普通はそうそう起こるもんじゃないんだよ」

八幡「ちなみにわかってるとは思うが俺にもそんな経験はないぞ」

留美「八幡が告白とかなんかウケる」

八幡「どういう意味だ……」
623 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/02/28(日) 18:26:05.12 ID:DqbGAniI0
彩加「………………………」

八幡(…………?)

八幡「どうした彩加。難しい顔して」

彩加「えっ……いや、そっか……八幡も、告白の経験なんてないんだね……」

八幡「彩加もないのか?」

彩加「ぼっ、ぼく!?う、うん……ない、ないよ。って言ったと思うけど……」

八幡(……彩加が過去を隠すときは、"まるでそんな過去が存在しなかった"かのように振る舞う)

八幡(だからこうやって取り乱すということは、彩加の言葉に偽りはほぼないと言っていい)

八幡(告白の経験、というワードに反応しただけだろう。なんだかんだうぶな彩加かわいい。略してさいかわいい)

八幡「そっか、なんか安心したわ」

彩加「あ、安心って……どういう意味なんだろう……」ボソボソ

隼人「……八幡、俺も告白なんてしたことないぞ」

留美「私は八幡以外に告白なんてしてないよ」

八幡「いや、一回聞いたし……」
624 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/02/28(日) 18:27:07.86 ID:DqbGAniI0
隼人「うーん……難しく考える必要はないんじゃないかな」

八幡「というと?」

隼人「修学旅行で行くところなんてほとんどが知らないところで新鮮みがある。告白スポットなんて適当に決めたところで大差ないたろ」

彩加「身も蓋もないこといったね……」

八幡「だいたい正しいんだよなぁ……」

留美「……それ川崎にどう伝えるの」

隼人「うーん……」
625 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/02/28(日) 18:30:06.16 ID:DqbGAniI0
八幡「……なぁ、思ったんだが」

彩加「なに?」

八幡「城廻は川崎のことどう思ってんだ?」

彩加「えっ、うーん……隼人くん、どう?」

隼人「………見てる感じだと、おそらく……」

隼人「認識すらしてなさそうだな」

八幡(辛辣すぎる………)

留美「そう思う根拠は?」

隼人「正直俺にもあいつの考えてることよくわからないからなんとも言えないが……少なくともあいつが誰かに恋愛感情を抱いてることはない、と思う」

八幡「なんでそう言い切れるんだ?」

隼人「見ていればわかるよ。これでも人を見るのは得意だからね」

留美「……実際川崎との付き合いはありそうなの?」

隼人「俺自身そんなに仲いいわけじゃないからそればっかりはどうともいえない。ま、川崎に聞いてみるのが一番手っ取り早いんじゃないか?」

彩加「それは確かに………」
626 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/02/28(日) 18:32:00.02 ID:DqbGAniI0
八幡「……いや、隼人がそういうなら十分だろ」

留美「?」

八幡「なんにせよ、修学旅行までに、なんとかして川崎の好感度を上げておく必要があるのは確かなんだろ?」

彩加「…………あー」

隼人「そういうことにはなるな……」

留美「無理ゲー……」

八幡「………おいおい」

八幡(まぁ実際難しいよなぁ……)

八幡「結果的に川崎には帰ってもらってよかったな。この結論伝えちまうとあいつに焦りを生じさせちまう可能性があった」

留美「……どっちにしろこのこと伝えないと城廻の好感度あげられないんじゃ」

隼人「いいや、このことは伝えなくてもいいさ。あいつにはチャンスを与えてやればいいだけなんだからな」

彩加「チャンス……?」

隼人「修学旅行で、川崎と城廻をなるべく二人きりにさせ、お互いのことをよく知らせる。こうすれば、あとは川崎次第だ」

八幡「そうするしかないな。ただそうなると、修学旅行が始まるまでは何も出来ないな……」

留美「そこはもう仕方ないんじゃない。あいつの方で上手くやれるなら上手くやればいいし。私たちはセッティングしかできないんだから」

彩加「うーん……そうなるとクラスの違うぼくが手伝えること少ないね……うん!だったらぼくがデートスポットとか告白スポットとか一生懸命考えるよ!」

八幡「おう、たぶんこの中だとお前が一番そういうののセンスあるだろうからな。頼んだぞ」
627 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/02/28(日) 18:35:14.33 ID:DqbGAniI0
隼人「さて、こうなったら班決めが重要だな…」


隼人「八幡、俺、川崎でまず組む。異論はないな?」

八幡「………まぁいいけど」

八幡(なんでこいつこんな嬉しそうなんだよ……)

彩加「城廻さんは雪ノ下さんたちと組むのかな?だとしたら彼女たちにも協力してもらわないとね……」

隼人「そこは俺がうまくやるさ」

留美「ここまでしてふられたらそれはそれで面白いね……」

八幡「ひねくれてるなぁ……」




留美「でも結局デートスポットとか告白スポットとかは考えなきゃいけないんだね……なんか振り出しに戻った感が……」

彩加「……そういうの、よく知ってそうな人がいるからさ、ぼく相談してみる」

八幡(あーなるほど……)

隼人「へぇ、頼んだぞ。こっちはうまくやっておくからさ。ふふふ……」

八幡「なんだその不穏な笑み……」
628 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/02/28(日) 18:37:24.01 ID:DqbGAniI0
八幡(中学生のときの修学旅行は、どうだったっけ)

八幡(ほとんど何も思い出せないが……思い出せないということは、"そういうこと"なのだろう)

八幡(誰とも口を聞かず、班員の一歩後ろを歩く、ただそれだけの旅行)

八幡(だけど、この修学旅行は)

八幡(たぶん、一生忘れられないものになる)

八幡(そんな嬉しい予感が、確かにあった)

八幡(……晴れるといいな、京都)




留美「………私は憂鬱なままだけどね……」
629 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/02/28(日) 18:38:22.90 ID:DqbGAniI0
書き溜め文は以上。
こうしてみると全然進んでなくてワロ…ワロ…ワロエナイ
一旦切ります
630 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/28(日) 18:55:36.72 ID:zLGc6zqa0

こんくらいが丁度いい
631 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/28(日) 19:00:34.41 ID:l2wEItWAO
お、来てた
乙です
632 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/28(日) 19:35:29.09 ID:fX8LWV/to
乙です
633 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/28(日) 19:42:44.23 ID:8QoEwyT20
留美さんあんたすげえ告白の仕方したんだな……
634 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/29(月) 10:09:36.80 ID:K0jxEjLDO
早くいろはす出て欲しい
カオスになりそう
635 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/29(月) 11:48:48.10 ID:5bjQEA5VO
いろはすはいろはすのままだったな確か
636 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/29(月) 13:44:14.14 ID:pLmi/4yrO
しいて言えばレズになってる
637 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/29(月) 14:00:54.11 ID:KjBT3Tj3O
ほんとだww
葉山先輩が雪ノ下先輩に変わってるし
638 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/02/29(月) 15:35:50.64 ID:5bjQEA5VO
でも雪ノ下さんは原作でも軽く百合ノ下さんはいってる気もするから絡みとしては違和感はない
639 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/22(火) 21:12:54.61 ID:oBtiApJ3O
保守
640 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/03/29(火) 22:10:58.72 ID:IHmlymLZ0
待ってる
641 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/04/02(土) 23:09:56.91 ID:UGiHgBVZ0
新幹線ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

材木座「……してやはり今期覇権なのは『紅殻』なり!こればかりは譲れん!」

八幡「……『僕街』に決まってんだろ。最終回こそアレだがあの毎話毎話の話の区切りの秀悦さは尊敬を通り越して苛立つほどだ……」

材木座「ぬぬぬ……言ってもわからぬ馬鹿ばかり……」

隼人「………………」

雪ノ下「………………」

八幡(……俺何してんだろ)




八幡(あれから班決めをし、宿泊班は俺・隼人・川崎・材木座。そして行動班は+城廻・雪ノ下・平塚・なぜか折本……というメンツが揃うこととなった)

八幡(楽しい楽しい旅行ではあるが、最優先すべきはもちろんミッション『川崎と城廻をくっうけようぜ大作戦』である)

八幡(そこのところも雪ノ下たちに説明し、協力はしてもらえることになった)

八幡(その一環として……まずは、川崎を新幹線の座席にて城廻の隣へ誘導する。まずはそのクエストをこなした。後は奴次第だ。頑張れ)

八幡(……で、そのクエストの結果4・4で分かれた座席のうちこちら側に材木座・俺・隼人・雪ノ下というメンツが揃ったわけだが)

八幡(材木座と話が合いすぎて隼人と気まずい)

八幡(さっきからすごく居心地の悪そうなオーラが漂ってくるんだけど何これ。一昨年俺が全く同じオーラを振りまいてたこともあり余計にキツイ)

八幡(隼人なんかは最初こそ話に入ってくれようとしてたものの)

八幡(一般人からしたら意味不明ワードを連発する材木座の前になすすべもなくサイレントの魔法をかけられた)

八幡(材木座って……実は空気読むのが苦手だったりするのか……?)
642 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/02(土) 23:12:10.05 ID:IydA/7dUo
いつだって材木座は生きる勇気をくれる
643 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sagesaga]:2016/04/02(土) 23:12:37.34 ID:br8YFE4UO
おっ、久しぶりの更新だな!
644 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/02(土) 23:15:24.44 ID:LE7x878mo
もう来ないかと
645 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/04/02(土) 23:21:04.71 ID:UGiHgBVZ0
材木座「しっかし夏アニメは豊作ぞろいだな!特にkey原作のRewriteは期待しかないぞう!」

八幡「……あーなんだ。お前らはアニメとか見ねぇのか?」

八幡(まるで空気を読む気のない材木座に代わり俺が助け舟を出す)

八幡(まさか俺がこんな役回りをする日が来ようとは)

八幡(ほんとうにわからないものだ)

隼人「!そ、そうだね……俺はやっぱりアニメよりもバラエティーの方がよく見るかな」

雪ノ下「!奇遇ね……私もアニメはあまり……テレビ自体をあまり見ないわ」

八幡(よし、俺からのパスはちゃんと受け取ってくれたか!後はアニメから話をそらせば……)

材木座「ダニィ!?アニメをあまり見ないなどけしからん!我がおすすめのアニメを伝授してやろう!フーハハハハ!」

八幡(ちょっと黙ってろお前」

材木座「へぷわっ!?」

八幡(声に出てた)

隼人「テレビを見ないのか。なら、雪乃はふだんどんなことをしてるんだ?」

雪ノ下「そうね、猫動画を見て癒されたり一日中パンさんのBDを見ていたり」

八幡「そうかそれはすごく……ってえ?」

八幡(猫……?ぱ、パンさん……?)

八幡(この氷の女王(笑)が?)


