キリカ「アーユー ハッピーナウ?」

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134 : ◆LR5VnE45SxEJ [saga]:2016/05/21(土) 02:04:17.13 ID:25JiOe0j0
〜〜

せつな「……というわけで負けてしまったのでした!」

QB「自分で言っておいてなんだが、やはりほむらは弱すぎるね」

せつな「ね、隠し玉があんのかと思ってて損しちゃった」

QB「じゃあその首輪はもしかして」

せつな「イグザクトリィ!ギリギリロックだよ!」

QB「完全に捕虜の扱いじゃないか」

せつな「いやー、しかしあんなに強い魔法少女っているんだねー!危うく絶望するところだったよ」

QB「なんで絶望してくれなかったんだ」

せつな「もうそんな年じゃないんだよな〜、これが」
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/21(土) 02:05:10.61 ID:4dt37jgdO
さやかff「お疲れ様でした!今回はここまでです」

さやかff「……マミさんが段々とギャグ要員に思えてきたよ」
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/21(土) 20:26:39.46 ID:McIgE+MAO
乙!魔法少女戦もMSっぽくなってきた
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/09(木) 00:29:25.49 ID:c8Ig0a66o
期待
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/21(火) 22:43:39.85 ID:Z8uzCW4LP
ほっしゅっしゅ
139 : ◆qR2kQmXS4yQy [sage saga]:2016/06/22(水) 02:12:26.53 ID:MUa/m/gR0
すまぬ……

しばし待っておくんなまし……
140 : ◆qR2kQmXS4yQy [sage saga]:2016/06/26(日) 01:12:10.11 ID:8LGdaXlz0
毎度待たせてすまぬ……

なぎさ「更新するのです!」
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/26(日) 01:12:56.23 ID:jbNcDMOUO
支援
142 : ◆qR2kQmXS4yQy [saga]:2016/06/26(日) 01:15:12.50 ID:8LGdaXlz0
せつな「ごめんなさい申し訳ございませんエロ同人みたいにあんな事しても良いからお命だけはー!」ドゲザー

マミ「……」

せつな「なんならしゃぶったり舐めたり揉んだり撫でたりマッサージしたりするから」

マミ「…………何を?」

せつな「おっぱい、さもなきゃクリ」

マミ「暁美さん、後をよろしく」

ほむら「え」

キリカ(謝って出すもの出したら許すとは言ったけど素直に応じるなんて……)

杏子(想定外過ぎてマミが匙投げちまった……そしてあたしはこんな奴に……)

せつな「しかし立派なおっぱいですね御三方は」

杏子「お、おう」

キリカ(ほむらが残念過ぎるだけで成長期だし多少はね?)

ほむら「………………」サワ
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/26(日) 01:16:37.75 ID:jbNcDMOUO
支援
144 : ◆qR2kQmXS4yQy [saga]:2016/06/26(日) 01:16:43.60 ID:8LGdaXlz0
マミ「……一応もう一度聞くけど、貴女は敵性の存在では無いと言うわけね?」

せつな「そりゃもう可愛い女の子の味方ですはい」

キリカ「つまりは織莉子の味方か」

杏子「黙ってろ」

せつな「さ、そんな訳でご飯食べに行こ!」

ほむら「…………どんだけ太い神経してんのよ」

せつな「5センチ位かにゃ」

杏子「もうなんか流れが馬鹿らしいからツッコまねぇけどさ、マジで何しにきたわけ?」

せつな「偶然寄っただけだよ!いやーしかし四人しか居ない魔法少女が四人とも襲いかかってくるとは!」

キリカ「ん……?」

マミ『しっ!』

マミ「誰よ、私達の噂を流してる奴は……」

せつな「ほら、なんか違う子とバトってたから来ないよなあーって思ってたんだけどさ!」

マミ「あの子は瞬殺よ、瞬殺」

せつな「ですよねー」

杏子「で、誰だよ?んな無責任な噂流した奴!見つけ出してとっちめてやる」

せつな「えーっとね……確か神帰って言ったかな?」
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/26(日) 01:18:14.01 ID:jbNcDMOUO
支援
146 : ◆qR2kQmXS4yQy [saga]:2016/06/26(日) 01:18:49.75 ID:8LGdaXlz0
マミ「そう、その人は見つけ次第血祭りね……」

キリカ「その人はどこに居るのさ」

せつな「分かんない!なんか捕まりそうだったから逆に捕まえてお話聞いただけだし!そしたらこの町の魔法少女は4人いるって!」

マミ「見た目の特徴は?」

せつな「んーっとね……髪は白髪混じったグレーで、前髪も含めてこーやって全部後ろで結ってたよ!顔は、えーっと……瞳は灰色だったんじゃないかな!髭は生えてなかったよ」

キリカ「そんなの  マミ『しっ!』

キリカ「……えっと、髪の色が判ってりゃ瞳の色も分かるよ、人間の染色体の色で、遺伝子の色なんだから」

ほむら「そ、そうだった……っけ?」

マミ(……まさか)

マミ「まあ良いわ、監視は付けるけど取り合えず好きにして」

せつな「なんなら脱ぐので調べてくれても良いのよ?ココ♀とか」

マミ「……」

せつな「ああ、そんな……銃で犯そうと言うのね……o(^  ^)カモーン」

マミ「……頭痛くなってきたわ」

ほむら「…………」

杏子(ほむらがドン引きしてんぞ……)

キリカ(何を想像してしまってるんだ)

ほむら(……あんな隙間に入るの?)
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/26(日) 01:19:00.44 ID:jbNcDMOUO
支援
148 : ◆qR2kQmXS4yQy [saga]:2016/06/26(日) 01:22:00.73 ID:8LGdaXlz0

〜見滝原市街〜


せつな「うーん、ここにしよっか!」

ほむら「……すき焼き」


指差した先にある看板は切り出した古い木の板に、ものものしく行書で『高級居酒屋  すき焼き  折り鶴』と書かれている


せつな「あ、もしかして牛肉駄目?ミッション系って顔してるし?」

ほむら「ミッション系ではあるけど、神様は真に受けてないから構わないわ」

せつな「あろは!決まりだね!」

ほむら「…………」


如何にも『高いお店』感のある絵が彫ってあるガラス戸を開け、シックで大人気溢れる木造の店内へ入る


「はい、いらっしゃいませ」

せつな「ふったり〜(^ ^)v」

「奥のお座敷へどうぞ」


いかにも『老舗の女将』と言った風貌の女性に案内されて奥へと進む

日本庭園でもモチーフにしたのか、店内には小川が流れて、1枚石の橋が渡る

奥には小さな滝と池まであり、ししおどしがたまに鳴る以外は水の流れる音しかしない

安らぎを与えてくれる静かな雰囲気も、行きすぎて厳かになっているように感じられる


ほむら(…………こことんでも高いお店じゃ)


襖で仕切られた畳の部屋に案内され、ほむら達の脱いだ靴を大事そうに抱えて女性が下がる
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/26(日) 01:22:21.40 ID:jbNcDMOUO
支援
150 : ◆qR2kQmXS4yQy [saga]:2016/06/26(日) 01:23:36.84 ID:8LGdaXlz0

せつな「何正面座ろうとしてんの!隣来いって隣!」

ほむら「……」


せつなが座った席の正面に座ろうと腰を下ろそうとして、思わす止まる


せつな「カムカムカモンかも!」

ほむら「……」


せつながバンバン叩いてた座布団に手を掛け、拳1つ分程ずらして座った


せつな「取り合えず生ビール!ほむらちゃんはコーラ?」

ほむら(私そんなにコーラ好きに見えるの……?)

