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モバP「だりやすかれんと春の休日」 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 : ◆5F5enKB7wjS6 [saga]:2016/05/02(月) 00:30:19.87 ID:N/U9BnsYO


―――暖かな日差しが差す、泰葉のお部屋


泰葉「――加蓮、加蓮。いい加減起きて」ユサユサ

加蓮「んんぅ〜……。あと1時間〜……」モゾモゾ…


泰葉「もう、バカ言わないで。せっかくのお休みなのに……」

加蓮「んーんー……。今何時ぃ……?」

泰葉「とっくに12時回ってます! 李衣菜がお昼ご飯作ってくれてるんだから、早く起き――」

加蓮「すやぁ……♪」

泰葉「……な、さいっ!」ボフッ!!

加蓮「う゛っ!?」

泰葉「あ」



李衣菜「オムライスできたよー。加蓮もう起きた? って」

加蓮「」

泰葉「か、加蓮! 目を開けて加蓮っ!」ユッサユッサ

李衣菜「なにしてんの?」

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木曜の夜には誰もダイブせず @ 2024/04/17(水) 20:05:45.21 ID:iuZC4QbfO
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2 : ◆5F5enKB7wjS6 [saga]:2016/05/02(月) 00:34:59.99 ID:N/U9BnsYO
加蓮「――いいパンチだったよ泰葉。布団の上から的確にみぞおちを狙うなんて、成長したじゃない」ジトッ…

泰葉「ご、ごめんなさい……。まさかあんな綺麗に入るとは思わなくて」

加蓮「もー、最悪の目覚ましだよ……」

李衣菜「あははっ、昼まで寝てるバチが当たったんだよ。加蓮が悪い」

加蓮「だ、だって春なんだから仕方ないじゃん。お日様の匂いに包まれたベッドで眠るなんて、あぁもう最高――♪」


泰葉「オムライス美味しい……いつもありがとう、李衣菜」モキュモキュ

李衣菜「へへ、どういたしまして。今日は自信作なんだー」モグモグ

加蓮「聞いてないし」
3 : ◆5F5enKB7wjS6 [saga]:2016/05/02(月) 00:37:45.47 ID:N/U9BnsYO
李衣菜「はいはい、なんでもいいから。加蓮も食べなよ、お腹すいてるでしょ?」

加蓮「言い訳くらいさせてよ……食べるけど。すっごく食べるけどっ」グゥゥ…

泰葉「あ、お腹鳴ってる」クスッ

加蓮「なんだか最近、よくお腹すくようになったんだよね。いただきまーすっ♪」

泰葉「体力付いて、レッスンもたくさん頑張ってるものね」

李衣菜「へへ、だね。味はどう?」

加蓮「もぐもぐ……」


加蓮「……! こ、これは……!」
4 : ◆5F5enKB7wjS6 [saga]:2016/05/02(月) 00:39:57.89 ID:N/U9BnsYO
李衣菜「え、なんか嫌いなの入ってた?」

加蓮「ぁむっ……! ふわとろのタマゴ、パラッとしたチキンライス……!」

加蓮「美味。非常に美味だよ李衣菜……!」パァァ…!

李衣菜「い、言い方は変だけど喜んでるのは伝わったよ……」

泰葉「ふふ、本当に美味しいもの。初めて作ってくれたときも充分美味しかったけど……」

加蓮「うん、どんどん上達してる気がするっ」
5 : ◆5F5enKB7wjS6 [saga]:2016/05/02(月) 00:43:18.35 ID:N/U9BnsYO
李衣菜「そう? でも、上手くなろうって思ったのはアイドルになってからだよ」

加蓮「ふぅん、そうなんだ……どうして?」

李衣菜「どうしてって、簡単だよ。美味しい美味しいって喜んでくれる友だちができたからね」

泰葉「あ……私たち?」

李衣菜「へへ、うん。こんなに四六時中一緒にいる友だちなんて、さすがにいなかったしさ。単純に嬉しいんだ」

李衣菜「それにアイドルは、みんなを笑顔にするためにいるんだから」

李衣菜「まずは身近な人を笑顔にできないとねっ♪」
6 : ◆5F5enKB7wjS6 [saga]:2016/05/02(月) 00:47:29.33 ID:N/U9BnsYO
加蓮「…………。もぐ」

