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アスカ「私の王子さま」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :1 ◆78uhdUjpU6 [saga]:2016/04/22(金) 15:32:05.99 ID:IHPhKL7Q0
・エヴァ旧と新のごちゃ混ぜです。
・アスカは式波ではなく惣流です。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1461306725
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【安価】貴方は女子小学生に転生するようです @ 2024/04/22(月) 21:13:39.04 ID:ghfRO9bho
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【安価】少女だらけのゾンビパニック @ 2024/04/20(土) 20:42:14.43 ID:wSnpVNpyo
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ぶらじる @ 2024/04/19(金) 19:24:04.53 ID:SNmmhSOho
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旅にでんちう @ 2024/04/17(水) 20:27:26.83 ID:/EdK+WCRO
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2 :1 ◆78uhdUjpU6 [saga]:2016/04/22(金) 15:33:30.13 ID:IHPhKL7Q0
加持「いやはや、波乱に満ちた船旅でしたよ」

冬月「第六使徒ガギエルの殲滅には弐号機があたったそうだな」

加持「ええ。ま、そのお陰でどさくさに紛れて脱出できたわけですが」

加持「予定通りですか? ここまでは」

加持「人類補完計画、そしてエヴァ。例外は命取りになりませんかね」

ゲンドウ「何事にもイレギュラーはある。全て修正可能範囲の出来事だよ」

加持「なら、いいんですがね」

冬月「もちろん、君の行動も含めてな」

加持「しかし、アスカ……弐号機パイロットは――」

ゲンドウ「優秀な駒を無下にはせんよ」

加持「どんな強固なダムも、壊れるのはほんの小さな亀裂からです」

ゲンドウ「それが?」

加持「司令が、もしもその亀裂を見て見ぬふりをしているとしたら……」

ゲンドウ「ふっ」
3 :1 ◆78uhdUjpU6 [saga]:2016/04/22(金) 15:39:24.53 ID:IHPhKL7Q0

惣流・アスカ・ラングレー
【年齢】14歳
【身長】160cm
【体重】42kg

ドイツ3/4、日本1/4の血を持つクォーター(混血児)。髪色は金。二人目の適格者=セカンドチルドレン。国籍はアメリカ。
弐号機の専属パイロットに選ばれたその日に母親は人形もろとも心中する――。


リツコ(二人目の適格者=セカンドチルドレン)

リツコ(幼少期に母親がEVA接触実験において魂を弐号機に取り込まれ精神崩壊、ね)

加持「少し痩せたかな?」

リツコ「……そう?」

加持「悲しい恋をしてるからだ」

リツコ「どうして、そんなことがわかるの?」

加持「涙の通り道にホクロのある女性(人)は、一生泣きつづける運命にある」

リツコ「ふふっ」

加持「ん? おっと、アスカの経歴でも見ていたのかい?」

リツコ「えぇ。この子も複雑な家庭環境を持っているようね」

加持「人は誰でも、悩みを抱えて生きているものさ」

加持「特に、セカンドインパクトのあった後の世界ではね」

リツコ「しかし、それも個人の程度があるのではないかしら?」

加持「……」

リツコ「セカンドチルドレンのトラウマは、並大抵のことではないのでなくって?」

加持「やれやれ、かなわないな。りっちゃんには」
4 :1 ◆78uhdUjpU6 [saga]:2016/04/22(金) 15:46:11.27 ID:IHPhKL7Q0
リツコ「エヴァはA‐10神経でシンクロするのよ」

リツコ「パイロットの精神面も把握していないとね」

加持「まるで、アスカがエヴァを操縦をする上で爆弾を抱えているみたいな言い方じゃないか」

リツコ「そうよ。だから、トラウマでしょ?」

加持「もっと深く話をする必要がありそうだ。どうだい、今夜食事でも……」

リツコ「遠慮しておくわ、こわぁ〜いお姉さんが見てるから」

ミサト「こいつのバカはあいかわらずみたいね」

リツコ「お久しぶり、加持くん」

加持「やぁ、しばらく」

ミサト「あんた二号機の引き渡し済んだならさっさと帰りなさいよ」

加持「今朝、出向の辞令が届いてね、ここに居続けだよ」

ミサト「んなっ!?」

加持「また三人でつるめるな」

ミサト「だ、誰があんたなんかと……!」
5 :1 ◆78uhdUjpU6 [saga]:2016/04/22(金) 15:53:33.19 ID:IHPhKL7Q0
加持「ふっ、ところで葛城。碇シンジくんとの共同生活はどうだ?」

ミサト「シンジくん? どうって、それなりよ」

加持「なんとも色気のない回答だな。ま、中学生相手に色気があったほうがおかしいか」

加持「弐号機パイロット、アスカの経歴書には目を通したか?」

ミサト「なによ、突然。もちろん通したわ」

加持「――両親のことにも?」

ミサト「もちろんよ。それにアスカとは初対面でないし」

加持「こりゃ失敬、ついつい忘れていたよ」

加持「なら、話ははやい。アスカの保護者役お願いできるか」

リツコ「か、加持くん!?」

ミサト「ちょ、ちょっとどういうことよそれ!」

加持「アスカは愛情に飢えている。大人のな」

加持「エヴァの操縦ができるようにサポートしてあげるのも、仕事だろう?」

加持「なにもずっとってわけじゃない、碇シンジくんと同様、使途がくる間だけさ」

ミサト「だからってなんで私に!? うちにはそのシンジくんもいるのよ!?」

加持「同年代、ましてや同じパイロットがいるのは好ましい」

加持「シンジくん次第だが、アスカが変わるかもしれないしな」

リツコ「……ふぅ。加持くん、あなた何をたくらんでるの?」

加持「なにも企んじゃいないさ。ドイツでのよしみで心配している、ではおかしいかい?」

ミサト「怪しいわね」

加持「で? どうなんだ? 葛城。碇指令には俺から言ってもいい」

ミサト「う、うぅ〜ん」
6 :1 ◆78uhdUjpU6 [saga]:2016/04/22(金) 16:05:11.45 ID:IHPhKL7Q0

――――
―――
――



アスカ「ちょぉっと〜〜! バカシンジッ!」

シンジ「どうしたの? アスカ」

アスカ「シャンプー切れてるから買ってきておいてって言ったじゃない!」

シンジ「脱衣所に買い置きがあるはずだよ?」

アスカ「あんたバカァッ!? この私があんな安物を使えるわけないでしょ!?」

シンジ「……ごめん」

アスカ「はぁ、ごめんじゃないでしょごめんじゃ」

アスカ「謝れば済むと思ってる、あんたのそのことなかれ主義の性格! なんとかしなさいよぉ!」

シンジ「しょうがないよ、十四年間こうやって生きてきたんだから」

アスカ「そうやって諦めてるから何も変わらないの!」

アスカ「自分が今の自分自身に満足している証拠よ!」

アスカ「わかる? わかってんの!? バカシンジ!」

シンジ「……ごめん」

アスカ「だぁ〜かぁ〜らぁ〜!」

ミサト「(やっぱり、安請け合いはするものんじゃないわね…)」

アスカ「もういいっ! べぇ〜〜だっ!」

シンジ「……はぁ〜」

ミサト「(溜め息をつきたいのはこっちも同じよ、とほほ)」
7 :1 ◆78uhdUjpU6 [saga]:2016/04/22(金) 16:11:43.25 ID:IHPhKL7Q0
急用がはいったので短いですが今回はここまでにします。
今後の展開を少し話ますとアスカにはヤンデレってもらいます。
受け付けない方は『戻る』を推奨します。
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/22(金) 16:49:20.43 ID:MdtQFQGCO
誰に対してヤンデレになるんや?
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/22(金) 18:02:39.64 ID:5aeci15c0
期待
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/22(金) 19:14:42.70 ID:CK60+c4Wo
どうせまたカヲル君でしょ?
11 :1 ◆78uhdUjpU6 [saga]:2016/04/22(金) 20:16:44.55 ID:IHPhKL7Q0
>>8
>>10
シンジです。
12 :1 ◆78uhdUjpU6 [saga]:2016/04/22(金) 20:28:37.94 ID:IHPhKL7Q0
シンジ「(――アスカか)」

