【ガンダム00】沙慈「僕の義兄はフラッグファイター」

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543 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/25(金) 13:01:47.19 ID:JLEwHKvvo
私は我慢強い。
ゆっくりと待たせてもらおうか
544 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/11/07(木) 23:17:54.75 ID:2pNPDKx70
パンツ卍会で待ってる
545 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/04(水) 23:24:53.64 ID:NK9wkn6Fo
お前の惑星自転周期何時間やねん
546 :sage :2019/12/05(木) 11:28:06.73 ID:eaqkqH6K0
咳するたび意識が飛びそうで文字も飛んでっちゃうって言ってたからしょうがないでしょ
そのうち来るだろうから気長に待つしかないさね
547 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/09(月) 02:21:33.22 ID:Kd+m6xT9o
言ってたからってどこでや
548 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/12(木) 10:21:07.90 ID:cKDrErUhO
作者のTwitterじゃないの?
549 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/19(日) 04:30:42.86 ID:f8+m57Pgo
そんなんあるなら書いといてほしいわ…
550 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/19(水) 20:10:11.86 ID:ncdI8pzz0
ハンターハンターの掲載頻度で更新するブリーチ
551 : ◆AvaUNpQJck [ saga]:2020/04/15(水) 21:45:11.58 ID:x8Xrt/Jr0


 ふらついた巨躯が、最早限界と地面へとキスをする。

 振動に揺さぶられる機体を、両手で踏ん張り支えた。

 粒子制御のエクシアでこれだけ揺さぶられる衝撃、機体上部のヘリオンは無事なはずもなく。

 己の所業にすら耐えられぬ様が、かつての己がフラッシュバックする。


刹那「ッ……!」



 終わらせてやる。せめて、一息に。

 振動の弱まった一瞬を突いて、ビーム・サーベル、同時展開。

 逆手に持ったそれを、アグリッサの中心めがけ、構えた。

 
――――


サーシェス「――ところがぎっちょんッッ!!!」


グラハム「何……ッ?!」


――――



刹那「な……!」

「え……?」


 それと、【事】は同時に起きた。

 まず、家屋の屋根が一つ吹き飛び、明々とした照明弾が打ち上がって。

 それからほんの数秒。

 廃村の三方から、いくつもの白い軌跡が高々と打ち上がっていった。

 白い軌跡……そう、それにグラハムは、見覚えがあった。


 イナクトが発電施設を吹き飛ばした、あの多弾頭ミサイル、そのものであった――!


サーシェス「はっはぁ!! 襲撃用の予備弾倉、出血大サービスってなあ!!」


グラハム「馬鹿なッ!!」


刹那「……!」
552 : ◆AvaUNpQJck [ saga]:2020/04/15(水) 22:09:04.37 ID:x8Xrt/Jr0


 大仰に両手を広げるイナクト。

 その隙だらけの姿を狙うことさえ、グラハムは忘れていた。

 それもそのはず。ただでさえ広範囲を焼き払うあのミサイルがこの数だ。

 計算するまでもない。目視で判断できた。

 廃村全域がその拡散の射程範囲に含まれている。

 つまり、ガンダムも、グラハムも、アグリッサも、サーシェス本人すら。

 そして……ラサー!

 アザディスタンを救う唯一の手立てが、打ち上がった凶雨の下に晒されている――!


「あ、ボス、なん、で……ッ?」


サーシェス「何でもクソもねえだろ、俺を誰だと思ってんだ」


サーシェス「考えうる最悪に常にお出しするのが、デキる男の甲斐性だぜ?」


グラハム「貴様ッ……!!」


サーシェス「さぁ踊ろうやユニオンの走狗(フラッグファイター)! どうする! どうする!! どうするッ!!!」


サーシェス「命か! 任務か!! 好きに選べよ、あと数秒ッッ!!」


グラハム「待ッ……!」


 イナクトは巡航状態になって空に舞い上がる。

 ミサイルの嵐を真っ向から避けて逃げるつもりらしい。

 いや、出来るだろう。あのパイロットならば、確実に無傷でやってのける。

 だが……グラハムは、動かない。

 否、動けないのだ。

 迷っていた、決断を。無限にも思えるほんの瞬きの時間、ひたすら考えを巡らせていた。


グラハム「ッ……………………………!!!!!」


 打ち上がったミサイルが交錯し、落下軌道を取る。

 あれがばらまかれれば、数百の爆弾が廃村を舐め尽くし、全てを砂塵の中に還すことだろう。

 止めようはない。

 撃ち落とせたものでもない。

 そもそも、グラハムに返せる答えなどそう多くはなかった。

 言葉にするまでもない。

 サーシェスの言う通り(もちろん聞こえてはいない)、答えは二つ。



 自分が助かるか、盾になって死ぬか。

 それだけのことであった。
553 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/15(水) 22:10:52.97 ID:e2VEWFu40
待ってましたぞ
554 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/15(水) 22:34:07.86 ID:cMdg6hDWo
ぎっちょんきてたー
百戦錬磨っぷりヤバいな
555 : ◆AvaUNpQJck [ saga]:2020/04/15(水) 22:43:06.34 ID:x8Xrt/Jr0

グラハム(ラサーの位置は分かっている! 高度を上げず戦っていたのは幸い、駆けつければ頭上を守ることは出来る!)

グラハム(だがリスクが高すぎる! 拡散は恐らく均等、しかしそれでも十数発は間違いなく彼の致死圏内に到達しうる!)

