文才ないけど小説かく 7

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119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage ]:2016/05/17(火) 05:41:38.56 ID:gjdwBIba0
わおこのスレ生きていたのか
自然消滅したとばかり思っていた

>>118
再会

お題ください
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/17(火) 06:54:51.10 ID:Hn4z80tXo
>>119
健康診断
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/17(火) 06:57:30.22 ID:4WqWoIMdO
>>119
歯車
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/17(火) 08:43:55.23 ID:LMeHWW3Ko
>>118
仕切ってくれるならやる
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/17(火) 17:19:00.66 ID:yq/uXHaJo
やるなら参加するで、品評会
お題plz
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage ]:2016/05/17(火) 17:38:54.58 ID:gjdwBIba0
>>120>>121
把握
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/17(火) 17:52:00.40 ID:HRZGB1JgO
>>123
電光石火

俺もお題欲しいな
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/17(火) 18:07:01.50 ID:LqToyrElo
>>125
エコバック
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/17(火) 18:07:50.27 ID:O8+XKhd2O
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/17(火) 21:07:56.60 ID:yq/uXHaJo
>>125
さんくす
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/17(火) 21:42:54.57 ID:HRZGB1JgO
>>126
ありがとう
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/18(水) 03:47:38.90 ID:A22tU33f0
再開したときの例に倣いつつ仕切っちゃうね
来月1日は水曜日なので日曜日しめきりということで投稿期間は5日にしますね
期日前投稿は・・・どうしましょうか
個人的にはアリだと思いますけど


投稿期間:2016/06/01(水)00:00〜2016/06/05(日) 24:00
宣言締切:三日24:00に投下宣言の締切。それ以降の宣言は時間外。
※折角の作品を時間外にしない為にも、早めの投稿をお願いします※

投票期間:2016/06/06(月)00:00〜2016/02/12(火)24:00
※品評会に参加した方は、出来る限り投票するよう心がけましょう※

※※※注意事項※※※
容量は1レス30行・4000バイト、1行は全角128文字まで(50字程度で改行してください)


あと月末品評会お題とレス数をささっと決めよう
お題は参加しやすいようにと再開ということで2つ決めます
どちらかのお題でもどちらのお題を使ってもok

みなさんの意見もあるでしょうから数レスあけておきます

お題>>135-136
レス数>>137

こんな感じでやってみましょうか
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/18(水) 03:49:20.63 ID:A22tU33f0
投票期間なんで2月になってんだよお・・・
6月12日の日曜日ですね・・・・サーセン・・・
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/19(木) 00:27:44.76 ID:VouGoFGco
ksk
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/05/19(木) 01:56:52.14 ID:L6kZCmYDO
加速しますね
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/19(木) 18:41:43.13 ID:xt4KAFP3o
このぎりぎりのタイミングで……
お題下さいww
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/19(木) 18:54:23.43 ID:Ciu5LYbJo
幼稚園
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/19(木) 18:56:24.91 ID:VQZIn5bso
異能
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/19(木) 19:04:08.01 ID:mCcx2nxPO
10
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/19(木) 21:54:26.54 ID:2zX8V32z0
いまさら気づいた6月〆切にしたら月末じゃねえじゃん・・・ww
今回は混乱をさけるため日程はこのままとします

2016年5月末品評会
お題『幼稚園』『異能』
制限 10レス以内

投稿期間:2016/06/01(水)00:00〜2016/06/05(日) 24:00
宣言締切:三日24:00に投下宣言の締切。それ以降の宣言は時間外。
※折角の作品を時間外にしない為にも、早めの投稿をお願いします※

投票期間:2016/06/06(月)00:00〜2016/06/12(日)24:00
※品評会に参加した方は、出来る限り投票するよう心がけましょう※

※※※注意事項※※※
容量は1レス30行・4000バイト、1行は全角128文字まで(50字程度で改行してください)

こんな感じで今回は開催します
テキストぽいとかはわからないです
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/30(月) 14:26:16.04 ID:RRybWqie0
ここ落ちないの?
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/01(水) 02:35:47.86 ID:sWmZu8P/0
( 」´0`)」投稿期間になりました。もう6月ですね
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/01(水) 02:36:53.56 ID:me+EmWsWO
幼稚園と異能だけでオラワクワクすんぞ
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/03(金) 18:33:15.05 ID:fW08aDy20
うーかけないぞー
焦り焦り
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/03(金) 19:41:48.05 ID:6ZmqCCnio
宣言締め切り今日になってるけど、これ5日の間違い?
今日ならもう間に合わん
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/03(金) 20:19:45.64 ID:fW08aDy20
>>来月1日は水曜日なので日曜日しめきりということで投稿期間は5日にしますね

ということですね
145 :常生の牢獄(お題:幼稚園/異能)0/6 ◆NSr7d3y3ORk4 [saga]:2016/06/05(日) 17:35:59.91 ID:/TPwIHZ4o
まだ誰も投稿してないのでひっそり投下
146 :常生の牢獄(お題:幼稚園/異能)1/6 ◆NSr7d3y3ORk4 [saga]:2016/06/05(日) 17:37:07.03 ID:/TPwIHZ4o

ねえ、先生?

先生は生まれた頃の体重を覚えている?


私がこの世でもういちど産声を上げたとき、この身体は二九八二グラムだったんだ。

三度目は二九六一グラム、その次は二九四〇グラム。

そして先生と向かい合っている今の私は、かつて二一〇〇グラムしかなかったんだよ。


二一グラム。 人間は死ぬと二一グラムだけ軽くなるんだ。

それが魂の重さで、ヒトが生まれ直すたびに削り取られていく真の寿命の単位。


世界が神様の寵愛に包まれて、私達がお葬式をあげなくなってから人も国も変わってしまった。

国家はとても喜んでいるね。 福祉資源を掠めとる老人達を、赤ちゃんへリサイクルできるんだもの。

道徳は命の価値がどこかへ飛んで行ってしまって、思想と経済価値だけが人の脳を支配している。


だけど擦り減っていく魂のことなんて、誰も彼もが目を背けて見ようともしない。
147 :常生の牢獄(お題:幼稚園/異能)2/6 ◆NSr7d3y3ORk4 [saga]:2016/06/05(日) 17:38:38.59 ID:/TPwIHZ4o

いのちを大切にしましょうなんてお題目はね、つまるところ多数決なんだよ。

邪悪な国を滅ぼしましょう、邪悪な宗教を排斥しましょう、邪悪な犯罪者の首を吊るしましょう。

どこまで行っても正義の多数決。 大義名分を担ぐための、その場しのぎの言い訳。

なら、殺すべき悪が殺せなくなったら?


誰も死ななくなったから人は増え続けるけれど、そのしわ寄せで世界は狂気に溢れかえっている。

当然だよ。 獄中の犯罪者たちが次々と来世へ脱獄していったんだもん。

政府はこれを恐れて自殺を禁じているけれど、こんなのは時間稼ぎにもならないよ。

人は無限に生き長らえさせられないからね。


罪を犯すのは犯罪者だけじゃない。

今まで社会的な制裁を恐れて罪を犯さなかった人達も、一度剥げた仮面をもう被り戻そうとは思わないんじゃないかな。

みんなの心から、犯罪に対する抑止力が消え失せたんだ。
148 :常生の牢獄(お題:幼稚園/異能)3/6 ◆NSr7d3y3ORk4 [saga]:2016/06/05(日) 17:39:49.06 ID:/TPwIHZ4o

たとえ生き返り続けても、それでも人は永遠に生き続けることはできないよ。

先生は死んだことある? 私はもう何度も。


初めは人工呼吸器が外されて、ベットの上で溺れ死んだんだ。

感覚も記憶も思考も細切れに昏く塗りたくられて、重く淀む喪失感に溶けて消えた。

失くした全てを取り戻したのは、自我が芽生える三歳頃のことだったかな。


次の最期は餓死だったよ。

私の里親は気づいたんだろうね。 愛しているのは私じゃなく、私を育てる自分自身ということに。

飢えが鳴り響く耳の奥で、最後に鼓膜を打ったのは"次の人生で幸せになってね"という声だった。 冗談じゃない。


その次は……ああそうだ、この頃から生き返った人間に対する風当たりがおかしくなっていったんだった。

荒れ狂う激痛の中、私は犯されて死んだ。

怒張が突き入れられる度に飛び散った血が施設の床を汚し、気がつけば内臓があちこち破裂して死んでいた。


四度目は知らない。 多分自我が目覚める前に死んだと思う。

そうして五回目の生を受けたとき、私の中から一〇五グラム分の正気はすでに無くなっていたんだ。
149 :常生の牢獄(お題:幼稚園/異能)4/6 ◆NSr7d3y3ORk4 [saga]:2016/06/05(日) 17:41:17.02 ID:/TPwIHZ4o

そこで私は気づいたんだよ。

一つ、人の心は何度も死に耐えられない。

二つ。 人は一定回数を死ねば、あとは勝手に死に続ける。


死ぬたびに軽くなるこの身体は、いつか自発的に生存できる境界線を越えてしまうに違いない。

たった一〇〇〇グラムの胎児が、どうやって生きていけるのだろうね?