女性「すみません、未成年者にお酒は」

せつな「パメルク ラルク!ラリロリポップン!」

女性「はい、かしこまりました」

ほむら「……」

せつな「いやん!ジト目で見ないで!」

151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/26(日) 01:23:46.67 ID:jbNcDMOUO
支援
152 : ◆qR2kQmXS4yQy [saga]:2016/06/26(日) 01:25:22.05 ID:8LGdaXlz0
せつながドカドカと注文した物が一通り揃い、鍋に入れた白菜もいい具合に染まった


せつな「ほれほれ」

ほむら(……なんでコイツこんな元気なの)


取り合えず皿に乗った薄くてステーキの如く大きな牛肉を箸でまとめて四枚つかんで鍋に投げ込む

ボウルから卵を2つ取り出して机を叩き、指だけを器用に動かして中身を2つのとんすいに落とした


せつな「ん〜……やっぱ椎茸は至高の食材だね〜」


肉なり野菜なりを勝手に溶いた玉子の中に投げ入れ、1つをほむらに押し付けた

実は生玉子が苦手なので、表情で訴えてはみたものの反応はない

せつなは二杯目の分の肉を流し込んで、ビールを煽りながら椎茸を食べている


せつな「んまー!エノキとエリンギ超うまー!!やっぱりきのここそすき焼き界のシャアって奴だよねぇ!」

ほむら「…………」

せつな「食べないのー?」

ほむら「生玉子苦手」

せつな「そんな!!人生を6割は損してるよ!?」

ほむら(っていうかすき焼き食べるのが初めてよ……)

せつな「玉子が苦手ならねぇ……」
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/26(日) 01:25:33.36 ID:jbNcDMOUO
支援
154 : ◆qR2kQmXS4yQy [saga]:2016/06/26(日) 01:26:39.83 ID:8LGdaXlz0
新たに玉子を割って開け、さっきよりも圧倒的に素早くかき混ぜて、七味唐辛子と鍋の汁を少し入れる

出来上がったそれは泡がごぼごぼと浮かび上がり、その泡だけをれんげで掬って自分の皿に混ぜてからほむらに押し付ける


ほむら「結局玉子じゃない……」

せつな「良いから食べ〜るべるべるべるべっと〜」

ほむら「……」


適当に入れ込まれた肉を食べる……なるほど、溶いた生玉子に有りがちなブヨブヨと後を引く物はなく、黄身のしつこい臭いは七味唐辛子によって打ち消されている


せつな「うっうっウマウマーっていって良いのよ?」

ほむら「……」

せつな「さあさあ!折角鍋をつつき合うのだから、胸の内をどぅーんと話してごらん?」ドン!

ほむら「……貴女はどうして魔法少女になったの?」

せつな「嫌な事がありすぎたのでぜーんぶぶち壊したのさー」ケラケラ

ほむら「…………」

せつな「あー分かった分かった、真面目に話すよ」 コホン

ほむら「…………」
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/26(日) 01:26:49.34 ID:jbNcDMOUO
しえーん
156 : ◆qR2kQmXS4yQy [saga]:2016/06/26(日) 01:28:14.76 ID:8LGdaXlz0
せつな「えっとねー、要するに親から虐待されてて、んで両親をこう……普通に殺して、色々してる内に魔法少女になったの」

ほむら「…………そう」

せつな「ツッコミ無しは辛いなあ」

ほむら「そうね……そっか、殺しちゃうのか」

せつな「はいほら訳分かんない方向に感化されない」

ほむら「ええ、冗談よ」

せつな「親嫌いなのー?」

ほむら「……嫌い、ね」

せつな「あら」

ほむら「虐待された訳じゃ無いから」

せつな「親不孝者ッ!!」

ほむら「……」

せつな「何その「お前が言うか」って目!生意気だゾ!」

ほむら「……」

せつな「コラ、そっぽ向いてコーラ飲むな!」

ほむら「黙れアル中」

せつな「中毒じゃない!ただの嗜酒者だモン!」
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/26(日) 01:28:38.84 ID:jbNcDMOUO
し・えーん
158 : ◆qR2kQmXS4yQy [saga]:2016/06/26(日) 01:35:13.63 ID:8LGdaXlz0
なぎさ「今回はここまでなのです!お疲れ様でした!」

>>136>>137>>138

いつもすまぬの……


リボほむ「あ、こいつその内消えるから」

せつな「酷い!オリキャラは使い捨てに定評があるけど、そんなのあんまりだ!」 
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/26(日) 01:36:50.51 ID:oHlab5oF0
中沢くんも出してくれ
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/26(日) 15:52:09.93 ID:Lz8YIVEAO
あれとんすいっていうのか
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/07/26(火) 04:29:18.27 ID:vSjeWNg70
今夜更新します
162 : ◆8hR4QzB4Ro [saga]:2016/07/27(水) 10:01:22.32 ID:SVuVVqVK0
せつな「あ、そうそう中学生なんでしょ?将来の夢とか決まってんの?」

ほむら「いえ、考えたこと……ないし」

せつな「えーなにそれー」

ほむら「高校には行くのだけど……親のコネで、そこそこいいところ」

せつな「ほぇーあたし高校行く気さらさらマサラタウンだったから、すごいって思うよ」

ほむら(こいつ何歳なの)

せつな「でもせっかく高校行くんだから、大学はこっちいこーとか無いの?」

ほむら「全然、興味無いわ」

せつな「あらまー、今どき流行りのさとり世代ってやつ?」

ほむら「そういうのでは無いわ、一緒に居たい人がいるけど、いつ目を覚ますのか分らないって言うし……」

せつな「あらら、あたしったら結構軽やかに地雷踏んでたのね……ま、いつもなんだけどー(゚∀゚ノ)ノ キャー」

ほむら「でしょうね」

せつな「わお☆」

ほむら「あなたとしてはからかい半分だったのでしょうけど、この前の魔女との戦いで守り切れなくて、ケガさせてしまったのよ」

せつな「おお、メガトン級じゃん」

ほむら「まあ逆に、ここまでのおバカさんに、あそこまでの知恵があるとは思わないから殺さないのだけど」

せつな「うーん……その時の魔女が人為的なものに感じられるから、魔法少女を警戒してるんだよね?」

ほむら「……ええ」
163 : ◆8hR4QzB4Ro [saga]:2016/07/27(水) 10:03:42.34 ID:SVuVVqVK0
せつな「んー……敵が居るとして、何が目的なんだろねー」

ほむら「さあね……ただ、私達はかなり怨みを買ってる所があるから……その線かも」

せつな「ふーん……そんな風には見えなかったけどね」

ほむら「……なんで?」

せつな「殺す気マンマンなら、ホールに爆弾でも置いてどっかーんで良いじゃない?」

ほむら「っていうか知ってたの……あ、そういえばニュースで見たような……」

せつな「あろは!あたし有名人?」

ほむら「でも爆弾はちょっと極端じゃ……」

ほむら(いえ、それも一つの考え方……確かにあそこでダメ押しの一手があれば確実に何人かは葬れたはず……それをしなかったのは顔を見られたくないのか、それともあれは陽動で裏でなんらかの策を講じていたのか……あるいは……)

