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810プロvs黒井社長 サマーナイトフェスティバル 前編 - SS速報VIP 過去ログ倉庫

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/07/26(火) 23:15:47.07 ID:sSgljAkJ0
なんのために生まれたのか分かりませんが、謎のSSの二作目です。 完全に前回の単発で終わらすつもりだったので、今回は世界観を広げるために、前後編となりました。 961にフェアリーやジュピターがいるなど、かなりオリジナル要素を詰め込みましたが、何やってんだこいつみたいな目で見て頂けると幸いです。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1469542546
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【安価】少女だらけのゾンビパニック @ 2024/04/20(土) 20:42:14.43 ID:wSnpVNpyo
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ぶらじる @ 2024/04/19(金) 19:24:04.53 ID:SNmmhSOho
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旅にでんちう @ 2024/04/17(水) 20:27:26.83 ID:/EdK+WCRO
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2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/07/26(火) 23:16:15.99 ID:sSgljAkJ0
KMR「プロデューサーさん、この前の合同ライブのおかげて、僕たちの名前もかなり広まってるみたいですよ! ほら、ここも!」

765プロとの合同ライブを成功させてから二週間。 アイドルの皆も休養は十分にとり、今は少しずつ増えてきた仕事をしっかりとこなしている。 ある意味前回のライブの戦犯とも呼べるKBTITは反省文を1145141919枚書き上げてきたので、皆からの許しも得て、またトレーナーとしてしっかりと皆をまとめている。 810プロのなかでも、新人PのKMRは特に活躍の場が増えたことを喜んでいた。

TDKR「お、そこにも書いてあるのか。 765プロにはホントに感謝だな。 あのライブがなかったら、俺らはこんなすぐにここまでこれていない。 あ、そうだMUR、765プロが俺らとライブをしてくれた理由がわかったよ。 話を聞いて俺もようやくわかったから、何も言われてない状態じゃまず分からないものだった。」

MUR「ん、 765プロとのライブか。 あれは結局なんでだったんだゾ?」
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/07/26(火) 23:17:04.85 ID:sSgljAkJ0
KMRが見せてきたネット記事に目を通した後、MURが事務所に入ってきたのを確認して、KMRもいるから都合がいいということで、TDKRは前回のライブが行われた理由を話しだした。

TDKR「手っ取り早く言うと、共同戦線を組みたかったんだって。」

MUR「共同戦線?」

MURが話を読み取れず池沼顔を見事に晒している。

KMR「先輩、それってどういうことで
すか?」

KMRもよくわからないのか、難しそうな顔をして首をかしげている。

TDKR「二人とも、315プロって知ってるか?」

KMR「そういえば、つい最近そんなプロダクションが出来ていましたね。 どうやら男性のみのプロダクションで、うちと同じような形態だなぁと記事を見て思ったのを覚えています。」
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/07/26(火) 23:17:40.38 ID:sSgljAkJ0
KMRはよく情報を仕入れているのか、最近できたばかりの315プロの存在を認識していた。 MURはどうなのだろうとTDKRはMURをみたが、どうやら315プロのことを知らないためか、池沼を通り越して思考停止して白目を向いていたので放置した。

TDKR(こいつ本当にこれでもアイドルプロダクションの事務員なのか……?)「ああ、その315プロだ。 そこのプロダクションの社長は斉藤社長だったんだが、設立して二ヶ月で急病を患い現在入院中だ。 流石に出来てまだそれだけの月日の経過だ。 当然315プロのプロデューサーも困惑しているわけで、どうやら新しい社長代理を立てたみたいだ。 その社長代理の名前が黒井崇男。 現在961プロの社長をしているその男が快く社長代理を引き受けたらしいが、765プロは961プロに攻撃を受けたことがある。 765プロは、もしかしたら黒井社長が961プロを使っての攻撃が失敗に終わったので、次は315プロを使って765プロを攻撃するためにわざわざ315プロのお願いを受け入れたのではないか、ということを警戒しているらしい。また、315プロと同じ形態の810プロが攻撃を受ける可能性も高いので、そのような攻撃をされても耐えられる為に、早いうちに名前を売って、大きくなっていてもらいたい。 また、二つが一緒になってることをアピールすることによって、向こうが手を出しにくくなればいい、という、既に被害者となったことのある765プロの暖かい考えのもと成り立っていた訳だ。」
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/07/26(火) 23:18:48.60 ID:sSgljAkJ0
TDKRが詳細を説明すると、ようやく話の内容がわかったのか、MURは池沼から元に戻っていた。