私はこの事実を歓迎したし、これに気づいたときは舞い上がるような気持ちだった。

あと何度か死ねば、私はもう生き返らなくて済むんだ!


それじゃあ、あとどれだけ? 私はそれまで何回死ねばいいの?

私がそこへ辿り着くまで果たして正気を、私の心を保ったまま死ねるばずがあるのかな。
150 :常生の牢獄(お題:幼稚園/異能)5/6 ◆NSr7d3y3ORk4 [saga]:2016/06/05(日) 17:42:24.10 ID:/TPwIHZ4o

記憶は脳に打ち付けられた楔だった。 自我は身体を縛り付ける茨だった。

生きていても死んだとしても、私の魂は濁りきった未来に怯え爛れていく。


ふと抱えた膝から顔を上げると、周りの子供たちが私に声をかけていた。

彼らは私と同じで、すでに何度も死んできたらしい。

そのとき私はたった一人の孤独から救われて、思わず同じ境遇の仲間たちに泣きついたんだよ。


だから、彼らが私に殺してくれと頼んだ時は本当に悲しかった。

それでも私は、彼らの気持ちを理解できないわけがなかったんだ。


先生?

みんながいなくなったのは、私が一人残らず殺してあげたからなんだよ。
151 :常生の牢獄(お題:幼稚園/異能)6/6 ◆NSr7d3y3ORk4 [saga]:2016/06/05(日) 17:43:45.94 ID:/TPwIHZ4o

死は救いだった。 神様は私たちからそれを取り上げてしまったんだ。

人が永遠の生を享受するには、きっと私たちの魂は軽すぎたんだね。

すでに私の魂には八八二グラム分の穴が開いてしまって、継ぎ足された狂気が私を少しずつ薄めていく。

それでも私は、魂のないゾンビとしてではなく。

人として死にたいんです。



だから先生、最後のお願い聞いてくれますか。

どうかわたしを。


殺し続けてください。

152 :常生の牢獄(お題:幼稚園/異能)7/6 ◆NSr7d3y3ORk4 [saga]:2016/06/05(日) 17:48:14.73 ID:/TPwIHZ4o
以上です
お題のこじつけ感は大目に……
153 :力(お題:異能) 0/3  ◆5/LS/WfFg. :2016/06/06(月) 00:00:33.56 ID:3M38LdLZ0
投下します
154 :力(お題:異能) 1/3  ◆5/LS/WfFg. [saga]:2016/06/06(月) 00:01:31.90 ID:3M38LdLZ0
 高校進学を機にスマートフォンを持つようになって、SNSが持つその一種の力のようなものを初めて実感し
たのはいつ頃だったろうか。
 それまでもTwitterというSNSが存在していることは知っていたし、それがどのような機能を持ち、人々が
どのように利用しているのかもある程度理解しているつもりだった。
 だが、実際自分がTwitterに登録して利用して見ると、それまで知っていた知識とは比べ物にならないほど
の大きさの人と人の繋がり、そうまるで巨大な組織のようなある種の大規模なコミュニティが形成されてい
ることに僕は気がついた。
 そう、思い出した。はじめにこのTwitterの恐ろしい力を実感したのは、去年、僕が高校一年生の時だ。
 クラスの所謂リア充グループに属する、仮にここではA君としよう、その彼が引き起こした、いや巻き込まれた、
被害にあったとも言えるそんな事件がきっかけだったと思う。
 一年生のはじめの頃、まだクラスのみんなが馴染めていないときだ。なんとなく近くの人同士で携帯電話の番号、
メールアドレス、そしてTwitterのアカウントを教えあおうという空気ができていた。人見知りするほうの僕ですら、
高校進学したばかりの高揚感とその場の空気に流されてアカウントを作ったものだった。
 しかし、ただ一人その空気に混ぜれない人間がいた。彼のことをここで仮にB君としよう。いまどき携帯を持って
いない高校生なんているはずがなくB君も携帯電話は持っていた。しかし、彼が持っていたのはスマートフォンでは
なく、かなり古いタイプのガラケーでTwitterをすることができなかったのだ。
 はじめはそのB君の持っていたガラケーの物珍しさと、彼をいじるネタな部分があり、別段険悪な雰囲気はなかった。
だが、やはり高校生活を送るうえで一人だけ情報をみんなと共有できないというのは、きっと、親や教師ほとんどの
人間が想像しているよりずっと大きな問題があったのだろう。
 次第にB君を弄る行為はエスカレートしていき、その中でも特に酷かったのは先ほどのA君だった。
 A君はクラスの人気者であり、成績も優秀、不良のような素行はなく教師からの評価も悪いものではなかったと思う。
そして彼はみんなを笑わせるのが得意で、つまりそういったお笑い芸人的な要素でクラスの地位を獲得した人間だった。
 彼はある時、ガラケーを操作しているB君をスマートフォンで撮影してTwitterのアカウントに画像つきでツイートした
のだった。そして、このA君のツイートはクラスの中で反響を呼んだ。良い意味で。
 このツイートはたちまちクラスの中で笑いの種となり、大量の「いいね」を生み、リツイートがリツイートが呼び、
やがてクラスの輪から飛び出し他のクラス、他の学年へと飛び火していった。
 これが、きっとA君が想像しているよりみんなにウケてしまったのが、この行為をエスカレートさせてしまった
原因だったのではないだろうか。
155 :力(お題:異能) 2/3  ◆5/LS/WfFg. [saga]:2016/06/06(月) 00:02:16.30 ID:3M38LdLZ0
 やがて「今日のB君」というハッシュタグを付けられたB君の画像つきツイートが毎日のように投稿され、中には
それを真似する人間も出てきたが、やはり最初にはじめた人間というのは著作権や特許がそうであるように一番偉い
ものだ、A君は学校一の人気者という地位を不動のものにした。
 だがあるとき事件が起きた。
 数週間後に全校生徒での球技大会あり、体育の授業でそれぞれ出場する競技の練習をしていたときだった。
 B君はサッカーに出場することになっていたため、同じくサッカーに出場する生徒たちと校庭でボールを追いかけて
いた。その中にA君もいた。
 B君は足元に転がってきたボールを思いっきり蹴ろうと足を振りかぶり、ボール目掛けて勢いよく足を振り下ろした。
だが、B君の運動神経が悪いのか、ただ単に運が悪かったのかはわからないが、B君のシュートはそれはもう見事な
空振りに終わり、彼は勢いそのままに顔面から地面に転がったのだった。
 それを見たA君は、まるで大物が釣れたと言わんばかりに意気揚々とスマートフォンを取り出すと、B君の泥と鼻血に
塗れた無様な面を撮影して、すぐさま「今日のB君」をツイートしたのだった。
 それが不味かった。
 B君が間抜けに転がったのを見たほかの生徒たちも彼を囲み「大丈夫かよー」と笑いながら声をかけていたのだが、
そのB君を取り囲んでのはA君が撮影した画像はまるで、集団でリンチされている被害者の図そのものだった。
 そのツイートはたちまち波紋を呼び、やがて学校内の輪を飛び出し、まるで関係のない赤の他人の目にも晒され、
やがて全国区で取り沙汰されるニュースになった。
 A君、およびに「今日のB君」をツイートしたことのあるものは全員もれなく退学処分となった。
 学校側の処分に疑問視する声もでたそうだが、ではいったい誰が真に悪いのかどうやって線引きをする?
 全世界へと通ずるネット上に、毎日本人の預かり知らぬところでその画像を上げ続けることは間違いなく
モラルに反する悪なのだ。そして直接画像を上げていないがそれに反応したものも、やはり同じように加害者で
あることには変わりないのだ。
 ならば学校側としてはわかりやすく「今日のB君」をツイートしたことのある人間と、そうでないもので区別
するしかなかったのではないだろうか。
156 :力(お題:異能) 3/3  ◆5/LS/WfFg. [saga]:2016/06/06(月) 00:02:46.00 ID:3M38LdLZ0
ねえB君、未だガラケーっていうのはどうなの?」
「だから、おれは家に自分用のパソコンあるからいらないの」
「ふーん、最近はTwitterよりLINEでみんなやりとりしてるんだよ」
「知ってる、けどおれ友達、お前しかいないからやっぱ必要ない気するんだよなあ」
「このLINEってのうまく使えば、また僕と君で裁き下せるんじゃない?」

「お前、ほんっとそういうの好きな」
「だって悪人を裁くのって気持ちよくない?」
「まあね」

 SNSというある種ひとつの力のようなものに僕が魅かれてしまったのはいつの頃からだったろうか。
 この力は別に僕だけが持っているものじゃない。
 A君も、B君も、そこら中にいる有象無象の人間たちの手のひらの中にその力は存在している
157 :力(お題:異能) 4/3  ◆5/LS/WfFg. [saga]:2016/06/06(月) 00:06:28.88 ID:3M38LdLZ0
はい、30秒で間に合わなかったので時間外となります。ありがとうございます
小説らしきものを久しぶりに書いたので感想が欲しいです!

