勇者「ハーレム言うなよマジで」戦士「5だぞっ!」

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/23(木) 22:41:40.34 ID:qVe0XYJro
乙乙
イカくさい女勇者か・・・
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/23(木) 22:50:45.26 ID:fOkUc/0DO
最近ハーレム感が足りない…
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/24(金) 00:25:37.10 ID:xz5ity0No
百合方向でも良いんだぜ?
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/06/26(日) 11:33:48.40 ID:yzIlHqkc0
舞ってる
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/26(日) 21:14:44.06 ID:ZRuv24Lm0
まさかここまで早く続きが読めるとは思わなかった
ただただ乙
48 : ◆3VOBH3KJAk [sage saga]:2016/06/27(月) 02:35:07.75 ID:yrQHbGn90


……
…………


――ムオル地方・街道――


ザッザッザッ



ムオル勇者「……」



ザッザッザッ

ムオル勇者「……」

ザッザッザッ

ムオル勇者「……」

ザッザッザッ

ムオル勇者「……」


ザッザッザッ

ザッ……






ヒョコッ


イシス僧侶「……まだまだ歩いてるみたい」

ポルトガ勇者「おい、イシス勇者。ダーマを発ってからどのくらい経った?」

イシス勇者「もう四日目だね……ムオルってこんなに遠かったんだ……」

イシス魔法使い「ムオル勇者様、ずっと歩きっぱなしよね」

イシス戦士「イシス勇者様、大丈夫ですか?おぶりましょうか?」

イシス勇者「イシス戦士はいつまでも僕を子供扱いして……」

ポルトガ勇者「でもまあ、時々休憩してやがるしこっちも休めて助かるぜ」

イシス勇者「だね……」

ポルトガ勇者「とにかく途中で魔物に絡まれて騒いじまったら気付かれるかもしんねぇ。聖水は切らさないように頼むぜ」

イシス勇者「ああ。分かってる」
49 : ◆3VOBH3KJAk [sage saga]:2016/06/27(月) 02:35:39.11 ID:yrQHbGn90

スタスタ


イシス僧侶「でもさあ、本当にムオル勇者様を尾行して勇者くんの居所掴めるのかなぁ」

イシス魔法使い「うーん、勇者くんをどこかに連れて行ったのはあの人だし……手がかりくらいはあるんじゃないかしら」

イシス僧侶「でもでも、何を聞いても教えてくれなかったじゃないさー」

イシス僧侶「『お前たちに教える事では無い』つってー」

ポルトガ勇者「だから跡をつけるしかねえんだ。ちょっとばかし耐えてくんねえかイシス僧侶」 

イシス僧侶「や、まあいいんだけどさ……ただそんな簡単にあのムオル勇者様が隙を見せるかなぁって思って」

イシス勇者「今の所はまだ気付かれてないみたいだから、この調子でいけば大丈夫そうだよ」

ポルトガ勇者「行き着いた先に居ればいいんだけどな。勇者」

イシス魔法使い「そうね……」


スタスタ


ムオル勇者「……」



イシス勇者「……」

イシス勇者(勇者くんがムオル勇者さんに連れられて僕らの前から姿を消したのがおよそ一年前)

イシス勇者(それから何の音沙汰も無いままだったから、流石に痺れを切らしてしまった)

イシス勇者(あの一年前の事件からすぐ、色んな事があった)

イシス勇者(まず、国連の勢力図の変遷)

イシス勇者(サマンオサの重役でもあり、現状アリアハンの実権を握っている騎士団長の持つ力が余りにも膨れ上がってしまった)

イシス勇者(つまり、サマンオサが国連の指揮を執る機会が増えてしまったという事)

イシス勇者(おそらくナジミ様の仰る“魔物”の一人であるのが彼であれば、人間側は大きいハンデを負った)

イシス勇者(次に、国連勇者の席が二人分空いてしまった)

イシス勇者(まず一人がランシール勇者さん)

イシス勇者(あの事件で勇者くんを見逃そうとした彼女は特別騎士……“勇者”の称号、資格を剥奪)

イシス勇者(今はランシールに戻り監視の下で暮らしているらしい)

イシス勇者(そしてもう一人がスー勇者ちゃん)

イシス勇者(彼女はあの事件の直後、すぐに行方不明になってしまった)

イシス勇者(捜索隊も多く組まれたけれど、なんの手がかりもないまま半年が経ち、規定により除名)

イシス勇者(そしてまた半年が経って今に至る)

イシス勇者(一向に……――手がかりは無い)
50 : ◆3VOBH3KJAk [sage saga]:2016/06/27(月) 02:36:06.62 ID:yrQHbGn90
イシス勇者「……」

イシス僧侶「ん?どったのイシス勇者様」


――――――――――


スー勇者『イシスさん!イシスさん!』


――――――――――


イシス勇者「スー勇者ちゃん……無事だといいなぁ……」グスッ

イシス僧侶「泣きなさんなよ」

イシス魔法使い「でも確かに、スー勇者様も心配ねぇ」

イシス僧侶「あの子はみんなのアイドルだったし余計にね」

ポルトガ勇者「あいつがいねえと国連の集まりがギスギスしてたまらねえんだよな……」

ポルトガ勇者「軽口叩くランシール勇者もいねえし……やりにくいったら無いぜ」

イシス戦士「!!皆っ」

イシス僧侶「え?何――……あっ!」



――最果ての村・ムオル――



イシス僧侶「村が見えてきた!!」



―――――――――――



イシス僧侶「……――と喜んだのも束の間」


――ムオルの村近くの運河――


スタスタ


ムオル勇者「……」



イシス僧侶「村には入らんのかいっ!!!」

イシス魔法使い「あれからまたずいぶん歩いたわね……」

イシス戦士「目的は村ではなかったのか……?」

イシス勇者「とりあえず、もうちょっと跡をつけてみよう」

イシス僧侶「今日、朝暗いうちから歩き始めたよね……もう太陽が天辺にあるんですけどぉ……」

イシス戦士「弱音を吐くな」

イシス僧侶「ふぁい……」
51 : ◆3VOBH3KJAk [sage saga]:2016/06/27(月) 02:36:51.60 ID:yrQHbGn90


ポルトガ勇者「!おい、あれ見ろ」



ギィ……


ムオル勇者「……」



イシス戦士「小船が数隻……」

イシス魔法使い「って事は、ムオル勇者様この運河を渡るつもりなのかしら」

イシス僧侶「しっ!船を出そうとしてる!」



ギッ

ザザ……


ムオル勇者「……」


ザプッ

ザプッ…


ポルトガ勇者「……行ったな」

イシス勇者「渡った……って事は、向こうに何かあるんだ」

イシス僧侶「ねえイシス魔法使い。地図で向こうって何か載ってる?」

イシス魔法使い「えっと……」

パラッ

イシス魔法使い「……ダメね。ろくな情報は書いていないわ」

ポルトガ勇者「多分向こうはろくに人が出入りしたことのないエリアだったはずだ」

イシス戦士「しかし、何故こんなに広いのにあまり調査が入っていないんだ?」

ポルトガ勇者「えっと、なんだったかな……昔あの大陸は聖地だったんじゃなかったっけか」

ポルトガ勇者「それが魔族に攻めいれられてからは、魔族が住み着くようになって誰も入らなかったとかなんとか」

イシス僧侶「……ちょっと待って。私達今からそんな所に行こうとしてるの?」

イシス魔法使い「というか、そんな所に行って勇者くんは大丈夫なのかしら……」

イシス戦士「…………回復する術がほぼ無いに等しいあいつが、そんな所に行ったのなら」


「「「…………」」」


イシス勇者「っ!は、はやくムオル勇者さんを追いかけよう!」

ポルトガ勇者「まあ待て。船だとあいつから見つかりやすい。あいつが運河を渡ってからだ」

イシス勇者「そ、そうだね……くそっ」

イシス勇者(勇者くん……大丈夫だといいんだけど……)



――茂みの陰――


ガサ…


「…………」

52 : ◆3VOBH3KJAk [sage saga]:2016/06/27(月) 02:37:21.16 ID:yrQHbGn90


……
…………



――ムオル地方北西・謎の大陸――


チリチリ……

ギャー ギャー


ザッザッザッ…



イシス勇者「……」


イシス僧侶「……」


イシス魔法使い「……」


イシス戦士「……」


ポルトガ勇者「……」



ザッザッザッ…

ポルトガ勇者「……なあイシス僧侶」

イシス僧侶「なんですか……」

ポルトガ勇者「聖水はまだ残ってるか」

イシス僧侶「……あと瓶1本分ですね」

ポルトガ勇者「……そうか」

イシス僧侶「そうです……」

イシス戦士「……イシス魔法使い」

イシス魔法使い「何……?」

イシス戦士「この大陸に足を踏み入れてから、どのくらい経った……?」

イシス魔法使い「……えっと……三日だったかしら……」

イシス戦士「……そうか」


ザッザッザッ


イシス勇者「……ポルトガ勇者君」

ポルトガ勇者「なんだ」

イシス勇者「……これ、あれだよね」

ポルトガ勇者「……ああ」


ザッ




「「「「迷ったね」」」」



53 : ◆3VOBH3KJAk [sage saga]:2016/06/27(月) 02:37:46.40 ID:yrQHbGn90
イシス僧侶「わぁーもうどうすんのさこれ!!ちょっと限界近いんですけど!!」

イシス魔法使い「確かに、流石にお風呂に入りたいわ……綺麗な水場はおおいから、水浴びはできるけど……」

イシス戦士「ムオル勇者様も見失ったし……手がかりも無し、か」

ポルトガ勇者「すまねぇな、俺があの時船を出すのを止めなかったら」

イシス勇者「いやいや、ポルトガ勇者くんのせいじゃないよ」

ザッ

イシス勇者「……しかし」


ギャァ ギャァ


イシス勇者「……本当に妙な森だ……」


ポルトガ勇者「お前もそう思うか?」

イシス勇者「ああ。なんというか……こう、常に見られている気がするというか」

イシス勇者「でも嫌な感じでもなく……野生の動物達の気配でもないし」

ポルトガ勇者「だな……。こりゃ昔聖地だった時の名残なのか、それとも……」

イシス僧侶「ちょっと二人共怖いこと言わないで下さいよ!!!」

イシス魔法使い「嫌な感じはしないにしろ、あまり長居はしたくないわね」


……


ピタッ


イシス戦士「……」


イシス勇者「……イシス戦士」

イシス戦士「はい……聞こえました」

ポルトガ勇者「……結構遠くだが、確かに聞こえた」

イシス僧侶「えっ?なになに、何が?」

イシス魔法使い「三人とも何が聞こえたの?」


イシス戦士「剣が触れ合う音だ」


イシス勇者「あんな音、こんな森の中で自然に鳴るものではないよ」


ポルトガ勇者「……近くに、居やがる」


ザッ

イシス勇者「多分こっちからだった!みんな!急ごう!」

ポルトガ勇者「おうっ!」

イシス魔法使い「さすが戦闘職ね。進行方向は任せたわ!」

イシス僧侶「あっ、待って待ってー」


…………
……

54 : ◆3VOBH3KJAk [sage saga]:2016/06/27(月) 02:38:56.49 ID:yrQHbGn90


……
…………

ザッザッザッ!!

――ムオル地方北西・謎の大陸・北方――


ザッザッザッ!!