MUR「あ、そっかぁ。 つまりは、共同戦線を組んで961プロの社長と戦おうってことであってるゾ? でもそれならそうと、初めから言ってくれればよかったゾ。」

KMR「違いますよMURさん。」

MURの言葉を聞き、TONのスケジュールを確認していたKMRが手を止める。

KMR「その話を聞く限り、765プロさんはどうやら完全に僕らにその話を聞かせたくなかったみたいです。 多分、僕らがその話を聞いたら、なんとかしなきゃということで、動き回ることがバレバレだったんじゃないですか?」

TDKRはKMRの話を聞き、その通りだと頷いた。

TDKR「ああ、 多分KMRの話が真実だろう。 もしその話を早く聞いてたら俺らは何かしなきゃと必死になってた。 315プロの、いや、黒井社長の存在に怯え、のびのびとレッスンのみに集中することはできなかったはずだ。 流石は765プロ高木社長。 こんな弱小プロダクションの考えなんて、全部お見通しか。 どっちにしろ、俺らは俺らで合同ライブに参加させてもらった身だ。 765プロの考え通りにさせるには、俺らだってなるべく早く力をつけなければならない。 と、いうわけでだ。」
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/07/26(火) 23:19:35.94 ID:sSgljAkJ0
TDKRはそこまでいうと、それまで何かを打ち込んでいたキーボードにおいている手を止め、PCの画面を二人に見せた。

TDKR「今年もこの季節。 MUR、俺らがこのプロダクションを設立したときも、これに出れたらな、なんて語り合ってただろ?」

画面には、『サマーナイトフェスティバル』の文字がでかでかと映っていた。
     ……翌日……

TDKR「よし皆、今日は忙しいところ無理に事務所に呼び出してしまってすまない。 このあと仕事という者もいるかもしれないが、とりあえず一つ大きな発表がある。 というわけでこれを見てくれ。」

三人でサマーナイトフェスティバルについて話し合った次の日、TDKRは810プロのメンバーを全員集めて、その件について話始めた。

7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/07/26(火) 23:20:35.13 ID:sSgljAkJ0
TDKR「……………というわけでだ。 俺らは来月に開催されるサマーナイトフェスティバル、略して『サマフェス』に出演する方向で動いていこうと思う。 今から一ヶ月後の開催になるが、昨日しっかりとKBTITさんとも話してきた。 今回は765プロとのライブの時とは違い、歌詞も、そして振り付けもしっかりと頭に入れられるだけの気持ちと時間の余裕がある。 そして、今回のもう一つの狙いがあるんだが……」

そういうと、TDKRはサマフェスの公式ページの中にある、別のページに移った。

TDN「これは………『バトルフェスタ』? プロデューサーさん、サマフェスにこんなのありましたっけ?」
TDNが画面をみて一番に質問してくる。 この810プロにはいる前に、TDNはサマフェスでバイトをしていた経験があったみたいだ。

TDKR「ああ、どうやら今年から新しく追加されたプログラムらしい。 多分31…………いや、各アーティストたちの歌や踊りの勝負がみたいという要望でもあったのだろう。 俺らもどこと当たるかは分からないが、アイドル部門で出場するつもりだ。 どのユニットで出るか、そもそも誰がでるかすら決めてないが、とりあえず皆準備だけはしておいてくれ。 さて、俺からは以上なんだが、皆からはなんかあるか?」
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/07/26(火) 23:21:02.27 ID:sSgljAkJ0
ONDISK「プロデューサーさん。」

手をあげたのは一応リーダーとして纏めてくれている、ONDISKだった。

TDKR「どうした、DISK?」

ONDISK「あの………余計な一言をいってしまうようで申し訳ないんですけど、僕たち、全体曲って作らないんですか?」

ONDISKは聞いていいのかどうかを怪しむような表情で聞いてきた。 恐らくここで新しいなにかを作り出すという話をすると、またその新しい何かに時間を費やしてしまい、結局あの状態の二の舞……というのを恐れたのだろう。

