一夏「 こ れ は ひ ど い 」

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593 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/12/03(土) 21:49:57.99 ID:An5Xd2T90
スコール「そんなに慌てなくても、あなたもちゃんと相手してあげるわよ。まずは煙から完全に出ておいで、ボウヤ」クスクス

スコール「素敵なものを見せてあげるわ」ジャキッ

シュルシュルシュルシュル

ジェイ「そんなハックワームなんて出してどうすーーーッ!!?」シュルシュルシュルシュル

スコール「ハックワームってとっても便利なのよ。伊達にゴミムシ共が甘い汁啜ってしこしこと作っただけの事はあるから“こういう事”だって出来るのよ?」

ブツッ ブチブチッ ブチッ ブチブチブチブチッ

ジェイ「ッ……ッッ………うッッ……!!」ブチブチッ ブチッ

スコール「ああ、そうそう、個人的体験に基づいた非常に有意義な助言をしておくわ。痛覚とか感覚とかはなるべく切らない方がいいわよ。そうしないと」シュルシュルシュル

ジェイ「ううッ!!」ブツッ シュルシュル

スコール「何も分からなくなっちゃうわよ?ふふふっ、鈴ちゃんに清ちゃん、聞こえる?あなた達は見ちゃ駄目よ。これはちょっと……あなた達にはアダルティ過ぎるわ」クスクス

鈴清((ハックワーム?アダルティ?さっきから何を……))

鈴清「「ッ!!?」」

鈴清((何あれ……管みたいなのが……装甲の隙間に入って……血が……!!))

スコール「ほーら、あなたの中に……たくさん出たり入ったりしてるのよ?残った左目でしっかり見てしっかりと感じなさい……その痛みを。うふふっ」クスクス

ジェイ「ッ……あッ……がッッ………!!」
594 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/12/03(土) 22:06:36.78 ID:An5Xd2T90
エム「ジェイ!!」

オータム「……」グッ

ゴキンッッ

エム「うッ……ッッ……!!」ゴキゴキッ

エム(こいつッ……わざと骨を砕いているのか……)

ボキボキボキッ バキャッッ

エム「ぐッッ………ッ……ッッ……」

エム(背骨を……いくら感覚器官を切っていても……これは………だが、ジェイに比べれば………)

ギギギギッ バキャッッ ドスドスドスッ

エム「ッッ!!」シュウゥゥゥゥゥゥ

エム(ヒートナイフをッ……装甲の隙間からッ……!!)

ケイ「クソッ!テメェ等!自分が何してんのか分かってんのか!!?これはーーー」

スコール「あなたはどう?自分が何をしてるのか分かっているかしら?」

ケイ「……ああ?」

スコール「はあ、呆れた……退屈ね、これだからお人形さんと遊ぶのは嫌いなのよ」

ケイ「ふざけんじゃねぇ!!俺は人形なんかじゃねぇ!!俺は俺だ!!」
595 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/12/03(土) 22:35:00.50 ID:An5Xd2T90
スコール「はあ……おかげで興が冷めちゃったわ。サマーツー」

ケイ「俺をその名で呼ぶんじゃねぇ!!俺はケイだ!!サマーツーなんかじゃねぇ!!俺は俺だ!!」

ケイ「織斑一夏のデッドコピーじゃねぇ!!!」

スコール「あっ、そう。そんな事私の知った事じゃないわ」

ケイ「テメェ!!!」

ジェイ「うッッ……!!」ガクンッガクガクッ

スコール「今この子の脊髄を遡ってるわ……もし攻撃されて操作が狂ったら……この出来の良いオツムはどうなるのかしらね」

ゴキンッッ

エム「ケイッ……私達のッ……事はッ……気に………するーーーがあッッ……!!」ドスッ

オータム「黙っていろ」グググググッ

ケイ「ッ……クソッ……このクソッタレが!!」

スコール「さて凰鈴音に凰清音、あなた達……まだ彼と戦う気はある?」

鈴清「「えっ?」」

スコール「もう一度だけ聞くわ。彼と戦いたい?早く答えなさい。邪魔が入る前に答えないとこの駒共……叩き潰すわよ?」

鈴清「「……」」コクン

鈴清「「戦いたい!!そいつはあたし達の相手だから!!」」

スコール「うふふっ、良い子ね」
596 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/12/03(土) 22:37:48.68 ID:An5Xd2T90
>>592

597 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/12/03(土) 22:39:10.23 ID:An5Xd2T90
>>592

訂正

ケイ「エム!ケイ!」ドンッ

ケイ「エム!ジェイ!」ドンッ


598 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/12/26(月) 19:06:02.02 ID:+uJqxfNn0
スコール「あ、そうそう、前からあなたに聞きたかった事があるのよ。あなた達ってその……ほら、ゲームとか賭けとか………色々と芝居染みた台詞をよく言うじゃない?」

スコール「あれってもしかして歴史のお勉強で見た……ジョン・ウェインの影響だったりするのかしら?」

ジェイ「ッ………なッ……にをッ………ッッ……!!」ズルッッ

スコール「そう……じゃあ、ここらでオチをつけるとしましょうか。用意出来てる?」

オータム「既に」

ケイ「オチ……だと?テメェ等何する気だ!!?」バッ

オータム「……」ズドンッ

ケイ「そんなモンが俺に効くかよ!!」バチャッ

パキパキパキパキパキパキ

ケイ「ッ!!?何だこりゃ!!?固まって………クッソが………!!」バキバキバキッ

スコール「ただのトリモチよ。せっかくのオチなんだから黙って聞きなさい」

ケイ「クソッ!!テメェ等……!!」バキバキバキッ

真耶(見えた!!ようやく観念して煙から出てーーーええい、小癪な真似を!!人を盾になんかしてぇ……!!!)ギリィッ

セシリア(これでは撃てませんわ……ならブルーティアーズで)

鈴清((あの人達……何する気………何で上に上がって行って……))
599 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/12/26(月) 19:38:36.55 ID:+uJqxfNn0
スコール「ねえ、私思うのよ。あなたってジョン・ウェイン、って言うよりも」

オータム「なあ、お前」


『『DANGER!!ENERGY LIMIT BREAKING!!』』


スコール「ジョン・ドゥよね」
オータム「リング・トリックって知ってるか」


『『『『『『CAUTION!!HIGH ENERGY REACTION INSIDE THE TARGET!!THERE IS A DANGER OF EXPLOSION!!』』』』』』


ジェイ「ッ!!?」

エム「お前等まさかッ!!?」

鈴清((自爆する気ッ!!?))

ケイ「させるかよぉぉぉぉぉぉぉ!!!」バキバキバキッ ドンッ

真耶「鈴さん!!清さん!!退避してください!!!」

鈴「清!!」

清「分かってる!!」

鈴清((あいつが空けたアリーナの穴に!!!))

セシリア(ブルーティアーズの回収が間に合わない!!)

真耶「オルコットさん!!早くピットの中へ!!」
600 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/12/26(月) 20:54:47.72 ID:+uJqxfNn0


ドッッ……オオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!


ケイ「うおぉぉぉぉッッ!!!」

鈴「うっ……くッ……清……!!」ガシッ

清「だッ……大丈夫……でも!!」ガシッ

鈴「ちょっとヤバいよね……このままじゃあ……!!」ピキピキピキ

清「なっ……もうちょっとだけ耐えて……!!」

バキィンッッ

鈴清「「きゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」

真耶「ッ……何て爆発……オルコットさん、私の後ろから出ないでくださいね」ビリビリビリビリ

セシリア「は、はい……」

セシリア(いくらシールドを展開しているとはいえ……これだけの爆風を受けても微動だにされないとは……流石は元日本代表メンバーのお一人………)


ォォォォォォォォ……パラパラパラ………


ケイ「うう……ぐッッ……クソッ……あいつ等………自爆なんて………」ガラガラッ

ケイ「うッッ……」ガクンッ

ケイ(修復が追い付いてねぇのか……体が……フザけんなよ……クソが……さっさと治しやがれ………)

ケイ「ハァー……ハァー……エム……ジェイ……どこだ……?」
601 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/08(日) 20:43:08.35 ID:sf+tkg1A0
ケイ「チッ、あちこち……ガレキだらけじゃねぇか……しゃらくせぇなクソが………」ガラガラ

ケイ「ッ……まだ治らねぇのかよ……」スカッ ガシッ

ガラッ……

ケイ「あ?」

鈴清「「………」」

ケイ(呼吸、脈拍数等に乱れはねぇ……気絶してやがるのか………)

ケイ「ヘッ、どうやら悪運だけはいいみてぇだな……テメェ等も俺も」

鈴清「「……」」

ケイ「だが、テメェ等はここでゲームオーバーだぜ」

ガラッ

ケイ「ッ!!」バッ

ジェイ「う……ッ……ケイ……?」

ケイ「ジェイ!」

エム「ケイ……駄目だッ……!!」ガラッ


ジャパッ


ケイ「何ッ!!?」バッ
602 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/08(日) 20:58:20.22 ID:sf+tkg1A0

ズドドンッ

ケイ「ッ!!?なッ……にぃッッ……ッ!!?」ゴギィッ


鈴清「「遅い!!!」」ガシッ


ケイ「うおッッ!!?テメェ等………!!」

鈴「作戦通り……流石のあんたでも修復が追っ付かなくなるわよね……」

清「冥土の土産に教えてあげる。あんた……利き手か何なのか知らないけど………右腕ばっかり使う癖があんのよ……」

ケイ「癖……だと!?」

鈴「あたし達の打撃も龍咆を弾くのもほとんどが右腕を使って」

清「身を守る時も右腕を前にしてちゃこうなるわよ」

ケイ「ナメんじゃねぇ、テメェ等なんざ今すぐ振りほどいてやるよ!」グッ

鈴清「「おっと!」」グイッ

ケイ「なッ!?ッ……クソッ!!」

鈴清「「消耗したあんたのボロボロの左腕一本で、あたし達二人を振りほどける訳ないでしょ」」

ジェイ「ケイ!ぐッッ……」ドサッ

エム「ッ……く……そ……から……だ…が……」
603 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/08(日) 21:25:49.15 ID:sf+tkg1A0

ジャコンッ

ケイ「あ?テメェ等何する気だ……?」

鈴「あんた御自慢の装甲と体も、ここまでボロボロにされた上で」

清「この距離と貫通特化に二つ同時に龍咆を食らえばどうかな」

ケイ「バカが!テメェ等がくたばっちまうだけだぜ!」


鈴清「「いいや、あたし達はくたばらない。あんたとは気合いが違うんだからね!!」」


ケイ「救い様のねぇ奴等だぜ。面白ぇ、撃ってみやがれ……撃てるものならな……」

鈴清「「………」」

グッ……

ジェイ「フフフッ、何してるのさ……あれだけ言っておいて……撃てないのかい?」

エム「フン……所詮はただの悪足掻き……さっさと倒されろ……その方が……私達も次に進める……」

鈴(双頭神龍で龍咆を接射するだけでも……危険なのに……)

清(ブッ壊れるまで全力射撃……ただじゃあ済まない………)

鈴清((一夏……))

真耶「鈴さんに清さん!!……まさか、全弾接射する気ですか!!駄目です!!危険です!!」

セシリア「お止めください!!そんな事をすればあなた達まで!!」
604 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/08(日) 21:37:28.66 ID:sf+tkg1A0
ケイ「だってよ。オイオイ、どうした?」

ケイ「撃ってみろよ」

鈴清「「……ッ!!」」グッッ

鈴清((一夏、ごめん!!!))

鈴清「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」

ジェイ「えッッ!!?」

エム「何ッ!!?」

鈴清「「食らええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」」

ケイ「ッッ!!?」


ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド


真耶「ッ!!」ドンッ

バチィンッ

真耶「うあッ……くッッ……!!」ガガガガガガッ

真耶(流れ弾でこの威力……しかも指向性が全くない……これでは近付けません……!!)

セシリア「鈴さん!!清さん!!」
605 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/17(火) 17:53:20.39 ID:LCuJT4Dg0


ズドンッ ボゴオオォォォォォォォォォォンッッ


ケイ「うおおぉぉぉぉぉぉ!!!」

鈴清「「きゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」

ガシッ

鈴清「「え……?」」

一夏「大丈夫か!?鈴!清!」

鈴清「「一夏……う、うん!大丈夫!こんなの全然ッ……へっちゃらなんだから!!」」

一夏「そうか、良かった……本当に良かった……昔からこうやってすぐ無茶するから……」

グッ……

鈴清「「えっと……心配かけてごめんね……一夏」」

クロエ「お二人とも御無事で何よりです」

鈴清「「あれ?……一夏んにクロちん……機体が……」」

クロエ「詳細は後程説明します。今は……」

セシリア「一夏さーん!!」

真耶「織斑くーん!!」

一夏「セシリアに山田さん、二人を第一校舎で待機している救護班のところへお願いします」

真耶「任せてください!」

セシリア「は、はい!」
606 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/17(火) 20:27:39.63 ID:LCuJT4Dg0
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「お前は手に入れろ、“好きなだけ奪い好きなだけ与える”事の出来る“自由”を。手に入れられなかった……俺のーーー“俺達”の代わりに」

「泣くなよ………お前は勝ったんだよ………生き残れるんだぜ?これで……また……自由に……近づいたんだ………だから……泣く……な………」

「あー……眠いな………なんか疲れた………先に休ませて……もらうぜ……あー……寒いな……それに……まっ……く……ら……だ………」

「ああ……何で……こうなるんだよ………俺は………じ……ゆ……う……に………」

「ヘッ……ヘヘヘッ……やるな、今度こそ……勝てると思ったのにな………オイオイ……何泣いてんだよ……笑えよ………最後ぐらい笑って……見送って……く……れ………」

「クソッ……何でなんだよ………何で……俺じゃないんだよ……何でお前が………クソッ……こんなの不公平じゃねぇか………何で……俺が……死な……な……く……ちゃ………」

「お前程の奴が……今更何を……躊躇ってるんだ?………どうした?やれよ………殺せ!!!!」

「ヘヘヘッ……最後の相手が………お前で良かった………最高に楽しかったぜ………それじゃあな……地獄で待ってるぜ………」

「嫌だ!!助けてくれ!!俺は死にたくないんだ!!俺はならなくちゃいけないんだよ!!自由に!!嫌だッ!!嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!死にたくない!!やめてくれ!!死にたくない!!!」