グラハム(ロッドと機体の装甲で受けきれる範囲では彼を守るには十全足り得ない、しかし万全に守れば間違いなく機体は吹き飛ぶ!)

グラハム(そもそも受けきれる範囲で神頼みをしても、この機体の装甲では到底無事に済むはずもなし……ッ)

グラハム(損壊した機体では、奴には到底及ばない……!)


グラハム(……見捨てる……か……?)


 人生の中で、最も長い一秒。

 爆弾の動きが静止して見える。

 走馬灯すら浮かぶ猶予がない、思考の直列、一方通行。


グラハム(救うことに最善を尽くしても、うまくいく可能性は限りなく0に近い)

グラハム(我が身で為すべきを尽くそうと、結果が伴うかは分からない)

グラハム(ガンダム調査隊の任を負って此処に来た)

グラハム(成果はない、事態は悪化する一方だ)

グラハム(もう何年も此処にいるような心地がする)

グラハム(…………)


 ――言語化出来る思考は、ここまで。

 きっと、グラハムは言葉にする前にもう決めていた。


 この国の為に、最善と、全力を尽くす。

 己と、友に誓って、今此処にいる。

 如何に考えを重ねようと、今、この場のグラハムは、ラサーを護る以外の選択を取り得ないのだ。


グラハム「嗤え、姦賊(テロリスト)……恐らくは、貴様の思うがままだろう」

グラハム「――だが、負けるつもりは毛頭ない!!」


 全力で、踏み込む。

 大出力フライトユニットが、唸りを上げ機体を持ち上げた。

 ミサイルの拡散は始まっている。

 間に合わせてやる、仕組まれた先であろうが、何であろうが――!
556 : ◆AvaUNpQJck [ saga]:2020/04/15(水) 23:30:33.08 ID:x8Xrt/Jr0


 前傾のまま加速する漆黒のボディ。

 覚悟を決め、一直線にラサーの下へと馳せ参じんとした。


グラハム「な……」


 しかし、その視界に、予期せぬものが映った。

 コンマ数秒、グラハムの瞳を白と蒼が染め上げる。

 黒を追い抜く白。


 ガンダムエクシアである。

 彼が心奪われた意中の背が、同じ場所を目指し駆け抜けていった。

 失意のアグリッサは粒子の双刃で完全に解体されている。

 その凶悪な顎から解き放たれた天上の機体は、爆発的な速度を保ち、突き進む。

 視界が、多量の光子に瞬く。



グラハム「――!」


 時間の流れが、戻る。


 分裂した多量の爆弾が、枯れ果てた営みの跡を舐め尽くす。

 次々に突き立てられていく鉄の殺意が、何もかもを赤く染め上げた。

 爆風。轟音。

 震える、燃える、砕ける。

 サーシェスの準備していた三回分のミサイルは、軌道エレベーターの監視網からもはっきり見える破壊の痕跡を生み出した。

 上空からそれを眺める、朱のイナクト。

 サーシェスは、スーパーボウルの会場でホイッスルを待ちわびる少年のような顔で、モニターを見つめていた。


――ユニオン司令部――


「! ポイントF3987に反応!」

「エーカー中尉の向かった場所か!」

ビリー「グラハム、賭けには勝ったようだね……!」

「で、状況は?!」

「そ、それが……町が……爆発しています!」

「何だと?!」

ビリー「大丈夫だ……そうに決まってる」

ビリー「だって、そこにいるのはグラハム・エーカーなんだから……そうだろう? 僕のフラッグファイター……!」

557 : ◆AvaUNpQJck [ saga]:2020/04/15(水) 23:50:07.46 ID:x8Xrt/Jr0

――ガンダムデュナメス・コクピット――

ロックオン「ち……どんどん距離を詰めてやがる、やる気すぎんだろ、あいつら!」


『デコイポッドの粒子放出、AからH、残量0』

『順次回収と隠蔽に入ります』


ロックオン「いい時間稼ぎだったぜエージェント、助かった!」


『ですが、これ以上の遅延にも限度がありますわね』


『付近の交戦に適した地形をピックアップしますわ、お気をつけて』


ロックオン「あぁ、出来ればこのまま様子見と囮役で終わらせたいもんだがな……」


ロックオン「刹那の方は?」


『ユニオンの軌道衛星写真によれば、プランAのまま推移が確認されているそうです』


ロックオン「なるほど……本当に怖いくらい、だな」


ロックオン「ま、そういうことなら任せるさ……気張れよ刹那、なっちまえよ、ガンダムに!」



――アザディスタン市街――

イケダ「おい絹江……本当に来るんだな!?」

絹江「はい!」

イケダ「ほんっっっっっとうに来るんだな?!!」

絹江「ぜっっっっっっっっったいに!!来ます!!!」


絹江「あの人は、約束を破ったことなんかないんだから……!」

絹江「グラハムは、ラサーを助けて、ここに来ます!!」

絹江「絶対に、生きて帰ってくるんだから――!!」


イケダ(あーあ……とんでもねえのに惚れちまいやがって……)

イケダ「……しーらねっ」


――ザイール基地――


マリナ「…………」


――俺のコードネームは、刹那・F・セイエイ。

――ソレスタル・ビーイングの、ガンダムマイスターだ!


