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【モバマスSS】家出娘と一夜の強ばり -
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1 :
◆w72AKbkgD2
[saga]:2015/12/25(金) 00:58:59.52 ID:VqWLWTOi0
モバマスSSです
周子と紗枝ちゃん
書き溜めあります
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1450972739
1.5 :
荒巻@管理人★
(お知らせ)
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■ 萌竜会 ■ @ 2024/11/16(土) 10:10:47.70 ID:0FAb5TMSo
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■ 萌竜会 ■ @ 2024/11/16(土) 10:09:50.98 ID:SWUyp/3+o
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■ 萌竜会 ■ @ 2024/11/16(土) 10:08:12.56 ID:wTjsL/oEo
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■ 萌竜会 ■ @ 2024/11/16(土) 10:07:34.70 ID:jeFqkOC8o
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■ 萌竜会 ■ @ 2024/11/16(土) 10:06:53.71 ID:4Mp+defVo
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狂乱家族日記 @ 2024/11/16(土) 05:01:05.49 ID:vz3d1X3L0
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aa/1731700864/
【孤独のグルメ×プロセカ】2作品劇場公開記念 セカイのグルメ 最終章 セカイのグルメ @ 2024/11/16(土) 00:24:34.40 ID:tfWfsX540
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1731684273/
2 :
◆w72AKbkgD2
[saga]:2015/12/25(金) 00:59:53.28 ID:VqWLWTOi0
「いらっしゃいませ、お、兄ちゃん、また来てくれたんやな」
モバP「いつもお世話になってます」
「今日もいつものでええんか」
モバP「はい、お願いします」
「はいよ、ちょっと待っててな」
モバP「ちょっとほかのも見ていていいですか」
「おーもちろん。のんびりしててな。周子、お客さんにお茶出して」
塩見周子「はいはーい」
モバP「あれ、こちらは……?」
「あれ、会ったことなかった? うちの娘や。周子、ごあいさつし」
周子「この店の娘、シューコです。看板娘ってことで、よろしゅう」
モバP「…………」
周子「んー、どうしたん、そんなじっと見て……」
モバP「……だいふく、雪見大福」
周子「はあ?」
モバP「え、あ、いや」
周子「ほー。アンタ初対面の娘をじっと見て言うことがだいふくー。ほっほー」
モバP「いや、違うんだ。すごい肌が白くって、きれいだなって……」
周子「他にもっと言いようあったんちゃう? あーあ、傷ついたわあ」
モバP「ごめん! そんなつもりは」
周子「何か甘くておいしいもん食べたいなー 八つ橋とかいいなー」
モバP「わかった、わかった。すみません、八つ橋……ええと、二人で食べれるくらいの量」
「はい、毎度あり!」
3 :
◆w72AKbkgD2
[saga]:2015/12/25(金) 01:01:07.96 ID:VqWLWTOi0
☆
