【スペース・コブラ】古い王の地、ロードラン

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

326 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/13(水) 08:09:41.54 ID:MUOo8DYbo
試練もいいけど飯と睡眠をとらせてやらんとコブラ死んでまうで神様
327 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/21(木) 04:58:58.65 ID:tUUFIg8R0
コブラ「そいつは俺も知りたい。分かっているのは、薪の王と名乗る何者かが俺をここに送り込んだ事だけだ。蜘蛛の魔女に聞いても謎が増えるばかりだった」

ローガン「!?. 薪の王が名乗り、混沌の魔女が口を利いたと!?貴公、超常なる者共と話せるというのかっ!?」

コブラ「動物に好かれるタチでね」

ローガン「?…??…よ、よくは分からんな」

コブラ「忘れてくれ。で、なにかピンときたか?閃きってヤツ」

ローガン「閃き……ううむ…薪の王は最初の火だが、偉大な力と言えど話はせんだろうし…混沌…いや蜘蛛の魔女はなんと?」

コブラ「んー、彼女が言うには俺は不思議ちゃんらしい。人間性にそっくりな精霊を、太陽王が閉じた門の上に住まわせてるそうだ」

ローガン「太陽王…光の君主か…」

コブラ「どうだい?さっぱりだろ?」

ローガン「………」


ジークマイヤー「うむむむ…」

ビアトリス「貴公が頭を捻ってどうする」


ローガン「……分か…分かるかもしれんが…」

コブラ「おお!」

ローガン「いや、やはり駄目だ。靄がかかる。考えが回らん」

コブラ「あら…」

ローガン「うむ…貴公と出会った時の蒙がどこかへ行ってしまったようだ。惜しい…なんとも…」

コブラ「そうかい。そいつは困った。そうなるといよいよ神様とやらに直接会ってご教授願うしかないか?」

レディ「そうなるとしたらまた賭け事ね。天国かそれとも悪魔のお腹の中か」



コブラは背伸びをすると、誰に断ることも無く、悪魔の飛び立った地点にしゃがみ込み、石畳に触れた。
ビアトリスとジークマイヤーは不意な事に声を漏らしたが、制止する暇もなかった。
石畳が輝く輪をほんのひと時浮かばせると…


ザザッ!


即座に9匹の悪魔が舞い降り、コブラとレディ、不死達を持ち上げ始めた。


ビアトリス「わっ…わっ…!」グググ…

ジークマイヤー「本当に大丈夫であろうな!?」バサバサ

コブラ「なぁに、喰われた時は化けて出てやればいいさ」バサバサ


バササーッ!


328 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/21(木) 06:45:02.92 ID:SGpm7dUhO
あんたは喰われても化けるまでもなく腹の中から出てきそうな男やんww
329 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/12/21(木) 14:27:52.50 ID:tUUFIg8R0
コブラ一行を抱え、悪魔達は飛翔した。
ジークマイヤーは多少身を硬くしているが、ビアトリスは腹を据えたといった感じで大人しく吊り下げられ、ローガンは当事者の一人ながらも、事を静観している。
何が起きるかはコブラにさえも分からない。鉄塊の騎士の言葉が出鱈目なら、ここで旅は終わりを迎える。
たとえ生き延びたとしても、やはり出鱈目ならばコブラはロードランから出られず、不死達も新たに道を探さなければならないだろう。


ビュオオオオオオオ…


悪魔達は山肌に近づき、山々を超えんとして一層に高度を高める。
一行の目の前を岩壁が高速で落下していき、上方からは輝きが漏れ始めた。
コブラのこめかみに力が入る。


ゴオッ!


悪魔達は更に昇り、進路を塞ぐ山脈を風を切って飛び越す。
そして、彼らを栄華の輝きが包んだ。



ジークマイヤー「おおお…!」

ビアトリス「これはまさか…本当にあっただなんて…」

ローガン「おお、真の叡智がここに…」

レディ「彼の言葉は正しかったみたいね、コブラ!」



明るくも緊張に溢れた、心を騒つかせる空が一変。
金色の陽光が雲間を割り、海を照らすが如く降り注ぐ、天界と言って障りのない偉大な輝きが現れた。
そのあまりの美しさに、文字通り星の数ほどの美を味わったコブラすらも圧倒された。



コブラ「こいつはたまげた……」

ローガン「貴公でも驚くか…やはりそうであろうな…」

ローガン「ここは人の身で踏み入るには余りに畏れ多い地。伝承の地であり、お伽の国そのもの」

ローガン「神々の御国」



ローガン「アノール・ロンドだ」



330 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/21(木) 14:34:47.96 ID:x0x2VmLzO
ついに……
331 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/16(火) 21:32:42.14 ID:CBwj3UzY0
遥かな昔、人が言葉すら持たなかった時、古のものたちは偉大なソウルを用いて竜を弑し、光を持ち、いくつもの都を築いた。

火から光を得る、ぬくもり溜まりの地底の都。

人を導き、そして縛る、二つの人の都。

神の死を祀り、人の死に祈り、光の眠りを慰める大墓の都。

光により生まれたソウルを、人や神々に分け与えた、深緑と黄金の都。



それらの都が築かれる前、一つの国が建てられた。



それは他の全ての都の原初となり、巨人も、魔女も、悪魔も、蛇も、人も、それに従い、また敬った。

偉大なる火の顕現となる太陽を持ち、世界の昼と夜を司る、神秘と眷属に護られし輝ける神の国。

アノール・ロンドと呼ばれるその国には、荘厳な教会とも山とも形容できる建造物が燦然と建ち並び、しかもそれらは途方も無く大きかった。




建物の様式はコブラに地球古代美術史、とりわけ建築史のゴシック・リヴァイヴァル様式を想起させる。

しかしコブラの瞳に見える建築物はどれもそれとは似て非なり、なにより美しく映った。

そして特にコブラの目を引いたのは、眼に見える限りの都の中心にそびえる、コブラをして神の家と語るに相応しいとさえ思える城。

巨大な城は陽光を背負い。輝く都にあってただ一つ、薄暗がりを一杯に纏い、金と黒の塊として光の中に浮かぶ。

威厳に満ちたその城は、旅の一向に、天啓にも似た確信を与えた。





今までの旅路は神の与えた試練であり、ここで与えられるのは、神の恵みであると。





だが、コブラは知っていた。





神の恵みが与えられる時、本当の試練が始まると。






332 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/16(火) 22:43:51.76 ID:OU6hcBano
あれだけ試練与えておいてまだ足りないとか神様は相当意地悪なんだな……
333 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/19(金) 03:54:45.17 ID:MTllhXRC0

「!」

神々の国、その偉大なる神殿の守護神は、微かに、しかしありありと異質と分かるものを感知し、頭を上げた。
多くの神秘と栄光、そして悲劇を神々と共に歩んできた、大聖堂とも言うべき大広間には、白い象牙とも大理石ともつかぬ柱の森が間隔を空けて広がる。
それらは壁一面に並ぶ装飾窓からの光を受け、白く輝き、彼の黄金の鎧を照らし、まどろみを見せていた。
大広間の中央で手に持つ得物を石床に突き立て、意識を閉ざし、彼は時の到来を待っていた。

そして時は満ち、まどろみは晴れたのである。

神殿の守護神は、今の己が支える主神を思う。
太陽の王と、暗月の姫君に思いを馳せ、それにより行える業を行使して、己の実体を主の元へ帰す。
そして王の間へと続く、神聖かつ不可侵な廊下の始まりへと姿を現し、遠くに揺らめく主君へ向け跪き、報を伝えた。


「不死が来てございます」


報を受けた主は数瞬の沈黙のあと、守護者へ静かに語りかけた。
その言葉はささやきだったが、守護者の眼の前に声はあるようだった。


「承知している」



「しかし、異なる者も…」



「語るに及ばぬ。我にも視えている」

「成すべきことを成すがよい……だが心せよ。あの者達の一人は、人であり人ではない」




「………」




「竜狩りの騎士よ」

「汝に我が王の加護と、火の導きを」




竜狩りと呼ばれた守護者は立ち上がり、主の元から消え、再び大広間の中央に立った。
それを待っていたかのように、白く輝く柱の陰から、顔は愚か光さえ映さぬ黒い外套を纏った者が現れ、竜狩りに語りかけた。



黒い外套の者「竜狩りオーンスタインともあろう者が、たかが不死の数人を斬るのに何を焦っているのだ」



オーンスタイン「焦りは無い。不死のみに我が主の試練は荷が勝ち過ぎただけの事」



オーンスタイン「今はその方も法官の一人であろう。臣民の去りし都にあって、我が使命に口を出す意味も無いはず」

オーンスタイン「違を唱えるというのなら、この地を去るか、憐れな『抱かれ』をあの者達へと差し向けるがいい」



黒い影は竜狩りの言葉に身を震わせ、声を殺して笑った。
声には嘲りが含まれていることなど竜狩りは百も承知であったが、かつての王の下した取り決めがいかなるものであるかを知る彼に、黒い影を討つことなど出来はしなかった。
そう、ずっと遥か以前から…



黒い外套の者「クックックッ…貴様の口からこれほど大雑把なセリフが飛び出すとはな。ではそうさせてもらおう」

黒い外套の者「ただし、抱かれの騎士一人では少々心もとない」


黒い外套の者「そうだな……では『仮面』を呼ぶとしよう」



影は再び柱の白さに霞み、消えた。
竜狩りの騎士は高く飛び、大広間を見渡せる回廊状の二階に降り立つ。
334 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/19(金) 16:44:53.95 ID:MTllhXRC0
「………」


二階には、人を十人纏めて叩き潰せるほどに巨大な鎚を背負い、石床にあぐらを掻く巨体があった。
竜狩りのそれと同様に黄金色の鎧を身に纏っているが、その者は脚も胴も腕も太く、兜はそれらと比べ小さく、人型としては歪だった。
瞳は鎧に隠れており、外から表情を伺うことは出来ない。だが竜狩りには確かに、その者の心の震えが届いていた。


オーンスタイン「処刑者スモウよ。暗月の姫君は良しとは言わぬ」


処刑者スモウ「………」


オーンスタイン「それに、お前に討てる相手ではない。何故王がお前を終に騎士へと加えなかったかを考えよ」

オーンスタイン「技や戦果が足らぬからでも、愚鈍であるからでもない」

オーンスタイン「お前も知る通りだ」


スモウ「………」


処刑者と呼ばれた巨躯の神は、掻いたあぐらに置く掌を拳へと変え、今にも迸らんとする衝動を堪えている。
スモウは愚鈍で誠実であった。王から賜った使命を頑なに守り、血肉に飢えた殺戮者の誹りを受けてもなお、彼らに彼らの望むままを決して行わぬほどに。

竜狩りオーンスタインは、装飾窓の外にいる、今ここに向かって来つつある者達を思う。
幾人かの不死が手を組んでいる事が分かるが、そこに混じる正体の掴めぬ輝きに、竜狩りの意識は向けられている。
己の支える主にならば、あるいは輝きの中にあるものを覗き見ることが出来るかもしれない。
だが、それは不死達が法官の毒牙を掻い潜り、試練としての竜狩りと処刑者を斃し、主の姉君に謁見すればの話である。

何があろうと、主の眼を通して己が見定める事は出来ない。それは畏れ多いことでもある。
竜狩りはそう結論づけ、そして新たに決意する。


オーンスタイン(ならば闘いで計るまで)


装飾窓から差し込む陽光に照らされ、竜狩りの纏う金獅子の鎧は、刺すような輝きを放っている。
それは、己の身命を賭して、使命を得るに相応しいかを見極めんとする、捨て身の闘志のようだった。

335 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/19(金) 17:20:13.31 ID:cjSRYJPfO
輪の都の法官かな?
336 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/20(土) 01:11:29.51 ID:hP0R+szl0
ドテーッ!


コブラ「イデッ!いててて……どうやらロードランにはファーストクラスは無いらしい…」

レディ「私は優しく降ろしてもらえたわよ?」

ジークマイヤー「たんに着地に失敗しただけな気もするが…」


一行を高台に送り届けたレッサーデーモン達は、一匹を残して皆いずこかへ飛び去り、姿を消した。
残ったデーモンは翼を畳み、高台の縁に止まり、陽光を眺めている。


コブラ「ここはヘリポートにしちゃ小さいぜ。今度はもう少し上等なサービスを期待したいね」

ローガン「神の国に来て最初の感想がそれとは、驚かし甲斐のない男だなキミは。ハハハッ」

コブラ「映画の感想を胸にしまっとくタイプなのさ。さてと、まずは休める所を探さないとな」

ローガン「なに?休む?」

コブラ「なんだい文句あるのか?俺はここのところ働き詰めで、少しは寝ないと本当に死んじまうってところまで来てるんだ。誰がなんと言おうと俺は休むぜ」

ローガン「ふむ…まぁ、仕方がない。それもいいだろう」

ビアトリス「先生、探索には私が付き添います。私も神々の智慧に触れたいのです」

ビアトリス「後悔はさせません。私は仮初めの黒衣達とは違います」

ローガン「そうだといいがな。では行こうか」

コブラ「今別れるのか?しばらくは一本道だしここは一緒に行こうじゃないの」


一行の降りた高台からは、長い下り階段が山沿いに続いている。
整形石で組まれたそれには、滑らかな手すりまで備え付けられており、都を一望しながら降りられる造りになっている。
コブラ達は階段を降り、その間に束の間の安息を楽しんだ。
だが、それもほんの一分と続かず、目の前に早くも脅威と思しき鎧姿が現れた。


コブラ「冗談じゃないぜまったく…また鉄の巨人か」

コブラ「まさかこの先ずっとコイツが出てくるんじゃないだろうな…」



巨人近衛兵「………」



疲弊したコブラの前方十数メートル先に、古い黄銅の重鎧に身を固めた巨人が立っている。
左手には城門の如き大盾を構え、右手に備わった金色のハルバードは柱のようであり、猛々しい矛先を空へと掲げている。
だが何よりコブラをうんざりさせたのは、積層する鎧のせいで巨人の素顔は愚か、素肌の一片も見えない点である。
この巨体が、試作機より安価かつ高性能で、弱点を克服した新兵器ではないという保証はどこにもない。
もしもアイアンゴーレムの上位種であったならば、この都にいる敵とは一度も戦わない。
コブラは内心そう誓った。