TDKR「全体曲……そういえば作ってなかったな……。 こっちとしても全然頭になかった内容だから、ちょっと待っててくれないか?」

ONDISK「全然大丈夫ですよ。 まずはサマフェス、そしてバトルフェスタですよね! 自分も皆を精一杯引っ張ります!」
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/07/26(火) 23:22:23.70 ID:sSgljAkJ0
ONDISKは自分が心配してたほどの騒ぎにならなかった事を安心したのか、リーダーとしての気持ちを再度見せてくれた。

TDKR「他にないなら、明日から仕事の者もいればこのあとから入ってる者もいるだろう。 この場はすぐに解散しようか。 それじゃ、皆わざわざありがとな。 もう戻っていいぞ。」

皆はTDKRの話を聞いて頷いた後、各自の行くべき場所へと向かった。

KMR「…………先輩、やっぱり黒井社長のことは黙っておくんですか。」

皆の存在が周りからなくなった後、KMRは椅子に座りながら問いかける。

TDKR「どっちの方が良かったんだろうな。 もし攻撃をしてくるなら、早いうちに仕掛けてくることもあり得なくはない。 皆が用心するに越したことはないから、言うべきだったのかもしれないな……。」
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/07/26(火) 23:23:00.70 ID:sSgljAkJ0
MUR「それでもTDKRはギリギリで言わない方を選択したんだから、それがきっと正しいんだゾ。 結果どうなろうが、俺らは俺らで皆を精一杯支えるしかないんだゾ。 TDKRも色んな事に頭をもっていかれすぎて、寝込まないようにするんだゾ?」

TDKRが自らの選択について悩んでいる時、MURが皆の飲んでいたお茶を片付けながら話す。 TDKR一人の考え方では、ここまでプロダクションが順調にいくことはなかったはずだ。 MURの一言が助けになることも多々あったので、TDKRは今回もその言葉を信じることとした。

TDKR(だよな………ああ、きっとそうだ。 俺も変に思い込みすぎだよな。 さて、まだまだやることはあるんだ。 DISKも全体曲を待っているみたいだし、なにより明日はサマフェスに出る各プロダクション、アーティスト達の責任者が全員揃う初の顔合わせ、多分来るであろう黒井社長の挙動を今一度確認してこなきゃな……。)
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/07/26(火) 23:23:33.24 ID:sSgljAkJ0
TDKRは自分のやったことが正しいと思いつつ、また画面とにらめっこを始めた。 MUR、KMRも話をやめ、各自がやるべき事をやり始める。

TDKR( これでいい。 アイドルたちがより明るく、大きく輝くために、事務とプロデューサーが手を組んで助け合う。 これが俺とMURがこ↑こ↓を立ち上げる時に話した内容の一つ。 一人でなんてどうせ乗り越えられないんだ……)

そのやり取りは確かに正しいものだった。 恐らくどこのプロダクションも、何かについて悩んだとき、そこの人々が手を取り合って話を片付けるだろう。

TON「……………………」

正しいというのは、『近くでその話の対象者が聞いていなければ』、という前提のもと成り立つが。

12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/07/26(火) 23:24:11.94 ID:sSgljAkJ0
  ………顔合わせ当日………
TDKR「 私、810プロのTDKRという者で御座います。 本日はよろしくお願い………」

黒井「ああ、お前が例の………ふん。 」

TDKRが名刺を渡すため……というのは建前で、実際は敵のボスを観察するために黒井社長に挨拶に来たのだが、始めの決まり文句でさえバッサリされてしまった。

TDKR(なんか嫌なオーラがでてるなぁこの人。 確かに何かされても納得しそうだ……。 )

13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/07/26(火) 23:24:42.83 ID:sSgljAkJ0
黒井「そうだ、TDKR……とか言ったか。 お前のとこはこの前765プロと合同ライブを開いたみたいじゃないか。 あの時はまだ名前もあまり売れてなかったあんたらが、何故765プロとライブなんかを開けた? よくあの765プロがワンマンを崩してまでも入れてくれたものだな。」