マリナ(あんな言葉を信じるわけではない、けれど)

マリナ(何故なのだろう、胸騒ぎがする)

マリナ「ソラン……いえ、刹那・F・セイエイ……」

マリナ「この空の下の何処かで、あなたは戦っているの……?」
558 : ◆AvaUNpQJck [ saga]:2020/04/16(木) 00:18:23.98 ID:dYqlHvxs0


――そして――

――旧クルジス領・ポイントF3987――


サーシェス「そうか、そうかい」

サーシェス「お前が選んだのはそっちか……」

サーシェス「予想とは違ったが、あぁ、そうだな…………」


サーシェス「ようこそ! こちら側へ!」


 燃え盛る廃村を見下ろす、二つの機影。

 一つは、朱。イナクト・カスタム。パイロットは、アリー・アル・サーシェス。

 一つは、黒。ユニオンフラッグ・カスタム。

 パイロットは、グラハム・エーカー。


 蒼穹の中心で、MS形態のまま睨み合う二機。

 遠いようで近い距離。双方の機動力ならば一瞬で詰められる位置。

 だが、イナクトは挑発するように、肩を竦めるジェスチャーをした。

 フラッグは動かない。

 言葉を交えぬ会話が、そこにはあった。


サーシェス「使命から解き放たれて、己の本分を取り戻した気分はどうだ?」

サーシェス「バカバカしい【おしごと】をほっぽり出して、我が身可愛さに逃げ出した気分はどうだ?」

サーシェス「くはは……なあ? 見ろよ! ほら!!」


サーシェス「このザマだよ! この国の未来なんざなあ!!」


 彼らの足元には、紅蓮の海が広がっている。

 廃村は完全に瓦礫と化し、ところどころ深くえぐれて彼らの位置からでは状況が分からないほど荒れている。

 アグリッサの残骸は言われなければわからない鉄の骸を晒し、サーシェスの部下たちは尽く巻き込まれ吹き飛ばされた様子。

 ラサーのいた場所は爆炎と黒煙に晒され、そこにあるはずの機影さえ見えはしない。

 何より、先ほどまであったはずの通信障害が、消えた。


 イナクトの、無言の勝利宣言だった。


サーシェス「さあ、そろそろ終わりにしようや」

サーシェス「護るものも吹き飛んだ、得るべきものも燃え尽きた」

サーシェス「土壇場でてめえの保身を優先したお前にはもう、何もない」

サーシェス「――引導を渡してやるよ、役立たずの飼い犬(フラッグファイター)!!」
559 : ◆AvaUNpQJck [ saga]:2020/04/16(木) 00:45:35.86 ID:dYqlHvxs0
 

 フラッグ、微動だにせず。

 イナクトは、ブレイドライフルを仰々しく構え、攻める姿勢を取った。

 ……もちろん、ブラフだ。


サーシェス(なんだ? こっちがわざと仕掛ける隙を見せてるってのに、全く動こうともしねえ)

サーシェス(ガチで戦意喪失してんのか、それとも俺と同じくこっちが仕掛けるのを待ってんのか?)

サーシェス(気味悪い野郎だぜ……)


 サーシェスは、ガンダムが完全に終わったとは思っておらず。

 ラサーの死も確認されてない以上、まだ疑いの眼差しを向けていた。

 だが、何もなく耐え切られたとも思っていない。

 確かに、自分の最後の策は通用したという確信を持っていた。


サーシェス(元々ユニオン軍が雪崩込んできたら、あいつらのやらかしに見せかけて殺すつもりの一手だ)

サーシェス(あのデブみてえにバリアが張れるならまだしも、ガキの機体は見たところ接近戦調整の機体)

サーシェス(近づく前提の機体ってのは総じて脆いのが通例よ)

サーシェス「だから……!」

サーシェス「てめえにかまけてる時間は! もうねえんだよ!!」


 前進、フルスロットル……そして、【投げた】。

 イナクトは空いた左手で脇を通すように、ソニックナイフの投擲を同時に仕掛けたのだ。

 その軌道は惚れ惚れするような見事な角度と速度。

 それこそ、エクシアのダガーのそれに匹敵する一投を、イナクトの指でこなしてみせた。


サーシェス(弾いてみろ、避けてみろ、それとも受けて死ぬか!)

サーシェス(どっちでもいいぜ、もうお前の動きは見えてっからなあ!!)


 ライフルすら構えない、ただそこに浮いているだけのフラッグ。

 サーシェスの頭の中では、今までの敵機の挙動のイメージがありありと浮かんでいた。

 さあ、動け!

 足掻け! 惑え! 竦め!

 どう動こうが、そのまま纏めてバッサリだ!
560 : ◆AvaUNpQJck [ saga]:2020/04/16(木) 01:01:00.61 ID:dYqlHvxs0
 幾重にも広がるフラッグの朧気なイメージ。

 ひとつひとつ丁寧に、どう殺してやるかが決まっている。

 朱が迫る。

 その前に、布石の刃が飛来する。

 どうだ?

 どう来る!


 そして、ナイフは遂に、漆黒の機体に到達した――!



 否、【止まった】


サーシェス「は……?」


 そして、フラッグの軌跡は全て、軒並み、吹き飛び消えた。

 サーシェスの見ていた風景が、一瞬で変わってしまった。

 目の前の敵の動きが、分からなくなってしまった。


 そんな困惑に、フラッグが動く。

 投げつけられ、【指の間に挟んで止めた】、そのソニックナイフを、軽く放って投げ返す。

 咄嗟のことで、過剰に反応したイナクト。

 振りかぶったライフルの腹で受ける。

 大きくのけぞった朱に、フラッグは。


グラハム「ッッッ!!!」

サーシェス「ガッ……?!」


 まるでヤンキーのやる喧嘩のような、前蹴りを以て、返答とした――!!