せつな「もしもーし」

ほむら「…………」ブツブツ

せつな「むー」

ほむら「わっ!ふひゃあ!?」

せつな「あたしといるんだからあたしとお話ししようよー!」

ほむら「あなたと話すことなんて別に……」

せつな「まだ将来の夢を聞いてないゾ」

ほむら「そんなものない、はい終わり」

せつな「そんな回答ダメー!」

ほむら「……今考えてみたけど、やっぱり思いつかないわ。はっきり言うならどうでもいいってところね」

せつな「じゃあさ、どうして自分がそんなに無気力なのか考えようよ、なんか枯れちゃってる感あるしさ」

ほむら「どうしてって……だって……だって……」


実は理由は分かってる。だから「まどかが」とは続かない

そうして逃げるといつかそれが「まどかのせいで」になってしまうことを、花爛 ゆきなのなれの果て『造花の
魔女』が感じさせてくれた
164 : ◆8hR4QzB4Ro [saga]:2016/07/27(水) 10:04:41.26 ID:SVuVVqVK0
せつな「何々?どうせ今日会ったばかりなんだから気にせず言ってごらんよ」

ほむら「……」


燻っている思いを口にすると、それは確信になってしまう気がする


ほむら「私、生まれつきで心臓が弱かったの……物心ついたときには『大人にはなれない』って自分で知ってたくらいに、救いがないくらい」

せつな「あらま」

ほむら「それで……それで……」

せつな「勇気の鈴がリンリンリン♪」

ほむら「……」

せつな「v」

ほむら「……私の病気は、大人なら薬を飲むだけで良いそうだけど、子供の場合は成長期の負荷に耐え切れずに死んでしまうそうよ……特に女子の場合は」

せつな「へー」

ほむら「初めは『大人には』って言われてたのが『高校卒業は』『高校入学は』『中学を卒業するのは』『年を越すのは』って、どんどん自分の年齢と近くなっていくの、逆に現実味が無くなってどんどんどうでもよくなっていったわ」


「数字は悪くなってくのにね」と笑いながらオチもつける

あららーと、せつなも笑う


ほむら「ナノマシン治療の希望者は世界中にいて、抽選で何万分の一って確率でしか受けられなくて……でもそれでしか助けられないからって、お父さんとお母さんが一生懸命お金を貯めてくれてたのは分かってる……」

せつな「あれってうん憶万円とかするんでしょ?」
165 : ◆8hR4QzB4Ro [saga]:2016/07/27(水) 10:07:53.54 ID:SVuVVqVK0
ほむら「ええ、だからとっても幸せなことなの……今後の人生における幸運は期待出来ないくらいにね」

せつな「うーん、でもあれだね。助かったこと自体にストレスを感じているから、自分の意見がうまく通せないんだよ」

ほむら「……ストレス?」

せつな「そうそう、思春期にある『何のために生まれて、何をして喜ぶ』ってあれ」

ほむら「……よくわかんない」

せつな「人間って変なのでね、部活とか習い事とか恋人とかの、今まで自分を縛っていたストレスが消えると、今度はもっとめんどくさいストレスを勝手に抱えるように出来てるんだよ」

ほむら「そんな不条理な」

せつな「ほんとほんと!そのうち宇宙に空気がないのは自分の努力が足りないからだって思うようになるよ」

ほむら「……」

せつな「ま、それは冗談だけどね」

ほむら「……」

せつな「いやん!そんな目で見つめちゃ……!」

ほむら「……」
166 : ◆8hR4QzB4Ro [saga]:2016/07/27(水) 10:09:34.99 ID:SVuVVqVK0
〜帰り道〜


しばらく沈黙が続いたのち、会計をせつなが済ませて帰路についた

金額が4から始まる五桁の数字だったような気がしたが、それはすべてせつながお酒を飲んだせいだと、そう言い聞かせた


せつな「うっふふふ!何かジュース買っていく?」

ほむら「テンションがウザいわ」

せつな「酷いな〜、ほむらちゃんは私のこと、どう思ってるの?」

ほむら「ありていに言って、ただの酔っ払いよ……一人でそんな馬鹿騒ぎして」


ほむらの周りをくるりくるいと回りながらせつなのご機嫌な歌が始まった


せつな「寒い〜夜だから♪明日を待ちわびて〜♪」

ほむら「もう、そんな風に歩き回るとあぶないったら」

せつな「んふふ〜」


ほむらの苦言を聞いてかどうか、ほむらに抱き着いてほほを擦り付けて歩く

密着してきて果てしなくウザいのだが、これはこれで歩き回らないのでよしとして、ほむらは進むことにする


せつな「私ね〜キュウべぇに『私を縛るものなんか要らない』ってお願いしたの」

ほむら「……そう」

せつな「どんなものでも、捨てちゃうのって実はとっても簡単なんだよ」


「なんせ魔法少女だしね!!」と続く言葉に、「それでも」と返したかったが……否定する言葉がうまく紡げない気がしたので黙りこくる


せつな「でもねー……捨てちゃったものはもう帰ってこないんだー。それを嫌だと思うなら、辛くても頑張らなきゃだめだよー」

ほむら「……」

せつな「うんん?」

ほむら「あ……いや、こんなに人が近いの、久しぶりだなって」

せつな「あったかいでしょー」スリスリ

ほむら「まあ……そうね」
167 : ◆8hR4QzB4Ro [saga]:2016/07/27(水) 10:12:24.04 ID:SVuVVqVK0
〜現在 ほむらの家〜


せつな「んで、そのあと滅茶苦茶セックスした」ジュー

QB「そうかい」

せつな「んー、やっぱ山芋だね」サクッ モキュモキュ

QB「何を作ってるんだい?」

せつな「山芋にスライスチーズと海苔を巻いて、片栗粉をつけてあげるんだよ」

QB「へー」

せつな「んー……ビール買って来ておいて良かったー!」

QB「これは君たちで言うところの孤独のグルメ(彼女付き)だね」

せつな「折角だから、あたしがご飯を作ってあげるんだよ〜」

QB「そうなった経緯は良く分らないが……」

せつな「だっておうちに帰って、ただいまって言ったらご飯が出来てるなんて当たり前じゃない」

QB「そうだろうね」

せつな「ナツナツナツココーナッツ♪アーイアイアイアイ アイランド〜♪」

QB「ところでせつな」

せつな「なっあに〜?」

QB「ほむらから洗剤頼まれてたよね?」

せつな「かはぁっ!!」ブハァッ

QB「血を吐いた!?」
168 : ◆8hR4QzB4Ro [saga]:2016/07/27(水) 10:13:43.96 ID:SVuVVqVK0
〜〜

ガチャ


ほむら(中沢の家って、あんなところに——)

せつな「うわあああん!!洗剤忘れだぁあああああ!!!」


スパカーン☆


QB「額をゴルフクラブで打ち抜くなんて……普通の人間なら死んでるよ」


せつな「痛い……すごい頭痛い……」

ほむら「急に飛びついてこないで」

せつな「夜、あんなに愛し合ったのに……」

ほむら「あれとこれとは別……ったく、はい荷物」ポイ

せつな「わー、ありがとー!」バサ

ほむら(中沢ウザかった……)

せつな「さあさあ、ご飯出来てるよ!」

ほむら「え……そう」

せつな「はいストーップ!帰ってきたらいうことあるでしょうが!」

ほむら「何を……?」

せつな「帰ってきたらただいまでしょ!」

ほむら「え……えぇ……」ゲンナリ

せつな「むー」ジー

ほむら「た、ただ……いま」

せつな「ふふっ!おかえり!」

QB「帰ってきただけなのに随分興奮しているね、顔が真っ赤だよほむら」

ほむら「……うるさい」

QB「やれやれ、もう夜の情事に頭が(ほむら「死ね」 がはっ!?」

169 : ◆8hR4QzB4Ro [saga]:2016/07/27(水) 10:16:26.67 ID:SVuVVqVK0
せつな「と言うわけであたしは明日、行くことにするよ」