黒井社長はもはや会う前から言う内容をきめていたかのような、そんな質問を投げつけてきた。 しかし、TDKRはそうは決めつけられなかった。 何故なら、TDKRから見ても初めは何故、合同をやろうなんかと声をかけてきたのか分からなかったのだから。

TDKR「765プロさんにお聞きしたときころ、新しくできた、かつ事務所が近いプロダクションなので、今後の繋がりを意識して、とのお話でした。 私としましても、大変ありがたいお話でしたので、 すぐに承諾させて頂きました。」

実はこの対応も既に高木社長との話し合いの範囲内。 当然こちらも元から用意していた返事で返す。
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/07/26(火) 23:25:09.29 ID:sSgljAkJ0
黒井「ふん。 今後の繋がり……か。 なるほどな。 まあ、このサマフェスも色々なプロダクションと交流を図れる場所だ。 わざわざここがあるにも関わらず、その前にライブを合同にしたとなると、何かありそうだが、特になにも思わないでおこう。 今回からは新しい催しもあるみたいだしな。 私は今回は315プロも担当させてもらう。 そちらのプロダクションと同じ形態なので、その『良い関係』が作れるように、お互い努力しようじゃないか。」

明らかになにかを含んでいる言い方で返してくる黒井社長。

黒井(どう聞いても分かりきってるよなぁこの言い方。 もしくは俺が突っかかってくるのを待ってるのか……とりあえず、高木社長からはなるべく多くは話すなと言われてるし、足早に退散しよう。)

TDKR「はい。 是非ともよろしくお願い致します。 他の方の挨拶にも回りますので、私はこれで失礼致します。 それでは。」
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/07/26(火) 23:25:39.52 ID:sSgljAkJ0
TDKRは頭を下げ早々にその場から立ち去る。 そんなTDKRを見ながら、すれ違う形で黒井社長に近づく者がいたが、TDKRは意識しなかった。

TDKR(とりあえず自分の存在を示しておいた。 これで黒井は自然と俺の存在も頭に置くだろう。 高木社長や765プロだけが敵視されることも少なくなるだろうな……。 今回のやることはひとまず終わりだ。 これ以上でしゃばっても仕方がないし、言った通り他の方に挨拶でもいくか。 イベントごとに挨拶なんてやめたくなりますよ〜プロデューサー。)

黒井「…………今のが810プロのプロデューサーだ。 よく覚えておけ。」
TDKRの代わりに近づいた男にたいして黒井社長が小声で声をかける。 声をかけられた男の見た目はまだ若く、他のものとはかっこよさやオーラが違っていた。
???「……はいよ、黒井のおっさん。 ま、俺がパフォーマンスしたら、あんな奴らすぐに黙らすからよ、なんも心配はいらねえな。」
その男の名は………天ヶ瀬冬馬。
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/07/26(火) 23:26:05.77 ID:sSgljAkJ0
   …………事務所…………

TDKR「ぬわあああああああああん疲れたもおおおおおおおおん。 なんでいちいち顔合わせなんてやるんすかねぇ。 やめたくなりますよ〜プロデューサー。」

事務所に戻ったTDKRは野獣の咆哮を出しながらソファーに座った。

KMR「仕方ないじゃないですか。 というより、先輩がプロデュースしなくなったらあの子達を僕一人でなんて無理ですからここ崩壊ですよ。」

KMRがまたなにかをパソコンに打ち込みながらTDKRに声をかける。 結局プロデューサーという立場ではKMRも同じなのだが、今回は高木社長と実際に話したTDKRが黒井社長と会わざるを得なかった。
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/07/26(火) 23:26:59.40 ID:sSgljAkJ0
TDKR「わかってるけどよぉ〜。 どうも日本の夏は嫌いなんだよなぁ。 湿度高いし、急に暑くなるしよぉ。」

KMR「あれ? 先輩外国にでも住んでたんですか?」

TDKR「いや、一度も。」

KMR「えぇ………。(困惑) それなら、別にいいじゃないですか。 僕は好きですよ、日本の夏。 特にこのサマフェスもそうですけど、やっぱ祭が映えますよ、この時期は。 MURさんはどうです? この季節。」

KMRがMURに話を振る。 しかし、すぐに返事は来なかった。
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/07/26(火) 23:27:36.20 ID:sSgljAkJ0
KMR「あれ、MURさんどうしたんですか?」