雪ノ下「……?」


雪ノ下「」ハッ


八幡(雪ノ下の顔がみるみる朱に染まる)


雪ノ下「………あなたたち」ガッ

八幡「がぁっ!?」隼人「い、いだいいだい」

八幡(鮮やかなボディブロー……)

雪ノ下「私がたった今言ったことは、すぐに忘れなさい……いいわね?」

八幡「い、いやでもっ……!パンさん、
パンさんって……!」

雪ノ下「い い わ ね ?」

隼人「は、はいっ!わかりましたっ!」




材木座(羨ましいなぁ……)
646 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/04/02(土) 23:33:21.03 ID:UGiHgBVZ0
結構間空いたのにレスしてくれる人いて感無量
年度始まりは忙しいのや堪忍な……

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

八幡「いっつつ……」

隼人「雪乃のボディブロー……久々に食らったけど前より威力上がってるね…」

八幡「前何したんだお前……」

材木座「我はまだ食らったことはないぞ!」

八幡「何誇らしげなのん……?」

雪ノ下「そんなことはどうでもいいでしょう……それよりも、大丈夫なの?あれ」

八幡「?」

八幡(雪ノ下が指さす方向を見る……)




平塚「城廻、お前は本当に彼氏の一つも欲しくはないのか?」

めぐり「いや、そんなこと言われても…」

平塚「まだ高校生とはいえ、身持ちを固めるのは大事だと思うぞ?それに青春はは一度しか来ない。色恋の一つでも経験しないともったいないだろう?」

折本「それあるー!」

めぐり「彼氏いない歴=年齢の静ちゃんにそれ言われても……」

折本「それあるー!」

平塚「ぐ、ぐふぅ!?しかしだな、城廻……私にはその機会が巡ってこないだけで、貴様にはもう巡ってきている可能性はあるんだ!もしそうだったとしたら、そのときは……」

大志「平塚さん!やめて!もうやめてぇ!!」




八幡「……席順間違えたな」

隼人「……今からでも遅くないかな?」

雪ノ下「……葉山くん、平塚さんと席を代わりに行きなさい」

隼人「えっ……なんで俺……」

雪ノ下「申し訳ないけれどこの中で一番川崎くんのフォローができるのはあなたよ」

隼人「………」

八幡「なんでそんなに悩む必要あんだよ……ほら、行ってこい。仕事だ」

隼人「くそう……くそう……」

材木座「( '-' )ヌーン」
647 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/02(土) 23:43:23.89 ID:DdoeQlKVO
久しぶりに葉山のホモっぽさを見た気分だなww
648 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/04/02(土) 23:44:38.62 ID:UGiHgBVZ0
平塚「あっはっは、比企谷。そんなに私と話がしたいのか。なら仕方ない、こっちに来てやろう」

八幡「隼人のやつ……」

平塚「ん?君は……前、隼人のことを下で呼んでいたか?」

八幡「いや、呼び方変えたんだよ。……なんか、なりゆきで」

平塚「そうか……ふ、なるほどな。隼人もようやく本物を見つけたか……」

八幡「……本物?なんですかそれ」

平塚「いや何。こちらの話さ。よっこいせ」

材木座「おっさんか」

平塚「レディーに向かっておっさんとは失礼だな材木座。"教育"してほしいならしてやるが?」パキパキ

材木座「いいえ結構です!申し訳ありませんでしたぁ!」

雪ノ下「聖職者を志す者とは思えないセリフね……」

八幡「え?平塚さん教師志望なのか?」


八幡(……教師志望ということよりも)

八幡(高二のこの時期に、ちゃんとした夢を持っている)

八幡(俺はこのことに驚いていたのだと思う)


平塚「静でいい。それが嫌でも"さん"はよしてくれ……あぁ、私は教師志望だ。意外か?」

八幡「いやぁ……」

八幡(これまで遠目に見てきた平塚静は、やけに彼氏を作ることに必死になっているように見えた)

八幡(専業主婦か……そうでなくても、所謂モテる職業に就きたいのではないか、という漠然とした認識があった)

八幡(意外といえば、意外だ)
649 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/04/03(日) 00:10:19.28 ID:LrTltCTx0
平塚「私はね、学校が好きだ」

八幡「………はぁ」

平塚「たくさんの人間がいて、人間の数だけ物語がある。数多の物語は他の物語と複雑に絡まりあい、青春を彩っていく」

平塚「私は 、その色を観察し、時には自分で描く。これを、人生で一度しか与えられない、特別な経験だと思っている」

平塚「だから人生で一度しかない、この青春の一時一時を全力で謳歌したい。そんな欲求が、私を突き動かしているんだ」

雪ノ下「………初めて聞いたわそんなこと」

平塚「当たり前だ。初めて言ったからな」

八幡「……それで?」

平塚「ん?あぁ……だからこそ、私は教師になりたいのさ」

平塚「すべての高校生が、最っ高に楽しい青春時代を過ごすこと」

平塚「そしてそれによって彩られた"色"を……この目で見続けること」

平塚「これが私の夢だ。どうだ。クサいだろう?」

八幡「ああ、とても」

平塚「ごはッ!?」

雪ノ下「聞いてるだけで恥ずかしくなってくるわね」

平塚「がふッ!?」

材木座「わ、我はかっこいいと思ったが…」

平塚「ええいもういいっ!どうせお前らに理解してもらおうとは思ってない!」

八幡「でもさ」


八幡「素敵だと思うぞ、そういうの」

平塚「………」


八幡(自分でも驚くくらいに、素直な言葉が洩れた)

八幡(そして今……自分でも驚くくらいに、清々しい気持ちになっている)

八幡(よくわからないが……)

八幡(青春をかけがえのないものとする平塚の考え方は)

八幡(本当に、素敵だと。心の底から思えたのだった)



雪ノ下「……あなた、笑えるのね」

八幡「え?……俺今笑ってたか?」

材木座「自覚なし!?何そのクール主人公みたいなセリフ!」

雪ノ下「普段からそうやって愛想よくしていれば友達ももっとできるんじゃないかしら?」

八幡「余計なお世話だよ……」

平塚「……ははっ。違いないな」

材木座「常にへらへらしてる八幡とかなにそれキモ……」

八幡「もうそこらへんにしてくれ!!」




隼人「……………ハッ!!」

大志「ど、どうしたの?葉山くん」

隼人「……なんか、ものすごく惜しいことをしたような気がする……」

めぐり「食べかけのプリン冷蔵庫に置きっぱなしにしちゃったとか?」

隼人「ううん……違うな……なんだろう…」
650 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/04/03(日) 00:19:21.56 ID:LrTltCTx0
八幡「………」


雪ノ下「」スースー
材木座「」グゴー
平塚「」ムニャ…


八幡「……みんな寝たか」


八幡「……あ、富士山」

八幡「撮っとこ」パシャリ

八幡「…沙希にでも見せてやるか」

八幡「………」




沙希『ほい、母さんがアンタに渡せって』

八幡『おっ、なんだ小遣いか。なかなか気が利くじゃねぇかおふくろも』

沙希『欲しいお土産リストだってさ』

八幡『……知ってたし。粗方予想ついてたし』

沙希『そんな拗ねないの……お土産代もちゃんともらってるから』

八幡『そりゃ土産まで自腹で買わせたらそんなのただの鬼だろ……ええとなんだ?おふくろは生八つ橋……おやじは……木刀?何に使うつもりだ……』

沙希『未だに童心抜けきれてないからあの人……』

八幡『ははは……そういや、沙希の分がないけど……いいのか?』

沙希『あ、アタシはいいよ。……その、その、代わりに、さ』

八幡『……なんだ?』


沙希『帰ってきたら……土産話でも聞かせて。アタシのときの参考にするから』




八幡(………土産話、か)

八幡(そんなものをあいつにしたのは、いつ以来か………)


八幡(妹のためにも)

八幡(いっちょ……思い出作ってやりますか)
651 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/04/03(日) 00:30:10.95 ID:Lm4MR6yJ0
きょーーうーとーーーーーーーーーーーーーー

八幡(京都タワー……ひっく)パシャリ

隼人「さぁ!八幡!ようやく車旅も終わった……!観光に行くぞ!」

八幡「お、おう……あーいやほんとお疲れ様。大変だったろ」

隼人「案外大丈夫だったよ。川崎くんも修学旅行までの間に腹は決めてたらしいし。ちょっと話題降ってやれば自力でなんとか城廻さんと会話できてた」

八幡「平塚のがトラウマになってやしないか心配だったが……大丈夫だったか」

隼人「あの人鋭いところあるのにデリカシーないからね……」

八幡「言い得て妙だな……」




大志「めぐりさん、喉とか乾いてない?」

めぐり「ん?大丈夫だよ〜。自前であるから」

大志「そ、そう……あそうだ!のど飴とかいる?」

めぐり「そんな喋ってないから大丈夫かな〜」

大志「えっと……!怪我してるとことかない!?絆創膏あるよ!?」

めぐり「見ればわからない〜?」




雪ノ下「……久々に孫の顔を見たおばあちゃんなの……?必死すぎでしょう…」

平塚「まぁまぁ、あそこまで好意丸出しだとむしろ好感触だろう」

材木座「めぐり氏は押しに強いタイプか弱いタイプか……いまいち判断が難しいのだが……」

折本「え、なになに?川崎ってめぐりちゃんのこと好きなん?何それちょー受けるんですけど!」
652 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/04/03(日) 00:40:18.89 ID:Lm4MR6yJ0
八幡「……んじゃ、まずは計画通りにな」

隼人「彩加のプランを見てみたが……おおよそ完璧だ。このプランを忠実にこなしさえすれば……めぐりは堕ちる」

隼人(いや……めぐり"も"かな……ふふふ)

八幡「……?オーケー。仮にも彩加が立てたプランだ。そこのところの心配はねぇよ」


八幡「……一つ懸念があるとすれば」

隼人「あるとすれば、なんだ?」

八幡「………留美の存在」


留美「呼ばれて飛び出て」

八幡「呼んでねぇ!!」

隼人「清々しいフラグ回収……!」

八幡「お前班はどうした……」

留美「私一人かけたところで誰も気付かない」

八幡「いや先生は気付くだろ!!」

留美「冗談。……みんなを説得して、八幡たちと同じルートを辿ることになってる」

八幡「」

隼人「おい……待て。嫌な予感がするぞ。留美、お前どうやって班員を説得した……?」

留美「………ふ、それは―――」


女生徒A「葉山くん!奇遇だね!!」ドンツ

女生徒B「私たちも葉山くんたちと方向一緒なの!!」

女生徒C「め、迷惑じゃないなら……ご一緒させてもらえませんか?」

隼人「」


留美「…お前の思い通りにはさせない」ニヤリ

隼人「畜生ォォォォォォォォォッッ!!」




八幡「……おい、よかったのかあれ。あいつどう見ても嫌がってんだけど」

留美「何言ってんの。女の子に迫られて嫌な男子がいるわけないじゃない」

八幡「……その考え方が原因かぁー」

留美「?何?」

八幡「いーや……なんでもねぇ……」

留美「いいから……私たちもいこっ!」

八幡「お、おい待て引っ張るなって……」


八幡「………やれやれ」
653 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/04/03(日) 00:42:47.39 ID:Lm4MR6yJ0
短いですが今日は終わりです。
さすがにもう一ヶ月放置なんてしません

……………たぶん
654 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/03(日) 00:55:20.01 ID:hKe+VuSR0
655 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/03(日) 01:11:46.68 ID:dZbgCgz8o