泰葉「……はむ。…………」

李衣菜「あ、あれ……? 滑った?」


泰葉「……李衣菜」

李衣菜「は、はいっ」

泰葉「私も……嬉しいよ。私、今まで周りには大人しかいなかったから」

泰葉「この部屋だって、私の物だけじゃなくて、2人の物もたくさん増えたし……」

泰葉「もう独りじゃないって思えて、とっても嬉しいの」

李衣菜「泰葉……。そっか、泰葉もなんだ。よかったぁ」

泰葉「ふふ♪ それっぽく言ってみただけっ」
7 : ◆5F5enKB7wjS6 [saga]:2016/05/02(月) 00:50:55.92 ID:N/U9BnsYO
加蓮「……んー、それじゃ私もいい? なんか言っとく流れみたいだしっ」

李衣菜「お、聞くよ聞くよっ」

泰葉「加蓮はどんな感動的なこと言ってくれるのかな」クスッ

加蓮「ちょっと、そんなたいそーなこと言えないってば。……ま、私はさ。今まで入院生活長かったから――」


加蓮「おはようもおやすみも規則正しく、ご飯は味の薄い病院食ばっかりだったんだよね」

加蓮「それが今じゃ、お泊りして一緒に夜更かしして、お昼までぬくぬく眠って、起こしてもらって……」

加蓮「その上、友だちが作ってくれた美味しいご飯まで食べられて。それがもう嬉しくて嬉しくてね♪♪」ニパッ


李衣菜(お、重いっ……重いよ加蓮……!)

泰葉(か、加蓮は今までが今までだったから、まぁ……!)
8 : ◆5F5enKB7wjS6 [saga]:2016/05/02(月) 00:55:22.41 ID:N/U9BnsYO
加蓮「ん? どしたの2人とも。変な顔して」

李衣菜「いやぁ……加蓮が今幸せならいいよ、うん」

泰葉「え、ええ……加蓮の幸せが私たちの幸せ。うん」

加蓮「ふふっ、なに言ってるの?」

李衣菜「ほ、ほらオムライス! あったかいうちに食べて食べてっ」

加蓮「うん、食べる食べるー。はぁ〜、人生満喫してるなぁ私♪」
9 : ◆5F5enKB7wjS6 [saga]:2016/05/02(月) 00:57:40.76 ID:N/U9BnsYO
李衣菜「も、もういいから! おしまいおしまい!」

加蓮「え、なに? 怒ってるの李衣菜?」

李衣菜「怒ってないよ! あーもう、加蓮のバカっ!」

加蓮「はぁ!? 怒ってるじゃん、なんで急にそんな――!」

泰葉「あ、あはは……。冷めちゃうから早く食べましょう?」


―――

――

10 : ◆5F5enKB7wjS6 [saga]:2016/05/02(月) 01:01:13.10 ID:N/U9BnsYO


―――


加蓮「――ん〜、お腹いっぱい♪ ごちそうさまっ」

泰葉「ふぅ……美味しかった。ごちそうさまでした、李衣菜」


李衣菜「うん、おそまつさま。いい食べっぷりだったよ、2人ともっ」

加蓮「ふふっ、李衣菜の手作りならいくらでも食べられるからね」

泰葉「舌が肥えてきた、って言っても過言じゃないかも。ふふふっ」
11 : ◆5F5enKB7wjS6 [saga]:2016/05/02(月) 01:05:38.01 ID:N/U9BnsYO
李衣菜「い、いやいやさすがにそれは言い過ぎだって!」テレッ

加蓮「プロフィールを書き換えるなら、好きな食べ物に『李衣菜の手料理』って書きたいくらい♪」

泰葉「あ、じゃあ私もそうしようかな……♪」

李衣菜「ま、またまたぁ。そんなこと言って、フライドポテトとかカステラとかのがいいんでしょ?」


加蓮「…………」

泰葉「…………」

李衣菜「黙られるとちょっと負けた気がするなぁ」
12 : ◆5F5enKB7wjS6 [saga]:2016/05/02(月) 01:08:30.30 ID:N/U9BnsYO
加蓮「じゃあ『ポテトと李衣菜の手料理』で」