シンジ「(エヴァに乗るのがえらいみたいなこと言ってたけど、なんでエヴァに乗ろうと思ったんだろう)」

シンジ「(やっぱり大人達に褒められたいからなのかな)」

シンジ「(僕は、なんでエヴァに乗ってるんだろう……)」


綾波『絆……だから』


シンジ「(あの時、綾波は絆だと言った)」

シンジ「(誰との? まわりとの?)」

シンジ「(いや、違う。綾波は……)」

シンジ「(父さん。綾波は、父さんのなんなんだ)」

ミサト「……」スッ

シンジ「(ん? ミサトさん? 戸をあけてどうしたんだろう)」

ミサト「シンジくん、寝ちゃったかしら」

シンジ「……」

ミサト「アスカのこと受け入れてくれて。ここに住むことを了承してくれてありがとう」

ミサト「あの子も悪い子ではないのよ。ただ、ちょっと不器用なの」

ミサト「もし、起きて聞いてくれてるのなら、あの子のこと仲間として仲良くしてあげて」

ミサト「おやすみ」

シンジ「(ふぅ。ずるいや、ミサトさん)」
13 :1 ◆78uhdUjpU6 [saga]:2016/04/22(金) 20:40:05.29 ID:IHPhKL7Q0
シンジ「あ、おはよう。アスカ」

アスカ「ん〜」

シンジ「(朝は弱いみたいだ)」

シンジ「朝ごはんできてるよ。なにがよかったのかわからないから、トーストにしてみたけど」

アスカ「ミサトは……?」

シンジ「今朝は会議があるみたいでもう出ていった」

シンジ「洗い物しちゃうから、はやく食べてくれると……」

アスカ「あんた、昨日も家事してたわね」

シンジ「あぁ、うん」

アスカ「男のくせに、嫌じゃないの?」

シンジ「ま、まぁ。慣れてきたし」

アスカ「私に何か言われても言い返してもこないし」

アスカ「あんたって、男なの?」

シンジ「ど、どういう意味だよ!?」

アスカ「そのままの意味よ!」

アスカ「なよなよしちゃって、きもちわるぅ〜い」

シンジ「(頭にきた! 言い返してやる!)」

シンジ「アスカに気持ち悪く思われたって別にいいよ!」

アスカ「なんですってぇ!? 私に喧嘩売る気!?」

シンジ「そっちから売ってきたんじゃないか!」

アスカ「昨日なんかすぐ謝ってきたくせに!」

シンジ「そ、それはアスカが――!」

アスカ「女の私のせいにするってぇの!? 今日はシャンプーちゃんと買ってきておいてよね!」

シンジ「わ、わかったよ」

アスカ「ふんっ!」

シンジ「(本当に、不器用なのかなぁ……)」
14 :1 ◆78uhdUjpU6 [saga]:2016/04/22(金) 20:51:44.20 ID:IHPhKL7Q0
キーンコーンカーンコーン
 
ワーワーガヤガヤ


委員長「起立! 礼! 着席!」

先生「あー、今日は、みなさんに転校生を紹介します」

先生「では、アスカさん教室にはいってきなさい」


アスカ「……」


トウジ「あ……ぁ……」

ケンスケ「お、おぃ、あれって……」

シンジ「(あ、しまった。トウジとケンスケに言うの忘れてた)」

アスカ「惣流・アスカ・ラングレーです」

アスカ「まだ日本に着いて間もなくて……わからないことだらけですけど……」

アスカ「みなさん、仲良くしてください」

先生「ふむ、もういいかな」

シンジ「(な、なんだ。あの笑顔)」

シンジ「(家とはまるで別人……)」

先生「席はぁ、そうですね、洞木さんのところが空いてますね」

委員長「はいっ」

アスカ「よろしく、うふふ」

委員長「こちらこそよろしくね」

トウジ「お、女っちゅう生き物は……」

ケンスケ「猫かぶっちゃってるね」
15 :1 ◆78uhdUjpU6 [saga]:2016/04/22(金) 21:08:04.28 ID:IHPhKL7Q0
トウジ「おいシンジ! あいつがおるのはどういうこっちゃい!?」

シンジ「あ、はは」

ケンスケ「しかも同じクラスだなんてさぁ」

ケンスケ「エヴァのパイロットはそういう決まりでもあるのかぁ?」

シンジ「それは、偶然だと思う。たぶん……」

トウジ「お、おい! あの転校生、席たったで! こっちくるんちゃうか!? ……って、あら?」

ケンスケ「あっちは、綾波の席の方向だよ」

アスカ「あなたがプロトタイプのパイロットね」

綾波「……」ペラ

アスカ「本?」

綾波「……」ペラ

アスカ「私、弐号機パイロットの惣流・アスカ・ラングレーよ。仲良くしましょ」

アスカ「(ちょ、ちょっと、私のこと無視する気!? この私が手を差し出してるってのに!)」

綾波「……そこ、影になる」

アスカ「は、はぁ?」

綾波「命令であれば、仲良くするわ」

アスカ「な、なななななっ!?」
16 :1 ◆78uhdUjpU6 [saga]:2016/04/22(金) 21:26:11.97 ID:IHPhKL7Q0
風呂に呼ばれたので今日はここまでにします。
なるべく明日までに書き溜めしとこうとは思いますが、まったり進行でも勘弁してください。
おおまかな流れとしては旧エヴァの進行をなぞりつつ、まだ先の話ですが途中で旧から新へと分岐します。
アスカのシンジに対する心境の変化をいれたいのでヤンデレに堕ちるまでまだ3分の1も進んでいません。
では、読んでる人いるかわかりませんが、また明日。
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/04/22(金) 21:36:49.80 ID:kWz1/LbbO
あのさあ、旧エヴァってだけで読む人はいるのよ。
ここまで読んだところなぞっているとはいえ、文章力が低いわけじゃない。
読まない理由がないのよ。

だから糞萎えるネタバレは止してくんない?
カヲアスの注意書きがなかったから、LASならなんでも来いなの。

下らないネタバレでこっちの士気を下げる前に書けよ早く
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/22(金) 21:54:16.94 ID:W1oIcDkY0
>>17
なんだこいつきっしょ
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/22(金) 22:12:33.33 ID:YpaEV4i00
ほぅ…シンジか、とりあえず期待
20 :1 ◆78uhdUjpU6 [saga]:2016/04/23(土) 12:16:25.01 ID:5sWIEF8g0
>>17
SS中にあまり動きがなかったので、今後の展望とある程度の内容を告知したほうがわかりやすいかと思いました。
不快な気分させてごめんなさい。今後はこのようなネタバレは極力控えます。
21 :1 ◆78uhdUjpU6 [saga]:2016/04/23(土) 12:17:17.69 ID:5sWIEF8g0
マヤ「パターンオレンジ、未確認。高度2万5000Mから徐々に接近中」

ミサト「もっと正確な座標をとれる?」

日向「これ以上は無理ですね、なにしろ距離が遠すぎて」

ミサト「宇宙、か」

日向「そのようです、北極のベタニアベースでも観測できています」

マヤ「目標ロスト、全ての機器から反応が消えました」

青葉「北海道の観測施設からの報告も同じ。目標は完全に消失」

ミサト「どういうこと?」

リツコ「もしも使途ならば、ここを目指しているのは間違いないわね」

ミサト「別の可能性はない?」

リツコ「0ではないわよ。例えば、隕石」

ミサト「……地球にくるまでどれぐらいかしら」

ブーブーブー

ミサト「なに!?」

青葉「警戒中の巡洋艦、はるなより入電」

青葉「ワレ キイハントウニテ キョダイナ ブッタイヲハッケン データヲオクル」

マヤ「受信データを照合! 波状パターン青! 使途です!」

ミサト「おいでなすったわね。総員、第一種戦闘配置!」

冬月「宇宙とは別件でうやむやになってしまったな」

冬月「しかし……」

ゲンドウ「……ああ」

ゲンドウ「老人達は予定を繰り上げるようだ」

冬月「もしや、月面にあるタブハベースのMark.6が関係しているのではないか?」

ゲンドウ「問題ありませんよ、冬月先生」

ゲンドウ「数はまだ揃っていません」

冬月「運命を仕組まれたチルドレン、か」

冬月「(ユイ君、君の息子はトリガーになりえるのか)」
22 :1 ◆78uhdUjpU6 [saga]:2016/04/23(土) 12:19:46.48 ID:5sWIEF8g0
ミサト「先の戦闘によって、第三新東京都市の戦力は大幅にダウンしているわ」