ちなみに今回主催しました。
締め切り期間などで不備があり大変申しわけございませんでした

次回開催はテキスポ?なども調べてそちらのほうでも呼びかけしてみようかなと思っております。
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2016/06/06(月) 00:54:40.02 ID:3M38LdLZ0
常生の牢獄(お題:幼稚園/異能)◆NSr7d3y3ORk4氏

求めたのは21グラムの魂と君の言葉ェ・・・・
自分も伊藤計劃好きなんですよ(屍者の帝国は劇場版を見ただけですが)
ほんとね「人間は死亡すると生前に比べて体重21グラムほど減少することが確認されてるいる」
ってこのフレーズとそこから始める冒頭部分大好きなんですよ!!

故にこの話はあまりにもその設定に頼りきった、ほんとんどそれだけで◆NSr7d3y3ORk4氏の加えたアレンジも、むしろ薄めただけ?で・・・
説明しないとあれな部分もあるけど説明部分をもう少し省いてでも、物語として昇華してほしかったなあ・・・
ところどころに散りばめられた伊藤計劃要素もあるけどうーんですね
そういえば「屍者たちの帝国」ってアンソロジーも出ているんですよね。読みたいし読む時間も欲しい。

今回自分は投票も関心票もなしにします。
それと自分の作品は時間外ですので、次のお題は2016/06/12(日)24:00投票期間終了後 ◆NSr7d3y3ORk4さんお題発表お願いいたします。

スケジュールの調整、テキストポイのほうへの呼びかけのなども調べて自分がやりたいと思いますので(遅れたらすいません!)お題のほうだけ考えておいてください!

すいませんほんとこんな感じでいいのかな?ってか人いんのかな?
こんな感じでやっていきたいと思いますー

問題点などございましたら指摘のほどお願いいたします
159 : ◆NSr7d3y3ORk4 [sage]:2016/06/06(月) 20:59:09.48 ID:vzMkFLRwO
感想ありがとうございます
元ネタはダンカンマクドゥーガルの実験です
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/07(火) 17:41:29.37 ID:TQoilZCl0
お題plz
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/07(火) 17:42:28.68 ID:ZYNNNUn/o
夕立
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/07(火) 18:07:57.23 ID:TQoilZCl0
っぽいかな?
了解
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/10(金) 19:53:19.51 ID:8+/a3/AnO
クソ暑かったので夏っぽいお題ください
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/10(金) 20:01:43.55 ID:UVZUdtdVO
しろくま
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/14(火) 00:59:03.72 ID:drDb9tLL0
品評会お題まだー?
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/18(土) 19:08:07.56 ID:SqYM8pIY0
反応ないね日曜日まで発表なかったらまた安価でお題決めましょうか
っていうか人いるのかな、お題に即レスつくあたりいないことはないんだろうが
ってか感想ほしかった・・・
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/18(土) 23:09:25.30 ID:uPjv+D7vO
スレ立てた方が読者付くもんなあ
いっそのこと分離式にする?
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/19(日) 00:41:19.35 ID:S2eTlJ1lO
割と>>167が名案な気がするがどうだろ
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/19(日) 00:50:44.08 ID:9jbrd/h/o
お、O
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/19(日) 01:14:01.81 ID:S2eTlJ1lO
別人だしそもそも日跨いでるんだが…
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/19(日) 02:03:52.29 ID:qMyLdZ/J0
分離式とは?
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/19(日) 02:09:05.82 ID:NF40pZ8ko
ただお題を投稿するだけのスレと、いきなりお題に従った小説が投稿されるスレという2匹の怪物が爆誕する
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/20(月) 01:30:39.00 ID:+b+UO2CI0
はいはーい品評会お題きめちゃいますよー
さくっと決めても締め切り2週間くらいしかないけど大丈夫かな?
意見あったらお願いします

あと勢いのないこのスレで安価もあれなので、お題に関して一つ制限を
お題の頭文字は「な」で決めてください
なんとなくの「な」です

お題>>174
レス数>>175
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/20(月) 01:33:26.06 ID:v/IU9cfSO
ななし
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/20(月) 01:34:57.61 ID:+b+UO2CI0
あ、あと(自分が書けなかったらイヤだから)お題もう一個決めましょう
こちらは7月に関するお題でお願いします
厳密にではなく7月っぽからアリです

お題2 >>176
176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/20(月) 01:37:42.10 ID:+b+UO2CI0
おっとすいません自分で決めた安価すらよく見てなかった・・・・


お題2 >>177
レス数>>178

失礼しました・・・
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/20(月) 17:22:18.47 ID:pZbnHHvO0
ラムネ

7月の季語らしい
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/21(火) 16:18:55.36 ID:DolbwqmDO
10
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/21(火) 17:53:37.48 ID:Gl3t9hIT0
2016年7月末品評会
お題『ななし』『ラムネ』
制限 10レス以内

投稿期間:2016/07/01(金)00:00〜2016/07/03(日) 24:00
宣言締切:三日24:00に投下宣言の締切。それ以降の宣言は時間外。
※折角の作品を時間外にしない為にも、早めの投稿をお願いします※

投票期間:2016/07/04(月)00:00〜2016/07/10(日)24:00
※品評会に参加した方は、出来る限り投票するよう心がけましょう※

※※※注意事項※※※
容量は1レス30行・4000バイト、1行は全角128文字まで(50字程度で改行してください)


これで開催したいと思います
てきすとぽいのほうにも呼びかけしてみる予定・・
180 :夕立0/4 [sage]:2016/06/22(水) 18:30:30.85 ID:GZmCfzRq0
>>161のお題完成したので投下します
181 :夕立1/4 [saga]:2016/06/22(水) 18:31:32.20 ID:GZmCfzRq0
「しくじったなあ……」
 ユキコは空を仰ぎ見てぽつりとこぼした。
 図書室を後にする際、窓の外を見たときには降っていなかったのだが、
ユキコが校舎から出るといつの間にか空には暗雲が立ちこめぽつとぽつと小粒の雨滴を落としていた。
 いつもこうである。ユキコは雨が降るたびに自分の運の悪さ、
間の悪さのようなものを自覚せずにはいられなかった。

 ユキコが初めてこのことを自覚したのは小学生の時だった。
 小学一年時の運動会の日、共働きの両親がともに休暇を取り
ユキコの応援にと張り切っていたのだが、生憎の土砂降りだった。
 運動会は延期され、両親が仕事で来られない翌週に改めて開催された中、
一人で食べた冷たいおにぎりの味をいまでも思い出せる。
 この運動会に始まり、遠足、学芸会、修学旅行、卒業式と何か大きな行事があるたびにユキコには雨がついてまわった。
 それ以来ユキコは折り畳み傘を肌身離さず持ち歩くことを誰にともなく誓ったのだった。
 だが先日の気象庁の梅雨明け発表とその日は期末試験程度のイベントしかないからと油断をしていた。
今朝の天気予報でも一日快晴が続くと言っていたし、前日の雨で折り畳み傘をベランダに干していたことも
ユキコが珍しく傘を持たずに家を出ることに一役を買っていた。
 