泰葉「そうね、まったく同じだと個性がね。『カステラと李衣菜の手料理』で」

李衣菜「……まぁいいんだけどさ、好きでいてくれるなら」

加蓮「もちろん李衣菜もすきー」

泰葉「ふふ、すきー」

李衣菜「なんだよ、その気の抜けた告白……。ふふ、ロックじゃないなぁ」
13 : ◆5F5enKB7wjS6 [saga]:2016/05/02(月) 01:10:51.87 ID:N/U9BnsYO


―――


加蓮「――さてと、午後からどうしよっか。どこか出かける? 映画館とか!」

泰葉「うーん……移動時間も考えると、ひとつ映画観ただけでも夜になっちゃいそう」

李衣菜「電車乗り継がないとだもんね。……誰かさんがぐーすか寝てなきゃ午前中から動けたんだけどね」

加蓮「う。わ、悪かったってば……」

泰葉「となると、近場ね。……あ、少し歩くと公園があるんだけど、お散歩なんてどう?」
14 : ◆5F5enKB7wjS6 [saga]:2016/05/02(月) 01:14:10.15 ID:N/U9BnsYO
李衣菜「おー、いいね。たまには外でのんびりしたいし」

加蓮「お散歩かぁ。そういえば私も李衣菜も、あんまりこの辺りは知らないよね」

李衣菜「そだね、いつも駅と泰葉の家までの往復だし」

泰葉「ならお散歩で決まりでいい? 少し遠回りして、お話しながら……」

加蓮「うんっ。それじゃ善は急げ、ってことで――」

李衣菜「よし、早速出発♪」

泰葉「ふふ、おーっ」
15 : ◆5F5enKB7wjS6 [saga]:2016/05/02(月) 01:17:12.05 ID:N/U9BnsYO

泰葉「――出かける前に。加蓮、風邪ひかないようにしっかりあたためないと」


加蓮「だからってカイロはおかしくない? 春だよ? こんなぽかぽか陽気なんだよ?」

泰葉「万が一ってことがあるし……」

加蓮「いやないでしょ!」

李衣菜「お徳用カイロ、まだ残ってたんだ……しかも箱単位で」

泰葉「加蓮用に買い溜めしてたら、冬越しちゃって……」ペタペタ

加蓮「買いすぎ! って言いながら貼らないでよもうっ」ベリベリ
16 : ◆5F5enKB7wjS6 [saga]:2016/05/02(月) 01:21:25.07 ID:N/U9BnsYO
李衣菜「薄手のカーディガンにカイロ……うーん、ロックだね!」

加蓮「コメントに困ったらとりあえずロックって言うのやめない?」

泰葉「私はこんなに加蓮のことを想ってるのに……くすん」

李衣菜「いつか理解してくれるよ、泰葉。加蓮は優しいから」

泰葉「ありがとう李衣菜……。私、諦めない……!」

加蓮「なんでコント始まっちゃうかなぁ」
17 : ◆5F5enKB7wjS6 [saga]:2016/05/02(月) 01:23:46.27 ID:N/U9BnsYO
泰葉「コントだなんて、ひどいな加蓮。――忘れ物ない? お財布持った?」