ミサト「実質的な防衛能力は0といってもいいのよ」

ミサト「したがって今回は、上陸直前の水際で一気に叩く」

ミサト「初号機並びに弐号機は、目標に対して波状攻撃。近接戦闘でいくわよ」

アスカ「あぁ〜あ」

アスカ「日本でのデビュー戦だっていうのにどうして私ひとりにまかせてくれないのぉ」

シンジ「しかたないよ、作戦なんだから」

アスカ「言っとくけど! くれぐれも私の足を引っ張んないでよね!」

シンジ「う、うん」

アスカ「(まったく、私と一緒に乗った時はちょぉっとは頼りになるかと思ったのに)」

アスカ「ファーストも変なやつだし」

アスカ「あぁ〜〜〜〜もうっ! 思い出してもムカツクわねぇ!」

アスカ「(私はこれまでだって、自分一人の力で生きてきた)」

アスカ「(誰にも負けられないのよ、アスカ)」


ミサト「攻撃開始!」

アスカ「じゃ、私から行くわ! 援護してね!」

シンジ「え、援護?」

アスカ「レディーファーストよ!」

シンジ「ちぇ、後から来たくせに仕切るなよな」


ドシン ドシン ザパーン


アスカ「いけるっ!」

アスカ「どうりゃああああ〜〜〜〜〜っ!」
23 :1 ◆78uhdUjpU6 [saga]:2016/04/23(土) 12:23:23.31 ID:5sWIEF8g0
アスカが宙に舞った。弾かれるようにして動きを目で追う。
雄叫びと共に、上半身がしなりソニック・グレイブを縦に一閃、振りぬいた。

シンジ「す、凄い……」

気がつけば、感嘆とした言葉を発してしまっていた。
やっぱり、アスカは口先だけじゃない。自信を裏付ける実力がある。

操縦に関しても、思い切りの良さに関しても、僕なんかじゃ到底かなわないと思ってしまう。

――辺りを静寂が包む。

パレットガンで援護をすることを忘れて見惚れてしまった僕に、アスカから通信がはいってきた。

アスカ「どぉ? 戦いは常に無駄なく美しくよ」

呟かれたことは右から左に流され、唖然と誰よりも僕が驚いていた。

だけど――。勝利を確信して油断しきっているアスカの正面で使途が轟いた。背筋が凍りつく。

シンジ「(まだ、終わってない)」

ありえない、ありえないことだけど、目の前で使途が分裂した。

ミサト「ぬわぁんてインチキ!」

シンジ「アスカぁっ!」

アスカ「ひっ!」

反射的にパレットガンを捨て、プログナイフを抜いて使途に向かう。

シンジ「避けて!」

アスカ「きゃあああぁっ!」

分裂して二対になった使途は、動きも俊敏になった。

――バキンッ。

何発目かの追撃を受け、その一撃が弐号機のアンビリカルケーブルを切断する!

落ち着け。

二番目の使途のときにこういうことはあった。今はなんとかアスカを助けないと!

日向「弐号機! アンビリカルカーブル断線! 内部電源に切り替わります!」

マヤ「セカンドチルドレンの心理グラフ不安定です! シンクロ率4.256%低下!」

アスカ「ミサト! なんとかしなさいよぉ!」

シンジ「(なんとかしなきゃ、僕がなんとかしなきゃ!)」

ミサト「弐号機の活動時間は!?」

マヤ「残り200秒……195秒、まもなく残り3分です!」

ミサト「時間がないわ!」

ミサト「アスカは一時撤退! シンジくん少しでもいい、時間を稼いで!」

アスカ「敵がいるのに尻尾巻いて逃げろってぇの!?」

アスカ「そんなの嫌よっ!」

ミサト「アスカ! 押し問答をしている暇はないわ! 命令よ!」

アスカ「ぐぬぬぬぅ〜〜〜っ!」

ミサト「零号機は!?」

マヤ「先の先闘での損傷が激しく、出撃できるほどでは……」

ミサト「っち! そうだったわね」

アスカ「(まだ二分近く時間は残ってるのに!)」

アスカ「(失敗するわけにはいかないのに!)」

シンジ「――くっ! ア、アスカ!?」

アスカ「バカシンジ! 援護!」
24 :1 ◆78uhdUjpU6 [saga]:2016/04/23(土) 12:32:04.66 ID:5sWIEF8g0
とりあえずここまでです。また夕方にでも。
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/23(土) 13:47:18.43 ID:6OzG1ILNO
久々のエヴァssでしかもヤンデレとは
俺得期待
26 :1 ◆78uhdUjpU6 [saga]:2016/04/23(土) 15:19:23.63 ID:5sWIEF8g0
体に強い衝撃が来た。
アスカが僕を踏み台にしてわずかに駆け上がると勢いもそのままに跳躍した。

アスカ「くっ!」

待ち受ける二対の使途をめがけて前蹴りを振り切っていた。
使途の体がゴムまりの様に勢いよく弾き飛ばされ、地面へと崩れ落ちる。

ミサト「アスカ! なにやってるの!?」

アスカ「ようするに倒せばいいんでしょ!?」

ミサト「命令違反よ! 戻りなさい!」

弐号機の進路を妨げるように現れたもう一体の使途にプログナイフを突き立てる!

シンジ「アスカ! 大丈夫!?」

アスカ「誰にものを言ってんのよ!」

ミサト「(アスカ……)」

呻く間も許さず、コアに向かって何度も、何度も。

だけど、使途は再生を繰り返し、まるでダメージを受けてないみたいに見える。
アスカは焦りからなのか、しゃにむに足で蹴り上げて、さらに追撃を試みていた。

リツコ「(敵の姿は見えてきたわね)」

リツコ「ミサト、この使途は一方への攻撃は意味を成さないわ」

ミサト「エヴァの攻撃が効いていないの?」

リツコ「そうではないのよ、とにかく初号機と弐号機を撤退させて」

ミサト「わかったわ、シンジくん! アスカをつれて撤退して!」

シンジ「で、でもっ!」

思わず俯いて言葉を濁した。
アスカはまだ諦めてない。それに僕の言うことを素直に聞くとは思えなかった。

――僕には、アスカをとめられる気も、使途を倒せる自信もない。

でも、ミサトさんに何か考えがあるのなら、それを実行できるようにしなくちゃ!

シンジ「アスカ! 引こう!」

アスカ「なんですってっ!? 私に無様な格好を見せろって言うの!?」

シンジ「今のままじゃ無理だよ! それに見てよ! 再生してるじゃないか!」

アスカ「……はぁ、はぁ」

アスカが全力疾走でもした後のような息遣いをしてる。どんなに激しい動きをしてもエヴァに乗ってる僕達に肉体的な疲労感はない。
アスカの胸の中にある高ぶる戦意と闘争本能、そして、覚悟。
喧騒の中で他人事のように意識の外に流れてゆく。

シンジ「まるで、一人で戦ってるみたいだ」

さっきまで余裕があったはずなのに。
――だけど、考えても僕には、わからない。

アスカ「わかった……。弐号機、撤退するわ」

シンジ「僕が時間を稼ぐ! 内部電源が残ってる間にアスカは撤退して!」

アスカ「…………」
27 :1 ◆78uhdUjpU6 [saga]:2016/04/23(土) 16:01:56.08 ID:5sWIEF8g0
ミサト「どうして、私の命令を無視したの?」

アスカ「……」

ミサト「あなたの作戦責任者は私よ、ドイツ軍部で絶対尊守」

ミサト「たたきこまれたと思っていたけど」

アスカ「……なによ」

ミサト「焦る必要はないのよ」

アスカ「っ!? 焦ってる!? 私が!?」

ミサト「違うの?」

アスカ「私はエリートパイロットなのよ!」

アスカ「誰にも頼らない!」

アスカ「私の替えなんていないんだからっ!」

ミサト「――指揮官にとって、命令できない人材は厄介なだけよ」

アスカ「……っ!?」

ミサト「アスカ、そんな考えじゃそのうち死ぬわよ」

アスカ「はんっ! 私が死ぬわけないじゃない!」

アスカ「(そうよ、私はこんなところでつまづいてなんていられないんだから)」

ミサト「態度を改める気はないのね?」

アスカ「ふん、上司に恵まれないのも考え物ね」

ミサト「わかったわ。弐号機パイロット、あなたには服務規程違反が課せられます」

ミサト「よって、禁固三日……しばらくは営倉の生活になるけど、いいわよね?」

アスカ「……使途はどうするの?」

ミサト「それはあなたの考えることではないわ」

アスカ「どうせ後で泣きついてくるわよ」

アスカ「(――ちくしょう)」
28 :1 ◆78uhdUjpU6 [saga]:2016/04/23(土) 16:32:38.85 ID:5sWIEF8g0
マヤ「同時刻を以って、ネルフは作戦遂行を断念」