ジークマイヤー「どうするか……あの盾の厚さじゃ我が剣も樫の枝だろうし…」

ビアトリス「ソウルの太矢で頭を狙えれば…」

ローガン「あの盾を掻い潜れるとは思えん。ソウルの槍で貫くという手も無くはないが、あれは手数に限りがある。秘奥を真っ先に使っては早晩全滅するだろう」

レディ「逃げればいいんじゃない?」

ローガン「………」

ジークマイヤー「それは……駆け抜ける、という意味か?」

レディ「そうよ。私がジークを抱えて、コブラがビアトリスとローガンさんを抱えて走ればいいのよ」

ビアトリス「………」

ジークマイヤー「……うーむ…」

コブラ「いーや、それは良い所突いてると思うぜ」

ビアトリス「えっ?」

コブラ「考えてもみろ。あのバケツ頭の騎士が俺達より先にここに来ているはずだ。なのにどうしてこの巨人も、騎士も死んでない?どちらかの、あるいは両方の死体がここに残ってても良いはずだ」

コブラ「恐らく逃げ切ったんだろうが、だからってあの騎士が走り抜けたとも思えない。あの装備で走り回れるのなら、そもそも何年も前にここにたどり着いてる。俺達が鉄の巨人に大立ち回りを演じる事も無かったはずだ」
337 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/20(土) 01:52:55.73 ID:it8l/J6iO
ファーストクラスには座れなかったが立派なお出迎えは寄越してくれたようだな
実際俺がプレイしててこんなお出迎えが来たら涙流すだろうね絶望のだけど
338 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/20(土) 12:46:10.58 ID:JNy2CssdO
カンストだと地獄だろうな
339 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/20(土) 12:53:02.34 ID:Wv/ugOpZo
これで全体の何割?
まだ半分くらいなら流石のコブラも死にそう
340 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/20(土) 13:51:35.12 ID:dW0RjqXuO
ボスの数的には半分ぐらいとかググったら出てきた
341 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/20(土) 16:39:57.52 ID:mwJ8F2ADO
本当に半分とか不死身のコブラもさすがに年貢の納め時かな?
342 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/20(土) 16:50:07.13 ID:Za4gb6oV0
神様なら不思議な力で飢えと疲労くらいはなんとかしてくれるでしょ

たどり着ければ
343 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/20(土) 17:14:45.50 ID:PSXGVSaKO
絶対に攻略しなきゃいかんルートがアノロン後にあと4ルート、ボスの数は6だか7、その後ラスボスだっけか
344 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/20(土) 17:16:58.28 ID:d8bFWiB3o
3要素あるなら輪の都もあるし…
345 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/20(土) 17:38:06.67 ID:kbQhktpsO
でもコブラは神を罪を作り出したつまらん男って言ってるしなぁ……
そんなコブラがおいそれと了承するかね?
346 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/20(土) 18:47:49.43 ID:hP0R+szl0
ジークマイヤー「回りくどいなぁ。つまりは何が言いたいのだ?」

コブラ「ここを抜けるのに速さはいらないって事さ。どーれ、ひとつ試してみるか」


スッ


ジークマイヤー「!?」


突然、コブラは歩き始めた。恐る恐る、震えを起こさずに、足音を消して。
警備装置を掻い潜って宝石を手に入れる時と同じ要領、同じ緊張感を持ちつつ、心をなだめて。


ビアトリス(また無茶を…!)サッ


無策な仲間を助けるため、ビアトリスは杖を構える。
巨人が少しでも動けば、その頭部に魔法を叩きつける腹積もりだ。
しかしそれも効果のほどは未知数であり、彼我の戦力差なども無視した警戒だった。


コブラ「………」スッ…


一歩二歩と、コブラは巨人と一定の距離を保ちつつ、巨人の目の前を素通りするべく歩く。
巨人の顔も、巨人の全体像もコブラは見ていない。ただ自分の足元を見て、早く寝たいと考えるだけ。
失敗したら仲間が死ぬなんて事も考えない。今や足元だけがコブラの世界だった。


コブラ「………」スッ… スッ…


巨人の騎士が立つすぐ横には、都の奥に見える巨影程ではないにしろ、巨大な聖堂がそびえている。
巨人はその聖堂の衛士であり、コブラはその衛士の前で不法な侵入をしようとしていた。


スッ…


コブラの足先が、聖堂内部を覆う影を踏む。



巨人近衛兵「………」



衛士は動かない。




コブラ(何故だ…何故動かない…)

コブラ(コイツも何かの罠か?それとも只のハリボテだったりするのか?)

コブラ(俺の世界だと、ここらで巨人の頭がパックリ割れて、セントリーガンが顔を出してるだろうな)スッ…



コブラは疑いつつも、歩みを止めない。
影に入った片足は両足になり、コブラの金髪も陽光から身を潜め、コブラの足音は巨人から遠ざかった。
大聖堂の中は静寂と薄闇に包まれ、そよ風すらも入ってこない。
巨人の衛士はやはり、動かなかった。



コブラ(やれやれ…今までで一番ヒヤッときたぜ)サッサッ


ビアトリス「………」

ジークマイヤー「………」


暗がりからのコブラの手招きには、不死達は誰も応えようとしない。
何故巨人がコブラを見逃しているのか皆目分からないからだ。

レディ「………」スッスッスッ…

唯一、コブラについて多角的に要領を得ているレディだけが、コブラの招きに即座に反応した。
彼女の忍び足は軽やかで、夜道を歩く猫のようだった。
347 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/20(土) 18:56:08.64 ID:i6RhoWS+o
目が見えないとかかね
348 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/20(土) 20:29:24.14 ID:mwJ8F2ADO
つまりジークマイヤーさんの冒険はここで終わってしまうのか……全身鎧じゃ忍び足とか無理だろう
349 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/20(土) 22:21:21.36 ID:sBH2/8Em0
バケツ頭がここ抜けてる以上音は関係なく闇雲に攻撃する無分別で克己心がないやつを振り落とす試練かもね
350 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/21(日) 03:16:14.18 ID:8rCo7bsG0
ローガン「………」ササッ…


レディが無事に聖堂に入るのを確認すると、ローガンは躊躇なく巨人の前を通った。
原理や法則を掴んだら迷わず事を行う。それが蒙を開き、後陣を導くと信じているからこその行動だった。
ローガンが確信を持った原理は『近づかないこと』『敵意を見せないこと』『攻撃しないこと』
確信に至らずもその候補に上ったものは『音を立てないこと』『走らないこと』
万全を期すなら、全てを行うのが望ましい。

ビアトリス「………」スッ…スッ…

そして、ローガンの信念は正しかった。
師が示した道を、疑う理由の証明なく無下にする事は出来ない。
真面目に過ぎる弟子には、尚のこと。

ビアトリス「………」スッ

不満を抱きつつも、ビアトリスは師の無言の言いつけを守り、聖堂に入った。
そして、一見して無闇な行動をとったコブラを小突いて、残った一人に心配そうな視線を送る。



ジークマイヤー「………」



ジークマイヤーは、実のところローガンの無言の忠告に全く気付いていなかった。
状況を打開するために知力を絞るという、冒険者にとっては利点と言える癖をジークマイヤーは持っている。
だが、思索をするには兜の覗き口はあまりに細く、ジークマイヤーの視野はあまりに狭すぎた。


ジリッ…


重鎧から音が漏れないよう、ジークマイヤーは極めて遅く、すり足を床に這わせ始めた。
一歩進むのに三十秒は要する、ナメクジのようなその歩法は、それを見る者にさえ緊張を伝える。
そんな細心の注意を払っても、彼の鎧は震えて擦れ、カタカタと小さく鳴り続ける。
そして遂に辛抱耐えかね、ジークマイヤーは声を殺して言葉を発した。


ジークマイヤー「走ってよいかな?」ヒソヒソ…

ビアトリス「!?」


ローガン(それもありかもしれん)


ジークマイヤー「いいかな?」ヒソヒソ…

コブラ「いや、そりゃマズい」ヒソヒソ…

ジークマイヤー「いいだろ?」ヒソヒソ…

コブラ「ダメだ」ヒソヒソ…

ジークマイヤー「じゃあ飛ぶから受け止めてくれ…隠密など無理だ…」ヒソヒソ…

コブラ「待て早まるな!そのままゆっくり来ればいいんだ!」ヒソヒソ!

ジークマイヤー「昔からこういう事が上手くいった試しがないんだ…」ヒソヒソ…

コブラ「よしてくれ恐れを知らないカタリナ騎士だろ!?」ヒソヒソ!


ビアトリス「おいコブラ、アレ…」ヒソヒソ…


小声で怒鳴るコブラの肩を叩いて、ビアトリスは聖堂の奥を指差した。
聖堂に入っている者たちは、その指が示す方向、聖堂奥の壁と、そこに刻まれた装飾を見る。


コブラ「おっと…」


聖堂の壁にあったのは装飾では無く、人の形をした巨像だった。
影のせいか色は薄いが、鎧と斧槍は鈍く光り、盾は大きく、僅かに上下に揺れていた。
恐るべきことに、巨人の影は二つ並んで、同じく一行を見下ろしていた。
その表情の見えない、虚ろな兜の覗き穴から。

351 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/21(日) 03:54:37.29 ID:RaUmP5ruO
ジークマイヤーさんェ……いや気持ちは分かりますが
その装備で隠密とか魚に空を飛べというのと大差ないし
352 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/21(日) 13:16:48.10 ID:3CZwPpig0
そこの鉄だるまもうちょっとだから辛抱せいw
353 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/20(火) 23:35:12.24 ID:qy6RiIel0
危なし
保守
354 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/21(水) 08:05:20.65 ID:jnk90/vYO
>>1が書き込まないといけないから保守はあまり効果が無いよ
355 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/28(水) 05:05:10.11 ID:xvV0Mgy20
>>304
訂正です。
「なっ、おい、離せ!足手まといはごめんだぞ!」
というセリフはジークマイヤーのものでした。
356 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/03(土) 06:57:11.01 ID:wW6mgGE20
カイーン!


一行「!」

ジークマイヤー「!?」



緊張した静寂を、金属の鋭い衝突音が割った。ジークマイヤーは咄嗟に音の出所を正面に捉え、盾を構える。
しかし、そこにあるのは建造物の白く美しい石壁だけ。敵も罠も無い。
そして、ジークマイヤーは己の握るツヴァイヘンダーが僅かに振動している事に気付いた。
大業物を担ぎ、余った左手に円盾を持ち、全身をすっぽりと覆うふてぶてしい重鎧を着て壁際を歩けば、一度や二度は壁を叩きもするだろう。
忍びではない、正面戦闘を是とする誇りある騎士に、密やかさなど無用であり、また不可能だったのだ。


ジークマイヤー「………」


言葉には出さないが、ジークマイヤーは仔ウサギのように臆病と見えるであろう己の姿を幻視し、また違った意味で駆け出したい思いを強めた。
そして、その思いは正しく、今しなければならない事と合致した。踵が巨人の影を踏んでいたのである。


コブラ「走れジーク!巨人が気づいたぞーっ!」

ジークマイヤー「え?」クルッ



ガギーーッ!!!



巨人へ振り返ったジークマイヤーの盾に、黄銅色に輝く甚だ巨大なハルバードが撃ち込まれた。

ドガッ!! グシャーッ!!!

ジークマイヤーは蹴り飛ばされた小石のように空中を突っ切り、聖堂の天井にぶち当たると跳ね返って、床に墜落した。
床に激突してからコブラとレディに担ぎ上げられるまで、数秒の時間があったが、その間ジークマイヤーはピクリとも動かず、蓋を開けて転がした水筒のように血を流すばかりだった。
レディはジークマイヤーの懐を弄り、エスト瓶を探り当てたが、中身は空だった。


コブラ「クソッ!俺たちはジークを連れていく!ビアトリスとじーさんは巨人を足止めしながらついて来い!いいな!」

ビアトリス「やるしかないようだね…」

レディ「しっかりしてジーク!ここにも篝火があるはずだから、それまで頑張るのよ!」

ジークマイヤー「………」ドボドボ…


コブラ「行くぞっ!」ダッ!


ズーン!!



逃亡を始めた侵入者を殲滅すべく、巨人の衛士達は一斉に動き出した。
聖堂の中に居た二体の巨人は盾を構えて歩みを進めるが、ジークマイヤーを斬りつけた一体はコブラ目掛けて駆け出していた。
目標はコブラではない。血だるまになったカタリナの騎士だ。


ビアトリス「私は走る巨人を討ちます!先生は向こうの二体を!」

ローガン「よろしい。任された」


ビアトリスは浮遊するソウルの小球を展開すると、杖にソウルを込める。
ローガンは大きすぎる帽子の長つばを上げると、二体の巨人を見据える。


ビュオーーッ!!


カタリナ騎士を斬るべく、走る巨人が振り下ろしたハルバードの大刃は…

ズドーーン!!

ジークに貸していた肩を外し、背負った特大剣を振り上げたコブラに受け止められた。

コブラ「ぐふっ!」

特大剣ごと床に叩き伏せられたコブラの脳裏に、ついさっき乗り越えたはずの障壁が浮かぶ。
鉄の巨像が蘇り、再びコブラに立ち塞がった。
357 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/03(土) 12:44:46.99 ID:xrJIDYkdO
やはり無理だったか……仕方ないね
358 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/06(火) 13:20:52.13 ID:tpiYufG/0
巨人はコブラを叩き伏せ、二の太刀をジークマイヤーに浴びせんとハルバードを振り上げる。

バシバシーッ!

その掌に五つの光球が着弾し…

ボォン!