ザッ

イシス勇者「はぁっ、はぁっ……」

ポルトガ勇者「くそっ、何にもいやしねえ!」

イシス戦士「恐らくあの音は移動している……同じような音がいろんな方向から聞こえた」

イシス僧侶「ちょっと、少しだけ、休ませて……」

イシス魔法使い「私も限界が近いわ……お願い」

イシス勇者「そうだね……もう日が沈みかけてる」

ドサッ

ポルトガ勇者「今日はこの辺りで野宿するか……」

イシス戦士「では私は水場を探してくる」

ポルトガ勇者「ああ、頼んだ。まあすぐに見つかるだろ」

スタスタ…

ポルトガ勇者「イシス勇者。そんじゃ火を熾そうぜ」

イシス魔法使い「それなら私がやるわ。ポルトガ勇者様は寝床の準備をお願い」

ポルトガ勇者「はいよ任せた。んじゃ、今日はイシス勇者は俺と一緒で良いか?」

イシス勇者「いっ、いいいい良いわけないだろう!!!!」

ポルトガ勇者「お前こんな時くらい愛人離れしろよ……女達だって女達だけで寝てえだろ、なあ?」

イシス僧侶「いやいやいや!!!大丈夫!!大丈夫ですから!!」

イシス魔法使い「きょ、今日もポルトガ勇者様は一人で眠ってもらえるかしらっ!?ねっ!お願いっ」

ポルトガ勇者「いや、いいけどよ……俺だって寂しいんだけど……」

イシス組「「「ごめんなさい……」」」

ポルトガ勇者「いやいいってば。ま、お前そういや男苦手って言ってたしな。しゃあねえよ」


タッタッタ!!

イシス戦士「皆!!」


ポルトガ勇者「お、戻って来た」

イシス魔法使い「良い水場あった?」

ザッ!!

イシス戦士「それどころではない!!……あれを見ろ!!」

イシス勇者「あれ?……」

イシス魔法使い「あれって?何……が……」

イシス僧侶「……ちょっと待って」

ポルトガ勇者「おいおいおい」


モクモク


ポルトガ勇者「煙……!!」

55 : ◆3VOBH3KJAk [sage saga]:2016/06/27(月) 02:40:16.94 ID:yrQHbGn90
ダッ!!

タッタッタ!!

イシス勇者「人の気配がやっと……!!」

ポルトガ勇者「イシス戦士!!もうあの煙の下には行ったか!?」

イシス戦士「まだだ!しかしそう遠くはない!」

イシス僧侶「やっと……!やっとの手がかりだよぉぉ!!」

イシス魔法使い「急ぎましょう!日が沈まないうちに!」

イシス勇者(勇者くん……!!)





「こんにちはっ」





ズザァァッ!!!!!


イシス勇者「……」

イシス僧侶「……」

イシス魔法使い「……」

イシス戦士「……」

ポルトガ勇者「……おい、誰だ?今の声」

イシス僧侶「……私じゃないよ」

イシス魔法使い「私でも……というか」

イシス戦士「聞き覚えの、無い……」


ジャキッ!!!


イシス勇者「……皆」


ポルトガ勇者「ああ、分かってる」


イシス魔法使い「敵じゃないといいんだけど……」


イシス戦士「もし敵なら切り伏せるまでだ」


イシス僧侶「……だね」




「こんにちはっ」



イシス戦士「っ!!!そっちだっ!!!」


バッ!!!

イシス僧侶「……」

イシス魔法使い「……」

イシス戦士「……」

ポルトガ勇者「……」

イシス勇者「………………――え?」
56 : ◆3VOBH3KJAk [sage saga]:2016/06/27(月) 02:40:49.56 ID:yrQHbGn90








スライム「……」








イシス僧侶「……」


イシス魔法使い「……」


イシス戦士「……」


ポルトガ勇者「……」


イシス勇者「……」




スライム「……」


スライム「こんにちはっ」




「「「「えっ」」」」



イシス勇者「え、えっと、あ」

イシス戦士「こ、こんにちは……?」



スライム「んふふーっ」ニコー



イシス僧侶「……」


イシス魔法使い「……」


イシス戦士「……」


ポルトガ勇者「……」


イシス勇者「……」





「「「「えぇ……」」」」



57 : ◆3VOBH3KJAk [sage saga]:2016/06/27(月) 02:41:18.84 ID:yrQHbGn90
イシス勇者「ス、スライムが喋った……?」

イシス魔法使い「こんな……事ってあるの……?」

ポルトガ勇者「言葉を喋る魔物は数多く見てきたが……喋るスライムってのは初めてだ」

イシス僧侶「……しかも、挨拶って」

イシス戦士「…………かわいい……」

イシス僧侶「えっ」


スライム「みんなっ、はじめましてだっ」

ピョンピョンッ


イシス勇者「こ、こっちに来た!」

ポルトガ勇者「っ!」ジャキッ!

イシス勇者「やる気か……!?」ジャキッ!!

ガバッ!

イシス戦士「……お、お待ちになってください」

イシス勇者「え!?どうして」

イシス戦士「いや、あの、このスライムが何かを知っているかも、と、思いまして」


ピョコッ


スライム「ねぇねぇっ」

イシス勇者(普通に話しかけてきた……)

イシス勇者「な、なんだい?」

スライム「みんなおじちゃんにあいにきたの?」

イシス勇者「……おじちゃん?」

スライム「なら、こっちだよっ」


ピョンピョン


スライム「ついてきてー」


イシス勇者「あっ、ちょっ……」

ポルトガ勇者「……付いて行っていいのかこれ」

イシス僧侶「でも他に何も手がかり無いし……行きません?」

イシス魔法使い「そうね。煙を熾した主があの子の言う『おじちゃんなら』人の可能性が高いし」

イシス戦士「……」フラフラ

イシス勇者「ってイシス戦士は普通に追っかけてるし」

ポルトガ勇者「あいつ可愛いもの好きだったのか……」

ザッ

ポルトガ勇者「まあなんにせよ、行くか」
58 : ◆3VOBH3KJAk [sage saga]:2016/06/27(月) 02:41:58.29 ID:yrQHbGn90


ぴょん

ぴょん

スライム「♪」



――森深く・謎の祠――



ザッ


イシス勇者「……!!祠だ……」

ポルトガ勇者「でっけえ祠だな……遺跡みてえだ」

イシス魔法使い「煙もここからあがってるわね。人の気配がする」

イシス戦士「あ、スライムが入り口に……」


ぴょんっ

スライム「ただいまーっ」

スライム「おきゃくさんきたよー」

スライム「きたよー」


ポルトガ勇者「……さて」

イシス勇者「誰が出てくるか」

イシス僧侶「『おじちゃん』がムオル勇者様だといいけど……」

イシス魔法使い「勇者くんの手がかりになるかどうか……」

イシス戦士「!!」


スタスタ


イシス戦士「誰か出てくるぞ!」



ザッ



イシス勇者「……!!」


ポルトガ勇者「……!!」


イシス戦士「……!!」


イシス僧侶「……!!」


イシス魔法使い「……!!」
59 : ◆3VOBH3KJAk [sage saga]:2016/06/27(月) 02:42:34.44 ID:yrQHbGn90


ひょいっ





スー勇者「スラさん!おかえりなさいです!」






イシス勇者「 」


イシス僧侶「 」


イシス魔法使い「 」


イシス戦士「 」


ポルトガ勇者「 」




スライム「スーちゃんっ!」


ぴょんっ

スー勇者「わわっ」

ダキッ

スライム「ただいまっ!」

ギューッ

スー勇者「ふふっ♪すりすりですっ」

スライム「わーっ♪」



イシス勇者「 」


イシス僧侶「 」


イシス魔法使い「 」


イシス戦士「 」


ポルトガ勇者「 ……ス」






「「「「スー勇者(ちゃん)!!!!!?」」」」



60 : ◆3VOBH3KJAk [sage saga]:2016/06/27(月) 02:43:28.91 ID:yrQHbGn90
スー勇者「え?……わぁっ!!!?」


タッタッタ


スー勇者「みなさんっ!おひさしぶりです!」


イシス勇者「えっ、ちょ、ま、なんで」

ポルトガ勇者「なんでお前がこんなトコに居るんだよ!!?ってか無事だったのか!!?」


スー勇者「??はいっ、無事だったでした!」

スライム「んー?スーちゃんのともだち?」

スー勇者「そうですっ」

スライム「じゃーぼくもともだちー」

スー勇者・スライム「「にへー」」ペカー

イシス戦士「んふっ……!」

イシス魔法使い「ちょっと待って……理解が追いつかないんだけど……」


ザッ



「おや、お客さんかい?」



「「「「!!」」」」


スタスタ


「……おやおや」


スー勇者「おじいちゃん!」

スライム「おじちゃんっ」


ポルトガ勇者「おじいちゃん、って」

イシス勇者「……!」


イシス勇者(ホビット族……!)




ホビット「よくこんな辺境に来たね。疲れたろう」



61 : ◆3VOBH3KJAk [sage saga]:2016/06/27(月) 02:44:50.83 ID:yrQHbGn90
ポルトガ勇者「ノルド以外のホビット族……って、まさか……!」

イシス僧侶「え?ポルトガ勇者様何か知ってるの?」

ポルトガ勇者「ああ、多分――……」



スー勇者「あっ!」



ポルトガ勇者「え?」

イシス勇者「へっ?」


ダッ

タッタッタ!


スー勇者「おかえりなさいですっ!」


タッタッタ!!


イシス勇者「どこにっ……」

クルッ


イシス勇者「……」


イシス僧侶「……」


イシス魔法使い「……」


イシス戦士「……」


ポルトガ勇者「……」


イシス勇者「……」



ホビット「おや、帰って来たようだね」



イシス勇者「…………――ゆ」
62 : ◆3VOBH3KJAk [sage saga]:2016/06/27(月) 02:45:39.36 ID:yrQHbGn90


タッタッタッ!!


ガバッ!!



「わわっ!?」



スー勇者「えへへっ♪」ギューッ



「っとと……もう、危ないってばスーちゃん」



スー勇者「お帰りなさいですっ!ご主人様っ!」










勇者「ん。ただいま。スー勇者ちゃん」









イシス勇者「勇者く――……!!!!………………――――ご主人様?」









(((((   ご   主   人   様   ? ? ? )))))





63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/27(月) 02:45:44.03 ID:eJ5z+jqO0
更新きたぁーーー
続き気になってたからマジで嬉しい
64 : ◆3VOBH3KJAk [sage saga]:2016/06/27(月) 02:46:23.83 ID:yrQHbGn90
今日はおしまいです
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/27(月) 02:47:39.18 ID:eJ5z+jqO0
お、おう来たと思ったら終わってた何を言ってるかわから(以下略

66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/27(月) 06:40:26.17 ID:RmPsvNWK0
乙です
これはこれは、他の皆が黙っておりませんなぁ…
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/27(月) 21:15:12.49 ID:cNuKirzN0
乙でございます
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2016/06/29(水) 23:27:27.37 ID:0gGe503K0
69 : ◆3VOBH3KJAk [sage saga]:2016/06/30(木) 00:25:24.27 ID:YcLv2Ntm0
勇者「え――……?あっ!!!?」

スタ…スタ…

勇者「みんなっ!!?どうしてここに!!!?」


ポルトガ勇者「いや……うん」

イシス僧侶「えっと、なんていうか」

イシス魔法使い「心配だった、から、というか」

イシス戦士「その」

イシス勇者「………………」

ザッ!

勇者「……っと……うわー……!なんか、凄い久々だね!」

イシス勇者「……勇者くん」

勇者「イシス勇者くん!久しぶり!元気だった!?」

ガシッ!