マヤ「国連第二方面軍へ指揮権を譲渡」

冬月「まったく恥をかかせおって!」

マヤ「N2爆雷により、目標を攻撃」

冬月「また地図を書き直さなきゃならんな」

マヤ「同目標の抗生物質の87%の焼却に成功」

冬月「足止めに過ぎん、再度侵攻は時間の問題だ」

加持「ま、建て直しの時間が稼げただけでも儲け物っすよ」

ゲンドウ「シンジ」

シンジ「……はい」

ゲンドウ「お前の仕事はなんだ」

シンジ「エヴァに乗る……こと」

ゲンドウ「違う、お前の仕事はエヴァを倒すことだ」

冬月「こんな醜態を晒すことではないぞ、まったく」

ゲンドウ「葛城一尉、次はない」

ミサト「了解、しました」
29 :1 ◆78uhdUjpU6 [saga]:2016/04/23(土) 16:44:01.95 ID:5sWIEF8g0
ミサト「はぁー……」

ミサト「(寿命が縮むわ)

シンジ「あの、ミサトさん」

ミサト「ん? どしたの、シンちゃん」

シンジ「アスカは……」

ミサト「あら、なぁにぃ? 女の子の心配?」

ミサト「シンちゃんも、見かけによらず気配りが上手なのね」

シンジ「そんなんじゃないですよ! ぼ、僕はただっ!」

ミサト「わかってるわ、アスカなら心配ないわよ」

加持「さてさて、それはどうかな」

ミサト「……なによ」

加持「女ってのはデリケートなもんさ。なっ、シンジくん」

シンジ「あっ、えっと、その」

加持「葛城、少しシンジくんを借りてもいいか」

ミサト「別にかまわないけど……変なこと教えるんじゃないわよ?」

加持「男同士にも付き合いはあるのさ」

加持「それと、今晩、時間あるか?」

リツコ「ミサトにそんな時間は無いわよ」

リツコ「各省庁からの抗議文と被害報告書、UNからの請求書もあるんだから」

ミサト「(読まなくてもわかってるわよぉ)」

リツコ「今度恥かかせたら左遷ね、間違いなく」

ミサト「だぁーーもうっ! やるわよ! やらせていただきますわよ!」

加持「そっちも大変みたいだがこっちも割と真剣な話なんでね」

加持「今夜、デスクに迎えにいくよ」

加持「さ、じゃあ行こうか、シンジくん」

シンジ「……僕、男ですよ」
30 :1 ◆78uhdUjpU6 [saga]:2016/04/23(土) 16:46:21.05 ID:5sWIEF8g0
とりあえずここまで。また後で書きます。
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/23(土) 17:29:47.36 ID:aQyGS8cU0
ゲンドウの言動がおかしいぞ
32 :1 ◆78uhdUjpU6 [saga]:2016/04/23(土) 18:37:52.40 ID:5sWIEF8g0
加持「缶コーヒーでよかったかな」

シンジ「ありがとうございます」

僕は、ちらりと加持さんの様子を伺った。
自動販売機から缶コーヒーを拾うと、無精ヒゲに右手を添えて笑みを浮かべている。

シンジ「あ、あの」

加持「シンジくん、エヴァに乗るのは好きかい?」

シンジ「えっ?」

加持「どうかな?」

シンジ「……あまり、好きではないです」

加持「やはりな」

シンジ「どうして、そんなこと聞くんですか」

加持「気になったから、ではだめかな」

シンジ「だめじゃ……ないですけど」

シンジ「ネルフにいるならみんな知ってると思います」

加持「たしかに、そうかもしれない」

加持「しかし、俺はシンジくんから直接聞きたかったのさ」

シンジ「……」

加持「ふっ、アスカとシンジくんは対称的だな」

シンジ「アスカ……ですか?」

加持「アスカはエヴァに乗ることに誇りを持っている」

加持「プライドと言ってもいいぐらいにね」

加持「そんな彼女をシンジくんはどう思う?」

質問の意図がよくわからなかった。
どうして、加持さんはアスカのことを僕に聞くんだろう。アスカのことならたぶん僕よりも加持さんの方が詳しい――。
印象を答えればいいのかな。

シンジ「アスカは、凄いと思います」

シンジ「自信たっぷりだし、迷いもないし」

加持「そうか……しかしな、シンジくん。迷いのない人間なんてものは存在しないのさ」

加持「ふとした時、大であれ小であれ、人は、必ず迷う」

加持「迷いながらも生きている、ただそれだけのことさ」

加持さんはすっきりした顔でまた薄い笑みを浮かべていた。
そんな加持さんを見て、僕も消極的ながら呼応するようにはにかんだ。すると、場の雰囲気も妙に和らいだと気がついた。

加持「シンジ君は、アスカのことが嫌いかい?」

微妙な冷たさなど感じさせない笑みでおだやかな視線を向けらていた。

シンジ「あの、言ってることが、よく、わからないです」

加持「今はわからなくてもいいさ」

加持「ただ一つだけ、大人からの忠告をしておくよ」

加持「――アスカは弱い」

加持「いつか、君の助けが必要なときがくるだろう」

加持「その時は、シンジくんらしく、助けてやってくれるか?」

僕は、懸命に加持さんが言いたいことを模索しようとしていた。
――助ける? アスカを。

そんな時がいつくるかわからないけど、使途、からなのかな。
違う。そんなことじゃない気がする。

アスカは――。

気がつけば、僕はうなずいてしまっていたんだ。
33 :1 ◆78uhdUjpU6 [saga]:2016/04/23(土) 19:11:13.29 ID:5sWIEF8g0
加持「よぉ、遅かったじゃないか」

加持「書類仕事は順調か?」

ミサト「あんたねぇ! まだまだ残ってるわよ!」

ミサト「で!? 用件はなに!?」

加持「りっちゃんから聞いてないのか」

ミサト「はぁ?」

加持「ま、座れよ、ネルフのカフェテリアも悪くはない」

ミサト「……で、なに」

加持「使途殲滅に向けて、アイデアがある」

ミサト「聞いてあげる。続けて」

加持「第七使途の弱点はひとつだ」

加持「分離中のコアに対して二点同時の加重攻撃」

ミサト「……二点同時?」

加持「アスカの攻撃を見ていただろう?」

加持「あの使途は二体で一体なのさ」

加持「つまり、同時にコアを破壊する必要がある」

ミサト「ズレてると再生するってわけか……」

加持「りっちゃんも同じ見解さ」

ミサト「なるほど、カラクリは読めたわ」

加持「と、なれば……」

ミサト「エヴァによるタイミングを合わせた攻撃ってわけね」

加持「さすが作戦本部長、察しがいいな」

ミサト「ちゃかさないで」

加持「この提案をするにあたり、希望があるんだが……」

ミサト「(ちょっち、嫌な予感がするわね)」

加持「沈黙は肯定と受け止めさせてもらうぞ」

ミサト「……なに?」

加持「葛城、耳かせ」

ミサト「んもう、なんなのよ。あん、ちょっと息ふきかけないで」

加持「提案というのはな――」

ミサト「――はぁ!? アスカの拘留期間を延長させるぅ!?」
34 :1 ◆78uhdUjpU6 [saga]:2016/04/23(土) 19:32:55.92 ID:5sWIEF8g0
加持「耳打ちした意味がなくなるんだが……」