「強い者が……弱い者を殺す………ただそれだけだ……なのに……何故……お前は……泣……い……て………」

「俺は降りるぜ………殺すのも………殺されるのも………もうゴメンだ………」

「ヒャハハハハ!!気分はどうだ?テメェはこれから先、俺達の死を背負って生きてくんだよ!!例え自由になれたとしてもな!!せいぜい苦しみな!!苦しんで苦しんで………苦しみなから生きる………その様を……あの世……から……見て……い……て……や………」

「あーあ、なってみたかったな」


「自由に」


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607 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/17(火) 20:48:31.27 ID:LCuJT4Dg0

ズンッッ

ケイ「ガハッ……ハッ……ハッ……ハッガッ………ッッ……!!」グググッ

一夏「……」

クロエ「やはり……」

鈴清「「そんな……!」」

真耶「まだ動けるとは………」

セシリア「お止めなさい!もうあなたの負けですわ!!」

ケイ「負け?冗談じゃねぇぞ……シケた事言って……んじゃねぇよ、クソッタレが……ゲームはこれからだぜ………」

ジェイ「ケイ………!!」

エム「やめろッ……このままじゃ……お前は………!!」

ケイ「ベットは済んだか?ならショーダウンだ……だが俺には勝てねぇぜ………俺が勝つからな……そしてテメェ等の自由を奪い尽くしてやる………!!」

クロエ「……」スッ

一夏「やめろ、クロエ………俺がやる」

クロエ「……了解しました」
608 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/17(火) 21:31:42.24 ID:LCuJT4Dg0
ケイ「次のラウンドの……準備は出来てるか?」

一夏「いつでも……だけど、お前の負けだ」

ケイ「はぁ!?くだらねぇタワゴト言ってんじゃねぇよ!!」

一夏「俺は絶対にお前を勝たせはしない」スッ

ケイ「があッッ!!!」ドンッ

一夏「絶対にな」ギャンッ


ドゴォッッ


ケイ「うおおぉぉぉぉぉぉッッ!!!」ガシャアァァァンッ

パラパラパラ……

一夏「ゲームは終わりだ」スッ

カキィンッ

ジェイ「なッッ……!?ケイが負けたとしても僕はまだ負けてない!!勝つのは僕達だ!!」グググッ

エム「はあッ!!」ドンッ

一夏「お前等……いい加減にしろよ!!!」ドギャアッッ

エム「ぐはぁッッ!!」ズシャアッ

ジェイ「ガハッッ……!!」ズシャアッ
609 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/01/17(火) 22:43:09.91 ID:LCuJT4Dg0
セシリア(高速で移動している二人を一撃で……!?)

鈴(クロちんですら、あいつの攻撃を捉えられなかったのに……)

清(あり得ない……機体を交換する前より速いはずなのに………)

真耶(まさか織斑くん……先程まで本気を出していなかった……?)


ジャッッ ジャパッ ジャコンッ キイィィィィンッ


千冬『侵入者に告げる。速やかに武装解除し投降しろ。貴様等の身柄は我々が預かる』

楯無「侵入者さん達、聞こえたかしら?抵抗するなら腕の立つ生徒達と、選りすぐりの教員を含めた百人以上を相手にする事になるわ」

千冬『山田先生、オルコット、今の内に凰達を』

セシリア「えっ?あッ、はッ、はいッ!あら?通信が?」

真耶「と、とにかく今は急ぎましょう」

一夏「ふう……これで、一件落着だな」

クロエ「そう……ですね」

一夏「どうしたんだ?」

クロエ「いえ、少し……懸念している事が……」
610 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/02/06(月) 16:57:35.19 ID:AjOpyN9L0
ジェイ『モノクローム・アバター、こちらファントムペイン、援護を要請する。迅速にね』

ジェイ『………』

ジェイ『モノクローム・アバター、聞こえてるかい?』

ジェイ「チッ……あいつ等……」

エム『突破するか?』

ジェイ『そんなの決まってるじゃないか』

ジェイ『ケイ、いけるかい?』

ジェイ「……ケイ?」

エム『ケイ?どうしたんだ?何故返事をしない?』

エム「ケイ!」

ジェイ「ッ!」バッ

ズドンッ ガァンッ

エム「ッ!!」

ケイ「ッ……!?」

クロエ「……」シュウゥゥゥ

一夏「……」ガチン
611 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/02/06(月) 17:15:27.71 ID:AjOpyN9L0
千冬『動くな、現在貴様等が行うのは武装解除する事だ』

ジェイ「チッ……」

エム「ケイ……」

社長『ここまでのようだな。ファントムペイン』

ジェイ「ッ!?」

一夏「……?」

クロエ「……」

ジェイ『……ここまで?ハッ、そんな訳ないでしょ。まだゲームは終わってないよ』

社長『モノクローム・アバターは作戦を放棄し消失、人質は解放され、貴様等も織斑一夏に敗北した』

ジェイ『参加してない奴がうるさいよ。黙っててくれないかな?』

社長『作戦は失敗した。速やかに撤退しろ』

ジェイ『僕や、僕達を、操れるのはゲームのルールだけさ』

社長『……お前達は勘違いをしているな、途方もなく愚かな勘違いを、な……』

ジェイ『……何をする気?』

社長『スプリングワン、ウィンターツー……お前達に思い出させてやろう』
612 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/02/06(月) 17:35:39.38 ID:AjOpyN9L0


『CALAMITY SYSTEM STANDBY』


ケイ「ッ………な……ん……だ……?」

社長『私は駒を操る主であり、ゲームのルールそのものだと言うことを』


『START-UP』


社長『そしてお前達はただの駒だ』

ケイ「うッッ!!ぐあぁぁぁぁぁぁぁッッ!!!」

一夏「な、何だ!?」

クロエ「……!?」

ジェイ「ケイ!!貴様何をした!!?」

社長『サマーツーを破棄した。そこにいるのは最早全てを破壊するカラミティゴーレムだ。そいつを囮にし速やかに撤退しろ』

ジェイ「ふざけるな!!貴様なんて事を!!!」

エム「ケイ!!」ドンッ

ケイ「うあぁぁぁ!!ッ……あがッッ……!!」

エム「ケイ!!聞こえるか!!?機体を捨てろ!!今すぐに!!」

ケイ「がッッ……ぐッ……ぁぁああッッ!!!」ドゴッッ

エム「ぐはッッ!!」
613 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/02/06(月) 17:58:56.30 ID:AjOpyN9L0
ジェイ「ケイ!!」ガシッ

ケイ「ケイッッ!!俺……からッ……は……なれ……ろッッ……!!ぐッッ……あぁぁぁぁぁぁぁッッ!!!」

ジェイ「カッッ……ハッッ……!!」ドゴッッ

『『危険!!操縦者の生命反応低下!!』』

一夏「クロエ!!!」ギャンッ

クロエ「はい!!」ギャンッ

ガシッ

ケイ「うあああぁぁぁぁぁぁぁッッ!!!」

一夏「何だこれ!?ISがやってるんじゃないのか!!それに何てーーーうわッッ!!?」バシッッ

クロエ「ツヴァイでも抑えるのが……ッッ!!」ガスッッ

ケイ「ああッッ!!ッッ……ふざけんじゃッッ……ねぇぞッッ……!!俺はッッ……俺はあああぁぁぁぁぁぁぁッッ!!!」ブンッッ

一夏「うぉぉぉぉぉぉッ!!?」ズシャアッ

クロエ「ッッ!!?」ズシャアッ

ケイ「ああッッ………はあッッ……ッッ……ぐッッ……!!」ボダボタボタ

一夏「ッッ!!?」

クロエ「なッッ!!?」
614 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/02/06(月) 18:21:56.28 ID:AjOpyN9L0
社長『ほう……以外にしぶといな、流石はプロトタイプの生き残り』

ジェイ「や……め……ろッ……!!」

エム「ケイ……!!」

一夏「ッ……ッッ………!!?」

クロエ「あ……ああ……ああッ……嫌ッ……!!」ガタガタ

ケイ「お……ぐ……があ……あッッ……俺はッッ………」ボダボタボタ

ケイ「こッッ……こんなところでッ……俺はッ……ッ……俺は死ねないんだよッッ……!!」ゴボッ

ケイ「俺はッ!!……ならなくちゃッッ……いけないんだよッ……!!俺が殺したッッ……皆の分までッッ……!!!」

一夏「だ……駄目だ……やめろ……」

ケイ「好きな……だけ……奪い……好きなだけ……あ……た……え……る………ッッ!!」ゴボッッ

バシャアッッ

一夏「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉッッ!!!」バッ

ケイ「そ……ん……なーーー」


ガシャンッ


一夏「ッ……!!!」スカッ
615 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/02/06(月) 18:59:05.38 ID:AjOpyN9L0


『『生命反応 消失』』


一夏「ッ……ッッ……ッッ……う……うあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

クロエ「嫌ッ……違う………私は……私はッッ……」ガタガタ

ジェイ「あ……ああ………」

エム「ケ……イ………」

一夏「何でッ!!何でなんだよ!!何でお前が死ななきゃならないんだよ!!!」

一夏「何でッ……お前が……何で……こんな………」ガクッ

千冬『各員、気を抜くな。何か来るぞ。我々で処理するんだ』

楯無(これは……ちょっとキツイわね……)

サラ(織斑さん、クロニクルさん………)

真耶「………」ギッ…

千冬『一夏、聞こえるか?一夏?』

一夏「ううッ……ッ……うぅぅぅッ………」グスッ

プシュウゥゥゥゥゥゥ

一夏「な……あ……ッッ!!?」

ケイ「……」ガシャッ


『生命反応なし』


一夏「お前……まさか……!!!」
616 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/02/06(月) 20:04:22.96 ID:AjOpyN9L0

ズドンッ

ケイ「……」ゴバァッ

ガシャァンッ

一夏「ッ……山田さん!!?」

真耶「邪魔です。退いてください」

一夏「ッ……ッ!!」ドンッ

ケイ「……」チュイィィィン

千冬『攻撃!!!』

真耶「……」ズドンッドンッドンッドンッドンッドンッ

楯無「ふう……やるしかなさそうね」ジャパッ

サラ「いささか不本意ですが」ジャキッ

エース「仕方ないわよ」バカッ ボボボボボボッ

部長「なぁに気にする事ぁねぇやい!!」ズドドドドドド

キャプテン「南無三、ってね」チュゴォンッ


ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド


ケイ「……」ゴバァッ バギンッ バキャッッ
617 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/02/06(月) 20:38:09.09 ID:AjOpyN9L0
一夏「ISが……体を動かしてる、のか……死んでるのに………違う……この為に……死んだんだ………殺されたんだ………」


ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドォォォォォォ……


楯無「やった、わよね?」ヒュウゥゥゥン

サラ「爆煙が邪魔ですね」ガシャシャシャシャシャシャシャシャ

エース「あたし等ーーー特に先生方はアリーナが吹っ飛ぶぐらいやったのよ?」

部長「てやんでい!!奴さんもいい加減で年貢の納め時ってもんよ」シュウゥゥゥ

キャプテン「おっ、煙が晴れますよー」シュウゥゥゥ

真耶「……」ガゴンッ フイィィィィィン

ケイ「……」バチッ バチバチバチッ

楯無「ふう……世話焼かせてくれちゃって……」

真耶「……」フィィィィィン

楯無「あ、あの……山田先生?ガトリング構えてますけど……目標、沈黙してますよ?それにあちこち取れちゃってますからそうそう何も出来ませんよ」

真耶「……そうですね」ィィィンッ

真耶(これで終わり?こんなに簡単に?そんなはずない……こんなつまらない終わり方するはずが……まだ……まだ何か……何かあるはず………)

楯無「ふう……全く……」
618 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/02/14(火) 17:56:29.99 ID:jKEbNTOz0


『警告!!目標内部に異常エネルギー反応あり!! 急激に増幅中!!自爆の可能性あり!!』


一夏「ッ!?」ドンッ

一夏(大気圏外までの最適ルートは……そこか!)ギョインッ ガシッ

サラ「織斑さん?」

楯無「一夏くん、どうしたの?」

一夏「こいつが自爆しようとしてます!だから俺がこいつを安全なところまで持って行きます!!」バンッ

楯無「持って行くってそんなーーー」


ギャンッ……ゴオォォォォォォォォォッッ!!


楯無「きゃあっ、って一夏くん!!」

真耶「無駄ですよ。シュトゥルムならまだしも私達の機体では追い付けません」スッ

楯無「ッ……分かっていますよ。そんな事……でも、これ以上彼に辛い思いをさせろって言うんですか!?」

真耶「そうなってしまった以上、仕方ないでしょう」

サラ「バイロットを殺し、最後には自爆……何という事を……」

エース「外道のする事よ……こんなの……」

部長「一の字……あんのバッキャローが良い格好しやがって………」

キャプテン「……こりゃ流石に寝覚めが悪くなるね」
619 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/02/14(火) 18:23:58.01 ID:jKEbNTOz0


ゴオォォォォォォォォォォォォォォォ


千冬『一夏!!返事をしろ!!一夏!!』

一夏『姉ちゃん、俺なら大丈夫。ちゃんと戻るから安心して待ってて』

千冬『そういうーーー』ピッ


ゴオォォォォォォォォォォォォォォォッッ………


一夏(外気圏に到達……後は)チラッ

ケイ「……」

『爆発まで残り10秒…9…8…』

一夏「ッ……」


グッ…


一夏「……ごめん」パッ

『3…2…1…』


『0』カッッ

620 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/02/14(火) 18:56:27.14 ID:jKEbNTOz0
楯無「大丈夫?クロエちゃん」

クロエ「ちっ……ちがうっ……わっ……わた……わたしっ………!!」ガタガタ

楯無「大丈夫、大丈夫よ……クロエちゃん」ギュウッ

楯無(パニック症状……何かトラウマでもフラッシュバックしたのかしら………)

真耶「……」

サラ(もしかしてクロニクルさんは……)

エース「まだ降りて来ないわね」

部長「どこで油売ってやがんでい!ったく!」

キャプテン「おっ?来たんじゃない?」

……ォォォォオオオオッッ フワッ

一夏「……」ギョインッ

サラ「織斑さん、御無事で何よりです」

一夏「零式のおかげです。それよりもクロエが」ストッ

クロエ「ちがうっ……ちがっ……うんですっ……わたしっ……!!」ガタガタ

楯無「この通り、私じゃ駄目みたいなの……」

一夏「俺に任せてください」
621 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/02/14(火) 19:19:59.07 ID:jKEbNTOz0
一夏「クロエ」