QB「どういう訳なんだい」

ほむら「……そう」

せつな「寂しい?寂しい?」

ほむら「まあそこそこ」

せつな「なんか無言より傷つくかも」

QB「どうして会話が成立するんだ(困惑)」

ほむら「まあ、他人といるのは久しぶりだったから、楽しくはあったけど」

QB「楽しい(夜)」

ほむら「死ね」

QB「グプッ」


〜杏子の教会 入口付近〜


深夜、明かりはあれども人の居ない街を抜け、闇の中にひっそりと佇む協会

一度は朽ちたそれは、魔法少女たちが手ずから修復していき、今では森の霊脈の中継地点を兼ねた魔法少女への迎撃拠点として活用されている


せつな「あ〜あ……一人で来い、とかつまんないこと言ってくれちゃってさ〜」


ほむらに気取られるな、というのが頭につく

明日は早朝に出るから、と理由をつけてほむらを速やかに眠らせて、単身でマミの呼びかけに応えたせつなは、協会の前に立つ人影に聞こえよがしに不満をぶちまけた


マミ「ごめんなさいね。けど暁美さんから明日、あなたが発つと聞いたから」

せつな「なーにが聞きたいのー?」


170 : ◆8hR4QzB4Ro [saga]:2016/08/26(金) 02:39:14.43 ID:XmG2/6mK0
この間は寝落ちですごめんなさい……

更新します
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/26(金) 02:41:06.16 ID:2wTD31EUO
支援
172 : ◆8hR4QzB4Ro [saga]:2016/08/26(金) 02:41:11.55 ID:XmG2/6mK0

〜教会地下〜


本来は倉庫に過ぎない地下室で、両手両足を開かされた状態で四肢を釘に貫かれ、壁に磔にされた少女がいる

眼前の机に自身のソウルジェムを飾られて完全に抵抗力を奪われ、磔刑による負荷でいつ絶命してもおかしくはない


チル「……っ……ぁ」


キリカたちによるひとしきりの尋問を終えた後、チルには今後の選択肢を二つ与えられた

一つは『七色の翼』に屈服し、とりあえずの釈放を得る道

もう一つは最後まで抗うこと……すなわち、残酷な死を以って尊厳を守る道

織莉子とキリカの魔法で加工された釘は、チルの手首の神経を正確に捉えて離さず、自重の負荷と僅かな刺激で神経にこの上ない激痛を与える

磔にされて最初の一日、チルはあまりの痛みに気絶すらできないことを嘆いた

二日目、上半身の重みを支えることに肩の筋肉が耐えられなくなると、その負担は容赦なく腕と肩の関節を蝕む

もう完治は見込めないほどの酷い脱臼を、ショック死すらあり得るほどの痛みとともに味わい、支える関節も失った今は、ただただ、自分の体重ですこしずつ引きちぎられる痛みを味わうのみだ
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/26(金) 02:42:00.53 ID:2wTD31EUO
支援
174 : ◆8hR4QzB4Ro [saga]:2016/08/26(金) 02:45:14.74 ID:XmG2/6mK0

イエス・キリストのような磔刑ならばこの段階で胸と腹の筋肉にも負荷をかけ、多くの場合は呼吸困難で衰弱死を迎える

だが膝を釘で縫い付けられ、中途半端に負担を減らされたチルに待っていたのは、胸筋に肺を締め上げられ

極度に疲労した横隔膜で辛うじて呼吸をし、四肢を廻る激痛に耐えるだけの、見せしめの処刑とでも言うべき辛すぎる現実だった


チル「……っ……」

マミ「レガーレ」


リボンが釘を分解し、崩れ落ちるチルの身体を優しく抱きとめる


チル「……ぇ……?」


マミの手から発せられた光が壊された体を徐々に直し、痛みの消えた体に違和感すら覚えたチルは、尽きたはずの気力を絞って目の焦点を合わせる

マミ「あなたは、ここで死んではいけないわ」

チル「……っ……?」

マミ「ここから逃がすわ……怪我もある程度治す………だから、急いで逃げなさい」

チル「な……んで……」

QB「そうだよマミ!どうしてここで急にそんな展開になるんだ!」

マミ「間違った方法で得た結果に、価値なんてないからよ(大嘘)」
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/26(金) 02:45:24.02 ID:2wTD31EUO
支援
176 : ◆8hR4QzB4Ro [saga]:2016/08/26(金) 02:46:54.81 ID:XmG2/6mK0
深夜、数日前からは考えられないほど静かになった見滝原の街を舞台に、マミが演出した狡猾な茶番が始まっていた


キリカ『そーら、必死に逃げろ!』

チル「くっ!」


機関銃の如く爪を連射し、市営団地の屋上を走る魔法少女を派手に追い詰める


織莉子『オムニス・シュテルン』


淡く輝く水晶玉が至近距離で爆発し、破片や爆炎で背中の皮膚を切り裂く


チル「この…………っぅ!?」

織莉子「さあ、これまでよ」

チル「あ……貴方達は、仲間まで手にかけようとして……!そうまでして!」

キリカ「ああ、黄色の人?私たちにとっても残念なことだよ……でも君が余計なことをしてしまうからだよ、あの人をどうこう思うのなら君は大人しく死ぬべきだった」

チル「この……人でなし!」

キリカ「偽善者に何言われてもねぇ!」

チル「そんな……きゃぁッ!!」


マミの魔法で体の怪我こそほぼ完治しているものの、丸1日と半分の間かなりキツい拘束を受けていた身だ

まともな睡眠も無かったし、体力の消耗とあわせてかなり精神を磨耗している

それが一番露骨に出るのは反射神経と集中力、何より気の持ちようだった

177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/26(金) 02:47:52.55 ID:2wTD31EUO
支援
178 : ◆8hR4QzB4Ro [saga]:2016/08/26(金) 02:48:19.76 ID:XmG2/6mK0
キリカ「『スリリング・スリング』!」


振り下ろされた爪を避けるも、三本爪のアームへと形を変えたもう一つの爪が、射出されチルの両腕と胸を掴んだ


チル「っ……う……!」


織莉子の足払いで両足が地面から離れて倒れ込み、引きずるように振り回さてコンクリートの壁に背中から叩きつけられ、クローにつながれたワイヤーを引き寄せ、その勢いのまま上空に投げ飛ばされた


チル「ぁ……」


七階建ての団地の屋上から、両手も動かせない状態で投げ捨てられたチルに抵抗のすべは無く

吸い込まれるようにして、内地の公園に叩き付けられた


キリカ『ま、ここまで逃げた事は称賛に値するかな』


市営団地の中心にある公園キリカに投げ飛ばされ、口やら耳やらから噴き出すように血を流し、ぐったりと動かないチルのもとへ舞い降りてキリカが言う

元々まともに体力なんか無かった筈なので、ここまで逃げただけでも本当に奇跡であり、チルの精神力と反骨心が成した奇積だった


キリカ(ま……こんだけ派手に動いたんだから、目撃者はいるよね)

キリカ「まあなんだ、お疲れさま」


チルの首もとに爪をあてがい、頸動脈を狙って一気に引き裂く……つもりでいた

チルが自身の身体が傷つく事も厭わずに拘束していた爪を爆破し、体勢を崩したキリカの胸ぐらをつかみ、右手で有らん限りの魔力を込めた手刀を突きだした

右腕ごと燃やさんとする桜火を纏った一撃は心臓を貫いて風穴を空ける
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/26(金) 02:51:31.81 ID:2wTD31EUO
支援
180 : ◆8hR4QzB4Ro [saga]:2016/08/26(金) 02:51:36.69 ID:XmG2/6mK0
チル(せめて……最期に、一花……!!)