まあ書ききってくれるならどれだけでも待つよ
656 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sagesaga]:2016/04/03(日) 01:19:35.76 ID:xovzrTmOO
おつおつー
657 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/03(日) 01:27:47.71 ID:2ijBBxCR0
今一気読みしたけどスレタイからどんなマジキチssかと思って開いたら優しい世界が広がってた
658 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/03(日) 01:57:26.53 ID:4KSFlMY70
おつおつ、

無理には急がんでもええのよ、面白いしよく出来てるから書き切っては欲しいけどね
659 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/03(日) 02:34:04.37 ID:kKO0FNLG0
乙です!
660 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/03(日) 07:36:19.12 ID:gk48cE0xO

エタるよりずっといいから遅くてもええんやで
しかし葉山の安定のホモホモしさ
661 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/03(日) 12:00:43.97 ID:o30Iyz/ko

スレ一覧から来て一気読みしてしまった
原作・アニメとはまた違った感じでとても面白い
頑張ってください
662 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/04/03(日) 17:47:38.86 ID:LrTltCTx0
バスーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

八幡(とはいえど、まだ自由行動時間には入ってはいない)

八幡(アルバムに収めるための全体写真を撮るため……清水寺へ行かねばならないのだ)

八幡(しかしまぁ、清水寺自体も相当な観光名所ではある。恋愛成就の神社や音羽の滝など、デートにおすすめな人気スポットもあるしな)

八幡(俺らにできることは極力城廻と川崎を2人きりにしてやることくらいだ)


留美「………」ゲンナリ

八幡「……大丈夫か、留美」

留美「なんでこんな人多いの……」

八幡「修学旅行だからな……」

八幡(総武校二年……ゆうに200は超える人数の大旅行、しかも普通に市内バスを利用していることもあり、バス内はラッシュアワーなんて目じゃないほどの混雑を見せていた)

八幡(少し肌寒くなってきた季節。ご丁寧にも暖房をつけてくれていることもあって車内はサウナのように蒸し暑い)

八幡(さらに四方八方は人、人、人で埋め尽くされ、それは俺たちにうんざりするほどの圧迫感を押し付けてくる)

八幡(人間嫌いの俺や留美はもうダウン寸前だ)


女生徒C「す、すごい人ですね……ちょっと、体借りてもいいでしょうか?」

女生徒B「あっ、Cずるい!葉山くん、私も…」

女生徒A「ほらアンタら……酔い止めあるから飲みな。あっ、葉山君も飲む?」

隼人「」



平塚「……………」

雪ノ下「…………」

折本「…………」

大志「…………」

めぐり「………………」

材木座「……フゥーッ………フゥーッ……」

一同(((((邪魔くせぇ………)))))
663 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/04/03(日) 17:57:29.43 ID:LrTltCTx0
清水寺ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

八幡「やっとついた……」

留美「……うえ、は、はちまん……たすけて……腕貸して……」

八幡「俺だって辛いんだよ……自分の足で歩け……」

八幡(いろいろ意識しちゃうだろ……)

隼人「……はぁ……はぁ……」

八幡「…おー、どうした隼人。息荒いぞ」

八幡(バスに乗る前まで一緒だった女の子とは別れ、隼人は俺のところに駆けつけてきた)

八幡(それはもう必死に)

隼人「………地獄だった………」

八幡「……なんつー顔してんだよ」

隼人「君にもわかりやすいように伝えるとね」

八幡「ん?」

隼人「留美が3人いる感覚だ」

八幡「地獄だな」

隼人「だろ」

留美「……それ、どういう意味」ジロリ

八幡「自分の胸に聞いてみな……」

八幡(別に留美といるのは楽しいし嫌いではない。嫌いではないのだが……)

八幡(………すっごく、疲れる)


材木座「ぷっはぁー!シャバの空気うめー!」

雪ノ下「……材木座くん」

材木座「むん?なんだ雪ノ下よ。心做しか顔色が悪いように思えるぞ」

雪ノ下「痩せなさい」ニッコリ

材木座「えっ」

平塚「……同感だ。材木座、その生き方は多くの人を不幸にするぞ」

めぐり「……窒息すると思った……ほんとにいつか人殺しちゃうよキミ……」

大志「は、ははは……」

材木座「ご、ごふぅ…フルボッコだどん……」
664 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/04/03(日) 18:13:39.91 ID:LrTltCTx0
先生「写真撮るぞー!クラスごとにわかれろ!その後に全体で撮る!」

八幡「……ほら、行ってこいB組」

留美「あぁっ……」

八幡(そんな寂しそうな目するなよ…)

留美「……また、後でね」

八幡「あぁ、また後で」

隼人「できればもう来ないで欲しいな…」

八幡「そんなに嫌ならはっきり拒絶しちまえばいいのに……」

隼人「それができたら苦労はしないよ……なんていうか、断れない性分なんだ」

八幡「大変だな、リア充も」

八幡(モテる男の苦悩ってやつか。そうやっていい顔してまでモテたいかね)

隼人「別に期待に応えようとか、そういうのじゃないんだと思うけどね」

隼人「……嫌われたくは、ないんだろうなぁ」ボソリ

八幡「ん?」

隼人「何でもない。忘れてくれ」

八幡「まぁ言いたくないならいいけどよ」


材木座「……隼人くーん!はちまーん!共に写真に写ろうではないか!」

隼人「はいはい、今いくよ」

八幡「………おう」

八幡(誰かと写真に写る)

八幡(家族以外では、初めての経験だ)

八幡(不思議と気持ちが昂る)


先生「ほら並べ並べー」

材木座「……ふむ、これがいいか……それともこのポーズがいいか……」

平塚「ほら、川崎はここに来い」

大志「えっ……でも……」

折本「いいからいいから♪頑張りなよー」

めぐり「……?どうしたの?みんな」

平塚「城廻、お前は気にするな……ほら」

大志「うぅ!……よ、よろしく」

めぐり「?よろしくね!大志くん」ホンワカ〜

大志「…………///」カァァ


八幡「……なんとかやれそうだな」

隼人「あぁ。川崎頑張ってるもんな」

八幡「一生懸命やってる奴は、応援したくなる」

隼人「同感だ」


665 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/04/03(日) 18:16:11.19 ID:LrTltCTx0
先生「はーい撮るぞー!」


材木座「決めたッ!これだ!」

平塚「ほらっ、もっとくっつけ!」

大志「うわっ!」

めぐり「………!」

折本「ぴーすっ!」ニカッ

八幡「」

八幡(どんな顔すればいいんだ……)

隼人「………」




先生「はい―――――チーズっ!」

隼人「……」グイッ(肩を抱き寄せる)

八幡「!?」

隼人「……ほら、笑ってピース!」

八幡「!?」ニヘラ


パシャリ
666 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/04/03(日) 18:31:01.11 ID:LrTltCTx0
先生「……よーし、撮影は以上だー」


八幡「……お前よくああいうこと平気で出来るな……」

隼人「驚かせたかい?ごめんごめん、ああでもしないと拒絶されそうだったし」

八幡「……いや、別にいいんだけど……」

八幡(写真……絶対変な顔で写ってるわ……)

隼人「親友同士で肩を組むくらい普通だよ。漫画とかでもよくあるだろう?」

八幡「親友……」

八幡(……親友。その言葉の甘美な響きは俺の心をくすぐる)

八幡(俺にも……そう呼べる存在が……そう呼んでくれる存在ができたのだ、と)

八幡「……ありがとな」

隼人「え?」

八幡「いや…………なんでもない」

八幡(その言葉は一体何に向けてのものだったのか)

八幡(それは俺にもわからない)

八幡(ただ一つ言えるのは)

八幡(俺は……葉山隼人という人間が好きなのだということ)

八幡(ずっと友達でいたい)

八幡(彼を、いつからかそう思えるようになっていた、ということだ)



隼人「……………」

八幡「なんだ?」

隼人「わからない……ただ、なぜだかすごく複雑な心境なんだ……」

八幡「……?」


八幡(……たまに、こいつのことがわからなくなるときもあるけど……)
667 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/04/03(日) 20:59:23.41 ID:cqIyw1LR0
留美「……撮り終わったね。じゃ行こうか」

八幡「なんでこの人ごみの中から瞬時に俺達を見つけることが出来るんだ……」

八幡(割とマジに盗聴とかされてないか不安になる)

女生徒たち「葉山くーん!」キャイキャイ

隼人「ははは……」

雪ノ下「……あら、鶴見さん?」

平塚「どこかで見た顔だと思ったら……林間学校のときの」

留美「………久しぶりです」

雪ノ下「そちらの方たちは?」

留美「糞に群がる蠅共です」

隼人「誰が糞だ誰が……」

めぐり「なんか面白そうだね〜」ニヤニヤ

大志「ははは……」

八幡「……迷惑じゃなければ、こいつらと行動してもいいか?」

材木座「我は構わんぞ。人数は大いに越したことはないからな!」

大志「俺もいいよ。ところでさ、これから本殿の方へ見学へ行くわけだけど……」

八幡(川崎はちらりと本殿の方を見やる)

八幡(そこにあるのは長蛇の列)

八幡(団体ごとの入場とはいえ、F組で最後尾の俺たちが入れるのはいつになるか……)

めぐり「混んでるね……」

平塚「うんざりするな……」

大志「このまま待ってるだけというのもつまらないしさ……」

八幡(……打ち合わせ通り。川崎は言葉を紡いでいく)

八幡(その目が、彼の真摯さを表していた)


大志「胎内めぐり、行ってみない?」
668 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/04/03(日) 21:11:42.38 ID:cqIyw1LR0
胎内めぐりーーーーーーーーーーーーーーーー

八幡(まず材木座・雪ノ下)

八幡(次に隼人クラスタ)

八幡(そして平塚・折本、俺・留美という順番で中に入っていく)

八幡(最後に……川崎と城廻が残るように)


八幡「……うまくいったな」

留美「意外とちゃんとやってるんだね」

八幡「仕事だからな……」

八幡(中は案の定真っ暗で何も見えない)

八幡(予想はしていたし、真っ暗であること以外はなんてことはないのだが……)

八幡(………なにこれ、こっええ)

八幡(光というものが俺たちにとってどれだけ重要だったのかがわかる)

八幡(理屈ではなく、生物の本能として、脳が危険信号を出しているのだ)


材木座「こ、こyこyこyこyこyこy」

雪ノ下「材木座くん、ちょっと黙っててくれるかしら?」

材木座「ふぃっ」


八幡(いつものように冷たく言い放つ雪ノ下の声音も、心做しか緊張を帯びているように思える)


折本「……うっはー、マジ暗いんですけど。やっば、うわマジでやっば……」

平塚「む、む……大丈夫だよな?こっちであってるよな?……迷子になったら洒落にならないぞ……」


八幡(女同士で固めてしまったのは少し酷だったか。かといって守ってやれるような男子もいないからな……)


女生徒「きゃーきゃー!葉山くんこわいこわーい!!」

隼人「ははは……離してくれないかな」


八幡(あいつらは大丈夫そうだな)
669 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/04/03(日) 21:23:09.26 ID:cqIyw1LR0
八幡「…………」

八幡(慎重に……手すりを頼りにゆっくりと歩く。目がなれてくれないかな、と思うも、一向にその気配はない……)

留美「……………」

八幡(……そこで、俺は一つ違和感を覚える)

八幡(留美が……やけに静かなのだ)

八幡(足音は……聞こえる。人の気配もする。それに一本道ではぐれようがない。留美はそこにいるはずだが……)

留美「………」

八幡(どうしたのだろう。てっきり「きゃーこわーい」などと言って腕に抱きついてでもくるかと思っていたが)

八幡(……なんだよ。妄想するだけならタダだろ。文句あんのか)

八幡(どうしたんだ、と声をかけようと、口を開く。そのときだった)


留美「……八幡、ちゃんとそこにいる?」

八幡「………?」

留美「い、いるよね……?私を一人になんてしてないよね……?」

八幡「………………」


八幡(正直キュンときた)

八幡(普段の彼女からはそうぞうもつかないような、おどおどとした声音)

八幡(そうやって、俺を求めてくる姿は……)

八幡(俺に少し意地悪な心を芽生えさせる)


八幡「……………」

留美「ね、ねぇ……返事してよ……八幡」

八幡「…………」

留美「………八幡?いるんでしょ?いるんだよね?」

八幡「……………」

留美「…………!?い、や、やだっ、八幡!八幡!どこ!?ねぇ!!」ダッ!!