クロエ「ごっ……ごめんっ……なさいっ……わっ……わたしっ……!!」ガタガタ

一夏「クロエ・クロニクル」ギュウッ

クロエ「わたしっ……のせいでっ……!!」ガタガタ

一夏「違う、クロエのせいじゃない。誰もクロエを責めてない」

クロエ「でっ……でもッ……!!」ガタガタ

一夏「お前はクロエ・クロニクルなんだ……ドライツェーンじゃない……そうだろ?クロエ・クロニクル」ナデナデ

クロエ「うぅ……ああっ……わたしは………」ポロポロ

一夏「もう怖くないからな、大丈夫、大丈夫だからな……クロエ・クロニクル」ナデナデ

クロエ「わ……たし……は……クロエ……」ポロポロ

一夏「そうだ。お前はクロエ・クロニクルなんだ」ナデナデ

クロエ「クロエ……クロニクル……」ポロポロ

一夏「そうだよ。だからさ」ギュウッ

一夏「ここにいてもいいんだよ」

クロエ「っ………わ……かり……ました……」カクッ
622 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/02/14(火) 20:29:36.17 ID:jKEbNTOz0
クロエ「……」スースー

一夏「……」ソッ

一夏「お騒がせしました。救護班のところへ連れて行きます」スクッ

楯無「一夏くん……クロエちゃん、大丈夫なの?」

一夏「はい、大丈夫ですよ。何でこうなるかは詳しい事はあまり分かりませんけど、多分何か色々と重なっちゃったみたいで……」

一夏「えっと……その……クロエって結構デリケートな奴なんです」

楯無「そうね……ガラス細工の様に繊細な子ね」

一夏「ははは、そうですね……それじゃあ」

楯無「一夏くん」

一夏「どうかしました?」

楯無「無理……しちゃ駄目よ」

一夏「……俺は俺に出来るだけの無理をしてるだけですから、大丈夫ですよ」

楯無「そう……ならいいんだけど」

一夏「それじゃあ」
623 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/02/14(火) 21:00:50.13 ID:jKEbNTOz0
楯無(自分に出来るだけの無理、ね……それでも無理は無理じゃない……それに、何が大丈夫よ)

楯無(そんな必死で取り繕った顔で言われても説得力の欠片もないわよ……)

楯無「……馬鹿ね」

サラ「気丈ですね。彼は」

楯無「そう見える?」

サラ「いえ、気丈であろうとしている、と言ったところですか」

楯無「背伸びも大概にしないと後でとんでもないしっぺ返しを食らうのにね」

サラ「その通りです」

楯無「はあ〜若いっていいわね〜」

サラ「おや、もうロートルですか?」

楯無「そうでもないのよね〜これが」

エース「それにしても……一発目の爆発だけでも被害はかなりのもんね」

キャプテン「織斑くんが持ってったのが爆発してたらどうなってたやら」

部長「あっ!爆発で馬共が暴れてやがっかもしんねぇ!!」

エース「あんたも大変ねぇ」
624 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/02/20(月) 20:13:59.61 ID:+NWaECCF0

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クロエ「……」パチッ

クロエ「ここは……私は……確か……」

一夏「おう、やっと目が覚めたか」

クロエ「一夏様……それに目が覚めた、という事は私、もしかして……また、ですか……?」

一夏「ああ、そうだよ」

クロエ「あ、あの……お怪我はありませんか……?」

一夏「この通りだ。ま、今回はそんなに酷くなかったからな」

クロエ「そう……でしたか……えっと……その……あの……もっ、申し訳ありません……」モジモジ

一夏「いいよいいよ。もう慣れっこだからな」

クロエ「そう……ですか……」モジモジ

一夏「やっぱり……自分がどうなったのか………何も覚えてないのか?」

クロエ「申し訳ありません……覚えてません……彼等を追い詰めたところまでの記憶はあるのですがそこから先は………分かりません」

一夏「……そっか、やっぱりそうだよな」

クロエ「申し訳ありません……」
625 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/02/20(月) 20:42:29.76 ID:+NWaECCF0
一夏「あんまり気にするなよ。それよりも、調子はどうだ?動けるか?」

クロエ「は、はいっ、もちろんですっ。もう大丈夫ですっ!」

一夏「よし、なら鈴と清のお見舞いに行くぞ」

クロエ「はい!」

一夏「と言っても、行ったところでどうせ包帯グルグル巻きで寝てるだろうけどな……」

クロエ「やはりお二人は重傷でしたか……」

一夏「急所に一発も食らわなかったとしても爆発とかも食らったらしいからな……生命維持装置なしなのが不思議なぐらいだ」

クロエ「絶対防御のおかげ、ですね」

一夏「ったく……あの馬鹿共、やめろって言ったのに龍咆の接射までやりやがったもんな」

クロエ「砲身が自壊するまで威力を上げてましたからね……電撃と衝撃は凄まじいものだったでしょう……」

一夏「まあ、それでも……生きてるから何よりだ……うん……」

一夏「そうだよ……生きてるんだよ……」ボソッ

グッ……

クロエ「一夏様?どうかしたのですか?」

一夏「……いや、何でもない」

一夏「とにかく鈴と清の病室に行こうぜ」

クロエ「は、はい……」

クロエ(一夏様……私の記憶のない間に何かあったのでしょうか……それに彼等は……?)
626 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/02/20(月) 20:54:24.04 ID:+NWaECCF0

ガラッ

一夏「おーい、鈴と清はーーー」

包帯女「「んふふぁー!!!」」ガバッッ

一夏「へっ?」

クロエ「!?」

セシリア「動いてはいけませんわ!!」ガシッ

箒「こら、大人しくしろ!!」 ガシッ

包帯女「「んふぁー!!ふあせー!!」」ジタバタ

包帯女「「ふんぐっっ!!」」ビタッッ

バターン

包帯女「「ふぶおぉぉぉ………めっはいへぇ……!!」」ピクピク

セシリア「まだ治ってもないのに動くとそうなりますわ。もうっ」

箒「はあ……さっき起きたところでな、グルグル巻きが気に入らなくて包帯を外そうとしてたんだ」

一夏「起きた……のかよ……しかも包帯まで外そうとしたって……」

クロエ「いくら治療されたとはいえ……信じられませんね……」
627 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/02/20(月) 21:07:40.99 ID:+NWaECCF0
包帯女「「ん!!」」ズイッ

セシリア「駄目ですわ」

箒「包帯は外さんぞ」

包帯女「「んはう!!んひほほ!!ほうはひ!!」」スッスッ

一夏「口元の包帯を外せ、って事だろ?」

包帯女「「!!」」コクコク!

一夏「箒、セシリー、外さなくていいぞ」

包帯女「「!!?」」

一夏「お前等は普段うるさいからな、たまには静かな時もないとな」

包帯女「「んふふぁー!!!」」ガバッッ

一夏「そうはイカの何とかっと」チョン

包帯女「「うぐっっっ……!!!」」ビタッッ

バターン

包帯女「「お゛……お゛おおぉぉぉぉ………」」ピクピク

一夏「怪我人が騒ぐなっての……」ヤレヤレ

セシリア「クロエさん、もう大丈夫ですの?」

箒「倒れたって聞いたから心配したんだぞ」

クロエ「もう大丈夫です。ご心配をおかけしました」ペコリ
628 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/02/20(月) 21:23:57.87 ID:+NWaECCF0
一夏「それにしてもーーー」


ガラガラッ バァーンッッ


女医「はあっ……はあっ……!」

一夏「……はい?」

女医「あ〜んら、もぉ〜う起きたのねぇ〜凰鈴音ちゃんに凰清音ちゃん……んん〜!エクゥセレンツ!ブゥリリアァ〜ンツ!素ん晴らしいわぁ!」ワキワキワキ

女医「さぁ〜その素ん晴らしい体を更に素ん晴らしい体にしてあげるわ〜!!」ワキワキワキ

「目標発見ッ!!確保ォーッ!!」

ダダダダダダダッ

女医「えッ、ちょ、ちょッ、いやんっ……どこさッ、こッ、このッ、離しなさいッ!!」ガシッ

「先生駄目ですよ!!勝手に手術しようとしちゃあ!!」グイグイ
「先生落ち着いて!!」グイグイ
「勝手にやったら国際問題ですよ!!先生ってば!!」グイグイ

女医「離しなさい!!手術ッ!!私に手術をさせなさぁいッッ!!あの体をッッ!!」

「しっ、失礼しました!!」


ガラガラッ ピシャッッ


一夏「……え?」

箒「な、何だったんだ……」

セシリア「……」ポカーン

クロエ「国連から派遣されてきた医師?の方でしょうか……」
629 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/02/20(月) 21:44:35.60 ID:+NWaECCF0
鈴「で!どうなってんの!!」

清「どうなってんのさ!!」

一夏「何がだよ」

セシリア(結局外されましたわね……)

箒(二人とも、嬉しそうだったな……)

クロエ(しかしお二人とも元気ですね……)

鈴清「「IS学園!!」」

一夏「ボリューム下げろって……状況終了と同時に俺が束姉ちゃんところからリペアーズを呼んで現在被害のあった施設を修復中だ。フル稼働してるから明日の朝にはもう大方直ってるよ」

鈴清「「リペアーズ?」」

一夏「その名の通り万能修理ロボットだよ。建物から電子機器から土地に至るまで何でも直せるAI搭載の人型ロボット」

鈴「すっげー!」

清「見たい見たーい!」

一夏「窓見りゃ見えるって」

鈴清「「どれどれー!ん?」」
630 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/02/20(月) 22:09:36.12 ID:+NWaECCF0
鈴清「「んん?」」

鈴清「「……」」ジィーッ

一夏「どうしたんだ?」

鈴清「「あれって……ISじゃあ……」」

一夏「開発者曰く、IS技術のちょっとした応用、だそうだ」

鈴清「「へー!すっげー!!」」キラキラ

セシリア「本当に何でも直せますのね……あら、穴まで埋められてますわ……」

箒「さっき間近で見たが窓ガラス程度なら一瞬だったぞ」

クロエ「必要ならば改修も行いますよ。例えば窓ガラスは強度の高い強化ガラスに変更しています」

箒「その強化ガラスの強度はどれぐらいなんだ?」

クロエ「ライフル弾を弾き、割れた際にガラスは破片にならず完全な球体となります」

箒「そ、そうなのか……すごいな……」

セシリア「そんなものを何故……篠ノ之博士は今まで隠してらしたのでしょう……」

一夏「ああ、あれってこの間出来たばっかりなんだよ。だから今回が初お披露目」

セシリア「出来たばっかりで初お披露目……だ、大丈夫ですの……?」

一夏「テストだけは数えきれないぐらいやってるからな。問題点は全て改善済、実戦投入に何の問題もないレベルに仕上がってるよ」
631 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/02/28(火) 17:46:38.41 ID:kaFm12fI0
鈴清「「……あのさ、一夏」」

一夏「ん?どうしたんだよ、さっきまではしゃいでた元気はどこに行ったんだ?」

鈴清「「あいつ等、どうなったの?」」

一夏「ッ……」

セシリア「凰さん、いくら一夏さんが事件の当事者とはいえ、彼女達の処分までは知らされるとは限りませんわ」

鈴清「「そっか……そうだよね………」」

箒「一夏?大丈夫か?」

一夏「ああ、俺なら大丈夫だ……」

箒(一夏のこの反応……まさか……あいつ等は……)

セシリア「しかし、IS学園の保有する戦力とお二人の力がありましたから、彼女達をみすみす逃がすという事はあり得ませんわ!」

セシリア「そういえば……お二人は何故あのタイミングで機体の交換をなさったのですか?」

クロエ「機体の交換、というよりは“本来の機体に戻した”のです」

セシリア「へ?」

クロエ「零式は本来一夏のISで、ツヴァイフォーミュラは私のISなんです」
632 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/02/28(火) 18:12:24.39 ID:kaFm12fI0
鈴清「「は?」」

セシリア「な、なるほど……しかし何故……機体の交換を……?」プルプル

クロエ「それは……機体のリミッターとする為です」

クロエ「御存知の通りツヴァイは重装甲型重砲撃機、それに対する零式は高機動型格闘機です。原型こそ同じですがこの二つは戦闘においては全く異なった機体です」

クロエ「操縦者を交換する事で、機体性能を必要以上に発揮させないようにしたのです」

セシリア「あ、あの性能で……あれだけの性能でありながら……リッ、リミッターが……かかっていると……?」プルプル

鈴清「「……」」ポカーン

クロエ「はい、それに加え機体にもリミッターを施し、機体性能を20%しか出せないようにもなっています」

セシリア「つまりは……」

鈴「二重のリミッター」

清「付きって事?」

クロエ「はい、そうです」

セシリア「……」ガクッ

鈴清「「……」」グテーン
633 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/02/28(火) 19:03:29.63 ID:kaFm12fI0
クロエ「どっ、どうなさったのですか?」オロオロ

セシリア「二重のリミッターがかかっていながら……」ズーン

鈴清「「勝てなかったあたし達って……」」ズーン

クロエ「わっ、私達も機体性能を全く引き出せていなかったという訳ではありませんっ。そうですっ、基本的な操縦が同じでしたので機体特性や武装、それによる戦闘方法が大きく異なったのでーーー」アセアセ

鈴清「「クロちん、もういいよ」」

クロエ「えっ……あっ……そっ、その……はい、分かりました……」

セシリア「何という事でしょうか……」ズーン

鈴清「「うん……まあ……仕方ないよね……」」ズーン

クロエ「うぅ……申し訳ありません……」

箒「一夏、本当に大丈夫か?」

一夏「悪い……ちょっとまだ……気持ちの整理がつかなくて……」

箒「今日はもう休め、二人の面倒なら私とセシリアで見る。お前だって疲れているんだ」

セシリア「そうですわ。いつもの調子が全く見られませんもの……事件が終わってからずっと休まれてないのでしょう?」

一夏「ああ、セシリーと箒が来るまで鈴と清、来てからはクロエに付きっきりだったからな……」

セシリア「なら少しでも横になるべきですわ」
634 :全知全能の神未来を知る金髪王子様の須賀京太郎様 [二次元美少女達は金髪王子様の須賀京太郎様の嫁]:2017/02/28(火) 19:10:10.32 ID:MgC0xw2q0
一夏さんは姉に弱いなイズルじゃないなら今後期待
635 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/06(月) 18:44:30.11 ID:ptnRwoQx0
一夏「いや、その前に……あいつ等がどうなったのかだけは言わせてくれ………鈴も清も知りたいだろ」

鈴清「「……」」コクン

一夏「俺とクロエが人質を救出して先生達や先輩達とあいつ等を追い詰めた。そしたら突然、ケイの生命反応が低下し始めたんだ」

一夏「エムやジェイ、俺達もケイを助けようとしたんだけど………ケイの生命反応低下は体内のナノマシンによるもので、何の対策も持っていなかった俺達にはどうしようもなくて………」

一夏「あいつは言ってたんだ………俺はならなくちゃいけないんだよ。俺が殺した皆の分まで、好きなだけ奪い好きなだけ与える。そんな………」

一夏「そう言って……必死で何かに手を伸ばして……あいつは死んだーーー殺された……だからあいつが何にならなくちゃいけなかったのかは分からない……でも、それがあいつにとって凄く大切な事だったんだと思う………」

一夏「俺……何も出来なくて……あいつを助けられなくて……泣いてた……そしたら、生命反応が完全に消えて倒れていたはずのあいつが起き上がったんだ」

セシリア「ッ!?」

鈴「それって……」

清「まさか……」

一夏「機体が自立稼働を始めたんだ……中に残ったいつの体を……ケイを……人をただの部品として動き始めたんだ……その為にあいつは……あいつは殺されたんだ………!!」

グッ……!!