右腕の炎を凝縮させ、粒子間の加速から生まれるスパークがキリカの体内を焼く

自身の身体すら爆弾に使った必滅技『血吸い桜 』


マミ(やっぱり駄目ね)


それも隠れていたマミが通り抜けに放ったただの一閃で頸動脈を断ち斬られ、力の抜けた身体が崩れ落ちるばかりとなる


チル「ぇ…………?」

チル(さつき姉、敵……討てませんでした……めい、独りにしてしまって……ご……メ――


死んでしまうその瞬間……いや、死ぬと思った直前で自らの過ちを感じ取り、チルの魂が濁りきって魔女が産まれる


QB「『日傘の魔女』その性質は『自己満足』」

マミ「傘は要らない、荷物になるだけだから」


『日傘の魔女  サクラ』の結界は常夜の空に美しい満月、吹き抜けるような草原、そして舞い散る桜吹雪と三日月の写る綺麗な泉、その近くで寄り添い、静かに月を見上げる雌雄の狐は使い魔だ


QB「そうかい?」

マミ「どうせ、いつかは止む雨だもの……元気よく、濡れていきましょう」
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/26(金) 02:52:50.43 ID:2wTD31EUO
支援
182 : ◆8hR4QzB4Ro [saga]:2016/08/26(金) 02:52:55.76 ID:XmG2/6mK0
マミ「ティロ・フィナーレ!」


水面には桜吹雪が映らない、その事に違和感を覚えたマミは写り込んだ三日月を攻撃し、結果として魔女は姿すら晒すことなく消滅した


QB「で、この無意味な行いはなんだったんだい?」

マミ「無意味じゃないわ、魔女になったでしょう?」


悔しそうなしかめっ面を浮かべるキリカの身体を直し、周囲の状況を確認する


QB「あのまま放っておいてもなったと思うんだけどね」


公園の砂地は抉れ、団地の屋上のフェンスは無残に引き裂かれ、挙句には血飛沫で周囲が彩られている

チルの遺体は魔女の空間に飲まれてしまったが、行方不明の少女が出たとなれば疑惑を持たせるには十分であろう


織莉子「……良いでしょう、行きましょう」


飛び散った血痕に魔力を流し込んで組成を弄り、個人の特定を困難にしてしまう

ここまでの逃走においてチルの流した血は放置するし、彼女は変身すると裸足なので足跡も残っている

そう言った証拠からたどり着ける人間は行方不明で見つけようの無い人間であるのだから、未詳事件としての条件は満たしている

これらを魔法の仕業と断定する人間がいたならば、その人物はマミ達が『お話し』をするに値する人間であることを意味する

183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/08/26(金) 02:54:04.93 ID:2wTD31EUO
今回はここまでです、お疲れさまでした

なぎさ「せ、せめて死に花位……」

さやかff「マミさんだからね、仕方ないね」
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/09/12(月) 22:37:06.27 ID:NzB7LsJ6P
果たしてこの地獄に終わりはあるのか
185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/10(月) 01:39:27.91 ID:OKcNwWqXo
保守がてら乙
うーむ こういうのの報いが変な形でこなけりゃいいが
186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/11(火) 18:08:30.59 ID:MmQignxKO
チルちゃんめっちゃ良いキャラしてるし能力も面白いのに相変わらず容赦ないオリキャラの扱いには笑う

更新はよ
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/28(金) 05:04:59.93 ID:ZJm8X+Zso
もう危ないぞ
188 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/29(土) 01:59:25.40 ID:YUnc2qF00
ごめんなさい……

明日更新入ります
189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/30(日) 06:58:31.18 ID:Ti2AjhijO
おはようございます

更新します
190 : ◆8hR4QzB4Ro [sage saga]:2016/10/30(日) 07:00:06.49 ID:9bjuxXrS0
〜翌朝〜


ほむら「ん……せつなぁ……」

ほむら「……」


ほむら「……せつな?」キョロキョロ

ほむら「……」

ほむら(無言で出ていくなんて……ん?封筒?)

封筒「お邪魔しました〜(*´▽`*)」

ほむら(しかもお金入ってるし……)

ほむら「はあ……」

ほむら「……やることが無いわね」

ほむら「あ……いや、あったわ」


〜さやかの家〜


さやか「はー……両親はこんな世の中でもお仕事、学校は休校……DOD3でもやろうかな……マルチバッドエンドで鬱になるんだ」


ピンポーン


さやか「……ん?インターホン?誰が来たの?」

杏子「おいすー」

ゆま「おはよーございます」

さやか「杏子……と、ゆまちゃん?何しに来たの?」

杏子「今日ちょっと用事で家空けるからさ、ゆまの事見てて欲しいんだよ」

さやか「はあ……?用事……って、なによ」

杏子「な、なんだっていいじゃんか!」

ゆま「そんな風に言って何も教えてくれないんだよ!?さやかお姉ちゃん、もっと問い詰めて!」
191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/30(日) 07:02:10.56 ID:Ti2AjhijO
支援
192 : ◆8hR4QzB4Ro [sage ]:2016/10/30(日) 07:02:20.06 ID:9bjuxXrS0
さやか「いや……まあゆまちゃんを預かることはやぶさかでは無いけどさ、流石に事情ってもんをね」 

杏子「だ、だからなんだって良いじゃんかよ!」

さやか「あんたがそう言う時って大体なんかあんの!ワルプルの時の事、あたしはまーだ根に持ってるからね」

ゆま「さやかお姉ちゃんゴーゴー!」

杏子「う、うるせえな!とにかくゆまの面倒見てくれっての!」

さやか「…………」

杏子「っ…………あ、危ない事はしないから」

さやか「…………」

ゆま「むー」

杏子「本当だって!……あんま、見られたくない事だけど」

さやか「……あたしにも?」

杏子「……今のさやかには」

さやか「じゃあ、仕方ないか……行っておいで」

ゆま「え」

杏子「ごめん」

さやか「あたしも、ごめん……」

杏子「いや……あの、うん……」

ゆま(……辛い…………え、待って!この空気で二人っきり!?)
193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/30(日) 07:03:00.67 ID:Ti2AjhijO
支援
194 : ◆8hR4QzB4Ro [ saga]:2016/10/30(日) 07:05:15.58 ID:9bjuxXrS0
QB「やあほむら!何をしているんだい?」

ほむら「爆弾作ってるの、話しかけないで、殺されたい?」カチャカチャ

QB「あ、はい」

ほむら「……」サラー

QB「……」

ほむら「……」ゴリゴリ

QB「あの……」

ほむら「死ね」ゴリゴリ

QB「……」

ほむら「……」トントン

QB「あのほむら」

ほむら「ちっ」

QB「ギュブェ!!」グシャ


iPhone「誰かを〜♪悲し」


ほむら「はい暁美で (えりか『ほむほむビッグニュース!!』

ほむら「あ……えりか」

えりか『さっきあゆ起きたよ!』

ほむら「!……本当?」ガタン コロコロ

えりか『あったりき!』

ほむら「い、今から行くわ!したくするからちょっ、あ(チュドーン
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/30(日) 07:06:21.76 ID:Ti2AjhijO
支援
196 : ◆8hR4QzB4Ro [ saga]:2016/10/30(日) 07:06:59.77 ID:9bjuxXrS0
〜病院 エントランス〜