ミサト「えっ! あっ! ゴ、ゴホンっ!」

ミサト「ちょっと、どういうことなのよ」

加持「使途殲滅には、シンジくんと零号機パイロットにやらせてほしい」

ミサト「レイを?」

加持「順当にいけば、シンクロ率の高いアスカとシンジくんを組ませようとするだろうからな」

ミサト「……」

加持「アスカの3日の軟禁を、6日にのばせないか」

加持「タイミングを合わせるのはシンジ君たちで大丈夫さ」

ミサト「でも、どうして……」

加持「葛城も、アスカがこのままでいいとは思っていなんだろう」

ミサト「でも、だったら、自信をつけさせる為にもシンジくんと……」

加持「本当にそれでいいと思っているのか」

ミサト「違うって言いたいわけね」

加持「アスカには、まず他に頼ることを覚えさせたほうがいい」

加持「シンジくん達ができるってところを見せてやるのさ」

ミサト「レイと組ませるのはいいとして、6日にのばす理由は?」

加持「使途が活動再開するには7日間を要する」

加持「アスカには特訓した成果だけを見せたい」

加持「特訓している風景を見せるなんて陰湿なことは嫌いなんでね」

ミサト「だけど、それで本当にアスカに効果があるの?」

加持「なんとも言えないね」

ミサト「ちょっと! あんたがそれじゃ!」

加持「すべては王子さま次第、さ」

ミサト「いい加減なんだから」

加持「俺達の目的は使途殲滅だ。一石二鳥を狙って当たれば儲けものさ」




加持「(葛城、昔から童話のお姫さまには、王子さまが必要なんだよ)」
35 :1 ◆78uhdUjpU6 [saga]:2016/04/23(土) 19:39:02.89 ID:5sWIEF8g0
とりあえず今日はここまで。また暇なとき投稿します。
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/23(土) 20:42:38.84 ID:1Q52904Mo


書き貯めてるなら、一応誤字はチェックしてから投下した方が良いと思うよ。
ざっと見ただけで2か所の誤字、他に使徒が使途になってる。
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/24(日) 00:29:05.43 ID:VdR0KWcTo
めげずにやってね
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/24(日) 01:00:38.27 ID:oc2ZVuhzO
細かいハゲだな
39 :1 ◆78uhdUjpU6 [saga]:2016/04/24(日) 16:08:50.55 ID:KL2uXK7v0
>>36
書き貯めしている場合もあれば、そうじゃない場合もありまちまちです。
誤字脱字に関しては今後もあるかもしれません。脳内補完してくれるとありがたいです。

>>37
どうもありがとう。
40 :1 ◆78uhdUjpU6 [saga]:2016/04/24(日) 16:09:39.30 ID:KL2uXK7v0
アスカ「いいの。私は泣かない。私は自分で考えるの」

アスカ「私は子供じゃない」

アスカ「ぬいぐるみなんて私にはいらないわ」

アスカ「だから私を見て!」

アスカ「ママ! お願いだからママをやめないで!」

キョウコ「一緒に死んでちょうだい」

アスカ「ママ! お願いだから私を殺さないで!」

キョウコ「人形は好き?」

アスカ「いやっ! 私はママの人形じゃない!」

アスカ「私は自分でできるの!」

アスカ「自分で考え、自分の力で生きていけるの!」

キョウコ「アスカちゃん……」

キョウコ「一緒に死んでちょうだい」

アスカ「こんな思いはもう嫌!」

アスカ「私を殺さないで……」

キョウコ「死んで」

アスカ「私のママをやめないで……」

キョウコ「ママ? やめなさい」

アスカ「え?」

キョウコ「だって……」

キョウコ「ワタシハアナタノママジャナイ」

アスカ「嫌っ! もういやぁ!」

アスカ「私のことを見て!」

アスカ「――ねぇ、ママっ!」
41 :1 ◆78uhdUjpU6 [saga]:2016/04/24(日) 16:27:01.96 ID:KL2uXK7v0
アスカ「んっ……夢?」

薄目を開けて、呟いた。
無機質なデジタル時計を見つめるとどんよりとした暗闇の隙間から、うっすらとしたライトが注いでいる。
時刻は午前四時をまわろうかとしていた――。

アスカ「嫌なこと思い出しちゃった……」

気分のほうは、夢のせいで浮かばない。
昨日一日で様々なことを体験したからなのか、言いようのない焦燥感に駆られている。
いきなりの環境の変化に少し敏感になっているのか、はたまた、昨日の使徒のせいで気分が高まったのか。どういう理由でこうなっているのか、私でもよくわかっていない。

アスカ「どうせ泣きついてくるに決まってるんだから」

アスカ「(しっかりしなさいよ、アスカ)」

自身の繊細すぎるとも思える一面に違和感を感じつつも、慣れるまでは、多少は仕方ないかと自嘲的な笑いを作って一発頭を小突き、気分を切り替えようとした。

今は、まだ、不安なのかもしれない。

ママはもういない。

その実感があるだけ、なにもできなかった子供のころの私とは違う。

そう――。

あのころとはなにもかもが根底から違うはずだ。
でも、そう考えようとしても、何か言い知れぬ衝動に突き動かされそうな自分の気持ちを、抑えることができそうにない。

アスカ「寝てられないわね」

寝癖のついた髪を乱雑にかき上げ、軋むベットから起き上がる。

まだ寝静まっているであろう時間帯のお陰か、何も物音はしない。

無機質な部屋の中央を歩いていき、鏡に写る自分の顔を見つめる。

アスカ「使徒はまだ生きてる」

すぅー。はぁー。

深く息を吸い込み目を瞑る。

バリンッ!

鏡の中の私へ、握りこぶしを思い切り振り切った。
弾けるような炸裂音ともに、鏡は三方向にヒビ割れていた。
42 :1 ◆78uhdUjpU6 [saga]:2016/04/24(日) 16:42:10.00 ID:KL2uXK7v0
ミサト「シンちゃ〜ん、学校遅れるわよん」

シンジ「あ、はい。ミサトさんはまだ出ないんですか?」

ミサト「昨日は完徹したのよ〜!」

ミサト「今日はお・ひ・る・か・ら☆」

シンジ「(……手に持ってるビール飲みながらなんだもんなぁ)」

ミサト「ん? どしたの?」

シンジ「いえ、なんでもないですよ」

ミサト「そうそう、今日は学校が終わったらレイと一緒にリツコのところに行ってくれる?」

シンジ「綾波と、ですか?」

ミサト「そうよ〜ん」

ミサト「使徒への対策、やってもらいたいことがあるからその説明」

シンジ「わかりました」

ミサト「それと、シンちゃん」

ミサト「アスカのことなんだけど……」

シンジ「えっと、はい?」

ミサト「リツコの後でもかまわないから、営倉へたずねていってあげてくれないかしら」

ミサト「気まぐれになると思うし」

シンジ「僕がですか?」

シンジ「アスカは、僕が来てもうれしくないと思いますけど」

ミサト「シンちゃんは同年代なんだし、きっと仲良くしたいと思ってるはずよ」

シンジ「(とてもそういう風には見えないけど)」

シンジ「わかりました。学校のプリントがあるかもしれないので、届けておきます」

ミサト「……ありがと」 
43 :1 ◆78uhdUjpU6 [saga]:2016/04/24(日) 17:00:47.54 ID:KL2uXK7v0
トウジ「エヴァのパイロットっちゅうのは変わり者ばっかり選ばれるんとちゃうか?」

ケンスケ「僕もそう思うねぇ」

ケンスケ「アスカの写真、飛ぶように売れてるけど、中身があれじゃなぁ」

委員長「鈴原っ! あんた今日の日直でしょ!?」

トウジ「あっ! すまん、委員長! 忘れてもーた!」

委員長「もうっ! ちゃんとしてっていつも言ってるのに」

シンジ「あ、洞木さん」

委員長「え……どうしたの? 碇くん」

シンジ「今日の帰りにアスカと会うんだ」

シンジ「学校のプリントとかあれば渡しておくけど」

委員長「助かるわ。連絡のプリント溜まってたから」

トウジ「なんもシンジに頼まんでも、ネルフの人に渡したらええやないか」

ケンスケ「そーそー。アスカはネルフで暮らしてるんだろ?」

シンジ「うん。今はね、数日だけだったけど一緒に住んでたから」

トウジ「――はぁ!?」

ケンスケ「一緒に住んでたぁ!?」

シンジ「あ、えっと、その、ミサトさんから頼まれて」

ケンスケ「いやぁ〜んな感じ!」

トウジ「シンジッ! ワイはそんなこと聞いとらんぞ!?」

シンジ「うん、だって、言ってなかったから……」

トウジ「一緒に住んどるっちゅうことは、あんなことやこんなことも……」

委員長「鈴原っ!! バカなこと言ってるんじゃないわよっ!」

ケンスケ「碇、もう大人の階段をのぼってしまうのかぁ」

綾波「……碇くん」

シンジ「あ、綾波。どしたの?」

綾波「帰り、一緒に帰りましょう」

シンジ「(綾波もリツコさんのこと聞いたのかな……)」

シンジ「うん、いいよ」

トウジ「あ、綾波まで!? くぅ〜〜〜〜〜〜っ! シンジ! これからワイはお前のことをセンセと呼ぶ!」
44 :1 ◆78uhdUjpU6 [saga]:2016/04/24(日) 17:02:52.92 ID:KL2uXK7v0
とりあえずここまで。また暇な時に書きます。
45 :1 ◆78uhdUjpU6 [saga]:2016/04/24(日) 21:22:23.78 ID:KL2uXK7v0
リツコ「いらっしゃい、シンジくん」