箒「一夏……」ギュッ

一夏「……悪い、箒……」グスッ
636 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/06(月) 19:21:27.45 ID:ptnRwoQx0
クロエ(なるほど……彼はやはり……私と同じ……だから私はあの時………)

セシリア「それで……動き始めたそれは……どうなりましたの……?」

一夏「……何かする前に山田さんが一発撃って、邪魔ですって目の前にいた俺が退いて、包囲していた先生達や先輩達から集中攻撃されて……機体のあちこちがバラバラになっていって………」

一夏「攻撃が止んで、活動停止したと思ったら……今度は機体が自爆しようとしたんだ」

鈴清「「自爆……」」

セシリア「そんな!!」

箒「ッ……」

クロエ「……」

クロエ(私達が駆け付ける前の爆発は一体何だったのでしょうか……)

一夏「俺とクロエにしか自爆するのが分からなかったから……俺はすぐにあいつの機体を持って空へ向かって全力で飛んで……宇宙空間で爆発させた………」

一夏「だからあいつは……ケイは……機体と一緒に爆発の中に消えた………」

一夏「その間にエムとジェイの二人は……逃亡した……んだと……思う………」

鈴清「「………」」

セシリア「何という事を……人を……人の命を一体何だと思って……」

一夏「ああ……そうだよな……本当に……人の命を何だと……ッ……思ってッ……!!」グスッ
637 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/06(月) 21:16:49.01 ID:ptnRwoQx0
箒(何を……言えばいいんだ……今の一夏に……私が出来る事は……ないのか……)ギュッ

クロエ「……」

セシリア(こんなお二人を見るのは始めてですわ……無理もありませんわ……目の前で人が死ぬのを見てしまったのですから………)

セシリア(もし私だったのなら……今頃一夏さんのようにしている事すら出来ませんわ………)

鈴「ごめんね……一夏……」

清「あたし達が……弱かったから……」

一夏「そ、そんな事ない!鈴も清も悪くない!あいつを救えなかったのはッ………救え……なかった……のは……ッ〜!」ポロポロ

一夏「ッ……!」ゴシゴシ

一夏「ごめん、何か湿っぽくなっちゃったな。もう風呂入って寝るよ」スクッ

一夏「皆、また明日」

箒「ああ、しっかり休めよ……」

セシリア「お休みなさい」

鈴清「「お休みーまた明日ねー」」

箒「クロエ……クロエ?お前はいいのか?」トントン

クロエ「えッ、あッ!はッ、はいッ!はいッ!?あっ、わっ、私も失礼します!お休みなさい!」ガタッ ペコリ タタタッ
638 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/24(金) 18:15:56.00 ID:cwYhqxHL0

ガラガラ……

箒「……」

セシリア「……」

鈴清「「……」」チラッ

鈴清「「……」」コクン

鈴「んっんん!げっほごっほ!セっちゃん、腹減った!」

セシリア「えっ?あ、はい」カチャッ

清「あー……んっんんーあ゛ー喉乾いちゃったなー!」

箒「……ほら」スッ

鈴「調子狂うよねー」モグモグ

清「狂うよねー」ゴクゴク

セシリア「鈴さん!食べながら話すのはマナー違反ですわ!」

鈴「ほーい」ゴクン

箒「じっとしてろ、包帯が緩まっている」ギュッ

清「んがっ!」グンッ
639 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/24(金) 19:14:10.57 ID:cwYhqxHL0
鈴「あんな一夏ん初めて見たね」

清「一夏んでもあんな顔するんだね」

鈴清「「ねー」」

セシリア「いくら何でも失礼ではありませんか?」

鈴清「「何だよーならセっちゃんは知ってたのかよー」」ブーブー

セシリア「……始めて見ました。一夏さんのあの様なお姿」

鈴「そらみろ、そーだろー」ブーブー

清「箒ちんは?」

箒「私は一度だけある………ずっと昔に一度だけ……」

箒「多分今回の事は……それが関係しているんだと思う………一夏に両親がいないのは知っているよな?」

セシリア「はい」

鈴清「「モチのロン」」コクコク

一夏「じゃあ“何故いないか”は?」

セシリア「それは……知りません」

鈴清「「はぐらかされた事なら何度もあるよ」」
640 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/29(水) 18:29:16.81 ID:bpSYTJxU0
箒「あれは一夏が三才の時だった。父親と母親、千冬さんと一夏、四人の織斑家にもう一人家族が増える事になったんだ」

箒「名前は百秋(ゆしゅう)、女の子だった。一夏は妹が出来る、ってずっと嬉しがってた」

箒「でも、一夏のお母さんはあまり体が強くなくて、千冬さんや一夏を産む時でもかなり危険な状態になりながらも二人を産んでいたらしい」

箒「だから医者には百秋を産む時はお母さんか百秋、二人の内どちらか死ぬって……言われてたんだ」

箒「当然一夏のお母さんは百秋を産む事にした。今思えば聞くまでもない事だが理由を聞くと、私が今こうして千冬と一夏と一緒にいるから、と笑顔で言っていた」

箒「そんなお母さんの姿を見ていたからか、千冬さんと一夏の二人は少しの不安も感じてなかった。織斑家全員が百秋が産まれて五人家族になるのをとても楽しみにしていたんだ」

箒「お母さんのお腹が大きくなるにつれて、皆とても嬉しそうにしていたし、待ち遠しくて仕方なさそうだった」

セシリア「強い……お母様でしたのね……」

鈴清「「うん……」」

箒「だが出産当日……お母さんと百秋……二人とも死んでしまったんだ………」

箒「この辺りの事は詳しくは知らない……一夏のお父さんや千冬さんにとっても辛い事だったから………子どもながらに聞けなかった………」

箒「ただ覚えているのは……状況が全く理解出来ていない一夏とずっと泣いていた千冬さん、二人に死んだ事を教え、優しく慰めるお父さん……でも、そんなお父さんも二人がいないところで……ずっと、たくさん泣いていた………」

箒「ごめん、ごめん、って誰に何て謝っているのかは分からなかった………」

箒「二人のお葬式になると一夏も幼いながらに二人の死を理解していた。だから式が始まる前からずっと俯いていたし、最後には泣いていた……千冬さんもずっと一夏を慰めていたが……最後には一緒に泣いていた………」

箒「そんな二人を一夏のお父さんは優しく抱き締めていた………私が見たのはそこまでだ………私は泣きじゃくる二人を見ていられなかったから………」
641 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/29(水) 19:30:12.53 ID:bpSYTJxU0
箒「それに私は三人を見ていて……何か嫌な胸騒ぎがずっとしていて……どうしようもなく不安だったのもあった………」

箒「お葬式が終わった帰り、三人の乗った車が事故に会った……」

箒「トラックの居眠り運転、だったそうだ……車は大破していて一夏のお父さんは即死……後ろに乗っていた二人は奇跡的に軽傷で済んだ………」

箒「後から聞いた話では……一夏のお父さん自分がトラックに潰されると分かっていながらも………ハンドルを切ったのかもしれないって………二人を守る為に………」

箒「まだ何も聞かされていなかった私は父さんや母さんを引っ張って二人のいる病室へと走った。嫌な予感がしていたんだ………もしかして千冬さんや一夏が大変な事になっているかもしれない……そんな漠然とした不安があったから………」

箒「千冬さんと一夏は少し包帯を巻いているぐらいで、ほとんど怪我はなかった。その時私は心底ホッとした。自分の不安がただの杞憂だった事に」

箒「そんな安心に浸りながら千冬さんや一夏と話すと……恐ろしい事に気が付いた………」


箒「一夏は……お父さんやお母さん……百秋の記憶の何もかもを無くしていたんだ………」


セシリア「そんな……!」

鈴清「「ッ……!」」

箒「事故のショックらしい……だから一夏は未だに家族の事を何も思い出せないし……事故の後遺症で小学校までの事を何も覚えていない………」

箒「私は一夏が怖かった。何度家族の事を聞いても、あれだけ悲しんでいたのに本当に何も分からなくなっていたから………一夏がまるで自分の知らない何かになってしまったんじゃないか、って思えて………」

ギュッ……

箒「すまない、話が逸れたな。引き取り手のなかった二人を私の父さんが引き取った。ご近所付き合いも良くしていたし、父さんと一夏のお父さんは親友だったから」

箒「一夏は記憶を無くしていたからか、篠ノ乃家で暮らす事に何の抵抗もなかった。けど、千冬さんはよく泣いていた………」
642 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/29(水) 21:59:01.76 ID:bpSYTJxU0
箒「一夏は突然泣き出す事があった。一夏自身は何故涙が出るのか分からないのに……ただ泣いて……千冬さんがそれを慰める。そんな事がよくあった……」

箒「全く笑わなくなった千冬さんや一夏の為に父さんや母さん、姉さんや私は二人が泣かなくていいように、家族として出来る精一杯の事をした」

箒「しばらくして二人は笑うようになった。千冬さんは父さんに剣を教わり、一夏は前の活発さを取り戻した。けど、突然泣き出すのだけはどうしようもなかった………」

箒「そして私と一夏が小学生三年生の時、織斑家の墓参りが終わった次の日、一夏がいなくなった」

箒「千冬さんが一夏までいなくなった、と泣き崩れ、父さんは真っ先に家を飛び出し町中を探し回った。母さんと姉さんは千冬さんを慰めながら私を連れて探し回った」

箒「一時間ぐらい探し回っても一夏が見つからなくて、父さんはあちこちに電話して親戚や近所の人、町の人や警察も集まって一夏を探した」

箒「千冬さんは言ってた。私のせいだ。私が一夏にお父さんとお母さんと百秋は“いなくなったんだ”って教えたから。だから一夏はお父さんとお母さんと百秋を探しに行ったんだ、って……泣きながら言ってた………」

箒「夜になって、五キロ程離れた山で一夏が見つかった。保護された一夏は泥だらけで小さな怪我がたくさんあった。けど、見つかった時から泣いていたりなんかは全くしていなかったらしい」

箒「誰よりも速く、一夏に駆け寄った千冬さんが一夏を殴った。その場所にいた誰もが驚いていたし、一夏が一番驚いていたと思う」

箒「お父さんとお母さんと百秋は死んだんだ。探してもどこにもいないんだ。だから二度と帰ってこないんだ。死んだんだ。なのにお前までいなくなるな」

箒「そう怒りながら大声で泣き出した千冬さんが一夏を抱き締めて、一夏も謝りながら泣き出した」

箒「ちょっとだけだけど、姉ちゃんの言うお父さんやお母さんや百秋がいるんだって思い出したから探しに行ったんだ。でも家に行ってもどれだけ探してもどこにもいなくて、姉ちゃんに喜んで欲しかったから、ごめんなさい、って泣きながら言ってた」
643 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/29(水) 22:29:05.19 ID:bpSYTJxU0
箒「覚えていない家族、その事で泣く千冬さん、何故か悲しくて出る涙、名前の違う家族、前まで友達だった姉妹、違和感を覚える家、分からない記憶、………」

箒「一夏がそんな行動を取った理由なんて数えきれないぐらいあったし………自分でも分からないものでずっと悩んで、苦しんでいたんだ………なのに私達は一夏に何も出来ていなかった………」

ギュッ……

箒「一夏はその時あちこち探し回って、千冬さんに言われて初めて、本当に理解したんだと思う」

箒「家族の死と千冬さんの悲しみを」

箒「その日から一夏は、人の“死”や“悲しみ”に敏感になった」

箒「鈴、清、お前達は見た事ないか?軽はずみで死ねと言った奴に殴りかかったり、人の事なのにまるで自分の事のように悲しむ一夏を」

鈴「えっ?う、うん、怒って飛びかかるなんてしょっちゅうあったよね」

清「うん、一緒になって泣いていたりもしょっちゅうあったよね」

箒「だから今回もきっとそれなんだと思う……人が死ぬのを目の前で見たからそれが強くて……一夏は昔から優しかったから……」

箒「あんなに……泣くぐらいまで………」ギュッ

鈴「……ふんっ、馬鹿だよ、一夏んは……大馬鹿たれだよっ………」

清「何があいつにとって凄く大切な事だったんだと思う、だよっ……」
644 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/03/29(水) 22:55:06.84 ID:bpSYTJxU0
箒(一夏が泣いてるのに……私は何も出来ない………昔からそうだ……慰める事すら……私には出来ない………)

鈴(馬鹿一夏ん……敵だった奴の事まで……自分の事みたいに悲しまなくたっていいじゃんか……)チラッ

清(って言ったら一夏ん怒るよね。人が死んだんだぞ!って……)チラッ

鈴清「「はあ……本当、馬鹿だよ……」」ボソッ

鈴清((あ、一夏んの泣いてるとこ思い出したら……ちょっと……))ジワッ

セシリア「うっ……ううぅっ……うううぅぅぅぅえええぇぇぇぇ!!一夏さあぁぁぁぁぁん!!」ボロボロボロ

鈴「うぎゃーっ!!セっちゃん鼻水ー!!汚いー!!」

清「えぇ……」

セシリア「そっ、ぞんなっ……ひぐっ……そんなお辛い経験をっ……なさって……えぐっ……いたとは……私っ……しっ、知らずっ……ううぅぅぅっ!」ボロボロボロ

箒「そ、そこまで泣かなくてもいいだろう……ほら」スッ

セシリア「しっ、失礼しますっ……」チーン

セシリア「だって……一夏さん……ひぐっ……普段あんなに楽しそうに笑って……らっしゃっるのに……そんな……そんなっ……っ……うううぅぅぅっ!!」ポロポロ

鈴「ばっ!馬鹿セっちん!人の事で泣き過ぎ!そっ、そんなに……泣いたらぁ……!」グスッ

清「なんか……こっちまでっ………もらい泣き……しちゃうじゃんかぁ………!」グスッ

セシリア「一夏さぁぁぁぁん……!!」ポロポロ

箒(つくづく冷徹な女だ……私は……人の事で涙の一つも出ないのか………)
645 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/11(火) 17:38:27.22 ID:MLCtnw/z0
箒「落ち着いたか?」