小早川紗枝「で、プロデューサーはんはまんまとごちそうさせられはったんどすな」
モバP「親父さんも親父さんだよ。娘は良く食べるからってたくさん八つ橋出してきてさ」
紗枝「京の商売人を甘く見たらあきまへんえ。うふふ」
モバP「いい勉強になりました」
紗枝「それにしても、初対面の女の子にだいふくてー」
モバP「いや、本当にすごく白かったんだ」
紗枝「としても、言いようありますやろ」
モバP「はい、その子、周子にも言われました」
紗枝「周子はんって言いはるんどすか、その子。あ、さてはまたプロデューサーはん、すかうとしたんやろ?」
モバP「何してる人なん、って聞かれたから名刺だけ、な」
紗枝「おやまあ、すかうとせえへんかったん?」
モバP「紗枝がすねるからな。女の子と約束あるのに、他に声かけるなんて、って」
紗枝「そういうことばーっか覚えてはる。ほんにプロデューサーはんはいけずやわぁ」
モバP「で、ごきげんはいかが」
紗枝「これ聞いてしもたから、ちょっぴり斜めどす」
モバP「なかなか機嫌を取るのはむずかしいな」
紗枝「もう、他人事みたいに言うて。さ、両親が待っとります。面談、よろしゅう頼みます」
モバP「任せとき〜」
紗枝「下手な京都弁は禁止や言うたのに。もう、心配やわ……」
4 :
◆w72AKbkgD2
[saga]:2015/12/25(金) 01:01:37.84 ID:VqWLWTOi0
紗枝「……プロデューサーはんって仕事はいつもきっちりやなぁ」
モバP「仕事は?」
紗枝「仕事は」
モバP「……その他も精進します」
紗枝「よろしゅう」
モバP「はは」
紗枝「うふふ」
モバP「それもこれも、紗枝がしっかり仕事してくれてるからだよ。おかげで面談もうまくいくんだ」
紗枝「その仕事を取ってきてくれはるんがプロデューサーはんなんやから、お互いさまどす」
モバP「これからも、お互いよろしゅう頼んます」
紗枝「プロデューサーはん」
モバP「よろしくお願いします」
紗枝「はい、よろし。ふふ」
5 :
◆w72AKbkgD2
[saga]:2015/12/25(金) 01:02:31.05 ID:VqWLWTOi0
モバP「さて、宿に行きますかね」
紗枝「うちに泊まっていってくれたらええのに」
モバP「さすがにご迷惑だろ。紗枝も滅多にこっちには帰れないんだからさ、家族水入らずも必要だよ」
紗枝「それもそうなんやけど……」
モバP「けど?」
紗枝「プロデューサーはんを独占できるんは京都に来てくれてはるときだけやろ。一緒に過ごしたいなあ、思て」
モバP「……紗枝って時々すごい大胆なこと言うよな」
紗枝「あ、プロデューサーはん顔赤なっとる。うふふ」
モバP「紗枝も……うーん、ほっぺに桜が咲いてるよ」
紗枝「プロデューサーはん。だいふくはあきまへんけど、普通に言うたらええと思いますえ」
モバP「むずかしいなあ」
紗枝「もう、台無しやわ。ごまかすんうまいなあプロデューサーはんは」
モバP「まあまあ、すねないで」
紗枝「すねてまへん」
モバP「ごめん」
紗枝「知りまへん」
モバP「東京で今度、二人で出かけよう。仕事じゃなしにさ」
紗枝「ほんまに?」
モバP「約束する」
紗枝「ふふ、楽しみどすなあ」
モバP「ああ! その顔、これが狙いか!」
紗枝「学習しまへんな、プロデューサーはんは。京の女は強かどすえ」
モバP「やられた……でも、約束な。じゃあまた、東京で」
紗枝「はい♪ お気をつけて」
6 :
◆w72AKbkgD2
[saga]:2015/12/25(金) 01:03:05.01 ID:VqWLWTOi0
☆
ヴィーヴィーヴィー
モバP「電話……ちひろさんかな?」
モバP「ん、知らない番号」
モバP「はい、Pでございます」
『あ、Pさん』
モバP「そうですが、ええと、どちら様で?」
『周子。さっきのさ、和菓子屋の』
モバP「ああ! 手土産の和菓子、喜んでもらえたよ、ありがとう。で、どうした?」
『今日帰っちゃうん?』
モバP「いや、こっちに宿泊だけど」
『ならさ、Pさん。出会いは一期一会って言うしさ、しゅーこちゃんと少しおしゃべりしない?』
モバP「構わないけど……もう夜だし、大丈夫なのか」