――――

 
 あの瞬間、グラハムが見たもの。

 それは眩いばかりの光の粒ではなく。

 手痛く傷ついた、白の装甲でもなく。


 エクシアが、フラッグを制するように突き出していた、掌の黒だったのだ。


グラハム「おぉぉぉぉぉッッ!!」

サーシェス「てめえぇぇ!!!」


561 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/16(木) 01:06:29.26 ID:3g5PJmLx0
忘れてた・・・このフラッグファイターは阿修羅すら凌駕する漢だと
562 : ◆AvaUNpQJck [ saga]:2020/04/16(木) 01:11:35.28 ID:dYqlHvxs0
 解き放つ、二本目のプラズマソード。

 袈裟に切りかかった一撃を、即座に体勢を整えイナクトが受け止める。

 銃刃が反撃の軌跡を薙ぐ。

 ナイフの刀身が逸らして受けた。

 直後、イナクトの空いた腕が掌底を打ち込む。

 リニアガンで横から払い除け、機体正面装甲を前進とともにイナクトの胴に当てる。

 揺らぐ朱の機影。

 黒は追わない、だが。

 形勢は確かに傾いていた。


サーシェス「何だってんだこいつ……!」

サーシェス「動きが、さっきとはまるでちげえ……?!」


グラハム「ッ……!」


 翠眼が、モニターに映る朱を睨む。

 だが、網膜には確かに、違う黒が焼き付いていた。

 通信はなかった。

 だが、かの機体は、動きに感情が乗っていた。

 かつてそう語ったことのあるグラハムだからこそ、その秒にも及ばぬ一瞬を、読み取ることが出来ていた。


 まさかのことだった。

 その掌が示すのは、ラサー庇護の優先順位ではなく。

 己こそが国を救うのだという自負でもなく。


グラハム「はぁぁッ!!」



 ――あいつは、お前が倒せ。

 投げ渡された、役割を意味していた。




サーシェス「くそ……がぁッ!!」
563 : ◆AvaUNpQJck [ saga]:2020/04/16(木) 01:24:48.13 ID:dYqlHvxs0


 繰り出す斬撃。

 イナクトもまた確かな技量でそれを流し、返してみせる。

 五合、プラズマとカーボンの交錯が火花を散らす。

 三合、イナクトが攻めた。全て刃ではない、四肢と動きで凌ぎ切る。

 一合、機体を大きく回しながらの、フラッグの一閃。

 距離が空いた。しかし受けきれずにブレイドライフルの銃口が、焼けて落ちた。


 グラハムは、考えていた。

 それは、ともすれば屈辱なのかも知れないと。

 捕らえるべき相手に、明確な敵に対し、与えられたものなのだから。


 それでもグラハムは、かつて無いほど燃えていた。

 彼が、ガンダムが、残すべき敵として、己を選んだ。

 このグラハム・エーカーが残るべきだと、あの天上の存在が判断したのだ。


 負けるわけにはいかない。使命感に重ねて焚べられた、戦士としての矜持。


 【ガンダムの仇敵】の立場、よもやこの姦賊に奪われるわけにはいかぬ!

 それは、【フラッグファイター】のものであるべきなのだ!

 何故なら――!


『聞いて、グラハム』


『貴方は――!!』


グラハム「私はッ!!」

サーシェス「!!」

グラハム「強くなければならないのだからッ!!」
564 : ◆AvaUNpQJck [ saga]:2020/04/16(木) 01:49:01.11 ID:dYqlHvxs0


 強く振りかぶった、渾身の一撃。

 上を取られ受けるしか無いイナクト。

 ブレイドライフルの刀身が、赤熱しひび割れた。

 しかし、プラズマソードの勢いが失せていく。

 限界を超えた発振に、刀身が耐えきれなくなったのだ。


サーシェス「しィッ!!」


 好機、イナクトがナイフの刀身にあてがってライフルを圧した。

 へし折れる刃。遮るものを失った凶刃が迫る。

 咄嗟にリニアライフルを割り入れる。

 何度も酷使された試作銃の砲身であったが、確かな盾代わりとなって侵攻を食い止めてみせた。



グラハム「……!」

サーシェス「あ……?!」


 そして、砲身が光った。

 いや……炸裂した。


グラハム「くッ……!」

サーシェス「つぁ……!」


 グラハムが、引き金を引いたのだ。

 チャンバー内まで食い込んでいたブレイドライフルにそれは命中。

 逃げ場のない圧となって、双方の銃を粉々に吹き飛ばしてしまった。

 中空にばら撒かれる破片、砲弾、刃片……

 アラートを鳴らす双方のコクピット。

 同時に二機は動く。

 無手のまま掲げた腕。

 武器を持たずとも見据えた先は奇しくも同じ。


グラハム「おおおおおぉォォッッ!!!」

サーシェス「らあああぁァァッッ!!!」


 拳で潰せる、MSの急所の一つ。

 相手の首、唯一つ!
565 : ◆AvaUNpQJck [ saga]:2020/04/16(木) 02:06:39.41 ID:dYqlHvxs0


 ――雌雄は、決した。

 ユニオンフラッグの拳は、イナクトの頭を僅かに掠ってすり抜けていた。

 対して、確かにフラッグの頭部を捉えて打ち込まれたイナクトの拳。

 クリアオレンジのセンサーカバーが、砕けて散った。


サーシェス「ッッ……?!」


サーシェス(感覚が、違う……!)