シンジ「あ、失礼します」

リツコ「楽にしていいわよ」

綾波「……」

リツコ「レイも座りなさい」

綾波「……はい」

リツコ「さて、聞いているとは思うけれど、今回の作戦の全容を説明します――」


シンジ「――綾波とタイミングを合わせるんですか?」

リツコ「そうよ。プログラムに沿って、二人にはまったく同じタイミングで使徒を攻撃してもらいます」

リツコ「その為には二人の協調、完璧なユニゾンが必要になるのよ」

綾波「……」

リツコ「あなた達には、ミサトの保護下で共同生活をしてもらうわ」

シンジ「え、えぇ!?」

シンジ「あ、綾波と!?」

リツコ「使徒は現在修復中、活動再開までの6日間だけよ」

シンジ「でも、綾波が――」

リツコ「かまわないわよね、レイ」

綾波「はい」

シンジ「綾波っ!? いいの!?」

綾波「……なぜ?」

シンジ「だって、一緒に住むってことは、その」

綾波「命令だから」

シンジ「あ……そう」

リツコ「テープを渡すわ」

リツコ「この曲に合わせた攻撃パターンを身体に覚えさせてちょうだい」

シンジ「(アスカの次は綾波とだなんて)」

リツコ「シンジくん? 聞いてるの?」

シンジ「……はい」
46 :1 ◆78uhdUjpU6 [saga]:2016/04/24(日) 21:25:08.10 ID:KL2uXK7v0
シンジ「(綾波ってなにか好き嫌いあるのかな)」

シンジ「(夕飯の買い物……どうしよう)」

シンジ「(ミサトさんのエビちゅもそろそろ切れるころだし)」

シンジ「(……っと、アスカのいる営倉はここみたいだ)」

シンジ「リツコさんからもらったカードキーはっと……」

ピ ピ ピ カシャ

シュ

シンジ「アスカぁ……あれ?」

シンジ「(そんなに広い部屋でもないのに、アスカがいない)」

シンジ「どこかに行ってるのかな?」

シンジ「(どうしよう)」

シンジ「アスカがいないんじゃ、ここにいてもしかたないし……」

シンジ「(ん? ベットにぬいぐるみ?)」

シンジ「(えらく古ぼけてるみたいだけど、これ、アスカのなのかな)」

ガシャン

アスカ「ふぅー、スッキリしたぁ……」バタン

シンジ「あっ!?」

アスカ「――っ!?」

アスカ「あ、あああああああんた、こここここでなにやって……」

シンジ「あ、あのシャワー浴びてたとは知らなくて、その」

シンジ「あの! アスカ! 前、見えてる」



シンジ「……」

アスカ「……」



アスカ「〜〜〜っ!」

アスカ「フンっ!!」ローリングソバット

シンジ「ぐへっ」

アスカ「エッチばか変態!! 信じらんない!」
47 :1 ◆78uhdUjpU6 [saga]:2016/04/24(日) 21:53:02.86 ID:KL2uXK7v0
シンジ「いてて、いっつぅ〜」

アスカ「それでぇ? 変態シンジはなにをしにここにきたのかしらぁ?」

シンジは、痛ましそうな表情を浮かべほほをさすっていた。

シンジ「アスカがどうしてるかなって思って、あ、これ学校のプリント」

その純真無垢な面持ちに犬っぽさを感じる。
まっすぐと見つめらどうにも居心地がよくなくて頭をポリポリと掻いて応えた。

アスカ「はぁ……」

アスカ「あんたねぇ、普通部屋にはいるときはノックなりなんなりするでしょ?」

アスカ「日本人だからってそういう文化がないとは言わせないわよ」

アスカ「ないっていうのなら、作るべきよ」

シンジ「……ごめん」

アスカ「私を迎えにきたのかと思ったけど、違うのね」

シンジ「今日は、そうじゃないんだ」

シンジ「アスカと少し、話をしにきただけで」

一瞬、開いた口が塞がらなかった。
手に持っていた化粧水が危うく落ちかけているところで我に返り、シンジの顔をまじまじと見て首を振る。

シンジ「あの、えっと」

いや、たぶん聞き間違いだったのだろう。深く考えるはやめて乾いた笑いで場を濁した。
こいつにそんな積極性があるとは思えない。

シンジ「ぬいぐるみ、好きなんだね」

アスカ「――見たの!?」

シンジ「え、うん。ベットの上にあったから……」

――不覚だった。
ママの形見であるぬいぐるみを見られるなんて。本当ならここでシンジを殺して口を封じたい。
だが、そんなことはできるはずもないのだ。

で、あるならばここは平静を保つことに努めるべきであるだろう。

アスカ「義理の母のよ」

咄嗟に嘘をついた。

シンジ「義理の?」

アスカ「いるのよ、ドイツに」

シンジ「仲、いいの?」

アスカ「上っ面はね。そんなに仲良くないし」

アスカ「嫌いってわけじゃないのよ? ただ苦手ってだけ」

アスカ「……って!? なんであんたにそんなこと話さなきゃならないのよ!」

調子が狂う。
いつもなら絶対にこんなことは話さないのに。
これも今朝見た夢のせいだろうか。

シンジ「あはは、でも羨ましいな」

アスカ「……?」

シンジ「僕は、父さんと仲良いいどころか、口もめったにきかないから」

アスカ「あんたのお父さんって碇司令よね?」

シンジ「うん」
48 :1 ◆78uhdUjpU6 [saga]:2016/04/24(日) 21:56:20.76 ID:KL2uXK7v0
今日はここまでです。また投稿します。
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/25(月) 00:28:57.73 ID:U9yscLBoO
気まぐれにでも書いてくれ
50 :1 ◆78uhdUjpU6 [saga]:2016/04/25(月) 19:43:01.65 ID:82m4ykdl0
シンジ「あの、アスカは……どうして、エヴァに乗ってるの?」

アスカ「はぁ?」

アスカ「そんなの決まってるじゃない、褒められたいからよ」

シンジ「(やっぱりそうなんだ)」

シンジが伏し目がちに頷いた。なにか言いたそうだったけど、なんだったのだろう。
どこかぎこちなさを感じたのか、訝しんだ視線で見ているとシンジはためらいがちに続けた。

シンジ「まわりの大人達に?」

アスカ「違うわ、自分で自分を褒めてあげたいからよ」

シンジ「……やっぱり、凄いや」

アスカ「なんでそんなこと聞くのよ」

シンジ「僕は、乗りたくて乗ってるわけじゃないから」

シンジ「綾波にも聞いたんだ」

アスカ「はぁ!? あんたみんなに聞いてまわってるの?」

言われたことに衝撃を受けた。シンジのエヴァに対する消極性は、薄々気がつきはじめている。

――たぶん、シンジは、エヴァに乗るのが嫌いだ。
乗っていることだってミサトたちに言われるがままに乗っている節がある。

情けない。

自分の意思でどうにもならないのは、まだ理解できる。
しかし、逃げ出せるのに逃げ出さないこいつのこじらせ方は結構深刻なのかもしれない。

シンジ「エヴァのパイロットだけだよ」

アスカ「……あいかわらずうじうじしてるわね」

シンジを鼻で笑って壁にもたれかかる。

シンジ「そうかもしれない」

シンジ「(たぶん、安心したいだけなのかもしれない)」

シンジ「けど、それでもアスカは凄いって思えるから」

思わず吹き出していた。

先の戦闘で否応無しに理解させられたのが、こんなやつでもエヴァに乗ればそこそこに頼りになる。
性格的には、どうしても受け入れ難い。
だが、こんな男でも、頼りになると思える瞬間がある。