李衣菜「持ったよー」

加蓮「んー、おっけー。……んもう、隙あらばふざけるんだから」クスッ

泰葉「心外。ふざけてるんじゃなくて、トークスキルを磨いてるだけなのに」

加蓮「はいはい、ものは言いようだよねー」

李衣菜「あはは。じゃあ行こっか!」

「「はーいっ」」
18 : ◆5F5enKB7wjS6 [saga]:2016/05/02(月) 01:26:47.16 ID:N/U9BnsYO


―――


李衣菜「――んーっ、いい天気!」

泰葉「うん……風も気持ちいいね」

加蓮「絶好のお散歩日和、って感じ♪」


てくてく……


泰葉「遠回りすると、知ってる街でも全然違うなぁ……。ひょっとすると迷っちゃうかも」

李衣菜「え、泰葉が頼りなんだから頼むよ?」

泰葉「ふふ、大丈夫。……あ、こっちの路地とか入ってみましょうか」トコトコ

加蓮「ま、待ってよ不安すぎっ」
19 : ◆5F5enKB7wjS6 [saga]:2016/05/02(月) 01:29:21.25 ID:N/U9BnsYO


てくてく


李衣菜「――やっぱり表通りとは雰囲気違うね」

加蓮「うん、静かだね。こんなところを夜1人で歩いてたら……襲われちゃうかも♪」ギュッ

泰葉「ひゃっ!? もう、加蓮っ」

加蓮「ふふっ♪」

李衣菜「もー、ちゃんと歩かないと転ぶよ――」


てくてく……

20 : ◆5F5enKB7wjS6 [saga]:2016/05/02(月) 01:33:26.73 ID:N/U9BnsYO


てくてく


ネコ「にゃーん……」テチテチ


李衣菜「――お、ネコ。野良かな?」

泰葉「かわいい……♪ おいで、おいで……」

ネコ「にゃ?」テテテ

泰葉「あぁ! かわいい、かわいいっ!」ナデナデ

李衣菜「テンション高いなぁ泰葉」


ネコA「にゃー」

ネコB「にゃにゃーん」

加蓮「なんか私すごい囲まれてるんだけど」

ネコC「にゃおーん」

ネコD「なーんなーんっ」
21 : ◆5F5enKB7wjS6 [saga]:2016/05/02(月) 01:36:17.19 ID:N/U9BnsYO


てくてく……


加蓮「――はぁ、もうっ……追い払っても追い払っても次々と……!」

李衣菜「大人気だったね、加蓮。さっすがアイドル♪」

加蓮「あのねぇ……」

泰葉「ふふ、路地裏は野良ネコの楽園だったみたいね。新しい発見……♪」

加蓮「も、もうあんなところ行かないからっ」
22 : ◆5F5enKB7wjS6 [saga]:2016/05/02(月) 01:38:33.79 ID:N/U9BnsYO


てくてく


泰葉「――うーん……」キョロキョロ


加蓮「……ねぇ、ここさっきも通らなかった?」

李衣菜「私も同じこと思ってたんだけど……いや、まさかね? 泰葉に限ってそんなことは」

加蓮「そ、そうだよね。気のせいだよね――」



泰葉「李衣菜、加蓮――」


泰葉「ここ、どこだと思う……?」



「「ウソでしょー!?」」
23 : ◆5F5enKB7wjS6 [saga]:2016/05/02(月) 01:40:32.61 ID:N/U9BnsYO


てくてく……


泰葉「ここを曲がれば……!」

李衣菜「もう3回目だよ、このポスト見たの……」


てくてく……


泰葉「あっ、ここは見覚えあるから大丈夫――」

加蓮「うん、つい10分くらい前に来たよね」
24 : ◆5F5enKB7wjS6 [saga]:2016/05/02(月) 01:42:48.20 ID:N/U9BnsYO


てくてく……


ネコ「――にゃーん?」テチテチ


李衣菜「ってさっきのネコパラダイスじゃんここ!」

泰葉「また会えた……よしよし♪」ナデナデ

李衣菜「いやそうじゃないでしょ……」


ネコ「なーんなーんっ♪」

「「「にゃーにゃー」」」ワラワラ

「「「にゃにゃーん」」」ワラワラ

「「「にゃにゃにゃー」」」ワラワラ…

加蓮「さっきより増えてるんだけど!? 助けてぇ!」
25 : ◆5F5enKB7wjS6 [saga]:2016/05/02(月) 01:45:53.15 ID:N/U9BnsYO


―――

――




―――公園


泰葉「――つ、着いた……着いたよ2人とも!」


李衣菜「や、やっとぉ……?」

加蓮「うぅ、ネコぉ……ネコの毛がぁ……」グスン

泰葉「ご、ごめんなさいっ! こんなに迷うなんて思わなくて……!」

李衣菜「ま、まぁいいって。時間かかったけど無事着いたんだし」
26 : ◆5F5enKB7wjS6 [saga]:2016/05/02(月) 01:48:35.94 ID:N/U9BnsYO
加蓮「はぁ、ネコがいないならもうなんでもいい……」