勇者「ん?」

イシス勇者「ひ、ひさしぶり……会えて嬉しいよ……?」

イシス勇者「嬉しいんだけど、嬉しいんだけど……きみ、今のは?」

勇者「えっ?今の?」

ポルトガ勇者「今、スーの字がお前の事」

勇者「ポルトガ勇者も!本当に久しぶ――……え?スーちゃん?」


スタスタ

スー勇者「どうしたですか?ご主人様」


「「「「「…………」」」」」


勇者「……あっ」

勇者「あー…………えっと……………………これは…………違うんだよ皆」

イシス勇者「何が違うんだい?」

勇者「え、ちょっと目怖いよイシス勇者くん」

勇者「これはちょっとワケがあってさ……ね?スーちゃん」

ぎゅっ

スー勇者「?」

勇者「あ、抱きついちゃダメだってちょっとスーちゃ――……」
70 : ◆3VOBH3KJAk [sage saga]:2016/06/30(木) 00:25:58.94 ID:YcLv2Ntm0

がぶぅっ


勇者「あいたたたちょっとちょっと」

スライム「むーっ」

勇者「少し痛いからやめてってばスラお!」


スラお「うるさいっ!スーちゃんからはなれてっ!」


スー勇者「スラさん!だめです!」

スラお「うー……でもー」

勇者「本当にスラおったらもう……」

スー勇者「んもう!……大丈夫です?ご主人様」

勇者「うん。あま噛みだったし」

スラお「ほんきだもんっ!」

勇者「スラおは本当に僕の事嫌いだな」

スラお「きらいっ!スーちゃんすき!」

スー勇者「わたしもですっ!」ニコー

スラお「えへー」ニコー

勇者「ぐぬぬ」

スー勇者「ふふっ、でも私、ご主人様も大好きです!」

勇者「えっ!あはは!やー嬉しいなあ」


勇者「はっ」


「「「「…………」」」」


ポルトガ勇者「……」

イシス勇者「……」

イシス僧侶「……」

イシス魔法使い「……」

イシス戦士「……」


勇者「あーっ違う違う違う!!本当に違うんだよこれは!!」

イシス僧侶「ロリコン」

勇者「はぁぁ!?ち、違うよぉ!!」

イシス戦士「年端もいかない少女にそんな呼び方を強制させて……」

勇者「強制じゃないし!!」

イシス魔法使い「なんだか、スキンシップも多いように見えるのだけれど……」

勇者「違う違いますよ!?スーちゃん!ちょっと一回離れて!!」

パッ

スー勇者「でも、あっ!!」
71 : ◆3VOBH3KJAk [sage saga]:2016/06/30(木) 00:27:14.69 ID:YcLv2Ntm0
フラッ


勇者「はれっ……?」

ドサッ!

イシス勇者「勇者くん!?」

ポルトガ勇者「お、おい!大丈夫かお前!」

勇者「あてて、ごめんちょっと……」

スー勇者「もうっ!だから言ったです!」

サッ

スー勇者「……今日は、怪我したの少ないですけど、無理するはダメですっ」

勇者「うぁ、ご、ごめん……」

イシス勇者「どうしたんだい……!?よくみたら体中に怪我が」



「…………ここで何をしている。お前たち」



イシス勇者「!!」

ポルトガ勇者「……ム、ムオル勇者」


スタスタ

ムオル勇者「何故お前達がここに居る」


勇者「ムオル勇者さん」

スー勇者「お帰りなさいです!」

スライム「ムーくん!」


イシス勇者「えっと、これはその」

ポルトガ勇者「……悪い、勝手に後を追わせてもらった」

イシス僧侶「申し訳ありません!」

イシス魔法使い「勝手は謝罪します!ですから――……」
72 : ◆3VOBH3KJAk [sage saga]:2016/06/30(木) 00:27:40.93 ID:YcLv2Ntm0
ムオル勇者「……いつからだ」

イシス勇者「…………この間の国連首脳会議の直後です」

イシス戦士「ムオル勇者様がダーマ神官様を護送されてから、そのまま……」

ムオル勇者「…………」


スタスタ

ホビット「まあまあ、いいじゃないかムオル勇者」

ムオル勇者「ホビット殿……」


ガバッ

勇者「……先生!今日の夕の鍛錬終了しました!」


ホビット「うん。お疲れさま」


イシス勇者「先生……?」

ポルトガ勇者「じゃあやっぱりお前、ここで修行を」


ホビット「この子達も勇者の事が心配だったんだろう。仕方が無いさ」

ムオル勇者「しかし……」

ホビット「ムオル勇者」

ムオル勇者「……」

ホビット「……――いいのさ」

ムオル勇者「…………了解」

ザッ

ホビット「さ。お客人も来たし……勇者もお腹が減ったろう?」

ホビット「中に入ってご飯にしよう。スー勇者ちゃんが作ってくれたご飯が冷めるから」
73 : ◆3VOBH3KJAk [sage saga]:2016/06/30(木) 00:28:10.16 ID:YcLv2Ntm0


――ホビットのほこら・大広間――


オォォオォ…


イシス勇者「……本当に広い、不思議な所だね……」

勇者「でもいいところだよ」

ポルトガ勇者「ああ。なんか落ち着くな」

ボボ…

ホビット「勇者、そっちの蝋燭にも火を灯してくれるかい?」スッ

勇者「はい」パシッ

ボッ…

ホビット「さて、これで少しは明るくなったろう」

ホビット「しかしすまないね。客人をもてなすような立派な席は無いんだけど」

イシス魔法使い「いえ!私達こそ急にお邪魔してしまい……」

イシス僧侶「本当に申し訳――……」


ギュルルル


イシス戦士「……本当に申し訳ない」

イシス僧侶「アンタか」

ホビット「ふふ。いや結構な事さ。少し待ってもらえるかな?今スー勇者ちゃんが――……」

スタスタ

スー勇者「準備できたです!」

ホビット「おお、来たようだ」

イシス魔法使い「運ぶの私達も手伝います!」



〜〜スー勇者の☆愛情いっぱい晩ごはんメニュー〜〜


・銀魚の塩焼きにムオルアッリオの根を散らしたもの

・トウモロコシとムオルビーンズと小麦粉をペーストしたものに何かの肉の細切れを混ぜ込んで一旦醗酵させ、その後ソースで香ばしく焼いたもの

・何かの臓物


イシス勇者(なんか一個インパクト凄いものあるな)

ポルトガ勇者(なんだあれ)

ホビット「それではいただこうか」


「「「「いただきます」」」」


イシス魔法使い「でもその……本当にいいのですか?私達まで」

ホビット「いいのさ。スー勇者ちゃんもいいと言ってくれているしね」

スー勇者「みんなで食べるはたのしいですっ!」ニコー
74 : ◆3VOBH3KJAk [sage saga]:2016/06/30(木) 00:28:48.75 ID:YcLv2Ntm0
イシス戦士「んうっ!?」

イシス僧侶「っ!これおいしいっ!」


ざふっ

ほくっ……

イシス勇者「ほふっ……!これっ、なんだろう……パン?じゃないし、でも」


パリッ

しゃほっ じゅわっ

ポルトガ勇者「んっ。……はー、この魚もすげーうめえな。やたら肉が甘い」

ポルトガ勇者「この上に散ってる根っこみてえなの何だ?香り強えけど癖になるな」


勇者「おいしいでしょ。スーちゃんの故郷の食べ物なんだってさ」

スー勇者「えへへ……少し作りやすくした所もあるですが、わたしの好きの料理です」

イシス勇者「スー勇者ちゃんは凄いね……うん?」

ポルトガ勇者「お?」

勇者「ん?どうしたの二人共――……」


スッ


勇者「……」


スー勇者「はいっ!ご主人様っ!あーん!」


勇者「……スーちゃん。一人で食べるって」

スー勇者「でも体ふらふらしてるです!食べさせてあげるです!」

勇者「うん。ありがたいんだけどさ、いつも言ってるけどそれって」


何かの臓物「……」


勇者「あーんされても一口じゃ無理かな……」

スー勇者「あーん!あーん!です!あーんっ!」

勇者「もご」

ざむっ

じゃもっ じゃもっ

勇者「んぷっ……もっ、っくこ」

ゴクン

勇者「んぷ、ぱふっ!だはぁっ!!!」

スー勇者「まだあるです!」

勇者「うんっ!!待ってね!!」
75 : ◆3VOBH3KJAk [sage saga]:2016/06/30(木) 00:29:16.35 ID:YcLv2Ntm0
イシス勇者「ねえスー勇者ちゃん、なんだいそれ?」

スー勇者「鹿の内臓を胃袋に詰めて煮たのです!」

イシス勇者「うわあ想像以上にワイルドだ」

スー勇者「栄養がいっぱいだからいいものです!」

スー勇者「わたしの村の戦士たちは、これを食べて強くなるです!」

勇者「ぷぉぽっ、おぽぴゅぉっ……」ザムザム

ポルトガ勇者「お、おい勇者が血で溺れかけてんぞ」


…………


カラン

ポルトガ勇者「……さて、そろそろ聞かせてもらってもいいか?」

勇者「ん?何を?」

ポルトガ勇者「まず一つは、なんでスー勇者がここに居るのかって事」

イシス勇者「次に何故スー勇者ちゃんは君をご主人様って呼んでるのかって事」

ポルトガ勇者「被せてくるなよ……そして、最後に」チラッ


ホビット「ん?」


ポルトガ勇者「……このホビットが、何者かって事」

スラお「おじちゃんはおじちゃんだよっ!」

ポルトガ勇者「……あとこの喋るスライムがなんなのかも」

ホビット「ははは、沢山疑問があるね」

勇者「……」

ホビット「いいさ勇者。話してあげなさい」

勇者「……はい」


カラン


勇者「――じゃあ、話すよ」






……
…………
76 : ◆3VOBH3KJAk [sage saga]:2016/06/30(木) 00:32:00.69 ID:YcLv2Ntm0



――およそ一年前――




――ホビットの祠――


ザッ


ムオル勇者『……ここだ』

勇者『やっ……と……』

ドサァッ

勇者『着いた……はぁっ……』

ムオル勇者『立て。情け無い』

勇者『す、すみませんっ……』

勇者(でも……なんなんだろうここ……?)

勇者(具体的な事は何も聞いてないけど……本当にここが僕に縁のある――……)


『ムオル勇者』


ムオル勇者『!』

勇者『え?』


スタスタ


ホビット『やあ、久しいね』


勇者『!』

勇者(ホビット……ノルドさん以外にも居たんだ)

ムオル勇者『……お久しぶりです』

ペコッ

ムオル勇者『突然申し訳ない。ポルトガ王を介してノルド殿に伝言を頼ませて頂いた』

ホビット『いいさ。元気そうで何よりだよ』


ザッ


ホビット『……』


勇者『……は、はじめまして』


ホビット『……君が、勇者かい』

勇者『え?は、はい!僕は――……』

ナデ

勇者『え?』

ホビット『……』

ナデナデ


ホビット『…………大きくなったね』


勇者『……』

77 : ◆3VOBH3KJAk [sage saga]:2016/06/30(木) 00:32:34.94 ID:YcLv2Ntm0
ホビット『……さ。今日からここが君の修行場だ。案内しよう』

勇者『……?はいっ』


…………


――ホビットの祠・小部屋――


勇者『こんな部屋まであるんだ……』

勇者(祠って言うよりちょっとした神殿みたいだな)

ホビット『ここが君の部屋だよ。……さて、一通り説明したね』

ホビット『ここまでで何か質問はあるかい?』

勇者『……あの』

ホビット『ん?』

勇者『……さっき、大きくなったねって仰ってましたが……』

勇者『僕に、以前どこかで……?』

ホビット『……』

ホビット『……ん。最初に説明しないとね』

ホビット『勇者』



ホビット『君を拾ったのはわしだ』



勇者『……』

勇者『……』

勇者『……え』


勇者『……えええええええええええええ!!!?』


ホビット『あはは。驚いたかい?』

勇者『え!?でもっ、僕を拾ったのは父――……オルテガが』

ホビット『ああ。オルテガに任せたのさ』

ホビット『あの時、わしらの中で一番適任だったからね』

勇者『……はい、え』

勇者『と……いう事は』

ホビット『そうだね』

ホビット『オルテガの旅のお供、サイモン、カンダタ――……』

ホビット『そしてわしさ』

勇者『……父さんの……旅の……!!』

ホビット『……おいで。もう一回外に出よう』

勇者『えっ?は、はい』
78 : ◆3VOBH3KJAk [sage saga]:2016/06/30(木) 00:33:21.15 ID:YcLv2Ntm0


サァァァァ…


ホビット『ん……今日は風が気持ちいいね』

勇者『……』

ホビット『……さて』

スッ

ホビット『ここだよ』

勇者『……ここ?』

勇者『普通の地面に見えるんですが、ここが何か』

ホビット『君を見つけた場所』

勇者『……』

勇者『……』

勇者『……』

勇者『……』

勇者『……』

勇者『……』

勇者『……』

勇者『……え』


ホビット『君は生まれたばかりの時に、ここで捨てられたんだ』


ホビット『ここが君のはじまりの場所なんだよ』


79 : ◆3VOBH3KJAk [sage saga]:2016/06/30(木) 00:33:54.18 ID:YcLv2Ntm0
今日はおしまいです
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/30(木) 00:50:08.49 ID:x0fSsxDX0
おおお…乙です…きになる…
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/30(木) 01:17:32.18 ID:f8ogYBSUO
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/06/30(木) 21:12:42.79 ID:ruxhoos70
乙でございます
83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/07/03(日) 08:06:51.13 ID:wEYnVtvL0
舞ってる
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/05(火) 00:53:48.89 ID:UQZyA7gU0
とても楽しみ
85 : ◆3VOBH3KJAk [sage saga]:2016/07/07(木) 02:54:19.77 ID:5IBcjZYP0
勇者『…………ここで僕が』