MUR「あ、ああ。 すまないゾ。 いや、実はこんな記事が……」

MURは声をかけられたことにすぐには気づいていないようであった。 そんなMURが見せてきたものは、ネットニュースのひとつの記事だった。

TDKR「ん? なんだこれ……『961の新星、プロジェクトフェアリー』? 我那覇響、四条貴音、星井美希か……。 でもこれがどうしたんだ? 」

TDKRは記事を見ても何もおかしな点を見つけられなかった。 有名プロダクションが新人を売り出すなんてことはよくあることだし、確かにその相手は961だったが、それ以上でも、それ以下でもない情報だった。

MUR「TDKR、違うゾ。 見てほしいのはここの皆のインタビューの部分だゾ。」
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/07/26(火) 23:28:13.50 ID:sSgljAkJ0
MURに促され、TDKRは言われるがままにインタビュー記事の部分をみる。

TDKR「えっと……『私たちは人気なんていらない。 周りから敵が消え、私たちが完全な頂点を築く。 その為なら多少の事も普通にやるから。』 か。 つまり……そういうことだよなぁ。」

記事を読み終わったTDKRは深い溜め息をついた。 普通のファンの人からみたらクールだったり、イケてるとかなのかもしれないが、現状TDKRたちがこの話をみると、もろロックオンされてるとしか思えない。

KMR「でもこれって、彼女らの本心なんですかね? もしかしたら、黒井社長の指示でこう言えという指示なのでは?」

KMRはあくまでも彼女らの本心を信じる意見を出した。 しかしTDKRはそうは考えなかった。
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/07/26(火) 23:28:48.29 ID:sSgljAkJ0
TDKR「いや、KMR違うぞ。 彼女らははじめからこういう指導をされてるんだ。だから彼女らがどうとかや、黒井社長の指示がどうとかではない。 この話が既に彼女らの『本心』なんだよ。 この目を見ろ。 明らかに他を寄せ付けようとしていない。 『私たちは本当はこうなんです!』 というのを表そうと、訴えようとしていない。 ま、もし本心がKMRの言う通りなら、この時点で既に名女優だな。」

半ば冗談のような言い草で言ったが、正直TDKRはこの考えが正しいだろうということを確信していた。 腐ってももうプロデューサーになってそこそこの年月が経つ。 彼女らの目に嘘偽りがあるようには思えなかった。

KMR「でもだとしたら、なんでわざわざこんなこと言っちゃうんでしょうね961プロは。 僕たちに警戒されるだけじゃないですか。」

KMRは記事の内容をざっと見た後、当然のような質問をしてきた。 確かにこのようなことをしたら相手は警戒してしまう。
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/07/26(火) 23:29:20.55 ID:sSgljAkJ0
MUR「それが961の狙いゾ。」

KMR「えっ?」

MURもTDKRと同じような考えを既に持ってるのか、まるで相手の考えを知っているかのような話し方で切り出す。

MUR「あいつらは言ったゾ。 人気はいらない、他の人がいなくなればいい。 つまりは、公で始めから挑発し、相手に用意させておいて、それでも乗り越えられない壁、というポジションでありたいんだゾ。 そうすれば相手はたった1回で受けるダメージがでかくなるからな。」

KMR「でもそれって成功したらいいですけど、765プロで失敗してるじゃないですか。 なんで一度失敗したやり方をここでも使うんですか? そもそも攻撃してこないのであれば、それが一番ですけどね。」

KMRはどうにも相手の行動が理解できないらしい。 確かに他のプロダクションが攻撃してくるなんていうのは本来あってはならないことだ。 しかしそれを実際にやってくる以上、 ちゃんと相手の行動がどのような考えのもと行われてるのかを理解しなければならないので、たとえ自分達と意見が違えど、KMRの考えを否定してはいけないということをTDKRは十分に理解していた。
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/07/26(火) 23:30:06.32 ID:sSgljAkJ0
TDKR「まあどうであれ、俺らができることなんて限界があるんだから、それを一生懸命やるしかないじゃないか。 とりあえずは目先のサマフェスを何事もなく終わらせるのが目標だな。 まあ、そのサマフェスが一番危険なわけだけどな。」