李衣菜「か、加蓮、公園広いよ! 花壇も綺麗だし、小さな噴水まである!」

加蓮「うん、そうだね……はぁ」

泰葉「げ、元気出して加蓮……。あ、そうだ。こっち来て2人ともっ」タタタッ

李衣菜「ん、なになに? なにかあるの?」

加蓮「……ネコじゃないよね?」

李衣菜「も、もう大丈夫だってば……」
27 : ◆5F5enKB7wjS6 [saga]:2016/05/02(月) 01:50:43.50 ID:N/U9BnsYO

泰葉「――ほら、見て……!」

加蓮「……!」

李衣菜「うわー……大きな桜の樹!」


加蓮「綺麗だね……。何年かかるのかな、こんなに立派になるまで」

泰葉「分からないけど……私たちもこの樹のように、大きな存在になりましょう?」

加蓮「……うんっ。いつか必ずね!」

泰葉「ええ! よかった、元気出たみたいで」

加蓮「ふふ、だってこんな綺麗な桜を見せられたらね。ほんと、すごく鮮やかな――」

泰葉「そうね……とっても素敵な――」



「「緑の葉っぱ」」

李衣菜「うん、もう完全に花散っちゃってるね」
28 : ◆5F5enKB7wjS6 [saga]:2016/05/02(月) 01:53:01.48 ID:N/U9BnsYO
加蓮「んー、残念。もっと早く来ればお花見できたのにね」

泰葉「お休みが合わないとどうしてもね……。もうどこもとっくに葉桜になってるし、諦めるしか――」


李衣菜「――じゃあ次は来年だね」


泰葉「え……」

李衣菜「来年、また来ればいいじゃん。まさか今年っきりで離ればなれになるわけでも無し!」

加蓮「いや……まぁそうだけど。そんな先のことなんて」

李衣菜「うん、分からないけどさ。もしダメだったら再来年があるよ。それもダメなら3年後!」
29 : ◆5F5enKB7wjS6 [saga]:2016/05/02(月) 01:55:38.74 ID:N/U9BnsYO
泰葉「李衣菜……」

李衣菜「ずーっと一緒なんだから、いつやったって同じだよ。むしろ楽しみは後に取っておく、みたいな?」

加蓮「ポジティブ〜……。李衣菜のこういうところ、見習うべきなのかなぁ」

泰葉「私たち、もうだいぶ李衣菜に影響されてる気がするけどね……」クスクス

加蓮「えー、それってバカが伝染ったってこと?」

李衣菜「んなっ、いきなりバカ呼ばわり!?」
30 : ◆5F5enKB7wjS6 [saga]:2016/05/02(月) 01:57:56.07 ID:N/U9BnsYO
加蓮「ふふ、お昼ご飯のときのお返しだよっ。っていうか、バカはバカでもいいバカだから♪」

李衣菜「いいバカってなんだよー!」

加蓮「気にしない気にしない♪ あっ、あっちベンチあるよ。ちょっと休憩しよっ」タッ

李衣菜「あっ! 待てーっ!」タタッ


泰葉「……ふふ。来年、再来年か……。ううん、もっとずっと一緒に……♪」トコトコ…
31 : ◆5F5enKB7wjS6 [saga]:2016/05/02(月) 02:00:33.88 ID:N/U9BnsYO


―――


ぽかぽか

  ぽかぽか……


李衣菜「――やー……あったかいねぇ……」

加蓮「うん……。ふふ、ここまで歩いてきた甲斐があったかな……♪」

李衣菜「へへ、充分あったよ。……っくしゅっ!」

加蓮「ん、大丈夫?」

李衣菜「んん……加蓮の服に付いてるネコの毛がね……、へっくちゅ!」

加蓮「あぁごめん……うぅ、お気に入りのカーディガンなのにぃ……」ズーン…

李衣菜「ど、どんまい……」
32 : ◆5F5enKB7wjS6 [saga]:2016/05/02(月) 02:03:03.92 ID:N/U9BnsYO
加蓮「ね、泰葉……帰ったらコロコロ貸して――って、あれ?」