勇者『……』

スタスタ

スッ…

勇者『……』

勇者『……』

勇者『……』

勇者『…………あのっ』

ホビット『すまないが、今話せるのはここまでだよ』

勇者『!!?なんでですかっ!?』

ホビット『……何が起因となるか、分からないからね』

トントン

ホビット『君のその、“中”のモノは』

勇者『っ……!!!』

ホビット『まあそんなに焦らないでおくれ勇者。急くと良い事は無いよ』

ホビット『わしも協力するから、“それ”を制する為に一緒に強くなろう。その為に君はここに来たんだ』

勇者『……』

勇者『っ』

スクッ

勇者『よろしくおねがいします!!!』

ホビット『ふふ……さて』

クルッ

ホビット『……まだ紹介しなくてはいけない子も居たね』

勇者『え?』

ホビット『スラお。さっきから陰に隠れてどうしたんだい?出ておいで』

『……』

ぴょん

勇者『!!!』


スラお『……うー』
86 : ◆3VOBH3KJAk [sage saga]:2016/07/07(木) 02:54:45.93 ID:5IBcjZYP0
ジャキィッ!!!

勇者『魔物っ』

スラお『ぴっ!!!?』ビクゥッ!!!

ザッ!!

勇者『なんでこんな所に――……』

スッ

ホビット『待ちなさい勇者』

勇者『えっ!?』ピタッ

ホビット『この子は違う。わしの友人さ。剣を収めなさい』

ぴょんっ

スラお『おじちゃん!こいつこわいっ!』

勇者『って、ええっ!!!?えっ、喋った!!!?』

ホビット『……勇者。剣を収めておくれ』

勇者『でもなんで魔物が』

ホビット『……この子は魔物じゃない』

勇者『え?でも』

スラお『おじちゃんっ!ぼくこいつきらいっ!』

ブルブル

ホビット『……よしよし』ナデナデ

勇者『……』

ジャカッ

勇者『……す、すみませんでした』

ホビット『いいよ。スラおも気にして無いさ』

スラお『するもん!こわいもんっ!』

ホビット『では改めて紹介するよ。わしの友人のスラおだ』

スラお『ぐるるー!』

勇者『は、はぁ……』

勇者(喋るスライム……そんなに知能の高いスライム種が居たんだ……)

勇者『でも、その、見た感じスライムですよね……?魔物なんじゃ』

ホビット『さっきも言ったが、魔物じゃないさ』

ホビット『意思疎通もできるし、魔族が精神の根本に持つ残虐性も加虐心も持っていない』

ホビット『確かに種族はスライムだが、優しくて良い子なんだ。よろしくね』

勇者『……』

スッ

勇者『えっと……スラお、だよね』

勇者『ごめんね、いきなり……これからよろし』

がぶっ

勇者『あたたたた、あっなにこれ微妙な痛さいたいいたい』

スラお『ぐもー』

勇者『ちょっとやめてスラおやめてってば』

ホビット『ふふふ、仲良くするんだよ』
87 : ◆3VOBH3KJAk [sage saga]:2016/07/07(木) 02:55:11.36 ID:5IBcjZYP0
ザッザッ

ムオル勇者『……もう一人紹介しておく』

勇者『ムオル勇者さん。どこへ行ってらしたんですk――……』


ヒョコッ


スー勇者『……』


勇者『!』

ホビット『お?』

ムオル勇者『少し、こいつを捕まえに行っていた』

ムオル勇者『何か妙な気配がすると思っていたら……どうやら俺達がこの大陸に入った時から後をつけて来ていたようだ』

スー勇者『す、すみませんっ!』

勇者『君は、あの時の』

スー勇者『……』

スタスタ


ザッ


勇者『!!!!?』


スー勇者『……』


ホビット『おやおや。いきなり勇者にひれ伏すとは』

勇者『えっ、ちょっと君!?いきなりどうしたの!?』

スー勇者『……ご主人様』

勇者『へっ』


スー勇者『貴方様、わたしの、ご主人様です』

スー勇者『わたし、スー勇者いいます……ご主人様』

スー勇者『なんでも、命令する、ください』


勇者『』

勇者『』

勇者『はんっ?』

ムオル勇者『……俺にも分からんが、お前に仕えると言って聞かんのだ』

スー勇者『…………私の、お師匠様の、命令です』

スー勇者『それしか、話す、できないです……でも』

バッ

スー勇者『なんでも、お手伝いするです!』

スー勇者『お傍に、置く、ください!』

勇者『え、えぇ……?』

ホビット『あっはっはっは!これまた賑やかになりそうだ』


ホビット『いい事だね。それじゃあ、しばらくはこの面々で頑張ろうじゃないか』

88 : ◆3VOBH3KJAk [sage saga]:2016/07/07(木) 02:55:41.24 ID:5IBcjZYP0
…………
……




勇者「……というわけで、今に至るんだ」


「「「どういうワケだ」」」


勇者「ですよね……?」

ポルトガ勇者「まあ、大抵謎のままだったが」チラッ


ホビット「?」


ポルトガ勇者「……この人が、オルテガさんの仲間の、凄い人だって事は分かった」

イシス勇者「まさか、お会いできるなんて……」

ホビット「ふふ、凄くは無いさ。……君はポルトガ勇者だね?大きくなったなぁ」

ポルトガ勇者「えっ!?俺を知ってるんすか!?」

ホビット「そうだね。君とは昔一度だけ会った事があるんだ」

ホビット「……私はオルテガ達と旅をしていた時は他の人間達からは隠れるように過ごしていたから、知人は少ないんだけど」

ホビット「君の父親とは友人なのさ。ポルトガ王が一度君を抱いてオルテガの船に乗って来た事があってね……その時に、一度」

ポルトガ勇者「そ……そうなんすか……」

ホビット「みんなの子が無事に大きくなっているようで、安心だ」

イシス勇者「でも、結局スー勇者ちゃんはどうしてここに?そのお師匠様の命令って」

スー勇者「……」

イシス僧侶「……スー勇者ちゃん?どったの?」

スー勇者「……すみません、言えないです」

スー勇者「でも、悪い事は企んで無いです!本当です!」

ポン

ナデナデ

スー勇者「う?」

勇者「…………最初は、どうしようかとも思ったんだけどさ」

勇者「今では、この子に本当に助けてもらってるんだ」

勇者「まだ詳細は聞いていないんだけど、スー勇者ちゃんが居てくれて良かったって思ってるよ」

スー勇者「……えへへ」

スー勇者「えへへへー♪」ポワワ

イシス戦士「かわいい」ボソッ

スー勇者「ご主人様……♪」スリスリ

勇者「あっ、ちょっとタンマ今ダメだって、本当」

イシス勇者「……」

ポルトガ勇者「イシス勇者目がこわいけど」
89 : ◆3VOBH3KJAk [sage saga]:2016/07/07(木) 02:56:07.33 ID:5IBcjZYP0


カチャッ

スー勇者「それじゃ、片付けるです!」

イシス魔法使い「スー勇者様、私も手伝うわ」

スー勇者「いーえ、休んでいてくださいです!」

イシス戦士「そうはいかん」


<……!…!


イシス勇者「……思ったんだけどさ」

勇者「ん?どしたの?」

イシス勇者「スー勇者ちゃん、共通語上手くなったね?」

ポルトガ勇者「ああ、俺も思った。最後に会った時はもっとカタコトだっただろアイツ」

勇者「あー、本当に上手くなったよね」

ホビット「ははは、勇者が教えてあげているからね。共通語を」

ポルトガ勇者「え?お前が教えてんのか?」

勇者「うん。色々お世話になってるから、何か返せないかと思って」

勇者「スーちゃんに何かないかって聞いたら、『じゃあ共通語を教えて欲しい』って言われてさ」

勇者「教えたら本当に要領良くって驚いたよ。このまま半年もすればペラペラになってるんじゃないかな」

イシス勇者「本当にあの子は凄い子だね……12歳……いや、今は13歳か。そんな年齢とは思えないよ」

勇者「だね。でもそっか、スーちゃん13歳なのか……すごいなあ」

ホビット「んー……少し違うかな」

イシス勇者「え?」

勇者「えっ、と、いいますと」

ホビット「この世界は齢の数え方が独特な国というのが数あってね。スーやジパングが有名かな」

ホビット「君たちとは年齢の感覚が少し違うんだよ」

ポルトガ勇者「えっ……って事はアイツ俺らの感覚で何歳なんすか?」

ホビット「ええと、確かスー族は、生まれた時に一歳で……その次の儀礼でまた……だから」


ホビット「国連規定齢算でいうと、あの子は今11歳だね」


勇者・イシス勇者・ポルトガ勇者「「えっ」」


イシス勇者「えっ、ちょっと待ってください。確かに見た目が幼いなあと思ってましたが」

ポルトガ勇者「って事は、あいつ9歳くらいでもう上級魔法使えて勇者資格取ってたって事か!!?」

ホビット「ああ。そうなるね」

スタスタ

スー勇者「呼んだです?」

勇者「…………本当に凄い子なんだなあ」

ナデナデ

スー勇者「??、?、えへへ?」ポワワ

90 : ◆3VOBH3KJAk [sage saga]:2016/07/07(木) 02:56:33.86 ID:5IBcjZYP0
…………


ぴょんぴょん

スラお「おさらのかたづけ、おわったよぉ」

ホビット「みんなでやると早いね」

クルッ

ホビット「さて、それじゃ勇者。お風呂に入っておいで」

勇者「あ、はい!」

イシス魔法使い「お風呂っ!?」ガタッ

イシス僧侶「うわビックリしたっ」

イシス戦士「驚いたな。ここは風呂もあるのか?」

イシス僧侶「ちょっと失礼だぜイシス戦士ちゃんよぉ」

ホビット「外に作ってあるんだ。お風呂はとても大事なものだからね」

ホビット「体に纏わりついた病の兆候を洗い流せる上に、体もほぐせる」

ホビット「体温が上がって睡眠の助けにもなるし、気持ちがいい。良い事しかないんだ」

イシス魔法使い「その通りですねっ!」

ポルトガ勇者「イシス魔法使いの姉ちゃんテンションがおかしいな」

イシス僧侶「この人お風呂大好き人間だからね……」

勇者「水は昼の間に運んで水釜の中に入れおいたので、後は火を焚いて水を温めて、風呂の木桶に」

スタスタ

スー勇者「もう準備できたです!」

勇者「スーちゃん」

イシス僧侶(良妻かよ)

スー勇者「それじゃ、ご主人様」

勇者「ん?」

スー勇者「バンザイするです!」

勇者「えっ」

スー勇者「脱ぐの、お手伝いするです!」

「「「えっ」」」

ガシッ

スー勇者「それじゃ脱がせるですー」

勇者「わー!!!ちょっとタンマタンマって!!!」

スー勇者「え?あ、すみません!皆さんの前だったでした!」

勇者「いやそれもだけど、自分一人でやるって!!!」

スー勇者「だめです!だってまだ訓練のお疲れで、ふらふらしてるです!!」

イシス僧侶「やはり幼な妻……そしてロリコン……」

勇者「何を言ってやがる!!やめて下さい言いがかりです!!」

イシス勇者「ス、スー勇者ちゃん。勇者くんは男なんだからあまりそういうのは」



スー勇者「でも、まだ一回しか、一緒に入った事ないです」

スー勇者「また一緒にお風呂したいです」



一同「「「  」」」

勇者「ン―――――――スーちゃんン―――――――――ッッ」
91 : ◆3VOBH3KJAk [sage saga]:2016/07/07(木) 02:57:19.47 ID:5IBcjZYP0
ポルトガ勇者「勇者……お前」