セシリア「はい……はしたないところをお見せしました……」ペコッ

鈴「セっちゃんてば全くだよっ」プンプン

清「うんっ」チーン

ガラガラッ

真耶「皆さーーーあれっ?クロニクルさんと織斑くんは?」ヒョコッ

箒「二人なら部屋に戻りましたよ」

真耶「あちゃーそうでしたかー」

真耶「とにかくっ、今日はもう休んだ方がいいですよ!明日から事情聴取とか事後処理の関係でと〜っても忙しくなりますから!」

鈴清「「え〜!」」

真耶「お二人は怪我に響くぐらい事情聴取されるので覚悟しておいた方がいいですよ!」

鈴清「「やだ〜!!」」

真耶「怪我人なんですからしっかり休む!!」クワッ

鈴清「「はーい……」」シュン

箒「事情聴取、か……」
646 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/11(火) 17:53:37.58 ID:MLCtnw/z0
セシリア「山田先生の仰る通りですわ。休む時に休まないと、いつまでもミイラ女のまんまですわよ?」

鈴「うぐぅ……」

清「んぬぅ……」

真耶「い・い・で・す・ね・?」ニコッ

鈴清「「りょ、了解でありますっ!」」ビシッ

箒「一夏の気持ちが分かるな」ヤレヤレ

真耶「それじゃあ皆さんっ、気が滅入りますが明日は頑張りましょう!」

真耶「お休みなさい!」

箒「お休みなさい」

セシリア「お疲れ様です。お休みなさい」

鈴清「「お休みなさ〜い」」フリフリ

ガラガラッ

箒「さて、私達も帰るか」

セシリア「そうですわね」

鈴清「「え〜もう帰るの〜!」」ブーブー

箒「はあ、山田先生に釘を刺されたばかりだろう」

鈴清「「うっ……そうだった……」」
647 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/11(火) 18:02:07.59 ID:MLCtnw/z0

コツッコツッコツッ

一夏「……」

クロエ「……」チラッ

一夏「……」

コツッコツッコツッ……

クロエ「………」

ギュッ……

クロエ「あっ、あのっ!一夏様っ!」

一夏「ん?どうした?」ピタッ

クロエ「えっと……その……も、申し訳ありません……」

一夏「何でクロエが謝るんだよ。別に謝るような事なんて何もしてないだろ?」

クロエ「えっと……ですからその……何もしていない事を……謝罪、したんです……」

一夏「何もしていない事を……?」

クロエ「はい……もし、私が箒様なら、束様なら、千冬様なら……今の一夏様に何か出来たと思うんです……」

クロエ「ですが……今の私には……一夏様に何も出来なくて………その事がとてももどかしくて………」
648 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/11(火) 18:21:52.81 ID:MLCtnw/z0
クロエ「一夏様は私の為に色んな事をしてくださいます………しかし、私は……一夏様の為に出来る事が……多くありません……」

クロエ「今だってそうです……一夏様がとても……苦しんでいらっしゃるのに……私は……何も出来なくって……ですから……申し訳なくて……私……わたしっ……!」グスッ

一夏「……はあ、クロエ」

クロエ「申し訳……ありません……一夏様……」ポロポロ

一夏「クロエ」ソッ

クロエ「一夏……様……?」

一夏「聞いてくれ、これは俺の問題なんだ。箒や束姉ちゃんや姉ちゃん、クロエがどうとかじゃないんだ。だからさ、クロエが泣いて謝る必要なんてないんだよ」ナデナデ

クロエ「そう……でしたか……」

一夏「でも、ありがとう。そこまで俺の事を気遣ってくれて」

クロエ「いえ……私にはこれぐらいしか……出来ませんので……」

一夏「それで充分だよ。だから、泣かないでくれ」

クロエ「は、はいっ!了解しましたっ!」クシクシ

一夏「うん、よろしい。いつものクロエだな」ポンポン

クロエ「はいっ、いつものクロエですっ」フンス
649 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/11(火) 18:40:45.55 ID:MLCtnw/z0
真耶「あっ!見つけたっ!織斑くんにクロニクルさ〜ん!」パタパタ

一夏「あれ?山田さん、どうしたんですか?」

真耶「えっとですね、通達があって来ました。お二人はもう寝ますか?」

クロエ「いえ、私は夕食やお風呂がまだですので」

一夏「クロエに同じく。それが通達ですか?」

真耶「いえいえそんなまさか、一夏くんに大浴場の使用許可が降りた事が通達ですよ」

一夏「へー大浴場が、ですか」

真耶「そうですっ、普段は女子高ですから男の子である織斑くんには使用許可が降りません。ですのでせめてこんな時だけでも、という事です!」

クロエ(大浴場……私は平常時でも使用可能……でも……恥ずかしい……)

真耶「まあ、その……ほら、今日一日色々ありましたし、明日からも色々ありますから広いお風呂でゆったりして、心も体もリフレッシュ!してくださいね!」

一夏「そうですね、お言葉に甘えてそうさせて貰います。ありがとうございます」

真耶「こちらとしては今日の織斑くんの活躍に対して、大浴場の使用許可だけ、というのも申し訳ないですが……」

一夏「……」

一夏「そんな事ありませんよ。充分ですよ」
650 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/11(火) 19:14:21.77 ID:MLCtnw/z0
クロエ(一夏様……)

真耶「そんな事ありません事はありません!織斑くんはたくさんの人の命を救ったんです!称賛されて然るべき事なんです!!」

真耶「私達はただ手をこまねいて敵の良いようにされていただけでしたので、本当に感謝しているんです!だから!」

ガシッ

真耶「彼の事は気の毒です。けど、だからってそんなに自分を責めないで」

真耶「一夏くんの行動のおかげで、多くの人の命が、救われたんです……!」

ギュウゥゥゥ……

真耶「だから……!」

一夏「……でも、俺はあいつを……救えなかったんです……!」

グッッ

真耶「ッ……あっ!ごめんなさい!わっ、私っ、勝手に一人で熱くなって、織斑くんの気持ちを考えてなくてーーーああもう!私ったら何してるんだろう!」パッ

真耶「ごめんなさい!今日はゆっくり休んでくださいね!」タッタッタッタッ

一夏「……お休みなさい」

クロエ「あ……」

クロエ(山田先生のあんな姿……初めて見ました……)
651 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/11(火) 19:26:43.42 ID:MLCtnw/z0

タッタッタッタッ……

真耶「はあっ……はあっ……」

ピタッ

真耶「ふうーっ……本当、何しているんですかね、私……」

真耶「織斑くんと自分をダブらせるなんて……」トンッ

ズリズリ……ストンッ

真耶「駄目だなぁ……私……」

真耶「私と一夏くんじゃあ状況も装備も、何もかも全然違うのに………」

グッ……

真耶「やっと忘れたって思ったのに……何で……」

真耶「ッ……!」ギュウゥゥゥ

真耶「……一夏くん……優し過ぎるよ……」

真耶「そんなんじゃあ……束博士に貰ったISを使っていけないよって……束博士と一緒にいられないよって………」

真耶「甘ちゃんの戯言だ、って何で言えないんだろう………」

真耶「やっと変われたんだって思ったのにな……」

真耶「本当、駄目だなぁ………」
652 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/18(火) 17:30:20.91 ID:QCq7eQ0W0
〜大浴場〜

クロエ「……」オソルオソル

プルプルプル

クロエ「っ……」チャプッ

クロエ「お、おお……」チャプチャプ

クロエ(これが……大浴場、ですか……)キョロキョロ

クロエ(当然ですが……広い……)

クロエ「……」チラッ

一夏「………」シャコシャコ

クロエ(一夏様……やはりまだ………)

ガラッ

千冬「ふーっ、全く、疲れた疲れた」ゴキゴキッ ヒタヒタ

クロエ「ちッ、千冬様!!?」ビクッ

一夏「ああ、姉ちゃんか……」チラッ ザバッ

千冬「………」
653 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/18(火) 17:43:01.59 ID:QCq7eQ0W0
千冬「何を驚いている?私だって人間だ。風呂ぐらい入る」ヒタヒタ

クロエ「は、はい……そうですね……」

千冬「私も普段は大浴場に入れないからな」チラッ

一夏「………」ゴシゴシ

千冬「それに今日は……いささか疲れた……広い風呂でゆっくりさせてもらおう」ザバッ

ヒタヒタ チャプッ…

千冬「ふうーっ……生き返るな……」

クロエ「……」オロオロ

千冬「クロエ、湯船にタオルを浸けるな」

クロエ「えっ、あっ、はっ、はいっ!」バッ

一夏「………」ザバッ

千冬「ほら、もっとこっちに来い」

クロエ「は、はいっ」スススッ

一夏「……」ヒタヒタ チャプッ

千冬「今日はよくやったな。おかげで助かった」ワシャワシャ

クロエ「い、いえっ、その為の私達ですから……」モジモジ
654 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/18(火) 18:06:23.33 ID:QCq7eQ0W0
千冬「一夏もだ。お前達は充分やった。もっと胸を張れ」

一夏「……うん」

クロエ「………」

千冬「それとも……納得いかないのか?」

一夏「……」

グッッ……

一夏「そういうんじゃ……ないんだ……ただ……」

千冬「ただ?」

一夏「ごめん……姉ちゃん………」

千冬「……何だ?どうしてお前が私に謝る?」

一夏「俺……ドイツで目が覚めて……姉ちゃんや束姉ちゃんが泣いてるの見て……色々考えて……束姉ちゃんにISを貰って……必死で特訓して……強くなったんだって……思ってたんだ……」

一夏「でも……実際は……全然強くなくて……皆を守るどころか……目の前の人一人守るのに精一杯で………」

一夏「守れもしなかった………!!」グッッ

バシャッ

一夏「っ……うぐっ……っ……!」グスッ
655 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/18(火) 18:30:12.50 ID:QCq7eQ0W0
一夏「ううぅっ……っ……ぁああっ……」グスッ

クロエ「一夏様……」

千冬「………」

千冬(一夏……お前という奴は……つくづく……)

千冬「……なあ、一夏」スッ

一夏「ねえ……ちゃん……?」

千冬「人はどこまで強くなればいいんだろうな……」

一夏「え……?」

千冬「私はあの日……父さんが亡くなって、お前が記憶を無くしたあの日から……強くなろうと心に決めたんだ」

千冬「私は……お前をこの世界のあらゆる事から守りたい……お前が笑っていてくれるのならそれでいいと………ただその一心で、ただひたすらに強くなった……」

千冬「篠ノ之家に迎い入れられては……新しい家族皆を守りたい……もう二度と誰一人だって失わない……そう思っていた……」

千冬「今考えてみればただの愚か者だ。たった一人で世界の全てに立ち向かうようなものだ。年端もいかない小娘の、世間知らずで思慮浅き愚かな思い上がりだ」

千冬「だが私は……離れ離れになる家族を止める事すら出来ず………口当たりの良い口車に乗せられ、いつの間にかブリュンヒルデーーー世界最強の女として祭り上げられるまでなってしまった」

千冬「その後はお前がよく知っている通りだ。世界最強の女は、世界中の誰もを倒す事は出来ても、離れ離れの家族を一つにするどころか、残されたたった一人の家族を守る事すら出来ぬ愚か者だった……」

千冬「その挙げ句……まるで弟を守る事すら出来なかった罰のように……私はISを使えなくなった………」
656 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/18(火) 19:47:19.18 ID:QCq7eQ0W0
千冬「どこまで強くなればいいのか。どうすれば皆を守れるぐらい強くなれるのか、それは分からない……だがな」

ギュッ……

千冬「誰かに綺麗事だ偽善だと言われようと、例えどんな事があったとしても……お前はその思いを忘れずにーーーそのままで強く在り続けろ」

千冬「そうしなければ……私のようになってしまうぞ………いいな?」

一夏「……うん」グスッ

千冬「よし、なら思いっきり泣け。何もかも吐き出せ」ワシャワシャ

一夏「う……あ……俺ぅ……俺っ……!!」ポロポロ

千冬「ん?何だ?」

一夏「ケイを助けられなかった!!あいつにだって大事な人がいたのに!!エムやジェイがあいつの事を大事に思ってたんだ!!」ポロポロ

一夏「あいつ等ケイの事ずっと心配してて!!ケイが死にそうな時に本気で怒って!!助けようとしてた!!なのに俺は!!何も出来なくて!!ケイを助けられなくてッ……!!」ポロポロ

一夏「あいつ等今頃泣いてるんだ……ケイが死んで……二度と話せないし会えもしないから………きっとどこがで……どこかで泣いてるんだ!!!」ポロポロ

一夏「ケイに会いたい……もう一度っ……はっ、話がしたいって……あいつ等……泣いてっ……る……はず……なんだっ……」ポロポロ

千冬「ああ、そうだな」ナデナデ

一夏「な……なのにッ……俺ッ……な、何もッ……出来なくてッ……っ……うっ……ぃぐっ……うあ……うあぁぁぁっ……ああああああ!!!姉ちゃああああぁぁぁぁぁぁん!!!」ポロポロ

一夏「うああああぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!」ボロボロボロ

千冬「そうだ、思いっきり泣け。この……愚か者が……」ギュッ

千冬「クロエ、こっちに来い……」

クロエ「はいっ……!?」スススッ

千冬「………」ギュッ

クロエ「ちっ、千冬様?」

千冬「今は……こうされていろ……!」ギュウゥゥゥ

クロエ「ッ!……分かりました」ギュッ

クロエ(千冬様……声が震えて……一夏様の悲しみを感じていらっしゃるのですね……)

クロエ(暖かい……とても……暖かいです……千冬様……一夏様………)ギュウゥゥゥ
657 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/25(火) 20:23:55.27 ID:0rPfwMLU0


-----

?「………」スッ


カチャ……カチャ


?「………」スッ

?「………」カチャ


ジャラジャラジャラジャラ……


?「………」

ウィーンッ

?「任務か」

ジャコンッ カランコロン

スコール「さあ?何なら当ててみなさい。外せばブービー賞でその綺麗綺麗なドタマに前衛芸術な風穴をあげるけど?」

?「……」

スコール「ソリタリア、ね……ヘドがで出るわ。で?答えは?」バキャッ

?「それは命令か」

スコール「チッ、呆れた……この状況が分からないのかしら?」
658 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/25(火) 20:44:19.66 ID:0rPfwMLU0
スコール「いきなり入ってきた馬の骨が、リロードしてショットガン頭に突き付けてるのよ?何が起きてるのか想像出来るでしょ?」

スコール「少なくとも、他のあなた達は想像出来ていたわ。とても想像力豊かな答えが聞けたわ。だから今頃ブービー賞貰って死ぬ程喜んでいるわよ?」

?「お前に殺される事が命令か」

スコール「ッ〜!ああッ!もうッ!!これだから人形は嫌いなのよ!!」ガシガシッ

ゴリッッ

スコール「抵抗ぐらいしてみろ………!!」グググッ

?「お前を殺せとは命令されていない。殺せ」

スコール「なら今からする私の質問に答えろ!!これは命令だ!!」

?「了解」


スコール「生きたいか?!自分の意志で、自由に!!生きるか?!!」


?「………」

スコール「答えろッ!!!」グイッッ!!!