『うん、へーき。お店の場所、名刺のアドレスに送ればわかる?』
モバP「いや、あれはパソコンのアドレスだから……SMSメッセージで送れる?」
『わかった。送っとく。早く来てね、じゃ、後ほど』
モバP「あ、ああ……切れてら」
7 :
◆w72AKbkgD2
[saga]:2015/12/25(金) 01:03:36.18 ID:VqWLWTOi0
モバP「ダーツ、ビリヤード……」
モバP「あんまり未成年がいていい感じの店とは思わないけど」
カランカラン
周子「あ、やっときた。待ちくたびれたよー」
モバP「馴れない土地だもんで……いいのか、未成年」
周子「もちろん、補導の時間前に帰ればね」
モバP「その時間は?」
周子「んーまあ10時くらいかな」
モバP「今、9時半なんだけどな」
周子「もう、来るの遅いから。ハンデあげるから、ダーツやろ」
モバP「おいおい、今から店を出ないと間に合わいんじゃないか」
周子「そういけずなこと言わんといて。せっかく来て、何もしないで帰るなんてだーめ」
モバP「しかたないな……ハンデって?」
周子「あたし左利きなんだ。でも右でやってあげる」
モバP「利き手と逆か。なかなかなハンデだな」
周子「でしょう? さ、やってみよ」
8 :
◆w72AKbkgD2
[saga]:2015/12/25(金) 01:04:20.15 ID:VqWLWTOi0
モバP「コテンパンに負けた」
周子「さすだに下手すぎかな。これからがんばり?」
モバP「負けっぱなしはいやだからな……ちょっと練習しようかな」
周子「いい心がけやん〜 さ、罰ゲームね」
モバP「え、罰ゲームあるなんて聞いてないぞ」
周子「そりゃ聞かれなかったし?」
モバP「さすがにズルくないか」
周子「勝負じゃないのにハンデはあげないでしょ?」
モバP「一理ある……で、罰ゲームの内容は?」
周子「シューコちゃんお願いを1つ叶えてあげる」
モバP「お願いって」
周子「今日、泊めて?」
モバP「なんだ、それくらい……は?」
9 :
◆w72AKbkgD2
[saga]:2015/12/25(金) 01:05:44.49 ID:VqWLWTOi0
モバP「ダメだって言ってるだろ」
周子「親と喧嘩して家に帰れないんやもん」
モバP「仲直りしなさい」
周子「やだ」
モバP「やだ、じゃなくて」
周子「お願い!」
モバP「友達の家とかあるだろ」
周子「地元の友達じゃ親にばれるやん」
モバP「仲直りできないなら、せめてバレて安心させてやれよ」
周子「やーだ」
モバP「全く……ダメなもんはダメだ」
周子「じゃあいいよ、そこらの男に声かけるし」
モバP「本気で言ってるのか」
周子「だって仕方ないやん!」
モバP「わかった! わかりましたよ、泊めてやるよ」
周子「やた! ありがとPさん!」
モバP「あー、もう。くっつくな」
周子「看板娘のサービスってことで」
モバP「あのなあ、もっと自分を大……」
モバP(この子、口ではこんなだけど、すごい心拍数……)
モバP(まったく……)
モバP「とにかく、これ以上面倒なことになる前に宿に行くぞ」
周子「うん、よろしゅ〜」
10 :
◆w72AKbkgD2
[saga]:2015/12/25(金) 01:08:16.03 ID:VqWLWTOi0
周子「シングル……」
モバP「そりゃそうだろ。1人で出張に来てるんだから」
周子「そ、そうだよね」
ガシ
周子「な、Pさん? ど、どうしたの急に肩をつかんだりして」
モバP「男と2人でこういうところに入ったら、どうなるかわかってんだろうな」
周子「っ……はい」
モバP「覚悟、できてるな」
周子「あ、当たり前じゃん。誘ったのあたしだし……いいよ、好きにして」
モバP「はあ……青ざめた顔して。俺が本当にその気だったらどうすんだ」
周子「……え? 何もせえへんの?」
モバP「当たり前だろ。人の家の娘さんを傷物にできるか」
周子「…………ぐす」
モバP「ほら、ハンカチ」
周子「……怖かった……もしかしたらそうなるんかもと思って怖かった……さっきのほんま怖かったんやからね……」
モバP「だろうな。エレベーター乗ってからはずっと震えてたもんな」
周子「……ん」