勇者「違うの……あの時は、本当に、体動かなくて……意識も朦朧としてて……」

イシス勇者「勇者くん」

勇者「はい」

イシス勇者「何やってんだきみ」

勇者「怖ぇ」

ポルトガ勇者(なんでこいつ怒ってんだ)

スー勇者「でもでも、本当にご主人様ふらふらです!」

スー勇者「誰かが入れてあげないといけないです!」

勇者「だったら明日の朝入るってばぁ!本当に大丈夫だよ!」

イシス魔法使い「あら……だったら」

スル…


イシス魔法使い「私が、ご一緒する……?」


勇者「ザオッ!!?」

イシス勇者「な、何言ってんだ――――!!!!!!!」

イシス魔法使い「だって、確かに勇者くんかわいそうだもの」

イシス魔法使い「私もお風呂お借りしたいし……ついでに……」

スッ…


イシス魔法使い「……――ねっ……?」フゥッ

勇者「ほ、はおぉぉっ……!!!!!」


イシス僧侶(うわあ、イシス魔法使い、イシス勇者様をからかう気マンマンだぁ)

イシス僧侶(私も乗ろう)

スッ

イシス僧侶「でもぉ……勇者くんがいいなら、私も背中」

サワッ…

イシス僧侶「ながして……あげよっか……?」

勇者「な、ナオォォッ……!!!?」ドクンドクンドクン

イシス僧侶(あ、かわいいな勇者くん)

イシス戦士「っき、貴様らっ!!不潔っ!不潔だ!!!」

イシス勇者「そそそそそそそそそそうだよ!!!何を言ってるんだ!!!」

イシス僧侶「イシス戦士も勇者くんの体、洗ってあげようよー」

イシス僧侶「……――すみずみまで……ね……?」

勇者「ンブゥッ!!!!」ブチャァッ

ポルトガ勇者(鼻血が)

イシス戦士「〜〜っ……!!!!」

イシス戦士「…………っ」

スッ

イシス戦士「…………お前には、か、借りが、あるしな……」

イシス戦士「あまり……見ないで、くれるなら」

勇者「ンブブグゥ!!!!!」ブチャチャァ!!!

ポルトガ勇者(コイツよくちょっと前まで女所帯の中で旅できてたな)
92 : ◆3VOBH3KJAk [sage saga]:2016/07/07(木) 02:58:56.84 ID:5IBcjZYP0
イシス勇者「だ……っ」


イシス勇者「だめ―――――っ!!!」


ドンッ!

イシス魔法使い「きゃっ!?」

イシス僧侶「ぐえっ!?」

ギュッ!!

イシス勇者「ゆ、勇者くんは」

イシス勇者「勇者くんは僕と一緒に入るんだ!!!!!」


イシス魔法使い・イシス僧侶「「何言ってんだ―――――――――!!!!」」


イシス僧侶「だめに決まってるっしょ!!混乱しすぎだって!」

イシス魔法使い「ちょっと、からかったのは謝るから、落ち着いて、ねっ?」

ポルトガ勇者「いやアンタらが一緒に入るより男のイシス勇者が入ったほうが普通な気がするんだけど」

ポルトガ勇者「……」

勇者(くっ、クソっ……!!!イシス勇者くん相変わらずいい匂いがする……!!!)ギリッ

イシス勇者「っ!」ギュー

ポルトガ勇者(なんで勇者の野郎イシス勇者に抱きつかれながらしかめっ面で鼻の下伸ばしてやがんだホモかこいつマジで)


スー勇者「わたしがお供するです!」


イシス勇者「僕が一緒に入る!!」


イシス戦士「いやここは私がっ!」


イシス僧侶・イシス魔法使い「「なんでアンタが張り合ってんだ!!」」

ワーワー!!

ホビット「あははは、勇者はなかなかモテるね。オルテガの昔を見ているようだよ」

ポルトガ勇者「一人男混じってるんすけどね」

ホビット「ん?ああ……うん。そうだね。しかし賑やかで良い事だ」

ポルトガ勇者「……」

<ギャーギャー

ポルトガ勇者「……はあ」

スタスタ

ガシッ

勇者「ふぇっ?」


ポルトガ勇者「おらっ、勇者。俺と一緒に風呂入んぞ」


「「「えっ」」」


ポルトガ勇者「俺は男だし一緒に入るのが手っ取り早えだろ?ほら、掴まれ」

勇者「…………うん!!!!!」

ガシィッ!!!!

勇者「よろしくっ!!!!!」

ポルトガ勇者(なんでこんな返事が力強ぇんだよホモじゃねえよなコイツマジで)
93 : ◆3VOBH3KJAk [sage saga]:2016/07/07(木) 02:59:48.59 ID:5IBcjZYP0
ポルトガ勇者「っつう事で、男は男で入ってくるぜ」

イシス魔法使い「まあ、普通そうよね。お願いするわ」

イシス戦士「……そ、そうだな」

イシス僧侶「なんでテンション低くなったんイシス戦士」

ポルトガ勇者「つうワケだが、イシス勇者」

イシス勇者「えっ?」


ポルトガ勇者「お前も来いよ」


イシス勇者「…………ンッ」

ポルトガ勇者「勇者と一緒に風呂入りたかったんだろ?男同士たまには付き合え」

勇者「そうだね!イシス勇者くんももしよかったら」

イシス勇者「えっ!?いや、あのその」

イシス勇者(しまった、勢いであんな事言ってしまったけど)

イシス僧侶「あ、あのっ!やっぱりイシス勇者様は私達が一緒に入らないと」

ポルトガ勇者「ああ?何言ってやがんだよ。男嫌いつっても風呂くらいは一緒に入れんだろが」

イシス魔法使い(あ……ちょっとまずいわねコレ)

イシス戦士(どうする……!?)

イシス勇者「いや、えっと……僕は」

ポンッ

イシス勇者「え?」


ホビット「ちょっと、イシス勇者君には頼みごとがあるんだ」

ホビット「君たちだけで入っていなさい」


勇者「先生」

ポルトガ勇者「頼みごと?」

ホビット「ああ。ちょっとイシスの事で聞きたい事があってね」

ホビット「ちょっと、来てくれるかい?イシス勇者くん」

イシス勇者「は、はい!」

スタスタ

ポルトガ勇者「ま、いいか。よし行くぞ勇者」

勇者「うん……あいててててて!!」

スー勇者「ご主人様、お気をつけてです……」


イシス僧侶(た、助かった……)

イシス魔法使い(変にからかうものじゃないわね……)

イシス戦士(風呂くらいなら、その……良かったのだがな……)
94 : ◆3VOBH3KJAk [sage saga]:2016/07/07(木) 03:00:57.73 ID:5IBcjZYP0

――ホビットの祠の外・森――


スタスタ

イシス勇者「あの、お話というのは……?こんな森の中でする必要が」

ザッ

ホビット「……ま、ここらでいいかな。連れ出してごめんよ」

イシス勇者「い、いえ」

イシス勇者(逆に凄く助かりました)

ホビット「あのままいくと君が女の子だとバレてしまうからね」

イシス勇者「あはは……はい」





イシス勇者「――――――――え」





ホビット「ん?」

イシス勇者「なっ、なにを仰って」

ホビット「ああ、わしには隠さなくて大丈夫だよ」

ホビット「……どれ、顔をよく見せてくれるかい?」

スタスタ

スッ


イシス勇者「……」


ホビット「……ああ」

ホビット「目が、君の父さんに……――サイモンに、そっくりだ」


イシス勇者「…………御存知、だったんですか」


スッ

ホビット「……一目見た瞬間に分かったよ」

ホビット「オルテガがサイモンの娘をイシス王に預けたと言っていたしね」

イシス勇者「……」

ホビット「……無事で良かった。本当に」

ホビット「イシス王には……イシスの人々には、感謝しなくてはいけないね」

イシス勇者「…………――はい」

ホビット「と、まあそれは一旦置くとしよう」

イシス勇者「え?」

ホビット「言ったろう?イシスの事で聞きたい事があると」

イシス勇者「あ、はいっ、なんでもお聞きください!」

ホビット「では……ええと、ね」

ホビット「イシスに、ある人物が住んで居ると思うんだ」

イシス勇者「え?」

イシス勇者(ある人物……?)
95 : ◆3VOBH3KJAk [sage saga]:2016/07/07(木) 03:01:45.11 ID:5IBcjZYP0
――――――――――――――



――イシス・とある広場――



ガヤガヤ…


「……」


女の子「……ねーねー」

「なんですかな?お嬢さん」

女の子「なにをしてるの?」

「夜を待っているんだよお嬢さん」

女の子「よるを?でもまだあさだよ?」


「そうですな。だからこそ夜が待ち遠しい」

「このような朝など消えてしまって、夜が来ないかなぁ……と思案に耽っているのだよ」


女の子「……?」



ザッザッザッ


「……」


女の子「あー、へいたいさんだ」


「お嬢さん。おじさんはこの兵隊さんとお話があるんだ」

「さようなら」


女の子「うん!さよならっ」

タッタッタ


「……さて、何の用です?」



――――――――――――――



ホビット「特別騎士――……勇者が国連で制定された際の、最初の四人」


ホビット「この四人は、伝説の勇者としても語り継がれているから知っているだろう?」




ホビット「“明星”夜明けのオルテガ」




ホビット「“月光卿”瞬きのサイモン」




ホビット「“東方の魔女”屠リベのヒミコ」




ホビット「……――そして」
96 : ◆3VOBH3KJAk [sage saga]:2016/07/07(木) 03:02:59.09 ID:5IBcjZYP0




ザッ



騎士団長「……初にお目にかかります」


騎士団長「私は国連の者です」


騎士団長「貴方様に、お願いがあって参りました」






――――――――――――――







ホビット「……――“皇帝”糾えるソクラス」







――――――――――――――





ソクラス「……ああ、良かった」


スクッ



ソクラス「やっと、退屈な“朝”が終わりそうだ」

97 : ◆3VOBH3KJAk [sage saga]:2016/07/07(木) 03:03:28.13 ID:5IBcjZYP0
今日はおしまいです
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/07(木) 03:46:58.77 ID:rAReDLN50
更新乙です!
最近は短いスパンで交番されて嬉しいです
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/07(木) 03:58:57.91 ID:FxfzgYaw0
乙でございます
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/07(木) 06:48:34.91 ID:oT1ChlN5o
他所でハーレムしてんのバレたら死ぬな
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/07(木) 11:11:42.54 ID:LarX8tsv0
おつ
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/08(金) 22:29:55.61 ID:ldaLUPlGO
5年以上続いててこの安定的な面白さはすごいな
俺もss書くけど、尊敬の一言
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/09(土) 15:38:34.53 ID:vNqHbHmK0
乙つ
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/09(土) 22:10:24.27 ID:VbF8H6FG0
乙です
Part1と今を見比べるとと文章とか物語の構成のレベルがすごく上がってるってわかって面白い
105 : ◆3VOBH3KJAk [sage saga]:2016/07/11(月) 00:13:03.71 ID:DQu2DY2J0

