このスレッドはSS速報VIPの過去ログ倉庫に格納されています。もう書き込みできません。。
もし、このスレッドをネット上以外の媒体で転載や引用をされる場合は管理人までご一報ください。
またネット上での引用掲載、またはまとめサイトなどでの紹介をされる際はこのページへのリンクを必ず掲載してください。

不思議ないきものを育てる仕事をしていた。 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

1 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage saga]:2016/01/04(月) 20:01:13.29 ID:7EF2mHzJ0

カロンと軽やかな音で、入口のドアに取り付けてある鈴が鳴った。


「いらっしゃいませー」


所狭しとモノが置いてある店内に足を踏み入れたのは、丸いお腹をなでる老紳士。

脇には、人の顔が茎に浮き出たワサビの様な植物の鉢を抱えている。


「やあやあ、店の中は熱いなあ」


陽気に手を振りながら入ってきたその人物は、胸ポケットからハンカチを取り出して額の汗をぬぐった。

外はというともう冬の入り口で、コートを着なければ肌寒い。


「シオンさん、今日はどうしました?」

「いやぁ、育てていたマンドラゴラなんじゃがね、どうにも花を咲かさん。一通りの肥料は試したのじゃが……」

「あ、ホントですか。日当たりが良くてもダメでしたか」

「きちんと窓辺に置いて世話しておったんじゃよ。でも駄目だったんじゃよ」

「んー……これ多分僕じゃ分からないんで、先生呼んできますね」

「頼むのじゃよぉ」


不思議ないきものを育てて、人に見せたり、一緒に暮らしたり、コンテストに出したりする人たちがいる。

しかしそういういきものたちは得てして、稀少でお世話が大変なのだ。


ちゃんとした専門家がいないと、あっという間に死んでしまういきものもよく居る。

ここは、そういう不思議ないきものたちが楽しく暮らせるように、僕が先生と呼ぶ人物によって立ち上げられた店だ。


「せんせー、マンドラゴラの花が咲かないって、シオンさんが!」

「あいあい、今行くのニャ」


尤もその人物も、不思議ないきものの筆頭なのだけれど。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1451905263
【 このスレッドはHTML化(過去ログ化)されています 】

ごめんなさい、このSS速報VIP板のスレッドは1000に到達したか、若しくは著しい過疎のため、お役を果たし過去ログ倉庫へご隠居されました。
このスレッドを閲覧することはできますが書き込むことはできませんです。
もし、探しているスレッドがパートスレッドの場合は次スレが建ってるかもしれないですよ。

【クリスマス・年末・年始】連休暇ならアニソン聴こうぜ・・・【避難所】 @ 2024/04/30(火) 10:03:32.45 ID:GvIXvHlao
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1714439011/

VIPでガンダムVSシリーズ避難所【マキオン】 @ 2024/04/30(火) 07:03:33.32 ID:jpWgxnqGo
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1714428212/

今日も人々に祝福 @ 2024/04/29(月) 23:42:06.06 ID:cZ/b8n+v0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/aaorz/1714401725/

ポケモンSS 安価とコンマで目指せポケモンマスター part12 @ 2024/04/29(月) 20:01:59.10 ID:OQox+0Ag0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714388519/

私が書いた文だ 一度読んでみて @ 2024/04/29(月) 13:03:50.96 ID:zomKow9K0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714363430/

私が書いた文はどう? @ 2024/04/29(月) 12:48:33.59 ID:6mJNXBCE0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714362513/

感情から生まれたものたちとの物語【安価】 @ 2024/04/29(月) 10:45:54.36 ID:0XsgiyN10
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714355153/

【安価】タイトルからあらすじを想像して架空の1クールアニメを作る 2024春 @ 2024/04/28(日) 16:37:54.07 ID:PHuiugtM0
  http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1714289873/

2 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage saga]:2016/01/04(月) 20:19:42.41 ID:7EF2mHzJ0

§1 マンドラゴラ


「おおシオン、しばらく見なかったのニャ」


そう言いながら、『先生』が奥にかかったカーテンからひょっこり顔を出した。

もっこりと半纏を着込んで二本足で立つ姿は何とも愛らしく、背丈は僕の半分もない。


茶色と黒のしましまの毛は手に柔らかく、バイト終わりに触らせてもらったりしている。

先生は猫の獣人だ。

後にも先にも、僕は先生以外の獣人を見た事がない。


「先生、お久しぶりなのじゃよ。仕事でアフリカの方に飛んでいましてね」

「お前さんはその歳とその腹で良く動くのニャ」

「はっはっは、いやはや、必要とされればねぇ」


店は真ん中のテーブルを囲むように円形になっていて、周囲にはすりガラスの窓がすっぽり隠れるくらい、ガラクタが積み上げてある。

どこの出土ともわからない土器があれば、最新式のプリンターなんかが埋もれていたりする。


大抵のものは何でもあるから、先生は面白がって『魔法の部屋』なんて呼んだ。

僕にはどちらかと言うと『魔法に失敗した跡地』の方がしっくりくる。


いつも間にか先生とシオンさんはテーブルにつき、世間話を始めていた。
3 :以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします [sage saga]:2016/01/05(火) 22:43:22.83 ID:gtVAxB510

「あっちの人は元気でねぇ、歓迎だって一晩中踊り明かして」

「ふむふむ」

「んで私が『もう勘弁してくれ』って言ったら、今度は仲間が手を引っ張られて、ふらふらになるまで……」

「ふにゃはは、災難だったのニャ」

「ま、井戸が出来た時の喜びようを思えば、無理もない話だったんじゃがね」


僕が淹れた熱いほうじ茶を一気に飲み干すと、シオンさんはまた陽気に笑った。


「ところで神崎くん、向こうで面白い物を見たよ」

「何です?」


申し遅れたが、神崎 ハルと言うのが僕の名前だ。

ついでに簡単に自己紹介をしておくと、歳は今年で19になる現役二回生で、地方の医大に籍を置いている。


大学に入っても染めるのに抵抗があって未だに黒髪、それと値段に釣られた安物の黒縁メガネ。それ以外には特筆すべき特徴もない。

彼女については聞かないでほしい。勧誘に行くのが怖くてサークル活動もしていないので、浮いた話はもちろんない。

閑話休題。


「アフリカのズウォーという村でね、これが祀られてあったんじゃよ」


シオンさんが取り出したのは古い雑誌だった。

世にも奇妙ないきもの達を扱う雑誌だが、これは『いきものの存在が確認された上で』書かれた記事を載せているもの。

その辺のオカルト雑誌とは全く訳が違う。


刊行年がかなり昔なので驚いた。

良く手に入ったな。


「ほれ、このページじゃよ」


付箋の張ってあるページを開くと、そこには狸のような愛らしいいきものが載っていた。


「これは……」

「幻獣『華伯』。夢を現実に変える力を持ついきものじゃよ」
4.54 KB   
VIP Service SS速報VIP 専用ブラウザ 検索 Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)