モバP「24時まで大浴場が使えるから、俺はそっちに行ってくる。その間、シャワー浴びるなり一息つくなり、好きにしてくれ」
周子「……わかった」
モバP「よろしい」
周子「Pさん」
モバP「ん?」
周子「どうもありがと。ごめんなさい」
モバP「もういいって。じゃ行ってくるから」
11 :
◆w72AKbkgD2
[saga]:2015/12/25(金) 01:08:45.30 ID:VqWLWTOi0
モバP「ただいま」
周子「おかえりなさい」
モバP「あ、シャワー浴びたのか」
周子「わかるもんなん?」
モバP「うん、雪見大福が上気してイチゴ大福に」
周子「むー」
モバP「はは」
周子「ぷ、ふふ。あはは」
モバP「やっと笑った」
周子「うん。ちょっとホッとしたかも」
ぐうう
モバP「おっと」
周子「ホッとしたらおなかすいた……」
モバP「しゃーないな。ちょっと待ってて」
12 :
◆w72AKbkgD2
[saga]:2015/12/25(金) 01:09:45.14 ID:VqWLWTOi0
周子「カップラーメン……」
モバP「ホテルの自販機に売ってるんだ。まさか、食べたことないとか?」
周子「うち、食には厳しいから」
モバP「案外そうかもなあ。俺も実家にいたころはそうだったし」
トポポポポ
周子「いいにおい」
モバP「食欲そそるだろ。家出にカップラーメンってのもぴったりだし」
周子「ふふ、そうかも」
モバP「はい、3分」
周子「いただきます」
ズズズズズ
周子「……おいしい」
モバP「しみるよなあ……」
周子「……うん」グズ
モバP(また泣いて……本当に不安だったんだろうな)
周子「……おいじい」グズ
モバP「ゆっくり、よく噛んで」
周子「……母親みたい」
モバP「それでけっこう」
ズズズズズ
13 :
◆w72AKbkgD2
[saga]:2015/12/25(金) 01:11:16.89 ID:VqWLWTOi0
モバP「ごちそうさま」
周子「ごちそうさまでした」
モバP「さ、寝るか。周子ベッド、俺が床。以上」
周子「そ、そんなんダメ。転がり込んできたのあたしなんだから」
モバP「それを許したのは俺。この部屋で偉いのも俺。良いから、ベッドに潜れ。疲れてんだろ」
周子「それやったら、あたし小さいし二人で」
モバP「男の怖さ、もう忘れたか」
周子「でもPさんはそんなことしないって」
モバP「言い切れるのか」
周子「そんな怖い顔しないで……」
モバP「ごめん。さ、ほらベッドに行くぞ」
周子「え、ちょっと」ヒョイ
モバP「周子くらい、男だったら簡単に持ち上げられるし、好きにできちゃうってこと」
周子「う、うん」
モバP「何赤くなってんだよ」
周子「ばか、お姫様だっこなんてされたん初めてやし」
モバP「あらあらかいらしいなあ」
周子「あ、下手な京都弁使うと嫌われるよ」
モバP「よく言われる」ヒョイ
周子「きゃっ」
ポスン
モバP「はい、おやすみ」
周子「ちょっと……もう」
14 :
◆w72AKbkgD2
[saga]:2015/12/25(金) 01:11:53.85 ID:VqWLWTOi0
周子「Pさん、寝た?」
モバP「……いや、まだ」
周子「家出の理由、聞かないの?」
モバP「うん。人の家庭のことだから、な」
周子「……そっか。じゃあさ」
モバP「うん」
周子「ちょっと独り言、言うね」
モバP「うん」
周子「ちゃんと、起きててね」
モバP「……うん」
周子「今日、Pさんが帰ったあと、親と将来の話になったん」
モバP「うん」
周子「あたしはさ、のんびりまったり、ぬくぬく実家の手伝いするつもりやったん」
モバP「看板娘、だもんな」
周子「うん。それが当たり前というか、他に何も考えてなくて」
モバP「うん」
周子「そしたら怒られて。もっときちんと将来考えろって」
モバP「親父さん、真面目な職人さんって感じだもんな」
周子「そうなん。あたしと違って真面目。だからぶつかっちゃうんだよね」
モバP「今日もぶつかったんだ」
周子「うん……今まで散々休みの日は店の手伝いさせられてたし、誕生日だってケーキじゃなくて和菓子だったし……
ずっと店に染めてきたのにさ、いざ店に入ろうとしたら怒るっておかしいやんな。頭きちゃって」
モバP「それで家出したのか」