?「……」

スコール「フーッ……フーッ……フーッ……!!!」
659 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/25(火) 21:02:13.97 ID:0rPfwMLU0
スコール「答えろ!!サマーシリーズ最後の生き残り!!サマーハンドレット!!!」

サマーハンドレット「俺は影だ」

サマーハンドレット「織斑一夏という光から生まれた影だ」

サマーハンドレット「影は光の中にはない」

サマーハンドレット「俺達やウィンター達、スプリング達も、そうだ」

サマーハンドレット「この世界に居場所などない」

サマーハンドレット「生きる意味も」

サマーハンドレット「存在理由も」

サマーハンドレット「自由も」

スコール「こッ、このッ……!!」ギリィッッ!!

サマーハンドレット「どうした。やれよ」

スコール「ああそう!!なら死になさい!!!」ガチッ


ズドンッ……ビチャッ………


スコール「ハァーッ……ハァーッ……ハァー……ッ……ッッ……あ
あッッ!!!」ジャコンッ
660 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/25(火) 21:30:58.17 ID:0rPfwMLU0

カランコロン……

スコール「………」

グッッ……

スコール「こッ……このぉッッ……!!どいつもこいつもッッ!!」ガスッッ!

バキャアッ!!

スコール「何が命令よ!!何が存在理由よ!!何が影よ!!光ですって?!!」ズドンッ

スコール「くだらない御託並べて!!ふざけやがって!!そんなものあろうがなかろうが人は生きれるのよ!!!」バキィッッ

スコール「あぁぁぁッッ!!クソッッ!!こんなの笑えない……笑えないのよ!!」ガッッ ガシャーンッ

スコール「自分がクローン?!生まれながらのキリングマシーン?!だからどうしたってのよ!!!ええ!!?」ジャコンッ

カチッカチッカチッ

スコール「ッ!!?自由がない!!?」ブンッッ!!

バキャッッ

スコール「だったら死んでもいいっていうの!!?ゴミ以下の死に方で満足なの!!?こんなので生きたの!!?」ドゴッッ

スコール「ケイは生きたがっていたのよ!!!誰よりも!!自由に!!多くの自分を殺し!!墓も作って!!!それでも生きようとしてた!!!」ジャッッ

バキャッッ

スコール「なのにあんた達は何もッ……何も生きようとせずにッ………殺すか殺されるかだけでッッ……!!」
661 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/25(火) 21:47:17.26 ID:0rPfwMLU0

グッッ!!!

スコール「生きてみろ!!生き恥だろうが何だろうが晒し!!地べたを這いずり、泥でも血でも何でも啜って無様にみっともない生き方でも何でもやって生きてみろ!!!」

ドゴッッ!!

スコール「自分の意志で!!!」

パラパラ……

スコール「ハァーッ!ハァーッ!ハァーッ!」ズボッ

スコール「ハァーッ……ハァーッ……クソッ……何よ……訳も……分からず……死んで……」

スコール「本当は自由になってみたかったくせに……なのに……怖がって……だからって死ぬ事ない……じゃないッッ………!!」

ゴスッッ

スコール「どいつもこいつも………自由になりたい……そんなの抱えた目で死なれたんじゃあ……殺したこっちも胸糞悪いのよ………」

スコール「笑えないのよ……なのにあんた達は……自分達だけ笑って……死んで………」

ダンッ……

スコール「ふざけんじゃないわよ……!!」グググッ

文『スコールの姉貴、そっちはどうですかい?』

スコール「……」

文『姉貴?どうかしやしたか?』

スコール『文、今終わったわ。生存者はなし。どいつもこいつも皆殺しにしてやったわ』
662 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/04/25(火) 22:20:08.82 ID:0rPfwMLU0
文『そうですか……あわよくばウチに、って算段でしたのにね……きっとこいつ等ぁ戦力になりやしたぜ』

スコール『そうね。首輪付けてでも生き残りにしておくべきだったわ』

スコール『それに……他人の犬を調教して自分のものにするって……最高じゃない?』

文『ハハハ……姉貴はそうでしたね……ハハハ』

スコール『そう考えたら惜しい事をしたわ。あーあ、もうっ、私とした事がもったいない事を……』

文『と、とにかくですね。姉貴、上は私達が全部処理しやした。後はオータムの姉貴の向かった本部へカチ込んでやるだけですぜ』

文『契約違反したツケ、キッチリ払わせてやりやしょうや』

スコール『ええ、そうね。ド三流がプロの仕事を汚した罰は……受けてもらわないとね』

文『それでは、エンジンを温めてお待ちしてやす』

スコール『二分で行くわ』

スコール「………」

スコール「……」スッ

ピチャッ……

スコール「馬鹿ね……本当に……お馬鹿な子……」

スコール「………」スクッ

コツッコツッコツッ

『START INCINERATION』

スコール「……お休み、永遠に」ペロッ
663 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/16(火) 21:11:39.94 ID:YnfxchMx0
〜???〜

「貴様……何のつもりだ………」

社長「御覧の通り、これが新しい時代を作る者達……スプリングシリーズだ。そして、新しい時代に貴様等のような老人は必要ない」

社長「地べたを這いずり回る事を良しとする哀れな存在にはな」

「恩を仇で返されるとはのう……悲しいのう……」
「だッ、誰が貴様をその地位つかせてやったと思っーーー」ズドンッ

ビシャッッ

社長「それについては感謝している。しかし、それとこれとは話は別だ」

「我等を贄としたところで、お前は地から離れる事は出来ない」

社長「確かに、私はそうかもしれない。だが人類は失っていた力を取り戻す時がもうすぐ来る……そう、この空を越えた先にある未知の宇宙へと進む時が……」

社長「そして、あの白いISを越える時が」

「それはどうかしらね」

社長「何……?」

「あなたの言う“失っていた力を取り戻させない”のが白いISの本来の目的ではなくて?」

社長「戯れ言を……ならば私達が力を持つに値するのだと、あの白いISに思い知らしめてやればいいだけの事」

社長「あの力は、あんなものの手ではなく人の手の中にあって然るべきものだ」
664 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/05/16(火) 21:37:09.78 ID:YnfxchMx0

「ならば地獄で見ていてやろう……彼女が、お前に力を授ける時をな………」

社長「授けられるのではない。私達の手で、あんなものを越える力を手に入れるのだ」スッ

「哀れね、人はまだ空を飛べる程賢くはないというのに」


パチンッ ズドンッ……ドサドサドサドサッ


社長「フン、あの世で神に陳情でもしていろ」クルッ

コツッコツッコツッ ウィーンッ

社長「今終わった」

秘書「そのようで。後の処理はお任せください」

社長「一切の痕跡を残すな、あの部屋には時間も金もかけたからな」

秘書「承知しております。それと、オータムから契約について話がある、との事です」

社長「犬畜生風情が……おめおめと戻ってきたとはな。フン、まあいい、どこにいる?」

秘書「社長室にて待っている、との事ですが。如何致しますか」

社長「野良犬が手を噛むかもしれんからな、スプリングシリーズを用意しておけ」

秘書「はい、極めて早急に」

社長(犬畜生が……くだらん事をほざきに……奴をクビにしてスコールを変わりにするか)コツッコツッコツッ
665 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/05(月) 20:34:12.13 ID:+NU3bb7W0

ウィーンッ

社長「オータム、貴様今までどこにーーー」

オータム「お待ちしておりました。社長」ピシッ

社長「ッ!?」

オータム「まずは……」ツカツカ

社長(こいつがスーツだと……契約の時すら戦闘服だったこの女が……何だ……何のつもりだ……?)

ピタッ

オータム「こちらを」スッ

社長「フン」パシッ

社長「度重なる契約違反につき、契約破棄をここに通達……違約金……貴様くだらん事をーーー」

オータム「お読みになられた時点であなたは最早、契約者ではありません」

スコール「ま、そーいう事なのよ。とにかく、契約は契約……払うものはキッチリ払うのがプロってものよ。アマチュアクライアント様」クルッ

社長「貴様私の椅子を……」

スコール「ああ、これね。座り心地の悪さはまさに現代芸術の傑作ね。でも、あそこの棒みたいなインテリアはなかなかいいわね。アウシュビッツの檻を彷彿とさせるもの」
666 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/05(月) 20:47:11.58 ID:+NU3bb7W0
オータム「スコール、どけ」ツカツカ

スコール「はいはい」

ガラッ キュポンッ ジョボジョボジョボ

スコール「あーあ、品がないわね。せっかくのウィスキーなのに」

オータム「黙ってろ」シュルッ グイッ

ゴクゴクッ カンッッ

オータム「っはあ〜!さて、とっとと出すもん出してもらおうじゃねぇか。こいつは前金みてぇなもんだ」

社長「好き勝手も大概にしろよ」

オータム「ああ?こっちの台詞だクソボケ、どっかの誰かの好き勝手のせいでこっちは人質と無理心中しかけたんだぞ」

社長「私とて今回の奴等の行動を許すつもりはない」

オータム「作戦が失敗したから、だろ?ふざけんじゃねぇよ。作戦が失敗しようが成功しようが奴等の行動は俺達に銃口を向けた事に変わりはねぇ」

オータム「それをみすみす見逃したテメェも、テメェのこの組織も、俺達に銃口を向けたんだよ。分かるか?」

スコール「……」スッ

オータム「っと」サッ

スコール「私にもよこしなさいよ」ムスッ

オータム「待機中に散々飲んでたろうが」
667 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/05(月) 21:10:26.09 ID:+NU3bb7W0
社長「だったらどうする?我々ファントム・タスクにたかたが一小隊で楯突くつもりか?」

オータム「場合によってはな。だがな、俺は御覧の通りビジネスウーマンだ」

スコール「ビジネスウーマンねぇ……」

オータム「だからこういういった事は……商談で済ませたようと思うんだよ。一方的な虐殺劇で何もかも失うよかよっぽどマシだろ?」

社長「もういい」

オータム「あ?」

社長「犬畜生風情が、黙って話を聞いていてやればベラベラとくだらん事をほざきよって。私とて我慢の限界だ」ピッ

バンッ ゾロゾロゾロ

スコール「あら、もう出来てたのね」

オータム「アーマードトルーパーズ……ビームガン持たせた方が見映えはいいな」

スコール「じゃあ、あなたは赤のライトセーバーね」

オータム「うるせぇ、誰がダースモールだ。俺はクワイ=ガン・ジン派なんだよ」ジョボジョボジョボ

社長「これは奴等の代わりだ。貴様等の代わりもじきに来る。ステーーー」

スコール「はあ?あなた正気?あんなアバズレ雇うなんて……ヤクでもやった方がいいわね」

オータム「残念なお知らせだが、そいつは俺達の界隈でも特別ハミダシ者でな。理由は……三度の飯より殺しが好きだからな」
668 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/12(月) 18:19:38.46 ID:M7PAy5oS0
社長「殺せ」

スコール「貰うわね」パシッ

オータム「あっ、テメェ!」

シーン

社長「……?どうした、何故動かん……!?」

「………」ガクガクガクッ

社長「何だ……何が起きている……!?」

スコール「ゲフッ、アーマードトルーパーズ、中身はスプリングシリーズという事は……その体には当然ながらナノマシンが入ってる」

オータム「クソが、全部飲みやがって……」

スコール「そして今現在、私はファントム・タスクのメインシステムを乗っ取っている。もちろんそこには火器管制システムや、ナノマシン制御システムも含まれている……後は分かるわよね?」

「……」スッ

社長「銃を互いに!?きッ、貴様まさかッ!!?」

スコール「そのまさかよ」


ズドンッッ……ゴシャッ


スコール「無敵の帝国鉄十字団ここに破れたり、ってところかしらね」
669 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/12(月) 18:37:27.58 ID:M7PAy5oS0
オータム「流石は対IS用だ。文字通り消し飛んじまったな……ま、クラシックもたまには良いって事だ」

スコール「で?次はどうするの?」

社長「きッ……貴様等ッ……!!」

スコール「まさかこの程度で終わりだ、なんて言わないで頂戴。こっちはこの程度で済ませる気なんてないのよ?」

スコール「さっさと次の手を使いなさい。その為に通信だけは出来るようにしてあるのよ?」

社長「貴様等!仕事だ!!早く社長室に来い!!」ピッ

オータム「あ?今度は雇われか?」

スコール「一小隊……どこの連中かしら?ナノマシンは入ってないとなると……雇われたばかりね」

オータム「せめて同情だけでもしてやるか、初仕事で相手が相手……対IS装備のプロを相手にするんだからな」

社長「対IS装備だと!?貴様等のどこにそんな物がーーー」

スコール「格好良くいこうかしら、小隊一斉射用意、装弾」

ガコンッ

社長「何ッ!?どこから音が!!?」

スコール「隊長殿、目標は後十秒で到着……御命令を」

オータム「よーし、テメェ等ァ!派手に行こうぜ!!」
670 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/12(月) 18:54:03.28 ID:M7PAy5oS0
オータム「ロックンロール!!」クイッ


ズドドドドドドドドドドドドド


社長「うおッ!!?」


ドドドドドドドドドドドドドォォォォン………


オータム「対IS火器の威力を体感したご感想をどうぞ、ってな」

スコール「“死ぬ程凄い”」

「うっひっひっ〜!やっぱ手が痺れるぅ〜!」プラプラ
「そりゃ12.7mmの全弾フルオート……サイボーグじゃないと使えないのにアホが無茶してブッ放すから……」
「銃身を制御した事を褒めるべきでは?」
「あーあ、もったいないわねぇ……良い女がいたかもしれないのに……」
「あんたはちょっと黙ってなさい」

スコール「悪い知らせを言うなら、あそこに女だったものはないわよ?」

「ならいいわ」ケロッ
「切り替え早っ」

社長「ッ……ッッ………なッ……!!?」

オータム「さーて、今回のタネあかしといこうか」
671 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/12(月) 19:11:51.40 ID:M7PAy5oS0
オータム「まずは本日のイカしたスペシャルゲストをご紹介させて頂くとしようか!大将が会いたがってた天才博士!さあ、拍手で迎えてもらおうかぁ?」

オータム「レディースアンドジェントルメン!篠ノ之束博士のご登場だ!!」

社長「なッ……はあっ!!?」

束「とうっ!」ビョーンッ スタッ

束「は〜い♪あなたのハートを全て解析っ☆篠ノ之束お姉さんだよ〜!いえ〜い、ぶいぶいぶいすりゃあっ☆」ビシッ

ヒューヒュー パチパチパチパチパチパチ ヒューッ!!