次いでソウルの太矢が突き刺さる。
ハルバードは巨人の手から離れ、小城の城門が倒れるが如き轟音を鳴らした。
追撃する巨人の攻撃対象は、ジークマイヤーからビアトリスに切り替わる。
ここからが正念場と、ビアトリスは杖に魔力を込めて再び小球を生み出す。


バキッ

ビアトリス「あっ?」


その魔力が強すぎたためか。
それとも、古城に囚われた際に異形の像に叩き折られた杖の修復が甘かったためか。
杖は再び折れ、魔力が散ってしまった。

一方、二体の巨人の始末を任されたローガンは、まるで庭園を歩くような無防備さで、巨人たちに近づいていった。
二体の巨人も歩調を合わせてローガンに接近していくが、ローガンの歩みは崩れない。
そのローガンの進行方向は、ほんの少しだが巨人達から見て右に寄れている。

ドン!

右側の巨人は、己の得物の距離にローガンが踏み込んだ瞬間、歩みに力を込めた。
そして大股に構え、ハルバードを天井に突き刺さんばかりに掲げた。

ローガン「やはり、距離によるか」ヒュイイイ…


シュゴーッ!!


掲げられたハルバードが振られる事は無かった。
ビッグハットの名を人の世に広めたものは、大きい帽子と叡知と偏屈だけではない。
大岩を穿ち、神の一撃との比較を許されるほどに強力な恐るべき魔術にこそ、その名の真髄がある。
ローガンにソウルの槍と名付けられた青い閃光は、巨人の胴体に大穴を開け、聖堂の壁を甚だ傷つけた。

ドガーン!!!

風穴を開けられた巨人は仰向けに倒れ、全身から白いソウルを吹き出し、靄を残して消えた。

ブワッ!

その靄を割って、もう一体の巨人がローガンに突進する。
前面に大盾を構え、面攻撃によって侵入者を叩き潰すことが突撃の目的だった。
しかし、巨体であることは弱みにもなりうる。例えば、大盾の隙間から覗く足の甲などだ。

ローガン「………」スッ…

やや気だるげにローガンは伏せると、匍匐の姿勢で杖から魔力を放つ。

ドバーッ!!

駆け出した脚の先を破壊された巨人はつんのめり、ローガンの頭上を飛び越え…

ガゴーーン!!!

聖堂の石壁に頭から突っ込み、神聖なものだったであろう彫刻を粉砕し、動きを止めた。
伏せたことによってついた埃を払いつつ、ローガンは片手間にソウルの太矢を巨人の尻目掛け撃ち出して、二体目の始末を終える。
なぜ尻を撃ったのかはローガン自身も深くは考えていなかったが、撃ったことによって悪戯心が満たされたことは確かだった。


ビアトリス「せ、先生申し訳ありません!杖が!」ハァハァ…


二体目の巨人が消える頃、ビアトリスは斬撃の雨に晒されていた。
回避に専念しているため無傷ではあるものの、体力的に致命打を貰うのも時間の問題であるようだった。

ローガン「修理の光粉を切らすとは、迂闊よなぁ。ははは」

ビアトリス「笑ってないで助けてください!ひぃ!」ブオーン!!

ローガン「分かった分かった」ヒュイイイ…


シュゴーーッ!!

359 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/06(火) 15:23:55.88 ID:i+kscLGnO
杖が折れたとあった時にはビアトリス死んだかと思ったわ……
360 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/06(火) 17:49:29.66 ID:/jDO/q8DO
巨人にソウルの座薬が……
361 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 08:33:06.74 ID:c3T6gxPX0
二人の魔法使いが巨人達を打ち倒した、ちょうどその時…
負傷者を抱えたコブラとレディは聖堂を抜けた先にある大バルコニーを走り、バルコニーの壁に開いた横穴に入った。
横穴からは下り階段が伸び、その先には小さな石造りの個室があり、個室は暖かな光に照らされていた。

レディ「見てコブラ!篝火よ!」

コブラ「ヒェー助かったーっ!間一髪ってところだな」


コブラは篝火の近くにジークマイヤーを座らせると、個室の壁際に座り込み、ズボンのポケットを探る。
しかし、目当てのものは手に触れなかった。


コブラ「あー、またやっちまった。ハマキはタートル号の中だぜ」

レディ「フフッ、もう立派な葉巻依存症ね」

コブラ「あんな調べもの、すぐに終わるはずだったんだ。こうなると知っていたらリュックいっぱいに詰めてたさ」


コブラが愚痴をこぼす中、ジークマイヤーの鎧からは流血による汚れが消えて、歪みも修復されていった。
まるで時間が巻き戻っているかのような現象だったが、コブラもレディも大して驚きはしなかった。
疲労困憊のコブラには驚く程の体力は無く、それを分かっているレディはコブラを体力回復に努めさせるため、疑問を口にはしないようにしている。
あぐらを崩し、コブラは大の字に寝転がり、天井に向かって呟く。


コブラ「はぁ…腹減ったなぁ…」

コブラ「こんな事なら森で山菜採りでもしてりゃよかったぜ…」

レディ「コブラ!起きて!」

コブラ「んー?」


チャキッ


コブラ「かーっ!人がこれから寝ようって時に!」


喉元に突きつけられた細剣にコブラは悪態をつく。
剣の持ち主は真鍮製の重鎧を着込んでいたが、その佇まいはどことなく女性的で、コブラに幼ささえ感じさせた。
コブラが細剣を叩き折るなり取り上げるなりをしなかったのも、これが理由だった。


真鍮鎧の騎士「貴公、何者だ?不死では無いようだが、英雄にしては先程から隙が多すぎる」


真鍮の兜から聞こえるくぐもった声は、コブラから更に攻撃の意思を失わせた。
その女の声は、冷徹さの裏に慈悲を隠していたのである。


真鍮鎧の騎士「幾度か英雄の宿命を背負う者達と遭ったが……」

真鍮鎧の騎士「………ふむ…」

コブラ「おっと待った。剣を向けたまま考え込まないでくれ。あんたのうっかりで俺は死んじまうぜ」

真鍮鎧の騎士「………」



スッ…



真鍮の騎士が納刀すると、コブラは上体を上げて壁に寄りかかり、脚を投げ出した。
そのだらしのない姿を見ても、真鍮の騎士の気力は一切緩むことは無かった。


真鍮の騎士「ここに来た者達の素性など、私は一度も尋ねたことが無い」

真鍮の騎士「だが、貴公においては是が非でも聞いておかねばなるまいという気が、どういう訳か湧き上がる」

コブラ「質問攻めなら今はお断りだ。口説こうってんなら、まずは俺の胃袋を満たしてもらいたいね」

コブラ「あとそれとフカフカのベッドだ。それさえ用意してくれたなら、俺はなんだって喋るぜ?」

真鍮の騎士「そんなもの、あるように見えるか?」

コブラ「無いから欲しがってるんだがね」

真鍮の騎士「………」
362 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/08(木) 21:06:34.14 ID:4uQtI1LmO
そりゃそうだな
持ってるならくれなんて言わんか
363 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/01(日) 02:33:57.60 ID:J+Cpf2y90
ビアトリス「………」

ローガン「ふむ、やはり手遅れだ。この杖は全く壊れてしまった。やれやれ、神の地まで赴いて鍛冶屋探しとは」ホッホッホ

ビアトリス「…申し訳ございません」

ローガン「謝るのなら、術に杖に」



ビアトリスに折れた杖を返すと、ローガンは周囲を見渡す。
そして、消えゆく地の足跡を見つけ、痕跡を辿り、横穴に行き着いた。


ローガン「幸いだな。篝火の輝きが見える。鍛冶道具もあることだ。貴公の杖にもこの灯りはありがたいだろう」

ビアトリス「鍛治道具?何故そのようなものを先生が?」

ローガン「不死教区の鍛治職人が世話をしてくれるのだよ。無論、いくらかのソウルを渡すことにはなるがね」

ビアトリス(自らを律する道具を、なんと軽々しく扱うんだ…)


罠に警戒しつつ、二人はゆっくりと階段を下っていった。
先の古城とは違い、階段に罠などは無く、ローガンとビアトリスは支障無く小部屋へと入り、コブラ達に合流した。


ビアトリス「無事だったか、コブラ。ジークマイヤーはどうしている?」

コブラ「やっこさんならおねむの時間さ。俺もそうしたいんだけど…」

ジークマイヤー「グゥ…グゥ…フゴーッ」

コブラ「この調子じゃあなぁ……ハラも減ったし…あーあ」


真鍮鎧の騎士「大所帯とは珍しい……貴公らはこの男の仲間か?」


ローガン「仲間?ふむ……まぁ、互助の類ではあるかな。しかし大所帯と言うには少々数が足りない気もする」

ビアトリス「失礼するが、貴公は何者で?」

真鍮鎧の騎士「私はこの篝火の番だ。名を聞いているというのなら、悪いがそのような物はこの任を主から仰せつかった時に棄てている」

真鍮鎧の騎士「火防女とでも呼ぶがいい」


ビアトリス(鎧姿の火防女とは……いや、見た目の詮索はよそう。篝火にありつけるだけ幸運と思うべきか…)


ローガン(火防女は人間性を溜め込むゆえ、人の女にしか務まらん。それでいて神の地にあり、主から仰せつかった任があるとすれば…)

ローガン(多くの信仰にある、人は神の地においては使役されるべき者という伝承は正しいようだ。とするならば、神が人に分け与えた術や、その原型もこの都にあるに違いない)

ローガン(求めし神の書庫も近いか…)


コブラ「火防女ねぇー…女の子から名前取っちまうなんて、相当女が怖いと見えるなぁ」

真鍮鎧の騎士「……その口ぶり、我が主に二言物申すというわけか?」

コブラ「別になにもぉ?流石神様と感服してるのさ。この世で女ほど怒らせて怖いものは無い」


コブラ「………」グゥ〜…


ビアトリス「今の音……腹の音か?なんて懐かしい響きだ…」

レディ「そんなに感動すること?」

ローガン「不死になれば分かる。いつか糞尿にも郷愁を思うものだ」

ビアトリス「いえ、流石にそれは…」


ローガン「腹が減ったと言うのなら、なんとか出来るやも」


コブラ「なにっ!?」ガバッ

ローガン「緑花草という植物は、疲弊した兵に力を与える。そして古き神話をまとめた伝承に、光の王は、その緑花草を人の都の王に約定の証として贈ったという一説があったはず。神代の物と言えど、所詮は草。そこらに生えているだろう」
364 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/01(日) 03:30:13.65 ID:fHe7en8Bo
神話の地まできて飢え死にとか笑い話にもならんしさすがのコブラも目の色変わるか
365 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/01(日) 13:31:44.02 ID:7Cjsjw6Q0
この際草でもいいから食わせてやってくれ
バケツ一杯でもドレッシングなしで食いそうだw
366 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/01(日) 18:37:12.62 ID:55bzBbHqo
苔もいいぞ!
367 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/01(日) 19:50:22.24 ID:bnOvAFoCO
茸人とか美味そう
368 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/01(日) 23:37:39.56 ID:ZWa/Luj/O
そこにはワンパンKOされた亡者の姿が!
369 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/01(日) 23:46:54.93 ID:fx+DPV6DO
>>365
そんなに食ったらコブラじゃなくてウシになっちまうな
370 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/02(月) 18:12:04.63 ID:en8r4GFO0
ローガンの提案から十数分後、小部屋は不死の地には甚だ不似合いな香りでいっぱいになった。
大魔法使いの小鍋は篝火に炊かれ、本来投じるべき調合素材の代わりに、緑花草・キノコ・山菜・香草・岩塩などを煮詰めたスープが、その鍋を満たしている。
しかし小さじでスープを混ぜるローガンと、小鍋を興味深げに見つめる火防女と、師から借りた鍛治道具で杖を治すビアトリスは、そのスープには一切口をつけなかった。
香りも味も、空腹と共に人の世へ置いてきた者たちにとって、食事など古い習慣の一つにすぎない。
現に、鍋を突くのは人にまみれた男、ただ一人だった。


コブラ「ひゃー!ここに来て以来初めての料理にしては中々イケるぜ。素焼きのキノコは料理の内に入らないからなぁ」ムシャムシャ…

ローガン「ここを出て左手側を進んだ先に生える木々から採ってきた。味に嫌味の一つでも言われるかと思ったが、お気に召したかね?」

コブラ「塩っ辛いのと肉が無いのがチョイト不満だが、それは贅沢ってもんさ。助かったぜ」モグモグ…

コブラ「それよりこのスープに使った水と塩はどっから汲んできたんだ?蛇口捻って水筒に汲んだわけでも無いんだろ?」

ローガン「女神の祝福という秘薬を作ろうとして出来た失敗作を使った」

コブラ「うっぶ!!」ブフゥ!