八幡「!?ちょ、留美!?」

八幡(ばたばたと、何かが駆けていく音…)

八幡(そしてそれは、「きゃっ!?」という黄色い悲鳴と、どしんという鈍い衝突音があったと思ったら、止んだ)

八幡(………あっちゃー)
670 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/04/03(日) 21:32:04.58 ID:cqIyw1LR0
折本「な、何!?何があったし!?」

留美「あ……八幡、八幡……」

八幡「留美!悪かった!俺はここにいる!」

留美「………」ハッ

八幡(さっき起きた衝撃音を頼りに、留美と、留美にぶつかられた折本を見つけ出す)

八幡「……立てるか」

留美「あ……うん」

八幡「折本も……ほら」

折本「え………あ、ありがとう……」

平塚「なんだなんだ、何が起こった」

八幡「……とりあえず行こう。後がつかえる」

留美「八幡……」ギュッ

八幡(!手を………)

留美「……どこにもいかないで」

八幡「…………あぁ」

八幡(……留美の手すべすべだなぁ(思考停止))

八幡(鼓動の加速が止まらない)

八幡(なんだ……今までこいつ相手にこんなにどきどきしたことなんてなかったのに…)

大志「どうしたの!?何かあったのー!?」

八幡「何でもない!大丈夫だ!」


八幡「……行こうぜ」

留美「うん……」
671 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/03(日) 21:44:39.70 ID:/PjgCDKAO
堕ちたな(確信
672 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/04/03(日) 21:45:27.09 ID:cqIyw1LR0
八幡(しばらく歩くと、闇はだんだんその濃さをなくしていき……少し明るい場所に出た)

八幡(そこにあったのは石)

八幡(石がライトアップされているのか……神秘的な雰囲気を醸し出している)

八幡(石の前まで行くと、平塚と折本が先に立っていた)

平塚「ここで石を回しながらお願いごとをするそうだ」

八幡「……へぇ」

八幡(それは初耳だった)

折本「じゃ、みんなで回そ」

八幡「あぁ……」

八幡(そうして俺は留美の手を離した)

八幡(仄かな光の中に微かに見える留美の顔は、とても寂しげな目をしていた)

八幡(……その目やめろって)

八幡「……一緒に回すぞ、留美」

留美「……うんっ」


八幡(お願いごと、ねぇ)

八幡(欲というものは腐るほどあるが、それでもこう改まって何かを願えと言われても、ぱっとは思いついてくれない)

八幡(……でも、ここで何かを願ったところで、願い事が叶うわけでもない)

八幡(あくまで願い事とは自分で叶えるものだ)

八幡(なら俺は)

八幡(俺自身ではどうしようもできないことを、願い事にするとしよう)


八幡(『奉仕部が、ずっと奉仕部のままでいられますように』)
673 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/04/03(日) 21:52:00.66 ID:cqIyw1LR0
大志「いやぁ!スリルがあって結構楽しかったね、めぐりさん!」

めぐり「そうだね。私ずっと怖かったけど、大志くんがいてくれたから心強かったよ〜」

大志「ほ、ほんと?いやあ、あはは……男らしくできてたなら嬉しいよ!」


八幡(胎内めぐりが終わり)

八幡(川崎と城廻の距離は、確実に縮まっていっているように見えた)

八幡(彼ら以外は全員憔悴しきっていたが…)


折本「いや……マジで怖かった。いきなり後ろからどしーんっ!って来るんだもん……」

雪ノ下「私1人ならこんなもの造作もないのだけれど、材木座くんが必要以上に怖がるから……」

材木座「えっ……いや雪ノ下氏去年みんなでユニバのホラーナイト言ったときもすいません黙ります」

平塚「なかなかのスリルだったな……出来ることならもう二度と行きたくはない」


隼人「……」ゲンナリ

女生徒「」ワイワイキャアキャア

八幡(お疲れ様……)
674 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/04/03(日) 22:03:05.69 ID:cqIyw1LR0
八幡(そんな俺は俺で)

八幡「……ほら、コーヒー」

留美「…………」

八幡「悪かったって。いい加減機嫌直してくれよ………」

留美「…………」パシッ

留美「……微糖」

八幡「……嫌いか?」

留美「………別に」プシュッ

八幡「……………」

八幡(外に出て留美が我に帰った途端こんな感じで………)


八幡「悪気はなかったとはいわないけど……ちょっとからかうつもりだったんだ。怖い思いさせたなら謝る。だからさ…」

留美「……すっごく怖かった」

八幡「………」

留美「……八幡がいなくなったって思ったら、いてもたってもいられなくなった」

八幡「………」

留美「……私がどれだけ八幡を大切に思ってるか知らないでしょ」

八幡「う………」

留美「もう絶対こんなことしないで」

八幡「……わかった、約束するよ。これで許してくれるか?」

留美「デート」

八幡「は!?」

留美「修学旅行終わったら、デートして。そしたら、許してあげる」

八幡「……なんだそれ。ラブコメか」

留美「………いや?」

八幡「う………別に、嫌じゃ、ないが……」

留美「よかった」

八幡「…………」


八幡(顔を直視できない)

八幡(こうして留美の声を聞き、留美の気持ちをぶつけられているだけでも動悸が止まらないのだ)

八幡(……この感情には心当たりがある)

八幡(ただそれをはっきりと自覚してしまえば……またあの地獄のような拒絶反応に襲われるのだろう)

八幡(なら……今だけでも、これに浸っていよう)

八幡(…俺は、鶴見留美という女の子が好きだ)
675 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/04/03(日) 22:23:03.76 ID:cqIyw1LR0
清水の舞台ーーーーーーーーーーーーーーーー

八幡(時は止まらない)

八幡(裏を返せば時間は必ず流れゆく)

八幡(あの長蛇の列も、じっくり待てばいつしかトカゲの尻尾となるのだ)

八幡(そんなこんなで清水寺の一番有名なやつ)

八幡(清水の舞台へとやってきた)


材木座「ほほう!高い!高い!」

雪ノ下「実際清水の舞台から飛び降りても死には至らないらしいわね」

折本「え、マジで?死ぬ覚悟って意味じゃないんだー知らなかった」

めぐり「普通に死ぬより死にそびれて打撲と骨折と出血の痛みがずぅーっと続く方がよっぽどむごいと思うけどね」

平塚「お前の発想が一番むごたらしい…」

大志「は、ははは……」


隼人「いい眺めだな……」

八幡「隼人……隼人クラスタはどうした?」

隼人「なんだいそれは……あの子たちなら景色に夢中さ」

留美「景色>隼人」

隼人「俺からすればありがたい」

留美「ふーん……」


八幡(山と山に挟まれた京都の街並みが一望出来る)

八幡(なるほど、確かにこれは絶景だ)

八幡(そして相変わらず京都タワーひっく)

八幡(千葉ポートタワーといい勝負だ…)


ぽんぽん

八幡(不意に肩を叩かれる)

八幡(……留美か、隼人か、材木座か……人が景色を楽しんでるのに。空気読めよなマジで)

八幡「……なんかようか?」

彩加「八幡、奇遇だね!」

八幡「」

八幡「えっ?」

彩加「そ、そんな驚かなくても……」

八幡(国際教養科は一番手だったはずだが………?)

八幡(なぜ最後尾であるF組と一緒にいられるんだろうか)

留美「どうしたの。長居しすぎじゃない?」

彩加「ぼくたちの班体力ない子が多くて……ちょっと休んでるんだ。ここで」

隼人「……結構迷惑じゃないかそれ」

彩加「大丈夫。ちゃんと端っこにいるし……それよりもさ、川崎くん、大丈夫そう?」

八幡(心配そうに聞いてくる)

八幡(これを直接確認したかった、というのも動機に含まれてはいるのだろう)

八幡「あぁ。一生懸命、よく頑張ってるよ。俺たち必要だったのか?っていうくらいには」

彩加「そっか……よかった!」

八幡(これほどまでに純新無垢な笑顔を俺は他に知らない)
676 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/04/03(日) 22:34:53.90 ID:cqIyw1LR0
八幡「確かに依頼は大事だが……お前がそんなに気負うことはないと思うぞ?一回しかない修学旅行だ。思い切り楽しまないと損だろ」

隼人「おお……」

留美「八幡がまともな事言ってる……」

八幡「お前ら……」

彩加「…うん、そうだね。でも気になっちゃうのは気になっちゃうから仕方ないや……」

彩加「それに、こうやって誰かの助けになれているのも、楽しいしね」

八幡「そっか……苦しくないならいいんだ。自分を大事にしろよ」

彩加「ふふ、わかってるよ。八幡に心配はかけられないからね……そうだ」

留美「?」

彩加「せっかく奉仕部全員揃ったんだし……写真撮ろうよ!写真!」




平塚「撮るぞー?」

留美「いいよ」(八幡と腕組)

隼人「いつでも撮ってくれ」(八幡と肩組)

八幡「」

彩加「………」(隼人の隣で苦笑い)


めぐり「……プッ、ククッ、クフフフフ……」

雪ノ下「ダメよ……失礼よ、城廻さん……ふふっ、ふふ……」

折本「比企谷ハーレムじゃん!マジ受けるんだけど……あははははっ!」

大志「………」




平塚「はい、チーズ」


パシャリ


八幡(この京都で撮られた二枚の写真)

八幡(これは後に、見る度に俺を悶絶させ)

八幡(だけど、どうしても捨てることの出来ない……そんな写真になるということは、このときの俺はだいたい想像できていた)
677 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/04/03(日) 22:54:25.13 ID:cqIyw1LR0
八幡(そしてその後は)

八幡(恋愛成就のゲームをしたり)

八幡(おみくじを引いてまさかの大凶を当てたり)

八幡(音羽の滝で留美と隼人の柄杓を断り理不尽にむくれられたりした)

八幡(清水寺を出て、川崎と城廻の距離を縮めるため彩加の用意したプラン通りにあっちへこっちへ連れ回し連れ回され)

八幡(憔悴しきった俺たちが旅館についたのが午後5時)

八幡(正直眠ってしまいたかったがまだ仕事が残ってる為眠るわけにもいかず)

