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【艦これ】鳥海は空と海の狭間に

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767 : ◆xedeaV4uNo [saga]:2017/06/30(金) 10:41:59.01 ID:M4ZwKNjgo


「照準完了! さあ、受けてみやがれ!」

 意気込んだ嵐の声を聞きつつ鳥海も砲撃を始めていた。初めから斉射。
 三人の砲撃が次々にレ級に収束すると命中の閃光と破砕音とが生じ、外れた砲弾により海面は沸騰したように弾けていく。
 めった打ちにされてるにもかかわらず、レ級もさらに反撃してきた。
 萩風の悲鳴じみた声が飛んだのは、すぐだった。

「赤いレ級が来ます! 左側、十時方向より!」

 探照灯を切ると、鳥海は素早く萩風の示した方向へと視線を向ける。
 吊光弾の光の中で、赤いレ級の姿は他の深海棲艦よりもいくらか目立っていた。

「これはよくないですね……」

 赤いレ級はなんの抵抗も受けないまま近づいてきていた。
 他の艦隊はまだ各々の相手から抜け出せずにいるからで、こちらも状態としては同じだ。
 合流前に交戦中のレ級を沈めようにも困難だった。
 多少の手傷は負っているけど、なまじ中途半端な手傷でかえって怖い。
 かといって赤いレ級を放置したままでいるのも危険すぎる。

 要はこのまま三人で二人のレ級を相手にするか、分かれて各個に一人のレ級を相手にしていくか。
 あれこれ考えてはみても答えは直感的に出ていた。

「二人はこのレ級をお願いします。私は赤いのを」

 どちらにしても危険な相手だけど、分断したほうがまだ戦いやすいと思えた。
 二人はどちらも固唾を飲んだような顔をして、萩風さんが訊いてくる。

「私たちに任せてくれるんですか?」

「ええ、もちろん」

 思うにこうするのが一番だ。気がかりがないと言えば嘘だけど、頼りにもしている。
 ここにいるのが天津風さんたちでも、きっと同じように頼んで同じように感じるに違いない。

「行ってくださいよ。こっちも四駆流の夜戦をやつに教えてやりますから!」

 威勢のいい嵐の声に後押しされる形で、鳥海は転蛇する。頼みました、ともう一度声に出せば後は振り返らない。
 嵐、萩風と赤いレ級との間に立ち塞がる形になった鳥海は、赤いレ級へと先制の砲撃を放つ。
 砲撃がレ級の鼻っ面を打ち据える。もろに砲弾を受けてレ級の顔が仰け反るが、何事もなかったように顔を向け直してくる。
 レ級の鼻からは黒い血筋が流れるも手の甲でぬぐい去ると、返礼とばかりの砲撃。
 襲いかかってくる砲撃の数は通常の個体のそれと変わらないが、威圧感はそれ以上だった。
 一撃でもまともにもらえば、それで戦闘能力を喪失しかねないし最悪も十分にあり得る。
 いくつかの至近弾を抜けた鳥海に、赤いレ級の声が無線を通して聞こえてくる。

「バラバラニシテヤル」

 怒ってるかと思いきや笑っている。
 その様に鳥海は確信した。
 このレ級は楽しんでいる。戦うのを。
 こちらも醒めた頭が、宣戦に応じる。レ級の注意を自身に向けさせるためにも。

「やってみなさい……できるならですが」

 今まで姫級といいネ級といい、難敵とは幾度も交戦してきている。
 このレ級もそんな手合いの一人。ならば退けるまで。


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