ローガン「ふーむ、塩味だったか。なぁに安心したまえ。失敗作とは言え毒というわけでもない。効果が一切無い液体の混ぜ物に過ぎんよ」

コブラ「まったく、たらふく食っちまった後にそういう事言うんだもんなぁ。あとで蕁麻疹が出てきたら帽子にラクガキするから覚えときな」

ローガン「ふふ、それは困るな。どうせなら手入れでもしてもらいたいね」

コブラ「あーそうかい。じゃ、俺は寝るぜ。俺がニキビまみれで起きないことを祈っててくれ」ゴロリ


コブラ「………」くかー


ローガン「入眠が早いな。多才なのはいいことだ」

レディ「それだけ消耗してるってことよ。こんな彼は珍しいわ」

ビアトリス「先生、杖の修理が終わりました。鍛治道具をお返しします。ありがとうございました」

ローガン「うむ」



ローガン「それでは、私が山菜採りに出かけた時に見つけた『輝く壁』について、話そうか」



レディ「え?」

ビアトリス「?」

真鍮鎧の騎士「それは我らが大王が施した封印だ。貴公らの力では開けられん」

ローガン「大王の封印?ということは…」

真鍮鎧の騎士「そう、太陽の光の王の封印だ。貴公ら不死がこの地で蒙を授からぬ限り、王の力は道を閉ざす」

ビアトリス「蒙を開くって…」

ローガン「それなら私の得意とするところだ。じっくり探究するとしよう」


ローガン「ただし、それはコブラとタマネギ君が起きてからだ」









371 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/02(月) 22:39:19.41 ID:eIjOTptWo
大魔導師様意外とオチャメでワロス
372 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/02(月) 23:22:38.05 ID:en8r4GFO0




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
パイソン77マグナム

火薬の炸裂によって、弾丸と呼ばれる金属の粒を発射する
「拳銃」と呼ばれる遠距離武器。

安価で単純なものですら、弾丸に鎧を貫くほどの力を与えるが
コブラの持つこの銃は馬鹿馬鹿しいほどの破壊力を弾丸に与える。
その力は城壁を粉砕し、巻き起こす風で人体を撫で斬りにするという。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



373 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/03(火) 02:59:53.02 ID:y8WXfpUB0





コブラの一行がアノール・ロンドで休んでいるころ、ソラールの一行は地下を進んでいた。

進んでいると言っても、ソラール達は一度悩み、意見の仲違いで一悶着起こしかけた末、二択の内の一択を選び、そこを歩いているだけだった。
神を冒涜する死術師によって、無限に生かされる白骨群が跋扈する「地下墓地」か。
毒を含んだ腐肉の沼が広がり、大ビルと亡者が吹き溜まってはいるが、少なくとも中途の道筋は知れている「病み村の奥地」か。
大食らいの竜が沼地に戻り、再び病み村を食い荒らしている可能性を誰もが考えたが、決して少なくはない「円滑な旅路」への可能性もあった。

幸いにも一行に訪れたのは後者の可能性で、毒沼に戻っていた貪食ドラゴンは沼地の魔女に再び焼かれて逃げだした。
しかし、ソラール一行の懇願虚しく、沼地の魔女は同行を辞退した。
姉妹達が死なずに済んだのはいいが、やはり合わせる顔が無いという。
それにしても、皆にとってこの旅は予想外だった。
混沌の魔女クラーグの住処を通った先に、吹き荒れる熱気と焼けた土、煌々と輝く灼熱の溶岩が流れる大空洞が広がることも、一行には予想外だった。
だが予想外なことはもう一つあった。



戦士「あっちぃなぁ……どこを見たって溶岩まみれ……」ゼェゼェ…

戦士「こんな所で金属鎧なんて着てらんないぜ…」ゼェゼェ…

ソラール「ああ全くだ」フゥフゥ…

戦士「あんたはよくそんなバケツ…こんな所で被ってられるな…気が変になってんのか?」ゼェゼェ…

ソラール「ふふふ、気が変か…」フゥフゥ…

グリッグス「だったら鎖帷子を脱いだらどうだ?こっちはヴィンハイムの由緒ある制服のお陰で少し暑い程度だ」

ラレンティウス「こっちも問題ないぜ。呪術師の服は火に強いからな。呪文のおかげだ」

戦士「魔法の服に術師の呪文か…ったく羨ましいこったよ…」ゼェゼェ…



クラーグ「ほらどうした。さっさと歩かないと捨て置くぞ」



戦士(言ってくれるぜアンタが主に暑いんだよ…)ゼェゼェ…

ソラール「す、少し歩調を緩めてもらえないだろうか…我々に蜘蛛の脚は無いのでな」フゥフゥ…

ラレンティウス「何を失敬なことを言うんだ!このお方は本来ならば我々のような不死ごときに…」

クラーグ「よい。容姿など気にしたことは無い。だが蜘蛛脚が無いのは貴様達の落ち度だ。責められても何もならん」

戦士「別に羨ましいってわけじゃねえんですよ……ただね、その毛玉みたいな炎を抑えてくれって思ってるんですよ、こっちは……」ゼェゼェ…

ラレンティウス「お前なぁ…」

戦士「あーわかったわかった、わかったよ…」ハァハァ…

戦士「こっちが鎧を脱ぎゃあいいんだろ!ちくしょうめ!」ジャラジャラ…


列の最後尾にいた戦士はおもむろに鎖帷子を脱ぎ始め、褌一丁にブーツと手袋を残し、肌を晒した。
先頭のクラーグはその様子を耳で聞き、クスリと笑った。


クラーグ「脱げばさらに熱いぞ。汗など数瞬で吹き乾く。愚か者め」ククク…

戦士(ちくしょう…本当に熱いぜ…熱さ通り越して肌が痛くなってきた…)ゼェゼェ…

ソラール「おとなしく鎧を着ておけ…服だけでもいい…乾いて動けなくなるぞ」フゥフゥ…

戦士「………」ゼェゼェ…



戦士「………」ガサゴソ…



一度は全裸になることも考えた戦士だったが、思い直して服を着直し、静かになった。
コブラの多様な意味で読めぬ腹の内に免じ、熱気渦巻く地底の奥に住まう「ある者」に慮り、混沌の魔女は一行を先導する。
一行はかくして混沌の炎に焼かれた土を踏みしめ、橙色に照らされる橋を渡って、谷底に熱の川を流す崖を超え、霧を潜り抜けた。
魔女たちの母が生み出した多くの罪禍の一つにして、一人。
忌子、または弟に会うために…
374 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/03(火) 07:09:53.19 ID:6hIYcSBao
そういや不死達は水は飲むんだろうか……?
375 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/03(火) 10:13:09.28 ID:y8WXfpUB0
グリッグス「それにしても…」

戦士「?」

グリッグス「鎧を脱ぐだけだと思っていたが、まさか服まで脱ぐとは…」フフフ…

戦士「なんだよ…喧嘩売ってんのか。こっちは暑さでイラついてんだ。なんだってやるぜ…」フゥフゥ…

グリッグス「いやからかったのは事実だが、それだけだ。深い意味は無い。ただ、こう…」

ソラール「暑さで苛ついたってところか?」フゥフゥ…

グリッグス「そ、そんなところだ……君は暑くないのか?」

ソラール「熱いさ。だが耐えている。ハハハ」

グリッグス「は、はは…」



クラーグ「黙れ貴様ら。ここから先は我が良いと言うまで口を噤め。誰かが口を開いたならば、それは我が弟への侮辱とみなす」

クラーグ「そうなれば貴様ら全員、腰から下を赫灼たる溶鉄に埋め、永久に生かし続けてやろう」



ソラール「………」

グリッグス「………」

戦士「………」

ラレンティウス「………」


不死達を黙らせ、魔女は歩き続ける。
彼女の左手側は、焼けた断崖が続き、断崖の遥か下には溶けた岩が煮えたぎっている。
右手側にはヒリヒリと熱気を放つ絶壁が並び、正面には煤けた一本道が続いている。
不死達は恐怖した。
己に進路を示す蜘蛛からの脅しが、恐ろしかっただけでは無い。
蜘蛛がこれから会おうとしている者が、蜘蛛の背中の向こうに見えるからだ。
蜘蛛は巨大で、背丈だけでも人の三倍はある。その背中越しに見えるほど、弟の巨躯は常軌を逸していたのだった。



爛れ続ける者「………ムオォ…」



小さく唸り声を上げるその者の体は、概ね人型であり、大食らいの竜を一足で踏みつけられる程に巨大だった。
その体温は夏の太陽のようであり、肌は溶岩と溶鉄、そしてマグマによって形作られ、虫の腹のように節くれだっている。
大橋の如き左腕は自らの体に縫い付けられ、大量の右手は右肩から後頭部までを起点に密生し、人骨の指とも虫の脚ともつかない形をして、巨大に蠢いている。
溶けた岩の如き顔には複数の眼が赤色に輝き、頭からはねじれ曲がったツノが二本生えていた。
その姿はまさしく地底の悪魔であり、なぜ地の底からの炎が混沌と呼ばれ、そこからデーモンが生まれるのか、不死達は察した。



クラーグ「…弟よ。そういえば指輪を落としたままであったな」


爛れ続ける者「!」ピクッ


クラーグ「姉君の遺骸を見護るにかまけ、すぐに指輪を落とすのだからな、お前は」


爛れ続ける者「ムオ〜……」


クラーグ「だが、もはや指輪を嵌めろとは言わん。今度は不死どもにも手伝わせ、お前の指に指輪を捻り込んでやろう」



クラーグは爛れた山に一言二言語りかけると、自らの右上腕に巻かれた腕輪を撫で、小さく何かを唱えた。
古い言葉は人の可聴域から外れ、魔女にしか聞き取れず、その声はクラーグの住処を抜け、病み村まで届いた。


混沌の娘「この声…姉さん…?」


黒いローブの女「馬鹿な……今さら私に何を期待しているんだ…」


魔女の力は衰え、その名も歴史の表舞台から消えて久しい。
だが、彼女達の絆は未だ朽ちず、不憫な弟を思う心も、確かに繋がっていた。
376 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/04(水) 03:17:50.06 ID:IS89VApdo
無理矢理つけさせるってこんな炎の塊みたいな奴に触れたら焼け死ぬんじゃ……
377 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/04(水) 05:12:22.07 ID:sqpBFTLo0
沼地の魔女はたじろぎ、永らく途切れていた問いかけを無視しようとした。
弟は混沌の炎から生き残った姉妹達を守り、混沌の炎を被り、尽きぬ苦痛と肉体の激変を味わった。
彼がいなければ、今頃魔女の血は全てデーモンの血統に塗り替えられていたことだろう。
それなのに、自分は弟や姉妹達を救うことを諦め、変わってしまった母を恐れ、逃げ出した。
そんな自分が今さら声に応えるなど、おこがましい事なのだと。

しかし、姉であるクラーグの言葉なき声は暖かく、在りし日、在りし者を想うものだった。
不出来で可愛い弟と、固い絆で結ばれた姉妹達。魔女の世を作り、神々と共に世界を支えた偉大なる母。
その戻り得ない安息の、小さな断片でも、彼女は構わないのだった。


黒いローブの女「………」


沼地の魔女は両手を掲げ、掌から小さな火の粉を浮かせ、クラーグの元へ送った。
今にも消え入りそうな火の粉は、沼地を抜け、灰の山に入り、混沌の娘の座る一室を通りすぎる。
すると火の粉は他の火の粉と合流し、踊るように部屋を出て、灼熱の大空洞へと至り、クラーグの元へ揺らぎ、宙空を泳いでいった。

そして、クラーグが掲げた掌に浮かぶ火の粉と交わり、火の粉は火球となった。


クラーグ「………」ボボボ…


大蜘蛛が火球を掲げ、掌を閉じ、音なき声で呟くと…


ドゴォーーッ!!

不死達「!!?」


火球は彗星のごとき蒼い閃光を放ち、爆発した。
指の間から噴き出た黒煙は、閃光に眩暈を覚えた不死達を包み、激しく咳き込ませる。
クラーグが掌を開けると、そこには黒い灰の盛り上がりがあり、灰は魔女の吐息で吹き飛ばされ、赤い大地に消えた。





クラーグ「クラーナ…我らは唯の一度とて、お前を責めたことは無いよ…」






クラーグ「喋っていいぞ」

戦士「げぇっほげっほ!うぇっほ!」

ソラール「ぶふっ!ごほほ!」


クラーグ「その暇も無しか。軟弱者どもめ」


グリッグス(焼き殺されるかと思った…)ゴホゴホ…

ラレンティウス「げほっ……いっ、今のはなんなんですか?」


クラーグ「混沌を踏破するための指輪を、我らが魔女の力で錬成したのだ」

クラーグ「早く息を正せ。貴様らの仕事はここからだ」

戦士「?」フゥフゥ…

グリッグス「し…仕事…?」


クラーグ「この混沌の魔女が見返り無く先導者になるとでも思っていたのか?貴様らの口車にタダで付き合うようならば、巣を張り、不死など食らっておらんわ」フフフ…


ソラール「ううむ…やはり腹の内があったのか…」

戦士「あったのかじゃねぇ!あるに決まってるだろ!だから俺は魔女の案内なんていらんって言ったんだ!」

クラーグ「押しきれぬなら賛同したのと同じこと。見苦しいぞ」

戦士「クソッ、最悪だ……魔女の頼みなんてロクでも無いことに決まってる…」

クラーグ「鍛冶仕事をしてもらおう」

戦士「は?」
378 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/04(水) 07:14:58.86 ID:IS89VApdo
ソラールさんの能天気さというのはある種の才能なような気がしてきた
379 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/07(土) 05:13:09.37 ID:WXgKztVw0
カカーン! カカーン! カカーン!

グリッグス「ソラール、強く叩きすぎだ。それと調子を揃えるんだ」

カイーン! カイーン! カイーン!




不死一行が魔女の頼みを承諾して十数分…
不死達は骨とも木とも、岩ともつかない人の胴ほどもある太さの指に、指輪を刻んでいた。


戦士「ああ!クソ!あちいなぁ!」ブン!

カイーン!

ソラール「はは!そうだな!だが!」ブン!

カイーン!

ソラール「こういうのもいいだろう!?牧歌的で!」


鍛治職人の姿は無く、槌の代わりに剣の腹が打ち下ろされ、鍛冶屋の代わりに汗の飛沫を全身から飛ばすのは、ソラールと名も無き戦士。
打ちが終わり、すかさず指輪の元へ駆け込み…


ラレンティウス「………」ボタボタボタボタ…

ジュウウウーーッ…


滝の如き汗で、赤熱した指輪を冷ますのはラレンティウス。


戦士「本当に水はこれでいいのかよ…絵面が最悪だ…」

ラレンティウス「仕方ないだろ他に手が無いんだから。それとも唾でも吐けって言うのか?」ダラダラダラ…

ソラール「激しい発汗の呪術…だったか。そんなに汗をかいて大丈夫なのか?」

ラレンティウス「そこなんだが、実のところ俺もよくわからないんだ。不死が使うとどうなるかって記録は、大沼にも無いからな」


ジュワワワーーッ!!