「バス停まで走るしかないか……」
 こうしてぼんやりとしている間にも雨足は強まってきていた。先ほどまで小粒だった雨滴も
大粒なものとなり屋根や地面で弾けては大きな雨音を立てていた。
 ユキコは意を決してバス停へと走り出した。
 雨に打たれながらユキコは思う。雨に濡れるのはあの日以来だ。今でも時たま思い出すことはあるが、
こうして雨に打たれているとあのときの冷たい雨の記憶がより鮮明に浮かび上がってくる。
「うへー……」
 学校前までのバス停までは大した距離ではないのだが、それでも結構濡れてしまっていた。
濡れたブラウスからうっすらと下着の色が覗いているし、カバンの中の教科書類も心配だ。
 だが、図書室に残って少し勉強してから学校を出たこともあり、他にバスを待っている生徒はいなかった。
 バス停前のベンチに腰を下ろし、脚を投げ出してふーっと一息吐く。
 視界を線となって通り過ぎる雨をと、道路に叩きつけられて弾ける雨粒を眺めながらユキコは思う。
182 :夕立2/4 [saga]:2016/06/22(水) 18:32:19.16 ID:GZmCfzRq0
 自分は死神なのかもしれない、と。最近読んだ小説の中に出てきた死神だ。その死神は仕事のために下界に降りてくると
いつも雨が降っているのだ。そして、自分は晴れ間を見たことがないと。
 ユキコもこうして自分が雨に見舞われているときに誰かが死んでいるのかもしれないと想像してしまう。
そんなわけはないのに。でもいつも、降ってほしくないときに雨が降るものだから、雨と死神を結びつけて想像してしまう。
それに自分は雨女だ、と考えるより死神と思ったほうがなんとなく、かっこいい。
 そんなとりとめもない妄想を続けていると、やがてバスがやってきた。
 ユキコを乗せたバスはガタガタと揺れながら発進し、ゆったりと進んでいく。住宅街を抜けて小学校前、スーパーの前、
他に何もない歩道にぽつんとあるバス停の前を通りすぎ、やがて一つの高校の前で停車した。
 バスの中ほどから乗車してきた一人の女の子と目があってユキコははっと息を呑んだ。
 中学生の頃の友達だった。それも一番仲のよかった、アキだった。
 アキもユキコを見つけて目を見張り動きをとめるが、やがてガタガタと揺れて発進したバスに慌てて近くの席に座った。
 ユキコはバスに揺れるアキの背中を見つめながら、なんで!? どうして!? と頭の中で繰り返した。
 アキとは中学の卒業式以来、連絡を取っていなかった。いや、それ以前、高校の合格発表のあの日を境に連絡はおろか
口すら利かずまったくの疎遠となっていた。

 ユキコとアキは同じ高校を受験し、その日は父の運転で高校に張り出される合格者通知を共に見に行ったのだ。
そんな一大イベントであるにも関わらず、その日は珍しく晴れていたのを覚えている。
アキも「こんな日に晴れるなんてきっと良い結果だよ」と緊張を隠すように笑っていた。
「ひぃ〜ウチ、死ぬかもしれへん。口から心臓が出て死ぬかもしれへん……」
 高校に到着し、いざ掲示板を前にしたユキコは緊張のあまり卒倒しそうになっていた。
 アキはそんなユキコを「よしよし」と宥めて「よし、せーので一緒に見ようか」と言った。
「う、うん。せーのね。せーの、ね!?」
「せーの!」
「ひぃ〜!」
 ユキコは恐る恐る目を開き掲示板を見上げた。
 4446。それがユキコの受験番号だった。1000番台、2000番台、3000番台と飛ばし、4000番台から番号を目で追っていく。そして。
「あ、あった! あったあった! あった!」
 ユキコは自分の受験番号を見つけて、喜びのあまりアキに抱きかかった。
「アキは!? アキは受かった!?」
183 :夕立3/4 [saga]:2016/06/22(水) 18:32:48.71 ID:GZmCfzRq0

 喜び勇み、アキに抱きつくユキコの鼻頭に冷たい雨滴が当たった。
「あ……」
 見上げると薄暗い雲が空を覆い、まばらに雨が降り出していた。
 しばらく沈黙のまま掲示板を見上げていたアキがぽつりと言った。
「ごめん……」
 興奮していたユキコを現実に引き戻すようにさーっという雨音が辺りを包み込んでいた。
「ごめん……」 
 雨音にかき消されるくらい小さな声でアキがもう一度呟いた。
 その泣き顔を隠すように雨が一層強く降ってきていた。

 本当は知っていながら知らぬふりをしていたのだ。仲の良いアキが、滑り止めに受けた高校を、ユキコが知らないはずがなかった。
そして、自分の通う高校の前から出てるバスが、アキの高校前で停まることも。
 知らないはずがなかった。
 ただ、まさかという思いがユキコの中にはあった。この日、このタイミングで、まさかアキがこのバスに乗ってくるなんて。
 あの日以来、アキがユキコに連絡をしてくることはなかった。ユキコもまた、負い目のようなものを感じて声をかけることができずにいた。
そもそも、なんと声をかければ良かったのだ。一緒に受験した希望校に、自分だけが受かったのに。
 バスは直に終点の駅前に到着する。ここでまた、見なかったふりをして帰途につくのか。それではまるで、
二人の訣別を決定づけるような気がしてならなかった。でも、今更なんと声をかける。核心を避けて笑顔を取り繕って、
あの日のことなんてなかったかのように話すべきなのか。まるで、親しくない間柄の世間話のように。
 そんなこんなと考えているうちにバスは終点に到着してしまった。
 アキが一度、ちらとユキコの方を振り返った。一瞬、何かを言いたげに口ごもるが、すぐにそそくさとバスを降りていってしまった。
それを見てユキコは決意した。
 自分から話かけないと、きっとこれっきりだ、と。
 ユキコは急いでバスを降りると、傘を差して歩きだしたアキの背中に声をかけた。外は、小雨と言っていいほどに落ち着いてきていた。
「アキ!」
 振り返った彼女の表情は、どこか苦しげに歪んでいた。ユキコも声を掛けたものの、何を話すべきのか、まったくわからないままだった。
「あ、あのさ……」
 ユキコは苦笑いを浮かべながら空を指さした。
「傘忘れちゃったから入れてもらってもいい……?」
 アキは一瞬ぽかんと口を開けてから、ぷっ吹き出した。
「ユキコはほんともう……」
 そう言って笑うアキの顔は、前と変わらぬ屈託のないものだった。
184 :夕立4/4 [saga]:2016/06/22(水) 18:33:15.29 ID:GZmCfzRq0
 一つの傘の下で肩を寄せ合い歩きだした二人は、はじめのうちこそぎくしゃくしていたものの、次第に前と同じように笑って喋ることができていた。
 結局、とユキコは思う。思い詰めすぎていたのかもしれない。たいしたことではなかった、とはユキコの立場からは決して言えない。
それでもこのまま仲違いして二人の関係が終わってしまうことに比べたら、きっとたいしたことではなかったのだ。
「あ……」
 アキが傘を下ろして、空を見上げた。
 ほんとうに間が悪いな、とユキコも同じように空を見上げて思う。
 雨に濡れた道が、きらきらと光を乱反射させている。雲間から差した陽光が二人の行く先を照らし出していた。夕立はもうすっかりあがっていた。
 もう少し相合い傘しながら歩いていたかったのに。ユキコはこっそり思った。
185 :夕立5/4 [saga]:2016/06/22(水) 18:34:07.65 ID:GZmCfzRq0
以上です

感想いただけると幸いです
186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/25(土) 01:43:00.04 ID:F73sJKpC0
てきすとぽいのほうでも告知しておきました
http://text-poi.net/vote/120/

文字数は60文字×30行×10レスで18000文字にしました
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/27(月) 17:36:40.09 ID:6PRtHM3B0
>>185
雨が降るところから始まって、冷たいおにぎりの味とか、死神という文字が出たりして、「この物語はどうなってゆくのかしら…」と不安な予感を抱きながら読んだのだけども
最後は晴れてほっとしました…
雨という舞台装置(無粋な言い方ですが)が作用して話がすっきりしてて、読みやすかったです
188 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/27(月) 17:37:51.57 ID:6PRtHM3B0
>>185
雨が降るところから始まって、冷たいおにぎりの味とか、死神という文字が出たりして、「この物語はどうなってゆくのかしら…」と不安な予感を抱きながら読んだのだけども
最後は晴れてほっとしました…
雨という舞台装置(無粋な言い方ですが)が作用して話がすっきりしてて、読みやすかったです
189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/29(水) 21:37:34.25 ID:RJi8l7Wf0
>>188
感想ありがとうございます
死神のところは遊びの部分というかなんというか・・・
雨が降っている話を書くのはたぶんはじめてだった気がするので描写とか自分の語彙力のなさに悩まされました
それと三人称で書くのもあまり慣れてなくてそれの練習的なところもありました

感想もらえるとやっぱ嬉しいですね
品評会書こう
190 : ◆WcdsYcoxalT3 [saga]:2016/06/30(木) 00:30:56.74 ID:Dkw/bP6K0
私は自分が嫌いだ

嫌いだ

嫌いだ

三回書言って、少し言い過ぎたと気づく

今は、嫌いだ

あと、二回も言えば満足するだろう

嫌いだ

嫌いだ

満足したこんな単純な自分が嫌いだ

泣きたくなる

気付いたときにはもう遅い

目尻には涙が溜まっている

私は泣いたら、だめだ。

泣いたら、私が弱いと思われる

心配されたくない

馬鹿にされたくない

わたしを知られたくない

でもわたしを知ろうとする人間なんてどこにもいない

くそ

くそ

わたしが悪いのか

あんな奴らより

わたしの悪口で笑っているやつらより

私が悪いのか

ふざけるな

自分のことで怒って何が悪い

何が面白い

わたしの知性を馬鹿にするな

私の行動をみて、せせら笑うな

わたしが一度でもおまえらを馬鹿にしたか?