周子「うん。出てけ! とも言われたし」
モバP「でも、今は心配してるんじゃないか」
周子「……そうかもね」
モバP「独り言らしいから、聞かなかったふりもできるけどさ
聞いちゃったからな。明日、俺も一緒に店に行くよ」
周子「……うん」
モバP「ほら、もう遅いから寝なさい」
周子「うん……Pさん」
モバP「ん?」
周子「ほんま、ありがと。おやすみなさい」
モバP「おやすみ」
15 :
◆w72AKbkgD2
[saga]:2015/12/25(金) 01:12:21.99 ID:VqWLWTOi0
モバP(ついていくとは言ったものの……)
モバP(この子次第だな、結局のところは)
モバP(どっちに転ぶか。また紗枝に怒られそうだな……)
16 :
◆w72AKbkgD2
[saga]:2015/12/25(金) 01:13:16.48 ID:VqWLWTOi0
モバP「はあ」
周子「ちょっと、ため息つかんといて」
モバP「さすがに緊張するというか、怒られるだろうし、ため息の一つくらい勘弁してくれ」
周子「あたしだって嫌なんやから……」
モバP「2人でいれば、苦しみは半分、喜びは倍」
周子「なにそれ」
モバP「結婚の格言らしいけど、うちの会社じゃ良く言われること」
周子「よくわかんない。あー、やになってきたー」
モバP「はいはい、行くぞ」
17 :
◆w72AKbkgD2
[saga]:2015/12/25(金) 01:14:20.13 ID:VqWLWTOi0
「周子!」
周子「いきなり大きな声ださんといてくれる?」
「あんた、いつもの兄ちゃんやんか。どういうことや!」
周子「家出したあたしをたす」
モバP「出歩いていたお嬢さんに声をかけて私が連れ歩きました」
「……なんやと?」
周子「ちょ、何を」
モバP「昨日のうちに家に帰るつもりだったお嬢さんを、家出なら家出らしく1日帰らずにいてみろってそそのかして」
「おのれ、何言うとんのかわかっとるんか」
モバP「店の看板娘に留めておくのがもったいない人材だと思いまして。ぜひうちの事務所からアイドルにしたいと思ったんです」
周子「ねえ、さっきから何言うてんの」
モバP「ですが、お嬢さんはうんとは言いませんでした。実家の和菓子屋の看板娘になるんだって。だから、お返しに来ました」
「お返しにきた? それで済むと思っとるんか!」
モバP「申し訳、ございませんでした」
「おのれぇぇいっ!」ガバッ
モバP「っ!」
「……はぁ。やめや」
モバP「……え?」
「あんた、首を右に向けてみ」
モバP「うっ、つつ」
「まだ立ち上がっただけやのに、それでびっくりしたあんた、ずいぶん痛そうな顔したな」
モバP「……」
「大方、かたーいとこで寝て、寝違えでもしたんやろ。それでわかった。うちの娘は傷物にされてへん」
モバP「ですが、連れまわしたのは本当です」
「それもウソや。あんた見てもわからんが、うちの娘見たら、あんたがかばっとることくらいわかるわ」
モバP「む……」
「そうやろ、周子」
周子「うん。あたしが無理言うて泊めてもらった」
「そうか。あんたにはほんま迷惑かけてしもたな。すまんかった」
モバP「いえ、こちらこそ。……失礼します」
18 :
◆w72AKbkgD2
[saga]:2015/12/25(金) 01:14:48.39 ID:VqWLWTOi0
周子「ちょっと待って」
モバP「ん」
周子「あたし、アイドルやってみたい」
「周子! さっきのは方便やろ! これ以上、迷惑かけたらあかん」
周子「方便なの、Pさん?」
モバP「いや、アイドルにしたいというのは本音」
周子「じゃあ、良いよね?」
「周子!」
モバP「俺は構わないが……」
周子「親以外で、信頼できるって思った大人、初めてかもしれない。やってみたい、って思うことができたのも」
「またお前は……もっと真剣に」
周子「真剣。それが本当かどうか、結果で見せるから」
「嫌になって逃げかえってくるんは許さんぞ」
周子「……逃げ帰らない」
「あんたはどう思うんや。うちの娘は通用するんか」
モバP「本人の努力次第ですが、素材は間違いなく通用します」
「わかった、好きにせえ。Pはん言うたな」
モバP「はい」
「娘をよろしゅう頼んます」