戦士「うおっ…」

グリッグス「水蒸気が…!」


ゴゴゴゴゴ…



突如、爛れの全身の節々から蒸気が吹き上げ、大岩同士が擦り合わされるような地鳴りが響く。
爛れの指に深々と減り込んだ「黒焦げた橙の指輪」は、赤熱するのを止めた。
すると、爛れの体からも熱が引き、輝く溶岩も、内に流れるマグマも、力を弱めた。
弟の活火山があらかた炎を噴き終わり、安定期に入ったことを感知したクラーグは、弟に問いかけた。



クラーグ「混沌が引いたようだな。どうだ?痛むか?」


爛れ続ける者「ムオォォ〜〜…」


クラーグ「そうか…それならいいんだ。我らが鍛冶の技をイザリスから持ち出せていれば、お前をこうも苦しめる事も無かったろう」

クラーグ「すまなかったな…」


爛れ続ける者「オオオ〜」


クラーグ「そうか…皆だけでなく、こんな私をも許すと言うんだな……そうか…」


ラレンティウス(俺は今、呪術を極めんとする者として、最も栄誉ある体験をしている気がする…!)ホロリ…

ソラール「なんだか分からんが、よかったよかった!ウワッハッハッハ!」
380 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/07(土) 07:34:23.61 ID:vrsH/J+qo
ソラールさんマジイケメン
でもこの絵面は最悪と言う戦士の言うことにも心底同意したい
381 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/07(土) 14:54:10.28 ID:hRHXWCjno
弟は何か呪いで燃えてて、指輪をつけたら助かる感じってこと?
382 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/17(火) 18:52:35.52 ID:TXhem4sDO
呪いたぁちょいと違うが、概ねそんなとこ

なお原作ではここに至るまでにクラーグ戦があり、和解の道はないため爛れ続ける者もまた救えない
普通にこの巨体で殺しにくる
383 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/22(日) 08:16:17.84 ID:9o7qSHwW0
爛れの放つ高熱が収まり、大空洞を満たしていた熱気はみるみる内に緩和されていった。
崖の下に広がる地面を流れた炎の川は、冷えて固まり、岩塊となった。
不死達の流した汗も温みを大きく失い、彼らの背中や脇を冷やしはじめる。


戦士「涼しくなってきたな…やっぱり暑さの原因はこいつか」フゥー

ラレンティウス「いや、原因の一つと見るべきじゃないか?今も熱気は感じるし、底の地面にも赤いひび割れが見える。他からも熱が来ているんだ」

ソラール「降りて行くべきなのかもな」

戦士「降りるって、あの溶岩溜まりだったところを行くのか?……確かに、他に行けそうな道は無そうだけどよ…」


クラーグ「不死共よ」


戦士「?」


クラーグ「互いに貸し借りも無くなった。私は帰るぞ」カサカサ…


ソラール「貸し借り?いつそんな話に…」


クラーグ「私はお前達を導き、お前達は弟の混沌を治め、弟はお前達の行くべき道を開いた。皆の望みが叶ったろう」カサカサ…


ソラール「ま、待て…」

戦士「おい、やめとけって…」

ソラール「いや、我々の旅に彼女の力は必要だ。この先にどんな灼熱が待っているかも分からんだろう。炎を操り、炎を撫でられる力があれば頼もしい」

ラレンティウス「確かに…溶岩の中を泳ぐはめになる事も考えられるが…」

戦士「そりゃあ……そうかもしれねえが、混沌の魔女だぞ?俺らがこれ以上どうこうできる相手じゃ…」

グリッグス「待て、これはソラールの言い分に理がある。混沌は地の底から湧き上がり、ここから先に進むには、その地の底を目指す以外に道が無い」

グリッグス「進むか引き返すかのどちらかしか無いんだ。確かに引き返してコブラ達と合流するのも手だ。しかし彼らの向かった城がもしも、本当に罠だったとしたら、どうする?」

戦士「………」

グリッグス「ソラール、魔女を呼び戻せ。早くしないと彼女が行ってしまう」



クラーグ「………」カサカサ…



ソラール「待ってくれ!話がある!」


クラーグ「私には無い」カサカサ…


ソラール「貸し借りと言うのなら、コブラからの借りがあるはずだ!」


クラーグ「!」ピタッ



ソラール「コブラは貴公を殺せたはずだ!だが殺さずに生かした!コブラは貴公に何某か問いたようだが、貴公はその問いに疑問で答えた!」

ソラール「コブラに借りを返せぬのなら、我々に返していただきたい!」



クラーグ「………」


クラーグ「驚いた……膂力自慢なだけの木偶と思っていたが、存外口が立つじゃないか」フフ…


クラーグ「いいだろう、使いたいと宣うなら使わせてやる。なんなりと申してみるがよい」ククク…


ソラール(……今のは詭弁だったなぁ…)
384 :誤字訂正 [saga]:2018/04/22(日) 09:34:15.26 ID:9o7qSHwW0
爛れの放つ高熱が収まり、大空洞を満たしていた熱気はみるみる内に緩和されていった。
崖の下に広がる地面を流れた炎の川は、冷えて固まり、岩塊となった。
不死達の流した汗も温みを大きく失い、彼らの背中や脇を冷やしはじめる。


戦士「涼しくなってきたな…やっぱり暑さの原因はこいつか」フゥー

ラレンティウス「いや、原因の一つと見るべきじゃないか?今も熱気は感じるし、底の地面にも赤いひび割れが見える。他からも熱が来ているんだ」

ソラール「降りて行くべきなのかもな」

戦士「降りるって、あの溶岩溜まりだったところを行くのか?……確かに、他に行けそうな道は無さそうだけどよ…」


クラーグ「不死共よ」


戦士「?」


クラーグ「互いに貸し借りも無くなった。私は帰るぞ」カサカサ…


ソラール「貸し借り?いつそんな話に…」


クラーグ「私はお前達を導き、お前達は弟の混沌を治め、弟はお前達の行くべき道を開いた。皆の望みが叶ったろう」カサカサ…


ソラール「ま、待て…」

戦士「おい、やめとけって…」

ソラール「いや、我々の旅に彼女の力は必要だ。この先にどんな灼熱が待っているかも分からんだろう。炎を操り、炎を撫でられる力があれば頼もしい」

ラレンティウス「確かに…溶岩の中を泳ぐはめになる事も考えられるが…」

戦士「そりゃあ……そうかもしれねえが、混沌の魔女だぞ?俺らがこれ以上どうこうできる相手じゃ…」

グリッグス「待て、これはソラールの言い分に理がある。混沌は地の底から湧き上がり、ここから先に進むには、その地の底を目指す以外に道が無い」

グリッグス「進むか引き返すかのどちらかしか無いんだ。確かに引き返してコブラ達と合流するのも手だ。しかし彼らの向かった城がもしも、本当に罠だったとしたら、どうする?」

戦士「………」

グリッグス「ソラール、魔女を呼び戻せ。早くしないと彼女が行ってしまう」



クラーグ「………」カサカサ…



ソラール「待ってくれ!話がある!」


クラーグ「私には無い」カサカサ…


ソラール「貸し借りと言うのなら、コブラからの借りがあるはずだ!」


クラーグ「!」ピタッ



ソラール「コブラは貴公を殺せたはずだ!だが殺さずに生かした!コブラは貴公に何某か問いたようだが、貴公はその問いに疑問で答えた!」

ソラール「コブラに借りを返せぬのなら、我々に返していただきたい!」



クラーグ「………」


クラーグ「驚いた……膂力自慢なだけの木偶と思っていたが、存外口が立つじゃないか」フフ…


クラーグ「いいだろう、使いたいと宣うなら使わせてやる。なんなりと申してみるがよい」ククク…


ソラール(……今のは詭弁だったなぁ…)
385 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/22(日) 13:20:22.06 ID:V2/Pi84FO
大丈夫かソラールさん
今のはかなり危ない橋だったと思うぞ……?
386 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/05/18(金) 03:37:12.13 ID:xiSUIaUO0
時間取れない。
保守。
387 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/03(日) 01:03:12.40 ID:Zu134+7i0
爛れの体躯から垂れ流され続けた熱が収まり、大空洞の底を流れる溶岩は、溜まりを残しつつも、その大部分を冷え固めている。
その冷めた地を行くべきだと皆思いはしていたが、不死達はまたも躊躇していた。
実際に歩みを進められるだけの胆力は、クラーグにのみ備わっている。理由は明確で、その地は強者にのみ許された食餌の道だったのだ。


ソラール「………」

クラーグ「何を臆するか。我に大言を吐いたその口は開かぬのか」クックックッ…


溶岩が引き、姿を現したのは熱い岩塊だけでは無かった。
刃の無い大斧を携えた牛頭のデーモン達は、それぞれがクラーグと同等に大きく、一様に不死達を見つめている。
その牛頭達と比べて体格が小さく、ソラールと比べ頭三つ程しか大きくない山羊頭のデーモン達も、コブラの持つ特大剣と同等の大きさの鉈を、なんと二刀も引きずっていた。


戦士「……こりゃ罠だ…俺たちをハメやがった…」

クラーグ「罠など何処にある。地に沸く混沌ある処、総てデーモンの根城だ。そこに攻め込むために我に恩を売りつけたのは…」

ソラール「そうだ。俺だ。俺がきこ…いや貴女に恩を売った」

クラーグ「そういう事だ。恩を着させられたなら、魔女とて報いねばならぬ。貴様はデーモンの群れに捨て置かれるとでも思ったか」

ソラール「………」

クラーグ「…ふん」


二の足を踏んで煮え切らぬ不死達を残し、クラーグは冷めた溶岩を歩き、デーモン達へと近づいた。
ソラールは負い目を感じ、後に続こうかとも考えたが、太古の魔女がデーモン相手に何をするのかという好奇心にも囚われ、気抜けした様子で立ち尽くす。
魔女が手に炎を纏わせると、ソラールと同じく観戦を決め込んだラレンティウスの瞳孔は拡大した。
炎は凝縮されて鉄の輝きを帯び、捻れて細り、炎を纏った一本の魔剣となった。
明らかな敵意を向けられた山羊頭のデーモンは二本の大鉈を束ね、上段に構え、魔女に迫る。
鉈に血を吸わせ、ソウルという糧を得るために。


クラーグ「………」ヒュン!


バシャアアーッ!!


そんなデーモンとしての原始的本能で打ち倒せるほど、火の魔女クラーグは容易くはなかった。
魔女の扇を仰ぐような優雅な一振りからは、灼熱の炎風が槍のように放たれ、掲げられた二本の大鉈を、斬られた水風船のように弾けさせた。
液状になった大鉈を全身に被ったデーモンは断末魔の悲鳴を上げ、身体を丸めつつも転倒せず、動きを止めた。
クラーグは、のたうってもがく事さえ山羊頭のデーモンに許さなかった。


牛頭「ブゴオオオーーッ!!」


それを見た牛頭デーモンの一体が、咆哮を上げてクラーグに突進した。
仲間意識か、飢えか、闘争心か、それらのいずれに突き動かされたにせよ、駆け出したのはこの一体だけではない。


ドドドドドドドドドド!!!


少なく見積もっても百人力はある怪物が群れをなして、クラーグに殺到した。
群れの先頭のデーモンは跳び上がり、手に持つ得物をクラーグの脳天目掛け振り下ろす。

クラーグ「………」ボゴォン!!

クラーグはその一撃を右掌から放った大発火で逸らしつつ、左手の魔剣で、一撃を放ったデーモンの額を打ち抜く。
脳を破壊されたデーモンを蹴り飛ばし、二体目と三体目のデーモンがクラーグに襲いかかるが…

ドオオオーーッ!!

蜘蛛の放った大爆発に押しのけられ、転倒した。


クラーグ「不死共よ。ここで助太刀を挟まぬのなら、デーモン共を撫で斬りに伏せ、私は帰るぞ」


クラーグのこの提案は、この地にあっては脅しともとれた。
人の世には、これほどの試練がこの地にある事など、当然伝わっていない。
傾国さえ可能なデーモンの群れ如きで済んでいる。そんな可能性すらあり得るのだ。


ソラール「太陽ーッ!!」ダッ!


求める偉大さに最も近い物の名を叫び、ソラールは突貫した。
他の不死達は大いに尻込みしたが、結局ソラールに続いた。
388 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/03(日) 04:43:12.97 ID:43HcXpNao
ソラールさんやっぱ無謀だったんじゃ……往くも地獄戻るも地獄とか泣けるわ
389 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/07(木) 16:20:47.01 ID:gTW4BV3DO
なぁに篝火で休まなければ帰路は大丈夫だ……大丈夫なはずだ、多分
390 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/13(水) 03:20:55.21 ID:/Ka2H4u40
不死達の助力は微かで、しかし的確だった。
戦士の剣は刃を立てず、呪術師の炎は混沌と比べ温いが、魔法使いのソウルの矢と、太陽の騎士の雷はデーモンを怯ませる。


ラレンティウス「炎の透りが悪い…」

戦士「焼けないなら眼を狙え!俺が惹きつけてるうちに火の明かりで眩ませろ!」


しかし、効かないとなってもそれなりに立ち回る術はある。力が弱くとも奮戦する彼らの姿は、少なからずクラーグを喜ばせた。
デーモンの群れ程度、クラーグだけでも何とでもなるだろう。だがクラーグが不死達に期待しているのは破壊力ではない。
自動的に死角を潰し、敵の視線を散らすしぶとさ。囮としての活躍である。
現にラレンティウスの炎はデーモンの身体を焼かないが、頭を仰け反らせ、攻撃の手を緩めさ、走り回る戦士はデーモンの斧に焼土を掘らせている。
他二人のソウルの矢と雷の槍に至っては、デーモンに手傷を負わせる程には強力である。
不死達はそう思っていないが、クラーグはこの戦いを舐めていた。

そして事実、舐めていい戦いだった。


ソラール(意外となんとかなった)ハハ…


グリッグス「…けっこうあっさり終わったな」

ラレンティウス「こっちは呪術が切れちまった…もう手斧で乗り切るしかないぞ…」

戦士「はぁ、はぁ、も、もう走れねえ…いや走らねえぞ…」

クラーグ「これしきでへばるな。デーモン共の五匹や十匹、倒したところで武勇にもならんわ」

戦士「あんたの目線で話すんじゃねえよ…こっちは腐っても人間だってんだ」フゥフゥ…

クラーグ「ならば人間らしく、デーモンを狩った武勇に力を奮い立たせ、立ち上がるがよかろう。先に行くぞ」カサカサ…

戦士「なっ…!」

ソラール「ハハハ、一本取られたな」パシパシ

戦士「チッ」


クラーグを先頭に、一行は爛れが垂らした熱を燻らせる地を抜けて、更に深く、灼熱の大空洞を降りていった。
足元は冷めた溶岩から、暑い石畳と滑らかな下り坂になり、岩壁は暑い石積みの壁と、煌々と輝く溶岩の海を覗ける断崖絶壁へと変わった。
壁に沿って造られた下り坂は狭く、手すりは無い。
蜘蛛の魔女は坂道を滑るが如く壁を走り、あっという間に坂の最下まで降りたが、人の身ではそうはいかず、不死達は一様に壁に手を着け、牛歩した。
坂の最下に着くと彼らはまた魔女にからかわれたが、暑さに体力を奪われつつある不死達は魔女の言葉を流し、その様子を魔女はまた笑った。
この時、嫌味な魔女にまた文句の一つでも返してやろうと戦士は思ったが、直後に襲いかかってきた山羊頭のデーモンの群れを、クラーグが大爆風を用いて焼き、残骸を辺りに撒き散らすと、その反抗心も消えた。

そしてうんざりするやら嬉しいやらの光景に出くわした。
牛頭のデーモンに匹敵する巨躯を持つワームと、その背後に揺らぐ篝火。
篝火はありがたいが、ワームは気色が悪く、篝火の温もりも灼熱の中にあっては苛立ちを強めるばかりだった。


クラーグ「面倒」ボゴーン!