わたしが一度でもおまえらを笑ったか?

ないないないないないないないない

一度もない

だめだ

涙で前が見えない

胸が熱い

でも、この瞬間だけが

わたしの慰め

ぶさいくと呼ばれた

気持ち悪いと言われた

なにもないわたしの生きた証だった

わたしはそのあと

空をとんだ
191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/30(木) 00:37:30.94 ID:Dkw/bP6K0
あ、お題「異能」です 
投下終わり
192 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/30(木) 04:02:15.28 ID:YcTbES6Ro
自由詩だね
193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/30(木) 06:38:59.40 ID:bw47CX0DO
ワロタww
メンヘラ構ってちゃんのポエムみたいww
194 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/30(木) 07:12:50.49 ID:0qJJZhSHO
感想あざっす
電波女感出てたならそれでよし!
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/30(木) 07:42:26.23 ID:0qJJZhSHO
作者としてはこれで笑えるのはこういうことを一度も思ったことがないんだろうとも思う。うらやま
痛みを知らないやつだけが他人の傷を見て笑う
196 :ななしのラムネ様(お題:ななし・ラムネ) 0/9 [saga]:2016/07/01(金) 00:02:34.53 ID:Uf2E1B1ho
一番乗りいただきます
品評会投下ー
197 :ななしのラムネ様(お題:ななし・ラムネ) 1/9 [saga]:2016/07/01(金) 00:04:26.09 ID:Uf2E1B1ho

 コンクリートジャングルを旅立ち数時間。真っ赤なローカル電車を降り立った私に真っ先におかえりを告げたのは、
耳が痛くなるほどの蝉の大合唱だった。
 東京へ移り住み早十余年。その中でもこうして帰省をした回数が両の手の指で十分にまかなえてしまうのは、さすが
に親不孝者の証か。帰るたびに強いノスタルジィが襲うものの、やはりここは私にとって不便さの象徴でしかなかった。
 私にとってもう、帰るべき家といえば、妻と子の待つマンションの五階のあの部屋だけなのだ。
 そんな私をこうして帰郷へ導いたのは、先日届いたふるさとからの便り。六年間通った小学校が取り壊されるから久
しぶりに集まらないかという、旧友からの報せであった。
 学校と言ってもしょせんは田舎の小さな学び舎である。一学年に生徒は十人もおらず、それが六年間も続くのだから、
クラスメイトは皆仲の良い友達のようなものだ。その面々に久しぶりに会えるかもしれないという淡い期待の方が、
実のところ母校がなくなることより私を故郷へ向かわせた要因としては大きかった。
198 :ななしのラムネ様(お題:ななし・ラムネ) 2/9 [saga]:2016/07/01(金) 00:05:43.90 ID:Uf2E1B1ho

 仕事の休みは三日しか取れなかった。そもそも長居するつもりもなかったし、到着した日は実家でくつろぎ、翌日に
母校での同窓会。その日のうちに「家」へと帰り、三日目は家族サービスでもしよう。そんな算段であった。
「おお、懐かしい顔が揃ったな」
 子供のころは果てしなく広く感じた、今となっては手狭ささえ覚えるグラウンド。集合場所であるそこに最後に現れ
たのは、今回の同窓会を企画した張本人であった。
「遅いぞー、学級委員長」
「あれ、あんたちょっと太った?」
「うるせーばか、気にしてるんだよこっちは」
「変わんないねぇ、みんな」
 懐かしさが会話を進める。誰かが言った「変わらない」という言葉は、ある意味ではその通りで、だけど正しくはない。
 みんな大人になったのだ。会話の端々に垣間見える彼らの生活が、それを如実に物語っていた。その場だけを刹那的
に楽しめた少年期とは、もう決定的に違うのだ。
 と。感慨にふけっていた私のシャツの裾を、くいくいと引っ張る手。
「久しぶりぃ」
 にぃ、といたずらっぽい笑みが、私の顔を低い位置からのぞき込んでいた。
199 :ななしのラムネ様(お題:ななし・ラムネ) 3/9 [saga]:2016/07/01(金) 00:06:43.63 ID:Uf2E1B1ho

「ああ、久しぶり」
 幾つになっても黒髪の似合う女だな。真っ先に思い浮かんだのは、そんな感想だった。
「あら、そっけないお返事。会えて嬉しくないの?」
「いや、そんなことないさ。だけどお互いもうわいわい騒ぎ立てる歳でもないだろ?」
「……なーんか、つまんなくなった? きみ」
「大人になったからな」
「そういうものかね?」
「そういうものさ」
 そういうものなんだ。大人になるっていうのは。
「ほら、他の連中、中に入ってっちゃったぞ」
「おっと、いけないいけない。行こ行こ」
 ぱたぱたと駆ける後姿は。
 なぜだろう、遠い昔のあの頃の後姿に、ぴたりと重なった。
200 :ななしのラムネ様(お題:ななし・ラムネ) 4/9 [saga]:2016/07/01(金) 00:07:53.77 ID:Uf2E1B1ho

「うわぁ、いい眺めだなぁ」
 校舎を一通り巡り、懐かしさを高めた私たちが最後にたどり着いたのは、高い建物のないこの町を一望できる屋上で
あった。一望と言ってもそもそも校舎自体が二階建てであるため、見渡せる先もたかが知れているのだが。
 しかし、それでもクラスメイトの言う通り。緑が広がるこの風景は、マンションの屋上から見える灰色の景色に比べ
ればよっぽど良い眺めであった。
「あ、ほら。ここからでもあの神社見えるんだね」
 そう声をかけてきたのは、黒髪の似合う彼女。指さす方向を見やると、確かに彼女の言うものが視界に映った。
 懐かしさと同時に、少しだけ甘酸っぱさとほろ苦さが、胸の中に湧く。
「ななしのラムネ様」
 私の心の内を読んだかのように。
 彼女は、その言葉を口にした。
「覚えてる? 私が教えたななしのラムネ様のうわさ」
「…………ああ」
 答えが遅れたのは、それが決していい思い出とは言い切れなかったから。
201 :ななしのラムネ様(お題:ななし・ラムネ) 5/9 [saga]:2016/07/01(金) 00:09:14.76 ID:Uf2E1B1ho

 「私」がまだ「俺」だったころ。
 家が近くでよく登下校を共にしていた黒髪の似合う彼女は、ある日の帰り道にこんな話をしてくれた。 
「ね。ね。知ってる? ななしのラムネ様のうわさ」
 日差しが強い夏の日だった。少ない小遣いでも買えるラムネを握りしめていた俺は、自分の手の中のそれと彼女の顔
とを二、三度見比べ、首を横に振った。
「なに? その……ナントカサマって」
「ななしのラムネ様、だよ」
 くすくすと無邪気に笑う彼女。一方の俺は、揺れる長い黒髪がきれいだな、なんて場違いなことばかり思っていた。
「あのね、私も聞いた話なんだけど――」
 彼女の言うところによると。通学路の途中にある小さな神社。今は使われていないそこの賽銭箱の奥、人目につかな
いその陰に、中身を半分だけ飲み好きな子の名前を書いたラムネ瓶を置いておくと不思議なことが起こる、というもの
だった。
「不思議なことって?」
 年頃の少年であった俺からして見れば、それこそが話の肝である。話の中に「好きな子」というワードが出てきた段
階でおおよその見当はついていたのだが、それでも俺は興奮を隠しきれずに先を急かした。
 そんな様子がおかしかったのか。やはりくすくすと笑いながらも、彼女は続けた。
「次の日。もしもその瓶が空っぽになって、名前も消えてたら。その相手と両想いになれるんだって――」
202 :ななしのラムネ様(お題:ななし・ラムネ) 6/9 [saga]:2016/07/01(金) 00:11:43.13 ID:Uf2E1B1ho