モバP「はい」
19 :
◆w72AKbkgD2
[saga]:2015/12/25(金) 01:15:23.23 ID:VqWLWTOi0
周子「Pさん、首、大丈夫なん?」
モバP「正直結構痛い。けど、大丈夫だよ」
周子「そっか……ごめんね。いろいろと気を使ってくれたのに、結局好き勝手お願いしちゃって」
モバP「こうなるといいな、って実は思ってたんだ」
周子「え、そうなん?」
モバP「どういう展開になるか、想像もつかなかったけどな。
アイドルにしたいという気持ちがあったことを織り交ぜておけば、可能性はあるかなってな」
周子「はー、それじゃあもうすでに、ちょっとしたプロデュースをされたってこと」
モバP「そういうことになるのかな。でも周子はなんでアイドルになる気になったんだ?」
周子「家に帰る前、苦しさは半分、喜びは倍って言ったでしょ?」
モバP「言った」
周子「この人のパートナーになったら、本当にそうなるかもって思ったから。さっきも、本当に守ってくれようとしたし」
モバP「約束するよ。担当として、そんなパートナーになるように」
周子「ふふ、よろしゅう」
モバP「さて、送りはここで大丈夫。明後日には書類が届くように手配するから、それを書いて上京してくれ」
周子「わかった」
モバP「目を離した隙に、気が変わったとか言わないでくれよ」
周子「どうかな〜なんて。ふふ」
モバP「おいおい、頼むぞ。じゃあ、また」
周子「うん、次は東京で」
20 :
◆w72AKbkgD2
[saga]:2015/12/25(金) 01:15:53.76 ID:VqWLWTOi0
☆
紗枝「で、一夜を共にしたあげく、すかうとしはったと」
モバP「紗枝さーん、ちょっと言い方に棘があるかな、と思うんですが」
紗枝「なーんにも棘はありまへん。事実を並べただけどす」
モバP「ごめん、ごめんて」
紗枝「なんで謝るんどすか。家出娘を助けて、仕事熱心なことしただけですやろ。謝ることありまへん」
モバP「いや、まあ、そうなんだけどさ」
紗枝「……うちももう少し悪い子の方がええんやろか。こあくまちっくー言うて」
モバP「それはそれで魅力的だとも思うけど」
紗枝「あーあー。やーっぱりプロデューサーはんはそういう子が好きなんや。あーあー」
モバP「違う、いや、違わないけど、違う。紗枝には今のままの紗枝でいてほしいというか」
紗枝「うふふ。もうええんどす。意地悪言うんもこのくらいにしておきましょか」
モバP「はあ、良かった……」
紗枝「プロデューサーはんが、優しくて、ほんに真面目な人やって改めてわかったんは、良かったなとも思うてますう」
モバP「…………」ポリポリ
紗枝「あ、照れてはる。うふふ。今日の東京でーと、楽しませてくださいな」
モバP「で、デート?」
紗枝「またそういういけずな反応しはる……先が思いやられますなあ」
モバP「あーっごめんっ! よし、エスコートは任せろ!」
紗枝「ふふ、おおきに、よろしゅう」
終わり
21 :
◆w72AKbkgD2
[saga sage]:2015/12/25(金) 01:17:07.34 ID:VqWLWTOi0
※京都に縁もゆかりもない人間が書いてるので言葉は不安です。ごめんなさい。
※遅くなりましたが周子お誕生日おめでとう
22 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/12/25(金) 01:24:38.75 ID:bFktwNpso
周子より紗枝の方が可愛かったぞオラァ!
紗枝好きだから面白かったけど
乙!
23 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/12/25(金) 01:25:24.50 ID:t/VPXaKmo
紗枝ちゃんの可愛さがよく出てるなぁ
乙
24 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2015/12/25(金) 01:28:19.02 ID:HD+kdZsO0
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