ワーム「グギェエエエエエエエ!!」ドロドロドロ…


蜘蛛の口から放たれた熱泥を丸被りしたワームは身悶えし、牙を剥くことなく消滅したが、安全性の確保された篝火の恩恵に預かることを不死達は皆躊躇した。
疲労は消え去り、傷も癒えるが、いかんせん暑すぎる。
しかし不死達は結局、篝火を広く囲んで座った。


グリッグス「………」

ソラール「いやしかし暑い…流石に兜を脱いだ方がいいかもしれん…」

戦士「脱ぐならさっさと脱いでくれ。見てるだけでも暑苦しいんだよ」

ソラール「………」ガポッ…

戦士「!?」

クラーグ「ほお、これはこれは…中々どうして…」


暑さに耐えかねたソラールが樽型の兜を脱ぐと、金髪を後ろにまとめた優男が現れた。
鼻は高く筋は通り、顎は角を残した流線型。目は力強く、眉は優しく、口元は大らかさを放っている。


戦士「………お前所帯持ちか?」

ソラール「そういう事とは縁がなくてな。どうしてそんなこと聞くんだ?」フゥー

グリッグス「そっちの気があるんだろう。戦場に婦女子を連れ歩ける者はそう多くはないだろう。不思議なことでもないさ」
391 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/13(水) 06:52:37.18 ID:mUGMH+bOo
顔を見るなりホモ扱いとかソラールカワイソス
392 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/13(水) 06:53:24.08 ID:mUGMH+bOo
あ、いや違うこれ戦士の方をホモ扱いしてるのか
どっちにしてもヒドイ話だ
393 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/13(水) 09:15:16.75 ID:moEvyjmNo
実際戦場だとそういう発散が出来ないから昔は東洋でも西洋でも両刀の人が多かった
だから別におかしくないおかしくない
394 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/13(水) 15:12:34.49 ID:R14mJBpz0
たいへんだ ソラールが クラーグに たべられちゃう!
395 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/21(木) 01:54:20.60 ID:WjaVphl70
不死達の助力は微かで、しかし的確だった。
戦士の剣は刃を立てず、呪術師の炎は混沌と比べ温いが、魔法使いのソウルの矢と、太陽の騎士の雷はデーモンを怯ませる。


ラレンティウス「炎の透りが悪い…」

戦士「焼けないなら眼を狙え!俺が惹きつけてるうちに火の明かりで眩ませろ!」


しかし、効かないとなってもそれなりに立ち回る術はある。力が弱くとも奮戦する彼らの姿は、少なからずクラーグを喜ばせた。
デーモンの群れ程度、クラーグだけでも何とでもなるだろう。だがクラーグが不死達に期待しているのは破壊力ではない。
自動的に死角を潰し、敵の視線を散らすしぶとさ。囮としての活躍である。
現にラレンティウスの炎はデーモンの身体を焼かないが、頭を仰け反らせ、攻撃の手を緩めさ、走り回る戦士はデーモンの斧に焼土を掘らせている。
他二人のソウルの矢と雷の槍に至っては、デーモンに手傷を負わせる程には強力である。
不死達はそう思っていないが、クラーグはこの戦いを舐めていた。

そして事実、舐めていい戦いだった。


ソラール(意外となんとかなった)ハハ…


グリッグス「…けっこうあっさり終わったな」

ラレンティウス「こっちは呪術が切れちまった…もう手斧で乗り切るしかないぞ…」

戦士「はぁ、はぁ、も、もう走れねえ…いや走らねえぞ…」

クラーグ「これしきでへばるな。デーモン共の五匹や十匹、倒したところで武勇にもならんわ」

戦士「あんたの目線で話すんじゃねえよ…こっちは腐っても人間だってんだ」フゥフゥ…

クラーグ「ならば人間らしく、デーモンを狩った武勇に力を奮い立たせ、立ち上がるがよかろう。先に行くぞ」カサカサ…

戦士「なっ…!」

ソラール「ハハハ、一本取られたな」パシパシ

戦士「チッ」


クラーグを先頭に、一行は爛れが垂らした熱を燻らせる地を抜けて、更に深く、灼熱の大空洞を降りていった。
足元は冷めた溶岩から、暑い石畳と滑らかな下り坂になり、岩壁は暑い石積みの壁と、煌々と輝く溶岩の海を覗ける断崖絶壁へと変わった。
壁に沿って造られた下り坂は狭く、手すりは無い。
蜘蛛の魔女は坂道を滑るが如く壁を走り、あっという間に坂の最下まで降りたが、人の身ではそうはいかず、不死達は一様に壁に手を着け、牛歩した。
坂の最下に着くと彼らはまた魔女にからかわれたが、暑さに体力を奪われつつある不死達は魔女の言葉を流し、その様子を魔女はまた笑った。
この時、嫌味な魔女にまた文句の一つでも返してやろうと戦士は思ったが、直後に襲いかかってきた山羊頭のデーモンの群れを、クラーグが大爆風を用いて焼き、残骸を辺りに撒き散らすと、その反抗心も消えた。

そしてうんざりするやら嬉しいやらの光景に出くわした。
牛頭のデーモンに匹敵する巨躯を持つワームと、その背後に揺らぐ篝火。
篝火はありがたいが、ワームは気色が悪く、篝火の温もりも灼熱の中にあっては苛立ちを強めるばかりだった。


クラーグ「面倒」ボゴーン!

ワーム「グギェエエエエエエエ!!」ドロドロドロ…


蜘蛛の口から放たれた熱泥を丸被りしたワームは身悶えし、牙を剥くことなく消滅したが、安全性の確保された篝火の恩恵に預かることを不死達は皆躊躇した。
疲労は消え去り、傷も癒えるが、いかんせん暑すぎる。
しかし不死達は結局、篝火を広く囲んで座った。


グリッグス「………」

ソラール「いやしかし暑い…流石に兜を脱いだ方がいいかもしれん…」

戦士「脱ぐならさっさと脱いでくれ。見てるだけでも暑苦しいんだよ」

ソラール「………」ガポッ…

戦士「!?」

クラーグ「ほお、これはこれは…中々どうして…」


暑さに耐えかねたソラールが樽型の兜を脱ぐと、金髪を後ろにまとめた優男が現れた。
鼻は高く筋は通り、顎は角を残した流線型。目は力強く、眉は優しく、口元は大らかさを放っている。


戦士「………お前所帯持ちか?」

ソラール「そういう事とは縁がなくてな。どうしてそんなこと聞くんだ?」フゥー

グリッグス「そっちの気があるんだろう。戦場に婦女子を連れ歩ける者はそう多くはないだろう。不思議なことでもないさ」
396 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/06/21(木) 01:55:00.92 ID:WjaVphl70
不死達の助力は微かで、しかし的確だった。
戦士の剣は刃を立てず、呪術師の炎は混沌と比べ温いが、魔法使いのソウルの矢と、太陽の騎士の雷はデーモンを怯ませる。


ラレンティウス「炎の透りが悪い…」

戦士「焼けないなら眼を狙え!俺が惹きつけてるうちに火の明かりで眩ませろ!」


しかし、効かないとなってもそれなりに立ち回る術はある。力が弱くとも奮戦する彼らの姿は、少なからずクラーグを喜ばせた。
デーモンの群れ程度、クラーグだけでも何とでもなるだろう。だがクラーグが不死達に期待しているのは破壊力ではない。
自動的に死角を潰し、敵の視線を散らすしぶとさ。囮としての活躍である。
現にラレンティウスの炎はデーモンの身体を焼かないが、頭を仰け反らせ、攻撃の手を緩めさ、走り回る戦士はデーモンの斧に焼土を掘らせている。
他二人のソウルの矢と雷の槍に至っては、デーモンに手傷を負わせる程には強力である。
不死達はそう思っていないが、クラーグはこの戦いを舐めていた。

そして事実、舐めていい戦いだった。


ソラール(意外となんとかなった)ハハ…


グリッグス「…けっこうあっさり終わったな」

ラレンティウス「こっちは呪術が切れちまった…もう手斧で乗り切るしかないぞ…」

戦士「はぁ、はぁ、も、もう走れねえ…いや走らねえぞ…」

クラーグ「これしきでへばるな。デーモン共の五匹や十匹、倒したところで武勇にもならんわ」

戦士「あんたの目線で話すんじゃねえよ…こっちは腐っても人間だってんだ」フゥフゥ…

クラーグ「ならば人間らしく、デーモンを狩った武勇に力を奮い立たせ、立ち上がるがよかろう。先に行くぞ」カサカサ…

戦士「なっ…!」

ソラール「ハハハ、一本取られたな」パシパシ

戦士「チッ」


クラーグを先頭に、一行は爛れが垂らした熱を燻らせる地を抜けて、更に深く、灼熱の大空洞を降りていった。
足元は冷めた溶岩から、暑い石畳と滑らかな下り坂になり、岩壁は暑い石積みの壁と、煌々と輝く溶岩の海を覗ける断崖絶壁へと変わった。
壁に沿って造られた下り坂は狭く、手すりは無い。
蜘蛛の魔女は坂道を滑るが如く壁を走り、あっという間に坂の最下まで降りたが、人の身ではそうはいかず、不死達は一様に壁に手を着け、牛歩した。
坂の最下に着くと彼らはまた魔女にからかわれたが、暑さに体力を奪われつつある不死達は魔女の言葉を流し、その様子を魔女はまた笑った。
この時、嫌味な魔女にまた文句の一つでも返してやろうと戦士は思ったが、直後に襲いかかってきた山羊頭のデーモンの群れを、クラーグが大爆風を用いて焼き、残骸を辺りに撒き散らすと、その反抗心も消えた。

そしてうんざりするやら嬉しいやらの光景に出くわした。
牛頭のデーモンに匹敵する巨躯を持つワームと、その背後に揺らぐ篝火。
篝火はありがたいが、ワームは気色が悪く、篝火の温もりも灼熱の中にあっては苛立ちを強めるばかりだった。


クラーグ「面倒」ボゴーン!

ワーム「グギェエエエエエエエ!!」ドロドロドロ…


蜘蛛の口から放たれた熱泥を丸被りしたワームは身悶えし、牙を剥くことなく消滅したが、安全性の確保された篝火の恩恵に預かることを不死達は皆躊躇した。
疲労は消え去り、傷も癒えるが、いかんせん暑すぎる。
しかし不死達は結局、篝火を広く囲んで座った。


グリッグス「………」

ソラール「いやしかし暑い…流石に兜を脱いだ方がいいかもしれん…」

戦士「脱ぐならさっさと脱いでくれ。見てるだけでも暑苦しいんだよ」

ソラール「………」ガポッ…

戦士「!?」

クラーグ「ほお、これはこれは…中々どうして…」


暑さに耐えかねたソラールが樽型の兜を脱ぐと、金髪を後ろにまとめた優男が現れた。
鼻は高く筋は通り、顎は角を残した流線型。目は力強く、眉は優しく、口元は大らかさを放っている。


戦士「………お前所帯持ちか?」

ソラール「そういう事とは縁がなくてな。どうしてそんなこと聞くんだ?」フゥー

グリッグス「そっちの気があるんだろう。戦場に婦女子を連れ歩ける者はそう多くはないだろう。不思議なことでもないさ」
397 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/23(土) 16:38:14.69 ID:V8KGicDN0
書いた覚えも無いのに連投されている…
上2レスは無視してー
398 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/24(日) 20:50:59.23 ID:pbDscTKLo
大事な事なので二度
399 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/24(日) 22:18:17.15 ID:lZA9ZyV8o
(ただのコピペ荒らしだと思ってたとは言えない……)
400 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/06/24(日) 23:58:16.45 ID:1RHBkQ3+o
いやただのコピペ荒らしだろ
>>1が書いてないって言ってんだから
401 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/11(水) 21:59:50.14 ID:ov1gN0Gs0
戦士「おい!俺はその気なんてねえぞ!男色家扱いはやめろ!」