まったくわけがわからない。

――あぁ、もう。今日は一体どうしたのか。

アスカ「ふん……そんなのあったりまえじゃない」

アスカ「いい!? この際だから言っておくけど!」

アスカ「あんたが悩むようなことで私は悩まないの!」

アスカ「せいぜい私の足を引っ張んないでやんなさいよ!」デコピン

シンジ「いてっ」

アスカ「はん」

アスカ「そんなことよりも、使徒はどうなってるのよ?」

シンジ「そのことなら心配ないよ」

シンジ「綾波と二人で今日から特訓なんだ」




アスカ「――っ!! ちょっと! なによそれぇ!」
51 :1 ◆78uhdUjpU6 [saga]:2016/04/25(月) 19:57:14.14 ID:82m4ykdl0
書く気分が乗らないので今日はこれだけにします。また後日。
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/25(月) 20:12:02.57 ID:9CZqo4pSO
旧劇場で自分の体を○慰に使われたとしったらどう反応するのか
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/25(月) 20:25:01.46 ID:cDyfW09Go

待ってます
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/26(火) 15:00:28.46 ID:PmU2l+U+0
>>52
あん時は、サードインパクトで溶け合って互いの全てを知ったから、例の夕焼け電車の中でアスカがシンジに直接言ってたろ
しかもその上でのあの
『アンタが全部私のものにならないなら、私、何もいらない』
ってんだから、原作アスカも相当のヤンデレなんやで
55 :1 ◆78uhdUjpU6 [saga]:2016/04/26(火) 19:15:39.05 ID:Hyi/5hkA0
― 同時刻 ネルフ本部
        第8格納庫 ―


prrrrr……

prrrrrr……



マリ「Hello,Mari here(はい、こちらマリ)」

マリ「What?(ええ?)」

マリ「Well you told me to enter into Japan covertly(日本に極秘入国しろって言ったじゃない)」

マリ「Won't you have the Euro people work this out(問題はそっちから話つけてよ)」

マリ「Just be there for my extraction later,okay?Thanks.(じゃピックアップよろしく)」

マリ「」ピッ


(弐号機を見上げる)


マリ「にゃるほど、これがエヴァ弐号機」

マリ「ふ〜むぅ……まだだめだな……。心を閉ざしてる」

マリ「」ゴロン




マリ「……いい匂い。L.C.Lの香りがする」





   
56 :1 ◆78uhdUjpU6 [saga]:2016/04/26(火) 19:41:57.23 ID:Hyi/5hkA0
シンジ「えっと、その」

アスカ「どういうことか説明しなさいよ!?」

アスカ「なんでこの私をさしおいて、ファーストがでてくるのよ!」ドンッ!

シンジ「そんなこと僕に言ったって――」



ビービー


『――ネルフ本部内にて、不振人物』

『保安部は至急、第八格納庫に向かってください』

『繰り返します――』




シンジ「なんだろ……?」

アスカ「バカシンジ! 聞いてるの!?」

シンジ「(あっ、そうだった、アスカがいたんだ)」

アスカ「……」

シンジ「あの使徒は、倒すのにタイミングを合わせる必要があるんだって」

アスカ「それで!?」

シンジ「だから、その、綾波と僕で特訓がはじまるんだ」

シンジ「……ミサトさんもリツコさんもそういうんだから仕方ないじゃないか」



57 :1 ◆78uhdUjpU6 [saga]:2016/04/26(火) 20:29:23.27 ID:Hyi/5hkA0


シンジ「……」

アスカ「……」


ゆったりと流れていた時間が凍りつく。重い、重い沈黙。


アスカ「そう、そうなのね」

アスカ「……やってくれるじゃない、ミサト」

シンジ「……」

まるで、重苦しい雰因気の中にある檻にはいっている錯覚を僕は覚えた。

シンジ「あの、アスカ?」

声をかけてもアスカは変わらず頭を垂れて無反応のままだ。

アスカ「……なによ」

低いドスの利いた声は、僕の耳にはっきりと届いた。まずい、これはかなり怒っている。

思わず身の危険を感じるほど、目つきがけわしくなっていた――。

アスカ「いいわよ、そっちがその気なら」ブツブツ

ぽつり、ぽつりと言葉を発しているものの、ささやくようなか細い声でいまいち聞き取れない。

シンジ「あの、大丈夫?」

アスカ「……帰って」

シンジ「へ?」

シンジ「アスカ?」

アスカ「うっさい! もう帰ってよ!」
58 :1 ◆78uhdUjpU6 [saga]:2016/04/26(火) 21:22:07.76 ID:Hyi/5hkA0
― ネルフ本部 第五通路 ―


シンジ「(なんなんだよもう)」

まさか、自分に飛び火してくるとは思っていなかった。コップを投げられた痛みがにぶい鈍痛に変わる頃、ようやく冷静に状況を把握しだしていた。

突然、ヒステリックになったアスカから逃げるように部屋から飛び出していたんだ。

シンジ「いきなり物投げてくるなよな」

左手で後頭部をさわると、さらりとした髪の感触があるだけで、液体に濡れていないことにほっと安堵する。

シンジ「……言わないほうがよかったのかな」



マリ「どいてどいてぇ〜〜〜〜〜〜っ!!」



シンジ「い!? うわぁっ!?」ゴチーン



マリ「あたた……、いっつ〜〜〜」

シンジ「いったた」

マリ「ねぇ! ちょっとキミ、だいじょうぶ?」

マリ「あ、キミって」クンクン

マリ「やっぱり、L.C.Lのいい匂い」

シンジ「え? あ、あの――」



「どこだ!? まだ近くにいるはずだ!」

「A班は二番通路へいけ!」

「はっ!」ダダダッ

「B班は一緒にこい!」



マリ「あ!? やばぁ〜! 逃げなきゃ!」

マリ「それじゃ、また今度ね、ネルフのワンコくん♪」
59 :1 ◆78uhdUjpU6 [saga]:2016/04/26(火) 21:23:40.24 ID:Hyi/5hkA0
今日はここまで。また。
60 :1 ◆78uhdUjpU6 [saga]:2016/04/27(水) 18:50:05.44 ID:Rf715VWe0
― 葛城宅 ―


シンジ「……ただいま」

シンジ「はぁ」トボトボ

ミサト「あらぁ。どうしたの? シンちゃん、えらくお疲れみたいじゃない」

シンジ「ちょっと色々あって」

シンジ「買い物は済ませて来ましたよ」ガサゴソ

シンジ「今、ご飯作るから綾波はちょっと座っててよ」

綾波「……」コクリ

ミサト「ありがと。アスカと喧嘩でもしたの?」

シンジ「アスカは……怒らせちゃいました」

ミサト「?」

シンジ「綾波と一緒に訓練するっていったら突然態度が変わっちゃって」

ミサト「(あっちゃぁ〜)」

シンジ「言わないほうが、よかったですかね」

ミサト「……シンジくんは悪くないわ。いずれにしろわかることだし」

シンジ「アスカは、エヴァに乗ることで自分で自分で誉めてあげたいからだって」

シンジ「そう言ったんです」

シンジ「もし、僕のかわりにアスカを乗せることができるなら――」

ミサト「だめよ」

シンジ「……」

ミサト「いい? このままではアスカはいずれ自分に押し潰されるわ」

ミサト「私は、アスカにそうなってほしくはないの」

シンジ「……そう、ですか」

ミサト「アスカとは私からも話をしてみるから、シンジくんはアスカを訪ねてあげてくれる?」

シンジ「明日も、ですか?」

ミサト「えぇ。なにかあったら教えてほしいの」

シンジ「(それじゃ、まるで僕がスパイみたいじゃないか)」

綾波「……碇くん」スタスタ

シンジ「あ、ごめん綾波。お腹すいた?」

綾波「……」ジー

シンジ「ん?」


綾波「……わたし、お肉、食べれない」
61 :1 ◆78uhdUjpU6 [saga]:2016/04/27(水) 21:06:18.24 ID:Rf715VWe0
ミサト「」グビグビ