 サーシェスは分かってしまった。

 いや、サーシェスだからこそ分かったと言うべきだろう。

 つい先日、イナクトの翼で以てフラッグの首を奪った男であるからこそ。

 その強度が、明らかに違うという体感に。


グラハム「そして……!」


 それだけではない。

 センサー類もまた、粉砕したカバーの奥で生きていた。

 通常のフラッグの頭部であったなら、打ち砕かれもがれていたであろう、渾身のクロスカウンター。

 それを完全に受け止め、耐えきった、新たなる頭部!


グラハム「これぞ我が盟友の極致……!」

サーシェス「このッ……!!」

グラハム「【こんなこともあろうかと】ッッ!!!」


サーシェス「ち、くしょうがァァァァァァァァ!!!!」




 接続部以外の強度向上を踏まえた、肉を切らせる偽装被弾。

 サーシェスは、まんまとグラハムの間合いに飛び込んだのだ。

 離れんと引いたイナクトに追いつく、ジェットの如きひねり込みからの一撃。

 瞬きを撃ち抜き、飛行機雲を軌跡に描く、フライトユニットと機体の捻りを込めた砲弾が如き拳が。

 寸分違わずサーシェスのイナクトの頭を居抜き、高々と打ち上げた。


 敢えて言おう。


 雌雄は、決した。


 グラハム・エーカーの勝利である!
566 : ◆AvaUNpQJck [ saga]:2020/04/16(木) 02:07:15.69 ID:dYqlHvxs0
今日は此処まで、また明日!
567 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/16(木) 02:08:53.27 ID:3g5PJmLx0
あのサーシェスに一本とった!?
568 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/16(木) 08:09:57.52 ID:X3pcBOkaO
更新乙でした
ようやく決着かー
ラサーは刹那が確保したっぽいし後は聖者の帰還の流れに合流かな
569 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/16(木) 19:48:54.91 ID:P38NX5gjo
サーシェスの中の人も逝ってしまった…
570 : ◆AvaUNpQJck [ saga]:2020/04/17(金) 01:12:26.10 ID:MIkVx9nL0
――――


 黒が、朱を制した。

 空を突き上げる拳。

 吹き飛んだイナクトの頭部が、回りながらゆっくり重力に惹かれて落ちていった。

 それを、見上げる白が一つ。

 
刹那「…………」



 ガンダムエクシア。

 爆煙と瓦礫を淡い緑の光が払い、変わりないその御姿を燃える大地に顕現させた。

 朱が、飛び退くように離れて後、ゆっくり落下して行くのが見える。

 地面の影に隠れて、一瞬。

 飛蝗めいて飛び上がったそれは、機首こそなかったが変形し、何処かに飛び去っていった。


刹那(……勝ったのか、あいつは)

刹那(まさか本当にあの男を退けるとは……)


ラッセ『刹那、もう大丈夫そうか?』

刹那「安全は確認した」

ラッセ『よし……【全機】、離れろ』


 エクシアの足元で、もぞり、もぞりとうごめく影。

 それはオートマトン。

 いくつも重なってドーム状になったそれが、順序よく陣形を解いていく。

 これは……二十四世紀においては人革連特殊部隊の一つが用いたとされる対爆防御の手法。

 地面を掘った上で現地徴収した非戦闘用オートマトンを盾にし、対人兵器から部隊員を防護するというものだ。



――作戦前日――

スメラギ『いい? ラッセ、相手はギリギリまで出し惜しみをしてくるはず。まだラサーは無事である可能性が高いわ』

スメラギ『でもいざ奪還されるとなれば、相手は間違いなくラサーを始末しようとする。爆弾首輪、時限式毒物、可能性は幾つもあるけど』

スメラギ『一番有り得るのは【ユニオンの奪還作戦へのカウンター】、リソースを流用した大規模爆発で纏めてドカン!ね』

ラッセ『リソース……アンフ・IED(即席爆発装置)か?』

スメラギ『過去の紛争地ならあり得るでしょうけれど……私なら、受信施設攻撃用のミサイルの予備を使うわね』

スメラギ『防ぎにくく派手で広範囲……あれなら盛大にユニオン側の誤爆に見せかけることができるもの。正式な調査なんて状況の悪化には追いつけやしないわ』

ラッセ『ゾッとしねえ。あんたがテロリスト側じゃなくて良かった』

スメラギ『こちらの手札も限られてる。ハッキングによるドローンの現地調達は奪還と並行して必ず早期に』

ラッセ『VR訓練の成功率は7/7で100%だ、大船に乗った気でいてくれ』

スメラギ『えぇ、トレミーで待ってるわ』


――――


ラッセ(結果、全予測が的中ときたもんだ)

ラッセ(ほんと味方で良かったよ、戦術予報士どの)

ラサー「ガンダム……だったか」

刹那『これより御身をお届け致します、此方へ』

ラッセ「!」
571 : ◆AvaUNpQJck [ saga]:2020/04/17(金) 01:48:44.62 ID:MIkVx9nL0
 視線を感じたか、ジェットの音が届いたか。