グリッグス「その口ぶり、まるで男色家が普遍な非だとでも言いたげだが、私はそういう偏見は持ってないよ。放蕩貴族の嗜みとも聞くし」

グリッグス「まぁ…悪戯心があったかと言われれば、その通りかな」

戦士「じゃあ次からはよしてくれ。まったく、タチが悪いぜ」


戦士「で…どうなんだよ」

ソラール「ん?」

戦士「とぼけんなって、女だよ。その顔だ。コブ付きが居ないとなりゃ、さぞかし食うに困らなかったんだろうなぁ」

ラレンティウス「やれやれ、グリッグスの悪戯と木の実の背比べか」

戦士「世捨て人のお前には分からん話さ。で、どうだった?何処の女が一番美味かったんだ?」


ソラール「そうだなぁ……確かに、言い寄ってくる女は多かったな」


戦士「そんなこたぁ分かってるんだよ。俺が知りてぇのは…」

ソラール「ただ…」

戦士「おっ?」

ソラール「…残念だろうが、貴公が期待しているような話は無い」

ソラール「皆、俺の話を聞くと去って行ったよ。どうも小便臭いらしい」

ソラール「まぁ、仕方のない事さ。誰も知らない、ただの古宿の飾りのような像を敬い、物語を想う者など、はたから見れば狂人か、ただの白痴者さ」

戦士「……おい、嘘だろ…もしかしてお前…」


戦士「へへへ…分かんねぇもんだなぁ、ええ?その顔でウブ者とはよぉ」


ラレンティウス「とんだ糞餓鬼だな」

グリッグス「やれやれ…」

ソラール「いいや、まだ分からないぞ?」

戦士「分からない?おいおい負け惜しみかぁ?」


ソラール「俺には愛する人がいて、その人のために、偉大な者へと成るべく旅をしている……そういう話もあり得るんじゃないか?」フフ…


戦士「…なんだそりゃ。それが本当だって誰が信じる?証拠はあんのかよ」

ソラール「証拠は無いさ。それに信じて欲しくて喋ってる訳でも無い。好きに考えて構わないぞ」

戦士「なんだよニヤつきやがってよ。お前さては俺のこと担いで…」

クラーグ「立て。莫迦話はもう十分だ。行くぞ」

戦士「えっ?お、おいもう少し…」


クラーグ「黙れ、この痴れ犬共め。貴様らが雛のごとく求める休息を、疲弊無きこのクラーグが、わざわざ与えてやったのだ」

クラーグ「駄々を捏ねると言うのならば良し。呆けたいのならば焼いて固めて、そこの篝火の一部に変じさせてやろう」


戦士「………」

ソラール「…それは御免だ。さっさと行こう」

402 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/12(木) 02:20:43.18 ID:xU2RWQ/do
ソラールさんの悲しみを垣間見た気がした
403 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/14(土) 23:09:03.77 ID:gwfxK8ej0
束の間の休息を終え、一行は旅を再開した。
そもそも不死とは生と死の狭間を漂う者達であり、ソウルと人間性の枯渇に脅かされこそすれ、老いもしなければ飢えも無く、疲れもしない。
正しく時間の働く人界にあっては、飲まず食わずで数ヶ月間駆け回ることに何の障害も無い。
しかし、心はその限りでは無かった。長い旅路には、やはり細やかでも宴が必要だったのだ。


クラーグ「ふん……守衛どもが。たやすく混沌に呑まれおって」


一行の前には、朽ちて段差の崩壊が始まっている、長く広い下り階段が続いている。
その両端に等間隔で置かれた4つのデーモン像が、定められた位置から離れ、一向に近づいていく。
像の大きさは人と変わらないが、低空を浮翌遊する胎児のような石像の腹部から、クラーグは熱を感知していた。
元々は都の衛士として使われていたそれらの中には、今や魔女の火ではなく、熱ぎ混沌が滾っていた。


ボボオオォーーッ!!


4つのデーモン像はクラーグへ向け火炎を放つ。


ゴバァーーッ!!


クラーグの蜘蛛顔は、その火炎を飲み込むだけには止まらぬ熱泥を、4つの像に吐きかけた。
石を削り出して作られているデーモン像は、岩をも溶かす灼熱に包まれ、朽ちた階段を補強する溶剤となって階段に広がった。
重力に押されて階段を流れ落ちる像の残骸の上を、クラーグは歩く。
その後を歩く不死達は、溶岩を避け、飛び越えて進む。


牛頭デーモン「グオオオ!」ドドッ!!


階段を抜けた一行へ頭突きによる突進を行うべく、猛進を始めたデーモンの咆哮は、地中に眠る一匹のワームを叩き起こし、一行に気付いていない他のデーモン像を起こした。


牛頭デーモン「ブゴオオーーッ!!」┣¨┣¨┣¨┣¨ドド!!!

クラーグ「………」


一行へ向け突進する牛頭デーモンとクラーグは対峙する。
そのクラーグの背後から散った不死達は、牛頭以外の排除にかかった。
ソラールと戦士はワームへ向かい、グリッグスとラレンティウスはデーモン像へ向け術を放つ。

ガゴッ!! ドゴオオォン!!

牛頭デーモンに組みつき、押し倒したクラーグは、蜘蛛頭を撫でた。
とびきり煮えたぎった溶岩を吐き出すよう促された蜘蛛頭は、岩を煙へと変える程の熱流を口の中で練り始める。

戦士「おおお!」ドカッ!

ワーム「ギョアアーッ!!」

ワームが口から何かを吐き出そうとした瞬間に、戦士の投擲した直剣がワームの口を貫く。

バジィン!!バリバリバリ!

激痛に身悶えするワームのやわ腹には、雷の槍が突き刺さった。
ワームの腹を貫いた雷は、戦士が突き刺した剣を通してワームの体内を食い荒らし、焼き尽くす。
命を失ったワームが崩れた後に残った剣を、戦士は拾い、二人の術師へと援護に向かう。

ボン! ドウン!

だが援護の必要も無く、グリッグスのソウルの矢は既にいくつかのデーモン像を打ち砕いており…

ガスッ!ガコッ!

最後のデーモン像も、激しい発汗を纏ったラレンティウスに、背後から手斧を何発も打ち込まれ、熱を失いかけていた。


ドグワッ!!!


戦士「うおっ!?」


不意に生じた爆音の出所を、身構えた戦士は視線で追った。
見ると、上半身を影として石畳に圧入された牛頭のデーモンが、ちょうど白い霧となって消えていくところだった。

戦士「えげつね…くわばらくわばら…」

ソラール「流石だな…手を貸さなくてもよかったかな?」

404 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/14(土) 23:11:48.55 ID:gwfxK8ej0
なんかおかしいと思ったら変換が効いてるじゃないの。
ほんとこの機能いらない。書き直す。
405 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/14(土) 23:14:03.24 ID:gwfxK8ej0
束の間の休息を終え、一行は旅を再開した。
そもそも不死とは生と死の狭間を漂う者達であり、ソウルと人間性の枯渇に脅かされこそすれ、老いもしなければ飢えも無く、疲れもしない。
正しく時間の働く人界にあっては、飲まず食わずで数ヶ月間駆け回ることに何の障害も無い。
しかし、心はその限りでは無かった。長い旅路には、やはり細やかでも宴が必要だったのだ。


クラーグ「ふん……守衛どもが。たやすく混沌に呑まれおって」


一行の前には、朽ちて段差の崩壊が始まっている、長く広い下り階段が続いている。
その両端に等間隔で置かれた4つのデーモン像が、定められた位置から離れ、一向に近づいていく。
像の大きさは人と変わらないが、低空を浮遊する胎児のような石像の腹部から、クラーグは熱を感知していた。
元々は都の衛士として使われていたそれらの中には、今や魔女の火ではなく、熱ぎ混沌が滾っていた。


ボボオオォーーッ!!


4つのデーモン像はクラーグへ向け火炎を放つ。


ゴバァーーッ!!


クラーグの蜘蛛顔は、その火炎を飲み込むだけには止まらぬ熱泥を、4つの像に吐きかけた。
石を削り出して作られているデーモン像は、岩をも溶かす灼熱に包まれ、朽ちた階段を補強する溶剤となって階段に広がった。
重力に押されて階段を流れ落ちる像の残骸の上を、クラーグは歩く。
その後を歩く不死達は、溶岩を避け、飛び越えて進む。


牛頭デーモン「グオオオ!」ドドッ!!


階段を抜けた一行へ頭突きによる突進を行うべく、猛進を始めたデーモンの咆哮は、地中に眠る一匹のワームを叩き起こし、一行に気付いていない他のデーモン像を起こした。


牛頭デーモン「ブゴオオーーッ!!」ドドドドドド!!!

クラーグ「………」


一行へ向け突進する牛頭デーモンとクラーグは対峙する。
そのクラーグの背後から散った不死達は、牛頭以外の排除にかかった。
ソラールと戦士はワームへ向かい、グリッグスとラレンティウスはデーモン像へ向け術を放つ。

ガゴッ!! ドゴオオォン!!

牛頭デーモンに組みつき、押し倒したクラーグは、蜘蛛頭を撫でた。
とびきり煮えたぎった溶岩を吐き出すよう促された蜘蛛頭は、岩を煙へと変える程の熱流を口の中で練り始める。

戦士「おおお!」ドカッ!

ワーム「ギョアアーッ!!」

ワームが口から何かを吐き出そうとした瞬間に、戦士の投擲した直剣がワームの口を貫く。

バジィン!!バリバリバリ!

激痛に身悶えするワームのやわ腹には、雷の槍が突き刺さった。
ワームの腹を貫いた雷は、戦士が突き刺した剣を通してワームの体内を食い荒らし、焼き尽くす。
命を失ったワームが崩れた後に残った剣を、戦士は拾い、二人の術師へと援護に向かう。

ボン! ドウン!

だが援護の必要も無く、グリッグスのソウルの矢は既にいくつかのデーモン像を打ち砕いており…

ガスッ!ガコッ!

最後のデーモン像も、激しい発汗を纏ったラレンティウスに、背後から手斧を何発も打ち込まれ、熱を失いかけていた。


ドグワッ!!!


戦士「うおっ!?」


不意に生じた爆音の出所を、身構えた戦士は視線で追った。
見ると、上半身を影として石畳に圧入された牛頭のデーモンが、ちょうど白い霧となって消えていくところだった。

戦士「えげつね…くわばらくわばら…」

ソラール「流石だな…手を貸さなくてもよかったかな?」
406 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/14(土) 23:27:42.39 ID:qtiaqNM00
おつ
ほんと余計な機能だわな
407 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/15(日) 00:43:59.47 ID:MSmCYFEso
408 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/15(日) 08:40:13.01 ID:VexeU2Ts0
MOBの名前間違えてました。
ワームの名前は正しくは「穴掘りウジ虫」でした。
409 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/15(日) 12:25:05.73 ID:VexeU2Ts0
戦士「…ん?なんだありゃ?」

ソラール「どうした?」

辺りに敵がいないか警戒していた戦士が何かを見つけた。
それは穴掘りウジ虫が溶けた後の地面に刺さっており、赤い大地にあって更に紅く輝いていた。
その不自然な程の煌めきに吸い寄せられ、戦士は歩み寄り、土を掘って煌めきを手にとる。


戦士「……おい見ろ!こりゃ赤楔石だ!」

ラレンティウス「なにっ!?」

グリッグス「え?」


にわかには信じがたい報を聞きつけ、不死達は報に駆け寄った。


戦士「すげえ…噂には聞いていたが、まさか本当にあったなんてな…」

グリッグス「まさかこの目で見ることができるとは…」

ラレンティウス「それもかなり大きい…輝きも伝承の通りだ。やっぱり神々の地なだけはあって…」

ソラール「物知らずで悪いが、俺には何が凄いのかさっぱりなのだが」

グリッグス「楔石は、鍛治の神だけが扱える金床から剥がれ落ちた薄片だと言われているのは、知っているだろう?」

ソラール「うむ」

グリッグス「赤い楔石とは、それらに何らかの形で新たに炎の力が宿った物を言うんだ。楔石の欠片でさえ、人の世界では神の聖遺物とされているんだ、赤い楔石ともなれば、その価値は計り知れない。武器に刻み込むための繋ぎとして緑色の楔石も必要だが、もし武器に刻め込めたなら、その武器は太古の神々が操った炎を永久に纏うことになる。聖剣も、救国の英雄も生まれるだろうし、一国の王の心を奪うことも…」



クラーグ(奴隷鍛治の金床ごときに鼻息を荒げおって…神ならば節操無く畏れ敬う者には、良い玩具だろうがな)

クラーグ(騒ぐべきは、この封印だろうに)


楔石に集っている不死達を放っておき、クラーグは歩みを進め、止めた。
目の前には霧が立ち込めているが、その霧に浮かぶ粒は太陽色に輝いている。
不死達は、その輝きは赤みがかった景色が、色を霧に映しているだけに過ぎないと思っている。
しかし、魔女の眼は人には知れぬ真実を見抜く。太陽色の輝きが、誰を示しているのかさえも。


クラーグ(この輝きは、かの大王による封印だろう……母が混沌を解き放った日に、我らを辛うじて救ったものだ)

クラーグ(それ故に固い封であったとは思っていたが……しかし、混沌が溢れる今も形を保つなど、ありえぬ事だ)

クラーグ(何より、何故、あのような形で、あのような者まで封じている?)


クラーグの眼に、かつて見た輝きが映る。
光を放ち、波のようにうねる封印に御される、ソウルでも人間性でもない未知の力。
それらが持つ謎は、クラーグの中で更なる神秘へと変貌した。



クラーグ(太陽の光の大王……何故にかの神は、コブラに潜む『門』に同じ封を敷いた?)

クラーグ(アノール・ロンドの王は、ロードランに居もしなかったであろう彼奴の中に何を見た?)