ミサト「ぷはぁ〜〜〜〜! くぅ〜〜〜っ」

ミサト「やっぱこれよねぇ〜」

シンジ「」モグモグ

ミサト「どう? レイ。シンちゃんの手料理は」

綾波「……」ジーッ

シンジ「(綾波はまだご飯をじっと見るだけで手をつけてない)」

シンジ「あの、よかったら食べてよ」

綾波「……」ジーッ

ミサト「このお味噌汁なんかおいしいわよ〜」

ミサト「レイ、食べて見なさい」

綾波「……はい」

シンジ「(なんだか、緊張するな)」

綾波「」ズズ ゴクン

綾波「……おいし」

ミサト「やったじゃないシンちゃ〜ん」ニマニマ

シンジ「(ホッ)」

シンジ「おかわりもあるよ」

ミサト「いいもんでしょ?」

綾波「え?」

ミサト「みんなで食べる食事」

綾波「……よく、わかりません」

綾波「けど」

ミサト「けど?」

綾波「心がポカポカします」

ミサト「……そう」ニッコリ

綾波「碇くん」

綾波「食事って、おいしいのね」

シンジ「……うん、そうだね」
62 :1 ◆78uhdUjpU6 [saga]:2016/04/27(水) 21:18:50.22 ID:Rf715VWe0
ズンズンチャン♪

ジャーン♪



ミサト「ほぉ〜う」

シンジ「……」

綾波「……」

ミサト「合ってるじゃなぁ〜い」

シンジ「(一回目から、それなりに合わせることができた)」

ミサト「シンジくんとレイは相性がいいのかしらねぇ」

ミサト「……よし! これは良い傾向だわ!」

ミサト「二人とも。今日はもう休みなさい」

シンジ「え? いいんですか?」

ミサト「今日はまだ初日だし、この分なら余裕ありそうだしね」

シンジ「わかりました」

シンジ「それじゃ、お風呂沸かしますね」

シンジ「綾波、先に入る?」

綾波「私、シャワーで――」

ミサト「――だぁめよ! きちんと風呂にはいって一日の汚れを落としなさい」

ミサト「風呂は命の洗濯よ♪」

綾波「……」

シンジ「」スタスタ

ミサト「シンちゃん、あたしはちょっち電話してくるから」

シンジ「わかりました」
63 :1 ◆78uhdUjpU6 [saga]:2016/04/27(水) 21:41:17.91 ID:Rf715VWe0
― ネルフ 営倉 ―


やるせない気分のまま、ぬいぐるみを放り投げベットに身を任せ天井を見る。
おもむろに意味もなく、ぼんやりと視線だけでシミの数をかぞえていた。

ゆっくりと目をとじると、一年前のことだというのに加持さんと過ごした日々が、まるで昨日のことのように反芻することができる。
私は、日本にきた瞬間から時間が止まったままなのかもしれない。

――


アスカ『あぁ〜ぁ、やだな、日本に着くと加持さんとお別れになるなんて』

加持『……しばらくの間だけさ』

アスカ『んもぅ』

アスカ『私は加持さんだったら、キスでも、その先だってオッケーなのにぃ!』ダキツキ

加持『日本につけば、ボーイフレンドだってできるさ』

加持『サードチルドレンは男の子だって話だぞ』

アスカ『……ガキはいや』

加持『アスカもまだ子供さ』

アスカ『私は子供じゃない! もう子供じゃないの!』

――


アスカ「(……ふぅ)」

深い溜息をして肩を落とすと、気持ちは、深い霧に包まれているようだった。頬につたう感触で私に帰る。
いつのまにか涙が流れてしまっていたようだ。


自信を持たなければ心が壊れてしまいそうだった。


まぶたの裏に強烈に焼き付いているのは、最後に見たママの首吊りの――。

アスカ「(嫌! 思い出したくない!)」

心に重くのしかかりジワジワと現実という日常に溶けこんでいく――。

アスカ「……ミサトのやつ、どうしてやろうかな」

そういえばとシンジに聞いた時のことを思い出す。まったく、なんというまわりくどいやり方なのだろう。
だが、向こうがその気ならば、私にも考えがある。

――まずは、シンジを使いここを脱出する。

その上で、シンジの父親である碇指令に直訴するのだ。うまくいくかどうかはわからないけど、このまま泣き寝入りなんてごめんだ。

アスカ「しゃらくさい……」

アスカ「見てなさいよ」
64 :1 ◆78uhdUjpU6 [saga]:2016/04/27(水) 21:46:56.90 ID:Rf715VWe0
今日はここまで。平日はやることが多いので更新が滞ってしまい、それに伴いモチべも低下中。
とりあえずアスカのヤンデレ化までは保ち続けたいものです。
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/27(水) 21:53:26.95 ID:G1uKZvpQ0
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/27(水) 23:40:15.99 ID:uX+bdQzyO
出来るならヤンデレになるとかその先どうなるかとか教えないで…

楽しみに読んでるのでどうなるのかわくわくしながら読みたいのです
67 :1 ◆78uhdUjpU6 [saga]:2016/04/28(木) 14:32:20.14 ID:0txqfv/V0
>>66
すみません。過去に発言していた内容だったので言っても構わないかと思いました。
楽しみにしてくれてどうもありがとう。
68 :1 ◆78uhdUjpU6 [saga]:2016/04/28(木) 14:55:46.16 ID:0txqfv/V0
― 場所 不明 ―


ゼーレ03「第七使途はまだ殲滅できんのかね」

ゼーレ06「本来はとるにたらん出来事だ」

ゼーレ02「左様、この程度で苦戦していては夜も眠れない」

ゼーレ02「万が一、使途がネルフ本部に進入することがあれば予定外だよ」

ゼーレ06「ましてや、使途がセントラルドグマに侵入してしまったら全ての計画が水泡に帰すところだ」

ゲンドウ「……既に使途殲滅の為の作戦は動いております」

ゲンドウ「委員会の皆様方が心配するようなことはありませんが」

ゼーレ04「ふん」

ゲンドウ「タイムスケジュールは死海文書の記述通りに進んでおります」

ゼーレ01「……まぁ、良い」

ゼーレ01「今回の不手際については責任を言及しない」

ゼーレ01「だが、君が新たなシナリオを作る必要は無い」

ゼーレ01「……わかっているな?」

ゲンドウ「わかっています」



ゲンドウ「――全ては、ゼーレのシナリオ通りに」
69 :1 ◆78uhdUjpU6 [saga]:2016/04/28(木) 15:39:38.53 ID:0txqfv/V0
―― 使徒活動再開まで残り5日
            ネルフ本部 ―


青葉「MAGIシステム、再起動後、自己診断モードにはいりました」

マヤ「第百二十七次、定期健診、異常なし」

リツコ「了解、お疲れ様」

リツコ「みんな、テスト開始まで休んでちょうだい」

リツコ「(異常なしか……)」

リツコ「(母さんは今日も元気なのに、私はただ歳をとるだけなのかしらね)」

マヤ「先輩、どうぞ」スッ

リツコ「あら、コーヒーをいれてくれたの」

マヤ「私には、これぐらいのことしかできませんから」

リツコ「そんなことないわよ」

リツコ「使徒の様子はどう?」

マヤ「いぜんとして、自己修復に努めているようです」

マヤ「若干、再生速度がはやいですが誤差の範囲内です」

リツコ「プログラムを解析して、計算の修正をしておいて」

マヤ「はい……あの、先輩」

リツコ「なに?」

マヤ「あ、やっぱりなにもありません」

リツコ「……? おかしな子ね」

マヤ「すみません。聞きたいことがあったんですけど、やっぱり自分で答えを探してみます」

リツコ「……そう」

ゲンドウ「」スタスタ

ゲンドウ「赤木博士」

ゲンドウ「使徒への対策はどうなっている」

リツコ「ファーストチルドレンとサードチルドレンに作戦を遂行させるようです」

ゲンドウ「……作戦変更だ」

リツコ「え?」

ゲンドウ「使徒殲滅にはセカンドチルドレンとサードチルドレンであたれ」

リツコ「……」

ゲンドウ「葛城一尉にもそう伝えるように」

リツコ「……ふぅ」


リツコ「マヤ、ミサトに電話、繋いで」
70 :1 ◆78uhdUjpU6 [saga]:2016/04/28(木) 15:41:52.01 ID:0txqfv/V0
とりあえずここまで。
71 :ID加速中 ◆QdSnJBTTyA :2016/04/28(木) 15:47:00.74 ID:uFf7Y4it0
韓国>>>>>>>>>>>日本だな
もはや
72 :ID加速中 ◆QdSnJBTTyA :2016/04/28(木) 15:53:11.69 ID:uFf7Y4it0
馬鹿ジャップ共全員飛び降りろ
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/04/28(木) 18:40:06.58 ID:rX9Fxt4WO
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/18(水) 13:29:45.30 ID:r0dbvENeO
そういや漫画版でマリがレズでユイに惚れてることが発覚したな

だから続きはよ
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