 ラッセが見上げた先で、漆黒のフラッグがエクシアの方を見つめていた。

 センサーカバーの左は粉々に砕け散り、先鋭的な装甲はところどころ損壊し割れ落ちていた。

 左拳は殴り抜いた衝撃でマニピュレーターが折れ曲がって、武器はもう握れまい。

 もっとも、握る武器など一つもないという様子。

 ただ、何をするでもなく此方を見据えていた。


ラッセ「……どうする?」

刹那『宮殿へ向かう』

ラッセ「そうか」


 イヤーマフを外したラサーの前で交わされた、最小限の会話。

 ラッセは、どっちだ?と、そう問いかけたつもりだった。

 刹那はそれに関する返答を避けた。

 追及するわけではないが、と己の中で断りを入れつつ、ラッセは思った。

 あのとき、刹那が制した意味を、あのフラッグは分かっててああしたんだろうかと。

 もしそうなら、いつかまた。

 目の前の傷つき佇む兵士と、違う形で逢えるんじゃないか、なんて考えながら。

 朱を退けた英傑に、心中からの小さな敬礼を贈り、コクピットの中へ聖者を匿うのだった。

――――

リボンズ「アレハンドロ様、時代が収束したようです」


アレハンドロ「ふむ……そうか」


リボンズ「アリー・アル・サーシェスはマスード・ラフマディの殺害に失敗、ソレスタル・ビーイングは彼の作戦を読んでいたようです」


『ふん、所詮は野良犬か』


アレハンドロ「それで? 彼はどうなった?」


リボンズ「彼のフラッグはサーシェスのイナクトと交戦、撃退に成功したようですが機体も中破相当のダメージ」


リボンズ「……現在……」


『私だ……何?』


アレハンドロ「軍の方でなにか?」


『……アザディスタン政府に向け、ソレスタル・ビーイングから通信が入ったそうだ』


『ガンダムが、ラサーを乗せて宮殿に向かっていると』


アレハンドロ「……なるほど、パフォーマンス、ですか」

リボンズ「彼も同行状態のようです、一応は追跡という形でしょうが」


アレハンドロ「ふふ!情けない絵面だな、想像したくもない」


『ふん……』


『だが、あれに勝ってみせたか……クク、そうでなくては』


『あの男の後継など、とてもとても……』
572 : ◆AvaUNpQJck [ saga]:2020/04/17(金) 02:25:51.12 ID:MIkVx9nL0