――――――――――――――


イシス勇者「ソクラス様……ですか?はい、確かにイシスに住いを持っておられますが」

ホビット「……ムオル勇者から聞いたんだけれど、国連は彼を頼る事にしたらしいね?」

イシス勇者「ええ。この間の国連首脳会議で決まりました」

ホビット「……」

イシス勇者「……あの、ソクラス様が何か?」

ホビット「……ソクラスがイシスに居る間、彼は何か目立つ行動をしたかい?」

イシス勇者「え?いえ……ソクラス様はずっと隠居なされていました」

イシス勇者「もとより、ソクラス様が勇者を引退されてイシスに隠居されたのは大病を患っての事でしたし、ほぼお会いする事もありませんでした」

イシス勇者「今回の協力を仰いだのも魔王バラモスの情報を得る為、そして国連の士気を高める為に知識と名前を拝借するという事なので――……」

ホビット「ふふっ……」

イシス勇者「?」

ホビット「あのソクラスが、大病……ね」

ホビット「でもそうか。ソクラスが君やイシス女王ちゃんに何かをしたという事もないのだね」

イシス勇者「え?そ、それは勿論」

ホビット「……なら、いいんだ」

イシス勇者「ちょっと……待ってください、ホビット様」

イシス勇者「その言葉から察するにソクラス様が僕や姉に何かする可能性があったのですか?」

ホビット「いや、そういうワケではないさ。ただ少し不安だったんだ……それだけだよ」

ホビット「ただ、隠居をやめて国連に身を戻した彼には気をつけなさい」

イシス勇者「な、なぜなのですか……?もしや、あの方も魔族か何か――……」

ホビット「ううん。彼は正真正銘の人間だ……ただ」

ホビット「“危険”なんだ。まだ魔物の方がやりやすいかもしれない」

イシス勇者「……どういう……?」

ホビット「……彼は、欲しいものを見つけたら、それに向かって感情に率直に動く」

ホビット「そして、躊躇なく壊す。人間も、魔物も」

イシス勇者「……」

ホビット「……とにかく、気を付けておくれ」

ホビット「君も、イシス女王ちゃんも」
106 : ◆3VOBH3KJAk [sage saga]:2016/07/11(月) 00:13:30.81 ID:DQu2DY2J0


……


――ホビットの祠・外・風呂――


ザパ…



勇者・ポルトガ勇者「「ふは――――っ」」ザパァン


勇者「あー…………しあわせ」

ポルトガ勇者「なんだこれ……天国かオイ……」

勇者「僕も最初使わせてもらった時……昇天しそうになったよ……」

ポルトガ勇者「風呂桶も広いし、外に置いてるのに綺麗だな」

勇者「あっ、そっち火を焚いてる水甕と近いから気を――」ザパ

フラッ

勇者「はれっ……」

ガシッ

ポルトガ勇者「っとと……オイいきなり立ちあがんなよ。ろくに立てもしねえんだから」

勇者「ごめん……」

ポルトガ勇者「……」

勇者「ん……?どしたの」

ポルトガ勇者「いや」

ポルトガ勇者「お前それ立てたら一人で立てるんじゃねえの」

勇者「え?それ?って何が」

ポルトガ勇者「……なんでもない」

勇者「?」


ザパ…


勇者「ふぅ……」

ポルトガ勇者「……しっかしよお」

ポルトガ勇者「お前、生傷多過ぎだろ。フラフラしてやがるし」

ポルトガ勇者「特訓ってなにやってるんだよ。無茶なことしてんじゃねえのか?」

勇者「いや……そんな事は」

ポルトガ勇者「無茶してんだろ」

勇者「……」

ポルトガ勇者「……」

勇者「……ちょっとでも、無茶しないと……強くなれない体だから」

勇者「無茶で強くなるなら、僕は死ぬギリギリまで無茶してみたいんだよ」
107 : ◆3VOBH3KJAk [sage saga]:2016/07/11(月) 00:13:58.57 ID:DQu2DY2J0
ポルトガ勇者「バカヤロウお前」

ぴし

勇者「あいた」

ポルトガ勇者「お前はそれでいいかもしんねえが、お前のツレの女達の事も少しは考えてやれや」

勇者「っ」

ポルトガ勇者「……あの後も何回か会ったが、驚くほどに覇気が無くなってやがったぞ」

ポルトガ勇者「体は大切にしてろよ、ホント」

勇者「……ん」

ポルトガ勇者「お前が魔物でもなんでも、死んだら悲しむ奴は居るんだぜ」

ポルトガ勇者「無茶は美学でもなんでもねえぞ」

勇者「……」

ポルトガ勇者「ま、言ってもするんだろうけどな」

勇者「…………やりすぎないようには、するから」

ポルトガ勇者「……ああ」

ザパ

ポルトガ勇者「ところでお前」

勇者「ん?」


ポルトガ勇者「あの女達の中で、どいつがお前の女なんだ?」


勇者「えっ」

ポルトガ勇者「まさかとは思うが全員とかじゃねえだろうなお前」

勇者「えっ、えぇっ!?いやいや、違うって」

勇者「女って……みんなただの幼馴染だよ」

ポルトガ勇者「え?マジで?」

勇者「マジもオオマジ。そんな関係じゃないって」

ポルトガ勇者「えーそうなのか……いや、やけに仲良さそうだったしお前の事気にかけてる奴多かったからつい」

ポルトガ勇者「それにお前に初めて会って嘘ふっかけた時お前もやたらキレてたからさ」

勇者「いやいや。みんな昔から一緒だからさ。勿論皆大切だけど、あいつらは僕の事なんて出来の悪い弟くらいにしか思って無いよ」

勇者「年下の……女勇者にも……遊び人にも……多分……そう、思われてる……弟って……」

ポルトガ勇者「自分で言ってて落ち込んでんじゃねえよ」

勇者「そ、そーいうポルトガ勇者はどうなのさ!」

勇者「好きな人とか彼女とかいちゃうんじゃないの――!?」

ポルトガ勇者「居るけど」

勇者「アッ、すいません」

ポルトガ勇者「結婚の約束もしてるけど」

勇者「調子乗ってすみませんでした」
108 : ◆3VOBH3KJAk [sage saga]:2016/07/11(月) 00:15:00.46 ID:DQu2DY2J0
――――――――――――――



ぷにぷに

イシス魔法使い「イシス勇者様……どうしたのかしら」

ぷにぷに

イシス僧侶「まあまあ、気長に待とうよ。ホビット様と大事な話があるんでしょ」

ぷにぷに

イシス戦士「……」

スタスタ

スー勇者「みなさん!お茶淹れたです――……あら?」


スラお「スーちゃん」


イシス魔法使い「あらスー勇者様」プニプニ

イシス僧侶「そんなおかまいなく」プニプニ

イシス戦士「スラおかわいい……」プニプニ

スラお「みんながつついてくるよ?」プニプニ

スー勇者「スラさんは気持ちいいですので、仕方ないのです!」

スラお「そうなの?」プニプニ


……

カチャ

イシス魔法使い「はー……おいしい」

イシス僧侶「さっきまでの大陸徘徊が嘘のようですなあ」

スー勇者「お疲れ様でした」

イシス僧侶「正直さっきのさっきまで勇者くん探し出せるか自信なかったからね」

イシス魔法使い「でも見つかってよかったわ」
109 : ◆3VOBH3KJAk [sage saga]:2016/07/11(月) 00:15:28.73 ID:DQu2DY2J0
スラお「みんなはゆーしゃをさがしにきたの?」

イシス戦士「んー?そうだぞー」プニプニ

スラお「へんなのっ!」

イシス魔法使い「あらあら、スラおくんあんまりね?」

イシス僧侶「そういえばスラおくんってなんだか勇者くんのこと嫌ってたよね」

イシス戦士「勇者の事、嫌いなのか?」

スラお「きらいっ」

イシス僧侶「えーどうしてさ。いい子だよ?」

スラお「……」

イシス僧侶「ん?お姉さんにどうしてか言ってごらん?」

イシス僧侶「ようし!もし勇者くんが何か悪さをしたならお姉さんが叱ってあげ――……」

スラお「ふたり、いるの」

イシス僧侶「……――え?」



スラお「あいつ、ふたりいる」


スラお「おなかのなかで、ぼくをころそうとしてるやつがいる」


スラお「ぼくだけじゃなくて……スーちゃんも、おじちゃんもムーくんも」


スラお「みんなも、ころそうとずっと、ずっとみてる」


スラお「あいつのなかを、ぐるぐるしてる、おおきいやつ」


スラお「……だから、きらい」

110 : ◆3VOBH3KJAk [sage saga]:2016/07/11(月) 00:16:47.95 ID:DQu2DY2J0
イシス戦士「……っ……」

イシス僧侶「それ……って」

イシス魔法使い「…………まさか」


スー勇者「……スラさん、だめです」


ギュッ

スー勇者「…………ご主人様自身は、いいひとですよ」

スー勇者「お日様の匂い、するです」

スラお「スーちゃん……でも、ゆーしゃも、やっ」

スラお「あいつ、ぼくのこときらいだもん」

イシス魔法使い「え?そんな事はないんじゃない?」

スラお「んーん。あいつ、ぼくのことこわがってるし、いやがってる」

スー勇者「……」

スラお「……なかよくなんか、なれないもん」

イシス僧侶「……そんな、事」

イシス戦士「……」


スタスタ


ポルトガ勇者「おいーっす。戻ったぜ」

勇者「お風呂あきましたよー」


ぴょんっ


勇者「え?」

ガブゥッ

勇者「あいたたたたこのなにあの微妙な痛さいたたたたたスラおやめて」

スラお「うるひゃいもんっ!ゆーしゃきらいっ!」グムム

勇者「なにさいきなり!!?」


<ギャーギャー!


イシス魔法使い「……仲、良くない?」

イシス僧侶「いいよね」

イシス戦士「かわいい……」
111 : ◆3VOBH3KJAk [sage saga]:2016/07/11(月) 00:19:29.76 ID:DQu2DY2J0
……………
……






―ホビットの祠・大広間―


ホビット「それじゃ、イシス勇者君とイシスのお嬢さん方の寝床はここでいいかい?」

イシス勇者「はい。色々と申し訳ありません」

テコテコ

スー勇者「お布団、持ってきたです!」

イシス魔法使い「ちょっとそこ空けてもらえるかしら、イシス勇者様」

イシス勇者「ああ、ごめんよ。スー勇者ちゃんもありがとう」

スー勇者「いいえー」ニコー

イシス僧侶「スー勇者様ちゃんもお姉ちゃん達と一緒に寝るかーい?」

スー勇者「あ、いえ、私は」

勇者「あー、いいじゃない。今日は一緒に寝るといいんじゃないかな」

スー勇者「ご主人様」

勇者「お姉さん達もいるし、仲良く寝るといいよ。うん。いいと思う」

イシス魔法使い「……勇者くん?」

勇者「はい?」

イシス魔法使い「気のせいかしら……なんだか焦ってない?」

勇者「いいえっ?」

イシス勇者「……勇者くん、僕の目を見てくれるかい」

勇者「なんだいっ」

イシス戦士「……スー勇者」

スー勇者「はい?」

イシス戦士「スー勇者はいつもどこで寝ているのだ」


スー勇者「はい!ご主人様と一緒に寝てます!」


勇者「違うんです!!!」
112 : ◆3VOBH3KJAk [sage saga]:2016/07/11(月) 00:21:17.95 ID:DQu2DY2J0
イシス勇者「何が違うんだいこのっ!!!!」ギリギリギリ