束「ありがとー皆ありがとー!大好きだよ〜!」

社長「何故……貴様がここに……」

束「なぁ・ずぇ・だっ・てぇ〜???」グルッ

束「は〜い★それはと〜ってもと〜っても★単純明快、起承転結、一部始終、正確無比で約束破りな事で〜す★」ツカツカ

ズイッ

束「やり過ぎだよ。何もかも」

社長「やり……過ぎ……だと……?」

束「そう、やり過ぎ」
672 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/26(月) 18:30:23.52 ID:lhfBXlB70
束「クローン技術、ナノマシン、IS、対IS火器、パワードスーツ、それ等を用いてのIS学園襲撃……」

束「私が忙しい時に実行出来て良かったね」ニコッ

社長「忙しい、だと?小娘が笑わせるな、今回の作戦は貴様が解析が必要だと言ってIS技術を公開しようとしないから行ったものだ」

社長「貴様がIS技術を独占さえしなければ、わざわざこんな事を我々がする必要はなかったのだがな」

束「少なくとも、あなたには絶対に渡さない。ナノマシンに義体技術……ISから派生した技術すらも逸早く軍事利用したのにISを軍事利用しないはずがない」

束「事実、アメリカ、ドイツ、フランス、日本に譲渡されるはずだったISを強奪、ゴーレムへの改造、一部の技術を流用してアーマードトルーパーを作ったのに」

社長「当然だろう。ISの欠点はあれだけの性能を持ちながら女性にしか扱えないという致命的な欠点だ。だから私は性別に関係なく操作可能なパワードスーツを作っただけだ」

社長「今はまだ空も飛べず、物体の量子化も出来ず、絶対防御すらないがいずれは、現存のISと同等の性能を、それ以上の性能を得るだろう。くだらん男女の隔てなく、万人が扱う事の出来る物としてな」


社長「そして、いつの日かあの白いISすらも越えるのだよ」


スコール「誇大妄想狂も喜んで舌噛み切るぐらいの野望ね」

オータム「世界征服でもおっ始めかねねぇ勢いだな」

社長「何とでも言え、犬畜生風情には分かるまい。これが如何に人類にとって必要な事か、が」

オータム「おっと、謎の義務感持ちの帝国主義侵略者かと思いきや無垢な進歩主義者だったか」

スコール「フッ……フフッ……ヒヒヒッ……ンフフッ……フッ、フフフフッ……アハッ……アハハハッ!アーッハッハッハッハッハッ!!!」

オータム「お前……そんな笑い方するキャラだったのかよ」ヒキッ

社長「何がそこまで可笑しい」

スコール「ウフフフフッ……ふうーっ、よく見なさい篠ノ之束、これが自ら滅びの道を進み、それを進歩だと信じて疑わない哀れな存在よ」
673 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/26(月) 19:01:27.35 ID:lhfBXlB70
束「………」

スコール「どうかしたの?震えてるわよ?」

束「……で……に……のさ……」ボソッ

スコール「え?」

束「何でそんなに平気なのさ!!?十年前、彼女が何をしたのか忘れたの!!?」

社長「彼女?ああ、白いISの事か。ならよく覚えているともアレは飛来した隕石を消滅させ、緊急発進した各国の戦闘機、軍艦、ミサイルの攻撃全てを防いだだけだ」

束「だけじゃないよ!!彼女は隕石を消滅させるだけの力を持っているんだよ!!それをあえて使わなかったんだよ!!!」

社長「どうだろうな、隕石を消滅させた事で攻撃に使用するエネルギーを消耗し、防御する事しか出来なかったのかもしれん。これに関しては白いISを捕らえん事には分からんがな」

束「彼女は!!今の私達を遥かに上回る力を持った存在で!!何故眠っていたのか!!どうやって生まれたのか!!何が出来るのか!!何で一人しかいないのか!!全く何も分からないんだよ!!?」

束「なのに何で平気でいられるのさ!!!」

スコール「お、落ち着きなさい……」

社長「小娘が、そうやって恐れるから何も得られんのだ。私は違うぞ、アレを恐れず、必ずアレの力を手に入れてやる」

束「恐れないなんて出来ないよ!!もし、あの隕石を消滅させた力を私達に使っていたらどうなっていたか!!そんな事も考えられないの!!?」

社長「考えられるとも、隕石が衝突する前に滅びていただろうな」

束「だからさ!!だから私は!!彼女の分身のISが恐いんだよ!!もしも、もしかしたら、何かを間違えてしまったら、彼女の力が暴走して何もかも無くなっちゃうかもしれないから!!!」

束「そうならない為に!!私はISを解析してるんだよ!!!」
674 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/26(月) 19:16:23.36 ID:lhfBXlB70


束「今の人類に!!あの力は手に負えない!!!だから私は恐いんだよ!!!」


束「フーッ……フーッ……フーッ……」

スコール「……確かに」

オータム「専門家による至極当然の意見が浴びせられたが……こいつの脳には入ってないだろうな」

社長「いいか、よく聞け小娘。最初の一歩はいつだって無茶だ無謀だと言われているものだ。だが、その一歩を踏まねば前には進めんのだ」

社長「それを誰も踏まず、貴様も踏もうとせずにいるから私が踏む。ただそれだけの事だ」

束「この……!!」

オータム「待った。篠ノ之博士、ここは俺に任せてくれねぇか?」スッ

束「え?」

オータム「それに……少し頭を冷やしな可愛い顔が台無しだぜ?」ポンポン

束「あ……うん……」

オータム「さて大将、少し議論するとしようか。お題は……何故白いISが一人しかいないのか、だ」

社長「一人とは限らんまだどこかで機能停止している機体もあるはずだ。それを機動させるのがアレの目的かもしれん」

オータム「なるほどな、確かに他にも白いISと同じ様なISがあると考えるのは自然だ。だが、今は“白いISが一人だけしかいない”と考えてもらおうか」
675 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/26(月) 20:22:32.51 ID:lhfBXlB70
社長「滅びたのだろうな。それも一切の痕跡を残さず」

オータム「滅びたんじゃなくて、白いISが滅ぼしたんじゃねぇか?」

社長「は?」

オータム「個人的な推論だがよ。あの白いISが何もかも綺麗サッパリ自分の文明を消したから、何も残ってないし仲間もいない。やる事もなくてただ眠っていたのが十年前、何らかの拍子で起こされたんじゃねぇか?」

スコール「仮定に仮定を重ねて……大した推論ね」ヤレヤレ

社長「考えられない事ではないな。性能が不明である以上、隕石を消滅させるのが限界ではない可能性もある」

オータム「で、そんなおっかねぇ奴を敵に回そうとするのはあまり頭の良い選択とは思えねぇんだけどなぁ?」

社長「……何が言いたい」

オータム「おおっと、とぼけんなよ?スコール」

スコール「はいはい」

オータム「見てみな」ツカツカ スッ

社長「……白いISの出現記録がどうした」

オータム「出現地付近の何かしらの作戦や実験に、正規非正規を問わず、多かれ少なかれISから流用された技術が使われていて、公にはなってねぇが白いISはそれに関する情報を全て抹消してんだよ」

オータム「これが一体どういう事か……分からねぇ事ぁねぇよな?」

社長「白いISはISに関する技術を消そうとしている、と言いたいのか」

オータム「ブッブゥ〜!ハズレだボケ、白いISが技術を消すには基準があるんだよ。だったら篠ノ之博士はとうの昔にいねぇだろうが」
676 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/26(月) 20:50:02.52 ID:lhfBXlB70
スコール「ちょっと待って、白いISが別の世界とか別次元から来た存在、って可能性もあるんじゃないかしら?」

社長「は?」

束「何で今それを言うの……」

スコール「あり得ない話じゃないでしょ?」

オータム「テメェ……話の腰ブチ折りやがって……」

スコール「思考は広くないとね」

オータム「とにかくだ!!ファントム・タスクのやり口はあまり好ましくないって訳だ」

社長「だから貴様等は白いISの標的にされる事を恐れ、我々を裏切り、そこの小娘に媚びへつらった、と?」

オータム「勘違いすんじゃねぇ、相手が俺達を裏切らない限り、俺達も相手を裏切らない。それが俺達ハーキュリーズのルールだ」

オータム「裏切ったのはテメェだ。金さえ払えば契約違反しても良い、相手は所詮犬畜生だ……随分と舐め腐った態度じゃねぇか、誠意あるプロフェッショナルがする事じゃあねぇよなぁ?」

社長「フン、くだらん。何がプロフェッショナルだ」

オータム「だからテメェは三流なんだよ。くたばれ、犬畜生以下のクソ野郎が」

秘書「社長!!大変です!!」カツッカツッカツッ

社長「どうした?」

オータム「クソッ……せっかく俺が決めたのに……」

スコール「あれで?グダグダだったじゃない」クスッ

束「ん?あの人って……」
677 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/26(月) 21:14:51.40 ID:lhfBXlB70
秘書「社長の所有されているスイスの銀行口座が何者かにハッキングされ、預金全てが盗まれました!」

社長「何だと!?貸せ!」カタカタカタ タンッ

ピッ ピピピピピピピピピピピピ

社長「なっ、何だこれは!!?私の金が!!?クソッ!!止まらない!!」

スコール「ふふふっ、大変そうね」

社長「貴様の仕業か!!」

オータム「おっと、やめときな」

社長「どけ!!!」

オータム「俺の動きが速すぎるのか、それともナイフが鋭すぎるのか……大抵の奴は刺された事すら気づかねぇ」

社長「な……?」

オータム「俺からの“ほんの気持ち”ってヤツだ」

社長「ぐぅッッ……きッ……貴様ぁッッ……!!」

オータム「おー痛そうだな。いや、痛そうっていうか……実際すげぇ痛いよな?それこそ小便チビってママンに泣きつきたいぐらいに……違うか?」

スコール「良い子ね、おいでなさい」チュッ

秘書「んっ……っはあ……スコールさん……」トロン

スコール「御褒美は後でたっぷりあげるわ。だから先行って待ってられるわね?子猫ちゃん」ボソッ

秘書「はい……!」ゾクゾクッ

オータム「ッ〜……向こうでやってくんねぇか?」
678 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/06/26(月) 21:46:36.58 ID:lhfBXlB70
社長「くッッ……そッ……ッッ……!!」グッ

オータム「やめときな、そのナイフは歯こぼれしちまってノコギリみたいになってる。それでも並のナイフよか切れ味は抜群だが……まあ、簡単には抜けねぇんだよ……多分」

スコール「そろそろ帰りましょ。私、大事な予定があるのよ」

オータム「ああ、そうだろうな。さっき目の前でよーく見てたから知ってるよ」

オータム「ッ!!?」バッッ!

スコール「どうかしたの?」

オータム「何か……来た………テメェ等外だ!!」

束「待って!!」

オータム「邪魔すんじゃ―――って、ッッ……!!」

束「来たんだよ……“彼女”が」

社長「なッ……何が……起きてッ……!!」


白いIS「…………」


スコール「光の……翼……?」

オータム(何だよ何なんだよあれは……何であんなに光ってるだけなのに……こんなに体が震えんだよ……!!)

オータム(ヤバい……何か分からねぇがこいつはヤバい………何がこんなに体を震えさせんのか分からねぇ……何なんだよ、あれは……!!)

スコール(何十年ぶりかしら……この体でも身震いするような恐怖を感じるなんて……篠ノ之博士以外誰も声すら出なくなってるわね……)
679 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/10(月) 16:17:24.30 ID:PJSO9MuA0


白いIS「………」


スコール(何て恐ろしいの………それに、今彼女は何を見てるの……一体何処を……?)