泰葉「…………」


泰葉「……すぅ……」


加蓮「……寝てる」

李衣菜「静かだと思ったら……疲れてたのかな」

泰葉「……ん……」コテン…

加蓮「ちょ」

李衣菜「あはは、加蓮枕だ」
33 : ◆5F5enKB7wjS6 [saga]:2016/05/02(月) 02:05:51.68 ID:N/U9BnsYO
泰葉「……くー……」

加蓮「……まぁ、今日は私がねぼすけだったし。ちょっとくらいいいかな」

李衣菜「これだけあったかいなら、風邪ひく心配もないよね……ふあぁ」

加蓮「あ、李衣菜も眠い?」

李衣菜「ん……少し」クシクシ

加蓮「ふふっ。いいよ、李衣菜にも肩貸してあげる」

李衣菜「ほんと? なら遠慮なく……」コテッ

加蓮「んっ。夕方までには起こしてあげるから♪」
34 : ◆5F5enKB7wjS6 [saga]:2016/05/02(月) 02:08:45.98 ID:N/U9BnsYO


―――


李衣菜「――くぅ……くぅ……」


加蓮「もう寝ちゃった……。ほんとにお疲れだったんだね」

泰葉「すー……」

李衣菜「くー……」

加蓮「ふふふ♪ ちょっとやそっとじゃ起きないかも。さすがに私まで寝ちゃったらまずいかな……」


加蓮「…………♪」

加蓮(うん、いい天気♪)
35 : ◆5F5enKB7wjS6 [saga]:2016/05/02(月) 02:12:34.29 ID:N/U9BnsYO


「なーん……」テチテチ…


加蓮「ん?」


ネコ「なーん!」テテッ

加蓮「あっ……! あ、アンタついてきたの?」

ネコ「なー、なーんなーんっ」

加蓮「ちょっと静かにっ。起きちゃうでしょ」ヒソヒソ

ネコ「なん?」

李衣菜「ん……」

泰葉「…………」ムニャ
36 : ◆5F5enKB7wjS6 [saga]:2016/05/02(月) 02:14:50.45 ID:N/U9BnsYO
ネコ「なーんっ」スリスリ

加蓮「く、くすぐった……あ、あんだけスリスリしてきたくせにまだ足りないわけ?」

ネコ「なんっ♪」

加蓮「……ま、いっか。アンタもひなたぼっこするの?」

ネコ「ふなーぉ」ノビーッ

加蓮「ふふっ、そう。静かにしててね?」
37 : ◆5F5enKB7wjS6 [saga]:2016/05/02(月) 02:17:41.81 ID:N/U9BnsYO
李衣菜「むにゃ……」

泰葉「んゅ……」

ネコ「……なー……」ゴロゴロ…


加蓮「……ふふ」

加蓮(こんなふうにのんびりするのも……悪くないよね)


加蓮「明日から、また頑張ろう。……ね♪」


ぽかぽか

  ぽかぽか……


―――

――

38 : ◆5F5enKB7wjS6 [saga]:2016/05/02(月) 02:20:36.35 ID:N/U9BnsYO


―――次の日、事務所


P「――へぇ……。久しぶりの休日、充実してたみたいだな」


李衣菜「えへへ、はい! だいぶリフレッシュできましたよ!」

P「また今日から忙しくなるけど、よろしくな」

泰葉「はい。……たまにはPさんとも、一緒に休日を楽しみたいですけどね?」

P「あはは、俺がいても邪魔なだけだろ?」

李衣菜「そんなことないですって。Pさんだってそんなにお休み取れてないでしょ?」
39 : ◆5F5enKB7wjS6 [saga]:2016/05/02(月) 02:23:00.83 ID:N/U9BnsYO
P「俺は、まぁ……疲れたら一杯引っかけに行ってるしな。愚痴れる相手もいるし」