えりか「ば、爆発音!?ちょっと!?」

電話「ツー、ツー」

えりか「え、えぇ……(困惑)」

ゆうか「あいつ来るって?」

えりか「ほむほむ死んじゃったかも……」

ゆうか「……はい?」


〜見滝原総合病院 506号室〜


ほむら「お待たせ!」

えりか「あ、ほむほむ生きて……髪の毛どったの?先っぽチリチリだよ」

ゆうか(いや、眉毛焦げてる方が気になる……)

ほむら「ちょっと爆弾作ってて」

ゆうか「……はい?」

姫名「ほむらさん!来ていただいたのにごめんなさい……もう、この子寝ちゃってて……」

ほむら「あ……いえ……」

姫名「でも、顔を見に来てくれたって聞いたらこの子喜ぶわ……ありがとう」

えりか「起きて第一声からして『タケノコのお刺身が食べたい』だからね、本当に大物だわ」

ほむら「……そう、そういう話を聞く方が安心するわ」

ゆうか(ん……?)

えりか(ほむほむ、なんかキャラ変わった?)
197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/30(日) 07:08:12.35 ID:Ti2AjhijO
支援
198 : ◆8hR4QzB4Ro [ saga]:2016/10/30(日) 07:08:16.58 ID:9bjuxXrS0
ほむら『キュウべえ、出てきて』

QB「一体何用だ(ムンズ ぐへぇ!?」

ほむら「今、幽霊捕まえたのだけど」

えりか「はあ?」

ゆうか「病院でそのギャグは洒落にならなくない?」

ほむら「……そうよね」

ほむら(杏子の記憶操作の産物か、あるいはあの時、あゆむが網膜に打ち込んだ刻印の効果か……この子達にはキュウべえが見えないんだわ……)

姫名「そう言えば今朝、まどかさんもICUから出てきましたよ……挨拶だけでもしてあげたらどうでしょう」

ほむら「え……まどか?」

えりか「……ごめん、連絡しようかちょっと迷ってた」

ゆうか「……もう病院の方がお手上げで、どうしようもないんだって」

ほむら「…………」


カーテンの向こうでまどかが眠っていた

ベッドの周りに何台も仰々しい機械を並べ、それら全てと繋がっていて、もはや機械のおまけと言ったぐらいにまどかが小さく見える


ほむら(……)


そっと頬に触れると、穏やかな寝顔からは想像もつかないほどの高熱を発していて、それは冷める傾向も原因を突き止める光明も齎さない


ほむら(巴さんが調べても分らなかった、織莉子さんの魔法でも視えなかった……)


なんらかの魔法的要因なのは間違いない。でも、魔法少女にすら分らないそれが人間に分かる筈もない


ほむら「……」



集中治療室から出された理由は明白で、どのように治療すればいいか病院が判断しかね、保護者へ医療負担を軽くすることを提案し、それを受け入れた

……そうやって弾き出された子供たちの末路を、ほむらはとてもよく知っている
199 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/30(日) 07:08:28.78 ID:Ti2AjhijO
支援
200 : ◆8hR4QzB4Ro [ saga]:2016/10/30(日) 07:09:32.01 ID:9bjuxXrS0
えりか「ほむほむ……」

ほむら「……」


快復の可能性が有るとすればナノマシン医療……もちろん今から応募したところで何万人待たされるか分らないし、金銭的な負担を軽視することは出来ない

それでも外から栄養を摂取し、無理やりと表現できる矛盾した何かで体力を大幅に回復出来る

ナノマシン医療を受けた植物人間は、脳死を起こしていなければ必ず蘇生していた

そんな奇跡紛いの代物を求める人間は世界に何万人と居て、その期待に応えることの出来る病院は世界に四つ——そのうちの一つはここ、『見滝原総合病院』かつてほむらにナノマシン医療を施して、その運命を変えた場所だった


〜市営団地 公園〜


マミ『杏子、見つけたわ……右側のスーツの男性』

杏子『張り込み初めて数分だよ、早すぎだろ』

キリカ『いや、マミだし』


昨晩の事件を捜査する警察やら軍人やらを見張り初めて数分、距離にして600メートルはあるビルの屋上からマミが黒幕のしっぽを掴んだ。目視で

……とは言っても確定には早すぎるので杏子もその人物をじぃっと見張る

物陰に隠れては頻繁に連絡をし、一人だけ通常の指揮系統から外れているのか誰にも咎められることもない

むしろそれくらいしか怪しい要素が無い


杏子『どうしてアイツが黒だと思う訳?』

マミ『スマホの連絡先が「神帰」だったわ』

キリカ『なんでそう言う重要な情報を後出しするかね』


キリカが重ねて嫌味を言うよりも早く目標の人物がマミの狙撃で昏倒した

放たれた弾丸が空中で人の目には見えないほどの細かい糸に分離、首を締め上げて指の関節を固め……対人兵器としてこれより怖いものは人間には作れないだろうな、とキリカが呆れて笑いながら空高く跳び上がり、救急車に乗せられた彼を『保護』すべく杏子と共に後を追った
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/30(日) 07:11:18.53 ID:Ti2AjhijO
支援
202 : ◆8hR4QzB4Ro [ saga]:2016/10/30(日) 07:14:15.45 ID:9bjuxXrS0
>>184>>185>>186>>187

すまない……いろいろあって若干萎えてたのだ……
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/10/30(日) 17:38:20.08 ID:+uyaULWqP

もう既に見滝原の魔法少女達は、ある意味魔女よりも性質の悪い存在になっているからね
ここから救いのある展開は想像できない
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/11/01(火) 05:57:22.07 ID:sQr+KdVko

ナノマシン医療はすごくすごいとおもいました(作文)
わるいこと慣れてきてるなあマミも いや精神的にどうかは知らんが
205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/13(火) 19:42:16.67 ID:vqj0g1qA0
最近は運営が基本放置だから大丈夫だと思うけど一応保守
206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/12/15(木) 14:20:29.14 ID:1Cn+fGaKO
すまぬ……

明日の午前中には更新しまする

久しぶりにあゆゆがいっぱい喋るよ
相変わらずの口調で
207 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/16(金) 13:41:41.17 ID:9deeQYPOO
行けると思ったけど駄目だったよぅ…………
208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/18(日) 20:49:11.36 ID:cwBEZopco
未来で待ってる
209 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/19(月) 23:33:15.18 ID:J7SNv4baP
まだかね
210 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/20(火) 13:09:04.31 ID:3gIh0IDh0
待たせてすまないな……

行くぞ!はああぁぁっ!!
211 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/20(火) 13:10:32.71 ID:+OZtfV4TO
支援
212 : ◆8hR4QzB4Ro [ saga]:2016/12/20(火) 13:10:38.26 ID:3gIh0IDh0
〜見滝原総合病院 506号室 午後4時〜