TDKRは苦笑いを浮かべながら、またPCに顔を向ける。 あまり周りには悟られないようにしているが、TDKRは内心ビクビクしながら日々を送っていた。これまではまるで考えていなかった他のプロダクションからの攻撃。 それが現実味を帯びている以上、ちゃんと対策を考えなければならなくなっていた。

TDKR(どういう状況になろうとも、俺らは何があっても皆を守らなければならない。 確かに765プロは一度退けたが、それでもアイドルの如月千早さんがかなりの被害を受けていたことを話で聞いた。 確かに如月さんのような深い過去を持っている子がうちにいないとはいえ、どんなことを仕掛けてくるのか分かったようなもんじゃない。 この二人とちゃんと話して、何がなんでも皆を守らなきゃな。)

そんなことを考えてたら余計に顔に出ることまでは考えなかったのか、TDKRの真面目な顔は二人にしっかりと見られていた。
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/07/26(火) 23:30:49.47 ID:sSgljAkJ0
   …………961プロ…………

冬馬「それで、俺たちは次に何をすればいいんだ、黒井のおっさん。」

社長室に呼ばれ、部屋に入った天ヶ瀬冬馬。 既に部屋のなかには同じユニットの伊集院北斗、御手洗翔太が部屋にいた。

黒井「冬馬には既に話してあるが、貴様らには今度行われるイベント、『サマフェス』に参加してもらう。 基本的にはお前らは普通にやっていてくれればいいが、裏で私が810プロを潰しにかかる。 それに見合う十分なパフォーマンスをしろ。 いいな?」

冬馬はその言葉を聞くと軽く唇を噛み締めて言い返す。

冬馬「……またあんたが動くのかよ。 最近思ったんだけどよ、もう俺らは十分育ったじゃねえか。 前はあんたの力を借りないと目立たないこともあったからしょうがなく思ってたけど、これからは俺たちの力だけで十分だぜ!」

黒井「調子に乗るな。」
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/07/26(火) 23:31:34.18 ID:sSgljAkJ0
自分達のことを分かってくれていないのか、そんな考えのもと冬馬は話したが、黒井社長はそんなのお構いなしというように言い返した。

黒井「貴様らが育った? 力を持っている? 馬鹿が。 貴様らはまだまだひよっこ。 雑魚なんだよ。 自分の力を余り高評価するなよ。」

冬馬「………っ! なんだよその言い方!!」

翔太「やめなよ冬馬くん!」

冬馬が黒井社長の言葉を受けて怒りのまま突っ込んでいこうとするのを翔太が止める。 最近はこの二人のすれ違いが増えてきていた。
冬馬「………………くそっ! 俺らは俺らのやり方でファンの皆を楽しませてやる!絶対に! お前の悪の力もなんて借りねえからな!」

冬馬は歩幅広めに部屋を出ていく。 ドアを閉める力も普段より勢いが良かった。
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/07/26(火) 23:32:06.46 ID:sSgljAkJ0
北斗「社長、あまり冬馬を怒らせないでください。 あんな性格なんですから。」

出ていく冬馬を見ながら、北斗は黒井社長に話しかける。 翔太は冬馬の後を追って行ってしまった。

黒井「ふん。 あいつが自分の実力を弁えないからだ。 私の言う通りにすれば私たちが一番になれるんだ。 男も女も我が961がトップになってやる。 だから、私の考えのまま動け。 いいな。」

北斗「………はい。 失礼します。」

北斗は部屋から出る。 既に離れたところで冬馬をなだめている翔太が目に入った。 最近になって増えてきたこの光景。 一番落ち着いているポジションでいる北斗だったが、これには軽く怒りを覚えざるを得なかった。

北斗「…………くそっ。」

北斗はそんな気持ちを晴らすかのように壁を殴った。 その時、北斗の中に考えが生まれた。

北斗「………これなら。」

北斗は一度外に向かった。
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/07/26(火) 23:35:04.85 ID:sSgljAkJ0
ひとまず前編はこれで終わりです。 ほとんどこの世界の世界観を広げただけの話になってしまいました。 後編で315プロも絡んでくるという内容で考えています。 次がいつ出せるかは未定ですが、なるべく早く出るように頑張りますね。それでは。
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