 ――マスード・ラフマディ氏を保護、王宮へ向かう。皇女には早期停戦へ向けての会議を望む。

 最小限の、だがアザディスタンを揺るがすに足るメッセージであった。

 その情報は全土、全関係者に即座に伝えられ、、王宮前にはラサーの帰還を望む民衆が大挙して集まり、騒然となっていた。

 警備隊とMSが並び立ち、一触即発の空気の中で皇女が帰還する。

 予定の時間すれすれ、飛び込むリムジンから飛び出し駆けるマリナ。

 アザディスタン激動の一日は、夕日の紅に染まりながら、今、決着されようとしていた。


マリナ「はぁっ……はぁっ……っ!」

側近「マリナ様、こちらです!」

マリナ「ありがとう……まさか、直接ここに来るなんて……!」

側近「シーリン殿は……?」

マリナ「ゼイール基地で見張らせています。ガンダムは!」

側近「もう目視で光が確認できます。まっすぐ王宮に向かっているものと思われます」

マリナ「分かりました。会談の準備を進めつつ、王宮護衛のMSへ通達をしてください」

マリナ「【いかなる場合においてもガンダムへの一切の攻撃行為を禁ずる、これはアザディスタン王国第一皇女マリナ・イスマイールからの厳命である】と」

側近「マ、マリナ様!それでは御身の無事が……!」

マリナ「アザディスタンは、我らを脅かす一切の存在を容認しません」

マリナ「そして……我らに歩み寄る友もまた、一切を拒むこと無く、受け入れられる身でありたい」

側近「……!」

マリナ「……信じたいのです、この国にまだ、未来は残されているはずだから」


『見ろ、下りてきたぞ!』

『ガンダムだー!!』


マリナ「――!」
573 : ◆AvaUNpQJck [ saga]:2020/04/17(金) 03:12:31.72 ID:MIkVx9nL0


――――

イケダ「こちら、アザディスタン王宮前です。マスード・ラフマディ氏が保護され、王宮に向かっているという噂を聞きつけた市民達が、続々とこの場所に集まっています」

イケダ「ラフマディ氏を保護したガンダムですが……」チラッ

絹江「〜〜〜〜〜〜ッッ」

イケダ「……現在、ユニオン軍の航空戦力の監視のもと、こちら、アザディスタン王宮にまもなく到着する予定とのことです」

イケダ「えー、ユニオン軍はラフマディ氏を誘拐したテロリストの機動兵器群を撃破したと、発表していますが」

イケダ「何故ラフマディ氏をソレスタル・ビーイングのガンダムが保護しているのか、詳しい情報開示が求められて……」


『ガンダムだー!!』


イケダ「! カメラ! 」


絹江「――!」


絹江「……え?」

イケダ「あ……?」


 フラッグにつかず離れず囲まれたまま、ゆっくりと王宮前に降り立つエクシア。

 その傷つき汚れた蒼白の装甲には、あるべきものが何一つなかった。

 かの機体を象徴する七つの刃、それらは一振りさえも見受けられず。

 完全な非武装状態で、王宮警護のアンフの前にその身を据え置いてみせた。

 廃村を発つ直前、全ての武装をその場で解除し、放置して飛び立っていたエクシア。

 グラハムのフラッグ、そして合流したフラッグに囲まれたまま、一切の要請を無視して今、ここにいる。


『保護した人質を解放せよ!繰り返す!保護した人質を……』


刹那「……」


『あ、こら……!』


側近「マリナ様……!」


マリナ「……っ」


 ゆっくり、ゆっくりと歩を進めるエクシア。

 もし、ここで見下ろしているユニオン軍がなりふり構わず仕掛けたなら。

 いや、アンフでさえも武装解除している今のガンダムにとっては危険な存在であろう。

 対して、ただ歩む、というガンダムの行為。

 それだけではない、その有様もまた、カメラは克明に映し出していた。

 戦闘によって傷ついた装甲。汚れた白は、武装を外した地の色に比較されはっきり判別ができた。

 彼らが戦い、勝ち取り……そして今、全て擲ってここにいるという証明を、ジャーナリズムが全世界に向けて為していた。


絹江「……私達」

絹江「今、時代の変革をこの目で見ているんだわ……」
574 : ◆AvaUNpQJck [ saga]:2020/04/17(金) 03:34:33.98 ID:MIkVx9nL0
マリナ「! ラサー!」

刹那『どうぞ』

ラサー「……あまり良い乗り心地では、なかったな」

刹那『ご容赦を』

ラサー「だが、礼を言おう。そこの男にもな」

ラサー「ありがとう」

ラッセ『……』ペコリ

刹那『お早く』


 バルコニーにマスード・ラフマディが降り立った瞬間、民衆から歓声が湧き上がった。

 ラサーの生還を称える声。和平への望みが繋がった感嘆の嗚咽。

 閉塞の今を打ち破る希望が差し込むかのように、皆が手を天にかざし叫んでいた。


マリナ「っ……刹那! 刹那・F・セイエイっ!」


刹那『!』


マリナ「本当に、本当に貴方なの? 貴方が……」


刹那『……これから次第だ』

刹那『俺たち【悪鬼】が再びこの地を訪れるかどうかは、これからに懸かっている』

マリナ「刹那……!」


刹那「戦い続けろ、お前の信じる神のために」



 交わした言葉は誰にも聞かれること無く。

 しかし、後にこの瞬間を側近が一枚の絵に仕上げ、以後アザディスタンの王宮の片隅で飾り続けられることとなる。

 題名は、【聖者の帰還】。

 アザディスタンの長い夜が明けた日。

 日は沈み、労るような満月が、優しく町を包み込んでいった。
575 : ◆AvaUNpQJck [ saga]:2020/04/17(金) 03:52:39.77 ID:MIkVx9nL0


『こちらエアロフラッグ隊、目標地点に到達』

『エーカー中尉の報告にあったガンダムの装備は……発見できず』

『既に回収されたものと推測されます、どうぞ!』


ビリー「やはり張り込んでましたね、連中」


エイフマン『当然であろうなあ、そうでもなければわざわざグラハムの前で武装解除などするまいよ』


ビリー「……その場に残っていたら、殺されていた、でしょうね」


エイフマン『無論。奴らもそこまで優しくはあるまい』


エイフマン『機体の方はどうじゃ?』


ビリー「限界ギリギリ、装甲なんかパンくずみたいになってますよ」


ビリー「現場判断で改修した頭部センサー類及び接続部分は上手く機能したようで良かったんですけれど」


ビリー「グラハムは報告中です。もっとも、上が今てんやわんやで、いつ帰ってくるやら」


エイフマン『ふふふっ、してやられたのう。まさか非武装状態でのパフォーマンスとは……』


ビリー「一見突拍子もありませんが、我々とアザディスタンの関係、ラフマディ氏を擁した状況を考えたら、あながち荒唐無稽なものではなかったと言えます」


ビリー「あの状況でガンダムを捕縛などすれば世間からのバッシングは相当なものになったことでしょう」


ビリー「世界の警察が世界に向けて醜態を晒しに行くなんて、とてもではないが出来ませんからね」


エイフマン『それを読んだ上ででも賭けなのは間違いあるまいよ。相手の指揮官はよほどの大馬鹿者か、肝っ玉がEカーボン製なのか』


エイフマン『いやはや……本当に空恐ろしい相手じゃ。今回、ユニオンは明確に敗北を喫したと言ってよかろう』


エイフマン『我らの、気持ちいいまでの完敗じゃよ』


ビリー「……お顔が綻んでおりますよ、教授」


エイフマン『クックッ、見逃せ!』
576 : ◆AvaUNpQJck [ saga]:2020/04/17(金) 03:59:12.13 ID:MIkVx9nL0
うん、駄目だ集中しきれん
また明日。

藤原啓治さんのご冥福をお祈り致します
577 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/17(金) 07:55:51.93 ID:VxLqyK4VO

ついに一期の前半終了か
久々の日常パートくるー?
それともトリニティきちゃう?
578 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/04/18(土) 01:46:01.52 ID:KMP80wxp0
乙!
579 : ◆AvaUNpQJck [ saga]:2020/04/18(土) 04:53:26.69 ID:x60hbopD0