クリスマスを十日後に控えた今の時期でも、まだ明るい時間帯に彼女は再び目覚めた


あゆむ「んん……」


頭が痛い。最初の感想はそれで、次に感じたのは途方もないほど強烈な飢餓感だった


あゆむ「んぅ……はぁ〜……いぃっ!?」


大きく息を吐いて寝返りを打とうとした時、体中の筋肉を引き裂かれるような激痛が走る


あゆむ「うぅ……っ」


体中が痺れていて動けない……どうやら無理やり動こうとした代償として激痛が走ったようで、その酷さたるや患部を手で覆うことも出来ず、もがくことすら叶わない


えりか「あ、起きた」

あゆむ「……あぁ?」


覗き込んできた同級生へは、取り合えずそんな言葉をぶつける
213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/20(火) 13:11:16.87 ID:+OZtfV4TO
支援
214 : ◆8hR4QzB4Ro [ saga]:2016/12/20(火) 13:12:21.41 ID:3gIh0IDh0
えりか「ってな感じで、あんたも何も覚えてない口?」


ここまでに起きたことをあらかた説明してもらった

ようするに世間の見解はこうだ


『見滝原中学校の関係者は、海外の反日組織の恫喝に屈して全員が口を噤んでいる』

『だが関係者は音楽祭での出来事をほぼ全部覚えていない』


あゆむ「……思い出して殺しに行く」


考えを整理してからまず思ったことがそれだ


ゆうか「またすぐそういうこと言う」


とても大事なことはあゆむがそのなかでもトップクラスに重症だったこと、まどかはそれ以上に生命の危機であること
えりか「あーたねぇ、助かっただけでもめっけもんなんだよ?」
ベッドを少しだけ起こしてもらって、その僅かな移動だけでも挫けそうになるほどの激痛に見舞われたのだが、とにかく目線だけは合わせて会話したかったのだ
えりか「んー全員が全員何も分からないって、相当怖いよね……」
ゆうか「うぅ……何かろくでもない事されてそう……」
二人は自分の身体を抱いて目を見合わせているが、全然怖がっているようには見えない
215 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/20(火) 13:13:21.91 ID:+OZtfV4TO
支援
216 : ◆8hR4QzB4Ro [ saga]:2016/12/20(火) 13:13:42.60 ID:3gIh0IDh0
あゆむ「あークソだ……マジで身体動かねぇ……」


いろんなところを動かしてみて確信したのは、どうやら自分は本当に数日間昏睡していたらしいということだけだ

体中の筋肉が強張ってろくに力が入らないのだ。長時間の正座で足が痺れるなんて話があるが、あの感覚がほぼ全身をまんべんなく駆け抜けている


えりか「あんた生きてたのが奇跡らしいじゃん」

あゆむ「らしいな」


本当に適当に相槌を打つものの、それで会話が通じてることになるのか、勝手に話がはずんでいく

いや、知る訳ねえだろとだけ心の中で思う


ゆうか「体重7キロ位減ってたらしいよ」

あゆむ「…………良く生きてたな」


半ば他人事だが、本当に感心した。その話が本当ならこの生命力はギネスを狙えるレベルだろう


えりか「他人事だね」

あゆむ「いや、覚えてないし」

ゆうか「どれくらいヤバイのか分からんのだけど」

あゆむ「仮に出血で体重が減ったとして、2キロで十二分に死ねる」


血が2リットル抜けたら死ぬって常識過ぎると思う


えりか「良く生きてたね」
217 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/20(火) 13:13:52.88 ID:+OZtfV4TO
支援
218 : ◆8hR4QzB4Ro [ saga]:2016/12/20(火) 13:14:57.44 ID:3gIh0IDh0
あゆむ「体格的には腕が一本飛んだとかの次元だろ」


かなりおざなりな計算だがそんなものだろう


ゆうか「どんだけ肉抉れてんのよ」

あゆむ「……動けねえから分かんねぇ」


服も脱げないし、そもそも首すらまともに回せない


えりか「触った感じそんなでも無いけどなぁ」

あゆむ「痛ッ!」


どうしてあからまさかにギプスで厳重に保護されている左腕に触って……あまつさえ持ち上げて確かめたのか、不思議でしょうがない


えりか「うあ、ごめん!」


投げ捨てられたら何重もの痛みが走る


あゆむ「死ねタコ!」


ここからどれだけクソミソに言ってやろうかと追う場面で、ドアの開く音とやたらテンションの高い足音が邪魔だてをした


「はいはーい!皆さんこんにちは!」

ゆうか「こ、こんにちは……」

えりか「こんちはっしゅ……」

あゆむ「…………」
219 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/20(火) 13:17:21.33 ID:+OZtfV4TO
支援
220 : ◆8hR4QzB4Ro [ saga]:2016/12/20(火) 13:17:29.12 ID:3gIh0IDh0
底抜けに明るい声色で元気に挨拶するこの女性は……どうやら誰も知らない


みちか「わたくしは脳外科医学の研究部門……即ち、脳科学の権威(オーソリティ)神近 みちかよん!みんなはちかみち先生って呼ぶわ!」


赤が強めの茶髪を短く切り揃えたおかっぱ頭に、適当なトレーナーとジーンズに白衣を着て、なぜかネクタイをしただけの女性に権威なんて大したものは誰も感じない

あゆむがもう少しお洒落に気を遣うならば、髪形位はショートボブという言い方もあるが、そんなものは誤差で威厳が無いことには変わりない


えりか「……誰?」

ゆうか「何コイツ……」

あゆむ「うぜぇ……」

みちか「あ・な・た・が!葉月あゆみちゃんね!?」

あゆむ「…………」


余計な詮索は聞きつけないとばかりに強い語調で語り始める

イラっと来たのは隠さないが、それを気にする性格ではないだろう


みちか「ねえねえ!貴女、高レベルのアソシエイターって本当!?」

ゆうか「……!!」

えりか「あそしえいたー……?」


二人の反応は対照的、あゆむはあくまで無言を貫く
221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/20(火) 13:20:39.95 ID:+OZtfV4TO
支援
222 : ◆8hR4QzB4Ro [ saga]:2016/12/20(火) 13:20:45.42 ID:3gIh0IDh0
みちか「説明しましょう!……要するに、人とは違った形で物を感じ取れる人の事よ!」


まだ?といった表情のえりかの様子を見て彼女は続ける


みちか「例えば、音で字が読める……とか」

ゆうか「!」

えりか「ん?あっ、あゆのアレか!」


えりかにとっては日常の一コマ、知らない人には驚きの一場面、そして彼女にとっては垂涎ものの特殊能力


みちか「そうそう!それよ!」

ゆうか「んのバカッ……!」

えりか「ふぇ?」

あゆむ「…………」


極めてピンポイントな質問の仕方だったが、これでとぼけて逃げることは出来なくなった


みちか「例えば盲目の人に色聴の共感覚を与えてあげられたなら、そしてそれをあゆみちゃん並みに制御出来たら、盲目は大きな障害で無くなるわ!そんな研究をするために、あゆみちゃんの協力が欲しいのよん!」

あゆむ「ざけんな、お前の存在が生理的に無理」

えりか「ちょ」


興奮交じりに語る彼女の意見をバッサリと切る


あゆむ「ってか胡散臭いんだよお前」


というか切らなければ絶対に面倒くさい

そういう確信があゆむにはある
223 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/20(火) 13:22:19.62 ID:+OZtfV4TO
支援
224 : ◆8hR4QzB4Ro [ saga]:2016/12/20(火) 13:22:24.78 ID:3gIh0IDh0
みちか「そんな事言わないの!ちゃ〜んと良いもの用意しといたんだから!」