ちひろ「ふふっ♪ その代わりごちそうになってますけどねっ」

加蓮「オトナってずるーい。お酒飲んじゃえば嫌なことも忘れられるもんね」

泰葉「ふふ、お酒の席で企画がまとまることもあるから……」

李衣菜「あー、偉い人と話すとか? なるほどねー」
40 : ◆5F5enKB7wjS6 [saga]:2016/05/02(月) 02:25:27.63 ID:N/U9BnsYO
P「そういうこと。でも、3人にお酌してもらうのもいいかもしれないな……いつになるか分からないけどさ」

加蓮「あっ、それならさ!」

P「ん? なんだ?」

加蓮「お花見っ。今年はもう無理だけど……」

泰葉「うん、来年にでもどうですか?」

P「花見? 来年って随分気が早いな……。そんな先のこと、それこそ分かんないぞ?」
41 : ◆5F5enKB7wjS6 [saga]:2016/05/02(月) 05:20:44.33 ID:N/U9BnsYO
加蓮「じゃあ再来年ね♪ それもダメならもっと先があるし!」

泰葉「いつまでも待ちますよ、Pさんとお花見できるのを。ふふふっ♪」

P「お、おお……分かったよ。いつか必ず、な」

加蓮「うん♪」

泰葉「はいっ」


李衣菜「……今の、ほとんど私が2人に言ったことなのに……」

ちひろ「あら、ふふふ。いいと思いますよ、私も楽しみにしてます♪」

李衣菜「へへ、はい。そうですね!」
42 : ◆5F5enKB7wjS6 [saga]:2016/05/02(月) 05:24:00.77 ID:N/U9BnsYO

P「――さ、仕事だ! 今回は他の事務所の子と一緒だぞ」

李衣菜「おー! 誰ですかっ?」

P「李衣菜は何度か一緒に仕事してるな。前川みくさんとだよ」

李衣菜「みくちゃん! 楽しみだなー♪」

泰葉「たしか、ネコが大好きなアイドルでしたよね? もしかして……」

P「ああ、ネコと一緒の撮影になるな」

加蓮「ね、ネコっ!?」ビクッ
43 : ◆5F5enKB7wjS6 [saga]:2016/05/02(月) 05:28:27.59 ID:N/U9BnsYO
P「ん? どうした加蓮」

加蓮「な、なんでもない……ネコ、ネコね……うん、大丈夫。うん……」


P「……なにがあったんだ」

李衣菜「あー……昨日、お散歩中に野良ネコ軍団と遭遇して……」

泰葉「なぜか加蓮だけ襲われ……もとい、懐かれたんですよね」

P「あぁそうだったのか……ちょっとタイミング悪かったかな」


ちひろ「大丈夫、加蓮ちゃん? ネコミミつけて行きます?」

加蓮「う、ううんいらない……お仕事だもん、わがまま言うわけには――」


―――

――

44 : ◆5F5enKB7wjS6 [saga]:2016/05/02(月) 05:30:54.51 ID:N/U9BnsYO


――撮影現場、お仕事前


「「「にゃーんにゃーん!」」」

「「「にゃーんにゃーんにゃーん♪」」」

「「「にゃーんにゃーんにゃーん(ry」」」

加蓮「だからなんでなのもぉぉぉおおおおお!!」


わらわらわらわら……


みく「ど、どうなってるにゃあ!? 加蓮チャンはいったいどんな魔法を!?」

李衣菜「な、なんでだろう……。これ撮影になるのかな……」

泰葉「あぁ、ネコの雪崩……。かわいい……♪」

みく「か、加蓮チャンに弟子入りしなくちゃ……!」キラキラキラ…!


加蓮「ちょっ、ほんと助け――いやぁぁ毛がぁぁ!」



おわり
45 : ◆5F5enKB7wjS6 [sage]:2016/05/02(月) 05:35:15.09 ID:N/U9BnsYO
というお話だったのさ
いつの間にかネコの話になったがなに、気にすることはない
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/02(月) 05:58:07.84 ID:4JMarlnGO
おつおつ
オムライスってロックだよね
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/02(月) 14:36:23.54 ID:+p8nBgpKo
おつおつ

毎度ニヤニヤしながら見てる
総選挙もう少しで終わるけど最後まで頑張ろう
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/05/02(月) 21:20:32.57 ID:UopHuv1go
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