勇者「いたいたいたいたたたた!!!!ちがうのです!!!」

スー勇者「違いませんです?」

勇者「スーちゃんやめて!」

ポルトガ勇者「お前、ちょっとスー勇者にべったりすぎやしねえか?」

スー勇者「でもっ!ご主人様のせいじゃないです!」

スー勇者「いろいろと、わけがあるので……その」

ホビット「ははは、まあ皆おちついておくれ」

イシス勇者「ホビット様」

ホビット「二人に一緒の場で寝るよう言ったのはわしなんだよ。勇者をはなしてあげてくれるかい?」

ポルトガ勇者「えぇっ!?なんでまたそんな事を」

ホビット「色々あるのさ」

勇者「……色々あるんです」

イシス勇者「……やましい気持ちは無いんだね」

勇者「無いです」

イシス戦士「…………スー勇者、こいつになにかいやらしい事されなかったか」

勇者「無いです!!」

スー勇者「えっ……」

勇者「無いで……えっ?」

スー勇者「あっ、その……ちがうです、あれは」

スー勇者「……その。事故です、から」

勇者「えっ、ちょっと待って何それ初耳なんだけど」

イシス勇者「成敗しなきゃだよね」ギリギリギリギリ

勇者「スーちゃんちょっと僕が一体何したのスーちゃキエァァアアアアアアアアア」ギググググッ
113 : ◆3VOBH3KJAk [sage saga]:2016/07/11(月) 00:21:45.90 ID:DQu2DY2J0
今日はおしまいです
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/11(月) 05:14:01.38 ID:bZ2ggC/I0
乙でございます(ニヨニヨ
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/12(火) 12:10:01.67 ID:kgZt4xfBO
事故って怖い
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/12(火) 16:50:18.39 ID:1L7jbXLHO
それが、立つ、ってなんだろう
怖い
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/12(火) 20:20:40.25 ID:yC/XzsnDO
え?立つと歩ける?え?(セルフメダパニ)
118 : ◆3VOBH3KJAk [sage saga]:2016/07/13(水) 23:29:37.95 ID:Wjeo41nZ0


……
…………


ホー ホー


――ホビットの祠・勇者の部屋――


勇者「さて、もう灯り消していい?ポルトガ勇者」

ポルトガ勇者「あー、ちょっと待ってくれ」カリカリ

勇者「さっきから何を書いてるの?」

ポルトガ勇者「日記だよ。ホレ」

勇者「ん……おー、細かくつけてるんだね」

ポルトガ勇者「ああ。できるだけその日あった事を細かくつけてる」

ポルトガ勇者「で、この本一冊が埋まったらポルトガに帰るようにしてんだよ」

ポルトガ勇者「……何があるかわかんねえ旅だからな」

勇者「……」

ポルトガ勇者「…………そろそろ乾いたかな」

パタン

ポルトガ勇者「っし。待たせたな。寝ようぜ」

勇者「うん。じゃあ消すね」


フッ


勇者「おやすみ」


ポルトガ勇者「おう」


ホー ホー

勇者「……」

ポルトガ勇者「……」

勇者「ポルトガ勇者」

ポルトガ勇者「ん?」

勇者「……もし、僕に異変があったらすぐスーちゃんの所に逃げて」

ポルトガ勇者「えっ……お前」

勇者「……」

ポルトガ勇者「……――わかった」

勇者「……ごめんね」

勇者「まあ、スーちゃんは何かあったらすぐ起きて駆けつけてくれるから心配は無いと思う」

ポルトガ勇者「ああ」

勇者「……怖がらないの?」

ポルトガ勇者「俺はお前自体は悪い奴じゃねえって知ってるからな」

ポルトガ勇者「じゃなきゃこんな所までお前の様子を見に来ねえって」

勇者「…………ん」

勇者「ありがとう……おやすみ」

ポルトガ勇者「……ああ」
119 : ◆3VOBH3KJAk [sage saga]:2016/07/13(水) 23:30:35.27 ID:Wjeo41nZ0


チリリリリ… チリリリリ…



勇者「……」

ポルトガ勇者「……」

ポルトガ勇者(……寝たかな?)チラッ

勇者「……」

ポルトガ勇者(寝たみてえだな)

ポルトガ勇者「……」


『俺にも息子が居るんだ』

『お前の何歳か年下なんだがな、こいつがまた泣き虫で』


ポルトガ勇者「……」


『……旅をしたいってきかないんだ。俺が何を言っても』

『なあ、ポルトガ勇者。もし、もし俺の息子が旅に出てお前と出会ったら』

『できれば旅をするのをやめさせてくれないか』

『あいつは、戦ってはいけないんだ。戦う為に生まれたんじゃない』

ポルトガ勇者『……やめさせればいいのか?へんなのー』

『ははは、確かにそう思うかもしれんがな』

『――もし、お前とあいつが出会った時、あいつが腑抜けた顔していたら』

ニカッ

『遠慮はいらん。ぶん殴ってやってくれ』



ポルトガ勇者「……」


勇者「……」


ポルトガ勇者「……」

ポルトガ勇者(悪ぃ、オルテガさん……あの約束は守れそうにもねえや)

ポルトガ勇者(多分あんたがあんな事言ったのはこいつの正体に気付いてたからなんだろうな)

ポルトガ勇者(……どうやら、あんたの心配は形になっちまったみてえだ)

ポルトガ勇者(……――ただ)

ポルトガ勇者(ぶん殴るのは、必要ないぜ)

ゴロン

ポルトガ勇者(あ……やべ、瞼が)

ポルトガ勇者(ずっと歩き通しだったから、疲れが、圧し掛かって)

ポルトガ勇者(くる……)

ポルトガ勇者「……」
120 : ◆3VOBH3KJAk [sage saga]:2016/07/13(水) 23:31:08.25 ID:Wjeo41nZ0
…………
……




ムクッ…


勇者「……」


ポルトガ勇者「かー……くかー……」zzz


勇者「……」

バサ…

スタ… スタ…


カチャカチャ


スタ… スタ…



――ホビットの祠・外――


スタスタ

勇者「……」


ムオル勇者「……来たか」


勇者「はい」

ムオル勇者「ポルトガ勇者は」

勇者「眠っています。昨日疲れたのかぐっすり快眠していました」


タッタッタ

スー勇者「……おはよう、ございます」


勇者「おはよう、スーちゃん」

スー勇者「おはようございますっ、ご主人様」

ムオル勇者「……行くぞ。日が昇るまではまだ時間がある」

勇者「……はい」

121 : ◆3VOBH3KJAk [sage saga]:2016/07/13(水) 23:31:39.96 ID:Wjeo41nZ0


――――――――――――


ホー ホー


イシス勇者「……ん」

ムク…

イシス勇者「……」

イシス勇者(……まだ薄暗い……肌寒いし、日の出は少し遠そうだ)

ブルッ

イシス勇者(寒い……皆大丈夫かな)チラッ

イシス勇者(……あれ?)


イシス魔法使い「すー……すー……」zzz

イシス僧侶「んこー……くこー……」zzz

イシス戦士「むにゃ……」zzz


イシス勇者(あれれ、スー勇者ちゃんは?)キョロキョロ

イシス勇者「……トイレ、かな」


―――――――――


スタスタ…

イシス勇者「……薄暗い」

イシス勇者(でも灯りをいちいち用意する程でもないな)


オォォォオォ…


イシス勇者(……本当に広い建物だ)

イシス勇者(なんの為に作られたんだろう……結構古そうだけど)

スタ…

イシス勇者「!」

イシス勇者(あ、ここ、勇者くんの部屋かな?)

イシス勇者「……」


イシス勇者(あれ、なんだろう、やな予感がする)


ザッ

イシス勇者「……」


ポルトガ勇者「くかー……」zzz


イシス勇者「……勇者くん?」

キョロキョロ

イシス勇者「……」

イシス勇者「……っ」
122 : ◆3VOBH3KJAk [sage saga]:2016/07/13(水) 23:32:30.36 ID:Wjeo41nZ0


ユサユサ


ポルトガ勇者「ふがふっ、んあ?」

イシス勇者「ポルトガ勇者君、起きて」

ポルトガ勇者「んあ……?んだよ、イシス勇者……」

イシス勇者「勇者くんは?」

ポルトガ勇者「え?そこに居んだろ……」

ポルトガ勇者「……あれ?」

ムクッ

ポルトガ勇者「……――あいつ、どこ行った?」

イシス勇者「スー勇者ちゃんも居ないんだ」

ポルトガ勇者「……探してみるか」

イシス勇者「うん」


…………


スタスタ…

イシス勇者「やっぱり祠の中には居ないね」

ポルトガ勇者「ああ、荷物はあるからどっかに行ったってワケじゃなさそうなんだが」



――ホビットのほこら・外――


ザッ

イシス勇者「……外に居るのかな」

ポルトガ勇者「まだ薄暗いのにか?こんな森の中に何しに行くっつうんだよ」

クルッ

ポルトガ勇者「もう戻って寝ようぜ。攫われたんなら俺らが気付かねえはずねえし、大丈夫だろ」

イシス勇者「……うん」

スタ







ポルトガ勇者「……イシス勇者」


イシス勇者「……うん。聞こえた」


ザッ

ポルトガ勇者「……あっちか」

イシス勇者「だね。昨日も聞いた音だ」

イシス勇者(剣と剣が、触れ合う音)

ポルトガ勇者「……――行ってみる、か?」

イシス勇者「……う、うん」
123 : ◆3VOBH3KJAk [sage saga]:2016/07/13(水) 23:33:08.50 ID:Wjeo41nZ0



「行って、どうするんだい?」


イシス勇者・ポルトガ勇者「「!!!」」

ズザァッ!

イシス勇者「ホ、ホビット様……」


ホビット「やあ、おはよう」


イシス勇者「お、おはようございます」

ホビット「行ってどうするんだい?面白いものではないよ?」

ポルトガ勇者「……あいつ、何やってるんすか」

ホビット「頑張ってるんだよ」

イシス勇者「……」

ポルトガ勇者「……」

ホビット「……ふふ」

ホビット「勇者もどうやら、心配性な友人を持ったみたいだね」


スタスタ


ホビット「……邪魔しないと誓えるなら、ついておいで」

ホビット「ただ、“絶対に何もしてはダメだ”」


スタスタ…


イシス勇者「……」

ポルトガ勇者「……」

イシス勇者「……行こう」

ポルトガ勇者「……ああ」


スタ…


スタスタ…



―――――――――――――


――森の中――


ザッザッ…


イシス勇者「……」

ポルトガ勇者「……」

イシス勇者(背の高い木が生い茂って、祠の辺りより薄暗い)

ポルトガ勇者(霧も濃い……マジで何をやってるっつうんだアイツ)
124 : ◆3VOBH3KJAk [sage saga]:2016/07/13(水) 23:33:40.07 ID:Wjeo41nZ0


ザッザッザッ……


ホビット「……君達は」

イシス勇者「え?」

ホビット「君達は、強いかい?」

イシス勇者「……ん、はい?」

ポルトガ勇者「えっと……まあ、はい。腕には自身あるっすよ」

ホビット「では……どうやって君達は強くなった?」

ポルトガ勇者「……どうやって、すか?」

ポルトガ勇者「それは……まあ、鍛錬したり、魔物を倒したりして」

ホビット「……うん。そうだろうね」

イシス勇者「……?」

ホビット「お」

ザッ

ホビット「丁度いい。人間くらいの大きさの岩だ……ポルトガ勇者」

ポルトガ勇者「はい?」

ホビット「この岩を破壊してみてくれるかな」

ポルトガ勇者「……え」

ホビット「身構える必要もない。とんちでも謎かけでもないよ」

ポルトガ勇者「えっと……了解っす」

スッ


ポルトガ勇者「ほっ」


ドゴォン

パラパラ…


ポルトガ勇者「えっと、これでいいっすか?」

ホビット「ああ、ありがとう」

ポルトガ勇者「あの……これ何の意味あったんすかね」

スタスタ

スッ…

ホビット「……君はこれを素手で砕いたね」

ポルトガ勇者「?は、はい」

ホビット「これは、誰にでもできると思うかい」
125 : ◆3VOBH3KJAk [sage saga]:2016/07/13(水) 23:34:13.79 ID:Wjeo41nZ0