 「俺」は年頃の少年であった。ならばこそ、色恋沙汰に関心を持っていたのも道理というものだ。
 「そうなんだ」なんて興味のないふりをしながら、内心ではすぐにでも試してみたくてしかたなかった。というのも、
そこに書きたい名前のアテがあったからこそ、なのだが。
 善は急げを体現するがごとく、その翌日にはすぐさま実行に至った。彼女にはいつものように一緒に帰ろうと誘われ
たが、用事があるからと断りを入れて俺は放課後になるや否やすぐさま教室を飛び出した。行きつけの駄菓子屋でラム
ネを買い、急いでその半分を飲み干し、マジック片手に神社へと向かった。
 うら寂れた神社に人気はなく、むしろ最近誰かが足を踏み入れた様子もなかった。これならラムネ瓶が心無い誰かに
イタズラされることもないだろうと安堵する。
 神の存在なんて信じたこともなかったが、その瞬間だけは、前日に知ったばかりの胡散臭い神様に祈りを捧げた。
 興奮冷めやらぬまま神社を後にし、翌日。休日の朝一番はまだ気温も上がらず涼しさを感じさせた。そんな中息を切
らせながら神社へと急ぐ俺。
 はやる鼓動は、全力疾走をしたせいだけでは、もちろんなくて。
 目的地へとたどり着き、賽銭箱の裏をおそるおそるのぞき込んだ俺は。
 果たして、ななしとなったラムネ瓶を見つけた。
203 :ななしのラムネ様(お題:ななし・ラムネ) 7/9 [saga]:2016/07/01(金) 00:13:04.09 ID:Uf2E1B1ho

「わ、いい風」
 私の視界の中で、彼女の黒髪が揺れる。
 あの日から。ななしのラムネを見つけたあの日から、「俺」が意中の相手と両想いになれたのかは、わからない。
 わかるのは、結局その相手とはなんら進展することもなく、小学校も中学校も高校も卒業し、「俺」は東京の大学へ
進学。相手はふるさとに残り、しばらくして地元の何某さんと結婚したということだけ。
 それが、甘酸っぱくて、ほろ苦い感情の、正体。
 子供のうわさなんてその程度のものだと、「私」は潔く切り捨てた。
 今となってはそれも過去の思い出だ。むしろ過去がそうであったからこそ今の妻と結ばれることとなったのだと考え
れば、何も間違っていない道筋だと言える。
 そうだ。
 何も、間違ってなんていない。
 相手に気持ちを伝えられなかったのだって――間違って、いなかったのだ。
「ね。ね。知ってる?」
 懐かしい問いかけが、私の意識を今へと引き戻す。
「なにを?」
 私はもう俺ではない。関心のないふりだってお手の物だ。
 だけど。

「ななしのラムネ様ってね――ぜーんぶ、私の作り話だったんだよ」

 その言葉の意味は、すぐには理解できなかった。
204 :ななしのラムネ様(お題:ななし・ラムネ) 8/9 [saga]:2016/07/01(金) 00:13:48.01 ID:Uf2E1B1ho

「え?」
 聞き返す私を、面白そうに見つめる彼女。
 蝉の声が、クラスメイト達の声が、風の音が、遠くなる。
 言葉を何度か咀嚼して。
 悟った。
 彼女の言葉の意味を。
 ななしのラムネ様の、本当の意味を。
 
 黒髪の似合う彼女の名前が書かれた、ラムネ瓶の行方を。

 私は、俺は、いまさらになって、悟った。
205 :ななしのラムネ様(お題:ななし・ラムネ) 9/9 [saga]:2016/07/01(金) 00:14:17.62 ID:Uf2E1B1ho

「――そう、なんだ」

 それでも、平気な顔を保てたのは。

「うん。そうなんだ」

 彼女も、平気な顔でそう答えたのは。


 きっと、俺たちが――大人になったから、なんだろう。
206 :ななしのラムネ様(お題:ななし・ラムネ) 10/9 [saga]:2016/07/01(金) 00:14:43.31 ID:Uf2E1B1ho
以上、投下終了です
207 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/01(金) 02:49:07.50 ID:3LWxxECj0
転載しておきました
http://text-poi.net/vote/120/1/

