【スペース・コブラ】古い王の地、ロードラン

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760 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2022/02/20(日) 13:04:53.08 ID:Q4vidJth0
今や見る影もなく荒廃した火継ぎの祭祀場には、底の見えない大穴が開いている。


バオオーーッ!!


その大穴の闇そのものが盛り上がると、闇から黄金色の輝きが迸り、祭祀場の焼けた土に足をついた。


クリスタルボウイ「ふん、コブラめ。相変わらず逃げ足の速いやつだ」ピシュッ!


宿敵を嘲笑いつつ、クリスタルボウイは二つの暗紫結晶を石畳に放つ。
放たれた結晶は暗い輝きとともに闇を放ち、その闇からは二人の『人間』が姿を現した。
その祭祀場に急遽浮上した強大な闇に吸い寄せられたのか、大穴の周りにはいつのまにか幾人もの亡者、幾体もの骸骨が群がり、それに混じって髑髏鎧の騎士や、子の仮面の悪霊の姿もあった。


デュナシャンドラ「我が王よ。あのような卑小なる者が、まことにあのコブラなのですか?」


ゲール「………」



骸の貴婦人とでも言うべき痩躯の者は、クリスタルボウイ同様にコブラを嘲ったが、怪老は一言も発さず、ただ重々しい息をもらすだけである。


クリスタルボウイ「あなどるな。貴様はコブラの最も警戒すべき点をまだ見ていない。ヤツはここからがしぶとい」

デュナシャンドラ「そうは申しますが、あの者は呪われた不死ですらない、定命の者でございましょう?神の器をも手にし、闇のソウルの因果をその身に束ねられた貴方様を、いかに煩わせるというのです?」

クリスタルボウイ「その認識が甘いと言っているのだ」

デュナシャンドラ「………」


クリスタルボウイ「不死身という言葉はヤツのためにあるようなもの。ヤツの存在は一握の灰ほどもこの世に残してはならんのだ!」

クリスタルボウイ「お前たちに命令する!アーリマンの力に惹かれた者たちを引き連れ、ヤツらよりも先に王のソウルを集めろ!」

クリスタルボウイ「そしてコブラを発見したならば、この俺を呼べ!ヤツの首は俺が直々に狩りとる!」

クリスタルボウイ「ゆけーっ!!」


ザザザーーッ!


クリスタルボウイの一声とともに、闇に群がり仕えし者どもは一斉に散り、二人の人間のうちの一人は闇に沈み込んで姿を消し、もう一人は肉色のソウルを纏って嵐の如く飛翔していった。


そして刺客たちを放ったクリスタルボウイは、ひとり石階段を降り、古い昇降機の置かれた石部屋に立つ。

目指すは忌み地にして闇の苗床。
かつて自らが堕とした人の亡国、小ロンドの遺跡である。
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