八幡(残っている仕事……川崎と城廻の進捗状況を聞き出す。そのために俺達は4人で卓を囲んだ)


八幡「……で」

八幡「手応えはどうだ」

大志「うん。だいぶ彼女とも話せるようになっている気がするよ。彼女の方、文実のときみたいなよそよそしさは感じない」

隼人「……確かに傍から見てても好感触に見える。このまま行けば、もしかする可能性はあるぞ」

大志「ほんとっすか!?」

材木座「ふむ!我が最初にして最強の腹心、葉山隼人が言うからには間違いはないだろう!」

八幡「修学旅行はあと2日……3日目の夜に俺たちが用意したスポットで、お前は城廻に告白をする」

八幡「今までどおりでいい。余計なことは考えるな。俺たちは極力お前と城廻が二人になるようにする。だが、俺たちがするのはそれだけだ。そこのところは忘れるな」

大志「わかってるよ。もとより、作り物の自分で勝負する気なんてないさ。ありのままの自分をぶつけて、無理だったら潔く諦める」

大志「めぐりさんに惚れたときから……ずっとこれだけは決めていたことだ」

隼人「……なら、いいんだ」


隼人「よしっ!じゃあ遊ぶか!」

八幡「……えー」

材木座「ふははははっ!何をする?ありとあらゆるゲームを遊戯部から拝借してきてるぞ!選べ!」

大志「無難にトランプとかやりたいっす!大富豪とかしません?俺強いっすよ!」

八幡「俺休みたいんだけど……」

隼人「俺はポーカーかな……それも賭けポーカー!金じゃなくて、敗者になんでも命令をできる命令権を賭けたポーカーなんでどうだ?」

八幡「あ、あの……」

材木座「それも面白そうだな!八幡!貴様はなにがいい?言ってみろ!」

八幡「…………」


八幡「……この中からなら、ワンナイト人狼」
678 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/04/03(日) 23:02:46.97 ID:cqIyw1LR0
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

材木座(…………)マネー2

大志(…………)マネー5

隼人(……………)マネー7


八幡「……じゃ、次やるか」マネー26


材木座「八幡強すぎやしないか!?」

八幡「そんなことないぞ。俺より強いプレイヤーなんてわんさかいる」

大志「そのセリフ自体が強プレイヤーのセリフにほかならないんだよね…」

隼人「……くそ、次こそはぁっ…!」

八幡「負けたら罰ゲームだよな?材木座……このままだとお前負けるぞ。覚悟しとけ」シャッシャッシャッ

材木座「ひぃぅっ!?」

材木座(ここで負けたら本格的に後がない……ここは勝たねばっ!)


八幡「カード確認して伏せろ」

材木座(我は……人狼!よし、占い欠けであればだいたい勝てる役職!)

材木座(頼む……!女神よ、我に祝福を!)


隼人「ここから先ワンナイト人狼知らない人はわかんないから読み飛ばしてね」

八幡「ん?何か言ったか?」

隼人「なんでもないよ。始めよう」
679 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/04/03(日) 23:06:53.10 ID:cqIyw1LR0
〜夜時間〜

八幡「人狼は顔を上げろ」

材木座「」mkr

材木座(ふむ……人狼は我だけか。占い欠けである確率は低くなったか……)

材木座(しかし、人狼1人でも吊られればゲームオーバーなこのゲーム、むしろ一匹の方が都合がいいとも取れる)

材木座(なんにしろ明日の他役職の動きしだいだな……そがわかるまでは我も動けぬ)


八幡「次、占い師……占いたいカードをめくれ」


八幡「最後に怪盗……自分と交換するカードを選び、交換しろ」




680 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/04/03(日) 23:14:08.01 ID:cqIyw1LR0
〜昼時間〜

八幡(怪盗)「怪盗CO、川崎は【占い師】で、俺の怪盗と交換した。そうだろ?」

大志(占い師)「ああ、占い師CO。真ん中の二枚のカードは【人狼】【村人】だった」

隼人(村人)「じゃあ俺と材木座に2票ずつ入れて勝ちだな」

材木座(人狼)「」


材木座(人狼)「ま、待て待てぇい!八幡と川崎が2狼の可能性が残ってるだろう!」

大志(占い師)「いや、そんなこと言われてもな」

隼人(村人)「占い師怪盗両方欠けってことか?確率15分の1だぞ……」

材木座(人狼)「ないとはいいきれまい!」

八幡(怪盗)「あーじゃあいいよ、俺と材木座の2吊りで。この反応するってことはほぼ材木座人狼だし」

材木座(人狼)「」
681 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/04/03(日) 23:19:55.63 ID:cqIyw1LR0
材木座(人狼)「こんなの勝てるかぁ!」

隼人(村人)「逆ギレ……」

大志(占い師)「いやまぁ気持ちはわかる…」

八幡(怪盗)「おいおい最後まであがけよつまんねぇな……」

材木座(人狼)「ラストのラストで運に見放されたらどうしようもないだろう!?なんなのだ怪盗が占い師を引き当てるなど!聞いてないわ!」

八幡(怪盗)「いや引いちゃったもんはしょうがねぇし……」

大志(占い師)「えっともう投票でいいよね」

隼人(村人)「お疲れ様。せーの」

材木座(人狼)「え、えー……ほ、ほんとにこれで終わりなのか……?」

八幡(怪盗)「ほいほい、それじゃありがとさん」


八幡→材木座
隼人→材木座
材木座→八幡
大志→材木座

材木座義輝が処刑されました


八幡「俺の勝ちだ」ペシッ

人狼陣営の勝利です!
682 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/04/03(日) 23:27:43.76 ID:cqIyw1LR0
材木座「!?」
隼人「!?」
大志「!?」

八幡が裏返したカードに書いてあったのは【人狼】のマーク

慌てて材木座が自分のカードを確認してみると、そこには【怪盗】のマークが描かれていた

材木座「あっ………あっ……!八幡、キサマァ………!!」

八幡「しかしこんなうまく引っかかってくれるとは思わなかったぜ」

大志「なんで俺が占い師だと!?」

八幡「あ?そんなの勘だ勘。もともと生存狼数を把握できない怪盗狼の勝率は低いんだ。ならとことん博打打ってやるよ。マネーは有り余ってるしな」

隼人「いやはや、一本取られた……そうか、これで材木座はマネー0だね」

材木座「あひいいいいいい……」

八幡「敗者は罰ゲームだったよなぁ……」

材木座「ど、どうかお手柔らかに……」

八幡「じゃあ全員分のジュース。今すぐ」

材木座「は、はいっ!」ダッダッダッダッ

八幡「もちろん自腹な」

隼人「案外鬼だね君……」

八幡「そうか?女子部屋に特攻しろとかいわないだけマシだろ」

大志「うっわぁ……」
683 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/04/03(日) 23:41:16.26 ID:cqIyw1LR0
八幡(とまぁ、そんな感じで)

八幡(材木座の持ってきた様々なゲームを用いて、俺たちは深夜まではしゃいだ)

八幡(見回りの先生なんて怖くなかった)

八幡(ただ、友だちと、対決して、協力して、笑いあって……)

八幡(その楽しさを、輝かしい青春の1ページを、思いっきり味わう)

八幡(頭にはそれしかなかった)


八幡(こんなに楽しい修学旅行は……いや、旅行は、初めてだ)

八幡(家族旅行でさえも……旅館にこもってすることといえば、1人ぷよぷよかテトリスかリズム天国か、それくらいのものだった)

八幡(いやめっちゃ面白いんだけど)

八幡(でもやっぱり……この興奮は。この高揚感は。そんなものたちはとてもじゃないが代え難い)

八幡(ずっと起きていたいなんて思ったのはいつ以来だろうか)

八幡(睡魔をこれほどまでに鬱陶しく感じたことなんて今までにあっただろうか)

八幡(それでも、生理現象には抗えず、こうやって眠りにつき始めているのだが)



八幡(……だけど、修学旅行はまだ終わっていない)

八幡(むしろ、始まったばかりなのだ)

八幡(そう思うだけで、なんだか晴れやかな気持ちになれるのだった)



「……おやすみ、八幡」


「また、明日」
684 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/04/03(日) 23:45:22.51 ID:cqIyw1LR0
本日はここまで

そういえばゆるゆりでも修学旅行京都にいってたけど中高生の修学旅行の定番といえば京都という風潮があるのかな?
685 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/03(日) 23:47:46.94 ID:mbK9waHtO

こんな青春を送りたかった……
686 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sagesaga]:2016/04/03(日) 23:48:36.94 ID:rmKAjd0dO
おつおつー
俺は関西在住だから行ってないが、関東の人からすると京都と奈良は定番なんじゃない?
687 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/03(日) 23:50:49.14 ID:vfjW4jvK0

青春してるな八幡
688 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/04(月) 00:47:53.15 ID:OW8J7Lqz0
乙です
689 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/04(月) 01:40:24.19 ID:X/uXUSGWO

もう何も間違っていない青春ラブコメだなwwwww
690 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/04(月) 07:15:50.46 ID:9EPHygdro

普通の人間はこういった青春の中で心を育てていくんだろな
691 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/04(月) 15:01:00.34 ID:YU9qQMrfo
乙乙〜
こんな青春送りたかったな‥

ちなみにゆるゆりもそうだけど東日本だと中学の修学旅行は大体が奈良京都大阪辺りって聞いたことある
692 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/04(月) 16:32:55.79 ID:rxAyJHWEO
ちょっとるみるみかわいすぎませんかねぇ…
693 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/04(月) 17:00:30.92 ID:tpsmjcuGo
るみるみがストレート過ぎて八幡が原作以上の鉄壁に見えるぜ
694 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/04/10(日) 23:57:02.93 ID:NYp9NxfS0
二日目・夜ーーーーーーーーーーーーーーーー

八幡(今、俺は旅館のお土産コーナー内をうーろうろしている)

八幡(母親への土産を買うためだ)


八幡(今日は太秦映画村へ行ってから、適当に寺を見て回った)

八幡(木刀は映画村で買えた。正直邪魔で仕方がなかったが頼まれた手前買わないでいくわけにもいかず結局その後の移動は木刀をぶらさげながらの移動となった)

八幡(おかげで疲労がマッハでヤバい)

八幡(お化け屋敷入ったら留美がトラウマ発症してずっと抱きついてくるし……)

八幡(いやまぁ俺の責任もあるからそれは構わないんだけど)

八幡(川崎と城廻に気を回す余裕がなかった。そこのところは隼人がうまくやってくれていると信じたいが)

八幡(先ほどの円卓会議では川崎はなかなか好調、と頼もしいことをいってはいたが)

八幡(……なーんだか、不安なんだよなぁ)

八幡(なんというか、城廻めぐりという女の子は、そう一筋縄ではいかないような)

八幡(そんな気がするのである)


八幡「……はぁ」

めぐり「ため息つくと幸せが逃げるよ?」

八幡「は!?」
695 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/04/11(月) 00:11:07.16 ID:eZKd8vHv0
八幡「し、城廻……さん。いつの間に」

めぐり「いや、私も今来たとこだよ。なんか比企谷くんが悩んでるみたいだったから声かけちゃいました!」

八幡「そうか……城廻さんは何をしに?」

めぐり「めぐりでいいよ〜。てか、ここに来てやることなんて一つでしょ」

八幡「それもそうか……」

めぐり「ところで、ため息なんてついちゃってどうしたの?なんかすっごい思いつめてた顔してたけど?」

八幡「え?ああ、別になんでもねぇよ…」

八幡(あ、危ない危ない。悩みの種の張本人に聞かれちゃったよ)

八幡「……お土産何がいいかなって、それくらいのことだ」

八幡(はちまんのはぐらかす!)