たぶんこれで問題ないはず
208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/01(金) 03:09:38.22 ID:8YPCvVC8O
感想は投票期間になってからかな?
209 :何事もなき夏の出来事(お題:ラムネ)0/8 [sage]:2016/07/03(日) 22:14:24.81 ID:vx65kHWzo
8レス投下します
連投規制とかあるかもしれないので、しばらく投下されなかったら虫してください
210 :何事もなき夏の出来事(お題:ラムネ)1/8 [sage]:2016/07/03(日) 22:14:58.80 ID:vx65kHWzo
 夏の日暮れどき、縁側の網戸に丸々としたカナブンがとまっていた。居間で兄と夏休みの宿題をやっていた僕
はちゃぶ台に肘をつきながら、西日に照らされたカナブンの陰影をじっと眺めていた。隣の空き地から虫の鳴く
のが聞こえる。風が吹くと、青っぽい湿った匂いがした。目の前には絵日記が広げられているが、日付以外は真
っ白なままだ。かれこれ三日、日記をなまけている。絵にしろ文にしろ、何も書くことが思いつかなかった。
「夏祭り兄ちゃんと行っていい?」
 と僕は言った。
 兄はカリカリと数学の問題を解きながら、顔も上げずに「おう」と応えた。今年高校受験を控えている兄は、
春先から別人のように真面目に勉強をしている。進学先は偏差値の高くない地元の私立校だが、好成績で合格
し、授業料が免除される特待を取らなければならない。両親は特待でなければ私立に進むことを許さないと言っ
ている。兄はなにがしかの分けがあって、どうしてもそこへ入りたいらしい。
 受験も何もない小学生なのに、何故勉強しなければならないのかと、白紙を鉛筆で突きながら考える。それか
ら、山岸の姉のことを考える。
   +
 先週、夏休みに入ってすぐの頃、スーパーでクラスメイトの山岸に偶然出くわした。僕は母親に夕飯の買い出
しで連れてこられていたのだが、野菜を選んでいるのを見ても面白くないので、一人お菓子コーナーをうろうろ
していた。陳列棚の向こうに、山岸を見つけたのはその時だった。特に学校で親しい仲ではないが、体育のチー
ム分けや遠足のグループで同じになったことがあった。彼は背が高く、縁のない眼鏡をかけている。目立ったこ
とをしないが、勉強はできるほうで、僕が密かに一目置いている男だった。「よう」と声をかけると、山岸はポ
ケットに両手を突っ込んだまま、顔だけこちらに向けて「ああ」と応えた。少し驚いた風だったが、大して興味
もないという顔だった。「何してんの」と訊くと「なんもしてない。ただ…‥」といいかけて僕の後ろに視線を
やった。
 振り向くと、色の白い学生服姿の女の人が買い物かごを持ってこっちに向かって歩いている。「姉ちゃんだ」
と山岸は言った。彼女も気がついたようで近くまで来た。「リュウちゃんの友達?」と彼女は僕を見て言った。
僕は人見知りの質で、口を閉じていた。山岸は「ああ、クラスメイトの中川」と言いながら、姉の横についた。
僕は今更「こんちは」と頭を下げた。山岸はこれで終わりという風に「それじゃあな、中川」と背中を向けた。
山岸の姉もつられて歩き去って行った。
 また一人になったので、両手を頭の後ろに組んで、お菓子を物色しようと思った。その時、去って行く山岸の
211 :何事もなき夏の出来事(お題:ラムネ)2/8 [sage]:2016/07/03(日) 22:15:29.63 ID:vx65kHWzo
姉の話し声が聞こえてきた。「かわいい子だったわね」
 僕はすっかり嬉しくなって、母親のところへ走って行った。それから荷物持ちを手伝って、夕飯を食べてる間
「今日の料理はウマイなぁ」等と言ったりした。テレビもいつもより面白かった。
   +
 それから夏休みの間、僕は山岸の家に遊びにいくことばかり考えた。しかしそれが実現することはなかった。
家がどこにあるか知らなかったし、連絡網で自宅の電話番号がわかっても、山岸の家族が出たらと思うと、行動
に移す気にならなかった。それに、僕が山岸と二人で遊ぶというのがそもそもおかしなことに思えた。今まで何
度か二人で話したことがあったが、気がつくと当たり障りのない内容を話している内に「それじゃあ」と言われ
て終わってしまう。二人の間柄はそのくらい浅いものだ。
 しかし山岸も夏祭りには来るだろう。そして姉も一緒にちがいない。根拠もないのに、僕はそう決めつけて考
えた。そしたら彼女が「あら、あの時の子ね」と話しかけてくれるように思える。山岸の家に遊びにいくよりも
彼女に会える可能性は高い。しかし会ってどうするのだか、僕も知らない。
 ただ一つ、ラムネでも一緒に飲んだら楽しいだろうなと思う。
   +
 今日の分でもさっさと終わらせようと適当にカナブンの絵を描いていると、遠くから太鼓の音が聞こえてき
た。
「兄ちゃん」
 と声をかけたが、兄はまだ問題を解いている。返事もよこさないので、僕は日記帳を閉じて鉛筆を筆箱にしま
った。とっくにカナブンはどこかへ消えていて、外は薄暗くなっていた。
「まだ終わんないの」
「うるさいな。急がんでもまだまだ時間あるだろ。もうちっと黙っとけ」
「はーい」
 僕はまたじっと兄を待たなければならなかった。
 母は病気の祖母の見舞いに出ていた。母の兄弟たちと話があるから帰ってくるのは遅いということだった。夕
飯のお金は兄が持っている。ゆえに兄の言うことを聞いていないと、夕飯にありつけるかも危ぶまれる。もちろ
ん夕飯は、夏祭りの屋台で食べることになるはずだ。
 そしてラムネも……と考えて思い当たる。どうやって山岸の姉の分のラムネを買ってもらえばいいんだろう? 
兄にはどうしても、二本ラムネを買ってもらわなければならない。僕は全然お金を持っていない。
 太鼓と笛の音が風に乗って聞こえる。商店街はすっかり人でいっぱいだろうな、と想像する。焼きそばとイカ
焼きと、かき氷と、水風船。金魚掬いはできない。うちの水槽には兄が以前掬った金魚が、鯉みたいに太って水
212 :何事もなき夏の出来事(お題:ラムネ)3/8 [sage]:2016/07/03(日) 22:16:25.64 ID:vx65kHWzo
槽の中を狭そうに泳いでいる。一緒に入れていた金魚をみんな食べてしまった奴だ。だからこれ以上の犠牲を生
むわけにはいかない。
 仕方がないので黙って畳の上に仰向けになって寝転んだりブリッジしたりしていると、兄が勉強道具をしまい
出した。
「よし、じゃあ行こうぜ」
 大仰に伸びをしながら兄は言った。
「うん。ラムネ飲みたいな」
「ラムネ? いいよ。財布持ってくるからちょっと待ってな」
 兄は階段を二段飛ばしで登っていき、すぐに戻ってきた。「P」のマークの赤い野球帽をかぶって、尻ポケッ
トに折りたたみ傘を突っ込んでいる。「毎年この時期は夕立がすごいからな」と兄は言った。
   +
 暗い、静まり返った住宅地を抜けて大通りに出ると、夏祭りの香りがいっぱいに立ち込めていた。
 真っ直ぐの通り沿いに所狭しと屋台が並んでいる。浴衣姿もちらほらと見える。人の流れが切れることなくず
っと続いている。街灯と街灯の間に赤と白の提灯がぶら下がっていて、それを見るとなんだか嬉しい気持ちにな
った。僕は人混みの中を兄の背中にくっついて歩いた。
「エラくごった返してるなあ」兄は振り返って「何か食うか」と訊いた。
「焼きそばかな」と僕が言うと「焼きそばだろうな、まずは」と返した。
 しかしこれだけ多くの屋台があるくせに、食べようと思ったものの屋台は何故か近くにはなかった。人が多
く、行きたい方にさっさと進むこともできない。
「まあ、焼き鳥でも食うか」
 すぐ近くの屋台を指差して兄は言った。僕は頷いた。
 浴衣姿のカップルの後ろに並んでいると、「おい、中川じゃねえか」と声をかけてくるものがあった。振り向
くと四人組の男たちがすぐ近くにいた。彼らには見覚えがあった。兄は彼らに「おう」と片手をあげて応えた。
「中川の弟?」
 と誰かが言った。また誰かが「似てるな」とか「似てないな」とか言って笑った。僕は口を閉じて様子見し
た。
「ああ、ハヤトっていうんだ。こいつら俺のクラスメイト」
 兄は僕の肩を掴んだ。彼らがうちに遊びに来たのを、僕は見たことがあるのだが、彼らはみんな僕のことは忘
れているらしい。僕は初対面のような顔をしていいのだかなんだかわからなかった。
「なあちょっと焼き鳥買っといてくれよ。これ財布」
213 :何事もなき夏の出来事(お題:ラムネ)4/8 [sage]:2016/07/03(日) 22:17:05.72 ID:vx65kHWzo
 と兄はボロボロに擦り切れた帆布の財布を手渡して四人の輪の中に入って行ってしまった。その時ちょうど、
前のカップルが買い物を終えた。仕方がないので、僕は一人で焼き鳥を注文しなくてはならなかった。店員のお
じさんは肌が真っ黒で、顔は汗でびっしょりだった。
「ボウズ」とおじさんは言った。「ボウズ」なんて呼ばれたのは初めてかもしれなかった。「どれがいい? い
まこれが焼きたてで、ウマいよ」
 と、一切れ一切れがごろりとした大きさの牛串を手に取った。僕は言われるがまま「それください。二本」と
指を二本立てて見せた。
 おじさんは舟皿に串を乗せて「八百円ね」と言った。僕は財布から千円札を出した。お釣りの二百円を、ちょ
っと考えてから、ポケットにしまった。
 ビニルの暖簾をくぐって通りに出ると、兄の姿がなかった。僕は左手に皿、右手に財布をもって辺りを見回し
た。人の流れの向こうに、赤い帽子が見えた。ほっとして、人の間を抜けながら、早足に歩いた。僕は買い物を
突然任せておいて、勝手に遠くに移動している兄に腹が立った。財布をポケットにしまって、牛串を一口かじっ
た。肉は硬く、味がなく、かんでもかんでも、塊のまま口の中に居座った。何故、牛串なんて買ったのだろう。
 その時、人混みの向こうに見える赤い帽子のマークが「C」なのに気がついた。僕はその瞬間、はっとその場
に立ち止まった。腹が立ったのも何もかもみんなスポーンと出て行った。
 さっきよりも速い足取りで元の焼き鳥屋に戻った。しかしやっぱり兄の姿はなかった。
 僕はしばらくの間歩き回った。歩いてきた通りを戻ったり、路地に入ってみたりした。そうしているうちに、
だんだん人通りが増えて、ほとんど流れに乗って歩くしかできなくなった。
 男たちの掛け声が響いた。みな、声の方を向いた。カメラを構えている人もいる。和太鼓がドンドンと打ち鳴
らされ、神輿が立ち上がった。ワッと声が上がって、神輿が動きだす。神輿の上で、髪をまとめ上げたサラシ姿
の若い女性が提灯を掲げて声を上げている。熱気がだんだんと高まっていくように見えた。しかし僕だけがひど
く孤独だった。ちっとも興味が湧かなかった。突然よそ者になったような疎外感を覚えた。