ビリー「……教授、これからの動きですが」

エイフマン『あぁ、ユニオンは動きづらくなるだろうよ』

エイフマン『なにせアザディスタンのこの始末、世界の警察としての役割を果たしきれなかったばかりでなく』

エイフマン『目の前でガンダムに手柄を奪われた……大国としての権威失墜以上に、小国の及び腰が加速する方こそが今回の致命的な痛手じゃよ』


ビリー「ユニオンはもとよりソレスタル・ビーイングへの直接介入をしないと宣言してしまっていますからね……」

ビリー「今回のような狂言回しに近い派兵も、結局ガンダムにお株を奪われてしまうのであれば小国側がユニオンを引き込む意味がない」

エイフマン『今回アザディスタンが落ち着けたのは、ユニオン軍があくまで改革派の一部と結託していたからに過ぎぬ』

エイフマン『もしこれが国家の中枢、マリナ王女との密談の結果であった場合、彼女の政権は最悪倒れていたやもしれん』

ビリー「もはやユニオンとの連携はタリビアの二匹目のドジョウではなく、アザディスタンの二の舞という泥を塗られたわけですか」

エイフマン『こうなることは読めておった。仮にガンダムを無視し、アザディスタンの治安維持に尽力しておれば』

エイフマン『数少ないガンダムへの単独干渉の可能性を維持しつつ、世界警察の面目も躍如出来ておったろうにな……』

ビリー「ソレスタル・ビーイングの指揮官は、これを予期していたのでしょうか?」

エイフマン『いや……たまたま噛み合った結果、最後に賭けを上乗せしてきただけだと儂は思う』

エイフマン『今回、ガンダム以外の構成員が表立って動いたのがその証拠であろう。奴らからしてもアザディスタンは最初から賭けだったのじゃ』

エイフマン『本来ならもっと示威的に動くはずのところを、人命救助で救う形に方向転換してきたのが奇妙ではあるがな』

ビリー「確かに、モラリアは徹底的に叩いた彼らが、アザディスタンは救う形に舵を切ったのは不思議ですね」

エイフマン『後ろ盾のない中東諸国だったからともとれるが、どちらにせよ救い方を都合よく定義しているあたり傲慢な話よ』


エイフマン『……しかし、天柱の一件といい、明らかにガンダムを私物化したような動きが目立つのう、奴ら』

ビリー「そう、ですね……以前話しましたが、ガンダムが4機しかいないことがあの特殊粒子の生成の秘密と繋がっているとするなら」

ビリー「もっと大事に使っていて然るべきと、技術畑の人間は思ってしまいますが……」

エイフマン『動きは一貫しておる。しかしそれにしてはガンダムがあまりにも徹底して手段の域を出ておらん』

エイフマン『ガンダムが重要ならこのような作戦は組織の上部から止められるはず……特に今回の最後の運用は明らかに思想的な思惑が強い』

エイフマン『あんなもの、やってる側は気持ち良いかもしれんが、視点を変えれば世を変えるための二百年の計を無に帰すかも知れぬ愚行に他ならん』

ビリー『人革連なら間違いなくヤッちまってた……というやつでしょうねえ』

エイフマン『どれほどの組織規模なのかもまだ到底分からんが、あれを即断即決出来る指揮系統、一体どうなっているのやら……?』

エイフマン(やはり、紛争根絶とガンダム自体にソレスタル・ビーイング、いや、イオリアの目的は無いのではあるまいか?)

エイフマン(それを知らされぬまま実働部隊にあたる者たちが動いているうちに、本来の目的が進行しているとするならば)

エイフマン(……最初から、彼らはガンダムごと切り捨てられる前提で動いている可能性もあるのではないか?)

ビリー「教授? お疲れなら、ここらで切り上げても……」

エイフマン『もしそうなら……』

ビリー「? はい」

エイフマン『儂はイオリアを……ソレスタル・ビーイングを、決して許すことは出来んなあ……』

ビリー「……???」
580 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/05/11(月) 00:53:33.46 ID:xvsePvLEo
来てた
英不満はどこまでたどり着けるのやら
581 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/05/14(木) 12:39:48.97 ID:LxtlfWffO
期待
582 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/07/22(水) 12:18:29.27 ID:+NL7ZTIKO
絹江姐さん誕生日おめでとう
583 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/08/30(日) 02:12:57.41 ID:22ilEty4o
四周年かー
584 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/10/04(日) 01:08:32.64 ID:W09eqOiF0
585 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/11/19(木) 01:01:02.83 ID:agd7DIwc0
捕囚
586 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/01/28(木) 23:09:05.05 ID:kMZRaXWc0
更新途絶えて半年以上・・・

もう来ないのかな
587 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2021/01/29(金) 02:57:39.20 ID:MbSJ99JLO
前の更新も半年ぐらい開いたし余命宣告受けてるでもないなら気長に待ってた方が良いよ
588 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/10/26(水) 02:03:43.91 ID:Y+d6mrwi0
ふと思い出して覗きにきたがもうエタった感じかな
589 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2022/10/26(水) 19:49:55.83 ID:QexbMkVK0
残念だ…エタったのか…
590 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2022/11/15(火) 03:49:49.51 ID:shuscQbm0
それでもスレ自体は落ちてないのね
591 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2023/03/30(木) 20:42:58.41 ID:zpoTJH2m0
思わず一気読みしました。本編で存在しなかったCPに浸かるとは思わなんだ。
続き、いつまでもお待ちしてます。
592 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2023/03/31(金) 00:01:38.25 ID:PaYyDFVk0
どーせ忘れてんだろうしお前が乗っ取って続き書けば?
エタってる他人のスレ上げるってマナー違反やれるなら乗っ取り禁止も平気で無視できるだろ
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