めぐり「その程度のことでそんなに思いつめることあるかなぁ?」ニコ

八幡(めぐりんには こうかが ないようだ…)

八幡(属性:ぼっちは相性悪いか……ならば)

八幡「……甘いな、城廻さん。うちの親を舐めてもらっちゃ困る」

めぐり「へ?」

八幡「そう、あれは俺が中学生のときの修学旅行の話だ……」

めぐり「あ、その語り長くなる?」

八幡「ぐふっ」

八幡(こうかは ばつぐんだ!)
696 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/04/11(月) 00:27:14.30 ID:KffUcuOk0
八幡「……城廻さんの、それはさ」

めぐり「?」

八幡「天然なのか?」


八幡(城廻めぐりは、普段はほんわか明るいオーラを振りまいている、いかにも人気者の女子みたいな女の子だ)

八幡(だけど、たまに……)

八幡(腹黒さを見せる)

八幡(どちらが本当の彼女で、どちらが作り物なのかはわからない)

八幡(もしかしたら、両方とも素でやっているだけかもしれない)

八幡(……そう、俺は全く掴めないのだ。城廻めぐりという人物像を)

八幡(だからこんなにも不安が募るのだろう)

八幡(その人間の本質すら見抜けていないのに、その人間の心を操作することなどできるものか)

八幡(この質問は、それを知るための第一歩となるはずだ)

八幡(といっても、今更わかったところで遅いとは思うが……)


めぐり「天然、かぁ……」

めぐり「どうだろうね、自分ではこれ以上ないくらい素直になってるつもりだけど」

八幡「………?」

めぐり「それでも、他人からはやっぱりそう見えちゃうわけだ」

八幡「何を、言って……」

めぐり「ううん、なんでもないよ。忘れて。質問の答えは……とりあえずYESで。打算的な何かがあるわけじゃない。私は常に自然体だよ」

八幡「………そうか」

八幡(天然の定義も曖昧だが)

八幡(城廻の定義する天然とは「自分を偽らないこと」)

八幡(そういう意味では、自分は天然には違いないと。そう言いたいのだろう)
697 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/04/11(月) 00:37:04.63 ID:APrjVz/x0
めぐり「比企谷くんはさ」

八幡「……なんだ?」

めぐり「もし、自分と正反対の人間が現れたとき。その人物にどんな感情を抱く?」

八幡「………っ!?」


八幡(「なぜそんな問を」その疑問よりも早く)

八幡(俺の脳裏に真っ先に浮かんだのは)

八幡(朗らかに笑う、彩加の顔だった)


八幡「………憧れ、かな」


八幡(反射的に、俺はそう答えていた)

八幡(その答えを聞き、城廻はほんの少し、口角をつりあげる)


めぐり「……君も、自分が嫌いなんだね」クスリ

八幡「………」

めぐり「うん、そうだよね。それは……憧れ。ただの理想像でしかない」

八幡「……城廻、お前は……」

めぐり「おっと、それ以上はいけないよ」

八幡「………………」


めぐり「私たちは似てるね」

八幡「そうか?」

めぐり「うん。君も私も、世界の外側にいる」

八幡「………………」

八幡(やはり)

八幡(そういうこと、なんだろう)

八幡(この女の、本質は)
698 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/04/11(月) 00:44:27.67 ID:APrjVz/x0
八幡(彼女も、俺と同じ)

八幡(人よりも少し物事を俯瞰して見ることが出来て、人よりも少し達観した考えを持っている―――――)








八幡(――――と思い込んでいるだけの、ただの勘違い野郎だ)
699 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/04/11(月) 00:54:52.25 ID:eqPfJ2v+0
八幡「……一緒にするなよ」

めぐり「…………?」ピク

八幡(城廻の顔から、表情が消え失せる)

八幡「俺を、お前なんかと一緒にするな」

めぐり「……………!」


八幡「確かに、俺もお前もルーツは同じだ」

八幡「俺は人間関係のしがらみから逃げるため、お前もおそらく俺と同じようなトラウマから」

八幡「世の中を斜めから見ることで、自分と世界を切り離し、自分を保とうとした」

めぐり「………」

八幡「俺と違ってお前はぼっちじゃなかったがな。でも隼人が言っていた。『友達だけど、アイツのことはよくわからない』」

めぐり「…………」

八幡「つまりはそういうことなんだろ?」

八幡「体裁のためになんとか友達と呼べる人は作ったが」

八幡「彼らすらも、お前は自分の世界に入らせようとはしなかった」

めぐり「………………」
700 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/04/11(月) 01:08:06.06 ID:z4wmKpkA0
八幡「勇気が出なかったんだ」

八幡「自分の心に、他人を踏み込ませる勇気が」

八幡「俺は違うぞ」

八幡「いろいろ葛藤もしたが……それでも、俺はあいつらと真剣に向き合うことに決めた」

八幡「あいつらの心に踏み込もうともしている」

八幡「俺とお前の違いは、そこだ」

八幡「俺は停滞しているだけのお前とは違う」

八幡「自分の気持ちをくだらねぇ理由付けで誤魔化そうとしているお前とは違う!」

八幡「同族見つけて自己肯定しようとしてんじゃねぇ!」

八幡「んなの、隼人に……材木座に、平塚に、それに、川崎に!!失礼だろうが!」


めぐり「…………………………」


八幡(………こんなに熱くなったのは初めてかもしれない)

八幡(思わず我を忘れそうになるほど、俺はこいつに苛立っていた)

八幡(城廻自身が、俺と城廻は似ていると言っていたが)

八幡(本当にその通り。まるで鏡を見ているようだ)

八幡(城廻の言う通り、俺は自分が嫌いだ)

八幡(だからこそ、城廻のことがとても憎たらしい)


八幡(城廻は俯いて何も言わない)

八幡(いっそ泣け。俺はそう思った)

八幡(心底コイツのことが嫌いなんだなぁと実感する)

八幡(さっきの言葉も、城廻や川崎に向けてのものというよりは……自分自身に、向けたかった言葉なのかもしれない)

八幡(しばらくの静寂)

八幡(急に、城廻は手で顔を抑えた)




めぐり「………………ぷっ」

八幡「……?」

めぐり「あはははははは!」

八幡(……………!?)

八幡(な、なんだ!?)
701 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/04/11(月) 01:21:19.62 ID:z4wmKpkA0
八幡「………何が、おかしい」

めぐり「くくく……ご、ごめんね……なんか、止まんなくなっちゃって……あはは!」

八幡(こいつガチで頭おかしーんじゃねーの)


めぐり「……ひぃ、ひぃ、あー、笑った!なんかすっきりした!」

八幡(思いっきり、伸びをしている)

八幡(それはもう、気持ちよさそうに)

八幡「……何の真似だよ」

めぐり「ん?あぁ……これ?いつもお母さんがよくやってるんだ、これ」

八幡「そういう意味じゃなくてだな……」

めぐり「……わかってるよ」


めぐり「わかってるの、全部」

めぐり「このままじゃいけないってことも、自分に勇気が足りないってことも、君が私より強い人間だってことも」

八幡「…………?」

めぐり「でもさ、やっぱり怖いものは怖い。私だけの空間、私だけの世界に、誰か他の人を入れてしまうのは」

めぐり「自分のスマホを勝手にいじられているときの嫌悪感に似てるかな?」

八幡「……その辺は俺もよく知ってるよ」

めぐり「そう。ならなおさら話は早いよね。だからさ、その怖さをやわらげるために、私は練習することにしたんだ」

八幡「練習……?」

めぐり「うん」


めぐり「私が大っ嫌いな比企谷くんで、ね」

八幡「………」
702 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sagesaga]:2016/04/11(月) 01:41:23.77 ID:Q/OLgEqOO
今日は終わりかな?乙乙!
703 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/04/11(月) 01:43:46.96 ID:z4wmKpkA0
八幡「………おいまさか」

めぐり「練習は大成功だよ。比企谷くんが私の心の深いところまでえぐり出してくれたおかげで、少しは耐性がついたかも」

八幡「……ちょっと待て……」

めぐり「それに何故か不快感は残らなかった。むしろすっきりしたね。やっぱり私は私が大嫌いなんだなぁって思ったよ」

八幡「……お前、あれわざと……!?」

めぐり「私だってそこまで勘違い野郎じゃないんだよ」

八幡「なぁっ………!」

めぐり「ふふふっ、相変わらず比企谷くんは面白いなー」

めぐり「そういうイレギュラーに弱いところ、私にそっくりで大っ嫌い」

八幡「っ!……お前、なぁっ……!」

めぐり「なんかこの旅行中もいろいろとやってくれたみたいだけどさ」

めぐり「私がこの練習に失敗してたら全く意味なかったんだよね」

八幡「うるせぇ……アイツに自信をつけさせる意味もあったんだからな!」

めぐり「あの子はヘタレるタイプじゃないよ」

めぐり「いつも真っ直ぐで、前向きで、なんでも素直に物事を受け取って」

めぐり「……ホント、私とは正反対」

八幡「……まぁ、そうだな」


八幡(川崎大志という人間を知るにつれ)

八幡(俺も、必然的に好感度が上がっていっていたことに気づく)

八幡(あれは、頑張っている姿に好感を持ったということではなく)

八幡(……彩加のときのように、ただただ憧れていたんだろう)

八幡(あの純粋さを)


めぐり「まぁ、そんなわけだから」

八幡「………あぁ」

めぐり「明日、楽しみにしてるよ」

八幡「…………あぁ」


704 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/04/11(月) 01:45:18.91 ID:z4wmKpkA0
八幡(城廻がどんなトラウマを経て、あの性格になってしまったのかは定かではない)

八幡(今までの彼女の行動から鑑みるに)

八幡(彼女が自分を保つためにしたことは)

八幡(他人の行動を嘲笑うこと)

八幡(他人よりも優れた自分というのを認識すること)

八幡(そのために、文実にも立候補したのだろう)


八幡「………クズだな」


八幡(そう、俺はクズだ)

八幡(それは疑いようもないことだし、否定するつもりもない)

八幡(だが、クズにはクズなりの理由もあるのだ)

八幡(偉い人にはそれがわからんのです)


めぐり(自分の他人を心に踏み込ませる)

めぐり(それは字面通り、簡単なことではない)

めぐり(でももし、それを本当の意味で実現させたいと思うのならば)




八幡「……城廻」

めぐり「……比企谷くん」


「「おやすみ」」




((……やっぱり))

((自分を少しでも好きになることから始めるべきだとは思わないか?))