あゆむ「あぁ?」

ゆうか「何用意されたって、嫌なものは嫌です!」

えりか「あんたまで、どったの……」


あゆむはともかくとして、ゆうかまでもが露骨に嫌がるので、流石のえりかも認識の誤差を痛感しだした


みちか「ん〜、鹿目ちゃんを助けてあげられそうなものだったのになぁ……」

えりか「それまじき!?」

あゆむ「……」


あゆむの表情が一気に訝しくなった

原因不明の昏睡状態のまどかを助ける方法なんて無いと、病院が宣言したばかりなのだ


ゆうか「適当な事言わないで!」

みちか「じゃあ、かなちゃんが何故目を覚まさないのか……から説明しましょう!」

ゆうか「ちょっと、話進めないで!」

あゆむ「黙れ……続けて、どうぞ」


もし、原因が分かるのなら聞く価値はある

聞いた後でみちか以外の医者に対処させればいい
225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/20(火) 13:23:10.19 ID:+OZtfV4TO
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226 : ◆8hR4QzB4Ro [ saga]:2016/12/20(火) 13:23:46.41 ID:3gIh0IDh0
みちか「まず今、かなちゃんの命を削っているものは三つ。異様な高熱、高血圧……そして、それを抑制するための過剰な投薬」


靴音を立てながら指を立てて説明する

さながら説明先生と言わんばかりだ


みちか「根本的な昏睡の原因は不明、間違い無いのは……このままだと数日で、弱りきり……死んでしまうって事、ね」


文節で分かりやすく区切ってあざけるように現実を突きつけてきた


あゆむ「…………で、解決法は?」


二人の息を飲む声は全く無視して話を進める


みちか「話が早くて助かるわぁ!」


おどけてはいるが完全に計算通りといったリアクションだ


みちか「簡単な事よ、ナノマシン医療で」

ゆうか「それ何年後の話よ!!」


間髪許さず鋭い指摘

それを待つための延命治療で、その負担を減らすための現状だから、この指摘は当然だ


みちか「んもー!せっかちねぇ……言ったでしょ、私は権威……多少の非合法も、科学の為なら押し通せる立場」

あゆむ「…………」


あぁ……と、心の中でだけ得心した


ゆうか「!!」

えりか「で、でも……」


二人とも何となく思い当たったらしいが、ちかみち先生の企みは多分もっと深い

227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/20(火) 13:25:23.42 ID:+OZtfV4TO
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228 : ◆8hR4QzB4Ro [ saga]:2016/12/20(火) 13:25:27.18 ID:3gIh0IDh0
みちか「多少とついても非合法は非合法……応じるにしろ応じないにしろ、口封じは必要……分かる?」

ゆうか「……っの、クソババァ!」


にやにやと笑う彼女にゆうかがとびかかり、ネクタイを掴んで顔を引きずり下ろした


みちか「あらぁ!多少の非合法って言う物には『命』の行方について、融通が効くって意味なのだけど?」

えりか「ま、まって……!それって……」


まさに愉悦と言わんばかりの表情でちかみち先生が唇に手を当てる

えりかの泣きそうな声が、選択肢を潰されていることを感じさせた


あゆむ「…………」

みちか「さっ!どうしましょっか!」


ゆうかの手を振り払い、ネクタイを直しながらまどかの方へと笑顔をむけた


えりか「こんなのずるいよ!」

みちか「あらそう?」

ゆうか「……!」

みちか「あゆみちゃんは、どう思う?」

あゆむ「……本当に席を一つ持ってこれるんだろうな」

みちか「残・当♪……ついでに、貴女とお友達の健康と安全も保障するわぁ!」
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/12/20(火) 13:25:50.86 ID:+OZtfV4TO
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230 : ◆8hR4QzB4Ro [ saga]:2016/12/20(火) 13:26:25.44 ID:3gIh0IDh0
あゆむ「……分かったよ」

ゆうか「ちょっと!」

あゆむ「喋んなボケ」

ゆうか「っ……」


ふふ〜ん♪と笑いながら右手の小指をあゆむにむけて伸ばす

あゆむも右手を伸ばし、手首をつかんで逆方向へ一瞬で捻り上げ、引きずり込んで頬を鷲掴みにし凄んだ


みちか「いぃっつ!?」

あゆむ「お前デタラメこいてねえだろうな」

みちか「ノープロブレム!葉月さんとこを敵に回すほど愚かではないわ!ついでに言っておくけど、まことって子の悪事も大体知ってるわよ」


二人には聞こえないほどの小さな声で、彼女はまるで誘惑するかのように呟いた


あゆむ「……!」

みちか「貴女に関しては、あくまで合法の範囲内でやるから……大丈夫よ、当時のデータは持ってるし」


『悪事』については実はあゆむもあまり覚えていない

確かなのは、違法な薬物を投与されて中毒症状を起こしていた事と、モルモット兼奴隷のような形でまともな扱いは受けてなかったらしいこと、家にいた大人の親せきのほとんどが、気が付いた上で隠蔽していたらしいこと……その結末が——


みちか「お父さん、怒ると怖いって専らの評判だもの」


どうやら葉月家辻斬りの黒幕は身近にいるらしい事も、ちゃんと分かっているようだ


あゆむ「……」

みちか「じゃ、明日の検査が終わったら来るからね♪」


軽く手を振って悠々と歩いていく背中を、三人で無言のまま見送った
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/20(火) 13:50:21.88 ID:+OZtfV4TO
支援
232 : ◆8hR4QzB4Ro [ saga]:2016/12/20(火) 13:50:38.24 ID:3gIh0IDh0
〜見滝原から多少離れた町 商店街〜

せつな「勇気の鈴が〜リンリンリン(^^♪」

QB「せつな」

せつな「不思議な冒険るんるんる〜ん♫」

QB「せーつーな〜!」

せつな「分かってまーす!」

QB「君最低だね」


魔法少女につけられているのにアーケード街へ進入したせつなへのとても当然な返答だった


せつな「魔っ法少女!出っておいで!」


お構いなしと言わんばかりに魔法少女へと大きな声で呼びかける

人通りが少ないとはいえ皆無というわけではなく、数十人程度が一斉に振り返って、また何事もなく歩き出す


海香「……」

せつな「君一人……な訳ないよね?」


指輪をかざしながら現れた黒髪の理知的な少女を一瞥し、きょろきょろとわざとらしくあたりを見回す


海香「御崎 海香です……故あって、我々に協力を頂きたいのですが」

せつな「……断ったら殺すって空気だよね?」

海香「いえ、見滝原の内情を少々伺いたいと思いまして」

せつな「ははは!ここなら本気でやれそうだし、あたしはバトルがしたいな!」

QB「ユーリの協力があっても無理だ、せつなからは逃げた方が良い」

海香「……お話がしたいだけなのですが」

せつな「あたしを縛るものはイヤーなのー!」


指輪が煌めき、人目もはばからずにせつなが変身した


せつな「さあ、あたしとバトルトルトルだよ!欲しいものは勝ち取ってね!」

海香「……いえ、お話が出来ないのなら」


海香の話など聞いてはいない、踏み込みと共に体を翻して蹴りを繰り出す

その蹴りをはじき返しながらもう一人の白い魔法少女が姿を見せた


カオル「……躊躇が無い!?」

せつな「あっひゃひゃひゃ!オッケーオッケーかかってきなジャリガールズ!」

海香「カオル!」

カオル「こいつ逝ってる!」


一風変わった喧嘩は、それなりの観客に囲まれながら始まろうとしていた
233 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/12/20(火) 13:51:04.62 ID:+OZtfV4TO
なぎさ「今回はここまでなのです!お疲れ様でした!」
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