ポルトガ勇者「やあ、まあ……こんくらいなら少し鍛えりゃ誰でもできるんじゃないすかね」

イシス勇者「それほど大きい岩でもないですし」

ホビット「……ふふ、そうだね。ただわしは思うんだ」


ホビット「これを当たり前だと思っているわしたちがおかしいのでは、とね」


イシス勇者「……え?」

ホビット「少し、歩きながら聖書の話をしよう」

スタスタ

ホビット「わしらがどうして生まれたか知っているね?ルビス様が作られたからだ」

ホビット「大精霊の一人であったルビス様が、精霊戦争の後にこの大地と……わしらと、動物を作った」

ホビット「その証拠として、わしらには加護がある。傷を負っても癒す術がある」

イシス勇者「はい。それは分かります」

ホビット「……ただ、それらはわしらの力ではない」

ホビット「それは“ルビス様の加護”だ。わしら人間の能力ではない」

ポルトガ勇者「……何が言いたいんすか」

ホビット「例えば手のひらに斬り傷を負う。これを直す際は、たいてい治癒魔術を使うが……使わない場合はどうなるね」

イシス勇者「それは、傷の完治に時間がかかりますが」

ホビット「そう。時間がかかる。それさ」


ホビット「わしらの限界は、恐らくそれなんだよ」


ホビット「わしらの限界は、傷の完治に、これっぽちの傷だけで相当な時間がかかる、“そこ”だ」


ホビット「わしら生き物は、実はそんなに強くないんじゃないか?」


ホビット「わしら生き物は、ルビス様の加護を、人間の当たり前の力として認識しているんじゃあないかな?」


イシス勇者「……」

ポルトガ勇者「……」


ホビット「……だったら、このわしらの。先ほどのポルトガ勇者のような力は、どうだ」

ホビット「なぜ、火贈りの儀式の前と後で、身体能力が均一に育たない?」

ホビット「……なぜ」



ホビット「なぜ、魔物を殺せば殺すほど。目に見える様に強くなる?」


126 : ◆3VOBH3KJAk [sage saga]:2016/07/13(水) 23:35:07.80 ID:Wjeo41nZ0

ポルトガ勇者「……そ、そんなの」

ホビット「そうさ。誰にも分からない。ただの仮説さ。わしが勝手に考えた、ね」

ホビット「でも不思議でならなかったんだ。昔から」

ホビット「何故、魔族を殺すと力が異様な程に得られるか……強くなれるのか」


ザッザッザッ


ホビット「……そしてわしは、一つ思った」


ホビット「魔族は、原初の精霊達の怨念から生まれた、と聖書に書いてある」


ホビット「そしてそこに人間の怨念がそそぎこまれ、今の魔族になった……とも」


ホビット「……魔族は怨念の塊だ。もしそれが、本当ならば」


ピタ

クルッ




ホビット「“怨念”を。殺して、殺して。殺して」


ホビット「ルビス様の加護で、それを力に変換して、繰り返して」



ホビット「……わしらは、怨念を纏って、怨念と戦っているのではないかね」


ホビット「“それ”を、強さと誤認して」



イシス勇者「……」

ポルトガ勇者「……」


ホビット「……わしらが、強くなっているのは」

ホビット「ルビス様の加護で変換された、怨念の芥の力によるものなのではないかね」


ホー ホー


イシス勇者「……そ」

ポルトガ勇者「な、なにを言ってるんすか」

ホビット「……ちょっと、意地が悪い話だったね」

ホビット「老人の戯言さ。わらっておくれ」
127 : ◆3VOBH3KJAk [sage saga]:2016/07/13(水) 23:35:34.53 ID:Wjeo41nZ0
クルッ

スタスタ…

ホビット「……勇者は、ルビス様の加護がない」

ホビット「つまり、さっきの説が本当と仮定するならば、怨念を力にする術がない」


イシス勇者「……」

イシス勇者「……」

イシス勇者「……あ」


――――――――――――――


イシス勇者『(今日一日、勇者君の動きを見てたけど…………)』

イシス勇者『(あれは、なんて言えばいいんだろう)』

イシス勇者『(なんらかの……妙な違和感を感じる)』

イシス勇者『(なんて言うのか…………)』

イシス勇者『…………』

イシス勇者『……“まるで最初から強くなる事を許されていない”様な……』


――――――――――――――


ホビット「合点がいかないかい?」

ホビット「あの子が、皆に劣るのは……あの子が弱いからじゃない」


ホビット「あの子は人間だ」


ホビット「あれが、人間本来の姿なんだ」


イシス勇者「……」

ポルトガ勇者「……」

ホビット「……そう、思うのさ」

ホビット「ただ、それで納得していては。あの子は進めない」

ホビット「だったらあの子の気が済むまで、人間本来の限界を目指さなければならない」

ホビット「だからあの子は頑張らなければならないんだ」

ポルトガ勇者「……頑張るって……」

イシス勇者「どうすれば、人間本来の、限界なんて……」

ホビット「……本当なら、相当時間がかかる話だろうね」

ホビット「わしらルビスの加護持ちの人間と同じような無茶をさせれば、あの子は容易く死ぬ」


ホビット「だが……スー勇者ちゃんが居る」


イシス勇者「え?」
128 : ◆3VOBH3KJAk [sage saga]:2016/07/13(水) 23:36:34.79 ID:Wjeo41nZ0






ばちゃあっ





勇者「いぎぃぃいいいぁああぁああああっ!!!!!!!!!」






どちゃあっ!!!!



勇者「おご、うぶっ」



バチャバチャバチャ



ジャキン



ムオル勇者「……何故今のを避けなかった」


勇者「おえっ、うびゅっ」


バチャバチャバチャ


ムオル勇者「今、俺が敵ならお前の首は地面に転がっている」


ムオル勇者「俺の一閃を何故避けなかった」


ムオル勇者「何故避けなかったと聞いている」


勇者「きひぃっ、きひぃっ」



ギリッ

ググ


勇者「あーっ、はーっ……っっっっあ”ッ」



ムオル勇者「立つならすぐに立て。脳に刻み込め」


ムオル勇者「今の一閃を避けなければ、今のお前のようになる」



ぼとぼとっ ぼとぼとばちゃばちゃぁっ



勇者「いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい」




ムオル勇者「……臓物をしまえ。馬鹿者が」


129 : ◆3VOBH3KJAk [sage saga]:2016/07/13(水) 23:38:48.84 ID:Wjeo41nZ0


イシス勇者「っ……っ……」


ポルトガ勇者「おい……おいおいおいおい」


ホビット「……言ったね?二人共」

ホビット「絶対、何もするんじゃない」

ホビット「水を差したら、ただじゃおかないよ」





勇者「があっ、がああああ!!!!!!!!!!!」


タッタッタ!!


スー勇者「ご主人様!!!!」

ザッ

スー勇者「“ベホイミ”!!!」


パァァァァァァァァ……


勇者「がふっ、が、くぁっ……!!!!」


スー勇者「っ……!!」



ムオル勇者「……今のは、避けられた筈の攻撃だ」

ムオル勇者「もし俺が敵ならば、スー勇者が居なければ、お前はこの世には居ない」


スゥゥゥ…


スー勇者「……できました」

勇者「はぁっ……!!はぁっ……!!」

ポン

勇者「ごめん……スーちゃん……」

勇者「ごめん……」

スー勇者「……」ギュッ


ギリッ


ザッ


勇者「もう、一度ッッ……お願いします!!!!!」


ムオル勇者「ならば早く立て愚図が」
130 : ◆3VOBH3KJAk [sage saga]:2016/07/13(水) 23:40:44.89 ID:Wjeo41nZ0
イシス勇者「……勇者くん……っ」

ホビット「……スー勇者ちゃんは、なぜかは教えてくれないが勇者を治癒させる事ができる……その力を利用させて貰っているんだ」

ホビット「勇者は今までも相当鍛錬をしてきたらしいけれど、本当に“死ぬまで”やった事は無かった」

ホビット「だから、ああやって本当の危険を体に覚えこませる」

ホビット「“死”を体に何度も覚えさせる……それが、必要だ」

ポルトガ勇者「でもよっ……!!!!……さすがにあれはやりすぎじゃっ」

ホビット「わしら、ルビス様の加護のある人間がいつもやってる方法だよ」

ポルトガ勇者「……」

ホビット「わしらは、魔族相手に挑んで殺されても……体の一部分があれば蘇生できる」

ホビット「だからこそ、魔族に何度でも牙を向ける事ができる」
            ゲーム  
ホビット「……まるで。“遊戯”みたいに、ね」

ホビット「それを否定できるかい?」

ポルトガ勇者「……」

イシス勇者「……」

ホビット「…………さあ、帰ろう」

ホビット「あの子も君達に、こんな所を見られたくない筈だよ」




…………―――――――



ザッザッザッ


イシス勇者「……」

ポルトガ勇者「……」

ホビット「……」

ポルトガ勇者「……ホビットさん」

ホビット「ん?」

ポルトガ勇者「ホビットさんは……あいつがなんなのか知ってるんすか」

ホビット「……」

ポルトガ勇者「……」

ホビット「……少しなら知ってるが、言えない。……ごめんよ」

ポルトガ勇者「……そうすか」

ザッザッザッ

ホビット「……ただ……いい子だ。あの子は」

ホビット「二人共。あの子が例え何であれ……仲良くしてやってくれ」

イシス勇者「……――勿論です」

ポルトガ勇者「あたぼうっすよ」

ホビット「……ん」

ホビット「あの子は、いい友人を持ったね」


…………
……

131 : ◆3VOBH3KJAk [sage saga]:2016/07/13(水) 23:41:13.44 ID:Wjeo41nZ0
今日はおしまいです
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/14(木) 00:30:25.01 ID:ji5Xg4H0O

133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/14(木) 00:33:28.11 ID:OQjngMlP0
乙つ
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/14(木) 02:36:36.30 ID:oNwG10g30
乙でございます
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/14(木) 18:40:54.28 ID:okv92bicO
乙、昨今のどの漫画やアニメよりもきになる
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/19(火) 19:19:31.94 ID:jpY7yyYU0
乙、勇者には幸せになってほしいなぁ…ほのぼのがいいよぅ
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/19(火) 19:21:26.16 ID:jpY7yyYU0
乙、勇者には幸せになってほしいなぁ…
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/22(金) 00:55:51.51 ID:q8V621ke0
乙、勇者は相変わらず無茶しまくってるな。

ところで勇者はイシス勇者が女だって事は覚えてないんだろうな、武道家に殴られて記憶障害起こしてたし。
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/26(火) 20:51:08.00 ID:53lo73Rz0
舞ってる
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/07/27(水) 20:47:11.00 ID:uF/9R8QC0
そろそろ書きに来て欲しいのだか

141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2016/07/27(水) 21:21:52.24 ID:fdrrqmHO0
なんかもう登場人物の言葉の一つ一つが伏線に思えてゾクゾクしてきた
142 : ◆3VOBH3KJAk [sage saga]:2016/07/28(木) 00:39:55.51 ID://rGN1y40


……
…………



―ホビットの祠・大広間―


スタスタ…


勇者「ふぁ……おはようございます……」


イシス僧侶「おー、勇者くんおっはよー」

イシス戦士「もう昼だぞ?だらしない」

イシス魔法使い「スー勇者ちゃんもまだ寝ているみたいね」


スー勇者「くー……くー……」zzz

スラお「むにゃ……」zzz


イシス魔法使い「ふふ。仲がよろしいみたいね」

イシス僧侶「しかしよく寝るねー」

勇者「ああ、ちょっと朝に軽い鍛錬をするようにしてるんだけど、それに付き合ってもらってるんだ」

イシス僧侶「そうなん?って事は一回起きてたんだ」

勇者「そうそう。だからいつも夜に少し寝て、また朝の鍛錬が終わったら寝る生活してるんだよ」

スー勇者「くー……くー……」zzz

勇者「……僕に付きあわせてばかりで……」

ナデ…

スー勇者「ん…………」

勇者「本当に、この子には申し訳無い事ばっかりだ……」

イシス勇者「……」

ポルトガ勇者「……勇者、おはようさん」

勇者「ん。おはよう皆」


スタスタ

ホビット「おお、勇者も起きたかい。丁度いい。ご飯の準備ができたよ」


勇者「先生」

イシス魔法使い「ああ、もう、何から何まですみません」

イシス僧侶「お手伝いできる事ありませんか?」

ホビット「いやいやいいんだよ。わしも料理は好きだしね」

ムクリ

スー勇者「む……ふぁ……」

イシス戦士「ん。スー勇者も起きたみたいだな。おはようスー勇者」

スー勇者「んー……」
459.12 KB Speed:0.1   VIP Service SS速報VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 続きを読む
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)