(なぁ、城廻?)
(ねぇ、比企谷くん?)
705 : ◆rGsyzf.Kp2 [sage]:2016/04/11(月) 01:51:36.41 ID:z4wmKpkA0
すまない1レス分の長さというものがわからなくなっていた。
今日はここで終了。

いっちばん書きにくかった海老名めぐりシャッフルがとりあえず一段落ついてほっとしている。

めぐりんみたいな性格の人が海老名みたいな境遇(おそらく高2以前はクラスでも浮いてたんじゃないかな……あの趣味だし)だったらこういう性格になってたんじゃないかなという妄想の末のこのクズめぐりんです。

こんなのめぐりんじゃない!という意見が思いのほかなくてびっくりしてたがまぁ一応名状し難い解説のような何かをつけておきました。蛇足だったらごめんなさい
706 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/11(月) 01:52:30.03 ID:AQLNyDfv0
おつ
707 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/11(月) 01:56:30.18 ID:CJdErssE0
708 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/11(月) 02:51:02.61 ID:w7iDHxOD0
乙です
709 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/11(月) 17:39:24.20 ID:G823P+QBo
めぐりん可愛いよめぐりん
乙です
710 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/11(月) 20:57:13.61 ID:76rAxVfNo
 
 
 
   \エクスプロージョン!!/
711 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/11(月) 21:25:36.65 ID:Xy2+TaM70
    |      \
    |  _    __\
    / ((X)    ((X) ヽ
  ∧▽∧▽∧▽∧▽ハ
 // ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
/    _______   \
    / | /| ハ  | |ヽ \
  ./   |/-|/ |  ハ|-レ|  |\
// |  |==ュ  \レ==ァ|  | ̄
Zィ  |  |ヒ0ソ   ヒ0ソ/|  |
  ヽ | |  |     `   | |  |
  厂И |\ ⊂⊃ / | ハ
  |_ ヽ| | ` ー-イ | /|/ .|
/  \| |ニニ匸]フ//Y_____|
|     .| |ー、  -|   |  ヽ
712 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/13(水) 01:22:02.72 ID:5mpXgJDb0
\ エ ク ス プ ロ ー ジ ョ ン /
              、 i /
             =  =
             〃ヾ\
                ヾ\
                  t:V 、__
                  /t Y i
                    八-' ,-',
                    7/ ヽ
                    j     |
                    {    |
                      i ',   .|    ___
                         ', ',   ! /⌒   ̄` : 、
                          i ', |/           ー'
                        |  ',//!,' / 7  ',ヽ__,   ヘ
     , -──-- 、         ,j  //7.{ ハ {i{ i ヘ  T  ヘヽY     ,. ---、
  r /フ } /_,.-、   ヘ       ,〃:| ///.{ i《7心ヽ、Y ノリ  } i }!    /    ヘ
 ノ ー- '  j-─ 八  ー- __ イ////////i.ヘゞ '   '´ィ心7 /リ   /  ∠--y ノ
   ̄フ´       ̄ ̄ _,.. ///////// ', ∧, -、 ゞ' ムイ ー‐'   /ノ   /
   〈 t ¬z___ r-─-< __////////////.}  }: :.ノ  イ ', ヘ ー- <T´  _ニニニニt-  _
   >'⌒-t{ト、 ∨弋=-  ` <///////ノ  ノr r ≦Yヽ ヽ _  ̄ ̄ ̄  __  ̄ ``ヽ、Y >==、
_ゝvヘ /{ ヘ ー='  \` <       ̄ ̄ //i|☆)}////:T ー----==ニ ̄ ─-< てy、    }i >-、 \
///////フー '´      >///≧x _ z≦///〈`¬ヽ{-t//}   ` < _ `ヽ、`ヽ、  j ト-' __ノ ヽ (_ノ}  }
//// /z≦ニニニ==≦////////////\///T:::::ヘ  .}::::i//┐  ー-     ̄ ̄ ̄`ヽ、 ヘ  ー'/   /イ
////\ヽ--=彳///////////////////ヽ  i::::::::7 ___k::::i//八_‐-  __  `ー- 、    ト、  ̄
//////777//////////////////////∧ i:::::fヽ _,.├'//////77777777ハ Y>'//7     _,. --
//////////////////////////////// 〈=-ゞ' |   /.{_///////////// \二彡'//// 7_,..z≦//////
////////////////////////////////:「- = ' {i  j.| 入/////////////////////////////////////
//////////////////////////≠≠=ノ  ー八  ./  ヽ///////////////////////////////////
///////////////////////// r--介、      ィヽ'\   /__,.--y//////////////////////////// /
///////////////``ヽ、i////.八::::::::::::::\ /::::::::::::::`ヽ、{:::::::::::ト、` <///////////////////////
[SPLIT]
713 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/13(水) 01:39:48.26 ID:6W+97Q9ko
お前末期癌で死んだだろ
714 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/04/30(土) 17:50:50.95 ID:jjU0A7vn0
>俺があと10年早く生まれていて、あと10年早く出会っていたら、たぶん心底惚れていたんじゃないかと思う。
今がまさにその時


>そんな仮定に意味はないけれど。
仮定じゃあ無くなったわけよ
715 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sagesaga]:2016/05/02(月) 18:48:33.34 ID:yk/qiZooO
続きいつー?
716 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/04(水) 00:24:28.56 ID:BUqKzBKu0
続きがすごく気になる
717 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/04(水) 00:25:47.71 ID:BUqKzBKu0
続きがすごく気になる!
718 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/05/05(木) 21:58:12.77 ID:/Dv1gQ6E0
三日目ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

大志「朝っすよ!」バサッ

八幡「んっ!?………んぁぁ?」

大志「今日で最終日っす!早く起きて朝ごはん食べに行こう!」ギラギラ

八幡「……お前、昨日寝てねぇだろ」

大志「ふぁっ!?い、いやそんなことないよ!ぐっすり眠ったさ!」

隼人「だから言ってるだろ……お前、目が真っ赤だぞ」

材木座「………ふむぅ?なぜ我はマスクをつけているのだ?」

大志「……しょ、しょうがないじゃんか……!もうずっと心臓ばくばく言いっぱなしで…」

八幡「本番は夜だぞ?今からそんなことでどうするんだよ………」

大志「わかってる、わかってる、でも…」


八幡(……ま、これくらいな方がこいつらしいか)
719 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/05/05(木) 22:05:58.73 ID:/Dv1gQ6E0
雪ノ下「あら、おはよう」

平塚「今日はまずどこへ行くのだったかな?」

大志「えーっと、伏見稲荷、東福寺……そこでご飯食べて、嵐山へ……みたいな感じ」

めぐり「嵐山かぁ。お団子売ってるかな?」

折本「嵐山なんだから紅葉楽しもうよ…」

隼人「なるべく嵐山の方を長く見たいからさ、早めに出発してしまおうか」

八幡「構わねぇぞ」

材木座「ふはっ!長き歴史が蓄積しせり神社や寺社をおろそかにするとはなるたる愚行!」

隼人「じゃあ材木座は東福寺に一日中いるといいさ」

材木座「えっ……」
720 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/05(木) 22:12:44.39 ID:/Dv1gQ6E0
八幡「……って、そういや留美見ねぇな」

隼人「俺的にはいてくれない方がいいが…」

平塚「まぁ、別に行動班というわけでもないからいいんじゃないか?」

八幡「ていうか今思った。留美の班ったらあれ部屋班だよな。行動班どうしたんだ」

めぐり「うちの高校は自由度高いからね()」

隼人「制度は破るためにあるもの」

大志「うわぁ……」




八幡(そんな会話をしながら、俺たちは旅館を出て、駅の方へ向かう)

八幡(ちょうどそのときだった)
721 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/05/05(木) 22:20:37.69 ID:/Dv1gQ6E0
彩加「……やっと見つけた、八幡!」

八幡「彩加!」

八幡(彩加は俺を見つけると、花の咲くような笑顔で俺たちのもとへ駆け寄ってくる。ああ^〜癒されるんじゃ^〜)

彩加「雪ノ下さんたちは……これから伏見稲荷かな?」

雪ノ下「ええ、そうだけど……どうしたの?」

彩加「……ちょっとさ、八幡借りていい?」

隼人「!」

八幡「どういうことだ?彩加」

彩加「ちょっと、八幡を連れていってあげたいところがあってさ」

八幡「………?」

雪ノ下「私たちとしては当然構わないわよ。この男と一緒に椛を鑑賞したいと思っているわけでもないし」

八幡「後半は余計だ」

彩加「よかった。じゃあ、八幡!ちょっと付き合ってくれない?」

八幡「まぁ、喜んでついては行くが…」

彩加「よかった、じゃあぼくはこれで」

隼人「ああ待て彩加、俺も行く!」

彩加「え、そう?まだぼくどこ行くか言ってないんだけど……」

隼人「奉仕部が俺だけってのも気まずいだろ」

八幡「元々この班お前のグループじゃねぇかよ……」

隼人「ええい細かいことは気にするな!行くぞ!八幡!彩加!」

彩加「う、うーん……ほんとにいい?隼人、後悔しない?」

隼人「ははっ、何を言ってるんだよ、後悔なんてあるものか」
722 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/05(木) 22:28:01.20 ID:/Dv1gQ6E0
留美「……あ、八幡見つかったの」

彩加「うん。あと隼人も連れてきたよ」

八幡「留美、ここにいたのか」

隼人「ちょっと待って嫌な予感が」

女子's「「おはよう葉山きゅん!」」

隼人「………………」




八幡「お前ら雪ノ下たちと予定合わせたんじゃねぇのか?」

留美「なんか周りみてたら割と融通きくらしかったから……」

八幡「ああ、なるほどな……」

留美「葉山くんと一緒にいたかったら戸塚くんと一緒に行動した方がいいよっていったらあっさりあいつらも納得してくれたし」

八幡「彩加の行動班の人たちはどうした?」

留美「別行動にしてもらったみたいだよ」

八幡「じゃあ留美も説得なんてせずそうすればよかったんじゃ……」

留美「そしたら隼人の相手、誰がするのさ」

八幡「鬼だ、鬼がいる……」
723 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/05/05(木) 22:32:59.88 ID:/Dv1gQ6E0
八幡「……で、わざわざ班と別れてまで彩加が俺を連れていきたい場所って一体なんだ?」

彩加「うーんとね、もしかしたら、大きなお世話に思われるかもしれないけど、やっぱり京都に来たからには、八幡に行って欲しいなぁって思って……」

彩加「大志くんとめぐりさんをくっつけるためのコース選びからは外しちゃったからさ」

八幡「勿体ぶるなよ、教えてくれ」

彩加「ふふっ、わかった」




彩加「北野天満宮、だよ」
724 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/05/05(木) 22:47:24.78 ID:/Dv1gQ6E0
北野天満宮ーーーーーーーーーーーーーーーー

彩加「ほら、沙希ちゃん今年受験でしょ」

八幡「……確かに、川崎の一件がなかったら行こうかな、とは思ってたわ」

留美「私としても……未来の妹に高校を落ちて欲しくはない」


八幡(北野天満宮は、合格祈願などで知られる神社だ)

八幡(受験前日になると、親御さんたちがこぞって徹夜で参拝に来る、なんて話もあるくらい、有名な場所である)

八幡(沙希はあまり、こういった「神頼み」という行為をあまり好まない)

八幡(特に受験や部活など、モロ個人の力が要求されるものは、自分の力で勝ち取ってこそ、と思っている節がある)