 僕は押しのけるようにして人混みを抜けた。
 すっかり冷えた牛串をみんな口にほうばって皿と串を設置されていたゴミ箱に入れた。湿った分厚い段ボール
を食べているようだった。
   +
 とうとう提灯が飾られていないところまで歩いてきてしまった。人通りは疎らで、屋台も並んでいない。祭り
の外までやってきたのだ。
 僕は小さい居酒屋の入り口で、水を張った大きなバケツの中に飲み物を冷やして売っているのを見つけた。バ
ケツの横に兄と同い年くらいの子供が座っていた。バケツの店番をやっているらしい。ぼうっとしながらうちわ
214 :何事もなき夏の出来事(お題:ラムネ)5/8 [sage]:2016/07/03(日) 22:17:32.31 ID:vx65kHWzo
を扇いで、いかにも退屈そうに見えた。
 僕はポケットから二百円出して、ラムネを二本買った。ラムネを差し出しながら、店番が言った。
「君、一人で歩いてるの?」
「うん」
「それなら遅くなる前に、帰ったほうがいいよ。危ないからね。そろそろ酒の回った大人が現れる頃だから」
「でも、兄ちゃんとはぐれちゃったんだ」
「ふぅん。じゃあお兄ちゃんも探してるだろうな」片手で扇ぎ、片手で顎をさすりながら彼は言った。「最初に
はぐれたところに戻ってじっと待ってたほうがいいかもね。お互い居場所のヒントはそこしかないから……お
い、ずいぶんしょげた顔だな。オレも店番なんかしてなかったらね、一緒に探してあげるんだけどさ。悪いね」
「うん」と頷いて僕は背を向けた。
 それから気づいて振り向き、「ありがとう」と頭を下げた。店番はうちわを振った。
   +
 僕は店番の言った通り、焼き鳥屋に戻ることにした。指針が与えられて、少し元気も湧いてきた。
 遠くにお囃子が流れている。神輿の掛け声も聞こえる。しかしどこかへ移動していて、今はその姿が見えな
い。さっき神輿がいた場所に戻ってきたが、ずっと空いていて歩きやすくなっていた。
 その時、山岸が一人で歩いているのが見えた。向こうのほうが先に気づいていたらしく、人通りを抜けながら
こっちに向かってくるところだった。
 見知った顔に出会って嬉しくなった。
「よう、よく会うな」と山岸が手を挙げた。
 いつもクールぶっているが、今は祭りの空気のせいか、いつになく朗らかな顔つきだった。
「ひとりかい」と聞くと「いつも姉といるわけじゃないさ」と彼はにやりと笑った。
 もしかしたらそのままいつものように「それじゃあ」といって立ち去るのではと思ったが、今日に限っては僕
の歩くのに合わせて隣についた。一人で行動していて手持ち無沙汰だったのだろう。
「さっき神輿を見たか?」と山岸が口を開いた。「あれに乗ってるの、みんな姉ちゃんの友達なんだ。威勢のい
いこったよな」
「山岸の姉ちゃんもなんかやってるの?」
「ああ、そいつらの写真撮ってるよ。なんていうの、記録係っていうかさ」
「ふぅん」
 つまり神輿を見た時、近くにいたんだと僕は思った。
   +
215 :何事もなき夏の出来事(お題:ラムネ)6/8 [sage]:2016/07/03(日) 22:18:03.58 ID:vx65kHWzo
 僕は話しながら、ひっそり、手に持っている二本のラムネのことを思った。山岸が何度か、そのラムネをちら
と見た気がした。しかしこのラムネは……。
 ひどく自分が貧乏くさく思えた。二本あるんだから、それを分けてやるのが普通じゃないか。
 それに、彼に秘密で山岸の姉と親しくなろうと思っていたことが、後ろめたい気もした。頭のいい山岸はそう
いう全てを見透かしている気もした。
 みんな僕の思い込みにすぎないけれど、それでも気持ちが良くないものは良くないのだ。
 僕は、まるで今気がついたというふうに「そうだ、これやるよ」と言って山岸にラムネを一本差し出した。彼
はなんでもないふうに「サンキュー」と言って瓶を開けて口にした。
 これで妙な夢想も泡と消えた。
「ちょっと前までは姉ちゃんと、姉ちゃんの友達と一緒に遊んでたのに、近頃は僕のことをのけものにするん
だ」山岸は言った。「何も言ってないのに、今日も、『あんたとは出かけないからね。いつまでも子供のお守り
はごめんなんだから』なんて言うんだぜ。ドラマの女優みたいな口調でさ。バカバカしいよな」
 山岸はビー玉をとりだして遊びだした。僕はそういう山岸の姉の性格を知って、全く意外に思った。大体、彼
女がどういう人かなんて一つも知りはしなかったのだ。なんだか夢から覚めたような気になった。そしてこの山
岸も、一人の「弟」に過ぎないのだと思った。
「上の兄弟なんて、みんなそんなもんなんだぜきっと。僕も今、兄ちゃんにおいてけぼりにされてるところなん
だ。勝手にどっか行っちゃってさ、しかも財布まで僕に渡したままでさ、アホなんだ」
山岸はふっと笑った。僕も同じ笑いをした。それは僕と山岸との間では今までなかったやりとりの形だった。
   +
 焼き鳥屋の屋台の通りまで僕らは来ていた。30分か40分か、下手したらもっと長いこと歩き通しだ。ここら
はまだ人が多く、流れに沿って進むしかなかった。
「おい、あれ」と山岸が不意に服を引いて指差した。彼の指差した先は提灯で照らされた通りから外れた、少し
広場のようになっている暗い三叉路だった。
 数人の大人たちがにらみあって何か話しているのが見えた。
  そして誰かが辺りに響くような怒鳴り声をあげた。大勢が歩みを緩めて、声の方を注目した。僕らも足を止
めて遠巻きに見ていた。
 一方がつかみ掛かっていき、殴りつけた。陰になって漠然とした動きしかわからなかったが、動物のようなう
なりやうめきをあげていた。僕は人がそんな風にむき出しになっているのを見るのは初めてだった。十メートル
以上は離れていたし人の壁もあったのに、すっかり怖気づいてしまった。野次馬たちが輪を作り始めていた。
216 :何事もなき夏の出来事(お題:ラムネ)7/8 [sage]:2016/07/03(日) 22:18:39.96 ID:vx65kHWzo
 喧嘩を見物しようとする連中が寄り集まってくる流れに逆らって僕らは歩いた。喧嘩している人以外の声も上
がり始めていた。
 ちょっとの間黙って歩いていたが、山岸は「そろそろ姉ちゃんのところに行こうかな」と口を開いた。
 それとほぼ同時に、絶えず空を覆っていた太鼓と笛の音を割くように雷が低く轟いた。はっとして空を見上げ
ると、雨の香りが吹いて辺りを満たした。次の瞬間に、なだれ込むようにして雨粒が一斉に降り注いだ。叩きつ
けるような激しい雨だった。屋台の屋根やアスファルトを打つ雨音で耳の中がいっぱいになった。
 人々は走って軒下に飛び込んだり、もう諦めて雨に打たれるがままになったりした。僕と山岸は全身びしょ濡
れになって足早に歩いた。
「それじゃあ」と山岸は言った「姉ちゃんのとこ、行くから!」
 雨音に負けないように、声を張る必要があった。
「それじゃあ!」
 僕が手を振ったのを見るが早いか、土砂降りの中山岸は走り去っていった。
   +
 焼き鳥屋はすぐそこだった。その軒下には何人かが雨を逃れて集まっていたが、兄の姿はなかった。肌の黒い
おじさんは、屋台の周りに透明なビニルシートを張ってずぶ濡れになっていた。
 避難している数人は服を絞ったりしながら、雨の時間を過ごした。雨脚の強さに、地面が白んでいた。側溝に
流れができて川のようになっている。天にまします何者かが祭りを強制終了したように思えた。神輿の少女たち
の威勢が良すぎたのかもしれない。暴力沙汰が起きたせいかもしれない。だとしたら、なかなかいい判断だ。
 僕は自分のラムネを開けていないことに気がついた。歩き続けて、喉も渇いていた。
 キャップでビー玉を押し込むと、白い泡が盛り上がって瓶の口からこぼれ落ちていった。慌ててすすり口に含
むと、しゅわしゅわとはじけながら甘い香りが鼻腔を通り抜けて行った。すっかり温くなっていたし、炭酸も抜
けてしまった。なんでこんなもの、飲まなきゃならないんだろう? と僕は眉根を寄せた。そういえば、今日は
ずっとこんな思いばかりしている。
   +
217 :何事もなき夏の出来事(お題:ラムネ)8/8 [sage]:2016/07/03(日) 22:19:21.04 ID:vx65kHWzo
 ビニルの向こうから人影がやってくるのが見えた。黄色い雨ガッパを着ているその影が、ビニルシートを開け
て中に入った。下ごしらえか何かをしていたおじさんは顔を上げて「いらっしゃい?」と言った。
 その人物がカッパのフードを脱いだ時、僕は声を上げた。
「お母さん!」
 髪の毛を頬にはりつけた顔で、母は目を見開いた。
「あっ、ハヤトみっけ」
 店員はそれを見て、わけを察して下ごしらえに戻った。
   +
 降ってきたのと同じように、雨が止んだもの唐突だった。視界を覆い尽くしていた雨は幕を引くようにあっと
いうまに消え去った。あとには水たまりと、湿った空気と、申し訳程度の星空だけがもたらされた。
 雨が降っていたのはちょっとの間だけで、すぐに祭りは再開された。
「お兄ちゃん、顔青ざめてたよ、かわいそうに。責任感じちゃってるの」
「おいてかれたの、僕の方だよ」
 僕と母は帰路についていた。祭りの中心を離れ、静かな住宅地を歩いている。どこかの家の庭から、虫たちが
慎ましく鳴いているのが聞こえる。祭りの囃子は、既に遠いものになっている。
 僕が迷子になった後(僕はそういう風に言われるのを遺憾に思う)、兄はすぐ家に帰って、母に電話したらし
い。母は予め、何かあった時の連絡先を兄に教えていたのだ。
 それから母はできるだけ早く切り上げて、帰って来たという。兄は電話した後、僕と同様に探し回っていたら
しい。それから搜索に加わった母が、先に僕を見つけたということだ。これらのことは思い返せば、ほんの一時
間とか、一時間半くらいのことにすぎない。なんだか随分長い出来事のように思えるので、不思議だった。
 家に帰って兄とようやく再会を果たすと、怒るでもなく喜ぶでもなく、鼻から息を吐いて、眉を寄せた変な顔
をした。それはおそらく、僕と同じ表情だったに違いない。今日はいろいろあったけど、これは何事でもない出
来事なのだ。
   +
 祭りから家に帰るとさっさと風呂に入って寝てしまったその翌日、僕は前日のことを絵日記に描いてしまおう
と思った。しかしよくよく考えると、やっぱり何か起きたようで、何も起きていない。書くことは山岸のこと
か、神輿のことか、雨のことか、思案しながら絵日記帳を開くと、既に絵を描く欄の真ん中に、丸々とした緑色
のカナブンの絵が描かれていた。
218 :何事もなき夏の出来事(お題:ラムネ)9/8 [sage]:2016/07/03(日) 22:20:13.81 ID:vx65kHWzo
以上です
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