「ッ……ッッ………」カタカタカタ

束「駄目、彼女に銃を向けないで」

「でッ……でもッ………もしもッ……!」カタカタカタ

束「彼女を敵にしたいの?」

オータム「やめとけ……誰も……引き金に指をかけるな………いいな」


『危険!!未確認高エネルギー反応 急速に増大中!!』


オータム「ッ!!?消え……た……?」

束「皆、外に出て……早く!!」

オータム「お、おう……分かった……聞こえたな!!テメェ等!!小便チビってねぇでさっさとズラかるぞ!!」

「はあぁぁぁ〜ん、もおぉぉぉ〜怖かったよおぉぉぉぉ〜」グデェー
「どわっ!人を突っ掛えにすんな馬鹿!!」
「に、ににに、逃げ、逃げるががが、かっ、勝ちってね………」プルプル
「ぷっ、だっせー生まれたての小鹿みたいになってやんの」ガクガク
「そういうあなたは膝が笑ってますよ」

社長「くッッ……そぉッッ………!!」
680 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/10(月) 16:28:36.26 ID:PJSO9MuA0
スコール「……」ガシッ ブンッ

社長「ぐおっ!!?」

ドゴッッ ドサッ

社長「う……ぐッッ……きさ……まッ……な……に……を………」

カチャリッ

社長「ッ………なッ……あッッ……!!?」ガチャガチャ

スコール「鎖を切らない方がいいわよ。手遅れになるわ」

社長「切る……!?どうやって!!?待て!!やめろ!!手錠を外せ!!」

スコール「……」クルッ カツッカツッカツッ

社長「待て!!金なら払う!!やめろ!!助けてくれ!!置いていくな!!!スコール!!!」

スコール「……」カツッカツッカツッ

束「ね、ねえ、ああ言ってるけど……いいの?」

スコール「ええ、いいのよ」

束「ここまでする事ないんじゃ……ないかなって……思うんだけど……」

スコール「優しいのね。でも、私はあなた程優しくはないし、オータム程割り切る事の出来る女じゃないの」

スコール「裏切り者は必ずブチ殺す。ただそれだけよ」
681 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/31(月) 21:16:23.03 ID:Ty0zbuS30
オータム「オラ、起きな」ペチペチ

束「ん……あれ……ここは……?」キョロキョロ

秘書「それで……スコールさん仕事終わりの私を無理矢理バーに連れて行ってくださって……とても親身に私の話を聞いてくださって……私、誰かにそんな風にされたのは初めてで……」モジモジ

「流石はスコールねぇ……羨ましいわね、このっ」

スコール「私は何も特別な事はしてないわ。ただ心の支えになってあげただけよ?」

オータム「タスクと白いのがよく見える所だ」

束「あ、そっか……移動してたんだよね……」

カリーヌ「あの部屋を出た瞬間気絶したが……何かの発作ではないよな?」

束「ううん、私ね……人が怪我したり血が出てるのを見れないんだ………それで……何とか頑張ったんだけど……」

オータム「血が駄目って……それでよくこんな真似しようと思ったな……」

束「彼女に全部任せておくのは……嫌だったから………」

オータム「確かに……アレに何もかも任せる、ってのはな………」チラッ

カリーヌ「博士、教えてくれ。あの白いのは今何をしているんだ?」

束「力を溜めているんだよ。多分、ファントム・タスクの何もかもを消す為の………」
682 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/31(月) 22:18:54.46 ID:Ty0zbuS30
スコール「後は物理的消去だけね」

オータム「うおっ!?」ビクッ

スコール「今現在、世界規模でファントム・タスクが関連していた電子情報は全て消えたわ」

束「本当だ。これと平行して力を溜めてたんだね」

オータム「世界規模で、って……何でもありかよ……」

スコール「彼女からしてみれば……私達のする事なんて積み木を積み上げる程度なのかしらね」

束「恐らくね……ッ!!?」

『未確認高エネルギー放出』

束「……始まったよ」


白いIS「………」シュウゥゥゥゥゥゥゥン


オータム「羽の次は何だ………膜、か……こりゃ……?」

スコール「エネルギーの波、とでも言うべきかしら………?」

文「姉貴!あれを!!」

オータム「ああ?ッ!!?」

スコール「……驚いたわね」
683 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/31(月) 22:47:52.73 ID:Ty0zbuS30
カリーヌ「い、一体何が……博士っ、白いISは何を……している………」

束「消滅させてるんだよ……何もかもを、ね……」

スコール「声も出なくなるわね……」

秘書「あ……ああ………」ヘタッ

文「映画……みてぇですね……」

オータム「正気の沙汰じゃねぇよ……こんなの………」

スコール「おいで、子猫ちゃん」ギュッ

秘書「あ、ありがとう……ごっ、ございますっ……」

スコール「……」カタカタカタ

秘書(スコールさんが……震えてる………やっぱり……スコールさんも……怖いんだ………)ギュウゥゥゥ

オータム「これは……あれだな………家に帰ったら……三日間極上のカウチに寝そべって……ドリトスだけ食って……マウンテンデューを飲みながら……デンジャラス・ビューティーを飽きるまで……見ねぇとな………」

束「……」ポロポロ

スコール「博士?……どうかしたの?何故、泣いているの……?」

束「あのね……とっても……悲しくて……胸が……苦しいんだ………」ポロポロ
684 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/31(月) 22:49:59.46 ID:Ty0zbuS30
スコール「どうして……?」

束「私じゃないんだ……彼女が……悲しくて……胸が……」

スコール「彼女……白いISが……?」


白いIS「………」


685 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/31(月) 22:52:11.57 ID:Ty0zbuS30
誤送信しました。

スコール「どうして……?」

束「私じゃなくて……彼女が……悲しくて……胸が……苦しいんだ………」

スコール「彼女……白いISが……?」


白いIS「………」


束「こんなはずじゃなかったんだ」

束「ごめんなさい」

686 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/31(月) 23:05:34.47 ID:Ty0zbuS30
〜IS学園〜

クロエ「一夏様、どうかしたのですか?それに、この光は……?」

一夏「分からない……零式が……何かに反応してるんだ……」

一夏(今までこんな事なかったのに……どうして……突然………)

一夏『束姉ちゃん、零式が、突然光出したんだ!』

一夏『聞こえてる?……束姉ちゃん?』

一夏「……駄目か」

クロエ「束様と通信出来ないのですか?」

一夏「駄目だ……通信が繋がらない……」

クロエ「繋がらない……?」

一夏「分からない……何が………うっ!!」


(姉さん……みーーなーーーまーーてーーー)キィィィィィン


クロエ「一夏様!大丈夫ですか!?」

一夏「頭の中に………声が……する………誰だッ……それに……姉さんって………お前は……何を……言って………!!?」


ィィィィィィンッ………


クロエ「一夏様!!」

一夏「声が……止んだ……」
687 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/31(月) 23:22:31.80 ID:Ty0zbuS30
一夏「もう大丈夫だ……クロエ、ありがとう……」

クロエ「ほ、本当ですか?」

一夏「声が止まったし……ほら、零式も元通りになった………」

クロエ「いえ、大丈夫には見えません。私、お水とタオルを持ってきます」タタタッ

一夏「あっ、クロエ………」

一夏「しかし、何だったんだ……何でお前は光ったんだ……?それに」


(姉さん……みーーなーーーまーーてーーー)


一夏(姉さん?誰の?一体何を伝えようとしていたんだ?)

一夏(何で零式からそんな声が………)

ポタッ……ポタポタッ………

クロエ「お水とタオルをお持ちしましたーーーい、一夏様?」

一夏「ん?どうしたんだ?クロエ?」ポロポロ

クロエ「何故……泣いていらっしゃるのですか……?」

一夏「え……あ……ほ、本当だ……何で……止まらない………」ポロポロ

一夏「お……おかしいな……別に悲しくなんか……ないのに涙が……止まらないんだ………」ポロポロ
688 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/07/31(月) 23:36:53.68 ID:Ty0zbuS30
クロエ「一夏様!」ギュッ

一夏「クロエ………?」ポロポロ

クロエ「いつもは一夏様が私をこうして落ち着かせていますが、今度は私がこうして一夏様を落ち着かせます!ですから今は!」ギュウゥゥゥ

一夏「クロエ……ごめんな……こんなはずじゃ……なかったんだ………」ポロポロ

クロエ「一夏様、謝らないでください」

一夏「ごめん……なさ…い………こんな……はず……じゃ………」ポロポロ

クロエ「一夏様……?」

一夏「な……かった………のに………わ……た………し………は………」ポロポロ

クロエ「一夏様!!お気を確かに!!」

一夏「お……ま……え……ま……で……」ポロポロ

クロエ「一夏様!!!」

一夏「……ッ!!?いッ、今のはッ!!?」

クロエ「一夏様!!」ギュウゥゥゥ

一夏「クロエ……ありがとうな………後で……束姉ちゃんに……色々と聞かないとな……」

クロエ「良かったです……元の一夏様に戻られて……さっきの一夏様は別人でした………!!」ギュウゥゥゥ

一夏「はははっ、大げさだなぁ……クロエは……」ナデナデ

クロエ「本当に……本当に……良かったですっ……一夏様っ………!!」ギュウゥゥゥ

一夏「ありがとう……クロエ……」ソッ
689 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/27(日) 22:43:07.11 ID:QI/lRNl40

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『はーい♪せっかく電話してくれたのにごめんねーいっくん☆束お姉ちゃんは今現在ぃ〜お電話に出られませーん。めんごめんごっ☆』

一夏(駄目か……束姉ちゃん……どうしたんだ?もしかして、昨日の零式が何か関係が………?)

鈴「一夏ん!あー!」

一夏「はいはい」ヒョイ

清「一夏ん!あー!」

一夏「はいはい」ヒョイ

鈴「本当にもーちょー疲れたー」モグモグ

清「こっちは怪我人だっつーのにー」モグモグ

一夏「あんまり食べながら喋るなよ。ほら、こぼれてるぞ」フキフキ

清「んっ、ありがと」

セシリア「まるで雛に餌をやる親鳥ですわね」

箒「全くだ」ヤレヤレ
690 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/27(日) 22:53:29.47 ID:QI/lRNl40
クロエ「し、清さん……どうぞ……」スッ

清「やだっ!」プイッ

クロエ「えっ」

清「呼び捨てで呼ばないと食ーべないっ!」

クロエ「え……呼び捨て……ですか……うう……」オロオロ

箒「意地の悪い奴だな……」

セシリア「清さんなりのフレンドシップ?なのでは?」

鈴「しーん、しーん、しーん!」

一夏「しーん、しーん、しーん!」

清「……」ジトー

クロエ「ううっ……しっ……ん……さん……」ゴニョゴニョ

清「えー!?何だってー!?聞こえないなー!!?」

クロエ「あうぅ……しっ……し……し………」モジモジ

清「……」ジーッ

鈴「じぃーっ」

一夏「……」ジーッ
691 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/27(日) 23:07:02.38 ID:QI/lRNl40
クロエ「しっ、清……どうぞ……」スッ

清「うむ、苦しゅうない」パクッ

鈴「あー!」

一夏「はいよ」ヒョイ

クロエ「……」モジモジ

清「どったの?」

クロエ「いっ、いえっ……わ、私っ……そのっ……あまり清……のような人と接した事が……なかったので……戸惑っている……というか……」

鈴「クロちんさぁ、セっちゃんとか箒ちんとかにどー接してるか知らないけど」

清「あたし達には一夏んみたいに接してよね」

鈴清「「だってあたし達もうマブのダチ公でしょ!!」」

鈴「いや、さもすれば姉妹的な?」

清「いや、さもすればお姉ちゃん的な?」

鈴清「「いししっ!なーんちゃってね!!」」

クロエ「マブの……ダチ公……ですか………」

一夏「いいから怪我人はじっとしてろ」ベシッ

鈴清「「いでーっ!」」
692 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/08/27(日) 23:20:39.41 ID:QI/lRNl40
箒「妹、か……ふふっ、言い得て妙だな」

一夏「そうだな、そういえばクロエは妹って感じだな」ナデナデ

クロエ「私が……妹……ですか……」

一夏「箒の事をお姉ちゃん、って呼んでみるか?」

クロエ「いっ、いえっ、そ、そのような事はっ………」

箒「クロエ、別に呼ばなくていいぞ。だが一夏、私がお姉ちゃんならお前はお兄ちゃんだぞ?」

一夏「いいんじゃないか?クロエも家族だし、妹が二人になっただけだし」

箒「妹が二人……」

一夏「そう、二人」

箒「私が、お前の、妹?」

一夏「俺と双子、って感じじゃないだろ?」

箒「そうだが!……はあ、もういい……」プイッ

セシリア(いつものムードになってしまいましたわ……これでは私の出る幕がありませんわ……)ムスーッ

鈴(今に見てろよー箒ちんのコノヤロー)

清(今にその中に食い込んでやるからなー)
693 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/26(火) 23:22:03.76 ID:b+lwYNbj0

『束姉ちゃん メッセージとファイルを受信』

一夏「ん?」

『大好きないっくんへ、忙しくて電話に出られなくてごめんね。今回の学園襲撃の黒幕のぶぅえりぃー極秘のデータを送るから良かったら目を通しておいてね☆迂闊に他の人に見せちゃダメだぞっ☆束お姉ちゃんより♪』

一夏「クロエ、お前にもか?」

クロエ「はい」

鈴清「「???」」キョトン

セシリア「どうかなさいまして?」

箒「……」

一夏「ちょっと待ってくれ」

一夏(忙しい?解析中なら解析中って言ってくれるよな………)

一夏(それに、他人に見せられない極秘のデータ……?)

『ファントム・タスク』

一夏(凄い情報量だ……けど、もしかして………)

クロエ「……」
694 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/09/26(火) 23:31:17.38 ID:b+lwYNbj0
一夏「……」

クロエ「……」

セシリア「お二人とも何かに集中されていますわね……」

箒「しかもれんげを空中で止めたまんまだぞ……」

鈴清「「おーい」」ブンブン

一夏「悪い、しばらく自分で食ってくれ」スッ

クロエ「同じく、申し訳ありません」スッ

鈴清「「ええっ!?」」

一夏クロエ「「………」」

セシリア「この感じ……ISを使われていますわね」

箒「ISを……?」

箒(二人がこれだけ集中する事……姉さんから何か連絡か……?)

一夏「ッ!!?」ガタッ

鈴「どったの!?」ビクッ

一夏「あ……悪い、驚かせたな……何でもないよ」

鈴「そんなのうっそでーすぅー」

清「何もない人はそんな立ち上がり方しませんー」
695 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/10/25(水) 23:56:27.04 ID:juoBgXF/0
一夏「………」

鈴「ってさっそく無視かーい!」

清「反応しろやーい!」

一夏「………」

鈴清「「ええ………マジのノーリアクションって……」」ヘタッ

箒「……どうやら、長くなりそうだな」

セシリア「そうですわね……」

一夏「いや、もう終わったよ」

鈴「マジで?」

一夏「ああ、マジで」

清「マジの本気?」

一夏「大マジだ」

箒「それで?姉さんからか?」

一夏「流石箒、鋭いな……」

箒「内容は何だったんだ?」ズイッ

一夏「お、おう……」

セシリア「まあまあ、篠ノ之さん、そう慌てずに」
696 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/11/25(土) 23:51:10.36 ID:0I9v3IzR0
一夏「今から見せる事は絶対に他言無用で頼む。恐らく国家機密レベルだ」

一夏(あ、そうだ。ジャミングしとこっと)

クロエ『周辺に生体反応はありません』

一夏『おう、ありがとな、クロエ』

セシリア「こ、国家機密レベル……ですか……?」

一夏「そう国家機密レベル」

鈴「それってヤバくない?」

一夏「ああ、ヤバいな」

清「ちょーヤバくない?」

一夏「ちょーヤバいな」

箒「もしその情報をどこかに漏らしたら?」

一夏「それは束姉ちゃんに聞いてくれ……想像したくもない」

箒「確かに……」

クロエ(抹消、なさるでしょうね……完全に………)
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