八幡(依頼の件に加え、そんな沙希の性格を知っていた俺は、当初予定していた北野天満宮への参拝を諦めていたのだが)


八幡(……やはり、妹が一人で頑張っているのに、神頼みすらしてやれないのはどこか寂しい、という気持ちはあった)

八幡(だから、彩加に連れ出され、ここに来れたことは本当に嬉しい)

八幡(俺と同じように、沙希を応援しようと思ってくれている人がいる、ということも相まって、少し泣きそうにもなる)


八幡「ありがとな、彩加」

彩加「どういたしまして。じゃあ、沙希ちゃんのためにも参拝済ませちゃおう!」

留美「おー」




隼人「」

女子's「きゃあきゃあ」
725 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/05/05(木) 22:53:42.87 ID:/Dv1gQ6E0
八幡「……………………」



彩加「……八幡、参拝長すぎ……」

留美「このシスコン……」


八幡「……う、うるせぇよ。いくら願おうと俺の自由だろ」

彩加「いや、後がつかえてるから……」

八幡「く、くうぅ……っ!45円も入れたんだぞ……!もうちょっと……!」

留美「ほら八幡。絵馬かこ」

726 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/05/05(木) 22:58:55.72 ID:/Dv1gQ6E0
『沙希が志望校に合格するのはもちろんのこと、未来永劫大病にもかからず、不幸な事故にも見舞われず、雨の日も風の日も常に笑いが絶えないような幸せな人生を歩めますように』



八幡(……………)

八幡(………我ながら)

八幡(……………気持ち悪いな)


留美「八幡何書いたの」

八幡「うおわっ!?」カクシッ

留美「隠すことないのに……」

八幡「な、なんか恥ずかしいんだよ!俺はあれだ、沙希が合格するように…」

留美「あーまぁそっか。合格祈願の神社だしねここ」

八幡「留美は何書いたんだ」

留美「ん?私は『八幡と結婚できm』」

八幡「そうだぁっ!彩加はぁっ!何を書いているんだろうなぁっ!!」

留美「………このヘタレ」
727 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/05/05(木) 23:07:08.78 ID:/Dv1gQ6E0
八幡「ごめんな、待たせて」

彩加「いいよ、沙希ちゃんのためだし」


八幡(沙希はいらないとはいってたが……ま、お土産なんて所詮は贈る側の気持ちだ)

八幡(沙希がいらないといってようが俺があげたいと思ったならあげればいい)

八幡(学業成就のお守り)

八幡(喜んでくれなかったとしてもいい。俺は、シスコンだからな)


八幡「じゃ、俺たちも嵐山へ行こう」

彩加「ついたら、お別れだね」

留美「別行動が許されるなら、彩加もついてきたらいいのに」

彩加「そういうわけにもいかないよ、大した理由もないのに、ずるをしちゃいけない」

八幡「相変わらず真面目だな、彩加は」

彩加「みんなが不真面目すぎるのっ」

留美「だって。言われてるよ八幡」

八幡「突っ込まんぞ……」
728 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/05/05(木) 23:15:11.12 ID:/Dv1gQ6E0
嵐山ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

隼人「はちまぁんっ!」

八幡「わぁっ!?びっくりした!どうした隼人……取り巻きはどうした?」

隼人「彼女らは紅葉に夢中さ……おかげでようやく抜け出せた……」

八幡「お、おう……なんというか、お疲れ…」

八幡(衰弱の仕方が日に日に増しているような)

隼人「それはそうと酷いじゃないか八幡…」

八幡「な、なんのことだ?」

隼人「ちょっとは俺のことを助けてくれてもいいだろう!?なのに君は俺のことなんて目もくれず留美や彩加とイチャイチャイチャイチャ……」

八幡「待て、その言い方は語弊がある」

隼人「正直疲れたんだ……だから嵐山では俺のそばにいてくれ……そしたらあの子たちも寄っては来ないだろう」

八幡「喧嘩売ってるつもりなら買うが?」

隼人「なぁ、頼むよ……これ以上は、本当に」

八幡「……あーもうわかったよ。わかったから大の男がそんな小動物チックな目をするな」

隼人「本当かい……?ありがとう!恩に着るよ!!」



隼人「…………」ニタァ


留美「……なんか、嫌な予感……」
729 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/05(木) 23:21:43.25 ID:Os6rQxQXo
┌(┌^o^)┐
730 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/05/05(木) 23:31:00.17 ID:/Dv1gQ6E0





〜このあと、滅茶苦茶観光した〜





旅館ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

隼人「……………この扱いは、おかしいんじゃないだろうか」

八幡「は?どうした急に」

隼人「いやだって今まで散々本筋と関係ない留美や彩加とのデートは描写してきたくせになんで俺のときだけ丸カット!?尺的な都合があるのかもしれないけど、これは明らかに作為的なものを感じる!!」

大志「……は、葉山くん、どうしたの」

八幡「さ、さぁ……隼人もいろいろ疲れたまってんじゃねぇのかな……」

材木座「ところで川崎氏は告白の心構えはちゃんとできたのだろうか?」

大志「……ああ。緊張してないっていったら嘘になるけど……でも、腹はくくった!」

八幡「告白スポット、気に入ってくれたか」

大志「もちろんだよ!竹林の道だっけ?あれが夜になるともっと綺麗になるんだろ?これ以上ない告白スポットだよ!」

八幡「喜んでもらえたならなによりだ」

八幡(曰く、この告白スポットだけは、姉に頼らず、彩加自身で考えたらしい)

八幡(本当に素敵なチョイスだと思う。やっぱり、彩加は姉の幻影を追う必要など微塵もないのだ)


大志「よし……やってやる!俺はやってやるぞぉっ!」

八幡(……意気込む川崎を見て、少しほっこりとした気持ちになる)

八幡(俺は、この告白の結果を知っている)

八幡(昨日の城廻が、嘘偽りのない彼女そのものだったとしたならば、この告白は100%成功する。これは間違いない)

八幡(依頼を受けたときは、ほぼ絶望的とさえも思ったのに、本当にわからないものだ)

八幡(だけど、そのほとんど絶望的な城廻の好感度を最高まで高めたのは、紛れもない、川崎のそのがむしゃらな心だ)

八幡(俺も城廻も、そんな彼に憧れた)



八幡(最初から、デートスポットも告白スポットも、用意する必要なんてなかった)

八幡(どこでもよかったのだ。川崎と城廻が共にいれる空間なら、どこでも)

八幡(それでも、俺はこの3日間が無駄だったとは思わない)

八幡(城廻はああいうが、川崎が一歩を踏み出すことができたのは、やはりこの依頼があったからこそだと思うから)
731 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/05/05(木) 23:46:52.34 ID:/Dv1gQ6E0


夕食後ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


雪ノ下「……城廻さん、呼び出しておいたわ」

大志「………」ゴクリ

八幡「……ま、気楽にいけ。ここで振られても、チャンスが消えたわけじゃない」

大志「……そう、だよね。俺、頑張る」



材木座「健闘を祈るぞッ!川崎大志二等兵!」ビシッ

平塚「ふふふ……若いとは、いいものだ」

折本「いや静ちゃん何歳よ……」

隼人「しかし、本当に川崎についていってやらなくていいのかい?二人きりにして大丈夫かな?」

雪ノ下「男女の告白に、野次馬は不要よ。むしろ、その存在は害しか与えないわ」

八幡「ま、色恋沙汰は人の中でも特にプライベートな問題だ。今回のように俺たちがあれこれ手を尽くすことも、本来ならばマナーに反することだからな」

平塚「告白のときくらい、誰の干渉も受けず、自由にやらせてやろうではないか」

隼人「……なるほどね、よくわかった。結果は川崎から言ってくるのを待つだけか…」

八幡「野次馬根性は人の性だから仕方ないな」



隼人「……なぁ、八幡」

八幡「なんだ」

隼人「こうやってずっとそわそわしてるのもなんだし、少し夜風に当たりにいかないか」

八幡「ああ、別に構わねぇぞ」
732 : ◆rGsyzf.Kp2 [saga]:2016/05/06(金) 00:04:52.45 ID:2+SBejKW0
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

八幡「………おお」

隼人「綺麗だろう?穴場らしいんだ」

八幡「確かに……川崎のやつ、ここを告白スポットに選んでも良かったかもしれないな、こっちの方が旅館に近いし…」

隼人「俺がこの場所を発見したのも偶然だからね。昨夜寝付けなくてちょっと外に出たときに、見つけたんだ」

八幡「風も気持ちいいな。なるほど、確かにここは穴場、だわ……」

隼人「ああ…………」




隼人「……八幡はさ、覚えているのか」

八幡「何を?」

隼人「うちの犬を助けてくれたときのことさ」

八幡「……できれば、思い出したくはない記憶ではあるけどな」


八幡(俺は高校一年の春、交通事故にあっている)

八幡(飼い主がリードを手放し、道路へと飛び出した犬を救おうとして、なんか豪華そーなリムジンに体を撥ねられたのだ)

八幡(その飼い主というのが、実はここにいる隼人だったのだという)



隼人「はは、君にとってはそうかもね」

八幡「笑い事じゃねぇって……」

八幡(この事件のせいで、俺の高1ぼっち街道は確定したようなものなのだ)

隼人「ごめんごめん……。でもね、君にとっては思い出したくもないその事件はさ」


隼人「俺にとっては、一生忘れられないことなんだよ」
733 : ◆rGsyzf.Kp2 [sage]:2016/05/06(金) 00:09:16.83 ID:2+SBejKW0
キリ
一ヶ月放置はしてませんよ、ええ(汗)

投稿が遅れた理由としてはこのスレの他にもう一つ八幡葉山戸塚をメインとしたスレがあるのですが。
そのスレが面白すぎて書くのが嫌になってました
催促コメ見て目が覚めました
ありがとうございました

734 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/06(金) 00:11:05.63 ID:Paeqgnwno
乙です
735 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/06(金) 00:14:40.63 ID:4HHxij08o

なんだよそれ面白いし楽しみにしてるから頼むよwwww
736 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/06(金) 08:09:53.28 ID:C4bypJZmO
八幡隼人親友ssの作者だったんか
737 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/06(金) 11:50:24.15 ID:7hJLrCZw0
このssが一番楽しみだから頼むぞ
738 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/06(金) 14:06:41.71 ID:vNLMqWsH0
>>736
そうじゃなくてそっちが面白くて自信を失ってたってことだろ
こっちはこっちで同じくらい面白いと思うから頑張ってほしい
739 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/06(金) 21:46:18.83 ID:YyQQoeqBo
自意識過剰すぎ笑えないドン引き
740 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/13(金) 21:13:28.77 ID:1SlrRfITO
実は八結より八葉の方が人気あるという事実
741 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/14(土) 22:32:46.86 ID:A8qIHsAT0
ハヤハチの雰囲気が真面目に良くて草
742 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/14(土) 23:29:32.52 ID:uSeSdk/qo
留美がかわいいんだよこのスレ、ほっこりする
743 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/04(土) 02:51:29.70 ID:2buWl9g/o
待ってる
744 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/21(火) 16:22:44.03 ID:qKZJ3Epao
エターなる
745 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/23(木) 00:22:49.77 ID:/cbXMxib0
ほしゅ
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