ソラール「…つまり、人の手に余る物ということだな」

グリッグス「掻い摘めば、そんなところだ。ヴィンハイムの竜学院ですら探求を諦め、風化した歴史に混じる雑音と…」


クラーグ「戻るぞ」


グリッグス「されつつあって……えっ?」

戦士「は?なんでだ?」

クラーグ「やはりここから先は封印されている。太陽の光の王の許しが要るようだ」

ソラール「!!」ピクッ

戦士「え…おい…それじゃ働き損かよ…」

410 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/15(日) 16:15:18.13 ID:alH7r1FT0
太陽と聞いちゃ黙っちゃいられないソラール
411 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/15(日) 18:01:51.26 ID:lsMXnnfpO
ソラールさん感激の展開が来る?
412 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/16(月) 00:56:39.41 ID:70QjR4CO0
>>304を再訂正。
「なっ、おい、離せ!足手まといはごめんだぞ!」
というセリフがジークマイヤーのものであると訂正していましたが、正しくはビアトリスのセリフでした。
なので正しくは『ビアトリス「なっ、おい、離せ!足手まといはごめんだぞ!」』という文になります。
もうガバガバ。
413 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/16(月) 01:25:32.75 ID:b3oeZaDhO
正直クオリティ高いから気にならないし大丈夫
414 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/16(月) 11:20:07.52 ID:VwB17MxP0
最高学府がひきつけ起こすレベルでこの世の謎への回答が転がってる一戦闘フィールド
なお主人公はもっととんでもないところで文字通り道草食ってる
415 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/07/16(月) 12:18:27.68 ID:70QjR4CO0
ラレンティウス「働き損…なのか?」

クラーグ「損などではない。破れぬ封印と知れただけでも十分」

クラーグ「あとは秘した種火を取り戻すのみ。貴様らは先に引き返せ」

ラレンティウス「種火……まさか、あの炎の種火があると言うのですか!?ここに!?」

クラーグ「秘匿が破られていないのならな。もっとも取り戻したところで封印を超えられる訳もない。鍛えに使う鍛治道具も、既にこの先で溶鉄となっていよう」

グリッグス「それなら、なぜそんな使えぬ秘術を探すのですか?」

クラーグ「己が杖を持たぬのなら、術書を無智に奪われても良いとはならんだろう」


ラレンティウス「俺もご一緒させて下さい!炎の神秘を見たいんです!」


戦士「また始まったよ…よせよ、この先に進めねえってんだから」

ソラール「………」

クラーグ「いや、封印の先には無い。ここから左に向かった見張り廊下跡に隠されている」

ラレンティウス「それでは…!」

クラーグ「ならん。我らの秘術は我らのもの。貴様のような赤児の如き未熟者に、秘奥を見せるわけも無かろう」

クラーグ「帰れ」カサカサカサ…


ラレンティウス「………」


戦士「ははは、行っちまったな」

グリッグス「しかたないさ。私の師も、秘術となるとさっぱり教えてくれない。そんなものさ」

ラレンティウス「………はぁ…」


ソラール「………」




ラレンティウスの野心がまたも打ち砕かれたが、ソラールの思考からは彼を慰めるという配慮さえ消えていた。
ラレンティウスは己の領分を忘れてクラーグに同行を申し出たが、ソラールもまた、クラーグの言葉に己の本分を揺さぶられていた。

求めてやまない物が、前触れ無く眼前に現れる。
例えそれが考え違いや激しい期待から来る、過ぎた妄想や幻覚の類いであったとしても、求める者は、それらに対し全くの無力になる。
理性や情を保ちつつ、それらを凌駕するもの。欲望には、人ならば逆らえない。
理想や真実ではなく、偉大な輝きを求める者なら尚更に逆らい難く…



ソラール(太陽の光の王の封印……混沌の地に、かの王は所縁がある…)

ソラール(空の太陽は熱く輝く…だが、太陽の力の根源は空には無い。力の根源はロードランにある…神の地にある…)

ソラール(太陽の光の王は、混沌に溢れたこの地を封じた。なんのために…)


ソラール(………)


ソラール(いや、そもそも俺は何を求めている?)

ソラール(太陽の偉大さ…太陽の光の王の偉大さ…偉大な輝き…偉大な温もり?いや…)



そして、苦悩する。
人が何かを偉大と評する時、その偉大さには見えぬ闇や、解けぬ謎が含まれる。
全てが分からぬからこそ偉大であり、闇や謎が害をなさないからこそ、人は偉大さを易々と敬えられるのだ。
闇や謎が見えぬからこそ偉大であるならば、姿無き偉大さを目指す者に、確たる答えなどもたらされるはずも無いのである。


ソラール「………」


太陽の戦士の心の奥底には、求める物の姿は無い。
だが、求める心は熱量を高め続け、姿無き物を求め続ける。
暗闇を求めるその行いこそ、心の闇を深め、育むとも知らずに。
416 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/16(月) 13:22:10.44 ID:7BCBBabWo
ソラールさんが闇落ちしてしまう……
417 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/16(月) 22:23:39.49 ID:FFiV7Pj40
ソラールの中で蠢いてるものってコブラの原動力に似てる気がする
418 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/08/04(土) 02:22:24.94 ID:gtw99HFi0





















コブラ「ふあ〜よく寝たぜ〜」




上体を起こし、コブラは両手を天井に向かって伸ばした。
次に立ち上がると、上体をねじったり、足首を回したりと、せわしなく体操を始める。


ローガン「起きたかコブラ。気を悪くしたらすまないが少し話が…」

コブラ「気を悪くすると思うんなら今話さなくったっていいだろ」コキコキ…

コブラ「レディー、今何時だ?」

ビアトリス「?」

レディ「なぁにコブラ、寝ぼけてるの?ここはアノール・ロンドよ。タートル号の中でもないし、ラスベガス・ステーションでもないのよ?」

コブラ「いやぁちょっと言ってみただけさ。シャワーが恋しくてついね」


コブラ「おいジーク、起きる時間だ」

ジークマイヤー「ん?…おおう!つい寝てしまった!」ガバッ

ジークマイヤー「………」


真鍮鎧の騎士「………」


ジークマイヤー「はて…貴公には見覚えが無いが…」

ジークマイヤー「いや、ここはどこだ!?まさか敵に捕らえられ…」

真鍮鎧の騎士「生憎だが違う。貴公はそこのコブラという男に連れられ、この篝火に休んだのだ」

真鍮鎧の騎士「それと、私は貴公の敵では無い。この篝火の番人だ」

ジークマイヤー「番人……すると、ここの火防女か?いやはや申し訳ない。鎧姿の火防女と会うのは初めてでな。はっはっは!」

ジークマイヤー「それにしても、まさかあの難所を無事抜けられるとは……てっきり、一撃の元に斬り伏せられたと思ったが…」

ビアトリス「無事…?」

ローガン「まぁ理性が消えとる訳でも無し。無事と言えばその範疇ではあろうな」


ローガン「してコブラよ。眠気は覚めたかね?」

コブラ「ああ、おかげさんで。それでしつこく尋ねるに値する話ってのは何だい?」

ローガン「貴公のためにと草毟りをしたついでに、私が見た黄金色の霧についてだ」

コブラ「黄金色の霧?」

ローガン「うむ。ここから出て左手側に進み、巨人を一人打ち伏せた先に、霧はあるのだが…」

ローガン「どうも、あれは私が知るところの『太陽の光の王』の封印であるらしい」

コブラ「!!」

ローガン「我が古巣の竜学院に、名誉ある魔法の徒にのみ許された秘奥書がある。それらに黄金色の霧について記した物がいくつもあったと、私は記憶している。闇の徒の手より偉大な力を守るため、最高神とされる者のソウル分け用い、封を施す…と」
419 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/04(土) 15:42:26.66 ID:1Z8NzC9CO

悲報
クソまとめサイトあやめ速報、あやめ2nd
創作活動への冒涜続行


・SSちゃおラジシリーズの盗作が発覚
作者も自白済み


・各まとめサイトにちゃおラジの盗作が伝えられる
真っ当なまとめサイトはちゃおラジシリーズを削除


・まとめサイトあやめ2ndはちゃおラジの削除を拒否
独自の調査により盗作に当たらないと表明


・あやめ2ndが荒れる
あやめ管理人は盗作だというちゃんとした証拠をもってこいと言う


・かと思いきやあやめ管理人、盗作に当たらない発言も証拠を求めた発言も寄せられたコメントもなにもかも削除
全部もみ消してなかったことにする気かとあやめ2ndもっと荒れる


・あやめ2nd、ちゃおラジシリーズは盗作ではないがこのままではサイト運営に不都合なためと削除


・後日あやめ2nd、ちゃおラジが盗作ではない独自の理論を公開
ちゃおラジシリーズ再掲載


・あやめ2nd、多数のバッシングにあい数時間後ちゃおラジシリーズ全削除
自らの非を全て認める謝罪記事を掲載


・謝罪記事掲載から5日後、あやめ2nd謝罪記事削除
サイトは謝罪時から通常通りの運行だった
またもみ消して逃げるのかと荒れる


・あやめ2ndに迷惑だから釈明するなり謝罪するなりしろとの訴えが出される


・あやめ管理人釈明なし
責任を逃れ私欲に走る

この間、あれだけちゃおラジへのコメントを削除したにも関わらず以下のようなコメントの掲載を承認
ダブルスタンダードは健在
http://ayamevip.com/archives/52295361.html#comments


ご意見はこちらまで
ayamevip@gmail.com


あやめ管理人は謝罪記事の再掲載を行え

420 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/04(土) 15:43:50.58 ID:jqo7ogdcO

悲報
クソまとめサイトあやめ速報、あやめ2nd
創作活動への冒涜続行


・SSちゃおラジシリーズの盗作が発覚
作者も自白済み


・各まとめサイトにちゃおラジの盗作が伝えられる
真っ当なまとめサイトはちゃおラジシリーズを削除


・まとめサイトあやめ2ndはちゃおラジの削除を拒否
独自の調査により盗作に当たらないと表明


・あやめ2ndが荒れる
あやめ管理人は盗作だというちゃんとした証拠をもってこいと言う


・かと思いきやあやめ管理人、盗作に当たらない発言も証拠を求めた発言も寄せられたコメントもなにもかも削除
全部もみ消してなかったことにする気かとあやめ2ndもっと荒れる


・あやめ2nd、ちゃおラジシリーズは盗作ではないがこのままではサイト運営に不都合なためと削除


・後日あやめ2nd、ちゃおラジが盗作ではない独自の理論を公開
ちゃおラジシリーズ再掲載


・あやめ2nd、多数のバッシングにあい数時間後ちゃおラジシリーズ全削除
自らの非を全て認める謝罪記事を掲載


・謝罪記事掲載から5日後、あやめ2nd謝罪記事削除
サイトは謝罪時から通常通りの運行だった
またもみ消して逃げるのかと荒れる


・あやめ2ndに迷惑だから釈明するなり謝罪するなりしろとの訴えが出される


・あやめ管理人釈明なし
責任を逃れ私欲に走る

この間、あれだけちゃおラジへのコメントを削除したにも関わらず以下のようなコメントの掲載を承認
ダブルスタンダードは健在
http://ayamevip.com/archives/52295361.html#comments


ご意見はこちらまで
ayamevip@gmail.com


あやめ管理人は謝罪記事の再掲載を行え

421 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2018/08/04(土) 17:00:17.86 ID:gtw99HFi0
自己申告しないと、単にコピペしてるタイプのまとめサイトには丸ごと本文扱いされて掲載されるので、一応レス。
>>419>>420は荒らしで、>>421、つまりこの文章も本文ではありません。よろピク。
422 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/04(土) 18:43:09.22 ID:kQ7iUncS0
ついにコブラの側にも太陽神の封印か

ほんとどこにでも湧くなこの荒らし
まとめサイトなんか興味ないから心底邪魔
423 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga ]:2018/08/05(日) 00:57:34.61 ID:gmeZ0M3D0
太陽の光の王の封印という言葉に、コブラは覚えがあった。
完全に同じでは無いが、これと似た音の響きを持つ言葉。
それは今コブラの思考に、混沌の魔女クラーグとの会話として音を大に跳ね回っていた。


『魂だのなんだのについて、俺が知りたい事は一つ』

『なぜ俺の精神力は、他人の精神力を必要とするほどに、回復しなくなったのか………それだけさ』


『回復はしている』


『なに?』


『我ら魔女には、ソウルと人間性を見抜く力がある。そうでなければ、炎を御する事など出来ぬ』

『その我らの眼に映るのだ。貴様のソウルと人間性は光を放ち、常に力を大きくし続けている』

『だが、許されていないのだ』


『許されていない?誰の許しが必要だっていうんだ?』


『誰あらぬ、太陽の光の王の許しだ』





コブラ「封印、か……なるほどね」

コブラ「少しづつパズルが組み上がってきたぜ」

レディ「何か分かったのね?」

コブラ「ああ。ローガン、告白させてもらうが、あんたの言う光の王の封印とやらは実を言うと俺の中にもあるんだ」

ローガン「なに?」

ビアトリス「太陽の光の王の封印が…コブラの中に?一体どういう事だ?貴公はロードランの神々の力が及ばぬ処から来たはずではないのか?」

真鍮鎧の騎士「!?…待ってくれ、今なんと…」

コブラ「おっと今は講義中だ。余談は本題のあとに頼むぜ」

真鍮鎧「う…うむ」


コブラ「それでだ。その封印は俺の中にあるサイコエネルギーを塞き止めているだけではなく、ここで何か馬鹿でかい力を守っている。ジイさんの言う通りならかなりの昔からな」

コブラ「だが、もしそうなら矛盾が出てくる。薪の王によってロードランに連れてこられた時に、俺は封印を貼り付けられたのであって、俺は昔からここにいた訳じゃない」

コブラ「そこで考えた。その封印を施した太陽の王様にとって、なんらかの非常事態がロードランで起こっているってな」


ローガン「非常事態…というと?」

コブラ「さぁな、そこまでは分からんさ。だがかなりの大ごとだろう。わざわざ薪の王に俺を招かせておきながら、封印を施して闇の手の者とやらから守っているんだからな。この矛盾が答えだ」

コブラ「助っ人宇宙人を呼びながらその選手を宣伝せずに隠す。そういう球団は大抵借金がかさんでるものさ。恐らく不死の使命か、あるいはその使命を不死に課した神々そのものが、今は窮地に立たされているんだろう」

ジークマイヤー「?…?…すまん、知らない物が話に出すぎて何がなんだか…」

レディ「この先のんびりしてはいられないかもって事よ。そうでしょうコブラ?」

コブラ「ああ。うかうかしてると帰りそびれるかもな。早いとこ出発しよう」


ローガン(確かに、もしそうなら急がねばならんな。神々の地では多くを見ておきたい)


真鍮鎧の騎士「それで、貴公はどこから来たんだ?待ってやったんだ、答えてくれてもいいだろう」

コブラ「宇宙からさ」

真鍮鎧の騎士「うちゅう?」

コブラ「ロードランとは別の世界さ。一眼見りゃあ、きっとアンタも気にいると思うぜ」

コブラ「さ、出発だ!」

真鍮鎧の騎士「………」
424 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/05(日) 01:03:48.20 ID:tlBy6aN0o
大物助っ人呼んでおいて年棒の契約もしてないあたり貧乏球団というのは説得力あるな
425 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/05(日) 19:39:13.37 ID:KG04/B5y0
出撃前にクラーグ(人間型下半身)のポスターのケツを叩いていく球団
935.37 KB Speed:0.2   VIP Service SS速報VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 続きを読む
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)